「自分の子どもが不登校で……、と電話相談を受けて家庭訪問をすると、お子さんだけでなく、40代以降のお母さんもひきこもり、というケースをよく目にします。ご本人は自覚していませんし、専業主婦という立場上、問題が表面化することもありません。いわば、“かくれひきこもり”なんです」そう話すのは不登校やひきこもりの自立支援を行う団体、関東自立就労支援センターの平岩健さん。内閣府は今年3月、中高年(40〜64歳)のひきこもりを調査。全国に男女合わせて約61万人おり、女性は約14万人と推計した。「内閣府の試算のなかには、さっきお話しした“かくれひきこもり”の主婦はカウントされていませんから、もっと多くなるのでは」実際に内閣府の調査では、専業主婦は無職の人と比べ、ひきこもりとみなされにくい。また、一部の自治体の調査では、ひきこもりの定義で、“専業主婦を除く”としている場合も。そこで今回、中高年女性(40〜64歳)のひきこもりを取材。すると、さまざまな理由でひきこもりになることがわかってきた。■介護のストレスで人に会うのがイヤに内閣府の調査ではひきこもりの原因に「介護・看護」を挙げた人はいないが、実際は介護もひきこもりのきっかけになりうる。静岡県在住の木田英代さん(仮名・64)は、いまから15年前、49歳のときに、夫(当時50歳)が若年性アルツハイマーを発症。同時期に、75歳の義母も認知症になり、ダブル介護を余儀なくされた。「夫は自宅で介護、義母は近くのグループホームに預けて、週に数回、身の回りの世話をしに行っていました。夫は長男で、親から遺産を相続していたので、夫の兄妹から『あんたが全部面倒見てね』と、義母の介護をすべて押し付けられて……」木田さんは公務員だったが、ダブル介護と仕事の両立をあきらめ、50歳で介護離職する。「丸7年間ダブル介護しましたが、体力の限界を感じて、’12年に夫をグループホームに預けたんです。同時期に、義母も看取りました。私も少し肩の荷が下りて、それから3年ほどはよかったんです」しかし、’16年、施設の職員の不注意で、夫がベッドから転落し、大腿骨を骨折してしまった。「施設はちゃんと謝ってくれず、原因も究明してくれない。夫を別のグループホームに替えてやりたかったけど、ほかの施設に空きはなくて。かといって、自宅で夫を1人で介護する余裕もない。どうすることもできず、なんだかもう、情けなくなってしまって……」木田さんはこれがきっかけで人間不信になり、ひきこもるように。「それまで、地域の『認知症家族の会』に参加して、同じ悩みを持つ家族の方の相談にものっていたんですが、行けなくなりました。とにかく人に会うのがイヤで、だんだん入院していた夫の面会にも行けなくなってしまった」そんな自分を責めてしまい、さらに状態は悪化。「買い物にも行けず、食事を作るのも面倒。何か口に入れないと、と思ってやっとの思いで作っても、食べ物も喉を通らない。そういう状態が1年ほど続きました」そんななか、昨年10月、木田さんを心配した「認知症家族の会」のメンバーから誘われて、ある講演会に出かけた木田さん。「出かけるのはおっくうだったけど、年をとってもハツラツとしている方の話を聞いたら、私もまだまだやれる、という気になって」その後、木田さんのひきこもり傾向は緩和されていったという。「介護をきっかけにひきこもってしまう方は少なくありません。介護を終えて燃え尽きたとか、介護離職をしたものの介護が終わっても再就職ができないとか。また、親を施設に預けた罪悪感から、ひきこもる方もいます」そう指摘するのは、女性のうつやひきこもりに詳しいメンタルアップマネージャの大野萌子さん。「子どもが就職や結婚で手が離れると、愛情を注いでいた対象がなくなったことでとてつもない寂しさに襲われ、これが引き金となり、うつや、ひきこもりになる方がいます。これを、ひなが巣立った後の巣の状態にたとえて、“空の巣症候群”と呼んでいますが、介護していた親が亡くなったり、施設に預けたあとになったりすることもあるんです。家にこもることが悪いわけではないですが、ひきこもり、塞ぎがちになることで、うつにつながることもあるので、注意は必要です」大野さんは、ひきこもりを長期化させないためのコツをこうアドバイスしてくれた。「市や区の行政の窓口には、市民相談窓口が設置されていますし、各地域には、ひきこもりの家族会などもあります。ちょっとした悩みでも、早めに相談することが長期化を防ぐカギです」ひきこもり、塞ぎがちになるきっかけはさまざま。まずは頼れる人に、気軽に相談することを心に留めておきたい。
2019年10月16日「自分の子どもが不登校で……、と電話相談を受けて家庭訪問をすると、お子さんだけでなく、40代以降のお母さんもひきこもり、というケースをよく目にします。ご本人は自覚していませんし、専業主婦という立場上、問題が表面化することもありません。いわば、“かくれひきこもり”なんです」そう話すのは不登校やひきこもりの自立支援を行う団体、関東自立就労支援センターの平岩健さん。内閣府は今年3月、中高年(40〜64歳)のひきこもりを調査。全国に男女合わせて約61万人おり、女性は約14万人と推計した。「内閣府の試算のなかには、さっきお話しした“かくれひきこもり”の主婦はカウントされていませんから、もっと多くなるのでは」実際に内閣府の調査では、専業主婦は無職の人と比べ、ひきこもりとみなされにくい。また、一部の自治体の調査では、ひきこもりの定義で、“専業主婦を除く”としている場合も。そこで今回、中高年女性(40〜64歳)のひきこもりを取材。すると、さまざまな理由でひきこもりになることがわかってきた。■過去のいじめが原因でひきこもり繰り返す「ひきこもりに悩む女性からの相談件数は、倍増どころじゃありません。うちでは週3回、電話相談を実施していますが、川崎の事件前は年に1件あるかないか。しかし、事件後は、日に1〜2件は必ずかかってきます」そう話すのは、ひきこもりの家族会「楽の会リーラ」を運営する事務局長の市川乙允さん。川崎の事件とは今年5月、川崎市で起きたひきこもりがちだった51歳男性による無差別殺傷事件だ。「ひきこもっているせいで周囲から危ない人と思われる、自分も今後どうなるか心配など、不安を感じて電話してこられるのです」電話相談では、とくに子どものころにいじめを受けた人からのひきこもり相談が多いという。「45歳で専業主婦のSさんは、中1でいじめに遭って不登校になってから、3年間ずっとひきこもりでした。なんとか大学まで卒業しましたが、就職した会社でパワハラに遭い、再び1年ほど自宅にひきこもるようになったそうです」その後、バイト程度ならできるまでに回復。しかし、仕事で人間関係のトラブルなどに遭い、過去にいじめに遭った体験がよみがえると、どうしても1〜2カ月、ひきこもってしまったという。「そうなると、就労したくても短期でパートを繰り返すしかありません。とくに独身の女性は、頼れるのは親だけ。親が亡くなったらどうやって生活すればいいのか、不安を抱えている方もいます」Sさんは25歳で結婚。いまは中学生のお子さんもいるという。「ふだんは、掃除や買い物、子どもの世話など難なくこなせるそうですが、調子が悪くなると、買い物に行くのもつらくなり自室にひきこもることがあるようです。調子が悪くなるきっかけは、夫が家のことに無関心とか、子どもが言うことを聞かないなど、ちょっとしたことが引き金のようです」Sさんの場合、1〜2日で回復するときもあるが、過呼吸の発作や、手洗いを何度もしてしまう強迫神経症の症状が出て、1カ月程度ひきこもることもあるという。厚生労働省が定めた“ひきこもり”の定義は、仕事や学校に行かず、家族以外の人と交流をほとんどせずに6カ月以上続けてひきこもっている状態をいう。しかし、Sさんのように、ひきこもり期間が6カ月に満たないひきこもりを繰り返す人もいるのだ。「14万人なんて氷山の一角でしょう。主婦のひきこもりの原因や症状は十人十色。誰もが引きこもりになる可能性があります」女性のうつやひきこもりに詳しいメンタルアップマネージャの大野萌子さんは、ひきこもりを長期化させないためのコツをこう話す。「市や区の行政の窓口には、市民相談窓口が設置されていますし、各地域には、ひきこもりの家族会などもあります。ちょっとした悩みでも、早めに相談することが長期化を防ぐカギです」ひきこもり、塞ぎがちになるきっかけはさまざま。まずは頼れる人に、気軽に相談することを心に留めておきたい。
2019年10月16日「自分の子どもが不登校で……、と電話相談を受けて家庭訪問をすると、お子さんだけでなく、40代以降のお母さんもひきこもり、というケースをよく目にします。ご本人は自覚していませんし、専業主婦という立場上、問題が表面化することもありません。いわば、“かくれひきこもり”なんです」そう話すのは不登校やひきこもりの自立支援を行う団体、関東自立就労支援センターの平岩健さん。内閣府は今年3月、中高年(40〜64歳)のひきこもりを調査。全国に男女合わせて約61万人おり、女性は約14万人と推計した。「内閣府の試算のなかには、さっきお話しした“かくれひきこもり”の主婦はカウントされていませんから、もっと多くなるのでは」実際に内閣府の調査では、専業主婦は無職の人と比べ、ひきこもりとみなされにくい。また、一部の自治体の調査では、ひきこもりの定義で、“専業主婦を除く”としている場合も。そこで今回、中高年女性(40〜64歳)のひきこもりを取材。すると、さまざまな理由でひきこもりになることがわかってきた。■ひきこもった子どもに寄り添い自分も……前出の平岩さんが目にしたケースはこうだ(個人情報秘匿のため、相談内容を一部変更して紹介)。「前に、お子さんのひきこもりの相談を受けたBさんは47歳の専業主婦。以前は、小学校の先生をされていましたが、中1だった娘がひきこもりになったとき、『自分が仕事ばかりで、娘をほったらかしにしていたのでは』と思い、教師を辞めて、お子さんに寄り添うことにしたそうです」しかし、仕事を辞めても子どものひきこもりに変化はなかった。「寄り添っても、子どものひきこもりは改善しないし、職は失うしで、自信をなくされたんでしょうね。Bさんは次第に、『先生になるため努力してきたのに、自分の人生はなんだったのか』と、塞ぎこむようになったそうです」さらに、「あそこの子はひきこもりだ」という近所の目も気になり、外出も避けるように。現在は、週に1度、クルマで家から離れたスーパーに食材を買いに出かける程度だという。「10年以上、母子でひきこもっている家庭も少なくありません。仕事を辞めると、人と接する機会は急になくなる。さらに、子どものひきこもりを知られたくないので、外で友人に会うことも、ましてや家に呼ぶこともない。結果、社会と断絶してしまうのです」女性のうつやひきこもりに詳しいメンタルアップマネージャの大野萌子さんは、ひきこもりを長期化させないためのコツをこう話す。「市や区の行政の窓口には、市民相談窓口が設置されていますし、各地域には、ひきこもりの家族会などもあります。ちょっとした悩みでも、早めに相談することが長期化を防ぐカギです」ひきこもり、塞ぎがちになるきっかけはさまざま。まずは頼れる人に、気軽に相談することを心に留めておきたい。
2019年10月16日生田斗真主演でおくるホームコメディー「俺の話は長い」が10月12日から放送開始。生田さん演じる主人公のニート&偏屈ぶりに「演技上手い」などの声が寄せられているほか、また清原果耶にも注目の声が上がっている。本作は生田さんが31歳独身、職無し、実家暮らし、でも屁理屈を言わせりゃ右に出るもの無しの“ダメ男”岸辺満を演じ、満の奮闘や挫折やしょうもなさと、それに翻弄されながら絆を深めていく家族を笑いながら見守るコメディーホームドラマ。1時間枠のなかで2本のストーリーが楽しめる構成になっている。バツイチで満に厳しい姉・秋葉綾子に小池栄子、綾子に尻に敷かれている夫・光司に安田顕、綾子の元夫の子どもで不登校になっている娘の春海に清原果耶、満と綾子の母親・岸辺房枝に原田美枝子。満と光司が通う「Bar クラッチ」のバーテンダー・駒野海星に杉野遥亮といったキャスト。※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。今回は満の家に綾子と光司が訪ねてくる。家を建て替える間の3か月、仮住まいさせてほしいという綾子と光司の頼みを最初は断る満だが、そこに春海がやって来る。すき焼きを食べ終わった満は春海を家まで送ることになる…という「すき焼きと自転車」。結局秋葉夫妻が仮住まいすることになり引っ越しの準備が始まる。いらなくなった古本を処分しに行く満と光司だが、古本を処分した金で満は光司を連れ行きつけのバーに。遅くまで飲んで帰宅した光司を綾子が怒ると、それをきっかけに満と綾子、春海による言い合いが始まって…という「寿司とダンボール」の2本がオンエア。放送開始直後からSNSには満の“屁理屈”ぶりにイラつく視聴者からの投稿が殺到。「満の性格しんどい」「絶対に友達になりたくないタイプ」「主役が凄まじく嫌みで良いところ無し」などの声が続々と寄せられる。また「ここまで横柄ではないがおのれを見るようだ」「うちの長男見てるみたいでホント面倒くさい」「主人公の性格リアルに弟に似ててしんどい」「生田斗真が実兄すぎて見ていられなくてリビングから逃げちゃった」など、自分自身や家族を思い出したという反応も。また春海を演じた清原さんにも数多くの反応が。朝ドラ「なつぞら」から彼女に注目している視聴者も多いようで「千遥っぽい暗めな役しか見たことなかったから新鮮」「なつぞらで気になってたから新土曜に早くも出てるの嬉しい」などの声から「演技が素晴らしい演じている人物そのもののように見える」といった演技力を讃える声まで様々な反応が集まっている。(笠緒)
2019年10月12日是枝裕和監督がカトリーヌ・ドヌーヴ、ジュリエット・ビノシュ、イーサン・ホークらを迎えて手掛けた『真実』が、現在開催中の第24回釜山国際映画祭Gala Presentation部門にて上映。さらに、是枝監督が同映画祭のAsian Filmmaker of the year(今年のアジア映画人賞)を受賞したことを受け、授賞式と公式会見、Q&Aに出席した。Gala Presentation部門の公式会見では、海外から訪れた記者も多数参加し、立ち見や、会場に入れない方も出てくるほど大盛況。会見がはじまると、最新作の『真実』について、監督のこれまでのキャリアについてなど、様々な質問が投げかけられ、会見終了予定の時刻となっても、挙手の手が止まることはなく、是枝監督の最新作への注目度の高さが伝わる会見となった。カトリーヌ・ドヌーヴを「いろいろな側面から光を当てて多面的に描く」是枝監督は本作について、「映画の中にいろんな母と娘の関係を登場させたいと思いました。それはある時は、立場が逆転して見えたり、ある時は演じている母親が演じることのなかったライバルにみえたり、庭から聞こえてくる言葉が娘のものだと錯覚したり、いろんな場所で母と娘、娘と母というものを重層的に描いてみたいというのは最初からコンセプトにしていました」とコメント。「それはカトリーヌ・ドヌーヴという女優をいろいろな側面から光を当てて多面的に描く一つの方法だったと思います。あとはやはり、祖母であり、女優であり、母であり、そして娘でもあるそういう事を目指しました」と語った。フランスの子役にも「いつも通り『ささやき作戦』で」また、監督の特徴ともいえるのが、フレッシュな子役への演出。本作に登場するシャルロット役のクレモンティーヌ・グルニエについて、「オーディションで選んだんですけど、日本と同じやりかたをしようと思って、事前に脚本は渡さずにおばあちゃんちに遊びに来たお話だよってことだけ伝えて、あとはいつも通り現場で僕がささやいてそれを通訳の人にささやいてもらう『ささやき作戦』で全部やりました」と明かす。「もともとの台本では学校でいじめられて不登校になっている女の子の設定だったんですけど、あのクレモンティーヌに会って、非常に勝気な女の子で、衣装合わせで夏休みあけに会った時に、『夏休みどこに遊びに行ったの』って聞いたらすごいめんどくさそうな顔して僕の事みて『あそこのおばさん(衣装担当)にさっき話したからあそこのおばさんに聞いてくれ』って(笑)」。そうしたやりとりから、「まさにおばあちゃん(ドヌーヴ)のDNAを受け継いだ孫としての存在として描いた方が面白そうだと思って、そこから脚本を随分変えました」とも語っていた。「尊敬するアジアの映画人から渡されたリレーのバトンだと思って」さらに、毎年アジア映画産業と文化発展に最も優れた業績を残したアジア映画関係者および団体に与えられる「Asian Filmmaker of the Year(今年のアジア映画人賞)」に選ばれた是枝監督。昨年は坂本龍一が受賞したことでも大きな話題となった。授賞式と公式上映に加え、上映後には直接監督に質問ができるQ&Aイベントもあることから、840席の会場がチケット発売開始後から3秒で完売し、当日券も朝一で売り切れとなったという。会場の客層は、20代~30代が圧倒的に多く、是枝監督が劇場の後方扉から客席を通って登場すると、大きな拍手と歓声が巻き起こった。ステージに上がり、トロフィーを受け取った是枝監督は、「こういう形で釜山映画祭に参加が出来て、皆さんの前で喜びの言葉を伝えられることが本当に嬉しいです」と喜びを明かし、「名誉賞をいただくことが増えてきて、そろそろキャリアの仕上げに入っていると思われるのではないかという不安がよぎっています(笑)ただ今回映画作りをご一緒したカトリーヌ・ドヌーヴさんに比べたら、まだまだ駆け出しの若造で、これからの僕の映画人としてのキャリアの道のりは、これまで過ごしてきた25年間よりもさらに長くなるだろうと、長くしたいなと、思っておりますので、これからの作品も頑張って作っていきたいと思います」と今後の抱負を語った。「このトロフィーは、尊敬するアジアの映画人から渡されたリレーのバトンだと思ってしっかり受け止めて、次の世代のアジアの作り手たちに渡したいと思います。いろんな対立や隔たりを超えて、映画と映画をつないでいく役割を担っていければいいなと今日改めて思いました」と最後に明かすと、再び盛大な拍手が巻き起こっていた。続けて、舞台挨拶として「この映画は、母と娘の物語です。いろんな母と娘が作品の中に登場します。ここ数作、重たい作品が続いたので、観終わった後に、気持ちが前向きで明るくなるような、少し遠回りして家までの道を歩きたくなるような、そんな作品を作りたいなと思いました。素直に楽しんでくださいと言える作品に仕上がっていると思います」と、これから映画を鑑賞する観客へコメントを寄せ、笑顔で会場を後にした。“家族はかけがいのないものだけど、やっかい”を描きとることを意識上映後、温かな拍手に包まれながら再びQ&Aにて出迎えられた是枝監督。劇中の登場人物のカット割りを分析して質問したり、監督の過去作からの考察を述べるような猛者が現れたり、監督の言葉に何度もうなずいたりと、熱心なファンたちによって会場はヒートアップ。急きょQ&Aの時間を延長し、最後は監督自ら壇上から観客を当てる形となる盛況ぶり。“映画を撮るときに意識していることは?”という問いについては、「『歩いても 歩いても』をという映画を撮ったときから、常にファミリードラマを撮るときは、“家族はかけがいのないものだけど、やっかいだ”という、その両面をどのように描きとるかは考えています」と返答。“監督は俳優さんたちから自然な演技、自然な雰囲気を引き出すのが素晴らしい”と指摘を受けると、「魔法は使ってないですよ(笑)」と笑顔でコメント。「ただ撮影をしながら脚本を書いていく、撮影して夜編集して、脚本を直して、翌日話してっていうやり方をしているので、現場でよく観察をしていて」と明かし、「例えばドヌーヴさんが『お疲れさま』って皆にハグをして帰るんですけど、良いお芝居ができて帰るときはキスの位置がここからここ(唇近く)に移るんです。それがすごく面白いなって思って、(娘婿の)ハンクにそういうキスをして、それを聞いた妻のリュミールが自分の母親の女の部分に苛立つ、という話は僕が現場でキスされたときの経験を書きました」と打ち明けていた。『真実』は10月11日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国にて公開。※韓国では12月より公開予定第24回釜山国際映画祭は10月12日(土)まで開催中。(text:cinemacafe.net)
2019年10月07日子どもたちが保育園や幼稚園、学校などにスムーズに通えることが、あたり前と思う人もいるかもしれません。でもときに子どもから「行きたくない」と言われ、頭を悩ませた経験がある人もいるでしょう。今回は、子どもたちが「園や学校に行きたくない」と言ったときの対処法について、アンケートをもとに考えてみたいと思います。■6割以上の親が「行きたくない」を経験アンケートでは、「園や学校に行きたくない」と言われたことがあるかどうか聞きました。その結果、「よくある」、「時々ある」、「数回だけある」と答えた人が合わせて63.3%となり、6割以上のパパやママたちが「ある」と答えたことがわかりました。一方で、「ほとんどない」、「ない」と答えたのはあわせて35.6%で、「園や学校に行きたくない」と言われたことのある人の方が多い結果になりましたQ.「園や学校行きたくない」と言われたことある?よくある 16.8%時々ある 17.5%数回だけある 29.0%ほとんどない 19.1%ない 16.5%その他 1.0%■行きたくない理由1、「お母さんといっしょにいたい」アンケートに寄せられたコメントからは、子どもたちが園や学校に行きたくない理由は複数あることがわかります。それぞれの理由について、具体的なエピソードをみていきたいと思います。「息子が保育園の時によく言っていました。サービス業の私は日曜日仕事のことが多く、一緒にいたかったみたいです」(新潟県 40代女性)「保育園時代は毎日泣いていました。泣きすぎておう吐してしまうほど。仕事に行くのが、本当につらかったです」(福島県 30代女性)「小学1年になって間もなく、ある日突然『行かない!』と。スクールカウンセラーの先生に相談したところ、『赤ちゃんがえり』だと言われました」(鳥取県 40代女性)園児や小学校低学年の子どもたちの親を中心に、「親と離れたくない」という理由から登園や登校を嫌がるエピソードが多く寄せられました。嫌がる子どもを前に、後ろ髪を引かれる親たちの様子が目に浮かびます。筆者自身も、2歳で幼稚園に通い始めて、毎朝号泣する長男を泣く泣く園のバスに乗せていました。幼稚園や保育園での生活は、初めて親と離れて過ごす第一歩。「離れたくない」という思いは、成長の証とも言えそうです。■行きたくない理由2、「いじめがつらくて教室に入れない」学校生活を送る子どもたちの親から寄せられたのは、学校でのいじめや友人との人間関係に悩んだ子どもたちから発せられた「行きたくない」の声です。「小学生のとき、長い間いじめられていて、『行きたくない』と言いました。先生を信じて話したら否定されたときには、『もう学校やめたい』と」(神奈川県 40代女性)「長男が1年生のときから意地悪されて、『行きたくない』と言っています。学童では、うちの子がやり返さずに泣いてしまうから面白がって集団で意地悪された。学童に行かないで済むならそうしたい」(静岡県 40代女性)「長女は中2のときにクラスのグループメールのやりとりでトラブルになり、教室に入れなくなった。本人の気持ちとしては、学校には行きたいけど、どうしても教室には入れない、苦しかったと思う」(神奈川県 40代女性)どのコメントも、胸が痛くなるような子どもたちのエピソードがつづられています。学校に通い始めると、子ども同士だけのやり取りや関係性が深くなっていき、親がをすべて把握するのは難しくなっていきます。しかし多くの親は、子どもたちの「行きたくない」理由がいじめによっているのであれば、その事実を把握したいと思っていることでしょう。■行きたくない理由3、「先生が怖い…」また、子ども同士ではなく、先生との関係性に苦しんでいるという声も多く寄せられていました。「幼稚園のとき、突然『園バスに乗らない。行きたくない』と泣きだし、これが何日も続きました。そのうち本格的に登園拒否が始まり、しばらくして、原因は担任の先生が意地悪だからとわかりました」(神奈川県 50代女性)「担任の先生に陰険なことをされたり、怒ってばかりで先生が怖かったりで、学校に行きたがらなくなりました」(和歌山県 40代女性)「原因は校長でした。何かうまくできないことがあると、『そんな事もできないのか? 学校来なくていいから』と言われたり、1人だけ休み時間に個室に入れられて勉強させられたこともありました」(島根県 20代女性)園や学校では、担任の先生といっしょに過ごす時間が長いため、うまく関係が築けないと子どもにとっては大きなストレスになってしまいます。もしかしたら本当に先生の方に原因がある場合もあるかもしれません。しかし、人間同士でのやりとりには相性の良し悪しが出てしまうことも事実としてあるように思えます。コメントのなかには、「娘が男性の担任を嫌がり、学校に行きたくないと言った」というものもあり、担任の先生との付き合い方の難しさを実感させられます。■行きたくない理由4、「集団生活が合わない」また、そもそも『集団生活が合わない』という声も寄せられていました。