年老いてからの生活費の準備に活用できる個人年金保険ですが、税金がかかることをご存じでしょうか?課税にはいろいろなパターンがあるので、基本的な内容を知っておきましょう。本記事では、個人年金保険の税金について解説します。節税のポイントについてもまとめていますので、参考にしてください。個人年金保険の課税はどうなっている?老後の生活費は国からもらう年金だけでは足りないという人がほとんどですから、個人年金保険を受け取れると心強いものです。しかし、忘れてはならないのが税金です。保険契約でお金をもらったとしても、課税はされます。タイミング別・かかる税金個人年金保険を契約すると、何年か継続して保険料を積み立て、契約で定めた年齢(60歳など)になれば年金として払ってもらうことになります。タイミングにより意識しておくべき税金は、次の表のとおりです。どんなときに課税される?税金が発生するのは、年金や一時金、年金受給権、解約返戻金などをもらったときです。ただし、個人年金保険を解約して利益が出るケースはあまりないので、解約時はそれほど心配しなくてよいでしょう。積立期間中は節税メリットもある!保険料を払うときには支出だけなので税金はかかりません。逆に、払うときには所得控除が受けられるので、税負担を抑えられます。個人年金保険の種類を確認個人年金保険は民間の保険会社で取り扱いされています。基本的に現役世代の間に年金原資を積み立て、60歳など契約時に定めた年齢に達すると支払いが受けられるものになりますが、いろいろなタイプの商品があります。課税について理解する前提として、個人年金保険の主な種類を確認しておきましょう。年金の支払いがあったら所得税・住民税がかかる個人年金保険で契約時に定めた年齢に達し、年金をもらうと、所得税・住民税がかかります。所得の種類まず、所得の種類を確認しておきましょう。次の10種類に区分され、種類によって計算方法などが変わります。毎年受け取るなら雑所得雑所得とは基本的に他の区分に該当しない所得で、公的年金も含まれます。個人年金保険も、年に1回、2回、6回、12回など分けてもらう形であれば、雑所得となります。雑所得は収入の全額ではなく、必要経費を差し引きできます。雑所得=収入金額-必要経費必要経費とは?払い込んだ保険料のうち、今年支払いを受けた額に対応する部分です。必要経費=1年間の年金受取額×払い込んだ保険料の合計額/支払われる年金の合計額(または見込額)計算例たとえば、払い込んだ保険料の合計額を420万円、1年間の年金受取額を48万円、年金受取期間を10年と仮定してシミュレーションしてみると、次のとおりです。必要経費=48万円×420万円/(48万円×10年)=42万円雑所得=48万円-42万円=6万円一括受取する場合には?受取期間が決まっている確定年金は、一括して受け取ることができます。保証期間付終身年金でも、保証期間の年金を一括して受け取れます。確定年金確定年金を一括して受け取ると、一時所得となります。一時所得とは臨時の収入で、生命保険の満期金のほか、懸賞の当選金やギャンブルの払戻金などが該当します。一時所得=支払いを受けた金額-払い込んだ保険料の合計額-50万円上記の式で算出した金額のうち2分の1が課税の対象になります。保証期間付終身年金保証期間内の年金を一括受取しても、契約は消滅しません。保証期間経過後に被保険者が生存していれば、再び年金を受け取れるようになります。一括で受け取った年金は、雑所得となります。年金受給権に贈与税がかかることも!契約者(保険料を払った人)と受取人が異なるときには注意が必要です。[adsense_middle]贈与税とは無償で財産を譲り受けたときに、譲り受けた人にかかる税金です。1年間に贈与で取得した財産の合計額から、基礎控除額110万円を差し引きした金額に税率をかけて計算します。贈与税の税率は贈与を受けた金額に応じて変わり、10%~55%となっています。贈与税がかかるケース以下パターンでは、妻が年金受取開始時に夫から年金受給権の贈与を受けたことになるので、贈与税がかかります。なお、2年目以降受け取る年金は、通常どおり雑所得となります。当事者が亡くなったときはどうなる?契約者(保険料負担者)、被保険者、受取人が亡くなった際には、相続税が関係してくることもあります。年金をもらう前に亡くなったら?個人年金保険に加入した後、年金をもらう前に被保険者や契約者が亡くなったケースを考えてみましょう。被保険者の死亡年金をもらう前に被保険者が亡くなると契約は終了し、死亡給付金受取人が死亡給付金をもらえます。この死亡給付金には、パターン別に次の表のような税金がかかります。相続税は、亡くなった人(被相続人)が残した財産を取得した人にかかる税金で、財産全体の規模で課税の有無が分かれます。被相続人の残した財産が基礎控除額以下であれば、相続税はかかりません。相続税の基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数なお、相続税には生命保険金の非課税枠があり、個人年金保険の死亡給付金も対象になります。契約者の死亡契約者と被保険者が同一なら、上の表のとおりです。契約者と被保険者が別人なら契約は続くことになり、死亡時点で相続税がかかります。年金をもらっている期間に被保険者が亡くなったら?年金の種類によって、次のようになります。有期年金、保証期間経過後の年金、終身年金契約は終了するので、課税はありません。確定年金及び保証期間内の年金契約は継続し、継続受取人がその後に支払いを受けた年金は雑所得となります。契約者、被保険者、受取人が同一のケースでは、継続受取人に相続税がかかります。年金をもらっている期間に受取人が亡くなったら?継続受取人が引き続き年金を受け取る場合、毎年もらう年金は雑所得です。受取人の死亡時点の課税関係は、パターン別に次のようになります。契約者と受取人が同一妻の相続する年金受給権に相続税がかかります。契約者と継続受取人が同一子の死亡時点では税金は発生しません。契約者・受取人・継続受取人がすべて異なる残りの年金部分の年金受給権を夫から妻に贈与したものとみなされ、妻に贈与税が課されます。iDeCoでかかる税金との違いは?老後資金の積立には、iDeCoを活用することもできます。個人年金保険とiDeCoの税金の違いを知っておきましょう。[adsense_middle]老後資金の積立にはiDeCoの利用も可iDeCoとは個人型確定拠出年金のことです。20歳以上の人なら誰でも加入して掛金を積み立てることができ、60歳以降で年金を受け取れます。iDeCoで受取時にかかる税金iDeCoで年金・一時金を受け取った際にかかる税金の扱いは、個人年金保険とは異なります。年金で受け取る場合雑所得ですが、iDeCoでは公的年金控除が受けられます。一時金で受け取る場合iDeCoを一時金で受け取ると、退職所得となります。退職所得には勤務先から支給される退職金も含まれます。退職所得については退職所得控除という大きな控除があり、税負担が軽くなっています。贈与税や相続税は?iDeCoでは自分で積み立てた掛金を自分で受け取ることになるので、贈与税は発生しません。もしiDeCoに加入後に亡くなったら、遺族に死亡一時金が支払われます。この死亡一時金には相続税がかかります。個人年金保険の節税ポイント個人年金保険に加入するときには、節税対策もしておきましょう。以下、節税のポイントをまとめます。加入するときには税制適格特約付きのものにする生命保険料控除の中には次の3つがあり、それぞれ上限が4万円です。一般の生命保険料控除介護医療保険料控除個人年金保険料控除税制適格特約付きなら個人年金保険料控除で最大4万円の控除が受けられます。税制適格特約が付いていないものでも、一般の生命保険料控除が受けられます。ただし、他の生命保険にも入っている場合には、同一枠内なので控除額が少なくなることがあります。契約者と受取人を同じにする契約者と受取人が別人なら、贈与税と所得税の両方がかかってしまいます。贈与税は税率が高く、負担が大きくなりがちです。特に、夫婦で加入を考える際には、契約者と受取人を同じにしておきましょう。死亡給付金受取人を法定相続人にする年金をもらう前に被保険者が亡くなったときには、死亡給付金受取人が死亡給付金を受け取れます。この場合、被保険者と契約者が同一、死亡給付金受取人が法定相続人であれば、相続税の非課税枠(500万円×法定相続人の数)が使えるので節税になります。個人年金保険にかかる税金に関するまとめ個人年金保険を受け取ると、年金払いの場合には雑所得、一括払いの場合には一時所得となり、所得税・住民税がかかります。その他、契約当事者が亡くなった場合にも税金が発生することがあるので注意しておきましょう。老後資金の積立にはiDeCoという方法もあります。税制メリットが大きく個人年金保険との併用も可能なので、iDeCoについても検討してみるのがおすすめです。
2020年05月18日老後の生活費に不安を感じている人は多いのではないでしょうか?老後資金を積み立てる方法として、個人年金保険とiDeCo(イデコ)があります。本記事では、個人年金保険とiDeCoの違いについてご説明しますので、それぞれのメリット・デメリットを比較しながら、自分に合った老後資金の準備方法を考えましょう。個人年金保険とiDeCoを比較してみよう個人年金保険やiDeCoという言葉を聞いたことがあっても、詳しくは知らないという人もいると思います。まずは、両方の概要を知っておきましょう。個人年金保険の概要個人年金保険は民間の保険会社が取り扱っている貯蓄型保険で、老後資金の積み立てに利用できるものです。契約で設定した年金受取開始年齢になれば、払ってきた保険料を原資として、年金や一時金で支払いを受けられます。iDeCoの概要iDeCo(イデコ)とは「個人型確定拠出年金」のことです。iDeCoは商品名ではなく、制度の名称です。確定拠出年金は法律にもとづき2001年に開始した制度で、個人型と企業型の2種類があります。企業型確定拠出年金は、勤務先で制度が導入されているサラリーマンのみが加入できるものです。一方、iDeCoは20歳以上60歳未満の人なら基本的に誰でも加入できます。iDeCoの申し込み方法は?iDeCoを利用するには、「運営管理機関」と呼ばれる金融機関(銀行、証券会社、保険会社)で申し込みが必要です。申し込みの際には、金融機関で用意されている商品(定期預金、投資信託、保険商品など)から自分で複数の商品を選びます。iDeCoの受取時期・受取金額は?iDeCoは老後資金を積み立てるための制度なので、60歳以降でなければ受け取れないという制限があります。受け取れる金額は、自分が選んだ商品の運用結果によって変わります。共通のメリットは所得控除が受けられることお金を貯めるだけなら、通常の預貯金でもいいはずです。しかし、個人年金保険とiDeCoには、通常の預貯金にはない節税効果があります。所得税・住民税は所得控除で安くなる所得税・住民税は所得を基準に計算するので、所得が多ければ税金が高くなります。ただし、所得からは各種の所得控除を差し引きできるので、所得控除が増えるほど税金を抑えられます。個人年金保険(税制適格特約付きのもの)またはiDeCoに加入していれば、いずれも所得控除が受けられます。老後資金を積み立てるなら、通常の預貯金よりも個人年金保険やiDeCoを利用した方がお得です。個人年金保険で受けられるのは「個人年金保険料控除」税制適格特約の付いた個人年金保険に加入している場合には、所得控除の中の「生命保険料控除」が受けられます。生命保険料控除は3種類に分かれていますが、通常はそのうちの「個人年金保険料控除」の対象となります。なお、個人年金保険料控除で受けられる控除金額の上限は4万円です。iDeCoで受けられるのは「小規模企業共済掛金控除」iDeCoの掛金を払っている場合には、所得控除のうちの「小規模企業共済掛金控除」が受けられます。年間に払った掛金の全額が控除の対象となります。個人年金保険とiDeCoの違い:個人年金保険のデメリット個人年金保険は保険会社と自由に契約できる商品なので、自分の希望に合わせて内容を決めやすくなっています。一方、iDeCoは国の制度として大きな優遇がありますが、その分制限も多くなります。両者をデメリットの面から比較してみます。[adsense_middle]個人年金保険のデメリット①控除額に上限がある個人年金保険で払った保険料は、所得控除できる金額に上限があります。年間保険料払込額が2万円以下であれば全額控除の対象になりますが、2万円を超えていれば一部しか控除の対象になりません。所得控除による節税効果はiDeCoの方が大きくなります。個人年金保険のデメリット②自分で年金受取額を増やせない個人年金保険ではお金の運用は保険会社に任せることになるため、自分で年金受取額を増やせません。将来の年金受取額が確定している確定型の商品は、低金利の現在はメリットが少なくなっています。iDeCoでは元本確保型の商品(定期預金、保険)以外に、投資信託も選べます。投資信託にはリスクもありますが、運用の成果によってはリターンが大きくなり、年金受取額を増やせる可能性があります。個人年金保険のデメリット③途中解約すれば元本割れしてしまう個人年金保険を途中解約した場合、元本割れしてしまうケースが多くなります。柔軟性がある反面、最後まで保険料を払い続けることができなければ結局は損してしまいかねないというデメリットがあります。個人年金保険とiDeCoの違い:iDeCoのデメリット続いて、iDeCoのデメリットを見ていきましょう。iDeCoのデメリット①原則として途中解約ができないiDeCoは原則として途中解約ができません。60歳を過ぎないと引き出せないので、急にお金が必要になったときに困ることがあります。iDeCoのデメリット②掛金に上限額があるiDeCoでは掛金が全額所得控除になるメリットがある代わりに、掛金の金額に上限が設けられています。iDeCoの毎月の掛金上限額は、職業などによって変わります。(1) 第1号被保険者(自営業者・個人事業主)月額6万8,000円が上限になります。ただし、国民年金基金または国民年金の付加年金にも加入している場合には、両方を合わせての上限額になります。(2) 第2号被保険者(会社員・公務員)第2号被保険者の掛金上限額は、勤務先での企業年金の加入状況等によって異なり、次の表のようになります。なお、企業年金にはDB(確定給付年金)とDC(確定拠出年金)があり、どちらに加入しているかで区別されます。(3) 第3号被保険者(専業主婦)月額2万3,000円が上限になります。iDeCoのデメリット③受取期間が決まっているiDeCoでは60歳になるまでは年金を受け取ることができません。また、受け取るときには、5年以上20年以下の有期年金として受け取るか、70歳までに一時金として受け取るかのどちらかになります。いつでも好きなときに受け取れるわけではありません。個人年金保険の場合には、保険会社との契約により受取期間も柔軟に選べます。終身タイプの商品もあるので、一生涯年金をもらうことも可能です。iDeCoのデメリット④手数料が発生するiDeCoに加入すると、次の表のようなさまざまな手数料が発生します。元本確保型の商品だけで運用していると損してしまうことがありますので気を付けましょう。個人年金保険とiDeCoのどちらを選んだらいい?個人年金保険とiDeCoにはそれぞれメリット、デメリットがあります。どちらを選んだらよいかは、資産運用に対する考え方や年齢などによって変わってきます。[adsense_middle]年金を積極的に増やしたいなら保険会社が着実に運用してくれる個人年金保険と違い、iDeCoは自己責任で運用するものです。運用に失敗すれば元本割れしてしまうリスクもありますが、逆にお金が増える可能性もあります。通常、預貯金の利息や投資信託などの運用益には20.315%の税金がかかります。しかし、iDeCoでは利益に対する税金も非課税となっており、効率よく資産運用ができます。iDeCoでは手数料も発生するので、預貯金だけで運用すると損してしまうこともあります。投資を行って積極的に年金を増やしたい人は、iDeCoの方がおすすめです。50代以上で加入を考えるならiDeCoでは通算加入期間によって、年金受取が可能になる年齢が次のように決まっています。iDeCoで60歳から年金を受け取るには、10年以上の積立期間が必要です。50代の人でも加入のメリットがないわけではありませんが、60歳から年金をもらうことはできません。個人年金保険の場合には、保険料の一時払いも可能になっており、年金の受け取り開始年齢も契約で自由に設定できます。60代や70代で加入できる商品もあるので、高齢になってからの資金準備に活用できます。個人年金保険とiDeCoは併用できる個人年金保険とiDeCoの両方に加入することも可能です。所得控除の枠もそれぞれ別になるので、両方を併用すれば節税効果も大きくなります。たとえば、iDeCoだけで積み立てると、急にまとまった資金が必要になったときに引き出せず困ってしまうことがあります。途中解約もできる個人年金保険でも積み立てをしておくと、資産運用に柔軟性を持たせることができます。個人年金保険とiDeCoに関するまとめ個人年金保険やiDeCoには節税効果があるので、老後資金の積み立てに活用するのがおすすめです。できるだけ若いうちから積み立てを開始した方が確実に老後資金の準備はできますが、長期間保険料や掛金を払い続けなければならないこともしっかり認識しておく必要があります。加入するときにはデメリットも把握しておき、後で慌てることのないようにしましょう。
2020年05月11日個人年金保険に入っていれば、公的年金だけでは不足してしまう老後の生活費を補えます。その個人年金保険ですが、入っていると税金を抑えられる効果があるのをご存じでしょうか?本記事では、個人年金保険料控除の仕組みや条件について解説します。どういった個人年金保険に入ったらよいかを検討するときに参考にしていただければ幸いです。個人年金保険で税金が安くなる仕組み国税庁ホームページ新制度の控除額(所得税)2012年1月1日以降の契約(新契約)については、次の表を使います。国税庁ホームページ新旧双方に入っているケースではどうなる?新旧双方の個人年金保険があるときには、それぞれで控除額を計算して合計することができますが、上限は4万円とされています。この場合、新旧双方とも申告すればメリットがあるとは限りません。たとえば、以下のA、B2つの個人年金保険があると仮定して考えてみます。A(旧契約)→年間保険料:11万4,000円B(新契約)→年間保険料:5万2,000円(1) Aのみを申告Aは旧契約で年間保険料が10万円超ですから、控除額は5万円です。(2) Bのみを申告Bは新契約で年間保険料が5万2,000円ですから、控除額は3万3,000円です。(52,000×1/4)+20,000=33,000(3) AとBの両方を申告AとBの控除額を合計すると8万3,000円ですが、上限の4万円までしか控除が受けられません。(1)~(3)の結果からおわかりいただけるように、両方とも申告するより、Aのみを申告した方が控除額が大きくなります。具体的には、以下のように申告するのが得ということになります。旧保険料が6万円を超えるケース…旧のみ旧保険料が6万円以下のケース…新旧を合算控除を受けて税金を安くするには?税制適格特約付き個人年金保険に入っている場合には、個人年金保険料控除を適用して税金の申告をしましょう。忘れるとせっかくのメリットを享受できません。控除証明書はとっておく個人年金保険料控除は自動的に受けられるわけではなく、年末調整や確定申告の際に、控除証明書を添付して申告しなければなりません。控除証明書は、毎年10月頃保険会社から郵送されてくるので、捨てずにとっておきましょう。なお、うっかり証明書を捨ててしまった人や、紛失してしまった人は、保険会社に再発行を依頼できます。証明書には、発行時点までに払い込んだ保険料額と、12月末までに払い込むであろう予定金額の両方が印字されています。1月1日から12月31日までの間に払い込んだ保険料額を基準にするので、通常、払込予定額の方を申告に使います。勤務先で年末調整が受けられるなら給料をもらっている会社員などは11月から12月頃に勤務先から年末調整書類を渡されると思いますが、その中に「給与所得者の保険料控除申告書」があるはずです。控除証明書を見ながら「生命保険料控除」欄の「個人年金保険料」のところに記入し、勤務先に提出すればOKです。証明書の原本は申告書の裏に貼り付けて提出します。年末調整していない人は確定申告で自営業者、個人事業主、フリーランスなどは、確定申告で個人年金保険料控除を適用します。また、年末調整をするときに個人年金保険料控除の申告を忘れた会社員も、確定申告で控除を受けて税金を還付してもらえます。会社員が確定申告する際には、控除証明書のほかに源泉徴収票も必要です。確定申告書(A・B)の第二表の「生命保険料控除」欄に保険料額を記入し、第一表の「生命保険料控除」欄に控除額を記入します。国税局の確定申告書等作成コーナーを利用すれば、証明書を見ながら金額を入力するだけで、自動的に控除額を計算してくれます。確定申告書を窓口に持参または郵送で提出する場合には、証明書は添付書類台紙に貼り付けます。e-Taxを利用する場合には証明書は提出しなくてかまいませんが、手元に保管しておきましょう。個人年金保険料控除に関するまとめ個人年金保険には、老後の生活費を貯められるのみならず、税金の負担が軽くなるメリットがあります。税制適格特約が付いた個人年金保険に入っていれば、所得税・住民税が安くなるので少し得した気分になるはずです。老後資金を貯めるなら、できるだけお得な方法を考えましょう。
2020年04月18日いまや人生100年時代。健康で長生きしたいと思うと同時に、老後も安心した生活が成り立つのか不安がどうしてもつきまとう。「老後に2,000万円必要と言われても、退職金もアテにできそうもないので、将来が不安で……」そう語るのは専業主婦のA子さん(52・都内在住)もその1人だ。一人息子はすでに社会人になり独立。住宅ローンは完済のめどが立っているものの、夫(54)が管理職から外れる役職定年を目前にして、老後の生活が気になり始めた。「昨年6月、金融庁から報告書が出てからは『老後はそんなにお金が必要なのか』『どうやってお金をためたらいいのか』と、戸惑った人も多いでしょう。そもそも報告書は、総務省の家計調査がもとになっています。『高齢夫婦無職世帯』の毎月の赤字額は約5万円なので、年金で暮らす期間を30年とすると、約2,000万円資産の取り崩しが必要、とされていました。『老後に不足する額はライフスタイルなどによって大きく異なる』ともあり、2,000万円もかからない人もいれば、もっとかかる人もいます。一喜一憂しないことです」そう解説するのは『受給額が増える!書き込み式得する年金ドリル』(宝島社)の著者で、ファイナンシャルプランナーの井戸美枝さん。総務省家計調査(’18年)を見ると、高齢夫婦無職世帯の年金を含めた実収入は月額22万2,834円で、支出は26万4,707円。4万1,873円の不足だ。「ここでよく見ておきたいのは、実収入の大半を占めるものは年金収入であるところです。公的年金は会社員か自営業か、夫婦共働きかなど現役世代の働き方によって受け取る年金額にかなりの差が出てきます。一方で、年を重ねると食事の量が減って食費がかからなくなったり、行動範囲も自宅の周囲に限られて交際費などの支出が減ってきたりすることも考えられます。家計調査の支出ほど使わないという人もいるでしょう。住宅ローンを完済していない人、賃貸住まいの人は居住費がかかるので、収入が減る分、支出の負担が大きく感じられるでしょう。老後の生活費を把握するためには、受け取れる年金額を知っておくことが大切です」(井戸さん・以下同)まずは、年金に関して基礎からおさらいしよう。公的年金は職業などによって種類が異なり、自営業者やフリーランス、学生が加入する第1号、会社員や公務員は第2号、会社員や公務員の配偶者がいる妻(または夫)は第3号に分類される。20歳になると、全員が国民年金(老齢基礎年金)に加入する。会社員と公務員はさらに厚生年金(老齢厚生年金)にも加入するため、受け取る年金額は多くなる。国民年金は保険料が一律で、加入期間(保険料を納めている期間や保険料を免除されている期間)の長さに応じて支給額が決まるが、厚生年金は収入によって保険料が異なるため、支給額は加入期間と平均年収によって決まる。将来、年金がいくら受け取れるのかは日本年金機構から送られてくる「ねんきん定期便」で確認できる。年に1度の誕生月にははがきで、35歳、45歳、59歳の年には封書で届く。「最初に加入期間を見てみましょう。特に女性の場合、20歳で国民年金に加入したら第1号、就職して厚生年金に入ると第2号、結婚退職して夫の扶養家族になったら第3号と、立場が変わるたびに、加入する年金の種類が変わってきます。過去に会社員や公務員だった期間が1カ月でもあれば、この期間に応じた額の厚生年金が支給されるので、加入歴がきちんと反映されているかどうかご自身の職歴とあわせて必ず確認しましょう。また、50歳以上の人に届く『ねんきん定期便』には、現在の収入のまま、60歳まで保険料を支払った場合の年金見込み額が記載されています。この金額が65歳以降に受け取ることのできる年金額の目安になります」Aさんの夫は、20歳から国民年金を納めて、22歳から60歳まで厚生年金に加入。平均年収は500万円。65歳から受け取れる老齢基礎年金は年額78万円(月額6万5,000円)、老齢厚生年金は年額105万円(月額約8万7,500円)だ。一方のAさんは国民年金に未納の期間はなく(受取額が月額6万5,000円)、7年間会社員だった期間がある。老齢厚生年金は年額13万4,750円で月額1万1,230円。1カ月の年金収入は夫婦合わせて約22万8,000円となった。「概算した金額に不安があるという人は、積み立てをしたり、受給開始を先延ばしすることで受け取る年金を増やすことが可能です」「女性自身」2020年4月14日号 掲載
