世界各国で新たな社会保障として注目されているベーシックインカム。国が国民全体に基本的な所得を保障するこの制度は、2020年に起こったコロナウイルスの感染拡大によって、さらに注目を浴びています。しかし、ベーシックインカムは問題点も多く、話題には上がるものの導入に踏み切る自治体はなかなか出てきません。この記事ではベーシックインカムの制度と問題点を解説します。ベーシックインカムとは?制度の概要ベーシックインカムとは、国が国民全体に生活保障のためのお金を給付する社会保障政策です。生活保護をはじめとした既存の社会保障政策は、受給するのに一定の条件があります。一方、ベーシックインカムは無条件で支給するという特徴があります。ベーシックインカムは社会主義的な考えとは違い、資本主義社会の下支えとなる政策です。最低限の生活を保障して、それ以外の収入や経済活動は国民が自由に行うことができます。ベーシックインカムが注目されている理由は現在、各国で起こっている社会課題に対して有効な解決策となるポテンシャルがあるからです。ベーシックインカムを導入するメリットベーシックインカムは低賃金や働けない人への保障となるとともに、人々の働き方や会社の在り方を変えるインパクトのある政策です。ここからはベーシックインカムを導入すると、どのようなメリットがあるかをご紹介します。職業選択や生き方を自由に選べるベーシックインカムの導入は「収入がなくなるかも」という不安をなくします。「収入のために我慢して労働する」という労働目的がなくなることで、職業選択の自由度が増えます。特に、起業やアーティストへの挑戦など、決められた賃金がない職業へいつからでも挑戦がしやすい環境になるでしょう。生活が保障されれば働き方も変わります。特に子育て中の世帯にとって、働く時間に融通が効くのは大きなメリットです。また、ベーシックインカムは子供も1人の国民としてお金が支給されるため、少子高齢化対策になる可能性も秘めています。労働環境の改善近年、問題になっているブラック企業。労働環境が悪い会社とわかっていながらも、失業状態が怖くて働かざるを得ない人も多くいます。ベーシックインカムが導入されれば失業状態の不安がなくなるため、ブラック企業で働く人は少なくなるでしょう。結果的に労働環境がよい会社が残ることになり、労働環境は改善されていくはずです。社会保障の一本化現在は生活保護、雇用保険、国民年金など社会保障がさまざまな形に分かれていますが、ベーシックインカムが導入されると、これらの社会保障が一本化されてシンプルになります。現在の制度では、国民は適用される社会保障それぞれに申請しなければなりません。制度を知らなければ、適用される社会保障でも受け取れないのです。しかし、ベーシックインカムは無条件で全員に給付されるため、このような受給漏れはなくなります。行政にとっては、社会保障が一本化することでさまざまな申請の手続きに関した労力を減らすことができます。人員配置も少なくて済むため、社会保障に関わるコストを圧縮することもできます。ベーシックインカムの導入事例ベーシックインカムを継続的に導入している国はありません。しかし、いくつかの国・自治体では実験的に期間限定で導入しています。ここではベーシックインカム実施国の導入事例をご紹介します。フィンランドでの導入事例フィンランドでは2017年から2018年までの2年間に渡ってベーシックインカムの導入実験を行っています。2020年に研究チームから発表された最終報告書によると、ベーシックインカム受給者のほうが生活に対する満足度は高く、精神的なストレスを抱えている割合が少なかったと言います。ベーシックインカムによって自律性が高まったというインタビュー回答も多く、実際にベーシックインカムによってボランティア活動などに新たに参加したケースもありました。フィンランドの国民アンケートでは、ベーシックインカムの導入に46%が「賛成」もしくは「部分的に賛成」としています。カナダでの導入事例MINCOMEカナダでは異なる州で2度、ベーシックインカムの導入実験が行われています。1度目はマニトバ州ドーフィンで1974年〜1979年の5年間に渡って行われた「MINCOME」と呼ばれる実験です。2011年に発表された最終報告書によると「入院期間の減少」「高校課程への進級」に成果があったとされています。一方、「出生率の増加」には影響が出ていないとされました。MINCOMEは実施していた政権が力を失ったことで終了。2009年までデータの分析も行われませんでした。そのため、一部データは不明なままとなっています。オンタリオ州の導入事例2度目はオンタリオ州で2017年に行われています。当初は3年間の予定でしたが、実施の1年後に政権交代がなされたことで、ベーシックインカムは終了しました。政権交代後の州政府は失敗だったと発表していますが、研究チームからは成果があったと報告されています。研究チームによると、年収が一定額を超えるとベーシックインカムが支給されない制度にもかかわらず、4分の3が仕事を継続したとされています。また、仕事を辞めた人の約半数は学校に通い始めており、次のキャリアにつながる行動をしていたそうです。約8割が健康状態が改善し、不安やストレスが減ったとアンケートで回答していますし、食生活の改善や通院の頻度の減少など一定の効果が出た結果となったのです。ベーシックインカムの問題点とは?ベーシックインカムの導入事例からはポジティブな結果が出ているにもかかわらず、導入が広がらないのはなぜでしょうか。ベーシックインカムの導入は国の政策を根底から覆すインパクトがあり、課題も多くあります。ここではベーシックインカムの問題点と、導入事例から見る問題点の分析をご紹介します。[adsense_middle]労働意欲の低下ベーシックインカムの導入によって働かなくてもよい環境ができ上がると、労働意欲の低下が懸念されます。労働人口が減少すると、結果的に国自体の発展が阻害されてしまうのです。全体的な失業率が悪化しなかったとしても、業種によって労働力に差が出るかもしれません。例えば、製造業や建設業といった体力的にきつい業種の人気が下がり、労働力を確保できなくなるかもしれません。また、公務員や医療関係者などの労働力が減ると国全体の社会保障が成り立たなくなってしまいます。導入事例から見る問題点への影響フィンランドの導入事例では、報告チームより「雇用への影響は限定的だった」と発表されました。カナダでもMINCOMEでは「住民の労働時間に大きな差は出なかった」、オンタリオ州の導入では「4分の3が仕事を継続し、辞めた半数もキャリアアップのために行動した」と、労働意欲の低下を示す結果は出ていません。導入の年数が初めから限られていたことが結果に影響を与えていますが、労働意欲が低下するという仮説は実際には実証されていないのです。財源が確保できないベーシックインカムの導入には多額の財源が必要となります。例えば、月に10万円を日本国民約1.2億人に支給するとしましょう。年間で144兆円がベーシックインカムに必要となります。2020年度の日本の国家予算案の一般会計は102兆円。社会保障費は35兆円規模です。現在の国家予算案を超える金額をベーシックインカムだけに投入しなければなりません。そのためには抜本的な税制改革によって税収を上げる必要があります。導入事例から見る問題点への影響カナダの2度の導入実験は政権交代によって途中終了していますが、理由はどちらも財源不足や適切な支出ではないという判断からです。ベーシックインカムを導入するには国民の理解と税制改革が大きな壁として立ち塞がるでしょう。ベーシックインカムが日本で導入される可能性ベーシックインカム導入の議論は日本でもされており、希望の党では一時期、公約にも掲げられていました。コロナウイルスの感染拡大によって、日本全体で減収や解雇が問題になったことで議論の盛り上がりも見せています。しかし、実際には日本での実現の可能性は低そうです。これには下記の事情が関係します。導入した国は高福祉国である日本は増税して社会保障を充実させようという考えが浸透していないフィンランドやカナダは高福祉国と呼ばれる国で、「税金を高くして、社会保障を充実させる」という考えを持っています。例として日本・フィンランド・カナダの公的社会支出の対GDP比と消費税率を見てみましょう。カナダは日本よりも公的社会支出の対GDP比が少ないですが、カナダは高齢化率が低く(日本:28%、カナダ17%)、年金の支給額が低いことが理由です。カナダは基本的な医療費が無料など福祉制度は非常に充実しています。つまり、日本では税金を高くして社会保障を充実させようという考えがフィンランド・カナダより浸透してないため、国民の理解を得ることが難しいのです。特に、大きな反対が起こりそうな3つのポイントを紹介します。導入には税金の増税は避けられない前の章でも紹介したように、ベーシックインカムの導入には大きな財源が必要となります。現在の税制では厳しいため、増税や税制改革は避けられないでしょう。消費税の10%増税が反対によって何度も延期されたことからもわかるように、日本では増税へのハードルは非常に高いです。医療費などより大きい保障の扱いベーシックインカムが大きな社会保障となるため、ほかの社会保障は縮小されます。つまり、ベーシックインカムで賄えない費用は自己負担になるのです。例えば、多額の医療費がかかった場合、現在は上限なく保障されます(高額療養費制度)。ベーシックインカム導入によって高額療養費制度がなくなった場合、医療費が払えないことで治療を諦める人が出てくるかもしれません。ベーシックインカムでは賄えない負担への社会保障が薄くなるという課題を解決しなければならないのです。ベーシックインカムの成功例がないご紹介したフィンランドやカナダ以外にもアメリカやケニアなどでベーシックインカム導入の実験は行われています。しかし、明確に成功したという事例は今のところありません。ケニアでは12年間続けていますが、多くの事例では途中で中止や大きな制度変更をしています。実験のデータからは一定の成果が認められていますが、継続的な導入ができる制度設計まではできていません。まだ、成功例がない制度を導入するのはハードルが高いのです。ベーシックインカムのデメリットに関するまとめこの記事ではベーシックインカムの制度・導入事例・問題点を解説してきました。ベーシックインカムは国の制度を大きく変えるため、課題も数多くあります。しかし、貧富の差が激しくなっている現在では、画期的な解決策として検討すべき政策の1つです。これからのベーシックインカムに注目してみてはいかがでしょうか。
2020年07月06日こんにちは、婚活FP山本です。一般的なイメージでいえば、医療費などには消費税はかからないように思えるのではないでしょうか。けして間違ったイメージではないものの、ある意味で間違った認識ともいえますから、少し注意が必要です。実際のところはどうなのか……ぜひ正しい知識を持っておきましょう。そこで今回は、医療費と消費税の関係や、医療費と健康保険の関係などについてお伝えします。あなたの人生に、お役立てくださいませ。健康保険が使える医療は非課税取引の対象、だが……まずは早速、医療費と消費税の関係についてお伝えします。一応の結論からいえば、医療費は非課税取引の対象です。正確にいえば、「公的医療保険の対象になる医療」については非課税取引の対象になっていますから、患者が消費税を支払うことはありません。消費者としては、ホッとするところでしょうか。もちろんこれは、健康保険・国民健康保険を問いません。医療関係を管轄する厚生労働省も、これを堂々と掲げています。……ただ、実際の患者からは「増税で医療費が上がった」という声も上がっているのが現実です。モヤモヤした気分になられた方もいるかもしれませんが、少なくとも「保険対象の医療は非課税取引」という点は間違いではありません。まずこれはこれで、覚えておきましょう。薬や設備の仕入れには消費税がかかるという現実そもそも、消費税とは「最終消費者」が負担するものです。一方、病院が治療のために仕入れる薬や設備などは、病院が消費税を支払って仕入れています。しかし、医療は非課税取引です。とすると、薬や設備の消費税は「病院が」負担しなければならないのでしょうか。これが、医療費と消費税の少しおかしな関係性です。そしてこのため、実際の医療費については「独特の見解」で対応しているのが実情になっています。なぜか「消費税はかからないが実質的にかかる」という不思議な関係実際の医療費と消費税の関係性について、さらに詳しくお伝えします。結論からいえば、「医療費は非課税取引だが実質的に消費税がかかる」といった感じです。具体的にいえば、医療費に「消費税」はかからないものの、本体の医療費に消費税分が含まれているといった感じになっています。そしてこのため、消費税が増税されるたびに本体の医療費が値上げされているのが実情です。これは、「医療費は非課税取引」としていることと「消費税の性格」を合わせたことによる結果かもしれません。消費者としては困惑するでしょうが、病院経営もビジネスです。実際に厚生労働省でも、このような見解を掲載しています。この、なぜか「医療費に消費税はかからないが実質的にかかる」という不思議な関係を、しっかり知っておきましょう。日本での治療費や初診料は増税で引き上げられた実際、令和元年10月に消費税が10%に引き上げられましたが、それにともなって日本での治療費や初診料は増税で少し引き上げられています。外来なら10~40円程度ですが、入院となると100~180円程度上がったのが実情です。少し厳しい現実かもしれません……。とはいえ、もはや消費税は「かかるほうが一般的」とさえいえます。分かりやすい〇%表示はないものの「医療費にも消費税は必要」と考えておき、増税されても対応できるように努めていきましょう。「自由診察」は消費税率アップでそのまま負担増に今度は、医療費の中でも自由診察についてお伝えします。元々が保険適用外の自由診察については、普通に消費税が必要です。ちなみに代表的な自由診察には、以下のようなものが当てはまります。美容整形や歯列矯正自然分娩や避妊手術・人工妊娠中絶人間ドックそしてこれらは、一般的に費用が高額なことが多いため、どうしても消費税が増税されると影響も大きくなりがちです。これらを検討中の方は、今後さらに増税されるかもしれませんから、その前に受けておいたほうが賢明かもしれません。ともかく、自由診察は消費税率アップでそのまま負担増になります。しっかり覚えておき、次の増税時に備えておきましょう。もともと自費が必要な保険外部分も請求額アップ自由診察ではなくとも、たとえば「差額ベッド代」など、もともと自費が必要な保険外部分も、消費税が増税されると請求額もアップします。何とも厳しい現実ですが、むしろ医療費と違って分かりやすく消費税として請求されるので、そういう意味では納得感もあるかもしれません。一方で、だからこそ病院に通う機会が増えるほどに、経済的な負担もより高まっていくのが実情です。普段から健康に気をつけながら、お金の面でも常に準備を心掛けておきましょう。医療費の高額化には「高額療養費制度」で対応をここからは、増税による医療費の高額化への対処法をお伝えします。結論からいえば、医療費の高額化には「高額療養費制度」を使うのが有効です。この制度は簡単にいえば、収入によって医療費の自己負担限度額が決められており、以下の表を上回る部分についてはお金が戻ってくる制度になります。※総医療費とは、保険適用の診察費用の10割金額のことちなみに計算は「同一月」ごとに行い、1人あたり2万1000円以上なら世帯内で合算することも可能です。さらに過去1年間で3回以上この制度を使った場合、4回目からはさらに自己負担限度額が下がります。使える場合は、使わない手はありません。上の表のとおり、日本ではどんなに年収が高い方でも、おおむね1ヶ月あたり「25万円少々」が自己負担額の上限です。年収が低いほどに限度額も低くなりますから、ぜひ積極的に活用していきましょう。合わせて「限度額適用認定証」を活用しよう高額療養費制度は実にうれしい制度ではありますが、お金が戻ってくるまでに3ヶ月程度もかかる点がネックです。いったんは病院に大金を支払わなければならない点もあります。そして、これらのネックを解消できるのが「限度額適用認定証」です。限度額適用認定証さえあれば、病院への支払い金額そのものを高額療養費制度の自己負担限度額までに抑えることができます。健康保険組合や役所にいえば簡単に作れますから、合わせて積極的に活用していきましょう。[adsense_middle]高齢両親と同居なら「高額介護合算療養費制度」が使えるかも?今度は、高額療養費制度に似た「高額介護合算療養費制度」をお伝えします。この高額介護合算療養費制度とは、簡単にいえば医療保険と一緒に介護保険も使っている世帯の自己負担限度額を定めた制度です。その自己負担限度額とは、以下のようになっています。ただし高額療養費制度とは違って、8月1日から翌7月31日までの「年間計算」です。また計算対象に入らない費用もありますし、世帯が同じでも同じ医療保険に入っていない場合は利用できません。医療費だけ、介護費だけ、という場合も使えない制度です。とはいえ、使える場合は実にうれしい制度といえます。特に高齢両親と同居している方なら使える可能性がありますから、ぜひ健康保険組合や役所に相談してみましょう。自動的には適用されず、自発的な手続きが必要!諸々の制度というのは、その多くが自動的には適用されません。その制度を知っている方が、自発的に必要な手続きをする必要があります。必要性が高いときに関係者が教えてくれることもありますが、教えてくれるとは限りません。常日頃の勉強や情報収集が大切です。ただ一方で、ほんの少しでも知ってさえいれば、必要なときには調べることもできますし、知っていそうな人に相談することもできます。ぜひ必要になるときまで、今回の制度のことを覚えておきましょう。年齢が高まるほどに医療費の必要性も必要額も上がるものの……最後に、ライフプランの観点における医療費についてお伝えします。何となく誰もが想像できるでしょうが、人間は年齢が高まるほどに老化しますから、おのずと医療費の必要性も必要額も上がるのが実情です。そこに消費税などの増税も加わればなおさらといえます。このような事態に備える方法の1つが「民間の医療保険」ですが、一方で「老後資金2000万円問題」もあるのが今の日本の現実です。そして、昔とは違って今は本当に年収が上がりにくい時代になっています。このままで、将来的な医療費や老後資金に備えられるでしょうか。少なくとも、「誰もが当たり前のように備えられるのが当然」ではありません。健康を維持することが大切な一方、同じくらい「ライフプラン上の資金計画」も大切です。ぜひ早くから、未来を見据えて動いていきましょう。「具体的な年収が上がる方法」を模索しよう!家計を改善する方法とは、大きく「収入を上げる、支出を下げる、投資をする」の3つしかありません。そして、支出を下げるには限度がありますし、投資をするにはお金が必要です。このため、将来が不安な方が最初にすべきことは「収入を上げること」といえます。年収が上がりにくい中で収入を上げるのは簡単ではありませんが、やるしかないのが現実です。ぜひ「具体的な年収が上がる方法」を模索して、未来の医療費や老後資金に備えていきましょう。実質的に医療費に消費税はかかる!「医療費は非課税取引」という建前ですが、実質的に医療費にも消費税はかかります。このため、今後の医療費はますます高まっていくであろう傾向です。しかし、年収は上がりにくい時代になっています。将来的には老後資金問題もありますから、年収が上がりにくい中ですが、なんとか年収を上げられるよう努めていきましょう。
2020年06月26日新型コロナウイルス感染症の影響軽減のため、1年間の納税猶予制度が設けられましたが、節税に悩む個人事業主の方は多いのではないでしょうか。今回の記事では、節税を考える個人事業主や起業したばかりで税金対策について知識がない方に対し、節税のポイントと効果的な具体策をご紹介します。個人事業主の節税のポイントは課税所得を抑えること個人事業主の節税のポイントは課税所得を抑えることです。税金は売上ではなく課税所得に税率をかけて計算するため、課税所得を抑えられれば税金も安くできます。1.個人事業主にかかる税金と課税所得個人事業主にかかる税金は次の4つです。消費税以外は確定申告した課税所得に対する税金であるため、課税所得を抑えることができれば所得税や住民税、個人事業税が下がり節税できます。2.課税所得を抑える3つの要素個人事業主の税金を左右する課税所得は次のようにして求められます。(課税所得)=(売上)-(必要経費)-(各種控除)計算式より、課税所得を抑える3つの要素は次のとおりです。売上(収入)を抑える必要経費を増やす各種控除を増やすこの3つの要素を満たすことが、個人事業主の節税対策となります。3.課税所得を抑えるための3つのポイント3つの要素を満たし課税所得を抑えるためのポイントは次のとおりです。3つの要素のうち節税効果の大きい必要経費、各種控除をメインに節税対策を行う。必要経費、各種控除に対する優遇制度などを活用する。まめに、漏れなく必要経費を計上し、各種控除を利用する。以上の3つのポイントをふまえて、必要経費・各種控除の優遇制度や、経費計上(以下、「必要経費として計上すること」)を忘れがちな費用などを具体的に紹介します。個人事業主の節税に必要経費を活かす方法最初に、必要経費を活かして個人事業主が節税する方法・テクニックを解説します。事業に関係するものは必要経費、まめに漏れなく計上事業の関係する費用はすべて必要経費です。1件1件の額は小さくても、1年間の必要経費を合計すると思った以上に高額になることもあります。必要経費として計上できるものを理解し、可能なものはまめに漏れなく経費計上することが節税の基本です。経費計上できるもの個人事業主が必要経費として計上できる主な費用は次のとおりです。売上原価(原材料費・仕入費用など)従業員への給与、・賃金事務所などの地代、家賃固定資産の減価償却費(費用を所定の法定耐用年数に分割して計上)上記以外にも、消耗品費(文具・備品など)や交通費・出張費、光熱費、通信費、接待費など仕事に関係するさまざまな費用が対象となります。税金も必要経費に必要経費で落とせる税金や公的な負担金のことを「租税公課」といい、下記の税金などが該当します。国税(登録免許税、印紙税、収入印紙など)地方税(固定資産税、不動産所得税、償却資産税、自動車税、軽自動車税、自動車取得税、自動車重量税、個人事業税など)公課(印鑑証明書、住民票の発行手数料、公共サービスに対する手数料など)所得税や住民税は必要経費にはなりませんので注意しましょう。家事按分による必要経費の計上個人の私的な支出と、事業用の支出の両方を兼ねる費用について、事業用分を経費計上することを家事按分といいます。起業したばかりで自宅を事務所として使用している場合の家賃、水道光熱費、通信費などが対象です。たとえば、自宅の1/3を事業用として使用している場合、家賃の1/3を必要経費として計上できます。自動車を個人用と事業用で兼用している場合も、レンタル料やガソリン代を家事按分することができますので、漏れなく必要経費にしましょう。短期前払費用の特例の活用短期前払費用の特例を活用すれば、本来は資産計上すべき費用を、支払った事業年度の必要経費として計上可能です。短期前払費用は、「前払費用」として支払った金額のうち、支払日から1年以内に継続的にサービスの提供を受けるものが対象で、下記のものが該当します。地代・家賃工業所有権の使用料保険料システムのリース料ただし、1年以上先の費用や製造物の原材料費(サービスではない、収益に直接かかわる費用)は対象外です。少額減価償却資産の特例の活用少額減価償却資産の特例を活用すれば、本来は数年に分けて減価償却すべき費用を、支払った事業年度に一括して必要経費として計上できます。通常は、文具・パソコン・自動車などの物品を購入した場合、10万円未満なら「消耗品」として一括経費計上し、10万円以上の場合は法定耐用年数に分割して経費処理します。少額減価償却資産の特例では、青色申告者限定で10万円~30万円の物品購入費についても一括して必要経費として計上できるため、特例を有効に活用しましょう。ただし、必要経費にできるのは1年間の合計が300万円までなので注意が必要です。経営セーフティ共済の活用経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)に加入すると掛け金は必要経費として計上できます。経営セーフティ共済は、取引先事業者が倒産した場合に無担保・無保証人で借入れできる制度です。掛け金は月額5,000円~20万円、融資額は掛け金の最高10倍(上限8,000万円)まで借入れることができます。個人事業主の節税に所得控除を活かす方法次に、所得控除を活かして個人事業主が節税する方法・テクニックを解説します。[adsense_middle]青色申告特別控除の活用青色申告によって確定申告を行うことにより最大65万円の所得控除が受けられる青色申告特別控除を活用すれば、課税所得を大きく削減できます。青色申告するためには、税務署への「所得税の青色申告承認申請書」提出や複式簿記による記帳、決算書(損益計算書・賃借対照表)作成などの手間がかかりますが、節税効果が大きいためチャレンジすることをおすすめします。青色申告特別控除を受けるための条件青色申告特別控除を受けるための条件は令和2年分より変更されました。特別控除額は、確定申告方法により10万円、55万円、65万円と異なります。白色申告にはない青色申告だけのメリット青色申告には、白色申告にはない税制上のメリットがあります。下記の税制上のメリットを活かせば、「青色申告特別控除」や前述の「少額減価償却資産の特例」以外により大きな節税効果が期待できます。法人化していれば、家族だけでなく自分の給与まで必要経費にできたり、純損失の繰越し可能期間が9年になるなど、税金を安くする方法が増えます。しかし、法人設立時の費用や時間、手間のかかる法人税の申告、従業員の労働・社会保険料の会社負担分など、さまざまな負担が増えることになります。iDeCo(イデコ)の活用iDeCo(イデコ)を活用すれば、掛け金全額が課税所得から控除されます。また厚生年金未加入の個人事業主にとっては、老後生活資金準備にも有効な一石二鳥の制度とも言えます。iDeCo(イデコ)は「個人型確定拠出年金」とも呼ばれ、自分で掛け金を拠出し資産運用を行う年金制度です。掛け金は全額が所得控除されるうえに、運用益は非課税、受け取る年金は公的年金等控除の対象となるため税制上の大きなメリットがあります。ただし、掛け金には上限があり就業形態によって上限が異なります。個人事業主の場合は、掛け金の上限が月6.8万円(年間81.6万円)です。資産運用はリスクがあって嫌だという人についても、安全性の高い預金商品で運用を行えば、利回りは低いですが節税効果が大きいため魅力ある制度といえるでしょう。その他の各種控除個人事業主は、事業に関する所得控除以外に個人に対する各種控除を受けることができます。基礎控除(※令和2年度より基礎控除額が38万円→48万円に変更(所得2,400万円以下の場合))医療費控除(※セルフメディケーション税制と選択)配偶者控除・配偶者特別控除生命保険料控除・個人年金保険料控除・地震保険料控除など社会保険料控除※国民健康保険料・国民年金保険料など小規模企業共済等掛金控除※iDeCo(イデコ)など寄附金控除会社員なども同様ですが、毎年使える控除なので、まめに漏れなく申告する習慣をつけましょう。最初はわからないところがあったり面倒ですが、習慣化することや、前年度の確定申告資料を残しておくことで早めに慣れることをおすすめします。個人事業主の節税対策に関するまとめご紹介したとおり、節税対策として必要経費に計上したり所得控除できたりする費用や優遇制度は数多くあり、必要経費と各種控除を漏れなく確定申告するかどうかで税金は大きく異なります。節税のためにわざわざ車を買ったり保険に入ったりしなくても、最初は面倒かもしれませんが、青色申告という手続きを踏んできっちりと申告するだけで税額を下げることが可能です。節税だけでなく老後生活資金の準備もできるiDeCo(イデコ)も、一度は検討してみることをおすすめします。
