発達障害をもつ息子・よしおを育てるママ・なおにゃむさん。そんななおにゃむさんの日常には、ちょっぴり変わったエピソードが盛りだくさん。漫画を通して、よしお君の独特な世界をご紹介していきます!チーズが大好きなよしお君。好物のチーズがなくなりそうになると、ありとあらゆる手段で手に入れようとするとか!?...物がなくなりそうになるとママにおつかいを頼むよしお君ですが、日用品の補充などもお願いしてくるので、なんだかんだ助かることもあるよう。家の物の在庫状況は、まさによしお君次第だったり!?これからも、ママのパシリは続きそうですね。原案・作画:なおにゃむあわせて読みたい🌈【発達障害あるある】「ノートに名前書いてね」と伝えたら…違う名前が⁉
2022年07月22日二次障害にならないように「二次障害にならないように」私はたびたびこの言葉を投げかけられました。医師から、支援員さんから、療育先から、発達障害に関する本から。発達について学ぶたびにこの言葉はついて回りました。子どもが小さなころはもっともだと思っていました。だって子どもには幸せでいてほしいから。大人になって手を離れたあとも、できる限り幸せを感じながら生きていってほしいから。「二次障害」なんて響きだけでも恐ろしい。ならずにすむならなってほしくない。そのために私にできることを頑張ろうと、ずっとそう思ってやってきました。それでも思うようにいかない育児。学んで、工夫して、自分の感情をコントロールして、頑張って頑張って頑張って。だけど、やっぱり声を荒げずはいられない日もあります。心無い言葉を浴びせてしまうことだって、不適切なかかわりと分かった上で、それをせずにいられない瞬間もあります。周囲の無理解から子を身を挺して守ったきたつもりだけど、どんなに頑張ってもどうにもできないこともありました。Upload By ウチノコ私は成長していく息子の中に「傷」が隠れていることを知っています。私がつけたかもしれない、私が守れなかったからかもしれない「傷」です。いつからか「二次障害にならないように」と言われるたびに、私は苦痛を感じるようになりました。まるでそうなったら「おしまい」と言われているようで、そうなったらどうしようという不安が膨らんでしまいます。私の努力が足らないのだと。私の学びが足りないのだと。親なのに子どもを不幸にするのかと。お前は親失格だと。そんなふうにその言葉を受け止めてしまいます。だって私が「適切なかかわり」通りにできていないことを一番よく知っているのは、私自身だからです。二次障害の中へ息子は小1の秋から不登校を選びました。不登校は資料によっては「二次障害」に分類されることもある状態です。そして私自身も若いころに鬱や適応障害の経験があります。その根底にたくさんの理由がありました。その中には生まれ育った環境に起因する認知の歪みもあったと思います。周囲の不適切なかかわりもあったと思います。もし、私に発達障害の診断があれば、私はきっと「二次障害を起こしている人」というカテゴリーに含まれるのでしょう。二次障害にならないように頑張ってきたけれど。気づけば私たちは二次障害の中にいたのです。Upload By ウチノコ昔、私が鬱と診断されたとき。悩むし、苦しいし、生きることがつらくて仕方なくなったこともありました。そして今も息子とのことを悩みながら、日々試行錯誤しています。どちらも「もがく」という表現がしっくりくる時間のように感じています。それでも、その日を境に「おしまい」になんてなりませんでした。楽しいことも幸せなことも変わらずたくさんありました。そして、それと真摯に向き合う中でたくさんの「気づき」を得ることができています。苦しいこともあるけれど、充実した大切な時間だとも感じています。息子と私が、私たちらしくあるためにどうしても必要で通らないといけない時間のようにも思うのです。通り過ぎたと思うから、そう言えるのかもしれません。だけど、あの時間を私は後悔していません。あのおかげで、自分の生きづらさに気がつけました。生き方を変えることができました。少々のことは乗り越えられる力を得ることができました。そして今、息子との不登校生活に悩みもあるけれど、そんな悩みも吹き飛ぶくらい楽しいことがたくさんあります。そう思えるのも、若いころに苦しんだ時間があったからだと思っています。幸せにいきていくために「二次障害にならないように」この言葉に呪いを感じてしまうのは、私なりに必死で子どもと向き合っているからなのかもしれません。だけど私は「二次障害にならないように」するために発達障害を学んでいるわけではありません。適切なかかわりへの努力をしているわけではありません。愛おしい息子たちが、幸せな人生を送ることを願い、祈り、そのために自分にできることを模索するために努力しているのです。発達障害のある子は「二次障害」を起こしやすいかもしれません。だけど大切なことは「二次障害にならないこと」ではなく、この先何が起こっても、どんな目にあったとしても。たとえ二次障害を起こしたとしても。それでも幸せを感じ生きていけるように、人間としての確かな基盤を子どもともに作りあげていくことではないでしょうか?私はそろそろ「二次障害」という言葉に怯えることから卒業したいと思っています。そのために「二次障害にならないように」という言葉は「何があっても幸せに生きていくために」と、私の中で言い替えることにしています。それは、何が起ころうと子どもを愛し続け、絶対に支えていく覚悟を決めるという一つの受容の形だと思っています。Upload By ウチノコ執筆/ウチノコ(監修:初川先生より)「二次障害にならないように」という言葉がウチノコさんにとっては重くのしかかる言葉と感じられることのシェアをありがとうございます。二次障害にならないように、悪い子にならないように、不登校にならないように、引きこもりにならないように…世の中にはこうした良かれと思っての言葉、留意しておく観点としての言葉はたくさんありますね。ただ、「○○しないように(○○にならないように)」という目標はあまり上手な目標設定ではありません。どうしたら○○にならないか、という方法が確立していないこともあり、ただただ委縮してしまうリスクの方が高いだろうと感じます。○○にならないようにと委縮して、必要以上に厳しいまなざしでお子さんのことを見てしまったり、ご自身を律したり、そうした展開に陥りやすい気がします。そういった意味で、「幸せに生きていくために」という目標は、あるかかわりや出来事を振り返る際に、それは幸せに近づくかどうかを体感で確かめながらやっていける視点のように感じます。二次障害の予防に関して言えば、環境に子どもの側を合わせて無理させすぎることを防ぐということが大きなポイントとしてあるでしょう。そもそも二次障害の前にある発達障害も、環境との兼ね合いで問題行動や本人・周囲の困り感が出てくるという側面も大きいですね。お子さん本人に無理を強いると、二次的に問題が現れるということです。そういう意味で、ウチノコさんがむっくんとともに、もがきながら適切なかかわりを模索されたり、環境調整されたり、それ以前に発達障害というものを学んだりすることは、まさに二次障害の予防的な手立てといえます。用意された環境に適応して生きていくことがすんなりできる人もいるのでしょうが、工夫や配慮がないとなかなか適応できないから、あるいはウチノコさんの言葉でいうところの「幸せに生きていく」ために、環境やかかわりと、お子さんのありようとのすり合わせをしていくことはどうしても模索的・探索的になります。そうした日々の模索・探索の中で、これでいいのか、無理させないようにとはいえ、もう少しできることはあるのではないか…など悩むこともあると思います。適宜、心理や教育、あるいは医療の専門家などにご相談しながら、保護者の方が「よし、これで大丈夫」と思いながらやっていけるといいなぁと思います。
2022年07月22日コウと療育園の思い出あれこれUpload By 丸山さとこコウは3歳のときに1年間療育園へ通っていました。きっかけは3歳児健診で「※発達障害がある可能性が高い」と告げられ、療育園へ通うようすすめられたことでした。当時住んでいた市の療育園は1ヶ所だったため、入園を希望しても空くのを待っている間に利用年齢を越えてしまうこともあると聞いていました。幸いそのときは、週1回であればすぐに春から入園できるとのことだったので、1ヶ月後に入園予定だった保育園とあわせて通うことになりました。あとから振り返ると、コウにとっても結果的に丁度よかったのではないかな?と思います。というのも、コウにとっては「のびのびできる保育園」と「少々スパルタな療育園」だったので、週5で療育園に通っていると親子で参ってしまっていたかもしれなかったのです。※現在では神経発達症と呼ばれることも増えていますが、当時の発言に沿って発達障害と表現しております。療育園でのアスレチックの時間は涙と共に…当時のコウはコミュニケーションの必要性をあまり感じていなさそうな『他者への無関心さ』があり、会話は少々できるがオウム返しも多い状態でした。運動面でも凹が目立ち、滑り台や梯子のある大型遊具はほぼ完全拒否な状態でした。「怖がりなんだな」と微笑ましく見たり勇気づけたりできるようなレベルではない全力の拒否に「これでは保育園入園後も苦労するかもしれないな」と考えていました。自宅に室内遊具を置いて少し練習したりしていたのですが、そんな状況のコウにも容赦なく降りかかるのが療育園でのアスレチックの時間!Upload By 丸山さとこ泣いても叫んでも脇を抱えられお尻を支えられてのサポートありで進んでいくアスレチックのループに、「これは…中々手ごわそうだぜ…(療育園もコウも)」と思った覚えがあります。ときには「ギャン泣きを越えてパニック入っているのでは…?」と思うほどのコウの反応にハラハラしながらも、繰り返している内に慣れるのだろうかと考え見守っていた私でしたが、さにあらず。全く慣れる気配のないコウの毎回の大騒ぎに、「このままでは大型遊具で遊ぶことができなくなるどころか、公園に入れなくなる可能性が高い」と思った私は、いろいろな公園を利用してスモールステップで遊具に慣れさせることにしました。Upload By 丸山さとこ大変だけどメリットもあり?療育園での実りある活動たち『遊具を見て固まったりギャン泣きしたりするコウを小脇に抱える日々。しまいには、パニックを避けるために公園が目に入らないよう遠回りで迂回したり、遊具施設のあるスーパーや児童館を避けたりするようにもなるのであった…』という未来予想図が見えてきた私の必死な(しかしコウにはそれを隠してジワジワ進めた)”遊具で遊ぼうトレーニング”の甲斐あってか、それとも療育園でのスパルタ修行のおかげか、あるいはその両方が効いたのか…コウは次第に遊具で遊べるようになり、卒園するころには笑顔で楽しめるまでになりました。と、ここまでのエピソードを聞くと「療育園に行くメリットはあまりなかったのでは?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、私はメリットもたくさんあった1年間だったと思います。まず、コウと一緒に遊びに参加したり、集団の中で過ごす彼を見たりしたことで、保育園での参観日や発表会では見られない、よりリアルなコウの課題や変化が見られました。それにより、「目を合わせる」「人とのコミュニケーションを介して要求を叶える」「集団と同じ行動をする」「スケジュール通りに活動する(切り替えする)」などの、「コウが自然には行わず興味を示さない行動の数々」に対して促していく必要性を知りました。予告されたスケジュールに従い進行していく集団行動や、指先を使った微細運動、全身を使った粗大運動など、療育園で行われるさまざまな活動は当時のコウにとって必要なものだったと思います。Upload By 丸山さとこまた、療育園で取り組んだことは、保育園での活動の予行演習にもなっていました。初めてのことが苦手なコウにとって、保護者や支援者のサポートを受けながら時間をかけて工作やお遊戯に取り組めたことは助けになっただろうと思います。「コウ君、すごく上手にできてましたよ!」と先生が伝えてくださった工作やお遊戯のエピソードは、先に療育園で体験したことのあるものがほとんどでした。きっと、コウにとって安心や自信につながっただろうと思います。あのとき「こうだったらな」と思うことがあるとすれば…今振り返ると、コウが通っていた療育園の先生(支援者)の方々は、コウにとっては強引さが目立つ指導も多かった気がします。そのように接し方については一部疑問が残る一方、取り組んでいる内容自体は理にかなっており、コウにとって必要なものがたくさんあったと思います。熱心で根気強い接し方などから「本当に子どもたちのことを思って頑張ってくださっているのだな」と感じることもたくさんありました。コウのことを『変わった子ども』として扱わない支援者や保護者の中で過ごす時間によって癒されたこともありました。そんな先生方だったのだから、私が『コウへの支援方法や接し方』についてお願いしていたら、先生方も耳を傾けてくださったのではないかと思います。Upload By 丸山さとこ少なくとも、『なぜ強引にでも進める必要があるのか』を説明したり話し合いに応じたりはしてくださったのではないかと思うと、私にも、先生方とコミュニケーションをとる気持ち・主体的に動く姿勢があったらよかったのかもしれないな…と思います。「療育園で働く支援者の方々で、相手はプロなのだから。私は知識もなく、コウが3歳になるまで療育の必要にも気付かなかった保護者なのだから」という、どこか一歩引いた受け身な姿勢が私の中にあったのだろうな…と思えるのは、コウが中学生になった今だからなのだろうな~!とも思います。Upload By 丸山さとこそんな「プロである支援者の方々に敬意を払いつつ、もっと疑問や要望を丁寧に伝えようとすればよかったな」という思いが、コミュニケーションが苦手な私に『学校の先生と面談する勇気』を与えてくれたのかも…?と思うと、それこそが療育園に通ったことの1番のメリットだったのかもしれないな~と感じたりもする、療育園での活動の振り返りでした。執筆/丸山さとこ(監修:藤井先生より)療育園に通い続けたことで、保育園での活動の予行演習になり、できたという経験につながりましたね。地域に通園タイプの療育園がないところもありますが、通園タイプですと身辺自立の相談もしやすいと思います。支援者の方とは、互いにお子さんのサポーターとして協力していくと、家や保育園、学校での環境の整え方、接し方などを考えることができます。『先生と面談する勇気』をこれからも大切にしていってくださいね。
2022年07月21日精神面で実年齢より幼いところがあった、娘のゆい私は以前から、ゆいは精神面で実年齢より幼いところがあるかな、と感じていました。でも個性の範囲だと思って気にしていませんでした。障害の診断がおりた今になって思えばもしかしたら特性もあったのかもしれませんが、なかなかの甘えん坊さんで初めてのところには一人で行けない、行く場所の下調べが必須…など怖がり屋さんだったのです。例えば、お買い物は店員さんと会話をしないといけないので苦手だし、小学5年生のときの自然学校では見知らぬところに親を伴わずに行くのが不安でたまらないようでした。「宿泊施設の間取りを教えて、施設の画像を見せて」と何度もせがまれたものです。そんなゆいですが、小学校の高学年ともなると大人びてきたなと思うところがあります。Upload By 吉田いらこ困っていた寝室問題ゆいは、不安を感じるのが人一倍強く、一人で行動できるようになるには時間がかかるタイプでした。特に、電気を消して眠れないこと、だれかと一緒でないと眠れないことにはちょっと困っていました。いえ、ちょっとでなく大いに困っていました。なぜかというと、わが家の寝室が狭いからなのです。私たち夫婦と、ゆいと小3の妹。家族4人で川の字になって寝ているのですが、もうゆいは私と身長がほぼ同じなのです。そのため家族で寝るには手狭になっていました。Upload By 吉田いらこ小学6年生になったある日…!早く独り寝ができるようになってほしいと願いながら過ごしていたのですが、小学6年生になったある日、ついにゆいが「一人部屋が欲しい」というようになりました。そこでパーテーションで子ども部屋を2つに区切り、それぞれにデスクとベッドを配置しました。広くはないですが個人のスペースをつくると大喜び!お気に入りのものを並べたりして楽しく部屋づくりをしていました。とはいえ、個室は起きている時間だけ必要なスペースで、寝るときはやっぱりみんなと一緒がいいというのかなと思っていたのですが、「今日は私、この部屋で寝るね!」と宣言し、あっさりと一人で寝られるようになったのでした。Upload By 吉田いらこそしてもう一つ。個室をつくってから、ゆいはほとんどリビングに顔を出さなくなりました。食事と入浴後、少しゆっくりしたら部屋に戻ってしまいます。本人に聞くと「平日はゆっくりしたい」「一人になりたい」と言っていました。正直に言ってしまうと、これは私としては寂しかったです…。でも夫に聞くと、夫自身も十代のころは用事があるとき以外は自室にいたというので「思春期はあんなものだよ」と言っていました。Upload By 吉田いらこあんなに部屋が狭いから早く個室に移ってほしいと思っていたのに、いざ行ってしまうと寂しいものです。これも成長なのかなとちょっとうれしく、かなり寂しくもあります…。でも私も子離れしていかないとと自分に言い聞かせています。執筆/吉田いらこ(監修:三木先生より)自分から部屋で寝る、こもるようになるというのは成長のあかしですね。こういうときにあとを追わず寂しさをぐっとこらえるのも、子育てにおける大切な役割です。思春期の「一人でぐるぐる考える時間」をたっぷりつくってあげられると良いですね。
2022年07月21日学習障害がなくても、学習に困難を感じている子どもは多くいる?ノートが上手く取れない、計算や漢字の書き取りが不得手、授業に集中できない…など、子どもの学習に関連する困りごとは、「限局性学習症(学習障害・LD)」が原因なのではないかと考える方も多いのではないでしょうか。しかし、限局性学習症がなくても、そのほかの発達障害の特性から学習に困難を感じている子どもも多くいると考えられています。特定の領域の学習ができない限局性学習症とは異なり、環境に左右される原因によって学習困難が起こることがあります。学校でのスケジュールが突然変更になったり、いつもどおりのルーティンができなかったりすると、不安が強まったり、パニックになったりする場合があるかもしれません。また、細かい情報や特定のことがらに強くこだわって全体の理解が進まないことや、興味関心と学習内容が噛み合わずに授業や学習に集中できないことがあるかもしれません。教室の中で椅子にじっと座っていることができない、あるいは座っていたとしても手足を動かしたくて学習に集中できないことがあり、無理やりじっとしていようとすることで、極端に疲れてしまうこともあります。また、注意が逸れやすく、授業に集中できない・不注意が理由で忘れ物が多い、実行機能の弱さが理由で宿題が終わらない・できないなどの困りがあります。体を協調的に使うことが難しいために、文字を書くことが苦手だったり、丁寧に書いているつもりでも読みやすい字が書けなかったりします。「学習困難」の原因かもしれない感覚過敏・感覚鈍麻とは、どんなこと?発達障害がある人には、感覚過敏や感覚鈍麻がみられることがあり、これらが原因で学習障害が起こることもあります。私たちは、いわゆる五感、視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚によって情報を得ています。学習するときは、特に視覚や聴覚をフル稼働しますが、こうした感覚の働きが過敏すぎたり、あるいは極端に鈍かったりすると、学習に集中できなくなると考えられています。今やるべきことには関係のない、聞かなくてもいい音が気になったり、見なくてもいいものが目に入ったり、匂いや肌に触れるものが気になって集中できない、という経験は、ある程度誰にでもあるものです。感覚が敏感な人の場合には、多くの人は気にならないような、音や光、掲示物などの刺激を感じると、学習に集中しづらくなります。逆に、身体の感覚が鈍麻ゆえに刺激を好み、落ち着きがなく見える場合もあります。学校の授業を集中して受けられず、学習でつまずいているのは、感覚過敏・感覚鈍麻による「学習困難」が原因かもしれません。感覚過敏のある子どもが、学習時に困っているポイントはどこにある?感覚過敏がある子どもの学習の悩み、解決策にはどんなことがあるでしょうか。ここからは感覚のタイプ別にみてみましょう。目の感覚、視覚が過敏な場合は光を過度にまぶしく感じることがあります。ノートがまぶしい一般的にノートの紙は白。ノートが照明の光を反射して、まぶしくて板書ができないといったことが起こります。また、タブレットを学習に活用している場合、明るさの調節をしないと、画面がまぶしすぎることがあります。>解決策ノートの紙にほんのりと色がついているものを選ぶだけでもまぶしさは軽減します。色つきのクリアファイルや下敷きを重ねることで見やすくなることもあります(※)。また、机の配置が照明の真下にならないようにしましょう。タブレットの画面照度を子どもが見やすく感じる明るさに調整したり、機種によっては色つきの画面に設定できることもありますので、こうした機能を活用することもおすすめです。