いつも元気いっぱいの息子が1週間も学校を欠席Upload By ラム*カナADHDのある息子キョウタはとてもパワフル、底なしの体力を持っています。普段の生活ではまず「疲れた」などと口にすることはありません。そんなキョウタが今年の3月、インフルエンザBにかかりました。熱が下がったと思ったらまた上がったり、落ち着いたかと思ったら嘔吐下痢が始まったりして、学校をまるまる1週間も休んだときがあったんです。完治してようやく学校に行けた病みあがりの日。私はキョウタがまだ本調子じゃないかもなぁと思い、帰りは学校まで車で迎えに行ったところ、私の迎えを担任の先生がキョウタと一緒に待っていてくれました。担任の先生のお話Upload By ラム*カナほ。良かった。こんなにお休みするのは初めてだったけど、無事に過ごせて良かった。Upload By ラム*カナな、なんですか!?先生ッ!!もしかして、嘔吐しました!?いや、下しましたか!?そ、それとも給食を全然食べませんでしたかーーー!?(ゴクリ…)Upload By ラム*カナ充分ですぅぅ…ッ!!普段の長男は、休み時間や体育では人一倍元気に動き、給食でも誰よりも早く・誰よりも多く食べる…そういう子で、担任の先生からはパワフル男子タイプという認識を持ってもらっていました。(ADHDということも伝えてあります)そんな子が、インフルで1週間休み…病み上がりの登校で、いつものレベルの元気さはない…(←とはいえ平均タイプぐらいのレベル)いつもあんなに食べる給食さえも控えめ…(←とはいえ定量は普通に食べてる)先生が認識していた長男の元気レベルがあまりにも高かったため、(冷静に見れば健康児童となんら変わらない様子だったのですが)「キョウタ君が給食をおかわりしないなんて…!!」と、素直に心配してくださったことに少し笑ってしまい、それと同時に感謝の気持ちでいっぱいになりました。先生、優しい報告ありがとうございました。
2017年10月28日井上雅彦先生に聞いた、発達障害のある子を育てるパパママにおすすめしたい本!鳥取大学の井上雅彦教授は「応用行動分析学(ABA)」の専門家。発達ナビでは「親子のヒント」や「発達障害のキホン」コラムの監修などを担当しています。発達障害のある子どもや保護者への支援経験も豊富な井上先生に、子どもへの接し方や障害への理解が深まる本を紹介していただきました!『つながろ!―にがてをかえる?まほうのくふう』「自分の苦手なことに工夫をしたり、得意に変えていくことが絵本で学べる本です。発達障害があるないに限らず、多くの親子にぜひ読んでほしい本。」(井上雅彦先生)友達のまいちゃんには発達障害がある。どんなふうにしたらまいちゃんや、先生やクラスのみんながわかりやすくなるのか、どうしたら苦手なことがなくなるのか、「まほうのくふう」を考えよう…子どもへの説明にも使えるわかりやすい絵本です。発達障害とはどんなもの?苦手なことはどんなこと?という障害への理解はもちろん、当事者だけでなく、先生やまわりの友達も一緒に困りごとを解決するヒントがつまったインクルーシブ絵本です。『家庭で無理なく対応できる 困った行動Q&A: 自閉症の子どものためのABA基本プログラム4』「親御さんが一番気になり、またストレスを感じるのが困った行動ではないでしょうか?自傷やこだわりなどがある時、おうちで無理なく解決できるヒントをわかりやすく紹介しています。」(井上雅彦先生)「応用行動分析学(ABA)」とは発達障害児療育のベースになっている理論のひとつです。行動の背後にある原因を分析することで、その子の困りごとを解決していこうとする考え方です。本書は家庭でもできるABAについて、具体的に書かれたシリーズの4冊目。保護者が特に困る癇癪や感覚過敏、自傷などへの対処法がわかりやすく紹介されています。『発達障害の子とハッピーに暮らすヒント―4人のわが子が教えてくれたこと』「堀内さんは、発達障害のあるお子さん4人を育てたお母さん。子育てのコツや工夫が満載です。堀内さんが子育ての中で経験則から発見し、得られた知見は研究や教育原理で得られる示唆とも一致すると思います。」(井上雅彦先生)アスペルガー症候群、ADHD、LDという発達障害の診断を受けている4人のお子さんを育てる堀内さん。本書では、それぞれ特性やタイプの違うお子さんとの毎日の奮闘から編み出した「こんなふうにしたらいいんだ」という工夫を紹介しています。こだわり、パニック、不登校…小学校入学以来、堀内家はさまざまな“問題”に直面しますが、タイトル通り、ハッピーに暮らそうと前向きな堀内さん。勇気と子育てへのヒントがもらえる本です。井上雅彦先生プロフィールUpload By 発達ナビ編集部井上雅彦(いのうえまさひこ)鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授応用行動分析学自閉症支援士エキスパート井上研究室ホームページ井上先生が監修したコラムはコチラ!|発達ナビ
2017年10月27日創作に興味を持ってほしくて…息子とプラ板づくりに挑戦Upload By shiori息子カムはお絵かきや工作といった創作活動にこれまで全く興味を示しませんでした。こういった学校の宿題はいつも悩みの種でしたし、私自身、絵を描くのが好きなので、カムにも創作の楽しさを知ってほしいという気持ちがありました。そこで私は考えました。日頃から、お菓子の袋などカラフルなものや、ペットボトル容器などの透明感のあるものがすきなカム。プラ板なら気に入るんじゃないか?と思い、カムと一緒にプラ板作りに挑戦することにしました。出典 : まずは透明で薄いプラスチックのプラ板シートに、油性ペンで線を描きます。私はカムの手にペンを握らせ、ここに線を描いて!と猛アピール。描いている時は、今まで通り、あんまり意欲を示さないカム。この時はまだ、やらされている感満載の抜け殻状態でしたが…Upload By shiori程よい大きさにカットしてオーブントースターでチンすると小さく縮み、ふにゃふにゃだったシートがしっかり硬い板になりました。ストラップをつけてキーホルダーにしてカムに渡すと、カムはどうやら嬉しそう。このプラ板1号はお気に入りのおもちゃになりました。出典 : プラ板再びしばらくした頃、私はプラ板シートがまだ残っていることを思い出し、またカムと一緒になにか作ることにしました。カムの好きな葉っぱの絵を描き、あとはカムに色でも塗ってもらおうかな…と思ったら、プラ板シートを見たカムが急にペンをつかみ、自分から線を描きたい!と要求してきました。出典 : その絵を描く様子が激しい!とにかく激しい!シャシャシャシャーーーー!!手首を軸にして振り子のようにペンを動かす技法で、次々と違う色を重ねていき作品はどんどん深みを出していきます。小さなプラ板シートには収まらないようで、机にまではみ出すはみ出す…まさに、芸術が爆発状態!カム画伯の誕生です。Upload By shioriカム画伯、もう誰にもその勢いは止められない!こんなに激しくなるとは思わなかったので、机が無防備でした。このままでは机が大変なことに。そうだ、下に紙を敷こう。と思い、一旦画伯にストップをかける。ところがカム画伯、溢れ出る想いを止めることができないようで、ちょっと目を離したすきに、ペンのケースにまで線を描き始めた。他にも、透明なプラスチック容器などに描きまくる!!もう透明なものならなんでもいいのか!?Upload By shioriそうして仕上がったカム画伯の作品Upload By shioriUpload By shiori今まで興味を示さなかったことでも、きっかけさえあればスイッチが入ることもあるんですね。プラ板に絵を描くと大好きな透明感のある作品ができる!ということが経験から理解出来たことや、色鉛筆やクレヨンよりも、色がはっきりしている油性ペンが楽しいという発見、プラ板に描かれた油性ペンの線は焼いて縮むとより繊細な線に変化し、きれいな作品が出来たということも楽しかったようです。やらされる作品作りではなく、自分の作りたいものを作る。これからは、そんな作品作りができるような予感。北海道は夏休み同様に、長い冬休みにも作品を制作する宿題が出ます。次は何を作ろうか。大好きなプラ板でちょっと違うものを作るか?全く違うものに挑戦して、新たな楽しみを見つけてみるか?今からドキドキワクワクです。
2017年10月27日LITALICO発達ナビの「施設情報」では、24時間いつでも施設に直接WEB問い合わせすることが可能です!また、各施設の特徴や、利用者の声も合わせて知ることができるので、お子さんにぴったりの施設を探すことができます。今回は、東京・神奈川・埼玉・千葉・愛知・大阪の、いま空きがある放課後等デイサービスをピックアップ!気になる施設を見つけたら、「ページを見る」をクリックして、詳しい情報をチェックしてみてください。東京都 放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報自立した生活や就労を目指し、公文式学習や社会性を身につけるプログラムに力を入れる教室です。時間をかけて自分のペースで行う個別学習によって、自己肯定感を養い、生きるために必要な「見当」がたてられるような支援を実施しています。スタッフには、障害者施設でのサービス管理責任者、保育士、KUMON学習塾講師、大学講師等の経験者が在籍。学習を通じて「やればできる」という実感を持ってもらうことで、「生きる力」を育む支援を行っています。Upload By 発達ナビ施設情報「運動を通して心身の成長をサポートする」をモットーに活動している教室です。屋内ではダンス、屋外では公園遊びを中心として身体を動かし、季節に応じた遊びや体験を通して子ども達の「できた!」を増やしていきます。スタッフには、特別支援学校教諭を10年経験している管理責任者や、療育センター経験6年の児童指導員が在籍しています。学校・ご自宅まで送迎を行っており、日曜日以外ならどの曜日でも対応可能です。東京都の放課後等デイサービスをもっと見る神奈川県 放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報社会で出来る事を増やす為の活動を多く取り入れている教室です。将来の生活に不可欠な、お金の使い方、料理、集団活動には力を入れており、日々の活動を通じてお子さんの自信に繋がるよう支援を行っています。子育てを経験しているスタッフ、福祉分野での経験者が多く在籍し、研修や話し合いの機会を大切にしています。室内はとても広く、のびのびとお子さんどうしで交流できるようになっています。神奈川県の放課後等デイサービスをもっと見る埼玉県 放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報個別学習支援、ソーシャルスキルトレーニングを活用した集団療育、TEEACH、運動療法、食育などのプログラムが充実した教室です。スタッフには、英語の教諭、幼稚園教諭、保育士、児童福祉士、介護福祉士、理学療法士などが在籍し、毎月の研修を通じてスキルアップにも力を入れています。教室には、勉強する部屋、活動する部屋、リラックスする部屋、キッチンがあり、多様な活動がしやすい環境を用意しています。また相談支援事業所を同法人内で運営しているため、高校卒業後も継続して支援が可能です。埼玉県の放課後等デイサービスをもっと見る千葉県 放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報個々のお子さんの特性や集団属性にあわせて、楽しみつつも役に立つ豊富なプログラムを用意して支援を行っている教室です。基礎学力の定着、時節に合わせたイベント、生活安全能力向上、積極的な地域社会のリソース活用を図っています。スタッフは障害者福祉施設や放課後等デイサービスの経験豊富なベテランたちで、定期的な研修や障害福祉の研究を通じて、自己研鑽に取り組んでいます。日当たりがよく、静かな通りに立地する施設で、夏場には広いベランダでプールを出して、水遊びなども実施しています。千葉県の放課後等デイサービスをもっと見る愛知県 放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報今年12月オープン予定の教室です。「本物にふれる体験」をテーマに、経験や体験を重視した活動を行うことを予定しています。ダンス、お絵かき、英会話など、専門講師による講座や、クッキング、工作などのクラブ活動、また敷地内の畑での農業体験などを計画中です。スタッフには、児童デイサービスの経験者が在籍し、クラブ活動は専門の資格や経験を持った講師が担当します。あおなみ線南荒子駅から徒歩1分に立地する、140坪のバリアフリーな施設で、車椅子や機能障害、運動発達の遅れのあるお子さんも安心してご利用可能です。防犯カメラやGPSを活用し、安全管理にも力を入れていきます。愛知県の放課後等デイサービスをもっと見る大阪府 放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報広大なお庭を最大限活かしたプログラムが特徴の教室です。自然観察はもとより、バナナ、柿、梅などの収穫を身近に経験できます。教室では「ただいま」「お帰り」の挨拶から始まり、日々の支援は個々のプログラムに添って行います。苦手な教科についての勉強も経験豊かな元教師の支援員が実施。また、地域に根ざした支援教育を目標に、地域の方々の協力のもと、実践的な社会生活訓練を進めています。Upload By 発達ナビ施設情報多様な支援プログラム、お子さん・保護者の方への安心・安全なサービス提供を目指して活動する教室です。支援プログラムとして、創作・造形活動、ソーシャルスキルトレーニング、音楽療法、体操を実施しています。スタッフには、経験豊富な児童指導員、保育士、介護士、看護師が在籍し、幅広いニーズにお応えしています。また、訓練室スペースを広くとり、バリアフリーで安全な空間を提供するとともに、お子さんが1人になりたいときにリラックスできる場所も用意しています。大阪府の放課後等デイサービスをもっと見るおわりにいかがでしたか。気になる施設がありましたら、空き状況や教室見学について、お気軽にお問い合わせしてみてくださいね。
2017年10月26日いつもの夜。寝ようと思ったその時、台所から物音が…10月に入ったばかりのある夜のことです。いつもだいたい9時半までには床に就くのに、私と子ども達はその日グズグズして寝るのが遅くなってしまいました。私は「早く寝るよ」と声をかけ、子どもたちを寝室へと促しました。その時です。自閉症のある長男がものすごいダッシュで、寝室とは反対方向の台所へと向かったのです。Upload By シュウママそのあとバシャン!という大きな音が聞こえてきました。私は何事?と思いながら眠たい目をこすりながら行ってみました。Upload By シュウママああ~、やっちゃった…!そこで目にしたのは…棒立ちになった長男と、足元に広がる大きな水たまり。水たまりの上には流し台があり、2リットルのペットボトルが横倒しになっています。そしてペットボトルの口からはお茶が滴り落ちてます。Upload By シュウママ私はあわててペットボトルを元に戻しました。見ると2リットルなみなみに入っていたはずのお茶が半分くらい減っています。床には長男のコップが転がっており、私は何が起きたか分かりました。喉が渇いた長男が冷蔵庫からペットボトルのお茶を出し、自分でコップに注ごうとしてこぼしてしまったのでしょう。「お茶が欲しかったらお母さんに言いなさい!」思わず声を荒げてしまった私床一面にこぼれたお茶を拭きながら、思わずため息が出ました。Upload By シュウママ長男はと見ると、呆然として水浸しになった床を見つめています。もう、これから寝るという時になんでこんな面倒なことさせるのよ…長男の姿を見ながら私は思わず声を荒げて注意してしまいました。Upload By シュウママ悲しそうな顔の長男に思い出したあの出来事怒った私の顔を長男は悲しそうに見つめていました。いつもは何か失敗をするとパニックを起こすのに、ただじっとその場に立ちつくしたまま固まっているのです。「どうしてこんなに怒られるんだろう。僕、頑張ったのに――」悲しみの中に戸惑いのような表情が浮かんでいて、私はそんな長男の顔を見ながらはっと思い出しました。この子は、ほんの少し前までは「お茶!」と言葉に出すことすらもできなかったんだということに。Upload By シュウママ発語に遅れのあった長男が、初めて「お茶!」と叫んだあの夜――長男が言葉で意思を伝えることができた瞬間、夜中にたたき起こされてもあんなに嬉しかったのに…。今、長男はあの時よりもさらに成長し、誰の手も借りず自分の意思で欲しいものを取りに行き、コップを手にして小さな手で一生懸命重たいお茶を注ごうとしたのです。あれほど長男が「お茶!」と叫んだときの幸せな気持ちもほんの少し時が経つだけで薄れてしまって、知らず知らずできて当然のことなんだと感じていたのです。私は長男の体を抱きしめ「ごめんね…」と謝りました。すると長男は私のほっぺたをなでて、いい子いい子してくれました。失敗しても、そこに成長を見つけられる親になれたらUpload By シュウママこの子に24時間穏やかな笑顔を向けることはできないけれど――せめて「どうしてお茶をこぼすの!」と失敗と捉えさせるのではなく、「こぼしたところ一緒に拭こうね」と優しく言ってあげられる親でありたいなと思いました。(でもシュウ、私に「いい子いい子」は、ちょっと違うんじゃない…?笑)なんて思いながら、長男の小さな体をぎゅっと抱きしめたのでした。
2017年10月26日運動大好き!…なのにいつもビリ!?広汎性発達障害のある6歳になる娘。ダンス大好き!運動大好き!スポーツ大好き!体を動かすことが、大好きです。しかしそんな娘が、なぜか…Upload By SAKURAなぜか…走るのが遅ーーい!幼稚園の頃から、運動会のかけっこは、年少さん、年中さん、年長さん…と、毎年ビリ。年長さんの時に行った、組対抗リレーでは、娘一人が足を引っ張ったと言っても、過言ではないぐらいの有様でした。毎年父が熱血指導!今年の運動会こそは…娘のかけっこは、遅いうえに速く走ろうという様子もあまりない…毎年毎年、その焦りのない走りを見ては、頭を抱えていた父。「せめて一生懸命走るということを教えなければ!」と、まずは、娘の走るフォームを指導。しかし、娘は一向に速くなりませんでした。そしてやってきた、小学生になって初めての運動会。「あんなに教えてきた…練習の時は本気で走ってくれなかったけど、きっと本番では、今まで教えたことを発揮して、去年よりは速くなっているはず!」という期待と…「難易度も高く、全体責任になるリレーで、クラスのみんなに迷惑をかけるんじゃないか…」と言う不安が、混ざり混ざって見守りました。Upload By SAKURA娘、安定の走りっぷり…!運動会、母として最も怖いのは…私が怖いのは…連帯責任の場合に、娘のせいで負けてしまったとき。見るからに一生懸命でない娘に対しての、周りからの責めの声です。Upload By SAKURA幸運にも、今のところ、娘がそういった状況になったことはありません。自分の頃を思い出してみれば…当たり前のようにあった状況。Upload By SAKURA私の場合…一度責められると、怖くなり、好きな運動であっても、避けるようになってしまっていました。しかし、親が口を出すこともありませんでした。小学校と言う社会で、おそらく多くの子が経験するであろうこと…わかっていても、自分の娘のこととなると…冷静に状況を見ることができるか…?親としては不安ですが、今はただ、現状を見守るしかできない日々です。
