松田翔太、濱田岳、桐谷健太という“中堅派”と呼べる人気俳優たちが、それぞれ桃太郎、金太郎、浦島太郎に扮し、さらに菅田将暉、有村架純、菜々緒といった最旬俳優も参加するau「三太郎」CMシリーズ。先日から、花咲爺さんとしてベテランの笹野高史も参戦し、さらなる笑いと話題を呼んでいる。また、2016年元旦からTVでオンエア、その後配信もスタートしたAIの歌うCMソング「みんながみんな英雄」はiTunes、レコチョクなど各配信サイトで軒並み1位を獲得。これまでのCM総集編のような形で「みんながみんな英雄」フルバージョンを収めた特別映像がYouTubeで公開されるや、10日間ですでに100万回以上の再生回数となっている。CM好感度ランキングでも歴代最高となる“好感度”を記録(CM総合研究所調べ)、2年目に突入しても人気は留まることを知らない「三太郎」を、その魅力とともにふり返ってみた。2015年元旦にスタートしたこのシリーズは、昔話の“英雄”たちがお互いを「桃ちゃん」「金ちゃん」「浦ちゃん」と呼び合う友達同士だったという設定や、「マジで」「ガチで」など現代的な言動の数々、昔話の「あれって実際どうなの?」という素朴な疑問への答え(!?)が次々と明かされていき、人間味あふれるそれぞれのキャラクターに俳優陣の好演も見事ハマって、日本全国があっという間に夢中になった。松田さん演じる桃太郎は、いつも優しくクールで冷静。鬼退治で一攫千金をなした、いわばボンボンタイプ?はしゃぎがちなほかの2人にツッコミを入れるのもたいてい彼だが、有村さん演じる“かぐちゃん”ことかぐや姫とおつき合いし、シリーズの最中に“家族”に。それぞれ桃と竹から、「パッカ~ン!」と生まれたことがなれそめだという。とはいえ、かぐや姫には“鬼嫁”疑惑(!?)も根強く、日ごろは尻に敷かれているのかもしれない…。また、濱田さん演じるのが金太郎。鬼を倒したり、竜宮城に行ったりするメジャーな2人と比べ、自分は熊と相撲をとるだけという、ちょっぴり地味な物語を卑下しているところもあったが、もしかしたら一番“純粋”で“自由”なのは彼かも。桃太郎のキジに対する優しさに「家族一人一人…」と涙したり、超軽い“鬼”ともすぐに打ち解けたり、どんなに寒い日もノースリーブで耐えてきた健気な一面も。いまでは学校へ通い、金太郎ならぬマジメな“金次郎”と化している。今年一番おはぎをもらっていたのは、彼だった(ただし、母から)。桐谷さん演じる浦島太郎は、いちばんの天然キャラといえそう。菜々緒さん演じる竜宮城の乙姫に、届かぬ想いを寄せている。竜宮城には“週3”で通っているが、どうもツンデレな悪女風の“乙ちゃん”にすっかり手玉に取られている様子。その乙姫の妹がかぐや姫で、「旦那さんと子どももいる」とのかぐや姫の辛辣なジョークには、Wショックを受けてしまったことも…。しかし、そんな切ない想いを歌に込めた浦島太郎(桐谷健太)名義の「海の声」は大きな話題となり、CMソングの枠を越えてロングランヒットとなっている。そして、3人の友情を改めて噛みしめながら鬼退治に向かった先に現れたのは、菅田さん演じる鬼。彼こそ、かつて桃太郎が退治した鬼だったが、「うぃっす~、久しぶりっす~」と超軽い!「喧嘩の後は友達っすよね」と仲よくなった桃太郎&鬼コンビは最強で、最初はやや混乱気味だった金太郎、浦島太郎とも、いまでは友達に。実は5人の子を持つイクメンパパであることが判明した鬼は、子どもに「キラキラネーム」をつけたり、雷様として副業をこなしたりと、三太郎を凌ぐほどの強烈キャラとして人気を集めている。そんなシリーズに、鬼ちゃんと同じくらいにお調子者の花咲爺さんとして、笹野さんが登場したばかり。「みんながみんな英雄」篇ではこの「花咲爺さん」など、数々の昔話やおとぎ話がフィーチャーされていたが、もしや今後も新キャラが登場していくのか、期待せずにはいられない。しかも、シリーズを通じて、あの一寸法師が“一瞬”だけ登場しているという点も見逃せない。“どこに一寸法師がいるのか”も含め、CMの世界観をギュッと凝縮した特別篇では、新発見もたくさんありそうだ。(text:cinemacafe.net)
2016年03月06日スーパーマリオ誕生30周年にあたる2016年、木版画「マリオ&ルイージ図屏風木版画額装」が2月6日(土)より発売する事が決定した。同商品は、「私淑」といわれる独特の継承方法をとっていることが特徴的な琳派(りんぱ)の祖のひとり、俵屋宗達が描いた「風神雷神図」をモチーフに、京都の画家、山本太郎氏が描いた。今回販売する浮世絵は、木版画による浮世絵版画の手法で作られている。木版画「マリオ&ルイージ図屏風木版画額装」は90枚の数量限定で販売。なお、ぴあでは同商品の販売を皮切りに、「浮世絵プロジェクト」として今後も商品の販売が予定されている。また、チケットぴあの特設ページでは同商品製作の様子を公開中。チケットぴあでは同商品の90枚のうち30枚を販売する。販売期間は2月6日(土)午前10時から3月20日(日)午後11時59分まで。■マリオ&ルイージ図屏風木版画額装価格:194,400円(税込)
2016年02月05日○ゲスの呪いと2次創作秘書による金銭授受を巡る騒動で、大臣を辞任した甘利氏。これにより影響がでるかもしれないのが「2次創作」の世界です。既存の漫画作品やゲームをベースに作られた作品を指し、ぶっちゃけていえば「パクリ」です。しかし、著者も出版社も、その多くを黙認してきました。理由は、「2次創作」からプロになった作家が多く、何よりオリジナル作品への敬意を出発点としているからです。甘利さんが主導していた「TPP」では、被害者の訴えによる「親告罪」だった著作権が、捜査機関が摘発できる「非親告罪」になるとされていました。いったんは親告罪のままとされていますが、締結までに「2次創作」が摘発対象になる可能性は捨てきれません。TPPの最大相手国である米国は、浦安のテーマパークに代表される著作権ビジネスの権化です。タフネゴシエーターと鳴らし、大臣時代「非親告罪化を制約なしに認めることはない」と国会で答弁している甘利さんならともかく、後任の大臣では、交渉力・調整力に不安しか見つかりません。そもそも日本人は伝統的に、パクリに寛容な文化です。「トランジスタラジオ」や「自動車」の例を引くまでもなく、模倣する能力に長けており、「猿まね」と揶揄されながらも世界有数の経済大国に登り詰めました。ただし国内における「パクリ」には作法があり、これを間違えると、わずか数日で120万人のフォロワーが消失することもあります。○やらかした語り部お洒落な言葉や格言、雰囲気のある写真をツイートしていたあるアカウントは、120万人を越える若者にフォローされていました。しかし、何度も「パクツイ」が噂される疑惑のアカウント。「パクツイ」とは「パクリ・ツイート」の略で、他人のつぶやきや、写真、イラストを無断無許可で投稿する行為で、侮蔑的意味合いが含まれます。とはいえ、SNSのアカウント画像に使用される、アニメや漫画、タレント写真のほぼ100%が無許可で、「パクリ」が常態化しているのがネットの世界です。批判されながらも放置されていました。そんなアカウントの「中の人」が、ネット媒体の取材を受け、批判に対して「つくる側の人間だから、常に批判される立場にいるんだろうなと思う」と答えたことで大炎上。「お前が言うな」「パクツイのくせに」と。名言や格言をまとめ、方向を与えて「作品」にするという手法はあります。これも「つくる」と言えなくもないのですが、何しろこのアカウント、引用元を明記しないこともあり、他人の作品に別の解説を重ねてみたりと、オリジナルへの敬意が感じられない「パクリ0.2」だったのです。このインタビューの公開後、秒単位で百人規模のフォロワーが減っていき、追い詰められたのか、スパム報告によるものなのか、アカウントは停止され、その瞬間に120万人のフォロワーが失われました。○日本人のパクリとは学ぶという言葉は「真似る」が変化したものとされ、書道はお手本の模写からはじまり、空手などの武道も「型」の反復練習を基本とします。日本人が培ってきた学習プログラムには、反復という「パクリ」が備わっているのかもしれません。しかし、日本人が日本人たる理由は、安直な「パクリ」で終わらせず、より良いものへと工夫を凝らすところにあります。工業製品はもちろん、最も日本人による「パクリ」を象徴するのが「ラーメン」です。「支那そば」「中華そば」と呼ばれるように、元は中国の食べ物を日本で改良を重ねた結果、発祥の中国に「日式拉面」として逆輸入されています。また、ポルトガル語であった「天ぷら」は、いまや日本料理として世界に羽ばたいています。一方で日本人は、ラーメンが中国で生まれ、天ぷらがポルトガルから輸入された言葉であるという記憶を受け継ぎ、語り継いできました。昭和時代に、卒業式の定番ソングだった「蛍の光」「仰げば尊し」も外国に起源があることを、多くの日本人が知っており、前者は朝ドラ「マッサン」で英語の歌詞の劇中歌となっていました。日本人におけるパクリとは、オリジナルへの「敬意」を前提にしており、これは2次創作における概念と志を共にしています。○それは特殊なことで先のアカウントが炎上したのは、「敬意」の決定的な不足であり、パクツイした他人の言葉を、自分が生み出したかのように語り、なおかつ火元となったインタビューで紹介された「例え話」も、別の人のパクリ疑惑があるのですから重症でしょう。この騒動で思い出したのがお隣の韓国。かの国ではさまざまな「オリジナル」が生み出されているようで、韓国語で「我々」を意味する「ウリ」と重ねて「ウリジナル」と呼ばれています。例えば「剣道」や「柔道」も韓国発祥と主張し、それは民間の与太話ではなく、韓国最大の剣道団体が主張しています。さらにウィキペディアによれば「折り紙」も、かけ声の「わっしょい」もやはり半島生まれ。さらに「ガンダム」といえば架空のロボット全般を指すと、韓国の裁判所が判決を下したといいます。それどころか最近では「日本語」も、韓国発祥と主張する大学教授までも現れています。なお、韓国鉄鋼大手の「ポスコ」が、技術をパクッたと中国企業を訴えたら、もともと日本の新日鉄住金の技術をパクったものと白状し、ポスコは日本側に和解金を支払うハメになりました。だからどうしたという訳ではありませんが、そういう騒動があったとだけ添えておきましょう。○エンタープライズ1.0への箴言日本ではオリジナルへのリスペクトのないパクリはダメ宮脇 睦(みやわき あつし)プログラマーを振り出しにさまざまな社会経験を積んだ後、有限会社アズモードを設立。営業の現場を知る強みを生かし、Webとリアルビジネスの融合を目指した「営業戦略付きホームページ」を提供している。コラムニストとして精力的に活動し、「Web担当者Forum(インプレスビジネスメディア)」、「通販支援ブログ(スクロール360)」でも連載しているほか、漫画原作も手がける。著書に「Web2.0が殺すもの」「楽天市場がなくなる日」(ともに洋泉社)がある。最新刊は7月10日に発行された電子書籍「食べログ化する政治~ネット世論と幼児化と山本太郎~」筆者ブログ「ITジャーナリスト宮脇睦の本当のことが言えない世界の片隅で」
2016年02月04日「仮面ライダーゴースト」出演中の注目の若手俳優・山本涼介が1月31日(日)、「山本涼介カレンダー 2016.04-2017.03」発売記念イベントに出席。“彼女目線”をコンセプトにしたカレンダーについて熱く語りつつ、自身は恋人は「ずっといないんです(苦笑)」と嘆いた。山本さんにとって初のブックスタイルのカレンダーとなる本作。「彼女目線」のシチュエーションで、月を追うごとに2人の距離が縮まっていくのがポイント。「最初の月の方では、自転車で待ち合わせて、公園でデートしたり外が多いんですが、2人の距離が縮まって、後半では室内デートをしてます!カレンダーの先にあるシチュエーションを妄想できるようになってます」と語る。撮影に際しては、実際にカメラマンを相手に「クッションを引っ張り合ったり、水を掛け合ったりした」とのことだが「カメラマンの方は男性だったので(笑)、はたから見たらシュールだったかも…。でもおかげで素の表情がつまっています。『仮面ライダー』や(モデルをしている)『MEN’S NON-NO』ではクールなカットが多いですが、ここでしか見られない、素の笑顔があります」と語る。特に、お気に入りとして挙げたのは2人の仲もかなり親密になった11月のページ。「背が高いので、普段は見上げられることが多いんですが、ソファに座っているので同じ目線で、恋愛の緊張感、ドキドキを感じられます」とアピール。「そこにもシナリオがあって、部屋に来るくらい距離が縮まってるんですが、僕がボーっとしてて、彼女が見ていることに気づいて目が合って、テレて笑うというシチュエーションです。テレ屋なところがあるので(笑)」とはにかみながら説明した。12か月分のページで彼女から見つめられている姿を披露しているが、プライベートでは彼女は「いないんですよ…」と苦笑。「どうしましょう?ずっといないんですよ…」と嘆きつつ、タイプについては「大人な考えの人が素敵だなと思います。年上、年下に関係なく、自分の考えを持って、意見を言葉にできる人が好きです」と語った。俳優として「この先、恋愛映画もやりたい!だから自分の経験が大事になってきますよね。いまは、ほぼないに等しいです(苦笑)。(事務所の)先輩(の出演作)を見てキュンキュンしてる状態ですが、そっち側に回れたら…」と公私での恋愛の充実(?)に意欲を燃やしていた。(text:cinemacafe.net)
