むっくんが不登校を選ぶまで――これまでの経緯私たちは小1の秋から不登校を選びました。不登校に踏み切るまでのお話は以前のコラムにまとめています。当時のむっくんは大人に気持ちを伝えることが難しく、私たちも本人の様子を観察することで気持ちを汲み取る必要がありましたが、最近では当時感じていたいろいろな気持ちを言葉にして教えてくれることが増えてきました。「学校はとてもうるさくて疲れること」「学習で理解できていることを何度もやらなければならないつらさ」「上級生にからかわれた嫌な思い出」「友達に対する先生の学習指導が納得いかなかったこと」「突然予定が変わる不安」「いろんなことをじっと待たなければいけない不快感」「自分の発言や行動を周囲の人たちがどう感じているのか分からないという不安」「ほかの生徒が叱られている様子を見たこと。次は同じように自分が怒られるのではないかと心配で仕方なくなること」「何故これをやるのか教えてもらえないこと。質問しても納得する答えがもらえないこと」「なにもかも、勝手に決められてしまうこと」そういうものすべてひっくるめて「学校は怖い」ということ。むっくんの当時の心境は?むっくんがぽつり、ぽつりと話す当時の思いからは、彼は私たちが思うよりずっと繊細に周囲の様子を見聞きし、感じ取り、彼なりに考え、彼なりの努力をしながら、小さな心を痛めていたことを改めて知らせてくれます。学校へ行かない理由は単純なものではなく、ちいさな綻びがたくさんたくさん積もった結果だということが感じ取れます。話を聞けば聞くほど「彼には学校というシステム自体が合わない。どれだけ配慮があろうとつらさを感じてしまうだろう。だから行かない選択が彼の心を守ることにつながるのだ」と潔く思えているのが現在の親としての正直な気持ちです。休校があった年の新1年生なので、むっくんが小学校へ通った時間は約2ヶ月半。本人は学校へ通っていたころを振り返り「少しだけ行ったから、学校がどんなところか知ることができた。行ったから、知れて。知ったから行かないって決めることができた。だから少しだけど行ってよかったんだよ」と話しています。Upload By ウチノコ不登校選択後の家庭での様子むっくんは不登校を選んだ当初、精神的に不安定で私から離れられない、外出を嫌がる、夜眠れない様子などが見られました。そのため初期のころはとにかく無理せずゆっくりと、心と体が休まるように過ごしました。むっくんの周囲の大人は、私や夫をはじめ祖父母に至るまで彼の不登校を肯定的に捉えているので、家庭や家族が安全基地として機能することができました。また、学校へ行きたくないと話してから不登校の決断までも早かったので、無理をさせた時間が短かったことも幸いしたのか、むっくんは半年程度でそれなりに元気を取り戻すことができました。元気を取り戻してくると「暇だな~、なんかすることない?」と活動を求めることが増えていきました。そのため、私たちは学校が担っていた役割を今後どう担保していくか、ということを考えるようになりました。学校へ行ってくれたら正直な話、私は楽に過ごせます。だけど、再び学校へ戻ることを求めると、むっくんはまた心を壊してしまうと感じていました。そこでここからはホームエデュケーション(家庭を拠点に、子どもを尊重しながら、社会の資源を生かして学ぶこと)を目指していくことに決めたのです。Upload By ウチノコ家庭での体験学習最初に家庭をベースに取り組んでいくことにしたのが【体験学習】になります。【体験学習】といっても、なにか特別なことをするわけではありません。本人がやりたがることができるように、環境を整えたり、一緒に活動したりするだけです。普段の過ごし方は以前まとめたコラムがあるので参照してみてください。もともとむっくんはとても好奇心旺盛な人なので、次から次へいろいろと手を出していろんなことを楽しんでいます。中途半端感は否めませんが、楽しそうにくるくる動くむっくんを見ていることはうれしくもあります。特に料理に関するスキルが良く伸びていて、最近では私にお昼ご飯をつくってくれたり、弟のおやつを手作りしてくれたり。毎日好きなことをして過ごすうちに、こんなことを知っているんだ、こんなことできるようになってたんだと驚かされることもあり、何をしても学習になり、いろいろなことをどんどん吸収して成長していくのだなぁと感じています。さらに最近では、公営施設が行う子ども向けのイベントや公開講座などにも参加できるようになり体験の幅も広がってきました。子ども向けの講座は探せばたくさんあるので、本人の「好き」を大切にいろんな体験を積むことはそう難しくないのだと感じています。Upload By ウチノコ執筆/ウチノコ(監修:初川先生より)むっくんにとって、学校というシステムが合わない。本人の語りや様子をふまえ、ウチノコさんがご決断されたこと、さまざまな考えが逡巡したことと思いますが、ご家族みなさんが今はむっくんの不登校という選択を肯定的に捉えていらっしゃるとのこと何よりです。不登校になった当初は精神的に不安定になるお子さんは多くみられます。まずは休養を取られたこと、とてもよかったと思います。「暇」と言い始めるのが元気が回復してきた証拠なのはその通りです。体験学習を中心に過ごしているのもいいですね。むっくんは公営施設での子ども向けイベントに参加できるのですね(それは何よりです!)。家庭の中だけでは経験しづらいこともあるので、そうした催しをうまく利用できるといいですね。また、学校というシステム(セッティング)には合わなかったということですが、学校教育は膨大な内容を提供してくれる装置である側面もあります。学校ではどんなことを扱っているのかという視点も、大人の側は持っておくのもよいと思います。自分の生きるこの世界にはさまざまなもの・こと・不思議があるのだということを、さまざまな観点・視点から提示し、その中でお子さんが興味関心を持つものを見つけられるといいなと思います。
2022年08月18日10代の子どもたちに知ってほしい法律の知識ーー『こども六法ノベルその事件、こども弁護士におまかせ!』「法律は、難しくてどこか冷たいイメージがある」「法律でなんでも解決できる」…法律に対してどのような印象を持っているでしょうか。法律は、決して万能ではありませんが、正しく学ぶことでさまざまな理不尽な問題に対抗するための武器になります。この本は、中学1年生の主人公・久家祐樹(くげ ゆうき)と「こども弁護士」である高校2年生の姉・智紘(ちひろ)が「くげ法律事務所」に訪れるさまざまな相談者と関わり、法律の知識や思考力を駆使し、事件解決に向けて奮闘するという話です。いじめ、ブラックバイト、デートDVなど、10代の子どもたちが知っておきたい大事なテーマが盛り込まれています。10代の子どもたちが理不尽な問題に巻き込まれてしまう機会が増えている近年、自分や友達の身を守るためにも、法律に関する正しい知識を身に着け、ときには「法律家を頼る」という選択肢を持つことも大切です。夏休みにお子さんと一緒に、「もしこういう問題が起きたときはどう対処しよう」と考えてみるのもいいかもしれません。当事者の視点から「なぜできないのか」を知るーー『発達障害 「できないこと」には理由がある!』「集団行動ができない」「危険な遊びがやめられない」「運動や細かい作業ができない…」発達障害のある人は、得意なこともたくさんある反面、その特性から「苦手なこと、できないこと」がいくつかあります。この本の著者は、発達ナビで連載を持つ、かなしろにゃんこさん。かなしろさんの息子さんのリュウ太くんにはADHDがあります。20代になったリュウ太くんが、小学生のころのことを思い出して「なぜできなかったのか」「できないためにどう感じたのか」を語ってくれた内容がこの本にまとめられています。この本を通して、当事者の視点を少しでも知ることができれば、お子さんの行動や言動への理解がより深まるかもしれません。保護者の方だけでなく、発達障害に関わるさまざまな職業の方におすすめの一冊です。悩んでいるのは自分だけじゃないーー『マンガで読む 学校に行きたくない君へ: 不登校・いじめを経験した先輩たちが語る生き方のヒント』夏休み明けは不登校になりやすい時期であるといわれています。勉強や友人関係など何らかの問題でつまづいてしまったり、環境に適応できなくなったりしてしまうことで、突然学校に行けなくなってしまうこともあるかと思います。この本の著者は、自身も不登校の経験がある漫画家の棚園正一さん。数々の著名人に不登校当事者がインタビューを行った前作に引き続き、今作ではキンタロー。さん、宮本亜門さん、サヘル・ローズさんなど、実際に不登校やいじめを経験した著名人の体験談が紹介されています。テレビで明るい姿を見せてくれるあの方々にも過去にはさまざまな葛藤や悩みがあったことが分かります。「こんな悩みを抱えているのは、学校に行きたくないと思うのは、自分だけじゃない」と知ることで少しでも気持ちが楽になったり、これからの人生を生きる上でのヒントを得られるかもしれません。この時期におすすめの一冊です。多様な子どもたちが受け入れられる保育とは?を考えるーー『「インクルーシブな保育」導入のススメ』多様性やインクルーシブという言葉が当たり前になってきた近年。しかし日頃の生活の中で本当に多様性は実現されているのでしょうか。本当に多様な子どもたちが受け入れられる社会を作るためにはどうしたらよいのでしょうか。この本の著者は、玉川大学教育学部乳幼児発達学科の教授であり、学校法人育愛学園の理事長、式の森幼稚園の園長も務める若月芳浩先生。この本では、法律や歴史、障害観、保育の課題など幅広い視点から、「多様な子どもたちを受け入れるインクルーシブな保育とはどのように実現されるのか」について述べられています。低賃金、業務の多さ、長時間労働などによる保育士の人材不足といった現場の課題が可視化されつつある中で、多様な子どもを受け入れる体制をつくりつつ、保育者にとっても働きやすい現場をつくるにはどうしたらいいのか、そのヒントをこの本が与えてくれるかもしれません。就学前に学習の基礎となる力をはぐくみたいーー『ひらがなコグトレ』「小学校に入学したら勉強についていけるのだろうか…」そんな悩みを抱えている保護者の方もいらっしゃるかもしれません。この本では、就学してから必要になるひらがなを用いた、小学校での学習に必要な力をはぐくむことを目的としたトレーニングが紹介されています。てんつなぎ、かがみひらがな、ひらがなつなぎなど、文字や記号の形を正確にとらえるための力をはぐくむトレーニングにより、ひらがなを書く力や学習の基礎となる「知覚力」「想像力」「注意力」を高めることが期待できます。もちろん、子どもに適した学習方法はその子の特性などによりさまざまですが、「ひらがなコグトレ」はその一つの選択肢になるかもしれません。小学校に入る前の準備運動として、お子さんとこの本のトレーニングに楽しく挑戦してみてはいかがでしょうか。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!
2022年08月17日長男が乳幼児期のころは育児書を参考にしながら育てていた私が読んでいた育児書には、乳幼児期の予防接種、離乳食、病気のことのほかにも、生まれたときからひと月、ひと月の赤ちゃんの平均的な成長の様子や、1歳から3歳までの発育段階などが書かれていたので、何か気になることがあれば、それらと比較しながら長男を育てていた記憶があります。その育児書は、長男が2歳を過ぎたあたりからほとんど手に取ることもなくなっていたのですが、私は「今後2人目を授かることができれば、また何かの参考になるかもしれない」と思い、捨てずにとっておくことにしました。Upload By みんそして次男のPが生まれてから、私は2人目の育児ということもあり、育児書を開くことは滅多になく、その育児書の存在も忘れかけていました。でも、Pが1歳半を過ぎたあたりのころ、1歳半健診でPの発達に疑問を持ち始めた私は、そういえば!と育児書の存在を思い出し、久しぶりに育児書を手に取り読んでみました。そこには「1歳半ごろにはこのような成長が見られる」「2歳ごろにはこんなことができるようになる」などと書かれていて、その育児書に書いてある発達段階と、Pの発達段階との差に私は驚き、焦り始めました。それから先は、Pが年齢を重ねるごとに育児書に書いている内容に追いつくどころか、どんどん差が広がっていき、私はその育児書を見ること自体がつらくなってしまいました。育児書に書いてある「平均」とされている発達段階は、発達障害のあるわが子を育てている私にとっては参考になるどころか、逆に残酷な内容になってしまっていたような気がしました。育児書なんて見たくない!つらくなるだけ!!Upload By みんそして時は過ぎ、Pは小学1年生になり、私自身の気持ちも落ち着いたころのことです。部屋の片づけをしていたときに、まだ捨てずに置いてあった育児書の存在を思い出しました。もう捨ててしまおうと思ったのですが、その前に4年ぶりくらいに育児書のページを開いてみました。そこには変わらず赤ちゃんの成長の様子が書かれていましたが、私はそれらを見てこう思いました。「参考になる!」と…Pは現在7歳ですが、発達年齢は2歳前半くらいです。育児書には「2〜3歳ごろには3語文を話し、3歳ごろには滑らかに話すようになります」と書いてありました。現在のPもまだ単語が主ではありますが、たまに2語文から3語文を話し始めるようになってきたので、もしかしたら「何年か後には滑らかに言葉が出るようになるかもしれない?」と、読むのがつらかったはずの育児書から希望を持てるようにもなりました。Upload By みん時が経ち、今ごろになって育児書が参考になると思えた…そして、育児書にはこんなことも書かれていました。「ママが他の人と会話するのを見せれば、赤ちゃんもママの真似をして自然とお喋りするようになります。」Pの場合は、自然とお喋りするのは難しいのですが、私が誰かと何気なく会話している姿をPに見せることは、7歳になった今のPにとっても、ちゃんと学びの場につながっているのかもしれない!と改めて気づかされました。久しぶりに開いた育児書から、日頃の些細なことからでも、Pの発達を促すことができるということを思い出させてもらえました。Upload By みん私は、「育児書に書いてあることが全ての子どもに当てはまるわけではない」と自分自身が痛感したことで、時に育児書の存在は、人によっては残酷なものにもなると思っていました。でも時を経て、私にとって開くのもつらかった育児書の存在は、今現在、「参考になる!」と思えるようになりました。そんな自分の気持ちの変化に驚いています。執筆/みん(監修:井上先生より)育児書の発達段階は、標準的な発達が大まかな段階で分かりやすく書かれていると思います。少し年齢が上ったときにも参考になる部分はあるかもしれません。とは言え、子どもの発達は決して順番通りではなく個人差もあります。特に発達に偏りのあるお子さんは得意不得意の領域の差も大きいと思います。大まかな発達段階は参考にしながら、発達の順番通りにこだわらず、得意な分野や現在できるようになってきていることを中心に子育てされていくと良いかもしれません。
2022年08月17日小学生の息子は、夏休み明けは毎年行き渋りUpload By かなしろにゃんこ。わが家のADHDと広汎性発達障害(ASD)のある息子リュウ太は、小4〜小6のころ、夕方から夜にかけて「学校行きたくない…」と言うことがありました。2学期がスタートすると調子が悪くなるんです!夏休みは暇すぎて7月下旬には「早く学校行きたーい」と言っているのですが、いざ夏休みが終わり学校がはじまると夏の疲れや、生活サイクルをなかなか戻せないせいか朝から気分が憂うつそうでした。9月は暑いし授業だるいし嫌だよね…って気持ちは分かるんですが、「行きたくない」「お腹痛い」と毎日朝から言われると私も悩んでしまいます。小3のころから朝は腹痛、夜は不眠に…Upload By かなしろにゃんこ。リュウ太は、小学校の3年のころから クラスメイトからいやがらせをされるなど、精神的な悩みがあると腹痛を起こしていました(それがきっかけで児童精神科のクリニックを受診し、発達検査をすることになりました)。2学期がはじまり、学校からは特に報告がなかったのですが、朝の腹痛や行き渋りは、特性によるトラブルなどによって精神的に悩んでいるのかも…と思いました。過去にも調子がイマイチのまま登校するとイライラしてしまったり、人間関係のトラブルが勃発することがあったので、多分夏休み明けのこのときも、口に出さないだけで何かしら苦しんでいたかもしれません。Upload By かなしろにゃんこ。毎日学校から帰るとリュウ太は学校のグチを言い、精神的に苦しそうでした。少しでも穏やかな時間をつくったほうがよいと思い、行くのを嫌がっていた算数の塾をやめて夕方はゆっくり過ごせるようにしました。それでも夜になるとなかなか眠れないことがあり、好きなDVDをボーっと眺めながら眠るようになりました。楽しんで観ているという感じではなくボンヤリと力なく見ているので心配になりました。ある日、寝坊して小学校に大遅刻!Upload By かなしろにゃんこ。そんな、あるとき私もリュウ太も大寝坊してしまい、気がついたら2時間目の授業が始まる時間!「大変!急いで学校に送り出さなきゃ」と慌てていたら担任の先生から電話がありました。寝坊したことを報告すると先生は「慌てなくていいですよ、最近リュウ太くん調子悪そうだったので、体調がイマイチなときはゆっくり来てください」と言ってくださいました。なんだかホッとしたのを今でも覚えています。私が電話を切ると横でリュウ太は「遅刻だね、3時間目からでいいかな」と行く気をみせていました。Upload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。大遅刻してもいいじゃないか「休みたい」と言うかと思ったのですが、意外にも調子がよさそうな感じでした。遅刻の際は、保護者同伴で登校となるのですが、一緒に学校に行く間も機嫌がいいリュウ太。普段よりゆっくり起床すると調子がいいのかな?と思いました。私は、夜に仕事をすることもよくあり、朝起きられずそのあとも何度か大寝坊するというダメ母だったのですが、そんな日はリュウ太の機嫌がいいことに気がつきました。反省しつつも、リュウ太の機嫌がいいと(遅刻したっていいか…朝からきちんと登校しない日があってもいいよね)と母は思ってしまうのでした(笑)。Upload By かなしろにゃんこ。そのあとも私たち親子は月に1度は大寝坊し、3時間目から登校することがありました。もうひらきなおって堂々と遅刻です(笑)。学校行事がある前日は「明日は音楽祭が○時からあるので遅刻しないようにしてください」と先生に念を押されて、気を引き締めて起床して乗り切ることができました。リュウ太自身も遅刻して教室に入るのが恥ずかしいというタイプではなく「オカンが寝坊した!」と思いっきり母親のせいにして、すまして途中参加していました。こうして、「大遅刻をしてもいいじゃないか」というわが家のルールを導入してからは、リュウ太の行き渋りが少なくなり、卒業まで乗り切れたのでした。執筆/かなしろにゃんこ。(監修:井上先生より)リュウ太さんにとって遅刻したことの理由が「お母さんが寝坊したから」というのは、先生にもクラスメイトにも言いやすい理由だったのかもしれませんね。夏休みなど長い休暇明けは、生活のリズムが元に戻りにくかったり、環境が変化することから疲れを感じやすくなるお子さんが多いようです。遅刻や欠席は少ないに越したことはないのですが、体調の悪いときには、遅れていったり、途中で保健室で休んだり、早退など適度に休むことで体調を整えるという選択肢も使い、休みが連続しないようにできるとよいと思います。
