4月4日、女優の水野真紀(48)が、都内の名門女子大に通う事が明らかになり、午前中にはYahoo!リアルタイム検索ランキングに「水野真紀」がランクインするなど話題となっている。 スポーツ報知によると水野が4月より通う大学は名前を明かさない方針だが、誰もが知る難度の高い名門女子大だという。 東洋英和女学院短大を卒業している水野は、一般入試で文学部教育学科2年に編入。「今、動かないと後悔すると思って。どこまでがんばれるのか。自分の限界への挑戦でしかないですね。」と語り「平日は、ほとんど大学に通います」と意気込みを伝えている。 これに対し、「水野さんいい!私も行きたい大学と学部ある」「すごすぎる!」「水野真紀さんて大学行ったり、料理専門学校行ったり、勉強熱心だなぁ。何かをはじめるに遅いことはない」「まだまだ夢があるっていいな」と水野の挑戦を称賛する声が多くみられた。 また「どこの大学だろう?」「有名女子大…気になるな〜」など、水野の通う大学にも関心がよせられている。
2018年04月04日毎日悩ましい髪のセット。美しく、きれいに仕上がるならお金に糸目はつけません。そんな人が増えたのか、ドライヤーやヘアアイロンのハイスペック化が止まらない。話題の機種をチェックし、トレンドを探ります。ドライヤーやヘアアイロンの最新機種、いったいどれを選べばいい?さまざまな撮影現場やサロンなどでヘアを手掛ける、ヘア&メイクアップアーティストの高松由佳さんとGeorgeさんに、気になる機種をお試ししてもらいました!高松:ここ数年、「ドライヤーはいいものを使いたい」っていう人が増えてきているよね。ドライヤーで美髪をつくるという発想は、もともとはパナソニックの「ナノケア」がはじまりかな?George:そうかも。そしてダイソンのドライヤーが登場してからは、高級化が加速してる気がする。anan総研へのアンケートでも、ヘアケア家電の予算は2万円台がいちばん多いよう。高松:機能もハイテクになっていて、パナソニックは乾かすだけで摩擦や紫外線に強い髪になるし、ダイソンの「Supersonic」は乾かしすぎないよう自動で温度調節してくれる。George:最近のドライヤーはどれも、いかに髪を傷めずに速く乾かすか、というのがテーマ。高温に頼らず、風量や振動などそれぞれ工夫しているのがおもしろい。小泉成器の「モンスター」は、一瞬で乾くんじゃないかっていうくらいの爆風だった!高松:美髪を育むために、頭皮を健やかに保つ工夫をこらした機種も増えていて。ヤーマンの「スカルプドライヤー」なんて、温感と振動が気持ちよくて病みつきになりそう。これはドライヤーの域を超えて、マッサージ機!George:シャープの「スカルプエステ」もユニーク。高松:このかっさアタッチメントのリラクセーションぶりがハンパない。毎日、ケアするのが楽しみになっちゃう。Q. 次にヘアケア家電を買う際の予算は?(2018年2月 anan総研55名の回答による)A. ¥5,000~¥9,999…5%、¥10,000~¥14,999…14%、¥15,000~¥19,999…9%、¥20,000~¥29,999…40%、¥30,000~¥39,999…23%、¥40,000以上…9%【ナノケア(パナソニック)】マイナスイオンの約1000倍以上の水分を含む微粒子イオン「ナノイー」と、吹き出し口から出るミネラルマイナスイオンが髪に浸透。うるおいたっぷりの髪に。「乾かすだけで、ツヤ感がアップして、まとまりの良い髪に。仕事でも使ってます」(高松さん)EH‐NA99 ¥15,000*編集部調べ(パナソニック TEL:0120・878・697) 重量/約575g 温風温度/125°C 海外使用/不可【Dyson Supersonic ヘアドライヤー(ダイソン)】風圧の強いパワフルな風で、頭皮まで素早く乾かす。最適な温度を保ち、過度の熱によるダメージを防いで、髪本来の輝きを守る。「軽くてブローがしやすいです。風圧は強いけど、軽やかで心地よい風。自動で温度を調節してくれるのもうれしい」(Georgeさん)インペリアル パープル ¥50,000※(ダイソン TEL:0120・295・731) 重量/630g 温風温度/45~100°C 海外使用/不可 ※レザーケース付き直販・百貨店専用モデル。通常品は¥45,000~【ダブルファンドライヤー モンスター(小泉成器)】髪をより美しく、やさしく乾燥させるために、風を強く押し出す独自形状の2つのファンを搭載。「とにかく圧倒的なすごい風で、あっという間に乾きます!毛量が多い人、ロングの人、忙しい朝に髪を洗う人には特におすすめです」(高松さん)KHD‐W720 ¥7,980*編集部調べ(小泉成器 TEL:0570・07・5555) 重量/約685g風量調節/4段階 海外使用/可(AC100‐110V地域のみ対応)【スカルプドライヤー(ヤーマン)】頭皮を遠赤外線で温めながら、毎分約3700回の音波振動でほぐせば、頭皮ケアにも。低温風で内側からしっかり乾かしながら、髪表面や頭皮を過乾燥から守る。「気持ちよくて癒される~!彼と共用して一緒に育毛、っていうのもいいかも」(Georgeさん)¥18,000(ヤーマン TEL:0120・776・282) 重量/約630g 温風温度/約60°C 海外使用/不可【プラズマクラスタースカルプエステ(シャープ)】ヘアドライ後、本体に「かっさアタッチメント」を装着し、「SCALP」モードの約50°Cで頭皮をマッサージ。プラズマクラスターイオンで、ブラッシング時の静電気抑制効果も。「手で施術されているかのような『かっさ』が本当に気持ちいいです」(Georgeさん)IB‐HX9K ¥25,000*編集部調べ(シャープ TEL:0120・078・178) 重量/約595g温風温度/約50~115°C 海外使用/不可高松由佳さん(写真右)ヘア&メイクアップアーティスト。「クセがあって乾燥しやすい髪。ドライヤーの最新機種には注目してます」Georgeさん(写真左)ヘア&メイクアップアーティスト。「髪がパサつきやすいのが悩み。多くのドライヤーを常に試してます」※『anan』2018年3月21日号より。写真・多田 寛(DOUBLE ONE)水野昭子(人物)取材、文・古屋美枝(by anan編集部)
2018年03月15日女優としてだけでなく舞台演出家としても活躍する水野美紀が3月12日(月)今夜オンエアされる日本テレビ系「しゃべくり007」にゲスト出演。母親になった現在の生活などをトークする。また親子芸人の「完熟フレッシュ」もゲストとして登場する。本番組は「ネプチューン」「くりぃむしちゅー」「チュートリアル」の3組7人の芸人がMCを担当、毎回登場するゲストとトークや企画を展開するバラエティ。「踊る大捜査線」シリーズをはじめ、「女子アナ。」「恋人はスナイパー」シリーズなど数々のドラマで注目を浴び、本格アクションをこなせる女優として独自の地位を確立した水野さん。最近では月9ドラマ「ラヴソング」や、バカリズムの脚本も話題となった「黒い十人の女」、ドロキュンドラマの代表的なものとなった「奪い愛、冬」、映画では福田雄一監督作の『俺はまだ本気出してないだけ』などで活躍。さらに演劇ユニット「プロペラ犬」を主宰、えのもとぐりむ、宮下貴浩、福澤重文らと「かくたすのいるところ」を立ち上げるなど“作り手”としても熱い視線を浴びている。そんな水野さんだが昨年7月、第1子を出産、母親となった。今回は母となり生活が激変した水野さんが現在のプライベートを全告白。エネルギッシュに活躍する水野さんの私生活は必見だ。またもう1組のゲストとして親子芸人の「完熟フレッシュ」も登場。仕事から私生活まで頼りない父に娘レイラが強烈ダメ出しする。今回のゲスト、水野さんは4月7日(土)から上演が始まる舞台「ヘッダ・ガブラー」に出演。シス・カンパニープロデュースによる本公演は「近代演劇の父」ヘンリック・イプセンの戯曲を栗山民也を演出に迎え、寺島しのぶを主演に、小日向文世、池田成志、水野さん、佐藤直子、福井裕子、段田安則、徐賀世子らが出演。高名な将軍の娘で美貌と才気に恵まれた女性ヘッダの、現状への不満や不安、言いようのない焦燥感を描く。舞台「ヘッダ・ガブラー」は4月7日(土)からBunkamuraシアターコクーンで上演。「しゃべくり007」は3月12日(月)22時~日本テレビ系でオンエア。(笠緒)
2018年03月12日エドワード・ケアリーのアイアマンガー三部作、『堆塵館(たいじんかん)』『穢(けが)れの町』『肺都(はいと)』について、翻訳家・古屋美登里さんにお話を伺いました。ゴミだらけの館や町で巻き起こる、大スペクタクルを読み逃すなかれ。19世紀後半、ロンドンの外れにそびえ立つ「堆塵館」。ゴミから財を築き、その屋敷の主になったアイアマンガー一族をめぐる三部作の物語がついに完結。3巻合わせて1300ページを超える厚さにひるむかもしれないが、最初の『堆塵館』が刊行されるや否や、名だたる書評家や本好きたちから「早く続きを!」の悲鳴が上がったほど、面白さはお墨付き。物語が締めくくられたいまこそ、格好の読みどきだ。この大作の翻訳を手がけたのが、古屋美登里さん。エドワード・ケアリー自身も翻訳家として絶対の信頼を寄せている古屋さんに、三部作を楽しむためのポイントをうかがった。「ケアリーは絵を描いたり粘土細工をしたり、小説を書く以外にも絶えず創作的な活動をしている多才な人。あるとき描いた鉛筆画――憂鬱な表情をした不健康そうな少年が、まさか3冊にも及ぶ長大なストーリーのきっかけになるなんて、本人も驚いたそうですよ」この少年こそが『堆塵館』の冒頭で紹介されるクロッド・アイアマンガー。肌身離さず身につけている一族の印=<誕生の品>が浴槽の栓というのも愛らしい、クロッドの顔をまず見てほしい。こうした登場人物の肖像画などたくさんの挿絵が、本作の大きな魅力にもなっている。「物語と絵の融合にこだわっているケアリー。肖像画のほか、館の断面図や町の俯瞰図などが、想像を補完してくれます。決して可愛らしいタッチではないのに少しずつ絵の魅力に引き込まれ、しまいには、愛おしく思えてくるから不思議(笑)」クロッドはまた、<物の声>を聞くことができる稀有な能力の持ち主だ。孤児院から屋敷に引き取られてきた少女ルーシー・ペナントと出会い、物語は走り出す。大人と子ども、善と悪、国家と一族など、数多の対立の物語を内包していて、主役級のみならず脇役までが揃ってチャーミング。なかでもクロッドの成長小説としての面白さは格別だと古屋さん。「最初は気弱で孤独な少年だったクロッドが、物や他者の気持ちを理解し、町に出てアイアマンガーの外の世界に触れて見聞が広がることで、自分の役割を知っていく。私が特に胸が熱くなったのは、『肺都』で、クロッドが物たちを味方にして巨大な敵に立ち向かっていくシーン。人と同じように物にも愛着を持つケアリーらしさがよく出ていました」堆塵館の地上階にいるアイアマンガーたちと、地下階にいる使用人たちとの関わりから始まり、次に、館のふもとの町フィルチングの様子が描かれ、その勢いのまま、ロンドンで起こる大騒動になだれ込んでいく。「館という閉鎖空間から徐々に物語が開かれていく、とても計算された構造になっているので、怒濤の展開に身をまかせていけばいい。極上の読書体験を得られるはずです」エドワード・ケアリーから日本の読者のみなさまへ私はこれまで日本の文化から、つまり古い幽霊の話や北斎の絵、宮崎駿の傑作などから大きな影響を受けてきました。アイアマンガー三部作は、少年少女が年長者たちの残虐性と闘う話です。成長と愛と家族の物語であり、英国生まれで、現在アメリカに暮らしている私にとっては故郷を偲ぶ物語なのです。この三部作が、日本で居場所を見つけたことをなによりありがたく思っています。<堆塵館>をはじめ、原書のムードをより的確に伝える造語を多用した訳者の力量にも脱帽。東京創元社『堆塵館』3000円、『穢れの町』2800円、『肺都』3800円。ふるや・みどり翻訳家。目利きの書評家でもあり、書評集『雑な読書』『楽な読書』も好評発売中。※『anan』2018年3月7日号より。写真・水野昭子インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2018年03月02日中学時代の秘密を抱く4人の男女。愛と狂気が迸る村山由佳版ノワール。最新刊『嘘Love Lies』について話を伺いました。