2017年10月25日『子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方』の著者の立石美津子です。「どこに出しても恥ずかしくない子でいなさい!」「人に迷惑をかけない子でいなさい!」幼い頃からこんな風に言われ続けて育った人が、やがて母になり、生まれた子に障害があると知ったら…。子どもの障害について、幼稚園の先生やママ友などになかなか言えない人もいます。「障害があることは恥ずかしい」という気持ちがどこかに潜んでいるのかもしれません。Upload By 立石美津子ダウン症候群であったり、障害が重い場合は、理解を得られやすいためか、周りに伝えたり相談したりできる人も多いようですが、自閉症児の場合は見た目でわかりにくいこともあり、わが子の障害を周りに伝えず、知的発達の遅れがあっても療育手帳を取らないで隠し通そうとする人もいます。けれども、これでは親一人で孤軍奮闘して頑張らなくてはならない事態に陥ってしまいます。福祉は自己申告制、役所からの案内を待たずに行動を障害のある子のいる家庭に、役所から「3歳になったら療育手帳を取り、必要な支援を受けてください」といった連絡は来ません。税金の滞納があれば督促状が送られてきます。障害基礎年金は年収が一定額越した時点で段階的に支給停止になります。けれども、税金の戻し(例えば、確定申告時に医療費控除を受け、還付金を受け取ること)などは、自分から申請する必要があります。これと同様に、親が自分から動かないと、障害のある子に必要な支援については、役所からの案内はこないのです。療育手帳や身体障害者手帳などを持っていると…・ヘルパー派遣を受けられる・特別支援学校への入学許可が出やすい・法定雇用率の中で就労できるなど、様々な支援を受けることができます。「診断を受けて療育手帳を取得して、障害者のレッテルを貼られてしまうと伸びるものも伸びなくなる」という考えでいると、かわいそうなのは子どもだと私は思います。療育手帳がないために、支援の網の目からこぼれ落ちてしまう可能性が高まるからです。手帳を持っているだけではダメ、使える支援制度について知ろうけれども、療育手帳を持っているだけでは実は不十分なのです。なぜなら手帳取得者に対して、「お子さんに合った、こんな支援がありますよ。あんな支援がありますよ」と親切に細かく連絡は来ないからです。そうなると、受け身の状態で待っていればよいのではなく、自ら役所に出向くなど、受けられる支援を調べる姿勢が必要になってきます。その一つの例が「自立支援医療制度」です。私の住んでいる自治体では中学3年生までは医療費は無料です。しかし、高等部になると3割負担となります。実は、「精神障害や発達障害などで、それに関わる医療機関に係る場合、自立支援医療受給者証を発行してもらうと薬や診察代は1割負担」になります(所得に応じた、月当たりの負担上限額も設定されています)。でも、これを知らない人がたくさんいます。参考:自立支援医療制度の概要 l 厚生労働省Upload By 立石美津子東京都の場合、交通費は愛の手帳を提示すれば割引になります。また、都営交通(都営バス、都営地下鉄、都電など)は本人は無料になります。しかし、これは区役所に行き「都営交通無料乗車券」を申請し、受け取らなければ無料にはならないのです。Upload By 立石美津子私も上記2点は友達から教えてもらい役所に申請に行きました。これ以外にも自己申告によって受けられる支援がたくさんあります。親だけで頑張りすぎないで、周囲にSOSを出すことも視野に入れてつまり何が言いたいのかと言うと…我が子に障害があるとわかったら、隠したり、「親の力だけで何とかしよう!」と頑張るのではなく、「うちにこんな子が生まれました。皆さん気にかけてください。助けてください」とSOSを出す姿勢が大切だと言うことです。多くの場合、親が子どもより先に死ぬことになります。親亡き後は、様々な支援に頼らなくては生きていけない子ども達です。幸いにわが国は、社会と接点があれば、どこかで救ってもらえる体制が準備されています。でも、そのつながりは親が作っておかなくてはならないのです。だから、子どもを囲い、隠すのではなく、発信してほしいと思います。先日、読んだこの二冊の本には、障害のある人が受けられる支援や、親が元気なうちにしておくべき準備にについて具体的に書いてあります。とても役に立ちましたので是非皆さんお読みくださいね。Upload By 立石美津子
2017年10月24日小学校から不登校だった娘のフリースクールでの過ごし方出典 : アスペルガー症候群の診断を受けている中学校3年年生の娘は、小学校2年生のときから学校には通っていません。自宅でもほとんど勉強をしてこなかった娘ですが、「高校には行きたい」と自ら訴え、特別支援コーディネーターの先生にも相談し、来年からは通信制高校に行くことが決まりました。合わせて、自宅から通える場所にある、技能連携校にも通うことに。技能連携校というのは、通信制高校の分校のようなところで、通信制高校と技能連携校の両方に入学することで、技能連携校の方で卒業に必要な出席日数、レポート提出、試験をすべて済ませることができるそうです。娘が通う予定の技能連携校では、フリースクールとしての機能も持っており、高校入学までのあいだは、ここに通うことになりました。フリースクールでの1日はというと出典 : 娘の行くこのフリースクールでは、ピアノ教室と提携していて生徒は無料でレッスンを受けることができます。好きな曲をピアノの先生に聞いてもらって、 それを先生が聴き取って、弾き方を教えてくれます。先生のモットーは「音楽は楽しむもの。 譜面も見ないで自分の好きな曲をまずは弾いて楽しむ」なんだとか。だから、みんなピアノの時間が大好きだそうです。娘もまずは15分ほど先生とピアノを弾きます。特にピアノに興味がなかった娘ですが、自分の大好きなゲーム音楽を弾けるようになるのは楽しいようです。それから学習スペース(特に決まってないのですが)で、校長先生か教頭先生と一緒に勉強します。2人とも元小学校の先生で、塾講師のキャリアも長いので教え方が上手。学校と比べて生徒の自主性を重んじ、いくらできなくても決して声を荒げるようなことはありません。なので、怒られることが怖くてたまらない娘も安心して教わっています。小学校2年生で学力が止まっている娘は、レベルにあったプリントを1枚ずづ取り組んでいきます。たとえば、1桁 + 1桁の計算問題、また別の日は4年生くらいの漢字の読み問題。時間にしてわずか20分くらいで終わってしまう内容です。時にはほかの生徒さんも交えておやつタイム。ジュースとお菓子を頂きながらホッコリと休憩。そして1日は終了。滞在時間は全部合わせて1時間程度です。1回20分の勉強って効果があるのだろうか?出典 : 娘は満足そうなのですが、親としてやはり気になるのが勉強時間。「え、こんなちょっとでいいの?」と思うのが正直なところです。「ただでさえ人より遅れてるのに」って。でも、校長先生が言うには「学校のように、1日6時間も座って興味のないことも勉強するより、こうやって少しずつ集中して勉強したほうが効率がいいんですよ。」この言葉に疑いを持ったわけではありませんが、どうしても腑に落ちず、娘の主治医である思春期外来の先生にも勉強時間について聞いてみたのです。すると、「娘さんのような子どもたちは、普通の学校のようにカリキュラムを組んで、これをこなさないと次にいけないとなると絶望的な気持ちになります。 今のやり方がいいと思いますよ」とのこと。そういえば、以前娘の支援に関わってくれた先生にも同じようなことを指摘されたことを思い出しました。その人が言うには、ただ漫然と課題を与えられても、いつまでやり続ければいいのかわからず、不安になってしまう。だから、全体図を見せて今はここをやっているんだよと教えてあげることが大切だと言うのです。確かに、今の娘の学習の遅れは大きく、どれくらい勉強したら追いつけるのか本人も分からず不安になっている様子が見受けられます。だからこそ、フリースクールでの小学校1年生レベルから徐々に始められる環境、先生が「大丈夫、ちゃんと追いつくからね」と言ってくれる環境があることで、過度な負担や不安に悩むことなく学習を進めることができるのだと気づくことができました。在校生・卒業生たちとの交流も!出典 : フリースクールも技能連携校も、スペースやスタッフはみんな同じです。なので、娘が勉強している側で高校生や、遊びに来た卒業生が娘に勉強を教えてくれることもあります。また、先日は卒業生に仕事の体験談を聞いたりして、とても話が盛り上がっていたそうです。そうして世代を超えた交流ができるのも魅力の1つだと感じました。また、そうやって高校生たちと交流することで、実際に通うことになる技能連携校に馴染んでいくことができるのも、校長先生の狙いだけあって、さすがと思います。実際、娘はフリースクールに入ってから「学校(フリースクール)の予定表ちょうだい」と言ってくるようになり、すっかりフリースクールに所属意識を抱いているようです。思い返せば、小学校を卒業するときには、中学生になる不安で体調も悪かった娘。でも中学を卒業する今回は、気持ちもすこぶる安定していており、私もホッとしています。あきらめないでよかった出典 : このフリースクールに出会うまでには、さまざまな機関を頼り、そして失敗を繰り返してきました。今回やっと娘に合うところに出会うことができ、あきらめずチャレンジを続けてきたことは間違いではなかったと思うことができます。娘に起こったなによりの変化は、「私には行くところがある」という安心感による気持ちの安定だと思います。また、同時に、来春から通う技能連携校の様子を内部からまじまじと見て、見通しがたったことも大きな理由でしょう。こうした要素が合わさったことによって、娘は希望を持って、春を迎えることができると思います。小学校から中学校に進学する際、不安から体調やメンタルを大きく崩した経験があるだけに、中学3年生になるのが怖かった私。でも、笑顔でいつも通り過ごしている娘を見て、本当によかったと胸をなで下ろしています。
2017年10月23日我が家には、自閉症スペクトラムの診断が下りている9歳の娘と7歳の息子がいます。同じ診断名がありながらも、娘はアスペルガー症候群、息子はADHD不注意優勢型の要素が強く出ており、それぞれ異なる困りごとに直面していることも珍しくありません。そんな2人は幼いころからピアノを習っているのですが、発表会に向けての練習の姿勢もまったく違うものでした。3ヶ月間、練習を重ねる間に、2人の違いが浮き彫りになってきました。アスペルガーの娘に色濃く映る「完璧主義」出典 : 娘は課題曲が決まってからというもの「本当に自分に弾けるのか」「本番で失敗したらどうしよう」という不安が強く、その反動から苦手な譜読みを必死でこなす日々が続きます。大好きな曲をなんとかイメージ通りに弾きたい、でもピアノから響いてくる音は自分の想像しているものとはかけ離れている。そのジレンマから、数小説弾くたびに泣いたり怒ったりを繰り返していました。ピアノに関わらず、絵を書くときも勉強をするときも、娘の頭の中には100点万点の完成図が思い描かれています。そして始めたばかりであるにもかかわらず、完璧にできない自分を呪い、自責の念に駆られているのです。これは、娘の持つ「完璧主義」という特性が作用しているせいだと思います。娘がこの完璧主義という特性を持っているがゆえに困ることは2点あります。・ 娘が自分自身を責めて癇癪(かんしゃく)を起すため、本人も周囲も辛い・ 周囲の人にも完璧さを求めてトラブルを起こすことがあるまた、これを放置してしまうと、・ 失敗を恐れて行動できなくなる・ 完璧に出来ない人を見下してしまうといった弊害が出るのではないかと危惧していました。娘の成長。その第一歩。そこで幾度となく、紙に階段や山の絵を描いて「あなたはまだ登り始めたばかり。頂上にいないのは当たり前だよ?一歩一歩登っていけばきっと目標地点に辿り着けるよ」と話してみるのですが、娘はなかなか受け入れられません。それでも、繰り返しこの考え方を伝えていくことで、他人に対しては完璧を求めることは少なくなってきました。なかなか上手く弾けずに落ち込んでいる息子に「大丈夫だよ、今はまだ階段を登り始めたばっかりでしょ?少しずつ完成に近づいていくから、ね?」と声をかけられるようになってきたのです。この調子で成長してくれれば、他人を見下すことによって歓びを感じるような大人にはならないかな、今まで声をかけ続けてきたことは無駄ではなかったかな、とほっとしながら見守っています。しかし、まだ自分自身に対してはその考えを適用することができず、あっさり癇癪を起こします。今は私がそれを受け止めていますが、あきらめずにその都度「今すぐ100点じゃなくていいし、最終的に100点でなくてもいい」というメッセージを娘に発信し続けています。この考えを伝えていくことで、娘の頭にも完璧でないことを許容する回路ができてくれればいいなと思います。出典 : また、完璧主義であることは、マイナス面が捉えられがちですが、とても良い面もあると思うのです。完璧でありたいという子どもの願いを否定せず、とことん付き合ってあげると、時として驚くべき成長を遂げることがあります。娘の場合は、鞠つきに始まり、二重跳びや逆上がりなど、出来ない自分を罵り泣きわめきながらも着実にマスターしてきました。それこそ、手の皮がめくれても、夜中になってもひたすらずっと練習を重ねるのです。そうして人より随分長い時間をかけてマスターしたことは、何となく出来てしまったお友達よりも形や方法が正確で、がんばってマスターしようとしているお友達をバカにすることなく、的確なアドバイスを送ってあげることができるのです。完璧主義も使いよう、というと語弊があるかもしれませんが、癇癪や他人への攻撃をコントロールすることができるようになれば、とっても良い方向に作用するのではないかと期待しています。いつか娘が私の手を離れるまでに、自分の特性の活かし方をマスターしてくれればと切に願っています。コツコツ努力が苦手な息子が自分で見つけたモチベーションUPの方法!出典 : 一方、不注意優勢型の息子は、過去や未来ではなく「いま目の前にあること」にしか、なかなか注意を向けることが出来ません。ですので、何ヶ月か先のことを話されてもイメージが湧かない様子。「発表会でカッコよく弾くためにしっかり練習をしようね」と声をかけても、「もう弾けるから、大丈夫大丈夫」とあまり本気で練習をすることはありませんでした。そんな息子に変化が訪れたのは、リハーサルの日。リハーサルとはいえ大勢の人が聴いている中での息子の演奏は、ぼろぼろで間違いだらけでした。人前で弾くことを体験し、本番はもっと大勢のお客さんの前で弾かなくてはならないと身を持って知った息子は、それから大慌てで練習を開始しました。日々の私のアドバイスよりも、たった1回の体験が息子には強烈な学びの場となったのです。注意があちこちに向いてしまったり、衝動性が邪魔をしてひとつのことをコツコツと積み上げていくのが苦手なADHDの息子。ですが、リハーサル以来、YouTubeで同じ曲を演奏しているお子さんの動画を自分で観るなど、視覚優位の息子らしいモチベーションの保ち方が見られ、少しずつ自分に合った方法が身についてきていることに気付かされたのです。息子が手に入れた思わぬ「副産物」そして、思わぬ副産物を手に入れていることもわかりました。協調性運動障害を併せ持つ息子は、鉛筆で書く文字がどうしてもガクガクと震えてしまったり、文字の書き始めや書き終わりにいくつも関係のない細かい線が入ってしまいます。しかし、普段より多くピアノの練習をしたおかげで指の筋肉が付き、線がしっかりとしてきたのです。自分の体を上手くコントロールするのが苦手な息子にとって、「筋肉を鍛えればできることが増える!」という発見は、とても大きな自信となり、ピアノの練習にも熱が入るようになりました。ADHDの方の中には、継続した努力が難しく、他の方から怠けているように思われてしまう方も多いとも聞きます。視覚優位の息子がYouTubeを見てモチベーションを持続させたように、「こんなことができたらいいな!」と思える刺激を日々与えていくことが効果的なのかもしれません。親子で目標に向かうことは「生きるヒント」を探し出すこと出典 : ピアノに限らず、スポーツでも勉強でも遊びでも、親子で目標に向かって挑戦することは、子どもたちにとって大切なことだと思います。特に周囲の状況から何かを学び取っていくのが苦手な子どもたちが成長するためには、今の状況を冷静に判断して伝えてくれたり、計画の立て方や実行するサポートをしてくれる大人の存在が必要不可欠だと思うのです。ひとつの目標に向かって親子で進むうちに、親は子の特性をより深く知り、子は嫌でも自分自身と向き合うことになります。目標である頂上を目指して一歩一歩どのように進めばよいのか。どのように休息を取ればよいのか。共に行く家族とどう励まし合えばよいのか。面倒なことから逃げたくなったときはどうすればよいのか。努力の先には何があるのか。練習を重ねてテクニックを磨くことはもちろん大切なことですが、わが家の場合は、テクニックの向上よりもむしろそんな「生き方のヒント」を親子で探る旅をしていたような気がします。そうして目標を達成できたとき、子どもは自信を持って次のステップに進むことができると思うのです。他の子から遅れててもいい、目標を達成するのに時間がかかってもいい。目標の達成はゴールではなく、子どもたちの成長の通過点にしか過ぎない。そんなふうに考えて、お子さまと一緒に何かに挑戦してみませんか?「どうしてできないの!?」ではなく、「どうすればできるようになるかな?」と家族で作戦会議をしてみませんか?ご家族と一緒に取り組んで「できた!」という経験の積み重ねが、きっと「ひとりでできた!」に繋がる日が来るはずです。そんな日を楽しみにしながら、ぜひ小さなチャレンジをしてみてくださいね。
2017年10月22日発達障害のある子どもの歯科治療の大変さは世界共通!?出典 : 発達障害のある子どもを歯医者さんへ連れてゆくのは並大抵のことではない…そんな声を聞くことも珍しくありません。私の息子(自閉症スペクトラム障害・ADHD診断済)も、あちこちドクターショッピングを重ねましたが、長いこと歯科治療への恐怖が克服できませんでした。触覚過敏で口の周りや顎を触られる苦痛に耐えられなかったり、味覚過敏でフッ素の味にすら吐き気がしてしまったりします。さらに聴覚過敏の息子にとって、歯医者さんが使う器具の音は耐えがたいものだったのです。長い間、親子ともども泣きたいような思いをしましたが、我が家の場合は、障害児専門歯科に行きついたことで、ようやく静かに治療が受けられるようになりました。それまでは、歯科に連れていくたびに大暴れし、大声で叫び、抵抗の限りを尽くしてきた息子。最後には疲れ果てて汗びっしょりになった歯医者さんから「君みたいな子は初めてだよ!!」と怒られてきたのです。息子は歯科治療に行くたびに、帰りの車で泣いていました。みんなに迷惑をかけているのは分かっていたけれど、自分ではどうやってもコントロールができなかったのです。そんなとき、ある海外ニュースが私の目に飛び込んできました。そのニュースの見出しにある写真が私の目を奪います。なんてことでしょう、歯科治療を受けている男の子の足の上に、大きなラブラドールレトリバーが座っているのです!自閉症のディエゴくんと介助犬のズッカ海外には、自閉症児向けに訓練された介助犬がいることは、以前発達ナビの記事でも取り上げました。それだけでも海外移住したくなってしまうほど羨ましかった私ですが、なんと南米チリには、自閉症児の歯科治療に特化した介助犬を養成・派遣している団体まであるというのです。そのことを私に教えてくれた記事がこちら。(英語の記事です) Chile, Dogs Help Kids with Autism on Their Dentist Visits (南米チリー自閉症児の歯科治療に介助犬を活用)今回のニュースで取り上げられたのは、自閉症児のディエゴ・ロサレスくん(9歳)と、介助犬のラブラドールレトリーバー「ズッカ」です。自閉症児にとって歯科治療は強い恐怖を喚起させるものです。眼前に煌々と照らされたライトや、治療器具から発せられる音に、パニックになってしまう自閉症児もいます。ときには治療に鎮静麻酔が必要な場合もあるのです。息子が通っている障害児専門歯科でも、パニックが強いお子さんには全身麻酔が施されます。ディエゴくんも例に漏れず歯科治療に対する恐怖心が非常に強く、4歳の頃は治療をする歯科医の手を噛み続けて抵抗したと言います。ところが、記事の中で紹介されていたこちらの動画を見てみてください。ディエゴくん、とっても楽しそうです。歯科治療も落ち着いて受けており、麻酔の注射を前にしても、動じていません。全ては、介助犬ズッカのおかげです。ディエゴくんはズッカを膝の上に乗せながら治療をするようになってから、歯科医の手を噛んだり、叫んで抵抗したりすることがなくなりました。この日もディエゴくんは歯を抜くという難易度の高い治療をしたようですが、歯を抜かれた後もずっとズッカのことを穏やかに撫で続け、抜いた歯をケースに入れてもらって、ご機嫌に治療を終えたようでした。専門の訓練を受けた犬たちの活躍ズッカを含め、ディエゴ君が通う大学病院付属の歯科に介助犬を派遣しているのは、「フント・ア・ティ(Junto a Ti:あなたのそばで)」というNPO団体です。こちらの動画を見て頂くと分かるように、子どもたちは犬を優しくなでながら、穏やかに治療を受けている様子がわかります。こうした犬達には、子どもの叫び声だけではなく、治療器具の音などに耐え、さらに子どもが耳や毛を引っ張ったとしても、ジッと動かずにいる忍耐力が必要となるそうです。日本でも取り入れて欲しい!歯科治療の介助犬出典 : 歯科治療の介助犬について調べると、アメリカなどでは歯科クリニックに介助犬を常駐させているようなところもあることがわかりました。また、アメリカでは、大きな事件などが起きて多数の犠牲者が出た場合などでも、NPO団体がセラピードッグを病院に派遣する場合があるようです。このような介助犬に関する取組みは、海外のほうが進んでいることが見て取れます。今回のように、介助犬の助けによって歯科治療がスムーズになるのであれば、自閉症の子どもにとっても、その親にとっても、もちろん治療をする歯科医師にとっても、こんなに幸せなことはありません。日本ではまだまだ歯科治療に介助犬を同伴するというのは難しいと思いますが、こんな海外の事例があるということが少しでも広まっていけばいいなと願っています。