2020年04月08日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「年金制度改革」です。年金制度存続のために様々な案が出ています。令和2年の通常国会では、「年金制度改革関連法案」が閣議決定されました。少子高齢化により、このままの状態では、年金制度の存続が危ぶまれています。昨年も老後のお金の問題が大きくニュースになりましたよね。そこで、年金制度の様々な改正案がいま審議されていますが、その一つは、定年を延長して高齢者の働く期間を延ばし、老齢年金の受給開始を60~75歳まで幅をもたせるという案です。受給を先に延ばした人には、そのぶん受給額を増額するというもの。実際、いまの60代はとても若い。60歳以上の働く方々のうち8割が65歳以降も働きたいと答えています。また、働く高齢者の年金を減らすという案も出ています。もう一つ注目されているのは、厚生年金に加入できる人のハードルを下げるというもの。現状では、パート従業員やアルバイトは厚生年金ではなく、国民年金です。しかし、年金の加入と納付は国民の義務にもかかわらず、国民年金は未納者も多くいるので、厚生年金に一本化していこうという改革です。現在は、従業員501人以上の会社が加入要件でしたが、それを段階的に引き下げて、2024年には51人以上の規模の会社であれば厚生年金の対象にしようとしています。これにより新たに65万人、加入者が増えると試算されています。また、自分で掛け金や運用を決められる個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」に加入できる年齢も、20歳以上60歳未満から、65歳未満に変更します。昔は60歳定年で、定年後も年金だけで十分生活ができていました。しかし、高齢者は増えますし、寿命も延びますから、これからは自分でなんとかしなければいけない割合は増えていくと思います。100年時代の人生設計のプランを教えてもらいたいですよね。とくにお金に関する教育は、アメリカやヨーロッパのように、国が積極的にやってほしいと思います。何も知らないままでは、資産運用には怖くて手が出せませんし、失敗しても自己責任と突き放すのは問題なのではないでしょうか。これから何歳まで働くことになるのか。みなさんの将来に関わる問題なので、注目していてください。堀 潤ジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。『わたしは分断を許さない』(監督・撮影・編集・ナレーション)公開中。※『anan』2020年4月1日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2020年03月30日配偶者に先立たれ、【遺族年金】を受給しながら生活している親御様をお持ちの方で、特に遠方の故郷にお一人住まいの場合は何かと心配ですよね。働き盛り世代であれば尚更、お仕事の都合やご家庭の事情ですぐにご実家に通える方ばかりではないのではないでしょうか。このような場合、実は、お独り住まいの親御様にとっても、離れて暮らすお子さんにとっても、両方にとってメリットのある税法上の仕組みがあります。これは、遠方に離れて暮らす場合だけでなく、同居の親御様でも同じメリットがあります。また、必ずしも親だけでなく、結婚した子供が配偶者を亡くし【遺族年金】を受給している場合も考えられます。今回のテーマは「【遺族年金】をもらっている人を扶養家族にできる?」という内容です。遺族年金を受給している親族の方をお持ちの方は、是非今回のテーマをお読みいただき、今後の選択肢の一つとしていただければ幸いです。扶養家族になるとどうなる?ご親族の中で【遺族年金】を受給している方がいる場合、その方を扶養家族にするとどういう効果があるのでしょうか。別居している親族の中に、対象となる方がいる場合でも扶養家族にすることができるのでしょうか。冒頭で「メリットがある」と紹介しましたが、具体的にどのようなメリットがあるのか、以下簡単にまとめますね。①税法上のメリット【遺族年金】を受給している方と、扶養家族として迎え入れる方が、どちらもそれぞれの条件を満たせば、扶養親族の控除が発生します(これを扶養控除と言います)。つまり、該当する家族を扶養に入れたことで、その世帯主の住民税や所得税が安くなるということですね。なお、メリットを受けるのは【遺族年金】をもらっている方ではなく、その方を迎え入れる方です。【遺族年金】を受給している方は、特にメリットもデメリットもありません。②健康保険上のメリット扶養家族になることによる健康保険上のメリットは、【遺族年金】を受けている方が受けることになります。簡単に言うと、おひとりであれば国民健康保険などの健康保険に加入して、ご自身で保険料を負担しなければいけませんが、どなたか家族の扶養家族になれば、【遺族年金】を受けている方は健康保険料を払わなくてよくなります。ただし、健康保険上のメリットは、家族の加入している健康保険が社会保険である場合に限られます。国民健康保険加入の家族の扶養家族になっても、結局ご自身で保険料負担することになるので、この場合は扶養家族になる意味がありません。国民健康保険と社会保険についての詳細は、この後の「健康保険上のメリット」の項目でまとめますね。税法上のメリット→【遺族年金】受給者を扶養家族として受け入れる側のメリット健康保険上のメリット→【遺族年金】受給者本人のメリット扶養家族の条件扶養家族(扶養親族)は、家族なら誰でもなれるわけではありません。以下のいくつかの項目に該当する必要があります。配偶者以外で、16歳以上の親族(血族なら6親等内、姻族なら3親等内)世帯主(納税義務者)と生計を一にしていること年間の合計所得が38万円以下であること(令和2年分から48万円に変更されます)事業専従者ではないこと事業専従者とは、親族が営む個人事業(白色申告)などで給与をもらって働いている人のこと。生計を一にする、とは年金などの社会保険制度の話をするときに、よく耳にするのが「生計を一にする」というキーワードです。基本的には同居している親族は生計を一にしている、とみなされます。別居の場合でも、常に生活費を仕送りしている等で、納税義務者の資金によって生活をしている状態を証明できれば「生計を一にしている」と判断され、扶養家族にすることができます。別居の親族を扶養家族に入れるには、実際に別居親族に対して銀行振込をした通帳のコピー等、何か証明できるものの提出を求められる場合もあります。遠方の親族に対する援助は、なるべく証拠の残る形でしておくと良いでしょう。遺族年金は非課税【遺族年金】は、基礎、厚生いずれであっても全額非課税です。【遺族年金】以外に収入または他の年金収入がある場合は、【遺族年金】以外の部分について課税対象となりますが、【遺族年金】のみが収入源である場合は収入がないとみなされます。補足・遺族年金は確定申告不要【遺族年金】と【障害年金】が非課税であるということは、これらの年金だけが収入源である場合は確定申告は不要ということです。ただし、【遺族年金】以外に収入がある等の場合は、【遺族年金】以外の収入に対して確定申告をしなければいけません。また、同じ年金であっても【老齢年金】に関しては、課税対象となります。税法上のメリット【遺族年金】を受給している方を扶養家族にすると、迎え入れた側にとって税法上のメリットがあります。《扶養控除》という控除が適用されるので、その分所得税や住民税が安くなるということになります。どなたが【遺族年金】を受給しているかによって、控除額が違います。それぞれのパターンに分けて見ていきましょう。[adsense_middle]父母・祖父母の場合【遺族年金】を受給していて、これから扶養家族に迎えようという方が父母、祖父母の内いずれかである場合、以下の額の控除が発生します。70歳以上の同居親族(父母・祖父母)である場合…58万円70歳以上の別居親族(父母・祖父母)である場合…48万円70歳に満たない親などの場合は、一般の扶養親族として一律38万円の控除額となります。子供や孫の場合【遺族年金】を受給している方が、納税義務のある方の子どもや孫である場合、その方を扶養親族にすると以下の控除が発生します。19歳以上23歳未満の場合…63万円(特定扶養親族控除)上記以外の年齢の16歳以降の人の場合…38万円(一般扶養親族控除)健康保険上のメリット健康保険上のメリットがあるのは、【遺族年金】を受給している人です。本来は何らかの健康保険に加入し、その保険料は自分で負担しなければなりませんよね。しかし、家族の健康保険に扶養親族として加入できると、この保険料を負担しなくてよくなります。親族の扶養に入ることで、【遺族年金】を受給している人が被扶養者となり、本人名義の保険証から、被扶養者としての家族保険証に変わります。つまり、【遺族年金】受給者にとって健康保険料の負担の軽減になります。健康保険上の被扶養者に関するお尋ねは、加入している健康保険の団体(協会けんぽ等)のHPで確認するか、問い合わせ窓口に尋ねてみましょう。被扶養者の条件は以下の通りです。主に被保険者(健康保険の本人)の収入で暮らしている被保険者と同一世帯である年間収入が130万円以下で、被保険者の年収の半分以下別居の場合では、年収が被保険者の仕送り金額以下である健康保険の用語として、世帯主など、その健康保険に加入している本人を「被保険者」と呼び、その家族を「被扶養者」と呼びます。扶養に入れない場合もある先に紹介した《税法上のメリット》の場合における扶養親族の定義として、【遺族年金】と【障害年金】は非課税扱いなので収入に含まれません、とご紹介しましたよね。このことから、【遺族年金】や【障害年金】だけが収入源である場合、無収入であるとみなされてほとんどの方が税法上の扶養家族になることはできるということになります。一方、健康保険上の扶養親族の収入制限においては、【遺族年金】も【障害年金】も収入とみなされます。つまり、年金額によっては年収の上限に抵触してしまい、健康保険上の扶養親族にはなれない場合もあるということです。必ずしも、どちらのメリットも受けられるということでは無さそうです。事前に確認しておきましょう。税制上の扶養親族と、健康保険上の扶養親族は、必ずしも一致しないということ。国民健康保険の場合受け入れる側の被保険者本人が、自営業者などで「国民健康保険」に加入している場合、【遺族年金】を受給している親族を扶養親族にするメリットはほとんどありません。結局は、扶養親族になったとしても、その方の分の保険料も発生しますので、生計を一にしている親族であったとしても、割引になったり、払わないで良いということにはなりません。健康保険上のメリットがあるのは、被保険者本人が社会保険に加入している場合だけであるということ。遺族年金受給者を扶養家族にする場合・まとめ【遺族年金】をもらっているご親族ということは、身近なご家族を亡くした方ということです。メリット、デメリットではなく、同じ家族として励まし助け合って暮らしていくのは当然の事ではありますよね。しかし、冒頭にも書きましたが、社会人になると仕事や家族のことなどで、特に遠方に住んでいる親族の場合、こまめに往来することもままならない場合もあると思います。今回取り上げたテーマでは、遠方で別居している場合でも扶養親族とすることもでき、受け入れる側も、扶養親族に入れてもらう側も、どちらにとってもメリットがあるということがお分かりいただけたかと思います。一見複雑に見えるので、あまり知られていない内容ではありますが、これは法の抜け道などではなく、正当に認められているルールです。もし本記事を読んで、該当するかもしれないと思った場合は、加入している健康保険実施団体にお問い合わせしてみてはいかがでしょうか。なお、税法上の控除に関しては、サラリーマンであれば年末調整の時期に申告することになります。家族として共に支えあっていく手段として、本記事の内容について、前向きに検討しても良いのではないかと思います。
2020年03月26日「新型コロナウイルス感染症が原因で世界同時株安が起きていますが、これで大きな影響を受けるのは日本の公的年金です。年金積立管理運用独立行政法人(GPIF)は、国家予算の約1.6倍にもあたる160兆円超の年金積立金を運用していますが、コロナショックで25兆円もの損失が発生したとみられます。年金財政の危機が訪れているんです」こう警鐘を鳴らすのは、野村投信の元ファンドマネージャーで『202X 金融資産消滅』の著書もある近藤駿介さんだ。GPIFが運用している積立金は、現役世代が支払う年金保険料、国庫(税金)と並ぶ、年金資金の3本柱の一つ。“年金博士”で知られる社会保険労務士の北村庄吾さんが詳しく解説してくれた。「年金受給者へ支払う年金のほとんどは現役世代の保険料と税金でまかなわれてきました。現役世代が多く税収も右肩上がりだったバブル時代などは、支払いに必要な額を超えて資金が集まることもあり、そのときにためたお金が、いまの積立金のもとになっています」年金財源の一つである積立金はリスクの低い国内債券を中心に運用するのがセオリーだ。しかし、安倍政権は’14年10月、国内債券の割合を60%から35%に減らし、リスクの高い国内・外国株式の割合を24%から50%へと倍増させた。「積立金は年金の大切な財源です。ギャンブルのような運用方法でいいのでしょうか。諸外国を見渡しても、年金の運用はリスクの低い債券が中心で、ここまで株式で運用している国を、日本以外で私は知りません」(北村さん)ギャンブル運用のツケをGPIFはいままでに何回か支払っている。’15年度は中国の景気後退で約5兆3,000億円、’18年度には米中貿易戦争や欧州政治の混乱により、たった3カ月で約14兆8,000億円の含み損を出しているのだ。年金を支える3本柱の1本を失った将来、わたしたちの老後のお金はどうなるのか。埼玉学園大学経済経営学部教授の相沢幸悦さんは次のように指摘する。「昨年の財政検証では、積立金の枯渇で所得代替率が38%程度になるだろうと試算されています」所得代替率は現役男子の平均手取り額と比べて、夫婦2人の年金給付額がどれくらいかを割合で表したもの。いまの現役男子の平均手取り額は35万7,000円で、所得代替率は61.7%なので、モデル世帯の年金給付額は約22万円だ。「物価の推移を考慮せずに、現役男子の平均手取り額を現在と一緒の額で計算した場合、所得代替率が38%になる月の年金は約13万5,000円。現状から約4割も減少してしまうんです」(相沢さん)政府はこうした事態を避けるべく、あらゆる方策を取って積立金の延命をさせるだろうと、専門家たちは口をそろえる。「現役世代が支払う厚生年金の保険料は最大、給与の18.3%ですが、水準が引き上がる可能性はあります。消費税も10%から20%に引き上げると、試算では20兆円の税収を得られるので、段階的な消費増税も考えられるでしょう」(相沢さん)前出の北村さんは、’15年度に8兆円の含み損が出た際、安倍首相が衆議院予算委員会で『給付に耐える状況にない場合は、給付で調整するしかない』と答弁したことを引用して次のように話す。「直近で考えられるのは、今年秋に予定される年金改正で、受給開始年齢を67〜68歳くらいに引き上げる方針を打ち出すことです。いずれは受給開始を70歳とし、75歳まで繰り下げ可能にすることを見越しているのでしょう」コロナショックはギャンブル運用が招く年金財政崩壊の時期を早めたようだ。「女性自身」2020年4月7日号 掲載
2020年03月26日終息の気配が見えない新型コロナ騒動は、私たちの健康どころか経済も蝕み、世界は同時株安に。これにより、株式投資で運用されている年金資金は大損失を被ったというーー。「新型コロナウイルス感染症が原因で世界同時株安が起きていますが、これで大きな影響を受けるのは日本の公的年金です。年金積立管理運用独立行政法人(GPIF)は、国家予算の約1.6倍にもあたる160兆円超の年金積立金を運用していますが、コロナショックで25兆円もの損失が発生したとみられます。年金財政の危機が訪れているんです」こう警鐘を鳴らすのは、野村投信の元ファンドマネージャーで『202X 金融資産消滅』の著書もある近藤駿介さんだ。GPIFが運用している積立金は、現役世代が支払う年金保険料、国庫(税金)と並ぶ、年金資金の3本柱の一つ。“年金博士”で知られる社会保険労務士の北村庄吾さんが詳しく解説してくれた。「年金受給者へ支払う年金のほとんどは現役世代の保険料と税金でまかなわれてきました。現役世代が多く税収も右肩上がりだったバブル時代などは、支払いに必要な額を超えて資金が集まることもあり、そのときにためたお金が、いまの積立金のもとになっています」年金財源の一つである積立金はリスクの低い国内債券を中心に運用するのがセオリーだ。しかし、安倍政権は’14年10月、国内債券の割合を60%から35%に減らし、リスクの高い国内・外国株式の割合を24%から50%へと倍増させた。「積立金は年金の大切な財源です。ギャンブルのような運用方法でいいのでしょうか。諸外国を見渡しても、年金の運用はリスクの低い債券が中心で、ここまで株式で運用している国を、日本以外で私は知りません」(北村さん)ギャンブル運用のツケをGPIFはいままでに何回か支払っている。’15年度は中国の景気後退で約5兆3,000億円、’18年度には米中貿易戦争や欧州政治の混乱により、たった3カ月で約14兆8,000億円の含み損を出しているのだ。前出の近藤さんも積立金が株式中心で運用される現状を憂慮する。「GPIFが公表している昨年末時点の保有資産や投資先の情報などをもとに、株価の下落率から“コロナショック”による損失を試算したところ、その額は過去最大の、25兆円を超えていました。『株価はいずれ上がるから一喜一憂せず、長い目で見るべきだ』という楽観的な意見もあるかもしれません。しかし、積立金を長期的に運用できるほど、いまの年金財政にゆとりはないんです」近藤さんの言うとおり、少子高齢化が原因で現状は、高齢者1人をたった2.2人の現役世代で支えている。今後、保険料や税収で年金資金をまかなえなくなれば、積立金を取り崩すしかない。「景気が悪くなると、企業の業績や給与が下がるので、連動して税収や保険料も減ります。昨年10〜12月のGDPは前の7〜9月と比べてマイナス7.1%。すでに積立金の取り崩しが始まりそうな兆しはあったんです。そこに今回のコロナショックが追い打ちをかけた。早ければ’20年度中にも、積立金の本格的な取り崩しが行われるとみられています。株価が回復して損失を取り戻す前に、取り崩しが始まってもおかしくないんです」(近藤さん)一度、取り崩しが始まれば積立金は増えにくくなる。「毎年支払われる年金の総額は50〜55兆円で、積立金からは3〜6兆円が捻出されるだろうと考えられていますが、先行き不透明の状態で、大量の現金を調達するために株を売れば、株安を誘発します。そうすれば積立金で運用している株の評価額は下がり、ますます含み損が膨れあがる。株安で企業の業績が悪化して給与も下がり保険料収入や税収が減少すれば、より多くの積立金を取り崩す事態にもなります。負の連鎖が始まってしまうんです。本格的な取り崩しが始まれば、20〜30年後には積立金は枯渇してしまうでしょう」(近藤さん)「女性自身」2020年4月7日号 掲載
2020年03月26日【遺族年金】とは、共に家族として過ごしていた方が亡くなったことによって、その後もなるべく生活が困らないように、最低限の生活費としてもらえるお金です。家族の逝去で生活に困る状況があったとしても、所定の要件に当てはまらなければ【遺族年金】は支給されません。また、当初はもらえていても途中で打ち切りになる場合もあります。今回のテーマは、【遺族年金】がいつからいつまでもらえるのか、という内容と【遺族年金】をもらえるための資格などについてです。少し難しいテーマに感じるかもしれませんが、なるべくわかりやすくまとめていきますので、どうぞ最後までお付き合いくださいね。受給資格【遺族年金】をもらうことができる資格は、故人が生前加入していた年金が【国民年金】か【厚生年金】のどちらだったかによって、その条件が違います。さらに、もらう人の条件もあります。各年金ごとに以下、まとめていきますね。【遺族年金】をご遺族がしっかりもらえる大前提として、故人の生前の年金加入状況が非常に大事なポイント。しっかり加入して保険料を払っていることは重要です。厚生年金に関しては、給与天引きなので未納や滞納はほとんどないと考えられますが、自営業やパート、アルバイトの方は、ご自身のためにもご家族のためにも、今一度加入状況を把握して、未納や滞納がある場合は可能な限りさかのぼって支払いましょうね。なお、やむを得ない事情から納付猶予や免除の申請をして認められている方は、その期間は加入期間とみなされますのでご安心ください。遺族基礎年金【遺族基礎年金】は、故人が自営業者でも、会社員・公務員などの給与所得者であっても、条件に当てはまりさえすれば支給されます。【基礎年金】とは、【国民年金】加入者がもらう年金のことです。【国民年金】は誰もが加入しなければならない年金ですから、どなたも対象となる、ということですね。さて、【遺族基礎年金】の受給の対象ですが、「子」または「子のある配偶者」です。年金の範囲では、子どもの定義として18歳に到達した年度末までのお子さんを指します。(または20歳までの子供で、障害等級1または2を受けている場合)つまり、配偶者が【遺族基礎年金】をもらうにあたって、例えば、同居している19歳や20歳の大学生のお子さんでは対象とならないことになります。お子さんが対象とならないということは、「子のある配偶者」には当たらないとみなされます。ご夫婦の間にお子さんがいない場合や、お子さんがいても18歳以上のお子さんで、制度上の子供の定義から外れている場合には、【遺族基礎年金】はもらえません。この後で詳しくまとめますが、故人の逝去当時にはお子さんがまだ幼く【遺族基礎年金】をもらえていた場合でも、前述したようにお子さんが18歳になった年度末を迎えた等の理由から、途中で年金が打ち切りになることもあります。寡婦年金について【遺族年金】以外にも、ご遺族の生活を守る制度として【寡婦年金】という制度があります。主に自営業者など、国民年金だけに加入していた方の妻が対象です。なお、この制度は妻のみが対象で、妻が60歳から65歳の間にもらえる有期の補償です。以下の要件に該当すれば【寡婦年金】を受け取ることができる場合があります。婚姻期間は重要なポイントです。第1号被保険者として10年以上加入していた夫と、10年以上婚姻関係にあった妻夫が【老齢基礎年金】を受けておらず、【障害基礎年金】の対象でもない場合5年以内に請求した場合遺族厚生年金【遺族厚生年金】とは、生前故人が【老齢厚生年金】として受け取るはずだった報酬比例部分の年金額に対して、約3/4の額程度を、対象のご遺族に年金として支給するものです。【厚生年金】とは、会社員などの給与所得者や、以前は【共済年金】の対象であった公務員(警察官、自衛隊なども含む)が加入している年金です。いわゆる「二階建ての年金」の二階部分が、この【厚生年金】にあたります。(一階部分は【基礎年金】)【遺族厚生年金】の対象となるのは、子、妻、55歳以上の夫、親、祖父母など、【遺族基礎年金】と違って対象が広く設定されています。もちろん、この全員がもらえるわけではなく、もらえる順位が高い方が優先される決まりです。優先順位の高い方から、子、妻、55歳以上の夫です。子どもは、絶対的に最優先で【遺族年金】をもらう権利があります。夫が【遺族厚生年金】をもらうには夫が【遺族厚生年金】をもらうには、少々ハードルが高い印象です。以前は【遺族年金】の対象は妻に限られていましたので、夫まで範囲が広がったことは良いことですが、妻が死亡時に夫が55歳以上の場合に限り、60歳以降から【遺族厚生年金】をもらえる仕組みになっています。近年、家族スタイルの多様化から、専業主婦だけでなく専業主夫の方も増えてきました。例えば妻が一家を担う収入を得ていて、夫が専業主夫である場合、夫が55歳以上でなければ【遺族年金】としての補償がないということです。ただし、子どもがいれば、子どもに対する【遺族補償】はありますので、ご安心くださいね。社会保険からもらえるお金【厚生年金】の対象であるということは、社会保険の加入者であるということですよね。【遺族補償】として、社会保険から何かもらえるお金がないか…とお思いの方もいらっしゃると思います。社会保険からもらえるお金としては「埋葬費」などの名目で約5万円前後が支給されます。加入している社会保険の団体によりますが、主に協会けんぽなどの場合は、もう少し上乗せされる場合もあります。詳しくは、加入している社会保険のHPや冊子などでご確認ください。その際に、万が一の際の手続きの流れや連絡先についても、併せて確認しておくと良いでしょう。受給期間【遺族年金】がいつからもらえて、いつまでもらうことができるのかは、非常に気になるポイントではないでしょうか。簡単に言えば「対象となった時から、対象ではなくなった時まで」もらうことができるのですが、この要件がそれぞれの場合で色々ありますので、ここから分けて見ていきましょう。[adsense_middle]①いつからもらえる?いつからもらえる?というと、前述した受給資格に該当した時からもらえます。ちなみに、故人がお亡くなりになった後、【遺族年金】の受給申請の手続きがすべて終わって、実際に第一回目の振り込みがあるまでに、一般的に3~4カ月かかります。実際にもらえる時期としては「申請手続きをしてから3~4か月後」を目安にしておきましょう。当然、申請時期が遅れれば、その分もらえる時期も遅くなりますので、可能な限りなるべく早く手続きをしておくと良いでしょう。②いつまでもらえる?基本的に【遺族年金】は、配偶者の場合は一生もらうことができます。ただし、新たなパートナーと再婚した場合など、もらえない場合の一定の条件を満たすと打ち切りとなります。支給期間に上限がある場合も基本的に、配偶者の場合は一生もらえますよ、と書きましたが、一部の配偶者の場合は受け取る期間に上限があります。夫が亡くなった時に、子どものいない30歳未満の妻の場合、上限5年までで【遺族厚生年金】は打ち切りです。お子さんがいない場合は一律【遺族基礎年金】はもらえませんので、会社員や公務員の30歳未満の妻で、お子さんがいない場合は、【遺族厚生年金】がもらえる期間である5年経過後は何の補償もない状態になります。この場合、民間の生命保険に加入するなどして、妻に対して予め遺族補償を補完しておくと安心ですね。【補足】異なる2つの年金が発生したら先に何らかの【遺族年金】を受給していて、ご本人が高齢者になってから【老齢年金】をもらうようになったら、この2つの年金はどうなるのでしょうか。一般的に、一人一年金制度を導入していますので、国民一人に対してもらえる年金は1種類のみです。同じ種類の年金で【基礎】と【厚生】をもらうことはできます。ここで問題となるのは、【障害】と【老齢】と【遺族】の3種類のうち同時に発生した場合は、基本的にはどちらを受け取るかを選ばなければなりません。つまり、場合によっては今もらっている【遺族年金】がもらえなくなる場合があるということです。どちらかを選択する場合は、あらかじめ年金事務所などにご相談ください。ただし、以下の3つの組み合わせだけは、例外的に一緒にもらうことができます。【老齢基礎年金】+【遺族厚生年金】【障害基礎年金】+【遺族厚生年金】【障害基礎年金】+【老齢厚生年金】遺族年金の受給期間はいつまでかに関するまとめ【遺族年金】は【老齢年金】と違って、ある一定の年齢に達したら全員がもらうというものではありません。一緒に暮らしていたご家族が亡くなり、その他の条件に該当した人だけが受け取ることのできるお金なので、【老齢年金】ほどは遺族年金制度について浸透していない部分も多い印象です。特に、子どもがいない自営業者等の夫婦の場合、受給期間以前に「何も遺族補償がない」ので、前もって対策をしておくことが必要でしょう。また、会社員等の配偶者で、子どもがいない30歳未満の妻の場合も5年の有期補償となりますから、その後に備えた対策も必要となってきます。当初はもらえていた【遺族年金】も、お子さんが18歳を超えた場合などは途中で打ち切りになる場合もありますから、受給期間や受給資格は予めしっかり確認・把握しておき、足りないと感じる部分に関しては、民間の生命保険や金融資産で備えておくと安心ですね。
