クリスチャン・ベイル、ジョン・デヴィッド・ワシントン、マーゴット・ロビーらが豪華共演、デヴィッド・O・ラッセル監督が贈る、ありえないけど“ほぼ実話”の物語『アムステルダム』。異国の地で2人の兵士と出会う看護師にして、戦争の残留品を使った作品を作りあげるアーティストのヴァレリーを演じたマーゴットが、共演者や監督、そして愛すべきヴァレリーというキャラクターについて語った。出番はみんな一緒!「アンサンブルキャストでは珍しいこと」「これほど多くのアンサンブルキャストがいる中でも素晴らしかったことは、みんながほとんどいつも同時に仕事をしていたことです」とマーゴットは話す。「自分の演じるキャラクターの出番がなければたくさんオフの時間がありますが、私たちの多くが、この映画でみんな一緒にすべてのシーンに出ていました。それってアンサンブルキャストでは珍しいことです。いつも誰かと一緒にいることが出来てとても素晴らしかった」という。確かにクリスチャンやジョン・デヴィッドに、ラミ・マレック、アニャ・テイラー=ジョイ、ロバート・デ・ニーロら豪華俳優たちが、多くのシーンで同じ画面に収まっているのは奇跡的ともいえ、本作の大きな魅力となっている。中でもロバート・デ・ニーロや、クリスチャン・ベイルとの共演は「夢が叶ったといえます」とマーゴット。「まさにバケットリスト(死ぬ前にやっておきたいことを書き出したリスト)にいる俳優たち。彼らのどちらかと一緒に仕事を出来る幸運に恵まれることがあるなんて、思ってもみませんでした。ましてや、2人と一緒に同じ映画で共演できるなんて。だから、本当に素晴らしかった」と明かす。特にクリスチャンについては、「私は、彼が非常に真面目な俳優であるというイメージを持っていました。撮影中、決してキャラクターから抜け出すことがないと思っていたんです。だから、彼の演技を見て学ぼうと思っていました」と言う。「私たちがおしゃべりをすることはないだろうと思っていたんです。なぜなら、彼はずっと役になりきっていますから。でも、実はそうじゃありませんでした。撮影の合間、まったくくだらないことについておしゃべりしたりしたんです。彼はとてもフレンドリーでした。明らかな才能があるうえ、とても気さくな人なんです」。そして、デ・ニーロについても「いつも犬を連れていました」と話し、「犬のおかげで、少し親近感が湧きました」と名優との共演を恐縮しながらふり返った。「ヘアメイク、衣装のデザインを通して、自分のキャラクターを見つける」マーゴットが演じたヴァレリーは、1930年代を生きる、戦争のトラウマや家族との確執をアートによって昇華している女性だ。「ヴァレリーにとって衣装は、彼女のアートのもう一つの表現で、彼女の反抗心の表れでもありました。だから、衣装は私にとってとても重要なものでした」とマーゴットは語る。「私は帽子が大好きだから、帽子をかぶりたいと言いました。そして、パイプを吸いたいとも言いました。こういうアイデアがあると、みんな、特にデヴィッド(・O・ラッセル監督)はいつでもコラボレーションを歓迎してくれました。ヘアやメイク、衣装のデザインを通して、自分のキャラクターを見つけることもとても重要なんです」。さらにマーゴットは、ヴァレリーというキャラクターについて「幸運にも、準備をする時間がたっぷりありました」と明かす。「これほど時間をかけてキャラクターの準備をしたことはありません。監督はコラボレーションを好む人で、撮影が始まるずっと前から、このキャラクターや映画について私と話し合いをしてくれました。そこへパンデミックが起きたので、私はヴァレリーにじっくり時間をかけることができたのです。正直言って、時間がありすぎた感じ」だという。「ほかのキャストの代弁をするつもりはないけれど、(時間があったからこそ)私たちはみんな自分たちの一部をキャラクターに入れ込んだと思います。だからカメラを通じてもリアルに見えるんです。そこには個人的な歴史があるから」と、それぞれのキャラクターには俳優たちの一部が投影されていると話す。クリスチャンが演じるバート、ジョン・デヴィッドが演じるハロルドも、おそらくそうなのだ。『アムステルダム』とは「美しくて自由なもの」「バートとハロルドとヴァレリーは、知り合ってから本当に美しい友情を築いています。友だちというのは、自分で選べる家族みたいな存在と私は昔からずっと思っていますが、あの3人の友情はまさしくそういうタイプのものですね」とマーゴットは言う。「ヴァレリーはトラウマに美しさを見い出し、それを使って芸術を作る情熱に人生をかけています。バートやハロルドと彼女は戦争というものすごくトラウマ的な状況下で出会ったけれど、彼女にはそこに美しさを見い出せます。そんな独創的な能力を持っているのです。3人がアムステルダムで過ごしたあの日々は、戦争の恐怖を目の当たりにした彼らが、生きる意味を再び見つけ出すためのものだったんですね。そして不思議なことに、3人とも自分の母国ではないあの街に暮らすことに大きな自由を感じていたんですよ」。『アムステルダム』というタイトルには、深い意味が込められていそうだ。「タイトルはいろいろなことを表していますが、主に登場人物たちの人生の中で、“本当に美しくて自由なものがあった時代”を表しています。私の中で、この映画を作るのもそういった感じだったんです。そして今、私たちはそれを世界と共有しています。それは本当に不思議でエキサイティングなことです」とマーゴットは続ける。「この映画もまた、とても不思議でエキサイティングです。信じられないようなキャストに囲まれて、とてもラッキーだと感じています。それに、みんな本当に素晴らしい人たちばかりでした。撮影現場にはエゴがなかったんです。誰と一緒に仕事をするのが怖いとか、今日出勤してくるのは誰なんだ?とか。『よし、今日も来てくれるぞ』とワクワクするだけ。みんなとても協力的で本当に楽しかったです」と、生き生きとふり返る。「この映画には、大きな陰謀や政治的なもの、いろいろなものがあると思います。しかし、観客の心に最も響くのは、友情だと思います」とマーゴット。「愛と友情は、この映画の中で登場人物たちが経験した他のすべてと比べても優先されるものだと思います」。「コラボしようと監督から持ちかけられたのは初めて」ラッセル監督とのタッグも、厚い友情を育みながら生まれていったようだ。「監督は、このストーリーや私のキャラクターを徹底的に掘り下げようとしてました。監督が早い段階からあそこまで深く役者にかかわろうとすることって、とても稀なことです。これほど早い段階から、あそこまで一緒にコラボしようと監督から持ちかけられたのは、私にとって今回が初めてでしたし、そのプロセスは本当に最高でした」とマーゴットは話す。「何年もかけて、彼が脚本の中で組み上げた陰謀やアメリカの歴史について話し合いましたし、アートについても、彼や私自身の経験についても、ヴァレリーの人物像についても、彼女の家族についても、色んなことを話し合いました。それはとても独創的で魅力的な体験でしたし、本当に最高でした」と自信を込めて繰り返した。マーゴットは、そんなラッセル監督を「本能的な人で、自分の好みをしっかりと心得ていて、当然だけどとても可笑しい人」と表現する。「この映画がとても可笑しいと知って、きっと皆さんは驚くでしょうね。彼の最大の才能は、とても具体的で愛らしいキャラクターを作り上げることですが、それが出来るのは彼自身がとても具体的で風変わりで愛らしい人だから。彼自身がとても可笑しくて賢いからこそ、このキャラクターたちにもそういう要素がたくさん染み込んでいるんですね」。さらに、本作の撮影監督は「何年も前から一緒に仕事をしたい撮影監督リストに入っていた」というエマニュエル・ルベツキ。「この映画は史上最も美しく撮影された映画のひとつだと思います」と言い、「とてもワクワクしたし、とにかく信じられないほど素晴らしい人でした。まったくの恐れ知らずなのに、とても優しくて謙虚。彼はものすごくマジカルなものを捉えてみせます。とにかく驚異的なアーティストで、撮影現場ではとても自由に仕事を進めていましたね」とふり返っていた。『アムステルダム』は全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)■関連作品:アムステルダム 2022年10月28日より全国にて公開©2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.
2022年11月03日【音楽通信】第126回目に登場するのは、唯一無二の存在として、デビュー31年目を迎えてもなお輝き続ける、ミュージシャンのCharaさん!音楽との出会いは、幼稚園での伴奏体験【音楽通信】vol.1261991年のデビュー以降、オリジナリティあふれる楽曲や一度聴いたら忘れられないスウィートなウィスパーボイスで、圧倒的な存在感を放ち続けている、Charaさん。1996年には、女優として出演した岩井俊二監督の映画『スワロウテイル』が公開され、日本アカデミー賞の主演女優優秀賞を受賞。劇中のバンドYEN TOWN BANDのボーカルとして参加した主題歌「Swallowtail Butterfly 〜あいのうた〜」、翌年に発表したアルバム『Junior Sweet』は連続してオリコン1位のミリオンセラーを記録し大ヒットしました。この頃からファッション、ライフスタイルを含めた新しい女性像としての人気も獲得し、音楽活動においてはデビューより一貫した音楽的探求を続け、各時代を担う気鋭のアーティスト、クリエーターとのコラボレーション作品や活動が数多いことでも知られています。ずっと“愛”をテーマに曲を作り、わたしたちに素敵な歌声を届けてくれるCharaさん。2021年にデビュー30周年を迎え、2022年11月1日にシングル「A・O・U」をリリースされるということで、音楽的なルーツなどを含めて、お話をうかがいました。――Charaさんが音楽に出会ったきっかけから教えてください。わたしが「これは音楽に出会った」と明確に記憶している出来事があって、それは幼稚園のときのことでした。その頃はまだ音楽を習っていなかったですし、家にも楽器が無かったんですが、幼稚園のうさぎ組さんの教室に足踏みオルガンがあって。担任の先生が演奏してくださって、みんなでお歌を歌うんです。毎日歌う曲があって、帰る前に行う、さよならの会のときに「今日はこ〜れ〜でおわかれし〜ま〜しょ さよなら〜さよなら〜」(と実際に歌ってくださるCharaさん)という少しバロック調の歌があるんですが、毎日聴いているから耳で覚えていました。あるとき、休み時間にふと先生に「これ弾いていいですか?」と聞いた記憶があって。その後「先生の代わりに伴奏してくれる?」と言われたんです。いきなり先生に言われてドキドキしましたが、やってみました。毎日歌っている曲だから、いつも通りに大きなお口を開けてみんなで歌ってくれて。その伴奏をしたのが、わたしの音楽との出会いですね。そのときから、楽器ができると人の役にも立つし、コミュニケーションツールとして役に立ってくれたと感じて、いまでも楽しかったなあと思い出します。――幼稚園でみんなの伴奏をしたのは、楽器を習う前ですものね?全然前です。それまでは家にも紙の鍵盤しかなかったぐらいですから、要はイメージトレーニングですよ(笑)。それが役に立って、楽器を習っていないのに、耳で聴いた感覚だけでピアノが弾けたのかな。小さいときは音楽的に恵まれた環境じゃなかったからこそ、自分なりに独特な発想で何かを作り出そうとするようになったのかもしれませんね。――その後、実際に楽器を習うようになったのですね。幼稚園に付いているヤマハの音楽教室があったんです。仲良しのかすみちゃんが習っていて、一緒にいたいから、初めてお母さんに「わたしも行きたい」と頼んで音楽教室に通うようになって。そこは「先生が最初のフレーズを出すから続きを作っておいで」と、作曲の宿題が出る専門的な教室でした。――では、いつ頃から音楽の道を目指されましたか。最初に目指したのは、作家なんです。もともと作曲することが好きだから。高校生の頃からバンドをやっていましたが、歌ではなく、キーボードを担当していました。19歳ぐらいのときに、ソニーで新人を発掘する部署の方から、「ソロでやらない?」と歌うことを勧められてやってみたんです。――もともと歌の才能もあったからこそのデビューですね。この話を聞くとそう思いますよね?でも、そのときにできることを一生懸命やっていたら、未来につながるよと言いたい。まず才能は、自分を信じる力だと思うんですよね。わたしのデビューが決まったのは、レコード会社の偉い人が来て、その人のOKが出るとデビューできるらしいという「プレゼンライブ」でした。歌が下手で、うまく歌うことはもう諦めて、ライブではすごく踊っていたんです。「歌はだめだけど、全身でがんばる!」みたいな(笑)。ステージに立ったら、頭からつま先まで、全身で見せられるから。客席には白髪頭のおじさまが一番前にいらっしゃって、すごく踊っていて、その方の前に行ってグイグイわたしも踊って。あとでわかったのは、そのおじさまがレコード会社の一番偉い方で、言われた言葉が「歌はまだまだだけど、踊りがいいから」って。そのときは歌ではなく踊りをがんばったわけなんですが、それでデビューが決まったから、なんでもできることを最大限やるといいかなと。わかる人は、原石の状態でも見抜くんだと思うんですよね。――すごいお話です。そうして1991年9月にシングル「Heaven」でメジャーデビューされてから30周年を超え、現在31年目となりました。小さいときから何事もがんばりたいタイプなので、31年目にしてそういう積み重ねてきた「あきらめないでやってみる」という筋肉がしっかりとついているんです。その部分はずっと変わらず、そしてイメージすることも大事にしてきていて。たとえば子どものお誕生日会でも「おいしいって言ってくれるかな?」と、お母さんたちが子どもが喜んでくれるメニューを考えることにも似ているというか。「どうやっておもてなししようかな」という、サプライズを考える繰り返しが生活だから。わたしたちの音楽の仕事も、ステージでおもてなしをする要素がとても多いです。いまはコロナ禍でライブをすること自体が貴重なこともあって、より一層、毎回ライブでそういうことを考えるのが好きになりました。でもそれは日常生活でも好きなことなので、普段から、おもてなし筋肉がついてきているから、それがどんなことか知りたい方がいたらぜひ一度、ライブに来てください(笑)。ニューシングルも恋と愛にまつわるお話――2022年11月1日に、レコード会社を日本コロムビアに移籍しての第1弾シングル「A・O・U(エーオーユー)」をリリースされますね。そうなんです。これまで恋の歌や愛の歌しか歌っていないですが、わたしの中にないものは歌えないので、今回も恋と愛にまつわるお話。わたしが日常的に植物からパワーをもらっていることもあって、永久凍土の中に眠っていた約3万年前の植物の種から花が咲いたというニュースに興味を持って、「その花、うちでも咲かないかな?」って。それにインスパイアされて、わたしも不思議と突然お花が蘇って咲いたような気持ちにリンクして、勝手に涙が出た日があったんです。わたしの個人的な愛にまつわるお話と、そのインスパイアされたお花に合わせて、歌詞も書きました。タイトル「A・O・U」は、歌詞にもある“all of you”の訳です。あなた方すべてに、というような意味ですが、デモ曲ができたときすでに「all of you」と口ずさんでいて、いいなあって仮でタイトルをつけていたぐらい。最終的に「A・O・U」にしました。――今作は以前から制作でご一緒されることもある、ドラマーでもありシンガーでもあるmabanua(マバヌア)さんがサウンドプロデュースされていますね。mabanuaさんとは付き合いが長くて。彼がいまのように名プロデューサーになる以前のインディーズの頃からで、自分のアルバムを持ってスタジオに挨拶に来てくれたこともあって。彼のアルバムを聴いたら素晴らしくて、すぐ連絡をとりました。2010年ぐらいからの知り合いで、2011年にはわたしのアルバム『Dark Candy』を一緒に作っています。もうわたしの独特の曲作りの仕方にも慣れてきたんじゃないかな。Charaの作ったデモ曲の良いところをサウンドプロデューサーとして遠慮せずに出してくれるミュージシャンなので、やりやすいですね。――信頼されている感じが音からも伝わります。mabanuaさんは良き理解者なんです。知り合ったときから、素晴らしく成長していますね。――「A・O・U」は現在放送中のドラマ『最果てから、徒歩5分』(BSテレ東 毎週土曜 午後9時)の主題歌にもなっていますが、書き下ろしではなかったそうですね。曲ができたあとから、選んでいただきました。もしも主題歌にと意識していたら、また違った曲になったはず。でも、それで使ってもらえるのが美しいかたちかなって。実際、ドラマにも合っていたので良かったです。――カップリング曲「面影」は、しっとりと心地よいミディアムナンバーですね。Charaさんのライブでコーラスも担当されることのあるシンガーの竹本健一さんとの共作で、大橋トリオさんが演奏とサウンドプロデュースを担当されています。最近のライブステージでは、ほぼ竹本さんがコーラスとして、わたしの声に寄り添ってくださることが多いです。良き理解者になると、一緒に曲を作りたいんですよ。曲を作ってこそ、ミュージシャン同士の親友になれるというタイプなので、わたし。この曲は、最初から「面影」というタイトルをつけたくて、ピアノで作りました。そこでピアノに関して、アコースティックさにもエレクトリックピアノにもソウルにも理解があって、高度なアレンジが得意な人って誰だといったら、大橋さんしかいない。大橋さんも、mabanuaさんも、楽器を演奏されるので、ご自身のグルーヴもあって。もともと「A・O・U」も「面影」も春ぐらいに出したいと思っていたんです。でも、コロナ禍の制限もありますし、おふたりとも忙しいからスケジュール待ちもあって、いまのタイミングに。どちらも、昨年、レーベル移籍用に作ったデモの中に入っていた曲です。――「面影」で、Charaさんが「積み積み積みあげて」と歌われるところも好きです。とぅみ、とぅみ〜と聴こえるところでしょ(笑)? そういう、詞をリズムに乗せるやり方が、わたしらしさ。オノマトペもすごく好きですし、同じ言葉を繰り返したり、印象的になったりする歌詞が好き。フラットだけど、メロディに抑揚をつけていくのがけっこう好きで、ああなっちゃうんですよね。――いつも曲作りはどのようにされているのですか。どんな状況でも作ります。ただ、オンオフがあって、作るモードに入るかどうか、何を意識するかどうか。お題が出たらそれを意識したりもします。音楽に嫌われないよう何歳になっても勉強したい――最近は、阿部寛さん主演のディズニープラス「スター」日本初オリジナルドラマシリーズ『すべて忘れてしまうから』に、映像作品としては映画『スワロウテイル』以来26年ぶりにご出演されていますね。以前そのドラマインタビューもさせていただきましたが、配信後の反響はありましたか。ドラマのプロモーションでイベントを開催したときは、インスタやCharaのモバイルファンサイトに、ファンの方が書き込みや生チャットで感想を言ってくれましたね。基本的には、SNSでもエゴサーチとかしないからわからないんですが、気にしていたら生きていけないかもしれないから気にしない(笑)。ドラマでは、毎話別のアーティストがそれぞれ異なる曲をライブで披露しますが、わたしも5話では役の「カオル」として歌って、今後Charaとしても歌います。――ドラマも楽しみです! では普段のご様子もお聞かせください。おうちではどのようにお過ごしですか。家にいるとすごく忙しいです。主婦って、掃除とか、やろうと思えば限りなくやることがありますよね。この時期、寒くなったから、衣替えも大変。昨日は秋の風をベッドルームにいても感じられるようにと、風の流れを考えてベッドの位置をずらすうちに、部屋の模様替えになって(笑)。わりと内側から整理しようとするタイプなんです。家の掃除に限らず、なんでも表面的なところよりも、内側から整える。最近はキッチンに新しい調理道具をそろえて、包丁も錆びないようにと磨いたり。昔は全然そんなこと気にしませんでしたが(笑)、錆びを拭くのは自分の成長ですね。毎日、花もいけています。――Instagramにときどきワンちゃんが登場しますね。「モジョ」という犬とふたり暮らしをしています。2014年に我が家にやってきまして、もう9歳。おじさん犬です。――とても小さいので、見るとまだ赤ちゃんのような愛くるしさですよね!?だから、ちっちゃいおじさんをいつも抱っこしているんですよ(笑)。――ちっちゃいおじさん、可愛いですね(笑)。以前は娘さん(女優のSUMIREさん)と息子さん(俳優の佐藤緋美さん)も一緒に暮らしていたときは、育児や家事、仕事との両立で大変ではなかったですか。子どもが小さいときは、まだ体力あったから、なんとかやっていました。アーティストって、ひらめいたときに曲作りをやりたいんですが、時間的にはそうもいかない時期もあって。子どもが泣いていると子ども優先になるから、何時から何時はChara、帰ってきたらメインは子どものママって、仕事の時間の使い方を分けましたね。でも、音楽が好きだし楽器が好きだから、子どもと遊ぶのに楽器を使うこともあって。一緒に音楽を聴くときはお母さんのCharaの選曲で、本を読むテンポやリズム感もCharaっぽいかも。まあ、普通のお母さんですよ。――ファッションアイコンとしても輝くCharaさんですが、ファッションのこだわりはありますか。チクチクする素材が苦手なんですよね、かゆくなっちゃうから。買いに行くときは触って確かめますし、仕事でスタイリストさんがいるときは、一緒に洋服を見て最新のものを買います。アップデートするのはきらいじゃないので、ストリートカジュアルも取り入れて。若い人が着るブランドだからおばちゃんは着ちゃいけないとかは、わたしの中にまったくなくて。それは着たら恥ずかしいという、似合わないわたしになる前に、好きな洋服を着られる自分でいるように、多少は体型にも気をつけますけどね。洋服が好きだから。ヴィンテージクローズがけっこう好きです。60年代や70年代のデザインはやっぱり好きですね。新しいものにも、古いものにインスパイアされて作っているデザイナーさんもいますしね。――いろいろなお話をありがとうございました! では最後に、今後の抱負をお聞かせください。好きでたまらない音楽から嫌われないように、何歳になっても、勉強したいです。もっと知りたいという気持ちがあるのは、ありがたいこと。だから抱負もたくさんあるんですが、あまりいろいろな街へコンサートに行けていないので、小編成やひとりでやるといったさまざまなスタイルでやってみたいですね。人生でやっていないこともまだあるので、着実にできることに向かって、いまリサーチ中です。あとは、みんなが「Chara、良かったねー!」って言ってもらえるような恋とか、結婚とかがあるのかも(笑)!? 『anan』にもときどき載っている占い師のルーシー・グリーンさんに、この間、友達と一緒にタロットで占ってもらう機会がありました。みんな「11月以降に出会いがある」って。「3月以降もまたいい感じです」って言われたから、今後が楽しみです(笑)。取材後記ひとりのミュージシャンとしても、女性としても、母としても、多くの女性が憧れる存在のCharaさん。ananwebの取材では、今回リモートインタビューをさせていただきましたが、画面に映るCharaさんがユラユラ揺れるときがあって「ごめんね、椅子がすごい揺れて(笑)。体幹を鍛える揺れる椅子で、テーブルは卓球台なんだよね(笑)」と、おしゃれな椅子と家具を画面で見せてくれるCharaさんがとっても可愛くて、楽しい時間を過ごさせていただきました。そんなCharaさんのニューシングルをみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね!取材、文・かわむらあみりChara PROFILE1991年9月、シングル「Heaven」でデビュー。1992年の2nd アルバム『SOUL KISS』では、日本レコード大賞ポップ、ロック部門のアルバム・ニューアーティスト賞を受賞。1996年には、女優として出演した岩井俊二監督の映画『スワロウテイル』が公開され、「第20回日本アカデミー賞」主演女優優秀賞を受賞。劇中のバンドYEN TOWN BANDのボーカルとして参加した主題歌「Swallowtail Butterfly 〜あいのうた〜」、1997年のアルバム『Junior Sweet』と連続してオリコン1位のミリオンセラーを記録し大ヒットする。2019年、THE MILLENNIUM PARADEのシングル「Stay!!!」ではボーカルを担当。2018年12月、オリジナルアルバム『Baby Bump』をリリース。2020年2月にはYUKIとのユニット「Chara +YUKI(チャラユキ)」名義でミニアルバム『echo』をリリース。2021年9月にはデビュー30周年を迎えた。2022年11月、シングル「A・O・U」をリリース。InformationNew Release「A・O・U」(収録曲)01. A・O・U02. 面影03. A・O・U(Instrumental)04. 面影(Instrumental)2022年11月1日発売*収録曲は全形態共通。(通常盤)COCA-18047(CD)¥1,650(税込)(初回限定盤)COZA-1954-5(CD+Blu-ray Disc)¥4,950 (税込)【Blu-ray Disc収録予定曲】Chara’s Time Machine:30th Anniversary Liveせつないもの/初恋/FANTASY/才能の杖/Tiny Dancer/悲しみと美/タイムマシーン/ミルク/大切をきずくもの/hug/恋をした/しましまのバンビ/70%-夕暮れのうた/Swallowtail Butterfly ~あいのうた~/Time After Time/月と甘い涙/Duca/スカート/世界(JEWEL ver.)/Break These Chain/あたしなんで抱きしめたいんだろう? /やさしい気持ち/Happy Toy(7inchアナログ)※2022年12月3日発売COKA-92¥2,200(税込)(7inchアナログ収録曲)Side-A. A・O・USide-B. 面影取材、文・かわむらあみり
2022年11月01日1930年代ニューヨーク。壮絶な戦争を経験した親友3人組が、アムステルダムで愛と友情と自由をかみしめた後、アメリカ史上最も衝撃的な陰謀に巻き込まれていくデヴィッド・O・ラッセル監督最新作『アムステルダム』。親友3人組、帰還兵の医師バートを演じたクリスチャン・ベイル、同じく弁護士のハロルドを演じたジョン・デヴィッド・ワシントン、看護師でアーティストのヴァレリーを演じたマーゴット・ロビーに加え、ラッセル監督と数々の作品で組んできたロバート・デ・ニーロ、初参加のラミ・マレック、ゾーイ・サルダナ、アニャ・テイラー=ジョイほか、さらに世界的人気シンガーのテイラー・スウィフトまで競演し、話題を呼んでいる。今回は、『TENET テネット』でも注目を集めたジョン・デヴィッド・ワシントンからインタビューが到着。豪華キャストとの共演や、ラッセル監督とのタッグについて語ってくれた。デ・ニーロとの共演は「生涯の教訓」に「撮影はまるでお祭りのようでした。映画を作るには長い時間がかかります。そして、その始まりから終わり、今に至るまで、たくさんの人が関わります。撮影現場では毎日が刺激的で、長年尊敬してきた俳優たちのさまざまなプロセスを見ることができ、とても幸せでした」とジョン・デヴィッド。「愛、仲間、友情、それらがいかに大切か、どんな時代であれ、わかるはず。人間のつながりというのは、とてもパワフルなものなんです」と、本作のテーマを撮影現場でも実感した様子だ。とりわけ、デ・ニーロとの共演は大いに刺激となったらしい。「ミスター・デ・ニーロは本当に素晴らしい。シンプルだったんです」とジョン・デヴィッドは言う。撮影中のラッセル監督は、ある動きやあるセリフの言い方に対して、とても情熱的にこだわりを見せるが、その中でもデ・ニーロは「『わからないよ、デヴィッド。やってみよう。僕は立ち上がるかもしれないし、座るかもしれない。こういうふうにこのセリフを言うかもしれない。わからないよ』と言うんです。僕たちの目の前にいるこの並はずれた伝説の俳優は、すべてを知り尽くしているかのように振る舞ったり、そういうフリをしたりしないんです」。「『僕たちで一緒にそれを見つけよう』と言うんです。彼は、僕たちがチームメイトであるかのように感じさせてくれました。そして、そのプロセスに僕たちを入れてくれました。シンプルなことですが、僕がずっと持ち続ける生涯の教訓となったんです」。ジョン・デヴィッドはそう続け、「彼はこれまですべてのことを見てきたのに、それでもなおプロセスをごまかしたりしないんです。最も信憑性があるパフォーマンスを引き出すために、必要な手順を早めることもしません。それは素晴らしいことでした」と深く感銘を受けたことを打ち明けた。「クリスチャン・ベイルは最高のリーダー」「この撮影現場ではみんなが謙虚でした。それが現場の基盤だったんです。だから、安心して弱い部分を見せることができました。自分が失敗しても、共演者が助けてくれるとわかっていたから」とも語る。「その意味において、クリスチャン・ベイルは最高のリーダーでした。現場での2日目、彼は僕のいるところにやって来て、『ようこそ。1日目を乗り切ったね』と言ったんです。それはすばらしかった。彼は僕にそんなことを言わずに、真っ直ぐ自分の控室に行くこともできたんです。だけど、彼は僕に『君はもうデヴィッド(監督)の言語を喋っているよ』と言ってくれたんです。『ここで泥まみれになろうね』と」とふり返る。こうした関わり合いは「無意識のうちに演技に影響を与えます」とジョン・デヴィッド。「パートナーにどう耳を傾けるべきなのか、彼らの言うことをどう受け止めるべきなのか、監督から言われることをどう受け止めるのかを、教えてくれます。ここではみんながお互いを応援しているとわかっていたから、自分のキャラクターや、キャラクターのモチベーションについての質問への答えを探すのが、簡単で、楽しいことになるんです」。ジョン・デヴィッドが演じたハロルドは、第一次世界大戦に従軍し、負傷して帰還したアフリカ系アメリカ人の1兵士だ。「僕はまず当時のアフリカ系アメリカ人はどんな感じだのだろうと考え始めたんです。第二次世界大戦ほどには第一次世界大戦のことを知らなかったし、復員軍人であるというのはどういうことなのかを調べること、人種的分析は一旦脇において、1918年に母国のために戦うアメリカ人について調べること、そして他国からアメリカ人がどう見られていたのか、アメリカと他国との関係はどうだったのかというグローバルな感覚を学ぶことは、とてもエキサイティングでした」と、本作の背景から役作りを考えていったと明かす。監督は「キャラクターたちの温かさと真実味を伝えようとしている」そんなジョン・デヴィッドに対し、監督は「僕が演じようとしている役柄とか他の登場人物との関係性について、とても具体的に示してくれました」という。「彼はものすごく情熱的で、特にこういう物語の解釈に関しては、彼の世界が広く開かれていること、選択肢が無限にあるということを僕らに理解させてくれるんです。脚本に書かれていることだけがすべてではなく、もっと大切なのは登場人物たちがどういう人間なのかというところ。彼は断固として観客にこのキャラクターたちの温かさと真実味を伝えようとしているんです」と力を込める。「彼の作品に出演する全ての俳優が彼のことを暗黙のうちに信頼しています。そして、監督はそんな俳優たちのことを家族のように思っている。彼は撮影現場にいることが大好きですし、俳優たちのことが大好きなんです。彼が作り出すキャラクターも彼が紡ぎ出すセリフも、彼は大好き。だけど、その中からどれかひとつを選ばなければならないとしたら、きっと彼は俳優たちを選ぶでしょうね。彼の言葉や物語を解釈する演者たちを選ぶに違いないですよ」と話し、ラッセル監督が描き出す世界を体現する俳優たちへの愛に言及する。さらに今回、『レヴェナント:蘇えりし者』などでアカデミー賞に3度輝く撮影監督エマニュエル・ルベツキとのタッグも実現した。「チヴォ(ルベツキの愛称)はいつも動き回っていて、常にその場にいると同時に、なぜか消えているんです。本当にすごい。彼の作業の進め方はすごくて、たとえすごく俳優に近寄った撮影でさえも、彼の気配は消えていなくなり、まったくこちらの邪魔にならないようにしているんです…。まるで本当にその場から姿を消したかのように。だけどいつだってそこにいるんです」と、映像の魔術師の“秘術”についても称えている。『アムステルダム』は全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)■関連作品:アムステルダム 2022年10月28日より全国にて公開©2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.
