こんにちは、東京衛生病院小児科の保田典子です。私生活では7歳、5歳、3歳の子育て中です。1カ月健診のときによく出る質問のひとつが、赤ちゃんの目やにについてです。 赤ちゃんの目やには自然に治るものから、眼科で診てもらった方が良いものまでさまざま。新生児のときは、あまり気楽に外出もできないので、悩みますよね。今回は、目やにが出る原因、普段のケア、受診の目安についてお話ししたいと思います。 どうして「目やに」が出るの?目は、乾かないように涙で守られている臓器です。涙は目の上の方にある涙腺で作られて、目を潤したら、目頭にある涙点という小さい穴に吸い込まれ、鼻涙管(びるいかん)という管を通って鼻に流れていきます。この循環がうまくいっていると目やにはほとんど出ないのですが、どこかが停滞したり、何かしらの原因があると目やにが出ます。赤ちゃんは、いろいろなところのつくりがまだ小さいので、鼻涙管も細いです。ちょっとしたことで鼻涙管が塞がりやすく、目やにが出やすいのです。また、結膜炎など炎症が起きると、目やにがたくさん作られるため、鼻涙管を通って処理しきれずに、目やにが出ることになります。 普段のケア目やにがない、もしくは少ないようであれば、特にケアは必要ありません。お風呂のときなどに涙点がある場所を少しチェックしてみましょう。涙点の周りにちょっと目やにがついているだけで、栓のようになってしまい、目やにの原因になることがあります。お風呂の洗顔時に、目やにが残らないように目頭をガーゼなどでやさしく拭いてあげるようにしましょう。鼻涙管は鼻に抜ける管なので、鼻側で流れづらくなっても、目やにの原因になります。鼻涙管の鼻側で詰まる原因の第一は「鼻水」です。鼻水が多くて詰まりがちのときは、目やにを出さないためにも鼻水を吸ってあげてくださいね。(参照⇒親ができる鼻水ケアのやり方) 目やにが増えたら?目やにが増えたなと思ったら、まず、目が赤くないか、目の周りも赤かったり、腫れているところがないかチェックしましょう。目が赤い、目が腫れているなどあれば、眼科に受診を考慮した方が良いでしょう。 目が赤い等なければ、まずは、「鼻涙管マッサージ」を試してみましょう。【鼻涙管マッサージのやり方】目頭から鼻に抜ける場所をやさしくマッサージします。赤ちゃんの肌はすぐ赤くなってしまうので押さえるくらいでOK。グリグリしないように) 受診のタイミングは?1. 目やにが少し出るくらいなら慌てなくていいことが多いです2. 目が赤い、腫れている場合は眼科を受診しましょう3. 目が開かないくらいの目やにが出る場合も受診しましょう 家でできるケアと受診の目安を知っておいて、大事な赤ちゃんの目を守りましょう。 著者:医師 医療法人アドベンチスト会東京衛生病院 小児科医師 保田典子 先生医療法人アドベンチスト会東京衛生病院小児科医師。株式会社メドイース代表取締役。2003年筑波大学医学部卒業、国立国際医療センター、大阪市立総合医療センター小児循環器内科勤務を経て、2014年東京女子医科大学大学院博士課程修了後現職。小児科専門医。一般診療、小児循環器診療に加えて、漢方治療や発達相談にも対応している。Twitter:@kanoppeInstagram:@atama4970_yasuda
2019年12月26日妊娠・出産は病気ではないといいますが、何が起こるか予測できないというのも事実です。母子ともに健康で、より安心・安全に出産を終えたい! という方も多いことでしょう。今回は、より安心した環境で産みたい! ということで産院を選んだママたちの体験談をご紹介します。 私は、お医者さんが4人常勤でいらっしゃる産婦人科を選びました。緊急帝王切開になったとき、お医者さんがひとりだと大きな病院へ移らないといけないことがあるからです。よかったのは、ひとりの先生ではなく2人の先生に健診をしてもらっていたので、いろいろな見解を聞けたことです。少し2人の意見が違うと悩んでしまうこともありましたが、そのときは院長先生に質問して答えていただいていました。逆子が治らず、予定帝王切開でしたが、2人の先生が執刀してくださり、安心して産むことできました。 1人目のときは、自分が生まれた産婦人科で私も産みたい! と思い、地元の個人病院に迷わず決めました。しかし切迫早産になり1カ月入院……。2人目のときは、何かあったら心配なので夫と話し合い、総合病院を希望しました。 大きい病院は子どもや自身に何かあったときに、すぐに対応してもらえるので安心感があります。2人目の子どもが生まれてすぐに異常が見つかり、緊急手術になりました。術後はNICUに入院になったのですが、自分も同じ病院に入院しているので毎日退院するまでいつでも見に行くことができました。大きい病院で産んでよかったと思いました。 無痛分娩にしようと思い病院を探していましたが、無痛分娩に反対の夫が、産婦人科医と小児科医(NlCU勤務経験者)と助産師が分娩に立ち会う病院を探してきました。出産に医師が2人立ち会うことや、母体は産婦人科医、子どもは小児科医が診てくれ、子どもは生まれたときからその後成長していってもずっとその先生に診てもらえるので、すべて理解してくれているという安心感で選びました。 不妊治療後の妊娠だったこともあり、少しのトラブルにも安心して対応してもらえるように、NICUがある周産期母子医療センターに指定されている病院を選びました。 1人目は何かあったらいけないからと思い、総合病院へ行くことにしました。大きな病院だったので、産婦人科の外来と検査室が離れており、その結果、尿検査とか血液検査とか2階へ行ったり1階へ行ったりと、後期のおなかが大きくなった状態での移動ははきつかったです。 無痛分娩を希望していたため病院の選択肢は狭かったのですが、妊娠確定をもらった婦人科で何件か紹介してもらい、そのなかから決めました。家から一番近い病院は、妊娠2カ月時に連絡しましたが、すでに満員で受けつけてもらえませんでした。結局、家から車で1時間弱かかる病院に決めたのですが、大きな病院で小児科が有名だったので、もしもの時の安心感もあり、ここにしてよかったと思っています。 安心できる環境を重視して産院を選んだママたちの体験談をご紹介しました。医師が多い、小児専門医がいるなどの理由から総合病院を選ぶママも多いようです。みなさんは産院選びの際、何を重視しましたか?イラスト:(c)chicchimama
2019年12月26日こんにちは、東京衛生病院小児科の保田典子です。私生活では7歳、5歳、3歳の子育て中です。小児科の受診で多い訴えでもあり、乳児健診でよく質問されることもある「赤ちゃんの嘔吐」。1回の嘔吐でも病気じゃないのか、脱水にならないのかと、いろいろ考えてしまいますよね。今回は、なるべく慌てずに、でも受診のタイミングを逃さないためのコツをお伝えしたいと思います。 赤ちゃんが嘔吐しやすい理由は…?生後3カ月くらいまでの赤ちゃんは、元気でもよく嘔吐します。それは、ミルクが食道を通って胃に入っていくときに、胃の入り口の噴門(ふんもん)が大人よりも逆流しやすくなっているため、構造的に嘔吐をしやすいのです。 また、赤ちゃんは自分のおなかに対して、大量の母乳やミルクを飲んでいます。赤ちゃんには嘔吐をしやすい状況がいろいろと揃っているのです。だから、1回の嘔吐で慌てなくて大丈夫! 赤ちゃんは体の中の水分の比率が高く、脱水になりやすいです。でも、1回多量に嘔吐しただけでは脱水にはなりません。冬は小児科の外来は風邪の子がたくさんいます。嘔吐してすぐに受診すると、他の風邪をもらってしまうこともあるので、慌てずに対処していくことが大切です。 この嘔吐は病気?赤ちゃんの嘔吐の原因になる病気はたくさんありますが、ここでは大きく2つご紹介したいと思います。 1. 肥厚性幽門狭窄症(ひこうせいゆうもんきょうさくしょう)生後2週間から2カ月くらいの赤ちゃんに多い病気です。胃の出口である幽門(ゆうもん)が狭いために、ミルクが胃から先に進まないために嘔吐します。発症すると、母乳やミルクを飲むたびに毎回のように多量に嘔吐します。発症当初は元気ですが、栄養が入らないので、赤ちゃんは体重が減ってきます。 2. 胃腸炎代表的なものはロタウイルスやノロウイルス、アデノウイルスなどですが、それ以外にも嘔吐や下痢を起こす病原菌はたくさんあります。嘔吐があり、食欲が落ち、下痢をすることもあります。嘔吐が続く、水分が摂れないことが続くと、脱水になる危険があります。 嘔吐したときのケアは? まずは呼吸をチェック嘔吐をしたら、まず赤ちゃんの呼吸状態をチェックします。吐物が逆流して気管に入ってしまうことがあるからです。そして、口の中に嘔吐物がまだ残っていないかのチェックです。残っていたら、かき出してあげましょう。大事なのは、胃腸炎なら親も移ることがあることをお忘れなく。いつもと違う吐き方をしたら、まずは手袋マスクをつけて、ケアしてあげましょう。 縦抱きで様子をみる呼吸のチェックのあと、赤ちゃんがまだオエオエと気持ち悪いのが続いているようなら、縦抱っこで抱き上げて、背中をやさしくトントンしたりさすったりしてあげましょう。特に吐き気もなく、けろっとしているようであれば、嘔吐で汚れた衣類などを処理しましょう。 水分はすぐにあげなくてOK嘔吐をすると脱水が心配ですぐ水分をあげたくなるかもしれません。でも、1回の嘔吐ですぐ脱水になることはありません。赤ちゃんの機嫌をみて、元気がないようであれば、1〜2時間くらい何も口にせず様子をみましょう(私は自分の子どもであれば、4〜5時間くらい我慢させてしまったりします)。お腹が空いている様子がみられたら、本当に少量から水分摂取をしてみましょう。 水分は母乳やミルクでOK水分摂取は、まずはいつも飲んでいる母乳やミルクで大丈夫です。授乳が終わっている子であれば、白湯、麦茶、りんごジュース(乳幼児用)などを飲みましょう。まずは一口ずつから試してみて、15分経過しても再度吐かないようであれば、飲む量を増やしていきましょう。 受診のタイミングは? 1回の嘔吐では脱水にはなりませんが、それでも大人よりは脱水になりやすい赤ちゃん。水分をとっていなくても3~4時間しょっちゅう嘔吐が続くようであれば、一度受診をしましょう。あわせて、①下痢が半日で7-8回以上でる、②ぐったりしている、などの症状があれば、発症後半日で受診をしましょう。 元気で下痢などがなくても1回の嘔吐の量が多く、1日の吐く回数も4-5回以上が続くときは受診を考えてみてください。受診を迷った場合は小児救急電話相談(#8000)にご相談されてもいいかと思います。軽症だから何も処置されなかった、気がついたら脱水になっていて点滴になってしまった、など赤ちゃんの嘔吐は予測がつきにくいところもあります。救急相談などを利用して、慌てず対処できたらママやパパの負担も軽くなるのかな、と思います。 著者:医師 医療法人アドベンチスト会東京衛生病院 小児科医師 保田典子 先生医療法人アドベンチスト会東京衛生病院小児科医師。株式会社メドイース代表取締役。2003年筑波大学医学部卒業、国立国際医療センター、大阪市立総合医療センター小児循環器内科勤務を経て、2014年東京女子医科大学大学院博士課程修了後現職。小児科専門医。一般診療、小児循環器診療に加えて、漢方治療や発達相談にも対応している。Twitter:@kanoppeInstagram:@atama4970_yasuda
2019年12月22日年末年始は病院が空いていないところも多いもの。でも、そんな時に限って赤ちゃんが発熱…なんてことも。赤ちゃんを見ていて何か普段と違うな〜と感じたら、体調が悪いのかもしれません。平常時に熱を測って平熱を把握しておけば、そのときの熱の高さがどのくらいかわかります。そのうえで「熱がある」と判断した場合、ママがまずやるべきことは? 注意点や手順を解説します。 赤ちゃんが発熱したときのホームケア赤ちゃんの熱が上がり始めるときは、手足が冷たくなり、場合によっては震えが生じることがあります。お熱が上がっている最中は、掛け物をかけて保温してあげましょう。洋服を着せたり脱がせたりするのではなく、掛け物だけで調節することで、赤ちゃんの体力を必要以上に消耗させずに済みます。 調整・こまめにタオルで汗を拭きましょう・掛け布団の枚数を減らしましょう・肌着以外の服を脱がせたり、着替えさせましょう・寒がっているような場合は、保温を続けましょう・室温の調節も忘れずに クーリング・保冷剤をタオルで包んだもの等でクーリングしましょう。冷やすことで、赤ちゃんが気持ちよく休めます・赤ちゃんの手足が冷たかったら、靴下を履かせるなどして、温めます。熱ければ冷やす等、調節してあげましょう 水分補給・母乳・育児用ミルク・水・麦茶など、月齢に合わせてたものを、こまめに飲ませましょう 解熱剤の使用・医師に指示された処方の用法・用量・期限を必ずご確認ください 夜間に赤ちゃんが発熱したとき、受診するかどうか迷ってしまうこともあるかもしれません。そんなときは、#8000(子ども医療電話相談)に電話して相談してみましょう。小児科医や看護師さんから、お子さんの症状に応じた対処の方法やアドバイスをうけられますよ。 監修者:医師 葛飾赤十字産院院長 三石 知左子 先生東京女子医科大学小児科入局後、東京女子医科大学母子総合医療センター小児保健部門講師などを経て、現在、葛飾赤十字産院院長、東京女子医科大学非常勤講師。
