今年の夏に、金融庁ワーキンググループ報告書から「老後資金2000万円不足」という衝撃的な内容が発表されました。しかし、あの資料を全て読んでみると、実は2000万円足りないとされるモデルケースはごく一部であり、実際のご家庭の状況により更に老後資金不足が発生する場合もあります。とはいえ、既に退職後で年金収入のみの世帯の方や間もなく定年を迎える年齢の方は、これから貯金を準備するにも限界があるのではないでしょうか。本記事では、少しでも老後を安心して生活するための理想的な資産や貯める方法についていくつか案内していきます。世帯別平均貯金額老後資金対策としてご自身で貯金を始める前に、一つの目安として「世の中の人はどれくらい貯金をしているのか」を知りたい方は多くいらっしゃいます。ここからは、独身(単身者)と夫婦世帯に分けて参考となるデータを紹介します。単身世帯と夫婦世帯のデータ引用先はそれぞれ別ではありますが、いずれもWeb上で簡単に閲覧することができます。ここでは要点のみをまとめて紹介しますが、詳細について興味を持たれた方は是非それぞれのホームページで詳細をご確認ください。独身(単身世帯)単身世帯の方の貯金に関するデータは、金融広報中央委員会ホームページ内「家計の金融行動に関する世論調査・単身世帯調査」を参考に、以下にポイントをまとめます。年齢が若いほど預貯金や資産を持っていない割合が高い(約半数近くの単身者が貯金ゼロ)。特に20代の半数以上は貯金がない状態である。貯金をしている人の金融商品構成をみると、45%程度が銀行預金(定期預金も含む)である。次点で、有価証券(債券・株式・投資新信託)で30%程度である。夫婦(二人以上の世帯)2人以上の世帯(夫婦・家族)の貯金額に関するデータは、総務省統計局のホームページ内・家計調査年報「世帯属性別に見た貯蓄・負債の状況」より、重要部分を抽出して以下にポイントをまとめます。年間収入の1.5~2倍の額を資産として保有している世帯が多い。貯金の内、預貯金(定期性・通貨性含む)が約6割である。次点で生命保険による貯金で約2割である。住宅ローンを保有しながらも貯金をしている世帯が多い。現役世代は負債も多いが貯蓄も多い現役世代(30~40代)は、いわゆる「働き盛り」と言われる世代で、職場で昇進することで大きく収入が伸びたり、同時にマイホーム購入もこの時期にされる方が多いです。家族世帯の場合で考えるとお子様の教育費もかかる時期ですが、この働き盛りの時期は住宅ローン返済と教育費を支払うだけの十分な収入があるということです。更に、この現役世代の方は貯金や資産運用にも興味が高い方が多く、少しでも増やしたいと考える方が多いようです。やりくり上手の方は、やはり家計簿をキッチリつけていらっしゃいます。何も工夫せずに、なんとなくお金が貯まっている方の方が少ないのではないでしょうか。従来のノートタイプの家計簿で管理する方法もありますが、最近ではご自身のパソコンでエクセル家計簿で管理する方も増えてきました。もっと手軽な方法として、スマートフォンの家計簿アプリを利用し、買い物した直後にレシートを撮影して記録に残す等、続けやすい工夫がされているものもあります。貯金への第一歩として、是非家計簿にチャレンジしてみませんか?年間貯蓄額の目標を決めるコツここまでで、世の中の平均値を知ることができました。ここからはご自身に置き換えて、より具体的に貯蓄するイメージを高めていきましょう。既に預貯金をお持ちの方は、ここから更に上乗せして効率よく資産を増やすためにはどうしたらよいかを考えていきましょう。[adsense_middle]500円玉貯金は有効?貯金を始める際に、例えば貯金箱に500円玉貯金をするのも一つの方法です。ここで一つポイントがあります。簡単に開かない貯金箱を使い「貯金箱が満タンになるまで絶対に開けない!」と決めて、500円玉貯金をするならとても効果があると思います。しかし、いつでも取り出せる状態の容器に500円玉を集めておくと、ついつい財布の中身が心もとない時に、貯めてある500円から拝借する方もいらっしゃいます。そのような状態で続けても、いつまでに、いくら貯まるか先が見えません。他にも貯金や資産運用を取り入れている方がゲーム感覚で行う分には結構ですが、預貯金が少ない方の500円玉貯金はあまり効果がないと言えます。貯金は目的とゴールを決めてはじめようこの「500円玉貯金」の例で何が問題かというと、「何のために貯めているか(目的)」や「いつまでに貯めたいか(期間)」がハッキリしないことでなかなか貯まらないと考えられます。また、一番大きな問題として「いつでも自由に使える状態で貯金をしていること」があります。これを基にして、失敗しない貯金をするためにはどうしたらよいか以下のことがポイントになります。目標をはっきり持つ貯金をしよう。(何のために)いつまでに貯めるかゴールを決めよう。(いつまでに)安全・確実な方法で貯めよう。(自由に取り出せない方が良い)この3つのポイントを軸にしておくと、現金の預貯金だけでなく、他の資産運用商品を選ぶ際の目安にもなります。効率的な資産運用の手法各世帯における平均の貯金額や内容、貯金する際に心がげるべき3つのポイントについて紹介してきました。ここからは具体的に老後対策としてどのような方法・対策をとればベストなのかをまとめていきます。「資産」と「資金」という言葉は、なんとなく同じようなイメージをお持ちの方が多いのではないでしょうか。実はこの二つは大きな違いがあります。「資産」とは、預貯金、不動産、債券など全ての資産を指します。一方「資金」とは資産の内の「お金」のみを指します。つまり「資産運用」というと、現金だけでの運用ではなく、不動産や債券などのあらゆる金融商品を用いて運用して増やすことです。資産運用を始める年齢がポイント貯金は、もちろんスタートが早ければ早いほど多く貯まります。ただし20代~40代にかけては、人生の中でのイベントが集中している時期でもあり、お金を貯めたくても必要かつやむを得ない出費に追われることもあります。結婚し家族が増えると、ご自身の意思だけで自由に貯金をすることも適わない場合もあります。老後のためにコツコツ貯金は優れもの現在独身の方は、なるべく少額でもよいので「先取貯金」、しかも積立タイプのものを始めてみませんか?数千円でも構いません、結婚した後も継続できるくらいの額でコツコツ貯めてみましょう。以下は、その一例です。これは、金利などは一切加味していません。月2000円でもコツコツ継続すればこのような大きなお金になります。老後資金として、約91万円のまとまった資金があれば大変心強いものとなります。年代別・理想的な資産作りはコレ今現在お勤め中の方(現役世代)と、既に退職後で年金が主な収入源である方が、同じ手法で資産運用をしてはいけません。資産運用を行う上での大きな違いは「元本の保証性と安定性」です。現役世代は、万が一資産運用で損益がでてしまったとしても、それを取り戻すだけの収入と期間があります。一方年金世代の方が損益を出してしまった場合、収入は一定の額の年金のみであり、それでも足りない場合は、これまでの預貯金から補わなければいけません。しかし、年金世代の方の年金や預貯金は生活費としての重要な意味のあるお金ですから、資産運用での損益を埋めるために使っては本末転倒です。ここからは、年代別にどのようなことに留意しながら老後資産について検討したらよいのか具体的に解説していきます。[adsense_middle]現役世代の方へオススメ現役世代の方は定年まで十分に時間がありますので、少々リスクがあってもリターンの見込める商品であれば積極的に取り入れると良いでしょう。ただし、資産運用の基本である「分散投資」は忘れないでください。つまり、ひとつの金融商品だけで運用を図るのではなく、複数の金融商品に分けて運用することで万が一のリスクを分散することができます。また、FXなどの専門知識が必要かつリスクが高い金融商品に関しては、よほど余裕資金がある場合や普段から専門性の高い金融商品のやりとりに慣れている方以外は取り入れない方が賢明です。老後資金対策として以下の資産運用商品は優先的に取り入れましょう。NISA(不動産投資信託や海外債券も取り入れると良い)つみたてNISAiDeCo給与天引きで確実に貯めよう貯金が苦手な方、ついつい引き出してしまう方は「財形貯蓄制度・社内預金制度」を利用してみましょう。また、個人年金保険は貯蓄性の高い保険商品ですが、保険料として毎月(または毎年)自動的に引き落としされますので、ご自身でお金を分けなくても勝手に貯蓄ができます。是非積極的に利用してみてください。財形貯蓄は、会社員の現役世代の方のみが利用できる特権です。勤務先の規約に従って、ご自身で決めた一定の額を給与天引きという確実な方法で先取貯金する制度です。また、この制度の利点として「引き出す際に時間と手間がかかること」が挙げられます。銀行預金の様にATMでいつでもピッと現金を引き出せるものではなく、所定の用紙に引き出したい額などを記載し、担当部署へ届けを出してから承認を経て数日後に振り込まれますから非常に手間がかかります。自由に引き出せない特性を逆手にとって上手に貯金しましょう。退職間近の方・退職後の方へオススメ退職間近の方、及び、既に退職され年金が主な収入源となっている方は、今お持ちの預貯金や、新たに資産運用を始めるにあたって元本を守ることを第一に考え、その中で少しでも増やす工夫をしていきましょう。また、ご自身やご家族の万が一の際に、すぐに引き出して活用できる流動資金としても使える自在性の高い運用方法なら、より安心です。以下の資産運用商品は元本の保証性が高い商品で、退職前後の方にオススメです。国債円定期預金NISA(元本の保証性の高い商品やバランス型商品を選ぶと安心)バランス型商品の特性NISAにおけるバランス型商品とは、なにか一つの資産に対して投資をするのではなく、国内や海外の株式・債券・REIT(不動産投資)などを複数合わせて一つの商品にしているものです。バランス型商品のメリットとしては、金融の知識が全くなくても大丈夫ということです。なぜならバランス型商品では、すでに資産運用の基本である「分散投資」の原理が働いているからです。国内と海外という「地域の分散」もできており、債券や株式も全く同じように価格が推移するものではありませんから、バランス型商品の中でお互いのメリット・デメリットを補い合うことにより、極力損を出さない作りになっています。貯金500万円から考える、老後資産と貯金方法についてのまとめいかがでしたか。老後資金対策は、少ない額ずつでも良いので一日でも早くスタートするに越したことはありません。その際、スタートする年代で対策や手法を変えることでより効果が上がります。世の中にはいろいろな貯蓄性金融商品がありますが、ご自身の年齢やライフスタイルではどの商品を選ぶと効果的であるか等も検討しながら選んでみてください。もちろん無理は禁物です。収入と支出のバランスを見ながら、無駄を省き節約を心がけ、無理なくコツコツ実践していきましょう。
2019年09月17日現行の年金制度では、原則として65歳になると、将来の老後生活資金にあたる老齢年金を受け取ることができます。ただし、年金は65歳になってから受け取る方法だけではなく、60歳から受け取り時期を早めて年金をもらうことや年金の受け取り時期を65歳以降に遅らせることで、増額された年金を受け取ることもできるようになっています。本記事では、これらの内、年金の受け取りを遅らせる繰り下げ受給についてポイント解説を進めていきます。国民年金の繰り下げ受給とは老齢基礎年金(国民年金)の繰り下げは、66歳から1ヶ月ごとに0.7%ずつ増額され、細かく増額率が設けられていることが分かります。年金を繰り下げすることによってもらえる年金が増えることはご理解いただけたものの、実際の年金額がいくらになるのかイメージがわかないと思いますので、次項では簡単な例で繰り下げ受給の効果を紹介します。老齢基礎年金(国民年金)の繰り下げをした場合の年金額老齢基礎年金は、20歳から60歳までの40年間においてすべて国民年金保険料を納付した場合、65歳から支給される年金額は年額で780,100円です。(令和元年9月現在)ここでは、仮に40年間の国民年金保険料をすべて納めた状態の人が、66歳0ヶ月から繰り下げした場合と70歳から繰り下げした場合の年金額を以下に紹介します。歳0ヶ月から繰り下げした場合繰り下げによる増加した年金額:780,100円×4%≒65,528円老齢基礎年金(国民年金)の年金額:845,628円(780,100円+65,528円)老齢基礎年金(国民年金)を繰り下げした場合の年金額を計算するには、年間の年金額に増額率を乗じて計算します。66歳0ヶ月から繰り下げした場合、上記表(緑枠)より8.4%を乗じて計算し、加算しますと、年金額は845,628円となり、1ヶ月あたりの年金額は70,469円となります。70歳から繰り下げした場合繰り下げによる増加した年金額:780,100円×42%=327,642円老齢基礎年金(国民年金)の年金額:1,107,742円(780,100円+327,642円)70歳から繰り下げした場合、上記表(水色枠)より42%を乗じて計算し、加算しますと、年金額は1,107,742円となり、1ヶ月あたりの年金額は約92,311円となります。厚生年金をもらえる人は、老齢厚生年金も繰り下げの対象会社員や公務員の方をはじめ、これまで厚生年金保険に加入した年金履歴がある人は、前項で紹介した老齢基礎年金に加えて老齢厚生年金も支給されます。この時、年金の繰り下げを行った場合、国民年金から支給される老齢基礎年金だけではなく、厚生年金から支給される老齢厚生年金も繰り下げの対象となります。なお、厚生年金を繰り下げした場合における増額率は国民年金と同様ですが、厚生年金を繰り下げした場合、経過的加算額が上乗せされるため、受け取ることができる年金はさらに多くなります。年金受取年齢は何歳が良いのか?65歳を基準に比較検証本記事の冒頭では、年金は65歳になってから受け取る方法だけではなく、60歳から受け取り時期を早めて年金をもらうことや年金の受け取り時期を65歳以降に遅らせることで、増額された年金を受け取ることもできる旨をお伝えしました。年金を早くもらうことを繰り上げ、遅くもらうことを繰り下げと言いますが、ここでは本来年金が支給開始になる65歳を基準に、繰り上げした場合、65歳から年金をもらった場合、繰り下げした場合の3つを比較してみます。[adsense_middle]比較検証の前提条件と比較結果比較検証を分かりやすくするために、以下の前提条件で簡易なものとします。比較検証は、60歳から繰り上げをした場合、65歳から年金を受け取る場合、70歳まで繰り下げした場合の3パターンを比較します支給される年金は、令和元年9月現在における老齢基礎年金の満額(780,100円)のみとします60歳からの繰り上げは、30%減額とし、70歳からの繰り下げは42%増額とします死亡年齢は、平均寿命とし、男性81歳、女性87歳とします上記以外の条件は、加味しないものとします男性の場合女性の場合比較検証結果は、何年生きられるかわからないため、結果論に過ぎない比較検証の結果、男性も女性も平均寿命まで生存していた場合、年金を70歳から繰り下げする受取方法が最も有利であることが分かり、女性の例のように、長生きをすればするほど総受取年金額に大きな差が生じることになります。ただし、自分自身が何歳で死亡するのか分からないわけでありますから、あくまでも比較検証は結果論であり、早くに死亡した場合は逆転現象が起こることになります。年金を繰り下げするメリットとデメリットこれまでの解説や比較検証を基に、年金を繰り下げするメリットとデメリットをまとめます。年金を繰り下げするメリット年金を繰り下げするメリットは、本来もらえるはずの年金が多くなるところにあります。前項の比較検証は、国民年金(老齢基礎年金)のみの場合で簡易的なものとなりますが、仮に厚生年金から支給される老齢厚生年金のことも考慮しますと、年金を繰り下げすることによる年金額の増加は、さらに大きなものになります。また、繰り下げした際の増額率は一生変わらないため、長生きするほどその効果が大きくなります。年金を繰り下げするデメリット年金を繰り下げするデメリットは、仮に早くに死亡をしてしまった場合、もらえるはずであった老齢年金を受け取ることができないため、結果としてロスが生じてしまう懸念があります。このほか、国民年金の振替加算や厚生年金の加給年金など、ざっくり言ってしまうと、一定条件を満たすことで保障されるその他の年金が支給されないデメリットが生じる点も挙げられます。毎年、税金を納めなければならない懸念が生じる年金の繰り下げを行いますと年金収入が多くなりますが、1月1日から12月31日までの1年間で受け取った老齢基礎年金(国民年金)と老齢厚生年金(厚生年金)は、雑所得として税金が課される対象となります。そのため、たとえば年金を繰り下げして70歳からもらう場合などで、老齢基礎年金(国民年金)と老齢厚生年金(厚生年金)をいずれの年金も受け取る場合などは、毎年税負担が強いられる可能性が高くなります。税法上の扶養控除の対象にならない懸念が生じる年金を繰り下げすることによって年金収入が多くなった場合、年金受給者である本人は税負担が生じる可能性があるほか、税法上の扶養控除の対象にならない懸念も生じます。たとえば、会社員である子供と同居をしていたと仮定し、年金収入が少ない場合、子供は親を扶養控除の対象とすることができる可能性が高く、税負担を軽減させられますが、繰り下げによる年金収入が多い場合は、扶養控除の対象外になってしまう可能性も否めません。健康保険の被扶養者になれない可能性が高くなるこちらも会社員である子供と同居をしている例で紹介しますが、年金を繰り下げすることによって年金収入が多い場合、健康保険の被扶養者になることができず、75歳になるまでは国民健康保険に加入する必要があります。(75歳から後期高齢者医療保険に切り替わるため)健康保険の被扶養者になれることで国民健康保険の負担を当然に避けられますが、世帯全体で見ますと、無駄にお金を支出してしまう懸念が生じることも否めません。年金を繰り下げする上での注意点年金を繰り下げすることによって年金が多くもらえることは確かですが、前項で紹介した各種年金制度や税金をはじめ、公的保険などの関係性も幅広い視野で見ていきますと、一概に年金が多くもらえるから得といった考えになるのは危険です。年金を繰り下げすることによって年金収入が増加する分、税負担や公的保険の負担が強いられるとするならば、それらの支出を差し引いたトータルで、年金の繰り下げを検討する必要があると言えます。以下、年金を繰り下げするその他の注意点について紹介します。[adsense_middle]年金の繰り下げ手続き後に取り消しや修正はできない年金の繰り下げをするためには、繰り下げをするための手続きをする必要があるのですが、一度繰り下げ手続きをしますと、後から取り消しや修正といった各種変更をすることはできません。そのため、年金の繰り下げ手続きを行う前は十分に考え、慎重な判断が必要になると言えるでしょう。年金の繰り下げは、遺族が代わりに行うことができない仮に、年金の繰り下げの待機中に本人が死亡してしまった場合、遺族は死亡した本人がもらうべきであった年金を未支給年金といった形で受け取ることができます。ただし、未支給年金は日本年金機構(年金事務所)に対して請求しなければもらえないほか、未支給年金の金額は繰り下げした金額ではなく、本来ならば65歳から支給されるはずであった金額となります。他の年金を受け取れる権利が発生した場合、繰り下げできない他の年金を受け取れる権利とは、具体的には66歳になる前に遺族厚生年金や障害厚生年金などを受け取れる権利を得た人のことを指し、このような人は年金の繰り下げができないことになっています。年金の繰り下げは、損得以前に老後生活ができるのかを考える年金は、老後生活をしていく上で極めて重要な生活資金であることを踏まえますと、年金の繰り下げは損得以前の問題であり、そもそも年金の支給が無い状態で老後生活をしていくことができるのかを考える必要があります。なぜならば、一度年金の繰り下げ手続きを行った場合、後から変更をすることができないからです。仮に若年者の方で、将来年金の支給が無ければ老後生活が厳しい人にとってみますと、年金の繰り下げを考えるよりも、まとまった老後生活資金を準備する対策を事前にとっておく方が望ましいと言えそうです。年金の繰り上げも考慮した長期目線の老後生活を考える年金の繰り上げは、年金を早くから受け取ることができる仕組みですが、本来もらえるはずの年金が減額されたとしても、長期目線で老後生活のお金がうまく回るのであれば、決して悪いこととは言い切れない場合もあるでしょう。もちろん、年金の繰り上げも年金の繰り下げと同じようにメリットやデメリットがあるものの、目先のメリットやデメリットだけに捉われるのではなく、ご自身や世帯にとって納得のできる有利な選択を取れることが望ましいと思われます。年金の繰り下げに関するまとめ年金の繰り下げは、損得以前に、そもそも安定した老後生活を継続して行っていけるのかを考えておく必要があります。仮に、老後生活が厳しく、年金が老後生活資金に欠かすことができないものであるならば、少なくとも年金の繰り下げをすることは望ましい選択肢とは言えず、むしろ年金が減額されたとしても繰り上げする方が望ましい場合もあるでしょう。年金の繰り上げや繰り下げといった年金の受け取り方は、ご自身が置かれている状況をはじめ、考え方や直感による影響が強いものとなりますが、配偶者との相談も含めて納得のいく年金の受け取りを実現するようにしたいものです。