2022年10月31日あの関口メンディーが教師にしてプロレスラーの主人公を演じ、しかも「覆面D」というダジャレのようなタイトル。先日、ABEMAで放送が始まったオリジナルドラマ「覆面D」について「これはコメディドラマでしょ?」と思った(というか、いまも思っている)人も多いのではないだろうか?関口メンディー本人でさえ、最初に企画を聞いた時は「コメディかと思った」とのこと。だが、鈴木おさむの手による脚本を読んでビックリ! ヤングケアラーや現代の貧困、イジメや10代の妊娠といった問題に真正面から切り込んだ、見事な社会派ドラマに仕上がっているのだ。「GENERATIONS」および「EXILE」の一員として活動し、最近はバラエティ番組などでも活躍する姿を見せているメンディーさん。ドラマ初主演となる本作にどのように挑み、ここで描かれる様々な社会問題に対してどのような思いを抱いたのか?――高校教師であると同時に、プロレスラーという裏の顔を持つ大地大輔が、赴任先の教育困難校と言われる高校で、様々な問題を抱える生徒たちに向き合う姿を描いた本作ですが、最初に企画について聞いた時の印象は?最初はコメディかなと思ってました(笑)。僕というキャラクターとプロレスを掛け合わせた作品ということで、勝手にそう思っていたんですけど、脚本が上がってきて、読んでみたら全く違う角度でいまの世の中の問題を切り取った社会派の作品に仕上がっていて驚きました。自宅で脚本を読みながら泣いてしまったのは初めてのことで、「これは絶対に自分がやりたい」と思いましたし、魂を削って良い作品を作り上げたいなと思いました。――メンディーさん自身、以前は教師を志していたそうですね?教師になろうと思ったのは、母が「あなた、教師向いているんじゃない?」と軽く言ったからなんです。それで自分も「教師もいいかも…」と軽い気持ちで体育大学への進学を決めたんです。なので、何か強烈な出来事がきっかけとしてあったわけでもないんです。ただ、僕自身も小学校の頃に担任の先生の言葉に救われた経験があって、周りの人や生徒たちに寄り添える先生になりたいなと思っていました。――先生の言葉に救われた経験というのは?僕はハーフで、見た目が周りと違うということもあって、小学校1~2年生の頃、高学年の子たちからイジられたり、容姿のことを遠目からからかわれたりすることがあって、それがすごく悔しかったんですよね。それで落ち込んでいる時に、その先生が「あなたには黒人の血が入っているけど、それは特別なことなのよ」と言ってくれたんです。その先生はマイケル・ジャクソンの大ファンで、そこで僕にマイケルのカッコよさを熱く語ってくれて「あなたは、世界のポップスターと同じ黒人の血が流れてるんだよ」と。その言葉で「僕はこのままでいいんだ」と認められた気がして、胸がすーっと軽くなって学校生活が楽しくなったんです。――ドラマでは第1話からハードなイジメの様子が描かれたり、10代にして、自分の時間を犠牲にして近親者の介護に従事しなくてはならないヤングケアラーの姿が描かれました。本作で描かれるこうした社会問題をどのように受け止めましたか?大きな社会問題のひとつであり、実際につらい思いを抱えている子たちがたくさんいると思うし、そういう子たちって自分から「つらい」とか「苦しい」と言い出せなかったり、助けを求めたくてもどうにもできない苦しさを抱えている側面もあると思うんです。このドラマを通じて、周囲に助けを求めてもいいし、周りが協力できることもたくさんあるんだということを広く理解してもらえたら嬉しいなと思いました。その意味でも、いま届ける意味のある作品だなと感じています。――ドラマの中で特に印象的なエピソードや心に残ったことはありますか?この作品って、大地大輔が何かを解決するわけじゃないんですよね。最終的には生徒たちが自分たちで問題に向き合っていくので、大地大輔がしていることってシンプルに「寄り添う」ってことだけなんです。ヤングケアラーの問題もそうですが、解決できなくても、誰かが寄り添ってあげるだけで救われる部分があるというのをこの作品を通してすごく感じました。もちろん、具体的な解決策で世の中が良くなっていくことはすごく大事なことですが、まず苦しんでいる人に寄り添ってあげるだけで変わるものってあるんですよね。「自分には何もできないから」なんて考える必要はなくて、自分にもできること、救えることがあるんだというのが、わかりました。――いまのお話にもありましたが、大輔は問題そのものを自分で解決するわけでもないですし、ひと昔前の「俺についてこい!」というタイプの教師でもないですよね? 彼自身、前任校での事件による心の傷も抱えていて、生徒との距離感という部分でも繊細さを持っています。演じる上でこの役柄をどのように捉えましたか?そういう意味で、僕自身と近いなと感じる部分が多かったんですよね。それこそ、少し前の学園ドラマだと「俺についてこい!」というタイプの先生像が多かったかもしれません。世の中の流れもあると思いますが、いま世間で“リーダー”と呼ばれる人たちって「俺についてこい」タイプの人たちは少なくなっていて、どちらかと言うと、頼るべきところは周りに頼るし、「仲間に助けを求めることができる“完璧ではない”リーダーが増えてるんじゃないかなと。僕自身、もしリーダーという立場に置かれても「ついてこい!」とは言えなくて(笑)、どちらかと言うと「この部分、僕はできないから助けてね」とか「ここは頑張るから、その代わりこっちは頼むわ」とお願いするタイプだなと思うんです。いまの世の中の流れを反映した先生像なのかなと思いましたね。――メンディーさん自身は、このドラマの生徒たちと同じ17歳の頃はどんな若者でしたか?ずっと野球をやっていて、高校球児として「甲子園に出たい」という思いはありつつ、「でも自分は甲子園には出れないんじゃないか…?」と気づき始めてもいて、でもやっぱり野球が好きで、うまくなりたいし、試合に勝ちたいという思いで野球に打ち込んでいました。――青春時代をふり返って「こうしておけば」と後悔していることはありますか?後悔とはちょっと違ってくるかもしれませんが、僕らが最上級生になったタイミングで、後輩たちが不祥事を起こして、大会に出られなくなったことがあったんです。その時に思ったのが、こうなってしまった原因や責任は後輩たちだけにあるんだろうか? ということ。もちろん、彼らも悪いんですが、そうなる前に、先輩である僕らができることはあったんじゃないか? と思ったんですね。この事件をきっかけに「何かを他人のせいにするのはやめよう」と強く思いましたし、そこから何かが起きた時「自分に何かできたんじゃないか?」と考える思考法が身につきました。後悔もありつつ、それはいまでも自分が生きていく上で、すごく大切にしている価値観になっていますね。――年齢を重ねて、仕事などで若い世代と接することも増えてきたかと思います。いわゆる“イマドキの若者”に対して、どのような印象を抱いていますか?僕が接している人たちに限りますけど、みんなコミュニケーション能力が高い印象ですね。SNSがこれだけ発達していることも大きいんでしょうけど、「見られている」という意識がすごく高い気がしますね。自分を発信することに慣れていて、そういう部分を僕は後天的に学習したけど、いまの子たちは早い段階でSNSやスマホに触れていたので、自然とできてすごいなと思いますね。――若い世代に接する中で、何かアドバイスしたり、彼らの能力を引っ張り上げてあげようと思うことはありますか?正直、若い子たちにアドバイスすることが果たして良いことなのか? と疑問に感じるところがありまして…。求められればアドバイスはしますけど、そもそも、若い人たちが新しいものを次々と作っていくものだと思っているので、極端な言い方ですけど「若い人たちの考えは正義だ」と思っているんです。「最近の若いやつは…」みたいなことを感じる人もいるかもしれませんが、逆に若者の価値観に僕らが合わせていかないと、世の中がアップデートされていかないなと思います。なので、求められれば相談に乗りますが、基本的には「思うように好き勝手やればいいじゃん!」という思いが強いですね。その周りに頑張っている大人もいるというのを自分が体現できればいいのかなと。――逆に若い人たちの才能に触発されたり、「そんな考え方をしているのか!」と驚かされることは?それはメッチャありますね! みんな才能がすごくて。そこは本当に「どんどんやりなよ!」と応援したくなります。ダンスもそうだし、俳優さん、音楽、ゲームでも新しい価値観を持った若い子たちが次々と新しいものを生み出しているなというのを感じるので、そこに刺激を受けつつ、マネするところはマネしたいです。――メンディーさん自身は今年31歳ですが、いまのご自身の立場や立ち位置について、どのように感じていますか? 30代はどうありたいか? というイメージはお持ちですか?30代は自分の中では、ステップアップの時期なのかなと思っていて、ここまでアーティストとして10年ほど活動してきて、少しずつ余裕も生まれてきているので、それを“新しいメンディー”のために投資する時間にできたらと思っています。いろいろチャレンジしたいし、ここからが本番だと思っています。いまの自分の立場や多少なりともある影響力を駆使して、どれだけ世の中に価値を提供できるか?というチャレンジをしたいし、その輪を広げていけたらと思っています。――そういう意味では、20代で良い積み重ねをすることができたという手応えも感じていらっしゃいますか?手応えはよくわからないですが、ありがたいことに多くの方に自分の存在を知っていただけて、ライブでもアリーナツアーができるようになったり、経験の量という意味では、なかなかできないことをさせてもらえたと思うし、良い20代を過ごせ……いや、うーん…、でも世界は広いんでね…(笑)。まだまだかなぁ? こうやって「まだまだだなぁ」と思いながらやっていくというのはこの先も変わらないのかな? 上には上がいますからね。「もっとできたんじゃないか?」と常に思うし「もっと高く羽ばたける!」といまも信じています。メンディー、まだ序の口です。ここからのメンディーのほうが面白くなります!(photo / text:Naoki Kurozu)
2022年10月28日【音楽通信】第125回目に登場するのは、数々のドラマやアニメの主題歌を担当し、あらゆるパフォーマンススタイルで日本だけでなく海外でもライブ活動を行っている伊江島出身のシンガーソングライター、Anly(アンリィ)さん!ロックが好きな父の隣で歌やギターに親しむ【音楽通信】vol.125沖縄本島からフェリーで約30分、北西に浮かぶ人口約4,000人という、風光明媚な伊江島出身のシンガーソングライター、Anlyさん。英語と日本語で綴られる歌詞や、さまざまなジャンルの音を楽曲の随所に感じさせるミックスサウンドが特徴。ループペダルを駆使したライブ、バンド編成ライブ、アコースティックギターでの弾き語りなど、イベントや会場にあわせてパフォーマンススタイルを変え、日本国内だけでなく、香港、台湾、ドイツなど海外でもライブを行っています。2017年リリースのテレビ東京系アニメ『NARUTO-ナルト- 疾風伝』の主題歌「カラノココロ」は現在、ストリーミングで4,000万再生を超える異例のヒットを記録。以降も数々のタイアップ作品があるなかで、人気アニメの主題歌もリリースされ、アニメファンからも高い支持を得ています。そんなAnlyさんが、2022年10月12日にニューアルバム『QUARTER(クォーター)』をリリースされたということで、お話をうかがいました。――幼少時に音楽にふれたきっかけから教えてください。わたしは沖縄県の離島の伊江島出身で、小さい頃から、父が夕暮れになると家の縁側に座って、夕ご飯になるまでギターを弾く時間がありました。その時間に父の隣に座って、歌を歌ったり、ギターを弾いたり。音楽の一番古い記憶はそこですね。その4、5歳ぐらいのときから、ギターをおもちゃがわりに遊んで弾いていました。――お父さまは音楽がお好きだったんですね?そうですね、父は60年代や70年代のロックが好きで、母は民謡が好きで。いろいろな音楽が家で流れている環境でした。父はプロではありませんが、趣味でときどき友人たちとバンドをやって、ライブ活動もしていましたね。――ギターもお父さまから教わったのでしょうか。ギターに関しては、いくつかコードを教わったあとに、父と一緒に弾くよりは自分で好きな曲をひたすら聴いて「コードは何を弾いているのかな?」と耳コピしていました。――では、音楽の道を志したのはいつ頃になりますか。小さい頃から歌うことは好きでしたね。職業として歌手やシンガーソングライターを意識し始めたのは、中学校2年生のときです。歌手になるにはどうしたらいいのかと、それであれば自分で曲も作れたほうがいいということで、まず歌詞を書き溜めて。ノートの端々に思いついたことを書いて、そのノートがいっぱいになるまでやっていました。伊江島にいるときは、カバー曲を歌って、知り合いのライブに参加することも。自分のオリジナル曲を歌い出したのは、高校2年生のときです。最初に書いた曲は「虹」という曲で、「EMERGENCY」(2016年発売)というシングルのカップリングに入っています。この曲が、中学時代からノートに書き溜めていた歌詞をあわせて完成させた曲ですね。――2015年にメジャーデビューされてからは、日本以外にも香港、台湾、ドイツなど海外でもライブを行っていますね。ずっと海外でライブをしてみたいと思っていました。最近は、ループペダルというエフェクトを使いながら演奏するスタイルが多いので、その場で音楽を作っていく工程が海外の方も楽しんでくれている様子が、とくに台湾に行ったときに感じられて。2018年には、アジア各国を代表して選出された新人アーティストが競って、パフォーマンスをする大会「香港アジア・ポップミュージックフェスティバル」に出演し、優勝させていただきました。よりいっそう、また海外にもライブへ行きたいと思いましたね。――海外のライブは日本とは違う感じもありますか。盛り上がり方が、日本より一段階高めといいますか。歌を聴いても言葉はわからないことも多いと思うんです。でも、グルーヴやリズム感、メロディで楽しんでくださっているというシンプルなところを体感できますね。――そういった海外活動を経て、デビューから変わった点、変わらなかった点はありますか。変わった点で言うと、沖縄から上京してきて、東京を拠点に活動しているので、制作している楽曲が作り方も生まれ方も変わってきましたね。東京に来てからはスピード感のある楽曲も作れるようになりましたし、言葉がたくさん詰まったような、メロラップのような楽曲も増えました。変わらない点は、最近、伊江島のなまりが戻ってきました(笑)。ちょこちょこ自分のなかで、伊江島のなまりは好きなところで、「伊江島の人ということは変わってないな」って。コロナ禍で、前よりも両親と電話をすることが多くなったからだと思いますが、それは自分自身でもうれしかったです。あたためていた曲も収録した4thアルバム――2022年10月12日に、4枚目のアルバム『QUARTER』をリリースされました。いつ頃からか制作していたのですか。今年、4月から7月にかけて47都道府県をまわるツアーをやっていたので、それが終わってから追い込みで仕上げていきました。でもけっこう、数年前からできていた曲もあって、あたためていた曲を仕上げていったという感じですね。――タイトルの意味はなんでしょうか。『QUARTER』というタイトルは、わたしが日本とアメリカのクォーターというところ、25歳というところ、100歳まで生きるとして4分の1を過ごしたというところという複数の意味があって。さらにアルファベットでクォーターの「Q」は、最近キーアイテムにしているふうせんの形に似ていて、そういったいろいろな理由から、このタイトルをつけました。――ハードな印象の曲からゆったりと聴かせる曲まで、多彩な楽曲が収録されていますが、5曲目「Angel voice」はAnlyさんのシルキーボイスが堪能できるバラードですね。わたしの楽曲をよくアレンジしてくれているアリーザというアレンジャーさんが、ロサンゼルスにいて。コロナ禍が始まるよりだいぶ前に、L.A.に行ったときに、わたしが元ネタを持っていってアレンジしてもらうのではなく、一緒にアリーザと「曲を作ろう」となってできた楽曲です。その後、NHK『見たことのない文化財』(BS8K)のテーマ曲を書き下ろすことになって、歌詞を書き上げました。――9曲目「VOLTAGE」は、テレビ東京系アニメ『BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』(テレビ東京系 毎週日曜 午後5:30)の1月クールのエンディングテーマでしたし、10曲目「カラノココロ – Matt Cab & MATZ Remix」は、2017年発売の『NARUTO-ナルト-疾風伝』オープニングテーマのリミックスと、NARUTOシリーズとご縁がありますね。今回収録している「カラノココロ」は、5年前にリリースした楽曲をリミックスしています。『NARUTO-ナルト-疾風伝』のオープニング曲として書き下ろした後、主人公ナルトの息子ボルトが主人公になった『BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』のために、「ボルトとVOLTAGEって言葉が似てる」ところから始まって、ボルトたちのキャラクターたちに向けての応援歌として、アニメの世界観にあわせて書き下ろしました。それまでは自分の生活にあるものを曲に組み込みたい、という気持ちが強かったのですが、「VOLTAGE」は真正面からアニメのためだけに書き下ろして、作っていくうちに自分にもどんどん曲がなじんできました。自然に「わかるな、この気持ち」「この言葉、元気出るな」って。良い作り方だったんじゃないかなと思っています。――アニメといえば、アルバムのラストを飾る13曲目「星瞬〜Star Wink〜」は、歌もストリングスも優しく染みる楽曲で、2021年公開のアニメ映画『夏目友人帳 石起こしと怪しき来訪者』の主題歌でしたね。夏目友人帳の世界観に向けて書いたところもあるのですが、2021年にシングルとしてもリリースしていた曲で、でも「星瞬〜Star Wink〜」はもともとあった楽曲なんです。沖縄で楽曲制作をしているすきまに散歩に行ったら、飛行機雲が空にあって、そこから歌詞が降りてきて。「あ、歌詞できそう。歌ができそう」と思い、「空には君の足跡」というワードが頭に浮かんで、そのまま歌詞を書きました。――6曲目「Homesick」は切ない恋心を歌った曲ですし、7曲目「KAKKOII」はリアルな心情のような歌詞が面白く、それぞれ曲調も異なり聴き手を楽しませてくれる印象です。いつも曲作りはどのようにしているのですか。先ほどお話ししたように降りてくるときもあれば、自分でトラックメイキングをして、「これすごく良いな、メロディつけておこう」とつけて置いておくこともあります。でも結果的には、自然に作ったものから曲を組み立てていくことが多いですね。――2022年10月から12月まで全国をまわるアルバムツアー「Anly “Loop Around the World”〜Track4/QUARTER TOUR〜」を開催されます。どのようなステージになりそうでしょうか。今回、ループペダルを使って、全国をまわっていくスタイルになります。ステージ上でギターを叩いた音とか、コーラスを録音してリピート再生させながら、それにあわせて曲を演奏する“ループペダルセット”として披露しています。だから、アルバムに収録している音源とは、またちょっと違ったアレンジでお届けすることになるかなあと。初めてライブに来る方は、「あの曲がこんなふうになるんだ」と、最初はもしかしたらびっくりするかもしれないですが(笑)。逆にそれは楽しみにもなってくると思うので、わたしもそういう気持ちでループペダルセットをやって“純度100パーセントAnly”というライブになっています。一緒に音楽を作っていく空間を楽しんでもらえたらうれしいですね。目標は故郷の伊江島で音楽フェスを開催すること――普段、日課になっていることやハマっているものがあれば教えてください。最近は、チョコレートプラネットさんとか、レインボーさんとか、お笑い芸人さんのYouTubeをよく観ます。発想豊かな人たちのものを観るのが好きで、日常で見過ごしているこういう人いるねとか、普通の言葉をゲームにできるんだという発明ぽいものを観ることができるので、よく観ていますね。――お気に入りのコスメやメイクがあれば教えてください。わたしの肌に合うんだろうなと、気づいたら『ケイト』のコスメばかり使っています。血色が良く見えるので、アイシャドウやチークは、オレンジ系にすることが多いですね。スキンケアは『イソップ(Aesop)』のスクラブ洗顔やクレンジングがお気に入りです。――食事やダイエットなど、美容面で気をつけていることはありますか。実は数年前まで、自分の体型を気にしすぎて、あまりご飯が食べられなくなったことがありました。その後、拒食からの過食になって。ご飯を食べること自体の意識をちょっと変えたんです。太るから食べないんじゃなくて、逆にいっぱい食べてみて感じたんですが、人間はそんなにすぐには太らないと知りました。それはわたしのなかで画期的な発見。ご飯を食べる量が、そこからは普通になったんですよ。おいしくご飯を食べたら、生活するうえでポジティブにもなるし、食べたいものを食べたいぶん食べることを肯定すると、いきすぎた量にならないんです。だから、いま体型を気にしすぎている女の子がいたら、心が苦しい気持ちがすごくよくわかるから、一緒にご飯を食べてあげたいって思います。好きなものを食べてほしいですし、体質にもよるかもしれませんが、「そんなすぐ太らないから大丈夫だよ」と女の子たちに言いたいですね。――では最後に、今後の抱負をお聞かせください。いままで通り、ジャンルにとらわれずに、自分の中で生まれた音楽をしっかりみなさんに届けられたらいいなと思っています。あとは、故郷の伊江島で、音楽フェスができたらいいなという目標があるので、これからも頑張ります。取材後記ドラマウォッチャーとして釘付けになって観ていたドラマの主題歌が、力強いボーカルとサウンドが印象的なAnlyさんのデビュー曲「太陽に笑え」でした。ananwebの取材では、音楽との出会いから今後の目標まで、いろいろなお気持ちを聞かせてくださいました。そんなAnlyさんの4枚目のアルバムをみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。取材、文・かわむらあみりAnly PROFILE1997年1月、沖縄県伊江島生まれ。2015年11月、シングル「太陽に笑え」でメジャーデビュー。以降、コンスタントに作品を発表し、国内だけではなく海外でもライブ活動を行う。2022年、初の47都道府県ツアー「Anly“いめんしょり”-Imensholy Tour 47- 」を完遂。10月12日、ニューアルバム『QUARTER』をリリース。10月から12月まで全国をまわるアルバムツアー「Anly“Loop Around the World”〜Track4/QUARTER TOUR〜」を開催。InformationNew Release『QUARTER』(収録曲)01.Alive02.Welcome to my island03.Do Do Do04.IDENTITY05.Angel voice06.Homesick07.KAKKOII08.CRAZY WORLD09.VOLTAGE10.カラノココロ – Matt Cab & MATZ Remix11.KOMOREBI12.Saturday Kiss13.星瞬〜Star Wink〜2022年10月12日発売*収録曲は全形態共通。(通常盤)SRCL-12265(CD)¥3,300(税込)(初回生産限定盤)SRCL-12263~4(CD+DVD)¥6,500(税込)【DVD収録内容】Anly “いめんしょり”〜Imensholy〜Tour 47 SECRET FINAL LIVE at 伊江島 (2022/7/10)Anly “いめんしょり”〜Imensholy〜Tour 47 -Behind the scenes-“Loop Around the World ~Track3~”東京公演 @渋谷 duo MUSIC EXCHANGE(2021/11/28)取材、文・かわむらあみり
2022年10月19日驚異的な速度で成長していくさまを示した「筍(たけのこ)の親まさり」ということわざがあるが、清原果耶はまさにそれを地で行く存在だ。『3月のライオン』「透明なゆりかご」『宇宙でいちばんあかるい屋根』「おかえりモネ」と、ここ数年で急成長。『ジョゼと虎と魚たち』ではボイスキャストとしても実力を見せつけ、『護られなかった者たちへ』では数々の賞を受賞。演技派俳優として、確かな地位を築いた。その清原さんが『ちはやふる 結び』の小泉徳宏監督、『愛唄 約束のナクヒト』の横浜流星と再びコラボレーション。水墨画の世界を描いた『線は、僕を描く』(10月21日公開)だ。彼女が扮した篠田千瑛は、水墨画の巨匠・篠田湖山(三浦友和)の孫であり将来を嘱望された存在でありながら、自身の描く線にためらいが生じる複雑なキャラクター。もがきながらオリジナリティを探す表現者を演じ切った清原さんに、ものづくりの信念を語ってもらった。――劇中で千瑛は「いままで通りに描けない」という壁にぶつかります。長く続ける表現者の多くが経験する苦悩ともいえますが、清原さんご自身はこれまでの道のりでそんな状態に陥ったことはありますか?スランプという言葉にすると大層なものになってしまうのですが、どの作品の現場に入っても毎回悩むことはありますし、毎回「その壁をどう乗り越えるか」の闘いではあります。そういうときは監督に聞きに行ったり、監督がどう思っているかの意識をなんとか汲めないか試行錯誤します。――「自分から聞きに行く」という行動理念は、清原さんの芝居に対するアプローチの根幹かと思いますが、スタイルに組み込むきっかけはあったのでしょうか。きっと単純に「わからないことをわからないままにしておくのが怖い」という想いからですね。「聞いたら何かしら答えに近づけるかもしれない、作品がもっと良くなるかもしれない」と思ったら、聞きに行かない理由はない。特別な理由はなく、「聞いてみて、考える」という選択肢でしかない気がします。――「聞く」怖さを、向上心が勝るというか。私自身は、聞きに行くことに躊躇してしまって、行動に起こせない方が悲しいと思うタイプです。そういった話し合いをできる人たちと一緒に作品を作っていきたいです。――流石です。今回は小泉監督・横浜さんと再タッグの方々が並んでいますね。『ちはやふる』のときは現場の雰囲気に合わせる感じだったので、今回も青春映画ではありますがちゃんと心の浮き沈みを表現したいなと思い、監督ともっとちゃんと話そうと心がけて現場に入りました。撮影中もかなり話しながら作っていきました。たとえば、千瑛と霜介(横浜流星)の関係性について。流星くんとも「千瑛と霜介は距離が近くなるけど、絶対恋仲にはならない」と話して、その信頼関係をどう見せていくかは都度「これくらいの距離感でいいですか」「ここは友達みたいな感じでいいですか」「いまのような雰囲気で大丈夫ですか」と確認していました。また、「千瑛がとっつきにくすぎると怖いかも」という話になり、強気すぎずちょっとガードを張っているくらいに調整していきました。あとは流星くんと並んだときに私が幼く見えないようにしたいなと思っていて、幼さはあまり入れ込まないようにしていました。声も少し低くして、でも低すぎると怖く見えるから微調整して…という感じでした。いまだからこそ明かす撮影エピソード――撮影に入る前、キャラクターのすり合わせで重要な対話の機会となるのが衣装合わせかと思います。印象的なエピソードはありましたか?終盤で着る着物の候補が2つあって、「どっちもとんでもないお値段なんだよ」と聞かされながら着て、とにかくひやひやしていました(笑)。こっちが「傷つけないように着なきゃ」と思っているそばで、みんな「墨を飛ばしちゃったらどうなるんだろうね」みたいなことを言ってて…(笑)。――清原さんでもひやひやされるのですね!それはもう(笑)。千瑛は水墨画を記号的に描きすぎてしまう役だったので、ちゃんと描けないといけない。ひやひやしながら練習していましたし、現場でも毎回ひやひやしていました。――教室で霜介や大学生たちに水墨画を教えるシーンなど、堂々とされていましたが…。あのシーンも余裕そうに見えたらいいなと思っていましたが、内心めちゃくちゃ緊張していて(笑)。みんなの前で説明しながら描かないといけないのが大変で、セリフが走ったり速くなってしまって小泉監督に「もうちょっとゆっくり、ゆとりのある感じで」と言われちゃいました。しっかりプロに見えないといけないので、緊張でプルプルしていたら全然説得力がない(笑)。頑張りましたが、余裕があるように見えていたならよかったです。根本にあるのは「演じることが楽しい」ということ――演技におけるオリジナリティについても伺いたいのですが、たとえば清原さんが幼少期から経験されてきたクラシックバレエは師匠やコーチから教わっていくなかで個性が発芽するものかなと。水墨画もそうかなと思いつつ、演技はまた違うベクトルのように感じます。お芝居も人によっては師匠がいる方もいらっしゃるかと思いますが、私に関してはおそらく今まで出会った監督やキャストの皆さんを見てきてこうなったという感じがあります。改めて、芝居におけるオリジナルってなんだろう?と考えるとわからなくなりますね(笑)。私の場合は様々な人の意見やスタイルが混ざったうえでの今なので、それは果たして真の意味でのオリジナルなのか?とは思います。――先ほどお話しいただいたように、演出やリクエストも入ってきますもんね。ただ、「清原さんが演じるから役が立ち上がる」と考えると、それはオリジナリティかなと。演じる際の、一個人としての感情――楽しさについてはいかがですか?やっぱり、「演じることが楽しい」というのは根本にあります。自分が演じる役に対して理解を深めきれるのは演じる人だけだと思いますし、役のことを考え続けたらその人が言いそうな言葉が自然に出てきたり、行動を起こしたりする。私自身の感覚が役にリンクして「お芝居って面白いな」と思うタイミングもありますし、そこまで完璧にリンクしなくても「この人のことを考えるだけですごく楽しい」という役もあります。私にとって役に向き合うことが、お芝居を面白い・楽しいと思う理由だと感じています。――最後に、インプットについてお聞かせください。清原さんは詩集をよく読まれている印象がありますが、そういったところからも感性を吸い上げているのでしょうか。そうですね。言葉をすごく信頼していた時期があって、詩集ってそれ以上でもそれ以下でもないんです。紙の上に言葉が載っているだけなのに、読む側はそこからイメージが広がって想いを馳せる。そういう瞬間がすごく好きなんです。音楽もよく聴きますが、メロディはもちろん歌詞も重視しているので、そういう意味では言葉への興味はずっとあるのかもしれません。最近だと宇多田ヒカルさんのアルバム「BADモード」をよく聴いています。(text:SYO/photo:You Ishii)■関連作品:線は、僕を描く 2022年10月21日より全国にて公開©砥上裕將/講談社©2022映画「線は、僕を描く」製作委員会
2022年10月19日ニューヨーク・タイムズ紙のコラム「Modern Love」に投稿されたエッセーに基づき、1話完結ドラマとしてスタートした「モダンラブ」。ニューヨークを舞台に、様々な愛にまつわる物語を展開してきた同作は、シーズン1、2を経て舞台を日本・東京に移した。全7話のエピソードからなる「モダンラブ・東京~さまざまな愛の形~」は、東京という世界の中でも有数の大都市のリアルを映し出すような、華やかな街に住まう人々の裸の心をそっと覗ける物語だ。各話には、マッチングサイトでの出会い、シニアラブ、セックスレス、リモートで芽生えた恋など、バラエティ豊かなテーマを持ち、2022年・今の東京の空気を感じられる仕上がりとなっている。このアンソロジー・シリーズのはじまりであるエピソード1「息子の授乳、そしていくつかの不満」では、仕事と子育てを両立し完璧を追求する高田真莉と、彼女のパートナーである河野彩の日常、その変化が描かれる。演じた水川あさみ&前田敦子は、ドラマ初共演にして心地よい協和を生み出した。インタビューでは、作品への意気込みから「もうできない!」と思った演技の苦労まで、和気あいあいと語ってもらった。――最初に、「息子の授乳、そしていくつかの不満」の脚本を読んだ感想から教えていただけますか?水川:何か大きな事件が起きるとかいうようなお話ではないのですが、私が演じる真莉とあっちゃん演じるパートナーの彩という女性のことに関しても、とりわけ説明をすることもなく、当たり前にストーリーの中に組み込まれていたんです。そうしたナチュラルな展開の仕方も、すごく素敵だなと惹かれたポイントでした。あとは、言葉で説明するようなことも少なかったので、すごく余白のある脚本だなと思いました。説明が少ないからこそ、空気感や相手との温度が作品に反映されるんだろうなと感じました。前田:私も、家族愛がとても素敵だなと思いました。女性同士の恋愛も受け入れている(真莉の)母親がいて、みんなで協力し合って生活をしていて。その中で、ちょっとした感情のやりとりがあり、ぶつかり合ったりするんですよね。それってすごい愛だなとも思うんです。家族の愛は深いなと、脚本を読んでいてすごく感じました。――水川さんは真莉を、前田さんは彩を演じるにあたって、大事にしていたことなどは何でしょうか?水川:真莉は子育ても仕事もどちらも大切にしたい、とにかく自分の理想に近づけることに必死で…。だから、一番そばで支えてくれる彩や、お母さんという身近な愛に気づけていないというか、少し見失っている状態でした。仕事も家庭も一生懸命やっている誰しもに当てはまるような出来事かもしれない、と考えながら演じていましたね。前田:私の役は、どちらかと言うと俯瞰で家族を見守る立場だったので、言葉も少なくて。いる雰囲気や空気感みたいなものはちょっと意識したほうがいいな、と思いながら淡々とやっていました。役柄と普段の私は全然違うとは思っています。でも彩は誰に対しても平等な感じがありましたし、こうやっていられたらいいなという憧れを持ちながら演じていました。水川:彩、裏表がないよね。前田:そう。淡々と、飄々としている感じで。彩が家にいると安心しますよね。水川:そうだよね。――水川さんはお料理も上手で完璧なイメージもあるので、こだわりがあるという面で、ご自身と真莉に共通点があるようには思わなかったですか?水川:私は好きなものが多いというだけで、別にこだわりではないんですよね。料理も難しいことそんなにやらないですし(笑)。だから好きなことをやっているだけで、完璧にやらなくちゃいけないという考えではないから、真莉とはわりと真逆かなと思っていました。前田:向き合い方がちょっと違うかもしれないですよね。水川:そうね、ことがらの向き合い方が違うかもしれないかな。――好きでやっているから完璧主義とは違うということですね。水川:全然完璧じゃないですし、できなきゃできないでいいと思っているんです。自分ができる範囲の中で自分が楽しめて面白くできないと続かないから。監督に「芝居するな」と言われて――水川さん&前田さんの芝居の変化とは――演じていて、特に心に残った場面やセリフはありましたか?水川:お話の中で真莉が今まで我慢していた気持ちや自分がとらわれていたもの、感情がわーっとあふれ出してしまう場面があって。そういうことって何気ないきっかけであったりしますよね。ポンってコルクが抜けてあふれ出すみたいな、そういう感情になるときがあるなと思いました。一見ちょっとしたできごとなんだけど、真莉にとってはすごく大きな変化で。そういうのは、すごく愛にあふれた生活だからこそありえることなので、素敵な場面だなと感じました。前田:私も水川さんのお話したシーンが、すごく素敵だなと思いました。「あ、安心できる場所がある!」と思ったので、すごくいいなあと。あと、私は真莉たち親子のやりとりをそばで見させてもらっていたんですけれど、すごいリアルだなあと思いました。こういう母娘の感じ、あるよなーって。感情論のぶつけ合いは、自分にも思うところはありましたね(笑)。水川:そっか(笑)!前田:母親には甘えたい気持ちもあるからこそ「わかって!」となっちゃうんですよね。「わかって!」が出過ぎてすごい感情論になっちゃうので、真莉ちゃんの気持ちは痛いぐらいわかりました。――監督ならびに脚本を務めた平柳敦子さんは、ロスなど海外で活動されていますが、普段のお芝居や演出とやり方が違うなどと感じたところはありましたか?水川:全然違いました。私はもうとにかく「芝居するな、芝居するな」と言われていたので大変でした(笑)。監督は“そこに存在する"ということを言いたかったんだと思うんですけど、表現するとなると、どうしてもプラスの要素が働いてしまうんです。つけ加えてしまうというか。それをなくしてほしいという演出方法は、私にとっては新しくて。悩んだけれど、とてもいい経験でした。前田:私は、ただただ水川さんを「さすがだな」と見守っているだけでした。監督が本当に空気感から作るのを大事にしてくれている方だったんですよね。水川:うん、うん。前田:私たちの家の中がそういう感じで。…なんか撮影という感じじゃなかったですね。水川:本当にそうだよね。――監督のいう「芝居するな」を体現するため、水川さんはどう工夫していったんですか?非常に自然な演技だと思い観ていました。水川:うーん、そうですね…。現場の雰囲気に助けてもらうことももちろんありました。あと監督に言われたのは「もう顔を動かさないで」って。前田:あー!言われましたね。水川:「もう能面だと思って芝居しろ」と言われたんです。最初は何のこっちゃわからなかったんですけど、私は自分が思っているよりも表情が豊かだから、ひとつひとつのセリフに気持ちを込めすぎている、ということを言われたんです。そんなことを言われたのが初めてだったから、それを0にする作業はすごく大変でしたね。くたくたになって家に帰ってくるという玄関先でのシーンは、何回も何回も撮り直したんです。「もうできない!」と言うと、「がんばれ!!」と助監督や監督に励まされて(笑)。前田:確かに、監督はあきらめないですもんね!「よし、もう1回」「もう1回」って。「何がなんだろうー?」みたいな。水川:わかんないよー!と思いながらやっていました(笑)。“凛とした人代表”の水川さん&“肝の据わった人”の前田さん――おふたりは過去にCMで共演されていますが、ドラマでは初共演となります。印象の変化はありましたか?水川:私はとても印象が変わりました。共演してみて、本当に肝の据わった人だなと思って、彼女の格好良さというものを知りました。その感じは、あっちゃんの役にもすごく反映されているんです。彩のどーんと構えてくれる感じは、あっちゃんの内から出てくるものもすごくあったと思ったから。すごく安心できて、ご一緒できてよかったなと本当に思っています。…横にいるから、こういう話はなんか照れくさいよね(笑)。前田:はい、褒めていただいてすみませんって思います(笑)。――CMで共演していたとき、前田さんは今回のような印象ではなかったんですか?水川:CMでは現場で少しご一緒したぐらいだったんです。だから印象というよりも、どういう人なのかをあまりわかっていなくて。あのときはかわいい印象が強かったけど、すごく覚悟の決まっているというか、肝の据わった人という印象になりました。何でも自分でやるし、ひとりでどこにでも行くし。そういう姿をそばで見ていて、めちゃくちゃ格好いいなと思いました。前田:嬉しいです、やったー!…いや、でも女性からしてみると、水川さんは本当に凛としている方代表だなと、私はずっと思っているんです。みんなに分け隔てないですし、現場でも本当にずっとそういう風にいてくれたので。そんな水川さんにそうやって言ってもらえて、すごい嬉しいです。Amazon Original「モダンラブ・東京~さまざまな愛の形~」は10月21日(金)よりPrime Videoにて独占配信開始。【水川あさみ】ヘアメイク:星野加奈子/スタイリスト:番場直美【前田敦子】ヘアメイク:高橋里帆(HappyStar)/スタイリスト:有本祐輔(7回の裏)(text:赤山恭子/photo:Maho Korogi)
