社会保険は毎月決まった保険料を支払わなけれなばりません(基本的には、会社との折半負担となります)が、妊娠・出産の時期や、育児休業中などのように、支払うことが困難な状況もあります。そんな場合には、保険料を免除する規定があります。毎月給料等から控除されている保険料の額は、1月づつでは大きな金額ではないのですが、年間にすると大きな金額になってきます。そう考えたときに、保険料が免除される規定があるのであれば、賢く利用したいと思う人が多いと思います。今回は、保険料が免除される代表的な時期である「産前産後休業」と「育児休業」のそれぞれの期間における保険料の免除等に関する仕組みなどについて解説していきます。産前産後休業期間中は保険料の負担が免除されます産前産後休業期間中は、事業主が保険者等に対して、申し出を行うことで保険料の負担が免除とされます。なお、産前産後休業を開始したあとからでも、申し出を行うことで、保険料については期間をさかのぼって免除することが出来ます。産前産後休業期間中の取り扱い産前産後休業期間中の保険料については、産前産後休業をしている被保険者が使用される事業所の事業主が、保険者等(協会けんぽ・健康保険組合などのことです。以下同じ)に申し出をすれば、その被保険者が「産前産後休業を開始した日の属する月からその産前産後休業を終了した日の翌日の属する月の前月までの期間」について、保険料が免除されます。つまり、産前産後休業期間中の健康保険の保険料免除については、被保険者本人が直接保険者等に保険料免除についての申し出を行うのではなく、会社が保険料免除についての申出を行うことになり、その上で、被保険者が「産前産後休業を始めた日の属する月」から「産前産後休業が終わった日の翌日の属する月の前月までの期間」の保険料について免除される仕組みとなります。【具体例】7月1日から産前産後休業を開始し、10月31日に終了した場合産前産後休業を開始した7月1日の属する月である「7月分」から、産前産後休業が終了となる10月31日の翌日である11月1日の属する月の前月(つまり「10月分」)までの「7月・8月・9月・10月」の4か月分については、保険料が免除されるという仕組みとなります。産前産後休業期間中の保険料免除の注意点産前産後休業期間中の保険料免除に関する規定については、基本的に健康保険・厚生年金保険共通ですが、以下の点については注意が必要です。健康保険については、任意継続被保険者(会社等を退職して、健康保険の被保険者ではなくなったが、その後も継続して健康保険に任意で加入している人のこと。以下同じ)等である人は、保険料免除はされない。事業主の申出が産前産後休業開始よりも遅くなったとしても、産前産後休業開始日の属する月から保険料免除が適用される。保険料免除を受ける場合、被保険者の支払う分だけでなく、事業主の負担する分も免除となる。育児休業中の世帯であれば、最長で3歳になるまでの期間の保険料が免除となります育児休業等を取得している場合は、その育児休業等をしている期間の保険料が免除されます。法令では、「育児休業等をしている被保険者が使用される事業所の事業主が保険者等に申し出をすることで、育児休業をしている期間中の保険料は免除される」と規定されています。つまり、産前産後休業の保険料免除の規定と同様に、お勤めの会社から保険者等に申し出をする事で、その対象となっている被保険者期間に係る保険料が免除されます。育児休業中の保険料が免除される期間については、育児休業を開始した日の属する月から、育児休業を修了した日の翌日が属する月の前月までの期間とされています。【育児休業期間中の保険料免除の規定に関する注意点】保険料免除対象となる「育児休業等」とは、育児・介護休業法に規定する育児休業、育児休業に準ずる休業等をいい、子が3歳に達するまでの育児のための休業を言います。任意継続被保険者等については、育児休業期間中の保険料免除の規定は適用されません。(健康保険のみ)事業主の申出が遅れた場合であっても、実際に育児休業を開始した時点から保険料免除に関する規定は適用されます【具体例】平成28年6月5日から育児休業等を開始し、平成29年6月30日まで育児休業等を修了した場合育児休業等が開始した日が6月5日となるため、6月5日の属する月である「平成28年6月」から、育児休業等の終了日である平成29年6月30日の翌日である平成29年7月1日が属する月の前月である「平成29年6月」までの期間が育児休業期間中の保険料免除期間となります。具体的に免除されている保険料の目安はどれくらい?産前産後休業期間、育児休業期間のそれぞれの期間における保険料免除の規定の適用要件や内容について確認しましたが、実際にはどれくらいの保険料が免除されることになるのでしょうか?産前産後休業の場合【前提条件】標準報酬月額:30万円産前産後休業の期間:平成28年12月5日~平成29年3月31日保険料率:(健康保険)10%・(厚生年金保険)18.3%保険料免除対象期間:平成28年12月分~平成29年3月までの4か月分健康保険の保険料免除額(給料等から控除される分):30万円×10%×1/2=15,000円/月厚生年金保険の保険料免除額(給料等から控除される分):30万円×18.3%×1/2=27,450円/月1月当たりの保険料免除総額:15,000円+27,450円=42,450円/月産前産後休業の保険料免除総額:42,450円×4ヶ月分(平成28年12月~平成30年3月の4か月分)=169,800円育児休業等の休業期間の場合【前提条件】標準報酬月額:30万円育児休業期間:平成28年9月15日~平成30年8月31日保険料率:(健康保険)10%・(厚生年金保険)18.3%保険料免除対象期間:平成28年9月分~平成29年8月分までの12月分健康保険の保険料免除額(給料等から控除される分):30万円×10%×1/2=15,000円/月厚生年金保険の保険料免除額(給料等から控除される分):30万円×18.3%×1/2=27,450円/月1月当たりの保険料免除総額:15,000円+27,450円=42,450円/月産前産後休業の保険料免除総額:42,450円×12ヶ月分(平成28年9月~平成29年8月の12か月分)=509,400円まとめ産前産後休業期間中や育児休業期間中のように、保険料の支払いが困難になる状況においては、保険料を免除する規定はあります。しかし、実際に免除の規定の適用を受けようとする場合、被保険者本人が保険料免除の規定の手続きをするのではなく、会社から申し出を行わなければならないという点で、他の制度とは異なります。また、実際に申出をした時期が休業開始時期を過ぎてから行った場合(いわゆる、「事後報告」)となっても、期間をさかのぼって、保険料免除が受けられますので、出産予定日が早まったことで、産前産後休業を開始した時期が早まってしまった場合であっても、育児休業を開始した時期よりも会社が育児休業期間の保険料免除の申請の申出を行った時期が遅かった場合であっても、問題ないということです。実際のところ、会社もその期間分の保険料を負担しなくてもよいという意味では、メリットが大きいため、産前産後休業や育児休業の取得をしようとする場合には、早めに連絡するように言われることが多いと考えられます。言い換えてみると、これらの申出を行うことで得られる双方のメリットはかなり大きいので、忘れずに手続きをすることが望まれます。
2018年12月24日サラリーマンは年末調整書類の「給与所得者の保険料控除申請書」を毎年記入し、保険会社から送られてくる「生命保険料控除証明書」を添付して提出している方が多くいらっしゃいますが、その書類を提出するとどういう効果があっていくら得するのか正確にご存じの方は少ないのではないかと思います。これから、「生命保険料控除」がどういう制度で、どのような効果があるのかをご紹介します。長期間積み重ねると数十万単位で税金の負担が軽減される生命保険料控除のことをよく知り、税制上の優遇制度をしっかり利用しましょう。生命保険料控除ってどういうもの?生命保険料控除とは、払い込んだ保険料に対して一定の金額が生命保険契約者の所得から差し引かれる制度です。所得が低くなることで、所得税、住民税の負担が軽減されます。生命保険料控除は国税庁が定める所得控除の一つです。他には、医療費控除、社会保険料控除、配偶者控除など全部で20項目があります。新制度と旧制度生命保険料控除には新制度と旧制度があり、対象となる保険契約が違っています。生命保険料控除の新制度は「平成24年1月1日以後に契約した生命保険等」が対象になり、旧制度は平成23年12月31日以前の契約が対象です。以下は対象となる保険の区分です。生命保険料控除の対象区分は、新制度には一般生命保険料控除、個人年金保険料控除、介護医療保険料控除、旧制度には一般生命保険料控除、個人年金保険料控除があります。新制度では介護医療保険料控除が新たに加わっています。社会的に介護のニーズが高まり、社会保障に頼らず介護に備えて保険料を負担する方に対して税制上の優遇が受けられるようになりました。その他にも控除額が変更になっているので、次項で新制度と旧制度の控除額をご紹介します。新制度と旧制度の所得税控除額生命保険料控除の控除額は、その年の1月1日から12月31日までに払い込んだ年間払込保険料で決まります。新制度の所得税控除額は以下の式で計算します。新制度(平成24年1月1日以降)の契約で、毎月1万円の保険料を支払っている場合は、年間の支払保険料が12万円です。年間の支払保険料は8万円を超えているので、所得から4万円控除されます。その4万円に所得に応じた税率(5~45%)をかけた金額分の税金が軽減されます。旧制度の所得税控除額は以下の式で計算します。旧契約(平成23年12月31日以前の契約)で、毎月1万円の保険料を支払っている場合は、年間の保険料が12万です。年間の保険料は10万円を超えているので、所得から5万円控除されます。その5万円に所得に応じた税率(5~45%)をかけた金額分の税金が軽減されます。新契約と旧契約の双方について生命保険料控除を適用する場合は、新契約と旧契約の控除額を合計(最高4万円)した金額が控除額です。また、新制度には3つの控除(一般生命保険料控除、個人年金保険料控除、介護医療保険料控除)、旧制度には2つの控除(一般生命保険料控除、個人年金保険料控除)がありますが、それぞれで控除が受けられます。一般生命保険だけでなく、個人年金や介護保険に加入している方は税金の負担がより軽減されます。新制度で3つの控除を受けた場合の所得税の限度額は12万円、2つの控除を受けた場合の所得税の限度額は8万円、1つの控除を受けた場合の所得税の限度額は4万円です。旧制度で2つの控除を受けた場合の所得税の限度額は10万円、1つの控除を受けた場合の所得税の限度額は5万円です。毎年戻ってくるお金は微々たるものかもしれませんが、生命保険は10年以上の長期契約がほとんどです。生命保険に加入されているのであれば、年末調整時や確定申告時に生命保険料控除を申請することで、長期的に考えて数十万のお金が戻って来る場合があります。面倒でも生命保険料控除の申告は行ってください。新制度と旧制度の住民税控除額生命保険料控除は住民税でも利用できます。下表は新制度での住民税の控除額です。下表は旧制度での住民税の控除額です。これらの税率に住民税の税率10%(一律)をかけた金額が実際に負担が軽減される税金の金額です。例えば、新制度で年間10万円の保険料を支払っている方は控除額が2.8万円です。この金額に住民税の税率10%をかけた金額である2,800円の税金の負担が軽減されます。新制度で3つの控除を受けた場合の住民税の限度額は7万円、2つの控除を受けた場合の限度額は5.6万円、1つの控除を受けた場合の限度額は2.8万円です。旧制度で2つの控除を受けた場合の住民税の限度額は7万円、1つの控除を受けた場合の所得税の限度額は3.5万円です。生命保険料控除手続きここからは、生命保険料控除の手続きをご紹介します。生命保険料控除の手続きはサラリーマンと自営業で異なっています。サラリーマンサラリーマンの生命保険料控除は、年末調整の時に「給与所得者の保険料控除申告書」に毎年10月~11月に保険会社から送られてくる「生命保険料控除証明書」を付けて提出することで手続きが完了します。年末調整で生命保険料控除手続きができなかった場合は、確定申告で手続きができます。5年間さかのぼって還付の申告ができるので5年以内の手続きが済んでいない方はまだ間に合いますので申告されてください。自営業自営業の生命保険料控除は確定申告(毎年2月16日~3月15日)で手続きできます。サラリーマン同様、毎年10月~11月に保険会社から送られてくる「生命保険料控除証明書」を添付して確定申告します。平成28年から確定申告にはマイナンバーが必要ですので、確定申告を行う際にはマイナンバーをご用意ください。生命保険料控除でどれくらい負担が軽減されるの?ここでは生命保険料控除で実際どれくらい税金の負担が軽減されるのかをご紹介します。実際軽減される所得税所得税の税率は5~45%と所得により異なっています。生命保険料控除額に下表の税率をかけた金額が生命保険料控除で軽減される所得税です。例えば、新制度で年間10万円の保険料を支払っている方は控除額が4万円です(前項「新制度と旧制度の控除額」表参照)。この4万円に対してご自身の所得が「330万円を超え695万円以下」の場合は税率20%をかけた金額である「8,000円」が生命保険料控除で軽減される所得税です。サラリーマンは年末調整後にこの金額が還付されます。ご注意いただきたいのは、年末調整では還付されるだけでなく、扶養家族が減った場合や賞与が高額になった場合に「不足金額の徴収」が行われる点です。実際軽減される住民税住民税の税率は一律10%です。前項「新制度と旧制度の住民税控除額」で紹介した住民税の控除額に10%をかけた金額が実際に負担が軽減される税金の金額です。例えば、新制度で年間10万円の保険料を支払っている方は控除額が2.8万円です。この金額に住民税の税率10%をかけた金額である2,800円の税金の負担が軽減されます。生命保険料控除で軽減される実際の金額年収が330万円~695万円以下の方が新制度で年間10万円の保険料を支払っている場合は、所得税で8,000円、住民税で2,800円、一年間で合計10,800円の税金負担が軽減されます。これが30年続くと32.4万円です。生命保険は長期間契約が続きます。生命保険料控除は面倒でも毎年申請し、税制上の優遇を受けてください。まとめこれまで「生命保険料控除ってどういうもの?」「生命保険料控除手続き」「生命保険料控除でどれくらい負担が軽減されるの?」をみてきました。一年間の節税効果は少ない金額であっても、長期間生命保険に加入することで小さな金額が積み重なり、数十万円になることがわかりました。生命保険料控除の手続きは難しくないので、サラリーマンの方は年末調整で、自営業の方は確定申告で忘れずに生命保険料控除を申請してください。
2018年12月22日生命保険で受け取る死亡保険金で相続税対策ができるのはご存じですか?もちろん死亡保険金には税金がかかりますが、ほとんど心配しなくていい金額です。今回は生命保険で相続税対策を行い、受け取る保険金にかかる税金の心配が必要なくなる話をご紹介します。死亡保険を受け取った時の相続税死亡保険金を受け取った時に心配なのは相続税ですが、死亡保険金は残された家族の生活を支える資金になるため税制上の優遇があり、所得税や贈与税などのように高額な税率ではありません。ここでは、死亡保険金を受け取った時にかかる実際の相続税をみていきます。実際はあまり心配しなくていい死亡保険金の相続税死亡保険金で受け取るお金にも税金がかかりますが、死亡保険金に対する相続税を心配する必要はほとんどありません。そのことを2015年以降に相続があった場合を例にみていきます。(2014年12月31日以前の相続は計算式が異なります。)夫、妻、子1、子2の4人家族で、保険契約者兼被保険者である夫が亡くなり、夫の保有財産が1,000万円、死亡保険金が4,000万円だった場合、相続税を支払う必要はありません。また、民法で定められた相続人のことを法定相続人といいますが、法定相続人が3名の場合、死亡保険金1500万以上でかつ死亡保険金を含めた相続財産が6,300万円を超えなければ税務署への申告義務は発生しません。(他にも法定相続人が何人なのか、誰が相続するのかで課税対象の金額は変わってきます。)下表は相続税額早見表です。配偶者と子が2人の家庭は1億円相続しても315万円の相続税です。相続人が配偶者や子ではなく孫や他人の場合はこのようにいきませんが、家族のために死亡保障を用意する場合は死亡保険金の相続税や通常の相続税は心配しなくていいことがわかります。注1. 遺産を相続人が法定相続分により相続した場合の相続税額(1万円未満を四捨五入)。注2. 遺産の総額は、基礎控除を差し引く前の課税価格の合計額。注3. 相続税額の計算上、配偶者の税額軽減のみ適用し、未成年者控除などの税額控除は考慮していない。死亡保険金にかかる相続税死亡保険金には非課税限度額があり、非課税限度額は以下の式で計算します。500万円 × 法定相続人= 非課税限度額前項の例の家族の場合は、500万円 × 3人(妻、子1、子2)=1,500万円が、死亡保険金から非課税枠として差し引かれます。ですから、4,000万円の死亡保険金で法定相続人が3人いる場合に実際課税される金額は、2,500万円です。(以下計算式)死亡保険金4,000万円-非課税分1,500万円(500万円 × 3人)=2,500万円各相続人にかかる課税金額は以下の式で計算します。この式をもとに課税される生命保険の金額を算出すると、妻の課税される生命保険の金額は1250万円、子の課税金額はそれぞれ700万円ですが、後述する相続税の非課税枠内におさまるので相続税を支払う必要はありません。相続税で控除される項目生命保険は税制上の優遇が受けられる商品ですが、生命保険を相続対策に役立てるためには相続税に関する知識も知っておく必要があります。以下に相続税で控除される項目をご紹介します。生命保険非課税限度額前項で紹介しましたが、死亡保険金には非課税限度額があり、法定相続人の人数分の金額が死亡保険金から差し引かれた金額が課税対象金額となります。非課税限度額は以下の式で計算します。500万円 × 法定相続人= 非課税限度額生命保険非課税限度額は、法定相続人である「子」が相続を放棄した場合は非課税限度額を計算するうえで法定相続人に含んでいいとされていますが、法定相続人である「配偶者」が相続を放棄した場合は法定相続人の人数には含みません。また、相続を放棄した相続人が死亡保険金を受け取る際には相続人とみなされず、非課税金額の適応を受けられません。基礎控除相続税には基礎控除があり、以下の式で計算します。3,000万円+600万円×法定相続人数夫が死亡した場合、妻と子1、子2がいる場合、3,000万円+600万円×3人=4,800万円が課税対象相続財産から控除されます。(2014年12月31日までに相続があった場合の基礎控除額は5,000万円+1,000万円×法定相続人数で計算します。)配偶者控除配偶者の相続税額から、以下の式で計算した額が控除されます。相続税の総額 ✕(①②のいずれか少ない額 / 課税価格の合計額)①課税価格の合計額 ✕ 法定相続分と1億6,000万円のどちらか多い額②配偶者が実際に取得した課税価格この配偶者控除があるので、配偶者については1億6,000万円までは実質非課税であり、1億6,000万円を超えた場合も法定相続分の範囲内におさまれば非課税です。債務控除相続では、プラスの財産の他に、借金などのマイナスの財産も一緒に相続します。債務控除では、被相続人が死亡した時に確実にあったとされる債務(マイナスの財産)は相続財産から差し引くことができます。差し引くことができるのは、死亡した被相続人の借金や未払い利息、医療費未払い分、税金の未納分、葬式費用などです。相続対策としての生命保険生命保険を相続対策として利用すると、前項で死亡保険金を受け取った時のように税制優遇される場合が多くあります。以下に相続対策としての生命保険のメリットをご紹介します。受け取りがスムーズ被相続人が死亡した場合、生命保険の場合は、保険会社に申請すると一週間ほどで死亡保険金が支払われます。受取人指定をしてあるのでスムーズに短期間で保険金を受け取れます。一方で、銀行に預金していた場合、被相続人の銀行口座はいったん凍結されます。そして、相続手続きが済んだら口座のお金を動かせます。相続手続きには相続人ごとに必要書類を用意するので手続きには時間がかかります。名指しでお金を残せる相続する場合には、遺言書や遺産分割協議が必要ですが、生命保険で受取人を指定すると特定の人にお金を残せます。また、受取人を指定してある死亡保険金は、相続人が最低限の遺産を確保するために設けられた「遺留分」の対象には含まれません。死亡保険金で受け取ったお金は受取人固有の相続財産になり、もっと遺産が欲しい他の相続人からの遺留分請求の対象にならないため、相続人同士のトラブルを避けることができます。銀行よりも利回りがいい商品がある貯蓄性の高い保険商品で死亡保障を用意し、被保険者が死亡するまで解約しない場合、銀行の利回りよりもいい利息で資産運用できます。資金に余裕があり、解約しないことが前提なら、貯蓄性の高い生命保険の商品を選択するのもいいかもしれません。まとめこれまで「死亡保険を受け取った時の相続税」「相続税で控除される項目」「相続対策としての生命保険」をみてきました。生命保険で受け取る死亡保険金の相続税はあまり心配しなくていいことがわかりました。そして、生命保険だと誰にいくら残すのかを最初に決めるので、遺産相続争いは起こりにくく、相続税の心配もほとんどないメリットがありましたね。残された家族の生活を守るために、生命保険で相続対策をとられてはいかがですか?[showsns]