2020年03月24日年金というワードを聞くと、どうしても退職後のシニア層がもらう【老齢年金】のイメージがありますよね。実際は「年金」と一口に言っても3種類あります。【老齢年金】の他に【障害年金】【遺族年金】です。あとの2つは、特にシニアにならなくても条件に当てはまればもらい始めることになります。この3種類について、それぞれ【基礎年金】【厚生年金】がありますから、細かく言うと全6種類の年金があります。今回のテーマは、親御様が逝去され、お子様が遺族になった場合どうなるか?という内容です。お子様をお持ちの全ての方、必見です。子供の受給資格(年齢・所得)もらう年金が【国民年金(基礎年金)】または【厚生年金】のいずれであっても、子供が年金をもらうための受給資格(前提条件)は共通です。主に年齢制限、所得の制限があります。それぞれ分けて見ていきましょう。年齢要件親からすると、子供はいくつになっても子供ですよね。それは間違いないのですが【遺族年金】の制度上での子供とは、18歳に到達した年度末まで、とされています。簡単な覚え方として、高校卒業相当の年齢だと覚えればよいでしょう。もうひとつの条件は、障害等級1級または2級を受けている20歳未満の子、です。こちらもあわせて覚えておきましょう。所得要件子供の収入を証明する、とは少し不思議に思われるかもしれません。【遺族年金】をもらうためには、対象となる遺族に高額の収入がある人が居ないか、受給の手続きの時に所得を証明するものを提出する決まりになっています。小学生、中学生の義務教育より下のお子さんに関しては所得証明は不要です。高校生は、学生証の控えなどが提出義務のある書類です。義務教育後、お勤めをしている子供さんに関しては、他に提出する住民票などにマイナンバーの記載があれば所得の証明は不要ですが、マイナンバーの記載や控えがない場合は別途所得証明書などが必要です。【遺族年金】の対象者(主に、配偶者や子)の年収は850万円以下でないと【遺族年金】はもらえません。対象者には一定の所得制限があるという事です。たとえ子供が【遺族年金】の対象となる場合でも、必ず年収の証明は提出する仕組みになっています。補足・支給額の目安子供が【遺族年金】をもらう場合、その支給額は【遺族基礎年金】では一律の額が決まっています。基本額として年額780,100円(2019年度の満額・ほぼ毎年変わります)子ども一人あたりの加算額は年額224,500円(子供2人までは、一人当たりこの加算額)子供が3人の場合、基本額+年額299,300万円子供が4人以上の場合は、3人の場合の合計額に、一人当たり74,800円を加える一方【遺族厚生年金】は、生前の報酬に比例して年金額が変動するため、目安となる一律の年金額を自力で割り出すのは困難です。平均標準報酬額などを用いた複雑な計算式になる為、ご自身で計算するのではなく、年金の加入期間や直近の月収などを用いて、簡易的に計算してくれる無料のシミュレーションを活用することをおすすめします。また、シミュレーションではなくても、だいたいの年収や年齢から簡単な早見表として公表しているサイトもあります。概算として知っておく分にはこれらの活用で十分かと思います。親の条件子供が受け取る為の条件についてここまで解説しましたが、いくら子供だけが条件を満たしていても、遺す側の親が条件を満たしていなければ【遺族年金】が子供に届きません。万が一のことがあった場合、子供に然るべき【遺族年金】を残すためには、親はどんな条件を満たせば良いのでしょうか。夫、妻、それぞれが亡くなった場合に分けて解説します。保険料の未納などが無く、所定の期間を納付済みであることは【遺族年金】がきちんと遺族に支払われる大前提です。払っていないのに遺すことは出来ません。夫が死亡した場合(受取人・妻と子供)親のうち、夫が死亡した場合、遺族は子供と妻です。夫によって生計を維持されていた妻と子であれば良いので、亡き夫が自営業者であれば【遺族基礎年金】、会社員・公務員等であれば【遺族厚生年金】がその対象となります。この場合はもう少し詳細の要件があるので、追記します。会社員等の場合【遺族厚生年金】の場合は、単に夫が死亡するだけでなく「被保険者期間中の傷病がもとで、初心から5年以内に死亡した時」「1級または2級の障害厚生年金を受けられる者が亡くなった時」という条件もあります。妻が死亡した場合(受取人・夫と子供)妻が死亡して、夫と子供が【遺族年金】の対象となった場合も、子供がもらえる年金に関しては「夫が死亡して妻と子が対象となった場合」と変わりありません。親にも【遺族年金】の受給権がある場合は、子供の分と一緒に振り込まれます。補足・夫の【遺族厚生年金】についてどんな状況であっても、子供は【遺族年金】の第一の権利者です。年齢制限と所得制限に引っ掛からなければ、必ず受け取ることが出来ます。さらに、妻が遺族になった場合も比較的もらえる確率が高いです。会社員等の妻であれば、お子さんがいなくても少なくとも【遺族厚生年金】は受け取ることが出来ます。一方、夫が遺族となった場合は、かなりハードルが高く感じます。特に【遺族厚生年金】は「妻が死亡したときに夫が55歳以上である場合に、夫が60歳以降になると【遺族厚生年金】が支給される」という条件があります。例えば会社員の妻が亡くなった場合、第一の権利者である子供は【遺族基礎年金】【遺族厚生年金】のどちらももらえますが、この時に夫が55歳以下であれば【遺族厚生年金】をもらうことは出来ません。ただし、【遺族基礎年金】における「子のある配偶者」に該当することから、子供が18歳以上になるまでは、夫も【遺族基礎年金】のみもらうことが出来ます。近年「配偶者」の定義に夫も含まれるようにはなりましたが、現行制度ではまだ妻(母親)の方が優遇されている感じがします。配偶者のない親の場合(遺族が子供のみ)なんらかの理由で配偶者のない親は、全国の内で、母子家庭で123.8万世帯、父子家庭で22.3万世帯とのこと。統計によると、どちらも年々増えています。子供にとって、たった一人の親が亡くなったら…と考えると胸が痛みますが、これも大切な話なのでしっかり解説していきます。とにかく子供は守られる存在母子家庭でも父子家庭でも、唯一の親が亡くなってしまい、遺族が子供のみになった場合、生前に親がかけていた年金から【遺族年金】がもらえます。一般的に、父子家庭の父親の場合は正規雇用で働いている場合が多いので、【遺族基礎年金】【遺族厚生年金】のどちらからも子供に対して支給されます。一方で母子家庭の場合、母親が非正規パートなどの場合が多く、そうなると国民年金にのみ加入していることになり、子供には【遺族基礎年金】のみが支給されます。また、これは母子・父子ともに危惧される点ですが、お子さんを抱えておひとりでの家事も育児もなさっているとなると、多忙故に国民年金保険料の納付を忘れていることもあるかもしれません。(会社員で厚生年金を給与天引きされている方は、この限りではありません)繰り返しになりますが、子供に【遺族年金】が支払われる大前提として「親がきちんと年金保険料を納付していること」があります。未納の分は遡って納付できる期限も決まっていますので、もし未納がある場合はお早めに納付しましょう。病気があって働けなかったり、低収入で家計が苦しいなどのやむを得ない理由で年金保険料が払えない場合は、納付猶予や免除の申請をしましょう。きちんと申請をして猶予や免除の許可があれば、何も言わずに納付していない未納とは違いますので、しっかりと年金の加入期間には含まれます。理由があって納付できない場合には放置せず、年金事務所などに相談しましょう。[adsense_middle]もらえる期間子供が【遺族年金】をもらえる対象の間は、もらい続けることが出来ます。一般的には以下のような理由から対象ではなくなれば、そこで打ち切りです。18歳に到達した年度末を迎えて、制度上の「子」ではなくなった場合(年齢制限)勤労した収入が850万円を超え、さらに5年以上継続すると見込まれる場合(年収制限)親が再婚し、子供が新しい親と養子縁組をしたら「遺族基礎年金」は打ち切り子供がもらえる遺族年金・まとめ【遺族年金制度】では、子供は絶対的に優先して【遺族年金】をもらうことが出来る権利を持っています。特に義務教育のお子さんは働くことが出来ません。生計維持関係にある親が居なくなってしまうと、生きていくこともできませんから、生活費としての【遺族年金】はとても大切なお金です。そのことから、子供自身の受給要件(年齢要件と所得制限)は厳しくありません。親がきちんと年金保険料を納付していれば、子供は必ずもらえるシステムになっています。唯一の注意点といえば、年齢要件です。子供が18歳になると、基礎・厚生いずれの年金も一律打ち切りとなりますので、その後大学や専門学校への進学を希望する際の学費等の準備は予め必要であると言えます。対策として、例えば子供と生計維持関係にある親を保険契約者とした学資保険に加入する方法があります。契約者である親が亡くなったらその後の保険料の払い込みは免除となりますが、学資保険加入時に設定した保険期間満了まで保険は継続し、さらに満期金や節目の成長祝い金のような給付金もきちんと支払われます。【遺族年金】は子供に必ず届くようになっていますが、それでも足りない場合を予め防ぐために、少額でもよいので学資保険を始めとして生命保険などで備えておくことをお勧めします。
2020年03月19日ついに3,000日に達する長期政権となった安倍政権。われわれの生活はどう変わったのか。“アベノミクス”を打ち出した第2次政権下の変化を数字で追ったーー。「財務省が’20年度の『国民負担率』を公表しましたが、過去最高の44.6%となる見通し。これは昨年10月に消費税が10%に引き上げられたことが大きな要因です。国民負担率とは、税金と、年金や健康保険などの社会保険料が所得に占める割合のこと。負担率が上がれば、使えるお金が減ることになります。実は、’12年12月に第2次安倍政権が発足して以降、国民負担率は上がり続けています」そう語るのは「暮らしと経済研究室」主宰の山家悠紀夫さんだ。’12年には39.7%だった国民負担率は、’20年には44.6%に。なんと12%も増えたことになる。実際に、税金と社会保険料を引いた後の手取りである“可処分所得”を「生活マネー相談室」家計コンサルタントの八ツ井慶子さんに試算してもらうと……。「年々、可処分所得は減っています。いま年収500万円の人は、’12年に同じ年収をもらっていた人に比べて、自由に使えるお金が年3万3,000円も減っているのです」苦しいのは現役世代だけではない。厚生年金の平均支給額も’12年と比べて月5,500円も減っている、一方、食品の物価は11.4%上昇した。■年金(※「日本年金機構の主要統計」と「2015年基準消費者物価指数」より。厚生年金保険〈第1号〉受給者の平均年金月額〈国民年金額を含む〉)【厚生年金の平均月額】’12年:15万1,374円→’19年:14万5,895円(※2019年9月の数字)【消費者物価指数(食品)】’12年:93.6%→’19年:104.3%「安倍政権のもと、年金の支給額上昇を抑制する『マクロ経済スライド』が2度発動されました。今後も、物価や賃金が上昇しても、年金の支給額は抑えられることになります」安部首相が実績として誇ってきたのが株高だ。’12年には1万円以下に落ち込んでいた日経平均株価を2万円台まで上昇したのだが……。京都大学大学院教授の藤井聡さんはこう見ている。「日本の株式市場そのものが“粉飾決算”のようなものです。年金資金を運用しているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、’14年に国内株式の投資比率を12%から25%に引き上げました。また、日本銀行も政策で国内の株を大量に買っている。上昇した株価はいわば官製相場なのです」両者が国内株式に出資した金額は合計66兆円超で、その割合は2019年3月末時点で東証一部の時価総額の11.2%、その後も買い入れを進めてきた。現在の世界同時株安によって、日経平均株価は1万7,000円ほどに落ち込んだが、日銀やGPIFがどの程度の含み損を抱えているのか、今後どこまで拡大するのか、まだ不透明な状況だ。そもそも、株価が上がっても、日本は一向に経済成長をしていなかったという。「ある一定期間に国民全員がどれだけの価値を生み出したかを示すGDPの実質成長率は、安倍政権下では’13年こそ2.0%でしたが、その後は1%台と0%の年が交互に並ぶような低成長。他国と成長率を比べてみると、’12年でも成長率の順位は136位でしたが、’19年には172位まで落ち込みました」(山家さん)日本を除く多くの国がGDPを増やすなか、日本は長らく横ばいの状態が続いている。最大の原因は「2度の増税による国内消費の落ち込み」(藤井さん)だという。経済協力開発機構(OECD)加盟国に限っても、各国が平均賃金を’12年から5%程度、韓国に至っては13%伸ばしたなか、日本の賃金はまったく増えなかった。安倍政権は訪日外国人によるインバウンド消費を増やしたことを実績としてきたが……。「訪日外国人が増えたのは安倍政権の成果でもなく、海外の国々が順調に成長しているなか、取り残された日本が、相対的に“モノが安い”国になっただけ。しかも、内需をないがしろにして外需に頼ってきたつけが、新型コロナウイルスによる訪日外国人の激減で現れようとしています」(藤井さん)「女性自身」2020年3月24・31日合併号 掲載
2020年03月17日近年「イクメン」という言葉が一般化しつつあり、家事や育児に関して男女の差をなくし夫婦ともに協力しあう家族のスタイルが増えてきたそうです。これは、国が推進している働き方改革の影響もあり、お子さんの居る女性が正社員としてバリバリ働くことも珍しくありません。専業主婦だけでなく、専業主夫もどんどん増えているそうです。このことから、必ずしも一家の大黒柱が男性ではなく女性の場合もありますし、一本の大黒柱が、妻と夫の協力体制で守られているご家庭も多いと考えられれます。このような近年の家族スタイルの場合、配偶者が死亡したらどうなるのでしょうか?家計を支える主な収入のある方が妻だった場合、専業主夫の夫が遺族年金をもらうことは出来るのでしょうか?今回のテーマは、かなり身近に感じる方が多いかと思います。ポイントを絞って紹介しますので、最後までどうぞお付き合いください。受給要件今回のテーマで、特に気になるのは「私の場合はどうなの?」ということですよね。ご家庭ごとの働き方や、世帯を支える収入のある人は様々ですので、こまかくご紹介することは残念ながらできません。代わりに、亡くなった方が夫の場合と妻の場合、さらにそれぞれ「自営業」「会社員」の二つの場合に分けて概要をまとめますので、是非参考にされてくださいね。遺された配偶者の前提条件(共通)【遺族基礎年金】【遺族厚生年金】いずれにも共通する前提条件としては以下の項目です。年収850万円以上だと対象外(高収入の方はもらえない)。前年の収入が850万円を超えていても、概ね5年以内に雇用契約が終わる等、長期的に年収850万円超が続くわけではない場合は受給対象とみなされる。現行制度では【基礎年金】と【厚生年金】の2種類ですが、以前は公務員の方が加入する【共済年金】というものがありました。現在では【厚生年金】と統合されています。現在、公務員の方は【厚生年金】の箇所を参考にされてください。夫が死亡した場合【遺族年金】について考える前に、共働き世帯で夫が死亡した場合、特に子供がいる場合は妻の働き方を見直さなければいけないかもしれません。夫婦で分担していた家事や育児を全て妻が一人で担うとなると、これまで通りというわけにはいかなくなることもあるでしょう。また、お子さんの有無に関わらず、精神的なショックから体調を崩す方もいらっしゃるでしょう。配偶者が亡くなるということは、金銭的な面だけではなく様々な面に関して不安が出てくる方が多いのではないでしょうか。そのことも踏まえつつ、まずは夫が死亡した場合について見ていきます。ケース1:夫が自営業の場合夫が自営業である場合、加入している年金は【国民年金】です。【国民年金】の加入者が亡くなった場合は【遺族基礎年金】のみです。【遺族基礎年金】をもらうための遺族の条件は「子」「子のある配偶者」です。つまり、お子さんのいない共働き夫婦で夫が自営業の場合、妻が受け取ることのできる【遺族年金】はゼロということになります。一方、お子さんのいらっしゃるご夫婦であれば、お子さんが18歳になった年度末までは「子」とみなされて、子供の分の【遺族基礎年金】も同時にもらえます。ただしここで注意なのは、お子さんが18歳になった年度末を過ぎたら、制度上の「子」ではなくなりますので、「子」の年金額と「子のある配偶者」の年金額は、いずれももらえなくなってしまいます。対策とポイント夫が自営業者で、もらえる【遺族年金】が何もない場合、奥様は大変心細いかと思います。少しでもご不安を軽減するために、今からでもできる対策はありますのでご安心くださいね。以下、その一例です。妻や子を死亡保険金受取人として生命保険に加入する(遺族保障のテッパン)。夫が死亡した後に、その後の事業をどうするか事前に決めておく(事業閉鎖、引き継ぎ等)。国からの遺族保障が足りない、または最初から保障がないとわかっている場合は、その後のご遺族の生活費としてどれくらい必要であるか、最低でもどれくらい遺したらよいのかを事前に把握し、予め備えておくと良いでしょう。ケース2:夫が会社員等の場合亡くなった夫が会社員・公務員などの給与所得者で、加入している年金が【厚生年金】である場合、遺族年金は【遺族基礎年金】と【遺族厚生年金】の2種類があります。この2つを同時にもらえる場合もあれば、どちらか片方だけの場合もあります。18歳未満の子供がいる場合は【遺族基礎年金】【遺族厚生年金】のどちらも対象。お子さんが18歳以上になったり、お子さんがいらっしゃらない場合は【遺族厚生年金】のみ対象。子供のいない妻で、死別した時に妻が30歳未満である場合【遺族厚生年金】をもらうことが出来る。ただし5年の受給上限あり。対策とポイントここでもやはり子供の有無はポイントになりますが、自営業者の場合と違い、何ももらえない場合は無いということがお解りいただけたと思います。この場合、少し心配になるのが、子供のいない30歳未満の妻の場合です。条件が厳しく、受給開始から5年経つと一律打ち切りになります。妻が30歳未満となると、結婚してそう時間が経っていないことと考えられますから、生命保険に未加入であったり、独身時代のまま継続している方が多いのが現実です。結婚を機に保険の見直しを悲しい状況になることは考えたくないとは思いますが、結婚を機に生命保険の新規加入や見直しをしておくことを、FPとして是非お勧めします。万が一奥様が一人遺されて【遺族厚生年金】が打ち切られても安心できるだけの金額を遺すことが出来ます。予めリスクに備えるという意味で、生命保険の正しい加入の仕方ではないでしょうか。妻が死亡した場合共働き夫婦で奥様が亡くなった場合、ご主人は今後どうなるのでしょうか。日頃から家事、育児を率先して行っている夫だったとしても、妻と役割分担していたことに関しても全て夫一人でこなすことになります。一般的に、時間外まで預かってくれる保育施設の利用やベビーシッターにお願いする等、金銭的な負担がかなり増えることが多いとの事。食事に関しても、出来合いのモノで簡易的に済ませる場合も多くなり、かえって出費がかさむことになります。ご両親や身内の方で家事育児に協力してくれる方がいらっしゃれば良いのですが、なかなかそういうご家庭ばかりではありません。ここからケース別に見ていきましょう。[adsense_middle]ケース1:妻が自営業の場合妻が自営業で【国民年金】のみ加入していた場合、18歳に到達した年度末を迎えていないお子さんがいれば、夫も子供も【遺族基礎年金】を受け取ることが出来ます。残念ながら、お子さんがいなかったり、すでに子供が18歳以上である場合は【遺族基礎年金】がもらえません。対策とポイントここで気になるのは、ご夫婦で自営業をされていた場合。お子さんがいない夫は【遺族基礎年金】はもらえません。さらに、二人で店舗経営などをしていた場合、妻が亡くなることで事業の規模縮小や、場合によっては閉店せざるを得ないこともあるでしょう。なおかつ、夫が老後にもらえるお金も【老齢基礎年金】だけ、となれば妻と死別したことにより経済的・精神的に厳しい状況が続くことも予想されます。リスクに備えるという意味で、自営業の夫婦の場合は、お互いを死亡保険金受取人として生命保険にしっかり加入しておくことをお勧めします。あわせて、老後資金対策として民間の個人年金保険や、つみたてNISA、iDeCo、国民年金基金などの加入も可能な範囲で進めておくと安心です。ケース2:妻が会社員等の場合亡くなった妻が会社員・公務員の場合、発生するのは【遺族基礎年金】【遺族厚生年金】です。ケース1の自営業者の場合にも書きましたが、【遺族基礎年金】の受給の対象者は「子」「子のある配偶者」です。つまり、18歳に満たないお子さんがいれば、夫も【遺族基礎年金】をもらえます。しかし子供が18歳以上になったり、子供がいない場合は残念ながらもらえません。では【遺族厚生年金】はどうかというと、子供の有無は関係ないのですが、夫の年齢の条件があります。妻が死亡した時、夫が55歳以上であった場合、夫は60歳以降にならなければ【遺族厚生年金】がもらえません。つまり、妻が亡くなった時に、夫が55歳以下であれば【遺族厚生年金】はもらえません。残念なことに、子供もいない場合は【遺族基礎年金】ももらえませんから、結果的に遺族保障としてもらえるものは無いという事になります。対策とポイント近年やっと遺族年金の対象者が妻だけではなく「配偶者」という表現になり、夫も対象になったとはいえ、子供の有無であったり、年齢制限が有ったりと、まだまだ夫が妻と同じような遺族保障を受けられる体制ではないとお解りいただけたと思います。このことから、事前に奥様とよく話し合い、資産の洗い出しや整理をできる範囲で進めておくと安心です。何度も繰り返しになりますが、足りない保障は民間の生命保険で補完するのも対策のひとつです。子供の有無がポイントここまで、亡くなった配偶者のケースごとに【遺族年金】についてまとめてきました。非常に大きなポイントとして「子供の有無」があることは十分にご理解いただけたかと思います。18歳以下のお子さんは、一番教育費がかかると考えられます。更に教育費という面では18歳で終わりではなく、近年は大学の進学率も高くなっています。【遺族年金】としてお子さんに支給される18歳までの期間を過ぎてもなお、大学の進学費用や一人暮らしの支援なども含めると、お子さんに関しては18歳以降も資金が必要となると考えておいた方が良いでしょう。[adsense_middle]老後はどうなる?共働きの夫婦の場合、それぞれにしっかりと収入があり、年金も滞りなく支払っていると思います。そうなると、在職中に配偶者と死別した場合、条件に当てはまれば何らかの【遺族年金】をもらうことができますよね。ここで気になるのが「ご自身の【老齢年金】がもらえるようになった場合【遺族年金】はどうなる?」ということです。退職前は気にしなくてよいご自身が退職する前、つまり在職中であれば、受け取っている年金が【遺族年金】だけですのであまり気にすることはありません。というのも【遺族基礎年金】【遺族厚生年金】はいずれも非課税扱いです。年末調整や確定申告でも、所得として申告する必要がありませんから、何も気にすることはありません。併給できる年金日本は「ひとり一年金」制度を導入しており、基本的には国民一人に対してもらえる年金は1種類のみです。種類が同じであれば基礎と厚生どちらももらうことは可能です。(例えば【遺族基礎年金】と【遺族厚生年金】は一緒にもらえます)【老齢年金】や【障害年金】をもらえるようになる場合は注意が必要です。異なる種類の年金の受給権がある場合は、年金事務所に相談に行くのが確実です。ただし、例外としてこれら3つの組み合わせは、65歳以降であれば併給可能です。【老齢基礎年金】+【遺族厚生年金】【障害基礎年金】+【遺族厚生年金】【障害基礎年金】+【老齢厚生年金】シミュレーションを活用しよう日本年金機構のねんきんネットを代表として、Web上には無料で利用できる年金シミュレーションがあります。遺族保障だけでなく、老後の年金の試算ができるものもあります。万が一に備えて早めに対策を始めることを考えると、予めどのくらいの年金額なのかは把握しておくと良いでしょう。ぜひ各種シミュレーションを活用されてください。共働きの遺族年金・まとめ今回のテーマで一番のポイントは、お子さんの有無です。また、妻を亡くした夫が年金をもらう場合は、現行制度ではかなりシビアな条件であるとわかりましたよね。現行の条件でいくと、実際どの程度の「夫」の方が遺族保障を受けられているのか気になるところです。【遺族年金】制度は、あくまでもご遺族に対する最低限の生活費としての給付額です。もらえたとしても、決して贅沢をできる金額ではありません。国からもらえる遺族保障の補強として、やはり民間の生命保険に加入する等の自助努力は必要であると考えます。その参考として【遺族年金】のシミュレーションなどを活用し、過度に保険加入することが無いようにお気を付けください。年金額だけでは足りないと推測される部分だけを、民間の生命保険で補うイメージで加入しましょう、すべてを自助努力で補う必要はありませんよ。ご安心くださいね。