2016年01月31日○社会問題を製造中人気俳優夫婦の部屋探しの様子を、接客にあたった不動産会社社員がツイートし、騒動となりました。会社サイドが関係各位に謝罪したものの、ツイートした社員の名前や素性、顔写真がネット上で晒されます。本人がネット上に公開していた個人情報に過ぎないのですが、あるワイドショーはこれを「ネットリンチ」と定義して、社会問題化をたくらんでいるようです。「ネットリンチ」は元々、ネット上に誹謗中傷やデマを拡散する行為であり、その対象はクラスメイトや同僚と限られた交際範囲の話でした。語弊を怖れずに言えば、昭和時代から変わらぬ「イジメ」の舞台が、ネットに移っただけです。これが拡大解釈されて、容疑者の個人情報拡散や、いわゆる「炎上」までもが、ネットイジメに含まれようとしています。私はこの流れを危惧しています。もちろん、根拠を示さぬ誹謗中傷や、理由なき個人情報の拡散、執拗に相手をつきまとう批判など、その行為を良いとは言いませんが、「ネットリンチ」の危険性を声高に叫ぶ人々に「怪しさ」しか感じないのは私だけでしょうか?○立場が変われば生まれや育ちだけを論拠に、人を批判することは許されません。それは「差別」そのものであり、いわゆる「ヘイトスピーチ」なるものが存在するのであれば、これを指すのでしょう。しかし、その人の発言や行動への批判はあって然るべきであり、批判者の表現や言論の自由も確保されるべきものだと思います。個人的には、批判にこそ「品位」を求めたいと願うものですが、「ネットリンチ」を叫ぶ人の中には、正当な批判や表現すらも「ネットリンチ」に含めようとしている人がいるのです。ネットでそこそこ有名人だった某氏は、ネット上で痛烈に他人を批判し、攻撃対象のブログを炎上させたことなど数えきれません。別名アカウントで、複数の人間を演じ、燃え上がらせたことも少なくないという噂もあります。その彼が何かの拍子でテレビに出演するようになり、その露出とともに著作物が売れ出すと、その批判の刃は自分に戻ってきます。俗に言う「有名罪」の類ですが、批判される側に回った途端、自分への攻撃を「ネットリンチ」と定義して被害者面を始めたのです。○エスタブリッシュメントの傲慢ある政治家がブログ内で、陳情者の個人情報を晒したとして炎上した事件がありました。舌鋒するどく批判を煽ったのは、某大手新聞社のG記者。この政治家がコスプレを披露するなどで、ネット上の有名人だったことも手伝い、鮮やかに燃え上がってしまった炎上は「ヤフーニュース」を飾りました。G記者はこの陳情者と幼なじみであり、条例にも反対の立場でした。つまり、私利私欲のために政治家のブログを炎上させたとも言える話で、これはすなわち「ネットリンチ」と呼べるのではないのでしょうか。それではどんな個人情報を晒したのか。陳情者は、すでに故人とはいえ有力政治家の孫を名乗った上で、議会で審議中の条例に反対するように電話で依頼していたのです。陳情を受けた政治家は、故人と同じ党ということもあり、自己申告の素性が本当だったと仮定し、「先生(政治家)なら、自分の信念をもとに行動するはず。私も同じです」と戒めます。そしてこの電話でのやり取りをブログで紹介したら「個人情報を晒した」と批判を始めたのがG記者だったのです。冷静に考えてみると「ちょっと待ちなさい」という話でしょう。大物政治家の名前を出すということは、その名前の影響力に期待しているということです。故人の名前で現役の政治家を動かせるなら、一部の「エスタブリッシュメント=政治家一族」の電話一本で条例が左右される、つまりは民主主義の根幹が揺らぐ重大事といえるのです。○颯爽と逃げ出す炎上の火勢がピークに達するころ、G記者の「煽り」がピタリと止まります。一連の騒動をヤフーニュースで知った新聞社の上司から「これ、政治家一族による利益誘導だよね」と問われたからです。政治家サイドがコメント欄の削除対応で"鎮火"を試みると、G記者には信者から「逃げた」とご注進。しかし、すべてを無視して彼は逃げきったのです。G記者もまた、いわゆる「セレブ」に属する家庭の出身であり、上司は苦虫を噛みしめたように「あいつら自分の利益には敏感なんだよね」と吐き捨てました。他人をリンチにかけておいて、自らに被害が及ぶとなると、脱兎の如く逃げ出す様は「ネットリンチ0.2」でしょう。「ネットリンチ」と声高にさけぶ人らとG記者が重なって見えて仕方ありません。冒頭の事例でも「リンチ」の対象となったのは、芸能人の個人情報を晒した不動産会社の社員です。法治国家である我が国では、民間人による「私的報復」を認めておらず、ネット民による「裁き」を応援するつもりはありません。しかし、現在の警察は刑法犯でなければ動いてはくれず、民事であれば被害者がわざわざ裁判を起こさなければなりません。つまり、もっとも批判すべきは「ネットリンチ」ではなく「法的整備の遅れ」なのです。何より、「リンチ」を常態化しているテレビに、ネットリンチを責める資格はありません。あの国民的アイドルグループの生謝罪という名の「公開処刑」もそうですが、人気タレントと売り出し中のミュージシャンの、不倫関係において交わされたとおぼしき会話という「個人情報」まで、公共の電波に乗せ拡散するのは、テレビメディアによる「リンチ」でしょう。ゲスな二人の不倫劇には先週も触れた通り呆れるばかりですが、仮に「不貞」を公序良俗の視点から批判するのであれば、隠し子が常態化している梨園を深掘りしないのは不公平すぎます。○エンタープライズ1.0への箴言ネットリンチと批判は別もの宮脇 睦(みやわき あつし)プログラマーを振り出しにさまざまな社会経験を積んだ後、有限会社アズモードを設立。営業の現場を知る強みを生かし、Webとリアルビジネスの融合を目指した「営業戦略付きホームページ」を提供している。コラムニストとして精力的に活動し、「Web担当者Forum(インプレスビジネスメディア)」、「通販支援ブログ(スクロール360)」でも連載しているほか、漫画原作も手がける。著書に「Web2.0が殺すもの」「楽天市場がなくなる日」(ともに洋泉社)がある。最新刊は7月10日に発行された電子書籍「食べログ化する政治~ネット世論と幼児化と山本太郎~」筆者ブログ「ITジャーナリスト宮脇睦の本当のことが言えない世界の片隅で」
2016年01月28日○フィンテックふたたび今年に入り、より注目が高まっている「フィンテック」。日経平均株価の暴落をよそに、関連銘柄は爆騰し、すでに株価が10倍となる"テンバーガー"な銘柄もありました。フィンテックとは、"金融"と"テクノロジー"をかけた新語ながら、昨年指摘したように、定義は曖昧で実体はありません。とりわけ日本版のフィンテックへの過剰な期待には、不安がつきまといます。なぜなら、日本はすでにフィンテックの最先端を走っているからです。米国「スクエア」社がスマホに機器を取り付けるだけで、カード決済ができるサービスで急成長し、それをひっさげ鳴り物入りで日本上陸を果たしました。しかし、日本にはすでに「おサイフケータイ」や「パスモ」などの電子マネーが十分に普及しており、急に現金が必要となっても、全国津々浦々にまで整備されたコンビニ店内も含めた「ATM網」が完備されている「フィンテック先進国」です。特に「決済」というアプローチにおいての成長余地が乏しいのです。そして何より、日本における「フィンテック」との関係性に、日本のIT業界の本質的な問題があるのです。○浮世絵の末路算盤が電卓となり、パソコンの普及でExcelや会計ソフトが用いられ、ATMを挙げるまでもなく、金融と情報技術は不可分のものです。わざわざ「フィンテック」という命名は屋上屋を架すようなものですが、ここに「フィンテック」の本質があります。それは「eビジネス」や「Web2.0」、直近では「IoT」や「インダストリー4.0」などと同じく、すでにあるものを、わざわざ再定義(あるいは命名)することで、ビジネスの主導権を握るビジネスモデルとなっています。これは欧米人の得意技であり、盲目的に信仰するのが日本人なのです。「Web2.0」のときも、参加者が創りあげる「CGM」を礼賛し、日本のWeb業界人もこれを崇めていました。しかし、何のことはない「2ちゃんねる」のことで、これを模して生まれた海外のサイトすらある状況。Web2.0が提唱された時点で、日本はすでにトップランナーだったのです。ひとことで言えば「舶来信仰」。舶来製品を有り難がり、国内にすでにあるものを卑下するか無視する風土があります。フィンテックにもそのまま当てはまり、「浮世絵」を軽んじ、輸出用茶器の「緩衝材」にした江戸末期の日本から成長していないのかも知れません。○日本は関所ばかりさらに、金融庁に設けられた首相の諮問機関である「金融審議会」におけるフィンテックへの提言は、決済システムにばかり比重が置かれています。「フィンテック」により、出入り口を支配することで、金の流れを把握できると信じているのでしょうが、何のことはないお金の「関所」。箱根の関所で「入り鉄砲に出女」を監視した江戸時代と同じ発想です。これは役所だけを責める話ではありません。いわゆる「ITバブル」へと向かうネット勃興期、ITビジネスの主流はISP(プロバイダ)と通信回線、ポータルサイト(玄関サイト)などのインターネットの出入り口、つまりは関所ばかりだったのです。対する米国は、「eビジネス」や「Web2.0」のようなブームを仕掛けるビジネスモデルだけではなく、「バナー広告」によりネット上で収益を上げ、有償だった閲覧ソフトを無料にすることでシェアを奪い、市場を支配し、新しいビジネスモデルを生み出し続けています。ビジネスモデルとは、まったく新しい仕組みを創造するというより、すでにあるものを組み合わせて生み出されるものです。「看板」をネット上に置き換えたのが「バナー広告」で、無料配布からシェア拡大につなげるアプローチは、剃り刃交換の「ジレット」に遡ることができます。そして日本人にとって、ビジネスモデルの構築そのものは決して苦手ではありません。○天才の流儀今、大人気の朝ドラ『あさが来た』の主題歌を歌う「AKB48」。俗に「AKB商法」と揶揄される、握手券や投票権という「おまけ」でCDやDVDを購入させる構造は、何のことはないシールを競って集めた「ビックリマンチョコ」や、同封のカードを求めた「プロ野球カード」と同じです。そこに時間単位で女性と話が出来る「キャバクラ」の仕組みを、「握手会」として導入したことにより、完成したのが「AKB商法」。ダウンロードで音楽ソフトを入手する時代に、ミリオンレベルで物販する「ビジネスモデル」です。天才とは、その人だけに見える新事実を、見ることのできる人ではない。誰もが見ていながらも重要性に気がつかなかった旧事実に、気づく人のことであるとは、塩野七生氏の「ローマ人の物語ハンニバル戦記」において、アレキサンダー大王の戦術紹介の引用です。フィンテックにおける技術はもちろん、サービスにおいても日本は世界のトップランナーです。日本のIT業界の本質的な問題とは、日本国内にすでにある旧事実(技術)をないがしろにする「ビジネスモデル0.2」にあります。○エンタープライズ1.0への箴言日本版フィンテックにビジネスモデルがなし宮脇 睦(みやわき あつし)プログラマーを振り出しにさまざまな社会経験を積んだ後、有限会社アズモードを設立。営業の現場を知る強みを生かし、Webとリアルビジネスの融合を目指した「営業戦略付きホームページ」を提供している。コラムニストとして精力的に活動し、「Web担当者Forum(インプレスビジネスメディア)」、「通販支援ブログ(スクロール360)」でも連載しているほか、漫画原作も手がける。著書に「Web2.0が殺すもの」「楽天市場がなくなる日」(ともに洋泉社)がある。最新刊は7月10日に発行された電子書籍「食べログ化する政治~ネット世論と幼児化と山本太郎~」筆者ブログ「ITジャーナリスト宮脇睦の本当のことが言えない世界の片隅で」
2016年01月21日○浜の砂子は尽きぬともあけましておめでとうございます。今年も本欄にお付き合いいただければ幸いです。Windows 95より数えて21年を経た、現在になっても「ネット」への誤解は多く、さらにはその専門家を名乗る人々が、企業の進化を妨げている事例は枚挙にいとまがないわけです。それは事業規模の大小を問わず、今年もネタが尽きる気配はありません。そこで2016年の第1回は直球の「ネット専門家0.2」に成長を阻害されたケースを紹介します。家族を除けば、「昭和」から奉公する老齢社員だけの、小さな服飾業「N」。「ユニクロ」に代表されるSAP業者の台頭、またそのビジネスモデルでもある、海外生産によるコストダウンの波に直面し、事業廃止も視野にはいるほど追い詰められていました。苦境を脱するために「ネット」に活路を求め、Webサイトをリニューアルし、繁華街に大型の「Webサイトの広告(看板広告)」を出稿しました。○ネットの専門家の正体「広告=看板」とは昭和時代の発想です。看板を見てサイトをアクセスするお客など微々たるもの。そこで知人を頼りに「ネットの専門家」を探します。その彼のアドバイスもまた「広告」でした。こちらは検索結果に連動して表示される「リスティング広告」を提案します。目の付け所だけは間違っていなかったということです。しかし、結論は大失敗。十数万円の広告費を使って、上がった売り上げは数千円、ポロシャツ一枚ほどのものです。リスティング広告のチョイスそのものは間違いではありませんが、成功のカギは「売り上げが見込めるキーワード」の選定にありました。つまりNがここで必要としたのは「ネットに詳しいだけの専門家」ではなく、「マーケティング」や「広告(販促)」の専門家だったのです。企業におけるネットへの誤解の最たる例といっても良いでしょう。一般的に「ネットの専門家」とは、あくまで「ネット」に詳しいだけで、ビジネスやマーケティングのプロを意味しないのです。さらに、「ネット」と一口にいっても、通信技術についてのプロフェッショナルと、ネットワーク効果の経済学的研究者では、得意とするフィールドが異なり、ブログなどでビジネスを語っていても、「ググる」で集めた「コピペ文学」レベルの人物が多いのが実情です。つまり、そもそも論でミスマッチな「専門家0.2」が、ネット界隈には掃いて捨てるほどいて、彼らが各所で365日、誤解を量産しています。○振り向けばテレビ埼玉ネットの専門家は、事業規模の大小を問わず企業を振り回します。最後発でネット局(中継局)も少なく、低予算と揶揄される「テレビ東京(テレ東)」は、永らく視聴率最下位が指定席でした。そこから生まれた、テレビ業界の慣用句が、「振り向けばテレ東」です。テレ東に追いつかれるほどの低い視聴率という意味です。しかし今やテレ東は人気番組を連発。その「姿」に振り向くことが増えた某キー局の不振のひとつは「専門家0.2」にあります。民放キー局は、週に一回程度、自局の放送内容を検証する番組を放送しています。