現在日本公開中の『僕らの世界が交わるまで』の世界プレミアは、2年前のサンダンス映画祭。この映画で監督デビューしたジェシー・アイゼンバーグが、今年は最新作を引っ提げてサンダンスに戻ってきた。監督2作目となるその映画『A Real Pain』では、主演も兼任。アイゼンバーグ演じるユダヤ系アメリカ人のデビッドと従兄弟ベンジーは、亡くなった祖母の出身地であるポーランドを訪ねる。その昔ナチからユダヤ人が受けた残酷な仕打ちを肌で感じる彼らはまた、今、そこにある個人的な痛みにも目を向けていく。ベンジーを演じるのは、テレビドラマ『メディア王〜華麗なる一族〜』でエミー賞をはじめ数々の賞に輝くキーラン・カルキン。コメディのセンスがあいかわらず抜群なのはもちろん、感情的なシーンでは強く感動させてくれる。アイゼンバーグの監督としての成長ぶりが明らかに見える優れた作品。『僕らの世界が交わるまで』に続き、今回もアイゼンバーグの友人であるエマ・ストーンがプロデューサーのひとりを務める。映画祭中にはサーチライトが1,000万ドルで世界配給権を獲得しており、日本でも公開されそうだ。文=猿渡由紀
2024年01月29日2月2日(金) から公開される映画『ダム・マネー ウォール街を狙え!』より、クレイグ・ギレスピー監督のコメントが到着した。本作は、ベン・メズリックのノンフィクションを基に映画化した作品で、コロナ禍の2021年、SNSに集まった個人投資家たちが起こした全米を巻きこむ社会現象“ゲームストップ株騒動”を、ユーモアを交え描く。監督のギレスピーはパンデミックの最中、ゲームストップ株の成り行きに一喜一憂する息子とともにこの騒動をリアルタイムで体験したという。当時のことを「人々のフラストレーションと歓喜、取引の激しさ、そして投資アプリ『ロビンフッド』がシャットダウンしたときの衝撃と怒り、それに続く破滅的状況と失望。人々を夢中にさせ、感情を疲弊させ、時に陶酔感を与える、ジェットコースターのような出来事」と振り返る。そして「息子は3分おきに携帯電話をチェックしていた。ロビンフッドとヘッジファンドの間で何が起きたのか、起きていることすべてをリアルタイムで理解しようとしたんだ」と、映画でも描かれた狂騒ぶりを伝えてくれた。クレイグ・ギレスピー監督「今作のテーマには全員が何かしら関わりを持っていたと思います」とプロデューサーが話す、物語の中心となる平凡な会社員キース・ギルを演じるのは、近年『THE BATMAN -ザ・バットマン-』『フェイブルマンズ』(22) に出演したポール・ダノ。監督は彼のキャスティングにあたり、『ハリー・ポッター』シリーズのダニエル・ラドクリフが死体役を演じた異色のサバイバル劇『スイス・アーミー・マン』(16) を観返したそう。「私はポールが大好きで、彼の幅広い役柄には驚くばかりです。実際、僕が見返した映画は『スイス・アーミー・マン』で、あの無邪気さや演技の中には『ダム・マネー』での“ローリング・キティ”役と似ているところがたくさんあると感じたからなんだ」と明かしている。そしてキースら市民の敵とも言えるヘッジファンドの億万長者“ゲイブ”を演じるのは、コメディ俳優の枠を超え、声優業から製作業まで幅広くこなすセス・ローゲン。プロデューサー曰く、「演じる役に対するセスの分析力こそ、監督が求めていたものです。彼はユーモアも交えますが、その下には本質と誠実さがあります。セスにできないことはありませんが、彼が特に素晴らしいのは、激しい怒り、傲慢さ、野望など見応えのある表現力です」と賛辞を送っており、平面的なキャラクターにはしたくないという製作陣の意向に合致したキャスティングとなった。ゲイブ・プロトキン役 セス・ローゲン<作品情報>『ダム・マネー ウォール街を狙え!』2月2日(金) 全国公開『ダム・マネー ウォール街を狙え!』ビジュアル公式サイト: BBP Antisocial, LLC. All rights reserved.
2024年01月23日和山やまの人気漫画を監督・山下敦弘、脚本・野木亜紀子、綾野剛と新鋭・齋藤潤の共演で映画化した『カラオケ行こ!』が好評だ。1月12日に劇場公開され、綾野さんが演じたヤクザ・狂児や齋藤さんによる合唱部部長の中学生・聡実に“沼る”人々が続出。オリジナル展開含めて原作ファンからの満足度も高く支持されている。早くも、原作の続編である「ファミレス行こ。」の映画化を熱望する声が高まっているほどだ。では具体的に、どういった部分が実写映画『カラオケ行こ!』の魅力なのか?その一端を紹介する前に筆者の背景を軽く説明させていただくと…元々和山作品の愛読者で、映画版でオフィシャルライターを務めた立ち位置。そういった前提で、以降の原作ファン目線の文章を楽しんでいただければ幸いだ。原作と重なる、山下敦弘監督の“観察目線”実写映画化するうえで、「和山作品が持っている独特の空気感をどう実写にするか」は難しい問題だ。そもそも本作は「カラオケ大会で最下位になりたくない(ダサい刺青を彫られるから)ヤクザが、合唱部部長の中学生に歌のレッスンを頼む」という荒唐無稽なもの。ただそれをハイテンションに描くのではなく、かといっていわゆる“ゆるい”脱力系のトーンで描くでもなく、独特の浮遊感がきちんとリアリティをもって存在している「ありそうにないことが受け入れられる可能性を有した」抱擁感のある世界にせねばならない。だが実際の風景が画面に映り、生身の人間が演じる以上どうしたって生々しさは付いて回るし、下手に削除しようものなら浮いたコメディになってしまう。そんな中で輝きを放ったのが、2つのコラボレーション。一つは「山下ワールド×野木脚本」であり、もう一つは「新鋭俳優×ベテラン勢」だ。こちらの項目では前者について紹介しよう。山下監督といえば近作『1秒先の彼』でも顕著なように、原作から数センチ浮いた空気感が持ち味。カットを細かく割らずにやや引きの視点&間をしっかり取って登場人物の“おかしみ”を浮かび上がらせる手法が、「紅」を熱唱する狂児を冷めた目で見つめる聡実の心情というよりもその光景“自体”のファニーさを強め、観客の心理にリンクする。橋本じゅんややべきょうすけ扮する強面ヤクザが意外な選曲を歌い上げるシーン自体にはある種の王道ギャグ的なあざとさがあるが、それをこれ見よがしに演出するのではなく、ただただ“観察”するテンションは、和山作品のカメラポジションと絶妙にマッチしている。白眉と言えるのは原作の特色であるモノローグ(聡実によるツッコミ)を省いている部分で、笑いをもたらすギミックを手放して情報/要素を減らし、画全体でニヤッとさせる映画ならではの手腕は実に見事。現実的な「時代の流れ」を盛り込んだ野木亜紀子の脚本そして、野木氏によるオリジナルエピソードの数々。特筆すべきは「時代の流れによって廃れ、失われゆくもの」の悲哀を混ぜ込んでいるところだろう。例えばヤクザという存在。綾野さんが主演した『ヤクザと家族 The Family』でも描かれたように、暴対法等によって居場所を奪われていく彼らの姿が、再開発によって消えていく街の風景とオーバーラップする構造になっている。そしてまた、聡実は中学3年生であり、近いうちに卒業し、合唱部や学び舎を離れる運命にある。狂児と聡実の関係はもとより期間限定であり、様々な形で「別れ」が暗示されている点が秀逸だ(さりげない形で交わされる映画と動画の違いも「時代の流れの無常観」を強める重要なキーとして機能している)。原作のドラマ面での重要なポイントは、狂児と聡実の友情だろう。その部分が強化されるだけでなく、あまつさえ切なさを掻き立て、かつ我々観客が実感している時代性(コロナ禍で街の風景や居場所がなくなる哀しみはより強まった)をも盛り込むこと――山下監督の原作との親和性、野木氏の観客との親和性が溶け合ったことで、笑えるだけでなくより“エモい”作品へと進化した印象だ。綾野剛・齋藤潤が提示した、“肉体化”の方法論現実感と浮遊感が組み合わさった世界観が構築されたうえで、躍動したのが綾野剛と齋藤潤。彼らの演技にも、リアルとフィクションが混ぜ込まれていった。ひとつは「ドキュメンタリータッチ」であるということ。齋藤さんはオーディションで選ばれた新鋭で、入念なリハーサル等を踏んだうえで撮影に臨んだというが、それでも彼自身が感じていた大役への不安や緊張を隠し過ぎずにむしろ生かして聡実の説得力を持たせていった(そもそもヤクザと2人きりでカラオケルームにいる状況は中学生にとって恐ろしいものだろうし、それでも歌のことになると妥協できずに手厳しくなる、という聡実のキャラクター性も強化されている)。最大の見せ場は終盤の熱唱シーンだが、声変わりの具合や安定せずとも魂で歌う必死さ等々、真に迫った熱演に原作ファンは「なるほど、あのシーンは(実際には)こういう感じだったのか!」と膝を打つのではないか。原作の解像度を高めてくれるような存在感が、齋藤潤には備わっている。そして、綾野剛の原作理解度。彼に公式インタビューを行った際、「聡実と狂児が噛み合ってはダメ」と難しさを語っていたが、俳優的な快感(対話が成立し、お互いに高まっていくグルーヴ感)を良しとせず、作品ファーストで「浮く」ことに果敢に挑みに行った結果、狂児の「話しやすいナイスガイだが、どこかわからなさ・読めなさがあるそこはかとない怖さ」という絶妙な塩梅が生み出された。狂児が「紅」を熱唱する(裏声も含めた入り込み&パターンの多彩さ!)シーンにはつい笑わされてしまうのだが、その奥にはようとして知れない・近づけない別世界の人間であるという部分が確かに感じられ、表層的な「キャラクター」になっていない。漫画の実写化は、ビジュアルメディアからビジュアルメディアへの変換だ。そのため見た目を寄せようとするアプローチ自体は王道ではあるが、避けねばならないのは「外見に中身がついていっていない」状態。むしろ、本質が合致していれば「ビジュアル的な原作再現度」は最優先事項ではない、と考える人が多いのではないか。映画『カラオケ行こ!』の狂児は原作のようにオールバックのヘアスタイルではないが、本質/魂の部分で「これは狂児だ!」と十二分に納得できるからこそ、原作ファンからも厚く支持されているのだろう。(SYO)■関連作品:カラオケ行こ! 2024年1月12日より全国にて公開©2023「カラオケ行こ!」製作委員会
2024年01月18日Bialystocksの甫木元空(Vo)が監督を務める最新作『BAUS 映画から船出した映画館』の製作が決定した。本作は、青山真治が温めていた『吉祥寺バウスシアター 映画から船出した映画館』(boid刊)と『吉祥寺に育てられた映画館 イノカン・MEG・バウス 吉祥寺っ子映画館三代記』(本田拓夫著/文藝春秋企画出版部発行・文藝春秋発売)を原作に、甫木元が脚本を引き継いで執筆。今はなき吉祥寺のミニシアターをめぐる家族の物語となっている。映画は2025年の公開を目指して製作中で、豪華俳優陣の出演も予定している。また「“あの頃”吉祥寺の映画館では何が起きていたのか?」と銘打ち、当時の写真や映像の一般公募もスタート。1925年に吉祥寺初の映画館として歴史をスタートした「井の頭会館」時代や、1951年に開館し、のちにバウスシアターへと改築される「ムサシノ映画劇場」時代、そして「吉祥寺バウスシアター」時代といった、約90年という時の中で様々な表情を見せる映画館や街との思い出を、2月29日(木) まで募集中だ。■甫木元空 コメント映画館が生まれ、大きくなり、そしてなくなるまでの物語。そこに特別な秘密があるわけではなく、世界中どんな街にも存在する映画館に生きた無名の家族の物語です。映画という窓を街に作り、娯楽という風を吹き込む事に奮闘した無名の(無数の)人々の密やかな企み。決して戦争をしてもよいと企む人々ではない。かすかな自由と幸福を見つけようと懸命に生きたこの家族の思いが、空想と共にささやかな一本の映画となって、世界の人々に映画館の存在を改めて説いてくれる。そんな願いを込めて本作を作れたらと思っています。<作品情報>『BAUS 映画から船出した映画館』2025年公開予定写真&映像の応募ページはこちら:※募集期間:2月29日(木) 23:59まで
2024年01月17日セレーナ・ゴメスが主演するリンダ・ロンシュタットの伝記映画の監督に、デヴィッド・O・ラッセルが就任したことが分かった。ラッセル監督はアカデミー賞において、『ザ・ファイター』で監督賞、『世界にひとつのプレイブック』で脚色賞と監督賞、『アメリカン・ハッスル』で脚本賞と監督賞と、これまで5度のノミネート歴がある。アメリカ西海岸を代表する稀代のシンガーのリンダ。主に70年代から80年代にかけて活躍し、「悪いあなた」、「夢はひとつだけ」など大ヒットを連発。グラミー賞を10度以上獲得している。2014年にはロックの殿堂入りを果たした。2011年に引退を発表。2013年にはパーキンソン病で歌うことができないと語っていたが、のちに進行性核上麻痺であることが判明したという。引退後は2013年に自伝「Simple Dreams: A Musical Memoir」を出版。2019年、この自伝に基づいたドキュメンタリー映画『リンダ・ロンシュタット サウンド・マイ・ヴォイス』が製作された。今作は同作のプロデューサーを務めたジェイ・キーチと、リンダのマネージャーのジョン・ボイランが製作を務める。リンダを演じるセレーナは、インスタグラムのストーリーズにリンダの自伝の画像を載せ、本作について報告した。(賀来比呂美)