2019年09月15日老後資金2,000万円が不足する問題のニュースが金融庁から発表されたことをきっかけに、将来の老後資金や年金破綻の懸念が多くの人の頭をよぎりました。政府(国家)は、この金融庁の発表について誤りだと指摘したものの、次いで経済産業省では老後資金が3,000万円不足するといった発表をした経緯もあり、どの情報が正しいのか、わけが分からなくなっている人も多いのではないでしょうか。そこで本ページでは、これらの内、年金破綻に焦点を当て、FP目線の考えを紹介していきたいと思います。将来、日本の年金制度が破綻する可能性はあるのか現状においても、支給される年金が少ないという多くの声が上がっている中で、これまで以上に将来の年金支給金額が減少することは、若年者の老後生活は相当厳しいものになると予測する考えとつじつまが合うのではないでしょうか。当初、100年安心と言われた年金制度の定義は一体どうなってしまったのか、首をかしげたくなります。消費税の増税によって、すべての国民が支出に対して負担増になる消費税の税率が10%に増加することによって、今後すべての国民は支出に対する負担増が強いられることになりますが、消費税が10%に上がる前の時点で、10%の消費税率が終わりではないといった議論がなされたことがニュースになりました。つまり、若年者が老後年金生活を迎える時には消費税がさらに多くなることも十分予測でき、そのようになりますと、現在よりもなお将来の老後生活は相当厳しいものになるでしょう。自助努力による老後資金対策が左右する時代年金制度が破綻する可能性が極めて低いと考える理由を紹介しましたが、やはりこれからの老後資金や老後生活を考えていく上で重要なのは、自助努力による老後資金対策になると言えます。現在高齢者の方々が現役世代であった時代のように、お金を預金へ預け入れていれば多くの利息を得られる時代ではなくなっており、預金でお金を寝かせておく時間的なロスは避ける必要があります。では、老後資金対策は、どのように行うのが良いのでしょう。[adsense_middle]個人型確定拠出年金(iDeCo)を活用した老後資金対策個人型確定拠出年金(iDeCo)は、預金・保険・投資信託といった金融商品を自由に組み合わせて自ら資産運用をするもので、まとまった老後生活資金を節税しながら準備することができる私的年金制度のことです。個人型確定拠出年金(iDeCo)は、現状まとまった老後資金を準備するには極めて優良な制度と言えます。つみたてNISAを活用した老後資金対策つみたてNISAは、2018年(平成30年)1月から新たに始まった少額投資非課税制度のことで、金融庁が指定した投資信託またはETF(上場投資信託)を毎月一定金額ずつ買付して資産形成する方法です。つみたてNISAは、まとまったお金が手元になくても少額から始められる特徴があり、無理なく老後資金の準備をしやすいメリットがあります。小規模企業共済を活用した老後資金対策小規模企業共済とは、経営者や会社役員の方などが、廃業や退職時の生活資金のために積み立てる制度のことを言い、会社員や公務員で言うところの退職金制度です。小規模企業共済は先に紹介したiDeCoやつみたてNISAと異なり、基本的に誰でも加入できるものではなく、加入対象が限られているものの、小規模企業共済を老後資金対策として活用できることは確かです。小規模企業共済の詳細については、以下、中小機構のWEBサイトを見て確認されてみることをおすすめします。年金制度の破綻や崩壊、経済の低迷を考えるよりも自助努力をする方が賢明年金制度の破綻や崩壊、経済の低迷を私たち一個人が考えても、残念ながら自分自身の老後生活が豊かになることはありません。これまで以上に厳しい老後生活が強いられることが十分予測できる中で賢明なのは、やはり、先に紹介した制度を賢く活用した自助努力に尽きると筆者は考えます。国が国民に対して、老後生活は自分自身で準備してといった丸投げの批判も多いものの、不満を言っても何も変わらないわけであり、自分や家族は自分たちで守る考えを持つことがこれからの時代に必要なことと言えそうです。年金制度の繰上げ受給についても知っておこう現在、国民年金や厚生年金は原則として65歳から支給されることになっておりますが、65歳になる前に年金を受給することもでき、これを年金の繰上げ受給と言います。繰上げ受給には、全部繰上げと一部繰上げの2つの方法が設けられているものの、いずれの繰上げ受給を行ったとしても、本来ならば65歳から支給されるはずであった年金額よりも少なくなってしまう点に要注意です。繰上げ受給した年金は一生変更できない仮に、年金を繰上げ受給するための手続きを行い、実際に年金の支給を受けた場合、以後死亡するまでに支給され続ける年金額は減額され続けた金額となり、一生変更することはできません。繰上げ受給をした場合、長生きをすることでトータルの受取年金が少なくなる、障害年金や遺族年金といった他の年金の支給などに大きな弊害を生じさせるデメリットもあるため、繰上げ受給の請求は慎重に検討をする必要があります。なお、年金の繰上げ受給における注意点については、以下、日本年金機構のWEBサイトで詳しく解説されております。年金破綻の可能性に関するまとめ年金破綻の可能性は極めて低いと思われる一方、年金破綻の防止策として、若年者が将来支給される年金額は現在よりもさらに少なくなると見積もっておくのが無難でしょう。また、消費税の増税など負担の強いられる要素が様々なところで発生する懸念も考慮しますと、若年者の方はもちろん、老後生活に不安のある人は早急な対策が求められることになります。ご自身の懐具合と将来を考慮し、貯蓄・資産運用などできるところから始める必要があると言えます。
2019年09月15日「老後資金2,000万円問題が報道されてから、私のもとにも、老後を心配するたくさんの相談が寄せられています。私に言わせれば怖がりすぎですね」こう語るのは、『老後資金は貯めるな!』(河出書房新社)の著者で、ファイナンシャルプランナーの長尾義弘さん。今年6月、「人生百年時代を年金だけで乗り切るのは不可能、老後資金として2,000万円が必要」と、金融庁の報告書が公表された。さらに8月には厚労省が年金の財政検証結果を発表。少子高齢化が進むなか、現役世代の年金の受給額が厳しくなっていくことが示されたが、本当に大丈夫なのだろうか。「50歳を過ぎてから、いまさら2,000万円余計に貯めろとか言われても難しいでしょ。金融庁は株や投資での運用を勧めていますが、初心者が簡単にもうけられるものではない。なけなしの資金を減らしてしまうリスクのほうが心配」そんなリスキーな運用をせず、貯金がなくても大丈夫な老後設計はできないものか。長尾さんが現在の年金制度を徹底的に分析。「“一生安心”生活を過ごすためには5つのステップが必要。順番に解説していきましょう」【1】住宅ローンは60歳までに完済しておく!「お金の心配をせずに安心して老後を暮らすためにはローン返済は大きな足かせになります。退職金をすべて使ってでもローンを完済し、老後を迎えることが肝心」【2】子どもは自立させる!「自立せず親の脛をかじり続ける子どもも老後の足かせ。かわいいあまりに甘やかして自立させずにいると、年金生活になったとたんに共倒れになります。経済的に子どもをきちんと自立させることは最低限の親の務め。親に先立たれたときの子どものためでもあります」【3】60歳になったら、月の支出を30万円にする!「近年、政府の方針で、定年を延長するなど、60〜65歳間の雇用を受け入れる企業が増えています。ただ雇用延長や再雇用の際、ほとんどの人が収入は半減します。これを冷静に受け入れ、生活水準を見直さないといけません。具体的には、月30万円。年間360万円でやりくりするのが理想。最初は厳しいかもしれませんが、ぜいたくしなければ十分に暮らしていける水準。夫婦で家計簿を見ながら、支出の見直しをしてください」【4】年金受給は70歳まで繰り下げる!「年金は65歳になったら受け取るものと考えている人がほとんど。これを70歳から受給するようにすれば、年金の受給額が42%増額されるんです。これを利用することが、安心した老後を過ごすために重要なポイント。たしかに人は何歳まで生きるかわかりません。だから少しでも早く受け取りたいのは人情でしょう。でも夫の年金180万円、妻の年金100万円で70歳まで繰り下げ受給した場合と、65歳から受給した場合の81歳までの年金総額は、ほぼ同じ額になり、それ以降は、長生きするだけ、70歳からのほうが得になる計算です」平均寿命が男女とも80歳を超えているいま、じつは70歳からの受給のほうが明らかに得。しかも、もし仮に病気などになり、70歳より早く年金を受け取りたくなったら、申請すれば、すぐに受給を開始できるのも心強い。【5】夫は70歳、妻は65歳まで働く!「いまの60代は若い。職場を選ばなければ、70歳まで十分働けます。65歳からの5年間の厚生年金が加算されれば、頑張って働いた分、年金額も増える。一石二鳥です」こうして夫70歳、妻65歳まで働くことで、夫の年金180万円、妻の年金100万円を70歳まで繰り下げ受給した場合、受給額が42%アップ。なんと70歳から支給される年金は合わせて年間404万円に!「65歳から受給してしまうと年間280万しかもらえず、支出を月30万円(×12カ月=年360万円)に抑えても年間80万円もの赤字。それが70歳から受給にすると、(年金収入404万円−年支出360万円=)毎年44万円の黒字。劇的に老後が楽になるんです」この試算で一番大切なことは、夫婦そろって長生きすること。お互いにいたわり合う夫婦仲こそが、“貯金ゼロでも老後が安心”の最大の秘訣といえそうだ。
2019年09月13日年金だけでは老後の生活は成り立たないというのはもはや常識に。でも、このまま嘆いているだけでいいのか。もう、今さら働けないと思っている人にこそ読んでほしい、50歳から始める仕事探しーー。「金融庁が『老後2,000万円足りない』と発表して以来、『将来、年金をどれだけもらえるのか?』は、最大の関心事かと思います。でも、ただ手をこまねいているのではなく『65歳までに、いくら貯蓄できるのか?』を考えて、50代から世帯の年収を増やしていくべきです。50歳からはじめても、年金受給までに『1日数時間で1,000万円の貯蓄』も可能ですよ」こう話すのは、老後のライフプランニングに詳しいマネーセラピストの安田まゆみさん。でも「1日数時間で1,000万円の貯蓄」って、いったいどうやったら稼げるのだろう?「いえいえ、難しく考えることはありません。時給1,000円で1日3時間×週4日働くと、15年たてば約900万円の収入になります。そして1日4時間働けば、15年で1,200万円稼げます。ここで大事なのは、『いかに効率よく、つまり極力負担が少なく、無理なく続けられる仕事を選べるか』なんです」(安田さん)安田さんによれば、主婦が「無理なく続けられて、1,000万円貯蓄できる」仕事とは、おもに「家から出ずに働く」「主婦力を生かした仕事」「財産を働かせる」の3つに分類できるという。ここでは「主婦力を生かした仕事」について、仕事選びのコツと心構え、そして注意すべき点を安田さんが解説。合わせて2人の実例を紹介。■主婦力を生かした仕事「主婦業は、複数の作業を同時に並行して行えるマルチタスク能力を最大限に発揮するもの。掃除や洗濯をしながら料理の下準備をして、子どもの世話もする。宅配の対応もこなす……。長年の積み重ねで得た能力を、仕事に生かせれば大きな強みになります」(安田さん)子育て経験を生かせる仕事としては保育士不足が問題となっている保育園や託児施設などの求人がある。「保育補助」であれば、資格は必要ない。そして、介護業の求人も、増えている。「在宅介護を受ける人も介護補助は必要です。コミュニケーション能力を必要とする仕事ですので、育児経験や介護経験が生かせるやりがいのある仕事と言えますね」(安田さん)ほかにも、食事作り、清掃業も求人が多い。家事代行サイト「CaSy(カジー)」などに登録すると、さまざまな仕事を受注できる。「共働きや高齢者の家などに訪問する形の清掃サービスは、キッチン周りやお風呂のお掃除などで重宝されます。主婦の経験と知恵の発揮どころですね」(安田さん)【実例1】週4日の“家事”で1,000万円が射程圏内に/Aさん・50歳・専業主婦「自営業の夫は年収が700万円で、私は今年50歳になった専業主婦です。将来、夫婦でもらえる年金がサラリーマンの世帯に比べてすくないので、長い主婦経験を生かして家事代行サイトに登録しました」苦手だったというスマホやパソコンの操作も最近では慣れてきたというAさん。1日4時間くらいで、週に3〜4日、クライアントの家で掃除や洗濯などの家事を行っている。「年間で70万円ほど貯蓄できています。年金をもらえる65歳まで15年間続けられれば、1,000万円の貯蓄ができることになりますので、いまはそれを目標にしています」【実例2】老後不安で始めた仕事がやりがいに/Bさん・53歳・専業主婦「会社員の夫は年収が650万円です。専業主婦でしたが、老後に不安を感じて3年前から家事代行サイトに登録しました」そう語る53歳のBさん。仕事に応募し、受注する流れをすべてパソコンで作業するには「慣れるのに時間がかかった」というが、今では難なくこなせる。「とにかく多くのお客さまのところに行く経験が、自信につながると思いました。一生懸命、ていねいにやっているうちに、指名してもらえるようになったときの喜びは忘れません」現在は、週4日ほどの稼働で年収は120万円ほどになるという。そんな家事代行業だが、コミュニケーションが必要な現場が多いため、人間関係がうまくいかなかった場合、ストレスやトラブルになることもあるそうだ。仕事の探し方としては、ネットで情報収集をしつつ、同時に主婦友やママ友などの口コミも参考にするべきだという。「そうして多重構造で情報収集しておいて、比較検討することが大事。そのうえで、最終的に登録するのがスマホでも、友人・知人の紹介での面接でもいいんです。そして、仕事がつらい、続かないと思ったら、辞めてしまってもいいんです」(安田さん)老後のお金は不安、でも嫌なことをしてまで働きたくない……。そんな“わがまま”を押し通そう。
2019年09月07日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「老後の資金問題」です。お金に関する教育が日本人には不足しています。年金以外に老後の資金が約2000万円は必要になるという金融庁金融審議会の報告書の発表があって以来、年金問題について不安が高まっています。「高齢化社会における資産形成・管理」の報告書は、金融庁のホームページで、誰でも見られます。ぜひ読んでみてください。金融庁は、資産運用を管轄する省庁。年金問題を、資産運用の観点からどう乗り越えるかをテーマに、学識経験者や実務関係者が約半年、会合を重ねて作りました。人生100年時代、働けなくなってからのことも考えないといけません。現状では、夫婦2人暮らしの場合、年金で足りない分の月5万円には、退職金や貯蓄を取り崩しながらあてており、その状態が30年続くと換算すると、約2000万円になるという計算です。いまの年金世代は資産や貯金がありますが、若い人たちの中には持ち家も貯金もない人も。働き方も多様になり、非正規雇用も増えています。高齢になってからの資産運用は認知症の問題も出てきて大変なので、若いうちから少額で始められるNISAやiDeCoなどを利用してみませんか、という提案でした。人口減少が進み、年金制度を支える働く層は減る一方なのですから、冷静に考えればこのままでは済まないことはみなさん、うすうす気づいていたと思います。消費税を増税するだけで解決できる問題ではありません。普段から投資をして、自分でお金を増やす力をつけようというのは真っ当な意見ではないかと思います。アメリカでは約6割の人が投資目的で株や不動産の売買の経験があり、学校教育のなかで株式や投資の仕組みを習います。イギリスでも2014年から、金融リテラシーを磨くための教育が強化されました。お金の使い方やリスク管理、クレジットと負債、貯蓄投資や年金、金融商品などを16歳までに教えています。これに対し、日本には昔から、「金儲けはよくないこと」「清貧こそ美しい」という道徳観があります。しかし、資本主義の国なのですから、これからは義務教育から、お金の教育を取り入れるべきではないでしょうか。私たちも現実に目を向け、お金の勉強を始める必要があると思います。ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2019年9月11日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2019年09月04日住宅購入に詳しいファイナンシャルプランナーの竹下さくらさんに「子どもの教育のことを考えて住宅購入を検討するのであれば、最優先すべきは、教育費にしわ寄せのこない価格の物件を選ぶことです」と教えていただきました。では、その価格は、一体、いくらなのでしょうか? 引き続き竹下さんにお話しを伺います。 「住宅購入を考えるだけでメリット!? 学区問題は本当に大切か」 の続きです。■教育費にしわ寄せのこない物件の選び方多くの方が、「子どもの教育費にしわ寄せのこない物件価格」といきなり言われても、ピンとは来ないと思います。順を追って、説明していきましょう。まずは次の図を見てください。サラリーマンの場合、生涯収入は一定の枠があります。一定の枠の中での使えるお金は、大きく2つに分けて考える必要があります。それは、「日々の生活費(人生を回していくお金)」と、「人生イベントの費用(人生を構築するお金)」です。さらに着目していただきたいのは、赤文字部分、「住宅」「教育」「老後」資金です。この3つのお金は、人生の3大資金と呼ばれ、金額が大きいことが特徴です。 ■家購入前に考えたい、「中学受験どうする?」「30代は、人生の3大資金のうちの、『住宅』『教育』の方針をおおまかに決める人が多い年代です。両方とも、決めたら最後、後戻りが難しいタイプのお金です」(竹下さん)後戻りが難しいと聞くと何だかドキドキしてしまいます。どうしたら良いのでしょうか?「私は、家を買う前に、ライフプラン表を使って、『これからの人生』を一度イメージすることをおすすめしています。