2017年10月21日発達障害における薬物療法とは出典 : 発達障害の症状に対する治療法の一つとして、医師の判断によって薬が用いられることがあります。しかし、発達障害を根本治療する薬は現在ありません。そのため、発達障害で薬を処方する時は、発達障害の特性をなくすという目的ではなく、その症状を抑えることや二次障害を治すことが目的になっています。薬を処方することは医師にしかできません。薬によっては、医師の中でも限られた一部の医師にしか処方することが許されていないものもあります。また、発達障害だと診断されたら、必ず薬を服用するというわけではありません。医師の判断によって、必要に応じて薬を服用していくため、薬を処方されるタイミングで医師から薬に関する説明を受けることになります。発達障害のある人への支援で、お薬に期待されることは?出典 : この章では、発達障害のある人が、薬を服用することによってどのような効果が期待されるのかを紹介します。現在では、発達障害のある人への支援方法の一つとして、薬物療法はある程度の効果があると考えられています。しかし、服用する上で気をつけなくてはならないのは、発達障害における薬はすべて対症療法であることです。そのため、薬に期待されることは、発達障害そのものをなくすためのものではなく、発達障害の症状を和らげることになります。主な発達障害を例に、どういった症状に対して薬を服用していくのか見ていきましょう。◇自閉症スペクトラム自閉症スペクトラムを根本的に治療していく薬はありません。また、このあとで紹介するADHDの場合とも異なり、現在、自閉症スペクトラムの特徴である「社会性・対人関係の障害」 「コミュニケーションや言葉の発達の遅れ」「行動と興味の偏り」といった中核症状を直接軽くするような目的で薬が使われることはあまりありません。しかし、自閉症スペクトラムに伴う以下のような関連症状に対しては、薬の効果が期待されています。・かんしゃく・こだわり・不注意・多動性/衝動性・チック・抑うつ気分・睡眠障害など参考書籍:『精神科治療学Vol.30増刊号』(星和書店・2015)◇ADHDADHDでは、不注意・衝動性・多動性といったADHDに特徴的な症状そのものを緩和させることが期待されています。しかし、薬物療法でADHDを根本的に治療できるわけではなく、薬を服用しながら環境調整やソーシャルスキルトレーニングなどの療育を行っていくことで、困りごとを減らしていくことになります。ADHDにおける薬物療法は、「ADHDをなくす」ためではなく、「社会生活や学業での困りごとを解消する」ための手助けをしてくれるものだと考えるといいのかもしれません。発達障害のある人に処方されるお薬の種類出典 : 発達障害の症状に対して効果があるかもしれないと考えられている薬は多くあります。日本では未認可であっても、海外では認可されている薬や、ADHDで用いられる薬が他の精神疾患のある人に対して効果が見られるようなケースがあります。また日々、発達障害の薬は研究が行われており、オキシトシンなどさまざまな物質が薬として利用できないか調べられています。数多くの薬がありますが、人によって合う薬と合わない薬もあり、副作用などもあります。現在のところ、すべての人に必ず効果があるような薬はありません。そのため、薬物療法を進めるときは医師の判断のもと、その人の症状や状態を慎重に見ながら行うことになります。ここでは、自閉症スペクトラムやADHDの治療において認可されており、比較的用いられることの多い薬についてまとめました。◇自閉症スペクトラム小児の自閉症スペクトラムの易刺激性に対しては、リスパダール(リスペリドン)、エビリファイ(アリピプラゾール)といった薬が認可されています。易刺激性とは、自傷行為やかんしゃく、攻撃的になりやすいなどの性質のことです。これらの薬は、脳内の伝達物質のバランスを整える作用があります。◇ADHDADHDに対しては、中枢神経刺激薬であるコンサータ、非中枢神経刺激薬であるストラテラ、インチュニブが認可されています。それぞれの薬の詳細については関連記事を参照ください。参考:リスパダール錠|独立行政法人医薬品医療機器総合機構リスパダール患者向医薬品ガイド|特別行政法人医薬品医療機器総合機構参考:エビリファイ錠|独立行政法人医薬品医療機器総合機構エビリファイ患者向医薬品ガイド|特別行政法人医薬品医療機器総合機構また、コンサータと同じく中枢神経刺激薬であるリタリンは、昔は認可外ではありましたが、ADHDに処方される場合もありました。しかし、今ではADHDに処方されません。リタリンとコンサータの違いについては、以下の関連記事内で詳しくまとめてあります。発達障害のある人がお薬を服用するときの注意点は?出典 : 薬を服用するときには、「副作用があるのではないか」や「本当に効果があるのか」など多くの不安がつきまといます。そのような不安を解消するためにも、精神薬を服用する時には、医師と相談したり協力したりすることが必要不可欠です。薬の服用に関しては、具体的に以下のことに気をつけるといいでしょう。発達障害に処方される薬の多くは、対症療法を目的としたものです。そのため、服用する薬が具体的にどんな行動・症状を抑えるための薬なのかを知っておくことが大切です。主治医や薬剤師の方に薬について説明をしてもらったり、不明なことや不安なことは相談するとよいでしょう。また、副作用と、副作用が起きたときの対処法も事前に理解しておくとよいでしょう。発達障害に処方される薬の副作用として生じる症状のうち、早急に対処しなければいけないものはそれほど多くはありません。そのため、心配しすぎる必要はありませんが、急に発疹がでたり、呼吸が乱れたりしたときにどのような行動をとればいいのかは理解しておきましょう。薬の使い方を誤ると、重大な副作用が生じる可能性もあります。基本的に、医師の指示にしたがって服用するようにしましょう。症状が軽くなったからといって、個人の判断で勝手に量を減らしたり服用を中止したり、逆に薬が思った通りに効かなかったからといって、勝手に量を増やしたりしてはいけません。しかし副作用がひどい場合には、いったん服用を中止して医師に相談するようにしてください。精神薬は、効果に個人差があることも多く、最適な量についてもバラバラのため、様子を見ながらその都度修正していく必要があります。副作用が見られる場合もあります。どんな些細なことであっても、なにか気になることがあれば医師に報告し相談するようにしましょう。副作用として、次のような症状が見られることが多いため、このような症状に気を配っておくとよいかもしれません。・食欲不振/食欲減退・軽度な不眠症・体重減少・頭痛・腹痛など参考書籍:太田昌孝 永井洋子 武藤直子/著者『自閉症治療の到達点第2版』(日本文化科学社・2015)また、薬を服用するときに気になることに、薬をいつやめるべきかということがあります。児童精神科医の吉川徹先生は薬のやめどきについて発達ナビのコラムで以下のように述べています。常にやめることを考えながらお薬を使う、というのがおそらく正解であると思います。減薬や中止のチャンスを常にうかがっていないと漫然とお薬を使うことになってしまいます。・標的となっていた症状が改善してきたとき・環境との不適合が小さくなってきたと感じられるとき・他の支援がうまく回り始めたときなどが、お薬を減らす・やめるチャンスです。薬のやめどきについても、医師と相談しながら決めていくようにしましょう。上記や下記のコラムでは、薬のやめどき以外にも、発達障害と薬について詳しく紹介しているので参考にしてみてください。薬物療法と併せて療育的支援を行うことが大切出典 : 発達障害の症状は薬物療法によって軽減することがありますが、これは決して薬任せにすればいいというわけではありません。発達障害の治療においては、薬物療法のみを行うことはなく、薬物療法で症状が落ち着いている間に並行して教育的・療育的なアプローチをすることが重要です。例えば、ADHDの子どもに対して行われる療育には、ソーシャルスキルトレーニングやペアレントトレーニングなどがあります。ソーシャルスキルトレーニングは様々な特性をもつ本人が社会や生活での適切な行動をうまくできるようにトレーニングするもので、ペアレントトレーニングは保護者の方々が子どもとのより良いかかわり方を学びながら、日常の子育ての困りごとを解消し、楽しく子育てができるよう支援する保護者向けのプログラムです。また、自閉症スペクトラムのある人に対してはTEACCHと呼ばれるアメリカ発祥の当事者とその家族を対象とした生涯支援プログラムなどがあります。ここに挙げた以外にも、本人がより生活しやすいような環境を整備したり、本人にあったやり方を模索していったりすることも大切です。療育的支援の詳しい内容については、それぞれまとめてありますのでそちらを参照ください。医療費の助成について出典 : 発達障害の日々の困りごとを解消する手助けをしてくれる薬ですが、実際に服用するとなるとお金がかかることになります。薬の服用頻度や、薬の種類によって金額は異なるため、薬を服用するにあたって、一概にいくらかかるとは言うことができませんが、家計への負担を少しでも軽くするために、薬にかかる費用も含めた医療費を少しでも減らす方法についてまとめました。日本全国どこにいても、受けられる支援に自立支援医療があります。発達障害や精神疾患が原因で、精神科に通院する時にかかる費用の一部を国が負担する制度です。調剤、往診、デイケア、訪問看護が対象となっており、自己負担額が1割になります。しかし世帯の所得などに応じて、窓口負担額の上限金額が定められています。こちらの支援を受けるためには、区市町村の窓口から申請する必要があります。実際に申請するときの流れなどについては、こちらを参考にしてみてください。各地方団体では、それぞれが独自の支援を行っていることがあります。例えば、乳幼児にかかる医療費への助成であったり、自立支援医療での自己負担額をさらに軽減したりするような制度があります。これらの支援は、各地方自治体で受けられるサービスが異なります。また、申請方法についても異なるため、お住いの地方自治体のホームページを見たり、役所に足を運んだりしてみてください。また、医療費以外にも受けられる支援があります。受けられる支援の内容や申請方法に関する詳細はこちらにまとめられています。まとめ出典 : ここまで、発達障害のある人に処方されるお薬にまつわることをまとめてきました。発達障害の薬に限らず、すべての薬は、正しく利用できれば大きな味方になりますが、使い方を誤ると思わぬ副作用をもたらします。発達障害や精神疾患の薬は、風邪薬などに比べると、副作用のでる確率が高かったりと繊細で扱いにくい一面があります。また、効果が現れるかどうかも人によって差があります。そのため、普段以上に使い方を間違えないように注意したり「こんな些細なことを相談してもいいのかな」と思うようなことを含めて、すべて医師に相談するようにしましょう。薬に頼りっきりになることなく、薬で症状が落ち着いている間に療育を行ったり、少しでも本人が生活しやすいような環境を整えたりすることも大切です。
2017年10月20日たとえLDでも…「高校に通うのは息子」を貫く中3の夏休みといえば、公立・私立高校ともにオープンキャンパスを開催する時期。もちろん息子リクも、この夏、高校の体験見学に行ってきました。その感想はというと…。Upload By ひらたともみUpload By ひらたともみUpload By ひらたともみ高校見学の感想が独特すぎる!Upload By ひらたともみ見学した高校に関する感想として、どの学校でもまず「臭いか臭くなかったか」が最初に挙げられたのには思わずズッコケたものの…。そもそも重度の過敏症なので、なぜに家畜科の高校を見学したのかすら私にはよくわかりませんが(笑)、最後には、臭いも含め本人にしかわからない「雰囲気」というものを感じ取ってきたので、十分、大きな収穫があった夏の高校見学だったと思います。高校に行くのは、あくまでもリク本人。今回も親子での高校見学は可能ではあったのですが、私は「アドバイスはするけれど、求められてないことはしない」に徹するとあらかじめ心の中で決めていました。見学する高校選びも本人に任せ、送迎もしませんでした。さぁ!がんばろうじゃないか!リク!自分のたくさんのことを体験し、自分に合った高校を選ぶといいよ!…と送りだしたのです。もちろん息子自身がヘルプカードを出したときはいつでも手を差し出そうと思っていたのですが、とうとう私の出番もなく、高校見学の日を迎え、彼なりに何かを感じ取って帰ってきたようです。今回リクが見学希望を出した高校は4校。どれも家から通える高校でした。ひとりで電車に乗り、バスに乗り、相当なストレスだったはずですが、帰宅後談では「ひとりで行けた」という達成感がにじみ出ていて、私にとってもうれしい夏でした。それにしても、行きたい高校と自分の偏差値の差…。これはLD親子でなくとも、悩ましい問題…。うーん。。どうなることやら…。
2017年10月20日小学校を即退学!学校が合わなかった少年エジソン出典 : こんにちは。『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法』著者、楽々かあさんこと、大場美鈴です。【偉人の凸凹学】3回目は、出ました!発明王トーマス・アルバ・エジソン!「なぜ1+1は2になるの?」「なぜ風は吹くの?」「なぜ魚はおぼれないの?」「なぜ星は落ちてこないの?」好奇心の塊・少年エジソンは、小学校に入るや否や、教科書丸暗記スタイルのエングル先生を質問攻めにして困らせ、「落ちこぼれ」「問題児」のレッテルを貼られてしまいました。それに怒ったゴッドマザー・母ナンシーは「もういい!私が家で勉強を教えます!」と啖呵を切り、わずか3ヶ月で学校を退学したエピソードは有名ですね。そして後に起業したエジソンは、蓄音機、白熱電球、キネトスコープなど、生涯で1913件もの特許発明を成し、文字通り「発明王」として、歴史に名を残しました。彼は、それまでの人類の生活を、自分自身のアイデアですっかり明るく変えてしまったのです。…あれ?定番の偉人伝としてよく知られたエジソンの生涯ですが、「小学校退学」と「発明王」の間が、スッポリ抜けていませんか?一体その間、何をしてたんでしょうね。実は、母ナンシーの言葉どおり、エジソンはお母さんと一緒に家で勉強していたのです。学校が合わずに「落ちこぼれ」のレッテルを貼られてしまったエジソン。でも、学校の勉強が、勉強の全てではありません。母ナンシーは、エジソンの旺盛な好奇心に応えつつ、学ぶことの楽しさを家庭で教えていきました。これこそが「ホームスクーリング(ホームエデュケーション)」という教育の、ひとつの考え方なのです。そして、この時期に培われた知識と経験が、後の発明の源となり、起業家としても成功する人間性の土台となりました。エジソンと母ナンシーは、一体どんな勉強をしていたのでしょうか。学ぶことが好きになるヒントとともに探っていきたいと思います。ゴッド・マザー母ナンシーの決断。ホームスクーリングって…?Upload By 楽々かあさんまず、「ホームスクーリング(ホームエデュケーション)」とは、一言で言えば「学校に通わずに家庭を拠点とした学習を行っていくこと」です。実は、ホームスクーリングは、世界的に「教育のひとつの選択肢」として公的に認められている国・地域が多くあります。上の世界地図は、「ホームスクールの合法性」マップです(緑:合法、黄:ほぼ全域で合法、あるいは実践されているが論争中、赤:非合法/オリジナル作成者: Zginder、2010年版)。現在アメリカでは、220万人(2015年現在)の子どもが家庭で学んでいます。その中には一流大学に飛び級で合格するほど優秀なホームスクール出身者もいるようです。不登校やいじめ、経済的・宗教的・文化的理由…などから、やむを得ず家庭で学習を行うこともあります。でも、英才教育やギフテッド教育の一環としての、積極的・自発的な選択も多いのだそうです。その学習のスタイルはまさに「自由」ですから、特定の勉強法はありません(ただし、単位取得のテストや、在籍校への報告義務がある場合もあります)。通信教材で教科書に添った学習、ネットや外部スクールなどを活用する学習、才能を育てるための独自の教育などなど、そこには「学び方はひとつではない」世界があります。ホームスクーリング「ホームスクーリング」Wikipedia参考:「アメリカのホームスクーリング事情から考える学校の存在意義について」一般社団法人こたえのない学校そういった世界的な流れもあり、最近日本でも、ホームスクーリングを選択するご家庭が、少しずつ増えて来ているようです。…とはいえ、2017年2月に施行された「教育機会確保法」では、不登校を「休んでも良い」と認めたものの、学校以外の学習を義務教育の一環として認めることは盛り込まれず、公的には十分な受け皿が整っていないのが現状のようです。実はうちでも、学校の勉強に意欲を失っていた当時3年生の長男が、エジソンの伝記マンガを読んで「おれは、こういう風にかあちゃんと家で勉強したい。それならできる気がする」とぽつりと言ったことがあります。でも私は、「ホームスクーリングって素敵だな」と思っていても、「いざ、実行」となると、結構な茨の道が予想され、弟妹への影響まで考えると、思い切ることができませんでした。ただ、それから現在まで、日常生活の中でエジソン親子式の学習法を「できる範囲で」取り入れてみることによって長男も「勉強が楽しい」と言うようになりました。オールC評価だった、学校の成績も上がってきましたよ。では、具体的に、少年エジソンと母ナンシーの家庭での学習法をみてゆきましょう。「教育機会確保法 不登校対策は」(くらし☆解説)NHK解説委員室・解説アーカイブス学ぶことって楽しい!「生きる力・考える力」を育てるエジソン親子の学習法エジソン親子の学習法は、『天才エジソンの秘密母が教えた7つのルール』(ヘンリー幸田・著、講談社)という本が詳しく、元小学校教師でもあった母ナンシーの先見の明と懐の深さ、そして、キラキラした瞳の少年エジソンの「生きた学び」の姿が伝わってきます。エジソンは、慣れ親しんだ家で、母や家族に見守られながら、後の発明につながる膨大な知識と経験を、着実に蓄えてゆくのです。出典 : まず、学校をやめたエジソンに与えられたのは、大量の本。百科事典や歴史書、化学実験に関する本や、世界の名作の数々…そして、自宅の物置小屋を改造した、実験のための専用の地下室でした。例えば、「なぜ、アヒルの卵がヒナになるの?」と、身近に不思議さを感じたら、まず実際に自分で卵を温めてみました。でも、うまくいかない…そこで、お母さんと一緒に百科事典を調べると、3週間以上も温めなくてはならないことが分かります。そして、それを調べる過程で、鳥の生態について多くの知識を得ることができた…といった具合です。全てこの調子で、エジソンは自分のペースで好奇心の赴くままに学んでゆき、高校生用の化学実験の本を片手に実験を繰り返すなど、まさに「毎日が自由研究」状態。こうして自ら、興味を持ったことや不思議に思ったことを、教科書や学年にとらわれずに、気が済むまで徹底的に掘り下げて、その周辺の知識や実際の経験とつなげることによって、学びを広めていったのです。現代の一般家庭では実験用の地下室までは難しいかもしれませんが、好きなことに集中しやすい環境を整えてあげるといいかもしれません。例えば、リビングの一角に趣味の専用コーナーを作ってあげたり、必要な道具や関連書籍を買い揃えて、いつでも手に取れるようにしてあげる…など。また、現代ではインターネットが手軽な百科事典として、気になったことをいつでも調べることができます。でも、膨大な情報から有益なものを取り出すのは結構コツと経験がいるので、お子さんが調べたいことがあったら、どんなキーワードで探せばいいか、どんなサイトの信頼性が高そうか、などをそばで助言してあげるといいでしょう。出典 : 地下室で化学実験を夢中で繰り返していたエジソンは、次第に「もっと実験材料を買いたい!」と思うようになりました。でも、エジソン一家の家計は楽ではありません。ここで母ナンシーの素晴らしさは、エジソンに、実際に仕事をさせてみたことです。当時は、子どもが働くのは珍しくなかったのですが、なんといっても「あの」エジソン君ですからネ。それまで、運河に落ちたり、火事を起こしたり、何度も危ない目に遭ってきたワケです。…それを考えると、「ウチの裏庭の野菜を売ってみたい!」と提案する我が子に、「名案ね!」と背中を押せる母ナンシーは相当な度胸です。「かわいい子には旅をさせよ」の実践ですね。そして、少年エジソンは町へ出て、野菜を売り始めます。すると、単に家で採れた野菜を持っていったのでは売れないことを知ります。そこには、それぞれの人々の生活があり、ニーズがあり、需要と供給のバランスでものの値段が決まる…という経済の原則を、「体感」して知ってゆくのです。実際の経験を積み重ねた学びは、何ものにも代え難い財産になります。この後も、何度か危なっかしいことをしながらも、少年エジソンは、列車の中で自分で発行した新聞『The Weekly Herald』を売るなど、「いいこと思いついた!」を次々と実践してゆきました。その中で、さまざまな立場や境遇の人達の、生の声を拾い上げた経験が、後に、世の中のニーズに応える商品開発の原点になったように思います。