テレ東の背中を見つめる某局が、年末に4人の専門家を集めて、一年を振り返っていました。それぞれの肩書きは元新聞記者の大学教授、ジャーナリスト、ネットの専門家、雑誌編集者。番組を仕切るのは同局アナウンサー2人。映像作家、脚本家、放送作家はそこにいません。つまり「テレビ(コンテンツ)」の専門家は、そこに1人もおらず、客である視聴者すらいません。制作者という仲間と、客(視聴者)の声にも耳を貸さず、専門外の専門家の意見に耳をかたむけているようでは、テレビ東京どころか、関東ローカルの「テレビ埼玉」の背中を眺める日も近いことでしょう。○轍がひとつに重なる不思議「部外者だから客観的な意見を言える」という反論があるかもしれませんが、その主張は"部外者が業界に通じる専門家"である前提においてのみ成立します。元新聞記者やジャーナリストは、隣接する業界ではありますが、それは同じ商店街にいるからと、魚屋が売る刺身について、隣の八百屋が批評するようなものであり、リアルな街角なら殴り合いになるほど無礼な話です。さらに「ネットの専門家」は、昨年のテレビ報道をこう解説していました。「テレビがネット情報を無批判に報道していた」彼については「ネットの専門家」にも疑問符がつきます。何故なら、昨年浮き彫りになったのは、連載でも繰り返し指摘したように、テレビを筆頭とした既存メディアにおける「報道しない自由」だからです。「サノケン騒動」や「ぱよちん事件」のように、ネットで話題が沸騰していても、都合の悪い事件をテレビは報道せず、ネット情報の選別=検閲が強化されたのが昨年です。これを、知らないのなら「ネットの専門家」に値せず、そのアドバイスなど何をか言わんや。それを裏付けるのが、彼のその局への出演と視聴率の関係性です。彼がその局に出演を始めた時期と、同局の凋落は見事に重なり、レギュラー出演した番組はことごとく打ち切り、今も出演する番組は低空飛行ばかりが目立っています。と、今年も高飛車に世相と企業を切っていくと宣言しつつも、今年は366日ありました。お詫びして訂正する年始めです。○エンタープライズ1.0への箴言ネットの専門家には、それぞれ専門分野がある宮脇 睦(みやわき あつし)プログラマーを振り出しにさまざまな社会経験を積んだ後、有限会社アズモードを設立。営業の現場を知る強みを生かし、Webとリアルビジネスの融合を目指した「営業戦略付きホームページ」を提供している。コラムニストとして精力的に活動し、「Web担当者Forum(インプレスビジネスメディア)」、「通販支援ブログ(スクロール360)」でも連載しているほか、漫画原作も手がける。著書に「Web2.0が殺すもの」「楽天市場がなくなる日」(ともに洋泉社)がある。最新刊は7月10日に発行された電子書籍「食べログ化する政治~ネット世論と幼児化と山本太郎~」筆者ブログ「ITジャーナリスト宮脇睦の本当のことが言えない世界の片隅で」
2016年01月07日ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)のデザイナーである山本耀司とニューエラ(NEW ERA)のコラボレーションブランド、山本耀司 for New Eraが16年1月にCotton Tee(7,000円)をNEW ERA STORE限定で発売する。これまでヨウジヤマモトと様々なコラボレーションを行ってきたニューエラ。今回はヨウジヤマモトブランドとしてではなく、山本耀司個人とコラボレーションを行った。Tシャツには、山本耀司が自身の思うニューエラのブランドイメージを墨と筆で具現化したアートワークと「Ten miles more to go y.y.」という直筆メッセージがプリントされている。カラーはブラックとホワイトの2色展開。
2015年12月25日ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)のデザイナーである山本耀司とニューエラ(NEW ERA)のコラボレーションブランド、山本耀司 for New Era(R)が16年1月にCotton Tee(7,000円)をNEW ERA(R) STORE限定で発売する。これまでヨウジヤマモトと様々なコラボレーションを行ってきたニューエラ。今回はヨウジヤマモトブランドとしてではなく、山本耀司個人とコラボレーションを行った。Tシャツには、山本耀司が自身の思うニューエラのブランドイメージを墨と筆で具現化したアートワークと「Ten miles more to go y.y.」という直筆メッセージがプリントされている。カラーはブラックとホワイトの2色展開。
2015年12月25日○酒に酔ってのことならば新潟日報の支局長を務めていた報道部長が、Twitterの匿名アカウントから、ある弁護士へ暴言、中傷を繰り返していたところ、相手の弁護士の方が一枚上手で、やり取りの中から実名を特定し、公表しました。これに焦った報道部長は「酒に酔った上でのことで、仕事のストレスも加わり」と説明し、上長を連れだって訪問して謝罪しました。当該弁護士が謝罪を受け入れ「手打ち」になるはずが、新潟日報に「数百件の抗議」が寄せられました。(略)このブス!お前の赤ん坊は豚のえさにするんだから…。で、お前とダンナが、その豚を喜んで○のな。そりゃ美味しいよ。お前の子ども○った豚だもん!(略)エゲツナイので自主規制しておりますが、こうしたツイートが数多く確認されているのですから「数百件の抗議」が届くのも当然ながら、NHK「NEWS WEB」のサイトでは「過去にも問題のある書き込み」とだけ紹介していました。テレビメディアは、ローカル局の数社が報じただけで、大手は沈黙を守っています。しかし、この騒動の背景を辿ると、看過できない社会の病理が浮かび上がります。○いくらなんでもそれは役職を解かれ「元部長」となり、無給の「無期限懲戒休職処分」との処分が下されましたが、一般常識に照らせば、経営者側と解釈される「部長」への処分としては軽過ぎます。また、新潟日報に関係する著名人らが、擁護するかのコメントを発していることから「会社ぐるみ」という批判がネット上で吹き荒れております。元部長は、政治家の実名を挙げて「慰安婦」だとか、「死ね」「奇形遺伝子」などの暴言が並び、「○県人は人間のくずで女はみんな売春婦」と、繰り返していたのです。酔いが理由だとするなら、正常な判断能力を欠く「重度のアル中」。これが一般企業なら、多くのマスコミはスクラムを組み、会社としての任命責任、管理責任を問うたことでしょう。あるいは「人間性」を暴くことは、事件の背景を知る手がかりになる、という建前から、記者やレポーターは現地に飛び、取材と称して元部長の自宅近隣住民に騒動を触れ回り、「そんな人には見えなかった」と肩を落とす親族のコメントを取り付け、報じるのがいつものマスコミのやり方です。ところがテレビは報じず、NHKのような大人しい表現でお茶を濁しています。○つながる一本の糸社会の木鐸たる「報道機関の幹部」という肩書きを脇に置けば、元部長の暴言だけでは「ニュースバリュー(報道する価値)」は弱いかも知れません。限られた紙面、放送時間のなかで、どのニュースを取りあげるかは「ニュースバリュー」で決められます。しかし、「ネットで検索」する程度の情報から見えてくる元部長の背景には、看過できない危険性が潜んでいるのです。以前に触れた「ぱよぱよちーん騒動」。セキュリティ会社の要職にあった人物が、その立場と人脈を駆使し、個人情報を集めて晒していたのではないかと疑われました。セキュリティ会社の説明が不十分なため、いまだ疑惑は晴れていませんが、この人物も匿名アカウントから、思想的に対立するユーザーや政治家に対して、暴言や脅迫同然の発言を繰り返していました。そして同じ時期に同様の事例が、立て続けに発覚。大学生協の幹部や、ご母堂が日本共産党系の地方議会議員のデザイナーらが、やはり思想の異なる相手に対して、匿名の闇から執拗に攻撃を繰り返していたことが、実名と共に明らかとなります。そして元部長。この4人をつなぐ一本の糸は、左派系のある団体。思想信条はそれぞれ自由ながら、一つの団体の複数の構成員が、Twitter上とはいえ、同じような反社会的な活動をしていたのなら、「報道する価値」があると考えるのはあの事件の記憶です。○ニュースバリューを求めるなら対立するものには文字通りの牙をむき、独自の(屁)理屈で、社会を混乱させた「オウム真理教(現アレフ)」。犯罪予告や殺人教唆といった反社会的行為において、両者を重ねてしまうのは、私の事務所から徒歩圏内に、オウムの本部があるからかもしれません。しかし、「お前の赤ん坊は豚のえさ」という発言が代表するように、実名が特定された4名に通底する尋常ならざる精神性は、報道を通じて一般市民に警戒を呼びかける必要があると考えます。さらに、4人の年令は57才、55才、53才、42才。左派系の団体が、騒動と無関係だとしても、酸いも甘いもかみ分け、相応に社会的立場をもっていた「大人」が、匿名の闇から誹謗中傷や脅迫、「死ね」を繰り返していたのです。これは「社会的病理」そのものです。これに「ニュースバリュー」がないと判断したなら「ニュースバリュー0.2」。「社会問題」を追う資格などありません。もっとも、報道されないことに対して、ネットでは「当然」とする声が多数。それはマスコミな内部には左派が多く、「左派に都合の悪いニュースは報道しない」というもの。「報道しない自由」とも呼ばれます。その真偽を確かめる術を持ちませんが、安保法制を巡る抗議集会で「安倍、叩ききってやる」と襲撃予告をした左派色の明らかな大学教授の映像は、いまだに大手テレビメディアで目にしません。○エンタープライズ1.0への箴言恣意的に見える「ニュースバリュー」の判断がメディア不信を絶賛増幅中宮脇 睦(みやわき あつし)プログラマーを振り出しにさまざまな社会経験を積んだ後、有限会社アズモードを設立。営業の現場を知る強みを生かし、Webとリアルビジネスの融合を目指した「営業戦略付きホームページ」を提供している。コラムニストとして精力的に活動し、「Web担当者Forum(インプレスビジネスメディア)」、「通販支援ブログ(スクロール360)」でも連載しているほか、漫画原作も手がける。著書に「Web2.0が殺すもの」「楽天市場がなくなる日」(ともに洋泉社)がある。最新刊は7月10日に発行された電子書籍「食べログ化する政治~ネット世論と幼児化と山本太郎~」筆者ブログ「ITジャーナリスト宮脇睦の本当のことが言えない世界の片隅で」
2015年12月08日『スター・ウォーズ』シリーズの最新作にして、新たなる3部作の1作目『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』が、12月18日(金)18時30分、全国一斉に公開されます。その公開に先立ち、11月30日(月)、本作の成功祈願イベントとして、世界遺産の清水寺本堂舞台にて、ニッポン画家・山本太郎さんによる「『スター・ウオーズ/フォースの覚醒』風神雷神図屏風」と、清水寺・森清範貫主揮毫による「覚醒」の書が、お披露目されました。『スター・ウォーズ』と琳派、その異色のコラボが開幕!『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』は、『ジェダイの帰還』から約30年後を舞台に描かれた、フォース(気のような特別な力)をめぐる、新しい“家族の愛と喪失”の物語。また、今年は、本阿弥光悦、俵屋宗達、尾形光琳といった一群の日本美術家によって受け継がれてきた“琳派”誕生から400年を記念する年。そのメモリアル・イヤーに華やぐ京都で行われた今回の催しは、1年にわたって全国で実施された『スター・ウォーズ』とさまざまな“日本文化との融合”の集大成としての、異色イベントです。赤と青のライトセーバーが振り下ろされて…抜けるような空の青と、紅葉の赤に彩られた清水寺本堂の舞台に、最初に現れたのは、ストームトルーパー。続いて、山田啓二京都府知事と、ニッポン画家の山本太郎さんの登場です。山田知事の「日本文化がたくさん散りばめられている『スター・ウォーズ』は、昔から私の大好きな映画です。この偉大な作品の完成と大成功を願うと共に、琳派400年で湧く京都に、多くの皆さんがお出でくださいますように」という挨拶に続き、『スター・ウォーズ』のシンボルともいえる、赤と青、2本のライトセーバーが登場。赤を手にした知事と、青を手にした山本さんが、『スター・ウォーズ』のテーマ曲と共に、勢いよく振り下ろすのが合図となって序幕!晩秋の清水の舞台に、山本太郎さん作の「『スターウォーズ/フォースの覚醒』風神雷神図屏風」と、清水寺・森清範貫主の『覚醒』の書が現れました。日本絵画の伝統と、映画史上空前のエンターテイメントが合体!『覚醒』の書は、丸みを帯びた勢いのある力強い筆によって、天に向かって上がる運気と、映画の成功を願ってしたためられたもの。そして、屏風絵は、琳派の代表作である俵屋宗達の「風神雷神図」へのオマージュとして、『スター・ウォーズ』の世界観を、独特の感性で表現した作品。風神として描かれているのは、孤独な美しいニューヒロインのレイ。雷神は、悪役ダースベーダ―を受け継ぐ存在のカイロ・レン。まさに伝統ある日本絵画の技法と、映画史上空前のエンターテイメントがみごとにシンクロした、平成琳派の力作です。続くフォトセッションでは、知事と山本さんが、この新生・風神雷神図の前で、キャラクターのポーズをとったり、奥ノ院から見物している観光客にも手を振るなど、ユーモアと活気にあふれたイベントになりました。知識に裏打ちされた、凄みと遊び心この日のイベントの主役の1人である山本太郎さんは、古典的な日本の技法・昔の絵画を、現代の視点で再構成するニッポン画家。「日本画家」ではなく、あえて「ニッポン画家」と名乗るところに、画家としての確かなこだわりが感じられます。「よく、『伝統ある作品を、“いじる”ことに勇気はいりませんか?』と聞かれるんですが、わりとアッケラカンとやってしまっているんです(笑)。古い作品も、描かれたときは、同時代のものですし、敷居が高そうな日本画に、現代のエッセンスを入れることで、わかりやすく、親しみやすく、自分たちの生活と地続きの作品を描きたいということですね」(山本さん、以下同)。