【イベント】大きな紙に思いっきりペイント!横須賀美術館 障害児者向けワークショップ「みんなのアトリエ」(神奈川県)Upload By 発達ナビニュース横須賀美術館では、20歳以下の障害児者を対象に、障害児者向けワークショップ「みんなのアトリエ」を毎月第3土曜日に開催しています。このワークショップでは、障害の種類や程度にかかわらず、みんなでアートを体験することができます。毎月行われているワークショップですが、19年5月の活動内容は「みんなで大きな絵を描こう」。アクリル絵の具をつかって、10mの長さのロール紙に自由に絵を描きます。筆を使っても、身体に絵の具がついても平気なお子さまは手足を使ってもOK!自宅ではなかなか体験できない大胆な創作活動を思いっきり楽しむことができます。活動は事前申し込み制で、応募多数の場合は抽選となりますが、6月以降も毎月内容を変えながら開催予定。今後の活動内容もホームページにて確認できるので、ぜひチェックしてみてください。なお、この活動にはきょうだいや保護者も一緒に参加することができます。また当日は企画展「縮小/拡大する美術センス・オブ・スケール展」の開催期間となっているので、家族で訪れて、アートに触れる一日を楽しむことができますね。【日程】2019年5月18日(土)14:00~15:00(1時間程度)【内容】みんなで大きな絵を描こう【場所】横須賀美術館ワークショップ(神奈川県横須賀市鴨居4-1)【定員】10組程度【参加費】無料【参加方法】ハガキもしくはメールによる事前申込制。締切は活動の10日前。申し込み方法などの詳細はホームページをご確認ください。【セミナー】今年も開催!2019年夏のセミナー「自閉症スペクトラムの理解と支援」(東京都)Upload By 発達ナビニュース自閉症スペクトラムのある人たちが日々を安心して過ごせるように、そして自己肯定感をもって有意義な人生を送れるように。よこはま発達クリニックとよこはま発達相談室が毎年行っている夏のセミナー「自閉症スペクトラムの理解と支援」が今年も開催されます。セミナーは3日間にわたり開催されます。内容はそれぞれ、2日(金)『改めて基本特性から考える:理解と評価』、3日(土)『支援の原則と実際:構造化とコミュニケーション支援』、4日(日)『問題行動とそれへの対応』と、自閉症スペクトラムの基本特性を踏まえた支援や関わり方のアイディアから、問題行動への対応方法までを総合的に学べる内容になっています。講義は児童精神科医や公認心理師、言語聴覚士等が講師として行います。専門家から話が聞ける貴重な3日間。保護者、現在療育や支援に関わっている方はもちろん、これから発達障害の領域で仕事をしたいと思っている方も参加できます。【日程】2019年8月2日(金),3日(土),4日(日)10:00-16:45【会場】AP東京八重洲通り東京都中央区京橋1-10-7 KPP八重洲ビル【対象】保護者、実際に療育・支援に携わっている方、発達障害の領域で仕事をしたいと思っている学生などどなたでも【費用】各日10,000円(税込)※賛助会員の方は合計金額から2000円割引【定員】120名(先着順)【お問い合わせ先】一般社団法人発達精神医学・心理学研究会セミナールームseminar@ypdc.net【イベント】障害のあるお子さんとそのご家族をご招待!井の頭自然文化園「ドリームナイト・アット・ザ・ズー」(東京都)Upload By 発達ナビニュース2019年6月8日(土)、東京の井の頭自然文化園で閉園後の時間に「ドリームナイト・アット・ザ・ズー」が開催されます!ドリームナイト・アット・ザ・ズーとは、障害のあるお子さんとそのご家族を閉園後の動物園に招待し、 楽しいひとときを過ごしてもらう趣旨で開催されている国際的な取り組みで、1996年にオランダのロッテルダム動物園から始まり、現在では世界中で実施されています。井の頭自然文化園では当日、特別ガイド「飼育係にきいてみよう」、ヒツジと一緒に記念撮影、いろいろな動物たちに大接近、フェネックの着ぐるみと記念撮影など、さまざまな企画を実施します。視覚障害者向けプログラムや、聴覚障害者への手話対応なども行われるので、いつも以上に動物園を楽しむことができますね。【日時】2019年6月8日(土) 17:30~19:30【場所】井の頭自然文化園動物園(本園)【対象】「身体障害者手帳」「療育手帳」「精神障害者保健福祉手帳」「小児慢性特定疾病の受給者証」をお持ちの方とそのご家族※申請中の方を含みます。【参加方法】事前申込不要※手話対応をご希望の方は、5月8日(水)までにご連絡ください。【問い合わせ】井の頭自然文化園 教育普及係(9時~17時)電話:0422-46-1100FAX:0422-46-1906Eメール:idream@tokyo-zoo.net井の頭自然文化園【ニュース】日本各地でさまざまなイベントも開催!5月5日から11日は「児童福祉週間」出典 : 厚生労働省が定める児童福祉週間についてご存知でしょうか。子どもや家庭、子どもの健やかな成長について国民全体で考えることを目的に、毎年5月5日の「こどもの日」から1週間を児童福祉週間と定めています。子どもたち自身が理想の社会や新しい未来を築く取り組みを進めていくことや、それを応援する環境を整備していくことも大切だという考えのもと、子どもたちから事前に児童福祉週間の標語を募集するなど、子どもも大人もいっしょに児童福祉について考える機会となっています。児童福祉週間の期間中に行われる運動には、「障害のある子ども等に対する理解の促進」も項目として含まれており、「障害のある子ども等に対する地域住民一人ひとりの理解を促進するとともに、障害のある子どもも障害のない子どもも日々の生活や遊びを通じて、共に育ち合うことが大切であり、障害のある子ども等があらゆる活動に参加できるように努める」と実施要領に記されています。期間中には、全国各地の国営公園等の入園が無料になるほか、各地でさまざまな子ども向けイベントが行われるので、近隣の情報をチェックしてみてはいかがでしょうか。児童福祉週間について(厚生労働省)
2019年05月03日見やすく分かりやすい工夫が詰まったユニバーサルなデザイン『みんなの地図帳~見やすい・使いやすい~』弱視をはじめとする視覚に障害のあるお子さん向けに、視覚に障害のある教員を含めた日本視覚障害社会科教育研究会の会員が集まり、約4年にわたる検討を経て作成された地図帳です。日本地図28枚、世界地図38枚の地図が収録されており、地図帳の使い方や記号の意味も見やすく分かりやすく説明されています。各ページで図の左上にタイトルが入るように統一されていたり、地図部分を枠線で囲ってその外側に緯度経度やページ数が配置されていたりと、レイアウトにも見やすい工夫が施されています。また各地図上に記載されている都市名や自然物は、小・中・高等学校での学習で必要な基本的な項目に絞られているので、1つのページに多くの情報が詰まっている従来の地図帳よりも探したい情報を見つけやすく、学びやすいデザインになっています。視覚に障害のあるお子さんだけでなく、学習に困難さを感じている多くのお子さんにとって学びやすいユニバーサルな地図帳です。自分の気分を楽にする方法を、分析して見つけてみよう!『ビジュアルブック ASDの君へ:ラクな気持ちになるためのヒント集』当事者のお子さん向けに描かれた本書は、自分の現在の気分を理解する方法、気持ちをラクにする身体の使い方や呼吸の仕方、自分なりの休憩方法や気分転換の仕方などを、イラストをベースに分かりやすく説明しているビジュアルブックです。具体例も多く記載されているので、お子さんが自身に当てはめて考えながら読み進めることができます。今まで知らなかった新しいリフレッシュ方法を見つけることができるかもしれません。また巻末には、気持ちをラクにするために自分にとって良い方法はなにかを分析するためのワークシート付き。嫌な気持ちになるのはどんなときか、楽な気持ちになったのはどんな活動をしたときかなどをワークシートに沿って書き出すことで自己分析ができます。本編を読んだらワークシートを使用して、自分にあった気持ちをラクにする方法を考えてみましょう。不登校時代、さまざまな知識や人との交流はすべてゲームを通して学び育んだ――『ゲームは人生の役に立つ。生かすも殺すもあなた次第』18歳で起業し、24歳の現在、地域活性化伝道師としても活躍している著者の小幡さんは、子どものころ、約10年間不登校で過ごしていました。そんな小幡さんの人生を豊かにしてくれたのはゲームでした。テレビやパソコン、スマートフォンでたくさんのゲームに触れることができる現代、お子さんがゲームばかりしていることに悩んでいる方も多いのではないでしょうか。ゲームを通した人との繋がりや、ゲームで積み重ねた成功体験による自己肯定感。ゲームを通じて好きになった日本の文化や歴史。ゲームを通して得た多くのことが、著者の現在の活動にいかされています。正しく遊べばゲームは人生を豊かにしてくれる。好きなことに没頭する子ども時代を経て今の人生を楽しく生きる著者の言葉は、不登校に悩むお子さんや親御さんにもヒントを与えてくれるはずです。患者と向き合い続ける医師が語る支援のあり方『ADHDとともに生きる人たちへ医療からみた「生きづらさ」と支援』本書は2017年と2018年に田中康雄先生が金子書房主催により開催したワークショップの内容を元に書籍化されたものです。ADHDの概念や診断基準の歴史から、現在の支援方法までが優しい言葉で書かれています。また、ただ診断結果をつけてそれに基づいた支援をするだけではなく、一人ひとり違う複雑な特性や多様な生き方に応じた支援のあり方や家族も含めた支援の大切さについて、多くの患者と向き合ってきた医師だからこその思いが垣間見える内容となっています。「生活の障害にならなければその発達障害の特性は良い特性だと思っている」と書かれているように、当事者とその家族の生活を知り、困っている部分を解決し、良い部分を伸ばすという田中先生の考え方は、ADHDの当事者にとっても支援者にとっても背中を押してくれるものとなるでしょう。インクルーシブな視点からみる発達障害支援『公認心理師・臨床心理士のための発達障害論インクルージョンを基盤とした理解と支援』主に公認心理師・臨床心理士などを志す学生や現場で支援に携わる専門職向けに書かれた専門書ですが、発達障害について初めて学ぶ人にも読み進めやすい、分かりやすく丁寧な内容になっています。内容は、発達障害の定義からライフサイクルに沿った支援のあり方までが記されています。中でも第8章から第12章には、発達障害のお子さんに対する発達支援、家族支援、学齢期の社会資源の活用や学習面のサポートなど、年齢に合わせて必要となっていく支援内容について書かれています。インクルーシブな環境での育ちを大切にしながらその子にとって必要な支援を取り入れていくという支援体制のつくり方は、発達障害のある子どもたちの支援に関わる人や、これから関わろうと考えている人にぜひ知ってもらいたい内容です。
2019年05月01日長男が生まれてからの生活のなかで、1番大変だと思った家事は洗濯でした。母乳を吐いてしまったり、おむつからうんちが漏れてしまったり、食べこぼしたりと、毎日洗濯をしても服が乾いていない……という事態も起こりました。洗濯の作業がすべて終わらずにたまってしまうことも……。今回は効率よく洗濯ができ、現在も実践している私流の時短テクをお伝えします。 洗濯の時間が取れなかった日々長男が生まれてから1歳くらいまでは、洗濯物との格闘の日々でした。子どもが小さいうちは、私が洗濯をしているからといって待っていてくれません。泣けばおむつを替えておっぱいをあげ、寝返りやハイハイ、立ち始めると目が離せなくなり、落ち着いて洗濯の時間を取ることが難しくなっていきました。 結果、毎日出る洗濯物と作業が追い付かず、山積みになっていく洗濯物。途方に暮れる日々を過ごすようになっていったのです。 洗濯作業の効率化を開始!時間がかかるのは、「洗濯機を回している時間」「干す作業」、そして「取り込み後に畳んで所定の場所にしまう」この3つの作業だと思い、そこを効率化してみることにしました。 まず、朝起きてから洗濯機を回していたのをやめ、夜タイマーをかけて朝7時に洗濯が終わるようにしました。 次に、ベランダで干し作業をやっていたのをやめ、部屋の中で干すようにしました。子どもの様子を見ながら作業ができるので、一時中断される回数が減りました。干し終わったタイミングで外に出せばいいので、最悪外に出せなくても干せないままの状態で中断してしまうことがなくなったのです。 取り込み後のひと工夫で効率化!最後に、取り込んだ後の作業を一度で終わるようにしてみました。取り込んだ洗濯物を1つはずしたら仕分けながら畳み、畳めた分だけ所定の場所にしまいます。取り込みから所定の場所にしまうまでを一度に済ませることで時短に繋がりました。 最も効率化できた作業は、取り込み後の作業だと思います。これで洗濯の作業時間が合計30分くらいで済むようになったのです。 家族全員分の洗濯を滞ることなくこなせるのは、とても気分の良いものです。家事は得意ではないですが、会社と同じように家事を仕事として考えて、効率化を図ることで大きな時短につながりました。今でも私はこの方法で洗濯作業をやっています。著者:川本 千華発達障害の長男、兄が大好きな次男を育てる2児の母。元ピアノ講師。自身の経験を活かし音楽・発達障害に関するライターとして活動中。
2019年04月30日発達特性は、仕事の武器になることも“失敗”につながることもある私はベンチャー企業で、社内プログラマとしてシステム開発の仕事をしており、現在は管理職にも就いています。前回の記事では、ADHD(注意欠陥・多動性障害)とASD(自閉症スペクトラム障害)があると診断されている私の発達特性が、仕事の場面でプラスに働いている部分についてご紹介しました。特性を活かすことで仕事上の武器となった経験もありますが、もちろんうまくいくことばかりではなく、さまざまな場面でたくさんの失敗もしています。 そこで今回は、特性が影響して失敗してしまった経験や、その乗り越え方についてご紹介したいと思います。出典 : 新卒で入った会社で、自分が作ったプログラムの説明をしていたとき、それを聞いていた先輩から「きみが言ってることはよく分からない」と言われました。私としては「なぜこのようなプログラムを組んだのか」が分かるように説明していたつもりだったのですが、周りの人たちにはまったく伝わっていない様子だったので、とてもショックを受けました。その後も同じようなことが続いたので、私は「なんであの人は、こんな簡単なことも分からないんだ!」「あの人たちは頭が悪いんだ!」というように、説明が伝わらないのは周りのせいだと思っていました。でも…何度か同じことを繰り返しているうちに、私は「これは周りが悪いのではなく、自分の伝え方がよくないのでは?」と思うようになりました。今振り返ってみると、私は「自分は知っているけども、相手は知らないこと」を説明しないまま、自分の考えを説明していたのだと思います。…と、ここだけ書くとよくあるビジネス書の一節のようになってしまいますが、私の場合はそもそも「自分と相手は違う考え方をしていて、知っている情報も、考えている前提条件も違っている」ということを、想像することさえできていませんでした。これは恐らく「自分の理解と相手の理解が異なっていることを想像できない」という私の特性のために起こっていたのだと思います。◇失敗からの学びと解決策◇この状況を何とかするために「自分と同じ考えをしている人が誰もいない環境で、自分の考えを意図通り伝えるためにはどうしたらいいか?」を考えながら試行錯誤し続けてきました。相手は、自分が知っていることを同じように知っているとは限らない。それに気付けたことで、何か説明する場面でもしっかり意識できるようになり、今では当時ほど「自分の考えが伝わらない」ということは少なくなりました。むしろ「きみの話は分かりやすいね」と言ってもらえることもあり、うまくやれるようになってきたと思っています。出典 : 以前、とあるECサイトの改修を行う際に、稟議を通すための資料を作るよう依頼されたことがあります。そのとき「前に作った資料があるから、それと同じように作って」と言われました。指示を出す側としては「同じようなレイアウトで、同じようなデータをまとめてほしい」という意図なのだろうと理解したのですが、そもそも何を説明するための資料なのかという“目的”が分からなかったため、どこから手をつければ良いのか分かりませんでした。これは「あいまいな状況では、すべての可能性を考えてしまう」という私の特性によるものだと思います。データ項目が同じならいいのか、フォーマットが同じならいいのか、フォントまで一致させなければいけないのかなど、「何をどこまで同じにすればよいのか」「どの情報が必要で、どの情報が不要なのか」が分からず、あらゆる可能性を想像しすぎてしまったのです。◇失敗からの学びと解決策◇そこで、このようなあいまいな指示を受けた場合には「同じフォーマットで同じデータ項目を用意するイメージですか?」「少し作ってみたんですけど、このような感じでよろしいでしょうか?」というようにこちらから確認するようにしています。出典 : 新卒の頃、その部署にかかってくる外線電話の電話番を担当していました。もうご想像いただけるかもしれませんが、電話番をするのがとても苦手でした。電話をとって「電話をかけている人の名前」や「電話の宛先の人の名前」を聞き取ろうと思うのですが、うまく聞き取れず、何度も聞き返すことになってしまいます。そして相手の声がどんどんイライラしてくるのが伝わってきて…。電話がかかってこないことを祈る毎日でした。なぜ電話番が苦手なのかを考えてみたのですが、プログラミングにのめりこんでいるときに電話がかかってくると、それまでやっていたことを頭から追い出して、相手の話を聞きながらメモを取らなければなりません。一度にやらなければならないことが多すぎて、「何かひとつのことに集中しているときに、他のことを並行してこなすことが難しい」という特性がある私にはとても難しかったです。これまでご紹介した事例では、試行錯誤しながら自分なりの対応方法を見つけていて、現在はほとんど問題がなくなったものばかりでしたが、電話対応の難しさについては未だに解決策を見つけられていません…。職場の同僚に電話対応が苦手なことを伝えたりして、なるべく電話に出なくてもよい状況を作っている、というのが精一杯です。自分でもどうしようもないこともある。でも、何とかなる!出典 : 私は、自分の特性について「工夫で何とかなる特性」と「自分ではどうしようもない特性」があると思っています。自分の力で特性をうまくコントロールできなくても、代わりの方法を見つけることで何とか切り抜けられることもありますし、その特性があっても失敗しない状況を作るように働きかけることもあります。もちろん、それでも失敗することだってあります。そんなときは「次は何とかしたい!」と思いながら改善策を試していくことで、何もしないよりは失敗する頻度が減るかもしれませんし、それでもどうしようもないことは受け入れるしかない場合もあります。そんなことを繰り返しながら、私も何とか30年以上やってこれました。今は新年度が始まり、環境が変わった人も多い時期です。新しい環境では、普段以上にいろいろな失敗をすることもあるかもしれませんが、参考にしていただければ幸いです。