2020年03月16日一般的な年金の種類として、現在では自営業者などが加入する【国民年金】と、会社員や公務員が加入する【厚生年金】がありますよね。国民年金を建物の一階部分、厚生年金を二階部分に見立てる【二階建ての年金】などのたとえによって、年金を分かりやすく説明するFPの先生も多いです。(私もよく二階建てのたとえを使います)しかし、実は数年前まで公務員の方が加入する【共済年金】というものがありました。昔は、建物で言うと三階部分があったということです。現在その三階部分である【共済年金】は消滅したのではなく、【厚生年金】と合併してデータなども全て統合されているのでご安心ください。建物の二階と三階をくっつけたとイメージしていただくのが良いでしょう。今回のテーマはこの共済年金も含めて《公務員の【遺族年金】について》です。年金をもらい始めた時期によっては【共済年金制度】の適用がされていることもあるので、一緒に内容を確認していきましょう。共済年金とは?2015年10月に、公務員等が加入していた【共済年金】は、会社員などの給与所得者が加入している【厚生年金】と一元化されました。それまでの【共済年金】にかかるデータ全般は、時間はかかりましたが厚生年金にデータ移行が済んでいます。共済年金には【退職共済年金】【障害共済年金】【遺族共済年金】の制度がありました。2015年10月以降に年金受給対象となった場合は、全て【遺族厚生年金】をもらうことになります。【共済年金】を実際にもらうための要件などは、ほぼ現行の【厚生年金】と同じ内容です。また、現在公務員の方が今後遺族補償として年金をもらう場合は全て【遺族厚生年金】の対象です。国家公務員共済年金国家公務員(主な省庁に勤務、自衛隊など)は【国家公務員共済年金】に加入していました。現在でもKKR【国家公務員共済組合連合会】が各省庁ごとに年金相談の窓口を設けています。KKRは全国でホテルや病院などを運営しており、共済加入者や年金受給者への施設優待があります。もちろん共済加入者以外の方でも利用できます。地方公務員共済年金【地方公務員共済年金】は、地方職員共済組合が窓口です。2015年以前に受給対象となった方の窓口として現在も運営されています。その他の共済地方公務員共済組合に関しては、警察共済組合、全国市町村職員共済組合、指定都市職員共済組合など、所属先団体によって細分化されていました。詳しい概要については、日本年金機構ホームページ内に「地方公務員共済組合一覧」のページがありますので、これらの詳細を知りたい方はご確認ください。(旧)遺族共済年金の受給資格まず、亡くなった方の要件として《共済年金に加入していた方が2015年9月以前に亡くなった場合》または《亡くなった方が既に老齢共済年金や障害共済年金を受け取っていた場合》です。これ以降は全て【遺族厚生年金】の対象になります。もちろん未納や滞納が多く、所定の期間加入していない場合は対象にはなりません。本来加入しておくべき期間の2/3以上は納付済であるか、免除等の申請をしていることは必須条件です。さらに受給資格についていくつかのポイントがあるので、ここからそれぞれに分けてまとめますね。亡くなった方先にまとめた条件と併せて、以下の内いずれかに当てはまらないと【遺族共済年金】はもらえません。組合員である間に初診日がある病気やケガが原因で初診日から5年以内に死亡した場合障害年金を受けている方が死亡した場合(障害等級1〜2級の共済年金か、1~3級の障害年金)配偶者公務員の遺族年金では、配偶者の要件として妻も夫もその対象となっています。ただし妻と夫で満たすべき要件が違いますので、それぞれポイントをまとめます。妻妻が【遺族共済年金】をもらうための条件は以下3つです。このうちどれかに当てはまればもらえます。18歳未満の子供がいる妻子供のいない妻簡単に言うと、子供の有無に関わらず、妻であれば【遺族共済年金】はもらえるということですね。夫夫が遺族共済年金を受け取る場合は、妻の場合よりかなり条件が絞られます。18歳未満の子供がいる場合で、妻が亡くなった時に夫が55歳以上である場合に、60歳以降になればもらえる。公務員の遺族年金・支給額の計算実際に支給される金額の計算ですが、計算の基となるのが故人の生前の給与です。その給与に対して所定の係数をかけて割り出しますが、一律にいくらというものでは全くないので、ご自身で計算するのは一苦労ですからオススメしません。目安として知りたい場合は、Web上の無料シミュレーションを活用するか(あくまで目安程度として活用くださいね)、公務員共済の相談窓口、社会保険労務士などにお尋ねいただくのがベストです。お子さんがいる場合などで【遺族基礎年金】の要件にも該当すれば、もちろん【遺族基礎年金】からももらえます。[adsense_middle]現行制度の場合現行制度の【遺族厚生年金】の支給額の計算には《平均標準報酬額》や《平均標準報酬月額》の金額が必要です。さらに加入期間ごとに2つの計算式に分けて計算をし、それらを合計した額が【遺族厚生年金】の受給額(の目安)となります。これもなかなか分かりづらく、念のため参考までに計算式を以下に紹介しますが、やはりご自身で計算するよりはWeb上の簡易シミュレーションを活用するか、年金事務所等に出向くことをお勧めします。【遺族厚生年金】=〈平均標準報酬月額×7.125/1000×平成15年3月までの被保険者期間(月数)〉+〈平均標準報酬額×5.481/1000×平成15年4月以降の被保険者期間(月数)〉×3/4旧共済年金の場合参考までに、遺族共済年金の計算式をご紹介しますが、聞きなれない言葉ばかりでなかなか分からないと思いますので、やはり支給額に関しては年金の担当窓口にお尋ね頂くのがよいでしょう。【遺族共済年金】=厚生年金相当額+賦課加算(職域年金など)+配偶者に関する加算(中高齢寡婦加算など)公務員の遺族年金・まとめ公務員の【遺族年金】は、【厚生年金】と統合された2015年10月以降の申請から【遺族厚生年金】の対象となっています。統合の背景として、年金をもらうための手続きの煩雑化や、年金制度の分かりづらさ等を軽減する目的もあったそうです。2015年から既に役5年ほど経過し、現在では随分浸透してきているようです。まとめると、現行制度では、自営業者やフリーランスは【遺族基礎年金】、公務員と会社員などの給与所得者は【遺族厚生年金】の対象です。日本は高齢化も進み、人口のバランスとしても、子供より高齢者の割合が高くなってきていますよね。いよいよ平均寿命も、あと数年後には90歳に到達するのではないかと言われています。【遺族年金制度】は、共済年金でも、厚生年金でも、ご遺族が安心して暮らしていけるための大切な生活費として、末永くもらえることのできるお金です。今回の記事を参考に試算をしてみて、もし不足分が判明したり、何か金銭的な不安があるようでしたら、お早めに遺族補償としての生命保険の活用や、老後資金対策をスタートしてみてはいかがでしょうか。最後に、年金制度全般に関するご不明点は、最寄りの年金事務所、または年金の専門家である社会保険労務士事務所までお尋ねすることをお勧めします。
2020年03月13日離婚すれば夫婦は他人になります。結婚している間は夫婦が共同で財産を築いたり子供の世話をしたりするものですが、離婚するとそうはいきません。離婚のときには、お金や今後のことについて夫婦間で取り決めをしておく必要があります。今回は、離婚時に取り決めする条件について説明しますので、参考にしてください。離婚の条件を決めないと離婚は成立しない?離婚の条件を詳細に決めなくても、離婚自体は可能です。しかし、後日トラブルになってしまうことがあります。離婚の条件とは?離婚のときに取り決めする条件としては、次のような事項があります。親権養育費面会交流財産分与慰謝料年金分割親権、養育費、面会交流は子供がいる場合に必ず決めなければならない条件です。財産分与、慰謝料、年金分割については、必要があれば取り決めしなければなりません。離婚届を出すだけで離婚はできる離婚を希望する場合、夫と妻の両方が署名捺印した離婚届を役所に提出するだけで、協議離婚という形で離婚ができます。離婚届には夫婦のどちらが親権者になるかを記載する欄はありますが、その他の条件については記載の必要はありません。子供がいる夫婦は親権者を決めなければ離婚できませんが、その他の条件については特に決めなくても離婚は成立します。とにかく離婚さえできればいいと条件を話し合わないまま離婚届を出してしまう人もいますが、離婚するなら条件面をしっかり取り決めしておくべきです。離婚の条件を決めておかないと後でトラブルになりがち条件を話し合っていないと、離婚後に「あのお金はどうなったのか?」などとトラブルになってしまう可能性があります。子供がいる場合には、「養育費を払って」「子供に会わせろ」といったことでも揉めてしまいがちです。離婚後もその都度話し合いができればまだ良いですが、お金については時効があるものもあるので注意が必要です。離婚する時点で、条件を取り決めしておきましょう。離婚の条件の決め方は?離婚の条件の決め方は、協議離婚と調停離婚で違います。協議離婚の場合には話し合いで協議離婚をするときには、夫婦の話し合いで離婚の条件を自由に決めることができます。相手の言いなりになって不利な条件を飲んでしまわないよう、自分の権利はきちんと主張しましょう。どんな条件が適切かがよくわからない場合には、弁護士などに相談するのがおすすめです。自分で話をしづらい場合には、弁護士に依頼して協議を代行してもらう方法もあります。離婚調停になったら裁判所で離婚調停で離婚するときには、条件についても裁判所で決めてくれます。裁判所では、夫婦が公平になるよう条件を調整してくれます。調停で提示された条件に納得しなければ応じる必要はありません。ただし、妥当な条件であるにもかかわらず拒否し続けると、調停不成立になって離婚自体ができなくなることがあります。離婚の条件は書類に残しておく調停離婚の場合には、裁判所で離婚の条件を調停調書にしてくれます。一方、協議離婚の場合には、離婚の条件が書面に残りません。後日のトラブルを防ぐために、離婚協議書を作成しておきましょう。離婚協議書は公正証書に慰謝料などお金の支払いについては、誓約書を書いてもらおうと考えている人もいると思います。通常の書面では相手が任意に払ってくれない場合に、裁判を起こさないと強制執行ができません。離婚時に公正証書を作成しておけば、裁判を経ずに給与差押などができます。養育費の支払いがある場合にも、支払期間が長期間になってしまうので、公正証書を作成しておきましょう。子供がいる場合に決めておくべき親権・養育費・面会交流離婚するときにまだ未成年の子供がいる場合には、親権、養育費、面会交流について取り決めが必要です。[adsense_middle]親権を決める時の注意事項親権とは未成年の子供について行使できる親としての権限です。監護養育、財産管理、法律行為(契約など)の代理などが該当します。婚姻中は父母の共同親権ですが、離婚後は単独親権となるため、父母のどちらが親権者になるかを決めなければなりません。離婚時には話し合いで親権者を決めることができますが、離婚後に親権者を変更したい場合には裁判所を通す必要があります。離婚時に納得できる形で決めておきましょう。養育費は算定表を参考に必要な額を請求養育費については、一般に裁判所の養育費算定表を参考に金額を決めます。と言っても、必要な金額は各家庭の事情によって異なるはずです。算定表の金額にこだわらず、何にいくら必要かを見積もって、夫婦でどう分担するかを話し合いましょう。離婚時に養育費の取り決めをしていなくても、子供が成人するまでは養育費の請求が可能です。しかし、相手と連絡が取りにくくなってしまうこともあるので、離婚時にきちんと決めておきましょう。面会交流はできるだけ柔軟な形で面会交流については、頻度や面会の方法、費用の負担などを決めておきます。子供を頻繁に会わせられない事情がある場合には、写真を送ることなどを決めておきましょう。子供が小さいと、急な病気で予定通り面会ができないこともあると思います。回数などを細かく決めてしまうとかえって揉めることになってしまいがちです。面会については、ある程度柔軟な形で決めておくのがおすすめです。夫婦の財産があれば財産分与をする財産分与とは、結婚している間に夫婦共同で築いた財産を、夫と妻それぞれの財産に分けることです。財産分与の割合は夫も妻も2分の1財産分与の割合は、原則として夫も妻も2分の1ずつです。婚姻中に形成された財産であれば、名義にかかわらず半分ずつになるよう分けてかまいません。専業主婦でも財産の半分をもらうことができます。後日支払いの場合には公正証書にする現金や預金は今あるものを分けるだけで済みますが、家の価値を精算する場合や将来受け取る退職金を分ける場合などは、手元に現金がなく、支払いが離婚後になることもあるでしょう。支払いが先になる場合には、支払日と支払方法を決めて公正証書にしておくのがおすすめです。財産分与は2年以内しかできない離婚時に財産分与の取り決めをしなかった場合、離婚後も2年以内なら請求が可能です。2年を経過してしまうと請求が困難になってしまうので請求のし忘れがないように気を付けましょう。慰謝料は離婚の理由によって発生する慰謝料は離婚のときに必ず払わなければならないようなものではありません。慰謝料が発生するケースでは、取り決めしておいた方が良いでしょう。[adsense_middle]法律上の離婚原因を作った側が支払う離婚になったことについて一方に法的な責任がある場合、他方は慰謝料を請求することができます。たとえば、夫の浮気が原因で離婚になった場合には、妻は夫から慰謝料を受け取れます。協議離婚する場合には、慰謝料の取り決めも当事者間で自由です。必ずしも支払義務がないようなケースでも、解決金という意味で一方が慰謝料を払うこともあります。慰謝料の金額はいくら?慰謝料の金額についても、夫婦の話し合いで自由に決められます。参考までに、離婚慰謝料の相場は200~300万円です。一般的な相場と比べてあまりにも高すぎる慰謝料を受け取ると、贈与税が課税されるリスクがあります。裁判になった場合には、慰謝料の金額は様々な要素によって変わります。慰謝料としていくら請求したらよいかわからない場合には、弁護士に相談すると良いでしょう。慰謝料には時効がある慰謝料請求権には時効があり、離婚後3年以内でないと請求できません。慰謝料を分割払いしてもらうこともできますが、取り決め自体は離婚後3年以内にしておく必要があります。年金分割は夫婦間の取り決めだけではできない専業主婦やパートだった人は、老後の年金が少なくなってしまいます。離婚時には年金分割についても取り決めしておきましょう。年金分割とはどんな制度?年金分割は、結婚していた期間中の厚生年金保険料納付記録を離婚時に夫婦で分け合える制度です。たとえば、ずっと専業主婦だった人の場合、厚生年金保険料を納付していないので、老後にもらえる年金がかなり少なくなってしまいます。夫の分の保険料納付記録を分けてもらうことで、老後の年金を増やせます。年金分割には、次の2つの方法があります。年金事務所での手続きが必要年金分割をする場合には、年金事務所での手続きが必要です。合意分割をする場合には夫婦の合意が必要ですが、夫婦が合意した離婚協議書や公正証書を残しておくだけでは年金分割されません。老後の年金は、日本年金機構にある標準報酬のデータにもとづき算定されます。年金分割の合意をしたら、離婚後に年金事務所でそのことを証明し、標準報酬のデータを変更してもらう必要があります。年金分割の期限は2年年金事務所での年金分割の手続き(標準報酬改定請求)は離婚後2年以内でないとできません。また、離婚後2年以内であっても、相手が死亡して1か月経てばできなくなってしまいます。年金分割をする場合には、離婚後速やかに年金事務所に行って手続きをしておきましょう。条件の有利・不利にこだわりすぎず、WinWinな離婚を目指そう離婚の際には、夫婦間で条件を話し合わなければなりません。自分ばかりが有利になるように考えていると、相手の納得を得られず、離婚までが長引いてしまいます。不利な条件に妥協する必要はありませんが、相手の立場も考え、お互いにとって良い形の円満離婚を目指しましょう。
2020年03月11日日本の長寿化は世界的にも注目されており、特に女性の長寿化は年々目を見張るものがあります。世界の最新データによると、男女合わせた平均寿命は日本で83.98歳、アメリカで78.69歳、中国で76.25歳とのこと。更に日本の内訳として、男性の平均寿命は81.25歳、女性はさらに長く87.32歳となっています。男性と女性ではおよそ6歳の開きがあり、一般的に考えると「日本の女性は世界的にも長生きである」という事になります。ちなみに現在の日本の最高齢女性は福岡県にお住まいの方で117歳とのこと!素晴らしいですね。さて今回のテーマは《80歳以降の遺族年金について》です。データ上はほとんど女性が遺族となる場合が多いうえに、女性は長生きですので、高齢となった妻が遺った場合の【遺族年金】についてまとめていきます。今現在20代30代の女性の方は、80歳以降の話は気が遠くなるくらい先の話だと思いますが、誰にでも老後はやってきますので、その時の参考までに、どうぞ最後までお付き合いくださいね。遺族年金はいつまでもらえる?【遺族年金】は、いつから、いつまでもらえるのでしょうか?最初に紹介したデータのように、日本の長寿化が更に進み、長生きしていても年金はずっと続くものなのでしょうか。長生きしても入ってくるお金が無いと不安ですよね。簡単に言うと「【遺族年金】をもらえる条件に当てはまった時から、対象外になる時まで」ということです。以下、具体的に見ていきましょう。いつから?いつから年金スタートなのか?というと【遺族年金】の受給要件を満たして、さらに認定を受けた時からです。故人が生前どの年金に加入していたかによって、故人が満たすべき要件、遺族の要件、お子さんがいる場合はお子さんの年齢も調査対象となります。初回の【遺族年金】を実際にもらえるまでには、一般的に手続き開始から約3~4か月かかると言われています。結構長い時間がかかりますが、これはしっかり調査をした上で、間違いなく支給するために必要な時間だと思ってくださいね。いつまで?一度もらい始めた【遺族年金】に関して、年金がもらえなくなる状態にならない限りは一生受け取ることが出来ます。【国民年金】に加入していた場合、遺された家族に【遺族基礎年金】が支給されますが、ここでポイントなのが【遺族基礎年金】をもらえる範囲は【子】または【子のある配偶者】です。つまり、お子さんがいらっしゃらない場合、【遺族基礎年金】はもらえません。今回のテーマである《80歳以降の遺族年金》について検討してみると、子のある配偶者に該当しませんので、おおよそ80歳以降ではどなたも【遺族基礎年金】はもらえないということです。子供とは何歳まで?遺族年金制度全般(基礎・厚生どちらも)において、子供の概念は「18歳に到達した年の年度末まで」となっています。18歳になった年を含む年度末が過ぎたら、制度上の「子」は居ないことになり、「子のある配偶者」として【遺族基礎年金】をもらっていた人も、もらえなくなるという事です。故人が社会保険に加入していた場合故人が社会保険加入であれば、年金は厚生年金に加入していたことになります。以前は公務員など一部の業種に対して【共済年金】制度がありましたが、今は【厚生年金】に一本化されているので、【共済年金】加入だった方は【厚生年金】に関する記述を参考になさってくださいね。仕組みなども含めて、全て【厚生年金】制度に移行されています。【厚生年金】に加入していた場合は、生前の加入期間や給与に応じて【遺族厚生年金】が支給されます。《80歳以降の遺族年金》についてですが【遺族厚生年金】に上乗せで【経過的寡婦加算】ももらえる場合があります。【経過的寡婦加算】は【中高齢寡婦加算】を受給していた人が対象の加算です。それぞれの加算について、以下にポイントをまとめます。遺族厚生年金には【中高齢寡婦加算】【経過的寡婦加算】という制度もある。中高齢寡婦加算とは以下の要件のいずれも該当すれば【中高齢寡婦加算】を受給できます。生計維持関係にある夫が死亡した時点で【遺族厚生年金】の受給要件を満たしていること死別した時点で妻の年齢が40歳以上であるか、死別した後に40歳となった時点で【遺族基礎年金】の受給要件を満たす子がいることなお【中高齢寡婦加算】の支給時期は40歳から65歳までです。今回のテーマである《80歳以降の遺族年金》については直接的には関係しませんが、この後の【経過的寡婦加算】の受給要件に関連してきますので、並行して確認しておくと理解が深まりますのでオススメです。経過的寡婦加算とは以下の要件に該当する場合には【経過的寡婦加算】を受給できます。妻の生年月日が1956年4月1日以前である【中高齢寡婦加算】の受給の要件をすべて満たしている経過的寡婦加算に該当すれば《80歳以降の遺族年金》に加えて受給できるという事です。【補足】もうひとつの遺族補償【遺族年金】といえば、加入していた年金制度に応じた基礎または厚生のいずれかの年金を受け取る場合がほとんどです。しかし、お亡くなりになった原因が業務上の理由(通勤中も含む)の場合は労災保険からも遺族補償年金を受けられることになっています。国などから労災であると認定された場合に限ります。労災保険は、雇い主が全額負担で必ず従業員にかけなければならない保険なので、実際に働いている人から徴収するものではありません。労災年金に関しての詳細は、厚生労働省ホームページ内に関連のページがあるので、そちらも合わせてご確認いただくと良いでしょう。[adsense_middle]配偶者には夫も含まれる?【遺族年金】の対象になっている遺族の中で【遺族年金】をもらえる第一順位であるのは《配偶者》です。この記事の冒頭でも少し平均寿命に関するデータを紹介しましたが、女性の方が長生きであり【遺族年金】を受給できるのは女性であるというイメージは大いにあると思います。確かに、以前の【遺族年金制度】の配偶者の範囲は「妻のみ」に限定されていました。ところが家族スタイルの多様化から、2014年より、夫や妻という分け方ではなく、一律「配偶者」という括りに変更されました。妻が死亡した時の夫の年齢が重要【遺族厚生年金】をもらうためには、前提条件として「亡くなった方と生計維持関係にあった」妻、子、夫などです。生計維持関係とは、少々難しいワードですが、要は家族を養っていた方が亡くなった場合に、世帯全体の収入が無くなってしまっては困るので、せめてもの生活費代わりとして年金をもらえるようになる、というイメージでも良いでしょう。夫が【遺族厚生年金】を受け取る為にはさらに条件が二つあり、このいずれかに該当しなくては受給できません。まず一つ目に【子のある55歳以上の夫】です。もう一つは【子の無い55歳以上の夫】です。つまり子供がいてもいなくても、死別した当時に夫が55歳以上ではないと【遺族厚生年金】は全くもらえないという事です。逆に言うと、お子さんがいらっしゃらなくても、奥様が亡くなった時点でご主人が55歳以上であれば、その後は継続的に【遺族厚生年金】をもらえるという事です。ちなみに、55歳以上の夫が妻の分の遺族厚生年金を実際に受け取ることが出来る時期は、夫が60歳以降になってからです。この後に詳しく書きますが、日本の年金制度は「ひとり一年金」が原則です。異なる理由の年金を二つ同時に受け取ることは出来ません。しかし例外的にいくつかの併給が認められており、遺族年金の範囲であれば、ご自身の【老齢基礎年金】と【遺族厚生年金】であれば同時に受け取ることが出来ます。専業主婦の妻が亡くなったら?専業主婦の妻が亡くなったら、遺された夫はなにももらえないと思っている方が多いのではないでしょうか。実は、専業主婦の方が亡くなった時にも【遺族年金】をもらえることがあります。もちろん全ての方がもらえるわけではありません。では、どのような場合に遺族である夫に支給されるかというと、妻が亡くなった時点で専業主婦であったとしても、生前会社員や公務員としてお勤めをされていた場合です。その加入していた厚生年金の加入期間や、本来老齢年金として妻がもらうはずだった老齢年金額に応じて、夫に支給される場合があります。その場合の要件として【年金加入期間(または受給資格期間)が300月以上ある場合】が必須となっています。また、一つ上の項目でも紹介した通り、夫が妻の分として【遺族厚生年金】を受け取る場合には【妻が死亡時に夫が55歳以上であること】が条件です。夫が55歳以上で受給権が発生し、実際に【遺族厚生年金】がもらえるのは60歳以降になってからです。近年、随分制度改正などが行われていますが、遺族補償としてはまだまだ妻の方が手厚い印象ですね。老齢年金と一緒にもらえる?基本的には「ひとり一年金の原則」がありますから、何かしらかの年金をもらっている間に、並行して他の年金をもらうことは出来ません。ただし【老齢年金】と【遺族年金】の受給権が発生した場合の例外として【遺族厚生年金と老齢基礎年金は併給可能】です。また、今回のテーマである80歳以降の年金の話から少し外れますが、【特別支給の老齢年厚生年金】と【遺族厚生年金】は一緒にもらうことはできません。どちらか一つを選ぶことになります。【特別支給の老齢厚生年金】とは、生年月日や性別に応じて段階的にもらうことが出来る【老齢厚生年金】です。もらえる期間は60~64歳です。[adsense_middle]結局、80歳以降の受給額はどれくらい?ここまで【遺族基礎年金】【厚生年金】についてまとめてきましたが、結局いくらくらいもらえるのかというところは一番重要ですよね。故人が国民年金のみ加入していた場合の【遺族基礎年金】に関して、80歳以降にご遺族が【遺族基礎年金】としてもらえる金額はゼロということです。この場合は、ご遺族ご自身の【老齢基礎】【厚生年金】のみの受給ということになります。では故人が厚生年金に加入していた場合【遺族厚生年金】はどうなるかというと、故人の生前の給与に対して所定の倍率を掛けたものが支給されますので、一律にいくら、と金額を申し上げることはできません。80歳以降の遺族年金=《遺族厚生年金》+《経過的寡婦加算》+《労災保険からの遺族補償年金》無料のシミュレーションを活用しよう遺族厚生年金の支給額は、生前故人が働いていた時期の給与に応じて変動します。平均標準報酬月額や平均標準報酬額といった数字を基にして計算しますが、既に退職して時間が経っている場合などは分かりづらい場合もあるかと思います。そのような場合は、日本年金機構のねんきんネットの活用や、Web上に無料で遺族年金シミュレーションを利用できるサイトもあります。詳細な平均標準報酬月額などがわからなくても、だいたいの年収(または月収)などや、年金加入期間などがわかれば、簡易的に試算をすることもできます。シミュレーション以外でも、年収をいくつかに分けて遺族年金の早見表を公開しているサイトもあります。いずれも簡易的ではありますが、だいたいどのくらいの遺族年金をもらうことが出来るのかを目安として知ることが出来ます。遺族厚生年金の最高額現在、遺族厚生年金の平均標準報酬月額の上限は30等級の62万円です。その中でも故人が生前公務員だった場合の「遺族共済年金」から遺族年金を受け取る場合が、現行の遺族厚生年金制度での最高額と考えて良いでしょう。なおかつ《80歳以降の遺族年金》について考えた場合は、配偶者のみ受給のパターンになりますので、その場合の支給額は概算で年額約1,174,800円とのことでした。80歳以上の遺族年金に関するまとめいかがでしたか。【遺族年金】は貴重な生活費であることは間違いありません。いつからいつまでもらえるのか、自分の【老齢年金】と一緒にもらえるのか、という部分はどなた様も気になるところだったかと思います。80歳以降でも【遺族厚生年金】と【老齢基礎年金】が合わせてもらえる、という内容は本記事でも是非覚えていただきたいポイントです。2つの年金を受け取ることが出来れば、老後の生活費としてかなり安心材料になるのではないでしょうか。今後、日本はますます長寿化に突入します。民間の生命保険でも、長生きのための保険が新発売され、途端に売れ筋となっているそうです。それだけ皆さんの意識が「長生きへのリスク」に向いているという事でもありますよね。医療の進歩などから、病気は治る時代になってきました。つまり、まだまだ私たちは長生きする確率が高いという事です。パートナーと死別した後の人生が必然的に長くなってしまうことも十分にあり得ます。今回のテーマである「80歳以降の遺族年金」に関しても、予め概算で良いので金額を把握しておけば、その過不足に対して予め預貯金や生命保険などで備えて準備しておくことができます。日本年金機構のねんきんネットの活用や、無料のシミュレーションを基に、是非早い内から老後対策を始めてみませんか?
