相貌失認とは出典 : 相貌失認は、人の顔を正しく認知することができないという障害です。正しく認知できないというのは、よく知っている顔、例えば両親や親友、あるいは自分の子どもを見てもそれが誰なのか分からなくなってしまったり、目の前にいる人の性別や年齢が全く分からなかったりするようなことを意味しています。相貌失認は、単に顔と名前が一致しないということではありません。名前が分からなくても、顔を見た時に、その人がどんな人か思い出すことができたり、その人の顔に見覚えがあるように感じたりするならば、相貌失認である可能性は低いといえます。相貌失認でない人にとってみれば、相貌失認という障害は想像しにくいかもしれません。また、生まれつき相貌失認である場合には、顔以外の視覚情報や声などから目の前にいる人が誰かを見分けることが当たり前だと感じていることがあります。そのため、顔の認知がまわりに比べて苦手であることに気がつかないことも珍しくありません。海外での調査では、人口のおよそ2%が相貌失認であると報告されています。日本でも、相貌失認の症例がいくつか報告されており、身近に相貌失認である人がいても、決して不思議なことではありません。出典:飯高哲也「先天性相貌失認症候論,認知機能,神経科学的研究について」相貌失認の症状出典 : 相貌失認になると、目が悪いわけでもなければ、物やかたちを記憶することができないわけでもないのに、なぜか人の「顔だけ」認識できなくなってしまいます。相貌失認でない人は、友人や家族の顔がちらっと見えれば、それがだれなのか気づくことができます。しかし、相貌失認の人にとっては、自分含めたすべての人の顔が同じように見えてしまい、顔をちらっと見ただけではそれが誰なのか判断することができないのです。また人によっては、視線を向けている方向が分からない、表情から相手の感情を判断できない、男性なのか女性なのか分からない、といった症状があります。相貌失認の症状については軽度な人から重度な人まで様々な人がいます。そもそも、私たちの周りにいる人でも、顔を覚えるのが得意な人もいれば、相貌失認ではないけれど顔を覚えるのが苦手な人など様々です。顔を覚えるのが得意な人であれば、パーティーで少し顔を合わせたことがあるだけの人でも、町中で見かけたときに気がつくかもしれませんが、気づかない人だって多くいます。軽度な相貌失認の場合、気がつく頻度が一般的な人に比べてやや少ない程度で、日常生活を送る上でそこまで困らずに生活できることもあります。しかし、重度な相貌失認になると、自分の親や子どもの顔が分からず困難を感じる人も少なくありません。相貌失認になると、次のような困りごとが生じる可能性があります。・ドラマや映画で、登場人物の見分けがつかずストーリーが分からなくなってしまう・待ち合わせの場所で相手を見つけることができない・以前あいさつしたことのある人に対して、失礼な対応をしてしまう・学校や職場でよく会う人であっても、ふだん会わないような場所だと無視してしまう・子どものお迎えにいっても、自分の子どもを見つけられない・知人に肩を叩かれたときに、不審者に叩かれたかのような反応をしてしまう私たちは、自分の顔を忘れられるとショックを受けたり、失礼な人だとみなしたりすることがあります。相手の顔を覚えることのできない相貌失認の人は、そのことが社会生活を営む上での大きな障害になってしまいます。相貌失認とは、わざと覚えていないわけではなく、むしろ人より覚える努力をしているにも関わらず人の顔を認識することができない障害なのです。参考書籍:山口真美/著者『顔を忘れるフツーの人、瞬時に覚える一流の人ー「読心術」で心を見抜く』(中央公論新社・2015)参考:Information About Prosopagnosia|Prosopagnosia Research at Bournemouth University相貌失認の原因出典 : 人の顔だけ認識することができなくなってしまう相貌失認は、いったいなにが原因で起こるのでしょうか。この章では、先天性の相貌失認と後天性の相貌失認にわけて原因について説明します。先天性の相貌失認は、脳内で顔を認識するときに行われるはずの処理を行うことができないために起こるとされています。視覚障害、知的機能障害もなく、脳に損傷も見らないのに、顔を認識することができません。なぜ先天性の相貌失認が起こるのかは、いまだに明らかになっていないことも多くありますが、最近の研究によると遺伝の影響も否定できないといわれており、遺伝性の相貌失認かどうかを確かめるような質問紙も作られています。参考:近藤実知「後天性および先天性相貌失認症例検討をふまえて」人の顔を見てそれがだれか認識するためには、脳内でさまざまな処理が行われる必要があります。例えば、目で見た情報から相手の顔がどんなかたちをしているのかやどんな色をしているのかを脳内で明らかにします。その後、その顔をした人を今まで見たことあるか自分の記憶と照らし合わせる必要があります。後天性の相貌失認とは、相手の顔をだれか認識するまでに必要なはたらきをする脳の一部を、事故や、脳梗塞・脳腫瘍などの病気により損傷してしまうことで起こります。交通事故などで相貌失認になってしまった人の場合、病院で目が覚めても、かけつけてくれた家族や友人が誰なのか分からないといった状態になってしまうことがあります。相貌失認と発達障害の関わりは?出典 : 自閉症スペクトラムがある人の中には、顔を認識することが難しい人がいます。自閉症スペクトラム以外にも、ウィリアムズ症候群やターナー症候群などの疾患がある人々にも相貌失認のような症状が現れることがあります。しかし、発達障害のある人すべてが顔認識に困難を抱えているわけではありませんし、相貌失認の人が必ず発達障害であるということでもありません。自閉症スペクトラムと相貌失認には、顔を認識する際に細かいパーツは認識できるが、全体として見ることができない傾向があるという共通点があります。私たちの目や鼻、あるいは輪郭などは一つだけ取り出して見れば、個人差はあまりありません。そのため、顔を認識するときには細かい部分を見るのではなく、顔を構成しているパーツの組み合わせを見ることになります。おそらく、目だけを見て、それが誰かを認識することは、ほとんどの人にとって不可能だと思います。顔認識に困難がある人であっても、顔を見た時には、目があり、鼻や口があるということから、今見ているものが顔であることを理解できます。しかし、その顔が誰の顔なのか認識する時に、目や鼻などの細かい部分に注目しすぎてしまい、全体の組み合わせから判断することができないのです。このように、相貌失認と自閉症スペクトラムには共通した特徴も見られます。現在、相貌失認と発達障害になぜ関連が見られるのかについては、諸説ありますがいまだに解明されていません。参考書籍:熊谷高幸/著者『自閉症と感覚過敏ー特有な世界はなぜ生まれ、どう支援すべきか?』(新曜社・2017)参考:Information About Prosopagnosia|Prosopagnosia Research at Bournemouth University相貌失認かどうか調べる方法出典 : 相貌失認なのか、単に人の顔を覚えるのが苦手なのかを確かめるにはどうすればいいのでしょうか。ここでは、相貌失認かどうか確かめるために使われる相貌認知課題について紹介します。相貌認知課題は、大きく分けると次の3種類の項目を調べるものになります。・見たことある人の顔を覚えられているか・見たことない人の顔を区別できるか・顔から性別や年令を推測することができるかそれぞれもう少し詳しく見ていきます。見たことのある人の顔を覚えられているか確かめる課題では、誰でも知っているような有名人や家族の写真を用いて行われます。有名人や家族の写真を見せて、その人が誰か答えてもらう中で、その正答率や思い出すまでにかかった時間を測ります。この課題では、写真に写っている人の名前を答えてもらうことが多いですが、名前を思い出せなくても、それが誰なのか分かっていれば正解したとみなします。例えば、イチローの写真を見て、名前がでてこなくても、「野球選手で、いまメジャーで活躍していて…」と答えることができれば顔を覚えているとみなされます。この課題では、2枚の写真を見せて、それが同じ人であるかどうか答えてもらったり、見本の写真と同一人物の写真を6枚の写真から選択してもらったりして行われます。この課題でも、正答率や答えるまでにかかった時間などを測ります。2枚の写真を見せて、どちらが男性か答えてもらったり、どちらのほうが若いか答えてもらったりすることで、正しく推測できているか確かめます。参考:近藤実知「後天性および先天性相貌失認症例検討をふまえて」相貌失認の対処法出典 : 私たちは目の前にいる人が、誰なのか認知するとき、顔の情報のみで判断しているわけではありません。例えば、特徴的な髪型や話し方、歩き方あるいは服装なども参考にしながら、記憶と照らし合わせています。相貌失認の人の場合は、相手のことを顔から判断することは困難ですが、顔以外の情報から判断することができます。生まれつき相貌失認であると、独自の工夫をして、社会生活をそれほど支障なく過ごしている場合もあります。現在、残念ながら相貌失認を根本的に治療する方法は見つかっていません。相貌失認を抱えながら生活していくには、顔以外の情報にできるだけ注意して相手が誰か判断しなければいけません。相貌失認によるトラブルを減らすために、自分が相貌失認であることを周囲に明言しておく方法もあります。例えば、『レナードの朝』などの著作で知られる神経科医オリヴァー・サックスも相貌失認であることを告白しています。サックスの助手は、サックスのもとを訪れる人に対して次のように伝えていたそうです。「あなたのことを覚えているかどうか、先生に訊かないでください。覚えてないって言いますから。お名前を名乗って、自分が誰かを先生に教えてあげてください」出典:『心の視力ー脳神経科医と失われた知覚の世界』p104また、サックスにもこのように言っていたそうです。「ただ覚えていないと言うのはだめですよ――失礼ですし、人は気を悪くします。『申し訳ありませんが、私は人の顔をちっとも覚えられないんです。自分の母親の顔さえわからないんですよ』って言ってください」出典:『心の視力―脳神経科医と失われた知覚の世界』p104相貌失認でありながら、なんとか工夫してトラブルを起こすことなく生活し続けることは難しいことです。また仮に生活できたとしても、常に過度に気を張っていなければいけないため本人の負担がどうしても大きくなってしまいがちです。相貌失認で困っている人は、周囲に正しく理解してもらえるように、相貌失認であることを周りの人に伝えるという選択肢も考えてみてはいかがでしょうか。参考書籍:オリヴァー・サックス/著者『心の視力ー脳神経科医と失われた知覚の世界』(早川書房・2011)相貌失認の著名人出典 : 人口のおおよそ2%が相貌失認であるとされているように、相貌失認というのは決して珍しいものではありません。相貌失認は、たしかに日常生活のなかで困るようなケースも多くあるかもしれません。しかし、相貌失認であっても世界で活躍されている方は何人もいらっしゃいます。この章では、実際に相貌失認であるまたは、相貌失認の疑いがあるとされている著名人の方を紹介していきます。ルイス・キャロルは、世界中で大人気な『不思議の国のアリス』をはじめとする童話を執筆したことで知られています。彼は、児童文学の作者としてだけでなく、大学の講師や写真家、牧師としても活躍された非常に多才な人物でした。ルイス・キャロルは、数字の「42」に対して強いこだわりをもったり、規則を守ることが得意であったり、言動の意図をよく汲み間違えたりしていたそうです。他にも、言葉をどもってしまうような言語障害もあったようです。今となっては確かめようがありませんが、人の顔を覚えることが非常に苦手であったり、パーティー会場で人を紹介しようとすると席を慌てて外したりと相貌失認であったことをうかがわせるエピソードがいくつも残っています。アメリカ出身のブラッド・ピットは、日本ではブラピの愛称で親しまれるなど非常に人気があります。アカデミー賞にも、俳優として、プロデューサーとして何度もノミネートされています。ブラッド・ピットは、2013年のインタビューで自身が相貌失認の疑いがあることをカミングアウトしました。参考書籍:岡南/著者『天才と発達障害ー映像思考のガウディと相貌失認のルイス・キャロル』(講談社・2010)相貌失認の診断・相談先はあるの?出典 : 相貌失認が、現在正式な診断名として医療現場で使われることはあまりありません。というのは、人の顔が覚えられないという症状や、顔から年齢や性別が判断できないという症状が見られる場合、相貌失認の可能性が疑われますが、今の日本では、客観的にあるテストを行って、何点以下の場合、相貌失認とするというような基準が作られていないためです。また、相貌失認であることが判明しても、相貌失認を抜本的に治す治療法が確立していないため、効果的な治療を受けることは難しいと考えられます。しかし、専門的な知識をもった人に話を聞いてもらいアドバイスを受けたり、単なる自分の思い込みにすぎないのかどうか確かめたりすることで、日々の困り事を軽減できるかもしれません。相貌失認について相談したい場合には、総合病院や脳神経外科のある病院などが受診先として挙げられますが、これらの病院すべてが相貌失認の相談を受け付けているわけではありません。実際に病院に足を運ぶ前に確認をするとよいでしょう。まとめ出典 : 自分自身で相貌失認だと気づいている人は珍しいかもしれませんが、人によっては日常生活の中でどうしても顔が覚えられず苦労しているかもしれません。今日の日本で社会生活を営む場合、目の前にいる人が誰なのか判断することは、どうしても避けられません。また顔が覚えられないという悩みは、一朝一夕で解決するようなものではなく、相貌失認は医療の力を頼ることもなかなかできません。そのため、一人ひとり自分にあった工夫を日々苦労しながら、探していく必要があります。顔以外の情報から、誰か判断するすべを身につけたり、必要に応じて顔の認識ができないことを相手に伝えたりすることが大切になってくるのではないでしょうか。
2017年11月13日思考停止してしまう息子にイライラが募る日々出典 : 自閉症スペクトラム&ADHDの診断が下りている7歳の息子は「失敗すること」「怒られること」を極度に恐れています。そして、トラブルが起こったときは「どうしよう!どうしよう!」とパニック状態に陥り、思考が停止してしまうのです。トラブルと言っても、ご飯を食べている時にお茶をこぼしてしまったことや、文字を書き間違えてしまったこと、出発時間間際にまだ家を出る用意ができていないことなど、私から見れば日常生活のほんの些細なできごとばかりです。そんなことが起こるたびに、私は「どうすればいいか自分で考えなさい!」「前にも言ったでしょ?」とイライラしながら声をかけてきました。もう7歳なのに、一体いつになったら日常生活をスムーズに送ることができるんだろうか。そんな焦りが私の中に確かに存在していたのです。自分で考えられるなら困ったりしない出典 : そんな折、久しぶりに訪れた児童精神科の先生のもとを訪れたときのことです。先生は息子について、ふとこんな話をしてくれました。「息子さんは真面目で素直ですが、不安や失敗に敏感でパニックを起こしてしまう繊細なお子さんですね。こういうタイプの方に絶対に言ってはいけない言葉があるんです。それは『自分で考えなさい』という言葉です。」「えっ!私、すごくたくさんその言葉を使っていました。」私の頭は大混乱!凸凹が大きく苦手なことが多いからこそ、ひとつひとつ自分の頭で考えて歩めるようになって欲しい。そんな風に願っていたからこそ、「自分で解決策を考えること」を重要視して声掛けをしていました。先生はこう続けます。「自分で考えられるなら『どうしよう』と混乱したりしないんです。それができなくて困っているのに、自分で答えを見つけることを強要しても追い詰めてしまうだけなんです。」「なるほど、すごく納得です。それができないから困っているんですよね。私、困っている息子にさらに追い打ちをかけてしまっていたんですね...」私がやっていたことは、目が悪い人に「いいからしっかりと裸眼で見なさい!」と強いているようなものだったのです。確かにそれでは努力だけではどうにもならないはずです。「一番いいのは、とにかくマニュアル化してあげることです。こういう場合はこうすればいいというマニュアルをたくさん入れてあげることで不安が軽減され、少しずつ自信を持って行動できるようになると思いますよ」「マニュアル化!些細なことで混乱しているのは『こうすればいい』という行動パターンが息子にしっかりと入っていないからなんですね。もう一度生活を見直してみます」マニュアル化というキーワードは、発達障害について調べている時に何度も出てきた内容ではあります。しかし、いざ自分たちの生活に落とし込むとなると、どの場面でどういったマニュアルを作ればよいのかわからず、実行には移せない状態でした。そこで今回を機会として、私なりに「息子が自信を持って行動できる」ことを目標にマニュアル作りにトライしてみることに決めました。親が思っていたよりも基本的な部分からサポートが必要でした出典 : さて、どこから着手しよう?まずは普段の生活を思い返し、私が息子に対してイライラしてしまう瞬間を把握することから始めてみることにしました。私が一番辛いのは、同じことを何度も質問されることです。文字を間違えちゃった!ママ、どうしよう?お茶をこぼしちゃった!ママ、どうしよう?時間に間に合わない!ママ、どうしよう?今まではつい苛立ってしまっていましたが、本当に困っているのだと私の中の考えを改め、そのうえでどのようなマニュアルを作るかを模索することにしました。ただ、怒られるかもしれないと大きな不安を抱え毎回焦っている息子には、事前にマニュアルを示しても効果は薄いように思われます。そこで、これらのことが起こる場所にあらかじめマニュアルを置いておくことにしました。視覚優位で戦隊モノが大好きな息子に合ったものをということで、イラストも入れつつ、読みやすいような工夫をしました。そして、内容は簡単なことでも、3ステップに分け、落ち着いて読むことができるように。①どうしよう文字を書き間違えちゃった!②深呼吸して落ち着いたら、解決方法を思い出してみよう③そうだ消しゴムで消して書き直せばいいんだった!こんな感じに場面に合わせて作ったマニュアルを、鉛筆を使う場所、食事の場所などに配置します。はじめはこんなことにまで本当にマニュアル化が必要なのか半信半疑でした。しかし、この用紙を繰り返し読み、お守りのように大切に身近において過ごしている息子を見ていると、私が思っていた以上に暮らしの中で息子が不安に思っていることが多かったことに気付かされました。少しずつ日々の暮らしがマニュアル化され不安が減少すれば、今までそこに割いていたエネルギーを他のことに使えるようになるかも知れません。それは息子だけでなく、私にも言えることです。情報は入りにくいけれど、一度入ってしまえば真面目にそれを実践するために努力できるのが息子のいいところ。日々の困りごとを丁寧に拾い上げて、子どもたちと一緒にわが家流のマニュアル作りを進めて行きたいと思います。親が悩まされている子どもの行動は、その子自身の困りごと。分かっていても、なかなか難しいものですね。けれども、気づいた時こそが成長できるチャンス。皆さまも子どもが穏やかな気持ちで過ごせる工夫を、できる範囲でやってみませんか?たとえその工夫が上手くいかなくても、そこからお子さんに伝わりやすい方法が見えてくるかもしれませんよ。
2017年11月12日夫と兄と弟の3人で公園へ…夫が小2と幼稚園年長の息子の3人で公園に行った日。帰ってきてから「ちょっと聞いてくれ(笑)」と夫が話してくれた内容に大笑いしてしまいました。聞いた話をイラストにしてみました。Upload By ラム*カナ滑り台で遊び始めた長男。Upload By ラム*カナUpload By ラム*カナどうやら濡れた場所があったようです。Upload By ラム*カナお尻が濡れてしまった長男のあとに、次男がつづきます。Upload By ラム*カナUpload By ラム*カナUpload By ラム*カナ(うんうん、そうなるよねぇ。そりゃ、次男も怒るよ…。なんで急に驚かせたりしたの?)と疑問に思いながら夫の話のつづきを待つと、長男は微笑みながらこう言ったそうです。Upload By ラム*カナ…っ!なーるほ、…ど?通じづらいやり方ではあったけど、長男的には弟を思いやるあまりの優しい作戦だったようです(笑)
