シンプルを極めたレシピや驚きの調理法で話題沸騰中の料理家、樋口直哉さんと有賀薫さん。ブログメディア「cakes」「note」で人気のお二人の素顔に迫ります。定番レシピを科学的に検証。失敗しないポイントがわかる。料理家の樋口直哉さんは「ブログの強みはレシピの行間を書けること」と話す。「行間」とは、なぜその工程が必要かを示した「根拠」のこと。樋口さんはその意味を丁寧に解きほぐす。なぜなら、ここに料理上達のポイントがあるから。「料理って“意思決定の連続”なんです。切り方や火加減をどうするか、調味料を入れる順番など、決めることがたくさんありますよね。そんなとき、レシピをなぞるだけでなく、料理の構造や原理原則を理解していれば迷うこともなくなります」例えばハンバーグの作り方。〈肉ダネに卵を入れない理由〉は、目からウロコ。「理由は単純。今と昔では食材の品質が異なります。挽き肉の鮮度は昔に比べてよくなっているので、結着力を補うための卵はもう必要ないんです」さっそくハンバーグを作ってみたら…卵を入れない分、肉の味がしっかりしておいしい!「ときにはタンパク質の働きなど、理科の時間みたいな話をすることもあります。でも、科学的根拠を並べるだけでは読者にお届けするレシピにはなりません。目指すのは、“ちょっといいふつうの味”。その目標に向かって、今まで当たり前だと思っていた工程をひとつひとつ見直し、現代の食材に合わせて、レシピをアップデートしていきたいと思っています」思わず「なるほど!」と膝を打つ、樋口さんの説得力のあるレシピから目が離せません。『新しい料理の教科書』「note」に綴ったブログを書籍化。ハンバーグやオムライス、唐揚げなどの定番料理のレシピを検証し現代の食材に合わせて再構築。今は必要ない調理工程や意外な料理のコツに驚きの連続。来年1月刊行予定。予価1400円(小社刊)ひぐち・なおや料理家、作家。服部栄養専門学校卒業。『おいしいものには理由がある』(KADOKAWA)など著書多数。メインの野菜はひとつだけ。初心者にやさしい快適レシピ。スープ作家の有賀薫さんが、毎日スープを作るようになって7年。手間も時間もかかりそうなのに、たいへんでは?「『スープ・レッスン』で紹介しているスープは、メインになる野菜はひとつ。調理時間も早いものだと5分くらいです。例えばにんじんスープの材料は、にんじん、塩、油だけ。鍋に入れて少量の水でしっかり蒸し煮すれば、市販のコンソメを使わなくても十分なんです」「cakes」に掲載すると、「にんじんのおいしさをはじめて知りました」と、コメントが寄せられた。シンプルすぎて印象に残る写真も反響を呼んだ。スープを作り始めた頃は、有賀さん自身も段取りに面倒くささを感じていたそうだ。「あれもこれもとつい材料を加えてしまい、今思えば自分で手間を増やしていました。でも、担当編集さんに「この食材、本当に必要ですか?極限まで減らせませんか?」と聞かれて考え直してみたんです。そうしたら、なくても十分成立すると気づいて楽になった。その代わり、少ない材料でも旨みをしっかり出す方法を研究しています」野菜の焦げ目を利用したり、蒸し煮や炒め煮で素材のおいしさを引き出すと、味わい深いスープが生まれた。「シンプルすぎて、食べてみるまで不安かもしれません。でも、旬の野菜は十分おいしいから大丈夫。その上、効率的で経済的、健康にもいい。スープ作りが楽しくなったら嬉しいです」『スープ・レッスン』「cakes」の連載から生まれた本。少ない材料で、旬の野菜を使ったスープレシピを紹介。旨みを引き出すポイントをおさえれば、誰でも簡単においしいスープが作れる。1300円(プレジテント社)ありが・かおるスープ作家。「note」「cakes」などで発信中。著書に『帰り遅いけどこんなスープなら作れそう』(文響社)ほか。※『anan』2018年12月5日号より。写真・中島慶子(樋口さん)取材、文・神武春菜(by anan編集部)
2018年12月01日ふと現れる料理シーン。丁寧に、さりげなく織り込まれているからこそ、心を掴まれ、深い印象を残す。そんな「思わず作って食べてみたくなる」料理描写が光る最新作を、マンガのプロに伺いました。今読むべきマンガを知り尽くした2人が選ぶ、料理シーンが印象的な作品の共通点は、「マンガという墨一色の世界で、食べ物をおいしく描くのは至難の業ですが、一流の作家はやってのける。読者がそそられるよう仕掛けられた、絵、文脈、付随する情報を使った巧みな罠は、本当に見事なものです」(女子マンガ研究家・小田真琴さん)また、誰かに作ってあげるシーンにもカタルシスがある、と語るのは、漫画ライターの門倉紫麻さん。「料理を作った人が息を詰めて相手の反応を待つシーンでは、マンガを読む私も作り手と同じ気持ちでドキドキします。そして、相手から“おいしい”の一言が出ると、ものすごく気持ちいい!」そんな幸せな食卓風景が垣間見える話題の3作をご紹介。小田さんセレクト『スナックのおつまみ×その女、ジルバ』酒飲みにはたまりません!珠玉の“おつまみ描写”ホステスの平均年齢は70歳以上!そんな店に40歳の新人(?!)ホステスのアララが入店。戦後から平成まで、店を守る女性たちの強く生きる姿を描く。「スナックで出されるおつまみの描写が多いのですが、特に3巻に登場するこのシーンは、最も秀逸な場面。優れたマンガ家はフード描写が上手い。有間先生、天才です」全5巻有間しのぶ 552円~/小学館©有間しのぶ/小学館小田さんセレクト『Artiste アルティスト×プロの一皿』繊細さと疾走感が溢れる、厨房の描写から目が離せない。腕は一流なのに心が弱い、パリの高級レストランで働く青年・ジルベール。そんな彼が、仲間たちとともにフランス料理という芸術品を作っていく料理成長物語。「厨房の描写が丁寧で、圧倒的なリアリティがあります。マンガも料理も、素晴らしい作品は、繊細さの積み重ねの上に成り立っているものなんですよね」1~3巻さもえど太郎 620円~/新潮社※12/7に4巻が発売予定。©さもえど太郎/新潮社門倉紫麻さんセレクト『1122 いいふうふ×おうち餃子』共に料理を作り、食べる。結婚生活の喜びを料理で描く。結婚7年目、仲良しだがセックスレス子供なしの夫婦。不倫は公認で、夫には恋人も。そんな夫婦が一緒に餃子を作るシーン。「餃子を夫と一緒に作り、焼きたてを二人で食べられるという、結婚生活だからこその楽しさが描写されているところがいい。パクチーや炒り卵を入れるおしゃれなアイデアに、料理欲を誘われます」1~4巻渡辺ペコ 各570円/講談社©渡辺ペコ/講談社おだ・まこと女子マンガ研究家。女性誌や『ダ・ヴィンチ』、Webなどを中心に、マンガに関する執筆を行う。おいしいもの好きで、フランス菓子を愛する。公式ブログ「女子マンガの手帖」。かどくら・しま漫画ライター。著書に『マンガ脳の鍛えかた』(集英社)、12/14に『2.5次元のトップランナーたち 松田誠、茅野イサム、和田俊輔、佐藤流司』(集英社)が発売に。※『anan』2018年12月5日号より。写真・中島慶子(by anan編集部)
2018年11月29日緊縛師の男の他殺死体が発見され、刑事の富樫は動揺する。というのも、重要参考人として名前が挙がったのは、彼が心を寄せていた女性だったのだ――中村文則さんの『その先の道に消える』は、なんとも不穏な出だし。そして物語はあっと驚く方向へと進んでいく。謎めいた女たち、翻弄される刑事。一件の殺人事件の背景にある深淵。出発点はというと、「これまでも精神的なSとMを書いてきましたが、今回はど真ん中でいこうと思い緊縛師について調べたら、ものすごく深い世界が見えてきて」SMの世界で、人間を縄で縛る緊縛師。まずその歴史をひもといた。「古武術に由来し、罪人を早く正確に縄で縛る技術が発達し、女性だけが演じる歌舞伎の折檻の場面でも表現されたそうです。使用される麻縄は、神社の注連縄(しめなわ)にも使われますよね。そこから麻が日本文化に欠かせないものだったと分かり、これは面白い話になるなと思いました」前半で富樫は参考人の桐田麻衣子を庇(かば)おうとするが、ベテラン刑事の葉山は彼の不審な言動を見逃さない。そこから少しずつ被害者周辺の複雑な人間模様が明かされ、中盤、あっと驚く出来事が起きる。「富樫や葉山、他の人物たちもみんな揺れている。人は誰もが生きにくさを抱えている。読むと逆にほっとするという意見も聞きます」麻衣子以外の女性や、悪魔的な男の存在も強烈。愛情と猜疑心、悪と善、過去と現在が交錯する展開のなか、快楽と苦痛も溶け合っていく。「緊縛というと縛る側が縛られる側を痛めつけるイメージがありますが、実は縄師は相手が縛ってもらいたいところを縛っていくという、基本的には奉仕する側。主役は女性なんです。縛られる側の女性に取材もして、縛られることで逆に自分を精神的に、そして性的にも解放できるということを知り、ものすごく深い世界だと感じました。縄の練習もしまして、今では雑誌を資源ゴミに出す時に亀甲縛りとかでまとめられます(笑)」すべてが明かされた時、そこに何が残されるのか。「悪に見えた人間も含め、みんな、ただ精いっぱいそこにいただけだ、と感じます。それが不思議な前向きさを醸し出していますよね。昔の僕だったら、こういう結末は書かなかったような気がします」今の世界を見て今の中村さんが感じることが、ここに反映されている。『その先の道に消える』緊縛師の男が遺体で発見され、少ない手がかりの中から一人の女性の名前が浮上する。その女性・麻衣子に惹かれていた刑事の富樫は、隠蔽を画策するのだが…。朝日新聞出版1400円なかむら・ふみのり作家。1977年生まれ。2002年「銃」で新潮新人賞を受賞しデビュー。’05年『土の中の子供』で芥川賞、’10年『掏摸(スリ)』で大江賞受賞。「銃」の映画化作品が公開中。※『anan』2018年12月5日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・瀧井朝世(by anan編集部)