「現在小1男児ですが、行きたくない時期に波があり、変化の時期はつらい様子。小学生になってからは、あきらかに精神的な腹痛が毎日のようになり、保健室登校をしています」(神奈川県 40代女性)「下の子は人見知りが激しい性格のため、集団行動、団体生活になじめないようで、幼稚園から5年生になった今でも毎朝、『気持ち悪い、おなかが痛い』と嫌々登校していきます」(千葉県 30代女性)「『HSC』をご存じでしょうか? とても敏感に感じてしまう特性です。 新しい環境、騒がしい教室、ちょとした言葉で傷つくなど普通の子にはなんてことはないことに、ストレスを感じ悩まされてるのです。わが子は騒がしい教室、先生が他の子をしかる声に、家で体を震わせていました」(神奈川県 40代女性)人一倍敏感な気質の子どもを表す「ハイリー・センシティブ・チャイルド(HSC)」についてのコメントも寄せられていました。集団生活が合わないという子どものなかには、かなり深刻な理由を抱えている子もいて、それに悩む親子の様子がうかがえます。■行きたくない理由5、「通学がつらい」などさまざまな意見園や学校に行きたくない理由は、本当にさまざまなようです。ここからはそのほかに寄せられたコメントをいくつかご紹介します。●通学がつらい●偏食のため給食を食べることが苦痛●保育園で昼寝が嫌さらに、「理由がわからない」という声も寄せられていて、園や学校に行けない理由が単純なものではないことが伝わってきます。■「学校が好きでたまらない!」一方で、3割以上の親は、子どもが「園や学校に行きたくない」と言ったことは「ない」、もしくは「ほとんどない」とと答えています。「園についたら一回ハグを求められて、後は振り向きもせず園庭に駆けていく。頼もしいけどちょっとさみしい」(広島県 30代女性)「いつ言われるかと心の準備だけはしてきましたが、高校卒業まであと半年。心配は、取り越し苦労に終わりそうです。いまは中学高校通算6年間、皆勤賞を狙っているようです」(神奈川県 50代女性)「学校が好きでたまらないのか、登校指定時間の15分以上も早く学校に行ってます。家から5分とかからない場所ですが、『あと20分遅く出ればパパと一緒に出られるのに』と思ってしまいますね」(東京都 50代男性)「学校に行きたくないと言われたことはなく、むしろ大事をとり休ませたくても休んでくれなくて困ったことはありました。意地悪を言われたり嫌なこともあるみたいですが、学校を休む事自体がそもそも嫌みたいです」(神奈川県 40代女性)寄せられた声からは、園や学校が大好きだという無邪気な姿と、真面目にがんばる姿の両方が目に浮かびます。「親としてはちょっと寂しい」という意見もありましたが、子どもたちにとっての居場所があるということには、親として安心できますよね。ただ、「体調を崩していても行きたい」という子どもたちの姿勢には、心配する声も寄せられていて、時にはストップをかけてあげるのも親の役目かもしれません。■「行きたくない」と言われたら……それでは、「園や学校に行きたくない」と子どもから言われたとき、親としてはどのように対応すればいいのでしょうか。コメントからヒントを探してみたいと思います。<その1、友だちや人の手を借りる>●下の子が年少の時、行きたくないと泣いていましたが、仲良くしてくれる友だちができて、無事に行けるように。友達の力は大きい●学校で嫌がらせされていましたが、仲の良い友だちがかばってくれて改善した●1年生の頃は集団登校が嫌で学校に行きたくないと泣いていた。ある日、事情を知った近所のおばさんが娘の登校時間に合わせて犬の散歩をしてくれて、登校できるようになりました<その2、必要に応じて親が介入する >●イジメが原因だったので、担任に手紙を書き、道徳の授業でイジメに関して授業をしてもらいました●子どもたちの「行きたくない」はしょっちゅうです。そのなかで、本当にSOSを出しているものを見抜くのは親の役目。私がイジメにすぐ気づいて、担任に対処してもらい、解決したことがありました<その3、行きたくない気持ちを受け止める>●元気がないときは「何かあった?」と声をかける。少し間を置いたときは、次の言葉が核心である可能性が高いので、子どもの気持ちを受け止めて、どうしたいか、どうできるかをいっしょに考えてあげる●「なんで行きたくないの」と子どもを問い詰めるのは逆効果。「そうだね、行きたくないよね」と同調してあげると気分が落ち着いたようだった●初めて幼稚園に行くときから数日は全身で拒否されましたが、成長と共に必ず通る道。私と家が最高の避難場所になってあげることが大事だなと思います<その4、一時的に休ませる>●年長の時に「行きたくない」って言われたので「行かなくていいよ!」と話して、丸1日ズル休みをして遊びに行ったら「次の日にはやっぱり行く!」って言いました。つらい時はちょっと回り道するのもアリですよね●幼稚園の時に小児科で「休ませるなら期間を決めること。両親でよく考えて決めること。決めたならそこからブレない事」と言われて、結局1週間休ませました●「本当にだめそうかな?」って時は休ませて悩みを聞く。そうすると、本人もすっきりするみたいで次の日からは普通に行きます<その5、園や学校をやめる、長く休む>●娘が高校で不登校になり、通信制高校に転校。いい同級生に囲まれて、1年遅れで無事に高校を卒業しました●長女は学校に行っていません。でも毎日元気に過ごしています●中2の夏休みから長い休みをとりました。今では、高校は毎日行けるようになり、建築の勉強が楽しいみたいですどのコメントからも、子どもへの愛情が垣間見え、親として何がしてあげられるか考え、行動していることがわかります。きっとどんなパパもママも、子どもの「行きたくない」という言葉を聞いたら、最初は戸惑ってしまったのではないでしょうか。それでも、子どもがどんな対応を求めているのか、親である自身には何ができるのか考えて行動したパパとママたちからのコメントは、大きなヒントとなります。最後に、こんなコメントもご紹介します。「長男が保育園登園をぐずり途方にくれていた時、先生に『保育園に行きたくないというのは、おうちでお母さんとの関係がとてもいいという証拠ですよ』と言われ、気持ちが楽になりました」(茨城県 40代女性)「勉強できてもできなくても、運動できてもできなくても、『行きたくない』ってことはある。大人だって仕事に行きたくないってことあるんだから!」(山口県 40代女性)「子どもの言葉を優先し、休ませると休み癖をつけてしまうのではないか? 子どもの気持ちを励まし、登校させてつらい思いを増やしてしまうのではないか? 命より大事なモノなどありませんが、欠席か登校させるかの判断は、やはり日々ともに過ごし、当人の顔を見ている家族のみんなで判断するしかないですよね」(神奈川県 50代女性)子どもの「園や学校に行きたくない」という声は、転じて「家にいたい」というメッセージを発している場合もあるようです。家族との関係がうまくいっているからこそ、子どもがSOSを出せているということを聞くと、親としても少し落ち着いた判断ができる気がします。嫌がる子どもを前に、最終的に園や学校に行かせるか休ませるか、親としては判断を迫られることもあるでしょう。「一度休ませたら、ずっと行けなくなってしまう」と思うと、なかなか休ませてあげられないと感じる人は多いと思います。また、筆者自身もそうですが、「仕事があるから、行ってもらわないと困る」という切実な思いがあることも確かです。そうした働くパパやママたちの思いを子どもももしかしたら敏感に感じ取っているかもしれません。ただ、子どもたちが本当に深刻な状況になる前に、「園や学校に行きたくない」というSOSを出してきたら、そのときにできるだけ子どもに向きあって、いっしょにどうすればいいか考えてあげることが大切でしょう。忙しい日々の中でも、子どもの気持ちに寄り添う時間は少しでも作り、何か変わった様子がないか気にかける、そうした日々の積み重ねが、子どもたちの助けになると信じたいと思います。Q.「園や学校行きたくない」と言われたことある?アンケート回答数:4482件 ウーマンエキサイト×まちcomi調べ
2019年10月06日学校選びで後悔しないために…出典 : こんにちは。『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法』著者・楽々かあさんこと、大場美鈴です。今回は、発達障害&グレーゾーンの子が中学受験を考え始めた時のご参考に、うちの経験を元にした、「発達障害目線」からの志望校選びのポイントを2回に渡ってお伝えするコラムの<後編>です。<前編>では、「その子に合った環境なら、多少の個性の違いは気にならない」ことだってあるので、その子の個性を活かしやすい、前向きな環境選びのポイント4つをお伝えしました。ただし、どんなに素晴らしい学校に出会ったとしても、受験期も入学後も「現実の壁」に突き当たることもあります。特に、人一倍感受性の強い子や、真面目で思いつめやすい子なら尚更影響が大きいでしょう。万が一、入学した後で「学校に行くのがつらい」「やめたい」となった場合、そこからリカバリーし軌道修正していくのは、親子共に多大なエネルギーと時間が必要になってしまう可能性も(でも、もし、そうなったらなったで「なんとかなる」と親子で思えることも大事です!)。今回の<後編>では、入学後に「こんなハズではなかった」「知らなかった、聞いてなかった」と親子で後悔するリスクを減らすために、事前によく調べた上で、親子でじっくり話し合い検討しておいたほうがいいと思う、現実的なポイント3つを中心にお伝えします。出典 : もし、お子さんが希望の学校に合格しても、満員電車や遠距離通学の負担等が大きくて学校に通えなかったら、つらい想いを経験してしまいます。どんなに素晴らしい学校でも「現実的に我が子が自分で通えるか」は、よく検討したほうがいいでしょう。うちでは早い段階から、「ドア・ツー・ドアで片道1時間以内、電車の乗り換えは1回まで」の学校にまず絞ってから、志望校選びをしました(また、現在長男は「通勤通学の混雑時間帯を避けて、早めに登校する」などの工夫もしています)。感覚過敏があり身体接触が苦手な子や、自律神経や思春期のホルモンバランスの乱れから、起立性調節障害、自律神経失調症、過敏性腸症候群などの傾向がある子は特に、毎日の通学負担は無視できないポイントです。また、発達障害のある・なしに関わらず、特に思春期の女の子は、混雑路線の電車通学や、部活動等で帰宅時間が遅くなるのも心配でしょう。・自転車通学やスクールバスなど、電車以外の通学手段もあるか・電車通学でも「乗り換えが少ない」「混雑路線や混雑駅を避けられる」等のルートがあるか・体調に不安のある子は、途中駅に寄りやすいトイレがあるか・学校・駅周辺の夜間の街灯の設置や治安はどうか・万が一の災害やトラブルなどの時に、親が迎えに行くまでどのくらいかかるか(自宅・職場からの距離など)…などをチェックし、できるだけ負担の少ない通学手段・時間を選べるといいでしょう。併発している疾患がある場合には、主治医ともよく相談し「どの程度の負担までなら大丈夫そうか」意見を聞いてみるのも大事です。また、通学の負担の「体感での」確認は、見学会・文化祭等で学校に足を運ぶ度に、「実際に使用する通学手段・ルートで(できれば、同じ通学時間帯で)」親子で何度も体験・確認するのがいいでしょう(この過程で、子どももある程度慣れることもあります)。出典 : 発達障害のある子の中には、IQ(知能指数)の非常に高い子や、寝食を忘れて勉強に没頭できる子、人並み外れたガッツがある子などもいて、いわゆる「超難関校・超進学校」の中にも「入学してみたら、類友ばかり」なんて話も…。でも、そういったタイプ以外の子には、ただでさえ中学受験勉強は、まだまだ幼い小学生には負担が大きなもの。ましてや、過度なストレスやプレッシャーに弱い子は特に、精神的に不安定になったり、余計に集中力や注意力が落ちてしまう可能性も(特に、現在二次障害があるお子さんは、受験勉強を始める以前に、まずはそのケアと解決が最優先でしょう)。子どもの健全で健康な発達には、十分な睡眠やあそびの時間も大切な栄養なんです。そして、発達障害に限らず、過剰な受験勉強を強いられて、心身の健康のバランスを崩し、その後の学校生活や思春期の人格形成に影響したり、燃え尽きて生きる意欲を失ってしまう…などの教育虐待や、過剰な受験競争・学歴偏重社会の影響も、昨今、国内外問わず問題視されてもいます。偏差値や知名度だけを見ていたら、「その子にとって」本当にいい学校・合っている環境が見えにくくなるかもしれません。それに、少し先の大学受験を視野に入れる場合も、近年の大学入試での推薦・AO型入試の増加傾向等から、「より偏差値の高い学校が、より偏差値の高い有名大学に入りやすい」とも限りません。世の中の価値観が多様化していく中で、学校・大学の偏差値順のランキングも存在意義が薄れつつあるようにも思えます。また、正直な話、進学校で学力的にギリギリ合格ラインだと、入学後に中高一貫校の進度の早い授業スピードについていけなかったり、大量の宿題がこなせなくて、不登校になるお子さんも少なからずいるようです。ですから、あくまで1つの考え方ではありますが、その子のペースで無理のない受験勉強をし、入学後も余裕を持って勉強に励むことができる、「背伸びし過ぎない」難易度の学校を選ぶのも、私には賢い選択のように思えます。苦手なことや失敗が多くて自信をなくしがちな子でも、比較的上位合格できる学校や、得意分野の強みを活かせる学校で、「できる子」として扱われて自信をつけるのもアリでしょう。こういった受験生の過剰な勉強の負担を考慮し、1科目・2科目入試、選択科目入試、推薦・AO型入試等、多様な入試方式を採用する学校も増えていますので是非、早めのチェックを。そして実は、「中高一貫」だからと言って、無条件に全員が高等部に進学できるとは限らない場合もあるのは、注意したい点です。高等部進学に際して、「成績評価に1がないこと」「進学試験にパスすること」などの一定の条件が課せられる学校もあるからです。また、学校によっては、成績不振の生徒にはさりげなく転校や、他校の高校受験を勧められる…なんて話も時々あるようです。その子の進路に関わる大事なことなのに、入学後に「聞いてなかった」「知らなかった」というリスクは大き過ぎます。こういった情報は説明会ではどの学校でもあまり触れられませんでしたが、もし、学習面で不安がある場合、在校生や保護者の方に実情を訊ねてみるといいでしょう(高等部進学に関する規定は、生徒手帳の校則等に書いてある場合もあります)。記事 「教育虐待をしないために親に心がけてほしいこと」おおたとしまさ出典 : そして最後に、いじめの予防と対応です。特に、発達障害のある子は「みんなと違う」ことで、いじめの対象になりやすく、また、親や先生に上手に相談できるスキルが弱くて深刻化しやすい傾向があると私は思っています。特に思春期は、その子の人格形成においてとても大事な時期なので、「いじめのない学校を」と希望されるご家庭も多いでしょう。でも、残念ながら、「家庭環境に恵まれた子が多いから」「この学校は優秀なお子さんが多いから」…等の理由で、私立中学にいじめがないとは言い切れません。また、学校の口コミサイトなどに「いじめはありません」等と書かれていても、鵜呑みにしないのが賢明です(状況は日々変化する上、書き込んでいる人の立場によって「いじめの事実」が見えないこともありますから…)。つまり、どんな学校でも「いじめは起こるもの」を前提に、事前にできる予防の対策をし、発生後に迅速に対応できる体制があるか、を見るといいでしょう(特に私立は、教育委員会などの上位組織もなく、何かあった時に学校内で収めてしまいがちです)。・校舎の造りや雰囲気(照明や採光の明るさ、防犯設備の有無、掃除や掲示物の状態など)・スクールカウンセラーの配置や外部機関との連携体制があるか・先生と生徒、先生同士のコミュニケーションが取れているか(職員室の配置や様子、先生の親しみやすさなど)・情報の公開性(学校に不利・不都合な情報でも公式HP等で公開し掲載されているか、など)…などの「風通しの良さ」が、いじめ対応のポイントだと、私は思います。こういった雰囲気は、なかなか外からはハッキリと見えにくいものですが、全体的に明るくオープンで「空気が軽い」印象がする学校は、ある程度いじめに対して、心理的な予防効果があるように思います。また、先生方のコミュニケーション力は、いじめ対応においても、とても大事な要素でしょう(特に管理職)。見学会や説明会の際、挨拶程度でもいいので、校長先生や教職員を見かけたら話しかけてみるといいでしょう。また、文化祭や最寄駅などでの、在校生同士の様子や表情の豊かさなども参考になると思います。子ども自身の意思がなければ、どんな環境でも適応が難しいから…出典 : 最後に…もっとも大切なのは、やはりお子さん自身の意思です。そしてご承知の通り、現実的には受験は合格・不合格があり、必ずしも希望が叶うとは限りません。それでも、第一志望以外の学校でも気持ちを切り替えて前向きになれる子はいいのですが、それがなかなかできなかったり(親のほうが結果を受け容れられない場合も)、親や塾から無理矢理勧められた学校に不本意ながら通うお子さんは、その後の学校生活への適応が難しくなる傾向があると聞きます。実際、長男の中学でも、入学直後から情緒が不安定だったり、数ヶ月で不登校になるお子さんも何人かいました。どんな学校でも、どんな環境でも、本人の意思を伴わなければ不満やストレス、環境への違和感を、より強く感じやすくなるのだと思います。ですから、元々気持ちの切り替えが苦手な子や、真面目で思いつめやすい子は特に、お子さんが本心から「行きたい学校」「行ってもいい学校」しか基本的に受験しないことを、私はオススメしたいです。うちの長男の場合、中学受験以外の選択肢も含めて、小学校卒業以降のあらゆる進路の可能性を親子で検討しましたが、結局、本人が気に入った第1志望1校だけを一般入試とAO型入試の複数回受験し、他校は受験しませんでした(もし、不合格だった場合は、「公立中学に在籍しつつ、自治体の教育支援センターとホームスクールの併用で前向きな不登校」という選択が、うちの「滑り止め」でした)。ここまで2回に渡って、うちの経験から私立中学の志望校選びのポイントを「発達障害目線」でお伝えしましたが、なかなか、ご家庭の全ての希望を満たし、尚且つ、現実的に合格可能な学校と出会うのは難しいかもしれません(特に、うちのような地方在住の場合、私立学校の選択肢も少ないでしょう)。その子にとって「絶対に外せないこと」「ある程度妥協できること」「そんなに気にならないこと」などの優先順位をつけながら、親子でよく話し合って志望校を比較検討されるのがいいでしょう(一覧表にして点数などをつけるのもいいですよ)。でも、中学受験に限らず、「どんな環境でなら、その子らしく生きていけるのか」その子の個性と相談しながら、親子で一緒に探っていくこと自体が、自立に向かうための大事なプロセスだと私は思っています。大場美鈴/著『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法』2017年/刊/ポプラ社
2019年10月02日少し前にわが家の不登校体験記として、子どもが不登校になったら親としてどんな対応をしたか、どう考え受け入れたのか、というお話を描きました。今回は不登校を受け入れた先に、どう過ごしていくかの選択肢について書いてみました。不登校の親の会をやってきていろんな方とお会いして思ったのですが、不登校になってからの子どもはどういう行動が多いかというと、勉強してみたり家の手伝いをしたりするのも最初だけでそのうちただゴロゴロしてゲームや動画などで時間を潰す子が多い印象です。そして昼夜逆転する子も。わが子も一時期そうでした。親はわが子の心の傷を感じてとりあえず休ませないとと思うのですが、そんな状態が続くとどうしても不安が頭をよぎります…。学校以外の居場所がみつからない…!少し落ち着いた後は、学校以外の居場所を探したりしますが、なかなか良い(合う)ところが見つからずどこにも行けない場合も多いでしょう。不登校の子どもの受け皿が少ない&合うところがないというところにたどり着くのではないでしょうか。学校に苦手意識を抱えて行けなくなる…勉強や人間関係につまづいて傷を抱えてる子どもに対して、適応指導教室などは学校に戻すための学校簡易版みたいな機関だったり、フリースクールもお金がかかったり近くに無かったり、そもそも子どもがどこにも行きたがらない、などなど…。不登校の子どもの受け皿が少ない&合うところがないのは常々親の会で出る悩みでした。で結局どう過ごしてるか聞くと…やることがないからゲームや動画で過ごしてるという子の多いこと。対してそれをやめさせないとと思っている方も多かったです。ここで好きなことがある子はそれをとことんやればいいと思います。(わが子も絵が好きで描きまくって現在イラストレーターとして働いています)でも…なにも好きが見つからない子はどうしたら…親が何か新しいことに誘ったりしていろいろ経験できる子は良いですが、それすら拒否し家から出ない、出れない子もいるでしょう。そんな折、以前対談させていただいた小幡和輝さんと再びお会いするチャンスがありまして、行ってまいりましたよ~!不登校についての対談「第2弾」です。しかもグッドタイミングで新しい選択肢を引っさげて来てくれたではありませんか!子どもがゲーム好きならそれこそ利用するべし!なんと日本初のゲームのオンライン家庭教師サービスです!最初聞いた時は、親がやらせたくないのでは…と思いました。しかし子どもが「やることがなくてゲームばかりしている」というのは、実は「ゲームが一番好きだからやってる」のかもと考えてみると…だとしたら、ゲームを避けて禁止や制限をするより、ゲームを利用して居場所を見つけてあげて社会復帰のキッカケにした方がいい、ゲームが好きならそこを利用しない手はないと思い直しました!小幡さんが、「囲碁や将棋の習い事ならいいのに、ゲームを習うのはダメという考え方を変えていきたい」と言っていたのが印象的でした…。オンラインゲームの怖いところは、悪い人と出会わないか、高額課金してしまったりしないか…という心配があるかと思いますが、この「ゲムトレ」というサービスならそういった心配はありません。また、トレーニングなので「決まった時間でやる」「先生にレッスンしてもらう」「自分で練習する」その結果、上手になって自信がつく…というプロセスを体験できます。これは、どの習い事も一緒だなぁと思いました。ゲームだからダメというのも親の思い込みなのかもしれません。「好きなことをがんばること」が自信につながる!好きなことをがんばることは、元気に、自信につながります。ここをなくしては次のステップに行くのは難しいと私は思います。学校に行けないことを嘆いていても先に進めません。その時間を子どもの好きを親子でゆっくり一緒に見つけて深めていくための時間にできたらステキですよね。不登校経験者の小幡さんだからこそ作れた子どもの気持ちに寄り添ったサービスだなぁと思いました。不登校の子たちみんながまた笑顔になれますように!日本初、ゲームのオンライン家庭教師『ゲムトレ』◆ 詳細はこちら>>