2020年06月22日こんにちは、婚活FP山本です。退職金といえば、サラリーマンにとっては数少ない大金を得られる機会といえます。しかしだからこそ、退職金にも税金がかかるのかどうかが気になる方も実に多いです。「退職金があるから老後も大丈夫」と考えている方も多いですから、ぜひ事前に実際のところを知っておきましょう。そこで今回は、退職金と税金の関係や計算方法、受け取り時の注意点についてお伝えします。あなたの人生に、お役立てくださいませ。退職金は税制上、税金の課税対象になる収入!まずは早速、退職金と税金の関係についてお伝えします。結論からいえば、残念ながら退職金も税制上、税金の課税対象になる収入です。税金がかかると知るだけで残念に思う方も多いかもしれませんが、そういうルールですから、しっかり税金が必要なら納めましょう。ただ、退職金というのは国から見ても「長年の勤労に対する報償的給与」と捉えているため、多額の税金を課すのは不適当とみなしています。だからこそ、多額の税金がかからないように複数の対策が講じられているのが実情です。とはいえ、税金が発生するのは変わりません。可能であれば、少しでも事前に何らかの対策を取っておいたほうが安心です。まずは、このような基本について、しっかり知っておきましょう。税率表をもとに、事前にシミュレーションしておこう退職金にかかる税金とは、所得税と住民税です。そして、令和元年分の所得税の税率表は以下のようになっています。一度この税率表をもとに、事前に税金額や退職金の受取額などをシミュレーション計算しておくと、心の準備に繋がるのでおすすめです。※計算方法はA×B-Cちなみに退職所得はほかの所得と分離して課税されますから、それだけ税額も割安になり、税金計算も簡単といえます。計算が苦手な方も、ちょっとだけ励んでみましょう。退職金の税金計算の方法は少し特殊!次は、具体的な退職金の税金計算の方法についてお伝えします。退職金の税金計算においては、最初に以下の公式で「退職所得控除額」を計算することが必要です。なお、1年未満の勤続年数の端数は、たとえ1日でも1年に切り上げて計算します。また障害者になったことで退職した場合は、上記の計算結果に100万円を加えた金額が退職所得控除額です。そして、控除しきれなかった残額の「半分」が、課税退職所得金額になります。ほかの所得とは分離して計算でき、大きな所得控除が使え、しかも課税する場合も半分だけ……これが退職金の税制です。実際には、税金がかからないというケースも多いといえます。あとは先ほどの税率表をもとに、実際の税額と受取額を計算してみましょう。勤続年数が長いほどに所得控除が増えて課税対象額は小さくなる先ほどの表を見ると分かるとおり、退職金は勤続年数が長いほどに所得控除が増えて課税対象額は小さくなります。また勤続年数が20年を超えると、さらに所得控除額が増額される設計です。これは、定年までの終身雇用が当然の、一昔前の常識がもとになっています。だからこそ、今後この退職金に関する税制は見直される可能性が高いです。とはいえ、見直されるまではこのようなルールのままですから、しっかり覚えておきましょう。退職金を「年金形式」で受け取ると損になりがちここからは、退職金の受け取りに関する注意点をお伝えします。まずは、退職金を「年金形式で」受け取る場合です。最近では大手企業を中心に、退職金を年金形式で受け取れる会社が増えています。そして年金形式のほうが、総額が増えることが多いので一見するとお得です。しかし年金形式で受け取る場合は、先ほどお伝えした「退職所得控除」が使えなくなります。代わりに「公的年金等控除」が使えるものの、退職年金の金額によっては控除しきれないのが実情です。厚生年金と重なるころには、税金が増えてしまうこともあります。このため、退職金を年金形式で受け取ると損になりがちです。選べる場合は、できれば退職金は一時金で受け取り、その後は自分で何らかの運用をしていきましょう。所得税や住民税だけでなく、社会保険料も……退職年金と厚生年金が重なってしまうと、所得税や住民税などの税金だけでなく、社会保険料も上がってしまう可能性があります。「総額が増える」というのは確かに魅力的に映る人もいるでしょうが、税金なども含めて考えれば損になる可能性がある点には注意が必要です。一方で、急に大金が入ってきたことで気が大きくなり、「使ってしまうリスク」が上がる点には注意が必要といえます。自己管理には気を付けて、退職金を有効活用していきましょう。退職金を受け取る前に特別な申告書を提出しよう今度は、退職金に関係する書類についてお伝えします。これは必ず必要というものではありませんが、できれば事前に提出しておきたいのが「退職所得の受給に関する申告書」です。これを会社に提出しておけば、税金のことは源泉徴収で終了し、確定申告が不要になります。この申告書を提出していない場合は、退職金の額面金額から一律に20.42%もの所得税(と復興特別所得税)が源泉徴収されますから、後が大変です。正確な税金額で清算するために確定申告が必要になりますから、できれば退職金を受け取る前に申告書を提出しましょう。なお、良識のある会社なら事前に指導や指示があるでしょうが、そのような会社ばかりではありません。自分の身を守るためにも、自分でもしっかり知っておきましょう。最終的な税率は同じだが源泉徴収のほうがラク!退職所得の受給に関する申告書を提出してもしなくても、最終的な税率や税額は変わりません。しかし一般的な会社員は、税金や確定申告に不慣れな方も多いといえます。そういう方なら、会社が代わりに税金額の計算や手続きをしてくれるほうが断然ラクなはずです。退職金を受け取るということは、文字どおり会社を退職することになります。ということは、ほかにもさまざまな手続きが必要です。できれば少しでも労力を減らせるよう対処していきましょう。死亡時に遺族が受け取る退職金は非課税?今度は、当人の死亡にともなって受け取る退職金についてです。勤め先によっては、本人が亡くなったときには残される遺族に死亡退職金が支払われることがあります。そしてこの死亡退職金には、通常の退職金で必要だった所得税などはかかりません。ただ、代わりに「相続税の課税対象」になります。ただし、「500万円×法定相続人の数」までは非課税となる扱いです。なお、生命保険も同様の非課税扱いがありますが、あくまで別枠となります。それぞれで、「500万円×法定相続人の数」までは非課税です。当人が亡くなったということは、以後の収入が不安定になる可能性が高いです。最大限に死亡退職金を活用して、その後の生活を安定させていきましょう。生命保険と合わせて死亡時対策をしておこう保険料や想像への抵抗感などから、「死亡時対策」をしていない方も意外に多いといえます。幸運にも死亡退職金がもらえたとしても、その後の生活には全然足りないということも多いです。独身者ならともかく既婚者、特に子供がいる夫婦は要注意といえます。死亡時対策の代表格は、先ほど触れた「生命保険(死亡保険)」です。亡くなってから焦っても手遅れですから、万が一のことが起こる前になるべく備えておきましょう。[adsense_middle]退職金だけでは「老後資金2000万円問題」を対処できない最後に、退職金に関係する大切な補足情報をお伝えします。結論からいえば、退職金だけでは「老後資金2000万円問題」を対処できないという点です。勤め先によっては2000万円程度の退職金がもらえることもありますが、それでも足りないことが多いといえます。というのも、この問題の2000万円というのは「最初の目標数字」であることが多く、実際には倍の4000万円程度が必要ということが多いです。2000万円もの退職金がもらえないことも多く、仮に定年後に再雇用されても収入は半減することも多いといえます。つまり、この老後資金問題は老後の直前になってから焦っても手遅れで、もっと前の段階から備えを続けることが必要です。理想としては「結婚直後の生活水準や子供の数を選べるころ」、もっといえば「結婚相手を選べる婚活中」から、未来を見据えて動きましょう。そもそも時代は終身雇用が崩壊中……そもそも時代は終身雇用が崩壊中です。「長年勤めあげる」ということが難しく、最近では大手企業でも40代でリストラされることもあります。このため、多くの場合で退職金をアテにした老後対策というのは、そもそも無理があるのが実情です。一方で、最近では年収の低い非正規労働の方も多く、新型コロナによって正社員でも雇用を失いやすくなっています。このため、老後対策がしにくいというのも確かな現実です。しかし、しなくてもよいとはなりません。できる限り、将来や老後に対して備えていきましょう。税金計算も大切だが、退職金の増額や別の対処法も考えよう退職金に対する税金計算は大切です。しかし一方で、退職金の増額や別の老後対策も重要になってきています。今は、ただ真面目に働いていれば生涯安泰が当たり前という時代ではありません。働くことさえ新型コロナで難しい方もいるでしょうが、ぜひこんなときこそ、未来を見据えた行動を取るよう心掛けていきましょう。
2020年06月18日「米国株にはどのような税金がどれくらいかかるのだろう」「株を買う前に米国株に関わる税金について知っておきたい」、今回はそのような方に向け、米国株を購入する際に知っておきたい米国株と税金について解説をしていきます。【予備知識】アメリカ株購入時に押さえておきたい、株の2種類の税金投資信託等の二重課税調整制度開始のご案内(日本証券業協会)実はこれまでは、確定申告をしても二重課税が解消されなかった投資信託(外国税額控除制度の対象外の投資信託)がいくつかありました。この制度ではそうした投資信託に関して、上記画像のとおり、外国での配当課税分を販売会社側が調整し、控除してくれるようになりました。どうしても少し固い言葉の説明になってしまい恐縮なのですが、簡単に言うと、「投資家は何もしないでも、課税を国内分(20.315%)のみに調整してくれる」制度です。外国税額控除制度の対象外だった投資信託:株式数比例配分方式以外の公募投資信託、ETF・J-REIT・JDRを指す。米国株の税金に関するまとめ今回は米国株の税金について解説をしてきました。だいぶ固い言葉が多く、読むのに力が入ったのではないかと思います。確かに二重課税は米国株投資のデメリットではありますが、今後徐々に改善方向へと進んでいくことが予想されます。その背景には、私は米国株投資家の増加があるのではないかと考えます。魅力の多い米国株への投資に向け、税金に関する知識をこの記事で学んでいただけたら幸いです。
2020年06月17日現在サラリーマンで会社に勤めているけれども、「副業してみたいな」と考えている人は多いでしょう。「でも、副業したら所得税も取られるかも。損したらどうしよう」と心配になっているかもしれません。実は、サラリーマンの方なら一定範囲では所得税はかかりませんし、もしその範囲を超えても、できるだけ所得税を抑える方法があるんです!この記事では副業の所得税、所得の仕組みと副業をした場合の所得税の計算方法について解説していきます。サラリーマンが本業以外で副業したら所得税がかかる?サラリーマンなら、本業のほうで自動的に所得税が天引きされています。この上でさらに副業をしたとして、税務署はどうやってそこから所得税を徴収するのでしょうか?黙っていればわからないのではないでしょうか?結論をいえば、副業の所得が一定以上になれば所得税の支払いをしなければいけなくなります。そしてそれは、自分から「副業と本業を合わせてこれだけ所得がありました」と税務署に確定申告をすることによって、所得税を支払うということを意味します。いったいどういうことなのか、以下で説明いたします。副業で確定申告が必要になる理由通常、サラリーマンであれば年間の収入が2,000万円を超えない限り確定申告は不要です。年収2,000万円なんて、よほどのトップか外資系のエリートサラリーマンでもない限り手が届きませんよね?ところが、普通のサラリーマンでも副業を始めた途端に、その所得が一定以上になれば確定申告が必要になります。その理由は、副業をして20万円の所得があれば、本業の収入にかかわらず確定申告が必要と決められているからです。そうしないと税務署が副業分の税金を徴収することが難しいからでしょう。では、具体的にはどのような状態であれば申告が必要になるのでしょうか?おおよそ下記の2つのケースで目安が異なります。副業が給与になる場合副業が給与以外の場合以下でそれぞれについて説明いたします。副業が給与の場合の目安こちらは、本業で働く以外にパートやアルバイトという形で別の会社で働き、そこからも給料をもらうという場合になります。派遣会社に登録して、派遣先で働いて派遣元から給料をもらう場合もこのパターンになります。この場合には、年間収入が20万円を超えれば確定申告が必要になると判断しましょう。月あたりですと1万6千円強ですね。すぐに超えてしまうような金額です。なぜかというと、給与で副業収入をもらっている場合には「収入=所得」ですので、収入が20万円を超えれば確定申告の対象になってしまうからです。副業が給与以外の場合の目安これが、副業が個人事業といった給与以外での収入ということになると話が変わってきます。なぜなら、確定申告が必要なのはあくまでも所得が20万円以下だからです。そして、給与以外であれば「収入ー経費=所得」という考え方が効いてきます。つまり、収入が20万円を超えたとしても、経費が多ければ所得を20万円以下に収めることができます。すると、確定申告が不要になるというわけです。これはお得ですね。だからといって、経費にならないものまで経費にしてしまうことはNGです。あくまでも常識の範囲内で経費を計上しましょう。ただし、逆に経費になるべき費用なのに、確証がないために経費にできなかったというのでは非常にもったいないです。経費にできそうな領収書やレシートは普段から集めておくようにしましょう。不要と思っても確定申告をするメリットでは、確定申告はできればしないほうがいいのかというと、そうとも言い切れないのが悩ましいところです。実は、確定申告が不要と思われる場合であっても、場合によっては申告をしたほうがよいケースも存在します。それはどんなときなのかというと、給与や法人からもらう報酬などの場合で、源泉徴収された報酬を受け取るケースです。例えば、サラリーマンをやりながらクラウドソーシングサイトに登録して、そこで法人からの案件を請け負うと、受け取る報酬は源泉徴収がされています。このケースでは、確定申告をしなければ源泉徴収されたままです。確定申告をすると、場合によっては源泉徴収された額が引かれすぎていると判明して、いくらか戻ってくることがあります。なので、確定申告は避けるべきとは必ずしも言い切れません。給与以外の副業での所得の仕組み一口で副業といっても、その中には色々な種類の仕事があります。そして、副業の種類によって所得を計算する方法はさまざまです。ここでは、主な副業について所得の計上方法を見てみましょう。下記の4つの所得について取り上げます。パート・アルバイトなどの給与所得原稿料・アフィリエイトなどの雑所得不動産賃貸の不動産所得事業を行っている事業所得[adsense_middle]1.パート・アルバイトなどの給与所得まずは、先ほども出てきたパート・アルバイトなどです。この場合には、本業・副業ともに給与所得に分類されます。ということで、本業と副業の1年間の収入を合算して、そこから給与所得控除を差し引いたものが給与所得金額となります。つまり、「給与所得金額=年間の給与合計額ー給与所得控除」となります。給与所得控除とは何かというと、サラリーマンには経費をいちいち計上するのではなく、一定分を経費とみなして差し引くという控除の仕方がなされます。それを給与所得控除といい、サラリーマンはいちいち経費のことを考える必要がないわけです。なので、会社から源泉徴収票をもらうときには、給与所得控除された給与所得金額が掲載されています。確定申告の際には、その額を足し合わせて転記するだけでOKです。2.ライターやブログなどの雑所得次に、サラリーマンをしながらライターの仕事をして原稿料を得たり、ブログを運営してアフィリエイトの収入を得たりしたケースです。この場合には、本業は給与所得で副業は雑所得になります。この雑所得は、「雑所得金額=売上ー経費」で計算されます。この売上金額や経費の金額については、自分で計算する必要があります。雑所得の売上を立てるのにかかった費用を適切に計上するようにしましょう。ただし、雑所得の場合には一点注意すべきことがあります。ほかの所得と違い、雑所得は損になった場合、ほかの所得と合算ができないという点です。その場合には雑所得の税金が0となり、給与所得はそのまま計算されます。3.不動産賃貸は不動産所得かなりの資産を有しているサラリーマンの場合になりますが、マンションやアパートを所有していて、その物件を賃貸に出している場合には不動産所得の対象となります。やはり「売上ー経費」で所得を出しますが、先ほどの雑所得よりもお得な特典があります。青色申告特別控除確定申告に青色申告を適用した場合には、青色申告特別控除を使うことができます。複式簿記を記帳して貸借対照表・損益計算書を確定申告の際に添付すると65万円の、それ以外の場合には10万円の控除を受けることができます。せっかくですから、ここは65万円の控除を受けたいですね。しっかり条件を満たしましょう。ということで、この場合には本業の給与所得の金額と合算するのは、「不動産所得金額=売上ー経費ー青色申告特別控除」ということになります。4.継続して事業を行っている場合は事業所得クラウドソーシングや内職などの個人事業を毎年継続して行っている場合には、事業所得と判断されることとなります。ただし、サラリーマンの場合は継続した仕事であると税務署に認められる必要があります。認められない場合には「雑所得」になりますので、どうしても事業所得として認めてもらいたい場合には事前に税理士に相談してみましょう。事業所得と認められた場合、不動産所得と同じく青色申告特別控除を使うことができます。なので、総所得は給与所得に「事業所得=売上ー経費ー青色申告特別控除」を合算した金額になります。副業を合わせた税金の計算方法所得の算出の仕方はこれまで述べた通りですが、最終的にはそこから所得税を計算する必要があります。数字に弱い人であれば「もうついていけない」と逃げ出したくなるかもしれません。しかし、心配は無用です。所得を算出すれば、あとはWebサイトに必要項目を入力するだけで計算は自動で行ってくれます。電卓をたたく必要はほとんどありません。ただし、どのような方法で所得税が算出されるのかを把握しておくと、支払う税金にも納得感が出るというものです。ということで、ここではサラリーマンが副業をした場合の税金の計算について述べていきます。[adsense_middle]それぞれの収入から所得を計算して合算まずは、本業と副業それぞれの所得を合算していきます。そして、税金を算出するもとになる総所得の金額を決定します。ここで、もしも副業のほうで所得がマイナスになっていたら、その分の通算をすることができます。ただし、先ほども言ったように雑所得はマイナスの通算ができません。この点には気をつけましょう。所得合計金額から所得控除を除く次に、総所得金額から所得控除を引いていきます。まずは、全ての人に与えられる基礎控除38万円を差し引くことができます。あとは人それぞれですが、代表的なものでは医療費控除や生命保険料、地震保険料、社会保険料の控除などがあります。ただ、こういった控除は病院へ行ったり保険に入っていたりするだけでは自動的に控除されません。確定申告の際に自分で申告し、場合によっては税務署に確証を提出する必要があります。また、提出しなくても確証は一定期間保存しておかなければなりませんので注意しましょう。税率を掛けて所得税を計算ここまでで算出された課税対象所得に、所得税率を掛けて所得税額を計算することになります。「課税総所得金額×税率-控除額」で計算されますが、この計算は自動で行われます。最後に、住宅ローン控除といった税額控除を差し引き、復興特別所得税を加えた金額が納付する所得税となります。ただし、実際には源泉徴収されている所得については差額を納付し、払いすぎていたら還付を受けることになります。所得税を納税する納付する必要がある場合には、その金額を税務署へ支払いに行くだけになります。まずは確定申告で申告して、実際に税務署から通知が来て納付を行います。納付する方法には、実際に現金を支払う現金納付と、引き落としをする振替納付があります。副業と所得税に関するまとめ副業と所得税について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?一般に、サラリーマンが副業をしても、年間所得20万円までは確定申告が不要で所得税はかかりません。また、副業の種類によって所得の計算方法は異なります。「副業をしてみたい、でも税金は取られたくない」という人は、まずは年間所得20万円以下の枠内でトライしてみましょう!
2020年06月15日現在会社に勤めていてこれから副業をしてみようと考えている人や、最近複数の仕事を始めた人は、「副業をしたら税金はどうしたらいいのかな?」と、今後の税金の支払いについて心配をしているかもしれません。働き方のパターンは人それぞれですが、いずれの場合でも税金はすべて確定申告をして支払うことになります。ポイントを押さえてしまえば確定申告は決して難しくはありませんが、思わぬところでつまずいてしまうこともあります。この記事では、個人事業主の働き方ごとの所得の計算方法、確定申告の仕方および注意点について解説していきます。個人事業主の副業のパターンとは?収入別の所得計算方法について副業をした際の税金の計算の仕方・確定申告のやり方について本やネットで調べていても、なんだかモヤモヤして、いまいち腑に落ちないような気がする人がいるかもしれません。その理由は、先ほど申し上げた「働き方のパターンは人それぞれ」だからです。本当に自分はここで述べられているケースに当てはまるのかな、と感じてしまうわけです。収入の内訳はいろいろなパターンに分かれているため、まずパターン別の所得の計算方法をきちんと理解することで、「ああ自分はこのパターンに当てはまるな」と納得していただけると思います。ということで、まずはパターン別の所得の計算のやり方について述べていきます。ちなみに、収入とは勤務先やクライアントからもらう金額そのもののことで、そこから控除や経費を差し引いた金額を所得といいます。そして、税金は所得をもとに算出されます。収入を得るパターンはいろいろでも、副業をしていれば基本的には全員が確定申告をすることになります。1.給与所得者が副業を始めて個人事業主を兼業する場合などまずは、普通にサラリーマンをしている人が副業をする場合です。この副業にも2種類あって、別の会社でダブルワークをする場合と、個人事業者としてクラウドソーシングなどで事業をする場合があります。ダブルワークをしている場合、本業の会社と副業の会社それぞれから源泉徴収票を毎年受け取りますので、それぞれの「給与収入ー給与所得控除額」で給与所得を算出します。そして、確定申告時にそれぞれを合算することになります。ちなみに、いちいち「給与収入ー給与所得控除額」を計算しなくても、国税庁のWebサイトに収入額その他を入力すれば自動的に給与所得を計算してくれますので、「給与所得控除額って?」と悩む必要はありません。副業で個人事業をする場合また、副業で個人事業をする場合には、副業は事業所得となり「収入金額ー必要経費」で所得を計算します。こちらは、源泉徴収票のようにまとまった書類がない場合も多いので、自分で計算して算出する必要があります。そして、本業の給与所得と副業の事業所得を合算して確定申告する、という手順になります。給与所得者は確定申告をしなくてもよい場合もあるただし、このケースでは唯一「確定申告をしなくてもいい」という例外があります。実は給与所得者の場合、「副業の所得が年間20万円以下の場合には確定申告をしなくてもよい」というルールが存在しています。収入ではなく所得が20万円以下ですので、副業で30万円収入があっても経費が11万円かかったら確定申告は不要となります。2.個人事業主・フリーランスが副業として給与収入を得る場合こちらは、会社を脱サラした人などが個人事業主として活動しているが、副業としてパートやアルバイトのような形で会社で仕事をする、という場合です。この場合、所得の計算としては、先ほどの会社勤めをしている人が個人事業者として事業をしているケースと同じになります。何が違うのかというと、単に給与所得と事業所得の金額の大小だけです。ただし、この場合には源泉徴収に注意が必要です。ここでわざわざフリーランスと書いたのは、フリーランスでこの問題が発生しやすいからです。フリーランスの方は、自分では個人事業主として営業していると思っているかもしれません。しかし、たとえばクラウドソーシングサイトで仕事を獲得するウェブライターなどの場合、クライアントは個人の場合と法人の場合があります。実は法人の仕事を請け負っている場合、事業所得であるにもかかわらず収入から給与所得のように源泉徴収されているんです。したがって、確定申告で事業所得を計算する場合、法人から受け取っている報酬に源泉徴収額を加えたものが収入となります。ここは間違いやすいので注意しましょう。なお、ここで源泉徴収として加えた金額は、税金計算の際には差し引いて計算されますので決して損にはなりません。3.個人事業主が本業以外の事業を副業として行う場合最後に、個人事業主が副業として別の事業を始めた、という場合もあります。ただ、この場合にはあまり本業・副業の区別に意味はありません。それぞれの収入から経費を差し引いて事業所得を出し、それらを合算して確定申告するだけとなります。副業をした場合の税金を確定申告で申告する方法それでは、副業をした場合にはどのように確定申告を進めていけばいいのでしょうか?実は、副業をしていれば合算の手間がかかるだけで、あとは通常の確定申告と何も変わりません。そして合算で一番わかりにくいのは収入の部分ですが、それはこれまで説明した通りです。ただ、副業をして初めての確定申告を迎える場合、税務署から「確定申告をしてください」といった案内はきませんので注意しましょう。申告をして初めて、「この人は確定申告の対象」と税務署が認識することになります。なので、2回目からは案内をもらえる場合があります。ちなみに、確定申告は所得税に関する申告で、住民税とは別です。ただし、確定申告すればその情報が住民税の方にも送られるので、失業中で申告する所得がないなどの場合を除き、住民税の申告をする必要はありません。確定申告は、下記の手順で進めていきます。事前に白色申告か青色申告かを決めておく確定申告書を入手する収支内訳書を作成する確定申告書の作成・提出以下で、それぞれについて見ていきましょう。[adsense_middle]白色申告と青色申告のどちらで納税するかを決定経理について詳しい人なら最初から青色申告してもいいでしょうが、副業を始めたばかりの人には帳簿作成などのハードルが高いので、最初は白色申告をするのをお勧めします。ということで、ここでは白色申告の仕方について述べていきます。確定申告書を入手まずは申告する書類がないと始まりませんので、確定申告書を入手しましょう。入手方法には以下の3つの方法があります。税務署などに行って、直接入手税務署に連絡して郵送してもらう国税庁のWebサイトからダウンロードただし、おすすめは何といってもサイト経由です。作業はWeb上で完結し、他帳簿の転記も自動で行ってくれます。このあとの説明もWebベースとなります。収支内訳書を作成次に、確定申告書の中の収支内訳表を作成します。副業をしている場合には、所得を受け取った会社やクライアントごとに収入や経費などを記入していきます。相手先の住所までいちいち記入しなければならないので、数十社と仕事をしている人などは相当面倒な作業になります。さらに個人事業の場合、相手先が源泉徴収票などのきっちりとした書類をくれないケースもあるため、自分で資料を作成して金額を算出する必要があります。初めて確定申告をする場合にはあまりの煩雑さに心が折れそうになるかもしれませんが、実はここがヤマですので、ここさえ乗り越えればあとは楽です。また、申告の時に大変にならないように毎月管理をしておくことがおすすめです。確定申告書の作成・提出収支内訳表さえ作成してしまえば、所得の金額などは確定申告書の必要な部分に自動的に転記されていきます。あとは医療費、生命保険、社会保険費といった控除項目に金額を入力していきます。そして、人によっては雑所得・雑損などに金額を入力して完成させます。そのあと、データを保存して印刷し、税務署に提出します。どの税務署に持っていくかは、Web上に自動表示されます。マイナンバーカードを持っていれば、e-TAXで電子的に送付することもできます。確定申告する際の注意事項確定申告の大まかなやり方はこれまで述べてきたことに尽きるのですが、そうはいっても初めて申告をする場合にはいろいろと注意しておいた方がいい点もあります。そこで、以下では確定申告に関する注意事項について解説いたします。[adsense_middle]会社を退職した人はサラリーマン時代の所得や退職金も申告する年の途中で会社を退職して個人事業主になった人は、サラリーマン時代の所得も含めて確定申告をする必要があります。退職した際に受け取る源泉徴収票は大事に取っておきましょう。また、退職金については退職所得として申告する必要があるので覚えておきましょう。申告期限に注意!申告開始日と申告期限は忘れないようにメモなどしておくことをおすすめします。税金を支払うのではなく、支払い過ぎていて還付を受けられる場合には、申告開始日を待たずに年明けすぐから申告ができます。万が一申告期限に遅れてしまった場合、税金に延滞金などが加算されてしまいます。遅れに気づいたら、税務署から通告される前に支払いに行くと、少し加算金が安くなる場合もあります。医療費控除できるのは10万円以上?また、確定申告で医療費控除ができるのは医療費が10万円以上のときと思っている人が多いですが、実は所得が200万円以下の場合、所得の5%を超える部分を控除できます。退職して個人事業主になったばかりのときは、副業しても所得が200万円を超えない場合もありますので、間違えないようにしましょう。いずれは青色申告者として登録しようここでは白色申告の話をしましたが、経験を積んで収入が増えてきたら青色申告にチャレンジしましょう。帳簿作りは大変ですが、白色申告にはない控除などの特典があります。何も届けなければ白色申告になりますが、青色申告の登録をするには期限までに申請書を税務署に提出する必要があります。まとめ:個人事業主の副業について個人事業主と副業について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?個人事業主が副業をするといっても、サラリーマンが副業で個人事業主をやることから、個人事業主が副業する場合までさまざまなケースがあり、それぞれの働き方に応じて所得の計算方法があります。ただし、いずれの場合にも最終的には確定申告をすることになり、そのやり方もほぼ同じです。ただし、特に初めて申告する場合には注意すべき点もあります。「確定申告することになるのか」と思うと、サラリーマンの方はなかなか副業に踏み切れないかもしれません。でも、ポイントさえ押さえれば確定申告は決して難しくはありません。自分にやりたいことがあれば、ぜひ副業にチャレンジしましょう!