とりわけ大事なのは、子どもの教育コースです。私立に行くのか? 公立にするのか?私立小学校を選択するご家庭が全体の2%であることを考えると、私学コースの論点は、多くの場合、中学受験をするか、しないかです。私立中学に行くのか、公立にするのか? ここで教育費の総額は大きく違ってきます。家を買う段階で、子どもの教育コースのイメージを持っておかないと、大きなリスクになる可能性があることは、強くお伝えしたい点です」(竹下さん)■私立中高一貫校に行く場合のリアル費用筆者の息子は、中学受験をした後、中高一貫校に通いました。中学受験をするのであれば、ザックリとした目安として、次の金額程度は覚悟しておく必要がありそうです。【中学受験のための塾代】小学校3年生の2月から通塾スタート:総額で250万円~300万円(6年生の2月まで)【学費】学費と定期代で1年間:100万円×6年間(中高6年間)※筆者の体験に基づく場合の金額このほかに、部活動にかかる費用や大学受験をする際の予備校代…。成長期なので洋服や靴があっという間にサイズアウトしてしまうので衣料費もかさみますし、通う学校によってはママ友との交際費がかかる場合もあります。子どもが中高~大学卒業までは教育費の山場で、お金が右から左にかかる時期だという実感があります。■「住宅」「教育」費のしわ寄せが「老後資金」不足に30代でお子さんが小さい場合、教育費の大変さをイメージするのが難しいかもしれません。けれども、『教育費が大変な時期が、この先にある』ということは、ぜひとも知っておいて欲しいのです。「人生の3大資金のうち、『住宅資金』と『教育資金』を適正金額の枠内にしておくことは、とても大切です。身の丈に合わない物件を買ってしまったり、子どもの教育にお金をかけすぎてしまったりしたしわ寄せが、『老後資金』の不足に直結しているケースを、私はたくさん見てきました」(竹下さん)■ライフプラン表を書くことで、見える景色があるそうは言っても、忙しい毎日の中、未来をイメージするのは、なかなか難しいものです。「私は、ライフプラン表を書いてみることをおすすめしています。実際に、『書いてみる』と、これまで見えなかった風景が見えてきます」と、竹下さん。30代になったのなら、一度はライフプラン表を書いてみる! それとともに、筆者は「物件価格は、ライフプラン表を踏まえた上でファイナンシャルプランナーなど、お金のプロに相談にのってもらうのもアリ」と、お伝えしておきたいです。なぜなら、「物件の価格」「教育資金」といったお金は、日常生活とは別物の「桁の違うお金」だからです。 金額が適正かどうか? という判断は、素人では難しいと感じます。Q.ファイナンシャルプランナーに相談に乗ってもらうには?日本FP協会のファイナンシャルプランナーの上級資格であるCFP検索で、自分と相性が良さそうなファイナンシャルプランナーさんを探して、コンタクトしてみても良いかもしれません。》日本FP教会: ※費用の目安は、CFPへの相談料金の相場は2時間2万円程度です。たとえば竹下さんに、「ライフイベントを踏まえた上で、わが家にとっての適正な物件価格の相談に乗ってもらう場合の費用」をお聞きしたところ、「相談者の購入プランを見て無理があるかどうかの判断であれば8000円~20000円(相談時間の長さによる)、シミュレーション込みの2時間相談コースの場合は2万1000円~2万5000円」だそうです。■賃貸と購入でこれだけ変わる将来の貯蓄残高脅すような話ばかりが続いて、家を買う気持ちがなえてしまったかもしれません。最後に、平均的な家庭の貯蓄残高をグラフにしたものをご紹介しましょう。竹下さんは、「一生涯の家賃を支払い続けるのが大変と、退職前の完済を目指して住宅購入に踏み切った人も多く見かけます」とおっしゃっていました。実際のところは、どうなのでしょうか? 竹下さんに試算していただきました。●一生賃貸の場合子ども二人を大学生まで通わせる」という条件の場合、お金の「谷」が2回できます。Aは、教育費がピークの時期です。Bは、85歳以降です。 結論:85歳をすぎると切り崩す貯蓄がなくなり赤字に転落します。●35歳で家を買った場合Aの教育費がピークの時期は「谷」になりますが、住宅ローン完済後の貯蓄残高減はゆるやかで85歳以降も赤字にはなりません。結論:70歳で住宅ローンを完済した後は貯蓄を切り崩すペースがゆるやかに【前提条件】 家族:男性30歳・妻30歳子0歳&2歳。/収入:夫(会社員。年収500万円)、妻(パート。年収100万円)/子どもの進路:幼稚園は私立。小・中・高は公立。大学は第1子は私立文系、第2子は私立理系(6年)。/退職金:65歳1500万円。住まい:35歳で3000万円の住宅ローンを組んで3200万円の物件を購入。完済時期は70歳。金利1%。住宅の維持費は年間30万円。/75歳で1500万円のリフォーム(じゅうたくメンテナンス費用)を拠出。「人生100年」という言葉が頻繁に使われ出したのは、ここ3年くらいの話です(ちなみに以前はライフプランニングは人生85年で試算していました)。30代にとって、「老後」なんて、はるか遠くの話すぎますね…。けれども、遠い遠い将来、「あの時、住宅購入を検討してみて良かったな」と、思うことがあるかもしれません。■今回のお話を伺った竹下さくら先生のご著書 『書けばわかる! わが家にピッタリな住宅の選び方・買い方』 (竹下さくら著/翔泳社 本体1,500円(税抜き))竹下さくらさんCFP®(国際ライセンス)。1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。自らの生活者としての経験を踏まえた、家計の見直しや、教育資金設計のご相談のほか、講演、執筆活動等を行っている。2児の母。
2019年08月27日生命保険は、人の生死や病気、介護、収入減少の補填、老後資金や教育資金の準備、相続税の納税準備資金などのように様々な目的(意義)を持って加入するものです。そのため、これらの目的によって加入するべき生命保険は異なるほか、実際に、保険会社で販売されている種類も豊富になっています。そこで本記事では、生命保険の基本知識として、生命保険の種類や加入目的をはじめ、加入前のポイントについてわかりやすく解説します。保険会社で販売されている生命保険の主な種類保険会社は、生命保険会社と損害保険会社に大きく分けられますが、ここでは、保険会社や生命保険の良し悪しを問わず、実際に販売されている生命保険の主な種類を紹介しておきます。終身保険定期保険収入保障保険養老保険団体信用生命保険医療保険がん保険介護保険就業不能保険学資保険(こども保険)個人年金保険など上記の主な生命保険は、将来における人の生死や病気、介護、収入減少の補填、老後資金や教育資金の準備、相続税の納税準備資金など、ご自身が抱えている不安(リスク)やニーズによって加入するべき生命保険が異なることになります。生命保険を厳密に区分すると大きく4種類に分けられる生命保険の主な種類について紹介しましたが、これらの生命保険は、厳密に区分すると死亡保険、生存保険、生死混合保険、第三分野の保険という4種類に大きく分けられます。なお、これら4種類の違いやポイントは、次項の通りです。4種類の生命保険と違いの一覧表本記事の冒頭で、生命保険は、人の生死や病気、介護、収入減少の補填、老後資金や教育資金の準備、相続税の納税準備資金などのように様々な目的(意義)を持って加入するものであることをお伝えしました。上記一覧表のポイントを確認しますと、ご自身が抱えている不安(リスク)やニーズによって加入するべき生命保険が異なる理由についてご理解いただけるものと思います。死亡保険の特徴死亡保険にあてはまる主な生命保険の種類には、終身保険、定期保険、収入保障保険、団体信用生命保険(団信)などがあることを紹介しましたが、ここでは、それぞれの生命保険におけるメリットやデメリットを中心とした特徴を紹介します。終身保険とは終身保険は、保険の対象となる方(被保険者)が死亡した場合や高度障害となった場合に保険金が支払われる生命保険のことを言い、終身保険に加入するメリットとデメリットは以下の通りです。支払保険料が変わらず保障が一生涯続く払込期間が終了した後の解約返戻金が多くなる学資保険の代わりとして活用することができる老後資金の準備として活用することができる相続税の対策として活用することができる保険料が高い早期の解約で元本割れする終身保険は、保険料が高い代わりに、資産(相続財産)として確実に残せる強みがあります。定期保険とは定期保険は、終身保険のように、保険の対象となる方(被保険者)が死亡した場合や高度障害となった場合に保険金が支払われる生命保険です。ただし、終身保険との大きな違いは、死亡保障が一定期間に限られており、保険料が安いことが主な特徴としてあげられます。なお、定期保険に加入する主なメリットとデメリットは以下の通りです。保険料が格段に割安である少ない保険料で大きな死亡保障を一定期間得られる中途解約での返戻金や満期金は無い満期(保障が切れるタイミング)がある保険期間が長いほど保険料は高くなる定期保険は、少ない保険料で大きな死亡保障を一定期間得られるため、先に紹介した終身保険と定期保険(定期特約含む)を組み合わせて、大きな死亡保障を一時的に確保しているパターン(以下のようなイメージ)も多く見られます。収入保障保険とは収入保障保険は、終身保険や定期保険と同じように、保険の対象となる方(被保険者)が死亡した場合や高度障害となった場合に保険金が支払われる生命保険ですが、保険金が年数の経過と共に少しずつ逓減していく特徴があります。収入保障保険は、定期保険と同じように死亡保障が一定期間に限られており、少ない保険料で大きな死亡保障を得られるため、子育て世帯を中心に、終身保険と収入保障保険を組み合わせて、大きな死亡保障を一時的に確保しているパターンも多く見られます。なお、収入保障保険に加入する主なメリットとデメリットは以下の通りです。保険料が格段に割安である少ない保険料で大きな死亡保障を一定期間得られる保険金は、一括でも分割でも受け取れるため、その時々にあった方法を選択できる中途解約での返戻金や満期金は無い満期(保障が切れるタイミング)がある[adsense_middle]団体信用生命保険(団信)とは団体信用生命保険(団信)は、民間金融機関から住宅ローンの融資を受ける際に加入しなければならない生命保険で、住宅ローンの債務者が死亡や高度障害になった場合に、既存の住宅ローンと相殺するための生命保険です。一般に、団体信用生命保険(団信)は、健康状態が良好な人でなければ加入できませんが、持病を持っている方を対象にしたワイド団信(引受基準緩和型)もあり、基本的に住宅ローンを借入する人を対象にした生命保険となります。生存保険の特徴生存保険にあてはまる主な生命保険の種類には、学資保険(こども保険)、個人年金保険があることを紹介しましたが、基本的に、いずれの生命保険も満期まで継続して加入し続けることによって、これまで払込した保険料よりも保険金が多く返礼される特徴があります。このような特徴があることから、学資保険(こども保険)や個人年金保険は貯蓄性の高い生命保険と言われますが、契約加入前に特に注意が必要な点を紹介しておきます。学資保険の注意点学資保険は、子供の教育資金を準備するために活用される生命保険ですが、保険会社によっては、これまで払込した保険料よりも保険金が多く返礼されない商品があります。また、学資保険に子供の医療特約を付加した場合、結果として、これまで払込した保険料よりも保険金が多く返礼されることはありません。このように、時として教育資金を貯める目的から外れる場合があるため、保険会社(商品)選びと契約内容には細心の注意が必要です。学資保険の場合、生命保険料控除による節税効果は薄い可能性が高い学資保険は、子供の教育資金準備のために加入する生命保険ですが、一般的に、まずは両親の死亡保障をしっかりと確保した後に、学資保険に加入している傾向が極めて高くなっています。この時、両親の死亡保障を確保するために加入した死亡保険は、学資保険と同様に生命保険料控除の適用対象となるものの、控除される種類の区分が同じであるため、そのほとんどで、生命保険料控除による節税効果が得られにくいのが現状です。個人年金保険の注意点個人年金保険は、将来の老後資金を準備するために活用される生命保険ですが、個人年金保険を契約加入する前に、その内容が税制適格要件を満たした個人年金保険の契約であるかどうかを確認しておく必要があります。個人年金保険に加入する強みの1つとして、生命保険料控除の個人年金用が適用できることが挙げられ、この控除を適用するには、税制適格要件を満たした個人年金保険の契約を締結していなければなりません。税制適格要件を満たした個人年金保険の契約とは税制適格要件を満たした個人年金保険の契約要件は、以下、3つの条件をすべて満たしている保険契約となります。個人年金保険の保険金受取人は、保険契約者(本人)または、配偶者となっている契約個人年金保険の保険料支払期間が10年以上の契約個人年金保険の保険金支払いは、保険金受取人の年齢が60歳になってから支払われるもので、かつ、10年以上に渡って支払われる契約生命保険料控除には、一般用、介護医療用、個人年金用といった3つの生命保険料控除があるのですが、上記3つの条件を満たしていなければ、個人年金保険に加入する最大のメリットである個人年金用の控除を適用することができない点に注意が必要です。生死混合保険(養老保険)の特徴生死混合保険(養老保険)の特徴は、生命保険の被保険者(保険の対象となる人)が生存していたとしても死亡したとしても保険金が支払われるところにあります。つまり、保険を解約しない限り保険金が受け取れることになりますが、たとえば、加入している養老保険が満期を迎えて満期保険金を受け取ったとしても、生存保険のように、これまで支払ってきた保険料に比べて保険金が多くなることはありません。[adsense_middle]養老保険の注意点養老保険は、生存保険のように、これまで支払ってきた保険料に比べて保険金が多くなることはないため、ロスが発生するデメリットがあるほか、満期を迎えた後は、死亡保障が消滅することになります。たとえば、法人が節税対策や事業承継対策として養老保険を活用するのと、個人が養老保険に加入するのでは、加入の意味合いが全く異なるため、特に注意が必要と言えるでしょう。第三分野の保険の特徴第三分野の保険は、生命保険の被保険者(保険の対象となる人)が病気、けが、がん、介護、就業不能の状態になった場合で、保険金の支払要件を満たしている場合に保険金が支払われます。特に、医療保険やがん保険は、第三分野の保険の中でも多くの方のニーズが高い生命保険だと思われますが、次項で解説するように、生命保険によっておすすめの保険会社(保険商品)は異なります。生命保険によっておすすめの保険会社(保険商品)は異なる生命保険の種類や特徴についてポイントを解説しましたが、それぞれの生命保険によっておすすめの保険会社(保険商品)は異なります。たとえば、同じ終身保険、同じ医療保険、同じがん保険でも、保険会社によって保険料や保障内容が細かく異なるため、まずは生命保険の特徴を知った上で、必要な保険を探し、その保険を保険会社(保険商品)ごとに比較検討することが大切になります。公的保険・公的年金制度の保障と生命保険に加入する意味を確認私たちが加入している健康保険や国民健康保険といった公的保険や国民年金・厚生年金保険といった各種年金制度には、死亡や障害をはじめとした生活保障の役割があります。そのため、これらの保障の内、ご自身や家族はどのような保障を受けられるのか知った上で生命保険に加入することができれば、無駄な保険料を支払わずに効果的、かつ、効率的な生命保険に加入することが可能です。社会保障で足りない部分を生命保険で補う意味合いを知ることがとても大切なのです。生命保険の種類に関するまとめ生命保険は大きく4種類に分けられ、加入目的や将来の不安が明確になっていれば、自ずと必要な生命保険は決まります。ただし、生命保険に加入する以前に、公的保険や公的年金制度における保障を知り、その保障される中で足りない分を生命保険で補填する考え方がとても大切です。実際、家計が保険貧乏になるきっかけの1つに、多くの不安を多くの生命保険に加入することで補っているケースが挙げられ、特に高い保険料を継続的に支払って保障の質が悪い、といった最悪な事態だけは絶対に避けるようにしておきたいものです。
2019年08月02日マンションの購入を検討するとき、最初にしなくてはならないのが資金計画です。しかし、実際に何から手を付ければよいのか、分からない人が多いようです。借入可能額、月々の返済可能額、物件価格以外にかかる諸費用、税金など、資金計画といっても様々。あらゆる角度から検討して資金計画を立てておかなないと、あとあと家計が苦しくなってしまいます。どんなことに注意すればよいか、ポイントをお教えします。■ 1. 資金計画を立てるときのポイントは?PIXTOKYO / PIXTA(ピクスタ)資金計画を建てる際の着眼点を紹介します。1-1おおよその融資可能額を知る銀行に住宅ローン融資の相談をすることが、資金計画を立てる第一歩です。借り入れする人の勤続年数が短い、年収が低い、他からの借入がある場合などは、希望金額の借り入れができない場合があるので、住宅ローンの事前審査で確認しておきましょう。1-2月の返済可能額を確認する融資可能額よりも大切なのは、返済可能額だといえます。返済額は年収の25%以内に抑えるのが良いと言われています。年収500万円なら104,000円/月となります。分譲マンションならではの必要経費として、共有部分の管理費があります。共有部分の管理費は、共用部分の清掃や、設備の管理するための費用です。管理会社に委託する場合、これは委託会社への報酬になります。また、マンションの定期的な修繕費用として、毎月、修繕積立金を支払う必要があります。管理費と修繕積立金を合わせて3万円だとしたら月の返済額は104,000円-30,000円=70,400円が月の返済可能額となります。1-3返済額、金利タイプ、返済期間、住宅資金を組み合わせてみる借り入れ可能額、返済額の見込みが立ったら、次に金利タイプを決めましょう。変動金利、固定金利から自分に合ったものを選びます。当初の金利だけで選ぶと将来の返済額が増えてしまい、家計が苦しくなる可能性も考えられますのでよく考えましょう。次に、ローン完済時の年齢を考えて返済期間を決定します。プラナ / PIXTA(ピクスタ)家の購入時に支払う現金については、生活費は手元に残して、無理のない金額を算出しましょう。返済期間は「定年の年齢-現在の年齢」が理想的な返済期間です。定年後もずっと支払いがつづくと家計が苦しくなるので、長い期間支払い続けることがないように設定しましょう。■ 2.マンション購入でよくある失敗例資金計画より先に物件探しを始めると高い確率で予算以上の物件を購入してしまいます。ここでは代表的な失敗例を紹介します。2-1予算をオーバーした物件を購入してしまうnorinori303 / PIXTA(ピクスタ)よくあるのが、複数の物件を見学しているうちに、グレードの高いものに目移りし、高額の物件を購入してしまうケースです。住宅を購入する際は「10万円オーバーくらいならいいだろう」と金銭感覚がマヒしてしまい、購入費用がかさみがちです。2-2諸費用を計算に入れていなかった不動産会社へ支払う仲介手数料などの諸費用や、入居後に払い続けるマンション管理費や修繕積立金のことを忘れてしまったりする人は少なくありません。あとになってお金が足りなくなり、慌てる人は意外に多いようです。現在考えている融資額では足りなくなってしまう、月々の返済が増えて家系が苦しくなるなど、自分の首を絞めることになりかねませんので、しっかりと確認しましょう。予算以上の物件を見学に行くことは避けられ、時間の節約にもなります。何より購入後の生活も安定するので、資金計画は大事と言えます。■ 3.まとめ自分たちの資金計画を多角的に「見える化」することがマンションを購入する際には大切になり、「見える化」することで無理のない物件選びを行うことができるようになります。場合によっては中古物件のほうが選択肢が広がり、満足度が高いこともあります。まずは自分たちの予算を知ることがマンション購入の第一歩だと思ってください。