2019年12月21日赤ちゃんとの毎日がもっとラクに、もっと楽しくなる。ベビーカレンダーは、そんな毎日を応援するコラムを絶賛連載中! 献立を考えたり、量や硬さに気をつけたり、何かと手間のかかる離乳食。毎日の育児を笑顔で楽しく続けられるように、ほんの少し肩の力を抜いて、ラクをしてみませんか? 多くのママたちが大変と感じているお世話のなかで「この育児はしなくて大丈夫」「ここまでならラクをしてOK」というポイントを、小児科医であり、3児の母でもあるさくらんぼこどもクリニックの三日市薫先生が紹介します。第5回目は離乳食前編です! ここが大変① 朝は忙しくて離乳食を準備できない 調理いらずの食材を活用手間をかけなくても、パンやチーズ、果物といったそのまま食べられるメニューで十分です。大人の分から取り分けられる味噌汁やスープも便利です。また、ベビーフードを活用するのもおすすめ。硬さや味つけの目安の参考にもなります。 1〜2回食の時期ならば、朝は母乳や育児用ミルクにして、昼や夕方を離乳食にすると時間にゆとりができますね。極端な偏食ではない限り、毎食ごとの栄養バランスはこまかく気にしなくても大丈夫です。離乳食の栄養素は2~3日単位で考えます。他の食事で補いながら、バランスをとるように心がけましょう。 ここが大変② 食べこぼしが多く、後片づけが疲れる エプロン&敷物で負担を軽減服や床を汚したり、皿をひっくり返したり……赤ちゃんの食事の片づけは一苦労ですね。とはいえ、汚れるのが嫌だからといって、すべてお母さんが食べさせるのは避けましょう。赤ちゃんがスプーンなど道具を使う経験も必要です。ポケット付きや大きめのお食事エプロンをしたり、床に新聞紙や敷物を敷く対策をすると、着替え・後片づけの負担が軽くなります。 手づかみ食べは1品だけでもOK生後9カ月ごろになると見られる手づかみ食べも、触感を養ったり、自分で食べるための練習になるなど成長に必要なことです。食べる意欲が出てきた証拠と思い、パンやバナナなど汚されにくい1品だけでもさせてあげましょう。 ここが大変③ 好き嫌いが激しく苦手な食材を食べてくれない 赤ちゃんの好き嫌いは気にしなくてもOK好き嫌いのない子に育ってほしいという思いから、心配になる気持ちもわかります。しかし、赤ちゃんの味覚は未発達で、将来的な好き嫌いにはつながりません。味覚が形成されるのは3歳ごろになります。嫌いな物はおかゆに混ぜたり、食感を変えてみたりと工夫をしながら、気長に様子を見ていきましょう。無理に食べさせなくても、ある日突然食べるようになったりもします。 離乳食の目安量はあくまで参考程度に考えて食べる量も月齢や離乳食の進み方の目安がありますが、大人も一人ひとりで食べる量が違うように、赤ちゃんもそれぞれ違います。基本は食べたいだけ食べさせて構いません。目安量に達しなくても、体重が順調に増えているならば、その子にとっての適量と思って見守りましょう。 まとめ離乳食で疲れないために大切なのは、「離乳食は手抜きで作る」ということです。ママが一生懸命作れば作るほど、食べてもらえなかったときの不満は、つい赤ちゃんに向かいがち。お母さんが怖い顔をしてスプーンを口に持ってきたら、赤ちゃんは食事が楽しくなくなってしまいます。笑顔で食事の時間を過ごせるように、肩の力を抜いて取り組んでいきましょう。 監修者:医師 さくらんぼこどもクリニック院長 三日市 薫 先生東京女子医科大学卒業、東京大学医学部附属病院、日本赤十字社医療センター、川崎市の保健所勤務などを経て、東京・府中市にさくらんぼこどもクリニックを開院。3人のお子さんをもつ母親でもあり、地域の方々と一緒に病気を考え、子育てができる環境づくりに励んでいる。著者:ライター 大浦綾子2015年8月生まれの男児の母。出版社勤務を経てフリーの編集・ライターに。「夜の寝かしつけ後に仕事を残さない!」を目標に日々奮闘中。
2019年12月21日今、SNSで話題になっている「熱性けいれん」。娘さんが熱性けいれんを起こして救急車に運ばれた状況を他の方のためにと綴ったものです。このママは正しい知識があったため助かったようですが、正しい知識を持っているママやパパは意外と少ないもの。そして、生後6カ月以上の赤ちゃんが38度以上の発熱をしたときに起こりやすいのが「熱性けいれん」。けいれんしている赤ちゃんをみると、ママは動揺してしまいがちですが、冷静に対処することが大切です。ここでは原因や適切な処置方法をご紹介します。 熱性けいれんを起こしたときの対処法1)熱性けいれんは、小児期でもっとも多いけいれんとされていて生後6カ月~5歳の間、38度以上の発熱にともなって引き起こります。一般的には数十秒で終わりますが、時に、1分以上続くこともあります。2)けいれんが起きたときに、赤ちゃんを揺さぶったり、大きな声で赤ちゃんを呼んだりしてはいけません。余計な刺激を与えることで、けいれんが長引いてしまう恐れがあります。落ち着いて、赤ちゃんのそばにいて状況を観察しましょう。3)赤ちゃんの衣服を緩め、(特に首回り)4)横向きに、寝かせましょう。5)その際、嘔吐したら、嘔吐物を喉に詰まらせないよう拭き取り顔を横に向けます。6)慌てて口の中に指やタオルを入れないようにしてください。7)けいれんを起こしたときの状況(体温・発症時間・けいれんの持続時間など)をわかる範囲でメモしておきましょう。8)クーリング(氷まくらなどで体を冷やすこと)をしていない場合は、クーリングを開始しましょう。タオルケットなどをかけている場合は、減らしたり薄手のものに交換しましょう。9)また、医師からけいれん止めの坐薬が処方されている場合は、必ず医師の指示に従って、用法・用量を守って使用しましょう。 受診の判断についてその後、受診するかどうかの判断は、かかりつけ医や休日・夜間であれば、救急病院、#8000(子ども医療電話相談)に電話をして相談してみましょう。ただし、・初めての熱性けいれん(特に1歳未満)・けいれんが5分以上続く・短い間隔で繰り返しけいれんが起き、意識もうろうとしている・けいれんに左右差がある・けいれんを起こしたときのお熱が38.0度以下だった等の場合は、受診してください。熱性けいれんの際に大事な “おしゆはき”お…落ち着いてし…静かにゆ…衣服を緩めるは…離れないき…状況を記録する 実際にわが子が、熱性けいれんで苦しんでいる場面を見ると、パニックになってしまうかもしれません。しかし、そこをぐっとこらえて、あわてず、落ち着いて状況を観察することが大事です。きっと一番心細いのは赤ちゃん本人なので、ママはなるべく赤ちゃんのそばから離れず見守っていてあげましょう。 監修者:医師 葛飾赤十字産院院長 三石 知左子 先生東京女子医科大学小児科入局後、東京女子医科大学母子総合医療センター小児保健部門講師などを経て、現在、葛飾赤十字産院院長、東京女子医科大学非常勤講師。
2019年12月14日【知っておきたい】インフルエンザの基礎知識小児科医の加納友環(ぱぱしょー)先生に、「インフルエンザ」についてお話を伺いしました。薬は飲んだほうがいいの…?副作用との天秤になるが、発熱期間を少し短くする効果があるので受診して薬をもらうのはありだと思う。インフルエンザの予防策は…?予防接種を受けるのが良いので、年内には接種を終えたいですね。そのそも予防接種は効果があるの?効果が実感できない人もいますが、ぜひ受けてほしいです。ほかにも、具体的な妊娠・出産にかかる費用について詳しくインタビューしています。ぜひ動画をチェックしてみてくださいね。動画目次0:22 インフルエンザA型B型とは?1:07 インフルエンザと風邪の違い1:51 お薬は飲んだ方がいい?2:29 インフルエンザ予防策とは3:41 予防接種しても病気になるのはなぜ?字幕付きのため、音声なしでもお楽しみいただけます♪子育てに役立つ情報が盛りだくさん!ままのてのYouTubeチャンネルでは、ママ・プレママの素朴な疑問やリアルな悩みを解決します。【SNSで大人気!】離乳食を食べ始めた息子が…?【簡単解説】ふるさと納税とは?【実録!】はじめての予防接種体験!【妊娠7ヶ月!】管理栄養士の妊娠中のリアルな食生活【保育士実践】赤ちゃんのげっぷの出し方とコツ動画は絶賛更新中!ぜひチャンネル登録してみてくださいね。
2019年12月11日赤ちゃんとの毎日がもっとラクに、もっと楽しくなる。ベビーカレンダーは、そんな毎日を応援するコラムを絶賛連載中! 服を脱がせて、風邪をひかせないように手早く洗って、服を着せて……。赤ちゃんのお世話でも特に大変なのがお風呂です。特にママ1人で入れるとなると負担も大きくなりますよね。毎日の育児を笑顔で楽しく続けられるように、ほんの少し肩の力を抜いて、ラクをしてみませんか? 多くのママたちが大変と感じているお世話のなかで「この育児はしなくて大丈夫」「ここまでならラクをしてOK」というポイントを、小児科医であり、3児の母でもあるさくらんぼこどもクリニックの三日市薫先生が紹介します。第4回目はお風呂・スキンケア編です! ここが大変①毎日お風呂に入れるのがひと苦労 赤ちゃんが眠ってしまった!起こして入れるべき?ママの体調がすぐれないときや、赤ちゃんが眠ってしまったときなど、お風呂に入れるのが大変な日もありますね。よほど汗や汚れが気にならなければ、毎日お風呂に入れなくても大丈夫です。ぬるま湯でしぼったタオルやガーゼで体を拭いてあげれば、さっぱりします。あせもやかぶれなど肌トラブルがある赤ちゃんは、できればサッとシャワーで流してあげるほうが良いですね。 洗浄料で洗わない日があってもOKお風呂に入ったときも、毎回洗浄料で全身を洗う必要はありません。首、わきの下、おしり、股、太ももなどは汚れが溜まりやすい部位を洗えば、その他はお湯で流すだけでもある程度の汚れは落とせます。赤ちゃんの肌の状態やご機嫌に合わせて適度にラクをしましょう。 ここが大変②こまめに保湿をするのが大変 肌が乾燥していなければお休みしてもOK特にお肌が乾燥していなくて湿疹などのトラブルも起きていない赤ちゃんには、お休みする日があっても大丈夫です。冬は乾燥しやすいので、外気にさらされる顔部分はしておいたほうが良いでしょう。保湿とは、基本的に皮脂の足りない部分を補うものなので、やりすぎに注意しましょう。逆に夏に保湿をしすぎて、あせもができることもあります。特に、3カ月までの赤ちゃんは皮脂の分泌が多く脂っぽいのでカサカサしている部位のみで大丈夫です。 お風呂での洗いすぎが乾燥肌を招く!?赤ちゃんの肌が乾燥してしまう原因のひとつが、お風呂での洗いすぎです。汚れを落とそうとゴシゴシしすぎると、必要な皮脂まで流れてしまいます。洗浄料はたっぷりの泡で素手でやさしく洗うのが基本。冬など乾燥しやすい時期は、週に数回は洗浄料を使わない日をつくるのもおすすめです。 ここが大変③赤ちゃんの衣類を分けて洗うのが面倒大人の衣類と一緒に洗濯してOK肌がデリケートな赤ちゃんでない限り、0カ月から大人と同じ洗剤で洗っても問題ありません。大切なのは、洗剤が残らないように、洗剤の適正量を守り、すすぎをしっかりすることです。 柔軟剤の選び方に注意むしろ気をつけて欲しいのは、柔軟剤の選び方です。最近は香りが強く、持続しやすいタイプがトレンドですが、赤ちゃんへは刺激が強すぎる恐れもあります。使用を控えるか、無香・微香タイプを選ぶようにしましょう。 まとめお風呂やスキンケアは、お手入れをしすぎることで赤ちゃんのお肌に刺激を与えてしまう場合もあります。赤ちゃんの肌の状態が良さそうならば、1日くらいお休みしても大丈夫です。ママがゆったりした気持ちで毎日を送ることを大切にしてくださいね。 監修者:医師 さくらんぼこどもクリニック院長 三日市 薫先生東京女子医科大学卒業、東京大学医学部附属病院、日本赤十字社医療センター、川崎市の保健所勤務などを経て、東京・府中市にさくらんぼこどもクリニックを開院。3人のお子さんをもつ母親でもあり、地域の方々と一緒に病気を考え、子育てができる環境づくりに励んでいる。著者:ライター 大浦綾子2015年8月生まれの男児の母。出版社勤務を経てフリーの編集・ライターに。「夜の寝かしつけ後に仕事を残さない!」を目標に日々奮闘中。