2018年12月20日お子さんの将来の学費に備える学資保険。保護者などの契約者に万が一の場合には、その後の保険料の納入が免除になる生命保険の一面があります。生命保険は掛け金の一部に対して、所得控除を受けることができます。「生命保険料控除」という制度で、その年に払った掛け金の一部が戻ってくるのです。いくらくらい戻ってくるのか、誰がもらえるのか、どうやってもらうのか、そんな疑問にお答えしましょう。他の貯蓄商品にない学資保険のメリットの一つ、「生命保険料控除」ってなに?お子さんの学資を貯めよう!という際は、学資保険の他に、さまざまな貯蓄方法がありました。銀行預金や投資信託、ジュニアNISA、変わったところで「教育資金の一括贈与(祖父母、父母などからの学資贈与)」など、元本保証も保障なしもあり、それぞれ一長一短です。学資を貯める商品の中で、学資保険は唯一生命保険の仕組みを利用している商品です。というわけで、学資保険だけが「生命保険料控除」を利用できることになります。「生命保険料控除」とは何か、次項で詳しく見て見ましょう。どうして生命保険料を払っていると、所得控除してもらえるの?「生命保険料控除」は、14種類ある所得控除の1つです。適用できると、その分税金の計算の元になる「所得(給与所得控除などを差し引いた金額)」から生命保険料控除分を減らすことができるので、所得税や住民税が安くなるのです。さらに、会社員の方は年末調整で、自営業の方は確定申告で申請すれば、多く払っている税金があれば返還してもらえます。ここで、「どうして生命保険料を払っていると、所得控除してもらえるの?」という疑問が湧きますね。所得控除してもらえる制度ができたのは、国が「国民の皆さん、世帯主などの主に家計を支える人の万が一の場合に備えてくれるのは、すごく良いと思う」と生命保険に入ることを応援しているからです。同じ理由で、医療保険や介護保険の掛け金にも所得控除があります。学資保険の「生命保険料控除」は、だれが受けられるの?学資保険は、生命保険の一種なので、契約した人=「生命保険料控除」の対象になります。学資保険を契約したら、ほぼ全員が「生命保険料控除」が使える!ということですね。ただし、保険期間が5年未満の契約のものは例外になり、対象から外れます。「生命保険料控除って、年末調整で証明書を出すやつですね!」という経験者の方もいらっしゃるかもしれません。会社員や公務員の方は、勤務先でまとめて「年末調整」をやってもらえるので、お馴染みの制度ですね。では、個人事業主など、「年末調整」に縁のない場合はどうなるのでしょうか。お勤めの場合と、個人事業主の場合に分けて確認してみましょう。学資保険の「生命保険料控除」~会社員や公務員の方の場合~会社員や公務員の方は、先ほどもお伝えしましたとおり、勤務先で「年末調整」をお願いします。具体的には、平成30年以降は「平成00年分給与所得の保険料控除等申告書」で申告します。必要な添付書類は、契約している保険会社から10月~12月くらいに送られてくる「生命保険料控除証明書」です。学資保険の「生命保険料控除」~自営業の方の場合~自営業の方は、確定申告の際に「生命保険料控除」の項目に記入し申告します。必要な添付書類は、会社員の方と同じ契約している保険会社から10月~12月くらいに送られてくる「生命保険料控除証明書」です。学資保険の「生命保険料控除」は、いくらくらい控除してくれるの?会社員でも自営業でも等しく受けられる「生命保険料控除」ですが、具体的な控除額が知りたくなってきますね。この項では、具体的な学資保険の年間掛け金からいくら控除してもらえるのか、計算してみましょう。その前提となるのが、学資保険の契約時期がいつかということです。保険契約を結んだ日が平成24年1月1日以降と、それ以前(平成23年12月31日以前)で生命保険料控除の取り扱いが少し違います。平成24年1月1日以降を新契約、それ以前を旧契約と呼んで区別しています。学資保険の契約日が、平成24年1月1日以降の「新契約」の場合の控除額年間の支払保険料から、控除額を計算する表を国税庁のデータから見てみましょう。学資保険の契約日が、平成23年12月31日以前の「旧契約」の場合の控除額「旧契約」も、同じく年間の支払保険料から、控除額を計算する表を国税庁のデータから見てみましょう。※医療保険や介護保険の保険料は、旧契約です。※支払保険料とは、その年に支払った保険料―余剰金―割戻金を言います。他の生命保険にも加入している場合は?学資保険以外の生命保険や医療保険などに加入していることもあるかもしれません。保険契約1件について全て同じ控除額が適用されると良いのですが、何件も加入する人と少ない加入の人の不公平感をなくすため、控除の上限が決められています。新契約のみ、旧契約のみの場合はそれぞれの当てはまる計算式を使い、新旧両方の契約がある際は、最高40,000円までの合計額が控除されます。また、学資保険や生命保険、個人年金保険、医療保険や介護保険の生命保険料控除額の上限は、合計で120,000円です。学資保険の「生命保険料控除額」を具体的に計算してみた!控除額の計算式が分かったところで、一度年間の支払い保険料から、「生命保険料控除額」を計算してみましょう。平成25年4月に学資保険を契約した田中さんの場合。毎月12,000円積み立てている田中さんの年間保険料は12,000円x12=144,000円です。平成25年4月の契約は「新契約」です。80,000円超は一律40,000円の控除のため、田中さんが受けられる控除は40,000円になります。こんな時はどうなるの?具体的かつありそうな国税庁の保険料控除の例「生命保険料控除額」の計算例はいかがでしたか?我が家の支払額から控除額を計算されましたでしょうか。次に、国税庁のホームページに紹介されている、ありそうで判断に困る例を見てみましょう。妻が契約者で、夫が学資保険料を払っている場合は、夫の生命保険料控除の対象となる?生命保険料控除の対象となる「生命保険契約等」とは、契約者が誰かという要件がありません。「保険金等の受取人の全てをその保険料の払込をする者(この場合、夫)またはその配偶者(この場合、妻)その他の親族とする者をいい・・・」と、規定されています。妻が契約者でも、保険料を払った夫の生命保険料控除の対象となります。離婚後の生命保険金の受取人を元の妻にしている場合の生命保険料控除は?離婚してしまうと、学資保険の受取人である元妻が「その保険の受取人の全てが、自己または自己の配偶者その他の親族である」という要件を満たさなくなってしまいます。保険料を支払った際の現況で生命保険料控除の対象となるかどうか判定されますので、離婚された際は、迅速に受取人を親族に変更すれば、生命保険料控除を受けられます。まとめ学資保険は生命保険の一種のため、「生命保険料控除」を受けられることが分かりました。また、保険料控除の具体的な金額は、平成24年1月1日以降を新契約、以前を旧契約と分けて計算する計算式を紹介しました。最後に、学資保険の受取人が親族でなくなった際は、急ぎ受取人の変更をするべきという情報を紹介させていただきました。学資を貯める際の学資保険の大きなメリットである「生命保険料控除」をしっかり活用しましょう。
2018年12月19日終身保険は、保険契約の保障対象となる方(被保険者)が死亡や生命保険会社が約款で定めている所定の高度障害になってしまった場合に、保険契約をしている保険会社から死亡保険金が支払われる生命保険のことを言います。実のところ、終身保険では掛け捨ての商品は販売されておらず、死亡保障を検討する上で終身保険を正しく知って活かすためのポイントを知っておくことはとても大切です。そこで本記事では、終身保険と掛け捨ての生命保険について焦点をあて、基本的な部分を中心にわかりやすくポイントを紹介していきます。終身保険に掛け捨てが無い理由終身保険に掛け捨てが無い理由は、終身保険の仕組みにあります。終身保険は、大きく保障される部分(イメージ図の緑色部分)と積立される部分(イメージ図のオレンジ色部分)に分けて構成されていることから、いわば、ご自身で支払った保険料の積立される部分(オレンジ色の部分)が解約返戻金にあたり、保険契約を解約した場合に解約返戻金が払い戻されるため掛け捨てがそもそも無いといった仕組みになっています。公益財団法人生命保険文化センター終身保険掛け捨ての生命保険は、定期保険や収入保障保険が代表格終身保険は、基本的に保険契約を解約しない限り、死亡や高度障害に対して一生涯の保障が得られる生命保険ですが、一度は見聞きしたことがある、定期保険や収入保障保険は、終身保険と同じように死亡や高度障害に対する備えが得られる生命保険であることは確かです。ただし、定期保険や収入保障保険は、保障される期間が限定されているため、終身保険のように、一生涯の保障を得られるわけではなく、支払保険料も基本的に掛け捨てです。(厳密には、わずかながらの解約返戻金(イメージ図のオレンジ色の部分)がある場合が多い)公益財団法人生命保険文化センター定期保険終身保険は保険料が高く、掛け捨ての生命保険は保険料が安い終身保険や基本的に保険料が掛け捨ての定期保険・収入保障保険は、死亡や高度障害に対して保障される生命保険ですが、支払保険料を比較しますと、終身保険は保険料が高く、掛け捨ての定期保険や収入保障保険は保険料が安い特徴があります。以下、某保険会社が販売している生命保険の1ヶ月あたりの保険料について、シミュレーターを活用してざっくりまとめたものになりますので、保険料の違いを参考までに知っていただければと思います。※30歳男性の場合で65歳まで保険料を払い込むものとして筆者シミュレーションたとえば、同じ300万円の死亡保障を得るのでも、終身保険と定期保険では、1ヶ月あたり4,887円も保険料負担の違いがあります。30歳から65歳までの35年間では、約205万円の差額となりますが、終身保険は保険契約を解約しない限り、いつ死亡や高度障害になっても300万円の保険金が受け取れます。一方、定期保険は、65歳までに死亡や高度障害になった場合に300万円を受け取ることができますが、65歳以降は、保険契約が消滅し死亡保障が無くなることになります。これらの特徴を踏まえた時、はたして、終身保険は、どのようなことに注意して選べば良いのでしょう?終身保険を賢く活かすためのポイント終身保険について、これまでの解説をざっくりまとめると、死亡や高度障害に対する保障は一生涯、ただし、保険料は高いということになります。以下、あくまでも金融商品の販売を行っていない独立系FPである筆者個人の見解になりますが、終身保険に加入する上で、終身保険を賢く活かすためのポイントを紹介させていただきます。遺族年金も考えた上で終身保険の加入を検討現在の年齢や職業をはじめ、家族構成によってすべての方が異なりますが、終身保険に加入する前には、国民年金や厚生年金保険からの遺族年金がどのくらい支給されるのか知っておくことはとても大切です。遺族年金を考えることによって、無駄な保障や過大な保障を避けられることにつながりますから、結果として、負担する支払保険料は抑えられることになります。終身保険の加入目的を明確にしようすべての方の収入や支出をはじめ、世帯の資産状況はまったく異なります。つまり、終身保険に加入することによって一生涯の保障を得られることに対して安心を担保できる世帯もいることは確かであるはずです。たとえば、世帯収入が低い方で、葬儀費用に備えておきたいという考え方は典型的ですが、一時的に大きな支出があることは、経済的にも精神的にもきついと感じられる方も少なくありません。一方、葬儀費用は自らの資産でまかなえるという世帯もおられます。このように置かれている立場は、皆それぞれですので、終身保険の加入目的を明確にした上で検討することがとても大切です。終身保険を活用した資産運用のススメには注意こちらは、保険会社や保険代理店に多い典型だと思われますが、保険を活用した資産運用は、現状、とてもおすすめできるものではありません。たとえば、終身保険には、低解約返戻金型終身保険といって、保険料を支払っている期間は解約返戻金が低くなっているものの、保険料の支払い期間が終了すると払い込んだ保険料よりも解約返戻金が多く戻ってくるといったものもあります。ただし、返礼率は低く、資産運用をしたと言えるだけの十分なお金が戻ってくるわけではありませんので、同じ時間やお金を拠出するのであれば、たとえば、つみたてNISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)を活用した投資信託の積立などとも比較検討してみるのも良いでしょう。死亡保険金を受け取った場合の税金の取り扱いについてこれまで紹介した終身保険・定期保険・収入保障保険は、いずれも保険契約の保障対象となる方(被保険者)が死亡や生命保険会社が約款で定めている所定の高度障害になってしまった場合に、保険金が支払われる生命保険です。この時、受け取った保険金には、原則として相続税が課税されることになっておりますが、亡くなった方の財産を相続する権利のある方(法定相続人)がいる場合、その人数によって、受け取った保険金に相続税を課税しない制度も制定されています。相続税法で規定されている死亡保険金の非課税金額生命保険の死亡保険金には、遺族のこれからの生活保障という大切な目的があることから、相続税法では、以下の算式にあてはめて計算した金額の死亡保険金については、相続税を課税しないこととしています。死亡保険金の非課税金額=500万円×法定相続人の数たとえば、夫・妻・子供2人の4人家族の場合で、夫が死亡して1,500万円の死亡保険金を妻が受け取った場合、この1,500万円に対して相続税がかかることはありません。死亡保険金の非課税金額:500万円×3人=1,500万円相続税の課税対象:1,500万円(死亡保険金)-1,500万円(非課税金額)=0円この結果、妻が受け取った1,500万円の死亡保険金は、残された家族3人の生活資金として丸々手元に残すことができるわけです。まとめ終身保険は、死亡や高度障害になってしまった場合において、周りの家族に金銭的な負担をかけることを確実に軽減できる特徴があり、将来、すべての方に対して必ず訪れる死亡に備えられる生命保険です。終身保険は、賛否両論、さまざまな考え方があるのは確かですが、何よりも大切なことは、ご自身や家族の将来を考えた上で、自分たちのニーズに合っているかどうかといった世帯を主体にした考え方だと思います。つまり、終身保険の良し悪しは、さまざまな考え方を参考にして、ご自身の考え方や置かれている状況、資産状況に合わせてみるのがよろしいのではないかと思うわけです。