その言葉どおり、山本さんの作品からは、伝統や背景に対しての、広く深い知識に裏打ちされた凄みと、巧みな遊び心が伝わってきます。細かく細かく、日本画の技法、琳派の技法を駆使山本さんが幼児期、アメリカでの生活の中で、興味を抱いたという『スター・ウォーズ』。「このお話を頂いた時は大変、光栄に思いましたが、同時に難しい課題も多かった」と山本さんは言います。「新しいキャラクターをきちんと描くこと。琳派400年という点もしっかりと押さえること。その条件のなかで、メインのキャラクターに叶う琳派の絵ということになると、もう『風神雷神図』しかない、と。そこに映画の世界観を、大切に描いていきたいなと思って製作しました」。今回、特にこだわったのは、「1つ1つのキャラクターを大事にしながらも、それを日本画の表現に落とし込んでいくこと」だそう。「普通の日本画よりは、多少三次元的に描いてはいるんですが、3Dの映画の画面に比べれば、まだまだ平面的ですから、細かく細かく、日本画の技法、琳派の技法を駆使してチャレンジしてみました」。この京都で、現代を生きる絵かきとして「400年前から描かれてきた琳派を、この京都で、現代を生きる絵かきとして継承していきたい」と語る現代琳派の山本さん。最後に、20~30代の働く女性へのメッセージを頂きました。「自分の世界を持ち、自分の好きな部分で楽しんでほしい。またこの映画は、家族愛が大きなテーマとなっていますから、そのあたりも大切に感じていただきたいと思います」。(取材・文/あさかよしこ)【展示概要】■日程:12月8日(火)~12月15日(火)10:00~16:00予定■場所:清水寺 経堂《『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』風神レイ&雷神カイロ・レン屏風》ニッポン画家 山本太郎 作、サイズ:二曲一双(タテ154.5㎝×ヨコ169.8㎝)×2枚《「覚醒」の書》清水寺 森清範貫主 揮毫、サイズ:ヨコ70cm×タテ136.3cm『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』映画を超えた史上空前のエンターテイメント『スター・ウォーズ』、その新たなる3部作の第一弾。『ジェダイの帰還』から約30 年後を舞台に、フォースを巡る全く新しい“家族の愛と喪失の物語”が描かれる。砂漠の惑星で家族を待ち続けている孤独なヒロイン、レイの運命は“ある出会い”によって一変することに…。旧シリーズの不朽のキャラクターたちに加えて、重要なカギを握るドロイドBB-8、ストームトルーパーの脱走兵フィンなどが登場。世界中が注目する悪役は十字型のライトセーバーを操るカイロ・レン。© 2015Lucasfilm Ltd. & TM. All Rights Reserved.© 2015Lucasfilm Ltd. & TM. All Rights Reserved.12月18日(金)18:30 全国一斉公開『スター・ウォーズ』公式サイトへ:starwars-jp.com/force
2015年12月07日JRの「SKISKI」のCMに出演し注目を浴びている山本舞香が12月5日(土)、都内書店で行われた「山本舞香2016年カレンダー」の発売記念イベントに出席した。雑誌「二コラ」などでモデルとして人気を集め、今年は映画『暗殺教室』に出演したほか、放送中のドラマ「南くんの恋人~my little lover」ではヒロインを演じ、中川大志と共演するなど話題を集めている山本さん。今回のカレンダーは「ちゃんとスタッフさんと話し合って作れたし、どのページも好きです!」と語り「きちっとしてない自然な感じ」が魅力だとアピール。海外セレブを扱った雑誌「GOSSIPS」の中で、パパラッチが普段のセレブたちの姿を撮影したようなナチュラルな雰囲気をイメージしたと明かす。購入者に部屋のどんなところに貼って見てほしいか?と尋ねられると山本さんは「壁?」と天然な回答で笑いを誘う。「どこからでも見えるところ、なんならベッドの上の天井にお気に入りのページを貼ってほしい!」と語った。JRのCMと駅などに掲出されるスキーのポスターは毎年、話題を呼ぶが、山本さんも以前から駅などでポスターを見て「『自分ならどんな感じになるんだろう?』と思っていた」と明かす。念願かなって出演が決まったが「恥ずかしいです。(自分で)見れない(笑)」と語り、駅でポスターの前を通っても「素通りです…止まってたら変でしょ(笑)!」とはにかんでいた。今年1年は「新しいキャラクター、役柄をいろいろやりたいと思っていた」というが、その目標はキッチリと達成されたよう。来年は「一度やったキャラクターを他の表現で演じられるように勉強したい」と女優としてのさらなる成長を目標に掲げた。(text:cinemacafe.net)
2015年12月05日京都の清水寺で30日、シリーズ最新作『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(12月18日公開)の公開を記念して制作された、「『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』風神雷神図屏風」と「『覚醒』の書」がお披露目された。日本文化に多大な影響を受けている『スター・ウォーズ』の最新作が公開される今年は、全国各地で映画と日本文化の融合を実現させてきた。その集大成として、今年誕生400年の芸術様式"琳派"とコラボレーション。現代琳派のニッポン画家・山本太郎氏により、琳派の代表作「風神雷神図屏風」へのオマージュとして『スター・ウォーズ』の世界観を表現した「『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』風神レイ&雷神カイロ・レン屏風」が描かれた。さらに、清水寺の森清範貫主により、映画タイトルにちなんだ「『覚醒』の書」も書き上げられた。お披露目は清水寺本堂舞台にて行われ、山本太郎氏と山田啓二京都府知事、2体のストームトルーパーが登場。山田知事は「『スター・ウォーズ』は、衣装や黒澤監督へのオマージュ…さまざまな日本の文化が散りばめられている点も魅力の一つ」と語り、「『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』が大成功を収めることと同時に、多くのみなさんに琳派400年で沸く京都にもお越しいただきたい」と呼びかけた。そして、山田知事は赤の十字型ライトセーバー、山本氏は青のライトセーバーを振り下ろすと、作品を覆っていた幕が落ち、ついにお披露目。家族を待ち続ける孤独なヒロインのレイと、赤い十字型のライトセーバーを操る悪役カイロ・レンをそれぞれイメージした風神と雷神、そして、「『覚醒』の書」が姿を現した。その出来栄えに山田知事も「この屏風は価値があるんではないですか!」と大興奮だった。屏風を手掛けた山本氏は、レイをイメージした風神について「美人画の美しさを合わせて描けるように気を付けた」、隣の新ドロイドBB-8については「愛らしいところをどうやって出そうかというのが難しかった」と説明。また、カイロ・レンの雷神について、「迫力あるキャラクターの魅力を引き出すところと、真っ黒いキャラクターなのでどうやって黒の中の色を描き分けていくのかというところに苦心しました」と語った。「『覚醒』の書」を手掛けた森貫主からのメッセージも紹介され、"覚"の字の最後のハネは「力強く天に向かって上がるように、すなわち運気が上がり成功しますように」との念が込められ、全体的に新ドロイドのBB-8をイメージして丸い字にしているという。両作品は12月8日~15日、清水寺経堂にて展示。その後、東京・汐留の日本テレビで12月18日~29日に開催される『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』公開記念イベントで展示される。(C) 2015Lucasfilm Ltd. & TM. All Rights Reserved
2015年11月30日世界中を熱狂の渦に巻き込んだ『スター・ウォーズ』シリーズの新たなる3部作の1作目『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』。これまでさっぽろ雪まつり、田んぼアート、青森ねぶた祭り、鳥取砂丘の砂像、川崎ハロウィンパレードなど、2015年“STAR WARS YEAR”を盛り上げるべく1年を通して各地で実施されてきたが、この度、全国の日本文化との融合の集大成として制作された『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』風神雷神図屏風と「覚醒」の書が11月30日(月)、京都・清水寺にてお披露目された。『エピソード6/ジェダイの帰還』から30年後。砂漠の惑星で暮らす孤独なヒロイン・レイは、新型ドロイド「BB-8」やストームトルーパーの脱走兵フィン、伝説のパイロットのハン・ソロ、そして十字のライトセイバーを操るカイロ・レンらとの出会いによって、銀河を揺るがす壮大な運命へと導かれていく…。平安時代より様々な芸能が奉納されてきた、清水寺本堂舞台にて御本尊宝前お披露目となったのは、古典絵画にユーモアとパロディを交えながら、現代的な要素を加えた「ニッポン画」を手掛け、国内外問わず様々な活躍をしている注目のアーティスト・山本太郎氏が描いた風神レイ&雷神カイロ・レン屏風と、清水寺 森清範貫主の揮毫による「覚醒」の書。「覚」の字の最後のはねには力強く天に向かってあがるように成功の念を込め、新ドロイドのBB-8をイメージし全体的に丸くしたという「覚醒」の書。そしてその隣には横154.5cm×縦169.8cmの屏風に力強い眼差しが印象的なレイの凛とした容姿とキュートなBB-8、赤い十字型のライトセーバーを操る悪役カイロ・レンの躍動感あふれる姿が。山本氏は今回の制作について「まさか自分が『スター・ウォーズ』の新作に関われると思わなかったので、非常に光栄に思いましたが、プレッシャーにも感じました」と明かした。各キャラクターについては「レイは砂漠の中にいるワイルドさがあったんですが、今回は日本画にたらしこみをするということで美人画の美しさを合わせて描きました。BB-8はドロイドなのですがペットのような愛らしいところを出すところが難しかったです」。さらに悪役カイロ・レンについては「迫力のあるキャラクターなのでどうやって魅力を引き出すか、真っ黒なキャラクターですので、黒の中の色を描き分けていくかに苦心しました」と作品に込めた思いを語った。イベントに参加した京都府知事の山田啓二氏は「いま京都は琳派400年ということもあり、非常に賑わいをみせている中この『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』と合わさったということでとても嬉しく思います」。屏風を見た山田府知事は「俵屋宗達もまさかこんな風になるとは思っていなかったでしょうね。琳派の雲の技法が正しく使われているので、この屏風を見に京都に足を運んでいただきたいです」とメッセージを贈った。風神レイ&雷神カイロ・レン屏風、「覚醒」の書は、12月8日(火)~15日(火)まで清水寺経堂で展示される。『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』は12月18日(金)18時30分より全国一斉公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:スター・ウォーズ/フォースの覚醒 2015年12月18日より全国にて公開(C) 2015 Lucasfilm Ltd. & TM. All Rights
2015年11月30日現在放送中の「仮面ライダーゴースト」に仮面ライダースペクター/深海マコト役で出演し、注目を集めている山本涼介が自身初のカレンダーを発売することが決定。素顔の山本さんの姿をより身近に感じることのできる、“彼女目線”をテーマにしていることが分かった。『好きっていいなよ。』『神さまの言うとおり』『サムライフ』と話題作に相次いで出演し、185cmという長身を生かして「MEN’S NON-NO」の専属モデルも務める山本さん。「仮面ライダーゴースト」では仮面ライダースペクター/深海マコト役に抜擢され、ネクストブレイク間近とも言われる彼が、初のブックスタイル・カレンダーをリリースする。「ボクの隣にいる“彼女の目線”」をテーマに撮影した写真は、ナチュラル&可愛い系と、かっこよくクール&モードに決めた山本さんの姿が満載。初詣にピクニック、海辺など理想の“デートスポット”での姿や、家でまったりリラックスする様子を、まるで彼女になったかのように近くに感じることができ、照れたところや笑顔など魅力溢れる表情で1年を味わえる構成になっている。「本当に素のまま、感じるままに、自由に動いて楽しんで撮影しました」と本人も語るように、“素顔の山本涼介”が詰まっているといえそうだ。<山本涼介コメント>着たい服、自分のやりたいことや雰囲気をすべて採用してもらった初めてのカレンダーです。全てのシーンがお気に入りですが、しいて言うならハロウィンのカットは特にお気に入りです。ハロウィンらしいオレンジのコートにカボチャやオバケ、色んな物に囲まれて、ダークな雰囲気の中にポップな感じが「かっこ可愛い」ページになっていると思います。今回のテーマが「彼女目線」ということで、見ている方が彼女になったような、僕の隣にいるような感覚になるシーンやカットばかりです。雑誌やテレビではクールな面を見せることが多いのですが、今回のカレンダーは“素顔の山本涼介”がたくさん詰まったものになっていると思います!たくさんの表情の僕に、出会ってください!「山本涼介カレンダー 2016.04-2017.03」(仮)は2016年1月20日(水)より発売。(text:cinemacafe.net)