2019年08月01日「『老後資金を2,000万円貯めるなんてムリ!』と思っている人がほとんどですが、そんなことはありません。40代以降から始めても遅くはありません」そう話すのは、『お金のウソ親の常識は、これからの非常識!』(ダイヤモンド社)など、投資に関する著書を多数出版し“積み立て王子”の異名をとるセゾン投信社長の中野晴啓さん。中野さんは、“年金2,000万円不足問題”で話題を集めた金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」の委員のひとりでもある。「しかし、いまからコツコツ貯金をしていても、0.01%という低金利では、一向にお金は増えません。そこで、私がおすすめするのが、『つみたてNISA』を利用した、長期の積立投資です」(中野さん・以下同)つみたてNISAとは、’18年からスタートした金融庁お墨付きの投資制度。さまざまな資産に大勢の投資家から少しずつ資金を集めて分散投資する、投資信託164本が投資対象になっている(7月22日現在)。そのなかから商品を選び、扱っている金融機関につみたてNISA口座を開き、定期的に資産を積み立てていく。口座は1カ所にしか開くことはできないが、複数の商品を購入することは可能。つみたてNISAの最大のメリットは、得た利益に対し、最長で20年間は、通常かかる約20%の税金が、非課税になるという点だ(非課税投資枠は年40万円が上限)。「通常は、10万円利益が出たら、2万円を税金として払わなければなりませんが、つみたてNISAなら支払わなくていい。フルに非課税投資枠を利用すれば、45歳から65歳までの20年で、約1,000万円増やすことも可能です」しかし、「万が一、損をしたら」と思うと、一歩を踏み出せない人も多いはず。そこで、積み立て王子の中野さんに、超初心者でも、安全に老後資金を増やすコツと、つみたてNISAからおすすめの投資商品を教えてもらった。「債券や株など、資産を分散し、国内外の市場にバランスよく投資する必要があります。そうすると、ひとつが値下がりしてもほかでカバーでき、損失が少なくてすむのです」そして、さらに重要なのが、“長期”で投資すること。「世界経済は、毎年少しずつ、成長しています。ですから、短い期間で見れば、値下がりして損をしたように思えても、長期間、分散投資を続けていれば、元本割れする可能性は、きわめて低くなります。金融庁作成の資料でも、保有期間が5年であれば元本割れするケースもありますが、保有期間が20年になると、元本割れはゼロ。長期になればなるほど元本割れのリスクが少なくなります。じつは90%近くの投資家が平均2~6%の年率でお金を増やしているんです。少なくとも15年。できるだけ20年以上は続けてもらいたいですね」さらに、毎月決まった額だけ積立投資をする設定にしておくことで、「株価が値下がりしたときに、おそろしくなって売却してしまう」というリスクを回避できる。「また、月々で一定額を積み立てると、株価が安いときには購入できる口数が多くなり、高いときには少なくなります。すると、長期的に見た場合、株価が上がれば、トータルで同じ金額を投資していても、一気に購入するより、積み立てのほうが多くの口数を保有できます。そのぶん利益も大きくなるんです」このような、「分散・長期・積み立て」という3つの原則に当てはまっているつみたてNISAを利用すれば、元本割れのリスクを極力少なくでき、45歳からでも、年金だけでは足りない老後の資金を作ることができる。つみたてNISAの場合、非課税投資枠を月々に換算すると、3万3,000円だ。「45歳から、利回り7%で毎月3万3,000円ずつ積立した場合、65歳までの20年間で、約1,700万円になります。元本は約792万円ですから、普通に貯金しているより約1,000万円も、お金が増える計算です」金融広報中央委員会が’18年に調査した結果では、60代の平均預貯金額が987万円(金融資産を保有していない世帯も含む)。この預貯金と合わせると、65歳までに、合計約2,700万円の老後資金を作ることも夢ではない。「つみたてNISAの投資期間は、’18~’37年までの20年間という期限付きですが、今後は期限が撤廃されるよう、税制改正の要望を続けています。途中で必要な額をいつでも取り崩すこともできますし、元気で働ける間は、70歳や80歳になってもできる範囲で投資を続けることが可能なのです」始める前にもうひとつ注意すべきことがあると、中野さんが警鐘を鳴らす。「いきなり金融機関の窓口に行って『どんな商品を買ったらいいでしょうか』なんて相談しないでください。窓口で相談すると、運用手数料が高かったり、売れ行きの芳しくない商品を勧められることもありえます。窓口に行って購入するにしても、まずは、自分で商品を決めてからにしましょう」つみたてNISAを選ぶときの選択基準は次のとおり。(1)国際分散投資:投資先を世界に分散。集中させないことでリスクを回避し、世界経済の成長に乗る(2)日本株の比率は3分の1以下:1の理由と同じ(3)日本株が入っているもの:投資先を集中させないことと同じ意味で、ある程度は分散する必要がある(4)為替ヘッジはなし:為替リスクの回避をしていないもの。長期で国際分散投資をしているので為替リスクが少ないと考えられる(5)純資産総額が50億円以上のもの:投資運用会社の都合で運用が中止になることがある。純資産総額が50億円以上あればそのリスクが少ないと考えられる(6)ターゲットイヤーファンドは外す:高齢になったらリスクが少ない投資先に変更するターゲットイヤーファンドは、長期投資、高齢化社会にはいらないでは、実際に、どんな商品を選べばいいのか。積み立て王子中野さんが厳選する7本を紹介(データは’19年1月16日現在のもの。内容作成は編集部による)。■セゾン投信「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」純資産残高:1,615億8,000万円/運用管理費用:0.6±0.02%/信託財産留保額:0.1%/設定日:’17年3月15日純資産高もグンを抜いて高く、このファンド1本で世界中に投資できる。株式と債券の比率は50%ずつ。株式100%のファンドに比べて値動きは比較的穏やか。購入先はセゾン投資の直販か、ゆうちょダイレクトほか。■セゾン投信「セゾン資産形成の達人ファンド」純資産残高:638億8,000万円/運用管理費用:1.35±0.2%/信託財産留保額:0.1%/設定日:’17年3月15日市場平均を上回る結果を目指す積極的な運用を行う。日本では数少ない本格的な国際分散型アクティブファンドで、投資関連の賞で何度も表彰されている。購入先はセゾン信託の直販か、ゆうちょダイレクトほか。■三井住友トラスト・アセットマネジメント「世界経済インデックスファンド」純資産残高:576億7,000万円/運用管理費用:0.54%/信託財産留保額:0.1%/設定日:’09年1月16日世界経済の成長をとらえることを目的に6本のインデックスファンドで構成。ただし、新興国市場の投資比率がほかより高めに設定されているので、変動幅が高めになる可能性も。購入先はSBI証券、楽天証券ほか。■野村アセットマネジメント「のむラップ・ファンド」(積極型)純資産残高:244億9,000万円/運用管理費用:1.4904%/信託財産留保額:0.3%/設定日:’10年3月15日リスクの低い「保守型」、リスクが中くらいの「やや保守型」、リスクは高めだが大きなリターンも期待できる「積極型」などのファンドの1つ。信託報酬はインデックスファンドより高め。購入先はSBI証券、楽天証券ほか。■三菱UFJ国際投信「eMAXIS Slimバランス」(8資産均等型)純資産残高:196億2,000万円/運用管理費用:0.17172%/信託財産留保額:なし/設定日:’17年9月29日低コストが魅力のインデックスファンド、長期投資に適している。国内外の株や債券、不動産に投資する“REIT”も含まれ、8資産すべてが12.5%ずつの投資を基本としている。購入先はSBI証券、楽天証券など。■楽天投信投資顧問「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」純資産残高:161億9,000万円/運用管理費用:0.2296%/信託財産留保額:なし/設定日:’17年9月29日米国や欧州、日本などの先進国、中国やインドなど新興国の株式も含めると、計800銘柄以上の世界中の株式に分散投資している。債券が入っていないため、やや値動きが大きくなる傾向に。購入先はSBI証券、楽天証券ほか。■大和投資信託「iFree8資産バランス」純資産残高:111億1,000万円/運用管理費用:0.2376%/信託財産留保額:なし/設定日:’16年9月8日国内外の株式、債券、不動産投信など均等に投資されるのでコストも安いインデックスファンド。純資産総額も100億円程度だが、長期投資に耐えられるとみられる。購入先はSBI証券、楽天証券ほか。「『つみたてNISAを選ぶときの選択基準』に沿って選んだものです。ポイントは、国内外の株式や債券などがバランスよく組み込まれているか。“純資産残高”が50億円以上あるかなどです」なかでも重要なのは、投資の規模を表す“純資産残高”だ。「純資産残高が少ないと、途中で運用を中止されてしまうこともありえます。そうなると、長期でお金を増やせません」投資信託の商品をこうした条件でふるいにかけると7~8本しか残らないという。「自社商品が2本入っているので宣伝だと思われそうですが、理想的な商品がなかったので、自社で作ったという経緯があります」最後に、中野さんは、お金を増やすほっとも大切なコツを、こう語った。「手続きなどを面倒くさがらないで、一日も早く始めること。それこそが、確実に資産形成する秘訣です」
2019年08月01日「『老後資金を2,000万円貯めるなんてムリ!』と思っている人がほとんどですが、そんなことはありません。40代以降から始めても遅くはありません」そう話すのは、『お金のウソ親の常識は、これからの非常識!』(ダイヤモンド社)など、投資に関する著書を多数出版し“積み立て王子”の異名をとるセゾン投信社長の中野晴啓さん。中野さんは、“年金2,000万円不足問題”で話題を集めた金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」の委員のひとりでもある。「しかし、いまからコツコツ貯金をしていても、0.01%という低金利では、一向にお金は増えません。そこで、私がおすすめするのが、『つみたてNISA』を利用した、長期の積立投資です」(中野さん・以下同)つみたてNISAとは、’18年からスタートした金融庁お墨付きの投資制度。さまざまな資産に大勢の投資家から少しずつ資金を集めて分散投資する、投資信託164本が投資対象になっている(7月22日現在)。そのなかから商品を選び、扱っている金融機関につみたてNISA口座を開き、定期的に資産を積み立てていく。口座は1カ所にしか開くことはできないが、複数の商品を購入することは可能。つみたてNISAの最大のメリットは、得た利益に対し、最長で20年間は、通常かかる約20%の税金が、非課税になるという点だ(非課税投資枠は年40万円が上限)。「通常は、10万円利益が出たら、2万円を税金として払わなければなりませんが、つみたてNISAなら支払わなくていい。フルに非課税投資枠を利用すれば、45歳から65歳までの20年で、約1,000万円増やすことも可能です」■20年で1,000万円増やす積み立てシミュレーション(つみたてNISAで毎月3万3,000円ずつ積み立てした場合)【利回り:0%(元金)】投資期間15年の最終積み立て金額:594万円/投資期間20年の最終積み立て金額:792万円【利回り:4%】投資期間15年の最終積み立て金額:812万986円/投資期間20年の最終積み立て金額:1,210万3563円【利回り:5%】投資期間15年の最終積み立て金額:882万535円/投資期間20年の最終積み立て金額:1,356万4,111円【利回り:6%】投資期間15年の最終積み立て金額:959万7,018円/投資期間20年の最終積み立て金額:1,524万7,350円【利回り:7%】投資期間15年の最終積み立て金額:1,045万9,756円/投資期間20年の最終積み立て金額:1,719万580円しかし、「万が一、損をしたら」と思うと、一歩を踏み出せない人も多いはず。そこで、積み立て王子の中野さんに、超初心者でも、安全に老後資金を増やすコツを教えてもらった。「投資で着実にお金を増やすコツは、(1)分散、(2)長期、(3)積み立て、という3つの原則を守ることです。つみたてNISAは、この3原則に基づいて作られています」中野さんは、投資=損をしそうだと思う人が多いのは、企業の株を買う株式投資をイメージする人が多いからだと分析している。「そう思うのも一理あって、たしかにひとつの企業の株だけに投資していたら、大損する可能性もあります。僕みたいなプロの投資家でも、相場を読むことは難しくて、どの株が上がるかを事前に判断できないからです」株価は、売りたい人が多いと下がり、買いたい人が多いと上がる。人の感情に加えてさまざまな要因に左右されるものなので必ずしも教科書どおりに動くとは限らない。「自分が応援している会社に寄付をするつもりで、その会社の株を持つならかまいません。でも、老後のお金を確実に増やしたいときに、ひとつの企業の株だけに投資するのはギャンブルと同じ」そうならないためには、投資先を分散することがもっとも重要だ。「債券や株など、資産を分散し、国内外の市場にバランスよく投資する必要があります。そうすると、ひとつが値下がりしてもほかでカバーでき、損失が少なくてすむのです」そして、さらに重要なのが、“長期”で投資することだ。「世界経済は、毎年少しずつ、成長しています。ですから、短い期間で見れば、値下がりして損をしたように思えても、長期間、分散投資を続けていれば、元本割れする可能性は、きわめて低くなります。金融庁作成の資料でも、保有期間が5年であれば元本割れするケースもありますが、保有期間が20年になると、元本割れはゼロ。長期になればなるほど元本割れのリスクが少なくなります。じつは90%近くの投資家が平均2~6%の年率でお金を増やしているんです。少なくとも15年。できるだけ20年以上は続けてもらいたいですね」さらに、毎月決まった額だけ積立投資をする設定にしておくことで、「株価が値下がりしたときに、おそろしくなって売却してしまう」というリスクを回避できる。「また、月々で一定額を積み立てると、株価が安いときには購入できる口数が多くなり、高いときには少なくなります。すると、長期的に見た場合、株価が上がれば、トータルで同じ金額を投資していても、一気に購入するより、積み立てのほうが多くの口数を保有できます。そのぶん利益も大きくなるんです」このような、「分散・長期・積み立て」という3つの原則に当てはまっているつみたてNISAを利用すれば、元本割れのリスクを極力少なくでき、45歳からでも、年金だけでは足りない老後の資金を作ることができる。つみたてNISAの場合、非課税投資枠を月々に換算すると、3万3,000円だ。「45歳から、利回り7%で毎月3万3,000円ずつ積立した場合、65歳までの20年間で、約1,700万円になります。元本は約792万円ですから、普通に貯金しているより約1,000万円も、お金が増える計算です」
2019年08月01日「『老後資金を2,000万円貯めるなんてムリ!』と思っている人がほとんどですが、そんなことはありません。40代以降から始めても遅くはありません」そう話すのは、『お金のウソ親の常識は、これからの非常識!』(ダイヤモンド社)など、投資に関する著書を多数出版し“積み立て王子”の異名をとるセゾン投信社長の中野晴啓さん。中野さんは、“年金2,000万円不足問題”で話題を集めた金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」の委員のひとりでもある。「人生100年時代ともなれば、年金だけで老後の資金がまかなえなくなることくらい、みなさんよくご存じです。とくに、年金受給額が少ない方は、2,000万円以上が必要になります」(中野さん・以下同)金融庁の報告書で試算されていたのは、厚生年金の加入者で、月に約19万円の年金が支給される無職の高齢夫婦がモデル。つまり、それより受給額が少なかったり、国民年金のみの加入者の場合は、より多く老後資金が必要になる。「しかし、いまからコツコツ貯金をしていても、0.01%という低金利では、一向にお金は増えません。そこで、私がおすすめするのが、『つみたてNISA』を利用した、長期の積立投資です」つみたてNISAとは、’18年からスタートした金融庁お墨付きの投資制度。さまざまな資産に大勢の投資家から少しずつ資金を集めて分散投資する、投資信託164本が投資対象になっている(7月22日現在)。そのなかから商品を選び、扱っている金融機関につみたてNISA口座を開き、定期的に資産を積み立てていく。口座は1カ所にしか開くことはできないが、複数の商品を購入することは可能。つみたてNISAの最大のメリットは、得た利益に対し、最長で20年間は、通常かかる約20%の税金が、非課税になるという点だ(非課税投資枠は年40万円が上限)。「通常は、10万円利益が出たら、2万円を税金として払わなければなりませんが、つみたてNISAなら支払わなくていい。フルに非課税投資枠を利用すれば、45歳から65歳までの20年で、約1,000万円増やすことも可能です」
2019年08月01日「老後2,000万円不足問題」で一躍クローズアップされた年金・給付金。制度は複雑だが、実は思わぬ「裏ワザ」が!そんな「裏ワザ」を経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれた。「老後2,000万円不足問題」から、年金への注目度が上がっています。ですが、毎年誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」の改訂は、大きく報じられていません。年金の受け取りは原則65歳からですが、60~70歳の好きな時期から受給できます。ただ、受給を65歳より早く「繰り上げ」ると0.5%×早めた月数分年金が減額され、65歳より遅く「繰り下げ」ると0.7%×遅らせた月数分増額されます。改訂版ねんきん定期便には、70歳まで繰り下げると受給額が増えることを図で解説。いっぽうで、繰り上げの図はありません。政府は繰り下げのお得感を強調し、当面の支給額を減らせる繰り下げに誘導したいのでしょうか。ですが、繰り下げが必ずしも得だとは言えません。年金を賢くもらう裏ワザを紹介します。■加給年金「加給年金」とは、厚生年金に20年以上加入した人が、65歳で年金を受給する際、年下の妻や18歳未満の子どもがいたら受け取れるもの。いわば、年金の「家族手当」です。妻の年収が850万円未満などの条件を満たすと、妻が65歳になって自分の年金を受け取るまで、夫の年金に加給年金がつきます。妻への加給年金は、年22万4,500円。特別加算と合わせると、年39万100円になり、月額では約3万2,500円受け取れます(夫が’43年4月2日以降生まれの場合)。ただし、夫がすべての年金を繰り下げてしまうと、加給年金は受け取れません。妻が5歳年下なら、年約39万円×5年=約195万円もの加給年金が一切受け取れない、残念な結果になってしまいます。【裏ワザ】年金を分ける厚生年金は、老齢基礎年金と老齢厚生年金の2階建て、2つの年金は分けて受給でき、加給年金は老齢厚生年金に付随する制度です。年金すべてを繰り下げると加給年金はもらえませんが、年金を分け、老齢厚生年金を65歳から受給すれば、加給年金ももらえます。そのうえで老齢基礎年金だけを繰り下げれば、年金額を増やすこともできます。