2019年04月26日何の心配もなく、すくすく育った長男。気軽に受けた2歳児健診で、言葉の遅れを指摘されました。一歩を踏み出し、発達の専門医の診察を受けて、前向きに考えられるようになった私の体験談を紹介します。 とても育てやすい、ママ思いのいい子初めての妊娠で育児の右も左もわからず、大きな不安を抱えたまま長男との生活が始まりました。ところが、そんな頼りないママを思ってか、長男は何の問題もなく育ちました。毎月の身体測定でも、成長曲線のド真ん中を走り続け、発育もまったく問題なし! 離乳食にもすぐに慣れ、よく食べてくれました。 1歳児健診では、「順調です!」と先生のお墨付きをもらい、母子手帳にも「何も悩みはありません」と、自信を持って書いたことを覚えています。 かかりつけの小児科で2歳児健診を受けて……2歳を目前にして、かかりつけの小児科へ任意の2歳児健診を受けに行ったときのことです。これまで通り「順調です!」で、すぐに終わるものと思っていました。少し長い健診ののち、先生から「目は合うし、こちらが言うことはわかっているようだけど、もし2歳半になっても二語文が出なかったら、一度専門のところで診てもらいましょうね」と言われたのです。 言葉は交わさなくても、長男とのコミュニケーションはできていたので、先生からの言葉にとても驚かされました。 焦らず、温かく見守ること確かに同じ月齢の子どもに比べ、長男は言葉が出ていませんでした。2歳半になっても二語文がほとんど出なかったため、子どもの発達の専門機関である療育センターを受診しました。発達のテストの結果、発達障害とまではいかないグレーゾーンの診断。 もうすぐ3歳になる長男は、その後も定期的に専門医のサポートを受けながら、マイペースに成長中です。最初は心配しましたが、専門医からアドバイスをもらい、安心して育児に向き合えています。 周りの子どもと比べたわけではありませんが、長男の発達状況を素直に受け止め、プロに相談したことはよい判断だったと思います。長男の特性をより理解できたことで、以前より楽しく育児ができるようになりました。著者:鍜治すみの生後6カ月と2歳、2男の母。長男妊娠時の切迫早産により、9年続けた製薬会社のMR職を退職。前職では主に産婦人科領域製剤を担当。培った知識をフルに活かし執筆活動や育児に奮闘中。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
2019年04月25日ASD(自閉症スペクトラム)のある人の理解と支援を広げるために毎夏、よこはま発達クリニックとよこはま発達相談室は、一般の方向けに、ASD(自閉症スペクトラム)に関するセミナーを行っています。どうして、セミナーを始めこれまで続けてきたのでしょうか?私たちは1997年に当時としては珍しい発達障害を専門にする「仲町台発達障害診療所」を立ち上げ、2000年に現在のよこはま発達クリニックに改称し、以来20年以上にわたってASD(自閉症スペクトラム)を中心に発達障害の医療と支援を行なってきました。初代の院長は故佐々木正美先生にお願いしました。私たちはTEACCHプログラムの創始者であるエリック・ショプラー先生、アスペルガー症候群と自閉症スペクトラムの概念を提唱したローナ・ウイング先生を始めとして多くの先生から自閉症について学んできました。参考:『本当のTEACCH―自分が自分であるために』私たちがクリニックを受診される方々を支援するときに常に大事にしてきたのは「自閉症でok」、「親子で穏やかな生活を目指す」、「家族と協力して子どもを支援する」、「一人ひとりの特性や興味・関心に合わせた無理のない設定をする」、「環境を整える」ということです。そのためには、より多くの人たちの理解が必要となります。仲町台発達障害診療所を開設以来、私たちは毎年「夏のセミナー」を行ってきました。そしてセミナーでは、ASD(自閉症スペクトラム)についての基本的な知識や支援の方法を紹介してきたのです。ASD(自閉症スペクトラム)がある人の生活を支援するには出典 : 「構造化」という言葉をお聞きになられたことのある方は多いのではないでしょうか?私たちは、無理に“普通”に近づけようとしたり、周囲にあわせるのではない。環境を整えて、本来持っている能力を発揮しやすくすることを目指してきました。そのためには、自閉症スペクトラムの特性を理解することが大切だと考えました。そして、支援を考える際には「構造化」を大切にしてきました。クリニックを立ち上げた頃には「構造化」の考えを取り入れる学校や福祉機関は少なかったのですが、徐々に日本でも浸透してきました。しかしながら、ASD(自閉症スペクトラム)の方の支援を考える際には大切で、有益な考え方ですが、誤解や誤用も多いのが現状だと思います。「構造化」する背景には自閉症の特性が深く関係しています。その理解をせずに、とりあえず「やってみる」ではうまくいかないことも多いのです。「なぜやるのか」を支援者一人ひとりが考えることが大切です。そこで、「構造化」についての正しい理解と、その理解に裏打ちされた「支援」の実現の一助となるよう、毎年セミナーを開催しているのです。2019年夏のセミナーでは、具体的なアイディアを紹介しつつも、「なぜやるのか」「どうして必要なのか」に焦点をあてながら、支援のエッセンスについて共有していこうと思っています。ASDについて、基本的な知識や支援の方法を紹介するセミナーを開催出典 : 「令和」最初の『夏のセミナー自閉症スペクトラムの理解と支援』は、東京駅前で開催することになりました。セミナーの内容について、簡単に紹介したいと思います。セミナー1日目となる8月2日には、児童精神科医の蜂矢と公認心理師の北沢が自閉症スペクトラムの基本特性について解説します。自閉症特性は年齢や認知水準によってさまざまな表れ方をします。発達特性に基づいた正しい評価とは、子ども一人ひとりの発達特性や認知特性、興味や関心のあり方を把握することから始まります。心理検査データのパターンだけで支援方法が決まるわけではありません。発達特性の理解に基づいた適切な評価を通じて、一人ひとりの支援プランと具体的な対応を考えましょう。2日目は公認心理師の佐々木と言語聴覚士の飯塚が担当します。自閉症スペクトラムの方々への支援は、一律の方法があるわけではなく、それぞれの方に合わせた支援・関わり方が大切だと考えています。今回はそのためのアイディアの一つとして、「構造化」と「コミュニケーション支援」についてお話をさせていただきます。午前中は、なぜ構造化をするのか、構造化の意味を共有させていただいた上で、さまざまな知的レベルや年齢の方への具体的な方法を紹介いたします。午後は、穏やかに、そして充足感をもって暮らすためのコミュニケーション支援について、さまざまな発達段階の幼児〜大人の事例のビデオをお見せしながら解説いたします。3日目は児童精神科医の宇野と内山が問題行動について背景や対策を考えます。ASDの問題行動は、かんしゃく・自傷・他害行為、多動や不注意などの衝動的行動、ひきこもりや昼夜逆転などに加え、いわゆる触法行為、さらには自殺企図やうつ・不安などの精神科的問題など多岐にわたります。その多くが、自閉症特性への配慮不足から生じていると考えられます。この講座では、ASDにみられやすい問題行動を解説し、その対応の方法を、海外での研究動向なども含めて紹介します。3日間のセミナーで、さまざまなことをお伝えしたいと思っています。ぜひ日々の支援に生かしてもらえたらと願っています。日時:2019年8月2日(金)~4日(日)場所:AP東京 八重洲通り(東京都中央区京橋1-10-7 KPP八重洲ビル8/2(金)7階 / 8/3(土)8/4(日)13階)プログラム:◇8月2日10:00~16:45 『改めて基本特性から考える:理解と評価』◇8月3日10:00~16:45『支援の原則と実際:構造化とコミュニケーション支援』◇8月4日10:00~16:45 『問題行動とそれへの対応』講師:蜂矢百合子(児童精神科医、よこはま発達クリニック/相談室)北沢香織(公認心理師・臨床心理士、よこはま発達クリニック/相談室)佐々木康栄(公認心理師・臨床心理士・精神保健福祉士、よこはま発達相談室/クリニック)飯塚直美(言語聴覚士、よこはま発達相談室/クリニック)宇野洋太(児童精神科医、国立精神・神経医療研究センター)内山登紀夫(児童精神科医、よこはま発達クリニック院長/よこはま発達相談室代表、大正大学 教授)対象:保護者、実際に療育・支援に携わっている方、学生など(中学生以下の参加はできません)料金:各日10,000円(税込)定員:120名(先着順)事務局:よこはま発達相談室(www.ydc-r.com)seminar@ypdc.netよこはま発達相談室よこはま発達クリニック
2019年04月25日Upload By ひらたともみUpload By ひらたともみそして10年以上前にうつ病となったとき、通っている精神科の主治医に「趣味や余暇を大切にして」と、リフレッシュをオススメされました。でも…。Upload By ひらたともみUpload By ひらたともみすっかり俳優のK田くんに心を奪われた私は、彼の情報収集が毎朝のルーティーンになりました。彼の出演作を毎日繰り返し見続け、研究することが私の趣味になったのです。Upload By ひらたともみ映画に出れば主役級のK田くん。映画には一般向けに試写会や初日舞台挨拶で出演者が登壇するのですが、このチケットをとるのはいつも争奪戦です。前列ともなるとプラチナチケットといってもいいほど。舞台挨拶の日はもちろん朝からスタンバイ!だから前乗りは必須です。前日夜から会場近くのゲストハウスに泊まります。ちょっとしたプチ旅行気分にもなれます。ちなみに、ゲストハウスでのお楽しみは、同じ宿に泊まっている外国の方との会話。(某オンライン英会話で勉強中なものの、なかなか上達しない)英会話の勉強も兼ねて積極的に外国人に話しかけるようにしています。日本にいながら、海外旅行気分も味わえるんです。Upload By ひらたともみUpload By ひらたともみUpload By ひらたともみうつ病になって、一番困ったのが「リフレッシュ法」でした。私の場合、相手が知っている人だと、コミュニケーションするときにいろいろ考えてしまったり、頑張りすぎてしまう傾向があります。本当に疲れているときに友だちとお茶するとなると、ものすごいエネルギーが必要になり、ストレスフルに。どんどん心が疲弊してしまいます。対して、初めまして!の外国の方とのコミュニケーションは、ウエルカム。英語もろくに話せないのにストレスにならないか…と言われるのですが、外国を知らない私の異文化交流は、もっと知りたい、もっと話したい!という好奇心でいっぱいにしてくれます。K田くんの舞台を見て、娘とはしゃぎながら乗り継ぐ車窓からのネオンは、「ここには私に声をかけてくる知り合いがいないんだ」という安心感でいっぱいになります。知り合いがいない、いつも過ごしている場所とはちがう街での時間は、心を解放してくれる…からかなと思っています。私の場合、K田くんを追いかけることとゲストハウスの組み合わせが元気の源。私に限らず、いま、うつに悩んでいる人、苦しいなと感じている人は、好きなことをどんどん見つけて行動してみると、リフレッシュできるんじゃないかなと思います。行動するのは、最初はちょっとしんどいかもしれないけれど、試してみてもらえたらなと思います!のびのびと頑張らない自分でいられる場所こそが、今の私のリフレッシュ法。あとはコンビニのお惣菜とビールがあれば、最高です!
2019年04月25日娘の成長とともに、変わってきた親子関係小学2年生になってから、私への反抗が少しずつ強くなってきた娘。少しずつ、少しずつ…私たち親子の関係は悪くなっていきました。日常生活のいくつかのシーンで、険悪ムードになることもしばしば…。Upload By SAKURAこれが成長から来るものだと分かってはいました。私の指示にただ従うのではなく、自分で考えるようになってきたことで「私はこうしたいのに…」というような自我が出てきたんだ、と。だから、宿題や片づけに関しては、無理強いすることはないと捉えていました。でもその反抗は、わが家の「療育」にも影響してしまうようになってきたのです。忘れられないあの日のできごと宿題の間違いを正そうとしない娘に、その気持ちを聞こうと試みても…Upload By SAKURA私と面と向かって座ることも嫌がり、その後も私の言葉に耳を傾けてくれませんでした。さらに、「ママは私を可愛がっていない」という言葉は、私の心に突き刺さりました。そして私の心をえぐる言葉が…すかさずフォローしてくれた夫…しかし私は、娘の言葉がショックすぎて、放心状態でした。Upload By SAKURAその日から、私の悩める日々が始まりましたこの「療育」の日々は…私の独りよがりなのだろうか…。娘にとってはありがた迷惑なのだろうか…。今まで歩んできた日々が全部否定された気がしました。Upload By SAKURAそれから、私たちの関係は少しぎこちなくなりました。私が出合った、ある一つのきっかけそんな時、私は発達ナビで、とあるコラムを読みました。『自閉症長男を預けてラクしていいの?放課後等デイが母に教えてくれた「前向きな理由」』という、シュウママさんのコラムです。Upload By SAKURA現在私は在宅で仕事し、息子(下の子)を保育園に預けています。それもあって、娘は私が見なければ!預けるなんて、そんな楽をしてはいけない!と、このコラムを読むまで、思っていました。しかし、シュウママさんのコラムにあった「預けることで、母親は子どもに対して、心にゆとりを持って接することができる」という文章を見て、ハッとしました。親としての私を振り返ってみると…私は普段、娘が帰宅するまで仕事をし、娘の帰宅後は、宿題を見ながら、家事・炊事・宿題・療育を終わらせて、息子を保育園に迎えに行きます。思い返せば、娘と衝突することが多いのは、この夕方の時間帯。常にバタバタしていて、余裕をもって娘に接していなかったかもしれません。Upload By SAKURAそれでも私は、やっぱり放課後等デイサービスに頼っていいかわからず、できる限り余裕を持てるように、仕事や家事のやり方を試行錯誤してみました。しかし、どうしてもスムーズにいかず、子どもたちの病院まわりが入ると、私の一日はいくら時間があっても足りません。夫に話してみると、意外な反応が返ってきました!迷った私は、夫に「放課後等デイサービス」について相談しました。Upload By SAKURA夫は即答で賛成してくれました。そして、「あーさんが俺たちのいないところで、いろんな人と関わりながら学んでいるステップに来てるんだよ」と言いました。一番身近な人が、放課後等デイサービスでの人との関わりが娘の成長の過程にきっと必要なんだよ、そう背中を押してくれた――。「自分が楽をしていいのか」という自分基準で考えていたことを、夫は娘の成長を基準にとらえ、賛成してくれたのです。きっと夫は、娘の成長のことも、私と娘の関わりがうまくいっていないことも、私の悩みも、さまざまなことに思いをめぐらしたうえで、そう言ってくれたのでしょう。娘基準で考えたらいい、そう思えたとき、私の罪悪感は消え、「放課後等デイサービス」の利用へと、動き出す決意ができたのです。次回は、放課後等デイサービスを利用するまでのこと、どういう基準で利用する施設を選んだのかについて、ご紹介したいと思っています。
2019年04月24日自閉症の娘・サンちゃんの証明写真撮影はじめまして!たなかれもんと申します。娘のサンちゃん(自閉症で重度の知的障害あり)と、息子のワッくん、旦那さんと、日本の真ん中あたりで4人暮らしをしています。サンちゃんがもうすぐ5歳になる頃、証明写真を撮ることに。証明写真といえば、カメラ目線がマストです。それに、せっかくなら笑顔で可愛い写真が撮りたい…。いつも動き回っている娘、ブレずにカメラ目線の写真は撮れるの?娘の自然な笑顔を引き出せる場所って?大丈夫、とっておきの場所があるんです。今日はそんなある日の、たなか家の様子を紹介します。Upload By たなか れもんUpload By たなか れもんUpload By たなか れもん2年後…次の手帳更新に向けて、早くも動き出すわが家なのでした。
2019年04月23日小5なのに、もう中学校のことを考えるの?娘が小学5年生の秋のことです。その頃娘は、通常学級に在籍していましたが、主治医から「小学校卒業後の進路についてどう考えているか」と問われたのです。Upload By 荒木まち子それまでわが家では、毎年度末に「来年は通常学級にするか?特別支援級にするか?」ということを、本人も含めた家族で話し合って決めていました。そのため、主治医からこの話をされた当初は「まだ小5なのに、今から中学校のことを考えるなんて早すぎるのでは?」と思ったのです。でも…よく考えてみると、すぐに「決める」というのではなく、早いうちから「調べて」「考えておく」ことは、娘の将来の選択肢を広げる上で確かに大切なことかもしれないと思うようになりました。発達障害の子どもの進路は「分からないこと」だらけ!この出来事をきっかけに、発達障害がある娘の進路についてあれこれ考えてみました。すると、たくさんの疑問が浮かんできたのです。・中学校から特別支援学級に入級すると、特別支援学校高等部しか選べないの?・知的・身体障害がない場合、中学で特別支援学級に通っていても、特別支援学校高等部には入れないの?・特別支援学級に在籍していても公立高校を受験できるの?(内申書はどうなるの?)・地元の中学校に進学しない場合、その他の選択肢は、私立中学やフリースクールになるの?・高校ではなくフリースクールに進学する場合、高校卒業資格は取れる?取れない学校もあるの?・高校卒業後の進路ってどうなるんだろう?考えれば考えるほど、疑問は増していきます。そして小学校卒業後に通う中学校を決めることは、その先の高校や、さらに先の進路にも影響してくるのだということに気づきました。娘がこれからどう成長していくのかはまだイメージできないけれど、とりあえずどうなっても対応できるように、たくさん情報を集めよう。そして選ぶのは子ども自身だとしても、親がある程度は情報整理しておくようにしよう。私は、そう考えるようになったのです。いざ、情報収集スタート!当時娘は小学校の通常学級に在籍していたため、障害のある子どもに配慮された中学や高校の情報は入手することが難しく、自分たちで積極的に調べて探すしかありませんでした。そこで、娘の学習支援とSST(ソーシャルスキル・トレーニング)をしてくれていた家庭教師の先生に、中学や高校について尋ねてみたところ、さまざまな資料を持ってきてくださいました。そして、私が思っていた以上に多様な学校があることを知ったのです。例えば、通信制高校は学校教育法により「高等学校」と定められているので、一定の条件を満たせば高校卒業資格を取得することができます。でも似た名前の「通信制サポート校」は、通信制高校に通う生徒に対して勉強や精神面での支援を行っているので、通信制サポート校で勉強したとしても、高校卒業資格を取得することはできません。東京都の例だと、小・中学校で不登校になったり、高校を中退したりした子どもを受け入れる総合学科・定時制の「チャレンジスクール」や、小・中学校で十分能力を発揮できなかった生徒が、社会生活を送る上で必要な基礎的・基本的学力を身に付ける「エンカレッジスクール」という取り組みもあります。「え?通う日数を選べるの?」「受験に内申書が不要の学校もあるんだ」「芸術に特化した学校?」「そういえば、こっちの学校はテレビ番組で見たことがあるかも」資料を読みながら、私は自分の知識の無さを改めて感じました。こうした取り組みをしている学校は首都圏に多く、わが家からは距離的に厳しいケースもしばしばありましたが、それでも障害のある子どもにもさまざまな可能性や選択肢がいろいろあることを知り、驚いたのです。参考:これまで設置してきた多様なタイプの学校|東京都教育委員会資料やネットの情報では分からないこともあるこうした学校で、障害がある子どもにどのような配慮や支援をしているのか、具体的な内容を知りたいと思い、ネットのクチコミなども調べてみました。でも、ネットには「偏差値は〇〇」「芸能人の△△が通っている」「設備が充実している」「制服がかわいい」といった表面的な情報しかなく、私が本当に知りたかった情報を得ることはできませんでした。その学校が自分の子に合うかどうかは、やはり直接学校見学や説明会に行って、自分の目で確かめるしかない。そう感じた私は、早すぎるかもしれないと思いつつも、少しずつ学校見学をスタートすることにしたのです。次回コラムでは、実際に学校見学をして感じたことや、私たち親子が大切にした視点などについて紹介したいと思います。