でも、そこまでできなくても、日常生活の中でお手伝いや買い物等を通じてもプチ体験を積んでゆけます。お手伝いでお駄賃をもらい、近所の駄菓子屋に行って、お店の人とお話する…などでも充分「生きた学び」になります。また、お子さんと一緒にスーパーで「ずっと天気が悪かったから、野菜が高いね」「この中で、一番おトクなのはどれかな?」「カゴいっぱいで何円くらいでしょう〜?」等と会話するのもいいでしょう。こういった物価の実感は、算数の単位間違いなど、テストの回答ミスを減らすのにも役立つと思いますよ。そして、エジソン親子の学習法の中で、私が最も素晴らしいと思うのが「親子の対話」の時間です。2人は、書物による膨大な知識と実際の経験を、対話しながらアウトプットして整理し、より本質的な理解を深めていったようです。エジソン親子はこの時間を心から楽しんでいたのだそうです。あるときは、エジソンが魅了されたギリシャのヘレニズム文化について、あまりの楽しさに時間を忘れ、夜が更けるまで2人で語り合ったんだとか。実は、エングル先生がエジソンの質問攻めに匙を投げたように、好奇心旺盛な子の知的な疑問につき合うには、大人のほうも、相当勉強し、余裕がないとできないことだと思います。実際に、こういう子を相手にしているとよく分かるのですが、次々と湧いて出る好奇心の芽を伸び放題にすると、うちの庭の雑草のように収拾がつかなくなってしまうのです。大人は、必ずしも答えを用意する必要はなくても、より広い視野に立ち、物事の本質を見極め、全体像を把握する「知の地図」を持っていないと、迷子になってしまうでしょう。現代では「夕飯までに宿題を終わらせなきゃ!」「洗い物が終わったら、明日の時間割の支度をさせて、ハミガキさせて…」なんて、毎日時間に追われながら子育てしていると、子どものとりとめのない話に根気よくつき合うこともなかなかできませんよね。こういった時間に縛られない教育ができるのも、ホームスクーリングの大きな魅力です。ですが、正直子どもの話についていけない(私もです!)、毎日忙しくてとても無理、という場合、習い事等で「その道のプロ」に教えてもらうなど、誰かにアウトソースしてしまうのもひとつの手です。また、お子さんの話をほどほどに聴きながら、考えを客観的に見つめる「鏡」になってあげるだけでも良いでしょう。好奇心旺盛な子が興奮気味でとりとめのない話をする時に、まずは、「うんうん」「そーなの」「それで、それで?」と相づちをうってあげると、気持ちが落ち着きやすくなると思います。それから、「それってつまり、◯◯ってコト?」「それって例えばどういうこと?」など、話の要点を確認したり、具体例を質問すると、自分の考えを把握しやすくなるでしょう。また、「お母さんはこう思う」「もしかしたら、こう考える人もいるかも」と、自分や他人の立場からの意見を伝えていくと、次第に、物事を多角的に検証する姿勢が身につくかもしれません。Upload By 楽々かあさんまた、うちではこんな時、筆談も併用しています。言葉だけではうまく伝わらないことも、図にしたり、絵にしたり、要点を箇条書きにすると、子どもが伝えたいことを共有しやすくなります。連想ゲームが止まらない子には、マインドマップやふせんメモなどを使って、考えを整理する習慣づけもいいと思います。得た知識を他の人と共有することは、本当に良い勉強になりますし、何より、人と話すことや学ぶことが好きになるでしょう。本当はどんな子だって、学ぶことが大好きのハズ!出典 : こんな豊かな子ども時代を過ごした「元・落ちこぼれ」エジソンは、ご存知のように明るく輝ける人生を歩みました。母ナンシーが61才でこの世を去った後も、晩年まで、母の面影と心の対話を続けていたことが、記録にも残っているそうです。もしかしたら、少年時代、お母さんと夜更けまで語り合ったひとときが、偉大な彼の人生の中で最も幸せな時間だったのかもしれませんね。でも、エジソン親子は、やっぱり特別な人たちなのでしょうか?確かに「いいと思ったことを実際にやってみる」行動力と、失敗にめげずに挑戦し続ける情熱には、天性の素質があるかもしれません。でも、本来子どもは、どんな子だって、好奇心いっぱいで学ぶことが大好きな生き物なんです。もし、今「勉強」に対して、あんまり良い印象を抱けないお子さんがいたら、こんな自由で豊かな、エジソン親子のホームスクーリングの考え方を、できる範囲で、少しでも日常生活に取り入れると、勉強という言葉のイメージがちょっぴり変わるかもしれませんね。だって勉強って、本当は、もっと楽しくて、ワクワクするものなんですから。「天才エジソンの秘密 母が教えた7つのルール」ヘンリー幸田・著(講談社)コミック版世界の伝記「エジソン」吉田健二・著(ポプラ社)学習漫画 世界の伝記「エジソン―魔術師といわれた発明王」三上篤夫、かたおか徹治・著(集英社)
2017年10月19日ADHDのある息子は、思春期真っ只中…母親はどうすれば?かなしろにゃんこ。さんの赤裸々コミックエッセイが発売!衝動性が強くてカッとなりやすかったり、物忘れが激しかったり……小さい頃は可愛いものだと見守っていたけれど、大きくなるうちに対人関係や学業への心配も大きくなって…ADHDのあるお子さんを育てる保護者の方々にとって、「思春期」のわが子とどう向き合うかというのは大きな悩み。そんな、発達障害のあるお子さんの思春期をテーマにしたコミックエッセイ、『うちの子はADHD反抗期で超たいへん!』(かなしろにゃんこ。著, 講談社)が10月4日に発売されました。著者のかなしろにゃんこ。さん。は、ADHDと軽度の自閉症スペクトラムがある、息子・リュウ太くんのお母さんで、漫画家さんです。これまで、さまざまな発達障害に関係する、ノンフィクション漫画や取材漫画を出版されており、近著に、息子のリュウ太君が幼少期から発達障害と診断されるまでを描いた『うちの子はADHD』や、発達障害がある人の進路選択について描いた『うちの子将来どーなるのっ?!』、人付き合いをテーマに取材した『うちの子、人づきあいだいじょーぶ?!』などがあります。かなしろさんの新刊、『うちの子はADHD反抗期で超たいへん!』は、とうとう思春期に突入したリュウ太君の日常、「なんでこうなの?」「どうしてそう考えるの!?」という、反抗期ならではのシーンがたくさん描かれています。ADHDがある思春期のお子さんを育てているパパ・ママはもちろん、「発達障害のある子どもってどんな進路を描くの?」といった将来に対する見通しを持ちたい保護者の方も参考にしていただける内容になっています。それでは新刊の中味を少し覗いてみましょう。子どもの発達障害、本人へ告知するタイミングって?Upload By 発達ナビ編集部赤ちゃんの頃から育てにくく、物音に敏感、保育園時代は衝動的に行動する生傷の絶えないやんちゃ坊主。小学校に入ってからも落ち着きがなく、授業中に教室を抜けだしたり居眠りすることもしょっちゅうあったり…というリュウ太君。小学4年生の時にADHDの診断を受け支援を受け始めました。(幼少期のエピソードは既刊の『うちの子はADHD』も併せてご参照ください)リュウ太君のかかりつけのクリニックの心理士さんのアドバイスもあり、かなしろさんはリュウ太君の愚痴も我慢して聞き、アドバイス役に徹していたといいます。しかし言葉づかいも日に日に乱暴になっていき、「生意気!」と思うこともどんどん増えていきました。ADHDと診断され、服薬も開始していたものの、まだ自分自身に発達障害があるとは知らされていないリュウ太君。「リュウ太本人も、自分の心と体のアンバランスさに戸惑っているんじゃないか?」という思いを募らせていたかなしろさんは「ADHDがあることを伝えるタイミング」について、真剣に考え始めます。リュウ太君を支える支援者は「中2くらいで告知すべき」とアドバイスをくれますが…。かなしろさんの決断はそれとは別のものでした(是非本編でご確認ください)。息子について伝えるオリジナル通信Upload By 発達ナビ編集部本人への告知を契機に、かなしろさんはリュウ太君の発達障害と、その特性を踏まえた周りの人たちとの付き合いについて、さらに考えを巡らせます。発達障害の支援は医療ケアだけではなく、学校や家庭をはじめとする生活環境も大きく育ちに影響するからです。「どのような方法でお友達にリュウ太のことをわかってもらえばいいだろう」と思っていたかなしろさんは、とあるウェブサイトに出会いました。自閉症スペクトラム当事者の「○○(名前)通信」という配布用告知シートを見つけたのです。かなしろさんは、それを真似て「かなしろリュウ太通信」(学校配布用告知シート)を作ります。(もちろんリュウ太君には了承済み)さて、このシートを配った結果、クラスメイトは?そして保護者会のメンバーの反応は?Upload By 発達ナビ編集部*新刊の巻末には、かなしろさんオリジナルの告知シートも付されています(男の子バージョンと女の子バージョンあり)。是非ご活用いただきたい付録となっています。中学入学…社会の現実を突き付けられ…Upload By 発達ナビ編集部本音と建前、理想と現実。社会の中には様々な矛盾もあります。発達障害がある子どもの教育に関して、その子の特性に合わせた支援や合理的配慮の重要性が語られる昨今ですが、実際の学校現場の教職員の認知度は様々…温度感のばらつきがあるのは、想像に難くありません。かなしろさんがリュウ太くんを通わせようと検討していた中学校でも、校長先生の反応はかなしろさんの願いに100%沿う形ではありませんでした。不安が募るかなしろさんですが、あまり強く主張して「モンスターペアレント」と思われるのも辛いし…とジレンマ。考えた結果、まずは入学後の息子さんの様子を、つぶさに見守ることにしました。「とにかく朝、元気に登校できているか?先生や友達の話を楽しそうにするか?」リュウ太君に対するセンサーを敏感にして、学校側の体制に意見するということは極力しない姿勢でいます。すると、当初の親の不安とは裏腹に、リュウ太君本人はなかなか機嫌よく通えている様子。校長先生との面談に同席していた担任の先生も、「体育会系っぽくて大丈夫かな?」と心配していたところ、絶妙な距離感でリュウ太くんをフォローしてくれていて、とても相性が良いようです。「面談で私が話したことを、先生なりに意識してくれているのかも…?」と思い直すかなしろさん。大切なのは、学校と不必要に対峙することではなく、子ども自身がどう感じて過ごしているかをしっかり見極めること。学校に対する母親としての正直な願い・期待と、現実を受け止めての折り合いの付け方、揺れる親ごころの機微を味わうことができるのも、この漫画の魅力の一つです。等身大のかなしろさんの姿勢に、きっと共感が持てることでしょう。あ、財布のお金減ってる…!思春期ならではのトラブルも、かなしろ流で見事に対応Upload By 発達ナビ編集部思春期は、社会と自分との繋がり、友達との繋がりをより意識し始め、家庭から距離を置こうとする巣立ちの準備をする時期です。しかし、そうは言ってもまだまだ子ども。大人に憧れ、いろいろ遊んだり買い物などをしてみたい気持ちはあっても、金銭を得るために働ける年齢ではありません。働けない立場の子どもがさあどうするか?ある日、かなしろさんは自分の財布のお金が減っていることに気付きました。(明らかに犯人はわかってる…、でもなんか言いづらい…。)そんな日々を過ごしていましたが、ある日とうとう犯行現場を押さえます…!裏表のない特性を持つ、リュウ太くんならではの「言い逃れ」も爆笑ものですが、この「家庭内での盗難事件(!)」を機に、お金のことを学ばせようとするかなしろさんの様々なアイディアも見どころです。こんな面白いレクチャーをされたら、みんなしっかり金銭感覚が身に付きそう!漫画家のかなしろさんならではの「金銭教育のテクニック」が記載されています。そこにはある飛び道具が…(かなしろさんの敬愛する有名漫画も登場します。どうぞお楽しみに)進学、就職、やがて来る「自立」の日を見据えて…Upload By 発達ナビ編集部学校、療育施設、病院など、さまざまな社会資源と繋がりを持ちながら、息子リュウ太君を育ててきたかなしろにゃんこ。さん。いつもハラハラしながら、まだまだ育児真っ最中です。新刊の後半では、自分の夢を見つけてまっすぐに挑戦しようとするリュウ太くんの受験・進学エピソードも。ADHDのあるお子さんが、自分の特性を理解しながら、どのように成長し、そして自立していくのか…ここから先は、ぜひ本書をお手に取って確かめてみてくださいまた、本著の巻末には、発達障害のあるお子さんを持つ親御さんならではのリアルな悩みに対して、精神科医の田中康雄先生が答えるQ&Aが掲載されています。掲題の「思春期を迎えたADHDの子どもたち」について、漫画では描き切れなかった話題や日々の子育てで感じる疑問について、田中先生のアドバイスが満載。思春期にまつわる悩みについてはもちろん、「服薬やカウンセリングについてどう考えれば良いの?」「イライラはADHDの特性によるの?それとも思春期だからなの?」など、発達障害がある子どもの親御さんが直面しやすいお悩みについても分かりやすく解説されています。かなしろさんの漫画本編と合わせて、大変参考になりますので、ぜひ手に取ってご覧いただきたいと思います。
2017年10月18日夢のマイカー運転、その日がキタ!Upload By かなしろにゃんこ。小さいときから乗り物が大スキで、車の整備士になるための学校に通う息子リュウ太は現在19歳。学校などで乗ることもあるので、在学中の運転免許取得は必須でありました。やっと免許を取ったので私の車を息子が乗りやすいように修理して、いつでも運転の練習ができる状態にしていました。息子のほうが私より運転が上手だったので車も好きに使わせ、特に規制もしていなかったら、GW中に好き放題乗り回しやがりまして、GWの最終日の夜、なかなか帰ってこない息子を少し心配していると、電話が……一番聞きたくなかった報告…思っていたより「早くね!?」Upload By かなしろにゃんこ。電話の主は息子…声のトーンがいつもと違うのでピピーンとイヤな予感がしました。すると息子は「ごめん…お母さん、やっちまった…事故っちまった…」と。あらやだ予感的中!初心者だし、物損などぶつけることは多少あるだろうと考えていましたが、免許取得からまだ一か月も経過していないのに!?いやいや、事故ってどんなだよっ!!うちの子は電話できるほど元気だけど、まさか相手がケガ?焦りと不安と心配でドキドキです。息子はショックでうまく説明できなかったので、私が一つ一つ質問して事故の状況を把握しました。友だちに付き合って二台でドライブしていたところ、連日の運転疲れのせいでいつの間にか居眠り運転をしてしまい、気がついたら何かに乗り上げて車が止まっていた。乗り上げたのは国道の中央分離帯。自損事故扱いとなり、警察から怒られるだけで済んだということでした。しかし車は前が大きく曲がって廃車することになってしまいました。事故現場の写真を確認すると「あぁ~コレは命拾いしたかも~」と思いました。あと1メートルずれていたら対向車線に突入して大事故になっていたようです。Upload By かなしろにゃんこ。誰もケガがなくてよかった~と胸をなでおろしました。それにしても初心者で居眠りってないだろっ!!事故起こすの早すぎでしょっ!!息子は学校の敷地内での運転や、部活でのサーキット走行など、運転経験があったため、教習所でも実技は問題なく通過してきました。そのせいか初心者にある運転への緊張感がないのです。そのせいで居眠り運転なんてことになったのではないかと我々夫婦は息子に怒りました。しかし息子は反省しながらも言い訳タラタラ…友だちと二台で走っていたので迷惑かけたくなく、眠くても我慢して走らなきゃと思ったというのです。自分以外の人に気をつかえるようになったのはすごい成長したと思うけれど、気をつかうべき場面はソコじゃないから!!たとえ友だちと約束していても命にかかわりそうな問題が発生したときは、安全を優先して友だちに断って休憩を取ったり、無理に乗らない・走らない選択をすることを話し合いました。息子と乗るために修理した代金もまだ支払っていないのに、廃車費用の請求まで来て気分はどん底でございました(怒)まぁでもこのことがきっかけとなり息子の運転は少し慎重になったような気がします。運転中はグチの嵐!やめられない毒吐き。Upload By かなしろにゃんこ。運転が慎重になってくれたのはいいのですが、そのかわりに歩行者や狭い道の対向車などへのグチが止まらない息子です。同乗していると、その口の悪さにこちらもイラっとくるほど。同乗者がいるときは心の中で呟いて声に出さないようにしなさいとアドバイスしたのですが、グチを言うからストレス抜きになって運転が荒くならずに済むんだよ!ともっともらしい言い訳をするんです。本当はどうかは分かりませんが、だまってはいられないタイプの子なんでコレは仕方ないのかな…!?ああいえばこう言う子なんです…トホホ…
2017年10月17日こども食堂に出かける娘発達障害(LD、ADD)のある娘・のりは、学校と家庭以外の居場所を探していました。ある日、児童相談所に自分で電話をかけ、近くの「こども食堂」の連絡先を教えてもらい、自ら参加の申し込みをしました。こども食堂ネットワークこども食堂には様々なスタイルがあります。無料やワンコイン制のところ、定期開催や不定期開催のところ。平日の夕方だったり、週末の昼だったり。予約が必要なところもあります。児童相談所に教えてもらった中から娘が選んだのは2つのこども食堂でした。Upload By 荒木まち子娘の語る、こども食堂の魅力Upload By 荒木まち子Upload By 荒木まち子友達を誘うUpload By 荒木まち子自分の内面を打ち明ける居場所を少しずつ見つけ…高校2年の終わりごろになると、娘は学校に遅刻することが増えていきました。「行くつもりはあるけど、体が重くて動かない」ある日、超スローモードの娘の身支度が昼の11時近くまでかかったことがありました。その日は午前授業だった為、学校の先生と相談し欠席することになったのですが、「身支度を整えて行こうと思っていたのに、行くところがなくなってしまった」ことに娘は深く落ち込んだようです。娘は午後から予定していた放課後デイサービスに早めに行き、カフェスペースでお弁当を食べることにしました。他に子どものいない静かで和やかな雰囲気の中で、娘はそれまで口に出すことが出来なかった本当の気持ちをカフェスタッフの先生に打ち明けました。「学校はつまらない。本当はやめたい。」「親はよく将来の自立に向けて準備しておいたほうが良いって言うけど、今は家にいたい気持ちが強い」それは娘が、「周りの大人が自分に何を期待しているか」を解っているから。「学校の先生や親は、将来を案じてアドバイスや指導をしてくれている」そのことを理解しているからこそ、遠慮して、ずっと言えなかった言葉だったのでした。「自分の気持ちを伝えるツール」を模索して…高校2年の春休み、娘は美術部を退部したいと顧問の先生に伝えました。その時は顧問の先生に「一人の世界に籠ってしまいそうで心配だわ。最高学年になるあなたが辞めてしまうと他の3年生に負担がかかってしまうというのもあるし。もう少し考えてみたら?」と言われ一度は引き下がった娘でしたが、3年生に進級してすぐに『自分の考えをまとめた表』を持って再び先生のもとを訪れました。Upload By 荒木まち子これは言葉で自分の気持ちを伝えることが苦手な娘なりに考えた方法でした。顧問の先生も納得し、娘は美術部を退部したのでした。娘が子ども食堂に行ってから変わったこと今ものりは完璧に落ち着いているわけではありません。とても不安になったり、イライラを爆発させたり、攻撃の矛先を自分に向けたりとまだまだ不安定な部分もあります。でも色々なことを自ら選択し、自分で新たな居場所を見つけたり、作ったりしたことで変化しているのは確かです。娘曰く、「こども食堂に行って心が温められたことで“殻”がポロって取れて少し素直になれたような気がする」とのことでした。Upload By 荒木まち子自分から殻を破ってゆく娘。母への優しいお誘いも…こども食堂だけではなく、放課後デイサービス、地域活動ホームへの相談、レスパレイトとしてのショートステイ、移動支援サービスなど、様々な支援の利用の仕方を自分で決めるまで成長した娘。「辛い思いをしないように」「失敗しないように」「将来困らないように」と親が手助けをする時期は終りを迎えつつあるのだと感じます。先日娘が言いました。「お母さん、こども食堂は親も一緒に行ってもいいんだよ」あら、あなたの居場所に私を誘ってくれるの?お母さん嬉しいな。
2017年10月16日そうだね、うん、たしかにその通りだね今年の夏休みのことです。Upload By ラム*カナ夏休みの宿題、ほんとに手伝わないといけなさそうなもの(読書感想文など)は手伝うにしても、観察日記なら授業でもやっていたし、もしかしたら手伝わなくてもできるのでは?思ったので、ちょっとノータッチで放置してみることにしました。Upload By ラム*カナお、やってるやってる。その後、長男:「おかあさーん、できたよー」私:「どれどれ」Upload By ラム*カナ「水をあげたら、トマトが赤くなったり大きくなったりした。」当たり前のこと、堂々と書く結果と相成りました。(事実を書けるなんて素晴らしいや!)