2022年10月17日2020年3月6日、シム・ウンギョンは第43回日本アカデミー賞にて、『新聞記者』での演技で最優秀主演女優賞を受賞。ステージ上で、トロフィーを握りしめながら涙ながらに受賞の喜びを口にした。そして、その年の10月に放送が始まったのが、彼女にとっては初の日本の連続ドラマ出演となる「七人の秘書」。約半年前に美しい涙でお茶の間を感動に包んだ彼女が、同作では6人の仲間たちと共に、巨悪をぶった斬り、その痛快な姿に多くの視聴者が快哉を叫んだ。そんな同作が満を持して映画化。『七人の秘書 THE MOVIE』として10月7日(金)に公開を迎えた。シム・ウンギョンさん演じる“頭脳明晰なハッカー秘書”パク・サランは、アクションも見せるなど、映画でも大活躍! 公開を前にシム・ウンギョンさんに話を聞いた。初の日本の連続ドラマ出演を経て――ドラマ版の「七人の秘書」はシム・ウンギョンさんにとっては初の日本の連続ドラマ出演となりましたが、同作への参加はご自身にとってどのような経験になりましたか?このドラマを通じて、日本の多くのみなさんに私のことを知っていただくことができましたし、とても貴重な経験でした。木村文乃さんをはじめ、いろんな方たちと共演をさせていただいて、様々な経験を重ねることができましたし、自分にとっては“宝物”のような存在です。――ドラマが放送されて、反響はありましたか?私が演じたサランもそうですが、何よりも作品そのものがものすごくみなさんに愛されているのを感じました。こういう言い方は失礼かもしれませんが(苦笑)、私が予想していた以上に、みなさんに愛していただけたんだなと。だからこそ今回、こうして映画化も実現できたんだと思います。映画のチラシにも「悪いヤツら、ぶっ潰させて頂きます。」というコピーがありますけど、悪を懲らしめるという部分、そして一人でじゃなくて、みんなで力を合わせてというのが、みなさんの心を掴んだんだろうなと思います。――ドラマの放送から2年を経て、映画が公開となりますが、最初に映画化の話を聞いた時の気持ちは?先日から、みんなで取材を受けることがあったんですけど、私以外のみんなは「また次、あるでしょ」と予想してたみたいで、私だけが「やるのかなぁ…? もしやるなら、またみなさんとお会いできるなぁ」くらいの気持ちで待っていたんですよね(笑)。なので、またやるということ、しかも映画を作ると聞いた時は、すごく嬉しかったです!アクションが見どころ「すごくカッコいいです!」――映画の撮影はいかがでしたか?2年ぶりにみなさんとお会いして、最初は「お久しぶりです!」「元気ですか?」みたいな感じだったんですけど、それも一瞬で、すぐに「いや、私たちって昨日もずっと一緒の現場だったっけ?」と思うくらい、ドラマの時と同じ空気感でした。ずっと楽しくおしゃべりしてて、そのまま終わった感が強いです(笑)。「え? もう今日でクランクアップ?」と思うくらい、いつの間にか映画を撮り終えていました。今回はアクションも見どころなんですけど、みなさん、すごくお上手なんですよ。私が演じたサランもアクションに挑んでいますが、キャラクターの設定としてサランは怖がりなので、そこまでカッコいい感じのアクションではなく、ちょっとコミカルなんです。でも他のみなさんはすごくカッコいいです!――改めて、シム・ウンギョンさんから秘書軍団のメンバーを演じたみなさん(木村文乃、広瀬アリス、菜々緒、大島優子、室井滋、江口洋介)の印象についてひと言ずついただけますか。木村さんは、お会いする前は(木村さんが演じた)千代と似てるんじゃないかな? と思ってました。でも、すごくイタズラ好きなところがあったり、私のこともすごくかわいがってくれて「お姉ちゃん」というイメージです。広瀬さんは、あまりにも現場で面白過ぎて「私がいままで出会った日本人で一番面白い人だ」といつも言ってます。本人もそれが気に入ったみたいです(笑)。ボーっとしてる姿もしゃべっている時も、全てが面白いんですよ(笑)。今回の映画で広瀬さんのことがさらに大好きになりました!菜々緒さんは、クールなイメージがありましたけど、すごくさっぱりした人ですね。私にはずっと韓国のことを質問してくださって、すごくかわいがってくれました。大島さんは韓国語を話したいということで、時々私に「こういう言い方、韓国語で何て言うの?」と質問してくれました。現場でも韓国語教室みたいな(不思議な)場面もありましたが、面白くなりすぎてどんどんわけのわからない韓国語を聞いてくるんですよ。「なんでそんな言葉を知りたいんだ?」「それを知って、どこで使うんだ?」と思ってました。一応、教えましたけど…(笑)楽しかったです。室井さんも、韓国のドラマや映画が大好きでハマっていて、私の出演作までご覧になってくださって「あの作品の撮影の時はどうだったの?」というお話をしてましたね。江口さんは(演じた)萬さんそのままの存在感で、カッコよすぎて正直、私からなかなか話しかけられなかったんですけど、すごく優しくて、「あの映画、観た」とかいつもオススメの作品を教えてくださいました。経験を積み重ねてきたからこその不安「もっとちゃんとしなきゃ」――お話を伺っていると、シム・ウンギョンさんが現場でみなさんに愛されている様子が伝わってきます。日本でも活動されるようになって数年になりますが、生まれ育った国を出て、外国語で演技をするというのは、本当に大変なことだと思います。当初、日本で活動することに恐怖や不安はなかったんでしょうか?むしろ最初の頃のほうが恐怖感とかはなかったと思いますね。何も知らなかったからこそ「とにかくやってみます!」という感じで(笑)、勢いでどんどんいろんなことを経験させてもらいました。逆にいまのほうが、言葉も覚えて経験を積み重ねてきたからこそ「もっとちゃんとしなきゃ」と思ったり、「私はしっかりやれているんだろうか?」と悩んで不安になったりしますね。でも、そういう気持ちがあるからこそ、やり続けていくしかないんだとも思っています。――本作のサランだけでなく、これまでもいろんな作品を通じて、強い女性、戦う女性など様々な女性像を見せてきましたが、シム・ウンギョンさん自身がカッコいいと感じる女性、理想の女性像について教えてください。誰か特定の人に憧れたり、「この人みたいになりたい」というのはないんですけど、ありのままの自分でいたいという思いはあります。そうあるためにも、誰かに寄り掛かることなく、芯の強さを持った自分でいたいなといつも思っています。さっきの話とも重なるんですけど、この仕事をしている中で、悩んだり、怖くなったりすることもありますが、ありのままの自分であるために、続けていくしかないんだなと思っています。◆ヘアメイク:伏屋陽子(ESPER)◆スタイリスト:島津由行(text:Naoki Kurozu/photo:Jumpei Yamada)■関連作品:七人の秘書 THE MOVIE 2022年10月7日より全国東宝系にて公開©2022「七人の秘書 THE MOVIE」製作委員会
2022年10月11日【音楽通信】第124回目に登場するのは、ボカロP「バルーン」としても活躍しながら、現在は自分の声で歌うシンガーソングライターとしても活動し、とくに若い世代から絶大な人気を誇る、須田景凪(すだけいな)さん!ドラムに魅せられたのちボーカロイドの世界へ【音楽通信】vol.1242013年から「バルーン」名義でボカロPとして活躍、代表曲「シャルル」はセルフカバーと合わせて1億4000万回の再生回数を記録、3年連続で10代カラオケランキング1位になるなど若い世代の方を中心に絶大なる支持を獲得するなか、2017年からは自身の声で歌う「須田景凪」として活動を開始された須田景凪さん。バルーンとしても、須田景凪としても、注目を集めているなか、2022年10月7日に公開のアニメーション映画『僕が愛したすべての君へ』の主題歌と挿入歌となる両A面シングル「雲を恋う(くもをこう)/落花流水(らっかりゅうすい)」を配信リリース。さらに、声優としてもゲスト参加されたということで、お話をうかがいました。――そもそも須田さんの音楽との出会いから教えてください。ずっと音楽が流れている家庭で育ちました。両親ともに洋楽をよく聴いていた気がします。小学生のときに、幼馴染みから「かっこいい人たちがいる」とポルノグラフィティさんの曲「アポロ」を聴かせてもらって、その存在を知って。当時、アニメ『鋼の錬金術師』(MBS・TBS系ほか 2003〜04年)をよく観ていたんですが、ポルノグラフィティさんがオープニング曲を担当していた「メリッサ」という曲があって、そこで「音楽ってめちゃくちゃかっこいいな」と感じました。その後、中学2年生のときに同じ幼馴染みから、ポルノグラフィティさんのライブDVDを観せてもらって。サポートのドラマーの方がめちゃくちゃかっこよくて、その影響で自分でもドラムを習うようになりました。ドラムって全身を使ってダイナミックに動くじゃないですか。そこにすごく惹かれて、自分で楽器をやるようになったのは、それが入り口です。中学2年生から、高校、大学と長くドラムをやっていましたね。――ドラムをされていたら、バンドを組みたいという方向にはいかなかったのでしょうか。高校1年生から、組んだバンドがあって。そのバンドで売れたいから音大に行くというぐらい、本気でやっていましたね。大学は音大に行きましたが、そのぐらいの熱量を持って、ずっとドラムをやっていました。――では作詞作曲はいつ頃から?大学2年生ぐらいからですね。先ほどお話ししたバンドは、自分と高校の先輩とのツーピースバンドで、先輩が曲を作っていました。その当時はまだ自分自身では作曲のイロハも何もわからないときだったので、「ここをもっとこうしたらかっこいいんじゃないか?」というアイデアをわからないなりに先輩に話していたのですが、先輩と後輩という上下関係もあって、作曲する人は全員こだわりがあるのでことごとくアイデアが通らなくて。そんな状態が2年ぐらい続いて、ふと、そのアイデアだけで何曲か作れるんじゃないか?と思ったんです。その当時、自分はニコニコ動画というプラットフォームでゲーム実況の動画をよく観ていて。だから、ボーカロイドの存在も、もちろん知っていました。ボーカロイドカルチャーにはいろんな方がいらっしゃいますが、1週間前に作曲を始めました、というような人もいて。間口がとても広い環境なんです。しかも、ボーカロイドだったら、自分の音楽におけるワガママを100パーセント歌ってくれるというところから、「ボカロを用いて作曲したい」と思うようになりました。その頃はドラムしかしたことがなく、コーラスさえもしたことがなかったので、そもそも歌うという選択肢がなかったんですよね。作曲と同時にギターやピアノも始めたんですが、鼻歌で歌いながら曲作りをしていくなかで、それを続けていくと歌うことも好きになって、いまにつながるという感じです。――もともと音楽の才能をお持ちだったんですね。才能というものをあまり信じていないんですが、もともと一人っ子ということもあって。昔から、一人遊びをするのが好きなんです。淡々とした作業を黙々とやるのが好きで、自然と没入していったんだと思います。――ボカロPのバルーン名義で発表された代表曲「シャルル」は大ヒットされましたが、活動においてターニングポイントになった曲ですよね。そうですね、あの曲があったから、その後いろいろな可能性が広がっていきました。それと同時に、良い意味でボーカロイドカルチャーも変わった、と言っていただけることもあるので、「シャルル」という曲を書くことができて良かったです。――2017年10月には、ご自身で歌う「須田景凪」での活動を開始されました。「バルーン」から「須田景凪」へ活動スタイルを切り替えたきっかけは何だったんでしょうか。「シャルル」のセルフカバーは多くの方に聴いていただいていますが、ほかのバルーン名義の曲も、実は以前からときどきセルフカバーをしていました。例えば「朝を呑む」という曲とか。歌いたいから歌ってみたら、考えていたよりも何十倍もの方々に聴いていただいて、ありがたかったと同時に、考えるようにもなって。自分のなかで、バルーンというボカロPの楽曲は、誰が歌ってもカッコいいものを目指しているんです。でも「シャルル」は、8割くらい、自分が歌うために書いた曲だったので、それだと伝え方も変わってくると思いました。最初に曲を作るときに、ボーカロイド名義で歌うもの、自分で歌う名義のもの、と分けるようにして。それを決めないと、自分自身が混乱してしまう時期があったから。もうひとつの理由は、これはあくまで自分個人の考えなんですけど「ボカロPとしてのバルーンという人間を好きでいてくれる方がいたとして、ずっと追っていったら気づくともう自分の肉声でしか歌わない時期が生まれたら、それはもうボカロPじゃないよね」と自分では思ってしまって。僕は同時にいろいろなことをするのが苦手なので。それならしっかり名義を分けたほうが自分的にもリスナーの方的にも健全なのかな、と思い名義を分けました。どちらの名義でも、「良いものを書く」ことは、変わらない。ただ、須田景凪としての活動のほうがよりいっそう、自分の気持ちをのせやすいものを書いています。アニメーション映画の主題歌と挿入歌を配信リリース――2022年10月7日に両A面シングル「雲を恋う/落花流水」を配信リリースされました。「雲を恋う」は、映画『僕が愛したすべての君へ』の主題歌のオファーをいただいてから、そのときは映画を作る前の段階だったので、原作の小説を読ませていただいてから書き下ろしました。その後、主題歌を書き終わってから、絵コンテを見せていただく機会があって。挿入歌となった「落花流水」も作らせていただきました。この“僕愛”と同時に公開される、もうひとつの映画『君を愛したひとりの僕へ』では、“僕愛”で主題歌だった「雲を恋う」が挿入歌になっています。――2曲とも映画にぴったりで、とても物語の世界観を大事に、曲を描かれていますね。“僕愛”と“君愛”のどちらの作品を読んだときも、どちらも「自分」という核が強くあったうえでその後のストーリーの展開が起きていて。あえて「雲を恋う」では一人称、完全に自分目線で、青く未熟なさまを書きたいという気持ちが強くありました。このタイトルは、ことわざの「籠鳥雲を恋う(ろうちょうくもをこう)」からきています。とらわれている存在が自由な境遇に憧れているさまという意味なんですが、映画の主人公が感情を吐露できないもどかしさとリンクする部分があり、そこからつけましたね。そして仮に同じ人と何百年一緒にいたとしても、100パーセントわかりあうことは絶対にできないと思っていて。あくまで、ひとりとひとり、という部分は変わらない。でも、深い関係になるほど、ふたりだけにしか伝わらない空気感、密度だけでしか成り立たないものが増えてくるので、そういう部分にフォーカスして書きました。――では、「落花流水」はどのように曲作りされましたか。「雲を恋う」が一人称だとしたら、「落花流水」は三人称、俯瞰で見ている曲です。曲調は、挿入歌を初めて担当させていただくので、「雲を恋う」のミディアムスローな曲調よりもちょっとギャップがあったほうがいいなというところから、ストレートなJ-ROCK、J-POPを目指してできあがりました。――今回、映画にはゲスト声優としても参加されたことのみが発表されていますが、須田さんのせりふがどこなのか、観ていて最後までわかりませんでした(笑)。ということは、作品に馴染んでいたんでしょうか…。そういう意味では良かったです(笑)、初めてアフレコをさせていただいて、めちゃくちゃ難しかったです。歌も演技的要素はあるとは思うのですが、声優さんは100パーセント演技なわけじゃないですか。そこを振り切ってやるのって、当たり前ですが、すごい作業だなあと思いました。あと、担当させていただいたのは、本当につぶやくようなひとことだけのせりふなんですが、実際につぶやくだけだと映画で観たときに何を言っているか聞こえないし…。その空気感を推し量るのも難しくて、新鮮な作業でした。アニメーションと合わせてしゃべる、というのもすごく難しかったですね。――須田さんのファンの方には歌以外にも、映画のどの場面で声優としての声が聴けるのか、探すのも楽しみのひとつになりますね。では続いて、今回のシングルのジャケ写についても、お聞かせください。以前から好きな映像作家のtoubou.さんに描いていただきました。今年の3月に、toubou.さんが自主制作で出された『さざなみの少女たち』という、声や音楽以外、すべておひとりで作られて完結されている作品があって。それがめちゃくちゃ素敵で、単純にいちファンとして観ていて、今回のお話をしたら快く引き受けてくださいました。――“僕愛”と“君愛”の映画のトークショーに、主人公の暦の声優をされた宮沢氷魚さんと、“君愛”の主題歌を担当したSaucy Dogさんとともにご出演されていましたね。ライブ以外で人前に出るというのは非常に珍しいのではないですか。そうなんですよ。基本的に人前に出るときは歌うときなので、まさかトークだけで出るなんて(笑)。――宮沢さんとはもともと面識はあったのですか。宮沢さんは、「昼想夜夢」という僕のワンマンライブに来てくださったことがあって、ご挨拶させていただいて。そのときはライブが終わって5分後ぐらいだったので、記憶がだいぶ曖昧なんですが(笑)、とても親しみやすい方だなと思った印象があります。トークショーで久しぶりにお会いできて良かったです。誰が聴いても「いいよね」というポップスを追求――お話は変わりますが、最近ハマっているものはありますか。ダメージ加工のファッションが好きで、穴があいているデニムやスウェットも好きなんです。でも穴があいていなくても、「このパンツに穴があいていたらいいのにな」と思って、最近は自分で穴をあけていて(笑)。加工するときは、諸説あるんですがいろいろと調べまして、段ボールカッターで切ると、ダメージ加工ぽくなるかなあと試しています。――スタイリッシュな印象のある須田さんですが、今日もピアスがたくさんついていて、アクセサリーにもこだわりがありますか。今日は全部の穴にピアスをつけていませんが、全部で10個、耳に穴があいていますね。身につけているアクセサリーなどは、すべて私物です。ファッションは、そのときに着たいものを着て、アクセサリーもそのときにつけたいものを選んでいて。指輪はもっとつけたいですが、ギターを弾くときに邪魔になるので、必要最小限だけにしています。とくに左手はコードを押さえなくてはいけないので、多くはつけられません(笑)。でも、指輪をつけると気持ちが切り替わって、オンモードになれます。――シルバーアクセサリーがお好きなんですか?アイテムとしての色味だと、本当はピンクゴールドが一番好きなんですが、自分には似合わないので。結果的に、自分でもつけて好きなのは、くすんだシルバー系ですね。――ときどきInstagramなどで猫ちゃんの写真をアップされていますね。もう3〜4年前から飼っている、サイベリアンという種類の猫です。「ふとん」という名前です。小学1年生ぐらいから、ずっと実家で猫を飼っていました。たとえば、街に一軒、猫屋敷ってあるじゃないですか?僕の家がそうだったんです(笑)。家の外には常に5、6匹猫がいて、家の中にも5、6匹いて、だから猫がいるのが当たり前で、いないほうがソワソワしてしまいますね。でも猫は、ただ家にいて別の生活をしている存在、という認識なので、飼っているという認識もあんまりないところが楽ですし、好きですね。――いろいろなお話をありがとうございました! では最後に、今後の抱負をお聞かせください。5月にワンマンライブがあったり、夏はフェスにも初めて出演させていただいたり、そこで来てくださった方々が、「シャルル」をはじめとして曲を知っていて反応してくれたことがすごくうれしかったんです。自分のやっている音楽はポップスだと思っているんですが、ポップスって誰が聴いても「いいよね」と思える力があるものだと感じているので、そういうものを自分でももっと突き詰めていきたいです。それが結果的に、自分の活動にプラスにつながっていったらいいなと思います。取材後記ボーカロイドカルチャーが変わるほどのヒット曲を生み出すボカロP「バルーン」としても、ご自身の声で歌う「須田景凪」さんとしても、数々の多彩な楽曲を聴かせてくださる須田さん。ananwebの取材時、撮影ではミステリアスな魅力を放ちながらも、インタビューでは柔和な物腰でひとつずつ丁寧に応えてくださいました。そんな須田さんのニューシングルをみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。写真・山本嵩取材、文・かわむらあみりヘアメイク・牛玖文哉スタイリング・荒木大輔ジャケット¥68,200(税込)、スウェット¥85,800(税込、ともにstein)問合先:ENKEL tel.03-6812-9897須田景凪PROFILE2013年より「バルーン」名義でニコニコ動画にてボカロPとしての活動を開始。2016年に発表された代表曲「シャルル」はセルフカバーバージョンと合わせ、YouTube での再生数は現在までに1億4000万回の再生を記録。JOYSOUNDの2017年発売曲年間カラオケ総合ランキングは1位、年代別カラオケランキングの10代部門では3年連続1位を獲得し、現代の若者にとって時代を象徴するヒットソングとなった。2017年10月、自身の声で描いた楽曲を歌う「須田景凪」として活動を開始。2021年2月、メジャー1stフルアルバム『Billow』をリリースし、オリコンウィークリーチャート7位にランクイン。作詞作曲編曲のすべてを手掛け、ベットルームで音源制作からレコーディング、音源発表まで行い、多くの若者から支持を集めている。2022年10月7日、ニューシングル「雲を恋う/落花流水」配信リリース。InformationNew Release「雲を恋う/落花流水」(収録曲)01. 雲を恋う02. 落花流水2022年10月7日発売写真・山本嵩 取材、文・かわむらあみり ヘアメイク・牛玖文哉 スタイリング・荒木大輔
2022年10月09日シンガーソングライター・Charaの軽やかなたたずまいは、いつの時代もどの世代にも人々の憧れの存在として映る。現在、Charaさんはディズニー公式動画配信サービス・ディズニープラス「スター」の日本発オリジナルドラマシリーズとして制作された『すべて忘れてしまうから』に出演中。主人公のミステリー作家“M(阿部寛)”が通う「Bar 灯台」オーナー・カオルを演じ、キャリア初のドラマ出演を飾った。「新しいことに挑戦することが好き」と『すべて忘れてしまうから』への出演参加について話すCharaさん。輝き続ける活動の源泉は、新たなことへ飛び込む気持ちにもあったようだ。単独インタビューでは、26年ぶりとなった演技の仕事から始まり、年齢を重ねて変わったこと・変わらないことなど、Charaさんの内面についても伺った。毎日をハッピーに過ごす、ハッピーを見過ごさずに見つけられるCharaさんのマインドは、我々がより良い明日を過ごすため、幸せに生きるためのヒントが得られるはずだ。――『すべて忘れてしまうから』では初めてのドラマ出演となりました。これまでもたくさんオファーはあったと思うんですが、出演の決め手は何でしたか?今回は音楽を愛するカオルさんという役だったので、音楽つながりということもあったし、監督たちも「そのまま(のCharaさん)で」とおっしゃってくださったので、「できるかなあ~」みたいな感じで、お引き受けしました。例えば、役柄が主役とか重荷のものだったらちょっとできないけどね。あとは、燃え殻さんのこのエッセイでやると聞いたとき、「ええ、これ!?難しくない?」と思ったんです。淡々としていてミステリー要素もあって、割と地味と言ったらあれだけど…でも映像になったらじわじわとくる、新しい感じなんじゃないかなと思って。それは挑戦だと感じたから、素敵だなと思ったんです。挑戦することって、私、好きなので。――新しいことに踏み込む、やったことのないことに挑戦することは、日頃よりCharaさんの原動力のひとつだったりするんですか?チャンスがあったら、やれたら面白そうってなります。何だろうな…自分が知ってると思う以外のことって、たくさんあるじゃない。今回は「新しいことをやろう」と思っている人やチームに参加できたら面白いかも、と感じたので。そうやって違う筋肉を使ってみると「あれっ…」と気づくきっかけにもなりますし。例えば、お散歩でも意識しないと、道路の端っこ、コンクリートの間に咲いてるお花とかも見過ごしちゃうじゃん。そういうのと同じように「見過ごさないで気がつけることができる」ことが、何かあると思うんです。――今回のお芝居や現場での経験で感じたものが、Charaさんの創作の血肉になっていったりもするんですね?なってると思いますね。いろいろな人とコミュニケーションを取るほうが、自分で気がつかないうちに他人と接する筋肉、コミュニケーション能力の筋肉は活性化されるはずなので。だから違う現場、このチームに入ることで活性化されてるはずですけどね。もともと割と活動的なタイプですけど。――作品内では、とても自然な感じの演技に惹かれました。Bar 灯台では流れるような会話劇が続きますが、大変ではなかったですか?撮影前、友達の女優が心配して「Chara、本読みやってあげるよ~」と来てくれたりしたんです。娘も「やってあげるよ」と言って本読みをやってくれて、…台本はその2回ぐらいかな。今回はセットが本当に素晴らしかったから、「Bar 灯台に行けば、カオルさんになれる」みたいな状況があったんだと思います。美術さん、メイクさん、衣装さんもすごくこだわっていたんです。特にカオルさんは衣装がすごーく凝っていて、ほかの役者さんは毎回似たような服なのに(笑)、カオルさんだけ毎回違っていて。それは監督たちの希望でした。――監督からは、そのほかにオーダーもありましたか?監督が、現場で「やっぱり、それはなし」とか「こっちにしたい」と変えていくのはよくあることで、それは普通にあったかな。映像は監督のものだと思っているから、「言うことを聞いてやったらいい」と思っていました。だからむちゃぶりも結構あったんだけど、「やりたいな」と思って努力しました。自分にちょっとでも余裕がないと、人を愛する余裕は出てこない――先ほどお話された新しいことに挑戦する以外に、Charaさんが日々の生活などでも指針にしていることはありますか?魅力的に生きるヒントを知りたいです。私は普段から音楽的に生きてると思うけど、このインタビューを読まれている方と同じように、普通に人間です…(笑)。なので、「人生を楽しみたいな」と思っているから、自分が楽しい・ハッピーなことが何かを知ることがいいじゃないですか。年を重ねていくと、何がハッピーでこれが好きというのがたくさん分かってくると思うので、私もそれを大切にしてるんじゃないかな。家族も大好きで、友達も大好きだし。自分にちょっとでも余裕がないと、人を愛する余裕は出てこないと思うので、リラックスして生きていたいですね。そういうのに気をつけてるかも。あと、言葉に出してしまうと出したものは引っ込まないから、それも気をつけてますね。――ハッピーに感じることについては、年齢を重ねるにつれて変わっていきましたか?変わってますね。詞も書いているんだけど、言葉を紡ぐのがすごい好きなんです。若いときは、その辺に落ちてるような普通の言葉、要は「人がやってる使っている言葉を使いたくない!」みたいなのがあったんですよね。自分のオリジナリティーを理解してほしいのもあったのかな、新人さんは人と比較されちゃうじゃんそういう時を経て、27歳くらいのときに長女のSUMIREを妊娠したんです。妊娠して子供が生まれてくるとなると、すごい責任感があって。小さな子供も理解する言葉を改めて勉強し始めて、そこで「普通の言葉はなんて素敵なんだ!」と意識がとても変わりました。子供がいなかったときといるときで分けるとするならば、やっぱり全然違いましたね。前は、もうちょっと身勝手だったと思います。なんか心が豊かになって、いろいろ気がつける、気づきがすごいたくさんあるから、すごい優しくなったかな?――今、何をやっているときが一番ハッピーですか?私、大体何でもハッピーなんだけどね(笑)。「ああ、なんかうれしいな」と思うのが、子供たちが大きくなったので、ちょっと昔の母ちゃんとの出来事や思い出を、今の彼らと話して「ワハハ!」となるとき。何とも言えない楽しい雰囲気になりますね。「2回目の楽しみ」みたいなね。昔楽しかった出来事が、また今思い出せて話せて「すてき」と思うから、そういうのが楽しいです。――今はSUMIREさんも佐藤緋美さんも俳優業をやられていますが、作品を観て感想を言い合ったりもしますか?そうですね。娘のも息子のも観てチェックしてますね。感想を言うときもあるね。「意外と声が出ててびっくりしたよ」とか(笑)。作品を観ていて、「私の好きなこの俳優さんと一緒に出てるね!ママが好きだって言っといて!」とか(笑)。普通では考えられないけど、芸能一家だとそういう会話がありますね。――もしかしたらちょっとしたことかもしれないけれども、幸せを見つけたりハッピーに変換するのが、Charaさんは上手なのかもしれないですね。なんかそうですね。私、今ひとり暮らしなんですよ。子育てが終わって、みんな独立して。もともと家族と暮らしていたときから、アーティストでも、お母さんでも、1日のうちにどんなに子育てで忙しくても、ひとりでいる時間は本当に大切だと思ったんです。本当に忙しくて時間がなくても、寝る前のお手入れの少しの時間でも、みんなが寝た後に1杯飲んだりする時間とかでも、何でもいいんだけど…そういうルーティーンみたいなのが(自分を)支えるじゃん。そういうの、いいですよね。そういうのがうまいんじゃないかな。だから、意外とひとりでも、なんかやってるんじゃない(笑)。『すべて忘れてしまうから』は毎週水曜日、ディズニープラス「スター」にて独占配信中(全10話)。(C) Moegara, FUSOSHA 2020◆ヘアメイク:杉田和人(POOL)◆スタイリスト:小川夢乃(text:赤山恭子/photo:You Ishii)