2018年12月17日終身保険は、死亡や保険会社が約款で定めている所定の高度障害となった場合に保険金が支払われる生命保険ですが、保険契約をする際は、保険契約者・被保険者・保険金受取人の三者を決める必要があります。その中でも、保険金受取人は、その名の通り、保険会社から支払われた保険金を受け取る人のことを指しますが、終身保険の保険金受取人を決める場合は、時として、ライフプランや税金のことを考えて決めることも大切です。そこで本記事では、終身保険の保険金受取人の選定ポイントについて、ライフイベントと税金のことを考えながら、要点をまとめて紹介していきます。終身保険の保険金受取人を配偶者にしているのが一般的終身保険は、ご自身や家族に万が一のことがあった場合に加入している方が多いと思いますが、多くの世帯では、保険金受取人を配偶者に指定しているのが一般的です。これは、至ってシンプルな考え方であり、ライフイベントや税金を考えた上においても、合理的な設定であるとも思われます。仮に、資産家で相続税の対策やその他の事情が特別に無いのであれば、終身保険の保険金受取人を配偶者にしておくことが手続きや先のことを考えますと、最も望ましい方法であるとも考えられます。ライフイベントと保険金受取人について考える終身保険の保険金受取人は、ご自身のライフプランや大きなライフイベントが発生した時は、一度確認しておくことが大切になります。典型的な例としては、結婚・離婚・再婚があげられますが、以下、それぞれのライフイベントと保険金受取人について考えていきます。結婚した場合は、保険金受取人の変更を終身保険に加入するタイミングは、人それぞれ異なりますが、中には、社会人になったことをきっかけに、ご自身が保険契約者で被保険者の終身保険に加入される方もおられると思います。この場合、保険金受取人を両親のいずれかに設定している場合が多く見受けられますが、結婚というライフイベントを迎えた場合は、保険金の受取人を両親から配偶者へ変更する手続きを忘れないようにしたいものです。筆者が実際に相談に応じた事例として、結婚前に終身保険に加入していたのにも関わらず、なぜか、終身保険に加入していることを覚えておらず、二重に終身保険に加入している事例がありました。1つは、保険金受取人が配偶者、もう1つの終身保険は、母親が保険金受取人となっており、筆者自身もなぜこのような事態になったのか驚きを隠すことができない非常に衝撃を受けた思い出でした。離婚や再婚をした場合も保険金受取人の変更を終身保険の保険金受取人を配偶者にしている場合で、仮に、離婚をしてしまった場合は、速やかに保険金受取人の変更手続きを保険会社にすることをおすすめします。離婚の原因はさまざまではありますが、言うまでもなく保険金受取人を変更しない場合は、万が一、死亡や高度障害になってしまった場合の保険金は前の配偶者に支払われることになります。また、こちらは余談となりますが、結婚・離婚・再婚などがきっかけで住所が変更になった場合や苗字が変わった場合なども保険会社に対して変更手続きをしなければ、保険金請求をする際に面倒になりますので、こちらも忘れずに行っておきたいものです。【参考】離婚や再婚をしたとしても子供に相続権は発生離婚や再婚をした場合で、前の配偶者との間に子供がいる場合、その子供たちには、財産を相続する権利が発生します。たとえば、前の配偶者との間に2人の子供がいたと仮定し、再婚した後、現在の配偶者との間に1人の子供がいたとします。この時、死亡したことによって遺産相続できる法定相続人は、現在の配偶者と3人の子供の合計4人となり、現在の配偶者やその間に生まれた子供からしますと、相続できる財産が減ることになります。終身保険の保険金も相続財産に含まれますので、このような特殊な場合は、保険金受取人の設定はもちろん、保険金の受取割合を変更するなど、揉めない相続対策があらかじめ必要な場合もあります。終身保険の保険金受取人が誰なのかによって税金の種類が異なる本記事の冒頭では、終身保険を含め、保険契約をする際は、保険契約者・被保険者・保険金受取人の三者を決める必要があることをお伝えしました。この時、保険契約者・被保険者・保険金受取人の三者が誰なのかによって、保険金を受け取った時の税金の種類が異なる点には注意が必要です。以下、ここでは、家族構成が本人・配偶者・子供といった3人家族であるものと仮定し、終身保険の契約と保険金にかかる税金の種類について表にまとめて紹介します。終身保険の契約の仕方によって、それぞれ受け取った保険金に対してかかる税金が異なっていることが確認できます。ただし、これらの税金は、必ず納めなければならないといったものなのではなく、あくまでも税金の対象になるといった点に留意して下さい。つまり、受け取った保険金の金額・家族構成・これまで支払った保険料の総額・非課税制度の適用・相続時精算課税制度の適用など、さまざまなケースを総合的に判断して、税金がかかる、税金がかからないといったものが判定されます。そのため、保険金受取人を含め、ライフプランや税金関係を考慮した三者間の関係と選定が大切になってくるわけであり、時には、税理士や独立系FPなどといった専門家の判断が重要になる場合もあることを念頭に入れておきたいものです。保険金受取人は簡単に変更できる終身保険に関わらず、基本的に生命保険の保険金受取人は、契約している保険会社に対して連絡をすることによって、簡単に変更をすることができます。以下、保険金受取人の手続きの流れについて紹介しておきます。契約している保険会社へ保険金受取人の変更をしたい旨を連絡する後日、契約している保険会社より、変更手続きに必要な書類が自宅へ届く必要書類に必要事項を記載し、変更手続きに必要な本人確認書類などを添付して返送する保険金受取人の変更手続きが完了する保険金受取人の変更手続きは、契約している保険会社に連絡さえしてしまえば、後は、流れに沿って行えば済むため、極めて簡単な手続きです。なお、こちらは余談となりますが、引っ越しなどによる住所変更手続きにつきましても、基本的には、契約している保険会社に連絡をするところから始まりますが、電話による口頭で簡単に手続きが終了する場合もあります。(筆者自ら体験)また、ご自身と配偶者が同じ保険会社の保険契約をしている場合は、併せて、配偶者の住所変更手続きも電話一本で解決する場合がありますので、特殊な事情があった時は、何かしらの変更手続きが必要になると頭の片隅に押さえておけば足りると思われます。まとめ終身保険の保険金受取人は、配偶者に設定しておく基本的な考え方で問題がありません。ただし、相続や贈与といった問題や対策で終身保険を活用する場合は、専門的な解釈や判断をしながら保険金受取人を配偶者以外に設定する必要性も生じてきます。そのため、このような特殊な事情が生じた場合や生じることが予測される場合は、民法に定められている相続関係や相続税法に定められている相続税の関係などを考慮した対策が必要であり、一筋縄では解決できません。また、保険金受取人を変更することは、かかる税金も変わることになりますので、この辺もあらかじめ注意をしながら手続きを行うようにしておきたいものです。
2018年12月16日「わたしが加入しているのは定期保険の、おもに収入保障保険。保険に加入するときは、まず“どこから申し込むか”という問題がありますが、複数の保険商品を中立的な立場で扱う乗合代理店を利用することをおすすめします。大手保険会社で直接選ぶのは、あまりおすすめできません。国内・外資に限らず、ワンパック型の商品も多く、自分に必要な保障を選択しづらいデメリットがあるからです」そう話すのは、家計再生コンサルタントの横山光昭さん。無数にある保険、パンフレットから選ぼうにもよくわからず、セールスの人にすすめられるがままに入ると、余計なものまで契約してしまいそう。そこで、数々のベストセラーを出している“お金の専門家”の、横山さん、荻原博子さん、森永卓郎さん、風呂内亜矢さんに、どんな保険に入っているのか、なぜその保険を選んだのか教えてもらった。プロの体験談をもとに、保険選びの参考にしてみよう。保険の商品選びでいちばん悩むのは、「貯蓄型」か「掛け捨て」どちらを選ぶか。そして保障期間は一生続く「終身」か、限定された「定期」にするのかという問題。30年前に終身保険に加入したという荻原さんは、「いま貯蓄型に入るメリットはない」とバッサリ。「私が加入した’88年は、予定利率が5.5%という時代でした。払い込みが終わったいまでも、貯金として増え続けています」たとえば、大手保険会社A社の現在の予定利率は0.85%……。予定利率が低ければ低いほど、保険料は値上がりする。もし、荻原さんと同じ保険に契約した場合、同じ保険金であるにもかかわらず、保険料は2.5倍にもなる計算だ。「いまは、それくらい利率が低すぎるので、貯蓄型の商品を選ぶのはばかばかしい。まだ、現金で貯蓄を持っていたほうがいいくらいです」(荻原さん)いま掛け捨てに加入している人は、そのままでよさそうだ。もし利率が大幅に上がるようなことがあれば、「そこで初めて終身への乗り換えを考えればよい」と森永さんは添える。「外貨建ての貯蓄型商品もありますが、加入を検討したことはありません。外貨建ての保険商品より、外国株式や外貨預金のほうが、自分の判断でリスクリターンの判断をすることができるため、保険では不自由です。どうしても保険で貯蓄を考えるなら、年間8万円という生命保険料控除の対象になる金額までにすべきでしょう」(風呂内さん)同じく“掛け捨て推奨派”の横山さんが、ある保険商品について教えてくれた。「15歳から加入できるオリックス生命の『Relief W(リリーフ・ダブル)』に子どもを加入させました。終身保険と医療保険がセットになっている商品で、保険期間よりも短い期間で保険料を払い終える“短期払い”にすることで、とてもお得に加入できています」たとえば、15歳の女性で入院日額5,000円(終身の死亡保障250万つき)で、保険料を55歳払込み満了にすると、月々の保険料は4,012円で、総払込保険料はおよそ192万円となる。その中で、入院・手術保障、先進医療特約、終身の死亡保障250万円を保障できる。4人にならって、必要な保障を得るための“シンプルな商品選び”を心がけよう。
2018年12月13日数千種類もの生命保険の商品が存在しているといわれている“保険大国”日本。お金の専門家たちも加入しているが、彼らは、筋道だった理由があって選んでいた――。「わたしが加入しているのは定期保険の、おもに収入保障保険。保険に加入するときは、まず“どこから申し込むか”という問題がありますが、複数の保険商品を中立的な立場で扱う乗合代理店を利用することをおすすめします。大手保険会社で直接選ぶのは、あまりおすすめできません。国内・外資に限らず、ワンパック型の商品も多く、自分に必要な保障を選択しづらいデメリットがあるからです」そう話すのは、家計再生コンサルタントの横山光昭さん。無数にある保険、パンフレットから選ぼうにもよくわからず、セールスの人にすすめられるがままに入ると、余計なものまで契約してしまいそう。そこで、数々のベストセラーを出している“お金の専門家”の、横山さん、風呂内亜矢さん、森永卓郎さんに、どんな保険に入っているのか、なぜその保険を選んだのか教えてもらった。前述のように横山さんは有料の代理店を使うことをすすめるというが、風呂内さんは「ネットもひとつの手」だと話す。「自分で決めて必要十分なものを選べるなら、担当者に会う手間が省けますからね。商品が決まっていなければ情報を多く持つ代理店に行きますが、大手保険会社には、お目当ての商品がある場合のみ行くようにしています」昨年、子どもの自立を機に、「生命保険はすっかり解約してしまった」と話すのは、森永さんだ。「もったいなかったのは、特約をつけてしまっていたこと。死亡保障が主契約の生命保険に入院特約を付けていましたが、結局使うことはありませんでしたからね」前出の横山さんも、「とくに“通院特約”はムダ」と話す。「数日の通院費、日額数千円を保障してもらうために、毎月保険料を支払うのは得策とはいえません。その申請のために診断書を発行してもらったりと、余計な費用と手間もかかります。『女性疾病特約』についても、女性特有の疾病だからといって、超高額の医療費がかかるわけではない。“なんとなく不安だから”と入るのは損です」もし特約をつけるなら、横山さん、風呂内さんは「先進医療特約」をすすめるという。保険の商品選びでいちばん悩むのは、「貯蓄型」か「掛け捨て」どちらを選ぶか。そして保障期間は一生続く「終身」か、限定された「定期」にするのかという問題。風呂内さんは、自営業者で健康保険が手薄なため、医療保険は終身を選んだ。「稼げる間に払ってしまって、収入が減る高齢期の医療に関する“保障”は確保しようという考えです。死亡保障は、夫婦共働きで、お互い同じほどの収入がある我が家には不要。貯蓄は預貯金や株式、投資信託などで形成し、保険はあくまで保障を求めるだけでよいと考えています」プロの体験談をもとに、保険選びの参考にしてみよう。
2018年12月13日初めて日本でがん保険が発売されてから40年以上が経過しました。以来、がん治療の発展とともに、がん保険を取り扱う保険会社も増え、商品も変化し続けて今日に至っています。様々ながん治療が増加するにしたがって、がん保険の保障内容も広がってきたといえるでしょう。一方でそうした保障の広がりには大きな注意点があります。今回はその注意点をがん保障の「一時金」というキーワードとともに、わかりやすく説明していきたいと思います。保障内容と保障金額から商品をとらえ直すがんのための経済的保障をしてくれるのが「がん保険」です。では「がん保険」とは、具体的に、どのような場合に、どれぐらいの金額を保障してくれる商品なのでしょうか?どのような場合に支払われるのか = 保障内容どれぐらいの金額が支払われるのか = 保障額がん保険の商品は、この保障内容と、保障額で構成されているのです。そして、生命保険の商品でいうところの「一時金」というのは、保障額に関する言葉です。100万円以上のまとまった金額のお支払いのことを生命保険では「一時金」と呼ぶことが多いです。では100万円に満たない支払いの金額をどのように呼ぶかというと給付金と呼ぶことが多いです。また「一時金」というのは原則1回だけの支払いを表します。これに対して給付金というのは、1日つき1万円支払います、というように複数回支払われることが前提となった表現です。なお、生命保険の仕組みについては以下の記事で詳しく紹介しましたので、参考にしてください。保障内容と保障額の2軸で考える皆さんが、がん保険の商品を選ぶ際には、保障内容にまず注目されることが多いと思います。これは至極当然のことで、「どんな場合に支払いをしてくれるのか(くれないのか)」が一番重要といえるからです。しかしながら、それと同時に重要なのが、では「その保障内容でどれぐらいの金額を支払ってくれるのか」という視点なのです。では実際の商品でこの保障内容と保障額を具体的に説明していきましょう。今回は、「保障内容を幅広く揃えた商品」と、「絞り込んだ保障内容の商品」という両極端の2商品をご紹介します。この2商品を比べていただくことで、浮かび上がってくる「一時金」という保障額の重要性もご理解いただけると思います。幅広い保障の商品最初に、幅広い保障内容が選べる商品の代表例として、チューリッヒ生命のガン治療保険プレミアムDX(以下、プレミアムDXといいます)をご紹介します。このプレミアムDXは、がん保険ランキング上位にあがってくるほどの人気商品となっています。このプレミアムDXの保障内容と保障額の具体例は下表の通りです。<30歳女性での設計例>保険期間:終身保険料払込期間:終身月払保険料:4,686円表をご覧頂くだけで保障内容の広さ(給付金の種類の多さ)がすぐにわかっていただけると思います。保障内容が細分化されており、この中から自分にとって必要だと思われる保障内容を取捨選択出来るわけですから、人気商品であるのもうなずけます。そしてもう一点、ご注目いただきたいのが、保障額です。自由診療抗がん剤・自由診療ホルモン剤治療給付金は月額60万円、がん診断給付金は50万円ですが、それ以外の給付金の金額(単位)は多いもので10万円、少ないもので数千円となっています。保障内容が幅広い反面、100万円単位の「一時金」といえる保障額はなく、低額の給付金が種類多くある、という特徴の商品となっているのです。とりあえずまとまった金額が欲しい、という方には注意が必要といえるでしょう。保障を絞った商品では次に、保障を絞った商品の代表例として、ライフネット生命のがん保険ダブルエール(以下、ダブルエールといいます)をご紹介します。ダブルエールも、プレミアムDXとは全く異なる商品性によって人気商品となっています。ではダブルエールの保障内容と保障額の具体例を確認していきましょう。<30歳女性、シンプルプランでの設計例>保険期間:終身保険料払込期間:終身月払保険料:4,311円ダブルエールの保障内容はかなり絞り込まれていて、プレミアムDXとは大きく異なる保障内容であることが理解いただけたことと思います。その一方で、がんと診断された時に支払われる、がん診断一時金が300万円となっており、まさに「一時金」と呼ぶにふさわしい保障額になっていることが分かると思います。がんと診断されたら、とりあえずまとまった金額が欲しいという方に適した商品といえるでしょう。理由は保険料負担先程2つの商品の保障内容と保障額を具体的に確認してきました。ここで読者の皆様はこんな風に思われるかも知れません。「プレミアムDXは保障内容の範囲(種類)が多いのに、なぜ保障額を抑えているの?もっと保障額を上げればいいじゃない?」「ダブルエールはなぜ保障内容を絞っているの?いろいろな保障内容を増やせばいいじゃない?」実はこれらの疑問に対する答えは、「保険料」にあるのです。保険料とは、あなたが保険会社に毎月(毎年)支払うお金のことです。がんに罹患した時に、保険会社から保障内容にある一時金や給付金を支払ってもらうためには、あなたは保険会社に保険料を支払わなければなりません。したがって、保険料はあなたにとって出費であり、負担になるものです。もう一度2つの商品の表をご覧いただくと、保険料(30歳女性の例)が掲載されています。プレミアムDXは月払4,686円、ダブルエールは月払4,311円です。仮に、プレミアムDXの幅広い保障内容のそれぞれの給付金の保障額を2倍にしたらどうなるでしょうか?単純計算でも9000円以上になります。保障額を3倍にすれば15000円ぐらいにはなるでしょう。がんの経済的保障がどうしても必要といっても、そのために毎月支払う保険料があまりにも多くなりすぎると、がんになった時のリスクの対処の前に、毎月の家計が大変になってしまうのです。商品を販売している保険会社もその辺りのことはよくわかっていて、保険を検討する人が毎月確実に支払える程度の保険料で商品設計をしてくるわけです。保障内容が幅広いプレミアムDXの保障額は、なぜ抑えられているのでしょうか?その理由は保険料負担を重くしすぎないためです。一時金が充実しているダブルエールの保障内容は、なぜ絞られているのでしょうか?その理由も保険料負担を重くしすぎないためなのです。まとめがん保険は、がん治療の進化とともに、その保障内容が変化してきました。変化の一つの方向性としては、保障を幅広く細分化してラインナップしてきたことです。これにより、自分が必要だと思われる保障を取捨選択して加入できる商品も増えてきました。しかしながら、幅広く細分化してラインナップされてきた反面、それぞれの保障ごとの保障額が低額に設定されている点には注意が必要です。がん治療の進化に合わせた保障が欲しいということで、こうした幅広い保障から取捨選択することもよいですが、がんに罹患した時にはまとまった一時金が欲しいという方は、がん診断給付金(がん診断一時金)が手厚い商品をチェックされることをお勧めします。