2019年12月07日胆道閉鎖症とは?「もう少し早く気づいていれば・・・」そんな声が聞こえてくるようでなりません。今回は多くの人に知ってもらいたい、早く気づいて治療につなげてもらいたい、そんな気持ちで紹介する病気です。その名を胆道閉鎖症といいます。胆道閉鎖症は新生児期に約10,000人に1人の確率で発症し、合併症により消化管出血や皮下出血、ときに脳出血を起こしてしまう命に関わる病気です。生後2ヶ月以内・・・できるだけ早くに見つけて手術をすることで、その予後が変わるため早期発見がとても重要です。ただ残念なことに、医療機関でスルーされてしまった事例もあるというのが現実です。知っておくべき、胆道閉鎖症の3つの症状病気の発症そのものを予防する方法は今のところありません。できるだけ多くの患者さんが早期発見、治療につながるようにと思います。どのような症状に注意しておけば気づくことができるでしょうか。3つの症状について説明します。1.黄疸身体の中の老廃物のひとつとしてビリルビンという物質があります。本来、ビリルビンは胆汁として腸から便へと排出されますが、胆道閉鎖症を発症した場合には便へ排出されず、血液の中に増えてしまいます。これにより皮膚や、目の白目の部分が黄色くなってくるのです。胆汁については、のちほど詳しく説明します。2.便の色胆汁が排出されないため、便の色はうすい黄色であったり、白っぽい便になることが特徴です。母子手帳には早期発見のために「便色カード」が添付されており、赤ちゃんの便と比較できるようになっています。白っぽい便であれば、胆道閉鎖症を強く疑うことができますが、黄色っぽい便でも実際には病気にかかっているという場合もあり、便だけでは判断することができません。赤ちゃんの便の色が気になる方は、母子手帳に添付されている「便色カード」を確認してみてくださいね。3.尿の色血液の中に増えたビリルビンは腎臓から排出されるので、尿の色が濃い黄色から、ウーロン茶のような褐色のように濃くなります。尿が染み込んだおむつの色を確認するようにしましょう。上記3つの症状がありますが、「これがあれば胆道閉鎖症」だと判断できるという決定的な症状はありません。ひとつだけで判断すると見落としが起こるため複数の症状を見て判断する必要があります。胆道閉鎖症で脳出血を起こすのはなぜ?胆道閉鎖症を発症すると、場合によっては脳出血を起こすことがあります。胆道は消化器系の臓器なのに、どうして脳出血を起こすのか不思議に思われる方もいるでしょう。少し複雑ですが、病気の仕組みを説明します。脂肪の消化吸収に必要な「胆汁」は肝臓でつくられ胆のうに貯蔵されます。そして食事をすると胆汁が総胆管(胆道)を通って十二指腸に送られ食べ物と出会い、脂肪の消化吸収の手助けをします。胆道閉鎖症はこの総胆管(胆道)が閉鎖してしまっているので、脂肪が吸収されません。脂肪が吸収されないと、脂肪に溶けるビタミンであるビタミンKが吸収されなくなり、ビタミンK不足により血が止まりにくくなってしまうのです。血が止まりにくくなると、青あざができたり、消化管出血で便が赤く(黒く)なったり、脳の中に出血してけいれんを起こしたりと命に関わる場合があるのです。また胆汁が排出されなくなるので、肝臓にはどんどん胆汁がたまり(胆汁うっ滞)、肝臓の細胞は正常にはたらくことができません。肝臓の細胞が破壊されていき、最終的には完全に壊れる「肝不全」になってしまい命に関わります。豆知識「ビタミンK」血液の「凝固因子」を作るはたらきをします。生後間もない赤ちゃんはビタミンKを体内で作る機能が未熟で不足しがちです。そのため、産院では赤ちゃんにK2シロップを与えています。胆道閉鎖症の治療法は?胆道閉鎖症を発症した場合、胆道が閉鎖してうっ滞するため、手術によって胆汁が腸へ排出される経路を作らなければなりません。予後に影響するため生後2ヶ月以内に、「葛西手術」と呼ばれる手術をすることが望まれます。また胆汁うっ滞が進み肝臓へのダメージが大きい場合、「肝臓移植」が必要になることがあります。早期発見が重要!胆道閉鎖症は予後にかかわるため、早期発見が重要です。しかし残念ながら、この病気は医療機関でも見過ごされることがあるのが現実です。便は典型的には灰白色便になるのですが、実際にはうすい黄色ということもあります。私が経験したケースでも灰白色ではありませんでした。ある日の診察で問題ないと判断されても、時間がたつと状況が変わっていることもあります。胆道閉鎖症は小児外科が専門ですので、かかりつけの小児科が詳しくないこともあります。判断ができないときや納得のいく説明が得られないときには、専門機関への紹介など他の医師の意見を聞くことを考慮してくださいね。赤ちゃんの家族にできること統計によると、胆道閉鎖症は年間約100人の患者さんが発生して、うち数人が脳出血を発症します(※1)。発見が遅れることにより、命にかかわります。1ヶ月健診のときに気になる症状がなくても、2ヶ月のワクチン接種時までに症状が変化していることもあります。この病気を知って早く受診しましょう。ある患者さんの保護者はこう語ります(※2)。黄疸が長引いて、脳出血を起こすなんて知らなかった薄い黄色(淡黄色)の便が続くことが病気の症状だと教えてほしかった早期発見により、赤ちゃんの命を救い、このように悔しい思いを抱いている保護者を減らすことはできるはずです。産後間もない中で慣れない育児に奮闘しているママ、パパ、そしてそのご家族のみなさん。大変な中ではありますが、赤ちゃんを守るために、赤ちゃんの便や尿の色、皮膚や白目の色はこまめに確認してあげてくださいね。ぱぱしょー先生によるお役立ち動画はこちら!YouTubeのままのてチャンネルでは、専門家の先生による育児に関するお役立ち情報を配信しています。ぱぱしょー先生の動画も好評配信中!チャンネル登録をよろしくお願いたします。パパ小児科医(ぱぱしょー)先生の過去のコラム著者:加納友環(ぱぱしょー)二児(2歳、4歳)の父で小児科専門医。TwitterやInstagramを中心に子育て当事者の立場から、また医療者の立場から子育てに役立つ情報を発信しています。
2019年12月03日出産前は意識していませんでしたが、子どもは急な発熱やケガなどのトラブルがつきものです。そんなもしものときに慌てずに対処できるように、私がおこなった緊急連絡先の洗い出しや小児科のリサーチなど、役立った3つのことをお伝えします。 近所の小児科をリサーチしておく私がまず出産前におこなったのは、近所の小児科のリサーチでした。Googleマップで小児科を探して、一軒ずつ口コミや行き方を調べました。診察時間や、予約の方法がネット予約なのか直接行かないといけないかなど、いろいろ調べることができます。ストリートビューの機能を使って、実際に子どもを連れて行く道順を確認したりもできるので、いざ子どもを連れて行くとき、道に迷ったり予約方法を探したりする手間が省けました。他にも休日診療の小児科を確認したり、かかりつけにする予定の病院が休みだったときのために、他の病院は何曜日休みなのかもチェックしておきました。 救急車を呼ぶときの手順を確認呼ぶ機会がないことを願いますが、救急車の呼び方も調べました。特に1歳未満は高熱や熱性けいれんなどで、状況によっては救急車を呼ぶ必要があると知りました。そこで、救急車を呼んだときに聞かれる内容や持ち物(保険証、医療証、お薬手帳、母子健康手帳、おむつなど)をリストにして冷蔵庫の目立つ場所に貼りました。さらに、いざとなったときにパニックになる自信があった私は、読み上げる用に家の住所と電話番号も一緒に書いておきました。実際、長男が2歳のときに救急車を呼ぶことになり、このリストは本当に役に立つことになったのです。 夜間救急やサイトも登録子どもが深夜に熱を出したときなどに、対処法を相談できるサイト「こどもの救急」も事前に調べブックマークしておきました。その他にも、こども医療でんわ相談(#8000)や、住んでいる場所での夜間休日救急の問い合わせ先(電話番号・住所)もスマホに登録しておきました。地域のこういった情報は、市のホームページなどから簡単に調べることができます。また、わが家には当時、自転車も車もなかったので、移動手段としてタクシー会社も調べて登録しておきました。 お伝えしたリサーチがわが家では大いに役立ちました。特に近所の小児科は病気やケガだけではなく、予防接種などで長く通うため、時間に比較的余裕のある産前にじっくりと調べることができてよかったです。 著者:竹内優実5歳と2歳の男児を育児中。時短と節約が大好きなアラフォー母。簿記2級・MOSマスター・初級シスアド取得。パソコンを活かした育児グッズの作成が得意。夫は激務の為、ほぼ一人育児中。
2019年12月01日一般的に春先と晩秋〜初冬にかけて現れる、嫌~な臭いを出すカメムシ。カメムシが出す嫌~な臭いには、皮膚炎を引き起こす場合があるようで、わが家の次男に悲劇が起きてしまいました……。 ベランダに現れるわが家の天敵 “カメムシ”!私が住んでいる地域は山が多く、家のすぐ隣には山があります。そのためか、秋の終わりから冬のはじめごろになると、家のベランダによくカメムシがやってきます。カメムシにはさまざまな種類がいるそうですが、わが家に現れるのは“クサギカメムシ”という種類。茶色くて、五角形のような形をしています。 外干ししている洗濯物にくっついていることがしばしばあるため、秋ごろからは洗濯物を徹底的に確認します。しかし1匹見落としてしまい、生後6カ月だった次男の服に潜んでいたことがあったのです。 服を着せたら突然の号泣!生後6カ月だった次男の入浴を済ませ、夫に次男の着替えなどをお願いし、自分の入浴を済ませていました。すると次男の大きな泣き声が聞こえ、慌てて浴室から駆けつけると、ふと次男からカメムシの臭いが。 まさかと思い、次男の服を脱がせたところ、服の中から1匹のカメムシが出てきました。服の太ももあたりに潜伏していたようで、次男の太ももを見ると、直径2cmほどの範囲が内出血のようになっていました。まさにその部分から、カメムシの臭いがするのです。 カメムシの体液には毒がある!?慌てて夫とカメムシについて調べると、カメムシの出す臭いの正体は体液だそうで、その体液には有害物質が含まれているそうです。特にクサギカメムシの体液は皮膚炎を起こすこともあるらしく、その際には皮膚に激痛が走るのだそうです。 慌てて次男の太ももを洗い流し、家にあった軟膏を塗り、濡れタオルで冷やすという応急処置をしました。その後は次男も落ち着いたので一晩そのままで過ごし、翌日に小児科へ行きました。 1年経った今でも跡は消えず…▲実際の写真 翌日に小児科を受診して、軟膏を処方してもらいました。内出血のように真っ赤になってしまった箇所は、1週間ほど経つと紫色に変色し、そのまま赤茶色に変色してしまいました。 そして1年経った今でも、茶色く変色したままです。子どもの服だけでも、もっと念入りに確認しておけばと後悔しました。大人だったのならまだしも、子どもにつらい思いをさせてしまったことに申し訳ない気持ちでいっぱいです。 カメムシの体液が皮膚炎を引き起こすとは知らず、次男にかわいそうなことをしてしまいました。この経験以来、カメムシはわが家の天敵になりました。カメムシ用の殺虫剤を常備し、洗濯物の確認も徹底するようにしています。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 著者:ライター 木村なち三児の母。現在4人目を妊娠中。パニック障害を抱えながらの妊娠・出産・育児の経験に基づき、体験談を中心に執筆している。
2019年12月01日こんにちは、東京衛生病院小児科の保田典子です。私生活では7歳、5歳、3歳の子育て中です。生後5~6カ月から始める離乳食。準備もあるし、食べないこともあるし、ぐちゃぐちゃになるし……。心配のタネも増えますが、赤ちゃんがますます可愛いこの時期、離乳食をママもお子さんも楽しく乗り切るために知っていただきたいことをお話したいと思います。 そもそも「離乳食の役割」ってなんだろう?0歳の赤ちゃんの栄養摂取のメインは、母乳やミルクです。離乳食は、 WHO(世界保健機関)では「補完食」と言われていて、生後半年ごろから母乳やミルクだけでは足りなくなる栄養素を補充するための食べ物、という位置づけです。また、今後ずっと続く食事に少しずつ慣れていくための時期でもあります。 赤ちゃんによってはなかなか離乳食を食べてくれない子もいますが、この時期は母乳やミルクが栄養のメイン。離乳食はあくまで“不足する栄養を補うもの”なので、焦らずに、赤ちゃんの成長を待つイメージで食事ができればいいのではないかと思っています。 心配なことは、生後6~7カ月健診、9~10カ月健診などで、赤ちゃんを専門家に実際診てもらいながら相談してみてくださいね。 押さえるべき離乳食の新常識!2019年春、厚生労働省の離乳食のガイドが改訂されました。ポイントは… ①卵は生後5~6カ月から開始改定前は生後7~8カ月から開始推奨だった卵ですが、食べることを遅くしてもアレルギー予防にはならないので、卵は生後5~6カ月から開始することになりました。赤ちゃんは、この頃どんどん体が大きくなり、体を作るモトであるたんぱく質がたくさん必要です。卵は良質なたんぱく源なので、初めは少しずつ食べさせて、ちょっとずつ増やしていってみましょう。 ②生後6カ月ごろから鉄分不足を補う必要がある母乳育児の場合、改定前は生後9カ月ごろから鉄分が不足するとされていましたが、改定後は生後6カ月ごろから積極的に鉄分を摂るように推奨されています。体が成長する時期は、特に鉄分が足りなくなりやすいです。鉄分が不足すると、発育発達遅延や運動機能・認知機能低下のおそれもあるため、積極的に鉄分を意識しましょう。ほうれん草などは吸収率が低いので、赤身の肉などを使用するのがオススメです。このほかにも、③離乳食開始前に果汁は与えない、④ママやパパの負担を減らすため、ベビーフードの活用などもすすめられています。 卵などを食べ始める時期を遅くすることでアレルギーは予防できないことがわかってきています。逆に、食べるのを遅くするとアレルギー発症が増えるとの報告もあるので、あまり食べなくても、食材はどんどん増やしていってみましょう。 ママの負担が少ない離乳食生活を! 私が離乳食を作っていたころは、おかゆを小分けにして冷凍するのも面倒になってきて、最終的には炊飯器に小さなお椀を入れて炊飯して、おかゆを作っていました。炊きたてなのでおいしいのかよく食べてくれたので、この作戦はうまくいったかなと思います。これに味をしめて、炊飯器の中にいくつかお椀を入れて、具材とだし汁を入れて炊飯器のスイッチポン! おかずも同時に作って離乳食を作っていました。(※1)中期や後期からは、大人のおかずを取り分けしていました。日本食はそもそも塩分が多く、大人も塩分を控えめにした方が良いので、まずはだし汁だけでおかずを作って離乳食用に取り分けて、大人用はあとから少しだけ味を足す、というスタイルだと大人も子どもも簡単ヘルシーな食事が作れます。なるべく自分が疲れない方法で離乳食期を乗りきっていました。親に負担が少ない離乳食との付き合いかたは、人によって違うのかなと思います。「自分はやっぱり味の濃いガッツリメニューが好き!」ならば、取り分けは向いてないと思いますし、「料理大好き! 赤ちゃんもたくさん食べてくれる!」とかなら、離乳食を頑張って作ること自体を楽しめて、幸せ子育てにつながると思います。私はベビーフードを買うのも面倒だったので、レバーなど自分で調理がしづらい食材やお出かけの時だけベビーフードを使用していましたが、ベビーフードは清潔で安心だし、手軽だから良いですよね。離乳食づくりが負担だと思う方は、ベビーフードで乗り切るのも全然ありなのではないでしょうか。 家族みんなが楽しい食生活を目指しましょう栄養面ももちろん大事なのですが、離乳食のもう一つ大事なことは「食事の時間は楽しい、おいしい時間であること」と赤ちゃんにわかってもらうことです。食べなかったり、ぐちゃぐちゃにされることで親がイライラしてしまうこともあるかと思います。 そんな日もありますが、なるべく「おいしいね、楽しいね」という時間にしてあげたいもの。「食べなくてもいい」「汚れてもいい」親に負担の少ないスタイルを見つけて、楽しい離乳食期が過ごせるといいですね。 (※1)炊飯器で離乳食調理ができないものもあるので、事前にメーカー確認をする、専用の容器を使用するなど、ご自身の責任と判断によってご対応をお願いいたします。 著者:医師 医療法人アドベンチスト会東京衛生病院 小児科医師 保田典子 先生医療法人アドベンチスト会東京衛生病院小児科医師。株式会社メドイース代表取締役。2003年筑波大学医学部卒業、国立国際医療センター、大阪市立総合医療センター小児循環器内科勤務を経て、2014年東京女子医科大学大学院博士課程修了後現職。小児科専門医。一般診療、小児循環器診療に加えて、漢方治療や発達相談にも対応している。Twitter:@kanoppeInstagram:@atama4970_yasuda