2019年07月26日「老後2,000万円不足問題」で一躍クローズアップされた年金・給付金。制度は複雑だが、実は思わぬ「裏ワザ」が!そんな「裏ワザ」を経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれた。「老後2,000万円不足問題」から、年金への注目度が上がっています。ですが、毎年誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」の改訂は、大きく報じられていません。年金の受け取りは原則65歳からですが、60~70歳の好きな時期から受給できます。ただ、受給を65歳より早く「繰り上げ」ると0.5%×早めた月数分年金が減額され、65歳より遅く「繰り下げ」ると0.7%×遅らせた月数分増額されます。改訂版ねんきん定期便には、70歳まで繰り下げると受給額が増えることを図で解説。いっぽうで、繰り上げの図はありません。政府は繰り下げのお得感を強調し、当面の支給額を減らせる繰り下げに誘導したいのでしょうか。ですが、繰り下げが必ずしも得だとは言えません。年金を賢くもらう裏ワザを紹介します。■65歳以前にもらえる年金60~64歳で受け取れる年金があります。「特別支給の老齢厚生年金」といい、対象は男性なら’61年4月1日までに生まれた方、女性は’66年4月1日までに生まれた方です(年金加入等の条件あり)。受給額は、現役時代の給料と加入月数によります。ただ、年金の繰り上げと混同しがち。働いていても受給できるので、手続き漏れのないように注意しましょう。ところが、60歳以降にたくさん稼ぐと、こうした年金の一部が「在職老齢年金制度」によってカットされることがあります。60~64歳までの年金カットは、年金と給料の合計が月28万円を超えるかどうかで決まります。合計額が28万円超~47万円以下の場合、(年金と給料の合計-28万円)×2分の1がカットされます。たとえば、60歳まで月給が40万円だったAさん。60歳以降は月給が30万円になりましたが、特別支給の厚生年金が10万円あるため、収入は減らないと喜んでいました。ですが、給料と年金の合計40万円は規定の28万円を超えるため、年金カットの対象です。減額分は、合計40万円から28万円を引いた12万円の2分の1で6万円。年金は10万円-6万円=4万円となり、給料30万円と合わせると、収入は34万円になりました。【裏ワザ】パート社員になる年金がカットになる在職老齢年金制度は、厚生年金に加入しながら年金を受け取る方が対象です。つまり、厚生年金に加入しなければ、年金はカットされません。とはいえ、60歳を超えても現役世代並みに働けば、厚生年金加入は義務です。加入をやめるには働く時間を、厚生年金の加入要件である正社員の4分の3未満に減らせばよいのです。Aさんの場合、勤務時間が4分の3未満のパートになれば、フルタイムでの給料30万円も4分の3未満の22万円になるでしょう。厚生年金は非加入になるので、年金はカットされず10万円。給料22万円と合わせると32万円です。先の年金カット後の34万円より収入は減りますが、働く時間も減って生活にゆとりが生まれるでしょう。また、Aさんは次の「高年齢雇用継続給付」も対象となり、収入はさらに増えるのです。■60歳以降は給料が大幅ダウン’13年度以降、希望する方は全員、65歳まで働けるようになりました。とはいえ、いったん定年退職し、嘱託社員として再雇用される方がほとんど。給料は60歳までの5~7割に下がるのが一般的です。【裏ワザ】高年齢雇用継続給付60歳以降の給料がそれまでの4分の3未満に減った場合、「高年齢雇用継続給付」が新給料の最大15%、雇用保険から支給されます。手続きは会社を通じて、ハローワークで行います。先のAさんは、60歳までの給料40万円の55%に当たる22万円に大幅ダウン。新給料22万円の15%、3万3,000円が高年齢雇用継続給付金として支給されます。つまりAさんの収入は、給料22万円と年金10万円に、この3万3,000円を合わせた35万3,000円です。「どんなに裏ワザを駆使しても、月に1万円ほどの違いじゃないか」と思うかもしれません。ですが月々のわずかな差が長い老後に積み重なり、死活問題になることも。だからこそ制度は徹底活用して、もらえるものは1円でも多くもらい、コツコツ貯めることが大切です。私の新刊『荻原博子の貯まる家計』(毎日新聞出版)には、年金以外にも家計改善のコツが満載ですから、参考にしてください。
2019年07月26日こんにちは、婚活FP山本です。金融庁の発表以降、老後資金に関するニュースが本当に増えましたね。それだけ関心のある方が多い表れとも言えますが、専門家として言えば、ちょっと受け取り方が危険なケースも多いように感じます。いくら老後資金が必要か……準備不足になると大事ですから、ぜひ正しい知識を身につけましょう。今回は、いくら老後資金が必要か、また老後を安心して生活するための基本をお伝えします。あなたの人生に、お役立て下さいませ。「定年時には〇円のお金が必要」は無意味?まずは、根本的な老後資金の必要額についてお伝えします。そもそも「いくら老後資金が必要か」は個人差が大きい内容です。たとえ年収が似たような同僚やお隣さんと比べても、その必要額は大きく違ってきます。このため、「自分の場合はいくら必要か」を正確に知ることが大切です。中には、自分には貯められそうにない額を示す内容なら無視し、「貯金ナシでも大丈夫」といった情報ばかりを求める方もいますね。そう思いたいお気持ちは察するところですが、現実逃避をして後悔するのは自分自身です。どう転んでも、相応の貯金が必要になるのは冷静に考えれば分かるかと。ひとまず、「定年時には〇円のお金が必要」は、ファイナンシャル・プランナーなら個別に計算してくれます。必要に応じて専門家の力も借り、まずは自分にとって「正しい情報」を知りましょう。金額は個人次第、むしろ目安は危険!繰り返しですが、老後資金に必要な金額は個人差が大きく、むしろ汎用的な目安で考えるのは危険です。そして、ゼロでも大丈夫な人などまずいませんし、中には一億円の貯金があっても破綻の兆候が見える人もいます。こういった人が「私は貯金〇円越えてるから大丈夫」などと考えていたら……。「自分の場合はいくら老後資金が必要か」を知る事こそが、老後対策での最初の第一歩と言えます。不足したとしても過去には戻れない訳ですから、老後になって人生を後悔するような事が無いよう、早めに知って備え始めましょう。貯金なら2000万円分の蓄えが必要?次に、老後資金の基本的な計算方法をお伝えします。簡単に言えば、老後資金は「年金と日常生活費の差額」×余命年数分という計算が基本です。これに、例えば介護などの非日常生活費の分を加算して計算します。仮に差額が月10万円、余命が30年なら最低3600万円ですね。日常生活にいくら必要かは個人差が大きいですし、余命を何歳まで見積もるかも個人差があります。非日常生活費も、人によってリフォームや旅費、趣味や車など「何が必要か」は様々です。そして何より、「何が起こるか分からない」からこそ、より多めに考えて準備する必要があります。先般の金融庁の「老後は貯金2000万円分の蓄えが必要」は、こうした計算を統計で行った結果です。闇雲に2000万円を意識するよりも、まずは冷静に「自分の場合はいくらか」を計算してみてはいかがでしょうか。2000万円は最低生活費。安心できない!金融庁の老後2000万円とは、非日常生活費の分を考えていない「差額×年数」のみでの計算結果です。しかも計算時の生活費は、随分と割安で考えられたものでした。つまり、この2000万円とは「生活費として最低限必要な貯金額」と言えてしまうものかもしれません。このため仮に2000万円の貯金があっても、いずれ生活が苦しくなる可能性が高いため、とても安心できる貯金額とはいえません。あくまで2000万円は「最初の目標」と考えて、達成したらさらに上回る貯金額を目指して励んでいくことが大切です。[adsense_middle]サラリーマン夫婦で平均4000~5000万円が目安今度は、実際の老後資金の目安についてお伝えします。結論から言えば、サラリーマン夫婦の平均としては「4000~5000万円」が一つの目安です。これも結局個人差が大きく、これだけあっても足りない方も出てくるでしょうが、金融庁の計算よりは現実的といえます。なお、この金額は「それまでに自力で蓄えなければならない貯金額」ではありません。例えば退職金を加えてもいいですし、相続財産を加えてもかまいません。住宅ローンを完済しているなら、以後の住居費分は減らして考えられます。ある程度は柔軟に考えていきましょう。ちなみに、この貯金額を超えている65歳以上の夫婦は、統計では「2割にも満たない」のが実情です。皆、貯められていない訳ですね。「だからこんなに貯めなくても大丈夫」ではありませんが、2000万円の次は、この4000万円を目安にしてみてはいかがでしょうか。退職後も働く、自営業になる人もいるが……貯金不足の場合の対処法として、退職後も働いたり、自営業になったりしようと考える方も多いですが、楽観的に考えるのは危険かもしれません。65歳以上の方の年収は200~300万円程度ですし、独立して自営業になっても95%以上の人が失敗している統計もあります。そもそも、今は人生100年時代ですが、どう転んでも100歳までは働けません。想像以上に働けなくなる時期が早い可能性もありますし、やはりある程度は老後資金として準備したほうが無難でしょうね。「いくら老後資金が必要か」を体験してみようここからは、老後資金への対策についてお伝えします。筆者としては、まず「いくら老後資金が必要かを体験する」のがおすすめです。つまり「予定している年金額で実際に生活してみる」訳ですね。どうにも生活が苦しければ「あといくらあれば生活できるか」が実感でき、それが「いくら老後資金が必要か」に繋がるでしょう。そもそも、「老後資金に〇円必要」と言われても普通ピンときません。ピンとこないなら、仮に足りなくても何が起こるのか分からず、必死に備えようとも思わないでしょう。資金不足は老後破産という貧困に直結しますが、「貧困になった事がない」なら尚更と言えます。ならば実際に体験し、老後資金不足がどれだけ深刻なことかを知ることが第一歩です。ちなみに年金額は、年金機構のサイトなどで調べられます。給料との差額は先に貯金し、残額の範囲で一ヶ月生活してみましょう。「安心」は当然ではない。備えて得よう!あなたは「貧困に陥った自分」を考えられるでしょうか。すでに高齢世帯の4割は老後破産状態とされ、今後も増えていくと予想されています。もはや日本は、一生「安心・安泰が普通」ではありません。現代に安心などなく、備えて改めて手に入れるものと言えます。しかし、そうとは思えず、未だに未来や老後を楽観的に考えている人も多いのが現実です。貧困を体験してもいいですし、破産した人に会いに行くのも、老後破産を動画で見てみるのもアリといえます。何らかの方法で、まずは老後対策の必要性・重要性をしっかり理解しましょう。[adsense_middle]預金以外の資産なら近道の可能性アリ次に、「預金以外の資産を持つ」方法もおすすめです。簡単に言えば「投資」ですね。未経験の方からすれば、どうしてもリスクが怖いところでしょうが、賢く利用すれば確かに老後資金準備に役立つ手段です。まずは「投資の勉強」あたりから始めてみてはいかがでしょうか。ちなみに投資とは、ものにもよりますが10年20年をかけて資産を1.5~2倍にすることを狙うようなイメージです。預金なら丸々4000万円が必要なところ、投資なら2000~3000万円の預金があれば良いことになります。一気に目標達成への近道になりうるのではないでしょうか。ただ、10年20年の時間がない方には不向きかもしれません。そもそも貯金自体が厳しい方にも不向きです。それでも相応の条件を備えた方なら、ぜひ検討してみることをおすすめします。「老後資金が貯まるか否か」で考えよう投資と聞くと、どうしても身構え、避けたくなる人もいますが、避けたいなら避けてもいいんです。ただ、投資を避けることはできますが、老後資金については避けられません。他の老後資金準備方法もありますが、少なくとも「もっとラクで確実な方法」などありません。もちろん「貯められなくても大丈夫」は通じません。どう生きるかはあなたの自由ですが、少なくとも「老後破産だけはイヤ」と考えるなら、投資というリスクを取ってでも備えることをおすすめします。老後対策への主敵は「身近」にいる!?最後は、老後(資金)対策における重要ポイントをお伝えします。結論から言えば「周囲に惑わされることなく実行していく」ことが重要です。きっとあなたも、昨日までは老後対策にピンとこなくて、周囲の方と同じく未来を楽観的に考えていたのではないでしょうか。残念ながら、金融庁の発表以降も多くの方はピンときておらず、強めに考えたのは「すでに老後生活に入っている方」という傾向です。例えるなら老後対策は、周囲が遊んでいる中で一人、勉強に励む学生でしょうか。親、同僚、友人、時には配偶者すら「周囲」かもしれません。大半の身近な存在は、老後対策において障害とさえ言えますし、味方に引き入れるのも困難です。孤独な戦いになるでしょうが、最後には笑えるよう、がんばっていきましょう。破産者を横目に、自分だけは安心生活を!少しダークな発想ですが、人間は「人と比べてこそ」価値を感じます。非正規労働の方が傍にいたら、正社員というだけで優越感に浸れるでしょう。周囲が老後破産に喘ぐ中、あなただけは安心して生活できたら……?特に贅沢しなくても、それだけで強烈な幸福感を得られる毎日でしょうね。老後対策は、目先のラクを求めるものではなく、むしろ未来のために目先は苦労します。しかし、苦労した分だけ最後に報われるのが老後対策です。生涯を安心して暮らすために、少しずつできるところから備え始めましょう。老後資金は「いくらでも」必要!安心を積み上げよう老後資金は「いくらあれば大丈夫か」よりも「いくらでも必要」と考えるべきお金です。いくらあっても絶対大丈夫とは言えませんからね。ただ、備えた分だけ安心できるのは絶対です。多くの人が破産していく中、自分だけは安心して生涯暮らすため、少しずつ準備に励んでいきましょう。
2019年07月17日こんにちは、婚活FP山本です。最近では老後2000万円問題が大きくクローズアップされていますが、以前から「老後破産」が問題視されていたのをご存知でしょうか?老後2000万円問題で少しは身近な問題になりましたが、まだまだ多くの人は「自分には関係ない事」のようです。その考え方こそが、一番危険なのかもしれませんよ。そこで今回は、老後破産の現実や対策についてたっぷりお伝えします。あなたの人生に、お役立て下さいませ。老後破産になる確率は6~8割?まずは老後破産の現実を、統計を通してお伝えします。総務省の2018年「家計調査」によると、65歳以上の世帯(二人以上)の貯金額は以下のとおりです。100万円未満:8.1%500万円未満:16.0%1000万円未満:15.7%2000万円未満:21.7%、↑合計61.5%4000万円未満:22.1%4000万円以上:16.3%今、言われている「老後2000万円」で考えても、およそ6割を超える人が対象になります。また私を含めた大半の専門家は「2000万円では足りない」と計算しており、実際に必要な額は低くても4000万円です。すると、どうやら8割を超える人が対象となりますね。8割ということは「10人中8人」です。どう少なく考えても、「きっと大丈夫」とは言えないのではないでしょうか。「誰もが老後破産になる可能性がある」と考えるのが自然かと。まずは、この実情をしっかり知っておきましょう。「現実感が沸かない人」こそ筆頭候補!そもそも、あなたは老後破産をご存知ですか?何となく知っていても、まさか自分が陥るとは考えてもいないでしょう。先ほどの貯金2000万円未満の人も、大半は同じです。そうして現実感が沸かないから何の対策も取らず、気づいたら老後破産に陥るのが基本になります。相応に対策を取っていても老後破産する人もいますから、無対策なら尚更で、さらに困窮具合もヒドくなるのが自然です。まずは少なくとも「私にも関係あることなんだ」と、自分事として考えていきましょう。定年後の生活は30年以上も続くもの?次に、老後破産になる理由についてお伝えします。そもそも老後破産とは「老後生活の途中で貯金が尽きる事」です。そして、年金などの範囲での生活になる事を指します。また、老後、つまり定年後は年齢的に満足に働けないことも多いため、基本的に貯金は「減る一方」です。年金の範囲で生活できれば良さげに思えますが、残念ながら多くの人にとって年金だけでは足りません。仮に生活は成り立っても、介護を筆頭とした「生活以外の支出」には貯金が必要です。そんな生活が、定年後に30年程度以上も続きます。40年という事もあり、ほぼ現役時代と変わらない期間です。ちなみに年金額は個人差がありますが、夫婦でも年300万円程度になります。月10万円取り崩すだけで年120万円、30年でも3600万円ですね。月20万円なら……。何となく、老後破産になってしまうのも納得できるのではないでしょうか。老後破産の原因は「発想・想像が貧困」だから?あなたは「80歳頃の自分」を想像できますか?残念ながら、ほとんどの人はできません。考えられるのは、せいぜい「定年頃まで」です。考えられないから考えず、「きっと大丈夫」という発想になり、老後破産してから「こんな風になるとは思ってなかった」となります。つまり、老後破産という現実的な貧困は、「当人の発想や想像の貧困」が最たる原因です。自分で考えられない場合は、代わりに考えてくれる専門家に相談したほうが無難かもしれませんね。年金生活や生活保護=地獄のような人生今度は、老後破産の実情についてお伝えします。これについては動画でも見たほうが早いかもしれません。ぜひ、どこかの動画サイトで見てみて下さい。年金生活や生活保護での生活実態がどのようなものなのか……ほとんどの人は「悲惨・地獄」という感想を持つでしょう。食費は一日300円以下、夏でもエアコンが使えず、お金がないから友人とも会えなくなる……。何より、状況が改善される希望がほぼなく、人生が終わるまで苦しみ続けるだけという絶望の日々になります。しかも、年金も生活保護も「減額の一途」というのが現実です。少なくとも、誰もが「こうはなりたくない」と思うでしょうね。最初に触れた通り、「このままなら6~8割の人が」こうなります。おそらく、あなたも十分に対象に入っているのではないでしょうか。貧困の実例を知り、破綻を避けたい心理を持とう!中には、あまりの悲惨さに逆に現実感が持てない人もいます。お気持ちは察するところですが、老後破産は「確かな現実」です。老後破産が分かりにくいなら、ホームレスや非正規労働者など、まだ身近と思える「貧困の実例」を思い浮かべるのもアリでしょうか。知れば知るほど、現実感も持てて老後破産という生活破綻を避けたいと思えるハズです。まずは「明日は我が身」と思えるまで知り抜いて、その上で避けるための対策を考えて動いていきましょう。[adsense_middle]老後破産の基本対策は、やっぱり貯金?ここからは、老後破産への対策やポイントをお伝えします。まず老後対策としては、やはり貯金が基本です。「いくらあれば足りるか」は個人差がありますが、ともかく十分な貯金さえあれば老後破産は「縁遠い存在」といえます。どんなに貯金があっても「無縁」にはなりませんが……。年齢などによっては十分な貯金ができないこともありますが、その時には「定年後の就労対策」がおすすめです。具体的には「健康・経験(実力)・情報収集」でしょうか。