2020年03月10日申請窓口に書類提出へ。初めてお会いした担当の方は…娘の記録を引っ張り出し、主治医や過去にかかっていた療育センターなどにも連絡をとり、申請に必要な書類を揃えた私はいよいよ申請窓口に向かいました。過去に何度か相談をしに行ったことはあったのですが、年度が替わり人事異動があったのか、当日担当してくれたのは初めて見る方でした。Upload By 荒木まち子その方は若くて柔らかな物腰の方でしたが、お話をすると経験と知識が豊富で、頼りになる方だということがすぐに分かりました。(実際、申請手続き中に他の職員さんが質問をしに来たりしていました。)Upload By 荒木まち子申請窓口では...医師が作成した『診断書』や『受診状況等証明書』を確認した後に『病歴・就労状況等申立書』の記載内容を確認しました。Upload By 荒木まち子Upload By 荒木まち子Upload By 荒木まち子アドバイスをもとに初診日などを変更私が作成した『病歴・就労状況等申立書』の[発病したときの状況と発病から初診までの間の状況]記入欄の“呼びかけても振り返らない、指示が通りにくいなどのことから総合病院にて聴覚検査を受けたが、異常はなかった。”という箇所を見て、窓口の担当者さんは「娘さんの場合、初診日を誕生日ではなく、総合病院の受診日に変更した方が良いでしょう」とアドバイスをしてくれました。また、状況欄に書いた『厚着をし過ぎて電車内で体調を崩し、駅の救護室に運ばれたことがある』という記述から、[日常生活状況欄]の《着替え》の4段階の評価を3→4に見直しをすることも提案されました。(『病歴・就労状況申立書』裏面・赤枠の部分)Upload By 荒木まち子災害時にも有効な「ヘルプマーク」を知っていますか?丁寧に確認してもらえて安心!『年金請求書』など、記入方法がわからない部分がある申請書類は、申請時に窓口で担当者と一緒に記入することは事前に打ち合わせ済みでしたが、『病歴・就労状況等申立書』もここまで丁寧に確認してもらえると思っていなかったので私は驚きました。Upload By 荒木まち子障害年金請求を審査、認定するのは日本年金機構です。役所の窓口では書類が全て正しく整っているかを確かめる作業をしています。ですが窓口の方が「『病歴・就労状況等申立書』を読んだ審査担当者が、状況を正確に把握できるように」と内容を一緒に確認してくれたことを私はとても嬉しく思いました。また、申請窓口の方は後の消費税アップを見越して、今後に必要になると思われる『年金生活者支援給付金』の申請手続きも同時にしてくれました。最後に戸籍課で発行した戸籍謄本を提出し手続きは終了しました。全ての手続きを終えるのには一時間ほどかかりました。申請してみて実感。障害年金請求の資料はそんな早くから準備する必要はないかも一連の手続きを終えて私が感じたのは、障害年金申請資料準備は「早ければ早いほど良い」というものではないということでした。※娘の初診日は18歳より以前でしたので、「障害認定日」は20歳の誕生日の前日です。初診日、障害認定日等によっては早めに動き出す必要がある場合もあります。「障害認定日」とは、障害の程度の認定を行うべき日をいい、請求する傷病の初診日から起算して1年6月を経過した日又は1年6月以内にその傷病が治った場合においては、その治った日(その症状が固定し、治療の効果が期待できない状態に至った日を含む。)をいう。たとえば年金申請コラム第3話で書いた、“初診の医療機関が廃業していたり、カルテが破棄されていたりして『受診状況等証明書』を作成してもらえなかった場合は2番目に受診した医療機関で『受診状況等証明書』を作成してもらう。もし2番目の医療機関でも『受診状況等証明書』が作成できなかったら3番目の医療機関…と辿っていく”という規定は、障害認定日が20歳に達した日以前である場合は、障害の程度を認定する時期は一律に20歳となる。2番目以降の医療機関の受診日から障害認定日が20歳以前であることを確認でき、かつその受診日前に厚生年金等の加入期間がない場合には、初診日の医証を追加で請求者に求めずとも、20歳前の期間で請求者が申し立てた初診日を認めると新たに規定されました。5年、10年経てば制度は変わります。(逆に時代やニーズに沿って改新されなければ困ってしまいますよね)ですので、お子さんが未就園児や小学生のころから窓口に障害年金についての相談に行ったり、焦って申請書を取り寄せたりする必要はないと思います。20歳になるまでに子ども自身や子どもを取り巻く状況、困りごとなどは刻々と変化していきます。いくら別紙添付が可能とはいえ、子どもが小さいうちからのできごとすべてを『病歴・就労状況等申立書』に書くことはあまりおすすめできません。『病歴・就労状況等申立書』では1.病院や療育センターの初診日2.通院、入院歴3.投薬履歴4.障害に起因した大きなアクシデント(怪我や事故など)と、どのように対処しても改善できない現状や“申請時の”困りごとをしっかりと伝えることが大切だからです。ブログや日記などで子どもの記録を残していく場合、『日記や日々の子育て記録』と『書類に書いた方がよい内容』をカテゴライズしておくと良いかと思います。障害年金申請よりも先に意識しておきたい『子どもの情報の引き継ぎ』娘が通っていた療育センターは利用が小学生までだったので、中学進学を機に成人まで見てくれる病院に転院しました。当時はまだサポートブックなども普及しておらず、私は転院時に受けるソーシャルワーカーとの「受理面接」の為の資料として独自に娘の療育、発達検査、通院、投薬、病歴などを年表形式でまとめた『成育歴表』を作りました。子どもは成長と共に小児科や小児精神科から思春期外来や青年期精神科に移ることが多いですが、幼年期から成人までの発達障害を一貫して診てくれる医師はなかなかいないのが現状です。転院や主治医変更を意識して成育歴のような資料を予め作っておくと、『病歴・就労状況等申立書』作成時だけでなく、放課後等デイサービスやショートステイの利用等の申し込み、役所の相談窓口の担当者が代わったときなどに子どもの説明をするのに役に立つので良いと思います。次回は年金コラム最終話これまでのコラムでは主に提出する書類について書いてきましたが、次回最終話では書類についてではなく、申請作業を進めていく中で知った新事実や、改めて気がついたことについてお話しします。
2020年03月05日「年金」と聞くと、60代以降の方が受給している「老齢年金」をイメージする方がほとんどですよね。「年金=シニア世代」の印象が強くあるかと思います。しかし「年金」をもらっている方で20代の方も存在します。実は年金にはこの【老齢年金】以外にあと2つあります。【障害年金】と【遺族年金】です。この2つはシニア世代になっていなくても、条件に該当すれば若い世代で受給している方もいらっしゃいます。今回のテーマは若年層でももらう可能性のあるうちの一つ【遺族年金】について。中でもさらに【遺族厚生年金】についてわかりやすく解説していきますね。難しい言葉はなるべく使わないようにしますので、ご安心ください。年金には2種類あるここからは【遺族年金】だけではなく、少しだけ日本の年金制度自体の概要についてお伝えしましょう。なるべくわかりやすくポイントを絞って解説します。今ここで理解しておくと、【遺族年金】だけでなく【老齢年金】【障害年金】についても理解が深まります。国民年金に加入していた人の年金【基礎年金】日本に住んでいる20歳以上60歳未満の人は、必ず【国民年金】に加入して、しっかり国民年金保険料を払わなければいけません。様々な事情から払えない場合は、納付猶予や納付免除を申請することで、払えるようになったときに遡って追納することもできます(追納期間には別途定めがあります)。20歳から60歳までの40年間(480月)全額払い込むことで満額の年金額を受け取ることができますが、未納などがあるとその分だけもらえる額が減ります。まとめると、国民年金は【誰でも必ず加入していなければならないもの】です。このことから、年金制度の基礎となるという意味で【基礎年金】と呼ばれます。国民年金の保険料(掛け金)は、ほぼ毎年料率改定がありますが、仕事や属性によって金額の差はありません。掛け金は一律同額です。ちなみに令和元年度は月額16,410円です。厚生年金に加入していた人の年金【厚生年金】【厚生年金】とは、会社員や公務員などの給与所得者(勤務先から給料をもらっている人のこと)が、毎月の給与や季節の賞与などから自動的に保険料を天引きされているものです。平成27年以前は公務員の方が加入する【共済年金】がありましたが、現在では厚生年金と統合されています。つまり、厚生年金の加入対象者は会社員や公務員となります。私が行っているマネーコンサルティングでもよく質問を受けるのが「【厚生年金】に入っていれば【国民年金】には入れないの?まさか2つも加入できないでしょ?」という内容のご質問です。二階建ての年金という言葉を聞いたことはありませんか?【厚生年金】は、いわゆる二階建ての年金の「二階部分」にあたります。では一階部分は何かというと、上の項目で解説した【基礎年金】です。【基礎年金】は、とにかくどなたでも加入しなければいけないものなので、会社員などの厚生年金加入者は【一階も二階も加入し、両方もらえる】ということですね。【厚生年金】の保険料は、給料に応じて変動しますので、例えば同期入社の方でも全く同じ厚生年金保険料であることはまず考えられません。更に、厚生年金加入の一番のメリットとして【保険料が労使折半であること】が挙げられます。年金保険料の約半分は勤務先企業や団体が負担してくれているので、給与明細で確認する天引き額の倍の金額を実際には年金保険料として納めていることになります。遺族厚生年金・支給の条件それでは早速、今回のテーマである【遺族厚生年金】について確認していきましょう。基礎・厚生ともに【遺族年金】とは【故人が生前もらうはずだった年金を遺族補償として遺族に支給する】という性質があります。つまり、故人が何の年金に加入していたかによって、ご遺族がもらえる【遺族年金】は違うという事です。【遺族年金】を考える場合は「故人の要件」と「遺族の要件」をどちらも満たす必要があり、この後の項目で更にそれぞれについて見ていきましょう。遺族の考え方として、一昔前までは「遺族年金の対象配偶者は妻のみ」とされていました。しかし、家族スタイルの多様化が進む中、それではあまりにも時代に沿っていないということで、現在では配偶者である「夫」も対象となっています。ただし、まだまだ夫が受給するためには細かい要件が設けられていますので、この後の項目で解説しますね。必要な支給要件とは【遺族厚生年金】を受け取る為に必要な支給条件は以下の通りです。厚生年金被保険者が死亡した時被保険者期間中のケガや病気が原因で、初診日から5年以内に死亡した時【老齢厚生年金】の受給資格期間が25年以上あるものが死亡した時【障害厚生年金】1級または2級の受給資格のある方が死亡した時故人・遺族がそれぞれ満たす要件についてここからは、お亡くなりになった方(故人)と、遺されたご遺族がそれぞれ満たさなければいけない要件についてまとめます。いくつか項目がありますが、そのいずれかに該当すれば足ります。[adsense_middle]故人の要件故人の要件として真っ先に挙げられるのは、死亡した方が生前きちんと年金保険料を納めていたかどうかということです。上の項目でもご紹介していますが、【厚生年金】は基本的に給与から自動天引きされていますので未納ということはほぼ考えられないのですが、お亡くなりになった日にちの前に未納がなかったか等の細かい要件がありますので、以下リストアップします。以下のどちらかに該当すれば【遺族厚生年金】の故人の要件は満たしたことになります。故人の加入していた年金について不明な場合は、お住まいの地域の年金事務所などへご相談ください。死亡した日が令和8年4月1日より前であり、死亡した日に65歳未満で、なおかつ死亡した月の前々月までの1年間で保険料の滞納が無いこと被保険者が亡くなった場合、保険料納付期間が厚生年金加入期間の2/3以上あること(ただし免除期間を含む)対象者別・遺族の要件【遺族厚生年金】の対象者とは、お亡くなりになった方から生計を維持されていた(簡単に言うと、生活を共にしていた)妻、子、孫、55歳以上の夫、父母、祖父母です。対象者別に要件をまとめますので、確認していきましょう。また、遺族には年収の制限があり、遺族の年収が850万円を超える場合は残念ながら【遺族厚生年金】をもらえない決まりです。子に関しては【基礎年金】【厚生年金】いずれの場合でも次のように定義付けられています。【18歳に到達した年度末まで。または障害等級の1級または2級で20歳未満の者】いくら生計を同一としていて、同居している大学生の子供だとしても、18歳を超えていれば「子」としての【遺族年金】を受け取ることは残念ながらできません。妻妻は、再婚しない限り受給期間は一生涯です。また、年齢条件や子供の有無に関わらず、無条件で遺族年金がもらえます。ただし注意点として、お子さんのいない妻で、夫が亡くなった時に30歳未満である場合、5年間で【遺族年金】は打ち切りとなります。子・孫子の要件は一つ前の項目でもご紹介しましたが、基礎・厚生いずれも同一の基準です。子や孫の場合、18歳に到達した年度末までは【遺族厚生年金】の対象です。また、《障害等級1又は2級》の20歳未満の子も該当します。受給期間としては、それぞれ「子」の要件から外れる時までです。18歳到達の年度末までか、障害等級のあるお子さんの場合は20歳到達の年度末までです。夫・父母・祖父母夫・父母・祖父母の要件は、被保険者が亡くなった時に遺族の年齢が55歳以上である場合に、その後遺族が60歳到達後にもらえるようになります。妻や子、孫と違って、被保険者の死後すぐに受け取れるものではありません。もらえる人がたくさんいたらどうなる?例えばの話ですが、祖父母から妻、子、孫全てを支える大家族の世帯主が亡くなったとしましょう。この場合【遺族厚生年金】を受け取ることができるのは誰になるでしょうか?もちろん全員がもらえるわけではありません。実は【遺族厚生年金】をもらうことができる順番は決まっていて、すでに上位の順番の方が受け取ることになれば、後順位者は貰うことが出来ません。一番にもらう権利があるのは【子のある妻】です。次に【子】【子の無い妻】と続きます。では独身で配偶者が居ない場合はどうなるかというと【父母】【孫】【祖父母】の順で、同じく上位の方が受け取る権利があるという事になります。受給額の計算方法これまでにも解説しましたが【遺族厚生年金】は給与によってその受給額が変動します。なおかつ、加入期間を2つに分け、それぞれ所定の計算式に当てはめて計算し、それらを合算したものが【遺族厚生年金】の受給額の概算となります。計算式は以下の通りです。①2003年3月以前の加入期間:平均標準報酬月額×(7.125/1,000)×2003年3月までの加入期間(月数)②2003年4月以降の加入期間:平均標準報酬額×(5.481×1,000)×2003年4月以降の加入期間(月数)①+②の合計が、遺族厚生年金の概算となります。小数点が多かったり、計算式が複雑だったりで、なかなかこのような計算式を使って手動で算出するのも難しいかと思います。インターネット上には、無料で【遺族厚生年金】の目安額を知ることができるシミュレーションもあります。この場合は平均標準報酬額などが不明であっても、現在の月給などから簡易的に計算することができ、非常に便利です。目安として知っておく分には、このようなシミュレーションを使ってみることをお勧めします。[adsense_middle]年金は請求してもすぐはもらえない!【遺族厚生年金】をもらうためには、様々な書類を取り寄せて記入してから年金事務所に提出しますが、そこから実際に一回目の遺族厚生年金が振り込まれるまでに3~4か月程かかります。その間、提出された書類に関して、然るべき審査をきっちりしているという事です。(もちろん間が開いた分でも受給権が発生した期間については、第一回の年金振込の際に合算されて支給されますのでご安心くださいね。)被保険者の死後、葬祭費や医療費など様々な支払いが発生しているにも関わらず、収入の途絶する期間が続くのは心細いと思います。お子様の居るご遺族の場合は、今後の教育費についてもご心配なことでしょう。代表的な対策としては、一つ前の項目で紹介した年金受給額の目安を把握しておき、年金額でも足りない部分(例えば教育資金など)について予め民間の生命保険などで備えておくことが挙げられます。さらに、実際に年金が振り込まれるまでの生活費の3~4カ月分の預貯金を準備しておくことも有効ですね。【補足】遺族年金以外の支給額について被保険者が死亡した場合【遺族厚生年金】以外にも、ご遺族に支払われるお金があります。在職中であれば勤務先から死亡退職金が支給されます。また、加入していた社会保険から「埋葬費」「埋葬料」などの呼び名での一時金の支給があります。一律5万円程度を支給している場合が多いようです。遺族年金・遺族厚生年金に関するまとめ今回は、遺族厚生年金を受給する際のポイントについてまとめました。厚生年金のみ受給対象となる場合と、基礎年金も合わせて受給できる場合があります。それぞれ受給の条件が違いますので注意が必要ですが、詳細に関してはお住まいの地域の年金事務所や年金相談センター、または年金のプロである社会保険労務士の方へ個別ご相談することもお勧めです。また、今回ご紹介した計算方法についても、あくまで概算としてお考え下さい。だいたいの目安として捉えていただき、足りないと思った場合は民間の生命保険や預貯金などで早めに対策することが出来ます。万が一のことが起こってからでは対応できない場合がほとんどですので、前もって大体の額を把握しておくと良いですね。ご家族に万が一のことがあるということを仮定すること自体、不謹慎なような気がして気が進まない方がほとんどかと思います。しかし「万が一」は必ずいつかはやってきます。そうなったときに少しでも精神的、肉体的な負担を減らすことが出来るよう、遺族年金の制度や仕組みについて前もって知っておくことは非常に大切であると言えます。
2020年03月04日いよいよ今年も確定申告が始まりました。自営業などで毎年確定申告を行っている方は一連の流れと、どのようなものが確定申告の対象になっているかご存知の方も多いでしょう。しかし、遺族年金を受給している方が、確定申告が必要か否かは、普段から確定申告をしていてもなかなかわからないでしょう。そもそも年金制度自体、確定申告が必要なのかというところも分かりづらいですよね。では実際どうなのかというと、確定申告が必要な場合も、不必要な場合もあります。本記事では、この遺族年金の確定申告について、必要な場合・不必要な場合に分けて詳しく解説していきます。どうぞ皆様のお役に立ちますように。遺族年金は非課税であるまず初めに大前提として「遺族年金は金額に関わらず全額非課税である」という事は覚えておいてください。これは、遺族年金の内、自営業者など国民年金加入者だった方のご遺族が受け取る「遺族基礎年金」の場合でも、会社員などの給与所得者が加入している厚生年金の場合に受け取る「遺族厚生年金」の場合でも、とにかく遺族年金は全て非課税です。遺族年金は非課税=所得税や住民税、相続税などあらゆる税の対象とならないということ年金と税金の関係遺族年金が非課税であることは必ず覚えていただきたいポイントです。この後解説しますが、障害年金も遺族年金と同様に非課税です。年金制度には3つの年金があります。今回のテーマである【遺族年金】と【老齢年金】【障害年金】があります。基本的に日本の年金制度は【一人一年金】を掲げており、何かしらの年金を受給していたら他の年金と併給できないことになっています(同時に発生した別の年金は、どちらか選んで受給することになります)。中には特例として併給可能な年金もありますが、基本的には【一人一年金】であることも覚えておくと良いですね。課税される年金3つの年金のうち、課税されることがある年金は「老齢年金」です。老齢年金は一定額以上であれば課税対象となります。「老齢年金」つまり老後資金としての年金はどなたでも貰う権利があります(未納などが無ければ)。なぜなら、誰だって歳を取るからです。しかし「遺族年金」「障害年金」に関しては、必ずしも全員が一生涯の内にもらうわけではありません。該当せずに一生を終える方もいらっしゃいます。付け加えて、遺族年金に関しては大人だけが対象となるわけではありません。わかりやすい例では、遺族基礎年金の場合は「18歳未満の子」も受給対象であることから、大切な家族を亡くした後の貴重な生活費として受給している遺族年金に対して、未成年の子に課税するのはあまりにも酷ですよね。イメージとしてわかりやすくするために、このようなことを頭の片隅に置いていただくと良いかと思います。非課税の年金金額によらず一律非課税となる年金は以下の通りです。遺族年金や遺族保障関係と障害年金は全て非課税と覚えていただくと良いですね。所得税・住民税等全て非課税遺族基礎年金遺族厚生年金寡婦年金、死亡一時金障害年金(基礎・厚生いずれも)勤務先団体による遺族保障としての遺族年金(この場合は所得税のみ非課税となる)所得税や住民税以外に相続税・復興特別所得税などがありますが、いずれも遺族年金には課税されません。他に収入があれば確定申告を遺族年金は非課税です。つまり所得とはみなされませんから、遺族年金以外に収入がない場合は確定申告をする必要がありません。では、遺族年金をもらっている人は、どのような場合に確定申告が必要となるかというと、年金以外の給与所得や事業所得がある場合や、遺族年金以外の年金を受け取っている場合などがあります。この場合でも、遺族年金は金額に寄らず非課税ですので、それ以外の収入について確定申告をすることになります。補足・年金受給中は源泉徴収票もらえる?ここまでに繰り返している通り、遺族年金と障害年金は所得とみなされず非課税ですから、当然源泉徴収票は発行されません。しかし、老齢や退職にともなう年金の受給がある場合は源泉徴収票が発行されます。源泉徴収票は確定申告の際の必要書類です。年金受給に関して源泉徴収票の発行があったという事は、確定申告が必要な場合かもしれないので注意が必要です。[adsense_middle]【ケース1】確定申告が必要な場合遺族年金受給者で確定申告が必要な場合とは、遺族年金以外に収入がある場合です。この場合の注意点として【遺族年金以外の収入のみを確定申告する】ということです。繰り返しになりますが、遺族年金は収入とはみなされませんから非課税です。収入とみなされないのですから、申告する必要がないということです。例えばご主人を亡くされた奥様が自営業だった場合、その事業に対する所得の申告のみをすればよいという事です。【ケース2】確定申告が不要な場合確定申告が不要な場合の代表例として【遺族年金や障害年金のみ受給していて他に収入が無い場合】です。何度も繰り返しますが【遺族年金・障害年金は非課税】だからです。課税する収入がこの非課税の年金しかない場合は、確定申告のしようがないということになります。これから紹介する2つのケースでも、確定申告が不要となります。これらはどなたも一律で当てはまる条件ではないので、年金に関するご不明点は日本年金機構のホームページでご自身でお調べになるか、お住まいの地域の年金事務所に尋ねてみるとよいでしょう。①老齢年金のみ受給の場合また、これまで解説したように老齢年金では金額によって課税される場合もありますが、老齢年金のみが収入の方で(年金以外に収入がない場合)一定の金額に満たない場合は確定申告は不要となります。金額の目安は以下の通りです。65歳未満の場合…年額108万円未満の場合65歳以上の場合…年額158万円未満の場合②確定申告不要制度を利用する場合老齢年金をもらっている人で、確定申告の手間を省くために特例として「確定申告不要制度」というものがあります。以下の条件をどちらも満たす場合は、この制度を利用できます。受け取っている老齢年金の全額が源泉徴収の対象で、その合計が400万円以下であること公的年金以外の所得が20万円以下であること非課税でも更に節税できる場合って?遺族年金は非課税ですから、遺族年金しか収入がない場合は「所得がない」とみなされます。つまり、通常の確定申告などで発生する各種所得控除が一切関係ないことになります。そもそもの所得がないことになっているので、控除(差し引く)の意味がありません。所得控除の主なものとして「基礎控除」「医療費控除」「生命保険料控除」「寡婦(寡夫)控除」「扶養控除」「配偶者控除」などがあります。しかし、遺族年金を受け取っている人でも角度を変えれば「節税ポイント」が見えてきます。ここでは代表的な2つの例をご紹介します。医療費控除と住民税等のポイントご本人が遺族年金を受け取っている方で、生計を同じにしているご家族がいらっしゃる場合、同一世帯ということで医療費控除をまとめて受けることが出来ます。おひとり分より、二人分または複数名のご家族分まとめた方がメリットは高くなりますよね。例えば、ご主人を亡くされたお母さまと、会社員の息子様の同居世帯の場合、お母さまが遺族年金以外に所得が無ければ息子様の扶養親族になることで医療費控除の面でもメリットがありますし、扶養親族になることによって息子様の所得税及び住民税の控除が発生します。つまり節税になるという事です。必ずしも同居である必要はありませんが、別居の場合は少し控除額が下がります。扶養親族の控除額子や孫の扶養親族となる場合の控除額は以下の通りです。70歳未満の同居の親族の扶養となる場合、所得税38万円・住民税28万円の控除が発生します。70歳以上で同居の親族の扶養となる場合、所得税58万円・住民税45万円の控除が発生します。別居の場合は所得税48万円・住民税38万円の控除となります。社会保険でなければ意味がない扶養親族になることで、もう一つメリットがあります。今度はお母さまに対してのメリットです。この場合の例でいくと、息子様の健康保険に加入することで健康保険料を負担しなくてよくなります。ただし健康保険に関する注意点として【社会保険加入でなければ意味がない】ということです。自営業者やフリーランスなどの国民健康保険加入者の扶養に入ったとしても、ご本人はご本人で保険料を負担する必要がありますので、あまり意味がありません。遺族年金を受け取っている人の負担を減らすには、可能であれば扶養親族になって健康保険料を削減。遺族年金と確定申告に関するまとめ遺族年金と障害年金は収入とみなされず非課税であるということは、本記事を読んで一番印象に残ったのではないでしょうか。【収入とみなされない=所得ではない=確定申告不要】とイメージで覚えると良いかもしれません。関連する情報として、老齢年金は一定額以上では確定申告が必要であることも知っておくと役に立ちますね。医療費控除や扶養控除など【控除を活用した節約ポイント】は裏技的ではありますが、決して裏技ではなく、知っておくとおかないでは差が出る豆知識です。もし該当するようであれば、是非この控除を活用しましょう。年金にしても税にしても、なかなかわかりにくいことばかりですよね。しかし、実際に一度手続きをしてみると「意外と簡単!」と思うこともしばしば。あまり苦手意識を持たず、該当する場面においては本記事のようなインターネット上の情報も参考にしながら進めてみてはいかがでしょうか。