2019年11月29日赤ちゃんの体調が悪いときに行くのが小児科。でも小児科恐怖症や小児科ジブシーになるママもいるようです。今回は、ダメ母の烙印を押されてしまったという私の体験談をご紹介します。こんなことでママたちは医師に怒られてしまうこともあるんです。 「なぜもっと早くこないんだ」と怒られる働くママのあるあるですが、仕事をしていると基本的には土曜日の午前中にしか受診できません。もちろん平日に午前休をとったり、早退をすれば受診できないこともないのですが、「仕事を早退してまで行くほどではないかも……」と思ってしまう場合のときもありました。 そうして行った小児科で「いつごろから症状が出ていたんですか?」と聞かれると、途端に気まずい雰囲気に……。「2週間くらい前からです」と言おうものなら、「お母さん、どうしてもっと早く連れてこなかったの?」と責められてしまうことになります。 症状の変化を記録していないと怒られる熱がある、下痢をしているときには、「何を食べましたか?」「どんな下痢でしたか?」「体温は朝と昼で変化はありましたか?」など、その経過を聞かれることがよくあります。 しかし、正直そこまで覚えていないというママも多いのではないでしょうか。答えられずにいると「発熱したら2時間おきに体温を計るのが当たり前」とピシャリと言われて終了してしまったこともありました。 「こんなことも知らないのか」と怒られる風邪のときにりんごジュースはいいけれど、吐き気があるときに果汁はよくない。布団は干しただけだとダニの死骸はなくならないから、掃除機で吸わないと意味がない……など、医師にとっては当たり前のことでも、ママにとっては知らなかったということもあります。普通に教えてくれればいいのに、なぜか上から目線で怒られてしまうママもいるようです。 小児科は赤ちゃん時代から小学校卒業ごろまで長く付き合うところ。家から近いということや、口コミだけでなく、しっかり話を聞いてくれる先生かどうかなどの相性も大切にしたいですね。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 著者:高橋じゅんこ一児の男の子を育てるワーキングマザー。病気ネタやママ友ネタなど、ペンネームでリアルな体験談を執筆中。
2019年11月29日小さいころからアトピー体質の娘広汎性発達障害の娘は、小さいころからアトピー体質です。小学3年生になった今も、毎日の保湿が欠かせません。幼稚園(3歳)ごろから、肌の荒れが目立つようになり、いつもどこかがカサカサで、赤く荒れている状態でした。病院に通い、飲み薬と、保湿クリームを使って、状態を安定させるのに必死で、私はいつも娘の肌に気を遣っている状態でした。娘は太陽の光や汗、ちょっとした刺激にも弱く、外を出る時は帽子と長袖が手放せませんでした。本人も無意識に掻いてしまうので、せっかく良くなりかけてもまたすぐ掻きむしってしまい、気がつくと出血していることもよくありました。イライラすると掻きむしるようにそれでも、小学生にあがるまでは安定している時期も長かった娘。しかし、小学1年生ごろから、ある変化が起きました。娘は、イライラしたりうまくいかないことがあったりすると、全身を掻きむしるようになったのです。Upload By SAKURA何かを我慢していたり、自分の中で葛藤していたり、そうしたことが体に現れてきてしまうのでしょう。かゆい訳ではないのに、掻いてしまうようでした。強く掻いてしまうと、血も出るし、傷になってしまう。私は娘に掻かせないようにしようと、日々必死でした。試したのは…簡単に「掻いちゃダメだよ~」「血が出ちゃうよ~」「治らなくなっちゃうよ~」と声を掛け続けましたが、娘はやめませんでした。今度は強めに声掛けし、時には叱ることも…しかし、娘はその時だけしかやめてくれず、またすぐに掻いてしまうのでした。Upload By SAKURAなぜ掻いてはいけないか…掻いたらどうなってしまうのか…理由をしっかり説明し、言い聞かせましたが、娘はまったくやめませんでした。3種類の関わりを試してみましたが、どれも効果はなく...娘は掻かないほうが良いことはわかっていても、イライラするとどうしても掻きたい気持ちをおさえられないようでした。皮膚科医に相談ここまで1年ほど試して、力尽きた私は、『嫌なことがあると、掻きむしってしまう現状』を皮膚科の先生に相談しました。皮膚科の先生は、「精神面のことは専門外だから、わからない。」と言いました。困り果て、会計待ちをしていると、看護師さんが寄ってきて…Upload By SAKURA「大変だろうけど…お母さんが『子どもが嫌なことがあると掻きむしっている』ということに気づいてるっていうことが大きいよ!子どもが掻きむしってても気がつかない親御さんをいっぱい見てきたからわかる。寄り添って、付き合っていくしかないの。」と言われました。学校でも目立つように…「なるほど…」とは思いましたが、正直…どうやってやめさせるか、答えがないことに落胆しました。そこからは寄り添うことを心がけてきましたが、なかなか治りません。2年生になったころから、娘の掻きむしりは学校でも目立つようになり…Upload By SAKURA学年が上がりすんなりいかないことも増えてきて、そのストレスが掻きむしる行動に繋がることが増えてきたのです。小児科医に相談…そこで、小児科を受診した時に、先生に相談してみました。すると、小児科の先生は専門ではなかったものの、「こういう時はね、掻くことを怒っちゃダメ。大丈夫だよ~って安心させてあげて。それから、掻く以外の手段を考えてあげて、タオルで抑えるとか、保冷剤で冷やすとか…特別支援学級の先生と方法を統一して、あーさんの精神安定剤のようにしてあげるといいよ。」とアドバイスしてくれました。Upload By SAKURA落ち着かないかゆみ。さっそく特別支援学級の先生と話し合い、娘が掻きむしった時には、怒らず、「大丈夫」と声掛けし、保冷剤をあてる…ということにしました。半年ほど続けましたが効果はなく、娘は「これじゃ効かない!かゆいのが消えない!」と騒ぐようになりました。Upload By SAKURA頭では「怒ってはいけない…大丈夫という声掛け…寄り添う!」とわかっていた私ですが、目の前で掻きむしられると、つい「こら!ストップ!」と声を出してしまい、自分の言葉を抑えながら冷静に声をかけるのは、思っている以上に難しいことでした。娘も辛いけど、見ている私も辛い…。ここからは試される「親のメンタル」!日々見えない敵と戦っているような気分でした。かゆくなっちゃうから!そしてついに、3年生になったころから娘は、何か注意されたり嫌なことを言われたりすると…Upload By SAKURA自分がかゆくなる原因を理解して、私の言葉を止める、盾のようにし始めました。そして特別支援学級や放課後等デイサービスでも同じように言い始め…Upload By SAKURA先生方が気を遣ってくださるのを見て、娘に対してイライラ、何も対策が取れない自分に対してイライラ…。娘が掻きむしるのを見ると、何か言ってしまいそうで、見ないように下を向き、無意識に出るため息…。そんな私の態度は娘にも伝わり…Upload By SAKURA苦しんでいるのは娘なのに、露骨に嫌な顔をして…私は何をやっているんだと情けなくなりました。試行錯誤中の現状。たびたびこのことについては、主人と話し合ってきましたが、お互いまったくいい考えが出ず…。いろんなことを試していたのに効果が出ない…娘になにかしら刺激を与えるのでは?と、かゆい時は、深呼吸をしよう!と妖精が出てきて教えてくれるというお話の絵本も作りましたが...絵本として楽しんでくれただけで、掻きむしりは止まりませんでした。Upload By SAKURA現状…今ここです(笑)いろんなことを試していたのに効果が出ない…おそらく、私の子育て…療育史上、最大の壁にぶち当たっているでしょう。普通の子育てでもなんだかんだ悩みは尽きませんが、娘のように特性を持つ子の悩みの壁は思った以上に高いですね。焦りは禁物。でも何かせずにはいられない。でもどの方法もうまくいかない…。そんなモヤモヤの中、私は今日も娘と向き合っています。
2019年11月27日「私はこれまで医学部時代から十数年、医療の世界に身を置いていますが、適切な診療能力や治療能力を持たない“ヤブ医者”が多いことに心を痛めてきました。現役の医者の約3割がヤブ医者と言っても過言ではないのです」そう啓発するのは、関節リウマチと膠原病を専門とする内科医の金子俊之先生。あるとき、金子先生が特に危機感を抱いた出来事があったという。詳細はこうだ。関節リウマチで手足がパンパンに腫れた30代半ばの女性が、金子先生のクリニックに来院した。その女性は東京に移住してきたが、大阪在住時に通っていた病院の医者から「3カ月に一度は戻って来なさい。手術しなくては治らない」と言われたというのだ。「まず、患者さんが移住したのなら、紹介状を書くのが普通です。高度な治療を施しているならまだしも、その医者は時代遅れも甚だしい治療をしていました。しかも、そもそも治療ガイドラインに則した治療をしていれば、関節リウマチは手術をしなくても済むのです」患者を手放さずに金もうけに走るうえ、勉強もせず間違った治療をしている医者に対し、金子先生は怒りを覚えたそう。「私はとても腹が立ちました。このような悪質な医者はほかにもたくさんいて、患者さんが苦しむ羽目になる。多くの方にヤブ医者を見極める方法を知っておいてもらいたいと思ったのです」そんな“ヤブ医者”に引っかからないために、金子先生にわかりやすい8つのポイントを教えてもらった。■スリッパを履かせる「足先は水虫を引き起こす白癬菌の温床になります。多くの患者さんが出入りする病院で、スリッパを履き回すなんてナンセンス。スリッパを紫外線で消毒したとしても、白癬菌が死滅する可能性は極めて低いでしょう。本来なら健康を守るべき医療機関が、逆に感染を助長するなんてありえないことです」■待合室に張ってあるポスターが古い「ポスターが古くてボロボロの場合、最新の医療知識を発信する気がないも同然。何年も前にテレビや雑誌に取材された記事など、ただ壁の隙間を埋めるためだけに患者さんに必要のない情報を掲示する病院は、ヤブ医者が経営していることが多いでしょう」■4個以上の診療科目を掲げている「地方の医療過疎地で医者がいない場合なら仕方ありませんが、開業医が大勢いる東京などの都市で、わざわざ4個以上の診療科を標榜している病院は、集客を目的としているだけ。特に小児科は専門医でないと診られない特殊な分野。子どもは小さな大人ではありません。ですから、4つ以上の診療科目のうち、小児科も入っているような個人経営の病院には注意が必要です」■ホームページがない「診療時間や治療内容、医者の経歴など、最低限の情報発信はするべき。ホームページはあって当然で、ないほうがおかしいです。ホームページのない開業医は旧態依然としていて、やる気のないヤブ医者の可能性が高いですね」■愛想がなく、態度が悪い「基本的にきちんと診断できて、最新の治療を行えれば、医療に愛想はいりません。ただ、結果論になりますが、患者さんに向き合って治療している医者は、愛想もいいし、患者さんを励ますような言葉をかけている傾向があります」■太っている「自己管理ができず、正しい生活習慣を送れていない医師に、良質な医療を提供することはできないでしょう。異常に太っているなど不摂生がうかがえる医者、爪が伸びている、髪がボサボサなど身だしなみを整えられない医者に、腕のいい医者はいません」■風邪に抗生物質をすぐ出す「抗生物質は、細菌を撃退するもので、風邪などのウイルスを撃退するものではありません。むやみに抗生物質を使うと、耐性ができてしまい、本当に細菌を撃退したいときに、効かなくなってしまうリスクがあります。明確な意図がない限り、風邪に抗生物質を処方する医者は、100%ヤブ医者です」■必要以上に来院させる「『国の決まりで薬は2週間分しか出せない』などと嘘をつき、必要もないのに通院の回数を増やそうとするヤブ医者がいまだにいます。患者さんを拘束し、金もうけに走るなんて、医療に従事する資格はありません」以上の項目に当てはまるような、勉強しない、プライドが高い、金もうけに走る医者は、ヤブ医者の可能性が高いのだ。良質な医療を受けるためにも、自分自身でヤブ医者をきちんと見極めよう!