「週刊誌で連載するにあたって、これまでとは違うことをやってみたいなと思って。それで、『スタンド・バイ・ミー』のような少年時代の切なさを基調にしつつ、サスペンスタッチのものを書くということに挑戦してみました」と語るのは村山由佳さん。最新刊『嘘Love Lies』で描かれるのは思春期のきらめきと罪、大人の愛情と罰。中心人物の秀俊は中学生の頃、母の愛人から虐待されていた。彼の日常に光を与えたのは、美月、亮介、陽菜乃という仲間だ。「秀俊のような環境に育つ子も、きっとたくさんいる。本人はそれが当たり前と思って育つから、あまり声が届いてこない。それを小説に書くことで、読者に自分の体験かのように感じてもらえたら。それが報告書とは違う、フィクションの力だと思っています」友情を育む4人だが、ある悲劇をきっかけに彼らの人生は一変する。「それをきっかけに彼らは心ならずも闇の方へと突き進むことになるんですよね。あの場面を書くのは、書いていいのかという逡巡も含め、しんどかった。でも、それも世の中のどこかで実際に起きていることだからと、覚悟を持って書きました」一方、秀俊には親以外に面倒を見てくれた九十九(つくも)という男がいる。実は彼は極道。九十九に助けを求めたことから、秀俊はこの男の呪縛から逃れられなくなる。そして20年後。傷を抱えながらもそれぞれの人生を歩む彼らに、再び悲劇が。彼らはそれと、どう向き合っていくのか。「ご都合主義の救いも書きたくないし、大山鳴動して鼠一匹、ともしたくなくて。彼らのその後に寄り添って、きっちり最後まで書かなければ、という思いで書き進めました」意外な事実も判明、スリリングな展開の後半では、九十九の運転手だった近藤という男もキーパーソンに。「女性はだいたい秀俊派か近藤派に分かれますね(笑)。タイプは違うけれどそれぞれ男気があるんですよね。それは女性側からすると要らない強がりだったりする。それもむしろ愛しいなと思いながら書きました」村山さん自身は「実は私は山田・佐々木派(笑)」。この二人の人物が何者なのかは、読んでご確認くださいませ(きっと驚くはず!)。むらやま・ゆか作家。‘93年『天使の卵-エンジェルス・エッグ』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。‘03年『星々の舟』で直木賞、‘09年『ダブル・ファンタジー』で中央公論文芸賞ほか受賞。村山由佳『嘘Love Lies』秀俊、亮介、美月、陽菜乃は仲の良い同級生。しかしある悲劇が彼らの運命を狂わせる。20年後、傷を抱えたまま懸命に生きる彼らを襲う、再びの悲劇とは…。新潮社1800円※『anan』2018年2月21日号より。写真・土佐麻理子(村山さん)水野昭子(本)インタビュー、文・瀧井朝世(by anan編集部)
2018年02月20日クレイジーという個性が光る最強にカワイイ女の子たちが次々と登場する、川夏子さんが描いたコミック『boy meets“crazy”girl』。狂気、というとドキリとしてしまうけれども、ちょっと度が過ぎてしまったり、自分をコントロールできなくなるようなことは誰にでもある。特に恋をしているときは、そんな内面に潜んでいる狂気という名の素顔が表に出やすいのかもしれない。「最初はボーイミーツガールという普遍的なテーマで、いろんなパターンを描いてみようと思っていました。そしたら私が魅力を感じる女性には、自然にcrazyという冠がつくことに気がついて。昔から強い思いを持つ人に惹かれる傾向があって、その強さはなぜか、“普通”のカテゴリーから外されてしまうことが多いんです。最初にcrazyとカテゴライズすることで、力強さや優しさを制約なく描きたいと思いました」この短編集に出てくるのは、大好きな男の子の服装や髪型を完コピしてしまう女の子、片思いしている先輩の前で思い出の品を容赦なく燃やす女の子、一日に何度も外見を大胆に変える女の子など。突飛な行動も、根本にある思いがちらりと見えると、とても愛おしく感じてしまう。「社会にはいろいろな制約があるので、正直に出せない思いもたくさんありますよね。そうやって押し殺している欲求をまっすぐ伝えたら、どんなことが起こって、相手はどう反応するのか。キャラクターの正直な思いが曲がってしまうことのないよう、気をつけながら描きました」奇をてらったり、物語を盛り上げることを目的とした突飛さではないから妙にリアルだし、不器用な愛情表現を受け止める相手の反応もいちいち絶妙。著者初の単行本なのだが、繊細な感情表現や人間関係の描き方は、すでに持ち味となっている。「自分の少し前を歩いているキャラクターがしゃべっていることを、逃さないようビデオに撮っている感じで物語を作っています。短編は、自由に布を裁つように物語を切り取っていけるのが楽しさであり、難しさとも思っています。切りすぎて、後悔することも多いのですが(笑)」今後も“つながり”を描いていきたいという川夏子さん。まずはデビュー短編集で、新たに登場した才能を存分に味わっておこう。女の子のさまざまなクレイジーな部分を切り取った9つの短編と、男同士の出会いを描いた2編。極端な部分を持っている人ほど、魅力的に見えるからステキ。祥伝社900円(C)川夏子/祥伝社フィールコミックスかわ・なつこマンガ家。2013年「純愛サンプル」で『on BLUE』よりデビュー。『FEEL YOUNG』でも短編を発表。na名義でイラストを執筆することも。Twitterは@n__atuco※『anan』2018年2月21日号より。写真・水野昭子インタビュー、文・兵藤育子(by anan編集部)
2018年02月18日マウンティングされたわけでも、悪意をぶつけられたわけでもない、なのにあの時、なぜか不快に感じたのは、こういうことか――そんな発見をもたらしてくれそうな小説がある。飛鳥井千砂さんの『そのバケツでは水がくめない』だ。「関係性の話を書きたいと思ったんです。こういうことはたくさんの人が経験している気がしたので」アパレルに勤める理世は、デザイナーの美名と友人同士のような関係を築くが、いつしか彼女の言動に心がざわつくように。仕事仲間なだけに、なんとか関係を良好に維持しようとするのだが…。「才能のある人とそのマネージャーみたいな間柄。相手に強く出られないから、どんどん歪みが深くなりそうですよね。理世は善良な小市民タイプ(笑)。真面目で一生懸命な人だと思います。最近は、自分の悩みを他人に相談するなんて悪いと思っている人って結構いる気がします。理世もそのタイプで、一人で抱え込んでいってしまうんです」それとなく傷つくことを言い、指摘すると無邪気に「悪気はなかった、傷つくと思わなかった」と言う美名。「相手を傷つけたうえ、“そんなことを気にするなんてお前が小さい人間だからだ”と暗に言って罪悪感を持たせる。手が込んでいますよね」関係がこじれた理由のひとつは、一度理世が美名のデザインに駄目出しをしたからとも読める。「否定されて平気な人はいませんよね。でも大人になると、駄目出しされても全人格を否定されたわけじゃないと理解して乗り越えていくようになる。美名はそのあたりの感覚が故障しているのかも」そんな彼女、どうやら毒親に苦しめられてきたようなのだが、「そういう背景を知ると、救ってあげたくなるかもしれない。でも専門家でもない素人が簡単にできることではないし、まず本人が自分のことは自分しか救えないんだと気づかないと、人は変われないと思います」そんな相手に尽くすのは、穴のあいたバケツに水をくむようなもの。「なのに人は水が溜まらないと、自分のくみ方が悪いのかも、と思ってしまう。そうではなく、相手に穴があいているんだと気づけば、楽になれる。今そういう悩みを持っている人に届くといいなと思っています」アパレルに勤める理世は、新ブランドのデザイナーに美名をスカウト。親しくなる二人だが、次第に美名の態度が変化し、理世を追い詰める。祥伝社1700円あすかい・ちさ作家。1979年生まれ。’05年、「はるがいったら」で第18回小説すばる新人賞を受賞してデビュー。著作に『タイニー・タイニー・ハッピー』『女の子は、明日も。』『砂に泳ぐ』など。※『anan』2018年2月7日号より。写真・水野昭子インタビュー、文・瀧井朝世(by anan編集部)
2018年02月04日強運をつかみたいなら、フットワーク軽く出かけてみることも大切。なかなか手に入らない限定のお守りをご紹介。年に1度、月に1度のように、限られた日にだけ授与されるお守りは、入手困難なぶん、より強い開運パワーが込められているように感じるもの。全国から求めて訪れる人がたくさんいるという、行列必至のお守りをピックアップ。努力したぶん、ご利益があるはず…!神さまの気力をもらえる!毎月1日限定お守り。三峯神社(埼玉県)の氣守関東有数のパワースポットともいわれる三峯神社で、毎月1日にのみ頒布される『白』い『氣守』。境内のご神木が入っており、身につけると気力を分けてもらえると人気。アスリートや有名人が身につけていることでも知られ、授与日はお守りを求める人の長蛇の列が!ご利益のためと覚悟を。埼玉県秩父市三峰298-1TEL:0494・55・0241参拝時間7:00~17:00白い氣守の授与には引換券が必要。配布日時はHPを確認して。(C)三峯神社早朝に頒布が終わる日も。1日20体限定の縁結び玉。川越氷川神社(埼玉県)の縁結び玉境内の小石を持ち帰り大切にすると良縁に恵まれるという言い伝えから生まれた。身を清めた巫女が小石をひとつひとつ拾い集め、麻の網に包んだ後、毎朝、神職がお祓いをしてから縫製する、ありがたいお守り。毎朝8時より1日限定20体(元日~3日は特別に50体)のみ無料で頒布される。埼玉県川越市宮下町2-11-3TEL:049・224・0589自由参拝(社務所8:00~18:00)縁が実ったら、相手と二人で縁結び玉を戻しに参拝すると、縁が続くお守りをいただける。限定デザインに行列。「八難除(はちなんよけ)」の神むすび。阿佐ヶ谷神明宮(東京都)の神(かん)むすび運気が上がるように祈念し、巫女が最終縫製を行って作り上げる、繊細なレースが美しいブレスレット型お守りで、写真のものは特別な神事の日限定デザイン。4年前に伊勢神宮が式年遷宮をした際、それまでの鳥居を阿佐ヶ谷神明宮が譲り受けたことに由来して、金色の鳥居が施されている。東京都杉並区阿佐谷北1-25-5 TEL:03・3330・4824参拝時間8:30~17:00ほかにも「月読尊(つくよみのみこと)」や「虹鳥居」、季節限定のものなど、さまざまな神むすびが。※『anan』2018年1月24日号より。写真・水野昭子文・重信 綾(by anan編集部)
2018年01月23日あなたは10代の頃、どんな雑誌を読んでいました?奥田亜希子さんの『リバース&リバース』は、ティーン誌に勤める禄(ろく)という青年と、愛読者の郁美の物語が並行して進み、やがて交錯する長編。「前に『五つ星をつけてよ』という短編集で、中学2年生の女の子の話を書いた時、参考に『nicola』を買ったんです。読者の悩み相談のページを読み、内容の重さにびっくりして。思春期の子にとって自分の好きなものに関わっている大人の意見が響くのかな、と思いました」お悩み相談のページを担当する禄と、中学生の郁美の学校生活が活き活きと描かれる本作。「郁美に関しては、これまで中学生を書く時は、スクールカーストの一番下の子の話にすることが多かったので、普通に明るい子をはじめて書いたので楽しかったです」一方、禄は、かつて相談を投稿してきた読者に親身になったあまり、その子に依存されてしまい悩む。「責任取れないからと放り出すのも相手を傷つける。悩みを持つ思春期の子を相手にするのは大変」禄自身、中学生の頃に親友の女の子と仲違いし傷つけた過去がある。「自分を振り返ると、傷つけられたことより人を傷つけたことのほうが残っている気がします。よく、他人とは離れられるけれど、自分とは離れられないと言いますよね。傷つけた相手とは距離を置くことができるけれど、傷つけた自分はずっと自分の中にいるんですよね」傷つけたり傷つけられたり、助けたり助けられたり、人の立場は時と場合で変わるもの。タイトルには、そんな意味も含まれている。「この連載のお話をいただいた時、芸能人の不倫バッシングがすごかったんです。なぜ自分は何も悪くないという立場から人を叩く人が多いのかと思って。正論以外のものがはじかれてしまう窮屈さも感じました。人と人との繋がりには、もっと揺らぎがあるはず」そして後半は、意外な事実が明らかになり驚かされる。「構成については一番考えました。ページをめくる手が止まらないものにしたくて。伏線もいっぱい張ってあるので、一度読んだ後、もう一回読んでもらっても楽しんでもらえるかなと思います」おくだ・あきこ1983年生まれ。‘13年、すばる文学賞受賞作を改題した『左目に映る星』でデビュー。著作に『透明人間は204号室の夢を見る』『ファミリー・レス』『五つ星をつけてよ』。『リバース&リバース』ティーン誌でお悩み相談のページを担当する禄と、その雑誌の愛読者で田舎暮らしの中学生・郁美。両者の人生が交錯する時、見える事実とは。新潮社1500円※『anan』2018年1月24日号より。写真・水野昭子インタビュー、文・瀧井朝世