2017年10月14日「こんな顔だったっけ?」とある俳優さんの顔が覚えられない私Upload By 鈴木希望どうしてもお顔を覚えられない俳優さんがいる。何度見ても「あれ、こんな顔だったっけ?」と思ってしまう。テレビや映画、雑誌等では滅多に見られない役者さん、というわけではない。名は秘すが、あらゆる作品に引っ張りだこ、イケメン俳優として人気を集めている。そう、私はいわゆるイケメンの顔が覚えられない。軽度の相貌失認なのだ。相貌失認とは、簡単に言ってしまえば、人の顔を認識するのに困難が生じる疾患のことだ。俳優のブラット・ピットが明らかにしたことで、数年前に話題となった。人の顔が覚えられない……相貌失認の症状・対処法Upload By 鈴木希望当事者の方のブログや症例などを拝見すると、全く覚えられないわけでもない私は、比較的軽度であるようだ。とはいえ生活に支障がないわけではない。前職では、1週間ほぼ毎日顔を合わせていた人に、毎日「初めまして」と挨拶をし続けた。またプライベートでは、とある講座を一緒に受け、一緒に修了した同期生に数日後対面し、やはり「初めまして」と挨拶をしてしまった。前者の場合、発達障害を明らかにして入社したため、「そういうこともあるんだね」と笑って流してもらえたが、後者は大層嘆いていらした。それもそうだろう、共に学び、仲が良いと思っていた相手に、たった数日で忘れられてしまっていたのだから。「関心がないから覚えられないのでは?」と誤解されがちなのだが、決してそうではない。関心があっても覚えられないのだ。これが辛い。お付き合いしていた男性の顔を、家に帰ったら全く思い出せないなんてこともあった。とはいえ、顔以外の声や仕草を覚えていることがあるので、次に会ったときは「こっちを見ている。あ、この声。そうだ、この人だ」といったかたちで確認するわけだ。覚えやすい顔と覚えにくい顔。その違いは一体なんだろう?出典 : 相貌失認の概要については前述のリンクをご覧いただくとして、ここからは私の話。前述したように、誰もの顔を全く覚えられないわけではないし、何度か会えばいずれ覚えられる。中には1度会っただけで覚えられることもある。そうした経験を通して、私には「覚えやすい顔」と「覚えにくい顔」があるということに気づいたのだ。ただ、その差がなんなのか、長年わからなかった。そのヒントになったのが、イラスト描きを生業としてる知人の、「美形を絵に描くのは難しい」という言葉だった。曰く、「整った顔立ちは特徴が捉えにくい。少しバランスが狂っただけで美しさが削がれてしまうし、似顔絵の場合だとデフォルメがしにくいから、似せるのが本当に難しい」と。相貌失認のない人でも、美形は認識しにくいのか!―目からうろこだった。後日、冒頭の俳優さんを雑誌で見かけた際、「こんな顔だったっけ?」と思いながらじっくりと確認する。うん、美形だ。そうか、私は美形であればあるほど覚えられないのか……「イケメン嫌いのブサイク好き」?違う!断じて違う!!出典 : そんなこんなで、私はいわゆるイケメンに関心がない。というか、覚えるのが苦手だから関心の持ちようがないのだ。しかし、「ノゾミちゃんってブ専(ブサイク専門)なんだね」などと言われたら、烈火のごとく逆上する。「私の大好きなあの人やあの人に土下座しろ!」と。まぁ、逆上は大げさだが、正直いい気分はしない。自分にとって愛しいもの、心地いいものを、あたかも美しくないかのように言われるのだから。現に、私にとって覚えやすい顔の美形もいる。パーツやバランスが特徴的であればあるほど認識しやすいので、いわゆるこってり顔の方は早い。俳優さんで言えば、阿部寛さんとか伊勢谷友介さんとかね。なので、「スズキに好かれた、もしくはすぐ認識された=ブサイク」というのは大きな間違いなのだ。上記のような話を友人にしたところ、「相貌失認の方は、あっさり顔が苦手なのかな?」と聞かれたのだが、そうとは限らないからややこしい。やはり軽度の相貌失認を持つ別の友人は、「こってり顔の人がみんな同じ顔に見える」というのだ。彼女にとっては、顔のパーツがあっさりしている方が特徴的に感じられるのだとか。どうしてこうした違いが生じるのかについては、私は専門家ではないから何とも言えないし、「まぁそういうこともあるんだね」としか言い様がない。もちろん覚えようと努力はしている。しているけれど…出典 : 顔を覚えるのが苦手であるぶん、お会いした方に失礼がないよう自分なりに尽力している。まず、可能であれば、自分が相貌失認であることをあらかじめ相手に伝えるようにしている。それから、お会いした当日に交わした会話やエピソードがあれば後でそれを記録して、エピソードと顔を結びつけて記憶しやすいようにする。顔以外のパーツや骨格、動き、声などに注意を向けるのも、私の場合は記憶の定着に一役買うらしい。―というか私は、自然に相手のパーツや骨格などに注意が向きやすいようだ。そちらの方が覚えやすいためか、なかば癖になっているのかもしれない。余談だが、その癖のせいで、他の方の目で見たら全く似ていない二人を「(骨格が)似ていますね」と判断したり、「素敵な手首と手の動きですね」と、マニアックな賞賛を口にしてしまうことがある。我ながらちょっと気持ち悪い。しかし上記のような方法も完璧ではない。コラムで何度か触れているが、いかんせん私はADD、注意欠陥障害を持っている。メモすることを忘れたり、その場でメモすることを先方が許してくださったにも関わらず、そのメモを紛失したり、お名前を忘れたり、下手をすれば自分が相貌失認であることさえ忘れて、対策を講じることさえ不可能になってしまう場面もある。最悪だ。バカなのだろうか?いや、バカではない。そう信じたい。私が「あなた、誰だっけ?」状態になってるときに、覚えておいてほしいことこんな私だから、関心を持っているあなたやあなたやあなたの顔を覚えられず、再度お会いした折には「誰だっけ…?」と言いたげな表情で見つめてしまうかもしれない。そんなときは「そうか、自分はあっさりした美形なのだな」と思っていただきたい。そして逆に、わたしにすんなり認識されたあなたは、”はっきりした”美しいお顔立ちなのだ。うん、断言する。世の中にはこんな人間も存在する、ということを頭の片隅にでも置いていただけたら、スズキ、嬉しい。
2017年10月13日先月、NHK総合テレビで 「深夜の保護者会/発達障害 子育ての悩みSP」 をはじめ、Eテレ「ハートネットTV」では 「自閉症アバターの世界1・2」 、NHK「あさイチ」では 「シリーズ発達障害/どう乗り越える? コミュニケーションの困りごと」 など、続々と発達障害特集が放送された。どれも見ごたえのある内容だったが、4歳の自閉症スペクトラムの息子を持つわが身としては、やはりリアル世代である「深夜の保護者会」が一番興味深かった。話し合いにのぼったテーマは、「周囲へカミングアウトはするべきか?」「カミングアウトするとしたら、どう説明したらよいのか?」「夫や子どもの本音は?」「ありのままのわが子を受け入れるには?」など。どれも、まさに発達障害の子育てをしている親の悩み、ど真ん中の内容だったと思う。現役ママの葛藤は、私には痛いほど伝わってきて、ちょっとホロッとしてしまうほどだったし、すでにさまざまなことを乗り越えてきた先輩ママたちが、試行錯誤の上生み出した、わが子との向き合い方はとても参考になった。■わが子を嫌いになる、自分が辛いそして、現役ママの苦しい胸の内を聞いて、改めて発達障害を持つわが子の「ありのままを受け入れる」ことの難しさを思い知った。「彼らを大好きなのに、大嫌いになる時がある自分が辛い」(番組に寄せられたファックスのコメント)「比べるものではないと重々わかっているけど、どうしても下の子と比べてしまう。下の子はできが良くて、かわいくてギュッって抱きしめられるけど、上の子にはできない…。できない上の子を受け入れられない」(番組に参加した現役ママのコメント) NHK総合テレビ「深夜の保護者会/発達障害 子育ての悩みSP」より そんなママたちの悲痛な叫びに、胸が締め付けられた。■本当に、子どものこと受け入れてる?ありのままのわが子を受け入れる――それは発達障害の子育てのスタート地点のように思えるのだが、実は、親にとっては、それが一番難しいことのような気がする。私自身も、「私は周囲にもカミングアウトしてるし、もう受け入れているから大丈夫!」と、すっかり達観したつもりでいたのに、自分でもビックリするほど些細な事で傷ついてしまうことがある。そんな時は、「実は、心のどっかでは息子のことを受け入れられてないのかも…?」と心が揺れる。ブレない自分でいたい。…なのに、なかなかなりきれない! それが自分でも、すごく歯がゆくて悔しいのだ。■子どもが笑ってくれる、そのために何ができるか?これに対して、先輩ママたちや尾木ママの意見は…「試行錯誤する、という作業がすごく大事。私たちも最初はどうしたらいいのかわからない状態で、いろいろ試して、今がある。のちのちつながっていくことだから、あきらめないで少しずつでも進んでいってほしい」「高望みせずに、『一個できたらすごい!』を積み重ねていけばいい。とにかく今できることを褒めて。『褒めるは認めること』って言葉に置き換えてもいい。良いところを褒めるのではなく、できていることを認めればいい。それが丸ごとの発達障害と付き合っていく姿勢につながっていくはず」「発達障害は、息子の世界と私たち世界の交わるところにある、『壁』みたいなもの。でも、その壁は環境や周囲の考え方、関わり方で低くもなる。息子の世界も尊重しつつ、私たち側もお互い気持ちよく過ごせるエリアが広がるように、私たち側が変わっていかなければならない」 NHK総合テレビ「深夜の保護者会/発達障害 子育ての悩みSP」より 様々なアドバイスが飛び交ったが、なかでも印象に残ったのは、先輩ママの次の言葉だった。「よっちゃん(息子さんの名前)に笑ってほしい。そのために自分がどうしたらいいか? それを考えれば自ずと変わってくる。それを変えただけ」私は、障害(発達障害に限らず)を持つ子どもの親というのは、何か高尚な考え方ができるような、立派なママにならなければならないような気がしていた。でも、そうではなくて、この先輩ママが言うような、子どもの毎日の笑顔の積み重ねの先に、いつの間にか生まれてくるような、もっと自然な感情なのかもしれない。そう思うと、私はまだまだ肩の力が入ってしまっているようで、まだまだだなぁ~と苦笑してしまった。■障害は敵ではないまた、当事者である子どもの発言にも考えさせられた。「悪いのはこの子ではなく、障害のせい」と、子どもと障害を別々に考えるということで気持ちが楽になったというお母さんに対してお子さんの考えは違った。「僕は、そういう考え方はやめてほしい。障害は敵ではない。生まれてしまった以上しょうがない。しょうがないから向き合う。うまく付き合っていけたら気持ちは楽になる」 NHK総合テレビ「深夜の保護者会/発達障害 子育ての悩みSP」より この2人のやり取りを見て、発達障害の子育てを描いたコミックエッセイ『母親やめてもいいですか』に書かれていた、自閉症当事者によって書かれた「私たちのことを嘆かないで」という詩の一節のことを思い出した。自閉症は人を閉じ込める殻ではありません中に普通の子どもが隠れているわけではないのです自閉症は私が私であること、そのもの私という人格から切り離すことはできません「うちの子が自閉症でなければよかった」「この子の自閉症がよくなりますように」その嘆き、その祈りは、私にはこう聞こえます。「自閉症ではない別の子がよかった」両親が語りかける夢や希望に、私たち自閉症者は思い知るのです彼らの一番の願いは、私の人格が消えてなくなり、もっと愛せる別の子が私の顔だけ引き継いでくれることなのだと… 『母親やめてもいいですか』(山口かこ・文/文春文庫)より引用 ■何を持って「息子」なのだろう?障害を持つ子どもの親であれば、誰しも、わが子の障害がなおることを願ったことが、一度はあると思う。私自身も、息子が自閉症スペクトラムと診断された当初は何度となく、この障害を息子から取り除きたいと願った。一生治らないものだと知った時は、夜中パソコンの前で号泣した。でも、1年経った今は、こう思うのだ。例えば、息子がいきなりおしゃべりで明るい社交的な子になったとしたら…? それはそれでうれしい面もあるのかもしれないけど、果たしてそれは息子なんだろうか? と。改めて、「何を持って息子なのだろう?」と考えると、思い浮かぶのは、なぜか、やっかいで面倒なエピソードばかり(笑)。むしろ、そのやっかいなところこそが、息子が息子であるための大切な要素なのかもしれない、と。最近ではそう思うのだ。最後に、先輩ママたち全員が、声をそろえていたことがある。それは、「まずは、お母さんが元気なことが基本。自分を犠牲にしちゃダメ。お母さん自身の人生も大事にしてほしい」ということ。子どもに笑顔でいてほしいなら、そのためには、まずはお母さん自身が笑顔でいることこそが大切なのだ。まちとこ出版社N NHK 発達障害プロジェクト 【発達障害についての記事一覧】▼大変だけど、不幸じゃない。発達障害の豊かな世界(全4回)▼「うちの子、発達障害かも!?」と思ったら(全9回)
2017年10月12日双子の兄弟が就学年齢に。長男は特別支援学校、次男は通常学校への入学が決定重度自閉症の長男は、比較的早い段階で特別支援学校への入学が決まっていました。そして我が家は双子であるため、同時に通常学校へ入学する次男の学校手続もしなければなりませんでした。忙しい日々でしたが、10月に長男の就学通知書が届いた時にはなんだか肩の荷がおりてほっとした気持ちになったものです。入学前の準備。支援学校のカバンはランドセル?それとも?Upload By シュウママそして11月も過ぎたころ、はっと気が付いたのは長男が学校に持っていくカバンのこと。次男はもちろんランドセルのつもりでしたが、長男はランドセルが必要だろうか――入学説明書にはこのカバンで!という明確な記載がなかったので、私は支援学校に問い合わせてみました。電話で丁寧に答えて下さった女性の返事は「特に規定はありませんよ」というものでした。Upload By シュウママこの言葉を聞いた私は、じゃあリュックでいいかな…と思い大きめの新しいリュックサックを長男のために、次男には同じ頃、ランドセルを購入しました。次男のランドセルをじっと見ていた長男に、母として想うことピカピカのランドセルを見て次男は嬉しそうでした。色は黒、ふち取りは赤、何日も前から次男が選んで注文しておいたものでした。入学式の前から次男はランドセルを背負い鏡を見て満足そうにしていました。そんな次男の姿を療育から帰ってきた長男がじっと見つめていました。Upload By シュウママ次男がランドセルを床に置いて遊びに行ってしまうと、長男はランドセルにそろりそろりと手を伸ばしました。どうしたのかな?と見ていると、長男はランドセルの肩ベルトに腕を通して背負おうとしました。けれど不器用で筋力のない長男は、うまく手が通せなかったのかごろりと前のめりになり床であごをごんっ!と打ち、大きな声で泣き出しました。Upload By シュウママ私は驚いて長男のあごをさすってやりました。もちろん長男は痛くて泣いているのでしょう。でもこの泣き声がまるで「僕もランドセル背負いたかった!」という長男の叫び声に聞こえてきました。私はランドセルにするか、リュックにするか、ほとんど逡巡せずに決めたことに対して申し訳ない気持ちになりました。当時、まだ言葉で意思の疎通ができなかった長男に、どちらかを選択させるという考えが私にはなかったのです。ごめんね…と私は長男に謝りました。Upload By シュウママ長男が入学。そこで目にしたのは…そしてひと月が過ぎ長男は支援学校に入学しました。ほどなく父兄の懇談会が長男の教室で行われました。私は同じクラスのお母さん達に挨拶しながら、何気なくロッカーに目をやりました。すると長男のリュックの入ったロッカーの隣りに、横長の形をしたランドセルがあることに気がつきました。Upload By シュウママ「横に長いランドセルってあるんですね」私はランドセルの子のお母さんに聞いてみました。障害児を育てる親に寄り添うランドセルがあったするとそのお母さんは微笑んで言いました。Upload By シュウママお子さんは足が悪いため、車椅子に取り付けやすいベルトがついていることと、沢山荷物が入るということが横型ランドセルを選んだ理由だそうです。最近は障害のある子ども用のランドセルも充実しており、多機能でいろんな色が選べるんだというお話でした。「何よりランドセルを背負った姿が見たかったから・・」お子さんを優しい目で見つめながら言われた気持ちが、私にはよく分かりました。障害のあるお子さんをお持ちなら親は何度も選択を強いられます。そしてそれはとても辛い選択です。普通学校の支援級ならランドセルが必要、でも支援学校なら必要ない――それもその一つです。けれど障害があっても背負えるランドセルもある。それは苦しみを少しだけ軽減してくれ、親心に寄り添ってくれる素敵なランドセルだなと、私もほわっと温かい気持ちになるお話でした。
2017年10月12日精神的にほんの少し余裕が出てきた頃に気がついた衝撃の事実出典 : 自閉症スペクトラム&ADHDの診断が下りている9歳の娘と7歳の息子を抱え、日常生活を送るだけで精一杯だったこの数年間。何かをしようと思っても、すぐにヘルプが必要になる子どもたちに呼ばれ、洗い物も掃除も洗濯も最後までできた試しがありませんでした。我が家では娘も息子も、小学校に籍はあるものの、日常的に通学はしていません。代わりに、自宅でホームスクールを行っています。子どもたちの絶え間ない呼びかけに対応していると、思考は常に分断され、ゆっくりと頭の中を整理する時間はほとんどありませんでした。精神的にも肉体的にもゆとりのない状態が続きましたが、昨年、ようやく毎日麦茶を沸かすことができるようになりました。普通に家事をこなされている方からすると「麦茶を沸かせるようになるってどういうこと?やかんに水とお茶パックを入れて火にかけるだけでしょう?」と思われるかも知れません。ですが、たったそれだけのエネルギーを絞り出すことすらできないほど、いっぱいいっぱいの日々だったのです。そして、ついに今年の夏は日に3度、麦茶を沸かせるようになりました。書いてしまえば他愛もないことで自分でも笑ってしまうのですが、家事にまわす余力が出てきたということは子どもたちが成長した証でもあるので、なんだかとっても嬉しいのです。こうして少しゆとりが出てきたところで、ふと気がついたのです。「そういえば...これまで息子の爪を切った記憶が1度もない!」起こす、食べさせる、着替えさせる、お風呂に入れる、歯磨きをさせる、寝かしつける。それをこなすのに精一杯で、すっかり爪のお手入れのことが頭から抜け落ちてしまっていたのです。息子の爪をチェックしてみると...出典 : 慌てて息子の爪をチェックしてみると、なんと白い部分が一切なく、えぐられたような状態になっていました。考えてみれば、息子は幼い頃からずっと指を口に入れており、手をグーにしてすべての指が口に吸い込まれていることもありました。不潔だからやめるように注意をしてはいたのですが、アスペルガーの娘がタオルを手放せないのと同じように、安心感に繋がっているのかも知れないと強制的にやめさせることは考えていませんでした。とはいえ、こんなになるまで爪を噛んでいたとは......一番近くにいる私がなぜこんなことにも気づけなかったのかと落ち込んでいる間も、息子は口で爪を削り続け、ついには足の親指から出血も化膿してしまったのです。(もちろん足の爪も口で削っていたのです!)いくら悔やんでも過去は変えられませんから、後は改善あるのみ!まずはどうして息子が爪噛みをやめられないのかを考えてみることにしました。やめられないのは足りない刺激を補うため!?出典 : 爪噛みについて調べてみると、親の愛情不足や欲求不満という文字が踊っていて、落ち込んでいる私にさらに追い打ちをかけてきます。しかし、息子の爪噛みは生まれたときからずっと続いています。愛情不足や欲求不満ならムラがあってもいいような気がするのですがそれもありませんし、1日中いつでも、気がついた時にはずっと口に指を入れているのです。そこで発達障害の特性が原因なのかと思いを巡らすと、ADHDの息子は刺激を求め続ける傾向が強いことに思い当たりました。「爪を噛む」という口腔内への刺激と「指の痛み」という二重の刺激を手軽に得られる爪噛みは、息子にとって常に刺激を得られる手段として定着しているのかもしれない。そんな私なりの仮説を立ててみました。ならば手軽に別の方法で刺激を得られれば、爪に向かう意識が薄れるかもしれません。