2020年06月07日死亡保険に加入するとき、必ず死亡保険金の受取人を設定しなければいけません。一般的には配偶者や子が多いですが、実は「受取人」が誰であるかによって、納めなければいけない税金の種類や金額が違います。死亡保険とは、被保険者(保険の対象となる方)の死亡時に、あらかじめ指定した死亡保険金受取人に保険金が支払われるものです。通常、数約万円~数千万円という大きなお金が支払われますので、多少の税金がかかることはイメージできても、どの場合にどの税金が適用されるかなかなかわからない方がほとんどではないでしょうか。今回は、保険金受取のパターンごとに、死亡保険金にかかる税金についてまとめていきます。生命保険の税務生命保険とは「万が一の際に備える」目的で加入します。では、万が一が発生し給付金(保険金)を受け取った場合、すべてに税金がかかるのかというと、そうではありません。生命保険の給付金(保険金)を受け取った場合で、税金がかかるのは【死亡保険金】や【養老保険などの満期金】【中途解約における解約返戻金】です。一方、入院給付金や通院給付金、就業不能給付金などを受け取っても、税金はかかりません。非課税の対象は、保険会社問わず業界一律です。各保険会社で特約名やペットネームなどの多少の違いはあっても、事故や病気で発生した給付金には課税されないことになっています。税金のかからない給付金の主なものは、以下の通りです。入院給付金手術給付金通院給付金特定疾病保険金がん診断一時金先進医療特約に関する給付金契約者・被保険者・受取人の関係性がポイントでは早速、死亡保険金にかかる税金についてまとめていきます。概要を表にまとめ、その後にそれぞれ詳しく解説します。契約者とは掛け金の負担者生命保険の契約の中で、さまざまな名称が使われて混乱してしまう方も多いのではないでしょうか。今回のテーマである死亡保険金の受け取りに際しては、どの立場の人が、どのような役割を担っているかを把握しておくことが、大切なカギとなります。ここで改めて確認しておきましょう。契約者…保険契約をする人(した人):「毎月の掛け金を負担している人」という認識でよい。解約金は契約者に支払われる。被保険者…保険契約の対象となる人:加入時に健康状態を告知する必要があり、被保険者に万が一のことがあれば保険金が出る。保険金受取人…被保険者が死亡した際に保険金を受け取ることができる人:基本的には被保険者の配偶者または所定の範囲内の親族。指定する受取人がいない場合は?生命保険に加入する際は、必ず死亡保険金の受取人を決めなければいけません。事情があり、どうしても加入時に受取人を決定できない場合は、受取人欄に「法定相続人」と記載することで保険に加入できる場合もあります。法定相続人とは、民法で定められた遺産を相続する権利のある人のことです。指定する受取人がいない場合や、判断に悩む場合の取り扱いについては、取り扱いの保険会社にお尋ねください。①相続税の対象これまでに解説した内容をふまえ、ここから実際の税の話に入ります。まずは、死亡保険を受け取って「相続税」の対象となる場合についてです。相続税が課税されるパターンは【契約者と被保険者が同一で、保険金の受け取りがそれ以外である場合】です。つまり「自分のために、自分で加入した生命保険で、自分に万が一のことがあったら誰かに保険金を遺す」という場合は、相続税に当てはまるということです。相続税とは相続税とは、対象の方が亡くなることで発生する税金です。死亡保険金の受け取りをして、相続税の対象となるという人は、対象者が亡くなったことで少なからず生活に影響がある場合がほとんどです。このことから、死亡保険金の受取の際にかかる税金の中で、税の負担が少なく抑えられるのは相続税です。遺族となり、せっかく受け取った保険金ですので、なるべく多く遺族補償として使ってもらえるように配慮されています。受取人は配偶者・子供が望ましい保険金受取人は、できれば「被保険者の配偶者または子供」が望ましいと言えます。配偶者や子供がいない場合は「被保険者の法定相続人」を受取人として指定しましょう。主に配偶者や子などの法定相続人が保険金受取人となった場合、相続税の非課税枠が適用され、法定相続人の数と保険金額によっては、相続税の課税対象とはならない場合もあります。【相続税の非課税金額・計算式】500万円」×法定相続人の数保険金の非課税適用たとえば、父親が自分を被保険者として、保険金額3000万円の死亡保険に加入していたとします。妻と、子供が2人いた場合、この3人が法定相続人となります。したがって、相続税の非課税金額は【500万円×3人(妻・子供2人)=1,500万円】となります。保険金額は3000万円ですので、非課税金額を差し引いた1,500万円が相続税の課税対象となります。この1500万円は、その他の遺産(預貯金など)と合算され、相続財産とみなされます。遺産総額の基礎控除保険金も含めたすべての相続財産に対して、さらに基礎控除額が設定されています。【相続税の基礎控除額】=3000万円+(600万円×法定相続人の数)上記の例に当てはめてみると、法定相続人は3人です。したがって【3000万円+(600万円×3人)=4800万円】が、相続税の基礎控除額となります。死亡保険金の非課税枠を差し引いた残りの1500万円を含めて、全ての遺産総額が4800万円以内であれば、相続税の対象にはなりません。超えた場合は、超えた金額に対してのみ課税されます。相続財産が基礎控除額以下の場合は、基本的には確定申告は不要です。ほかの控除(配偶者控除など)を利用する場合など、個別の相続状況はさまざまですので、確定申告の有無については自己判断せず、税務署に相談しましょう。②所得税の対象所得税とは、個人の所得に対して課税されます。保険金の受け取りに際しては、契約者と受取人が同一の場合に対象となります。契約者とは「保険料を負担している人」のことです。受取人は、保険金を受け取る人のことです。つまり「保険料を払った人が、保険金をもらう」ことになるので、所得税の対象となるということです。保険金が「所得税」の対象となるのは【契約者・受取人が同一人物で、被保険者は別である場合】です。[adsense_middle]所得税の課税対象とは注意したいのは、受け取った保険金の全額に対して課税されるわけではないという点です。所定の計算式に当てはめ、算出された額に対してのみ課税されます。以下の計算手順で、所得税の課税対象となる金額が算出されます。実際に受け取った保険金から【既払込保険料】を引きます。「1」で出た金額から、さらに【一時所得・特別控除「50万円」】を引きます。「2」で算出された金額が【一時所得】額となります。一時所得額の1/2の額が、実際の課税対象となります。既払込保険料とは、保険料受け取り時までに支払った保険料の総額のことです。計算例既払込保険料500万円に対して、保険金3000万円を受け取った場合の所得税の課税対象の額は以下のようになります。3000万円-500万円=2500万円2500万円ー特別控除額(50万円)=2450万円(一時所得の額)2450万円×1/2=1225万円1225万円が課税対象となる。③贈与税の対象贈与税とは、死亡保険金の受取に際してかかる税金の中で、もっとも金額的な負担の大きい税金です。契約者、被保険者、受取人がすべて別人である場合に、贈与税の対象となります。贈与税の課税対象とは贈与税は、法定相続人などの関係性は必要なく、どのような条件であっても、一律「110万円」のみが控除額として差し引かれます。単純に、受け取った保険金額から110万円を差し引いた額が、課税対象ということです。計算例3000万円の死亡保険金に対して、贈与税が発生する場合【3000万円ー110万円=2890万円】が課税対象となります。受取人の変更はお早めに死亡保険金を受け取る際には、なんらかの税金がかかることはご理解いただけたのではないでしょうか。いずれも、受取人がどなたであるかは非常に重要なポイントです。たとえば、独身の頃加入した保険で、受取人が既にお亡くなりになった親族であったりする場合もあります。定期的に保険証券や、保険の内容のわかるものを確認し、受取人や指定代理請求人が、ご自身の希望通りの方になっているかは確認しておくと良いでしょう。特に、結婚などで家族が増えた際は受取人を再検討するタイミングです。ちなみに、受取人の変更は無料ですぐに完結します。詳しくは加入している保険会社にお尋ねください。死亡保険金にかかる税金に関するまとめ死亡保険金の税務については、生命保険加入時に必ず保険の担当者から説明が行われているはずです。しかし、そもそも加入した時期がかなり以前である場合などや、聞いたかもしれないが制度自体がわかりにくいなどの理由から、税務についてご存じない方が多いのではないでしょうか。なかなかこのような細かい点まで把握するのは、通常は困難です。ご安心ください。本記事で解説したように、契約者などの関係性によって、どの税金の対象となるか全く異なり、場合によっては契約者変更を行う方が税務上スムーズとなる場合もあるでしょう。特に理由がなく契約者と被保険者を別にしている場合などは、今一度ご家族とご相談の上、変更しても良いかもしれません。生命保険は、人生の中でもかなり大きな買い物であると言われます。大きな買い物をするからには、しっかりと「受取時」についても考えておき、遺された方の役に立つ形で保険金を遺すことが安心であるといええます。契約者や受取人の変更については、ご加入の生命保険会社へお尋ねください。
2020年05月30日毎年5月は自動車税・固定資産税等、6月は住民税・国民健康保険料等の通知が届き、支払も必要な時期です。今年は新型コロナウイルス感染症の影響で、支払が難しい方もいらっしゃると思います。そのような場合は窓口で相談した上で、支払を猶予できる場合が少なくありません。 今回は税金や社会保険料の支払が難しい場合の対応方法をお伝えします。 まずは担当窓口がどこかを確認!5〜6月は多くの納付書が各所から届きますが、支払の相談や猶予をするためには、担当している官庁の窓口を確認する必要があります。個人に関する主な税金・社会保険料の担当官庁は以下のとおりです。【1】自動車税都道府県の都道府県税事務所・支所など【2】軽自動車税市区町村の税務課・納税課など【3】固定資産税市町村の固定資産税課・税務課・納税課など(東京都23区の場合は都税事務所など)【4】住民税(都道府県民税・市区町村民税)市区町村の市区町村民税課・税務課・納税課など【5】国民健康保険料(国民健康保険税)市区町村の国保年金課、保険年金課など【6】国民年金保険料市区町村の国保年金課、保険年金課など その他、自営業・フリーランスの方、法人を所有している方、相続や不動産の売却があった方などは、別の税が課されることもありますが、その場合は通知書や納付書に記載されている官庁の窓口に問い合わせをしましょう。 支払が厳しいと思ったときは相談を新型コロナウイルス感染症の影響だけでなく、家計が一過的に厳しくなった場合は、支出を減らすことが大切です。税金や社会保険料は窓口で相談をすることによって、支払期限を延長したり、分割にしたりすることができる場合が少なくありません。支払期限が来ていないものはできれば支払期限内に、支払期限が過ぎているものはなるべくお早めに窓口で相談することを検討しましょう。まずはお電話であらかじめ内容や持ち物の確認、訪問時間の確認をすることをおすすめします。払わないまま放置しておくと督促状が届きます。場合によっては差し押さえや国民健康保険証の利用制限がかかることもありますので、税金や社会保険料の支払が厳しくなった場合は窓口で相談しましょう。なお、猶予や分割をした場合でも、生活保護を受けるか今後も収入の見込みが立たない場合など以外には、最終的には税金や社会保険料の支払は必要になりますので(国民年金保険料は免除の制度もあるため、状況によっては支払不要の場合も)、あくまでも現時点での支払いが難しい場合のみに猶予や分割の相談を検討してください。 その他の制度・支払猶予も検討しましょう毎年支払いの必要な税金や社会保険料の相談についてお伝えしましたが、社会福祉協議会では生活費の貸付を行っています(休業の場合は最大20万円、失業の場合は最大60万円)。また、電気料金、ガス料金、水道料金、通信料金、住宅ローンの支払い、生命保険料・損害保険料の支払い、NHKの受信料なども申請することによって支払いを猶予することができる場合があります。まずは、金額の大きいもの、優先順位の高いものから確認した上で、相談や申請を検討しましょう。 5月14日には、39県で緊急事態宣言が解除され、経済活動が戻りつつありますが、新型コロナウイルス感染症の影響が始まる前の状態に戻るにはしばらく時間が掛かりそうです。できることから支払の金額を抑えて、収入が増えるまでの備えとしてください。 監修者・著者:ファイナンシャルプランナー 大野高志1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP®(日本FP協会認定)。独立系FP事務所・株式会社とし生活設計取締役。予備校チューター、地方公務員、金融機関勤務を経て2011年に独立。教育費・老後資金準備、税や社会保障、住宅ローンや保険の見直し、貯蓄・資産運用等 多角的にライフプランの個別相談を行うとともにセミナー講師として活動しています。
2020年05月25日親を扶養に入れるとあなた自身の税負担が軽減されたり、親の保険料負担が減ったりといったメリットが期待できます。一方で負担を増やしてしまうケースもあり、親を扶養に入れるかはよく検討した上で判断しなければなりません。今回は親を扶養に入れるための条件とその方法、メリット・デメリットについて解説します。扶養には大きく「税金(税法)上の扶養」と「健康保険(社会保険)上の扶養」の2つがあります。親を扶養に入れる条件や方法は両者で大きく違うため、それぞれについて見ていきましょう。親を「税金上の扶養」に入れるための条件国税庁年末調整による方法年末調整の対象となる会社員などの給与所得者は、「給与所得者の扶養控除等申告書」の控除対象扶養親族欄に必要事項を記入し、勤務先へ提出します。国税庁親を「健康保険上の扶養」に入れるための条件日本年金機構仕送り方法は振込または送金が原則親と別居している場合の仕送り方法としては、毎月一定額を銀行などから振込む、あるいは現金書留で送金するのが原則です。仕送りをしている事実を客観的に証明できない方法で生活費を負担した場合、仕送りの事実を認められません。現金を手渡しする方法や、被保険者名義のキャッシュカードを親に渡し、入金した生活費を親に引き出してもらう方法などは避けましょう。親を扶養に入れるメリット厚生労働省デメリット③他の控除・税制優遇制度により税負担軽減効果が得られないことがある(税金上の扶養)親を税金上の扶養に入れると扶養控除を受けられるメリットがあります。しかし、住宅ローン控除やふるさと納税(寄附金控除の特例)、iDeCo(個人型確定拠出年金)、生命保険料控除など、他の控除や税制優遇制度を利用している場合には、扶養控除による税負担軽減効果が十分得られない可能性もあります。親を扶養に入れる方法に関するまとめ親を扶養に入れることで負担軽減効果が期待できる反面、条件によっては十分な効果が得られない、あるいは負担を増やしてしまうケースもあります。親を扶養に入れるかどうかは、あなた自身とご両親の状況をふまえて、慎重に判断するようにしましょう。
2020年05月24日年老いてからの生活費の準備に活用できる個人年金保険ですが、税金がかかることをご存じでしょうか?課税にはいろいろなパターンがあるので、基本的な内容を知っておきましょう。本記事では、個人年金保険の税金について解説します。節税のポイントについてもまとめていますので、参考にしてください。個人年金保険の課税はどうなっている?老後の生活費は国からもらう年金だけでは足りないという人がほとんどですから、個人年金保険を受け取れると心強いものです。しかし、忘れてはならないのが税金です。保険契約でお金をもらったとしても、課税はされます。タイミング別・かかる税金個人年金保険を契約すると、何年か継続して保険料を積み立て、契約で定めた年齢(60歳など)になれば年金として払ってもらうことになります。タイミングにより意識しておくべき税金は、次の表のとおりです。どんなときに課税される?税金が発生するのは、年金や一時金、年金受給権、解約返戻金などをもらったときです。ただし、個人年金保険を解約して利益が出るケースはあまりないので、解約時はそれほど心配しなくてよいでしょう。積立期間中は節税メリットもある!保険料を払うときには支出だけなので税金はかかりません。逆に、払うときには所得控除が受けられるので、税負担を抑えられます。個人年金保険の種類を確認個人年金保険は民間の保険会社で取り扱いされています。基本的に現役世代の間に年金原資を積み立て、60歳など契約時に定めた年齢に達すると支払いが受けられるものになりますが、いろいろなタイプの商品があります。課税について理解する前提として、個人年金保険の主な種類を確認しておきましょう。年金の支払いがあったら所得税・住民税がかかる個人年金保険で契約時に定めた年齢に達し、年金をもらうと、所得税・住民税がかかります。所得の種類まず、所得の種類を確認しておきましょう。次の10種類に区分され、種類によって計算方法などが変わります。毎年受け取るなら雑所得雑所得とは基本的に他の区分に該当しない所得で、公的年金も含まれます。個人年金保険も、年に1回、2回、6回、12回など分けてもらう形であれば、雑所得となります。雑所得は収入の全額ではなく、必要経費を差し引きできます。雑所得=収入金額-必要経費必要経費とは?払い込んだ保険料のうち、今年支払いを受けた額に対応する部分です。必要経費=1年間の年金受取額×払い込んだ保険料の合計額/支払われる年金の合計額(または見込額)計算例たとえば、払い込んだ保険料の合計額を420万円、1年間の年金受取額を48万円、年金受取期間を10年と仮定してシミュレーションしてみると、次のとおりです。必要経費=48万円×420万円/(48万円×10年)=42万円雑所得=48万円-42万円=6万円一括受取する場合には?受取期間が決まっている確定年金は、一括して受け取ることができます。保証期間付終身年金でも、保証期間の年金を一括して受け取れます。確定年金確定年金を一括して受け取ると、一時所得となります。一時所得とは臨時の収入で、生命保険の満期金のほか、懸賞の当選金やギャンブルの払戻金などが該当します。一時所得=支払いを受けた金額-払い込んだ保険料の合計額-50万円上記の式で算出した金額のうち2分の1が課税の対象になります。保証期間付終身年金保証期間内の年金を一括受取しても、契約は消滅しません。保証期間経過後に被保険者が生存していれば、再び年金を受け取れるようになります。一括で受け取った年金は、雑所得となります。年金受給権に贈与税がかかることも!契約者(保険料を払った人)と受取人が異なるときには注意が必要です。[adsense_middle]贈与税とは無償で財産を譲り受けたときに、譲り受けた人にかかる税金です。1年間に贈与で取得した財産の合計額から、基礎控除額110万円を差し引きした金額に税率をかけて計算します。贈与税の税率は贈与を受けた金額に応じて変わり、10%~55%となっています。贈与税がかかるケース以下パターンでは、妻が年金受取開始時に夫から年金受給権の贈与を受けたことになるので、贈与税がかかります。なお、2年目以降受け取る年金は、通常どおり雑所得となります。当事者が亡くなったときはどうなる?契約者(保険料負担者)、被保険者、受取人が亡くなった際には、相続税が関係してくることもあります。年金をもらう前に亡くなったら?個人年金保険に加入した後、年金をもらう前に被保険者や契約者が亡くなったケースを考えてみましょう。被保険者の死亡年金をもらう前に被保険者が亡くなると契約は終了し、死亡給付金受取人が死亡給付金をもらえます。この死亡給付金には、パターン別に次の表のような税金がかかります。相続税は、亡くなった人(被相続人)が残した財産を取得した人にかかる税金で、財産全体の規模で課税の有無が分かれます。被相続人の残した財産が基礎控除額以下であれば、相続税はかかりません。相続税の基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数なお、相続税には生命保険金の非課税枠があり、個人年金保険の死亡給付金も対象になります。契約者の死亡契約者と被保険者が同一なら、上の表のとおりです。契約者と被保険者が別人なら契約は続くことになり、死亡時点で相続税がかかります。年金をもらっている期間に被保険者が亡くなったら?年金の種類によって、次のようになります。有期年金、保証期間経過後の年金、終身年金契約は終了するので、課税はありません。確定年金及び保証期間内の年金契約は継続し、継続受取人がその後に支払いを受けた年金は雑所得となります。契約者、被保険者、受取人が同一のケースでは、継続受取人に相続税がかかります。年金をもらっている期間に受取人が亡くなったら?継続受取人が引き続き年金を受け取る場合、毎年もらう年金は雑所得です。受取人の死亡時点の課税関係は、パターン別に次のようになります。契約者と受取人が同一妻の相続する年金受給権に相続税がかかります。契約者と継続受取人が同一子の死亡時点では税金は発生しません。契約者・受取人・継続受取人がすべて異なる残りの年金部分の年金受給権を夫から妻に贈与したものとみなされ、妻に贈与税が課されます。iDeCoでかかる税金との違いは?老後資金の積立には、iDeCoを活用することもできます。個人年金保険とiDeCoの税金の違いを知っておきましょう。[adsense_middle]老後資金の積立にはiDeCoの利用も可iDeCoとは個人型確定拠出年金のことです。20歳以上の人なら誰でも加入して掛金を積み立てることができ、60歳以降で年金を受け取れます。iDeCoで受取時にかかる税金iDeCoで年金・一時金を受け取った際にかかる税金の扱いは、個人年金保険とは異なります。年金で受け取る場合雑所得ですが、iDeCoでは公的年金控除が受けられます。一時金で受け取る場合iDeCoを一時金で受け取ると、退職所得となります。退職所得には勤務先から支給される退職金も含まれます。退職所得については退職所得控除という大きな控除があり、税負担が軽くなっています。贈与税や相続税は?iDeCoでは自分で積み立てた掛金を自分で受け取ることになるので、贈与税は発生しません。もしiDeCoに加入後に亡くなったら、遺族に死亡一時金が支払われます。この死亡一時金には相続税がかかります。個人年金保険の節税ポイント個人年金保険に加入するときには、節税対策もしておきましょう。以下、節税のポイントをまとめます。加入するときには税制適格特約付きのものにする生命保険料控除の中には次の3つがあり、それぞれ上限が4万円です。一般の生命保険料控除介護医療保険料控除個人年金保険料控除税制適格特約付きなら個人年金保険料控除で最大4万円の控除が受けられます。税制適格特約が付いていないものでも、一般の生命保険料控除が受けられます。ただし、他の生命保険にも入っている場合には、同一枠内なので控除額が少なくなることがあります。契約者と受取人を同じにする契約者と受取人が別人なら、贈与税と所得税の両方がかかってしまいます。贈与税は税率が高く、負担が大きくなりがちです。特に、夫婦で加入を考える際には、契約者と受取人を同じにしておきましょう。死亡給付金受取人を法定相続人にする年金をもらう前に被保険者が亡くなったときには、死亡給付金受取人が死亡給付金を受け取れます。この場合、被保険者と契約者が同一、死亡給付金受取人が法定相続人であれば、相続税の非課税枠(500万円×法定相続人の数)が使えるので節税になります。個人年金保険にかかる税金に関するまとめ個人年金保険を受け取ると、年金払いの場合には雑所得、一括払いの場合には一時所得となり、所得税・住民税がかかります。その他、契約当事者が亡くなった場合にも税金が発生することがあるので注意しておきましょう。老後資金の積立にはiDeCoという方法もあります。税制メリットが大きく個人年金保険との併用も可能なので、iDeCoについても検討してみるのがおすすめです。
2020年05月18日養老保険は、貯蓄性の高い生命保険商品として一般的に知られています。満期のときにまとまったお金がもらえるのが養老保険ですが、この「まとまったお金」の受取方法や、実は税金がかかる場合があることについてご存知でしょうか?養老保険の満期時期は、通常加入後の20年前後に設定している場合が多く、加入当初の説明をしっかり覚えている方は少ないのではないでしょうか。加入時にもらった説明のパンフレットなども、一般的な例しか掲載されていない場合が多く、ご自身がどれに該当するかを解読するのも容易ではないでしょう。今回は、「養老保険の満期金を受け取る際の取り扱い」について、受取方法と税務の話も含めて解説していきます。満期になったら行う手続き養老保険とは、保険期間中は生命保険(死亡保険)としての側面もありながら、保険期間満了時には、満期保険金としてまとまった額のお金を受け取ることができる商品です。年々予定利率の引き下げが実施され、最近では養老保険の新規加入者数は伸び悩んでいる傾向にあります。しかし、かつて加入した養老保険は、保険期間中ずっと加入時の利率であるため、これから満期を迎えて、当時の利率で満期金を受け取る方も多いでしょう。まず、満期を迎えたらどのような流れで満期金を受け取るのか、以下にまとめますので確認していきましょう。手続きの流れ満期時期の約2~3か月前から、加入している生命保険会社より通知がある満期金について「受け取る」「据え置き」「切り替え」のいずれかを選択する希望する内容の手続きを進める満期金として一括で受け取る場合満期を迎えた場合の手続きとして、一番スタンダードなものが「満期金として一括で受け取る」というものです。そもそも養老保険とは、加入時に満期の時期を設定しますので、例えばお子さんの成人の時期に合わせて加入するなど、何か満期時のライフイベントに合わせて加入する方が多い商品です。そのため、満期時にはそのまま受け取り、有効活用される方がほとんどです。満期金としてそのまま受け取る場合については、この後引き続き詳しく解説していきます。今は受け取らず据え置きする場合養老保険の満期を迎えたときに、受け取る手続きの次に多いのは「据え置き」というものです。据え置きとは、保険会社の設定した期間内であれば、満期金の受け取りを先延ばしにできる制度です。先延ばしにしている間は、わずかではありますが、所定の利率がついて増える場合がほとんどです。保険会社によっては、満期金を一定の年数に渡り、年金形式として分割で受け取る方法を選ぶことができる場合もあります。加入している保険会社に確認してみましょう。保険の切り替えは要注意満期を迎え、あとは満期金を受け取るだけ…という時期に、新しい生命保険への切り替えを勧められる場合があるかもしれません。通常、養老保険とは定期保険の一種で、保険期間が終わると継続や更新ができない商品です。つまり、満期金を受け取ってしまうと、生命保険契約が消滅することになり、万が一このほかに保険に加入していない方は保障が足りなくなることも考えられます。このことから、保険会社によっては満期前の養老保険の切り替えを勧め、契約転換としてほかの保険にかけ替える説明をしてくる場合もあるでしょう。しかし、これは要注意です。そもそも養老保険に加入した際、満期金の受取を楽しみに加入していたのではないでしょうか。「生命保険が欲しい」と思って養老保険に加入する方は少ないはずです。契約転換=新規加入保険の切り替えは「契約転換」といいますが、これまでの養老保険で貯まっていた金額を頭金として使い、新しい生命保険にかけ替えるシステムのことです。「契約転換」とはいいますが、要は新たな保険に加入することです。この契約転換は、新たな保険に加入する手続きと同じ手続きを行います。契約転換時点での健康状態の告知や医師による診査なども再度必要です。これまで加入していた養老保険の利率は一切引き継がれず、全く別の商品に新規加入することになります。もちろん、満期金の全額を頭金として使う必要はありません。取り出しは可能ですが、契約転換後の保険には、これまで貯まっていた金額のうち一部を必ず頭金として入れ込む必要があります。このことによって、養老保険の満期金として楽しみにしていた額よりも、少ない受取額になってしまいます。契約転換は、新規加入と同じ手続きです。満期金の一部を入れ込む契約転換より、満期金は全額予定どおり受け取り、保険が必要であれば別で新規加入することをお勧めします。実際の受取方法さてここからは、満期に満期金を受け取る場合の実際の方法について、金融機関ごとに解説していきます。請求時に必要な書類はほぼ共通していますので、以下まとめておきます。加入している養老保険の保険証券印鑑本人確認書類満期金を振り込む口座のわかるもの(キャッシュカード・通帳)どの金融機関でも共通の必要書類として、保険証券が挙げられます。かなり以前に養老保険に加入した場合や、親や祖父母にかけてもらっていた場合などで保険証券が見当たらない場合は、わかった時点で早めに保険会社に連絡をいれましょう。再発行などの手続きを案内してくれます。[adsense_middle]民間生命保険会社満期の2~3か月前に、加入している保険会社から通知が届きます。その通知に記載されているとおりに手続きを行うことになります。必要書類など、事前に準備が必要なものは用意しておきましょう。JA共済JA共済でも養老保険を取り扱っています。満期金請求にかかる手続きの流れは、民間の生命保険会社と同じです。ただし、JA共済では、保険商品の名称や使われる用語が少し違いますので補足しておきます。JA共済が取り扱っている養老保険は「養老生命共済」、満期金のことを「満期共済金」と呼びます。また、保険証券のことは「共済証券」と呼びます。かんぽ生命(ゆうちょ銀行)かんぽ生命の場合、少し手続きの流れが民間の生命保険会社とは違います。かんぽ生命がゆうちょ銀行と同じグループであることは、どなたもご存知ですよね。実際、保険の手続きも郵便局で行うことが多いでしょう。かんぽ生命の養老保険の満期金を受け取る場合は、満期金の受取手続きを郵便局で行います。手続き後、かんぽ生命で所定の審査を行います。審査が完了したら、ゆうちょ銀行の受取人口座に満期金が振り込まれます。かんぽ生命、郵便局、ゆうちょ銀行とさまざまな場所が登場しますが、ご安心ください。実際に顧客が手続きを行うのは、郵便局のみです。あとはグループ会社内の割り振りとして、自動的に手続きを行ってくれます。税務のポイントは【受取人】と【満期の金額】ここまで、受取方法についてまとめましたが、いよいよここからは「受け取ったらどうなるか」の内容に入ります。ここは非常に重要です。なぜなら、単に満期金を受け取るだけでなく、税金が絡んでくるので少々複雑です。ポイントは「誰が保険料を払っていて、誰が満期金を受け取るのか」ということと、「支払った保険料総額と、もらえる満期金」です。簡単にいうと、ポイントは「受取人と金額」についてです。何の税金がかかるの?では、実際に養老保険にかかる税務の取り扱いについて解説していきます。まずは図でまとめますので参考になさってください。契約者と受取人が同一の場合養老保険の契約者(保険料負担者)と受取人が同一である場合、満期金にかかる税金は【所得税】となります。自分で払ってきた保険料を、自分が満期金として受け取るので【一時所得】とみなされます。一時所得の課税金額を算出する計算式は以下のとおりです。一時所得の課税金額=(満期金額+配当金ー既払込保険料の総額ー特別控除・50万円)×1/2ちなみに、この計算式で算出された金額がマイナスまたはゼロになった場合は、課税対象ではないということです。契約者と受取人が別である場合契約者(保険料負担者)と満期金受取人が別である場合、満期金にかかる税金は【贈与税】となります。契約者が保険料を負担していた満期金を、別の人物(通常、配偶者や子、孫が多い)が受け取る場合は、【契約者から贈与された財産】とみなされます。したがって、贈与税の対象となるということです。贈与税の対象となる金額は以下の計算式で求めます。贈与税の課税金額=満期金額ー贈与税基礎控除額110万円(一律この控除額です)据え置きの際は利息に税金も満期金の受取の項目でも少し触れましたが、満期金は満期時に受け取るだけではありません。本来の受取時期を先延ばしにして「据え置き」という方法もあるということをお伝えしました。さて、この「据え置き」を選んだ場合、所定の利率で少しずつ増えますよ、とお伝えしましたが、この増えている利息分に対しても、実は税金がかかる場合があります。据え置き利息は、雑所得として所得税の課税対象になります。当然、据え置いた後に一時金として一括で満期金を受け取る場合は、契約者と受取人の関係から所得税または贈与税がかかることになります。サラリーマンなどご自身で確定申告をされない方の場合、雑所得が年間20万円以下であれば申告不要とされています。養老保険が満期になったときの手続き・税務に関するまとめいかがでしたか。養老保険は、生命保険としても貯蓄としても活用できる便利な保険商品ですが、受取時の手続きや税務に関しては、ほかの保険よりも複雑な側面もあります。所得税に関しては、満期金と配当金、既払込保険料総額との兼ね合いで、税金がかかるかかからないか決まりますので、上手に計算して加入すれば節税効果もあるでしょう。税務のことを知らずに勧められるまま加入してしまうと、受取時の税金に驚くこともあるかもしれません。可能な限りご自身でしっかりリサーチを行い、新規加入の際には各社見積を比較し、税務についてもあらかじめ知識を持っておくと安心ですね。なお、養老保険の受取や税務については、国税庁ホームページ内「養老保険の保険料の取り扱い」にて詳しく解説されています。合わせてご確認ください。