2022年08月16日子どもにダウン症があること、どう伝えたらいいの!?以前コラムで、産後、無事に子どもが生まれたという出産報告をSNS上でしたあとに、きいちゃんにダウン症があることが判明し、どう周囲に赤ちゃんに障害があることを伝えたらいいのか(そもそも伝えるべきなのか)悩みに悩んだということを書きました。Upload By 星きのこ気がかりだった、ダウン症カミングアウトの周囲の反応一番気がかりだったのが、子どもに障害があることをカミングアウトしたあとの周囲の反応です。私でさえも(というか、産んだ私本人だからですが)告知を受けたとき、カナヅチで頭を殴られたようなショックを受けたので、それを聞いた周囲の反応も少なからずビックリしてショックを受けるのではないかと思いました。そして何より怖かったのは、それを聞いた人から発せられるであろう「言葉」です。もし不用意に子どもに障害があることに対して差別的な発言をされたら…?まだその当時、完全に子どもに障害があることを受け入れられていなかった私は、傷ついてしまい、とても耐えられないと思いました。当時、一番初めに子どもに障害があることを伝えたのは当然ながら家族(自分の実父や義両親)です。しかし、その反応は悲しいことに、私にとってとてもつらいものでした。実父、義両親ともに「どうして障害がある子どもを産んだんだ」「なんで分からなかったんだ」などと責め立てられ、実父にいたっては「うちの家系に障害がある子どもが生まれるはずはない」とまで、言い放ったのです…!(注:ダウン症の殆どは遺伝的なものではなく、確率的なもので、どんな人からも生まれる可能性があります。)それを聞いた私は、「この子は生まれてきてはいけなかったの…!?」と深く傷つき、まるで世界の中できいちゃんと私だけがポツンと取り残されたような気持ちになりました。Upload By 星きのこそういうことが、実の家族の間でさえもあったので、余計に周囲にカミングアウトするのが怖くなったのです。(注:今は実父と義両親ともにきいちゃんにメロメロです(苦笑)。障害があろうとなかろうとも、子どもの可愛さは祖父母の中にあった偏見も溶かしてしまったようです。)ただ、パパだけが、きいちゃんが生まれてから今までずっと一貫して、きいちゃんが生まれてきてくれたことを喜び、「きいちゃんに障害があっても生まれてきてくれてよかったし、本当に幸せ」と言い続けてくれたので、それが唯一、私の救いであり、支えになりました。そんなことがあったので、ますます周囲にカミングアウトするのが怖くなりました。でも、「子どもは健康そのもので、元気いっぱい育っています」なんて、ダウン症にくわえ、心臓疾患の合併症があるきいちゃんなのに、周囲に嘘をつくわけにはいきません。だからといって、正直に話すと引かれてしまうんじゃ…とかなり悩みました。Upload By 星きのこ毎日悩んだカミングアウト問題。その結果は…!?「言うべきか言わざるべきか、言うとしたらどの辺まで…!?」大袈裟ではなく、本当に毎日毎日、そのことばかり考え続けるくらい悩みました。そして、悩みまくってどうしたかというと……。一旦、悩みを放置することにしました(汗)。きっとどんな悩みも1年後に同じ悩みを持ち続けていないだろうと思ったのです。頑張れ!未来の私!!きっと未来の私が解決してくれる…!と…。そして、1年経った後は、見事………!!何も解決していませんでした~~~~!!!!(泣)「言うべきか言わざるべきか、言うとしたらどの辺まで…!?」と全く同じ悩みを持ったまま、いや、むしろ、1年経ってしまったので余計周囲にカミングアウトしずらくなってしまったのです…!ああ~~~バカ~~~~~!!!知ってたけど、私のバカ~~~~~~!!!過去の私、なんつーことしてくれたんだ!!!…と思ってもあとの祭り。そうしてますます「カミングアウト問題」を熟成し、こじらせてしまった私なのでした…。執筆/星きのこ(監修:鈴木先生より)ダウン症であろうと神経発達症(発達障害)であろうと、自分の子どもはこういう病気があり、配慮が必要だと自由に話せる世の中が理想です。特に一見してわかるような先天性障害をもって生まれてきたお子さんの親御さんは、親戚に写真を送ることをためらうことも多いでしょう。以前にもコラムでお伝えしたように、親御さんは子どもの障害に対して「否定→攻撃」を経て「適応→再起」へと心境が変化し、障害を受け入れていきます。しかし、周囲の方々は障害のある子どもを珍しい目で見てしまうことも多いです。テレパシーで相手が障害を理解してくれる人かどうか分かれば良いのですが、そんな訳にもいきません。カミングアウトの問題は、小学校に入学したあとでも考えさせられます。生徒はもちろん、教師も理解してくれるのだろうかという不安が常に親御さんには付きまとうからです。今の時代に眼鏡をかけていても誰も「それは何?」とは尋ねてきません。ダウン症や神経発達症もそれと同じように周りの方々が周知していれば問題はないのです。そのためには学校でいろいろな病気があることを教えていかなければならないと常々思っています。
2022年08月15日ADHDがあり、我慢が苦手な息子ADHDのあるわが子。今はもう成人していますが、幼児期のころから我慢することが苦手でした。勉強や運動は苦手ですが、明るく活発で友達付き合いはそこそこ上手でしたので遊びに誘われることが多く、中学では仲良くなった友人と繁華街のゲームセンターに入り浸って遊ぶようになっていきました。そのころには電車に乗って遠出もするようにもなっていました。よく遊ぶ友人のお家は共働きなことも多く、毎日いくらかお小遣いをもらっているようでしたが、わが家は毎月のお小遣いを月初めにあげるのみでした。お金の管理があまり上手くなく、月初にお小遣いを使い切ってしまうことも多かった息子。友人たちに遠方に遊びに誘われても一緒に行くお金がなく、よく「電車賃と飲み物代をちょうだい」と催促をしてきました。ですが私は月のお小遣いの中でやりくりをしてほしいという気持ちがあり、息子がそのように言ってきても追加のお小遣いをあげないようにしていました。Upload By ユーザー体験談夏休みのある日…警察から電話が!?そんな息子が中2の夏休みのある日……普段通りに過ごしていると夕方警察から電話がかかってきたのです。「息子さんが○○駅で不正乗車をしたので○○署で補導しました」不正乗車!補導!?一瞬耳を疑いました、○○駅!?そこは地元ではなく遠く離れた都内の駅でした。そんな遠くに行っていたの!?Upload By ユーザー体験談私は大急ぎで支度をして息子が補導されている警察署に向かいました。少年課のドアを叩くと、息子と友人2人が刑事さんにお説教をされているところでした。息子と友人は子ども運賃で電車に乗り、降りる際に音が鳴って職員に呼び止められました。年齢を確認され、不正乗車であると分かり、駅の事務室に入り警察に連絡が入ったということでした。(子ども用の切符で改札機を通るとピヨピヨと音が鳴るため、それで分かったそうです)3人は駅からパトカーに乗り、警察署へ…。私はひたすら謝りました。保護者の教育や管理が至らないことで起きたことであると、私も刑事さんに注意を受けました。Upload By ユーザー体験談夏休み期間中は地方から都内に遊びにくる中高生が多くいます。その中でも不正な乗車や無賃乗車があとを絶たず、鉄道員の方の業務が妨害されていることを知りました。家庭で不正乗車は犯罪であることをよく教えるようにと促され、子どもと帰ることになりました。その足で迷惑をかけた駅の職員の方に謝罪に行きました。その間も駅の職員のみなさんの忙しそうな姿を見て本当に申し訳ない思いでした。そして同時に情けなさと悲しさでいっぱいになりました。息子の気持ちとこれからについて息子には「友達から誘われてもお金がないときは断る」こと、それに「電車を運営するのに莫大な経費がかかっていて一人ひとりの運賃がなければ走らせられない」のだというインフラの話をしながら帰りました。息子の言い分としては「不正乗車はいけないことだと分かっていても、友達から誘われると断れなかった。僕も遊びに行きたいと思って、無理してでもついて行こうとしてしまった」「自分だけ行けなくなるのはとてもつらくて悲しくなった」とのことでした。しかしパトカーに乗り警察署まで行ったことを恥ずかしく感じたようで、「もう絶対にやらない」と約束してくれました。その後は友人と遠くに遊びに行くときは電車賃分のお小遣いを前借りして遊びに行くようになったり、そもそもお金がないときは遠くに出かけずに、わが家に友人を呼んでゲームで遊ぶようにしたりして、遊び方を変えました。それ以降は警察にご迷惑になることはなくなって安心をしています。Upload By ユーザー体験談(監修:井上先生より)毎月渡すお小遣いをすぐに使ってしまう子や逆に全く使えない子など、上手にお金を管理するのは意外に難しいものです。かといって「その都度渡していくと際限なくお金を要求するようになるのでは」、「前借り可能にすると癖になるかも」など、親御さんも不安になられるのではないでしょうか。一つの方法として、最初からお小遣いを月ごとに渡すよりは、週ごと、あるいは3日ごとなど小分けにして渡すことから始めたり、「おやつ」「ゲーム」など用途ごとに袋に入れて管理させるようにしたり、お小遣い帳のアプリなどを利用するなどの方法があります。年齢とスキルに応じて、本人が管理するお金の金額や用途を少しずつ増やしていけるとよいでしょう。イラスト/かなしろにゃんこ。エピソード参考/星野 真弓あなたのエピソードもコラムになるかも?体験談募集中!保護者の方が日々子育てをする中で「こんなトラブルがあった」「こんなハプニングがあった」など悩みはつきないと思います。そんな発達ナビユーザーのみなさんの「困った」エピソードを募集しています。テーマは「反抗期・思春期」「自傷」「学習」「不登校」「ゲーム」「不器用」「ママ友・保護者」「ご近所トラブル」などに加え、今回より「パートナーや両親(義両親)、親族間トラブル」「冠婚葬祭」のお悩みも追加募集!パートナーなどとの意見の相違、冠婚葬祭でのルールが分からない、反抗期による親との言い争い、癇癪を起こして自分の頭を叩く、地団太を踏むなどの自傷行為…読み書きや計算の困りはもちろん、授業を落ち着いて受けられないなどの学習の悩み…行き渋りや不登校などの悩み…いろいろなお悩みエピソード、お待ちしております。お寄せいただいたエピソードの中から数作品、発達ナビの連載ライターさんにコラムとしてコミックマンガエッセイ化していただき、発達ナビで公開いたします!あるあるのエピソードからヒヤリとしたエピソード、SNSなどではなかなか言えないような家族やママ友とのトラブルまで。いろいろな「困った」エピソードをぜひ教えてください。
2022年08月14日奇声で周囲の人を驚かせてしまうほぺろう。どうしたらいいですか?わが家の息子ほぺろうは特別支援学校の一年生。最近になってようやく発語が出ましたが、今は拙い単語程度。コミュニケーションとして言葉を使うという認識はまだまだで、好き勝手に声を出しています。Upload By ぼさ子ぼさ子(以降ーー): ほぺろうは暇さえあればゴチョゴチョと宇宙語を呟いていたり、覚えたての単語だったり、会話ではない何かを常に発声しています。その声がとにかく大きくて…。外出先でも突然大声を出したりするので周囲の人をビックリさせてしまうことがあって困っています。三木先生:そうですねぇ…。通常だと、内言語って自分の頭の中で処理して発する言葉を取捨選択していくものなんですけど、自閉スペクトラム症のあるお子さんは内面と外面の境目があいまいなことが多くて頭の中の言葉がだだ漏れになってしまいがちなんですよね。呼びかけで収まるのであれば問題ないかなと思うんですけど、ほぺろう君は対応してくれそうですか?ーー全然です。「シーッだよ」「黙ってようね」と言ってもほぺろうは理解していないように見えます。奇声は抑えてほしい。でも本人が理解していない場合は?ーー絵カードなどで視覚的に音量の訓練をするという話も聞いたことはあるのですが、絵カードでの説明を理解するのもほぺろうにはまだ難しそうで…。三木先生:シーンが理解できないとボリュームの使い分けも分からないかなと思います。なので本人にコントロールしてもらうのが難しいとなると、「防音対策する」または「発声しても大丈夫な場所を選ぶ」ということを大人が外部的に働きかけるといいと思います。自宅ではどんな風に過ごしているんですか?ーーもう自宅では喋りたいまま自由に喋らせています。他人様に迷惑をかけなければ発声する分には構わないといった感じで。三木先生:「この場所ではダメだよ」っていう理解もまだ難しいですかね?ーー場所で使い分けることも ボリューム調整することもまだ難しいです。三木先生:人前で口を塞ぐなどはやっぱり現実的には無理なので、周囲が気になるというのであれば、可能な限りで今は「場所を選ぶ」という方法がいいのかも知れませんね。Upload By ぼさ子理解が難しいほぺろう。今できることはありますか?三木先生:ボリューム調整の訓練ができそうであれば、絵カードで視覚的に教えてみたり、そういった練習用のアプリがあるので活用してみるという方法もありますね。ただ、ボリューム調整の練習ができたとしても状況に応じて使い分けできるかはまた別問題ではありますが…。アプリ|こえキャッチUpload By ぼさ子今の時点でほぺろう君に「調整してね」というオーダーが難しいのであれば、「ほかの方法で喋ることから気をそらす」「独語じゃないことをさせる」のもいいかもしれません。例えば、おやつを与えてモグモグしてる間は喋らない、動画やゲームを見ている間は喋らないとか。ーー確かに!ほぺろうは遊びに夢中だったりおやつを食べていたり絵本を読んでいる間は喋ってないです。三木先生:なので直近の対応としては、必要に応じて「大人が別の刺激で気をそらす」のが有効だと思います。Upload By ぼさ子今すぐは無理でも、将来的に改善できますか?ーー今はコントロールが難しくても、成長すると改善していくという見込みはありますか?三木先生:もちろん個人差はありますが、どんなお子さんでも成長はしますので大きくなるにつれ改善する可能性はあります。僕が診ている重度の知的障害があるお子さんも、完全にTPOをわきまえるのは難しくても外からのオーダーは入りやすくなっていますね。そうやって聞き入れてくれることで周りに迷惑をかけることは減っていると感じます。でも最終的には「枠組みをつくってあげる」ことが大事かなと。ABA的な感じで。やっぱり本人の損得の経験で動機づけするのが一番身につくんじゃないかと思います。ーーなるほど動機づけ…。そう言われると、私は「ほぺろうは理解していないからできない」と思ってたんですけど、もしかしたら「理解はしているけどやりたくない」という可能性もあるかなって気がしてきました。三木先生:納得して聞き入れてくれるかは、損得の経験を積み重ねていくことで行動をコントロールできるようになっていきます。経験から蓄積した理解を高めていき物事を判断する「行動学習」をしていくと、ある程度統制できていくと思います。状況による音量の使い分けはシーンの理解ができていればいるほどやりやすいです。気をつけなければいけないのは、「声を発するのは良くない」というインプットになってしまわないようにということですね。本当は声を出したいのに制限されてしまうとほぺろう君はしんどいと思うんです。なので、そこはもうちょっと理解が進んでからアプローチする方がいいかな。Upload By ぼさ子感想三木先生のお話を聞いているうちに、ほぺろうに対する私の根底の要求は「奇声をコントロールしたい」というより「TPO(状況)を理解してほしい」なんだと気づきました。「奇声」という悩みでしたが、社会性を鍛えることで全ての解決に繋がっていくんだろうなと。今のほぺろうは階段が100段あるうちの1段目くらいの状態ですが、少しずつ経験値を積み上げてTPOに合った行動をとれるようになってくれたら嬉しいです。また、締めくくりに三木先生が仰った「そもそも“声を発するのは良くない”と思われるのは望ましくない」という言葉にハッとさせられ、発語を促すために奇声は逆に抑えつけない方がいいかもと考えを改めました。外出先ではどうしても公共のTPOが求められるので、"今は"必要に応じて大人が外部的に働きかける方法を取り、ほぺろうの今後の成長に期待したいです。Upload By ぼさ子執筆/ぼさ子
2022年08月13日発達障害のある子どもの「思春期・反抗期」エピソード!思春期は周囲の影響を受けながら、子どもから大人への変化を遂げる大切な時期です。見た目の変化に加え、精神面では子どもらしさと大人らしさの両面性を持つようになります。また、周りとの人間関係も複雑になってきて、この時期の仲間関係はその後の人間関係にも大きな影響を及ぼすと言われています。わが家流の思春期の乗り越え方、まだまだ幼いと思っていた娘の成長エピソード、進学による環境の変化からの反抗期、自閉スペクトラム症のある子どもの金銭、友達トラブルなど…今回はそんな「思春期・反抗期」についてのコラムを集めました。小4発達障害娘に反抗期がやってきた!?母のイライラは限界、発達外来で相談してみると…!小学4年生ごろから反抗期が始まった広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)のあるあーさん。SAKURAさんは発言と行動の矛盾に困り果てて発達外来を受診することに。医師の言葉をもとに始めた「娘が自分で解決策を出せる」ための関わり方とは…!全3部作でお届けします。反抗期なんだから仕方ない!?理論派な発達障害娘との思春期の乗り越え方とは広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)のあるあーさんは、現在小学6年生。現在、思春期・反抗期の真っただ中!理論派のあーさんに思春期・反抗期というものを発達のちゃんとした知識として、教えた方がいいと思ったSAKURAさんでしたが…あーさんの反応は!?「一緒に寝てほしい」まだまだ幼いと思っていた娘の成長を感じて吉田いらこさんの長女・ゆいさんは小学6年生。ASD、軽度知的障害、場面緘黙の診断を受けています。精神面で実年齢より幼いところがあるかな、と感じていた吉田さんでしたが、小学6年生になったある日…!学校からの呼び出し、停学、家庭教師問題…中学生活はトラブル続出!中学受験をし、中堅の私立中学に進学した息子さん。小学生のころは幼く、可愛かったけれど、中学に進学したら環境の変化からか学校からの呼び出し、中1でいきなりの停学とトラブルが続出で…!飛び降り、リスカ未遂、金銭トラブル、友人関係…自閉症娘の思春期はストレスだらけで12歳のころに自閉スペクトラム症の診断を受け、現在21歳の娘さん。自分の気持ちを伝えることが苦手で子どものころはいつもイライラ…そんなある日、娘が祖父から何度もお金をもらっていたことが発覚して…!そのほか人気コラムはこちらから!