2022年10月05日【音楽通信】第123回目に登場するのは、エンターテインメント精神にあふれる魅力が光る、ハロプロの個性派グループ、BEYOOOOONDS(ビヨーンズ)!3つのユニットが合体した現在12名のグループ写真左から、西田汐里、里吉うたの、前田こころ。【音楽通信】vol.1232018年に結成され、2019年にメジャーデビューした、BEYOOOOONDS。個性の違う「CHICA#TETSU」「雨ノ森 川海」「SeasoningS」という3つのユニットの合体グループでもあり、現在12名のメンバーからなるBEYOOOOONDSは、多くの楽曲に寸劇を取り入れるなど、ユニークさも加味したエンターテインメント精神にあふれる魅力が光ります。2019年には日本レコード大賞の最優秀新人賞、2020年には日本ゴールドディスク大賞のベスト5ニュー・アーティストを受賞。まだまだこれから大きく伸びていくに違いない、ハロー!プロジェクトの注目グループです。そんなBEYOOOOONDSが、2022年9月28日に2ndアルバム『BEYOOOOO2NDS(ビヨーンズ セカンド)』をリリースされるということで、グループを代表して西田汐里(にしだしおり)さん、前田こころさん、里吉うたのさんにお話をうかがいました。――おひとりずつ、所属ユニットとともに、自己紹介からお願いします。西田西田汐里、19歳です。私が所属する「CHICA#TETSU」は、スペイン語で女の子という意味の「CHICA」と、哲学の「TETSU」を表していて「物事を深く考える女の子」という意味が込められています。リーダーの一岡伶奈(いちおかれいな)ちゃんは鉄道が好きというのもあり、楽曲は駅や電車がモチーフになっていて、その駅、その路線ならではのちょっと切ない恋心を歌っていて。みなさんもよく通る駅を歌ったときは、共感してもらえる歌詞もあるかもしれません。BEYOOOOONDSのなかで「CHICA#TETSU」は、可愛い担当なんですよ(笑)。毎回ユニット4人全員で「一番可愛く見せよう!」と、気合を入れて歌っています。前田前田こころ、20歳です。私の所属する「雨ノ森 川海」は、一人ひとりの個性がとても強い5人組のユニットです。ユニット名は、人々の心に潤いを与えるグループになってほしいという思いから付けていただきました。普段はよくしゃべりよく笑う賑やかな私たちですが、楽曲を歌うときはガラッと雰囲気を変えるので、そのギャップが魅力かなと。「雨ノ森 川海」の楽曲は、女の子の複雑な感情を力強く表現していて、BEYOOOOONDSのときとは全然違う一面を見せていると思います。これからも私たちの成長に期待していただきたいです。里吉里吉うたの、21歳です。私の所属する「SeasoningS」はBEYOOOOONDS内で唯一のオーディション合格者3人のみで構成されたユニットなんです。特技を持ったメンバーを募集するオーディション「ハロー!プロジェクトONLY YOUオーディション」の合格者で、平井美葉(ひらいみよ)ちゃんと私がダンス、小林萌花(こばやしほのか)ちゃんがピアノを得意としています。「SeasoningS」では、メンバーそれぞれの特技を活かしたミュージカル調の楽曲が特徴。平均年齢22歳とBEYOOOOONDS内のユニットではもっとも年齢が高いので、ほかのメンバーからは、よく「お姉さんたち〜」と呼ばれています(笑)。――みなさんがハロプロに入ったきっかけを教えてください。西田まず「アイドルって楽しそうだな」と思い始めたのはアニメの『ラブライブ!』(TOKYO MXほか 第1期:2013年、第2期:2014年)を観たときです。当時小学生で、歌うことも踊ることも大好きだったので、よく姉とアニメの歌の振り付けをまねして歌っていました。小学校4年生の終わり頃、母がモーニング娘。’14さんのオーディションを見つけて、勧められたことがハロプロに入ったきっかけです。実はハロー!プロジェクトもモーニング娘。さんもほとんど知らなくて、何も知識がない状態で母に言われるがまま書類を送って。すると、なんと書類審査は通り、2次審査で落ちました!負けず嫌いだったので、オーディションに落ちたことが本当に悔しくて、毎日モーニング娘。さんの動画を見漁り、知っていくうちに好きになって「絶対ハロプロに入る!」と気持ちに火がつきました。そこからモーニング娘。′16さんのオーディションに応募し、メンバーにはなれなかったですが、ハロプロ研修生として活動していくことになりました。前田ハロプロに入るきっかけは、(モーニング娘。の元メンバー)工藤遥さんです。兄と工藤さんが幼なじみで、私も2歳の頃から仲良くしてもらっていて、工藤さんがハロプロエッグ(研修生)になったときに、ハロプロの存在を知りました。そして工藤さんがモーニング娘。さんに加入し、私もコンサートやイベントを観に行かせていただくようになり、どんどん大好きなりました。その頃私も「キラキラ輝くみなさんと一緒にステージに立ちたい」と思うようになり、何度かオーディションを受けた結果、ハロプロ研修生に加入することができました。約3年間研修生としてたくさんのことを学び、いまはBEYOOOOONDSとして活動させていただいています。小学生の頃からアイドルになるのが夢で、小学校の卒業アルバムにも「夢はハロー!プロジェクトのメンバー」と書いていました。ハロプロの一員として活動していることがいまでも夢のようです。里吉「ステージに立つ人間になりたい」と思ったのは、小さい頃にテーマパークダンサーの方のパフォーマンスを見たときです。小学校高学年の頃、ハロプロを知って、同世代の女の子がマイクを持って全力で歌って踊ってかっこいいライブをしている姿に夢中になりました。その後、ハロプロに入りたいと思ったのは、高校生のときです。進路に迷って自分の本当にやりたいことがなんなのか考えたときに、「ダンスとお芝居がしたい!」「大好きなハロプロのアイドルになりたい!」という結論に行き着いて。ちょうどそのタイミングでハロプロのグループであり、お芝居にも挑戦する新グループのオーディションが開催されることを知り、「これだ!」と直感的に感じて、オーディションを受けました。――2019年8月のメジャーデビューから3周年となりますが、当時と現在での心境の変化や違いはありますか。西田確実に違うのは、メンバーみんなのパフォーマンスのスキルです。3年間で思うように活動できない期間もありましたが、いろいろなステージを経験して、成長していったと思います。信頼感も3年間でかなり大きくなりました。メンバーの仲の良さも日々アップデートしています。みんな優しいから、私もみんなに優しくしたくて、優しいの相乗効果ができているなと(笑)。BEYOOOOONDSのためにたくさん考えてくださるスタッフさんと、優しいメンバーがいるので「みんなのためにも必ずいいステージにしたい」という気持ちが強くなりました。3年前は、がむしゃらにただ歌って踊って、時間がすぐに過ぎていってしまう感覚。でもいまは、応援してくださるみなさんの期待に応えるために、常にベストのものを届ける意識で活動しています。成長したBEYOOOOONDSがギュッと詰まったアルバム西田汐里。2003年6月7日、京都府生まれ。B型。座右の銘は「感謝の気持ちを忘れずに」。――2022年9月28日に、2ndアルバム『BEYOOOOO2NDS』をリリースされます。まずタイトルの意味や今作ができた手応えからお聞かせください。前田1stアルバムは『BEYOOOOOND1St』というタイトルで、今回2ndアルバムということで、シンプルに『BEYOOOOO2NDS』となっています(笑)。約2年10か月ぶりのアルバムということで、成長したBEYOOOOONDSがギュッと詰まった盛りだくさんなアルバムになりました。可愛い曲やかっこいい曲など、いろいろなジャンルに挑戦していたり、Interlude寸劇も収録されていたり。歌やダンスの成長だけではなく、演技力、表現力の成長も感じていただけるはず。私が初めて完成した音源を聴いたときに、改めてメンバーの成長を感じて、尊敬の気持ちがより高まりました。たくさんの方に聴いてほしいと自信を持って言える作品になっています。このアルバムを通して、より多くの方にBEYOOOOONDSのパワーが届くことを願っています。――今作は既発曲や新曲、初音源化作品を加えた13曲に、新曲にまつわる寸劇などが収録された全18曲の「DISC1」、グループ内3ユニットによる既発曲や新曲が収録された全6曲の「DISC2」という2枚組で構成されています。まずユニット曲が収録された「DISC2」からおたずねしますが、「CHICA#TETSU」の新曲は「待ち合わせは JR 梅田駅で」ですね。西田いままでは六本木、高輪ゲートウェイ、横浜と、関東の駅の楽曲を歌わせていただいていたのですが、今回は初めて関西に進出することができました(笑)! 今回も「CHICA#TETSU」の特徴である「可愛い×電車」の曲。大阪の梅田駅はとても迷いやすいと有名で、「JR梅田駅」は存在しない駅というのは、大阪に住んでいる方はみんな知っていることなのですが、今回はその架空名でのJR梅田駅で待ち合わせをするという曲になっています。少し聴くと続きも気になるストーリー性のある楽曲なので、無事に会うことはできたのか、楽しみにしながら聴いてもらいたいな(笑)。大阪ならではの歌詞や振り付けもたくさん出てくるので、大阪に住んでいる方もそうでない方にも、楽しんでもらえたらうれしいです。前田こころ。2002年6月23日、埼玉県生まれ。A型。座右の銘は「真剣勝負」。――「雨ノ森 川海」の新曲「循環」は、ユニット名にもまつわるような内容の歌詞となっていますね。前田歌詞の中に雨、森、川、海と出てきて、ついに「雨ノ森 川海」というグループ名の伏線回収をするような楽曲が来ました(笑)! 壮大かつ切ない恋物語を描いた、繊細で美しい歌詞がとても素敵なので、歌に乗せて大切に届けたいです。いままでの私たちユニットの楽曲とはまた違った雰囲気で、今回初めてミディアムバラードに挑戦しているので、新たな一面や成長を感じていただけるかなと。ほかのユニットのメンバーからも、歌もダンスもかっこいいとお墨付きをいただきました! いままでよりも少し大人のしっとりとした雰囲気も味わっていただけると思います。――「SeasoningS」の新曲「Get Back !ビニール傘の大冒険」は、ビニール傘の気持ちになれる歌詞のようですね。里吉歌詞は、人間の見ていない瞬間に自我を持って話し出すオモチャや動物のように、電車や駅に置き去りにされた傘たちが、いかにしてまた人間の元に戻れるか駅構内を大冒険するというストーリーです。とにかくコミカルで壮大なミュージカルのような1曲。曲の起承転結をしっかり演じられるように頑張っていますし、ビニール傘を使ったダンスにも注目していただきたいですね。――「DISC1」には、Interlude 寸劇「ノービヨンダ!ノーライフ」、Interlude 寸劇「こころとりかのドリームマッチ」、Interlude 寸劇「迷走委員会」と、寸劇ナンバーが収録されています。西田 「ノービヨンダ!ノーライフ」は、テレビショッピングのようなBGMから始まる、AIロボットビヨンダを中心とした寸劇です(笑)。清野桃々姫(きよのももひめ)ちゃんが、トークボックスで担当しているビヨンダに注目してください。「こころとりかのドリームマッチ」は、米派とパン派の主張が面白い寸劇。島倉りかちゃん演じる米派の女性は、こころ君に毎朝どんな朝食を用意しているのか、どんな争いになるのかも聴きどころです。里吉うたの。2000年9月22日、東京都生まれ。A型。座右の銘は「夢見ることができれば、それは実現できる」。里吉私は「迷走委員会」に参加しています。江口紗耶ちゃん演じる「幸せ笑っとけGOGO推進庁」の大臣の秘書役をしているのですが、大臣と秘書のなぜか息のあった掛け合いと、平井美葉ちゃん演じる議長、岡村美波ちゃん演じる野党党員のキャラクターの濃さにも注目してほしいですね。クスッと笑えるポイントがたくさんある寸劇になっています。――夏の全国ツアーを終え、秋からは「Hello! Project 2022 Autumn CITY CIRCUIT」が始まります。春、夏のツアーの手応えと、秋のツアーはどんなステージになるかをお聞かせください。前田これまで春、夏ツアーと初めて単独ホールツアーをやらせていただき、さらに単独日本武道館公演という大きな目標も達成し、夢がたくさん叶いました。毎公演ステージに立ち、きれいなペンライトが見えるたびに、多くの方々が来てくださっている現状にとてもビックリ。これだけ多くの方々がBEYOOOOONDSだけを観に来てくださっているということが、とてもうれしかったです。そういう一瞬ごとに改めて「BEYOOOOONDSは愛されているんだな」と感じられた幸せあふれるツアーでした。大きな夢を叶えた私たちですが、みんなもっと上を目指すぞという熱い気持ちは変わらず、その気持ちはより大きく膨らんでいて、そういう熱いところもBEYOOOOONDSの素敵なところだなと感じていて。秋ツアーでは、タイトルも「天高く、ビヨ燃ゆる秋」ということで、より熱く、パワーアップした、BEYOOOOONDSらしさ全開のショーをお見せします。どんなときもBEYOOOOONDSはみなさんの味方――お話は変わりますが、みなさんが最近ハマったものはありますか。また、休日はどのようにお過ごしですか。西田最近はマニキュアにハマっています。いままであまり興味がなかったのですが、マニキュアを塗り始めると、すごくきれいに塗れたときはうれしくて、そこから細かい作業をするのが好きかもと気づきました。休みの日は、好きなゲーム実況を見ながらのんびりパズルをして過ごしています。インドア派なのであまり外には出ないですね。前田最近は“1人〇〇”にハマっています。いままでは1人でどこかに行くことはなかったのですが、最近は1人映画、1人焼肉、1人ラーメンによく行きます(笑)。夜の人が少ない時間の映画館の雰囲気が特に好きで、とても落ち着く空間。1人なので、感想を共有できないのは少し寂しいですが、メンバーと会ったときに「この映画観たー?」などと情報交換する時間が楽しいですね。自分のペースでできるのが良いところなのですが、ご飯は誰かと一緒に食べるとより楽しいなとも思うので、メンバーとも行きたいです(笑)。休日は、お家でゆっくり録り溜めていたドラマを見たり、映画を観たり、YouTubeを見たり、愛犬とわちゃわちゃ遊んだりすることが多いですね。お家でゴロゴロしているとやっぱり眠くなってしまうのですが、お昼寝があまり好きではなく、睡魔と格闘しているときも……。里吉最近のマイブームは、ネイルです。もともとポリッシュを集めるのが好きだったのですが、今年に入ってついにセルフでジェルネイルに挑戦していて、それがすごく楽しい。細かい作業やアクセサリーなどのものづくりが好きなので、その延長線みたいな気持ちです。メンバーがネイルを褒めてくれたり、ブログに載せるとファンの方にも好評だったりするので、もっと上達できるようになりたいですね。――美容やダイエットなどで、普段から気をつけていることはありますか。西田 私はダイエットするのが苦手なので、なるべく太らないように、食べすぎた次の日は食事を控えめにするようにしています。また、リハーサルなどでずっと踊っていると太ももに筋肉がついてしまうので、それを防ぐためにストレッチ、マッサージをして着圧レギンスを履いて寝るように心がけていますね。あとはお肌のためにもきちんと睡眠をとること、ストレスをためないことを意識しています。前田まつ毛美容液を毎日欠かさず塗るようにしています。日々の積み重ねだと思うので、地道に頑張っていて、最近ちょっとまつ毛が伸びたような気がして。母に「伸びたよねー?」と言ったら、「わからない」と……めげずに地道に頑張ります(笑)。そして私は食べることを毎日の楽しみに生きているタイプで、無理な食事制限をするとストレスが溜まってしまうので、適度に食べ過ぎないよう気をつけつつも食を楽しむようにしています。食べちゃった罪悪感を抱くより、「おいしかった!」と幸せを感じて食べたほうが、吸収しにくいという話を聞いたことがあるので、それを信じています(笑)。里吉ヘアケアと美白ケアを大切にしています。トリートメントをしたり、ドライヤーにこだわったり、枕カバーをシルクに変えたり……。サラサラの長い髪はトレードマークでもあるので、いつもサラツヤでいられるように頑張っています。この夏は絶対日焼けしたくなくて、少し良い日傘を使ったり、日焼け止めはもう何本消費したかわからないくらい(笑)、暇さえあれば塗っていました。まだ日差しが強い日もあるので、継続していきます。――お気に入りのファッションやこだわりのコスメなどはありますか。西田こだわりのコスメは「オペラ リップティントN 06 PINKRED」です。メジャーデビューしたときからずっと愛用しているコスメなのですが、このリップをつけているときだけメンバーにもファンの方にも「リップ可愛いね」と褒めてもらえるんです! 色持ちもいいし、なにより褒めてもらえるのがうれしくてずっと使っています。前田もうすぐ秋ということで、大好きなジャケットの季節でとてもうれしいです(笑)。お洋服を買いに行くとついジャケットを買ってしまうので、家に帰ってからいつも「あ〜またジャケット買ってしまったぁ」となって。でもそのくらい好きで、年中無休でジャケットやジレを着ています。こだわりのコスメは、深めのカラーのリップ。こちらも1年中つけています。とくにお気に入りなのは「KATEのLIP MONSTER 05(ダークフィグ)」。使いすぎてもう3本目に。いつもコスメについての情報は、BEYOOOOONDSの美容番長、里吉うたのちゃんに聞くことが多くて、おすすめを教えてくれるので助かっています。里吉あまりお洋服のスタイルを限定しないようにと、今までガーリーなお洋服が多かったところ、最近はカジュアルなお洋服にも挑戦しています。みんなすごくオシャレなので、メンバーのファッションを参考にすることも。コスメの最近のお気に入りは、青みすぎず黄みすぎないニュートラルなカラーを選ぶことが多いですね。ずっと青みピンクが好きだったのが、苦手意識のあったブラウン等を選ぶことも増えて、またさらにメイクが楽しいです。――いろいろなお話をありがとうございました! では最後に、今後の抱負を教えてください。前田BEYOOOOONDSは優しさや愛にあふれるグループで、私はその空間がとても大好きなので、BEYOOOOONDSの輪をもっと広げていき、より多くの方々に私たちから幸せをお届けすることが目標です。日常の中で辛いこと、悲しいこと、苦しいこと、たくさんあるかもしれません。どんなときもBEYOOOOONDSはみなさんの味方なので、少しでも生きる支えになれたらうれしいですね。取材後記BEYOOOOONDSのユニット「CHICA#TETSU」から西田汐里さん、「雨ノ森 川海」から前田こころさん、「SeasoningS」から里吉うたのさんがananwebに登場してくださいました。BEYOOOOONDSというひとつのグループでありながら、キュートさもあり、ユニークさもあり、多面的にカラフルに輝いているみなさんです。そんなBEYOOOOONDSのニューアルバムをみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。取材、文・かわむらあみりBEYOOOONDSPROFILE2018年10月に結成され、2019年8月、1stシングル「眼鏡の男の子/ニッポンノD・N・A!/Go Waist」でメジャーデビュー。「BEYOOOOONDS」は、「CHICA#TETSU」「雨ノ森 川海」「SeasoningS」という3つのユニットの合体グループとなっている。グループ名の語源は、英語のBeyond(ビヨンド)で、「〜を超えて」「〜の向こう側へ」という意味。既成の枠組みなどを超えて、自由に未来へ大きくビヨーンと伸びていってほしいという思いが込められている。2019年9月、1stシングルが日本レコード協会からゴールドディスク認定。12月、第61回日本レコード大賞「最優秀新人賞」受賞。2020年2月、第34回日本ゴールドディスク大賞「ベスト5ニュー・アーティスト」受賞。2021年3月、2ndシングル「激辛LOVE/Now Now Ningen/こんなハズジャナカッター!」をリリースし、 デビュー曲から2作連続オリコン週間ランキング初登場1位を獲得した。2022年9月28日、2ndアルバム『BEYOOOOO2NDS』をリリース。InformationNew Release『BEYOOOOO2NDS』<Disc1>BEYO盤(収録曲)01.虎視タンタ・ターン02.英雄~笑って!ショパン先輩~03.Interlude寸劇「ノービヨンダ!ノーライフ」04.Hey!ビヨンダ05.Interlude寸劇「ノービヨンダ!ノーライフ」後編06.Now Now Ningen07.涙のカスタネット08.激辛LOVE09.ハムカツ黙示録10.Interlude寸劇「こころとりかのドリームマッチ」11.Never Never know~コメ派とパン派のラブウォーズ~12.Interlude寸劇「こころとりかのドリームマッチ」後編13.ビタミンME14.フレフレ・エブリデイ15.Interlude寸劇「迷走委員会」16.GOGO大臣17.こんなハズジャナカッター!18.オンリーロンリー<Disc2>UNIT盤EPCE-770601. 待ち合わせは JR 梅田駅で(CHICA#TETSU)02. 循環(雨ノ森川海)03. Get Back !ビニール傘の大冒険(SeasoningS)04. 二年前の横浜駅西口(CHICA#TETSU)05. ヤバイ恋の刃(雨ノ森川海)06. ワタシと踊りなさい!(SeasoningS)2022年9月28日発売*収録曲は全形態共通。(通常盤)EPCE-7705〜6(2CD)¥3,300(税込)(初回生産限定盤)EPCE-7702〜4(2CD+Blu-ray Disc+ブックレット)¥6,600(税込)※Blu-ray Discの内容は、「虎視タンタ・ターン」を含むMV集・各ユニット曲Dance Practice Movie・メイキング映像。取材、文・かわむらあみり
2022年09月27日【音楽通信】第122回目に登場するのは、圧倒的な歌声が幅広い世代に支持されている、日本を代表するシンガー、Toshlさん!小学校の全校生徒の前で歌ったことが歌の原風景【音楽通信】vol. 122その卓越した表現力や一瞬で心をつかむハイトーンボイスなど、圧倒的な歌声が多くの人たちに支持されている、日本を代表するシンガーのToshlさん。音楽活動はもちろんのこと、絵画展を開催するなど、クリエイティブな才能を発揮し続けています。近年は多くのバラエティ番組への出演によって、お茶の間でも注目が集まり、世代を超えてファンが増加しています。そんなToshlさんが、2018年から発表している名曲カバーアルバム“IM A SINGER”シリーズの第3弾となる『IM A SINGER VOL.3』を9月28日にリリースされるということで、音楽的なルーツなどを含めて、お話をうかがいました。――あらためてToshlさんの幼い頃の音楽環境から教えてください。母親がピアノ講師で、自宅でピアノ教室を開いていたものですから、小さい頃から家ではピアノの音が鳴っていました。ですが、ピアノを習ったことはなく、歌いたいがために独学でコードを練習するという環境。兄はフォークギターを弾いていたので、10歳ぐらいのときには、自分でも必然的にギターを弾きはじめるようになって。当時は、テレビの音楽番組やラジオの歌謡番組が好きで、よく観て聴いていた子どもでした。楽器を弾いたり、歌を歌いたいときは、当時はまだカラオケがない時代で、自分で伴奏をするしかなかったんです。その頃はアイドルが出ている雑誌『平凡』などを買うと、付録に歌本といわれるヒット曲の歌詞やコードが書いてあったので、知っている曲も知らない曲も、勝手に弾いて歌い始めた、というのが“自分で歌うことの始まり”だったと思います。――歌うことが楽しいと思った理由はなんだったのでしょうか。当時、バスに乗って下水処理場などを社会見学するような「学習旅行」というものがありまして、バスの中でみんなで歌うので、マイクがまわってくるんです。そのときに二葉百合子さんという、浪曲の歌手の方が発表した当時大ヒットしていた曲「岸壁の母」を歌ったんです。すると、大喝采を浴びまして。僕が女性の高い声でこぶしで歌うような曲を歌ったものですから、担任の先生がいたく感激をされて「あなたは今度、全校朝会で歌いなさい」と言われて、当時は全校生徒が1,500人ぐらいいたのですが、全校生徒の前で歌って1,500人から拍手喝采を浴びました。それから何度か、そういった機会を先生が設けてくださったので、何度も歌を歌って。「気持ちいいもんだな」「人前で歌うと拍手をもらえるんだ、歓声を受けるんだ」ということが、子ども心にすごくうれしかった。それが歌うということの原風景になっていると思います。――歌番組はもちろん、近年ではバラエティ番組にも参加されていますが、もともとバラエティ番組へ出演するきっかけはあったのでしょうか。歌を歌うことや人間関係について、行き詰まりを感じていた時期に、「新しいことにチャレンジしてみたい」と思ったことがきっかけですね。とはいえ、新しいことにチャレンジするときは不安もありましたが、まわりの信頼できるスタッフが後押しをしてくれたので、重い腰を上げて。そうすると「こういうオファーが来ています、こんな企画も」と、スタッフがバラエティへのチャレンジに誘ってくれたんです。最初は、僕がスイーツ好きだということを調べてくださった番組の方からの企画で、スイーツのロケをする番組でした。「スイーツのロケ?」と、最初はイヤイヤ参加していて(苦笑)。ですが、現場に行ったときに、スタッフのみなさんが一生懸命番組を作っていらっしゃる姿を目にして、考えが変わりました。その現場では、僕がテレビに出始めた頃と違って、カメラマンもアシスタントの方も、音声さんも音響さんも、ディレクターもプロデューサーも女性の方が多くて。スタッフの半数くらいの方が、女性という現場だったんです。その女性のスタッフの方々が汗をびっしょりかきながら、重い荷物を持って、一生懸命やってくださっているのを感じて、自分がイヤイヤそこにやらされる感いっぱいで参加しているのが恥ずかしくなって。みんなこうやっていい番組を作ろうと汗水たらしているのに、自分はなんなんだと。参加するには、みんなでいい番組を作らなくてはと反省しました。そこからですね。いまでも葛藤があるときもありますが、やると決めたら、音楽でもバラエティ番組でもなんでも、どんな仕事にしてもみんな真剣にやっているんだから、自分もそれ以上の気持ちでやらないとダメだと思って取り組んでいます。そこから始まったことが、いまの活動につながっています。――わが家の小学生の子どもも、バラエティ番組のToshlさんの歌を聴いて「あの歌のすごい人だ」と言っていますし、幅広い年代の方から反響があるのではないでしょうか。本当にうれしいですね。長い間歌ってきたなかで、いまが一番ポピュラリティーがあるとありがたく感じています。おっしゃってくださったように、子どもたちが応援してくれたり、「歌がうまいおじちゃん」と言ってくれたり(笑)、老若男女世代を超えたさまざまな方々の声はSNS等でメッセージを拝読することもあります。それが推進力にもなりますし、自分の殻を破って楽しくチャレンジしていくと、その先に必ず新しい感動があるんだな、と肌で感じていて。少しずつでも前に進んでいくこと、チャレンジすることは尊いことだなと思っています。ディズニー3部作が原点となったカバーアルバム――2022年9月28日に、カバーアルバムの大ヒット企画「IM A SINGER」シリーズの第3弾『IM A SINGER VOL.3』をリリースされます。前作から3年ぶりのタイミングとなりますね。いままで1年に1枚カバーアルバムを出してきたのですが、コロナ禍になりまして、全世界的に閉塞して萎縮する事態に直面して、一度アルバムの制作を延期にしていて。やっと第3弾が完成しました。歌いたいのに歌えない、届けたいのに届けられない、声を出したいのに出せないとなると、気持ちがヒリヒリしましたが、逆に、歌を歌うようになって以来一番「歌いたいんだ」という思いが湧き上がってきました。じゃあ、この状況のなかで歌うようにするには、どうしたらいいかとなったときに、今しかできないこと、今だからこそやりたいことを考えました。まず、最初に、キャンセルで空きが出ていた大きなコンサートホールをお借りして、たったひとりだけのお客さまの前で歌を歌うコンサートを開催する企画をしました。僕がお客さまになったら、たったひとりでコンサートホールを独り占めにして、推しのアーティストの歌をじっくり聴いてみたいですから。こんなこと、今しかできないな、と思いつきました。また、自粛ムードであらゆる仕事などもキャンセルとなり外出も憚れるような時期はひたすら絵を描いて、金沢21世紀美術館で美術展を、人数を制限させていただきながら開催させていただきました。どんな逆境でも匍匐前進して、運命を切り開いてやると決め、「プロジェクト運命」と名づけて、関係者の方々のご協力やファンのみなさんの心強い応援もいただきながら表現活動を続けることができました。深く感謝しています。そして今回、『IM A SINGER VOL.3』を届けることができてうれしいです。――今作には、ディズニー3部作が収録されていますね。音楽番組『題名のない音楽会』(テレビ朝日系 土曜午前10時)で披露され、同番組の司会者で俳優の石丸幹二さんとのデュエット曲「美女と野獣」、「イントゥ・ジ・アンノウン~心のままに」、新たにカバーされた「スピーチレス~心の声」。ディズニーの名曲を歌いたいお気持ちが強かったそうですね。今回のアルバムに収録したい曲、歌いたい曲はたくさんあって当初悩みましたが、まずはやっぱりディズニーの曲が歌いたいと強く思いました。レコード会社の方がディズニーさんに打診してくださって、3曲歌ってもいいですよ、と言っていただいて。「3曲も歌っていいの!?」となって(笑)、厳選したのが今回の3曲です。今作は、ディズニーの音楽が、最初のスタート地点。世界中で多くの方が知っている楽曲であるということと、自分が感動した音楽であること、映画ももちろん素晴らしいということ。一番思い出深い曲は、「美女と野獣」なんです。24歳の時に、アメリカのロサンゼルスに渡って暮らしていたことがありました。その頃、ロサンゼルスのダウンタウンというエリアで、「ビューティー・アンド・ザ・ビースト」というミュージカルが公開されて。さっそく観劇したところ、ものすごく感激しまして、その後も何度も劇場に通いました。その帰り道に、ロサンゼルスのハリウッドにあるタワーレコードでミュージカルのサントラのCDも買って。その舞台で披露される英語が聞き取れるようになり、歌えるようになりたい、ということろから、自分の挑戦が始まりました。サントラを聴き込んでいましたね。さまざまな困難や葛藤の中でも、一生懸命やっていた青春の思い出もあり、ストーリーからは勇気や感動をもらって、背中を押してくれたあるいはなぐさめてくれた曲でもあって。ディズニーの中で一番好きな曲ですし、ディズニーのプリンセスの中では、(美女と野獣のヒロイン)ベルが一番憧れの女性でもあります。――石丸幹二さんとの「美女と野獣」のデュエットはいかがでしたか。石丸さんは日本でのミュージカル『美女と野獣』で、当時劇団四季にいらして、実際にビースト役を演じられた方。今回も楽しくデュエットさせていただきました。前作「VOL.2」のときに、キャッツの「メモリー」という曲を歌っていて、NHKの番組で披露するときに初めて石丸さんと出会ってデュエットさせていただいたことがありました。同年代で同郷ということでも盛り上がって、その際石丸さんが司会をなさっている「『題名のない音楽会』に出させてください」と自分からアピールしたところ、番組に何度も呼んでくださいました。また、石丸さんのラジオ番組に1か月間にわたりゲストとして招いていただき、ご縁が深くなって。石丸さんはアドバイスや心のうちを語ってくださるなど、プライベートなお話をさせていただくなかで、とても共鳴し、ともに高め合えるような関係となりました。今回デュエットで歌うときに、やはり石丸さんに歌っていただきたいと心よりお願いさせていただきました。――VOL.1と2では、男性曲と女性曲のカバーでしたが、今回VOL.3ではすべて女性シンガーのカバー曲です。選曲の決め手はどのようなものでしたか。選曲するときに、歌いたい曲ばかりで収集がつかなくなるんですよね。ただ、今回は最初に選んだディズニーの3曲が全部女性アーティストの曲だったので、まず女性の楽曲であることをカテゴリーにしようと選んでいきました。歌ってみたい曲、感銘を受けた曲などを自分で厳選していきまして、今回のラインナップになりました。絞るのが大変だったんですが、素敵な曲をみなさん歌ってもいいよ、と許可くださったので、ありがたかったですね。――カバー曲の一方で、今回はToshlさんの美しく切ないオリジナル楽曲「葉ざくら」も収録されていますが、どのようなシチュエーションで生まれた曲ですか。レコーディングを半年ほど、長い期間をかけて進めてきた間に、アレンジャーやレコード会社のスタッフの方など、みんなとコミュニケーションを取る時間を大事にしていて。僕が必ずスイーツを買っていって、レコーディング中に「モグモグタイム」と名付けて、いろいろな会話をするようにしました。そこでインスピレーションを受けて書こうと思ったのが、「葉ざくら」ともうひとつのオリジナル曲「しあわせになるんだよ」です。「葉ざくら」は、アレンジを担当してくれた川口大輔さんのプライベートスタジオでのモグモグタイムの際、遺影が飾られていたことに気づきました。「お父さまですか?」というお話から「そうなんです、こういう父でこうだった」という思い出のお話を拝聴した際、レコード会社のスタッフの方も加わって、他界した自分の父のことも思い出しながら切なくなりながら話して。一緒にいま作ってくれている大切なスタッフの思いも込めた楽曲を書きたい、そうすれば僕だけではなく、みんなの曲になるからという思いから作った曲です。「にゃんたろう」というワンちゃんを飼っているんですが、桜並木を一緒に散歩するのが好きで。その頃はちょうど桜の花が蕾から徐々に咲いて、やがて満開になり、そして散っていく桜の季節でした。葉ざくらになった頃、太い樹の幹からも、可憐な花が咲いていて、その周囲に新しい小さな芽が出ているのを見つけたんです。時の流れとともに、親から子へ、そして孫へ、さらにその先へ、連綿と続いてく命の連鎖を感じて、にゃんたろうを抱きながら何か「じ〜ん」とする感覚がありました。そこから「葉ざくら」のアイデアが生まれました。――オリジナル曲「しあわせになるんだよ」は、以前、ニンゲン観察バラエティ『モニタリング』(TBS系 毎週木曜午後8時)の企画で林家たい平さんとのコラボレーション曲としても披露されたウエディングソングですよね。そうなんです、番組のオーディション企画でたい平さんを選ばせていただきました。ふたりで歌わせていただく場合、どういうシチュエーションがいいかなと考えると、自分が好きなモニタリングはサプライズで結婚式をするとか、プロポーズするとか、新曲を披露するなら感動的なものがいいなと。たい平さんは娘さんがいらっしゃることも知り、そこで、娘さんへの思いをスタッフ複数人からもうかがって、父親になるとこういう気持ちになるんだなという思いと、自分の想いも重ね合わせ、親子の想いを書きました。――今回、カバー曲とオリジナル曲の両方を収録されていますが、歌唱する際はカバー曲よりもオリジナル曲のほうが歌いやすいなどの違いは感じるものでしょうか。歌いやすい曲というのはありません。カバーをさせていただくというのは、とてもプレッシャーがあります。本番のボーカルレコーディングの前に自分のスタジオでも練習レコーディングして、プリレコーディングを重ねています。カバー曲は、その楽曲自体や、その楽曲を歌われている歌手の方や、その楽曲のファンのみなさまになるべく失礼のないように準備をする、というのが礼儀だと思っています。楽曲を研究し、探求し、練習し、リスペクトを持って歌わせていただくために、しっかり準備をしてからレコーディングに臨みます。楽曲に対して心身を削るように深く取り組めば取り組むほど、自分へ返ってくるものも深くなるような気がしていて、それが自分の表現を進化、深化させてくれる大切なエレメントとなっているのかなとも思っています。挑戦を続け、日々何かを感じる心を大切に育む――お話は変わりますが、普段のご様子も教えてください。曲作りのお話の際もお名前が出ておりましたが、愛犬のにゃんたろうちゃんはインスタグラムにもときどき登場しますね。縁があって僕のところに来てくれて4年ぐらい経ちますが、にゃんたろうには、いつも救われています。――ワンちゃんですが、「にゃんたろう」というお名前なのですね?ニャンちゃんも好きなんですが、ワンちゃんなので(笑)。それから、にゃんたろうは「ワン」とは鳴かなくて、たまに鳴くときは「ぶ〜」と鳴きます。背中の模様だけ見ていると、ニャンちゃんにも見えるときがあります。「なんかどっちつかずだな、おまえ、犬なのか猫なのかはっきりせい!」というところからも「にゃんたろう」と名付けました(笑)。歌を歌ったり、絵を描いたり、日々クリエイティブなことをすると精神的にも肉体的にも疲弊することが多くて。そんなときに、にゃんたろうとの時間は、僕にとっての癒しであり、「にゃんくんのためにも頑張ろう!」と思えるかけがえのないパートナーです。――オリジナル曲「しあわせになるんだよ」に、「チワワの刺繍」という歌詞も出てきますよね。そうなんです、入れておきました(笑)。――音楽活動以外では、絵画展を開催されるほど絵を極めていらっしゃいますが、ご趣味というと絵のほかには、スイーツ作りでしょうか。最近はなかなかスイーツ作りができないんです。やるとすれば、料理は餃子を焼くぐらいはしますね(笑)。趣味とは言えないかもですが、絵をずっと描き続けています。先日も、何か月もかけて100号のキャンバス10枚を使用した大作の絵を完成させました。実は、数年前から山形県内に新しく建造する音楽ホールのプロデュースをさせていただいて、その会場の入り口正面に飾る絵を描かせていただきました。