2020年03月03日遺族年金は、老齢年金制度(一般的に「年金」と呼ばれるもの)ほどは日常的に話題になるものではありません。老齢年金は誰でももらうことができるのに対し、遺族年金は必ずしも誰もがもらえるものではないからです。また、詳細は後述しますが遺族年金に関しては女性の方が受給の幅が広いことや、受給できるターゲット層の狭さも一般的に遺族年金の認知度が低い要因であると考えられます。今回の記事では、これらの手続き方法について手順通りにまとめて解説します。是非参考になさってください。遺族年金とは遺族年金には、故人が生前どの年金に加入していたによって2種類あります。ひとつは国民全員が加入義務のある「国民年金」に加入していた場合の【遺族基礎年金】、もうひとつは会社員などの給与所得者が厚生年金に加入していた場合の【遺族厚生年金】です。国民年金加入の方のご遺族は【遺族基礎年金】の受給要件に該当しなければ他の遺族補償はありませんが、厚生年金加入だった方のご遺族は「基礎」または「厚生」のどちらか(または両方)の要件に該当すれば、どちらの年金も受け取ることが出来ます。ここからは、この受給の要件に関して、加入していた年金別に詳しく解説をしていきます。日本の年金制度には、この【遺族年金】も含めて3種類があります。一般的に「年金」と呼ばれるのは【老齢年金】のことで、老後資金としての年金です。他に【障害年金】がありますが、これは所定の障害状態に該当した場合に受け取ることができます。受給の要件故人が、生前に加入していた年金がどれであるかによって、遺族がもらえる年金は変わってきます。さらに《故人の要件》《遺族の要件》があり、このいずれにも該当しなければ受給できません。どちらかの条件しか満たしていない場合は遺族年金を受給することはできません。ここからは年金の種類別に受給要件のポイントを解説していきます。基礎・厚生ともに共通する配偶者の所得要件として「年収850万円未満であること」があります。遺族基礎年金故人の要件《故人の要件》として、「国民年金に加入していること(していたこと)」「現に【老齢基礎年金】を受け取っていたこと」などがあります。遺族の要件《遺族の要件》としては「子(18歳を迎えた年度末まで)」または「子のある配偶者」です。つまり、お子さんのいらっしゃらない配偶者や、18歳を超えたお子さんがいる場合は【遺族基礎年金】は受給できません。子供の有無が非常に大きなポイントであり、あくまでも子供の養育のための側面が強いのがこの遺族基礎年金です。遺族基礎年金の場合の【配偶者】とは、父親・母親どちらでも良いとされています。生前、生計維持関係にあった妻や夫・子であれば、この受給対象となります。遺族厚生年金故人の要件《故人の要件》として、「厚生年金の加入者だった場合」「厚生年金加入期間に初診日のある病気やケガが原因で初診日から5年以内に死亡した場合」「所定の障害年金を受けられる場合」「老齢基礎年金の資格期間を満たしている場合」があります。遺族の要件《遺族の要件》として、生計維持関係である「1・配偶者」「2・子」「3・孫」「4・父母」「5・祖父母」の順位で受給権が発生します。配偶者や子がいる場合は真っ先に受給対象者となり、配偶者も子もおらず、例えば同居して生活を共にしている(これを生計維持関係と言います)親がいる場合には、その親が遺族厚生年金の受給の対象者となります。【遺族基礎年金】よりも受給範囲が広いことが特徴です。この場合の配偶者は夫でも良いのですが、妻が死亡した時点で、夫が55歳以上の場合、60歳になった以降遺族厚生年金をもらうことになります。【遺族厚生年金】の場合、子供の有無は問題ではありません。子どもの居ない配偶者でも年金をもらうことが出来ます。ただし、夫の死亡時に30歳未満で子どもの居ない妻である場合は、受給から5年間の有期年金となります。5年経過すると【遺族厚生年金】は打ち切りという事になります。【補足】現に会社員の妻である場合若くで夫が亡くなった場合、妻と子はどうなるのでしょうか。遺族年金として受け取る額は、本来夫が【老齢厚生年金】としてもらえるはずだった金額の3/4が目安です。この場合、若くして亡くなった場合は厚生年金の加入期間が少ないため【遺族厚生年金】も少なくなってしまうのではないか、と心配される方がいらっしゃいます。しかしご安心ください。厚生年金の加入期間が25年(300月)に満たない場合でも、300月とみなして遺族厚生年金を支給する【短期要件】という特別な要件があります。この短期要件があるおかげで、厚生年金加入が25年に満たない若年層の方の遺族補償として十分に安心できる仕組みとなっています。途中でもらえなくなる場合も配偶者の死亡時には要件に該当しており長年もらっていた遺族年金も、様々な理由から途中で打ち切りとなる場合があります。最も代表的な例は「子供が成長し、18歳を迎える年の年度末を過ぎてしまい【子のある配偶者】ではなくなった場合」や「新たなパートナーを得て再婚することになった場合」などがあります。[adsense_middle]申請に必要なもの申請に必要な書類は以下の通りです。年金請求書年金手帳(紛失の場合は再発行)故人と受給権者の続柄の明記のある戸籍謄本住民票(世帯全体で故人の除票となるもの・マイナンバー不要)受給権者の所得証明(源泉徴収票など)義務教育以外の子供がいる場合は、子の所得証明(高校生は学生証のコピーなど)死亡診断書交通事故など第三者行為による死亡の場合は、それらを証明する書類(交通事故証明書など)遺族年金の振込先金融機関の通帳印鑑(実印でなくても可。スタンプ印不可)申請場所遺族年金に関する書類の提出先は、全てが年金事務所ではありません。実はこの提出場所に関しても、受給する年金が基礎か厚生かによって違います。年金事務所へ提出する場合【遺族厚生年金】の受給対象者の方は、お住まいの地域の管轄である年金事務所へ提出します。市役所・区役所などへ提出する場合【遺族基礎年金】の受給対象者の方は、市役所や区役所などの市町村役場の年金担当課に提出します。代理での提出は可能?配偶者を亡くされた後は、遺族年金の手続きだけでなく相続や遺品・財産整理など、精神的にもお辛い中でやるべきことは山積みの状況です。遺族年金の手続きに関しては、委任状などの然るべき書類を揃えることで代理申請も可能です。社会保険事務所に依頼も可遺族年金だけに限らず、年金に関する手続きの専門家は社会保険労務士です。遺族年金の代理申請に関して、親族が遠方でお願いできない場合や、間違いの無いようにプロに依頼してきっちり手続きを進めたい方などは、社労士のいる社会保険事務所へ有料で依頼することもできます。料金目安として、2万円前後~せいぜい5万円くらいで収まります。郵送での提出も可どうしても時間が無い場合などは、必要書類を郵送して遺族年金の請求を行うことも可能です。ただし、この場合に注意しなければいけない点として、もし書類の不備や訂正が発生した場合に、やりとりに時間がかかってしまうという事です。可能であれば、やはり年金事務所や市役所等の年金窓口などの提出先に持参するのが確実でしょう。年金に関する相談場所遺族年金に限らず、年金制度全般に関しての相談場所は年金事務所です。時期によっては年金事務所でも大変混雑していることがありますので、前もって予約をしてから訪れる方が良いでしょう。提出期限遺族年金は、基礎・厚生ともに、いつまでに提出しなければいけないという期限は特に設けられていません。しかし遡って申請できる時効期間は受給権が発生してから5年と決まっており、受給権が発生して5年を超えると時効により権利が消滅します。やむを得ない事情により5年を超えてしまっても、時効撤回の申し立てをすることもも可能ではありますが、当初の期間内に行うよりも遥かに時間と労力がかかる作業なので、やはり早めに提出し申請することがベストです。実際に遺族年金の受給申請をしてから実際に受給するまでに3~4カ月かかることもあります。このことから、ご自身が遺族年金の受給対象者であると分かり次第、なるべく早めに必要書類などを揃えて然るべき提出先へ提出することをおすすめします。受給開始の目安遺族年金は、偶数月の15日に2カ月分を振り込まれる仕組みになっています。しかし、遺族年金の初回分の振り込みに関しては、ここまで解説してきたような様々な書類を提出し、それを基に「故人の要件」「遺族の要件」を満たしているか等の審査が行われまず。それらを経てから受給開始となりますので、早くても申請から3か月程度、長い場合は更にあと1か月程度かかる場合もあります。初回振込が遅れても、受給権が発生している年金額に関しては後の振り込みと合算されますのでご安心ください。受給開始までの生活費の備えが肝心実際に生活費としての遺族年金をもらえるようになるまで、最大4か月程度かかるとすると、その間収入がかなりダウンすることになります。配偶者の逝去により葬儀費用や医療費など、様々な形での出費は免れません。さらに、住居費や教育費など、配偶者の生前と変わらない定期的な出費も続きます。近年では民間の生命保険での保険金支払いもスピーディになりましたので、きちんとした保障の生命保険に加入していれば、実際に遺族年金を受け取るまでの生活費として十分な一時金となるでしょう。しかし、そうではない場合は、少なくとも当面の生活費として預貯金で備えることになります。生命保険にしても、預貯金にしても、早めに万が一に備えておくことが大切です。[adsense_middle]老齢年金と遺族年金は併給できる?日本の年金制度には【老齢・遺族・障害】の3種類があります。日本では【一人一年金の原則】があり、複数の年金の受給権が発生しても、基本的にはいずれか一つを選んで受け取ることになります。同じ種類の年金は併給OK遺族年金の場合、基礎と厚生を同時にもらうことは出来ます。これは老齢年金や障害年金の場合でも同じで、基礎と厚生は併給可能です。種類の異なる年金は要注意種類の異なる年金の受給権が発生した場合は、注意が必要です。どちらの受給権も発生していますので、どちらを受け取るか選ばなくてはいけません。ここでポイントとなるのは、一度発生した年金の受給権は消滅しない、ということです。今はいずれか一つの年金を選んでも、のちに別の受給権のある年金に切り替えることもできます。選ばなかったからといって、受給権が消滅するわけではありません。併給の例外65歳以上になって老齢年金の受給権が発生した後は、一人一年金の原則ではなく例外としていくつかの併給が認められます。老齢基礎年金+遺族厚生年金障害基礎年金+遺族厚生年金障害基礎年金+老齢厚生年金複数の年金受給権が発生した場合は、年金手帳を持参のうえ年金事務所等へ「どれを選ぶと良いか」の相談に行くことをお勧めします。本当に困っている事象に対して年金制度がより役に立つ方法を専門家に相談することが安心の第一歩です。遺族年金の税務遺族年金は、基礎・厚生どちらも全額非課税です。遺族年金とは、生計維持関係にある配偶者が逝去したことによる、生活費の大幅ダウンに備えるための生活費という位置づけであるからです。遺族年金の手続き方法に関するまとめ配偶者が亡くなった場合でも、受給のための要件を満たしていない場合は残念ながら受給することができません。まずは要件を満たしていることが大前提ですが、一度受給開始した遺族年金でも途中で要件を満たさなくなれば途中で打ち切りとなる場合もあります。手続きの流れとしては、故人が生前加入していた年金制度の窓口となる然るべき提出先に提出するだけで良いのですが、大変なのは書類の取り寄せや記入です。なるべく何度も書類の取り寄せに動くのではなく、本記事でまとめている必要書類を参考に、限られた時間の中で効率的に書類を集めることが出来ればと思います。これらの必要書類や手続きの流れについては、日本年金機構の遺族年金のページにもしっかりまとめられていますので、お困りの際は是非そちらもご参照ください。また、最寄りの年金事務所や市役所等の年金担当窓口にたずねるのも確実かと思います。
2020年02月20日生活を共にしていた配偶者が死亡した場合、これからの生活や今後の事など不安に苛まれ、精神的にとてもお辛いかと思います。日が経つにつれ、現実的には金銭面での今後についても一気に不安になることでしょう。この金銭面でのサポートとして「遺族に対する年金制度」があります。しかし残念ながら、どなたにでも平等に…というわけにはいきません。この遺族年金をもらうためには、いくつかの要件を満たす必要があります。その要件を満たしていない場合は残念ながらもらえないということです。本記事では、遺族年金を受け取るにはどうしたら良いか等について、具体的な申請方法についてわかりやすく解説をしていきます。受給の条件「遺族年金」の受給の条件として《亡くなった方が満たすべき条件》と、《受給の対象となるご遺族が満たすべき条件》の2種類があります。更に、亡くなった方が生前加入していた年金が、自営業やフリーランスの加入する国民年金であるのか、会社員や公務員などの給与所得者が社会保険と同時に加入している厚生年金なのかによって、それぞれの受給の条件が変わります。対象となるお子さんの条件に関しても年齢の制限がありますので、よく確認しましょう。【共通要件】遺族の所得制限基礎・厚生どちらにも共通することとして「遺族年金」を受け取ることになる方の所得の制限があります。年収850万円を超えている配偶者(遺族)の場合は、所得制限にかかり受け取ることが出来ません。この所得の制限を調査するためにも、年金請求書とともに提出する書類として「源泉徴収票」などの所得のわかる書類が含まれています。【自営業者等】国民年金加入の場合国民年金のみ加入している自営業者やフリーランスの方は、遺族年金のうち【遺族基礎年金】のみを受給することが出来ます。亡くなった方の条件受給資格期間が25年以上ある(免除期間も含めて保険料納付済期間が2/3以上であること)死亡日に65歳未満の場合は死亡した月の前々月までの1年間の保険料の滞納が無いこと(令和8年4月1日までの特例)ご遺族の条件以下のいずれのかに該当する必要がありますが、いずれ場合も、死亡した者と同居していた等の生計維持関係であることが前提です。子(18歳を迎えた年の年度末まで。または障害等級1級か2級で20歳未満)子のある配偶者【会社員等】社会保険加入の場合会社員や公務員など給与所得者として社会保険に加入し、厚生年金をかけていた場合は、遺族年金の内【遺族基礎年金】と【遺族厚生年金】の両方を受け取る権利があります。ただし、それぞれの要件を満たす必要がありますので、どちらか片方または両方を受け取ることとなります。亡くなった方の条件厚生年金に加入していた場合被保険者期間中にの病気やケガが原因で5年以内に死亡した場合免除期間も含めて保険料納付済期間が2/3以上であること死亡日に65歳未満の場合は死亡した月の前々月までの1年間の保険料の滞納が無いこと(令和8年4月1日までの特例)【老齢厚生年金】の受給資格期間が25年以上ある場合【障害厚生年金】の1級または2級を受けられる方が亡くなった場合ご遺族の条件以下のいずれのかに該当する必要がありますが、いずれの場合も、死亡した者と同居していた等の生計を維持する関係にあることが前提です。妻子(18歳を迎えた年の年度末まで。または障害等級1級か2級で20歳未満)孫55歳以上の夫父母祖父母申請方法遺族年金の条件を満たしていた場合は、速やかに年金受給の手続きをしましょう。ここからは、必要書類や申請先について解説します。[adsense_middle]必要書類必要書類は以下の通りです。年金請求書(日本年金機構HPよりダウンロードも可能)年金手帳世帯全員の住民票亡くなった方の住民票の除票請求する方(遺族年金の対象者)の収入のわかるもの(源泉徴収票など)子供の収入の収入のわかるもの(義務教育は不要。高校生は学生証の写しなど)死亡診断書のコピーまたは死亡届の記載事項証明書年金振込先に指定する金融機関の通帳印鑑(認印可。スタンプ印不可)申請先申請先は、どの年金を受給するかによって違います。遺族基礎年金はお住まいの地域の市町村役場の年金担当窓口です。遺族厚生年金は最寄りの年金事務所です。受取方法遺族年金の受け取り方法は、指定した銀行口座へ2カ月分の合計額が振り込まれます。支給のタイミングは1年の内の偶数月(2月・4月・6月・8月・10月・12月)の各15日です。15日が土日祝日に重なる場合は、前倒しで直前の平日となります(たとえば15日が日曜日である場合は、13日金曜日に振り込まれます)。初回分が振り込まれるまでの期間遺族年金の申請手続きを済ませてから、実際に1回目の年金振込があるまで約3~4か月かかります。支給日が遅れた場合でも、受給の権利が発生した日以降の分は初回分に合算して振り込まれますのでご安心ください。収入の途絶に備えるために手続きの為には、まず様々な必要書類を集めたり記入する必要があります。遺族年金の申請手続きと並行して、配偶者の逝去に伴う様々な手続きを同時進行する場合がほとんどですので、なかなか思うようには進まない場合もあるかもしれません。先ほども紹介しましたが、遺族年金を受取るには申請してから更に3~4か月かかります。その前の段階(提出する前)にも時間がかかってしまうと、配偶者の逝去から半年~1年後から遺族年金を受け取ることになる方も少なくありません。その間の収入の途絶に備えるために、生命保険や預貯金での最低限の生活費の備えは、あらかじめしておくようにすると安心です。受給額の目安について年金の受給額に関しては、各ご家庭の家族状況などによって差があります。もちろん、受け取る遺族年金が基礎年金か厚生年金かの違いもあります。遺族年金は非課税遺族年金は全額非課税扱いです。これは金額の多寡に関わらず、どなたでも一律課税されません。遺されたご家族の生活費の要となるお金ですので、そこまで課税していては本末転倒です。ただし、老齢年金や付加年金に関しては課税されます。扶養親族になるメリット高齢の親御様が遺族年金を受給している場合、給与所得者であるお子さんの「扶養親族」とすることで、お子さんの節税になり、さらに親御様も健康保険の保険料が安くなるなどのメリットがあります。夫ももらえる?これまでは【遺族基礎年金】における定義付けとして「子または子のある妻」と限定されていました。現行では「子のある配偶者」と改正されていますが、これは近年の家族形態の多様化によるものです。必ずしも夫が一家を担う大黒柱である必要はなく、夫婦が揃って社会で活躍するスタイルが増えてきました。このことから【遺族基礎年金】では、夫も対象となります。また【遺族厚生年金】でも夫が受け取ることは出来ますが、この場合は妻が死亡した当時に夫が55歳以上で、なおかつ夫が60歳以降にならなければ受け取ることが出来ないという少々厳しい条件となっています。[adsense_middle]年金がもらえなくなる場合とは?配偶者が亡くなった当初は受給の要件に該当していて受け取ることが出来ていた年金が、途中でもらえなくなることがあります。もらえない場合に該当する一般的な例として「再婚による場合」「子どもが成長して18歳を超えた場合」があります。事実婚の場合どうなる?近年、家族形態の多様化に伴い、事実婚や内縁関係でも柔軟に遺族年金が支払われる場合があるとのことです。この場合の大前提として、戸籍上別の婚姻相手がいないことは当然ですが、離婚後そのまま同居して事実上夫婦の形態で暮らし、生計を維持する関係にある場合などが、遺族年金上の生計維持関係とみなされる場合があるようです。実際に事実婚を証明するには様々な必要書類を提出しなければいけませんが、仕事上の都合や何かしらの理由があって未入籍のまま長く夫婦同然に生活をしている場合は、遺族年金の受給の要件に該当する場合もありますので一度年金事務所などに相談に行かれると良いでしょう。シングルマザーはどうなる?シングルマザーの方でお子さんとご本人だけの生活である場合、子供にとって唯一の親であるお母さまに何かあったら遺族保障はどうなるのでしょうか。まず、アルバイトやパートなどで国民年金のみ加入している場合、遺族基礎年金の受給要件である「子」に該当すれば、お子さんに遺族基礎年金が支給されます。お母さまの要件として、直近1年以内に保険料の未納が無ければ大丈夫です。会社員や派遣社員などで社会保険加入の場合、「子」の条件に当てはまれば、遺族厚生年金も受給できることになります。この場合のお母さまの要件として、基礎年金と同様に1年以内に保険料未納が無いこと等があります。配偶者が居なくても、お子さんは守られるべき存在です。然るべき遺族保障が遺されたお子さんにきちんと支給されることになっています。どうぞご安心ください。遺族年金の受給条件に関するまとめいかがでしたか。遺族の条件や亡くなった方の要件、さらに加入していた年金がどれであるかによって満たさなければいけない内容が様々です。ご自身がどこに、どう該当して、果たして遺族年金をもらうことが出来るのか、なかなかご自身で判断できかねる場合もあるかと思います。そのような時には最寄りの年金事務所や年金相談センター、市町村役場の年金担当窓口などへお気軽にご相談されることをお勧めします。ちなみに、委任状による代理申請や郵送での申請も可能です。また、年金制度全般に関する専門家は社会保険労務士です。別途有料にはなりますが、年金関係の手続きの代行も行ってくれますので、時間短縮や正確さを求める場合は社会保険労務士に依頼することも一つの対策となります。
2020年02月18日配偶者が亡くなり、これからの生活をいかに立て直していくか大変心細い状況の中で、「遺族年金を受給できる」ということは唯一の安心材料ではないでしょうか。どんなにつらい状況であっても生活は続きます。つまり生活費は日に日に減っていきます。精神的にもお辛い中で、2カ月に一度の振込日には、必ず生活費として遺族年金を受け取ることが出来ると思うと、少なくとも金銭面での不安は少し解消されるかもしれません。本記事では、この大切な遺族年金の受け取りの流れについて解説していきます。申請方法の流れ遺族年金は、老齢年金と違って誰しもが受け取る権利のある年金ではないので、該当する場合にはご自身で申請しなければ受給できません。配偶者の逝去により、なんらかの遺族年金を受給できる要件に該当するかもしれない、と思った方は最寄りの年金事務所へ相談に行くと良いでしょう。もちろん本記事のようにインターネットや書籍などで遺族年金についてご自身で調べるのも一つの手段ではありますが、配偶者を亡くした後で精神的にもお辛い中、ご自身で調べるにも限界があるのではないでしょうか。ここからは実際の申請方法の流れや必要書類について、なるべく簡潔にポイントを絞ってまとめていきます。是非参考になさってください。申請に必要な書類申請に必要な書類として、2パターンあります。まずは【ご自身で取り寄せる書類】、もうひとつは【年金事務所から受け取る書類】です。年金事務所から受け取る書類は「年金請求書」のみです。実際に年金事務所へ行き直接受け取ることもできますし、日本年金機構のホームページ内より年金請求書のダウンロードもできます。記入見本を確認することもできますので、ホームページの資料をお使い頂いても良いでしょう。【ご自身で取り寄せる書類】はいくつかありますので、以下リストにて紹介します。年金手帳戸籍謄本(提出の6カ月前までのもので、配偶者との続柄のわかるもの)世帯の全部の住民票請求者(ご遺族)の収入のわかるもの(生計維持認定のため)子の収入がわかるもの(義務教育中の子の証明は不要。高校生は学生証など)死亡診断書または死亡届の記載事項証明書受取先金融機関(遺族年金振込先)の通帳印鑑(スタンプ印不可。認印は可能)どこに申請するのか「遺族年金の受給」といっても、自営業者やフリーランス等のご遺族が受け取る年金なのか、会社員や公務員等の給与所得者のご遺族が受け取る年金なのかによって、申請および提出先が違います。亡くなった方が国民年金の加入者だった場合の申請先は「市町村役場の年金窓口」です。一方、給与所得者であり、厚生年金の加入者だった方の請求先は「お住まいの都道府県の最寄りの年金事務所」となります。申請から実際の受け取り年金請求書や取り寄せるべき書類一式を提出したら、あとは実際に振り込みがあるまで3~4カ月待つことになります。途中で進捗状況を知らせる葉書や封書が日本年金機構から届きます。またその間、書類に不備などがあれば当然修正することになり更に時間がかかりますので、なるべく最初の提出時に間違いのないよう書類を揃えましょう。以下、申請から初回の振込までの流れを順を追って解説します。受給資格の取得(配偶者逝去の翌月)遺族年金の請求(請求締め切りの期間は特にありませんが、なるべく早めが良いでしょう)日本年金機構より【年金証書・年金決定通知書】が郵送で届く日本年金機構より【年金振込通知書】【年金支払通知書】が郵送で届く第一回目の年金受取その後は偶数月の15日(土日祝の場合は前倒し)に遺族年金振込受給できる期間各種遺族年金を受け取ることが出来るのは、受給要件に該当したときからスタートで、該当しなくなれば取り消しです。最初は貰っていたのに、のちに要件に該当しなくなる場合とは、主なもので【新たなパートナーと再婚する場合】や【遺族年金を受け取っていた遺族の死亡】により中断すること等が挙げられます。加えて、遺族基礎年金に関しては子供がいるかいないかは受給するための大前提となります。そのお子さんが成長し、18歳を超えた場合には、遺族基礎年金は打ち切りとなります。いつからもらえる?遺族年金の開始時期は「配偶者の死亡した日の翌月から」対象となります。ただし、翌月からすぐに振り込みがあるわけではありません。実際には諸手続きを済ませた後、3~4カ月くらいは初回の振込までに時間がかかります。また、振り込まれるタイミングは個別に違うものではなく、全国一斉に日にちが決められており、銀行などの金融機関では「年金支給日カレンダー」をあらかじめ掲示や配布しているところもあります。支給月および支給日支給月は1年の内の偶数月で(2月・4月・6月・8月・10月・12月)、支給日は偶数月の15日です。ただし土日や祝日などで一般的な金融機関が営業していない日にちに年金振込日が重なった場合は、前倒しでの振込となります。(たとえば2月15日が土曜日である場合、前倒しの14日金曜日に年金が振り込まれます)遺族年金の認定日から実際の初回振り込みまで時間がかかっても、その間に受け取ることが出来る年金額については、初回振込分に合算して支給されます。たとえ遅れていても、年金受給の権利が発生していればもれなく受け取ることが出来ますのでご安心ください。受給できる要件受給できる要件として、亡くなった配偶者が「国民年金」「厚生年金」いずれに加入していたかによって違います。また、どちらの場合でも【配偶者】であれば夫でも妻でも良いのですが、夫の場合は少々要件が厳しい場合があります。ここでは年金制度別に、受給の要件についてポイントをまとめます。[adsense_middle]①国民年金受給の対象は「生計維持関係にある子または子のある配偶者」子の要件として18歳に到達する年度末までであること子の18歳以降はもらえなくなる妻の死亡により夫が受給する場合は、夫の年齢が55歳以上で60歳未満であること子供の居ない場合は受給不可遺族の要件として前年の収入が850万円以下であることお子さんの居ない国民年金加入のご夫婦の場合、遺族年金をもらうことが出来ません。現行の遺族年金制度では、年齢や収入に関わらず、子供の有無が大きなポイントとなっています。例えばご夫婦二人で自営業を営んでいる場合などは、配偶者の内どちらかがお亡くなりになると事業自体の規模縮小や、場合によっては廃業せざるを得なくなる場合もあります。遺族年金が無いという事は、配偶者の死後の生活費を自分で準備しておくしかありません。生命保険の死亡保障でしっかりお互いの為に資産を残すことや、事業の内容によっては損害保険への加入検討など、早めに万が一に備えておくことをお勧めします。②厚生年金受給の対象は「配偶者、子、父母、孫、祖父母」の順で順位の高い人が受給する。子供の居ない配偶者でも受給できる(ただし妻が30歳未満の場合は受給上限5年)40歳以降65歳未満の場合は中高齢寡婦加算も上乗せされる場合もある。妻が死亡した時に夫が55歳以上であれば60歳以降から受給可能。中高齢寡婦加算とは、遺族厚生年金を受給する妻にお子さんがいない場合(または18歳に到達した子がいる場合)に、40歳から65歳未満であればその期間だけ上乗せして支給されます。残念ながらこの制度は、妻を亡くした夫には適用されません。また、中高齢寡婦加算が65歳で終了した後、妻が自分の老齢基礎年金を受給するようになったら、今度は【経過的寡婦加算】という加算を受け取ることが出来る場合もあります。これも遺族が夫の場合は受け取ることが出来ません。このような遺族年金に関する諸制度に関しては、妻が遺族になる場合が未だ優遇されている面があります。受給できる金額の目安遺族年金の金額は、亡くなった配偶者が生前に加入していた年金が、国民年金か厚生年金かどちらだったかによって計算基準が変わります。なお、年金制度の違いによる受取基準は上記の通りです。ここでは年金別に金額の目安となる概要を説明します。また、年金額の一般的な計算はご自身やファイナンシャルプランナーでも行うことは可能ですが、年金に関する専門的なご質問に関しては、最寄りの年金事務所または社会保険労務士までお尋ねください。基礎年金は一律遺族基礎年金(国民年金加入者だった方)の場合は、年金受給の要件に該当すれば受け取る年金額はどなたでも一律です。基準となる額は同じなので、変動があるとすればせいぜい子供の人数によって金額が変わるくらいです。一律の金額は以下の通りです。780,100円+子の加算(第2子までは各224,500円・第3子以降は各74,800円)厚生年金は報酬により変わる遺族厚生年金の受給額は、亡くなった配偶者の年収に応じて細かく金額が変わります。基礎年金と違い、決して一律ではありません。平成15年以前とそれ以降の被保険者月数と、平均標準報酬月額(平均標準報酬額)を掛け合わせ、さらにそれぞれに対して所定の係数をかけて合算したものが遺族厚生年金の額の目安となります。この計算式は非常に複雑な為、手計算で行うのではなく、Web上に無料で公開されている遺族厚生年金の受取額を調べるための簡易シミュレーターがありますので、そちらを活用するのが良いでしょう。遺族年金がいつからもらえるのかに関するまとめ遺族年金をもらうと言っても、なかなかすぐには受給開始とならないことはお分かりいただけたのではないでしょうか。年金を受け取ることになる方(ご遺族)の生計維持関係の確認や、年齢・年収の確認、お子さんの条件など、申請してから調査し認定を受けるまでに、最低でも3カ月~4カ月は時間がかかると思っておいた方が良いでしょう。またその際でも所定の期間の分は、1回目の支払日にまとめて振り込まれますが、初回振込まで少し間が空く間の生活費に困ることがないよう、できるだけの預貯金は常に準備しておくことをお勧めします。申請先に関しても、基礎年金の請求は市町村窓口、厚生年金の申請は年金事務所と、実は細かく分けられています。もちろん年金全体に関するご相談やお尋ねは最寄りの年金事務所で構いませんが、提出先は異なるという事は覚えておきましょう。
