三浦大知が新曲「燦燦」のMusic Videoを公開した。「燦燦」は、現在放送中の連続テレビ小説『ちむどんどん』の主題歌として書き下ろされた楽曲。「家族の光」がテーマのバラード曲で、三浦自身の祖母へ向けて書いた“手紙のような”1曲となっている。公開されたMVも「光」をコンセプトに、三浦の祖父母と両親の故郷でもある鹿児島県・沖永良部島で撮影された。自身のルーツでもある沖永良部島の美しい景色を背景に、楽曲のテーマである「光」を様々な形で表現した作品に仕上がっている。三浦大知「燦燦」MV『ちむどんどん』は、2022年に本土復帰50年を迎える沖縄を舞台に、沖縄に生まれ育ったヒロインと兄妹たち家族の50年の歩みを見つめる、笑って泣ける朗らかな美しい家族とふるさとの物語。沖縄料理に夢をかけるヒロイン・比嘉暢子、四兄妹の次女を黒島結菜が演じ、主人公を支え・見守る兄妹役は竜星涼、川口春奈、上白石萌歌、そして両親役は仲間由紀恵、大森南朋が演じる。<リリース情報>三浦大知 New Single『燦燦』2022年6月8日(水) リリース※配信ジャケットとCDジャケット写真は異なります三浦大知「燦燦」配信ジャケット●【CD+Blu-ray】1,980円(税込)●【CD+DVD】1,980円(税込)●【CD ONLY】1,000円(税込)【CD収録】※全形態共通1. 燦燦 ※連続テレビ小説『ちむどんどん』主題歌2. 新呼吸3. 燦燦 -Instrumental-4. 新呼吸 -Instrumental-【DVD / Blu-ray収録】1. 燦燦 -Music VIdeo-2. 新呼吸 -Music Video-3. 燦燦 -1 Song Hall Live with Orchestra-【店舗別特典】ポストカード(はがきサイズ)【DAICHISHIKI CD / DVD OFFICIAL SHOPオリジナル特典】メモパッド(サイズ:W100×H140mm)「燦燦」配信リンク:<番組情報>連続テレビ小説『ちむどんどん』総合:月~土 8:00~8:15 ※土曜日は1週間を振り返ります。BSプレミアム・BS4K:月~金 7:30~7:45 / 土 9:45~11:00 ※月~金の一挙放送【出演】黒島結菜 / 仲間由紀恵 / 大森南朋 / 竜星涼 / 川口春奈 / 上白石萌歌 ほか番組公式HP:<ライブ情報>『DAICHI MIURA LIVE TOUR 2019-2022 COLORLESS』※終了分は割愛5月13日(金) 岡山・倉敷市民会館5月14日(土) 鳥取・米子コンベンションセンター BiGSHiP5月18日(水) 東京・J:COMホール八王子5月19日(木) 東京・J:COMホール八王子5月24日(火) 福岡・福岡サンパレス ホテル&ホール5月25日(水) 福岡・福岡サンパレス ホテル&ホール6月1日(水) 広島・上野学園ホール6月2日(木) 広島・上野学園ホール6月7日(火) 宮城・仙台サンプラザホール6月8日(水) 岩手・岩手県民会館 大ホール6月13日(月) 大阪・フェスティバルホール(大阪)6月14日(火) 大阪・フェスティバルホール(大阪)6月20日(月) 京都・ロームシアター京都 メインホール6月21日(火) 京都・ロームシアター京都 メインホール6月29日(水) 東京・東京国際フォーラム ホールA6月30日(木) 東京・東京国際フォーラム ホールA7月6日(水) 青森・リンクステーションホール青森7月7日(木) 秋田・能代市文化会館7月14日(木) 香川・レグザムホール 大ホール7月15日(金) 愛媛・松山市民会館7月20日(水) 静岡・アクトシティ浜松 大ホール7月21日(木) 静岡・アクトシティ浜松 大ホール7月25日(月) 北海道・札幌文化芸術劇場 hitaru7月26日(火) 北海道・札幌文化芸術劇場 hitaru【チケット料金】全席指定:7,700円(税込)ファミリー席:7,700円 ※ファンクラブ先行受付のみ※3歳未満入場不可 / 3歳以上のお子様はチケットが必要となります。詳細はこちら:関連リンク三浦大知 オフィシャルサイト:三浦大知 オフィシャルファンクラブ「大知識」:三浦大知 YouTube:三浦大知 Twitter:三浦大知 Instagram:
2022年05月10日転校続きで、幼なじみに憧れていたという柚木楓(ゆずきかえで)。転校早々、親切に話しかけてくれた相田航平に、思い切って打ち明ける。〈私と幼なじみになってください!!〉。想定外のお願い事にとまどいつつ、楓の願望を一緒に叶えてあげる航平。カップル未満のふたりの掛け合いが愛らしくて応援したくなる。帯屋ミドリさんの『今日から始める幼なじみ』は、そんなほのぼのしたラブコメだ。「明るくてノリのいい転校生から言われるのと、無口で人見知りな感じの子に言われるのでは、受け止める側も真剣度が違うというか。だから、航平も楓のちょっと過剰なこだわりにも応えてあげるのだと思います」自宅も隣同士なら、クラスでも席が隣同士。窓越しの会話もできてしまう楓と航平は、幼なじみになるしかない運命なのかも。「友だち、親友、恋人のどれとも違うカテゴリーと考えるのが近いですかね。幼なじみは、そういう間柄でも知らないことを知っていたりする、特別な関係かなと。僕自身にもれっきとした異性の幼なじみはいないので、その憧れをちょっぴり代弁してもらっているところはあります」下の名前で呼び合う、朝起こしに行くなど、楓がこだわる幼なじみ儀式が、2巻でもあれこれ決行される。「“ベッドに入って寝ながら電話する”はうらやましいですね。自分の学生時代は、まだガラケーで無料通話が気軽にできるデジタル環境はなかったけれど、当時からあったら絶対やってみたかったです」楓がわざと作った塩入りクッキーを、航平ががんばって食べる回も、胸がキュンとする神回。「失敗ありきで〈幼なじみの初めての手作りは失敗するものだから〉なんて、幼なじみ願望をこじらせていないと出てこないセリフですよね(笑)。楓は変な方向に深掘りしすぎて残念なことに」各回のエピソードは、帯屋さんがふたりに「こういうことをさせたい」とイベントを軸に組み立てることもあるが、ふたりが過ごす場所から発想することもあるそう。「楓が秘密基地と呼ぶ森の中のベンチは実際にある場所です。ストリートビューを眺めながら『こんな場所でふたりが会話したらどうかな』とか、ストーリーを練りました」第3巻は、5月に刊行予定だ。「幼なじみといえば家族ぐるみの付き合いですが、それほど双方の親とも交流していないし、まだ互いの部屋にも入っていない。それによって、何か変化も生まれるのではと、僕も楽しみです」帯屋ミドリ『今日から始める幼なじみ』2幼少期からリアルな幼なじみ同士という、舞衣と晴輝が活躍。悪態をついても阿吽の呼吸で仲直りする、〈熟年幼なじみ〉らしさが爆発するおまけマンガ付き。新潮社682円©帯屋ミドリ/新潮社おびや・みどり愛媛県出身。2014年、作画を担当した『放課後ミンコフスキー』でデビュー。著書に『ぐるぐるてくてく』『サヨナラさんかく』などがある。※『anan』2022年4月20日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2022年04月19日戦争の極限下で異質な他者と出会い、人はどう変わるのか。古市憲寿さんによる、極上純愛小説『ヒノマル』。「この2年で、自由というのは脆いものだと痛感しました。ある出来事をきっかけに社会の空気はがらりと変わってしまうし、当たり前だと思っていた“自由”という権利すら、突然奪われてしまう。それが、またすぐに『いまはしょうがないか』と当たり前の形が変わって、いつの間にか窮屈さが増していくことだってあり得ますよね。そんなときに、社会の要請に従順に従うのか、徹底的に抗うのか。ただ、それ以外の第三の道というのはあるんじゃないのかなと思うんです」『ヒノマル』の舞台である戦時下と、コロナ禍にあるいまの状況に共通点を感じたという古市憲寿さん。「たとえば戦時下にも『不要不急』というスローガンがあったんです。そんな非常時だからこそ書けた物語かもしれません。戦争に対して、あるいはコロナウイルスに対してどう向き合うか。価値観が極端に対立していたり、親しい人同士でも本音と本音をぶつけ合えなかったり。そんなふうに疑心暗鬼になってギスギスした空気が蔓延する時代に、人と人はどうすれば信頼し合い、共に行動できるのかを考えたかったんです」主人公は、国家のために命を捧げたいと考えている軍国少年の新城勇二。ある日、中学の同級生で親友の小針啓介から〈魔女退治に行かないか?〉と誘われる。観音山公園内の洞窟に魔女が住んでいると噂があるのだ。探しに行くと、ひっそりとした洞窟に〈秘密の図書館〉を作っていた美しい女の子が現れて…。一ノ瀬涼子と名乗った彼女は、歴史学者の娘で、勇二より1学年上の高等女学校生。勇二は、「日本は負ける」と主張する涼子に反発を覚えながら、無意識に惹かれていく。だが、彼女は兄・優一の恋人だった。「聡明な兄と、国の教育のまま軍国少年になってしまった弟、リベラリストで自由奔放な女の子。いわゆる三角関係の物語なんですが、戦争中の物語なのでどうしても事件が起こるんです。兄が徴兵されたり、非国民呼ばわりされたり、空襲に怯えたり。極限状態で人はどうなるのか」第1稿のときの勇二は、国の勝利を疑いもしないような人間だったそう。書き直すうちに、内心では理知的な大人たちの言説を否定できなくなっていく“二重性”を、にじませるよう意識した。「勇二の正義感のゆらぎをどう書くかが、いちばん気を遣ったところですね。涼子は涼子で気ままに振る舞いすぎて、周囲とハレーションを起こしていますが、優一や勇二らとの交流を経て少し変わった部分もある。異質な他者との出会いによって人はどう変わるのか。それを見つめるのが大きなテーマでした」極限を苦悩しながら生きる若者たちの姿が描かれるが、読み心地は存外に明るい。「確かに重苦しい時代ですが、戦時中には戦時中なりの青春はあったと思うんです。たとえば、勇二らは勤労動員で軍需工場に行かされますが、夜中に涼子たちがいる女子寮に忍び込んだりします。実際にあったエピソードを参考にしたのですが、どんな大変な時代に生まれたとしても、楽しみ方はある。それは現代にもいえる話だと思います」本書には、機転が利いて要領よく立ち回れるような人物も多く登場するが、そんな人間でも時代の常識から完全に逃れるのは難しい。「ただそうした束縛を突破できる力があるとすれば、『自分や大切な人を守りたい。一緒に幸せになりたい』しかないのかなと。そんな思いを込めた作品です」シンプルだが力強いラストの一文まで、一気読み必至の大ロマンスだ。ふるいち・のりとし1985年、東京都生まれ。社会学者。同世代の視点からの新たな若者論『絶望の国の幸福な若者たち』で注目を浴びる。2018年に初小説『平成くん、さようなら』を発表し、コンスタントに作品を書き続けている。近著に『楽観論』など。『ヒノマル』物語は昭和18年、戦争の只中にある日本から始まる。大学生だった優一は学徒出陣で徴兵され、勇二らは勤労動員で駆り出される。重苦しい束縛をかいくぐり、青春を駆け抜ける彼らのたくましさが希望だ。文藝春秋2200円※『anan』2022年4月20日号より。写真・中島慶子(本)インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2022年04月19日家具が記憶した人の営みの気配を掬い上げ手渡していく、被災文学。清水裕貴さんによる、小説『花盛りの椅子』。「東日本大震災のあと、壊れた家の中にぽつんと置かれたままの家具などを被災地で見かけ、何か気配がするというふうに感じていました。それが意外と記憶に残っていて」その後、何年も経ってから親族が急死したために清水裕貴さんはマンションの後片付けなどを請け負う。そのときふと、それらの記憶が結びついた。「たとえば壁紙を剥がしたら、叔父の、さらに前の住人が貼った壁紙まで出てきて、部屋の中に歴史の層ができていたわけです。