2024年01月15日オーストラリア先住民族出身の監督たちによる全5作品を日本初上映する「オーストラリア先住民映画祭2024」が、2月3日(土)に渋谷・ユーロスペースにて開催決定。会場、オンライン配信のハイブリッド形式にて開催される。口承に基づく文化を、新たな手段として映画で表現オーストラリアの先住民族(アボリジナルの人々とトレス海峡島嶼民)は6万年以上前からオーストラリアに住み、世界でも最古に属する文化の伝統を守ってきた。18世紀に始まったヨーロッパ人の入植は彼らの生活に大きな衝撃を与えたものの、それでもその文化は生きながらえ、現在も彼らはその精神性、土地との繋がりを様々な芸術を通じて表現している。そして1960~1970年代にかけてテレビが家庭に普及する中、先住民の権利回復運動の高まりと相まって、この口承に基づく文化から、新たな表現手段としての映画が先住民自身により作られるようになった。1990年代には、オーストラリアの映画機関の振興策により、新しい先住民の映画製作者たちが相次いで登場し、彼らはこの新たな表現手段を自らのものとして、作家性を追求するようになっていく。現在、ウォリック・ソーントン、レイチェル・パーキンズ、リア・パーセルなど先住民の監督は世界で活躍をしている。先住民の監督による作品を上映する今回の「オーストラリア先住民映画祭」では、映画という光の芸術により、紡ぎ続けられている彼ら自身の文化の物語に触れる。ドキュメンタリー映画から短編作品まで珠玉の5作品今回、初開催となる「オーストラリア先住民映画祭 2024」では、先住民の監督たちによる多彩なラインアップを会場とオンライン配信のハイブリッド形式にてお届け。『フィンク 悠久の大地を駆ける』“砂漠の王者”の称号獲得に人生をかけるライダーたちを追ったドキュメンタリー映画『フィンク 悠久の大地を駆ける』、オーストラリアの女優リア・パーセルが1893年のオーストラリア奥地を舞台に人種差別と女性蔑視を取り上げたスリリングな『家畜追いの妻モリー・ジョンソンの伝説』。短編作品では、ヴェネチア国際映画祭やベルリン国際映画祭でも評価の高いウォリック・ソーントン監督が先住民コミュニティ向けラジオ局のある一夜を描いた『グリーン・ブッシュ』。『グリーン・ブッシュ』古いしきたりによって許嫁となった見ず知らずのふたりをみずみずしいタッチで描いたラブコメディ『マイベッド、ユアベッド』。『マイベッド、ユアベッド』ヌラヌラ(こん棒)を振り回すおばあちゃんたちに立ち向かう白人の若手警官を描いた『ヌラヌラ』は、西部劇の雰囲気を感じさせる軽妙なコメディとなっている。『ヌラヌラ』また、ジャスティン・ヘイハースト駐日オーストラリア大使、本映画祭アドバイザーでプロデューサー、シドニー工科大学准教授のポーリーン・クレイグ、日本を代表するオーストラリア映画研究者の佐和田敬司(早稲田大学教授)、映画評論家の村山匡一郎、オーストラリア先住民族の伝統楽器「ディジュリドゥ」の奏者・画家のGOMAより、開催に寄せるコメントも到着。『家畜追いの妻モリー・ジョンソンの伝説』の監督・主演リア・パーセル、プロデューサーのベイン・スチュワートの来日も決定し、トークイベントを開催する。「オーストラリア先住民映画祭 2024」開催に寄せるコメント■ジャスティン・ヘイハースト(駐日オーストラリア大使)「オーストラリア先住民映画祭2024」を、皆さまにご紹介できることを嬉しく思います。アボリジナル・ピープルとトレス海峡島嶼民は、古くからストーリーテリングを活用し、現存する世界最古に属する文化を共有してきました。オーストラリアの先住民の人々は、こうした伝統を土台に映画を通じて自らの物語を語り始め、今ではこの分野で卓越した才能を発揮しています。先住民の人々による映画制作が盛んになる中、わが国のこうした人々の多くの物語が、世界に発信されているのは素晴らしいことです。多くの皆さまが、オーストラリアの先住民の創造性を祝う、この映画祭で様々な種類の作品を楽しまれるよう願っています。■ポーリーン・クレイグ(プロデューサー、シドニー工科大学准教授)過去30年に、オーストラリアの先住民の語り手がカメラの後ろに立って、重要な役割を果たす動きが顕著になりました。そして、世界に波のように押し寄せた先住民映画の一翼を担ったのです。こうしたオーストラリアの先住民映画作家は、自らのストーリーを自らの目線で伝えています。今回のイベントでは、歴史上のストーリーと現代のストーリーを描いた作品がそれぞれ上映されます。その両方をお楽しみいただければ、幸いに存じます。こうしたストーリーがあったからこそ、今日のオーストラリアらしさが確立されたのです。■佐和田敬司(早稲田大学教授)先住民の文化はオーストラリア芸術のあらゆる分野を牽引している。文学、演劇、ダンス、音楽、美術、そして映画も例外ではない。20世紀の中頃までは先住民が映画をつくることも、演じることも出来ないという根強い偏見があった。それが突き崩され、今や多彩な俳優たち、実力のある監督、脚本家などによって、優れた先住民映画が次々と生み出されている。かつては語られるだけであった彼・彼女らが、みずから語りだし、さらには彼らの文化に無尽蔵にある物語によって、オーストラリアの歴史を語り直そうとしている。先住民映画の現在を、この上映会でぜひ体感してほしい。■村山匡一郎(映画評論家)オーストラリア映画は今日、世界中でその存在感を高めているが、そんなオーストラリア映画の現状を知る上で、先住民出身の監督・俳優・スタッフを抜きにしては語れない。それほど多くの豊かな才能がオーストラリア映画を彩っているからだ。そんな先住民の伝統文化を受け継ぐ映画人たちが創り出す数々の映画を通して、わが国ではあまり知られていないオーストラリア映画の多様性と魅力に触れる絶好の機会である。■GOMA(オーストラリア先住民族の伝統楽器「ディジュリドゥ」の奏者、画家)オーストラリア先住民と聞いて何をイメージしますか?ウルル(エアーズロック)、壁画、ディジュリドゥ?この映画祭で上映される作品は全て先住民監督による作品です。’00年代になりスポーツや芸術の領域で先住民スターが誕生し始めました。これから来たるであろう先住民 × テクノロジーの革命前にこの転換期の作品達をぜひ観てほしい。あなたが抱いているオーストラリア先住民へのイメージは劇的にアップデートされることでしょう。「オーストラリア先住民映画祭2024」は2月3日(土)、ユーロスペースにて開催。(シネマカフェ編集部)
2024年01月10日ジョン・ファヴローが『スター・ウォーズ』劇場用新作映画を監督することになった。タイトルは『The Mandalorian & Grogu』。ディズニープラスのシリーズ『マンダロリアン』でお馴染みのマンダロリアンとベイビー・ヨーダに焦点を当てるもののようだ。シリーズに主演するペドロ・パスカルがこの映画にも登場するのかどうかは明らかでない。シリーズは第4シーズンの製作が決まっている。『The Mandalorian & Grogu』は、年内に撮影が開始される模様。このほかに、ファヴローは2016年に大ヒットした『ジャングル・ブック』の続編を監督する予定。文=猿渡由紀
2024年01月10日マルコ・ベロッキオ監督の映画『エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命』が、2024年4月26日(金)より、恵比寿ガーデンシネマや新宿シネマカリテほかにて公開される。「エドガルド・モルターラ誘拐事件」を映画化映画『エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命』は、史実「エドガルド・モルターラ誘拐事件」に基づいた衝撃的な物語だ。1858年に起きた「エドガルド・モルターラ誘拐事件」は、ユダヤ人街で家族と共に暮らしていた、7歳を迎える男児エドガルドが「何者かに洗礼を受けた」という情報によって、教会に連れ去られた実在の事件。スティーヴン・スピルバーグが、映画化に向けて、書籍の原作権を押さえていたことでも知られている。監督を務めるのは、現代イタリア映画を牽引してきたマルコ・ベロッキオ。1965年『ポケットの中の握り拳』で監督デビューを果たして以降、数々の名作を世に送り出してきた巨匠だ。80年代から90年代にかけては、『肉体の悪魔』や『蝶の夢』といった人間の内面に迫る、精神分析に長けた作品も手掛けている。本作は、2023年のカンヌ国際映画祭コンペティション部門出品を皮切りに、世界中の映画祭をまわり、イタリア映画記者組合が選出するナストロ・ダルジェント賞では7部門を受賞。知られざる衝撃の実話と、85歳にして熱量の衰えぬベロッキオにより高濃度で描かれたドラマが高い評価を得ている。エドガルド役は新星エネア・サラエドガルド役には、新星エネア・サラを抜擢。モルターラ家の息子で、教会の絶対的権力者であるローマ教皇の指示のもと、突如連れ去られてしまう男の子の役を演じる。あらすじ1858年6月、イタリア北部の都市・ボローニャ。ユダヤ人一家のモルターラ家に、教皇から派遣された兵士たちが押し入り、7歳になる息子エドガルドを連れ去ってしまう事件が起きる。理由は、エドガルドが「何者かに洗礼を受けた」という情報によるものだった。モルターラ夫妻は息子を奪還するべく、あらゆる手を尽くすが、教会とローマ教皇はエドガルドの返還に応じようとしない。突然誘拐された息子を取り戻す闘いは、世論と国際的なユダヤ人社会が入り交じり、急速に政治的な局面を迎えていくのであった。【作品詳細】映画『エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命』公開日:2024年4月26日(金)監督:マルコ・ベロッキオ脚本:マルコ・ベロッキオ、スザンナ・ニッキャレッリ出演:パオロ・ピエロボン、ファウスト・ルッソ・アレジ、バルバラ・ロンキ、エネア・サラ、レオナルド・マルテーゼ製作:ベッペ・カスケット、パオロ・デル・ブロッコ配給:ファインフィルムズ原題:Rapito
2024年01月08日アンドレイ・タルコフスキーが監督を務めた映画『ノスタルジア 4K 修復版』が、2024年1月26日(金)よりBunkamura ル・シネマ 渋谷宮下ほか全国の劇場にて順次公開される。旧ソ連映画界の巨匠、アンドレイ・タルコフスキーアンドレイ・タルコフスキーは、旧ソ連映画界の巨匠にして不世出の映画作家。54年という短命な生涯の中で全8作品の劇映画を世に送り出し、今もなお映画人やアーティスト達に影響を与え続けている。1962年の長編1作目『僕の村は戦場だった』ではヴェネチア国際映画祭でサン・マルコ金獅子賞等を受賞。1967年にはロシアの伝説的な画家を描いた『アンドレイ・ルブリョフ』を完成させたが、歴史解釈を巡りソ連当局の激しい批判を受け、5年間の上映禁止に。一方で同作品はカンヌ国際映画祭で国際映画批評家連盟賞を受賞し、高い評価を得た。さらに、『惑星ソラリス』『鏡』『ストーカー』といった作品でも唯一無二の映像世界を展開し、世界的な映画監督としての評価を確立した。祖国を出たタルコフスキーが描く『ノスタルジア』しかし、依然としてソ連国内の厳しい検閲にさらされていたことからアンドレイ・タルコフスキーはソ連を出国。タルコフスキーが初めてソ連国外であるイタリアで製作したのが、長編6作目の『ノスタルジア』だ。タルコフスキーは『ノスタルジア』について、「祖国を離れたロシア人特有の精神状態=ノスタルジアを描きたかった」と話していたという。タルコフスキーが3年半を費やして“郷愁”を表現した映画『ノスタルジア』は、陰影に富んだ映像と繊細な音響により、空間、時間、そして人間の葛藤を映し出す作品だ。中世からルネサンス期のフレスコ絵画と近代美術が一体化したかのような、洗練された映像に、アンドレイ・タルコフスキーの父であるアルセーニイ・タルコフスキーの詩、ヴェルディの「レクイエム」やベートーヴェンの「第九交響曲」、ロシアの民族音楽といった音楽が重なり、タルコフスキーの“詩的宇宙”を描き出す。なお、『ノスタルジア』は1983 年カンヌ国際映画祭で「この映画の創造に対する特別大賞」「国際映画批評家連盟賞」「エキュメニック審査員賞」を受賞し、3冠に輝いた。映画『ノスタルジア 4K 修復版』ではより精細な映像に映画『ノスタルジア 4K 修復版』では、より精細な映像で蘇った『ノスタルジア』を楽しめる。祖国を思うタルコフスキーが生み出した絵画的な映像美はもちろんのこと、劇中で印象的なカメラの横移動や長回しショットにも注目だ。映画『ノスタルジア』あらすじイタリア中部トスカーナ地方、朝露にけむる田園風景に男と女が到着する。モスクワから来た詩人アンドレイ・ゴルチャコフと通訳のエウジュニア。ふたりは、ロシアの音楽家パヴェル・サスノフスキーの足跡を辿っていた。18 世紀にイタリアを放浪し、農奴制が敷かれた故国に戻り自死したサスノフスキーを追う旅。その旅も終りに近づく中、アンドレイは病に冒されていた。古の温泉地バーニョ・ヴィニョーニで、世界の終末が訪れたと信じるドメニコという男と出会う。やがてアンドレイは、世界の救済を求めていく 。【詳細】映画『ノスタルジア 4K 修復版』公開日:2024年1月26日(金)監督:アンドレイ・タルコフスキー脚本:アンドレイ・タルコフスキー、トニ一ノ・グエッラ撮影監督:ジュゼッペ・ランチ出演:オレーグ・ヤンコフスキー、エルランド・ヨセフソン、ドミツィアナ・ジョルダーノ原題:NOSTALGHIA
2023年12月31日12月22日よりザック・スナイダー監督のSF超大作『REBEL MOONーパート1:炎の子』の世界配信がスタートした。これまで『バットマン vsスーパーマン ジャスティスの誕生』『ジャスティス・リーグ』などを手掛け、スーパーヒーロー映画やSF映画に定評のあるスナイダー監督に、盟友クリストファー・ノーラン監督が称賛を送った。「今日公開されるスーパーヒーロー映画やSF映画で、ザックの影響を受けていないと思われるものはありません。ザック・スナイダーの映画を観ると、映画が持つ可能性に対する彼の愛情を理解し、感じることができるでしょう。その可能性というのは、ファンタジー的にもでき、現実感を高めることもでき、それでいて観客を感動させワクワクさせるというものです」と「The Atlantic」誌の記者に語ったという。ノーラン監督は2013年にスナイダー監督がメガホンを取った『マン・オブ・スティール』でプロデューサーを務め、以降2人は親交を深めていった。同じくスナイダー監督の『バットマン vsスーパーマン ジャスティスの誕生』『ジャスティス・リーグ』『ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット』では、ノーラン監督は製作総指揮を務め、スナイダー監督の仕事ぶりに触れる機会も多々あった。(賀来比呂美)■関連作品:ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット 2021年5月26日よりデジタル配信開始©2021 Warner Media Direct, LLC All rights reserved. HBO MAX(R) is used under license.