(※)子どもによって見やすい色合いや彩度は異なります窓際の席や照明の当たる席で光がまぶしい窓が近い日当たりのいい席は、光がまぶしくて黒板や先生の姿だけでなく、光を反射する教科書が見づらくなります。また、照明の種類や光が当たる角度によっては、同じような状況になります。また、本を読んでいる最中に文字が追えなくなる、ズレたりにじんだりして見える、文字がチカチカと光るように見える、文字が流れてしまうなど、光の感受性が高いために起こる視知覚の困難がある場合、一見、ディスレクシア(読み書き障害)と症状が似ているように見えますが、異なるメカニズムで起きる可能性が指摘されています。>解決策窓辺を避けた席や、照明の真下を避けるなどの机配置をしてあげましょう。もし、あまりにもまぶしい場合には、色つきメガネやサングラスの使用を検討してください。また、カラーレンズやフィルムを通してみることで、目に入る光の量を調節することができ、文字が見やすくなる場合もあります。蛍光灯の光のチラつきが気になる蛍光灯は、実は常に光っているわけではなく、通常は人の目で感知できない速さの周期で点滅を繰り返して光っています。蛍光管が古くなると、この速度が落ちてくるためにチカチカ光って見えるようになりますが、視覚過敏がある場合には新品の蛍光灯の光でもチカチカしているのを感じてしまうことがあります。>解決策家庭ではできるだけ蛍光灯をやめて、白熱電球に替えたり、蛍光灯カバーをつけたりといった対応が効果的です。視覚的情報が多すぎる目に入ってくるものが気になりやすい場合、黒板のまわりなどに掲示物がたくさん並んでいると、肝心の授業の内容に集中できなくなります。また、ADHDがある場合も、不注意の特性から揺れるカーテンや校庭の様子など、注意が逸れやすいことが理由で集中できないこともあります。単に集中できないだけでなく、情報過多になって気持ち悪くなるなど体調に影響してしまうケースもあります。>解決策黒板の周りに授業と関係のない掲示物がたくさんある状態は、学習困難がなくても気が散る原因となるので、片づけたり視界に入らない後ろの方に置くようにしたりしましょう。家庭では、学習するときには関係ないものはできるだけ片づけるのもよいでしょう。使わないものには布をかけて隠しておいたり、パーテーションを利用したりするのも有効です。聴覚が過敏だと、意識しなくても小さな音まで聞こえやすかったり、特定の音に対するつらさが強まったりすることがあります。また、必要な情報だけ音を拾って感知するという情報の選択ができず、たくさんの音が同時に耳に入ってきて、肝心な情報がかき消されてしまう場合もあります。教室の中がうるさい聴覚過敏の場合、たとえば先生が話していることに集中したくても、そこに誰かの話し声、衣擦れの音、窓の外の音や空調の音などが重なり合って、どの音に集中したらいいのかが分からなくなってしまいます。また、椅子と床がこすれる音や、特定のお友達の話し声など、苦手な音がつらく、疲れやすくなることもあります。>解決策教室の雑音は多くの子どもにとって気が散る原因となります。椅子の脚にカバーをつける(使い古しの硬式テニスボールを切って脚にかぶせるなど)といった工夫をしましょう。また、イヤーマフや耳栓をうまく活用するのもよい方法です。大きな音が苦手急に大きく響きわたるような音、たとえば陸上競技のスタートのピストル空砲、避難訓練のサイレンなどが鳴ると、誰でもびっくりするものです。元々、その音自体や音量に対する苦手さがあり、それに加えて予告なく音が鳴るような状況だと、周囲の想像以上につらく感じている場合があります。その結果としてその音に対する過敏さが強まってしまい、そのあといつまでも気持ちの切り替えができなくなってしまう場合があります。>解決策学校でも家庭でも、予測できない音はしかたありませんが、大きな音が出る場合にはこれから何が起こるのかを説明しましょう。説明を受けてもやはりその音を聞くのがつらい、という場合には我慢をせずに、大きいサイレンの音が鳴る避難訓練の時間だけ休む、運動会のピストルを旗に変えてもらうなどの配慮をしてもらうことを検討しましょう。また、イヤーマフや耳栓をうまく活用することもつらさの軽減に有効です。たくさんの音が全て聞こえてしまって疲れる自分が必要な情報に集中してほかの音を小さくするような脳の機能がうまく働かないと、教室のさまざまな音を聞き取ってしまいます。そんな状況でも特定の音声、授業中なら先生の声だけになんとか集中して聞こうとすることで、疲れてしまう場合があります。また、聞き取ることに努力が必要な子どもの場合、疲れてぼんやりしてしまうことで、集中していないという誤解を受けることがあります。>解決策生活音などの騒々しさが原因の場合は、ノイズキャンセリングイヤホン/ヘッドホンが有効です。耳栓、イヤーマフなども一定の効果があります。音に対する直接的なアプローチだけではなく、帰りのホームルームで明日の持ち物を口頭だけではなく黒板にも書いてもらうなど、聞きとりにくさを前提とした視覚的なサポートを受けられると困りごとが減るでしょう。どんな場所にも、その空間での活動によって生まれるにおいが壁や床、カーテンや家具類にしみ込んでいるため、独特のにおいがあるものです。その中には心地よいにおいもあれば、いやなにおいもあります。特に、学校の教室はさまざまな活動をする場なので、多様なにおいがあります。チョーク、古い本、床のワックス、給食、栽培・飼育しているもの、そしてたくさんの子どもたちのにおい。こうしたにおいがまざって「学校のにおい」を作っているわけですが、その複雑なにおいに対して敏感で、不安定になる子どももいます。また、授業ではありませんが、特定の味やにおいに対して過敏さがあり、給食がつらくて食べられないというケースもあります。食物アレルギーだけでなく、においや食感、温度、見た目などさまざまな感覚に対する過敏さによっても、食べられないものが多くなります。完食しないとペナルティが課せられるような場合は、給食がストレスとなって体調を崩すことも起こります。>解決策マスクをすることでも、ある程度においを隠すことができます。給食は無理をせず、食べられるだけでよいというルールにできるように相談してみましょう。食器やカトラリーの感触が苦手という場合もあるかもしれません。いずれにしても、無理をさせずに本人がどうしたいのか要望を聞いてあげるようにしてください。嗅覚過敏については、学校以外の場所であれば、ガムを噛むことなども有効です。衣類など肌に触れるものに敏感な子どもが苦手な触感のものに触れずに授業に参加できなかったり、肌に触れている服の着心地などが気になって授業に集中ができなくなる場合などがあります。のりや粘土、手の汚れることが苦手理科の実験や図工の授業など、手が汚れる体験授業はたくさんあります。触覚が過敏な場合は粘土やノリなどのベタベタしたものが手に触れることがいやで、授業にうまく参加できなかったり、がまんしようとすると先生の話が耳に入らなくなったりします。>解決策苦手なものを無理やり触らせようとせず、触る場合には、少しずつ試してみましょう。それでも触れない場合にはゴム手袋の使用など、道具を使うことで授業に参加できるように相談してみてください。服のタグや着心地が気になる着ている衣類の肌への刺激が気になることがあります。タグや縫い目、あるいは靴に入った細かい砂などが気になると、学習に集中できなくなります。>解決策服を選ぶときに、材質、タグの位置、縫い目の具合など、本人と一緒によく確認して快適なものを選びましょう。タグが気になる場合には、根元からタグをしっかり切ると、気にならずに着られるようになることもあります。感覚鈍麻がある子どもの学習の悩み感覚が過敏なこととは反対に、感覚が鈍すぎる鈍麻している場合もあります。たとえば、暑い日なのに厚手のジャケットをそのまま着てしまう、熱いものに触れているのに気づかないでやけどするといったことがあります。感覚を求めて体を動かしてしまう感覚を求める傾向が強いために、授業中に体を揺らしたり動かしたり、じっとしていられない、離席が多いなど、集中して学習に取り組めない状態となることがあります。>解決策例えば、噛めるもの・握れるものといった道具を使ったり、人工芝のついた足置きを使ったり、椅子をバランスボールにしたり、といった感覚を取り込める環境を作ることが解決策となります。それでも難しい場合は、席を教室の後ろのほうにして、動くことを許容する環境を作ってあげても良いでしょう。机や棚によく身体をぶつける自分の体の大きさや、感覚を捉えにくいために、歩いているときに机や棚などに体をぶつけやすい場合があります。>解決策体のイメージがうまく捉えられない場合、たとえば狭い隙間やトンネルをくぐるような、体の大きさを意識できるような遊びにチャレンジすることで、発達を促すことができます。暑いか寒いかの判断が難しかったり、痛みに対して感覚が鈍かったりする暑いのに長袖で熱中症、寒いのに半そでで体調不良を起こしてしまう場合があります。また、発熱しているのに元気に走り回ったり、怪我をしているのに平気な様子が見られることなどがあります。>解決策 「熱いから素手で持たないでね」「寒いから上着を着てね」など、言葉や態度で感覚のフィードバックをしましょう。特に危ないものに対しては視覚的に危険だと示す対応をすることで危険を防ぐことができます(「さわらない」の看板の掲示など)。文字や絵をうまく書けない鉛筆から指先に伝わってくる感覚をうまく処理できないなどが原因で、文字や絵などがうまく書けないことがあります。>解決策文字を書くときに、鉛筆が紙に触れている感覚が分かりやすくなるように表面がザラザラした下敷きや紙やすりなどを紙の下に敷くという方法があります。音に対する反応性が低い人からの声かけに気づきにくい子どももいます。聞き取ることがむずかしいために、忘れ物が多くなったり、お友達の声かけに気づかずに、トラブルになったりするケースがあります。>解決策たとえば、肩を叩く、目の前に立って目を合わせるなど、注意を向けてから話しかけることで改善することがあります。また、口頭だけではなく、紙に書くなど視覚情報も合わせて伝えるとより伝わりやすいです。まとめ子どもが学習に集中できないとき、表面的には分かりにくい原因があるのかもしれません。それが感覚に関連する場合、原因が分かれば対処できることがたくさんあります。子どもの様子を観察したり、原因がどこにあるのかを一緒に考えたりするところから始めてみてください。子どもが「何が苦手なのか」「どんなときにつらいのか、楽しいのか」などを知ることで、学習に取り組みやすくなる解決策が見つかるかもしれません。状況によっては家庭内での対応だけではなく、学校に合理的配慮を申し出ることもひとつの選択肢です。適切な情報を伝えることは子ども自身の助けになるだけでなく、学校側が子どもを理解する手立てとなります。まずは担任の先生と相談することから始めてみましょう。
2022年07月20日元気いっぱい、幼くてママ大好きな小学生だった小学生のころは幼く、可愛かった息子。家でも学童でも工作やブロック遊びをしたり、友達と走り回って遊んだり、楽しそうに過ごしていました。そんな息子でしたが、小学4年のころから塾に通うようになり、中学受験をして、中堅の私立中学に進学しました。小学校は小規模校で1クラスしかなく、6年間持ち上がり、クラスメートとも阿吽の呼吸で、思いを伝えなくてもみんな分かってくれる、平和な6年間を過ごしました。ところが、私立中学に入ると、急に同級生が200人近くになり、クラスメートのキャラもよく分からない、友達との距離感のとり方も分からないまま、「悪いことするのも度胸試し」的なところもあったのでしょうか。ある日学校から呼び出しが…!?ある日突然、学校から呼び出しがありました。何事かと思ったら…息子がクラスメートと一緒に、学校のカフェテリアの食券を偽造をしたとのこと。もちろん学校は停学処分に。息子の通っていた学校では、停学を何度か繰り返したら退学になってしまいます。あんなに頑張って勉強して合格した学校なのに、目先の数百円のために退学になるかもしれないことをするなんて…とショックでした。面談に伺うと、担任、学年主任、副校長などの面々がずらり…。息子は、先生方に、社会で同じことをしたら刑事罰を受けるのだと諭されました。Upload By ユーザー体験談突然の停学。母は孤独を抱えて停学は1週間以上、停学期間中はもちろん保護者の見守りが必要でした。停学の間は、夕方、学校からの確認電話に保護者が出て、その日書いた反省文のレポートをファックスで送らなくてはいけません。フルタイムで仕事をしているわが家。1週間も連続して職場を休めず、祖父母にも日中来てもらい、夕方の学校からの電話タイムには間に合うよう早退する日々。入学したばかりで、学校にはママ友もほとんどおらず、ほかにも停学になった生徒はいるのか、停学になったときはどんな風にほかの親御さんは対応しているのかもよく分からないままの、孤独な日々でした。Upload By ユーザー体験談息子のWISCの結果で特性に気づきそのことをきっかけに、精神科にも相談に行きました。息子は検査(WISC)も受け、偏りが大きいことも分かりました。処理速度やワーキングメモリなどはものすごく高かったのですが、少し先の見通しを持つ力がそれにくらべると低いのだといわれました。そのスコアの差は50近くもあり、アンバランスさを指摘されたのです。息子は、「食券偽造する」⇒「ただで食べられる」⇒「得だ」という風に考えがちで「食券偽造する」⇒「ただで食べられる」⇒しかし、規則違反の行為のために「停学、退学になるかもしれない」⇒「数百円の得しても停学になるならやらないほうがいい」とまでは思い至らなかったのではないかというのです。反抗期の息子…家庭教師は辞めていき…反抗期にも突入し、学校の成績は右肩下がりで、その後も学校に呼び出されることも複数回。息子に対し、どう接したらいいのか悩みが深かった時期でした。中学受験で無理させすぎてしまったのかも、とも考えました。いっそ、退学し、転校したほうがいいのか?と思ったほどです。学業で悩んでつけた家庭教師も、あまりにやる気がなく授業態度が悪い息子に愛想をつかし、「息子さんに教えたくない」と複数人が辞めていきました。Upload By ユーザー体験談中学2年になるときに、思い切って学校のPTA活動に参加することにしました。委員会活動で学校に毎月行くようになり、ママ友もできました。学校の様子もよく分かるようになり、子どものことを相談できる仲間もでき、先生方とも話しができる機会が増え、少しずつ肩ひじ張らずに過ごせるようになって心も軽くなっていき、「口うるさくいっても、関係が悪くなるだけ」「どうしてもダメなことは、きちんと伝えよう」と思えるようになりました。結局、息子が落ち着いていったのは、高校生になってからです。それまでは、テスト前になっても置き勉している教科書を学校から持ち帰らないので、教科書や学校で使う問題集はもう1セット購入し、自宅にも置いていたのですが「お金がもったいないからもう買わないでいい」と言われたのです。そして、テスト前には教科書をきちんと持ち帰ってくるようになりました。読めないほど汚い字で書いていたノート(汚すぎて読めないのでテスト勉強にも使えない)も、下手なりに読める字に変化していきました。特に高校3年生になってからの頑張りはすさまじく、自立して勉強に取り組むようになり、成績も急上昇し、学校の先生方に驚かれるほど。中学3年の頃からみてもらっていた家庭教師の先生にも「別人のよう」としみじみと言われました。息子は、精神的な成長が奥手だったのかな?と今なら思えます。おそらく、高校2年生くらいで、一般的な中学3年生くらいの精神年齢だったのかなぁ…と。現在大学生になった息子を見て現在大学生になった息子は、ときどき偉そうな物言いをすることもありますが「いつまで中2病やってるの。そういうの、カッコわるくない?」と軽くいなすと、それもそうだな、と思うようで、最近は大人同士の会話もできるようになってきました。車の免許も取ったので、助手席にのって練習に付き合うこともあります。息子の運転でドライブしていると、なんだか頼もしくて、つい数年前に悩んでいたことが嘘みたいに成長したなぁ、としみじみしてしまいます。Upload By ユーザー体験談エピソード参考/あっきーイラスト/keiko(監修:三木先生より)発達の偏りが大きい子は、見通しや精神面の成長が遅いことが往々にしてあります。そのため、年齢相応をイメージしているとギョッとするような不適切な行動を取ることがあります。周りの大人たちの温かい見守りのおかげでゆっくりと成長ができたようで良かったですね。あなたのエピソードもコラムになるかも?体験談募集中!保護者の方が日々子育てをする中で「こんなトラブルがあった」「こんなハプニングがあった」など悩みはつきないと思います。そんな発達ナビユーザーのみなさんの「困った」エピソードを募集しています。テーマは「反抗期・思春期」「自傷」「学習」「不登校」「ゲーム」「不器用」「ママ友・保護者」「ご近所トラブル」などに加え、今回より「パートナーや両親(義両親)、親族間トラブル」「冠婚葬祭」のお悩みも追加募集!パートナーなどとの意見の相違、冠婚葬祭でのルールが分からない、反抗期による親との言い争い、癇癪を起こして自分の頭を叩く、地団太を踏むなどの自傷行為…読み書きや計算の困りはもちろん、授業を落ち着いて受けられないなどの学習の悩み…行き渋りや不登校などの悩み…いろいろなお悩みエピソード、お待ちしております。お寄せいただいたエピソードの中から数作品、発達ナビの連載ライターさんにコラムとしてコミックマンガエッセイ化していただき、発達ナビで公開いたします!あるあるのエピソードからヒヤリとしたエピソード、SNSなどではなかなか言えないような家族やママ友とのトラブルまで。いろいろな「困った」エピソードをぜひ教えてください。
2022年07月20日私立中高一貫校って、実際どんなところなの?こんにちは。『発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた楽々かあさんの伝わる! 声かけ変換』ほか、著者・楽々かあさんこと、大場美鈴です。今回のコラムは、これから中学受験を考えている親子さんの、「私立中高一貫校って、実際どんなところなの?」という疑問を少しでも解消できるよう、うちの子たち(長男・次男)が通う私立中高一貫校を例に、お伝えしたいと思います。昨今の少子化や新型コロナウイルスの影響下にも関わらず、中学受験者の増加傾向は続いているとのこと。これは、コロナ対応でのオンライン授業などで、公立校と私立校の差が浮き彫りになった影響もあるようで、それまで中学受験を考えてこなかったご家庭も、私立進学を検討するケースが増えたから…でもあるようです。ただし、志望校の説明会などで6年間の教育カリキュラムや設備はある程度「外側から」確認することはできるのですが、「入学後の学校生活が、実際どうなのか」は、入学してみないと分からないことも多いように思います。志望校選びの際、公立小学校の環境があまり合わなかったうちの子たちの場合は、受験校の知名度や、難易度・偏差値よりも、「入ってから」の学校生活が、その子に合っているか、過剰な負担がかからないか、6年間のびのび過ごせるか、などをイメージできる情報のほうが必要でした。そこで、当時の私たちがとても知りたかった、私立中高一貫校の一日の流れや、先生方の印象や授業内容、注意点、6年間の一貫教育…などの実際を、現在うちの子たちが通う、自由な校風のある中高一貫校(以下、A中学※)を例に、可能な範囲で「内側から」ルポしたいと思います。とはいえ、私立中高一貫校は学校自体が個性的で、それぞれ独自の教育方針に基づいて運営されているため、各校によって大きく事情が異なることも多いです。うちの子たちが通う学校が「一般的」なのかは分かりませんが、あくまで一例として、イメージのご参考になれば幸いです。※A中学は発達障害・不登校傾向のある子のいわゆる「積極受け入れ校」等ではありません。では、うちの子たちが通う、A中学の一日の流れを紹介します。まずは朝の風景から。私立中学の場合、通学範囲が多岐に渡るため、徒歩通学、自転車通学、電車通学など通学手段もさまざまで、県外から通う生徒さんも。うちの子たちは約1時間弱の電車通学で、以前はラッシュ時を避けて早めに登校していましたが、今は満員電車にも慣れたようです。登校後は各教室のHR(ホームルーム)の時間に出欠確認があります(欠席の場合は保護者からネット連絡)。各自の体調の確認は体温記録アプリの入力でスグに終わります。中学からは教科担任制なので、担任の先生と顔を合わせるのはHRの時間だけ、という日も。授業時間は中学1年生から毎日7時限目まであります。ですが、帰りのHRが終わる時刻は、公立小の6時限授業後の帰りの会終了時刻とほぼ同じ。その理由は、始業前の朝学、給食の配膳、全員での掃除の時間などがなく、とても効率化されているから。ちなみに授業の合間の休み時間は、しっかり10分あります。ランチタイムは弁当持参のほか、業者による弁当販売の利用や、登校時にコンビニなどで購入するのもOK。コロナ前は購買でポテト争奪戦が展開されていたようですが、現在の弁当販売は専用アプリでの事前予約と電子マネー決済で、生徒は当日受け取るだけになりました。帰りのHRのあとの掃除は、共用部分は清掃員の方がピカピカにしてくれるので、自分たちの教室のみ、4-5人の当番制で5分程度の簡易清掃。放課後には部活動のほか、補習授業なども行われています。