2019年10月01日僕はゲームを30000時間やりましたはじめまして。『ゲームは人生の役に立つ。』という本を書いています。小幡和輝と申します。Upload By 小幡和輝いきなりですが、僕は不登校でした。幼稚園から休みがちで、小学2年生からは完全に不登校になり、それから中学3年生までほとんど学校に行っていません。その期間はほとんどゲームをしていて、これまでに30000時間以上はゲームで遊んでいます。この30000時間という数字がどれくらいかというと1日8時間遊ぶことを1年間やり続けると約3000時間なので、それを10年間毎日やり続けるくらいです。それくらい僕はゲームに没頭し続けました。いまでもゲームが大好きです。僕の話をもう少しすると、高校からは定時制高校に通いはじめて、大学にも通い、自分の会社を立ち上げ、いま幸せに生きています。これはゲームをやっていたからだと心から断言できます。勉強も運動もできなかった僕が唯一輝けたもの。それがゲームでした。ゲームを通じてたくさんの友達ができました。この記事では、僕の体験を通じて、ゲームはコミュニケーションツールになるということをお伝えできればと思っています。不登校の子どもたちがゲームで笑顔にUpload By 小幡和輝僕は今年の夏、47都道府県すべてを周って不登校の当事者と会ってきました。約1000人との交流の中でゲームがコミュニケーションツールになった場面がたくさんあります。ずっと大人しくて、まったく話さなかった子がゲームの話になると目をキラキラ輝かせて、自分が好きなゲームのことを話し出してくれました。ちょうどそのゲームを持っているというので、みんなで一緒に遊ぶことに。お互いにはじめましてだった子どもたちが終わるころにはみんなが仲良くなって、LINEを交換したりしている姿を見たとき、改めてゲームの魅力を感じました。親御さんが、子どものやっていることを理解していないという課題日本を一周して感じたことは、子どもがやっていることを理解していない親御さんが非常に多いという課題です。例えば「子どもが家でゲームをしている、小幡さんみたいにゲームで友達を作って欲しいのですが、なかなか上手くいきません」というご相談がありました。ここで驚いたのが、「お子さんはどんなゲームをやってるんですか?」と聞いてみると、「詳しいタイトルとかはわからないです」という親御さんがとても多いんですね。これでは何もはじまりません。”スプラトゥーン”をやってる子どもに”フォートナイト”をやろうというわけにはいかないのです。これはサッカーが好きな子に、野球をやろうと誘うのと同じなので。不登校の子の親御さん同士が繋がって、もしその子ども同士が同じゲームにハマっていたらそこで一緒にやろうという話になるかもしれない。でも、ゲームタイトルがわからないのでは繋ぐこともできません。これはYouTubeなどでも言えることで、「子どもがYouTubeを見ている」というのは、テレビを見ている。音楽を聴いてる。レベルの抽象度です。YouTubeでどんなチャンネルを見ているのかがわからないとそこで話が終わってしまいます。ゲームとか、YouTubeとかっていう抽象度ではなく、どんなゲームをやっているのか、子どもはどれくらいの実力なのかというところまで理解できると、「じゃあこんな人と会ってみない?こんなイベントに行ってみない?」という誘い方ができるようになります。まずは子どもがやっていることを正しく理解するところからスタートしてみてください。プロゲーマーレベルの才能が埋もれていた一つ具体的なエピソードを書きます。子どもたちとの座談会で一緒にゲームをしました。来ていた子どもの中には大会で優勝経験もあり、すでにプロゲーマークラスの子がいて、一緒にゲームをしていると、一緒にやりたそうに見ていた子が近くに来ました。「じゃあ一緒にやろう」と誘ってみると、僕はもちろん、なんとプロゲーマークラスの子どもにも勝ってしまったんです。その子の親御さんはゲームに反対で、どうやって辞めさせるかを考えていました。もちろん大会などに連れて行ってくれるわけもないですし、その子は家でもあまり居心地がよくなかったでしょう。一方でプロゲーマークラスの子どもは親御さんもゲームが大好きで、大会にもどんどん連れて行くし、ゲームを通じて多くの友達ができています。この差は親が作り出したものです。もし将棋や囲碁ならどうでしょうか?自分の子どもがプロ棋士レベルに勝ったら嬉しいし、その才能をどんどん伸ばしてあげようと思うのではないでしょうか。子どもの才能を伸ばしてあげるのは親の役目なのではないでしょうか。ゲームを教える家庭教師の可能性実は海外だとゲームを教える家庭教師が存在します。プロゲーマーが職業として一般的に認められているので、プロゲーマーを目指すための家庭教師が徐々に広がってきたんですね。日本ではまだまだ厳しいと思いますが、僕はプロゲーマーを目指すものではなく、教育プログラムとしての習い事にゲームを使えないかと考えています。ゲームを通じて脳を鍛え、不登校をはじめ、コミュニケーションが苦手な子どもがゲームを通じて人と関われるようになっていく。ゲームが強くなって大会で結果が出ることで自己肯定感が高まっていくなど、ゲームを通じた教育に繋げる家庭教師の可能性を感じています。実は9月から試験的にはじめているのですが、とても評判がいいです。僕はこれから、囲碁や将棋を習うように、ゲームを習う文化を作っていきます。参考:日本初、ゲームのオンライン家庭教師『ゲムトレ』(@nagomiobata)(@nagomiobata)小幡和輝オフィシャルブログ
2019年10月01日自分に合った環境なら、「みんなと違う」は気にならないUpload By 楽々かあさんこんにちは。「発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母の毎日ラクラク笑顔になる108の子育て法」著者・楽々かあさんこと、大場美鈴です。私は、発達障害の「障害」とは、その子の「個性」と「環境」の間にある…と考えています。ですから、本人側から環境に合わせる努力や工夫も大事ですが、自分が適応しやすい環境を選ぶことでも、「みんなと違う」が気にならなくなる場合もあると思います。現在中学2年生の長男は、私立中高一貫校を受験し、第一志望校に無事合格。自分の個性に合った環境で充実して過ごせるようになり、私はそこに「障害」を感じなくなりました。中学受験は、あくまで「環境選び」の1つの選択肢に過ぎませんが、独自の校風や教育方針などの「環境」が、その子の「個性」とぴったり合っていれば、少々個性的でも学校生活を楽しく過ごせるお子さんは結構いるように思います。ただし、私立中学の場合、特別支援学級設置校は現在全国で1校のみ(文部科学省H29年度資料より)ですし、障害者差別解消法による「合理的配慮」も「努力義務」の範囲になるため、基本的に「特別支援教育」や「特別な配慮」は、現状あまり期待できないと思っていた方がいいでしょう(※ただし、発達障害・不登校対応ができる学校や、公言せずとも一定の理解や配慮がある学校もあります)。そのため、まずは、入学の前提条件として、お子さんがある程度、特別な配慮がなくても教室で落ち着いて過ごせ、通常学級での授業や学級活動への参加に大きな支障がないことが必要な場合が多いと思います。また、将来の自立に向けて必要な、ソーシャルスキルや生活スキルを身につけるための発達支援(療育)・トレーニングは、必要に応じて医療・支援機関の手も借りながら、家庭が主体となって学業と並行して継続的に取り組んでゆく必要もあるでしょう(これは、公立中学の通常学級、フリースクール・ホームスクール等で学ぶ場合や、高校進学〜それ以降の進路を選択した場合も同じです)。その上で、もし、中学受験をお子さん自身が強く希望したり、ご家庭の教育方針と合うのであれば、様々な学校を実際に見学し、比較検討してみるといいでしょう。その際、うちの経験上、発達障害傾向のある子の場合、志望校選びの段階で偏差値や知名度などよりも、ずっと優先して考えた方がいいことがあります。環境の影響を受けやすい発達障害傾向のある子は、毎日の小さな負担の積み重ねが、いつの間にか、「適応できない」「努力では乗り越えられない」大きな障害物となってしまうこともあるからです。発達障害&グレーゾーンの子が中学受験を考え始めた時に、志望校選びのポイントを7つ、ご参考までに独自の「発達障害目線」で、2回に渡ってお伝えします。今回の<前編>では、その子の個性を活かしやすい、前向きな志望校選びのポイント4つです。文部科学省「特別支援教育資料(平成29年度)」より出典 : まずは校風です。校風とは「学校の雰囲気」という漠然としたものですが、校訓や募集要項やアドミッション・ポリシーなどで、「こういう子に来て欲しい」と学校側は意思表示していますから、学校の公式HP・資料請求などで、すぐに確認できます。そして、教育方針。私立学校は特色ある独自の教育を打ち出していることが多く、「サイエンス教育に重点を置いている」「国際教育に力を入れている」「スポーツの強豪校である」「情操教育を大事にしている」…などなど、学校自体も個性的です。つまり、「学校の個性」と「その子の個性」がピッタリ合っていれば、同じ子の同じ部分が短所から長所に変わることも。例えば、うちの長男の「空気が読めない」という部分を、現在の中学では「積極的に自分の意見が言える」と肯定的に高く評価してくれます(こういった学校の考え方は、建学の精神、校訓や募集要項、過去問等にもハッキリ表れていました)。そして、凸凹差が大きくても、特定の分野に興味関心が高い子、一芸に秀でた子、一つのことに集中できる子等を歓迎し、得意分野を伸ばしてくれる教育方針とマッチすれば、「できる子」として扱ってもらえる可能性も高いでしょう。また、留学生や帰国子女を積極的に受け入れるなど、多様な個性や文化背景のある生徒が集まる学校や、博愛精神を大事にする学校などでは、多様性を認める教育がなされ、多少の個性やものの感じ方・考え方の違いは、大らかに受け容れてもらえることも。こういった、個性的な生徒を求めている学校は、「推薦・AO型入試」などを実施している場合も多いので、入試方式も早めにチェックしておきたいところ(推薦・AO型入試は、説明会への参加、事前の資料準備や面談、面接練習などが必要なことが多いです)。出典 : 学校の規模も、発達障害傾向のある子にとっては、大事な要素だと思います。感覚過敏があると、教室でのザワザワ音や他の人の動きなどが気になってしまい、負担が大きくなります。うちの長男は「人が多ければ多いほど、集中できない」とのこと。また、グレーゾーンの次男も人の顔と名前が覚えにくく、学級数が多い小学校ではクラス替えによる負担が大きく、対人関係でなかなか自信が持てませんでした。こういった子は、小規模校や少人数クラス編成の学校のほうが負担が少なく、落ち着いて過ごせる可能性が高いでしょう(ただし、クラス数が少ないと、いじめやトラブル等の際にクラス替えによる解決が難しくなることも。また、少人数でも静かとは限りません)。そして、中学では小学校と違い、担任の先生がずっと同じ教室にはいないので、大人の目が届きにくくもなります。また、集団の規模が大きくなればなるほど、「個別に、柔軟に」は、物理的に難しくなるでしょう(ただし、「干渉されない大規模校のが気が楽」「ビシッと管理されるほうが落ち着く」という子もいると思うので、一概に大規模校が合わないとは言えません)。そのため、小規模校や少人数クラス編成の学校は、アットホームな雰囲気で先生方も生徒一人ひとりの顔を覚えやすく、目も届きやすいでしょう。また、大規模校でも、副担任制の採用や少人数授業や補習制度など、教員の配置が手厚く面倒見の良い学校も。生徒数・クラス数・教員数も、学校の公式HPや学校案内・募集要項等に大抵記載されています(ただし、入試の際の募集定員数と実際の在籍生徒数がかなり違う学校もあるため、「実際のところ」も、よくご確認を)。出典 : 思春期は、いわゆる「フツーの子」でさえ、身体面・精神面で不安定になりがちです。ましてや発達障害傾向のある子は、環境の変化に敏感なことも多く、心身に大きな負担のかからない、安定した生活環境が大事だと思います。ただし、設備の「体感」は公式HPや学校案内だけでは掴めないので、実際にお子さん自身が見学会や文化祭・体験授業等に足を運んで確認してくるのがいいでしょう。学校の設備面のチェック・ポイントは…・エアコンの設置・稼働状況(各教室の他、体育館や部活動の施設なども)・教室環境(教室の広さ、机と机のパーソナルスペース、教室前方のモノや掲示物の配置など)・教室の照明、黒板・ホワイトボードの色(視覚過敏やLDのある子に見やすい色・明るさか)・個人ロッカーの有無(忘れ物の多い子、体力に不安のある子等は、「置き勉」の可否)・保健室や図書室、自習室やオープンスペースの有無(静かに休息できる場所はあるか)…など、「その子にとって特に負担がかかりやすい部分」を重点的に、よく見ておくべし!また、味覚や触覚過敏で偏食傾向のある子は、食の選択肢がある、弁当持参や学食・購買が充実している学校などが、負担が少ないでしょう。その中学のランチはどうなっているか、学園祭などで在校生に「お昼、どうしてますか?」って聞いてみるのもテ。それから、一般的には楽しいハズの行事・イベントも、「いつもと違うこと」が多いと負担になる子もいるでしょう(ただし、私立は運動会や各種セレモニーなどの事前練習等はほとんど行わないか、あっても効率的な場合が多いと思います)。年間行事予定も、学校HPや学校案内に大抵写真付きで載っていますから、一緒に眺めて「こんな行事があるんだね」「修学旅行はここに行くんだね。大丈夫そう?」等、親子で話し合いながら、お子さんの反応を見ておくといいでしょう。出典 : 傾向のある子は特に、ICTの導入状況はよく確認しておきたいポイントです。ICTが全校で導入され、iPadやPCが一人一台使える環境なら学習への負担が減りますし、特別な許可も必要ないので「〇〇くんだけズルイ」だなんて思われることもありません。また、ICTが普及していれば、校内の無線LANや電子黒板等も整備され、先生方もデジタルツールに慣れているので、デジタル教科書や電子辞書の使用、作文・課題のワープロ提出、ノート代わりの黒板の撮影なども、柔軟に理解されやすいと思います。長男の学校の場合、全校生徒1人1台iPadを所有し、授業中の電子辞書アプリの使用や、課題のワープロ打ち提出などは、特に先生の許可も必要なく、発達障害のある・なしに関係なく「みんなフツーにそうしてる」とのこと。そして、学習面では、授業内容やレベルなど「何を学ぶか」も大事ですが、「どう学ぶか」の学習手段・方法のほうが、より重要なポイントだと私は考えます。先生が一方的に話して、ひたすら黒板を写す…という伝統的な講義型の一斉授業だけでは、負担が大きかったり集中できなかった子も、「その子に合った学び方」なら、学習意欲と学力を大きく伸ばしてもらえる可能性も。多様な学習手段・方法の例は、ICTの活用の他にも…・実験やフィールドワークなどの体験型・探求型の学習・教科を越えた問題解決型の統合的な学習・言葉で学びをアウトプットするプレゼンテーションや、ディベート形式の学習・少人数授業、習熟度別クラス編成、個別課題や補習など、それぞれのペースや到達度に合わせた学習…など、近年様々に試みられていますが、その学校で取り入れている中で「その子に合った学び方」があるか、じっくりチェック。学校側が柔軟に新しい方法を取り入れてアップデートし、「学び方」の選択肢が多ければ、その子の凸の強みが活かせるチャンスも増えます(「その子に合った学び方」は何かが分からなければ、事前に専門家に相談し把握しておくといいでしょう)。また、柔軟性・合理性の高い学校なら、個別の事情に合わせて、ちょっとした私物の持ち込みや学用品のカスタマイズ程度なら、気軽に理解が得られることも。学習環境の確認は、小学生向けに体験授業などを行う学校も増えているので、気になる学校があれば参加してみるといいでしょう。その子の個性を活かしやすい環境を…出典 : 今回の<前編>では、「発達障害目線」から「こんな環境なら、その子の個性を活かしやすい」という、私立中学の志望校選びの前向きなオススメポイントを中心にお伝えしました。次回<後編>では、入学の学校生活を考えると「ちょっと不安な点・心配な点」に対して、押さえておきたい現実的なポイントを中心にお伝えします。大場美鈴/著『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母の毎日ラクラク笑顔になる108の子育て法』2016年/刊/ポプラ社
2019年09月20日いじめに遭い、不登校になる子どもたち。なかには自ら命を絶ってしまう子も……。私たち大人には何ができるのだろう?中川翔子(34)が実体験を踏まえて語る。「『死ぬんじゃねーぞ!!』は私がライブ中にも叫ぶメッセージ。いじめに遭い、私と同じような思いをしている子どもたちに、“どうか生き延びて”と伝えたくて」そんな願いを込め、中川翔子が自身のいじめ体験を文章とイラストでつづった『「死ぬんじゃねーぞ!!」いじめられている君はゼッタイ悪くない』(文藝春秋)がベストセラーとなっている。子どものころからマンガやアニメ、ゲームが好きだった中川だが、私立中学に入学直後から、1人で絵を描いていることで「キモい」「オタク」とレッテルを貼られ、いじめが始まった。「誰からも話しかけられず孤立して、5分、10分の休み時間をどう過ごしていいか、わからなかった」絶えず誰かに悪口を言われ笑われている気がして、吐き気をこらえながらも、何とか学校へ通う日々。「週末に、母と一緒にマンガを読んでダラッと過ごしたり笑ったりしているときが救いでした」大人はよく「つらいのは今だけ」「卒業したら楽になる」と、助け船のつもりで言葉にするが……。「いじめで苦しんでいる子どもの耳には入りません。私は、死にたくなるくらいなら、学校には行かなくていいと思う。不登校は“逃げる”ことじゃない。自分の人生に合う道を探すことなんです」中川の母は娘のために、通信制高校を見つけてきた。「通学も自分のペースでいい。ひきこもりの人やヤンキーもいる。世代もさまざま。いろんな人がいて、それぞれよかった」教室で絵を描いていると「めっちゃうまいじゃん。Ayu(浜崎あゆみ)の絵を描いて」と、声をかけられたことも。「うれしかった。その同級生とは今でも友達です。母が違う選択肢を示し、味方でいてくれた。これが何よりサポートになりました」中川の母は、毎年貯金をはたいて、旅行にも連れていってくれた。「小学校3年のときに父が亡くなってからは、母が1人で働いて育ててくれました。決して裕福ではないなか、16歳のときには、フロリダのディズニーワールドへ連れていってくれて……。それから10年後、ディズニー映画『塔の上のラプンツェル』(’11年公開)で、私がラプンツェルの声を担当したときは、母も大喜びしてくれました。『生きててよかった〜』と思いましたね」そう思ったのには理由がある。「じつは17歳のとき、『死にたい』という衝撃が襲ってきて、リストカットしてしまったんです。母は『バカ!なんでこんなことするのよ』と、涙を流しながら私を叱りました。父が亡くなったとき以来、初めて見た母の涙……。今も忘れられません」その後、再び「死にたい衝動」に襲われたという中川。そのときは飼っていた猫が甘えてきて、さすっているうちに収まったという。「『死にたい衝動』が起きたときは、まずいったん寝て、好きなものを食べたり、好きなことをしたりして、気持ちをそらしてほしい。それを繰り返して、少しずつ毎日を生き延びてほしいです」好きなことをする――中川の場合はマンガ、アニメ、ゲームと、“明るい遺書”のつもりで始めたブログだった。「“好きなこと縛り”で発信していたら、そこに共感の声が届くようになり、自分の居場所になって、夢や未来をつくり出す場所にもなっていきました。私がそうだったように、つらい時代は『未来の種を見つける“さなぎの時間”』。いじめで苦しんでいる子どもには、そう伝えたい。お母さんには、そんな子どもに“隣って”あげてほしいんです」“隣る人”とは、絶妙な距離感で子どもを見守り、寄り添い続ける人。ある児童養護施設の保育士と子どもを描いた映画のタイトルだったという。「ただ隣に、そばにいる人。でも、いじめで傷ついた子どもの絶対的な味方。いじめはなくならないかもしれない。でもいじめで亡くなる子は、なくしたい。そのためにも“隣ってくれる”大人が必要なんです」最後に、10代の自分に今、かけたい言葉を聞いてみると。「大丈夫。生きているといいことあって、幸せを感じられる。つらい日々も上書きできる。30代、友達もいるよ、約束する!」いつも“隣って”くれた母にも「ありがとう」と伝えたい――そう笑顔で答えた。
2019年09月09日「『死ぬんじゃねーぞ!!』は私がライブ中にも叫ぶメッセージ。いじめに遭い、私と同じような思いをしている子どもたちに、“どうか生き延びて”と伝えたくて」そんな願いを込め、中川翔子(34)が自身のいじめ体験を文章とイラストでつづった『「死ぬんじゃねーぞ!!」いじめられている君はゼッタイ悪くない』(文藝春秋)がベストセラーとなっている。子どものころからマンガやアニメ、ゲームが好きだった中川だが、私立中学に入学直後から、1人で絵を描いていることで「キモい」「オタク」とレッテルを貼られ、いじめが始まった。「誰からも話しかけられず孤立して、5分、10分の休み時間をどう過ごしていいか、わからなかった」絶えず誰かに悪口を言われ笑われている気がして、吐き気をこらえながらも、何とか学校へ通う日々。「週末に、母と一緒にマンガを読んでダラッと過ごしたり笑ったりしているときが救いでした」だがある日、中川の心をさらに追い込む事件が起こる。「下校しようとしたら、私の靴箱が不自然にへこんでいたんです。ショックでした。何日かして犯人らしき子がクスクス笑っているのを見て、『泣き寝入りはイヤ』と、その子の靴箱をへこませました」すると翌日には、中川の靴箱がさらにボコボコにされていた。「自分が殴られたかのように傷つきました。そしてとうとうある日、靴箱から靴がなくなって。そんな“べたないじめ”に自分が遭うなんて認めたくない。でも靴はない。パニックになって必死で捜したけど見つからなかった」靴がないと帰宅できない。もう先生に言うしかなかった。「靴が盗まれるまでのいきさつを説明しているうちに、悔しさと悲しさで涙が止まらなくなって、先生は『じゃあこれを履いて帰りなさい』と、新品のローファーを手渡してくれました」これでいじめっ子に先生が注意してくれるかもしれない。そう思ったのもつかの間、その先生に職員室に呼ばれ、こう告げられた。「『中川、こないだのローファー代、早く払ってくれないかな』と。意味がまったくわからない。『盗まれた被害者がなんで?加害者が払うべきじゃないですか!』」すると先生は「そうかもしれないけど、ローファーは学校のものだからお金を払ってもらわないと困る」と答えたという。「先生が気にしているのは、いじめじゃなくて経費だ。私へのいじめも、見て見ぬふりをしている。もう、ダメ。大人も信用できない。みんな、大嫌い……。1人で耐えてきた私の心が壊れる“とどめの一撃”でした」帰宅して「学校に行きたくない」と部屋に鍵をかけてこもった中川。「義務教育だし、卒業もあと少しだし、行きなさい!」という母と、大ゲンカになったと振り返る。「母は私の部屋のドアを蹴破って、入ってきました(笑)。今回の本の原稿を読んだ母は『こんなに悩んでいたなんて知らなかった。知っていたら学校に文句を言いにいっていたのに』と」大人はよく「つらいのは今だけ」「卒業したら楽になる」と、助け船のつもりで言葉にするが……。「いじめで苦しんでいる子どもの耳には入りません。私は、死にたくなるくらいなら、学校には行かなくていいと思う。不登校は“逃げる”ことじゃない。自分の人生に合う道を探すことなんです」