2018年12月11日お子さんの将来の学資を貯める手段の一つ、学資保険。貯めるだけなら銀行預金もありますし、少し増やそうとすれば、投資信託などもお手軽です。「それでもやっぱり学資保険」をオススメするのは、いざという時の保障がついた“保険”だから。他の貯蓄商品と比べて、有利な点、不利な点を確認してみましょう。また、実際に保障を受けた生の声もお届けします。「子供の学資に備える貯蓄方法」って、何種類も方法があるの?あるんです!子供の学資に備える貯蓄方法は学資保険や銀行預金だけではなく、ジュニアNISAや投資信託、貯蓄ではありませんが、ちょっと変わったところで「教育資金の一括贈与(祖父母、父母などからの学資贈与)」などがあります。もちろん、お子さんの名義の預金通帳を作って定期預金も良いですね。定期預金一つとっても、ネット銀行とメガバンクでは金利が大違い!今生まれた赤ちゃんが大学生になる頃には大きな差が出てしまいます。それぞれの場合の仕組みやメリット、デメリットはどんなことがあるのでしょうか。次項から見てみましょう。一番身近な銀行預金は、ネット銀行がダンゼン有利!銀行口座に定期預金をすると、一定の期日までお金を動かさないことになるので、お子さんの学費に備えるには一つの方法かと思います。ところが、同じ定期預金でも、銀行が違うとそれぞれ金利が違うことをご存知ですか?時には10倍以上の差がつくこともあります。最近よく耳にするネット銀行。実は、一般のメガ銀行と言われている三大銀行よりも、実店舗を持たないネット銀行の方が、金利が高い傾向にあります。また、流通系と呼ばれるイオンやセブンイレブンなどのスーパー系が運営する銀行も、実店舗は少しありますが、高い金利を提示してくれます。同じ貯めるなら金利が高い方が多くのリターンを得られるので嬉しいですね。ネット銀行は、進化形セキュリティシステムで安心「でも、銀行なのにネットで申し込んで大丈夫?」という心配もあるでしょう。ネット銀行はその点に配慮して、安全に取引ができるようにセキュリティ方法をとても工夫しています。ワンタイムパスワードや、スマホを使った二重認証などを採用しています。ここはひとつ、試してみるつもりで新規に開設してみるのも一つの方法かもしれません。定期預金のメリット・デメリットはまた、ネット銀行ですと、口座の開設後に、目的別の口座を開くことができます。「太朗ちゃんの学資」という名前をつけた定期預金を作ったりすることもできます。 “子供の学資”と名前がついているだけで、なかなか解約ができないという声も聞きます。長い期間貯めておく手段としては良い方法かもしれません。万が一銀行が倒産しても、1000万円とその利息までは返済される制度があります。元本保証は、安心ですね。ただ、預入期間がそれほど長く設定できないことも。先ほどの金利が高めのイオン銀行では、定期預金の預け入れ期間は1カ月~最長で5年です。また、金利に20%の税金が掛かります。ジュニアNISAって何?投資信託の売却益が非課税になる方法に、「NISA」があります。投資信託を証券会社の「NISA」口座で買うと、値上がりして売却する際に通常であれば値上がり益の2割が税金として徴収されてしまいます。ところが、「NISA」口座で買った分については、税金がかかりません。つまり、普通の取引の時よりも売却益の20%の税金分が、利益として多く手に入るわけです。この「NISA」の子供版が「ジュニアNISA」です。大人のNISAとの違いは、本人がまだ小さいので、運用は保護者(両親・祖父母)が行ってもいいというところです。そして、運用期間がすぎても、 18歳の払い出し可能時期までは受け取り制限があるので、学費を貯めようという目的にかなった投資商品と言えるでしょう。この制度は2016年スタートで、2023年までの予定で(延長するかどうかは未定)年間80万円まで貯めることができます。投資対象商品は、株式・投資信託で、配当金や分配金、譲渡益が非課税になります。お子さんの成長と共に、投資商品が大きく値上がりする楽しみがあります。ジュニアNISAのメリット・デメリットジュニアNISAは、株式・投資信託を売却した際の非課税だけでなく、資金の段階でもメリットがあります。両親だけでなく、祖父母がお金を出して赤ちゃんのために口座をひらいてプレゼントすることもできるからです。NISAのお手本となったISAという制度はイギリスで生まれたものですが、赤ちゃんにプレゼントする制度も見習ったようです。おじいさんおばあさんに、直接「子供の学資を出して!」と頼みづらい場合でも、こんな制度があるんですよ、と紹介しておねだりすることも可能ですね。デメリットとしては、株式や投資信託は元本保証ではありません。金融市場の動向によっては、資金が思うように増えない可能性もあります。「確実に教育資金を貯めたい!」という場合は、他の手段と併用する方が確実でしょう。税金の特例制度の一つ、「教育資金の一括贈与」おじいさんやおばあさん、ご両親からお子さんへの教育資金の一括贈与が、“特例”として非課税扱いになる制度です。平成31年3月でいったん終了する予定の“特例”ですが、規模を縮小して継続する予定のようです。「教育資金の一括贈与」は、平成31年3月までは、1500万円までの教育資金が非課税で贈与できるというもの。もらう方のお子さんは、もらったお金を教育資金として30歳までに使い切る必要があります。「教育資金の一括贈与」のメリット・デメリットメリットは、大人の事情ですが、相続税などが心配な場合に、相続対象額を非課税で減らすことができます。また、「教育資金」の使い道の中には、塾代なども含まれます。大きな金額が対象なので、理系の大学院を狙うお子さんや、医薬系の学生さんには、ありがたい味方となるでしょう。デメリットとしては、30歳までに使い切れなかった場合は、残金は贈与と見なされて、「贈与税」を納めなければなりません。また、いったんお金を信託銀行などへ預けて、毎年領収書を提出するなど、使い勝手が今ひとつ。利用者が少ないので、制度の見直しの予定です。学資保険の必要性は?様々なお子さんの学資を貯める商品を見てきましたが、いかがですか?お子さんの「教育資金を貯めよう!」と思われた際に、重視するべき点はどんなことでしょうか。「高校3年生の学費が一番掛かる際に、確実に資金があって欲しい」という方は、元本保証の商品が確実です。そうなると銀行預金か、学資保険が有力候補です。この2つの差は以下の3点が上げられます。学資保険はより長い期間運用する契約なのに対して、銀行預金はあまり長い預け入れ期間が設定できない。学資保険には、契約した保護者に万が一の場合は、その後の積み立てが不要になり、契約した期日に払戻金を受け取ることができる保障がついている。学資保険の掛け金には生命保険料控除という税金の優遇措置があり、所得税控除が使えます。「学資保険に入っていたので、進学の時は本当に助かりました」実際に学資保険の保障を使った方の生の声をうかがってみましょう。お子さんが赤ちゃんの頃に学資保険に加入したTさん。契約したご主人が40歳台で病気で亡くなりました。気づいた時にはステージ4の進行がんだったそうです。全期間型の積み立て契約のため、ご主人亡き後、払込は不要となりました。「満期の払戻金で、高校3年生時の塾代や受験費用、入学金も払うことができました。安心して子供の応援に専念できましたよ」と話してくださいました。1990年代に郵便局で加入したTさん。ご主人の訃報を郵便局の窓口で手続きしなければならなくて、とても悲しかったそうです。今ならネットで申し込みができる学資保険がほとんど。万一の際も安心です。これを見れば一目で分かる!教育資金を貯める金融商品の比較表銀行預金から学資保険までさまざまな教育資金を貯める方法を見てきました。「教育資金の一括贈与」など、あまり聞き慣れないものもあったかもしれません。各商品のメリット・デメリットがそれぞれあるので、「読んでいるうちに、どっちが良さそうか分からなくなった・・・」という方もいらっしゃるかもしれません。そこで、一目で分かる比較表を作ってみました。それぞれのご家庭の事情にぴったりの商品を選んで、また、併用して、お子さんの学資を準備しましょう。子供の学資を貯めるための金融商品比較表まとめ学資保険は払戻金の多さに目が行きがちですが、こうした「万が一の場合」の保障もしっかりあることも、大きな安心材料です。お子さんの教育資金に備えるには、元本保証と、契約者の万が一の場合の保障がついている学資保険は、一考の価値があると言えるでしょう。
2018年12月11日介護保険は、年齢が40歳になると強制加入となる公的介護保険のほかに、生命保険会社が販売している民間介護保険があります。民間介護保険は、公的介護保険のように強制加入とはならず、あくまでも将来の介護や介護費用に対して心配な方が任意で加入する生命保険となりますが、やはり、メリットとデメリットがそれぞれあることも確かです。そこで本記事では、将来の介護や介護費用について心配な方をはじめ、民間介護保険への加入を検討している方を対象に、生命保険会社が取り扱う民間介護保険のメリットとデメリットを中心に基本的な部分から注意点まで幅広く紹介をしていきます。生命保険会社が取り扱う民間介護保険とは?生命保険会社が取り扱う民間介護保険は、介護保険に加入している方が、認知症や寝たきりになった場合などで介護サービスを利用した際に生じる自己負担額を保障することを目的とした生命保険になります。民間介護保険は、基本的に40歳から強制加入となる公的介護保険と連動している部分もあるものの、生命保険会社によって保障内容が大きく異なっている特徴があり、仮に、契約加入をする場合には、比較検討することが重要です。民間介護保険の保障は、生命保険会社によってどの程度違うのか民間介護保険は、生命保険会社によって保障内容が大きく異なっている特徴があることをお伝えしましたが、以下、参考情報をざっくり表にまとめて紹介します。なお、生命保険会社の公平性の観点から、保険会社名は公開せずにA社からD社としておりますので、あらかじめご了承ください。保険会社保険金の種類保険金が支払われる場合A社年金(分割)公的介護保険制度の要介護2以上になった場合に一生涯支払われるB社加入した商品によって、年金(分割)と一時金(一括)といった保険金の支払われ方が異なる公的介護保険制度の要支援2以上で保険金が支払われるC社年金(分割)と一時金(一括)の方法から選択が可能公的介護保険制度の要介護認定D社年金(分割)公的介護保険制度の要介護1以上になった場合に一生涯支払われるここでは4社を比較しておりますが、保険金の種類や保険金が支払われる場合がすべて異なっていることがわかります。当然のことながら、負担しなければならない保険料も保険会社によって異なりますので、民間介護保険の契約加入をする場合には、事前に保障内容や保険料を比較検討することが大切になります。併せて、民間介護保険の保険金が支払われる場合は、公的介護保険制度にある7段階の介護度合いと連動していることがほとんどであるため、これらの介護度合いがどのような状態を指すのか確認しておくことも大切です。公的介護保険と民間介護保険の違い本記事のメインである民間介護保険に加入するメリットとデメリットを知るためには、まずもって、公的介護保険と民間介護保険の違いについて、大まかにでも知っておく必要があります。介護保険の種類公的介護保険民間介護保険介護保険の加入義務あり(40歳から強制加入)なし(任意加入)給付方法現物給付(介護サービスを給付)現金給付(契約に応じた保険金)介護保険料お住まいの市区町村や収入(所得)によって、それぞれ異なる40歳から死亡するまで介護保険料を負担し続けていかなければならない契約年齢・性別・契約内容・生命保険会社によって、それぞれ異なる保険会社との契約によって、介護保険料の負担する期間を任意で選ぶことができる給付要件介護保険法に定められている7段階の介護度合いの内、いずれかの介護認定を受けている(年齢によって異なる)各生命保険会社が定めている約款によって異なる民間介護保険に加入するメリットとデメリットを知る上で、特にポイントとなる部分には、給付要件があげられ、最近の民間介護保険は、公的介護保険の要介護認定に連動した商品が増えています。これは、民間介護保険に加入するデメリットに大きく関係することになるほか、民間介護保険に加入する必要性についても大きく関係してくることになるため、細心の注意を払っておかなければなりません。民間介護保険に加入するメリットとデメリット民間介護保険に加入するメリット民間介護保険に加入するデメリット公的介護保険を利用した際に生じる介護サービスの自己負担額を補填することができる生命保険料控除が受けられるため、所得税や住民税の負担軽減効果がある将来の介護費用に対する備えを準備することができる公的介護保険とは別に生命保険会社に保険料の支払いをしなければならないため、経済的負担が重くなる保険金の支払いを受けるには、公的介護保険の要介護認定を受ける必要があるため、身体状態によって、保険金が必ず支払われるとは限らない公的介護保険の介護サービスにかかる費用は、原則として1割が自己負担額となるのですが、年齢が65歳以上で年金収入やその他の収入が多い場合は、自己負担額が2割や3割と重くなる仕組みになっています。もちろん、公的介護保険制度にある7つの介護度合いの内、介護度合いが重くなればなるほど、その自己負担金額が重くのしかかってくることは言うまでもありません。老後生活に欠かすことができない年金収入が少ない場合は、介護サービスにかかる自己負担額が1割であったとしても、その経済的な負担は重荷になることは明白であり、時として所帯を持っている子供に経済的な負担をかけてしまう懸念も否めません。このようなリスクヘッジができる効果が民間介護保険に加入する大きなメリットと言える一方で、民間介護保険は、保険金が必ず支払われるとは限らない大きなデメリットがあります。では、保険金が支払われる程度の要介護認定を受けている方は、いったいどのくらいいるのでしょう?介護保険のサービスは、どのくらいの方が利用しているのか単位(千人)厚生労働省平成28年度介護保険事業状況報告(年報)報告書の概要厚生労働省が公開している平成28年度介護保険事業状況報告(年報)によると、要介護認定を受けている第1号被保険者(65歳以上)および第2号被保険者(40歳から64歳)は、632万人(総数合計)いることが確認できます。ポイントになるのは、民間介護保険の多くは、要介護2以上の介護認定をされていることが保険金を支払うための条件としている保険会社が多いところにあり、これを見ていきますと、第1号被保険者(65歳以上)および第2号被保険者(40歳から64歳)は、330万人となっており、要介護認定を受けている方の約半数であることもわかります。(赤枠部分の合計)第2号被保険者(40歳から64歳)で要介護2以上の介護認定者に至っては、7.8万人と極めて少ないことも確認できます。つまり、民間介護保険に加入して実際に保険金を受け取るためには、ちょっと高めのハードルを越えていなければならないことも知っておく必要があり、併せて、働き盛りの現役時代に、民間介護保険の保険金を受け取れる可能性は低いことも少なからず理解しておく必要はあると言えるでしょう。まとめ民間介護保険は、将来の介護に対する備えとして有効な生命保険であることは確かです。その一方で、保険料負担が重くなることや必ずしも保険金を受け取ることができるわけではないといったデメリットも踏まえた時、この辺も加味した判断が個々に求められることになります。現実的に考えますと、65歳以上になってからの、もしもの介護の備えに対して、今から準備しておくといった考え方が最も自然だと思いますが、これから民間介護保険の加入を検討している方は、とにかく保障内容の比較検討を念入りにされるように心掛けることを強くおすすめします。
2018年12月10日来年から大手保険会社がそろって自動車保険の「家族割引」を廃止。「本人限定割引」が導入される。そんな来年からの自動車保険の割引制度について、経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれた――。来年から、多くの自動車保険の割引制度が変わります。大きな変更は、東京海上日動、三井住友海上、損保ジャパン日本興亜、あいおいニッセイ同和損保の大手4社がそろって、「家族割引」を廃止することです。家族割引とは、運転者を夫婦とその子どもなどに限定するもので、これまでは保険料が1%引きされていました。その代わりに、多くの保険会社が「本人限定割引」を導入します。運転者を、契約時に届け出た「記名被保険者」1人だけに限定するもので、三井住友海上は8%引き、損保ジャパン日本興亜は7%引きで来年から新設されます。また、あいおいニッセイ同和損保は’04年からすでに導入済みで、来年は8%引きになります。さらに、夫婦で運転する人には、「本人・配偶者割引」があります。大手4社は来年、割引率を7%から6%に引き下げますが、本人限定に次いで高い割引率です。地方では、車は1人に1台という家庭も多いでしょう。運転者を本人限定にすると、保険料が節約できます。自動車保険は1年更新がほとんどですから、来年以降の更新時か新規加入時から、新しい保険内容や割引制度が適用されます。現在、家族限定割引を受けている方への更新案内には、「運転者の限定なし」として保険料の見積もりが出ていると思います。そのままにせず、運転者の範囲を見直しましょう。たとえば、Aさん(53歳)は、同居する23歳の子どもが運転するため、来年からは運転者を限定せず、年齢区分も21歳以上を選ぶつもりでした。この場合の保険料は、年間で8万2,370円です(損保ジャパン日本興亜、トヨタヴィッツ、対人対物無制限、人身傷害5,000万円、ゴールド免許、車両保険なし)。ところが、子どもが転勤になり独立。自動車保険はほかの補償などを一切変えず、運転者を本人限定にし、年齢区分を35歳以上に変えただけで、保険料は年5万3,590円。約3万円も安くなりました。なかには、たまに乗る子どものために、家族限定を選んでいた方もいるかもしれません。そういう方は、本人限定か、本人・配偶者限定に変えて、子どもが運転するときは「1日保険」を利用するとよいでしょう。1日保険はスマホからも簡単に加入できて、保険料はそのつど、500円程度です。また、車を借りる人が、自分の車を持っていて自動車保険に加入している場合、「他車運転特約」を付けていると、借りた車で事故を起こしても自分の自動車保険が補償してくれます。補償の条件など詳しくは保険会社にお問い合わせください。以前は、どの保険会社でも補償内容や保険料が横並びで、ほとんど変わりませんでした。ですが最近は、インターネットで申し込む通販型自動車保険も増えて、保険料や割引制度もさまざまです。次の更新の際は、早めに各社で見積もりを取って、保険会社を変えることも含めて検討してみてはいかがでしょうか。