2019年11月22日こんにちは、東京衛生病院小児科の保田典子です。私生活では7歳、5歳、3歳の子育て中です。小児科の外来では1年を通して便秘のご相談があります。排便って、意外にも、赤ちゃんの生活の質や元気度に関わってくる子育ての大事なポイントのひとつなんです。便秘の目安、対処法などについてお話します。 「便秘」ってどんな状態?国際的な診断基準によると、 4歳未満の小児では、以下の項目の少なくとも2つが1カ月以上あること 1.1週間に2回以下の排便2.トイレでの排便を習得した後、少なくとも週に1回の便失禁 3.過度の便の貯留の既往4.痛みを伴う、あるいは硬い便通の既往 5.直腸に大きな便塊の存在 6.トイレが詰まるくらい大きな便の既往-----随伴症状として、易刺激性(いしげきせい/些細なことで不機嫌になる)、食欲低下、早期満腹感などがある。大きな便の排便後、随伴症状はすぐに消失する。乳児では、排便が週2回以下、あるいは硬くて痛みを伴う排便で、かつ診断基準の少なくとも1つがある場合、便秘だとみなされる。 ……とあります。 1日1回出るのが理想なのですが、週に1回でも快便の子もいれば、2日出ないとうんちが硬くなってしまって、出すときに苦しんでしまう子もいます。そんな子や、硬いうんちでおしりが切れちゃう子などは、早めに対処した方がいいでしょう。本人が出るときに苦しくならなけらば、数日に1回でもOKです。ただ、少し便秘程度でそのまま体調が順調ならいいのですが、何か他の体調不良がきっかけで腹痛になったり、嘔吐が止まらなかったりすることもあります。便秘って、個人個人で結構差があり、見極めが難しい病気なのです。 どうなったら対処したほうがいい?まずは、3日うんちが出なかったら、下の便秘対処法を試してみてください。その時に、「うんちが硬くなっている」「出すときに苦しそう」などあれば、見守る期間をもっと短くしてみましょう。 逆に、「綿棒で出なかったけど、数日後スルッと出た」という子は、4日様子をみてみる、というのも良いかと思います。 うんちがちゃんと出ていると思っていても、少しずつ溜まっていた、ということもあるので、お子さんの排便状況だけではなく、お腹の張り具合や食欲の状態も見てあげてくださいね。 便秘になったら、どうすればいい? 子どもが便秘で苦しまないためには、やはり「水分をたくさん摂る」「繊維質が多い食べ物を摂る」が王道です。 うちの子どもたちにはバナナやさつまいもなど「これを食べるとうんちが出る」という鉄板食材があるので、便秘が気になりだしたら、それを食べさせています。 うんちを出してあげる方法として、この3つがおすすめです。 綿棒浣腸綿棒浣腸は、綿棒の先にベビーオイルやワセリンを少量つけ、1~2cmほど肛門に入れて、やさしく「の」の字を書くようにクルクル回します。あまり深く入れ過ぎると、腸を傷つけてしまうことがあるので注意してください。この方法は、うんちが肛門近くまで降りてきていないと刺激しても出ないので、なかなか降りて来ない子には向きません。出なくても焦らずに。 グリセリン浣腸市販の浣腸液があるので、それを使ってみてください。綿棒浣腸で出なくてもグリセリン浣腸だと出たりしますし、何より速効性があるので、コントロールしやすいです。(説明書の容量を守るようにしましょう。生後4カ月未満の赤ちゃんが使える市販薬はありません) お腹マッサージ特に、ヒマシ油(ドラッグストアで売ってます)を使ってマッサージすると、皮膚から浸透して自然の下剤効果があり、少し出やすくなります。すぐ出したいときにはおすすめしません。 マッサージの方法は、なでるようにするのではなく、おなかの右下(向かって左下)を強めに押す ⇒ 少し上に場所を移して押す ⇒ おへその上を押す……といった具合に、おなかを時計回りにギュッギュッと続けて押していってあげるのが効果的です。少し強めがいいですが、お子さんがオエッてならない程度にしてくださいね。慣れてくると「これだけうんちが出てないから、急がなきゃ痛がっちゃうぞ…!」というタイミングがわかってくると思うので、そのときの状況に合わせてこれらの便秘対処法をやってみてください。 【月齢別】おすすめ便秘対処法浣腸やお薬は癖になるからなるべく避けた方がいいと言われたりしますが、そのまま放っておいて苦しいのはお子さんなので、きちんと対処してあげましょう。 1. 新生児~寝返りするくらいまで綿棒浣腸かグリセリン浣腸がおすすめです。綿棒浣腸は、うんちが肛門の近くまできてないと出ないので、あまりしょっちゅうやりすぎても出ません。なかなか出ない場合は、一度小児科で綿棒浣腸のやり方を指導してもらうといいと思います。お手軽で、調節がしやすい方法です。 2. 寝返り~2歳くらいまでグリセリン浣腸か下剤の内服がおすすめです。綿棒浣腸ってちょっと時間がかかる処置なので、寝返りしだすとなかなかゆっくり綿棒でグリグリできません。グリセリン浣腸なら、「えいやっ!」と入れておむつをはかせておくだけでいいので、お手軽です。そして、速効性があるので、出したいと思ったときに使えばいいから調節しやすいです。 3. 乳児期以降乳児期以降は下剤内服がおすすめです。なんといっても浣腸をいやがるお年頃、そしてなかなか無理やり浣腸をするのも難しいです。小児科で相談すれば、お子さんに合った量をオーダーメードで出してもらえますし、その後市販の下剤で合うものが見つかれば、それでもいいと思います。下剤のほとんどは腸内で作用して体の中には入らないので、あまりおなか以外の副作用を心配する必要もありません。 受診の目安は?●4~5日うんちが出ない●よく踏ん張っている、おなかを痛がっている様子がある●痔ができた●いつもコロコロうんちしかでない●うんちを出すときに泣くほど痛がっている●便秘で飲みや食べが悪くなってきた これらの症状があったときに、小児科の受診を考えてみましょう。個人差が多い「うんち」問題。うまく小児科を活用して、スムーズで安心な生活ができるといいですね。快適うんちライフでおなかの不安がない子育てをしましょう! 著者:医師 医療法人アドベンチスト会東京衛生病院 小児科医師 保田典子 先生医療法人アドベンチスト会東京衛生病院小児科医師。株式会社メドイース代表取締役。2003年筑波大学医学部卒業、国立国際医療センター、大阪市立総合医療センター小児循環器内科勤務を経て、2014年東京女子医科大学大学院博士課程修了後現職。小児科専門医。一般診療、小児循環器診療に加えて、漢方治療や発達相談にも対応している。Twitter:@kanoppeInstagram:@atama4970_yasuda
2019年11月21日【徹底解説】頭の形&指しゃぶりは直る?小児科医の山口先生に、「赤ちゃんの癖」についてお話を伺いしました。妊婦健診の費用はどれくらい…?都道府県で発行される公費負担の妊婦健診診査受診票を使っても、約6万円自己負担があると言われています。妊婦健診の服装は…?お腹や足首を見せることがあるので、着脱しやすく楽な服装で行きましょう。おすすめの母親教室は…?お産のときの助産師さんに会えるチャンスがあるため、産む予定の病院で行われる母親教室がおすすめです。ほかにも、具体的な妊娠・出産にかかる費用について詳しくインタビューしています。ぜひ動画をチェックしてみてくださいね。動画目次0:47〜むきぐせはすぐに直すべき?2:13〜むきぐせを直すためにできること3:28〜指しゃぶりはすぐに直すべき?4:02〜指しゃぶりは何歳までに直した方がいいの?字幕付きのため、音声なしでもお楽しみいただけます♪子育てに役立つ情報が盛りだくさん!ままのてのYouTubeチャンネルでは、ママ・プレママの素朴な疑問やリアルな悩みを解決します。「うんちが出ない…」便秘マッサージの方法!セリアの最新クリスマスアイテム!2019年大流行!ワークマンのおすすめアイテム災害に備えて入るべき保険は?動画は絶賛更新中!ぜひチャンネル登録してみてくださいね。
2019年11月11日赤ちゃんとの毎日がもっとラクに、もっと楽しくなる。ベビーカレンダーは、そんな毎日を応援するコラムを絶賛連載中! 1日に何度もおこなうおむつ替えや着替え。大切な赤ちゃんの肌を守るためとはいえ、なかなか面倒ですよね。毎日の育児を笑顔で楽しく続けられるように、ほんの少し肩の力を抜いてラクをしてみませんか? 多くのママたちが大変と感じているお世話のなかで「この育児はしなくて大丈夫」「ここまでならラクをしてOK」というポイントを、小児科医であり、3児の母でもあるさくらんぼこどもクリニックの三日市薫先生が紹介します。第3回目はおむつ替え・着替え編です! ここが大変①おむつ替えの回数が多い! おしっこのたびにおむつは替えるべき?最近の紙おむつは優れているので、おしっこを素早く、量もたくさん吸収し、漏れも防いでくれます。数回分のおしっこを持たせたい気持ちもわかりますが、おむつの中は湿気が多く、細菌やカビが増えやすい状態。長時間放っておくとおむつかぶれの原因になり、気づいたら替えてあげるほうが、赤ちゃんも気持ちがいいはずです。とはいえ、夜間は赤ちゃんが気持ちよく寝ているのであれば、無理に替えなくても大丈夫です。その分、ママもしっかり睡眠をとって休みましょう。ただし、うんちのときや、おむつかぶれがあるときは、こまめに替えてあげましょう。 おしっこだけなら拭かなくてもおむつ替えの際に気をつけてほしいことは、きちんとおしりを乾かしてから履かせることです。おしりふきなどで拭いて水分がついたまま履かせてしまうと、ムレて肌にダメージを与える原因になります。 おしっこだけで、おむつかぶれなどの肌トラブルがなければ、おしりふきで拭く必要はありません。 ここが大変②1日に何回も着替えをさせるのが面倒大人と同じで、たくさん汗をかいたときや汚れたときに着替えれば問題ありません。昼寝も普段の洋服のままで大丈夫です。ハイハイやあんよが始まり運動量が多くなり、たくさん汗をかくようでなければ、衣類の枚数やお部屋の温度を見直してみましょう。 吐き戻しやヨダレが多い赤ちゃんはスタイを活用したり、食べこぼしの汚れを防ぐお食事エプロンを使うと、全身を着替える手間も省けます。 ここが大変③おむつ替えや着替えを嫌がるので手間がかかる赤ちゃんに気をとられず集中することが一番の近道おむつ替えや着替えで赤ちゃんがグズグズ、バタバタ……。ついママも焦ってしまいますね。お気に入りの音楽やおもちゃでご機嫌をとりたくなりますが、赤ちゃんはそこまで物に執着がありません。それよりも集中して手早く進めるほうが短時間で終わります。 ハイハイが始まったらベビー服の見直しをあとは脱ぎ着しやすい洋服を選ぶのもポイントです。ハイハイを始めるころには足も活発に動かせるようになるので、足部分をスナップで留めるツーウェイオールやカバーオールはそろそろ卒業したほうがラクです。 上下が分かれた服のほうが、赤ちゃんにも動きやすくて快適です。やわらかくて伸びの良いTシャツ、スパッツなどは便利です。 まとめ衛生面のことなので、なかなかムダを省きにくいおむつ替えや着替え。手を抜きすぎると肌トラブルにもなりかねないので、なるべく清潔に保ってあげたいですね。清潔なおむつや洋服に取り替えてあげたら赤ちゃんも気持ちが良いはず。終わったら「頑張ったね、きれいになって良かったね」としっかりほめてあげましょう。 監修者:医師 さくらんぼこどもクリニック院長 三日市 薫先生東京女子医科大学卒業、東京大学医学部附属病院、日本赤十字社医療センター、川崎市の保健所勤務などを経て、東京・府中市にさくらんぼこどもクリニックを開院。3人のお子さんをもつ母親でもあり、地域の方々と一緒に病気を考え、子育てができる環境づくりに励んでいる。著者:ライター 大浦綾子2015年8月生まれの男児の母。出版社勤務を経てフリーの編集・ライターに。「夜の寝かしつけ後に仕事を残さない!」を目標に日々奮闘中。
2019年11月09日わが子が生後9カ月のころ、1週間程度ゆるい便が続いていましたが、あまり気にせずに過ごしていました。ある日外出時に急に泣きだしたので、おなかが空いたものと思いミルクを飲ませていると、急に嘔吐したのです。初めての大きな病気に驚き、後悔したエピソードをご紹介します。 ゆるい便が続く日々わが子は生まれたときから便秘知らずで、毎日しっかり排便する子でした。便秘で困るという話もよく聞くので、便通が良いのは良いことだと安心して過ごしていました。 生後9カ月ごろ、便がゆるく1日に何回か洋服を汚して着替える、ということが続きました。けれど、離乳食もミルクもしっかり飲んで食べていて、元気に遊んでいたので特に気にせず、早く下痢が治ればいいのにと思うくらいでした。 突然の嘔吐に驚き……朝から出かける予定があったので、ミルクを飲ませて外出しました。普段どおりミルクも飲んでいて、その日の朝はゆるい排便もなかったので「治ってよかった」と安心していたのです。 しかし、出先のカフェで子どもが泣いたので、おなかが空いたのかと思い、ミルクをつくって飲ませていました。すると、急に嘔吐し始めたのです。少しミルクを吐くのではなく大量に吐き始めたので、おかしいと思い急いで小児科に電話した私。「しっかり水分を摂らせて脱水にならないよう気をつけて」と言われたので、水分を飲ませることに気を配りました。 病院の休診時間だったため、昼過ぎに電話して受診できたのは夕方。その間、「もっと早く病院に行っていれば」と、何度も後悔して自分を責めました。 「ウイルス性胃腸炎」との診断小児科を受診すると、ウイルス性胃腸炎との診断でした。ミルクやごはんを食べさせると吐いてしまうので、吐かないように様子をみながら少量ずつミルクを飲ませるようにと言われ、薬をもらいました。 次の日の夜、つらそうなわが子を看病しながら寝かしつけしようとしていたら、私自身が嘔吐と下痢を発症。体がつらくて動けなくなってしまいました。わが子が泣いているので駆けつけようとしても体が動かず、夫の帰りを待つしかなかったのです。夫が帰ってくると、嘔吐物が付いた物をきれいに洗浄してくれましたが、次の日には夫も発症。嘔吐はなかったものの動くことができませんでした。わが子は食事が摂れなかったので、小児科を受診して点滴をすることに。初めての点滴に大泣きで、1時間抱きしめながら点滴が終わるのを待つのはとてもつらい時間でした。私たち夫婦も嘔吐や下痢、熱の症状があったので内科を受診しました。医師からは、「子どもの嘔吐物に触れて、ウイルス性胃腸炎に二次感染したのでしょう」との診断。血液検査をすると白血球が正常値を大幅に超えていて、脱水症状もみられたため、点滴をすることになりました。その日は1日動かない体を引きずりながら、わが子と夫の看病で過ごすことになったのです。 私たち夫婦は比較的早く治りましたが、わが子は離乳食が再開できるまで1週間もかかり、本当につらかったです。もっと早く小児科を受診していれば、早めに対処できて軽く済んだのでは……と思うと、わが子には申し訳ない気持ちでいっぱいです。この病気になってからは、少しでも不安なことがあるときは病院に行こう、と思うようになりました。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 著者:矢野えみ1歳男児の母。妊娠を機に、5年間続けていた介護職を退職。出産後、ハンドメイド作品販売をしながら、子育てと仕事の両立を目指してライターに転身。自身の体験をもとに子育ての体験談を執筆中。