2019年04月22日障害がある子が利用できるサービスの基礎知識から申請方法までが詰め込まれた1冊『障害のある子が将来にわたって受けられるサービスのすべて』障害がある子が産まれてから、親なきあとのことまで利用できるサービスを広く紹介されているので、今利用できるものの理解から、将来に向けて準備しておくことまでを1冊読むことで理解でき、漠然とした不安をを解消できそうです。1章は「保育・教育」に関するサービスについて。通所サービスの利用まで種類や利用までの流れ、多様な学びの場についてなどが紹介されています。2章では就労について、3章では障害者手帳によるサービスが、4章では障害者総合支援法に基づくサービスとして、ショートステイや同行援護、相談支援などさまざまなサービスや申請、費用などについての詳細を知ることができます。5章では、障害年金についての基礎知識や請求方法が、6章では親なきあとに向けてどのような制度が活用できるかが紹介されています。親子の視点で振り返る、0才から24才までの発達障害のある子どもの軌跡『ADHDと自閉症スペクトラムの自分がみつけた未来』ADHDと自閉症スペクトラムがある著者のこれまでの軌跡を、自身と母親2人の視点で振り返った一冊。生まれてすぐの様子から、幼稚園、小学校、中学、高校、大学、そして就職までがまとめて書かれています。多動、不登校、就活など、それぞれの時期にある困りごとや葛藤、乗り越えるまでがリアルな感情とともに綴られているため、描かれる場面の様子が鮮明にイメージできます。またこの本の特徴ともいえるのが、当事者である本人の声だけでなく、母親の声が共に紹介されていること。同じ時期に母親が考えていたこと、思ったことも記されているため、保護者としての気持ちに共感したり、こんな捉え方もあっていいんだ、と感じられるはず。子どもの感情を育てるヒントが盛りだくさん!『イラスト版子どもの感情力をアップする本 自己肯定感を高められる気持ちマネジメント50』嬉しい、楽しい、困った、悲しい、毎日たくんさんの気持ちがあふれる子どもたち。その一方で上手くそうした感情とつき合うことができない子どももいます。どのように感情を言葉にすれば良いかが分からなかったり、感情のコントロールが苦手であったりと、一人ひとり困りごとは異なります。この本では、場面ごとに子どもの気持ちを育くみ、自己肯定感を高めるヒントをワーク形式で紹介しています。心理学の専門家であり教育学博士でもある渡辺弥生先生が監修を務めます。イラストが主体のワークに加えてポイントで解説も書かれているので、子どもと一緒に取り組むのにぴったりな一冊です。3つのステップで友達や先生との関わり方を解説する『ソーシャルスキルトレーニング絵カード 小学生低学年版』①こんなとき②こうするよりは③こうしてみてはの”3つのステップ”で、場面ごとに人との上手なやり取りが分かる絵カードです。小学生低学年でよくある状況、お友達とのやりとりなどがかわいらしいイラストで描かれています。3つのステップを効果的に子どもに伝える使い方のヒントも紹介されているので、初めてでも取り組みやすいつくりです。また別売りの「アクトボイスペン」という音声ペンと連携しており、絵カードのセリフを読み上げてくれる仕様になっています。同じ言葉でも声色の違いを直接耳にすることで感情を読み解くヒントに繋がったり、実際の状況に近い練習としても使いやすそうです。教科別サポート方法も!発達に凸凹がある子どもの支援が分かる『小学校特別支援教育 指導スキル大全』発達障害のある子どもは小学校にあがると日常生活だけでなく、国語、算数、理科、社会など勉強で困ってしまう場合があります。教科ごとに必要なスキルが異なるため、学校や家庭での勉強のサポートにも工夫が必要です。この本には日常生活での場面に加えて、教科ごとのサポートのアイデアが沢山載っています。音楽や図工、体育や道徳などバリエーションに富んだ内容になっています。写真や例を沢山用いているため、すぐに実践することができそうです。
2019年04月20日こだわりが強いのぼる…。ADHDとASDがある長男の「好きなもの」の幅を広げたい長男・のぼるにはADHD(注意欠陥・多動性障害)と軽度のASD(自閉症スペクトラム)があります。4歳の頃は、いまよりこだわりも強く、特に踏切が大好きでした。でも、踏切のまわりで遊ぶのは危険が多すぎる…。私は、のぼるの「好き」の幅を広げられないかと、いろいろなところに出かけてみることにしました。Upload By ちちゃこUpload By ちちゃこUpload By ちちゃこ砂浜に行ってみようかな?ふと思い立ち、週末に家族で海に出かけてみたのですが…Upload By ちちゃこ海は、のぼるだけでなく、ひとしも楽しく遊べる場所でした。それ以来、海遊びは、わが家の定番になりました。Upload By ちちゃこ最後に、わが家の「海に遊びに行く時の必需品」をご紹介します。海水浴シーズン以外の静かな海での砂遊び、磯遊びもおすすめですよ。Upload By ちちゃこ
2019年04月19日Upload By 発達ナビニュースディック・ブルーナと、株式会社フェリシモの障害のある人たちを応援するCCP(チャレンジド・クリエイティブ・プロジェクト)が、「ブルーナ バリアフリープロジェクト」をスタートさせました。ブルーナ バリアフリープロジェクトは、フェリシモが車いすの女の子を家族にもつママ「meetme.egao」の想いと経験に共感して生まれました。ディック・ブルーナの絵本に出てくる車椅子に乗った女の子ろってちゃんをモチーフに、すべての人が共存する優しい環境を目指す、バリアフリーを広げるためのプロジェクトです。今回、「ろってちゃんふわふわワッペン」がプロジェクトの一環として発売されます。ベビーカーと間違われ、公共の場などでその使用について理解が得られにくい子ども用車いすに対して、一目でわかるようなマークをつけることで周囲への理解を広げる、心のバリアフリーを促進する商品です。ワッペンはディック・ブルーナの絵本「ろってちゃん」をモチーフに、カラフルな色合いとウレタンフォーム入りのコットン素材で優しい手触りに仕上げてあり、また福祉事業所で障がいのある方々が織った”さをり織り”のタグもついています。4月13日に販売がスタート!フェリシモのオンラインショップにて購入できるので、ぜひチェックしてみてください。【名称】ろってちゃんふわふわワッペン【価格】¥1,300+税【販売元】株式会社フェリシモ障害のある人の社会参加を応援することを目的として、2003年から活動しているCCPプロジェクトについて | フェリシモUpload By 発達ナビニュースわたしも、あなたも、赤ん坊も、おじいさんおばあさんも、障がいのある方も、 すべての人々が、日々の生活のなかで、新しい痕跡をつくっています。風景にかかわる表現との出会いを通して、 「いま」を、そして「あした」をどう暮らしていくかを考えるきっかけになることを願います福島県にあるはじまりの美術館。今回の企画展では、「風景」をテーマに8組の作家の作品を展示しています。クワクボリョウタさんによる日用品が風景のように見える光と影を用いたインスタレーション作品や、ハンセン病により故郷に帰ることが叶わなかった作家が故郷の思い出を表現した国立療養所菊池恵楓園絵画クラブ金陽会による平面作品、気に入った写真を何年も触り続けたことにより写真の形が変形した杉浦篤さんの作品など、それぞれの作家の目にうつる風景を表現した作品が並びます。谷川俊太郎さんの書き下ろしの新作の詩の展示も見所の1つです。また期間中は展覧会以外にも、使い捨てカメラで写真を撮り、撮った写真が後日小冊子担って手元に届くワークショップ「一瞬のヒント」、花の顔出し看板に自由に色を塗った蝶々を貼ったり写真を撮ったりできるアート企画、美術館周辺を歩いて地域の歴史を学ぶイベントなど、「風景」の見え方の変化を体感できるさまざまな企画も実施されます!お子さまも一緒に楽しめるものもあるので、開催日時を確認の上、ぜひ参加してみてはいかがでしょうか。【日時】2019年4月6日(土)〜2019年7月7日(日)、10:00〜18:00※火曜休館、4月30日は開館、6月22日は16:00閉館【会場】はじまりの美術館(福島県耶麻郡猪苗代町新町4873)【入場】一般500円、65歳以上250円、高校生以下・障害者手帳を持っている人および付き添い(1人まで)は無料【出展作家】クワクボリョウタ、国立療養所菊池恵楓園絵画クラブ金陽会、杉浦篤、鈴木のぞみ、 瀬尾夏美、高橋和彦、谷川俊太郎、ハナムラチカヒロ【問い合わせ】社会福祉法人安積愛育園 はじまりの美術館TEL/FAX 0242-62-3454Upload By 発達ナビニュース「親子の未来を支える会」が、チャリティーTシャツブランドJAMMINより、1週間限定でTシャツを販売します。「親子の未来を支える会」は、病気や障がいがある子供の将来について、他の家族や医療者にインターネットを通じて無料で相談できるピアサポートシステム「ゆりかご」や、胎児医療サポートなどの事業を通して、誰もが暮らしやすい未来を作るために活動を行うNPO法人です。今回発売されるTシャツのデザインでは、親子の未来を支える会のコンセプト「多様な命」が表現されています。描かれたさまざまな大きさや模様のタマゴたちが、1つひとつの命や家族が歩む道の多様さを表しています。今回のチャリティにより集まる金額は、現在親子の未来を支える会が設立を目指す「胎児ホットライン」の資金として使われる予定です。販売されるTシャツは色や形も豊富なので、お気に入りの一枚が見つかるかもしれません。【名称】Tシャツ【価格】3,400円(税込)〜【販売元】JAMMIN合同会社法人 親子の未来を支える会TシャツブランドJAMMINは、ファッションを通じて社会に貢献する「チャリティーブランド」です。Tシャツ1枚の購入につき、700円が団体に寄付されます。チャリティー先は毎週変わり、その団体のオリジナルデザインTシャツが販売されるのは1週間のみ。社会が現在抱える問題とそれに対して活動している人たちのことをより多く知ってもらいたいという思いが仕組み化されています。Tシャツを販売すると同時に団体の活動内容をわかりやすくまとめて発信しているので、今まで知らなかった団体の活動を知り、応援するきっかけも提供してくれます。
2019年04月16日4月2日は「自閉症啓発デー」4月2日は国連が定めた「世界自閉症啓発デー」です。3月21日の「世界ダウン症の日」とともに、世界中で想いを込めた啓発がおこなわれます。「希望」「癒し」といった意味をもつ「青」をテーマカラーに、啓発イベントでは参加者の洋服や持ち物から世界中のランドマークまでもが青く染まります。日本でも各地でイベントを目にした方もいるのではないでしょうか。日本では、さらに4月2日から8日までの一週間を「発達障害啓発週間」と定めています。自閉症のみでなく、発達障害に関して理解を深め、当事者やそのご家族への暖かな支援に繋げていく契機として取り組みがなされています。さまざまな支援の輪を広げる啓発イベントは日本の各地で開催されています。町中を歩いていて、またニュースなどでも目にした方も多いのではないでしょうか。今回発達ナビ編集部では、2019年4月2日に行われた東京タワーブルーイベントを取材してきました!当日の様子から開催者のイベントにかける想いまでをレポートします。東京タワーブルーイベントUpload By 発達ナビ編集部毎年行われる東京タワーでの自閉症啓発デーイベントも今年で8回目を迎えました。個性豊かなブースやステージに道行く人々も思わず足をとめてしまうほど、会場は賑わいを見せていました。自閉症をはじめとして、発達障害にまつわるさまざまな活動や支援を知ることのできるブースや日中のイベントは、当事者の方々やご家族・関係者、東ちづるさんが理事をつとめるGet in touchや自閉症協会などの団体から成る「TT2019実行委員会」が、日没後に行われる点灯式は厚生労働省が主催。盛り上がりを見せたブースやステージは、寒さや雨も吹き飛ばすような終始パワフルな雰囲気で、会場を包み込んでいました。体験型ブースには、子どもから大人までたくさんの人が真っ先に目の前に広がるのはブースの数々。青のパーカーや洋服を着た人々が多く集まる光景に思わず目を惹かれました。ブースでは"体験型"のものが多くありました!こうしたブースでは、知識として知ることだけでなく、実際に自閉症の感覚を体験してみたりゲームや作品を通すことでより身近に感じることができます。体験型ブースに参加している子ども達も楽しみながら知識や理解を深めていましたよ!Upload By 発達ナビ編集部写真は、2013年から自閉症啓発のイベントを行なっているGet in touchのブースです。当初は数十人規模ですべてを手がけていましたが、今では(Get in touchに関わる)さまざまな団体が積極的に参加し、それぞれが「自走」できるようになりました。「今回のイベントのメインである自閉症や発達障害だけでなく、話せない、聞こえない、歩けないなどいろいろな障害や病気の有無など関係なしにすべての人がもっと気楽に、自由に暮らせる”まぜこぜ”の社会を"エンターテイメント"を通してつくっていきたい」(Get in touch担当者)と言います。会場では、青い服を着てない人も顔認証技術によって画面上で青いものを身につけることができるという映像体験や、かわいらしいデザインのグッズなども販売されていました。「日本では”大変そう”といったイメージのある福祉ですが、人のためになるというかっこよさや、アートや映像を用いて楽しそう、スタイリッシュというイメージに変えていきたい」(Get in touch担当者)とも話してくれました。Upload By 発達ナビ編集部Upload By 発達ナビ編集部こちらはADDSによる”自閉症の特性を体験”できるブースです。自閉症がある人には、視覚、触覚、聴覚と感覚の過敏さがある場合が多くあります。頭では理解しているつもりでも、どのような感覚なのかを知ることは難しいもの。視界が狭くなるメガネをつけたり、手先の感覚がわかりにくくなる手袋や聴覚過敏を再現する集音器を装着し、簡単なゲームをします。実際に感覚を体験することで、身近にいる自閉症のある人たちへの関り方のヒントを得られるようになればと、体験型のブースで啓発を行っているそうです。小さな子どもでも体験することができるので、多くの人が参加していました。Upload By 発達ナビ編集部おうちdeタッチケア ぐるーみんのブースでは、体をほぐす体験ができます。この団体は、自閉症の子どもを2人育てるお母さんが立ち上げたそうです。最初は母親自身の体が辛かったことから学び始めた体のケアでしたが、子どもたちに試してみると体が休まるだけでなく睡眠にも良い効果があったそう。「自閉症がある子どもは体が緊張し、硬直している場合が多くあります。そんな体をほぐしていくマッサージを、自宅でも簡単にできるように広めていきたい」(ぐるーみんの担当者)との思いから活動を始めたそうです。感覚過敏などもあり外でプロに施術してもらうのが不安な場合も、保護者がケアできる環境は安心できます。絵本の読み聞かせのような、心地の良い親子のコミュニケーションにもつながるホームケアです。歌やダンスのステージで会場が一体に!夕方になるとステージでパフォーマンスが行われました。「ダンデライオンゴスペルクワイア」の元気な歌声、「チームカラフル」の楽し気なダンスから始まり、演奏や歌を披露した「ミス日本」や「Necco楽団」も出演しました。Upload By 発達ナビ編集部「晋平太」さん、「SOCIAL WORKEEERZ」、「MUKU」のみなさんからなる、「STREET FUKUSH!」はダンスとラップでオーディエンスを惹きつけます。音楽やダンスを通じて会場にいる人たちが通じ合う空間になっていました。話すことが難しい人たちにとっての大切なコミュニケーション手段でもある”手話やジェスチャー、ハンドサイン”などを織り交ぜたダンスを披露。ラップでは「話せない」「伝えられない」という悩みや葛藤をリズムに乗せ、まっすぐな言葉で表現されていました。途中から2人の女性が壇上に上がり、ダンスで想いを伝えてくれました。Upload By 発達ナビ編集部シンガーの清貴さんはじめ「WE ARE ONE クワイア」のみなさんが素敵な歌を披露してくれました。清貴さんはリオ、平昌パラリンピックのフジテレビ系列テーマソングを手がけています。「一人一人がもっと自分らしく、好きなことを好きと言って生きられる世の中になっていってほしい」という思いで音楽を続けているそうです。希望を与えてくれるような歌詞や歌声に、観客の中には涙する人も…。心が温まるステージパフォーマンスの締めくくりとなりました。自閉症のあるキャラクター・ジュリアも参加!青い光に包まれる点灯式Upload By 発達ナビ編集部厚生労働省主催の点灯式では、今年は東京タワーが工事中のため、ハート型の巨大モニュメントがブルーにライトアップされました!この作品を手がけたのは、マスキングテープを用いたハートの作品を展開する作家の西村公一さん。会場に集うみんなの心に青い光が灯るようで今回のイベントにぴったりの作品です。また、点灯のボタンを押す際には、自閉症のあるセサミストリートのキャラクター・ジュリアと仲間たちも加わりました!会場に集う人々がひとつのモニュメントを見つめる中、光が灯りブルーに輝くハートのモニュメントはとても幻想的でした。もっと生きやすい社会へ。知ること、伝えることを広げていこうUpload By 発達ナビ編集部イベントには大人から子どもまで多くの方が参加していました。また、道を歩いていた人たちもブースやパフォーマンスに足を止め、当事者や関係者はもとより幅広い人々を巻き込んだイベントとなりました。啓発イベントを始めた頃は参加者も少なかったそうですが、回を重ねるごとに認知の輪は広がってきました。生きづらさを抱えた人々が自由に、自分らしく生きられる社会をつくるには、多くの人が力を合わせて取り組む必要があります。変化は行動の積み重ねによって少しづつ現れるものですが、今回のように、さまざまな人が参加しやすい啓発の機会をつくり、多くの人に自閉症をはじめ、さまざまな障害を伝え、理解を広げていくことの大切さを感じられるイベントでした。取材協力:日本自閉症協会、TT2019実行委員会
2019年04月16日大きなお兄ちゃんと小さな妹の発達凸凹ライフ!Upload By 寺島ヒロUpload By 寺島ヒロUpload By 寺島ヒロUpload By 寺島ヒロUpload By 寺島ヒロ発達障害の特性ってこんなに幅がある!検査結果はほぼ一緒の兄妹を育てる中で、感じていること「発達障害があるとどうなるの?」「発達障害がある子ってどんな行動をとるものなの?」発達凸凹兄妹を育てていると、こんな風に聞かれることもよくあります。でも、同じ診断名だったとしても、わが家の子ども達のように検査結果が似ていたとしても、一人ひとり違う人間。似ている部分ももちろんあるけれど、それ以上に、困りごとも、やることも、好きなことも、それぞれ違うのです…。だから「症状も行動もいろいろです」としか言えなかったりします。特性があっても、日々の生活の中で困りごとが出てくれば障害になるけれど、困らなければ障害ではなくなります。同じような特性を持って生まれてきても、行動への現れ方はそれぞれ。幅がある。発達ナビでの連載コラムでは、そんなわが家の兄妹の生活ぶりをつづっていく予定です。「(診断名も検査結果も)おんなじなのに、こんなに違うの!?」という実例として、見てもらえたらうれしいです。Upload By 寺島ヒロ子どもたちは発達凸凹、得意なことも苦手なことも振れ幅大きすぎ!でも、どこかほのぼの明るい寺島家の毎日がつづられています。発達が気になる子どもと暮らすヒントがぎゅっと詰まった一冊!