2019年09月09日夏休み明けは不登校が増える――。そう聞いたことがある親御さんは多いでしょう。今月のテーマは 「不登校」です。かつては「登校拒否」と言っていましたが、学校に行っていない子どもたちの中には「拒否する子ども」だけでなく「行きたくても行けない子どもたち」もいるということで、「不登校」と呼び方が変わりました。世界中には「学校に行きたくても行けない子どもたち」がたくさんいますが(かつての日本にもそんな状況がありました)、なぜいまの日本でそんな現象が起きてしまっているのか、皆さんと一緒に考えたいと思います。「不登校」とは「学校に行きたくない」と思ったことなら、だれしも一度や二度はあるでしょう。ではそもそも「不登校」とはどういうことでしょうか。文部科学省は次のように規定しています。「不登校児童生徒」とは……「何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しないあるいは登校したくともできない状況にあるために年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの」(文部科学省|平成29年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について 参照)理由や背景はいろいろですが、「学校に行きたくても行けない」子どもや「行きたくないから行かない」子どもたちが不登校の状態にあると言えます。文部科学省の平成29年度の調査では、全国で約14万人(小学生3万5千人・中学生10万9千人)の不登校児童生徒がいることがわかっています 。ただし、フリースクールや適応教室などに通っている子どもたちは出席扱いになりますから、この数字の中には入っていません。また、これとは別に、不登園の幼稚園児や不登校の高校生もいます。そう考えると、子ども全体で見れば、不登校の人はもっと多いと言えますね。児童生徒数は年々減少してきていますが、逆に不登校児童生徒は増えてきていますので、千人当たりという比率で見るとさらに多くなっています。(文部科学省|平成29年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果についてを参照し、筆者にてグラフを作成)小学生の不登校児童数を学年別で見ると、学年が上がるにつれて増加していきますが、もっとも少ない低学年(小学1・2年生)でも全国にいる不登校児童は約4千人。低学年のうちから学校に行けなくなる子どもが数千人はいるのです。(同上)どうして「夏休み明け」に不登校が増えるのか「夏休み明けに不登校になりやすい」ということは、以前からよく言われています。実際にいつと比べてどのくらい多いのかという調査は見当たりません。ですが、私の養護教諭時代の実感でも、1学期なんとか頑張ってきていた子どもたちの中に、とうとう息切れしてしまい休み明けには登校できなくなる子どもたちが少なくなかったことは確かです。1学期の間頑張って頑張って登校していた子どもたちは、夏休みになると「これでやっと一息つける」と思いリラックスします。夏休みがいい充電期間になって、2学期を元気よくスタートできるだけのエネルギーが貯められればいいのですが、頑張った疲れがどっと出てしまい不活発な生活になってしまう子どもや、「あの空間にまた戻るのはきついな」と実感している子どもは、相当なエネルギーがないと9月になってもすぐには立ち上がれません。夏休みは、ホッとして生活リズムが変わったり、学習への規制が少なくなったりしますから、それを元に戻すにはとても大きなエネルギーが必要になります。夏休み明けに不登校になる子どもたちは、このエネルギーが十分にたまっていないとも言えるのです。これは夏休みだけでなく、ゴールデンウィークの後や、冬休み明けなどにもみられます。ですが、夏休みほどお休みの期間が長くないので「ホッとする」ほど休めませんし、生活リズムも大きくは崩れないでしょう。また、春休み明けの新学期はクラス替えや新しい担任など今までと大きく環境が変わります。これをきっかけに「行ってみようかな?」と思う子どもたちもいるため、新年度のスタートは不登校や登校しぶりをしていた子どもが登校するきっかけにもなっています。子どもが発する「不登校のサイン」に気づきましょう不登校のサインは、子どもによっても年齢によっても、またそのきっかけになったことによっても異なります。「学校に行きたくない」「学校にはもう行かない」などとはっきり宣言する子どもはほとんどいません。ですから、親は子どもが出す「サイン」に気づいてあげることが大切です。最もよく見られるサインは、体の不調です。夏休みが終わりに近づくと元気がなくなったり、食欲がなくなったりする。新学期が始まって朝の登校時間が近づくとおなかが痛くなったり、頭が痛くなったりする。こういったような症状が挙げられます。このような体の不調は、1週間が終わる金曜日の夜あたりにはなくなり、学校が休みの日はあまり症状がでません。「これは偽病ではないか」と相談に訪れる保護者の方もいますが、偽病ではなくて、子どもは本当に頭が痛かったりおなかが痛かったりするのです。年齢が低ければ低いほど脳の機能が未分化なので、心にかかったストレスが体の症状として現れやすいと言えます。他にも、だんだん話をしなくなる、朝起きられなくなる、夜になっても眠れなくなるなどがサインのこともあります。自分にとって何がストレスなのかわからないことも子どもの大きな特徴です。「とても嫌なことがあった」とか「困ったことがあったのに誰もにも応援してもらえない」など、不安を言語化できる場合もあるでしょう。ですが、子どもが漠然とした不安を抱えている場合には、それをどう表現してよいのかわからず、口数が減ってしまうのです。「不登校のサイン」が見られたとき、親が絶対にすべきことお子さんに上記のようなサインが見られたら、親御さんに必ずしてほしいことがあります。それは、子どもが何も言わなくても、子どもの話をよく聞いたり子どもの様子をよく観察したりすることです。以前私も保健室でよく経験しました。入ってきてもただ黙っていて何も言わない子どもがいたときには、熱を測ったり頭に手を当てたりとまさに「手当」をしながら、「具合が悪いんだね」という気持ちを子どもに伝えると、ホッとした顔をして話し始めたものです。「昨日、お父さんとお母さんがリコン、リコンといってたけど、先生『リコン』ってなあに?」と聞いた1年生の男の子。リコンの意味は解らないけれど、その場の雰囲気から胸の中は不安でいっぱいだったことでしょう。その子は、お母さんから離れるのが不安で(母子分離不安)で、登校しぶりをしていました。子どもの気持ちを汲み取れるまでには時間がかかりますが、子どもに心を向けてじっくり待つことが必要です。先に述べましたように、学校生活のストレスはその程度にもよりますが誰しも持っています。いじめや、学習上の大きなつまずき、人間関係など、何が問題かによって対処方法は変わりますが、基本的には何がストレスになっているのかがつかめると、対処の方法も見えてきます。ここで1つだけ注意したいことがあります。体の訴えがでたら、まずは病院を受診し体に異常がないかどうかを確認してあげてください。「頭が痛い」と訴える背景に思いがけない病気が隠れている場合もあるからです。逆に、病院で特に体の問題がないといわれても、「どこも悪くないといわれたから大丈夫」とか「少しぐらい我慢していってみよう!」などの励ましや無理強いはやめましょう。子どもはその言葉によってますます精神的に追い詰められてしまうこともあります。親も子どもも、少し「いい加減」に子どもに不登校の兆候が見られると、親としてはとても心配になりますね。その不安を少しでも解消できるよう、いくつかアドバイスをしましょう。【親御さんからの質問 1】夏休みが明けて1週間たっても、まだ日常のペースを取り戻せません。学校に行くのだけで精神的にも肉体的にも疲れてしまうようで、帰宅しても宿題すら手につかない様子です。心と体が元気で、かつメリハリある生活でシャキッとさせるには、どうしたらいいでしょうか?夏休み明け、すぐに日常のペースに戻せるお子さんと、戻るまで時間のかかるお子さんがいます。学校が楽しくて「早く新学期が始まってお友達や先生に会いたいなー」と思っているお子さんは、少々生活リズムが崩れていても、すぐに元の生活に戻せるエネルギーをもっています。しかし、エネルギー不足の子どもたちは、元に戻すのに時間がかかったり、なかなか疲れが取れなかったりする場合もあります。少しゆっくりなペースでも焦らないで、「早く寝かせる、早く起こす」程度で様子を見ましょう。ここで気を付けたいのは、「いい子」たちです。どんなことにも「がんばらなければいけない!」と思っている子どもは、自分の力量を超えて頑張ってしまう、いわゆる無理をしてしまう過剰適応のお子さんたちです。逆に、少し「いい加減」にできる子どもは、できないことがあっても「まあいいや……」と力を抜くことができます。元気を取り戻すには、子どもの心にのしかかっている「〇〇をしなければならない」という負担をとってあげることが大切です。親御さんの「なんでもきちんとやらせなくては」という思いも、子どもにとっては負担になることがありますので、親も一緒にいい加減になることも必要です。なにより大事なのは「親子間の信頼関係」【親御さんからの質問 2】子どもが「○○ちゃんがいるから」「明日は苦手な教科があるから」などの理由で学校に行きたくないと言うことがあります。親としては負けない気持ちを持ってほしいので、つい強く送り出してしまいますが、大丈夫でしょうか?子どもが「休みたい」と言ったとしても、1回でも休んだら癖になってしまいそうで、少し怖いです。適切な対処法を知りたいです。親御さんの気持ちはとてもよくわかりますし、実際励ますことで乗り越えられるお子さんもたくさんいます。でも注意しなければいけないのは、「○○ちゃんがいるから」とか「苦手な教科があるから」などという理由は単なるきっかけに過ぎず、その背景に小さいながらも乗り越えられない“何か”がある場合です。これを、心理学者エリク・H・エリクソンが提唱した発達段階の理論では「発達課題」 と表現しています。例えば、幼少期のうちに「基本的信頼感=親子の愛着関係」がしっかり築けていない場合。幼いうちに親との信頼関係が作れていない子どもは、自分を支えてくれるものがないまま、大きな不安の中で生きることになります。この「不安状態=安全基地がない状態」では、人との関わりをうまく創り出していくことはできませんし、ほんの些細なことでも不安になり動けないのです。子どもは心の中に、それぞれの年齢で必要な発達課題を獲得していかないと、子どもは次に向かって進めず立ち止まってしまいます。立ち止まるきっかけは「友だち」だったり「勉強」だったりと人それぞれですが、次へ進めなくなってしまった際には専門家の手助けが必要です。まずはスクールカウンセラーに相談しましょう。それ以外には教育委員会の相談センターや児童精神科医など、行きやすい場所を選ぶといいと思います。学校の保健室に行けば紹介してもらえますよ。不登校も保健室登校も、子どもを学校や教室に返すことを目的とするのではなく、子どもの発達課題を見つけてその子のペースでクリアさせながら、将来の自立を目指すことが大切なのです。(筆者にて作図)自然体験には人を癒す力がある【親御さんからの質問 3】子どもが学校生活にストレスを抱えているようで、何日か学校を休んでいます。でも、家にいる分には元気なので、親としてどう接したらいいかが分かりません。休みの間はゲームでも漫画でも、好きにさせて問題ないでしょうか?家で好きなことをさせるのも心の休養にはなりますが、ゲームでは脳は解放されません。おすすめは、自然体験など体を動かす活動です。体が動くと心も動きます。親子で自然と触れ合いながら、一緒に体を動かしましょう。学校を休んでも罪悪感を持たないよう「疲れたんだから、少し休もう」と休むこともよしとしてください。かつて、保健室登校をしていた子どもたちと、学校の畑で一緒に栽培活動をしたことがあります。土や水に触れ野菜を育てて、収穫して調理して食べる。こんな活動をする中で、子どもたちが元気になり、友だちと関われるようになったり学習に取り組むようになったりしました。自然には人を癒す大きな力があるのです。心の病は、自然と触れ合いながら体を動かすことでかなり回復すると考えています。辛くても焦らないで。じっくり子どもと向き合おう「不登校」は、子どもにとっても親御さんにとっても辛いことです。でも、焦って子どもをますます追い詰めるような言動は逆効果。考え方を変えてみて、「今この子どもにどんな力をつけてあげようかな」という見方で、「やった!」「できた!」というような体験活動をさせてみましょう。また、親御さんが一人で悩まないで相談できる場所や人を見つけることも大切です。仲間がいると元気が出ます。焦らず、じっくり子どもと向き合えるといいですね。(参考)文部科学省|平成29年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について(平成30年10月25日)
2019年09月06日子どもが成長するに従い、子どもたちだけの社会が形成されていきます。そういったなかで、残念ながら時としていじめが起きてしまうことも。わが子には被害者にも加害者にもなってほしくないいじめ問題。今回はパパやママたちの体験談をもとに、親にできることを考えてみます。■3割以上が「いじめの被害者になったことがある」アンケートで、子どもがいじめに巻き込まれたことがあるかどうか聞いたところ、「被害者になったことがある」と答えた人が3割を超えて、もっとも多い結果となりました。また、「両方ある」、「傍観者または加害者になったことがある」とあわせると47.5%となり、約半数の親が子どもの何らかのいじめを経験したことがあるようです。Q.子どもがいじめに巻き込まれたことある?いじめの被害者になったことがある 32.8%ない 29.8%わからない 20.6%両方ある 7.2%傍観者になったことがある 4.1%いじめの加害者になったことがある 3.4%その他 2.2%■幼稚園や学校で…いじめの実態全体の3割以上が「いじめの被害を受けたことがある」と回答したアンケートには、具体的ないじめのエピソードがたくさん集まっていました。まずは、どのようないじめが起きているのか見ていきます。「小さい頃から仲良く遊んでいたお友だちが、幼稚園に入った途端にグループでうちの子をたたいているのを見たときは凍りつきました。その後幼稚園に行きたくないと言うようになり、夫が相手の家に話をしに行ったら、『いじめられる方が悪い』とピシャリ」(滋賀県 40代女性)「2年生のときに6年生にいじめられていました。学校に相談に行き、なるべく先生や支援員さんがいてくれる環境で対処してくれました。今年になって、息子は1年生をいじめています。やめるように言ってもなかなかやめません。今はどうしたら止められるのか試行錯誤しているところです」(静岡県 30代女性)「4月に小学校に入学したばかりですが、さっそくいじめのターゲットにされてしまいました。最初は様子見していましたが、階段で押されたり足を後ろから踏まれたり危険を伴ってきたので、担任に話していまは解決済みです。低学年でもいじめがあるという現実に驚がくしました」(三重県 40代女性)「娘が高校1年の時、部活でいじめにあいました。先輩や同級生から暴言、目配せして笑われる、仲間外れにされる。先生に相談しても『弱いおまえが悪いんや』って怒鳴られた。ようやく退部できて落ち着いたが、我が子がいじめにあうなど考えてもいなかったし、私が進めてしまった高校だったので責任を感じた」(埼玉県 40代女性)そのほかにも、「小学2年でいじめを受けた息子は精神的にダメージを受け、中学生になったいまでも通院治療中。心の傷は長期の戦い」とか、「子どもが『悪口ノート』を作られた」など、つらいいじめの告白が集まっていました。幼稚園や小学校低学年でもいじめがあるとは聞いていましたが、現実的にそこまでいじめの低年齢化が進んでいるのかと驚きです。また、いじめの連鎖やいじめの後も続く心のケアについて訴える声もあり、いじめの深刻さがより身近に伝わってきます。■いじめと遊びの境目とはいじめ問題の難しいところは、何をもって「いじめ」とするかというところ。コメントでも、その難しさについての悩みの声が寄せられていました。「いじめといじりは紙一重。長男はすごく体が小さかったので、担いで女子トイレや更衣室に投げ込まれたりして、先生からは『いじられキャラです』と説明されました。しかし家では、『つらい』と泣いてました」(大阪府 40代女性)「小3の息子が、よく消しゴムを粉々にされたり、鉛筆を折られたり、ノートや筆箱に落書きされたりして帰ってきます。相手はふざけてやっているのか、いじめや嫌がらせの分類なのか、難しいところ」(福島県 30代女性)「いじめまで発展してはいませんが、小3の息子がちょくちょく同じ子からちょっかいをかけられているみたいです」(岩手県 30代女性)「いじられキャラ」や「嫌がらせ」、「ちょっかい」などというキーワードからは、「いじめ」との明確な違いを見つけることの難しさを実感させられます。また、している方とされている方との間に、意識の違いが生じている場合もありそうで、「いじめ」の判定が簡単ではないことがよくわかります。■勇気ある行動に出る子どもたち親たちから寄せられたエピソードのなかには、いじめをみずから解決したり、仲裁したりという子どもたちの勇気ある行動がいくつも集まっていました。「中2の息子は平和主義で、いわゆる『いじめ』を嫌います。性格的にも、男女を問わず嫌がらせを受けている友人を無視することができず、『やめとけ!』と言えるような子です。親としては、『ターゲットが息子に向けられるのでは?』と心配もしましたが、『放っておけばいいから! オレは大丈夫!』と、強く逞しい内心を聞き安堵(あんど)しました」(広島県 40代女性)「いじめられている子、いじめている子、分け隔てなく仲良くしていたら 『あいつと仲良くするんだったら仲間はずれにする』と言われた。無視されたりしながら、それでも『どんな子でも差別したくない』と、どちらとも変わらず接することをやめなかった」(北海道 30代女性)「小学生のときに、『1つ解決しても、また違う子からいじめにあう』と言ってきたことがありました。その場で相手に、『なんでそんなことするのか聞いてみなさい』と言ったら、娘はそのとおりに加害者の子に直接聞いてこれまで解決してきました。いまでは、誰かがいじめていたら『そんなことはしちゃいけない!』と言える子になりました」(茨城県 30代女性)大人でもなかなかできないような勇気ある行動の数々に、子どもたちの持つ力の大きさを感じます。ただいじめの仲裁に入ることでみずからが標的になってしまうこともあるため、親としてはどのように伝えればいいのか、本当に実行して大丈夫なのか悩みどころではあります。でも子どもたちが勇気を持ってみずから起こした勇気ある行動には称賛を送ってあげたいですよね。■加害者がわずか「3.4%」に疑問の声もアンケートによると、「いじめの加害者になったことがある」のはわずか3.4%。いじめは1対多数となることが多いことが考えられ、本来は被害者の数よりも多くなるはず。この結果からはどのようなことが読み解けるのでしょうか。「被害者率が高いが、加害者側はただ知らないだけなんじゃないかって思うほど、子どもの世界を親は知らないものです」(滋賀県 30代女性)「加害者が少ないことにビックリ。わが子が学校でどうなのか、親子での話し合いをしてる家庭が少ないのかなって感じました」(茨城県 40代女性)「加害者にも被害者にもなってもらいたくないし、いままでもいじめはないとは思う。でも本当に『ない』とは言いきれない。他人がさ細なことだと感じるようなことでも当事者が『いじめ』だと受け止めれば、それは『いじめ』。『ない』と自信を持って答えている方々、大丈夫ですか?」(神奈川県 40代女性)たしかに、被害者だけではなく、子どもが「いじめの加害者になっている」ことにも、親としては気づきにくい現状があるかもしれません。アンケートでも「わからない」と答えた人が2割以上いることから、子どもたちのなかで、どのようなやり取りがあったのか、どんな関係性なのか、すべてを把握するのは至難の業です。筆者の小学1年生の長男も、最近友だちと帰宅中にもう一人の友だちを走って置き去りにしてきたことがありました。本人が帰宅後、「逃げてきた!」とうれしそうに言ってきたことで発覚。親同士も仲が良かったのですぐに謝罪して事なきを得ましたが、悪気のなかった長男の態度に驚き、反省させられました。その後、あらためて「なぜしてはいけないのか」「されたらどんな気持ちになるか」について、親子で話し合い、長男自身も涙目になって反省しましたが、「いじめの加害者」と相手には映った可能性もあった出来事でした。こうしたことは日常で頻繁に起こっているのかもしれません。そうだとすると、だれもがいじめの被害者にも加害者にもなりえるといえそうです。ではそんなとき、親としてはどのようなことができるのでしょうか。■子どもが加害者にならないためにいじめの加害者にどうしてなってしまうのでしょうか?「家では良い子の親こそ、学校ではおとなしい下級生に対して弱い者いじめをしているのに、『わが子は優等生だ』と思っている気がする。圧力を親からかけられてる子どもは外で弱い者に圧力をかけるのでは? ある意味子どもも犠牲者」(三重県 40代女性)「いじめをしてしまう子は、家庭で精神的な問題があるのだと思う。発見した場合は、いじめる側の子の心の問題も見つけてあげないと、ずっと変わらないのではないかと思います」(三重県 30代女性)たとえば家庭や習い事、そして学校などで、別の問題を抱え、そのストレスによっていじめを始めてしまう…、コメントにもあるように、こういったストレスなどがいじめる側が抱えている可能性はあるかもしれません。でもだからと言って、いじめはけっして許される行為ではありません。ただ家庭の対応が無力だとも思いたくない。もし家庭でそのストレスを少しでも受け止められれば、いじめの加害者が一人でも減らせるのではないか? そう信じたいものです。それでは、そのとき親は子どもにどのようなメッセージを伝えればいいのでしょうか。「『やられたらやり返せ』という教育はダメだと思う。人にやられて嫌だったことは誰かに対してもやっちゃいけないと教えるべき。我慢できないストレスを受けたら、やり返す以外の対処法を教えるべき」(千葉県 30代女性)「相手が嫌だと思ったらその相手にはそれをしないことを心がけることだと思います。言葉や行動で誰しも相手を陥れることがあることを、大人も子どももしっかり認識すべきだと思います」(神奈川県 30代女性)「どんな場合でも、大勢対一人は卑怯(ひきょう)。大勢で一人をいじめるのは絶対あってはならないことだと、親は厳しく教えていかなきゃいけないと思います」(佐賀県 40代女性)たしかに、「相手が嫌がること」を想像できたなら、「相手が嫌がることをしない」と子どもたちが立ち止まって考えられるかもしれません。さらに、あたり前のことではありますが、「大勢対一人」という構図は絶対にダメだということを伝え続けることも重要なポイントになりそうです。■子どもをいじめの被害者にさせない最後に、子どもがいじめの被害者にならないためにすべきこと、また、いじめの被害者になってしまったら親としてどう対処すればいいか、考えてみたいと思います。●子どもの出すSOSを見逃さない「いじめの被害者になったとき、子どもの目に覇気を感じなかったので問いかけました。自分から言えない子どもが多いので、『わが子は大丈夫』じゃなく、基本的に信じるべきですが、疑うべきでもあります」(徳島県 40代男性)「何でも話しやすいように小言はぐっと我慢して、子どもの学校の話を聞いてます。子どもも自分からいじめの話をしたくないんですよね。ふさぎ込んでたり、変なテンションだったりしないか、いつも気にかけます」(東京都 40代女性)●子どもに寄り添い守ってあげる「いじめまでとは言わないけれど、仲良くしていた子とギクシャクしていた。大切にしていたお友だちだったので、メンタルが心配でしたが、できるだけ寄り添って話を聞いてあげました」(岩手県 40代女性)「息子が幼稚園の頃、毎日のように意地悪されていた。幼稚園も学校も、先生がいるとは言え、大人の目が届きにくい子どもたちだけの社会。自分の子どもの声を拾い、子どもを守るのは自分しかいないのだと親は認識すべきでしょうね」(東京都 50代女性)●子どもを見守る「息子が一度いじめられてると話してきました。びっくりしましたが、本人は『自分で解決する!』と勇気ある一言。息子には『どうしてもうまくいかないときは相談してね』と伝えました。今では人の気持ちをくみとれる優しい息子になっています」(石川県 40代女性)●相手や学校に相談して連携する「深刻なからかいではなくふざけ合いの延長みたいな感じでしたが、どうしても許せないことは、話を聞いた上で相手の子に話をしました。学校の先生には恵まれたので、よく相談もして、学校、家庭、本人の連携で問題は乗り切っていたと思います」(山梨県 50代女性)●学校をやめることも視野に入れる「いじめられている友だちを助けて娘が標的に。下駄箱の上履きに画びょう、クラスに机がない、物がなくなるなど散々でした…。その後、学校を転校しました」(千葉県 50代女性)ここまで、子どものいじめについて、加害者、被害者どちらにもならないための方法について考えてきました。最後にこのようなコメントも紹介したいと思います。「いじめに関わらない人間なんていないと思うんです。見て見ぬふりもいじめだと思います。いじめられてつらい思いをしても、今度はいじめる側。大人になってもいじめはなくなりません。もっと相手を思いやる気持ちを持たないといけないですよね」(福島県 40代女性)「いじめがニュースになる度に、子どもに『あなたはどう?』といじめについての話し合いをして『傍観者になるな』って言っています」(茨城県 40代女性)もしかしたら、「傍観者になる」人たちが一番多いのかもしれませんね。いじめられるのが怖くて、見て見ぬふりをしてしまうということは、親の私たちにも身に覚えがある人は多いでしょう。いじめていた子が、次の日にはいじめられる側になるかもしれない。どんなときにも、「相手を思いやる気持ち」が必要だと感じます。「あなたは大切な存在」と親が子どもに伝え、子ども自身もそう思えたら、自分のことも相手のことも大切にしていこうという気持ちが芽生えるのかもしれません。そのことだけは、できる限り親から子どもに、言葉だけではなく行動でも示していきたいなと思います。「大人になってもいじめはある」というコメントも多く目にしました。実際に、いじめ問題は子どものものだけでなく、大人間でも問題となることがたびたびあります。親である自分たちが、お手本となれるように、相手に思いやりを持ち、普段から「いじめは絶対にしてはいけないことだ」と行動で示していきたいものですね。Q.子どもがいじめに巻き込まれたことある?アンケート回答数:5222件 ウーマンエキサイト×まちcomi調べ