2019年11月02日わが家の息子が、初めて発達障害の可能性を疑われたのは1歳半健診(1歳6カ月児健康診査)のときでした。市町村によって検査内容や診断方法に差があるようですが、今回は息子が発達障害と疑われた1歳半から、実際に診断が出るまでの検査内容などをご紹介します。 発達障害の可能性を指摘された1歳半健診1歳半健診では簡単な絵を見せられ、そのなかから「○○はどれ?」と質問される検査があります。息子は、市の検査と小児科の検査、どちらもその指示を適切にこなすことができず、言葉もほとんどしゃべらないことから「要経過観察」となりました。 この時期、同じような対応の子どもは意外と多いようですが、息子の通う小児科は偶然にも発達障害に詳しく、その後も定期的に検査を受けることになりました。 半年に一度のペースで実施された発達検査1歳半で要経過観察になって以降、半年に一度のペースで「遠城寺式 乳幼児分析的発達検査」という検査をおこないました。定期的におこなうことで前回と比べることもでき、先生が子どもの様子を見ることで発達具合もわかるようです。 この検査は先生と個室でおこなわれ、指示にきちんと従えるか、言われたことがどこまでできるかはもちろん、子どもの様子や理解力なども確認されます。息子は3歳までこの検査を定期的におこないました。 発達障害と診断されたときは……実際に発達障害と診断されたのはかかりつけの小児科ではなく、その後リハビリに通うことも考慮して紹介された、リハビリテーション病院でした。小児科からの紹介状に、今までの検査結果が詳しく記されており、リハビリテーション病院では診察のみ。息子は「自閉症」の診断がつきました。 診断がつくまでの診察時間は約10分と、予想外の早さでした。その後、これからのリハビリについての説明や診断の理由などが詳しく説明されました。 発達障害の検査は大変そうと思われがちですが、私の場合はかかりつけの小児科が発達障害に詳しい病院だったので、スムーズに診断がつきました。難しいことはあまり考えず、少しでも気になることがあれば、発達障害に詳しい小児科や市の保健センターに相談してみるといいと思います。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 著者:前田奈々自閉症の長男、次男の二児の母。自身の体験をもとに妊娠・出産・子育てに関する体験談を中心に執筆中。
2019年11月01日こんにちは、東京衛生病院小児科の保田典子です。私生活では7歳、5歳、3歳の子育て中です。生後半年をこえてくると、赤ちゃんはママの免疫がなくなり風邪をひきやすくなります。うちの3人の子どもたちも、たくさん風邪をひいてきました。でも、ほとんど“風邪薬”を飲んだことはありません。その理由を今回はお伝えします。 “風邪の薬”はない病院に行くともらう風邪薬。風邪薬は”風邪を治すもの”ではありません。風邪による鼻水を出しやすくしたり、咳を少し緩和したりする薬です。風邪の症状を無理やり押さえつけているだけなので、結局は子どもの免疫で風邪のウイルスをやっつけて、症状を良くしていくしかありません。 風邪薬に劇的な効果はない【風邪薬に主に含まれているもの】咳止め:チペピジン、デキストロメトルファン痰切り:カルボシステイン、アンブロキソール鼻水止め:抗ヒスタミン薬(たくさんの種類があります) 2004年にアメリカのピッツバーグで行われた研究によると、咳止めのデキストロメトルファンとプラセボ(偽薬)では、子どもの夜の咳への効果は変わらなかったという結果が出ています。痰切りのカルボシステインは、発症後4〜7日くらいの痰に、いくらか効果があるとされています。(※1)抗ヒスタミン薬に関しても、先ほどのピッツバーグの研究では、プラセボと比較して咳止め効果はありませんでした。2010年のイランの研究でも、抗ヒスタミン薬はプラセボよりは少し効果があるが、ハチミツよりも効果が劣るという結果が出ている研究もあります(※2)。どちらにせよ、劇的な効果はないようです。 副作用にも注意が必要ですまた、副作用にも注意しなくてはいけません。今でも外来で普通に大量に処方され、市販のお薬にも入っているチペピジンやカルボシステインでも、副作用の報告があります。抗ヒスタミン薬は、昔から熱性痙攣を誘発する可能性があると言われており(※3)、抗ヒスタミン薬が熱性痙攣の持続時間を長くすることが研究で言われています(※4)。 なので、薬を使うときは「眠れない、咳が止まらないなどで生活に支障が出るときに、つらい症状を緩和してくれるもの」と考えましょう。 市販の薬をオススメしないワケ市販のかぜ薬は昔から成分が変わっていないものが多く、抗ヒスタミン薬が入っているものが多いです。抗ヒスタミン薬のなかには小児では禁忌(使ってはいけない)と言われている薬もあり、安易に使っていいものではないので、きちんと病院で診察してもらい、処方された薬を使うようにしましょう。 抗ヒスタミン薬はアレルギーの時によく使う薬です。アレルギー性の鼻炎などにはよく効きますが、風邪の鼻水には効きにくいため、少し鼻水がでているくらいなら、薬を使うのではなく、鼻水吸引器などでまめに吸い取ってあげるといいと思います。一概に「抗ヒスタミン薬は悪」とするのではなく、必要な時に適切なお薬を使いましょう。 風邪をうまく乗りきるために2003年のLancetに出た研究によると(※5)、6歳未満の子どもは平均して年6-8回風邪になり、1回の風邪が完治するのに2週間かかると言われています。1年でかなりの期間、風邪症状があると言えます。子どもが風邪をひいて苦しそうにしていると、ママたちは早く治してあげたいと思うでしょうが、本来、風邪は子ども自身の免疫で治るものです。副作用のない薬はほとんどありませんし、内服しなくていいものは、内服せず済んだら嬉しいですよね。風邪薬を必要のないものと決めつけるのではなくうまく利用して、お子さんが風邪をひきやすいこれからの時期を乗り切ってもらえたらと思います。 (※1)コクランシステマチックレビューに基づく(※2-※5)国立生物工学情報センター 著者:医師 医療法人アドベンチスト会東京衛生病院 小児科医師 保田典子 先生医療法人アドベンチスト会東京衛生病院小児科医師。株式会社メドイース代表取締役。2003年筑波大学医学部卒業、国立国際医療センター、大阪市立総合医療センター小児循環器内科勤務を経て、2014年東京女子医科大学大学院博士課程修了後現職。小児科専門医。一般診療、小児循環器診療に加えて、漢方治療や発達相談にも対応している。Twitter:@kanoppeInstagram:@atama4970_yasuda
2019年10月29日1日中ずっと子どもから目を離さずにいるのは、大変なことかもしれません。でも、ほんの一瞬目を離したすきに、よりによってそのタイミングで、子どもが思わぬ行動をとって怪我してしまうこともあるのだと思い知りました。今回は、私がふとした気の緩みや油断で、子どもに怪我をさせてしまった・させそうになった経験をお伝えします。 左手も火傷していただなんて……!娘が1歳になったばかりのある日、おやつにふかし芋を作りました。アツアツのままリビングのローテーブルに置き、お茶も持ってこようと少しの間目を離しました。すると娘がその隙に芋を掴んでしまったんです。 慌てて水と氷で右手の指を冷やし、小児科へ直行しました。小児科に着き、少し落ち着いて娘の手を見てみたら、なんと火傷は、冷やさなかった左手のほうがひどかったんです! 娘の手が届くところに熱いものを放置してしまったこと、慌てすぎて両手を確認しなかったこと、2つが重なって、娘にはかなり痛い思いをさせてしまいました。 階段から転がり落ちてしまった!1歳前から、娘が階段を自分でよじ登ろうとするようになりました。 階段上にはベビーゲートを設置しましたが、階段下はスペースの関係でつけられなかったため、リビングから階段に出るドアを、娘の力では開けられないようにしていました。 ところが1歳過ぎのある日、私が「短時間だし、最近は階段に興味ないみたいだし大丈夫でしょう」とそのドアを開けっ放しにして、その場をちょっとだけ離れてしまったんです。 その隙に娘が階段をのぼり、しかも4段目くらいから転がり落ちてしまいました。 一瞬でもズボラはいけないということと、子どものブームはある日突然再燃するということを肝に銘じるようになりました。 危ない! 頭をぶつけなくてよかったソファに自分でよじ登って遊ぶようになると、「体のバランスもしっかりしてきたし、簡単に落ちることはないよね。目の届くところで機嫌よく遊んでくれるなら、その間に皿洗いやごはんの支度をしよう」と考えるようになりました。 ところが、そばを離れているときに、座っている状態から急に後ろ向きに落下! 床はカーペット敷きなので怪我はしなかったのですが、「テーブルの脚などに頭をぶつけていたら」と思うとゾッとしました。 そばを離れるときには、下に座布団を敷いておき、テーブルも離しておくようになりました。 「これくらいなら大丈夫だろう」という考えが、子どもの怪我や事故に繋がってしまうのだな、と反省しました。階段からの落下や火傷は、予防策があるのに面倒くさがってやらなかったために起きてしまったこと。子育てでせわしない日々ですが、安全に関わることには常に気を配っていたいと、改めて思いました。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 著者:矢野あい子2歳の女の子と0歳の男の子の母。子どもは2人とも体外受精で授かり、帝王切開で出産。
2019年10月29日今回は、新生児メレナ、新生児・乳児ビタミンK欠乏性出血症の解説と、赤ちゃんに不足しやすいビタミンKを補う方法や新生児期の出血症予防についてお話しします。 新生児期に不足しやすいビタミンKビタミンKは、出血を止める蛋白質(凝固因子)を作るのに必要なものです。このため、ビタミンKが不足すると、出血が止まりにくくなります。通常は、腸の中の細菌が作ったビタミンKを利用して出血を止めるのに役立てますが、母親のおなかの中にいる間、胎児の腸には細菌がなくてビタミンKを作り出すことができないので、胎盤を通して母親から受け取ります。しかしながら、ビタミンKは胎盤を通りにくいため、生まれたばかりの赤ちゃんの体内に十分な量が蓄えられていません。生まれてすぐ腸内に十分な量の細菌が増えるわけではないため、ビタミンKを補わないと不足します。赤ちゃんはビタミンKが不足すると、消化管出血や脳出血を起こすことがあります。日本国内の産科施設では、赤ちゃんにビタミンK2シロップを予防的に投与して、出血を予防します。 新生児メレナ、新生児・乳児ビタミンK欠乏性出血症とは?ビタミンKが不足して起こる病気をビタミンK欠乏性出血症と呼びます。赤ちゃんに起こるビタミンK欠乏症は発症する時期によって、新生児ビタミンK欠乏性出血症と乳児ビタミンK欠乏性出血症に区別します。新生児ビタミンK欠乏性出血症は、生まれてから生後7日目までに起こります。生後2~4日目に起こりやすく、血を吐いたり、便に血が混じったりします。しかしながら、生まれて間もないこの時期は、母体内で飲み込んだ血液や羊水を吐いたり、授乳を始めておっぱい(乳頭)の傷から出た血液を飲んで吐くなど、母親由来の血液を吐血や血便として排泄することがあります。赤ちゃんの排便時に直腸や肛門に傷ができて、血液が便に混ざることもあります。母親由来の血液なのか、赤ちゃんの出血なのか判断が難しいので、入院中であれば医師や助産師、看護師へ相談しましょう。退院後このような症状があれば、出産した病院や小児科を受診しましょう。受診の際に、吐いたものや便が付着した衣類やおむつをビニール袋に入れて持参する、あるいは写真に撮って見せると診断に役立ちます。乳児ビタミンK欠乏性出血症は、生後8日目以降~生後3カ月の間に起こります。この時期の出血は、脳内出血が多いため、不機嫌・嘔吐・けいれんなどの症状が起こります。赤ちゃんのお世話をしているときに、このような症状があれば、直ちに小児科を受診します。元気がなくグッタリとしている場合は、救急車を呼びましょう。新生児期に起こる消化管出血を総称して新生児メレナと呼びますが、新生児メレナが起こる原因は、ビタミンK不足だけでなく、胃腸や血液の病気によって起こることがあります。 ビタミンK2シロップの投与方法は?ビタミンK2シロップは、赤ちゃんの出血を防ぐためのお薬です。正期産で合併症のない新生児の場合、出生後に母乳やミルクを飲めるようになったらすぐに1回、出生後1週間あるいは退院時のどちらか早い時期に1回、生後1カ月健診時に1回の合計3回、1回につき1ml(ビタミンK2:2mg)内服する方法が一般的です。生後すぐに治療が必要な赤ちゃんは、内服ではなく静脈注射で投与することもあります。この量で、赤ちゃんのビタミンK欠乏性出血症を防ぐことができますが、まれになんらかの合併症があった場合や内服時に吐いてきちんと飲めていなかった場合に、3回投与してもビタミンK欠乏症を起こす赤ちゃんがいます。まれなケースにも対応するために、赤ちゃんの状態に合わせて、医師の判断で、生後3カ月まで毎週1回K2シロップを投与する方法もあります。ビタミンK2シロップの投与については、母子健康手帳に記録欄があります。出産直後から退院までの親の記憶が曖昧な場合は母子健康手帳を確認しましょう。 【赤ちゃんへのビタミンK2シロップの与え方】赤ちゃんが満腹のときに与えても飲まなかったり、飲んでも吐き戻すことがあるので、授乳と授乳の間のタイミングや授乳の途中で満腹になる前のタイミングを見計らって与えるとじょうずに飲んでくれます。ビタミンK2シロップを内服した後、15分程度経過したら授乳をしてもかまいません。赤ちゃんにシロップを飲ませるときは、哺乳瓶の乳首部分だけ取り外して、乳首だけをくわえさせて、吸い始めたらシロップを入れて飲ませましょう。哺乳瓶がない場合は、スプーンで飲ませてもよいです。母乳や育児用ミルクに混ぜて哺乳瓶で飲ませてもいいですが、赤ちゃんが飲み切れる量(目安:10ml以下)に調整しましょう。ビタミンK2シロップは1回分を個別包装してあります。飲ませるときは、赤ちゃんの口唇を傷つけたり、包装の欠片を誤嚥することを防ぐため、スティック状の包装のままで絶対に与えないでください。ビタミンK2シロップが内服時に半分以上こぼれてしまった場合、あるいは内服直後に半分以上吐いてしまったら、次回の分(予備の分)を飲ませましょう。半分以上飲めていない状況でもう1回分飲ませても過剰投与にはなりません。ビタミンK2シロップを内服した後15分以上経過して吐いた場合は、追加して飲ませる必要はありません。次回の分(予備の分)がない場合や吐いて心配な場合は、処方してもらった病院へ電話相談あるいは受診して相談しましょう。ビタミンK2シロップを飲ませ忘れた場合は、親が気づいた時点で飲ませてください。