死ぬまではムリでも、働けた分だけ必要な貯金額は減ります。気持ちだけでは働けないことも多いので、現実的な対策を取っていきましょう。少し角度を変えて「熟年離婚対策」も大切です。「離婚したら共倒れ」という理屈があるとしても、感情が上回ることも多々あります。結婚しているなら、改めて夫婦仲の改善を図っていきましょう。サラリーマンこそ貯金より投資での対策がおすすめ老後2000万円問題に関係して、方々で「投資での老後対策」が勧められています。そして投資は、実はサラリーマンの方にこそおすすめです。相応に収入が安定していますし、ものによっては節税にもなりますからね。副業が禁止されていても、投資ならできることも多いので尚更です。もっとも、投資はリスクもありますし、勉強が必須となります。また投資は「長期投資」が基本なので、高齢になるほど老後対策には不向きです。しかしそれでも、興味がある人は勉強から始めてみるのもアリかもしれません。老後対策で忘れがちな「親や子供の存在」次は、老後対策で忘れられやすい盲点をお伝えします。結論から言えば、それは「親や子供の存在」です。親の介護に貯金を出した、離職した。子供の教育費が想像以上だった、引きこもりや出戻りで生活費が増した……。それぞれ単体でも十分な社会問題ですが、あなたの老後破産にも繋がる問題です。また、これらの問題は「少し予測しにくい」ことも特徴といえます。親の資産状況など知らない事も多いですし、子供の引きこもりなどを予測できることも稀ですからね。だからこそ当人の老後対策として後回しにしがちな要素ですが、だからといって無視しても良い要素でもありません。当人達にも「自発的な努力」を早期から促す一方で、頼られる可能性も視野に入れておいたほうが無難です。お金の準備は元より「いつまで、いくらまでなら支援可能か」を事前にしっかり見極めておきましょう。貧困や破産の「連鎖」こそ最恐ポイント!親が貧困や破産に陥ると、子供が勉強不足や経済的負担を強いられるため、結果的に「貧困の連鎖」が発生する傾向にあります。その連鎖は、時に殺人などの「更なる悲劇」に繋がりがちです。しかも最近の連鎖は、子供側が出発点というケースも増えつつあります。ただ一方で、親や子供に助けてもらえる事もあるのも「紛れもない現実」です。あなたがどちらの立場になるか分かりませんが、ひとまず「助ける側」になった時には助けられるよう、備えは常に余裕を持ってしていきましょう。全ての将来・老後対策は「時間」が肝最後に、老後対策における肝となるポイントをお伝えします。結論から言えば、老後対策は「時間」こそが肝です。つまり老後に限りませんが、全ての将来・老後対策は「今日から、少しでも早くから備え始めること」が極めて大切となります。たとえ直接的な準備に至らなくても、です。例えば、2000万円もの大金は準備に何十年もかかります。時間があるほど達成は容易ですが、時間がないほど達成も難しく、負荷も大きくなるでしょう。就労対策でも同じです。中には低年収や長時間労働で、「どうしろって言うんだ」と言いたい人もいるでしょう。冷たいようですが、愚痴っていても対策は何も進みません。ヤケの心境・消極的な姿勢からは何もプラスは生まれません。「どうしたらいいか」を真剣に考え、少しずつでも準備を進めましょう。全てのモデルは無意味!自分だけでも助かろう!学生の多くは「周囲が勉強しているか否か」を気にしますね。そして平均点前後なら安心しますが、今のあなたはこれをどう思いますか?老後は6~8割が破産しますから、周囲に合わせていてはダメといえます。勉強している学生のように黙る必要はありませんが、周囲とは違う周囲以上のことをしてこそ老後対策です。もっとも……何もしていない人を上回るのは簡単ではないでしょうか。できるところから、少しずつでいい訳です。時間を味方につけて、ぜひ今日から老後へ備え始めましょう。老後破産は不可避!無視より「備える安心」を!残念ながら老後破産は無視できず、強引に現実逃避しても老後になれば必ず迫ってきます。そして基本的に誰も助けてくれない以上、備えが大切ではないでしょうか。無視して一時的に安心するよりも、向き合って「本物の安心」を備えて、老後すらも楽しく人生を謳歌していきましょう。
2019年07月11日「国民年金しかもらえない高齢者は2,000万円足りないのではなくて、5,000万円以上足りないのです」金融庁の報告書に端を発した「老後2,000万円不足」問題。これに対してキャスターの辛坊治郎さんが、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』(6月13日放送)で冒頭のように語り、話題になっている。公的年金の被保険者は’16年度で約6,700万人いるが、そのうち、個人事業主やその配偶者などが該当する「国民年金第1号被保険者」は約1,600万人。年金を納めたり、受給したりしているうちの「4人に1人」という計算だ。これほど多くの人たちが「5,000万円足りない」とする辛坊説を、経済評論家の加谷珪一さんは「的を射た数字だ」と説明する。「“老後2,000万円”は、総務省の『家計調査』の、無職夫婦世帯の実支出の平均額月26万4,000円と、実収入の平均額月20万9,198円の差額を根拠にしています。しかし、現在の国民年金は満額で月約6万5,000円。夫婦でも13万円ほどです。つまり国民年金だけで95歳まで生きるとなると、およそ5,000万円が不足するという計算になります」それでは、ファイナンシャルプランナーの中村薫さんに老後の準備の進め方を解説してもらおう。「1つは『月1万円でも支出を減らすこと』です。現在50歳で月1万円ずつ支出を減らすことができれば、65歳までに180万円減らせる計算に。さらに、老後にかかるお金を減らすこともできます。そしてもう1つが『国民年金の未納期間を減らすこと』です」以上が必ずやっておくべきこと。そのうえで、自らの所得や職種に応じて、老後資金を増やす4つの方法を考えよう(※1:加入年の上限や受取時期は国民年金の加入状況等により異なる場合がある。※2:課税所得400万円で上限額まで加入した場合の所得控除による節税効果の例)。【1】国民年金基金掛金の上限額(自営業者、年間):合計81万6,000円加入年の上限(※1):60歳まで受け取れる時期(※1):60歳以降節税効果の例:年約24万円(※2)現在は予定利率1.5%で運用されている。ライフプランに応じて、受給の種類を選ぶことができて、終身受給のものもある。保険料は所得控除の対象になり、所得税や住民税を節税できる。「国民年金に“上乗せ”して加入することで、65歳以降に受け取れる年金額を増やすことができるのが『国民年金基金』です。厚生年金のない個人事業主のための“2階建て”システムです」自営業のCさん(50)は、1口目の終身年金A型をはじめ計8口を選択し、掛金は約6万7,000円。Cさん自身がこう語る――。「増える年金の額は年齢によって年6万~54万円の間で変動しますが、95歳まで生きた場合、合計1,200万円になる計算です。国民年金だけだと6万5,000円しかもらえないので、60歳までの10年間、上限6万8,000円に近い月額を頑張って掛けることにしました。だいぶ安心できます」【2】iDeCo掛金の上限額(自営業者、年間):合計81万6,000円加入年の上限(※1):60歳まで受け取れる時期(※1):60歳以降節税効果の例:年約24万円(※2)/運用益非課税金融商品を選んで、自分で運用する。国民年金基金よりも高い利率で運用できる可能性がある一方、元本割れのリスクも。受け取りは分割と一括が選べて、一括の場合、サラリーマンの退職金と同様に、税金が大きく優遇される「退職所得控除」の対象になる。「個人型確定拠出年金。税制面でも優遇された制度です。国民年金基金と併用できますが、月の掛金は2つ合わせて6万8,000円が上限です。元本が保証される『定期預金』『保険』商品か、元本割れのリスクがある『投資信託』から選択できます。非課税メリットは大きいですが、積立期間の満期の60歳まで途中解約できず、引き出せないことがデメリットです」(中村さん)【3】つみたてNISA掛金の上限額(自営業者、年間):40万円加入年の上限(※1):20年(非課税になる期間)受け取れる時期(※1):いつでも節税効果の例:運用益非課税一定の条件を満たした投資信託などを積み立て方式で購入していく。年間40万円、最長20年間で800万円まで投資可能。いつでも売却できて、売却益は非課税。「つみたて型の少額投資非課税制度で、iDeCoとの最大の違いは、途中でいつでも売却して引き出せるという点。事業に必要な資金が急に必要になることが多い人などは、こちらのほうが向いているかもしれません」(中村さん)【4】付加年金掛金の上限額(自営業者、年間):4,800円加入年の上限(※1):60歳まで受け取れる時期(※1):65歳以上節税効果の例:年約1,500円(※2)国民年金保険料に月々400円を足して納めると、将来の年金額が月々200円増える。仮に50歳から10年間払い続けると、年金額は2万4,000円増える。国民年金基金に加入していると、付加年金を払うことはできない。老後のために資金を回す余裕がないという人におすすめがこちら。「付加年金は年金保険料に月400円を加えて払うだけで、納付した月数×200円が終身で増えます。利幅はいちばん大きいですが、国民年金基金と併用することができないのがデメリットです」(中村さん)さまざまな手段がわかったところで、中村さんはこうアドバイス。「それぞれに一長一短がありますので、『国民年金基金とiDeCo』とか、『国民年金基金とつみたてNISA』など、複数のものに分けて、少しずつ運用するという方法を取る人も多い。経験を積みながら、規模をだんだんと大きくしていくのがいいでしょう」
2019年07月05日「国民年金しかもらえない高齢者は2,000万円足りないのではなくて、5,000万円以上足りないのです」金融庁の報告書に端を発した「老後2,000万円不足」問題。これに対してキャスターの辛坊治郎さんが、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』(6月13日放送)で冒頭のように語り、話題になっている。公的年金の被保険者は’16年度で約6,700万人いるが、そのうち、個人事業主やその配偶者などが該当する「国民年金第1号被保険者」は約1,600万人。年金を納めたり、受給したりしているうちの「4人に1人」という計算だ。これほど多くの人たちが「5,000万円足りない」とする辛坊説を、経済評論家の加谷珪一さんは「的を射た数字だ」と説明する。「“老後2,000万円”は、総務省の『家計調査』の、無職夫婦世帯の実支出の平均額月26万4,000円と、実収入の平均額月20万9,198円の差額を根拠にしています。しかし、現在の国民年金は満額で月約6万5,000円。夫婦でも13万円ほどです。つまり国民年金だけで95歳まで生きるとなると、およそ5,000万円が不足するという計算になります」国民年金(満額、夫婦2人):12万9,882円-実支出:26万3,718円(総務省「家計調査」2017年より)=-13万3,836円(不足額)。30年で不足額は4,818万円になる。だが、必ずしも悲観することばかりではないと加谷さんは言う。「会社員と違って、個人事業主に定年はありません。会社員が定年後、働こうと思ったら、今までと別の仕事をしなければいけませんが、個人事業主であれば、慣れた仕事を続けることができる。“人生100年時代”は働き続けることが最大の防衛術になります。とはいえ、一生涯働くことも困難です。いずれ、働けなくなったときに備えて、老後の準備を怠ってはなりません」それでは、ファイナンシャルプランナーの中村薫さんに老後の準備の進め方を解説してもらおう。「1つは『月1万円でも支出を減らすこと』です。現在50歳で月1万円ずつ支出を減らすことができれば、65歳までに180万円減らせる計算に。さらに、老後にかかるお金を減らすこともできます。そしてもう1つが『国民年金の未納期間を減らすこと』です」■必ずやっておきたい老後の準備(※令和元年度の金額を基に概算)【家計の見直し】支出が減れば、必要な老後資金も減る。月1万円の節約ができれば、65~95歳の30年で360万円の節約に。【国民年金を満期(40年)に近づける】国民年金の満期は40年。現在の保険料は年間19万6,920円で、納付年数が1年増えるごとに年金受給額は約2万円増加する。未納になっている保険料を過去2年1カ月ぶんを遡って払う「追納」や、60~65歳になるまでの間に総加入年が40年に達するまで納付できる「任意加入」など加入期間を延ばすことができる。老後資金を増やすため、この2つは必ずやっておこう。
2019年07月05日皆さんは住宅を購入する前にまず資金相談をしていますか?今では、ハウスメーカーや不動産会社などでファイナンシャルプランナーに個人相談できる機会も増えています。今回は資金相談をすると見えてくる、お金の話について。ファイナンシャルプランナーに相談することで、住宅ローンをはじめ、保険、生涯にかかるお金のことまで全体の設計が見えてくるのです。■ 住宅に充てられる資金がわかるxiangtao / PIXTA(ピクスタ)資金相談をすると、まず、どれだけ住宅に資金を充てられるかがわかります。土地から購入する場合は、「土地にいくらかけて、住宅にいくら」と目安がわかれば探すエリアや条件なども絞りやすくなります。予算が決まることで、「あとで予算オーバしていた」という問題にもなりにくいのです。資金相談することで、どこまでが限界か、月にいくら支払えるかが明確になります。■ 保険の見直しができるCORA / PIXTA(ピクスタ)資金相談をすることで保険の見直しができます。「必要になるかもしれないから契約しておこう」と、必要ないのに保険に加入していたり、実は二重加入していた、などといった方は少なくありません。資金相談を機に生命保険も見直せぱ、少しでも家計のムダを削ることができるかもしれません。■ 数年後、家計が赤字か黒字か予測できるtomcat / PIXTA(ピクスタ)資金相談は現在の家計だけでなく、10年後・20年後・30年後などの家計プランを見ることが可能です。例えば、今5,000万円の住宅を購入して、ローンを組んだら10年後も暮らしていけるのか、家計がマイナスになっていないか、といったことを予測することができます。仮に希望の予算では赤字になってしまう場合は、現在使っているお金を見直したり、予算を減らそうと明確に見えてきます。■ 意外と出てくる使途不明金xiangtao / PIXTA(ピクスタ)意外と多いのが、使ったお金が何だったかという内訳が不明な費用です。1年間に何十万と使用しているケースもあります。生活費に〇〇円、光熱費〇〇円、教育費に〇〇円、娯楽費〇〇円と細かく出していくと、「このお金は何に使ったんだろう?」と思い出せないような費用が出てきます。そのときは「安いから購入してもいいかな」と思えるものでも、それが重なっていくと大きなお金になります。資金相談のような機会がないと、そういった何気なく使ってしまっているお金に気づくことができません。今後、生活していく上で、家を購入すること以外にも、できる範囲で節約していくことは大切です。■ まとめ資金相談をすると、家を購入する際の予算がわかるだけでなく、今まで使っていたお金や今後の家計についても見えてきます。ご自身で予算を決めても問題はありませんが、先述した保険や何に使ったかわからないような費用など自分では気付かなかったことに気付けることもあります。ぜひ家を購入する機会に資金相談をしてみてはいかがでしょうか。
2019年07月01日「老後に2,000万円不足」問題が連日取りざたされ、金融庁には「最大3,000万円必要」という試算まであったと物議をかもしている。しかし、経済ジャーナリストの荻原博子さんは、「あらゆる角度から家計を点検し消費支出を減らせば、年金+2,000万円も要らないでしょう」と語る。荻原さんが解説してくれた――。■光熱水費の見直しでも4つの工夫があるたとえば、光熱水費の見直しを考えてみましょう。【1】新電力への切り替え’16年に電力が、’17年にガスが自由化されました。ですが契約を変えた世帯は電力が2割超で(’18年9月)、ガスで1割足らずです(’19年5月・いずれも経済産業省)。新電力への切り替えや電気・ガスのセット割などで5~10%は節約できます。切り替えは、電気をたくさん使う夏前がおススメ。【2】契約アンペアの変更契約アンペアとは、同時に使用できる電気量のこと。家族が減れば、同時に使う電気量も減りますから、契約アンペアを下げても困らないでしょう。東京電力の場合、60Aの基本料金は約1,700円ですが、30Aだと約840円と半額です。【3】家電を上手に使う冷蔵庫の設定温度を「強」から「中」にすると年約1,670円の節約。また、野菜をゆでるときは、ガスより電子レンジのほうが時短で安上がりです。エアコンはフィルターを月1~2回掃除すれば、年約860円節約できます(’17年・資源エネルギー庁)。【4】エコ家電に買い換え家電を買い換えると、電気代の節約になります。特に冷蔵庫は10年前のものと比べると、年約8,000~9,800円節約できます(’18年・東京都)。とはいえ「冷蔵庫は高いから買えない」という方が多いのですが、小さめサイズを選ぶと、値段も抑えられ、食品の買いすぎ防止にもなって一石二鳥です。こうした節約と合わせて、保険の見直しやマイカーを手放すなど固定費カットも重要です。私は工夫次第で、年金だけでも暮らせると思います。
2019年06月28日「老後に2,000万円不足」問題が連日取りざたされ、金融庁には「最大3,000万円必要」という試算まであったと物議をかもしている。しかし、経済ジャーナリストの荻原博子さんは、「私は工夫次第で、年金だけでも暮らせると思います」と語る。荻原さんが解説してくれた――。■高齢夫婦と30代世帯の支出はよく似ている。家計はまだまだ工夫の余地あり2,000万円の根拠となった’17年の家計調査には、おもしろいデータがあります。世帯主年代別の家計収支を見ると、30代世帯(2人以上の勤労世帯)と、問題の65歳以上の夫と60歳以上の妻の高齢夫婦がよく似ているのです。まず、月々の生活費に当たる「消費支出」の中身を見ると、「食費」は30代世帯が約6.5万円で、高齢夫婦が約6.4万円。「光熱水費」は30代世帯が約1.8万円で、高齢夫婦は約1.9万円と、ほぼ同じです。次に、消費支出全体を見ても、30代世帯が約26万円で高齢夫婦が約23.5万円。約2.5万円違うものの、30代世帯には高齢夫婦にはない「教育費」が約1.3万円あります。これを除くと30代世帯が24.7万円で、高齢夫婦は23.5万円。その差は1.2万円ありますが、実は、世帯人数が大きく違います。30代世帯は平均3.71人家族で、高齢夫婦は2人。つまり30代世帯は2倍近い家族の生活を、ほぼ同じ支出でやりくりしているのです。とすると、高齢夫婦の家計はまだまだ工夫の余地があり、生活費は抑えられると思いませんか。あらゆる角度から家計を点検し消費支出を減らせば、年金+2,000万円も要らないでしょう。