2019年09月01日「夏休み明け不登校」という言葉をご存じですか?」長い夏休みが終わり、もうすぐ学校が始まる…。もともと以前から学校に行きたくない思いがある子は、すっかり家でのんびりすることに慣れてしまい、夏休みの終わりにその気持ちが顕在化してくるのです。「ママ、学校に行きたくない」突然の子どもの告白に、びっくりするお母さんもいるでしょう。しかし、実はその前から、子どもは危険信号、SOSを発しています。そんな「夏休み明け不登校」のサイン、それに気づいた時の対処法をご紹介しましょう。■夏休み明け不登校の兆候、3つのサイン「学校に行きたくない」。そんな気持ちを抱えている子どもが発しているSOSとして、次のようなサインがあります。・朝起きられなくなる。・朝、頭痛がしたりおなかが痛くなる。・夏休みの終わり頃に「学校に行きたくない」と言い出す。始業式が近づくに連れ、上記のような症状を子どもは訴え始めます。先生が怖い、友だちとうまくいかない、給食が苦手…など理由はいろいろでしょうが、低学年になればなるほど、子ども自身もわからないことがあります。最近、注目されている子どものタイプに「ハイリーセンシティブチャイルド(HSC)」というのがあります。アメリカの心理学者エレイン・N・アーロンが提唱したもので、感受性や共感力が高く、刺激に敏感すぎるため、新しい環境や集団生活に慣れるのに時間がかかる子どものタイプです。一説には5人に1人が当てはまるといわれ、そのために不登校になってしまう場合もあるようです。■夏休み明け不登校「1週間前から親ができること」子どもが学校に行きたくない、学校がいやだと言ったら、その気持ちを否定せずに、まずは「何がいやなのか?」と話を聞いてあげましょう。子どもが小さければ小さいほど、何がいやなのかわからない、言葉にできないということも多くなります。わからないなら、わからないでいいんですよ。とりあえず「そう、行きたくないのね」と一度は受け止めましょう。子どもの訴えは受け止めつつ、夏休みが終わる1週間くらい前から、規則正しい生活に戻すよう早寝早起きをうながし、心や体を整えます。夜更かしして朝起きれなくなったために、成長ホルモンバランスなどの崩れもあり、気持ちが沈んでいるのが原因かもしれません。まずは学校に登校するペース、早寝早起きへ徐々に戻していくこと。そして、学校での楽しい記憶を思い出させるために、友だちと遊ぶ機会をもうけるのもいいでしょう(友だちがイヤという理由ではない場合)。また、夏休み明けの不登校のきっかけに「宿題が終わっていないから行きたくない」というのもあります。ですから、夏休みが終わる1週間前から、生活リズムを整えつつ、宿題の仕上げに入るよううながすのも肝心です。「宿題をやっていない」というプレッシャーさえ、子どもにとっては不登校のきっかけになります。それを取り除いてあげるのも大切です。■夏休み明け不登校「学校に行けない、その時は?」始業式の日、どうしても体調が悪くて登校できないといった場合は休んでも構いません。無理のない範囲で、一緒に学校の前まで行って引き返してきてもいいのです。学校に行かないからといって、何もしていないわけではないんです。例えば、絵を描いたり、プラモデルを作ったり、本を読んだり、塗り絵をしたり、折り紙をしたりと、何かしらに集中していることが多いんですよね。子どもが一人で黙々と集中して取り組むことがあったら、それは外界と自分の内面との折り合いをつけている時間。邪魔せずに、とことんやらせてあげましょう。焦らず子どものペースを大切にしつつ、無理のない範囲で学校の前まで登校したり、学校での楽しかった思い出を声がけし、じっくり待ちましょう。■夏休み明け不登校「学校へ行きたくない」原因がはっきりしていたら?小学校低学年の場合、学校でのイヤなことはある程度、担任の先生に相談できる内容といえます。例えば、給食がおいしくないなら「全部食べられないかもしれないです」とか、先生の大きな声が怖いなら「ちょっと大きな声が苦手なようです」とか、お友だちとうまくいっていないなら「席を離してください」とか。子どもが低学年のうちは先生に相談というのはマイナスにならないでしょう。具体的な原因がわかるのであれば、先生に伝えるのが一番だと思います。そして、「あなたが学校で心配しているようなことは起こらないように、ちゃんとお母さんが先生に言ったからね」と声をかければ、子どもの安心につながります。小学校1年生で時々、不登校になる子はいます。そういう子は、集団になじみづらく、園や学校があまり好きではなく、もともと進んで登園・登校するタイプではない子の場合が多いです。先に紹介したハイリーセンシティブチャイルド の傾向が強い場合は、ワサワサする教室の真ん中ではなく、なるべく端っこに席を移動してもらうとか、休み時間は図書室で過ごしていいことにしてもらうなど、環境を整えることである程度解決できます。■小学校高学年の不登校、語らない原因とは…高学年となると、先生への相談ですぐ解決というのは難しいでしょう。その分、不登校の原因を子ども自身がはっきり認識して伝えられるので、それに沿った対処ができます。担任の先生への相談が難しいなら、スクールカウンセラーや保健の先生、校長、副校長など、ほかにも相談できる相手はたくさんいます。子どもが信頼できる人に相談するのが一番でしょう。また、親との関係に悩んで不登校になるケースもあります。それは、学校がなんとかしてくれる問題ではありません。それは親自身も思い当たることがあるだろうから、家庭で解決していかなければいけません。でも、親やきょうだいに問題がある場合、子どもは理由をはっきり言いません。親にかまって欲しい、ほかのきょうだいに嫉妬して…といった問題は、プライドもあるので絶対言わないでしょう。代わりに、先生がいやだとか言いがかりみたいなことを理由にしてごまかすこともあります。ただし、原因をうそでごまかすかもしれませんが、感じている気持ちや思っていることは本当。もう少し掘り下げて聞くと、原因が違うところにあるのがわかるでしょう。それは心理カウンセラーの仕事になると思います。小学校低学年の不登校は、家で親と一緒にいたい、集団生活が苦手というのが原因の場合が多いので、「学校にも楽しくなることはあるよ」と根気よく伝えることが大切でしょう。その際、ママが不安な顔をしてはいけません。そこを子どもは敏感に感じとって、学校に楽しいことなんてないと思ってしまうからです。さあ、夏休みも終わりです。お母さんも子どもと一緒に規則正しい生活を送り、心も体も登校準備を始めましょう。 エキサイトお悩み相談室で佐藤先生に相談する
2019年08月27日運動が苦手だという人が抱える悩みやコンプレックスは、運動が得意な人には想像もできないほど深いものです。自分の子どもが運動を苦手としているなら、「なんとかしてあげたい」と思うのが親心でしょう。ただ、親自身も運動が苦手だという場合、子どもに運動のコツを教えるのは簡単ではありません。そこで、アドバイスをもらったのは「スポーツひろば」代表の西薗一也さん。運動が苦手な子どもを対象にした体育指導のプロフェッショナルは、「まずは子どもと『できない』ことを共有してほしい」と語ります。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)「運動が苦手な子どもを救いたい」という思い僕がいまの仕事をするようになった理由のひとつとして、弟がいたことが挙げられます。僕自身がもともと「お兄ちゃん気質」なのです。また、高校を卒業したタイミングで、出身中学のバスケットボール部の監督になった経験も大きかった。後輩を指導していくなかで、体育教師になるという目標が定まっていったのです。でも、日本体育大学在学中の教育実習直前に父親が倒れてしまった……。当時はすでに母親が亡くなっていましたから、教育実習はキャンセルせざるを得ませんでした。幸い父親は一命をとりとめたのですが、教員免許を取れないまま卒業して、一時は一般企業に就職しました。その父親も亡くなって、日常的に世話をする必要がなくなったとき、あらためて「自分の夢はなんだったのか」と考えた。もちろん、それは体育の先生です。そこで、「教員免許がないのなら民間でやろう」といまの事業を立ち上げたわけです。ただ、当初から運動が苦手な子どもを対象に考えていたわけではありません。もともとは、運動が得意な子どもにもっと幅広い運動を経験させることで運動能力の底上げをするような事業を考えていました。ところが、いざ体育の家庭教師事業をはじめてみると、依頼のほとんどが運動を苦手としている子どもの親からのものだったのです。そういう子どもというのは自己肯定感がすごく低いし、なかには運動が苦手なことでいじめに遭ったり不登校になったりしている子どももいました。僕自身は、運動で人生を変えることができたと思っている人間です。ぽっちゃり体形で運動が苦手だったのに、バスケットボールに全力で打ち込むことで体形も性格も変わり、スポーツ推薦で高校に進学することができた。そして、最終的には体育の先生になることもできました(第1回インタビュー参照)。その経験があるからこそ、運動が苦手で悩んでいる子どもたちをどうにか救ってあげたいと思い、現在の方向に事業をシフトさせたのです。子どもだけにやらせるのではなく親も一緒に運動をする依頼者である親の願いはなかなか切実です。「うちの子は運動が本当に苦手で……」という認識を持ちながら、「せめて平均的に運動ができるようになってほしい」と思っている。もちろん、なかには親自身も運動を苦手としているというケースも珍しくありません。子どもに運動を得意になってほしいと願いながら、自分自身も運動が苦手だという親の場合であれば、まずは「子どもと一緒に運動をしてみる」ことをおすすめします。わたしの指導理念は、「褒めて伸ばす」ことが基本です。ところが、運動が苦手な親の場合だと、子どものどこを褒めていいのかがわからないのです。サッカーでゴールを決めたというようなわかりやすい「褒めポイント」があれば問題はありませんが、速く走るために子どもがいくら頑張って練習をしていても、どこがいいのか悪いのかということはそうはわかりませんよね。そうであるならば、まずは「子どもと一緒に学ぶ」ということを大切にしてください。そこで意識してほしいのは、どんな運動にもクリアしていくべき「段階」があるということ。この意識が学校の体育の授業にも欠けているように思うのです。算数の場合であれば、1年生で足し算と引き算を勉強して2年生になると掛け算、3年生は割り算というふうに、前に学んだことを生かして段階を踏んで勉強していきます。でも、体育となるとどうでしょうか?ドッジボールをやるときに、事前にボールの投げ方や受け方をしっかり教えてもらったという経験がある人はほとんどいないはずです。なにも学んでいないのに、突然「ドッジボールをやろう」と現場に放り込まれる。そういう状況では、運動が苦手な子どもはうまくプレーできるわけがないのですから、ますます運動を毛嫌いするようになっていきます。大人だからこそつかめるポイントを子どもに教えるボールをきちんと投げるという運動を細かく分解してみると、体重移動や腰の回転、手首の返しなど、本当にさまざまな動作によって構成されています。もちろん、これらの動作や段階を親が事前に勉強しなければならないというわけではありません。親が子どもと一緒に運動をしてみて、自らが学ぶことが大切なのです。親子そろって運動が苦手なら、まずは「できない」ということを共有し、共感してあげる。親だって苦手なことがあっていいし、それがふつうなのです。すると子どもは、「お父さんもできないんだ」と思う。それこそが、安心感を生んでいくことになる。運動が苦手な子どものなかにあるのは、「失敗したくない」という気持ちです。でも、「お父さんだってできない」「失敗してもいいんだ」と思って安心感を得られれば、練習を何度繰り返してもいいと思えるようになる。また、大人であれば、子どもが気づかないような運動のポイントに気づくこともあります。先に挙げたように細かい動作に分解して考えるような必要はないにしても、親自身が子どもと一緒に運動をするなかで「たまたまうまくいった」というとき、大人なら「いまのはなにがよかったのか」というポイントが見えるわけです。そのように、自らの体験を通じて学んだことを子どもに教えてあげればいい。「お父さんはむかしはできたからやらなくていいんだ」なんていって自分は子どもの動きだけを見ているだけでは、うまくいったポイントをつかむことはなかなかできません。繰り返しになりますが、子どもの運動能力を高めてあげたければ、まずは親が子どもと一緒に運動をしてみること。わたしのような第三者の力を借りることがあってもいいと思いますが、親ができる最良の方法を実践してみてください。『『うんどうの絵本 全4巻セット(ボールなげ・かけっこ・すいえい・なわとび)』』西薗一也 著/あかね書房(2015)■スポーツひろば代表・西薗一也さん インタビュー一覧第1回:運動神経は成功体験で伸びる!運動が「得意な子」と「苦手な子」の違い第2回:どんな運動も“細かく分解”できる。子どもの運動能力を高めるために親ができること第3回:「跳べた!」という強烈な体験が自己肯定感を押し上げる。“プロ直伝”縄跳び練習方法(※近日公開)第4回:子どもが泳げるようになる魔法の言葉。酸素を浪費する「バタ足信仰」は捨てるべし(※近日公開)【プロフィール】西薗一也(にしぞの・かずや)東京都出身。株式会社ボディアシスト取締役。スポーツひろば代表。一般社団法人子ども運動指導技能協会理事。日本体育大学卒業後、一般企業を経て家庭教師型体育指導のスポーツひろばを設立。運動が苦手な子どもを対象にした体育の家庭教師の事業をはじめとして、子ども専用の運動教室の開設や発達障害児向けの運動プログラムの開発など、新たな体育指導法の普及に幅広く取り組む。著書に『発達障害の子どものための体育の苦手を解決する本』(草思社)がある。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年08月27日「死なないで…」子どもの自殺がもっとも多いといわれる9月1日に、祈るようにこの言葉をつぶやいていた樹木希林さん。樹木さんの娘の内田也哉子さんが母の言葉を残そうと、 『9月1日 母からのバトン』 という書籍が生まれました。1回目では樹木さんの言葉の意味するところ、伝えたかったメッセージについて考えてきました。今回は、「学校に行くのってあたり前なの?」というテーマで、学校以外の選択肢や具体的に親子が救われる方法について、前回に引き続き不登校新聞の石井志昂(いしい しこう)編集長といっしょに考えていきたいと思います。 「『学校に行けない子どもたち』に最後まで想いを寄せ続けたワケ」 の続きです。 ■「学校に行くのがあたり前」の日本で苦しむ親子小学1年生になると、日本では義務教育が始まり、社会のあたり前のこととして、子どもたちは学校に通います。石井さんは、「不登校っていまの学歴社会のなかでは一大事なわけです。だから、将来を考えたときに、親は心配で学校に行かせたいと思うのは当然ですよね。ただ、『学校がすべて』だと親が思っていると、子どもは“学校に行ける子”だけが存在価値があると思って苦しんでしまいます」と話します。そんな「あたり前」という風潮がある学校との付き合い方において、樹木さんは彼女ならではの考え方を発揮し、まだ小学生だった頃の内田さんにこんな言葉をかけたといいます。東京の公立だったんですけど、そのときはすごく合わなかったですねえ。私という“異物”が突然入ってきたことで、そのクラスにあったコミュニティがざわざわしてしまって。今思えば“いじめ”だったと思うんですけど、お友達ができないまま数か月を過ごして、毎日泣いて家に帰っていました。(中略)ある日、私があんまりつらそうだったからか、「やめれば?」と言ってきたんですよね。「そんなにつらいのに、何をガマンしてるの。やめればいいじゃない」って。私まだ、「やめる」の「や」の字も言ってないのに(笑)。出典: 『9月1日 母からのバトン』 この樹木さんの言葉について石井さんは、「大事なのは、学校が主なのではなくて、『子どもが主』だという軸をしっかりとしておくことです。樹木さんのように、大事なのはあくまでも“あなた”なんだということを、子どもに伝えてあげることが大切です」と考察します。ただ、「やめればいいじゃない」と娘に伝えた母親としての樹木さんの対応は、常識にとらわれていては、なかなかできるものではありません。子どもが主であるという軸がしっかりあったからこそ、こうした発言ができたのだろうと思うと、「肝が据わっているな」と石井さんは感心していました。■不登校だからって将来は決まらないそれでは、「学校には行かない」と決めたとして、その後どうすればいいのか。樹木さんは書籍のなかで、このように語っています。不登校でも、ある日ふっと何かのきっかけで、学校はやめるかもしれないけど、もっと自分に合った、っていうと自分中心だけどそうじゃなくて、自分がいることによって、人が、世の中が、ちょっとウキウキするようなものに出会うということが、絶対にあると思うの。出典: 『9月1日 母からのバトン』 子どもたちにとって、自分がワクワクできるようなものを見つけるまでは、おそらく紆余曲折あることでしょう。不登校になった子どもたちは、どのように成長していくのでしょうか。文部科学省では、15歳で不登校だった子どもたちに、5年後「自分の不登校を振り返ってどう思うか」という調査を行っていて、「行けばよかった」が38.9%、「仕方がなかった」が31.7%、「何とも思わない」と「行かなくてよかった」が29.3%と、「否定」、「肯定」、「どちらとも言えない」という回答が、それぞれ大体3分の1ずつに分かれています(※)。この結果から、「不登校については、肯定と否定のどちらかはっきり答えられない実情が見えます。ただ、みんなそれなりに山あり谷ありの人生を送り、大人になっていく。不登校だから将来こうなるということは言えないのです」と石井さんは分析します。■子どもにとっての「居場所」は外にあるとは限らない書籍では、ロバート・キャンベルさんが「学校以外にも魅力的なハッチ(非常口)が必要だ」と語られています。子どもたちにとってどんな場所が非常口となるのでしょうか。義務教育期間の子どもたちにとって、学校以外の選択肢を石井さんに教えてもらいました。【学校以外の主な選択肢(小中学生)】●教育支援センター(適応指導教室)小中学校の不登校児童や生徒を指導、支援するため、全国の市町村の教育委員会が設置している。学校以外の場所や学校の余裕教室を使って開催されていて、無料で利用できる●フリースクール民間の教育機関で、利用料金の月額平均は33000円。全国に約500か所あり、その目的はそれぞれ異なっていて、内容もさまざま●ホームエデュケーション家庭をベースに学び育っていく教育方法のこと「魅力的なハッチ(非常口)」となる子どもたちに合った居場所の見つけ方については、石井さんは次のようにアドバイスします。「子どものために開かれている場所には必ず人が集まってきます。その場所の人の集まり具合を見ること、そしてその場にいる子どもたちの表情を確認してください。子どもって、心から楽しければ笑顔が出ますから」(石井さん)さらに石井さんは、「子どもにとって必ずしも居場所は外にあるわけではない」と言います。「子どもにとっての居場所が、“自分の部屋”ということも大いにありえます。本人が『いま、そこにいたい』と思える場所を尊重してあげてほしいですね」と話します。■子どもが心を閉ざす前に、親ができること書籍の中で、内田さんが母として不登校への向きあい方について、悩み、答えを探る様子がつづられています。不登校経験者との対談のなかで、内田さんは次のように問いかけます。私も、息子や娘が心を閉ざす瞬間に「もうちょっとヒントちょうだい!」って思っちゃう。「間違えたことを言っちゃってるんだったら、どの部分がダメだったのかを教えて」って。出典: 『9月1日 母からのバトン』 この内田さんの切実な想いの根底にあるのは、「親が子どもとどのように関わるのが正解なのかわからない」という想いなのかもしれません。この問いかけに対して不登校経験者は、「親との距離が近すぎたこと」と回答しています。石井さんも「私自身もそうだったのですが、親との距離が近すぎて、その期待に答えられず悩んでいる子どもは多くいます。毎日顔を突き合わせるなかで、煮詰まってきてお互いに苦しくなり、いがみあってしまう親子もこれまで目にしてきました」と語ります。お互いの幸せを願っているはずの親子間で、そうした悲しいすれ違いを起こさないためには、どのようにすればいいのでしょうか。石井さんは取材をするなかで、親子の分離がまったくできていない人と出会ったそうです。「幼児期は親のケアを必要としますが、子どもはどんどん自立しはじめますよね。親として戸惑いがあるのは当然だと思います。それでもやはり、親と子は別人で、親は他人として子どもを支えるんだという距離感は必要です」と石井さんはアドバイスします。親にとっては、失敗が許されないと思える子育ての現状。しかし石井さんによると、不登校をきっかけに、親子関係を再構築する人も多いといいます。親子の「距離感」はとても難しい問題で、簡単に正解は見つかりません。でも、親は子どもの意志を支えるということを意識しておくことが大切なのかもしれません。■「この子があぶない!」親だけができることとは?樹木さんが亡くなる直前に思いをはせていた9月1日、今年もまもなくその日が訪れます。実際に親たちは、夏休み中の子どもたちのどんな様子に気をつければいいのでしょうか。石井さんによると、注意するのは次の4つのポイントです。【夏休み中の子どもに注意すべきポイント4つ】・食欲がわかない・眠れない・イライラして情緒不安・勉強が手につかないもし子どもたちにこのような様子があれば、「すぐにでも学校から距離を取らせてあげた方がいい」と石井さんは言います。「親が『この子は危ない』と感じる勘を信じてください。それが一番間違いないからです。『学校に無理して行かなくてもいいんだよ』という最初の“ドクターストップ”をかけてあげられるのは、専門家ではなく一番身近な親だけなんです。その後、医師などの専門家に相談してください」と石井さんは語気を強めました。「死なないで、ね……どうか、生きてください……」という樹木さんから届けられたメッセージ。親自身が一人ひとりしっかりと受け止め、子どもたちの様子を見て、最初に対応してあげる必要性を強く感じます。■樹木希林流「親がつらいときの対処法」最後に、樹木希林流のしんどい時の対処法について、考えてみたいと思います。樹木さんは、「しんどいときにどうやり過ごすか」という質問に対して、「笑う」と答えています。私にもしんどいときはもちろんあります。(中略)しんどいんだけど、そのときにしんどいって顔をしないで、こうやって笑うの。笑うのよ。ね? あんた頑張ったわよって、頭をなでて、笑う。ほかの人がいるときにそうやってたら馬鹿みたいだけど(笑)、そうやって笑って、「いいなあ、いいなあ」って言ってるうちに忘れちゃうの。出典: 『9月1日 母からのバトン』 内田さんも樹木さんから生前にこのアドバイスを教わり、実際にやってみたそうです。「本当に無気力になって、もうこれは笑えないないと思った時にそれをやってみたら、心なしか気持ちが軽くなっていって、バカバカしいことをしている自分に対してクスッと笑えた」と書籍で打ち明けています。“しんどいときに笑う”。なかなか難しいとは思えますが、不登校の子どもに対しても、親はできれば笑顔でいてほしいと石井さんも話します。「子どもが不登校になると、どうしても思いつめてしまうとは思いますが、できれば悲しむ様子や涙は外で出して、子どもの前では見せないであげてほしい。親の楽しそうな様子や笑顔は、理屈ではなく子どもを勇気づけますよ」(石井さん)ここまで樹木さんの言葉をもとに、石井さんと学校に行きづらいと悩んでいる子ども、そして親との関わりについて考えてきました。いま学校に行くことがつらい人、「学校に行けない」ということを言えない人、“みんな”と同じようにできなくて苦しんでいる人がいるかもしれません。そして子どもの想いと将来を思いやって、どうすることが正解なのか苦悩している親御さんもいるでしょう。樹木さんの人生を通じて語られた言葉は、大きな学びとなったように思います。樹木さんと内田さん母娘の思いに触れて、あらためて自分自身は親として子どもに何ができるのか、考えるきっかけにしてはいかがでしょうか?樹木さんは、次のようなメッセージを贈っています。この子の苦しみに寄り添うしかないのよね。だから、ああしろ、こうしろとは、もちろん言わない。言って治るようならとっくに治ってるでしょう?出典: 『9月1日 母からのバトン』 「9月1日」子どもたちみんなに居場所がありますように。■樹木 希林さん、内田 也哉子さんの著書 『9月1日 母からのバトン』 (ポプラ社 ¥1,620(税込み))女優・樹木希林さんが生前、不登校の子どもたちへの思いを語った言葉などをもとに、娘の内田也哉子さんがさまざまな立場の人たちと対談しながら、その考えをたどる様子を記録した書籍。今回取材した不登校新聞の石井編集長が樹木さんを取材した記録や内田さんと対談した様子も収録されています。●不登校新聞とは1998年に創刊された不登校に関する専門誌。当事者の視点を大切に、不登校についての情報を発信し続けている。●石井志昂(いしい・しこう)さんプロフィール1982年東京都生まれ。中学校受験を機に学校生活が徐々にあわなくなり、教員、校則、いじめなどにより、中学2年生から不登校。同年、フリースクール「東京シューレ」へ入会。19歳からは創刊号から関わってきた『不登校新聞』のスタッフ。2006年から『不登校新聞』編集長。これまで、不登校の子どもや若者、親など300名以上に取材を行ってきた。<参考サイト>※文部科学省: 「不登校に関する実態調査」