生活の痕跡を垣間見て、『被災地で見た傷だらけの家具の中にも生活の痕跡って膨大にあっただろうな』と。それで、家具の気配を感じる人や家具職人を交えた物語を書きたくなったんです」『花盛りの椅子』の主人公は、古家具を修理したり大きく作り直したりして販売する「森野古家具店」で働く〈鴻池さん〉だ。勤め始めて9年が経つが、リメイク職人としてはまだまだで、日々職人たちのアシスタントや事務仕事をこなしている。「人って災害のような大きな悲劇を、そんなに簡単に自分の中で処理できないと思うんですね。鴻池さんは『世界はこうあってほしい』とかがあまりない人で、空っぽだからこそ、死者のすごく小さな声や、ささやかな痕跡に気づけるのかなと思って。すごい長い時間をかけて物事を考え、静かなメッセージを受け取れる人に設定したという感じですね」津波にさらわれたのちに森野古家具店に持ち込まれたアンティークの椅子と、鴻池さんの不思議な縁。台風で水浸しになった箪笥のリメイクがなかなか完成しない本当の理由。豪奢な古民家の襖に宿る、一族のつらい歴史。家具が有機物のように人と人とをつなぎ、人の心の柔らかな部分に触れてくる。「小説内でも書きましたが、普通の古家具屋なら扱わないレベルの損傷具合です。その分、幻想譚として書けたところもあります。人間はどうしても忘れてしまうし、代謝するし、動く動物の忙しなさが虚しく思えることがあって。でも家具なら、その部屋の中にとどまっている。生活の些末なことさえずっと覚えてくれているとしたら、とてもいじらしい存在ではないかと感じるんですよね」本を閉じてなおさまざまな感情が湧き上がる。すばらしい小説集だ。清水裕貴『花盛りの椅子』リメイクを待つ家具をモチーフに描かれる、連作短編集。ヒロインだけでなく、家具店の社長や、常連客、腕利き職人たち…、魅力的な人物が活躍する5編。集英社1980円しみず・ゆき1984年、千葉県生まれ。武蔵野美術大学卒。2016年、三木淳賞受賞。著書に「女による女のためのR‐18文学賞」大賞受賞作を含む短編集『ここは夜の水のほとり』(新潮社)。撮影:村松聡※『anan』2022年4月13日号より。写真・中島慶子(本)インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2022年04月12日軸になる物語が少しずつ変容しながら繰り返される、藤原無雨さんの『水と礫(れき)』。あの無二の読み心地は忘れがたかった。新刊『その午後、巨匠たちは、』でも、期待を裏切らない特別な読書体験を味わえる。荒廃した町に、歳を取らない女性〈サイトウ〉がふらりとやって来て、山に神社建立を進言する。すると町にはさまざまな幸運が舞い込み始める。その〈サイトウ〉が、神社の石柱に6人の巨匠たちの名前を彫ると、北斎は卵の殻を割って世に現れる。それを皮切りに、レンブラントやダリ、モネ、ターナー、フリードリヒら画家たちが相まみえることに…。わかりやすさを拒否する、ユニークな物語の幕が開く。「さまざまな画家の絵が、すべて混ざって展開されるというモチーフが最初に浮かんだんですね。絵によって世界が影響されるというのなら、人間の画家では不可能だし、ならばそれは神様だろう…と、そんなふうに連想を膨らませていきました」それが帯文にもある〈注釈小説〉というスタイルとして結実する。「実在する画家や絵のこともたくさん出てくるので、その説明がいるという必要性があったのがひとつ。加えて、小説から注釈へ、注釈から小説へ、グラデーション的に戻ることによって小説を読むモード、つまり小説であるという視点を取っ払った上で、小説の中に入っていく瞬間がそこに現れるわけなんです。そういう感覚がこの作品を楽しんでもらう上で、とても重要だと思いました」作中では、〈幽霊みたいなものがそこいらにふよふよと浮いて〉世話役をしているモネの屋敷で巨匠たちが一緒に食事をしたり、町の裕福な一族〈朝倉家〉のテレビにはタレントがみな北斎の役者絵になってしまった番組が映し出されたり、〈サイトウ〉のアイデアで、磔刑図(たっけいず)をエンジン代わりに、天に昇ろうとするキリストの力を利用したトロッコが敷かれたり。想像するだけで面白い出来事が次々と起きて、物語はラストまでひた走る。「没頭して満足したり共感したりできる小説もいいのですが、僕自身には、小説自体が思考材料にならなければという意識がありまして。思考するためには混乱や新しい概念などがその作品に備わっている必要がある。そこはいつも僕の課題ですね」ふじわら・むう1987年、兵庫県生まれ。2020年、『水と礫』(河出書房新社)で第57回文藝賞を受賞。マライヤ・ムー名義の共著『裏切られた盗賊、怪盗魔王になって世界を掌握する』(一迅社)がある。©橘蓮二『その午後、巨匠たちは、』西洋画家と日本画家、過去と現在といった作品イメージとオーバーラップするような、コラージュが美しいカバーデザイン。タイトルの横に置かれた、注釈〈*0〉も見逃すなかれ。河出書房新社1760円※『anan』2022年3月30日号より。写真・中島慶子(本)インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2022年03月29日5月8日(日)大阪ザ・シンフォニーホールの「三浦一馬キンテート2022熱狂のタンゴ」は、バンドネオンの若き第一人者・三浦が、腕利き揃いのキンテート(五重奏)を率いる、ピアソラ三昧のコンサート。バンドネオン(三浦)とヴァイオリン(石田泰尚)、ピアノ(山田武彦)、コントラバス(黒木岩寿)、エレキギター(大坪純平)。ピアソラ本人が最も深く探求したのがこの編成=キンテートだった。「一番ベーシックなピアソラだと感じる編成です。これが4人でも6人でもいけない。完成されているんです。非常に低重心のバランスで、ピアノの低域やコントラバス、さらにはエレキギターも下を支えて、そこにバンドネオンやヴァイオリンのメロディが気持ちよく乗ることができる。とても安定感があります」「もうひとつ面白いのが、ピアソラって、メロディがどんなに暴れても、下のリズムはそのまま、いわばメトロノーム的に進むんですね。たとえば歌曲のように、歌に伴奏が合わせたりしない。その中でわれわれメロディ側は、頭の中ではきちんとカウントしながらも、あえて大幅に遅らせてみたりするんです。そういう面白さがあるのがキンテートの醍醐味です」ピアソラの音を忠実に再現するために、録音から自分の耳で起こしたスコアを使用する。「ピアソラ自身のスコアがどれだけ残っているかはわかりません。出版譜の多くはたぶん第三者の手によるもの。だからまず最低限の準備としてスコアを作るんです。時間はかかりますが、そこは手を抜きたくないですね。そしてもちろん、そこから先がそれぞれの個性が輝くところです」まずスコアありきという姿勢は、クラシック的。実際、「ジャンル」を考えることはほとんどないという。「自分もタンゴの人間というより、バンドネオンの人、という感じです」公演では、三浦たちにとっても〝初出し〟の、私たちがこれまであまり聴いたことのないピアソラも何曲も弾いてくれる。《ルンファルド》《レビラード》《カリエンテ》 《ムムキ》などがそれ。「ピアソラといえば《リベルタンゴ》《アディオス・ノニーノ》《オブリビオン》《四季》等々。そろそろ他のも行こうよ!という気持ちがありまして。珍しいから持って来ました、ではなく、有名曲と並んでも遜色ない、ひょっとしたらそれよりも……という、これからの時代のスタンダードになりうる名曲揃いです。ぜひ聴いてください」(曲目は変更の可能性あり)(取材・文:宮本明)
2022年03月24日毎日ケガをする不運体質(?)の高校生・矢野くん。彼のあまりのドジぶりに意識せざるを得なくなったクラス委員の吉田さん。ピュアで奥手なふたりの恋は、進展もスローだが、そこがいい感じに甘酸っぱい。そんな『矢野くんの普通の日々』が話題沸騰。著者は、本作が連載デビューとなる田村結衣さんだ。ケガも不運もここまで来れば愛嬌!?愛され度高めの高校生男子の恋。「以前から、可愛い中に少し陰のある人物を描くのが好きで…。そんな絵を描きたいなと生まれたのが、毎日傷だらけの矢野くんです。吉田さんは、実は初期段階では心配性でも委員長でもしっかり者でもなくて、本当に普通の女子という設定でした。ところがそれだとなかなか話が広がらなかったんですね」かくて田村さんは、担当編集者と相談しながら彼らの関係性を改めて模索。“ケガだらけ男子と心配性女子”のアイデアにたどり着いた。毎回、矢野くんがドジを踏むシーンが描かれるが、そのバラエティぶりが面白く、愛らしいのなんの。「基本的に自分の高校時代の思い出を引っ張り出して、『矢野くんたちがあんなことをやったらどうなるかな』と想像を膨らませています。自分で経験したり見聞きしてきたケガやドジをそのまま描くこともありますし、『ここで手が滑ったらこうなるかも…』などと考えて展開するときもあります。また、表紙等でカラーイラストを描くときに、顔に貼られた絆創膏をカラフルに塗るのが、とても楽しいですね」影響を受けたマンガに、増田こうすけ氏の『ギャグマンガ日和』や、和山やま氏の『女の園の星』などを挙げる田村さん。本作もまた読んでいて温かい気持ちになるが、それは矢野くんの笑顔や吉田さんの照れる顔など、キャラたちの優しく豊かな表情の賜物だ。「もともと絵を描くのが好きなので、作画については日々模索しています。描いている自分も思わず感情移入してしまうような表情を描くように心がけています。その意気込みが読者の方にも伝わっているのか、表情を褒めていただくことが多いのは、うれしいですね」2巻では、吉田さんに恋をする同じクラス委員の羽柴くんが大活躍。相性よさげに感じさせる場面もあり、波乱の予感が渦巻く。「けれど、毎回『全員、楽しくて幸せな高校生活を送ってくれ…』と祈りながら描いてはいるんです」田村結衣『矢野くんの普通の日々』2ファミレスで一緒に勉強したり、カラオケに行ったり。「普通の高校生活を送りたい」という矢野くんのために、吉田さんをはじめクラスメイトも全力サポート。講談社726円©田村結衣/講談社たむら・ゆい1998年生まれ、北海道出身。2020年イラストレーターとして活動を始める。同年、モーニング月例賞 佳作賞を受賞。’21年6月より連載開始。※『anan』2022年3月23日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2022年03月22日天賞堂の鉄道模型買取キャンペーン実施中です鉄道模型買取のQ.E.D.パートナーズでは2022年3月16日〜2022年4月15日まで「天賞堂の鉄道模型」を通常時より10%UPにて買取するキャンペーンを実施しています。URL: 天賞堂強化買取キャンペーンキャンペーン詳細:天賞堂の鉄道模型を通常査定価格より「10%UP」にて買取します。期間:2022年4月15日までに買取をご依頼いただいた方が対象買取方法:宅配買取、店頭買取、出張買取のどの方法でも対象となります。キャンペーン対象品:天賞堂の鉄道模型全品(貴金属・時計など鉄道模型以外は買取不可です)天賞堂を高価買取天賞堂の鉄道模型は高価なものが多く、中古市場でも大変人気です。とくに「真鍮製」の模型は新品価格も高取ですが、中古品の買取価格も高くなります。古くから集めてきた天賞堂ユーザーさんで、そそろそ卒業を考えているならこの機会にご売却ください。他より1円でも高く買取いたします。まずはお気軽に査定をお試しください。査定はこちらから>> 東京・神奈川・千葉・埼玉へ出張買取します天賞堂の模型をまとめ売りしていただけるなら、ご自宅まで出張買取いたします。天賞堂のHOゲージだけでなく、他社製のHOゲージも一緒にお売りください。査定金額10%UPキャンペーンは天賞堂の商品のみとなりますが、他社メーカーのHOゲージ・Nゲージ、その他規格の鉄道模型も一緒に買取いたします。出張買取でも安くなることはありません。