2019年04月15日3部構成の講演会で語られた、学校選びと子どもの「好き!」の伸ばし方Upload By 発達ナビ編集部コンベンションホールで行われた講演会は3部構成。まずは第1部、井上雅彦先生の基調講演からスタート。井上先生は鳥取大学大学院 医学系研究科 臨床心理学講座教授、子どもから成人期までの心理臨床が専門。学童期の子育ての悩みに答え、鳥取大学の相談室では大学生のカウンセリングをしています。講演の内容は「学童期の⼦育ての悩みに応える⼦どもの将来に向けて今親ができること」。たくさんの事例も交えて話してくださいました。親にできる大切なことは「子どもの好きなことをたくさん見つけて言葉にしてみること」。大好きなことを続ける中で自己肯定感・自己管理力が育ち、自己肯定感はやる気につながるという話題は、このあと2部、3部のパネルトークの中でもたびたびテーマとして上がりました。「好きなことを見つけてあげて、というと、保護者からは、『好きなことでは食えない』といった否定的な意見が出たりします。でも、好きなことは将来の役に立ちます。気分を変えたいとき、趣味があることが、生きていくエネルギーになるんです。カウンセリングをしていてしんどいと感じるのは、『好きなものはなくなりました、かつてはあったけど』とか『何もしたくありません』という言葉です」(井上先生)たしかにお金を稼ぐことにはなかなか直結しないことだけれど、「好きなこと」があるおかげで、不登校だった中学生が高校へ行き始めたという例もありました。在籍学級は、何度でも選び直しができる。ベストよりベターを選ぼうUpload By 発達ナビ編集部新1年生は、今まさに入学式シーズンですが、7月には、来年度の就学相談が始まります。通常学級なのか、特別支援学級なのか、特別支援学校なのか、どういう選択肢がわが子に合うのか、その選び方で迷う保護者も多いところです。「まず情報集めですが、これは住んでいる地域によっても差があるし、情報を集めれば集めるほど、それぞれにメリット・デメリットがあると分かります。そうすると、かえって追い詰められる気分になってしまうこともあるでしょう。でも、覚えておいてほしいのは『選び直しはできる』ということ。ベストよりもベターを選ぼう、と考えてほしいです。6年間は長いのですが、その間に変えることができるんです。合わなかったら変えてもいい、そんな風に思っていてください。」(井上先生)学校だけでない学びの場や方法について、パネルトークUpload By 発達ナビ編集部講演会第2部は、「発達が気になるお子さまの学習について」と題し、子どもの学習に関する新しいサービスを展開している2社の代表によるパネルトーク。株式会社すららネット佐々木章太さん、株式会社WOODY中里祐次さんが登壇しました。すららネットは、発達が気になる子どもの家庭学習の困りごとを解決するサービス。学習塾や放課後等デイサービスへも教材提供をしています。学年の枠にとらわれない「無学年式」の学習教材がメインですが、それだけでは解決できない問題について、新しいサービスをリリースしたのだそう。それは、学習指導の困りごとを解消し、保護者の方々が子どもとの関わり方を学びながら楽しく子育てができるよう支援する”勉強”におけるペアレントトレーニング(通称:勉強ペアトレ)です。どんな風に関わることで、子どもの自己肯定感を育み、勉強への意欲につなげられるかなどを学ぶことができる、オンライン型のサービスです。すららネットの「勉強ペアトレ」は、子どもだけでなく保護者の自己肯定感にも向き合うプログラムで、第1部の井上先生の話とも共鳴する内容でした。参考:すららネットWOODYは、「好きで自信をつくり、好きで社会とつながる」ために、好きなことを見つけるマッチングサービス「Branch」を提供。好きなことをどう極めていくかを教えてくれる「メンター」と、親子をつなぐのがブランチの役割です。例として、ある小学生のケースが紹介されました。小学校1年生のころに学校の先生に怒られ続けて不登校になり緘黙になったその子は、小学校6年生のころに「メンター」と出会いました。数学、物理、サッカー情報、債券市場などが好きな子で、気になると何時間でも調べているそう。親以外との社会とのつながりがなかったその子は、初めてメンターとつながることにより社会との接点ができ、今は他の国で学校に行っているそうです。学校の成績を上げるということも大切ですが、子どもが「家庭以外にも安心できる場所を作ることも大切」と中里さんは話します。好きなことを言語化する手伝いをしていくのがBranchというサービス。これも、「好き」を軸にしていくことが大切という井上先生の話ともリンクしていました。参考:ブランチインクルーシブ教育を進めるための「戦略」とは?専門家と保護者がディスカッションUpload By 発達ナビ編集部第3部は、発達障害のある子どもを育てている保護者2人と、星槎大学大学院准教授阿部利彦先生によるパネルトーク。まずは2人の保護者の自己紹介から。白砂ゆき子さんは、長男が小学校1年生で通常学級に在籍しながら特別支援教室を利用しています。古山真紀子さんは、中1の長女(ASD・ADHD・LD)、小4の長男(ASD・ADHD・LD)、3歳の次男(グレーゾーン)の3人を育てていて、「どれだけ親子で楽にいられるか」をテーマに発達障害の啓発活動をしています。続いて「発達が気になる子どもの学級選びと進路・小中学生編」と題して、阿部先生の講演。第1部の井上先生の学級選びの考え方の話に、さらに具体的な考え方、行動のしかたについて言及されました。長く相談支援員として活動してきた阿部先生ならではの切り口で、通常学級の担任の先生のタイプによって、合理的配慮をしてもらうための「戦略」をどう練るかといったかなり実践的なことにまで言及されました。Upload By 発達ナビ編集部白砂さん、古山さんは深くうなずきながら聞き、その後ディスカッションに。白砂さんからは「一人だと分からないままで不安だから、同じような悩みを持つ人とつながることが大事だと痛感しています。少し先輩の存在の大切さですね」という意見が。古山さんからは、「ずっと『この子の秀でたところを探さなきゃ』と思っていましたが、そうじゃなくて、この子の好きなことを探せばいいと分かりました。好きなことだったらがまんもできるし、伸びるんですよね。漠然と『この先どうなるの?』と大きな風船を抱えていた感じだったのが、一つひとつ不安の中身が分かったら、小さい風船がいくつもあるような感じになりました。これを一つずつつぶしていこうと思います」という感想が上がりました。展示・販売ブース、ワークショップも充実!Upload By 発達ナビ編集部講演会と別のフロアでは、発達障害のある子どもや、その保護者のニーズに合う商品・サービスの展示や販売、ワークショップが行われました。出展していた7つのブースは、ただ商品を紹介するだけでなく、さまざまな実体験ができるコーナーもあり、親子で楽しめる工夫がいっぱい。コープみらいのプリンやヨーグルトの試食コーナー、睡眠障害が軽減されるというラーゴム社の「チェーンブランケット」を実際に試せたり、書籍販売、デザイン性と軽さ、機能性を両立させた「ふわりぃランドセル」を背負って写真ができるフォトブースも。ピーエーエス社の「pinto」シリーズの商品の展示もありました。学校や家の椅子に取りつけることで正しい姿勢を保つサポートができる座位保持シートの展示コーナーでは、実際に座ってみる親子の姿が見られました。ニューロネット・ジャパンでは、「ニューロトラッカー」をミニ体験できるコーナーを設けていました。ニューロトラッカーは、視覚による知覚認知能力を活性化することで、脳の高次機能注意力を鍛えるメンタルトレーニングツールです。3D眼鏡をかけて、画面のボールを追います。実際には、ボールはただ画面の上下左右に動くだけでなく、遠くなったり近くなったりして見えています。ターゲットに決めたボールを記憶して目で追いかけ、ターゲットを正解して、ステージをクリアしていきます。トライした4歳の男の子は、「面白かった」と話してくれました。会場ではワークショップも。「お金」のセミナーは注目の的Upload By 発達ナビ編集部予約制で開催された5つのワークショップにも多くの方の参加がありました。すららネットによる「ペアトレ」体験、仕事体験テーマパーク「カンドゥー」による、魔法使いになって”ねるねるねるね”をつくる体験、ASDの特徴のひとつ「知覚過敏」を体験できるVRなど、見る・聞くだけでなく体を使って、親子で学び・遊べるワークショップ。tobiraco(トビラコ)のブースでは、子ども向けと保護者向けのワークショップが開催。アロマ粘土を使ったワークショップに参加した子どもたちは、思い思いの作品を自由に作って楽しんでいました。保護者向けには、アロママッサージが行われました。また、保護者にとって気になる話題、「発達が気になるお子さまの『親なきあとのお金』セミナー」では、参加者が熱心にメモをとる姿も。講師の行政書士・渡部伸先生と三菱UFJ信託銀行の小谷亨一氏の分かりやすいお話は、聞くと安心できる内容で、「子どものためにいくらのこすか、よりも、どうのこすかが大切」と、実践的な話題がいっぱいでした。ゆったり広々した会場で、たくさんの人がそれぞれに楽しむことができる「発達ナビ子育てフェスタ」。「子どもの将来へのヒントが見つかりますように。そして日常を離れて少しでもリラックスして過ごしてもらえたらうれしいです。またぜひ、会員同士の交流の場にもしてほしいです」という、開会の言葉通りのイベントとなったのではないかと感じられました。イベントのスポンサー紹介今回のイベントには、多くの企業の皆さまにご協賛いただきました。以下では、スポンサー企業のみなさまのサービスをご紹介します。発達が気になるお子さんにも合いやすい学習・トレーニングサービスや、生活の困りごとを解消するサービスをご提供されています。ぜひご覧ください!Upload By 発達ナビ編集部LIFULL HOME’S 住まいの窓口は、住まい選び・家づくりの無料相談窓口です。発達が気になるお子さまをお持ちのご家族向けにも、住宅購入に関する相談を承っております。ハウジングアドバイザーがご希望の条件を整理し、あなたの要望に沿った会社をご紹介します。店舗は首都圏27店舗ございます(※2019年4月1日現在)。詳しくはサイトよりご確認ください。Upload By 発達ナビ編集部「個別指導のコーチング1」は発達障害・グレーゾーン専門の個別指導塾・家庭教師を提供しています。自立して学習を行うためのコーチングのノウハウを発達障害のあるお子さまの学習指導に応用しています。授業中だけでなく、授業外での週間計画を作成し、お子さまの学習習慣を築き上げていきます。中学受験・高校受験対策を行う発達障害専門の進学塾です。Upload By 発達ナビ編集部「ラーゴム・ジャパン」が手がける、スウェーデン生まれの”チェーンブランケット”は、適度な重みがあり、まるでハグされているような感覚をつくることで、不安感が不眠につながっている人に効果があると言われています。チェーンが内蔵されたこのブランケットには、4キロから14キロまで6タイプの重さのバリエーションや、キッズ向けタイプもあり、好みに合わせて選ぶことができます。Upload By 発達ナビ編集部「ニューロトラッカー」は、北アメリカで生まれた、脳トレ・ツールです。アメリカでは、発達障害がある子どもの注意力・集中力・作業メモリーなどの向上のために活用されているほか、アスリートのメンタル・トレーニングとしても取り入れられています。パソコンを使って、ゲーム感覚でトレーニングに取り組むことができます。上記のサイトをご覧になって、ニューロトラッカーに関心を持たれたご家庭向けの、モニター募集も実施中。以下のフォームからご応募ください。ニューロトラッカー体験モニター応募フォーム取材・文:関川 香織撮影:鈴木 江実子
2019年04月11日発達が気になる子どもにかかわる仕事って?必要な資格や仕事内容、働く人の本音まで知ることができる!発達が気になる子どもにかかわる仕事について「資格要件・仕事内容などの基礎を学べる」「大手法人と、仕事内容やキャリアに関してフランクに話せる」という、魅力たっぷりのイベント「LITALICOキャリアしごとフェスタ」を開催します。出典 : イベントでは、発達支援の事業所を運営する大手法人が個別ブースを出展。気になる法人と仕事内容・働き方・キャリアに関してフランクに話をすることができます。同時に「業界に関する知識や経験がなくて不安」「どのようにキャリアを積んでいくか知りたい」という声にこたえ、児童福祉分野で働くうえでの基礎知識がわかる「気になる福祉のお仕事まるわかりセミナー」や、「福祉業界のキャリアの歩み方」といった、どんな方にもきっと役立つプログラムも実施!会場には児童福祉分野に詳しいキャリアアドバイザーによる無料相談コーナーを設けます。「保育士や幼稚園教諭、学校教員の資格や経験って活かせるの?」「私に合った働き方を知りたい」といった疑問も気軽に相談できるので、疑問を解消することができます。現在児童福祉業界(児童発達支援・放課後等デイサービス)で働いている方、保育や教育・福祉の経験を発達支援に活かしてみたい方、児童福祉業界での働き方を知りたい方はぜひこの機会に、話を聞いたり、相談してみたりしてはいかがでしょうか。参加希望の方は、以下の概要を確認のうえ、申し込みフォームからお申し込みください。「LITALICOキャリア しごとフェスタ」開催概要【日時】4月14日(日)14:00~18:00※途中参加・途中退場可【会場】YCC ヨコハマ創造都市センター横浜市中区本町6-50-1▷アクセス■みなとみらい線 馬車道駅 1b出口(野毛・桜木町口・アイランドタワー連絡口直結)■JR・市営地下鉄線 桜木町駅 徒歩5分■JR・市営地下鉄線 関内駅 徒歩7分【日程】4月20日(土)14:00~18:30※途中参加・途中退場可【会場】生涯学習センター東京都八王子市東町5-6▷アクセス■JR八王子駅北口から徒歩4分北口駅前、桑並木通りクリエイトホール内■京王八王子駅から徒歩4分***********《2会場共通》【参加費】無料【参加特典】①参加者全員にQUOカード1000円プレゼント!②さらに、2名以上でご来場いただくと、追加でQUOカード1000円分プレゼント!「LITALICOキャリア しごとフェスタ」の見どころ紹介発達が気になる子どもの支援事業(児童発達支援・放課後等デイサービス)を運営する大手法人が、支援の特徴や、仕事内容、職場環境等について、説明いたします。アットホームな雰囲気の中、法人の担当者の方とフランクに話すことができます。【横浜会場】参加法人・株式会社フロンティア(e-キッズひろば)・.Connect 株式会社(このこのリーフ)・有限会社エスエヌ企画(ライズ児童デイサービス)・介護福祉サービス株式会社(放課後等デイサービス夢門塾)・社会福祉法人県央福祉会・合同会社らしさ・アイビートーク株式会社(すてっぷわん)・株式会社LITALICO(LITALICOジュニア)ほか【八王子会場】参加法人・特定非営利活動法人ひの・I-BASYO・株式会社LITALICO(LITALICOジュニア)ほかみなさまの知りたいことに合わせた約30分のセミナーを開催いたします。出典 : 【A】気になる福祉のお仕事まるわかりセミナー福祉業界について、知識・経験がない方もご安心ください。・発達が気になる子どもの支援の仕事とは・「児童発達支援」「放課後等デイサービス」とは・どうやったら福祉業界ではたらけるの?資格は必要?(児童指導員・児童発達支援管理責任者など)など、わかりやすく解説します。【B】福祉業界のキャリアの歩み方「いま子どもの支援の仕事をしているけれど、この経験を活かせる他の仕事ってあるのかな?」「今いる事業所とは別の支援の方法も挑戦してみたい」などと思っていらっしゃる方はいらっしゃいませんか?福祉業界のキャリアの歩み方や考え方について、さまざまなキャリア例をもとに、解説いたします。※内容は変更になる可能性がございます。福祉の仕事全般に関する疑問点、転職の不安・悩み等、ぜひ何でもご相談ください。「私でも発達支援の仕事ってできるのかな?」「これまでの経験を活かしてキャリアアップしたいけどどうしたらいいかわからない」そんなあなたの悩み・不安・疑問を児童福祉・障害福祉分野専門のキャリアアドバイザーが一緒に解消します。「LITALICOキャリアしごとフェスタ」は、発達が気になるお子さまへの支援にかかわる仕事について、一日で理解を深められるイベントです。ぜひご来場ください!【本イベントに関する問い合わせ先】LITALICOキャリア事務局info_event@litalico-c.jp
2019年04月11日夫に聞いてみた。発達障害育児、パパとしてのホンネって?広汎性発達障害の娘を育てる私たち夫婦。これまで子育てと療育を話し合い、協力しあってきましたが、実は夫の気持ちについては面と向かって聞いてこなかった…そうだ、質問してみよう!と思い立った私。前回、冷静に見えた夫が実は不安な気持ちでいたことに初めて気づきました。それを前向きに変えるために、いろいろ考え、子どもにも私にも心がけていたことがあることも…じゃあ、あの時は、あのことはどう思っていたんだろう?この際、気になったこと、夫にどんどん聞いていきます!Q.広汎性発達障害の診断がついた時、どう思った?まずは、娘の診断について。私は最初から、グレーンゾーンでどっちつかずな状態が中途半端で嫌だったので、「診断名がつくなら早くついてほしい」と思っていましたが…。Upload By SAKURA発達障害とは思っていたけど、どのタイプの発達障害かはわからなかった夫。正式に病名がついて、この発達障害について自分自身も調べることができ、娘の「できる」「できない」の理由も分かったので、診断がついて良かったと思ったそうです。私も、診断名がついた時、これからのことに身が引き締まる思いだったので、夫以上に「良かった」と感じていました。Q.特別支援学級への進級についてどう思った?娘は小学校入学時に通常学級に進学しましたが、昨年から特別支援学級に通うことになりました。娘の学び成長する大切な場所。在籍の変更にあたっては、夫婦であれこれ悩み…学校と話し合いもしました。Upload By SAKURA「娘が対象かもしれない」となった時、特別支援学級のことをどういう場所なのか、夫婦でいろいろ調べました。特別支援学級の、正しい現状を知ってからは、いいところばかりが見えてきました。特別支援学級に進級したことで、娘は…書けなかった作文が特別支援学級の先生の手助けで書けるようになったり、先生からの口頭の指示が、先生と一対一になることで聞き取れるようになったり、できることの幅も広がったので、今はとてもいい判断だったと思っているそうです。Q.娘の苦手(コミュニケーション・言葉)について、どう思っている?Upload By SAKURA言語や、相手の状況を考えて判断することが苦手な娘。娘自身も「自分がしゃべることが苦手」だということを知っているので、娘が苦しむ姿を見るのは心が痛くなるのだそうです。と、同時に、娘の将来のために、今、苦手にしている部分を少しでも克服できるよう、私たちでできる限りのことをしておこうと改めて思うそうです。Q.二人目ができた時、不安はあった?私たち夫婦には娘の他に2歳になる長男がいます。二人目の妊娠時、私は…「赤ちゃんの泣き声が苦手なあーさんは、大丈夫だろうか…」「あーさんの療育の時間、ちゃんと取れるだろうか…」と不安たっぷりでした。夫はどう思ってたのでしょうか?Upload By SAKURAしかし夫は、不安はなかったようです。逆に2人目ができたことで環境が変化するので、その刺激で、更に娘が成長できるのではないかという期待をしたといいます。夫婦で分かっているようで、初めて知った夫の気持ち。「パパに質問」意外といいかも♡今回、普段しないいろんな質問をし、夫が過去に思っていたこと…今思っていること…を知りました。聞きながら、そしてコラムを書きながら、正直泣きそうでした。療育に協力的なだけでなく、夫の考え方は、私よりはるかに進んでいるところにあると分かりました。私はこの夫がいなければ、娘の療育に積極的に取り組むことはできないでしょう。毎日、朝から夜まで仕事をし、子どもたちと遊んでくれる。私が娘のことで悩んだ時は、私の気が済むまで話を聞いてくれ、私が娘とぶつかった時は、仲裁に入ってくれる。夫は夫で思うところがあっても、私たちのために明るく振舞ってくれる。娘の発育の遅れが発覚してから、わが家が一度も暗くならなかったのは、いつも明るい夫のおかげだと、私は思っています。ただ夫が、わが子の障害を認め、寄り添ってくれるだけで、どんなに力になったか…Upload By SAKURA夫を改めて見直したのでした(笑)
2019年04月10日神奈川県児童発達支援事業所Upload By 発達ナビ施設情報ヨリドコロ横浜は、「ギフト=天性の才能や能力、神様からの贈り物」に満ち溢れている子どもたちが、もっともっと可能性を発揮できる世の中にしたい、という思いを胸に、2019年4月にオープンした事業所です。「アートデザイン療育」という、色彩をベースとしたカリキュラムを通して、子どもたちの表現力や創造力を養い、子どもたちの可能性を信じ、引き出し、将来の選択肢を広げるサポートをしているそう。お子さまの現状をしっかりと把握したうえで、「現段階での子どもたちの成長にとって何が一番よいのか」をご家族と一緒に追求し、楽しく個性を伸ばせる環境づくりを心がけています。ベテランの児童発達支援管理責任者をはじめ、小学校教諭、絵を極めてきたアーティスト、スポーツが大得意なお兄さんなど、さまざまな資格や特技をもつ専門スタッフが在籍しています。神奈川県の児童発達支援事業所をもっと見る通所支援施設とは?このコラムで紹介した「ヨリドコロ横浜」は児童発達支援を行う施設です。児童発達支援とは、障害児通所支援のひとつ。この4月から、新たにこのような通所支援施設を利用したいと考えている方も多いのではないでしょうか?そこで、通所支援施設とはどういうものかについて紹介します。これは、障害がある子どもを支えるための児童福祉法に基づく制度です。自宅から施設に通ってサービスを受けるタイプの事業の総称で、未就学児を対象とした児童発達支援、就学児が授業後や休みの日に通う放課後等デイサービスのほか、医療型児童発達支援や保育所等訪問支援などもあります。それぞれのサービスについて、詳しく紹介しているコラムもぜひ参考にしてみてください。施設の情報を探すには「施設情報」ページが便利!Upload By 発達ナビ施設情報LITALICO発達ナビの「施設情報」ページでは、放課後等デイサービス・児童発達支援施設を中心とした、お子さんの発達を支援する施設の情報を掲載中!お近くの施設を希望の条件に合わせて検索することができます。所在地や施設区分での検索のほか、受け入れ障害種別や受け入れ年齢、送迎や土日祝日の営業の有無など詳しい条件での絞り込みも可能になるなど、よりニーズに合った施設が探しやすいページへと少しずつパワーアップしています。また、新しく利用する施設を探すだけでなく、すでに利用中の施設があれば「利用者の声」を投稿することで他のお子さんの施設探しの参考になることも。ぜひお住まいの地域の施設を検索してみてください!