2018年01月19日こうしたい、こうなりたいと理想はあっても、そのために努力するのは面倒くさい。誰もが心に秘めている、虫がよすぎるホンネの数々。その身勝手さをおちょくりつつも、実は“何もしないこと”が我が身のための大英断なのだと正当化してくれる、敗残者救済コラム集が『やらない理由』だ。著者は、いまや自虐の神として『cakes』をはじめ、ウェブメディアやSNS、コミック誌などで20本近くの連載を抱える人気作家のカレー沢薫さん。「何かを始めようと思ったり、実際に始めてみたりしても、だいたい途中で投げ出すのが人間。挫折すれば、誰でも反省し、自己嫌悪に陥るものですが、大抵の人は反省もどきしかしていないと思います(笑)」カレー沢さん曰く、「落ち込んで終わりなら、ウジウジしている分だけ、時間のムダだし、目標がクリアできることが必ずしもいいとは限りません。たとえば、痩せたらいいことありそうとダイエットを始めても、物理的には痩せたのに好転しなかったら、打つ手がない。ならば、延々と失敗し続けて、一生『痩せたら幸せになれる』という希望のアメを舐め続けたほうが幸せ。あるいは、中途半端にやめてしまった自分をダメなやつと非難せず、無駄なことをせずにすんだ自分は『判断力に長けていたのだ』と、自己肯定にまで持っていければ成功です」連載に当たっては、編集者がお題を振り、やらない言い訳をカレー沢さんがコラムに書く形式をとった。「前にも似たネタをやったなあと思うことが何度かありましたが、言い方を工夫して乗り切ったり…。でもたまに『それはただのわがままではないか』『さすがに人としてどうか』というテーマも交じっていて(笑)。不倫など弁護できないネタのときは、率直に“自分のためにしないほうがいいよ”という論調で書いた回もあります」どんなむちゃ振りにも応えてしまうそのサービス精神が、笑いを生む。「そもそも、好きなことを何でも書いていいと言われても、言いたいことはない。むしろこういうテーマで書いてくれと無理難題を出されるほうが、詭弁を弄するかいがあります」『cakes』では有料会員向けに刊行記念のスペシャルインタビューも掲載中。そこでは、人生初の自作ラップ(!)も披露している。また、ブス論第2弾となる新刊『ブスのたしなみ』も好評。併せて楽しんで。かれーざわ・かおるOL 兼マンガ家、コラムニスト。2009年、『クレムリン』でマンガ家デビュー。’11年、『負ける技術』で文筆家デビュー。『ブスのたしなみ』(太田出版)ほか著書多数。『やらない理由』<痩せたいが、食べるのを我慢するのは嫌><お金は貯めたいが、節約するのは嫌>等々、身勝手な言い分にも五分の魂、の精神で。マガジンハウス1100円※『anan』2018年1月24日号より。写真・水野昭子インタビュー、文・三浦天紗子
2018年01月18日2018年の干支は、神の使いとされる犬。そのご利益にあずかるべく犬をモチーフとしたカワイイお守りや縁起物にもご注目を。ぜひ手にとって愛でて、いつでも持ち歩いて、強運を手に入れて。かわいい見た目とは裏腹に悪霊を払う力が。安産や子授けの守護神とされる犬の形をした土鈴。鈴の音色は神秘なる力を呼び出し、悪霊を払ったり、自身の心を清めることができるといわれている。そんな強いパワーを持っているようには見えない(!?)、キュートな表情にキュン。「戌土鈴」¥600奈良県奈良市今市町734TEL:0742・61・3861寺務所8:30~16:30“笑い”の絶えない家族を見守る。古来、初宮参りの祈願に出産祝いの縁起物として授けられる犬張り子。竹籠をかぶった愉快な姿には、「竹」と「犬」の文字を合わせると「笑」の字になることから、“子どもが笑顔を絶やさず、成長するように”との願いが込められている。「笊(かご)かぶり犬張り子」初穂料¥2,000東京都台東区鳥越2-4-1TEL:03・3851・5033社務所9:00~17:00ご神木の力を宿した干支の一刀彫り。奈良県の伝統工芸である一刀彫りによって作られたお守りは、縁起物として期間限定で授与される、ありがたいもの。前足をきちんと揃え、ちょこんと座った姿がなんとも愛らしい…!小さなサイズなので、職場のデスクに置くのもよさそう。「干支守一刀彫(小)」¥2,000奈良県桜井市三輪1422TEL:0744・42・6633授与所9:00~16:30犬の体を撫でて息をかけ、悪いところをお祓い。山奥で道に迷った日本武尊(やまとたけるのみこと)と軍を導いた白狼が、魔除けの神・大口真神として祀られる神社。犬の形代は、愛犬の名前を書き、健康を願いながら犬の体を撫でると厄を移せるというもの。形代は、お祓いをした後に焚き上げられる。「犬形代」¥300東京都青梅市御岳山176TEL:0428・78・8500社務所8:30~17:00※『anan』2018年1月24日号より。写真・水野昭子文・重信 綾(by anan編集部)
2018年01月17日亀梨和也主演ドラマ「FINAL CUT」の第2話が、1月16日(火)今夜放送。第2話では、水野美紀が主人公のターゲットとなることから、放送に向けて水野さんからコメントが到着した。本作は、亀梨さん演じる主人公・中村慶介が、母親を殺人事件の犯人かのように扱い死に追い込んだテレビ番組関係者に、「ある目的」のために制裁を加え、事件の真犯人を追う姿を描くメディア復讐劇。先週放送の第1話では、12年前に起きた女児殺害事件に関して、百々瀬塁(藤木直人)が司会を務めるテレビ番組「ザ・プレミアワイド」の井出正弥(杉本哲太)、真崎久美子(水野美紀)、小池悠人(林遣都)、皆川義和(やついいちろう)による取材によって、慶介の母親・恭子(裕木奈江)が死に追い込まれたエピソードが描かれた。そして12年たった現在、慶介は事件の真犯人を追うため、鍵を握る姉妹の小河原雪子(栗山千明)と若葉(橋本環奈)に近づき、さらに番組のプロデューサーとなった井出が再びメディア被害を与えている情報を入手した慶介は、公開されると人生が終わる致命的な映像“ファイナルカット”を用いて井出に制裁を下す…というストーリーだった。今夜放送の第2話では、慶介が運営するメディア被害に関する通報サイトに、スクープのためなら手段を選ばない「ザ・プレミアワイド」のディレクター・真崎の取材によって、殺人事件の容疑者が逮捕直前に逃亡してしまったという相談が寄せられる。かつて、言葉巧みに恭子に近づき、インタビューを行った真崎に裏切られた過去がある慶介は、次なるターゲットとして真崎への制裁を決意し…。真崎役の水野さんは、「真崎は真崎で自分のポリシーがあり、信念にのっとって生きています。それがただの悪役ではないところで、何が正しくて何が正義かなど、様々な面が提示されるのが演じていて難しく、そして楽しいところです」と演じてみての感想を述べる。また、かつて慶介の母親を追い詰めた一人として復讐のターゲットとなる役どころについては、「憎まれつつ、こらしめられたときに、見ていただく方にスカッとしてもらえる役作りも大切。人間としてリアリティーのあるキャラクターにもしたいので、そこは日々模索しながら演じています」とコメントしている。「FINAL CUT」は毎週火曜日21時~カンテレ・フジテレビ系にて放送。(cinemacafe.net)
2018年01月16日昨今話題の一冊、それが金井真紀さんのインタビュー&スケッチ集『パリのすてきなおじさん』だ。「フランスに詳しいわけではなかったんです。でも、前からおじさんには興味がありました」パリ在住40年のジャーナリスト広岡裕児さんを案内&通訳に、2週間の滞在中に街角のおじさんたちに声をかけ、話を聞いたという。「本当に立ち話だけの人もいましたし、お宅にお邪魔して3時間以上話を聞いた人も。全員は載せられず、泣く泣く削りました」パリ人たちとの粋で軽い会話が楽しめる一冊かと思いきや、内容は実に深い。職業や履歴はもちろん民族も宗教もみな違い、その生き方や深い言葉にふと胸を衝かれる。「多様だとは思っていましたが、思っていた以上でした。アルジェリア出身の人といっても、アラブ人とベルベル人がいたり、インドカレー屋さんだと思ったらスリランカ出身の人だったり。世の中は想像以上に込み入っていると感じました」祖国マリを出て妻子と離れ、出稼ぎ生活を36年送るシビーさん、ユダヤ人家族のなかで自分だけが生き残ったロベールさん、「イスラム教徒とイスラム主義は違う」と語るクスクス屋のファイサルさん…。〈静かな心でいれば、強くなれる〉〈ほとんどの問題は、他者を尊重しないから起こる〉など、深い言葉も飛び出してくる。たった2週間でここまでの数の人から、深い話を引き出す金井さんのインタビュー力と記事の構成力に驚くばかりだ。「推測ですが、人生が思い通りに進んでいる人ばかりではないようでした。でも自分はここまで歩んできたと、隠さず話してくれる。それが年を重ねる良さでもあるのかなとも思います。私があまりに何も知らないので“分かってない人来ちゃったなー”と、仕方なくゼロから話してくれたのかもしれませんが(笑)」市井の人が好きという金井さん。「全部を知ることはできないから、断片を拾うしかない。でも断片を集めることで何かが見えてくるかもしれない、という気持ちがあります。だからこうして、街で普通に暮らす人たちを集めてみる、みたいなことが好みなんだと思います」おじさんたちにも惚れるけど、著者にも惚れてしまう!下は自称25歳から上は92歳まで、パリの街角で出会った男性たちに話を聞いたインタビュー&スケッチ集。イラストも金井さんの自筆。柏書房1600円かない・まき1974年生まれ。作家、イラストレーター。著書に『世界はフムフムで満ちている達人観察図鑑』『酒場學校の日々フムフム・グビグビ・たまに文學』『はたらく動物と』。※『anan』2018年1月17日号より。写真・水野昭子インタビュー、文・瀧井朝世(by anan編集部)
2018年01月16日Natsumi Hirajima February issue, 2017©︎ Akiko Isobe, Courtesy of G/P galleryフォトグラファー・磯部昭子の個展「LANDMARK」が、1月6日から2月3日まで東京・恵比寿のG/P galleryにて開催中。磯部昭子は、武蔵野美術大学造形学部映像学科在学中より創作活動をスタート。スタジオワークやコンストラクティッドフォトを中心に生み出される新奇で倒錯した彼女の作風は、ナチュラルを装うスタイルが主流となった現在のコマーシャルの世界から離れたところに位置するものの、多くの支持を獲得している。本展では、月刊誌『サイゾー』の表紙のために撮り下ろした女性アイドル・タレントのグラビア写真を展示。グラビアのポーズをとるモデルの姿に加えて、彼女たちの身体の一部あるいは断片をただ物体のように捉えたイメージからは、作家が既存の商業価値を踏まえつつ、ジェンダーをも超越する新たな身体像に挑戦していることが伺える。【展覧会情報】磯部昭子「LANDMARK」会期:1月6日~2月3日会場:G/P gallery住所:東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 2F時間:12:00~20:00(最終日は17:00まで)日曜休廊