2015年11月20日○懐かしい若者らこの夏以降、あちらこちらで「SEALDs(シールズ)とは何者か?」と尋ねられました。安保法制を巡る報道で、「SNSで集まった若者の代表」という紹介のされ方から、Webの専門家としての解説を求められたのです。筆者は「懐かしい若者ですよ」と答えていました。その心は「恐れを知らない世間知らずな若者」であり、70年代安保における学生デモと同じだからです。そして、同世代の若者の代表などではないと注釈を加えたうえで、その理由を「SNSで集まっている」からと説明しています。現代的なコミュニケーションツールである「SNS」。これを介して集まった若者が「70年代安保」と同じ。この理解には「SNS」に対する0.2な誤解を解く必要があります。○アラブの春がもたらしたもの圧政に苦しむ中東諸国で、SNSによりつながった国民が、独裁政権を打倒したとされる「アラブの春」。まるでSNSが政権を打倒したかに喧伝されたことが誤解の出発点です。アラブ諸国におけるSNSとは、携帯電話やスマホとの組み合わせにより誕生した、低コストの通信インフラに過ぎません。だから、民主化を求める市民も、混乱を望む連中も使っています。さらに国内では、東日本大震災以後顕著となった「脱原発デモ」において、SNSにより多くの人が集まったことを「動員の革命」と高く評価する人がいました。そのとき「アラブの春」に重ねる主張が目立ったのは、脱原発を「正義」と演出する狙いがあったのでしょう。これが誤解を強化しました。しかし、SNSに「民主化」や「正義」というオプションは搭載されていません。むしろその「動員」を促すSNSの特性が、「アラブの春」以後の中東世界で、IS(イスラム国)の台頭を許し、日本で70年代安保の喧噪を、現代に復活させたといえます。○アイラブ異邦人父親が創業した会社を継いだK社長ですが、もうすぐ50の声を聞く彼が今、もっともハマっているのがSNSです。当たり前の話ですが、SNSを利用するのは若者だけではありません。K社長は、顧客や取引先とネット上で「交流」することにより、ビジネスチャンスを拡大すると豪語していました。SNS上での「接点」が、ビジネスに有利に働くという目論見です。そして投稿すれば即座に、経営者仲間が「いいね!」をクリックし、一緒に飲みに行くほど親しい取引先がコメントを寄せます。この距離の近さに狙いは的中したとのめり込み、オフラインにおける日々の交流の一つ一つですら、SNSにアップロードするようになります。ところがK氏にビジネスチャンスが巡ってくることはありませんでした。なぜなら、彼が積極的に交流しているのは、外国人パブを心から愛する「仲間」ばかりだからです。当初は色んなテーマでSNSに投稿をしていましたが、反応が良かったのが外国人パブ探訪。多くの「いいね!」が寄せられます。そして類は友を呼び、パブに特化したコミュニティが完成するまでに時間はかかりません。新しくできたお店や、入店したばかりの女性タレント、その誕生日プレゼントについて投稿していて、ビジネスに繋がるわけがありません。むしろ、外国人パブに特別な思い入れを持たない社員は、K社長と距離を置き始めているのですが、そう指摘する「仲間」はいません。みな、同じ穴のなんとやらだからです。○そもそもネットは?SNSは「同好の士」を集めやすい特性があります。K社長の周囲に、外国人パブマニアが集まるのも、SNSにおいて「脱原発」のコミュニティが大きくなるのも、構造的にはまったく同じです。そこには正義も悪もありません。「好きか嫌い」があるだけです。そもそも論に立ち戻れば、インターネットは興味の対象に傾斜し耽溺しやすい媒体です。ネットサーフィンにしても「ググる(検索)」にしても、興味を持ったから行う行為で、Twitterにおけるフォローや、Facebookにおける友だちも同じです。つまり、インターネットそのものが、興味や思想、好き嫌いにおいて「偏る構造」になっているのです。そこから「SEALDs」が、SNSを介して集まったのなら、まずは「特定の考えに共感した若者たち」と分析すべきなのです。それを、「正義」や「民主化」、あるいは「若者の代表」とする主張は、「インターネットの性質」を知らない0.2です。残念ながら、Webの専門家を名乗る著名人にも、こうした残念な意見が散見されます。なお、バラエティ番組で「SEALDs」について問われた、現役女子高校生タレントは「ひいちゃう(発言要旨)」と答えています。それがリアルの「若者の声」でしょう。70年安保当時でも、熱心に「活動」していたのは「学生」であり、当時の大学進学率は20%前後。集団就職した若者を指す「金の卵」に代表されるように、額に汗して働いていた「若者」の方が多数派で、当時の勤労青年曰く「学生運動なんざ、ヒマと余裕がある学生の遊びだよ」とのことです。○エンタープライズ1.0への箴言SNSは情報の偏りを加速させる宮脇 睦(みやわき あつし)プログラマーを振り出しにさまざまな社会経験を積んだ後、有限会社アズモードを設立。営業の現場を知る強みを生かし、Webとリアルビジネスの融合を目指した「営業戦略付きホームページ」を提供している。コラムニストとして精力的に活動し、「Web担当者Forum(インプレスビジネスメディア)」、「通販支援ブログ(スクロール360)」でも連載しているほか、漫画原作も手がける。著書に「Web2.0が殺すもの」「楽天市場がなくなる日」(ともに洋泉社)がある。最新刊は7月10日に発行された電子書籍「食べログ化する政治~ネット世論と幼児化と山本太郎~」筆者ブログ「ITジャーナリスト宮脇睦の本当のことが言えない世界の片隅で」
2015年11月19日SF映画史上空前のエンターテイメント『スター・ウォーズ』シリーズ。この度、シリーズ最新作『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』が12月の公開を目前に控え、本作の風神雷神図屏風と“覚醒”の書の政策が決定し、清水寺にてお披露目されることが明らかとなった。本作は、シリーズの新たなる3部作の第一弾。『ジェダイの帰還』から約30年後を舞台に、フォースを巡る全く新しい“家族の愛と喪失の物語”が描かれる。砂漠の惑星で家族を待ち続けている孤独なヒロイン、レイの運命は“ある出会い”によって一変することに…。旧シリーズの不朽のキャラクターたちに加えて、重要なカギを握るドロイドBB-8、ストームトルーパーの脱走兵フィンなどが登場。世界中が注目する悪役は十字型のライトセーバーを操るカイロ・レンだ。世界はもちろん日本でも多大なる影響を受けている『スター・ウォーズ』シリーズ。今年は江戸時代に現れた装飾的な作風を特色とする俵屋宗達や尾形光琳といった芸術家をつぐ“琳派”が400年を迎え、それを記念して現代琳派の山本太郎の手により、代表作風神雷神図へのオマージュとして本作の世界観を表現した『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』風神レイ&雷神カイロ・レン屏風が製作される。そして屏風に描かれるのは、家族を待ち続ける孤独なヒロイン・レイと、赤い十字型のライトセーバーを操る悪役カイロ・レンだ。また、伝統的な日本画の技法を用いつつ、古典絵画にユーモアとパロディを交えながら、現代的な要素を加えることで日本画ならぬ「ニッポン画」を描く画家として、国内外問わず様々な活躍をしている注目のアーティストの山本さんは「世代を超えた現代の神話であるこの物語を描く機会を得て大変光栄に思っています。」と今回の制作について語っている。さらに、“今年の漢字”を書く京都の清水寺の森清範貫主にタイトルにちなんで<「覚醒」の書>を揮毫する予定だという。これらは11月30日(月)朝、平安時代より様々な芸能が奉納されてきた、清水寺本堂舞台にて御本尊宝前お披露目を予定しており、その後は12月8日(火)~15日(火)まで清水寺経堂で展示予定となっている。『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』は12月18日(金)18時30分より全国一斉公開。(cinemacafe.net)■関連作品:スター・ウォーズ/フォースの覚醒 2015年12月18日より全国にて公開(C) 2015 Lucasfilm Ltd. & TM. All Rights
2015年11月13日○笑えないジョーク風邪の特効薬が開発されない理由は「製薬会社が儲からなくなるからだ」という冗談がありますが、シオノギ製薬は24時間でインフルエンザが完治する特効薬を開発したと発表しました。厚生労働省によれば、インフルエンザが関連した年間死亡者数は世界で約25~50万人、日本で約1万人と推計されております。一日も早く市販されることを願っております。同様に「コンピュータウィルスがなくならない理由は、セキュリティ会社がウィルスを開発しているからだ」というブラックジョークが存在します。ところが、それを地でいくような"事件"がWeb界隈で発生していました。ある漫画家が、自身のFacebookに投稿したイラスト作品、それが炎上しました。作品をブラックユーモアととるか、中傷と受け取るかは、価値観により分かれるところですが、意見対立の構図は、フランスの「シャルリー・エブド襲撃事件」に似ています。そして否定派の急先鋒として、立ち上がったのがS氏です。○Facebookの規定違反S氏は「はたく」と題し、イラストに「いいね!」をクリックしたユーザーの、居住地・出身校・勤務先をリスト化して公開すると予告し実行、その数は数百人に達しました。「はたく」とは、関西弁における殴るの意味で、その目的を文脈から推測するに「いいね!」をクリックしたユーザーに、ある種のレッテルを貼る狙いのようです。この行為はFacebookが定める「サービス規約」の、「3 安全に利用するために」の「2.利用者は他の人のコンテンツまたは情報を収集することを禁止します」に抵触します。しかし、これだけなら「事件」と呼ぶことはありません。利用規程からの逸脱は、限度を超えればFacebookに対する「業務妨害罪」に触れる可能性もありますが、その判断はFacebookがくだすもの。また、Facebook上に公開されている個人情報を、執拗に拾い出す粘着性には呆れても、これだけならひとつの「表現」と強弁することも不可能ではありません。なお、リスト化されたユーザーが、レッテルを貼られた行為に対して「名誉毀損」で訴える可能性も残されますが、ここでは触れずにおきます。○泥棒の警備会社しかし、S氏がサイバーセキュリティ会社の主要メンバーで、さらにセキュリティー向上を啓蒙する業界団体の要職を務めていたとなれば事情が変わってきます。さらに過去のツイートでは、以下のように敵対する人物を攻撃すると宣言していました。携帯からなら一発で(お前の居場所を)特定できる。パソコンからダミーを経由しても追い込みかけるよ。セキュリティ業界の総力を挙げるからな(発言要約)つまり、その経験と地位を用いて攻撃すると語っていたのです。これはつまるところ、「警備会社の役員が、警備の実務で培った技術と機材、人脈を駆使して泥棒に入る」と宣言するようなもの。さらに、先のツイートには、相手の子供への襲撃も匂わせるのですから卑劣で、こちらについては、ほぼ犯罪といえるでしょう。本稿ではイニシャルを用いているS氏ですが、ネット上では個人名や経歴、勤務先も特定されています。反政府色の強いアカウント名で、過去のツイートその他で「個人情報」を自ら拡散していました。S氏は勤務していたセキュリティ会社で、採用面接も担当していたと、こちらも自ら公開しています。さらに「取引」に関しての「さじ加減」まで語っていることから、S氏の「情報」への心構えが透けて見えます。○本当の「事件」とは騒動発覚後、会社は「本人の申し出により退職」とWebサイト上で発表しました。懲戒処分がないということは、S氏の行為に問題は無かったという判断ですが、処分自体は会社の判断であり、外野がとやかく言うことではありません。しかし、この騒動と前後して、総務省の閣僚の一人が「セキュリティーのインプット」のためと同社を訪問しています。総務省といえば、いま話題の「マイナンバー」の所管官庁です。自身のスキルと業界の人脈を濫用し、個人情報を晒すような人物が勤務し、それを容認する企業への訪問。総務省に確認すると、この企業とマイナンバーの繋がりは皆無とのことでしたが、マイナンバーへの不安が募るなか、あまりにも不用意な行動です。なぜなら、セキュリティの要は「人」。どれだけ堅牢なセキュリティを構築しても、内側からカギを開ければ崩壊することは、古代ギリシャの「トロイ」以来の教訓で、現代にも通じることを証明したのは「日本年金機構」の情報漏えい問題です。わずかな不安も排除すべきではないでしょうか。そして「事件」とは、この会社の製品を「防衛省」が購入していること。同社は製品について、S氏の関与を否定していますが「セキュリティ業界の総力」を動員でき、セキュリティ突破を公言している人物であり、反政府色が強いのはアカウント名だけではなく、発言も行動も繰り返しているその筋ではちょっとした有名人。そんな人物が関与している製品に、サイバーセキュリティを任せる防衛省とは笑えないジョーク、すなわち「事件」です。米国をはじめ、海外では怪しいという"疑い"の段階で使用を控えるのが普通です。○エンタープライズ1.0への箴言サイバーセキュリティの要諦は「人」宮脇 睦(みやわき あつし)プログラマーを振り出しにさまざまな社会経験を積んだ後、有限会社アズモードを設立。営業の現場を知る強みを生かし、Webとリアルビジネスの融合を目指した「営業戦略付きホームページ」を提供している。コラムニストとして精力的に活動し、「Web担当者Forum(インプレスビジネスメディア)」、「通販支援ブログ(スクロール360)」でも連載しているほか、漫画原作も手がける。著書に「Web2.0が殺すもの」「楽天市場がなくなる日」(ともに洋泉社)がある。最新刊は7月10日に発行された電子書籍「食べログ化する政治~ネット世論と幼児化と山本太郎~」筆者ブログ「ITジャーナリスト宮脇睦の本当のことが言えない世界の片隅で」