音楽ホールを作るという大きなプロジェクトに関わらせていただいたので、音響や音楽ホールの建築の勉強もして、プロデュースもさせていただきました。これも僕の新たな挑戦でもありました。自分でプロデュースしたコンサートホールでコンサートができることも夢のような話で、今からワクワクしています。ananwebの読者の方は女性が多いと思うので、みなさんもご興味があるかもしれませんが、実は僕、化粧品の研究をしています(笑)。これも趣味と言えるかわかりませんが、お肌のトラブルで悩んでいた時期もあり、とても興味があって。たとえばコンサートグッズなども、デザインなども含めなるべく全部自分で作るようにしています。音楽も絵もグッズなども創作作品という意味で同じだと思っていて、すべて自分でやれるところはやりたい。祖父が畳職人だったせいか、職人気質が好きで、何事にも自分の心を宿したいという気持ちがあって、それはお肌に対しても同じ。――すごくお肌がきれいですね。ありがとうございます。数年前から、「どういうものがどうお肌にきくのかな?」と、いろいろと試行錯誤しています。自分でいいものを作れないかな? と、化粧水や乳液、美容液について専門家の方にもお話をうかがったり、調べたりしています。歌でもアートでもグッズでも化粧品でも、なんでも、結局、みなさんが喜んでくださるようなものを創り出すことが楽しくて嬉しいし、それが自分の喜びなんです。――襟元のカメオも素敵ですが、こだわりがあるんでしょうか。8年ほど前に茶道を始めて、人に対するおもてなしの心や所作を学ばせていただいています。人になるべく嫌な思いをさせないよう、相手に対しての敬意が大事。身なりや立ち居振る舞いなどはできる限り、失礼のないように心掛けています。――いろいろなお話をありがとうございました。では最後に、今後の抱負をお聞かせください。今回、ひとつのアルバムという作品が生まれました。たとえば『題名のない音楽会』で石丸さんと一緒に歌わせていただいた様子が先日オンエアされましたが、アルバムのレコーディングを経て、また新たに歌った「美女と野獣」は、自分の中でなんとなく成長しているようにも感じます。そうやって経験するたびに日々アップデートしてくのは、音楽も絵も、また、人との関わりもそう。ですから、常に挑戦を続けていくことにはゴールがないんですよね。日々、新しい何かに気づけたり出会えたりすることがあるので、そういう新鮮な感動を感じる心をこれからも大切に丁寧に育んでいきたいです。ananさんに出るのは30年ぶりぐらいなので、また出していただけるようにもっともっと張り切ってがんばります。取材後記ロックからポップスまで、多彩な楽曲で表情豊かに歌声を聴かせてくださるToshlさん。撮影では白いスーツを華麗に着こなし、さまざまなポーズをとってくださり、インタビューではひとつずつ真摯にお応えくださいました。圧巻の歌声は、新作でもたっぷり堪能することができます。そんなToshlさんのカバーアルバムをみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。写真・山本嵩取材、文・かわむらあみりToshlPROFILE2010年より本格的に「Toshl」名義での活動をスタート。聴き手の心をとらえて話さない圧倒的なボーカルで、名実ともに日本を代表するシンガーとして不動の地位を確立。2018年には20年ぶりのメジャーレーベル作品となる初のカバーアルバム『IM A SINGER』を全世界リリース。続編に期待する多くのファンの声に応えてリリースした、2019年のカバーアルバム第2弾『IM A SINGER VOL.2』は瞬く間にヒット。2020年には日本テレビ系ドラマ『ギルティ~この恋は罪ですか?~』主題歌「BE ALL RIGHT」を配信限定でリリースした。2022年9月、人気のカバーアルバム第3弾『IM A SINGER VOL.3』をリリース。また、2018年からは「龍玄とし」名義により表現活動において絵を描くことにも注力し、全国各地での個展を成功させた。音楽活動はもとより、バラエティ番組などへの出演により、マルチな才能を発揮。老若男女、世代を超えた新たなファン層が増え続けている。InformationNew Release『IM A SINGER VOL.3』(収録曲)01.タマシイレボリューション(Superfly)02.イントゥ・ジ・アンノウン~心のままに03.美女と野獣※石丸幹二とデュエット04.三日月(絢香)05.難破船(中森明菜)06.葉ざくら(オリジナル曲)07.Hero(安室奈美恵)08.桃色吐息(高橋真梨子)09.スピーチレス~心の声10.You raise me up(ケルティックウーマン)11.しあわせになるんだよ(オリジナル曲)2022年9月28日発売*収録曲は全形態共通。*全形態ともに初回プレス分のみ封入特典あり。先着で特製トレカ(5種のうち1枚ランダム封入)付き、無くなり次第終了。(通常盤)TYCT-69244(CD)¥3,300(税込)(初回限定盤)TYCT-69243(CD+DVD)¥5,500 (税込)【DVD収録内容】「葉ざくら」MUSIC VIDEO /「葉ざくら」MUSIC VIDEO Making & Short Interview / Toshl SELF LINER NOTES OF “IM A SINGER VOL.3”/「葉ざくら」(弾き語り Live) /「桃色吐息」(弾き語り Live)/「しあわせになるんだよ」(弾き語り Live)写真・山本嵩 取材、文・かわむらあみり
2022年09月27日【音楽通信】第121回目に登場するのは、でんぱ組.incやももいろクローバーZへの楽曲提供や、ほかのアーティストとのコラボでも話題の弾き語りトラックメイカーアイドル、眉村ちあきさん!ライブの対バン相手により音楽に興味が湧く【音楽通信】vol.1212019年より“弾き語りトラックメイカーアイドル”として活動している、眉村ちあきさん。自身の音楽活動はもちろんのこと、でんぱ組.incやももいろクローバーZへの楽曲提供や、他アーティストとのコラボレーション曲を発表するなど、多彩な才能を発揮しています。そんな眉村さんが、2022年7月7日に初のEPをリリース。さらに、10月30日には、東京・LINE CUBE SHIBUYAでのワンマンライブを控えているということで、音楽的なルーツなどを含めて、お話をうかがいました。――幼少時に音楽にふれたきっかけから教えてください。父が沖縄出身なので、家ではいつも沖縄民謡や沖縄のラジオが流れていました。でも、小さい頃に音楽に興味を持つことはなく、気になるようになったのは高校3年生から。K-POPが流行りだして、クラスのみんなで聴いたり踊ったりしていた普通のJKとして過ごしていました(笑)。そんななかで、テレビに出ているアーティストの方の歌を聴いて「これぐらいだったらわたしも歌えそう」と、なぜか自分でも歌える気がして。高校を卒業してから、縁あってアイドルグループに入ってライブ活動をするようになりました。ライブをするうちに対バン相手の音楽を細かく聴くようになっていって、「こういうジャンルがあるんだな」といろいろな音楽に興味を持ちはじめたので、ちゃんと音楽を聴きはじめたのは高校を卒業してからだといえますね。――いまは弾き語りトラックメイカーアイドルとしてご活躍中ですが、もともとご自身で楽器を始めたのはいつ頃だったのでしょうか。アイドルのときは歌だけに集中していたので、ギターを始めたのは20歳ぐらいからです。ソロになって最初の頃は、打ち込みのトラックメイクから始めて、遊ぶように音楽を作っていました。曲ができるとひとりでライブをするようになって、グループと違ってひとりだと何をしたらいいのかわからないから、楽器でも始めようかと。――もともと人前に出ることがお好きだったのでしょうか。そうですね、目立つことが好きかもしれないですね。保育園のときのお遊戯会では、客席にいる保護者たちの前に登場して、ひとりで歌う役をやって「なんて気持ちいいんだろう」と思っていました。親の会社の忘年会で、小学生のときからマイクを持って「みんな聞いてー!」とMCをしたことも(笑)。学校で合唱するときは、他の子のパートにつられて音程がはずれてしまう子もたまにいましたが、「なんでつられてるの?」と内心思っていましたね。大勢よりも、ひとりで歌ったほうが楽だなって。でも、高校生時代の自分のカラオケ動画を観ると、いまよりすごく下手なんです。だから、自分で歌がうまいと思って歌っているイタい人なんですが(笑)、自信だけはずっとありました。――2019年にデビューされましたが、節目の3年を超え、現在4年目を迎えられて心境はいかがですか。曲を作るうえで、気持ちいいものをひたすら求める、というスタンスはデビュー当時から何も変わっていません。でも、パフォーマンス面においては、まったく意識が違いますね。ブレスをマイクに入れるか入れないか、ひと息にも集中するようになりましたし、ライブの本番前に何を飲むか気をつけるようにもなりました。ひとつのライブに対しての意識が全然違いますね。事前に対バン相手にまつわるものを調べて、イントロで音に組み込んだら向こうのお客さんがうれしいんじゃないかとか、おもてなしの心が芽生えて。どうやったらもっと楽しんでもらえるかを以前の百倍ぐらい考えるようになりました。わたしの歌は1年前より百倍うまくなった――2022年7月7日にEP『マルコッパ達』を配信されました。現在放送中のTVアニメ『ちみも』(テレビ東京系 毎週木曜 深夜1時30分)の主題歌「マルコッパ」も収録されていますね。お話をいただいてから、初めてアニメのオープニング曲を書き下ろしました。アニメの曲といえば、有名な「おどるポンポコリン」が思い浮かぶんですが、0歳から100歳まで歌えるような、一度聴いたら忘れられないようなこの曲を超えたいなと。キャッチーな曲を作るのは得意なので、自分のなかのキャッチーさを全部「マルコッパ」に込めました。――2曲目の「レイニーデイ」は、ご自身でも歌うのが難しかったそうですね。ピッチを当てるのが難しいメロディを作ってしまったんです(笑)。たとえば「イエーーーイ!」と大きい声を伸ばし続けるのは、わたしとしては簡単なんですが、小さい声で細かく歌うのは音がズレやすいから難しくて、集中しないと歌えない。でも一見、小さい声より、大きい声で「イエーーーイ!」と歌う人のほうが声が出ていてうまいと思われやすいんですよね。本当はわたしもそっち派なんですが(笑)、それは簡単にできるから、今回は難しいメロディを歌うというのが新鮮でした。――EPの収録曲として、急きょ作った楽曲なんですか?いえ、EP用に作ったわけではなかったんですが、偶然EPの制作時期にできました。曲はいつも作りたくなったら作る感じなんです。この曲は、雨の日に聴けるような、気分が上がるような曲がほしいなと思って作って。それも友人の(歌手の)南波志帆ちゃんとご飯を食べているときに、ふと曲のイメージが浮かびました。彼女に「どんな顔がタイプなの?」と聞かれて、「目がギョロギョロしている人がスキ」と答えたら、「ああ〜後ろから後頭部をポンって叩いたら、ポロって落ちちゃうくらいに目が出てる人ね」と言われて。もしも本当にポンと叩いて両目が落ちて、その目玉がふたりで旅をしたらどうなるんだろう……ということを考えていたら、そこからこの曲ができたので、実はこの曲は目玉の旅の歌なんです(笑)。――目玉らしき言葉は歌詞に出てきませんが(笑)、お友達と食事中にフッと湧き出たイメージから曲ができたんですね。はい。だから、南波志帆ちゃんに、ありがとうって思っています。――ご本人もうれしいんじゃないですか、ふたりの会話から曲ができたこと。いえ、まだリリースしたことも言っていません(笑)。自分でも「そんなところから?」というところからイメージが湧くので、そんなときはすぐ「曲を作らなきゃ!」という気持ちになります。――3曲目は旧友という、音楽プロデューサーのTACOS BEATSさんと共作された「浜で聴くチューン」ですね。この曲は、TACOS BEATSさんのスタジオに遊びに行ったときにできた曲です。お茶やお菓子を持ってパーティをするつもりで行ったら、「ちょうどいま作ってるビート」と曲を聴かせてくれて、「じゃあメロディ入れていい?」と返してすぐ作りました。TACOS BEATSさんは、わたしが全然作らないベクトルの音楽を作っているので、新鮮です。わたしは歌詞とメロディをすぐ作ってしまうんですが、「あとはここの部分作ってね」と言うと「ちょっと時間ちょうだい」と言われて。翌週、スタジオに遊びに行ったら、曲が完成していました。――アーティストの方によって、曲作りのペースは違うこともありますよね。TACOS BEATSさんは、ビートはすぐに作ることができる方なんですが、わたしはビート作りに時間がかかるんです。人には人のやり方があるなと思いつつ、共作はすごく楽しかったですね。TACOS BEATSさんは、わたしがアイドルグループをやめてからやった、1回目か2回目のソロライブのときのPAさんだったんです。そこで仲良くなって、「眉村ちゃんはもっと曲をたくさん作ったら売れるよ」と言ってくれていて。まだ持ち曲が4曲ぐらいしかなく、お客さんもゼロのときでしたが、その言葉をモチベーションにして家に帰って曲を作る日々でした。トラックメイカーでもあるTACOS BEATSさんがプロデュースしていたアイドルグループと対バンしたのですが、彼の作った曲を彼女たちは歌っていて。いつかTACOS BEATSさんのようなトラックメイカーになりたい、いつか共演できるようにがんばると言っていたので、まさか一緒に曲を作る日がくるとは。いまは友達のように遊んでくれていますが、共作がリリースされることは、お父さんのように喜んでくれています(笑)。――ほかの方とのタッグという意味では、今年2月に発売されたアルバム『ima』ではシンガーソングライター堂島孝平さんとのコラボ曲がありましたし、堂島さんの8月発売のアルバムにも新コラボ曲「てんてん」が収録されていますよね。はい。堂島さんは、びっくりするぐらい考え方もすべてが似ていて、まるで自分としゃべっている感覚になるぐらいです(笑)。同じというのも恐縮ですが、メロディラインの作り方やライブのパフォーマンスにおいても、共感できるといいますか。もし同世代だったら、絶対負けないぞと火花がバチバチだったかもしれません。だから、実際には世代も違ってちょうどいいところが、仲良しの秘訣かも(笑)。でも、ステージの堂島さんしか知らないんです。プライベートの話は一度も聞いたことがないので、もしも一緒にご飯に行って、「あれ? 違うんだけど」となるのも怖いので、これ以上は深堀りしません(笑)。――いまが絶妙な距離感なんですね。コラボといえば、日米ロックユニットのザ・リーサルウェポンズと眉村さんのコラボ曲「サムライディスコ feat.眉村ちあき」も9月28日にリリースされます。この曲は演歌なんですよ。レコーディング当日に「演歌っぽく歌ってみて」と突然言われて、「え?演歌は聴いてきてない」と(笑)。ふたりの理想の形になるよう苦労しましたが、新しいジャンルを作ろうとしているその姿勢に刺激を受けました。――コラボ以外にも、でんぱ組.incとももクロのニューアルバムに楽曲提供されていますね。もともと相手の要望を聞くということができないタイプだったんですが(笑)、この2年ぐらいで映画の挿入歌や番組のテーマ曲を担当させていただく機会があって、相手の求めているものを作りながら自分の色を出す、というやり方を覚えて。今回、その経験をでんぱちゃんとももクロちゃんの2組に生かすことができました。2組とも女の子グループですし、わたしにしかできない歌詞に仕上げてもわかってくれるかなと。2組とも、取材などで歌詞について「すごくわかる」と言ってくれているので、こちらの気持ちが伝わっていてうれしいです。――2022年10月30日には、東京・LINE CUBE SHIBUYAでバンド形態のワンマンライブ「眉村ちあきの音楽隊 – Episode 2 -」を開催されますね。昨年2021年9月の東京・中野サンプラザの「- Episode 1 -」公演を経ての今回となります、どのようなステージになりそうですか。今回も音楽隊のメンバーは同じで、この1年で増えた新曲をこのバンドで披露します。わたしがレベルアップしたぶんだけ、レベルアップした曲をみなさんに聴いていただけますし、リハーサルで細かい部分まで指摘できるのも楽しみですし。音のひとつひとつにまで耳を研ぎ澄ませられるようになっていて、1年前よりも鋭い音を目指せる気がします。なんといっても、フロントマンとしてのわたしの歌が1年前より百倍うまくなっていますし、見せ方の意識も全然違うので、ぜひ期待して観に来てほしいですね。ライブを観たら悩みがなくなったと思わせたい――オフの日はどんなふうに過ごしていますか。最近“ひとりではしご酒”にハマっています。ひとりでお店に行っても、コロナ禍だから全然しゃべらないですし、隣の人もしゃべりかけてこないからちょうどいいんですよ。「ひとりはしご酒女」とキーワードで検索してYouTubeを見て、「この子が行っているこの店おいしそう」とそのお店に行ったり。もともとお酒に強くないですが、ひとり酒は楽しいです。――もともとのご趣味はなんですか。宝塚が好きで舞台をよく観に行きました。家でも真似してセリフを言っていたんですが、最近好きな子が辞めてしまって……。宝塚のほかにも、『鬼滅の刃』などの2.5次元ミュージカルや、劇団四季の『バケモノの子』も観ました。ステージの端から端まで観て、「この役者さんはすごく歌がいいな」と思ったら、帰ってから調べるという楽しみ方もあります。もともとパーティといいますか、みんなで歌って踊ってという状況が好きなんです。わたしもいつかステージでは、コーラスや楽器隊を後ろにたくさん従えて、グルグル回転する舞台装置も使ってみたいですね。――美容面は普段どうされていますか。とくにライブ前にはよく走ります。ステージの体力作りという面と、血行がよくなることで代謝がよくなり肌もキレイになるから。さらに、最近は配信もあるので、アップになったときになるべくみなさんに、肌がキレイでカワイイと思ってもらいたいんですよね。普段の食事内容もなんとなく気をつけてはいますが、ananwebを読んでいる美容に詳しい方からすると、たいしてタメになるようなことはないかも(笑)。朝ごはんはもりもり食べて、夜ごはんは少なめです。コロナ禍から自炊を始めましたが、朝ごはんは定食ぐらい品数をたくさん作って、自炊を楽しんでいますね。夜にお酒を飲むときは、おつまみをちょっと食べるだけにして、なるべく食べないようにがんばっています。――いろいろなお話をありがとうございました。では最後に、今後の抱負をお聞かせください。いつか矢沢永吉さんのように、ドンと構えて、何を言っても人の心に響くような説得力がある人間になりたいですね。そのためにも、時には傷つくことや、人を憎むようなことがあってもいいと思いますし、いろいろな経験がしたいなと。歌詞に説得力をもたらすような人生を送りたいですし、説得力のある歌を歌えるようになりたい。「眉村ちあきのライブを観たら悩みなんてどっかいっちゃった」と思わせるぐらい、海のような大きな人間になりたいです。取材後記トラックメイカーアイドルとして表舞台で活動しながら、自身のオフィスである「(株)会社じゃないもん」の代表取締役社長を務め、ほかのアイドルの方への楽曲提供も手がけるなど、マルチな才能を持つ眉村ちあきさん。ananwebの取材では、ニコニコとほがらかな笑顔と不思議な世界観で、惹きつけてくださいました。そんな眉村さんのEPとワンマンライブをみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。写真・北尾渉取材、文・かわむらあみり眉村ちあきPROFILE東京都出身。弾き語りトラックメイカーアイドル。アイドルであり、作詞、作曲、編曲、トラックメイクまでを自ら行う。アイドルグループとして活動後、2016年2月より、眉村ちあき名義でソロ活動をスタート。2019年1月、インディーズでのベストアルバム『ぎっしり歯ぐき』をリリース。2019年5月、メジャー1stアルバム『めじゃめじゃもんじゃ』でデビュー。2022年2月、4thアルバム『ima』をリリース。7月、EP『マルコッパ達』をリリース。10月30日、東京・LINE CUBE SHIBUYAにてバンド形態のワンマンライブ「眉村ちあきの音 楽隊 – Episode 2 -」を開催する。InformationNew Release『マルコッパ達』(収録曲)01.マルコッパ02.レイニーデイ03.浜で聴くチューン(眉村ちあき&TACOS BEATS)2022年7月7日発売写真・北尾渉 取材、文・かわむらあみり
2022年09月19日画面の向こうにいる満島ひかりを見ていると、言葉にならない感情がこみ上げてくるのはなぜだろう?説明的演技でも感情演技でもなく、ただただその人物にしか見えない“生きた”演技を披露し続ける満島さん。『かもめ食堂』や『彼らが本気で編むときは、』、ドラマ「珈琲いかがでしょう」で知られる荻上直子監督の新作『川っぺりムコリッタ』(9月16日公開)で満島さんは、様々な事情を抱えた人々が集うアパートの大家・南に扮している。松山ケンイチ、ムロツヨシ、吉岡秀隆扮する住人を見守りながら、自身も夫を亡くした哀しみを抱えるシングルマザーの実像――その人間味すらも豊かに体現した満島さん。シネマカフェでは、彼女の高い感受性に裏打ちされた演技について、単独インタビューでじっくり語っていただいた。魅力的な“南さん”の役作りは"感じる"を意識――満島さんが演じられた南さん、自己紹介するシーンから非常に魅力的でした。出ずっぱりではないキャラクターですが、それを全く感じない密度で。ある種“スポット出演”的なポジションに臨むにあたって、荻上直子監督との話し合い含めてどのような準備をなさったのでしょう?ありがたいことに、どちらかというと出ずっぱりの役のほうが増えているので、少ししか出てこないけど気になる人というか、気楽だからこそ"さじ加減"の難しい役どころも、サラッとできたらいいなって気持ちもありました。当て書きされていない脚本でお芝居をするのも楽しそうで。荻上監督は、初めて会ったときから佇まいが独特で、お話しの口調にも選ぶ言葉にも妙なおもしろさが漂っていて…どんな現場になるんだろう、いったいどうやって映画を撮るんだろうと興味が湧いちゃったんです。役のヒントをたくさんくれたのは、伝説のスタイリスト・堀越絹衣さんの衣装たちです。荻上組常連の堀越さんは、日本のファッション界では知らない人はいないってくらいの方なのですが、衣装合わせのときにどんどん提案して下さって。「女だけの生活だから、男の方と何かがある感じに見えないためにも、ステテコを履いているのって良くないかしら?スカートの下がスースーしているより気持ちいいわよね」なんて、監督も交えて服から役を考えるいい時間でした。あと、実の妹が“みなみ”という名前でして、すごく紛らわしいなと思いながらお芝居をしていました(笑)。そんな感じで、がんばって準備をしたというより、一緒にいてゆったりな気持ちになれる俳優さんばかりの現場だったので、環境に身を任せて、"感じる"を意識していたように思います。頭を使いすぎて、呼吸が浅くならないように。役者の醍醐味は"その土地で暮らしているごっこ"!?――本作に限らず、満島さんの演技を拝見していると豊かな感受性を感じます。「そう思わないとできない」から作品によっては事前に下調べもされると伺ったのですが、今回のように現場で吸い上げる形も多いのでしょうか。本当に作品によりますね。準備に関しては、自分のスタイルは持っていません。私自身がすごくふざけた部分やダメな部分も持っている人で、常に「どうやって抜こうかな?」と考えてしまうくらい(笑)。映画の中とはいえ、演じる人物それぞれに呼吸が通っているとすてきだなと思っていますが。撮影までの準備の期間は短いことも多くって、時間のない中で脚本で描かれていることにまっすぐ向き合うと、妙な力が入っちゃうこともあります。だから発想を変えて、意味がないことをいっぱいしたりします。連想ゲームみたいな感じで、脚本を読んでただ連想したことをやってみたり見てみたり…。今回は富山ロケだったので、新米の香りに誘われて3軒くらい米農家さんに行って、おいしいお米を作る方々とお話をしました。撮影をする土地で、そこにただ生きてたら「いいな」と思うところに顔を出してみるんです。"その土地で暮らしているごっこ"は、役者さんの醍醐味かもしれませんね。――とても面白いお話です。そういった部分から、役の人間味が生まれてくるのですね。景色とか気候の持つ力には影響されます。影響を受けていたのか何なのか、映画を観て、南さんのしゃべり方が早くてびっくりしました。「なんでこんなに喋るの速いんだろう、南さんをどういう風に捉えていたんだろう」って。自分で分かりながら演じているわけではなかったので、新鮮に感じました。南さんはギリギリまでは気持ちを話すけど、つかまれたくない人なのかな?とか、観ていて感じました。重くなりそうになったら去るとか、一緒に感動しそうになったらどこかに行くとか、人と共感・共有する時間が苦手な人なのかなとか。落ち着いて振る舞っているけど、大切な人を亡くしてまだ時間が経っていないから、本当の自分の気持ちがあふれかえる前に相殺するような感じがあって、女の人ってなんて健気なんだろうと思って観ていました。――完成した作品をご覧になって、役の人となりに“気づく”という感覚なのですね!これまでもそっちの方が多いですね。多分、無意識で演じている部分が多いんだと思います。ただ、フィジカルの意識はすごく持っています。身体のクセは、自分の日常の習慣からなかなか離れられないじゃないですか。だから役柄によって、ちょっと違う体の動きをできるようには考えています。例えば同じ距離を歩くのでも、「この人は4歩だけどこの人は2歩でいけるな」だったり、「この人は普段から草履をはいているから足が地面から離れにくい歩き方だろうな」といったことは意識していて。今回本当にラッキーだったのは、子ども役のふたりが地元の小学生だったことです。実際にその地で生きている子たちだから、目の前にお手本がいるんですよね。現場で子どもたちのお母さんとも話せたし、自由な子どもたちだったので、勝手についてくるのが面白くて。北村光授くん(吉岡秀隆さん演じる溝口の息子役)のほうがちょっと私のことを意識し始めて「俺あっち行くけど満島さんも行く?」って言ってきて、「私はまだここにいるかな」と返したら「じゃあ俺もいようかな」って残ったりすることもありました(笑)。それを見た吉岡さんが「懐かしいな。俺のときは田中裕子さんだった」と話していました。――現場のいい雰囲気が伝わってきます(笑)。しかし、いまおっしゃった通り現地の方がいてくれるのは大きいですね。僕たちが映画で観るのはあくまでその人物の一部であって、描かれないだけで人生はそれぞれにある。ただ演技ではその描かれない過去だったり生活も匂わせないといけないと考えると、その土地の風土や空気感を知っている人たちの存在は心強いなと感じます。撮影した場所には実際に住んでいる方もいるのですが、家賃が1万円もしないようなすごいところなんです。なかなかに特殊な場所に住んでいる方々だから、皆さん個性豊かでした。家賃が高い家に住む才能もあるけど、低すぎる家に住むにも才能がいると思うんです。「人生をどう面白がれるか」を体現している住人の方たちがいたので、余計に感じやすかったですね。なんだか私の演技の在り方って、植物っぽいんですね(笑)。土地の光を浴びて光合成して、地面から水を吸い上げるみたいにその場所の空気を感じて、人とふれあって…。確かにそうやってお芝居しています…。映画のパワーを再確認「“形に残らない芸術”はやっぱりいいな」――満島さんが以前『奇蹟がくれた数式』を観て過呼吸になるくらい感動した、というお話を聞きました。心を使うお仕事のぶん、役者さんによっては感情が引っ張られすぎてしまうから“閉じて”映画を観る方もいらっしゃるかと思いますが、満島さんはいかがですか?作品もそうなのですが、演者さんによって変わると思います。私にとってはデヴ・パテルさんで、観ているうちにどこかの部分がつながる感覚がするというか、シンパシーを感じすぎてしまうんでしょうね(『スラムドッグ$ミリオネア』『LION/ライオン ~25年目のただいま~』ほか。最新主演作『グリーン・ナイト』が11月25日公開)。自分がその状況になっている気持ちだったり、近親になった気がして。そういった風に、持っていかれやすい俳優さんがいますね。監督だと、ジュゼッペ・トルナトーレさんの映画を観るとすごい泣いちゃいます(『ニュー・シネマ・パラダイス』『海の上のピアニスト』等で知られる)。懐かしいんだか何なんだか、波長がそろっちゃって感動しすぎちゃうんですよね。『奇蹟がくれた数式』もそうですが、観たいのに気持ちが溢れてきて最後まで観られないから、映画館では難しくて。家で観て、何回も止めて、また観てを繰り返してようやくエンドロールにたどり着きました(笑)。――感受性が豊かすぎるから…。限られた作品だけなので、普通に見られるものも多いですが、それくらいの気持ちにさせてくれる映画ってやっぱりすさまじいパワーだなと感じます。『川っぺりムコリッタ』はどんな映画になるのか想像できていなくて…でも、想像以上に好きでした。荻上さんの監督作品はこれまでも好きで観ていたのですが、これまで以上に人間と自然が同等に映っていて、人の感情すら風景の一部に見えて。その感じがすごく好きでした。――すごくわかります。ナメクジやイカの目玉だったり、自然が持つある種のグロテスクさ、生命みたいなものが映し出されていました。撮影監督の安藤広樹さんは、これまでにCMやMVを中心に活躍されている方で、商業映画の長編は2本目くらいと聞きました。良い画を撮られますよね(『いなくなれ、群青』、本作を経て『線は、僕を描く』の撮影監督を務める)。私の撮影最終日は小さなハイツムコリッタの庭に、ホースで水をかけて虹を出す場面だったのですが、撮影が終わって安藤さんに「お疲れ様でした」って言うと「満島さんって何を考えているんですか」と聞かれまして。「他の役者さんたちはこういう思想でいまこういう場面になっているというのがわかるから、段取りやリハーサルを見て『こういう風に撮っていこう』を考えられるんだけど、何を考えて何を見ているのか全然わからなかった。もしかして僕たちに見えないものとか見てますか?」と言われました(笑)。――きっとそれは、満島さんが南さんを生きていたからでしょうね。カメラを意識しない境地まで到達されているというか。どうなのか分かりませんが(笑)、そう言っていただけて嬉しいです。ただ私、本当にカメラを無視しちゃうときが多々ありまして…若かりし頃はお芝居中にカメラに何回もお尻を向けちゃって、よく怒られていました(苦笑)。自分がそっちのほうを好んでいるからこそそうなってしまうのだと思いますが、やっぱり意識がその場所に集中してしまうんですよね。――それもまた感受性の高さと紐づくように感じますが、同時に負荷を背負いすぎてしまうのではないかとも心配になります。何かしらでバランスはとっているんだと思います。自分でも、負荷を他人よりかけちゃっているところと、信じられないくらい抜いているところの両方があるような気がしています。でも、おっしゃっていただいたように心を配ってもいるんでしょうね。今回『川っぺりムコリッタ』を観て改めて「映画の中っていいな」と思えました。上手い下手じゃなくて、意味が分からないからいい。映画って、意味が分からないことを栄養にしてくれるじゃないですか。わかり良いことのほうがどんどん増えているなかで、映画に生きている“形に残らない芸術”はやっぱりいいなと再確認してしまいました。◆ヘアメイク:星野加奈子(KanakoHoshino)◆スタイリスト:安野とも子(Tomoko Yasuno)◆衣装クレジット:ワンピース 私物/ジュエリー CASUCA/靴安野商店(text:SYO/photo:Masumi Ishida)■関連作品:川っぺりムコリッタ 2022年9月16日より全国にて公開© 2021「川っぺりムコリッタ」製作委員会