2019年04月09日発達障害の娘についてコラムを書くとき、心がけていること私はコラムで娘のことを書くときには、内容を娘本人に読んでもらってから完成させるようにしています。そうすることで私の記憶に間違いや思い違いがないかを確認できますし、また、本人の口から当時のことを聞くことで「え?あのときはそんなふうに考えていたの?」と、新たな気付きを得ることもあるからです。過去の出来事を振り返る作業は、ときには辛いこともありますが、娘の反抗期もある程度落ち着いた今「あぁ、あのときはそうだったよね~」と、笑って話せることも多いです。そんな娘の「原稿チェック」の様子は…Upload By 荒木まち子娘は一見、私が書いた原稿を最後までしっかり読んでいないように見えることもあるのですが、実際にはそんなことはありません。娘は幼い頃から「目からの情報」が入りやすい子どもでした。学校では言葉での一斉指示が入りづらく、廊下に気になる掲示物があると立ち止まって見入ってしまうこともしばしばありました。娘は読書も大好きで、放課後等デイサービスでは休憩も取らず何時間も本を読みふけってしまい、体調を崩してしまったこともあります。年齢とともに読む本のジャンルも広がりましたが、読むスピードも年々速くなっているようで、「ほんとに“読んだ”の?」「“見た”だけじゃないの?」と思うほど、あっという間に読み終えてしまうのです。娘は数年前にあるワークショップに参加して、認知特性を調べたことがあるのですが、そのときに「視覚優位の“カメラアイ”の特性が強い」「聴覚からの情報を処理することが苦手なタイプ」という結果が出ました。カメラアイとは、視覚優位の中でも物事を「写真」として記憶するタイプのことを指すのですが、これには本人も私も心底納得したものです。娘にとって「カメラアイ」は、うれしい特性ではないこのカメラアイによって速読することができるため、一見役に立ちそうな特性であり、定型発達の弟にうらやましがられることもあります。でも本人にとっては…Upload By 荒木まち子娘にとっては、カメラアイはそれほどうれしい特性ではないそうです。娘は、体調を崩したり不安が強くなったりすると「フラッシュバック」を起こすことがあります。これは過去の辛かった出来事や誰かに言われたことなどが、あたかもその場で再び起きているかのように鮮明に思い出される症状で、カメラアイという特性ゆえに起こります。娘はこのフラッシュバックに苦しめられており、その様子は傍から見ていてもとても辛そうです。娘なりのフラッシュバックとのつき合い方「フラッシュバックが起きたらコレ!」というような、即効性のある解決方法や特効薬は残念ながらありません。娘の場合は趣味の絵を描いたり、好みの音楽を聞いたりするなど、自分の好きなことに意識を向けると落ち着くようです。また、現在は「辛い」という事実を専門家や本人が信頼する人に話すことも実践しています。娘は今年で社会人2年目を迎えます。「大人の世界」では学生時代のようにいじめられたり、心無いことを言われたりすることはありません。それでもこの厄介な特性はいまだに娘を悩ますことがあります。幸いにも娘は特性に理解がある環境で働くことができています。でもそうはいっても「職場」は物事を教えてくれる「学校」でも、日常生活の困りごとを相談する「相談センター」でもありません。労働に対する対価を得るところです。この一年でそれを実感した娘は、自分の特性に向き合いつつ、困った時の対処法や相談先を日々模索しています。フラッシュバックへの娘なりの対応も、そのひとつです。最近では娘が悩みつつも学生時代のように受動的ではなく、自ら障害に関するセミナーに参加したりと、主体性をもって自分の特性について学び、自己理解を深め、解決策の工夫を考えるようになってきたことを私はうれしく感じています。
2019年04月08日自閉症の息子ができることを増やしたい『発達障害に生まれて』(松永正訓著/中央公論新社)ノンフィクションのモデルとなった立石美津子です。息子が特別支援学校高等部3年生だった時のこと。私はリンゴの皮むきをしていて、ふとこんなことを思いました。「親である私がいつまでも切ってやるのでは、息子の自立を阻んでしまうのではないか?将来グループホームに入るにしても、これくらいは1人でできるようにならないと困るだろう。」そう考えだすと、居ても立ってもいられなくなり…。私は、息子にリンゴの皮むきの練習をさせることにしました。リンゴの皮むき、どうしたらできるようになる?リンゴの皮むきを練習させるにあたり、私にはひとつ心配事がありました。それは、「息子が練習の途中で上手くできず、私がダメ出ししたなら、パニックになってしまうだろう」ということです。それはそうですよね。できない課題を与えられて、一生懸命に取り組んでいるのにダメ出しされてしまうのでは、人間誰しも心が折れてしまうと思います。「今度は失敗しないように頑張ろう!」という前向きな気持ちには、なかなかなれないでしょう。そこで私は、いきなり高い目標を掲げるのではなく、スモールステップで成功体験を積みながら次の課題へと進んでいけるよう工夫してみました。わが家で実践したリンゴの皮むきの練習法Upload By 立石美津子「〇月になったらリンゴの皮むきを練習しよう」と、1ヶ月前から予告しました。わが家の場合、息子は学校生活最後の高等部3年生でしたので、「就労の実習も始まるし、だんだんと大人に近づいてきているから、リンゴの皮むきを練習しよう」というように話をしました。まず、リンゴを半分に切る練習をしました。リンゴが大きすぎたり形がいびつだったりするとうまく切れないので、同じ種類で、なるべく切りやすそうな形のものを買ってくるなど、準備にも気を配りました。ここでのゴールは、とにかく「2つに切る」ということだけです。大きさがバラバラに切れてしまったりしても何も言わず、ただ切れたことだけをオーバーに褒める。そして翌日からは「昨日よりも上手く切れたね!」と褒めちぎることを心がけました。Upload By 立石美津子Upload By 立石美津子半分に切ったものを更に半分に切って、4分の1にする練習をしました。 この時も「昨日よりも上手に切れているね!」と褒めるようにしました。Upload By 立石美津子4分の1にした後、両端の芯を切り落とす練習をしました。Upload By 立石美津子芯を切り取る練習をしました。一気に進めないで、あくまでも「少しずつ次のことに取り組む」のがポイントです。Upload By 立石美津子Upload By 立石美津子ここでいよいよ、最終ゴールである「皮をむく」に挑戦しました。Upload By 立石美津子分厚く切っても、逆に実が薄くなってしまっても、決してダメ出しはしません。そして「昨日よりも上手にできたね」とだけ言うようにしました。Upload By 立石美津子Upload By 立石美津子こうしてスモールステップを積み重ねていくことで、無事にリンゴの皮をむけるようになりました。ひとつひとつのステップにじっくり取り組み、5週間という時間をかけましたが、おかげで息子は失敗してもパニックになることなく、リンゴの皮むきができるようになったのです。Upload By 立石美津子スモールステップを積み重ねる方法は、さまざまな場面で有効今回リンゴの皮むきを練習させる際に意識したのは、この3つのポイントです。1. あくまでもスモールステップを積み重ねる。前の週にやらせたことを必ず新しい練習の中に組み込み、「前より上手になったね」と褒めることを忘れない。2. 連続して毎日取り組む。3. 失敗したとしても、本人のがんばりを決して否定しない。今回わが家ではリンゴの皮むきの練習をしましたが、この方法はさまざまな場面で活用することができると思います。私は昔、特別支援学校教諭免許を取るための実習で、「シャツの5個のボタンをとめる練習」を特別支援学校の生徒と行ったことがあります。実はこのときも、1週間ごとに課題を増やすやり方をしていたのです。具体的には次のような手順で練習をしていました。Upload By 立石美津子●1週間目1番下のボダンだけ自分でとめます。1番上のボタンは首元にあるため、自分の目で確かめながらとめるのが難しく、下のボタンから練習をする方がやりやすいのです。●2週間目下から2番目までを自分でとめます。●3週間目下から3番目までを自分でとめます。●4週間目下から4番目までを自分でとめます。●5週間目5個のボタン全部を自分でとめます。もっと小さな子どもの場合、すべり台の練習をする時にもこの方法を試してみたらどうでしょう。子どもがすべり台を怖がっている時、いきなり上まで登らせてしまうとこわくなってしまうかもしれませんから。●1週間目親はすべり台の横に立ち、下から3分の1くらいのところに子どもを座らせる。そこから、親が脇を持ってあげてすべらせる。●2週間目同じ要領で、今度は下からちょうど半分くらいのところから、親が脇を持ってあげてすべらせる。●3週間目同じ要領で、今度は上から、親が脇を持ってあげてすべらせる。●4週間目上から親と一緒にすべる。●5週間目1人ですべる。時間がかかってもいい。急がば回れ!息子がリンゴを切れるようになるのに1か月以上かかりましたが、これだけ時間をかけたからこそできるようになったのだと思います。最初から完璧にやらせようとしすぎてダメ出しをし、親子喧嘩になるということも避けられました。良かった良かった!まさに「急がば回れ」です。今では、リンゴの皮むきは完全に息子に任せていて、私よりも上手にむけるようになりました。「自分は果物をむける」ということが自信になったようで、柿や梨をむく係も率先してやってくれます。私も「できてあたり前」だと思わず、「ありがとう、今日もうまくむけているね」の言葉を忘れないようにしています。
2019年04月05日むっくん一家の「旅行の心得 8ケ条」みなさん、ゴールデンウイークはお出かけの予定はありますか?ちょっと先の夏休みの予定もそろそろ立て始めるころでしょうか。ですが、発達凸凹ちゃんに限らず、小さな子ども連れの旅行ってものすごく大変です。わが家の暴れん坊たちも、もちろんすっごく大変です。それでも何とか楽しい旅行にしたいですよね。そこで、わが家の宿泊の心得をまとめてみました。わが家の家族旅行は、事前準備がキモなんです…!Upload By ウチノコ宿泊ってとってもワクワクします。洋室かな、和室かな。どっちに泊まろう?なんて言いながらステキなお部屋を探しますが、ふと冷静に考えてみると、洋室はベッド…。寝具がやたら好きなわが家の2人。家でさえ布団を敷くだけで運動会です。ベッドと2人のコラボを想像してみると地獄じゃないか!!和室だ、和室!!ベッド常設の洋室の場合、部屋に入った瞬間から親子の戦いが始まるけれど、和室であれば布団が敷かれてから寝るまでの短期決戦で済みますから。そんなわけでわが家では、宿泊の際はできる限り和室を予約するように心がけています。Upload By ウチノコ宿泊先とは、電話でコンタクトをとることを意識しています。子連れであること、子どもは2歳と5歳の男の子であること。ものすごく賑やかであることを必ず伝えるようにしています。インターネット予約では2人の賑やかさを伝えることを難しく感じることもあり、電話で声で、真剣にこちらの状況を伝えておくことを心がけています。お伝えしていないよりも、きちんとお伝えしておいた方が、宿泊先の方にとっても好ましいのでは?と考えているのですが、実際どうなんでしょう…。Upload By ウチノコいよいよ旅・当日です。わが家では子どもを部屋に入れる前に、夫婦どちらかが先回りして、息子たちの興味を引きそうなものを隠すようにしています。とくに電話は対策がマスト。息子たち、電話を見つけたら、絶対にかけちゃいます。緊急用の懐中電灯に、靴ベラも戦いごっこの武器になり危険です。床の間の壺に枕もとのランプも、一度目に入ってしまったら、彼らは忘れません。見つかった後に隠しても、出してくれ!と大泣きになることが目に見えています。そんなわけで入室時は気が抜けません。Upload By ウチノコ部屋に入った2人はまず探検をはじめます。開けられるところはすべて開けます。押し入れの中身やクローゼットを物色、金庫に冷蔵庫のチェック。靴箱のスリッパはぜーんぶ試し履き。2人は初めての場所に不安を感じているようで、すべて自分の目や手で確認すると安心できるようです。2人に危険が及ばないよう見守りつつですが、「安心する儀式」を止めてしまわないように気をつけています。Upload By ウチノコ早く座ってゆっくりしたいなーと思いつつも息子たちの探検を見守りますが、机上のおやつを見つけたところで終わりを迎えます。ごはん前だってかまいません。それで落ち着けるならそれでいい、どうぞ召し上がれ!旅行先で楽しそうにしていても、2人には環境の変化というストレスがかかります。お家ルールをいつもよりゆる~くしてあげることが旅行先で親子うまくやるコツな気がしています。Upload By ウチノコ「子ども用浴衣用意しています」と宿の案内に書いてあったとしても、いつものパジャマは必ず持参します。繰り返しますが、環境の変化は2人にとってストレスです。ストレスでいつもより扱い辛くなる2人は、宿泊先の見慣れない、着慣れない子ども用の浴衣は拒否!野生動物かのような鋭い感覚を持つ2人には、いつもと違う場所で、いつもと違う衣類を身につけるなんて命にかかわるほど危険な行為に思えるのかもしれません。運よく袖を通してくれても、それで眠ることは無理。いつものパジャマであることが安眠につながるのです。Upload By ウチノコ宿泊予約時の話に戻りますが、わが家は食事場所は個室もしくは部屋食をお願いするようにしています。食事処だと、ひとしきり自分の食事を食べ終えたら走り回りはじめてしまう2人…。ですから、大人はコース料理2品目のお刺身が出たところで引き上げることになります。食事処ではゆっくり最後の料理まで食べられないのです。そんなわけで予約の時に食事場所の希望も念入りにお伝えしてます。多少の追加料金は目をつむろう、食事くらいゆっくりたべたいじゃない…。Upload By ウチノコスマホを大いに利用して、食事だけはゆっくり食べます。そう!このための個室か部屋食!部屋食だと尚、気持ちが楽。元気いっぱいの子どもと一緒に1日お出かけしたんだもん。温泉だって駆け足入浴だもん。食事時間くらいは死守したって、きっとバチは当たりません!子どもたちだって、自分たちは食べ終わっているのに、大人の食事が終わるまで「静かにしろ」だの「じっとしてろ」だの言われず、のんびり過ごせてお互いハッピーなんじゃないかなと思っています。ご家庭ごとにいろんな心得があるかと思いますが、わが家の場合いかに入念に準備計画するかが旅行の命運を分けます。最近ではキャンプ場が気が楽でお気に入りですが、子どもが乳児のうちはキャンプは難しいし、たまには奮発して旅館も楽しみたい!楽しい思い出づくりのため、しっかり準備して、わが家も皆さまにとっても楽しいゴールデンウィークになることを願っています!