2020年05月13日脱サラして自営業として独立開業すると、今まで会社がやってくれていたことのほとんどを自分自身でやらなければなりません。わかってはいても、これが結構大変です。中でも戸惑う方が多いといわれているのが所得税の計算です。そこで本記事では、個人事業主の方に課税される所得税の仕組みについて初心者向けに解説したいと思います。所得税ってどんな税金?会社員のときは税金の計算は全部会社が行い、給与から天引きして納税してくれるのであまり関心がないかもしれませんが、個人事業主になると全部自分でやることになるので、いかに税金負担が大きいのかがわかります。中でも、中心的な位置づけになるのが所得税です。所得税とは、人が1年間で稼いだ所得に対して課税される税金のことをいいます。ここでのポイントは、あくまで所得であり、年収そのものではないということです。例えば会社員が給与を得ているときは、会社で経費を領収書精算することはあっても、自分自身の所得から経費を控除することはできません。一方、個人事業主になると、事業のために直接的に支出している費用は経費として計上し、収入から控除することができます。収入と所得の違いそもそも収入とは個人事業主が稼ぎ出した収入のことで、例えばお店を経営している場合であれば、総売上が収入にあたります。所得税はこの収入に直接課税されるわけではなく、収入を稼ぐためにかかった必要経費を差し引いた残りである所得に対して課税されるのです。例えば、飲食店であれば仕入原価が必要経費に該当します。会社員と個人事業主における所得税の納税方法の違い会社員の場合は、毎月の給与から約10%を会社が源泉徴収したうえで本人に支払っているので、本人が直接税務署に申告して所得税を納税する必要は原則としてありません。一方、個人事業主の場合は、毎月ではなく1月1日から12月31日までの所得を自分自身で計算したうえで、翌年の2月中旬から3月中旬にかけて確定申告して所得税を納税することになります。会社員の場合は給与から天引きで所得税を納税しているので、確定申告の時期になって納税資金に困ることはありませんが、個人事業主の場合は1年分の所得税をまとめて納税することになるので、納税資金の確保には気を遣わなければなりません。個人事業主の所得税計算の流れ個人事業主の方が所得税を計算する際には、おおむね次のような流れで計算をします。ステップ1:総売上を確認する1月1日から12月31日までの売上金額の総額を計算します。ステップ2:総売上から必要経費を差し引く事業のために支出した必要経費の総額を計算して、総売上から差し引きます。ステップ3:所得控除を差し引く適用できる所得控除を差し引きます。主な所得控除は以下のとおりです。基礎控除雑損控除医療費控除社会保険料控除生命保険料控除地震保険料控除障害者控除寄付金控除配偶者控除配偶者特別控除扶養控除青色申告特別控除所得控除を差し引いた課税所得に対して、所得税率をかけることで算出した金額が所得税額です。ステップ4:税額控除算出した所得税額から税額控除を差し引きます。例えば住宅ローン控除を適用できる場合は、ここから住宅ローンの年末残高の1%に相当する税額を控除することができます。このように、収入から必要経費と控除を差し引いたうえで税額を算出し、そのうえで税額控除を差し引くことで、実際に納税すべき所得税を算出することが可能です。所得税の還付はあるのか会社員の方の場合、会社で年末調整が行われると、次回の給与に還付された所得税が加算されて振り込まれることになります。これは、毎月約10%ずつ天引きしている源泉徴収額について、年末調整で各種控除などを適用して再計算した結果、過払いになっていた所得税の還付がされるからです。個人事業主の場合は当初から1年間分まとめて確定申告をするので、会社員のように所得税が還付されるということは基本的にありません。ただし、申告した後に必要経費や控除に漏れがあったことが発覚した場合は、更正の請求をすることで過払いになっていた所得税の還付を受けることは可能です。個人事業主の節税ポイント個人事業主として成功するためには事業としての成功はもちろんですが、税金との付き合い方、つまり節税対策についても意識して講じていくことがとても大切です。ここでは、個人事業主が節税する際に必ず実施すべきことについて詳しく解説します。経費として認められる金額を漏れなく算出ふるさと納税を活用する青色申告を利用する[adsense_middle]経費として認められる金額を漏れなく算出節税対策の基本は必要経費の計上です。飲食店など比較的必要経費の範囲が明確な業態はよいのですが、賃貸経営などの場合は、本来必要経費として認められるはずの経費を見落としたまま申告しているケースが多々あります。例えば、物件まで行った際に支出した交通費、ガソリン代、駐車代、高速道路代、携帯電話の通話料金などについても必要経費として認められます。必要経費の割合と目安このように経費漏れを防ぐことは節税をするうえでとても大切なことですが、反面、経費として認められない範囲まで経費として計上してしまうと、かえって税務調査の対象になるリスクがあります。例えば、自宅兼事務所で個人事業をしている場合に、支払っている家賃全額を経費として計上してしまうと、税務調査で指摘を受ける可能性があるため注意が必要です。個人事業と私用と両方で使用しているものについては、事業として使用している割合に応じて経費化する必要があります。家賃であれば事業として使用している室内の床面積の割合に応じて、家賃を按分計算して必要経費に計上する必要があるのです。また、床面積の割合で按分計算することが難しい場合は、個人事業として使用している時間帯の割合に応じて按分計算する方法もあります。重要なことは、合理的に説明ができる方法で経費化することです。ほかにも問題になりやすいのが車両関係です。車を個人事業で使う人の中には、私用でもその車を使うというケースがよくあります。この場合、車両に対してかかる自動車税、自動車重量税、車検代、駐車場代などを全額必要経費として計上することはできません。事業として使用している頻度がわかるよう、車両記録簿などを作って記録をとり、その割合に従って按分計算するなどの対応が必要になります。領収書がない場合の対処法必要経費として計上するためには、支出したことの証拠となる領収書が必要不可欠です。ただ、必ずしも領収書がなければ必要経費にできないというわけではありません。例えば、電車やバスなどの公共交通機関を使って移動した場合は、領収書が発行されません。このような場合は、交通費明細を作成して乗車した区間、金額、目的などを記録して保管しておくことで、領収書がなくても必要経費として計上することが可能です。領収書を紛失したらもともと領収書が出ないものではなく、もらっていた領収書を紛失するということも個人事業をしていると起こりえます。この場合、経費にする方法が全くないというわけではありません。万が一領収書を紛失してしまった場合は、次の方法によって対処しましょう。領収書の再発行を依頼する支払証明書の発行を依頼するレシートを保管する購入したことがわかるメールなどの履歴を保管するクレジットカードの明細を保管する基本的にカード決済で購入しているものについては、クレジットカードに利用明細として記録されますので、領収書を紛失した場合でも必要経費として計上することが可能です。ただし、個人名義のクレジットカードを使う場合は、私用の買い物と事業用の買い物と混同しやすいため、明細上で仕分けして記録しておく必要があります。私も実際にクレジットカードの明細を使って領収書の代わりにしていますが、明細をエクセルデータでダウンロードしたうえで、私用と事業用で仕分けをして明確にしています。ふるさと納税を活用するふるさと納税とは、税金を納めるわけではなく好きな自治体に一定の寄付をすることで、次の2つの恩恵を受けられます。返礼品として、その地域の特産品などがもらえる寄付金控除が受けられる具体的には、寄付をした金額から2,000円を控除して、残り全額が寄付金控除の対象となります。確定申告の際には、自治体から送付される寄付の受領書が必要です。青色申告を利用する個人事業主の方が確定申告する際には、白色申告と青色申告の2種類があります。事前に青色申告承認申請書を提出して複式簿記による帳簿を備えることで、最高65万円の控除が受けられます。繰越控除と還付個人事業主が青色申告をするメリットは控除だけではありません。通常は個人事業が赤字だった場合、翌年に繰り越すことはできませんが、青色申告することで赤字を翌年に繰り越して翌年の所得から差し引くことができるのです。最高で3年間赤字を繰り越すことができるので、単年度で赤字になってしまった場合でも、3年以内に黒字化できれば赤字を使って節税ができます。「じゃあ、頑張って黒字を出した後に赤字になったら損するのでは?」と思うかもしれませんが、ご安心ください。前年が黒字で翌年に赤字に転落した場合は、翌年の赤字を前年に繰り戻して所得から控除することができるのです。これを純損失の繰戻還付といい、繰り戻しによって生じた差額分の所得税が還付されます。個人事業主の所得税に関するまとめ今回は個人事業主に課税される所得税の計算方法や、節税のポイントについて詳しく解説してきました。脱サラして個人事業主になると、確定申告の煩雑さに驚く人が多いのですが、必要経費の申告漏れなどが発生すると余分な税金をとられてしまうので注意が必要です。個人事業主はサラリーマンとは違い、今回ご紹介した節税方法を活用することで発生する所得税を抑えることができます。節税や確定申告が苦手という方は税理士に顧問を依頼するのもよいでしょう。シミュレーションをしたうえでアドバイスを受けられたり、確定申告を代行してくれたりするのでおすすめです。
2020年05月12日住民税は給与天引きで支払っている人も多いですが、給与所得者ではない自営業やフリーランス(個人事業主)、あるいは副業で給与以外に収入を得ている会社員など、自分で住民税を支払わなければならない人もいます。そのような人はクレジットカードを使って支払うことで、よりお得になる可能性があります。ここではその方法と注意すべき点について解説します。住民税の納付方法F-REGI 公金支払い仙台市税 納付サイト大阪市や横浜市など一部の自治体では、Apple Payで支払うこともできます。Apple Payに対応したiPhoneやiPadがあれば、納付書のバーコードをカメラで読み取り、納付番号や確認番号、カード情報の入力なしで住民税を納付できます。F-REGI 公金支払い方法2:Yahoo!公金支払いで住民税を支払う「Yahoo!公金支払い」を導入している自治体では、Yahoo!JAPANのサイトからクレジットカードで住民税を支払えます。Yahoo!公金支払いの場合、支払いにTポイントを使うこともできます。Yahoo!公金支払いを使った納付方法Yahoo!公金支払いを使って住民税をクレジットカードで支払うには、1枚あたりの合計金額が100万円未満、納付番号・確認番号が記載された利用期間内の納付書が必要です。「Yahoo!公金支払い」サイトにアクセス住んでいる自治体で検索し住民税の項目を選択納付書に記載された「納付番号」「確認番号」を入力決済情報(クレジット情報など)を入力し、決済Yahoo!公金支払い方法3:モバイルレジアプリで住民税を支払う方法「モバイルレジ」は納付書のバーコードをスマホのカメラで撮影し、ネットバンキングやクレジットカードを使って住民税などを支払えるアプリです。モバイルレジを使った納付方法モバイルレジを使って住民税をクレジットカードで支払うには、1枚あたりの合計金額が30万円以下、バーコードが印刷された利用可能期間内の納付書が必要です。「モバイルレジ」アプリをダウンロード(初回のみ)し、アプリを起動納付書に印刷されたバーコードをスマホのカメラで読み取る納付内容・金額を確認クレジットカード(またはネットバンキング)で決済港区HP方法4:LINE Payで住民税を支払うモバイル決済サービスのLINE Payの請求書払いで住民税を支払える自治体もあります。2020年5月1日以降「チャージ&ペイ」というサービスを使えば、住民税を「Visa LINE Payクレジットカード」で支払うことができます。LINE Payでは住民税の支払いでポイントは貯まりませんが、クレジットカード払いで必要になる決済手数料は原則かかりません。LINE Payを使った納付方法LINE Payを使って住民税を支払うには、1枚あたりの合計金額が30万円以下、バーコードが印刷された利用可能期間内の納付書が必要です。「LINE」アプリをダウンロード(初回のみ)し、アプリを起動納付書に印刷されたバーコードをスマホのカメラで読み取る納付内容・金額を確認決済神奈川県HP住民税をクレジットカードで支払うメリット住民税をクレジットカードで支払うことで、次のようなメリットが期待できます。[adsense_middle]メリット1:クレジットカードのポイントが貯まる住民税をクレジットカードで支払った場合、買い物をしたときと同じようにポイントが貯まります。たとえば、ポイント還元率1%のカードで30万円の住民税を支払えば、3,000円相当のポイントが貯まります。メリット2:年間利用額が増えクレジットカードの特典・優遇を受けやすくなる年間利用額に応じてポイント付与率や付帯保険の補償がアップしたり、年会費が優遇されたりするカードも多く、金額が大きくなりやすい住民税を支払えば、それらの特典や優遇を受けやすくなります。メリット3:窓口やコンビニに出向かなくても24時間どこでも住民税の支払いができるインターネットが利用できる環境であれば、窓口やレジまで出向かなくても、スマホやタブレット、PCを使って24時間どこでも住民税の支払いができます。大金を持ち歩いたり、窓口の人に納付内容や金額を見られたりすることもありません。メリット4:分割払いができる住民税の支払いは一括または年4回の分割払いが原則ですが、クレジットカード払いであれば、それ以外の回数の分割払い(たとえば12回払い)やリボ払いを選ぶことができます(選択できる回数は利用するカードにより異なります)。分割払いには手数料がかかるため、どうしても必要な場合のみ利用するようにしましょう。住民税の支払いをクレジットカードで行う場合の注意点住民税をクレジットカードで支払う場合には注意すべき点もあります。注意点1:決済手数料は納税者負担買い物などでカードを利用する際にかかる決済手数料は、お店が負担するのが一般的です。しかし、住民税など税金の支払いにかかる決済手数料は納税者が負担しなければなりません。たとえば、世田谷区で住民税30万円をクレジットカードで支払う場合、2,354円(税込)の決済手数料がかかります。ポイント還元率1%のカードであれば3,000円相当のポイントを受け取れてお得ですが、還元率0.5%のカードでは1,500円相当のポイントしか受け取れないため、逆に負担が増えてしまいます。利用するカードを選べるのであれば、なるべく還元率の高いカードを選びましょう。※出所:Yahoo!公金支払いより筆者作成注意点2:領収書は発行されないクレジットカードで住民税を支払った場合、領収書は発行されません。支払内容はクレジットカードの利用明細書で確認できますが、正式な領収書が必要な場合には、金融機関や役場の窓口、コンビニなどで納付しましょう。注意点3:納税証明書が発行できるようになるまでに時間がかかるクレジットカードで住民税を支払った場合、実際にカード会社から市町村に支払いが行われるまで納税証明書は発行できません。納税証明書の発行ができるようになるまでに、通常は決済から1〜3週間程度かかります。すぐに納税証明書が必要となる場合には、金融機関や役場の窓口、コンビニなどで納付しましょう。注意点4:限度額があるクレジットカード払いには、納付書1枚あたり30万円あるいは100万円までという上限があります。また、利用するカード自体にも利用限度額があり、納税額がこれらの限度額を超えるとクレジットカードでは納付できません。一括納付で納付書1枚あたりの限度額を超える場合、限度額を下回る分割納付の納付書で支払うのもひとつの方法です。カード自体の利用限度額をオーバーする場合には、一時的な限度額を増額(一時増枠)に応じてくれるカード会社もあるため、コールセンターに連絡してみるとよいでしょう。住民税のクレジットカード納付に関するまとめ便利でお得に利用できることも多いクレジットカード納付ですが、手数料が高くついて損するケースなどもあります。現金納付とクレジットカード納付を比較して、あなたにとって有利な方法を選ぶようにしましょう。
2020年04月30日貧困や経済格差の拡大を背景に、ベーシックインカム制度導入についての議論が以前からありました。しかし、2020年に発生した新型コロナウイルスにより世界的な社会的な不安が増すことで、ベーシックインカムの流れは加速するかもしれません。実際に試験的に導入が進められている国もあり、一定の成果を上げています。この記事では、ベーシックインカムとはどのような仕組みなのかを、メリット・デメリットと合わせて解説します。ベーシックインカムとは政府が行う経済政策には、「国民にお金を配る」という政策があります。これを実現させると、すべての国民が毎月一定額のお金をもらえるようになります。これを「ベーシックインカム」といいます。ベーシックインカム(Basic Income)は「最低所得保障」と呼ばれ、年齢や性別、所得を問わず、すべての人に所得保障として一定額の現金を支給する制度。つまり、働かなくても生活に最低限必要なお金がもらえるという政策なのです。ベーシックインカムを導入すると、世の中のお金が回り始めます。日本は現在、お金の量が足りなくてモノの値段が下がる「デフレ」の状態です。モノが売れないと企業の売上が落ちます。企業は売上を増やすため、商品を値下げしないといけないので物価が下がります。これがデフレと呼ばれる状態です。しかし、商品を値下げすれば利益が減るので、従業員に支払う給料も減ってしまいます。これが、今の日本の状態なのです。ですから、足りない分のお金をベーシックインカムとして国民に配ることで、不足を埋め合わせします。お金の不足が解消されるので、すべての人が豊かになれる制度なのです。定年を迎えた人には年金、働けない人には生活保護、失業した人には失業保険といった社会保障制度によって、所得が少ない人を支える仕組みは用意されています。しかし、これらの給付には審査があり、満足のいく額を受給できなかったり、まったく支給されなかったりする恐れがあります。そうなると、憲法で保障されている「最低限の生活」を送れない人も出てくるでしょう。日本は先進国ですが、貧困による餓死が社会問題化しています。ベーシックインカムのような社会保障制度は、弱者を救済する手段の1つとなるのです。近年、ベーシックインカム制度に注目が集まり、エリアや支給対象を絞って試験的に導入する国が増えています。日本も政党によって考え方は違うでしょうが、今後は議論が進んでいくでしょう。ベーシックインカムを導入している国それでは、ベーシックインカムを試験的に導入している国が、いつから始めたのかを見ていきましょう。成功と失敗で見ると、成功している国が多いようです。フィンランドフィンランドでは、2017年1月1日より2年間にわたりベーシックインカムの給付実験を行いました。失業手当受給者のうち学生などを除いた25~58歳の中からランダムに2,000人選び、月額560ユーロ(約7万円)を給付したのです。ベーシックインカムの支給額は、失業手当とほぼ同じです。しかし失業手当の場合は、職を探していることが条件で、また収入があるときにはその額に応じて減額されますが、ベーシックインカムにそのような条件はありません。雇用に関しては、2017年度の所得記録に大きな効果は見られませんでした。しかし、本当の効果は健康面と幸福面で見られました。参加者には、健康、ストレス、気分と集中に関する問題が明らかに少なくなったのです。また、自分の将来への信頼と自信度が高まるといった効果もありました。ベーシックインカムを導入後、「貧困から抜け出せた」「自由な時間が増えた」などプラスの効果が多く見られたのです。カナダ2017年7月から、カナダのオンタリオ州で4,000人近い人々を対象に、ベーシックインカムを支給する制度を試験的に導入しました。そして、参加者はベーシックインカムが始まった後も仕事を続け、より健康的になったという調査結果が発表されました。オンタリオ州のプログラムでは、低所得層に対して独身世帯に年間1万6,989カナダドル(約134万円)、結婚している世帯に年間2万4,000カナダドル(約190万円)を支給しました。ただし、収入の50%がベーシックインカムから差し引かれます。しかし、プログラム開始時に働いていた人のうち、4分の3はベーシックインカムの受け取りを始めた後も仕事を継続していたことがわかりました。さらに、仕事を辞めた人のうちの約半数は、以前よりも良い仕事を手に入れるために学校へ通い始めたのです。働き続けた人の多くは、以前の仕事よりも時給が高く、安全な仕事に転職しています。そして、約80%の人がプログラムに参加している間に健康状態が改善したと回答しているのです。ベーシックインカムの導入方法ベーシックインカムを導入する方法は、主に次の4つが考えられます。少額スタート逓増方式毎月1万円をすべての国民に給付するところから始め、様子を見ながら徐々に給付金額を増やしていく方法。ベーシックインカムをスタートするときに大きな財源を必要としない、これまでの社会制度に大きな変更を加える必要がないというメリットがあります。また、月数万円の給付なら仕事を辞める人が増えるとは考えにくく、逆に所得がアップすれば働くモチベーションもアップするでしょう。少額スタート逓増方式は、始めようと思えば今すぐにでも始められるという点でも優れています。満額支給スタート方式満額支給スタート方式は、毎月10万円や15万円など最低限生活ができるような金額を支給する方法。この方法が問題なく導入できれば良いのですが、いくつかの不安要素があります。たとえば財源の問題があります。毎月10万円を給付しようとすると、年間で144兆円ものお金が必要になります。税金で対応するにしても、かなりの増税を強いることになります。ベーシックインカムを導入しても、税金が大幅に引き上げられるのではないかという不安があるのでは、人々は安心できません。働かなくなる人も増えるのではないかという心配もあります。ベーシックインカムがどれだけ優れた制度でも、満額支給スタート方式ではこれまでの世の中の仕組みを根底から変えてしまうインパクトがあります。いきなり全面的にスタートすれば、社会に混乱を招く恐れがあるのです。年金・子供手当方式65歳以上の高齢者と、15歳未満の子供に給付金を支給するところからスタートする方法。支給金額は、毎月10万円や15万円のように最低限の生活を保障する金額にします。ベーシックインカムを導入すると、「働く人がいなくなる」という主張があります。ですから、働く必要がない非生産年齢人口の退職者から支給を開始するのです。年金や子供手当の代わりとしても考えられます。そして、状況を見ながら対象年齢を拡大していきます。年金支給開始年齢を65歳から引き下げ、子供手当を15歳から引き上げていくのです。失業給付方式こちらは失業中の人に給付する方法。ベーシックインカムはすべての国民に給付されますが、就業者にお金が給付されることはムダだと思う人もいるでしょう。そこで、失業者のみに給付すれば良いだろうという考え方です。現在の失業保険給付制度では、失業保険に加入していなければ給付を受けられませんし、給付も3カ月や6カ月と短いので、あくまでも短期間での再雇用を前提とした制度です。不景気になった場合、失業が長期化する恐れもあります。また、人工知能やロボットの進化によって生じる失業では、そう簡単に再就職できない可能性も考えられます。そこで給付期限を無期限に延長するのです。また家庭の主婦や高齢者も含め、失業中のすべての人が給付対象になります。この方法だと支給対象者が限定されるので、制度を運用するために必要な予算を低く抑えられるメリットがあります。ただし、この制度だと「働かない方が得だ」と考える人が出てくるかもしれず、働く人から見れば不公平に映るでしょう。その結果、働く人のモチベーションを下げてしまう恐れがあります。ベーシックインカムのメリットベーシックインカムを導入するメリットについて確認していきましょう。[adsense_middle]貧困対策になる日本では生活保護レベル以下の生活をしながら、生活保護を受給していない「隠れた貧困層」が全国で2,000万人以上いるといわれています。ベーシックインカムは申請の手間が不要で、生活保護を受けられない層への対策として有効です。また、子供にも支給されることから、子供が多いほど世帯収入が増え、少子化に歯止めがかかることも期待できます。労働意欲の向上につながる可能性があるベーシックインカムは、生活保護のように一定の収入があると打ち切られるということはありません。働いて得た収入は、ベーシックインカムに上乗せされることになります。生活がギリギリで生きるためだけに働くとなると労働意欲は低下しますが、最低限の所得があれば、本来やりたかった仕事にチャレンジしようという気にもなるでしょう。そして働いて収入が増えれば、自由に使えるお金が増えるので労働意欲の向上が期待できます。これまで生活保護受給者は働かない人も多くいましたが、ベーシックインカムでは労働者が増え、労働不足の解消も期待できるのです。社会保障制度のコスト削減になる年金や生活保護などの社会保障制度は、窓口が別々に分かれていますが、ベーシックインカムを導入することにより一本化できます。また、生活保護では相談窓口の設置や審査制度を設けるといったコストがかかりますが、ベーシックインカムは無条件で支給されるので、そのようなコストがかかりません。ベーシックインカムを導入すれば、現在行政にかかっているコストを負担でき、財源確保にもつながるのです。ベーシックインカムのデメリットと問題点ベーシックインカムのデメリットについても確認していきます。財源確保への不安ベーシックインカムの導入には、ある程度の財源の確保が必要。20歳以上に限定して月10万円支給しようとしても、日本の成人人口はおよそ1億500万人なので、年間で約105兆円が必要です。その財源を確保するためには大幅な増税が避けられないでしょう。働かなくなる人が増加するベーシックインカムで最低限の生活が保障されると、待遇面に不安を抱きながら仕事をすることがなくなりますし、誰もやりたがらないような過酷な労働を収入のために行う必要もありません。労働自体を拒否する人が出てくる可能性もあります。ただし、ベーシックインカムは最低限の給付なので、それだけで生活していくことは困難です。ですから、労働時間は減っても、働く人の減少にはならないと見られています。日本のベーシックインカムに関するまとめ今回はベーシックインカムの仕組みと、メリット・デメリットについて解説しました。日本は先進国ですが、憲法で保障されている最低限の生活を送れない人もたくさんいます。そのような人たちにとって、ベーシックインカムは大きな生活の支えになるでしょう。世界各国でもベーシックインカムの注目が高まり、エリアや支給対象を絞って試験的に導入する国が増えています。そして、2020年のコロナショックにより、スペインでベーシックインカムを導入することが決定しました。ただ、今回は低所得者への給付である「ユニバーサル・ベーシック・インカム(最低所得保障制度)」であり、純粋なベーシック制度とは異なります。しかし未曾有の経済危機を迎え、今後はベーシックインカムの議論が世界各国で高まることが予想されます。