2018年01月10日奇跡のバレエ団として名高いバレエ・リュスの、実在の人物をモデルに描く『バレエ・リュスニジンスキーとディアギレフ』の著書・桜沢エリカさんにお話を伺いました。バレエに疎くても、ニジンスキーというダンサーの名前は聞いたことがあるだろう。とはいえ彼が活躍したバレエ・リュスを知っている人は、バレエ好きでもそう多くないかもしれない。しかし、シャネル、ピカソ、マティス、コクトーなど錚々たる芸術家とコラボしたバレエ団と聞けば、俄然興味が湧くはずだ。「私自身、バレエが大好きなのですが現代モノしか観ていなかったので、バレエ・リュスのことは知りませんでした。調べてみたら、今あるバレエの大本になっていると言っていいほどすごいバレエ団だったんです」物語の軸になるのは、ニジンスキーと、ディアギレフという天才プロデューサー。ニジンスキーはディアギレフと出会ったことで、ヨーロッパで一躍スターに。ふたりは同性愛の関係にあり、これまで描かれていたディアギレフ像は、良くも悪くもニジンスキーを支配する意地の悪いオジサンというイメージが強かったそう。しかしながら桜沢さんの描くディアギレフには、人間らしい魅力が。「いわゆるオネエだったと思うんですけど、自分の目指す世界観を完成させるための冷徹さを持ちつつ、占いを異様に信じていたりして、なんだかかわいらしいんですよね」ニジンスキーはというと、バレエ・リュスに在籍した期間が実際はそう長くなく、のちに精神を病んでしまうのだが、伝説化されている人物だけに描き方を悩んだようだ。「写真で見ると役柄によって全然雰囲気が違うし、スタイルも現代の感覚からするとあまりいいとはいえない。でもバレエシーンには、やっぱり力が入りましたね。若い頃はベッドシーンを描くのが好きだったんですけど、今はバレエシーンがそれに代わった気がします。体を描くのが好きなんでしょうね、きっと」陰のキーパーソンであるミシアというパトロネスとシャネルの描き方も効いていて、彼女たちの物語ももっと読みたくなる。事実とは信じがたいほど濃密な時代を知る入門編としては、申し分のない一冊だ。さくらざわ・えりか漫画家。10代でデビューして以来、恋愛マンガの名手としてコミック誌やファッション誌など多方面で活躍。『メイキン・ハッピィ』『天使』など著書多数。奇跡のバレエ団として名高いバレエ・リュス。史実としても楽しめるし、友情そして恋愛物語としても味わい深い。実在の人物をモデルに描くのは初だそう!祥伝社 1200円(C)桜沢エリカ/祥伝社フィールコミックス※『anan』2017年12月27日号より。写真・水野昭子(本)インタビュー、文・兵藤育子(by anan編集部)
2017年12月26日益田ミリさんの著書『美しいものを見に行くツアーひとり参加』は、その名の通り、ツアーにひとりで参加する醍醐味を知ることができる一冊。いつか行ってみたい場所はたくさんあっても、きっと行けないのだろうと心のどこかで諦めてしまっていないだろうか。益田ミリさんは40代になって、そんな漠然とした夢を次々と実現してしまった。「30代の終わりにプラハを旅行したとき、教会で演奏会に遭遇して、死ぬということはこんなに美しい世界に別れを告げることなのだと焦るような気持ちになったんです」そして世界中の美しいものを見るために頼りにしたのが、添乗員が同行するツアー。本書では北欧オーロラの旅やモンサンミッシェル、リオのカーニバルなどひとりで参加した5つのツアーの様子が綴られていく。「最初にオーロラツアーに申し込んだときは、私でも行けるんだって胸が震えました。こんなに気軽に旅ができるなら、20代のうちにもっと参加すればよかったと思ったくらい」はじめは「寂しい人だと思われていないかしら」と、周りの目を気にしていた益田さん。しかしながらほかの参加者と大人な会話を交わしたり、美しい景色と向き合ったりしているうちに、徐々に解放されていく姿から旅の醍醐味が伝わってくる。「ドイツのクリスマスマーケットは、ひとりで回るのが本当に楽しくて、誰に気兼ねすることなく、これ食べよ!次はあれ食べよ!って、つい早歩きになってました(笑)。完全なひとり旅だと尻込みしてしまう場面も結構あるけれど、お母さんが近くにいてちょっと遠出をする子どもみたいに気楽だったのは、ツアーだからこそだと思います」団体行動の窮屈さも人間観察の場と捉え、ユーモアに転じてしまうところはさすが。自分自身とじっくり対話をしたり、いろんな想像を膨らませてみるのも、“ツアーひとり参加”のいいところといえそうだ。「バスの窓から町の風景をぼんやりと眺めながら、ここで生まれ育ったらあのカフェに行ってるだろうなと想像して、違う人生を生きられる瞬間があるんです。以前は記念にいろんなものを買いたくなっていたけど、見たり、その場で体験するほうに旅の楽しさを感じるようになったのが大きな変化かもしれません」達人でなくても「行きたい場所」と「行ける場所」がイコールになるこんな旅のしかたは、大人の贅沢といえるのではないだろうか。『美しいものを見に行くツアーひとり参加』旅先での感動はもちろん、参加者とのやり取りや、さりげない描写も魅力的。旅じたくや団体行動で気になるトイレ問題など役立つ情報も!幻冬舎1300円ますだ・みりイラストレーター。『ほしいものはなんですか?』『週末、森で』『お茶の時間』『今日の人生』『すーちゃん』シリーズなど著書多数。小誌にて「僕の姉ちゃん」を連載中。※『anan』2017年12月20日号より。写真・水野昭子インタビュー、文・兵藤育子
2017年12月16日昨年アンアンマンガ大賞を受賞した、かわかみじゅんこさん『中学聖日記』の第3巻は、もうチェック済みだろうか。「まだ好き」はいつまで続く?女教師と生徒の恋のゆくえ。中学3年生のイケメン男子・黒岩くんが、25歳の新米教師・聖(ひじり)ちゃんに恋心を抱くラブストーリーは、第2巻の途中から高校生編に突入。ちょっぴり大人になった黒岩くんに、萌えた人も多いハズ。「個人的には、黒岩くんの少年ぽさが減ってしまって残念なのですが、自分の興味ないことには無神経、みたいな残酷さは消えないように気をつけています」思春期の男子が年上のおねえさんに恋をする物語は、マンガに限らず“禁断の恋”の王道といえるが、それでもあえてこのテーマで描いてみたかったことを尋ねると……。「思春期特有のアンバランスながら妙に芯の通っている感じと、年上とはいえ未熟な女性キャラという、ふたつの色気と迷走感ですかね。すみません、今考えました」高校生になった黒岩くんは、少々落ち着いたように見えるものの、何を考えているのかよくわからないたたずまいと、いつ何をしてもおかしくないような危うさは健在。「逆に今っぽさはあまり意識しないようにしています。私は今、海外に住んでいて、日本の今どきの子たちの話している言葉とかそぶりが自然と聞こえてきたり、目に入ってきたりするような状況がなく、わからないことはやっぱりわからないので。それでも普遍的な部分は必ずあるような気がするので、黒岩くんを描くときはそこを大事にしています」最新刊の見どころは、同窓会で再会した黒岩くんと、るなちの関係。中学時代は聖ちゃんに夢中で、るなちのひたむきな思いなどほぼ眼中になかった黒岩くんだが、その辺りの変化にも時の流れを感じさせる。そしてやっぱり一番気になるのは、黒岩くんと聖ちゃんの行く末。「大真面目に恋愛モノに挑戦しているつもりです。私としては黒岩くんが暴走しているときと、聖ちゃんの体を描いているときが楽しいのですが(笑)、キャラクターそれぞれの恋愛感情に振り落とされないように頑張ります。誰が最初に泣くか、予想しながら読んでいただけたら!」それってかなり気になるコメントだが、最新刊も胸キュンが止まらないことだけは保証します!かわかみじゅんこ『中学聖日記』3ある事件から2年後を描いた最新刊。先生に恋をした黒岩くん、生徒に恋をされた聖ちゃん、黒岩くんを思い続けるるなち、どの立場も切ないラブストーリー。祥伝社680円(C)かわかみじゅんこ/祥伝社フィールコミックスマンガ家。’95年デビュー。『パリパリ伝説』『銀河ガールパンダボーイ』『少女ケニヤ』『あかずのふみきり』など著書多数。本作で第7回ananマンガ大賞を受賞。パリ在住。※『anan』2017年12月13日号より。写真・水野昭子(本)インタビュー、文・兵藤育子(by anan編集部)
2017年12月09日元夫は、著名な映画プロデューサーで、映画監督。一緒に暮らし始め、籍を入れ、最後の3年間は別居していた。鈴木マキコさんの『おめでたい女』は、25年にも及ぶ結婚生活の愛憎を、赤裸々に描いた私小説だ。「夫は、謝らなかったし一度も説明せず逃げていった。信頼を何度も踏みにじられ、本当にどん底でした」執筆のきっかけのひとつは、ある女性カメラマンが放ったひと言。〈あなたのご主人、あなたのお金で好き勝手出来て、本当に良かったわね〉「そのとき感じた苦しみは、怒りや悲しみから来たというより『それ、本当ですか、本当によかったですか』という疑問です。あの1秒後からずーっと心の中から消えません。結婚生活という言葉があるなら、離婚生活という言葉も成立するだろう。離婚というたった2文字では表せない関係が始まるのだ。一生一度の大ネタ、仕留めなければ私はもの書きではない。そう思いました。とはいえ発表のあてがあったわけではなかったんです」つてをたどって、文芸誌に表題作の掲載が決まった。鈴木さんは、2年半ほどの日々を本作だけに懸けた。4話の連作形式。表題作に続く、「ガスコンロとわたし」「亀とわたし」「チュールとわたし」というタイトルからは、どんなエピソードが織り込まれているか見当もつかないだろうが、ここでは触れない。だが、〈わたしが心配して何か尋ねると、「君は知らなくていいから」(略)でも毎回、後から起こる不都合な結果だけを突然押しつけられるのでした〉という部分から察してほしい。一方で、鈴木さんが決して恨みつらみから書いたわけではないのもわかる。夫失格、父親失格ではあっても、作品には敬意を払い、子どもたちからは慕われていたこと、ときには徹底的に妻の味方をしてくれたことにも触れているからだ。「どういう結末になるかわからないまま書き始めましたが、元夫がこんなに早く死ぬとは思いませんでした。ただ、彼が死んだことで、他人の残酷さや無責任さ…それをよく考えましたね。あの霊安室には、いい気になっている他人が大勢いました」だが、告別式の翌朝、鈴木さんは、元夫のためにある決意をするのだ。死んでなお深い「夫婦」という業を、あなたはどう読むだろう。すずき・まきこ作家。2016年より、夏石鈴子改め「鈴木マキコ」名義で創作開始。著書に『逆襲、にっぽんの明るい奥さま』(小学館文庫)、エッセイ集『虹色ドロップ』(ポプラ社)などが。『おめでたい女』執筆に際しては、来る日も来る日も、カバーにある寺門孝之さんの絵を、書きものもするダイニングテーブルに置いてじっと見ていたという。小学館1500円※『anan』2017年12月6日号より。写真・土佐麻理子(鈴木さん)水野昭子(本)インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2017年12月05日毎月1日といえば、「映画の日」。ということで、今年最後のチャンスとなる12月1日にオススメしたい話題作は、人気シリーズ待望の3作目となる『探偵はBARにいる3』。すでに多くのファンが待ち望んでいた最新作ですが、今回は「この方抜きには始まらない!」という主演俳優に直撃してきました。それは……。北海道が生んだ超人気俳優の大泉洋さん!【映画、ときどき私】 vol. 1282011年に第1作目が公開されて以降、幅広い層に支持され続けているシリーズですが、大泉さんにとってはメジャー大作で初主演となった作品で、しかも舞台が出身地である北海道という思い入れの強い映画。そこで、満を持して公開される本作にかける思いや自身の原点についても語っていただきました。前作から4年が経ちますが、その間に一番変化を感じることはありますか?大泉さん僕は自分では感じたことがないから、「いい意味で変化していればいいな」と祈るような気持ちなんですよ。この作品に関して言うと、今回は探偵のセリフに説得力があってよかったと言ってくれる人がいるんだけど、僕のなかで演じ方を変えたり、気持ちの変化があったりしたわけではなく、そこは年月だと思うんですよね。1本目から6年経っているので、そのときの僕と44歳の僕が言うセリフはやっぱり違うんだろうなと。あと、明らかに変わったのは体。今回もサウナのシーンがあるから、いつもと同じくらいのタイミングでトレーニングを始めたんだけど、あっという間に肩が痛くなっちゃって(笑)。お医者さんにも「44歳になっていきなり過激なトレーニングしたら壊れますよ」って言われました。だから、体を鍛えきれなかったという悲しい結果です(笑)。