2022年08月12日私が気になるしのくんの行動しのくんは現在4歳の、発達障害グレーゾーンの男の子です。今回は、ある日公園で出会ったママとの会話がきっかけで定型発達かそうでないのかの境界線が難しく、「グレーゾーン」について考えさせられたお話です。2歳まで意味のある発語がなく、集団行動が苦手だったしのくん。そんなしのくんも4歳になって、ある程度しゃべることができるようになり、集団行動も少しずつですが慣れてきました。そうすると、次に気になるところが二つでてきました。一つ目は、「集中力は1時間が限界」。集中力はもって1時間が限界で、それを過ぎると言うことを聞いてくれなくなる。二つ目は、「人見知りがなく誰にでも話しかける」です。例えば、水族館に行くと隣の知らない人に声をかけたり、公園では誰彼構わず「おはよー」「それ何ー?」などと声をかけに行きます。Upload By keikoこの二つの行動に困っていました…。そして私は、これはきっとしのくんがグレーゾーンだからだと思っていたのです。公園で出会ったママとの会話ある日家の近くの公園で、しのくんと年齢の近い女の子のママと出会いました。そのママとの会話が弾み、しのくんが療育へ通っていることなどを話し、最近悩んでいた「集中力は1時間が限界」のことや、「人見知りがなく誰にでも話かける」ことを打ち明けました。すると…Upload By keikoそのママから、「うちもそうです」とか「うらやましい」など、思いがけない返事が返ってきたのです。私はとても驚きました!グレーゾーンとは?Upload By keiko公園で出会ったママとしゃべって、「グレーゾーンとは?」という疑問だけが残りました。白黒はっきりしてないからグレーゾーンなんでしょうね。できるちゃあできるし、できないっちゃあできない…ほかにもこんなことがありました。ルールを守ってお友達と遊ぶことができない?しのくんはお友達と遊ぶときに、「かくれんぼ」と「だるまさんが転んだ」はできるのに、「鬼ごっこ」はできません。しのくんがお友達と鬼ごっこをしているとき、ずっとしのくん自ら鬼をやっているところを見かけました。どうしてできる遊びとできない遊びがあるんだろう? ルールを理解するのに時間がかかるんだろうか?だとしたら、家で練習した方がいいのかな?と思っています。できることが少しずつ増えている一方で、いろいろと考え込んでしまうこともある…私のグレーゾーンならではの悩みについてでした。執筆/keiko(監修:井上先生より)グレーゾーンについていろいろと考えさせられたお話ですね。4歳で1時間の集中はすごいと思いますし、人見知りせず話しかけることができるのも見方を変えればプラスの特性といえるかもしれません。ほかの子どもと違った点があっても、それが強みや個性として活かせる環境であれば、成功体験をたくさん積むことができます。変わった行動は確かに気になりますが、その中には思わぬお宝が隠れています。きっと、その特性のよいところを見出してあげられるようになると思います。「鬼ごっこ」ができないのではなく、鬼役が好きという子どももいます。原因をさまざまな角度から謎解きしていくと少しずつ理解が深まっていくと思います。
2022年08月11日障害があるとは本当に分からなかった息子Upload By カタバミはじめまして。中度知的障害を伴う自閉スペクトラム症のある息子「まちゃ」の母でカタバミと申します。息子の障害に涙して真っ暗になったり、それでも成長を感じて可愛さに悶絶したり。情緒が忙しい日々を送っています。息子は支援級に通う1年生です。息子の2歳上の娘と夫とインコもいます。私はいつか育児ブログを書きたいと思っていたので、ほぼ毎日子どもの成長を日記につけていました。今それを読み返しても、1歳より前に息子の異変に気づく記述はありません。健康で9ヶ月で歩き出し、喃語もたくさん出ていました。あまり寝ない子どもだったので私が眠かった記憶はありますが、離乳食も良く食べて、ときには家族とは目も合い抱きついてくることもあったので発達に関して何も心配していませんでした。息子が2歳になったときに、2歳上の娘の真似をして「いないいないばあ」と言いました。うれしくて動画に撮りましたが、「いないいないばあ」が言えたのはこの日だけでした。消えてしまったのです。今から思えば息子は退行という症状だったのかもしれません。最初に「あれ?」と思ったのは私の不注意から負わせた火傷。Upload By カタバミ息子が1才1ヶ月のころのことです。朝アイロンをかけている途中で娘を起こしに行きました。そのとき寝ていると思っていた息子がヨチヨチと歩いてきて、置いてあったアイロンを触って足の上に落としてしまいました。「ギャーッ!」という息子の悲鳴を聞いて、慌てて息子の患部を冷やしながら病院に連絡をしましたが、すぐに泣き止み遊びだしたので冷やしつつ予約時間を待ちました。予約時間になり診察を受けた際に、普段温厚な医師から「こんなひどい火傷なら予約なんて取らずすぐに電話して来て下さい!大人なら何日も眠れないほどの火傷なのにこの子は…」と口を濁されました。これが最初に(あれ?)と感じた出来事でした。今なら息子は感覚鈍麻だったんだなと思います。その後、実父から発語が遅いと言われ母子相談室に行きますが「中身が大人で落ち着いたお子さんですね」と言われて終わり。1歳半健診で言葉の遅れを相談したら発達センターの受診をすすめられましたが育児支援センターに相談すると「まちゃ君よりもっと動き回っている子はいるし、活発なお子さんで発語が遅いことはよくあるから大丈夫よ」と複数の方から言われました。2歳まではしゃべり出すのを待とうと思っていた。Upload By カタバミ息子の2歳の誕生日が近づいたころ、近所の育児支援センターに来た言語聴覚士に相談しました。「発語が少ないことよりも、コミュニケーションが取れていないことが問題だ」など、たくさん指摘をされました。そういえば息子は「これをお父さんに持って行って」もできないし「遊んで」とせがんで来ることもなかったのです。私は息子は1人で遊ぶのが好きなマイペースな子だと思っていて、それが問題だとは思っていませんでした。声のかけ方などを教わり、大きなショックを受けました。私は、この日から壊れたラジオのように息子に話し掛けました。そして2歳の誕生日には発達センターの検査の予約を取りました。半年待ちだったのでそれまでに話し始めるかもという期待もしていました。白?黒?グレー?臨床心理士に言われたこと。Upload By カタバミ検査のあとで臨床心理士に「発達の遅れは気のせいでしょうか?」と聞くと「気のせいではありません。せっかく早く来てくれたのですぐに療育を始めましょう」と言われました。そのあと小児科医から「自閉スペクトラム症です」とはっきりと告げられました。大ショックでしたが息子は2歳半で療育につながることができました。療育は早期に受けることが大切だと言われています。私の経験上、発達に不安を感じたら「詳しそうな人」ではなくて「発達の専門職の方」にみていただくことをおすすめします。私は今まで生きてきて障害のある方とほとんど接したことがなかったので、無知だし受け入れることにも時間がかかっています。でも、息子は少なくとも家庭内では温厚ですし、家族も協力的です。こちらでは息子と、私の散らかった頭の中が少しずつ進んで行く様子をお伝えして、それを楽しんでいただければ幸いです。執筆/カタバミ(監修:鈴木先生より)知的に遅れがあるお子さんは感覚が鈍麻なことが多くあります。そして言葉の発達が遅れている場合が多いです。そのため、できるだけ早期介入が重要です。病名は医者でしか告知できません。できるだけ早く医師に相談することをおすすめします。そして担当医が告知したら責任をもってフォローし、さらに知的に遅れている場合はその病因検索をする必要があります。脳CT、甲状腺機能などの血液検査、難聴があるかどうかのABR(聴性脳幹反応)検査などです。中には知的に遅れている原因が分かって、原疾患の治療で言葉の遅れが改善したケースもあります。視力が弱くて多動傾向だったお子さんが眼科で調整することで、多動が治ったという例もあります。子どもは総合的に診ていく必要があります。
2022年08月10日ダイバーシティ&インクルージョンの実現を目指す株式会社voice and peace(本社:東京都千代田区、代表:赤平 大)は、運営するgifted・発達障害支援者向け動画メディア《incluvox~インクルボックス~》で、文部科学省「特定分野に特異な才能のある児童生徒に対する学校における指導・支援の在り方等に関す有識者会議」委員、関西大学の松村 暢隆名誉教授の動画を2022年8月に4週連続リリースします。incluvox松村教授「2Eとは」いわゆる「ギフテッド」など突出した才能、特異な才能のある子供への教育や支援には、発達障害の支援が活用される事が多くあります。発達障害と特異な才能を併せ持つ「2E(twice-exceptional)」は「才能教育支援」と「発達障害支援」の両方が求められます。松村 暢隆名誉教授は日本の2E研究の第一人者です。今回のincluvoxの動画では日本と海外の2E教育の現状分析、そして文科省有識者会議の素案の内容を、委員である松村名誉教授ご本人が説明し今後の日本の才能教育を展望します。特異な才能(ギフテッド)への見解《incluvox~インクルボックス~》は2022年1月にサービスを開始し、グローバルキッズ様など約4,000人の利用者がいるgifted・発達障害の支援者に向けた動画メディアです。辞書のように使える「支援法を1分間にまとめた動画」300本に加え、「専門知識・最新情報を約10分にまとめた動画」を週に2本配信しています。giftedや発達障害の支援でお悩みの保護者や教育者、人材活用や合理的配慮でお悩みのビジネスパーソンが、対面型研修より「効率的・効果的・低価格」なコンテンツを、いつでもどこでもスキマ時間に「時短・ながら聴き・ながら見」でご利用いただいています。incluvox 工藤 勇一校長incluvox 入山 章栄教授アニメーションでわかりやすく《incluvox~インクルボックス~》は現役アナウンサー(元テレビ東京)でgiftedと発達障害の子供を持つ代表の赤平と、現役テレビスタッフ、発達障害支援有識者たちが運営しています。動画380本を配信済み(2022年7月時点)で登録後は全て見放題。無料サンプル動画、登録後1カ月間は全動画視聴無料、いつでも解約可能です。代表 赤平の略歴■《代表:赤平 大(あかひら まさる)》略歴元テレビ東京アナウンサー。現在はフリーアナとしてWOWOW「エキサイトマッチ」「ラグビーシックスネーションズ」ジェイ・スポーツ「フィギュアスケート」など実況、ナレーターとしてテレビ東京「モーニングサテライト」、NHK BS「晴れ、ときどきファーム!」「ザ少年倶楽部プレミアム」など担当。2015年から工藤 勇一校長(当時)のもと千代田区立麹町中学校でアドバイザー。2022年から工藤 勇一校長の横浜創英中学・高等学校でサイエンスコース講師を担当。2E(発達障害とギフテッドを併せ持つ)の子供の親。《incluvox~インクルボックス~》はダイバーシティ&インクルージョンを実現させるメディアです。関連の学術論文を300本読んで分かったのは、giftedや発達障害の支援には「社会がgiftedや発達障害を理解し、LGBTQ同様に差別なく当たり前に受け入れる環境」も必要ということでした。日本では2004年の発達障害者支援法以降、国や自治体で発達障害者の支援が責務となり、保育園、幼稚園、学校などで教員向け研修が継続的に行われました。ところが2010年代、教育現場では「発達障害に関する専門知識やスキルが不足」という研究論文が頻出します。この「対面型研修には十分な効果が無い」現状を、2021年6月に文科省の担当者に意見提案したところ、担当者から「赤平さんのご指摘、実は存じ上げております。対面型研修では発達障害に高い知見のある教員が増えておらず、省として喫緊の課題と捉えています。そのため2020年から厚労省とともにプロジェクトチームを発足し対策を検討しています」との回答がありました。文科省への意見提案「文科省・厚労省の対応を待っていては、私(赤平)の子供の支援には間に合わない」「対面型研修よりも、簡単・手軽・素早く・低価格な方法は?」そう考え「お悩みを、すぐに解決する動画」「素晴らしい支援をしている人や団体を紹介する動画」を作成し「gifted・発達障害に特化した動画メディアincluvox~インクルボックス~」が誕生しました。incluvoxは、すべての教育機関・企業のリテラシーを、最速・最大効率・低価格で押し上げ、ダイバーシティ&インクルージョンに寄与する社会的インフラを目指しています。■《incluvox~インクルボックス~》サービス概要《価格》 : 月額770円(税込)※初期費用0円、いつでも解約可能、契約後30日間無料※法人契約は割引料金でご利用いただけます《販売方法》: incluvoxサイトで「新規登録」 ※決済はクレジットカードのみです※法人契約の際はお問い合わせください 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年08月09日自閉スペクトラム症のある太郎と学校のテスト自閉スペクトラム症のある太郎は、小学校の低学年から中学年のころ、学校でテストを受けるときに強いこだわりがありました。そんな当時の太郎の様子と、自分の気持ちを振り返ってみたいと思います。空白はすべて埋めたいUpload By まゆんテストで出された問題は全て分かりたい。でも分からない。空白は全て埋めたい。でも埋まらない。分からないや。まぁいいか、次の問題へ進もう。太郎にそういう考えはなかった。書きたい、分かりたい、全部埋めたい。そういう思いがあってもテストの1問目からつまずくことが多かった。Upload By まゆん先生がずっと1問目の問題を見つめ、フリーズしてる太郎に声をかけてくださった。それでも太郎は解かなかった。目の前の問題が気になるから次の問題は視界に入らない。そうして時間はいつも過ぎていった。テストは名前だけ書いて終わることも多かった。点数の意味も分かってはいた。でも点数が低いことを悪いことと認識はしていない。それが私としては救いだった。私も点数が低いことで怒ったり注意したりもしなかった。そう育ててきたし、何よりも太郎は家でも学校でも努力はしていたから。出された宿題は時間がかかっても悶えながらも必ず全てしていってた、そういう努力や真面目な太郎を私は見ていた。「正解」を書きたいそしてもう1つ。太郎は間違うことが嫌だった。「正解」を書きたかった。間違うことをおそれて少しでも自信がないと答えを書かなかった。家で宿題を解いていても1問1問、間違えていないかを確認してきた。Upload By まゆん間違えることはできない。正解を書きたい。それが太郎の世界だった。あとがきこの状態はいまだに続いています。小学校高学年のころからずいぶんと柔軟にテストを受けられるようにはなりました。きっかけは、特別支援学級の先生がしてくださった工夫でした。テストを個室で受けられるようにしてくださったり、太郎が大好きなぬいぐるみを目の前に置いて「次へ進もう」と先生が腹話術などもしてくださいました。そうしているうちに、ある日ひょんと初めて100点を取ってきました。そのときの喜びを知ったのか「高い点数を取りたい」という気持ちが芽生えてきたように思います。ときと場合によりますが…晴れの日もあれば曇りの日もあるように、太郎の世界も同じです。私はそんな太郎の成長を傍でゆっくり見守れたらいい…。そう思っています。執筆/まゆん(監修:鈴木先生より)自閉スペクトラム症特有のこだわりがあって問題を飛ばせないお子さんを、ときどき見かけます。音に敏感なお子さんは個室で静かな環境の中でテストが受けられるのが理想です。一方、投薬でこだわりを軽減することも可能です。初めのうちはトークン法の利用も効果があります。人生で初めての受験になる可能性が高い高校進学までにテストが柔軟に受けられるよう、できるだけ早期に学校側や教育委員会と相談して対策を練る必要があります。