2020年04月26日個人事業主である程度利益が出るようになってくると気になるのが節税です。個人の所得税は法人の法人税とは違い、所得が上がれば上がるほど税率が高くなる制度になっているため、ある意味法人以上に節税対策には気を使わなければなりません。そこで本記事では、個人事業主の方におすすめの節税対策について詳しく解説します。個人事業主の節税対策がポイントになるわけ個人事業主は法人と課税の仕組みが若干異なります。まずはその理由を知ることで、個人事業主における節税対策の重要性が見えてくるのです。ここでは、個人事業主に課税される所得税と法人に課税される法人税の違いについて詳しく解説します。個人事業主の税金:所得税個人事業主の方が仕事をして得た所得に対しては、所得税という税金が課税されます。所得とは個人事業における売上ではなく、売上から経費や控除を差し引いた部分のことです。法人の利益に対して課税される法人税も、基本的には理屈としては同じですが、決定的に違うのが税率の仕組みです。所得税は所得が上昇するにつれて税率も上昇する累進課税制度になっているため、最高で45%も税金で持っていかれてしまうことになります。対して、法人の場合は基本的に30%の固定で、あとはケースに応じて軽減されるという取り扱いのため、利益が大きくなればなるほど個人事業主には重い税負担がのしかかることになるのです。個人事業主の法人成りここまで話を聞くと、それならいっそ法人化したほうが節税になるのではと思うかもしれませんが、実はそんなに単純な話ではありません。所得税率だけ比較すると、税率33%である900万円以上になれば法人化した方がメリットがあるように思うかもしれませんが、実際に法人化すると経理処理は今よりもかなり複雑になります。経理初心者では税理士に依頼することになる可能性が高いので、税理士への顧問料や決算申告費用、さらには毎月の社会保険料なども負担しなければなりません。このように法人は設立するとそれなりに維持費がかかりますので、税率だけ見て単純に比較することはできないのです。個人事業主が節税する2つのコツ個人事業主が節税するためには、2つのコツをポイントとして押さえることがとても大切です。具体的にいうと、経費の計上と控除制度の活用です。詳しく見ていきましょう。[adsense_middle]経費をもれなく計上するメリット所得税を節税するためには、所得税の課税対象となる所得を抑えることを第一に考えることが大切です。かといって、売上を減らしてしまっては本末転倒なので、売上ではなくそこから差し引くことができる経費に着目します。個人事業主でも事業のために支出した費用については、経費として計上して売上から控除することが可能です。ただ、個人事業主の方の中には本来経費になるのに、経費として計上できていないケースがあります。ここでは、具体的なケースで解説して見たいと思います。賃貸経営のよくある経費漏れ個人事業主の中でもアパートやマンションなどの賃貸経営をしている方は、経費漏れが多い傾向がありますので注意が必要です。例えば、エアコン、給湯器、システムキッチンなどの設備の修繕や交換費用については比較的漏れがないのですが、次の経費については忘れてしまう傾向があるので注意が必要です。交通費(物件や不動産会社までの)通信費(賃借人や不動産会社との通話)税金(固定資産税など)損害保険料管理料これらの経費については、意外と漏れている人がいます。特に交通費については、電車代だけでなく、車を使った場合であればガソリン代や高速代、駐車代なども対象になるため、1年を通して細かく計上すればそれなりの金額になるはずです。ネット通販系で控除できる経費インターネットを利用して在宅で個人事業をする人が増えていますが、こういった方についても経費漏れが生じやすい傾向があります。通信費パソコン代タブレット代通信費については、インターネット回線利用料金以外にもプロバイダ料金やパケット通信費、サーバーレンタル料なども該当します。ただし、プライベートでも使用している場合は注意が必要です。個人事業主は公私混同になりやすく、税務署もその点について細かく確認してきますので、私用でもインターネットやパソコンを利用する場合は、経費として計上する価格割合を実際に使用している割合などに応じて制限する必要があります。詳しくは税理士に相談することをおすすめします。青色申告特別控除を利用する個人事業主の方が使える控除制度として代表的なのが、青色申告特別控除です。青色申告特別控除とは、複式簿記による帳簿等を備え付けることで最大で65万円の所得控除を受けられる制度で、個人事業主の方にとっては非常に減税効果が高く多くの方が利用しています。ただ、青色申告は税制改正により、2020年度の申告分から次のように取り扱いが変更になるため注意が必要です。具体的な変更点についてまとめてみました。基礎控除額が変更になる所得税から無条件に差し引くことができる控除を基礎控除といいます。従来までの基礎控除は38万円でしたが、今回の改正によりそこから10万円上乗せされて48万円になりました。よって、スタンダードの状態で48万円も控除になるのです。例えば所得税の税率23%の人であれば、今回の改正によって所得税が23,000円も軽減されることになります。非常に大きいですね。ただし、所得の総額が2,400万円を超える場合については、段階的に控除が減らされる仕組みになっていて、2,500万円を超えたところで控除は受けられません。青色申告特別控除が若干変更になります確定申告は白色申告と青色申告という2つの選択肢があります。青色申告とは、複式簿記による帳簿付けを条件として前もって所管の税務署に青色申告承認申請書を出すことで、先ほどの基礎控除に上乗せして青色申告特別控除が受けられるという制度です。今回の税制改正によって、従前まで65万円だった控除額がなんと55万円に減額されました。そうなんです。縮小してしまったのです。せっかく基礎控除が10万円上がったのに、こっちで10万円下げるなんてインチキだ、と思うかもしれませんが、実はちょっと違います。一定の条件を満たすことができれば、従前と同じ65万円の控除を受けられるケースがあるのです。65万円控除の条件基本的な特別控除額は55万円に減額となりましたが、次の2つのうちどちらかの条件を満たせば、従前通りの65万円の控除を受けられます。つまり、基礎控除の増額分の恩恵を受けられるということになります。電子申告e-Taxを使う確定申告の方法は税務署に持参するやり方のほか郵送することも可能ですが、最近ではインターネットで申告する電子申告が普及しつつあります。国も国民の納税情報のデータ化を進めている関係で、徐々に電子申告に移行させていきたいという意図があるのです。そこで電子申告によって確定申告をすることで、従来通りの65万円控除が受けられるようにしたのです。ただし、国税庁のホームページ上で申告書を作成することを電子申告と勘違いしている人がいますが、あれは作成しているだけなのでそれを印刷して持参や郵送しても電子申告にはなりません。電子申告はデータを印刷せず、そのまま送信することで確定申告を完結させるやり方です。そのため、個人を厳格に特定するために次のいずれかのやり方をする必要があります。マイナンバーカード方式マイナンバーカードに記録されている電子証明書を使って電子申告をします。マイナンバーの交付を受けている人であれば、アマゾンなどでICカードリーダライタを購入することで、自宅から簡単に電子申告することが可能です。ICカードリーダライタは数千円程度で購入できるので、今後のことを考えて購入しておくとよいでしょう。ID・パスワード方式マイナンバーカードがない人は、事前に税務署に届出することで発行されるIDとパスワードを使って電子申告ができます。ただ、基本的にはマイナンバーカード方式に統一する可能性が高いので、あくまで応急的な対応と考えた方がよいでしょう。電子帳簿を保存する税務書類のデータ化を進めるために、一定の帳簿類について紙ではなくパソコンデータで保存するという対応をとれば、従前と同じ65万円の青色申告が受けられます。ただし、電子帳簿保存をする場合は、専用の承認申請書を帳簿を保存する3ヶ月前までに税務署に提出する必要があるため注意しましょう。全部で何パターン?税制改正されたことで、個人事業主が青色申告する場合、次の4パターンの控除が受けられることになります。青色申告(簡易簿記の場合):10万円控除青色申告(現金主義の場合):10万円控除青色申告(複式簿記のみ):55万円控除青色申告(複式簿記かついずれかの条件を満たす場合):65万円控除なお、賃貸経営者でも青色申告は使えますが、事業的規模に満たない場合については10万円控除が限界です。5棟か10室のいずれか以上の規模になれば、最大で65万円の控除を受けることが可能です。青色申告のその他のメリット青色申告は特別控除のほかに純損失の繰り越し控除という特典も受けられます。純損失の繰り越し控除とは、事業の赤字を翌年以降3年にわたって繰り越せるという制度で、大きな赤字が出た場合に翌年以降の所得税や住民税の負担を軽減できる制度です。現在白色申告を利用している個人事業主の方は、すぐにでも青色申告にすることをおすすめします。その他のおすすめの節税方法個人事業主の節税方法としては経費の計上と青色申告の2本柱が王道ですが、それ以外にもあえて挙げると、次のような控除制度もフル活用することでさらに節税することができます。[adsense_middle]医療費控除個人の1年間でかかった医療費は、下記の計算式によって算出した金額について上限200万円の範囲で医療費控除が受けられます。(実際に支払った医療費の合計額ー保険金などで補てんされる金額)ー10万円例えば歯科治療などを継続的に受けているような場合は、医療費控除でもそれなりの金額になるので必ず活用しましょう。住宅ローン控除マイホームを購入することで年末のローン残高の1%が税額控除されます。例えば、2,000万円であれば1%の20万円が所得税から直接控除されるという、非常に大きなメリットがあるのです。通常、控除制度というと所得から控除する制度が多いので、控除額が少なければそこまでの節税効果は期待できません。一方で税額控除については、税金そのものから直接差し引かれるため、所得控除に比べて節税効果が非常に大きくなります。税額控除はなかなか数少ない有効な節税手段なので、可能な限り活用すべきです。現在賃貸物件に居住しているという場合は、マイホームを購入して住宅ローン控除を利用することで節税の恩恵が受けられるでしょう。ただし、住宅ローン控除が適用できる物件には面積などの条件がありますので、予め確認しておくことをおすすめします。※新築又は取得したマイホームの面積が50㎡以上である必要があります。また、住宅の半分以上を自己住居として使うことなどが条件になっているので事前に確認しましょう。個人事業巣に節税対策に関するまとめ今回は個人事業主が節税対策を考える際のポイントについて解説してきました。最大限の節税効果を出すためには、経費を漏れなく計上して、かつ、青色申告することが基本になりますが、個人として利用できる控除制度も忘れずに適用させることが大切です。また、ある程度の利益が出るようになってきたら、将来的には法人化して節税していく方がおすすめです。個人事業主の場合は個人にすべての所得が集中してしまいますが、法人化することで家族に給与を払って所得を分散すれば、世帯全体で課税される所得税額を節税できます。さらに、個人事業主の場合は事業のために支出したものしか経費として認められませんが、法人化すれば、非常に幅広い範囲で経費に認められますので法人税も節税することが可能です。どのような節税対策がよいのかどの時点で法人化するのか、判断については簡単ではありませんので、まずは一度税理士に相談してみることをおすすめします。
2020年04月25日住民税が非課税となる所得水準は、低所得者を対象とする給付金の支給や負担軽減措置などの基準として多く用いられています。最近でも、新型コロナ対策の給付金支給対象を判定する際の基準として取り上げられ、注目されました。この記事では、年金受給世帯の住民税が非課税になる条件について解説します。住民税とは尾道市HP合計所得金額、総所得金額等は、いずれも社会保険料控除や生命保険料控除などの「所得控除を差し引く前の金額」です。年金による所得は年金収入から公的年金等控除を差し引いて計算する年金による所得は、年金収入から公的年金等控除を差し引いて計算します。公的年金等控除額は、前年の12月31日時点の年齢が「65歳以上」か「65歳未満」かによって、次のように違います。たとえば、68歳で年間400万円の年金を受け取っている人の所得額は、次のように計算します。【受取年金額(400万円)】−【公的年金等控除額(400万円×0.75−37万5,000円)】=137万5,000円2021年度以降の公的年金等控除引き下げ2021年度以降は公的年金等控除が一律10万円引き下げられるほか、公的年金等の収入金額が1,000万円以上の人には控除額に上限が設けられます。公的年金等以外に1,000万円を超える所得のある人は、控除額の引き下げ幅が大きくなります。給与所得と公的年金(雑所得)の両方があり、その合計額が10万円を超える場合には、次の所得金額調整控除が給与所得控除に加算されます。所得金額調整控除額=年金所得額※+給与所得額※−10万円※年金所得、給与所得が10万円を超える場合には10万円が上限。例:給与所得150万円、年金所得180万円の場合、所得金額調整控除額=10万円(年金所得額の上限)+10万円(給与所得額の上限)−10万円=10万円)個人年金保険や確定拠出年金などから受け取る年金の扱い国民年金や厚生年金のほか、個人年金保険や企業年金、確定拠出年金などの年金にも住民税がかかります。厚生年金基金、確定給付企業年金、企業型確定拠出年金、個人型確定拠出年金(iDeCo)は公的年金等に該当するため、国民年金や厚生年金と合算した上で、受け取る年金から公的年金等控除額を差し引いて所得を計算します。一方、個人年金保険から受け取る年金は公的年金等に該当せず、公的年金等控除の対象にはなりません。源泉分離課税の対象となった株式などの売却益や配当金は所得に含まない証券会社の特定口座において「源泉分離課税あり」を選択した場合、株や投資信託などで得た利益からは税金(所得税+住民税)が直接差し引かれ(源泉徴収)、課税手続きが終了します。源泉分離課税の対象となった利益は、住民税非課税限度額を判定する際の所得に含みません。そのため、株の売却益(譲渡益)が1,000万円あったとしても、それが源泉分離課税の対象であり、そのほかの条件を満たしていれば住民税は非課税になります。公的年金受給者世帯の住民税が非課税(免除)となる年収の基準収入が公的年金のみの場合、住民税(所得割・均等割の両方)が非課税となる年収は次の通りです。※非課税限度額は2020年度までの基準額[adsense_middle]年金受給世帯の住民税が非課税となる例年金受給者の住民税が非課税となるのは、次のような場合です(計算に用いた控除額は2020年度分までの金額)。年金収入だけの夫婦世帯の場合の例東京23区内(1級地)在住、年金受給者の夫(68歳)と専業主婦の妻(63歳)の2人世帯の場合、夫の年金受給額が年間211万円以下であれば住民税が非課税になります。妻が65歳になり年金受給を開始した場合、妻の年金受給額が158万円を超えると(公的年金控除120万円を差し引いた所得が38万円超)、非課税限度額を判定する際の同一生計配偶者の要件を満たさなくなります。そのため夫の住民税が非課税となる基準は、年金受給額155万円以下になります。年金収入のほかに給与収入のある夫婦世帯の場合の例東京23区内(1級地)在住、夫(68歳)と専業主婦の妻(63歳)の2人世帯の場合、年金から公的年金等控除を差し引いた雑所得と、給与から給与所得控除を差し引いた給与所得の合計が91万円であれば住民税が非課税になります。年金受給額が180万円であれば、公的年金の雑所得は60万円(=180万円−公的年金等控除120万円)であり、給与所得が31万円(=非課税限度額91万円−60万円)以内であれば住民税は非課税になります。給与収入161万9,000円未満の場合の給与所得額は「給与収入−65万円」で計算でき、給与所得額が31万円以下となる給与収入は、96万円以下と計算できます。参考:品川区HPより筆者作成※給与収入金額÷4(1,000円未満切り捨て)=A年金収入だけの単身世帯の場合の例東京23区内(1級地)在住、独身者(68歳)の場合、年金受給額が年間155万円以下であれば住民税が非課税になります。住民税非課税世帯に対する負担の軽減措置住民税が非課税となる低所得世帯には、次のような負担軽減措置があります。利用できる制度がないか確認してみましょう。国民健康保険料の軽減高額療養費制度の自己負担上限額の軽減入院時の食事代自己負担分の軽減予防接種・検診費用が無料幼稚園・保育園等の利用料が無料大学等の授業料の減免給付型奨学金の支給NHK受信料の免除その他各種給付金の支給対象年金受給世帯の住民税が非課税になる基準まとめ年金受給世帯における住民税の非課税限度額は、本人の年齢と配偶者や扶養家族の有無、住んでいる地域によって変わってきます。収入によっては生活保護(生活扶助)の対象となる場合もあります。詳細な内容や現状で自身が対象となるのかは、住んでいる自治体の役場に一度確認、相談してみるとよいでしょう。
2020年04月21日サラリーマンの場合、労働の対価として勤務先から給与を受け取りますが、個人事業主の場合、売上の中から生活費を捻出する必要があります。事業用の経費や設備投資などと重ねて考える必要があるため、よりしっかり管理しなければなりません。本記事では、個人事業主の給与について、基本的な考え方や生活費の管理方法をお伝えしていきます。個人事業主の給与の考え方国税庁No.2260 所得税の税率さらに、住民税としておよそ10%の税率が課されます。所得税は1月1日~12月31日の間で得た所得を、翌年の2月16日~3月15日の間に確定申告して税金を納めます。納税期限は通常3月15日までですが、口座からの引き落としという形にすれば4月中旬頃になります。個人事業主は毎月の売上が手元に残るため、勘違いしてしまいやすいのですが、この税金を納めて初めて、手元のお金が自由になるものだと考えておくとよいでしょう。なお、住民税は5~6月頃に手元に届く納付書で3カ月分を4回に分けて支払っていくことになります。これら所得税や住民税の額については、上記税率を知っておくとある程度計算することが可能なので、把握しておくことをおすすめします。生活費を賢く管理するにはどうすればいい?生活費を賢く管理する方法としておすすめなのが、先ほどご紹介した方法で住民税と所得税の額をある程度想定しておき、想定される売上から経費と税金を差し引いたうえで、毎月同じ日に同じ額を給与のように生活口座に移すという方法です。こうすれば、サラリーマンの給与のように扱うことができ、生活費を管理しやすくなります。ただし、毎月売上や経費が想定通りになるというわけではないので、順次調整していくことが求められます。経営者への給与を経費にするなら法人化を検討しよう生活費を管理しやすくなる方法として、他に法人化することが挙げられます。法人化することで経営者への給与を経費にすることができ、会社のお金と個人のお金を明確に区分できるようになります。法人or個人事業主の決め方とは?ただし、個人事業主で売上が少ない内は法人化することで税金の負担が大きくなってしまう可能性があります。もちろん、法人化することで社会的信用が高まるなどのメリットがありますが、基本的には「売上が一定額以上になったとき」と考えるとよいでしょう。一定額についてはケースバイケースのため必ずしもいくらとは言えませんが、一つのポイントとして、所得税の税率が高くなる「所得900万円を超える時」を目安としてみるといいでしょう。ただし、実際に判断する際には税理士に相談することをおすすめします。個人事業主の給与に関するまとめ個人事業主の経費についての考え方や生活費の管理方法、法人化を検討する際のポイントなどお伝えしました。個人事業主は売上から経費や税金を差し引いたお金の中から生活費を捻出していかなければなりません。全てを把握する必要はありませんが、本記事で紹介した内容を理解し、毎年ある程度税金の額と経費の額を想定したうえで、生活費を計算することをおすすめします。
2020年04月19日こんにちは、婚活FP山本です。日本でギャンブルと言えばパチンコ・パチスロが代表格ですが、根強い人気があるのが「競馬」といえます。その人気の元になっているのが万馬券に代表されるような高配当ですが、代わりに税金が気になる人も一定数いるのが実情です。ぜひ税金について正しく知り、安心して競馬を楽しみましょう。そこで今回は、競馬における税金について詳しくお伝えします。あなたの競馬人生に、お役立て下さいませ。当選金の払い戻しは所得税の課税対象!まずは早速、競馬における税金の基本についてお伝えします。結論から言えば、競馬の当選金の払い戻しは所得税の課税対象です。具体的には当選金は「一時所得」に該当し、以下の計算式で計算した金額に税率を掛けて、税金を納税する必要があります。(当選金-馬券代-50万円)÷2なお、当選金は一年間の合計金額であり、馬券代は「ハズれ馬券は含まない」というルールです。一時期かなり話題になったルールですが、基本的にこのように決まっているのですから仕方ありません。しっかり覚えておきましょう。ちなみに税率は各自の年収によって違ってきますから、一概には言えません。5%~45%まで様々ですが、年収が高い人ほど高い税率になりますから注意しましょう。万馬券が当たった時は確定申告に備えて計算しておこう税務署も人間が運営していますから、何でも杓子定規に動くわけではありません。しかしだからこそ、大きなお金が動く時、動きそうな時ほど敏感に反応します。競馬でいえば、やはり「万馬券」の時ほど税務署も注視していると考えたほうが無難です。万馬券自体、いつ当たるか分からないものですから、常に確定申告も想定しておいたほうが安全といえます。特に万馬券が当たった時は、確定申告に備えて事前に記録・計算しておきましょう。同じ所得税でも「雑所得」として納税することもある!今度は、例外的な競馬における税金についてお伝えします。先ほどお伝えした通り、基本的に競馬の当選金は「所得税の一時所得」です。しかし、場合によっては同じ所得税でも「雑所得」に該当することがあり、こちらに該当するとハズれ馬券も経費になる可能性があります。ただし、雑所得に該当するかどうかは明文化されていません。また雑所得に該当するのは、競馬を投資や資産運用のように捉えて、頻繁に多額のお金を使っているような場合のようです。多くの方にとっては当てはまらないでしょうが、一応知っておきましょう。ちなみに雑所得に該当するかどうかのルールは、あくまで一つの判例で示された結果に過ぎません。あくまで基本的には一時所得になるものと考えておきましょう。高額な賞金・配当金狙いの資産運用はアリ?実際に、競馬を投資や資産運用のように捉えている方は一定数います。しかしお金のプロから言わせれば、やはり競馬は「ギャンブルの一種」です。高額な賞金・配当金狙いで競馬に打ち込むほどに、どうしても負けやすくなります。ギャンブルは多額のお金をかけるものではなく、あくまで「趣味の範囲で楽しむ」ことがおすすめです。そのうえで、別の投資や資産運用も試していきましょう。競馬における税金対策は「50万円以内」に抑えること今度は、競馬における税金対策についてお伝えします。これは結論から言えば、「当選金を50万円以内に抑えること」です。先ほど、税金の計算式をお伝えしましたが、競馬では当選金から馬券代を差し引き、さらに50万円を差し引けます。この50万円以内に当選金を抑えれば、税金はかかりませんし確定申告も不要です。当選金を計算して抑えるような方は滅多にいませんが、それでも50万円程度の当選金が当たった方なら、以後は競馬を控えることで問題はなくなります。ギャンブルとは、基本的に勝つほどに熱くなってのめり込むものですが、そういう時ほど冷静さが大切です。「趣味の範囲で楽しむ」を基本として、今後も競馬を楽しみましょう。安易な「課税逃れ」にご用心!競馬を楽しむ多くの方は、税金のことなど考えていません。また競馬は公営ですから、「競馬離れ」が起きかねませんし、税務署も厳しく取り締まっているわけではありません。しかしそれでも、安易な課税逃れには用心したほうが賢明といえます。実際、競馬の当選金を巡って課税されることもあれば裁判になることもあるのが実情です。万馬券などの高額な当選金の時ほど課税される可能性は高いですから、十分に注意しましょう。ネットで買っても競馬場で買ってもバレる時はバレる今度は、競馬の税金について税務署にバレない方法をお伝えします。結論から言えば、「そんな方法はない」のが現実です。これについては様々な情報が飛び交っていますが、少なくとも「絶対バレない方法などない」のが実情といえます。そもそも税務署は、個人の銀行口座の情報を知ることが可能です。突然の大金の入金があれば、その出所を疑われます。ネットで買えば履歴が残りますし、競馬場で買っても今は至るところに監視カメラがたくさんある時代です。バレる時はバレるのが基本といえます。仮に絶対バレない方法があるとすれば、それは「競馬をやらないこと」でしょうか。競馬をする以上は税金問題が付きまとうと考え、そのうえで競馬を楽しみましょう。バレない方法を探すより、正しく対応しよう確かに一般的には、「どうやったらバレないか」を考えます。しかし、そのような方法など存在しない以上、やはり「正しく対応する」のがおすすめです。税金とは、あくまで「利益の一部」にしか発生しませんが、不正をするほどにペナルティも発生してしまいます。結局のところ、正しく対応するのが一番の利益です。100万円程度以上の当選金を得たときには、しっかり税金のことも対処していきましょう。[adsense_middle]万馬券が当たった時こそ気を引き締めよう!最後に、競馬について大切な補足情報をお伝えします。先ほども触れた通り、競馬も一種のギャンブルです。趣味として楽しむ程度なら良いのですが、入れ込みすぎて破滅する人も一定数いるのが実情といえます。しっかりと節度を持って楽しむことを心掛けましょう。特に気を付けたいのが「万馬券が当たった時」です。思わぬ大金が入ったことで金銭感覚がおかしくなり、これが元で破滅する人も多いといえます。ちなみに宝くじの場合、高額当選者の7~8割程度が破滅しているというアンケート結果もあるほどです。競馬を楽しむ方なら万馬券を夢見ている方が多いですが、万馬券が当たったことで破滅するとは何とも寂しい結果といえます。万馬券が当たった時こそ気を引き締めていきましょう。将来的にいくら必要かを考えれば使わずに済む?気を引き締めるのに有効な手段といえば、やはり「将来を考えること」です。今は老後資金として2000万円必要といわれていますが、たくさん貯金があるほどに安全・安心に繋がります。将来的にいくら必要かを考えれば、使わずに済むかもしれません。あるいは万馬券のお金で資産運用を始めれば、今後は働かなくても食べていける可能性も出てきます。必要に応じてFPにも相談しつつ、特に大金が当たった時こそ注意していきましょう。しっかり税金も理解したうえで競馬を楽しもう競馬の当選金には、基本的に所得税が課税されます。ただし、一年間の当選金の合計が50万円以内なら税金も確定申告も不要です。税金を無視していると、思わぬペナルティが課されるかもしれません。しっかり税金も理解したうえで、今後も競馬を楽しみましょう。
2020年04月17日こんにちは、婚活FP山本です。最近では売上が減少傾向なものの、まだまだ根強い人気を誇っているのが「宝くじ」といえます。ただ一方で、仮に高額な当選金が当たった場合、税金がどうなるのか気にする方も多いです。ぜひ正しい宝くじの仕組みを知っておき、そして高額当選を狙っていきましょう。そこで今回は、宝くじの基本的な仕組みや当選金に対する税金について詳しくお伝えします。あなたの人生に、お役立て下さいませ。宝くじの購入は自発的な所得税の納税と同等?まずは、宝くじの基本的な仕組みについてお伝えします。そもそも宝くじとは、一般の個人や企業が発売することはできず、できるのは「地方自治体だけ」です。具体的には、宝くじの法律で定められた全国の都道府県と20の指定都市だけが発売することができます。つまり、あなたの宝くじの購入代金は地方自治体に入る流れです。見方を変えれば、宝くじの購入とは自発的な所得税や住民税の納税・寄付のようなものといえます。そして当選金も、見方によっては「税金の還付金」のような性質があるお金です。ちなみに宝くじの売上から当選金などを差し引いた残りの利益は、公共事業などに充てられます。言ってみれば、宝くじの購入とは「一種の社会貢献」です。存分に購入していきましょう。配当金などと違い、当選金は金額に関わらず非課税株式の配当金などと違い、宝くじの当選金は金額に関わらず非課税と法律で定められています。確定申告する必要もありません。当たる可能性は極めて低いものの、もし当たったら丸々もらえるのですから、未だに根強い人気があるのも分かるところです。また株式投資と比べれば、「特に勉強する必要がない」点も嬉しい特徴かもしれません。株式投資などと比べれば投資金も微々たる額で済みますから、一発逆転を狙うには最適とも言えます。ぜひ未経験の方は、宝くじにチャレンジしてみましょう。当選金を贈与する時は「贈与税」に注意!次は、宝くじに関する注意点についてお伝えします。先ほどお伝えした通り、宝くじの当選金は非課税です。しかし、もらった当選金の「使い方」によっては税金がかかる可能性があります。代表例は、やはり「親兄弟などへの贈与」でしょうか。高額な当選金をもらったからといって、その一部を誰かに贈与すると「贈与税」が発生します。贈与税は極めて高額ですから、110万円を超える贈与をする時には注意が必要です。とりわけ、複数人のグループで宝くじを購入した時には、贈与と判断されないよう全員で受け取りに行くなどの対策が必要になります。また、当選金を自分で普通に使うにしても、普通に消費税は必要です。お金というのは大金になるほど税金問題が付きまといますから、しっかりと理解して使っていきましょう。10万円を超える現金振込はできず、手数料も必要高額な当選金は、基本的にみずほ銀行で受け取ります。ただ、10万円を超える現金振込はできませんし、振込手数料も必要という点には注意が必要です。持って帰るにしても、おおよそ1億円で10キロ程度になります。「どうやって受け取るか」も考えておきましょう。特に問題ないのであれば、これを機にみずほ銀行で口座を作れば大丈夫です。ただし、1000万円以上のお金は銀行が破綻したときに保証されません。その後は、複数の銀行にお金を分散させることをおすすめします。1億など高額当選者の情報は税務署に伝わっている?今度は、宝くじに関する補足情報についてお伝えします。普段、税金について疎い人は、つい「黙っていればバレないはず」などと考えがちです。しかし1億円など、高額当選者の情報は税務署に伝えられていると言われていますから、注意が必要といえます。もちろん伝わっていても、ヘンな使い方さえしなければ大丈夫です。ただ先ほど触れた贈与などのことを知らず、税務署に指摘される方も意外と多いのが実情といえます。時には、税務署から「お金の出所」を聞かれることもありますから、気を付けましょう。ちなみに高額当選の場合、銀行から「当選証明書」をもらうこともできます。周囲に当選がバレることもありますが、自分の身を守るためにも必要となる大切な書類ですから、なるべく受け取っておきましょう。ネット購入なら「もらい忘れ」防止になる最近の宝くじは、売り場で買う以外に「ネット購入」という方法もあります。ネット購入なら、100円につき1ポイントの「宝くじポイント」がもらえますし、24時間購入可能です。当選時には自動的に登録口座へお金が振り込まれますから、「もらい忘れ」防止にもなります。さらに、クレジットカードなどでも購入できますし、「継続購入」による買い忘れ防止も可能です。売り場での購入による「調べるまで当選したか分からないドキドキ感」は失われますが、特に時間がなくて売り場に行けない人はネット購入を試してみましょう。[adsense_middle]高額当選者の「破滅」は想像以上に多い?今度は、宝くじに関連する補足情報についてお伝えします。そもそも、宝くじを購入する人の多くは当選金が目当てです。何億円もの当選金が当たれば、バラ色の人生になると考えて宝くじを購入しています。しかし……実際には、そうはならないことも多いのが現実です。というのも、様々なアンケート結果によると、高額当選者の7~8割は「経済的に破滅」しています。思わぬ大金が手に入った結果、一気に金銭感覚が緩んでしまったのが原因です。一度おかしくなってしまった金銭感覚は、簡単には元に戻らないのが実情といえます。これは、「一度上げてしまった生活水準は簡単には下げられない」のと同じ理屈です。本当に高額当選者になった暁には、十分に気を引き締めることをおすすめします。2億3億などは1年2年で使えてしまう金額!一日100万円使えば、一年で3億6500万円使えます。一日50万円でも、一年あれば2億円程度を使うことが可能です。2億3億と聞くと、中には「一生使いきれない金額」のように感じる方もいますが、意外と簡単に1年2年で使えてしまいます。「そんなアホな使い方するわけない」と普段なら考えられる人でも、大金は人を狂わせるのが実情です。本人もさることながら、周囲の人間を狂わせることも多いですから、十分に注意しましょう。高額当選した時こそライフプランを立てよう!最後に、宝くじについて大切なことをお伝えします。もし宝くじで高額当選したなら、それは紛れもなく大ラッキーです。注意が必要な要素もありますが、それでもあなたの人生を大きく好転させてくれる可能性も高いといえます。ここで大切なのが「ライフプラン」です。仮に7億円当たったら、あなたはどう使いますか?多くの方は「必要になるまで貯金」という選択をしがちですが、「こんなにあるんだし少しくらい……」と無計画に使ってしまうことも多いです。大金が入った時こそ、しっかりライフプランを立てて計画的に使うことが大切といえます。ちなみに一番のおすすめは、何らかの投資に回して「当選金を増やす使い方」です。自分の人生をしっかり考え、先々を見据えて当選金を有効活用していきましょう。税金や控除の勉強をして、正しく使っていこう大金には、どうしても税金問題が付きまといます。当選金そのものは非課税でも、その使い方次第では多額の税金が必要です。このため、高額当選者となった暁には、今後のためにも税金や控除の勉強をしていくことが大切といえます。適当に無計画に使うと、高い確率で破滅するのが宝くじです。ぜひ勉強を通して正しく使っていきましょう。宝くじが当たった時は税金に注意しよう宝くじの当選金そのものは非課税です。しかし、その後の「使い方」によっては税金が発生します。思わぬ高額当選をしたからこそ破滅した方もかなり多いですから、宝くじに当たったら素直に喜ぶ一方で、ライフプランを立てて計画的に使っていきましょう。