そこで役に立ちそうないろんなグッズを試してみることにしたのです。息子の爪噛み防止グッズをご紹介今話題のハンドスピナーは、自閉症スペクトラムやADHDの方と相性がいいと聞いて試してみました。確かにある程度の刺激は与えられますし、情動行動を好むタイプの子どもたちにはピッタリのアイテムです。しかし、以下の理由からあまり効果は得られませんでした。・ 幼い息子の手には少し大きい・ 読書中などの爪噛みには効果がない・ 飽きるとその辺にポンと置いてしまって、その存在をすぐに忘れるおもちゃとしてはとても気に入っていますので、今はおもちゃ箱にしまってって遊びたいときに遊んでいます。そこで、次に常に手元に携帯できるものをと思い、くるくる回せる指輪を購入してみました。息子の小さな手に合うのは8号サイズしかありませんでしたが、これなら置き忘れることなく常に指にはめておけるのでとっても便利です。しかし、さすがは年季の入った爪噛み癖!指輪をクルクル回しながら爪を噛むという合わせ技を繰り出されてしまいました。私もつけてみましたが、例えば歩きながら、読書をしながらもくるくると回すことで不思議な安心感が得られます。とてもよいグッズだと思いますので、小さなものを飲み込んでしまうお子様がいらっしゃらないご家庭にはおすすめです。こうなったら、こちらも合わせ技で対抗するしかありません。今度は片手いっぱいで握れるフィジェットパッドというものを購入してみました。カチカチなるスイッチや、ゲームコントローラーの様にくるくる回せる仕掛けなどがあちこちに施されているものです。これも、購入当初はあちこちにポンと置いて探し回ることが続いたので、百円均一のネックストラップを買ってきて、首からぶら下げておくことにしました。刺激が欲しいとき、読書など片手が余ってつい口に入れそうになってしまったときなどはこれを利用するよに。でもこれだけでは、くるくる回せる指輪と同じように、この仕掛けを触りながら指を口に入れてしまう可能性もありました。なので、息子が幼いころに使用していた「マヴァラバイターストップ」という苦い味のするマニキュアを爪に塗っておくことにしました。この苦さを知っている息子は「もう噛まないから大丈夫!」となかなか塗らせてくれませんでしたが、「もう噛まないんだったら苦くないよ?おまじないみたいなものだから塗っておこうね。早く爪が伸びてきますように」と話しながら塗っています。そして1週間の月日が流れ…出典 : こうして、さまざまな対策を講じてから1週間。息子の爪にはようやくうっすらと白い部分が見えてきました。とはいえ、毎日チェックしていると、ときどき特定の爪がきれいになくなっているので、苦さをこらえて噛んでしまっているのだと思います。それでも、爪を噛まないためにどうすればよいかを息子と話し合いながら試行錯誤することで、不思議な連帯感が生まれ、うっすらと生えてきた爪に2人で感動しています。爪がないと指先に力を入れにくくなったりすることもあるそうなので、爪が伸びきったあかつきには、不器用な息子の震える文字が少しでも改善されればいいのになと淡い期待も抱いたりしています。完全に爪噛みから卒業するにはまだまだ時間はかかりそうですが、爪を噛む欲求を別の方法で代替することができれば、息子のストレスを最小限に抑えながら進めていけるのではないかと思っています。発達障害のある方には、こだわりや独特の癖を持つ場合も珍しくありません。それが安全な行動なのであれば、できる限り自由にさせてあげることも大切だと思いますが、息子のように身体に害が出てしまったり、危険が及ぶことのあるような行為はなるべく避けてもらいたいと思ってしまいますよね。そんなときはどうか無理にそれを取り上げてしまうのではなく、他に代用できるものがないか、少しでも安全なものに変えられないか、お子さまと一緒に相談し、いろんなものを試してみることが近道なのかもしれません。一方的な指示を受けるのではなく、大人の方が一緒に取り組むことで、子どもが安心して次のステップに進む勇気がわいてくるといいですね。
2017年10月11日アメブロ総合1位、モンズースーさんのコミックエッセイ、遂に続編が発売!Upload By 発達ナビ編集部Amebaブログで人気を呼び、発達ナビでも連載中のコミックライター・モンズースーさんの新刊『生きづらいと思ったら親子で発達障害でした 入園編』が発売されました。モンズースーさんはADHD当事者で2児の母。長男のそうすけくんは1歳半で発達の遅れを指摘され、その後自閉症スペクトラムの疑いありと診断されました。次男のあゆむくんは1歳で発達の遅れを指摘され、保育園に通いながら病院の療育へ通っています。その体験をつづった漫画ブログが、一時はAmebaブログで総合1位を獲得するまでの人気に。その後、ブログと同名の著書1作目『生きづらいと思ったら親子で発達障害でした』が2016年に出版。1作目では、お子さん二人が生まれてから幼稚園に入るまでの軌跡や、ご自身が発達障害の診断を受けるまでの日々が描かれています。読者からは応援の声、そして、特に同じような境遇の読者からの共感の声が多数あり、大反響でした。そして、2017年9月末、親子のその後について描いた続編が出版されました!本作では、幼稚園、保育園生活、さらに進路や転園について悩みながらも力強く前に進んでいく親子のストーリーが描かれています。今回のコラムでは、モンズースーさんの新刊『生きづらいと思ったら親子で発達障害でした 入園編』の印象的なシーンや見どころを紹介していきます!わが子にとってベストな園?制度や組織の面での問題も…支援学校の幼稚園に通い始めた長男のそうすけくん。3人という少人数のクラスで手厚い環境の中、そうすけくんの幼稚園生活がスタート。先生方の深い理解のもと、そうすけくんのペースでゆっくり成長していきます。ご自身にママ友ができ、親同士で気持ちを支え合う場面も描かれています。園生活は順調なスタートが切れた模様です。モンズースーさんは、そうすけくんの着実な成長を見て、より多くの子どもたちと関われる園への転園を検討し始めます。「新しい園探し」の日々の始まりです。中には、理解のない園の園長先生や行政の担当者との面談の様子も。当事者のリアルな状況が垣間見えるシーンです。Upload By 発達ナビ編集部ご本人の奮闘を通して社会インフラの有益な情報も!しかし、このような辛い局面でも、味方でいてくれる園の担当者やママ友といった周囲の支えを得て、モンズースーさん親子は一歩一歩前に進んでいきます。お話の中では、周囲からの情報を得て、色々なコミュニティや社会制度を知り、支援してくれる人や組織、仲間の輪が広がっていく様子が多く描かれていますが、読者にとっても漫画を通して支援の制度を自然と学ぶことができる構成になっています。通所支援事業所の種類や療育手帳のこと、それらの申請の手続きなど、知っていれば子育てが楽になる情報が満載です。不器用ながらもそうすけくんなりに成長していく姿が胸を打つできることが増えたり、見通しが理解でき冷静になってくると、逆に「完璧にできないこと」に対する苦手意識が芽生え、不安な気持ちになることも増えたそうすけくん。そんなそうすけくんを一歩前に進ませてくれた担任の先生の言葉を紹介します。Upload By 発達ナビ編集部とてもチャーミングなキャラクターの先生が教えてくれた「まぁいいか」という合言葉。少しでも失敗すると思いつめてしまう…そんな性格・特性のある人にとって、心の支えになる言葉です。「失敗しても次に進める力」は大人でも大事ですよね。ほかにも、園の先生の教えやお友達との交流を通して、成長していくそうすけくんの姿が見どころです!・トイレで一緒になった園の上級生にトイレの仕方やスリッパの揃え方を教わる・新しくて不安なこともスモールステップで成功体験を積むことで自信がついて前進・クラスのお友達とたたきたたかれながら、お友達との距離感を学習すべてのことに一生懸命に向き合う中で、自分の気持ちとの折り合いのつけ方を学んでいく姿に、大人の読者も自分自身を顧みさせられます。発達が気になる子どもを持つ親が抱くリアルな心情、前に進み続ける強さ体験談をベースに話が進んでいくため、発達が気になる子どもを持つ親、また成人発達障害当事者としての立場からみえる世界が、モンズースーさんの心情・感情とともに伝わってきます。ご自身に発達障害があったり、お子さんの発達が気になる保護者の方々にとって、同じように奮闘する仲間の存在に勇気をもらえる一冊だと思います。また、発達障害の当事者ではない人にとっても、多様な発達の特性について知り、誰もが生きやすい社会のあり方を考える上でピッタリな一冊です。ぜひお手に取ってみてください!一緒に悩みながら、一つずつ向き合い乗り越えていく親子の姿が描かれている一冊です!モンズ―スーさんのページ|発達ナビモンズ―スーさんブログ「生きづらいと思ったら親子で発達障害でした」
2017年10月10日生まれた時からお風呂好きだった長男沐浴もほとんど泣くことはなく、気持ちよさそうに入ってくれていましたし、2歳になる前は毎日湯船で歌を歌ったり湯船で遊んだりと楽しく過ごしていました。Upload By ぽんぽんところが2歳になって少ししてからお風呂に入ることを拒絶お風呂に入らなきゃ死ぬ!ということはないので、あまりにも泣いて嫌がる日はお風呂をパスしてもいいや!とは思っていたのですが…。Upload By ぽんぽんシャワーが顔にかかるのを異常に嫌がるように。顔にお湯がかからないように工夫しながら入れてみましたが…。Upload By ぽんぽん1歳半までベビースイミングを習っていたので、顔に水がかかるのには慣れていると思っていたのですが、忘れてしまったのか、それともお湯と水とでは違うのか…。ひとしずくも顔にはかかって欲しくない!という状態になってしまったので、お風呂場には必ずタオルを持って行き、顔にお湯がかかったら即座に拭くようにしていました。Upload By ぽんぽんこれでなんとか洗い場で泣き叫ぶ問題は徐々に「マシ」になっていったのですが、今度は湯船を怖がるように…。Upload By ぽんぽんこれまであんなに気持ち良さそうに、楽しそうにお風呂に入っていたのに何故…。Upload By ぽんぽん日に日に湯舟への恐怖心が強くなり、発狂する毎日。言葉の遅い長男は、何が嫌なのかを伝えてくれず、色々聞いても試してみても理由がわかりませんでした。Upload By ぽんぽん毎日一つずつ新しいお風呂用おもちゃを足したり、入浴剤を使ってみたり、シャボン玉で遊んでみたり、私が湯船に顔をつけて怖くないとアピールしてみたり、お湯に口を付けてブクブクと音を立ててみたり…。楽しく入れるよう色々とやったつもりでしたが、どれも不発。同月齢の子たちは普通にお風呂に入っているようなのに何故…と悲しくなり、毎日泣いていました。Upload By ぽんぽん当たり前のことが当たり前にこなせない。嫌がって泣いたり、お風呂を拒否するという話は聞いたことがあっても、ここまで発狂するなんて聞いたことがない。不安がつのっていくばかりでした。このままだと家族旅行も出来ない私は小さい頃、よく家族で温泉旅行に行きました。すごく楽しくて未だに記憶に残っているほど。いつか私も子どもたちを連れて行きたいと思っていました。Upload By ぽんぽん一緒に温泉に入ることも、次男と一緒にプールで遊ぶこともできない。家族旅行に行くという夢も叶わないんだと思い、とても悲しくなったのを覚えています。お風呂を嫌がり出してから1ヶ月が経った頃Upload By ぽんぽんUpload By ぽんぽんUpload By ぽんぽんUpload By ぽんぽんUpload By ぽんぽん髪の毛や次男の手のひらに付いたゴミなどに恐怖を覚えていたことが判明。これまでお風呂に入っていた時は平気で触っていたし、風呂桶でゴミを取って捨ててくれたりもしていたのに、今まで平気だったものが、ある日突然嫌になる事があるんだと知りました。それからは毎日お風呂のお湯のゴミチェックを先に行ってから入ることに。Upload By ぽんぽん先に大丈夫だと言って安心させるようにしました。それだけで叫ばずにお風呂に入れる日もありましたが、やはり髪の毛やゴミだけが原因ではないようで、それらを取り除いても、きれいだとアピールをしてもダメな日もありました。そんな日は、次男を脱衣所に置いて、2人だけでお風呂に入るようにしました。Upload By ぽんぽん赤ちゃん返りもあって、次男がお風呂に一緒に入ることを嫌がっていたのかもしれないと今更ながら気付いたのです。お風呂を嫌がり出したのは次男の沐浴が終わり、一緒に湯船に入るようになって少ししてから。次男が生まれてから思うようにママを独占出来なくなっていたけれど、お風呂の時間だけはママと2人きりになれていた。その貴重な時間まで奪われたことで心が不安定になったのかもしれない、と思ったのです。Upload By ぽんぽん2ヶ月ぶりだったかもしれません。まだまだママが必要な2歳になったばかりの長男。肌と肌を直接くっつけてゆっくり…なんてことしてなかったなと反省しました。それからもお風呂を嫌がる日々は続いたのですが、長男が不安に思うことをなるべく見つけて取り除き、新しいおもちゃを増やして気をそらし、楽しいお風呂タイムにするよう心掛け、本当に嫌がる日は無理に入れることはやめました。お風呂を嫌がり始めてから約半年…Upload By ぽんぽんやっと以前と同じように自らお風呂に入れるようになり、お風呂に入るのに体力だけでなく精神力まで奪われる生活は終わりを告げました。それから2年が経ち、4歳になった現在…Upload By ぽんぽんあの時諦めかけた家族での温泉旅行も楽しく行けるようになり、プールでは顔に水がかかっても動じず笑ってやり過ごせるまでになりました。これを読んでくださっている方のなかにも、今まさにお子さんがお風呂を拒否していて困っている…という方がおられるかもしれません。お子さん一人ひとり、感じていること、お風呂嫌いの原因はそれぞれだと思いますが、我が家の経験が、少しでも参考になったなら嬉しいです。
2017年10月09日自閉症のある子どもとのストレス…「家事手伝い」をさせたら減らせた?出典 : 自閉症のある息子は現在、特別支援学校高等部1年生で、療育手帳のB2判定を受けています。幼少期は超多動で本当に大変でしたが、小学校高学年ぐらいから、イタズラや行方不明などの問題行動はだいぶ減り、おしゃべりもできるようになってきました。すると今度は「どうでもいい内容の長時間マシンガントーク」に、私は始終イライラして悩まされることになりました。放課後等デイサービスなどの利用で息子から離れる時間を作っても、ひとりの時間は一瞬で終わってしまうような感覚でした。息子は友達と遊びに行くことがほぼないので、総じて家の中で一緒にいる時間が長くなります。息子はDVDやゲームもしていましたが、そればかりしているのを見ると、私は「これでいいのだろうか…」と、将来が心配になりました。「家の中で一緒にいても、息子から離れる時間がほしい。自立に欠かせない”家事”を毎日させたら、それが叶うかもしれない…」と思い、息子に家事を教え始めました。実際、トイレ掃除などの家事を息子がしている間は、息子のマシンガントークから解放されました。精神的にも楽になっただけでなく、家の中もキレイになり、私は本当に楽になりました。息子には将来、家族から自立してほしい気持ちがあります。そのためには、「障害のある本人が家事スキルを上げること、また本人が自主的に家事をする習慣付け」が必要となります。それには、多少、親の工夫と根気も必要ですが、結果的に家族全員が、どんどん楽になっていく方法があるのです。我が家流「パパ・ママの気持ちをもっと楽にさせる!?ストレスの少ない子どもの家事手伝い」の一例をご紹介します。先ずはゴミ出しから出典 : お手伝いの最初は「ゴミ出し」などの簡単なお手伝いでした。息子は、簡単なお手伝いであれば、手順表を必要としないでやることができます。彼は素直に自分の役割として、今も習慣的にやってくれます。【食】たべるのが好き!子どもの料理教室へ息子は食べることが大好きです。それで近所の子ども料理教室に通っていました。最初の半年は付き添いましたが、先生に「息子の教え方のコツ」を教えてから、1人で月1回通っていました(小4~中3まで通いました)。配慮としてお願いしていたことは、1週間前に料理のレシピをFAXしてもらうことです。そして、ネットでその料理を検索して「何を作るのか、小口切りとはどう切るのか」など、画像等で事前に予習をしてから行きます。おかげで問題なく長年通えて、簡単な料理ならできるようになりました。Upload By 阪神間のアッキー小5の頃からは、手間の多いお手伝いもしてほしくて【食器洗いの手順表と食洗機の食器の入れ方】を作りました。今では食器洗いも食洗機の使い方も上手になり、休日は時々やってくれます。「掃除機、トイレ掃除などの手順表」も作り、今ではほぼ任せられます。手順表は、透明の「硬質カードケース」などに入れ、ラミネートはしません。後から息子の様子を見て、いくらでも修正することがありますので、すぐに書き込めるようにするためです。お手伝いトークンと予定表で「お金」も管理、金銭感覚も少しずつUpload By 阪神間のアッキー小3頃から息子はお手伝いも板に付いてきました。金銭感覚も身につけ生活力をあげてほしい気持ちから、お手伝いの料金として「リアルなお金」もちょっとずつ登場させています。これも自立を視野に入れた取り組みのひとつです。【お手伝いトークンと2週間の予定表】が一緒になった表をExcelで作り、本人が毎晩お金シールを表に貼って、私は2週間ごとにお給料をまとめて払っています。シールを貼ってモチベーションを上げながら、取り組ませました。お金の計算も筆算で自分でやっていて、その時に、両替の練習もしています(最初は妹も一緒にやっていましたが、今は息子のみやっています)。Upload By 阪神間のアッキーそして、小5の1月から息子用の【市販カレンダー】に移行しました。よりシンプルになっています。お金は大事に使い、中3から「お小遣い帳」を付け始め、将来海外旅行に行く事を目標に、旅行資金を貯めています。ちなみに息子のお小遣いは「お年玉+お手伝いのお給料」だけです。お手伝い1回で10~30円もらえます。だいたい毎月、2000円ぐらいのお給料になります。16歳の今でもお金がもらえるのを励みに自発的に続いて習慣化しています。わかりやすい貯金箱お金が貯まっていくのが日常的に見えるように【半透明の貯金箱(銭別銀行とりだし君 ブルー)】を小3からずっと使っています。必要なお金が出しやすく、やはり中身が見える方がモチベーションが上がるようです。(お札は彼の引き出しの財布に入っています)【住】粘着ローラーの掃除の工夫Upload By 阪神間のアッキー小5から、リビングのセンターラグの掃除を、粘着ローラーで息子にさせてみました。スタートがわからなければ、ぐるぐる真ん中あたりを掃除していて、いっこうに進みませんでした。そこで、たて線のたくさん入ったセンターラグを探して購入しました。「このはしっこがスタート」と決めて、まっすぐ進み、突き当りで横の3列のすじに進みます。そうすることで、最後まで無駄な動きも少なく粘着ローラー掃除ができるようになりました。【視覚的な工夫】今日のお手伝い ホワイトボードUpload By 阪神間のアッキー小5くらいから、できるお手伝いが増えてくると、息子は汚れが気になる所を選んで、自発的に掃除をする時も増えました。そこで「階段・廊下掃除は週1回」など決め事を作り、本人が予定をたてやすいように、【今日のお手伝いホワイトボード(A4)】も作りました。表面のよくする家事のマグネットシートは、1日5枚まで貼れます。(たくさん貼りすぎて疲れて家事がイヤになるのを、物理的に防ぎます)チェック✔ や開始時間、合計金額も息子が書き込めるようにしました。裏面は20枚以上の「お手伝いマグネットシート」が「メッシュケース(A6)」にストックされています。裏面には「お手伝い一覧」もあり、「掃除とその他の家事」を下地色で分類しています。何のお手伝いをするか息子と相談するため、お互いが選びやすいです。Upload By 阪神間のアッキーごみ出しなどのすぐ終わる(マグネットシートに無い)他のお手伝いも多いので、数えやすいように他に【平日・休日のお手伝いチェック✔表(1回10円)】も紙で作りました。彼はそれも毎晩「今日したお手伝い」にまとめてチェック✔を入れて「ホワイトボードとチェック表」両方の合計金額を合算し、カレンダーにお金シールを貼ります。