2022年08月09日ガイドヘルパーとしての悩み障害児者にとって、家族以外のほかの大人と関わることは、大切なことだと思います。移動支援の制度を使うことで、週末の余暇活動として、ガイドヘルパーに外出の同行をしてもらうことができます。私は週末、ガイドヘルパーの仕事をしています。外出同行の際に、保護者の希望を通すべきなのか、本人の希望を通すのが良いのか、て悩むことがある場面があります。とくに、利用者の方が成人の場合、悩むことが多いです。成人の異性の利用者と手をつなぐことについて知的には5歳児くらいであるとされている、30歳の青年との外出の際には、手をつなぐかどうかについて悩みます。私は年齢に合わせた対応をした方がよいと思っています。どうしてかというと実年齢が30歳だからです。もちろん、中には隙を見て一人で走って行ってしまったり、非常ベルやホームの緊急停止ボタンを押してしまったりすることもあるかもしれません。この場合は手をつないでいる必要がありますが、そうした行動がほとんどない方については実年齢通りの対応が必要だと思っています。ですが、危険忌避のために手をつないでほしいと考えられる保護者の方の場合、どのように対応したらいいか悩んでしまうのです。お金について駅の券売機で切符を買うとき、本人に購入してもらった方がよいのか、私がかわりに購入した方がよいのかも、すごく悩みます。お金についてよく分からないと感じている場合、利用者自身で購入をしてもらおうとしたら自信をなくしてしまわないか?でも、親御さんは「一人でやらせる経験をさせてほしい」と思っているのではないか?私は、本人の楽しみのための余暇活動なので、できないことを無理じいして訓練するような場にはしたくないとも思い、逡巡してしまいます。徒歩で行くか、交通機関をつかうか親御さんは普段の運動不足を解消するため、「できるだけ歩かせてほしい」という希望があるけれど、本人は「歩きたくない。大好きな電車やバズを使って移動したい」と思っている場合があります。こんなときも、どちらを優先させたらよいのか悩みますが、本人の余暇活動なので、私は本人の意向を優先させた方がよいと思っています。こだわりを通せる場面と通せない場面ある日のことです。発語のない知的障害と自閉スペクトラム症がある利用者の方とラーメン屋に入りました。混んでいるのに麺を一本ずつ食べていました。待っている人や次の電車の時刻も気にせず、マイペースです。私が「残してよいからもう出よう」と言ってもガンとして動かなかったので、食事がすんだ私は外で待っていました。結局、1時間以上かけて完食しました。店を出てから、利用者の方がマスクをなくしたことに気付きました。代わりのマスクを渡しても断固拒否するため店に戻り、お客さまに席を移動していただいて探す状態になりました。しかし、見つかりませんでした。でもパニックを起こさず、代わりのマスクを使ってくれました。私は麺を一本ずつ食べるこだわりには応じました。でも、失くしたマスクは見つからないので応じられません。利用者の方は、自分のこだわりを通せる状況と、そうではない状況を理解できたのでしょう。この青年も、幼いころは失くしたものが出てこないと大パニックになっていたのではないかと思います。自閉スペクトラム症がある私の息子も、幼いころ、パズルの一片がなくなったとき、手がつけられないほどパニックになりました。そのために、同じパズルを何セットが予備で買っておいたことを思い出しまた。今は例えば靴下の片方がなくなっても、マスクを落としても大騒ぎせず、別のものを使ってくれます。軽度でも中度でも重度でも、成長しています。Upload By 立石美津子支援者の対応に統一性がないことも課題同じ事業所でも手をつなぐがどうか、本人の意向を優先させるか親御さんの意向を優先させるかなど統一されておらず、支援者の個人の考えに任せている場合もあります同じ事業所で一致した対応をしたとしても、移動支援をやっている事業所は増えているので、利用者さんも複数の事業所をかけもっています。そうなるとまた対応が違ってきます。本人が混乱することのないように、情報ややり方を共有して、支援のあり方を考える必要性を感じています。執筆/立石美津子(監修者・鈴木先生より)神経発達症(発達障害)のある患者さんが高校生になってバイトを始めることは社会性を高めるうえで有意義なことだと思います。親と学校の教師以外の大人と接することで自立を促し、将来の就職率が上がっています。最近は訪問看護という手段もあります。主治医の指示により定期的に専門の看護師やリハビリのスタッフが患者さんを預かってくれます。その間、親は美容院へ行ったり、普段相手してあげられない兄弟と触れ合ったりすることができます。費用はワンコインほどです。訪問看護というと寝たきり老人の看護というイメージが強いですが、自閉スペクトラム症の患者さんも扱える会社も増えてきました。今後は神経発達症に特化した訪問看護が全国に広まることを願っております。
2022年08月08日運動が苦手で不器用なグレーゾーン(境界知能)娘おっとりした性格で、インドア派、発語や言葉の理解などもゆっくりだった娘。そんなグレーゾーンの娘に境界知能の診断がおりたのは小4のころです。娘は不器用(発達性協調運動症)なことも合わさり、運動が大の苦手!鉄棒は前回りは可能ですが、逆上がりはできません。跳び箱も踏切るタイミングが取れずに3段以上は飛べず、跳び箱の前で立ち止まってしまいます。プールも25m泳げず、バタ足で最高20m程度泳げるくらいです。うまく身体の力が抜けないのか、泳いでいるとお尻が出っ張ってしまい背浮きができず、クロールをすると、どんどん水に潜っていってしまいます。小4、小6のときの担任がこのような娘の特性への理解があまりなかったこともあり、無理にクロールで25m泳がせようとして溺れそうになったこともあります。Upload By ユーザー体験談そんな娘なのでもちろん自転車にも乗れません。出かけたい場合は私の運転する車に乗りますし、中学は徒歩通学ということもあり自転車に乗る必要もないので、娘も私も乗れないことを気にしていませんでした。補助輪をつけて練習していたころもあったのですが、進んで練習したがるようなこともなく、補助輪を取ってから土手を転げ落ち、田んぼに突っ込んだ経験などがトラウマになっているのか、「上手く乗れないので嫌になった」という気持ちもあると思います。中1になったある日…娘に試練が!ですが先日、授業の一環として秋に自転車に乗り近隣の特別支援学校へ交流に出かけることになったというのです。担任の先生から「自転車に乗れない人はいますか?」と聞かれ、娘はクラス全員の前で挙手をすることになり…さらには先生から「練習しておくように」と言われました。みんなの前で挙手させられ、恥ずかしい思いをしたそうです。ただ、「練習しなくてはいけない」という強い気持ちはそこで芽生えたようです。Upload By ユーザー体験談さらには、入部した美術部でも自転車に乗りスケッチに出掛けたり、体育祭&文化祭の看板や横断幕を作成するために学校外へ自転車で出かける可能性もあります。娘は早速自転車の練習を始めました。Upload By ユーザー体験談自転車の練習を始めたけど…前途多難でしかし、練習してもやはり不器用さや身体の使い方の下手さにより公道を走行できるレベルに達さず…。こぎ出してしまえば何とかなるのですが、肝心のこぎ出しが上手くいかないことや、ブレーキ操作が上手くいかず、危険な思いをする度に、自転車=難しい・怖い・練習が嫌だ…と負のループに。久しぶりに大きな運動公園に連れて行き、練習した際も、サッカー場の周囲を1周はできましたが、やはりこぎ出しとブレーキ操作、シフト(ギア)チェンジがうまくいかずに、2周目で土手から転げ落ちてしまい、やる気がなくなってしまいました(そしてフェンスに激突し、自転車の前輪を交換する羽目になりました…)。Upload By ユーザー体験談家の近くの公道(アスファルト)を50mくらい、往復するときは実際は片道25mくらいしかこげていない状態ですが、30分程度練習すると娘ももう練習をやりたくなくなってしまうようでした。ですが、交流授業までになんとか乗れるようになりたいという思いはある…。私が仕事から帰った土日は声掛けをすると30分程度は自転車の練習に取り組むようになりました(平日は部活や宿題、習い事などもありやる気にならないそうです)。練習の結果、なんとかサッカー場の周囲1周だけは走れるようになりました。娘もそれが自信につながったようですが、公道を走るとなるとまだまだ不安です。自転車に乗れなくても…母の想い結局、現在もまだ自転車に完全に乗れていません。特別支援学校との交流授業までに乗れるようになれたらとは思いますが、母としては絶対に乗れないといけないとは考えていません。娘はおっとり、まったりした性格ですが、自己肯定感が低い訳ではありません。そこは変わりなく成長してほしいです。苦手なこと(他者に言葉で困りごとを伝えるなど)は、娘に合う方法を試行錯誤しながら良い対応方法などを見つけられるようにサポートをしたり、アドバイスをしていけたらと思います。また、娘の得意なこと(物の場所の記憶や人と違う着眼点を持っていること、黙々と同じ作業に飽きずに取り組めること)もたくさんあるので、そのような部分を伸ばしていき、上手く社会で自立した生活をしていってほしいと願っています。イラスト/taekoエピソード参考/ヒヨコ(監修:三木先生より)一生懸命頑張っておられるんですね。苦手なことでも繰り返し取り組めるのは、自己肯定感が維持されているからかもしれません。学校の先生の提案にもくじけずに前向きに取り組んでいる姿勢は、ぜひ評価してあげたいですね。あなたのエピソードもコラムになるかも?体験談募集中!保護者の方が日々子育てをする中で「こんなトラブルがあった」「こんなハプニングがあった」など悩みはつきないと思います。そんな発達ナビユーザーのみなさんの「困った」エピソードを募集しています。テーマは「反抗期・思春期」「自傷」「学習」「不登校」「ゲーム」「不器用」「ママ友・保護者」「ご近所トラブル」などに加え、今回より「パートナーや両親(義両親)、親族間トラブル」「冠婚葬祭」のお悩みも追加募集!パートナーなどとの意見の相違、冠婚葬祭でのルールが分からない、反抗期による親との言い争い、癇癪を起こして自分の頭を叩く、地団太を踏むなどの自傷行為…読み書きや計算の困りはもちろん、授業を落ち着いて受けられないなどの学習の悩み…行き渋りや不登校などの悩み…いろいろなお悩みエピソード、お待ちしております。お寄せいただいたエピソードの中から数作品、発達ナビの連載ライターさんにコラムとしてコミックマンガエッセイ化していただき、発達ナビで公開いたします!あるあるのエピソードからヒヤリとしたエピソード、SNSなどではなかなか言えないような家族やママ友とのトラブルまで。いろいろな「困った」エピソードをぜひ教えてください。
2022年08月07日Q:合理的配慮ってなんですか?A:過度な負担になりすぎない範囲で、社会的障壁を取り除くために必要な配慮を行うこと。なお、学校(or教育現場での)合理的配慮は「一人ひとりの障害の状態や教育的ニーズ等に応じて決定されるもの」です。Upload By 専門家インタビュー合理的配慮を英語でいうと、「Reasonable accommodation」。過度な負担になりすぎない範囲で、社会的障壁を取り除くために必要な配慮を行うというです。そしてその配慮は、子ども一人ひとりの障害の状態や教育的ニーズなどに応じて決定されるべきです。子どもの権利を保障するために各教育行政の支援としては、まず国は全国規模で、都道府県は各都道府県で、市町村は各市町村で、それぞれ環境整備(基礎的環境整備)をしていきます。これらが「合理的配慮」の基礎となります。そして、基礎的環境整備をベースに一人ひとりに合わせた合理的配慮が検討され、決定すると「個別の教育支援計画」に明記されます。設置者、学校、本人、保護者により発達の段階を考慮しつつ合意のもと内容を決定し提供されることが望ましいとされています。もし、設置者、学校、本人、保護者の意見が一致しない場合は教育委員会の諮問機関である「教育支援委員会(仮称)」の助言や、その子にかかわる関係者がつどう「個別支援会議」および校内にある「校内委員会」での話し合いなどにより問題点を解決することが望ましいです。現在はまだなされていない「基礎的環境整備」や「合理的配慮」について、希望が出されて協議がなされたこと、将来的には実現することが望まれることなどを、「個別の教育支援計画」に書き込ませることも次の一歩につなげる工夫です(『改訂新版障がいのある子の就学・進学ガイドブック』p.115-120の「個別の支援計画」「個別支援会議」、p.134-135の「Q&A合理的配慮と基礎的環境整備という言葉を聴きますが、どういうことでしょうか。」参照)。
2022年08月06日私には発達障害を持つ長男をはじめ、3人の子どもがいます。以前はフルタイム勤務の会社員をしていましたが、長男の小学校入学と3人目の出産が重なったことを機に退職。3人目が1歳になるころ、在宅フリーランスに転身しました。発達障害の長男を持つ私が在宅勤務になってよかったことと、大変だったことをお話しします。 長男が小学生になると毎日が事件の連続!私が在宅フリーランスに転身したきっかけは、発達障害を持つ長男の小学校生活が気がかりだったからです。 長男が小学校に入学すると、毎日のように事件が勃発。持ち物を帰り道に捨ててきて探しに行ったり、宿題を始めるとかんしゃくを起こしたりと大変でした。先生からの電話や呼び出しもしばしば……。入学したころは専業主婦だったのですぐに対応できましたが、毎日ヘトヘトでした。 3人目の子どもが1歳になったら仕事をしたいと思っていたものの、外勤は無理だと思い、在宅の仕事を開始したのです。在宅の仕事だからこそ、突然の呼び出しや長男の持ち物探しにすぐ対応することができました。また、仕事をお休みするときは、フリーランスなので誰にも気をつかわなくて済み精神的にもラクでした。 有給がないため睡眠時間を削ることも…一方で、在宅勤務をして大変だったこともあります。長男を療育に連れて行ったり持ち物を壊されて買いに行ったりと、仕事の時間が削られる日が続くときがあります。 一般企業に勤めていたときは有給休暇を使うことができ、代わりに仕事を頼める仲間がいました。それがフリーランスだとひとりで仕事をこなすしかなく、終わらないときは夜中に起きて仕事をするしかありませんでした。 仕事のスケジュールを長男に合わせて対応在宅勤務をして大変だったことが、もう1つあります。普段は学校に行っている間に仕事を済ませるのですが、長期休みは長男を学童保育に預けています。発達障害を持つ長男はスケジュールの変更が苦手なので、長期休みの入りたてには学童に行きたくないとかんしゃくを起こします。 学童保育のスケジュールに慣れるまでは時々お休みすることもあり、そのたびに仕事を中断せざるをえませんでした。しかし在宅勤務だからこそ、仕事のスケジュールを長男に合わせることができたと思っています。 以前は在宅の仕事にゆとりのあるイメージを抱いていましたが、実際は思った以上に大変なことも多いのだなと感じました。私には発達障害の長男がいるため、時間調整のしやすい在宅の仕事をこれからも続けていくでしょう。スケジュール変更の多い発達障害の長男がいるからこそ、在宅勤務という働き方がぴったりだと思っています。 監修/助産師REIKO作画/やましたともこ 著者:河津明香2男1女の母。旅行代理店勤務をしながらの育児を経て、フリーランスのライターへ転身。現在は発達障害の長男のサポートをおこないながら、旅行・育児・生活雑貨などの記事を中心に執筆。
2022年08月06日なかなか新しい友達がつくれない娘小学校高学年になると 、周りのみんながぐっと成長していくことを実感します。低学年のころから仲の良かったゆいのお友達も、身長は大人と変わらなくなったし、言動も大人びてきて子どもと会話しているような感覚はもうなくなりました。ゆいももちろん成長しているのですが、周りに比べるとまだ幼い感じがあります。同じクラスにゆいと仲の良かったお友達が一人いました。でも彼女に新しい友達が増え、仲良しグループが離れたことであまり話さなったようです。高学年の女子ならよくあることだと思いますが、心配なのはゆいが会話できる友達がゼロになってしまったことでした。ゆいは人と話すことがとても苦手でなかなか新しい友達をつくることができないのです。Upload By 吉田いらこ「わたし、クラスではいつも一人でいるんだ」とゆいは話すようになりました。ゆいの小学校ではいわゆる「ボッチ」であってもそれでからかわれたりするようなことはありません。でも本人はひとりが寂しかったようです。私は「勇気を出して話しかけてみたら?」など一般的なアドバイスしかできませんでした。勉強に関しては特別支援学級に移り配慮してもらうことで負担が減りました。でも次は人間関係で悩みごとが出てきました。このままでは学校に行くことが苦痛になってしまうかも…と心配していたのですが、数ヶ月すると意外なことがありました。Upload By 吉田いらこいつも一人でいるゆいに変化が!?ゆいはクラスのある男子と仲良く話せるようになったそうです。その男子はあまりグループで固まるということがなく、だれとでも接する子のようです。休憩時間も一緒に笑っているところをよく見ますよ、と個人面談のときに担任の先生から聞いたときは驚きました。ゆいに話を聞いてみると、その男子はだれにも気軽に話しかけるようで、ゆいにも話しかけるそうです。ゆいがうまく話せなくてもまったく気にしないので緊張せずに話せるらしく、だんだん会話も増えてきたということでした。ゆいは人と話すのが苦手で自分から話しかけることが難しかったのですが、向こうから来てくれる人がいるなんて。これをきっかけに会話ができるお友達が増えて学校へ行くことがたのしくなればと願っています。Upload By 吉田いらこ子どもから大人へ精神的に成長していくなかで、友人関係もどんどん変化していくと思います。ゆいは その特性から今後も人間関係に悩むことがあるかもしれません。ですが、人間関係というものは障害とは関係なく難しいものです。そして、人間関係の変化によって、ゆい自身が成長していくこともあるかと思います。子どもの友達関係に保護者が介入することはできませんが、これからも成長の様子を見守っていけたらなと考えています。執筆/吉田いらこ(監修:井上先生より)お子さんの成長とともに人間関係も変化していきますね。思春期の女子グループの中での人間関係やコミュニケーションは複雑で難易度が高いと思います。今回、今までお話のできなかった異性と話せるように広がったのは、とても素晴らしいことだと思います。この出来事が、また新たな友達関係が広がるきっかけになると良いですね。