【出張買取の特徴】・ご自宅へ訪問して一括でお引き取りします・出張当日に現金買取も可能です・事前にリストをいただければ1品ずつ査定して金額をご提示してからお伺いします・運ぶ必要一切ナシ、自宅の2階やマンション高層階からの運び出しもお任せください●主な出張買取エリア神奈川県:川崎市、横浜市、横須賀市、戸塚市、鎌倉市、藤沢市、座間市、相模原市、大和市など東京:23区全域、とくに大田区、世田谷区、杉並区、目黒区、渋谷区、新宿区、品川区など千葉県:千葉市、木更津市、市原市、習志野市、浦安市、市川市、八千代市など横浜で天賞堂を売るなら横浜駅周辺の鉄道模型店へ天賞堂を売りに行かれるなら、少し足を伸ばして川崎駅徒歩10分の当店までお持ちください。天賞堂の買取価格なら横浜駅周辺にある買取店より高くお出しできるはずです。せっかく貴重な天賞堂の模型を売るなら少しでも高く売れる店を探してみませんか!?他との比較・相見積もりも大歓迎です。お問い合わせいただいた方にご満足してもらるよう精一杯の金額をご提示します。遺品整理で天賞堂を売るなら故人が集められた天賞堂の鉄道模型を遺品整理としてご売却されるならLINE査定を活用ください。遺品整理業者へ売ってしまう前にご相談ください。LINE査定なら「品番」のわかる箇所をスマホで撮影して画像を送るだけで査定できます。相続による遺品整理・弁護士事務所さまからのご依頼もお受けします相続にともなって天賞堂鉄道模型の査定金額が必要な弁護士・司法書士・税理士・不動産業者からのご依頼もお受けしています。相続手続きによる裁判所提出資料として鉄道模型の見積もりが必要なケースにも対応可能です。複数社での見積もり・比較で最高値を提示できた場合にお売りいただければ結構です。強化買取できる天賞堂の例 。似たような天賞堂お持ちじゃないですか!?真鍮製を中心に高価買取しています。プラスチック製・ダイキャスト製の天賞堂も喜んで買取します。天賞堂71032 C61形 蒸気機関車天賞堂 HD51 824 蒸気機関車査定・お問い合わせはこちら会社名:株式会社Q.E.D.パートナーズ代表者:舟山 学所在地:神奈川県川崎市川崎区宮前町8-13 大幸ビル4FTEL:0120-933-255URL: 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2022年03月17日日中台の史実と家族サーガを踏まえ、骨太に描かれる、愛と自由と運命。東山彰良さんによる『怪物』をご紹介します。「近年、僕は、どうやれば過去に起こった実際の戦争や厄災など大きな出来事を現在の物語に入れ込み、現代とどう関係しているかを語る方法を模索しているところがあります。本書『怪物』では主たる語り手を台湾出身の作家にして僕自身のバックボーンを足がかりにしました」柏山康平というペンネームを持つ〈わたし〉(本名・柏立仁)は、『怪物』という作品でにわかに注目される存在になる。作中作『怪物』は、柏山が〈二叔父さん〉と呼ぶ従兄の父・王康平から聞かされていた体験談をもとに書かれたという設定。王康平をモデルにした主人公・鹿康平は台湾(中華民国)の〈黒蝙蝠中隊〉にいた元乗組員で、敵襲を受けて大陸で捕まり、あらゆる手段を講じて台湾に帰り着く。その過程で、蘇大方という男とどんな確執が生まれたかが語られていく。その物語パートと並行して、現代を生きる柏山のパートが描かれる。柏山は、藤巻琴里という女性から、彼女の祖父と柏山の二叔父との不思議な縁を知らせる手紙を受け取るが、それは同時に、柏山を取り巻く現実が変容していくきっかけでもあった。「僕は、臆面もなく愛とか自由とか孤独とかを書くのが好きなんです。常々思っていることですが、人間て自由に生きているように見えても何か目に見えないものに支配されて動かされているのではないか。そんなテーマを、現代と作中作の間で反復したかったんですよね」物語の柱は、日本と台湾と中国の関係性を遠景とした男たちの物語だろう。しかし、本書でもっとも心惹かれるのは、柏山が溺れていく編集者の椎葉リサとの愛の行方や琴里との関係。そして、鹿が味わう、台湾の婚約者と新しく知り合ったシャオとの関係についての葛藤だ。「そこで彼らを支配していたのは、あらゆる意味で、やはり愛と自由のせめぎ合いだった気がします。もし生きるか死ぬかの非常事態下にいたら、善なるものが命取りになるかもしれない。だから表に出てこないように、抑え込んでいなければいけないこともある。それでも、みんなの、それこそ悪党の胸の内にも、青い鳥みたいなものがいるのではないかと思ってしまうんですね」そう語る東山さんの思いが結実した、胸が震えるラストが待っている。『怪物』作中作『怪物』の書き出し=〈鹿康平が怪物を撃った〉理由も大きな謎。物語パートと現代パートが浸食し合い、美しいカタルシスへとなだれ込む。新潮社2860円ひがしやま・あきら1968年、台湾生まれ。2015年、『流』で直木賞、’16年、『罪の終わり』で中央公論文芸賞、’17年出版の『僕が殺した人と僕を殺した人』では、織田作之助賞など3つの賞を受賞。※『anan』2022年3月16日号より。写真・中島慶子(本)インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2022年03月15日宝酒造株式会社は、“松竹梅「天」、「天」<飲みごたえ辛口>、「天」<糖質70%オフ>” の味わいとデザインをリニューアルして新発売します。“松竹梅「天」”シリーズは、ユーザーニーズの変化に対応するために、製法を見直し旨みをアップさせることで、独自の二段酵母仕込※による「まろやかな旨み」と「すっきりとしたあと味」を一層感じられる酒質にリニューアルします。またデザインについても、パッケージ側面で「おいしさの理由」と「松竹梅ブランド」の訴求を強化することで、松竹梅「天」ブランドの安心感と信頼感を高めていきます。当社では、“松竹梅「天」、「天」<飲みごたえ辛口>、「天」<糖質70%オフ>”をリニューアルすることで、“松竹梅「天」”ブランドのさらなる育成に努めてまいります。※二段酵母仕込清酒のコクに関わる成分であるコハク酸を多くつくる酵母(多酸性酵母)と発酵が旺盛で雑味成分が少なく、後味の良いキレのある酒質をつくる酵母(蔵付半兵衛酵母)の二種類の酵母による仕込。■リニューアル対象商品・松竹梅「天」:4L紙パック、3L紙パック、2L紙パック、900ml紙パック/パウチパック、 720ml紙パック、500ml紙パック、200ml壜カップ、100ml壜カップ(北海道限定)、18Lバックインボックス・松竹梅「天」<飲みごたえ辛口>:3L紙パック、2L紙パック、900ml紙パック/パウチパック、500ml紙パック、200ml壜カップ・松竹梅「天」<糖質70%オフ>:3L紙パック、2L紙パック、900mlパウチパック■発売日・2022年3月8日以降、順次切り替え■松竹梅「天」シリーズのラインアップ左から、松竹梅「天」,「天」<飲みごたえ辛口>,「天」<糖質70%オフ> 「天」<香り豊かな糖質ゼロ>、「天」<生貯蔵酒> ※「天」<香り豊かな糖質ゼロ>、「天」<生貯蔵酒>はデザインのみリニューアル 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2022年03月08日読書を愛し、自身も表現活動に携わる、文筆家・木村綾子さんとモデル・前田エマさん。文学と焦がれや高まりの関係、焦がれを感じる好きな作品についてなど、あれこれ語っていただきました。木村綾子&前田エマが考える、文学における焦がれの正体木村綾子:“焦がれる”という言葉から連想したのは、届かなさ、わかり合えなさ、一方通行の思い…そんな満たされなさを抱える相手に抱く思いでした。そんな本を今日は持ってきましたが、前田さんのセレクトも楽しみにしてきました。前田エマ:私もです!私は今までの人生でトップレベルで好きな本を持ってきました。欠けているからこそ求め、憧れ、そして“焦がれる”。すごく共感します。木村:私は、たとえ肉体的な交わりがあっても、人間は本質的にひとりだという孤独感から逃れられないからこそ、官能が刺激されると思うんです。そういう意味で、村田沙耶香さんの作品は、自分自身の肉体に対する違和感や反感まで突き詰めていて凄みがあります。性というものを徹底的に疑うんですよね。たとえば『地球星人』では、男女が結婚するのに性は必要なのかを疑うし、『しろいろの街の、その骨の体温の』では生理や女性性を疑う。前田:私は『しろいろの~』が村田作品でいちばん好きでお守りのような本です。多くの作家が今日まで繰り返し孤独と寂しさ、“動物としてのヒト”と“人間としての人”との葛藤を描いてきました。体を重ねるほど相手が遠くなる普遍的な感情もたまらない。木村:前田さんは、気になるところに付箋をつけるんですね。私は角を折り曲げちゃうんです。前田:読み返してみたら付箋を貼っている箇所の多くが匂いの描写でした。それも香水のような芳香ではなく、汗の酸っぱさや肉体が交わったときに漂う湿った匂い。匂いは私にとってとても大事なんでしょう。木村:血なまぐさいのも官能をくすぐられませんか。田村俊子の『生血』は、一晩男の人と過ごし処女を喪失した翌日から物語は始まります。赤い金魚を眺めて生理を思い出し「目刺しにしてやりたくなる」とか、生殖と殺意が同居しているような表現が頻出します。前田:官能が死と隣り合わせというのはよくわかります。『本格小説』で、死の淵に立つヒロインのよう子に、主人公の太郎が「おまえをずっと殺したかった」と言う場面があるんです。「いつから?」「出会ったときから」。愛しすぎているゆえに究極の感情に至るのはすごく人間らしいなと。その二人の愛の行方は、よう子の生家で住み込みの家政婦をしていた冨美子の視点で描かれます。実は太郎との間に関係があったようなのですが「匂わせ」だけで描かれないんです。直接的な性描写よりずっとノックアウトされました。木村:人間の想像力はたくましいので、実際に書かれている文字情報以上のもの、たとえば自分がしてきた経験や見聞や五感で得たものを同時にそこに読み取ってしまうんですよね。だからこそ、同じ文章が書かれていても、それぞれにイメージするものが違う。私が中学2年生で『仮面の告白』を読んだときに、ちらっと本から目を逸らしたときに映った、銀杏の揺れる枝葉や前の席の男子の背中が生々しくて。小説で描かれている官能が肌感覚と直につながったと感じた瞬間でした。前田:すごい大人びた素敵な中学生ですね(笑)。木村:『溺レる』も、結構暴力的なセックスがあったり、排泄の場面があったり、五感が刺激される作品集です。前田:谷崎潤一郎の『痴人の愛』は外せませんよね。木村さんも谷崎をお持ちですね。木村:『瘋癲老人日記』。谷崎は死ぬまで性や欲望に従順で奔放で、女性の肉感…特に足ですよね、その憧れと渇望の描写がすごい。前田:谷崎の趣味をこれでもかというくらい見せられて笑ってしまう。エロティシズムって滑稽な面もあるのだなあと思います。木村:前田さんは、山田詠美さんもお好きですか。前田:『蝶々の纏足・風葬の教室』は何度も読みました。私は、同性愛者でも異性愛者でも、女の子が最初に焦がれる相手は女の子だと思っていて。ちゃんのまつ毛が長くてキレイだな、触ってみたいな、とか。この一冊には女の子同士の小さな焦がれが、膨れ上がり変化していく様子が描かれているように思います。官能に意味を持たせたり娯楽にするのは大人ですが、決して大人だけのものではないと思います。木村:焦がれるって、人にとって本能的なものかもしれませんね。木村綾子さんselect『溺レる』川上弘美焦がれているからこそ増す8組の男女の愛しさと孤独。男に言われるがままに一緒にあてもない旅を続ける女の愛欲を描く表題作など、全8編。「二人の間に愛やセックスがあっても、決してわかり合えない部分がある寂しさがさまざまなシチュエーションで描かれ、皮膚感覚に迫ってきます」。