2018年11月28日出会った女性がネタの源。そんな横澤夏子さんが、街で見つけたいい女を実演。今回は、体型のことを考えて下着を選ぶ女になりきり。姿勢がよくなり自信もわく。下着のパワーは絶大です。みなさんは、サイズがぴったり合ったブラジャーをつけていますか?本当は下着売り場にいるフィッターさんにサイズを測ってもらってから買うといいのでしょうが、面倒くさく、いつもと同じサイズを選んでしまいます。ずっと変わらない体型をキープできているわけでもないのに…!しかも、人にサイズを測られるのが恥ずかしいという気持ちやプライドが邪魔をして、このあいだなんてブラを買いに行ったはずが、気がつけば腹巻きを購入していました(笑)。家でも着替えるときに手にとってしまいがちなのは、伸びてユルくなった、身につけたときに楽なブラ。私のように伸びた下着をつけていると、体型はもちろん、生活リズムや気持ちまで、だらしなくなってしまうと思うんです。というのも、以前、先輩芸人であるシルク姉さんから高級な下着をもらい、つけてみるとサイズもぴったりでした。すると、驚くほどに姿勢がよくなり、自分に自信が生まれ、世界が違って見えたんです。そのときに、下着が持っている威力に気づいたし、お金をかける価値があるものだということ、そして、自分にぴったりのブラをつけることの大切さを理解しました。だからこそ、しっかり下着を選んでいる人を見ると、いい女だな…と憧れてしまいます。まずは、ちゃんとサイズを測ってもらい、今の自分をしっかりと理解するところから始めるのがよさそうです。たとえ、フィッターさんにカップ数を知られることが恥ずかしくても、“ほかに誰も見てない”“ネットニュースに書かれたりしない!”と自分を鼓舞して。それに、サイズを知って等身大の自分を見つめることで、自然と心の器の大きさも見えてきそう。私も勇気を出して、下着売り場に行ってみます!よこさわ・なつこ芸人。『バイキング』(フジテレビ系)や『王様のブランチ』(TBS系)など、数多くのバラエティ番組にレギュラー出演している。初の著書『追い込み婚のすべて』(光文社)が発売中。※『anan』2018年12月5日号より。写真・中島慶子イラスト・別府麻衣文・重信 綾(by anan編集部)
2018年11月28日出会った女性がネタの源。そんな横澤夏子さんが、街で見つけたいい女を実演。今回は、ロケ先の料亭で会った心身の柔らかい女になりきり。このあいだ、番組のロケで料亭に行ったときのこと。女将が「ありがとうございました」と、正座で深々とお辞儀をしてくださったのですが、その姿が、まるで折りたたみ携帯電話のように薄っぺらい形になったんです…!思わず「え!」と驚いてしまいました。私も彼女のように真似をしてみたけれど、団子やおはぎにしか見えませんでした…。体が柔らかい女性って、表情や心まですべてが柔らかいんじゃないかと思うんです。物腰が柔らかい人は、本当に腰まで柔らかいんだなと、女将を見て気づかされました。柔軟性は大人にとって大事なものである一方で、年をとるにつれて、だんだん失われていくものでもありますよね。それなのに、あの折りたたまり方ができるというのは、尊敬しかありません。その柔らかさの理由を尋ねてみたところ、クラシックバレエをされていたとか。きっと、それ以外にもお風呂の後に柔軟体操をしたりと、努力をしているに違いありません。そして、ロケでは料亭のご主人がお店を案内してくれたのですが、女将は少し離れたところに花束を持って立っていました。そして、“次は、あの部屋に行くな”ということがわかるやいなや、すっと姿を消し、まるで忍者のように次の部屋に移動して、お花を生けていたんです。そんなふうに、先のことを予見しながら行動する姿にも感動してしまいました…!そんな完ぺきな女性に近づくには、まずは前屈から始めるのがよさそう。そして、体が少しでも柔らかくなってきたら、自分の頑固な部分や石頭を崩すように努力をしてみる。考え方や気持ちが柔らかくなるにつれ、体もつられて柔らかくなりそう。金沢の料亭の女将を目指して、私も日々、柔軟をしてみようと思います!よこさわ・なつこ芸人。『バイキング』(フジテレビ系)や『王様のブランチ』(TBS系)など、数多くのバラエティ番組にレギュラー出演している。初の著書『追い込み婚のすべて』(光文社)が発売中。※『anan』2018年11月28日号より。写真・中島慶子イラスト・別府麻衣文・重信 綾(by anan編集部)
2018年11月27日ののとはなというふたりの女性の、約30年にわたる絆を書簡形式で綴った『ののはな通信』が5月に。そして9月は、『愛なき世界』が。2018年は、三浦しをんさんの傑作長編が2冊刊行され、ファンにとっては当たり年だ。『愛なき世界』は、植物学の研究にいそしむ女子院生・本村紗英と料理人見習いの青年・藤丸陽太が淡い交流を深めていく恋愛小説といえるが、読みどころは“恋愛”だけにあらず。「東京大学大学院の塚谷裕一先生から『辞書作りが小説になるんだったら、きっと植物学の院生も小説になると思うんです』とお声がけをいただいたんです。研究室にお邪魔してみて感じたのは、先生や院生のみなさんの知りたい気持ちの強さです」作中に、本村がシロイヌナズナの細胞を光らせ、それを藤丸が顕微鏡でのぞき込む場面がある。「私も見せてもらったんですが、本当にキレイで宇宙みたいでした。ヒトも植物も同じ地球上でそれぞれが進化を遂げた結果、共通した仕組みも全然違うところも持っているけれど、同じように細胞は活動し、一生懸命生きている。そんな植物のことを彼らはもっと知りたいんだなとわかって、私はそんな彼らのことをもっと知りたくなったんです」本村がのめり込む葉っぱの発生遺伝子を調べる実験には、塚谷教授ら研究室のみなさんが全面的にバックアップ。研究者の日常なども参考にしたそう。好きな研究に打ち込みすぎて、本村と藤丸の恋模様など見えていない院生像も何だか好もしい。「でも、恋の空気に鈍感なのは、むしろ私なんですよ。周りは気がついているのに私だけわかっていなかったとか、よくあります(笑)」タイトルは、植物が〈愛なき世界〉を生きていることに由来する。「『植物には感情や思考がないのです』と言われたとき、はっとしたんですね。私たち人間はついつい人間の感覚に引き寄せて彼らの様子を解釈しようとしてしまうけれど、愛とか恋とか言わないと繁殖できない人間の方が、地球上では圧倒的少数派です。面白いのは、植物たちを研究している研究室の彼らは、めちゃめちゃ植物愛に溢れているということ。言葉で説明するならば、やはり世界は愛に溢れた場所だとしか言いようがないなぁと感じますね」『愛なき世界』青井秋さんの植物の挿画に、胞子や実験器具などが箔押しされた、うっとりするほど美しいカバーデザインにも注目!中央公論新社1600円みうら・しをん1976年、東京都生まれ。2006年、『まほろ駅前多田便利軒』で直木賞、’12年、『舟を編む』で本屋大賞、’15 年、『あの家に暮らす四人の女』で織田作之助賞を受賞。※『anan』2018年11月28日号より。写真・土佐麻理子(三浦さん)中島慶子(本)インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2018年11月26日歌手の中島みゆきが、2013年4月から2018年9月まで月に一度放送されていたニッポン放送『中島みゆきのオールナイトニッポン月イチ』。放送終了を惜しむリスナーの声が多数寄せられたため、総集編を12月10日~13日(21:00~21:50)に、スペシャルプログラムとして放送されることが決定した。5年半の名場面だけでなく、12月19日にリリースされるライブアルバム『中島みゆき ライブ リクエスト ‐歌旅・縁会・一会‐』からの楽曲もいち早く放送される予定となっている。総集編のナビゲーターとして、『中島みゆきのオールナイトニッポン』(79年~87年)時代から中島と親交がある、『上柳昌彦 あさぼらけ』パーソナリティの上柳昌彦が担当する。
2018年11月26日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「パワーハラスメント」です。職場のパワーハラスメント(パワハラ)とは、同じ職場で働く人に対して、地位や人間関係などの優位性を使い、適正な範囲を超えた精神的・身体的苦痛を与える行為をさします。2010年からの5年間で、過労が原因でうつ病などの病気を発症して労災が認められたケースが2000人。そのうちの368人は過労自殺でした。2000人のうち、30代が3割以上。20代も加えると5割以上になります。少子高齢化で労働不足になっている日本にとって、若い世代が心を病んだり自殺に追いやられているというのは、もはや国難です。2017年度に「心の病」が労災認定された506人のうち、パワハラが原因の人は88人。前年度より14人増え、2年連続で原因別の最多となりました。パワハラは、起こしている本人にその自覚がないケースが多く、トラブルになっていますが、受ける側もそう捉えていないことに根深い問題があります。僕自身、今にしてみれば、上司からパワハラを受けていたと思うことがあります。しかし、当時の僕は、「厳しく指導してもらったおかげで成長できた」と思い込んでいたのです。手に震えが出るなど、体に変調を来していたのに、上司も自分も、それが問題だとは感じていませんでした。上司の失点になってはいけないと、部下が自らタイムカードを適度な時間に打刻し、帰社したことにして、会社に申請せずに長時間残業をする。部内全体で、それを無言のうちに強いるというのも、一種のパワハラです。「受けている本人がパワハラと認識しなければ、パワハラではない」とされていますが、それは違います。業績を上げることや効率を最優先する会社の価値観に染まり、知らないうちに負担を強いられ、心を病むこともあります。あなたの会社の常識は、世の中の常識とは違うかもしれません。厚生労働省は、企業にパワハラ防止措置を義務付ける、法の整備を検討し始めました。