2017年11月11日発達障害支援研究・実践の最前線を学ぶシンポジウム出典 : 発達障害の原因や治療法、支援方法に関する研究は、様々な分野の専門家が取り組んでいる領域です。発達障害のある子どもを育てている保護者や、その周辺の支援者にとって、最新の研究成果は今と未来の生活にどのような影響をおよぼすのでしょうか?誰もが多様で豊かな人生を送ることのできる社会を形成していくためにできることとはなんでしょうか?そんな疑問に応えるシンポジウムのお知らせです。11月26日(日)、「うちの子、少し違うかも...II~エビデンスに基づく発達障害支援をみんなで考える~」と題されたシンポジウムが、東京・お台場のテレコムセンターで開催されます。(主催:国立研究開発法人科学技術振興機構(JST) 社会技術研究開発センター(RISTEX))家庭・学校・地域・行政等における支援のしくみや最新の取り組みを紹介しながら、様々な支援の場面に横たわる障壁を乗り越え、改善していくための具体的方法について、分野・領域を超えて考えるシンポジウムです。サイエンスアゴラ2017 公開シンポジウム11月26日(日)「うちの子、少し違うかも...II~エビデンスに基づく発達障害支援をみんなで考える~」シンポジウム概要出典 : 日時2017年11月26日(日)10:15~12:30 (開場 10:00)場所テレコムセンタービル 8階 会議室B※新交通ゆりかもめ「テレコムセンター駅」直結参加費無料対象発達障害療育・子育て支援等に携わる方(医療・福祉関係等)学校・教育機関関係者の方行政(国・地方自治体)関係者の方発達障害児支援に関心をお持ちの一般の方、保護者・ご家族の方プログラム:10:00受付開始10:15開始10:20講演■神尾 陽子 氏(国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 児童・思春期精神保健研究部 部長)■船曳 康子 氏(京都大学大学院人間・環境学研究科/総合人間学部 准教授)■山野 則子 氏(大阪府立大学大学院人間社会システム科学研究科 教授/スクールソーシャルワーク評価支援研究所 所長)11:15パネルディスカッション■モデレーター:熊 仁美 氏 (特定非営利活動法人ADDS 共同代表)■パネリスト :上記講演者3名、外岡 資朗 氏(鹿児島県こども総合療育センター 所長)12:20フロアとの対話(質疑応答)、まとめ12:30終了出典 : 京都大学医学部卒業、ロンドン大学付属精神医学研究所児童青年精神医学課程終了。京都大学医学部精神神経科助手の後、米国コネティカット大学(フルブライト研究員)で自閉症研究に従事した後、九州大学大学院人間環境学研究院助教授を経て、2006年より国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所児童・思春期精神保健研究部部長、2010年より山梨大学客員教授、2017年よりお茶の水女子大学客員教授を併任。出典 : 年京都大学医学部卒業。京都大学医学部付属病院、京都市立病院にて研修後、京都大学大学院医学研究科に入学し、認知症の臨床研究を行った。2000年からは、カリフォルニア工科大学行動生物学教室に留学し、小鳥の歌を用いた音声発達の臨界期の研究に従事。2003年に帰国し、こころの発達、発達障害の分野の臨床と研究に従事。日本学術振興会特別研究員、京都大学医学部付属精神科助教を経て、2015年より現職。出典 : 関西学院大学社会学研究科後期博士課程修了、博士(人間福祉)。内閣府:子どもの貧困対策検討委員会委員・有識者会議委員、文部科学省:中央教育審議会生涯学習分科会委員、企画調整部会委員、家庭教育支援の推進方策に関する検討委員会座長、教育相談等に関する調査研究会議委員、厚生労働省:社会保障審議会臨時委員、ほか国の委員多数。大阪府子ども施策審議会会長、子どもの貧困部会部会長、大阪府スクールソーシャルワーク配置事業スーパーバイザー、ほか多数。出典 : 年、慶應義塾大学大学院社会学研究科修士課程修了。2011年、自閉症児に効果的な早期療育が届くことを目指し、NPO法人ADDS設立。2013年、同大大学院後期博士課程を単位取得退学、同大先導研究センター研究員。自閉症児のコミュニケーション研究や、早期療育の実践研究に携わる。NPO法人では、保護者が家庭療育に取り組むためのペアレントトレーニング、セラピスト認定制度等を実施し、現在までにセラピストを約100名養成、ペアレントトレーニングを約200家庭に提供してきた。出典 : 小児科医師。1988年、熊本大学医学部卒業、熊本大学大学院医学研究科へ入学後、同大医学部附属病院発達小児科にて勤務し、1996年、熊本大学大学院単位取得終了。1999年より鹿児島市立病院小児科(小児神経科)で医師、医長、科長を歴任後、2007年より鹿児島県児童総合相談センター療育指導部長、2010年より現職。鹿児島県こどもの虐待問題研究会副会長を併任。主催者からのメッセージ「国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の社会技術研究開発センター(RISTEX)では、「社会のなかの科学・社会のための科学」の理念のもと、社会の具体的な問題の解決を目指す研究開発を推進しています。今回のシンポジウム(入場無料)では、RISTEXにおける関連プロジェクトの成果も踏まえながら、家庭・学校・地域といった場面での発達障害支援における課題を改善し、のりこえていくための具体的なとりくみ等についての情報提供・共有や議論を行うことを目的としています。」昨年度も実施し、好評を博したシンポジウムの第2弾。様々なプロジェクトの成果の紹介や、必要とされる支援についての議論が行われます。本人や保護者はもちろん、教育や支援に関わる方に幅広く、足を運んでいただきたいシンポジウムです。イベント申し込みはこちら以下のリンクから申し込みが可能です。定員200名(予定)、氏名の登録は必須ではありません。お問い合わせは、下記のページの「主催・お問い合わせ」に情報が記載されておりますので、そちらからお願いいたします。サイエンスアゴラ2017 公開シンポジウム開催(入場無料) - 社会技術研究開発センター
2017年11月11日発達ナビ編集長・鈴木悠平のオススメ本発達ナビでは秋の読書週間に合わせて様々な方におすすめの本を紹介いただきました。しめくくりに、発達ナビ編集長の鈴木悠平が、発達ナビのユーザーの皆さんにご紹介したい本をピックアップしました。『イラスト図解 発達障害の子どもの心と行動がわかる本』北海道の「こころとそだちのクリニックむすびめ」院長である、児童精神科医の田中康雄先生の著書。表紙にある”「困らせる子ども」は、「困っている子ども」です。”のメッセージの通り、発達障害のある子どもたちの側に寄り添い、さまざまな特性を持つ子どもたちが、身の回りの出来事をどのように感じて、どうして困ってしまうのかを、イラスト付きでやさしく解説しています。学術的な難しい専門用語はほとんど使われておらず、発達障害についての前提知識がなくても簡単に読み進めることができます。発達障害について知りたい、子どもの行動の理由を知りたいといったときの「はじめの一冊」としてピッタリな本です!『ぼく、アスペルガーかもしれない。』著者の中田大地さんは、2001年北海道生まれ、本書執筆時はなんと8歳!小さいころから音や光に対しての過敏性が強く、集団行動にも難しさがあったことから、小学校進学時は特別支援学級で学ぶことを選択。自分の目や耳はどんな風に感じているのか、自分はどんなことが得意で、どんなことが辛いのか…日常の一つひとつの体験を、中田さんが自分自身の言葉で語っています。”しっかり働ける大人になるために僕はもっと、自分のことを知らなくてはいけない。”ーー主治医の先生やお母さんたちとの対話を通しながら、自分自身のことを知り、学校の中でみんなと一緒に学び過ごしていくためには何が必要か学んでいく中田さん。子ども自身の目線から発達凸凹の大きいお子さんの感じる世界が描かれた貴重な本です。続編の『僕たちは発達しているよ』(2010年, 花風社)、『僕は、社会(みんな)の中で生きる。―お家で、学校で、アスペルガーの僕が毎日お勉強していること』(2011年, 花風社)もぜひあわせてどうぞ。『わが子の発達障害告知を受けた、父親への「引継書」。』首都圏在住、資源・エネルギー関連の会社に勤める著者の白山宮市さん。次女が自閉症スペクトラムの診断を受けてからのご自身の経験をもとにした、父親による、父親のための父親業務「引継書」です。企業で長く働いてきたビジネスパーソンならではの喩えとして、企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合に、損害を最小限に食い止め、いちはやく事業の継続・復旧を図るために策定されるBCP(事業継続計画)になぞらえた、FCP(家庭生活継続計画)の策定を白山さんは提唱します。わが子の発達障害診断・告知を受けた瞬間の心の動揺や落ち込み、そこからの立ち直り、夫婦間の対話や家庭内での役割分担の決定、職場への説明や立場・働き方のギアチェンジ、療育等の社会資源の利用や学級・学校選択などなど…発達障害のある子どもを育てる上でどうしても避けられない保護者への負担・困難を受け止めつつも、家族とともにいかに歩んでいくかを、冷静な筆致で叙述しています。体験談をベースにしつつも、発達障害のある子どものいる家庭がたどる道筋や利用できる社会資源などが俯瞰してまとめられており、どちらかというと構造的で体系的な理解を好む人が多いと言われる父親(男性保護者)読者にとって非常に参考になる書籍だと思います。鈴木悠平プロフィールUpload By 発達ナビ編集部1987年生まれ。東日本大震災後の宮城県石巻市におけるコミュニティ事業の立ち上げ、コロンビア大学大学院での地域保健政策の研究を経験した後、株式会社LITALICO入社。発達支援教室「LITALICOジュニア」での指導員、「LITALICO研究所」の立ち上げ・運営業務等を経験したのち、発達障害に関するポータルサイト「LITALICO発達ナビ」( ) の編集長に就任。NPO法人「soar」( )理事も務める。
2017年11月10日パニックは、いつだって突然に…!出典 : 「き…き…キターーー」息子のパニックが爆発したとき、私はいつも思考停止しかけてしまう頭を茶化すために、こんな風に呟いていました。自閉症スペクトラム障害、ADHDと診断されている息子のパニックは、一切の予測ができません。いつ来るのか分からない、何が引き金かも分からない、突然訪れて、そして何時間も続く「地獄」でした。声をかけてなだめても火に油。抱きしめてみたら、暴れる息子に頭突きをされて自分がけがをすることも。私はなすすべもなく呆然とその場に立ち尽くすことしかできず、その様相は本当に滑稽で哀れとしか言いようがありませんでした。そんな息子も小学校1年生になり、最近はひどいパニックに陥ってしまうことはほとんどなくなりました。それは、息子が自分自身で「嫌な感覚」を説明できるようになったから。息子は「音がうるさい」「人が多い」「疲れた」「静かなところに行きたい」などと自分から言うことができ、周りの人に伝えることができるようになったのです。また、自分にとって嫌な刺激は、自分自身の行動で回避することができるようになったことも大きく関係していると思います。けれども、息子が自分の快不快の表現がまだできなかった頃を思い出すと、いまでも目を背けたくなるような辛い気持が思い返されます。知らず知らずのうちに不快刺激を我慢し続け、顔は青ざめ、道路に座り込み、耳を塞いだまま立ち上がれなくなったり。あるいは泣いて泣いてどうやっても泣き止むことができなかったり。こんなとき、いつも私は思いました。「パニックになることを予告してくれる警報機があったらなあ…」ストレスを感知できるリストバンドがある!?出典 : 発達障害のある子どもががパニックを起こす前に「ストレスがたまっています」「クールダウンさせてください」と警告してくれるような機械がもしあったら…。そんな夢のようなことを考えていたら、たまたまこんな海外の記事を見つけてしまったのです!"Sensor Detects Emotions through the Skin" (「センサーで皮膚から感情を測定」MITテクノロジーレビュー)2010年に書かれたこの記事には、アメリカのマサチューセッツ州にあるAffectivaという会社が、人の興奮や苛立ちを検知することのできるリストバンド型のセンサーを開発したということが書かれています。このリストバンドに組み込まれたセンサーが皮膚の水分量に応じて変化する電気伝導率を測定することにより、ストレス反応を検知することができると言います。この記事では、このリストバンドを自閉症の当事者の支援に活用できる可能性があるかもしれない、と書いています。自閉症の人はストレスを表現しづらいという特性を持つことが多く、またそもそも自分自身の「感情」や「ストレス」についてよく分かっていない場合もあります。そしてギリギリまで我慢した結果、パニックになるというのです。自閉症の人に限らず、人は誰でもこのような状態になると、交感神経の働きが活発になり、皮膚の水分量が増えて皮膚の電気伝導度が高まるのだそう。このリストバンドに搭載されたセンサーは、その電気伝導度の変化を、「ストレス反応」として捉え、ストレスレベルを測定するのです。交感神経が活発になるのは、必ずしも「ストレス反応」に限らないのですが、それでも自閉症の人の情緒に何かしらの変化が起こったことは分かると、この記事では言われています。製品化は進むのか!?その後の開発動向を追跡してみると…出典 : 待ち望んでいる人も多いであろうこのリストバンド。この記事で紹介されてから7年あまりの時間が経過した現在の開発状況はどのようになっているのでしょうか。気になった私は、開発に取り組んでいるマシュー・グッドウィン博士(ノースイースタン大学准教授)にコンタクトを取ってみることに。すると、この技術を継承したリストバンドが既に商品化されていることが分かりました。上で紹介したAffectiva社は開発・販売を休止しましたが、そこから独立して設立された会社が他社と合併を行い誕生したEmpatica社が、現在でもセンサーの販売行っているというのです。それがこちら!Upload By 林真紀Upload By 林真紀Empatica Inc.(Empatica社のホームページ)社が販売しているのは、このE4とEmbraceという2種類のリストバンドです。E4は、体温や心拍や皮膚電位等を検知することにより、自律神経系、交感神経系、副交感神経系の働きを計測することができるといいます。Embraceは、皮膚電位や体温、動き等に大きな変化があった場合に、アラートを出すこともできるとか。このような急激な変化は、身体になんらかの発作が生じたときに見られる場合が多いため、現在は主に医療目的で使われているようです。自閉症へのフォーカスはまだ。でも今後の発展に期待!出典 : 残念ながらこれらの製品のWEBサイトでは、まだ自閉症の人に対しての有効性などには触れられておらず、あくまで体の情報を取得するセンサーとして紹介されています。しかし、開発段階においては、自閉症児の子どもや保護者、支援者からの要望がとても多かったというのは事実のようです。また自閉症の当事者も、ストレスをうまく表現できない苦しみと、それを周りに違って解釈されてしまう辛さに悩み、自らの感覚を他者に伝えることができるセンサーの開発を待ち望んでいた人が多かったと言います。現在の製品は自閉症の人に特化した商品ではないものの、将来的にはデータの蓄積と精度の向上が進めばさらなる活用が期待できるかもしれません。また、リストバンドのお値段は日本円にして約18万円とだいぶお高いですが、これから開発が進み、一般向けに普及していくようになれば、もっと安い値段で手に入る日がきてもおかしくないでしょう!なにより、実用化すれば言葉や表情に頼らず、自閉症の人の感じている辛さをリアルタイムに知ることができる画期的なツールになるはずです。テクノロジーが、いろんな人の生きづらさを変えていく時代が来ているのかもしれない…私はこのリストバンドのことを知って、とても明るい未来を想像したのでした。
2017年11月10日平成30年度の「東京都立高等学校募集案内」が発表。障害への合理的配慮は?出典 : 東京都教育委員会から、「平成30年度東京都立高等学校募集案内」が発表されました。全日制高校の推薦入試の場合は2018年1月23日(火)が、学力検査の第一次募集の場合は2月6日(火)・7日(水)が入学願書の受付日となります。平成30年度東京都立高等学校募集案内入学試験が差し迫ってくる中、障害のあるお子さんや保護者の皆さんにとって、受験時に特性を踏まえた配慮をしてもらえるのかが気になるのではないでしょうか。今回の記事では、具体的にどのような合理的配慮が可能か、またその申請方法などについて、都立高校の場合を例にご紹介します。「障害者差別解消法」で、受験時の合理的配慮を義務付け2016年4月に施行された「障害者差別解消法」では、障害がある志願者が公立高校を受験する際、障害による不利益が生じないような配慮について申請があれば、過度に負担にならない範囲内で合理的配慮を提供することが義務付けられました。障害者差別解消法でも定められているように、都立高校での入学試験でも障害特性に応じた合理的配慮がされています。学力検査、小論文又は作文、面接等において、検査方法、検査時間、検査会場等についての特別な措置を申請することが可能です。志願者の障害の特性等を考慮した上で、問題用紙・解答用紙の拡大、英語リスニングテストでの座席の配慮、別室受検、検査時間の延長、記号選択式での受検、ICT機器の使用、介助者(代筆者や音読者などを含みます。)の同行などが認められます。また、現住所から通学至便な全日制又は定時制の高校を志願する場合、選考の特例を申請することが可能です。合理的配慮の例としては、書字に困難がある場合:・問題用紙を拡大して記入をしやすくする・試験時間を延長する・パソコンを使用して作文問題に解答できるようにする識字に困難がある場合:・問題用紙にルビをふる・介助者が検査問題を読み上げるといったことが考えられます。車椅子を使用する場合などは、検査会場となる教室の階数や机の位置、高さなどへの配慮も申請できるでしょう。ただし、志願者の特性や都立高校側の状況によって、可能となる配慮の内容は異なるので、中学校を通して早めに申請することが大切です。なお、合理的配慮を求めたからといって受験の合否判定で不利になることはありません。都立高校受験の合理的配慮、申請手続きの締切や方法は?出典 : 申請は、在学する中学校を通して行います。まず、担任の先生に相談し、中学校長を通じて志望する都立高校の学校長へ、所定の申請書を用いて申請します。申請後、中学校・都立高校・東京都教育委員会で、志願者の特性や、中学校での学習指導の状況などを考慮した対応を調整することになります。都立高校への申請締切は2017年12月22日(金)までですが、早めに申請ができると、その分余裕をもって都立高校とのやりとりをすることができます。中学校に在籍していない場合は、都立高校入試相談コーナー(電話 03-5320-6755)まで問い合わせます。高校入学後の学校生活での合理的配慮についても相談できる?出典 : 障害がある生徒の場合、入学試験だけでなく、入学後の生活でも合理的配慮が必要となることがあります。学校生活における合理的配慮についても、志願する都立高校に事前に相談することができます。入学試験での配慮の申請に合わせて相談してみましょう。東京都以外の公立高校受験での合理的配慮の対応は?各都道府県それぞれで対応の方法や基準は異なるため、すべての都道府県で都立高校と同様の配慮があるとは限りません。詳しくは、在籍する中学校の先生を通して確認をする必要があります。子どもたちが、未来への一歩を踏み出せるように出典 : 障害があっても、その特性や困り事に応じた合理的配慮を受けることによって、自分の力を発揮して入学試験に臨むことができるようになります。志望校に合格する。そのことで、子どもたちは未来へ向かう道へ踏み出していくことができます。そのためには、自分の力を発揮できる環境をつくることが大切です。これから高校受験を控える生徒さん・保護者の方々は、まずは中学校の先生に相談をしてみましょう。