子どもに家事をしてもらうポイント出典 : ここでは、私が息子に家事手伝いをしてもらう上で意識していたことや、決めていたマイルールをご紹介します。・私は、息子がお手伝いをしてくれたら、すぐ「ありがとう!」と笑顔で喜んで、できるだけ言うようにしています。お子さんがお手伝いをしてくれたら、以下の3つの「受け取る言葉」どれかをすぐ言うようにしましょう。「ありがとう」「うれしい」「助かる」特に、簡単なお手伝いをしてもらう最初の頃は、私は大げさに喜んでこの3つの言葉をよく言っていました。・お手伝いで失敗があっても、物覚えが悪くても、私は息子を叱りません。手順表を作り、わかりやすいマークを付けたり工夫して「どうしたら良いのか」を具体的に教え続けます。・できたら「そう!それでいい、OK!上手にできてるよ。」などと言って、息子に「このやり方でいいんだ」と自信をもってもらいました。・息子のできる家事は少しずつ増やしていきました。例えば息子が浴槽掃除が一人でできるようになります。私は風呂場まで見に行き「すご~い!ツルツルだね~。私よりも掃除上手だね!この調子で排水溝の髪の毛取りもしてくれるかな?そうしたら10円アップだよ。」とほめながら彼のやる気を促し、できる家事を増やしていきます。・息子のやる家事が多すぎて家事嫌いにならないように、例えば「洗濯物干し・取り込み」は男物だけ分担してもらうなど、家事量を調整しています。・「早く!」も最初から要求すれば、負担になります。手順と早くできる具体的な方法を教え続けて、完全に「トイレ掃除」などマスターしてから、目標時間を相談し本人に決めさせ、(キッチンタイマーなどで)早くする練習を始めます。・「やりなさい」と命令されると、誰でもやりたくなくなってしまうのが、人間の心理です。「ちょっと○○してくれない?」と子どもができる簡単なことをお願いをしてみることから、お手伝いを始める方が良いと思います。・いきなり「今から草むしりしてくれない?」など急に頼むのはやめましょう。特に自閉症の人は急な予定変更ばかりだと、辛くなります。「土曜日の午前中にお願い」など、早めに本人に伝えた方が、本人の心の準備とやる気につながります。・完璧を目指さず、息子が疲れているようなら休ませます。「自立のために家事をたくさんやらせなくちゃ!」と、毎日お手伝いボードを持って母が子どもの帰りを待ち構えるのは、やめた方がいいです。(自閉症児は疲れて帰宅することが多いですから)また、多くの自閉症児は真面目で疲れやすいので「今はしんどくて無理です」などの断り方も教えます。息子とわたしたちの未来のために出典 : 息子が小学生の頃は、はっきり言って、家事を教え続けるのはとても面倒でした。でも「息子と一緒に家事ができたらいいな~♪ 息子の自立に役立つし、家の中もキレイになるし、一石二鳥!」と思い続けていました。子育てで、こういうことをしていると私が言うと「お金がもらえなくては動かない人になるのでは?」と心配する保護者もいます。でも、うちの場合は全然そんなことはありません。「はさみ取って、窓閉めて~。」など周囲のお願いは、息子は(お金に関係なく)よく動いてくれます。「周りの人達の苦労やお金の価値もわかり、金銭管理もしてほしい。家事ができる息子は(将来の就労先や、グループホームなどでも)きっと周りの人たちの役に立つ、助けられる人になる」と思うのです。私は息子の頑張りをいつも気分よくほめているし、息子に感謝の言葉をよく言っています。それで息子からも「ありがとうございます。よろしくお願いします。」の言葉が自然と増えました。確かに療育手帳B1以上でないと、多くの家事はできないかもしれません。でも、お子さんにゴミ出しなど、簡単なこと一つだけでもやらせて下さい。それが習慣化するだけで、母は気持ち的にとても楽になるでしょう。うちの息子は幼少期、超多動児でした。私は希望もなくうつ病になったりで大変でした。しかし自閉症児は真面目で几帳面な子が多く、息子は掃除をし続けていると、どんどん長所が「キレイ好き」に変わっていきました。一般的に多動児の方が家事能力など、伸びやすいようです。多動児は「動いている方が楽な人たち」が多いので、今は「多動はプレゼント」だと思えるようになりました。※私の「発達障がい児には 家事をさせよう!」のブログには(上記の詳細記事以外にも)お手伝い記事などをたくさん掲載しています。『発達障がい児には 家事をさせよう!』
2017年10月08日川崎市では発達障害児の生活支援ツールのひとつとして「サポートカード」を発行しています。川崎市健康福祉局から発行されているこのカードは、発達障害により日常生活のさまざまなシーン(学校、医療機関、美容院など)でうまくコミュニケーションがとれずに困っているお子さんが、特性に応じた配慮を受けられるよう提示するものです。このカードを作ったのは、川崎市通級親の会・前会長の今村優子さん。普通の主婦であり母である今村さんがどのように行政を動かしたのか、話しを聞きました。発達障害児への無理解や偏見が誕生のきっかけに今村さんは、サポートカード誕生のきっかけとなった辛い体験を次のように話してくれました。当時小3だった息子さん(DAMP症候群=外的刺激に対して健常児よりも過敏または鈍感。感情のコントロールが困難。口頭でのルール説明などの理解が困難)が、学校の耳鼻科健診の結果を持参して受診したときの体験です。診察室に入り、今村さんは、息子さんが発達障害児で、耳の中の刺激に過敏で耳かきをさせてくれないこと、ピンセットで耳垢をはがす処置にも過剰反応を示すこと、そのため点耳薬でふやかして洗浄する処置を望むことを医師に伝えました。しかし、医師は聴覚過敏と早合点したのか、途中で話をさえぎり「聴覚過敏と耳垢は話が別だ!甘やかすな!」と一喝。看護師を呼び、4人ががりで息子さんの両手・両足・頭を押さえるように指示し、ピンセットを用意。突然のことに息子さんが驚き頭を動かそうとすると「ばかたれ!」と言って息子さんの頭をげんこつで殴りつけました。耳垢をはがすだけだったため、息子さんが恐怖で固まっている数秒で処置は終わり。医師に「終わり。大騒ぎするな」と言われて診察室をあとにしたそうです。待合室に戻っても息子さんは興奮状態。「あんなに大きい子が大騒ぎして…」と言いたげな周囲の視線も辛かったといいます。「私は息子に『あなたは何も悪いことはしていないけれど、これからもきっと同じ思いをする。だから世の中の無理解にもっと慣れていく必要がある』と話しました。ですが、私自身も納得がいかず、悔しくて涙が止まりませんでした」と今村さん。親の会で知り合った友人に相談したところ、同じような経験をしているお母さんたちがたくさんいることに驚いたそうです。「友人と話しているうちに『発達障害は目に見えにくい障害だけど、医療の現場ですらその特徴が受け入れられずにいるのはおかしい』と思うようになりました」。ある出会いで活動が大きく前進今村さんは、在籍校の校長、区役所福祉課、通級指導教室、川崎市発達相談支援センター、総合教育センターにアポを取って経緯を説明。「学校健診後のしばらくの間だけでも、特別なニーズのある児童も受診の機会が増えることを医師会に通達してほしい」と相談しましたが、いずれも「医師会には直接的な繋がりがないから難しい」という回答。医師会とのコンタクトを試みて相談窓口を探し始めてから1年が経過。話を聞いてもらえる場所すら見つからない状況が続いていました。そこで“窓口探し”や“医師会とコンタクトを取る方法探し”を中断。別の方向から改善に向けて声を上げてみようと考えました。「発達障害を社会に広く認知してもらうきっかけになり、無理解者が支援者に変わるような、または、支援者と要支援者をつなぐようなツールを発信できないか。イメージは妊婦さんのマタニティバッジでした」。ここで誕生したのが「サポートカード」というアイデア。今村さんが自身の高校時代の恩師にこの話をしたところ、市議会議員の田村伸一郎議員を紹介されました。田村議員は自身も難病を抱える子どもを持ち、障害者支援に力を入れていました。今村さんの辛い経験から2年。この出会いが活動を大きく前進させます。田村議員の力添えで、市民・こども局こども福祉課長と今村さんの面談が叶いました。田村議員同席のもと、今村さんは発達障害児の医療機関受診時の現状を訴え、カードの必要性・実現化・医師会へのアプローチを切望。田村議員も行政に働きかけてくれました。今村さんはさらに、自身が会長を務める川崎市通級親の会本部に協力と応援を要請。さらに2年後、ついに現在のサポートカードが完成し、川崎区役所保険福祉センター、発達相談支援センター、療育センターなどでだれもが無料でこのカードを受け取れるようになりました。サポートカードの認知と普及はまだまだこれから!発達障害児を抱える家庭の悩みのひとつが“病院探し”。今村さんは、無理解から来る不適切な対応により、子どもたちの病院嫌いが強化される悪循環を断ち切り、発達障害についての社会認知が広まってほしいという一心で、4年に渡ってこのカードの必要性を訴え続けました。川崎市通級指導教室親の会本部では今後もカードの普及・浸透に向けた活動を展開していく予定とのこと。「現在はまだ、サポートカードの存在を知らない人がほとんど。カードが認知され、実用性・有効性が本当の意味で決まってくるのは、ユーザーである私たちがどのように利用するか、その姿勢に関わってくると考えています。カード発行の際は、川崎市の医師会・歯科医師会・理容協議会・美容連絡協議会にも健康福祉局を通じて連絡をしました。相手側にすべてを期待するのではなく、無理解者を理解者に変えるきっかけとして、積極的に活用していきたいと思っています」取材協力:川崎市通級指導教室親の会前会長・今村優子さん<文・写真:フリーランス記者森藤理絵>
2017年10月07日息子にとって「お祭り」はとても楽しめるものではなく…。出典 : 発達障害のある小学1年生の息子は、聴覚・味覚・触覚などに過敏性があります。そのために、他の人から見たら理解に苦しむようなところでパニックになってしまったり、異常な疲れを感じて動けなくなってしまったりします。そんな息子の過敏性を、私自身がまだきちんと理解できていなかった頃、どこかへ出かけるたびに私は息子に対してイライラしてばかりいました。Upload By 林真紀「お祭り」はその最たるもの。夏祭りは、家族全員とても楽しみにしている行事で、街をあげての準備が始まるたびにワクワクしていました。しかし、そんな気持ちとは裏腹に、出かけるとすぐにパニックを起こす息子。当然、私たち家族にお祭りを楽しむ余地は少しもありません。「他の家族みたいに、普通にお祭りを楽しみたい」そんなことを何度願ったことでしょうか。毎回パニックを起こして真っ青になった息子を連れて帰り、はだけた浴衣を脱ぎ捨てて、家族全員家で大きなため息をつく…。それが毎年の恒例行事となってしまっていました。息子にも他の子どもみたいに、お祭りを楽しめないものか…。そう思いつめるたびに、やり場のない苛立ちが、私の中を支配していました。今思えば、過敏性の強い息子にとって太鼓、お神輿、屋台、たくさんの人、それらの全てが耐えがたいものであったのでしょう。聴覚の過敏により、お祭りの太鼓の音は頭が割れそうなほどつらかったのです。濁流のように押し寄せる音と光と人の刺激に、息子は激しい頭痛と倦怠感で座り込んでしまっていたのでした。自らの過敏性に気づいた息子。訪れた夏祭りで発した言葉は。Upload By 林真紀そんな息子も小学校1年生になり、自分の感覚の特性について自ら気付くことができるようになりました。以前はただただ刺激に翻弄されて泣き叫んでいたけれど、今は「自分のこの感じ方は、自分特有のもの」だと分かってきたといいます。それにつれ、激しいパニックを起こすこともほとんどなくなりました。そして今年もお祭りの季節がやってきました。地域のみんなが楽しみにしているお祭り。夏休みの最後の一大行事で、お祭りには小学校のお友達も大勢集まります。息子は、お友達たちとの再会をとても楽しんでいる様子。そして、小学校のお友達が息子にこう言いました。「盆踊り始まるよ。あっちに行って一緒に踊ろうよ。」すると、息子から飛び出した言葉は、私の思いもよらぬものでした。「盆踊り始まるなら、僕は帰る。またね!」盆踊りこそが夏祭りの盛り上がりの華。それなのに、もう帰るという息子お友達も、お友達の親御さんたちも不思議そうな顔をしています。それでも息子は気にしません。会場を後にして、さっさと家に帰っていってしまいました。そうです。息子はちゃんと分かっていたのです。盆踊りが始まれば、大音響の音楽と太鼓の音が鳴り響くということ。そして、その場に自分がいると、頭痛やパニックに見舞われてしまうこと。そして何よりも、それは我慢する必要のないことだということ…!!他の人と違う楽しみ方があってよいUpload By 林真紀毎年毎年、息子がパニックを起こして、家族全員が無言になっていた夏祭り。今年は息子と私は一番盛り上がっているときに帰宅しましたが、他の家族はお祭りを最後まで楽しむことができました。息子自身も自己嫌悪で終わっていた夏祭り。しかし、今年の息子の口から飛び出したのは「今年のお祭りは楽しかったよ~!!」という言葉でした。誰も我慢する必要なんてない、誰も無理する必要なんてない、その子に合った楽しみ方をすればいいんだ…。そう気づいたとき、初めて私も息子も、そして他の家族も、この世界に居場所を見つけたような気持ちになったのでした。家族も、常にみんな一緒じゃなくて良いのです。家族が4人いれば、それぞれ持って生まれた性質や特性も違うのです。それぞれが無理をしなくて良いように、それぞれのスケジュールで動けば良いのです。誰かが誰かに無理をして合わせるのではなく、それぞれがほどほどに楽しめるためにはどうしたら良いのか、そう考えながら生活を回していくことの大切さ…。私は今年の夏祭りで気づかされたのでした。
2017年10月07日「第11回 LITALICO 教育実践フォーラム 2017」開催!Upload By LITALICOニュース2017年11月18日(土)の13:30より、大阪・梅田の「AP 大阪梅田茶屋町」(D+E+F+Gルーム)にて、発達障害に対する学校教育での合理的配慮をテーマとしたイベント、「教育実践フォーラム」が開催されます。登壇者は、発達障害児への教育支援研究の第一人者である大阪医科大学LDセンター顧問 竹田契一先生、障害児のICT活用等の研究を進める関西学院大学教育学部教授 丹羽登先生、障害や不適応状態について「環境」と「個人」両方向からの心理的支援や教育を研究する鳥取大学大学院の井上雅彦教授ほか、小中学校・高校の教員、児童・生徒の保護者の方々。「障害のない社会をつくる」をビジョンに、児童発達支援事業や就労支援事業などを展開する株式会社LITALICOが主催し、教育を取り巻く課題と実践、未来の展望を考える「教育実践フォーラム」。2012年の初回企画から数えて、今回で11回目の開催となります。11回目のテーマは「合理的配慮」。どんな人々も個性を尊重され、過ごしやすい世の中になれば理想ですが、特定の個性や心身の症状を持っている人にとって生きづらい状況がまだまだ残っているのが現状です。たとえ障害のある方であっても、一人ひとりの困りごとや状況に応じた適切な配慮を受けることで、自分の力をより発揮しやすくなり、日常生活や社会生活を営むことが出来るようになる、という考えのもと進められているのが、「合理的配慮」です。今回は、専門家・現場の教員・保護者それぞれの立場から合理的配慮のあり方について考えていきます。第11回教育実践フォーラム専門家と保護者、それぞれの立場から語る教育現場の合理的配慮2016年4月に施行された「障害者差別解消法」(障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律)により、公立学校の教育現場でも合理的配慮が義務化されました。発達障害のある子どもにとって、学校生活における困りごととして、授業やテスト、成績評価、行事、さらには食事や排泄、友だちとの関わりなど、さまざまな場面が想定されます。フォーラムの基調講演では、発達障害に対する教育現場での合理的配慮に関して、発達障害児への教育支援研究の第一人者として長年ご活躍される竹田契一先生のお話を伺います。講師:大阪医科大学LDセンター 顧問 竹田契一先生Upload By LITALICOニュース竹田契一大阪医科大学LDセンター顧問、大阪教育大学名誉教授、一般財団法人特別支援教育士資格認定協会理事長。専門は発達障害児(LD・ADHD・高機能広汎性発達障害)への教育的支援など。主な著書は「高機能広汎性発達障害の教育的支援」(明治図書)他、多数。基調講演のあとは、障害児のICT活用について研究を重ねられている丹羽先生からお話を伺います。社会の情報化が急速に展開している中、授業の双方向性を高め、児童生徒の主体性・意欲・関心や知識・理解を高める効果があるとして、学校教育におけるICT活用が注目されています。指導内容や指導方法を変更・調整することが合理的配慮の1つとして求められていますが、お子さんによっては、タブレット端末等のICTの活用が効果的なことがあり、積極的な活用が望まれています。丹羽先生の講演では、教育現場での合理的配慮の手段としてのICT活用について考えていきます。講師:関西学院大学 教育学部 教授 丹羽登先生Upload By LITALICOニュース丹羽登特別支援学級や特別支援学校の教員として重度障害児教育に携わる傍ら障害児のICT活用等の研究活動を進める。文部科学省初等中等教育局特別支援教育課特別支援教育調査官を経て、関西学院大学教育学部教授。病弱教育や障害児のICT活用に関する著書・論文多数。最後に、専門家・保護者等それぞれの立場から教育現場の合理的配慮の実際と課題について語るパネルディスカッションです。コーディネーター: 鳥取大学大学院教授井上雅彦Upload By LITALICOニュース井上雅彦鳥取大学大学院 教授/LITALICO研究所所長(アドバイザー)応用行動分析学を理論的基盤として障害や不適応状態について「環境」と「個人」両方向からの心理的支援や教育を研究。ペアレントトレーニングシステムなどの支援プログラムの開発をはじめ、著書も多数。合理的配慮の導入を円滑にするためには、学校や本人・保護者が合理的配慮実現のための流れやしくみを共通理解し、コミュニケーションを密にすることが鍵となります。現場の教員の方々をパネリストに招き、保護者の方々にコメンテーターをしていただきながら、今現場で必要とされることについて考えていきたいと思います。第11回教育実践フォーラム詳細開催日時:11月18日(土) 13:30~18:45(受付開始 13:00)(教材等自由閲覧時間18:45~19:45)定員:240名参加費:無料(事前申込制)対象:小学校~高等学校、幼稚園、保育施設の職員、スクールカウンセラーなど子どもの教育や医療・福祉・行政機関など子どもの支援に関わられている方会場:AP 大阪梅田茶屋町 D+E+F+Gルーム(大阪府大阪市北区茶屋町1-27ABC-MART梅田ビル8F)アクセス:JR「大阪駅」御堂筋北口より徒歩約3分阪急電車「梅田駅」2F中央改札口より徒歩約1分地下鉄御堂筋線「梅田駅」北改札より徒歩約3分地下鉄谷町線「東梅田駅」北東改札・北西改札より徒歩約5分阪神電車「梅田駅」東改札口より徒歩約5分お申込み締切:2017年11月17日(金)13:00お問い合わせ:03-5704-7361(地域教育相談室 岡野)※お申込みは下部ボタンのお申込みフォームよりお願いいたします。主催:株式会社LITALICO(LITALICOジュニア)12:00~発達ナビ活用セミナー〈希望者のみ〉(50分)13:00~受付開始13:30~開会挨拶(30分)株式会社LITALICO執行役員 野口晃菜14:00~基調講演(60分)【講師】大阪医科大学LDセンター 顧問 竹田契一先生15:00~質疑応答&休憩(15分)15:15~講演(60分)【講師】関西学院大学 教育学部 教授 丹羽登先生16:15~質疑応答&休憩(10分)16:25~パネルディスカッション(120分)【コーディネーター】井上雅彦先生【パネリスト】小中学校・高校の教員など数名【コメンテーター】丹羽登先生、児童・生徒の保護者さま18:25~質疑応答、インフォメーション、閉会挨拶(20分)18:45~パネル展示・教材自由閲覧・発達ナビ活用セミナー〈希望者のみ〉(60分)19:45終了学校や幼稚園、保育園の先生やカウンセラーの方々、子どもの発達が気になる保護者様はじめ、学校教育における「合理的配慮」に関心のある方々はどなたでもご参加いただけます。たくさんの方のご来場をお待ちしております!