補習授業は任意参加がほとんどで、検定試験の対策講座や、特進コース進学希望者のための準備講座など。部活は、運動部・文化部共に、ハード系からレクリエーション系、ユニーク活動系までさまざまで、部活自体に入る・入らないも含めて選べ、途中での入退部や複数の部のかけもちもOKなので、大学のサークル活動のような印象です。一部の運動部は外部委託のコーチがいます。また、先輩・後輩の上下関係がゆるやかで、下級生が部長・副部長に抜擢されることもあるのだとか。長男・次男の帰宅時間は、部活などがなければ17時前なので、中高生にしてはかなり早いほうだと思います(部活の日も18時には帰宅)。ただし、高校生になると学校のあと、大学受験塾に行く生徒さんも多いのだそうです。公立校と同様、中学からは教科担任制になります。A中学は「フレンドリーで個性的な先生が多い」とのこと。長男は特に先生の影響を受けやすいため、教科担任の先生次第で成績も大きく左右されます。生徒の興味を引き出すことが上手い先生もいれば、例え話がマニアック過ぎて先生の話に誰もついていけない…なんてことも。私立校は学校といえど民間企業なので、公立校と違って自治体単位の人事異動がなく、正規雇用で長く勤める先生が多いようですが、自己都合による退職・休職などで入れ替わりも時々あります(たまに、夢を追いかけて旅立ってしまう先生も…)。全体的には比較的若い先生が多いため、親しみやすくて柔軟な印象を受けますが、高校課程になると専門性の高い選択科目が増え、元大学教員などの非常勤講師のご高齢の先生なども多くなります。私が特に気になっていた先生の質ですが、長男曰く「スグに怒鳴ったり、高圧的な態度の恐い先生は、ほぼいない」とのこと。これには理由があって、A中学では「生徒側が先生を評価する」仕組みがあるため、生徒に極端に不評な先生は、大抵翌年度にはいなくなっているからです。ただし、部活動等で実績がある先生や、ICT化に詳しい先生などが、突然他校に引き抜かれてしまうことも。優秀な人材の確保には一般企業と同じく経営努力が必要で、学校側もかなり苦労されているようです。授業内容は、A中学の場合はいわゆる「超進学校」ではないので、公立校と大きく異なるわけではありません。同じ教科書を使って、同じような授業内容で進んでいると思います。ただし、主要教科では習熟度別のクラス編成があって、上位クラスでは副教材を使ってガンガン先に進んだり、少し難しい発展的な内容にも取り組んでいるようです。また、よく言われるように、中高一貫校は中3で高校受験勉強をせずに済み、その分高校課程の内容に早く入るため、高3時点で余裕を持って大学受験勉強に臨むことができる…ハズです(生徒次第かもしれません)。授業のICT化はかなり進んでいると思います。A中学では、コロナ以前から全校生徒が1人1台タブレットを所有し、先生方も含め、あらゆる場面で使いこなしていたので、緊急事態宣言時の休校措置や、校内で陽性者が出たときのオンライン授業への切り替えも迅速でした。日頃から授業中に、調べ学習やプレゼンテーション、動画や写真の記録と共有、レポート作成など、タブレットは何かとよく使っています。また、宿題でも、ネット上のグループウェア経由で、教科担任からの課題が指示されネットで提出したり、回答フォームから小テストを送信したり、宿題を提出し終わると丸つけ用の解答がPDFでダウンロード配布されたりも。生徒からの質問をメールで受けつけている先生もいます。宿題はプリントやワークなども出ますが、プレゼンテーション用の動画やスライドを作成する課題などもあって、字を書くのが少々苦手な長男も熱心に取り組んでいます。また、英検などの検定試験の勉強は、個別最適化できる学習アプリを活用しています。このように、うちの子たちが通うA中学は合理的で「自由な校風」が魅力ですが、反面、生徒自身の意思や意欲次第の「自己責任」となる部分も多いです。こういった校風の学校は、特に丁寧なケアやサポートを希望する場合、志望校選びの際は注意したほうがいいでしょう。例えば、不登校傾向でしばらく学校に登校しない子がいても、学校側から、いわゆる「登校刺激」などの働きかけはないため、先生から頻繁に電話がかかってきたり、自宅訪問されることはありません(クラスメイトとはオンラインゲームなどで自発的な交流が続くことも)。勉強についていけなくなっても、自分から職員室に質問に行かない限りは、学校側が勝手にフォローしてはくれません。勉強に限らず、やる気や積極性のある子には丁寧に面倒を見てくれますが、そうでない子は放任されます(「それが気楽」という子もいるでしょう)。そのため、校風が合わなかったり、勉強についていけなかったり、対人関係のトラブルなどが解決しなかったりで、他校に転校していく子も毎年学年に数人程度いて、同様に他校からの転入生も同程度いますが、「来る者拒まず、去る者追わず」という少々ドライな印象です。また、高校課程へ内部進学せずに、中3で他校の外部受験を希望する生徒は、学校側の受験指導やサポートは期待できませんし(留学以外)、それまで内申点を意識してこなかったり、公立校との学習進度のギャップがあったり…などの面でハードルが高くなるでしょう(万が一、外部受験して不合格だった場合、元の中高一貫課程に戻ることはできないそうです)。こういった点も事前に十分理解・納得した上で、中学受験を検討したり、志望校選びができるといいと思います。その学校の「実際」を知るには、在校生や卒業生、保護者などの声を直接聞いたり、特に配慮を要するお子さんの場合は、事前面談をお願いしたり、個別相談会などで気になる点を確認してみるといいでしょう。また、その学校に直接の知り合いがいない場合は、ネットの評価や口コミ情報なども気になると思います。ただし、うちの経験上、ネットの口コミは「現在の状況と全然違った」「一部の極端な意見だった」とあとから分かることも多かったので、参考程度に留めておくのがいいように思います。うちの子達にとって、最も「この学校を選んでよかった」と私が思うのは、ユニークな長男にも、繊細な次男にも、友達や仲間ができたことです。合理的で効率化され、のびのびとした雰囲気のA中学では、入学当初はおとなしそうな子が多いように見えた生徒さん達も、過剰な負担やプレッシャーの少ない環境で過ごすうちに、じょじょに「本領発揮」していくようです。長男曰く「最初から個性的な子が多いんじゃなくて、元からその子にある個性を出しやすいんだと思う」とのこと。そのため、思春期真っ只中の中1・中2くらいの間は、特に男子生徒同士のケンカや口論、挑発行為なども多く、心配していた時期もありましたが、先生方は「自己主張してぶつかり合うことも、成長の過程」「ケンカしないより、仲直りできるほうが大事」と、おおらかに見守っていました。すると、同じメンバーで長く一緒に過ごすうちに、どの子も心身共に成長し落ち着いていくので、中3〜高校生になるころには、次第にトラブルも減っていきました。以前は長男と反りが合わなかった子も、今では仲間として気遣ったり、協力し合ったりができるようになったそうで、わが子に限らず、子どもたちの成長をとても嬉しく感じました。A中学に限らず、子どもが「自分」や「個性」について悩みながらも著しく成長する、発達の上でも大切な思春期から青年期への6年間を、安定した環境の中で過ごし、じっくり時間をかけて人間関係を築けることは、中高一貫教育の大きな魅力だと私は思います。本当にその子に合う学びの場に出会えるように…以上、うちの子たちが通うA中学を例に、私立中高一貫校の「実際のところ」をお伝えしました。繰り返しますが、これはあくまで一例であり、学校の校風や教育方針によるところも大きいので、中学受験を検討されているご家庭は、「その学校は実際どうなのか」自分の目で見て、聞いて、肌で感じて、メリット・デメリットを十分比較した上で、志望校選びをするといいでしょう。長男の話では「確かに入学前には分からないことも多いけど、文化祭とか体験授業とかに行ってみれば、必ずその学校の雰囲気っていうのが現れる。これはもう、”雰囲気”としか表現できないけど、感じ取ることはできるから」…とのこと。中学受験に限らず、お子さんが本当に自分に合う学びの場に出会えるよう、祈っています。文:大場美鈴(楽々かあさん)記事協力:長男・〇太郎(監修:井上先生より)受験というハードルがありますが、私立の中高一貫という選択肢は高校まで一定の教育環境の中で過ごせるというメリットがあると思います。DX化が進んでいる学校だと連絡帳や必要な提出物などのチェックが楽ですよね。楽々かあさんの書いておられるように、各学校によって方針や仕組みが違うので、情報収集はそこに通っている保護者の方から直接話を聞けるのが理想だと思います。大場美鈴(著),『発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた 楽々かあさんの伝わる! 声かけ変換』あさ出版, 2020.6.27
2022年07月19日2歳半ごろから、作業療法と言語療法の訓練を始めた息子Pが訓練を始めたころは、先生の指示に従うことは勿論、座ることすら難しかったです。最初は小さな個室で訓練を行っていたのですが、閉鎖的な空間なので外へ出て遊びたい!とドアの前で泣きわめくようになってしまい、この部屋で長時間の訓練をすることはまだ難しいと先生に判断されました。でも逆に広いホールで訓練をしてみると、ホールはP以外の子どもたちも訓練をしている共有の場所なので、ほかの子どもが訓練で使っている道具やおもちゃの方が気になってしまい、自分の訓練の課題には全く集中できず、ほかの子どもたちの訓練の邪魔をしてしまうので困っていました。Upload By みん集中して療育を受けるために先生が行ってくれた環境整備そんなPに訓練を受けさせるためには、まずは部屋の環境を整える必要がありました。先生はPの作業療法のときに、個室ではあるけど2部屋分くらいの広さがあって十分走り回れるようなスペースを毎回用意してくれました。そして余計な刺激を与えず自分の課題だけに集中させるために、Pが訓練で使う道具以外の物には目が届かないように、全て部屋から出している状態にしてくれていました。Upload By みんPに必要な環境を整えた部屋で、まず最初に先生側が出す課題をし、それが終わったら次は自分の好きな課題を選んで遊ぶ、と言う順番や見通しを立てた上で訓練を行いました。先生は1番の数字が書かれたマークの横に、Pに行ってほしい課題を出します。それは主にスプーン、クレヨン、ハサミなど道具を使う課題や、紐通し、ボタン、洗濯バサミ、パズルなど手先を使って座って行うような課題でした。そして次に2番のマークをPに見せて、Pが好きそうな、トランポリン、ハンモック、バランスボールなど全身を使った遊びの道具の写真を何枚か見せ、P自身に選ばせます。1番の課題が終わったら2番目は自分が選んだ物で遊ばせてもらえるという流れでした。Upload By みん自分で課題を選択し、見通しを立てることで落ち着いて訓練ができるようになる1番目は座って集中しながら指先をたくさん使う課題、2番目はご褒美として思いっきり身体を動かし発散にも繋がるような課題。この流れが理解できるようになったPは、少しずつ見通しを立てられるようになり、先生の指示も通りやすくなって、自分から椅子に座ったり写真や絵カードを選んだりできるようになりました。「これをすればこれができる」などの順番やルールを理解しながら行う訓練は、本人が学習に向かう姿勢を作って行く土台に繋がるものでした。視覚支援、ルールの明確化、自己設定など、自閉スペクトラム症の特性にあわせた流れを組み込んだこれらの積み重ねのおかげで徐々にPは集中力や落ち着きを得て、できることも増えてきました。その土台がしっかりしてくると、やっと次のステップの訓練へ進むことができ、一つひとつが発達の成長へとつながることを母子ともに教えてもらえました。Upload By みん執筆/みん(監修:井上先生より)療育を始める際に、子どもに合わせた環境づくりをすることは最も大事なことです。お子さんとって、余計な刺激がなく、何をすれば良いかが明確で、それが目で見て分かるようにカードや具体物で提示され、困難な場合にはタイミングよく援助がなされ、達成すると褒められたり好きな遊びができたりといった自閉スペクトラム症の特性に合わせた工夫がとても有効だったのでしょうね。自分で課題や遊びを選べるといった自己決定の要素が入っているのも素晴らしいと思いました。これらをうまく整えていくことで療育が遊びより好きになるお子さんもおられます。Pさんもそうだったのかな?
2022年07月19日自分との対話、ダイバーシティを深める体験ダイアローグ・ジャパン・ソサエティは、この夏2つの場所で、3つのプログラムを開催します。大人向けのプログラムであるダイアログ・イン・ザ・ダーク「内なる美、ととのう暗闇。」、小学生から大人まで体験できるリアル対話ゲーム「地図を持たないワタシ」、ダイアログ・イン・ザ・ダークの2022 夏バージョン、それぞれの魅力をお伝えします。ダイアログ・イン・ザ・ダーク「内なる美、ととのう暗闇。」Upload By 発達ナビニュースダイアログ・イン・ザ・ダーク「内なる美、ととのう暗闇。」が2022年7月9日(土)から東京・新宿の三井ガーデンホテル神宮外苑の杜プレミア2階で開催されています。「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」について、みなさんは聞いたことがありますか? 体験したという方はいらっしゃるでしょうか。これは、純度 100%の真っ暗闇の中で見ること以外の感覚を使って、一緒に参加する仲間たちと共に、さまざまなシーンを体験するエンターテイメントです。体験を案内するのは、普段から目をつかわないで生活をしている、視覚障害があるアテンド。1988年、ドイツの哲学博士アンドレアス・ハイネッケの発案によって生まれ、これまで世界で900万人以上が体験しています。「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」の「暗闇」はいつも同じではありません。季節など、さまざまなテーマに合わせて、さまざまな体験を暗闇の中ですることができます。三井ガーデンホテル神宮外苑の杜プレミア「内なる美、ととのう暗闇。」では、漆黒の暗闇の中で、躙り口(にじりぐち)のような小さな戸口から新しい世界へ入っていきます。参加者は裸足になり、周りの音、声、手や足など身体の感覚、そして白杖をたよりに一歩一歩進みます。清らかな水のせせらぎ、やわらかい風が吹くのを感じます。そして参加者は、真っ暗闇の中で自分でも驚くほど”視覚以外の感覚”が研ぎ澄まされていくことを体感できます。今シーズンの「内なる美、ととのう暗闇。」では、「涼やかなくらやみ 冷たいビール冷えています」と題して、暗闇の中、冷たい飲み物を飲む体験も。コロナ禍、頑張ってきた自分を、そして隣の人も一緒に、ねぎらいあって乾杯します。自分とゆっくり対話する贅沢な大人の夏休みをぜひ体験してください。※クリックすると発達ナビのサイトからダイアログ・イン・ザ・ダークのホームページに遷移します〈詳細〉「内なる美、ととのう暗闇」開催スケジュール:2022年7月9日(土)~各回約90分※日程によって開催時間/回数が異なります。詳細は予約ページにてご確認ください。※月曜休館場所:三井ガーデンホテル神宮外苑の杜プレミア2階(東京都新宿区霞ヶ丘町11番3号)体験費:大人5,500円(税込)※18歳未満はご体験いただけません。プログラム内のビールのご提供は20歳以上の方のみ。ほかにソフトドリンクもあります。※障害者割引はありません。チケット:各回定員8名の事前予約制となります。ダイアログ・イン・ザ・ダーク公式ページよりご予約ください。ダイアログ・イン・ザ・ダーク「内なる美、ととのう暗闇。」※クリックすると発達ナビのサイトからダイアログ・イン・ザ・ダークのホームページに遷移します注意事項:・受付にて年齢確認があるため、身分証明書をお持ちください。・裸足でのご体験となります。スカートや裾のつぼまったズボン、光る可能性のあるお洋服はご遠慮ください。お問い合わせ事務局:03-6812-9349(11時~18時)※月曜休館ダイアログ・イン・ザ・ダーク 2022 夏バージョンUpload By 発達ナビニュース東京・竹芝のダイアログ・ダイバーシティミュージアム「対話の森」のダイアログ・イン・ザ・ダークは、2022年7月23日(土)より2022 夏バージョンを展開します。こちらは小学1年生から体験できるので、親子で夏の楽しさを味わい尽くせます。暗闇の中では、大人は子ども時代に感覚が戻ってしまうかもしれません。子どもと同じ気持ちになって過ごす夏休みを体験してみてください。ダイアログ・イン・ザ・ダーク 夏バージョン (ダイアログ・ダイバーシティミュージアム「対話の森」)開催スケジュール:2022年7月23日(土)~各回約90分※日程によって開催時間/回数が異なります。詳細は予約ページにてご確認ください。※月曜休館場所:ダイアログ・ダイバーシティミュージアム「対話の森」(東京都港区海岸一丁目10番45号アトレ竹芝シアター棟 1F)体験費:大人:3,850円、中高生・大学・専門学生・大学院生:2,750円、小学生:1,650円(いずれも税込)※小学生は保護者の同伴が必要です。チケット:各回定員8名の事前予約制となります。ダイアログ・イン・ザ・ダーク公式ページよりご予約ください。ダイアログ・イン・ザ・ダーク 夏バージョンのチケット予約はこちらから※クリックすると発達ナビのサイトからダイアログ・ダイバーシティミュージアム「対話の森」のホームページに遷移します注意事項:・小学生未満のご体験はできません。・ご体験前に飲酒をなさった方はご体験できません。・ご来場時にはご参加者全員、お名前が確認できるもの(免許証・保険証・学生証など)をご提示ください。お問い合わせ事務局:03-6231-1634(11時~18時)※月曜休館リアル対話ゲーム「地図を持たないワタシ」Upload By 発達ナビニュース東京・竹芝にあるダイアログ・ダイバーシティミュージアム「対話の森」では、世界で初公開のリアル対話ゲーム「地図を持たないワタシ」を2022年7月20日(水)〜8月10日(水)の期間、開催します。「ダイバーシティ」という言葉をよく耳にするようになりました。でも「ダイバーシティ」を体験したことはあるでしょうか?聞こえない人、見えない人、LGBTQ、車いすの人、低身長の人、義手の人…「ダイバーシティ」とは、多様性を意味します。集団において年齢、性別、人種、宗教、趣味嗜好などさまざまな属性の人が集まった状態のこと。つまり、あなた自身も「ダイバーシティ」のなかに存在する、一人なのです。Upload By 発達ナビニュースこのプログラムでは、宇宙船スクランブル号に乗って地球にやってきた多様な個性をもつキャストと、地球人のトラベラー(ゲスト)が対話しながら8つの部屋に用意されたミッションをクリアしていきます。ルールはただ一つ「誰ひとり取り残さないこと」。どんな個性をもつキャストと一緒に体験することになるかは、各回のお楽しみです。Upload By 発達ナビニュースこのプログラムでの出会いによって、自分が当たり前だと思っていた「地図」が消えて、「新しい地図」を手に入れることができるでしょう。小学生から大人まで参加することができます。「リアル対話ゲーム」を通して改めてダイバーシティについて考えることで、これからどのように行動していくかについてのヒントを得られるかもしれません。※クリックすると発達ナビのサイトからダイアログ・ダイバーシティミュージアム「対話の森」のホームページに遷移します〈詳細〉開催日時:2022年7月20日(水)~2022年8月10日(水)各日、11時30分~をスタートに、18時30分~までの8回開催。各回約90分。場所:ダイアログ・ダイバーシティミュージアム「対話の森」( 東京都港区海岸一丁目10番45号アトレ竹芝シアター棟 1F )体験費:大人:3,850円、中高生・大学・専門学生・大学院生:2,750円、小学生:1,650円(いずれも税込 )チケット:各回定員6~8名の事前予約制となります。※開催がない日程・お時間もございます。詳細は予約ページにてご確認ください。リアル対話ゲーム「地図を持たないワタシ」の予約はこちらから※クリックすると発達ナビのサイトからダイアログ・ダイバーシティミュージアム「対話の森」のホームページに遷移します注意事項:・小学生未満のご体験はできません。・ご体験前に飲酒をなさった方はご体験できません。・ご来場時にはご参加者全員、お名前が確認できるもの(免許証・保険証・学生証など)をご提示ください。夏休み、新しい世界をのぞいてみませんか?世代、ハンディキャップ、文化、宗教、民族など…まだまだ世界を分断しているたくさんのものがあります。それぞれのプログラムでの出会いと対話は、新しい世界、新しい価値観にふれるきっかけになることでしょう。