2017年11月10日ライター・鈴木希望さんのおすすめ本フリーライターの鈴木希望さん。ご自身と息子さんがともにASD(自閉症スペクトラム)の診断を受けており、発達ナビでも体験を綴ったコラムを連載中です。そんな鈴木希望さんに発達ナビユーザーにおすすめの本を4冊教えていただきました。子育てや家事に疲れた時、親子で本を読む時間をつくってみてはいかがでしょうか?『妖怪ウォッチ』「言わずと知れた人気漫画。主人公のケータ君が様々な妖怪と出会い、友達になるというストーリーなんですが、人々を困らせる妖怪と話してみると、実は「誰かを困らせたいわけではなく、妖怪自身が自分の性質や能力の取り扱いに困っている」というパターンが多いんですね。『あ、これ、発達障害当事者の状況に似ているな』と。妖怪たちの吐露を聞いたケータ君が、『でもそれってこんなふうにいいところもあるよ』とリフレーミングしたり、『それをこういうふうに活かしたらどう?』とアドバイスするんですね。なので、『ああ、これは多様性受容の話なのだな』と私は理解しています。基本はギャグ漫画ですけれど、そのように観点を変えて読んでみると面白いかもしれません。」(鈴木希望さん)「発達障害について理解が深まる本を教えてください」と聞いたところ、鈴木さんが教えてくれたのは意外にも妖怪をテーマにした漫画『妖怪ウォッチ』。『コロコロコミック』で連載中の、大人気ニンテンドー3DSゲームを原作とした漫画です。小学5年生のケータが森の中で「妖怪執事」のウィスパーと出会い、妖怪ウォッチを手に入れたことから物語は始まります。妖怪ウォッチをつけると、見えないはずの妖怪が見えるようになります。悩んだり、イタズラで人を困らせたり、そんな妖怪たちとケータは友達になり、問題を一緒に解決していき…。かわいいキャラクターとわかりやすいストーリーで、子どもに大人気のコミック。2017年11月28日に最新刊14巻が発売予定です。『このあとどうしちゃおう』「おじいちゃんの楽しげなエンディングノートを見つけた男の子が、それを読みながら、どんな気持ちで記したのかと想像を巡らす、楽しくて、ちょっぴり切ないお話です。死に関して語ることって、何となく重いというか、タブーのような雰囲気がありますが、生きることと地続きで、誰しも経験するものですよね。だから、生きることの大切さを語ることと同様に、死についてももっと気軽に語る機会があってもいいよね、とこれを読んで私は感じました。この絵本をきっかけに、8歳の息子とはもちろん、老親とも『このあとどうしちゃおう』『いきているあいだはどうしちゃおう』と話し合う機会が増えました。」(鈴木希望さん)『りんごかもしれない』『ぼくのニセモノをつくるには』に続く、ヨシタケシンスケさんの大人気絵本シリーズ「発想えほん」の第3弾。今回のテーマは「死」。重いテーマですが明るい絵柄でからっと読めるので、子どもから大人まで、家族みんなで考えるきっかけにもなる本です。『子育ては、泣き・笑い・八起き 妊娠・出産・はじめての育児編』「新潟を拠点に活動されている子育てエッセイストさんのご著書。出産1年未満でシングルマザーになり、不安だらけの時期にこの本の元になった『どーいんソレ…!』に出会い、とても救われました。自分に高いハードルを設定しがちで、キャパシティー以上のことをしがちな私は、新米お母さん時代のちゃいさんの姿に自分を感じて、タイトル通りに泣き笑い。ついつい『自分ってダメな親だなぁ…』と思ってしまいがちなお母さん、お父さんには是非、『あなたはとっても頑張っているんだよ!』というちゃいさんのメッセージを感じていただきたいです。」(鈴木希望さん)地元・新潟のフリーペーパーで子育て漫画エッセイを連載しているちゃい文々さん。小学生の女の子、中学生の男の子を育てるシングルマザーとしての奮闘の日々を明るく綴ります。はじめての妊娠から出産、子育てまで、かわいい子どものために頑張ろうとするけれど、なかなかうまくいかずイライラ…。そんな体験をするパパ・ママは少なくないのではないでしょうか?そんなとき、この本は重すぎる子育ての負担を“キャパ・リュック”としておろす方法を提案してくれます。百点満点の育児じゃなくても大丈夫、そんな気持ちになれる一冊です。『逃避めし』「仕事に行き詰まったときや、締め切りが迫っているときの現実逃避として、作った料理を綴った、吉田戦車さんの食エッセイです。計量もせず、ありものでデタラメな料理をするのが私の趣味。そのワクワク感が詰まったこの本が大好きで、繰り返し読んでいます。料理にまつわる思い出や日常の記録も味わい深く、プロが作らないような名もない一品や毎日の暮らしが愛おしくなってきます。」(鈴木希望さん)『伝染るんです。』などで知られる漫画家吉田戦車さん初の料理エッセイ。締め切りを目前になぜか作ってしまう料理「逃避めし」を描き下ろしのイラストたっぷりに語っています。鈴木希望さんプロフィールUpload By 発達ナビ編集部1975年新潟県生まれのシングルマザー/フリーライター。側頭葉てんかんとは生来の付き合い。2009年生まれの息子が発達障害の可能性があると指摘を受け、調べたところ、後日親子揃って自閉症スペクトラム(旧アスペルガー症候群)と診断されました。発達ナビでコラムを連載中。
2017年11月09日”バディウォーク”ってどんなイベント?出典 : 「バディウォーク」とは、ダウン症のある人たちと一緒に、みんなで歩くチャリティーウォーキング・イベントです。全米ダウン症協会が、1995年に「ダウン症啓蒙月間」の一環としてニューヨークで始め、今では世界各地で開催されるようになりました。ダウン症への理解と受容(acceptance)、社会的な平等(inclusion)を促進することが目的で、誰もが参加できる1マイル(約1.6km)を歩きながら、ダウン症のある子どもたち同士、親同士、一般市民が触れ合えるチャリティイベントです。日本では2012年10月に初のバディウォークが開催されました。2016年には東京・横浜・京都・名古屋・仙台・長崎の6ヶ所で開催され、全国に広がっています。今年のテーマは、”みんなで「インクルージョン」を考える日”インクルージョンとは、多様な個性をもつ人々がお互いを尊重し合い、認め合い、対等にかかわりながら多様な人々が一体化している状態のことを言います。また、障害のある子どもを含む全ての子どもが同じ場で学び合うことを「インクルーシブ教育」といい、日本でも学校教育に取り入れられ初めています。バディウォーク東京2017は、イベントを通じてダウン症のある方を含む多様な個性を持つ方々と触れ合うことができます。だれでも楽しめるショーやアクティビティもたくさん用意されているので、家族や友達などと気軽に参加して、楽しみながらインクルージョンを体験してみませんか。たくさんの”ハート”に包まれる1日に。”ハート”をつけて参加しよう!出典 : バディウォーク東京2017は、明るく人なつっこい性格の方が多いダウン症の一面を表す「ハート」がデザインテーマ。ぜひ、ハートをモチーフにしたアイテムを身につけて参加してみましょう!きっとたくさんのハートに包まれた一日になるはずです。ウォーキングだけでなく、さまざまなイベントが企画されています!メイン会場となる新宿中央公園では、ステージはもちろん、飲食ブースやアートコーナー、スポーツコーナーなどさまざまなブースが並びます。アートコーナーでは、参加型ペインティングアートが行われます。出典 : 焼きたてピザやジュースバー、スローフードなど、バリエーション豊かな飲食ブースも楽しみのひとつ。出典 : ステージでは、「かいけつゾロリショー」や、コーラス、歌、バレエ、ダンスなど、多彩な出演者による多種多様なプログラムが。まさにインクルージョンなステージになりそうです。出典 : 出典 : ステージの司会は、峰尾紗季さん、あべけん太さんのお二人です。出典 : 年、リオ・パラリンピック閉会式でパフォーマンスも行ないました。平日は飲食店に勤務しながら、週末はダンスや演劇などの練習に励んでいます。会社員として勤務しながら、ダウン症について少しでも多くの人に知ってもらう為、タレント活動や、父・俊秀さんと親子講演を行っています。バディウォーク東京2017開催概要2017年11月19日(日)新宿中央公園(水の広場)無料イベント詳細については下記のページでご確認ください。バディウォーク東京2017
2017年11月09日熊谷晋一郎先生におすすめの本をききました!小児科医の熊谷先生は、脳性マヒのある障害当事者としての立場から、当事者研究も行っています。ロボット工学を専門とする、脳情報通信融合研究センターの長井志江先生チームと、熊谷先生・綾屋沙月さんの当事者研究チームが研究・開発した「自閉症知覚体験シミュレータ」を、発達ナビのコラムでご存知のユーザーの方も多いのではないでしょうか?平成28-33年度 戦略的創造研究推進事業(CREST)「認知ミラーリング:認知過程の自己理解と社会的共有による発達障害者支援」今回は、熊谷先生に発達ナビのユーザーに読んでほしい本を教えていただきました。自分や周りの人への理解が深まるきっかけに、ぜひ読んでみてはいかがでしょうか?『うわわ手帳と私のアスペルガー症候群』「一組の母と娘の間でつむがれた、静かで、繊細で、丁寧な、相互理解の軌跡」(熊谷晋一郎先生)高橋紗都さんは10歳のアスペルガーの女の子。ある日紗都さんにお母さんの尚美さんは「好きなことに使ってええで」と1冊の白い本を手渡します。紗都さんはその本を『うわわ手帳』と名づけ、自分の世界を自分の言葉で書き始めました。「うわ~っとなる」自分のしんどい状況を「うわわオバケ」という言葉で表現し、どんなときにどんなことに困るのか、どんな風に感じているのかが綴られたその手帳は、紗都さんの世界を写しだします。そしてそれは紗都さん本人や家族が理解し、対処法を探る大きなツールとなったのです。もちろん発達障害のある人の困りごとや、感じ方は人それぞれですが、高橋さん親子の手帳は発達障害のある子どもの世界を知る、一つのきっかけとなるのではないでしょうか?『こんな私が大嫌い!』「タイトルにぴんと来たら、ぜひ読んでみよう」(熊谷晋一郎先生)自分が嫌い、でも「自分を好きになろう」…そう言われてもどうしたらいいのか、迷う方も少なくないのではないでしょうか?エッセイストの中村うさぎさんが、。中村さん自身の体験と実践をもとに、きれいごとや欺瞞抜きで「自分嫌い」という呪いを解く方法を語ります。ふりがなやイラストも多く入り、わかりやすい言葉で綴られているので、思春期の悩める子どもにおすすめです。『母よ!殺すな』「子育ての重荷を親だけに背負わせる社会にNO!」(熊谷晋一郎先生)日本の障害者解放運動、自立生活運動をけん引した「青い芝の会」の脳性マヒ者、横塚晃一さんをご存知でしょうか?横塚さんは生後10ヶ月の高熱により重度の脳性マヒがありました。当時の日本では、障害者への支援が十分でなく、家庭での子育ての負担に耐えられないことを背景とした事件が社会問題となっていました。横塚さん達「青い芝の会」は重症児殺し告発運動を行い、その障害者の立場からの批判や運動は大きな反響を呼びました。そんな横塚さんの発言を聞き書きとして集めたのが本書です。1975年に出版され、長く絶版となっており入手困難でしたが2007年に復刊されました。初版に未収録の文章や年表、原一男監督によるドキュメンタリー映画『さようならCP』のシナリオも収録されています。『暇と退屈の倫理学』「あらゆる苦しみの根底には「退屈」という宿命があった!」(熊谷晋一郎先生)熊谷先生に、面白かった本、好きな本は?と伺ったところ、教えていただいたのが高崎経済大学准教授、哲学者國分功一郎さんの本です。「なぜ人間は退屈するのか」という問いを持った國分さんが、文化人類学、哲学、経済学、倫理学など様々な側面から論考します。2012年には読者が選ぶ人文書の賞「紀伊國屋じんぶん大賞」を受賞。分厚くとっつきにくいと感じるかもしれませんが、哲学だけに収まらない視点で、この疑問への答えを導き出そうとするその道筋そのものが面白いと話題になりました。2015年に出版された増補新版ではさらに新版に寄せた論考「傷と運命」も足されています。熊谷晋一郎先生プロフィールUpload By 発達ナビ編集部熊谷晋一郎(くまがやしんいちろう)・東京大学先端科学技術研究センター准教授、小児科医・日本発達神経科学学会理事新生児仮死の後遺症で、脳性マヒに。以後車いす生活となる。東京大学医学部医学科卒業後、千葉西病院小児科、埼玉医科大学小児心臓科での勤務、東京大学大学院医学系研究科博士課程での研究生活を経て、現職。専門は小児科学、当事者研究。主な著作に、「リハビリの夜」(医学書院、2009年)、「発達障害当事者研究」(共著、医学書院、2008年)、「つながりの作法」(共著、NHK出版、2010年)、「痛みの哲学」(共著、青土社、2013年)など。熊谷晋一郎|東京大学先端科学技術研究センター
2017年11月08日Upload By ぽんぽんUpload By ぽんぽんUpload By ぽんぽんUpload By ぽんぽんUpload By ぽんぽんUpload By ぽんぽん長男が3歳だった頃、言葉の遅い長男に対する不安がピークに達していました。その頃は不安に思うことがある度にネットを開き、同じようなことをする子が他にいるのか、どれくらいなら普通なのか、どれくらいからが遅れているうちに入るのか、発達障害とはどういうものなのかなどを、何度も繰り返し調べていたような気がします。はじめのうちは子どもの前でスマートフォンを使うこと自体ためらっていたので、子どもが寝ている間にだけ調べていたのですが、不安が大きくなるにつれ「今すぐに知りたい!」という気持ちが強くなり、ついに子どもの前でも検索するようになってしまいました。そんな時、スマートフォンをただただ見つめる私に長男が話しかけてきて、ハッと我に返りました。長男が目の前にいて、遊んで欲しがっているのに、私は何をしていたのだろう…と。それからは、子どもの起きている時間にはスマートフォンを見ないようにしようと決意。不安なことがあって調べたくても、子どもたちが寝るのを待ちました。余談ですが…ネットで得られる情報の中には、気持ちがネガティブになってしまうものもありますよね。私はそういった情報ではなく、不安を抱えながら頑張っている方のブログなどを読んで元気をもらっています。私自身のブログでも、少しでも共感の声が聞けるだけで「私だけじゃない。頑張ろう」と前向きな気持ちになることができるので、ネットも活用次第で得られるものが全然違うのかな、と思います。とはいえ、子どもの前でのネット使用は自粛中!スマートフォンを見ながら生返事をするのではなく、きちんと目を見て相手をしてあげることを心掛けています。
2017年11月08日かけっこ万年ビリ!でも動じない娘…やっぱり母は心配だ!運動会でいつもビリの、広汎性発達障害の娘。そんな娘の姿に父が熱血コーチで走り方を教えましたが、結果は惨敗…それでも一生懸命走ってくれたらいいのですが…娘は安定のニコニコゆったり走法で、ビリでも一向に気にしていない様子…「このままでは、連帯責任の時、責められる日が来るかもしれない…。どうしたものか…」と思いながらも、ただ見守ることしかできませんでした。もしかして、足が遅いだけじゃないのかも…!?そんな娘を日々観察し…そして悟った…!!!娘は足が遅いだけではなく…かけっこで一番大事なアレがないようなのです。そう…Upload By SAKURA走ることへの『競争心』がない!!!娘よ、かけっこは走って競争するスポーツなんだよ…?娘がまったく勝ち負けにこだわらないかと言うと…Upload By SAKURAUpload By SAKURA玉入れは、勝てば喜ぶし…ダンスは、家でも真面目に練習するほど楽しそうでした。他のことであれば、『勝ちたかったのに~!』と悔しがることもあります。Upload By SAKURAしかし、走ることに関しては、一番になりたい!負けたくない!という気持ちがないようで、明らかに全力疾走ではない余裕っぷり。負けても笑顔な娘…なぜかけっこだけ競争心がわかないの…?娘に聞いてみた問題は『走ることに関しての競争心』だとわかった!娘に「なぜ、走ることに関しては…そうなのか」問いかけてみました。Upload By SAKURAリアクションは謎…「と…とにかく、競争心を育てよう」母が立ち上がった!父が必死になって教えてくれた、走りのフォームなど、技術的な教えは、ほとんど効果を見せませんでした。そこで今度は、私が立ち上がることに。競争心と言うものを感じてほしいと、とにかくテンションをあげてもらうため、一緒にかけっこをしたり、走ることの勝ち負けを教えてみました。しかし、親とのやり取りでは、勝ちたがっても、学校の体育となると、結局スイッチオフ(笑)親として、見ていて何とももどかしい結果しか出ていません。Upload By SAKURA「競争心」を手に入れるまで、見守るしかないけれど技術的なことよりも、気持ちのありかたや考え方というのは教えることが難しいです。どんなに説明しても、本人が変わらなければ意味がない。今はその時期ではないのかもしれません…結局、いまだ解決策は見つからず。しかし、どこかのタイミングで…競争心を見つけるかも!しばらくは引き続き、見守ることが続きそうです。Upload By SAKURAいつかは運動会で一生懸命走る娘を見られる日が来ますように!
2017年11月08日精神科医・山科先生におすすめの本を聞きました!精神科医で中央大学教授の山科満先生。クリニックでの診察・カウンセリングも精力的に行い、臨床現場と心理学教育をつなぐ臨床研究に取り組んでいらっしゃいます。発達ナビのコラムの監修者としてもご活躍いただいています。そんな山科先生に、精神医学についての理解を深められる2冊を伺いました。いずれも豊富なエピソードと筆者の深い洞察力で、一般の読者でも興味を持って読める、おすすめの本です!『「こころ」の本質とは何か統合失調症・自閉症・不登校のふしぎ』「この挑戦的なタイトルに惹かれて発刊間もない頃に偶然手に取り、以来私にとってバイブルとなった本です。発達障害に向き合うにあたっての「考え方」を教えてもらいました。発達障害に関する臨床経験も知識も、今よりもずっと乏しかった頃は(今でも多いとは言えませんが)、私はほとんどこの本を頼りに臨床を行っていました。学部の1年生の授業でもテキストとして使っています。」(山科満先生)学習院大学教授の滝川一廣さんは『子どものための精神医学』(医学書院)や『家庭のなかの子ども 学校のなかの子ども』(岩波書店)などの著作でも知られる児童精神科医です。2004年に刊行された本書では、統合失調症、自閉症、不登校の3つを取り上げ、「こころ」の本質とは何かを考えます。「こころの病は決して異常ではなく、人間のこころの本質のある現れである」という考えに立つ滝川一廣さん。自身が臨床の現場で感じたことやエピソードなどを交えながらわかりやすい筆致で語られ、精神医学の入門書としても読みやすい本です。『火星の人類学者―脳神経科医と7人の奇妙な患者』「著名な脳神経外科医(にして著述家)による患者のインタビューを元に構成された本ですが、タイトルになっている「火星の人類学者」とは、『我自閉症に生まれて』で有名なテンプル・グランディンの話です。彼女は自分を「火星からやってきた人類学者」に喩え、周囲の出来事を徹底的に観察分析し、頭の中にデータベースを構築することで適応力を向上させていったのだと説明しています。大学生まで生き延びたアスペルガーとおぼしき人にこの本を読んでもらうと、「自分のことだ」と言われることがしばしばあります。(山科満先生)『レナードの朝』でも知られる脳神経科医サックス博士が出会った7人の患者についてのエッセイで、全米で大ベストセラーとなった本です。自閉症のある動物学者テンプル・グランディンをはじめ、トゥレット症候群の外科医、色彩感覚を失った画家など、障害が才能となって開花した人が登場します。サックス博士は7人と診察という形で交流を重ね、そのエピソードと彼らそれぞれへの理解を深い洞察力を持って描いています。障害とその人の個性や才能との境目はどこにあるのか、そもそも境目はあるのだろうか…様々なことを考えさせてくれるエッセイです。山科満先生プロフィールUpload By 発達ナビ編集部山科満(やましなみつる)中央大学文学部教授。精神科医,臨床心理士。専門は青年期精神医学、精神分析的精神療法。大学教員となって,発達障害傾向ゆえに不適応に陥っている若者の多さに驚き,発達障害と本腰を入れて向き合うようになった。山科満さんのページ|LITALICO発達ナビ
2017年11月07日IT×ものづくりにどっぷりハマれる1日!「ワンダーメイクフェス」が開催!Upload By 伊藤このみ2017年10月15日「みんなが主役」のIT×ものづくり発表会「ワンダーメイクフェス4」が開催されました!今年で4回目となるワンダーメイクフェスは年長・小学生~高校生の子どもたちや、プログラミング・ITに興味のあるすべての方に向けたイベントです。このイベントを主催するのはIT×ものづくり教室「LITALICOワンダー」。LITALICOワンダーでは、プログラミングやロボット、デジタルファブリケーションといった、 テクノロジーを活用したものづくりに触れる機会を子どもたちに届けています。ひとりひとりに合わせた授業で発達が気になるお子さんも安心して通塾しており、LITALICOワンダーでものづくりやテクノロジーなど、「好き」をフックに得意なことや興味のあることが見つかり、その子の自信や自己肯定感を育てていくことにつながることも珍しくないといいます。ワンダーメイクフェスは、最新のIT×ものづくり体験ができる無料ワークショップや、LITALICOワンダーに通う子どもたちによる作品発表・展示などを通じて、IT×ものづくりを思う存分体験できるイベントとなっています。今回から会場はお台場の日本科学未来館に移り、来場者数は昨年の倍以上にあたる約4500名にのぼりました。会場では、子どもたちが壇上で自分の作品の発表をするプレゼンテーション発表や、自分の作品を並べて来場者の方に実際に触ってもらうブース出展などが行われています。また、ポスターや動画で自分たちの作品を紹介する試みも!さらに、プログラミングやデザインなどが学べる専門学校や通信制高校による学校説明会ブース、協賛企業による展示ブースなども多くの人で賑わっていました。「みんなが主役」ってどういうこと?Upload By 伊藤このみワンダーメイクフェスでは、照明、スライド音響、マイクの受け渡しなども「子どもスタッフ」が担当します。オープニングでは、LITALICOワンダー渋谷に通うお子さんが自ら制作したというオープニング映像が上映されます。動画に登場するイラストから撮影、編集まで手がけたという力作でした。発表者も来場者もスタッフもこのイベントを楽しもうという司会の挨拶の後、共に司会を務める子どもスタッフの女の子が自己紹介。和やかな雰囲気でイベントの幕が上がります。発表者だけではなくこうした運営面での参加もできるからこそ、ワンダーメイクフェスは「みんなが主役」なのです。Upload By 伊藤このみみんながクリエイター!会場が大きく沸いたプレゼンテーション発表Upload By 伊藤このみプレゼンテーション発表は、未来プレゼンホール、イノベーションプレゼンホールの2会場で、同時にスタートしました。子どもたちは一人ひとり壇上に上がり、大勢の観客を前に、自分の作品について発表を行います。プレゼン時間は1人3分で、質疑応答が1分。観客は配られたフィードバックシートの「ナイス! プレゼン」「ナイス! テクニック」「ナイス! アイデア」「ナイス! デザイン」の4つの中から1つ選び、発表者にフィードバックを行います。その後、審査員からも発表者一人ひとりにコメントし、作品の講評を行いました。Upload By 伊藤このみ舞台に上がった子は、緊張しつつもどこか誇らしげな表情で、思い思いに作品のこだわりポイントについて発表を行っていました。発表のスライドの中にも、作品を紹介する動画を組み込むなどして、観客に作品を伝える工夫が凝らされています。発表後の質疑応答では、大人や子ども問わず多く質問が飛び交い、観客も率先して参加している様子が印象的でした。小学3年生の女の子が制作した「大福キャッチャーゲーム」の発表ではプレゼンテーションの途中で拍手喝采となる場面も。