文春文庫660円『仮面の告白』三島由紀夫男性にも女性にも惹かれる複雑な内面が吐露される。自身の性的指向とアイデンティティに苦悩する青年の告白小説。「直接的な性描写があるわけではないのに、たとえば聖セバスチャンの殉教図を見た〈私〉の内面描写で『ああ、射精したんだな』とわかるんですよね。言葉で官能の魅力を味わえる一冊」。新潮文庫新装版 649円前田エマさんselect『本格小説』水村美苗歴史のうねりと運命的な愛を描く、日本版『嵐が丘』。アメリカンドリームを掴み凱旋帰国した東太郎と、軽井沢のお屋敷の娘・よう子の引き裂きがたい絆はどうやって生まれたのか、運命的な愛に翻弄された登場人物たちの生と死を追う。「冨美子の語りの行間から伝わる太郎への思いが切ないです」。新潮文庫上巻924円、下巻825円『蝶々の纏足(てんそく)・風葬の教室』山田詠美息を詰めるように読む、少女期の繊細な心の動き。〈私〉が語る幼なじみのえり子との関係と成長を描く「蝶々~」を含む全3編を所収。「『風葬~』を、村田沙耶香さんがインタビューで“人生でいちばん読み返した小説”に挙げていたので、手に取った本なのですが、『蝶々~』にもとても感動しました」。新潮文庫572円木村綾子さん(写真右)文筆家。中央大学大学院にて太宰治を研究。現在は文筆業のほか、ブックディレクション、イベントプランニングなどで活躍する。昨年8月より、作者と読者がつながるオンライン書店「コトゴトブックス」をスタート。前田エマさん(写真左)モデル。東京造形大学在学中からモデル、エッセイ、写真、ペインティング、ラジオパーソナリティなど、ジャンルにとらわれない活動が注目を集める。雑誌やウェブメディアでエッセイの連載を多数持つ。※『anan』2022年3月9日号より。写真・小笠原真紀取材、文・三浦天紗子撮影協力・TITLES(by anan編集部)
2022年03月05日2010年に三浦大輔が書き下ろし、自ら演出も手がけた『裏切りの街』を12年ぶりに再演。そこで三浦と、主人公・菅原裕一の恋人・鈴木里美役の萩原みのりに話を訊いた。「人が人を裏切る瞬間、しかもその曖昧さを作品にしたいと思ったんです」と三浦が語るように、この物語はフリーターの裕一と主婦の橋本智子が、何となく不倫を始めるところから動き出す。稽古はまだまだ序盤。だがすでにふたりとも「難しい」と声を合わせ、三浦は「単純に前回よりも劇場が大きくなるので、曖昧さにフォーカスした芝居をどう観客に届かせるのか」と現状の課題に挙げる。萩原は「難しくて死にそうです」と顔をしかめつつも、「自分に対しての言葉はもちろん、他の方につけている演出を聞けることが本当に贅沢で。緊張感もすごいですが、めちゃくちゃ幸せです!」と声を弾ませる。ほぼヒモ状態の裕一を献身的に支える里美というのが、萩原の役どころ。三浦は「すごく役のことを理解してくれていて、この彼女といると窮屈になったり、ちょっと逃げたくなるだろうなって感じでちゃんと演じてくれている。だから今回、少し台本を変えてみたんです。従来の里美像から変化を持たせた方が面白いかなと。萩原さんが出来る人だとわかっていたので、こちらにもそういう欲が出てきました」と萩原に大きな期待を寄せる。初演の映像と2016年の映像版を見たという萩原は、「里美としての答えがすでにふたつあり、つい寄せてしまいそうになるんです。でも気持ちが伴っていないせいか、すぐ三浦さんにバレてしまって。その分自然と、自分の中の里美を探しに行けている感覚はありますね。あと菅原役の高木(雄也)さんご自身はとても明るい方ですが、文字で読んだ時の裕ちゃん(=菅原)と、高木さん演じる裕ちゃんの印象がちょっと違う。高木さんだからこその裕ちゃんをどこか少しかわいいなと思いつつ、抱きしめているような感覚が里美にはずっとありますね」と、この再演ならではの里美像を掴み始めているようすだ。※高木の「高」ははしごだかその高木に関して三浦は、「これまで多くの人が演じてきた菅原ですが、高木くんの場合は“陽”の菅原になるかなと思っていました。ただその陽の部分を演技に乗せるには、彼の中にストッパーがあるみたいで。その殻を破った時に、高木くんらしい菅原が生まれるんじゃないかなと思います」と予想。このカンパニーから、いかなる『裏切りの街』が立ち上がるのか。その開幕を楽しみに待ちたい。東京公演は3月12日(土)に新国立劇場 中劇場で開幕。その後、3月31日(木)よりCOOL JAPAN PARK OSAKA WWホールにて大阪公演を開催する。チケットは発売中。取材・文:野上瑠美子
2022年03月04日文政期、江戸の芝居小屋で起きた怪異を、鳥屋の藤九郎(ふじくろう)と元人気女形の魚之助(ととのすけ)が解き明かす『化け者心中』で、一躍脚光を浴びた蝉谷めぐ実さん。ファン待望の新刊『おんなの女房』では、一級の芸道小説でもあったデビュー作同様、芸を極めようとする者とそれを支える者の葛藤を、主に一組の夫婦を軸に描いていく。〈女より美しい“女形”〉と評される喜多村燕弥(えんや)と、歌舞伎を知らないまま燕弥に嫁いだ武家の娘・志乃。選ぶのは女形の妻としての道か、一人の女としての道か。迷い、貫く。「魚之助もそうでしたが、燕弥も舞台を降りた日常の中でもずっと、女性の姿をして女性として生きている役者です。そんな役者の女房になるというのはどういう心情や感覚なのだろうと、興味が湧いたんです」執筆のもう一つの大きな動機になったのが、歌舞伎役者の女房評判記『女意亭有噺(めいちょうばなし)』の存在だ。「前作を書くために資料を漁っているときに知った本です。『顔や性根で勝手に位付けしたりしていたのか』と面白かった。当時は女性の地位は低く、ものを言うことすら憚られていました。けれど、それに甘んじている女性ばかりではなかったのではないか、ちゃんと女性としてどう生きるかを考えて貫いた人もいたのではないか。そこを掘り下げて、私の思う“女性についてのいいところも悪いところも”全部入れようと決めて、書き進めました」志乃、寿太郎の女房・お富、理右衛門の女房・お才。本書で描かれる役者の女房たちのあり方も、性格も、根っこにある悩みも、三者三様だ。一見ウマが合わなそうな3人が、少しずつ連帯し、関係を深めていくのが読みどころ。お富やお才をめぐるいくつかの出来事は、『女意亭有噺』が下敷きになっているらしい。「全部空想で書いたら、時代小説の意味がないと思うんですね。むしろ嘘をちゃんと形にするために、史実に基づくべきところは調べて沿うようにしたい。もともと、歌舞伎の演目以上に、役者や周囲のエピソードが好きなんです。河原者(かわらもの)と呼ばれて蔑まれていた一方で、憧れの対象でもあった彼らの生き方自体が、芸談にもなっていて興味は尽きません」何よりもすばらしいのは、志乃の視点を通し、燕弥の変化までを細やかに描写している点だ。この夫婦の愛がどう昇華するのか。それを見届けるのは、読んだ人だけのお楽しみ。蝉谷めぐ実『おんなの女房』4つの章それぞれに、燕弥がそのときに挑戦する役として、歌舞伎の有名な演目に登場する姫を据え、物語の展開と重ねていくのも見事。KADOKAWA1815円せみたに・めぐみ1992年、大阪府生まれ。2020年、『化け者心中』で小説野性時代新人賞を受賞し、デビュー。同作で、’21年に日本歴史時代作家協会賞新人賞、中山義秀文学賞も受賞している。撮影:小嶋淑子※『anan』2022年3月2日号より。写真・中島慶子(本)インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2022年02月27日「赤ちゃんの誕生はどんなときも寿ぐべきことだと思われていますよね。私自身は、そんな社会の空気にずっと違和感がありました」李琴峰さんの芥川賞受賞後第一作としても注目を集める『生を祝う』。寓話的な雰囲気があった『彼岸花が咲く島』とはがらりと変わり、出産には胎児の同意が必要な〈合意出生制度〉や同性婚が法制化された近未来の日本が舞台になっている。会社員の彩華は、一つ年上の小説家・佳織と〈子どもの意思は、絶対尊重しようね〉と誓い合い、手術で得た子どもを妊娠中だ。だが、生まれてくることに同意してくれると信じていた胎児から、9か月目の〈コンファーム〉時に出生を拒否されてしまい、幸せな日々が一変する。「合意出生制度というものを、頭ではわかっていたはずの彩華ですが、実際に体を張り、胎児を育ててきた後では簡単にあきらめきれない。一方、制度ができる前に生を受けた佳織は、意思を確認されることなく生まれたことで、さまざまな傷を抱えています。〈産意〉を手放せない彩華が、子どもの意思を第一に考えようとする佳織と対立していくのは必然だと思います」〈『人から命を奪う』殺人と同じで、『人に命を押し付ける』出生強制は、絶対にやっちゃいけないこと〉であり、違反すれば刑事責任さえ問われるこの時代において、産意は、親側の厄介な欲望であり意思だ。それを肯定する彩華の姉の彩芽や、新興宗教団体の天愛会なども登場し、問題はいっそう複雑に。広く正しいとされている法や規範でさえ、常にそこから期せずしてはみ出し苦しむ人がいる社会を、李さんはリアルに描き出していくのだ。果たして、ふたりはどんな選択をするのか。彩華や佳織が楽しそうに食卓を囲み、刻一刻とお腹の中で育っていく子どもを思う場面がディテール豊かだからこそ、最後まで見届けずにはいられない。「“祝う”は“呪う”と字が似ているし、アイロニックなところがあるタイトルではあると思います。思うに、いい小説は、現代社会に対して何かしらの批評性を持っていることがとても大事。〈生を祝う〉とは本当はどういうことなのか、現実に照らし合わせながら考えてもらえるとうれしいですね」『生を祝う』同性婚や〈合意出生制度〉など人権に配慮した近未来の価値観が新たな苦悩を生み出し…。ここはユートピアなのかディストピアなのか。朝日新聞出版1760円り・ことみ1989年、台湾生まれ。作家、日中翻訳者。早稲田大学大学院修了。2021年、『彼岸花が咲く島』で芥川賞受賞。『ポラリスが降り注ぐ夜』で芸術選奨新人賞を受賞。撮影・加藤夏子(朝日新聞出版写真部)※『anan』2022年2月16日号より。写真・中島慶子(本)インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2022年02月14日憧れの国際的俳優・八海崇(やつみ・たかし)の家で家政婦を募集していることを知った29歳のシングル女性・久保田ミワ。雇われるはずだったハイスペック家政婦の美羽(みわ)さくらにほんの出来心でなりすまし、屋敷への潜入に成功したものの、いつまでバレずに働くことができるのか。読者もまたハラハラしつつ、見守ることになる。青木U平さんの『ミワさんなりすます』は、そんな物語だ。推しが高じて、なりすまし家政婦に。恋も仕事もハラハラドキドキ進行中。「気を遣ってばかりの人が割を食うのはよくあります。だからといって簡単に報われたりしないというのが現実かもしれない。それでも、せめて物語の中では報われたりしてほしいし、エンターテインメントとして楽しんでもらえたらと思いますね」八海を激推しするあまり大胆な行動に出たものの、ミワの中の罪悪感は日に日に強くなる。いつ言おう、いつ辞めようと、気にしてばかり。一方で、いや増す恋慕を抑えきれない。揺れる心情が細やかに描写されていく。「友だちがいなかった高校時代、ひたすら太宰治を愛読していて、特に彼の女性語りの作品が好きでした。本作もそんな構図ですね。女性作家さんが描く“アラサー女性のリアル”とは違うけれど、男性である僕から見た、不器用で生きづらさを抱えた女性の悲哀というのも、面白がってもらえたらうれしいですね。何より、この事態がどうなるのか、サスペンスとして盛り上げたいです」ミワの度を越した映画知識は、諸刃の剣。大抵の人間関係の中では浮いてしまうが、そのおかげで八海との心理的距離が近づいたりもする。「ヒーローもののお約束みたいに毎回披露するのではなく。忘れた頃に『そういえば彼女はこれが特技だったな』と思い出してもらえる程度に使っていきたいです。