2017年10月06日新生児けいれんとは?出典 : 新生児けいれんとは、生後28日未満の新生児に起こるけいれん症状のことを指します。出生体重3000グラム以上の成熟児での発症率は1000人のうち2~2.8%、2500グラム未満の低出生体重児では9.37~13.5%となっており、低出生体重児に多く発症します。けいれん発作は、広義には体を強張らせて震えることを指します。「けいれん」と聞いて、まず「大発作」などの突然倒れてしまうイメージを浮かべる方も多いでしょう。しかし、新生児けいれんの特徴的な発作は「微細発作」です。まばたきの繰り返し、もぐもぐ口を動かす、自転車をこぐような動きなど、一目でけいれんとは分かりにくい発作が特徴的です。いつもと違う、違和感のある動きをしていれば微細発作の可能性があります。新生児けいれんの原因は低酸素性虚血性脳症や頭蓋内出血、脳梗塞、感染症などが原因でけいれんが発症するため、早期治療が必要です。また新生児けいれんの発症をきっかけに、その後てんかんが発症する可能性もあります。新生児けいれんに関わらず、けいれんが長く続くと後遺症が残りやすいと言われています。適切なけいれん時の対処や、必要ならば救急車を呼ぶなど、瞬時に判断できるように知識を身につけておくことをおすすめします。出典:新生児けいれん|日産婦誌57巻7号研修コーナー新生児けいれんの症状出典 : 新生児けいれんには、頻度の高い順に微細発作、強直性けいれん、間代性けいれん、ミオクローヌスけいれんの4つのけいれんの種類があります。最も多いとされている微細発作は、発作症状が分かりにくく、見つかりにくいといわれています。<微細発作>・眼球運動の異常水平眼球偏位(眼球が水平に動くがまばたきがない状態)・口や頬(ほほ)、舌の異常運動舌を出す、しかめっ面を繰り返す、ウインクの様な動き・四肢の異常行動自転車こぎ、水泳のクロールのような動き・自律神経症状血圧上昇、チアノーゼ(体内の酸素濃度が低下し、唇などが青紫色になること)、紅潮、多呼吸など・呼吸運動の異常無呼吸発作、発作性過呼吸<強直性けいれん>・突然意識を失い白目をむく・身体が急に強張り手足をピーンと突っぱる・口を固く食いしばり呼吸を止める・チアノーゼを起こすこともある<間代性けいれん>・膝を折り曲げる格好をしながらバタバタと手足をばたつかせる・あごがガクガク震える・一定のリズムでけいれんが起きる<ミオクローヌスけいれん>・全身または手足の一部分の筋肉が一瞬ピクッと収縮する・光によって誘発されるため、寝起きや寝入りに起こりやすい・症状を自覚することは少ない新生児けいれんの原因出典 : 新生児けいれんの原因は新生児期にかかりやすいさまざまな疾患が原因となっています。けいれん症状はおおむね、大脳の神経細胞の異常興奮によって、不必要な神経回路にまで情報が伝達され引き起こされます。新生児けいれんの原因疾患もほとんどが脳に関わる疾患となっています。ここでは新生児けいれんの原因疾患を紹介していきます。・低酸素性虚血性脳症妊娠中や出産の際に、何らかの原因で赤ちゃんの脳に酸素を十分に含んだ血液が回らなくなり、低酸素、虚血がおこります。それによって、けいれんや意識障害などの神経症状を伴うさまざまな脳神経障害を起こします。新生児けいれんの原因として最も多いとされています。・頭蓋内出血頭蓋内出血は頭蓋骨の内部に出血が起こった状態を指します。出血が起こった場所によって、くも膜下出血や硬膜外出血などに分けられています。分娩外傷や仮死が原因で起こりますが、けいれんが起こる前の全身状態は良好であることが多いといわれています。・脳梗塞脳の血管が詰まるなど、何らかの原因で脳内の血液のめぐりが低下し、一部の脳組織が壊死することをいいます。仮死、多血症、血栓などができることによってけいれんが起こります。・中枢神経感染症細菌性髄膜炎やウイルス性脳炎などが原因で脳の中枢神経に異常をきたし、けいれんが起こります。・発達異常・奇形先天的な遺伝子変異が原因の疾患によって、大脳皮質の形成異常がみられることから、新生児けいれん、てんかん、発達障害などの症状を併発します。・代謝異常代謝活動あるいはこれを調節する機能が、何らかの原因で妨げられて生じる異常状態のことを言います。低血糖や低カルシウム血症などの代謝異常は糖尿病母体児や低出生体重児などに多く、先天性代謝異常がある子どもが新生児けいれんやてんかんなどのけいれん症状を起こしやすいと言われています。・新生児てんかん新生児てんかんは乳幼児期に発症するてんかんのことで、2つに分類されます。良性家族性新生児けいれんは遺伝性のてんかんです。約4割は生後3日目前後に発作が起こり、そのうちの約7割は生後6週間以内に発作がおさまるといわれています。無呼吸発作が起こることもあります。良性突発性新生児けいれんは、生後5日目前後に間代発作や無呼吸発作を何回も繰り返すものの、明らかな原因がないてんかんです。この時期を過ぎると発作は再発しません。新生児けいれんとてんかんなどとの関係は?出典 : 新生児けいれんを発症した子どものうちの56%は、てんかんが発症する可能性があるといわれています。てんかんとは慢性的な脳の疾患(障害)で、大脳の神経細胞が過剰に興奮することで発作症状を引き起こす疾患です。年齢・性別・環境に関わらず発作は発症します。てんかん発作は突然倒れて意識を失い、けいれんを起こすといったいわゆる大発作と体の一部が勝手に動いたり、会話の途中にぼんやりしたと思ったら意識を失っていたりといった小発作などがあります。てんかん発作はほとんどが完治することはなく、長年付き合い続けなくてはいけない疾患です。現在、新生児けいれんを発症した子どもにてんかんが多い原因は研究中で解明されていません。他にも、子どもに起こりやすいけいれん症状に、熱性けいれんや急性脳症などがありますが、新生児期に発症することはまれです。熱性けいれんは高熱によってけいれんが起こり、急性脳症は代謝異常などによってけいれんが起こります。表出する症状はけいれんですが、原因疾患などによって鑑別され、それぞれに合った治療を行っていきます。出典:新生児けいれん|日産婦誌57巻7号研修コーナー新生児けいれんの診断・検査方法とは出典 : 新生児けいれんの診断にはいくつかの検査を行います。次の検査は新生児けいれんの診断において、一般的に行われている検査になります。◇頭部画像検査(CT、MRI)新生児けいれんの原因疾患があるかどうかを確認するために行います。どちらも検査服に着替えて、ベッドに横たわり筒状の機器の中に入るだけで検査は行えます。MRIは電波を使って身体の断層を撮影する方法です。CTスキャンはX線を用いて身体の断層を画像にします。◇髄膜検査髄膜刺激症状と30分以上の意識障害が伴う場合には髄膜検査を行います。髄膜刺激症状とは、首の硬直や膝を曲げた状態で股関節を直角に屈曲し、そのまま膝を伸ばそうとすると抵抗があることをいいます(ケルニッヒ徴候などがあります)。これは新生児けいれんと似た症状がある髄膜炎との鑑別のために行います。◇血液・髄液検査血液検査で血糖、カルシウムやナトリウムなどの電解質、感染徴候などを確認し、その他に必要と認められた項目の値を検査します。さらに髄膜炎などとの鑑別を図るために、髄液検査も行います。◇脳波検査脳波検査はけいれんの診断や後遺症の予測に非常に有用な検査です。しかし、けいれんの種類によっては必ずしも脳波で診断が行えない場合もあります。この他にも医師が必要と認めた検査を受けることがあります。新生児けいれんが起こったら出典 : 子どもに突然けいれんが起こったら、しかも生まれたばかりの新生児期に起こった場合、驚いてしまう保護者の方も多いのではないかと思います。しかし、正しい知識を持っていれば冷静に対処することができます。子どもが新生児けいれんを起こしたときには、以下のような対処法を実践してください。<けいれん時の対処法>・首の周りなどを締め付けないように衣服を緩めてください・抱きかかえず、平らなところに寝かせてください・嘔吐や口の中に固形物がある場合は、顔を左に向けて吐いた物が気道に詰まらないようにしてください・口や鼻の周りの吐物を拭き取ってください・診察時にそなえて、けいれんの様子(左右差)や持続時間、体温などを確認しておいてください。余裕があれば不謹慎だと思わずに動画などを撮影し記録してください(診察時、てんかんとの鑑別に役立ちます)。<してはいけないこと>・大声で名前を呼んだり、身体を揺すったりしない(刺激となり、けいれんが長引く場合があります)・「舌を噛まないように」と口の中に物を入れたりしない(けいれんで舌を噛むことはほとんどありません)けいれんの持続時間によって、その後に後遺症が残る可能性の割合が変わってきます。新生児けいれんの場合は原因疾患が早急に治療を必要とするため、救急車を呼ぶか、病院での診察が必要なケースがほとんどです。そうはいっても、けいれんを起こす疾患は他にもたくさんあります。救急車を呼んだり、病院に連れていったりする基準として下記を参考にしてみてください。Upload By 発達障害のキホン【救急車を呼ぶ】・5分以上けいれんが続く・けいれんが終わったが、その後も意識障害が続く(睡眠とは別)【病院へ行く】・初めてけいれんを起こしたとき・全身けいれんではなく、体の一部または左右非対称なけいれんがある【保護者がパニックで判断しにくい場合】・小児救急電話相談(#8000)に電話相談をする小児救急電話相談は厚生労働省がすすめる相談事業です。#8000番に電話すると、お住まいの都道府県の相談窓口につながります。そこで小児科医師・看護師から、お子さんの症状に応じた適切な対処の仕方や、受診する病院などのアドバイスを受けることができます。新生児けいれん以外にも使用することができます。#8000番に電話をして状況を伝えることで、医師や看護師の適切な指示を受けることができ、子どもの保護者も、その場の対処や救急車・通院の判断を行いやすくなります。参考:小児救急電話相談事業(#8000)について|厚生労働省新生児けいれんの後遺症が心配…。治療法はあるの?出典 : 新生児けいれんの治療は正式なガイドラインが設けられているわけではありません。原因疾患によって治療方法が異なってくるため、それぞれの疾患に必要とされる医療が行われることになります。原因疾患の治療は、薬物治療を主として行われています。新生児けいれんを発症した子どものうち、25~35%が知的障害や運動障害を発症するとされています。新生児けいれんは原因疾患の種類やけいれんの持続時間などによって、後遺症の発症率や程度が異なります。けいれん症状は長ければ長いほど、後遺症の発症率や障害の程度は重い傾向に引き上げられます。医療の進歩によって新生児けいれんの死亡率は改善されてきています。以前は約40%あった死亡率ですが20%と減少し、今後も死亡率は減少していくでしょう。ここでは、あくまでこれまでの研究による統計的な数値をもとに紹介しました。新生児けいれんを発症した子どもの中にも、定型的な発達を歩む子どもは多くいます。出典:新生児けいれん|日産婦誌57巻7号研修コーナーまとめ出典 : 新生児に起こるけいれんは、良性で2週間~半年ほどで完治するものもあれば、原因によっては後遺症を残すほど重度化するものもあります。またてんかんを引き起こしやすいのも特徴的です。実際にけいれんが起こった際は、保護者がパニックになってしまうこともあるかもしれません。できることならば事前に情報収集などを行っておくことと、緊急性が高く、その場に頼れる人がいないときは#8000に電話し、落ち着いて最善の判断を行えるとよいですね。このコラムがいざという時のお守り代わりになることを願います。
2017年10月05日すっかりお姉ちゃんに!広汎性発達障害のある娘は、小学1年生(6歳)。去年、弟が産まれました。最初のうちは新しい家族の出現に戸惑ってもいたようです。娘は聴覚過敏のため、「弟の泣き声が苦手…」と感じ、母に訴えることもありました。しかし、今では一方的に迷惑がるということは少なくなりました。その理由は、自分が「おねえちゃん」という自覚が育まれているから、のようです。2人とも成長中!きょうだいの愛が感じられ、母は嬉しい…日々の様子をお伝えします。娘のお姉ちゃん歴も…もうすぐ1年!最初はどうなることかと思っていたのですが、娘はすっかりお姉ちゃん。弟に対する接し方も、板についてきました。最近では、自分から「面倒見るよ~♪」と声をかけてくれるようになりました。Upload By SAKURAそんな2人の遊び風景を、いくつかご紹介したいと思います。姉と弟…その1Upload By SAKURA姉と弟…その2Upload By SAKURA姉と弟…その3Upload By SAKURA弟に対して、寛大すぎる!Upload By SAKURA娘と比べ、わんぱくすぎる息子は、ちょっとばかし遊び方が激しい…。そんな息子の相手をする娘は、いつもやられっぱなし。Upload By SAKURAいくら相手が赤子といっても、あまりに寛大すぎる娘。頭が下がります。(私は、11か月の赤ちゃん相手でも、寛大でいられない。)と、同時に優しい姉を持つ、このわんぱくすぎる息子のこれから…。ちょっと恐ろしいです(笑)
2017年10月04日子どもの成長は嬉しい。でも反抗期は超たいへん!?ーかなしろにゃんこ。さんの漫画エッセイ新刊、第2話を先行公開!発達ナビにも漫画コラムを連載中、かなしろにゃんこ。さんの新刊『うちの子はADHD反抗期で超たいへん!』(講談社)が、10月4日に発売されます。注意欠陥と衝動性のADHDなどがある、著者・かなしろさんの息子さんのリュウ太くんがとうとう反抗期に突入!この漫画では、発達障害と診断された小学校高学年から、高校受験までの様子が、描かれています。発達ナビでは、新刊の第1話・第2話を特別に先行公開!(第1話は以下のリンクから読めます)第2話「ADHDのことを伝える」です。(画像提供: 講談社)Upload By 発達ナビ編集部Upload By 発達ナビ編集部Upload By 発達ナビ編集部Upload By 発達ナビ編集部Upload By 発達ナビ編集部Upload By 発達ナビ編集部Upload By 発達ナビ編集部監修は田中康雄先生(北海道大学名誉教授、こころとそだちのクリニックむすびめ院長)、かなしろさんの漫画のほか、著書内には田中先生の書き下ろしの解説も収録しています。
2017年10月03日