2022年08月05日常に次男を信じ、寄り添ってくれた特別支援教室の先生発達に凸凹のあるわが家の次男は、小1から小6の現在も通常学級に在籍しており、週1日、特別支援教室(※1)に通っています。次男が学校生活を送る中で、常に寄り添ってくださっていた先生がいます。それは、特別支援教室専門員(※2)のA先生です。※1 特別支援教室…通級指導教室のように障害による学習上または、生活上の困難を改善・克服する指導を児童・生徒が在籍校で受けられる東京都の仕組み※2 特別支援教室専門員…臨床発達心理士などの発達障害の支援に関する専門資格を持つ人(教員免許は必須ではない)Upload By スガカズいわゆる「普通」とされる環境の中で次男は、聴覚過敏、見通し不安、「0か100か」の白黒思考、叱られることへの苦手さなどから、入学当初から頻繁に癇癪を起こしていました。小1のころは、壁を蹴ったり大声での暴言が多かった次男。大人が本人の話に耳を傾けることなく、強く叱るなどすると本人は取り乱して周りが余計に見えなくなってしまうことがあり、そのような関わり方をしてしまうと万が一他害につながる恐れもあります。そのため、次男にとって家庭での関わり方や、学校での本人に寄り添った関わりがとても重要でした。A先生は次男のことを、「乱暴な子」「言うことを聞かない子」ではなく、「嘘をつかない自分に正直な子」「心の優しい子」「たくさんの可能性を秘めた子」として関わってくれました。また、私が次男との関わりで悩んでいるときにも、A先生は傾聴して、決して自分の意見を押しつけず私と次男の気もちを言語化してくれ、最後には励ましてくれました。私は、次男が学校生活での困難にぶち当たるたびに、どうしても周りの人と比べてしまったり、落胆してしまうこともあり、次男の行動に対して受け止めきれない状態に陥ることが度々ありました。トラブルを経験するたびに、私の気もちが落ちて浮上して、また落ちて持ち堪えて…。目の前の状況に対して、まずはその日を無事に終わらせることに注力します。そのためには、感情をできるだけ抑えて、次男と話し合うことが重要でした。そんなときは特にA先生の存在が大きく感じました。A先生はいつでも私と次男の味方をしてくださいました。お陰で次男との関係は良好なまま日々を過ごすことができましたし、少しずつ…少しずつ…時間をかけて、次男も学校生活に適応するようになってきたと思います。次男が小5になり、大好きなA先生が異動することに…。私にとっても次男にとっても、A先生は心の拠り所になっていました。しかし、A先生は次男が小5になる年度に、他校に異動することになりました。異動の知らせを聞いたときにも挨拶に行きましたが、離任式の際にも学校にお伺いし、感謝の気もちを直接伝えることにしました。Upload By スガカズUpload By スガカズ先生との別れを経験して、支え合うことの大切さ、人への感謝を学びましたUpload By スガカズ現在は次男は小6になり、A先生との別れを経験してから1年が経過しました。最初のころは、「オレが知っている△教室(特別支援教室)じゃない…」と、浮かない様子でしたし、心にポッカリと穴が空いているようでした。「A先生がここにいてくれればいいのに」と泣くこともありました。それでも、次男なりに少しずつ現状を受けとめながら、現在も学校生活を送っています。今でも私がA先生の話をすると、次男の表情はパッと明るくなります。先日、A先生に手紙を書きました。次男は書字障害があり、文字を書くことは大の苦手ですが、A先生への思い入れが強く、苦手な中頑張って手紙を書いていました。何度も「この文章変じゃないよね?」と、うれしそうに私に聞いてきました。人生の中で人との別れは何度か繰り返していきます。その中でも、大好きな人との別れは、本人にとって大きな衝撃で、情緒が乱れてしまう場合も多いのではないかと思います。悲しい経験をすることになりますが、そういった経験から、支え合うことの大切さ、人に感謝するこころを学び、今後の人間関係の構築のあり方について考えるきっかけになっていくのではないかと思いました。執筆/スガカズ(監修:井上先生より)すばらしい先生に出会えた経験は子どもさんにとっても親御さんにとっても大きな成長や心の支えになったと思います。子どもが大人に相談できるようになるためには、その大人が子どもにとって「自分を分かってくれる存在」になることです。A先生はまさにそんな人だったのだと思います。このお話は、多くの現場の先生たちにとって、元気を与えるように思います。
2022年08月05日息子の発達障害、誰に伝えてる?むっくんが発達障害の診断を受けて5年半ほど経ちました。現在、むっくんの家族や親戚はみんな診断があることを知っています。祖父母などよく会う家族には診断がついたことは早々に伝えました。また、年に数回会う親戚にも徐々に伝えていきました。発達障害について、知識のある人もいますし、発達障害をよく知らない人もいますが「そうなんだねー」くらいの反応で、伝えたことで何かもやっとすることを言われたり、関係にしこりが残るようなやり取りを経験したことは私にはありません。また親戚で集まると、つい「学校どう?」なんて話題が出てしまうので、不登校を選んだことも早々に家族にも親戚にも伝えました。こちらも「そういう選択もありだよね~」という反応で何か言われることはなく、私もむっくんも心地よく過ごすことができています。私と家族や親戚はもともと信頼関係がしっかりできていましたし、親戚にはユニークな人が多く、価値観が多様な人も多いことをこれまでの付き合いから知っていたので、私は安心して息子のことをみんなに話すことができたのだと思います。Upload By ウチノコどんなふうに伝えた?私は発達障害のことを他者に話すとき、診断名だけ伝えても大切なことは伝わらないと考えています。なぜなら診断名が同じでも特性のあらわれ方は人それぞれ異なっているからです。発達障害の知識がある人にだって、診断名だけ伝えてもむっくんのことは何も伝わりません。そのためむっくんのことを他者に説明するとき、私はむっくんの行動に対して【むっくんの具体的な特性】【その背景についての私なりの解釈】【これから行う対処とその理由】を順序だてて説明するようにしています。小さなころの話ですが、いくつか例をあげてみると…祖父母の家で走り回って部屋や押し入れなどを確認したがったときは…【具体的な特性】この子はとっても好奇心旺盛でいろいろ気になりがちでね、でもその背景には分からないことや知らないものに対して不安を感じやすいっていう理由があるの。【私なりの解釈】おばけやしきって仕掛けが分からないと怖いけど、どこで何がでてくるか分かったら不安も和らぐでしょ?そんなふうに、自分の不安を和らげたくて動き回って、見えない引き出しや押し入れの中を確認して安心しようとしているんだと思う。【対処とその理由】しばらく確認したら安心できて落ち着くと思うから、今は見守らせてもらえると助かります。いとこなどと遊ぶうちに楽しくなりすぎて興奮から癇癪につながりそうなときは…【具体的な特性】些細なことでも感情の振れ幅がとても大きくなるの。悲しいときはものすごく悲しいし、楽しかったら楽しすぎちゃう。【私なりの解釈】楽しすぎてハイテンションになって、あとからどっと疲れる経験ってない?そんなふうなのかなって私は考えていてね。今日は楽しすぎるを通り越して癇癪を起こしてしまいそうなんだと思う。【対処とその理由】今は自分の力だけで落ち着くことが難しいから、音や光の少ない静かな部屋に行って落ち着けるように休んでくるね。周囲の音に疲れ果ててしまったときは…【具体的な特性】とても音に敏感で、自分に必要のない音まで聞きすぎてしまうところがあるんだよね。【私なりの解釈】この部屋も話し声やテレビの音、食器の音、たくさん音があるけれど会話に集中するとほかの音って少しミュートされるでしょう?むっくんはその機能があまり働かなくて音を聞きすぎて疲れちゃうときもあって。【対処とその理由】疲れたときは静かな場所で好きなことをさせてあげるのがいいから、今日はもう家へ帰って休ませようと思うよ。Upload By ウチノコ伝わるように伝えるこれらの特性は多動衝動、易刺激性、感覚過敏などと言われる特性ですが、こういう聞きなれない言葉では伝わるものも伝わらなくなってしまうので、できるだけ日常的に使うイメージしやすい言葉で伝えるようにしています。また「自閉スペクトラム症があるから切り替えが難しい」や「ADHDがあるからじっとできない」などという、理屈を省いた伝え方では誤解や差別を生みかねないと感じていました。私の言葉を起点にそういったものが広がっていくとしたら、それはとても恐ろしいことです。だから私はできるだけ、【具体的な特性】【私なりの解釈】【対処とその理由】と言葉を尽くし、順序だてて伝えることを心がけています。実はこの伝え方は、むっくんに物事を伝えるときの言い回しなんです。むっくんに伝わりやすい言葉選びは、ほかの人にも伝わりやすい。発達障害のある子への適切な関わり方というのは、誰に対しても大正解なんだなーと感じています。さらに、人によって理解しやすい伝え方が違うこともあります。イラストの方が伝わる人、文字が伝わりやすい人。言葉だけで十分なのか、図の方が理解しやすいのか、その辺りも相手に合わせて使い分けることも意識しています。そういう見えない背景を伝えてきたことが、家族それぞれむっくんの行動について背景を考える意識を持つきっかけになり、むっくんの成長を温かく見守る今の環境をつくることにつながっているのだと思います。Upload By ウチノコ何のために伝えるのか子どもに障害があることを他者に伝えるとき、私は【何のために伝えるのか】という目的を明確にすると【何を】伝えるのか言葉にしやすくなる気がします。私の場合は、むっくんのことをみんなで見守っていく環境をつくることことが何より大切で、そのためには診断名よりもむっくん自身のことをできるだけ分かりやすく伝えることが大切でした。「どう伝えよう?」と悩んだときは「何のために伝えるのか?」という目的から考えてみると、自分なりの答えが見えてくるかもしれません。執筆/ウチノコ(監修:初川先生より)とても素晴らしいですね…!診断名だけでは何の説明にもならないのは本当にその通りです。診断名を聞いた人がイメージするその障害のありようがさまざまですし、実際のむっくんの様子における特性の強さの色合いもさまざまです。「何のために伝えるのか」を考えて伝える。むっくんをみんなで見守ることができる環境をつくるために伝える。そして、その伝え方は、むっくんが自分自身を理解するのに役立つ言葉と文脈で伝える。どれもとても良いと思います。お子さんの理解と周りの理解がずれないこと、お子さんでも理解できる平易な言葉で説明すること、とても大切です。何より、ウチノコさんのあたたかいまなざしが、周りの方々へと伝播しますね。それがとてもいいなぁと感じました。
2022年08月04日二人の弟のお姉ちゃんになって・・・昨年、わが家に誕生した次男のなーさん。家族みんなに愛され、すくすくと成長し、現在9ヶ月になりました。Upload By SAKURA妊娠中から、二人目の弟の誕生を、一番心待ちにしてくれたのは、広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)のある娘、あーさん(小学6年生)で、次男が産まれたときは、誕生の知らせを聞いて号泣したほどでした。Upload By SAKURA長男、きーさんが生まれたときは、赤ちゃんにあまり興味がなく、関わることが少なかった娘でしたが、次男に対しては、興味津々。ミルクをあげてくれたり、ゲップをさせてくれたり・・・率先してお世話をしてくれていました。Upload By SAKURA動き回る弟に、心配性な姉は・・・新生児のうちは、まだ動けない次男に寄り添い寝転がって、一緒に過ごすことが多かったのですが・・・最近は、そうはいきません。9ヶ月になった次男は、ハイハイ、つかまり立ち、つたい歩きをマスターし、とにかくじっとしていません。触っては駄目なものほど、手を伸ばしてつかみ、不安定な場所でも、すぐにつかまり立ちをするので、すぐ転んでしまいます。Upload By SAKURAそんな次男にいつも付き添う娘。過剰な心配から、最近は少し過保護気味に。ちょっとの段差でも、抱っこして降ろしたり、つかまり立ちをすぐ止めさせたりします。Upload By SAKURAそんな心配性の娘ですが、次男のお世話は、見ていて安心できるものになってきていて、抱っこもスムーズで安定感もばっちり。私が手が離せないときは、離乳食も食べさせてくれます。赤ちゃんとどうやって遊べばいい?ただ、娘は遊び相手になるのが苦手。私が「遊んであげて~」と言うと…Upload By SAKURA人形や赤ちゃん用のおもちゃを次男に渡し、自分は正面に座って、じーっと見つめる…。どうやって遊んでいいか分からないようで、声もかけません。元々、相手の立場になって、考えるのが苦手な娘。私は日ごろから娘に「相手がどう感じているか、相手の気持ちを想像してごらん」と声をかけていました。どうやら娘は、何を考えているか分からない赤ちゃんの気持ちを想像することができないようでした。Upload By SAKURA次男の正面に、ただ黙って座るだけの娘。次男は退屈で、すぐにその場から離れてしまいます。その状況(自分から弟が離れてしまうこと)に、娘はショックを受けていました。Upload By SAKURA赤ちゃんの相手が上手な弟に、ショックを受けて・・・反対に、次男との遊び方が上手な長男。次男が産まれるまで、わが家一甘えん坊だった長男なので、私は正直、弟に嫉妬するんじゃないか・・・と心配していたのですが、予想以上に、弟の相手をする、優しいお兄ちゃんになりました。長男は、次男を抱っこすることができず、お世話系はほとんどしませんが、遊びの相手はとても上手で…。Upload By SAKURA一度も教えたことはありませんが、次男の近くで人形を左右に振り、長男が声を出して、ごっこ遊びのようなことを始めます。次男はこれが大好きで、大興奮。体を大きく使って、リアクションをとる長男を見ながら、ケラケラと笑い続けます。Upload By SAKURA長男の上手な遊び方を、娘も見て真似すればいいと思ったのですが、「見て、真似して、吸収」という一連の流れを、自主的にはしない娘。しばらく様子を見ていると、遊びのとき、長男といる方がよく笑う次男を見て、娘が『私と一緒にいるときは笑ってくれない…』とショックを受け始めました。弟を観察し、真似をしてみると・・・そこで私は「きーさんの遊び方、見て真似してごらん」と声をかけました。すると、じっと観察を始めた娘。Upload By SAKURAしばらくすると人形を手に持ち、次男の相手を始めました。Upload By SAKURA次男は声を出して笑い、それを見た娘はとても嬉しそうでした。私が「よかったね」と声をかけると、得意げに「まあね」と答えていました。それから娘は自信がついたようで、率先して遊び相手をしてくれるようになりました。逆に長男は、抱っこができる娘が羨ましいようで、「おれは抱っこできない…」とショックを受けていたので…Upload By SAKURA座ったままの抱っこを教えると、できるようになったことにご満悦でした。これからの3人に期待!末っ子のためだと、自分の「できない」を「できる」に変えようとしてくれる、姉と兄。そんな二人に囲まれて、次男はいったいどんな子になるのか…そして、次男はこれから娘と長男にどんな刺激を与えてくれるのか…本当に楽しみです!Upload By SAKURA執筆/SAKURA(監修:三木先生より)とても楽しいきょうだいですね!お姉ちゃんとお兄ちゃんがそれぞれの様子をしっかりと観察して学んで、そして自分の行動に取り込んでいるのが素晴らしいです。「誰かのため」に時間とエネルギーを割くことのできる二人にこれからも期待ですね。
2022年08月03日高校生の頃の自傷傾向私に自傷の傾向が出たのは高校生のころだったと記憶しています。この時期、私にはいま思えば離人症と思われる症状がありました。現実感がなくなる、自分だけ少し床から浮いて暮らしているように感じられる、幽体離脱したように感じる、など。当時は自分の発達障害にも、抱えている複雑なトラウマにも気づいていませんでした。精神科など専門家にかかることも思いつかず、「頭がおかしいのだ」と自分を責めて、恥じる日々。そんな中、恥や罪の感覚、また、失われた現実感を強い刺激で取り戻したいといった理由から、さまざまな自傷的行動に走るようになりました。軽い摂食障害と日焼けへの執着当時の私は、「自分は罪深く恥ずかしい存在だから、その存在感をできるだけ薄めたい。自分の汚(けが)れをきれいにしたい」という感覚を抱えていました。そこで、必要のないダイエットをしたり、休み時間に学校の庭に出て肌を焼いたりするように。どんどん痩せて身体が薄くなっていくほど、自分の存在の罪が軽くなるような気がしました。食べ物のかわりに水を飲めば文字通り「存在が薄まる」、日光に当たれば「日光消毒ができる」と感じたり。この頃の写真を見ると、私はカリカリに痩せて真っ黒に日焼けしています。リストカットをしたこともつきまとって離れない離人感に難儀していた私は、何か強い刺激を受ければ「悪い夢から目が覚める」ように現実感を取り戻せるのではと考えました。そこで友達に頼んでビンタしてもらったり、尖ったもので皮膚をつついてみたりするように。ささくれを剥いたり、ニキビを潰しまくったりもしました。リストカットをすれば、痛みと赤い血の刺激で「目が覚める」のではと考えて、手首の皮膚一枚切るようなごく軽いリストカットをしてみたこともありますが、あまり効果を感じられずに数回で終わりました。私がなぜリストカットが癖にならなかったかと言うと、精神疾患があり、ささいなことで激しく取り乱してしまう母親のことが頭にあったのかもしれないと今は思います。私がリストカットすれば母親が取り乱すのは容易に想像がつきました。そういう母親に対処するストレスのほうが大きく感じられたのかもしれません。安心できる居場所ができたら自然と脱した高校を卒業したあとも、吸うとしんどくなるのに無理に煙草を吸う、不健全な性的関係に身を投じるなど、いろいろと自傷的とも言える行動を続けていた私。いつの間にかそういうことをしなくなったなあ、と思い返していて、20代後半でつきあいはじめた恋人のことを思い出しました。彼は私にとって生まれて初めて、私のことを大事にしてくれる人だったのです。彼の愛情にひたひたに浸かるようにして過ごしていたら、いつの間にか煙草が欲しくなくなりました。わざわざ危険な異性関係に飛び込もうという気もなくなったのです。何かに動揺したら電話で彼と話せば落ち着くことができる。ときどき会って抱きしめてもらえばフーッと深呼吸ができて、それまで自分がずっと浅い呼吸をしていたことに気づくのでした。居場所があれば…自分の中を探ってみて、今は自傷傾向はほとんどないと感じます。優しい夫や友人知人といった理解者に周囲を囲まれ、自分にもこの世界には居場所があると感じられるのです。それでも、私がこの世においては発達障害者としてマイノリティであるのは事実。誤解され攻撃され排除されやすい側であることも事実です。実際にそうされてきたトラウマ記憶もたくさんあります。そういった記憶のフラッシュバックとしてだと思うのですが、ときどき、自分が集団から歩き去り、孤独に夜空を見上げながら、若いころ吸っていた細巻きの煙草をふかす夢を見たりします。そんなときはポロポロと涙をこぼしながら目を覚まします。すべての人に、ありのままの本人を認め、受け入れてくれる人がひとりでも、場がひとつでもあれば… と祈る日々です。傷つきながら生きてきた人が、幸運にも何かの時点で居場所を見つけられるとしたら素晴らしい。それでもその人には、ふとしたときに蘇ってくる孤独で痛ましい記憶との戦いが日々続きますが、その人が、一日ずつを踏みしめるようにどうにか生きていけたら嬉しいことだなと、私は思うのです。文/宇樹義子(監修・鈴木先生より)話を聞いてくれる人が一人でもいればいいですね。学校の先生でも、職場の上司や同僚や医者や心理カウンセラーでもいいのです。親や担任の理解がないと子どもたちは現実逃避の一つの方法としてゲームやスマホ依存に走ることもあります。リストカット(最近はアームカットが多いですが)は特に女性に多く見られます。クリニックでは、心理カウンセリングだけでなく、ADHDのあるお子さんには衝動性を回避する意味でADHD治療を、また自傷をやめさせる意味で抗精神病薬の併用も行っています。