生後3カ月まで毎週1回飲ませる方法の途中で飲み忘れた場合は、2回分を1度に飲ませてはいけません。飲ませ忘れたことに気づいて1回分飲ませた後、次回からは指示されている日時に飲ませて大丈夫です。もしすでに2回分を1度に飲ませた場合は、処方してもらった病院へ電話相談あるいは受診して相談しましょう。 赤ちゃんの体内のビタミンKを補うためにできること生まれたての赤ちゃんはビタミンKが不足しやすいので、ビタミンK2シロップを医師の指示どおりに飲ませましょう。親の判断で飲ませることをやめないでください。育児用ミルクにはビタミンKが添加されているので、主に育児用ミルクだけで育つ赤ちゃんや授乳の半分以上を育児用ミルクで補っている赤ちゃんはビタミンK不足の心配ありませんが、母乳だけで育つ赤ちゃんは、母乳に含まれるビタミンKが少ないため、出血性疾患を予防するためにビタミンKを補う必要があります。母親がビタミンKを多く含む食品を食べることで、母乳中のビタミンKの濃度が高くなることがわかっています。母乳だけで育てている場合は、母親がビタミンKを多く含む食品を食べるように心がけましょう。ただし、母親が血液を固まりにくくするお薬(例:ワーファリン)で治療中の場合は、お薬の効果を弱めてしまうため、ビタミンKを多く含む食品を食べることは避けましょう。【ビタミンKを多く含む食品】卵(特に卵黄) 緑黄色野菜(ほうれん草ブロッコリーパセリ三つ葉春菊など)乳製品(バターマーガリンチーズヨーグルト)肉類(鶏肉牛肉豚肉の順に多い)納豆これらの食品を食べることで赤ちゃんの出血を予防できるとはいえませんが、産後の食事は栄養バランスが偏りやすいため、母親の食事を見直すときのヒントにしてください。 まとめビタミンK2シロップの予防で、赤ちゃんの消化管出血や脳出血を防ぐことができます。ビタミンKは、赤ちゃんの健康を保つためには必要不可欠ですので、医師から指示されたとおりに内服させましょう。心配なことや不安なことがあれば、出産した施設あるいは小児科へ相談しましょう。 ■参考・日本小児科学会HP・新生児・乳児ビタミンK欠乏性出血症に対するビタミンK製剤投与の改訂ガイドライン(修正版)2011・一般社団法人くすりの適正使用協議会HP子どもにくすりをのませるコツ 監修者:医師 神奈川県立こども医療センター総合診療科部長 松井 潔 先生愛媛大学医学部卒業。神奈川県立こども医療センタージュニアレジデント、国立精神・神経センター小児神経科レジデント、神奈川県立こども医療センター周産期医療部・新生児科等を経て現在、同総合診療科部長。小児科専門医、小児神経専門医、新生児専門医著者:助産師 古谷真紀一般社団法人産前産後ケア推進協会プロジェクトリーダー大学病院勤務を経て、2015年より現職。妊娠中や産後の女性のココロとカラダの相談、ママパパ&赤ちゃんのちょっと気になるコトに日々応えています。
2019年10月26日【徹底解説】赤ちゃんの便秘との付き合い方小児科医の山口有紗先生に、「赤ちゃんの便秘」についてお話を伺いしました。そもそも便秘の定義とは…?排便が1週間に2回以下となり、排便する時に苦痛を伴う場合のことを指します。便秘にならないためのポイントは…?バランスの取れた食生活が基本的に大切です。綿棒浣腸について看護師や助産師に相談して、実際に見せてもらってから行うことを勧めます。ほかにも、赤ちゃんの便秘解消のためにできるマッサージを実践しています。ぜひ動画をチェックしてみてくださいね。動画目次0:37そもそも便秘の定義って?1:18便秘で起こる症状2:40お家でできる!便秘解消マッサージ3:51綿棒浣腸は1回見てから?5:18子どもと便秘の付き合い方字幕付きのため、音声なしでもお楽しみいただけます♪子育てに役立つ動画が盛りだくさん!子育てに役立つ情報が盛りだくさん!ままのてのYouTubeチャンネルでは、ママ・プレママの素朴な疑問やリアルな悩みを解決します。セリアの最新アイテムをご紹介!大人気育児漫画も動画でお届け!助産師が実践!赤ちゃんの抱っこの仕方!予防接種のコツとは?動画は絶賛更新中!ぜひチャンネル登録してみてくださいね。
2019年10月24日女の子のおまたのお手入れの方法を病院や保健センターなどでの説明を聞き逃した、または質問できなかったという親御さんもいるのではないでしょうか。今回は陰唇癒合(いんしんゆごう)の原因や予防方法、治療法、女の子のおまたのお手入れの方法についてお話しします。 女の子のおまたって、どうなってるの?女の子のおまたは大陰唇、小陰唇、陰核、尿道口、腟口などが密接に入り組んだ構造になっています。大陰唇と小陰唇の間は、分泌物や垢など恥垢と呼ばれる汚れがたまりやすく、尿や便が付着しやすいため、おむつをしている赤ちゃんの場合はおむつかぶれなど皮膚炎を起こしやすい部位です。 おむつを卒業した後も、体に密着するタイプのパンツやレギンスなど着用することで、外陰部が蒸れたりかゆくなり、自分で掻くことで指先についている菌が外陰部について悪化したり、炎症を繰り返すことがあります。また、便が尿道口付近につくことで膀胱炎を引き起こすこともあります。外陰部の炎症や膀胱炎などを予防するために、日頃から汚れを落として清潔を保つことが大切です。 女の子の場合、通常はおりものはみられませんが、外陰部に炎症が起きると黄色や緑色のおりものが出たり、おむつや下着に汚れがついていることがあります。乳幼児期だけでなく小学校低学年ごろまでは炎症を起こすことがあるため、正しいお手入れを親が教えることも大切です。なお、生後間もない時期(生後2日〜10日ごろ)に、母親の女性ホルモンの影響で、新生児帯下というおりものが一時的に出ることがありますが、自然におさまるため心配はいりません。 陰唇癒合とは?左右の小陰唇がくっついて腟口が隠れてしまっている状態を陰唇癒合といいます。腟や尿の出口を塞いでしまうため、膀胱炎や腟炎を引き起こす可能性があります。陰唇癒合は先天的なものではなく、女の子のおまたが湿っている状態が続いている環境や感染、エストロゲンが低い状態が原因で起こります。 症状はほとんどなく、緊急性を要する病気ではありません。新生児期から乳幼児期によく見かけるもので、乳幼児健診で発見されて小児科や小児外科へ紹介受診されることが多い病気です。緊急性のある疾患ではありません。 陰唇癒合の治療法は? 治療後のホームケアの仕方について小児科あるいは小児外科の外来で、ピンセットで左右の癒着を離し、抗生物質の軟膏などを塗って治療します。状態によっては、癒合している部分を切り開きますが、正しいお手入れをしないと再度炎症を起こして繰り返すことがあります。おむつ交換やお風呂のときに、外陰部の割れ目を左右に開いて拭き取ったり、洗ったりして、清潔に保つことが大切です。 おむつは汚れをとるものではなく、おしっこやうんちを受け止めるものです。おしっこやうんちが皮膚についたままにすると炎症の原因となります。布製でも紙製でも、おむつを替えるときは拭いてあげましょう。最近の紙おむつは吸収が良く、長時間つけていてもムレないと宣伝されているものが多くありますが、おむつの表面におしっこが残らなくても、おしっこをした後のおむつに包まれているため、拭き取ってあげましょう。 女の子の場合、体の前側にある尿道口や腟口に便が付着することを予防するために、前から後ろに向かって拭いてあげましょう。外陰部の割れ目の部分を軽く広げてやさしく拭きます。拭くときは、ゴシゴシ強くこする必要はありません。 おしっこのときは、皮膚についたおしっこを拭き取るつもりで1回、仕上げに1回拭く程度で良いです。うんちのときは、汚れがとれたと見た目で判断できるところまで拭いて、仕上げに1回拭くと良いでしょう。おむつを替えた人は手を洗って、菌が再び赤ちゃんにつかないようにすると安心です。 陰唇癒合は予防できる?外陰部の炎症等が原因とされていますが、はっきりわからないことが多い病気でもあり、予防法も証明されていないのが現状です。また、陰部を清潔にしないと必ずなるというものではありません。できる範囲で清潔を保つようにするといいでしょう。 尿道や肛門付近は汚れやすい部分ですが、排泄時に拭き取ること、1日1回せっけんで洗うことで十分に清潔に保つことができます。女の子の外陰部は、男の子よりも粘膜の部分が多いので、外陰部の皮膚表面の部分はせっけんをよく泡立て、泡でやさしく汚れを浮かせながら洗い、小陰唇の部分は軽く広げてシャワーなどでお湯をかけて洗い流しましょう。 恥垢は1回で拭き取れないこともありますが、無理やりゴシゴシこすらないで日にちをかけて取り除く程度でかまいません。粘膜の部分に多少せっけん成分がついても、洗い流せば大丈夫です。おすわりができるようになるまでは、赤ちゃんを寝転がせた状態で洗い、おすわりができるようになったら、お湯をはった洗面器の中におしりを浸けさせて洗っても良いでしょう。 まとめ現状、陰唇癒合の予防法は証明されていませんが、女の子の外陰部は正しいお手入れをすることで、外陰部の炎症は予防することができます。すでに炎症や陰唇癒合が起きている場合は、小児科あるいは小児外科へ受診しましょう。日ごろの外陰部のお手入れについて確認したい場合は、出産した病院や保健センターへ相談しましょう。 監修者:医師 神奈川県立こども医療センター総合診療科部長 松井 潔 先生愛媛大学医学部卒業。神奈川県立こども医療センタージュニアレジデント、国立精神・神経センター小児神経科レジデント、神奈川県立こども医療センター周産期医療部・新生児科等を経て現在、同総合診療科部長。小児科専門医、小児神経専門医、新生児専門医著者:助産師 古谷真紀一般社団法人産前産後ケア推進協会プロジェクトリーダー大学病院勤務を経て、2015年より現職。妊娠中や産後の女性のココロとカラダの相談、ママパパ&赤ちゃんのちょっと気になるコトに日々応えています。
2019年10月14日赤ちゃんとの毎日がもっとラクに、もっと楽しくなる。ベビーカレンダーは、そんな毎日を応援するコラムを絶賛連載中! 洗浄・消毒の手間や、お出かけの荷物が多くなるなど、ミルク育児のママたちには大変なことがあります。毎日の育児を笑顔で楽しく続けられるように、ほんの少し肩の力を抜いて、ラクをしてみませんか? 「この育児はしなくて大丈夫」「ここまでならラクをしてOK」というポイントを、小児科医であり、3児の母でもあるさくらんぼこどもクリニックの三日市薫先生が紹介します。第2回目はミルク育児編です! ここが大変①毎回、哺乳瓶を洗浄・消毒するのが面倒 5カ月以降なら消毒なしで自然乾燥すれば大丈夫赤ちゃん自身の免疫がついてくる5カ月ごろからは、哺乳瓶を消毒はしなくても、よく洗って自然乾燥すれば大丈夫です。むしろ、指しゃぶりや離乳食が始まると雑菌を口にすることも多くなるため、消毒にあまり意味はなくなってきます。 ただし、しっかり洗うことは大切です。乳首の部分や哺乳瓶に育児用ミルクのカスが残らないように注意しましょう。使用後はなるべく早く洗うほうが良いですが、難しければ水に浸けておくと汚れが落ちやすくなります。 ここが大変②育児用ミルクだと外出時に荷物が多くて重い! 調乳用の水は軟水のミネラルウォーターなら使ってもおむつや着替え、タオルなどただでさえ荷物が多い赤ちゃんとの外出は、育児用ミルクだとさらに哺乳瓶やお湯、湯冷ましが必要となり大変ですね。調乳用の湯冷ましは、外出先で市販のミネラルウォーターを調達しても大丈夫です。 その場合、気をつけたいのはお水のミネラル分を表す硬度の数値です。ミネラルは高すぎると赤ちゃんの胃腸への負担となりますので、硬度120未満で、できるだけ硬度の低い軟水を選ぶようにしましょう。一般的に多く流通されている日本製のお水のほとんどは使えますが、購入時には表示を確認しましょう。 液体ミルクを試してみるのも一案また、今年から販売が開始した液体ミルクならば、お湯に溶かす必要もなく手軽に使えます。外出はもちろん、災害への備えとして常備しておくと安心です。 特に新生児など月齢の低い赤ちゃんだと、常温に慣れていないので嫌がるかもしれません。その場合は少しお湯で温めて調整してみましょう。 まとめ授乳のたびに毎回育児用ミルクを作り、後片づけも必要で何かと手間がかかりますが、哺乳瓶を一生懸命吸って育児用ミルクを飲む赤ちゃんの様子には癒されます。その様子が見られるのも1年前後の短い期間なので、親子で楽しくすごせると良いですね。 監修者:医師 さくらんぼこどもクリニック院長 三日市 薫先生東京女子医科大学卒業、東京大学医学部附属病院、日本赤十字社医療センター、川崎市の保健所勤務などを経て、東京・府中市にさくらんぼこどもクリニックを開院。3人のお子さんをもつ母親でもあり、地域の方々と一緒に病気を考え、子育てができる環境づくりに励んでいる。著者:ライター 大浦綾子2015年8月生まれの男児の母。出版社勤務を経てフリーの編集・ライターに。「夜の寝かしつけ後に仕事を残さない!」を目標に日々奮闘中。
2019年10月09日こんにちは、東京衛生病院小児科の保田典子です。私生活では7歳、5歳、3歳の子育て中です。今年はインフルエンザが早めに流行の兆しを見せています。 厚生労働省が早めに統計を取りはじめました。まだ、流行と言えるほどの地域は少ないですが、これからすぐ流行になる可能性もあるので、今回は予防についてお伝えします。 インフルエンザ、「予防」がとても大切!インフルエンザは冬を中心に日本全国で流行する感染症です。毎年、本当にたくさんの人がかかりますし、まわりを見てみても「インフルエンザになっちゃった」と話つつ、今は元気で過ごしている人ばかりだとは思います。 ですが、インフルエンザには怖い合併症があります。一番怖いのは「インフルエンザ脳症」です。オーストラリアの研究(Pediatric Active Enhanced Surveillanceネットワーク) では、インフルエンザ脳症になるのはまれではあるが、かかってしまうと半数に障害が残るというデータがあります。また、脳症にかかった子でワクチンを接種していた子はいませんでした。 他にも、肺炎、中耳炎などの合併症があり、「他の人もかかっているから、かかってもきちんと治る」というワケではなく、予防がとても大事です。 インフルエンザワクチンは効くの?インフルエンザワクチンは「接種してもインフルエンザになってしまう」と、あえて接種しない人も見かけます。確かに、インフルエンザワクチンは毎年有効性に差があり、かつ接種しても絶対にかからないことを保障してくれるものではありません。ですが、脳症の例にもあるように、重症の合併症の予防としてとても重要です。 また、毎年インフルエンザの診療で、何十人何百人とインフルエンザにかかった人を診察していると、接種した人の方が明らかに重症度が低い人が多い印象です。 権威ある医学史『NEJM(ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン)』という雑誌でも、「昔日本で行われていたインフルエンザワクチン集団接種は、インフルエンザの死亡を明らかに減らしていた」と報告されていて、「ひとりでも多くの人が接種することで、周りにまでインフルエンザに対して予防ができる」ということもわかっています。 接種のしかた(1)生後6カ月以上3歳未満の方 1回0.25mL 2回接種(2)3歳以上13歳未満の方 1回0.5mL 2回接種(3)13歳以上の方 1回0.5mL 1回接種生後6カ月から8歳までは2回接種、12歳までは2回接種推奨です。生後6カ月から3歳未満は、1回につき大人の半分量を接種します。10月ごろに1回目を接種し、4週間以上あけて2回目を接種しましょう。 日本では、集団保育(保育園など)に行っている子は、生後6カ月から推奨。行っていない子は1歳から推奨、そして、0歳の赤ちゃんがいるご家庭は、家族がしっかり予防しましょう、と推奨されています。 「ハイリスクの人」って?インフルエンザがハイリスクになる人は、「生後6カ月から5歳未満」、「50歳以上の人」(意外に若いですね)、「インフルエンザシーズンに妊娠している人」そのほか、「慢性疾患にかかっている人」です。生後6カ月から18歳までの人は、インフルエンザにかかってアスピリンやサリチル酸を服用していると、急性脳症などを引き起こす「ライ症候群」にかかるリスクも高くなります。ハイリスクに該当する人は、特にインフルエンザワクチンを接種するのが望ましいですね。 家族で予防が大事です集団接種の例でもわかるように、たくさんの人が接種すると流行も抑えられ、さらにインフルエンザの死亡も減少します。「今までなったことがないから」「今まで打たなくても大丈夫だったから」と言っても、今年大丈夫かはわかりません。特に小さなお子さんがいる家庭はハイリスクです。ぜひご家族で予防をしてくださると嬉しいです。 著者:医師 医療法人アドベンチスト会東京衛生病院 小児科医師 保田典子 先生医療法人アドベンチスト会東京衛生病院小児科医師。株式会社メドイース代表取締役。2003年筑波大学医学部卒業、国立国際医療センター、大阪市立総合医療センター小児循環器内科勤務を経て、2014年東京女子医科大学大学院博士課程修了後現職。小児科専門医。一般診療、小児循環器診療に加えて、漢方治療や発達相談にも対応している。