彼女が発表したのは「大福ちゃん」というキャラクターが、画面上方から落ちてくる苺大福をお茶盆でキャッチするというゲームです。大福の他にもダミーのジュースが落ちてくるのですが、キャラクターがジュースに触れてしまうと「お茶とジュースは相性が悪い」ということで、「ビミョー」という画面が表示される仕組みになっているそう。ゲームのデモ映像ではかわいらしいキャラクターが登場し、無事クリア画面が映ると観客から暖かい拍手が起こりました。観客フィードバックは「ナイス!アイデア」と「ナイス!デザイン」が多くを占める結果に。発表者の女の子は照れながら「嬉しい」と感想を述べました。審査員の1人である、ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン合同会社 簗瀬洋平さんも「こういうゲームでは、ただ落ちてくるものをキャッチするゲームを作りがち。でも、その中でちゃんと相性が悪いものを作って、『右に行きたいけど、ジュースが…』というジレンマを作っているところが、ちゃんとゲームになっていて感動した!」と、称賛の声を送っていました。Upload By 伊藤このみ発表の中にはグループで作品を製作した子どもたちもいました。男の子2人組で製作した「19xx」という本格的な3Dシューティングゲームは、19xx年のフランスで地図に載ってない集落が舞台。恐ろしい熊に村が襲われ、その生き残りの人々の依頼で熊を倒す、という凝った設定がなされています。プログラムとデザインを2人で分担し、建物などほぼ全ての素材をオリジナルで製作したことを、プログラムのコードを披露しながらアピールしました。Upload By 伊藤このみ観客フィードバックでは「ナイス! プレゼン」「ナイス! テクニック」「ナイス! アイデア」「ナイス! デザイン」が満遍なく出る結果となりました。簗瀬さんからは「グループでものを作ることはとても難しいこと。この年齢で人と組んでものを作る経験をしたことは素晴らしい!」というフィードバックが。しかし、2人はすこし不満気の様子で「プログラミングのことを言われたかった…」と舞台上でちょっぴり悔しそうです。それは、2人のゲーム制作への真剣な思いの表れでもあり、クリエイターとしての強い心意気を感じることができました。子どもの積極性に驚き!さまざまな作品が入り乱れるブース出展Upload By 伊藤このみエキシビションホールでは3タームに分かれてブース出展を行っていました。総勢126名もの子どもたちが、自分の作品とプレゼンボードを机に並べ、来場者・審査員に積極的にアピールしていました。作品はどれも独創的なものばかり。ホワイトボードマーカーで描いた線を消してくれる「お掃除ロボット」や、ゼロからプログラミングした完全オリジナルの「宝探しゲーム」など、ロボットやゲーム、3Dの映像など作品の幅もさまざまでした。ブース出展の会場では、音楽が流れると「アピールタイム」の合図。自分の作品についてマイクを通して、アピールしたい子ども達が「はい! はい!」と飛び跳ねている姿が印象的で、子どもたちの情熱と自信が感じられました。また、その積極性はそれぞれのブースでももちろん健在。ブースの前を通りかかった人々に、「遊んでいきませんか?」「試していきませんか?」と声がけを行う子がたくさんいて、活気があふれていました。出展者によってはプレゼンボードのほかに、自分の名刺や自作のチラシを用意している子も。作品を作るだけでなく、「自分の作品をどう見せるか、そのためには何が必要か」という部分までしっかり考えていることがよく伝わってきました。第3部の表彰では、電動義手HACKberryの開発者であるMission ARM Japanの近藤玄大さんが、義手ロボットを作った男の子に審査員賞を送りました。この男の子が作った義手ロボット「A-arm」は超音波センサーによってモノのサイズを認識し、ペットボトルなどを自動で握ることができるというもの。1メートルほどある木材も簡単に持ち上げることができる頑丈なつくりでした。Upload By 伊藤このみ近藤さんは「僕らはオープンソースで世界に向けて発信しているので、ぜひ自分の得意なところを活かして、開発も発信も頑張って欲しいという思いを込めて表彰させてもらいました」とメッセージを送って下さいました。義肢装具(義足や義手)などは特に、生み出すだけでなく、それを必要としている人に届ける必要がある、と発信の重要性について考えさせられるお話でした。受賞した男の子は景品の義手を自ら作った義手で受け取り、「嬉しいです。本当に嬉しいです」とその喜びを伝えました。ワクワクが詰まった体験コーナー&ワークショップ!Upload By 伊藤このみプレイグラウンドではIT×ものづくり体験ワークショップが開かれていました。当日は普段教室に通っていない一般来場の初心者の方も、プログラミングでロボットを動かしたり、ゲームやアニメーションを作ったりすることが体験でき、たくさんの子どもたちで賑わっていました。テクノロジーゾーンでは、企業や個人クリエイターによる最新のITツールやガジェットに触れられるとあって、子どもだけでなく大人も興味津々の様子。中でも、3Dプリンターで実際にグッズを作る過程を紹介するブースには常に子どもが張り付き、その制作過程を熱心に眺めていました。また、企業の方から聞いた説明を子どもたちがそのまま、その後来た人々に説明しており、子ども達の吸収力の高さが感じられました。モノづくりは年齢をも超える!Upload By 伊藤このみお昼頃にはゲーム作りやプログラミングを専門的に学べる学校や通信制の学校による学校説明、体験ブースが賑わいを見せました。ある高等学校のブースでは「宇宙エレベーター」という大会に過去出品した作品を持参しており、参加した子どもたちは嬉々として作品に触れていました。出展した学校の先生は「今日はうちの生徒も来ているのですが、どうやら子ども達と共鳴する部分があるみたいで、一緒になって、ここで新たな機体を作ってしまったりと、影響を受けているようです。」と話してくださいました。子どもたちの自由な発想が、大きな可能性を秘めていることに改めて気づかされます。Upload By 伊藤このみ大盛況のうちに幕を閉じた「ワンダーメイクフェス4」。子どもたちにとって実際に活躍する大人たちからのフィードバックを受けることができる貴重な場となったことでしょう。そして、大人にとっても、子どもたちの作品のレベルの高さ、そして大きな成長の可能性を改めて感じることができる有意義なイベントでした。可愛らしさあふれるゲームから、本格的な3Dゲーム、義手ロボットまで、大人顔負けの作品が数多く並び、見る人を大いに驚かせる作品を作った子どもたち。幼い頃から育んだ創造力や多感な感性が、この先どんな花を咲かせ、世の中にどんな影響を与えてくれるのか楽しみですね。
2017年11月07日アナログゲーム療育アドバイザー・松本太一さんに発達ナビユーザーへのおすすめ本を聞きました!松本太一さんは、アナログゲーム療育アドバイザー。ボードゲームやカードゲームなどを使って発達障害のある人のコミュニケーション能力を楽しく高めるという「アナログゲーム療育」の開発者です。全国で研修や講演を行う傍ら、発達ナビでもコラムを発表しています。今回は、松本さんに子育てをしている発達ナビユーザーに読んでほしい本を教えてもらいました!『子どもへのまなざし』「子育てのバイブルとして多くの親御さんに読まれています。「子どもの発達」と親の役割について、これほど平易に書かれた本は他にありません。」(松本太一さん)著者は児童精神科の医師として40年以上活躍された故・佐々木正美さん。自閉症のある方への支援プログラム「TEACCH(ティーチ)」を日本に紹介、普及に尽力されたことでも知られています。乳幼児期は子どもの人間としての基礎となると考える佐々木さんが、あたたかな視点で語る育児書です。佐々木さんには多くの著書がありますが、語りかけるようなわかりやすい言葉で書かれたこの本は特にパパママに長く愛されています。「これでいいのかな?」「がんばっているのにうまくいかない」と子育てに悩んだときに開いてみてはいかがでしょうか?『赤ずきんとオオカミのトラウマ・ケア: 自分を愛する力を取り戻す〔心理教育〕の本』「トラウマやフラッシュバックに悩まれている思春期以降のお子さんとその親御さんに読んでほしい。思い出したくない記憶とどう向き合うか、わかりやすく具体的に解説されています。」(松本太一さん)みんなが知っている『赤ずきんちゃん』に登場するオオカミと赤ずきんちゃんの物語仕立てでトラウマについてわかりやすく説明しています。トラウマに苦しむ人や家族が理解しやすいように工夫されていますが、その内容は、トラウマの仕組みからフラッシュバックへの具体的な対処法、家族や支援者の具体的な支援法まで、具体的かつ網羅的に紹介されています。『勇気づけて躾ける―子どもを自立させる子育ての原理と方法』「別名「対人関係の心理学」とも言われるアドラー心理学に基づいた子育てを、豊富な事例とともに解説。子どもの自主性を尊重した親の関わり方や、兄妹の間に働く心理の解説は、子育てに新しい視点を与えてくれるはず。」(松本太一さん)子育てに悩むパパ・ママにおすすめの本として挙げてくれたのがこの本。アドラー心理学はオーストリアの精神科医アルフレッド・アドラーが築いた心理学です。アドラー心理学では「人間は、分割できない個人という全体として、目的に向かって行動する」と考えます。「子どもが言うことを聞いてくれない」「自主性を身につけてほしい」と悩むパパ・ママも多いのではないでしょうか?この本ではアドラー心理学をもとに、子どもへの理解や自由をどう教えるかなどを紹介しています。『教育心理学講義』「「心理学のモーツァルト」と呼ばれた天才ヴィゴツキーの30歳の著作。「教師が100で生徒が0」という前提の一方的な知識教授に偏った教育は時代遅れであり、教師は子どもが自ら学ぶ環境を整える調整者であるべきだという彼の主張は、この本の出版から90年後を経て今なお先進的。」(松本太一さん)松本さんが愛読する座右の書として教えてくれたのが旧ソ連の天才心理学者ヴィゴツキーの名著。ヴィゴツキーは唯物弁証法の立場から現代心理学を方法論から問い直し、批判しました。この『教育心理学講義』は師範学校で行われた教育心理学の講座をまとめたもので、1926年に刊行されました。37歳という若さで亡くなったヴィゴツキーですが、今もなお世界中の心理学者に影響を与えています。松本太一さんプロフィールUpload By 発達ナビ編集部松本太一(まつもとたいち)フリーランスの療育アドバイザー。カードゲームやボードゲームを用いて、発達障害のある子のコミュニケーション力を伸ばす「アナログゲーム療育」を開発。各地の療育機関や支援団体で、実践・研修を行っている。東京学芸大学大学院障害児教育専攻卒業。教育学修士。NPO法人グッド・トイ委員会認定おもちゃインストラクター
2017年11月06日スクールカウンセラーってどんなお仕事?専門家・池田行伸先生(國學院大学)に、詳しくお聞きしました!Upload By かなしろにゃんこ。就学期のお子さんを育てている、悩める保護者のみなさんにとって「スクールカウンセリング」はどんなイメージがありますか?子どもだけが相談に行く所だとか、少し敷居が高い、と思っていませんか?スクールカウンセリングは特別なものではなく、気軽に相談できる場所なんです。今回、学校現場で、たくさんの子どもや保護者の方々と関わってきた、國學院大學・人間開発学部子ども支援学科池田行伸先生(特別支援教育士スーパーバイザー) にインタビューをさせていただきました。インタビュー担当は、私、かなしろにゃんこ。です(ADHDと軽度の自閉症スペクトラムがある、息子・リュウ太の母・職業は漫画家)。思春期真っ只中の息子との関わりに苦戦する私…「もっと早くスクールカウンセラーのことを知って活用していたら!」と強く思いました。今回のコラムでは、池田先生にスクールカウンセリングについてや、発達障害がある思春期の子どもとの関わり方をお聞きしました。スクールカウンセリングの方法・対象は?誰が相談できるの?Upload By かなしろにゃんこ。池田先生: 一般的なカウンセリングでは、言葉のキャッチボールをしながら相談者の悩みを聞いていきます。鏡に自分を映すように、徐々に自分のことが見えてきて、相談者が自分自身で解決策に気がついていけるようになります。スクールカウンセラーは、一対一のカウンセリングに加え、教職員へ児童・生徒に関するアドバイスを行ったり、保護者と教職員双方を取り持つ役割としても機能しています。もちろん、保護者ひとりだけで利用することもできます。その他にも校内会議等への参加や相談者への心理的な見立てや対応、時には事件・事故等の緊急対応における被害児童生徒の心のケアなど多岐にわたっています。この制度が始まった背景には、いじめや不登校の子が増えてきて、児童・生徒とその保護者の心のケアが必要になってきたことがあります。現在は全国の小中高にカウンセラーが配置されるようになってきました。参考:スクールカウンセラーについて |文部科学省利用の仕方って?相談料金はかかるの?Upload By かなしろにゃんこ。池田先生: 国の予算の関係でスクールカウンセラーが学校にいるのは月に2回程度、学校によっては月に1回のところもあります。相談は無料です。日数は少ないですが、折角ですから毎回利用したほうがお得ですよね。カウンセリングは予約制で、「〇月〇日にスクールカウンセラーが来ますよ」というお知らせを学校が保護者に配付するきまりになっています。それを見て予約する方法が一般的です。学校に電話して日程を教えてもらい電話で予約することもできます。基本的に午前10時~夕方4時まで学校にいますよ。子どもがカウンセリングに行きたがらない場合は?Upload By かなしろにゃんこ。ーとにかく、カウンセリングは最初が肝心だそう!池田先生: スクールカウンセリングの対象者は、保護者や教師も含まれとても間口が広いのですが、「子どもを無理やり連れてくるのだけはやめてください」と、大人たちにお願いしています。特に、親がいくらカウンセリングを受けろといっても、子ども自身が受ける必要を感じていないときは絶対受けてくれないものです。池田先生: 子どもがカウンセリングに行くことを渋る場合は特に、まずは親がカウンセリングを受けてみるといいです。スクールカウンセラーは、親御さんの心のケアも大切にしています。そして、親が自分の体験を「カウンセラーとこんな話をしたよ」「こんな人で、こんなことがあったよ」と子どもに伝えていくことで、徐々に子どもも「そういう場所なんだ、わたしも・僕も行ってみようかな」という気になってきます。子どもの気持ちが動くのを待って、行く気になったら親と一緒に行けばいいのです。カウンセリングに来る保護者は圧倒的に母親が多いです。父親は仕事で忙しい場合が多いのと、カウンセリングに否定的な考えを持っていることも、ままありますね。しかし、スクールカウンセリングに行った妻の報告を毎回聞いていたら、カウンセリングに対してポジティブな変化が起きるお父さんもいて、「じゃあ、夕方の時間帯に家族で行ってみようか!」となり、相談後「怒ってばかりの育て方を変えよう」と、子育てを見直すきっかけになったケースもあります。いつからカウンセリングに行き始めるといいですか?Upload By かなしろにゃんこ。ーファーストステップである「初見」の時期はとても大切だそう。池田先生: 思春期には、様々なハードルを超えないと本人のカウンセリングまでたどり着かないことも、よくあります。なので、なるべくお子さんが低学年のときから親がスクールカウンセリングに通っておくといいですね。子どもは「自分のことを思って通ってくれているんだな」と分かります。もし思春期で少し反抗的になったとしても、「親は自分を守ってくれる存在だ」という信頼関係がすでに形成されているので、それが安心感の礎となり、支えになってくれます。池田先生: 親子の信頼があれば、思春期以降大きく違いが出ます。それは発達障害がある子でも定型発達の子でも同じく大事なことです。カウンセリングを受けることは思春期の親子関係にも役立ちます。保護者側の反抗期への心構えも、早めにカウンセリングに行き始めることで形成されてゆきます。子ども側も、高校生になると徐々に人格が出来上がってきますが、その前からカウンセリングを受けていると、自分のことを他人に話せるように成長してきます。ー早めの相談が大事なんですね。一方、反抗期に突入してから、いざカウンセリングを受けても、カウンセラーだけでは解決できない複雑な内容となっていることもあるといいます。池田先生: 小学校では、いじめやからかいを受けてひとりぼっちの子に話しかけることがあります。そういったケースでも、「いじめられたの?」とは聞きません。たあいのない雑談をして少し話すだけなんですが、気持ちがらくになって、もう少し学校でがんばってみようかなと思ってくれたりするのです。大学にも学生相談室があり、学生のさまざまな悩みを聞いてくれます。カウンセリングは、小・中・高だけでなく、教育現場全般に必要になってきているんです。池田先生: 学校生活に関わる深刻な悩みについても、まずは友達のように話を聞きます。忘れ物が多くていつも注意されて落ち込んでいる子が「どうしても忘れちゃうんだよね…」と相談してきたとします。それに対して「みんなも忘れ物するよ、君はみんなよりも頻度が少し多いだけで、忘れちゃうのは仕方ないよね~」と言うと「なんでわかるの!?そうなんだよ!」と打ち解けてくれます。ーまずは”子どもに共感することが大切”という姿勢で、接し方も配慮してくれるんですね!いつ行っても大丈夫?居場所として使ってもいいのですか?出典 : 池田先生: 基本的には予約制ですが、イヤなことがあったらすぐにカウンセリングルームに来てくれればいいんです。そういう場所が子どもには必要です。カウンセリングルームにずっといる子もいます。「ここに来ると教室に帰ってこない」なんて、教師が嫌がることもありますけれど(笑)発達障害がある場合、お医者さんなどにも繋いでいただけますか?出典 : 池田先生: 児童、生徒と先生それに保護者の橋渡しをするのも仕事ですから、発達障害の傾向があるお子さんをお持ちの親御さんから発達障害の診断について相談されれば、医療機関を紹介することもあります。教師から聞いた生徒の学校の様子をまとめて紹介状と一緒にお渡しすることもあります。卒業後や学校以外でもカウンセリングを受けたいという方には一般のカウンセリングルームを紹介することもあります。とにかく、発達障害がある子の保護者の方は特に、大変なことも多いですから、人に任せられることはどんどん任せてください。いろんな手段を使って「親子関係をフレンドリーにしておく」ことが、思春期や受験、就職へと続く未来のためにもいい結果を生みます。ーなるほど…将来を見据えても、スクールカウンセラーは積極的に利用していきたいですね。「ママ友」に関する相談も、のっていただけますか?Upload By かなしろにゃんこ。池田先生: もちろんOKです。ママ同士のいじめトラブルの相談も増えています。発達障害の傾向にあるお子さんを持つお母さんは、やはり周りのママから言われるんですよ。子どもの悪口メールが回ってくることもあるんです。ママ同士の情報網ってスゴイですからね。子どもが発達障害の傾向がある場合、子育ての悩みは誰にも相談できなかったりします。そんなときはスクールカウンセラーにお話ししてください、そのために我々はいるんです。先ほども言いましたが無料なんですから利用しなくちゃ損です(笑)学校での指導にモヤモヤする場合、話をきいてもらえますか?Upload By かなしろにゃんこ。ー学校の先生に「こういう接し方はやめてほしい」と思っていても、言いづらく遠慮してしまうこともあります…池田先生: 特に発達障害がある子どもの保護者は、(普段学校に迷惑をかけてばっかりで申し訳ない…)と思っている方も多いので、余計にそうです。学校での行き過ぎた指導への不満がある保護者はとても多いです。そういうときもぜひスクールカウンセラーに相談してほしいですね。教師に面と向かって言ってしまうとケンカになってしまうようなことも、スクールカウンセラーが間に入って指導方法を変更してもらうように掛け合います。それも我々の仕事のひとつです。ー中学では特に、先生にクレームなんてつけたら内申書に響くんじゃないかって思って心配する親が多くいます。池田先生: 内申書の心配はよく上がる相談です。スクールカウンセラーは、学校組織とは独立した第三者機関です。安心してまずはカウンセラーへ相談してください。逆にカウンセラーを介さずに、先生に言いたいことをぶちまけてしまうとガチンコの対決になってしまいます。そうなると間に立つ子どもは立場がないんですよ。それでは子どもが苦しむことになりますから、ケンカでエネルギーを使わないで欲しいのです。カウンセラーは、困り感のある子どもたちへの適切な指導方法の資料を教師に渡して一緒に指導方法を考えますし、学校の会議でも提案していきます。例えば、パニックになる子がいたらパニックにならないようにする方法を教師と一緒に相談したり、具体的な方法を一緒にさぐります。池田先生: 子どもを取り巻く環境の質を上げていくのが、スクールカウンセラーの今後の使命です。そして質のいいスクールカウンセラーを育てるのも私たちの仕事です。子どもが気軽に一人で相談できるようになるために、まずは保護者がスクールカウンセリングを体験してみてください。せっかくの制度ですから、気軽にドアをノックしてみることが大切です。この記事が保護者の方の利用へのハードルを下げる一助となることを、切に願っています。―子どもたちと保護者のこれからに向けて、ためになるお話をありがとうございました!