嫌だなと思うことに、NOと言える環境や、その職場に問題があれば、我慢せずに、20代30代でもほかの職に移ってもいいという風潮も、広げていく必要があると思います。堀潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2018年11月28日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2018年11月24日一度読んだら、ずぶずぶとその魅力の沼にハマる平方イコルスンさんの世界。最新刊『うなじ保険』でも、既出作同様、女子高生や仲良しグループの休み時間や放課後、日常のちょっとした瞬間などが描かれている。しかし、最低限の状況説明しかされない中で、人物たちが放つキレのいいセリフがぴたりと決まり、よくある日常の印象ががらりと変わる。なかでも女子高生たちが古めかしい言葉遣いで小難しい理屈を振りかざす、セリフ回しの面白さは抜群だ。「セリフの内容については、自然と出てくるままに任せています。あとは、もっと無駄に語り続けたいところを自制したり、語らずに済ませたいところで説明せざるを得なかったり、というような工夫は必要になってきます。私が鑑賞する側になったときには、物語をその終わり方で評価しがちな性質なので、創作の際にもそこに重きを置いています」恋バナや思想ネタ、ホラーなど、テーマの守備範囲が広く、短い作品なのに展開が読めない。そんな独特の作品世界を彩るのが、〈山ぶり〉〈目も耳〉など内容とどこかズレた感覚で付けられたタイトルの妙だ。「題はほとんど毎回最後に決めていて、その作品の内容を通じて、一言であらわすとしたら何になるかということを考えて出します」手描きの斜線や横線、格子などを多用するタッチで、セリフの文字までが書き文字というのもすごい。「絵に関しては単純に、漫画を描き始めたときにスクリーントーンの使い方を知らなかったから、というところが大きいです。本当は線の少ない、すっきりした画面にも憧れがあるのですが、そもそも自身の画力や字にコンプレックスがあるため、拙い描線をごまかす意味でも線が多くなっているとか、ちょっといびつな字を書くとかが習い性になりました。吹き出しの配置については、どの作品もページ数が少なくて慌ただしいので、なるべく自分の思うようなテンポと順序で読んでもらえるように気をつけています」平方さんのマンガはよく「わからないけどすごくいい」と評される。「そういう評価がとても光栄というか、自分の目指しているものに近いと思われるので、嬉しいです。でも、具体的に言語化していただけるともっと嬉しいのも確かです」『うなじ保険』カップルを尾行調査することに情熱を傾ける女子高生・阿和&鳴見コンビの連作や、著者自身が特にお気に入りと語る「設置」「専用」は必読!白泉社800円©平方イコルスン/「楽園」/白泉社ひらかた・いこるすんマンガ家。同人活動を経て、2011年、白泉社『楽園 La Paradis』第5号で商業デビュー。’12年『成程』を刊行。『楽園』本誌&web増刊で連載中。※『anan』2018年11月28日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2018年11月22日新しい出会いの形として急速に支持を集めている「恋愛マッチングアプリ」。男性に“いいね”をしてもらうプロフィール写真について、婚活コンサルタント・澤口珠子さんと「桃山商事」代表・清田隆之さんにお話しを伺いました。出会いたい男性の目に留まる、写真&キーワードを厳選せよ。男性の興味を引く第一歩となるのが、プロフィール。「マッチングアプリでの恋愛では、とにかくプロフィール写真が命。特に男性は女性以上に“自分の好みの顔か”を重要視する生き物で、ここをクリアしないと“いいね”すらしてもらえません。また、恥ずかしいからと顔写真を登録しないと、“自信がない”“真剣度が薄い”などの印象を相手に抱かせやすいので注意を」(澤口さん)「文章の中では、自分がマッチしたい男性の心を惹くキーワードを挙げると、出会いの精度を高められます。大多数にモテたい場合は、“料理好き”などといった好感度が高いもの、同じ趣味の人を望む場合は、自分の好きなものを入力してみましょう」(清田さん)プロフィール写真の心得はズバリ…他の人より目立ちながら、情報が伝わる写真が理想。“自分はこういう人です!”という情報を、男性に伝えられる内容の写真をのせることがポイント。また、「気軽な出会いを楽しめることが、マッチングアプリのメリット。そのため、プロフィールも気軽な雰囲気に仕上げることが大切です」(澤口さん)メイン写真のOK&NG例OK笑顔で気軽な感じの顔写真が好感度高し。美人に見える角度を研究して、奇跡の一枚を撮ろう。相手の画面には女性の写真が並んで表示されるため、顔の印象が伝わるアップで撮影を。猫やビールなど好きなものを顔の横に並べると人柄がわかる&小顔効果も狙える。NG1年以上前のものや、変顔、プリクラ、芸能人の画像など、今の自分の情報を伝えられない写真は避ける。ものすごく引いていたり、自分が写っていないものは言語道断!サブ写真のOK&NG例好印象を持ってくれた男性が必ず見るのがサブ写真。プロフィールなどの文字要素を大切にする女性に対し、男性の中には“写真しか見ない”人もいるため、最低でも2~3枚は必ず掲載を。ポイントは、メイン写真では伝わらない情報を入れ込むこと。料理や習い事の写真、季節のイベントに参加している姿など、普段の生活が垣間見える写真を選ぶと、男性が“こんな子なんだな”と想像しやすい。また、1枚は友人と写ったものにすると“楽しそうでいいな”と好感度が上がる。ちなみに、自撮り写真ばかりを掲載するのはナルシストだと引かれる可能性あり。OK・家庭的なイメージのもの手作り料理は男心をくすぐる。エプロン姿も人気。・全身が入った写真スタイルを知りたい人が多い。スナップ写真が◎。・季節感のある写真浴衣姿やハロウィンの様子などはデートを想像させる。NG・豪華すぎる写真“お金がかかりそう”と思うと、男性は避けがち。澤口珠子さん婚活コンサルタント。自身もマッチングアプリで出会った男性と結婚。そのノウハウを教える著書『はじめての「ネット婚活」』(幻冬舎)が発売中。清田隆之さん恋バナ収集ユニット「桃山商事」代表として、数多くの女性の悩みを聞いている。著書に『二軍男子が恋バナはじめました。』(原書房)など。※『anan』2017年8月2日号より。写真・中島慶子イラスト・沼田光太郎取材、文・重信 綾※2017年7月30日作成(by anan編集部)
2018年11月20日「瞑想」はメンタルヘルスの世界では、瞑想は科学的に立証された立派な治療法。最近ではその効果が認められ、手軽な「脳の疲労回復法」として広く周知されています。でも、中々集中して瞑想ができない。そんな女子におススメグッズをご紹介。注意があちこちにさまよいがちな人は、外部から感覚を刺激するグッズを取り入れてみよう。見る、嗅ぐ、触る、聞く、それぞれの感覚に意識を向けることで集中力が高まり、脳がスッキリ!仕事の効率もアップする予感。精神科・心療内科医で臨済宗建長寺派林香寺住職の川野泰周先生にアドバイスいただきました。周囲を気にせず楽しめる、パーソナルアロマディフューザー。「アロマは嗅覚に働きかけ、頭の中をクリアにしたり、深い集中へ導いてくれたりと、瞑想との相性がいい」と、川野先生。キャンドルや超音波式のディフューザーは部屋中に香りが漂い、オフィスで使うのは難しい。そこでこの「AROMASTIC」。ボタンを押すと天然の香りが出る手のひらサイズのアロマディフューザーで、自分だけに香る優れもの。気分に応じて切り替え可能な5種の香りは働きづめの脳に癒しを与えてくれるはず。ソニーAROMASTICカートリッジ式のパーソナルアロマディフューザー。カラーはホワイトのほか、ブラックもあり。本体¥3,980(ソニー)クセになる触り心地で触覚を刺激する。「パソコンやスマホなど同じ作業を繰り返していると、手先の感覚が鈍感になってきます。一度それらから離れてリセットすることで、手先の鋭敏な感覚が戻ってくる。感度が上がった指先に集中することは、集中力の向上に直結します」触覚をリセットするには「ストレスリリーサー」や「フィジェットキューブ」のように、心地いいと感じる感触のアイテムを触るのがgood。新しい刺激が入り、脳もリフレッシュ。ASLEEPストレスリリーサーマットレス素材を応用し、ぷにょぷにょと柔らかい触感がクセになる手のひらクッション。ストレス発散の効果も。¥480(アイシン精機TEL:0566・24・8650)Antsy Labsフィジェットキューブ6つの面に、ゲーム機のコントローラーのようなボタンやスイッチがついた玩具。¥5,800*税込み(たーとるうぃず)リラックス効果のある「自然音」をポケットに入れて持ち運ぶ。人が行き交い情報を遮断するのが難しいオフィスでも、音楽を使えば一人の空間が作れる。「小川のせせらぎ、雨音、そよ風などの自然界を構成する音が持つ不規則なリズムは“1/fゆらぎ”と呼ばれ、自律神経を整え、精神を安定させる効果があります。瞑想に活用するならこうした自然音がおすすめです」「toremoro」は、自然音を含む世界中のさまざまな「音」が聴ける音楽アプリ。リラックスできる好みの音が見つかるかも。Toremorotoremoro自然音だけでなく、環境音、電子音、ASMRといったあらゆる音を、シーンに合わせて再生できる新感覚の音楽アプリ。(Toremoro)川野泰周先生精神科・心療内科医。臨済宗建長寺派林香寺住職。寺務の傍ら、横浜市内のクリニック等で禅やマインドフルネスを取り入れた診療を行う。主著に『ずぼら瞑想』(幻冬舎)。※『anan』2018年11月21日号より。写真・中島慶子イラスト・中根ゆたか取材、文・黒澤祐美(by anan編集部)