2022年07月18日あのウチの息子が!?新生活で絶対崩れると思っていたのにUpload By ぼさ子自閉スペクトラム症と知的障害のある、わが家の息子ほぺろうは、今年の春から新一年生として特別支援学校に入学しました。もともと切り替えが苦手で、特に場所見知りが強いほぺろう。年少で保育園に入った当時は丸一年ほど毎日泣いているだけの状態で、保育園に慣れたかな?と思えるまでにずいぶん長い期間がかかりました。特別支援学校の入学式もそれはもう大泣き…。その様子を見ている限りでも、この先の新しい環境と生活を想像すると大荒れ必至だろうなと私は覚悟していました。学校ではもちろん自宅でも癇癪大爆発間違いナシだと思っていたし、「今年一年は とにかく環境に慣れる事だけを目標にしよう…」と多くを望みませんでした。ところが…GWも過ぎ、そろそろ本格的にイヤイヤが始まるだろう…そう身構えていたのですが、私の予想を覆すが如く、これまでのほぺろうとは一味違う!歯磨き・お着替えなど、今まで見たことがないくらい自主的にやる気満々で朝の様子が別人のよう。「早く学校に行くぞー!」と言わんばかりに私の方が急かされています。「え…ウソ…。あなた本当にあのほぺろうさん!?」と実の母親でさえも疑ってしまううれしい変化を見せてくれていますが、良いときは良いときなりの理由を探ってみたいと思いました。Upload By ぼさ子考察。入学後の変化全て私が働きかけたものではなく あくまで結果論ですが、何がほぺろうにとって良かったのか考察してみました。・早寝早起きになった…保育園でのお昼寝ルーティンがなくなり現在は20時半には電池切れ。遅くても朝5時半には飛び起きて自分でカーテンを開け、お日さまを浴びる。自律神経が整っているのかも?・特別支援学校は過ごしやすい…プロの先生たちによる手厚い支援。視覚支援も充実しているので、見通しが立てやすく不安なく過ごせているのかも?・無理のない短時間活動…まだ一年生なので下校時間が早く、現在放課後等デイサービスに通う日数も少なめなので、ほぺろうにとっては無理のない範囲なのかも?・好きな科目は給食…偏食なりに楽しみにしているらしい?Upload By ぼさ子上記の事項もリンクした上で、ほぺろうの様子を見ていると、学校を楽しんでいる根本のやる気の出どころがほかにもあるような気がしています。根本的なやる気。二つの自己肯定感担任の先生から普段の様子のお話を聞いて感じた私の憶測ですが、ほぺろうは今、自己肯定感が著しく上がっているのではないかと思いました。1.個人に合わせた課題で「できた!」が増えた就学前お世話になっていたのは、いわゆる普通の保育園。いわば定型発達の子どもたちがほとんどという環境で、ほぺろうは一見無関心に見えても「自分だけできない」と悔しく思う瞬間があったのかもしれません。特別支援学校での個人に合わせた課題は、ほぺろうの内面にとって大きな変化だったと思います。Upload By ぼさ子2.お友達との関わりの中で「頼られてる」という実感保育園では定型発達の子どもたちに囲まれて、ほぺろうは常にお世話される立場でした(先生達はほぺろうの身辺自立を促してくれましたが、どうしてもその年ごろの周りの子は誰かのお世話をしたいものなので…)。私から見たらお友達に構ってもらえるのはありがたいことだし、良い刺激になってると思っていたのですが、何なら年下の子からもお世話されていたほぺろうにとっては周りが良かれとやってくれたことでも、心の中では思うところがあったのかもしれません。でも今は、さまざまな特性のある子どもたちが集まる特別支援学校で、先生に頼られたりお友達を助けたりして(できているかは別ですが)、「自分だって役に立っている」という実感が育っているように見えるのです。Upload By ぼさ子自宅だけでは得られない、社会で自分の価値を見出すという経験を、小さなほぺろうは今ようやくしているのかもしれません。今だけかも知れない。でも今を楽しんでほしい今、特別支援学校でやる気を見せてくれているのも、成長段階がタイミング的にうまくリンクしただけかもしれません。それにこの先、精神が成長すればするほど新たに複雑な悩みや葛藤が生まれて登校を渋る日も来るでしょう。先のことを考えると課題は尽きませんが、これまでのことを思い返すと『やっと』楽しいと思える時間を過ごせるようになったほぺろう。今は自分のアイデンティティを育む経験を積み重ねてくれたらうれしいです。学校での生活を見習って、自宅でも「お願いします」「ありがとう」とほぺろうを頼る習慣が増えました。Upload By ぼさ子執筆/ぼさ子(監修:初川先生より)特別支援学校での新生活が始まったのですね。ぼさ子さんの予想に反して、学校に慣れ、楽しく通えているとのこと、何よりです。考察されている点について、私もそのようなことがあるのではないかと想像しました。誰でも新しい環境での生活は初めはストレスフルですが、特別支援学校ではおそらく、活動の見通しを伝え、環境的にも整理され分かりやすく、そして大人の目も行き届きやすいという学校生活が初めから展開されているのだろうとお察しします。異文化に入ったというよりも、過ごしやすいように工夫された環境に入ったという感じなのでしょう。先生方やクラスメートの子たちとの関係性もよさそうですね。課題の設定もちょうどよい(易しすぎず、難しすぎず、ちょっと頑張ったらできるような課題設定)のでしょう。自分の働きかけに対して認め・褒めてくれる環境があり、良き相互作用の生まれそうな仲間たちがいて、いわゆる自己肯定感や自己効力感が育まれている状態なのが今なのでしょう。そうした感覚を持てる中でこそ、ちょっと難しそうだけれどやってみようとチャレンジする気持ち、周りの子や先生を気遣い、優しく振舞う気持ちが芽生えます。これからの生活も楽しみですね。
2022年07月18日カラフルレンジャーなんて、所詮はフィクション?最終話を迎えたカラフルレンジャー。この物語を読む彼女にとってそれは…Upload By 荒木まち子Upload By 荒木まち子執筆後記チラシを配っていた女の子が、マジョリティ隊と同じ帽子だったことに気づいていただけましたでしょうか?発達障害児・者を取り巻く環境は日々進化しています(先人の努力に感謝!)。日々ままならないことやつらいこともあるかと思いますが、ときには息抜きをしつつ、情報アンテナを張って前へと進んでいきましょう!!あなたは決して一人ではありません。あきらめなければ素敵な出会いがきっとありますよ!執筆/荒木まち子
2022年07月17日わが家の長女は仮死状態で生まれた影響で、発達障害があります。そのため、2歳離れた次女と同じように子育てをしているような状態でした。そんな長女と次女の子育てと、ある日の長女の行動に感動した出来事をお伝えしたいと思います。 長女は次女よりも手がかかる長女は、そしゃく・言語障害などの発達障害があります。そのため、自分でじょうずに食事ができないため、年齢が上がってからも離乳食に近い食事を作り、赤ちゃんのように食べさせてきました。 また、トイレの感覚もわからないようで、何年もトイレトレーニングを続けたりと、赤ちゃんと同じような状態。2歳離れた妹が生まれたのですが、赤ちゃんの次女よりも長女に手がかかる状況で毎日を過ごしていました。 姉妹同じように子育てをしている状態2歳違いの姉妹ですが、同じように子育てをしているような状態の日々。一緒にごはんを食べさせてあげて、一緒におむつを替えて、一緒に寝かしつけて……。 さらに、次女が2歳ごろになると、魔の2歳児が2人いる状態で、かなり大変な毎日になりました。2人とも「自分でやりたい」という意思が強くなり、お互いにライバル心も芽生え、お世話は大変でしたがその分お互いに成長したようにも感じました。 ある出来事に感動して涙…そんなある日、姉妹たちと公園で遊んでいると、男の子が木の棒を振り回しながら次女のほうに近付いてきました。私が次女のほうに向かおうとすると、近くで遊んでいた長女が勢いよく妹のほうまで走っていき、妹をギューっと抱きしめて、男の子に向かって大きい声で叫んで追い返したのです。その姿を見て、「お姉ちゃんとしての自覚があるんだ……」と私は胸が熱くなり、感動して涙が出ました。 今でも、喧嘩をしたり一緒に遊んだりと、お互いに切磋琢磨しながら、姉妹一緒に成長しています。姉が妹を思いやり、妹が姉を思いやる心がどんどん育っています。これからも、そんなわが子たちの成長が楽しみです。 監修/助産師REIKOイラストレーター/まっふ著者:石原みどり知的障害を持つ子どもと口唇口蓋裂を持つ子どもの母。波乱万丈で大変なこともあるが、子どもたちと幸せいっぱいに生活している。経験を踏まえ、子育てに関する情報を発信中。
2022年07月16日10年後のカラフルレンジャーたちは…自分の居場所を見つけ、それぞれが自分らしく過ごすカラフルレンジャーたち。10年後はいったいどうしているのでしょうか…?Upload By 荒木まち子Upload By 荒木まち子Upload By 荒木まち子執筆後記ついに最終話となりました。4年前、軽い気持ちで描いたカラフルレンジャーのイラストを当時社会人一年目の娘が気に入り「私はブラックが好き!^ ^」「レンジャーは何歳なの?」「絵柄が古い(笑)」「クリッピングって知ってる?」「pixivやってみたら?」など盛り上がりました。折しも娘は学生から社会人へと環境が劇的にかわり、親子の関係にも大きな変化が訪れていたときでした。もう親だけが娘を守る存在ではなくなる時期。でもまだ伝えたいことはあり…。そこで私は、レンジャーたちを使って私の思いを娘に伝えてみることにしました。いわばカラフルカラフルレンジャーは私から娘へのラブレターみたいなものなのです(笑)。連載中にパソコンが壊れ、それまでのデータ(最終話までの下書きも)全て消えてしまうというアクシデントもありましたが、何とか最後まで仕上げることができてホッとしています。フルカラーの漫画は思いのほか大変で、終盤は張り紙をつくったりして自分を鼓舞しながら描いてました(笑)。Upload By 荒木まち子荒唐無稽とも思われるカラフルレンジャーの連載にご協力くださった発達ナビ編集部さんと、最後まで読んでくださったみなさま、本当にありがとうございました(^人^)あ、でも番外編がまだ2話ほどありますので、そちらも、よろしくお願いいたします(^O^)/執筆/荒木まち子
2022年07月16日福祉実験ユニット「ヘラルボニー」が”違うこと”の価値を問う展覧会「The Colours!」7月16日(土)よりANB Tokyoにて開催Upload By 発達ナビニュース福祉実験ユニット「ヘラルボニー」と一般財団法人東京アートアクセラレーションが主催する、”違うこと”の価値を問う展覧会「The Colours!」が2022年7月16日(土)よりANB Tokyoにて開催されます。ヘラルボニーの企画アドバイザーに就任した黒澤浩美さん(金沢21世紀美術館キュレーター)がキュレーションを手がける本展は、ヘラルボニーがライセンス契約を結ぶ作家の中から、「色」のパワーを持つ12名の作家の作品を中心にセレクトした展覧会であり、個人の「個性」、「違い」こそが大切な価値とされるアートを通して、個々の「違い」そのものが価値となって社会を彩るというメッセージを発信します。ヘラルボニーは、“異彩を、放て。”をミッションに活動する福祉実験ユニットであり、知的障害のあるアーティストの作品の社会実装を進め、福祉を起点に力強く新たな文化を創り出していくその活動は、さまざまな方面から注目を集めています。また、一般財団法人東京アートアクセラレーション(Tokyo Art Acclereration [TAA])は、六本木のANB Tokyoを拠点に文化が息づくエコシステムを目指しアートと社会の新しい接続点をつくることを目指して設立され、意欲的に表現活動と向き合うアーティストのサポート、アートを軸にしたコミュニティの形成、展覧会やトークイベントなどの企画・運営などを行なっています。※クリックすると発達ナビのサイトから「The Colours!」の特設サイトに遷移します〈詳細〉ヘラルボニー4周年記念「The Colours!」出展作家:井口直人、伊藤大貴、岩瀬俊一、岡部志士、衣笠泰介、木村全彦、国保幸宏、Juri、高田祐、中尾涼、早川拓馬、森啓輔(12名)会期:2022年7月16日(土)~2022年8月7日(日)11:00-19:00会場:ANB Tokyo (2F:ポップアップショップ / 3・4F:展覧会)住所:港区六本木5-2-4(六本木駅から徒歩3分)休館日:月曜※月曜祝日の場合は翌日定休に振替入場料:無料※予約不要 / 直接会場にお越しください問い合せ:official@heralbony.com主催:株式会社ヘラルボニー、一般財団法人東京アートアクセラレーション企画:黒澤浩美(金沢21世紀美術館キュレーター/ヘラルボニー企画アドバイザー)※クリックすると発達ナビのサイトからヘラルボニーの公式ホームページに遷移します※クリックすると発達ナビのサイトからANB Tokyoの公式ホームページに遷移しますトミー ヒルフィガー アダプティブ、オンラインストアにて販売中Upload By 発達ナビニュース手先が不器用で服の脱ぎ着が苦手、車いすを使っているためパンツの脱ぎ着に時間がかかる、脱ぎ着しやすくておしゃれな服がなかなか見つからない…そんな悩みはありませんか?トミー ヒルフィガー アダプティブでは、そんな日々のもやもやを解消してくれるような、ファッション性と機能性両方を兼ね備えた衣服が展開されています。トミー ヒルフィガーは、インクルージョンとダイバーシティの促進に取り組んでいます。その一環として、2016年に障害のある方々のために、脱ぎ着をしやすくする機能を加えたアパレルコレクション、「トミー ヒルフィガー アダプティブ」を立ち上げ、2020年春に日本でも販売を開始しました。トミー ヒルフィガー アダプティブのアイテムは、ファッション性と共に、車椅子や義足、義手などの装具への対応を考慮し、脱着のしやすさに重点が置かれています。「障害のある方々が自信を持てるように」という思いで、それぞれのニーズに合わせた機能とファション性を兼ねそなえた着心地のよい衣服がデザインされています。細かい手先の動きが苦手な方のために開発された、近づけるだけではまるマグネットジッパーや、脚の装具や矯正器具・ギプスなどに対応する開閉機能や長さ調整機能が備えられたパンツ。フロント部分を浅くし、背中部分を深くした座り姿勢に適したパンツやネックラインに開閉機能が取り入れられたトップス。また、感覚過敏の方に寄り添う、ソフトな素材で縫い目がない仕様のトップスや、管を通す穴が隠されたTシャツなど、さまざまなアイテムが揃います。誰でも着脱しやすい機能を持つアイテムが揃うトミー ヒルフィガー アダプティブ。メンズ、ウィメンズ、キッズ全てのラインの商品がオンラインショップでも購入可能です。※クリックすると発達ナビのサイトから「トミー ヒルフィガー アダプティブ」のオンラインストアに遷移します「第一回 全国小中学生動画コンテスト FULMA Creator Awards」作品募集中、9/20(火)までUpload By 発達ナビニュース子ども向け動画制作スクールFULMA(フルマ)は、全国の小中学生を対象にした動画コンテスト「FULMA Creator Awards」を開催します。現代の子どもたちにとって「動画」は、観るだけのものでなく、制作するという楽しみ方も身近になっています。動画制作は、自由な表現力や情報活用能力、ネットリテラシーといった現代に必要とされる能力を育むと考えられており、教育の現場でも注目されています。今回のコンテストでは、小学1年生〜中学3年生のオリジナル動画作品(3分以内)を全国から募集します。個人でもグループでの応募もOK! 審査員は、教育系YouTuber「とある男が授業をしてみた」の葉一さん、実験動画を発信する「GENKI LABO」の元気先生など有名なクリエイター陣です。この経験は、未来のクリエイターへの一歩になるでしょう。※クリックすると発達ナビのサイトからFULMAのホームページに遷移します〈詳細〉募集期間:2022年7月1日(金)〜2022年9月20日(火)募集作品:企画・撮影・編集等、小中学生が制作した動画作品(3分以内)応募資格:小中学生の個人またはグループ(学校単位での応募も可能)ジャンル:自由応募規定:※コンテストウェブサイトよりご確認ください。応募方法:コンテストウェブサイト()からエントリーフォームより協賛・後援:日本マイクロソフト株式会社・株式会社ワコム・江東区教育委員会通常学級に在籍する子どものうち、ADHDや学習障害、自閉症ある児童・生徒の数が過去最多ーー文部科学省調査出典 : 文部科学省は、2020年度に通常学級に通っているADHDや学習障害、自閉症のある児童・生徒について調査しました。この度、この調査について発表された結果によると、全国の国公私立の小中高等学校の通常学級に在籍しながら、特性などに応じて週に数回などほかの教室で特別な指導を受けている児童・生徒は、合わせて16万4693人おり、調査をはじめてから最多の人数となったことが分かりました。調査結果では16万4693人のうち、ADHDのある児童・生徒は3万3825人、学習障害のある児童・生徒は3万612人、自閉症のある児童・生徒は3万2346人であると発表されています。ADHD、学習障害、自閉症が通級の指導による対象となった2006年と比べ、約8倍の人数になっていることが分かります。増加の背景には、保護者の発達障害に関する理解が深まり、特別支援を希望する人が増えたことが考えられます。※文部科学省での障害の概念や名称は、医学的な障害の概念や名称と異なる部分があります。ここでは、文部科学省の表記に併せてADHD(注意欠陥多動性障害)、学習障害、自閉症という表記にしています。※クリックすると発達ナビのサイトから文部科学省のホームページに遷移します「第33回日本ダウン症療育研究会」7月23日(土)zoomにてオンライン開催Upload By 発達ナビニュース「第33回日本ダウン症療育研究会」が2022年7月23日(土)13:25より、オンライン形式で開催されます(アーカイブ配信も行われる予定です)。第33回日本ダウン症療育研究会の大会長は、奈良県立医科大学附属病院総合周産期母子医療センター新生児集中治療部門の病院教授である、西久保敏也先生です。「ダウン症の明るい未来」をコンセプトに、ダウン症のある方々への口腔ケアや聴覚障害に関するミニレクチャーのほか、一般社団法人WheeLog 代表である織田友理子さんと、奈良県立医科大学附属病院脳神経内科医師である杉江和馬先生による特別講演が行われます。ダウン症にかかわる専門家の方々のお話を聞くことで、ダウン症のある方やそのご家族が、明るく元気に過ごせる社会について改めて考える良い機会になるのではないでしょうか。講演後には、「oVice」を用いたオンライン懇親会が開催されます。ぜひそちらにもご参加ください。※クリックすると発達ナビのサイトから日本ダウン症療育研究会の公式ホームページに遷移します〈詳細〉「第33回日本ダウン症療育研究会」日時:2022年7月23日(木)会場:zoom参加:Live配信とアーカイブ視聴の一括申込日本ダウン症療育研究会会員:無料非会員:¥2,000※新規にご入会をされる場合は、7月21日(木)中に、 日本ダウン症療育研究会ホームページ「入会の案内」より、入会手続き(情報の送信と年会費の入金)を完了後、 会員チケットをお申込み下さい。主催:日本ダウン症療育研究会後援:MBTコンソーシアム、公益財団法人日本ダウン症協会、奈良県、奈良県医師会、奈良県教育委員会、奈良県社会福祉協議会、奈良県小児科医会、奈良県立医科大学、日本小児科学会奈良地方会申込期限:2022年7月22日(金)12:00まで※クリックすると発達ナビのサイトからpeatixの「第33回日本ダウン症療育研究会」のチケット申し込みページに遷移します「合同出版 子どものこころやからだの発達を支援する 連続セミナー2022夏」8月4日(木)〜8月7日(日)に開催Upload By 発達ナビニュース「合同出版子どものこころやからだの発達を支援する 連続セミナー2022夏」が2022年8月4日(木)〜7日(日)にオンライン開催されます。ネットトラブル、性教育、DCD(発達性強調運動障害)、発達障害がある子ども向けのキャリア教育、ワーキングメモリーを活かした支援法、アンガーマネジメント、感覚あそびなどの、身近なテーマについて、全8回のセミナーが開催されます。特別支援教育・療育・保育などの現場の最前線で活躍する講師陣により、すぐに役立つ子育ての知識や支援のポイントをレクチャーしてもらえます。気になるセミナーのみに参加することも、全8回すべてに参加することも可能です。書籍つきチケットが用意されているほか、セミナーに申し込まれた方はテーマ書籍及び関連書籍を送料無料、割引価格でお買い求めいただけます。イベントと書籍を通して、子どもたちへの発達や関わり方、支援方法に関する理解を深める夏にするのもいいかもしれません。〈詳細〉「合同出版子どものこころやからだの発達を支援する 連続セミナー2022夏」日時:2022年8月4日(木)~8月7日(日)午前の部 10:30〜、午後の部14:00〜会場:オンライン参加:各イベントチケット2,000円(視聴チケットのみ)各イベントチケット(書籍付きチケット)全8回通しチケット13,000円(視聴チケットのみ)申込方法:合同出版の公式ホームページ、またはpeatixの2種類の方法で申し込みが可能です。主催:合同出版合同出版の公式ホームページはこちらからご確認ください。※クリックすると発達ナビのサイトから合同出版公式ホームページの申込ページに遷移します※クリックすると発達ナビのサイトからPeatixの申し込みページに遷移しますLITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!