2017年11月06日食べることが苦痛な子どもたち出典 : 私は大学附属病院小児科で「思春期やせ症」(神経性無食欲症)の子どもたちを見てきた経験があります。思春期やせ症というのは、思春期の子どもに起こるいわゆる拒食症のことで、栄養不足によって、無月経、低血圧、内臓の障害、骨粗しょう症など、様々な異常が生じるだけではなく、時には死亡することもあります。患者は小学生から高校生までいました。私が出会った「思春期やせ症」の保護者、特にお母さん方はとても子ども思いの方々でした。お母さん方は、子どもの健康のために様々な努力をしていました。例えば、子どもが見て食べたくなるように、色どりや形を豊かにした食事を作っていました。それでも子どもは、食べることにまったく興味を示さないのです。また、おもちゃを買ってあげるなどのご褒美を示しながら少しでも食べさせようとしますが、子どもは口を開こうとしません。食べることが苦痛なようです。何も食べないと激しい空腹感に襲われ、食べられるものはなんでも口にしたくなる健康な食欲とは大違いです。食べなければ年齢相応の食事量を満たすことができずやせていきます。体重が一定の水準を切ると入院する必要も出てきます。重症になるとトイレも自力で行けません。歩くという行為だけでも心臓が止まる可能性があるからです。自力で食べられなければ鼻からチューブを入れて栄養物を胃に流し込まなければなりませんが、子どもたちはこの処置を嫌がります。発達段階の若い女性に起こる、思春期やせ症出典 : なぜ子どもたちはこんなにも食べることを拒否し続けるのでしょうか。そして、思春期やせ症が男性ではなく女性に多発するのは、なぜなのでしょうか。私は、ちょうど発達段階にある若い女性の母性に、その原因があるのではないかと考えています。私は、視覚系の研究に従事していた頃、出産前後の母子ネズミを扱っていました。そこで、母性を強く感じる出来事がありました。ある時、母ネズミと生まれたての子ネズミたちを放置してしまったことがありました。ネズミの乳首は10個ですので子の数は10匹程度が適切ですが、生まれた子ネズミは20匹ほどいました。子はかわるがわるお乳を吸い、すくすくと育ちました。一方、母ネズミは徐々にやせていき死んでしまいました。半面、子育て中の母ネズミは防御本能が強く、巣に不用意に手を入れると噛みつかれて大けがを負うこともあります。子を守るためにはわが身を顧みず渾身の力で闘う一方、お乳を吸いつくされても決して子を襲わず、なすがままにされて命までも落としたのです。母性とはこのように、母体の生死に関わるほどの力を持っています。子どもを守るためには、自分の体を犠牲にさえします。そして思春期の女性は、この母性を獲得していく途上にあるのです。思春期やせ症を発症するメカニズムとは出典 : 思春期やせ症の原因は、今のところ分かっていません。「太りたくない、自分を美しく見せたい」とか「大人になりたくない」という深層心理で説明する人もいます。しかし思春期やせ症をすべてそのような深層心理で説明するには無理があると思っています。若い女性には過食が生じることも知られています。人を含め動物は子を宿すとよく食べるようになります。過食もまた、母性と関係するのかもしれません。私は、大人の摂食障害の病態と、早期に発症する思春期やせ症とはメカニズムが少し異なるのではないかと考えています。思春期やせ症の場合は、脳神経系の発達になんらかのトラブルがあり、アンバランスな状態になっているのではないでしょうか。性ホルモンの分泌が盛んになる思春期に、母性に関わる脳神経系も発達していくと考えられます。また、食事行動をコントロールするのは脳なので、食事行動がうまくいかないということの背景に、脳神経系の発達上のトラブルがあるのではないでしょうか。思春期やせ症は、生理学、病理学などの専門家によっていずれそのメカニズムが明らかにされるでしょうが、私は、母性が発現し維持されはじめる若い時期の女性に多発するという現実から、母性の発達との関係を否定することはできないように思います。大きな変化を迎えた思春期の体は、時にバランスを崩すこともあるからです。今後、こうした神経系の働きや影響について究明できれば、よりよい治療方法が見つかるかもしれません。思春期やせ症への対応方法出典 : ただ現在は、思春期やせ症に対しては対症療法的に対応するしかありません。ご褒美や罰を用いて食べることへの動機づけを高める行動療法的やり方を取ったり、場合によっては、医療的処置で命をつなぐことも必要でしょう。ある思春期やせ症を患った女性は就職先にケーキ屋を選び自分自身を食べることに興味を持たせようとしました。食欲がわかなくても薬を飲むように一定量の食事をとり、体重の増加や維持を確認することが自分へのご褒美となるようにしている人もいます。周りの人は、深層心理の問題だと片付けず、患者にとって適切な支援を行っていくことが大切だと思います。
2017年11月05日スクールカウンセラーの池田先生に聞いた、発達ナビユーザーへのおすすめ本!発達ナビでコラムを連載している池田行伸先生。スクールカウンセラーとしての豊富なご経験の中から、印象的だった保護者や子どもへの支援を紹介しています。コラムの具体的な事例やさまざまな立場への支援を参考にしている発達ナビユーザーもお多いのではないでしょうか?今回は池田先生に、保護者や支援者など、子どもとかかわる大人に読んでほしい本と、愛読している本を教えていただきました!『子どもに障害をどう説明するか―すべての先生・お母さん・お父さんのために』「障害を理解していない人に話す話し方がよくわかる。子どもを傷つけない言い方で子どもに説明する方法のヒントが得られる本。」(池田行伸先生)「障害について子どもにどう説明したらよいのか」「障害って何?と子どもに聞かれたらどう答えたらよいのか」そんな悩みを抱える保護者や学校の先生も少なくないのではないでしょうか?本書では、障害をどのように説明するか、特別支援学級の教師である相川さんと東北大学教授の仁平義明さんがわかりやすく具体的に答えます。『夜と霧』「ユダヤ人強制収容所の体験が書かれている。希望の持つ意味を教えてくれ、困難に向き合うときの知恵と勇気を与えてくれる。」(池田行伸先生)池田行伸先生が愛読書として挙げてくださったのは、フランクルの『夜と霧』。ユダヤ人精神分析学者が自身のナチス強制収容所での体験を綴った世界的名著です。原著の初版は1947年。日本では1956年に霜山徳爾が訳し、2002年に新版として池田佳代子訳が発行されています。池田行伸先生プロフィールUpload By 発達ナビ編集部池田行伸(いけだゆきのぶ)國學院大學人間開発学部子ども支援学科教授特別支援教育士スーパーバイザー上智大学文学部卒業上智大学大学院修了博士(心理学)専門は神経心理学。現在は國學院大學人間開発学部子ども支援学科教授、佐賀大学名誉教授。特別支援教育士スーパーバイザー(S.E.N.S-SV)の資格を持ち、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校のスクールカウンセラーを歴任している。人が生まれて発達していく過程の概略、性格・人格・人格の偏りの概略が学べる本です。
2017年11月04日井上いつか先生に聞いた、発達ナビユーザーにおすすめしたい本!井上いつか先生は、医療・福祉機関などで、言語聴覚士として多くの子ども達と接してきました。発達ナビでもコラムの監修をご担当いただいています。先生がおススメしてくださったのは、保護者や子どもにも読みやすく、様々なヒントがもらえる本ばかりです。『発達障害のある子とお母さん・先生のための思いっきり支援ツール―ポジティブにいこう! 』「子どもたちを支援するための具体的なやり方を紹介する本です。様々な支援ツールのねらいや作り方、活用例、成功のポイントなどが、イラストを使って解説されています。わたしは、お子さまご本人にとってわかりやすい支援ツールづくりのヒントとして、また、お子さまの長所を見つけるワークを入り口にサポートブック作成を進めるために、ご家族と一緒に読み進めることが多いです。パラパラと見ていただいて、少しでも楽に過ごすことができるようなヒントが見つかると良いなと思います。」(井上いつか先生)発達障害があると、目に見えないものやことを推測したり、実行するのが苦手なことがあります。そうした、「見えないもの・こと」を理解しやすくするためのツールやヒントが紹介されています。日常生活のなかの様々な場面で、”自分で理解し、考え、実行できる”ことが増えると、子どもたちは自信をつけ、自立にもつながっていきます。「支援といっても、具体的になにをしたらいいの?」と悩む保護者にとって、そのやり方を分かりやすく教えてくれる本です。『キラキラ どもる子どものものがたり』「吃音(どもり)のあるお子さまが、周囲の大人の支えとともに、“クラスのみんなに吃音を理解してもらうための作戦を考えていく”物語です。吃音を抱える本人や支える人が、吃音をどう捉えると良いのか、どう関わると良いのか、何ができるのかを考えるキッカケを与えてくれる一冊です。平易な文章で書かれており、漢字には読み仮名がふってあります。小学校低学年のお子さまが理解できる内容になっているので、お子さま自身が読むのも良いですし、ご家族や先生など身近な大人と一緒に読むというのもおススメです。」(井上いつか先生)本の著者は、病院の小児言語科などに勤務してきた言語聴覚士。子どもにも読みやすい物語の形をとって、クラスメートや保護者・教師などの、吃音のある子どものまわりにいる人達が、どう関わればよいのか、なにができるのかについて、具体的に紹介されています。『はじめの一歩だよ子どもと始めよう編 』『はじめの一歩だよ子どもと始めよう編 』 アスペ・エルデの会「発達障害のお子さまの特性やメカニズムがわかりやすく解説されていて、上手に支援を受けるコツや、今からできる子育てのコツも紹介されています。ご家族に向けて作成された1冊300円の冊子なのですが、支援者をはじめお子さまに関わる方へもよくおススメしています。」(井上いつか先生)アスペ・エルデの会からは、保護者向けの本だけでなく、本人やきょうだい、支援者向けの冊子も発行されていて、そちらもおすすめだそう。支援者向けの「はじめの一歩だよみんなでサポート編」も発行されています。井上いつか先生のプロフィールUpload By 発達ナビ編集部言語聴覚士。医療・福祉機関で勤務後、現在フリーランス。発達に凸凹のあるお子さんへの療育や自立支援、ご家族や指導者のサポート、記事の監修等を行っている。医療・福祉・教育・心理、社会的養護、社会的マイノリティ、ソーシャルワークにも関心がある。
2017年11月03日木村ナオヒロさんに聞いた、発達ナビユーザーにおすすめしたい本!木村ナオヒロさんは、ひきこもり当事者・関係者にとっての情報発信の場、『ひきこもり新聞』の編集長として活動しています。『ひきこもり新聞』は、「ひきこもり当事者による、当事者のためのメディア」として、社会に届きにくいひきこもり当事者の声を発信し、「全てのひきこもり系」が安心していられる世界の実現を目指しています。ひきこもり新聞web版木村さん自身、ひきこもりだった経験があり、ひきこもりに対する理解と適切な支援情報を提供するために、現在さまざまな活動をされています。10月に行われた、木村さんの当時の主治医である、精神科医・斎藤環先生との対談イベントも大盛況のうちに終わりました。そんな木村さんに、「読んでよかった!」とおすすめできる本を教えていただきました。『「社会的うつ病」の治し方―人間関係をどう見直すか 』「ひきこもり対策がうつ病にも効果的だったという内容です。孤独でうつ傾向な人に読んでいただければと思います。」(木村ナオヒロさん)木村さんの主治医であり、ひきこもり支援を専門とされる斎藤環先生が、新しいうつ病治療・対策に関して書かれた本書。「軽症なのに、動けない…」「怠けるつもりはないのに、動けない…」そんなうつ病当事者に向けて、今まで治療方法として多く導入されてきた休養や服薬ではなく、「人間関係」に注目した新しい支援を紹介しています。『星の王子さま』「いつまでも心に残る物語です。子供の時に読みたかった本です。」(木村ナオヒロさん)木村さんが、子どもに読んでほしい本としておすすめする本が、不朽の名作『星の王子さま』。「大切なものは、目に見えないんだよ」など心にしんみりと届く言葉、優しくて可愛らしい挿絵に癒され、魅了された方も多いと思います。『星の王子さま』は、様々な出版社から刊行されています。手に入りやすい文庫本のほか、子ども向けの児童書や絵本などもあります。まだ幼くて長い活字を読むのが難しい、たくさんの文を読むことが苦手なお子さんには、そのお子さんの年齢や特性に合わせて、『星の王子さま』に触れてみるのもよいですね。『NHK「100分de名著」ブックス サン=テグジュペリ 星の王子さま』「星の王子様を読んだことがある人でも、もう一度この解説本と一緒に読むと新しい感動があると思います。」(木村ナオヒロさん)続いて、子育てに疲れた時・悩んだ時に読んでほしい本として木村さんが挙げてくれたのは、先ほどご紹介した『星の王子さま』の解説本。NHKで放送されている、「100分de名著」という番組から生まれた解説本です。「『星の王子さま』読んでみたいけど1冊読む時間がなかなかとれない…」「子どものころ読んでそれっきりだったけど、大人になった今、改めて星の王子さまの世界を理解しながら読み直したい!」そんな方にはぴったりの1冊です。この機会に、星の王子さまの新たな発見や奥深さを感じてみてはいかがでしょうか。『ライフ・レッスン』「死を受け入れた人々のメッセージが心を揺さぶります。名も無き人々の言葉に真実が宿っていました。一番好きな本です。」(木村ナオヒロさん)最後に、木村さんの座右の書として教えてもらった本書。精神科医で、終末期医療の先駆者であるエリザベス・キューブラー・ロスさんによって、「人生の最後で捉えた生と死の事実」「生と死から見た、人生における15のレッスン」が紹介されています。木村ナオヒロさんプロフィールUpload By 発達ナビ編集部木村ナオヒロ(きむらなおひろ)『ひきこもり新聞』編集長。元ひきこもり。暴力的支援団体を好意的に取り上げたマスコミに疑問を持ち『ひきこもり新聞』を創刊。ひきこもりに対する理解と適切な支援情報を提供するために活動している。主治医は斎藤環教授。ひきこもり新聞web版
2017年11月02日臨機応変が苦手な子どもたち発達の凸凹が大きい子ども達の中には、一度覚えたことを臨機応変に変更するのが苦手な子がいます。漫画『光とともに…』の光くんの場合「ママ」から「お母さん」への変更が大変だったり、学校には黄色い帽子を被ると覚えたので上級生になっても同じ帽子を被っていたりする様子が印象的でした。Upload By モンズースーUpload By モンズースー画像:©戸部けいこ・秋田書店『光とともに…』第3巻p.79より引用長男も「いつもと違う」が大の苦手!うちの長男も同じようなところがあります。例えば幼稚園の入り方。幼稚園にはいくつか入り口があるのですが、長男は最初に来た時に入った昇降口を毎日使っていました。一度、別の昇降口から入ろうとしたら「違う!」と大きな癇癪を起こしたことがありました。よく行く遊び場でも毎回同じ順番で遊ぼうとしたり、一度間違えて覚えた歌や言葉は何度訂正しても直らなかったりします。Upload By モンズースーUpload By モンズースーUpload By モンズースーUpload By モンズースー覚えたルールを守れることは、大きなプラスにも絶対に変更できないわけではないのですが、一つのことを変更するのもとても大変……。なので最初からできるだけ正しいことを教えるようにしていました。子どもは多少ふざけたようなことやマナーの悪いことも周囲から許されることがありますが、一度許してしまうと成長しても同じことを繰り返す可能性があると思えたからです。漫画で描いた噴水も、入っていいと覚えると着替えを用意していない時、急いでいて入る余裕の無い時、入ってはいけない場所でも入ってしまう可能性があると考え、入らないように教えることにしました。ですが一度正しく覚えてしまえば、ずっと正しいことができるのは良いことですよね。同じ作業を繰り返す仕事などでは役に立ちそうです。伝え方次第で、プラスにもなるすごい能力なのかもしれません。最近、そんな息子に成長とともに変化が!最近の息子はというと…ちょっと変化が!幼い時は臨機応変な対応が難しいことも多く、どう教えたらいいのかわかりませんでしたが…Upload By モンズースーUpload By モンズースー「まあ、いいか」……最強の臨機応変ワードを手に入れた長男です(笑)※このコラムは『光とともに・・・~自閉症児を抱えて~』の場面の中から発達障害の事例を取り上げてご紹介しています。秋田書店『フォアミセス』誌でも掲載しています。よかったらお手にとってご覧くださいね!フォアミセス|秋田書店
2017年11月02日スクールカウンセラーとは?出典 : スクールカウンセラーとは、学校現場において児童や生徒、その保護者に対して、臨床心理に関する専門知識を生かしながらサポートしていく専門家を言います。様々な心の問題をもつ人たちを、専門的な知識や技法を使って支援する役割を担っています。近年は教職員に対する心のケアや研修も行ったり、事件や事故が発生した時に被害児童・生徒のサポートを行ったりと、より幅広い業務が求められています。スクールカウンセラーは、平成7年(1995年)に国が打ちだした「スクールカウンセラー活用調査研究委託事業」により各学校に配置され始めました。その後、いじめ問題や東日本大震災をはじめとする災害の発生、貧困問題などから、子どもの心をケアする重要性が広まり、全部の公立小中学校で、スクールカウンセラーの配置が進められてきました。平成28年時点でスクールカウンセラーは2万5500校の公立小中学校に配置されていて、これは全公立小中学校の約93%にあたります。また私立の小中学校・高等学校は、公立小中学校がスクールカウンセラーに関する事業を始める前からスクールカウンセラーを配置し始めています。そのため、小中学校全体として、スクールカウンセラーが配置されている割合は年々増えてきています。平成28年チーム学校の構想における心理職の役割-文部科学省佐藤誠・高塚雄介・福山清蔵/著『続 電話相談の実際 各論編 (相談シリーズ) 』双文社/2005スクールカウンセラーの仕事内容って?出典 : 具体的に、スクールカウンセラーはどんな仕事をしているのでしょうか。スクールカウンセラーとして最も中心的な仕事が、児童・生徒や保護者へのカウンセリング対応です。カウンセリングは児童生徒・保護者からの希望で行われたり、担任教員からの紹介で行われたりとさまざまです。児童生徒の場合、カウンセリング内容は友人関係に関するものが多く、他には担任教員との関係、家庭での悩みなどがあるようです。また、発達障害があり学校生活で困り感を抱いている子どもへのSST(ソーシャルスキルトレーニング)や、災害や環境変化などによるストレスに対して心のケアをなど、様々な支援を行います。保護者の場合、子どもの友人関係や学校生活での問題行動に関する相談のほか、直接言いづらい学校への不満について相談することで、スクールカウンセラーから学校側へ指導方法について掛け合ってもらうこともできます。また、家庭状況に関するカウンセリングを行うこともあります。担任教員には直接言いにくい悩みも、第三者であるスクールカウンセラーになら話しやすいのではないでしょうか。スクールカウンセラーは、中立な立場から、教員と保護者の関係を調整する役割を担ってくれています。スクールカウンセラーは、教員に対してもカウンセリングを実施することがあります。カウンセリングは、支援が必要な児童生徒・保護者に対し、教員がどうサポートしていけばよいのかに関するアドバイスが主な内容です。他にも、教員自身に悩みがある時のケアもスクールカウンセラーが行い、教員がより快適に働けるように相談や助言をすることがあります。カウンセリング対象の児童・生徒はもちろん、すべての子ども達が快適に学校生活を送ることができているかどうかを見るため、子ども達の生活現場へ実際に足を運ぶことも、スクールカウンセラーの大切な仕事です。授業や昼休みの様子だけでなく、クラブ・委員会活動、学童保育にも足を運び、子ども達の様子を確認し、学校生活を送る環境として適切かどうか確認します。スクールカウンセラーは、心のケアが必要になった対象者の支援だけでなく、何か問題が発生するのを防ぐためにさまざまな活動をします。例えば、「スクールカウンセラーだより」のような配布物を作り、スクールカウンセラーという相談窓口の認知を広めたり、児童・生徒・保護者・教職員などにアンケート調査をし、ストレスチェックを行ったりします。また、スクールカウンセラーは、その多くが臨床心理士の資格をもつ専門家です。そこで、その知識を生かして、保護者・教員向けに、児童・生徒の心のケアや、よりよい教育相談のための研修を行うこともあります。石村 郁夫 /著『カウンセリングのすべてがわかる-カウンセラーが答える本当の心理学- (ぐっと身近に人がわかる) 』技術評論社/2010スクールカウンセラーになるには?出典 : 基本的にスクールカウンセラーになる人は、臨床心理士、精神科医、大学教員のいずれかが多いです。スクールカウンセラーの募集・採用は、各都道府県・指定都市ごとに行っています。文部科学省は、スクールカウンセラーの資格要件を以下のように定めています。「スクールカウンセラー」(1)財団法人日本臨床心理士資格認定協会の認定に係る臨床心理士(2)精神科医(3)児童生徒の臨床心理に関して高度に専門的な知識及び経験を有し、学校教育法第1条に規定する大学の学長、副学長、教授、准教授又は講師(常時勤務をする者に限る)の職にある者又はあった者「スクールカウンセラーに準ずる者」(1)大学院修士課程を修了した者で、心理臨床業務又は児童生徒を対象とした相談業務について、1年以上の経験を有する者(2)大学若しくは短期大学を卒業した者で、心理臨床業務又は児童生徒を対象とした相談業務について、5年以上の経験を有する者(3)医師で、心理臨床業務又は児童生徒を対象とした相談業務について、1年以上の経験を有する者このような条件のもと、書類と面接によって選考が行われます。