2020年04月15日働き方改革が推進されている昨今、空いた時間を活用して個人事業主として開業する人も増えてきているようですが、税金の取り扱いには注意が必要です。会社員と個人事業主では税金の取り扱いが違うので、勘違いしているとトラブルになったり、内緒で副業をしていてバレたりといった自体を招いてしまいます。そこで今回は、個人事業主と会社員の税金や控除の違いについて詳しく解説します。個人事業主と会社員の違い会社員の税金や控除関係は基本的に会社の総務や経理の方が処理をするため、本人自らが申告する必要はありません。会社員の場合は毎月給料の約10%が源泉徴収という形で天引きされていて、その天引きした金額を年末調整によって正しく計算し直して過不足があれば精算を行います。年末調整によって税金が過払いになっていれば、次回の給与支給の際に加算され、反対に不足する場合は給与から差し引かれるのです。いずれにしても、税金や控除の計算や還付、納税といった一連の手続きすべてを会社がやってくれるので本人にかかる負担は何もありません。個人事業主は全部自分で計算する個人事業主を始めて最初に直面する課題、それが確定申告ともいわれています。特に会社員だった方が脱サラして開業する場合や、会社員が副業を始めるような場合については税金や控除の手続きを初めて体験することになり、ミスが発生しやすいため注意が必要です。給与所得と事業所得の違い会社員に支払われる給与は給与所得として申告することになります。ここでは事業所得との違いがわかるよう、給与所得の計算方法について解説します。給与所得の計算方法給与所得を求めるためには、準備段階として次のようなステップで情報を整理していきます。1:給料を1年分集計する実際に1年分の給料を集計してみましょう。例えば、月給30万・ボーナス50万円の方の場合、次のように集計します。月給30万円×12ヶ月+ボーナス50万円=410万円2:給与所得を求める所得とは収入から経費を引いた利益のことで、給与所得の場合は以下の計算式によって算出します。給与所得=年間給料410万円-給与所得控除会社員の場合は個別に必要経費を差し引くことが難しいため、所得金額に応じて一定の給与所得控除額が決められています。計算式にすると次の通りです。給与所得控除額=収入金額×20%+440,000円=126万円これが給与所得から差し引くことができる、いわば会社員の経費ということになります。実際に計算式に当てはめると次の通りです。給与所得=年間給料410万円-給与所得控除126万円=284万円3:課税所得を求める給与所得がわかったら、ここからさらに控除額を差し引いていくことになります。今回は一律に適用される基礎控除を差し引いたとして次のようになります。課税所得=給与所得284万円-基礎控除38万円=246万円4:所得税を計算する所得税は課税所得が大きくなればなるほど、税率が高くなる累進課税になっているので、課税所得に対応する税率をかけて所得税額を算出します。課税所得246万円に対する税率は10%、控除額97,500円です。所得税額=246万円×10%-97,500円=148,500円この金額が会社員の支払う税金の金額です。年末調整の際に所得税額と源泉徴収した累積金額を比較して、源泉徴収額の方が多ければ差額が次回給料と一緒に還付され、反対に少なければ追加で差し引かれることとなります。事業所得との違いは?これに対し個人事業主の場合は、行っている事業に応じて事業所得や不動産所得などを集計して税金を計算することになります。会社員との一番の違いは、毎月源泉徴収が行われないということです。会社員は本人が何もしなくても、会社が給料の約10%を源泉徴収して納税しているため、年末に差額を調整するだけで済みますが、個人事業主の場合は1年間分まとめて所得を集計し、そこから経費を差し引いて課税対象額を算出します。それでは具体的に計算してみましょう。1:所得を計算する個人事業主の場合は給与所得ではなく、事業所得や不動産所得など他の所得を合算して計算をするため少しややこしくなります。例えば、個人事業の売上が500万円、経費200万円で青色申告している単身者を仮定して以下の計算式に当てはめて計算してみましょう。所得金額=1年間の売上500万円-経費200万円-青色申告特別控除65万円=235万円配偶者がいればここから配偶者控除などを差し引きますが、今回は単身者という設定なのでこの金額がそのまま課税所得になります。2:所得税を計算する所得税の金額は次の計算式に当てはめて計算します。所得税額=235万円×10%-97,500円=137,500円このように、個人事業主の場合は年間の売り上げと経費をまとめて集計しなければならないですし、しかもそれを自分自身でやらなければならないことから、慣れていないと確定申告の時期にはかなりの負担となります。税金にどのくらいの違いが出るの?ここまで見ると、個人事業主の場合税金や控除の計算が非常に面倒で負担になることはお分かりいただけたかと思います。では、会社員の方が独立して個人事業として開業を目指す場合、同じくらいの収入で税金にどの程度の違いが出るのでしょうか。結論からいうと、会社員の給料と個人事業主としての利益が同額であれば、会社員の方が有利です。税金についても会社員の方が有利な傾向がありますが、それ以上に有利なのが年金です。会社員の場合は厚生年金に加入できて、なおかつ保険料の半分を会社が負担してくれます。対して個人事業主の場合は厚生年金よりも年金支給額が少ない国民健康保険のみの加入で、しかも保険料は全額自己負担です。ここの格差が非常に大きいので、会社員の方が個人事業主として独立を検討する際には、概ね現在もらっている給料の2倍程度の利益を目標としなければ、現実的に会社員の頃よりも手元に残る金額が増えない可能性が高いといえます。[adsense_middle]個人事業主のメリットは?このように同じ利益であれば給与所得の方が有利ですが、個人事業主ならではのメリットとしては経費があります。給与所得については給与所得控除があるものの、所得に応じて金額が決まっているため節税に活用することはできません。一方、個人事業主であれば売上から経費を差し引くことができるので、経費を上手に活用すれば発生する税金をある程度コントロールすることが可能です。例えば、会社員の方がマイカー通勤したとしても経費にはなりませんが、個人事業主の方がマイカーを仕事で使用すればガソリン代や高速道路代、駐車場代、重量税、自動車税などの一部を経費として売上から差し引くことができます。また、車両本体の購入代金についても減価償却費として経費計上できるので、うまくやりくりすることで利益を圧縮して節税することも可能です。個人事業主のデメリットと注意点このように経費を計上できる点が個人事業主のメリットですが、注意しなければならないのは経費にできる範囲です。例えば法人の経費は、法人が事業活動をするうえで支出しているものについては原則としてすべて対象とすることができますが、個人事業主の場合は売り上げを上げるために直接的に支出した費用に限定されるというデメリットがあります。つまり、経費として計上して認められる範囲が非常に狭いのです。この点を理解しないまま、片っ端から領収書を切って経費計上していると、税務調査で引っかかって修正申告、追徴課税になる可能性があります。そのため、ある程度広い範囲で経費を計上したい方は、法人化も検討しながら事業運営をしていくことをおすすめします。会社員が副業で個人事業をする場合の税金と注意点会社員の方で副業をする人が増えていますが、中には会社に内緒で始める人も多いようです。最近は働き方改革で就業規則が改定され、副業が解禁されている企業も増えていますが、中にはまだ副業が禁止のままの企業も多く、会社に言い出せないまま始めている人も少なくありません。会社が終わってからどこで何をしようが、会社に知られることはないから大丈夫。そう思っている人もいるかもしれませんが、実は会社員の方が副業を始めると思わぬことから会社に副業がバレてしまうため注意が必要です。開業届を出すと住民税が上がってバレる会社員の方が副業をして所得が増えると、会社が年末調整してくれていたとしても、翌年には確定申告をして副業の所得を申告しなければなりません。開業届を税務署に提出して副業の所得を申告すると、当然その人の総所得が給与所得よりも高くなり、それに比例して翌年の住民税が増額することになります。ここでポイントになるのが、住民税の徴収方法です。会社員の方は給与から住民税が差し引かれるため、各人の住民税の決定通知は会社に届きます。会社員としての給料が一定なのに住民税だけ値上がりしていることがわかると、会社側に副業をしているということがバレてしまうのです。このように総所得が上がると住民税が変化し、それによって会社が副業に気づいて懲戒処分を受けるというケースがありますので、副業を検討している人は必ず勤務先に許可をとってから始めることをおすすめします。個人事業主と会社員の違いに関するまとめ今回は個人事業主と会社員の税務上の取り扱いの違いについて解説してきました。サラリーマンであるうちは気づきにくいですが、個人事業主になってみると会社が社会保険料などどれほど負担してくれていたかが身に染みてわかるものです。そのため、会社員自体の手取り給与と同じくらいの売り上げだと個人事業主の手取りはかなり低くなってしまいますし、将来受け取ることができる年金額も大幅に減少してしまいます。開業届を出して独立しようとお考えの方は、その点を十分理解したうえで収益目標などを立てることをおすすめします。
2020年03月31日個人事業主の方が効果的に節税するためには、計上可能な経費を漏れなく計上することがとても重要になります。中でも車に関係する経費については、他の経費に比べて高額になる傾向があるので、認められる範囲内できっちり計上することが大切です。そこで本記事では、個人事業主の方が経費として計上できるもののうち車に関係する経費について詳しく解説します。個人事業主で車を購入するケースネットを活用して自宅で事業を展開する個人事業主の方が増えていますが、中には事業に車を使用するケースもあるかと思います。例えば、営業で外回りをするために車を購入するケースもあるでしょう。基本的に事業のためだけに車を使用する場合は、ある程度経費として認められる可能性が高いですが、私用でも車を利用する場合については注意が必要です。経費として認められるのは、あくまで事業のために直接使用している部分だけなので、車を私用でも使う場合については部分的に経費として認められなくなる可能性があります。車の名義はどうなる?経費として計上するとなると気になるのが車の名義です。例えば法人が車を保有するとなれば法人名義で購入するのが通常ですが、個人事業主の場合は店舗名や事業所名で購入することはできるのでしょうか。結論からいうと、個人事業主の方が車を購入する場合の名義は、その方の個人名義になります。店舗名や事業所名などのいわゆる屋号については、株式会社のように法人格がないので、権利を帰属させることができないからです。よって、個人事業主が車を購入する場合は普通に自家用車を購入する場合と同じで個人名義になります。ただ、個人名義だからといって経費にできないわけではありませんのでご安心ください。計算上経費にできる費用車に関連して発生する費用には様々なものがありますが、個人事業主の経費として計上できる可能性があるものとしては次の通りです。税金関係自動車税、軽自動車税、自動車重量税、自動車取得税など車を保有することでかかる税金については、経費として計上することが可能です。かかるタイミングが決まっているので、ある程度経費として先読みできる点がメリットといえます。自賠責保険・任意保険など強制加入が義務付けられている自賠責保険、任意保険(車両保険、人身傷害、弁護士特約など)の保険料も経費として認められます。保険の名義も車と同様に屋号で加入することはできませんが、個人名で加入している保険料でも、経費として計上することが可能です。車両維持費車両を維持していくためにかかるメンテナンス費用で、主に次のような費用が経費として認められます。洗車費用車検費用ガソリン代オイル交換台ブレーキパッド交換タイヤ交換、保管代点検費用その他修理費用駐車場代交通費高速道路料金やETC、そのほか駐車料金なども事業のための利用であれば経費として認められます。ただし、いつ、どこへ、なんの目的で行ったかなどについては記録に残しておくことが大切です。ローン金利ローンを組んで車を購入した場合は、金融機関に支払う利息も経費として計上することが可能です。このように、車に関連して計上できる経費は多岐にわたります。車の減価償却費について車の経費の中で忘れてはならないのが、減価償却費です。減価償却費とは物の劣化代のことで、車などの高額資産については、購入した代金を一括で経費として計上するのではなく、使用年数に応じて毎年一定額を経費化していきます。車の主な減価償却期間は次の通りです。普通車:6年軽自動車:4年ダンプ以外のトラック:5年ダンプのトラック:4年例えば新車で300万円の普通車を購入した場合、1年あたり50万円を減価償却費として計上することができます。どこまでが減価償却の対象?減価償却費は車に関連する経費の中で最も高額になる可能性が高いので、計算する際には間違えないよう注意が必要です。車を購入する際には車両本体料金以外にも様々な費用が掛かりますが、減価償却に含む費用としては次のようになります。車両本体料金カーナビETCスタッドレスタイヤその他オプション納車にかかる費用反対に、以下の費用については購入時に支払った費用だとしても減価償却には含めず、個別に経費化します。自動車税、自動車取得税、自動車重量税自賠責保険料登録費用、代行費用車庫証明の取得にかかる費用なお、リサイクル料金を支払った場合は、すぐに経費化するのではなく車を将来的に売却または廃車にする際に経費として計上するため、それまでは預託金として仕訳をして確定申告をします。中古車の減価償却車を中古で購入した場合は、減価償却期間がその分短くなります。中古車の耐用年数(減価償却期間)は、次のように計算します。中古車の耐用年数=法定耐用年数-経過年数+経過年数×0.2よって、普通車で6年以上型落ちしている車でも最低2年で減価償却することになります。中古車は短期償却が可能このように新車であれば6年かけて減価償却するところ、中古車であれば最短2年でスピード償却ができるので、売上が伸びていて急遽経費が欲しい場合は、高額な新車を買うよりも中古車を買った方が一度に大きく減価償却費を計上できるため有利です。例えば300万円の新車だと年間で50万円しか減価償却費として計上できませんが、6年落ちの中古車で200万円であれば倍の100万円を減価償却費として計上できますので、節税対策で経費を計上したい場合には注意しましょう。カーリースを利用した場合最近ではマイカーリースやカーシェアなど車を保有しないケースもあるかと思います。これらのサービスを利用した場合は、リース料金などをそのまま経費として計上することが可能です。ある意味減価償却費を計上しているのと同じような感じになるので、マイカーにこだわらなければリースやカーシェアを活用することも一つの方法となるでしょう。[adsense_middle]私用でも車を使う場合の按分割合個人事業主で車を保有する人の中には、個人事業だけではなく私用としても使うというケースは多いのではないでしょうか。例えば、普段は子供の送り迎えなどに車を使っていて、週末だけ事業で使っている場合や、反対に平日は配送の仕事で車を使って、週末は家族で遊びに行くために使うなど、仕事と私用の両方で使うケースは意外と多いと思います。ではこのような場合、どこまで経費として計上することが可能なのでしょうか。経費の分け方車を仕事と私用の両方に使っている場合は、仕事として使っている割合と私用として使っている割合を合理的な考えに基づいて按分して、それを経費に当てはめて計算することになります。例えば、週7日のうち4日を仕事で使用している場合、かかった費用のうち4/7を経費として計上することが可能です。また、明確に使用している日数を割り出すことが難しい場合は、およそ半分程度としてかかった費用の半分を経費として計上することもできます。絶対にこう計算しなければならない、という決まりはありませんが、使用した日数・時間などに応じて合理的に説明がつくやり方で按分計算することがとても重要です。実際は私用でしか使っていない車を個人事業主の経費として計上しようとする人が時々いますが、実態を調査されるとバレて修正申告することになる可能性がありますので絶対にやめましょう。按分計算しなくていい経費車に関係する費用でも、次の費用については私用と仕事用で按分計算する必要はありません。駐車料金高速道路代また、駐車場の料金についても店舗専用の駐車場がある場合などについては、全額を経費として計上することも可能です。自宅の駐車場代については、按分計算が必要になります。仕訳の仕方について私用と自営業どちらでも使用する車の場合、費用の仕訳はどのようにしたらよいのでしょうか。基本的に、事業と私用の支出が混ざっている場合は家事関連費に仕訳をします。按分計算した費用については、家事関連費に仕訳をして所得税を計算しましょう。経費として認められにくい車とは私もこれまで車に関係する費用を経費として計上した経験がありますが、その際に税理士から注意をされたのが車の車種です。例えば、軽自動車については比較的営業車両的なイメージが強く、維持費が安いことから経費として認められやすい傾向があるのですが、外車などについては税務署から私用との指摘を受けやすくなるため注意がいるそうです。特に危ないのがベンツです。ベンツは税務署の印象として事業用というイメージが薄く、本人の私用であるという認識があるようなので、個人事業用の車として確定申告しても否定される可能性がありそうです。ただ、BMWは意外と認められるそうで、外車によっても税務署の受ける印象が違います。ベンツというと高額なイメージがありますが、最近では中古で新車の軽自動車以下の金額でも購入できるので、一概にそうとは言い切れないと思います。とはいえ税務署的にはベンツはNGが出やすいそうなので気をつけましょう。また車の台数が多い場合も、必要性も含めて指摘を受けますので注意が必要です。自家用車のほかに仕事用で複数台車を所有する場合は、具体的に複数台必要になる理由について説明できるようにしておきましょう。個人事業主の車に関係する経費に関するまとめ今回は個人事業主の車に関係する経費の計上の仕方について詳しく解説してきました。車は個人事業で扱うものの中でも比較的高額な経費を生み出すので、正しく計上して税金を圧縮することが大切です。ただ、私用でも使っている場合については必ず按分計算して必要な割合だけを経費にする必要があります。按分の仕方については、絶対的な決まりはありませんので、合理的な説明ができる方法で割合を決めることが重要です。税金を得するために、私用の車を全額経費にすると税務調査の対象になる可能性があるため注意しましょう。
2020年03月28日今回はがん保険の控除について解説していきます。年末に差し掛かるタイミングで保険会社より一斉にある証明書が送られてきます。そうです、控除証明ですね。1枚の方もいれば複数枚届く方もいらっしゃいますが、加入しているがん保険は対象になるのでしょうか?また、金額はどれくらいまで控除されるのかなどの疑問に答えたいと思います。控除証明の種類は?こちらの書類をご覧になった事があると思います。この書類のうち生命保険料控除に使用するのは「給与所得者の保険料控除申告書」になります。書類の左側が控除の申告を記入する欄になりますので、届いた控除証明に記載の金額を正しく記入し、下段にある計算式(所得税)に当てはめて自ら記入します。ご記入が終わったら、証明書と合わせて会社へ提出する事になります。何故会社に提出するのかサラリーマンの場合、所得税の申告は原則不要で、給与の支払い元である会社が纏めて税務署へ申告納税する事になっています。年末調整の書類は会社の経理や人事等が担当しており、皆さんの書類をチェックし提出する事になりますので、提出期限が決められているという事になります。大規模な会社であれば従業員の数も多いので、提出期限が短い事もあります。ご負担を掛けないようになるべく早めに提出しておきましょう。また、この書式には住民税控除の記載がありません。理由として、住民税に関しては別途会社が源泉徴収票と給与支払い報告書を税務署に提出し、その書類を基にお住いの市区町村で住民税額の決定がなされます。この時に控除計算されて住民税が決まる事になりますので、各個人で計算しておく必要がないのです。確定申告の場合自営業者やフリーランスの方、副業などで20万円以上収入のある方は確定申告が必要です。年末調整とは違い、自分で申告納税する事になりますので、基本的な手順は年末調整と同じです。計算式は所得税の計算式を利用する事になり、左側に記載のある「所得から控除される金額」欄に計算した額を記入します。記入した申告書と控除証明書を合わせて提出する事で完結します。尚、住民税も年末調整と同様に確定申告を提出しておけば自動で計算され、納税通知書が届きますのでご安心下さい。がん保険の控除に関するまとめ今回はがん保険の控除に関するお話でしたが、がん保険だけでなく他の保険料控除についての解説も合せて行いました。加入率の高い保険ですので、誰でも控除は受けられます。また最大限控除を受ける為に微調整しながら保険加入を検討するのも良いかもしれません。
2020年03月25日ネット通販やyoutuberなど誰でも手軽に個人事業が開業できるようになった昨今ですが、確定申告の時期になると思った以上に税金がかかることに驚く人がたくさんいます。法人の節税対策についてはさまざまな記事がありますが、個人事業についてはあまり言及されていないことが多いため、どうしていいかわからずお困りの方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、個人事業主の節税対策にフォーカスして解説したいと思います。個人事業主が節税対策すべき税金個人事業主の節税を考える前に、まずは個人事業主に課税される税金の種類についておさらいしていきましょう。個人事業主として開業すると、主に以下の税金が課税されます。所得税消費税住民税個人事業税この中でも今回は事前対策による節税効果が高い所得税について解説していきたいと思います。個人と法人を比較した場合の所得税のメリット、デメリット所得税とは売上から経費を差し引いた利益に対して課税される税金で、法人でいうところの法人税にあたる税金です。1年分の利益に対してまとめて課税されるため、個人事業主であれば個人のさじ加減である程度の微調整はしやすいというメリットがあります。ただ、個人と法人で決定的に違うのが経費の取り扱いです。個人事業は利益から控除できる経費が少ない法人の節税というと経費を計上するというイメージがあるかと思います。個人事業主の場合も基本的には同じですが、経費として計上できる幅が法人の時と比べると格段に狭くなります。法人の場合は基本的に法人の事業活動において支出した費用すべてが経費の対象となるのに対し、個人事業主の場合は事業で収入を得るために直接的に必要な費用に限られるのです。そのため片っ端から領収書を切っていても、経費として計上できないものも数多くあるということです。では具体的にどのような費用であれば経費として認められるのでしょうか。個人事業主で経費として認められる範囲次の支出については、個人事業主の経費として収入から差し引くことができます。従業員の給料仕入れ費用通信関係費家賃水道光熱費保険料消耗品費減価償却費[adsense_middle]従業員の給料従業員を雇用している場合は、従業員に対して支払う給料について経費として計上することが可能です。ただし、配偶者や親族などに支払った給料については一定の条件を満たさないと経費として認められません。詳しくは、青色申告の部分で解説します。仕入れ費用ネット通販などを行っている場合は、商品の仕入れのために支払った費用が経費として計上できます。このほか飲食店で個人事業主を営んでいる場合も、材料費は経費として計上することが可能です。通信関係費インターネット回線使用料、プロバイダ料金、電話料金、携帯電話料金など事業に欠かせない通信関係の費用は経費として計上することが可能です。ただし、個人の携帯と事業用の携帯を別で所有していない場合には、すべての料金を経費にできない可能性があります。詳しくは後程解説します。家賃事務所や店舗を借りて営業している場合は、家賃自体が経費になります。ただし、居住部分も含んで賃貸している場合は、事業として使用している部分しか認められないため注意が必要です。水道光熱費事務所や店舗の水道光熱費も経費として計上できます。ただし、自宅で開業している場合については、私用と明確に区別する必要性が出てくるため注意が必要です。かかった費用全額を経費として計上すると、一部を税務署から否定される可能性があります。保険料事業のために支出した保険料は、経費として計上できます。例えば次のようなケースが考えられます。不動産投資をしていて、保有しているアパートに火災保険をかけて保険料を支払っている場合自営業で外回り営業をする際に使用している車両にかかる保険料を支払っているこれらの保険料は、個人事業主の経費として計上することが可能です。特に火災保険料については、経費として計上することを忘れている大家さんが多い傾向があります。火災保険に加入しておけば、経費として節税効果があるだけでなく、火災や台風などで建物が損傷した場合にも保険金が支払われるので思わぬ出費を回避することが可能です。また、古いアパートを保有している方は自然災害以外に給排水管の老朽化などで水漏れを起こすことがあり、賃借人から賠償請求されることも少なくありません。賃貸業をしている方で火災保険にまだ加入していないという方は、ぜひこれを機会に加入を検討することをおすすめします。消耗品費ボールペンやホッチキスなどの事務用品も、事業に使用するものについては経費として計上することができます。ただし、高額なものについては次の減価償却費で計上します。減価償却費購入価格が10万円以上のものや、使用期間が1年以上になるものについては、消耗品ではなく減価償却費として経費にできます。ただし、減価償却費の場合は一括で全額を経費化するわけではなく、耐用年数に応じて分割して経費化していくことになるため注意が必要です。パソコンはどっち?事業でパソコンを購入した場合、普通に考えれば消耗品ではないので固定資産として減価償却費で計上することになります。ただし、中古パソコンで8万円で購入したとすると、10万円未満なので消耗品として一度に経費にすることが可能です。青色申告をすると特例がある個人事業主で青色申告していると、30万円未満のものについては減価償却で少しずつ経費にするのではなく一度に償却することも可能になります。この特例を少額減価償却資産の特例といい、合計300万円を上限として一括で経費にできるのです。なお、通常通り耐用年数に従って減価償却費として経費にしていくこともできます。個人事業主が経費を使って節税する方法と注意点個人事業主も法人の場合と同様に、経費を漏れなく計上することで利益を圧縮して節税につなげることが可能です。ただし、個人事業主の場合は冒頭でお話した通り経費として計上できる範囲が狭いので、あまりやりすぎると税務調査の対象となる可能性があるため注意しなければなりません。私用との区別が大切個人事業主の方が節税対策をすると陥りがちなのが、個人用の支出との混同です。これは自宅で開業している方によくある傾向で、次のような事業を自宅で営んでいる方は注意が必要です。ネット通販youtuberライターイラストレーター動画編集これらの事業を自宅で営んでいる場合、次の経費について計上する際に事業用との明確な仕分けが必要になります。水道光熱費事業として使用している時間帯をある程度特定して、個人が通常の生活で使用している部分との割合を按分計算などして算出しましょう。家賃個人事業として使用している住居内の床面積の割合に応じて家賃を按分計算します。また、居住用で借りている場合は消費税非課税ですが、事務所として借りている場合は家賃に消費税が課税されますので、按分計算する際には注意が必要です。明確に区別することが難しい場合は、一度税理士に相談することをおすすめします。自動車の保険関係事業として使用している割合を、使用している時間などから割り出して按分計算します。自動車関係については、保険料以外にも税金や駐車場代、高速道路代などさまざまな関係費があり、本当はただの自家用車なのに個人事業主の経費として計上している人もいるようですが、これは大変危険な行為です。自動車関係の支出については、車両を使用した記録をつけるなどして事業用であることを証明できるようにしておきましょう。また、車種についても税務署から指摘を受けることがあります。以前に私が相談を受けた案件で、飲食店の営業車でベンツを使用しているというケースがりました。ベンツなどの高級車を事業用で経費にする場合は、税務署から指摘を受ける可能性が高いです。対して、軽自動車や軽トラックなどは比較的認められやすい傾向があります。電話料金通話明細を取り寄せて1件ずつ個人の電話か事業の電話かを仕分けします。ただ、最近は通話料が定額の料金プランが多いので、使用頻度などに応じて按分して分けることもあります。詳しくは税理士に確認してから経費にした方がよいでしょう。個人事業主の経費以外の節税方法個人事業主が経費計上以外で節税対策を考える場合、絶対に外せないのが青色申告です。青色申告とは確定申告の方法の1つで、複式簿記による帳簿をつけることで10万円、55万円、65万円のうちいずれかの控除が受けられます。(2020年度分より)青色申告承認申請書を税務署に提出することで、まず10万円の控除が使えることになります。そこから複式簿記による帳簿を備えることで控除額が55万円にまでアップし、さらに次のいずれかに該当すればさらに10万円プラスして65万円の控除が受けられます。[adsense_middle]青色申告のメリット①電子申告できる確定申告はe-Taxによって電子申告できる確定申告は直接税務署に行って提出する方法以外にも、インターネットを通じて電子申告することも可能です。マイナンバーカードとそこから情報を読み取るICカードリーダライタがあれば、自宅のパソコンから24時間いつでも確定申告ができるので、忙しい個人事業主の方には特におすすめです。電子帳簿を保存する紙ベースの帳簿ではなく、パソコンにデータ保存できる帳簿で保存します。対象となる帳簿は、仕訳帳と総勘定元帳です。それ以外のものや領収書などは、電子データとして保存していなくても今のところは大丈夫のようです。青色申告のメリット②専従者給与家族の給料が経費になる個人事業主の方が青色申告をするもう1つのメリット、それは専従者給与です。(※白色申告でも専従者給与が使えますが、控除額が異なります)そもそも、配偶者に給料を支払ったとしても経費として売上から差し引くことはできません。ところが、青色申告をしていてかつ次の要件を満たしている場合については、配偶者や親族などに支払った給料についても経費として一定額を売上から差し引くことができるのです。専従者に対して給与が支払われている青色申告している個人事業主と生計を共にしている配偶者かその他の親族である12月31日時点で相手が15歳未満ではないその年に6ヶ月以上、青色申告をしている当該個人事業主の営む会社で仕事をしている「青色事業専従者給与に関する届出書」を納税地の所轄税務署長に提出している届出書の通りに給与が支払われていて、金額も届出書の範囲内である一般常識を考慮して妥当である給与額である経費として認められる金額専従者給与が適用されるとしても、上限なくいくらでも認められるわけではありません。あくまで家族に対して支払う給与になるので、要件にもある通り一般常識を考慮した妥当な範囲に限られます。具体的には月額10万円が1つの目安です。10万円を超えてくると一概にダメというわけではありませんが、どのような業務を行っているのか、税務署から聞き取りされる可能性が出てきます。源泉徴収に注意専従者給与をも源泉徴収の対象となることを忘れてはいけません。月額8万8,000円以上の金額を支払うと、源泉徴収の対象となり所得税がかかってしまうのです。そのため8万8,000円以上の金額を支払う場合は、事前にシミュレーションしてどちらの方が手元に残る金額が多くなるのか確認しましょう。配偶者控除と扶養控除専従者給与を使う際に気をつけなければならないのが、配偶者控除・扶養控除の関係です。配偶者控除や扶養控除を適用している方の場合、専従者給与を支払ってしまうとそれらの適用から除外されてしまいます。例えば配偶者控除から外れてしまうと、年間38万円の配偶者控除が受けられなくなってしまうのです。よって、配偶者に専従者給与を支払う場合は38万円を超えないと損をすることになります。仮に年間で25万円を配偶者に支払ったとすると、差し引き11万円になってしまうので専従者給与よりも配偶者控除のままの方が、節税効果が高くなります。実際、税務署で専従者給与の相談をすると、この件について教えてくれることもあるくらいです。このように選択を間違えると節税対策どころか、かえって税負担が増えてしまうので専従者給与を活用する際には必ず事前にシミュレーションすることをおすすめします。個人事業主の税金対策に関するまとめ今回は個人事業主の節税について解説してきました。経費を使って利益を圧縮する方法は法人と同じですが、個人事業主の場合は認められる範囲が狭いのであまり経費にばかり頼りすぎると、無駄な出費が増えてしまい赤字になってしまう恐れがあります。できれば青色申告などの所得控除を漏れなく活用することで、総合的に所得を減らした方がより高い節税効果が得られるでしょう。