2019年08月26日夏休み明けは「学校に行きたくない」と言う子がもっとも増える時期。気持ちを吐き出せずに抱え込んでしまうと、不登校になってしまうこともあるそうです。そうならないためにも、子どもが話してくれたときに、きちんと話を聞いてあげることが大切。スクールカウンセラーの先生に教えてもらった子どものストレス対処法を紹介します。必要なのは共感! 話を「聞く」と「共感」するのは違う息子が小学校へ上がったばかりのとき、「学校でイヤなことがあった」と毎日のように言ってくる時期がありました。話を聞いてあれこれ試しましたが、なかなか解決できず、スクールカウンセラーの先生に相談することに。先生いわく、子どもが問題を抱えているときに一番必要とされているのは、“共感”することだそう。「うれしかったんだね」「悲しかったんだね」子どもの気持ちに寄り添うのが共感。それとは逆に、してはいけない返しのパターンが9つあります。「学校で友達とイヤなことがあった…学校へ行きたくない」と言われたときの例で見てみましょう。<9つのパターン>1.命令:つべこべ言わず学校へ行きなさい2.脅迫:学校に行かないともっと仲悪くなるよ3.説教:あなただって兄弟に同じことするでしょ4.提案:イヤだって言ってみたら?5.非難:あなたが気にしすぎる性格なのよ6.称賛:イヤなことがあってもガマンしたのね7.同情:かわいそうに…あなたは悪くないわ8.侮辱:そんなこと言うなんて性格悪いわね9.分析:いつ?誰と?それでどうなったの?私の場合、状況を把握したいために根掘り葉掘り状況を聞き出そうとして、どうにかしてあげたいという気持ちから「ああした方がいいんじゃない?」「こう伝えてみたら?」と言っていました。上の例でいう提案と分析です。ある日、息子から「学校であったイヤなことを話したときに、いろいろ聞かないでほしい」と言われてしまいました。これではいくら話を聞いてあげても、問題が解決しないわけです。暴力的な表現にはどう対処する?共感するのが大切とはいえ、「ぶん殴りたい」など暴力的な言葉に対してはどう対処すればいいのでしょう。共感したら暴力を肯定することになるのでは?親としてはどんなことがあっても殴るのはよくないと言いたくなるのが本音です。すると先生は、「子どもは本当に殴りたいと思って言っているわけではありません。“殴りたいくらい怒っていたんだね”と、そのときの感情を代弁すればいいんです」と話されました。早速、「もう〇〇くん大っ嫌い!」と息子に言われたとき、「大っ嫌いになるくらい悲しかったんだね」と気持ちを代弁してあげました。すると、「なんでぼくの気持ちわかったの?」と急に笑顔に。普段は、プンプン怒りながら長々と話をするのに、共感した日はそれでおしまい。息子の場合、問題を解決してほしかったわけじゃなく、気持ちをわかってもらいたかっただけなんだと気がつきました。引きずってしまうイヤな気持ちを手放す方法話を聞いてもらっただけでスッキリする子もいますが、中には上手に気持ちの切り替えができず、引きずってしまう子もいるそうです。そこでイヤな気持ちを手放す方法を教えてもらいました。<イヤな気持ちを手放す方法>1.イヤな気持ちの顔を想像しながら紙に描きます。間違えてはいけないのは、描くのはイヤなお友達の顔ではありません。あくまで自分のイヤな気持ちを具現化させます。紙以外にも風船に直接描いてもOK2.紙を枕やクッションに貼りつけ、パンチしたりキックしたりして気がすむまでやっつけます3.最後にビリビリにやぶいてイヤな気持ちにさようならをします。そのあとは、アイスクリームを食べに出かけるなど親子で楽しいことをして過ごすといいそうこの方法を息子に提案したら、「かわいそうだからイヤだ」と言われてしまいました。「じゃあどんな方法ならいいと思う?」と聞いたところ、「おしっこと一緒に出して、ジャーって流す」「手の平にのせてフーって吹き飛ばす」という回答が帰ってきました。どんな方法でも、その子がスッキリするならいいとのことです。親がお手本になって最後に先生から「もっとお母さんも気を抜いていいんですよ」とアドバイスをもらいました。「今日こんなイヤなことがあってね」と子どもにグチを聞いてもらうのもあり。最後に「聞いてもらったらスッキリしちゃった!」と言えば、イヤな気持ちを手放す方法を教えることもできます。アドバイス通り、息子にイヤな出来事を話すと、「お母さんにもイヤなことがあるんだね! ぼくと同じだね!」とイヤなことがあるのは自分だけじゃないとわかってくれました。最近は、先生の話を参考にして、「休みの日はのんびり過ごそう!」「今日は疲れたからレトルトでもいいよね〜」などほどよく適当に過ごすようにしています。親子で上手にガス抜きしながら、子どもにはイヤな気持ちとのつき合い方を学んでもらえたらうれしいです。<文・写真:ライター三浦麻耶>
2019年08月25日「死なないで、ね……どうか、生きてください……」亡くなる2週間前にこんな言葉を残したのは、昨年2018年9月に亡くなった女優の樹木希林さん。樹木さんは、学校に行けなくてつらい思いをしている子どもたちにメッセージを贈っていました。樹木さんが不登校などについて生前語った言葉と、その娘である内田也哉子さんがその思いを受けて語った内容がつづられた書籍 『9月1日 母からのバトン』 が発売されました。樹木さんに取材経験があり、書籍内で内田さんとも対談されている不登校新聞の石井志昂(いしい しこう)編集長とともに、不登校で悩む親子に対する樹木さんからのメッセージを読み解きたいと思います。お話をうかがったのは…●石井志昂(いしい・しこう)さん1982年東京都生まれ。中学校受験を機に学校生活が徐々にあわなくなり、教員、校則、いじめなどにより、中学2年生から不登校。同年、フリースクール「東京シューレ」へ入会。19歳からは創刊号から関わってきた『不登校新聞』のスタッフ。2006年から『不登校新聞』編集長。これまで、不登校の子どもや若者、親など300名以上に取材を行ってきた。●不登校新聞とは1998年に創刊された不登校に関する専門誌。当事者の視点を大切に、不登校についての情報を発信し続けている。■樹木希林さんの言葉が持つ力「死なないで、ね……どうか、生きてください……」去年の9月1日、母は入院していた病室の窓の外に向かって、涙をこらえながら、繰り返し何かに語りかけていました。あまりの突然の出来事に、私は母の気が触れてしまったのかと動揺しました。それから、なぜそんなことをしているのか問いただすと、「今日は、学校に行けない子どもたちが大勢、自殺してしまう日なの」「もったいない、あまりに命がもったいない……」と、ひと言ひと言を絞り出すように教えてくれました。この2週間後に、母は75年の生涯に幕を閉じました。出典: 『9月1日 母からのバトン』 より夏休み明けの9月1日は、子どもの自殺が最も多くなる日。内閣府の調査でも明らかになったこの数字(※1)。書籍の冒頭で、亡くなる直前に病床で語られた樹木さんが語られた言葉は胸に迫るものがあります。書籍には、生前語られた樹木さんの言葉がつづられています。そして樹木さんのメッセージは、子どもたちからの切実なSOSの代弁にも感じられ、さらに親に対する思いも込められていました。■樹木希林さんは、なぜ不登校の子どもに思いをよせたのか?石井さんが初めて樹木さんと会ったのは、2014年7月。不登校新聞の取材に、樹木さんが答えたときのことでした。「こちらは不登校について話を聞く。樹木さんは自分が人生で得たものについて答える。お互いに生きざまのぶつけ合いのような取材でした。直接的な答えがなかったとしても、希林節の言葉が不思議と心に響く。信じられないくらいおもしろい取材ができました」と石井さんは振り返ります。その後、2015年に再び樹木さんに会った石井さんは、「毎年9月1日前後に、18歳までの若い人たちがたくさん自殺している現状」を伝えます。そのとき「自殺するよりはもうちょっと待って、世の中を見ててほしい」と語った樹木さんが、この日のことをその後もずっと覚えてくれていたのだと、娘の内田さんからの連絡で知ります。「樹木さんが、自分と同じ気持ちでいてくれたことを知り、感動で震えました。闘っているのは自分だけじゃないんだと思えましたね」(石井さん)■樹木希林さんの「親としての価値観」とは書籍では、樹木さんの娘である内田さんが、さまざまな立場の人たちと対談しながら、樹木さんの思いをたどっていきます。樹木さんは母親としてどのような考えだったのか、書籍からみえてきたことは、「親の価値観」の持ち方を重視していたということです。子どもには子どもの社会があるんですよね。大人から見て「そんなの!」って言ったってだめだから。そういうときはもう、寄り添ってやるしかないかなと思っています。(中略)不登校の子どもよりも、私は親の価値観(の問題)なんだと思うんです。もっと、何かと比べるとかはなしでいいじゃないですか。違っててもいい。出典: 『9月1日 母からのバトン』 より親にとっては、子どもが不登校になるのは人生の一大事で、どうしても学校に行けるほかの子どもと比べてしまいがちです。でも樹木さんの言葉からは、そういった状況のなかでも「親の価値観」をしっかりと持ち、子どもの個性を「違っていてもいい」と認めてあげることのほうが大切だという考えが伝わってきます。■苦しみは「わかってもらえなくてあたり前」という考え自身も不登校の経験があり、「不登校新聞」の取材で多くの不登校の子どもたち、親と話す機会がある石井さんによると、親とくに母親は、子どもが不登校になると、深く傷つくのだそうです。「『私がダメな母親だから、子どもが不登校になった』という加害意識と、『でもだれも助けてくれなかった』という被害意識が堂々巡りして、母親は、孤独な状態に追い込まれていきます」(石井さん)そんな母親たちにとって、同じ立場の人と出会い、自分が置かれている大変な状況を認識して、「自分自身も救われていいんだ」と思えることが、大切なのだそう。そうした傷つき、孤独な親の気持ちにも、樹木さんは思いを寄せていました。みんなそれぞれの苦しみを抱えてられていることがわかったんだけど、それを「わかってくれ」って、「わかってくれない」って、嘆いてもはじまらないの。わからないの、人の苦しみは。(中略)「わかってもらえなくて当たり前なんだ」と思ったときに、もっと楽になっていくんじゃないかな、というふうに思いました。出典: 『9月1日 母からのバトン』 より「自分の苦しみはわかってもらえなくて当然」という樹木さんの言葉は、一見突き放したようにも思えます。ただ、樹木さんは苦しみから救われるために、「自分でも不幸な思いをした人が、不幸な思いで苦しんでいる人に会ったときに、すごく気持ちをわかってあげられることがある。それが”寄り添う”こと」とも語り、同じ立場の者同士が寄り添い、理解し合うことをすすめています。「子どもの気持ちを理解したいのに、わからない」とか「だれもこの苦しみをわかってくれない」とつらい状況にいる親の気持ちに寄り添ったうえで、親をその苦しみから解放してあげる術を樹木さんは考えていたのかもしれません。また「同じ悩みを持つ人同士が話し合う」という方法については、石井さんも「不登校の子どもやその親にも当てはまる。私自身、不登校になって初めてフリースクールに行ったときは、”自分だけじゃないんだ”と体に入ってくる安心感がありました。親も同じで、同じ立場の人と出会うだけですごく安心できるんです」と、同調しました。■子どもの最後の命綱を握れたという信頼関係9月1日に寄せた樹木さんからのメッセージ。一体私たちはどのように受け止めればいいのでしょうか。石井さんは、不登校の子どもをもつ親に対して、「どうか自分を責めすぎないでほしい」とメッセージを送ります。不登校になったきっかけについて、文部科学省の調査によると、小学生では「家庭生活が起因する」とする答えた人が54.1%ともっとも多くなります。そして中学生では「学校生活に起因する」の割合がもっとも高くなります(※2)。石井さんは、こうした不登校理由の1位が「家庭」となることもあって、責任を感じすぎてしまう親が多いと言います。しかし、「『不登校になって、家で引きこもることで苦しさを出せた』ということは、それだけ親を信頼していることの表れ」だとも話します。「『あなたの子育ては間違いじゃなかった』ということをぜひ親御さんには伝えたいです。不登校になった子が命綱を親に差し出し、その命綱を親が握ることができたこと。そういう信頼関係を築けたことを親は誇りにしてもらいたいんです」(石井さん)さて、ここまで樹木さんの言葉を石井さんといっしょにひもとき、不登校への親の対応や意識の持ち方について考えてきました。樹木さんならではの言葉はどのように胸に響いたでしょうか。次回は、「学校に行くことって当たり前?」というテーマで、より具体的な対策について引き続き石井さんとともに考えていきたいと思います。■樹木 希林さん、内田 也哉子さんの著書 『9月1日 母からのバトン』 (ポプラ社 ¥1,620(税込み))女優・樹木希林さんが生前、不登校の子どもたちへの思いを語った言葉などをもとに、娘の内田也哉子さんがさまざまな立場の人たちと対談しながら、その考えをたどる様子を記録した書籍。今回取材した不登校新聞の石井編集長が樹木さんを取材した記録や内田さんと対談した様子も収録されています。<参考サイト>※1、内閣府: 「学生・生徒等の自殺をめぐる状況」 ※2、文部科学省: 「平成29年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」 (PDF:3006KB)
2019年08月25日お子さんたちは夏休みをいかがお過ごしですか。昔は、夏休みには多くの地域でラジオ体操が行なわれていましたので、子どもたちもそれに合わせて早起きをしていたものです。最近ではそのような光景が少なくなり残念ですね。夏休み中に学校のプールが開放されている場合には、ぜひ参加して水と仲良くなるといいでしょう。塾や地域のスポーツチームでの練習、家族との帰省など予定がぎっしりつまっている人もいると思います。人によって過ごし方はいろいろですが、夏休みは何か普段できないことにチャレンジするとてもいい機会です。ご家庭で、夏休みをどう過ごすかをしっかり話し合って、計画的に充実した夏を過ごせるといいですね。夏休み中の「遅寝・遅起き」はこんなに危険!夏休みをどう過ごすかによって、体や心に大きな影響が出ます。特に、学校がお休みだからといって「遅寝・遅起き」の生活を続けていると、体調が崩れてしまいます。具体的には、体のだるさを感じる、食欲がなくなる、精神的にも意欲が低下して「何もやる気がしない」という状態になる、などの問題が起きてしまうのです。私の養護教諭時代の経験では、夏休み明けに、もともとやせていた子どもがますますやせてしまったとか、太り気味だった子どもがさらに太ってしまったなどということがよくありました。前者は、もともとたくさん食べられないうえ、夏のだるさで体を動かさないためにますます食欲がなくなり、そうめんなどの口当たりがいいものしか食べられなくなるケース。後者は、食欲の旺盛さは維持しつつも体を動かさなくなる分、そのまま体重増につながってしまうケースです。例えば、夏の間に身長が3cmも伸びたのに、体重は逆に1kgぐらい減ってしまった子どもや、身長は確かに伸びたものの、体重の増加が身長の伸びを極端に上回る子(1ヶ月で5kg増)などもいました。先ほど述べた心身の調子だけでなく、こうした体の成長にも、夏休み中の生活の仕方は大きく関係しているのです。人間の体のリズムは、夏休みだからといって変わることはありません。7月号でも紹介しましたように、生活リズムが崩れると「夏バテ」や「熱中症」にもかかりやすくなりますので、規則正しい生活1日1回以上は外に出て汗をかくぐらい体を動かす食事は3食しっかり食べるの3つは、きちんと守りましょう。1日のスタートはやはり、家族そろって一緒に朝ごはんを食べることをお勧めします。ゲームなどのやりすぎに要注意夏休みには、ゲームなどのやりすぎにも注意が必要です。自由時間が長いのをいいことにゲームばかりしていると、知らないうちに依存症になってしまう可能性があるからです。最近は若者たちの間でゲーム依存症が増えています。これは世界的にも問題になっており、世界保健機関(WHO)は2019年5月にゲーム依存症を「精神疾患」として位置づけ、治療が必要な疾病に分類しました。特に問題なのは、ネットにつないで友だちと競い合うようなゲームです。夢中になると、1日中お部屋にこもったり、夜更かしをしてしまったりすることにもつながります。こうしたゲームは若者のみならず小学生の間にも広がってきていて、小学生のなかにもゲーム依存症に近い人(予備軍)が出てきているのです。お子さんがゲームに依存しないためには、各ご家庭で 「ゲームの時間は1日何時間」と決め、それをしっかり守らせることが大切です。また、何もすることがないとついついゲームを手にしてしまうことになりますから、1日をどのように過ごすのか、何をするのかなどを「親子できちんと決めて、行動する」ことを大切にしましょう。そういう意味では、学校のプールの活用や、地域の児童館などが開催する催し物などへの参加をお勧めします。夏休み中に見られる、休み明けの“不登校”の兆し夏休みが終わると、ほとんどの子どもたちが真っ黒に日焼けして、友だちや先生に久しぶりに会うことを楽しみに元気に登校してきます。しかし、なかには夏休み明けに学校に来られなくなるお子さんもいます。その原因はいろいろなことがあり得ますが、ひとつには「生活リズムの崩れ」による影響が挙げられます。先に述べたような「遅寝・遅起き」に代表される夏休みの不規則な生活のせいで、「夜眠れない」「朝起きられない」「体調が悪い」といった不調が起き、それが気力・体力の低下につながってしまうのです。そういった不調が、単なる生活リズムの乱れによるものにすぎない場合には、朝多少無理やり起こして活動させても大丈夫でしょう。ですが、もしかしたらその現象が「学校に行くことが辛い」というサインである可能性も。その場合には子どもの接し方に注意が必要になってきます。「学校に行くことが辛い」のはなぜなのか、誘因となっているものを探り、丁寧に対応する必要があるのです。その誘因は、夏休み中というより1学期の生活の中にあったかもしれません。学習のつまずき、友だちや先生との関係、あるいは家庭の中にある心配などです。夏休みこそ親子でしっかり向き合い、お子さんが不安に感じていることは何かを理解し、対策を考えましょう。また、子どもにストレスが見受けられる場合は、普段はできない家族旅行や解放的な自然環境のなかで、体も心もリラックスして遊び込むことがとても有効です。自然には、人間に癒しを与えてくれるたくさんのエキスがありますし、とことん遊ぶと頭がすっきりし、よく眠れます。親御さんもお子さんと一緒に体を動かせば、日頃の疲れやストレスが解消されるはず。夏休みの家族の過ごし方としてはもってこいだと思いますよ。普段は子どもとゆっくり話をする時間が取れない方も、夏休みは絶好のチャンスです。長い休みを有効活用しましょう。就寝が遅くなったら、翌朝は寝坊OK?NG?夏休みならではの親御さんの困りごとに、いくつかアドバイスをいたしましょう。【親御さんからの質問 1】夏祭りや帰省、旅行など、イベントがあるたびに生活リズムが崩れ、一度崩れるとなかなか元に戻りません。特に、就寝時間がどうしても遅くなってしまいます。何日間ぐらいまでなら生活リズムが乱れても大丈夫でしょうか?生活リズムの崩れは、意識的に直さないとなかなか元に戻りません。時差ボケの経験がある親御さんはわかると思いますが、昼間とても眠かったり夜中に眠れなかったりしても、昼間の活動を続けているうちに2~3日もすれば元のリズムに戻ります。ですから、「生活リズムの崩れが何日までなら大丈夫か」というより、リズムの乱れが直るのには2~3日かかることをまずは知っておいてください。イベントなどで疲れて帰ってきても、翌日の朝はとにかくあまり寝坊しないで、体を動かしましょう。昼寝は30分ぐらいならいいかと思いますが、長く寝すぎたり夕方近くに眠ったりしてしまうと、夜の睡眠に響きますので要注意です。また、外出が続けば体も疲れますので、新学期が始まる前1週間はなるべく遠出などは控え、普段どおりの生活に戻すことが大切だと思います。テレビは1日何時間まで見せていいの?【親御さんからの質問 2】外で長時間遊ばせると熱中症が怖いし、かといって家の中で過ごさせるとテレビを長時間見たがります。「テレビの見すぎは良くない」と思うのですが、そもそも1日何時間ぐらいまでなら子どもにテレビを見せてもいいのでしょうか?親として安心できる指針が欲しいです。今の時代は、テレビ視聴だけでなくゲームやDVD、インターネット動画など、メディアとの接触時間をトータルで見ていくことが必要だと思います。特にYouTubeは、子どもたちの多くがなりたい職業にYouTuberを挙げている(※)ことからも、その視聴時間はかなり長いことが予想できます。(※2018年9月、学研教育総合研究所学研教育総合研究所調べ)私が小学校で養護教諭をしていた頃、夏休み明けの子どもたちに、長期休み中のメディア接触時間を調査したことがあります。そのなかに、テレビやゲームの時間を合わせて1日6時間~8時間と答えた子がいたのにはびっくりしたものです。また、いま教鞭をとっている短大の学生のなかにも、1日5~6時間はメディアを見ているという学生がいます。彼らの多くは、短大生になってからというより、子ども時代からメディアに長時間接触しているのだとか。幼少期のメディアの視聴習慣は長きにわたって影響を及ぼすといえそうです。ご家庭でのテレビの視聴時間は、「1時間」とか「2時間」というような決め方だと、ドラマの途中でも見るのを止めなくてはならなくなってしまいます。1週間を通してどの番組を見るのかを決め、おおよそ1日2時間程度だと理想的ですね。午前中1時間、午後1時間などのような規則を作るといいでしょう。しかし、親が見ているのに子どもはダメというのも矛盾がありますから、テレビを消したら親子で一緒に何かをするというような方策が必要だと思います。一緒に料理を作るとか、本の読み聞かせをするなど、家族でコミュニケーションを取る時間にしたいですね。「10歳の壁」は夏休み中に越えられる?【親御さんからの質問 3】うちの子は、夏休み前あたりから学校の勉強が難しく感じると言うようになり、勉強への苦手意識が出始めました。夏休み中に少しでも苦手な箇所を克服してもらいたいのですが、あまりうるさく言うのもかわいそうな気がするし、「このまま不登校になったらどうしよう?」と心配になります。どう声をかけてあげたらいいでしょうか?今、「10歳の壁」という言葉がよく使われていますね。その1つに挙げられるのが、10歳前後の子どもが勉強面や心理面でつまずき劣等感を抱いてしまうこと。学校の勉強で抽象的な思考が始まるこの時期に、「勉強が難しい!」と感じる子どもたちが増えているのです。昔はこうした問題はなかったのか、というと、昔もあるにはありました。ですが、昔は今日ほどには社会も親も勉強のことを気にしなかったので、子どもたちも「勉強はきらい!」と平然としていられたように思います。しかし、今は3年生ぐらいの子どもでも、「自分はクラスの中で勉強ができる方だ」とか「できない方だ」ということをかなり意識しているようです。「勉強ができない」という自覚が自尊感情の低下につながらないようにしたいですよね。お子さんの授業のノートやテストの結果を見て、どこでつまずいているのかを把握し、親御さんが教えてあげられればそれが一番いいかと思います。しかし、高学年になるとなかなか学習も難しくなります。難なく教えられることばかりではなくなってきますので、親御さんもお子さんの教科書をみて「ママにできるかな~」などと言いながら、一緒に勉強するといいでしょう。また、事情が許せば夏休みに友だちを呼んで一緒にグループで宿題などに取り組むのもお勧めです。友だち同士の教え合いもいいですね。「勉強って、わかると面白い!」という経験を、夏の間にぜひたくさんさせてあげたいものです。心も体も元気で新学期を迎えるために長いお休みの間には新しい体験や楽しい思い出ができるように、家族でいろいろ話し合ってみましょう。おうちのお手伝いなども、子ども自身が家族の一員として役立っていると実感できるチャンスです。子どもが少し頑張ったらできそうなことをお願いし、達成できたら「助かったよ」というメッセージを伝えてあげましょう。意欲が増し、心の成長にもつながるはずです。夏休み明け、「友だちに会うのが楽しみ!」「こんな作品作ったから早く先生や皆に見せたい!」といった楽しい気持ちで、心も体も元気で新学期を迎えられるといいですね。(参考)yomiDr.|ゲーム依存症は「精神疾患」…WHOが分類改訂日本海新聞,「中高生ネット依存93万人」,2018年9月1日付.学研教育総合研究所|小学生白書Web版2018年9月調査 6.将来について 将来つきたい職業(全体ランキング)
2019年08月08日『新感染ファイナル・エクスプレス』『神と共に第二章:因と縁』で日本でも人気急上昇し、韓国映画界最強の男といわれるマ・ドンソク主演『守護教師』。この度、マ・ドンソクのアクションシーンや、可愛すぎる撮影裏の素顔をとらえたメイキング映像が解禁となった。かつてボクシングのチャンピオンだったギチョルが新たに見つけた仕事は、女子高の体育教師。女生徒たちに囲まれて戸惑うばかりの中、不登校中の同級生の行方を探すユジンと出会う。その生徒は、家にも帰らずに忽然と姿を消してしまったのだという。ほかの教師はだだの家出だと取り合わず、警察は口ばかりで全く捜査も進展しない。まるで、意図的に行方を探していないかのようで…。この度解禁となったメイキング映像では、韓国映画界を飛び出し、“ドン・リー”としてマーベル映画『The Eternals』(原題)にも出演するマ・ドンソクが女子高で奮闘する様子の裏側をとらえており、女子生徒とぶつかる撮影の後にはやさしくいたわる姿も。その一方で、素手でドアも打ち破る鉄拳も健在。『アジョシ』『私の少女』のキム・セロンのキュートなキメ顔も見逃せない。今週末に公開を控えた本作にますます期待が高まるメイキング映像となっている。『守護教師』は8月2日(金)よりシネマート新宿・心斎橋ほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:守護教師 2019年8月2日よりシネマート新宿・心斎橋ほか全国にて順次公開© 2018 CJ ENM & DAYDREAM. All Rights Reserved.