子どもみたいに無邪気に映画の話とかできるのは楽しい。世の中で役に立たないことの方がときに豊かだなと思います」2巻では、正論でマウントしてくる元カレと再会するなどミワのプライベートな部分も明かされる。「あんなダメ男に引っかかっちゃったんだみたいな失敗も含め(笑)、彼女に共感してもらえたら。八海さんの来歴とか心理とか僕自身あまりつかめていないものも多いので、それを考えつつ、息長く楽しんでもらえたらと思います」3巻は3月末に発売予定。続きが待ち遠しい!青木U平『ミワさんなりすます』2なりすまし家政婦になったミワ。ふたりきりになる偶然を堪能する幸運もあるが、厳格な八海の専属マネージャー・藤浦華純によってたびたびピンチが訪れる。小学館730円 ©青木U平/小学館ビッグコミックオリジナルあおき・ゆーへい石川県在住。2013年『週刊ヤングマガジン』にて「フリンジマン」で連載デビュー。本作は『ビッグコミックオリジナル』で連載中。※『anan』2022年2月9日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2022年02月08日俳優の三浦翔平が2日、都内で行われた「サイバーセキュリティクラウド新CM発表会」に出席した。“世界中の人々が安心安全に使えるサイバー空間を創造する”という理念のもとサイバーセキュリティサービスを開発・提供するサイバーセキュリティクラウドは、三浦を起用した新CMを2月2日より公開。新CMは、近年急速に増えているサイバー攻撃に対してハッカー対策を啓発するというコンセプト。三浦は、完成したCMについて「ハッカーが身近に潜んでいるところを、わかりやすく作れたんじゃないかなと思っています」と感想を述べた。インターネットで怖いなと感じたことを聞かれると「怖いなというより、迷惑メールがよく来ることがありまして、嫌だなという思いはあります。(個人情報が)どこから流れているんだろうと思います」と答え、対策について「知らないアドレスは開けないです。すぐ削除する。見ないですね」と話した。これまで情報流出の被害に遭ったことはないという。流出したら困るものを聞かれると、「特にないです。もちろん仕事のメールとかスケジュールとかが漏れたらあまりよくないですよね。あと、家族の写真とかも嫌です。そんなにないですね」と答え、妻に漏れたらマズいことも「特にないです」と笑顔で返した。
2022年02月02日ルールやマナーを尊び、自ら規律に依拠する人間の自己愛を、独特の筆致で描くのが遠野遥さんの小説スタイル。新刊『教育』でも、安易に共感できない主人公たちの言動が、読者の胸をざわつかせる。規律と欲望の相克から変質していく主人公を追う新感覚のディストピア。本書の舞台は、超能力の成績が校内での待遇も居心地の良さも左右する、奇妙な寄宿制の学校だ。「Perfumeの『Spending all my time』は、部屋に閉じ込められている3人が、制服のような衣装を着て、超能力の訓練をしているようなMVなんですね。そこから着想を得ました」主人公の佐藤は、ルームメイトの羽根田や、仲のいい女子の真夏、同じ翻訳部に所属する海らと、正しさや幸せを求めてサバイブしていく。だが、1日3回以上のオーガズムを推奨するこの学校では、寄宿生たちにポルノビデオを供給するし、性的な交流は盛んで、半ばオープンな部屋で行われる。透視のような超能力試験は重要科目だ。抑圧と自由がねじ曲がった彼らの日常を見届けたくて、ページを繰る手が逸る。「集団内の規則や慣例は、外から見たら驚くほど変な話も結構ありますよね。けれど『それがルールだから』と言われている空間内にいると、さしたる疑問も持たずに従ってしまったり。その滑稽さや歪みを、アンプにつなぐ感覚で増幅させています」カメラで監視され、思考能力を奪われていく状況は、あの傑作ディストピア小説にオーバーラップする。「実はジョージ・オーウェルの『1984年』は書き上げた後に読んだので、私自身驚いたくらいです」さらに、昨今のジェンダーギャップや性暴力などの女性問題を潜ませているところに独自性が際立つ。「上級の待遇を受けられるクラスには女生徒はほとんどいないとか、安全面からもあった方がいいのに階段に蹴込板がなくて下から覗き放題だとか。食堂のメニューも、主人公にはちょうどいいが女子生徒は食べ切れずに残している」スポーツ、セックス、規律、協調性…。圧倒的な「正」が「危」に転じる怖さが迫ってくる本作。そんな遠野作品から、当分目が離せない。「次回作は、30歳くらいの美容外科医と女子中学生が交互に語り手を務めて進むお話です」とおの・はるか作家。1991年、神奈川県生まれ。慶應義塾大学卒。2019年、「改良」で文藝賞を受賞し、デビュー。’20年、『破局』で芥川賞を受賞。本作が受賞後第一作となる。『教育』佐藤が邦訳に取り組む「ヴェロキラプトル」で初めて作中作にも挑戦。「本筋と違う流れで書くのは気分も変わって楽しかったですね」。河出書房新社1760円※『anan』2022年2月2日号より。写真・土佐麻理子(遠野さん)中島慶子(本)インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2022年01月30日俳優の三浦翔平が20日、公式YouTubeチャンネル『三浦屋の翔へいへ~い』を開設した。同チャンネルは、インフルエンサーマーケティング企業であるMIHAの支援のもと、三浦のプライベートや仕事の舞台裏など、今まで見られなかった姿をコンテンツとして配信する。第1弾の配信動画として、三浦とスペシャルゲストが参加するライブ配信を30日(21:00~)に行う予定だ。コメントは以下の通り。■三浦翔平今回、MIHAさんとの取り組みを大変嬉しく思っております。今後YouTubeを通じて、私のプライベートや趣味、仕事の舞台裏などのコンテンツを、ゆる~く配信していく予定ですので、ぜひ楽しみにしていてください!!
2022年01月20日俳優の三浦翔平が、7日(23:00~)にABEMAで配信されたバラエティ番組『私たち結婚しました 2』第6話に出演し、夫婦のペアルックについて語った。同番組は、韓国で2008年から約9年間レギュラー放送された国民的大ヒット番組『私たち結婚しました』を日本版にリメイクしたABEMAオリジナル番組。番組MCを千鳥のノブと三浦翔平が務め、シーズン2では、俳優・浅香航大とモデルで女優・トリンドル玲奈ペア、俳優・塩野瑛久と女優・足立梨花ペアの疑似結婚生活に密着する。7日の配信では浅香とトリンドル夫婦が赤のリンクコーデをしていたことを受けて、スタジオでは「夫婦でペアルックはありか?」がトークテーマとなった。MCの三浦は「全然着る分には大丈夫ですよ」と答え、「家の外でも?」と尋ねられると、「全然。(大丈夫)」「これが三浦家だけど逆になに? みたいな」と堂々とした様子で話した。また、ペアルックをためらわずにできるのは「結婚しているから」という意見でまとまると、ゲストの小島瑠璃子が「そうなんですよ、(付き合っていることがバレないように)なるべく街に溶け込もうとする」と同意。三浦からの「やっぱ、溶け込むの?」に小島は「溶け込めないから(週刊誌に)撮られる」と自虐モードで、さらにノブから「(撮られた枚数は)30枚でしたっけ?」と問われると「60枚です」と返して笑いを誘った。
2022年01月11日三浦大知が、全国ツアー『DAICHI MIURA LIVE TOUR 2019-2022 COLORLESS』を開催することを発表した。『COLORLESS』は2019年に無期限延期となった全国ツアーで、今回2年の時を経て2022年3月31日の埼玉・戸田市文化会館を皮切りに全国22会場・33公演が開催される。併せて、三浦は自身のInstagramでメッセージを投稿しており、待望のツアー開催ということが伺えるメッセージとなっている。■三浦大知 Instagramメッセージ「遂に、やります無期限延期になっていた「DAICHI MIURA LIVE TOUR 2019-2022 COLORLESS」2年かかりましたが、2022年3月31日から再開催する事を決断しましたタイトルは2年前と同じ、年号部分だけ2019-2022に変更しました内容は2年前から楽曲も増えていますのでもちろんブラッシュアップします誰もが予想しなかったこの2年みんな乗り越えてきましたよねそしてこの2年を通して、オフラインじゃなくても、オンラインでも、どんな形でも、音楽はエンターテイメントは全てを超えて、人と人を、心と心を繋げてくれるんだなと改めて強く感じましたでもだからこそ、オフラインライブがどれほど特別なものだったかという事も改めて強く感じましたそろそろ直接皆さんの元へ、COLORLESSツアーを届けに行っても良いでしょうか??もちろんまだまだ予断を許さない状況だと思いますしっかり感染対策をしながら、一緒に最高のライブを作っていけたら嬉しいです皆さんに"会場"でお会いできる日を心から楽しみにしています」<ライブ情報>『DAICHI MIURA LIVE TOUR 2019-2022 COLORLESS』『DAICHI MIURA LIVE TOUR 2019-2022 COLORLESS』告知画像3月31日(木) 埼玉・戸田市文化会館4月9日(土) 新潟・新潟県民会館4月10日(日) 新潟・新潟県民会館4月20日(水) 愛知・名古屋国際会議場 センチュリーホール4月21日(木) 愛知・名古屋国際会議場 センチュリーホール4月29日(金・祝) 熊本・熊本城ホール メインホール4月30日(土) 鹿児島・川商ホール 第1ホール5月6日(金) 石川・本多の森ホール5月7日(土) 石川・本多の森ホール5月13日(金) 岡山・倉敷市民会館5月14日(土) 鳥取・米子コンベンションセンター BiGSHiP5月18日(水) 東京・J:COMホール八王子5月19日(木) 東京・J:COMホール八王子5月24日(火) 福岡・福岡サンパレス ホテル&ホール5月25日(水) 福岡・福岡サンパレス ホテル&ホール6月1日(水) 広島・上野学園ホール6月2日(木) 広島・上野学園ホール6月7日(火) 宮城・仙台サンプラザホール6月8日(水) 岩手・岩手県民会館 大ホール6月13日(月) 大阪・フェスティバルホール(大阪)6月14日(火) 大阪・フェスティバルホール(大阪)6月20日(月) 京都・ロームシアター京都 メインホール6月21日(火) 京都・ロームシアター京都 メインホール6月29日(水) 東京・東京国際フォーラム ホールA6月30日(木) 東京・東京国際フォーラム ホールA7月6日(水) 青森・リンクステーションホール青森7月7日(木) 秋田・能代市文化会館7月14日(木) 香川・レグザムホール 大ホール7月15日(金) 愛媛・松山市民会館7月20日(水) 静岡・アクトシティ浜松 大ホール7月21日(木) 静岡・アクトシティ浜松 大ホール7月25日(月) 北海道・札幌文化芸術劇場 hitaru7月26日(火) 北海道・札幌文化芸術劇場 hitaru※全22会場・33公演【チケット料金】全席指定:7,700円(税込)ファミリー席:7,700円 ※ファンクラブ先行受付のみ※3歳未満入場不可 / 3歳以上のお子様はチケットが必要となります。