2019年04月04日認知度が上がり、世間の理解が深まりつつある、発達障害。ですが、まだまだネガティブな受け取り方をされることが多く、発達障害の子を持つ親として、ちょっとだけ残念な思いを抱いていました。そんなモヤモヤを解決してくれたのが、信州大学医学部子どものこころの発達医学教室教授である本田秀夫先生の著書 『発達障害 生きづらさを抱える少数派の「種族」たち』 でした。第2回のインタビューでは、本田先生が考える「療育の本当の意味とは?」についておうかがいします。お話をうかがったのは…本田秀夫(ほんだ・ひでお)先生信州大学医学部子どものこころの発達医学教室教授特定非営利活動法人ネスト・ジャパン代表理事精神科医師。医学博士。1988年、東京大学医学部医学科を卒業。東京大学医学部附属病院、国立精神・神経センター武蔵病院を経て、横浜市総合リハビリテーションセンターで20年にわたり発達障害の臨床と研究に従事。発達障害に関する学術論文多数。英国で発行されている自閉症の学術専門誌『Autism』の編集委員。2011年、山梨県立こころの発達総合支援センターの初代所長に就任。2014年より現職。日本自閉症協会理事、日本自閉症スペクトラム学会常任理事、日本児童青年精神医学会代議員。■発達障害「早期発見・早期療育は子どもではなく親のため?」―― 前回 、親が早期に子どもの特性を知っておくことの重要性を教えてもらいましたが、早期発見は早期療育の効果へとつながるのでしょうか? よく、療育を始めるのは早ければ早いほど良いなどと言われますが…。本田秀夫先生(以下、本田先生):僕は、絶対そういうことは言わないようにしています。――なんと…(驚)。そういったお話も聞いたことがありますが、臨床の現場で約30年、幼児期から成人期まで一貫して診てきた先生がそうおっしゃるのは、また違った重みを感じます。本田先生:そもそも早期に発見される子の方が、大人になった時の障害は重いのですよ。なぜなら、症状が重い子の方が早く発見されるから。症状が軽くて、知的障害がない発達障害の場合は、就学時健診でもわからないことも多いのです。ですから、早く発見された人ほど良くなるというのは正確ではありません。――確かに…。本田先生:でも、僕は早期発見・早期療育を推進しています。理由はただ一つ、親御さんの認識を変え、親御さんが学ぶチャンスが早くなる、ということです。実は僕、子どもを療育しているフリをして、親の認識を変えることこそが療育だと思っていますから。つまり、子どもをどうこう療育するというより、親がコペルニクス的に認識を変えられるかどうかが非常に大事なのです。――深いお話…。本田先生:早期に親御さんがわが子の特性を知れば、対処法を学ぶこともできます。例えば、たびたびパニックを起こすようなお子さんだと、親御さんは疲弊してしまいますよね。でも、これを防ぐのは意外と簡単で、パニックを起こしたくなるような刺激を与えなければいいのです。例えば、子どもが好きなことをやっている最中に止めさせようとするとパニックを起こすということがわかれば、大好きなことはある程度切りのよいところまでやらせて次の活動に切り替えさせればよいわけです。ほかの子が近づくとたたいてしまう場合は、ほかの子が近くにきたら、その間に親御さんがスッと割って入って、その子の手が届かないようにすればいい。知っていれば未然に防げるけれど、知らないと結局、親子ともども嫌な思いを重ねることになってしまいます。■「療育でグレーは白にならない」子どもファーストの環境を――親への効果はよくわかりましたが、子どもにとっては本当に効果がないのでしょうか?本田先生:私たちの療育では、基本的に子どもファーストで考えてプログラムを組みます。例えば、一般の子育てなら、2歳の子どもに箸を使う練習はさせませんよね? 2歳くらいならスプーンを使ったり、大人がフォローしてあげればいいわけです。それが、成長につれて箸を使うようになったり、だんだん変わっていくのですが、そのペースが発達障害の子たちはほかの子と違います。ですから、今何を教えたらその子に身につくのかということを、一人ひとり厳密に考えていきます。そうして子どもに合った環境やプログラムを整えてあげれば、情緒的に安定して、活動に意欲的に取り組め、子どもも伸びると思いますよ。――ということは…? と、親はつい期待してしまいますが。本田先生:ただし、ここで一つ注意が必要です。親御さんは「療育で子どもが良くなった! このままいけば治るのでは…?」と思ってしまいがちですが、子どもが良い状態にあるのは、こちら側が相当に配慮した環境だからであり、環境が変われば元の木阿弥です。前回も言いましたが、「グレーとは 白ではなくて 薄い黒」ですから。特性そのものは消えません。ですから、そこまで伝えるために、僕たちの療育では親御さんにも時々参加してもらって、どういう状態だったら子どもが落ち着いた良い状態になるのかを学んでもらうようにしています。■発達障害「どのような大人になるかは、親の育て方次第」――いかに子どもを取り巻く環境が大事か、ということなのですね。本田先生:そうです。発達障害というのは、もともともの原因は育て方のせいでなるわけではないのですが、「どのような大人になるのかは、育て方次第」と僕は思っています。例えば、背が低いことで悩んでいる人がいるとして、「別にいいじゃん」と言ってもらえるのと、「このままじゃヤバいよ! 早くなんとかしないと!」と言われるのでは、本人の受け取る印象はずいぶん変わってきますよね。それと同じで、親御さんがなんとか子どもの苦手を克服させたい、平均にそろえたいと思えば思うほど、克服できない部分が残った時に、子どもは親の期待に応えられない自分を責めてしまうのです。否定的な雰囲気の中で育つと、自己肯定感も低くなりますし、さらに責めたてられるような雰囲気の中で育つと、抑うつ的になってしまったり、逆に、自己防衛する意味で攻撃的な性格になってしまう危険性があります。――確かに…。でも、親は、わが子に対して「こう育ってほしい」という理想を持ってしまうものなのかもしれません。良かれと思って、つい…(苦笑)。本田先生:申し訳ないけれど、いかに親の価値観や考え方をリセットできるかが大事なのです。難しいかもしれませんが、先に理念を変えるというより、実践しながらの方が価値観は変わりやすいと思いますよ。どんな時に子どもが情緒的に不安定になって、どんな時に落ち着いているのか、その両方の状況の違いがわかれば、だんだんと親御さんのとらわれが溶けていくと思います。そのプロセスをなるべく幼児期のうちに通過しておくと、学校に入ってからが楽になると思います。――学童期になると、別の難しさが発生するのでしょうか?本田先生:学校に入ると、親御さんだけではなく先生の中にも「学校ではこういう子どもを育てるべき」という考えを持つ人がいるので、子どもは、家でも学校でも問題児というレッテルを貼られてしまう危険性があります。子どもがトラブルを起こして、先生に怒られて、親御さんも学校から「家庭のしつけが悪い」などと責められて心が病んでしまったり…。そうなってからですと、非常に対応が難しくなります。――確かに…。自由な幼児期と違って、学校では勉強が始まるので、クラスの雰囲気を乱すような子に対して、先生だけはなく保護者の目も厳しくなるように感じます。本田先生:実際のところ、文部科学省の発表では、通常学級の生徒の中になんらかの発達障害を持つ子が6.5%いるということですからね。クラスに必ず数名はいるということになります。早いうちに子どもの特性を理解して、周囲にきちんと説明できるような親御さんが増えて、そういう子がいるのがむしろ当たり前、という雰囲気になってきたらよいですよね。そして、学校もそういう子がいるという前提で、活動内容を組み立てるのが、当たり前になってほしいと思います。社会集団には、個性の凸凹がある程度存在します。「よくある個性」と認める範囲が広い集団では、「少数派」の人がそれほど目立たなくなります。発達障害の人も、その他のさまざまな個性がある人も、それぞれが自分のことをよく理解し、それが自分の普通だと思って生きていけるような社会が、本来あるべき社会の姿だと、僕は思っています。今回のお話や本を通して、いろいろな普通があることを、多くの人に理解してもらえればと思います。もし、わが子の発達に不安を感じている方や、すでに子どもが発達障害と診断され悩んでいる方がいたら、ぜひ一度、本田先生の著書を手に取ってほしいと思います。本を読む前と読んだ後では、きっと発達障害への印象がガラリと変わることでしょう。もちろん、そんな気持ちの部分だけではなく、「発達障害とはどんな障害か」ということもわかりやすく解説し、具体的な環境設定や支援方法まで紹介してあり、発達障害への理解と対応力が一段と深まることと思います。「どのような大人になるかは育て方次第」――その言葉に改めて、発達障害児の子育てにおける、親の役割の重要さを感じた取材でした。参考図書: 『発達障害 生きづらさを抱える少数派の「種族」たち』 (SBクリエイティブ)精神科医として30年以上、臨床経験の大半を発達障害の診療に費やし、乳幼児から成人まで、さまざまなライフステージの方たちによりそってきた、本田秀夫医師による著書。発達障害とは、なんらかの機能や能力が劣っているのではなく、「病気」というよりも、「選好性の偏り」と考えるほうが、ずっと当事者の理解に役立つ。そんな視点から発達障害を理解し、発達障害の人の行動や心理、支援の方法までをわかりやすく解説。まちとこ出版社N
2019年04月02日認知度が上がり、世間の理解が深まりつつある、発達障害。ですが、まだまだネガティブな受け取り方をされることが多いように思えます。例えば、園や学校の先生から子どもの発達相談を勧められると、「失礼だ」と怒る保護者がいたり、クラスで浮いた子がいると「あの子、発達障害なんじゃない?」などと保護者が陰口のように使ったり。発達障害の子を持つ親として(著者は2人きょうだいの下の子が自閉症スペクトラム障害)、認知が広まったのは喜ばしいことですが、ちょっとだけ残念な思いを抱いていました。どう伝えたら、こうした考えを変えられるのだろう?と。それを解決してくれたのが、信州大学医学部子どものこころの発達医学教室教授である本田秀夫先生の著書 『発達障害 生きづらさを抱える少数派の「種族」たち』 でした。それによると、「発達障害は何かができない「障害者」というよりも、独特のスタイルをもつ「少数派の種族」であり、その間にあるのは「多数派」か「少数派」という「割合の差」である」とのこと。その解説が非常に腑に落ちて、以来、息子の子育ての指針にしています。もし、同じように子どもの発達に不安を抱えていたり、悩んでいるお母さんがいたら、ぜひこういった考えを知ってほしい――そんな思いで取材を申し込みました。お話をうかがったのは…本田秀夫(ほんだ・ひでお)先生信州大学医学部子どものこころの発達医学教室教授特定非営利活動法人ネスト・ジャパン代表理事精神科医師。医学博士。1988年、東京大学医学部医学科を卒業。東京大学医学部附属病院、国立精神・神経センター武蔵病院を経て、横浜市総合リハビリテーションセンターで20年にわたり発達障害の臨床と研究に従事。発達障害に関する学術論文多数。英国で発行されている自閉症の学術専門誌『Autism』の編集委員。2011年、山梨県立こころの発達総合支援センターの初代所長に就任。2014年より現職。日本自閉症協会理事、日本自閉症スペクトラム学会常任理事、日本児童青年精神医学会代議員。■「純粋な発達障害」とは? 誤解を生む理由は「二次障害」――発達障害はずいぶん世間に認知されるようになりましたが、まだまだネガティブな受け取り方をされることも多いように思えます。そんな中で、先生の本の「発達障害は障害というより『少数派の種族』」というお話は非常に腑に落ちました。本田秀夫先生(以下、本田先生):発達障害は障害というより、「少数派の種族」と考えると理解しやすいと思います。その両者には優劣の差はなく、その間にあるのは「多数」か「少数」か、という割合の差だけなのです。でも、割合の差があるからこそ、発達の特性は「少数派」の「選好性(※)」となり、「多数派」の人の理解を得ることが難しくなり、それが生きづらさにもつながってしまうのですよね。――単なる「少数派」であり、なんらかの機能や能力が劣っているというわけではないのですね。本田先生:いきなり関係ないような話をしますが、僕は「X-メン」という映画が大好きでして。あのお話では、普通の家族の中に、時々、遺伝子変異を起こしたミュータントが出現するのです。「ハリー・ポッター」もそうですが、映画の世界では、主人公が何か特殊な能力を持ってしまうというお話がたくさんありますよね。そこに共通してあるのは、彼らのような特殊能力をもった人たちは、一般の人間から見ると得体が知れず、脅威に思えるということです。――確かに。わからないものに対して、怖いという感覚はわかるような気がします。本田先生:発達障害も似たところがあって、自分たちが慣れ親しんでいる文化や流儀とは違うものを異端視している人たちから見ると、彼らの存在そのものが脅威なのです。もしくは、その脅威を打ち消すために、強烈な差別意識でかぶせているのです。例えば、「ああいう子にだけはなってほしくない」という思いもそう。そういう価値観を持っている人たちが一部いるのも事実です。また、実は純粋な発達障害の人というのは、あまり表には出てこなくて、僕のような専門家と本人や家族しか知らないのですよ。そこが、発達障害が誤解される一番のポイントかもしれませんね。――どういう意味でしょうか?本田先生:メディアに出演してカミングアウトしている方の多くは、どこかで傷ついた人たちなので、すでに二次障害をともなっているからです。例えば、会社でよく「困った人」と言われる発達障害の人たちは、だいたいみんなと協調できないことが多いのですが、実は、僕が幼児期からずっと診ている発達障害の人たちのほとんどが、まじめで素直な良い人たちなのです。つまり今、会社で「困った人」と言われる発達障害の人たちの多くは、適切な環境で育てられなかったために、すでに二次障害をともなっていて、それをメディアで発達障害と紹介してしまっているわけです。――なるほど…。本田先生:二次障害をともなわない、純粋な発達障害の特性だけが残っている人というのは、比較的順調に生活しているので、メディアに出演して主張するモチベーションもないのです。ですから、一般の人たちはあまり知る機会がないと思いますよ。今、残念ながら発達障害というと、二次障害をともない複雑になってしまった人たちばかりがクローズアップされているので、このような形で啓発するだけでは、あまり溝が埋まらないのでは? という思いはありますね。■発達障害「グレーとは 白ではなくて 薄い黒」――では、発達障害の特性そのものだけであれば、もう少し順調に生きられると? 本田先生:もちろん、純粋な発達障害の人も、「多数派」向けに作られた社会で生きていこうとしたら多少は苦労しますよ。はじめにお話したように、「多数派」と「少数派」という割合の差があるからこそ、発達の特性である「少数派」の「選好性」は、「多数派」の理解を得ることが難しくなるので。また、知的障害や学習障害などがある場合は、能力の凸凹問題は残りますので、自信がないと感じることもありますし、一般の会社勤めが難しくて、就労支援に通っている方も大勢いらっしゃいます。ですが、そうやって生活しながら、その人なりに楽しく暮らしている方も大勢いるわけです。――自分に合った生き方や環境が選べれば良いのですね。本田先生:発達障害の特性が、致命的な弱点になるのは、その特性を本人やまわりの人が理解できず、無理を重ねて失敗や衝突を繰り返し、本人の自尊心やまわりの人との人間関係などが傷ついてしまった時です。ですから、発達障害の人は、いかに自分の特性を認めてもらえるような生き方や苦労しなくてすむ環境を選べるかが重要なのです。――その生き方や環境を選べるようになるために、必要なことは何でしょう?本田先生:自分の特性を知ることがすごく大事になってきます。苦手なことは克服しようとせず、堂々と逃げた方がいいですよ。苦手なことを努力で克服することを強いられて育つと、「ここまで努力してでもできない自分は人としておかしいのではないか?」という価値観を身につけて、二次障害になりやすいので。いかにラクして人生を送るか、ということだけを考えて生き続けることが結局、一番成功するのですよ。――そうなると、子どもの場合は、早期に親が特性を知っておくことが大事になりますね。本田先生:非常に大事だと思います。ただ、よく「早期に発見して療育を受ければグレーが白になる(発達障害が治る)」と思っている親御さんもいるのですが、グレーというのは絶対に白にはなりません。それを広めるために僕、川柳を作ったのですよ、「グレーとは 白ではなくて 薄い黒」と。――特性は一生消えないのですね?本田先生:グレーならグレーな大人になればいいのです。白にならないで生きていく方法を探せばよいのです。中には、診断を下されるのを恐れる親御さんもいますが、これも受け取り方次第ではないでしょうか? 例えば、遠くの字が見えない人に「あなたは近視です」と診断したとしても、「まぁそうだよね」って思うだけですよね。要するに、近視の人は、別に医者に診断されなくても、遠くの字が読めないことはわかっているわけです。そこに診断名がついたからといって、その日から何かが変わるわけではありません。■発達障害「〇〇が苦手」ではなく「〇〇より△△を優先」ととらえる意識――私自身も昔、子どもが診断を受けた時は重みを感じました。スッキリしたと同時に「覚悟を決めねば」という思いが交錯して(苦笑)。本田先生:医者の伝え方も大事かもしれませんね。例えば、「自閉スペクトラム症です」と伝えるより、「この子には『空気を読むのが苦手』とか『こだわりやすい』という特徴があって、こういう特徴が大人になっても残ります」というふうに説明すると、納得してくれる親御さんが多いです。僕も、親御さんによって伝え方を工夫しています。…でも、診断名を過剰に恐れるのは、発達障害を何か悪い病気だと誤解しているのかもしれませんね。――その通りですね。私自身、発達障害のことをきちんと知る前は、何かが欠陥した障害のように誤解していました。だからこそ、もし同じように悩んでいるお母さんがいたら、先生のようなお考えを広く伝えていきたいです。本田先生:はじめにお話したように、発達障害は障害というより、「少数派の種族」のようなものですから。発達障害の人は自分の「選好性」をきちんと理解し、身近な人にも理解してもらい、「多数派」向けに組み立てられている生活を「少数派」向けに調整すれば、きっと生きづらさは軽減するはずです。親御さんにはぜひ、この「選好性」という視点から、お子さんの特性をとらえてみていただきたいと思っています。発達障害の特性を「~が苦手」というように、なんらかの機能の欠損としてとらえるのではなく、「~よりも~を優先する」というふうに考えてみてください。例えば、「雑談が苦手」というとらえ方を「雑談よりも内容重視の会話をしたがる」というふうに。その方が、より発達の特性を適切に理解できると思います。「グレーとは 白ではなくて 薄い黒」――。特性が薄いほど、親は障害に気づかず、とかく「白」に近づけようと努力を強いてしまいがちですが、それは、むしろ逆効果。グレーのまま生きやすい環境調整をすることこそが親の重要な役目なのだと、教えていただきました。 次回 は、本田先生が考える「療育の本当の意味」についておうかがいします。※ここでいう「選好性」とは、好き嫌いの「嗜好性」ではなく、心が特定の方向に向かうという「志向性」のこと。参考図書: 『発達障害 生きづらさを抱える少数派の「種族」たち』 (SBクリエイティブ)精神科医として30年以上、臨床経験の大半を発達障害の診療に費やし、乳幼児から成人まで、さまざまなライフステージの方たちによりそってきた、本田秀夫医師による著書。発達障害とは、なんらかの機能や能力が劣っているのではなく、「病気」というよりも、「選好性の偏り」と考えるほうが、ずっと当事者の理解に役立つ。そんな視点から発達障害を理解し、発達障害の人の行動や心理、支援の方法までをわかりやすく解説。まちとこ出版社N