2022年08月02日虫や生き物との触れ合いを通して、学べることがありますわが家にはたくさんの生き物がいます。猫、ヤモリ、カニ、どじょう、カエル、ダンゴムシ、季節によってオタマジャクシ、アオムシなどなど。そうです、ミミは虫や生き物が大好きなんです。Upload By taekoそんなミミが通う小学校のクラスで、アオムシを飼育することになりミミは大喜び!もちろんクラスでは虫が苦手な子もいるので、虫に慣れている男の子やミミがお世話を率先してやっているようです。理科の授業や放課後など、友だちと一緒に虫のお世話をすることをとても楽しんでいます。友だちからの信頼を集めて、イキイキしている様子が嬉しいです。そして何より、その時間を通してミミにとっては人との関わり方の学びにもなっている様子でした。Upload By taeko学校から帰宅すると、お世話をしているアオムシの様子を楽しそうに話してくれます。そして家にいるときも、図書室で借りてきた虫の飼育の本を読んだり、youtubeを見て飼い方を学んでいます。その興味は学校のアオムシに留まらず、自分で虫を探して捕まえることへと広がっていきました。虫が増える春ごろには、来る日も来る日も虫を探しに行く日々を過ごしました。パパのために始まった、1ヶ月間のカマキリ大捜索中でも、「パパが好きな昆虫のカマキリ」をどうにか見つけたいミミ。きっと、パパを喜ばせたいという優しい気持ちがあったのだと思います。土手や公園に探しに行きました。それでも、簡単には見つかりません。カマキリが見つからなかったときも、次はどこに行こう?と考えて、自宅から行きやすく昆虫採集が可能な公園を探します。自分から進んで考えたり行動したりすることができて、成長を感じられるのも嬉しいです。休みのたびにいろんな場所へ行くけれど、それでも本命は見つかりません。ただ、その途中で見つけたちょうちょやてんとう虫を観察することを、楽しんでいました。Upload By taekoそして、カマキリを探し始めて約1ヶ月。「あっ!カマキリいた!」やっとの思いで早朝の公園で見つけられたときは、私もミミも大喜び!!それはそれは、とても大きな達成感でした。生き物を飼育することで、寿命まで飼う大事さや、餌を確保するのが難しいときは捕まえた場所に戻したり、学びにつながっています。パパもミミの頑張りを喜んでくれましたが、同時にちゃんと伝えるべきことは伝えてくれます。「生き物を飼うってことは、責任が生まれるんだよ」パパはいつも、捕まえた生き物のお世話の大切さを厳しくも愛をもって教えてくれるので、良い親子の関係になっているなと感じます。生き物に限らずだとは思いますが、夢中になれる本当に好きなことからは、たくさんの学びを吸収することができます。これからも生き物と付き合いながら、さまざまな発見をしていって欲しいと思います。執筆/taekoUpload By taeko(監修:井上先生より)お子さんに夢中になれる対象が見つかり、クラスの子どもやご家族もそれに理解を示し、本人もより学びを深めたり、そこから発展させたりできていることは、とても素晴らしいことだと思います。生き物を飼育することは、成長とともにその生き物が死んでしまうということにも接するかと思います。このことを通して命の大切さや、育てることの責任を、考えるきっかけにしていけると良いですね。
2022年08月02日その人らしい生活を支援するのが作業療法士(OT)の役割作業療法士(OT)の役割というと、病気やケガのあとのリハビリの印象が強いかもしれません。ですが実は、発達障害の領域でも作業療法の重要性が高まってきています。今回は、日本作業療法士協会の中村春基会長に、作業療法士の仕事や発達障害のあるお子さんを支援する際のポイントを伺いました。――はじめに、作業療法で対象となる「作業」について教えてください。中村:作業療法でいう「作業」とは、日常生活のすべての行為を指しています。たとえば、料理や掃除といった家事、接客やパソコン作業など仕事の場面で必要なこと、スポーツや音楽鑑賞、手芸などの趣味の活動はもちろん、食事や休息、眠ることだって作業の1つです。発達障害のあるお子さんの場合は、たとえば「食が細い」「なかなか寝つけない」といったことから、「黒板の文字を写すのが苦手」「授業中じっと座っていられない」といった学習や集団行動の悩みまで、そのすべてが支援の対象となります。――とても幅広いのですね。中村:驚かれるかもしれませんね。作業療法士の仕事は、「その人らしく生きるために、困りごとを軽減、解決するためのサポート」と言い換えられるのではないでしょうか。発達障害の領域でも作業療法の重要性が知られるように――現在、日本ではどれくらいの作業療法士の方がどのような分野で活躍されているのでしょうか?中村:作業療法士は1966年にできた国家資格で、自立支援についての医学、心理学、社会学的な知識を持つプロフェッショナルです。現在、日本国内で資格を持つ人は10万人を超えています。日本の作業療法士は、その多くが医療機関で仕事をしていることも大きな特徴です。ほかには、児童発達支援センター、放課後等デイサービスなどの児童福祉サービスなど。最近では就労支援施設や学校、学童保育、また刑務所などで支援にあたる作業療法士も増えています。Upload By 専門家インタビュー最近では、医療機関における子どもを対象とする作業療法で割合が大きくなっているのが発達障害です。自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠如・多動症(ADHD)の支援においても作業療法が重要であることが知られるようになりつつあります。日本作業療法士協会では5年毎で「作業療法白書」を取りまとめています。最新の2021年度版を編集中なのでまだ正確な数字がお伝えできないのですが、傾向としては下記のとおりです。【医療機関】新生児期から18歳以上まで幅広い。割合としては未就学が約45%、就学~15歳までが約25%。【児童福祉サービス】未就学が5割強、就学後が5割弱で、やや未就学のお子さんの方が多い。施設種別としては、作業療法士が多くいる順に、児童発達支援センター、放課後等デイサービス、障害児入所施設。【対象とする障害や疾患】・ASD、ADHD、DCD、LDなど・脳性麻痺・精神遅滞 知的障害・てんかん・ダウン症などの染色体異常・重症心身障害・筋ジストロフィーを含む神経難病+障害が診断される前の気になる段階の子どもたちとは言え、「リハビリ」「高齢者」というイメージがまだまだ強いようです。病院や療育センターで作業療法を受けることになっても、作業療法士は何をする人なのか、保護者の方には分かりにくいかもしれません。実際の作業療法の場面では、お子さんへの対応が中心になるので、なかなか「作業療法とは何か」「作業療法士が何を目指しているのか」を伝える時間を持てないのも実情です。そこで、協会では、作業療法を「知って」、上手に「使って」もらえるよう、広報活動にも力を入れています。たとえば、『○○○とつなぐ』という協会が発達障害のお子さんを支援する方向けに発行したパンフレットは、手帳に挟んで持ち帰ってもらい、気になったときに読んでもらえるように手のひらサイズで作成しました。○○○とつなぐー子どもの育ちを支える作業療法士ー――日本以外の国では、どのような状況なのでしょうか。中村:イギリスでは7割もの作業療法士が、地域の学校や通園施設、訪問施設などで働いていると聞いています。アメリカでも、延べ13万人の作業療法士のうち3万人が教育現場で働いており、なりたい職業ベスト10にもランクインしたことがあるくらい、子どもたちにとっては身近な存在のようです。――医療機関が中心の日本とは、大きく違うのですね…!中村:そうですね。 「友達づきあいが苦手で、悪気はないのにすぐに相手を怒らせちゃう」「ボールを投げたり、鉄棒をしたりするのが苦手で、みんなにバカにされてるみたい」、こうした悩みを気軽に話せて、その解決策を一緒に考えてくれる人がいたら子どもたちはどれだけ気持ちがラクになるでしょう。医学的知識のある作業療法士が身近な存在となれば、必要があればスムーズに医療機関と連携し、早期に治療や療育を始める助けともなるはずです。作業療法士が、生活と医療を結びつける架け橋となれたら!作業療法士協会がめざす大きな目標の1つです。将来的には日本でも「町の作業療法室」のような場所があちこちにできて、困りごとがある人がふらっと相談できるようにしていけたら、と考えています。作業療法士(OT)がプロの経験と知識で、保護者の不安を解消!出典 : ――作業療法の支援計画はどのように立てていくのでしょうか?中村:ひとくちに発達障害の作業療法といっても、実にさまざまなアプローチがあります。たとえばおもちゃやボール、楽器を使った手先や運動の訓練のほか、スーパーに買い物に行ったり、子どもたち同士で料理をしたり、ときにはみんなでスポーツ観戦に出かけたりすることも。具体的な生活の場面で、何ができていて、どんなことに困っているかといったことを、学校や園、また地域社会での経験を通して子どもと一緒に考えていきます。豊富な医学的な知識に加え、心理学や社会資源に関する知識をもとに、子どもの成長の一歩先を見ながらお子さん自身の気づきと変化をサポートしていくのです。だから、作業療法の現場はいつでも前向き!作業療法士は、「この子が持っている能力は何か」「今の運動機能と知的な能力だったらどんな遊び、勉強、作業ができるか」をすばやく見つけ、子どもが成功体験を感じられるシーンをたくさんつくっていきます。――保護者の方にとっても、発見が多そうですね。中村:そうですね。こうした働きかけは、そのまま保護者へのサポートにもつながります。保護者はともすると、わが子の苦手や不得意な面に目が行ってしまい「なんとか克服させてあげたい」と思いつめがち。そこに作業療法士のプロフェッショナルな視点が入ることで、「子どもの可能性や能力に気づき、子育てがより楽しく気が楽になった」という声も聞かれます。――学校や園の先生はどうでしょうか?中村:学校や園の先生からも、作業療法士と協働することで支援がしやすくなった、という声が届いています。例を挙げると、「学習が困難なことの背景には、眼球の動きや姿勢を保つことの難しさなどの原因があることを知り、決して怠けているわけではないということが分かって教師としてもうれしかった」「授業の様子をこまかく観察してもらい、道具や教材の工夫で困りごとがある子どもたちにもできることが増えることが分かりました!」などです。こうした声を聞くことは、私たち作業療法士の何よりの喜びです。発達が気になるお子さんの保護者同士をつなげられる機会を――発達が気になるお子さんの保護者の方へメッセージをお願いします。中村:私にも3人の子どもがいますが、今振り返れば、息子の1人は発達障害の特性があったのではないかなと思います。3歳児健診で運動機能面での発達の遅れを指摘されたほか、小学校に入学してからも片づけられない、翌日の準備ができない、といった困りごとがどんどん出てきました。ただ、30数年前は発達障害についての認知が進んでいなくて、私も恥ずかしながらまったく知識がなかったんですね。例えるなら、息子を無理やり学校に引っ張っていたような状況で、のちに発達障害についても勉強を深めるなかで「なんて親だったんだ」とつくづく反省しました。今は、発達障害について以前よりも社会の理解が進み、専門機関だけでなく、学校や放課後等デイサービスでも相談できる体制があります。発達障害のあるお子さんを育てるなかでは、悩んだり、不安になったりすることもあるでしょう。そんなときは、どんなことでもプロに聞いてみてください。家庭のなかだけで抱え込むと、追い込まれてしまいます。相談するのにも、最初は勇気がいるかもしれない。でも、勇気を出した先には、きっと気持ちがラクになる、親子ともに笑顔が増えるうれしい変化があるはずです。――相談することは子どもにとってだけではなく親にとっても、大切なのですね。中村:そうなんですよね。子どもはとても敏感で、親が不安になっていたらすぐに気づくものです。その子らしい発達を支援するためには、保護者のサポートが重要なのです。専門家と一緒に、その子の特性を正しく理解できれば、いたずらに不安が大きくなったり、できないことばかりにフォーカスしてストレスをためたりしてしまうこともなくなります。作業療法の現場では、同じような悩みを抱える保護者同士が話せる場を設けたり、発達障害のあるお子さんを育てた先輩パパ&ママから数年先の見通しについて聞く機会をつくったりと、さまざまな取り組みをしています。気になることがあったら、ぜひお住まいの地域の作業療法士会に問い合わせてみてください。――ありがとうございました。取材・文/浦上藍子Upload By 専門家インタビュー高校時代に重度心身障害者施設にボランティアに行ったことをきっかけに、作業療法士をめざす。1977年国立療養所近畿中央病院附属リハビリテーション学院卒業後、兵庫県社会福祉事業団玉津福祉センター附属中央病院などを経て、2009年より現職。日本作業療法士協会
2022年08月01日「先輩の口から恋バナがあふれ出てた」という話があふれ出るコウUpload By 丸山さとこ普段は「場の空気や人の気持ちを理解するのが苦手」「こだわりが強い」「人より物に対する興味が強い」などのASDの特性が目立つコウですが、ADHDの特性もいろいろとあり、ADHD治療薬を服用しています。授業中に立ち歩いたり道路に飛び出したりするようなことはなく、一見目立った多動や衝動性はありません。ですが、注意欠如や頭の中の多動はしっかりあるため、忘れ物・聞きもらし・うっかりミス・とめどないおしゃべりはかなりのもので、そんなときは『ADHDの特性もけっこうあるな~』と改めて思います。おしゃべりもウロウロするのも止まらない!帰宅直後のコウそんな彼も学校ではある程度周囲を意識して気を張って生活しているようで、その反動なのか帰宅直後はおしゃべりが止まらない状態になることがあります。そういうときは大抵動きも落ち着きがなく、右に左にウロウロしながらしゃべっています。Upload By 丸山さとこダイニングテーブルで本を読んでいた私の向かいで1.5メートル程度の距離を右に左にウロウロし続けるコウ。おしゃべりも移動も止まる気配がありません。そんな彼の姿に「めっちゃウロウロしながらしゃべるやん」とツッコミつつ、座るよう促したところ…Upload By 丸山さとこ一瞬静かになり、歩き回るのをやめてダイニングの椅子に座った彼は、Upload By 丸山さとこ椅子に座ったまま再びペラペラと話し出しました。先輩の口から恋バナがあふれ出た日、コウの口からは「今日学校であったできごと」があふれ出ていました。Upload By 丸山さとこそしてその間、床に放置され続けるリュックや帽子たち。普段は話しながら片づけを進めることもあるコウなのですが、ウロウロペラペラモードに入っているときは無目的にウロウロするだけなので、話の隙間に「片づけ始めるまで踏まないよう端に寄せておいてね」と促すようにしています。止まらないおしゃべりタイムは「特性を解放しているとき」なのかも?元々「中学生男子にしては家庭内でよく話す方だ」と言われることもあるコウですが、学校帰りに話があふれ出てくるときは、学校で抑えていた特性を解放しているときなのかもしれないなと感じることがあります。学校では興味のあることを話したくても一方的な独演会はできませんし、会話のキャッチボールをするときも「相手に伝わるかな?」と考えながら話さなくてはいけません。衝動性を刺激する要素は多くても、「今すぐ言いたい!」を我慢するシーンは家庭よりも多いだろうと思います。Upload By 丸山さとこそんなコウが家でノビノビとおしゃべりをあふれさせている間、「私は『王様の耳はロバの耳!』と叫ぶための穴のような存在になれたらいいのかな?」と思いながら、日々学校でのようすを楽しく聞かせてもらっています。執筆/丸山さとこ(監修:初川先生より)面白いですね。おそらく学校の中であった、コウくんなりの興味関心をそそられたこと(ちょっとした興奮状態になったり、覚醒度の上がった出来事)を家で話して整理しているようですね。学校の中ではさほど多動衝動が出ていないのだとしたら、さとこさんが思われたように「特性を解放する」時間なのかもしれませんね。特に何らか反応することを求めているというよりも、話したいから聞いていてほしいというところだと思うので、「王様の耳はロバの耳」の穴のつもりで、楽しく聞くだけで十分ですね。助言や話の骨を折るような質問などすることなく、コウくんが話しやすいように聞くという役を求められているようですね。