2019年07月31日何気ない日常会話の中で、話相手の男性が突然不機嫌になった、なんて経験はありませんか?誰かと会話をしている最中に、何の理由もなく不機嫌になる人なんていませんよね。そこには何かの理由があるはずです!そこで今回は、女性の知られざる男性が不機嫌になる地雷ワードを3つご紹介しましょう。■ 1.○○くんってカッコイイよね!「僕と話してるときに、僕のことじゃなくて、他の男友達のことばかり話題にする女子いがいます。挙句の果てには、その男友達のことを『カッコイイ!』とか言い出したから、あ~もぅ~知らん!となりました。でも……彼女でもないのに、なぜ腹が立っちゃうんだろ?」(28歳/会社員)男性の中には、例え自分の彼女ではない女性との会話であっても、他の男性の話題ばかりされることを不快に思う人もいるようです。しかし、他の男性を褒める女性に対して不満をあらわにするのは、その女性のことを意識している証拠なのかもしれません。今後も良好な関係を築いていきたい男性との会話では、その場にいない別の男性を称賛する「カッコイイ」「ステキだよね」などが地雷ワードになる可能性もあるのでご注意ください!■ 2.○○くん、ものすごく稼いでるらしいよ「一緒に話してた女友達が、最近転職した男友達の噂話をはじめて、『○○くん、ものすごく稼いでるらしいよ』っていうんですよ。はぁ?それがどうした?って感じゃないですか。てか、オレの収入が〇〇に比べて、少ないとでも言いたかったんでしょうか。イライラしたわ~」(25歳/美容師)こちらのケースの場合、話相手の女性は、男性同士の収入を比較するつもりはなかったのではないでしょうか?しかし男性の中には、“収入”に対して大変なコンプレックスを持っている人もいます。そんな男性は、他の男性の稼ぎの話や収入を比較されることが大嫌い。そのため男性に、他の男性の収入について話すのは控えた方が無難かもしれませんね。■ 3.私が言ったとおりでしょ!「女友達をランチに誘ったら、今の時間は混んでるかもよ!って言われたんだけど、2人で相談して、とりあえず行ってみようってことになったんです。そしたら彼女の予想どおり店が混んでて、待つことに……そしたら彼女が笑いながら『だから、私が言ったとおりじゃん!』って。いやいや、おもしろくねーし。話し合って行こうってなったのに、なぜ今さら、自分の意見を主張するんだよ」(24歳/SE)この男女は友人関係ということもあり、女性側は特に悪気はなく、冗談のような感覚で「私が言ったとおりでしょ!」と言ったのでしょう。しかしプライドが高い男性の場合、自分の考えを安易に否定されたり、見透かされたような発言をされたりすることに我慢ならない人もいるようです。男性は女性に比べてプライドが高い人が多いとも言われているので、発言には注意したいものです。■ 男性のプライドを傷付ける言葉=地雷ワード男性はプライドの高い生き物。そのため悪意のない発言であっても、カチン!と来たり、不機嫌になったりする男性もいるようです。女性にとって、どんな発言が男性のプライドを傷付けてしいまうのか判断するのは難しいですが、容姿・収入などの会話の中には地雷ワードが潜んでいる可能性大なので要注意かも。(愛カツ編集部)presented by愛カツ ()
2019年07月28日学校生活を楽しんでいた息子が、ある日「学校に行くのが嫌になってきた!!」と叫んだ理由特別支援学級の利用を始めたことにより、教室で過ごす不快感を軽減。約1年半に渡る不登校生活を送っていたことが嘘であるかのように、息子は楽しそうに通学を続けた。しかしある日、「また学校行くのが嫌になってきたよ!!」と言い出すではないか。理由を聞き、息子が話してくれた内容をまとめると、下記の2点だった。●衝動性の高いクラスメイトとの衝突が絶えない(特別支援学級で)息子は感情を言語化するのがやや苦手で、頭の回転に言葉がついていかないことがしばしばある。そのうえ、言葉を選びながら話をするので、思考と言語がスピーディーに結びつくタイプの子からしたら、「どうしてすぐ返答がないのか」とじれったくなるのだろう。そこでけんかになってしまうらしい。●授業中に発言を求められるときや、給食のおかわりをするときなど、注目されるのが辛い(通常学級で)自閉症スペクトラム障害の特性か、息子は失敗を極端に恐れ、緊張と不安を感じやすい。同時に、注目を浴びることを心底嫌っている。授業であれば発言者の話を聞くのが当然の空気であるし、おかわりのときは「誰かおかわりしているな」と、音に反応する程度のことで、おそらく深い意味などないだろう。誰も悪くない話だ。どう返していいのか分からない。私は「そうか、それは大変だったね」と返したあと、しばし言葉に詰まってしまった。スピーディーなクラスメイトも、授業中や給食の時間、息子に振り向くクラスメイトたちも、誰も悪意があってそうしているわけではない…と伝えたところで、息子は自分だけが叱責されているような気分になるかもしれない。これには困った。困ったが、口を開いた。「大変だし辛いのは分かった。分かったんだけどね、一旦ここで回避しても、同じような問題がまた出てくると思うんだ。でね、あなたは決して悪くないんだけど、相手も悪くないんだよ。だから両方の話を聞いて、説明する人が必要だと思う。でもそれを私がしてしまったら、不公平になる気がするんだよね。だからさ、先生に相談してもいいかな?」合間合間に入る息子の「でも!」「だって!」をなだめつつ、私が話し終えると、息子は黙って頷いた。「それが解決しても、学校へ行くのは嫌かい?」と私が問うと、息子はかぶりを振って、「ううん、友達に会いたいし、勉強もしたい。学校に行きたい」と呟いた。学校側の迅速な対応で問題解決。円滑なコミュニケーションを行えるようになった息子連絡帳を通じて、私は担任の先生に相談をし、その日のうちに連絡をいただいた。耐えない衝突については、双方に思考と発言の特性の違いを説明し、スピーディーな子には「焦る気持ちは分かるけど、急かさずに待ってみよう」、息子には「急かされると困るのは分かるけど、“もうちょっと待ってね”と怒らずに言うようにしてみよう」と話してくださったそうだ。注目されることに関しては、特別支援学級で過ごす時間を増やすことで視線の数を減らし、そのうえでストレスが減るか様子を見ましょう、という話になった。以降、衝突することはほぼなくなり、注目への恐怖感については特に息子から何も言ってこないが、おかわりをしたなどの報告をしてくるところをみると、気にならなくなったのだろう。発達障害あるあるのひとつ、アレキシサイミア(失感情症)による感情の後出しは息子にも見られる。そのため、「あのとき学校でのあれが嫌だった!これが嫌だった!」と、急にいろいろ思い出して爆発することは今でもあるが、その都度私ができるケアは私が、できないことは先生に相談し、大きなトラブルには至っていない。そして「学校に行きたくない」という言葉も聞かれなくなった。以前よりコミュニケーションも円滑に行えるようになったのか、気の合う友達が増えたようだ。放課後はすぐ遊びにでかけ、家に戻る時間も少し遅くなった。学校が休みである土日も、友達と遊びに出かけることが増えている。良かった。本当に良かった。参考:失感情症(アレキサイミア)| e-ヘルスネット(厚生労働省)不登校のきっかけは、授業だった?特別支援学級への転籍を勧められた、息子の学習姿勢「来年、進級するタイミングで、息子さんの所属を特別支援学級に転籍しようと思うのですが、いかがですか」個人懇談のとき、特別支援学級の担任の先生から持ちかけられた。この方、実は1、2年生のときの担任の先生でもある。息子が登校渋りをしていたころや、不登校を始めたばかりのころは、意見が合わずに悩むこともあったが、徐々にこちらの思いをご理解くださり、校長先生と教頭先生、特別支援コーディネーターが入れ替わるまでは、学校の中ではほぼ唯一の味方になってくださった。校長、教頭、特別支援コーディネイターとの4者面談は毎回辛かったが、この先生が寄り添ってくださったからこそ、私は乗り切ることができたのだ。「今さらですが、ずっと頑張っていた息子さんが、あの辺りで心が折れたのかな、と思える場面を思い出したんです。算数の授業で掛け算が始まったとき、(数字が好きで、就学前に掛け算の九九を覚えていた)息子さん、“やったあ!”って喜んだんです。きっとそれまでは退屈だったのでしょうね」授業で掛け算が始まったと、息子が報告してくれたことは私も覚えている。本当に嬉しそうだった。「だからしばらくは楽しそうだったんですけど、すぐに高度な応用問題に授業が進むはずはありません。だんだん上の空で授業を受けるようになって…」おそらくその時期に、「大好きな算数が嫌いになってきた」と息子がこぼしたことがあった。感覚過敏による苦痛も訴えていたので、特別支援学級の利用をお願いしたのだが、「頑張れば通常学級でもやっていける」というのが学校側からの回答だった。行政の特別支援教育センターに間に入ってもらうこともあったが、こちらの要求が受け入れられることはないまま、息子は不登校生活を選択することになる。「あのときすぐに、特別支援学級を使ってもらえば良かったのかもしれません。本当に申し訳ありませんでした」とはいえ、今では特別支援学級での学習が叶い、息子も嬉しそうに登校をしている。だから私は気にしていないと伝えた。ただ一つ問題があるとすれば、私が学習のサポートをしきれなかったことで、いくつかの教科に遅れが生じてしまったことだ。「息子さん、それもあっという間に覚えていくんですよ。今はほとんど足並みが揃っていますよ。学ぶことが好きというか、そういうゲームをしているような感覚なのかもしれません。ここ(特別支援学級)では、今日はここからここまでと、授業を進める範囲が決められています。それが終わったら自由学習の時間。学習の範囲であれば何をしてもいいことになっているんです」自由学習の時間、息子は上学年の教科書を開き、タブレットでその内容について調べていることもあるらしい。やはり、新しいことをどんどん覚えていきたいという気持ちが強いのだろう。「せっかくの意欲を削いではいけないので…理解をしている内容に関しては復習程度にとどめ、他の児童が通常の学習をしている間、息子さんには応用問題などを解くなどして、先に進んでもらうようにします。そのためにも、通常学級も利用しながら学ぶことには変わりないのですが、基本の所属を特別支援学級にした方がいいかと思うんです」その他にも、さまざまな制度の説明を丁寧にしていただき、転籍した方がいいと思われる理由を伺った。細かな内容は忘れてしまったが、至極納得したことは覚えている。そして先生は、息子の様子をつぶさに観察なさって、どのように学習を進め、どのようにサポートすべきかを考えてくださっている。心底ありがたかった。衝突することもあったが、この先生に思いを伝え続けて良かった。ちなみに息子は、この先生のことが1年生のころからずっと大好きだ。「それでは、転籍する方向でよろしくお願いします」私は、先生に頭を下げた。不登校生活“一旦”終了。そして今思うことさて、もうじき夏休みに入ろうとしている現在、体調不良で2回欠席したものの、「あー、今日はあの授業受けたかったし、○○君たちに話したいことがあったのに!」とゲホゲホ咳をしながら申し上げる程度に、息子は学校好きである。しかし、成長に伴って解決する問題があれば、成長に伴って生じる困難もある。だから、今後トラブルが一切ないとは言い切れないし、「学校に行きたくない」と言い出さないとも限らない。「これからもあなたは学校が好きなままなのでしょうかね」と、聞いても仕方のない質問を私から息子に投げかけると、案の定「そんなの分かるわけないよ」と笑ったあと、「でも、ずっと好きだったらいいな。何かを勉強して覚えると、何かが楽しくなるじゃん。例えば、文字を覚えたら本が読めるとかさ。友達からは、のん(私の呼び名)と自分だけでは知ることができなかったことを教わったりできるし」と、彼なりに感じている“学校へ行くメリット”が添えられた言葉が戻ってきた。まあ、先のことなんて誰にも分からないのだ。不幸中の幸いと申せば語弊があるかもしれないが、息子の不登校生活をきっかけに、私は「小さなことであっても、学校にまつわる何かがあれば、迷わず学校に相談する」という手段を選べるようになったし、発達障害児やその保護者が受けられるさまざまなサポートや相談窓口があることを知った。そしてまた、信頼できる先生が、つぶさに息子の様子を把握し、最適な対応をしてくれている。終わってしまえば短かったかと問われたら、はっきり言って長かった。もうあんな日々は二度と訪れてほしくはないが、もし起きてしまったらそのときはそのとき。私はまた慌てたり騒ぐだろうが、頼れる存在に頼ったり相談をして、何とかするしかないだろう。経験は無駄ではない。と、思いたい。
2019年07月17日前回までの我が家の 不登校体験 は親からの視点で、不登校に対する親の関わり方や考え方などを描かせていただきました。また、うちは娘が不登校だったのですが、男の子の場合は違うことも多いのでは?と思い、今回は会ってみたかったスペシャルゲストにお話を聞いてきました!「学校生活が合わない子」がいることを認めよう!10年の不登校を経験し 「学校は行かなくてもいい ―親子で読みたい「正しい不登校のやり方」」 「ゲームは人生の役に立つ~生かすも殺すもあなた次第」 という著書も出されている小幡和輝さん(24)。小幡さんは「#不登校は不幸じゃない」の発起人で、10年の不登校後なんと高校3年の時に企業し、現在は会社経営をされています!会社を経営しつつ「#不登校は不幸じゃない」をキーワードに、昨年は全国100箇所で不登校の子どもたちに向けたイベントを各地で開催したり、 ブログ や Twitter などでご自身の経験など、不登校に関する情報をいろいろ発信してくださっています。スラっと長身の優しそうな、でも話し出すとキレのあるトークが印象的でした。「不登校は不幸じゃない」と掲げて精力的に活動されていますが小幡さんは不登校を推奨してるわけではありません!我が家の体験談でもお伝えしましたが、不登校になるということは辛いことでもあります。小幡さんも学校自体にたくさんのストレスを感じていて小学2年生の時から本格的に不登校になったとのことですが、両親との「行きなさい! vs 行かない!」の攻防が3ヶ月ほど続き、この時期が一番辛かったそうです。「親が学校に行かせようとする」それは世の中がそういう価値観・常識だから必然なのかもしれません。しかし実際には学校生活が合わない子がいるわけで…そういう子にとって、学校へ行かないという選択肢がないということは苦しみが長引き、状態も悪化してしまうと思います。私の不登校体験談でも描きましたが、不登校の苦しみを乗り越えるためには親が変わることが最初のステップだと思っています。子どもの気持ちを知る…そして受け入れる。このステップなくしては次には進めないと思っています。小幡さんの場合はどうだったのでしょうか。親も子も精神的に明るくいられることが大事なるほど!大人は不登校もゲームも悪いものと思いがちですが、我が家の息子もゲームが好きで、ゲームを通して仲良くなる友達もいます。(※ゲームというのは家庭用ゲーム機やスマホゲームだけを指すのではなく、ボードゲームやカードゲームも含みます)科学的にもゲームは脳に悪いことなんて無いそうです。小幡さんは不登校中もゲームをしていたそうですが、一人籠ってではなく、いとこや友達と一緒にやっていたので楽しかったそう。とても明るい不登校だったというのがお話から伝わってきました(笑)また、小幡さんは不登校は選択肢としてあってもいいけれど、引きこもりにならないことが大事とおっしゃってました。引きこもりにしないためには、親が子どもの気持ちや状態を受け入れ、そして家以外にも所属できるコミュニティがあるといいですよね。学校の友達と疎遠になってしまったのなら、習い事や、ネットで趣味が合う人やコミュニティを探すという方法も今ならあります。(危険もあるので注意しないといけないですが)私も不登校中、親も子どもも精神的に明るくいられることがとても大事だと思っています。子どものことだけで頭がいっぱいになって「過度な心配」をするのは、子どもをさらに追い詰めてしまうことにもつながります。ですが、子どもが不登校になると将来が不安になってしまう親心はなかなか消えませんよね。それについて小幡さんの意見は…学校を出て良い企業に就職というコースだけではなく、これからはいろんなコースが増えていくのかもしれませんね。私たちの親の時代にはなかった価値観が新しく生まれてきています。親として知っておきたいのは学校に行かなくても、仕事をするスキルを身につけて自立できる方法はあるということです。そして、小幡さんは高校生のときに起業された…とのことで、どのように起業したのか聞いてみると…好きなことをとことんやった経験がある人は強いえっ…そんなに気軽に…?と驚きのお話でした(笑)10年間の不登校時期に30,000時間くらいゲームをして、歴史、社会へ興味が出て、夜間の定時制高校に進学し「地域活性のワークショップ」をやったのがキッカケだそうで、今はイベント企画の会社を経営されています。…とにかく迷いがない。我が娘の場合、ゲーム漬けの日々もあったのですが、そのうち飽きました。つまり、そこまで好きなことではなかったようです。その後、絵を描きまくって現在イラストレーターとして働いています。親がゲームをしている子どもをみると、なんの生産性もない暇つぶしにみえることもあるのですが、ゲームに勝つために、攻略するためには子どもはいろいろ考えてます。ゲーム自体が問題なのではなく、付き合い方が大事だと思いました。それを親が理解するためには、一緒にやってみるのもいいのかなと。そして、好きなことをとことんやった経験があるというのは人を強くする気がします。子どもが安心して日々を過ごすこと、そのために子どもの気持ちを受け入れること、そして子どもの力を信じて待つこと。親が安心して、長い目で子どもの将来を見守ることで、子どもの精神状態は良くなると思います。そして、待ちながら良さそうな場所を探して誘ってみる(情報提供する)ことが親の仕事かなと思ってます。子どもにどう働きかけたら関係が良くなり、何を提示したらやる気を育てられるのかな~と「育成ゲーム」をするような客観的視点も大切なのかもしれません。ただ育児はゲームではないのでリセットはなく常に愛を持って最善を尽くすしかないんですけどね。「#不登校は不幸じゃない」イベントについて…夏休み明けは学生の自殺報道が増えます。「本当の不幸は学校に行けないことではなく不登校になれなかった子に起こる」と小幡さん。そんな悲しい出来事を減らしたい!この記事の冒頭でも触れました、全国一斉イベント「#不登校は不幸じゃない」が今年も行われます。 イベント詳細はこちら>> 小幡さんの活動をもっともっと知りたい人はブログやSNSなどを見てくださいね!◆ 小幡和輝オフィシャルブログ | 不登校から高校生社長へ ◆Twitter: @nagomiobata ◆instagram: nagomiobata ◆著書: 「学校は行かなくてもいい ―親子で読みたい「正しい不登校のやり方」」 ◆著書: 「ゲームは人生の役に立つ~生かすも殺すもあなた次第」
2019年07月14日幼稚園から毎日遅刻...原因は睡眠障害…!?わが家のASD兄妹は、2人とも幼い頃から睡眠に問題がありました。Upload By 寺島ヒロUpload By 寺島ヒロUpload By 寺島ヒロUpload By 寺島ヒロ現場の先生方のご協力と家族の送迎で、何とか休みながらも登校していた兄タケルでしたが、8歳のとき「アスペルガー症候群」の診断がつき、小学3年生から気持ちを安定させる薬を飲み始めました。夕方の気分の落ち込みを防いで20時〜21時には眠ってもらい、十分な睡眠をとることができるようにするのが目的でした。直接的な影響がどのくらいあったのかは不明ですが、結果的にタケルは21時台には眠るようになり、朝早く起きてくるようになりました。服薬は1年程でやめたのですが、タケルに限って言えばこれ以降もそのリズムを崩すことなく過ごせるようになり、日常生活への支障が少なくなりました。その結果、季節による不調などはありつつも中学・高校も何とか通い切ることができました。現在中学1年生の妹いっちゃん。睡眠の問題を抱えながら、学校生活は体調優先でUpload By 寺島ヒロ「キタキタキターー!!」って思いました。なぜなら私もこのタイプだから。概日リズム睡眠障害といって、寝る時刻と起きる時刻が毎日少しずつ遅れていく症状があります。私自身もこの症状があるため、私の生活時間につられて子どもたちが生活リズムを壊すことを恐れ、実は私は子どもたちが幼い頃は睡眠薬を飲んで生活リズムを無理やり朝型にしていました。でも、ちょっとした風邪でも寝込むほど体調を崩してしまってとてもきつかった上に、朝型の生活リズムが習慣化することもなく、睡眠薬を飲まなければ翌日からまた1時間ずつ体内時間がずれていく…。私にはこの方法はあっていないことに気づき、妹いっちゃんの睡眠傾向がはっきりしてきたあたりで、私自身も朝型の生活にこだわることはやめました。参考:概日リズム睡眠障害 |厚生労働省 e-ヘルスネットUpload By 寺島ヒロ中学1年生になったいっちゃんですが、今でも起きられた時に登校するスタイルは変わっていません。毎朝決まった時間に起きようと試みて体調を崩した自分自身の経験からも、1時間目から登校することにこだわるあまりに健康を損ねては本末転倒…。中学校の先生にもご理解いただいています。ただ、月の3分の2は学校に行けておらず、不登校状態になっているいっちゃん。授業を受けられなかった分の全ての勉強を家庭や支援教室でカバーできるわけではないので、今後の進学などのことも考えると睡眠をはじめとした生活リズムについてはフォローしていかなければならないですよね。その辺りが今後の課題だと思っています。
2019年07月12日・やりすぎて不自然になってしまったり、あまり変わらないと思って、そもそもしないという人もいる骨格メイク。そこで…不自然に見えないハイライト・ローライトの入れ方をご紹介!・・・◆How to【ローライト】①耳の後ろからあごの下に向かってローライトを入れる②フェイスラインの下に影を付けると小顔に見える③骨格に合わせローライトを入れメリハリをつける④額にも影をつけて丸みを作る【ハイライト】①目のくぼみをふっくらみせる②鼻根にも光を足して鼻筋を作る③あご先に少量を付けるとシャープに・・・◆Item#アディクション*ブラッシュ トリニティ001 Jet Setter / 2,800円(税抜)#トムフォードビューティ*スキン イルミネイティング パウダー デュオ01 ムードライト / 8,000円(税抜)・この投稿をInstagramで見るGODMake.さん(@godmake_official)がシェアした投稿 - 2019年 7月月9日午前2時54分PDTこのメイク動画の詳しい情報と使用コスメ詳細を見る
2019年07月09日春休み。進級に伴って変化する環境に息子が適応できるのか、不安を抱える私。そんなある日、息子が1枚のチラシを差し出した担任・N先生の寄り添いに心を動かされたこともあり、3年生の後期が終わるあと1週間のところで、通学を始めた息子。とはいえ、学校で起こる不便や不快感など、根本的な問題が解決したわけではない。そして転出により児童数が減少したため、新学年からは2クラスが統合されて1クラスになるという。全校生徒の顔をなんとなく把握できるような、田舎の小さな小学校だ。「教室に見たことない子がいる」というようなことはないだろうが、1つの教室で過ごす人数が変わることで、人間関係はもちろん、室内に響く音声が、聴覚過敏もある息子の耳にどう響くかも変わってくるだろう。となると、これまでとは違った問題が発生する可能性もある。本人も不安があるのか、「新学期になったら、また毎日行けるか分からない」と言っている。まあ、考えてみたらここまでが余りにも順調すぎたのだ。本人だって「いきなり毎日最初から最後まで、というのはできないかもしれない」と言いながら、3年生のラスト1週間の毎日、始業から終業までを学校で過ごすのには、かなりのエネルギーを要しただろう。短い春休みの間で、身心両面のリカバーができるかどうかは分からない。仕切り直しだと考えて、過度な期待をせず様子を見ることにした。そんな構えで春休みを迎えようとした私に、息子が1枚の紙を差し出した。「これ、行ってきてもいいかな」それは小学校で行われている、放課後と週末のレクリエーション会の予定表だった。息子が通う小学校では毎週水曜日の放課後と土曜日の午前中、地域ボランティアの方と提携して行われるレクリエーションの時間が設けられている。会場は校舎の中。その春休み特別企画として、プログラミング体験講座が開催されるのだとか。そのころ息子は、いくつかの要素を組み合わせてオリジナルゲームを簡単に作れる、という携帯ゲーム機のソフトに夢中になっていて、それをきっかけにプログラミングに興味を示していた。何年か前に私は障害者向けの就業研修で、プログラミング言語のJavascriptを学んではいたが、きれいさっぱり忘れてしまっていたし、覚えていたとして(あと、JavaScriptが最新ではないことはさておいても)、彼の興味を引きつけるように教える自信は一切持ち合わせていない。レクリエーションでは、現役のSE兼プログラマーの方が、小学生が楽しく、分かりやすく学べるように指導してくださるようだ。徒歩で出かけられる場所で、しかも無料である。反対する理由はない。「いいじゃんいいじゃん、行ってきなよ!」「レクリエーション、3年生は対象外だったの!?」冷や冷やしながら迎えに行くと、満足そうに微笑む息子。なぜ?当日息子は冷えたルイボスティーを自分で水筒に詰め、張り切って出かけた。レクリエーションが終了するお昼近くなったら迎えに行くから、と息子の後ろ姿に声をかけ、私は仕事の作業に取りかかった。合間にふと「今ごろ楽しんでいるかな」と、レクリエーションのスケジュール表に目を向けた私はすぐさまフリーズ。そこにははっきりと「対象:4年生~6年生※3年生以下は見学」と印字されているではないか。そのときはまだ3月、息子は3年生なのだ。プログラミングを体験したくてわくわくで出かけた息子が、「3年生だから、見学ね」と言われてその状況を受け入れられるだろうか。そこで不満とともに「自分も参加させろ」と申し立てるようなタイプではないが、かなりのフラストレーションを募らせることは想像に難くない。(こりゃもしかしたら途中で帰ってくるかもしれないな…)などとぼんやり考えながら作業を再開したが、昼近くなっても帰宅する気配はない。意外にも見学を楽しんでいるのか。私は、身支度をして小学校へと向かった。待合室になっている教室で待機して、どれくらい経ったころだろうか、「お待たせしてすみません!みんなで盛り上がってしまって、ついつい長くなってしまいました!」と、レクリエーション担当の教員・K先生と、参加した児童たちが戻ってきた。もちろん、息子もおり、満足そうに微笑んでいる。「ごめん、私、チラシの説明をよく読んでいなくて…」「あ、それなんだけどね」私の言葉を受けてこちらを見上げた息子は、K先生に向き直った。「あの、本当は対象外なんですけど、見学になる参加者が息子さん1人で。ほかの児童たちも“ハルくんならきっとできるよ”と言うので、一緒に参加してもらったんです」「そうなんだよ!上級生のみんなが仲間に入れてくれたんだよ!