2018年12月07日診断されるとお金がおりる認知症保険。高齢になると子どもに迷惑をかけたくないと加入を考える人も多いようだ。そんな認知症保険に加入する際の注意点を、経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれた――。病気やけがで認知症の方が入院した際、45%もの方が体を拘束されたことがある。そんな調査結果が今月18日、発表されました(国立がん研究センター)。ショッキングですが、人ごとではありません。認知症は、’12年には65歳以上の7人に1人でしたが、’25年には5人に1人になるといわれています(’17年・内閣府)。そんななか、「認知症保険」が注目されています。業界初の認知症保険は、太陽生命が’16年に販売を開始。今年10月までに、約40万件の契約があったといいます。最近は種類も増えました。それぞれの特徴を見ていきましょう。まず、太陽生命の「ひまわり認知症予防保険」です。以前の保険は、認知症状態が180日続いた後、保険金が出るものでした。ですが「それでは遅い」という声を受けて、認知症と診断されたときに最大100万円と、180日後に最大200万円の保険金が出るようになりました。また、加入から1年たって認知症になっていない方には、3万円の「予防給付金」が出ます。予防給付金はその後、2年おきに支給され、これを使って認知症検査を受けることを推奨しています。次は、損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険の「リンククロス笑顔をまもる認知症保険」です。認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)と診断されると保険金の一部が出て、その後、認知症に進むと、残りの保険金がおります。MCIの段階で保険金が出るのは、今のところこれだけです。さらに、朝日生命の「あんしん介護」には、公的介護保険で要支援2と認定されると、一時金が出るタイプがあります。認知症でも体に不自由のない方は、要介護判定が低くなりがちです。要支援2という軽い段階で保険金が出るものは、業界初です。確かに認知症は介護も大変ですし、不安が大きいでしょう。ですが、保険はお金の問題。支払う保険料と、どんなときに保険金が出るかをきちんと納得してから、加入しましょう。注意点は3つです。【1】すべての認知症に、保険金が出るわけではない認知症のなかで、保険金を出す認知症を保険会社が指定しています。対象外の認知症になった方は、保険金が出ません。また、保険会社によって対象はさまざまです。【2】加入当初に、保険金が減額される「削減期間」がある認知症になっても、加入から1年以内だと保険金は半額、加入から180日間は出ないなど、保険会社ごとに削減期間が決まっています。【3】保険料は高め太陽生命の「ひまわり認知症予防保険」に60歳女性が加入すると、認知症の診断で100万円、180日後に200万円、入院日額5,000円や、骨折や入院時の一時金などもついて、保険料は月々1万8,660円。認知症以外なら持病があっても入りやすいのですが、保険料は高めです。子どもに迷惑をかけたくないからと加入される方が多いようです。でもその前に、家族でよく話し合ってみてください。
2018年11月30日「火災保険の保険金で家を修理しませんか」と持ち掛ける詐欺が横行している。災害の多かった今年は、国民生活センターへの相談が急増し、10年前の30倍以上に!経済ジャーナリストの荻原博子さんが詳しく解説してくれた――。今年は、7月の西日本豪雨や9月に関西国際空港が浸水した台風21号など、自然災害の多い年でした。こうした風水雪害による被害は、火災保険で補償されます。ところが最近、これを悪用し、「保険金で家を修理しませんか」と持ち掛ける詐欺が増えています。業者は「保険金が出るので、自己負担なしで修理できる」と強調し、「保険金請求の手続きも手伝う」と親切に話すようです。しかし、業者の目的は、保険金請求サポートの契約をさせて、高額な手数料をとることです。同時に、修理工事も契約するケースがほとんど。被害者は十分な説明がないまま契約してしまい、契約書が渡されないこともあるといます。損害保険金の請求は、修理の見積もりを出して行います。ですが、全額認められるとは限らず、自己負担なしとは言い切れません。たとえ見積もりどおり保険金が出ても、請求サポートの手数料は保険対象外です。保険金だけで修理するには、手数料の分だけ修理を削る必要があります。そのため、見積もりと違う、ずさんな修理だったなどの苦情が後を絶ちません。そのうえ、修理をやめる、ほかの業者に依頼すると言うと違約金を請求されるケースもあります。国民生活センターによると、こうした相談は、’17年度に1,177件あり、’08年度の30倍以上にのぼります。さらに今年は、去年を上回るペースで増加中で、しかも、相談者の8割が60歳以上なのです。ただ実際は、保険金の請求は簡単でサポートなど要りません。契約している火災保険の代理店などに電話すれば、保険会社が無料で調査し、認められれば保険金が出ます。親切な口ぶりで“おいしい話”を持ってくる業者にご用心を。ほかにも、11月から1月ごろにSNS上で、有名ブランドのダウンジャケットやブーツなどが8割引きといった広告を見かけます。これは、海外の悪質業者による詐欺サイトで、代金を払っても商品が送られてこない被害が続出しています。連絡先のないサイトもあるので、注意してください。最近の詐欺は、電話かインターネットが主流ですが、封筒で届くパターンも復活しています。封筒には「重要」印が押され、差出人は「法務省管轄支局」。中身は「裁判が始まる。取り下げてほしいなら連絡を」といった内容で、もっともらしい管理番号も書かれています。新手の架空請求ですが、封書で送られてくると、身に覚えがなくても信じてしまいそうです。しかし、裁判所からの文書は「特別送達」といって、配達員が宛名本人に直接手渡すのがルールです。郵便受けに入っていた裁判がらみの封書は、すべて詐欺です。絶対に連絡してはいけません。怪しい、話がうますぎるといった不信感を持ったときは、188(消費者ホットライン)に電話し相談しましょう。特に、高齢の親には「怪しいときは188」と書いて貼っておくくらい、注意してあげてください。
2018年11月16日集合住宅で起こりやすい水漏れ関係のトラブル。そんなときに、火災保険が役に立つことをご存じでしたか?火災保険は火事だけでなく、水関係のトラブルにも手厚い補償をしてくれるのです。■ 1.火災保険の申請理由の上位は水に関するトラブルYsPhoto / PIXTA(ピクスタ)『平成24年度個人用火災保険金支払実績』(損害保険ジャパン日本興亜株式会社)によれば、火災保険支払い理由は、延焼は意外に少なく、水による事故によるものが上位となっているのが現状です。1位:水災・風災・雪災(21,025件)2位:漏水などによる水濡れ(4,057件)3位:不測かつ突発的な自己(2,864件)4位:落雷(2,810件)5位:建物外部からの物体の落下・飛来・衝突(1,719件)となっています。近年ゲリラ豪雨や大型の台風による被害が多く、水に関する事故は、増えているのです。■ 2.火災保険が使えるのはどんなとき?火災保険の補償範囲は、主に家財・修理・賠償契約の3つです。保険は延焼だけではなく、水漏れでも使えます。火災保険の内容とは?Blue flash / PIXTA(ピクスタ)まずは、自分の加入している火災保険の内容を確認しておきます。自分が加入している保険の補償対象の事項に「水濡れ」とあったら、支払が受けられます。メインとなる保証は「家財補償」です。日常生活に使用している動産が被害を受けたとき、補償をしてくれます。kou / PIXTA(ピクスタ)動産とは、テレビや布団、パソコンなどのこと。自動車、貯金通帳、切手などの有価証券、高価な美術品や宝石、ペット、パソコンデータなどは補償対象外です。支払われる金額は、購入価格ではないので注意しましょう。調査員が査定した残存価値に対して金額を確定させます。その金額が、加入者に支払われます。賃貸借契約に基づき、緊急的に迫られて、自費で修理した場合は、「修理」に対して補償金が支払われます。凍結による水道管の破裂、鍵の盗難などは緊急性がありますので、ここで言う「修理」にあたります。賠償契約とは?Satoshi KOHNO / PIXTA(ピクスタ)賠償契約は、大きく分けて2種類あります。「借家人賠償責任補償」は、貸主や隣の部屋の人に対し、法律上の賠償責任が生じた場合の補償です。失火で壁を焦がした、不注意で窓ガラスを割った、などが起こったときに、賠償金相当の金額が補てんされます。「個人賠償責任補償」は、本人や生計を共にする親族が、他人を相手に損害賠償責任が生じたときの補償です。例えば、他人にケガをさせる、他人の財物に損害を与えるなどの理由が該当します。どちらも上限金額が設定されます。よく起こるのはこんなケース身近に起こった事例でこんなものがありました。室内にある洗濯機のホースが外れ、入居者が数日間留守にしてしまったため、防水パンからも水が溢れてしまいました。Satoshi KOHNO / PIXTA(ピクスタ)水が建物の躯体部分をじわじわと伝わったため、被害はすぐ下の脱衣場のところだけでなく、リビングのほうまで広範囲となってしまったのです。下の階の水漏れは、キッチンの天井からポタポタと水が垂れたのが始まりでした。入居者は、応急処置として、水濡れをすると壊れてしまいそうな家電類をすぐに移動させ、バケツなどを用意しましたが、水漏れは収まりません。賃貸住宅だったので、すぐに管理会社に電話をしましたが、リビングからも水は垂れてくるようになりました。下階の入居者は、上の階で異常が起こっていると察して上階を訪問しましたが、留守だったので管理会社に電話をしたそうです。SoutaBank / PIXTA(ピクスタ)管理会社はすぐに上階の水栓を止めましたが、躯体に水が行き渡っていたので、水漏れは止まらず、最終的に見えない押し入れの中やキッチン収納の中にも被害が及び、布団やキッチン用具などもびっしょり濡れてしまいました。この事例では、賃貸物件だったため、上階の人も下階の人も、家財を対象とした火災保険への加入義務があり、水濡れ事故の補償対象となる火災保険に入っていました。水漏れが保険適用の対象になっていたので、上階の人の借家人賠償責任保険(特約)、下階の人の家財保険からお金が支払われました。火災保険の被害を確定するため、調査員が訪問し、査定を行いました。査定対象には、ラップやホイルなどの細かいものもあり、少額ですが、これらに対する補償も支払われたそうです■ 3.まとめこのように、火災保険はトラブルが起こった時に頼れる制度です。持ち家の場合、家財保険は強制加入ではありませんが、実際起こったケースのように、自分が気を付けていてもどうにもならない場合にも対応してもらえるので加入をお勧めします。少額でもよいので加入して、安心した生活を送れるようにしましょう。
2018年10月23日2019年1月に地震保険料が改定されます。この改定では、保険料が値上げとなる値域と、値下げとなる値域があるのをご存じでしたか?我が家のある東京都は、値上げ値域に該当したので、地震保険の保険期間を変更して、保険料の節約をしました。今回は、簡単にはわかりにくい地震保険料に関してご紹介させていただきます。■ 2019年1月に改定される地震保険の保険料はどうなる?CORA / PIXTA(ピクスタ)昨年の2017年1月に改定された地震保険料ですが、2019年1月に再度改定されます。さらには時期未定で3回目の改定も予定されています。昨年1月の改定では全国平均5.1%、来年は3.8%の値上げ。つまり2年で8.9%の値上げと公表されています。■ 全国平均よりも上がる値域と下がる値域全国平均で3.8%の値上げとありますが、実は都道府県によって、数値はバラバラ。さらには、全国一律値上げではなく、値下げになる値域もあります。それでは、イ構造(主としてコンクリート造、鉄骨造の建物)で具体的に見てみましょう。ABC / PIXTA(ピクスタ)値上げとなる都道府県(値上げ率順)福島14.9%茨城、徳島、高知14.8%埼玉14.1%宮城、山梨、香川、大分、宮崎、沖縄12.6%千葉、東京、神奈川、静岡11.1%岩手、秋田、山形、栃木、群馬、富山、石川、福井、長野、滋賀、鳥取、島根、岡山、広島、山口、福岡、佐賀、長崎、熊本、鹿児島4.4%値下げとなる都道府県(値下げ率順)愛知、三重、和歌山▲15.8%大阪▲4.5%北海道、青森、新潟、岐阜、京都、兵庫、奈良▲3.7%値上げ額で見ると高いのは千葉、東京、神奈川、静岡。Sunrise / PIXTA(ピクスタ)値上げ率が高くなくても、金額で見ると値上げ額が高くなるのが千葉、東京、神奈川、静岡で、2,500円(※)。値上げ率が最も高い福島県は金額にすると、1,100円(※)の値上げとなっています。MASA PARK / PIXTA(ピクスタ)木造住宅では、もっと大きな値上げ幅の地域もここまで、イ構造(主としてコンクリート造、鉄骨造の建物)についてみてきましたが、ロ構造(主として木造の建物)で見ると、徳島、高知は4,600円(※)もの値上げになります。ysnature / PIXTA(ピクスタ)次いで、埼玉、茨城も4,100円(※)のアップでした。※保険期間1年、地震保険金額1,000万円あたり、割引適用なしでの年間保険料例■ 長期契約がお得!地震保険料を安くする方法地震保険は、保険期間1年~5年で契約することができます。もし1年ごとに更新をしているのなら、保険料一括支払いの長期での契約を検討してみると保険料が抑えられるかもしれません。たとえば、地震保険料が最も高い千葉、東京、神奈川、静岡の木造の建物で見てみると、保険期間1年の保険料が36,300円(地震保険金額1,000万円あたり、割引適用なし)。これを5年間で支払う金額で見てみます。1年ごとに更新すると36,300円×5=181,500円。保険期間5年で契約すると、36,300円×4.45=161,535円(5年間の保険料を一括支払い)で、19,965円の差が発生します。makaron* / PIXTA(ピクスタ)保険期間5年で契約の場合の保険料を計算したときに使った数字“4.45”は長期係数と呼ばれるもので、実はこれも、来年の1月にはアップし、4.6となります。■ 長期契約できない場合もある!?ただし、地震保険は単独で加入できる保険ではなく、火災保険に加入していなければ契約できない保険です。それゆえに、保険期間も火災保険にリンクします。CORA / PIXTA(ピクスタ)保険の保険期間を5年にするためには、火災保険が5年を超える長期契約でなければなりません。契約できるかどうか、また保険料も自宅の構造や、契約内容で金額は変わってきます。まずは我が家の場合を確認するために、加入している保険会社や代理店に確認してみることをオススメします。【参考】※2019年1月 地震保険制度改定の概要
2018年07月04日この4月、新たに京都府と埼玉県が「自転車保険の義務化」に踏み切りました。その流れを受け、自転車保険への加入を検討しはじめたという方も多いのではないでしょうか?自身もそうですが、自転車に乗る子どもの保険についても気になるところですよね。そこでフィナンシャルプランナーの加藤葉子さんに、義務化に対応した自転車事故に備える方法と、選び方のポイントについて解説していただきました。自転車による加害事故に備える3つの方法1【自転車保険で備える】自転車向けに用意された、いわゆる「自転車保険」は、他人の体や物を傷つけたときの法律上の賠償責任を補償する「個人賠償責任保険」と、自分がケガをしたときの治療費を補償する「傷害保険」と、の2つがセットになった保険です。保険料は月に数百円から高くても1000円程度。車のようなロードサービスの付いたものなど、多くのものから選べるようになってきました。2【TSマーク付帯保険で備える】TSマークとは、自転車安全整備士が点検整備(有料)した自転車に貼付されるもので、これにサービスで傷害保険と個人賠償責任保険、被害者見舞金が付いています。払うのは保険料ではなく、整備費ですので自転車の状態により必要額は変わります。ほか特徴としては、一般的な保険が契約者または契約時に定めた対象者につくのに対し、TSマーク付帯保険は自転車を対象としていること。有効期間内(1年)であれば、誰がその自転車に乗っても保険の対象となります。なお、青色TSマークとより補償の充実した赤色TSマークの2種類があります。加入(整備)の際は、自転車店で確認を。3【火災保険などの個人賠償責任保険特約で備える】日常生活で他人に対しての賠償が発生した時に備える「個人賠償責任保険」は、「自転車保険」を銘打った保険に限らず火災保険や自動車保険、各種共済、勤務先で加入する各種団体保険等にあわせ「特約」として加入することもできます。また、クレジットカードに付帯されている場合も多くあります。保険料の目安は、火災保険などに付帯させ補償額1億円を特約で加入した場合で月80円~200円。自転車事故に限らず、他人や他人の持ち物を壊してしまった様々な事故に対応し、高額な補償限度額が割安な保険料で確保できるので、コスト効果は高いといえます。自転車の事故に備えて保険に加入する際は、まずは補償額をチェック。次に、保険料と対象者の範囲、そして示談交渉の有無をチェックしてみてください。まとめ自転車事故でも、数千万円の高額賠償が必要となった実例もありますし、いずれかの方法で「個人賠償責任保険」は加入しておきたいところ。子どもむけの保険を探している方もいるかもしれませんが、この保険は契約者のほか、配偶者や子ども、同居の親などの家族も対象となるので親が入れば自動的に子どもも含まれることになります。よその車に傷をつけてしまったとか、お店の商品を壊してしまったなどなど。こうした子どもが起こしがちな賠償事案に対応することができるので、保護者としては安心ですよね。万が一に備えるなら、補償額は1億円以上がおすすめ。そして他の保険の「特約」として加入するのが、コスト的に有利です。ただし、本体の保険を解約した場合は自動的この保険も解約したことになるので、うっかり無加入状態にならないように注意が必要です。また「個人賠償責任保険」の支払いは実際の損害額が限度ですので、重複させるのは単なるお金の無駄となってしまうことにも注意してください。加入を検討するならばまずは、現在加入している保険契約に個人賠償責任保険が特約としてついていないか、使っているクレジットカードに付帯されていないか確認することが。保険証券を見てわからなくても、直接保険会社に問い合わせれば大丈夫です。(文・宇都宮雅之)
2018年06月03日介護保険料はそれなりの負担額で、特に年金生活者にとって重い負担となります。私も初めて介護保険料を徴収された際は「かなりの金額」と思いましたが、安心して老後を送るために必要なものであれば仕方がありません。そのためできるだけ公平に負担し、適正な使われ方をしているかを注視し、いざ利用する側になった場合は節度ある利用を考えたいものです。今回は保険料の仕組みについて理解していきましょう。○介護保険制度と介護保険料の関係下図は以前にもご紹介した介護保険の仕組みの図ですが、介護給付に必要な資金の構成を赤い点線部分に追記して示しています。その部分を見ると、介護サービスに必要なお金の原資の構成がわかります。税金と保険料が50%ずつなのは、老齢基礎年金と同様です。問題は、この税金や保険料を「誰」が「どのくらい」負担しているかです。制度を存続させるには、収入に応じて適切な負担割合であり、生活が苦しくても何とか負担していける額であることが必要です。○第1号被保険者の保険料の仕組みとは「第1号被保険者」とは上記の図でいうところの65歳以上の方々で、保険給付に必要な費用の21%を保険料として負担しています。保険給付に必要な費用の半分は税金で、残りの半分は保険料です。そのため、保険料のおよそ40%を第1号被保険者が負担している計算になります。この配分がベストであるか、どこか問題点があるかを最終的に判断するのは国民の役割です。当事者、またはそれに近い年齢の方ですと実感しやすいのではないでしょうか。○第2号被保険者の保険料の仕組みとは40歳以上65歳未満の「第2号被保険者」の保険料の仕組みと流れを下にまとめました。ポイントとなる部分に赤い点線で囲んであります。保険料は医療保険に上乗せして徴収されますが、加入している医療保険の種類(国保、協会けんぽ<※1>、組合健保<※2>)、共済健保<※3>)により、金額が異なります。また、地域やそれぞれの組合によっても違います。※1協会けんぽ(全国健康保険協会管掌)……2008年に政府管掌健康保険制度より移管し、健康保険適用事業所である中小企業の従業員とその扶養家族が加入する医療保険で、保険料率は都道府県単位で異なります。※2組合健保(組合管掌健康保険)……社員数700名以上の企業は国の認可を受けて、自社独自の健康保険制度を設立でき、組合健保と称されます。※3共済組合……公務員らが加入する制度です。組合健保については、国による一定の基準はあるものの、各組合によって異なる部分も多いと考えた方がよさそうです。そのため、会社の組合に詳細を確認した方が確実です。特に通常とはやや違った下記のようなケースに該当する場合は、ご注意ください。(1)海外在住の場合(2)本人が海外在住で、扶養家族が介護保険の第2号被保険者に該当する場合(3)本人が40歳未満または65歳以上で、扶養家族が介護保険の第2号被保険者に該当する場合(特定被保険者)(4)育児休業に該当する場合○自身で確認しましょう私自身、若い頃は医療保険の制度など、全く関心がありませんでした。今の若い世代も同じかもしれません。しかし、これからの時代はレールの上に乗っていれば安心という時代ではありません。少なくとも保険料を徴収されている以上、自分たちの今後の生活に大きく影響する制度については、直接生のデータに触れてほしいと思います。末端の雑多な情報に振り回されずに、ぜひ直接会社の組合制度を調べてみたり、国の介護保険制度の詳細を直接確認したりしてください。今ではインターネットで国の制度や条文など、いくらでもチェックできます。本稿がそのきっかけになればと思います。※写真と本文は関係ありません○■ 筆者プロフィール: 佐藤章子一級建築士・ファイナンシャルプランナー(CFP(R)・一級FP技能士)。建設会社や住宅メーカーで設計・商品開発・不動産活用などに従事。2001年に住まいと暮らしのコンサルタント事務所を開業。技術面・経済面双方から住まいづくりをアドバイス。