オフィシャルHP:<リリース情報>三浦大知 DVD / Blu-ray『Choreo Chronicle 2016-2021 Plus』2022年1月26日(水) リリース●DVD:5,500円(税込)●Blu-ray:5,500円(税込)※初回スリーブ仕様【収録内容】01. Cry & Fight -Music Video-02. Cry & Fight -Dance Edit Video-03. Yes & No, Forever & Always -Choreo Video-04. (RE)PLAY -Music Video-05. (RE)PLAY -Dance Edit Video-06. Look what you did -Choreo Video-07. EXCITE -Music Video-08. Darkest Before Dawn -Music Video-09. U -Music Video-10. Complex -Choreo Video-11. DIVE -Music Video-12. Be Myself -Music Video-13. Blizzard -Music Video-14. I’m Here -Music Video-15. COLORLESS -Choreo Video-16. Antelope -Music Video-17. Yours -Choreo Video-18. Backwards -Music Video-19. Backwards -Dance Edit Video-20. About You -Choreo Video-21. Spacewalk -Music Video-22. Didn’t Know -Performance Video Front Row Ver.--Bonus-23. Not Today -Choreo Video-24. Le Penseur -Choreo Video-【店舗別特典】・ポストカード(A5サイズ)【DAICHISHIKI CD・DVD OFFICIAL SHOPオリジナル特典】・2022年 卓上カレンダー予約リンク:<配信情報>「Le Penseur」配信中配信リンク:三浦大知「Le Penseur」Choreo Video「新呼吸」配信中配信リンク:関連リンク三浦大知 オフィシャルサイト:三浦大知 オフィシャルファンクラブ「大知識」:三浦大知 YouTube:三浦大知 Twitter:三浦大知 Instagram:
2022年01月09日亡くなった両親が住んでいた東北の家に戻り、いまは一人暮らしをしている妙。水回りの不具合を見てもらおうと便利屋の青年、忍を呼ぶ。雑用で妙の家に呼ばれるうち、ふたりの距離は少しずつ縮まる。もっとも、ひと回りほど妙が年上で、恋愛や友情などとは程遠い。それでもふたりのささやかな連帯に希望がにじむ。木村紅美さんの『あなたに安全な人』は、そんな物語だ。「これまで書かれたことのない関係が書けていたらいいなと思います」妙と忍とが交互に語りを務める。どちらも東京近郊からのリターン組というだけでなく、他にも共通点がある。元教師の妙は夏休みに、忍はデモの警備をしているときに、それぞれ事件が起きて人が死に、「自分はその死に関わっているのではないか」という負い目を背負うことになったのだ。近所では東京からの移住者が不審な孤独死をしたばかりで、コロナ禍でのその出来事もまた、彼女たちの感情をかき乱す。「『そんなつもりはなかったけれど、もしやあのとき、自分はあの人を傷つけてしまったのではないか』という罪悪感を持ったり、『この人を傷つけたい』という衝動にからめ取られたりって、わりと誰にでもある経験のような気がします。そうした負の感情から目を逸らさず、書いていきたいと思いますね」互いの苦境や本音を打ち明け合ったりもしないため、ふたりの間に漂うのは、ただ訳ありげに思える気配だけ。それにうっすら気づきつつ、問い詰めたりしないその距離感が好ましい。実際、妙と忍の交流は、ときにユーモラスにさえ映る。そんなふうに、木村さんの小説はいつもどこか人間が本質的に持つ寂しさと滑稽さがないまぜになって進む。実は、20代のころから『楢山節考』で知られる深沢七郎が好きだと聞いて、合点がいった。「『みちのくの人形たち』という短編集が特に好きです。東北の村での間引きなど暗い因習についての物語ではあるんですが、私は、そこにむしろ生きる気力をもらったんですね。死んでいたかもしれない、生まれていなかったかもしれないと思うことで、逆に生きることを受け入れることができたというか」本書からも、そうした逆説的なたくましさをもらえる気がする。『あなたに安全な人』意味深なタイトルは、木村さん自身が好きな韓国の現代文学の影響や、安全という言葉の持つ危うさから考えついたものだとか。河出書房新社1837円きむら・くみ1976年、兵庫県生まれ。現在は岩手県盛岡市在住。2006年、「風化する女」で文學界新人賞を受賞しデビュー。著作に『まっぷたつの先生』『雪子さんの足音』などがある。※『anan』2021年12月29日‐2022年1月5日合併号より。写真・中島慶子(本)インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2022年01月07日「ムビ×ステ」の第3弾として映画『漆黒天 -終の語り-』(2022年初夏公開予定)と舞台『漆黒天 -始の語り-』(2022年8月上演)の2作品が発表された。さらに併せて主演キャストやスタッフ、ティザービジュアルも解禁となっている。「ムビ×ステ」は、ひとつの作品世界で語られる「ムービー(映画)」と「ステージ(演劇)」を公開&上演するプロジェクト。映画と演劇はそれぞれ独立した作品ながら、物語は連動しており、メディアを行来する制作は、これまでにない新しい感覚を呼び覚ますはずだ。前身プロジェクト「東映ムビ×ステ」では第1弾は、映画『GOZEN-純恋の剣-』(2019年7月公開)、舞台『GOZEN-狂乱の剣-』(2019年9月東京・大阪上演)を製作。第2弾は、映画『死神遣いの事件帖 – 傀儡夜曲-』(2020年6月公開)、舞台『死神遣いの事件帖 –鎮魂協曲-』(2020年7月・8月上演)を発表してきた。続く本作は映画・舞台ともに主演・荒木宏文、脚本・末満健一の強力タッグでお届けする。映画・舞台ともに主演を務めるのは、2.5次元舞台でもトップクラスの人気を誇る俳優・荒木宏文。『ミュージカル「刀剣乱舞」にっかり青江 単騎出陣』では、全国47都道府県を1人芝居にて回るという、2年ごしの壮大なプロジェクトを敢行中の実力派俳優だ。そして映画の脚本、舞台の作・演出には、 舞台『刀剣乱舞』シリーズの脚本・演出を手掛け、2009年から続きシリーズ累計動員12万人を超える舞台『TRUMPシリーズ』など、舞台で人気の脚本・演出家の末満健一が担当。末満にとって初のオリジナル映画脚本による本格時代劇となる。また映画の監督・アクション監督は『仮面ライダー』や『スーパー戦隊』、『ウルトラマン』など特撮作品で第一線を走るアクションの名手・坂本浩一が担う。映画の主人公は記憶をなくした流浪の男。記憶を追い求める中、彼に迫りくる数々の刺客たち。いったい彼はなぜ襲われるのか…。謎多き男をめぐるハードなミステリー時代劇。また映画・舞台それぞれのサブタイトルにも注目だ。ティザービジュアルでは、刀を手に持ち力強い目線を送る荒木演じる流浪の男の姿に「記憶をなくした<最強の男> この男、何かある。」というコピーのハードなビジュアルに本作への期待が高まる。<坂本浩一・コメント>新たな時代劇への挑戦!台本の打ち合わせを進めるうちにその実感が確実な物へとなりました。2.5次元をはじめ、舞台界のトップヒットメーカー末満さんの創り上げる魅力的な世界観と登場人物たちに引き込まれ、自分も気合が入りました!新たな出会いや、気の知れた信頼出来るキャストたちに刺激を受けて、時代劇の聖地京都で思いっきり暴れて来ました!謎とアクションに溢れた時代劇ノワール、是非ご期待下さい!<末満健一・コメント>舞台で一度ご一緒した荒木宏文くんと、またいつか別の形で創作を共にできる日が来ればよいなと願っておりました。それがムビ×ステという挑戦的な企画で実現したことを喜ばしく思います。裏と表、善と悪、幸と不幸、生と死、様々な二項対立がないまぜになった奇想時代劇。それをまず、エピローグから見せてしまおうというのが今回の映画『漆黒天 -終の語り-』です。荒木くんを筆頭に、素晴らしい俳優陣が揃ってくださいました。闇鍋のような物語が、坂本浩一監督によってどのように料理されたのか。楽しみにしております。<荒木宏文・コメント>脚本家末満さんが書き下ろしてくれた台本を、坂本監督と話し合いながら、素敵なキャストと熱を帯び魂を宿した目を合わせて芝居をしました。表と裏、光と闇、正義と悪、静と動、陰陽。表裏一体になったものが、たくさん集まり、ぶつかり、混ざり、馴染みながら一つに纏まった作品になりました。そんな映画を、そして続く舞台を、楽しんでいただけたら幸いです。映画 『漆黒天 -終の語り-』2022年初夏公開予定舞台『漆黒天 -始の語り-』2022年8月上演
2022年01月06日「19年まで3連連続して『紅白』に出場していた三浦大知さんですが、2年連続落選。それでも来年は確実視されているんです」(音楽関係者)歌手・三浦大知(34)といえば圧巻のパフォーマンスで知られる。「19年2月24日の『天皇陛下御在位三十年記念式典』では天皇陛下が作詞、皇后陛下が作曲された琉歌「歌声の響」を歌唱したことでも有名です」(音楽関係者)プライベートでは、今月9日の自らのインスタで第3子誕生を報告。《いつの間にやら五人家族になりましたが、忙しない日々を丁寧に愛をもって過ごしていきたいと思いますまだまだ精進します》と決意表明していたが、人気や実力があっても必ずしも出られるとは限らない『紅白』。2年連続で選ばれなかった彼が「来年は確実視」されている理由とは――。「三浦さんは新曲『新呼吸』がNHK『みんなのうた』の今年12月~来年1月の放送曲に決まっています。ただ、これが理由ではありません。実は来春からの朝ドラ『ちむどんどん』の主題歌に内定しているようなのです」(前出・音楽関係者)沖縄が本土復帰50年を迎える2022年。連続テレビ小説 第106作『ちむどんどん』は、沖縄に生まれ育ったヒロインと兄妹たち家族が描かれる。主演は黒島結菜(24)で10月中旬にクランクインしている。「沖縄が舞台ということもあって、ヒロインは同県出身の黒島さんが選ばれています。そのため、主題歌も沖縄出身のアーティストが担当することになり、三浦大知さんが最有力候補だといいます。半年ほど前から打診しており、すでに楽曲もできあがっているようです」(NHK関係者)今年の『紅白』では朝ドラ第104作『おかえりモネ』の主題歌『なないろ』を歌ったBUMP OF CHICKEN、第105作『カムカムエヴリバディ』の主題歌『アルデバラン』を歌ったAI(40)がともに出場する。「朝ドラ主題歌に選ばれた場合は、『紅白』は内定しているも同然。よほどのアクシデントがない限りは、出演することになるでしょう」(芸能プロダクション関係者)来年は改修済みとなる新たなNHKホールで大晦日、三浦の熱唱姿は見られるのだろうか。