2022年07月15日発達障害をもつ息子・よしおを育てるママ・なおにゃむさん。そんななおにゃむさんの日常には、ちょっぴり変わったエピソードが盛りだくさん。漫画を通して、よしお君の独特な世界をご紹介していきます!今回はよしお君が中学生になった時のお話。ママが「名前書いておきなよー」とノートを渡したら、なんとそこに書かれていたのは違う名前だった!?....「ノートに名前書いておきなよ」と言われて、「大学ノート〇〇」とそれぞれの教科の名前を書いたよしお君。ママの意図とは違いましたが、それぞれの教科が分かりやすくなって結果としては良かったですね!次はどんな『あるある』が出てくるのか、お楽しみに♪原案・作画:なおにゃむあわせて読みたい🌈【珍・学童エピソード】臭いのはコレ!!ホットカーペットの下から出てきたものとは⁉
2022年07月15日自分自身のことは二の次?療育の日々以前のコラムでは、ダウン症のある子どもは、その障害が生まれて間もなく分かるため、早期に医師から療育をすすめられるという話を書きました。「療育をすればそれが発達の助けになる…!」と一筋の光になったのと同時に自分でも気がつかないうちにそれが重圧になっていました。どういうことかというと、「療育をしなければその分発達が遅れてしまう、だから私がきいちゃんのために頑張らなければならない…!」と自分を追い込んでしまっていたからです。そのため療育にいいと聞くと積極的に試し、遠方の療育先にも無理をしても行っていました。気がつくと、24時間365日、療育やきいちゃんの発達のことばかり考えてしまうようになっていました。もちろん私自身のことなど二の次です。Upload By 星きのこ「ダウン症の発達にいい」と聞いたことは何でも試して療育以外にも、少しでも「ダウン症の発達にいい」と聞いたことは何でも実践しました。例えば母乳です。「ダウン症児のように体の弱い子どもには、母親の母乳がいい」と聞くと哺乳力が弱く、母乳が吸えないきいちゃんのために授乳の度に1時間かけて搾乳してきいちゃんに飲ませ、そして母乳を枯らせないように努力しました。有名な母乳教室にも通い、なんとか母乳を飲ませようと必死でした(注:疲れて半年後に完全ミルクに切り替えましたが、きいちゃんは元気にすくすく育っています)。そのため、それでなくても新生児期は3時間おきの授乳で寝不足なのに、さらに寝る時間が削られ私の身体はボロボロに…。疲労から何回も膀胱炎になったり、身体を壊したりしてしまいました。今思えば、「ダウン症がある」と障害を告知されたときの傷を埋める手段が自分にとって「療育を頑張ること」だったのかもしれないなあと思ったりもします。「少しでも定型発達の子に近づけなければ」と思い込んでいたのです。それは目の前にいるダウン症のあるきいちゃんを否定していることだったのかもしれないと月日が経ち、落ち着いた今では思います。そして療育開始時0歳だったきいちゃんもいつまでも赤ちゃんのままではありません。0歳のときは私のなすがまま、されるがままになっていたきいちゃんですが、成長すると共に自我も育ち、2歳くらいからイヤイヤ期が始まりました。私がきいちゃんのお口をマッサージしようとすると全力で「イヤー!」と言って顔をそむけて嫌がります。私のほうは口をマッサージしなければ「言語機能の発達が遅れる」と思い、嫌がるきいちゃんに無理やりマッサージする日々。Upload By 星きのこ私自身も嫌がるきいちゃんに無理やり療育をすることが本当にいいことなのか、分からなくなってきました。療育を優先することによって、日々の子育てが訓練のようになってしまい、きいちゃんも私自身も疲弊していきました。おそらくきいちゃんの方はもっと苦痛だったことでしょう。「療育をやればいい子、しなければ悪い子」というメッセージを知らず知らずのうちにきいちゃんに送っていたように思います(反省…)。Upload By 星きのこ療育より大切だったのは療育よりも必要だったのは、きいちゃんがきいちゃんのままでも無条件に受け入れてもらい、愛され、そして何気ない楽しい日常を送ることなのではないかと…。恥ずかしながら、2年経ってやっと嫌がるきいちゃんを見ているうちに気づいたのです。それからは私も無理に頑張ることはやめ、自然体できいちゃんと過ごすようになりました。私自身もすごく楽になりましたし、何よりきいちゃんと過ごす日々がリラックスして楽しく送れるようになりました。療育より大切なことが、きいちゃんにとってだけじゃなく、私自身にとってもあったのです。今、「早期療育しなければ…!」と焦っている小さいお子さんのママパパさん、大丈夫、子どもはちゃんと育っていきます。療育はしないよりもした方がもちろんいいですが、療育をしなくても日々楽しく家族と過ごしているうちに子どもはちゃんといろいろなことを吸収し、育っていきます。今、小学一年生になったきいちゃんですが、学校や放課後等デイサービスでいろいろなことを覚えてきて、最近療育サボり気味(笑)の私を驚かせてくれています。そんなことがある度に、子育ては私の力だけではなく、周囲のみなさまに助けられながら成り立っているんだなあと感謝し、また、子ども自身の育っていく力には日々学ばされています。Upload By 星きのこ執筆/星きのこ(監修:鈴木先生より)療育はもちろん大事なのですが、お母さんが「療育ママ」にならないように気をつけることも大事です。どういう療育をするか、医師が関与しているか、目標は何か、などが重要です。ただやるだけではなく、脳のどこを鍛えているかを知ることも継続していくには必要なのです。そのためには療育の内容(何のために何をやっているか)を定期的に主治医に報告する必要もあります。自閉スペクトラム症のあるお子さんには感覚統合訓練や音楽療法(以前にもLITALICOさんで紹介をしました)、最近では乗馬療法(ホースセラピー)も有効といわれています。また、ADHDのあるお子さんはバランスを鍛えたり、手足の協調運動を鍛えたりすることが大切です。いろいろな遊びを通してその中でルールや社会性を教えつつ、親子で楽しむことがいい思い出にもなり大事だと思います。
2022年07月15日言葉がとてもゆっくりな娘。3歳5ヶ月で療育へ娘は2歳3ヶ月ごろにようやく単語が出始め、2語文を話し始めたのは3歳2ヶ月。とは言っても2語文は稀にしか話さず言えない単語もまだたくさんありました。例えば飴は「め」、おせんべいは「ベー」など。この時期幼稚園のプレに通っていたのですが娘の様子を先生からはこう言われました。Upload By とまぱんそんな娘を連れて発達支援センターへ相談しに行ったのは2歳10ヶ月のとき。発達検査をした上、やっと3歳5ヶ月で療育に通うことができました。療育初日は突然知らないところに連れて行かれ娘がパニックを起こしたらどうしようと不安でしたが、すんなりと教室に入り無事に終わったようでした。スタッフに「男の子たちがとまちゃんを気にしてソワソワしてましたよ!とまちゃんアイドル的存在になりそうです」なんて言ってくれました。ちなみに通っていた療育は子どもよりも先生の数が多いところでした。大人が大好きな娘にとってはあまり抵抗がなかったのかもしれません。療育が始まって1ヶ月。娘の様子は?療育が始まってから1ヶ月後、言葉は何となく増えたように感じました。でも癇癪はまだまだ健在。近所のお友達と遊んでも終始癇癪で近所の子と遊ぶのを暫くやめていました。そんな現状だったので療育終わりにスタッフに伺ってみました。Upload By とまぱん癇癪がなかったのは意外でしたがお昼の件については、想像ができるーと思いました。家でも一口食べては出歩き、一口食べては出歩き....といった感じでした。4歳の今は座って食べれるようになったのですが、このときはどんなに言っても聞かなかったので注意することも諦めていました(外食のときは注意していましたが)。完璧な躾を目指していたら3日でダウンしそうなので私の躾はゆるゆるだったと思います。時間と共に成長が解決してくれることを期待して…。療育先でも癇癪が始まり…。この先ひらがなの取得につまずくかもと言われ。療育に通って2ヶ月。スタッフの人から「うまくいかないときは時折パニックを起こしてしまいます」と伝えられました。お友達と遊んだりしてる中で自分の思い通りにいかないときなど癇癪を起こしてしまうみたいです。娘も場所に慣れて素が出てきたのでしょう。幼児だとこういうことはよくあることですが、娘はほかの子と比べても我慢や気持ちの切り替えがとても苦手なように感じていました。また、続いてこう話されました。「言葉は増えたもののやっぱり表に出る言葉はゆっくりです。もしかすると年中年長さんになったときひらがなの取得につまずくかもしれません」こう言われたことをきっかけに少しずつひらがなに触れさせてみることにしました。とはいっても年中年長さんあたりからそれぞれ家庭でひらがなを覚えさせることもあるかもしれませんが、本格的にひらがなを習うのは恐らく小学校入ってから。焦る必要はないのかもしれませんが元々発達ゆっくりな娘なのでゆるーくひらがなを見せてみることにしました。問題集を手作り。私なりのお家療育をはじめてみるひらがなが書いてあるカードを使ってこれは「ありのあ」、これは「いぬのい」だよ、と目に触れさせてみました。意外に興味津々の娘。そんなことを暫く続け…。次はカードを2枚並べて私が言ったひらがなを取ってもらうようにしました。慣れると3枚、4枚とカードの選択肢を増やしてみました。Upload By とまぱん娘は最初ひらがなを読むのを嫌ったので、カードを選んでもらうという方法をとりました。読むことに抵抗がなくなったころ徐々にひらがなを読んでもらったり。かなり自己流ですがこのように遊び感覚で少しずつひらがなを覚えていきました。ちなみに娘は筆圧がとても弱く書く意欲が全くなかったので、ひらがなを書く練習はこの時期全くさせませんでした。ひらがな以外に数字にも触れさせてみました。書店で売ってる問題集は気まぐれでやらないことが多いので娘の好きなキャラクターを描いて問題集を手作りしました。Upload By とまぱんこんな感じでキャラクターが言ってる数字の数だけ娘にシールを貼ってもらいました。自分の好きなキャラクターに娘はニコニコ。その上娘はシールが大好きなので進んでやってくれました。私は子どものころの夢が学校の先生だったのですが子どものときよく問題集を自分で作り、妹を生徒役にして解かせていました(笑)それを思い出し私自身も楽しくやっていましたが、娘がハマりすぎて私が疲れてしまい…。以前、療育の先生からは「とまさんの集中力は年相応以上です」と言われたことがありました。娘は何かに集中してるとどんなに話しかけても反応しないし、こういう学習もハマったら永遠とやるところがあります。言葉はゆっくりで癇癪も激しい娘ですが集中力の高さはこれから娘の長所になればいいなと思いました。紙芝居で入園式をシミレーション冒頭でもお話ししたようにプレの先生から「とまちゃんは目的がはっきりしない時間は待つのが苦手」と言われていました。まさに入園式も目的がはっきりしない時間。娘はずっと席に座ってられるのだろうか…と入園式が近づくにつれて憂鬱になってきました。そのため入園式とはこういうものというのを予め知ってもらうため、入園式の様子を描いた紙芝居を作りました。1週間前から毎日読み聞かせ、娘は「これとまちゃん?もう一回読んで!」と嬉しそうにしていました。Upload By とまぱん入園式当日。初めは状況に困惑し、椅子を叩いてしまうこともありましたが、紙芝居効果なのか落ち着いて席から離れず無事に終わりました。娘はほかの子よりも工夫が必要だったり苦労することも多いですが、この4年間違いなく成長はしました。幼稚園に通っている今は先生やお友達の影響でありがたいことに勝手に成長している部分はありますが、これからも何か手助けが必要であれば一緒に考えて私なりに向き合っていけたらと思います。執筆/とまぱん(監修:藤井先生より)お子さんの負担にならないように、お子さんの反応を見ながら、遊び感覚で取り組まれたのはとても良いと思います。同年齢のお子さんと比べ焦ることもあるかもしれませんが、お子さんのペース、好みに合わせて、スモールステップで過ごした時間は、お子さんにとっても、とまぱんさんにとっても、充実した時間になったと思います。新しい場面での見通しがないと不安になるお子さんへ、今回のような紙芝居や、写真などの目に見える形を用いて伝えておくことは、不安軽減に効果的です。
2022年07月14日中3の夏休み、積極的に学校見学などを申し込む息子Upload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。中3の夏休みのこと。息子のリュウ太から聞いた進路の志望先は、自動車整備士を目指すための専修学校高等課程でした。息子は不器用などの特性があるため、細かい部品を扱う作業が向いていないのではないかと思い、親としては心配になりましたし、息子の選択に戸惑いました。そもそも私も夫もリュウ太には、普通科の高校に通ってほしいと考えていたので、最初は反対しました。しかし息子の意志は固かったのでした。Upload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。専修学校の体験授業に参加、進路を選択するそんな息子の意思を尊重することを私たち両親も決意し、住んでいる地域近郊にある専修学校を2校見学することにしました。2校のうち比較的通いやすそうな方を選び、夏休み期間中に行われている体験授業に2度ほど参加をして「この学校にしよう!」と決めました。Upload By かなしろにゃんこ。改めて大人になった息子に、進学について聞いてみたことがあります。「あのときは『この学校に進むと職業の選択の幅が広がる』とか将来の可能性とか進学情報とか気にしてなかったから、「普通科」の高校よりも自分が今やりたいと思う部活動がある専修学校に魅力を感じていたんだよね。専修学校の部活動は車の整備士を目指す学校なだけあって、四輪部、二輪部、レーシングカート部とかがあって。車やバイクのレースができたり、楽しそうなものばかりで早く入学して体験したくてたまらなかった」と話すリュウ太。進路選択をする中3のころは、本当はまだ車の修理には興味がなくて、部活動目当てだったそうです。「父親から普通科から四大へ進んで、車関係の会社に就職する進み方を説明されたけれどイマイチ想像がつかなかった。それに自分にそんな力はないと思っていたし無理だと思い込んでた」とも話してくれました。Upload By かなしろにゃんこ。専修学校の授業はそんな息子は、専修学校に晴れて入学してからは同じ趣味の仲間がたくさんいて学校に通うことをとても楽しんでいました。でもその半面、実習は大変だったと言います。特にクーラーのないドッグ(工場)で排気ガスとオイルと機械にまみれて汗をかきながら受ける夏の実習は体力的にきつかったそうです。Upload By かなしろにゃんこ。そんなとき息子は「やっぱり頑張って普通科の高校に行けばよかったかな…そうしていたら友達はできたのかな?大学は行っていたのかな?」なんて頭をよぎることもあったそう。それでも「ワクワクすることにだけエネルギーを使いたい」「結局やりたいこと興味があることにしか力が動かない」という自分がいることに気づいた息子。次第に「自分は整備士の専修学校を選んでよかったのかもしれない」と思うようになったといいます。Upload By かなしろにゃんこ。そして息子は、専修学校の高等課程3年間と専門課程の2年間・計5年間を通い自動車整備士の資格を取得、卒業後に地域のカーディーラーに就職することになりました。5年間明けても暮れても行った実習のおかげで不器用も克服して細かい部品を扱えるようになりました。息子にはうっかりが多いという特性もありましたが、機械を組み上げる作業など間違いが許されないので、しっかりと順番を覚え、緊張感を持って取り組めているといいます。発達障害があっても手に職があることで就活の強みになっている気がします。自動車業界は今後電気や水素自動車にシフトしていき、整備士も新たな技術を学び直しが必要となる業種ではありますが、中3の夏が息子のターニングポイントになっていたのかもしれません。そして、専修学校に見学を決めたあのときに、息子は自分がやれることを定めていったような気がしたのでした。執筆/かなしろにゃんこ。(監修:井上先生より)子どもさんの側からすると、「好きなことだと少しぐらい苦手な活動があっても継続して頑張れる」というのは事実だと思います。とはいえ、「普通高校に進学して大学を選ぶ時点で選択した方が選択の幅が広がる」というのが一般的な親心だと思います。その中で中学を卒業して専修学校に行きたいという息子さんの希望をかなえ、応援した親御さんは、素直にすごいと思います。専修学校は、好きなことが決まっている子どもさんに関してはよい選択肢になる可能性を持っています。不器用だったり、整理整頓が苦手だったり、不注意があったとしても、好きな活動の中でだと乗り越えられることもあるでしょう。そこで知り合う同じ趣味を持つ仲間との出会いも大切な財産になったと思います。
2022年07月13日通常学級で受けられる支援のノウハウが満載ーー『通常学級の発達障害児の「学び」を、どう保障するか: 学校・家庭・福祉のトライアングル・プロジェクト』文部科学省が2002年、2012年に調査した結果によると、通常学級に在籍する児童生徒のうち、発達特性を示す児童生徒の数は6%ほどといわれています。しかし、そのうちで授業時間内に個別の配慮をうけている児童生徒の割合が約45%にとどまっているという調査結果もあります。通常学級に在籍する発達特性のある子どもの学びを支えるためにはどうしたらよいのでしょうか。この本では、幼稚園などにおける支援や小学校への就学相談、小学校、中学校、高校における指導、大学や企業における支援をそれぞれ実例をあげて紹介しています。また、学校・家庭・福祉が1つのチームとなって連携する「トライアングル・プロジェクト」についても解説。多方面から子どもの学びを支えるためのヒントが満載です。「困っているけど、学校などにどう相談したらいいか分からない」と不安になっている方にもぜひ読んでほしい一冊です。発達特性のある子どもとの記録、療育とのつながりーー『発達凸凹っ子に英才療育?してみた 生後0日からの子育てバトル』発達ナビの連載ライターでもある、著者の古都コト子さんは、娘さんに発達特性があります。4歳ごろまで激しい癇癪や他害、こだわり、多動などがあり、24時間気を抜けない子育てをしてきました。2020年からSNSで子育ての過程を発信すると、SNSで話題になりフォロワーは7万人以上に。「悩んでいるのは自分だけじゃない」と誰か1人にでも届くようにと発信を続けています。この本では、娘さんが生まれたときから、娘さんの発達特性に気づき「療育」とつながる過程が全編マンガで描かれています。SNSでは発信していないエピソードも収録。古都コト子さんの心情の変化、娘さんの成長に勇気づけられる作品です。子どもの気持ちを想像し対応できるーー『発達が気になる子どもへの関わり方を教えてください』発達障害や、発達特性に関しての認知度が上がっていることを背景に、発達特性のある子どもに対する適切な関わり方を知りたいという声が年々増加しています。著者の中村敏也さんは、14の保育園と6の療育施設を運営し、のべ6万2000人の子どもたちに関わってきました。大人が困ってしまうような子どもの行動にも悪意や害意はないことが多く、その”気になる行動”をしてしまうときの子どもの気持ちにまず共感することが大切だと著者は言います。この本では、子どもと関わるときの5つの基本、子どもたちの気持ちを知るためのポイント、シーン別での困ったことへの対応方法、子どものタイプ別対応ポイントなどが丁寧に解説されています。行動だけに目を向けるのではなく、その背景にある子どもの心理を想像することが適切な声かけや接し方につながります。「みんな違って、みんないい」という思いがあふれる一冊です。また関わり方だけでなく、保護者の方が子育ての悩みを抱え込まないために、相談機関への相談の仕方なども紹介されています。発達特性のある子どもを育てる保護者だけでなく、子どもと接する全ての方々におすすめです。「食べる動作」の改善により日々の食事に笑顔をーー『気になる子どものできた!が増える食事動作指導アラカルト』食事は日々の生活に欠かせない大切な要素。しかし、箸や食器がうまく持てない、食べ物をこぼしてしまう、食べるときに姿勢が崩れてしまうなど、子どもの「食べる動作」について悩みを抱える保護者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。この本では、神奈川県立保健福祉大学の教授であり、作業療法士でもある、笹田哲先生により、具体的な食事動作の指導法、食事動作の基礎となる手指の動きを養う遊び、さらには食具・食器の選び方などが、実際の画像やWEB動画と共に分かりやすく紹介されています。一つひとつの食事動作が上手にできるようになることで、お子さんの自信につながるだけでなく、お子さんにとってもご家族の方にとっても日々の食事がより楽しいものになるのではないでしょうか。この本は保護者の方だけでなく、教員、栄養士、保育者など、子どもの食事に関わるさまざまなご職業の方にもおすすめの一冊です。忘れ物をしてしまったらどうする?を考えるーー『わたし、わすれものが おおいです (学校がもっとすきになるシリーズ 2022)』学校は毎日毎日いろいろなことが起こる場所。この本は、子どもたちの日常にありふれた小さな出来事を拾い上げ、その出来事を通して「少しでも学校を好きになることができたら」という思いで描かれた絵本です。今回のテーマは「忘れ物」。誰でも一度は忘れ物をしてしまったことがあるのではないでしょうか。大事なのは忘れ物をしてしまったときにどうするかを考えること。この本は、いつもうっかりしてしまう「わたし」と、わたしが忘れ物をしたとき、いつも助けてくれるしっかり者の「えみちゃん」のお話。国語の教科書を忘れてしまった日、いつものようにえみちゃんに教科書を見せてもらおうとすると、なんだかえみちゃんの様子がおかしくて——。忘れ物をたくさんしてしまうけれど、そのたびに「どうしよう?」と真剣に考える「わたし」と「えみちゃん」。お子さんと一緒にこの絵本を読んで、「忘れ物をしてしまったときは、先生になんて言おう」「明日、忘れ物をしないためにはどうしたらいいのかな」と話し合ってみてもいいかもしれません。日々の不安に寄り添ってくれる一冊ーー『リエゾン(8)ーこどものこころ診療所ー』どんなに子どもを愛していても、イライラが止まらず子どもに手を上げてしまう。私の行動って「虐待」なのではないか…。児童精神科をテーマに、現代社会を生きる子どもたちとその家族が抱えるさまざまな問題を丁寧に描く人気漫画の新作が登場。第8巻は「虐待」「母子登校」「自傷行為」がテーマです。この本では、言うことを聞かない子どもに手をあげてしまう母親、小学校入学直後に登校渋りをする子どものために毎朝母子登校を続ける母親、親からのプレッシャーに耐えられず自傷行為をしてしまう中学生の女の子が登場。傷を抱えた彼らに児童精神科医の佐山卓と遠野志保がかける言葉とは?近しいからこそ、すれ違ったりこじれたりしてしまう親子の関係性。周囲には気づかれないように明るく振舞いながら、誰にも言えない家庭での悩みを押し殺して毎日を過ごしている人はたくさんいるのではないでしょうか。この本は、時に残酷なこの現代社会を生きる私たちの心にそっと寄り添ってくれる、そんな一冊になっています。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!