2022年08月01日クレーン現象とは?発達障害(自閉スペクトラム症)との関連性は?Upload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンクレーン現象とは、子どもが何かをしたいときに、保護者やほかの人の手を取って物を指す、保護者やほかの人の手を使って欲求を解消しようとするなど、相手の手などで自分の要求を表現する動作のことです。まだ言葉が使えないので、動作で要求を実現させようとするものだと言われています。クレーン現象は問題ない?子どもにクレーン現象が見受けられたら?自閉スペクトラム症や知的障害がある子どもなどに、この「クレーン現象」がしばしば見受けられます。自閉スペクトラム症の特性として「人」よりも「もの」への関心が強いため、相手の気持ちよりも、物事の達成を重要視する傾向があるからだと言われています。ただ、クレーン現象が多く出ると言われている1歳前後の年齢は、まだまだ言葉を使っての要求を伝えることができないことも多くあります。その場合、さまざまな方法で要求を伝えますが、その方法の1つとしてクレーン現象も挙げられます。例えば、定型発達の子どもでもジュースをとってほしい場合には「ジュース」や「冷蔵庫」などの単語が分からなければ、意思を言葉で伝えることはできません。言葉や指さしでの要求がまだできない場合は、保護者の手を介してその欲求を伝えることも多くあります。子どもに何度かクレーン現象が見られたからといって、必ず自閉スペクトラム症や知的障害がある訳ではありません。クレーン現象とは、まだうまく言葉で伝えられない子どもが起こす表現方法の一つなのです。コミュニケーションの発達を促すためにクレーン現象が見られるなどの場合には、指さしの意味に気づくための練習が必要なこともあります。指さしができることによって、子どもの意図が周囲に伝わりやすくなるなど、子どもにとってもメリットがあるでしょう。大人の指さしに注目する練習まずは大人が指さしのお手本をやってみましょう。ぬいぐるみや絵本などを目の前において、指さししながら「かわいいね」「わんわんだね」と言ってみます。「一緒に見ようね」と注意を引きながら行いましょう。どっちが欲しいか選ぶ練習おもちゃと絵本を置いて、どっちで遊ぼうか? と聞いてみます。子どもは自分の興味があるほうに手を伸ばします。指をささなくても、「こっちがいいのね」「選べたね」とほめてあげてください。欲しい物を指さしで伝える練習たくさんの種類があるものを並べて、あるいは表示されているところで、どれがいいのかを選ばせてみましょう。指さし練習の動画を見せる指さしの練習には、動画や絵本を活用してみましょう。ただし、動画の音声があったとしても、一人で見させっぱなしにはしないで、大人が近くにいて、「どれかな~?」「できたね!」など、肉声で声をかけるようにしましょう。情報をキャッチする力・見て・聞いて・体験して「分かる」力を育む・聞こえてくる音や言葉へ耳を傾けることを楽しむものを操作する音や、電話やチャイム・飛行機の音に耳を澄ましてみたり、楽器や歌を楽しんだり、関わり合い遊びの中で言葉かけをすることで、さまざまな音や言葉に親しむ子どもの正面で、ものを見せたり身体に触れたりしてから声をかけるなど、注意をひきつけてから言葉をかける子どもが何気なく音や言葉を聞いている様子が見られたら「リンリンと音がするね」「楽しいね」「よく聞いているね」と声をかける・見たり、聞いたり、体験して分かることを増やすその場所に行く・体験して「分かる」:プールに入ってようやく「水遊びをするんだな」ということが分かる、身体介助をされ座ってようやく「座る」ということが分かる繰り返し習慣化しているものは「分かりやすい」:玄関に行くと「靴を履く」ことが分かる、朝起きると「トイレに行く」ことが分かっている実物を見ると、次に起こること・何をすべきかが「分かる」:プールバッグを見ると「プールに行く」ことが分かる、車の鍵を見せられると「車に乗る」ことが分かる情報を「伝える」力・言葉や言葉以外の手段を使って「表現する力」を育む・子どもの伝えたいことは何か、身近な大人が推測する子どもの現在の気持ちを探り、「伝えたいこと」を推測、代弁してあげることから始める・表現手段を紹介し、一緒に練習してみる相手に向かっていく、肩をトントンとたたく、行動で示す、実物・写真・絵を持っていく、絵や文字を書いて示すなど人と一緒に過ごしたい、分かりたい、伝えたいと思えるモチベーションの源「関わる」力を育む・子どもの世界で一緒に過ごす子どもが注目しているものや、取り組んでいることに対して嫌がらない程度に近づき、声をかけ過ぎず、干渉し過ぎず、一緒にゆったりと過ごす・子どもの見ているもの・聞いているもの・感じていること・動きにコメントしてみるする世話をしながら話しかける:オムツをはかせながら「はい、オムツがはけました」「気持ちいいね」子どもの興味関心に合わせて言葉をかける:おもちゃの車を走らせながら「パトカーがくるよ」、青いブロックを積みながら「青いブロックだね」など・子どもが「思いが叶った」「気持ちを満たしてもらえた」と思えるよう関わる嬉しいことが起こった、思いが叶った、不快な気持ちが軽減した、不安が和らいだという体験を積み重ねることが大切・子どもにもっと期待してワクワクしてもらえるような関わりを心がける体を使ったふれあい遊び、繰り返し遊び(いないいないばあ、シャボン玉あそび、かくれんぼ)などまとめ定型発達の子どもにとっても自閉スペクトラム症のある子どもにとってもクレーン現象は要求を伝える方法の一つです。クレーン現象が気になったとしても、注意をしたり、無理矢理に直す必要はありません。無理のない要求であれば応えてあげてください。子どもがクレーンなど何らかの方法で要求を伝えようとしたときには、指さしで欲しいものを指す、言葉で伝えるなど、より伝わりやすいコミュニケーション方法を教えてあげる機会としてみてはかがでしょうか。
2022年07月31日ASDとADHDのある息子との帰省は大変!Upload By かなしろにゃんこ。ASDとADHDのある息子が小学1年生のとき、私の父の故郷で法事があり、遠方にある父の故郷へ家族みんなで飛行機で行きました。お盆と少し時期がずれていた8月下旬だったので空港の混雑は少し緩和されていましたが、それでも夏休み中でまだまだ人が多く、特性によりじっとしていられない息子を連れての遠出は一苦労です。私と夫はあいさつ用の手土産物などを抱えて両手がふさがり、息子と手をつなぐ余裕がありません。目を離すと勝手にどこかへ行ってしまうような息子ですから、親は気が気じゃない!それだけではなく、普段とは違うお出かけで気分が上がると息子はソワソワ、ウロウロ…そしてベラベラとおしゃべりも止まりません。Upload By かなしろにゃんこ。どこでもおかまいなしに「今、その話重要???」とツッコミたくなるようなことを思いついたまま延々と話します。「ちょっと黙ってなさーーーーーい!!!!」と私がパニックになって叫びたくなるほどです。それに、迷子にならないように「手荷物忘れないでね」「はぐれないでついてきて」「トイレは?」など気を回さなければならないことが山ほどあります。公衆の面前で「怒らない」「取り乱さない」など、気をつけようと思っていましたが、ハッキリ言って親が精神を鍛える試練の場としか思えませんでした(笑)。Upload By かなしろにゃんこ。ASDとADHDのある息子が落ち着いて移動できるように母が与えたミッションとは?それでも「家族で思い出をつくりたい!」そんな気持ちでいざ帰省へ!となったのでした。空港では、はぐれてしまわないように息子をトランク係に任命しました。大きな荷物を管理する役目を担うと息子は係に集中し、少し口数が減るので効果がありました。トランクに乗ったりしながら前進する楽しさもよかったみたいです。Upload By かなしろにゃんこ。また、機内で長時間大人しく座っていられないのではないか、という心配がありました。そこで、搭乗前に飛行機の非常口前の席に座らせていただけないか相談し、乗務員さんの隣の席にしてもらうことができました。(※現在、非常口の側の席に座る人は非常時のサポートができる年齢である必要があるため子どもは座れませんが、航空会社によっては知的障害・発達障害がある人のためのサポートがあるようなのでスタッフの方に事前に相談ができるとよいかもしれません)座席の前が広いので足さばきで前の座席の人に迷惑をかけることもなくいけました。Upload By かなしろにゃんこ。機内では息子が飛行機を怖がってソワソワしてしまったり、緊張を和らげるためなのか口数が増えることが心配でした。普段ならケチって購入しない母ですが、周りの人に迷惑にならないように事前にシールブックを3つほど購入して、目的地までシール貼りに夢中になってもらうことにしました。アニメなど映像などを見て気持ちを和らげるのもいいのですが、体の動きを少しの間封じ込めたいので手元に集中してもらえたらいいなと思ったのです。Upload By かなしろにゃんこ。多分ですが羽田から九州上空までは大人しくできていました。以後足バタバタでしたが…(汗)。目的地に到着してから、息子にはゲートなど行先を確認したり、チケットを渡す係を担ってもらいました。係があることにより息子自身が常に親がいるのかを意識して、そばから離れないようにしてくれたので乗り切れました。Upload By かなしろにゃんこ。そして帰宅後Upload By かなしろにゃんこ。普段のお出かけでは「まだー?」「どこまで行くの~?」「疲れたー」などとを言う息子。折角の楽しい帰省ですから、何が何でもテンションを下げたくないという親の必死な作戦だったのでした。せわしないので帰宅後は疲れ果て「二度と息子と遠出はしたくないな…」と思ってしまいましたが、今では良い思い出です。執筆/かなしろにゃんこ。(監修:井上先生より)これから夏休みで家族で帰省する機会も多いと思いますが、非常に参考になるコラムだと思います。「静かにしなさい」「じっとして」とか注意するだけでなく、時間つぶしのグッズを用意されたり本人の特性を活かせるような役割を与えたり、さまざまな工夫があると長い時間の移動も楽しくなると思います。楽しい雰囲気の中で新しい体験を積むことが今後の子どもさんの自信にもなっていくとよいと思います。
2022年07月31日ADHDがある子どもへの薬物療法。治療にはどんな種類の薬が使われるの?Upload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンADHDは投薬で治療できるの?薬物療法との向き合い方ADHDのある子どもへの薬物療法にはどのような薬が使われるのでしょうか。今回は「ビバンセ」「コンサータ」「ストラテラ」「インチュニブ」の用量、用法や、効き方、副作用などについて説明致します。発達障害の特性によって、家庭生活、学業、友人関係に支障をきたしてしまう…そんな子どもに対しては、さまざまな支援や医療的なケアを利用することができます。その中で、親として最も判断に迷うものに、薬物療法が挙げられるのではないでしょうか。薬物療法を始めても、「薬物療法が本当に良い決断なのか、子どものためになるのか」「副作用などでかえって子どもを苦しめてしまわないか」など、迷いや不安があるのは当然だと思います。薬物療法に対しては、さまざまな考え方や意見があります。中には判断に迷う情報もあるでしょう。薬物療法が全てを解決してくれる訳ではなく、過度な期待は禁物です。投薬を始める場合には、環境調整や本人への説明を行うことが重要で、ただ薬だけ投与しても効果は期待できません。逆に、薬を絶対に使わず本人の努力のみが求められるとしたら、それも子どもにとってつらいことになってしまう可能性もあります。不安な気持ちのまま薬物療法を進めるのではなく、疑問を解消して自分なりに「薬との向き合い方」を考えていくことが大切です。発達障害(ADHD)における薬の効き方とは発達障害に対して薬物療法はしばしば行われることですが、発達障害自体を完全に治癒させる薬物療法はありません。発達障害における薬物療法は、対症療法であると言えます。注意欠如・多動症(ADHD)の中核的な症状である多動性—衝動性、不注意に対して、メチルフェニデート徐放錠(コンサータ®)、アトモキセチン(ストラテラ®)、グアンファシン徐放錠(インチュニブ®)が使用できます。また、2019年12月からは、リスデキサンフェタミン塩酸塩カプセル(ビバンセ®)が使用できるようになりました。それぞれの薬剤は、効果が出現するまでの時間や効果の強さ、効果がみられる時間の長さや作用のプロフィールが異なっており、患者さんの状況や薬物への反応性に応じて使い分けられます。Upload By マンガで分かる発達障害のキホンリスデキサンフェタミン塩酸塩カプセル(ビバンセ®)ビバンセとは、リスデキサンフェタミンを成分とする薬の販売名で、不注意、多動、衝動性を改善させる効果があります。6~18歳の小児を対象に、2019年3月に販売承認され、2019年12月3日より販売が開始されました。※18歳以前に服用を開始した人に限って、18歳以降も服用することが認められています。6歳未満の子どもへの安全性は確認されていません。また、現時点では、本邦における成人期の適応は取得されていません。これまでにADHDの治療薬として、中枢神経刺激薬のコンサータ、非中枢神経刺激薬のストラテラとインチュニブが販売されています。ビバンセはコンサータと同じ中枢神経刺激薬に属します。ビバンセは体内に吸収された後、アンフェタミンに変化します。このアンフェタミンがADHD症状を改善するのです。ADHDのある人は、脳内で神経に情報を伝える働きを担う神経伝達物質の作用が十分ではないと考えられています。特に、喜び、快楽に関連したドーパミンと、恐怖、驚き、興奮に関連したノルアドレナリンです。ビバンセは、神経と神経の間(シナプス間隙)における神経伝達物質のドーパミンとノルアドレナリンの働きを高める作用があるのです。参考:ドパミン|e-ヘルスネット 厚生労働省参考:ノルアドレナリン / ノルエピネフリン|e-ヘルスネット 厚生労働省ビバンセはカプセルの薬で、20mg、30mgの2種類が用意されています。通常は、30mgから服用を始め、70mgを上限として必要に応じて増量し、1日1回朝経口投与します。増量の必要があるかどうかは診察のうえで医師が判断するため、自分で増量して服用することはやめましょう。ビバンセには併用が禁止されている薬があることから、医師の診察では服用している薬を忘れずに報告してください。ビバンセは服用し始めると、初日からその効果があらわれ始めます。服用すると薬効が12時間程度続き、不注意、多動性、衝動性を改善します。●モノアミン酸化酵素(MAO)阻害剤セレギリン塩酸塩(エフピー)ラサギリンメシル酸塩(アジレクト)●尿のpHをアルカリ化する薬剤炭酸水素ナトリウム等●尿のpHを酸性化する薬剤アスコルビン酸等●メチルフェニデート塩酸塩コンサータリタリンビバンセで特に注意が必要なの副作用は、ごくまれに生じるショック、アナフィラキシー(顔面蒼白、呼吸困難、そう痒など)などです。観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行ってください。代表的な副作用は、食欲減退(79.1%),不眠 (45.3%),体重減少 (25.6%)などです。フェニデート徐放錠(コンサータ®)コンサータは、「メチルフェニデート塩酸塩」という成分の入った薬の販売名です。ADHDのある人に処方される飲み薬で、ADHDが原因であらわれる不注意、多動性、衝動性を改善させる効果があります。2007年に6歳から18歳未満の小児に対する治療薬として承認され、2013年には18歳以上の成人にも適応されるようになりました。コンサータは錠剤の薬で、18mg、27mg、36mgの3種類があります。子どもも大人も18mgから服用を始め、その人の適量となるように必要に応じて増量していくようです。なお、18歳未満の子どもでは54mg、18歳以上では72mgが服用の上限です。医師が診断のもとで、その人にとって適正な量を処方するので、自分で増量して服用することはできません。コンサータは1日1回朝に服用します。服用時間が遅くなると夜眠れなくなってしまうことがあるため、午後には服用しないように気をつけましょう。コンサータは服用し始めると、初日からその効果があらわれ始めます。服用すると薬効が12時間程度続き、不注意、多動性、衝動性を改善します。コンサータの副作用としてもっとも多かったものは食欲減退(40.8%)、続いて不眠(18.2%)、体重減少(16.4%)、動悸(12.1%)、悪心(11.7%)となります。※ビバンセとコンサータについては、いずれも医師から処方されるものですので、処方箋なしでは入手できません。特にビバンセとコンサータは流通規制がとられており、登録した医師だけが処方できるような厳しいシステムが整備されています。アトモキセチン(ストラテラ®)ストラテラは不注意、多動性、衝動性といったADHDの症状を改善するために処方される薬です。2003年にアメリカで発売開始されてから海外でも広く使用されており、日本では2009年に18歳未満の子どもに承認されました。