スクールカウンセラーの割合として一番多いのは、臨床心理士です。学校における教育相談に関する資料|平成27年-文部科学省また、2017年9月15日に公認心理師法が施行されたことによって、心理職初の国家資格「公認心理師資格」が誕生しました。誕生したばかりの資格であるため、各自治体は順次対応していくようですが、これからはスクールカウンセラーの条件として公認心理師も追加されることが予想されます。スクールカウンセラーにどんな相談ができるの?出典 : スクールカウンセラーには、学校に関する悩みだけでなく、その背景にある家庭環境の問題や、個人の心身の問題など幅広く相談できます。例えば、次のようなことについて相談することができます。・不登校・いじめ問題・家庭環境・教職員との関係・暴力行為・非行・不良行為・心身の健康・保健・児童虐待・学業・進路・友人関係・発達障害・貧困対策・小中連携・校内研修・教育プログラムなど平成27年度スクールカウンセラー等活用事業実践活動事例集このような問題に対して、スクールカウンセラーはどのように関わり、解決を目指しているのでしょうか。具体的な事例を元にご紹介します。小学校2年生のA君は、落ち着いて集団の活動に取り組むことができません。担任のB先生は、授業中すぐに席を離れてしまうA君をつい叱ってしまい、自分の指導に行き詰まりを感じていました。母親との相談の中で、自分の正直な気持ちを伝えたB先生は、スクールカウンセラーとの相談を勧めました。最初は懐疑的だった母親も、継続したカウンセリングの結果、自分の子どものありのままを受け入れられるようになりました。さらに、アトピー性皮膚炎の受診と合わせて訪ねた専門医から、LDとの診断を受け、以前は自分の子を好きになれず、手もつなげなかった母親が「この子のためなら何でもしてやりたい」と強く感じるようになり、対応も穏やかになって行きました。B先生も、カウンセラーのコンサルテーションを受け「ほめるときはうんとほめ、叱るときははっきり分かるように短く叱る」という対応を続けた結果、クラスの友達も担任のまねをして、A君をほめることが多くなりました。帰りの会などでも「叩いたけど謝ってくれた」「ちゃんとイスに座っていた」など良いことを取り上げて発言し、それにつれて、A君の行動は次第に落ち着いてきました。この事例では、スクールカウンセラーが、「落ち着いて集団の活動に取り組むことができない」児童・「自分の子どもを受け入れることができない」保護者・「児童へどう指導してよいかわからず、つい叱ってしまう」教員それぞれに介入しています。学校生活での問題は、児童・生徒、保護者、教員の誰か1人の問題ではなく、さまざまな問題や背景が絡み合って発生します。スクールカウンセラーの強みは、臨床心理の専門知識を生かしつつ、問題に対して多方面からアプローチできる点にあると言えます。元気がなさそうな本人の様子に気づき、スクールカウンセラーが声をかけたところ、「小学校 4 年生までは仲が良かった友達から、無視されるようになった」と話す。話しかけても、「無視してないよ。」と言われるが、たびたび無視されることが続いた。原因が分からず、今まで楽しかった学校が、楽しくなくなってしまった。■スクールカウンセラーの取り組みと児童の変化5月:スクールカウンセラーとの相談を開始。・いつ無視がはじまったのか、何の時間だったのか、具体的にどんな無視の仕方だったのかなど詳細を話してもらった。・それにともなって、どんな気持ちがしたかを丁寧にききとっていった。・「また仲良くなって楽しい学校にしたい」という本人の希望を確認し、その目的に向けて一緒に考えていこうと話した。・困ったことがあった時は、周りの人を頼っていいこと、そして、それはとても大事なことであると伝えた。5月中旬:どのような無視なのかを一緒に考えていく・話をしていくうちに、相手の無視の仕方に特徴があることがわかった。・無視をしてくるのは特定の時間だけであることがわかった。・相手はどうやら”無視しているつもりはない”と思っていることがわかった。5月下旬:相手と無視について話し合う・無視について整理できたので、直接相手と話し合ってみることを提案し、スクールカウンセラーも同席した。・相手は無視のしぐさに全く気付いておらず、言われて初めて気付いた。そのしぐさが無視ではないということを本人が理解できた。・お互い仲良くしたい気持ちがあることを確認した。・無視されたと思うことはなくなり、楽しく学校に通っていると、後日、本人から報告があった。子どもにとって、友人関係の悩みは学校へ行くことが苦しくなるほど大きな問題です。スクールカウンセラーの多くは、子どもの学校での過ごし方を把握するために、学校生活の様子を見回っています。その中で、ちょっとしたトラブルの存在を早く見つけ、早期解決を目指すことで、深刻な問題に発展することを予防しています。スクールカウンセラーに相談するには?出典 : 実際に、「スクールカウンセラーに相談したい!」と思ったら、どのように申し込み、カウンセリングを受ければよいのでしょうか。以下では、多くの学校が実施している、カウンセリングまでの流れを紹介します。ただし、学校ごとに、スクールカウンセラーに相談を依頼するための方法は異なりますので、必ず自分の子どもの学校のスクールカウンセラーに関する決まりなどを確認するようにしましょう。スクールカウンセラーに相談したいと思ったら、多くの学校ではまず、事前にカウンセリングの予約をする必要があります。現状、スクールカウンセラーはほとんどが非常勤であるため、多くの学校はスクールカウンセラーが来校する日を決めています。平成27年3月9日(月)中央教育審議会チーム学校作業部会(第4回)「スクールカウンセラーの役割と活動の在り方」カウンセリングの予約をするには、担任教員またはスクールカウンセラー担当教員へ連絡を取るか、「スクールカウンセラーだより」のなどの配布物に記載している連絡先へ、直接連絡する必要があります。多くのスクールカウンセラーは、定期的に学校の様子や心のケアに関するアドバイス、カウンセリング可能日時などを記載した「スクールカウンセラーだより」をつくっています。このような配布物をチェックして、スクールカウンセラーのスケジュールを確認するようにしましょう。カウンセリングが決まったら、限られた時間で悩みや話したいことを満足に話し合うことができるように、前もって話したいことを考えたり、メモなどに簡単にまとめておいたりするとスムーズです。カウンセリングは親子で受けるのはもちろん、親だけ、子どもだけというケースも可能です。親だけでスクールカウンセラーに会い、家庭での子育てに関して相談することもできます。何か悩みや困りごとがある時、相談場所の一つとしてスクールカウンセラーの存在を覚えておくとよいでしょう。まとめ出典 : スクールカウンセラーとは、学校現場で臨床心理の専門知識に基づき、児童生徒・保護者・教員に対してカウンセリングや支援の手助け、心のケアを行う専門家です。学校で何か相談するとなると、最も身近な担任教員を思い浮かべがちですが、場合によっては担任教員も当事者であることが考えられます。そんな時、スクールカウンセラーに相談すると、当事者が抱える問題を客観的に、そして専門的に解決してもらうことが期待できます。保護者のみでスクールカウンセラーと話すことも可能なので、子どもの学校生活や家庭での過ごし方など不安に思った際に相談してみると、解決の手立てが見つかるかもしれません。子どもの学校生活、不安だけど誰に話したらよいかわからない…担任教員には相談しづらい悩みがある…そんな方は、スクールカウンセラーに一度相談してみてはいかがでしょうか。
2017年11月01日ダウン症当事者団体による、初めての全国的会議Upload By 発達ナビニュース「日本ダウン症会議」は、ダウン症のある方や家族はもちろん、現在第一線で活躍している専門家や研究者、支援者などが集い、「新しいダウン症像」を考えて意見交換をする、日本で初めての催しです。専門家もダウン症のある方も、一緒に議論する場に過去90年の間にダウン症の平均寿命は6倍となり、医療においては様々な治療の可能性が探られる一方、出生前検査(診断)の議論があるなど、ダウン症のある方や家族を取り巻く状況は近年大きく変化しています。そうした状況の中で、公益財団法人日本ダウン症協会(JDS)が、当事者団体による日本で初めての全国的な会議を開催します。医療・福祉・保育・教育・就労など、様々な領域での実践報告に加え、第一人者の方々やダウン症のある方々が、同じ席について議論したり学ぶことができる場です。市民公開講座も開催されますUpload By 発達ナビニュース11月11日(土)・12日(日)の特別講演や分科会については当日受付可能(事前登録は締切)ですし、12日13:30~15:30(13:00開場)に実施される市民公開講座は、無料でだれでも参加することができます。11日(土)は13:30に開会(12:00開場)。特別講演のほか、医療・福祉・保育・教育・就労のテーマごとに専門家やダウン症のある本人を交えての分科会が開催されます。12日(日)も、10:00から分科会が行われます。講演や分科会への参加費は、10,000円となっています。12日(日)の市民公開講座(参加無料)では、シンポジウムが開催されるほか、横浜ダウン症児サークル「ハマヒアポ:オハナフラ」で活動する、3歳から10歳の子どもと保護者によるフラダンスの発表もあります。シンポジウムでは、医師や大学教授、助産師などの専門家などに加え、ダウン症のあるタレント・あべ けん太氏らによるリレー講演や、質疑応答の時間も設けられます。いずれも、大正大学(東京都豊島区西巣鴨3-20-1)で開催されます。主催者からのメッセージ「ダウン症を取り巻く状況が大きく変化する中、当事者団体としての発信も広く専門家の協力を得ていく必要を痛感しています。今回の会議では、当事者団体であるJDSが企画する会議という特色を活かし、各部門で精力的に実践されている方の報告と、その領域における第一人者の先生方、さらには当事者が同じ席についての議論と学びの場にしていくつもりでおります。ダウン症のある方たち、その家族、支援に携わる方々、研究職の方々、ダウン症をめぐるすべての方たちに「これからの私たち」を考えていただける場にしたいと願っています。」という大会会長の玉井邦夫氏。ダウン症に関わる方の場としてだけでなく、様々な思いや多様性を認めていくことの大切さについても広く発信していく、記念すべき第1回の大会となるでしょう。
2017年11月01日阿部利彦先生に聞いた、発達ナビユーザーにおすすめしたい本!星槎大学・発達支援臨床センター長の阿部利彦先生は、特別支援教育、学校カウンセリングがご専門。発達障害のある子の魅力やサポート法についての講演・教員研修で全国各地を飛び回り、その取り組みはNHK Eテレなどでもたびたび取り上げられています。そんな阿部先生に、親子のかかわりについて学べる本や、親子で楽しめる感動作を教えていただきました!『クラスで気になる子の支援 ズバッと解決ファイル V3 対談編: 達人と学ぶ!ライフステージを見据えたかかわり』「井上雅彦先生をはじめ、梅永雄二先生、宇野宏幸先生、藤野博先生、川上康則先生など特別支援や教育相談で私が尊敬している専門家の先生方との対話的で深い学びをまとめた一冊です。なにせ各先生方の思いがいっぱいつまっています。皆さんも聴き手である私と一緒に先生方から支援のヒントをたくさんもらって下さいね。」(阿部利彦先生)阿部先生と特別支援教育・発達障害児者支援の第一人者が、「気になる子」の支援のコツとワザについて考える対談集を発達障害について学べる本として教えていただきました。登場されるのは11人の専門家。「気になる子」への支援の基本を学ぶ第一部、ライフステージから見る「気になる子」への支援を取り上げる第二部、「気になる子」の支援の基本に立ち返る第三部に分けてそれぞれの専門分野から学ぶことができます。『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』「タイトルが結構覚えにくい本書、9歳の男の子オスカー君が主役の物語です。あの9.11が土台となっている本ですが、ストーリーについては私が説明してしまうと皆さんの楽しみが半減してしまうので、先入観なしに読んでいただきたいと思います。映画(2011年公開)については、発達障害の知識があるとすごく共感できる作品です。こちらもぜひ。」(阿部利彦先生)阿部先生が大好きな本としてあげて下さったのが2001年のアメリカ同時多発テロ事件を背景にした小説『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』。作者ジョナサン・サフラン・フォアはアメリカの若手作家です。世界的ベストセラーとなった本書には「ビジュアル・ライティング」という実験的な手法が用いられています。『リトル・ダンサー』『めぐりあう時間たち』のスティーブン・ダルドリー監督による映画化でも話題となりました。『ワンダー』「本書も映画化されていますが、日本ではまだ公開が決定していません。主人公はオーガスト君。彼は発達障害ではなく生まれつき外見に障害がある男の子です。10歳にしてはじめて学校に通うことになったオーガスト君と周囲の人たちの視点で物語が進みます。本書のテーマ(例えばいじめ)について親子で話し合ってみるのもいいかも知れません。」(阿部利彦先生)阿部先生がおすすめする親子で読んでほしい本は、全世界で発行部数500万部を超える児童書『ワンダー』です。外見に障害がある人に対してまわりの人はどう接したらよいのか、子どもにどのように説明したらよいのでしょうか?作者のR・J・パラシオさんも、障害のある女の子と出会ったときに子どもたちの前で取ってしまった行動を後悔し、この本を書き始めたとのこと。本書はいじめをテーマにしていますが様々な人の視点で語られ、感動のあとに明るい気分になれる本です。「人と違うということ」「ふつうとは何か」について親子で考えるきっかけにしてはいかがでしょうか。阿部利彦先生プロフィールUpload By 発達ナビ編集部阿部利彦(あべとしひこ)星槎大学・発達支援臨床センター長。『新・発達が気になる子のサポート入門』(2015年,学研)、『見方を変えればうまくいく!特別支援教育リフレーミング』(2013年,中央法規出版 )、『見方を変えればうまくいく!発達が気になる子の子育てリフレーミング』(2015年, 中央法規出版)、など著書多数。
2017年11月01日いつもの「お金貸して」と様子が違う!?Upload By かなしろにゃんこ。高校生になってすぐにアルバイトをはじめた息子ですが、大きな買い物をする際は私にお金を借りることがあります。そんなときはニヤニヤしながら甘えてきて、「お願いがあるんだけど~」と交渉をはじめます。しかし問題が発覚したその日はいつもと様子が違い、深刻そうに「お金貸して」と言うのです。様子が変なので、お金の使い道を聞いてみたのですが、話そうとしません。「とにかく貸して」としか言わないので、理由を言うことを条件に貸すことにしたら…。買わなくても半額支払え!と言われて…Upload By かなしろにゃんこ。ちょっとクセありの同級生A君から、「安くするからパソコンを買わないか?」と声をかけられた息子。イイ品なら安くていいかも!と思い、「いいね~」とA君の誘いに好意的に応えてしまったことがはじまりだったようです。「お金は少しずつ払ってくれればいいから」と熱心に交渉してきたA君に「来月お金があったら買うよ」とあいまいな返事したところ、A君の中では「売買の約束」をしたことになってしまったのでした。その後、息子が「やっぱりお金払えないからいらない」と断わると、A君は売る気満々でいたので「買わなくても半額支払え!」と怒り出し、顔を合わせるたびに支払いを要求してくるようになったというのです。Upload By かなしろにゃんこ。「品物を受け取っていないのに支払う必要はない!」と考えて、息子もA君の要求を無視していたのですが、相手がかなりしつこく、息子は根負けしてしまったというのです。連日の要求から早く解放されたくて、少しずつ支払っていくうち、結局〇万円渡してしまった…。そして「あと五千円支払ったら終わりだから」と、いますぐその五千円を自分の地元まで持って来い!と要求してきたとのこと。そこで息子は、お金を貸して欲しいと相談してきたのでした。何度も金の催促するって、それってカツアゲと同じじゃない?支払う義理もないし一度支払ったらズルズル催促されるヤツじゃないの?息子はビビッてるし、コレは脅迫だわ~~と私も怒りがトサカにキテしまい、メラメラ…A君のことを訴えてやる!くらいの怒りに、横にいた息子は引いてしまうほど。しかし、「これを支払ったら終わりにしてやるから、金を持って来い!」というのはとても危険な誘いです。息子のソワソワした様子から、A君はしつこいだけでなく力関係で勝てない相手だから従っているのだと感じました。息子にお金を貸したらA君の言う通りに持っていってしまう…。それに、約束の場所にはA君だけが待っているとは限りません。人気のない場所でA君の仲間に囲まれたら、五千円支払うだけじゃ済まないヒドイことも起こるかもしれないと話し、A君の要求を無視して学校に相談するか、A君の親御さんに返金の要請をしようと息子と話し合ったのですが…。Upload By かなしろにゃんこ。「学校に相談しないで!」その理由がバカ正直すぎたUpload By かなしろにゃんこ。「生徒同士の金銭トラブルは生徒で解決する」という学校のきまりがあるようで、学校に相談してもムリだと息子は言います。それに事を大きくするとA君にまた何か言われることがイヤみたいでした。他の人に知られたくないなど男のプライドや複雑な気持ちは分かるけれど、放っておけるわけないし、「絶対にここで終わりにしなくっちゃ!」と思い、私から学校に相談しました。生徒同士のトラブルとはいえ、今回は金額も大きく例外だということで、先生が間に入ってくれることになりました。そして、今まで渡したお金を返してもらいたいこと、もう金銭の要求をしてこないでほしいことを伝えてもらいました。半年前に要求が始まった時点で学校に相談していればよかったのに、息子は学校のきまりをバカ正直に守って我慢していたようでした。学校側が言う「生徒同士の金銭トラブルは生徒で解決する」というルールは、何百円とかのレベルだったのでは?と思うのでした。〇万円ともなるとさすがに学校もムシできないはずです。実際、先生も積極的に動いてくれました。その辺の線引きについても、経験が浅いからか図々しさがないからなのか、息子には分からなかったのだと思います。ウソや隠し事が超絶ヘタだから、分かっただけUpload By かなしろにゃんこ。後日、先生からA君との話し合いの結果を聞きました。A君曰く、「品物を渡していない場合は、お金の請求をしてはいけない」ことを知らなかったというのです。うーんこれは…責められないように言い訳しているな…と正直思いました。A君から息子へは形だけの謝罪となったのですが、お金は返してもらう約束をして、只今きちんと約束が守られるか返金日を待っているところであります。小さいときは圧倒的に加害者になることが多かった息子。困り果てた私は、被害者のほうだったらいいのに…と思っていたものですが、いざ被害者になってみると、イヤなものですね。子どもはお金のトラブルについて隠そうとするケースがあると言いますが、うちもまさにそう!言いたがらない!今回は、息子が嘘や隠し事、芝居が超絶ヘタクソだったから気付けたのだと思います。もし上手に隠せる子だったら、何か大きな事件に巻き込まれてしまうなんてことにもなりかねないと思ったのでした。
2017年10月31日特性を生かして活躍する岩本さんに聞いた、発達ナビユーザーにおすすめしたい本!岩本友規さんは、成人してから発達障害(ADHD、アスペルガー症候群)と診断されました。新卒で就職した会社では、法人営業の部署に所属しましたが、電話番すら思うようにできず挫折。現在はご自身の特性を生かして、外資系企業のデータアナリストとして活躍し、著書「発達障害の自分の育て方」(主婦の友社)も執筆されています。今回は、生きていくうえで大切にしたいことを教えてくれたり、読むと頓服薬的に元気になれる本、子どもたちに読んでほしい本などを教えてくださいました!『小説十八史略』「人生の中で一番読み返した本で、子どもに読んで欲しい本でもあります。 特に小学校高学年~中学校時代に全6巻を何十回もまわしました。受けた恩を返すため、親友や主君の身代わりになる話。 人間の強さと弱さの話。 私はこの本に、いまの活動につながる「義」の心を意識・無意識の中に刷り込まれました。人間はやはり最終的には、利他の行いをすることで幸せになっていきます。 そうした発想を自然に育むために、私の知る限り最適な本です。」(岩本さん)紀元前の中国の英雄たちの生きざまや人間模様が生き生きと描かれています。子どもにもよみやすい文章なので、親だけでなくお子さんも一緒に楽しめそうです。『ポケットのないカンガルー』「ないものを嘆くだけではなくて、どう補うかを探しにまわりの動物たちのあり方を学ぶお母さんとこどもカンガルー。前向きに行動を続ける大切さと、多様なあり方について感じることができる絵本です。「おさるのジョージ」と同じ方の挿絵なので、なじみやすいと思います。」(岩本さん)ぜひお子さんと一緒に読んでほしい1冊。ポケットがない母カンガルーが、こどものフレディを運ぶ方法をいろいろと考えます。ないものねだりをするのではなく、どう前向きに生きるのかを、やさしいタッチの絵と文章を通して教えてくれます。『22世紀的「人生の攻略本」 起こることは全部マル! 3時間で新しい自分になれるワークブック』「理屈抜きで、徹底して現状の自分や状況を肯定してくれる本。ブログでも紹介していますが、私もつらくて眠りたくない夜、なんとか気持ちを楽にしたいときはこの本に頼っていました。頓服薬的に効いてくれる、とてもお世話になった本です。」(岩本さん)過去を悔んだり、将来に不安を抱くのではなく、起こることは全部”マル”と決めてしまおう。難しいことは考えず、本に書いてあるワークの質問に答えていくだけでOK。自分のエネルギーを「いま、ここ」に向ければいいのだということを教えてくれる、人生の攻略本です。『発達障害の原因と発症メカニズム』「かなり専門的な本。発症原因の項目は少し距離をおいて読む必要があるかもしれませんが、それ以外の基礎知識はどの立場の人にとっても大変有用だと感じました。一般的な発達障害本では納得しきれない方におすすめです。」(岩本さん)成人当事者として、自分の特性とはどんなものなのか、原因はなんなのか、しっかりと理解したいと考えて読んだ1冊だそう。環境要因による発達障害への影響から療育についてまでと、幅広い内容となっています。岩本友規さんのプロフィールUpload By 発達ナビ編集部成人してから、発達障害があることを診断。その特性を生かして、現在は外資系企業でデータアナリストとして活躍するほか、著書やブログの執筆、講演活動などを行う。11/17(金)、18(土)に長野県佐久市にて「今日から実践!発達障害の自分の育て方講座」が開催されます。