本作の見どころのひとつといえば、大泉さんが拷問されるお約束のシーンであり、今回は真冬の海を走る船にパンツ一丁で縛りつけられるというかなり過酷なもの。相変わらず体を張っていますが、辛かったことは?大泉さん正直、これはやった者にしかわからないですよね!「大変そうでしたね」なんてみなさん言うけども、寒さが全然伝わってない(笑)。体に入ってくる空気が鼻から喉から全部をシュワーッと凍らせるような感じで、ほんとに息ができなくなるような寒さなんですよ。風邪もひかずに終わってよかったけど、体も真っ赤になってくるし、キツかったね。そこまでサービス精神旺盛な大泉さんの原点は何ですか?大泉さん観客の喜ぶ顔が見たいし、そのほうがおもしろいなと思ったらやってしまうんです。僕は、「おもしろい」に勝てないんですよね。つまり、かっこいいというのはそこまで追求したいと思わないんだけど、おもしろいと言われたら何でもやってしまう(笑)。僕にとってはそれがキラーワードだし、特に自分のレギュラー番組だととことんやってしまうんですよ。この作品も2作目のときは大倉山のスキージャンプ台に僕が吊られているというのがあって、最初の台本には入ってたのに改訂稿ではなくなってたから、「大変でもやるから、おもしろいことは削らないでくれ」って言ったんだよ。おもしろいの奴隷だからね、僕は(笑)。“おもしろい” の快感に目覚めた瞬間はいつですか?大泉さん物心ついたときから、ずっと人を笑わせることしか考えてないですね。だったら芸人さんになればよかったじゃないですかという話なんだけど、芸人さんには憧れがあったし、好きだったぶん、その道に入ることが怖かったんだと思います。いまでこそこういう仕事ができているけど、大学時代には想像もしてなかったから、親にも「役者になる」と言ったことがいまだにないんですよ。というのも、なんとなくジワジワーッとここまで来ちゃっただけだから(笑)。だから、親も放任主義というよりは、止めるチャンスがなかったんだよね。本当にこんな仕事をやるとは思ってもなかったし、そういう夢とかを持たなかった人なんです。ちなみに、小学6年生の文集にはウケ狙いで「ハリウッドの大スターになる!」って書いてあるんだけど、中学1年生になった瞬間に「NTTの社員になりたい」って言うくらいあっという間に現実を見てたくらいの人なのよ(笑)。では、おもしろいことをひとつずつこなしていたらいまの位置にいたという感じですか?大泉さんそうですね。最初は大学時代のアルバイトで「テレビに出てみない?」って言われて、興味があるから出てみようかと1回出たらそれがずっと繋がっちゃったんです。というのも、そのテレビ局に『水曜どうでしょう』のディレクターがいて、番組を作るというときに「大泉くんがおもしろかったからやろう」といってこうなっちゃったくらいなので、僕は恵まれてるんですよね。だから、オーディション受けて「役者になるんだ!」というような大きな決断をしたことないんです。いまはこの仕事じゃなかったら何にもできなかったでしょうし、もしサラリーマンとかだったら、ほんとに使えない男で終わっていたと思いますよ(笑)。その過程で辞めたいと悩んだ時期はありませんでしたか?大泉さん辞めたいというより、「ほんとにいいのかな」というのと「もう戻れないな」というのは、20代の後半にありましたね。ありがたいことに北海道で番組も増えて知名度も上がっちゃったから、そこで「これで生きていくしかない」と思うわけですけど、その少しあとに『水曜どうでしょう』のレギュラー放送が終わっちゃったんですよ。そのときにはやばいという思いはありましたし、ディレクターから終わると言われた日は、不安で寝れなかったですよね。ただ、そのあとも順調ではあったけど、「ほんとに北海道の人が僕のことを延々と見続けてくれるんだろうか」という思いに30歳くらいでなり、現状維持でいいと思っていたけれども、それでいいと思ってる奴が現状維持できるような甘い世界ではなさそうだということで、もう一歩進まなきゃならないと思って、東京の仕事をすることになったんです。今回は台本にも深く携わったそうですが、主演として現場で意識していたことは?大泉さん僕はついて来いみたいなタイプの人間じゃないので、現場で意識することっていうのはそんなにないんですけど、参加してくれた方が楽しくやってくれたらいいなということだけですかね。だから、主演という役割もあるけど、現地のお店を調べたり予約したりして、半分はツアコン的な感覚でいるんです(笑)。今回は共演者のみなさんともご飯に行く機会が何回もあったし、(松田)龍平くんと2人でススキノを歩いて帰るというのはよくありましたね。ただ、事前に新しいお店の情報を仕入れたり、ご飯を食べたりするところは知っていても、そのあとのお店というのを知らなくて……。というのも、僕は案外BARに居ないから(笑)。だから、今回は二次会みたいなところはリリー(・フランキー)さんのほうが詳しかったので、BARに連れていってもらったりして、楽しかったです。いつも明るい大泉さんは男女年齢問わず愛されていますが、その秘訣は?大泉さん本当によく言ってますけど、僕は世界中から愛されたい人なんですよ(笑)。ちっちゃい人間なので(笑)。「俺はどう思われたって別にいいんだ!」とかいうでっかい人間じゃないから、愛されないようなことはしないかな。そうやって愛されるために意識していることは何かありますか?大泉さん楽しくありたいし、人を傷つけるようなことはしたくないという思いはありますね。僕は毒づいたりすることはあるけれど、相手が嫌になるようなことはしたくないなとは思っています。それでも、過剰な言葉でツッコんだりもするから家族からは「やめて」と言われることもあるんだけど、僕がツッコまないと他の人たちが悪者になるときもあるし、東京で仕事するにはある程度しょうがない部分もあるんですよ。だから、「パパがいるからみんな安心してボケれるんだよ」みたいなことを娘には言うんだけど、さすがにまだわからないんだよね(笑)。そんな大泉さんをいつまでもスクリーンで見ていたいだけに、この『探偵はBARにいる』シリーズはこれからも続けて欲しいところ。ライフワークとして、50代になってもこの作品は続けていきたいですか?大泉さんそれはありますね。僕は人と人のつながりがすごく好きだし、始めたことを終わらせたくない人なので、やれる限りは続けたいなと思います。映画で毎回おもしろいものを作るというのはほんとに大変だろうけど、僕にとっては苦労してでも続けたいと思える作品ですよね。改めて、大泉さんにとってこの作品はどういう存在だと感じていますか?大泉さん僕は探偵というキャラクターが好きだし、僕が長年育ってきた札幌という街を舞台にした映画で、しかもシリーズ化してくれているというのはなかなかないですよね。それに、探偵という男が憧れるような役で、僕にとってすべてが揃っている映画なので、やっぱり特別です。あとは、北海道には常に元気でいて欲しいという思いと貢献したいという気持ちもあるので、この映画を観てロケ地を訪ねて人が来てくれればうれしいし、どうしても思い入れが強くなるんですよね。それに、探偵を演じているときの自分はすごく幸せなんですよ。そういう大きな反響を受けつつ、今後どうして行きたいか教えてください。大泉さん期待が大きいぶんプレッシャーもありますけど、映画の場合はヒットしないことには作ってもらえないので、そういうプレッシャーもありますね。マンネリと闘いながら新しいものを作っていかないといけないというのは大変なんだろうけど、ケンカしてでも必死になっておもしろいものを作っていくしかないんだろうなと思っています。インタビューを終えてみて……。とにかく最初から最後まで笑いっぱなしで、思わず仕事であることを忘れてしまいそうなほど楽しませてもらいました。そして、取材中でもおもしろいことがあれば、すかさずツッコむ大泉さん。その姿はまさにサービス精神の塊のような存在であり、だからこそこれだけ愛されているのだというのを目の当たりにしました。少し気が早いですが、シリーズ4作目の製作決定となる吉報も期待して待ち続けたいと思います!シリーズ決定版の名にふさわしい渾身作!アクションあり笑いあり、そして切なさもありというエンターテイメントがぎっしり詰まった本作。過去最大の危機に見舞われる最強コンビの探偵と高田が迎える衝撃の結末をあなたもぜひ目撃してください。さらに、最後の最後までお楽しみがあるので、エンドクレジットが終わるまではくれぐれも席を立たずにしっかりと見届けるのをお忘れなく!ストーリーいつものようにバカ騒ぎする探偵のもとに、相棒である高田の後輩から舞い込んだ新たな依頼。それは、失踪した女子大生を探すというありふれたものだと思われていたが、調査を進めていくなかで浮かび上がったのは、モデルクラブの美人オーナーと冷酷非道な裏社会の住人だった。さらに、殺人事件も発生し、事態はただならぬ方向へと進み始めることに……。目まぐるしく展開する予告編はこちら!作品情報『探偵はBARにいる3』12月1日(金)より全国ロードショー配給:東映©2017「探偵はBARにいる3」製作委員会写真・水野昭子(大泉洋)
2017年11月29日『anan』の本を紹介するコーナーでいつもステキな新刊を紹介してくれる、ライターの瀧井朝世さん。書評や作家インタビューで引っ張りだこなので、ほかの媒体で瀧井さんの文章を読んだことのある人もいるはず。新潮社の雑誌『波』で7年にわたって連載している書評コラムが、ついに書籍化!読みたい本が連鎖していく、人気ライターの偏愛読書コラム。「私は書評家ではなくライターですので、上から薦めるのではなく、この本、面白かったよねっておしゃべりしているような雰囲気にしたいと思いました。アンアンで著者インタビューをするときは、アンアンの読者が好きそうな作品を選んだりしますが、これに関しては好き勝手にやらせていただきましたね」本書のキーワードは、タイトルにもある“偏愛”。毎回新刊を1冊ピックアップし、そこから自由に連想した好きな作品2冊とともに、合計3冊について語るのが基本形。膨大な読書量のなかから、偏愛本が芋づる式に出てくるのだが、そのテーマと取り上げる本が実に幅広く面白そうで、読書欲が大いに刺激される。「奇をてらわず、頭に浮かんだ作品を素直に挙げているだけなんです。だから自分の読書傾向が、知らず知らず出ちゃってると思います」瀧井さんが書評を執筆する際に細心の注意を払っているのは、書き手としてのスタンス。「取り上げた作品をすでに読んでいる人も、私の原稿を読むのだと意識しています。新刊本を私よりも先に読んでいる人や、より多くの本を読んでいる人が絶対にいるのだと思いながら、読んでくれる人のほうを向いて書いていますね」なかには雑誌に発表した時期からかなり時間が経っているものも。それを踏まえて、作者のその後の活躍や、作品に対する追加情報を新たに注釈で補ってくれているのも、読む人のことを考えた嬉しい心配り。「やっぱり本は無理やり読まされるよりも、自分で選んで読んだという気持ちになれたほうが、楽しめると思うんです。好きな本について語り合ったあとみたいな気分で、これをきっかけに誰かが何かの本を読んでくれたら、私にとってはそれが一番嬉しいことだと思っています」偏愛本ばかりなのに、読者に寄り添っているところはさすが。とっても信頼できる読書仲間を得たような、そばに置いておきたい一冊だ。たきい・あさよライター。数々の雑誌で作家インタビュー、書評などを担当。『王様のブランチ』ブックコーナーの出演を経て、現在はブレーンを務める。’18年2月にインタビュー集を出版予定。『偏愛読書トライアングル』2010年から現在も『波』で連載中の「サイン、コサイン、偏愛レビュー」。そのなかから56本を厳選。160冊以上の偏愛本を網羅している。新潮社1700円※『anan』2017年11月29日号より。写真・土佐麻理子(瀧井さん)水野昭子(本)インタビュー、文・兵藤育子(by anan編集部)