それで、分かりにくいところは教えてくれてね!マイコン制御のロボットを(プログラミングで)操作したんだけど、あまり上手くできなくてもみんなが“最初からこんなふうにできるなんてすごいよ!”ってさあ!」K先生が説明してくださったあと、息子は目を輝かせながら、何があって、それがいかに楽しかったり嬉しかったのかを早口でまくし立てた。私が心配するまでもなく、息子は充実した時間を過ごしていたのだった。K先生にお礼を申し上げて帰ろうとしたら、K先生がこうおっしゃった。「息子さん、いろいろ学校が不便をかけて、ずっとお休みをしていたので、楽しんでもらえるか心配だったんですけど…プログラミングやものづくりが得意で大好きなのでしょうね、いきいき楽しそうに取り組んでいましたよ」私はもう一度お礼を申し上げ、息子とともに学校をあとにした。「今日から新学期だよ!」やりたいことが見つかった息子は、ランドセルを揺らしながら学校へさて、気づけば4月。まもなく新学期に突入というある朝、朝食を終えて食器洗いやらなんやらをしている私を尻目に、息子がなにやら慌ただしい。「どしたの?今日なんかあんの?」「なんかあんの?じゃないよ!今日から新学期だよ!!」新学期、間もなくではなく完全に突入していた。数日前に支度はしてあったものの、「また毎日行けるか分からない」という息子の言葉が頭に残っていたからか、私は完全に油断し日付の感覚がおかしくなっていた。「お、おう。そうだった、ごめんごめん」「のん(私の呼び名)が忘れちゃダメでしょう。じゃ、行ってきます!」息子は笑いながら靴を履き、「うおおおお!小学4年生!!!」という雄叫びとともに、集団登校の集合場所へ走り去って行ったのだった。完全に、予想外の光景である。もちろん、登校すると想定していなかったわけではない。とはいえ、約1年半の不登校生活を過ごし、1週間登校をしたものの、春休みをはさんで「また毎日行けるか分からない」と懸念していた9歳児が「うおおおお!小学4年生!!!」という雄叫びを上げながら学校に向かう姿なんぞ、誰が想像するものか。「のんが小学生のころには、コンピューター室ってあった?」春休みのレクリエーションを終えてからの帰り道、同じ小学校の卒業生でもある私に、息子は聞いた。「ないない。30年以上前は、こんなにコンピューターが普及していなかったもん。PCなんて、学校にも家にもなかったよ」「ふーん…コンピューター室が学校にあるのは知ってたけど、今日初めて入ったよ。楽しかった。でね、またプログラミング教室をレクリエーションの会でもやるし、学校でも、まあ毎日だったりしょっちゅうは無理かもしれないけど、PCを使ってプログラミンクとか、いろいろ勉強できるんだって!」普段、私が使用しているスペックの低いPCをたまにいじる程度しかできなかった息子は、比較的新しくてスペックの高いPCを、時間の限り思う存分使用できたことが本当に嬉しかったようだ。「携帯ゲーム機でオリジナルゲームを作るのも楽しかったけどさ…自分が入力した文字や数字が言葉になって伝わって、ロボットが作動したり、静止画だと思っていたものが動画になるってすごいよ!だから、すぐでなくてもいいから、ああいう勉強をしていきたいなって思ったんだよね」話しながら進む息子の足取りは、まるでステップを踏むように軽やかだった。「また毎日学校に行けるかは分からないけど、これからも勉強はしていきたいなって思う」私に向けているとも、ひとりごととも取れるような口調で、息子がつぶやいていたのを思い出す。「やりたいことがあるっていうのは、外野があれこれいう言葉より心に響くもんだね…」ランドセルを揺らして駆けていく息子の背中を眺めながら、今度は私がベランダでつぶやいていた。児童数が増えたことに伴う困難なども、特別支援学級の利用で万事解決!ではなかった…しかし、やはりというべきか、問題が浮上した。元々黒板にチョークで文字を書くカツカツという音が息子は苦手だったのだが、教室内にいる児童数が増えたことで、音の響き方がますます苦痛に感じられるようになったらしい。加えて、「班ごとで相談」という場面では、大声ではないとはいえ、たくさんの話し声が耳に届いてしまい、「自分の班の人の声を聞き取るのも大変だし、頭がちゃんと働かなくなる感じがする」と訴えた。在籍は通常学級のままではあるが、様子を見て特別支援学級の利用も可能であるという話を、以前校長先生から聞いている。特別支援学級では黒板とチョークは使わずにホワイトボードで授業を進めるらしいし、人数だってかなり少ない。今息子が抱えている困難は、解決すると思われる。そこで息子に「どうする?特別支援学級で授業を受けてみる?」と問うてみたところ、「是非そうしたい」と返ってきた。私は連絡帳を開き、息子が感じている困難と、特別支援学級での授業を希望しているということを、担任の先生に宛てて書いた。息子が連絡帳を持参したその日に担任の先生から電話をいただき、いくつかの授業を特別支援学級で受けることになった。2つの教室を行き来することで不快感が軽減され、快適に学習できるようになった息子は、毎日嬉しそうに登校。帰宅したらすぐ友達の家に出向いて一緒に宿題をしたり遊ぶなど、「本当にあなたは少し前まで不登校だった人なのですか?」と疑いたくなるほど、いきいきと過ごしていた。「特別支援学級は嫌な音がしないから、勉強も楽しくできるんだよ。休み時間に中庭や体育館でみんなと遊ぶのも楽しい。土日にのんとどこかに出かけるのも楽しいけど、今はそれと同じくらい学校が楽しいんだ!」などと申し、ゴールデンウィークの10連休については「半分でいいのに」とぼやいていたほど、学校が大好きになっていた。これで万事解決、めでたしめでたし…で、収まれば良かった。収まってほしかった。ゴールデンウィークが終了し、私の仕事が忙しくなってきたある日の午後、息子はえらく憤慨した様子で学校から帰宅した。「もうやだ!また学校行くのが嫌になって来たよ!!」えっ、ちょっと待って、今の時期に家にいられると困る…とうっかりこちらの都合による本音が出そうになったが、息子だって辛いことがあったのだから、とぐっと堪え、「どうした?何かあった?」とだけ、どうにか口にできた。この前まであんなに楽しそうだったのに、何があったんだ…。<第3回に続きます>
2019年07月08日中学入学後すぐから、高校見学をすすめていたけれど発達障害の娘が、小学5年生のころからスタートした進路探し。娘の意思で地域の中学校の通常学級に進学し、入学後すぐから、通信制、単位制、特別支援学校高等部など、中学卒業後の進路に向けた学校見学をすすめていました。その中で、中1のころの娘は、見学した中で心に決めた学校があったようです。しかし、次第に体調を崩すようになり「クラスにいるのがつらい」と訴えるようになった娘。学校側は特例として特別支援学級に机を設けてくれるなど対応をしてくれました。ですが、進路選びに大きく影響する出来事がおきたのです…。球技大会がトリガーに娘の通う中学では毎年11月にクラス対抗の球技大会があります。「優勝を目指す!」という熱い思いを抱く一部の男子生徒は、休み時間を利用した自主練習の時、ミスをするクラスメイトを強い言葉で責めました。その強い口調に泣き出してしまう女子生徒も複数いました。障害の特性もあり、球技が苦手な娘も、何度も注意を受けました。本人への障害告知の後、ほとんどの時間を通常学級で過ごすようになっていた娘でしたが、再び体調を崩し始めました。保健室の先生が「練習は2回に1回は休むようにしたら?」と助言をしても、娘は「皆が団結して頑張っているから」と受け入れようとはしませんでした。担任の先生は休み時間に娘に用事を頼んだりして練習に参加しなくても良いようにさりげなく工夫をしてくれました。幻聴が聞こえる!?そして発作まで…!娘の体調に大きな異変がある日、顔面蒼白、涙目で帰って来た娘は家に入った途端、崩れ落ち泣き出しました。それまでの娘の様子から早退は予想していましたが、玄関先での号泣は想定外でした。そして娘は泣きながら言いました。「先生には黙ってたけど、そこにいないはずなのに、男子が「あいつサボった」っていう声が聞こえて、怖くなって帰ってきたの~!!」中1の時にクラスメイトからいじめを受けて学校で過呼吸発作を起こしたことがあった娘でしたが、今回のようなことは初めてでした。娘は私の目の前で「あっ、また聞こえた!」と怯え、過呼吸発作を起こしました。私は過去に娘が過呼吸発作を起こした時に処方された薬を娘に飲ませました。そして娘を毛布で包み抱きしめました。※過呼吸には口に袋を当てるという対処法もありますが、私は保健室の先生からこの“毛布で包み込んで抱きしめる”という方法も“気持ちを落ち着かせるのに有効な方法のひとつ”と教えてもらっていました。娘が落ち着いた後、私はかかりつけの病院に電話をし、看護師さんに娘の様子を伝えました。折り返しの電話で看護師さんは医師からの指示を伝えてくれました。それは「薬は不安が強くなった時の頓服として使用する」「次回の診察予約を早めて受診する」「球技大会が終わるまで学校は休む」というものでした。通常学級で、頑張りすぎていたことに気づいて幻聴と過呼吸発作。本人が一番辛くて怖かったと思いますが、目の前でその様子を目の当たりにした私も大きなショックを受けました。「もう十分に頑張ったよ(むしろ頑張りすぎ)。もうこんなつらい思いはしたくないよね」「やっぱり心と体の安定が一番だよ」「私達って実際体験してみないとわかんないんだよね~。頑張りすぎるとどうなるか学んだね」涙ながらに語り合った私達。このような状況にも関わらす私達の心の中には「最初から可能性を諦めたのではなく、やれるだけのことはやった。限界まで頑張った」という達成感にも似た気持ちがありました。元気を取り戻して、学校へ行きたいから。前向きな不登校にUpload By 荒木まち子医師から暫く学校を休むように言われたことを伝えると、担任の先生はとても驚いていました。それでもやはり「前向きな休み」に理解のある学校は「前向きな不登校」にも理解がありました。休みの間、担任の先生はよく娘に電話をくれました。でも決して登校を急くようなことは言いませんでした。先生はいつも飾らない言葉で話をします。「いつも荒木がいる席に誰もいないと、やっぱり何か寂しいんだよな」球技大会が終わると担任の先生が学校帰りに自宅を訪れました。先生と娘の会話から、先生が生徒を子ども扱いせず対等に接していることが伝わってきました。そして娘がそんな先生を信頼していることも分かりました。小学校高学年以降、なかなか相性の合う担任の先生との出会いがなかった娘でしたが、この時、担任の先生と娘の間に信頼関係が出来ていたのは幸いでした。通常学級の友達も、電話をくれたり手紙を書いて届けてくれたりしました。外の世界と遮断され、自分だけ周りから置いて行かれたような気持ちになっていた娘は、友達からの連絡をとても喜んでいました。再登校に向けて規則正しい生活は心の安定にもつながるので、休みの間、家庭では睡眠、運動、食事など最低限の生活ストレスは掛けることを心がけました。また、学校復帰に向けて再登校の方法(最初は1時間。保健室→特別支援学級→通常学級へと徐々に慣らしていく)などの打ち合わせを病院、学校、NPO法人と行いました。新設のE特別支援学校へ学校を休んでいる間、娘は家事を手伝ったり、学習・余暇支援を行っているNPO法人に通ったりしていました。それでも娘は徐々に時間を持て余すようになりました。そこで私達は、以前教育委員会の教育相談で情報を得た『新設のE特別支援学校』を見に行くことにしました。今までタイミングが合わずなかなか見学ができていなかった特別支援学校を実際に見ておきたいと考えたからです。自治体が設定している“学校に行こう週間”(※)を利用した学校見学に事前申し込みは必要ありませんが、特別支援学校高等部の説明会参加には学校を通しての申し込みが必要です。特別支援学級と違い、通常学級には特別支援学校説明会のお知らせの手紙は配布されないので、私は説明会の案内が学校に届いたら知らせてくれるように学校側にお願いをしていました。※公立の小・中・高等学校を地域住民に知ってもらうために、(私達家族が住む)自治体が設けている学校開放週間のことでも夏になっても連絡が来なかったので学校に確認すると「夏と秋の説明会は定員オーバーでもう参加できないそうです。12月に追加で開かれる最後の説明会なら間に合うかもしれません」と告げられていました(この時私は通常学級在籍で特別支援学校の情報を得る難しさをひしひしと感じたものです)。E特別支援学校は週に一度ほど生徒が作った菓子類を学校の敷地内で地域住民に販売していました。この特別支援学校は、就労に向けたカリキュラムが充実していることもあり、授業の一環でこうした販売もしていたのです。私達は「説明会に参加できないのなら販売日に合わせて学校に行き、買い物ついでに学校や生徒の様子を見てみよう」と考えたのです。地域の住民と生徒のやり取りや、学校のアットホームな雰囲気を娘は気に入ったようでした。特別支援学級入級への意思2週間ほどの「前向きな不登校」を終え再登校した娘。そんな娘に対して、中には心無い言葉を掛ける生徒もいました。つらいと感じると、娘は特別支援学級に行っていたそうです。Upload By 荒木まち子Upload By 荒木まち子娘は、中2の1月に正式に特別支援学級に移籍することになりました。(※)クラスメートとのやり取りの中でのストレス、頑張りすぎて心身ともに限界を超え体調を崩してしまったこと、そして特別支援学級への転籍。中2になってから起こった一連の出来事は、娘にとって“自分”を知る機会ともなりました。※ 通常学年途中での移籍は行いませんが、娘の体調を配慮して移籍が可能となりました。次回、最終話通常学級から特別支援学級在籍へと変わった娘でしたが、これまで見学してきた高校は、特別支援学級在籍でも受験が可能な学校ばかりです。通信制、単位制、専修学校、特別支援学校高等部…いろいろなタイプの高校を見学し、また中学校でもさまざまな経験を経て、娘が選んだ道は…。次回、最終話です。おまけUpload By 荒木まち子“クラスメイト”は特別支援学級の先輩のこと。親や先生などの大人からの言葉よりも、同世代の友達の言葉の方が娘の心に深く響くようです。
2019年07月05日長女の不登校体験談の第5話です。不登校になって専門機関に相談に行ったりしているうちに、子どもの感性や発達に偏りがあるのかも…と思う方もいらっしゃるかもしれません。私は「不登校の親の会」を数年やっているのですが、そこでお会いした方々にもそういった個性の強いお子さんが多かった印象があります。そこで今回は、子どもの感性や発達の偏りについて描いてみました。繊細で感受性が豊かな「ハイリー・センシティブ・パーソン」娘の場合は、とても繊細・敏感、ゆえに疲れてしまうという状態でした。最近知ったのですが、『HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)「生まれつき人一倍敏感な人」のこと』、これが一番しっくりくる感じです。※気になる方は調べてみてくださいね。程度にもよるのかもしれませんが、我が子と向き合っていたらその特性には気付くかと思います。また、発達検査をすると、その人の特徴が数値で現れるので、その人の得手不得手やどのくらいしんどさを感じてるのかも察することができます。発達障害という言葉がありますが、私はその言葉から受ける印象が良くないので好きではありません。発達の偏りは誰しもあり、それが強いか弱いか、そしてその偏りで日常生活に支障がでているかどうかが問題だと思っています。発達検査について、私は、その子の気持ちに寄り添うため、しんどさを想像するため、そしてどんなサポートが必要かを考えるためにあるべきものだと思っています。…しかし、寄り添う、見守るって口で言うのは簡単ですが、実際は難しいことですよね。それがどういうことなのか、私がストンときたのが「ガーデニング」だったのです。キレイに咲く花を見たいなら、その花に合った環境を花や植物は、その花に適した環境と育て方が必要ですよね。手をかけないと上手く育たない花には、土壌を適した状態に変え、日当たりや気温で置き場所を変えたり、水やりもその花に合った量や頻度にしますよね。肥料も加えたりなど、花の状態を観察しながら必要なサポートをします。育てる人の都合で「ここで咲いて!」と植えても、それは無理な話で枯れてしまいます。キレイに咲く花を見たい。植物の様子をみながら適した環境を用意て世話をしたりするのに、なぜ我が子だと型にはめたくなるのでしょうか。なぜみんなと同じでないと不安なのでしょうか。不登校の子に限らず、深く傷ついてしまったり心が折れてしまった子はこういう花と似てるなと思います。雨風(人とのいざこざ)に弱かったり、水はけが悪かったり(気持ちの切り替えが苦手でストレスがたまりやすい)、気温にやられて病気になったり。肥料だって多すぎたら枯れます。不登校の原因が発達の個性とは関係がない場合もあると思いますが、不登校になったということはその時点でもう疲れて自信を無くしている子が多いです。でも、適した環境(学校ではないかも)と適切な関わりさえあればまた元気を取り戻し、いつかその子らしいステキな花を咲かせてくれるはずです。どんな花を咲かせてくれるのか楽しみに日々を送っていこう!そして親がそれだけを楽しみにしてしまっては子どもにとっても重たいので親自身が楽しく生きようやりたいことやろう!大人が楽しんでる世の中の方が子どもたちが希望を持てると思います。娘の不登校を通して、いろんな生き方があっていいんだということ、また人と違うことはマイナスなことではなく多くを学び合えるということに気が付きました。「ママが私のママで良かった」…こんな嬉しい日がくるなんて!娘は敏感で繊細がゆえに人付き合いも苦手になっているのだろう…とマイナスに思っていた部分も、今ではそこが活きていて、人の気持ちに考慮できるので仕事での人間関係も良好なようです。不登校になったからといって、「うちの子はダメな子なんだ」なんて絶対思わないでください。周りの関わり方、考え方で将来は変わってくるはずです。我が家の不登校体験談は、いかがでしたでしょうか。…悩んでる方に、なにか少しでもヒントになるような、前を向けるような部分があったら嬉しいです。不登校を受け入れられずに状態が悪化するご家族が減るといいなと本当に思っています。そして、不登校と無縁の方にも、不登校がどういうことか少しでも興味を持って、なんとなくでも知っていただけたら幸いです。第一話はこちら
2019年07月04日シンガー・ソングライターの岡林健勝によるソロ・プロジェクト、Ghost like girlfriendが、6月19日に待望の1stアルバムにしてメジャー・デビュー作『Version』をリリースした。元号も変わり、新時代がスタートした今、彼の目には現代社会はどう映っているのか。今回、新時代を彩る注目アーティストへのインタビュー連載第2弾として、Ghost like girlfriendをフィーチャー。本連載のvo.1に登場したMega Shinnosuke同様、Spotifyが今年大きな飛躍を期待する新進気鋭の国内アーティスト10組「Spotify Early Noise 2019」にも選出されるなど、大きな注目を集めながらも、つい最近までは顔も出さずに匿名性の高い活動をしていたGhost like girlfriend。音楽活動を始めたきっかけやアーティスト名の由来、音楽や社会において感じている未来への可能性とは? 様々な質問をぶつけてみた。――KinKi Kidsや堂本剛さんが音楽を始めるきっかけだったとのことなのですが、どんな所に惹かれたのでしょうか?最初は堂本剛さんのファッションがすごく個性的だったところから興味を持ちました。その後、雑誌のインタビューや彼の著書を読むと、当時とても辛い想いをしていたということが書かれていて、それがその時に自分が抱えてた悩みや辛さに近いものがあるなと思ったんです。著書の中で「そんな状況を救ってくれたのが音楽だった」といったことをおっしゃっていて。どうしようもなく辛い状況になった時に音楽にすがるという選択肢を与えてくれたのが堂本剛さんでした。――では、岡林さんも辛い状況を乗り越えるために音楽を?はい。高校生の時に好きだった女の子が不登校になってしまって。当時、そんな彼女を学校に行けるように、人と会えるような状態にしてあげようっていう目的が、自分のアイデンティティだと思っていたんです。でも、彼女は突然学校を辞めてしまって、会うことができなくなってしまった。その時に自分の中に残った彼女への気持ちや、話そうと思っていた会話のタネは曲にするに値するものなんじゃないかなと思って。歌にすることでその気持ちを歌の中に閉じ込めることができたような気がしました。Ghost like girlfriendのロゴ――そこから自分で作った曲を、誰かに聴いてほしいと思ったのはなぜでしょう?音楽を自分の新しいアイデンティティにしたかったからだと思います。アイデンティティを形成するにあたって“人からの評価”が必要だなと。でも、地元にはライブハウスもなくて、バンドメンバーもそろわなかったので、色々な事務所やレーベルに音源を送ってみることから始めました。――インディーズでの活動を経て、6月19日にリリースした初のフル・アルバム『Version』は、どんな作品になったと言えますか?前のミニアルバム3作でやってきたことを踏襲しながら、まだ広げられていない所に風呂敷を広げていくイメージで作りました。初めてのフルアルバムで、しかもメジャーデビュー作品ということで、これからの人生でも度々振り返るであろう作品になったと思います。なので、一生聴いて欲しいし、自分も一生歌えるように「80歳の自分ならこういうキーで、こういう間で歌うだろうな」みたいなことも想像しながら作りました。これまでの最高傑作でありながら、これからの作品の基準にもなるアルバムになったと思います。――メジャーレーベルからリリースするということで、これまでとの違いは感じていますか?作品を作る過程においては大きく変わったことはありませんでした。ただ、広めようとしてくれる人がたくさんいる、ということは裏を返せば、信念のない作品でも広まってしまう恐れがあるということで。より自分らしい作品にしなければいけないな、と思いました。これまで以上に媚びないようにしようっていう気持ちが強くなりましたね。――アルバムを作るにあたって苦労したポイントはありますか?「girlfriend」という曲は編曲のパターンがあり過ぎて困りましたね。元々はLampというバンドや松田聖子さんの「SWEET MEMORIES」みたいな曲にしようと思っていたんですが、自分の技量が全然追いつかず……。懐かしさを取り入れつつ自分の血を通わせるにはどうすればいいんだろう、と一番苦労しながら作りました。そのおかげでアルバムの中で1、2を争うほど好きな曲になりました。――「Midnight Rendez-Vous」ではKing Gnuの常田大希さんが参加されています。彼から刺激を受けた部分はありますか?ギターソロとコーラスをお願いしたのですが、戻ってきたデータが想像以上に多くて。ギターソロの後ろでシンセっぽい音が鳴っていたり、お願いしていなかった場所にもめちゃくちゃ彼の色が散りばめられていて。あの人はこうやって音を作ってるんだなっていう気づきにもなりました。今まで一人でやってきて、あまりこういう機会はなかったので、すごく勉強になりましたね。――常田大希さんもそうですが、今作の初回限定盤にもリミキサーとしても参加しているSASUKEさん、そして先日のSpotify主催イベント「Early Noise Night」でも共演したMega Shinnosukeさんなど、年齢は違えど共に“新世代アーティスト”として語られる方たちに共通して感じる部分はありますか?ちょうどイベントのMCでも話をしたんですが、4、5年前は高速BPMや裏打ちのビートとか、世の中のトレンドに自分のカラーをどうやって乗せるか? というフォーマットありきの作品の作り方が横行していたような気がするんです。でも、今は自分の生きがいや、自分自身のクリエイティビティーを素直に反映させた音楽を鳴らしている人たちが増えてきて。さらに、そういう人たちが自然とスポットライトを浴びる時代になってきている。自分も含めて今名前を挙げられたアーティストの方たちは、仮に10年後に「時代遅れ」と言われようとも、自分の信じた音楽を続けていく人たちなんじゃないかなと思います。――元号も変わって、時代が新しくなる機運もありますが、今の時代に対して感じることはありますか?僕は出身が兵庫県の淡路島で、生まれた翌年(1995年)に阪神・淡路大震災や地下鉄サリン事件がありました。当時のリアルな空気感は僕にはわかりませんが、今ってその時に似た空気感が漂っているような気がしているんです。でも、皮肉なことに世の中がカオスになればなるほど、文化は豊かになるんじゃないかっていう考えもあって。世の中に対する諦めみたいな気持ちが、作品をより自由で豊かなものにするというか。自分にも少なからずそういう側面があると思います。実際に、1995年頃って音楽的にはめちゃくちゃいい時代だったんですよね。だから、健やかなスタンスの音楽がたくさん鳴っているということは、逆説的に世の中がヤバイ状況なんじゃないかなって。音楽的には良い時代だけど、社会に対する希望はない、みたいな(笑)。本当に皮肉なことなんですけど。――岡林さん自身は、アーティストとして今後どのようなビジョンを描いていますか?50歳か60歳ぐらいになった時に「ご飯美味しい」みたいな、ただそれだけを歌詞にした曲を出したくて(笑)。 もし仮に、今そんな歌を歌っても全然説得力がないし、歌の背景を汲み取ってくれる人もいないと思うんです。ただ、これから色々な人に自分の音楽が届いて、自分の人生や生き様を知ってもらえた上で、そういう歌を聴いてもらって、感動や共感をしてくれる人がいたら、初めて自分のやってきたことや人生に意味を見出せる気がするんです。そのためにも、1日1日を大事に生きて、一人でも多くの人に音楽を届けるっていうのを続けていきたいなと思います。Ghost like girlfriendのメジャー・デビュー・アルバム『Version』が6月19日リリース!Ghost like girl friend『Version』Release Date:2019年6月19日(水)Label:EMI Records初回限定盤【2CD】:UPCH-29331/2(3,200円)通常盤【CD】:UPCH-20517(2,800円)初回盤通常盤Tracklist:[CD(初回限定盤、通常盤共通)]1. Last Haze2. girlfriend3. Midnight Rendez-Vous4. sands5. pink6. あれから動けない7. shut it up8. burgundy blood9. Under the umbrella10. fallin’11. feel in loud[初回限定盤ボーナス CD 収録内容]1. fallin’(AmPm remix)2. 煙と唾(EVISBEATS remix)3. (want)like(lover)(パソコン音楽クラブ remix)4. 髪の花(SASUKE remix)5. Tonight(Night Tempo remix)6. cruise(TiMT remix)■Ghost like girlfriendオフィシャルサイト
2019年06月26日