2023年12月27日ジャーナリストの須賀川拓監督最新作『BORDER 戦場記者 × イスラム国』が、2024年3月15日(金) より開催される「TBSドキュメンタリー映画祭」にて「ソーシャル・セレクション」作品として上映されることが決定した。須賀川監督は、2019年から2023年までJNN外信部中東支局長として、レバノン、イラン、イスラエル、アフガニスタンといった中東各国を取材。また、ウクライナへの取材など紛争地に生きる一般市民の声を積極的に発信し続ける日本人ジャーナリストだ。2022年には、国際報道で優れた業績をあげたジャーナリストに贈られる「ボーン・上田記念国際記者賞」を受賞。そして同年には、初の全国公開となったドキュメンタリー映画『戦場記者』を発表した。最新作では、シリア奥深くの砂漠にある難民キャンプを取材。壊滅したと思われている過激派組織イスラム国、その極めて危険な思想にいまだ共鳴する人々がいる現実を映し出す。須賀川は「戦争は、長引けば長引くほど悲惨だ。多くの人が死ぬのに、その悲惨な現実への関心は薄れていく。『私たちのことを忘れないでください』これが戦地からの悲痛なメッセージだ。戦争の負の遺産を先進国に住む私達が知ることで、未来の誰かが救われるかもしれない」と本作に込めた思いをコメントしている。<開催情報>「TBSドキュメンタリー映画祭」2024年3月15日(金)〜28日(木) 東京・ヒューマントラストシネマ渋谷2024年3月22日(金)〜4月4日(木) 大阪・シネ・リーブル梅田2024年3月22日(金)〜4月4日(木) 愛知・名古屋・センチュリーシネマ2024年3月22日(金)〜4月4日(木) 京都・アップリンク京都2024年3月29日(金)〜4月11日(木) 福岡・キノシネマ天神日程調整中 札幌・シアターキノ<作品ラインナップ >【ソーシャル・セレクション】人種や戦争、社会問題など、現代を取り巻く重要なテーマを考える今だから見るべき作品『坂本龍一 WAR AND PEACE 教授が遺した言葉たち』『坂本龍一 WAR AND PEACE 教授が遺した言葉たち』(C)TBS音楽家はなぜ、社会発信を強めていったのか。坂本龍一が遺したもの……監督:金富隆出演:坂本龍一『サステナ・フォレスト ~森の国の守り人(もりびと)たち~』『サステナ・フォレスト ~森の国の守り人(もりびと)たち~』(C)TBS“森の国”日本放置された末に今、「守り人」たちは……監督:川上敬二郎出演:橋本光治、橋本延子、橋本忠久、柴田君也、小林正秀、蔵治光一郎、佐藤宣子、齋藤暖生『家さえあれば ~貧困と居住支援~』※大阪・京都 限定上映作品『家さえあれば ~貧困と居住支援~』(C)MBSたとえ何度裏切られても──居住支援を続ける理由とは?監督:海老桂介出演:坂本慎治ナレーター:田村裕(麒麟)『102歳のことば~生活図画事件 最後の生き証人~』※北海道 限定上映作品『102歳のことば~生活図画事件 最後の生き証人~』(C)HBC絵を描くことすらも許されない時代がかつて日本にあった監督:長沢祐出演:菱谷良一朗読:古舘寛治ナレーション:世永聖奈『リリアンの揺りかご』※福岡 限定上映作品『リリアンの揺りかご』(C)RKB「歴史の女神」は見つめているいつも愚かで不寛容な私たちを監督:神戸金史出演:リリアン・ギッシュ、植松聖、神戸金佑【ライフ・セレクション】家族の形や身体的な障害など、多様な生き方や新たな価値観を見出せる作品『私の家族』『私の家族』(C)TBSママが2人いる……丁寧に話したい、もう後悔したくないから監督:久保田智子『方舟にのって~イエスの方舟45年目の真実~』『方舟にのって~イエスの方舟45年目の真実~』(C)TBS鑑賞後もあなたは、ハーレム教団と呼びますか?監督:佐井大紀出演:千石まさ子、千石恵、千石美砂紀、井上安子、土田尚美、小串恵子、千石朋子、千石成美、鳥越俊太郎、千石剛賢『魚鱗癬と生きる ー遼くんが歩んだ28年ー』※福岡 限定上映作品『魚鱗癬と生きる ー遼くんが歩んだ28年ー』(C)RKB難病「魚鱗癬」を知っていますか?RKB報道部が伴走した軌跡監督:大村由紀子出演:梅本遼ナレーション:橋本由紀『劇場版 僕と時々もう1人の僕~トゥレット症と生きる~』※名古屋 限定上映作品『劇場版 僕と時々もう1人の僕~トゥレット症と生きる~』(C)CBC制御不能な“もう1人の僕“「ヘルプマークあっても変わらない」監督・撮影・ナレーション:柳瀬晴貴出演:棈松怜音、酒井隆成、ののか【カルチャー・セレクション】視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚など、感覚を司る表現者たちやテーマを通して新たな感性に出会える『映画 情熱大陸 土井善晴』※東京・大阪・京都 限定上映作品『映画 情熱大陸 土井善晴』(C)MBSありがとう先生!ご飯作って食べるのがメッチャ楽しくなりました監督:沖倫太朗出演:土井善晴ナレーション:窪田等音楽:葉加瀬太郎『最後のMR.BIG~日本への愛と伝承』『最後のMR.BIG~日本への愛と伝承』(C)TBS日本を愛し、日本に愛されたバンドによる最後の別れ──監督:川西全出演:MR.BIG[エリック・マーティン(Vo)、ポール・ギルバート(G)、ビリー・シーン(B)、パット・トーピー(Ds) ]『ダメな奴~ラッパー紅桜 刑務所からの再起~』『ダメな奴~ラッパー紅桜 刑務所からの再起~』(C)TBS「カッコ悪くていい」刑務所からの再起を賭けた男の物語監督:嵯峨祥平出演:紅桜ナレーション:大塚芳忠『旅する身体~ダンスカンパニー Mi-Mi-Bi~』『旅する身体~ダンスカンパニー Mi-Mi-Bi~』(C)TBS身体的特徴も個性もバラバラ。Mi-Mi-Biの身体を巡る旅監督:渡辺匠、志子田勇出演:内田結花、KAZUKI、武内美津子、福角幸子、福角宣弘、三田宏美、森田かずよ、大谷燠、文、橋本実弥公式サイト:
2023年12月25日アリ・アスター監督3年ぶりの来日を記念して、来年2月16日(金) に公開される最新作『ボーはおそれている』のジャパンプレミアが開催。イベントには、日本の映画ファンを代表してアスター監督の大ファンでもある八代目・市川染五郎がサプライズゲストとして登壇した。先週発売された本イベントのチケットはなんと2分で完売。先日発表されたゴールデングローブ賞で主演のホアキン・フェニックスが主演男優賞にノミネートされ、マーティン・スコセッシ監督、ポン・ジュノ監督、ギレルモ・デル・トロ監督らも一様に絶賛、改めてその人気を見せつけた天才アリ・アスター監督。その新作をこれから初めて鑑賞する日本の観客に向けてアリ監督は「この映画は⻑年作りたいと思っていた作品です。トーンがころころ変わるから、今のシーンいいな!と思ったら……。すみません、すぐに変わります。逆にこのシーン嫌だなと思ったら……喜んでください。すぐに変わります」と、まずは、ユーモア交じりに本作をPR。前作『ミッドサマー』が北米を除いて世界で一番ヒットしたのは、実はここ日本。アリ監督は「その理由はきっと、日本の観客が最高だからでしょう。是非とも『ボーはおそれている』でもその記録を樹立してほしいです!」と観客に呼び掛ける。そんな中、アリ・アスターの大ファンだという染五郎が花束を持って登壇、アリ監督に贈呈!前回の来日時、歌舞伎を観劇したというアリ監督は、その際に受けた衝撃を本作には色濃く反映していると明かし「美しさに圧倒されて、その足でホテルに帰って『ボーはおそれている』の脚本の、とある場面を書き直しました。それだけ私に大きな影響を与えた出来事でした」と告白。嬉しい事実に染五郎は「歌舞伎に携わる者として純粋に嬉しい。歌舞伎は日本が誇るエンターテインメント。日本の皆さんはもちろんのこと、アリ監督のような海外の素晴らしいクリエイターに影響を与えているなんて」と喜びもひとしお。また染五郎は「歌舞伎とアリ監督作の共通点は、グロテスクな表現さえも美しく見せてしまうところ。そこが歌舞伎とアリ監督作品の魅力でもある」と分析し、そして日本で一番有名な“怪談の定番”『東海道四谷怪談』をおすすめ。これを受けたアリ監督は「是非とも観劇したい。上演する際は教えてください」と興味津々だった。先んじて本作を鑑賞した染五郎。「ホアキンさんの芝居に圧倒されました」と絶賛。そして「ホアキンさんとはどんな空気感と距離感で作られたのかを知りたい」と質問。アリ監督は「ホアキンは役者として全身全霊で役に向き合うタイプで、色々とチャレンジをしたがる。私の指示に対して彼なりに色々とアレンジして試す。私も彼の好きにやってもらって新しい可能性を広げていくのがとても楽しかった。ホアキンと仕事をすると演出や芝居が常に変化して生々しいものになる」と回答し、染五郎も「色々な事にチャレンジしてその中で良い物を選んでいくやり方に僕も感銘を受けました」と満足そうだった。アリ・アスター監督日本が大好きなアリ監督。「実は先週から日本に来ています。というのも日本が世界で一番好きな国だからです。とても人口の多い都市なのに、こんなに静かで安心できる場所はありません。料理の出され方、靴の脱ぎ方一つにしても丁寧。そこに驚きと感銘を受けます。前回アメリカに帰った時にそんな文化が恋しくなったので、今回の来日で懐かしくなりました。日本は美しい文化を持つ国の一つです」とジャパニーズカルチャーを絶賛。すると染五郎は、奈良県の⻑谷寺にある十一面観世音菩薩立像をおすすめして、アリ監督から「素晴らしい!是非その場所に連れて行ってください」とおねだりされていた。短い時間ながらも、すっかり親交を深めた2人。司会から「染五郎さんで映画を撮るなら?」と聞かれたアリ監督は「恐ろしい秘密を隠し持っている歌舞伎一家の話がいい。染五郎さんは善人のようでありながら悪人という役どころ」と具体的プランに言及。これに対して染五郎は「実際にそんな人だと思われていたら嫌だけれど……」と苦笑いしつつ「役としてだったら、ぜひやりたい」と前向きに答えた。八代目・市川染五郎最後は、ゴールドの法被を羽織ったアリ監督と染五郎でヒット祈願の鏡開きを実施。「ボーは?」の呼びかけに対して「おそれている〜!」という観客の発声をきっかけに2人仲良く木槌を振り下ろしていた。最後にアリ監督はこれから本作を観る観客に向けて「僕の内臓を泳ぎ回るかのような体験を楽しんでほしい。1回と言わず2回は観てほしい」と期待。染五郎も「映画館で観たという表現だけでは片づけられない、夢の世界にいたのではないかという思いが日にちを重ねれば重ねるほど強くなっています。自分ももう一度映画館で観たい」と早速『ボーはおそれている』の沼にハマっていた。<作品情報>『ボーはおそれている』2024年2月16日(金) 公開公式サイト: Mommy Knows Best LLC, UAAP LLC and IPR.VC Fund II KY. All Rights Reserved.