2019年04月01日4年目を迎えたLITALICO発達ナビ新編集長就任みんなでつくる発達障害ポータルサイトとして2016年1月26日にスタートしたLITALICO発達ナビ。会員さん同士が相談・交流できるQ&Aやコミュニティサービス、児童発達支援・放課後等デイサービスを中心に全国の社会資源とつながる「施設情報」、子どもの発達をサポートする企業さんとのタイアップ企画、編集部による子どもの発達やその支援に関するコラム発信など、さまざまなサービスをお届けしてきました。いつ、どこにいても自分に合った支援につながるように。地域・社会に働きかけた3年目のLITALICO発達ナビ本記事の書き手である私、鈴木悠平は創刊時から発達ナビ編集長として、会員のみなさんの声をお聞きしながら情報をお届けしてきましたが、この4月1日から、編集部デスクとしてともに働いてきた牟田暁子さんに編集長を引き継ぎます。自身も母親として発達ナビのサービスを積極的に利用していたユーザーだったという牟田さんに、これまでの仕事や子育てでの経験、これからの発達ナビの展望を語ってもらいました。Upload By 鈴木悠平「読者にいかに届けるか」出版社での編集者時代に学んだこと鈴木: 今日はですね、これから牟田さんが編集長ですということを、発達ナビ会員さんにもお知らせしたいなと思って企画しました。牟田さんっていう人がどんな思いで今までやってきて、これから発達ナビ会員のみなさんと一緒にどんな場をつくっていきたいか、みたいなことを、よもやま語る会です。牟田: よろしくお願いします。なんだか緊張しますね(笑)鈴木: まぁ好きにしゃべってください(笑)Upload By 鈴木悠平鈴木: 「私も発達ナビ使ってます!発達ナビで働きたくて、編集者を募集していないかな?と求人情報が出ないかずっと見ていました」と、2年ほど前に面接に来て入社してくれた牟田さん。「あぁ、もう絶対この人!」と思って採用しました。僕と違って出版社での雑誌・書籍の編集経験も長く、頼もしいなぁ、編集部をよりパワーアップさせてくれるだろうなぁと。これまでのお仕事の話も今日はお聞きできればと思います。牟田: 新卒の1社目は宝島社でした。隔週刊のファッション誌を担当していたんですけど、当時は今のようにネットも発展していなかったから、「雑誌」が最先端の一番新しい情報を集めて届けている、という自負や存在感がありました。ファッション誌で隔週刊っていうのは、当時でもほとんどなかったと思います。編集者7人で隔週刊の雑誌をつくるという体制でした。鈴木: なかなかハードだったでしょう。牟田: ハードでしたが、すごく楽しかったですね。自分がファッションとかカルチャーに関して一番新しいものを知っていたいっていう気持ちで、昼も夜も打ち合わせや執筆なんかでいつも忙しいかったんですけど、それでも時間をつくって業界の人と飲み歩いたりして。編集者としていろんな情報をキャッチするための、人とのつながりの大切さとか、その良い情報をどれだけ早く読者に届けるかということをすごく意識していました。2社目の主婦の友社では、女性向けファッション誌の創刊メンバーとして入社しました。この雑誌も、当時は隔週刊で。ファッション特集の担当者として、育休を挟みながら10年くらい携りました。ネットでインタビューなんてできない時代だったので、読者の方に会社に来てもらって100人インタビューをしたり、「47都市スナップ」という看板企画では、編集部員総出で47都道府県に取材に行って、その街のおしゃれな女の子を撮影したり、魅力的なお店やスポットについて聞いて回って紹介したり…とにかく「読者の立場に立つ」ということを徹底して行っていましたね。Upload By 鈴木悠平牟田: 2人目の育休あけに配属された書籍編集部では、書籍のほか、季刊のライフスタイルムックを出すタイミングだったので、それをメインで担当しました。社名が示すとおり、「主婦の友」として、生活の役に立つ情報を、「どれだけ噛み砕いてわかりやすく丁寧に細やかに伝えられるか」というところにすごくこだわっている会社でしたね。最新の情報をキャッチして、読者が夢や希望を持てるような情報発信をすることと、それを実際の生活に役立てられるように落とし込んでいくこと。2社それぞれで学んだことは、今でも発達ナビの編集をする上で意識していますね。希少疾患のある娘と歩んだ10年間。その子をその子として見つめてくれるセラピストと出会って鈴木: 牟田さんには二人のお子さんがおられて、僕も下の娘さんには何度か会わせてもらったのですが、牟田さんがこうした子どもの発達支援の仕事に関わるようになったのは、娘さんの存在も大きいのではないでしょうか。牟田: そうですね。娘はいま10歳。約2万人に1人の確率で生まれる希少疾患があります。発達障害のある子どもたちと特性や症状が重なる部分もかなりあります。Upload By 鈴木悠平鈴木: 発達障害に関しては、この10年で情報も支援環境もだいぶ変化してきたと思いますが、それでも発達ナビには日々たくさんのお悩みやご相談が寄せられていますね。10年前で、なおかつ希少疾患となると、より一層情報収集は難しかったでしょう。牟田: とにかく情報がなくて「この子に何をしてあげたらいいのか」がわからなくて…情報を探すところでものすごく労力を使っていたというのが大きいですね。今でこそ、発達障害の認知も上がってきましたし、発達ナビのようなサイトが月間100万人以上の方に使っていただけるような状況ですが、自分が出版社にいたときには、発達障害や障害のある子というテーマだけで成り立つような雑誌をつくるなんてことはちょっと考えられなかったですね。娘が産まれたころは、ネットを見てもブログを書いてる人はまだ多くなくて、自閉症やダウン症に関するブログが多少見つかった程度でした。でも、娘のような希少疾患のブログを書いている人は全然いなくて、そういう情報を知ろうと思ったらすごく難しい学術論文みたいなものを読むしかなかったんです。アメリカの文献を英語が出来る人に訳してもらったり、動画共有サイトに上がっている海外の動画を見て、一生懸命リスニングしながら「この子がやっている療育はなんだろう」と想像して、そこで拾ったキーワードをネットに入れてみて、そこで英語で引っかかってきたセラピーを調べたり…今みたいに翻訳ソフトの精度も高くなかったので、大変でしたよ(苦笑)比較的情報があった自閉症関連とダウン症関連の本、それから娘には身体障害もあるので脳性まひの本も読みながら、3つをミックスして「うちの子に一番合いそうな療育は何なのか」っていろんな情報にあたっていました。Upload By 鈴木悠平鈴木: それぐらい、海外情報も含めて、自分から「取りに行く」っていうのを頑張らないと、情報が見つからない時代だったんですね。牟田: ええ。でも、海外の動画を見てみると、アメリカの同じ疾患の子は私が思っていた以上にいろんなスキルを獲得できていたんですね。「この子、文字読んでるし、自分の思いを絵カードやサインで伝えてるじゃん!」って。だから、「できない」って最初から決めつけて何も教えないことは娘にとって失礼なんじゃないかと思って、とにかく日本で私にできることをやってあげたいなと思って駆け回っていました。私にとって大きかったのが、”りさせんせい”っていう、すごく力のあるアメリカ帰りのセラピストの先生との出会いでした。その先生は、娘のことを疾患名で見なかったんですね。娘を娘として見てくれて。それまで、どこかの先生のセラピーを受けに行くと、まず娘の疾患の説明をするだけで1時間ぐらいかかる、ということがほとんどだったんですね。全然知られていなかったので。りさせんせいと会う前も、私はそういう心づもりでいったんですけど、彼女は全然違ったんですよ。まずドアを開けた瞬間(※)に、「メリークリスマス!」ってパペットとともに入ってきて、もう娘は一瞬で心を鷲掴みにされてましたね(笑)※当時のセラピーは通所型ではなく訪問型が主流でしたUpload By 鈴木悠平鈴木: へええ、素敵。牟田: 私がいつものように娘の疾患や症状の説明をしようとしても、「お母さんそれは話さなくていいから!もう先に、お母さんのブログも見つけて全部読んできたの。私今日この子のセラピーしに来たんだから!」って言うんです。で、初回2時間のセラピーで、無発語だった娘から要求語の「あ!」を引き出して帰っていったんですよ。私が「この子喋れませんから」とか言っても「喋れないかどうか、まだわからないじゃない」って。これが私にとってすごい衝撃で。この先生はちゃんと娘を娘として見て、娘の中にある思いも全部汲んでくれてるんだなと思って、そこから娘との本格的な療育を始めんたです。鈴木: 疾患・障害の診断名ではなく、その子をその子として見る。発達ナビで一緒に記事をつくるなかでも、いつも大切にしていることですね。素敵な先生と出会いましたね。牟田: こういう自分の経験を、仕事や地域の活動にいかせないかという気持ちが、今の発達ナビの仕事にもつながっている気がします。出版社時代にも、障害のある子ときょうだい児のお話を描いた『イルカの子ーA Little Dolphin』という、当時絶版になっていた絵本を版元さんに提案して復刊させてもらったことがあるんです。無発語の重度の自閉症がある女の子とお兄ちゃんのお話で、うちの2人の子とも重ねてその本にすごく自分が救われたので、他にも悩んでいる保護者がいれば届けたいなと思って企画しました。Upload By 鈴木悠平他にも、地域の仲間と一緒に「プレーパーク」という活動も始めました。娘が成長したときにどこで暮らすんだろうということを想像したとき、どこか遠くの隔絶された場所じゃなく、地域の中で暮らせたらいいなと思って。それで、娘のように障害がある子もない子も、年齢も学校の垣根も越えて、たくさんの人とかかわれる場所、誰もが孤立せずにつながれる居場所をつくりたいなって思ったんです。一緒に活動している仲間たちとのつながりもまた、私たち家族を支えてくれています。和田堀プレーパーク鈴木: 発達ナビも、発達が気になる子どもの保護者さん同士が安心してつながれる居場所をインターネット上につくりたいと思ってはじめた経緯がありますね。牟田: 私もプレーパークを開いたり、他にも親の会に参加したりしてきましたが、そうしたオフラインの「地域」のつながりだからこそできることと、場所を問わずに、同じような特性がある子どものいる保護者同士がつながれるインターネットだからこそできること、両方が必要なんだなと感じています。思い描いていたものと違っても、この子にとって一番良い未来を鈴木: 年度末の1月〜3月には、発達ナビ会員さんにユーザーアンケートやインタビューをさせていただいて、改めてたくさんの会員さんのお話をお聞きしましたね。牟田: 本当に、いろんな地域、いろんな境遇の方に使っていただいて…日々忙しいなか、もっと使い易く、もっと一人ひとりに合った情報をお届けできるサイトにしていかないとなと感じました。Upload By 鈴木悠平鈴木: 3月にはチーム合宿もして、会員さんの気持ちや、日々の暮らしが発達ナビを通してどんな風に変わっていくといいんだろうって、みんなで話し合いましたね。牟田さんご自身も、娘さんが診断を受けてから今に至るまで、自分の気持ちや行動にはいろいろと変化があったと思うのですが、振り返ってみてどうですか。牟田: やっぱり一番最初に診断された直後は「何でこんなにかわいいわが子が、将来言葉も話せないの」っていうショックはありましたね、正直。今まで自分が思い描いていた「こうなるだろう」とか「こうなりたいな」という未来と、全然違う未来を急に突きつけられたような感覚で、どうしたらいいかわからない不安がありました。でも、たとえ思い描いていたものと違う未来であっても、その未来の中で一番良い未来…この娘にとって幸せな道を一緒に歩んでいってあげたいなって、家族で話すなかで思うようになったんですね。それで、先ほど話したようないろんな療育情報を探すようになりました。鈴木: 娘さんにとって、一番良い未来を。牟田: 将来が見えなくて不安でいっぱいだったときに、一番嬉しかったのは、通っていた保育園の園長先生のことばでした。あまりに重度の障害なので、診断を受けたあと、娘はもう保育園に通えなくなるのかなって思って、園長先生に相談に行ったんですよ。そしたら先生が、「自分は療育や医療の専門家でもないけれど、お母さんがいいって言ってくれるんだったら一緒に育てたい」って言ってくれて。先生、本気なんですよね。本気で寄り添ってくれるのがわかる言葉で。「やめないでいてほしいし、お母さんがいいって言ってくれるなら私達も精一杯勉強したいし、教えて」って。「とにかく一緒に、娘さんを真ん中に育てていこう」って、そうやって言ってくれたんです。Upload By 鈴木悠平牟田: やっぱり、一番最初に味方になってくれる人がいるっていうのは、障害のある子の親にとって、そこから元気になってまた歩いていく上での、大きなきっかけになると思うんです。鈴木: そうですね、本当に…牟田: 娘も他の子どもも一緒に過ごせるように、言葉だけでなく実際にものすごくいろんな工夫をしてくださったんですよ。たとえば、「山登り」の行事ひとつとっても、娘が車椅子でも参加できるケーブルカーのある登山先を探してくれて。みんなで「山に登る」っていう、ほかの子たちのやりたいことも達成しながら、うちの子も一緒に登れるっていう経験をすごく大事に考えてくれて、場所も選定してくれたんです。娘には睡眠障害もあるんですが、そういったいろんな先生方の工夫のおかげで、2泊3日の合宿行事にも参加できたんですよ!鈴木: 障害の有無にかかわらず、必要な支援をしながらみんなで同じ場で過ごせるようにする。まさに「インクルージョン」ですね。牟田: とにかく寄り添って、「子どもを真ん中に」というふうにかかわってくれた園だったので、私の気持ちが前向きになったきっかけは、この園の存在が大きいですね。園長先生は、向き合うというより、隣にいてくれて伴走してくれるような方だったんです。それから私の両親も夫の両親も、娘の診断のことを話しても「全然大丈夫よ」って、障害の詳しい知識や理解とかは難しくても、ただ孫のことを100%受け入れてくれて、救われました。一番身近な人たちに否定されなくて、みんなが本気で伴走してくれたから自分自身も歩いてこれたっていう経験を、どんな人にもしてもらえたら…発達ナビを、自分のことを肯定してくれる仲間と出会える場所にできたら…そんな思いでいまここにいます。10年前と比べて世の中も変化してきましたが、まだまだ周囲の理解を得られなかったり、身近な生活圏で仲間と出会いにくかったりして、孤独な思いをされている保護者さんも少なくないと思います。私が保育園で経験したように、ちょっとの工夫で多様な子どもたちがみんなで過ごせるようになる。そんな場所を社会の中にもっと広げていきたいですね。Upload By 鈴木悠平どんな状況の人にとっても「安心基地」となれるサイトに。会員さんと一緒につくっていきたい鈴木: これまで編集部のメンバーとして働いたりユーザーとして発達ナビを使ったりした上で、これから編集長を担っていくわけですけど、これからどんなことをやっていきたいですか。牟田: 最初にユーザーとして発達ナビを知ったとき、開かれた感じのメディア、媒体だなと思っていたんですね。子どもに障害や疾患があっても、悲観しなくてもいいと思えるような、いろんな情報や体験談があって。ユーザーさん同士のQ&Aコーナーなどでのやり取りも、本気で相手のことや状況を慮って考えられているな、本気で相手の困りごとに寄り添おうとされているんだなというのが伝わってくる投稿にたくさん出会いました。そういうサイトのあたたかさ、ここにくると安心と思える、包み込んでもらえる…そういう体験を一番大事にしたいなと思っています。紙媒体と違って反応がすぐ返ってくるのも、編集者としてこの仕事をはじめて新鮮だったところです。それぞれの会員さんの熱量だったり、心のひだみたいなところが伝わってくるのがすごくありがたいですね。鈴木: 先日実施したユーザーアンケート・インタビューも、改めて学びと発見、そして反省・改善点に気づかせてもらえる機会でしたね。たとえば、コラムの内容の詳しさやテーマの幅についてはご好評いただいているけれど、より「自分の境遇」に合わせて情報を探したり受け取ったりするには、まだまだ足りない部分がありますね。自分の住む地域ごとに情報を探しにくかったり、特性や悩みごとのキーワード検索のコツがわかりにくかったりという声がありました。より「個別最適」なサイトに向けて進化していきたいですね。Upload By 鈴木悠平牟田: はい。今年度は記事をこちらから一方的に出すだけじゃなくて、もっと会員さん同士の交流や発信を豊かにできるような機能を作りたいなと思っています。いまのQ&Aやコミュニティでも積極的に使ってくださっている人もいますが、一人ひとりの生活状況も気力・体力の状態もさまざまだと思うんです。「もう毎日暮らすだけで大変なの」という人でも、そんなに大変じゃなく情報を得られるしつながれる、もっともっと使いやすいサイトにしていきたいなと思います。鈴木: すでに開発チームのエンジニアとも、具体的な改善点や、新しいサービスについて議論が進んでいますよね。今後はそういったサイトの改善プロセスも、会員さんにより詳しくお伝えしたり、意見をいただけるような流れを作れると良いかもしれないですね。牟田: とにかく発達ナビが、ユーザーのみなさんにとって、ひとつの「安心基地」になってくれるといいなと思っています。便利であり心の支えであり、現実面でも精神面でも、いろんな面で安全で必要な場所にもっとなっていきたいなと思っていますね。そのためには何が必要なのかなって、常々考えています。情報発信についても、コンテンツの幅をもっと広げていきたいし、今までつくってきたコラムをもっと活用できるような仕組みも必要かもしれない。また、つながって交流するっていうだけでなく、誰かに聞かなくても自分でひっそりと思いを綴っているところに誰かがそっと寄り添ってくれるような、そういう仕組みが必要なのかもしれないし。あとは、発達ナビには全国の支援施設の情報も掲載しているのですが、施設の支援者の人たちともつながりやすくなるような仕組みとか…。例えば、発達ナビのマイページにお子さんの「サポートブック」を置いておいて随時更新しておける。それを支援者の人が見に来てくれると「今好きなこと」「学校で取り組んでいること」などを、都度連絡帳や面談などで伝えなくても、いっぺんに伝えられて、日々の支援につなげられるようなことができたらいいな、と。とにかくいろんな面で安心できる場所にしていきたいなと思っています。Upload By 鈴木悠平鈴木: いいですね。そのままの牟田さんで牟田さんらしく、4年目の発達ナビを作っていってほしいなと思います。やっぱり発達ナビは、会員さんと一緒に作っていく場所だと思うので、会員さんと対話しながら一緒につくっていく、そのプロセス自体を楽しんでもらえると嬉しいです。牟田: 新卒で宝島社に入ったとき、最初「週刊宝島」で研修していたんです。そのときの編集長が今でも大好きで。会議室に呼ばれて「君たちは編集者になれて自分は偉いと思っているかもしれないけど、編集者なんて自分一人じゃ何も作ることができないんだ。すごい力を持ったいろんなスタッフの人がいてこそ誌面を作ることができるんだから、いつも感謝や尊敬の念を忘れるな」って言われたのがすごく響いて。それがいつも心の中にあります。鈴木: まさにそのとおりですね。会員さんや、発達ナビの他のチーム、施設や企業の方々、みなさんの力を借りてこそ、サービスをつくっていくことができますからね。牟田: 悠平さんも、異動してからも助けてくださいね(笑)鈴木: わかりました、牟田さんの頼みなら(笑)Upload By 鈴木悠平
2019年04月01日自閉症の長男と、定型発達の次男。わが家の「翌日の準備」風景わが家の双子の息子たちは、4月から小学5年生になります。今思うと、これまで本当にあっという間でした。子どもたちが低学年のころ、私は毎晩2人のかばんの中身を点検していました。Upload By シュウママ定型発達の次男の場合、低学年のうちは先生が翌日の予定を細かく板書してくれていたようで、連絡帳を見れば次の日の必要なものがすぐわかりました。私は、連絡帳を確認して「あれを持っていって」「これを忘れないで」と次男に指示していました。そして自閉症の長男の場合は、連絡帳を見ながら私が必要なものを準備していました。中学年になってくると、次男は「習字の墨汁がないから補充してほしい。それから明日は4時間授業で、給食はないよ」というように、必要なことや予定など自分から私に伝えてくれるようになりました。しかし長男の方はまったく変わらず、今日あった出来事も明日の予定も、自分から教えてくれることはなかったのです。Upload By シュウママ明日は6年生の卒業式。連絡帳をチェックしていたら...。つい先日、6年生が卒業式を迎える日の前夜のこと。私は、いつものように長男の連絡帳を確認していました。「明日は、在校生はモノトーンの服で登校してください」という先生からのコメントを読み、それに合った洋服を出していたところ、長男が横から連絡帳を覗き込んできました。そして何を思ったか、私の服の袖をぐいぐい引っ張るのです。Upload By シュウママ母の袖をつかみ、長男が何度も繰り返した言葉「どうしたの?」と聞くと、長男は切羽詰った表情で繰り返しこう言いました。Upload By シュウママ「何のこと?」と思った私が首をかしげていると、長男はいら立ったように再び「あした、おべんとう!あした、おべんとう!」と大きな声で言いました。その瞬間「あっ!」と思い、私はあわてて学校から配布されている1週間の行事予定表を確認しました。すると…そこには、こう書かれていたのです。Upload By シュウママ前日の連絡帳には書かれていなかったけれど、1週間の行事予定にははっきり「お弁当が必要」だと書いてある!きちんと確認していなかった!私は大慌てで炊飯器のタイマーを設定し、冷蔵庫の中身を確認しました。大丈夫、お弁当の材料はある...。ほっとして振り返ると、長男がにんまり笑っていました。ゆっくりかもしれない。でも、確実に成長しているんだね「明日、お弁当の日だったんだね。教えてくれてありがとうね。ママ、忘れてたよ。」そう言うと、長男はうれしそうにどや顔をしていました。Upload By シュウママおそらく先生から、「明日はお弁当ですよ。おうちの人に伝えてね」などと言われていたのでしょう。それを長男は覚えていて、きちんと伝えてくれたのです。長男が学校からの連絡事項を教えてくれたのは、初めてのことでした。長男も、もうすぐ5年生。小さな成長が見えて、なんだかとてもうれしい1日でした。
2019年03月29日うつ病になって10年、同じように悩む人と「どうしたらいい?」を考えるために私がうつ病だということをカミングアウトした第1弾に続き、前回は、辛くても病院に行くことに躊躇してしまう人たちに知ってもらいたい、「受診のタイミング」について伺いました。今、一人で悩んでいる人と一緒に、「どうしたらいいのかな?」を考えるために。慶應義塾大学で精神・神経科学教室特任助教などを務める、増田史先生に伺ったお話を3回に分けて紹介しています。最終回の第3弾は、お母さんたちがシンドさから解放される、前に進むためにできることのヒントをお伺いしました。私も苦しんだ、「母親であることの呪縛」Upload By ひらたともみUpload By ひらたともみUpload By ひらたともみUpload By ひらたともみ*三歳児神話: 「子どもは3歳までは、家庭において母親の手で育てないと、子どものその後の成長に悪影響を及ぼす」などという考え。1998年の厚生白書で、「たいていの育児は父親(男性)によっても遂行可能である。」「合理的な根拠は認められない。」と退けられた。参考: 厚生白書(平成10年版)| 厚生労働省結果オーライでOK。「理想の母」のハードルを下げよう!Upload By ひらたともみUpload By ひらたともみUpload By ひらたともみUpload By ひらたともみ自分を大切に。そのために重要だったのは…Upload By ひらたともみUpload By ひらたともみUpload By ひらたともみ私が独身でバリバリ働いていたとき、結婚して子育てをしている人をみて、羨ましいと感じていました。会社での人間関係から解放され、温かい家庭づくりに専念すればいいのだから、「きっと彼女たちにはなんの悩みもないのだろう」と思っていたためです。それはもちろん、幻想だということをのちに知ることになったわけですが。子どもがどんな大人になり、どう社会を生き抜いていくか。それは、子どもが「どんな家庭で育ってきたか」が、かかわってくるという考えがあると思います。その家庭は、夫と二人で築くはずなのに、子どもの食育から身の回りのこと、勉強や進路までほとんどが母親の”仕事”。私の場合、夫に相談すると、なぜか逆切れされてストレスは倍増するばかり。孤独と葛藤の暗い日々が脳裏によみがえってきます。家事や育児について、自分の理想や周囲からの要求を、なんとかこなそうとがんばっていました。でも、思うように実行できなかったり、誰にも頼れなかったり…。そうした状況の中で、「他人の目」と「ダメ親のレッテル」が重圧となって、ますます私をナーバスにさせたのだと思います。増田先生のお話に「とにかく自分をご機嫌にさせる。自分がいい感情でいることが家族の幸せ・子どもの幸せ。自己中でよし!」という言葉がありました。ほかにも、「罪悪感は必要ない」など、なるほどと大きくうなずきたくなることばかり。「正々堂々と休む!そしてときにはリフレッシュ」は、最も私がしてこなかったことです。「もしかして、これが私の長患いの原因かな?」と気づけたことが、今回私の大きな一歩になりました。「自分に向いてる?」「時間をとれるかな」なんて考える前に、行動してみる!今、私は手探りしながら、自分をリフレッシュさせる方法を模索しています。LITALICO発達ナビでは、ライター・ひらたともみさんの連載の一環として、ユーザーのみなさまから、子育てや家事、仕事、体調のことで困った体験や悩んでいることなどのエピソードを募集いたします。みなさんの体験や相談が、同じように悩んでいる人の参考になるかもしれません。一緒に「これからどうしたら?」を考えてみませんか?ご応募をお待ちしております。