2019年06月28日「マクロ経済スライドを止めてしまうという考えは、馬鹿げた案だと思う」「老後資金2,000万円報告書」に端を発した年金問題。6月19日に行われた党首討論でも、与野党が激論を戦わせた。物価の上昇にあわせた年金額の上昇を抑制することで、実質的に年金を減らしていく「マクロ経済スライド」。その廃止を求めた日本共産党の志位和夫委員長に対し、安倍晋三首相は年金制度を破綻させる「馬鹿げた案」と一蹴した。財源が足りないので、年金の減額も10月の消費税増税もやむを得ない。そう思っている人も多いだろう。「株でたいへんな儲けをあげている富裕層のみなさんに平等に所得税を払ってもらう」そう思っていた人にとって、この言葉が奇異に響いたのではないか。6月10日、参議院の決算委員会で、安倍首相に対して、共産党の小池晃氏が、財源の捻出方法を提案したときの言葉だ。“お金持ちになるほど、たくさん税金を払っている”。よく言われてきたことのはずだが……。日本の所得税は、所得が高くなるほど税率も高くなる累進課税になっている。所得税率はかつて70%(課税所得8,000万円超)が最高だったが、現在は45%(課税所得4,000万円超)が上限だ。さらに、ここに10%の住民税が加わるので、実質的な最高税率は55%となる。しかし、’18年に財務省が示した給与所得者のモデル試算(夫婦子2人で片働き)によると、年収3,000万円(所得税率と住民税率の合計が50%)の場合でも、さまざまな控除があるために、実質的な税率は32.6%となる。主要国との比較では、日本の税負担は中程度で、フランス(年収3,000万円で29.7%)やアメリカ(同22.2%)よりも高いが、イギリス(同37.9%)やドイツ(同33.6%)よりも低い水準にあるという。一見、日本の富裕層もそれなりの税金を払っているように見えるが……。じつは日本の場合、富裕層になればなるほど、所得にかかる税率は低くなっていくのだ。所得のうちで株式の売却益や配当金などが占める割合は、富裕層ほど高い。財務省の資料によると、平成25年(2013年度)の申告納税者のうち、年間所得が5千万~1億円の人の場合、株の売却益や配当金などが所得で占める割合は10.7%。これが5~10億円の人だと61.3%、100億円以上の人だと93.7%にもなる。じつは株の売却益や配当にかかる税金は、給与所得や事業所得などの所得税とは別に計算することになっていて、2013年の時点では税率は“金額に関係なく一律”10%(所得税7%+住民税3%)に過ぎなかった。そのため、5千万~1億円の人の所得税の負担率27.5%をピークに、5~10億円の人だと19.1%、100億円以上だと11.1%と、所得が多くなるほど負担している税率が低くなっていくのだ。2014年から、株の売却益や配当にかかる税率は20%(所得税15%+住民税5%)に引き上げられたが、近年の統計でも、所得税の負担割合は5千万~1億円の人で28.2%、5~10億円の人だと23.35%、100億円以上だと16.85%と、やはり所得が多くなるにつれて低くなっている(いずれも国税庁「平成29年分 申告所得税標本調査」より)。これは所得税のみ税率なので、ここに5%の住民税が加わるのだが、それでも給与などの所得税の最高税率45%には遠く及ばない。仮に、所得100億円以上の超富裕層の税負担率が住民税を加えて20%ほどだったとしても、これは年収1,500万~2,000万円のサラリーマンと同じ程度の税負担率に過ぎない。じつは多くの国では、株の配当金や売却益にかかる税率は、日本のように一律ではなく、利益に対する累進性で、税率も高いことが多い。また、給与所得と株式による所得を分離せずに、所得税を一律で計算している国もある。日本は非常に富裕層に優しい税制になっているといえる。仮に、株式などの金融所得に対する税率を25%に5%引き上げるだけで、約1兆円の税収増が見込めるという。「高額所得者の税率を上げると、富裕層が海外に逃げ出してしまう」そういう反論も多いが、実際に富裕層が実行に移す可能性は低いとみられる。たとえ、海外に居住していたとしても、日本株の配当金や日本の不動産収入など、“日本で稼いだ金”には日本の税制が適用される。日本の税金がかからないのは、海外居住者が“海外で”稼いだお金だ。日本の富裕層の多くは、日本国内で所得を得ており、海外に居を移すメリットは少ない。また高所得者に多い医師や弁護士などは、海外では資格を使えないため、所得を得る手段を失ってしまうこともある。語学や生活環境の違い……。“海外で稼ぐ力”を持たなければ、相続税対策を除いて、海外に移住するメリットは高くないのが実情だ。「富裕層が海外に逃げ出すぞ」しばしば脅し文句のように使われるその言葉。しかし、それだけの胆力と語学力、世界中のどこでも稼げるビジネススキルを持つ人間であれば、もうとっくに日本にいない可能性が高い。今後、そういう言葉を聞いたら、“どこに行って、どうやって稼ぐの?”とでも聞けばいいかもしれない。
2019年06月21日「年金だけでは、老後資金が2千万円不足する。いま、金融庁の報告書が話題になっています。でも、報告書をよく読むと、じつは2千万円でも足りないと書いてあるのです」そう語るのは、経済評論家の平野和之さんだ。6月3日に、金融庁が発表した「金融審議会『市場ワーキング・グループ』報告書」。同書では「老後20~30年で最大2千万円の不足額が発生する」と報告。“年金だけで生活することが厳しい実情”が明かされ、批判の声が殺到している。7月の参院選への影響を懸念した安倍晋三首相(64)は、10日に「これは金融庁から発表された数字なんだろうと。こう思っておりますが、これは不正確であり、誤解を与えるものであった」と釈明。さらに麻生太郎金融相(78)は11日に「正式な報告書としては受け取らない」と述べ、報告書を作成した金融庁を批判した。14日には金融庁の三井秀範企画市場局長が「配慮を欠いた対応で、このような事態を招いたことを反省するとともに深くおわびする」と、謝罪に追い込まれる事態にまで発展していた。ずさんな政府の対応に国民もあぜん。ネット上は怒りの声であふれている。《国民なめてんのか!いい加減にせえよ》《老後のために日々節約しながら暮らしている主婦のことをなんだと思ってるんだろう》立憲民主党の蓮舫副代表(51)も14日、自身のTwitterで激しく追及した。《「誤解を呼んだ」私の質問に麻生大臣は答弁されましたが、誤解を解く努力をせず報告書を受け取らない、「なかった」ことにしました。挙句、混乱原因は役人だと言います。その役人のトップである自身こそ原因ではないでしょうか》政府が報告書をなかったことにしようとしたところで、老後に2千万円が不足するという事実は変わるわけではない。総務省の「家計調査」によると、高齢の無職夫婦世帯(夫65歳以上、妻60歳以上)の1カ月の平均的な実収入は月20万9千198円。いっぽう、実支出は月26万3千718円。つまり、月々の赤字額は5万4千520円。年間だと約66万円になる計算だ。仮に年金受給開始年齢である65歳から95歳まで30年生きた場合、赤字額の総額は約1千980万円。ここから“2千万円の金融資産が必要”と報告書では試算されている。しかし、より“過酷な現実”が報告書には隠されていた。「報告書とともに発表された資料には『ライフステージに応じて発生する費用等の例』という項目が存在します。“子どもの誕生”や“住宅購入”といった、人生の転機に一時的にかかるお金の平均額を、官民さまざまな統計からまとめたものです。これによると、リタイア期前後から高齢期にかけてかかるお金は、自宅のリフォーム費用として約465万円。健康維持や介護費用として0~1千万円、葬儀費用として約195万円となっています」(平野さん)隠ぺいされていた総額1千660万円の追加費用!つまり、要介護の場合、生活費の赤字2千万円とあわせて、老後には3千660万円の備えが必要となる計算だ。厚労省などの統計によると、要支援・要介護者の割合は、80~84歳であれば28%。85歳以上だと60.1%にのぼるとみられている。今後はさらなる長寿化が進むとされ、介護への備えは不可欠。また報告書では制限なく日常生活を送れる“健康寿命”の日本の平均年齢を男性が約72歳、女性が約75歳としていた。にもかかわらず、健康維持費を“0円~”と見積もるのは無理があるだろう。今後、老後を迎える人々の生活はますます苦しくなるばかりだ――。
2019年06月21日――老後までに2,000万円を貯める必要がある。波紋を呼んでいる金融庁の金融審議会の報告書だが、じつは老後には2,000万円以外にも多額のお金が必要だと書いてあることをご存じだろうか。まず2,000万円の根拠を説明しよう。金融庁の報告書によると、高齢の無職夫婦世帯(夫65歳以上、妻60歳以上)の1カ月の平均的な収支は以下の通り。実収入月 209,198円実支出月 263,718円――――――――――赤字額月 54,520円つまり、1カ月に約55,000円の赤字が発生することになるのだが、もちろんこれは貯蓄などの金融資産などから補填しなければならない。赤字の額は年間で66万円になるので、この生活が30年続けば1,980万円となる。ここから、「老後のためには2,000万円の金融資産が必要だ」と金融庁は試算する。だが、金融庁によると、じつは老後にかかるお金はこれだけではないという。この報告書と一緒に公開された資料には「ライフステージに応じて発生する費用等の例」も記載されている。これは生活費などとは別に、結婚や出産などライフステージに応じてかかるお金の平均額を、官民のさまざまな調査から引き出したものだ。これによると、老後にかかるのは以下の通り。リフォーム:約465万円健康 or 介護:0~1,000万円葬儀:約195.7万円「健康 or 介護:0~1,000万円」は、介護生活になった場合には、1,000万円のお金がかかるということを意味している。つまり、あなたが将来、要介護になった場合は、葬儀費用も含めると、約1,660万円のお金が生活費とは別にかかるということになる。生活費の赤字2,000万円を加えると3,660万円。じつは金融庁の報告書をよく読むと、2,000万円でもぜんぜん足りないのだ。
2019年06月11日年金と聞くと老後に貰えるお金程度と思っている人も少なくないと思いますが、障害状態になった場合や亡くなった場合にも年金支給されることはご存知でしょうか。出産前後に生命保険の加入を検討した人も多いと思いますが、生命保険だけでなく公的年金からも支給される額が少なくありません。 今回は、遺族年金と障害年金についてお伝えします。 遺族年金は年金加入者が亡くなったときに遺族に支給遺族年金は年金加入者が死亡したときに、亡くなった方と生計維持関係にある遺族に支給されます。加入しているが国民年金か厚生年金によって遺族の要件や支給額が異なります。亡くなった方が自営業・フリーランスの場合は遺族基礎年金が、会社員・公務員・団体職員等の場合は遺族基礎年金と遺族厚生年金が遺族に支給されます。 主な概要は次のとおりです。あくまでも簡単に説明するための概要ですので、詳細は厚生労働省のホームページや最寄りの年金事務所でご確認ください。なお、下記の年齢や金額等は2019年4月時点の制度を基準としております。 【遺族基礎年金】国民年金の加入者等が亡くなった時に、生計維持されていた子どものいる配偶者または子どもに遺族基礎年金が支給されます。遺族年金の支給される対象の子どもは、18歳になって最初の3月31日まで(一般的な高校卒業まで)となり、大学・専門学校の通学時期には支給されない点は覚えておきましょう。 遺族基礎年金の支給額は年間781,000円に対象となる子どもの人数の加算(第1子・第2子は各224,500円、第3子以降は各74,800円)がされます。例えば、お子さんが2人の場合の遺族基礎年金の支給年額は、781,000円+224,500円+224,500円=1,230,000円となります。 【遺族厚生年金】厚生年金保険の加入者等が亡くなった時に、生計維持されていた配偶者・子どもに遺族厚生年金が支給されます。配偶者・子どものいない場合は父母や孫、祖父母が受け取る場合もあります。会社員・公務員・団体職員等の場合は遺族基礎年金も合わせて支給されます。 遺族厚生年金の支給額は、老齢厚生年金の報酬比例部分(目安の金額はねんきん定期便にある厚生年金保険の加入実績に応じた年金額)の4分の3相当額となります。しかし、多くの場合は300月(25年)未満であるため、最低でも25年分としてプラスの修正がされます。 例えば、35歳(勤続年数12年)・報酬比例部分が30万円のご主人が亡くなった場合は、30万円×4分の3=22.5万円でなく、勤続25年と修正された62.5万円×4分の3=46.8万円が遺族厚生年金の支給額となります。 上記以外にも寡婦年金や、中高齢寡婦加算、経過的寡婦加算などの対象となる子どものいない場合や年齢が高齢になった場合の制度もあります。 障害年金は年金加入者が所定の障害状態になった時に支給障害年金は病気やケガを原因として障害となった際に支給される年金です。障害となった病気やケガの初診日に加入していた年金制度から支給され、自営業者等は障害基礎年金、会社員等は障害厚生年金となります。 障害の程度に応じて支給額は変わります。障害基礎年金の支給額は、1級で975,125円+子の加算、2級で780,100円+子の加算となります。子の加算は遺族基礎年金と同じく18歳の3月までが対象で、第1子・第2子は各224,500円、第3子以降は各74,800円です。 遺族厚生年金の支給額はは1級で(報酬比例部分×1.25)+配偶者加給年金額、2級で報酬比例部分+配偶者加給年金額、3級で報酬比例部分(最低保証額は585,100円)となります。報酬比例部分は、遺族基礎年金と同様に期間が短い場合も25年分としてプラスの修正がなされます。 ねんきん定期便は確認をしよう遺族年金にしても障害年金にしても、公的年金に加入している限り対象となった場合は利用できる制度ですが、保険料未納の場合には需給対象とならない可能性もあります。そのためにも現在加入している年金制度を確認して、万一の場合にどの程度の遺族年金や障害年金が支給されるか確認をすると良いでしょう。 特に生命保険の加入や見直しを考えている人は、まず公的年金から支給される額を確認したうえで、不足している金額を生命保険で補うと、無駄な保険料を払うことを防げます。生命保険の見直しを考えていない人もねんきん定期便が届いたときには確認することをおすすめします。 監修者・著者:ファイナンシャルプランナー 大野高志1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP®(日本FP協会認定)。独立系FP事務所・株式会社とし生活設計取締役。予備校チューター、地方公務員、金融機関勤務を経て2011年に独立。教育費・老後資金準備、税や社会保障、住宅ローンや保険の見直し、貯蓄・資産運用等 多角的にライフプランの個別相談を行うとともにセミナー講師として活動しています。
2019年06月01日こんにちは、婚活FP山本です。最近では結婚しない、できない女性も増える一方で、やけに「老後に必要な貯金額」を語る記事も増えたように思えます。しかもその必要な貯金額は、ほとんどが「少々の努力ではどうにもならない金額」です。本当にそんな貯金額を皆が貯めているのか気になる反面、どうやって備えればいいかも気になるところかと。そこで今回は、独身女性の老後に必要な貯金額と、その備え方をお伝えします。あなたの人生にお役立て下さいませ。60代の独身者、貯金の中央値は500万円まずは年代別に独身世帯の実際の貯金額を、統計を通してお伝えします。知るぽるとの平成30年「家計の金融行動に関する世論調査(単身世帯)」によると、各年代の貯金額の中央値は以下の通りです。(中央値とは、対象を順に並べた時、中央にくる人の数値)20代:5万円30代:40万円40代:25万円50代:100万円60代:500万円見た通り、全ての年代で独身世帯は「ほぼ貯金できていない」のが普通といえます。かろうじて60代ともなると多少は備えていますが、人生100年時代、まだ40年も続く人生を考えると、極めて乏しい蓄えといえるでしょう。現在のあなたの貯金額はいくらですか?少なくとも皆、貯金できていない訳ですから、変に怖がる必要はありません。まず、この現実をしっかり理解して安心に繋げましょう。平均貯金額=安心できる額ではない!さすがに「先ほどの貯金額を超えているから大丈夫」と考えられる人は少ないでしょう。本当にその通りであり、皆が貯金できていないから貯金できなくても大丈夫……でもありません。無暗に怖がる必要はないものの、楽観的に捉えて過度に安心するのは危険です。簡単にいえば、皆が危険な水準にいるのが今の日本といえます。中には信じられない人もいるかもしれませんが、これが実情です。まずはこの現実をしっかり知っておきましょう。安心できる貯金額は「最低3000万円」次は、独身者に実際に必要な老後資金の目安についてです。これについては明確な基準がある訳ではないのですが、それでも「最低3000万円」というのが一つの目安になっています。定年後に年100万円取り崩すと考えると、これで30年分、90歳までギリギリですけどね。もう少し言えば、60歳時に3000万円必要なので、仮に今のあなたの貯金がゼロなら、年齢に合わせた「計画的な貯金」が必要になります。具体的に言えば、年齢が50歳なら年300万円、40歳なら年150万円、30歳なら年100万円ずつ……ですね。準備を始める時期が遅くなるほどに準備が困難になります。中にはすでに「そんな貯金できない」と感じる年齢の方もいるでしょうが、無理でも誰も助けてくれませんから、できるだけ頑張りましょう。いくら必要かを意識した準備を心がけよう中には「いくらの貯金が必要か」を考えず、やれるだけやればいいと考えて、実際には極めて少ない金額しか貯金していない統計のような人も沢山います。結婚していないのなら、それで困るのは本人だけなので良いとも言えますが……できれば意識の改善をお勧めしたいところですね。そして今、必要なだけ貯金できないのなら、年収そのものを上げる努力を含め、必要なだけ貯金する方法を考えて実行していきましょう。そんな自立心が、独身者には何より重要です。貯金以外の金融資産を持つことが大事今度は、独身女性が取るべき老後対策の方法をお伝えします。これには複数の方法があるのですが、まずできれば「資産運用」をお勧めしたいところです。まだまだ抵抗のある日本人も多いのですが、貯金だけで先ほどの3000万円を蓄えるのは、かなり困難ですからね。最近では「貯蓄から投資へ」の号令の元、国が率先して「(つみたて)NISA」や「iDeCo」など、節税も踏まえた様々な運用手法が登場しています。運用ですから、どうしてもリスクは避けられないのですが、「投資をしないのも一つのリスク」と考え、試してみませんか?どうしても資産運用を避けたいなら、貯金だけで3000万円貯められるなら問題ありません。しかしそれが無理なら、まずはこの機会に勉強から始めていくことをお勧めします。働くだけでは厳しい。勉強と経験を!詳しくは後述しますが、結局のところ現代は定年後も働かなければなりません。しかし定年後の労働は給料が安く、食べるだけで精いっぱいです。しかも十分な高齢ですから、いつ働けなくなってもおかしくありませんし、実質的に「死ぬまで働く」のも不可能といえます。しかし資産運用なら、アタマさえしっかりしていれば何歳になっても稼げ、何もしなくても収入を得ることも可能です。とはいえ簡単に稼げるものでもないため、ぜひ老後までの長い時間を勉強や経験に充て、老後対策の一つとしていきましょう。[adsense_middle]準備不足ならバイトか非正規労働という老後にさらに、もう一つの独身女性が取るべき老後対策の方法です。結論からお伝えすれば、「定年後の仕事」を備えておきましょう。これは独身女性に限りませんが、独身なら支えとなってくれる男性がいないので尚更です。ちなみに、あなたの仕事は定年後も続けられますか?残念ながら本人の思惑とは裏腹に、ほとんどの仕事は定年を迎えると戦力外と見なされ、実質的に働けなくなります。仮に働けてもアルバイト、または非正規労働となり、年収は半減するのが普通です。実際、65歳以降の女性の年収は約200万円というのが統計結果になります。年収200万円では食べるだけで貯金はできず、職か健康を失えば即、家計破たんするでしょう。先ほどの資産運用も含め、備えられるだけ老後までに備えておくことをお勧めします。「60代で普通に働く」のは想像以上に困難「定年後の仕事」に備えるのは想像以上に困難です。少々の経験や資格があっても、そもそも企業は人を安く雇いたい心理がありますし、起業しても簡単には顧客は得られませんからね。十分な経験や資格があっても、それが直接的な収入や仕事には結びつきませんから尚更です。明確な「こうすればいい」という方法が存在しないからこそ、一人一人の自主性や自立心が求められる問題といえます。誰も助けてくれないからこそ、健康とともに「生きる方法」も養っておきましょう。若い頃の10年と中年の10年は違う!最後に、老後対策を考える時の大切な注意点をお伝えします。そもそも一般論として、人は追いつめられないと動かない生き物です。多くの小学生が夏休みの宿題を終盤まで溜め込むように、多くの人は現役時代の終盤、50歳を超える頃にならないと備えを始めません。しかし、若い頃の10年と中年の10年は違います。定年が迫る10年なら尚更です。長年、勉強から遠ざかっていた人が資格を取るのは困難ですし、チャレンジから遠ざかっていた人が新しい事に挑戦するのも大変な事といえます。備えられる時間も短いので尚更でしょう。つまり、老後対策は老後が近づいてからでは遅い、という事です。結婚を真剣に諦めたのなら、代わりに老後対策を始めるのに十分な年齢といえます。今すぐ、備えを始めましょう。老後対策はがんばった分だけ確実に報われる!夏休み終盤、現役時代の終盤まで物事を溜め込む人というのは「まだ沢山の時間があるから大丈夫」と考えがちです。残念ながら、何年あっても何もしなければ時間だけが失われる事になります。気が付いたら宿題が終わっていた、十分な貯金ができていた……は中々ありません。ただ、がんばっても結果が出るか分からない婚活に比べ、老後対策はがんばった分だけ確実に報われます。望んで独身なら将来的に「結婚しなくて良かった」と思うために、改めて早期に自分の未来を考えて動いていきましょう。独身女性の老後貯金に関するまとめどう人生を生きるかは個々人の自由です。しかし、どんなに辛く苦しい状況に陥っても逃げられない、逃げ切れないのもまた人生といえます。しかも独身なら、親以外は誰も助けてくれません。だからこそ自分の力で、老後の仕事や貯金に備えられるよう、改めて励んでいきましょう。