2022年09月16日【音楽通信】第120回目に登場するのは、高らかに愛を歌う「魔法の絨毯」でも知られる、シンガーソングライターの川崎鷹也さん!高校3年生の文化祭がきっかけで音楽の道を志す【音楽通信】vol.1202018年から、シンガーソングライターとして本格的に音楽活動をスタートさせた、川崎鷹也さん。2020年には、TikTokから楽曲「魔法の絨毯」が大ヒットして人気に火がつき、テレビ出演なども増加しました。2021年には、作詞家の松本隆さんのトリビュートアルバム『風街に連れてって!』に参加し、松本さんからは「君は最高だね、君は一生大丈夫だよ」と川崎さんの歌声を絶賛。そんな川崎さんが、2022年9月14日に、カバーEP『白』をリリースされたということで、音楽的なルーツなどを含めて、お話をうかがいました。――幼少時に音楽にふれたきっかけからお聞かせください。地元の栃木で、父親がライブバーを経営していたので、幼い頃からいつも身近に音楽がありました。ただ、親父はプレイヤーではないので、音楽をするようにすすめてくることもなく、とくに幼少期から音楽が大好きで歌手になりたかったわけではなかったですね。――では、いつ頃から音楽の道を志すようになりましたか。高校3年生の文化祭で、同級生でいまはマネージャーとなった親友と一緒に、歌を歌ったんです。そのとき大きいステージで歌を披露して、「もっとたくさんの人たちに歌を届けたい」と感じたことがきっかけで、音楽の道を目指すことになりました。それから上京して、音楽の専門学校に入学し、ギターで曲作りを始めて。上京するまでの10代の思春期の頃は、玉置浩二さん、清水翔太さん、高橋優さん、秦基博さん、ゆずさん……と、J-POPの第一線を走っている男性アーティストの方々の曲や、女性アーティストだとSuperflyさん、AIさんの曲を聴いていましたね。――2020年に「魔法の絨毯」がTikTokを起点にバイラルヒットし注目を集めました。音楽活動のターニングポイントとなった曲でもあると思うのですが、この曲のリリース前と後、そして現在と心境の変化はありましたか。やっぱり「魔法の絨毯」を聴いていただくようになる前と後では、聴いてくださる方の数も環境も変わりました。ただ、作りたい音楽やステージに向かう気持ちという面では、昔から何も変わっていないです。いつも第一に書きたいのは、何気ない日々やなんでもない毎日をいかに愛せるか、というところですね。――川崎さんは楽曲提供もされていて、韓国の5人組男性アイドルグループ「TOMORROW X TOGETHER」の8月にリリースされた日本3rdシングル「GOOD BOY GONE BAD」の収録曲「ひとりの夜(Hitori no Yoru)」を書き下ろされたそうですね。たまたまお声をかけていただいて、楽曲提供をさせていただきました。「TOMORROW X TOGETHERさんに歌っていただくなら、どんな曲がいいかな?」と向き合って書き上げた曲。愛することの切なさや深みを歌っていただければ、と作ったバラードになっています。想い出をつなぐ5曲を厳選したカバーEP――2022年9月14日に、カバーEP『白』をリリースされました。音楽プロデューサーの武部聡志さんがアルバム全曲のアレンジを担当されていますが、今回のEPのコンセプトやタイトルに込めた想いから教えてください。『白』というタイトルは、自分だけのパレットに色をつけていこう、という意味合いをこめています。これまで出会った方々から、そしてステージに立って勉強になったことや得られるものがあるなかで、「自分の色はいろいろな人との出会いで成り立っているな」ということを自負していて。このカバーEPに収録している5曲は、僕の思い出をつなぐ5曲を選ばせていただいているのですが、きっと聴いてくださる方々にもそれぞれの曲に想い出があるはず。だから、聴いた方々がそれぞれに色をつけていただいたらいいな、ということから『白』というタイトルにしました。武部さんは、これまでも番組出演やライブのステージでご一緒させていただく機会がとても多くて。今回、アレンジャーを入れて、僕はシンガーに徹して楽曲を表現したいという思いがありました。武部さんと音楽を作るということは、背筋を伸ばして襟を正しながら、真摯にあらためて音楽に向き合えることでもあります。今回のカバーEPを武部さんにアレンジしていただいたらうれしいな、とダメ元でお願いさせていただくと、快く受け入れていただきました。武部さんと一緒に制作させていただけて、すごく楽しかったです。――1曲目「愛燦燦」は、美空ひばりさんの名曲です。川崎さんのおばあさまがお好きな曲だそうですね。自分が家族を持って、子どもも生まれて、でもコロナ禍になってなかなか実家に帰ることができない日々が続きました。そんなときに、おじいちゃんやおばあちゃんと、あと何回一緒にご飯を食べられるだろうかとふと思うことがあって。それは僕だけでなく、みなさんも感じることがあるかもしれませんが、このカバーEPを作るとなったときに、「おばあちゃんに向けて作りたい」という気持ちが大前提として芽生えていました。幼少期の記憶として、おばあちゃんが美空ひばりさんの「愛燦燦」が好きだったことを覚えていたので、おばあちゃんに向けて、歌いました。――すでにおばあさまは川崎さんの「愛燦燦」を聴かれましたか?聴いたようです、僕の家族は聴いたかどうかはわかりませんが(笑)。あんまり自分の音楽のことを家族に言わないので……照れくさいのもありますが、とくに言わなくても伝わるものがあると思うので、音楽については言葉にしなくても大丈夫だと思っていますね。――2曲目「悲しみの果て」はエレファントカシマシの名曲ですし、4曲目「366日」はHYの人気曲です。両曲とも、親友であり現在のマネージャーさんとの想い出の曲だそうですね。そうです。「悲しみの果て」は、栃木から上京するときに、何もわからず不安でいたのですが、でも変な自信だけがある、という状態でした。そんな時期によくこの曲を聴いていて。いまはマネージャーとなった親友も、お笑い芸人を目指して東京へ出てくるタイミングで、おたがいに共通点がいっぱいあったんですよ。この曲は、悲しみの果てに何があるかわからないけれど突き進んでいく、というメッセージが強い楽曲なので、僕らはそこに背中を押されて。だから、親友に向けてでもあったり、原曲を歌う宮本浩次さんに向けてでもあったり、これから夢を追う若者たちに向けてでもあったり。宮本さんの力強い思いを僕がさらにみんなにつなげられたらいいなと思って、選びました。「366日」は、高校3年生の文化祭で歌った、音楽を始めるきっかけになったとお話ししていた曲です。当時カラオケでよく歌っていました。この曲を文化祭で歌っていなかったら、いまの僕はないと思いますし、数年の時を経て、カバーさせていただいてよかったです。――3曲目「元気を出して」は竹内まりやさんの名曲です。事務所の社長が好きな曲なんですが、これまで二人三脚で社長と一緒にやってきました。ライブのお客さんがゼロのときもありましたし、2人でたくさん悔しい思いをして。たくさん苦しいこともあって。苦楽をともにしてきたので、社長に恩返しをしたい気持ちで歌っています。――5曲目「メロディー」は、川崎さんが尊敬する玉置浩二さんの名曲ですね。もっとも背中を追い続けているのが、玉置浩二さんです。仮に玉置さんに、カバーした曲を聴いていただけたときに「ああ、川崎鷹也にカバーしてもらってよかったな」と思ってもらえるかどうか、見合えるように歌いました。プロ同士、同じミュージシャンとして、歌にどう向き合っていくかが重要なところだと思っています。その覚悟という点では、当初、玉置さんの曲を歌うということに対してあまり前向きではありませんでした。でも、武部さんは僕の玉置さんへの想いをご存知なので「今回歌わないのか?」と言われて、「歌わないです」とお答えして(笑)。「でも、大切な人との想い出の歌を5曲選ぶなら、自分自身へ向けた大切な曲、玉置の曲を入れないと。僕が玉置に言っておいてあげる」と武部さんに強く背中を押していただき、収録することを決意しました。僕が初めて弾き語りをした曲がこの「メロディー」です。玉置さんへの憧れも含めて、本当に思い入れの強い曲です。――実際に玉置さんにお会いしたことは?ないです。もしもプライベートでお会いしたら緊張してしゃべれないと思います(笑)。ただ、もし今後、一緒のステージに立たせていただける機会が来るとしたら、そんな光栄なことはないですね。そのときは全力で玉置さんにぶつかっていきたいと思います。――今回はカバーEPですが、オリジナル曲を歌うときと意識の違いなどはあるのでしょうか。カバーの難しいところは、すでに正解があること。カバー曲では歌のバランスだったり、自分の色をどのぐらい入れるのかだったり、調整して歌っていくことを意識しました。――聴き手にはどんなふうに聴いてほしいでしょうか。今回は弾き語りではなく、歌一本に集中して、歌の力を届けられたらと思っています。カバーさせていただいた曲は、僕がずっと聴いてきた音楽。本当にいい音楽は10年経っても20年経っても、ずっと誰かの心に残り続ける楽曲なんですよね。そういった曲を僕のファンのみなさんは若い世代の方が多いので、恐縮ながらいい楽曲との架け橋になって、「いい曲はずっと残り続けるんだよ」ということが伝わればいいなと思っているので、みなさんにも聴いてほしいですね。――カバー曲を披露するライブのご予定はありますか。10月にビルボードライブを行う予定があります。武部さんとともにステージを作らせていただくので、普段のライブではカバー曲はやらないのですが今回はEPの曲を中心に、候補としてあがっていたけれど入れられなかった曲、オリジナル曲も含めて披露する、ボリューミーなステージになると思います。全国のみなさんに恩返しや感謝を伝えたい――お話は変わりますが、おやすみの日はどんなふうに過ごしていますか。家族と過ごす日もあれば、ひとりでボーッとするときもあれば、映画を観るときもあれば、日によってさまざまですね。――おうちではどんなパパでいらっしゃいますか。最近のエピソードを教えてください。子どもを保育園に送ったり、お風呂に入れたりするのは、基本的に僕がやっています。お風呂の中では、僕と子どもの2人の時間。お風呂上がりにボタンを押して、ママを呼び出すんですが、僕と子どものルーティーンとして、迎えにきたママを笑わせるという一幕があります(笑)。――率先して育児をしてくれると、奥さまもうれしいですよね?どうなんでしょうね(笑)。でも子育ては一緒にするものだと思っているので、自然とやっています。ただ、僕は料理が作れないですし、仕事で遅いときは奥さんが寝かしつけまでひとりでやっているので、できることをやるのはごく当たり前な気がしますね。――お子さんはパパの曲を聴くことはありますか。聴くこともありますし、どこかで流れていてもパパの歌だとわかってくれていますね。もうすぐ3歳になるので、テレビに出ている僕の顔もわかりますし、僕の仲のいいミュージシャンがテレビに出ていてもわかったりしますよ。――子守唄を歌ってみようとは?子どもが生まれたての頃は、ギターを弾いてあげたりもしましたが、いまはもう3歳になるのでそろそろ「ウルサイ」と言われそうだから(笑)、やらないです。――川崎さんは素敵なラブソングを歌われていますし、実際にあたたかいご家庭を築いていらっしゃいますが、運命の人を見つける秘訣はありますか?僕は女心をわかっているわけではないんですが、相手に対する愛や思いは口に出して行動していますね。口にしないと、気持ちは3割しか相手には伝わらないといわれてもいるので、「ごめんね」や「ありがとう」もしかり、「ネイル変えた?」や「髪切った?」もしかり(笑)。男性って、心の中では思ってはいるけれど、言わないだけなんですよね。出会って7年、結婚4年ですが、奥さんにもカワイイなと思ったら「カワイイね」と言いますし(笑)。それは昔から変わらず、毎日言いますし、そういうところを大事にしています。だから、気になる人には思っていることを伝えたり、言ってくれる人を見つけたりするといいのかもしれませんね。――いろいろなお話をありがとうございました。では最後に、今後の抱負をお聞かせください。僕がいろいろな方に楽曲を聴いていただけるようになったのは、コロナ禍になってからなんですね。だからあらためて、僕の曲に出会ってくださった、全国のみなさんに、聴いていただいている恩返しや感謝を直接伝えていきたい。まだライブに来られない人もいますが、今年、来年と全国に行って、さまざまな思いを届けられたらいいなと。そして、いろいろなことにチャレンジし続ける人生を歩んでいけたらと思います。取材後記当時は彼女、現在奥さまへの愛を歌った「魔法の絨毯」など、女性の心をとらえるラブソングを数多く歌う、川崎鷹也さん。シンガーソングライターとしても才能を発揮されているなか、新作ではシンガーとして、思い入れのある楽曲を聴かせてくださいます。そんな川崎さんのカバーEPで、名曲がどのように変身しているかみなさんもチェックしてみてくださいね。取材、文・かわむらあみり川崎鷹也PROFILE1995年、栃木県生まれ。2018年、アルバム『I believe in you』でシンガーソングライターとして本的に音楽活動を開始。2020年8月、TikTokで「魔法の絨毯」が人気となり、同曲を使った動画が27,000本以上アップされ、Spotifyのバイラルチャートでは1位を獲得した。2021年7月、松本隆のトリビュートアルバム『風街に連れてって!』に参加し、大瀧詠一「君は天然色」をカバー。12月、初のメジャーアルバム『カレンダー』をリリース。2022年9月14日、カバーEP『白』をリリースする。InformationNew Release『白』(収録曲)01.「愛燦燦」(美空ひばり)02.「悲しみの果て」(エレファントカシマシ)03.「元気を出して」(竹内まりや)04.「366日」(HY)05.「メロディー」(玉置浩二)2022年9月14日発売*収録曲は全形態共通。(通常盤)WPCL-13399(CD)¥2,200(税込)(初回限定盤)WPZL-31994/5(CD+Blu-ray)¥2,750(税込)※7インチサイズ特殊パッケージ仕様。【Blu-ray収録内容】『白』LIVE STYLE MOVIES取材、文・かわむらあみり
2022年09月15日「&TEAM」(エンティーム)9人それぞれにインタビューを敢行し、「&AUDITION - The Howling -」をふり返って語るインタビュー映像「&STORY」(エンストーリー)の配信が決定した。「BTS」の生みの親パン・シヒョクがスペシャルアドバイザーとして入り、HYBE LABELS JAPAN初のグローバルグループとしてデビューするため、“&”というキーワードのもと、デビュー組4人と練習生11人の多様なパフォーマンスと成長ストーリーをリアルドキュメンタリー形式で描いた番組「&AUDITION - The Howling -」。最終回を迎え、「&TEAM」としてデビューするメンバー9人(K、FUMA、NICHOLAS、EJ、YUMA、JO、HARUA、TAKI、MAKI)が決定した。今回配信が決定した「&STORY」は、彼らそれぞれにインタビューを敢行。番組をふり返り、あの時の自分は?チームは?ミッションは?など、赤裸々に語る。またグループトークでは、フリップを使って「メンバーで一番泣き虫だったのは?」「共同生活で楽しかったことは?」など、笑いもある映像となっている。「&STORY」は9月24日(土)よりHuluにて配信開始。※毎週土曜日に新エピソード追加配信(cinemacafe.net)
2022年09月15日【音楽通信】第118回目に登場するのは、15歳でラップを始め、ZeebraさんやSKY-HIさんらからも一目置かれるラッパーでシンガーソングライターのNovel Core(ノベルコア)さん!指揮者を目指したのちラッパーとなり才能が開花【音楽通信】vol.11815歳でラップを始め、ストリートパフォーマンスやMCバトルで頭角を現し、2017年には「BAZOOKA!!! 第12回高校生RAP選手権」で歴代最年少で優勝したNovel Coreさん。その後、ヒップホップ界のカリスマであるZeebraさん主宰のレーベルと契約後、本格的にアーティスト活動をスタート。現在はSKY-HIさん主宰のマネジメント/レーベル「BMSG」の第一弾アーティストとなり、2021年にリリースしたメジャー1stアルバム『A GREAT FOOL』が1位を獲得するなど、ラッパー/シンガーソングライターとして活躍されています。そんなNovel Coreさんが2022年8月3日、2ndアルバム『No Pressure』をリリースされたということで、お話をうかがいました。――まずは小さい頃に音楽に触れたきっかけから教えてください。母親が学生時代にバンドのボーカルを担当していたこともあり、小さい頃から、家ではロックを中心にオールジャンルの音楽に触れる機会がありました。なかでも、(アメリカのロックバンド)ボン・ジョヴィが好きで、東京ドームの来日公演も観に行ったことがあります。中学生のときは、合唱コンクールで指揮者に立候補したことがきっかけで、クラシックにすごくハマった時期がありました。一時期は指揮者を目指して独学で勉強していたのですが、音楽大学に行くというのが、当時は経済的にも学力面でも厳しく、諦めることに。そんな挫折したときに、ラップに出会いました。高校1年生になる前のタイミングで、「音楽がやりたいけれど自分に合うものはあるかな?」といつものように音楽の動画を観ていたら、ヒップホップのインスト動画が出てきて。インストなのでボーカルは入っていなかったのですが、その動画ではいろいろな音楽のジャンルが入っていて、「これは面白いな」と感じました。――2017年に若手ラッパーの登竜門と言われる「BAZOOKA!!! 第12回高校生RAP選手権」では、歴代最年少で優勝していますね。クラシックからラップへと移行されてから、本格的に音楽の道を目指すようになったのでしょうか。はい。ラップに出会ったタイミングから、音楽で大きくなりたいという気持ちが芽生えました。最初の頃は、路上パフォーマンスもやっていて、少しずつ注目されていって。そこから音楽の制作をし始める前に、名前を売るためにMCバトルなどに出させていただいていましたね。――10代の頃から才能を発揮されて、ZeebraさんやSKY-HIさんからスカウトされレーベルに所属するなど、一目置かれるご自身の魅力はどこだと分析されますか。Zeebraさんも日高さんも(SKY-HIさんの本名、日高光啓さん)、僕の行動力を買っている、というお話をされたことがあります。明確に未来へのヴィジョンがあって、入念に準備して行動に移すというのが、ルーティンとしてあって。それが15歳の時点で固まっていたというところで、Zeebraさんにお声がけいただけたのかなと。6月に行ったワンマンライブでは、Zeebraさんや日高さんにゲストとして来ていただいて、一緒にパフォーマンスをさせていただきました。――現在、SKY-HIさん主宰のレーベルに所属されていますが、普段から交流はあるのでしょうか。暇さえあれば、音楽の話やそれ以外のところでも、いろいろな話をします。アーティストとしてのキャリアのことなど、悩んだことがあったら、まずは日高さんに聞きますし、逆に日高さんから相談を受けることも。僕たちにしかわからないことを話し合うことがありますね。――2020年にメジャーデビューされ、2021年に発表したメジャー1stアルバムが1位を獲得するなど、注目度が高まっていますが、何か心境の変化はありましたか。MCバトルに出たときも、路上パフォーマンスを行ったときも、恋愛リアリティショー(AbemaTV『月とオオカミちゃんには騙されない』)に出演させてもらったときも、そのときどきで大きく注目されることがありました。その度に、いまの自分に対して「もっとうこうしなきゃ」と常に考えます。どんなきっかけであれ、たくさんの方に僕のことを知ってもらえて興味を持ってもらえるのであれば、精一杯いいものを作って、それをサプライし続けていきたいですね。「幸せとは何か」という普遍的なテーマのアルバム――2022年8月3日に、2ndアルバム『No Pressure』をリリースされましたね。いつ頃から制作されていましたか。昨年末から取り掛かり、実質的には今年に入ってから、半年間ぐらいで制作しました。――アルバムのタイトル曲「No Pressure(Prod.UTA)」や、軽快なリード曲「独創ファンタジスタ(Prod.KNOTT)」は、どのように生まれた曲ですか。今回、アルバムの制作中に、初めての全国ツアーをやらせていただいたり、ワンマンライブにバンドの追加メンバーが入って体制が変わるなど、アルバムの制作に集中しながらというよりは、いろいろなことをこなしながら作って。スタジオには、当日もまだ歌詞をまったく書けていない状態で行って、ブースで2時間で歌詞を書き上げて、そのまま録るということがほとんどでしたね。――すべての作詞作曲を手がけていらっしゃいますが、いつもはもっとじっくり曲作りをしていくのですか。けっこう時間をかけて、歌詞を書くこともありました。でも最近は、時間があったとしても、スタジオに入ってからそのときに出てくる素直な感情を採用したくなって。考える時間があればあるだけ、本当に伝えたいことが遠回りになりそうな気もするので、その場で作るようになりました。できるだけストレートにメッセージを伝えたいから、瞬発的に出る言葉や直感的なものを大事にしています。そういったとき以外のメロディや歌詞の内容は、シャワーを浴びている最中だったり、移動中のタクシーの中だったり、ふと浮かんでくることが多いです。窓から見える景色にインスピレーションを得て降ってくるようなこともあるので、忘れないようにフレーズをメモしておいたり、メロディはボイスメモに録っておいたり。いざ制作に入ると、プロデューサーさんにそうやって生まれた曲を渡して、一緒にああだこうだ言いながら作っていくのがすごく楽しいですね。――わずかな音だけが聴こえる8曲目「Skit」が最後の曲の前に入っていますが、どのような意図でしょうか。この曲には、カセットテープの再生を停止する音のようなものを入れさせていただきました。実は最後の9曲目は最後ではなく、7曲目がアルバムの最後というイメージ。つまり、1曲目から7曲目の再生を終えたイメージで、8曲目にこのカセットの音を入れて、9曲目につながる時間の変化を表現しています。――そんな9曲目「Untitled(Prod.Yuya Kumagai)」は雰囲気が変わり、アコースティックギターに乗せて歌うバラードですね。この曲はもともとアルバムに収録する予定ではなく、急きょ増やした1曲です。制作が佳境に入り、締め切りが迫ってきたタイミングであったワンマンライブで、僕のバンドでギターを弾いてもらっているクマガイユウヤさんにプロデュースしていただきました。クマガイさんは、僕が路上パフォーマンスをしていた同じ時期に、同じ場所で、路上ライブをされていた方。話を聞けば聞くほど「もしかしたらどこかですれ違っていたかもしれない」という方と、こうして音楽のもとで巡り合って、一緒に音楽を作っているという感動やその空気感をこのアルバムに入れたくて、ワンマンが終わってからオファーさせてもらいました。この曲は、もし明日地球が終わるとしたら自分自身は今日、何をするかがテーマ。サビにある「今を口ずさんで」というフレーズは自然に出てきたんですが、そのとき「地球がもし明日終わるとしても、誰かに向けた歌じゃなかったとしても、自分の今を切り取って歌にするんだな」と気づきました。そこから「心の底から音楽がすごく好きだ」ということを再確認して、聴いていると涙が出てしまった曲です。――クールでメッセージ性の強い曲から、そっと語るように歌う曲まで、表情豊かな9曲がそろいましたね。あらためて今作をどのように聴いてほしいでしょうか。今の時代、サブスクリプションが主流になって、1曲単位で聴いていただく機会が多いと思うのですが、1回目の視聴はできれば頭から最後まで並び順で聴いてもらえたらうれしいですね。流れを大事にしながら制作したアルバムでもあるので、頭から聴いてもらえたら、アルバムにした意味がそこにあります。――ジャケット写真は「No Pressure」のリリックビデオに登場するクマのキャラクター「ロンリーベア」のイラストですね。これはポジティブとネガティブの両方の象徴としてのキャラクターです。このアルバムが持つ幸せとは何か? という普遍的なテーマに関して、ジャケットにNovel Coreが前に出すぎるとテーマが死んでしまう気がして、何か違うキャラクターが必要だと感じて作りました。ロンリーベアは笑ったり、慌てたりもなく、表情がないのが大事。だからこそ、悲しんでいるのか、喜んでいるのか、想像する余白もできると思っています。――アルバムリリース後は、ツアーのご予定はありますか。発表は8月中旬ですね。前にやらせていただいた全国ツアーは僕の相棒のDJ KOTAくんとまわらせてもらったんですが、今度の全国ツアーは、僕のワンマンライブで組ませていただいたバンドと一緒に全国をまわらせてもらいます。バンドだからこそのセットリストの組み方になるはず。音楽で走り切るライブにしたいので、MCも極力削って、スピード感あるものにしようと考えています。デビューから3年以内に日本武道館公演をやる――お話は変わりますが、普段の様子も教えてください。ご趣味はありますか。映画を観ることやファッションに関することがすごく好きです。休日は映画館に行ったり、外食したときはそのまま原宿へ洋服を買いに行ったり。1日で7、8店舗まわることもあるので、スタイリストさんと話が盛り上がります(笑)。――すごいですね。映画は配信で観る方も多いですが、ちゃんと映画館で観る派ですか。できれば映画館で迫力のある音で観たいなと。とくにトム・ハンクスとジム・キャリーが大好きなので、あのふたりが出ている映画は全部観ていますね。それと映画館のポップコーンが大好きで、市販のポップコーンではなく、「今焼きました!」という感じのポップコーンがすごく好き(笑)。だから、たまに映画館には、映画は観ないでポップコーンだけ買いにいくこともあります。――ファッションは、ハイブランドを着用されている印象がありますが、ご自身でもお好きですか。そうですね。洋服はハイブランドだったり、逆にストリート寄りのものだったり、セレクトショップに買いに行くことが多いかな。モードとストリートの中間ぐらいをいくのが好きですね。“ラグジュアリーストリート”のようなテーマが好きです。ファッションにおいて、差し色は常に意識しています。今日のように黒と白でシンプルに構成しているときは、シルバーのアクセサリーを身に着けたり、パールを入れたり、アクセントを意識して服を組んでいます。今日はわりとそろった形のパールをつけていますが、メンズはふぞろいな形のパールもつけやすくて、いつもは四連ぐらいのパールや、大玉のパールをつけることもありますね。――おうちではどのようにリラックスされていますか。僕は保護した猫を3匹飼っているので、猫とたわむれるのが一番、リラックスできる時間ですね。前も1匹だけ飼っていたときがあったのですが、仕事に行っている間は1匹だけにしてしまうので、寂しくないかなと心配だったのですが、3匹いると僕がいないときも3匹で遊んでいてくれるので、安心しています。小さい頃から動物が大好きで、犬も飼っていました。いまも猫を飼っていても、猫カフェに行ったりします(笑)。――本当に動物がお好きなんですね。猫カフェに行くときは、変装して行きますか?いえ、そのまんまで行きます(笑)。基本的に、仕事での衣装もスタイリングはセルフですし、今日の衣装も私服なんです。ステージに立っていたときの衣装で派手なものはそのまま私服なので、わりと街では「あれ? Novel Coreじゃない?」とバレたりもするんですが(笑)、逆にそのまんますぎてあやしがられて、声をかけられないですね。――いろいろなお話をありがとうございました。では最後に、今後の抱負をお聞かせください。メジャーデビューから3年以内に「日本武道館公演をやる」ということを目標にしているので、まずはそこにたどりつけるように頑張りたいです。そしてリリースを止めずに、これからも、新しい作品を世に出していきたいと思います。取材後記ZeebraさんやSKY-HIさんといった錚々たる方たちからも一目置かれる、Novel Coreさん。ananwebの取材の日、東京では雨が降っていました。撮影時、服がぬれないか心配していると、「全然平気ですよ」と爽やかな笑顔で応えてくださったNovel Coreさん。しかも衣装ではなく私服で、さらにスタイリングもご自身でされているとはスゴイですよね。そんなNovel Coreさんのニューアルバムをみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。写真・大内カオリ取材、文・かわむらあみりNovel CorePROFILE2001年1月18日、東京都生まれ。ラッパー、シンガーソングライター。15歳でラップを始め、ストリートパフォーマンスやMCバトルでその頭角を現す。2017年、「BAZOOKA!!! 第12回高校生RAP選手権」にて歴代最年少で優勝を勝ち取り、 Zeebra主宰のレーベル「GRAND MASTER」と契約後、本格的にアーティスト活動を開始。現在はSKY-HI主宰のマネジメント/レーベル「BMSG」に第一弾アーティストとして所属。2021年12月にリリースしたメジャー1stアルバム『A GREAT FOOL』が各チャートで日本1位を獲得するなか、トップメゾンのモデルに起用されるなど、 ファッション業界からも注目を集める新鋭アーティスト。2022年8月3日、2ndアルバム『No Pressure』をリリース。全国ツアーも予定。InformationNew Release『No Pressure』(収録曲)01.TROUBLE (Prod. Ryosuke “Dr.R“ Sakai)02.JUST NOISE (Prod. MATZ)03.BABEL (Prod. KM)04.No Stylist (Prod. Yosi)05.独創ファンタジスタ (Prod. KNOTT)06.No Pressure (Prod. UTA)07.HAPPY TEARS feat. Aile The Shota (Prod. Matt Cab)08.Skit09.Untitled (Prod. Yuya Kumagai)2022年8月3日発売*収録曲は全形態共通。*全形態スマプラ対応。(通常盤)AVCD-96998(CD)¥2,200(税込)特典:ジャケットサイズステッカーAジャケットサイズステッカーB(BMSG MUSIC SHOP限定)(初回生産限定盤)AVCD-96997/B(CD+Blu-ray)¥7,150(税込)特典:直筆サイン入りZine ver.1(全24P)【Blu-ray収録内容】(MUSIC VIDEO)・HAPPY TEARS feat. Aile The Shota ・独創ファンタジスタ(LYRICS VIDEO)・TROUBLE ・No Pressure(LIVE)”A GREAT FOOL” BIRTHDAY LIVE (2022.01.22)at CLUB CITTA’”(DOCUMENTARY MOVIE)Behind The Scenes of No Pressure(BMSG MUSIC SHOP限定盤)AVC1-96999/B(CD+Blu-ray)¥7,150(税込)*Blu-ray収録内容は初回生産限定盤と共通。*仕様:三方背ケース。*特典:直筆サイン入りZine ver.2(全24P)写真・大内カオリ 取材、文・かわむらあみり
2022年08月14日【音楽通信】第117回目に登場するのは、アメリカと日本を拠点に活動し、今後さらにワールドワイドに羽ばたいていくソロアーティスト、Ayumu Imazuさん!6歳からダンス、14歳から作詞作曲を始める【音楽通信】vol.11714歳でニューヨークへのアーティスト留学を経験後、 現在も活動の拠点をアメリカと日本に置いて活動しているAyumu Imazuさん。作詞作曲やダンスの振り付けまでを手がけ、圧倒的なダンスパフォーマンスや日本語と英語のバイリンガルを武器にした歌声で魅了し、今後、グローバルに活躍するアーティストとして熱視線を浴びています。2021年8月のメジャーデビューから1年となる2022年8月10日に、1stフルアルバム『Pixel』をリリースされたということで、お話をうかがいました。――まずは小さい頃に音楽に触れたきっかけと、影響を受けたアーティストから教えてください。母の勧めで6歳の頃からダンスを始めてから、洋楽に触れるようになりました。ダンス曲でよく聴いていたのは、ブラック・アイド・ピーズというアーティストグループです。14歳のときには、スーパーボウルのハーフタイムで行われるブルーノ・マーズのショーをテレビで観て、「すごいな、この人みたいになりたい!」と思って、作詞作曲や自分自身のクリエイティビティに取り組むようになりました。――楽器はギター、ピアノ、ベースが弾けるそうですね。14歳のときにアコースティックギターから始めました。それからピアノ、キーボードを練習して、ギターの延長でベースを始めました。楽器を演奏することは、僕にとって楽しいことです。さらに、作詞作曲をする楽しさも加わっていきました。ギターだけで作曲すると曲調が限られるので、ピアノでも作曲すると、楽曲の幅が広がったように思います。――14歳からニューヨークへ留学をされましたが、ホームシックになることはなかったですか。なりましたし、普通の学生生活が恋しくなりました。でも、僕のそのときの経験はかけがえのないものですし、当時もいまもニューヨーク留学を経験していてよかったと思います。いまは日本以外でも、アメリカにいても自分らしくいられるというのは感じていますし、人としてもアーティストとしても成長できる場所です。――もともと音楽でプロになることは幼少時からの夢だったのでしょうか。小さい頃から「ソロアーティストになりたい」というビジョンがずっと自分の中にありました。最初は試行錯誤しながら楽曲を作って、インディーズ活動でEPを2作品リリースしたり、ミュージックビデオの撮影や色々な経験と挑戦をしてきて、1年前にメジャーデビューしました。――実際にデビューしてから心境の変化はありますか。この1年の間、色々なことを感じましたし、経験しました。やっぱりメジャーデビューとなるとよりいっそう気合を入れなきゃいけない。とくに最初の1年は大事な時期だという自覚があって、そのぶん色々な方向性や狙いを定めて楽曲制作をしてきました。僕はダンスからスタートしたので、一番の強みはダンスだと、あらためて確信しました。1stアルバムはデビューから1年の集大成――2022年8月10日に1stアルバム『Pixel』をリリースされましたね。このアルバムはメジャーデビューから1年の集大成の作品になっています。デビューシングルの「Juice」が入っていたり、その後にリリースしたシングル曲が入っていたりもするので、Ayumu Imazuのこの1年間の成長が感じられるアルバムになっています。僕の強みであるダンスを100パーセント見せられる曲として、5月に出したばかりのシングル「Tangerine」も入っていますし、アルバムのリード曲「Over You」もダンス曲でよりクールな印象になりました。タイトルの『Pixel』は、楽曲ひとつ一つにこだわりを持って、丁寧に磨いてきた11曲の結集という意味があります。アーティスト活動をしていくなかで、軸がしっかり整っていないと、遠くから見たときにきれいに見えないという考えがありました。その考えを持ってやっていくことで、こうして11曲が集まってアルバムとなったときにも、きれいな作品になっていると感じます。――収録曲の「破片」は切ないラブバラードですが、どのように曲作りをしていきましたか。作詞作曲の原点でもある、アコースティックギターで曲作りをしていきました。同じように、今回のアルバムにも、シンガーソングライターとしての面がより表現されている曲「薔薇色の夜」もあります。この曲も、ダンス曲というよりは、歌声を聴いていただける楽曲になっています。――「薔薇色の夜」に出てくる歌詞で、例えば「平行線の先に映す影法師」や「線香花火 松葉が散り舞い落ち」など、ほぼ日本語で情緒のある言葉が綴られている部分とかっこいいサウンドとのマッチ感がすごく素敵だと思いました。ありがとうございます。この曲もアコースティックギターで作っていきました。もともと(2021年リリースのデジタルシングル)「浮遊夢」という曲があって、その曲がもう少しJ-POPライクな曲なのですが、その曲よりさらにパワーアップした曲を作りたいと思い、「薔薇色の夜」ができました。英語の歌詞は2行しかないんですが、歌詞を書く際、J-POPライクな曲はより歌詞にこだわって書いています。一番歌詞を伝えやすいのは、日本語詞で書くのが一番だと思っているので、この曲は日本語の良さが凝縮された曲になりました。――原点はアコースティックギターでの作詞作曲とのことですが、それ以外ではどのように曲作りしているのでしょうか。アコースティックギターだと、しんみりする曲を作ることが多いので、ダンスチューンを書くときは、音源からかためて、メロディラインをつけて、そこからリズムに合った歌詞を当てはめていくという順番が多いですね。パッと頭に思い浮かんだものは、ボイスメモに録音しています。そこからある程度形にしていくときもありますし、プロデューサーの方と相談しながら共同で制作していくことも。今回のアルバムだと、「Tangerine」と「Over You」をプロデューサーの今井了介さんと一緒に作らせていただきました。今井さんは僕がどういった形でアイデアを持っていっても、広げてくれる信頼できるプロデューサーなので、一緒に制作していて楽しいですし、テンションが上がります(笑)。――ダンスの振り付けもご自身でされていますね。自分の中で一番、ナチュラルにできるものがダンスだと感じているので、ダンスの振り付けはスラスラと作ります。作詞作曲よりもダンス歴が長いので、作詞作曲をするほうがもっと時間がかかりますね。――いま日本とアメリカの両方に拠点を置いて活動されていて、そういったグローバルな感覚はご自身の音楽にも影響されていますか。アメリカで聴いている音楽や、人と会話をしているなかで、曲が生まれることもあるので、最近の英語の言い回しなど歌詞には影響しているところがあると思います。日本語詞と英語詞の両方に、それぞれ意味を込めて曲作りをしています。――ではアルバムをどんなふうに聴いてほしいでしょうか。『Pixel』はダンス曲を最初のほうに持ってきているのですが、まず僕の強みであるダンスのよさが伝わりやすい曲を先に聴いてほしいという狙いがあります。アルバムを聴いて楽しい気持ちになってほしいので、6曲目まではダンスノリノリ系の曲をまとめているのと、構成にもこだわって、曲順もしっかりと考えて選びました。――アルバムリリース後は、アルバムツアーのご予定などはありますか。この1stアルバムを引っ提げてのワンマンツアー「AYUMU IMAZU LIVE 2022 “Pixel”」で11月23日にShibuya WWW Xでの東京公演、11月25日にUMEDA CLUB QUATTROでの大阪公演があります。地元の大阪でライブができるのは、自分の中でテンションが上がりますし、楽しみです。両親にもライブに来てもらいたいです。このアルバムをファンの方に直接届けられる最初の場ですし、ダンスを直接表現してお客さんに届けられる場にしたいと思っています。「Ayumu Imazu」というアーティスト像を100パーセント表現できる場になると思うので、頑張りたいと思います。グローバルに活躍できるアーティストになりたい――お話は変わりますが、趣味に卓球があったり、特技のひとつにはルービックキューブがあったりしますね。そうなんです(笑)。卓球は、小学校6年生のときにクラブ活動で1年間卓球部に入って毎週金曜日にやっていたので、どハマりしました。ルービックキューブは1分ぐらいですぐ揃えられます(笑)。ニューヨークのビデオグラファーの方がやっているのを見て、かっこいいなと思っていろいろな場所で練習していたら、できるようになりました。――普段、おうちではどんなふうに過ごしていますか。家では本を読んだり、携帯を見たり。本は文庫本をよく読むのですが、とくに好きな作家はいなくて、その都度、タイトルとブックカバーで選びます。――ご自身で洋服を選ぶときは、ファッションのこだわりがあれば教えてください。古着が好きです。あまり他の人とかぶらないものが好きなので、古着のようなオンリーワンのものが着たいです。着るのはストリート系のファッションが多いです。――コンディションをキープするために、取り組んでいることはありますか。朝ごはんをしっかり食べるようにしています。日本に帰ってきたら、納豆と梅干しで朝ごはんをがっつり食べます。僕はダンスもするので、パフォーマンス前にはしっかりご飯を食べないと良いパフォーマンスができないところもあると思うので、食事はしっかり摂るようにしています。――いろいろなお話をありがとうございました。では最後に、今後の抱負をお聞かせください。昔から、グローバルに活躍できるアーティストになりたいという目標があるので、その目標を達成させられるよう、これからも頑張っていこうと思います。取材後記6歳から始めたダンスでの表現力や、日本だけでなくアメリカで蓄積している経験など、アーティストとしてクリエイティビティをいまもなお高め続けているAyumu Imazuさん。抜群のパフォーマンスで魅了する姿もありながら、ananwebの取材の際には22歳という等身大の姿も感じさせてくださいました。そんなAyumu Imazuさんの1stアルバムをみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。写真・安田光優取材、文・かわむらあみりAyumu ImazuPROFILE2000年5月12日、大阪府生まれ。14歳より約3年半、アメリカ・ニューヨークのアーティスト留学を経験後、活動の拠点をアメリカと日本に置いて活動するアーティスト。2019年3月よりダンスパフォーマンスを交えたカバー動画をYouTubeに公開し、ブルーノ・マーズの曲「Finesse」をカバーした動画が約100万再生を記録し話題となる。10月、初のオリジナル楽曲のミュージックビデオ「PARADISE」を公開。2020年2月に1st EP『Epiphany』、9月に2nd EP『Waves』をリリースし、iTunesチャートは最高位11位にランクイン。2021年8月、シングル「Juice」でメジャーデビュー。2022年3月、配信シングル「破片」は全国のラジオやCSのパワープレイ26冠を獲得。5月の配信シングル「Tangerine」はSpotifyの主力プレイリスト含む13プレイリストにピックアップされるなど、Z世代を代表するアーティストとして注目を集めている。2022年8月10日、1stフルアルバム『Pixel』をリリース。「AYUMU IMAZU LIVE 2022 “Pixel”」と題したワンマンツアーを11月23日にShibuya WWW Xでの東京公演、11月25日にUMEDA CLUB QUATTROでの大阪公演を開催する。InformationNew Release『Pixel』(収録曲)01.Tangerine02.Juice03.Over You04.Butterfly05.Problem06.ACCHI KOCCHI07.薔薇色の夜08.Unpredictable09.Stranger10. 破片11. Colors2022年8月10日発売*収録曲は全形態共通。(通常盤)WPCL-13395(CD)¥3,080(税込)(初回生産限定盤)WPZL-31988/9(CD+DVD)¥5,500 (税込)*撮り下ろしフォトブックレット(36P)【DVD収録内容】<Music Video>01.Juice 02.Stranger 03.ACCHI KOCCHI 04.破片 05.Tangerine<AYUMU IMAZU LIVE 2021 “Prologue”@SHIBUYA WWW X>01.Lover 02.Blinded Eyes 03.Lonely Boy 04.さまない 05.雨跡 06.破片 07.PARADISE 08.Light Up 09.浮遊夢 ENC.Juice写真・安田光優 取材、文・かわむらあみり