2021年12月27日偶然親しくなったおばあちゃんから都内の平屋を譲り受けた29歳のフリーター、生田ヒロト。上京してきた従妹の美大生・小林なつみとハウスシェアしたり、既婚者の親友・野口ヒデキといまだにつるんだり。そんなヒロトのマイペースな暮らしを描く『ひらやすみ』に萌える。それぞれが悩みを胸に秘めながら、緩やかに流れるビバ!平屋ライフ。前作『ノラと雑草』では社会の負の部分も描いた真造圭伍さんだが、本作では一転。ヒロトをはじめ、出てくる人たちがみな微笑ましい。「次の連載では、主人公を『人として正しい』人間にしようという思いがありました。そういう人を突き詰めていったらヒロトになった。ストーリーも、今回は特に自分が日々感じているようなこと、いま見ている景色や食べているごはん、など生活の空気感や良かった思い出などを積極的に入れていこうと決めていました。ヒロトがやたらおばあちゃんに話しかけられたりというのは、僕自身のリアルな体験でもあります」ヒデキが持ってきた魚をヒロトが捌いて食べるとか、なつみが中華屋さんでアルバイトを始めるなど、毎回、エピソードは他愛ないものだ。だが、東京・阿佐ヶ谷という街の空気感とも相まって、どこかのどかな平屋ライフに惹かれるファン続出。それはすべてアナログで描かれる画の魅力も大きい。「光の表現には少しこだわりがあるかもです。例えば、夏、手前が真っ暗なのに、奥が燦々とまぶしく見える景色がとても印象に残っていて、そういうコントラストをどう見せるかなど。季節ごと、時間ごとの光の移ろいを、下描きのときからかなり力を入れています」2巻では、ヒロトと、平屋の管理をしている不動産会社の社員・立花よもぎの心理的距離がほんの少し近づく。だが、安易にロマンスに流れないのが真造さん流。「僕はラブコメとかでも、両思いになっちゃうとちょっとつまらなく感じてしまうほうで(笑)。できればこの作品でも、つかず離れず、恋愛でも友情でもないけれど、お互いに気になる関係というものを描いてみたいですね」と真造さんは言う。「日常ものではあるけれど、ある部分はきちんと話が進んでいくようにしたいと思いました。ヒロトは変わらないまま、周囲はどんどん変化していく。それに対してヒロトは何を思うのか、変わろうとするのかしないのか。そのあたりがテーマです」彼らのこれからを見届けたい。そんな気分になる、2021年の大ホームラン級コミックだ。真造圭伍『ひらやすみ』22巻では、平屋のもとの持ち主・和田はなえおばあちゃんとのエピソードも深掘り。おばあちゃんの面倒見のよさやヒロトの心根のよさに触れ、温かな気持ちに。小学館650円©真造圭伍/小学館しんぞう・けいご1987年、石川県生まれ。2008年にデビュー。『森山中教習所』『トーキョーエイリアンブラザーズ』が映像化されるなど国内外から注目が。※『anan』2021年12月22日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2021年12月20日怒髪天が本日12月8日にアルバム3タイトルを同時リリースした。リリースされたのは、2004年発表のミニアルバム『リズム&ビートニク』と過去のコンピレーションやシングル、音源化されていない楽曲を再録音して1枚に収録した『リズム&ビ-トニク&’21 & ヤングデイズソング』、1995年にリリースされ現在廃盤となっている『痛快!ビッグハート維新’95』の再録盤『痛快!ビッグハート維新’21』、そして8月に先行配信された新曲「ジャカジャーン!ブンブン!ドンドコ!イェー!」に加え、関ジャニ∞、ももいろクローバーZ、TUBE、寺嶋由芙などに提供した楽曲のセルフカバーを収録した『ジャカジャーン!ブンブン!ドンドコ!イェー!』の3タイトル(『ジャカジャーン!ブンブン!ドンドコ!イェー!』はパッケージのみのリリース)。また、レーベルサイトではメンバーのかじった跡が刻印された金メダルや、粗品タオル、貴重写真などが入ったスペシャルボックス“ゴールデン玉手箱”が販売されている。併せて、来年開催される全国ツアー『怒髪天TOUR“古今東西、時をかける野郎ども”』の詳細が発表された。全国19カ所23公演を回る同ツアーは、サブタイトルごとに中身が違う内容を予定しており、本日発売のアルバム3タイトルのように現在を走り続けながらも昔を懐かしめるような、まさに“時をかける怒髪天”といった内容になるとのこと。<リリース情報>『リズム&ビ-トニク&’21 & ヤングデイズソング』価格:3,300円(税込)【収録曲】01. 俺様バカ一代・改(2021 Mix)02. オオカミに捧ぐ03. 夕焼け町3丁目04. 明日への扉(問答無用セレクション“金賞”より)05. また来いよ06. 青嵐07. ショートホープ(短かった希望)08. 世間知らずにささやかな拍手を09. 溜息も白くなる季節に…10. あかね色のトランク11. COME BACK HOME『痛快!ビッグハート維新’21』価格:3,300円(税込)【収録曲】01. 江戸をKILL II(問答無用セレクション“金賞”より)02. マテリアのリズム03. ソウル東京04. 左の人05. お前を抱きしめたら06. うたごえはいまも…07. 風の中のメモリー08. 夕立ちと二人09. 救いの丘10. 新宿公園から宇宙11. 星になったア・イ・ツ12. 明日の唄(歌乃誉“白”より)『ジャカジャーン!ブンブン!ドンドコ!イェー!』価格:3,300円(税込)【収録曲】1. ジャカジャーン!ブンブン!ドンドコ!イェー!2. あおっぱな(関ジャニ∞提供曲)3. ももいろ太鼓どどんが節(ももいろクローバーZ提供曲)4. 夏番長(TUBE提供曲)5. はやぶさロッキンGOGO!(はやぶさ提供曲)6. 魁!祭OTOKO(祭nine.提供曲)7. 夏’n ON-DO(寺嶋由芙提供曲)通販限定スペシャルボックス「ゴールデン玉手箱」【3CD+3DVD+付録】16,500円(税込)※通信販売限定【CD収録内容】■アルバム3枚『リズム&ビ-トニク&’21 & ヤングデイズソング』『痛快!ビッグハート維新’21』『ジャカジャーン!ブンブン!ドンドコ!イェー!』【DVD収録内容】■Disc12021.06.29 渋谷CLUB QUATTRO『コマツグリーンツアー2021~五月(姉)じゃないのよ小松(妹)なのよ~』01. 情熱のストレート02. スキモノマニア03. 愛の嵐04. 酒燃料爆進曲05. 蒼き旅烏06. オオカミに捧ぐ07. 今日という名の街08. トーキョー・ロンリー・サムライマン09. アストロ球団応援歌10. ビール・オア・ダイ11. ショートホープ(短かった希望)12. 実録!コントライフ13. あえて荒野をゆく君へ14. サムライブルー15. 杉並浮浪雲16. 孤独のエール17. 孤独くらぶ18. H.M.A.19. サスパズレ20. 世間知らずにささやかな拍手を21. オトナノススメ■Disc22021.07.14 札幌ベッシーホール『カムバック・サーモン 2021 ~サーモン・ストライクス・バック~』01. 北風に吠えろ!02. 男は胸に...03. GREAT NUMBER04. NINKYO-BEAT05.泪ヶ丘に立つ男06. ゆきてかへらず07. 溜息も白くなる季節に...08. あかね色のトランク09. 全人類肯定曲10. NO MUSIC, NO LIFE.・「ジャカジャーン!ブンブン!ドンドコ!イェー!」MV&ドキュメント■Disc32021.10.20 浅草花劇場『ドハツの日(10・20)特別公演“10年ひとつまみ 2011~2021”』01. 独立!俺キングダム02. 無敗伝説03. チャレンジボーイ04. 酒燃料爆進曲05.ホトトギス06. 押忍讃歌07. ドリーム・バイキング・ロック08. 希望丸より愛をこめて09. 己 DANCE.10.ソーシャル・スペクター・ブルーズ11. ヘイ!Mr.ジョーク12. やるイスト13. さらば、ふるさと14. ひともしごろ15. 歩きつづけるかぎり16. プレイヤー I17. H.M.A.18. HONKAI19. ジャカジャーン!ブンブン!ドンドコ!イェー!20. オトナノススメ【付録】1. 金メダル&リボン ※メンバー4人がかじった跡が刻印されております。2. 粗品タオル3. 貴重写真24枚&粗品アルバム4. ステッカーシート5. メンバー手書きのDVD着せ替えジャケット2種ゴールデン玉手箱詳細怒髪天 東京三十年生特設サイト<ライブ情報>『怒髪天TOUR“古今東西、時をかける野郎ども”』<タイムリープ’22 〜悩み無用〜>3月4日(金) HEAVEN'S ROCK さいたま新都心VJ-33月6日(日) 高崎clubFLEEZ3月11日(金) 仙台RENSA3月12日(土) 郡山HIPSHOT JAPAN3月18日(金) 岡山YEBISU YA PRO3月20日(日) 福岡BEAT STATION3月21日(月・祝) 小倉FUSE3月23日(水) 滋賀U-STONE3月26日(土) 新潟GOLDEN PIGS RED STAGE4月2日(土) 松本ALECX4月3日(日) 金沢AZ4月7日(木) 奈良NEVER LAND4月9日(土) 広島セカンド・クラッチ4月10日(日) 高松DIME4月16日(土) 水戸LIGHT HOUSE5月14日(土) 大阪TRAD<痛快!ビックハート維新’21 〜遅すぎたレコ発ツアー〜>5月15日(日) 大阪TRAD<タイムリープ’22 〜あなたのド髪きっと生えてくる〜>5月19日(木) 札幌ペニーレーン24<痛快!ビックハート維新’21 〜遅すぎたレコ発ツアー〜>5月20日(金) 札幌ペニーレーン24<タイムリープ’22 〜あなたのド髪きっと生えてくる〜>5月28日(土) 名古屋CLUB QUATTRO<痛快!ビックハート維新’21 〜遅すぎたレコ発ツアー〜>5月29日(日) 名古屋CLUB QUATTRO<タイムリープ’22 〜あなたのド髪きっと生えてくる〜>6月2日(木) 恵比寿LIQUIDROOM<痛快!ビックハート維新’21 〜遅すぎたレコ発ツアー〜>6月3日(金) 恵比寿LIQUIDROOM<タイムリープ’22 〜あなたのド髪きっと生えてくる〜>【チケット料金】全自由席:6,900円(税込)※別途ドリンク代オールスタンディング:6,900円(税込)※別途ドリンク代関連リンク怒髪天 オフィシャルサイト怒髪天 Youtube怒髪天 Twitter怒髪天 Instagram
2021年12月08日萩野瑛さんがプロット担当、鮎川颯さんが執筆担当。2014年に「女王はかえらない」で「『このミステリーがすごい!』大賞」を受賞し、以降は降田天名義で良質な作品を生み出している。’18年に「日本推理作家協会賞短編部門」に輝いた「偽りの春」は、交番勤務の警察官・狩野雷太が、いわば名探偵的に登場した初めての作品。その狩野が、本書『朝と夕の犯罪』でも活躍する。傷ついた子どもたちは、それでも“大切な家族”を求めた。「前々から兄弟の話を書きたいという気持ちがありました。一度考えたのですが、編集さんからのリクエストもあって、狩野雷太を登場させてすべて作り直すことに。そのときに題材として使っていた無戸籍や虐待の問題は、形を変えて組み込みました」(鮎川さん)さらに、ネグレクト、10代の出産、ひとり親など、現代社会の課題を詰め込んだ、慟哭の物語である。第一部では、アサヒとユウヒの現在と過去が軸になる。ふたりはまったく別の境遇で育ち、10年ぶりに再会。ユウヒは養護施設の改修資金を、地元名士の娘・美織と結託した狂言誘拐の身代金で賄うことを計画。アサヒはある負い目によって、共犯になることを承諾する。「日本では、誘拐は通報されるとまず捕まります。いかに警察を介入させないようにするかを考えるのは、難しかったですね」(萩野さん)だが、誘拐事件は、兄弟にとっても予想外の事態に発展してしまう。そこから8年の月日が流れ、第二部は始まる。市民の通報で、幼い兄妹が発見される。ひとりは餓死、ひとりは極度の衰弱。現場に臨場したのが狩野だ。「この規模の事件になると、誰かひとりの推理で解決させるわけにはいきません。組織捜査で描かなくてはいけないのですが、警察組織のしくみなどをちゃんと知らなくて、調べながらでした」(鮎川さん)本書最大の美点は、安易な同情や共感を許さないフェアな視点だ。「大切な人のために罪を犯す物語を以前にも書きました。しかし、美しい行為として消費してしまうだけでいいのか。本書でそれについて語り直したい気持ちもあったんです」(萩野さん)二転三転していく事態はやがて思いがけない形でつながる。現実と地続きになった社会派ミステリーだ。『朝と夕の犯罪』定職にも就かない父親と放浪生活を送っていたアサヒとユウヒ。彼らの狂言誘拐があぶり出す、虐待の連鎖とサバイバル困難社会の悲劇。KADOKAWA1870円ふるた・てん萩野瑛・写真右(はぎの・えい1981年、茨城県生まれ)と鮎川颯・写真左(あゆかわ・そう1982年、香川県生まれ)による作家ユニット。2018年、「偽りの春」で日本推理作家協会賞短編部門受賞。撮影/小嶋淑子※『anan』2021年11月24日号より。