2018年04月19日「こども保険」って知っていますか?「保険」という言葉がついているため、つい学資保険などの、子どもに関する保険商品の一種だと考えてしまいがちですが、実は違うんです。「こども保険」というのは、小泉進次郎衆議院議員など若手議員で構成されている「2020年以降の経済財政構想小委員会」が提言した、社会全体で子育て世帯を支援するという社会保障の案のこと。あなたはこの「こども保険」についてどう考えますか? 1. 「こども保険」とは「こども保険」というのは、未就学児1人当たり月額5000円を支給して、将来的に保育・幼児教育を実質無償化するなど、子育て世帯の負担を軽減することを目的とした社会保障の案です。気になる財源ですが、年金保険料(厚生年金や国民年金など)の保険料率を上乗せすることで、資金を集めるのだそうです。今まで集めた資金は、高齢者向けの社会保障に使われていましたが、今度からは子育て世帯も社会全体で応援していくということですね。ただし、この「子育て世帯」というのは、小学校入学前の子どもがいる世帯です。未就学児に月額5,000円支給、保育・幼児教育を実質無償化などは、小学校に入学した子どもたちには関係のないこと。未就学児のいる世帯・これから子どもを産もうと考えている世帯にとっては得になる社会保障制度ですが、そのほかの世帯は負担が増えてしまいます。ただ、少子化対策として将来的に良い影響を与える可能性もあるため、社会全体で取り組むことが重要であると考えられます。 2. 「こども保険」知ってますか?それではどのくらいの人が「こども保険」を知っているのでしょうか。しゅふJOB総研が働く主婦層を対象に「こども保険についてご存知ですか」と質問したところ、以下の結果となったそうです。知っている(16.4%)少しは知っている(31.8%)知らない(51.8%)詳しく知っている人は少なく、全く知らない人が過半数という結果に。案の段階とはいえ、まだまだ認知度は低いようです。こちらは子どもがいる・いないに関わらず、「働く主婦」に聞いたものなので、独身のかたに聞くともっと認知度は低くなると考えられます。ただ、年々少子化や待機児童が問題になる中で、「こども保険」のような、子育て世帯を対象とした社会保障が提言されていることを知らないままだと、「いつの間にか決まっていた」ということになりかねません。まだこちらは案の段階です。どのくらいの保険料が上乗せされるのか、どのような保障内容なのかを詳しく知ることで、不満点や疑問点が出てくると思います。「そんな保障内容では納得できない」「もっとこうしてくれたらいいのに」など、国民全体で声が上がれば、より子育て世帯に寄り添った保障内容となってくれるのかもしれません。また、将来の日本を支えてくれる子どもを支援するということは、今の私たちの老後にも関わってきます。子どもがいる・いないに関係なく、「こども保険」という社会保障のことを考え、議論していくことが大切なんだと思います。 3. 「こども保険」に否定的な人も元大阪府知事である橋下徹氏は、プレジデントオンラインの橋下徹通信にて、「こども保険」に大反対だと述べています。その意見を同サイトより引用します。保育所や幼稚園の仕事は地方自治体、特に市町村の仕事と位置付けて、就学前の子供は希望すれば保育所でも幼稚園でも全員無料で入れるようにする。これを法律で定めればいいだけなんだ。小中学校と同じように、域内の子供たち全員のために市町村は保育所・幼稚園を確保しなければならないと法律上義務化すればいいだけ。就学前児童の問題は市町村の仕事。高校は都道府県の仕事。もし国会議員が教育支援のためにお金を用意するというなら、それは大学の領域なんだよ。つまり、就学前の児童のことは国ではなく市町村で取り組むことを義務化するようにすれば、保育園・幼稚園無償化や待機児童問題も解決するのかもしれないということですね。やはり国の予算は限られていますし、待機児童以外にも問題は山積みです。地域の子どもたちと密着している市町村なら、より地域と子どもたちにあった対策ができるのかもしれません。保険料を上乗せすることでの国民からの反発を防げる可能性もありますね。 子育て世帯を支える社会保障である「こども保険」。自分なりのメリットとデメリット、どういうふうになればより子育て世帯の負担が軽減するのか、恩恵のない世帯が少しでも良い影響を感じられるにはどうすれば良いのかなどいろいろ考えてみてくださいね。夫婦で議論してみたり、ちょっとママ友と話してみたりなどして、社会保障に興味を持ってみると良いかもしれません。「子どものこと」は将来にもつながること。身近な問題として議論を深めることで、より過ごしやすい社会へと変化していくのではないでしょうか。 参考:幼児教育無償化、待機児童解消、少子化対策・・・働く主婦にメッセージは伝わっているか? こども保険「知らない」51.8%橋下徹“僕は「こども保険」に大反対!”
2018年04月05日登山や旅行に出かけるとき“もしも”のケガには備えたい。でも、毎年の保険料は抑えたいから、年間契約の保険には入りたくない……。 最近、このようなニーズに応え、1日単位で加入できる「オンデマンド(需要に応じた)保険」が相次いで発売されている。ファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さんはこう説明する。 「一般的な損害保険は1年間に4,000〜5,000円の保険料がかかりますが、オンデマンド保険は、1日300〜500円程度ですむので、場合によってはかなりおトク。種類も豊富で、スポーツや日帰り旅行に対する備えだけでなく、コンサートのチケット代を補償してくれる保険まで登場しました」 電話やインターネット経由で契約できるなど、手続きもかんたん。ただ、おトクに使いたいなら注意も必要だ。 「すでに加入している医療保険やクレジットカードの付帯保険のサービスと、補償の内容がかぶる場合もあります。すでに入っている保険でカバーされない分を、オンデマンド保険で補うのが賢い使い方です」(風呂内さん) では、オンデマンド保険をおトクに使えるのはどんなシーンなのか、風呂内さんに解説してもらった。 【病気の母をコンサートに連れていくとき】 「要介護で落ち込みがちな母を元気づけるため、母の大好きな歌手のコンサートのチケットを取りました。日付は半年先。でも、1週間前に母が体調を崩して入院し、チケットも無駄になりました」 そう残念がるのは、母親を介護中のB子さん。急だったために母のチケットは売ることもできず、B子さんは1人でコンサートに参加した。 「先々の予定を立てづらい介護中や療養中、出張が多い人などは、『キャンセル保険』が付いたチケットを購入していれば、行かれなくてもチケット代が戻ってきます」(風呂内さん・以下同) 「チケットぴあ」のホームページで購入し、購入完了画面からキャンセル保険に加入できる。ただし、対象外の公演もあるので事前に確認を。 【ぬれる場所や高いところにデジカメを持っていくとき】 買ったばかりのデジタルカメラが壊れても「メーカーの1年保証があるから大丈夫」と安心している人も多いだろう。ところが、水ぬれや砂かぶり、破損などの故障は対象外というケースがほとんどなのだ。昨年11月にサービスを開始した「ワランディ・ナウ」は、発売から3年以内のデジタルカメラが壊れたときに、購入価格上限に修理費を補償してくれる。 「専用のアプリをスマホにダウンロードし、保険をかけたいカメラを登録するだけ。保険料は1日39円からで、修理してくれます」 ただし、ほかの保険に入っている場合は「携行品補償」とかぶることも。必ず事前にチェックしよう。
2018年04月04日登山や旅行に出かけるとき“もしも”のケガには備えたい。でも、毎年の保険料は抑えたいから、年間契約の保険には入りたくない……。 最近、このようなニーズに応え、1日単位で加入できる「オンデマンド(需要に応じた)保険」が相次いで発売されている。ファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さんはこう説明する。 「一般的な損害保険は1年間に4,000〜5,000円の保険料がかかりますが、オンデマンド保険は、1日300〜500円程度ですむので、場合によってはかなりおトク。種類も豊富で、スポーツや日帰り旅行に対する備えだけでなく、コンサートのチケット代を補償してくれる保険まで登場しました」 電話やインターネット経由で契約できるなど、手続きもかんたん。ただ、おトクに使いたいなら注意も必要だ。 「すでに加入している医療保険やクレジットカードの付帯保険のサービスと、補償の内容がかぶる場合もあります。すでに入っている保険でカバーされない分を、オンデマンド保険で補うのが賢い使い方です」(風呂内さん) では、オンデマンド保険をおトクに使えるのはどんなシーンなのか、風呂内さんに解説してもらった。 【国内旅行に行くとき】 旅行に行くときに日帰りでも加入できるのが「国内旅行保険」。海外旅行保険は多くのクレジットカードに付帯しているため、国内旅行に特化したオンデマンド保険が登場した。補償内容は、旅行中のケガに対して手術代や入院・通院費が出る。 「1日の保険料が100円プラスされるごとに、補償金額も高くなる仕組みです。各社とも金額に差があるので、加入する前にはチェックしておきましょう」(風呂内さん) 旅に関するユニークな保険も出ている。雨が降った時間に応じて旅費が返金される「お天気保険」だ。1泊2日以上に限られるが、雨が降ったら台無しのビーチリゾートや、遺跡見学などのツアーに参加するときに、加入を検討してみては。 【実家の車を運転するとき】 実家に帰省したとき、久々に父の車を使おうとしたら、「お前はダメだ!」と止められたというA子さん。 「自動車保険を安くするために、去年から運転者を父だけに限定していたんです。私が運転して事故を起こしたら保険が下りないと言われました」(A子さん) こういう場合に便利なのが「1日自動車保険」。 「最近は保険料の見直しで、運転者を加入者本人に限定することが増えました。ほかの家族が運転して事故を起こしたら保険が下りないので、多額の修理費や賠償金を自腹で支払うことに。他人名義の車を運転する場合、コンビニやスマホからでも加入できる1日自動車保険を利用することをおススメします」(風呂内さん)
2018年04月04日登山や旅行に出かけるとき“もしも”のケガには備えたい。でも、毎年の保険料は抑えたいから、年間契約の保険には入りたくない……。 最近、このようなニーズに応え、1日単位で加入できる「オンデマンド(需要に応じた)保険」が相次いで発売されている。ファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さんはこう説明する。 「一般的な損害保険は1年間に4,000~5,000円の保険料がかかりますが、オンデマンド保険は、1日300~500円程度ですむので、場合によってはかなりおトク。種類も豊富で、スポーツや日帰り旅行に対する備えだけでなく、コンサートのチケット代を補償してくれる保険まで登場しました」 電話やインターネット経由で契約できるなど、手続きもかんたん。ただ、おトクに使いたいなら注意も必要だ。 「すでに加入している医療保険やクレジットカードの付帯保険のサービスと、補償の内容がかぶる場合もあります。すでに入っている保険でカバーされない分を、オンデマンド保険で補うのが賢い使い方です」(風呂内さん・以下同) では、オンデマンド保険をおトクに使えるのはどんなシーンなのか、風呂内さんに解説してもらった。 【山登りやスポーツをするとき】 登山は、たとえ低山でも大きなケガにつながりやすい。そんなときに便利なのが「1日レジャー保険」。テニスやサッカーなど激しいスポーツでのケガなども補償される。 「補償の内容は、ケガをしたときの手術代や入院・通院費用が中心です。しかし、医療保険ではカバーされない救援者費用が出るのが大きい。高額になりがちな遭難時の捜索費用、さらに親族が現地に向かう費用や、他人にケガを負わせたときの賠償責任が手厚いのがポイントです」 1泊以上の場合は、アウトドア総合ブランド「モンベル」の会員が加入できる「モンベル野あそび保険」がおススメ。保険料はわずか250円からで、山登りが趣味の人はこちらがおトクだ。 また、ゴルフに特化した「ゴルフ保険」は、付き合いでたまにプレーする人にはおトク感がある。レアケースながら自分が「ホールインワン」などを達成したとき、自ら周囲の人に記念品などを振る舞う習慣があるが、その費用も保険で補える。ただし、ゴルフが趣味で毎週行くような人は、3,000円から入れる年間契約の「ゴルフ保険」のほうがおトクだ。
2018年04月04日「4月から各生保会社が、生命保険料を改訂します。一般的に、死亡したら保険金が支払われる死亡保険の掛金が若干安くなり、医療保険や就業不能保険など、生きているうちに給付される保険は、若干値上がりする傾向にあります」 こう話すのは、ファイナンシャルプランナーの加藤梨里さん。保険料は、標準生命表という国の統計データを基に算出されている。11年ぶりに改訂された同統計で、長生きの人が増えたために、死亡率が下がったことが理由だ。加藤さん、そして生活経済ジャーナリストの柏木理佳さんが、4月に変わる医療・保険費のルールについて解説してくれた。 「“長生きリスク”による料金改正となりました。医療保険に関しては、1%弱の値上がりが多いようです。値上げの対象となる人は、4月以降に新たに加入する人です。しかし、すでに保険に加入している人でも、更新型の場合は更新時に新料金が適用される場合が多いので、確認が必要。保険の見直しの機会にもしたいところです」(加藤さん) 国民健康保険料の上限額引き上げも予定されている。 「これまで国保の年間保険料は上限額73万円でしたが、77万円までに引き上げられるというもの。ただし、対象は年収約1,000万円以上の人たちで、国保加入者の2%弱です」(加藤さん) むしろ医療費や介護費のほうが、家計に影響を与えそう。 「4月に診療報酬の改定があります。かかりつけ医としての基準を満たした診療所などで初診料が800円値上げされます。医療費3割負担の人は240円、1割負担の人は80円の値上げとなります」(加藤さん) 在宅医療の往診費用も値上げされる予定だ。24時間態勢であることなどの条件を満たした医療機関が、診療費を加算できるようになる。 「月に約2,000〜4,000円の値上げ。その1〜3割が患者の負担となります」(加藤さん) 1カ月に上限額を超えた医療費の自己負担分が返金される、高額療養費制度も、70歳以上の人を対象に8月に変更される。 「年収約156万〜370万円の一般家庭では、これまでは1カ月の外来費用がどれだけかかっても、1人あたりの支払い上限額は1万4,000円まででしたが、これが1万8,000円に引き上げられます。また、年収約370万円以上の家庭は、1カ月に支払う外来・入院費等の総医療費の上限額約8万円が、収入によって段階的に引き上げられ、最大で約25万円以上になります」(加藤さん) 40歳以上が支払う介護保険料も、4月から負担増だ。たとえば65歳以上(第1号被保険者)の場合。 「新宿区の場合、これまで月5,900円だった介護保険料が6,200円、札幌市は月5,177円が5,773円、大阪市にいたっては、6,758円が7,927円と、1,000円以上の値上がりです」(柏木さん) 介護サービスの自己負担額の割合も、8月に変更される。 「年収が約340万円以上の世帯は、これまで自己負担額2割で利用できた介護サービスが3割負担に引き上げられます」(加藤さん)
2018年03月26日「最近はうつ病などで、やむなく休業する人も増加中です。そんな背景もあり、“働けない”リスクに備える『所得補償保険(就業不能保険ともいう)』が注目されています。所得補償保険とは、入院や自宅療法などで働けないとき、加入時に設定した保険金が毎月支払われるというものです」 こう語るのは、経済ジャーナリストの荻原博子さん。病気やケガなどで働けず収入が減っても、生活費や住宅ローン、子どもの教育費などは必要だ。ところが、これらの備えとなる保険商品は、これまで手薄だった。 また、以前より入院できる期間が短くなり、外来で治療を受けながら自宅療法する人が増えている。しかし自宅療法では、「医療保険」からの保険金給付はほとんど望めない。そのため、2年ほど前から、保険各社が所得補償保険を相次ぎ発売している。 ライフネット生命の就業不能保険「働く人への保険2」を例に、どんな保険かを荻原さんが解説してくれた。 「Aさん(40歳・男性)は、所得補償保険を検討しています。年収が約480万円。月収に換算すると約40万円なので、『保険金が毎月30万円あると安心だ』と思っていました。しかし、所得補償保険の保険金額には、月収の60%程度という上限があります。Aさんの場合、最大24万円ですが、5万円単位でしか設定できないため、20万円でした」(荻原さん・以下同) 保険期間は、定年退職する60歳までを選択した。 「Aさんが実際に働けなくなったとき、病気などの発症から一定期間は免責期間のため、保険金は受け取れません。免責期間を長くすると、保険料は安く抑えられます。Aさんは60日の免責期間を選んだため、月々の保険料は5,716円でした」 このように、加入時の年齢や保険金額、免責期間などによって、保険料は変わる。 「保険会社によって規定がさまざまで複雑ですが、総じて言えるのは“働けない”認定が厳しいこと。自宅で内職のような軽作業ができると『働けるから、保険金は打ち切り』となるものもあります」 保険の商品数や種類が増え、注目度が上がると不安があおられる。保険での備えは必要なのだろうか。そこで、荻原さんが公的支援や保険の上手な活用法を教えてくれた。 【1】まずは公的支援を確認 「会社員の場合、病気などで休業しても、『傷病手当金』が給料の約3分の2、最長1年半、支給されます。その後もまだ重篤な場合は、障害年金を申請できます。障害年金はがんや精神疾患なども、支給対象に含まれます。ただし、自営業など国民健康保険の方は、傷病手当金がありません。貯蓄や保険など、独自の対策が必要です」 【2】加入済みの保険内容を確認 「自分の保険の特約などを、きちんと覚えていない方が多いです。再度確認しましょう。たとえば病気になった際、医療保険から多額の一時金が出るなら、それで生活を支えることもできるでしょう」 【3】支払い要件を確認する 「所得補償保険では、精神疾患を保険対象外とするものが多いです。働けないと認定される基準も千差万別。いろいろ比較してください」 【4】ほかの選択肢を探す 「働けないリスクへの備えは、保険だけではありません。たとえば、自営業者の方なら『小規模企業共済』に加入し、自分の退職金を積み立てて準備することもできます。病気などで廃業したら、その退職金を受け取って、生活費に充てる方法もあります」