2022年08月10日ディズニープラスで配信中の映画『ザ・プリンセス』のエグゼクティブ・プロデューサー兼主演のジョーイ・キング、さらに共演のヴェロニカ・ンゴーと監督のレ・ヴァン・キエットのインタビューが到着。本作で本格的なアクションに挑んだジョーイは「マーシャル・アーツのプロセスに恋してしまった」と語り、アクション俳優として知られるヴェロニカもそんなジョーイの姿勢に絶賛を贈っている。ジョーイはエグゼクティブ・プロデューサーとして当初から本作のプロジェクトに関わってきた。「この映画をやりたいと思わせた理由は、この映画が私をすごく怖がらせたからだと思います。最初に読んだ脚本は、最終的に私たちが撮影するときに使った脚本とは違うものでした。何人かでアイディアを寄せ合って、少しその脚本を変えましたが、何ページあったでしょうか。95ページのうちの92ページは、戦いだったんです」と明かす。物語は、ある中世の王国。国王の座を奪い、全ての村人を自分の支配下に置こうと企むジュリウスの求婚を拒否した王女が、城の離れの塔に監禁されてしまう。さらに、ジュリウスは国王の座を力ずくで奪おうと、王家に攻撃を仕掛けてくるのだ。「素晴らしい脚本を読んでも、それが駄作になったりするし、その反対のこともあります。そんなに良くない脚本を読んで、それが素晴らしい作品になることもあります。でも、この映画には、素晴らしいチームがいました。ここにいる2人や他のみんなも、私が怖がったこの脚本がすごく好きでした。そして、キャラクターが大好きでしたし、彼女(主人公の王女)に名前がないこともとても気に入りました」とジョーイ。「それに、これまでにアクション映画をやったことが一度もありませんでした。それで私は、そろそろ私がやるべき時だ、と思ったんです」と語る。「とてもエネルギッシュな軌道を持つキャラクター重視のストーリーが、僕をとても刺激したんです」と言うのは、ベトナム出身のキエット監督。「繊細なユーモアが好き」という『ダイ・ハード』や、『ザ・レイド』のようなハードボイルドなアクションやサバイバル・スキルが「僕たちにとてもインスピレーションを与えてくれました」と語り、「『ザ・プリンセス』はこうあるべきだというリズムに、僕たちを引き込んだと思うんです」と、今作の指針になった作品の名前を挙げた。「こんなプリンセス・ストーリーを見られるのは初めてのこと」その製作過程をふり返り、ジョーイは「すごく素晴らしかった。これほど誇りに思ったことは、長い間ありませんでした」と言う。「関わった人々みんながどれほどの仕事をしたか、私自身がどれほど仕事をしたか。そしてどれほどの知識が今作に入っていったか。それから完成作を見て、どれだけ素晴らしいものになったかということにとても驚きました。これ以上誇りに思うことはできませんし、人々にこの映画を見てもらえることにすごく興奮しています」と語り、「本当に楽しい時を過ごしました。観ていてとても楽しい映画なんですよ」と自信を込める。「ジョーイが言った通りです。僕たちはとても楽しみました」と応じるキエット監督は、「ジョーイは、常に僕をドラマ的に感心させただけじゃなくて、身体的にも感心させました。本当に楽しかった。なぜなら、明らかに、僕の仕事をもっとずっと簡単にしてくれたから。映画に見事に溶け込んでいました」と語る。また、ヴェロニカも「ベトナムから出て来て、こういったプロダクションに参加するのはいつもとても楽しいです」と話しながら、「今回でキエットと一緒に仕事をするのは3度目です。でも今回は、初めて彼の違う側面を見ることになりました」と明かす。もともとクレイジーでダークなストーリーを得意とするという監督だが、「私に電話をしてきて『僕がプリンセス映画をやるんだ』と言ったとき、私は『何ですって?』という感じでした(笑)」と打ち明ける。「すべては本当にファンタスティックでした。映画の中でジョーイがとてもかっこいい演技をしているのを見ることができますし、ストーリーはとても楽しいのです。こんなプリンセス・ストーリーを見られるのは初めてのこと。すごく驚かされることを約束します」と続け、「私にとってもとても楽しい作品なのです。キエットとまた、こんなに素晴らしい旅をできてとても誇りに思います。そして、ジョーイのことを知ることができました」とヴェロニカ。「彼女は本当に才能があります。私はこれまで一度も、女の子がああいうふうに戦うのを見たことがありません」と話し、ジョーイについて「トレーニングしている時すでに、どれほど全力を傾けてやっているかを見ました。完成作を見て、私は『ワオ』って思いましたね。座席にじっと座っていられませんでした。素晴らしかった」と絶賛した。初めての本格アクションも「素晴らしいサポートシステムがあった」そんなヴェロニカの言葉を受け、「本当に名誉なこと」とジョーイは言う。「ヴェロニカは明らかに、アクションの世界でものすごく経験があって、本当に信じられないほど素晴らしいファイターです。彼女から学ぶことが山ほどあることがわかっていました」と語り、「彼女が戦っているのを見ると美しいダンスみたいなんです。だからそう言ってもらえてとても嬉しい」と明かす。「私は、どれだけ学ばないといけないかよくわかっていましたし、今も学ばないといけないことが山ほどあります。でも、自分が全力を尽くしたことを知っていて、ヴェロニカみたいに、彼らの仕事をよくわかっている人と一緒に仕事ができて、彼女が、たとえほんの少しだけでも私に感心してくれたと聞いて、とてもナイスだと思います」と自らを誇る。すると、「あなたは、誰にとっても最高の生徒でしたよ」とヴェロニカが応じ、改めてお互いを称え合った。「私が自分にこういったことがやれると感じた唯一の理由は、キエットやヴェロニカやスタントチーム全体のおかげなのです」とジョーイ。「『私には何もやれない』と感じさせるような人は誰もいませんでした。私の2人のスタントダブルの人たちは、私にとって素晴らしい友人たちになりました。彼女たちは、私にやれることはなんでも私にやらせたかったのです。私が自分にやれる最高の状態になれるように、私を訓練したかったんですね。そういったことが私を良い生徒にしてくれました」と言い、そこまで挑むことができたのは「私を信じてくれた人たちの本当に素晴らしいサポートシステムがあったから」と続ける。緊張していた彼女を「あなたがやれるとわかっている」と奮い立たせてくれたチームの存在が、「とてもとても助けになった」というのだ。ジョーイとヴェロニカは王女とリンそのもの「多くの人々が共感できる関係」ヴェロニカが演じるリンは、ジョーイ演じる王女にとってまさにそうした役割を担うメンターである。「私とヴェロニカのキャラクターの関係で大好きなことは、それが映画の心のよりどころだということ。すごく多くのことが起きている映画の中でね。それが映画の中で失われることはありません」とジョーイ。「私たちの関係や、私たちのキャラクターの変化、私たちが一緒に戦うこととかすべてにハートがあります。その背後にはたくさんの愛があるのです。とても美しい姉妹のような、母親のような、力強い相性があります。そして、観客はずっと彼女たちのことを応援します。彼女たちの間の関係は、脚本でとてもよく描かれていました。とても美しかった」と明かす。「完成作の中の2人の関係は、さらにもっとエキサイティングになっていると思います。彼女たちはお互いにとても楽しんでいます。彼女たちの関係は可笑しいんです。お互いのことをとてもよく知っています。だから、もっともクレイジーな状況においても、お互いのことをからかい合ったりするんですよ。それは、多くの人々が共感できる関係だと感じます。彼らの人生にいる誰かと同じように」と語る。また、ヴェロニカも「たとえ私はプリンセスのメンターを演じていても、それは間違いなく友情です。なぜならプリンセスは彼女と一緒に育って、一緒にトレーニングをし、すべて(同じ)哲学を持っているから。その哲学は、プリンセスの頭の中で思い出されて、繰り返されます」と言う。「たとえ極めて重要な状況の中にいても、彼女はいつもフラッシュバックして、彼女たちがお互いに会った時のことを思い出すのです」と語り、「私とジョーイもです。私たちはどんなシーンを演じていても、それをとても楽しみました。ジョークを言い合っていました。その過程でストレスはまったくありません。だから、大好きな撮影になりました」と語った。王女のように「新たな自信を自分の中で解き放った」もし、今作の続編か、あるいはアクションシーンがたくさんある映画をまたやりたいかと問われると、「私は本当にマーシャルアーツのプロセスに恋してしまったんです。この映画のトレーニングをやっている間に、どのように戦うかを学ぶことで」とジョーイは応じる。再びアクションにチャレンジすることになっても、「尻込みしません。私が持っていることを知らなかった、新たな自信を自分の中で解き放ったように感じたんです。なぜなら、こういうことをできるとは思わなかったから。でもそれをできたのです。だから、それは私をとてもエンパワーさせてくれたように感じます」。まさに中世のおとぎ話のような世界観で訴えるのは、女性へのエンパワーメントだ。「『ザ・プリンセス』は、勝ち目のない人が最後にトップになるという物語です。彼女が、自分にはそれはできないと思っている時にね。そして、この映画の中での私のお気に入りの一つは、そこにどれだけ自己不信があるかということなんです。プリンセスには自信があります」とジョーイは言う。「彼女は自分が戦えると知っています。でも、彼女は、自分にそれをやり遂げられるかどうかわからないのです」と語り、「彼女はそれを一度に一歩ずつこなしていくのです。彼女は圧倒されているし、疲れています。彼女はものすごいファイターなのです。この映画の最高の部分は、どんなに相手が強くても、どんなにあなたの自己不信が大きくても、それを克服し、乗り越えて、トップに辿り着けることができるということを、この映画から受け取ることができることですね」と思いを込める。「僕も同意します」と監督も続ける。「最後には、人々はこの全体のテーマを受け取ると思います。『もしあなたが自分自身を信じていたら、もし自分自身に賭けたら、最後はきっと大丈夫です』ということをね」と締めくくっていた。『ザ・プリンセス』はディズニープラスにて配信中。(text:cinemacafe.net)
2022年07月23日インタビューを通じて、彼の口からこぼれる言葉のひとつひとつが、凄まじいまでの熱を帯びている。まるで『キングダム』で演じた信のように。信という直情型の熱い主人公を演じ切った『キングダム』は、2019年に公開され興行収入57.3億円を叩き出し、この年の邦画実写No.1作品に輝き、山崎さんの代表作となった。そして、待望の続編となる『キングダム2 遥かなる大地へ』がついに公開を迎える。果たして『キングダム』という作品、信という役柄との出会いは、山崎賢人をどのように変えたのか――?「プレッシャーよりもワクワクするような気持ち」――前作『キングダム』が公開を迎えるまで、原泰久さんによるこの大人気漫画の実写化に対して否定的な声も少なくありませんでした。主演としてプレッシャーもあったかと思いますが、公開されてからの数多くの称賛の声や57.3億円の大ヒットという結果をどのように受け止めましたか?実写版『キングダム』の世界観をどうやって作り上げていけばいいのか?明確な“答え”が見えない状態で始まりましたが、とにかく現場の熱量が凄まじかったし、自分自身も全身全霊で挑ませてもらいました。それがあれだけの熱い作品、日本の映画ではなかなかないスケールの映画として完成して、嬉しかったですし、それを実際にたくさんの方に観ていただけて、楽しんでもらえたのは素直に嬉しかったです。――大ヒットという結果に安堵する気持ちもありましたか?自分としては「やれることは全てやった」という気持ちでしたが…、それでもホッとした部分はありましたね。普段から数字はあまり気にしないようにしてはいますけど、きちんとヒットしたのはやっぱり嬉しかったです。――その数字があって実現した今回の続編ですが、前作からスケールアップし、合戦シーンもあるなど、ゼロから全てを作り上げた前作とはまた異なる難しさやプレッシャーもあったかと思います。そこは、信が初めて戦場に出ていくときの気持ちとも重なるというか、プレッシャーよりもワクワクするような気持ちが大きかったですね。やる気満々で、アクションの練習も早めに始めましたし、武者震いするような気持ちというか、良い意味での緊張感がありました。――前作では厳しい減量を行なったそうですが、もう一度、そういう厳しい状況に自身を持っていくのはつらくなかったですか?今回の信は、前作でいろんなことを乗り越えてより強くなっていたので、前作のように(過酷な環境で生きる信を体現するために)減量をして…ということはなかったので、そこまでつらいという感じではなかったです。どちらかというと「強く優しく」、「たくましくみんなを引っ張っていく」という気持ちで、思い切り暴れてやろうという思いでした。――今回、再び演じてみて、信という人間に対して発見や新たに魅力を感じたところはありましたか?信は、前作で漂という大切な存在を失っていて、その哀しみを知っているからこそ、本作で出会った同じような境遇の羌瘣(きょうかい/清野菜名)が「姉の仇を討てたら死んでもいい」と言うのに対して、ストレートな言葉で「ふざけんな」と言えるんですよね。そこで“夢”の話をするんですけど、出会ったばかりの相手に「死んじゃダメだ!」と言える信はやはり優しいし、みんながどこかで躊躇してしまったり、言いづらかったりすることを力強く言えるっていうのは、信の魅力だなと改めて思いました。信が羌瘣に言う言葉って、実はいまの時代、みんなが言ってほしい言葉なんじゃないかって思うんです。映画を観に来て下さった人たちに、信を通して『生きる』という力強さを伝えられたらと思います。存在感のある役者がキャラクターをリアルに演じる――前作の「王宮奪還編」で生死を共にした嬴政(えいせい/吉沢亮)や河了貂(かりょうてん/橋本環奈)とは今回、一緒のシーンは前作より多くはないですが、撮影自体は彼らと共演する王宮のシーンからスタートしたそうですね?そうなんです。やはり熱い思いをもって一緒に『1』を作り上げたお亮と環奈ちゃんと共に撮影を始めることができたというのは、すごく大きかったです。「あぁ、『キングダム』が始まったんだな」という感覚でスーッと入っていけて大きな安心感がありました。僕自身、信と政と河了貂の関係ってすごく好きなんです。それぞれが、自分の道で頑張りつつ、目指すべきところは一緒というところが。それこそ、お互いに離れていて、別々の作品でそれぞれ頑張っている時間があっても、また『キングダム』でこうやって一緒になって、同じ志で頑張れるというところで、すごく僕らの関係とも重なるし、2人がいてくれることで自然にそこにいられるんですよね。――大沢たかおさんが演じる大将軍・王騎も、決して一緒のシーンは多くはないんですが、前作に続いて信に非常に大きな影響を与えます。大沢さんの王騎将軍は『1』でもそうでしたが、とにかく圧倒的なオーラと存在感、説得力があって、対峙すると自然と信として憧れの感情がわいてきます。個人的にも大沢さんのことが大好きで尊敬しているので、自分と信の重なる部分をすごく感じられるんですよね。現場でも前回よりもいろんなお話ができてすごく嬉しかったです。大沢さんだけでなく、『キングダム』って役者のみなさんの存在感をそれぞれのキャラクターですごくリアルに感じられるんですよね。豊川(悦司)さんが演じられた麃公もそうですし、佐藤浩市さん(呂不韋役)、玉木宏さん(昌平君役)、高嶋政宏さん(昌文君役)、要潤さん(騰役)…、みなさん、ご自身の“オーラ”ですごくリアルにキャラクターを成立させているなと思います。――撮影、そして完成した作品をご自身でご覧になって、最も心動かされたのはどの部分ですか?「ここ」という一部分というより、全編を通じてノンストップで走り続ける感じが今回の続編の魅力だなと思いました。とにかく勢いがすごくて、走って、走って突き進んで、着いたと思ったらまた…という感じで、そこにすごい数のキャラクターが出てきて、それぞれにドラマがあって、最初から最後までずっと面白いです。役を通して自身も成長「良い相乗効果が生まれている」――山崎さんは10代後半に俳優としてデビューされて、それから現在まで10年以上にわたって、いろんな作品で主演を務めてきましたが、10代後半や20代前半の頃と、20代の後半になった現在とで、作品に向き合う気持ちや俳優という仕事に対する思いに変化はありますか?以前と比べて「みんなで作っている」という気持ちをより強く感じるようになったのかなと思います。ひとりで作品を背負うものでもないし、自分の役だけをやっていればいいというものじゃなくて、共演者のみなさん、衣装、ヘアメイク、小道具、特殊メイク、撮影、照明、録音……本当にいろんなみなさんの力をあわせることでひとつの作品ができているというのをすごく感じますね。――本作でも“仲間”の大切さが大きなテーマとして描かれます。先ほどからお話を聞いていると、『キングダム』という作品、そして信の姿にご自身を重ね合わせながら、生きる上での“道標”のように捉えているのが伝わってきます。そうなんですよね。信は成長していく中で、少しずつ、背負うものができたりもしていきますが、僕自身、俳優として歩んでいく上でリンクする部分がすごく多いなと感じています。『キングダム』という作品に出会い、信を演じさせていただくことで、良い相乗効果が生まれているのを感じています。※山崎賢人の「崎」は、正しくは「たつさき」※高嶋政宏の「高」は、正しくは「はしごだか」(text:Naoki Kurozu/photo:Jumpei Yamada)■関連作品:キングダム2 遥かなる大地へ 2022年7月15日より全国にて公開(C)原泰久/集英社 (C)2022 映画「キングダム」製作委員会
2022年07月18日ホッキョクグマをはじめとする、寒い地域ならではの動物たちと触れ合える、北海道の札幌市円山動物園(以下、円山動物園)。散策しながら、さまざまな動物たちを見ることができる、人気のスポットです。2022年7月現在、円山動物園オフィシャルショップにあるオリジナルグッズが、ネット上で「天才すぎる!」「もはやアートの域では?」「めっちゃ欲しい」と話題になっているのをご存じですか。多くの人々の心をわしづかみにしているのは、円山動物園オフィシャルショップが2021年3月から販売しているオリジナルグッズ『アニマルご祝儀袋』です。こちらのグッズは、同年に円山動物園が70周年を迎えたタイミングで作られたものだといいます。水引の部分は、動物園にゆかりのある動物の顔がデザインされていて、インパクト抜群ですね!発売から1年が経過した2022年7月現在も、たびたびネット上で「かわいい!」と話題になり、グッズを購入する人が多いのだとか。多くのファンの心をわしづかみにしたオリジナルグッズは、どのようにして誕生したのでしょうか。円山動物園の『アニマルご祝儀袋』に反響!制作秘話を聞いてみたグッズの制作秘話について、円山動物園オフィシャルショップの社員に、話をうかがいました!――商品が生まれたキッカケは。まず、円山動物園が70周年を迎えるにあたり、「何かおめでたい商品が作れないか」と思ったのがスタートでした。いろいろとグッズ展開を考える中、さまざまな表現や活用方法で注目され始めていた水引に思い当たり、動物を水引で作れたら面白いのでは…という案が浮上したのがキッカケです。それから、現在お世話になっている『水引工作所』さんに白羽の矢が立ちました。『アニマルご祝儀袋』は、水引で創作活動を行う『水引工作所』に依頼して、実際に作ってもらった商品とのこと。『水引工作所』の作家さんが、一つひとつ丁寧に手作りしているそうです。種類は、オオカミ、ホッキョクグマ、レッサーパンダの3パターンがあります。オオカミホッキョクグマレッサーパンダどれも異なる魅力があって、購入時に迷ってしまいそうですね!たくさんの動物がいる中で、なぜこの3種類を選んだのでしょうか。――この3種類の動物をモチーフにした理由は。どの動物も、本当にそれぞれの魅力がありますので、正直、動物選びはとても迷いました。ですが、円山動物園の70周年を記念する企画でもあったので、「特に人気の高い動物にしよう」と社員で話し合いを重ね、この3種類にしました。さらに、動物グッズとしては未知の商品だったので、極力万人受けする動物を選びました。――ちなみに、一番人気のあるデザインはどれ?本当にどれも人気は拮抗しています。ただ、発売当初は円山動物園でも代表的な動物であるホッキョクグマが、若干抜きん出ていた感じはあります。こうして1年以上経ち、再注目を集めてからは、オオカミもさらに人気が出ています。ただ、残念なのが今年のゴールデンウィーク中にオオカミが亡くなってしまい、現在は円山動物園でオオカミは見られなくなってしまいました。それでも根強いオオカミファンからの愛情をヒシヒシと感じています。円山動物園でも人気を博していたオオカミは、2022年のゴールデンウィーク中に亡くなってしまったものの、根強いファンがグッズを購入していくそうです。園内の動物たちが、多くの人に愛されながら過ごしていることが伝わってくるエピソードですね。70周年記念のオリジナルグッズを作る際に、『アニマルご祝儀袋』以外でボツになった企画があったのか、聞いてみると…。ボツになってはいませんが、当時は商品化まで至らず、温めているものはあります。現在もいくつかシリーズ化や発表、商品展開を待ち構えてるものがあります。2022年7月現在、『アニマルご祝儀袋』のほかにも、素敵なオリジナルグッズを検討中とのこと。次はどんなグッズが誕生するのか、楽しみですね!最後に、grapeの読者に向けてメッセージをもらいました。今回のご祝儀袋をきっかけに、まずは動物園へ行ってみたい、どんなところだろうと興味をもってもらえると嬉しいです。当ショップは動物園が運営しているわけではありませんが、実際に足を運んでくださった方々に少しでも楽しい思い出を残してもらうための1つの要素だと思っています。大人の視点や子供の視点、さまざまな物から、動物園や動物を取り巻く環境に興味をもってもらう入口の1つして、これからも面白いグッズや、その土地ならではの商品づくりを心掛けたいと思っています。『アニマルご祝儀袋』が、これほどまでに多くの人を魅了するのは、作り手側の動物を愛する気持ちや、来園者を喜ばせたいという、熱い思いがこめられているからかもしれませんね。[文・構成/grape編集部]
2022年07月09日【音楽通信】第116回目に登場するのは、唯一無二の歌声をたくさんの人々に届けて、今年デビュー20周年を迎えたシンガー、元(はじめ)ちとせさん!生活にシマ唄と奄美の音楽が根付いていた【音楽通信】vol.1162002年にリリースされたデビュー曲「ワダツミの木」が大ヒットし、その歌声を全国区に響かせ続けデビュー20周年を迎えた、鹿児島県奄美大島出身のシンガー、元ちとせさん。数々の作品を発表するなか、戦後70年となる2015年には、坂本龍一プロデュース曲「死んだ女の子」なども収録された平和への思いを込めたカバーアルバム『平和元年』を発表し、第57回日本レコード大賞『企画賞』を受賞。2018年には自身の原点である「奄美シマ唄」の新録アルバム『元唄〜元ちとせ奄美シマ唄集〜』や、2021年には奄美大島の世界遺産登録を記念した『トコトワ〜奄美セレクションアルバム〜』をリリースするなど、現在も拠点を置く奄美大島や平和への願いを込めた歌をわたしたちに届けてくれています。そんな元さんが、2022年7月6日に、オリジナルアルバム『虹の麓』をリリースされるということで、音楽的なルーツなどを含めて、お話をうかがいました。――あらためまして、小さい頃に音楽に触れたきっかけからお聞かせください。故郷・奄美大島のわたしの育った場所は、まわりに大島紬の織物工場や畑があって、そこで働くおばあちゃんたちが自然とシマ唄を口ずさんでいる環境だったんです。そのため常に生活の中に、シマ唄や奄美の音楽がありました。――元さんが歌われているカタカナを用いる「シマ唄」と、漢字の「島唄」の違いはなんでしょうか。奄美の場合は、シマ唄はカタカナで「シマ」と書く「シマ唄」、アイランドソングという意味ではなく、なわばり=自分たちのシマ(場所)という意味なんです。わたしはずっと「シマ唄」を歌ってきました。――お母さまから三味線を勧められ、小学生のときには自らシマ唄を習い始めたそうですね。お祭りごとがあるときでも、(遠くて)気軽に誰かを呼べるような場所ではなかったので、自分たちが技術を身につけて、歌ったり踊ったりと盛り上げなくてはいけなかったんです。そんなときにシマ唄をみんなで歌って、ちょっと三味線を弾くだけでも、おじいちゃんやおばあちゃんが本当に喜んでくれるので「だったらやりたいな」と思ったのが、さらにシマ唄や三味線に興味を持ち始めたきっかけでした。三味線は、たとえばギターのように楽譜があるものではないので、三味線だけやっていてもレパートリーが増えないと言いますか。歌を覚えれば、歌に合わせて耳で音を探って弾けるので、三味線をもっと弾くためにも、歌を覚えたいと思っていましたね。――高校3年生のときには「奄美民謡大賞」の「民謡大賞」を史上最年少で受賞されています。とにかく歌うことが好きだったんです。その年齢でシマ唄をやっている人も少なかったですし、夢中だったので、たぶん人の倍は練習していたかもしれません。でも、厳しい訓練ということではなく、好きだからひたすら1日中、三味線を弾いて歌っていた結果、その年の大賞をいただけたんだと思います。――2002年2月にシングル「ワダツミの木」でメジャーデビュー、シングルチャートで1位を記録した大ヒット曲ですが、当時のお気持ちは覚えていますか。インディーズのときから歌って、ライブもさせていただいたりしていたので、あまりデビューの重みをわかっていなかったかもしれません。とにかく歌を歌うこと自体が楽しかったですし、自分のオリジナルソングを作り上げていく作業もうれしくて、デビューしたことよりもひたすら歌えることが楽しかったですね。当時は、あまり奄美大島という場所がいまほど認知されていませんでしたし、わたしの苗字の「元」という名前も珍しかったですし、そういう点や変わった歌い方でみなさんが興味を持ってくれたところもあったと思います。――デビュー20周年を迎えられましたね。すごく忙しすぎて20年が過ぎたということでもなく、すごく苦労してつらかったこともなく、とてもいいペースで歌と向き合いながら、この20年を歩いてくることができました。聴いてくださっているみなさんやまわりの方々に支えられての20年です。節目となるデビュー20周年のオリジナルアルバム――2022年7月6日に、5thアルバム『虹の麓』をリリースされます。オリジナルアルバムとしては14年ぶりとなりますね。20周年を節目として、アルバムを作りたかったんです。オリジナル作品は14年ぶりとなりましたが、それはやっぱり上田現さん(デビュー曲「ワダツミの木」ほか数々のプロデュースを担当した音楽家。2008年逝去)を失ったということが大きかったです。ただ、その間に、カバーアルバム『平和元年』やシマ唄集などリリースはしていましたし、歌と離れることなく向き合わせてもらえました。その流れからの20周年に向けて、コロナ禍でこれまで当たり前にできていたことが当たり前にできなくなったこともすごく影響しています。祈りや願いの先に、ちゃんと希望が見えてくる作品を作りたいと思い、初めてご一緒するアーティストやクリエイターの方々にも書いていただいたりしながら曲が集まってきてくれました。――とても意義深いタイミングのアルバムとなったのですね。今回、先行配信シングルも3曲収録されていますが、4月配信の坂本慎太郎さんプロデュース曲「船を待つ」は、海辺でゆったりしているような感覚もあります。最初に曲を聴いてどのような印象を持ちましたか。この曲もそうですが、今回初めてわたしに楽曲提供してくださった方々の曲は、すべてこれまでのわたしの曲にはなかったリズムやシンプルさ、自分では表現したことのなかったような楽曲でした。しかも楽曲提供してくださったシンガーソングライターの方々は、ご自身でも歌われる方々。ご本人が歌っているデモ音源が届いたときに、その人たちの味があって「それをまたわたしがどういうふうに表現できるのかな?」と考えるのは、初めて取り組む作業でしたね。――そういう意味では、新鮮だったのでしょうか。そうですね。坂本さんの「船を待つ」は、シンプルな中に不安と希望という、見えづらい大きな変化のようなことを声にして表現したのですが、すごく難しかったです。――5月配信の長澤知之さん作詞作曲「虹の麓」は、どこかトロピカルなレゲエのリズムがベースとなった曲で、アルバムのタイトル曲でもあります。長澤くんは同じ事務所に所属していて、もともと彼の才能とパワーをずっと感じていて。かわいらしいリズムの中に、力強さや、一歩ずつ歩こうというメッセージを感じたので、そんな思いを表現しながら歌いました。小さい頃、「虹の麓に宝箱がある」と信じて探しに行った自分を思い出したりもして、でもそれって現実には辿り着けないんですが、「前にきっとある」という見えない希望を探していたんですよね。そういう意味でも、希望のあるタイトルだなと思ったので、アルバムにもこのタイトルをつけました。――6月配信の折坂悠太さん作詞作曲「暁の鐘」は、ミュージックビデオに折坂さんもご出演されていますが、語りかけるような歌ですね。この曲は、坂本さんの曲とはまた違いますが、どういう歌い方をすればいいか悩んでいたら、「静かに呟いたりひとりごとを言っているイメージで」というアドバイスを受けたんです。でも、わたしはあまりひとりごとを言わないし、実践するのがすごく難しくて。これまでは遠くにいる人に届くような声を使うことが多かったのですが、この曲ではそばにいる誰かや自分に向けて、何かひとつ言葉を届けているイメージかなと。これもかなり苦戦しました。――元さんが三味線を弾いている、さかいゆうさんプロデュース「KAMA KULA」は、サビの「ラーレンハイヤー ヤーレンサイヤー」というワードも印象的でした。この曲は、ゆうくんがボーカルレコーディングのディレクションもしてくれました。「南の風が、北の大地に迷い込んだイメージなんです」と言われ、もちろん実際に目に見える風景ではないのですが、そのゆうくんの説明が腑に落ちたので、それをイメージしながら歌いました。そして三味線を入れたことで強くてパンチのあるものにもなりましたね。「ラーレンハイヤー ヤーレンサイヤー」は、意味のある言葉ではないんですが、民謡特有のお囃子などにありそうなフレーズということで、ゆうくんとふたりで作りました。――アルバムのラストに入っている「ヨイスラ節」は、奄美地方に古くから伝わるシマ唄のひとつのようですね。このシマ唄が持つメッセージ、そしてアルバムに収録された理由も教えてください。今回のアルバムを作る上では、やっぱりコロナの時代がやってきた影響が大きかったんです。もちろん平和への願いと祈りを1曲ずつに込めているんですが、反戦といったような大きく力強いメッセージを掲げるというわけではなく、コロナで世の中が断絶されて、それでも立ち上がって歩かなきゃいけないという思いと、身近なことで言えば当たり前に会えていた人たちに会えなくなっている、ただ食事に行くようなことがいまはあまりよく思われなくなっていることなど、思うところがあるなかでアルバムを作っていて。「ヨイスラ節」の歌詞の中に「今日(きゅう)ぬほこらしゃや ヨイスラ」と歌っている部分があって、それは「今日は素晴らしい日です」という意味なんです。奄美では《今日(きゅう)ぬほこらしゃや 何時ぃ(いてぃ)ゆりむ勝り何時ぃ(いてぃ)む 今日(きゅう)ぬぐとぅに あらちたぼれ》という、いろんなシマ唄で歌われたり、おじいちゃんやおばあちゃんが孫たちに「幸せになれよ」という意味を込めて、おまじないのようによく使う言葉があるんです。そんな歌詞の意味が、今回のアルバムに込めた思いにもとっても合っているので、この曲を最後に入れました。