2018年11月16日少しでも男女間格差に悩むすべての人に贈りたい一冊がある。白岩玄さんの新作長編『たてがみを捨てたライオンたち』だ。「20代の頃は、僕も恋愛関係の中で相手の女性よりも立場が上でいたいと思ったり、年収を気にしていたりしていました。ずっと“男らしさ”の問題に縛られていたんです。あの頃は男の弱さを語る言葉が見つからなかった。これは30代の今、出すべくして出した本だといえます」世の中に浸透する“男らしさ”の呪縛を、3人の男性の立場から浮き彫りにする本書。勤務先で評価が得られず、妊娠中の妻から「専業主夫になれば」と提案される直樹、離婚して気ままに生きるが孤独を感じる慎一、アイドルオタクであることを職場に隠す幸太郎。それぞれ、著者自身が投影されているという。「直樹はもともと家庭的な人間。でも“男の価値は仕事で決まる”という古い価値観に縛られている。慎一は他人の痛みに鈍感で傲慢。幸太郎は学生時代にモテなかったことがコンプレックス。彼らや僕の世代は、旧来的な男性観、女性観の中で育ってそれをひきずっている。と同時に、男にとっては、そうした価値観をひきずっていたほうが楽、というところもあると思います」ご本人は現在、家庭で育児もしているそうだが、「こうして小説に書くまでは、自分が男性的な生き方を貫くことが奥さんの時間を奪ったり、軽く見ることになるんだとは、頭で分かっていても実感はなかった気がします」本作は女性が読んでも決して押し付けがましく感じないのも美点。「男の生きづらさだけ書いたら、女性から“私たちのほうが生きづらい”と言われるだけだと思って。男性が女性に何を押し付けているかを考えて書いているうちに、3人とも、女性と向き合う話になりました」どのエピソードも、互いを理解する努力が大切なのだと思わせる。「“男らしさ”“女らしさ”を相手に強いるのでなく、“らしさ”を抜いたところで、お互いに納得のいく生き方を探せたら。ただ、自分たちが納得しても、一歩外に出ればまだ“らしさ”を押し付けてくる社会がある。そこについて、もっと世の中で広く議論できて、生き方が選べる段階までもっていきたいですね」『たてがみを捨てたライオンたち』仕事で認められること、弱音を吐かないこと、モテること…“男らしさ”のイメージに縛られる3人は、自分や女性たちの本音に気づけるか。集英社1600円しらいわ・げん作家。1983年生まれ。2004年『野ブタ。をプロデュース』で文藝賞を受賞しデビュー。同作は、その後ドラマ化。著作に『空に唄う』『未婚30』『ヒーロー!』など。※『anan』2018年11月21日号より。写真・土佐麻理子(白岩さん)中島慶子(本)インタビュー、文・瀧井朝世(by anan編集部)
2018年11月16日世の中が混乱状況に陥った時、人は自分の“善”とどう向き合うか。それを克明に描き出す深緑野分さんの『ベルリンは晴れているか』。終戦直後の1945年、他国の占領下となったドイツのベルリンが舞台だ。「5歳くらいの頃、ニュースで人々がベルリンの壁を壊している光景が映って。母に“世界が変わる瞬間だから憶えておきなさい”と言われたことが強烈に印象に残っています」以来、この都市に興味を持ち続けていたところ、ある時、「終戦直後のアメリカ軍の雇用事務所でドイツ人たちがタイムカードを押している写真を見たんです。みんな敗戦を嘆くというより、照れ笑いのような表情で。こういうところに“人”が見えてくるなと思い、この時代のこの場所を書いてみたくなりました。当事者でなければ小説に書いていけないわけではないけれど、書く以上、敬意と責任を持って、調べられることは全部調べました」戦争で天涯孤独となったドイツ人少女アウグステは、恩人の老人の不審な死を知り、訃報を伝えるべく彼の甥を探す旅に出る。偶然、道連れとなったのは陽気な泥棒カフカだ。旅先で彼女は、他国の兵士や戦争孤児ら、様々な人々に出会う。「ロードノベル風にしてたくさんの人を出せば、読者に誰かしらひっかかる人がいるだろうと思って」そこには完全な善人も完全な悪人もいない。ただ、みな、生き抜こうとしているだけだ。幕間にはアウグステの来し方も語られ、当時の市民生活の細やかな描写も読みどころ。執筆前にベルリンを訪れたというが、「博物館でドイツ人のおじいさんに“君はドイツの歴史に興味があるのかね?”と話しかけられ、当時は家の湿気をとるためだけに住む“湿気とり”という仕事があることを教えてもらったりしました(笑)」ユダヤ人をはじめ様々なバックグラウンドを持つ人々の置かれた窮地に胸が痛む。そして後半には、恩人の死に関しても驚きの真実が浮上。そこで突き詰めてくるのは、やはり善悪、そして正義とは何か、である。「人間は弱いなと思う。善良であろうとしている人が、どうしようもない状況の中で過ちを犯してしまうこともある。その現実にひるみそうになっても、ひるまないでいくこと。それが私にとっては希望なんです」ふかみどり・のわき小説家。1983年生まれ。2010年「オーブランの少女」がミステリーズ!新人賞で佳作入選。同タイトルの短編集でデビュー。ほかの著書に『戦場のコックたち』など。『ベルリンは晴れているか』戦後のベルリン。家族を失ったアウグステは米軍の食堂で職を得るが、かつての恩人がソ連領域で謎の死を遂げたことを知り、旅立つことにするのだが…。筑摩書房1900円※『anan』2018年11月14日号より。写真・土佐麻理子(深緑さん)中島慶子(本)インタビュー、文・瀧井朝世(by anan編集部)
2018年11月13日法廷を舞台にした物語の多くは、弁護士や検事などにスポットが当てられることが多いが浅見理都さんの漫画『イチケイのカラス』はそのどちらでもなく、裁判官が主人公。マントのような黒い法服を着て、高い位置に座っているあの人たちだ。「ドラマなどでも裁判官はあまりしゃべらないというか、しゃべるシーンがほとんど出てこないので、私も最初は判決を言い渡す人というイメージしかありませんでした」浅見さんがマンガの題材として法廷に興味を持ったのは、冤罪弁護士という異名を持つ今村核氏のドキュメンタリーを見たのがきっかけ。はじめは刑事弁護人を主人公に据えたりもしたのだが、視点を変えて思い切って裁判官を描いてみることに。「いろんな本を読んではみたものの、実際の裁判官がどういう人なのか私自身が全然つかめていなかったこともあって、坂間というキャラクターを生み出すのに苦労しました」物語は、坂間真平が武蔵野地方裁判所の第一刑事部(イチケイ)に配属されるところから始まる。坂間はイケメンではあるものの、愛想のないエリートタイプ。チャラめの書記官や、ガサツだけど仕事ができるっぽい同僚、無罪判決をいくつも出している裁判長など、一筋縄ではいかないキャラが揃う新しい職場で内心イラつきながらも、さまざまな裁判を担当していく様が描かれる。「裁判シーンや法律まわりのことは、監修の先生と相談しながらリアリティを追求して、読む人が本当に裁判を傍聴しているような臨場感を出せればいいなと思って描いています。だけど事件の話ばかりではやっぱりしんどいので、裁判官室でのちょっとした会話や脇のキャラで、空気を柔らかくしているつもりです」ちなみに、注目の初公判の日に、記者に気づかれないよう、裁判官がお弁当屋さんのコスプレをして裁判所に入るシーンがあるのだが、これは浅見さんの創作なのだとか。こんなふうに笑える要素も挟みつつ、読んでいて改めて感じるのは、裁判官という職務の難しさと奥深さ。当然ながら、ただ座っているだけの人ではないし、法律というルールに則って判決を下すとしても、本人の個性は必ずそこに出てくるはずだ。「坂間たちが被告人のことをどう感じて、最終的に判決文を書くに至るのか、裁判官や被告人の心情の描き方はいくら考えても終わりが見えなくて、毎回とても悩みますね」今後は、裁判員裁判や少年事件などについても描いてみたいそう。「今のところ、これだけ好感度の低い主人公も珍しいので(笑)、坂間のいろんな面を見せていきたいです」『イチケイのカラス』有罪率99.9%といわれる日本の刑事裁判。その判決を下す裁判官や周辺の人々を生き生きと描いた人間ドラマ。櫻井光政氏と片田真志氏が取材協力・法律監修。講談社610円©浅見理都/講談社あさみ・りとマンガ家。1990年生まれ、埼玉県出身。「第三日曜日」で第33回MANGA OPEN東村アキコ賞を受賞してマンガ家デビュー。『モーニング』掲載の本作は初の連載となる。※『anan』2018年11月14日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・兵藤育子(by anan編集部)
2018年11月13日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「アメリカ中間選挙」です。トランプ政権への国民の審判がなされるとき。11月6日(日本時間7日)にアメリカで中間選挙が行われます。中間選挙とは、連邦議会の議員選挙のことで、今回は上院100議席のうちの35議席と下院435議席すべてが改選されます。大統領の任期の半分の時期に行われるため、実質、大統領の約2年間の働きと与党に対する国民の評価が問われる選挙になります。トランプ政権を引き続き応援したい人は現与党の共和党議員に票を入れますし、異を唱えたい人は、野党の民主党に投票します。先日、歌手のテイラー・スウィフトさんが、地元テネシー州で民主党候補者への支持を表明し、話題になりました。テネシー州は共和党の強い地域。スウィフトさんは、この2年間が自分の思い描く未来と違ってきていることや、女性やLGBTの権利獲得の必要性を語り、ファンに投票を呼びかけました。アメリカでは、行政権を持つ大統領と、立法権を持つ連邦議会がはっきり分けられ、均衡を保っています。現在の議会は共和党の議員のほうが若干多いため、トランプ大統領の法案も議会では通りやすく、政策はスムーズに進められています。しかし、これが、野党優勢の議会になると、大統領の意思は通らず、「決められない政権」になってしまいます。事前の世論調査と専門家の見立てでは、上院は共和党が過半数を維持するものの、下院は民主党が多く議席をとるのではないかといわれています。そうすると、上院と下院でねじれが生じるので、議会決定のスピードは落ちることになるでしょう。また、下院には大統領を弾劾訴追する権利があります。下院が弾劾を求め、上院の3分の2が賛成したら、弾劾裁判が行われます。トランプ大統領には、ロシア疑惑、セクハラ問題など、数々のスキャンダルがありますから、選挙で民主党が勝てば、それらの訴追がなされ、トランプ政権が任期半ばで倒れる可能性もゼロではありません。大統領も実績を誇示するのに必死でした。これまで安倍総理は、トランプ大統領との仲の良さを世界にアピールしてきました。しかし、中間選挙の結果次第では、アメリカの次の政権を見据え、日本もスタンスを考えなければいけなくなると思います。堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2018年11月14日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)#悩みについてさらに読んでみる。#社会のじかんをもっと知りたい。