2022年07月12日放課後等デイサービス?その存在を知ったのは、太郎が保育園の年長クラスのころ。保育園の先生と面談をしているときだった。「先生、太郎もうすぐ小学校入学じゃないですか…。学童って利用できると思いますか?」Upload By まゆん私は、自閉スペクトラム症のある太郎が学童を利用できるのかが不安だった。利用しないと仕事ができないし、仕事ができなければ収入もなくなるからだ(私は両親とは同居しているわけではなく、両親は定期的に地元の島へ帰省している)。先生からは・今も保育園で生活できていること・太郎の落ち着き具合からみると学童を利用することは可能であると思うこと・通う学童側に聞いてみることが第一ということ・太郎との相性もあるということ・発達障害のある子どもも、学童を利用しているケースは少なくはないということなどのアドバイスをいただいた。それを聞いて、時期がきたら学童側へ直接アポをとろうと思った。そして先生から、冒頭の言葉を聞いた。「放課後等デイサービスを利用してみませんか?」デイサービスと聞くと、私の中のイメージでは高齢の方が利用するものだった。けれど、放課後等デイサービスは、児童福祉法に基づき、障害のある0歳児から高校生までが利用できるところであった。先生がおすすめしてくれた施設は、個別指導が中心で一人ひとりの個性を考えたプログラムが組まれるというような説明を受けた。また、必要に応じてグループ(複数名)での取り組みを臨機応変に実施しているとのことだった。そして、地域にはほかにも放課後等デイサービスが多くあることを知った。「一人ひとりの個性を考えたプログラム」、そこに私はひかれた。Upload By まゆん小学校入学と同時に放課後等デイサービスに通い始めてそうして、太郎は小学校入学とほぼ同時に、放課後等デイサービスを利用開始した。私が思う、放課後等デイサービスの魅力はこんな感じだ(施設によって異なる)。利用について・利用の日数を、月に1回から週に6日と幅広く本人に合わせられる(※)・療育センターなどとは違い親が付き添わなくてもよい・送迎つき(学校側と連携して学校の終わる時間を把握して迎えにきてくださる)・利用限度額があり、金銭的にも利用しやすいサポートについて・発達障害の専門職の方が多い・スタッフ間でのミーティングが行われており太郎の性格や特性、方針を共通理解してくださっている・スタッフ間での話し合いの結果を定期的に保護者(私)へ伝えてくださる・今後社会へ出るであろうビジョンなど、先のことまでも一緒に保護者の身となり考えてくださる・太郎の考えを1番に尊重し柔軟に対応してくださる (ワガママを全て受け入れるとはまた違う)・私の知らない太郎を教えてくださる(※)お住まいの地域によって支給日数などは異なります。詳しくはお住まいの地域の役所にてご確認ください。放課後等デイサービスは、利用を希望してもすぐには通所できない場合もあります。また、2つの事業所を併用してる方もいます。先生からのアドバイスにもありましたが、「相性」というものが大切になってきます。人対人なので、どうしても。事業所によってさまざまなカラーもあるので、どの施設がわが子や保護者に合っているか…という判断も必要になります。太郎は今、「放課後等デイサービスに行きたい!」と、気持ちを言葉で表します。放課後等デイサービスを必要としていますし、私もスタッフの方々を信頼してます。Upload By まゆん小学校入学当初は、学童と放課後等デイサービスを併用していましたが、5年生からは放課後等デイサービスだけにしました。とても良い放課後等デイサービスにスタッフの方に出会えて良かった…そう思います。今回のコラムは、放課後等デイサービスを利用している実体験が何かの参考になればと思い、いつもと少し違うコラムとしてまとめました。執筆/まゆん(監修:三木先生より)親子とも信頼できる放課後等デイサービスに出合えたことは良かったですね。最近は子ども向けの放デイもかなり充実してきました。その子に必要なサポートを受けられるという点でも、ぜひみなさんも利用を検討してみてはいかがでしょうか。
2022年07月12日療育って何?みんなどんな療育をしてきたの?療育とは障害のある子どもの発達を促し、自立して生活できるように援助する取り組みです。療育という言葉はもともと、東京大学名誉教授の高木憲次氏(1888-1963)が提唱した概念です。肢体不自由児の社会的な自立を目標に、医療と教育を並行してすすめることを指しました。療育という言葉や概念は時代の変遷とともに意味合いを変えており、現在定まった明確な定義は示されていません。また必ずしも医療行為を含むものではない場合もあります。定義や実践内容の移り変わりはあるものの、概ねの理解としては、療育とは障害のある子どもの発達を促し、自立して生活できるように援助する取り組みを指すと考えると分かりやすいでしょう。1歳半健診や3歳児健診で、また周りの子どもたちと比べて…わが子の発達の遅れに気づいて専門機関に相談し言われた「療育を受けてみませんか?」の言葉。でも実際に療育ってどんなことをやるの?そんな療育についてのエピソードを発達ナビ連載ライターさんたちに描いていただきました!療育の種類や療育先選び、早期療育問題や家庭内でできることなど…気になるコラムはぜひリンクをクリックして読んでみてください。「療育に通って」と言われてから9年。当時の私が感じたことや、知らず知らずに行っていたこととは。丸山さとこさんが、療育を初めて知ったのは3歳児健診のときでした。本を読み療育園に通うことで療育について少しずつ知っていったさとこさんは『あれ?ごく当たり前のことが書いてあるな…?』と首をかしげてしまいます。2歳で始めた療育、全力拒否!「療育に来る意味あるのかな…」と疑問が出てきて…3歳ごろに自閉スペクトラム症の診断が出たまるさんの息子・リュウくん。療育には2歳9ヶ月のときに通いだしましたが、教室から出たい、座っていられない、早くお弁当を食べたいで泣いたり逃げたり…一筋縄ではいかなくて…。理科と社会のプリントをやりたがらない息子のやる気を引き出したアイデアとは?ADHDとLDのあるかなしろにゃんこ。さんの息子リュウ太くん。”気がのらないことは意地でもやりたくない”というところがあり、小3になると「理科」「社会」の教科には興味ナシ!そんなリュウ太くんにかなしろさんが作ったあるものとは…?「療育」とは?3タイプの発達支援施設があるの?1歳半健診で指摘を受けて、長男けんとくん発達の遅れを知ったゆきみさん。市の親子教室で初めて聞いた「療育」という言葉に「これだ!」と衝撃を受け…。タイプ別発達支援施設の紹介も!「子どものため」だけでは続かない?「療育を受けさせたい」と考えている親御さんに伝えたいこと。知的障害を伴う自閉スペクトラム症があるべっこうあめアマミさんの長男くんは、2歳から療育に通いはじめました。引越しなどもあり、息子と3つの地域で6ヶ所の児童発達支援(療育)に通ってきたべっこうあめアマミさんの感じた療育先選びのポイントとは?療育は一筋の希望?ダウン症の「早期療育問題」って?ダウン症のある小学1年生のきいちゃんを育てている星きのこさん。出産後すぐにダウン症の告知と同時に医師から言われた「子どもに療育をしてください」のアドバイス。その言葉を聞いた星さんは…。次男のふーくん、初めての発達検査!ASDの特性がある長男ミミくん。次男のふーくんは定型発達だと思っていたけれど、通っている保育園からの勧めもあって、発達検査を受けることにしました。発達検査の結果を聞いてtaekoさんの感じたこととは。そのほか人気コラムはこちらから!
2022年07月11日自分の気持ちを言葉にするのが苦手な娘、お友達はできる?わが家の娘は現在21歳。12歳のころに自閉スペクトラム症の診断を受けています。まだ診断前の幼稚園のころから気持ちを言葉に出すことがとても苦手だったので、幼稚園でお友達ができるかどうか私はとても心配をしていました。そんな娘でしたが入園してすぐに1人の女の子(Aちゃん)と仲良くなりました。2人でごっこ遊びなどをする様子を私とAちゃんママは微笑ましく見ていました。娘にはお友達、私にはママ友ができ、そのうちほかのママ友たちともお迎え後にいろいろな公園へ遊びに行くようになりました。Upload By 発達ナビ編集部当時、娘は感情のコントロールが難しく、私の悩みの種でした。Aちゃんママにそのことを相談すると、柔道教室をすすめられました。そこはAちゃんママの旦那さんが教えていて、Aちゃんも通っている柔道教室。知り合いが教えている安心感と、「武道の精神を教えてもらえたら落ち着いてくるかも?」という思いもあり早速柔道教室に入会をしました。このようにAちゃんママは私にとってさまざまな相談に乗ってもらえるありがたい存在でした。これで娘も私も安心して園生活を送ることができる、そう思っていたのですが、そんな状況も長くは続かず…。娘がお友達をかんでしまい…!娘と違い、Aちゃんはとても口が達者なお子さんでした。会話の中での「違うよ」「そうだよ」のやり取りの中で、言葉をうまく伝えられない娘は結局口では勝てなくなり、なんとAちゃんの腕をかんでしまったのです!Upload By 発達ナビ編集部そのことを幼稚園の先生から聞いた私はただただ驚きました。そして、それがきっかけになり、娘はAちゃんと遊ぶたびにやはり口喧嘩に勝てなくなると毎日のようにAちゃんをかむように…。その当時は診断も出ておらず、私もそれが発達障害による特性などとは思わなかったので、幼稚園側も問題行動として、娘に対してかなり強い口調で、毎回かんでしまうことについて注意をしていたようでした。そして私は…Aちゃんママに毎日のように謝って下さいと謝罪を要求されるようになりました。ただひたすら毎日「ごめんね」と謝るしかなかったですし、幼稚園の先生にも「ご迷惑おかけしてすみません」と毎日謝っていました。Upload By 発達ナビ編集部あまりにも頻繁にかむので、わが子ながら正直イライラ…特に理由も聞かずに「どうしてかむの?」「なんで?」と責めてしまっていたと思います。今思えば、娘にはかなり酷い対応をしていたように思います…。通わせていた柔道教室でもトラブルがさらには通わせていた柔道教室でも、Aちゃんとトラブルになってはかんでしまうということがありました。かんでしまった事実はもちろんこちらに非があるのですが、そのことでAちゃんパパから私と娘はかなり怒鳴られてしまい、このようなことが続くくらいなら…と柔道教室は退会しました。そんなことが続き、Aちゃんママからは明らかに距離を置かれ、ほかの仲良かったママ友達も急に態度がよそよそしく変わっていきました。Aちゃんママが私のいないところで私や娘のことを悪く言っているんだな、ということも雰囲気的に分かり、私はAちゃんママやほかのママ友たちと距離を置くようになりました。居場所がない…四面楚歌の日々以前はお迎え後にはお友達みんなで公園に行っていましたが、娘を連れてすぐ帰宅することが増えていきました。「ごめんね。私がもっとうまく対応できていたらお友達とも遊べるのにね…」と考えてしまい全てが悪循環、誰に相談したらいいの?私たちにはどこにも居場所がないの?と当時は本当に四面楚歌のようでした。Upload By 発達ナビ編集部結局この幼稚園は1年で退園することにしました。幼稚園最後の日、Aちゃんママは私が見ているところでわざと私以外の仲良くしてきたママ友にプレゼントを渡し、私に見せつけているようでした。転園後、別のママ友からAちゃんママが私と娘の悪口を、かなり誇張して周りに話していたと聞き「やっぱりな…」という気持ちになりました。怒りももちろんありましたが、なによりも、とても悲しかった。ですが、私も逆の立場だったら…毎回毎回わが子に手を出すお友達がいたら…と考えると同じことをしてしまったかもしれません。そう考えるととても怖いです。その後、転園先では…当時を振りかえり娘はこだわりが強く、前の園にも愛着があった上、転園という環境変化にうまく適応できない中、写真を見ては落ち込むということが頻繁にありました。新しい園は9人しかいない小さいクラスでしたが、そのほとんどが上に兄姉がいて、すでに仲良しグループもできていたので、新しい環境に慣れるまでまた大変でした(行き渋り、駐車場に着いても降りない、園から脱走するなど…)。ですが、転園先で1年半担任をして頂いた先生がとても熱心な先生で、娘の特性としっかり向き合って下さり、娘も安心して過ごすことができたのが救いでした。当時を振りかえると、疑惑がありながらも「わが子は大丈夫。少し難しい性格なだけ…」と悩みつつも逃げてきていたように思います。今思えば、もっと早期に病院の受診などできていたら、もう少し違ったのかも?感じることも多くあります。誰にも相談できず一人で苦しんでいる方がいるなら、どんな形でもいいのでまずは誰かに相談をし、少しでもその苦しみを減らせるように一歩を踏み出してほしいと思います。エピソード参考/るみちゃんイラスト/taeko(監修:三木先生より)母子ともにご苦労されたようですが、新しい環境に慣れることができたようで、良かったです。お友達、保健所、医療など、どんなジャンルでも良いので相談することができると、楽になるかもしれませんね。あなたのエピソードもコラムになるかも?体験談募集中!保護者の方が日々子育てをする中で「こんなトラブルがあった」「こんなハプニングがあった」など悩みはつきないと思います。そんな発達ナビユーザーのみなさんの「困った」エピソードを募集しています。テーマは「反抗期・思春期」「自傷」「学習」「不登校」「ゲーム」「不器用」「ママ友・保護者」「ご近所トラブル」などに加え、今回より「パートナーや両親(義両親)、親族間トラブル」「冠婚葬祭」のお悩みも追加募集!パートナーなどとの意見の相違、冠婚葬祭でのルールが分からない、反抗期による親との言い争い、癇癪を起こして自分の頭を叩く、地団太を踏むなどの自傷行為…読み書きや計算の困りはもちろん、授業を落ち着いて受けられないなどの学習の悩み…行き渋りや不登校などの悩み…いろいろなお悩みエピソード、お待ちしております。お寄せいただいたエピソードの中から数作品、発達ナビの連載ライターさんにコラムとしてコミックマンガエッセイ化していただき、発達ナビで公開いたします!あるあるのエピソードからヒヤリとしたエピソード、SNSなどではなかなか言えないような家族やママ友とのトラブルまで。いろいろな「困った」エピソードをぜひ教えてください。
2022年07月10日Q:「特別支援学校」「特別支援学級」に通うわが子。地域とどのように交流していったらよいでしょうか。A:「豊かな連携」づくりの一環として「居住地校交流」という方法もあります。Upload By 発達障害のキホン居住地校交流とは「同じ地域の学校・学級の仲間」との交流です。一般的に居住地域との結びつきが弱いとされている特別支援学校。学校内では問題なくても、居住地に帰れば独りぼっちという状況は容易に解消されません。これに対して「同じ地域の学校・学級の仲間」であると位置づけた「居住地校交流」は特別支援学校とおのおのの居住他校との日常的な連携を生み出すものとなっています。例えば、鳥取県でこの方式を最初に実現したある子どもの取り組みとして(『改訂新版障がいのある子の就学・進学ガイドブック』pp.91-93の「クミちゃん」参照)・特別支援学校に通う児童との交流のために、児童が通っていた保育所、同じ町内の障害児の保護者たち、障害児の親の会などの応援により特別支援学校、地域の小学校両方の入学式に出席することができた・普段は特別支援学校に通っているが、地域の小学校にも教室にその生徒の机が用意され、毎日出席の確認もとっている(特別支援学校に行っている場合はクラスメイトが「特別支援学校です」と返事をする)・月1~2回の交流学習などの実績があります。このような取り組みにより、小学部時代だけでなく中学部・高等部時代を経ても地域とのつながりは保たれていきます。そして、卒業後の地域での生活づくりや福祉・就労サービスの利用にも活きていきます。※「居住地校交流」を含めて「障害のある児童及び生徒と障害のない児童及び生徒との交流及び共同学習を積極的に進めること」は2004年の障害者基本法の一部改正でも定められています(『改訂新版障がいのある子の就学・進学ガイドブック』p.102の「障害者基本法」参照)。
2022年07月09日きっかけは保育園の先生からの発達に関する指摘しのくんは2歳4ヶ月のとき、保育園の先生から発達に関する指摘をされました(しゃべらない、絵本に興味がない、集中力がないなど)。2歳まで喃語しか話さず、2歳を過ぎても言葉が増えないしのくんを私も心配していた矢先の出来事だったので、これを機に、一度専門の人に診てもらおうと思いました。そして、まず私がとった行動は、市役所に電話することでした。選択を迫られるどうしたらいいのかさっぱり分からなかった私は、まず市役所の子育て支援課(※)に電話しました。※子育て支援課…子育てに関する手続きや相談の窓口。地域によって名称や業務範囲などが異なります。Upload By keikoすると、市役所の方から「『子育て相談センター』か『発達相談センター』のどちらの紹介がいいですか?」と聞かれました。どちらも発達に関する相談と発達検査をしてくれるとのこと。違いは臨床心理士が発達検査をしてくれるのか、ドクターが発達検査をしてくれるかということでした。どちらがいいか選択を迫られましたが、私は障害があるという診断がつくのが怖くて、発達検査のみの「子育て相談センター」を選びました。※子育て相談センターや発達相談センターなどの名称や、発達検査を受けられるかどうかは地域によって異なります。ネットで調べまくる日々その日をきっかけに私は検索魔になり、「言葉」「遅延」「遅い」などをインターネットでひたすら調べました。Upload By keiko療育って何?、言葉の教室って何?、しゃべれないとどうなるの??と、不安が私を襲います…。しのくんがどういう状態か、知りたいけど知りたくない。検索したサイトに、“発達障害があるかどうかは、3歳まで分からない”などと書いてあるのをみて、ますます(診断名はまだつけたくない…)と思った私。発達の遅れを相談するために小児科には行きたくないというさらに気持ちがふくらみました。(今になってみれば“発達障害があるかどうかは、3歳まで分からない”とは、必ずしも正しい情報ではない分かるのですが、このとき不安を感じていた私は信じてしまいました。あとから障害の種類によって診断される年齢が違うことや、3歳以前の早期診断も可能だということを知りました)わが子の発達の遅れを目の当たりにし、気持ちに変化がそんな私の小児科には行きたくないという気持ちが変わった理由は、二つ。「子育て相談センター」で発達検査を受けて、言葉が一歳遅れていると言われたことと、保育園のクラスメートと比べても明らかに発達に遅れがあるしのくんをみて、このままではいけないと強く思ったことです。Upload By keikoこの二つから、私はしのくんを療育に行かせる決心をしました。調べてみると、私たちの住む地域では、療育にしろ、言葉の教室にしろ、通うためにはドクターの診察や意見書が必要不可欠でした。※地域や施設によって医師の診断が必要かどうか異なります。詳しくはお近くの役所や施設に直接お問合せください。もうこのころには、診断名がつくのが怖いという気持ちは薄れ、「何処がしのくんにとって一番いい療育先なのか?」という風に考えるようになっていました。そして、気がつけば小児科を受診していました。現在(4歳3ヶ月)あれから発達の遅れを何人かの先生に診てもらいましたが、しのくんに診断名はついておりません。定期的に先生に診てもらってますので、その成長過程の中でドクターが必要だと判断すれば診断名がつくと言われています。なお、診断名はなくとも、ドクターの意見書をもとにしのくんにとって必要な療育を受けることができています。あれだけ先生に診てもらうのを怖がっていた私ですが、この先、診断名がつくのか?つかないのか?なんてことはもう気にしていません。診断がついてもつかなくても、しのくんはしのくん。日々のやることが変わるわけではないので、このまま、しのくんに寄り添って、自分にできることをしていこうと思います。執筆/keiko(監修:井上先生より)幼児期は発達の変化も激しい時期です。いくつかの領域で発達の遅れや発達障害の特性が見られたとしても、それが顕著でなければ経過観察として診断が出ないこともあります。気づきから受診までの期間、親御さんは不安と葛藤の中で悩まれると思いますが、keikoさんのようにいきなり医療機関でなく、まず地域のセンターなどで相談されるとよいと思います。診断がなくても、アセスメントに基づいて療育が必要であるという医師の判断があれば、受給証によって療育による支援が得られます。一人で悩まないで、ぜひどこかの相談につながってもらえればと思います。