2017年11月03日「最近、大手保険会社がターゲットにしていないようなニッチな分野で、『こんな保険が欲しい』という需要に応えた『少額短期保険』と呼ばれる保険が増えてきました。たとえば、ジャパン少額短期保険の『痴漢冤罪ヘルプコール付き弁護士費用保険』は、痴漢の被害を受けた際、あるいは、加害者だと疑われた際に、無料で弁護士に電話相談ができます。月々の保険料は590円で、事件直後の電話相談、交通費などの接見費用を含め、事件発生から48時間以内にかかった弁護士費用は、全額保険で補償してくれます」 こう話すのは、経済ジャーナリストの荻原博子さん。今年3月以降、痴漢を疑われた男性が線路に降りて逃走する事件が相次ぎ、その後、『痴漢冤罪ヘルプコール付き弁護士費用保険』には、申し込みが殺到したという。 「また、アイアル少額短期保険がSOMPOホールディングスと共同で開発した『明日へのちから』は、介護度改善を目指すための保険です。対象は、介護認定を受けた要支援1〜要介護5までの方。1年間の保険期間中に、介護度が改善されると、祝い金が受け取れます。年間保険料が5,000円なら祝い金は2万5,000円と、どのプランでも、保険料の5倍の祝い金が用意されています。祝い金獲得が、リハビリに励む動機づけになればいいですね。今は、SOMPOホールディングスグループの介護施設利用者しか加入できませんが、今後はほかの介護施設利用者にも広げていくようです」(荻原さん・以下同) 注目が集まっている『少額短期保険』。その理由を荻原さんが解説してくれた。 「少額短期保険は、見込める収益が少ないため、大手の保険会社による開発がなかなか進みません。そこに活躍のチャンスを見いだしたのが、『少額短期保険会社』です。少額短期保険会社は、’06年に施行された『改正保険業法』によって誕生しました。扱えるのは、保険金額1000万円以下、保険期間も最長で2年で、掛け捨て保険のみです。実は、法改正以前は、無認可で保険商品を扱う悪質な業者もありました。そこで、資本金が10億円以上必要な一般の保険会社とは別に、資本金は1,000万円以上の少額短期保険会社の基準を設け、登録制にして、悪質業者の一掃を図ったのです」 法改正から10年以上たって、悪質な業者は減り、今年3月末の少額短期保険の契約件数は、前年より50万件増えて687万件に。保険料収入も89億円増えて815億円と、順調に推移している(日本少額短期保険協会調べ)。 そんな、契約件数を順調に伸ばしている少額短期保険だが、注意点が1つあると荻原さんは言う。 「少額短期保険には魅力的な商品もありますが、注意点が1つ。一般の保険とは違って、『保険契約者保護制度』の対象外なのです。万が一、保険会社が破たんすると、十分な補償が受けられないケースもあります。注意してください。なお、保険商品が増えてくると、玉石混交になりがちです。きちんと調べたうえで選ぶようにしましょう」
2017年09月29日病気の時やケガで働けない時に、途絶えてしまうお給料の代わりに給付金として支給される「就業不能保険」が、最近保険会社の各社から相次いで発売されています。今回は「就業不能保険」って、何?というテーマでお話します。「就業不能保険」って、どんな保険?【はぴマネレッスン】vol. 50就業不能保険とは、病気やケガ、心の病気などさまざまなケースで職場復帰ができない場合に給付金が支給されるという保険商品のひとつです。各社で「給与サポート保険」、「収入サポート保険」などさまざまな呼ばれ方をしています。また、「どんな症状や状態で保険金が出るか?」という点も各社異なっているのが特徴で、割と新しいタイプの保険商品のためまだ浸透しきっていないのも事実です。まずは、就業不能保険のメリット、デメリットについて考えてみましょう。就業不能保険のメリット、デメリットって?メリットさまざまな原因(病気やケガ、ストレス性疾患等)から長く働けない、かつ入院などでなく在宅での治療のケースには、収入の減少に加えて治療費の増加など、さまざまな支出が増えてしまいます。このため、貯金を取り崩さないと治療費が払えないケースも。就業不能保険では、「どんな状態で給付対象となるか?」という点がまず重要とはなりますが、もし該当のケースとなるようであれば、現状で取り崩すだけの貯金がない方や、会社員ではなく自営業で休んでいる間の収入が一切なくなってしまう方、貯金はどうしても取り崩したくない方にとって、万が一の際の安心感に繋がります。デメリット「公的医療保険」や「職場で受けられるサポート」でまかなえるケースも多い、ということと、「対象外のケースも多い」ということは頭に入れておきたいポイントです。一般的に会社員の方で病気やケガで働けない場合、公的医療保険から「傷病手当」として最長1年6か月まで給料の約3分の2程度が補償されるなどの手当があります。医療費の自己負担も収入に応じて変動はあるものの、一般的な収入として当てはまる現役世代の場合であれば一か月間で約8万円程度が自己負担限度額となり、それ以上は高額療養費として戻ってきます。まずチェックしたいのは「公的医療保険」、「職場のサポートはどこまであるか?」、そして「検討している保険のサポートはどこまでの状態が当てはまるのか?」の3点。加入前に確認すべきポイントです。各社で出ている「就業不能保険」をチェックアフラック「給与サポート保険」入院以外に、在宅療養(医師による治療が続いている場合で外出が困難な場合、障害等級1級2級に認定する場合、またアフラックが定める特定障害状態)が60日以上続いた場合に、毎月×6回は給付金を受け取れ、その後は生存しており、就業不能状態が続いていることを条件に60歳または65歳まで自分で定めた期間は毎月給付金が受け取れるという内容です。例えば慢性腎不全で人工透析となり治る見込みがない場合などがあげられます。ライフネット生命保険「働く人への保険2」入院、または病気やケガにより医師の診断を受けて在宅で治療に専念している場合が60日または180日続いた場合に毎月一定額が支払われます。こちらもアフラック同様症状が回復したり、万が一死亡のケースには支給は終了します。また、所定の高度障害になった場合には一時金が支払われ、また保険料の払い込み免除があります。チューリッヒ生命「くらすプラス」こちらは特徴として、うつ病などのストレス性疾患をはじめ、がん、脳卒中をはじめとする5疾病に該当し、かつ就業不能状態が60日間継続した場合に240万円〜1200万まで自分で指定した額を受け取れます。受け取り方は「毎月」のほか「最初に一括」、または「一部を一括」などを選べます。うつ病や摂食障害を始めとするストレス性疾患で働けないケースも対象となるのは大きな特徴です。住友生命「1UP」特徴として、「公的介護保険制度の要介護2以上」、「公的年金制度の障害年金1級・2級」、そして「住友生命所定の就労不能状態該当した時」に該当する場合、いったん就業不能となった場合、生存している限り契約年齢までずっと保険金が支給されます。また、特約で特定の状態になった際に保険料の払い込みが免除となる特約もあります。このように、収入が途絶えた!というリスクに対する「生きるための保険」が各社から続々と登場していますが、会社員で手厚い会社のサポートがある方や、現在備えがしっかりとある方にとっては保険料の負担も大きくなってしまう可能性もあるため、むやみに加入するのは考えもの。ご自身の今おかれている環境での公的医療保険、会社の制度、そしてご自身の貯金等の備えにプラスして「本当に必要か?」を見極めて検討してみてはいかがでしょうか。以上、はぴマネレッスンvol. 50でした。(C)gpointstudio/Gettyimages(C)KatarzynaBialasiewicz/Gettyimages(C)AntonioGuillem/Gettyimages
2017年09月05日「小泉新次郎氏を中心とする自民党の若手政策集団が、先月『こども保険』の創設を提言しました。提言によると、こども保険は公的保険で、介護保険と似ています。介護保険は、介護にかかる費用を介護保険料とし、健康保険に上乗せして徴収して、集めた資金で介護サービスの利用料を補助しています。こども保険も同様に、社会保険に上乗せして保険料を徴収し、集めた資金を就学前の子どもがいる家庭に支給するようです」 こう語るのは、経済ジャーナリストの荻原博子さん。与党若手グループ提言の「こども保険」は、社会保険料を0.1%上乗せして、就学前の子ども1人当たり月5,000円を支給するという構想だ。荻原さんは、そんな「こども保険」に疑問を呈する。 「根本には『社会全体で子どもを育てる』という考え方があるようですが、それ自体に異論はありません。しかし、『社会全体で』というなら国民全員が負担する税金でまかなうのが本筋でしょう。増税は世論の反発が大きいので、社会保険なら実現しやすいと考えたのではと、うがった見方をしてしまいます。なにより、必要な資金を国民から徴収しようと考える前に、国は天下り問題をはじめとするムダを排除するなど、やるべきことがあるはずです。安易に“取りやすいところから取る”政策は言語道断です」 そうでなくても、子育てには莫大なお金がかかり、特に女性は働くことも制限されがちだ。場当たり的な対策では未来は開けないと荻原さんは言う。 「『自分の人生を犠牲にしてまで、子育てはしたくない』と考える若い世代も現れており、私たちは説得するすべがありません。国の教育費負担は、OECD加盟国の中で最下位レベルが続いています。政府には『国立大学を無償化する』くらいの大ナタを振るっていただきたい。待機児童問題にも、抜本的な改革が必要です」
2017年04月17日発生した地震によって、建物や家財が何らかの損害を受けたときに補償してくれる地震保険。地震保険では地震以外に、津波や噴火によって発生した損害も対象となります。また、自然災害によって火災が発生した際にも、火災保険ではなく地震保険がその被害を補償します。日本に住んでいるならば、ぜひとも加入しておきたい保険の1つと言えるでしょう。ところで、そんな地震保険の査定方法をご存じでしょうか?今回は地震保険の査定方法などをご紹介します。■補償の対象となる家財は?家財とはいわゆる「家具」のことであり、テレビやソファ、冷蔵庫、電子レンジなどが当てはまります。また、机や本棚、衣類、仏壇、骨董品なども家財に含まれます。地震保険では、これら家財に関して補償対象と補償対象外の2つに分けられています。基本的には家にある家具のほとんどが補償対象ですが、自動車や300,000円を超える家財は補償対象外です。自動車については、自家用・社用問わず補償してもらえません。300,000円を超える家財としては宝石や骨董品、美術品、有価証券などが挙げられます。また、店舗や事務所にある家財も地震保険の補償対象外です。例えば店舗の商品や製品、設備などに関しては地震保険が適用されません。これらの補償対象の基準は、保険会社の規定ではなく「国の規定」により定められています。【家財査定による分類】地震保険の家財査定は以下の5つのジャンルに分けられています。・食器陶器類・電気器具類・家具類・その他身の回り品・衣類寝具類そして上記それぞれを細分化して、さらに項目ごとに分けられています。電気器具類であれば以下の項目が挙げられます。・テレビ・パソコン・冷蔵庫・電子レンジ・洗濯機・エアコン・掃除機・ステレオなど上記のように項目ごとに分けて、「いくつ損害が生じているか?」といった加算方式で数えます。加算方式に関しては、後述で詳しくご紹介していきましょう。家財では購入金額や購入時期ではなく、「家財が何種類壊れてしまったのか?」という部分が重要になってくるので覚えておきましょう。■地震保険の仕組みを把握しよう!保険金に関する基礎知識地震保険では、一定の基準に達した場合にのみ保険金が支払われます。2016年12月までは、一定の基準が以下の3区分に分けられていました。・全損・半損・一部損しかし、2017年1月に制度が改定されたことによって、上記の3区分が以下のように変更されています。・全損・大半損・小半損・一部損【保険金支払いの目安】それでは上記の区分のいずれかに認定された場合、保険金は実際にいくら支払われるのでしょうか?・全損地震保険の保険金額×100%(限度額は時価額の100%)・大半損地震保険の保険金額×60%(限度額は時価額の60%)・小半損地震保険の保険金額×30%(限度額は時価額の30%)・一部損地震保険の保険金額×5%(限度額は時価額の5%)上記の時価額については、以下の式によって算出することができます。■時価額=(家財の再購入に必要な金額)-(経過年数などにより劣化した家財の価値)【家財の4区分認定】どのような家財であっても、被害を受ければ上記の区分に認定されるわけではありません。認定されるには、以下のように損害額と時価額の比率が重要なポイントになります。・全損…損害額が家財全体(保険の対象に含まれるもの)の時価額の80%を超えた場合・大半損…損害額が家財全体(保険の対象に含まれるもの)の時価額の60%~80%未満になった場合・小半損…損害額が家財全体(保険の対象に含まれるもの)の時価額の30%~60%未満になった場合・一部損…損害額が家財全体(保険の対象に含まれるもの)の時価額の10%~30%未満になった場合つまり、地震保険では損害額が家財全体の時価額の10%を超えない限りは、補償の対象外になってしまいます。このようなケースでは、仮に地震保険に加入していても保険金が支払われないため注意してください。【保険金が支払われないケース】上記の区分に該当しても、保険金が支払われないケースもあるので要注意です。地震などの災害が発生した翌日から11日が経過している場合は、その後に損害を受けても補償の対象には含まれません。つまり、災害発生から10日以内が補償の対象です。例えば、1月1日に地震が発生したと仮定します。この場合は翌日の1月2日から数えて10日後が1月11日となりますが、それまでは損害補償の期間です。1月12日以降に家財が壊れても、地震保険の損害対象外となってしまいます。また、紛失や盗難によって生じた損害の場合でも、保険金が支払われません。緊急事態であっても、このようにきちんと保険金支払いの条件が定められています。泣き寝入りしないように十分気を付けてください。【保険金が削減されるケース】地震の規模によっては、保険金が全て支払われない場合もあるため覚えておきましょう。2016年9月時点では、損害保険会社全社で算出された1回の地震等による保険金総額が「11,300,000,000,000円」を超えた場合、保険会社は保険金を削減できることが定められています。また、頻繁に起こった地震による損害に関しては、72時間以内の地震をまとめて「1回」と数えられます。複数回の地震による影響で家財が損傷しても、72時間以内ならば1回とカウントしてチェックされるのが地震保険です。■建物の査定ポイントを把握しておこう!地震保険の加入対象は居住用の建物です。したがって建築物にも保険は適用されますが、家財とは査定方法が異なるので注意が必要です。査定の上限については建物が50,000,000円、家財が10,000,000円となります。【建物の査定方法】柱や外壁、屋根、基礎など、主要構造部の損害が「各主要構造部においてどれくらいの割合で損害を受けたのか?」がチェックされます。以下では、一戸建ての建物を例に挙げて見ていきましょう。例えば「地震により外壁に亀裂が入った」と仮定します。このとき、「外壁全体と比較して、亀裂の大きさはどの程度なのか?」を確認するのが建物の査定方法です。損害が主要構造部の3%以上に及ぶと一部損と判断されます。【建物の4区分認定】家財の場合と同様に、地震保険では建物に関しても以下の4区分に分けられています。■全損1.主要構造部の損害額が、建物の時価額の50%を超えた場合2.延床面積の70%以上の床が、災害によって流失や焼失してしまった場合■大半損1.主要構造部の損害額が、建物の時価額の40%~50%未満になった場合2.延床面積の50%~70%未満の床が、災害によって流失や焼失してしまった場合■小半損1.主要構造部の損害額が、建物の時価額の20%~40%未満になった場合2.延床面積の20%~50%未満の床が、災害によって流失や焼失してしまった場合■一部損1.主要構造部の損害額が、建物の時価額の3%~20%未満になった場合2.地盤面より45cmを超える浸水が発生し、建物に損害を受けたとき3.床上浸水によって建物に損害を受けたとき【建物査定の注意点】門や塀、給排水設備など、主要構造部に該当しない部分だけが損害を受けても、残念ながら補償されません。地震保険の補償対象となるのは、建物を支える主要構造部です。主要構造部に問題がなければ、それ以外の構造部が損害を受けても保険が適用されないため注意してください。【家財の査定方法】では、次からは査定の際に行われる「加算方式」について以下で詳しく見ていきましょう。例えば「地震によりテレビ1台、パソコン1台が壊れてしまった」と仮定します。電気器具類には以下の項目がありました。・テレビ・パソコン・冷蔵庫・電子レンジ・洗濯機・エアコン・掃除機・ステレオなどこれらの項目のうち、何か1つでも使用不能になっていれば損害割合を2.5%と計算します。今回のケースではテレビ1台とパソコン1台が壊れてしまったため、「2.5%×2=5.0%」が損害割合です。次に、テレビとパソコン以外にも「お皿が2枚割れてしまった」「食器戸棚1つが壊れてしまった」と仮定します。電気器具類は損害割合を1つ2.5%で計算していましたが、食器陶器類なら1つ1.0%、家具類なら1つ4.0%で計算します。