2018年11月07日小島慶子(46)が7月の「日経DUAL」に寄稿した記事を11月3日にTwitterで再掲。大きな反響を呼んでいる。小島は、自身が発達障害の1つ・ADHDであると公表。経験談や、ADHDの子を持つ親へのアドバイスを綴っていた。小島は11月6日にも改めて反響に触れ、「ADHDこそがあれやこれの原因だ!と安易に考えることには違和感があります」とコメント。さらに「その人が誰であるかはいろーんな要素で成り立っているものだし、しんどいなと思うことも原因は複数あるもの。一つの診断名や属性で人間を説明することは出来ないですよね」と考えを述べた。「同じ診断名でも身体は個別のものだし、誰でも自分の人生しか生きられません。だから、わかるよと言われたい時も、言われたくない時もあると思います。障害の有無と関係なく、その人がその人であることはこの世に一度きりの出来事。それを大切にしたいです」こうつづった小島に、Twitterでは賛同の声が上がっている。《ADHDなんて、多様性の中の単なるひとつの特徴でしかないよな。みたいに世の中の多くの人が考えるようになれればいいかな》《この人はこれが苦手なんだと考えを改めることで、発達障害の方が生きやすくなると思います》《障害を公表したりされたりすることが 人と人との間の快適なコミュニケーションのきっかけになる時代に なっていけばいいと思う》小島は不安障害を先に診断されており、その主治医からADHDと診断されたという。そのため同記事では「もっと早く知りたかったよ!」と当時の心境を明かしていた。というのも小島は子供のころから周りに馴染めない自分を責めることがあったようで、「それが私の生きづらさにつながって、摂食障害やら不安障害やらの要因になった」と分析していた。小島同様に、ADHDであると大人になるまで気づかず苦しむ人もいる。Twitterでは《そうそう発達障害と知る前は自他共に自分が悪いと思う、自分への誤解の辛さ。障害が原因と知ると、そうではなかったと腑に落ちる》など共感の声もよせられていた。
2018年11月06日江戸の街で人や猫のさまざまな悩みを解決する貫禄たっぷりの猫を描く「差配さん」で話題を呼んだ漫画家・塩川桐子さん。この短編集は’06年~’13年に発表された6作品を収録している。「『コミック乱』に載せてもらうまでは少女マンガ誌で描かせてもらっていました。『乱』は時代モノばかりのマンガ雑誌なので、ずっと一羽でショボショボ飛んでいた鳥が仲間の群れに入れてもらったようで、ホッとしたのを覚えています」表題作の「ワカダンナ」は、猫が好きすぎて捨て猫を放っておけない若旦那と、彼に振り回されるしっかり者(?)の小僧が登場する「差配さん」の番外編ともいえる作品だ。「私もときどき捨て猫を拾って、もらってくれる人を探します。捨て猫やノラ猫をなくそうと奮闘しているすべての人へ『みんな頑張れー!!』と思って描きました」江戸でしくじって山陰にやって来たケンカっ早い魚屋のちょっとホラーな一夜を描いた「萩の宿」は、著者が子ども時代に祖母から聞いた実話を昔話風に脚色したそう。「『侠(きゃん)』はすれ違ってばかりでどうしても会えない男女を、絵巻物風にコマ割りなしで描けないかな?と思ってスタートしたんですが……描いているうちに今の形になりました。過去の作品を改めて読み返してみると、ヘタなりにいろいろ試行錯誤しているなあ、いろんなテーマに挑戦しようとしているなあ……、と。それなりに頑張ってきたあしあとがちょっと見えて安心しました(笑)」ほかにも、子どもに交じって手習いをするワケあり女子を描いた「ふきちゃん」や、同じ反物屋に奉公していた男女の恋物語「蛙(かはづ)」など、楽しい話も切ない話もあるのだが、どれも「差配さん」に通じるようなユーモアや優しさが。浮世絵を彷彿とさせる一見すました絵柄から、こうした人間味のある感情が生き生きと発せられるギャップが面白い。「絵柄は作品に合わせて自然に変わってきたという感じなのですが、せっかく日本髪や着物といった文化を描けるので、丁寧に美しく描けたらいいなと思います。江戸を舞台にした物語で大事にしているのは、季節感かなあ。春の夕暮れのなんか水っぽい感じとか、夕立のにおいとか、時雨の降る音とか……五感にちょっと触れるくらいの季節の気配を描けたら、と思うのですが難しいですね。でも四季を描くのは時代モノの魅力のひとつだと思っています」人間のみならず、すべての生き物や自然の営みを豊かにとらえた物語は心を柔らかくしてくれる。『ワカダンナ』 江戸の市井に生きた人々も、現代人と同じように些細なことで悩んでは、笑ったり泣いたりしていたようで……。悲喜こもごものドラマが詰まった短編集。リイド社830円©塩川桐子/リイド社しおかわ・とうこ1994年頃から浮世絵風の絵柄のマンガを描き始める。可憐な作風で、江戸を舞台としたハートフル短編を多く手がけている。主な作品に『ふしあな』『差配さん』など。※『anan』2018年11月7日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・兵藤育子(by anan編集部)
2018年11月05日出会った女性がネタの源という横澤夏子さんが、街で見つけたいい女を実演。今回は、オシャレに前向きなケア上手の女性、「白いトップスを着る女」になりきり。汚れを気にして白を避けるのは、怠慢です!このあいだ、ショッピングに行って店員さんから白いニットを薦められたのですが、買うことができなかったんです。そのときに、白いトップスを一枚も持っていないことに気づきました。その理由を考えてみると、“どうせ、すぐに汚れるから”という諦めの気持ちであることがわかり、自分に対してがっかりしたんです。だって、ケアが面倒くさいという理由で白を着ないのは、ただの怠慢!オシャレに前向きじゃない証拠ですよね~。それに、そもそも白は、身につけると爽やかさや、カチッとした空気感が漂う色。スタイリングがきれいめに仕上がる、優秀なアイテムです。それを、汚れを恐れずに着こなせるのは、いい女って感じがしますよね。実際、避暑地とか広尾のような、女性が憧れる街に行くと、必ず白いトップスを着ている人を目にするし、“素敵な人だな~”と見てしまいます。しかも、白いトップスには、レフ板の役割を果たし、顔をワントーン明るく見せてくれる素晴らしい効果も。こんなにも自分を美しく演出してくれるアイテムを着ない手はないですよね。私のように、普段、あまり白を着ないという人は、白いTシャツから始めてみるのはどうでしょうか。何にでも合うし、コットンなど洗いやすい素材を選べば、たとえ汚してしまっても安心です。また、仕事で着るのとは違う白いシャツを買い、抜け感のある着こなしをすると、いい女度がアップしそう。もし、“私が白を着ていいのかな”と悩んでいる人は、「私はくすんでいません!白が似合う女です!」と宣言してみると、気持ちが前向きになるかもしれません。白いトップスは、一枚持っていて困ることが絶対にないアイテム。私も、汚すのを怖がらずに買ってみます!よこさわ・なつこ芸人。『バイキング』(フジテレビ系)や『王様のブランチ』(TBS系)など、数多くのバラエティ番組にレギュラー出演している。初の著書『追い込み婚のすべて』(光文社)が発売中。※『anan』2018年11月7日号より。写真・中島慶子イラスト・別府麻衣文・重信 綾(by anan編集部)