2022年07月07日思春期・反抗期は、成長のプロセス。広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)のある娘は、現在小学6年生。思春期・反抗期の真っただ中です。発達外来の受診で、発達障害児の思春期・反抗期についてや、娘の状態に合わせた療育方法を先生からアドバイスしてもらい、少しずつよくなってきました。しかし、そもそも思春期・反抗期は、正常な発達。娘の自立力を伸ばすことが目的であり、反抗的な態度をゼロにしようとは思っていません。日常生活では、反抗は引き続きあるのが現状です。Upload By SAKURA自分の発達に関して、興味津々。わが家では娘に「発達障害」の告知をしています。そのことも関係しているのか、娘は自分の発達状態にとても興味津々です。自分は何歳で歩いたか、何歳のときにしゃべったか、オムツが外れたのはいつか、小さいときはどんな子だったか…。決して後ろめたいという聞き方ではなく、「私のことを知りたい!」「教えて!」と楽しそうに、何度も聞いてきます。Upload By SAKURA正しい知識を教える。そんな娘には、思春期・反抗期というものを発達のちゃんとした知識として、教えた方がいいと思った私たちは、思春期・反抗期についてよく説明しています。Upload By SAKURA元々、理論的な説明が大好きな娘。自分のイライラや、親に反抗してしまう言動が、発育として説明がつく状態が面白いようです。私ともめたときも…Upload By SAKURA自らの態度の理由を「思春期・反抗期」と言う娘。それを言うことで、娘の反抗が急に可愛く見え、私は笑いをこらえるのに必死になってしまいます。自分の経験も話して聞かせる。元々、あまり他人に興味を示さない娘ですが、思春期・反抗期に関しては自分だけではなく、ほかの人がどうだったかを知りたいようで…Upload By SAKURAUpload By SAKURAこんな会話をしていると、まだまだ娘は、反抗期じゃないような気さえしてきます。話して、向き合って、乗り越える!私たちの場合、思春期・反抗期というものを会話なくただ過ぎるのを待つより、「あなたは今、思春期・反抗期に入っていますね」と、状態を説明してからの方がお互いどこか冷静になれます。この方法が全員に通用するとは思いませんが(たぶん私の場合、そういう言い方されると余計イライラしていたかも…)、思春期・反抗期についてあえて話すというのも、乗り越えるための一つの方法かもしれません。執筆/SAKURA(監修:初川先生より)思春期・反抗期について、説明されたのですね!すてきなエピソードのシェアをありがとうございます。思春期・反抗期は、体感としては、「なぜだかはっきりしないけれど、なんだかイライラする」「今まではイライラしなかった『宿題やったの?』の声掛けになんだか無性に腹が立つ」、そんなイライラ先行かと思いきや、ときには、親に甘えたくなったり、友達と比較して悲しい気持ちになったりと、今までとはなんだか違う…といった感覚にとらわれることが多いです。そうした内発的な変化について、学校の保健で習ったり、言葉として「思春期」「反抗期」と知っていたりはあるにしても、そこと結びつけて「あー、これが噂の思春期か…」と認識できる子は少ないと思います。多くの場合、「なんでそんなに反抗的なのよ!」と親に言われるなどして、気づくことが多いです。自閉スペクトラム症のある方のように、自分の体感をモニタリングしづらかったり、未知のことに出合うことの衝撃を大きく受けたりする場合には、早めに説明するということが安心安全につながることがあります。SAKURAさんのされたように、それは正常な発達なのだということを伝えることがとても大切です。これまでとの違いに違和感やしっくりこない感じ、終わりの見えない感じ、そして、大人になるということへの不安がないまぜになって感じられる場合もありますが、それは正常な発達で、いずれ落ち着くということ、その見通しを伝えることが大切です。SAKURAさんの娘さんの場合には、そのあたり理解され、自分のことを「思春期・反抗期」とカテゴライズして語ることができるようになりました。自分の状態が何であるか知っていること、自分の状態の手綱を握れていること。とても素晴らしいですし、大人への第一歩だなと感じます。
2022年07月06日子どもの滑舌が悪い原因は?声を出すことやその声の出し方自体のことを「発声」と呼び、ことばを発音することを「構音」と呼びます。例えば、一つの話しことばについて、喉頭音源(こえ)の性質を指すものを「発声」、言語音(ことば)としての性質を指すものが「構音」となります。この構音がうまくできないことを、私たちは一般的に「滑舌が悪い」と言います。たとえば、「さかな」を「しゃかな」、「おかあさん」を「おかあしゃん」、「りんご」を「ご」とだけ言うことなどがあります。こうした滑舌がうまくいかないという状態は、どうして起こるのでしょうか。物事の名前を覚えて、それを正確に発音することによって、自分が思っている物事を相手に伝え、相手が伝えようとしている物事を理解する、これが「しゃべる」ということです。そこには、物事には名前があると理解して名前の知識を蓄えるインプットと、相手に伝わるような構音ができることによって声にするアウトプットがあります。この両方がうまくいったときに「上手にしゃべる」ことができた、となります。このアウトプットがスムーズにできるという意味で構音が正しくできていることが「滑舌が良い」という状態です。では、私たちがふだん何気なくしている構音は、どのようにできるようになったのでしょうか。赤ちゃんが最初に出す声は、泣き声で、ほぼ母音だけで構成されています。母音とは、のどから出るそのままの音で、舌や歯・あごなど口腔内の器官の動きに妨げられずに出る音です。赤ちゃんは、成長と共に周りの音を聞き分けられるようになり、自分へ話しかけてくれる人の声の様子を聞きながらまねをして、だんだんに発音できる音を増やします。日本語の五十音の子音、カ・サ・タ・ナ・ハ・マ・ヤ・ラ・ワの各行の一音一音は、それぞれ、唇を閉じたり開いたり、舌の奥や舌先上あごの奥の柔らかい部分(軟口蓋)をコントロールしたり、といった複雑な動きによって構音が可能となります。大人でも、初めて外国語を習ったときに、日本語にはない「th」や「f」のような音に関しては、たくさん練習をした記憶があるのではないでしょうか。それと同じことを、ことばを話し始めた子どもは日々トレーニングしています。一生懸命発音して、通じたという経験や、通じなくて困ったり、大人に直されたりという経験を経て、発音する力は成長し、滑舌(構音)はよくなっていくといわれています。構音には、口の中の動きが大きく関係し、食べるときの口の中の動きの成長と連動しています。生まれてすぐの赤ちゃんは、反射的に口の中であごと舌の動きを組み合わせて、乳首を吸うことにより栄養源である母乳やミルクを摂取しています。大脳の発達と共に、生後5~6カ月ごろから離乳が始まります。離乳とは文字通り乳離れのことです。ミルクを飲んでいる時の乳児型嚥下から固形の食べ物を飲み込む(成熟型嚥下・せいじゅくがたえんげ)動きが獲得され、その後、舌による押しつぶし、さらに歯茎でのすりつぶしができるようになり、奥歯が生えるとかんで(咀嚼・そしゃく)食べる動きの練習が始まります。この過程で、舌の位置や動き方が変わっていきます。最初は軟らかいペースト状のものから始めますが、硬いものを咀嚼するようになると、顎の動き方も上下だけでなく左右も含めて複雑な動きをするようになります。この口の中の動きが複雑にできるようになることが、構音と連動します。たとえば、横から見た時の舌先が下の歯と同じ位置にある状態ではタ行の音を出すことができません。また、口が閉じない状態では、マ行・パ行などの音を出すことができません。鼻呼吸ができるようにならないと、ナ行の音は出ません。離乳が始まり固形物を食べるようになると、口を閉じて食べ物を飲みこむ(嚥下する)という動きをするようになります。このときに、鼻呼吸がうまくできていることが大事だと言われています。唇を閉じていられるということは、鼻呼吸ができている証拠でもあります。赤ちゃんはいろいろな音が口から出る、ということを実験していきます。唇を閉じたまま息を吐き、「ぶぶぶ~」と唇を震わせると音が出る、という発見をするでしょう。この「ぶぶぶ」という音は、やがて唇のコントロールがうまくできるようになると、パ行、バ行、マ行などのさまざまな音へと進化します。正しい発音のお手本を何回繰り返し聞かせてみても、なかなかうまくできない、何を言いたいのかはわかるけれども、特定の音がうまく出せなかったり、違う音を発音してしまう子どももいます。はじめは個性だと思っていた話し方も、4~5歳ごろになると、構音がうまくできないのかもしれないと保護者が気づく、ということがあります。特に小学校に上がるまえ、幼稚園・保育園の年長クラスのころや、「就学相談」が開始されるころになると、この「滑舌」が気になって相談されるケースが増えます。滑舌が悪くなってしまう原因は?それでは、なぜ滑舌が悪くなってしまうのでしょうか。いくつかのケースが考えられます。構音できるようになるために大事なことは、まねをすること。そのためには、音が聞こえていることが大切です。もし、音がよく聞こえていなければ、まねをすることもできないでしょう。音が聞こえない、聴力に問題があるケースには、耳そのものの器官としての働きがよくないケースの「伝音性(でんおんせい)難聴」と、耳は聞こえているけれども、内耳の奥にある音を脳に伝える「神経系」の働きがよくないケースの「感音性(かんおんせい)難聴」があります。伝音性難聴の場合には、中耳炎などの病気が原因となる場合や、音を感知する部分の奇形などの場合があります。感音性難聴の場合には、特定の音域がうまく感受できない、複数の音の聞き分けが難しいなどのケースもあります。いずれにしても、音がよく聞こえなければ、声をまねすることもうまくできないことが多いと言われています。構音は、唇や舌、あごといったパーツの複雑な動きによって形成されます。舌の位置が下がったまま(低位舌)だと、正しい発音ができないです。唇を閉じることができず、舌が低緊張で常に舌で歯を押している場合は出っ歯(前突)、上下の歯がかみ合わない(開咬)、すきっ歯(歯間離開、空隙歯列)などといった歯並びが悪くなる原因にもなります。舌の大きさ、歯列の形(歯並び)、上あごやのどの形などが、構音には大きく影響します。体のパーツの形や大きさに関しては、成長に伴って解決されることもありますが、生まれつきの特性による場合もあります。その中には、舌小帯(ぜっしょうたい)が極端に短いというケースもあります。舌の裏側と口の底と下あごの歯ぐきの内側をつないでいるヒダが舌小帯で、この部分が短いと、口を開けたときに舌先を上あごに触れさせることができず、サ行・タ行・ラ行が正しく構音できない場合があります。また、前歯がないと、サ行の発音がしにくくなります。歯と歯茎も構音に欠かせないところです。発音するためには口の中のさまざまな筋肉をコントロールしますが、この筋肉をコントロールする力、つまり筋力そのものが弱いとうまく構音できないことがあります。先天性の疾患などにより全身の筋力が弱いことが、滑舌が悪くなる原因となることもあります。滑舌の問題以前に、ことばを発しようとしない場合や、ことばの意味をよく理解できていない場合などは、知的な発達の遅れや偏りが原因の場合もあります。難聴もなく、口の中の機能や形態の問題がなくても、滑舌がよくないということもあります。耳の聞こえや、口の中の形態や機能、筋力や知的な発達の遅れなどは、子ども自身にある先天的な疾患などが原因ということは少なくありません。ですが、生まれつきだからとそのままにしておくのではなく、療育やトレーニングによって、ある程度改善することが可能だといわれています。滑舌が気になったときには、どこに相談したらいい?滑舌は、訓練することである程度の改善ができます。その指導をしてくれるのが言語聴覚士(speech therapist:ST)です。言語聴覚士は、耳の聞こえ、発声、呼吸、認知、咀嚼・嚥下にかかわる機能に関しての専門家です。言語聴覚士とつながるためには、子どものかかりつけの小児科、耳鼻咽喉科などから紹介してもらうことができます。また、ほかの病気でかかっている場合であれば、脳神経外科、神経内科、形成外科、リハビリテーション科、歯科からの紹介ということもあります。「言語外来」「ことばの外来」を設置している病院もあります。滑舌をよくするために、家庭でできることは?滑舌をよくすることは、言語聴覚士の指導が大切ですが、それだけでよくなるということでもありません。家庭での子どもとの「関わり」、「やりとり」が話せるようになる基礎をつくります。子どもが何かに興味を示しているときに、興味の対象について、言葉掛けをしてみましょう。たとえば、りんごを見ていたら、「これはりんごだよ」と教えて「おいしそうなりんごだね」「このりんごは甘いかな?」などと、さまざまなことばで声をかけます。このとき、子どもがまねをして「ご」とだけでも言えたなら、「そうだね、りんごだね」と答えて「やりとり」を続けましょう。ここで「『ご』じゃなくて、『りんご』だよ」などと否定したり、正しく言い直させたりしなくて大丈夫です。単語の一部しか発音できない場合、何がその原因となっているのか、専門家と相談してみることも大切です。構音に苦手があり、歯並びや上あごの形状や筋力の問題、聴力の問題などがある場合は、専門家による診断・治療が必要であったり、指導によってサポートしていくことがあります。そのほかにも、吃音や場面緘黙症など、心の発達の面からのアプローチが必要な場合もあります。発音の練習や構音に関わる筋肉のトレーニングについて筋力が足りなくて滑舌がうまくいかない場合には、ある程度トレーニングすることが必要です。たとえば、口の周りの筋(口輪筋)を強化する口の締まりをよくする運動や、舌の位置を確認しながら動かし方を学習するトレーニングなどがあります。ただ、こうしたトレーニングや口の中の運動を子どもにさせようとしても、なかなかやりたがらない、習慣化することが難しいということもあります。その場合には、「この動き、できるかな?」とクイズやゲームのようにしてみたり、ことば遊びをしてみたり、好きなキャラクターや絵本を使って誘ってみたりなど、遊びの延長でトライしていきましょう。子どもが楽しみながら、遊びの中でトレーニングを積み重ねていくことが重要です。舌先を前歯の後ろの上あごに当てます。これが唇を閉じた時の正しい舌の位置であることを覚えましょう。もし、鼻が詰まっているなど鼻呼吸がうまくできていない場合は、舌先がここにあるのは苦しいはずです。嫌がったりできなかったりしたら、耳鼻科を受診してください。そのほか、舌を押し上げる、左右に動かすなどがしっかりできるように筋力をアップすることが大切ですが、自ら舌(あるいは唇・頬)の筋肉を動かせない、または動きが弱い方に対して、舌(あるいは唇・頬)の動きを身につける「バンゲード法(筋刺激訓練法)」といった訓練があります。舌運動機能の発達に遅れがみられるお子さんでは食べ物を噛む、送り込み、飲み込めむといった摂食嚥下機能に問題がみられることが多いです。摂食嚥下機能向上のためにも、舌の筋力を強化することが大切で、そのための器具などもあります。これらの訓練方法については、病院歯科や大学病院などある摂食嚥下外来などにご相談ください。日常的に口が「ぽかん」と開いているお子さんには、口唇閉鎖力を鍛えるトレーニングがあります。大きめのボタンを用意し、ボタン穴に糸や紐を通します。ボタンの部分を口にくわえさせ、上下の唇を閉じます。ひもを引っ張ったときに、ボタンが口から出ないようにします。また、同様のトレーニングができるような器具もあります。このような方法で、唇と頬の筋肉を鍛えることができます。こうしたトレーニングも、言語聴覚士や歯科での指導を受けることで、その子に合った方法を見つけることができるでしょう。ただ、月に数回の指導だけでは、口の中の状態を鍛えていくのは難しいものです。日々の積み重ねが必要なので、親子共に楽しく続けられる方法を探しましょう。そして、おしゃべりするときは、滑舌ばかりを気にしないで、楽しいコミュニケーションを大切にしてください。伝えたいことがある、聞いてほしいことがある、おしゃべりが楽しいと感じることが、何よりも大切です。まとめ子どもの滑舌が悪い、構音がうまくできていないと感じたときには、小児科や耳鼻科、歯科を通じて、言語聴覚士の指導を受けられるようにしましょう。とはいえ、専門家におまかせではなく、日々の積み重ねが必要です。構音は、心の成長と共に体の機能の成長やトレーニングによって発達していきます。親子で楽しく続けられる工夫をしていきましょう。