2019年10月09日子どもの才能と個性を伸ばす育て方とは?パパ小児科医の加納友環(ぱぱしょー)先生に、「子どものしつけ」についてお話を伺いしました。叱り方の工夫は…?危険な行動については叱りましょう。落ち着いたときに改めて理由を説明しましょう。育児で大切にしていることは…?否定をしないで、まず子どもにいろいろなことをさせてみることが大切です。子どもの才能と個性を伸ばすには…?子どもの自己肯定感を養うこと、そして決めつけないことが大切です。ほかにも、ぱぱしょー先生の育児エピソードをお伺いしました。ぜひ動画をチェックしてみてくださいね。動画目次0:41叱り方の工夫について1:50おすすめの褒め方について3:06ぱぱしょー先生が育児で大切にしてること5:06ぱぱが娘の育児をするときに気をつけてることってある?5:49子どもの才能と個性を伸ばす育て方字幕付きのため、音声なしでもお楽しみいただけます♪加納友環(ぱぱしょー)二児(2歳、4歳)の父で小児科専門医。TwitterやInstagramを中心に子育て当事者の立場から、また医療者の立場から子育てに役立つ情報を発信しています。子育てに役立つ情報が盛りだくさん!ままのてのYouTubeチャンネルでは、ママ・プレママの素朴な疑問やリアルな悩みを解決します。ぱぱしょー先生の育児と家事について先生が育児のときに注意していること、また先生おすすめの育児グッズについて紹介してくださっています。後悔しない子育てのコツは?先生が子育てで実際にやっておけばよかったこと、また先生からパパへのメッセージなどを紹介しています。子どもを上手に寝かしつける方法は?子どもの睡眠の大切さや、なかなか寝ない子どもを上手に寝かしつける方法について、ぱぱしょー先生が実演しながら解説してくださっています!子どもの予防接種で保護者が注意すべきことは?子どもの予防接種のスケジュールの立て方や、予防接種をするときの過ごし方などを、具体的に説明しています。秋に気をつけたい食中毒!秋のお弁当で食中毒にならないために注意したいポイント、また食中毒の予防法について解説しています。動画は絶賛更新中!ぜひチャンネル登録してみてくださいね。
2019年10月09日おねしょはいつまで続く?おむつが取れてトイレにいけるようになっても、夜に漏らしてしまう「おねしょ」は誰もが通る道ですよね。しかし、小学生に入るころまでおねしょが続いていると「なんとかしたほうが良いのでは?」と考える保護者の方もいるでしょう。小さいころは排尿の機能が未熟なため、おねしょをする子どもが多いのですが年齢とともにおねしょはなくなってきます。ただし個人差があり、5〜6歳で約20%、小学校低学年で10%ほどおねしょがあります(※1)。これくらいの年齢になると、保護者だけでなく本人も何とかしたいと考え出し、「夜尿症」という病気として相談が必要となります。おねしょが起こるメカニズム幼いうちは膀胱の容量が小さく、脳から分泌される抗利尿ホルモン(尿量を減らすホルモン)の分泌が未熟です。尿は夜のあいだも作られ膀胱にたまっていくので、膀胱の容量に対して、夜に作られる尿が多い場合に尿がもれてしまうのです。成長とともに膀胱の容量が大きくなり、脳から分泌される抗利尿ホルモンの分泌も盛んになるので、おねしょは減っていくでしょう。おねしょは「甘えが原因」「親のしつけのせい」などと言われがちですが、根拠はありません。身体の機能の問題として対策すべきものです。夜に尿が漏れることは夜尿症だけでなく、そのほかの腎臓病やホルモンの病気のこともあります。まずは小児科や泌尿器科を受診して、夜に尿が漏れることが「夜尿症」なのかどうか区別してもらうことが大切ですよ。夜尿症の治療は必要?夜尿症は年齢とともに自然に治っていきますが、小学生くらいの年齢になると「恥ずかしい」という思いから強いストレスを感じますし、自分への「自信のなさ」にもつながります。お泊りの行事などで困ることも増えてくるでしょう。また頻度は高くないですが、成人に持ち越すこともあります。治療をすることによって、夜尿の消失が早くなり、精神的な負担が軽減されることに大きな意義があります。夜尿症の対策方法!家庭でできる10の工夫とは?夜尿症であることが濃厚であれば、抗利尿ホルモンを補充するお薬の治療や、尿が出たらセンサーが感知するアラーム療法というものがあります。しかし、症状が軽い子であれば生活の工夫だけでもある程度よくなる子もいますし、お薬の治療も生活の工夫をしなければうまくいきません。まずは以下のような生活の工夫(※2)をひとつ一つ実践していくことから始めましょう。1.日中に十分水分をとる夕食後の水分制限の際に脱水を起こさないために、日中に十分な水分を取っておきましょう。2.朝食・昼食を十分に摂り、夕食は寝る2時間前には済ませる食事中にも水分が含まれますので、夕食、とくに寝る直前に食事を多くとると夜の尿量が増えてしまいます。3.夕食後は水分制限を行う(コップ1杯程度)水分の制限を行うことで、尿量を減らします。4.寝る2時間前からの水分摂取は控えめにする水分を控えめにすれば尿量は減りますが、脱水のおそれがあります。よって一日の水分量はかえずに日中にしっかりとって、夜には控えめにするという方法をとります。夕食以降は極力取らないようにしましょう。5.寝る前にトイレに行く水分を制限して、そのうえでしっかりトイレで出し切ることが大切です。6.遅寝をさける遅寝をすることで、抗利尿ホルモンのバランスが崩れてしまうのでさけましょう。7.夜中無理にトイレに起こさない遅寝をすることと同様に、夜に無理に起こすと抗利尿ホルモンのバランスが崩れて逆効果になってしまいます。ただし、お泊り行事などでどうしてもおねしょを避けたい場合であれば、例外的に夜に子どもを起こしてもらっても大丈夫です。8.睡眠中に身体が冷えるのをさける身体が冷えると排尿しやすくなります。そのため冬には夜尿症の症状が出やすくなります。寝ているあいだは冷えないように対策しましょう。9.塩分を控える塩分摂取が多いと尿量が増えるため、控えめにしましょう。10.便秘があれば治療をする便がたまっていると、お腹の中で膀胱が圧迫されて、尿がたまっても広がることができません。便秘の治療をすると尿をためることができるようになります。子どもの自信を引き出すことが治療の鍵!日々の習慣を変えることは簡単ではなく、効果はすぐには出ないかもしれません。うまくいきかけても時に逆戻りしてしまうこともあります。でも、そんな時に叱りつけることは逆効果です。できていることを肯定的にとらえほめることでうまくいきます。夜尿症の治療の目的は何だったでしょうか?それは「子どもが自分に自信を持てるようにすること」です。その目的を大切にして取り組んでいってくださいね。ぱぱしょー先生によるお役立ち動画はこちら!YouTubeのままのてチャンネルでは、専門家の先生による育児に関するお役立ち情報を配信しています。ぱぱしょー先生の動画も好評配信中!チャンネル登録をよろしくお願いいたします。パパ小児科医(ぱぱしょー)先生の過去のコラム著者:加納友環(ぱぱしょー)二児(2歳、4歳)の父で小児科専門医。TwitterやInstagramを中心に子育て当事者の立場から、また医療者の立場から子育てに役立つ情報を発信しています。
2019年10月07日赤ちゃんとの毎日がもっとラクに、もっと楽しくなる。ベビーカレンダーは、そんな毎日を応援するコラムを絶賛連載中! 授乳、おむつ替え、抱っこに寝かしつけ……赤ちゃんのお世話はやることがたくさん! 「育児を楽しむ余裕なんてない」「いつもお世話や家事に追われている」と感じたら、頑張りすぎているのかもしれません。毎日の育児を笑顔で楽しく続けられるように、ほんの少し肩の力を抜いて、ラクをしてみませんか? 多くのママたちが大変と感じているお世話のなかで「この育児はしなくて大丈夫」「ここまでならラクをしてOK」というポイントを、小児科医であり、3児の母でもあるさくらんぼこどもクリニックの三日市薫先生が紹介します。第1回目は母乳育児編です! 育児を完璧にこなすことよりママが笑顔でいられることが大事 こんにちは。さくらんぼこどもクリニックの三日市です。「育児でラクをする」というと、抵抗を持たれるお母さんもいるかもしれません。しかし、ママたちに余裕がなくなってイライラすると、赤ちゃんも不安になって泣いたりグズったりと、悪循環になってしまいます。家事や育児を完璧にこなすことよりも、お母さんが常に笑顔でいられるためにはどうすれば良いかを大事にしてください。 とはいえ、赤ちゃんのお世話をする以上、守るべきボーダーラインはあります。 第一は衛生面です。決して神経質になる必要はありませんが、やはり清潔を保つことは大事です。 もう一つは安全面です。赤ちゃんの手の届く範囲に危険な物を置いていないか、足がかりになるようなものを置いていないか、などです。衛生面や安全面に気を配るためにも、適度に息抜きをして疲れすぎないことが大切なのです。 ここが大変①:授乳の回数が多くてつらい! 3カ月以降なら「泣いたら授乳」は見直してみて生後3カ月を過ぎると、一度に飲む量も増えて授乳回数が減ってきます。もし3カ月以降で「泣いたらすぐ授乳」を続けているのであれば、そろそろ見直してみましょう。おっぱいを吸って泣き止むのは、おなかが空いている場合のほかに、赤ちゃんの原始反射のひとつであり、物が口に入ると吸う「吸啜(きゅうてつ)反射」による場合もあります。 吸っている間は泣き止むので、「おっぱいが欲しかったから泣いていたんだ」とママが錯覚しているのかもしれません。おむつの濡れ具合やお部屋の温度を確認したり、抱っこやおもちゃであやすなどほかの方法を試してみましょう。 5カ月になると間隔が空くから自然とラクに!また、ちょこちょこ飲むというのは、大人にしてみると常に食べているのと同じこと。そうすると空腹感がなくなり、まとまった量を飲めなくなってしまいます。次に飲むまでの時間をきちんと空けてあげることが、赤ちゃんの生活リズムを整えるためにも大切です。5カ月以降になり離乳食が始まると間隔も空いてくるはずなので、焦らずに取り組みましょう。 夜は起こしてまで授乳しなくてOK夜の授乳は、赤ちゃんが寝ていたら起こしてまでおこなう必要はありません。寝ている間は、赤ちゃんにとって成長するホルモンが分泌されている大切な時間。体重の増えが悪くてしっかり飲ませてくださいとお医者さんに言われない限りは、ゆっくり寝かせてあげましょう。 ここが大変②:授乳をすると体のあちこちが痛い……たくさん密着すると授乳体勢がラクに授乳の際の抱き方を工夫してみましょう。横抱きやフットボール抱き、添い乳などさまざまな授乳の体勢がありますが、いずれもポイントは、赤ちゃんと体を密着させるように意識することです。授乳の時間は赤ちゃんの様子が気になって体が離れがちになります。皮膚と皮膚が触れ合う面積が増えるほど、赤ちゃんは温もりを感じて安心するし、お母さん自身の体勢も安定してラクになります。 神経質にならず腕全体で赤ちゃんを包み込んでみてまた、特に赤ちゃんの首が座っていない間は、首を守ろうとしてご自身の腕や手首を痛める方が多いですが、基本的にそこまで神経質になる必要はありません。手首や腕の一部でなんとかしようとせず、腕全体で包み込むようにしましょう。 ここが大変③:母乳のために毎日栄養バランスの良い食事は無理!総菜パンやレトルト食品などに頼って自炊にこだわらず、大変なときは惣菜パンやお弁当、レトルト食品に頼りましょう。極端に偏食をする人でなければ、そこまで過敏にならなくても大丈夫です。タンパク質が摂れる冷奴や納豆、野菜が摂れる具だくさんのスープなど、不足している栄養分を手軽に補える一品を常備・作り置きしておけば献立がラクになります。サプリは過剰摂取による健康被害が出ているケースもあり、医師としては基本的におすすめしません。栄養は食事から補給するようにしましょう。 また、栄養のほかに大切なのは水分です。母乳の約90%は水分でできており、水分が不足すると母乳の量などにも影響します。1日に2L以上を目安に、しっかり飲むように心がけてくださいね。 まとめ月齢が低いころは頻回授乳で大変な日が続きますが、5カ月ごろから離乳食が始まるとだんだんと授乳の回数も減り、1歳をすぎれば卒乳へと向けて負担も減ってきます。特に母乳育児の場合はお母さんの負担が多くなりますが、ほかの家事をお父さんや家族に協力してもらうなど、少しでもラクになる方法を探してみてくださいね。 監修者:医師 さくらんぼこどもクリニック院長 三日市 薫先生東京女子医科大学卒業、東京大学医学部附属病院、日本赤十字社医療センター、川崎市の保健所勤務などを経て、東京・府中市にさくらんぼこどもクリニックを開院。3人のお子さんをもつ母親でもあり、地域の方々と一緒に病気を考え、子育てができる環境づくりに励んでいる。著者:ライター 大浦綾子2015年8月生まれの男児の母。出版社勤務を経てフリーの編集・ライターに。「夜の寝かしつけ後に仕事を残さない!」を目標に日々奮闘中。
2019年09月30日