2017年11月26日恋バナは女の子の大好物だが、胸がときめくような話よりも、ダメ恋、いわゆる残念な話のほうが案外盛り上がってしまうもの(しかもなぜか夜が更けるほどに)。尾崎衣良さんの『深夜のダメ恋図鑑』は、そんな夜な夜な繰り広げられる世にも恐ろしいダメ恋トークに参戦しているような楽しさを味わえる。「少女マンガらしいかっこいいヒーローを描くのが苦手で、ならばいっそのこと真逆の、一切ときめかないような男を描いてしまおう、という発想から生まれました」根っからの少女マンガ育ちで、王子様のような存在を現実の世界に求めてしまう千代、元ヤンで美人だけどなぜか既婚者によく言い寄られる円、彼氏が途切れたことはないもののダメ男ばかりと付き合ってしまう佐和子。この3人の体験談が立て板に水を流すように語られるのだが、それがまあとにかく、女性目線で見ると笑えるものばかり。「友人から聞いた話や自分の体験したことに、わかりやすく肉付けして描くことが多いですね。ニュースや雑誌の特集からインスピレーションをもらったり、恋愛話に限らず人から聞いた話を男女関係に置き換えて描くこともあります」食べ物やお金に対する価値観の違いから生まれる相手への不満や不信感、合コンやデートの際に「アウト~!」と言いたくなる振る舞いなど、誰もが我が身に置き換えられそうなエピソードなのもいい。「ムカつくけれど、のちに笑って話せるようなことにしようと思っているので、DVみたいな笑えない話はタブーにしています。あとは、共感してもらえることも大事ですね。佐和子がなぜ諒くんと付き合っているのかという点では、まったく共感されていませんが(笑)」現実の恋愛では女性側に非があることも多々あるだろうが、ここは少女マンガということで、男性諸君には「笑える悪人」になっていただき……。女性が『ダメ恋』を読んでストレス発散できれば、男性にもきっと優しくなれるはず(願望)。おざき・いらマンガ家。著書に『外面が良いにも程がある。』『セカンドバージン』など。「深夜のダメ恋図鑑」は『プチコミック』で連載中。コミックス1~3巻発売中。自分のことは棚に上げ、「こんな男いるよな~」と膝を打ちたくなる、ダメ恋エピソードが満載。男性に言いたい放題言わせたあとに放つキメ台詞が痛快です。小学館429円(C)尾崎衣良/小学館※『anan』2017年11月22日号より。写真・水野昭子インタビュー、文・兵藤育子(by anan編集部)
2017年11月19日世の女性にぜひ読んでおいてほしい…と思わずにいられない畑野智美さんの『消えない月』。ストーカー事件を加害者と被害者の視点から緊張感たっぷりに書き切った力作だ。畑野さんにお話を聞いた。「『罪のあとさき』で犯罪事件を書き終えた後、もう一回違う事件で加害者の話を書きたいと思ったんです。直後にNHKのドキュメンタリーでストーカー加害者へのインタビューを見て、これは書けるかも、と」マッサージ店に勤務するさくらは、客の松原と親しくなり、交際を開始。だが、彼の支配欲の強さに気づき、別れを切り出す。彼のしつこい連絡にも応じずにいるのだが…。「番組を見て思ったのが、ストーカーの言うことも分からなくはない、ということ。もしも仕事だったら、トラブルの後のメールに応じないのは失礼ですよね。だから、松原が会って話し合いたいというのは分かります。でもストーカーになる人って、どこかで論理が捻じ曲がるんですよ。会って話し合ってからお別れしたい、なら分かる。会って話し合ったうえで、彼女を幸せにしたいと言い出す。自分たちはうまくいくと頑なに信じているんです」それは、純粋な愛情といえるのか。「ちょっと違うと感じます。好きというより、自分が振られるのが納得いかない。だからストーカーって、高学歴で外見も悪くない人が多いと聞きます。それに、何か自分が腹を立てていたり分かってほしいところが他にあるんじゃないかとも思う」周囲に相談するさくらだが、「この小説の中で、彼女は間違ったことばかりします。一番まずいのは、素人だけで解決しようとすること。騒ぐのは大袈裟だと言う人もいて、さくらも躊躇してしまう。でも警察はもちろん、法律の専門家にも相談したほうがいいですよ」ただ、絶対的な対策はない。書きながら畑野さんが感じたのは、「加害者側の周囲に理解者や味方がいたら違ったかもしれない。こういう人も突然犯罪者になるわけではなく、周囲の影響や家族関係などが積み重なった結果なんです。加害者の心理を誤解している人は多いので、こうして小説にすることで“ああ、こういう心理なのか”と考えてもらえるきっかけになれば」ラストは呆然。今後も犯罪加害者について書いていくつもりだという。はたの・ともみ1979年生まれ。2010年「国道沿いのファミレス」で小説すばる新人賞を受賞してデビュー。著書に『海の見える街』『感情8号線』『罪のあとさき』『家と庭』など。『消えない月』マッサージ師のさくらは、感じのよい客・松原から誕生日プレゼントを渡されたのを機に親しくなる。しかし、それが悪夢の始まりだった…。新潮社1800円※『anan』2017年11月15日号より。写真・森山祐子(畑野さん)水野昭子(本)インタビュー、文・瀧井朝世
2017年11月11日高野雀さんの新刊『あたらしいひふ』は、数ある同人誌時代の作品から選りすぐった4編を収めた一冊。人を服装で判断して憧れたり、敬遠したりするのはよくあることだ。しかもその服を選んでいる理由には考えが及ばないまま、“別の世界の人”として一線を引いてしまうことも意外と多いのではないだろうか。「本書に収録されている『Recycled Youth』を発表したとき、嘲笑気味に“おしゃれって感じ”という感想をもらって…。自分をおしゃれだなんて思ったこともないし、おしゃれって一体何だろう?と考えたのが、女性と服をテーマにしようと思ったきっかけです」黒い服しか選ばない地味系の高橋、モードな服を着こなす渡辺、コンサバな鈴木、かわいく盛って武装するギャルの田中。表題作は同じ会社で働く外見も価値観も異なる4人の女性が登場するのだが、流行りのファッションで身を固めるのは、冴えない自分を隠すためだったり、かたや無難な服しか選べないことに引け目を感じていたりして、それぞれの悩みを俯瞰できるのが面白い。思春期の男女が抱く身体的劣等感と、その部分に惹かれる異性を描いた「It’s your(new) ID.」も、元同級生・30歳の男性3人が再会する「Recycled Youth」も、コンプレックスがキーワード。他人に見えている自分と、“本当の”自分の間で悩むのは、男も女も関係ないのだと実感。「私は凡人だから他人の話のほうが圧倒的に面白いし、その気持ちや行動を理解したいから物語にしているところがあるのかもしれません」収録作品はすべて過去に同人誌で発表していて、単行本化にあたり大幅な加筆修正を行っている。「過去の作品の描き直しは、苦行でしかないですけどね(笑)。自分にダメ出しをしながらやりました」高野さんの入門編としても楽しめるし、その独特の感性は同人誌時代からすでに顕在化していることを確認もできる、レアな作品集だ。たかの・すずめマンガ家。2014年、商業誌デビュー。主な作品に『さよならガールフレンド』『13月のゆうれい』など。月刊誌『フィールヤング』にて「世界は寒い」を連載中。『あたらしいひふ』 「女と服」の関係を群像劇で描いた表題作は、登場人物のファッションを2017年版にバージョンアップ。数ある同人誌時代の作品から選りすぐった全4編。祥伝社680円(C)高野雀/祥伝社フィールコミックス※『anan』2017年11月15日号より。写真・水野昭子インタビュー、文・兵藤育子
2017年11月11日何かとトレンドに敏感なananweb読者なら、すでにこの秋最大の話題作のひとつとしてチェックしているはずの『ブレードランナー 2049』。公開から35年経ったいまでも“ SF 映画史上最高傑作” と語り継がれている『ブレードランナー』の続編として大きな注目を集めている映画です。そこで、この作品に花を添えた美しきヒロインたちに直撃インタビューしてきました!それは……。アナ・デ・アルマス&シルヴィア・フークス!【映画、ときどき私】 vol. 121本作の主人公であるKはハリウッドきってのセクシーさを誇り、『ラ・ラ・ランド』でも人気のライアン・ゴズリングですが、その恋人役であるジョイを演じたのは、“世界で最も美しい顔100人”ランキングでも常連のキューバ人女優のアナ・デ・アルマス(写真・左)。そして、Kを追い詰める謎のヒロイン役であるラヴを演じたのは、“2017年注目すべきヨーロッパ俳優10人” の1人にも選出されたオランダ人女優のシルヴィア・フークス(写真・右)。今回は、そんな現在大注目の女優2人に本作の見どころやいまの心境について語ってもらいました。まずは、この作品への出演が決まったときのお気持ちは?シルヴィア私が最初にプロデューサーのオフィスで聞いたときには本当に大きな声で叫んでしまって、号泣しちゃったくらい(笑)。というのも、前作は私にとって、人間的にも女優としてもとても重要な映画だったからなの。そして、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督とハリソン・フォード、ライアン・ゴズリングといった方々と仕事ができるという喜びと同時に、彼らとこの世界に入り込めるチャンスを与えられたことで圧倒されたのよ。アナ私にとってもすごくエモーショナルな経験だったわ。怖い面もあったからナーバスにもなったけど、こういう映画の一部に自分がなれるということにドキドキするものがあったの。そして、みなさんが期待するような演技をできるようにと心から願ったわね。それに、私が演じたジョイというキャラクターはとても興味深い女性で、好奇心に駆られるようなやりがいのある役柄だったから、オーディションからリハーサル、撮影までの5か月間は一日一日が学びの連続だったわ。いま振り返ってみて、女優としての自分に影響を与えたことは?アナ絶対に変わったとは思うけど、まだわからないの(笑)。でも、いままでに経験したことのないような本当に新しい映画の体験だったわ。技術的にもさまざまなチャレンジがあったし、監督から得ることもあったから、いろいろな新しいものが今回あったはずなんだけど、それがいまの段階では「何か」というのがわからないのよ。きっと、もう少し年を取って振り返ったときにわかるんじゃないかしら。あとは、今回のような映画に参加したことで、今後どういうプロジェクトに関わりたいとか、どういう人たちや監督と仕事をしたいというような私のテイストは変わったと感じているの。だから、次に何するかということにも影響していると思うわ。やはり仕事に対する向き合い方は変わりましたか?シルヴィア私もアナとまったく同感よ。つまり、今回の作品のような魔法ともいえる高いレベルでの才能の集結、そしてそこで生み出されるクリエイティビティといったものを経験してしまうと、「これから先も同じようなものを経験したい」という中毒のような気持ちになってしまうの。私には演者として女性的な色彩を持ったパレットがあるんだけど、今回ラヴという役を演じたことによって、男性的な支配や強さの色彩も持つことができたので、より豊かなパレットを通して演技をできたというのはいままでにはないチャレンジのひとつだったわ。だからこそ、学んだことも多くて本当に素晴らしい体験だったのよ。今回は、ライアン・ゴズリングだけでなく、前作の主人公であるデッカードを演じた名俳優ハリソン・フォードが出演していることも大きな見どころのひとつ。では、ハリウッドを代表する俳優である2人と実際に共演してみて、印象に残っていることは?シルヴィアこれほど経験値があって才能がある役者さんで、彼らほど素晴らしい人はなかなかいないと思うの。ほかのインタビューでも共演者の印象について「本当に素晴らしくて!」というのはよく聞くとは思うし、みなさん「本当かな?」と疑っていると思うんだけど、今回に限っては本当よ(笑)!小さい頃から憧れていたハリソンと初めて一緒に撮影したときはすごくナーバスになったけど、ジョークでずっと笑わせてくれたくらいなの。そんなステキな人柄に加え、2人ともすごく温かいし、クリエイティブになれる場をチームで作ろうとしてくれた役者さんたちだから、一緒に仕事をしていてとても居心地がよかったわ。アナ私はライアンとのシーンがほとんどで、前からいろいろな人が彼のことをすごく褒めていたのを聞いてはいたけれど、それをさらに上を行くほど彼は最高の共演者だったわ!だから、彼が多くの作品に主演しているのには、やっぱりそれだけの理由があるんだと感じたわね。人格者でありエネルギーと才能もあって、そしてものすごく責任感が強くてプロ根性のある人なの。だから、彼がセットにいるだけでみんなを引っ張っていってくれる力になるのよ。