2019年05月29日最大にして、最後の資産になることの多い自宅。そこに住み続けたまま、お金を調達する便利な制度が普及しているが、じつは大きな落とし穴もあった――。《住み続けたまま、自宅を担保にお金が借りられます》そんなうたい文句の広告を最近よく見かけないだろうか。その正体は、耳慣れない「リバースモーゲージ」と呼ばれる商品の広告だ。いま、メガバンクをはじめ、地方銀行、信託銀行、信金など、全国の金融機関が力を入れているシニア世帯向けの金融商品だ。リバースモーゲージのパイオニア・東京スター銀行の「充実人生」の累計利用者数は’10年は2,000人だったのが、’18年には1万人を突破。右肩上がりの状態が続いている。生活総合情報サイト「All About」のマネーガイドを務めるファイナンシャルプランナー・豊田眞弓さんはこう解説する。「リバースモーゲージとは、持ち家に住み続けながら、自宅を担保にして、一時金や月々の生活費などを借りられる制度です。借り入れ期間中は返済なし、または月々の利息のみを払うだけでいい。返済は本人が他界したときに、不動産を売却して一括清算します」2017年の「家計調査報告」によると、高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上)は、実収入が1カ月平均20万9,198円。それに対して、月々の支出は26万3,717円(消費支出23万5,477円+税金・社会保険料等2万8,240円)。月間収支は5万4,519円の不足となる。つまり年金収入だけでは、年間で約65万円も赤字が出る計算だ。「不足分は働くか、預金などを取り崩すしかありません。一方、60代以上の持ち家率は、8割を超えています。預金が底をつきかけているのに、家だけ残っているという例は多くあるのです。かつては、自宅を売却するか、貸し出すことでしか、お金を捻出することができなかったのが、リバースモーゲージの普及で、第三の選択肢が生まれました」(豊田さん・以下同)長年親しんだ生活環境に愛着を持っている人も多いだろう。自宅の売却や貸し出しは、引っ越しを求められるが、リバースモーゲージは住んだまま、“自宅を現金化”できる。シニア世帯にとってはありがたい制度だ。また、住宅ローンの返済に活用することもできる。「繰上げ返済なしで、70歳になっても働きながら住宅ローンを払い続けていた人が、リバースモーゲージを利用して住宅ローンを一括返済。退職して、年金と貯金で生活費を賄う生活が実現できた例もあります」ただし、この制度は誰でも利用できるわけではない。金融機関のリバースモーゲージを利用する場合の条件は、年収120万円以上。原則一戸建てで、評価額2,000万円以上の不動産に限定している銀行も多い。また、銀行は最終的に不動産を売却することで貸出金を回収しようとするので、買い手が付きづらい地方の不動産は対象外であることも多い。一方、民間よりも条件が甘く、低所得世帯を対象にした“公的なリバースモーゲージ”ともいわれる制度がある。全国の社会福祉協議会が実施主体となっている「不動産担保型生活資金」だ。「65歳以上の住民税非課税世帯で、土地の評価額がおおむね1,500万円以上の一戸建てが対象です。ただし、民間と違って、資金の使途は原則生活費に限定されています」老後の大きな助けとなるリバースモーゲージ。だが、デメリットももちろんある。「お金を借りられる上限額は担保評価額の50~70%です。さらに、担保評価額は、市場で流通している不動産価格よりも安いのが一般的。考えていたよりも、借りられるお金が少ないということはよくあります」また、不動産の評価額や金利は定期的に見直されるので、当初の見込みよりも、貸付限度額が下がったり、利率が上がったりすることがありえるということだ。さらに、長生きがリスクになることも……。リバースモーゲージによる借り入れを生活費に充てていた場合、契約時の想定よりも長生きすると、借入金が限度額に到達してしまう。そうなると、以降の借り入れはできなくなるので、生活費を抑えたり、自宅の売却によって、資金を調達する必要に迫られることになる。“人生100年時代”を生き抜くために、自宅の“使い道”を考えよう。
2019年04月06日「知られていないだけで、老後の生活で、いざというときに役立つ公的制度はいくつもあります。とくに、介護費や医療費の自己負担額を軽減できる制度は知っておいたほうがいいでしょうね」こう語るのは生活総合情報サイト「All About」ガイドの介護アドバイザー・横井孝治さん。“人生100年時代”といわれるなか、自分の老後に不安を抱えている現役世代も多いだろう。特に、長い老後に備えるためにいったいいくら貯めればいいのか、頭を悩ませている人も多いのでは?しかし、そんな不安を和らげる公的制度は、じつは多数存在する。これらを賢く使いこなせば、老後の支出を減らし、おトクな生活ができると、横井さんは解説する。「老後の介護費、医療費の自己負担額を軽減するステップは3段階に分けられます。まず、介護保険と医療保険を利用すると、利用者の所得に応じて、自己負担は1~3割で済む。これを建物にたとえると1階部分にあたります。ところが、多くの医療、介護サービスを受けると、それでも負担額はかなり大きくなります」(横井さん・以下同)そこで利用できるのが、一定の金額以上の自己負担額が払い戻される制度。「医療保険には『高額療養費』、介護保険には『高額介護(予防)サービス費』という制度があります。どちらも所得に応じて自己負担の上限額を定める制度で、もし上限額を超えてしまった場合、自治体に申請をすれば、超過した分が後で払い戻されるのです。これが建物でいう2階部分なのです」さらに、これらの支給を受けても、まだ自己負担が苦しいという場合、最後は3階部分にあたる「高額介護合算療養費」という制度が存在する。「これは、同一世帯で医療保険と介護保険の自己負担額を合算して計算し、限度額を超えた場合は、超えた分が支給されるもの。かなり助かる制度です」たとえば、住民税課税世帯の75歳以上の平均的な年金収入のある夫婦なら、夫が高額介護サービス費(自己負担の限度額が年間44万6,400円)、妻が高額療養費(入院を含む自己負担の限度額が、年間57万2,400円)をフルで利用した場合、1年間で合計101万8,800円の自己負担額に。しかし、高額介護合算療養費制度を利用すると、限度額56万円を超えた、45万8,800円が支給されるので、ほぼ半額の負担で済む。ただし、夫婦の年齢が離れていて、妻が国民健康保険で、夫が後期高齢者医療保険といった場合、単純に合算できず、複雑な計算が必要になるので注意が必要だ。ほかにも、介護状態になったときに利用を検討したい制度がある。「割と見逃されがちなのが、『障害者控除対象者認定』です。これは確定申告する際に、この認定を受けているかいないかで、税金の控除額が大きく変わってきます」ここで言う障害者とは、障害者手帳がなくても、“障害者に準じており、障害者控除が必要な人”のこと。ただし、自治体によって判断基準が異なり、要介護1から認定されるところもあれば、要介護4からというところもある。「家族の誰かが障害者控除の認定を受けたら、生計を一にするなかで最も多く稼いでいる人が、確定申告の際に控除を受けて節税できます。とてもお得な制度です」要介護に該当するような人ではなくても、65歳以上で生活機能の低下を感じた場合、ぜひ利用すべきだと、横井さんがすすめるのが「総合事業サービス」だ。「『要介護1、2』の人、または要介護認定を受けていない人で、25問のチェックリストを受けてサービス事業対象者と判断された人が対象です。対象となった人は、生活支援や介護予防のためのさまざまなサービスが受けられます」訪問サービスでの部屋の掃除やゴミ出し、通所リハビリテーション(デイケア)など、生活支援、介護予防の両面からサポートしてくれる。ただし、内容や利用料は、自治体によって異なる。「このサービスを利用しようと思ったら、必ず地域包括支援センターに行くことになります。そこで自分の介護についての不安を相談できるうえ、認知症の前段階から利用すれば、介護予防にもつながります」
2019年03月25日「知られていないだけで、老後の生活で、いざというときに役立つ公的制度はいくつもあります。とくに、介護費や医療費の自己負担額を軽減できる制度は知っておいたほうがいいでしょうね」こう語るのは生活総合情報サイト「All About」ガイドの介護アドバイザー・横井孝治さん。“人生100年時代”といわれるなか、自分の老後に不安を抱えている現役世代も多いだろう。特に、長い老後に備えるためにいったいいくら貯めればいいのか、頭を悩ませている人も多いのでは?しかし、そんな不安を和らげる公的制度は、じつは多数存在する。これらを賢く使いこなせば、老後の支出を減らし、おトクな生活ができると、横井さんは解説する。「老後の介護費、医療費の自己負担額を軽減するステップは3段階に分けられます。まず、介護保険と医療保険を利用すると、利用者の所得に応じて、自己負担は1~3割で済む。これを建物にたとえると1階部分にあたります。ところが、多くの医療、介護サービスを受けると、それでも負担額はかなり大きくなります」(横井さん・以下同)そこで利用できるのが、一定の金額以上の自己負担額が払い戻される制度。「医療保険には『高額療養費』、介護保険には『高額介護(予防)サービス費』という制度があります。どちらも所得に応じて自己負担の上限額を定める制度で、もし上限額を超えてしまった場合、自治体に申請をすれば、超過した分が後で払い戻されるのです。これが建物でいう2階部分なのです」さらに、これらの支給を受けても、まだ自己負担が苦しいという場合、最後は3階部分にあたる「高額介護合算療養費」という制度が存在する。「これは、同一世帯で医療保険と介護保険の自己負担額を合算して計算し、限度額を超えた場合は、超えた分が支給されるもの。かなり助かる制度です」たとえば、住民税課税世帯の75歳以上の平均的な年金収入のある夫婦なら、夫が高額介護サービス費(自己負担の限度額が年間44万6,400円)、妻が高額療養費(入院を含む自己負担の限度額が、年間57万2,400円)をフルで利用した場合、1年間で合計101万8,800円の自己負担額に。しかし、高額介護合算療養費制度を利用すると、限度額56万円を超えた、45万8,800円が支給されるので、ほぼ半額の負担で済む。ただし、夫婦の年齢が離れていて、妻が国民健康保険で、夫が後期高齢者医療保険といった場合、単純に合算できず、複雑な計算が必要になるので注意が必要だ。老後を助ける公的制度はまだまだある。将来への不安を抱えている人は、老後資金を助ける制度を覚えておいても損はない。■老後資金を助ける制度【生活福祉資金貸付制度】低所得者や障害者、65歳以上の高齢者世帯を対象に、全国の社会福祉協議会が実施する貸付制度。たとえば、介護サービスを受けるために必要な経費や生計を維持するための資金の貸し付けなどを行っている。保証人、用途や金額などによっては無利子になる場合も。【不動産担保型生活資金】「生活福祉資金貸付制度」のひとつで自宅を担保にお金を借りられる。貸付限度額は土地の評価額の70%程度で、月30万円以内。貸付期間は借受人の死亡時、あるいは貸したお金と利息が限度額に達するまで。貸付利子は年利3%、または長期プライムレート(現在1%)のいずれか低い利率。【年金担保融資】年金受給者が対象。たとえば、年金収入が200万円であれば、160万円まで融資される(年金額の0.8倍以内)。急な入院などで、まとまったお金が必要になったときに借りられる。返済は2年6カ月以内で、年金支給額から差し引かれる。1回あたりの返済額は年金支給額の3分の1以下で1万円単位。【年金の繰上げ受給】老齢年金は原則として65歳からの受給だが、希望すれば60歳から繰り上げて年金を受けることができる。ただし、繰上げ支給の請求をした時点(月単位)に応じて年金が減額され、減額率は一生変わらない。1カ月繰り上げるごとに0.5%減。60歳まで繰り上げると30%減。また、高齢者になれば、公共交通機関の割引制度や、運転免許を返納した場合の特典なども受けることができる。これらを活用すれば、現役世代よりも生活費を減らすことができるのだ。■公共料金の割引など【シニア向け優待サービス】映画館や美術館のシニア割引が身近だが、公共交通機関にも、シルバー会員制度などがある。たとえばJR西日本の「ジパング倶楽部」は、女性は60歳から3,770円の年会費で加入ができて、年間20回まで全国JRのきっぷを最大30%引きで購入できる。【シルバーパス】各自治体が発行しているシルバーパス。バスを無料、あるいは少ない額で利用できる。取得できる年齢や負担金は自治体によって違う。【免許返納特典】運転免許証を自主返納すると、運転経歴証明書の交付を申請できる。これを所有している高齢者は、タクシー代の割引や、デパートの配送料が無料になったり、指定の商店などでの買い物が割引される。特典は、各自治体によって異なる。「元気なうちはいいですが、病気や介護が必要な状態になれば、想像以上にお金がかかります。有料老人ホームなどの施設に入る場合、入居一時金などを含めてトータルで1,000万円を超えることも多い。限られた老後資金を有効に活用するためには、公的制度を利用し、無駄な費用をどうやって抑えるかが大切になってきます」逆に、老後資金の計画を立てるときは、こういった制度の活用を前提にしよう。そうすれば、“人生100年時代”とはいえ、天文学的な金額にはならないはずだ。
2019年03月25日「『2人に1人はがんになる時代です』と言われると不安のあまり、医療保険やがん保険に入りたくなります。さらに、『預金ではお金が増えません』と言われ、老後資金を準備するため、終身保険などに入る人もいます。長生きリスク、認知症などあらゆる“不安”をかきたてられて、営業マンに勧められるまま、たくさんの保険に加入し、1カ月で何万円も費やしている人を見かけます。老後が長くなるこれからの時代、なるべく早いうちに『本当に必要な保険』を見極める必要があります」そうアドバイスするのは、『「保険のプロ」が生命保険に入らないもっともな理由』(青春新書プレイブックス)の著者で「保険相談室」代表の後田亨さん。すべての保険が「ムダ」というわけではない。たとえば、自転車の賠償責任保険や、火災に備える保険など、巨額のお金が必要になるケースには保険が役立つという。「子どもが大学を卒業するまでといった一定期間の死亡に備える『定期保険』、病気で長期間仕事ができなかったときに備える『就業不能保険』、または相続対策のために加入する『終身保険』などは、検討に値する保険といえますが、ほかの保険はどうしても必要とは思えません」(後田さん・以下同)必要性が疑われる保険に保険料を支払い続けるよりも、貯蓄も含めて、有効なお金の使い道を選んだほうがいいという。そこで、後田さんに「いらない保険」を教えてもらった。【外貨建て保険】保険料が米ドル、ユーロ、豪ドルなど外貨で運用され、保険料の払い込み、保険金の受け取りも外貨で行われる。手数料が高く、元本割れ期間がある。為替リスクもあるのに、積立利率や将来の返戻率の高さが強調される。資産形成には不向き。【貯蓄性保険】個人年金保険や学資保険など、老後や子どもの進学時期にあわせて給付金が受け取れる。中途解約時の元本割れリスクに比べお金の増え方は少ない。【長寿保険】死亡保障はなく、保険料払込み期間に解約した場合の返戻金の水準が低い。その代わり長生きした場合の給付額を大きくしているが、加入期間の長さ・中途解約リスクを考えると、給付額は物足りない。【終身保険】「一生涯死亡保障が続く」「解約時には相当額の解約返戻金が払い戻される」というのが特徴で、相続対策には役立つが、ほかの使い道は考えにくい。【医療保険】民間の保険では入院給付金が1日5,000円~、手術給付金は1回5万~10万円といった保障があるが、公的医療保険(健康保険、国民健康保険)の自己負担上限額は、一般に月9万円程度。高額な先進医療も実効性が証明されていない医療もあり必須ではない。【がん保険】がんになったときに診断一時金、入院給付金、手術給付金が受け取れるのが基本。日本では標準的な治療が健康保険で受けられるので、貯金などで対応するのが合理的。【介護・認知症保険】現在50歳の人が要介護認定を受けるとすれば、30年くらい先の話なので、お金の価値が怪しくなる。例えば一時金300万円や年金年額60万円が、30年後にも現在と同じ価値を持つとは考えにくい。【健康増進型保険】保険加入後の行動や健康状態で保険料が再計算されたり、還付金が支給されたりするが、そもそも割引前の保険料設定が妥当なのかは不明だ。■“長生きリスク”など将来への不安に備えるのに保険は適さない「貯蓄性保険」には、「学資保険」や「個人年金保険」などがあるが、保険を貯蓄のために利用するのは間違いと後田さんはいう。「保険料のすべてが貯蓄に回るのではなく、経費などが差し引かれます。一定の元本割れ期間があるのは経費が高いからです。遠い将来、保険料総額に対し100%を超えるお金が払い戻されるとしても、物価が上がれば、お金の価値は契約時より下がります。お金を増やすなら、個人型確定拠出年金(iDeCo)など、保険よりコストが低い仕組みを利用するのが賢明です」最近は、公的年金の不安分をフォローする個人年金保険にも注目が集まっているが、50代以降に加入すると月々の保険料は高くなる。“長生きリスク”に備える「長寿保険」(トンチン年金)は、死亡保障をなくしたうえ、保険料払込み期間内の返戻金を低く設定。その分、長生きした場合の年金額を増やした商品。90歳前後まで長生きすると、払い込んだ保険料以上のお金が受け取れる設計になっている。「70歳までの20年間で1,000万円を支払ったとして、『100歳まで生きたら1,200万円受け取れる』と、パンフレットなどに書かれていても、50~100歳までに200万円生み出す方法は保険以外にもあるはずです」
2019年02月20日