2020年03月23日サラリーマンと個人事業主では税金のかかり方や申告方法、納税方法が違うものがいくつかあるため、独立開業すると最初のうちは戸惑うものです。ただ、わかりにくいからといって税金関係の処理をないがしろにしていると、あとで税務署から指摘を受けることになってしまうので開業当初から徹底する必要があります。そこで今回は、個人事業主の住民税について算出方法や手続きなどについて詳しく解説していきたいと思います。個人事業主にかかる住民税とはサラリーマンの方に住民税について聞いても、ほとんどの方が名前くらいしか知らないことが多く、どのように納税しているのか自覚していないケースもよくあります。それもそのはず、サラリーマンの方は会社から給料が支払われる際に住民税が天引きされていることから、自ら納税しているという感覚があまりないのです。また、給料からは社会保険料など差し引かれるものも多いので、自分の住民税がいくらなのかすら知らない人も少なくないでしょう。ここでは住民税という税金がどういう税金なのかについて、詳しく解説して行きたいと思います。住民税という税金を知ろう住民税とは、自分自身が居住している住所地を管轄している自治体から課税されている税金のことをいいます。住民税と市民税の違いがわからない、という方が時々いますが、市民税は住民税の一部です。住民税とは都道府県が課税する都道府県民税と、市町村が課税する市町村民税を合わせた総称のことなので、別々の税金というわけではありません。住民税の基本知識住民税はその年の1月1日時点で居住している地域の都道府県、市区町村から課税されます。ちなみに、住んでいる場所と仕事場を別々に構えている個人事業主の方の場合でも、実際に住んでいる場所をベースにするのが基本です。人によっては住んでいる場所とは違う場所に住民票があるという方がいますが、その場合は住民票の住所の自治体から住民税が課税されます。ただし、この場合は早急に住民票自体を移動させるべきでしょう。年の途中で引越しして住民票の住所が変更になった場合でも、住民税が課税されるのは1月1日時点の住所地の自治体からだけなので、転居先の自治体から二重に課税される心配はありません。住民税の算出方法①所得割住民税は税金の中では珍しく、2つの算出方法が合体して最終的な税金の金額が決まるという仕組みになっています。前年の1月から12月までの1年間の所得に対して課税される住民税の部分を所得割といいます。個人事業主の場合、確定申告で申告した所得に対して次の税率をかけて算出します。都道府県民税4%市区町村民税6%ただし、自治体によっては税率が個別に異なる場合がありますので、詳しくはご自身の住所地を管轄する役場にご確認ください。所得控除と税額控除額とは所得割部分は次の計算式によって算出します。所得割=(所得金額-所得控除額)×税率-税額控除額所得控除は所得税と同様に、主に次のような控除項目があります。生命保険料控除医療費控除基礎控除配偶者控除扶養控除地震保険料控除ただし控除される金額は所得税と微妙に異なりますので、計算する際には個別に確認が必要です。また所得割には所得控除のほかに、税額から直接差し引かれる税額控除もあります。これについても通常の所得税の確定申告の時と同じで、次のようなものがあります。配当控除住宅ローン控除寄附金税額控除(ふるさと納税など)外国税額控除課税所得が200万円以下だった場合このように算出した課税所得が200万円以下だった場合は、次のいずれか少ない金額の5%が控除されます。人的控除額の差の合計額合計課税所得金額課税所得が200万円を超えていた場合課税所得が200万円を超えた場合は、次の計算式によって算出した金額が控除されます。控除額=人的控除額の差の合計額-(合計課税所得金額-200万円)の5%なお、控除額が2,500円未満になる場合は、2,500円が控除額となります。住民税の算出方法②均等割課税所得に応じて税額が変わる所得割に対して、均等割はその名の通り均等に課税される住民税の部分です。都道府県民税1,000円市区町村民税3,000円※復興財源確保のために、現在はどちらも500円加算されています。なお自治体によって均等割の金額が異なりますので、詳しくはご自身の住所地を管轄する市区町村役場にお問い合わせください。このように住民税とは課税所得に応じて税額が変化する所得割と、均等に課税される均等割という2つの割合によって構成されています。住民税は納税者自身で計算する必要はなく、きちんと確定申告をしていればその所得に基づいて自治体側で計算して納付書が送られてきます。プロ野球選手などのスポーツ選手が怪我や引退などで大幅に年収がダウンすると、次の年の住民税が怖いという話をよくしていますが、これは自営業者の住民税の所得割部分の負担のことを言っているのです。住民税の通知と納税手続きサラリーマンの方は毎月の給与から差し引かれているので、納付時期について気にしたことはないかもしれませんが、個人事業主の場合は毎年6月頃に確定申告に基づいて計算された住民税の納付書が届きます。住民税は一括で納税することもできますが、4分割で支払うことも可能です。どちらの場合も税額に違いはありません。このように納付書が送られてきて税金を納税する徴収方法を普通徴収といい、サラリーマンのように給与から天引きする徴収方法を特別徴収といいます。[adsense_middle]住民税の会計上の処理個人事業主に課税される住民税は、あくまで事業主個人に対して課税されているものなので、納税した住民税を個人事業の経費として計上することはできません。基本的には事業主個人の財布から納税することになるので、個人事業の帳簿に記載する必要はありませんが、個人事業で使用している屋号付き口座などから住民税を納税した場合は記帳が必要になります。この場合は、事業主貸の勘定科目を使用して仕分けをし、事業主に対してお金を貸した扱いにして会計処理を行います。事業所得が20万円以下の場合の注意点個人事業を始めたばかりで年間の事業所得が20万円以下だった場合、所得税においては確定申告が免除になるという規定があります。この規定を知っている個人事業主の方の中には、「20万円以下だから確定申告しなくて大丈夫」と認識しているケースがあります。確かにこの認識は間違ってはいませんが、確定申告をしない場合はあることが困るということに気が付きますでしょうか。そうです。住民税です。ここまでしっかりお読みいただいた方であればわかるかもしれませんが、住民税は確定申告書の課税所得に基づいて計算していくため、確定申告がされないと住民税が計算できないのです。そのため事業所得が20万円以下で確定申告をしない場合は、別途住所地の市区町村役場に住民税の申告が必要になります。都道府県民税もあるので、別途都道府県にも申告しなければならないように感じるかもしれませんが、市町村役場に住民税の申告をすれば都道府県民税も計算してくれます。住民税の申告書は普段あまり見たことがないという方が多いと思いますが、書式が自治体によって異なる場合があるため注意が必要です。役所のホームページにPDFファイルがアップされていることが多いので確認してみましょう。確定申告の負担を軽減する方法個人事業主とはいえ慣れないうちは確定申告が大きな負担になりやすく、事業に充てたい時間まで削られてしまうことがあります。ここでは、個人事業主におすすめしたい、確定申告の負担を軽減する方法についてご紹介したいと思います。会計ソフトを導入するひと昔前の会計ソフトというと、今でいうところのエクセルの表計算ができる程度のものでした。最近の会計ソフトは銀行口座やクレジットカードの情報が連動しているため、基本的に電磁的な記録に残っている情報であれば、そのまま会計ソフトに同期させる形で簡単に帳簿を作成することが可能です。個人事業主の頭を悩ませる勘定科目の割り振りや仕分けについても、会計ソフトが自動で認識して振り分けてくれるので手間を大幅に削減できます。基本的に簡単な質問に回答していくだけで税務署に提出できる確定申告書が出来上がるので、個人事業主で初めて確定申告をするという方でも非常に簡単です。また、会計ソフトの情報をクラウドで共有することも可能なので、顧問税理士とリアルタイムで情報を共有できるという点も大きなメリットになります。税理士に依頼する個人事業に集中したいという方は、確定申告自体を税理士に依頼することも可能です。税理士に依頼する方法としては、次の2つの種類があります。顧問契約税理士や税理士法人と顧問契約を結べば、毎月の記帳代行なども含めて経理業務を丸ごと外注することが可能です。ただ、毎月数万円のランニングコストがかかりますので、ある程度利益が出ている状況でなければ顧問料が負担となります。確定申告のみ単発で依頼確定申告の手続きだけ単発で依頼することも可能です。その代わり、領収書の整理や日々の記帳については自分自身できちんと処理しておく必要があります。毎月のランニングコストがかからない点がメリットです。個人事業主の住民税に関するまとめ今回は個人事業主の住民税について詳しく解説してきました。基本的には個人の住民税を計算する時と流れは同じなので、事業所得をしっかり管理しておけばそんなに難しくはありません。サラリーマンの時とは違い給与から自動的に天引きされるわけではないので、納付書が届いたら遅れずに納税することを心がけましょう。また、個人事業が軌道に乗り始めたら記帳代行や確定申告の手続きを税理士に委託することも検討してみてはいかがでしょうか。
2020年03月13日こんにちは、婚活FP山本です。FP相談の折には、基本的に年収確認のために源泉徴収票を持ってきてもらうのですが、意外と多くの方が見方を知りません。中には、大きめに自分の年収を勘違いしている方もいるほどです。特に手取り年収となると多少の計算が必要になりますから、尚更かもしれません。そこで今回は、源泉徴収票の見方とともに、手取り年収の計算方法などについて詳しくお伝えします。あなたの人生に、お役立て下さいませ。「年収・給与所得・手取り年収」の違いを理解しようまずは、年収の基本的な種類についてです。普段はさほど意識しないものですが、実は年収というのは大きく以下の3種類があります。年収:税金などを差し引かれる前の額面年収給与所得:税金計算上の(給料での)年収手取り年収:実際に手元に来るお金の総額日常的に気にするのは「手取り年収(月収)」という方も多いですね。もちろん、普段はそれで問題ありません。とはいえ、残り2つの年収についても意識するほどに、肝心の手取り年収を増やせる可能性も出てきます。ちなみに、この3種類の年収すべてを確認できるのが源泉徴収票です。ぜひ一度、年末ごろにもらったであろう自分の源泉徴収票を確認してみましょう。総額の金額である「年収」を使うことが多い?自分が気にするのは手取り年収であることが多いですが、就活や婚活などで「他人に伝える時」には、総額の金額である「(額面)年収」を使うのが基本です。なぜなら、手取り収入は当人や勤め先の事情で変わってきますからね。それに、手取り年収は額面年収より少なくなりますから、自分の年収を大きく見せる効果もあります。どちらを使えばいいか迷った時には、基本的に「(額面)年収」を使っていきましょう。源泉徴収票に書かれている内容と見方!次は、源泉徴収票に書かれている内容と見方についてお伝えします。源泉徴収票は細かく色んな情報が載っていますが、基本的な「見るべきポイント」は以下の4ヶ所です。支払金額:この数字が(額面)年収給与所得控除後の金額:この数字が給与所得源泉徴収税額:所得税の確定額。源泉徴収された額との差額が還付される。社会保険料等の金額:健康保険料や厚生年金保険料などの本人負担分の総額「給与所得控除後の金額」とは、年収から給与所得控除というものを差し引いた後の金額です。給与所得控除とは簡単にいえば「税金計算上の経費」で、給与所得者だけが差し引ける特権といえます。税金計算をする際には、この数字を確認しましょう。また支払金額には、通勤手当など非課税なものは含まれていませんから、厳密に言えば実際の年収とは少しズレます。ひとまず、これらの見方はしっかり押さえておきましょう。税金の控除方法についても学んでいこう!源泉徴収票には他にも色々な情報が載っていますが、これらは基本的に「所得控除」に関する情報です。先ほど給与所得控除というものを年収から差し引く話がありましたが、当てはまるものがあれば同様に差し引け、その総額が「所得控除の額の合計額」の欄に記載されています。最終的には「給与所得控除後の金額」から「所得控除の額の合計額」を差し引き、残額に税率を掛けることで「源泉徴収税額」に記載された所得税額が計算できる流れです。今後は税金の控除方法についても学んでいきましょう。手取り年収の計算方法は「年収-(税金+社会保険料)」今度は、源泉徴収票での手取り年収の計算方法についてお伝えします。結論から言えば、以下がその計算式です。支払金額-(源泉徴収税額+社会保険料等の金額)簡単に言えば、「年収-(税金+社会保険料)」ですね。なお、厳密に言えば実際の手取り年収を計算するには「住民税」も考える必要があります。しかし、住民税額は源泉徴収票に記載がないどころか、そもそも「前年の所得分を今年支払う」という性質のものです。このため、なるべく厳密に計算したい場合は、給与明細の住民税欄にある数字を12倍するか、「住民税決定通知書」の数字を見る必要があります。どちらか簡単な方法で住民税額を確認して、より正確な「手取り年収」を把握していきましょう。慣れてきたら給与明細でも確認してみようより正確な手取り年収を……という場合には、やはり給与明細が大切といえます。給与明細がボーナス分も含めて一年分あれば、それを全て合計すればいい訳ですからね。とはいえ、そこまで正確な手取り額を知る必要があるケースは滅多にありません。その一方、やはり給与明細の内容を理解しておくことも大切です。概算的な手取り額の把握に慣れてきたら、給与明細についても少しずつ確認してみましょう。[adsense_middle]手取り年収を増やしたいなら控除を増やそう!ここからは、手取り年収について補足情報をお伝えします。まず、手取り年収を増やしたい場合は「所得控除を増やす」ということが重要です。先ほども少し触れた通り、使える所得控除を増やせれば税金計算上の年収が下がることになり、総じて納める税金額も下がることになります。ちなみに所得控除は現在14種類あり、家族や災害など自分の意志で簡単には増減できないものも多いものの、以下の控除なら場合によっては増額可能です。医療費控除:病院に行った、薬を買った等。確定申告が必要。寄付金控除:ふるさと納税をした。事前申請すれば確定申告不要。小規模企業共済等掛金控除:iDeCo(個人型確定拠出年金)をした。社会保険料控除:家族の年金保険料を肩代わりした等。生命保険料控除:一定の生命保険に加入した。3種類アリ。地震保険料控除:地震保険に加入した。一番ハードルが低いのは「生命保険料控除」でしょうか。最近では、ふるさと納税やiDeCoも人気が高いといえます。これらは全て会社員でもできる税金対策です。ぜひ少しずつ税金についての勉強も重ね、少しでも手取り年収を増やしていきましょう。ムリな支払いは「ただの無駄遣い」!考えてしよう所得控除を増やすということは、それに対応する「支払い」が基本的に必要になります。またiDeCoは掛金を下回る可能性がありますし、多くの控除には「限度額」もあるため、とにかく増やせばいいというものでもありません。ハッキリ言って、ムリな支払いは「ただの無駄遣い」です。しっかり税金のことを学んで考えて、そのうえで使えると判断した時にこそ所得控除を増やしていきましょう。税引前の税込年収を上げることも大切!今度は、税引前の税込年収(額面年収)を上げることも大切という点です。節税して手取り年収を増やすことも大切なのですが、けして手取り年収は額面年収を上回ることはありません。どんなに節税しても、あくまで額面年収の範囲でしか増えない訳です。それに、年収(給与所得)が増えるほどに税率も高まるからこそ、同じ節税行為でも節税効果が高まることにも繋がります。現代は中々年収が上がらない時代ですが、それなら「副業」という手段だってアリです。十分な経験や実力を身につけて「転職」するのもアリといえます。あなたの源泉徴収票に書かれた年収は、何らかの平均年収と比べていかがでしょうか?そもそも年収が低いと感じているのであれば、ぜひ今後は上げる努力にも励んでいきましょう。年収が高いほど税金額も増えるものの……稀に勘違いしている方もいるのですが、税金というのは稼いだ利益の一部を納める行為です。けして、「増えた年収分を上回る税金が発生した」ということはありえません。年収が高いほど税金額も増えるものの、やはり年収が高くなるほど手取り年収も増えます。もし万一、「年収を上げたら損」と考えているのであれば、それは完全な誤解です。今後、様々なことにお金が必要になるでしょうし、存分に稼いでいきましょう。[adsense_middle]「手取り年収-昨年の貯金額」で生活水準も分かる!最後に、手取り年収の応用的な使い方についてお伝えします。実は、「手取り年収-昨年の貯金額」を計算すると、当人の生活水準も計算可能です。理屈は簡単で、手取り年収から去年貯金できた分を差し引いた残りは、すべて生活に使ってしまったことになりますよね。さらにこの数字と、将来的な自分の年金額とを差し引きすれば、「老後生活一年あたりの予想貯金取り崩し額」が分かります。そしてその数字を35年分程度考えれば、60歳頃に必要な自分の老後資金額の目安が分かってくる訳です。なお、「定年後は生活水準も下がる」と考える方も多いですが、実際には下がらないことも多いといえます。甘めに考えるのではなく、むしろ厳しめに考えて、準備をしておきましょう。老後資金は2000万円では足りない?実際に先ほどのような計算をすると分かるでしょうが、老後資金は2000万円では足りないことが多いです。一般論で言えば「倍の4000万円程度」は必要で、それ以上になることもよくあります。国のいう2000万円とは、最低限という意味合いで捉えておいた方が無難です。お金は足りない分には困りますが、ありすぎて困ることはなく、余ったなら子供や兄弟姉妹を相続を通して助けることになります。ぜひ存分にお金を稼ぎ、そして老後に備えていきましょう。なお、老後資金は必ずしも現金や貯金で備えるものでもなく、資格取得や起業、資産運用などで備えることも可能です。そして「健康」も重要になってきます。いずれにしても、定年を迎えてからでは遅いですから、少しでも早くから準備を始めましょう。源泉徴収票で自分の年収を正しく知っておこう!源泉徴収票があれば、自分の年収を正しく知ることができます。概算的にですが、手取り年収だって計算可能です。そして、手取り年収を増やす努力とともに額面年収を上げることも重要といえます。自分の状況を客観的に理解し、そのうえで前進する材料にしていきましょう。
2020年02月27日こんにちは、婚活FP山本です。一般的な学校では税金のことを学ばないため、自分の年収にかかる所得税がどれくらいか分からないという方も多いといえます。特に会社員の方なら、税金のことは何となく年末調整すれば済みますから、尚更かもしれませんね。とはいえ思わぬ損をするかもしれませんから、最低限のことは知っておきましょう。今回は、年収と所得税の関係や基本的な税金の計算方法をお伝えします。あなたの人生に、お役立て下さいませ。日本の所得税率は年収が高まるほど高くなる!まずは、そもそもの所得税の基本についてお伝えします。日本の所得税というのは累進課税制度が採用されており、簡単にいえば「年収が高いほど所得税率も上がる」制度です。現在の所得税率は年収によって7段階に分類されており、最高税率は45%になっています。ちなみに累進課税制度は、「担税力」が背景にある制度です。年収が高いほどに、高い税金を負担できますよね……という考え方になります。同じ税率でも年収が高いほどに税金額も高まる訳ですが、この制度によってさらに税金額が高まる訳です。年収が高い人にとってはイヤな制度でしょうが、文句を言っても税率や制度は変わりません。特に年収が高い人ほど、まずこの基本については押さえておきましょう。所得税は累進課税制度、住民税は一律計算と違う前述の通り、所得税は累進課税制度によって年収が高まるほど税率も高くなります。しかし、もう一つの住民税については一律10%で計算する制度です。年収の低い人には厳しい制度とも言えますが、十分に所得税で恩恵を受けている訳ですから、喜んで受け入れましょう。合わせて、税金初心者の方は2つの違いを知っておくことが大切といえます。税率以外にも少しずつ違いがありますが、まず初心者の方は所得税をしっかり理解しましょう。税金の目安となる一覧表!分岐点を押さえておこう次は、所得税の税率と税金額の目安についてお伝えします。結論から言えば、以下が目安です。なお、税金額の計算方法は「課税所得金額×税率-控除額」になります。また現在は、東日本大震災からの復興のためとして、「復興特別所得税(基準所得税額の2.1%)」も必要です。基準所得税額とは、普通に所得税額のことと考えておけば問題ありません。ひとまず、税率が変わる分岐点については押さえておいて頂きたいところです。同時に、自分はどの程度の所得税を支払っているのかも押さえておきましょう。年収と課税所得の違い、関係性にも注意を!税金を計算する際には、年収と課税所得の違い、関係性にも注意が必要です。例えば会社員なら給料(給与所得)を貰いますが、この場合は年間給料(年収)から以下の「給与所得控除」を差し引いて課税所得金額を先に計算します。なお、給与所得控除は変更の流れになっており、令和2年分の計算時にはまた変わる予定です。数字の変更には注意しつつ、「年収-控除=課税所得」という関係性を覚えておきましょう。税金の計算方法は、単なる割合算出ではない今度は、税金の計算方法において大切な控除についてお伝えします。まず、簡単にいえば税金の全体的な計算方法は以下の通りです。収入-経費(控除)=利益(課税所得金額)利益(課税所得金額)×税率=税額そして、経費とは収入を得るために必要だったものだけでなく、以下のような個々人の事情に合わせたものも経費化できます。なお、以下はその一部です。基礎控除:誰でも差し引ける。38万円。2020年分から変更予定。配偶者控除:配偶者がいる場合。1~38万円。年収要件アリ。医療費控除:医療費を支払った場合。金額は医療費次第で、最高200万円。社会保険料控除:社会保険料を支払った場合。金額は全額。生命保険料控除:生命保険料を支払った場合。3種類あり、合計最大12万円。税金の計算方法は単なる割合算出ではないため、同じ年収でも最終的な税金額は個々人で違ってきます。あくまで「自分の場合はどうか」で考えましょう。控除額を積み上げ、税率パーセントを下げようすでにお気づきかもしれませんが、税金は控除額をどれだけ積み上げられたかが勝負です。その分だけ、最終的な税金額が下がりますからね。ついでに税率パーセントも下げられると、割高な税率部分の税金支払いをしなくてよくなりますから、よりお得といえます。税率が変わる分岐点あたりの年収の方は、特に意識すべきです。存分に使える控除を考え、税金の引き下げ(節税)を図っていきましょう。[adsense_middle]会社員でもできる税金対策も色々ある!今度は、会社員でもできる税金対策についてお伝えします。先ほどの通り、税金対策は「〇〇控除」の積み上げが基本です。しかしそれ以外にも色々あり、最近の代表例としては「iDeCo(個人型確定拠出年金)」が挙げられます。これなら節税しつつ、老後対策も可能です。他には「ふるさと納税」も有名といえます。これは直接的な節税にはなりませんが返礼品がもらえますから、そういう意味で一種の税金対策です。ちなみにふるさと納税は、以前は確定申告が必要でしたが、現在は一定条件の元で不要となっています。さらに、事情によっては「子供などの国民年金保険料を肩代わりする」のもおすすめです。会社員だからと諦めず、何か方法はないのか模索してみましょう。平均的なコツコツ支出は資産形成にも最適!先ほどのiDeCoのような「平均的なコツコツ支出」は、資産形成にも最適です。余った分を貯金するような方だと、中々お金も貯まらないのではないでしょうか。節税とは資産形成のためという側面もありますが、純粋な資産形成の方への意識も大切です。ただでさえ年収が上がらない時代ですから、節税を通して資産形成も図っていきましょう。「年収を上げたら損」という訳ではない!最後に、大切な補足情報をお伝えします。結論から言えば、「年収を上げたら損という訳ではない」という点です。年収を上げても税率も上がりますから、最終的な手取り額は大きく変わらないと感じる方もいます。これ自体は、けして間違っていない感じ方です。しかし、それでも「上がった年収を上回る税金を取られる」という事はありません。また不必要な経費アップは、最終的に手元に残るお金が少なくなる行為です。結局、年収アップに励み、必要な範囲で経費を増やすという「普通の姿勢」が一番といえます。あまり極端に考えず、日ごろは仕事に励みましょう。将来的に必要な金額は莫大!年収アップを!先般、老後資金2000万円問題が取り上げられましたね。年収アップを考えず、またムダ使いをして、この金額を貯められるでしょうか?一方、だからこそ節税も重要です。年収が高い人ほど節税は大切ですが、年収が低い人は低い人で少しでも手取り額を上げる必要があります。将来的に必要な金額は莫大だからこそ、平均的にコツコツ努力を重ねていきましょう。年収を上げつつ所得税は下げる努力をしていこう所得税は年収が高まるほどに高くなります。一方で税金には様々な対策方法があり、一部は会社員の方でも活用可能です。普段は年収を上げるために励まれているでしょうが、一方で今後は所得税を下げる努力をしていきましょう。