2022年07月06日視覚支援との出合い私が初めて視覚支援を学んだのは、発達障害の勉強会でした。目で見て分かるよう、イラストなどを利用して視覚情報を使い子どもに伝えたいことを伝える。今考えてみれば成長途中の子どもは文字の理解や言語のレパートリーが少ないため、視覚情報の方が理解しやすいのは当たり前です。大人だって「百聞は一見に如かず」ということわざがあるくらいなので、情報は視覚で補助すると理解しやすいというのは当然なのですが、当時の私はそういう視点が全くなかったので、なるほど!と感動したことを覚えています。おうちでの視覚支援小さいころ、むっくんはマークが大好きでした。車のエンブレムやお店のロゴ、交通標識などにも興味を示し、記号の本が好きで色んなマークをよく覚えていました。視覚支援を知った私は、むっくんのこの特技を利用すればいいのだと思いいたり、3歳のころから外出の際はお店のロゴを使って行先を伝える工夫をするようになりました。これは診断のない弟にも有効で、子どもたちのどこへ行くのか分からない不安を和らげる効果がありました。また、むっくんはおもちゃなどについている注意書きマークにも興味を示したことから、ルールを伝えるのに使える!と導入したのが「さわっちゃダメマーク」です。家の中の危ない場所にはこの「さわっちゃダメマーク」を貼って理由を伝えておくと。ルールを守りたいタイプのむっくんは触らないように頑張ってくれていました。当時は子どもの行動に困ったな~と感じると、視覚化することで何か伝えられないかな?と考えていたように思います。Upload By ウチノコ成長と共に、家庭内の視覚支援はどんどん増えていき「朝の準備」「カレンダーでの予定表」「おもちゃ箱に写真」なかなか進まないトイトレでは「トイレにトイレマーク」も貼りました(笑)さらに、一日の出来事を思い出すことが苦手だったむっくんに、保育園での「活動メニュー表」を作って会話のきっかけにしたり。お風呂あがりの「体の拭き方」や運動会での「ダンスのふりつけ」など動作を伝えるイラストを描いて貼ったこともあります。また、私の伝えたいことはイラストを描きながら説明すると集中して話をきいてくれることもありました。わが家では診断の有無にかかわらず兄弟ともにこういったツールをたくさん使って暮らしています。Upload By ウチノコUpload By ウチノコ視覚支援に囲まれた子どもたちの今現在8歳のむっくんは文字や聴覚情報でも十分ものごとが伝わるようになりました。それでも複雑なことや、忘れやすいことは視覚情報で消えないように伝えることが鉄則です。最近では将来を見据えて、デジタル端末を使う視覚支援も増やしています。例えばスマートスピーカーの残量が表示されるタイマーは時間管理に便利ですし、忘れやすい予定はタブレットのリマインダーで通知、家族共有カレンダーを使い、自分や家族の予定を確認できるようにもしてあります。また、むっくん自身もタブレットのデジタルふせんやメモ帳を使い、忘れたくないことを自分でメモすることも増えてきました。さらに弟まで忘れないように目印を付けるなど自分から視覚支援を使おうとすることもあり、この子たちは困ったときは工夫で補えることを知っているのだなぁと感心させられています。二人とも小さいころよりも言葉で伝わりやすくなったため、つい視覚的な提示を忘れがちなのですが。何度か声かけが必要なケースは視覚支援を考えた方がいいことを忘れないように私も気を付けています。Upload By ウチノコ方法ではなく本質を伝える最近のむっくんは、自分の伝えたいことを図やイラストを描きながら説明してくれることがあります。これはまさに私がむっくんに対してやってきたことなので「この子は視覚情報と聴覚情報合わせて使う方が自分も伝えやすく、相手にも正しく伝わりやすいということを知っているのだな」と驚かされます。発達障害と診断されたことをきっかけに学んだ視覚支援。私は暮らしやすさをもとめて取り組んだに過ぎないのですが、それらが子どもたちの中に芽を出し育っているのだなぁと感じています。視覚支援の根っこにある「自分にも相手にも伝わりやすい方法を模索する」という考え方は、私の手を離れた後もきっと彼らを支え続けることになるでしょう。工夫しようとする子どもたちを見ていると、試行錯誤してきた過去の自分のことを私はちょっとだけ誇りに思えるのです。執筆/ウチノコ(監修:初川先生より)むっくんとの視覚支援の歴史のシェアをありがとうございます。視覚的な刺激を得意とするお子さんは多いですし、言葉が苦手なお子さんでもイラストや写真などを用いたものや目印やマークを用いて判断しやすくするものなど、とても有効ですね。聴覚的な支援は、その瞬間の注意を引くには良いのですが、その記憶の保持が難しいですね(別のことに気が向いたらすぐに忘れてしまうため、声をかけ続けなければならないことも…)。消えてしまわずに残っているという意味でもとても便利です。不注意なお子さん(大人もですが)にもとても有用です。今日園(や学校)で何があったかを話してもらうきっかけとしての絵や写真もとてもいいですね。話したくないわけではないけれど、呼び水がないと思い出しにくいこともあります。時系列で思い出すのも得意な子と苦手な子といるのではないでしょうか。ちょっとの間、覚えておくべきことを、忘れないように忘れないようにと思いながら過ごすことは、本来がんばりたいことへ注意集中が削がれている面もあります。学習場面における、机上の整理であったり、毎日の支度における物の管理であったり、そこにいちいちエネルギーをかけるのはややもったいないです。思い出す・判断するという行為は、なかなかに負担なので、そのあたりをメモやマークなどを用いて負担をショートカットすることはとても理に適っています。視覚支援のありがたみに気づいてきたお子さんは自らメモを取ったり、写真で残したりと工夫をすることも多いです。保護者の方がされてきたことは、お子さんにも受け継がれてゆく面があります。
2022年07月05日4歳までは気にならなかったゆいは1歳から保育園に通っていました。大人しめではあるけれど、発達面で遅れを感じることはありませんでした。保育園の発表会では大勢の前で歌や踊り、劇のセリフを言ったりすることもできていて、他人と話せないということもなく、ゆいが4歳になるころまで私は特に悩みのない子育てをしていました。5歳ころから気になりはじめるUpload By 吉田いらこ5歳になるころ、実家に帰省していた時に体調が悪くなり、小児科に行くことになりました。初めて行く病院で、初対面の男性のお医者さんがゆいに「今日はどうしたの?」「どこが痛いの?」と尋ねたのですが、ゆいは一言も話すことができませんでした。知らない男性を怖がるというのはままあることかなと思い、代わりに私が症状を説明しました。その先生には「こんなに大きいのに自分で自分のことの説明もできないなんて」と呆れられました。Upload By 吉田いらこまた、小学校の低学年のとき、個人面談で必ず言われたのが「まだ私(先生)とお話ししてくれないんですよ」ということでした。でも、まだ低学年なので恥ずかしがっているのかもしれないですね、ということでその場で話が終わっていました。クラスの友達とは話せていたので、大人相手だと緊張するだけなのかなと軽く考えていました。でも、小学校の中学年になってもなかなか大人と話すことができないままでした。ゆいが会話できるのは、私たち両親と、物心つく前からほぼ毎日接していた祖父母のみ。たまにしか合わない私の両親とはなかなか会話ができませんでした。母親である私がしゃべりすぎ?小学校の中学年になって、やっとゆいがなかなか大人と会話しないのが気になり始めた私。もしかしたら、母親である私がペラペラと話してしまうから、あえてゆいは話さないのかなと考えました。こう思ったのには理由があって、夫と義母のことがあったからです。義母は社交的なタイプで、夫が幼いころは、本人が口を開く前に母である義母がどんどん話してしまい、夫はがほとんど話さなかったそうです。…ということは、無意識に私が先に何でも話してしまっているのでは?だからゆいは大人と話さないのでは?と考えて、病院や習い事など大人と接する場所では意識してしゃべるのをやめてみましたが…。Upload By 吉田いらこ…沈黙が続くだけで特に効果はありませんでした。具体的な診断名を聞いてこのように、年齢が上がるにつれて人見知りが強くなってきたなと感じていました。この子はちょっと度を越した恥ずかしがり屋さんだな…今はこんな感じでも大人になれば何とか改善するのかなと心配しつつも何もしていなかったのですが、小学5年生のときに受診した児童精神科で場面緘黙の診断を受けたことで考えを改めました。具体的な診断名を告げられたことで、今後どうしていけばよいか具体的な道筋が見えたように感じたので、これからはこの子の特性に合ったコミュニケーションの取り方を考えていこうと思います。執筆/吉田いらこ(監修:三木先生より)すごく問題がある訳ではないけど少し気になることって、どこまで見守って良いのか悩みますよね。「なんだか気になるな」だと、具体的な対策を取りにくいですが、診断がついたことで次の取り組みに繋がるのであれば、それも診断の一つの役割ですね。
2022年07月04日友達0人からの、療育のはじまりUpload By taeko4歳になったふーは、2ヶ所の療育に通所しています。ひとつは自治体の療育(個別)に月1回。もうひとつは、長男のミミと同じ民間の放課後等デイサービスの未就学児クラス(個別)に週1回通っています。ふーは少し言葉のキャッチボールが苦手なところもあって、友達0人からの療育スタートです。今日は、そんな療育が始まったときのお話をしたいと思います。医師の質問を受けているときに、ある違和感が…。自治体の療育の初回に、まず精神科医の診察をしてもらうことになりました。それは、5ヶ月後に大きな病院内の小児精神科を予約していて、そこへの紹介状を書いてもらうためでした。少し緊張気味に、初めての環境で、初めての医師に質問を受けるふー。医師:保育園でよく遊ぶのは何くん?何ちゃん?ふー:えっと、誰にしようかな…医師:保育園では何をして遊ぶのが楽しい?ふー:……楽しいことしてるとき…などなど。20分くらいの間に先生から投げかけられる質問に、ふーは頑張って答えていました。でも途中のある質問のときに、医師の質問と答えがかみ合わなくなってしまいました…!Upload By taeko「家で誰と住んでいるか」という質問に対して、「あのね、ボク誰かと有楽町行ったんだよ」と答えていたんです。先生も「そうなんだねー」と受け止めてくれましたが、これは一体どういう意味だろう?診察室に何とも言えない空気が流れました。それでも私もよく頭の中で連想ゲームをしてしまうのでわかったのですが…。質問の「お家」と「誰か」という部分から「祖母」のことを連想して、それとは別で前の質問の「楽しい?」からイメージを膨らませて、電車で行った楽しかった場所を答えていたようです。先生の質問に対してすぐに答えるのではなく、連想してふーが好きなことを言ってしまい、会話が成立しませんでした。身近な人だったら汲み取ることはできますが、初対面の先生は「答えてもらえない」「話を変えられてしまった」と思ってしまったはずです。Upload By taeko自分の伝えたいことを、ちゃんと伝えていくために質問の時間が終わると、ふーは好きなおもちゃを選んで補助していただいた方と遊んで待ってもらい、私は精神科医の先生と話をすることになりました。さっきの噛み合わない会話のこともありドキドキしながらも、まずはズバリ診断名を聞いてみました。でも、ひとまず今は、診断名がつく感じでは無いようでした。ただ、ふーが言葉のキャッチボールが少し苦手なことに変わりはないわけで…。コミュニケーションの中で、同年代の子と初めて話すときなど、相手の言葉を受け止めずに自分の好きなことだけを話しても相手に伝わりません。このままでは、意図を汲み取ってくれる人がいない場面では、伝えたいことが伝わらなくなってしまいます。今は良いかもしれないけれど、特にいつか社会に出たときに、きっと困ってしまうから。療育を続け、保育園とも連携しながら1年後の就学相談に向けて、ふーには今何が必要なのかということを見守っていくことになりました。Upload By taekoそして、療育の開始とともに、私も少し変わろうと思ったんです。今まで保育園でお迎えをするときは、先生に「元気です」と言われるだけでしたが、もっと園でのふーの様子を教えてほしいとお願いすることにしました。これからふーが、自分の力で伝えたいことをちゃんと伝えていくことができるように。そして、ふーのことを理解してくれる、友達が増えていってくれるように。そのために必要な成長を、親である私が見逃さないように。だから、私も先生に積極的に話しかけていくように、決めました。そんな、療育のはじまりのときのお話です。執筆/taeko(監修:井上先生より)コミュニケーションに困難さがある子どもにとって、園で体験した出来事を思い出しながらおうちの方に説明したりお話しすることはとても難しいことだと思います。お母さんがされているように、保育園のお迎えのときに、ふーくんがその日に遊んでいたことや、ふーくんの身の回りに起きた出来事をちょっとでも聞いておくと、ふーくんのおうちでのコミュニケーションがしやすくなるのではないかなと思います。話をしてくれることがまず大事なので、最初はたとえそれが正確な表現や事実でなくても、共感的に聞いてあげたり褒めてあげたりすること、そして少しヒントをあげてお話しできたらさらにほめること、そんなやり取り自体を親御さんが楽しめることが大切ですね。
2022年07月04日5年ぶりに再会した兄が、痩せて小さくなったことが少し切なくて…Upload By スガカズ重度の自閉スペクトラム症と知的障害がある私の兄は、現在40代後半です。昨年、オンラインの面会で久しぶりに兄の顔を見ることができたのですが、以前会ったとき(5年前)よりも痩せて小さくなっていました。私が子どものときは、7歳上の兄をとても大きく感じていたのですが…改めて年月の経過と老化を感じ、なんとも言えず切ない気もちになりました。ですが、面会した日に兄のケース担当の方から現在の生活について、詳しくうかがえたので、私の感情が変化しました。なぜなら「入居する前よりも、兄は健康的な人生を送ることができている」と改めて感じたからです。昔から偏食傾向がある兄。妹としては心配だけど私の母の考えは…?Upload By スガカズというのも、兄は昔から偏食傾向があり、口にする料理の種類は限られていましたし、例えばフライドチキンは衣しか食べないなど、食べ方も独特でした。当時そんな兄の食事事情を「仕方ない」とは感じつつも、(母はこれでよいと思っているのだろうか)(このままで大丈夫なのだろうか)と、妹として少し不安に思っていました。Upload By スガカズしかし現在、私自身が親という立場になったので、偏食のある子どもの食事がどれだけ大変か、痛いほど分かります。偏食のある子を見ていると、「食べない理由は味なのか食感なのか匂いなのか?」「年を重ねるうちに食べない理由が変化しているのでは?」「共に過ごす親に対して多少の甘えがあるのでは?」と、いろいろと考え込んでしまいます。施設での生活が、健康に年を重ねていくことにつながっている。痩せたことは悲しむことではない!Upload By スガカズ現在、兄が入居している障害者支援施設では、障害のある利用者が快適な日常生活を送るためにさまざまな工夫がなされています。そのうちの一つに、利用者の栄養管理があります。利用者は栄養士の管理のもと、個々の状態に合った食事の管理がされています。昔は偏食があった兄。施設で暮らすようになり、施設での食事に変わると、偏食はかなり改善されたようで、食べられるものの幅が変わったと聞いています。もしかすると決まった時間に、施設のみんなで食事をするという生活への変化が影響しているのかもしれません。あのときの偏食は何だったのか?と拍子抜けします。そんな生活の中でも楽しみはたまにあったほうが良いのではと思い、ときどき家族から施設に予め連絡をして、差し入れ(お菓子)を送るのですが、受け取ったときに満面の笑みで、周りに気づかれないように自分の部屋に持って行ったりするのだそうです(大袋よりも小分けのお菓子の方が、健康に影響もなさそうだし、職員から少しずつ本人に渡せるので良いのではと施設の方から助言があるため、そのようにしています)。施設での生活についてケース担当の方から話を聞いているうちに、「施設にお世話になる前よりも食生活が改善し、健康に年を重ねていくことにつながっている。痩せたことは悲しむことではないのだ」と思いました。医療機関との連携や、食事の管理など福祉を受けられているお陰で、兄はここ最近大きな病気もなく、元気に過ごせています。Upload By スガカズほかにも、日常生活や、ときどき行われるイベントについても聞けました。兄は毎日規則正しい生活を送ることができているようです。=====================7時半に起床、はみがき、朝ごはん9時に身支度(作業着に着替える)10時から15時まで共同作業所で仕事15時半に施設へ帰り、お風呂、普段着に着替えて自由時間18時に夕食19時半から20時に集まってティータイム22時に就寝(支援員さんが見回りをしているが、25時には必ず寝ているそうです)=====================施設の方に、日常生活以外で行われるイベントについても聞くことができました。茶話会を開くために利用者みんなでお菓子をつくったり、料理を楽しむ機会もときどきあるそうです。また、月に1回は必ずハイキングに出かけるなど、外の世界とのふれあいも大事にしていると教えてくださいました。親なきあとの現在。「人が人らしく生きていけるありがたみ」を感じて私の父と母は、想定していたよりも早くに亡くなりました。母の持病が悪化してしまい、重度の知的障害のある兄を育てることが難しくなったときーーーー兄のこれからの人生を心配し、障害者支援施設に入所するための準備をしたわけですが、当時はまだ私は学生で、きょうだいとして「私も兄も、この先どんな生活が待っているんだ?」といった漠然とした不安は少なからずありました。そんな時期を乗り越えて、兄が今の障害者支援施設に入所してから18年ほど経ちました。現在、それぞれ別の人生を歩んでいますが、お互いに合った環境で健康に過ごすことができ、久しぶりに会った際にはニコニコ笑って顔を合わせています。母をはじめとする親戚が、ありのままの兄を受け入れて、陰でサポートし続けてきたお陰だと思います。「人が人らしく生きていけるありがたみ」を感じ、自分の残りの人生を、「兄を支えてくれている方たちのお陰だ」と感じ、がんばって生きていこうと思えました。執筆/スガカズ(監修:井上先生より)親と同様きょうだいも同じ家族としての支援ニーズを持っています。きょうだいのニーズは、障害種や程度によっても異なりますが、年齢によっても変化していきます。きょうだいの立場からは、親なきあとに親と全く同じことをしてあげられるわけではないので、さまざまな悩みや葛藤も生じると思います。介護をされておられる方もいらっしゃいますが、互いに年齢を重ねる中で利用可能な支援サービスを活用し、無理のない距離感や生活のスタイルを考えていくことも大切かと思います。
2022年07月03日