2020年02月14日配偶者を亡くし遺族年金を受け取ることになった場合、ご遺族がご本人だけなのか子供がいるのかによって支給額が変わります。他にも、配偶者が国民年金に加入していた場合にももらえる「遺族基礎年金」か、会社員や公務員などの給与所得者で厚生年金に加入していた場合にもらえる「遺族厚生年金」なのか、あるいはそのいずれも貰える場合があるのか、など遺族年金の受給には様々なパターンがあります。本記事では、どのような状態に該当すれば、どこの年金からいくらもらえるのか、受給要件や計算方法も含めて解りやすく解説していきます。なお、遺族年金制度全般に関しては【日本年金機構】ホームページ内の遺族年金に関するページにて、解りやすくまとめられています。受給要件とは遺族年金をもらえるようになるための要件は【亡くなった方の要件】と【ご遺族の要件】の2種類があります。このどちらも満たすことで初めて年金の受給権が発生します。該当する遺族年金が基礎・厚生いずれの場合でも共通する要件として、「亡くなった配偶者と生計維持関係にあること」「生計維持関係にある遺族の年収が850万円に満たないこと」があります。そこから更に基礎・厚生で要件が違いますので、ここからは基礎と厚生に分けて解説します。ご遺族が遺族基礎年金をもらうということは、亡くなった配偶者が自営業やフリーランスなどで国民年金に加入している(していた)場合です。加入義務のある国民年金は、誰でも加入しなければならないので、会社員などで厚生年金に加入している人でも、この基礎部分の条件も満たせば厚生年金と併せて貰えることになります。よく「二階建ての年金」と言われますが、一階部分は国民全員が支払う義務のある【国民年金(基礎年金)】です。二階部分は、給与所得者が更に上乗せで加入している【厚生年金】です。つまり、厚生年金加入者は一階にも二階にも該当すればどちらも貰えるという事になります。遺族基礎年金を受給するための条件亡くなられた方の要件亡くなられた方の要件として、下記要件などのどれか一つに該当しなければなりません。国民年金に加入している(していた)こと保険料の納付について免除している期間を含めて加入期間の2/3以上の保険料を納付していること老齢基礎年金を受給する資格を保有していること保険料の納付が済んでいる期間が25年以上であること遺族の要件遺族の要件として、18歳到達の年度末を迎えるまでの子と、その子のある配偶者(夫でも妻でも可能)です。子の要件として、もう一つ【20歳到達未満で、障害等級1級・2級に該当する子】という条件もあります。お子さんが、この内いずれかに該当すれば対象となります。遺族厚生年金を受給するための条件亡くなられた方の要件亡くなられた方の要件として、下記要件などのいずれかに該当する必要があります。厚生年金に加入している(していた)こと厚生年金の被保険者期間中のケガや病気が原因で、初診日から5年以内に死亡した場合1級または2級の障害厚生年金を受給している人が亡くなった場合免除期間も含めて保険料納付済期間が25年以上であることまた、特例として【2026年3月末までに65歳未満で亡くなった場合、亡くなった付きの前々月までの1年以内に保険料の未納がなければ良い】というものがあります。遺族の要件遺族の要件としては、基礎年金よりも更に範囲が広がり【妻】【55歳以上の夫(60歳以降に受給開始)】【子】【父母、孫、祖父母】の順で、順位が高い人に要件を満たす人が居れば、その方が受給できる人ということになります。遺族厚生年金は、子供の有無に寄らず《妻》が受給権者の第一順位となっています。ただし、お子さんのいない妻が30歳未満である場合は、5年のみの有期年金となります。途中でもらえなくなる場合も配偶者と死別した段階では、上記のような要件にいずれも該当しており年金を受給していたとしても、途中で打ち切りになる場合もあります。主なものでは、【遺族である配偶者が新たなパートナーを得て再婚する場合】や【基礎年金の場合の受給要件である「子」が18歳を迎えた年度末を経過し、遺族年金の制度上における「子」に該当する人がいなくなった場合】などです。試算の仕方・方法遺族年金の詳細な金額については受給額が決定してみないとわかりません。ただし、日本年金機構ホームページ内でも計算式が公表されていますので、概算については決定前にご自身で割り出すことも可能です。受給決定前に試算することのメリットとしては、前もって受給額の概算を知っておくことで、それに対しての過不足を予め備えておくことが出来ます。例えば自営業者の配偶者の場合などで、生活費としての遺族年金が思っていたよりも少ない、またはそもそも要件に該当せず年金をもらえない場合などは、民間の生命保険や預貯金などで備えておく必要があります。試算をすることで、遺族補償を考えるきっかけになればと思います。[adsense_middle]国民年金加入者の計算方法国民年金に加入していた方の計算方法は、金額が一律であるため比較的シンプルでわかりやすい内容です。基本となる加算額+該当者が何人いるかの合計ですので、遺族基礎年金に関してはご自身でも一度計算してみると良いでしょう。780,100円+子の加算(第2子までは各224,500円・第3子以降は各74,800円)厚生年金加入者の計算方法厚生年金の加入者だった方の遺族厚生年金を試算する場合、基準となるのは《平均標準報酬月額》や《平均標準報酬額》です。報酬比例部分と言われるもので、その名の通り《報酬(給与)に比例して額が変わる》という性質のものです。ですから、算定基準がどなたも一律である遺族基礎年金の場合と違って、遺族厚生年金に関しては全く同じ金額を受け取っている方は日本中でもかなり少ないと言えます。計算式はかなり複雑ですが、こちらも日本年金機構にて計算式が公表されているものですので、参考までにご紹介します。〈平均標準報酬月額×7.125/1000×平成15年3月までの被保険者期間の月数+平均標準報酬額×5.481/1000×平成15年4月以降の被保険者期間の月数〉×3/4シミュレーションを活用しよう遺族厚生年金をご自身で試算するには、まず《平均標準報酬月額》や《平均標準報酬額》、各期間における加入月数を調べておく必要があります。毎年誕生日頃に届く《ねんきん定期便》や《ねんきんネット》などで把握することはできますが、これらが活用できない場合、ご自身ではなかなかはっきりした試算が出来ないのではないでしょうか。そのような場合には、インターネット上で簡単に遺族年金の額を試算できる無料のシミュレーションの活用をおすすめします。あくまでも目安の金額ではありますが、だいたいいくらくらいもらえるのかの参考にはなります。いくつかの項目について、簡易的に入力するだけで概算がわかりますので利用されてみるのも良いのではないでしょうか。【補足】各種加算について遺族厚生年金には、試算して割り出す受給額とは別に、該当者に特別に加算される金額があります。【中高齢寡婦加算】【経過的寡婦加算】です。ここでは、どのような条件に当てはまれば加算があるのかポイントを解説します。この加算はいずれも《妻》だけが対象となっている点は注意が必要です。残念ながら現行制度ではまだ《遺族である夫》は該当しません。中高齢寡婦加算注意点として、遺族年金について基礎と厚生のどちらも受け取っている方は該当しません。お子さんが居ない、または18歳を超えたため制度上の子が居ないことになり基礎年金を受け取れない遺族厚生年金の受給者で、夫の死亡時に40歳以上65歳未満の場合に【中高齢寡婦加算】があります。加算額は以下の通りです。中高齢寡婦加算の額=585,100円経過的寡婦加算経過的寡婦加算の要件として《昭和31年4月1日以前に生まれた妻》で、妻が65歳以降になれば妻の生年月日に応じて一定の金額が加算されます。この【経過的寡婦加算】は、昭和31年4月2日以降に生まれた妻には支給されませんのでご注意ください。経過的寡婦加算の額は以下の通りです。経過的寡婦加算の額=19,500~585,100円の間の所定の額(生年月日により額は変動する)遺族年金は金額によらず非課税遺族年金はご遺族の大切な生活費としての側面があり、2カ月に一度の振込額も決して少額ではないことから、精神的な支えとしても金額的にも大きな収入です。しかし、遺族年金(基礎・厚生いずれも)は全額非課税です。一般的に「年金」と呼ばれるのは、退職後のシニア層が受け取る「老齢年金」のことですが、この老齢年金は雑所得として課税対象となります。一方遺族年金や障害年金に関しては、年齢によらず条件を満たせば受給対象者となりますが、これらは年金年額や受給対象者の年収など一切関係なく全額非課税です。遺族年金の受給要件&計算方法に関するまとめ遺族年金は、配偶者を亡くした方やそのご家族を支える大切なお金です。生きている限り何かしらの出費はありますが、配偶者の死去により入ってくるお金が大幅にダウンしてしまうことが考えられ、この遺族年金は全ての収入の内で大きな割合を占めることになります。それだけ意味のあるお金だという事です。本記事でご紹介した遺族年金の受給額を知る方法は、あくまでも目安であり確定の金額ではありません。遺族年金に関するご相談やお尋ねは、お近くの年金事務所や市町村の年金窓口、社会保険労務士などの専門家に直接お尋ねください。ただし、詳細までは解らないにしても、概算としてお知りになる方法は本記事にて紹介していますので是非ご活用ください。誰でも利用できる年金シミュレーションも上手に取り入れながら、万が一に備えて、遺族年金以外の遺族補償も備えておくためのひとつの目安にしてはいかがでしょうか。
2020年02月13日配偶者を亡くした方が受け取ることが出来るのが「遺族年金」ですが、この遺族年金は死別後の生活費としていただくものです。同じく老後の生活費として受け取る「老齢年金」や所定の障がい状態になった場合に受け取る「障害者年金」もあります。いずれも、なにかしらで困っている人が受け取る「生活費」としての側面がある年金ですが、これらの年金に対しては、果たして税金を払わなくてはいけないのでしょうか。今回は、特に遺族年金について税務関係を確認していきますが、わかりやすいようにその他の年金とも比較しながら解説していきます。税金のかかる年金とは?年金には3つの種類があります。一般的に「年金」と呼ばれるものは「老齢年金」です。定年退職後の老後資金として受け取るものです。他に「障害者年金」は、所定の障がい状態になった場合に受け取ることが出来ます。最後に「遺族年金」ですが、これは配偶者を亡くした方で、なおかつ一定の条件を満たした方が受け取ることのできる年金です。公的年金の税務の取り扱い公的年金等の内、老齢年金(基礎年金・厚生年金いずれも)は雑所得として課税対象になります。一方、遺族年金と障害者年金に関しては、受給する金額に関係なく非課税となります。年金は貴重な収入世帯主の逝去に伴い、その後はそれまでのような生活が出来なくなる方がほとんどです。たとえば住居が賃貸の方は、もう少し家賃の安い部屋に引っ越しを余儀なくされる場合もあるでしょう。団体信用生命保険に加入して住宅ローンを組んでいた場合でも、負債は保険により相殺され住宅が残ったとしても、たとえばそこが地域の中でも一等地だった場合などは固定資産税の支払いが生活を圧迫する場合もあります。このようなことから、遺族年金を受給している方にとって、この年金は非常に貴重な収入となっていることは間違いありません。ここからは、少しでも生活の負担を軽減することが出来るポイントをご紹介していきます。確定申告で受けられる控除遺族年金を受給しているということは、確定申告や年末調整の際に「寡婦控除」「寡夫控除」「特別寡婦控除」のいずれかを受けられる場合があります。自ら申告しなければ誰も指摘してくれませんので、案外これらの控除を忘れている方もいらっしゃいます。控除を受けることができる権利があるのに手続きを失念すると、せっかくの権利が無駄になってしまいます。ここから詳細を解説していきますので、該当する方は是非覚えておかれると良いでしょう。寡婦(寡夫)控除は27万円、特別寡婦控除は35万円の所得控除となります。所得控除とは、一定の要件に当てはまる場合、所得合計から一定の控除額を差し引くことを指します。この所得控除には上記にて紹介した寡婦控除等を含めて細かく15種類もあります。これらは、該当する場合には全てご自身で申告しなければ控除を受けられませんので、節税のためにも必ずチェックしましょう。よく知られているものでは「医療費控除」「生命保険料控除」「寄附金控除(ふるさと納税も含む)」がありますが、詳細は国税庁ホームページ等でご確認ください。①寡婦控除寡婦控除には2つの要件があり、この内いずれかに該当すれば控除適用となります。寡婦控除・条件1「夫と死別、もしくは夫と離婚後婚姻をしていない人、または夫の生死が明らかでない一定の人で、扶養親族(子以外)がいる人、または生計を一にする子があること」。つまりこの場合は、配偶者と死別した人だけではなく、離婚して子供のいるシングルマザーでも寡婦控除の対象となるということです。寡婦控除・条件2「夫と死別した後婚姻していない人、または夫の生死が明らかでない人で、合計所得金額が500万円以下であること」。この場合は条件1とちがい、子供の有無は関係ない代わりに所得の制限があります。寡婦(寡夫)控除の概念における「死別」「離婚」とは、法律上の婚姻関係にあった者との死別や離婚を指します。未入籍であったり、事実婚や内縁関係のままであったりは、これらの寡婦控除を受けることは出来ません。しかし近年、家族スタイルの多様化から未入籍でシングルマザーになる方も増えてきた背景があり、今後の法改正のポイントとなっています。②寡夫控除二つ目は「寡夫控除」です。この概要は、ほとんど寡婦控除の条件と類似していますが「妻と死別または離婚後に再婚していないこと」「生計を一にする子があること」「合計所得が500万円以下であること」の3つを全て満たす必要があります。死別だけでなく、お子さんを連れて離婚したシングルファーザーの方でも、合計所得500万円以下であれば寡夫控除を受けることが出来るということです。逆に、妻と死別をしてもお子さんがいらっしゃらなければ寡夫控除の適用外ということになります。③特別寡婦控除特別寡婦控除とは、以下の要件全てに該当する場合に受けることが出来ます。通常の寡婦控除の要件をさらに厳しくしたものというイメージで良いでしょう。特別寡婦控除は「妻」のみに限られ、夫の場合は特別な寡夫控除制度はありません。夫と死別した、または離婚した、または夫の生死が不明生計を一にする子がいる合計所得が500万円以下市民税・住民税が軽減される寡婦(寡夫)控除や特別寡婦控除を適用すると何がメリットかというと、その控除額が所得から差し引かれることにより、市民税や住民税の算出根拠となる所得自体を少なくすることが出来ます。補足・シングルマザーの場合これまでの解説の通り、未婚のシングルマザーの方は現状では寡婦控除を受けることが出来ません。あくまでも婚姻歴のあるシングルマザーの方が対象です。しかし、未婚のシングルマザーの方は2021年から個人住民税が非課税になるという制度が新たに開始されることになりました。政府としても家族の多様化をサポートする姿勢が見られます。計算上節税になるポイントここからは、計算上「節税」ということになるポイントを解説します。主に、税制上や健康保険についてまとめていますが、いずれも知られていない場合が多く、せっかく制度として設けられているものばかりなので、是非こちらでご確認ください。[adsense_middle]健康保険のポイント例えば、既に成人したお子様の世帯に入れてもらっている方であれば、健康保険のポイントとして「生計を一にしている方の扶養に入る」ことができます。ただしこれは、お子さんが国民健康保険以外に加入していることが前提です。給与所得者で健康保険組合などに加入している場合であれば、被扶養者として健康保険に加入することが出来ます。お子さんが国民健康保険に加入している場合は、被扶養者となったとしても、通常通りおひとり分の保険料を払わなくてはいけないので、おひとりで加入しても扶養親族となってもあまり意味がないと言えます。さらに、75歳以上になると加入している健康保険に関わらず、皆さんが「後期高齢者医療制度」に加入することになりますので、健康保険上の扶養親族になれるのは実質75歳までということになります。健康保険の被扶養者になるには、以下の2つの収入の制限があります。「遺族年金も含めた年間収入が130万円未満、60歳以上の場合は180万円未満であること」「被保険者(世帯主)の収入の1/2以下であること」扶養控除の場合は年収制限がありませんが、健康保険における被扶養者に関しては年収制限がありますのでご注意ください。扶養にすると世帯の節税になる上記の様に、遺族年金を受給している家族を扶養親族として迎える場合、その受け入れる側の世帯にとってもメリットがあります。扶養親族が増えるという事は「扶養控除」が発生します。扶養控除は所得控除ですので、結果として住民税と所得税の節税となります。扶養控除額扶養控除は年齢によって控除額が違います。23歳以上70歳未満の親族…38万円70歳以上の親族(老人扶養親族)…48万円(ただし同居の場合は58万円)年末調整での証明について給与所得者の場合、確定申告ではなく年末調整にて税務手続きが完了します。上記のような「遺族年金を受給している同居親族を扶養親族にする場合」は年末調整の書類にて、扶養控除や老人扶養控除を申告することで手続きは終わります。ただし、遠方に住んでいて仕送りをしている等で「別居だが生計を一にしている状態」である場合、勤務先によっては仕送りした通帳の履歴などの確認が求められる場合もあります。ここでの別居とは、親が老人ホームなどの施設に入居していて、施設での入居費用や身の回りの世話をしている場合も含まれます。義父母の場合どうなるか?遺族年金を受給している義父母がいる場合も、実の父母同様に扶養親族とすることができます。しかし、ひとつだけ違う点があります。それは「同居していること」が前提です。いくらこちらから仕送り等をきちんと行っていて、事実上生計を一にしている形になっていても、別居の義父母であれば扶養親族にはあたらない、ということになっています。非課税の年金&遺族年金の税務と節税に関するまとめいかがでしたか。遺族年金を受給している世帯にとって、年金額の多寡に関わらず非常にありがたいお金です。亡くなられた方がきちんと年金保険料を納めていたからこそ、ご遺族が2カ月に1度まとまった金額を受け取ることが出来るものです。亡くなられた方からの「天国からの生活費の仕送り」だと思えば、少しでも工夫をして大切に遣いたいと思うのではないでしょうか。今回ご紹介した節税のポイントについても、これは決して裏技や法の抜け道ではありません。正当に公になっているものばかりですので、どうぞ正々堂々と大いにご活用ください。また、一般的な税務に関してはFPでもご紹介・ご案内が可能ですが、税務の詳細、具体的な算出根拠やその理由について等、具体的な個別相談に関しては税理士までご相談ください。
2020年02月02日結婚し、ともに家庭を築いてきた配偶者が逝去することは、縁起でもないので本来ならあまり考えたくないものです。しかし、万が一そのようなことになってから考えるとなると、配偶者の死後は各種手続きでの時間も必要となりますし、事務手続きと並行して考えることも多いとなると、心身ともに大変お辛いかと思います。不幸にも若くして配偶者と死別し、幼い子供を抱えたまま未亡人になる方も中にはいらっしゃいます。遺族年金制度とは、高齢者になってからの死別のみが対象ではありません。では、配偶者と死別した場合の生活保障などはどうなるのか、最低限の知識は前もって身に付けておくと安心でしょう。本記事では、配偶者と死別したその後の生活費として受給する【各種遺族年金】について、いくらもらえるか等についても解説していきます。遺族年金とは遺族年金とは、その名の通り「世帯主(正式な呼び名は生計維持者と言います)の逝去に際し遺された遺族に対し年金形式で支払われるお金」のことです。遺族年金といってもその内訳は2種類あり、一つは【遺族基礎年金】、もう一つは【遺族厚生年金】です。遺族の補償として【基礎年金】だけなのか【厚生年金】だけなのか、どちらとも受け取ることが可能かの違いがあります。この場合における受給権の算定基準となるのが、世帯主の年金加入状況です。フリーランスや自営業の方で、国民年金だけ加入していた(現在加入中)のか、会社員などの給与所得者として厚生年金に加入していた(現在加入中)のかが、遺族年金を決める大きなポイントとなります。以下、亡くなった方が【厚生年金加入】か【国民年金加入】か、それぞれについて概要をまとめていきます。年金受給は高齢者だけではない通常「年金」と聞くと、大半の方が「老齢年金」をイメージするでしょう。一般的にはそのとおりで、一定の年齢に達した高齢者の方がもらっているのが、一般的な「年金」です。しかし実は年金制度には、この老齢年金以外にあと二つの年金があります。ひとつは今回のテーマである【遺族年金】であり、もう一つは【障害年金】です。この遺族年金と障害年金に関しては、若年層であってもこれらの事由に当てはまれば、年金としてお金を受け取る権利が発生します。すなわち、老齢年金のみ一定の年齢以上に達しなければもらえない年金であり、他の二つの年金に関しては年齢問わず誰もが受給対象になり得るということです。もちろん受給するためには年金保険料を納付していること等の要件はありますが、年金には3種類あると覚えておくと良いかと思います。①厚生年金加入の場合お亡くなりになった方が生前会社員などサラリーマン(給与所得者)だった場合、ご遺族に何らかの遺族年金が支払われる要件として、ご本人(世帯主・生計維持者)が以下の要件の内いずれかに該当しなければ、ご遺族は補償を受けることができません。短期要件厚生年金に加入中である(在職中の死亡の場合)厚生年金加入中の初診日における病気またはケガが原因で5年以内に死亡した場合長期要件【老齢厚生年金】の受給資格期間が25年以上既に【老齢厚生年金】を受け取るようになった場合この長期要件のいずれかに該当する場合は、加えて以下の年金保険料の納付に関する要件にも当てはまる必要があります。国民年金加入期間の内、納付済期間が2/3以上であること(免除は納付済とみなされる)【特別措置】令和8年3月31日までに65歳未満でお亡くなりになった場合、死亡の前々月迄の1年間に保険料の滞納が無いこと②国民年金加入の場合お亡くなりになった方が、生前に自営業者やフリーランス等で国民年金のみの加入だった場合、そのご本人が以下の要件の内いずれかに該当していなければ、ご遺族は遺族年金を受給できません。国民年金加入中であること国民年金に加入していて60~65歳の日本在住であること既に【老齢基礎年金】を受け取っていることさらに、厚生年金加入の場合の長期要件で解説したものと同じ「老齢基礎年金の受給資格期間が25年以上ある」「特別措置として令和8年3月31日までに65歳未満でお亡くなりになった場合、死亡の前々日までの1年間に保険料の滞納が無い」という要件も必須です。ご注意ください。遺族の受給要件について遺族年金を受け取る為の要件として、亡くなられた方だけでなく、残されたご家族の要件もあります。亡くなった方の生前の働き方によって大きく2つに分けられます。サラリーマンの場合、自営業者の場合に分けて解説していきます。[adsense_middle]サラリーマンの場合亡くなった方がサラリーマンだった場合、ご遺族は「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」のいずれからも貰える権利があります。ただし、遺族が以下の要件を満たすことも必要です。子どもの有無に関わらず妻(ただし子供がいない30歳未満の配偶者は5年間のみ支給)高校卒業相当の年齢に達するまでの子妻が世帯主(生計維持者)である場合の夫で、55歳以上で遺族基礎年金を受給している場合上記の要件は「第一順位」の場合です。この後第一順位に該当する方がいない場合、それ以降の順位として「父母」や「孫」「祖父母」に受給権が発生することもあります。自営業の場合亡くなった方が自営業者の場合は、ご遺族が受け取ることのできる遺族年金は「遺族基礎年金のみ」となります。さらに遺族が受給できる条件として、以下の条件に該当しなければなりません。子(18歳の年度末を迎えるまで)子のある配偶者(夫または妻)お子さんの居ない専業主婦の方は注意世帯主が自営業者で配偶者が専業主婦で、なおかつ18歳未満のお子様がいらっしゃらない場合、上記の受給要件のいずれにも該当しないということになり、結果として【遺族基礎年金】は受給できません。この場合は将来の老後資金に対策として、早い内からご夫婦で話し合い備えておく必要があります。夫婦二人ともが国民年金のみに加入している場合は早めの対策を上記のようにお子さんが居ないご夫婦の場合、条件によっては遺族に対する補償が全く受けられない、ということも考えられます。例えば、ご夫婦二人で美容室や飲食店など自営業を営んでいる場合などは早めの対策がポイントです。世帯主様がお亡くなりになった後、お仕事自体の存続をどうするかも考える必要があり、さらに店舗兼住宅の場合は「お店を閉店せざるを得ない場合の住居」についても問題となる場合があります。このように、ご夫婦二人ともが国民年金のみ加入している場合は、万が一に備えて多角的なプランニングが必要です。夫が会社員の場合はWで受給できる場合あり世帯主(生計維持者)がサラリーマン等の給与所得者で、厚生年金加入の場合、遺族年金(基礎・厚生)どちらの受給要件も満たしている場合は、合わせた額を受給することが出来ます。一般的な例としては「18歳未満の子のいる妻」ですが、実際の年金受給に関しては個別条件が違いますので、年金事務所等でお尋ねください。受給の金額と受け取り方法受給の金額は、遺族厚生年金に関しては亡くなられた方の生前の給与に比例し算定されます。一方遺族基礎年金は、要件に該当さえすればどなたにでも一律同じ額が支給されます。遺族厚生年金の支給額【遺族厚生年金】の額の算出に関しては、平均標準報酬月額や亡くなられた方の年金加入期間等を基に、所定の倍率をかける等細かく計算をします。また、毎年少しずつ改定も行われており1円単位で変動していることから、遺族厚生年金の支給額に関してはご自身での計算はオススメしていません。概要を計算してみたい方は、遺族厚生年金のシミュレーションを無料で利用できるウェブサイトもありますので、そちらを利用すると良いでしょう。遺族基礎年金の支給額遺族基礎年金はどなたにでも一律です。計算式は以下の通りです。【780,100円+子の加算】★第2子までは一人当たり224,500円、★第3子以降は一人当たり74,800円受け取りは2カ月に1度遺族基礎年金、遺族厚生年金いずれも、2カ月に一度指定した金融機関への振込が原則です。また、毎年料率の改定も行われており、おおむね毎年少しずつ減っているのが現状です。妻が知っておきたい遺族年金の基本に関するまとめいかがでしたか。お子様の有無によって受給できなかったり、死別した時の配偶者の年齢などによっては途中で打ち切られることもあるという事実は、なかなかショッキングな内容だったのではないでしょうか。遺族年金の制度自体は広く知られていますが、条件によっては受け取ることが出来ない場合があることも、今回を機に知って頂くことが出来たかと思います。さらに、今回の記事を読んで遺族年金の受給要件に該当しないと判明した方は、今からでも備えをスタートすることが可能です。遺族年金に代わるような老後資産作りを早速はじめませんか。おひとりでの生活になると、これまでの生活費から何割くらい抑えれば暮らしていけそうか等も考慮する必要があります。夫婦、また家族が健康で末永く時間を過ごすことが大前提ではありますが、万が一の場合の知識を持っておくかおかないかは、その万が一が訪れたときに慌てず対応できるポイントとなります。
2020年01月30日前回のあらすじ娘が18歳の時に学校主体で開催された、保護者向けの障害年金説明会をきっかけに、申請のための準備を少しずつ進めようと考えた私。役所の窓口の方にもまだ早いと驚かれましたが、少し早めに過去の記録を引っ張り出し、保護者が作成できる書類の記入に取り掛かることにしました。早めに準備ができる書類『病歴・就労状況等申立書』は障害年金を申請する際に必要な書類の一つです。医療機関に記載を依頼する診断書などには有効期限がありますが、これは請求者(本人や保護者)が作成する書類なので早めに準備しておくことができます。私は隙間時間に少しずつ作成していきました。Upload By 荒木まち子どこで区切るか『病歴・就労状況等申立書』の最初の欄は発病から初診までの間(先天性疾患は出生時から初診まで)の状況を、それ以降は期間を3〜5年に区切って書くので、私は娘の経過を、1.出生時~初診まで(娘の場合は0~2歳)2.未就園の期間3.幼稚園の期間4.小学校(低学年)5.小学校(高学年)6.中学校7.高校8.就職後に分けて書くことにしました。娘の場合、一枚では欄が足りなかったので『病歴・就労状況等申立書(続紙)』を使用しました。Upload By 荒木まち子状況記入欄に何を書くか状況記入欄には、(受診していた期間は)通院期間、受診回数、入院期間、治療経過、医師から指示された事項、転医・受診中止の理由、日常生活状況、就労状況などを書くのですが、私はそれらの他に・初診まで…親が感じていた困り事(視線が合わない。抱くとのけぞって嫌がる。手をつなぐのを嫌がる。発語が遅い。)など・就学まで…療育センタ―受診の経緯、療育内容、幼稚園での様子・学生時代…障害由来の学校での困り感、学校でのいじめの様子、感情コントロールの困難さ、支援機関との連携について・就職後…新たな環境に対する不安の強さ、精神的に不安定な様子、職場で行われている配慮などを記入しました。Upload By 荒木まち子当初「なんてサイズが大きいんだろう!」と思っていた『病歴・就労状況等申立書』用紙は、娘の20年間の困りごとで、みるみる埋まっていきました。それは「よくまあこれだけのことがあったものだ」と我ながら感心するほどで、最終的には枠内に書ききれず、割愛するエピソードがでるほどでした。手書きかPC作成か申請書類作成は手書きでも大丈夫ですが、『病歴・就労状況等申立書』と『病歴・就労状況等申立書(続紙)』は日本年金機構のHPからダウンロードすることができるので、私はエクセルで作成をしました。ここで注意しなければならないのは『病歴・就労状況等申立書』と『病歴・就労状況等申立書(続紙)』では裏面が違うということです。Upload By 荒木まち子Upload By 荒木まち子『病歴・就労状況等申立書』と『病歴・就労状況等申立書(続紙)』は、A3サイズで両面印刷をした後に、裏面の請求者署名欄に本人署名(または捺印)をする必要があります。(見本の赤丸で囲った部分)「自発的」の意味合い『病歴・就労状況等申立書』裏面には『日常生活状況』を4段階(※)の中から選ぶ項目があります。(見本の黄色枠で囲った部分)※「1」→自発的にできた「2」→自発的にできたが援助が必要だった「3」→自発的にできないが援助があればできた「4」→できなかったこの“自発的”には“すべてを自分一人で”という意味合いがあるということを知り、<着替え>の項目では一人で着替えられたとしても“自分で季節にあった服を選ぶこと”ができていなければ「1」にはならない、<食事>の項目でも食卓に出されたものを自分で食べることはできても“一人で暮らした時に栄養のバランスを考えた食事を取ること”ができなければ「1」にはならないなどの点も気をつけなければならないと思いました。なので本人が「自分でできている!」と思っていても、申立書の記入時には注意が必要です。参考になった勉強会学校での障害年金申請説明会から1年ほど経ったころ、娘が余暇支援やショートステイで利用している地域活動ホームで、保護者向けの勉強会がありました。講師は「親なきあと」相談室を主宰する、行政書士、社会保険労務士、ご自身も障害児の親でもある渡部伸さんでした。障害のある人の「親なきあと」についてのお話は、・暮らし方やお金に関すること・医療費、信託制度、成年後見人制度について・相談先や実際の事例など多岐にわたる内容でした。なかでも障害年金についてのお話は、ちょうど『病歴・就労状況等申立書』を作成していた私にとって、とても参考になる内容でした。親なきあと相談室|渡部行政書士事務所親目線は一味違う!日本年金機構(年金事務所)の方の説明会も勉強になりましたが、やはり親目線ももちあわせた先生からのお話は格別で、・『病歴・就労状況等申立書』には具体的なエピソードを書くと良い(書ききれない場合は別紙添付も可)・障害年金申請が通らなかった場合には審査請求、再審査請求などができる・働いている場合は職場からの意見書も有効など、前回の説明会では知りえなかったことを学ぶことができました。(勉強会を企画してくれた地域活動ホームに感謝、感謝です!)続く...