お皿は食器陶器類のため「1.0%×2=2.0%」食器戸棚は家具類のため「4.0%×1=4.0%」と計算できます。以上より、上記の例の損害割合は「5.0%+2.0%+4.0%=11.0%」となります。損害割合の合計が10%以上30%未満であれば、「一部損」として地震保険金額の5%が適用されます。今回のケースでは11.0%のため、一部損として認定されるはずです。【家財査定の注意点】家財の査定はその場で行われます。説明や保険金の支払い額に問題がなければ、必要書類に署名して地震保険金支払いの手続きへと移ります。損害認定については、鑑定人によって基準が変わることもあるでしょう。大したことのない被害であっても、鑑定人によっては一部損の認定基準を満たす可能性があります。そのため地震保険に加入している方は、とりあえず家財査定を申請してみることが望ましいでしょう。また、損害状況を撮影しておくことも大切です。家財では紛失や盗難の補償が適用されません。保険金の請求にも役立つため、映像としてしっかり残しておきましょう。■マンションの地震保険での査定基準・査定方法は?マンションは一戸建てとは異なり、同じ建物内に複数の居住者がいます。では、マンションはどのような方法で査定されるのでしょうか?まずは、マンションの「専有部分」と「共用部分」について理解を深めましょう。【専有部分】専有部分とはいわゆる居住空間のことです。厳密に言えば、コンクリート表面から部屋側の空間を指します。【共用部分】共用部分は専有部分以外の場所であり、エントランスやエレベーター、屋上などが該当します。ベランダやバルコニー、窓、サッシ、玄関ドアも共用部分です。マンションの地震保険が適用されるのは専有部分であり、査定箇所が限定されるため注意しましょう。【一戸建てと異なる査定ポイント】共用部分の損害に関しては、原則話し合いが求められます。また、注意しなければいけないのが「共用部分の損害区分が決まると、専有部分も同じ損害区分になる」という点です。マンションの地震保険ではマンション全体の損害状況、すなわち「共用部分の損害の程度」によって判定されます。もし建物の自分の専有部分が「大半損認定」であったとしても、共用部分が小半損の認定をされた場合、専有部分も「小半損」と判断されてしまいます。一戸建てと大きく異なる特徴なので気を付けてください。【マンションの保険適用部分】マンション居住者が各自で保険契約をするのは、「建物の専有部分」と「家財」です。共用部分に関しては、マンションの管理者が火災保険に加入しているケースが一般的です。地震保険に加入しているかどうかは、各自で確認しなければなりません。各自で保険契約をしており、建物の専有部分と家財に保険金が発生した場合は、契約者本人が保険金を受け取ります。共用部分で発生した保険金に関しては、マンション管理者を通じて居住者に分配されます。専有部分と共用部分で契約者が異なるため、きちんと覚えておきましょう。【マンションの査定方法】建物の査定方法は一戸建ての場合と同様です。主要構造部ではない門や塀、ガラスだけの破損などは補償対象外です。家財の査定方法も、一戸建てと同様に計算します。建物のほうは共用部分の査定結果に左右されますが、家財ならば損害区分の変更も少ないでしょう。【マンション内での取り決め】マンションの保険金は、1棟単位で分けられます。割り振られた保険金に関して単純に戸数で割るのか、面積などによる持分で分けるのか、きちんと決めておきたいところです。マンション内での取り決めがなければトラブルに発展してしまいます。【すぐに支払い手続きをしない】地震保険では一部損の基準に満たなければ、被害があっても保険金が発生しません。マンションでは特に専有部分と共用部分の問題があるため、鑑定結果によって大きく左右されます。鑑定結果に関してはその日のうちに判明します。よく説明を聞いて、納得がいかなければ再鑑定を依頼しましょう。すぐにその場で支払い手続きをすると、「実は損をしていた…」なんてこともあり得ます。泣き寝入りしないように十分注意してください。■まとめ一戸建てとマンションでは、地震保険の査定方法が若干異なります。地震により被害を受けた後に、まずは映像に残しておいたほうが良いでしょう。また2017年から、地震保険料が支払われる区分が細かくなりました。大した被害ではなくても、申請すれば建物や家財を補償してもらえるかもしれません。鑑定結果に納得できなければ再鑑定も依頼できるため、時間をかけて見てもらいましょう。
2017年04月13日「来春『標準生命表』が改定されて、影響を受けるのは、“掛け捨て”の死亡保険の保険料。これは安くなります」 こう語るのは、ファイナンシャルプランナーで「家計の見直し相談センター」代表の藤川太さん。標準生命表とは、性別、年齢別の平均寿命(死亡率)などをまとめたもの。生保各社が加盟している公益社団法人「日本アクチュアリー会」が、保険料の算出基準となる標準生命表を来春、11年ぶりに改定する見通しだ。改定の理由は“ご長寿化”。長生きする人が増えれば、そのぶん保険会社が支払う死亡保険金の負担も減り、保険料の値下げが可能になる。 「前回(’07年)の改定で、下げ幅は生保会社によって違いましたが、8~16%ぐらい掛け捨ての死亡保険の保険料が下がりました」(藤川さん) 掛け捨てではない「終身保険」の保険料についても藤川さんが解説する。 「終身保険は来春も若干値上がりする可能性がありますね。実際、今年の4月2日から、終身の保険料は大幅に上がりました。日本生命は、20%以上の値上げを公表しています。ただこの値上げに関しては、標準生命表の改定よりも、予定利率の変動が大きく影響しています」(藤川さん) 私たちが毎月支払っている保険料の一部は、保険会社が株式や不動産などに投資して運用している。その運用で見込める利回りを表す予定利率が低ければ、保険会社の運用利益は減っていくので、保険料は高くなる。 現在はマイナス金利政策によって長期金利の低下が進んでいる。国債の利回りも大幅に下がり、4月から標準利率は1%から0.25%に引き下げられたことで、予定利率が低くなった。今月から終身保険などの保険料が値上がったのは、これが原因だ。 そして来春、標準生命表が改定されれば、長寿化によって増える医療保障などの保険金の負担を、保険会社は保険料に反映するかもしれない。つまり、今年だけでなく、来春にも終身の保険料が“再値上げ”する可能性があるのだ。 今回、大手生保5社(日本生命、アフラック、かんぽ生命、第一生命、明治安田生命)に、「標準生命表改定に合わせて、来春にも保険料を改定する予定はあるか」と質問したところ、各社「未定です」という回答だった。とは言うものの、生活経済ジャーナリストの柏木理佳さんは、値上げに備えて「これから定期保険に入るなら、保険料が下がるまで待ったほうがいい」と語る。 「貯蓄性のある商品や、長生きしていくうえでのリスクをカバーできる終身医療保険も値上がりするでしょうから、今後は終身より定期保険に見直したほうがいい。定期保険は値下がりすると思います。保険会社も損をしたくないので、まさにいま掛け捨ての商品を勧めてくるかもしれませんが、焦りは禁物。『もうちょっと待てば安くなる』と自分に待ったをかけてあげて」(柏木さん) 生涯保障の終身保険は、一昔前までは魅力的な商品だった。マイナス金利やご長寿化の影響で、保険の常識は変わってきているという。 「値上がり、値下がりする商品をしっかりと見極めて、新しい視点で保険を見直すことが必要です」(柏木さん) 入ったらもう安心、というわけではなくなってきた保険。「見直しありき」で考えるべきなのかも。
2017年04月07日火災保険と言えば、火災や台風、水漏れ、雷など様々な被害に遭った時に補償される安心できる保険です。現代では多くの方が火災保険に加入していますが、この火災保険に年末調整の控除は適用されるのでしょうか?火災保険に加入している方、これから加入する予定のある方は、家計にも関わってくるのでぜひ知っておきたいポイントです。そこで今回は、火災保険と控除の関係についてご紹介していきます。■火災保険は保険料控除の対象になる?中には、「そもそも保険料控除が何なのか分からない…」と疑問に感じている方もいることでしょう。生命保険や損害保険に加入しており、保険料に関する一定の条件を満たした場合に税金の一部が控除される制度のことです。この保険料控除が適用されると、所得税と住民税の一部が軽減されます。2006年の12月31日までは、火災保険料も「損害保険料控除」の適用範囲内とされていました。しかし、この損害保険料控除は2007年1月1日の税制改正により、年末調整の控除の対象外となっています。つまり、2017年現在では火災保険料は控除の対象ではありません。火災保険と似た商品に「火災共済」と呼ばれるものがありますが、こちらも控除の対象外となっているので注意しておきましょう。■地震保険料は控除の対象建物や家財を守る保険は火災保険だけではありません。代表的な保険としては地震保険が挙げられますが、こちらの地震保険は2017年3月現在でも控除の対象に含まれています。では、地震保険料の控除について以下でもう少し詳しく見ていきましょう。【地震保険料の控除はどんな制度?】地震保険料の控除は、各家庭で地震災害に備えてもらうことを目的として2007年1月1日に新設されました。こちらの制度では地震保険料を支払っている場合に、その保険料の一定額が所得から差し引かれます。つまり、この制度により地震保険加入者の所得額が減るので、その分税金が安くなるのです。この控除制度は1年間に支払った地震保険料が対象となり、具体的には1月1日~12月31日に支払った保険料に応じて、所得から差し引かれる金額が変わってきます。2011年に東日本大震災、2016年に熊本地震が発生したことで今後ますます地震保険加入者が増加すると予測されていますが、この地震保険料の控除を利用する場合には注意するべきポイントがいくつかあります。以下では、地震保険に加入している場合に押さえておきたい控除のポイントをご紹介していきましょう。【ポイント1】最大控除額をチェック地震保険料の控除が適用されると所得税と住民税が安くなりますが、所得税と住民税で最大控除額は以下のように変わってきます。■所得税…支払った保険料の全額控除が可能であり、最大控除額は50,000円■住民税…支払った保険料の2分の1が控除され、最大控除額は25,000円※いずれも2017年3月現在控除額の計算に関しては、後述でさらに詳しくご紹介しましょう。【ポイント2】申請に必要なものをチェック地震保険料の控除を受けるには「控除証明書」が必要です。この書類は保険会社から郵送されるものであり、毎年9月~11月頃になるとハガキで送られてくるので、内容を確認してきちんと保管しておきましょう。なお、地震保険の契約が1年未満の場合は、保険証券と一緒に郵送されるケースが一般的です。年末調整時に控除を申請する場合は、この控除証明書の原本を提出します。年末調整時に証明書が見つからない場合は、すぐに保険会社に問い合わせましょう。再発行は基本的に無料ですが、郵送までに時間を要する可能性もあるので早めに問い合わせることが大切です。保険会社によっては、ホームページ上で再発行を受けることも可能です。【ポイント3】地震保険は単独では加入できない2011年に東日本大震災、2016年に熊本地震が発生したことで、これから地震保険への加入を検討する方もいることでしょう。ただし、一般的な地震保険は火災保険とセットで契約する必要があるので、地震保険は単独で加入することはできません。ここで注意しておきたいのが、控除の対象になる保険料です。2017年現在では火災保険料の控除を受けられないため、「地震保険も控除を受けられないのでは?」と勘違いしてしまう方も中には見られます。前述の通り地震保険料は控除の対象に含まれるので、加入している方はきちんと控除を申請するようにしましょう。なお火災保険は住居単位で加入するため、地震保険料の控除では契約者本人だけではなく、「配偶者や生計を共にする親族」も申請できます。■火災保険料や長期損害保険料でも控除を受けられる?長期保険契約の経過措置とは?前述では税制の改正以降、火災保険料は控除の適用範囲外になったとご紹介しました。しかし、実は火災保険や長期損害保険料でも控除が適用される例外が存在します。火災保険の損害保険料控除は2007年から適用されなくなりましたが、2016年12月31日までに加入した保険については、条件を満たすことで控除を受けられる可能性があります。このように、法律の改正により生じる損害を極力減らす対応のことを「経過措置」と言います。では、具体的にどのような条件を満たしていれば、火災保険料や長期損害保険料における控除を受けられるのでしょうか?以下で詳しく見ていきましょう。【条件その1】長期保険契約に該当する契約長期保険特約とは保険期間が10年以上のものを指します。つまり、2006年12月31日以前に契約した保険のうち、2017年1月1日以降も継続して加入している保険については控除が適用される可能性があります。ただし、契約を2006年12月31日までに行っていても、保険期間の始まりが2007年1月1日以降のものは控除の対象外となるので注意しましょう。【条件その2】満期返戻金が発生する契約満期返戻金が支払われる契約であることも、控除を受ける条件のひとつです。満期返戻金とは、保険料の全額を支払って満期を迎えた際に、契約者が保険会社から受け取れるお金のことを指します。【条件その3】保険料変更に関する内容変更をしていないこと火災保険や長期損害保険の中には加入後であっても、支払う保険料などを変更できる商品が存在しています。これは加入者にとってメリットと言えますが、2007年1月1日以降に内容変更で保険料を変更していると、控除の対象に含まれないので注意が必要です。上記3つの条件に該当するのは、「満期返戻金のある積立タイプ」の損害保険です。満期返戻金のある積み立てタイプとは、設定した時期(満期)までに毎月保険料を支払い、途中で解約した時や満期の時にお金が戻ってくる保険のことを指します。一方、満期返戻金がない代わりに月々の保険料が安く抑えられている「掛け捨てタイプ」の保険は、2006年以前に加入していても控除の対象には含まれません。また、上記でご紹介した経過措置の対象となる保険は、「火災保険」と「長期損害保険」です。たとえ移行期間であっても、自動車保険や財形貯蓄の損害保険などは経過措置の対象外です。ちなみに事業用資産の火災保険に関しては、損害保険料の控除がなくても「事業所得」、もしくは「不動産所得の経費」として計上できます。■地震保険料控除における控除額それでは、地震保険料の控除が適用されると、実際に税金はどれぐらい安くなるのでしょうか?所得税と住民税に分けて、所得税が10%の方の具体的な控除額を以下で見ていきましょう。【所得税】地震保険料控除の適用限度額(年間)■50,000円までは保険料の全額■50,000円超は一律50,000円【住民税】地震保険料控除の適用限度額(年間)■50,000円までは保険料の2分の1■50,000円超は一律25,000円【ケースその1】最大控除額所得税率が10%の方は、最大で以下の金額が控除されます。所得税…50,000円×10%=5,000円住民税…25,000円×10%=2,500円合計額…5,000円+2,500円=最大で7,500円【ケースその2】地震保険料を年間20,000円支払った方所得税では保険料の全額にあたる20,000円、住民税では保険料の2分の1にあたる10,000円が控除の対象となります。したがって、このケースでは以下の金額が控除されます。所得税…20,000円×10%=2,000円住民税…10,000円×10%=1,000円合計額…2,000円+1,000円=3,000円【ケースその3】12月頃に地震保険に加入した方地震保険料の控除では、1月1日から12月31日までに支払った保険料がその年の対象となります。そのため、地震保険に加入した時期が年末に近い場合は、保険料控除が翌年以降になる可能性があります。11月まで別の地震保険に加入しており、12月から新しい保険に変更した方も翌年以降に控除される可能性があるので、12月頃に地震保険に加入した方は保険料の支払い時期を調べるなどして、年末調整ができるのかについて事前に確認しておきましょう。■長期損害保険料における控除額次に、長期損害保険料の控除額について見ていきましょう。同じく所得税が10%のケースを例に挙げますが、地震保険料控除よりも少し計算が細かくなります。【所得税】長期損害保険料控除の適用限度額(年間)■10,000円までは保険料の全額■10,000円超~20,000円までは保険料の2分の1+5,000円■20,000円超は一律15,000円【住民税】長期損害保険料控除の適用限度額(年間)■5,000円までは保険料の全額控除■5,000円超~15,000円までは保険料の2分の1+2,500円■15,000円超は一律10,000円【ケースその1】最大控除額長期損害保険料控除では、所得税は最大15,000円、住民税は最大10,000円が控除されます。したがって、長期損害保険料の最大控除額は以下となります。所得税…15,000円×10%=1,500円住民税…10,000円×10%=1,000円合計額…1,500円+1,000円=2,500円【ケースその2】長期損害保険料を年間10,000円支払った方所得税では「保険料の2分の1+5,000円」にあたる10,000円、住民税では「保険料の2分の1+2,500円」にあたる7,500円が控除の対象となります。したがって、このケースでは以下の金額が控除されます。所得税…10,000円×10%=1,000円住民税…7,500円×10%=750円合計額…1,000円+750円=1,750円なお、地震保険料と長期損害保険料の両方を支払っている場合は、上記の方法で計算した各金額の合計が控除額となります。ただし、その場合でも所得税では50,000円、住民税では25,000円が適用限度額となるので注意が必要です。例えば、以下のようなケースに該当する場合であっても、適用限度額を超えることはありません。地震保険料における適用限度額…所得税が50,000円、住民税が25,000円長期損害保険料における適用限度額…所得税が15,000円、住民税が10,000円実際の適用限度額…所得税が50,000円、住民税が25,000円また、保険料を月払いではなく一括払いにした場合は、支払った金額のうち「1年間分に該当する保険料」がその年の控除対象になります。例えば3年分の保険料をまとめて支払うケースでは、支払った保険料を3で割った金額がその年の控除対象になるので覚えておきましょう。■まとめ2017年3月現在では、火災保険は年末調整の控除対象外となっています。しかし、火災保険の契約の際に「地震保険」にも加入した方であれば、地震保険料のほうで控除が適用されます。また、2007年より前から火災保険に継続加入している方も、条件によっては控除を受けることが可能です。火災保険だけでは節税できませんが、調べてみたら意外と控除対象になっているかもしれません。損害保険に加入した日付を確認して、可能であれば年末調整で控除を申請しましょう。
2017年04月04日