それに、すごくおもしろくて人の気持ちをゆったりとさせてくれるような性格でもあるので、彼のようなスターは壁があって絶対に心が通じ合えないんじゃないかとも思ったけど、とても気持ちが繋がりやすかったわね。あと、私の役はいつもセクシーな衣装ばかりだったんだけど、彼はとても気に入ってくれたわ(笑)。撮影中は2人とも役に合わせて髪の色を変えて挑んでいるだけにまるで別人のようですが、さまざまな衣装を身に着けたり、激しいアクションシーンをこなしたりと役作りには苦労もあったはず。最後に、それぞれの役を演じるうえでこだわった部分があれば教えてください。アナ今回、衣装選びのプロセスというのは私にとってはとにかく楽しかったわ。というのも、ものすごい種類の衣装のセレクションで、いろいろな文化からくるアイディアだったり、さまざまなスタイルがあったりして、たくさんのものを試せたというのがおもしろかったの。だからジョイでいることは夢のようだったわ。髪型やメイクアップに関しては衣装と違って、私のキャラクターに対するイメージというのを監督がはっきりと持っていたので、当時私はブロンドだったけど、髪の毛を暗くして前髪を下して欲しいという明確な指示に沿って役作りを進めていったのよ。シルヴィア私は起用が決まったあとに言われたのが、「ラヴはとても強いキャラクターにしたいから筋肉を8キロ付けてください」ということだったの。だから、トレーナーだけでなく、栄養学や心理学の先生もつけて肉体改造をしたのよ。私はもともと細身だったから、筋力をつける作業が必要で、1日6時間ものトレーニングをしていたの。本当に辛くて痛みを感じるものだったんだけど、それがラヴという役を理解するにとても役に立ったわ。というのも、彼女は大きな痛みと葛藤も抱えているキャラクターだったから、限界よりを超えるような運動をすることで、ラヴの自立心を発見できたように思っているの。だから、こうしてみんなで一生懸命やったことがこれだけ世界中の人たちに温かく迎えられて、通じているというのはとてもうれしいことだわ。インタビューを終えてみて……。誰もが一瞬で魅了されてしまうような美貌を持つアナとシルヴィアですが、そんな2人が並ぶととにかく美しすぎるオーラが全開!思わず吸い込まれそうなほどでしたが、とても気さくな人柄で、リラックスしてお話を聞かせてもらいました。それぞれのキャラクターはまったく違いますが、どちらも本作には欠かせない重要な役どころを熱演しているので、ぜひ注目してみてください。この “奇跡” を見逃さずにはいられない!伝説的SF作品としていまなお高い人気を誇る『ブレードランナー』のDNAを引き継いで誕生した新たな傑作。前作を観ている人はもちろん、観ていない人でも楽しめるようになっているので、圧倒的な映像と音楽とともに、心を揺さぶるこの世界観を存分に堪能してみては?ストーリー2049年、貧困と病気が蔓延するカリフォルニアでは、レプリカントと呼ばれる人造人間が労働力として製造され、人間社会との危うい共存関係を保っていた。そんななか、危険なレプリカントを取り締まっていたブレードランナーのKは事件の捜査中に巨大な陰謀を知ることになる。そして、その闇を暴く鍵となるのは、30年間行方不明だったかつてのブレードランナーであるデッカードだった。彼が命をかけて守り続けてきた秘密と人類存亡に関わる真実がついに明かされることに……。刺激が止まらない予告編はこちら!作品情報『ブレードランナー 2049』10月27日(金)全国ロードショー配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント写真・水野昭子(アナ・デ・アルマス、シルヴィア・フークス)
2017年11月01日女優の稲森いずみ(45)が14日、自身のブログを更新。女優の水野美紀(43)との自撮り2ショットを披露し、話題を呼んでいる。俳優の浅野忠信(43)と神木隆之介(24)が凸凹刑事コンビを演じるフジテレビ系ドラマ『刑事ゆがみ』(毎週木曜22:00~)に出演している稲森。このたび、「水野美紀ちゃん」と題して更新したブログで「『刑事ゆがみ』1話、見て頂けましたか?刑事ゆがみの世界観をお楽しみ頂けていたら嬉しいな~2話もお楽しみに!」と視聴者に向けてメッセージを送った。続けて、「2話は、斎藤工さん、水野美紀ちゃんがゲストで出演してくれます。2人共 久しぶりに再会できて嬉しかったなぁ」と第2話にゲスト出演する俳優の斎藤工(36)と水野との共演に喜び。さらに、「現場で美紀ちゃんと2ショット撮りました~セルカ棒大活躍」と水野との自撮り2ショットを披露した。ファンからは「美女2人のツーショット最高」「素敵なツーショットのアップありがとうございます」「豪華すぎますー!!!」「二人とも可愛い」「二人のツーショットも最高です」「お二人ともお美しい」「いいわねー、美女のツーショット絵になるわー」「美しい2ショット」「ワオ!ええ女!惚れるわぁ~」などと称賛の声が寄せられている。
2017年10月15日『Final Phase』の著者である医療サスペンスの新星・朱戸アオさんに、最新作『リウーを待ちながら』についてお話を伺いました。アウトブレイク目前の町で、絶望を乗り越えて女医は闘う。舞台は、S県横走市という架空の地方都市。突然吐血して危篤状態に陥ったり、そのままなすすべもなく死亡したりする患者が、相次いで現れる。陸上自衛隊駐屯地のお膝元にある横走中央病院の医師・玉木涼穂は、自分たち医療関係者や自衛隊員、地域住民らがアウトブレイク寸前の状況に直面していることに気づく。医療サスペンスを得意とする朱戸アオさんの最新作『リウーを待ちながら』は、感染症パニック、命の現場、自衛隊のドラマなどが絡み合い、かつてない読みごたえをお約束。「医療には死期を先延ばしにする側面もありますが、そうして助けても、最後には必ず敗北する。人は必ず死ぬ運命にあるので。そうした矛盾を含め、医師の仕事は興味深いです」感染症や治療をめぐる、難解な説明も多いはずなのに、わかりやすくて臨場感もたっぷり。さぞや朱戸さん自身が科学や医療に詳しいのだろうと思いきや、「いえ、サイエンスやメディカルなどに詳しかったわけではありません。医療マンガを描くという抜き差しならない事情に迫られて、本や資料を読み漁り、元同級生の医師や彼女たちの同僚医師などを頼って必死に取材したんです。人生でいちばん勉強しています(笑)」玉木が感じ取っているただならぬ雰囲気が、杞憂ではないことは、すぐにわかる。玉木の前に現れたふたりの男│〈俺達は地獄を見た〉という自衛隊新富士病院に勤務する駒野二佐と、感染症の怖さをよく知る疫研の研究員・原神│の活躍が、そのまま事態の重さを物語っているからだ。実は、朱戸さんは自衛隊と関わりの深い御殿場市在住。横走市の風景や町の様子といった物語のリアリティは、そんな環境もひと役買っているらしい。「朝方に駐屯地からのラッパの音が聞こえたり、町中に操縦訓練の自衛隊のトラックが走っていたり…。普通ならあまり触れることのないものを見聞きすることも多いので、いい刺激になります」待望の第2巻は、10月23日発売予定。物語のプロットはほぼ決まっているそうだが、果たして玉木たちは危機的状況を回避できるのか。「『特効薬が開発された』というような“奇跡は起こらない”を基本のスタンスにしています。シビアな事態は動かない。その中でキャラクターたちがどう動くのか、どんな思いを抱くのか、そのあたりをしっかり描き、なおかつ希望が残るようなドラマにしていこうと思っています」若き日に読んだカミュの『ペスト』に衝撃を受けたという著者が挑む、新感覚のアウトブレイク・ストーリー。隔週発売のコミック誌『イブニング』で連載中。講談社630円あかと・あおマンガ家。2010年、アフタヌーン四季賞冬のコンテストで準入選。’11年に『Final Phase』を発表、医療サスペンスの新星として注目される。著作に『ネメシスの杖』ほか。※『anan』2017年10月18日号より。写真・水野昭子インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2017年10月14日2012年に韓国でデビューして以来、「傷つく準備ができてる」などでカリスマ性あふれるステージを披露してきたVIXXがanan webに初登場!力強いパフォーマンスからは想像しにくい、リラックスモードのVIXXはとても好青年&イケメンでした!写真・水野昭子(スチール)、千葉諭(ムービー) 文・尹秀姫【ペンになってもいいですか!?】vol. 37VIXXとは、Voice, Visual, Value In Excelsis、つまり 最高のVoice、最高のVisual、最高のValueを兼ね備えたグループという意味。プレミアム・アイドルと呼ばれる6人にインタビューしました。キュートで仲の良い動画もぜひチェックして!左から、ラビ、エン、ホンビン、レオ、ケン、ヒョギ--7月に日本ツアー「VIXX 2017 JAPAN TOUR~白昼夢~」があったばかりですが、ツアーを終えた感想は?ラビ日本での久しぶりの公演だったので、みなさんに会えてすごくうれしかったです。新曲「桃源境」も披露することができて、何よりみなさんがあたたかく迎えてくださったのがありがたかったし、日本にまた来れて本当によかったです。ホンビン公演中、僕たちのことを力いっぱい応援してくれて、僕たちにパワーをわけてくれたみなさんに感謝しています!--エンさんはツアーの前にも日本で「えん返し」という単独イベントを開催しましたよね。そのなかで流れた映像でセーラー服姿を披露していましたが、久しぶりの女装はどうでした?ラビあああああ!(絶叫)エンすごく恥ずかしかったです。ホンビン僕たちも恥ずかしいよ!エン映画『君の名は。』のパロディ映像を作って僕が演出しました。僕が瀧(チャキ)と三葉(ミツ・ハギョン)の2役を演じたんですけど、道端で撮影している時が一番恥ずかしかったですね。通りすがりの人があやしげに見ていくので(苦笑)。「あの女の子、すごくデカイわね」って言われたりもして(笑)。でも楽しく撮影できました。スタッフさんからも、今年一番笑ったって言われました。--メンバーのみなさんはその映像は観ました?ケン……はい。ラビ見たくはなかったけど……。ホンビン僕たちは望んではなかったんですけどね。--今後、VIXXの動画の演出をエンさんがやるとしたら誰を女装させてみたいですか?エンみんなかわいい顔だからそれぞれ似合うと思うんですけど、ラビにもう一度女性の服を着せてみたいですね。ラビ僕はかわいくないって!エンむしろ女性の服を着ることでカッコよさが際立つと思うんですよね。ラビレオ兄さんが一度も女装してないから、レオさんがやったらいいよ。レオ(考えが)足りないね! 僕はやらないよ!ラビあれだけ女装させといてまだ足りないって!?左・エン、右・ホンビン。--9月27日に日本で2枚めのオリジナルアルバム『ラララ ~愛をありがとう』がリリースされますが、どんなアルバムですか?ラビ日本で久しぶりにリリースするアルバムですね。今まで以上に日本の音楽市場のニーズに合ったJ-POPスタイルの曲に挑戦して、VIXXらしく消化できたんじゃないかと思います。僕が気に入っているのは「一人では光は射さないよ」という歌詞の部分で、僕たちVIXXとファンのみなさんとの関係を象徴しているようだと思いました。--レコーディングの時のエピソードは?エン日本語のレコーディングにもだいぶ慣れました。僕はまだ「つ」の発音が難しいなと感じることはあるんですけど、メンバーはみんなうまく乗り越えられたみたいです。ホンビン今回はプロデュースを日本の方がやってくださったので、今まで以上に日本語の発音については厳しく言われましたね。しゃべっている時は問題なくても、歌うとなるとアクセントが変わる単語もあるので、そういう繊細な部分に時間をかけてレコーディングしました。ヒョギ今回のタイトルが『ラララ ~愛をありがとう』というものなので、僕たちも本当に真剣に、心を込めて歌いました。感謝の心やあたたかさ、やさしさがメッセージとなって伝わればいいなと思ってがんばって歌いました。--今回の曲のテーマは感謝だと思うのですが、レコーディングの時は誰を思い浮かべました?ラビまずまっさきに思い浮かんだのはファンのみなさんに対する感謝ですよね。VIXXは今年、韓国でデビューしてから5周年、日本では3周年を迎えたんですけど、そういった記念を意味する曲でもあります。