2017年10月31日ライター・林真紀さんに聞いた、発達ナビユーザーにおすすめしたい本!林真紀さんは、発達ナビでコラムを連載するママライターさん。発達障害のあるお子さんを育てる中での発見を、林さんならではの目線で分析したコラムが人気です。介助犬や音楽療法など、新しい話題をいち早く紹介してくれる、情報収集のアンテナの高さにも定評があります。そんな林さんに、ご自身が読んで子育てに役立ったり、励まされた本を教えていただきました!『自閉症児のための明るい療育相談室』「『生活編』『遊び編』『お友達編』『ことば編』『行動編』『学校編』に分けて、自閉症の子どもの特有の行動について応用行動分析(ABA)の観点からアドバイスが書かれています。ある行動に対して、奥田先生と小林先生の二人がそれぞれ分析を加え、異なるアドバイスを提示。それぞれのやり方のどちらが自分の子どもに適しているか、あるいは別の方法があるのではないかと考えながら読み進めることができます。また、行動の背後にある原因を分析することで、社会生活上の問題を解決していこうという応用行動分析の方法論は、発達障害ではない子どもの子育てにも役立ちます。取り上げられている子どもの行動が、乳幼児期のものから学童期まで幅広いため、何年もの間繰り返し手にとって読んでいます。」(林真紀さん)林さんが発達障害をテーマにした本として、まず挙げてくださった本書。著者は、発達障害のある子どもと家族を支援する心理臨床家・奥田健次さんと筑波大学名誉教授の小林重雄さん。お二人とも行動療法が専門の専門行動療法士、臨床心理士です。この本では、行動療法の立場から、自閉症の子どもを育てる上での悩みや困りごとと対処法が54も紹介されています。わかりやすいQ&A形式で解決のヒントを探ることのできる本です。『発達障害の子の立ち直り力 「レジリエンス」を育てる本』「発達障害の子どもを育てるときに、何を目標にして育てれば良いのか分からなくなるときがあります。例えば、特性を克服することが大切なのか、あるいは特性を踏まえたうえで支援することが大切なのか…。そんな悩みに押しつぶされそうだったときに出会ったのがこの本。「レジリエンス」という言葉は聞きなれない言葉ですが、簡単に言えば「心のしなやかさ」、つまりつらいことがあれば落ち込むが、それを引きずらずに立ち直って元気になれる力のことを言います。頑丈に見えて、無理をして負担が蓄積してボキッと折れてしまう心ではなく、ときには折れたり曲がったりするけれど、また立ち直る心のことを「レジリエンスのある心」と定義づけています。この本では、発達障害の子どもが「強い心」ではなく「しなやかな心」を持つことができるように育てるにはどうしたら良いのか、そのための親の関わり方について書かれています。発達障害の子育てについて新しい視点を与えられた本でした。」(林真紀さん)林さんのコメントの通り、レジリエンスとは「復元力・回復力」と訳される心理学の用語で、自分が困難や逆境にあるときに、対応し克服する力のことです。近年、発達障害をはじめ、さまざまな分野で注目されている考え方です。本書では、発達障害のある子どもがレジリエンスを身につけるためのステップをわかりやすく、身近な具体例で紹介しています。パパママにもわかりやすいイラスト図解が豊富で、読みやすいのも特徴です。『ふしぎだね!?ADHD(注意欠陥多動性障害)のおともだち 』「ADHDの子どもの行動の特性や困り感について、いくつかのパターンに分けて漫画で紹介しています。さらに、そんな子どもたちに対してどのような手助けや声かけをしたら良いのかについても、イラストで分かりやすく説明してくれています。子どもにも十分分かる構成になっているので、当事者の子どもはもちろん、その兄弟姉妹、それからクラスメイトの子どもにもおすすめです。」(林真紀さん)親子に読んでほしい本として林さんが教えてくれたこの本は、様々な学校でのトラブルの場面を、カラフルなイラストやマンガで子どもにもわかりやすく取り上げています。「自分勝手」「らんぼう」などと誤解されてしまうこともあるADHDの子どもがどうしてその行動をしたのか、その背景とともに対処法を紹介しています。『毎日かあさん』(コミック)「西原理恵子さんの漫画を読んだとき『あ、子育てってもっと適当にやっちゃっていいんだ』と肩の力が一気に抜けました。そして、小さい頃から割と手のかかる子だった西原さんの息子さんの姿に、我が息子の姿を重ねながらいつも読んでいました。その息子さんも、高校生になって一念発起して猛勉強し、海外留学。成田空港でアメリカへ旅立つ息子さんを見送りながら、『たった16年しか育ててないのに』『男の子は 急に 走る』という西原さんの言葉に号泣でした。我が家の手のかかる息子も、10年たったらこんな風に逞しく飛び立っていくのかもしれない、と励まされる思いでした。」(林真紀さん)子育てに疲れた時・悩んだ時に林さんがおすすめするのが、2017年6月に完結するまで毎日新聞で16年にわたり連載された西原理恵子さんの漫画。第8回文化庁メディア芸術祭賞、第9回手塚治虫文化賞、第40回日本漫画家協会賞などを受賞。アニメ化や映画化もされているので、ご存知の人も多いかもしれません。漫画は西原家を舞台に、息子・娘との日常をかあさんこと西原さんの目線で描いています。子育て中のパパママなら共感間違いなしの笑えるストーリーはもちろん、泣けるエピソードに愛読者も多い大人気漫画です。林真紀さんプロフィールUpload By 発達ナビ編集部林真紀(はやし まき)翻訳者/ライター。3歳のときに自閉症スペクトラム障害、ADHDと診断された小学校一年生の息子を育てる現役ママライター。発達ナビの連載コラムで活躍中。林真紀さんのページ|発達ナビ
2017年10月30日真面目でおとなしいA君との出会い出典 : 「今日のノートはここまでしか書けませんでした。」これはA君が私に、初めてかけてきた言葉です。姿勢が良く、授業中も真剣な眼差しで教師を見つめている姿がとても印象的だったけれど、いつも少し困った表情を浮かべていました。そんな彼が、書きかけのノートを持ってきて、私に訴えかけてきたのです。ノートを見ると、黒板に書かれた内容の9割までしか写しきれていません。ですが、そもそもノート提出をその日に課したわけでも、時間内に写す事を課したわけでもないのです。多くの生徒は、授業時間内に写し終わらなかった分は、休み時間に残りを写すか、友人のノートを借りて写します。ノートを取り終えられなかった事について許可を求めたり報告する事はないし、もちろん私自身そんな指示は出していませんでした。中学一年生になりたてとはいえ、その判断は自分でできるはずだと思いながらも、A君の真面目さ故の行動だと思い、「大丈夫、次の時間までに写しておこうね。」と声をかけました。数日後、「今日は全部写しきれました。」と報告してきたA君。「すごいね、頑張ったね」とその場で褒めはしましたが、私はこの時点で、何か少しおかしいな、心配だなと感じていたのです。「ごめんなさい」が言えない、彼なりの理由出典 : 君について小さな違和感を抱きながらも、4月、5月は特に問題なく過ごしていましたが、6月ごろからA君の周囲をとりまく対人関係のトラブルがクラス・部活共に続出しました。クラスでは、体育大会の種目決めの時に、何を選んでいいのか自分で決められず、あまりものの長距離走になりました。「大丈夫?」と本人に聞いたところ、「走りたかったから大丈夫」といいました。しかし、帰宅後母親に泣きながら「たぶん、走りたくないと思います」と訴えたらしいのです。翌日学校で改めて確認すると、今度は「よく分からない」と答えました。母親との会話からも分かるように、自分自身の感情を表現する事が極端に苦手で、意思決定ができないのです。嫌なはずなのに、「たぶん、走りたくないと思います」と、他人の事のように言います。彼の中で、自分の感情や気持ちと、周りの状況、求められているものが一致しないのです。彼の頭の中ですべてがバラバラになっているのではないかと思いました。部活でのトラブルは、「ゲップ、おならなどを人前でしてしまう」といった公衆道徳が身についていないことが原因でした。それを周りの生徒から注意されると癇癪をおこしパニック状態になっていました。「お前らなんかに言われたくない」「勉強もできひんくせに」などの暴言があり、謝罪の場を設けても、謝る事ができません。どうやら同学年の生徒に対するこだわりが相当強いらしく、自分が納得しないと行動できないところもあるようなのです。彼が同学年の生徒に対してこだわりを持つには彼なりの理由がありました。真面目な彼から見ると、勉強ができたり、先生の言うことをしっかり聞く生徒が常識的な生徒で、指摘してきた生徒があまり勉強ができなかったり、教師に対して反抗的だったりすると非常識な人間と判断してしまうのです。そんな(彼にとって)非常識な人間から言われたことは非常識なことと認識され、自分の行動に非があったとしても認められないのです。そのため、彼が同学年の生徒に対して見下したりする発言も多く、そこからのトラブルもありました。A君の周りからはどんどん人が離れていき、いじめの対象になるような状況も発生してきました。そこで、発達に何か課題があるのではないかと、市内の学校を巡回指導しているアドバイザーの先生にみてもらう事になりました。”伝える”方法を支援する出典 : アドバイザーの先生はA君について大きく二点を指摘しました。一つ目は脳のアウトプットの機能についての問題、二つ目はA君の融通が利かない性格からくる自分ルールについてです。まず一つ目について、どうやらA君は思考が絡むアウトプットをする事が苦手らしいのです。覚えた事をテストで書くという単純なアウトプットはできるのですが、一度自分で考えたり、感情を交えた上で行動にうつすのが苦手な事がわかりました。どうやら、1. 体験→2. 考え→3. 思い→4. 話す・書くといった一連の流れの、2と3をまとめて4にする事がうまくできないようなのです。校外学習の作文を書いても、そこがつながらないから支離滅裂な文章が出来上がります。例えば、「校外学習に行った。僕はとても学んだ事があったのであるが、友達は僕に早く行けと言って僕は悲しかった。」この文章で彼が言いたかった事は”校外学習中、友達とトラブルがあった。僕は、そのトラブルから学んだこともあったけれど、悲しい気持ちにもなった”という事だったようです。しかし、このように時系列がめちゃくちゃで、感情と思考が入り交ざっています。彼の頭の中で混乱が生じている証拠なのです。アウトプットが苦手な生徒はたくさんいるし、作文が苦手な生徒もたくさんいますが、A君ほど話がつながらない生徒はそうそういませんでした。そこで、支援の一つとして、頭の中を整理させながら話を聞くということを行いました。何かトラブルがあって困っている彼に対して、話を聞き、彼の言った言葉をオウム返しにしていきます。「B君がダメなんです」「B君がダメなんですか?」「B君はいつもダメなんです」「B君はいつもダメなんですか?」「B君はいつも僕をからかってくるからダメなんです」「いつもからかってくるんですね。だから、だめなんですね。では、どうしてほしいんですか?」という具合です。自分の頭の中で整理ができないなら、周りの人間がA君のかわりにA君の言いたいことを整理していくのです。そうすることで少しずつA君が自分の言いたい事をまとめて言えるようになりました。実際、「なんで?」「それで?」「だから?」という聞き取りをしていた時よりも、このやり方のほうがA君は文章をつなげて話せるようになったのです。二つ目の融通の利かない性格=こだわりが強いという傾向から、A君には自分ルールが存在しています。その自分ルールは時に極端で、例えば、「先生の指示に従いましょう」と言われたら、1から100まで従おうとします。そのため、「黒板を写しなさい」=「必ず黒板を時間内にうつさなければいけない。」となり、冒頭のようなやり取りが出てくるのです。部活内での公衆道徳にまつわるトラブルについても、きっと「おならを我慢したら病気になるよ」と小さい時に教わったのでしょう。母親に言われたことを厳守していたのです。彼の中にはちゃんと理論だったルールがあります。そのルールを否定されると癇癪をおこし、どうすればいいか分からなくなるのです。そこで、学校で守ってほしいことは「この学校では、このようなルールになっているので、覚えてください」と話すようにしました。個人的にこう思うと伝えるよりも、「この組織では、このようなルールなんです」と言う方が、真面目で規律を守りたい彼にとっては一番効果的だったのです。真面目さを個性に変えて…出典 : 様々なトラブルを抱えながらも彼は三年生になりました。一、二年生の頃は特異な存在と見られがちで、周りと距離があった彼ですが、三年生になって少しずつ変化が出てきました。彼が三年になった時に、担任を受け持つ事になりました。私は、彼の話の聞き役を私以外にもやってもらったらいいのではないかと、考えました。そこで、クラスの学級委員長のR君に、「A君が困っているみたいやから、話を聞いてあげて」と声をかけてみました。はじめ、R君はA君と話す事に苦戦していましたが、子供は柔軟です。そのうち話を整理しながら聞くという事を自分で考えて実践していきました。R君が、A君が困っている時に助けるという構図ができだしてから、何かあったらR君がA君とみんなの間に入って話をしていきました。そうするうちに、周りの生徒もA君の苦手なこと、得意なことがわかるようになり、上手に交流を持てるようになりました。それでもトラブルが起こってしまう時は私が話をしたりしましたが、基本的には生徒達の中で解決される事が多くなりました。本人も三年生にしてようやく居場所ができた事が嬉しいらしく、周りが投げてくる笑いのネタに対して、自分なりにパフォーマンスするなどして周囲を笑わせていました。真面目で硬い性格のA君がちょっとおかしなことをするのが面白いらしく、周囲の生徒達も少しずつ関わりを多く持つようになっていきました。他にも、クラスの生徒はA君の真面目さによく気がつきました。誰もが嫌がる事を引き受けたり、みんながうっかり忘れていた大事な提出物を良く覚えていて先生に確認して、クラスの生徒が助けられるといった経験から、生徒達の中でA君は「真面目で、いつも一生懸命なちょっと個性的な子」として、位置づけられるようになりました。クラス経営において、私がしたのはクラスの中心となる生徒にA君に対して声をかけるようお願いすることと、その活動を見守ることでした。きっかけさえ作れば生徒達は自分達でお互いをフォローしあえるようになるのです。もちろん、一、二年生の時の接し方やそこから得られたA君自身の成長もあり、三年生でうまくいったという事もあるのでしょう。みんなで支え合う相互理解の社会へ出典 : 大小含めて発達に課題がある生徒は、私が受け持つクラスの40人中、10人ほどいます。その中で同じ方向を向いて共同生活を行う上で大事なのは、お互いに理解し合うことです。できない、苦手な部分を個性とし、できる部分を伸ばしていくこと。できない部分はみんなでフォローして、できる部分でみんなを助けてもらうこと。それが相互理解に大事な行動だと思います。そのためには、本人や教師、保護者だけが頑張るのではなく、周りの生徒も巻き込んで、居場所を作っていく。そうするとみんなで支える姿勢を作ることになります。今の社会はまだ、特異な存在に対する風当たりが強いです。しかし、相互理解を学んだ生徒がこれから成長し、作っていく未来の社会はきっと今よりも優しくなります。そんな社会のために私たち教員は、「生徒が支え理解し合える、違いを認め合える環境作り」をしていく事が使命だと感じています。
2017年10月30日1. お子さんの就学先に悩む保護者の方へ出典 : 障害のあるお子さんを持つ保護者の方にとって、お子さんの就学先選びは非常に大きな決断になると思います。特別支援学校・特別支援学級・通級・通常学級と様々な選択肢がありますが、それぞれの仕組みや教育環境、メリットやデメリットを把握したうえで、今、お子さんにもっとも合う学校を選ぶことが大切です。この記事では、特別支援学級の対象となる障害や教育環境、通級・特別支援学校との比較、入学の方法から卒業後の進路などについて詳しく解説していきます。ぜひ就学先選びの参考にしてください。2. 特別支援学級ってどんなところ?出典 : 特別支援学級とは、障害のある子ども一人ひとりに応じた教育を行うため、小・中学校に設置された、障害種別ごとに編成された少人数の学級をいいます。学校教育法81条では、以下のように定められています。幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校及び中等教育学校においては、次項各号のいずれかに該当する幼児、児童及び生徒その他教育上特別の支援を必要とする幼児、児童及び生徒に対し、文部科学大臣の定めるところにより、障害による学習上又は生活上の困難を克服するための教育を行うものとする。○2 小学校、中学校、義務教育学校、高等学校及び中等教育学校には、次の各号のいずれかに該当する児童及び生徒のために、特別支援学級を置くことができる。一 知的障害者二 肢体不自由者三 身体虚弱者四 弱視者五 難聴者六 その他障害のある者で、特別支援学級において教育を行うことが適当なもの○3 前項に規定する学校においては、疾病により療養中の児童及び生徒に対して、特別支援学級を設け、又は教員を派遣して、教育を行うことができる。年の文部科学省の調査によりますと、特別支援学級に在籍している幼児児童生徒の数は187,100人で、幼児児童生徒全体に対する割合は1.2%です。ただし、高校で特別支援学級を設置している例はまだ見受けられず、在籍している生徒数も調査によると0人になっています。特別支援学級を設置している小学校の割合は76.6%、中学校は73.7%と、ほとんどの小・中学校が特別支援学級を設置しています。また、特別支援学級に在籍している幼児児童生徒の数、特別支援学級の数は、どちらもここ20年間は増加傾向にあり、そのニーズの高まりとともに小・中学校での支援体制の整備が進んでいます。文部科学省特別支援教育資料(平成27年度)【第1部集計編】3. 特別支援学級の対象となる障害の基準は?出典 : 特別支援学級は障害種別ごとに、知的障害、肢体不自由、病弱・身体虚弱、弱視、難聴、言語障害、自閉症・情緒障害の7種類のの学級があります。特別支援学級の対象となる障害の程度は以下の通りです。知的発達の遅滞があり、他人との意思疎通に軽度の困難があり日常生活を営むのに一部援助が必要で、社会生活への適応が困難である程度のもの補装具によっても歩行や筆記等日常生活における基本的な動作に軽度の困難がある程度のもの・慢性の呼吸器疾患その他疾患の状態が持続的または間欠的に医療又は生活の管理を必要とする程度のもの・身体虚弱の状態が持続的に生活の管理を必要とする程度のもの拡大鏡等の使用によっても通常の文字、図形等の視覚による認識が困難な程度のもの補聴器等の使用によっても通常の話声を解することが困難な程度のもの口蓋裂、構音器官のまひ等器質的又は機能的な構音障害のあるもの、吃音等話し言葉におけるリズムの障害のあるもの、話す、聞く等言語機能の基礎的事項に発達の遅れがあるもの、その他これに準じるもの(これらの障害が主として他の障害に起因するものではないものに限る。)で、その程度が著しいもの・自閉症又はそれに類するもので、他人との意思疎通及び対人関係の形成が困難である程度のもの・主として心理的な要因による選択性かん黙等があるもので、社会生活への適応が困難である程度のもの文部科学省通知「障害のある児童生徒の就学について」これらの基準をもとに、最終的な就学先は、お住まいの市区町村で行われる就学相談を通して、保護者の方の意見を尊重しながら決定します。また、これらの基準より重い障害のあるお子さんは、多くの場合、特別支援学校の対象になります。以下の記事も参考にしてみてください。4. 通常の小・中学校でもきちんと支援を受けられるの?出典 : 通常の小・中学校でも、障害のある子どもに対して理解ある支援が受けられるのかどうかを心配されている保護者の方は多いのではないでしょうか。ここでは、障害のあるお子さんも保護者の方も安心して学校生活を送ることができる支援体制の例をご紹介します。「個別の指導計画」とは、障害のある子どもに指導を行うためのきめ細かい計画です。子どもの一人ひとりの教育的ニーズに対応して、指導目標や指導内容・方法を盛り込んであります。例えば、単元や学期、学年等ごとに作成され、それに基づいた指導が行われます。特に、後述する「自立活動」の指導は、この計画に基づいた内容になっています。「個別の教育支援計画」とは、進級・進学時の引継ぎ、他機関との連携を図るための計画をいいます。乳幼児期から学校卒業後までの一貫した長期的な計画である点が「個別の指導計画」との違いです。学校が中心となって、教育・福祉・医療・労働などの関係機関と連携し、保護者の意見とともに作成することなども求められています。通常の小・中学校でも、障害のある児童・生徒に対しては学校の教員と保護者とが一緒になってこの計画を作成し、学校と協力しながら適切な支援を受けることができるようになっています。独立行政法人国立特別支援教育総合研究所(4)個別の指導計画と個別の教育支援計画特別支援教育コーディネーターは、学校内や福祉・医療等の関係機関との間の連絡調整役として、あるいは保護者に対する相談の窓口として、校内の関係者や関係機関との連携協力の強化を図るための役割を担っており、学校内の教員が指名されています。