2018年11月03日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「外国人労働者拡大」です。頼れる労働力だが受け入れ体制は問題が山積み。日本は少子高齢化が加速し、空前の人手不足です。それを補おうと、政府は外国人労働者へ門戸を広げようとしています。2017年10月現在、外国人の雇用状況は約127万9000人。2016年に100万人を突破し、1年で2割ずつ増え、最多を更新中です。外国人労働者を雇用している事業所数は、全国で19万4595か所で前年より1割以上増。国別の外国人労働者の数は、中国人、ベトナム人、フィリピン人の順に多く、最近とくに増えているのはベトナムとネパールです。円の価値が高いため、これらの国々の人にとって日本の賃金は魅力的なのです。日本に住むには、ビザとは別に「在留資格」が必要になります。留学生や、日本人と結婚をした場合以外は、その人の学歴や職歴により、日本に必要な人材とみなされて初めて資格が取れます。これまでは、大学教授や弁護士など、高度な専門技能を持つ人にしかその資格は与えられませんでした。せっかく日本の大学で学んでも、日本で就職できず帰国してしまうケースも多々。そこで政府は規制を緩和し、日本の大学を卒業した留学生には、在留資格を出すことを検討しはじめています。マンガやアニメ、日本料理などクールジャパン戦略に関連する分野の専門学校卒業生もそこに含まれます。また、単純労働による在留資格は、これまでは認められませんでしたが、深刻な人手不足が見込まれる、介護や建設業、農業、漁業などの職種でも資格が得られる新しい在留資格案が先日発表されました。生活に支障がない程度の日本語ができることを条件に、最長5年まで在留可能。高度な技能を持つ人材は永住許可も検討されています。来年4月の制定を政府は目指していますが、外国人の急激な受け入れ拡大は、問題なのではないかという声も上がっています。たとえば、日本語のできない外国人の子どもは、日本の公立学校に4万3000人以上います(2016年現在)。その数は増え続けていますが、サポートできる体制は整っていません。いまや日本の社会は外国人労働者抜きには回りません。ともに日本で働く仲間として、受け入れる態勢を整える必要があると思います。堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2018年11月7日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2018年11月02日ご当地の美味しい食品がずらりと並ぶ物産館で、からだにいいおやつを探してみました。栄養を考えつつ、管理栄養士の美才治真澄さんと食べ比べ!今回は西のご当地お菓子番付をご紹介。横綱沖縄食べレバー「1袋で鉄が2.2gも摂れる!!家に常備しておきたい優秀品」。豚のレバーをスライスしたジャーキーは、吸収しやすい“ヘム鉄”が豊富な上に、脂質&カロリーは低いという素晴らしい一品。毎日食べたい~。¥170*税込み(オキハム)銀座わしたショップ本店東京都中央区銀座1-3-9マルイト銀座ビルB1~1FTEL:03・3535・699110:30~20:00無休(年末年始を除く)大関山口ふくの骨せんべい「意外と身がついているところが、栄養源としては高評価です」。骨からカルシウム、身の肉からはDHAも期待できるおせんべい。油で揚げないノンフライなので、カロリーが低いのも嬉しい。お酒のおつまみにも。¥500(日高本店)山口県物産協会おいでませ山口館東京都中央区日本橋2-3-4日本橋プラザビル1F TEL:03・3231・186310:30~19:00不定休関脇熊本オニザキの胡麻せんべい「水飴で胡麻をぎゅ~っと固めた、胡麻をたっぷり味わえるせんべい」。カルシウム、鉄、食物繊維、マグネシウムなど、びっくりするほど栄養豊富な胡麻をたっぷり摂れる。口当たりは軽く、胡麻の香ばしさが広がって美味。黒、白各¥120(オニザキ)銀座熊本館東京都中央区銀座5-3-16TEL:03・3572・114711:00~20:00月曜休(祝日の場合は営業、翌平日が休み)前頭広島牡蠣まるごとせんべい「亜鉛が豊富な牡蠣を、まさかのまるごと!」なかなか摂りづらい亜鉛を含む食材・牡蠣を、1枚に1つ使用。亜鉛は加熱に強い栄養素なので、おせんべいにプレスされても変化なく摂取可能。¥500(安芸津マルイチ商店)ひろしまブランドショップTAU東京都中央区銀座1-6-10銀座上一ビルディング1FTEL:03・5579・995210:30~20:00無休(年末年始を除く)※『anan』2018年10月31日号より。写真・中島慶子取材、文・河野友紀(by anan編集部)
2018年10月30日織田裕二、中島裕翔、鈴木保奈美らが共演する月9ドラマ「SUITS/スーツ」の第4話が10月29日に放送され、初めての訴訟に挑んだ大輔を演じる中島さんの演技に視聴者から高い評価が集まっている。織田さんが敏腕だが傲慢なエリート弁護士・甲斐正午を演じ、中島さんが甲斐にその才能を見出され経歴を偽って弁護士となる鈴木大貴をそれぞれ演じるほか、甲斐の上司で事務所の代表を務める幸村チカに鈴木さん、甲斐のライバル弁護士・蟹江貢に小手伸也、そのほか中村アン、新木優子、磯村勇斗、今田美桜らも共演する。※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。甲斐は東大法学部教授の退職を祝う会に出席、大手ファームに所属する後輩弁護士・畠中美智瑠(山本未來)と接触を図る。目的は訴訟を起こされた製薬ベンチャー・ナノファーマに関する情報を得ること。実は甲斐はチカがナノファーマ代表の辛島悠紀夫とデートしている現場を目撃していた。その後、甲斐はチカからナノファーマを助けるよう命じられる。実は辛島はチカの元夫だった。大輔は蟹江が主催したクイズ大会でハーバード大トリビアのクイズに答えられずに敗れ、ボランティア案件を任せられる。それは支払い催告を無視して家賃を滞納し、オーナーから訴えられた春日友加里(生越千晴)の弁護。友加里もマンションの部屋の悪臭に悩まされており、管理の問題で飼っていたウサギが死んだと主張、法廷で闘うという。辛島は立花理乃(中原果南)と共に難病の特効薬・レミゼノールを開発したが、副作用が起きたという患者たちから訴えられており、甲斐は被害者の会の弁護士・福原太一(渡辺憲吉)に見舞金を支払い和解することを提案するが、福原は高額を提示してくる。一方大輔は友加里のマンションの管理人がマンションを転売するため、部屋のカーペットにシラミを撒いて住人を追い出していたことをつきとめる…というのが第4話のストーリー。大輔の“初陣”が描かれた今回、一度は敗北したもののマンションの管理人の裏の姿を突き止め、最後は大逆転する大輔を演じた中島さんに「今日も中島裕翔は最高にイケメンだあ~~~~~~~」「表情がね…もう俳優中島裕翔すごいや」などの声が続々と投稿される。また「大輔くんの表情の作り方がアメリカっぽさがほどよく出ていてとても良かった」「中島裕翔って高身長で演技が上手だし、もうちょっと年齢が上がって渋くなればいろんな役やれそう」など、中島さんの演技力を評価するツイートも数多くアップされている。本作をきっかけに俳優としてさらにステップアップしそうな中島さん。今後のドラマの展開はもちろん、中島さんのこれからの活躍にも注目だ。(笠緒)
2018年10月29日都内のアンテナショップをめぐり、ヘルシーおやつをハンティング。管理栄養士の美才治真澄さんと試食をしながら、味はもちろん、食材から栄養素をチェック。美味しくてからだにいいのはどれ?!東のお菓子番付をご紹介。横綱福島のりピー「味付け海苔にピーナッツをペタッ。ピーナッツの甘みが美味しい」。海苔でカルシウムと水溶性の食物繊維、ピーナッツでマグネシウムの摂取が可能。絶妙な甘みと、パリッと&プチッとの食感がやみつきに。¥400(東北水産加工協同組合)日本橋ふくしま館MIDETTE東京都中央区日本橋室町4-3-16柳屋太洋ビル1FTEL:03・6262・397710:30~20:00(土・日・祝日11:00~18:00)無休(年末年始を除く)大関岐阜椎茸すなっく「サクッと軽い食感がたまらない。椎茸の旨味&香りを満喫できます」。椎茸の名産地・岐阜県産の原木椎茸を、特殊製法でからりと揚げた。乾燥させた椎茸はビタミンDが豊富。食物繊維もたっぷり摂れます。¥500(平成エコピア)むらからまちから館東京都千代田区有楽町2-10-1東京交通会館1FTEL:03・5208・152110:30~19:15(日・祝日~18:45)無休(年末年始を除く)関脇岩手納豆食(なっとく)せん「一口サイズで栄養素がたっぷり。噛んでいくと案外納豆です(笑)」胡麻入り南部せんべいと乾燥納豆をミックス、青のりをふりかけ醤油で味付け。タンパク質、鉄、カルシウム、マグネシウムと、いいものづくし。¥550(南部せんべい巖田屋)いわて銀河プラザ東京都中央区銀座5-15-1南海東京ビル1F TEL:03・3524・828210:30~19:00(毎月末日~17:00)無休(年末年始を除く)前頭群馬 フルーツこんにゃく「ムニュッとした食感は繊維たっぷりご当地食材」。通常グミはゼラチンを使うそうですが、こちらはメインの材料が食物繊維が豊富なこんにゃく!本物のセミドライブルーベリーを食べてるみたい。¥200(北毛久呂保)ぐんまちゃん家東京都中央区銀座7-10-5The ORB Luminous 1~2FTEL:03・3571・776111:00~19:00無休(年末年始を除く)※『anan』2018年10月31日号より。写真・中島慶子取材、文・河野友紀(by anan編集部)
2018年10月29日出会った女性がネタの源。そんな横澤夏子さんが、街で見つけたいい女を実演。今回は食事の時間を楽しみにする「昨日食べたものを覚えている女」になりきり。自分の“ご褒美飯”を食べる日を作ろう!みなさんは昨日食べたものを覚えていますか?“おばあちゃんにする質問か”と思う人もいるかもしれません。でも、食にどのくらい執着があるのか、日頃の食事をおろそかにしていないかという判断材料になると思うんです。やっぱり、食は人が生きていくうえですごく大事だし、自分の口に入れたものを覚えていないというのは、無意識で食べていることの表れですよね。忙しいからといって仕事中にデスクでささっと食べたり、“これですませちゃおう”と適当なものを食べるのは、体にかわいそうなことをしているのと同じこと。そうではなく、記憶に残る食事ができる人こそが、いい女だと思うんです。とはいえ私も、覚えていないことがしょっちゅう。このあいだ友だちから地元のパン屋さんのパンをもらって食べたときには、記憶が消えてしまうのが嫌で“パンを食べた、パンを食べた”と何度も頭の中で繰り返しながらいただきました。それはそれで、怖いんですけどね(笑)。まずは、好きなものやごちそうなど“ご褒美飯”を食べる日を作るのがよさそうです。“この日にはこれを食べよう”と楽しみにしていた食事のことは、なかなか忘れないですよね。私も“明日の朝は、梨を食べよう”と考えながら寝た日は、それが楽しみでスッと起きられるんです。また、“トマトのリコピンは日焼けに効く!”というように、食材がどんなふうに体に作用するかということを細胞に言い聞かせながら食べるのも、しっかりと記憶に刻み込まれそうです。それに、こうして一つ一つの食事に向き合うようになると、無駄に何かを食べる回数も自然と減って、ダイエットにもよさそうですよね~。一人で食べるにせよ、軽くすませるにせよ、思い出に残る食事を目指しましょう!よこさわ・なつこ芸人。『バイキング』(フジテレビ系)や『王様のブランチ』(TBS系)など、数多くのバラエティ番組にレギュラー出演している。初の著書『追い込み婚のすべて』(光文社)が発売中。※『anan』2018年10月31日号より。写真・中島慶子イラスト・別府麻衣文・重信 綾(by anan編集部)