2020年02月21日社会人年数が増え年収が上がるごとに、住民税、所得税に悩まされる方が多いのではないでしょうか。今回は、節税対策および老後に向けた貯蓄・投資の観点からもおすすめできるiDeCoについて紹介していきます。節税できると耳にしたことはあるもののよく知らない、仕組みがよくわからないので始めるには不安、といった方に向けて、具体的な節税効果やコストも解説しています。また専業主婦(夫)などの、自身に収入がなく節税メリットを享受しにくい方についても、考えておきたいiDeCoの使い方をご提案します。iDeCoとは?個人が自身で資金を積み立て、自身で運用方法を選び、積み立てた掛金およびその運用益を受け取ることができる、個人型確定拠出年金という制度です。運用商品は投資信託から銀行預金まであり、運用リスクをとりたくない方にもお勧めできる制度と言えます。受け取り方法は二つあり、年金として受け取る、もしくは一時金として受け取ることが可能です。受け取り時期が60歳以降となることから、私的年金制度とも言われています。まずは制度の概要とメリットからご紹介します。iDeCoの加入メリット加入することでの大きなメリットは3つあります。掛金が全額所得控除の対象となる1年間で支払った掛金の合計全額が、所得控除の対象となります。こちらについては所得控除の仕組みと合わせて、後述にて詳しく説明させていただきます。運用益が非課税であるiDeCoで運用している商品の運用益については、すべて非課税です。運用益は現金での受け取りではなく、運用商品に再投資されます。受け取るときも控除の対象となる一時金として受け取ると退職所得控除、年金として受け取る場合は公的年金等控除の対象になります。加入資格は?誰でも入れるの?基本的に、国民年金や厚生年金等の公的年金を支払っている20歳以上60歳未満のすべての方が加入できる制度です。専業主婦の方等の第3号被保険者も含まれます。また、雇用形態によっての可否はないためアルバイトの方も加入が可能です。ただし、お勤めの企業で企業型確定拠出年金に加入されている場合、個人型には加入できないケースがあります。規約によって個人型確定拠出年金にも加入して良いと定められている場合のみ併用が認められていますので、注意が必要です。加入にあたって支払う手数料、コストiDeCoにまつわる手数料をご紹介します。まずは、iDeCoに加入するときにかかる手数料が2829円。こちらは国民年金基金連合会に対して支払うもので、申し込み時だけにかかる手数料です。どこの金融機関を通じて加入しても、金額は変わりません。次に、毎月支払う手数料が2種類あります。国民年金基金連合会に対して支払う金額月額105円と、事務委託先金融機関(信託銀行)に支払う月額66円の合計171円。年額にすると2052円です。そして、iDeCoを始める金融機関によって変わってくるのが運営管理機関の手数料です。条件付きで無料にしているところなど様々な種類がありますので、始める際はいくつかの金融機関を比較するのがお勧めです。また、運用する商品によっては信託報酬等がかかってくるケースがあります。運用商品を選択する際には、商品ごとのコストを確認することも大切です。あなたの所得税の税率は?所得控除の仕組みを知ろう所得税や住民税は、どの金額に対してかかっているかご存知でしょうか?収入すべてについてかかる訳ではなく、大まかには下記のような流れを経て計算された「課税所得」に対して税金がかかるのです。収入ー経費=所得(自営業等の場合)給与収入ー給与所得控除=所得(会社員の場合)まずは、収入から経費(会社員であれば給与控除)を引いたものを所得と呼びます。所得所得控除=課税所得次に、算出された所得の金額から、更に各種所得控除の金額を差し引き、残った金額が課税対象である「課税所得」となります。この課税所得の金額に対して、所得税や住民税の税率をかけることで、支払う税額が算出されます。中でも所得税は、課税所得の金額ごとに税率が増える累進課税方式をとっているため、年収の多い方ほど所得税の税率および金額は大きくなります。所得控除の仕組みって?所得控除とは、収入から経費を差し引いた所得から、更に控除できる金額のことを指します。税金を少なくしたければ、所得控除の金額を増やして課税所得を減らす必要があります。所得控除の中には様々な種類があります。配偶者控除や医療費控除、生命保険料控除などは耳にされたことのある方も多いのではないでしょうか。iDeCoの掛金として支払った金額については、全額が所得控除の種類のひとつである「小規模企業共済等掛金控除」の中に含まれます。つまり、iDeCoの掛金を拠出すると所得控除の金額が増えるため、課税所得が減り、結果的に減税が可能になるという仕組みなのです。保険よりiDeCoがお得?所得控除面を比較個人年金保険という商品をご存知でしょうか。同じように老後資産形成の方法としてお勧めされたことのある方も多いかもしれません。現役時代に保険料を支払うことで、老後に一括もしくは年金として分割で保険金を受け取ることができる商品です。こちらも、支払う保険料が所得控除の対象となるということで、iDeCoとよく似ているように思えます。ただし、所得控除においての限度額に差があります。所得控除の対象となる金額が、個人年金保険の保険料は1年で最大4万円までという限度があるのに対し、iDeCoは掛金全額が対象となります。所得控除の面で比較するとiDeCoのほうがお得であると言えます。運用方法や解約可能時期等、他にもいくつか違いがあるため一概にどちらが良いとは言えませんが、保険の契約や見直しの際にはiDeCoと組み合わせて検討するのも一つの方法です。掛金はいくらまでOK?iDeCoの掛金は月々最低5000円以上、1000円単位で選択することが可能です。金額上限については加入資格によって異なっています。[adsense_middle]加入資格ごとの掛金上限をチェック加入資格は、国民年金の被保険者区分に応じて定められており、それぞれ掛金の上限が異なります。ご自身はどこに当てはまるのか、掛金を決める前にご確認ください。基本的に退職金や厚生年金がなく、老後の資産形成の重要度が高い自営業者の方のほうが限度額が大きくなっています。掛金を決める時のポイント小さな金額から老後資産形成を始められるのがiDeCoの良さでもあります。ただし、掛金が少ないと、掛金に対する固定コスト(手数料)の比率が高くなるため、運用益が少ないと手数料負けしてしまう可能性があり注意が必要です。基本的に60歳になるまで受け取ることはできませんので、今のご自身の生活や貯金を圧迫しない金額にすること、ずっと続けていくことができる金額を選ぶのもポイントです。掛金は年に1度だけ変更も可能ですので、すでに始められている方についても、生活の変化に応じて金額を見直す機会を持つのも良いかと思います。節税できる金額を計算するには?iDeCo公式HPでは、「かんたん税制優遇シミュレーション」という試算システムがあります。掛金と年収、年齢を入力すれば、軽減される税額を月単位・年単位・60歳になるまでの合計の3種類で確認することができますので、検討されている方は一度使ってみていただくと、ご自身にとっての効果がわかりやすいかと思います。かかっている税率が大きいほど所得控除で減税できる額も大きくなるため、年収が高いほどメリットを大きく感じやすい傾向があります。また、早く始めたほうが加入期間は長くなりますので、加入期間合計の軽減額も大きくなります。例として、年収が400万円、600万円の場合の軽減税額を記載しました。こちらは20歳〜60歳の40年間加入した場合の試算になりますが、かなり大きな節税効果があるのが見て取れるのではないでしょうか。iDeCoの本質とは?専業主婦(主夫)の方などでiDeCoの所得控除メリットを受けられない場合、あまり魅力を感じないと思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし何より運用益も非課税ですし、受け取る際も控除の対象となりますので、全くメリットが受けられない訳ではありません。短期的に効果がわかる所得控除だけが全てではありません。運用益の増加など長期的な視点でのメリットも加味して、ご自身にとって必要な制度かどうか判断してみるのが良いでしょう。[adsense_middle]老後資金を貯蓄する手段を早いうちから用意できるまた、iDeCoに加入することへの本来の意義は別のところにあるというのがFPとしての私の考えです。それは老後資金を貯蓄する手段を早いうちから用意できることです。公的年金で生活費をすべて賄うことができれば理想的ですが、そうはいかないケースの方が多いものです。平成30年の総務省家計調査によると、高齢夫婦かつ無職世帯の実収入の1ヶ月平均は22万円ほど、実支出は26万円ほどとなっており、貯蓄を切り崩しての生活となることが伺えます。さらに、現在の年金受給者より、これから受け取ることのできる公的年金の金額は少なくなっていく可能性が高いのが現状です。「老後2000万円問題」としてメディアに取り沙汰されていたのも記憶に新しく、すでに危機感を持たれている方もいらっしゃるのではないでしょうか。実際に必ずしも2000万円を貯蓄する必要があるのかというと一概には言えませんが、老後への貯蓄の重要性が高まっていく時代であることは確かでしょう。投資に抵抗のある方にも対応可能、対象商品の種類は様々投資と聞くと、損失リスクを考えてしまう方もいらっしゃるでしょう。老後資金の形成として考えると、あまりリスクを取りたくないという考えも一般的です。iDeCoでは、利用者の投資方針に応じて運用先を選択することができます。元本割れは絶対にしたくないという方についても、投資先を定期預金等とする元本確保タイプの商品があり、比較的検討しやすいのではないでしょうか。ご自身の掛金の中で複数の商品を選択することができますので、気軽に分散投資をすることができるのもiDeCoの良さではないかと思います。手数料等の経費を検討するただし、先述した通りiDeCoには手数料等の経費がかかります。少なくとも固定でかかる経費として、月々171円、年換算すると2052円は支払う必要があります。元本確保タイプの商品は、比較的運用益が大きくなりにくい傾向にあります。また、積み立て金額の大小によらず同じ手数料(=コスト)がかかるので、毎月の積み立て金額が小さいと、年間の積み立て金額に対するコストの比率が高くなってしまうところにより留意する必要があるでしょう。よくご自身の投資方針と積み立て予定金額を固定コストと照らし合わせ、商品と金額を選択するようにしましょう。自助努力の一環として。iDeCoの使い方のポイント先ほども触れましたが、特に自営業の方については、退職金にあたる資金を自分で用意する必要があること、受け取ることができる年金が国民年金のみであり、厚生年金を受け取ることのできる会社員の方と比較すると個人年金の重要性が高いことから、より有効に活用していただきやすい制度であると言えます。会社員の方についても、退職金は以前ほど大きな金額は受け取りにくくなってきており、老後資金の一部については事前の自助努力が必要なケースが多いのではないでしょうか。もちろん現金で預金をしておけば問題ないという考え方もあります。ただ貯金には手をつけてしまいやすく、何かと物入りで老後のための資金がなくなってしまったというのも良く聞く話です。iDeCoには、選択した商品によっては預金以上の運用益が期待できること、そして60歳以降にしか受け取ることができないため、半強制的に老後のための貯蓄ができることがポイントです。退職金の金額に不安のある方にもお勧めできる制度と言えるでしょう。受け取り方式によって使い方を選択できる受け取り方式を選ぶ際、一時金方式を選べば退職金的、年金方式を選べば年金的使い方をすることができ、併用も可能です。660歳を迎え受給が可能になったタイミングで選択することになりますので、その時の自身のニーズに沿った受け取り方式を選ぶことで老後の生活をより豊かにすることができるのではないでしょうか。iDeCoの所得控除に関するまとめiDeCoでは所得控除による節税ができる所得控除の仕組みを知って、効果をシミュレーションしてみよう未来への安心は自分でつくる時代。より豊かな老後を過ごすための自助努力が必要iDeCoについて、まずは税制面でかなり優遇されていることがお分かりいただけたのではないでしょうか。所得が増えていくほど賢く節税することが大切になってきます。また、節税は今の生活への効果を生み出しますが、同時に未来の生活に投資できるのがiDeCoです。人生100年時代、65歳で定年したとして35年の人生があります。平均寿命で考えても、20年間ほど第2の人生を送られる方が多いでしょう。決して焦る必要はありませんが、知識をつけて何かしらの準備ができるようにしておくことは大切ではないでしょうか。
2020年02月07日会社勤めをしていると勤務先で給与から税金を計算して納税してくれるので、自営業者などに比べて節税に対する関心が薄くなりがちです。「会社員の節税は年末調整で十分」とお考えでしたら、それはもったいないことです。多少面倒でも確定申告で払いすぎた税金が戻ってきたり、将来に備えながら節税ができれば手元に残るお金を増やすことができます。今回はサラリーマンでもできる税金対策のテクニックをご紹介します。所得控除、税額控除を活用して所得税を取り戻す方法ここで、簡単に給与所得者の所得税の計算の流れを解説します。その年の額面給与から給与所得控除を差し引くさらに所得控除を差し引き、所得税額を計算する求めた税額から税額控除を差し引く給与所得控除給与所得控除は給与所得から無条件に一定額差し引かれる控除のことです。給与所得控除は、サラリーマンの業務に必要なスーツなどにかかる経費を考慮したシステムだと考えられています。所得控除所得控除とは、給与所得控除以外に「ある一定の条件を満たした場合の控除」のことです。例えば「扶養控除」や「医療費控除」、「生命保険料控除」などがあります。所得から差し引く所得控除が多くなれば、所得税計算のもとになる所得金額は少なくなります。税額控除所得税額を計算して求められた所得税額から直接差し引ける控除です。例としては、住宅ローン残高のある人が利用できる「住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)」が税額控除になります。確定申告で所得税を取り戻そう年末調整では申請できなかったり、申請が漏れていた所得控除は確定申告すれば所得税が戻ってきます。所得控除や税額控除が多くなればそれだけ所得税を減らすことができるというわけです。さらに確定申告の内容をもとに住民税が計算されるため、翌年の住民税が安くなる効果もあります。それでは以下にて、具体的な節税のテクニックをみていきましょう。【サラリーマンの税金対策①】iDeCo(個人型確定拠出年金)で資産運用しながら節税iDeCo(個人型確定拠出年金)は加入者個人が掛金を払って、預貯金や投資信託の運用の指図をして加入者ごとの口座に資産を形成していく私的年金制度です。現在のための節税、将来のための資産運用が一つになった制度iDeCoは原則として20歳から60歳までのすべての日本国民が加入できるようになりました(加入対象者ごとに毎月の掛金の限度額が決められています)。公的年金だけでは不安な老後資金を準備するためにもぜひ利用したい制度です。iDeCo(個人型確定拠出年金)の3つの税制メリットiDeCoには、税制上3つのメリットがあります。掛金が全額所得控除運用益が非課税受取時も税制優遇されているこのうち、最大のメリットは掛金が全額所得控除になることです。掛金の所得控除でいくら節税できるのかiDeCoの掛金の所得控除による節税効果を計算してみましょう。例えば、課税される年収が300万円の会社員が毎月iDeCoに20,000円、年間240,000円の掛金を払った場合の年間の節税額は36,000円になります。上記の条件で年収500万円なら、年間の節税額は48,000円になります。同じ掛金でも年収が多くて税率の高い人のほうが節税効果は高くなります。ただし、最低税率でも1年間の積立額に対する税効果は15%です。運用で15%の利益を出す難しさを考えると、この節税インパクトの大きさがわかります。iDeCoで会社員が所得控除を受けるための手続きiDeCoは年末調整または確定申告での手続きにより税金が還付される仕組みとなっています。事業主払込と個人払込会社員(または公務員)は、iDeCoの掛金を「事業主払込」にするか「個人払込」にするか選ぶことができます。「事業主払込」とは、加入者が所属する事業主を通じてiDeCoの掛金を払い込む方法です。簡単に言うと給与天引きで掛金を支払い、会社が加入者に代わって掛金を納めてくれます。これに対し、「個人払込」とは加入者本人名義の口座から掛金を納付する方法です。(※事業主払込は体制が整っていない事業所も多いため、すべての会社員が利用できるわけではありません。)事業主払込のメリット給与天引きのため、掛金が残高不足になる心配がない年末調整の手続きは事業主がやってくれるため、加入者はなにもしなくてもよい事業主払込のデメリット掛金額を変更したら事業所にも届け出なくてはならない転職したら掛金払込口座を変更する手続きが必要個人払込のメリット掛金の変更や転職の手続きが柔軟にできる個人払込のデメリット年末調整や確定申告が必要個人払込の人の所得控除の手続きiDeCoで個人払込を選んだ人は会社員なら通常、年末調整で申告をします。毎年10月以降、国民年金基金連合会から「小規模企業共済等掛金払込証明書」が送られてくるので、保管しておきましょう。年末調整の場合、所定の欄に1年間の掛金の合計額を記入し、「小規模企業共済等掛金払込証明書」を添えて事業所に提出しましょう。何らかの事情で年末調整をしなかった場合、確定申告で手続きをします。確定申告の場合も申告書に1年間の掛金の合計額を記入し、「小規模企業共済等掛金払込証明書」を添えて税務署に提出しましょう。【サラリーマンの税金対策②】住宅ローン控除で所得税を大幅に削減「住宅ローン控除」は、住宅の新築やリフォームの際に住宅ローンを利用した場合に10年間は所得税が減税になる制度です。住宅ローンの年末残高の一定割合が税額控除となるため、税金を大きく減らすことができます。消費税10%になった2019年10月1日~2020年12月31日までにマイホームを新築・購入・増改築して入居した人の場合は、控除期間が3年延長されて最長13年となりました。[adsense_middle]住宅ローン控除の概要住宅ローン控除を受けるための要件住宅ローン控除を受けるためには、以下のような要件があります。マイホームを取得した日から6か月以内に居住し、引き続き控除対象年の12月31日まで居住していること床面積が50平方メートル以上で床面積の2分の1以上の部分が居住用であること住宅ローンの借入期間が10年以上住宅ローン控除の適用を受ける年の収入が3,000万円以下であること中古住宅を取得した場合には、築年数が20年以内であること(鉄筋コンクリート造などの耐火建築物の場合には25年以内)または一定の耐震基準を満たすこと住宅ローン控除でいくら節税できるのかでは、具体的にいくら節税できるのか見ていきましょう。<計算条件>年末時点のローン残高:3,000万円税込年収:500万円所得税額:14万円住民税:25万円最大控除額(年末時点のローン残高の1%):3,000万円×0.01=30万円まずは所得税から控除まずは所得税から住宅ローン控除額を引きます。【所得税額14万円】-【住宅ローン控除額30万円】 = -16万円所得税は全額控除されましたが、まだ控除しきれない金額が16万円残ります。所得税から控除しきれない分は住民税から控除所得税から控除しきれない住宅ローン控除額の残額は住民税から控除します。住民税からの控除額は次のいずれか少ない額となります。住宅ローン控除の控除可能額の内、所得税から控除しきれなかった金額所得税の課税総所得金額等の額の7%(上限13万6,500円)今回の例では、住民税から控除できる金額は13万6,500円となります。【所得税分14万円】+【住民税分13万6,500円】=27万6,500円(総控除額)最大控除額を全額控除できませんでしたが、税額として27万6,500円もの軽減ができました。低金利の住宅ローンと組み合わせればさらにメリットが最近では変動金利の住宅ローンなどで1%を下回る金利で借入れする場合も多くなりました。金利が1%未満の住宅ローンでは、多くの場合1年間に支払う利息が住宅ローン控除額よりも少なくなります。つまり、支払う利息が少なく、戻ってくる税金が多くなり、その差額で手元に残るお金が増えることになるのです。手元資金を増やす効果的なテクニックですが、ローンは健全な返済計画が大切なのでむやみに借入れを増やしたりしてはいけません。住宅ローン控除の手続き会社員の場合、マイホームを取得した初年度については確定申告を行い、翌年以降は年末調整だけで税額計算をすることができます。ふるさと納税との併用は要注意住宅ローン控除とふるさと納税を両方利用することはできます。どちらも所得税額から控除し、控除しきれなければ住民税額から差し引かれる税額控除です。住宅ローンの住民税からの控除上限額上限(13万6,500円)を超えるふるさと納税額は還付にならず自己負担金になってしまうため、注意してください。【サラリーマンの税金対策③】サラリーマンの経費「特定支出控除」の使い方会社員のような給与所得者には一定の経費にあたる給与所得控除があるため、自営業者のような必要経費を差し引くことはできません。「特定支出控除」はサラリーマンでも一定の条件を満たす必要経費が控除される制度です。特定支出控除の対象となる支出特定支出控除の対象となる支出については以下のように定められています。通常の通勤費転勤時の転居費用業務に関わる研修費業務に必要な資格取得費単身赴任者の帰宅費用業務に関する図書の購入費業務に関する衣服の購入費業務に関する交際費(上記6〜8については合計65万円以内)いわゆる「自腹を切った分」なので該当する支出があまりない人も多いのではないでしょうか。特定支出控除の算出特定支出控除が適用されるのは、その年の特定支出の額の合計額が給与所得控除の額の1/2を上回る場合になります。<計算条件>給与収入:500万(給与所得控除154万)税率:20%特定支出額合計額:100万円<計算方法>給与所得控除の1/2 = 154万 × 1/2 = 77万円100万円>77万円⇒特定支出控除適用100万円-77万円=23万円が特定支出控除の額となります。所得税の節税額は4.6万円です。給与所得控除の額の1/2を上回る場合というとかなりハードルが高そうですが、単身赴任者が家庭の事情で週末ごとに帰宅しなくてはならない場合などが該当しそうです。特定支出控除の手続き特定支出控除を受けるためには、確定申告が必要です。申告時には、領収書と会社からの特定支出であることの証明書を添付しなくてはなりません。以上、あまり使いやすい制度ではありませんが、該当するなら申告して税金を取り戻しましょう。【サラリーマンの税金対策④】医療費控除とセルフメディケーション税制確定申告でサラリーマンにも当てはまることが多いのが「医療費控除」です。現在、医療費控除には2つの種類があります。それぞれどんな制度なのか見ていきましょう。[adsense_middle](従来の)医療費控除もともとの医療費控除とは、その年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費が10万円を超えた場合に受けることができる制度です(控除額の上限は200万円)。医療費控除は同一生計の親族の分を合計して申告することができます。家族一人ずつの医療費は10万円を超えなくても家族全員分なら超える可能性も高くなりますので、医療関係の領収書を世帯で保管しておくことをお勧めします。医療費控除でいくら節税できるのか医療費控除の金額は、以下のように求められます。控除額=実際に支払った医療費の合計額 - 10万円(その年の総所得が200万円未満の場合は総所得金額の5%) - 保険や出産育児一時金などで補填された金額<計算条件>給与収入:500万税率:20%年間医療費:70万円出産育児一時金:35万円<計算方法>【医療費70万円】-10万円-【出産育児一時金35万円】 = 控除対象額25万円節税額 = 25万円 × 20% = 5万円医療費控除の対象となるもの医療費控除の対象となる費用、対象外の費用は以下の通りです。セルフメディケーション税制セルフメディケーション税制は、スイッチOTC医薬品を購入した際に、その購入費用について所得控除を受けることができるものです。スイッチOTC医薬品とはドラッグストアなどで医師の処方箋なしに購入できる医薬品のことです。申告する人が定期健康診断、予防接種などを受けていることが要件となります。セルフメディケーション税制でいくら節税できるのかセルフメディケーション税制の控除額は以下のように求められます。<計算条件>給与収入:500万税率:20%OTC薬品の家族総額:10万円<計算方法>控除額 = 【OTC医薬品10万円】 - 1.2万円 = 8.8万円節税額 = 8.8万円 × 20% = 1.76万円医療費控除とセルフメディケーション税制の手続き医療費控除とセルフメディケーション税制での控除を受けるにはいずれの場合も確定申告が必要です。また、この二つの制度の併用はできません。どちらも適用できるのであれば上限額が大きいの医療費控除の方が有利になります。【サラリーマンの税金対策⑤】親を扶養に入れて所得税を節税扶養家族がいると「扶養控除」で所得税の節税ができます。扶養というと配偶者や子どもというイメージがありますが、条件を満たせば親も扶養に入ることができます。つまり、独身者でも扶養控除で節税することが可能です。しかも、必ずしも同居している必要はありません。親を扶養に入れるための扶養親族の要件配偶者以外の扶養親族の要件を見ていきます。合計所得が38万円以下であること収入が公的年金のみ場合は、年金収入が65歳未満の親であれば108万円以下 、65歳以上の親であれば158万円以下であれば対象になります。また、年金の中でも遺族年金は全額非課税のため所得には含まれません。納税者と生計を一にしていること「生計を一にする」とは、「同居」を意味しているのではありません。別居していても、生活費や医療費などを仕送りしている場合は当てはまります。親を扶養に入れるといくら節税できるのか(例)実家の母親に仕送りをしている場合<計算条件>給与収入:500万税率:20%実家の75歳の母親に毎月3万円仕送りしている<計算方法>控除額 = 48万円節税額 = 48万円 × 20% = 9.6万円【サラリーマンの税金対策⑥】「個人年金保険料控除」の活用所得控除の中で私たちに最も身近なのが「生命保険料控除」ではないでしょうか。生命保険料控除には以下の3種類があります。一般生命保険料控除介護医療保険料控除個人年金保険料控除それぞれ所得税で4万円、住民税で2.8万円を上限とした所得控除が受けられます。この中で、一般生命保険料控除と介護医療保険料控除は上限まで使い切っている人が多い反面、個人年金保険料控除は使っていないという声をよく聞きます。個人年金保険は利殖の面では他の金融商品に比べて良いとは言えません。しかし、「個人年金保険料控除」を活用すれば節税しながら貯蓄できる有効な金融商品です。個人年金保険料控除の対象となる条件とは?個人年金保険料控除を受けるには、個人年金保険契約に「税制適格特約」を付ける必要があります。そのうえで以下のような要件があります。年金受取人が契約者またはその配偶者であること年金受取人が被保険者と同一であること保険料払込期間が10年以上であること年金の受取開始年齢が60歳以上、かつ、年金受取期間は10年以上であること個人年金保険料控除でいくら節税できるのか個人年金保険料控除を活用した場合の節税額を計算してみましょう。<計算条件>給与収入:500万年間保険料:10万円税率:20%(住民税10%)<計算方法>控除額 = 所得税分:4万円、住民税分:2.8万円節税額 = 所得税:8,000円、住民税:2,800円10万円の保険料で10,800円の節税効果が得られます。控除額の上限以上に保険料を増やしても節税額は増えないことに注意してください。サラリーマンが今すぐできる節税テクニックのまとめ節税は合法的な税金の負担軽減であり、個人の権利です。1種類だけの控除では大きな税効果がなくても活用できるものを全て活用すれば、手元資金が増えます。また、長期にわたって継続していくと、さらに大きな経済効果が期待できます。サラリーマンにとって確定申告は面倒なものですが、ぜひ「はじめの一歩」を踏み出してください。
2020年02月06日今回は住民税をクレジットカードで支払いたい方向けの記事になります。クレジットカードも今では多種多様でポイント等お得な還元がありますよね。せっかく支払うのであれば是非ともお得な方法で支払いたいものです。もちろんメリットだけでなくデメリットについても解説していきますので、お付き合い下さい。住民税の支払い方法について解説しますはじめに住民税の支払いについて解説しておきたいと思います。住民税は前年度の所得に応じて計算される所得割と一律課税の均等割から成り立ちます。その所得割、均等割で算出された課税額をお住いの自治体である都道府県と市区町村に対して支払います。支払いは毎年6月から発生する事になります。そして給与所得者と事業所得者とで支払いの方法が異なります。雇用されていてお給料を頂いている方は特別徴収で納付サラリーマンやパート、アルバイト等で一定額以上の所得がある方は特別徴収といって毎月のお給料から住民税を天引きする仕組みになります。住民税の計算が終わって6月から支払いがスタートしますが、翌年の5月まで天引きされる事になります。つまり12カ月に渡って支払い続ける事になります。この場合お給料を支払う企業が各自治体に対して住民税を納付する事になります。比較的大きな金額になりがちな住民税を12カ月に渡って納付する事になりますので、支払いの負担軽減、給与天引きされる事での支払い漏れの失念は解消されます。今回テーマのクレジットカード払いは、残念ながら対応していませんので、先々の制度改定に期待しましょう。個人事業主等の確定申告が必要な方は普通徴収で納付個人事業主やサラリーマンでも副業を認められている場合等は毎年確定申告を必要とします。この場合特別徴収と違って普通徴収と呼ばれる方法で納税します。毎年6月に自宅に納付書(払込票)という通知が届きます。通常4期(6月、8月、10月、1月)に分かれており、支払い期限が決まっている振込用紙のようなものです。この用紙は役所や銀行、コンビニで支払い対応しており、支払いが完了したら端っこを切り取って領収書に変わります。支払い期限までに直接納めなければならないので、期限切れなどの失念しがちなデメリットがあります。支払い漏れを防ぐためには、口座振替による引落に切り替える事もできますので可能な方は切り替えておきましょう。クレジットカード決済が出来るのは普通徴収で納税している方先程までは住民税の支払い方法に関して解説しました。解説の通り、特別徴収の方はクレジットカードでは決済できませんでした。しかし普通徴収の方に限りクレジットカードでの住民税支払いが可能です。まずクレジットカード払いの方法から解説し、その後にメリット、デメリットそれぞれを解説していきます。クレジットカードでの支払い方法は?ここからはクレジットカードによる支払いの方法を解説していきます。払込票を準備して下さい必ず必要になるのが納付書(払込票)です。この納付書が無ければクレジットカードで決済する事はできませんので、紛失しない様にしておきましょう。納付書記載の情報が必要になります納付書には加入者名、口座番号、通知番号、収納機関番号、納付書番号、確認番号、賦課年度期別、納付額、納付期限といった細かな情報が記載されています。この情報で個人のいつの住民票に充当されるのか等が管理されており、この中でクレジットカード払いに場合に必要な情報として、「年度」「通知番号」「納付書番号」「確認番号」の4つは必須となります。特に通知番号や納付書番号、確認番号は個人で指定できる番号ではありませんし、番号が分からなくなると、そもそもの納付書を再発行して貰わなくてはいけませんので、紛失には注意しましょう。クレジットカードの支払いはどこで行うの?まずYahoo!の公金支払いサイトを開きます。URLは下記の通りです。このサイトにアクセスしたら、「税金・料金を支払う」をクリックします。地域から探す事も出来ますし、税目から調べて支払う事もできます。今回は税目からの流れを解説します。税目をクリックしたら、次はお住いの地域に移ります。お住いの地域をタップすると、市県民税や町県民税等の項目が出てきます。この時、YahooのIDを持っている方は予めログインしておくと便利です。後は画面の流れに従って通知番号など必要な情報を入力し、最後にクレジットカード情報を入力し決済完了となります。クレジットカード払いのメリットは?メリットとして、現金で納税しなくて良い点です。通常は納付書を使って現金で納めますが、クレジットカードを利用する事によって、現金を手元に残す事が可能です。またクレジットカード決済のタイミングによっては引落の月を調整する事も可能になります。いわゆる締日の関係です。カード会社やブランドによって何日締めの何日払いが決まっています。この支払いのタイミングを調整する事で、お金の流れをコントロールする事も可能です。そして何より、クレジットカードにはポイントが付与されます。最近ではポイントが付与されるカードばかりです。ポイントの使い道はカード会社によってバラバラですが、貯まったポイントで商品券に変えたり、貯まったポイントでお買い物や支払いができたりと様々です。このポイントは今非常に注目されていて、賢くお買い物をする際にどのカードを使うか等悩ましい一面もあるくらいです。税金を現金でただ支払うのか、それともポイントを付与して貰うのでは先々で大きな違いになってくるでしょう。クレジットカード払いのデメリットは?デメリットと言えば、使えるカードブランドは注意しておきましょう。念の為に調べてみると、マスター、ビザ、JCB、ダイナース、アメリカンエキスプレスのみが利用できるカードとなっています。他のブランドでは使えませんので、注意しておきましょう。決済手数料は?他のクレジット利用法を解説ここまでの解説は一般的な事について解説してきました。では手数料はいくら位の負担になるか等、細かい部分を解説していきたいと思います。[adsense_middle]納付金額によって決済手数料が異なる住民税を納付するにあたり、決済の金額は各個人で異なります。その場合にかかる決済手数料は、支払う方の自己負担になります。10,000円までは55円、20,000円までは165円、30,000円までは275円、と徐々に上がってきますので、参考までに。とはいえ、決済した金額にもよりますが、カードにポイントが付きますので、手数料を考えない様にしておいた方が良いでしょう。あまりに細かく気にし出すと躊躇してしまいますからね。住民税を分割で納付できるの?クレジットカードで決済した場合、分割で納める事は出来るのか?という事ですが、支払いの方法を「一括払い」「リボ払い」「分割払い」と利用する事ができます。つまり、住民税が4期に分かれていますが、そのうち1期分を支払う際、分割にする事も可能になります。カードブランドによって分割可能な回数が異なりますので、下記を参考にして下さい。考え方によっては、住民税4期を分割する事も可能であるという事になりますよね。但し支払いが非常にきつい場合のみにしておきましょう。住民税をクレジットカードで支払う方法に関するまとめ今回は住民税をクレジットカードで支払う場合について解説してきました。現在では普通徴収の方のみ該当している状況ですが、折角支払うのであれば、ポイントを付与して貰う方が良いですよね。賢くクレジットカードを利用し、還元を受けましょう。
2020年01月13日2015年は相続税、介護保険など、家計に影響するさまざまな分野で負担増・給付縮小を含む改正が行われます。大きな動きのある時代に、私たちはどう備えていけばいいのでしょうか。今回は「相続編」です。相続する側、相続される側ともに事前に知っておき…