さらに、2012年には18歳以上の成人にも承認が拡大され、幅広い年齢の人への処方が可能となっています。ただ、6歳未満の子どもへの安全性と有効性は確立されていません。ストラテラはアトモキセチン塩酸塩という成分の入った薬で、脳の前頭前野部分に多く存在する神経伝達物質「ノルアドレナリン」を活性化させる働きを持っています。脳の前頭前野部分は、順序だてた行動や、行動をコントロールする役割を果たしており、ADHDの人はこの部分に何らかの不具合があると推測されています。ストラテラはドーパミンの代謝も調節することで、症状を改善させると推測されています。また、ストラテラは薬物依存に関係する中枢神経系には作用しないために、薬への依存性は低いといわれています。ストラテラは飲み薬で、現在カプセルと液体薬剤のどちらかが処方されます。カプセルは5mg・10mg・25mg・40mgの4種類あり、医師が処方した用量になるように組み合わせることが可能です。カプセル内の物質は刺激物のためカプセルを分解することは禁止されています。そこで、まだカプセルが飲めない子どもや、カプセルが飲みづらい人には、液体薬剤(内用液)0.4%を選べるようになっています。18歳未満の子どもと18歳以上の成人では処方量や処方回数が異なります。子どもには体重に基づき決定した1日分の用量を1日2回に分けて処方される一方、成人では体重に関係なく用量が決められ1日1回もしくは2回に分けて処方されます。また、子どもも成人も少量からの服用で治療がはじまります。どのように処方されるかは、医師が診断の上で判断しますので、かかりつけの医療機関で相談してください。薬には飲んですぐ効果があらわれるものと、効果があらわれるまでに時間がかかるものがあります。ストラテラは後者のタイプで、毎日飲み続けることで効果があらわれる薬ですから、ADHD症状が改善するためには少し待つ必要があります。約2週間で不注意、多動性、衝動性の改善がみられるようになり、安定した効果が得られるまでには6~8週間ないし人によってはそれ以上かかるといわれています。なお、薬の効果があらわれれば、その効果は途切れることなく終日にわたって続くとされています。特に気をつけなければいけない副作用は、重大な副作用の肝機能障害・黄疸・肝不全・アナフィラキシーです。非常にまれなもので、先ほどご紹介した2009年に高橋道宏医師らが実施した試験でも、これらの副作用は報告されていません。しかし、どのくらいの頻度で起こるかは不明であるものの、服用する場合には念のため注意する必要があります。重大な副作用ではないものの、ストラテラを服用すると起きやすい副作用としては、悪心(31.5%)、食欲減退(19.9%)、頭痛(15.4%)、傾眠(15.8%)などが挙げられます。このような症状が出た場合でも、すぐに医師に相談しましょう。食欲がなくなる、吐き気や腹痛などといった消化器系の副作用を防ぐためには、食事直後に薬をのむなどの対策をとることも重要です。グアンファシン徐放錠(インチュニブ®)インチュニブは、グアンファシン塩酸塩という薬の商品名のADHD治療薬です。グアンファシンという成分が脳の情報伝達機能を助け、ADHDの多動性、不注意、衝動性の症状を改善する効果があります。日本で製造販売が承認され、販売が開始されたのは2017年5月ですが、アメリカ、イギリス、オーストラリアでは以前からADHDの治療薬として、コンサータ、ストラテラと共に使用されてきました。インチュニブは、患者の体重、症状、薬の効き方を踏まえて飲む量を決めるので、医師の処方が必要です。また、処方される年齢は6歳~と決められており、6歳未満の患者が使用した場合の安全性、有用性はまだ確認されていません(2022年6月現在)。従来の薬とは違う作用で働くため、ストラテラやコンサータでは効果を感じられなかったり、副作用などにより継続できなかった人への効果が期待されています。ADHDの原因は解明されていませんが、脳の前頭前皮質という部分での情報伝達に問題があるとされています。中でも、シナプスという情報の送受信をする部位がうまく働かないことが原因の一つではないかといわれています。ADHDのある人の中には、後シナプス(情報を受け取る側)に伝達された情報が漏れ出てしまい、神経伝達量が減少してしまっている場合があると考えられています。インチュニブの役割は、後シナプスの情報の取りこぼしを減らすことです。インチュニブの主成分であるグアンファシンが、後シナプス中のアドレナリン受容体という物質を活性化させることで、シナプス内のHCNチャネルという穴を塞ぎ、入ってきた情報を漏れにくくさせます。インチュニブは1日1回服用する薬です。飲む量は、医師が体質、症状、薬のきき方などをもとに決めます。飲む時間帯はなるべく決まっていたほうが良いでしょう。インチュニブと併用すると、効果が変わったり、副作用が出たりする薬や食品があります。もともと服用している薬がある場合や、インチュニブを服用しながら他の薬を服用することになった場合は、主治医に相談しましょう。インチュニブの対象年齢は6歳以上です。6歳未満における有効性・安全性は確認されていません。インチュニブには、傾眠(49.8%)、起立性低血圧、頭痛などの副作用が認められています。インチュニブ服用時に特に起こりやすい副作用としては、低血圧、徐脈(心臓の拍動数が異常に減少する)、鎮静、傾眠があります。インチュニブの成分であるグアンファシンはもともと血圧を下げる薬として開発されていたこともあり、特に起立性低血圧(立ちくらみ)を生じやすい人での使用には十分な注意が必要です。まとめ子どもが一定期間薬を服用することに対して保護者の方が不安になるのは当然のことだと思います。投薬を開始するにあたって、子ども本人に薬のことをどう伝えるか、また周囲への伝え方などさまざまな悩みを抱えることと思います。子どもが発達障害とともにどのように暮らしていくか、医療とどう付き合い、利用していくのか、こういった視点の中で、自分なりの薬に対する向き合い方を考えていくことが大切です。
2022年07月30日ADHDとASDのある息子が小学4年生のころ、ショッピングモールへ行ったら…!?息子にはADHDとASDの特性があります。息子がまだ小学4年生だった、10年ほど前の夏休みのことです。8月中盤になると出かける場所も行きつくし、暇な私たち親子は近所にあるショッピングモールに涼みに行くことがよくありました。落ち着きない息子は、いつもショッピングモールに着くなり「ぼくオモチャ屋行ってくる」と勝手に走って行ってしまいます。この日は迷子にならないように、私が迎えに行くまで息子にはおもちゃ屋で待機しているようにと約束をしていました。息子にはミニカーを一つ買えるだけのお金を持たせることがありましたが、この日は「先週ミニカーを買ったから今日は買えないよ、おもちゃ屋さんは見るだけね!」と言ってお金は持たせませんでした。息子が おもちゃ屋さんを見ている間、私は子育てから解放されてカフェで冷たいドリンクを楽しむ、しばしの至福のひととき。しかし、おもちゃ屋で待機!と約束していたのに、しばらくすると母がいるカフェまでやってきた息子。少し高そうな車のおもちゃを持ってテーブルの上で走らせて遊びはじめました。私が「それどうしたの?お金持ってないから買えないはずだよね?」と聞くと、「うん、ミニカー売り場に置いてあったんだよ、誰かが忘れていったんだと思う、だからもらっちゃった」と息子は言います。私は真っ先に「勝手に持ってきちゃったんじゃないの!?」と疑いました。それに忘れ物にしては新品のキレイなおもちゃに見えます。追及すると息子は「本当だよ!このおもちゃは箱から出ていたんだ、売ってる物じゃないんだ、だから誰かが忘れたものなんだよ!」とムキになって言い返してきました。Upload By ユーザー体験談息子は勘違いをしているのでは…?息子はどうも「同じ商品が箱に入って並んでいるけれど、箱から出ている物は一度誰かが購入して箱から出した物であり、売り物ではない」という誤った捉え方をしているようです。また、誰かの忘れ物であった場合でも、勝手に持ち去っていいわけではありません。息子は、2つの間違いをしているのかもしれないと思いました。Upload By ユーザー体験談はたまた、そうではなく、本当は店の物を盗んでしまったのに嘘をついているのかもしれません。店に謝りに行き、買い取る必要があるかもしれない、などと頭の中でいろいろなことがかけめぐりました。息子は「本当だよ!」の一点張りでした。私の心の中では(いや、絶対に売り物を持ってきちゃったんだろう)という疑いが60パーセントくらい占めていました。あぁ…もう息子から目を離すのはやめよう…、と反省する出来事でした。Upload By ユーザー体験談今は成人した息子。当時を振り返ると…今は成人している息子。当時のことを聞いてみると、「箱から出ていたおもちゃを誰かが忘れていった」思い込んでいたのだそうです。今ならあれが間違いなく売り物だということは分かるけど、当時はそうは考えなかったとのことでした。息子は、「お母さんがスゴイ疑って聞いてきたからムキになったな。でもよく考えたら店の物ということになるね!あのときはオレが欲しいおもちゃが箱にはいっていない状態で置いてあったから、深く考えずに純粋に『ヤッター!もらおう』って思っちゃったんだよね」と話してくれました。Upload By ユーザー体験談売り物や人の物を勝手に持ち出すのはあってはならないことです。子どもを信じたいけど信じきれない、でも一方的に追及しすぎるのはよくないのかな?と考えてしまったり…。あとから息子の口から話を聞くことができましたが、このときどう対応するのが一番よかったのか?分からなかった母でした。イラスト:かなしろにゃんこ。エピソード参考:星野 真弓(監修:三木先生より)ご本人の後日コメントにあるように、発達障害のあるお子さんは、大人の常識とは違った思い込みでものごとを判断することが往々にしてあります。お子さんの言い分を信じるかどうかは結果論で良い対応にも悪い対応にもなってしまいますが、時には大人が先入観を外して子どもの言葉を素直に聞いてみることも大事かもしれませんね。あなたのエピソードもコラムになるかも?体験談募集中!保護者の方が日々子育てをする中で「こんなトラブルがあった」「こんなハプニングがあった」など悩みはつきないと思います。そんな発達ナビユーザーのみなさんの「困った」エピソードを募集しています。テーマは「反抗期・思春期」「自傷」「学習」「不登校」「ゲーム」「不器用」「ママ友・保護者」「ご近所トラブル」などに加え、今回より「パートナーや両親(義両親)、親族間トラブル」「冠婚葬祭」のお悩みも追加募集!パートナーなどとの意見の相違、冠婚葬祭でのルールが分からない、反抗期による親との言い争い、癇癪を起こして自分の頭を叩く、地団太を踏むなどの自傷行為…読み書きや計算の困りはもちろん、授業を落ち着いて受けられないなどの学習の悩み…行き渋りや不登校などの悩み…いろいろなお悩みエピソード、お待ちしております。お寄せいただいたエピソードの中から数作品、発達ナビの連載ライターさんにコラムとしてコミックマンガエッセイ化していただき、発達ナビで公開いたします!あるあるのエピソードからヒヤリとしたエピソード、SNSなどではなかなか言えないような家族やママ友とのトラブルまで。いろいろな「困った」エピソードをぜひ教えてください。
2022年07月29日神奈川県児童発達支援事業所Upload By 発達ナビ施設情報てらぴぁぽけっと海老名さがみ野駅前教室は2022年6月に開所した児童発達支援事業所です。友達と上手く遊べない・席に座れない・名前を呼んでも振り向かない・話を聞いていないように見える・落ち着きがなく集中して遊べない・手足をそわそわ動かすなどの悩みについて、保育士などの有資格者のスタッフ・セラピストがお子さん一人ひとりに合わせたプログラムを組み、お子さんの楽しいを大切にしながら、無理なく、より細かく、確実に、丁寧に遊びの中に支援を組み込むことを大切にしながら支援を提供している施設です。神奈川県の児童発達支援事業所をもっとみる大阪府放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報poppy fam(ポピーファム)は2022年10月にオープン予定の児童発達支援と放課後等デイサービスの多機能型事業所です。理学療法士、作業療法士、言語聴覚士による専門的な療育を行い、言葉の発達や語彙、体の動かし方や体幹、手先の動かし方や衣服の着脱など、お子さんの日常生活における「苦手」を「できた!」に変えるサポートを行う予定です。専門療育だけではなく、職員、お友達との集団での関わりを通し、お片づけ、整理整頓といった「身辺自立」、おもちゃの貸し借りや、気持ちを言葉で伝えるなど「社会性」を育むサポートを行います。大阪府の放課後等デイサービスをもっとみる広島県放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報開所したばかりの放課後等デイサービスイチバンボシ庚午では、以下のプログラムを提供しています。学習プログラム:『できた』という達成感を大切にし、各学年別に個別で支援を行っています。運動プログラム:体操や運動機器を使用したサーキットトレーニングや、想像力・バランス感覚・体力向上・リズム感等の要素を取り入れたトレーニングを行っています。社会参加プログラム:集団での活動をしていく中で、他者との関わり方やルールを学び、協調性を養っていけるよう支援を行っています。広島県の放課後等デイサービスをもっとみる福岡県放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報2022年7月にオープンした、療育ケアMARINE RAINBOW 久留米高校前は、作業療法士による専門的療育を提供している放課後等デイサービスと児童発達支援の多機能型事業所です。個別療育では学習・認知面のサポートを行い、集団療育では適切なコミュニケーションや集団生活面での必要なスキルなどのサポートを行っています。また、お子さんの特性に合わせて、身の回りの動作の訓練を行ったり、身体を動かす遊びや運動動作を通じて、身体の動きをスムーズにしたり、力の使い方を上手にできるようサポートを行っています。福岡県の放課後等デイサービスをもっとみる鹿児島県児童発達支援事業所Upload By 発達ナビ施設情報ブロッサムジュニア玉里教室は2022年4月に開所した、児童発達支援と放課後等デイサービスを提供する多機能型事業所です。ソーシャルスキル、知育、感覚統合等、お子さんに合った多様な療育プログラムを提供しています。集団療育では「遊び心満載」のプログラムを通して、不得意に取り組み得意を伸ばせるような支援を、個別療育ではお子さまの特性に応じて、オーダーメイドのプログラムをマンツーマンで行い、「心身機能面・行動面・生活面」のサポートをしながら、小さな自信の積み重ねにつながるようなきめ細やかな支援を行っています。鹿児島県の児童発達支援事業所をもっとみる「もっと施設の情報を詳しく知りたい!」「見学をしてみたい!」と思ったら、WEBからもお問い合わせが可能です。施設情報ページでは、掲載されている施設の情報を地域ごとに検索して見ることができますよ。
2022年07月28日「私のADHD、発達障害に関して話したいと思います」7月25日、自身のYouTubeチャンネルを更新し、「ADHD」であることを公表した木下優樹菜(34)。木下は、「ちゃんと自分を知ろう」と思い立ち、「ブレインクリニック」というクリニックを受診。脳の周波を検査し、専門医に相談したところ、判明したという。「脳の中が混線?こんがらがっちゃってんの。びっくりするくらい」と測定結果をカメラに見せながら、驚いた様子で語った。ADHDとは、注意欠如・多動症ともいわれる発達障害のひとつ。厚生労働省のホームページによると、「発達年齢に比べて、落ち着きがない、待てない(多動性-衝動性)、注意が持続しにくい、作業にミスが多い(不注意)」といった特性があるという。木下自身も、財布や携帯電話を頻繁に無くしていたものの、「自分の個性だと思って生きていた」と説明。一方で、19年に離婚したFUJIWAEA・藤本敏史との結婚生活に触れ「向こうがイライラしたり、イライラさせちゃった」と振り返り、動画の終盤には「あ、じゃあこういう風にしてあげたらいいのかって、寄り添う気持ちを少しでも持っていただけたらなって」とADHDに悩む人たちへの理解を求めた。この告白に、動画のコメント欄には《私もこの事についてずっと悩んでてADHDって優樹菜ちゃんが公表してくれたから、今度安心して検査受けれそうです!ありがとうございます》《とても勇気づけられました!繰り返し見てます》とポジティブな姿勢を称賛する声が相次いで寄せられた。そのいっぽう、疑問を抱く人もいたようだ。ADHDに悩む当事者は言う。「確かに、ADHDは脳の特性上、落ち着きがなかったり、ミスが多かったりと、さまざまな要因から迷惑をかけやすい傾向にあります。周囲や社会の理解度は上がるべきですが、ADHDを理由にすべての迷惑が許容されるわけではありません。迷惑をかけやすいからこそ、ADHD当事者の多くは服薬や工夫を通して自責の元、真っ当な社会生活を送れるように努力をしています。今回の木下さんの動画は、周囲に『寄り添う気持ちを持ってほしい』と理解と許容を求めるだけで、木下さん自身が『相手をイライラさせてしまう』などの現象をどう改善するかは言及されていませんでした。努力しないまま迷惑を許容してほしい、という主張は同じ当事者としては賛同できません」(ADHD当事者)今月にはロンドンブーツ1号2号・田村淳(48)のYouTubeチャンネルへの出演に際してのやり取りを巡り、賛否を巻き起こしていた木下。またもや論争を招く結果となってしまったようだ。
2022年07月27日