2020年01月07日まずは情報収集「20歳になったら障害年金の申請ができる」ということはうっすらと知ってはいましたが、それが現実味を帯びてきたのは娘が高校3年(18才)のときです。きっかけは学校主催の保護者向けの障害年金説明会でした。講師の日本年金機構の担当の方の話によると、申請に必要な主な書類は1.医師による『診断書』2.初診時の医療機関が書く『受診状況等証明書』(初診時の医療機関と診断書を作成した医療機関が異なる場合)3.請求者(本人や保護者)が作成する『病歴・就労状況等申立書』で、その中で私が「一番大変そう」と感じたのは3.の『病歴・就労状況等申立書』(※1)でした。※1発症から現在までの日常生活状況や就労状況を3~5年に分けて記載する。「?」がいっぱい『病歴・就労状況等申立書』の記入欄には「発病日」(※2)や、「障害認定日」(※3)などといった、聞きなれない用語もありました。また、「初診日」(※4)にも細かな規定がありました。※2「発病日」・健康診断で異常が発見された場合は、異常を指摘された日・先天性疾患の場合は、症状を自覚したときまたは検査で異常が発見された日・生来性の知的障害(精神遅延)の場合は出生日※3「障害認定日」障害認定日は原則として初診日から1年6ヶ月後の日を言いますが初診日から1年6ヶ月を経過する前に20歳の誕生日が到来する場合は20歳の誕生日(正確には20歳の誕生日の前日)が障害認定日となり、その日以降に障害年金の手続きを行うことができる。一方初診日から1年6ヶ月後の日が20歳の誕生日以降に到来する場合は原則通り初診日から1年6ヶ月後の日が障害認定日となる。※4初めて診療を受けた日を記入するが、初めて診療を受けるよりも前に次のようなことがあったら、その日を記入。・健康診断で異常が発見され療養に関する指示を受けた場合は、健康診断日・生来性の知的障害(精神遅延)の場合は出生日娘の場合、どれにあてはまるのか私には判断できませんでした。Upload By 荒木まち子また「傷病名」(=診断書の病名)についても障害年金申請は審査基準が複雑で、複数の傷病がある(例:うつ病とパニック障害、知的障害と発達障害など)場合、どの病名で申請すれば良いのかなどは素人には到底判断ができそうにありませんでした。さらに「傷病があったとしても、薬などでコントロールできている(例:てんかんがあるが、薬で発作が抑えられている)場合は障害年金支給の対象外になる」など、障害年金の申請の難しさを感じました。説明会の後しばらくして別件で役所に行く機会があった私は、帰り際に年金課に寄り、障害年金の申請書をもらうことにしました。Upload By 荒木まち子早すぎた!私は「申請用紙をもらうだけ」と軽い気持ちで年金課の窓口に行ったのですが、窓口の職員さんからは娘の障害名や現在の状況など細かな聞き取りがありました。(職員さんはメモを取っていました)障害年金申請書類一式をもらうことはできましたが、職員さんに「時期が早すぎるので、20歳の誕生日の3カ月くらい前に改めて窓口に相談に来てください」と言われました。請求するときに必要な書類等 | 日本年金機構申請書のサイズの大きさにビックリ!Upload By 荒木まち子娘は20歳前の障害なので「障害認定日」は“20歳の誕生日の前日”になります。その場合、申請には障害認定日の前後3カ月以内に医師が作成した診断書が必要です。診断書作成は早すぎてもだめですが、保護者が作成する『病歴・就労状況等申立書』は早めに準備をしても大丈夫な書類です。私は少しずつ、『病歴・就労状況等申立書』の作成に取り掛かることにしました。娘が小学生以降の資料はコラムやブログを書くときに使用していたので、すぐに取り出せる場所にありましたが、産まれてすぐのときの細かな資料や記録は、娘が幼年期に作った作品やアルバムなどと一緒に『思い出ボックス』に保管してありました。何度も引越しを経験しているわが家には、以前の引越しのときに箱詰めしたままの段ボール箱があり、「思い出ボックス」もその中にありました。開けたら過去の思い出に浸ってしまうことは容易に想像ができましたが(笑)私は娘の20年分の記録を読み返す作業を始めたのでした。続く...年金受給者(老齢年金・障害年金・遺族年金)に関する届出・手続き | 日本年金機構
2019年12月06日自分がもらえる年金はいくらなのか、スマホで”最短3分”で試算できるサービス「撮るだけねんきん試算」が登場しています。公的年金は、老後や働けなくなった時、死亡したときにも受け取れます。年金受給額が分からない方は、このサービスを使って試算してみましょう。「撮るだけねんきん試算」とは?撮るだけねんきん試算とは、スマホで「ねんきん定期便」を撮影するだけで、自分がいくら年金を受け取れるか試算できるサービスです。西日本シティ銀行が、今月からサービスを開始しました。ねんきん定期便って?年1回・誕生月に、日本年金機構から年金加入状況を知らせる青いハガキが届きます。このハガキが”ねんきん定期便”です。ハガキの見方が分からない将来いくら年金がもらえるか書いていない年金額が少なくて驚いたこうした方もいるでしょう。というのも、50歳未満の人のねんきん定期便には、今までの加入実績による年金額しか記載されていません。筆者も、自分のねんきん定期便を見てみたところ”年間21万円”、月額にすると2万円弱と書いてあります。ねんきん定期便を見るだけでは、将来受け取る年金額は分からないのです。「撮るだけねんきん試算」の使い方将来の年金額を知りたいときは、3分で手軽に試算ができる「撮るだけねんきん試算」がオススメです。早速使ってみました。手順①年齢や職業を入力入力する自分の情報は、この5つです。生年月日も入力する必要がなく、30秒ほどで入力できました。年齢性別職業現在の年収配偶者、子供の年齢手順②カメラでねんきん定期便を撮影カメラ起動のボタンを押して、ねんきん定期便を撮影します。撮影したデータから必要な情報が読み取られ、自動で入力されます。カメラを使わず直接入力することもできるので、パソコンから試算も可能です。試算完了!たったこれだけで「老齢年金・障害年金・遺族年金」3種類の年金額を、まとめて試算してくれます。「撮るだけねんきん試算」をおすすめする3つの理由日本年金機構のウェブサイト”ねんきんネット”でも老後の年金は試算できます。両方のサービスを使って感じたのは、撮るだけねんきん試算の3つのメリットです。おすすめ①難しい作業は一切なし、スマホとハガキだけで確認できるスマホとハガキ(ねんきん定期便)があれば、家族の生年月日が分からなくても試算は完了します。難しい作業は一切なし、会員登録も不要です。利用登録準備するもの撮るだけねんきん試算○不要スマホねんきん定期便ねんきんネット(日本年金機構)✕必須ID、PW、メールアドレスなどスマホねんきん定期便基礎年金番号メールアドレス…などおすすめ②障害年金・遺族年金もシュミレーションできるこれも「撮るだけねんきん試算」ならではのサービスです。老齢年金障害年金遺族年金撮るだけねんきん試算◎◎◎ねんきんネット(日本年金機構)◎✕✕障害で働けなくなったとき、健康保険から受け取る傷病手当金もまとめて試算できます。障害年金は働けなくなってもすぐには貰えない遺族基礎年金は子供が成長すると受け取れなくなる厚生年金のみ・基礎年金のみといった受給パターンがあるこのように本来は複雑な障害年金・遺族年金ですが、試算をすると受給額の推移がグラフになり、どのくらい年金が受け取れるか分かり易くなっています。おすすめ③「撮るだけ」なのに、撮らずに試算もできるねんきん定期便のデータから、一人ひとりに合わせた年金額を計算してくれますが、手元にねんきん定期便がない場合も、試算ができます。ハガキが無い場合のの試算額は、これまでも現在と同じ仕事に就いていたと仮定した額です。より詳しく試算するなら、ねんきんネットも活用!手軽に年金額を知りたいなら撮るだけねんきん試算がオススメです。一方、日本年金機構のウェブサイト「ねんきんネット」では、老後の年金をより詳しく試算できます。納めていなかった保険料を払ったら、年金がいくら増えるか年金を受け取りながら働き続けたら、年金がいくらに減るか簡単・手軽な「撮るだけねんきん試算」と、いろいろなパターンの試算ができる「ねんきんネット」どちらも活用するのがよいでしょう。老齢年金額撮るだけねんきん試算○目安が分かるねんきんネット(日本年金機構)◎より詳しく分かる若いうちから年金受給額を試算する必要性は?メリットを2つご紹介年金受給額を試算することは、老後までまだ時間がある若い世代にもメリットがあります。メリット①これからいくら積み立てたらいいか分かる老後に受け取る年金額が分かると、老後に足りないお金の目安が付けやすくなります。「老後に2,000万円不足する」と言われていますが、これは全員に当てはまることではありません。それでも不安に駆られてしまうのは、自分の年金額がいくらになるか、よくわからないからではないでしょうか。自分の年金受給額が分かれば、足りない分をいくら備えたらいいのか分かり、計画的に準備ができます。年金の平均受給額は、夫婦で月額19万円?”老後2,000万円不足”の元になったデータ・総務省の家計調査年報によると、平均の年金収入は夫婦で月191,880円です(2017年)。しかし、その人の職業や年収によって年金額は全く違います。夫婦ともずっと自営業であれば、月13万円しかもらえないこともあるでしょうし、一人暮らしであればその半分、月6万円台です。平均ではなく自分自身の年金額を知って足りない金額を計画的に準備することが、老後に備えるポイントです。メリット②かしこく保険を買えるもしもの時に受け取れるお金が分かると、ケガや病気のために備えるべき金額が分かります。医療保険や死亡保険を契約する前に、公的年金の給付額を知っておきましょう。何もかも民間の保険で備えようとすると、保険料が今の生活を圧迫してしまいます。過不足なく保険で備えるためにも、年金の見込額を知ることが大切なステップです。年金試算のまとめもしもの時に、どのくらい年金が受け取れるのかを大まかに把握しておくことはとても大切です。面倒だから、今困っていないから…と備えを後回しにしてしまうことはNGです。手軽に試算できるサービスを活用して、賢くリスクに備えましょう。
2019年12月05日こんにちは、婚活FP山本です。現役会社員なら税金のことは年末調整で済みますが、年金を受給するようになると確定申告が必要になるかもしれない事をご存じでしょうか。仮に不要であっても、確定申告しないことで余計な損をしているケースも多々あるのが実情です。現役中の方も年金受給中の方も、基本的な知識は持っておきましょう。そこで今回は、年金受給者の確定申告についてお伝えします。あなたの人生に、お役立て下さいませ。そもそも年金受給者でも確定申告が必要?まずは年金と確定申告の基本についてお伝えします。そもそも日本では、基本的に「全ての利益」に対して税金が発生するルールです。これは給料でも年金でも変わらず、そして給料もそうですが、年金でも基本的に税金が源泉徴収されます。一方、いくつか例外もあり、公的年金が158万円未満の場合(65歳未満なら108万円未満)だと源泉徴収はありません。また公的年金には、給与所得控除のような「公的年金等控除」という制度もあり、年金額が158万円未満(65歳未満なら108万円未満)だと収入ナシと見なされて税金も発生しない制度です。あなたの年金額はいくらでしょうか?上記の通り、158万円が一つの境界線となります。この金額を超えているなら確定申告が必要……というより、基本的に「したほうが得」です。覚えておきましょう。年収の中に税金天引きの所得があるならメリット年金を含めて、年収の中に税金が天引きされている、源泉徴収されている所得があるなら、確定申告したほうが得なことも多いと言えます。なぜなら、源泉徴収された税金は多めに取られていることも多いので、確定申告することで返してもらえることも多いためです。なお、先ほどの公的年金等控除は、2020年から変更予定となっています。一応、年金その他の収入が1000万円以下なら、同時に基礎控除も変更予定なので税負担は変わりません。しかしそれでも「自分の場合はどうか」を確認しておきましょう。年金所得者の確定申告不要制度の要件!次は、年金所得者の確定申告不要制度についてお伝えします。実は年金所得者の場合、以下の要件を満たす時は確定申告が不要です。公的年金等の収入金額が400万円以下公的年金等に係る雑所得以外の所得が20万円以下簡単に言えば、まず年金が400万円以下で、そして給料や個人年金などが年20万円以下の場合、確定申告しなくても良い制度になります。ただし、以下の場合は確定申告が必要です。所得税の還付を受ける場合確定申告が必要な特例を受ける場合つまり……悪く言えば「損を受け入れるなら確定申告しなくていい」といった意味合いです。また確定申告は不要でも、代わりに住民税の申告が必要なこともあります。なるべく、確定申告することをおすすめしたいところです。20万円以下の対象者は年金暮らしの人?先ほどの要件で、年金が400万円を超える人は滅多にいません。しかし給料や個人年金などが年20万円以下というのは、意外と厳しい要件と言えます。給与所得控除などを差し引いて計算するにしても、多くの場合で超えてしまうでしょう。20万円以下の対象者は、実質的に「年金暮らしの人」かもしれません。必要性の面でも損得勘定の面でも、どちらで考えてもやはり確定申告は「すべきもの」と考えておくことをおすすめします。年金だけで生活できる人は限りなく少ない……ここで少し余談をお伝えします。確定申告が必要なら老後は働きたくない……などと考えた人もいるかもしれませんね。確定申告が必要なのは、基本的に「年末調整がない年金受給者」です。定年延長などで、引き続き勤め先で年末調整できるなら確定申告は要りません。ただ、定年後の就労は非正規雇用やアルバイトということも多く、必ずしも年末調整があるとは限らないのが実情です。一方、今は老後資金2000万円問題が上がっているように、定年後に働かなくていい人はかなり限られています。実質的に、働かない選択肢は中々ありません。年金だけでは中々生活できない以上、ひいては確定申告も必要になる可能性が極めて高いと言えます。余計な損を防ぐためにも、確定申告できるようになっておきましょう。在職老齢年金の見直しを含め、働くのが基本実は現在の年金は、現役世代並みに稼げる(65歳以上なら月47万円)高齢者に限り、年金額が減らされる「在職老齢年金制度」が採用されています。ちなみに対象者は、高齢在職者のうち約13%です。この制度が、2021年から見直される可能性が高まっています。つまりそれほど、国としても高齢者に意欲的に働いてほしい訳です。もはや定年まで働けばいい人生モデルは成り立たなくなっています。老後も働く前提なのですから、合わせて確定申告も覚悟しておきましょう。年金収入の確定申告の方法とは?ここからは、年金収入の確定申告の方法についてお伝えします。まず、年金(と給料)収入について申告する場合に使う必要な書類は、以下の通りです。確定申告書A(公的年金等の)源泉徴収票また確定申告では、1枚目(第一表)で所得毎の総額を、2枚目(第二表)で内訳を記載します。なお、書類作成は国税庁サイトにある「確定申告書等作成コーナー」を使うと、書き方の説明もありますからおすすめです。合わせて、必要に応じて「生命保険料控除(証明書)」なども申告・添付します。税金とは、以下の流れで計算しますから、合わせて理解しておきましょう。収入-経費=利益×税率=税金額「〇〇控除」という税金計算上の経費を増やせるほどに、最終的な税金額も安くなります。全部で14種類ありますから、他に使えるものがないかも確認しましょう。収入の金額と種類以外は通常と同じ給料は給与所得に該当し、年金は雑所得に該当します。また現役中の給料と比べ、基本的に年金額は割安です。そんな収入の金額と種類の違いはあるものの、確定申告の基本や書き方については現役の方と変わりません。経験済みなら、安心して取り組みましょう。なお、扶養控除や配偶者控除は、対象が高齢者(70歳以上)になると控除額が上がります。高齢者に優しいのが日本ですね。せっかくの優遇があるのですから、使えるなら忘れず申告しましょう。[adsense_middle]確定申告の提出の仕方と期限は?今度は、確定申告の提出や期限についてお伝えします。まず、確定申告書の提出の仕方は以下の通りです。税務署へ郵送する税務署へ持参するe-Taxを利用する(事前の申請や一定の機器が必要)また確定申告は、毎年2月16日~3月15日が期限となっています。この期間の税務署は沢山の高齢者が申告に来ていますから、持参するにしても気後れはしないでしょう。さらに最近では、土曜日も受け付けている税務署も増えてきましたから、平日働いていても大丈夫です。なお、申告が必要なのに期限に間に合わなかったり申告しなかったりすると、相応のペナルティを受ける可能性があります。余計な損を生まないためにも、ひとまず期限はしっかり守りましょう。書き方や仕方が分からない時は税務署で相談を!初めて確定申告するのであれば、どうしても分からない部分も出てくるのが普通です。そんな時は、ぜひ税務署に相談しましょう。特に確定申告の期間中は、専用の相談・作成コーナーを設ける税務署も多いです。書き方や仕方について、署員の方に相談しながら完遂しましょう。一方で、確定申告は毎年のことです。いつまでもできない、分からないままでは、それはそれで節税面などで損に繋がりかねません。なるべく早めに確定申告のことも理解していきましょう。老後資金は2000万円どころか4000万円必要!最後に、肝心なことをお伝えします。確定申告も含め、何事も年齢が高まるほどに目新しいことに困難や苦手意識を感じがちです。すると、どうしても人は避けようとしますね。お気持ちは分かるものの、確定申告を避けると労働を避けることにも繋がりかねません。一方、今は老後資金2000万円問題が言われていますが、実際には多くの場合で2000万円どころか倍の4000万円は必要です。しかし4000万円を超える資産を持つ高齢者は、全体の2割以下となっています。つまり、多くの場合で老後も働かなければならない訳です。限界まで働き、ギリギリまで貯金を減らさないようにするのが老後を生き抜く基本と言えます。そのためには、確定申告もセットで必要です。ちなみに確定申告は、例えば家賃収入や資産運用で老後対策をする際にも必須ですから、避けられないと考えて挑みましょう。尽きる直前では遅い、早くから対策を!多少なりとも貯金がある方の中には、まだまだ「いつか貯金が尽きる現実」を理解していない方も沢山おられます。実際のところ、70代~80代で貯金が尽きそうな方も多いです。尽きてから、尽きる直前になってからでは、定年直後よりもさらに諸々の対処のハードルは高いでしょう。働き口を探すのも働くのも、確定申告を覚えるのも、少しでも若いほうが有利です。70代~80代よりは、まだ今のほうが若いのではないでしょうか。どんなに周囲のサポートがあったとしても、肝心なのは本人です。ぜひ今のうちから、少しでも早くから、確定申告も含めて「未来への備え」を始めていきましょう。年金生活のためにも確定申告に慣れておこう働くにしても年金生活するにしても、どちらにしても老後は確定申告が必要になる可能性が高いです。仮に不要であっても、確定申告しない・できないのは損に繋がりやすいと言えます。人間いくつになっても成長できない訳ではありませんから、ぜひ早めに確定申告にも慣れていきましょう。
2019年11月25日「年金を受け取れる年齢が迫ってきました。しかし、周囲からは“受給を繰り下げたほうが後々楽になる”と言われたり、“死んだら終わりだから、繰り上げて60歳からもらったら”と言われたり……。いったい何を信じていいのかわかりません」(59歳専業主婦)年金の受給開始は原則65歳からだが、最大5年、受給を繰り上げたり(早めたり)、繰り下げたり(遅らせたり)することができる。“年金博士”として知られる、社会保険労務士の北村庄吾さんは、こう解説する。「年金は65歳より1カ月受給を繰り上げるごとに、0.5%ずつ減額されます。5年早めて60歳からもらおうとすれば、30%も減額された年金が生涯続きます。反対に、1カ月受給を繰り下げるごとに、年金額は0.7%ずつ増額します(繰り下げ期間は最低1年以上)。最大70歳まで繰り下げれば、42%も増える計算に」(北村さん・以下同)次の「繰り上げ、繰り下げ受給をした場合」の「受給率」と「損益分岐点」を見てほしい。損益分岐点の年齢で、年金を繰り上げ/繰り下げ受給をした場合の受給総額と、65歳から年金を受給した場合の受給総額が並ぶことになる。以降、長生きすればするほど、65歳に受給開始した場合に比べて、繰り上げ受給した場合には“損”に、繰り下げ受給した場合は“得”になっていく。【繰り上げ受給】60歳=受給率:70%/損益分岐点:76歳8カ月61歳=受給率:76%/損益分岐点:77歳8カ月62歳=受給率:82%/損益分岐点:78歳8カ月63歳=受給率:88%/損益分岐点:79歳8カ月64歳=受給率:94%/損益分岐点:80歳8カ月65歳=受給率:100%【繰り下げ受給】66歳=受給率:108%/損益分岐点:77歳10カ月67歳=受給率:117%/損益分岐点:78歳10カ月68歳=受給率:125%/損益分岐点:79歳10カ月69歳=受給率:134%/損益分岐点:80歳10カ月70歳=受給率:142%/損益分岐点:81歳10カ月「長生きリスクを考えて、よっぽど生活に困窮しているなどではない限り、繰り上げはしないほうがいい」と語る北村さん。では、年金額を増やすために、必ず繰り下げをしたほうがいいのだろうか。「無理に年金の受給を繰り下げて、生活に困窮してしまっても、意味はありません。また、妻が年下の専業主婦などの場合、夫が20年以上厚生年金に加入しているなどの条件を満たせば、年間およそ39万円の加給年金 が、妻が65歳になるまでの間、夫の年金に加算されます。しかし、厚生年金を受給していることが条件なので、受給を繰り下げると、その間の加給年金はもらえません。人によって、寿命や加入している年金の種類、夫婦の年齢差も異なりますし、繰り下げることが、必ず得とは言い切れないのです」さらに、注意してほしいのが、5年年金を繰り下げたからといって、手取り額が42%増額するとは限らないという点だ。「平均的な収入で、40年勤め上げたサラリーマンの年金額は、厚生年金と基礎年金を合わせて、約188万円とされています。しかし、国民健康保険や介護保険などの社会保険料があるため手取りは約166万円になります。これを70歳まで繰り下げると、年金額は約267万円まで増えるが、社会保険料に加え、所得税と住民税もかかるようになり、手取り額は約225万円に。手取り額でみれば、35%の増額にしかなりません」
2019年11月15日「年金は繰り下げが正解!」「いや65歳からもらうべきだ」。さまざまな意見に、多くの人も迷っていることだろう。でも、正解は“夫婦によって違う”。あなたにとっての正解はーー。「年金を受け取れる年齢が迫ってきました。しかし、周囲からは“受給を繰り下げたほうが後々楽になる”と言われたり、“死んだら終わりだから、繰り上げて60歳からもらったら”と言われたり……。いったい何を信じていいのかわかりません」(59歳専業主婦)年金の受給開始は原則65歳からだが、最大5年、受給を繰り上げたり(早めたり)、繰り下げたり(遅らせたり)することができる。“年金博士”として知られる、社会保険労務士の北村庄吾さんは、こう解説する。「年金は65歳より1カ月受給を繰り上げるごとに、0.5%ずつ減額されます。5年早めて60歳からもらおうとすれば、30%も減額された年金が生涯続きます。反対に、1カ月受給を繰り下げるごとに、年金額は0.7%ずつ増額します(繰り下げ期間は最低1年以上)。最大70歳まで繰り下げれば、42%も増える計算に」(北村さん・以下同)次の「繰り上げ、繰り下げ受給をした場合」の「受給率」と「損益分岐点」を見てほしい。損益分岐点の年齢で、年金を繰り上げ/繰り下げ受給をした場合の受給総額と、65歳から年金を受給した場合の受給総額が並ぶことになる。以降、長生きすればするほど、65歳に受給開始した場合に比べて、繰り上げ受給した場合には“損”に、繰り下げ受給した場合は“得”になっていく。【繰り上げ受給】60歳=受給率:70%/損益分岐点:76歳8カ月61歳=受給率:76%/損益分岐点:77歳8カ月62歳=受給率:82%/損益分岐点:78歳8カ月63歳=受給率:88%/損益分岐点:79歳8カ月64歳=受給率:94%/損益分岐点:80歳8カ月65歳=受給率:100%【繰り下げ受給】66歳=受給率:108%/損益分岐点:77歳10カ月67歳=受給率:117%/損益分岐点:78歳10カ月68歳=受給率:125%/損益分岐点:79歳10カ月69歳=受給率:134%/損益分岐点:80歳10カ月70歳=受給率:142%/損益分岐点:81歳10カ月「長生きリスクを考えて、よっぽど生活に困窮しているなどではない限り、繰り上げはしないほうがいい」と語る北村さん。では、年金額を増やすために、必ず繰り下げをしたほうがいいのだろうか。「無理に年金の受給を繰り下げて、生活に困窮してしまっても、意味はありません。また、妻が年下の専業主婦などの場合、夫が20年以上厚生年金に加入しているなどの条件を満たせば、年間およそ39万円の加給年金 が、妻が65歳になるまでの間、夫の年金に加算されます。しかし、厚生年金を受給していることが条件なので、受給を繰り下げると、その間の加給年金はもらえません。人によって、寿命や加入している年金の種類、夫婦の年齢差も異なりますし、繰り下げることが、必ず得とは言い切れないのです」それでは、さまざまな夫婦のケースから、“賢いもらい方”を考えてみよう。【1】会社員の夫と同年齢妻サラリーマン家庭の場合、夫が完全リタイアする65歳から受給を開始するのが基本だ。「いまは企業に再雇用が義務付けられていますし、60歳からの5年間は働くことは大前提です。収入がある間は繰り上げる必要はないですよね」65歳以降も、家計に余裕がありそうなら、年金の繰り下げを検討してもいいかもしれない。「じつは、どの年金を繰り下げるかは選ぶことができる。夫の厚生年金のみを繰り下げたり、妻の基礎年金のみを繰り下げたり。さまざまな選択ができるのです」繰り下げる場合、女性の平均寿命のほうが長いので、妻の年金から検討するのが合理的だ。要件を満たしていれば、夫が亡くなると、妻は遺族厚生年金がもらえるようになるが。「妻が基礎年金のみ受給している場合、夫の厚生年金の約4分の3が、妻の年金に上乗せされます。しかし、仮に繰り下げによって、生前に夫が厚生年金額を増額していたとしても、遺族厚生年金の算出の基準となるのは、65歳時点でもらったときの受給額です」【2】会社員の夫と年下妻妻が年下の専業主婦などの場合は、加給年金をもらえるので、厚生年金は繰り下げないほうがいい。ただし、夫の基礎年金を繰り下げても、加給年金には影響はない。「夫の厚生年金は65歳から受給して、基礎年金のみを70歳まで繰り下げると、加給年金をもらったうえで、70歳からの年金額を約33万円も増やすことができます。仮に、夫が5歳年上の夫婦の場合、夫が81歳、妻が76歳の時点で、夫婦の受給総額は4,326万8,040円となり、繰り下げなかった場合の受給総額を超えることになります」夫が85歳、妻が80歳の時点では、134万円も“得”をする。ちなみに、加給年金をもらわずに夫の厚生年金と基礎年金の両方を70歳まで繰り下げた場合、受給総額が夫の基礎年金のみを繰り下げた場合を超えるのは、夫が86歳、妻が81歳の時点だ。だが、「平成30年簡易生命表」(厚生労働省)によると、65歳男性は平均84.7歳までしか生きられない。夫が65〜70歳の間は無年金になるうえ、夫は平均よりも長生きしなければならない。【3】会社員と姉さん女房妻が年上の場合は、妻が65歳を迎えた時点で、夫は現役世代か、再雇用で働いていることになる。「夫が働いている間は、妻は年金をもらわなくても生活が成り立つ可能性が高い。であれば、受給を繰り下げて、老後に備えるという選択をすることもできます」仮に妻が5年受給を繰り下げた場合、81歳時点で“得”することになる。【4】自営業の夫婦満額の基礎年金は、65歳受給開始で月額約6万5,000円。夫婦でも13万円ほどにすぎない。「定年のない自営業者の場合は、できる限り働き、可能な限り繰り下げることが大事です」70歳まで繰り下げれば、基礎年金額は月額9万2,300円に。夫婦ともに繰り下げれば、18万4,600円。だいぶ心強い金額になるのだ。必ずやってくる老後を豊かなものにするために、あなたも年金の繰り下げを検討してみてはどう?
2019年11月15日