といっても僕たちとファンの曲と限定したいわけじゃなくて、この曲を聴いた人がそれぞれ感謝の気持ちを伝えたい人のことを思い浮かべてくれたらいいなと思っています。ケンこの曲を聴いた人にとって、心が癒される曲になったらうれしいです!ホンビン明るい曲なので幸せな気持ちになってもらえたらうれしいですし、誰か感謝の気持ちを伝えたい相手を思い浮かべて笑顔になれる時間になればと思います。レオこの曲を歌いながら癒される気持ちがしましたし、この曲を聴いた方にとって1日の疲れが癒やされるような曲であってほしいなと思って歌いました。左・ケン、右・ヒョギ。--日本デビュー3周年とのことで、日本で一番印象に残っている個人的な思い出は?ヒョギ去年の秋夕の時に初めて家族で海外旅行として日本に来ました。海外というと慣れない場所というイメージがあるけど、日本にはそれまでしょっちゅう仕事で来ていたので、僕が家族のみんなをおいしいお店に連れて行ってあげたり、まるで日本に住んでる人みたいに案内してあげられたのが誇らしくて、個人的にすごくうれしかった出来事ですね。ツアーの時に行っておいしかったお店にも行けたし、ディズニーシーにも行けて、楽しかったです。ラビ日本での思い出はおいしい食べ物、それからショッピング! 僕はすき焼きがいちばん好きです。レオ別府で露天温泉の楽しさに目覚めてしまい、今年のはじめにひとりで札幌を旅行しました。時間ができたらまた日本に来て、温泉めぐりをしたいです。日本語はまだまだ勉強中ですけど、旅行する時に困らないくらいには話せるようになりました。ホンビン家族と初めて海外旅行に行ったのが大阪だったのですが、姉と一緒にドンキホーテに行ったらファンの方に偶然遭遇したんです。それに姉たちが驚いていたのが一番印象的で、僕もうれしかったですね。姉にとって自慢の弟になれたのかなって思いましたし、もっと誇れる歌手になるためにがんばろうと思った瞬間でしたね。エン僕は友人と大阪旅行に行ったことですね。ユニバーサル・スタジオ・ジャパンにも遊びに行ったし、たくさん食べ歩きもして、楽しく遊びました。ケン僕は残念ながら旅行はしたことがないので、やっぱりファンの方と会えるコンサートが思い出深いですね。特に7月のコンサートは一番最近というのもあるし、新しいステージを作れたと思うので楽しかったです。--今後、日本でやってみたいことは?ラビ沖縄に行ってみたいです! 沖縄には遊びに行くのもいいですけど、もちろん公演もしてみたいです。沖縄はアジアのハワイと聞いたことがあるので、休養地が好きな人間としては沖縄は一度は行ってみたいですね。ヒョギ新曲が「ラララ ~愛をありがとう」というタイトルでもあるし、僕たちの公演を通してみなさんの力になりたいという思いがあるので、ちゃんと申請したうえでゲリラ公演をやってみたいです。ケン僕はユニバーサル・スタジオ・ジャパンに家族で行ってみたいです! メンバーはみんな忙しそうだから(笑)。左・ラビ、右・レオ。--VIXXの今後の目標は?エンVIXXとしてより多彩な舞台を作り上げて行きたいです。僕たちにはあたたかいバラードがあればカリスマ性のある強い曲もあるし、明るいパフォーマンスもできるし。いろんなことができるのがVIXXの強みだと思うので、今までやれなかったことにも挑戦していきたいです。それと、より多くのファンの方と出会えたらいいなと思っています。ホンビンもっと日本にしょっちゅう来れたらいいなと思いますし、もっとたくさんの曲をみなさんに聴いてもらいたいという思いもあります。今回のアルバムは感謝の気持ちを伝えるものですが、そういう思いが伝えられるよう、これからもがんばっていきます!レオ何かを成し遂げたい、という気持ちよりは今までと同じようにファンのみなさんとこれからもずっと長く一緒にいたいですね。みなさんの前でこれからも舞台に立ち、歌って、パフォーマンスができればそれだけで幸せです。VIXXのインタビュームービーはこちらから!Informationオフィシャルファンクラブ「STARLIGHT JAPAN」ビクターエンタテインメント
2017年09月08日犬山紙子さんの夫・劔樹人さんが「今日も妻のくつ下は、片方ない。」を発売。兼業主婦になって試行錯誤した日々についてお話をうかがいました。家事という難題に緩やかに挑む主夫の憂いとささやかな幸せ。夫婦の永遠のテーマといえる、家事分担問題。共働き世帯が増加しているものの、働き方や収入バランスは千差万別なので、正解は自分たちで見つけるしかないのが現実だ。「うちの場合、家事ができる人とできない人というよりも、できない人ともっとできない人というところからスタートしているんです」本書の副題は「妻のほうが稼ぐので僕が主夫になりました」。念のため説明しておくと、劔樹人さんは、アンアンでもコラムを連載している犬山紙子さんの夫。音楽を生業にしてきた劔さんは、副題の理由で兼業主夫に。「人生で一番後回しにしてきた」という家事を、試行錯誤しながらこなす様が綴られていく。「全自動洗濯機とはよく格闘してますね。女性の服は難しくて、珍しいものが放り込まれていると普通に回していいものか悩みます。(自分の袖を見ながら)なんでこうやってホコリが付くのかも不思議だし…」高性能の家電を使いこなせているのか心もとなかったり、リクエストに応えて、食べたことのない、つまりは完成形の味がわからない料理を作ってみたりする迷走ぶりが、切なく、そしていじらしい。「それでもどうにかできているのは、気負わないようにやらせてもらっているおかげかもしれないですね」家事を取り巻く日常の取るに足りない出来事(洗濯機の上に置き忘れていたメガネが温かくて癒されたり、七味唐辛子が風に舞う様に見とれたり…)の描き方は、「俳句に近いチャレンジ」というだけあって、そこはかとない余韻を残す。「自分としてはギャグを描いているつもりもないんです。目指しているのは、益田ミリさんの世界観をしょうもなくした感じですかね(笑)」スーパー主夫のアイデア術ではもちろんなく、あるあるネタ満載でもなく、とても私的な主夫エッセイ。だからこそ一夫婦の事例として、ヒントになることもたくさんある。「夫婦の状態が変われば、家事の分担も変わるもの。うちも子どもが生まれた今は描いた形とは変わっていますし、その都度ちょうどいいバランスで共有すればいいと思います」「今日も妻のくつ下は、片方ない。」独身時代は家事と無縁の生活をしていた著者が、主夫として奮闘する様が笑えてしみて、母性本能さえくすぐられる、コミックエッセイ。後半の展開も必見!双葉社1000円。(C)劔樹人/双葉社つるぎ・みきとミュージシャン、マンガ家。神聖かまってちゃんのマネージャーとして活躍。2014年にマンガ家デビューし、雑誌『小説推理』、ウェブマガジン「MEETIA」などで連載中。※『anan』2017年9月6日号より。写真・水野昭子インタビュー、文・兵藤育子(by anan編集部)
2017年09月05日料理人・樋口直哉さんの著書『おいしいものには理由がある』について、制作裏話をお聞きしました。日頃なじみのある食材・食品を追求し続ける作り手たちの思いは。小説家でもあり、料理人でもある樋口直哉さん。フランス料理が専門の彼が、日本の食を支える生産者や職人を取材したノンフィクションが『おいしいものには理由がある』だ。「仕事上の必要で和食を学ばねばいけなくなった時、自分が日本の食をよく知らないことに気づいたんです。以前から農家は取材していましたが、もっと範囲を広げて話を聞きに行きました」群馬の下仁田納豆、有田屋の醤油、カネサ鰹節商店の潮鰹など伝統的な調味料から、鳥居食品のウスターソースやななくさの郷のマヨネーズなど元は外来のもの、他に肉や牛乳などの生産現場にも足を運んだ。「全部、僕がおいしいと思ったものを取材しています。手に入りやすい身近な食べ物ばかりですよ」作り手には米国の勤め先を辞めて家業を継いだ人もいれば、一から食品加工に挑んだ人もいて、その人生物語でも読ませる。登場するなかには知り合い同士もいて、「いい生産者同士って繋がっているんですよね。人と人が繋がっているだけでなく海、里、山の循環の中で食べ物が出来上がるということも書きたかった。中小企業は代替わりしたところが多く、ユニークな経歴の人も多い」刺激を受けるのは、皆のさらにおいしくするための飽くなき向上心。「変わらぬ味といっても実際はつねに努力していないとまずくなる。消費者の安全・安心志向が高まっていくなかで、その期待にどう応えていくかという頑張りも伝えたかった」また、例えば醤油を造る際の木桶の作り手がいなくなるため、ヤマロク醤油の代表は自ら桶屋に弟子入りし、桶製造業に乗り出したという。次世代へバトンを繋ぐための責任感も伝わってくる。流通の進化もあって、日本の食は昔に比べ、格段においしくなっている、と樋口さん。私たちが日々の食材を選ぶことで、それが作り手たちに還元されている。「国内産の食品を買うと、利益が農家に還元されるだけではない。農家が潤うと田んぼや畑が活用され、耕作放棄地も減って田舎の景色がよくなる。農業は大地を彫る版画という言葉がありますが、自分たちは食べるという行為を通して、日本の風景を作っているんです」『おいしいものには理由(わけ)がある』卵、納豆、醤油、鰹節、昆布、牡蠣、海苔、佃煮、短角牛、鶏肉、牛乳、ウスターソース、マヨネーズ…。日本の食を支える人々を追う。1500円KADOKAWAひぐち・なおや作家、料理人。1981年生まれ。服部栄養専門学校卒業。2005年『さよならアメリカ』で群像新人文学賞を受賞しデビュー。著書に『スープの国のお姫様』『キッチン戦争』など。※『anan』2017年8月30日号より。写真・水野昭子インタビュー、文・瀧井朝世(by anan編集部)
2017年09月04日田舎のお寺暮らし、猫、年上のお姉さん。オジロマコトさんの『猫のお寺の知恩さん』は、キーワードを羅列しただけでも好きな人にはたまらない世界観となっている。事実、これらのシチュエーションありきで動きだした物語なのだとか。「最初にテーマみたいなものを2行くらいでまとめて、先のことはあまり考えずに行きあたりばったりで描き始めました。先々の展開を考えてもそうじゃない方向へ行ってしまうことのほうが実際は多いので、大体いつもこのやり方ですね」都会育ちの須田源は、県外の高校に進学することになり、遠い親戚のお寺に下宿することに。そこで3つ年上の幼馴染み・知恩さんと再会し、高校生にはちょっぴり刺激的なひとつ屋根の下での生活が始まる。そのくらいの年頃だと2~3歳上の人がやけに大人びて見えるものだが、源の目にも知恩さんはいかにも“お姉さん”といった雰囲気に映る。しかしまだ20歳にもなっていない知恩さんは、しっかり者のようでいて少々抜けているところもあり、そのギャップがたまらない。行きあたりばったりという執筆スタイルは、作品全体に流れるゆったりとした空気感にも不可欠なものなのだろう。「季節感を大事にしたいので、たとえば夏だったら海に行ったり、花火を見たりするよなあ、とまず考えてみるんです。描きたいイメージが一枚の絵から物語に広がっていく感じですね。読者の方には、何かすごいことが起こってほしいと思われているんじゃないかといつも不安になりながら描いていますけど(笑)」家族とではなく友だち同士で海に行くのがちょっとした冒険だったり、休日に勉強会をしたり、部活でレギュラーに選ばれずこっそり傷ついたり……。日常を丁寧に紡いでいく物語は、たしかに大事件が起こるわけではないけれども、それらがかけがえのない日々であることを教えてくれる。セリフの少なさも、その美しさをより際立たせている。「口にするのは簡単だけど、実際は言わなかったりすることは意外と多いので、そこは絵でリアルに描きたくて。そのぶんキャラクターの表情を描くのに時間はかかってしまうのですが、セリフがないと読む人が自由に想像を膨らませてくれるので、それもまた面白いんですよね」『猫のお寺の知恩さん』知恩さんの無防備さに源とともにドギマギしつつ、昔ながらの質素だけど豊かなお寺暮らしや、自由すぎる猫たちとヘタレな犬に癒される、甘酸っぱい物語。小学館552円(C)オジロマコト/小学館オジロマコトマンガ家。主な作品に『カテキン』(全10巻)、『富士山さんは思春期』(全8巻)など。本作は2016年、TVBros.主催のブロスコミックアワード大賞を受賞。※『anan』2017年8月30日号より。写真・水野昭子インタビュー、文・兵藤育子(by anan編集部)
2017年08月25日