2023年12月19日映画『ボーはおそれている』ジャパンプレミアが12月18日(月)に都内劇場で行われ、来日したアリ・アスター監督が登壇し、八代目・市川染五郎がサプライズゲストとして駆け付けた。『ボーはおそれている』は『ヘレディタリー/継承』、『ミッドサマー』で知られるアスター監督による、一度体験したら戻れないオデッセイ・スリラー。日常のささいなことでも不安になる怖がりの男・ボー(ホアキン・フェニックス)はある日、さっきまで電話で話していた母が突然、怪死したことを知る。母のもとへ駆けつけようと玄関を出ると、そこはもういつもの日常ではなかった。奇妙な出来事が次々に起こり、里帰りはいつしか壮大な旅へと変貌していく。2分で即完したというこの日のジャパンプレミアの席は、アスター監督ファンで埋め尽くされた。熱気を感じたらしいアスター監督は、本作について「長年作りたかった映画です。形やトーンがころころ変わっていくので、あるシーンがすごく気に入ったらすみません、すぐ変わるかも(笑)。でも嫌な場合もすぐ変わるのでご安心ください」と笑顔を見せた。実は『ミッドサマー』来日時に歌舞伎を鑑賞したというアスター監督は、「美しさに圧倒されて。当時まだ『ボーはおそれている』の脚本を手掛けていた頃だったので、真っすぐホテルに戻ってあるシーンを書き換えたんです。それほど大きな影響を与えてくれました」と衝撃のエピソードを明かす。市川さんは「純粋に歌舞伎に関わるもの者としてうれしく思います。日本が誇るエンターテインメントだと思っていますので、素晴らしいクリエイターのアスター監督に歌舞伎が影響を与えていること、自分が関わっているのがすごくうれしいです」と満面の笑みを広げた。さらに、アスター監督なら市川さんにどんな役を演じてもらいたいか、について話が及ぶと、アスター監督は「歌舞伎一家の映画を作って、ぜひ出ていただきたい。けど恐ろしい秘密を隠しているストーリーになります。善人に見せて、実は最も悪という役にしたい」と目を輝かせる。市川さんは、「実際そういう人だと思われていたらすごい嫌ですけど(笑)、役としてはすごいやってみたいです!」と意欲を見せていた。『ボーはおそれている』は2024年2月16日(金)より全国にて公開。(シネマカフェ編集部)■関連作品:ボーはおそれている 2024年2月16日より全国にて公開© 2023 Mommy Knows Best LLC, UAAP LLC and IPR.VC Fund II KY. All Rights Reserved.
2023年12月18日三谷幸喜監督最新作 製作報告会が13日に都内で行われ、三谷監督が登場した。○■三谷幸喜監督、最新映画『スオミの話をしよう』公開を発表この日発表されたのは、女優の長澤まさみが主演を務める映画『スオミの話をしよう』(2024年9月13日公開)。三谷監督は「何か一つ限定してこれだということではなく、5つの顔があります」と前置き、「まずミステリーです。大富豪がいて、その奥さんの名前が『スオミ』というんですけども、突然いなくなっちゃうんです。誘拐事件なのか、単なる家出なのかわからない。大富豪はあまり大事にしたくないので。警察には言わずに自分の知り合いの警察官に極秘でプライベートで捜査をしてくれるように頼むんです。それがこの物語の発端となっております。日本映画で誘拐というと、黒澤明監督の『天国と地獄』という作品があります。まあ今回それを目指そうかなと思っております」と説明し、「ちょっと大きく言ってしまいました」と会場を笑わせた。監督はさらに「2つ目の顔はコメディです。僕はコメディしか作らない人間です。ずっと笑いの世界にいて、『鎌倉殿の13人』という大河ドラマはちょっとシリアス側に舵を切ってましたが、それでもやっぱり笑いの要素があって、僕はやっぱり自分が作るものは、皆さんに楽しんでもらう、笑ってもらうことが大前提と思って作品を作っております」と続ける。「大富豪のところに、スオミがかつて結婚していた4人の男性が集まってきます。旦那さんも含めて、5人のスオミを愛する男たちが集結する物語です。極秘にお願いした警察官というのも、実はスオミの前の旦那さんです。その5人の男たちは、誰が1番スオミのことを愛していたかでマウントを取り始める。スオミがいなくなったのはもう忘れちゃって、そのことばっかりに執着していく、そんな展開になっています」と説明した。3つ目は「僕の作品としては珍しいんですけど、恋愛映画です。それぞれ5人の男たちは、自分とスオミの思い出を語ります。そこでいろんな愛の形が見えてくるという構成になっております。パートナーがいる方もパートナーが今いない方も、必ず楽しんでもらえる、いろいろ学べる作品になってるんじゃないかなというふうに思っています。デートムービーといってもいいでしょうか? デートムービーになっております」と監督。さらに4つ目に継いては「実は1番大事なので、記事にしていただくときには、1番大きな活字でお願いしたい」そうで、「『スオミの話をしよう』は長澤まさみ作品です」ときっぱり。「僕が長澤まさみさんが大好きで、今まで舞台も一緒にやりましたし、ドラマも出ていただいて、大河ではナレーションもやっていただいたんですけども、おそらく今の日本映画界で最も力があって輝いている女優さんだと思います。彼女のコメディエンヌとしての輝きも含めて、今現在の長澤まさみさんの魅力を、とにかくスクリーンに収めたかったというのが、僕の1つの目標でもありました。長澤さんファンの方は『あ、こんな長澤さんが見たかったんだ』ときっと思ってくれると思います」と自信を見せる。5つ目は「これはもう本当ちっちゃくて構わないんですけど、三谷幸喜作品でもあります。僕にとって9本目の映画です。毎回試行錯誤を繰り返してますけども、今回は手応えがあるというか。まだ編集の途中なんですけども、面白い作品になっていると思いますし、今までの映画と同じように、カンヌとかベネチアには全く縁のない作品ではあるんですけども、今の日本のお客さんには、必ず楽しんでもらえる作品になっていると思っております」と明かす。「原作もないしアニメでもないしテレビが元になった作品でもない、完全オリジナル作品は今あんまりないんですけども、その中の1本として、来年の日本映画にちょっとでも貢献できるといいなと思っております」と意気込んだ。○■長澤まさみの魅力とは?改めて長澤の魅力について聞かれると、「結構はっちゃけたイメージもあるんだけども、実はすごく繊細なお芝居をされる方でもある。一緒に舞台やった時もとても感じたんですけども、ご本人がすごく真面目な方だというのもあり、本当に役を掘り下げていく。セリフ一つ一つも自分の納得いくまで繰り返し繰り返し。撮影中も僕はもうこれでOKだと思ってるんだけども、長澤さん的には『もう1回お願いします』という場合も何度もありました」と振り返る。「それぐらい役に対する意気込みがきちんと形として残る方だと思っていて、もちろんコメディのイメージもあるんだけども、それと同じぐらい、とても演技上手の方だと思ってます。だから今回の役も、実はとても難しい役を僕は彼女にお願いしたんです。5人の男たちが思い描くそれぞれのパートナーとしてのスオミは全員同じようで、それぞれ印象が違う。だけども通して見ると、1人の人間だという複雑な役をお願いして、僕の思っていた以上に演じてくださったというのがすごく嬉しかったし、『こういう長澤さんを皆さんに見てほしかった』と思っています」と語る。さらに「エンターテイナー的な部分ももちろん持ってらっしゃるので、ちょっとだけ歌うシーンもありますし、踊りもあります。気持ちアクションシーンもあったりとかします。長澤まさみのすべてがこの中にある時といっても過言ではないと思います」と胸を張った。
2023年12月13日映画『REBEL MOON』より、ザック・スナイダー監督、出演者のソフィア・ブテラ、ぺ・ドゥナ、エド・スクラインら豪華ゲストが来日し、日本&アジア合同記者会見が開催された。本作は、Netflixによる2部構成のビッグプロジェクト映画で、『REBEL MOON — パート 1:炎の子』が12月22日(金)、『REBEL MOON — パート 2:傷跡を刻む者』が2024年4月19日(金) より独占配信。監督・脚本・製作・原案を務めるスナイダー監督が、黒澤明監督の名作『七人の侍』からインスパイアを受け創造したSFスペクタクル巨編だ。舞台は、巨大帝国マザーワールドが支配する銀河。暗い過去から逃げ、惑星の片隅の平和な村で暮らしていた、心優しい熱き戦士コラ(ソフィア・ブテラ)。しかしある日、帝国の刺客が村に現れ侵略を開始。コラは蹂躙された村人の敵討ちのために立ち上がり、惑星を巡りながら共に戦う戦士〈レベルズ〉を探す仲間集めの旅へ出る。本作を手掛けたスナイダー監督は、作品を手掛ける上で日本の作品からも影響を受けているそうで、約10年ぶりの来日に「皆さんこんにちは。当たり前のことですが、私は日本が大好きなので再び来ることができて嬉しいですし、とても光栄です!」と感慨深く挨拶。スナイダー監督は好きなアニメに『AKIRA』を挙げていたり『鬼滅の刃』も鑑賞していたりと日本のアニメやコミックが大好きだそうで、本作で影響を受けた作品について聞かれると「この作品が始まる前は『ワンパンマン』を見ました(笑)。色んな作品の影響を受けていて具体的な作品名は言えませんが、剣術だったりアクションだったり日本の文化も本作に散りばめています。黒澤明監督の『七人の侍』『蜘蛛巣城』にも影響を受けました」と告白した。ザック・スナイダー監督本作の構想期間は20年以上。作品が完成するまでの道のりを振り返り、「アイデアの発端は1977年まで遡ります。11歳の時に『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』を観たからでした。僕は“自分の手でもこのような素晴らしい作品を作ることができるかもしれない”と思いました。私のクリエイターとしての土台を作ったのは『スター・ウォーズ』に始まり、黒澤明監督の作品でしたね」と感無量な面持ちで心境を語るスナイダー監督。監督と共に作品を創り上げたプロデューサーのデボラ・スナイダーは「この作品はオリジナルなので他にはない作品です。完成形はザックの頭の中にしかないのでとてもチャレンジングでした。ザックは色んな作品を参考にしていて、ディティールなどリアリティさを持たせることを大事にしていましたね」とスナイダー監督と顔を合わせながら語り、二人三脚の夫婦の絆を垣間見せた。左より)デボラ・スナイダー&ザック・スナイダー監督俳優としてはもちろん、ダンサーとしても活躍する主人公コラを演じるソフィア・ブテラが「ダンサーは身体を使いますし、周りを見て踊りを覚えることも多いので、その経験が今回のアクションシーンに役立ちました。ただ、私は銃を持つことが初めてでした。コラは戦士なので、銃の扱いを間違わないように立ち振る舞いをザックに教えてもらいました」と語るように、過酷なアクションシーンの撮影に向けて入念な準備を行ったことを明かした。作品をいち早く鑑賞した〈レベルズ〉の二刀流使いネメシスを演じるぺ・ドゥナは「スタジオで撮影をした時とは全く違う光景を見ることができて、予告編を見ただけでも自分の格闘シーンに驚きました。ザックの工夫のおかげですね」と率直な気持ちを告白。ソフィア・ブテラぺ・ドゥナまた先日サンパウロから始まった本作のワールドツアーで、作品を鑑賞したファンたちの熱狂的な反響を受けたキャスト陣。ソフィアは「没頭して撮影に挑んだ153日間の日々は魔法のように過ぎていきました。このワールドツアーを通して、作品を鑑賞したファンの姿を見ることができて嬉しいです。上映場はまるでコンサートのようでした」とワールドツアーの盛り上がりを明かした。冷酷非道で人間味ゼロの執行官、ノーブル提督を演じるエド・スクラインは「映画製作はリレー競争のようですよね。我々は100m走を全力疾走してバトンを繋ぎます。本作だと100マイルでしょうか(笑)。サンパウロ、ロサンゼルスのプレミアにも参加して完走した気持ちです。懸命な仕事をして視聴者の皆さんにバトンを渡し、レースの見どころを見ているようです」と言及。本作への確かな手ごたえをのぞかせた。エド・スクライン会見の後半にプレゼントを持ってステージに登場したのは、アクション映画をこよなく愛する人気グループINIの池﨑理人。池﨑は本作の魅力にどっぷりハマったそうで、「とにかく想像の100倍のスケールでした!アクションもド迫力で、今からパート2が楽しみです。今回はこのような素晴らしい場所に呼んでいただけて嬉しいです」などと“REBEL MOON愛”を語り、来日記念と本作の大ヒットを願って特製の半纏を来日ゲストにプレゼント。それぞれの名前入りで背中には作品名がカタカナで入っており、受け取ったゲスト陣は初めての半纏を前に興味津々の様子。実際に、半纏に腕を通したスナイダー監督は「カジュアルで最高です!」とマスコミの前でポーズをとり、ソフィアも「どうもありがとうございます。本当に嬉しいです!」と語るなど、予想外のプレゼントに大きな喜びを見せた。そんなゲストの反応を見た池﨑は「本作の大ヒットを願っています!皆さんは半纏で寒い冬を越してください!」と嬉しそうに語った。そして、最後にスナイダー監督から配信を楽しみに待つ日本のファンに向けて「皆さんに観ていただけることを楽しみにしています。この映画を観たら“この後どうなるの!?”って展開が気になると思いますが大丈夫です。パート2がありますからね!(笑)」とお茶目なメッセージが贈られ、イベントは大盛況のまま幕を閉じた。<作品情報>『REBEL MOON — パート 1:炎の子』12月22日(金) Netflixで配信スタート『REBEL MOON — パート 1:炎の子』予告編『REBEL MOON — パート 2:傷跡を刻む者』2024年4月19日(金) Netflixで配信スタート作品情報:
2023年12月12日12月11日(月) 映画『正欲』の大ヒットを記念してトークイベントが実施され、稲垣吾郎、岸善幸監督が登壇。公開した後だからこそ話せる撮影現場の裏話や、稲垣が映画ライターさながらに監督に撮影手法について切り込むなど2人の信頼関係が垣間見えるクロストークが展開された。朝井リョウによる発行部数50万部突破のベストセラーを、豪華キャストで映画化した本作。11月10日(金) より公開がスタートし、公開から1カ月経ち観客動員数は20万人を突破。今でも「まさに観る前の自分には戻れないというコピー通りだった」「俳優陣の凄まじいほどの生きる葛藤の表現が素晴らしい!」「人間の心の奥底にあるものを炙り出す映画」などキャスト陣の繊細な演技や重厚なストーリーを称賛する声が絶え間なく上がっている。早速本作の反響の大きさについて問われると稲垣は「嬉しいですね。俳優もスタッフの方も覚悟が必要な、忘れられない撮影期間だったと思うので、こうやって皆さんに届いて反響を頂けるのはとても嬉しく思っています。観て頂くと新たに映画の命に灯がともる、これからもっと皆さんの力で広めて頂けたらと」と反響の嬉しさを語った。岸監督は上映された台湾や香港などにも渡航して、反響の大きさを実感しており、「香港や台湾でも反響の良さを実感しました。上映後のQ&Aなどでも沢山の質問を頂いて嬉しかったですね」と国境を越えて本作が受け入れられていることの驚きと喜びを語った。稲垣も「僕たちが伝えようとしている人間の生き方がストレートに伝わったのでは」と海外で受け入れられたことをしみじみ。普段から連載などで映画を紹介している稲垣。改めてこの作品の優れた点を問われると「監督の前で……」と少し照れながらも、「観る人の視点が価値観によって異なる作品。色んな感じ方や感想があると思いますが、何か気づきのきっかけになる映画を監督に作って頂いたので、皆で話し合えるこの時間が幸せですよね」と的確かつ観客の視点に立って作品を分析した。稲垣吾郎価値観が揺れ動く人物を演じるのは難しかったのではという問いに対して稲垣は「映画は順番に撮影していくことはなかなかできないんですよね。なので、啓喜の中の心の変化のグラデーションを監督とさじ加減を話し合いながら作り上げました。あとは監督が寄り添って導いてくださった」と答え、現場で監督と二人三脚で啓喜という人物を作ったことを語った。現場での監督について、いつもニコニコしていたと稲垣がほっこりした暴露をすると、「普段は俳優にほぼ任せることが多いが、今回は難しい題材なので現場を和やかにする雰囲気づくりは意識しました。皆さん撮影が始まるとふっと役に入られるので、それまで雑談などをしていましたね」と監督ならではの現場の雰囲気づくりの“コツ”を披露。稲垣は「父親の気持ちとかをアドバイスしてもらいました。撮影の内容的にもシリアスで緊張感があった分、監督がニコニコしていることで、みんなその空気に助けられていたと思います」と稲垣が監督への感謝の言葉を述べた。啓喜役を演じた稲垣は監督たっての希望でキャスティングされた。稲垣の演技について監督は「稲垣さんがこの映画に出て頂けるというところで90%イメージできました。そこで僕が10%分一言何か言うことでこれまでの稲垣さんではないくらいパワーを発揮してもらえるのではと思った」と話すと稲垣は「カメラが回る前に僕のところに来て耳元でボソボソって一言伝えてくれる。その一言がとても響くんですよね」と納得の様子。「ね、そうだよね」とポスターパネルの新垣結衣と磯村勇斗にマイクを向けて話しかけて、観客の笑いを誘う場面も。その一言について問われると岸は、現場に稲垣が差し入れをしてくれたものの感想を伝えていたと言う。「最初からシリアスな話をするのではなく、砕けた話をまずしてから、伝えたいことを伝える」という監督ならではのコミュニケーション術を話した。岸善幸監督「初日が大事なんだと思っています。稲垣さんと距離を縮めることは作品にとってとても重要だと思っていて、私も緊張していましたが、稲垣さんの懐が深く何でも受け入れてくれた」と稲垣への想いを語ると、稲垣も「最初の打ち合わせをしたときに作品について熱く語って頂いた。そこで監督の想いを受け取ることができたことで、現場に入ってからも多くを語らず、やりやすい環境を作ってくれました」と応え、撮影に入る前から監督との信頼関係が出来上がっていたことを振り返った。本作では編集も務めた岸監督。編集の際に感じたことを問われると「基本的に演技プランは役者陣に任せるものの、演技の演出をいれる時も少しあります。ただ、結局最終的に編集で使うのは、役者の演技プランに任せた最初の方のテイクなんです」と語る。対して稲垣は岸組の撮影について「岸監督は現場で様々な角度から撮影されていましたね。だから役者側としては、どの角度からの映像が使われるのかわからないんです。だからこそ自分が意図していない表情がカメラに撮られていて、今までに見たことのない自分がスクリーンで見れました」と感慨深げに感想を語った。しかし、「公開後の今だから思い切って聞いちゃおうかな……」と前置きした上で「ラストシーンの絵コンテが見えちゃって、僕の表情のアップで終わる予定だったと思うんですけど、完成した映画を観てそのカットは本編には使わなかったんだ、と思いました(笑)」と本音をポロリと明かす。すかさず「使わなくてすみませんでした(笑)」と頭を下げる岸監督の姿に会場は笑いに包まれる。続けて岸監督が「シーンをカットするのは本当に心苦しいことです」と語ると、稲垣は「監督のその選択がまた良いんですよね。それぞれのキャラクターがしっかり描かれた作品に仕上がったと思う」とフォローした。まだまだ話し足りない二人であったが、最後に観客への言葉を述べる段で、岸監督は「『5人のそれぞれの悩みが全部自分の中にある』という感想が印象に残っていて。色んな局面で皆さんがそれぞれのシーンで共感していただけたのかなと思う。映画って育っていくんだなあと思わせて頂きました。ありがとうございました」と感謝の言葉を述べ、稲垣は「公開されて暫く時間が経ってからもこのように皆さんの前で監督とトークすることができて嬉しいです。皆さんの大切な映画の仲間入りにしてくれたら嬉しいです。そしてまだ観ていない方に一人でも多くにこの映画を届けていきたいので、ぜひ皆さんSNSや友達に感想を伝えて広めてくれたらと思います」と観客へのフェイバリットムービーとなることを願いながら熱冷めやらぬ会場のままトークイベントは幕を閉じた。<作品情報>映画『正欲』公開中(C)2021 朝井リョウ/新潮社(C)2023「正欲」製作委員会関連リンク公式サイト:
2023年12月12日オリヴィア・ワイルドが『Naughty』を監督することになった。クリスマスを舞台にしたコメディ映画で、マーゴット・ロビーのプロダクション会社ラッキー・チャップが製作する。親権争いをしている女性が裁判で自分に有利な証言をしてもらえるよう、サンタクロースを探そうとするという物語らしい。ワイルドは『ブックスマート卒業前夜のパーティデビュー』で監督に初挑戦。昨年は『ドント・ウォーリー・ダーリン』を監督した。ロビーは主演を兼任した『バービー』を製作し、10億ドル超えの大ヒットに持っていったばかりだ。キャスティングは未定。文=猿渡由紀
2023年12月12日映画『ぼくが生きてる、ふたつの世界』が2024年9月に公開される。監督は呉美保、主演は吉沢亮。耳のきこえない母ときこえる息子の物語映画『ぼくが生きてる、ふたつの世界』の原作は、実録ノンフィクション『ろうの両親から生まれたぼくが聴こえる世界と聴こえない世界を行き来して考えた30のこと』。きこえない、またはきこえにくい親を持つ聴者の子ども「コーダ」という生い立ちを踏まえて、社会的マイノリティに焦点を当てた執筆活動をしている作家・エッセイスト五十嵐大による自伝的エッセイだ。劇中では、耳のきこえない母ときこえる息子の物語を繊細に描いていく。監督は『そこのみにて光輝く』『きみはいい子』の呉美保メガホンを取るのは、佐藤泰志による小説を綾野剛主演で映画化した『そこのみにて光輝く』や、中脇初枝の短編小説集を映画化した『きみはいい子』などで国内外にて高く評価される呉美保。9年ぶりとなる長編映画『ぼくが生きてる、ふたつの世界』で、誰もが共感する母と息子の物語を紡ぎ出す。主演・吉沢亮が難役に挑む主演は、『キングダム』シリーズ、『東京リベンジャーズ』シリーズといった話題作から、作家性の強い監督作まで幅広い作品に出演している吉沢亮。映画『ぼくが生きてる、ふたつの世界』では、耳のきこえない両親の元で育った息子という難役に挑む。また、主人公の両親役には、ともにろう者俳優として活躍する忍足亜希子、今井彰人がキャスティングされている。主人公・五十嵐大…吉沢亮宮城県の小さな港町で暮らす五十嵐家に生まれる。耳のきこえない両親から、沢山の愛を受けて育つ。五十嵐明子…忍足亜希子大の母。ろう者。五十嵐陽介…今井彰人大の父。ろう者。河合幸彦…ユースケ・サンタマリア鈴木広子…烏丸せつこ鈴木康雄…でんでん脚本は『正欲』 『アナログ』の港岳彦脚本は、『正欲』 『アナログ』の脚本も手掛けた港岳彦が担当。才能あふれるスタッフ・キャストによって紡がれる母と息子の物語を、ぜひ劇場でチェックしてみていほしい。映画『ぼくが生きてる、ふたつの世界』あらすじ宮城県の小さな港町、耳のきこえない両親のもとで愛されて育った五十嵐大。幼い頃から母の“通訳”をすることも“ふつう”の楽しい日常だった。しかし次第に、周りから特別視されることに戸惑い、苛立ち、母の明るささえ疎ましくなる。心を持て余したまま20歳になり、逃げるように東京へ旅立つが……。【作品詳細】映画『ぼくが生きてる、ふたつの世界』公開時期:2024年9月監督:呉美保出演:吉沢亮、忍足亜希子、今井彰人、ユースケ・サンタマリア、烏丸せつこ、でんでん脚本:港岳彦原作:五十嵐大「ろうの両親から生まれたぼくが聴こえる世界と聴こえない世界を行き来して考えた30のこと」(幻冬舎刊)企画・プロデュース:山国秀幸手話監修協力:全日本ろうあ連盟配給:ギャガ©五十嵐大/幻冬舎 ©2024「ぼくが生きてる、ふたつの世界」製作委員会
2023年12月12日12月22日(金) から公開される映画『PERFECT DAYS』より、ヴィム・ヴェンダース監督のインタビュー映像が公開された。『PERFECT DAYS』は、『パリ、テキサス』『ベルリン・天使の詩』『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』など、数々の傑作を世に送り出し続けてきたヴェンダース監督が役所広司を主演に迎え、東京・渋谷の公共トイレ清掃員の日々を描いた作品だ。ヴェンダース監督が、日本の公共トイレのなかに「small sanctuaries of peace and dignity」(平穏と高貴さをあわせもった、ささやかで神聖な場所)を見出し、清掃員の平山という男の日々の小さな揺らぎを丁寧に追いながら紡いだ本作は、第76回カンヌ国際映画祭で役所が最優秀男優賞を受賞。また、第50回テルライド映画祭、第48回トロント国際映画祭、第71回サンセバスチャン映画祭、第60回台北金馬映画祭と名だたる映画祭に招待され、米国アカデミー賞国際長編映画賞の日本代表選出も決定した。今回公開されたロングインタビューは映画の制作直後にヴェンダース監督のオフィスにて収録。当初15分程度を予定していたインタビューは徐々に熱を帯び、映画がどのように生まれたか、シナリオづくりのときに何をイメージしていたか、一緒に制作していたチームにも演じる役所広司にも伝えなかった思いを語った。1時間半にも及んだインタビューは、共同脚本の高崎卓馬がテーマごとにまとめ、6本の映像に。今回の動画は「観客自身を、平山にする」というテーマでまとめられたインタビューとなっている。なお、公式サイトでは12月22日(金) にロングインタビュー全6本を掲載予定。さらに、主人公平山の「映画にはならなかった日々」の353日をDAYS OF HIRAYAMAというオリジナルコンテンツとして公開。触れるたびに表情を変える不思議な 『スクロール・ブック』と合わせて、主人公平山の世界を存分に感じることができるサイトとなっている。ヴィム・ヴェンダース監督 インタビュー映像<作品情報>『PERFECT DAYS』12月22日(金) 公開公式サイト: MASTER MIND Ltd.