2018年10月28日作家の伊藤朱里さんの小説『緑の花と赤い芝生』は、対照的な2人の27歳女性を描いた作品。立場の違う2人それぞれの本音が、胸に刺さる一冊です。「“隣の芝生は青い”や“隣の花は赤い”という言葉は、芝生は青いほうがいい、花は赤いほうがいいという価値観で成立していますよね。でも緑の花や赤い芝生だってある。多数派は“そういう花や芝生があってもいいよね”と言いがちですが、そんなふうに他人に認められなくたって、すでに“ある”んですよね」誰かの存在や価値観は他人がジャッジしていいものではない―そんな思いが表れたタイトルが、伊藤朱里さんの『緑の花と赤い芝生』だ。「価値観が多様化する中で、まったく違う二人が同じ空間にいたらどうなるだろう、という着想でした」飲料メーカーで研究開発にいそしむ志穂子と、結婚して良き妻として振る舞う杏梨。共に27歳、義理の姉妹となった二人が同居することに。「彼女たちをそういう状態に追い込むものがなんなのかを考えずに“女同士はケンカする”という言説がありますが、私はそれに違和感があって。“女ってこういうもの”という枠組みの中に閉じ込められたら何も解決しない。それに価値観が相容れない相手がいたとして、手を取り合って仲良くまではできないにしても、争わずに共生できるのが多様性のある世界だと思うんです」リケジョと主婦という分かりやすい対照性を出しつつ、ステレオタイプにしていないのが本作の美点。「バリキャリの志穂子にも怖いものはあるし、女の子らしい杏梨の中にも気が強い部分もある。その人の中の揺らぎやグラデーションは書きたかった。そうした本人のオリジナルな性格は本人が折り合いをつけるしかない。他人がジャッジしていいものではないと思うんです。ただ、私自身も、無自覚に人をジャッジするような言葉を言っているかもしれません。自分の中の加害者性を意識して気を付けなくてはと思います」二人の関係だけでなく、それぞれの母親との関係など、周囲の人間模様もリアル。さらに志穂子が恩師の女性に強烈な一言を言われる場面も。「誰かをロールモデルにして生きるのは、“この人を真似していれば大丈夫”と、自分の頭で考えることを放棄している気がする。自分の生き方は自分で考えないといけないし、傷つかないといけないですよね」志穂子と杏梨の本音の数々、きっと胸に刺さるはずです。いとう・あかり1986年生まれ。静岡県出身。2015年「変わらざる喜び」で太宰治賞を受賞、同作を改題した『名前も呼べない』を刊行して小説家デビュー。ほかの著作に『稽古とプラリネ』。『緑の花と赤い芝生』理系女子のバリキャリ・志穂子の兄の妻・杏梨は女らしさを重んじるタイプ。対照的な二人が一時的に同居することになるのだが…。中央公論新社1600円※『anan』2018年10月31日号より。写真・土佐麻理子(伊藤さん)中島慶子(本)インタビュー、文・瀧井朝世
2018年10月28日鴨居まさねさんの漫画『にれこスケッチ』は、ブラシ職人の主人公が、恋に仕事に奮闘する姿を描いた作品。画業25周年を迎えた鴨居まさねさん。ストーリーマンガとしては約4年半ぶりとなる本作は、迷える女子の挫折と希望がコミカルに描かれるのだが、100年続くブラシ屋という舞台設定の渋さにまず惹かれる。「私の作品はマニアックな仕事がよく出てくるのですが、特に狙っているわけではないんです。今回は編集さんから職人の話を読みたいと言われ、興味のあったブラシ屋さんと傘屋さんを取材させてもらいました」恋人も正規の仕事もない28歳のにれこは、20年来片思いをしている傘職人の清田くん(既婚者)のもとでアルバイトをしていたが、社員に昇格する見込みはないことが判明。そんななか実家のブラシ屋の後継ぎに指名されて、職人修業をスタートさせる。下心もありつつ傘作りを手伝っていたものの、ものづくりは嫌いではないようで、祖母と母という師匠の下で奥深いブラシ製作の世界にゆるゆるとハマっていく。「清田くんは口うるさくておばちゃんぽいのですが、私の好きなタイプです(笑)。20代の恋愛はこれまでたくさん描いてきましたし、年齢的にもお母さん目線に近かったりするのですが、一応恋愛モノとしては集大成のつもりで描いています」元彼も登場して、にれこの日常がちょっとだけ色めき立つ一方で、母や祖母、2人の姉などとのさりげないけどリアリティのある会話にも、鴨居さんらしさが光っている。一見、アラサーの崖っぷち物語のようでいて、挫折のなかに好きなことを見つけて、なんだかんだ楽しそうにしているにれこの姿からは、恋も仕事も始めるのに年齢なんて関係ない、と勇気をもらえてしまうのだ。「結婚はいつでもできるので年齢で焦る必要はないんだよ、と読者の方には言ってあげたいですね。にれこみたいに何かしら楽しめる仕事を持ってほしいし、本当にしんどいときは逃げてもいいと思うんです。私自身も会社員がつらくて辞めたから、マンガ家になることができたので」危なっかしいにれこの恋と仕事はうまくいくのか。奮闘を見守ろう。『にれこスケッチ』2三姉妹の末っ子・にれこのブラシ職人修業の日々。元彼の登場で恋の行方はさらに混迷。清田くんと飲み仲間の母・久子など、脇を固めるキャラクターも魅力的。祥伝社920円©鴨居まさね/祥伝社フィールコミックスかもい・まさねマンガ家。1993年デビュー。代表作に『SWEETデリバリー』『雲の上のキスケさん』『君の天井は僕の床』など。コミックエッセイ『鴨居家のマルちんは猫です』も人気。※『anan』2018年10月31日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・兵藤育子
2018年10月27日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「日ロ平和条約」です。70年以上平行線だった問題。いま何を選択するか?9月にウラジオストクで開かれた東方経済フォーラムの席で、プーチン大統領はいきなり「日ロ平和条約を年末までに、前提条件なしに締結しよう」と発言し、波紋を呼びました。1951年、第二次世界大戦を終結させるサンフランシスコ講和条約にソ連(現ロシア)は調印しませんでした。その後、1956年の日ソ共同宣言により国交は回復したものの、ロシアとの間では、戦争は終わっていないことになっています。平和条約締結を阻んでいるのは、領土問題。日本は、歯舞群島、色丹島、国後島、択捉島の4島返還を条約締結の条件にしています。ところが、ロシアは歯舞、色丹の2島のみ返還という姿勢を崩していません。鳩山一郎内閣のとき、2島返還、平和条約締結ののちに残りの2島の交渉を続けるという方針で決まりかけましたが、いったん返還を認めてしまうと、残り2島は二度と戻らないかもしれないという強い反対意見があり、条約締結は棚上げされました。このとき、アメリカのダレス国務長官が「2島返還を認めるなら、アメリカは沖縄を領土とする」と脅したともいわれています。返還する島には米軍基地を置かないことなどの条件があり、交渉が進まない理由にもなっていましたが、今回は「前提条件なし」。ロシアは日本との平和条約締結に焦っているのです。ロシアの国内経済は落ち込み、プーチンの支持率も下がってきているため、ここで日本の支援を受け、経済成長を狙いたい。日本にとっても、ロシアと協力体制をとることは安全保障面からも大きな意味があります。唐突に感じられたプーチンの年内締結の提案ですが、僕は、これまで何度も首脳会談を行っている仲の安倍首相との間で、すでに話がなされていたのでは?と考えています。4島返還に固執するのか。まず2島、で手打ちにするのか、日本は選択を迫られています。世界的にみると、ロシアは、クリミア半島に侵攻したり、シリアに激しい空爆を仕掛けるなど、非人道的な行為を重ね、経済制裁を受けています。自国の利益のためにロシアと手を組むとなれば、アメリカや欧州から日本が孤立する可能性も実はゼロではありません。ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2018年10月31日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2018年10月27日通勤中や仕事の休憩タイムなど、ちょっとした時間も有効活用!座ったままで簡単にできる“ながら骨盤呼吸”って?「朝晩は忙しくて時間がない」「場所を選ばず、もっと気軽に骨盤呼吸を実践したい」という人におすすめなのが、座ったままの姿勢で行う骨盤呼吸。「鼻で息を吸いながらひざを開き、鼻から吐きながら閉じるといった、基本的な動作は寝ながらの骨盤呼吸と同じです。通勤中の車内やオフィス、外出先のトイレなどでも無理なく行えるので、ちょっとしたスキマ時間に実践できるのがポイント。使う椅子は、できればクッション性が少なく、坐骨を意識できる座面が硬めのものを選ぶのがベター。深めにしっかりと腰かけてください。オフィスでイライラした時にも効果的なので、こっそり骨盤呼吸を行ってスッキリしましょう!」(日本骨盤ヘルスケア協会・佐藤志津香さん)1:吸う鼻から息を吸って、お腹を膨らませる。姿勢よく椅子に腰かけ、「基本の骨盤呼吸」と同じ要領で、鼻から大きく息を吸いながら、ひざを少し開き、腰を少し反らせる。空気をため込むように、お腹を大きく膨らませるのがコツ。吸いきってもさらに吸い、限界まで吸ったら3秒止める。椅子の座面に坐骨をつけ、お腹を突き出すイメージで。肩が内側に入らないように注意。両手はお腹の上に置き、できれば足を肩幅より広めに開く。2:吐く鼻から息を吐いて、お腹をへこませる。ゆっくりと息を吐きながら、お腹を背中にくっつけるようにへこませる。吐ききってもさらに吐き、限界まで吐ききったら3秒止める。吐きながらひざを少し閉じる。意識は骨盤と横隔膜に集中して。気持ちが落ち着くまで、何回繰り返してもOK。佐藤志津香さん「日本骨盤ヘルスケア協会」代表理事。骨盤ケアの独自メソッド、ピルビスエクサ(R)を提唱。著書に『深い呼吸で骨盤矯正 やせて、毎日が笑顔になる ピルビスエクサ』(幻冬舎)がある。ブラウス¥16,000パンツ¥16,000(共にデミルクス ビームス)パンプス¥46,000(ペリーコ) 以上デミルクス ビームス 新宿 TEL:03・5339・9070※『anan』2018年10月24日号より。写真・中島慶子スタイリスト・仮屋薗寛子ヘア&メイク・高松由佳モデル・原田ゆかイラスト・アベミズキ取材、文・瀬尾麻美(by anan編集部)