2019年03月29日ASD(自閉スペクトラム症)とは?withnews編集部の記者である筆者は、障害のある人の就労支援や学習支援などに取り組む「LITALICO」(東京都目黒区)を訪れました。 ASDのある人に多くみられるという、「視覚過敏」の症状について、VRで体験できると知り、取材をしたいと考えたためです。編集部注:このコラムは、withnewsの記者がLITALICOでASD視覚体験VRを体験し、そのルポをLITALICO発達ナビに寄稿したものです。参考:withnewsそもそもASDとはどんな症状なのでしょうか?LITALICO発達ナビによると、先天的な脳機能の凸凹により、以下のような特性があるといわれているそうです。・言葉のコミュニケーションが苦手言葉の裏にある意味をくみとるのが難しいなど・人と関わるのが苦手(対人関係や社会性の障害)目を合わせない、空気を読むのが苦手など・こだわりや興味に偏りがある予定が変わるとパニックになってしまう、同じ動きを繰り返すなどまた、ASDのある人のなかには、視覚や聴覚といった五感の一部が極端に過敏であったり鈍麻であったりといった、感覚の特異性(偏り)を伴う人も多いといわれています。ただ、過敏・鈍麻といった感覚の偏りには個人差があります。こうした感覚の特異性によって日常生活に困りごとがある方も少なくありませんが、目には見えにくい症状のため、周囲の人からの理解や共感を得にくいという問題があります。VRで自閉スペクトラム症の視覚世界を疑似体験「視覚過敏」の症状をVRで疑似体験できる機器「ASD視覚体験シミュレータ」は、情報通信研究機構と東京大学、国立精神・神経医療研究センター、LITALICOの四つの拠点が連携して研究を進めています。開発者は、工学が専門の情報通信研究機構主任研究員・長井志江(ながいゆきえ)さんです。参考:認知ミラーリング | CREST PROJECT体験できる世界は3つ。「コントラストが強くまぶしい世界」「色が消えてぼやけて見える世界」「たくさんの点が見える世界」です。映像はそれぞれ約3分間で、前半は視覚症状がない人の見え方、後半は視覚が敏感な人の見え方で構成されています。Upload By withnewsいざ、ゴーグルとヘッドフォンを装着です。早くも視界にはVR空間が広がります。3つの映像があり、体験したいものに頭を動かしてカーソルを合わせました。選んだのは、視覚症状が出る人の多くが経験するという「コントラストが強い世界」です。スタートボタンを押すと、目の前に広がったのはマンションの玄関でした。まずは症状がない人の見え方が映ります。少しだけ光が差し込む薄暗い玄関。晴れの日に照明をつけていない状況のようでした。ゆっくり外に通じるドアに近づき、ドアノブを押します。薄暗い部屋から明るい外に出たので少しまぶしさを感じましたが、2、3秒もすると明るさに慣れてきました。周辺の家の屋根や街路樹、車が通っている様子が見えます。頭を動かして周囲を見渡しましたが、違和感はありませんでした。Upload By withnews続いて、ASDのある人の見え方に変わります。場面は同じ玄関です。しかし、さきほど薄暗く見えていた影は完全に真っ黒。光は入っていますが、陰影がはっきりしています。ドアを開けると、辺りは真っ白。雪景色に光が反射するようでした。さらに、丸い光がちかちかして見えたあとに消えていきました。あまりにも視界が白すぎて、あるはずの街路樹も屋根も見えません。かろうじて影になっている部分が黒く見え、そこに何かがある、くらいは認識できました。車が通っている様子も、黒い線が動いている程度で、形まではわかりませんでした。コントラストが強く映る症状は、瞳孔の調整能力が弱いためと推察されるそうです。瞳孔が暗いところで拡大、明るいところでは収縮するという機能自体は同じで、決定的に機能が違うことはないといいます。Upload By withnewsUpload By withnewsその他のシチュエーションは、駅のホーム(色が消えてぼやけて見える世界)と学生食堂(たくさんの点が見える世界)でした。駅のホームでは、電車が入ってくる場面が映ります。症状がある人の世界では、電車が大きな音をたてながら高速でホームに入ってくるにつれ、周りの風景が全体的にモノクロでぼやけて見えました。電車が走ってくる音は聞こえるのですが、形が認識できたのは直前です。これは、「動きによる、無彩色化・不鮮明化」のためだそうです。Upload By withnewsUpload By withnews学生食堂では、人がいない状況から人がたくさんいる状況へ移ったとき、カラフルな丸い点がちかちかして見えました。これは、「動き・音の強さの変化による、砂嵐状のノイズ」が起こるためといいます。脳の特異的な活動によるもので、幻覚などではなく、片頭痛の患者さんにも同様の症状が見られる人がいるそうです。短時間でも視界に動くものが入ると気が散ってしまいました。Upload By withnewsUpload By withnews400人以上がVRで疑似体験。ワークショップ参加者が感じたことは?LITALICOでは、情報通信研究機構や東京大学と協力し、2017年から10回以上VR体験ができるワークショップを開いています。ASD当事者の家族や支援者、教育者や企業の人事担当を中心に、400人以上が体験したそうです。体験した方の感想・当事者の保護者「子どもは普段すごく刺激に溢れた世界にいて、それに伴う疲労感が強いんじゃないかなと思いました。今後は、安定できるところに過ごさせてあげたいと思いました」・児童・障害福祉分野の支援者の方「放課後デイサービスで子どもたちとの関わり方をより細かく考え、声のトーンや動き方など行動できるようにしたい。公園や特定の遊びを嫌がる子どもの原因と思われることが体験でき良かった。ASDの子どもと一緒に良い支援員になりたい」・企業の方「社内でASDの社員がより安心して働くことができるように生かしていきたい」「コミュニケーション以前の問題がある」 開発者・長井志江先生に取材シミュレータの開発者で情報通信研究機構主任研究員の長井志江さんに開発のきっかけを聞きました。Upload By withnews「8年ほど前、ロボットや人工知能の研究をしていく中で、アスペルガー症候群(※)の診断を受けている東京大学の女性研究者・綾屋紗月さんと会い議論をしたのがきっかけです。それまでASDはコミュニケーションの問題だと思っていました。綾屋さんの著書やお話から、コミュニケーション以前の問題が大きいことを知りました。著書では、綾屋さんが見ているコントラストの強い世界の写真があり、見え方が違うことに目からうろこが落ちました」(長井先生)「当時、見え方や聞こえ方が違うこと自体知られていない状況でした。エンジニアの立場から、知覚の世界でしたら映像技術を使っていろんな人に分かりやすく伝えられるのではないかと考え、綾屋さんたちと共同研究を始めました」(長井先生)VRの映像は、ASDの当事者22人の見え方をデータ化し、解析した平均値だといいます。22人のほぼ全員が、元々明るい場所がさらに明るく見え、約3分の1がちかちかした点が見えるという結果が出たそうです。VR体験をした当事者からは、「自分自身の経験を再確認できた」「周りに説明しても理解してもらえなかったが、共有できるようにしてくれた」という反応があったといいます。※診断当時の名称見える世界が違うことで、ASDがない人に「自分とは違う」「怖い」という印象を持たせてしまう可能性もあります。そのため、長井さんはワークショップなどで強調することがあるそうです。「ASDでない方もASDの方も、基本的に脳の中では同じ事が起こっていると伝えています。どのくらい敏感で、状態が長く続くかが分かれ目ではないかと思います」(長井先生)今後はさらに「教育機関と企業」に働きかけていく予定です。「教育機関では早い段階から発達障害を理解してほしいと思います。話し方一つにしても、抑揚をきれいに話されると聞き取りやすくなることがあります。どう接するか、環境を整えるかでコミュニケーションを取りやすくなります。授業の一環にワークショップを組み入れるような制度を作っていきたいです」(長井先生)「企業では、発達障害の方を雇用したいけど、その人たちのために何を用意したらいいかわからないという方もいます。人事課や周りの方に、ASDの人がどんな困難さを抱えているのかをきちんと理解してもらうように進めていきたいと思います」(長井先生)Upload By withnews取材を終えて感じた「思い込み」これまでも、視覚過敏のある人は見え方が違うという知識はありました。ですが、今回VR体験をしてみて、「自分が見ている景色は隣の人にも同じように見えている」という思い込みが強かったことに気づきました。コントラストが強い世界も、ちかちかが見える世界も、とてもストレスを感じました。電車が直前まで認識できないことは、恐怖でもありました。視覚症状は疲労度合いなどにも左右されるそうです。目に見えないことなので、周りの人が気づけないことも多いと思います。ただ、視覚症状がある人たちの世界を体験していると、違和感に気づけるようになるかもしれません。暗い空間から明るい空間へ移動したとき、一瞬まぶしくなるという体験は多くの人が共感できると思います。でも、感じ方は人それぞれです。隣にいる人が長時間まぶしさを引きずっているかもしれません。しんどそうにしていたら、室内で過ごすように声をかけたり、まぶしさを和らげる対策を取れたり、サポートできることはあります。多くの人が、体験を通して視覚症状のある人との距離が縮まることを期待しています。取材・文/withnews編集部隣の人が見ている景色は自分と同じ?ASDの人が見る世界を体験 | withnews
2019年03月29日夫に聞いてみた。発達障害育児、父親のホンネって?広汎性発達障害の娘を育てる私たち夫婦。これまで子育てと療育を話し合い、協力しあってきましたが、実は夫の気持ちについては面と向かって聞いてこなかった…そうだ、質問してみよう!と思い立った私。前回、娘の障害に気づくまでのことを聞いたところ、実は母親の私よりも先に気づいていたと、初めて分かりました。そしてそのことを言わなかったのは、私のことを考えてくれていたからだったのです…。夫婦でも、聞いてみないと分からないこと、あるなあ…と再発見した私。第2弾では、父親としての気持ちについて突っ込んで聞いてみました!Q4.娘の今後について、不安はあった?Upload By SAKURA聞いてみると、夫は父親として、娘の将来にかなり不安があったそうです。それは、この障害に対しての情報が無さ過ぎたからでした。私は…夫が不安を抱えていることに、恥ずかしながら、まったく気がつきませんでした。夫はいつも明るく、話もよくするタイプですが、基本的にネガティブな感情は外に出しません。娘の発達障害が分かってからもそれは変わらず、騒ぐのはいつも私で、夫はいつも冷静に私たちを見守ってくれていました。見た目には冷静であっても、心の中にはいろんな不安を抱え、それを自分の中に留めている夫。それは、私の不安を煽らないようにという、気づかいだったのかもしれません。Q5.わが子の療育に、腰が引けてしまう…ということはなかったの?Upload By SAKURA確かに…世の中には、障害に対して情報があまりなく、ネガティブなイメージがかなりあります。情報が少ないと腰が引けてしまう人もいるんじゃないかと思います。ただ…夫の場合、子どもの未来を考えたら、そんな感情はゼロとまではいきませんが、それに近いぐらい、どうでもよくなったそうです。それは「どれだけ早く、長く療育に取り組めるか」が重要だと思っていたからです。"障害を治す特効薬"と言うのは無く、時間をかけて、心(精神)と知識を育くんでいかないといけない、そんな風に思っていたのだと…。だからこそ「腰が引けてる場合じゃない!」「早く動かないと!」という気持ちが強く出てきたといいます。夫は、娘のことや療育のことで動く時、ネガティブなことはあまり考えないようにしているそうです。Q.「理解したり、自分ごととして考えるのが難しい…」と感じるパパもいるみたいだけど、夫の場合は?Upload By SAKURA父親と言う立場から考えると、子どもと少し距離があるお父さんもいるのかな~と感じるそうです。仕事で忙しく、夜遅く帰ってきて起きている子どもに会えなかったりすることもその原因かもしれません。夫の場合は、娘とよく遊んで、遊びながら行動を見るようにしていました。仕事で忙しい時は遅く帰ってからも、昼間、娘を一人で見ている私の話を、よく聞くように意識していたそうです。発達障害の特性ゆえに、いつも娘が苦手な言語関係やコミュニケーションに苦しむ姿を母親である私から見聞きしていたので、常に自分のことのように真剣に考えてくれていました。今回の質問で、子どもラブ♡な夫の秘密がちょっと分かった…(笑)第3弾では、さらに突っ込んで、これからのことについても聞いちゃう予定です!お楽しみに!Upload By SAKURA
2019年03月27日見知らぬ土地での、初めての子育て私は結婚してすぐに夫の転勤で引越し、実家から離れた土地で娘を育てていました。そこは社宅が多く、私のように実家が遠かったり、パパの帰りが遅かったりして、ワンオペ育児をしている家庭が多い地域でした。娘が1歳の頃、私は公園で知り合ったママ友と仲良くなり、お互いの家を行き来して過ごしていました。この頃の娘は同世代の子どもと一緒にごっこ遊びなどはせず、いつもマイペースに遊んでいました。それでも皆と同じ空間にいることを嫌がる様子はなく、気が向けば遊びに参加したりして、本人はそれなりに楽しんでいるようでした。2歳頃になると、私はママ友に誘われて、地元の子育てサークルが主催する読み聞かせの会や、自治体主催の親子体操、工作教室などに行くようになりました。お友達が楽しそうに参加する中、娘は何度通っても部屋の端っこに隠れたり、外に出ようとしたりして、活動に加わろうとしませんでした。音楽教室の無料体験レッスンに参加させてみると…?出典 : そんなある日のこと。友達に誘われて、音楽教室の無料体験レッスンに行ってみました。講師の先生は、並べられたタンバリンや鈴などの楽器を“順番に”鳴らしていくよう口頭で指示しましたが、娘にはそれが理解できませんでした。そして先生に「お嬢さんには、こちらの教室は無理のようですね」と入会を断られたのです。どうしても入会したいという気持ちはなく、友達に誘われて「無料お試しキャンペーン中だし、楽しめたら良いなぁ」くらいの軽いノリで参加したとはいえ、この言葉に私は大きなショックを受けました。親子の“居場所”を探し求めた日々その後も私は、親子で楽しめる場所はないかと児童館や保育園の園庭開放、短期保育体験、プレ幼稚園など、娘と一緒にいろいろなところに行って相談しました。ですがなかなか、居場所は見つかりませんでした。ある時、自治体の相談窓口で「子どもの発達の相談に乗ってくれるところが最近できたんですよ。よかったらそちらに電話してみてはいかがですか?」と、ある施設で行われている親子教室を紹介されました。そこは今でいういわゆる「療育センター」だったのですが、名称に「療育」の文字もなく(そもそも当時私は「療育」という言葉も知りませんでした)、私は「娘と一緒に体を動かしたり遊んだりできる場所があるなんて、ラッキー!」という気持ちで電話をしました。その親子教室に見学に行った時、娘は一瞬入室を一躊躇しましたが、実際に体験してみると、そこはやはり娘にぴったりの場所でした。嬉しいことがいっぱい。できることがいっぱい。仲間がいっぱい。私は娘が興味を持つ絵本や紙芝居、遊びや体操など、たくさんのことを知りました。毎回楽しく過ごせる上に、そこでおむつ外れもスプーンの使い方も無理なく身につけられたことを、本当に嬉しく思いました。娘と一緒に帰省した時の出来事私と娘が実家に帰省していたある時、親戚から食事に誘われました。キッズコーナーのないレストランでの食事は、娘にはまだ無理ではないかと躊躇したのですが、「せっかく久しぶりに地元に帰ってきたんだから、いらっしゃいよ。個室だし、同じくらいの年の子も来るから大丈夫。身内の集まりなんだから、もし子どもがぐずっても誰も気にしないわよ。」と言われ、私は娘を連れて行くことにしました。ところが、いざ行ってみるとそこはホテルで、個室といってもホールをパーテーションで仕切っただけの、円卓を並べた会場でした。娘が食べられるメニューも少なく、遊ぶものもほとんどありません。同じくらいの子どもといっても、年上の子どもが1人だけ。娘は徐々にむずがり始めましたが、他の利用客もいるので、ロビーに出て遊ぶこともできません。ある程度覚悟していた私は、自分の食事もそこそこに、会場の隅で娘の遊び相手に専念しました。そして食事会が終わるまでの2時間を、親子教室で身につけたスキルをフル稼働して何とか乗り切ったのでした。親戚からの電話で言われた、きつい一言実家から自宅に戻ったある日、食事会を企画した親戚から電話がありました。そしてこんなことを言われたのです。Upload By 荒木まち子私は言葉に詰まりまりながらも「娘については関係各所に相談などもしているし、やれることはやっています。」とだけ言って電話を切りました。実はこの頃、娘は医師から“自閉傾向”と言われていました。遠くに住む親戚、しかも数年に1度しか会わないその人は、普段の私たちの様子を知りません。医師でも支援者でない相手の言葉を気にする必要はなかったかもしれません。でも、私の心は深くえぐられました。それが子育ての先輩としての“親切心”で発した言葉だったとしても、私にはとてもきつい言葉でした。一人で抱えきれないショックと悲しみでいっぱいになった私は、親子教室の先生に電話をしました。「帰省した時、親戚に『あなたの子は施設に入れた方がいい』と言われました。娘はすぐにどこかの施設に入れなければならないほどなのでしょうか?」話をしている途中で何度も言葉に詰まってしまったので、私が泣いていることは気づいていたでしょう。でも、先生はじっと話を聞いてくれました。そして穏やかにこう言ったのです。「ここも“施設”なんですけどね。」私たちにとって、親子教室はどんな存在だったのか今思えば、親子教室で行っていた遊びや体操は、療育そのものでした。例えば、教室の時間中は、子どもが勝手に開けて出て行かないように、ドアには「×」マークの紙が貼られていました。口頭で「部屋の中で過ごします」「一人で外に行きません」と言うだけでなく、視覚的にも分かりやすい工夫がされていたのです。また、親子教室は、子ども達がおのおの好きなおもちゃ遊びを堪能した後に始まるのですが、そのためにおもちゃを片づける時も、次の「楽しいこと」に向けて見通しを持たせたうえで、親子で一緒に片づけをしていましたし、片づけが済んだらサッとおもちゃの棚を布で目隠しして、子ども達が次の活動に集中できるような工夫がされていました。始まりの会では、ピアノに合わせて名前を呼びます。子どもが返事をできると、自然と先生や参加している親子から拍手が沸き起こりました。昔ながらの童謡に合わせた親子体操では、普段は抱っこや手つなぎを嫌う子どもたちと自然に触れ合うことができました。紙芝居は、『じゃあじゃあびりびり』や『もこもこもこ』など、物語重視というよりも視覚優位の子どもの興味を引くものを中心に選ばれていました。先生は私が娘の行動への対応に困った時、さり気なくフォローをしてくれました。でも決して、「こうした方がいい」とか「こうしなければならない」などと言うことはありませんでした。だから私はプレッシャーを感じることなく、自分のできる範囲で先生のすることをまねたりしていました。親子教室で行われていることや工夫には、障害のある子どもとの接し方に悩む親へのヒントがたくさんありました。また、それだけでなく、教室ですごす時間は、純粋に親子で楽しく過ごせ、悩みを相談でき、元気をもらい、笑顔になれる、かけがえのないものでした。私が「療育」という言葉を知らなかったためか、はたまた大らかな土地柄のせいもあったのか、そこにはいつも穏やかな空気が流れていて、ほんわかしていました。通っている他の保護者も皆気負うことなく、お互いの子どもの成長を喜び合う優しい雰囲気がありました。子育てサークルや音楽教室、親戚との食事会…そこでは気をつかったり、落ち着かなかったりして、穏やかな気持ちで娘と接することができませんでした。ですが、親子教室では、自然と笑顔になれました。私にとって、療育センターの親子教室で過ごすひとときは、“外”の世界で傷ついた心を癒すオアシスだったのです。ひとしきり泣いたら、前へ進める親戚の言葉に傷つき「遠くの親戚よりも近くの他人」を実感した私。この経験をもとに、「障害の話はとてもデリケート。私は相手から求められない限り、自分の意見は言わないようにしよう」と心に決めました。とても辛かったけれど、そうやって気持ちを切り替えて前に進めたのは、やはり近くに「プロフェッショナルな理解者」の存在があったからだと思います。娘が小さい頃、私は本当によく泣いていました。年を重ね、心も体も(?)図太くなった今。振り返ると、あの頃は怒り、落ち込み、喜びなどのさまざまな感情すべてをひっくるめて、大きく見守られていたように思います。療育センターの親子教室で、私も娘と一緒に育ててもらったのだと感じています。
2019年03月25日