2023年12月11日映画『DOGMAN ドッグマン』が、2024年3月8日(金)に公開される。監督はリュック・ベッソン。リュック・ベンソンによるバイオレンス・アクション映画映画『DOGMAN ドッグマン』は、『ニキータ』や『レオン』など、世界中でヒットした名作を数々を生み出し、映画ファンから絶大な信頼を誇るリュック・ベンソンが監督・脚本を務める作品。実際の事件に着想を得たストーリーは、2023年のヨーロピアン・フィルム・マーケットでお披露目されるやいなや、その完成度の高さから「リュック・ベッソン監督、完全復活!」「ベッソンの最高傑作!」と絶賛の嵐を巻き起こした。“規格外のダークヒーロー”の物語『DOGMAN ドッグマン』は、通称“ドッグマン”と呼ばれる女装をした男の愛と暴力の切なくも壮絶な人生を描いた物語。リュック・ベッソンならではのダークでエッジの効いた作品となっている。作中には、ドーベルマンをはじめ多くの犬たちが登場。「犬と私は通じ合ってる」と語るドッグマンと犬たちとの関係性にも注目だ。主演はケイレブ・ランドリー・ジョーンズ主人公のドッグマンを演じるのは、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ。カナダのSFスリラー映画『アンチヴァイラル』で初主演を果たし、2018年に出演した『ゲット・アウト』、『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』、『スリー・ビルボード』の3作でアカデミー賞ノミネートの快挙を達成した若手演技派俳優だ。主人公・ドッグマン…ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ“ドッグマン”と呼ばれる傷だらけの女装した男。少年時代は犬小屋で育てられ、暴力が全てだった。トラウマを抱えつつも、犬たちに救われて成長していく中で恋をし、世間に馴染もうと努力する。しかし、裏切られ苦しめられ深く傷ついていく。そんな絶望の人生を受け入れ、生きていくために犬たちと共に犯罪に手を染めていく。映画『DOGMAN ドッグマン』あらすじある夜、警察に止められた一台のトラック。運転席には負傷し、女装をした男。荷台には十数匹の犬。“ドッグマン”と呼ばれるその男は、半生を語り始めた。暴力だらけの過酷な少年時代を過ごし、世間に馴染もうとするも上手くいかないドッグマン。犬たちの愛に何度も助けられてきた男は、絶望的な人生を受け入れ、生きていくため、犬たちと共に犯罪に手を染めてゆくが、“死刑執行人”と呼ばれるギャングに目を付けられ……。【作品詳細】映画『DOGMAN ドッグマン』公開日:2024年3月8日(金)脚本・監督:リュック・ベッソン出演:ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ音楽:エリック・セラ美術:ユーグ・ティサンディエ日本語字幕:横井和子配給:クロックワークス原題:DOGMAN
2023年12月10日クリストファー・ノーラン監督作品、映画『オッペンハイマー』が、2024年3月29日(金)に日本で公開へ。全国のIMAX劇場50館でも公開される。矛盾を抱えた物理学者オッペンハイマーの生涯映画『オッペンハイマー』は、実話をもとにした伝記映画。原子力爆弾の開発を主導した物理学者J・ロバート・オッペンハイマーの知られざる人生を映し出す作品だ。開発実験時に分かったのは本人の想像を超えた兵器を作ってしまった事。そして、それが意図しない方向へと使われた事に苛まれていく。そして、戦後、オッペンハイマーは核軍縮、水素爆弾の開発反対も世界に訴えていく。世界の運命を握ると同時に、世界を破滅させる危機に直面するという矛盾を抱えた“1人の男”の生き様を、IMAX撮影による没入感あふれる映像によって描く。J・ロバート・オッペンハイマー...キリアン・マーフィー物理学者。もともとカリフォルニア大学で教鞭をとっていた。原子爆弾の開発・製造のために、科学者を動員して進めた「マンハッタン計画」に参加。計画遂行のため、ロスアラモス研究所が設立され、所長に任命され、原子力爆弾の開発を主導。そして開発は進み...人類史上初の核実験「トリニティ」へと向かっていく。ルイス・ストローズ...ロバート・ダウニーJr.元海軍で銀行家。戦後、アメリカの原子力委員会の委員となる。レスリー・グローヴス...マット・デイモンアメリカ軍の軍人。ドイツが原爆を開発するのではないかという背景のなか、「マンハッタン計画」を進める。計画の責任者。オッペンハイマーを原爆開発チームのリーダーに抜擢。キティ...エミリー・ブラントオッペンハイマーの妻。戦後、機密情報の漏洩を疑われ聴聞会には妻と共に召集される。監督・脚本はクリストファー・ノーラン監督・脚本は、『ダークナイト』や『TENET テネット』『ダンケルク』などの作品を世に送り出してきたクリストファー・ノーランが手掛けている。主演を務めるのは、『ダンケルク』にも出演しているキリアン・マーフィーだ。この他、エミリー・ブラント、マット・デイモン、ロバート・ダウニー・Jr.、フローレンス・ピュー、ジョシュ・ハートネット、ケイシー・アフレック、ラミ・マレック、ケネス・ブラナーといったキャストが出演している。第96回アカデミー賞では、最多13部門にノミネートされ、作品賞、監督賞、主演男優賞、助演男優賞、撮影賞、編集賞、作曲賞に輝いた。なお、第81回ゴールデングローブ賞では、作品賞(ドラマ部門)、監督賞、主演男優賞(ドラマ部門)、助演男優賞、作曲賞の最多5部門を受賞している。映画『オッペンハイマー』あらすじ第二次世界大戦下、アメリカで立ち上げられた極秘プロジェクト「マンハッタン計画」。これに参加したJ・ロバート・オッペンハイマーは優秀な科学者たちを率いて世界で初となる原子爆弾の開発に成功する。しかし原爆が実戦で投下されると、その惨状を聞いたオッペンハイマーは深く苦悩するようになる。激動の時代の波に、オッペンハイマーはのまれてゆくのだった。作品詳細映画『オッペンハイマー』原題:Oppenheimer公開日:2024年3月29日(金)原作:カイ・バード、マーティン・J・シャーウィン 「オッペンハイマー」(2006年ピュリッツァー賞受賞/ハヤカワ文庫、2024年1月刊行予定)製作:エマ・トーマス、チャールズ・ローヴェン、クリストファー・ノーラン監督・脚本・製作:クリストファー・ノーラン出演:キリアン・マーフィー、エミリー・ブラント、マット・デイモン、ロバート・ダウニー・Jr.、フローレンス・ピュー、ジョシュ・ハートネット、ケイシー・アフレック、ラミ・マレック、ケネス・ブラナー
2023年12月10日2月16日(金) に映画『ボーはおそれている』の公開を控えるアリ・アスター監督が来日することが決定し、併せて場面写真7点が公開された。『ボーはおそれている』は、『ヘレディタリー/継承』『ミッドサマー』で注目を集めたアリ・アスターが、映画スタジオA24と三度目のタッグを組んだ最新作。主演は『ジョーカー』でオスカーに輝いたホアキン・フェニックスが務める。日常のささいなことでも不安になる怖がりの男ボー(ホアキン・フェニックス)はある日、さっきまで電話で話していた母が突然、怪死したことを知る。母のもとへ駆けつけようとアパートの玄関を出ると、そこはもう“いつもの日常”ではなかった。これは現実か?それとも妄想、悪夢なのか?次々に奇妙で予想外の出来事が起こる里帰りの道のりは、いつしかボーと世界を徹底的にのみこむ壮大な物語へと変貌していく。『ボーはおそれている』アスター監督が来日するのは、3年ぶり2度目。12月18日(月) には、日本最速上映イベントとしてTOHO シネマズ日比谷にて、監督の舞台挨拶付きジャパンプレミアも決定。ジャパンプレミアの上映チケットは、12月12日(火) より発売予定。また、翌日の12月19日(火) には前作『ミッドサマー』の上映とQ&Aも同劇場で開催される予定だ。監督は「『ボーはおそれている』の台本初稿は12年前に書きました。10年以上温めてきたので、一番のお気に入り作品で誇りに思っています。ボーの3時間の壮大な旅を、ぜひ劇場でお楽しみください!!」と喜びのコメントを残している。<イベント情報>『ボーはおそれている』アリ・アスター監督来日“日本最速上映”ジャパンプレミア12月18日(月) TOHOシネマズ日比谷 スクリーン1218:30の回 ※上映開始前に舞台挨拶ゲスト:アリ・アスター監督※登壇者の予定は変更になることもございます。■チケット料金特別料金:2,000円vit:12月12日(火) 0:00〜(12月11日(月) 24:00〜)窓口:12月12日(火) 劇場オープン時〜※会員早期購入対象外『ミッドサマー』アリ・アスター監督来日 Q&Aつき上映12月19日(火) TOHOシネマズ日比谷 スクリーン 1218:30の回 ※上映後にQ&Aゲスト:アリ・アスター監督※登壇者の予定は変更になることもございます。■チケット料金通常料金vit:12月12日(火) 0:00〜(12月11日(月) 24:00〜)窓口:12月12日(火) 劇場オープン時〜※会員早期購入対象外<作品情報>『ボーはおそれている』2024年2月16日(金) 公開公式サイト: Mommy Knows Best LLC, UAAP LLC and IPR.VC Fund II KY. All Rights Reserved.
2023年12月09日映像ジャーナリスト・伊藤詩織による初監督映画『Black Box Diaries』(原題)が完成、第41回サンダンス映画祭《国際長編ドキュメンタリーコンペティション部門》に正式出品されたことが分かった。本作は、伊藤監督自身が被害にあった性的暴行への勇気ある調査に乗り出していくその姿を自ら記録した、これまでにない形のドキュメンタリー映画。映画の製作は、2017年、伊藤監督が元テレビ局員の記者からの暴行被害を訴えた記者会見の直後に遡る。実に6年もの製作期間を併走したのは、『新聞記者』(19)や『月』(23)などを手掛けたスターサンズ。イギリス、そしてアメリカとの国際共同製作として完成し、この度、2024年1月にアメリカで開催される第41回サンダンス映画祭の国際長編ドキュメンタリーコンペティション部門への正式出品も決定した。最も権威のある映画祭の1つであるサンダンス映画祭は、アメリカ最大のインディペンデント映画祭。過去には、『セッション』『ミナリ』『コーダ あいのうた』などアカデミー賞を多数受賞した作品が出品されてきた。今回選出されたコンペティション部門へは、数千本を超えるエントリーの中から12本のみが出品されており、日本製作作品の出品は史上2本目。なお、伊藤監督による性暴力被害についてのノンフィクション「Black Box」(文藝春秋社)は本屋大賞ノンフィクション部門にノミネート。第7回自由報道協会賞では大賞を受賞し、9か国語/地域で翻訳。また、伊藤監督は2019年ニューズウィーク日本版の「世界が尊敬する日本人100」、2020年米TIME誌の「世界で最も影響力のある100人」にも選出されている。『Black Box Diaries』(原題)は日本公開未定。(シネマカフェ編集部)
2023年12月07日2024年1月19日(金) に公開される映画『僕らの世界が交わるまで』より、ジェシー・アイゼンバーグ監督のテキストインタビューが到着した。2022年サンダンス映画祭でのワールドプレミア上映を経て、第75回カンヌ国際映画祭批評家週間のオープニング作品に選出された本作は、『ソーシャル・ネットワーク』(2010) でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされたジェシー・アイゼンバーグの初長編監督作品。製作は、『ラ・ラ・ランド』(2016) でアカデミー賞主演女優賞を獲得したエマ・ストーンが、夫であるデイブ・マッカリーと共に設立した映画/TV制作会社「フルート・ツリー」。本作が初製作映画となる。さらに、『ムーンライト』(2016)、『ミッドサマー』(2019) などを世に送りだしたオスカー常連の映画会社「A24」も製作・北米配給を手掛ける。本作は、アイゼンバーグ監督自身が脚本を手掛けたAudible版のラジオドラマに基づいた物語。フォロワー2万人とオンラインで人気を博しているものの、いささか浅いフォークソングを披露する青年・ジギーと、DVシェルターを懸命に運営する母親・エヴリン。ラジオドラマにも登場したこの2人の関係を掘り下げたかったのだと、アイゼンバーグ監督は制作の理由を語る。「2人は家族だから愛し合うべきなんだけど、価値観や倫理観がまったく違う。そんな2人がひとつ屋根の下で暮らしたらどんなことになるのだろう?そういうことを探求してみたかった」。アイゼンバーグ監督は、2人を通じて、個人的に感じているさまざまな疑問を呈していると話す。「私自身、広く知られた俳優であり、アーティストとして活動しているわけだけど、自分の仕事の意義についてある種のアンビバレンツを感じている。対して私の妻は活動家だし、私の両親は医療ケアシステムの中で教師として働いている。だから身の回りの人たちの仕事の意義と自分の仕事の意義とをいつも比べてしまう。自分の中にあるそういう矛盾をこのストーリーに登場する2人のキャラクターで具現化している」。アイゼンバーグ監督の妻は活動家で、妻の母もインディアナ州でDV被害者のためのシェルターを運営していた。本作は、自伝的作品ではなく、登場人物もすべて架空の人物だが、発想のきっかけとなったのはアイゼンバーグ監督の亡き義母である。高い倫理観をもつ女性が、自身の子どもが大義ではなく、イメージやお金、ポップカルチャーに魅了されるような、彼女が浅はかだと思っていたような人物になったなら、どんな反応を示すのか知りたくなったと語る。「私が考察したかったもっと大きな疑問は、まったく価値観の違う大切な人たちと仲良くやっていくにはどうしたらよいのかということだった。エヴリンにとって、問題はどうしてこんなことが起こったのか、そしてどうやってこの理解に苦しむ人物に育ててしまったのかということだけでなく、今、彼とどう関わっていけばよいのかということなんだ。掘り下げていくとエヴリンとジギーは似ているところがたくさんある。けれど、当人たちは根本的な価値観の衝突にとらわれて、そのことに気づけないんだ」。また、監督は「芸術の世界で育つと、大局的に見て自分は世界の役に立っているのか、貢献できているのかという疑問がいつも浮かんでくるんだ。私はよく、『私は何か本当に意義深いことに貢献しているのだろうか、それともただ好き勝手なことをやっているだけなのだろうか』と自問自答する。私の周りには妻のように私よりもずっと高潔な人々がいる。彼女は、日々社会正義と戦わないのなら、到底役に立っているとは言えないと教えられて育ってきた人なんだ。そういうわけで、この映画はこれらの両極の狭間で揺れる私の心の葛藤を表現したものになったんだ」と、人々を楽しませるクリエイティブな仕事と世界中で苦しんでいる人を支える社会奉仕という、正反対のふたつの生き方から生じるジレンマを感じていることを明かした。<作品情報>『僕らの世界が交わるまで』2024年1月19日(金) 公開『僕らの世界が交わるまで』日本版ポスタービジュアル■ストーリー家族って時々、ムズカシイ。だけどやっぱり、いとおしい。DVシェルターを運営する母・エヴリンと、ネットのライブ配信で人気の高校生・ジギー。社会奉仕に身を捧げる母親と、自分のフォロワーのことしか頭にないZ世代の息子は、いまやお互いのことが分かり合えない。しかし彼らの日常にちょっとした変化が訪れる。それは、各々ないものねだりの相手に惹かれ、空回りの迷走を続ける“親子そっくり"の姿だった……。公式サイト: SAVING THE WORLD LLC. All Rights Reserved.