つまり、特別支援教育コーディネーターは学校や担任の先生と保護者、専門機関とのパイプ役を果たしており、必要なときには相談できる体制になっています。また、小・中学校の教員は障害に対する専門的な知識を必ずしも持っているわけではありませんので、特別支援教育コーディネーターが担任に対する助言も行っています。5. 特別支援学級の教育環境出典 : では、特別支援学級のなかはどのような教育環境になっているのでしょうか。特別支援学級では、障害のあるお子さんが能力を最大限発揮して学習できるよう、様々な工夫がされています。また、障害のない通常の学級の子どもと触れ合う機会も設けられています。特別支援学級の上限定員は8人と定められています。少人数教育で、障害のある子ども一人ひとりのニーズに合わせた教育が受けられるようになっています。また、教室内は、子どもの実態に即して安全で過ごしやすい環境になるような工夫がされています。例えば、教室という多目的な空間に混乱してしまう子どもがいる場合、一つの場所では一つの活動が行われるような環境が作られます。自立活動とは、特別支援学校学習指導要領に定められている教育活動の一つです。障害による学習上または生活上の困難を改善・克服するための指導を行う目的で設けられています。「個別の指導計画」に基づいて子ども一人ひとりにあった指導目標が設定され、その目標を達成するような指導が行われます。例えば、身体の動きに困難のある子どもに対してはそれを改善するための指導が、コミュニケーションに不安のある子どもに対してはそれを支援するための指導が自立活動の時間に行われます。具体的な内容は子ども一人ひとりに合わせたものになっています。文部科学省特別支援学校学習指導要領解説自立活動編特別支援学級では、必要に応じて、各教科の目標・内容を下学年の教科の目標・内容に替えたり、各教科を知的障害特別支援学校の各教科に替えたりすることができます。これは通常の学級に所属している場合は受けることのできない大きなメリットです。小・中学校や特別支援学校の学習指導要領などには、障害のある子どもと障害のない子どもが活動を共にする機会を積極的に設けるよう示されています。これにより、障害のある子どもが通常の学級で障害のない子どもと触れ合うことができます。例えば、・朝の会や帰りの会を、同じ学年の通常の学級である「交流学級」で、通常の学級の子どもたちと一緒に過ごす・給食や体育、音楽の時間は通常の学級で活動するなど、通常の学級と特別支援学級を行き来するといった例があります。6. 障害種別ごとの教育内容出典 : 特別支援学級は小・中学校に設置された学級であるため、上述したような配慮を行う場合であっても、学校教育法に定める小学校及び中学校の目的・目標を達成するものである必要があります。特別支援学級においてもその教育目標を達成するために、障害の種別ごとに教育内容が工夫されています。知的障害特別支援学級における教育内容としては、・特別支援学校の学習指導要領を参考にしながら、子どもの知的発達の段階に合わせた目標、内容を選択し、教科学習の内容を決める・特別支援学校の学習指導要領に示されている「自立活動」の指導を行う・学校教育法施工規則に規定されている「領域・教科を合わせた指導」を行うという工夫がされています。「領域・教科を合わせた指導」とは、指導内容を教科別・領域別に分けない指導のことを言い、これが時間割に取り入れられています。具体的には以下のような授業があります。■日常生活の指導基本的生活習慣や集団生活をするうえで必要な内容■遊びの指導遊びを学習活動の中心に据えて、身体活動を活発にし,仲間とのかかわりを促し、意欲的な活動を育てていくもの■生活単元学習生活上の課題処理や問題解決のための一連の目的活動を組織的に経験することによって,自立的な生活に必要な事柄を実際的・総合的に学習するもの■作業学習作業活動を学習活動の中心に据え,児童生徒の働く意欲を培い,将来の職業生活や社会自立を目指して総合的に学習するもの。産業現場等における就業体験等を含め,学校卒業後の社会生活につなげるようにしていく。肢体不自由特別支援学級においては、通常の学級での授業のほかに、身体の動きや認知能力などの向上を目指した指導が行われています。また、子どもの個人差を考慮し、個別指導やグループ指導といった授業形態を積極的に取り入れたり、教材・教具の開発・工夫を行ったりするなどの配慮が行われています。さらに、通常の学級の子どもと運動会や給食の場を通じて一緒に活動するなど、社会性や集団へ参加する力を高めるための配慮もされています。また、子どもが可能な限り自らの力で学校生活が送ることができるよう、廊下やトイレに手すりを取り付けたり、便器を洋式にしたりするなどの配慮がされている学級が多いです。病弱・身体虚弱特別支援学級には、病院内と学校内の2つがあります。■病院内の特別支援学級入院中の病弱児のために、近隣の小学校や中学校を本校として、病院内に設けられている特別支援学級です。ここでは、病院の職員との連絡を密にしながら、健康状態の回復・改善等を図るための指導を行うとともに、各教科等の指導に当たっては内容の精選を行い、特に身体活動を伴う学習については、指導方法や教材・教具を工夫するなど、様々な配慮をしています。子どもの病状や発達段階に合わせて、子どもの学年に準じた教育課程、下学年・下学部適用の教育課程、特別支援学校(知的障害)の教育課程などが準備されます。■小・中学校内の特別支援学級入院を必要とせず家庭などから通学できる病弱・身体虚弱児のために、小学校や中学校の中に設けられている特別支援学級です。ここでは、通常の学級とほぼ同様の授業内容・授業時間を定められますが、子どもの病状や発達段階等に応じて下学年・下学部の教育内容が指導されることがあります。通常の学級の子どもとともに活動する機会を積極的に設け、家庭などとの連絡を密にしながら、健康状態の回復・改善や体力の向上を図るための指導もあわせて行われます。弱視特別支援学級では、原則として小学校や中学校と同様の学習指導が行われます。しかし、子どもの視覚障害の実態に合わせた少人数のクラス編制になっており、子ども一人ひとりの障害の状態や特性に応じて具体的な目標を設定し、特別な配慮や工夫をしながら指導が行われます。特に必要がある場合には、特別支援学校小学部・中学部学習指導要領を参考にして教育課程を編成することがあります。難聴特別支援学級でも、原則として小学校や中学校と同様の学習指導が行われますが、自立活動などが時間割に取り入れられることもあります。例えば語句・文・文章の意味理解やコミュニケーションの改善についてが自立活動の内容になります。また、聴覚活用のためにオージオメータや集団補聴器、発音・発語指導のための音声直視装置などの機器が用意されています。言語障害特別支援学級では、自立活動の時間として言語障害の状態の改善もしくは克服を目的とする指導が取り入れられています。また、国語や算数・数学など個別指導などでより手厚く行う必要があるものについては特別支援学級で行い、生活科、図画工作(美術)・体育科、道徳、特別活動、総合的な学習の時間など集団の中で行うことがふさわしい教科等については、通常の学級で行うといった教室間の行き来をすることもあります。自閉症・情緒障害特別支援学級の授業内容は、通常の小・中学校の教育課程を基準にしながら、必要に応じて、特別支援学校学習指導要領を参考にして、学級や子どもの実態に応じて決定されます。また、自閉症や発達障害をもつ子どもが将来の社会生活に適応できるような指導が行われています。■日常生活習慣形成のための指導自閉症・情緒障害特別支援学級では、日常生活における生活習慣を身に付けるため、食事・排泄・衣服の着脱などの指導を学校生活の中で行います。子どもの発達段階を考慮し、例えば、食事領域では、「スプーンやフォークで食べる」「箸を使って食べる」「スプーンやフォーク、箸を使い分ける」「マナーを守って食べる」など、段階的に指導目標を立てていきます。■運動機能・感覚機能を高めるための指導運動発達や知覚の発達の基礎をつくり、情緒の安定や言語の発達、時間・空間の概念を形成するための指導です。自閉症などの子どもは、視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚などの感覚刺激に対して、過敏性などの問題がある場合があります。これらの感覚知覚の問題が、日常の生活環境において不安や苦痛の原因となっていることもあるので、この対応には十分に配慮しながら、できるだけ不安を軽減できる環境を工夫し、改善に向けて指導していきます。■言葉の内容を理解するための指導人の声に注意を向ける、人の話を聞く、返事やあいさつをするなど社会生活に必要な態度を形成し、人とのかかわりを深めるための基礎をつくることが目的です。注意力や集中力を身に付け、言葉を理解するとともに、実際の生活に必要な言葉を適切に使用できるようにコミュニケーションの指導を行います。サイン、絵カード、写真、文字、ジェスチャー、表情などの手段を使って、必要最低限の相手とのやりとりができるようにしていきます。■人とのかかわりを深めるための指導人とのかかわりが苦手な子どもに対して、強引に他の子どもたちと一緒の集団活動に参加させることは、人とのかかわりの困難さを強くしてしまいがちです。そのため特別支援学級では、大人との一対一の関係の構築から始めて、少しずつ小集団の児童生徒との関係に広げていくようにしています。7. 特別支援学級と発達障害出典 : 発達障害がある子どもは知的障害特別支援学級か自閉症・情緒障害特別支援学級に在籍することになります。これは、子どもに知的障害があるかどうかによって異なります。文部科学省によると、特別支援学級に在籍している187,100人の子どもたちのうち、50.7%である94,821人が知的障害特別支援学級に、43.6%である81,624人が自閉症・情緒障害特別支援学級に在籍しています。このことから、特別支援学級に在籍する子どものうち90%以上が知的障害や発達障害をもつ子どもであることが分かります。8. 特別支援学級と、通級指導教室・特別支援学校との違いは?出典 : 特に義務教育が始まる小学校入学の前に、お子さんをどの教育環境で育てるか迷う保護者の方は多いと思います。障害のある子どもの教育環境として、通常の学級・通級指導教室・特別支援学級・特別支援学校の4つがあります。それぞれの対象となる障害の程度に明確な基準はありませんが、一般的に通級指導教室・特別支援学級・特別支援学校の順に障害の程度は軽くなります。Upload By 発達障害のキホン通級は、通常学級の学校に籍があり、通級指導の時間のみ通級指導教室に通います。通級指導教室が通常学級の学校にない場合は、通級指導教室がある他の学校に通級指導の時間のみ通います。また、担任は通常学級の先生が受け持ちます。Upload By 発達障害のキホン特別支援学級に通う場合は、特別支援学級が設置されている学校に籍を置きます。基本的に特別支援学級で授業を受けますが、体育や図画工作、給食の時間は通常学級の子どもたちと過ごすこともあります。担任は特別支援学級の先生が受け持ちます。Upload By 発達障害のキホン特別支援学校に通う場合は、通学する特別支援学校に籍をおきます。また、通級・特別支援学級は通常の教員免許のみでも受け持つことができますが、特別支援学校の教員は通常の教員免許に加え、特別支援学校の教員免許を取得しています。9. 通級・特別支援学級・特別支援学級のメリット・デメリット出典 : 教育システムの違いから、通級・特別支援学級・特別支援学校それぞれにメリット・デメリットがあります。お子さんの学校選びの参考にしてみてください。■通級・通常学級での子どもとコミュニケーションをとる機会が比較的多い・学習面で通常学級の授業が受けられる・必要なフォローを受けられる・通常学級から離れる時間が気分転換になることもある■特別支援学級・給食の時間や昼休みなどは通常学級での子どもとのコミュニケーションなどの経験ができる・発達・障害の程度に準じたカリキュラムで指導を受けられる・学校と相談しながら通常学級との行き来ができるようにもなる■特別支援学校・個々人の障害の程度に合わせたカリキュラムで、専門性を持った先生からきめ細かい指導が受けられる・高等部では職業教育が受けられる■通級・特別支援学級・在籍基準があいまい・すべての学校に通級指導教室や特別支援学級があるわけではなく、場合によっては遠くの学区に通学しなければならない・高校では通級制度はまだ整えられておらず、特別支援学級も設置されていないのが現状(ただし、2018年度から高校でも通級指導を始めるよう文部科学省が準備を進めている)・学級数や受け入れ可能人数などに地域差が大きい・通常学級との行き来がお子さんのストレスになることもある■特別支援学校・通常学級の子ども、同世代の子どもと触れあう機会が少ない・転学・転校は可能だが手続きが必要・障害の程度によっては入学できない可能性がある・特別支援学校高等部を卒業しても、通常の高卒資格は得られない(ただし大学入学資格を得ることはできる)・地域差、学校差がある10. 特別支援学級への入り方出典 : ■年中期~6月ごろ:情報収集お住まいの市区町村の教育委員会に問い合わせたり、ホームページを参照して、地域にある特別支援学校や、小学校の特別支援学級の有無などについて情報を集めましょう。地域によって異なりますが、4月から6月ごろにかけて、特別支援学級や特別支援学校などへの就学を検討している保護者向けに、教育委員会が就学についての説明会が行われる場合もあります。ここでは就学先として考えられる選択肢について、それぞれどのような支援や教育が受けられるか、今後の就学相談や就学先決定までの流れなどについて説明があります。保護者が情報収集や相談をしない場合もあるので、教育委員会では様々な機関と連携して特別支援学校への就学のニーズがある子どもの把握につとめます。教育委員会が幼稚園や保育園、園や発達支援センターや療育センターなどに調査票の作成を依頼したりする地域もあります。その場合、通常の学級・学校に就学することに不安があると思われるお子さんについて、園やセンターは保護者の了承を得て調査票を作成します。■7~9月ごろ:就学相談市区町村の教育委員会へ連絡し、就学相談を受けます。園やセンターの調査票がない場合は、ご自身で市区町村の教育委員会に問い合わせをしましょう。就学相談では、専門の就学相談員と保護者との面談(複数回のこともあります)を通して子どもにとって最適な就学先を決めます。子どもの状態を把握するための検査が行われたり、相談員がお子さんの在籍園・在籍校に赴いてお子さんの様子を確認することがあります。障害の状態、障害に基づく教育的ニーズ、保護者・専門家の意見、学校や地域の状況などを考慮して、就学指導委員会がお子さんにとって良いと思われる就学先を決定します。この決定に保護者の方が同意をすれば就学先が決定します。もし同意できない場合はその旨を教育委員会に申し立て、再度就学相談を受けることもできます。最終的には保護者の方の意向が尊重されます。就学相談では、子どもの状態を正確にしっかりと伝えることが大切です。医療機関で受けた診断書や療育手帳などがあれば持参することをおすすめします。■10~11月:就学時健康診断と小学校の選択就学時健康診断とは、小学校に入学する前に行われる健康診断のことであり、身体検査に加えて発達検査、知能検査等があります。お子さんの障害や発達の遅れについて、この健康診断によって初めて気づく場合があります。就学基準にお子さんが当てはまると思われる場合、就学相談・就学指導を受けることを教育委員会からすすめられます。就学相談で、特別支援学校、特別支援学級、通級、通常学級という選択肢の中からお子さんにとって最適と思われる就学先を決定します。小学校入学時は通常学級に在籍していた子どもが、その後特別支援学級に転籍する場合もあります。これには小・中学校の校内委員会が関係しています。校内委員会とは、子どもの状態に早期に気付き、適切な支援を行うために小・中学校に設置されたものです。その役割は以下の通りです。・学習面や行動面で特別な教育的支援が必要な子どもに早期に気付く。・特別な支援が必要な子どもの実態を把握し,担任の指導への支援方策を具体化する。・保護者や関係機関と連携して,個別の教育支援計画・個別の指導計画を作成する。・特別な支援が必要な子どもへの指導とその保護者との連携について,全教職員の共通理解を図る。また,そのための校内研修を推進する。・専門家チームに判断を求めるかどうかを検討する。※LD,ADHD,高機能自閉症の判断は教員が行うものではない・保護者相談の窓口となるとともに,理解推進の中心となる。こういった支援体制が小・中学校内にあるため、最初に通常学級に入学したお子さんでも、特別支援学級や通級での支援を受けることができます。小学校で特別支援学級に在籍していたお子さんが、中学校でも特別支援学級に在籍する場合、同じ学区域内であれば、特別支援学校や特別支援学級で行われた特別支援教育の内容は、小学校と中学校の先生、特別支援教育コーディネーターを通して引き継がれます。11. 中学校卒業後の進路出典 : 高等学校においては特別支援学級が設置されていないのが現状です。その理由としては、義務教育でないこと、入学試験など選抜があること、高等学校学習指導要領に特別支援学級に関する記述が少ないことなどがあげられます。ただし通級については2018年度から開始されるよう文部科学省が準備を進めています。高校における特別支援学級の整備が進んでいないことから、中学校卒業後のお子さんの進路を心配されている保護者の方も多いのではないでしょうか。文部科学省の報告によれば、中学校の特別支援学級を卒業した子どものうち、進学する子どもの割合は94.1%です。進学した子どもの中では63.4%が特別支援学校の高等部に進学しています。他の進路としては、教育訓練機関等が2%、就職が0.8%、社会福祉施設などへの入所・通所およびその他が3.0%となっています。このデータからわかるように、多くの子どもが特別支援学校高等部もしくは通常の高等学校に進学しています。文部科学省特別支援教育資料(平成27年度)【第1部集計編】12. まとめ出典 : 高校での整備が遅れていたり、全ての学校に特別支援学級があるわけではなかったりと課題はあるものの、特別支援学級は同世代の子どもたちと触れ合える機会があり、かつ子どもたちに合った支援を受けられる点で魅力的です。地域や学校によっても特別支援学級の雰囲気は異なるので、お子さん自身や学校の先生、かかりつけのお医者さんなどの周りの方や学校の先生、特別支援教育コーディネーターと相談しながら、お子さんの障害の程度や性格に合った就学先を選ぶのがよいのではないでしょうか。
2017年10月29日斎藤環先生に聞いた、発達ナビユーザーにおすすめしたい本!ひきこもりを長年支援してこられた精神科医の斎藤環先生。先日発達ナビが行った『ひきこもり新聞』木村ナオヒロさんとのトークショーも盛況でした。そんな斎藤先生は批評本も書かれているほど、まんがやアニメにも造詣が深いのです。今回は専門書から話題のマンガまで、バリエーションもゆたかな本を教えてくれました!『発達障害当事者研究―ゆっくりていねいにつながりたい』「自分が自分の先生なのだ。」(斎藤環先生)アスペルガー症候群当事者の綾屋紗月氏と小児科医・熊谷晋一郎氏による当事者研究。発達障害のない人からは「感覚過敏」「こだわり」などの言葉でくくられてしまう特性。発達障害のある人がどのように感じているのか、その世界が綾屋さんの目を通して丁寧に語られます。保護者や支援者など、発達障害のない人が、発達障害のある人の世界を想像し、理解しようとすることが、彼らとつながるために重要だと気づかせてくれる本です。『夜廻り猫』「猫は、寄り添って人を癒やす。」(斎藤環先生)育児に疲れた時にパパ・ママに読んでほしい本は?とうかがったところ、斎藤先生が教えてくれたのは、ツイッターで話題となった8コママンガ。第21回手塚治文化賞短編賞受賞作の『夜廻り猫』です。「泣く子はいねが~」と夜更けの街を見まわるのは、なんと猫の遠藤平蔵!涙のにおいをたどって悩んでいる人を見つけ、話を聞きます。ただ寄り添うだけで解決はしないその距離感はまさに猫。ちょっと疲れた時や悲しい時にちょうどいいあたたかさで読めるマンガです。『ジェーン・エア』「子どもたちよ、これが”物語”だ。」(斎藤環先生)「子どもに読んでほしい本」として斎藤先生が挙げてくれたのが、イギリス文学の名作『ジェーン・エア』。幼くして孤児となった家庭教師のジェーンと裕福な主人ロチェスターは次第に惹かれあいます。身分の差やロチェスターの過去など、様々な困難が二人の前に立ちはだかり、一度は彼のもとを去ったジェーンでしたが…。全てを失っても、大きな障害も、愛の前には障害ではなくなるという、ジェーンの想いに心打たれる恋愛物語です。『治療文化論―精神医学的再構築の試み』「わたしの、たった一人の“師”。」(斎藤環先生)斎藤環先生の座右の書が、本書。日本の精神病理学を代表する医学者・中井久夫氏の代表作です。統合失調症やPTSDの研究者として知られる中井氏ですが、歴史にも精通し、詩の翻訳やエッセイの名手としても活躍していました。『治療文化論』では精神医学と文化の両面から「病気とは何か」「何をもって治療と言うのか」を探ります。斎藤環先生プロフィールUpload By 発達ナビ編集部斎藤環(さいとうたまき)1961年、岩手県生まれ。1990年、筑波大学医学専門学群環境生態学卒業。医学博士。爽風会佐々木病院精神科診療部長(1987年より勤務)を経て、2013年より筑波大学医学医療系社会精神保健学教授。また,青少年健康センターで「実践的ひきこもり講座」ならびに「ひきこもり家族会」を主宰。専門は思春期・青年期の精神病理、および病跡学。著書に 『文脈病(青土社)』『社会的ひきこもり(PHP研究所)』『ひきこもり救出マニュアル(PHP研究所)』『ひきこもり文化論(紀伊國屋書店)」『生き延びるためのラカン(バジリコ)」『ひきこもりはなぜ『治る』のか?(中央法規出版)』, 『ひきこもりのライフプラン』(共著: 畠中雅子, 岩波書店), 『オープンダイアローグとは何か』(医学書院)
2017年10月28日