2015年11月12日○ホームセンターでは売られていない支持層と呼ばれる固い地盤にまで、基礎となる"くい"が届いていなかったことにより、建物が傾斜した横浜市の「マンション傾斜問題」。くい打ち作業を行う際に、「状況を記録するためのプリンタの電源を入れ忘れたうえに、記録紙がドロで汚れ、それに加えて雨に濡れたことで、担当者は他のデータをコピペして作業報告書を偽装した。だから誰も気がつかなかった」と、販売した業者が説明を行いました。しかし、プリンタの電源を入れ忘れていたなら、そもそも記録紙がないはずですし、専門家によれば一般的に、雨の日はくい打ち作業を行わないとのこと。何より、この手の"くい"はホームセンターで販売されておらず、地質調査を行ったうえで"くい"の長さが決まるはず。つまり、くい打ち業者の一存で、長さは決められないはずだ……。と、首をかしげていたら、建設を担当した会社がテレビ局の取材に対し、ボーリング調査に不備があったことを認めたうえで、「下請けが"くい"を打った段階で固い地盤に届かなかったというデータを出してくれれば、追加で"くい"を打てた。そうすれば、問題は起きなかった」と言い訳していました。しかし、「下請けが発注主のミスを暴くことなどできない」という話は、10年前のあの事件から言われていたことです。○経歴詐称は日常茶飯事昨年、事業を整理したとあるスマホゲームの制作会社のI元社長は「ちゃんとした報告書を上げてくれていれば」と嘆き節が止まりません。元社長の言葉を借りれば、部下の杜撰な「偽装された報告書」により、会社がつぶれたのです。スマホゲームの業界は、勝者と敗者の二極化が進んでいます。新規参入が相次ぎ、飽和状態となったことに加えて、思いつきレベルの企画が横行しているからです。I社長の会社の企画も、正直「思いつき」のレベルでした。その証拠に、プロジェクトがスタートを切ってから、経験者を雇い入れる「泥縄」ぶりです。そしてこの経験者が曲者でした。雄弁に語った豊富な経験と実績が自称に過ぎなかったのです。経験者が上げる報告書は順調そのもので、I社長はそれを見る度に、捕獲していないタヌキの皮を数えていましたが、自称の経験でゲームを作れるわけがありません。プロジェクトは破綻し、事業整理にまで追い込まれて以来、I元社長は先の嘆きを繰り返し言い続けています。もっとも経歴詐称など、どの業界でもあること。ましてや四半世紀来の人手不足を抱えるプログラムの現場では、経歴詐称は日常茶飯事で、プログラムを組んだことがない「自称プログラマー」など、はいて捨てるほどいます。だから、採用時に見抜けなかったのは致し方ないとしても、「順調な報告書」を丸飲みしたI社長のほうにこそ問題があります。○本当の構造問題とは自称経験者や、傾斜マンションにおけるくい打ちの担当者を擁護するわけではありませんが、報告書を鵜呑みにするだけなら管理者も社長も不要の「進捗0.2」だということです。すべての作業には「歩留まり」が存在します。「歩留まり」とは、ミスや不良の発生確率のこと。ヒューマンエラーに機械の故障など、トラブルの理由は無限にあり、プログラム開発はもちろん、ボーリング調査に不備が発生する確率だってゼロにはなりません。だからこそ、トラブルのない報告書など、疑ってかからなければならないのです。先述のI元社長は、経歴を詐称した自称経験者ばかりを責めますが、どう見積もっても1年はかかる作業を半年のスケジュールで設定し、異論を許さなかった戦犯は社長自身です。かけ声ばかりが大きく、社員のミスは執拗に叱責する人物で「物言えぬ空気」があったと、事業整理前に逃げ出した社員が語っていました。建築業界でも同様の話を耳にしたのは10年たっても記憶に新しいあの事件です。○10年たっても変わらないならあの「ヒューザー」などによる構造計算書偽造問題の当時、かなり現場に近い関係者から聞いた話です。「鉄筋の数が少ないことは、現場の者なら誰でも気がつく。しかし、それを意見具申すると、次の仕事がなくなる。だから黙っている」この話を裏付ける問題が、昨年南青山で発覚した「欠陥億ション」です。排水や配管を設置するための穴がないことが発覚し、建て替えとなりました。ミスは誰にでもあることですが、そのミスをミスとして報告できない構造が建設業界にあるのであれば、それこそが最大の「構造欠陥」と言えるでしょう。今回の問題の全容解明にはまだ時間がかかりそうで、「自分たちの住むマンションは大丈夫か」と不安になっている皆様へ、贈る言葉があります。「10年持てば大丈夫」この言葉は、建築も手がける不動産会社の執行役員の言葉です。横浜の当該マンションが完成したのは2007年で、住民が手すりのズレに気がついたのは2014年で、7年後です。基礎に問題がある場合、建物の重みで10年以内に沈み込みや傾きがでるとのことで、それを過ぎた建物なら、基礎に関して言えば今日明日に沈むことはないと。だから不備があっても良いということでは、もちろんありませんが、気休め程度になればと添えておきます。○エンタープライズ1.0への箴言報告を鵜呑みにするだけなら管理者はいらない宮脇 睦(みやわき あつし)プログラマーを振り出しにさまざまな社会経験を積んだ後、有限会社アズモードを設立。営業の現場を知る強みを生かし、Webとリアルビジネスの融合を目指した「営業戦略付きホームページ」を提供している。コラムニストとして精力的に活動し、「Web担当者Forum(インプレスビジネスメディア)」、「通販支援ブログ(スクロール360)」でも連載しているほか、漫画原作も手がける。著書に「Web2.0が殺すもの」「楽天市場がなくなる日」(ともに洋泉社)がある。最新刊は7月10日に発行された電子書籍「食べログ化する政治~ネット世論と幼児化と山本太郎~」筆者ブログ「ITジャーナリスト宮脇睦の本当のことが言えない世界の片隅で」
2015年10月30日○加速する英語化シルバーウィーク空けの週刊文春に「英語が出来ないサラリーマンは本当に出世できないのか?」と題した記事が掲載されていました。トヨタ自動車は係長昇格の条件にTOEIC600点を掲げ、国内企業の英語化の流れが加速していると続けます。カルロス・ゴーン率いる日産自動車はともかく、ホンダまでも2020年を目標に英語を社内公用語化すると発表し、ブリヂストンは2年前から準備を始めているようです。記事では「英語化の流れは不可避」と事例を紹介する一方で、英語ができなくても現場を知る、いわゆる「叩き上げ」がいなくなることにも触れています。元ソニー、というより、破綻した「ライブドア」の敗戦処理を務めた平松 庚三氏(現小僧com株式会社代表)は、中卒程度の英語力でも、内容に中身があれば大丈夫と、ソニー創業者の一人、盛田 昭夫氏の「ジャングリッシュ」な英語力を例に説明します。確かに、英語化を進めるブリヂストンと関係の深い元首相の鳩山 由紀夫氏は留学経験からか、英語でスピーチもできます。しかし、首相時代にオバマ米国大統領とのワーキングディナーでの意見交換の結果「ルーピー(バカ)」と揶揄されたことを思い出す方も多いでしょう。なお、中学1年生で英語に挫折した私ですが、今では「社長」です。何故なら、自分で会社を作ったので。○ダンバーの解釈伝統工芸を扱う狭い業界の例ですが、ここでは仮に「着物」の業界としましょう。S社長は、いわゆるインバウンド消費に乗り遅れまいと、訪日外国人向けのサイトの「英語化」を目論みます。「ビジットジャパン」「クールジャパン」と政府が騒いでいますが、S社長の店がある場末の街角にまでやってくる外国人は、伝統工芸品より100円ショップを好みます。だからこそ、Webサイトの英語化によって観光客に足を運ばせる狙いです。彼は業者を呼んで見積もりを取ります。業者は一通り話を聞いた後、こう質問します。「身内に英語が堪能な方はいますか?」翻訳家に発注すれば、それなりの「英語」には仕上げてくれます。体裁を整えるだけなら、グーグルなどを使った機械翻訳でもできます。問題は、できあがった「英語」が英語圏のお客に伝わるかであり、それを確認する人物が、社員や家族にいるかという問いかけです。「Damper(ダンパー)」とはネットの英和辞典「weblio」によれば、「勢いをくじくもの」ですが、ピアノは「消音装置」、バイオリンでは「弱音器」、自動車では「ショックアブソーバー」と英英翻訳されているのはご愛敬としても、適切な翻訳がなされているかを確認できるのは、その業界と英語に詳しい人物だということです。○イエスしかない答えこうした事情を考慮せず、文字情報だけを「英語化」するWeb制作業者は実在します。それでは「英語化0.2」になるので、皆さんもご注意ください。そもそもWebサイトにおいて、魅力的なコンテンツがあれば、英語化は必ずしも必要ではありません。客の立場になればわかることで、内容がスカスカの母国語で綴られたサイトと、現地語ながらみっちりと情報が詰まったコンテンツなら、どちらにアクセスしたいでしょうか?しかも、機械翻訳を使うことで大体の意味は理解できます。グーグル翻訳には、南アフリカのズールー族の言葉まであり、和訳ができるなら、その反対もできることでしょう。なお試してみましたが、ズールー語への翻訳結果の正しさは、私には確認できませんでした。英語化の議論において、しばしば問われる「英語はできた方が良いのか?」という質問。これが間違っています。英語ができないことのデメリットはあっても、できることによるデメリットは考えにくく、つまり「イエス」しか答えがないのです。その一方で、英語を用いて何をするのか、何を語るのかの議論は置き去りにされます。○楽天とSBの狙いビジネスシーンにおいては、英語を使い、何を成すかが大切であるはず。にも関わらず、テストの点数が出世の条件になるとは実に日本的な「手段の目的化」です。これも「英語化0.2」でしょう。英語化といえば、その先陣を切った楽天やソフトバンク。しかし、三木谷氏と孫正義氏を重ねてみると、英語化による目指す地平が見えてきます。楽天の「Kobo」、ソフトバンクによる「スプリント」を挙げるまでもなく、ご両人とも「企業買収」が大好きで、買収した企業名を並べるだけで字数が尽きるほどです。つまり、海外との取引ではなく、海外でのお買い物のための英語化。なるほどこれは分かりやすい。何故なら、中学1年レベルにも満たない私の英語力でも「ディスカウントプリーズ」の重要性は分かるからです。○エンタープライズ1.0への箴言英語化は目的ではなく手段宮脇 睦(みやわき あつし)プログラマーを振り出しにさまざまな社会経験を積んだ後、有限会社アズモードを設立。営業の現場を知る強みを生かし、Webとリアルビジネスの融合を目指した「営業戦略付きホームページ」を提供している。コラムニストとして精力的に活動し、「Web担当者Forum(インプレスビジネスメディア)」、「通販支援ブログ(スクロール360)」でも連載しているほか、漫画原作も手がける。著書に「Web2.0が殺すもの」「楽天市場がなくなる日」(ともに洋泉社)がある。最新刊は7月10日に発行された電子書籍「食べログ化する政治~ネット世論と幼児化と山本太郎~」筆者ブログ「ITジャーナリスト宮脇睦の本当のことが言えない世界の片隅で」
2015年10月01日○人工知能という鉱脈ソフトバンクが発売したロボット「ペッパー」。ユーザーの感情を理解するという触れ込みに、「そんなものは存在しない」と指摘をするのはKDDI総研のリサーチフェロー小林 雅一氏。ネットメディアの連載で、ペッパーを「チャットボット」と分類します。問いかけた内容に応じて返事をする「ボット」のようなものだというのです。ソフトバンク VS KDDIの代理戦争かと邪推の一つもしたくなりますが、「感情」の定義には哲学的なテーゼが残され、私は小林説を支持します。一方で、テレビ東京の子供向け番組「おはスタ645」で、お笑いトリオ「ロバート」と上手に絡むペッパーの実力も評価しています。それぞれ「AI(人工知能)」への解釈や、期待度の違いといっても良いでしょう。人と同等以上の知能を求めるのか、擬似的で良いとするのかです。AI研究における世界の主流は前者で、「ディープラーニング」により研究は加速しています。しかし今、日本の「AI業界」に暗雲が垂れ込めています。○中国に持って行かれる自動運転や介護ロボ、より便利なスマホOSなど、AIへの期待は、多くの産業で高まっています。AIの研究は古く、コンピュータが開発された当初からスタートしていました。当時のアプローチは、あらかじめ「考え方」を与えておくか、ボットのように多くの「解答例」を用意するものでした。これらは良くも悪くも、人間の想像の枠内に収まり、「知能」と呼べるかという議論もありました。「ディープラーニング」はまったく別の発想です。語弊を怖れずにひと言で説明するなら、コンピュータ自身が「考え方」を見つけ出すというアプローチです。認識方法や評価基準といった「考え方」そのものを見つけ出すので、より人間に近づく可能性どころか、平成57年(2045年)には、人工知能は人間の知能を越えると囁かれております。そして現時点のAI研究において、日本は世界に劣っている訳ではありません。特許の数では米国に負けても、コンピュータ開発におけるノウハウがあり、それを支える人材がいるからです。ただし、現時点です。○東ロボくんまでが9月18日の日経新聞2面に見つけた見出しです。中国も「東大合格ロボ」開発デッサンの狂ったドラえもんが確認される「石景山遊園地」のように、中国得意のコピー商品かと思いきや、「東大合格ロボ」の開発を手がける教授 新井 紀子氏に誘いがあり、中国との連携を決めたというのです。2011年より開発が始まった「東ロボくん(愛称)」は、大学入試センター試験の合格を、AIが目指すというもので、発表当時は失笑が漏れるほど荒唐無稽と思われたプロジェクトでした。これが今では8割の私大で合格可能性が80%に越えるまでに成長しています。そして中国との連携。日経新聞は理由の一つに「お金」を挙げます。新井教授が勤める国立情報学研究所から、割り当てられる研究予算は年間数千万円であるのに対し、中国側の予算は30億円で桁が二つ違います。○お詫びと訂正当初、「国立情報学研究所」を「国立情報科学研究所」と誤記していました。また、「中国側の(新井氏らへの)オファーは30億円」としていましたが、ただしくは中国の研究開発費の予算が30億円の誤りでした。お詫びして訂正します。文部科学省も手をこまねいている訳ではなく、来年度予算の概算要求でAI研究計画を打ち出し、100億円を投じて研究施設を整備すると記事は続けますが、読了後、ある社長を思い出します。