2023年12月04日映画『マッドマックス:フュリオサ』が2024年初夏に公開される。監督はジョージ・ミラー、フュリオサ役はアニャ・テイラー=ジョイ。ジョージ・ミラー監督映画『マッドマックス』シリーズとは?1979年に公開された1作目は瞬く間に伝説の映画となり、以降『マッドマックス』はシリーズ化。カーアクション、荒廃した世界と暴走族、モヒカンなどが話題を呼び、日本の漫画「北斗の拳」にも多大な影響を与えたと言われ、カルチャーにも大きな影響を与えた。2015年に公開された『マッドマックス 怒りのデス・ロード』は、そのリアルで圧巻なノンストップ・カーアクションによって多くの人々を魅了した。映画『マッドマックス 怒りのデス・ロード』の舞台となったのは、石油も水も尽きかけた、荒廃した世界。劇中では、トム・ハーディ扮する元・警官マックスとシャーリーズ・セロン扮するフュリオサの自由への逃走劇が描かれた。愛する家族を奪われ、本能だけで生きながらえているマックスと、資源を独占し、恐怖と暴力で民衆を支配するイモータン・ジョーに反逆を企てるフュリオサの物語は辛口批評サイト「ロッテントマト」で脅威の97%のフレッシュを獲得。第88回米アカデミー賞ではアクション作品としては異例のアカデミー賞作品賞候補となり、最多10部門にノミネートされ、6部門を受賞した。15年にわたるフュリオサの新たな物語映画『マッドマックス:フュリオサ』はそんな『マッドマックス 怒りのデス・ロード』に、バズカット(坊主頭)姿で登場したクールで謎めいた女性・フュリオサの新たな物語が明かされる作品。世界の崩壊から45年後の世界を舞台に、家族から引き離された若きフュリオサの人生を懸けて故郷へと帰ろうとする“修羅の道”が描かれる。『マッドマックス 怒りのデス・ロード』は3日2晩の出来事を描いたロードムービーだったが、『マッドマックス:フュリオサ』は15年にわたるフュリオサの物語となる。アニャ・テイラー=ジョイがフュリオサにシャーリーズ・セロンからフュリオサ役を引き継ぐのは、ドラマ『クイーンズ・ギャンビット』や映画『ラストナイト・イン・ソーホー』のアニャ・テイラー=ジョイ。共演には『アベンジャーズ』シリーズでマイティ・ソーを演じているクリス・ヘムズワースが名を連ねる。フュリオサ…アニャ・テイラー=ジョイウォーロード・ディメンタス将軍率いるバイカーの大群の手に落ち、荒地で戦いに明け暮れる男達と行動を共にしていくうちに、城塞都市に君臨するイモータン・ジョーと出くわす。ウォーロード・ディメンタス…クリス・ヘムズワースバイカーの大群を率いる将軍。独裁者イモータン・ジョーが支配する城塞都市の覇権をめぐって争いを繰り広げる。監督はジョージ・ミラー監督は、1979年公開の『マッドマックス』から『マッドマックス 怒りのデス・ロード』までの4作品の創始者である巨匠ジョージ・ミラー。国内外の多くのクリエイターや作品に影響を与えたジョージ・ミラーが、フュリオサの新たな物語を紡ぎ出す。映画『マッドマックス:フュリオサ』あらすじ世界崩壊から45年後の世界。 若きフュリオサは故郷である“緑の地”からさらわれ、ディメンタス将軍率いるバイカーの大群の手に落ちる。荒地を掃討する彼らは、イモータン・ジョーが統べる城塞都市の覇権をめぐって争いを繰り広げていた。改造車や自身を神のように崇拝する私設軍隊・ウォーボーイズを持つイモータン・ジョー。水、緑、石油……土地の覇権を巡る争いが繰り広げられる“マッド”な世界で、フュリオサは数々の試練を乗り越え、故郷への道を探すのだった——。【作品詳細】映画『マッドマックス:フュリオサ』公開時期:2024年初夏公開監督:ジョージ・ミラー出演:アニャ・テイラー=ジョイ、クリス・ヘムズワース
2023年12月04日リドリー・スコット監督映画『テルマ&ルイーズ』4K版が、2024年2月16日(金)より、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテほか全国の劇場で順次公開される。リドリー・スコット監督映画『テルマ&ルイーズ』リバイバル上映最新作『ナポレオン』の公開を控えるリドリー・スコットが監督した『テルマ&ルイーズ』は、90年代を代表するロードムービー、そしてシスターフッド映画の金字塔。平凡な主婦のテルマとウェイトレスのルイーズの逃避行を通して、女性の自立や抵抗といったテーマを痛烈に描き出した作品だ。男性優位社会における女性の自由や自己解放、性暴力への強い批判、友情か愛情かで議論が巻き起こった複雑な関係性といった難しいテーマを、ロードムービーというフォーマットに巧みに落とし込んだ本作。“90年代の女性版アメリカン・ニューシネマ”と評され、第64回アカデミー賞では6部門にノミネート、見事に脚本賞を受賞している。このほか、デッド・ホース・ポイントをはじめとする壮大なロケーションが楽しめる映像美、短時間ながら強烈な印象を残し、結果的に本作が出世作にもなったブラッド・ピットの出演シーン、映画音楽の巨匠として知られるハンス・ジマーが手掛けた劇伴などにも注目しながら、本作を鑑賞してみてほしい。あらすじ平凡な主婦のテルマ(ジーナ・デイヴィス)とウェイトレスのルイーズ(スーザン・サランドン)は週末のドライブ旅行に出発した。その途中、立ち寄った店の駐車場でテルマが男に襲われるという事件が発生。テルマがレイプされそうになった寸前、助けに入ったルイーズが護身用の拳銃で男を射殺。ルイーズにはかつて、レイプの被害を受けたトラウマがあった。次から次へとトラブルが重なり、警察に指名手配された2人は、車でメキシコを目指し逃避行を続けるうちに、自分らしく生きることに目覚めていく……。上映情報『テルマ&ルイーズ 4K』※リドリー・スコット監督の監修による4Kレストア版での上映上映開始日:2024年2月16日(金) ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテほか全国順次公開■作品詳細監督・製作:リドリー・スコット製作:ミミ・ポーク・ギトリ脚本:カーリー・クーリ撮影:エイドリアン・ビドル音楽:ハンス・ジマー出演:スーザン・サランドン、ジーナ・デイヴィス、ハーヴェイ・カイテル、マイケル・マドセン、ブラッド・ピット1991年/アメリカ/129分/THELMA&LOUISE/カラー/シネスコ/5.1chThelma & Louise © 1991 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved.
2023年12月03日映画配信サービス<JAIHO>から12月の配信作品が発表。12月1日(金)より日本初独占配信される、女性監督に焦点をあてたドキュメンタリー「ウーマン・メイク・フィルム映画史を巡る新たなロードムービーエピソード1」からティルダ・スウィントンがナレーションを担当する本予告映像が解禁された。ドキュメンタリー・シリーズ「ウーマン・メイク・フィルム映画史を巡る新たなロードムービーエピソード1」(2018)は、14エピソード、約840分におよぶ。制作に5年を費やし、130年にわたる映画史を世界の女性監督の視点で見直しながら、約1,000本の映画でつづられる。ナレーションを担当するのは、ティルダ・スウィントン、ジェーン・フォンダ、アッジョア・アンドー、シャルミラ・タゴール、ケリー・フォックス、タンディ・ニュートン、デブラ・ウィンガーら屈指の名女優たち。『ピアノ・レッスン』で知られるジェーン・カンピオンの初期作『スウィーティー』、ソフィア・コッポラの『ヴァージン・スーサイズ』、アンジェリーナ・ジョリーの『白い帽子の女』など、“女性監督の作品を通して女性の視点による映画の学校”を描き出している。監督は2010年から2021年にかけて公開された傑作映画111本にフューチャー、大量の作品群を独自の切り口で次々と紐とく異色のドキュメンタリー映画『ストーリー・オブ・フィルム111の映画旅行』(2022)の監督、マーク・カズンズ。この映画の基にもなったTVシリーズ「ストーリー・オブ・フィルム」(60分×14エピソード)も、現在5エピソードずつ毎月JAIHOで常時独占配信中だ。解禁となった予告は、「世界一小さな映画祭」を共催するなど、カズンズ監督にとって盟友でもあるティルダ・スウィントンのナレーションから始まる。130年の映画史の中で「映画監督の大半は男性です」「いわゆる名作映画の監督もほとんどが男性」と、当たり前のように世間が受け入れている現実に対して疑問を投げかけるスウィントンの聡明な声と、次々と映し出される素晴らしい映画を作り続けてきた女性監督たちの姿とともに、“忘れられてきた”彼女たちの功績を讃えるような映像となっている。「ウーマン・メイク・フィルム 映画史を巡る新たなロードムービー」は12月1日(金)よりJAIHOにて配信開始。<小津安二郎生誕120年>企画ほか、日本初配信の注目作このほか、12月12日(火)からは2023年の第36回東京国際映画祭の目玉企画として上映、好評を博した今年生誕120年を迎える小津安二郎監督『東京物語4Kデジタル修復版』(1951)の配信も決定。なお、本作を皮切りに「小津安二郎生誕120年」と題した小津作品13本がJAIHO独占初配信決定。まず第一弾として12月は『麥秋4Kデジタル修復版』(12月18日)、『非常線の女4Kデジタル修復版』(12月26日)、小津作品唯一の記録映画であり、六代目・尾上菊五郎の舞を撮影、第36回東京国際映画祭でワールドプレミア上映が行われ話題となった『菊五郎の鏡獅子4Kデジタル修復版(12月29日)が控えている。『東京物語 4K デジタル修復版』日本初独占配信★配信開始:12月12日(火)0時4Kスキャニングによるデジタル修復を実施した放送用HDマスター(2012年NHK BSで初放送)を、さらにブラッシュアップした、2013年ベルリン国際映画祭BerlinaleClassics部門で上映された最新のニューデジタルリマスターを使用。スキャニングした1コマ1コマを丁寧に傷消しや色調整を行い、映画館の大画面で上映するデジタルデータから本マスターを作成。本マスター制作にあたり撮影チーフ助手を務めた川又昴氏が監修し、小津監督の狙いを忠実に、1カット1カット丁寧に画調を再現。サウンドも同様に、当時の狙いを忠実に監督助手を3本務めた田中康義氏監修のもと、松竹の修復を全て手掛けている清水和法氏が修復を担当した。『ソルフェリーノの戦い』日本初独占配信★配信開始:12月15日(金)0時2023年の第76回カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した『Anatomy of a fall』(原題)のジュスティーヌ・トリエ監督の2013年の長編デビュー作品であり、2014年のセザール賞最優秀長編映画賞にもノミネート、ソルフェリーの通りで繰り広げられるヒューマンドラマを描きだした『ソルフェリーノの戦い』(2013)もラインアップ。2012年に行われた実際のフランス大統領選挙の様子や、当時の候補者だったニコラ・サルコジへ抗議する個人間で起こる争いと、政治的な争いの高揚感が交差する様子が映し出され、まさにに当時のリアルなフランスを感じ取ることができる1本。オランドがサルコジを破りフランス新大統領となった国政選挙の日を舞台に、オランドの所属する社会党本部があるソルフェリーノ通りでゲリラ撮影が行われた。主演は『若い女』『シンプルな情熱』レティシア・ドッシュ、『ラヴ・アフェアズ』(JAIHO で常時配信中)や『女っ気なし』『やさしい人』などのヴァンサン・マケーニュ。2013年カンヌ国際映画祭のACID部門でプレミア上映され、2013年「カイエ・デュ・シネマ」第10位に選出されるなど高い評価を得た。『ザ・スチューデント』日本初独占配信★配信開始:12月22日(金)0時『LETO-レト-』のキリル・セレブレンニコフ監督による『ザ・スチューデント』(2016)は、突然宗教にのめり込んでしまった青年と、周囲との対立を描く。演劇界の巨匠としても知られるセレブレンニコフが、マリウス・フォン・マイエンブルクの戯曲「Martyr(殉教者)」に基づき、宗教的原理主義に傾倒する青年と彼を取り巻く母親や教師、クラスメートたちをスリリングかつコミカルに描いて世界的に評価された。主演のピョートル・スクヴォルツォフは今作で多くの俳優賞に輝き、共演は『ラフマニノフある愛の調べ』のヴィクトリア・トルストガノヴァ、『コンパートメントNo.6』のユリア・アウグ、『LETO -レト-』のアレクサンドル・ゴルチーリン。2016年のカンヌ国際映画祭「ある視点」部門で上映され、フランソワ・シャレ賞を受賞、キノタヴル映画祭監督賞、ヨーロッパ映画賞最優秀作曲家賞など多くの映画賞を受賞した。さらに、タイのGDH作品『女神の継承』の監督バンジョン・ピサンタナクーンによるラブストーリー『一日だけの恋人』が12月6日(水)から、ベトナムのアビ・チャッポンを思わせる『TASTEテイスト』が12月11日(月)から配信される。(シネマカフェ編集部)