2018年10月22日自律神経が整って、体型も変わる!らくらく“骨盤呼吸”をマスターしよう。骨盤呼吸の効果を得るために、重要なのが“腹式呼吸”。日本骨盤ヘルスケア協会・佐藤志津香さんによると、呼吸筋の一つである横隔膜と骨盤は実は筋肉でつながっていて、深い腹式呼吸によって横隔膜が動くと、それと連動して骨盤が開閉。自然と正しい位置に調整されるという。「同時に血液やリンパの流れもよくなるので、体のむくみ解消にも効果的。息を大きく吸って吐くことで、自律神経が副交感神経優位に切り替わり、眠りも深くなります。仰向けになっての骨盤呼吸は、就寝前に習慣づけて!さらに効果を出すには、朝晩2回に。ベッドの上など柔らかい所でなく、床や畳の上で行いましょう」ここでは、骨盤呼吸の基本中の基本、仰向けでの呼吸法をマスター。就寝前の入眠儀式にもおすすめ。夜寝る前にたった5分、やってみよう!1:準備まずは、普通に3回息をしてから始める。床に仰向けになり、全身の力を抜いてリラックス。まぶたは軽く閉じ、両腕を伸ばして手のひらは上に向ける。そのままゆっくり鼻で3回呼吸する。2:吸う鼻から息を吸って、お腹を膨らませる。両ひざを立て、足を肩幅より広めに開く。鼻から大きく息を吸いながら、ひざを少し開き、腰を少し反らせる。空気をため込むように、お腹を大きく膨らませるのがコツ。吸いきってもさらに吸い、限界まで吸ったら3秒止める。3:吐く鼻から息を吐いて、お腹をへこませる。ひざを少し閉じ、お腹をへこませながら限界まで息を吐ききる。吐ききってもさらに吐き、限界まで吐ききったら3秒止める。吐きながらひざを少し閉じる。肛門はぎゅっと締め、足裏で床を踏みながら背中と腰は床にぴったりと。2~3を5分繰り返す。骨盤呼吸後に歪みをチェック!仰向けのまま両脚を伸ばし、左右の脚の長さと開き具合を確認。かかとの位置が左右でぴったりと合い、つま先の開き方が左右均等であれば、骨盤のバランスが整った証拠。佐藤志津香さん「日本骨盤ヘルスケア協会」代表理事。骨盤ケアの独自メソッド、ピルビスエクサ(R)を提唱。著書に『深い呼吸で骨盤矯正 やせて、毎日が笑顔になる ピルビスエクサ』(幻冬舎)がある。ブラトップ¥4,500(ナイキ)タイツ¥7,900(ナージー) 共にジュンカスタマーセンター TEL:0120・298・133※『anan』2018年10月24日号より。写真・中島慶子スタイリスト・仮屋薗寛子ヘア&メイク・高松由佳モデル・原田ゆかイラスト・アベミズキ取材、文・瀬尾麻美(by anan編集部)
2018年10月21日生きるのに欠かせない呼吸。無意識に行う呼吸こそ、実は体のバランスの鍵を担っているのだそう。「ヒントは体幹のキモでもある骨盤にあります。そもそも骨盤は呼吸と連動していて、息を吸うと開く、吐くと閉じる、という動きを繰り返します。骨盤が深い呼吸で動かされることで柔軟になると、自然と歪みが解消し、全身の状態が整うのです」(日本骨盤ヘルスケア協会・佐藤志津香さん)そこで、より効率的に骨盤を動かすために考案されたのが、“骨盤呼吸”という呼吸法。「深い呼吸を意識することで、副交感神経が優位になり、心身がリラックスできます。血行もよくなり、細部にまで栄養が運ばれ、代謝もよく。ちょっと意識を変えるだけで、体を変えられるのも魅力。ぜひ取り入れてみてください」正しい呼吸はできているか、呼吸の健康度をさっそくチェックしてみましょう。生活習慣や環境、体の状態など、正しい呼吸を妨げるNGリスト、あなたはいくつ当てはまる!?1つでも当てはまる項目があったら見直す必要あり!【基本のチェック】□鼻の穴を片方ずつ押さえて呼吸をすると、鼻水っぽい音がする。□仕事中などに、気づくと大きなため息をついていたり、呼吸が止まっている。□口を閉じた時、舌が上あごについていない。□根菜や、するめ…硬い食べ物は苦手だ。□入浴はシャワーのみですませがち。□口が開かないように、テープを貼って眠ることをイメージすると怖い。【環境のチェック】□パソコンの画面が視線の高さより下にある。□いつも同じ側の人と話すなど、左右片側を向きがち。□オフィスの椅子には浅く腰掛けていることが多い。□オフィスの椅子は、坐骨を意識できない柔らかさ。【骨盤のチェック】仰向けに寝て、両脚を伸ばし、かかととつま先の位置を確認!□足の開き方が均等でない。左右の足の開き方を確認。写真のように、右のつま先がより開いているなら、右の骨盤が開き気味。□かかとの位置が合わない。かかとの位置が合わないのは、左右の脚の長さに差がある証拠。原因は骨盤の歪みにある。いかがだったでしょうか?「呼吸で骨盤が動くといっても、ただ息を吸って吐けばいいわけではありません」と佐藤さん。骨盤呼吸をマスターするため、普段から正しい呼吸を心がけたい。「正しい呼吸とは、第一に鼻呼吸ができていること。口呼吸では体内に雑菌が入りやすく、免疫力低下の原因にもなります。第二のポイントは、深い呼吸。いつもストレスを抱えがちな人は、呼吸が浅くなっている可能性があるので要注意です。さらに、姿勢の悪さも正しい呼吸の妨げに。パソコンやスマホを長時間使ったり、体の使い方のバランスが悪い人は、骨盤が歪んでいる可能性が高いので、骨盤呼吸で正しい位置に戻してあげましょう」佐藤志津香さん「日本骨盤ヘルスケア協会」代表理事。骨盤ケアの独自メソッド、ピルビスエクサ(R)を提唱。著書に『深い呼吸で骨盤矯正 やせて、毎日が笑顔になる ピルビスエクサ』(幻冬舎)がある。ブラトップ¥4,500(ナイキ)タイツ¥7,900(ナージー) 共にジュンカスタマーセンター TEL:0120・298・133※『anan』2018年10月24日号より。写真・中島慶子スタイリスト・仮屋薗寛子ヘア&メイク・高松由佳モデル・原田ゆかイラスト・アベミズキ取材、文・瀬尾麻美(by anan編集部)
2018年10月20日映画化され、原作ともども大ヒットとなった『クレイジー・リッチ・アジアンズ』。その邦訳を担当した山縣みどりさんにお話を伺いました。究極に大切なのは、愛かお金か家族か。アジア版「SATC(セックス・アンド・ザ・シティ)」がいま熱い。15世紀後半、まだ欧米の統治下にあったマレーシアやシンガポールなど東南アジア各地に渡り、その地に根づいた中華系移民の末裔を「プラナカン」と呼ぶ。アジアの政財界で多大な影響力を発揮し、富を築いてきた一部の富裕層一族が、本書の主な登場人物たち。世界各国に高級物件を所有し、自家用ジェットで社交やチャリティに飛び回る。そんな家柄の御曹司とは知らずにニックと恋に落ちたレイチェルは、セレブ界のハードな洗礼を受けるはめに。映画化もされ、欧米ではアジア版「SATC」とも呼ばれ、原作ともども大ヒットとなった。その邦訳を担当したのが、山縣みどりさん。「ニックの一族は〈クレイジー・リッチ〉と呼ばれる格式高い名家です。富をひけらかす新興財閥とは一線を画す、アジア版ロスチャイルド家のような設定ですね。実は、著者のケビン・クワンはそうした血筋の出で、幼いころから自身が育った環境が創作のベースにあるそうです」軸になっているのは、レイチェルとニックによる王道のラブストーリー。ふたりは熱烈に愛し合っているが、ニックの母親のエレノアは、家柄を重んじるあまり、レイチェルにキツく当たる。「若いニックはエレノアとは違う考えの持ち主。ジェネレーションギャップや見えない階級の壁など、新旧の価値観の対立も読みどころです」アストリッドは、結婚をめぐり名門出身女性ならではの悩みを持ち、ペク・リンは、自立する道を突き進む。女性の描かれ方も多様だ。「共感できる脇役に注目して読むのも一興だと思います」また、作中に登場する固有名詞やその注釈などによって、彼らの絢爛豪華なライフスタイルや、愛用のブランドなどを知ることもできる。「レストランや高級ブランドなどの名前に、実在するものが頻出するので、これまであまり知ることのなかったプラナカンの超富裕層の生活を、リアルに感じてもらえるかも。ただし、ミシュランなどには載らない会員制クラブのレストランだとか、日本ではまだ紹介されたことがない知る人ぞ知る有名ブランドも多くて、翻訳する過程では、その確認やリサーチがひと苦労でしたね(笑)」実は本書は三部作になっているのだそう。続きも読みたい!『クレイジー・リッチ・アジアンズ』上・下ケビン・クワン 著山縣みどり 訳29歳のレイチェルは、学者仲間で、ハンサムで優しいニックと交際中。彼が桁外れにリッチな出自とは知らなかったがために、大騒動に。竹書房各1400円やまがた・みどりライター、翻訳家。小誌や『ELLE』などで記事の翻訳やインタビュー、映画評を手がける。著書に『恋と幸せのヒントがたくさんつまった恋愛STYLE BOOK』がある。※『anan』2018年10月24日号より。写真・土佐麻理子(山縣さん)中島慶子(本)インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2018年10月20日