○第二、第三のありまぁすWeb制作の新規事業を立ち上げようとした運送会社のI社長。まず、手がけたのは、新規事業用の部屋の増設。「箱を作れば、中身はあとからついてくる」という発想は、トラックを買えば仕事が入り、仕事を請けてから勉強を始めても、どうにかなったバブル期に創業したI社長の経営哲学。社内でWeb制作ができる人物は、営業マンとして中途入社してきた新人のただひとり。面接で語った趣味の「Web制作」に白羽の矢を立てたのです。素人同然だという抗弁も「勉強すれば良い」で却下されます。いわば「研究員」のような立場ながら、営業マンとしての仕事は免除されません。営業マンとしての業務と両立させるため、「研究員」は寝る間も惜しみますが、営業マンは「裁量労働制」の契約のため、残業や早朝、休日出勤への割増賃金が支払われることはありません。そしてなんとか一人前のWeb制作者になったとき、研究員はそっと辞表を置いて会社を去りました。より良いオファーがあったからです。彼は言います。「場を与えられたことには感謝している。しかし、技術は自分の努力で身につけた」社内に技術は残されず、増設された部屋は物置となります。文科省の取り組みに同じ影を見つけます。予算要求にある「AI研究の拠点」とは、埼玉県和光市の「理化学研究所」。あの「ありまぁす」といった女性のためだけに、ピンクに塗られた研究室を用意したあの「理研」です。騒動を経てもなお、日本最高水準の研究機関ではあります。しかし、「2位じゃダメなんでしょうか?」と蓮舫氏が問うたスーパーコンピュータ「京」も理研の施設内にあり、AIの研究に高機能のコンピュータは不可欠。のはずなんですが、「京」があるのは神戸市の理研「計算科学研究機構」。果たして100億円は研究のためだけに使われるのでしょうか。「ハコモノ0.2」「適材適所 0.2」の匂いがします。先の研究員は、当時をこう締めくくりました。「誰も助けてくれなかったし、理解もしていなかった。そして結果だけを求められた」○エンタープライズ1.0への箴言まず、箱物という発想がダメ宮脇 睦(みやわき あつし)プログラマーを振り出しにさまざまな社会経験を積んだ後、有限会社アズモードを設立。営業の現場を知る強みを生かし、Webとリアルビジネスの融合を目指した「営業戦略付きホームページ」を提供している。コラムニストとして精力的に活動し、「Web担当者Forum(インプレスビジネスメディア)」、「通販支援ブログ(スクロール360)」でも連載しているほか、漫画原作も手がける。著書に「Web2.0が殺すもの」「楽天市場がなくなる日」(ともに洋泉社)がある。最新刊は7月10日に発行された電子書籍「食べログ化する政治~ネット世論と幼児化と山本太郎~」筆者ブログ「ITジャーナリスト宮脇睦の本当のことが言えない世界の片隅で」
2015年09月24日○少数派のための政策来月より「マイナンバー」の通知が始まります。国民一人ひとりに12桁の番号が割り振られ、来年の1月からは社会保障、税、災害対策の行政手続に用いられ、具体的には「児童手当」「年金」「保険契約」、そして「源泉徴収」への記載が求められます。その目的は「所得の捕捉」。内閣府にあるマイナンバーの解説で、第1番目にあげています。しかし、8割を超える日本人はサラリーマンで、「源泉徴収」によりガッチリ所得を把握されています。残る2割にも満たない自営業者の所得を捕捉するために「マイナンバー」を導入するなら、その経済合理性が見えてきません。赤字決算の自営事業者は少なくなく、黒字になれば税務署方面から担当者がスキップしてやってきて、「見解の相違」を理由に、さらなる税負担を求められるという都市伝説もあり「課税逃れ」は困難、というのが自営業者としての率直な感想だからです。そしてなにより「IT」に携わるものとして、マイナンバーは「穴のあいたザル」です。○ナンバーそもそもの問題個人向けのマイナンバーは12桁の数字ですが、番号の妥当性を確認する「チェックデジット」が含まれるので、実際には11桁となります。単純に1千億通りで、1億2千万人の日本人なら、833回の総入れ替えに対応できる計算ですが、逆に言えば833分1で、利用されているマイナンバーを引き当てることができます。この確率は、いまのコンピュータにとっては一瞬未満で計算できます。各種ネットサービスで「パスワード」を設定する際、英数字での組み合わせを推奨されるのは、小文字だけでも26種のアルファベットが加わることで、飛躍的に組み合わせが増大し、特定を困難にさせるため、そもそも「数字だけ」の識別番号とは、コンピュータが貧弱だった20世紀の発想なのです。欧州諸国で導入が進められている「IBANコード」と呼ばれる、国際的な銀行口座番号は、最大34桁の数字とアルファベットになっています。最大とするのは、先頭の5桁は国別番号と、チェックデジットに割り当てられ、それ以降の29桁は自由に設定できるからです。これにより天文学級の組み合わせが生まれます。○セキュリティとの関連性数字のみのクレジットカード番号も旧世代の遺物です。しかし、すでに普及しており全面改定は困難。そこで日頃、数千円単位の買い物しかしないユーザーが、十数万円の商品を決済には「本人確認」するといった、運用時に監視することで、不正利用を最小限に止める努力を行っています。「マイナンバー」からこうした取り組みは聞こえてきません。それどころか「テスト」の話しすらもありません。完璧と自負しても穴があるのがプログラムでありシステムです。この最小化のために「テスト」を繰り返します。かつての「住基ネット」でも、実証事件に名乗りを上げた自治体によるテストが実施されました。「ランニングテスト」とも呼ばれ、全体のシステムを稼働させる前に問題点を見つけると同時に、オペレーションを確立する狙いもあります。はてさて、マイナンバー稼働テストはどこかの自治体でやっているのでしょうか。それとも全国一斉に導入するのでしょうか。この可能性について、システム系のプログラム開発を行うベテランプログラマーに尋ねると「自殺行為」と吐き捨てます。私の意見も同じです。つまり「マイナンバー0.2」なのです。何より、現代のセキュリティは突破される前提で対策を講じなければなりませんが、こちらの対策も一切聞こえてきません。○そもそも論での課題さらに不気味なことがあります。クレジットカード会社が不正防止に励む理由は、金銭の損失は当然ながら、信用失墜は企業にとって致命傷となるからです。年金機構へのサイバー攻撃により、来年から予定されていたマイナンバーへの接続が延期されます。ずさんな管理体制が問題とは言え、責任の所在が明らかだったから延期が決定されたのです。一方で、マイナンバーに不正アクセスや、運用におけるトラブルが起こったとき、いったいどこの省庁が担当するのでしょうか。マイナンバー法が走り出したときの「概要案」によると、所管は以下のようになっています。マイナンバー法の所管は内閣府とする。個人番号の通知等及び番号カードの所管は総務省とし、法人番号の通知等の所管は国税庁とする。情報連携基盤の所管は内閣府及び総務省の共管とする。「法」は内閣府ですが、「カード」の所管は総務省で、情報連携基盤が内閣府と総務省。さらに、マイナンバーを説明する内閣府のサイトには、総務省、厚生労働省、消費者庁、財務省、文部科学省、農林水産省、国土交通省へのリンクが貼られています。まるで「たらい回し」の予防線です。さらに、この「概要案」が提出されたのは、平成23年(2011年)12月16日。民主党政権の野田内閣です。自公連立政権でトラブルが発生しても、制度への批判を民主党がしようものなら、伝家の宝刀「ブーメラン」が彼らを襲うことでしょう。結果、痛み分けとなり議論は自然消滅。そして誰も責任を取らずに、情報漏洩の犠牲にだけ晒される国民。この想像が、やたらリアルに思えるのはなぜでしょう。○エンタープライズ1.0への箴言マイナンバーは穴だらけのザル宮脇 睦(みやわき あつし)プログラマーを振り出しにさまざまな社会経験を積んだ後、有限会社アズモードを設立。営業の現場を知る強みを生かし、Webとリアルビジネスの融合を目指した「営業戦略付きホームページ」を提供している。コラムニストとして精力的に活動し、「Web担当者Forum(インプレスビジネスメディア)」、「通販支援ブログ(スクロール360)」でも連載しているほか、漫画原作も手がける。著書に「Web2.0が殺すもの」「楽天市場がなくなる日」(ともに洋泉社)がある。最新刊は7月10日に発行された電子書籍「食べログ化する政治~ネット世論と幼児化と山本太郎~」筆者ブログ「ITジャーナリスト宮脇睦の本当のことが言えない世界の片隅で」
2015年09月17日○脚光を浴びる鬼女佐野 研二郎氏による東京五輪のエンブレムを巡る騒動。騒動に終止符を打ったのが、釈明会見で紹介されたエンブレムの「展開例(使用例)」。記者会見からわずかな時間で、これに使用された羽田空港の写真が、外国人女性のブログからの無断借用だと、ネットユーザーが突き止めます。そして、このネットの「捜査力」への警戒を、テレビや新聞がかき立てます。中でもテレビメディアは、抜群の捜査力を誇るネットユーザーを「鬼女」と紹介し怖れています。その鬼女の捜索能力により、何でも「模倣だ」「パクリだ」とされてしまうと、新たなエンブレム策定も含めた創作活動に悪影響がでるのではないかと不安を煽るのです。「鬼女」とは「2ちゃんねる」の「既婚女性板」の略称から転じた言葉で、「鬼」には若者言葉における「スゴイ」という意味と、本音のみがあるがままに飛び交う「女子トーク」が展開される掲示板を見た、男性側からの率直な女性への評価も含まれていると言われています。果たして鬼女は創作活動を破壊する悪鬼なのでしょうか。○コンビニ土下座事件"鬼女"で有名な話の1つに、2年前の「しまむら土下座事件」があります。加害者の個人情報を特定したのは鬼女でした。自動車のボンネットに映り込んだ映像から、その撮影場所を特定したこともあります。とある朝の情報番組では、鬼女の特徴を「会社員に比べて時間があり、ニートと比較し行動力を持ち、学生よりもお金を持っている」とします。しかし、この全ての特徴を持ち合わせている「主婦」は極めて少数派。主婦の多くはそれなりに忙しいものです。子どもがいれば習い事の送り迎えに、PTAがらみの呼び出しは多く、特売品を求めて東奔西走し、掃除に洗濯、食事の用意を担う。その合間には自分へのご褒美を与えることも忘れない主婦を、よくも「ヒマ」だと言えたものです。朝のワイドショーのターゲットは「主婦」。なるほど、同番組の視聴率が振るわないわけです。○鬼女のネットワーク恐るべき捜査能力を可能にするのは、主婦の「ネットワーク」と「フットワーク」です。といっても、それぞれ普通の主婦が持ち合わせているレベルのものですが、子供を介した「ママ友ネットワーク」は会社員と違い、社会の階層や業種に縛られません。さらに、アラフォーやアラフィフになっても「ジャニーズ事務所」のタレントを追い掛ける「ジャニ友」のつながりは全国に拡がります。昔の勤務先、学生時代の友人、知人にアクセスすれば、わずかながらも某かの情報を拾えることでしょう。フットワークとは、セール品を求めて隣町まで自転車を飛ばし、ママ友が集まるファミレスに足を運ぶ程度のこと。それでもネットで話題になっている「現場」が近所なら、少し道草を食うだけで取材は可能。そして主婦は、北海道から九州、沖縄どころか、世界中に存在します。一人の主婦が集められる情報は微々たるものといっても良いでしょう。それが「掲示板」に集約され、情報が精査されることで核心に近づいていきます。つまり「鬼女」とは、いわゆる「Web2.0」が喧伝された当時の言葉でいう「集合知」。ネットの健全な成功例と評価すべきでしょう。○話しをすり替えるメディア鬼女への脅威論とは、論理のすり替えです。当該エンブレムはともかく、その他のデザインにパクリがなければ、早晩収束したことでしょう。ところが、笑ってしまうほど簡単に、パクリが次々と発覚したのです。羽田空港の写真は、「ピンタレスト」という画像共有サービスで、いまも容易に見つかる程度のもの。さしたる捜査能力など必要のない「鬼女0.2」です。今回のネットユーザーの動きを、佐野氏への「個人攻撃」とし、「イジメ」と評する評論家まで現れました。しかし、ネット上に拡散された佐野氏と、選考委員らの「関係」は深く、「グル」と見なすことはやぶさかではありません(※佐野氏らは根拠のない関係図として否定しています)。この関係図には、佐野氏の出身である大手広告代理店の影もちらつきます。大手広告代理店と権力、そしてテレビ局が「ずぶずぶの関係」とは、「邪推」が多く混じっているとはいえ、ネット界隈では"常識"として捉えられています。佐野氏は、か弱き一市民への攻撃ではなく、既得権益の代表者と見られていたのです。また、五輪組織委員会は公益財団で、そこには血税が投じられており、森喜朗元総理大臣など相応の人物も関与していながら、エンブレム騒動では前面にでてこず、つまりは「権力への批判」という側面もあったのです。これは本来、テレビも含めたメディアの仕事です。しかし、なぜだか佐野氏への擁護が目についたのは、先の「邪推」を下敷きとするからでしょうか。先の番組は「主婦はヒマ人」とし「鬼女は怖い」というミスリードを目論みます。繰り返しになりますが、主婦はそれほどヒマではありません。こうした「マスコミの嘘」が、真実を求める主婦をネットに走らせます。そして、持ち寄った知識や情報が集積された「集合知」の果てに「鬼女」が生まれました。仮にマスコミが鬼女を怖れるなら、正しい報道をすることこそ、最善の予防策ではありますが、無理でしょうね。○エンタープライズ1.0への箴言鬼女はそんなにヒマじゃない普通の主婦宮脇 睦(みやわき あつし)プログラマーを振り出しにさまざまな社会経験を積んだ後、有限会社アズモードを設立。営業の現場を知る強みを生かし、Webとリアルビジネスの融合を目指した「営業戦略付きホームページ」を提供している。コラムニストとして精力的に活動し、「Web担当者Forum(インプレスビジネスメディア)」、「通販支援ブログ(スクロール360)」でも連載しているほか、漫画原作も手がける。著書に「Web2.0が殺すもの」「楽天市場がなくなる日」(ともに洋泉社)がある。最新刊は7月10日に発行された電子書籍「食べログ化する政治~ネット世論と幼児化と山本太郎~」筆者ブログ「ITジャーナリスト宮脇睦の本当のことが言えない世界の片隅で」