2023年11月30日映画『マエストロ:その音楽と愛と』が2023年12月8日(金)より一部劇場で公開予定。ブラッドリー・クーパーが監督・脚本・主演を務める。レナード・バーンスタインと家族の愛の物語映画『マエストロ:その音楽と愛と』は、今尚語り継がれる不朽の名作『ウエスト・サイド物語』の音楽を手掛けた指揮者・作曲家のレナード・バーンスタインと、彼の妻であり女優・ピアニストのフェリシア・モンテアレグレ・コーン・バーンスタインによる激動の生涯を描いた愛の物語。人生を“音楽”に生きた二人の愛を、大胆かつ情熱的に描き出す。監督・脚本・主演はブラッドリー・クーパー監督・脚本・主演を務めるのは、『世界にひとつのプレイブック』や『アメリカン・スナイパー』など数多くの作品で名演をみせ、『アリー/スター誕生』や『ジョーカー』などアカデミー賞ノミネート作品の製作にも携わってきたブラッドリー・クーパー。プロデューサーにはブラッドリー・クーパーに加え、スティーヴン・スピルバーグとマーティン・スコセッシという“映画界のレジェンド”も名を連ねる。キャリー・マリガンなど豪華俳優陣が集結また、映画『プロミシング・ヤング・ウーマン』のキャリー・マリガンが妻フェリシア・モンテアレグレを演じるほか、マット・ボマー、マヤ・ホークら豪華俳優陣が集結。さらに、若き頃から年老いるまでのレナードを熱演したブラッドリー・クーパーの特殊メイクは、映画『スキャンダル』などでアカデミー賞メイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞した、日本出身のメイクアップ・アーティストのカズ・ヒロが手掛けた。各分野の第一線で活躍するスターが勢揃いし、“ハリウッドの渾身作”として注目を集める『マエストロ:その音楽と愛と』。ぜひ、劇場で見届けてみて欲しい。第96回アカデミー賞主要3部門ノミネートなお本作は、第96回アカデミー賞にて、作品賞、主演男優賞、主演女優賞の主要3部門を含む全7部門にノミネートされている。オリジナル・サウンドトラックなお、ブラッドリー・クーパー自らが選曲したという『マエストロ:その音楽と愛と』のオリジナル・サウンドトラックは、バレエ《ファンシー・フリー》をはじめとする初期の作品から、《ウエスト・サイド・ストーリー》のような誰もが知っている作品まで、バーンスタインの生涯を語る上でかかせないレパートリーを網羅。演奏は、注目の若手指揮者、ヤニック・ネゼ=セガン率いるロンドン交響楽団が担当した。【作品詳細】映画『マエストロ:その音楽と愛と』公開日:2023年12月8日(金)※2023年12月20日(水)~Netflixで配信。監督:ブラッドリー・クーパー脚本:ブラッドリー・クーパー、ジョシュ・シンガー出演:ブラッドリー・クーパー、キャリー・マリガン、マット・ボマー、マヤ・ホーク、サラ・シルヴァーマン、ジョシュ・ハミルトン、スコット・エリス、ギデオン・グリック、サム・ニヴォラ、アレクサ・スウィントン、ミリアム・ショア■「マエストロ:その音楽と愛と(オリジナル・サウンドトラック)」2,750円発売日:2023年12月1日(金)
2023年11月27日映画『ディア・ファミリー』が、2024年6月14日(金)に公開される。主演は大泉洋、監督は月川翔。「娘を救いたい」一心で医療界を揺るがす奇跡を生み出した実話映画『ディア・ファミリー』は、「娘を救いたい」という一心で医療器具の開発に挑み、後に医療界を揺るがす大きな奇跡を生み出した町工場経営者の、実話を映画化した作品だ。23年に及ぶ、家族の愛の物語が映し出される。心臓疾患が致命的な病で合った1970年代、生まれつき心臓病疾患を持っていた幼い娘が「余命10年」だという宣告を受けたことから、小さな町工場を経営する父・宣政は人工心臓を作ろうと立ち上がる。知識、経験のない中でスタートした医療器具の開発は前途多難だったが、人工心臓・カテーテルの勉強に励み、有識者に頭を下げ、資金を用意して何年もその開発に時間を費やすのだった。『ディア・ファミリー』の主人公、宣政のモデルとなっているのは、ビニール樹脂製品の町工場の経営者であった筒井宣政。余命10年を宣告された娘を救うために、すべてを投げうって「IABP(大動脈内バルーンパンピング) バルーンカテーテル」の開発に挑む。“命のカテーテル”誕生により世界で16万人もの命を救い、2019年には『文藝春秋』の連載「後列のひと」でも取り上げられた。主演は大泉洋、娘のために“命のカテーテル”開発に挑む父親役主演を務めるのは、映画『月の満ち欠け』で日本アカデミー賞優秀主演男優賞の4度目の受賞を果たした大泉洋。監督の月川翔とは初タッグとなる。主人公・坪井宣政…大泉洋小さな町工場の経営者。娘の余命宣告を受け、医療にはまったくの門外漢ながら娘を救うために医療器具の開発を始める。坪井陽子…菅野美穂宣政を支える妻。宣政とともに人工心臓・カテーテルの勉強に励み、開発への道を模索する。坪井佳美…福本莉子心臓に先天的な疾患を抱える宣政の次女。幼い頃に「余命10年」を宣告される。坪井奈美…川栄李奈3姉妹を支える坪井家の長女。坪井寿美…新井美羽坪井家の三女で末っ子。富岡進…松村北斗坪井宣政と出会う東京都市医科大学の日本心臓研究所の研究医。寡黙で人とは距離を置く性格で、荒唐無稽な一家の挑戦を冷めた目で見ていたが、宣政の娘への愛情と絶対に諦めない強い心を目の当たりにし、影ながら研究を手伝うことになる。山本結子…有村架純宣政を取材するテレビリポーター。とある過去を抱えており、宣政とIABPバルーンカテーテル誕生の秘密を追いかけている。石黒英二…光石研人工心臓の研究を続けている東京都市医科大学の教授。工学的なものづくり分野において豊富な知識を持つ宣政を受け入れサポートするが、人工心臓の実用化を巡る方針で宣政と対立することも。佐々木肇…上杉柊平東京都市医科大学の日本心臓研究所の研究医。技術者である宣政のアイデアと熱量に感銘を受け、昼夜問わず研究を重ね、臨床試験を目指そうとする。柳玲子…徳永えり東京都市医科大学の日本心臓研究所の研究医。 佐々木たちと同じく宣政の存在に圧倒され、人工心臓の開発に向け行動を共にしていく。桜田純…満島真之介学生に紛れて東大の医学講義を受けていた宣政が出会う博士。 医療界の法則、ルールなど、全く知識のない宣政の相談に乗る。川野由希…戸田菜穂宣政の娘・佳美が入院している小児病室の隣のベッドで先天性心疾患と闘っていた少女の母親。監督は月川翔映画『ディア・ファミリー』のメガホンを取るのは、『君の膵臓をたべたい』、『君は月夜に光り輝く』、『劇場版 そして、生きる』といった死生観にまつわる作品を世に送りだしてきた月川翔。キャスト陣とともに筒井家の面々と対話をしながら世界観を構築し、1970年代、80年代、90年代、2000年代と4つの時代を完全再現している。なお、筒井家の歴史を紐解くような物語構成は、ノンフィクション作家の清武英利による緻密な取材リソースがもとになっている。清武英利は映画のモデルとなった筒井宣政と20年以上にわたり親交を重ねながら取材を続けてきた。脚本は、『糸』、『ラーゲリより愛を込めて』などを手掛けてきた林民夫が手掛ける。【詳細】映画『ディア・ファミリー』公開日:2024年6月14日(金)原作:清武英利「アトムの心臓『ディア・ファミリー』22年間の記録」(文春文庫)監督:月川翔脚本:林民夫音楽:兼松衆出演:大泉洋、菅野美穂、福本莉子、新井美羽、上杉柊平、徳永えり、満島真之介、戸田菜穂、川栄李奈、有村架純、松村北斗、光石研配給:東宝
2023年11月27日映画『コヴェナント/約束の救出』が、2024年2月23日(金・祝)に公開される。監督はガイ・リッチー、主演はジェイク・ギレンホールが務める。ガイ・リッチーが贈る社会派ヒューマンサスペンス映画『コヴェナント/約束の救出』は、『シャーロック・ホームズ』シリーズや『オペレーション・フォーチュン』、『キャッシュトラック』『ジェントルメン』といった作品を手掛けてきたガイ・リッチーが初めて挑む、社会派ヒューマンサスペンス作品。2018年、アフガニスタンを物語の舞台に痛快なアクション・エンターテインメントの数々を手掛けてきたこれまでのガイ・リッチーのフィルモグラフィーとは打って変わって、映画『コヴェナント/約束の救出』では、リアルで緊迫感に満ちたヒューマンドラマを映し出している。着想源となったのは、今なお続くアフガニスタン問題とアフガン人通訳についてのドキュメンタリーだ。物語の舞台は2018年のアフガニスタン。主人公の米軍曹長ジョン・キンリーは、アフガン人通訳のアーメッドを雇う。彼の部隊はタリバンの武器庫を突き止めるが大量の兵を送り込まれ、キンリーとアーメッド以外は全員殺されてしまう。キンリーも瀕死状態となるが、アーメッドの救出により、タリバン占領下から無事妻子の元へと帰還する。だが、自分を助けたことにより、アーメッドがタリバンに追われる身となったことを知ったキンリーは、彼と家族を助け出すために、再びアフガニスタンへ戻るのだった。ジェイク・ギレンホールが主人公の米軍曹長に主演を務めるのは、ガイ・リッチーとは初のタッグとなるジェイク・ギレンホール。『ブロークバック・マウンテン』でアカデミー賞、『ナイトクローラー』でゴールデン・グローブ賞にそれぞれノミネートされたジェイク・ギレンホールが、戦地を駆けるキンリー曹長を演じる。また、通訳のアーメッド役を演じるのは、「ゲーム・オブ・スローンズ」シリーズやリドリー・スコットの映画『エクソダス:神と王』にも出演するダール・サリム。英語圏の作品でメインキャストを演じるのは初となる。主人公・ジョン・キンリー…ジェイク・ギレンホールタリバンの武器や爆弾の隠し場所を探す部隊を率いる米軍曹長。部隊は爆発物製造工場を突き止めるも、襲撃によりアーメッド以外の仲間を失う。自らも銃弾を受け瀕死状態になるも、身を潜めていたアーメッドに救出される。アーメッド…ダール・サリムアフガン人通訳として、キンリーに雇われる。非常に優秀だが簡単には人の指図を受けない。通訳の報酬としてアメリカへの移住ビザが約束されていたが、キンリーを救出したことでタリバンに狙われ、行方不明に。【詳細】映画『コヴェナント/約束の救出』公開日:2024年2月23日(金・祝)監督:ガイ・リッチー脚本:ガイ・リッチー製作:ガイ・リッチー出演:ジェイク・ギレンホール、ダール・サリム、アントニー・スター、アレクサンダー・ルドウィグ、ボビー・スコフィールド、エミリー・ビーチャム、ジョニー・リー・ミラー原題:GUY RITCHIE’S THE COVENANT
2023年11月26日編集部の「これ、気になる!」
夫婦の危機
セレブ婚で変わってしまった親友