写真・中島慶子(本)インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2021年11月22日昨年上梓した『楽園とは探偵の不在なり』(早川書房)が、年末恒例の各ベストミステリーランキングに次々とランクインした、注目度上昇中の斜線堂有紀さん。現実とは異なる法則がある「特殊設定ミステリー」を得意としてきた斜線堂さんだが、本書『廃遊園地の殺人』では、魅惑的なトリックを駆使した新本格ミステリーに挑戦している。20年封印されていた遊園地を舞台に、難解な宝探しが始まる。一気読み!事件が起きる舞台が、まずそそる。「廃墟写真集などを眺めていても、錆びた観覧車や動かなくなったメリーゴーラウンドって、ぐっとくるんです。長年放置されてきた遊園地をクローズドサークルにすると決めたときに、不気味さを足したいな、何がいたら怖いかなと考えて、着ぐるみのうさぎを思いつきました」カバー中央に描かれているのが〈イリュジオンランド〉のキャラクター、ギャニーちゃん。物語に漂う謎めいた雰囲気が伝わってくる。富豪の十嶋庵(としま・いおり)に招待され、イリュジオンランドに集められたのは、廃墟マニアの小説家や廃墟好きのOL、廃墟雑誌の編集長など9人のゲストと、十嶋氏の代理人・佐義雨緋彩(さぎさめ・ひいろ)。計10人。十嶋からの伝言は、〈このイリュジオンランドは、宝を見つけた者に譲る〉。この廃園の所有権をめぐって、関係者たちが宝探しを始めるのだが、なんと宝が何かさえわからないのだ。さらに、園内で殺人事件が発生。その真相を、廃墟マニアのコンビニ店員・眞上永太郎(まがみ・えいたろう)が突き止めていく。「彼が事件を整理して問題点をメモする描写を入れているのですが、そうすると『ここまではわかった』と推理してくださる読者さんがいるみたいで。それはうれしいんです」外界との接触が断たれた場所を舞台にする面白さはどこにあるのか。「本当ならそれぞれの人生で関わらないような人たちも、こうした閉鎖状況下では関わらざるを得ない、自分のバックボーンを明かさざるを得ない。否応なしに人間関係が発生するんです。そこが好きですね」謎が解かれてみれば、意外なテーマを内包していたとわかって驚愕。「簡単に善悪を判断できない、抗えない大きな流れって世の中にはあるなと。そんなことを意識しました」だが、多くを語るまい。郷愁の余韻が残るラストまで、謎解きに没頭する快感をどうぞ。斜線堂有紀『廃遊園地の殺人』2001年10月9日、天衝村(あまつきむら)に建てられたテーマパークで銃乱射事件が発生。オープンを待たずに廃園となっていたが…。実業之日本社1980円。しゃせんどう・ゆうき’16年、『キネマ探偵カレイドミステリー』で電撃小説大賞メディアワークス文庫賞を受賞し、デビュー。12月3日、恋愛小説集『愛じゃないならこれは何』(集英社)が発売予定。※『anan』2021年11月10日号より。写真・中島慶子(本)インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2021年11月08日長田佳奈さんによる、コミック『うちのちいさな女中さん』をご紹介します!14歳のマジメすぎる女中さんハナ。ひたすら愛でたくなる可愛らしさだ。「実は学生のころに描いていた、ネームが元になっています。女中さんと一緒の時間を長く描きたかったので、家の中でできる職種がいいなと思い、そのときは小説家でしたが、本作では翻訳家のおうちという設定にしました」翻訳家の蓮見令子の家に、女中さんとしてやってきたのは、14歳の女の子・野中ハナ。若いながらにとびきりの働き者で…。令子とハナ、ふたりの暮らしぶりが描かれ、話題になっているのが長田佳奈さんの『うちのちいさな女中さん』。「一般的に“女中さん”って、不遇な扱いを受けることの多い職業だと思われていますよね。でも調べてみると、当時は女性の一大職業で、花嫁修業としての側面もあったそうです。そういうポジティブな面を描いていきたいなと思います」ハナは、真面目で感情をあまり表に出さない女の子だ。それでも彼女の心情がひしひしと伝わってくる。「職業的心得もあって自分の気持ちを率直に見せたりしないハナですが、いわば猫に感じるようなじわじわとくる可愛らしさは表現したいと思っています。よく『猫落ち込む』『猫驚く』などと検索した画像を参考にしていますね」もうひとりの主役である令子も、当時はまだ珍しい自立した職業婦人。時代は違えど、働く女性の悩みや困りごとはそう変わりない。現代女性たちも共感できそうだ。また、昭和初期の暮らしにまつわる各編にちりばめられたエピソードや描写も興味深い。令子が原稿を書くのに使うのはつけペンだったり、冷蔵庫は氷を入れて使うものだったりと、道具などが描かれたコマには、つい見入ってしまうほど。長田さんは、以前、そうした暮らしを知ることができる資料館などを巡り、かつて使われていた道具の写真を撮り集めていたころもあるそうだ。それが、本作のさまざまなシーンで生きている。「昔の人も、より快適に、より便利に生活しようとしていた工夫が、道具から垣間見えるんですよね。たとえば、お花見に野外で日本酒を熱燗でいただける道具とか。今のようにガス・水道・電気などのライフラインが整っていなくても、あの時代の技術や工夫で生活を豊かにしようとしているのが面白いです」2巻以降は、各々の人間性が深掘りされ、関係性が深まっていく。これからもハナがいい人たちに巡り会って、幸せになって生きていってほしいと願わずにはいられない。『うちのちいさな女中さん』1舞台は昭和9年の東京。戦争が激化していく少し手前の設定で、そのころの日常がリアル。ハナの頑張りを見守りたい。2巻は来年2月に発売予定。コアミックス682円©長田佳奈/コアミックスおさだ・かな山梨県出身。2015年『2KZ』でデビュー。著書に『こうふく画報』『つれづれ花譚』(すべてぶんか社)が。本作は『月刊コミックゼノン』で連載中。※『anan』2021年11月3日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2021年11月01日新興宗教が根を下ろしたニュータウン。そこで起きた愚行と悲劇とは。澤村伊智さんによる、小説『邪教の子』をご紹介します。「この作品では最初から細かめのプロットを用意したんですね。前半は構想通りでしたが、後半に入って『もう一声』みたいな編集者さんからの要望がたくさん来て(笑)。それで後半はがらりと変えたんです」澤村伊智さんの『邪教の子』は、パキッとした二部構成になっている。前半は知恵と勇気で囚われの姫を救い出す子どもたちの冒険譚。ニュータウンに越してきたばかりの茜が新興宗教〈コスモフィールド〉にすがる親から虐待されていると思った慧斗は、同級生の祐仁らと共に、茜を救い出そうと試みる。だが後半、物語はがらりと様相を変えるのだ。テレビディレクター矢口が、〈邪教「大地の民」〉の元信者と出会って取材する糸口をつかみ、団体に接近。思いがけない事実が次々と明るみになっていく。「新興宗教を脱会した人の本など読むたび、子どもが犠牲になっていると感じ、そういう部分は避けられないと思ったんですね。また、カルトのような特異な組織は外からどう見えるのか。これは話題になったドキュメンタリー『ハイパーハードボイルドグルメリポート』のディレクターさんの著書にかなり触発されました。カルトなコミューンや疑似家族は現代における普遍的なテーマでもある。大好きな『マグノリア』や『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』のポール・トーマス・アンダーソン監督もこういうテーマばかり取り上げています」実は、連載時とはエンディングも変えたそう。「葛藤はあったんです。でも変えた以上、この結末が面白いと言ってくれる読者さんがいるとうれしい」〈邪教の子〉。その言葉が示す本当の意味が最後にガツンとくる。「僕も子ども時代にニュータウンで育ったので、当時の感覚を思い出しながら書きました。自分のリアルタイムの情報というか、子ども時代や学生時代の体験や記憶を物語に放り込むことに、それなりの意味が出てきたなという気がするんです。さまざまな出来事がまったく社会と無関係に起こったことではないのだなとわかってきたので。エンタメとしてのベタを狙いつつ、それを安易に流用したくはないという自分の中のめんどうくさいせめぎ合いと闘いながら、今後も書いていきたいですね」『邪教の子』前半は慧斗が過去を振り返る形で、後半は、彼自身が新興宗教に家族を壊された子だというテレビディレクター・矢口の視点で描かれる。文藝春秋1870円さわむら・いち作家。1979年生まれ、大阪府出身。2015年、『ぼぎわんが、来る』で日本ホラー小説大賞〈大賞〉を受賞し、デビュー。同作はのちに映画化され話題に。比嘉姉妹シリーズなど著書多数。写真提供・文藝春秋※『anan』2021年10月27日号より。写真・中島慶子(本)インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2021年10月25日看護師になって10年が経つ堤素野子が勤務しているのは〈二子玉川グレース病院〉の東療養病棟。後期高齢者が多く、終末期を活き活きと過ごせるよう尽くしている。南杏子さん著書の『ヴァイタル・サイン』は、素野子を軸に、看護師たちの過酷な日常業務の様子を描いた医療小説だ。看護師が背負う、日常業務の過酷さ。実は、誰もに通じる苦悩と希望の物語。著者の南さんは作家業のかたわら、終末期医療に携わる現役の医師でもある。これまでは女性医師の目線で、医療現場の問題や人間関係の難しさ、患者やその家族との軋轢、女性としての生きづらさなどを描いてきたが、本書は初の看護師視点になっている。「医師と看護師で立場は違えど、悩んでいることはオーバーラップする部分が多々あるんです。作中で起きる出来事は、自分の体験や見聞きしたことから作ったフィクションですが、感情という点ではウソのない物語にしたかったんですね」作中にも出てくる〈ヒエラルキーのミルフィーユ〉や〈感情労働〉という言葉は、素野子が日々晒されているストレスの元凶。「看護師たちは、患者さんにとっていちばん身近で頼れる存在である分、自分の心身をすり減らしてまでも細かな要求にも誠心誠意応えています。それでも、いつもニコニコと“白衣の天使”でいるのが当然のように扱われるというか、そうしたイメージを押しつけられすぎていると感じています」クレーマーのような患者家族、ちょっと自己中心的な後輩看護師、難題を押しつけてくる医師などに振り回され、疲弊していく素野子。あるとき、看護師の本音を綴ったらしいSNSを見つけて、そのどす黒い気持ちにも動揺する。「素野子もそうですが、仕事熱心で責任感が強い人ほど追い詰められてしまうところがありますよね。私はすべての働く人たちに、自分を追い詰めすぎないで、と言いたいです。つらそうな人を見て『なんとかしてあげたい』と思う気持ちを自分に対しても向けてほしいのです」素野子も次第に気づく。自分を慰撫し、ハッピーでいることの大切さを。そういう意味で、描かれているのはとても普遍的な物語だ。「私は問題提起しただけ。作品を読んだ人が『こう考えることもできる』と新しい視点を見つけて、苦しい思いをしている誰かを救うきっかけになれたら…と思うんです」『ヴァイタル・サイン』南さんは、出版社勤務を経て33歳の時に医学部に学士入学し、医療の道に入った異色の経歴を持つ。現場を知るゆえのリアリティは圧巻。小学館1760円みなみ・きょうこ1961年、徳島県生まれ。作家、医師。2016年『サイレント・ブレス』でデビュー。『ディア・ペイシェント』はNHKでドラマ化、『いのちの停車場』は映画化もされた。撮影:永井守※『anan』2021年10月20日号より。写真・中島慶子(本)インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2021年10月17日