2015年09月10日本阿弥光悦と俵屋宗達によって桃山時代に誕生した琳派(りんぱ)が400年を迎えたことを受け、生誕30周年を迎えたスーパーマリオとのコラボ作品などを展示する展覧会「琳派400年記念 琳派からの道 神坂雪佳と山本太郎の仕事」が10月23日から11月29日まで、ジェイアール京都伊勢丹7階に隣接する美術館「えき」KYOTOにて開催される。琳派400年記念の年に開催される同展では、近代において琳派を継承し、京の地で琳派芸術を復興させた神坂雪佳と、現代において先人たちの志と意匠を継承する山本太郎、2人の琳派の絵師を紹介する。琳派の親しみやすさと気品、伝統的技法を踏襲しつつ、意表をつくユーモラスな作品を生み出してきた神坂雪佳と山本太郎。同展では、2人が生み出した、屏風や軸装、工芸など約100点の作品が展示される。過去から現代、そして未来へと流れる琳派の道を、2人の作品を通して感じることが出来る展覧会となっている。中でも注目の作品となるのが、スーパーマリオ生誕30周年を記念して制作された山本太郎の最新作「マリオ&ルイージ図屏風」。初公開となる同作では、マリオとルイージを“風神雷神”に見立てて描かれている。その他、山本太郎による「紅白紅白梅図屏風」、「信号住の江図」や、神坂雪佳の「草花図」などの作品を展示。神坂雪佳が作陶した「赤楽茶碗」も出展される。【イベント情報】「琳派400年記念 琳派からの道 神坂雪佳と山本太郎の仕事」会場:美術館「えき」KYOTO住所:京都府京都市下京区東塩小路町657会期:10月23日~11月29日※会期中無休時間:10:00~20:00(入館は19:30まで)料金:一般 900円、高大学生 700円、小中学生 500円
2015年08月25日人気ゲームタイトル『スーパーマリオ』シリーズの30周年を記念し、日本画の芸術様式「琳派」の創始者の一人・俵屋宗達の代表作『風神雷神図』をモチーフに製作された『マリオ&ルイージ図屏風』が公開された。マリオとルイージが、それぞれ雷神・風神として描かれたこの屏風は、『スーパーマリオ』と、創始から400年という同じく節目の年を迎えた「琳派」とのコラボレーションとして企画。江戸初期、本阿弥光悦と俵屋宗達によって編み出され、みやびにして斬新、そして大胆でいて華やかな意匠で海外からも高く評価された「琳派」と、1985年にシリーズ第一作が発売されて以降、日本のゲームのアイコン的存在になっている『スーパーマリオ』が、「琳派」の現代の継承者の一人でありながら、日本の古典絵画と現代の風俗が融合した絵画を得意とする山本太郎氏の手により結びついた。作品には、マリオとルイージのほかパタパタやキラー、ジュゲムなどのキャラクターも登場し、ゲームの世界観が「琳派」の技法で表現。本作は、10月23日から、京都市の美術館「えき」KYOTO(ジェイアール京都伊勢丹7F)で開催される「琳派からの道 神坂雪佳と山本太郎の仕事」展にて一般公開される。(C)Nintendo 作 山本太郎 2015年
2015年08月24日任天堂は、「琳派400年」と「スーパーマリオ30周年」を記念して制作された屏風画「マリオ&ルイージ図屏風」が完成したことを発表した。「マリオ&ルイージ図屏風」は、「風神雷神図」(俵屋宗達作)をモチーフに、マリオとルイージが風神雷神として描かれた屏風。琳派の現代の継承者の一人である山本太郎氏が、琳派の技法で丹念に制作したものだという。同作品は、10月23日~11月29日にかけて、京都府・京都市の「美術館「えき」KYOTO」(ジェイアール京都伊勢丹7F)で開催される「琳派からの道 神坂雪佳と山本太郎の仕事」展にて一般公開される。開館時間は10:00~20:00(入館は19:30まで、会期中無休)、入館料は一般900円、高・大学生700円、小・中学生500円。同作品のほか、屏風や軸装、工芸など約100点の作品が展示されるということだ。
2015年08月24日ノエビアは、東京都・銀座のノエビア銀座ギャラリーにて、銅版画家・山本容子が描いたポートレートを集めた作品展「山本容子のアーティスト図鑑」を開催している。会期は2015年8月24日~10月30日。入場は無料。本展は、1995年に創刊された小冊子『本の話』(文藝春秋刊)の表紙画として、銅版画家・山本容子が描き続けたアーティストの肖像画を集めた作品展。会場では、17年にわたって描かれた191名の銅版画のポートレートから、日本人アーティストをピックアップして展示するという。なお、展示される作品には、持ち主の印として蔵書に貼られる"蔵書票"を意味する「EX-LIBRIS」の文字が書き込まれるなど、すべてが蔵書票のスタイルで描かれている。古くは紋章や肖像画をあしらった図案が用いられた蔵書票だが、今回展示される作品は、山本が大切に考えたという「作家の人物としての空気感」に重点を置いて描かれているとのこと。
2015年08月24日モデル、女優として活躍する山本美月が8月22日(土)、都内で行われた初の主演映画『東京PRウーマン』の初日舞台挨拶に、共演する山本裕典、井上正大とともに登壇。劇中に登場する“大丈夫”ポーズを客席からムチャぶりされ、きっちり披露する神対応を見せた。映画はPR会社に転職したドジなOLの奮闘を描いたロマンチックなラブコメディ。山本美月さんは、ついに迎えた公開初日に「緊張していますが、まだ実感がわかなくて…」と心境を語り、「今日は両親も観に来てくれている」と笑みを浮かべた。また、自身の“座長ぶり”については「100点ですね。すてきなスタッフ、共演者のみなさんに助けていただいた」と誇らしげ。山本裕典さんは「ガンバレの気持ちをこめて、99点」、井上さんは「100点以外、つけようがない」と太鼓判を押していた。仕事をテーマにした本作にちなみ、「もしいまの仕事をしていなければ、どんな職業に就いている?」と質問されると、山本美月さんは「農学部だったので、白衣を着て食品や化粧品の開発をやっていたかも。もくもくと作業するのが好きですし」。一方、男性陣も「工業高校に通っていて、某自動車メーカーに就職が決まっていた。いま頃は工場で働いていたはず」(山本裕典さん)、「理系で、円周率の演算が好きだったりするので、そういう方面で働いていたかも」(井上さん)と意外な素顔を披露していた。ちなみに“大丈夫”ポーズは、往年の特撮テレビ番組「仮面の忍者 赤影」に登場する少年忍者・青影のトレードマーク。中高年にはおなじみだが、山本美月さんは「台本に『青影っぽく』と書いてあったんですが、ここにいる全員知らなくて…」とふり返っていた。『東京PRウーマン』はシネ・リーブル池袋ほか全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)
2015年08月22日モデルで女優の山本美月が2日、東京・ルミネ池袋で行われた、映画『東京PRウーマン』のトークイベントに登場した。22日に全国公開する本作は、山本演じるヒロインの成長物語。自分に自信がない銀行員の玲奈(山本)は、ひょんなことからPR会社に転職する。新たな職場で成功する玲奈だったが、人気タレントを怒らせるミスで窮地に陥り――というストーリーで、山本のほか、山本裕典、桐山漣らが出演している。映画初主演を務めた山本は、「すごくドキドキしてるけど楽しみ。早くみなさんの反応が知りたい」と公開を前にワクワク。撮影中を、「みんなを引っ張っていこう!と思ってたけど、助けられてばかりだった。みんなでワイワイしながら、毎日楽しかったです」と振り返った山本は、「試写を見て恥ずかしかった。物語に入り込みたかったけど、お芝居をチェックしながら見ていたので、落ち着かなかった」と照れ笑いを浮かべた。また、ファッション雑誌『CanCam』の専属モデルでもある山本は、劇中で27種類ものファッションコーディネートを披露しており、「みなさんが真似できる感じだと思います」とにっこり。自身の好きなファッションについて、「シンプルでボーイッシュな服が好き。アクセサリーは昆虫モチーフが好きですね」と話した山本は、「よく着けてるのは、ハエです。あんまり可愛いって言ってもらえないけど、可愛いんですよ~。サナギのネックレスも持ってます」と意外な好みを明かしていた。
2015年08月03日○テレビコンテンツはまだ終わったわけではない先週末に放映された27時間テレビ。そのポスターがネット界隈で、わずかながらに話題になっていました。特撮ヒーロー風の扮装をした、司会を務めるナインティナイン岡村隆史の横に、「テレビの時代はもう終わり?」と、添えられたキャッチコピーに対して「テレビではなくフジテレビがな」とつっこまれていたのです。総力をかける番組に対して「わずかながら」にしか、話題にならないところに、今のフジテレビの置かれた状況が見て取れます。しかし、このキャッチコピーはある面で的を射ています。その結論は「ネットの普及」にありますが、YouTubeやSNSに視聴者が奪われているというステレオタイプの、「テレビオワコン説(オワコン=終わったコンテンツ)」ではありません。日本の「テレビコンテンツ」が、そもそも「0.2」だったということです。つまり「1.0」に進化することができれば、まだまだ「テレビの時代」が続く可能性もあると見ています。○ネットを嘆くNHK明らかに部屋の中から「テレビの音」がしているので、NHKの集金人は、少し強気に視聴料の支払いを迫ります。すると片言の日本語で「ワタシ中国人。それにテレビじゃない。ヨウク、ネット動画ネ」と反論されます。「ヨウク」とは中国の動画共有サイトで、著作権などがアレな国柄らしく、いまでも「あまちゃん」の全話を中国語字幕付きで視聴することができるなど、日本の地上波放送も数多く無料で配信されています。つまりNHK受信料の要件であるテレビ=受像器がなくても「テレビドラマ」を見ることができるのです。NHKの集金人は溜息をつき扉を閉めたと言います。テレビの時代の終焉は、こうした無断複製された違法動画のネット拡散が理由ではありません。凋落が叫ばれるフジテレビでさえ256億円もの粗利を計上しているのですから、これによるテレビ局の利益侵害は、それほど深刻なダメージはないでしょう。それよりもはるかに深刻なのが「信用失墜」です。衆議院を通過した安保法制を巡り、あるニュース番組では「反対する若者の声」を報じていました。ところが「普通の若者」と紹介された幾人かは、いわゆる「活動家」でした。ある女性など、破壊活動も辞さないと断言しています。思想的な偏りがある活動家は「普通の若者」ではありません。彼らの名前を「ネットで検索」するだけで「活動」はすぐに見つかります。思想的背景を紹介した上で、発言させる分には問題ありませんが、「一般人」としての紹介は、彼らの政治活動を応援する目的か、取材不足のどちらかで、いずれにせよ「ニュース」の名に値しません。○フローからストックへとある有名キャスターはNHKの討論番組で、対立する意見を「仮定の話はいかんよ」とたしなめますが、自説を開陳する場面では「仮の話し」を繰り返します。生放送や1回限りのオンエアなら、堂々と大きな声で発言する姿に説得力を見つける視聴者もいることでしょう。しかし、保存されたネット動画により、発言の矛盾は、いつでも確認できるようになりました。テレビとは、放送と同時に消えていく「フロー」のコンテンツでした。一回限りの上演を前提とし、視聴率獲得を至上命題となるにつれ、論理的整合性よりもインパクトが求められ、証拠集めの「裏とり」もそこそこにニュース番組が作られるようになります。端的に言えば「その場限り」で、やりたい放題していたのが「テレビコンテンツ」です。ネットの普及は、テレビコンテンツをフローから「ストック」に変えました。そしてお手盛り報道や、自己矛盾だらけの「論客(コメンテーター)」の正体があきらかになりつつあります。ある場面では白を黒とし、次の瞬間にそれを赤と呼ぶようでは信頼などされるわけがありません。つまり、テレビコンテンツとは「0.2」だったことが明らかとなったことが、「テレビの時代の終わりのはじまり」です。○テラスハウスの数字はもっと簡単に言えば「嘘まみれ」だったのです。映画化までされた「テラスハウス」ですが、地上波放送時の実際の視聴率はふるわなかったと告白したのは同局の『新週刊フジテレビ批評』です。土曜日早朝の番組で、視聴者の少ない番組ながら、みずからの「お手盛り」を白状していました。同じくフジテレビ、というより冒頭で紹介した27時間テレビでは、ポスターの主である岡村隆史が「ライザップ」でシェイプアップを目指すという企画が進行しています。その「ライザップ」のイメージキャラクターを務める、SMAPの香取慎吾が応援に駆けつけ、岡村に食事制限の厳しさを伝えます。穀物類は厳しく制限され、サラダにのった「コーン」まで禁止だと教える姿はライザップの伝道師です。その放送から1ヶ月もしないフジテレビでは「お米2升を食べ尽くす」という企画で、ライザップ香取に白米と呼ばれる糖質を執拗に摂取させていました。当事者ではないとはいえ、チグハグ感は否めず、局としての整合性が疑われる「コンテンツ0.2」を体現しているといえるでしょう。○エンタープライズ1.0への箴言ちゃんと作られたテレビ番組は、いまでも面白い宮脇 睦(みやわき あつし)プログラマーを振り出しにさまざまな社会経験を積んだ後、有限会社アズモードを設立。営業の現場を知る強みを生かし、Webとリアルビジネスの融合を目指した「営業戦略付きホームページ」を提供している。コラムニストとして精力的に活動し、「Web担当者Forum(インプレスビジネスメディア)」、「通販支援ブログ(スクロール360)」でも連載しているほか、漫画原作も手がける。著書に「Web2.0が殺すもの」「楽天市場がなくなる日」(ともに洋泉社)がある。最新刊は7月10日に発行された電子書籍「食べログ化する政治~ネット世論と幼児化と山本太郎~」筆者ブログ「ITジャーナリスト宮脇睦の本当のことが言えない世界の片隅で」
2015年07月30日