――ではアルバムがリリースされたあとは、みなさんにどんなふうに聴いてほしいでしょうか。シマ唄もそうですが、最初から歌の意味をすごく理解してやってきたかといえばそうでもなく、ただ大好きな音楽だから歌っていたという部分もあるんです。小さいときから触れていて、心の中の引き出しに入っている歌が、お守りのような存在になっている感覚があって。わたしは“いつも歌のお守りに守られてきた”という思いがあるので、みなさんにとっても、そういうアルバムになってほしいですね。ひとつでも多くのライブをやっていきたい――お話は変わりますが、現在も奄美大島にお住まいということで、2021年7月に奄美大島は世界自然遺産に登録されましたが、何か変化を感じることはありましたか。実は世界自然遺産に登録の4年前にも一度、登録の話が出てきたことがあったのですが、島の人間はみんな「登録されたらどうなるんだろう?」「誰が決めているの?」と、突然のことでよくわかっていなくて。でも、そのときは登録が見送られたんです。その間に、あらためて島のことを島の人たち自身が見つめ直す時間ができて、登録された場合どんなことがあるのか、そのなかでも忘れてはいけないことの確認など話し合いができました。島の人間としてこの4年間はとても貴重な時間でしたし、心構えができた上で「じゃあ登録されたいね」となって、念願叶って登録が決まり、島のみんなでバンザイして喜べたのでよかったです。奄美大島は、人と人との距離が近くて。子どもたちやお年寄りなど年齢問わずみんなで声をかけあって、たとえば一人暮らしのお年寄りの方のおうちに常に訪ねていくなど、まわりの人をいつも気にかけています。常にあったかいものを感じられるのが、奄美大島の魅力ですね。――普段のご様子も教えてください。いまハマっているものはありますか。ゴルフです(笑)。ひたすらウォーキングするだけだとすぐ飽きてしまうんですが、ゴルフはよく歩くスポーツですし、あまり意識しないうちに運動になりますし、年齢を重ねてもやっていけるスポーツだなと。奄美に1ヶ所だけゴルフ場があるんですが、景色もすごくきれいですし、海も見渡せます。――自然に恵まれた場所でいいですね。では、コンディションなどで気をつけていらっしゃることはありますか。喉ですね。ここ1、2年ぐらいでボイストレーニングの先生に出会って。もともと喉はとっても強くて何もしていなかったのですが、年齢を重ねるごとにケアしなければという自覚も出てきて、教わったことをやっています。まだ勉強中ですが、それもすごく楽しいです。――おうちでは何をしていますか?料理をすることが好きですね。――奄美の料理ですか?奄美の料理も作ることはありますが、年中、郷土料理を食べているわけではありませんね(笑)。子どもたちが食べたいというものを作っていて……ハンバーグとか、普通のものを作ります。――いろいろなお話をありがとうございました。では最後に、今後の抱負をお聞かせください。音楽を生で届けることが簡単ではなくなったことを経験して、受け取ってくれる人たちが目の前にいて歌を歌える、ということのありがたさを実感していますね。このアルバムを持って、またこれまでわたしを支えてくれてきた曲も大切にして、ひとつでも多くライブをやりたいです。今後は、7月17日にduo MUSIC EXCHANGEで「Office Augusta 30th MUSIC BATON Vol.8元ちとせ『えにしありて』」、9月25日に横浜赤レンガパーク特設ステージで「Augusta Camp 2022 〜Office Augusta 30th Anniversary〜」に出演します。ぜひ楽しみにしていてほしいですね。取材後記一度聴いたら忘れられない歌声で、魂のこもった数々の歌を世に送りだしてきている、元ちとせさん。ananwebの取材では、デビューしてから20周年というアニバーサリーイヤーを迎えるなかで新作のことから普段のご様子まで、さまざまなお話をしてくださいました。そんな元さんのニューアルバムをみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。取材、文・かわむらあみり元ちとせPROFILE1979年1月5日、鹿児島県奄美大島生まれ。2002年、シングル「ワダツミの木」でメジャーデビュー。2012年2月にデビュー10周年を迎え、初のベストアルバム『語り継ぐこと』をリリース。戦後70年となる2015年7月に“忘れない、繰り返さない”というコンセプトのもと、「今こそもう1度、平和を真剣に考える年になってほしい」という平和の思いを込めたニューアルバム『平和元年』をリリースし、 同作にて第57回日本レコード大賞『企画賞』を受賞。2018年に自身の原点である「奄美シマ唄」の新録アルバム『元唄〜元ちとせ奄美シマ唄集〜』を、2019年には同作を国内外の鬼才がリミックスした楽曲を収録したアナログレコード『元唄幽玄〜元ちとせ奄美シマ唄REMIX〜』をリリース。2021年8 月、奄美大島の世界遺産登録を記念して『トコトワ〜奄美セレクションアルバム〜』をリリース。2022年2月、デビューから満20年を迎え、2月2日に奄美大島PRムービーのテーマソングでもある新曲「えにしありて」を配信リリース。4〜6月、アルバムからの先行配信シングル3ヶ月連続リリースを経て、7月6日にオリジナルアルバムとしては実に14年ぶりとなる5枚目のオリジナルアルバム『虹の麓』をリリース。7月17日は東京・duo MUSIC EXCHANGEにて「Office Augusta 30th MUSIC BATON Vol.8元ちとせ『えにしありて』」を開催、9月25日には横浜赤レンガパーク特設ステージにて「Augusta Camp 2022 〜Office Augusta 30th Anniversary〜」に出演する。InformationNew Release『虹の麓』(収録曲)01. 暁の鐘02. 虹の麓03. KAMA KULA(元ちとせ×さかいゆう)04. 漣(さざなみ)の声05. 五坪ほどの土地でも06. 夏雲雀07. 感謝08. あなたの夢で目覚めた朝に09. えにしありて10. 船を待つ11. ヨイスラ節(冥丁REMIX)2022年7月6日発売(通常盤)UMCA-10089(CD)¥3,300(税込)取材、文・かわむらあみり
2022年07月05日【音楽通信】第115回目に登場するのは、今年デビュー3年目を迎えた、スーパー戦隊ヒーローからミス・ワールド日本代表までが集結する、多彩な男女7人組ダンス&ボーカルグループ、GENICのみなさん!デビューからたくましく強く時を経た3年目前列左から金谷鞠杏、西本茉生、宇井優良梨、雨宮翔。後列左から増子敦貴、西澤呈、小池竜暉。【音楽通信】vol.1152019年夏に結成した、男女7人組のダンス&ボーカルグループ、GENIC。2020年1月の「Da-iCE BEST TOUR 2020 -SPECIAL EDITION-」のオープニングアクト出演などを経て、5月にアルバム『GENEX』でメジャーデビュー。以降、コンスタントに楽曲をリリースしています。2021年7月には、コロナ禍により開催できなかった1stツアー「GENIC LIVE TOUR 2021 -GENEX-」を1年半越しに開催。2022年2月には、配信シングル「We Gotta Move」をリリースし、「GENIC LIVE HOUSE TOUR 2022 -We Gotta Move-」と題したライブハウスツアーを行いました。アーティストとしてだけではなく、俳優やモデルなど幅広いジャンルで活動の幅を広げるメンバーもいるGENICが、2022年7月6日に2ndアルバム『Ever Yours』をリリースされるということで、全員にお話をうかがいました。――お名前と、小さい頃に音楽に触れたきっかけや、影響を受けたアーティストなどから教えてください。増子増子敦貴(ましこあつき)、22歳です。小さい頃は『おかあさんといっしょ』(NHK Eテレ)をよく観ていて、テレビと一緒にずっと歌っていましたね。2、3歳の頃は、おばあちゃんの家に遊びに行くことが多くて、おばあちゃんをお客さんに見立ててコンサートをやったりしていました。増子敦貴(ましこあつき)。2000年1月5日、福島県生まれ。舞台やドラマなど幅広い分野で活動中。――増子さんはスーパー戦隊シリーズ『機界戦隊ゼンカイジャー』(2021年 テレビ朝日系)や舞台「『仮面ライダー斬月』 -鎧武外伝-」(2019年)にもご出演されるなど、お子さんにも影響力がありますが、小さい頃はスーパー戦隊シリーズ作品は観ていましたか。そうですね、もともと戦隊モノも好きだった上に、目立ちたがり屋な子どもでした。人前に出たがるタイプで、だからといって学校行事で前に出るまでの積極性はなく(笑)。父の車の中で、昔の歌謡曲を聴くこともありましたね。5歳ぐらいのときに、槇原敬之さんのライブに連れて行ってもらって、ほぼ最前列だったんです。そのとき、槇原さんに指さしをもらって、すごくときめいて。その後も、清水翔太さんのライブに行って衝撃を受けるなど、そうやって幼い頃からライブに行ってステージのすごさを知る環境だったことが、アーティストを目指したきっかけとして大きかったと思います。西澤呈(にしざわじょう)。2003年2月28日、神奈川県生まれ。GENICの楽曲を数多く手掛けている。西澤西澤呈(にしざわじょう)、19歳です。僕は生まれた瞬間からマイクを握っていたというぐらい(笑)、父がミュージシャンで音楽をやっていたので、常に音楽がそばにありました。音楽の道を目指したのも、父の友達が「D’ERLANGER(デランジェ)」というロックバンドをやっていて、そのライブを日本武道館へ観に行ってから「こんなふうにスポットライトを浴びて歌いたい」と思ったからです。それからは洋楽を聴くようになって、マイケル・ジャクソンを好きになって。僕もステージに立って、お客さんに思いを歌で伝えて、みなさんの居心地の良い場所を作ることができればとずっと思っていますね。雨宮翔(あめみやかける)。2001年8月9日、神奈川県生まれ。モデルとしても活動。雨宮雨宮翔(あめみやかける)、20歳です。母が音楽好きで、浜崎あゆみさんや倖田來未さんのライブに僕が2、3歳ぐらいのときからよく連れて行ってもらっていていました。それからは、3、4歳ぐらいのときに山下智久さんに影響を受けて、見よう見まねでカラオケで歌って踊ったのがきっかけで、4歳でダンスも習い始めました。5歳のときには、AAAさんのツアーで踊る「chibikkoAAA」というキッズダンサーをやらせていただくようになって、アーティストという存在をちゃんと認識した6歳ぐらいからはアーティストという職業をやりたいなと感じていました。西本茉生(にしもとまいき)。1998年10月19日、岡山県生まれ。GENICのリーダー。西本西本茉生(にしもとまいき)、23歳です。小さい頃から音楽が好きで、テレビにかじりついて音楽番組をよく観ていた子どもでした。親が運転する車では、その当時テレビに出ていた方たちの歌をジャンルレスにかけていて、ずっと歌っていたようです。影響を受けたのは、高校時代にEXO(エクソ)さんのライブDVDを観たこと。すごくかっこいいなと思って、そこから歌とダンスをやりたいと思ったのが、アーティストを目指したきっかけですね。金谷鞠杏(かねやまりあ)。2001年12月31日、秋田県生まれ。テレビや雑誌、ラジオなどモデルやタレントとしても多数出演。金谷金谷鞠杏(かねやまりあ)、20歳です。母のおなかの中にいるときから、マライア・キャリーやマイケル・ジャクソンなどの音楽を聴かされていたそうで、小さい頃から洋楽を耳コピして、母の運転する車の中で大熱唱していたみたいです(笑)。3、4歳ぐらいのときに、母の友達が運営しているダンススクールに遊びに行ったのがきっかけで習うようになって、そこでは音楽を楽しむためのイベントに出演するための練習をやっていました。小学校6年生のときには「モデルになりたい」と思うようになって、オーディションのために上京したときに、いまの事務所でもあるavexの方にモデルとしてスカウトされて所属して。ただ、もともとダンスをやっていたということと、音楽事務所なので歌もやってみてはと提案されて、5〜6年間レッスンを積む練習生の期間が長かったですね。一度、期間限定グループのメンバーとしてデビューを経験したのですが、プロジェクトが解散になって悔しくて。でも、ダンス&ボーカルグループの夢が諦められなくて、GENICのオーディションを受けていまに至ります。母とは、EXILEさんなどが所属するLDHさんのアーティストのライブに一緒によく行きましたし、E-girlsさんのように歌って踊れるようになりたいなと影響を受けましたね。小池竜暉(こいけりゅうき)。2000年8月11日、群馬県生まれ。GENICの楽曲を数多く手掛けている。小池小池竜暉(こいけりゅうき)、21歳です。田舎育ち特有といいますか、祖父母の家にカラオケがありまして、小さい頃の写真を見るとどれもマイクを持っている写真が多くて。昔から歌うことを身近に感じていました。物心ついたときから親はEXILEさんが大好きで、家ではずっとEXILEさんが流れていて、実際にライブにも行っていました。アーティストを目指したきっかけは、目の前でEXILE ATSUSHIさんの歌声を聴いて、バラードで涙を流す人もいれば明るい曲では楽しくなって「こんなにも歌で人を感動させることができるのか」と感動して。自分も歌を通して、人の心を動かせるようになりたいと思いました。宇井優良梨(ういゆらり)。2004年12月26日、愛知県生まれ。モデルとしても活動。宇井宇井優良梨(ういゆらり)、17歳です。小さい頃から、母が浜崎あゆみさんのことを大好きでよく聴いていた影響で、わたしも好きになりました。アーティストを目指すようになったのも、浜崎さんのステージのパフォーマンスを見て「自分もこんなに人を惹き込めるようなパフォーマンスができたらな」と思ったことがきっかけです。――この7名で2019年にGENICを結成してから、今年で3年目になりますね。西本はい。僕らはデビューのタイミングがコロナ禍と重なってしまい、緊急事態宣言の真っただ中に、Zoomでデビューを発表することになりました。そこから、お客さんの声が聴こえないライブが当たり前という経験をしながら活動してきているので、たくましく強く2年間を過ごせたのかなと思っています。メンバーが書いた手紙のようなニューアルバム――2022年7月6日に、2ndアルバム『Ever Yours』をリリースしますね。あらためてタイトルに込めた意味と、アルバムについてお聞かせください。西澤コロナ禍にリリースしたシングル7曲と新曲5曲がアルバムに入っています。こういった状況下でも、みなさんとの思いをつないでいった手紙のような曲がたくさん入っていて『Ever Yours』という形になりました。コロナ禍に変わってほしい未来を想像して曲や歌詞を書いたり、逆にコロナ禍を一緒に乗り越えようと歌っている曲もあって、「変えたい思い」と「変わらないでいてほしい景色」が詰まったアルバムなので、ぜひ聴いて楽しんでいただけたらと思っています。――新曲のアルバムリード曲「ジリジリSUMMER」は爽快なサマーチューンですね。西澤夏っぽい曲を作りたいと思って、作らせていただきました。金谷今日メンバーが着ているのは「ジリジリSUMMER」の衣装なのですが、ミュージックビデオも作らせていただいて、撮影もしました。この曲は恋愛ソングにも聴こえますが、夏を思い切り楽しもう! という明るい曲でもあって。歌詞に「押しては引く波に急かされて」とあるのですが、恋愛のかけひきにも捉えられますし、すぐに終わってしまう夏という季節を歌っているメッセージにも感じられるので、そういうニュアンスも聴きどころですね。西澤新曲でいうと、(小池)竜暉くんが作ってくれた「夏の聲」という曲は、いままでのGENICにはなかったジャンルの楽曲なので、こちらも推し曲です。――ライブで披露されていて、ファンの方から音源化の声もあったという、男子曲「U&I」と女子曲「My BABY」も収録されていますね。小池「U&I」は(西澤)呈と一緒に作らせていただいたのですが、デモ自体は前からあったものを引っ張り出してきて、「男子の曲にしようか?」と話し合って。歌詞も男性目線の気持ちに軸を置いて、でもファンの方は女性が多いので女性にも理解していただけるような内容に仕上げました。僕らのことを等身大で書いたようなラブソングで、これまではストレートに男性の気持ちを書いた曲はなかったので、こっぱずかしさもありますが(笑)。でも呈がとてもかっこよくサウンドを仕上げてくれたので、そういった面も含めて、GENICにとっても新しい一面をお見せできる楽曲だと思います。――GENICの曲はこの「U&I」のように、メンバーでは時折、小池さんと西澤さんが曲作りも担当されていますね。おふたりで作るときは、どんなふうに制作しているのですか。西澤ふたりで部屋にこもって曲作りをすることもあります。小池やっぱり同じ空間で一緒に曲作りをする良さもありますし、とはいえコロナ禍で、リモートでのやり取りでも曲作りはできるので、どちらの場合でも対応できるようにしていますね。宇井女子曲の「My BABY」は、歌詞を事務所の先輩でもある(ダンス&ボーカルグループのFAKYのメンバー)Lil’ Fang(リル ファング)さんが書いてくださっていて、女の子らしさが詰まっていて。女の子のかわいさ、かっこよさ、セクシーさ、恋愛をするときのちょっとツンデレな感じも入っているんです。そもそも女子曲、男子曲と、男女それぞれの担当曲ができたことも初めてでしたし、なんていうんでしょうかこの、ねっちょりした歌も初めてで……。金谷ねっちょり(笑)!?西澤グルーヴィンなテイストの曲と言いたいようです(笑)。宇井そう(笑)。歌詞の内容もテンポ感も初めて関わる曲なので、歌う側としても、聴いていただく方々も、新鮮だと思います。パフォーマンスをさせていただくときは、女子ふたりなので構成が難しいところもありまして、息が合わないとできない部分も。そういったダンスの難易度やパフォーマンスの細かい部分も注目して見ていただきたいですし、ぜひ女子の空気にひたって、聴いていただけたらと思います。――アルバムの楽曲は聴き手にどんなふうに届いてほしいですか。雨宮最初に呈くんが言ってくれたように、手紙としてこのアルバムを届ける、歌詞ひとつ一つが思いの詰まった楽曲たちになっていますし、僕たちが書いた手紙のような楽曲でもあります。なかでも「ジリジリSUMMER」や「We Gotta Move」はみんなで楽しめる明るい曲ですし、音を流していただくと僕たちとつながっていられるような感覚になれるはず。僕らにとってもみなさんにとっても、大事なアルバムになっているので、思うままに聴いていただきたいですね。――リリース後は、7月から全国ツアー「GENIC LIVE TOUR 2022 -Ever Yours-」ですが、どのようなステージになりますか。増子3rdツアーになるので、やっぱり2ndツアーよりももっとみなさんに成長した姿を見せたいですし、セットリストの打ち合わせも始まっていますね。今回は新曲も交えて披露するので、新しいGENICをお届けできるように、試行錯誤しながら頑張ります。金谷ライブは、これまで地道に小さな会場からやってきたことがグループの糧になっています。いまは制約のあるライブではありますが、そんななかで、ファンのみなさんと一緒に楽しめるツアーになると思います。ファイナルは、9月11日の東京公演Zepp Divercity。ステージに立つ気持ちはライブ会場の大小に関わらないですが、会場が大きくなることは、わたしたちにとっても新しい挑戦でもあって。そこにGENImin(ジェニミン、GENICのファンの名称)のみなさんはもちろん、最近曲を聴いて知ったという新規の方々も来ていただけたらうれしいですね。1stツアーのときは、オープニング曲やライブの合間のつなぎの曲を呈くんが作ってくれたので、またメンバーの意見を出し合いながら、みんなで成功させたいです。夏の全国ツアーを成功させてステップアップする――お話は変わりますが、みなさんがいまハマっているものはありますか。西本僕は海外の方のリアクション動画を観ることにハマっていますね。金谷初耳―!西本外国の方が『ONE PIECE』や『鬼滅の刃』などの日本のアニメ作品を観ながら「Why――!?」と叫んでいたりする動画を観ていると面白いです(笑)。自分がアニメを観ているときはそんなにリアクションできないなあと、外国の方は感情表現豊かなだなあと思って観てしまいますね。雨宮僕は携帯で読めるWEB漫画を見ることですね。WEBで読める『少年ジャンプ+』とか、仕事の空き時間に見ることもあります。宇井わたしはどれを言おうか迷っているんですが……決めました(笑)。お風呂に入るときに、まず湯船の温度を高めにしておいて、さらに湯船に入る前には熱いシャワーを浴びるんですよ。あたたまった状態でお風呂から出て、服は着ないでそのまま部屋の窓を開けて……あ、カーテンは閉めますよ?小池びっくりした(笑)!増子こわいわ〜(笑)。宇井涼しい風にあたりながら、スキンケアをしたり、スチーマーをしたりすることにハマっていますね(笑)。西澤僕は料理ですね。なかでも好物のペペロンチーノ作りにハマっていて、最近乳化させること(油と水を合わせること)がうまくなってきて。唐辛子も熱の入れ具合で辛さが変わってくるので、「この唐辛子は辛いから少しにしておこう」とか、調整するのが楽しいです。小池僕は家で何かをやっている合間の休憩時間に、コーヒーを淹れたり、お茶を点てることにハマっていますね。でもこれはずっと前からやっています。コーヒーだったら、良いところから豆を仕入れて豆を挽いたり。西澤そういえば、お茶がおいしかったなあ。小池一度、呈が家に来たことがあるので、そのときにお抹茶を点てて出したんですよ。――お茶は苦くないですか?小池お抹茶は甘いですね。西本なんで「お」をつけるの(笑)!?増子「お抹茶」なんだね(笑)?小池お抹茶は「お」がつくものだよ、お抹茶なんだよ(笑)!増子僕はハマっていることが多くて、アニメを観るのも好きで、最近は『五等分の花嫁』というアニメをよく観ていますね。五つ子のヒロインが出てくるんですが、なかでも中野三玖というキャラクターが好きなので、三玖が出てくるシーンをよく巻き戻して見返したり(笑)。西本やばいよ(笑)。増子やばくない(笑)。お酒も好きなので、お酒を飲みながら、三玖が出るシーンを観ると最高ですね。あとは激辛の蒙古タンメンが好きなので、ときどき食べたりもします。金谷わたしはふたつあるんです。ひとつめは茶道で、もうひとつはグルテンフリーのお菓子を作ること。茶道は昔やっていて、20歳になったこのタイミングでもう一度茶道を極めたいと思って、以前は裏千家をやっていたのでいまは表千家に変えて違いを楽しんでいます。「テーブル茶道」というラフな茶道もあるので、そこで四季にまつわる茶道のお話を聞いて、マインドを高めることを重要視しているので、穏やかに生きる方法を探しています。グルテンフリーのお菓子作りは、小麦が肌に合わなくて、市販のお菓子だと小麦を使っていないものがかなり限られてしまうので、自分で作ろうと思って。おからパウダーを使って、キャロットケーキを作ることにハマっているので、メンバーにもいつか作って持ってきたいですね。増子作ってほしい。西本食べたいな。――美容にも良さそうですね。女子のおふたりは他にも美容面で気をつけていることや、おすすめのきれいになるコツがあれば教えてください。宇井わたしはむくみやすいので、よくリンパマッサージやツボ押しをしています。YouTubeで調べると、むくみに効くツボや自分でできるマッサージのやり方が出てくるので、その動画を観てやっていますね。でも素手でやると摩擦で肌が傷つくので、クリームをつけてから、マッサージやツボ押しをしてみるとむくみもとれやすくていいですよ。――試してみたくなりますね。金谷さんは「ミス・ワールド2020」日本代表にも選出されましたし、美意識は高いのでしょうか。金谷そんなもう、過去の栄光なので……(笑)。雨宮かっこいい。西本いやぁすごいことだよ。金谷(照れながら)言わないで(笑)。お金も手間もかからない美容法だと、16時間食べ物を口にしないオートファジーというやり方がオススメです。16時間、空腹な状態を続けると、自律神経がリセットされるんですよ。飢餓状態にはなるのですが、そのときに最初にプロテインのものを飲んだり、タンパク質のものを口にしたりすると体に良くて。夜8時以降から翌日の昼12時まで、オートファジーをすると、体内を休ませることができますよ。そうやって体の中から良い状態を作って素の自分を好きになれることが一番いいなと思っていて。作る美ではなく、内側から出る美を目指して、体の食事や腸内環境を整えることが、肌にも良くて痩せやすくなるのかなと感じています。――いろいろなお話をありがとうございました。では最後に、リーダーの西本さんから、今後の抱負をお聞かせください。西本まずは夏の全国ツアーを成功させることが、次につながることにもなるので、GENICとしてしっかりとツアーを頑張りたいです。そこからまたステップアップしていって、いろいろと活躍できるグループになりたいですね。取材後記7人それぞれが個性豊かで、これからさらに活躍の場が広がっていきそうなGENICのみなさん。ananwebが取材させていただいた日は、朝から晩までタイトなスケジュールだったにも関わらず、みなさん笑顔で応えていただき、メンバーの仲の良さも伝わってくる和やかな雰囲気でした。そんなGENICのニューアルバムをみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。写真・安田光優取材、文・かわむらあみりGENICPROFILEavexのDNAを継承する新ダンス&ボーカルグループ育成プロジェクト「a-genic PROJECT」から選ばれた男女7人組。2019年夏、期間限定サバイバルユニットとして「a-nation2019」オープニングアクトなどの活動を経て誕生。同年11月、ストリーミングリリースされたDa-iCE工藤大輝の作詞作曲による初音源「SUN COMES UP」はLINE MUSIC週間ランキング4位を獲得し。12月、ワンマンライブを開催し、本格的に始動した。2020年1月から「Da-iCE BEST TOUR 2020 -SPECIAL EDITION-」のオープニングアクト出演や、全国のショッピングモールを巡る「GENIC Live Circuit 2020」(新型コロナの影響で一部中止)を経て、5月27日にデビューアルバム『GENEX』をリリース。以降、コンスタントに配信シングルをリリース。2021年7月、1stツアー「GENIC LIVE TOUR 2021 -GENEX-」を開催。2022年1月、1stツアーのDVD&Blu-rayをリリース。2月、作詞を小池と西澤が共作した配信シングル「We Gotta Move」をリリースし、「GENIC LIVE HOUSE TOUR 2022 -We Gotta Move-」と題したライブハウスツアーを実施。同年7月6日、2ndアルバム『Ever Yours』をリリース。7月16日から「GENIC LIVE TOUR 2022 -Ever Yours-」と題した全国ツアーを開催する。InformationNew Release『Ever Yours』(収録曲)01. FUTURES02. Shaky Shaky03. ジリジリSUMMER04. Aventure05. Supersonic06. We Gotta Move07. 春うらら08. 夏の聲09. U&I10. My BABY11. まわりみち12. 来たる春2022年7月6日発売*収録曲は全形態共通。*全形態スマプラ対応。(通常盤3形態)AVCD-63324(CD)¥3,300(税込)※トレーディングカード(ソロカット/ランダム封入/全7種)。AVCD-63322/B(CD+DVD)AVCD-63323/B(CD + Blu-ray)¥6,050(税込)※トレーディングカード(ソロカット/ランダム封入/全7種)。(初回生産限定盤2形態)AVCD-63320/B(CD+DVD+グッズ)AVCD-63321/B(CD+Blu-ray+グッズ)¥7,150(税込)※三方背仕様、オリジナルグッズ、ポストカード(集合カット)、トレーディングカード(ソロカット/ランダム封入/全7種)。【映像付き4作 収録内容】※DVD/Blu-ray共通We Gotta Move、Shaky Shaky、まわり道、FUTURES、ジリジリSUMMERGENIC LIVE HOUSE TOUR 2022 -We Gotta Move- 横浜公演収録– Night –HISTORIES、Aventure、FUTURES、夏恋、My BABY、U&I、春うらら、We Gotta Move、Shaky Shaky、まわりみち、FLY– Day -BURNIN’ BURNIN’、READY GO、MOONLIGHT写真・安田光優 取材、文・かわむらあみり
2022年07月01日【音楽通信】第114回目に登場するのは、「別の人の彼女になったよ」がSNS総再生回数2億回を突破し、ドラマ挿入歌も話題のメジャーデビュー10周年を迎えるバンド、wacci(ワッチ)!励まし合いながら少しずつ前に進んできたバンド【音楽通信】vol.114橋口洋平さん、小野裕基さん、因幡始さん、村中慧慈さん、横山祐介さんによる5人組バンド、wacci。2009年12月、橋口さんを中心に結成後、2012年11月、ミニアルバム『ウィークリー・ウィークデイ』でメジャーデビューしました。2018年8月に配信リリースしたシングル「別の人の彼女になったよ」は現在、YouTube総再生回数8,000万回以上、SNS総再生回数が2億回を突破し、日本レコード協会でプラチナ認定されるほど話題に。そんなwacciが、2022年6月15日に両A面シングル「恋だろ/僕らの一歩」をリリースされたということで、ボーカル&ギターの橋口さんにお話をうかがいました。――まずは小さい頃に音楽に触れたきっかけと、影響を受けたアーティストなどから教えてください。幼少時から小学2年生頃までは、習い事としてピアノを習っていました。でも、それほどちゃんとやっていなくて、しっかりと音楽をやり始めたのは高校生からです。友達になった子がアコースティックギターを持って歌を歌っていて、その友達と一緒に路上に出るようになって。だから、歌い始めたのは、高校1年生の時でした。ゆずが流行っていて、路上ライブでは、みんなゆずを演奏していて、僕も歌っていましたね。大学に入ってからは、軽音楽部でいろいろな音楽をやっていて。ジャズ、ファンク、ソウルなどを、管楽器を入れた大所帯で演奏する部活で、1年に4回ぐらいライブがあって、その都度、編成を変えてライブをやっていました。そこからさらにさまざまな音楽を聴いて、ひとりでも演奏してという感じ。そのうち、この先にもしもプロにつながる道があるといいなと思っていました。――今年の11月にデビュー10周年を迎えますね。デビューしてからもなかなか思うように結果が出ないなか、お互いに励まし合いながら、スタッフのみなさんにも支えてもらって、ちょっとずつ前に進んできたバンドです。気がついたら10年経って、早くみなさんに恩返ししたいですね。――そんななかで2018年8月配信の「別の人の彼女になったよ」は、いまは最も反響が大きい楽曲だったと思いますが、バンドにとってもターニングポイントになった楽曲でもありましたか。そうですね、この10年の中ではかなり大きな出来事のひとつだと思います。曲が出て、一人歩きしていって、いろいろな方に聴いていただけたのはすごくうれしかったですし、さらに大きな会場でライブができるようになりたいなと思います。ドラマと映画の主題歌を収録した両A面シングル――2022年6月15日に、両A面シングル「恋だろ/僕らの一歩」をリリースされました。「恋だろ」は、土屋太鳳さん主演、松下洸平さん共演のドラマ『やんごとなき一族』(フジテレビ系 毎週木曜午後10:00)の挿入歌としてお茶の間で親しまれていますね。うれしいことです。オファーをいただいてから、台本も読ませていただいて、ドラマのために書き下ろしました。何曲か提出した中で、この曲が選ばれて。――候補曲の中で「恋だろ」が選ばれたということは、結果的にドラマに一番この曲がフィットしていたということだったのでしょうか。どの曲もストーリーにはフィットさせていたのですが、一番得意分野な曲、wacciらしい1曲だったと思います。実は一番依頼にそっていない曲だったのですが(笑)、当初「場面転換のときに流れる派手な1曲を」と依頼されて、派手な曲を何曲も書いて出した中にそっとしのばせていた曲。でも、僕ららしい、物事の真の部分と向き合っている曲です。ドラマは格差のある恋人同士の話で、お金持ちの彼の家に入って奮闘する彼女に対して、「分不相応」「身の程違い」とかいったような言葉が飛び交うお話だったので、釣り合わない恋というところに何か投げかけられる言葉がないかな、と思ったときにできた曲ですね。――実際にドラマのオンエアを観て、wacciの曲が流れてくるとどのような印象をお持ちになりましたか。ドラマでほっこりしたり、物事の大事な部分とちゃんと向き合わなきゃいけない時間のときに流れてくる感じがあるので、結果的に曲はすごく愛のある使い方をしていただいているなと。いつもドラマを観るのがすごく楽しみです。現場の出演者の方々やスタッフの方々も、はちゃめちゃな展開の中でも、ちょっとゆっくり観ることができる展開のときに「恋だろ」が流れる時間を「wacciタイム」と呼んでくださっていて。ドラマのTwitterでもつぶやいてくださっていたりするので、そういうかたちでもちゃんと届けてくださることがすごくありがたいです。そういった意味ではSNSなどでみなさんのもとへ少しずつ届いている様子がわかったり、僕らのYouTubeでも最近の曲の中では「恋だろ」の再生回数が一番増えているので、ドラマの影響を感じますね。すごく励みになりますし、うれしいです。――先日トーク番組に、橋口さん、松下洸平さん、内田瑛治監督の3人でご出演されていました。松下さんは同じ事務所で10年ほど親交があるそうですね。そうなんです。同じ事務所なのですが、所属したタイミングも一緒で、事務所で顔を合わせることも多くて。その度にお互いの近況だったり、仕事の感想なども言い合ったり、仕事仲間ですね。洸平くんはもともとミュージシャンですし、そこから役者もやっていて。9年前に洸平くんのライブに僕がゲスト参加させてもらったことがあったので、そういう意味では彼のミュージシャンとしての素晴らしさも知っているので、音楽仲間でもあり、役者としても尊敬する人です。――現在、全国ライブハウスツアーの真っ最中ですが、東京公演に松下さんがゲスト出演されましたね。以前ライブに参加させてもらったのですが、僕らはなかなか呼ぶ機会がなく、今回あらためてwacciとして洸平くんを呼ばせていただいて。ふたりでドラマ主題歌の「恋だろ」を歌う、スペシャル・コラボレーションを披露させていただきました。――もうひとつのシングル曲「僕らの一歩」は、7月2日から公開される『映画 バクテン!!』の主題歌ですが、どのようなことをイメージして曲作りされましたか。もともとテレビアニメシリーズのエンディングテーマを担当させていただいていた流れで、今回は映画の主題歌のお話をいただいて、台本を読ませていただいてから書きました。テレビアニメは宮城県の男子新体操部の話で、学生たちが切磋琢磨しながら、ひとつの目標に向かって頑張る姿が描かれています。映画版では時が経って、主人公の1年生や部活のみんながこれからどうやっていくか、青春のその先が大事になってくるなと。テレビシリーズとはまたちょっと違った苦悩や努力が描かれています。青春はいつか終わるけれど、それぞれの道はその先もずっと続いていくので、卒業してサヨナラをしても、青春時代の絆はずっと続いていくということを書きました。――カップリング曲の「あの子」は、「嫌われているあの子が今日もひとりでいる嫌われたくない僕らは今日も誰かといる」という歌詞から始まりますが、どのようなテーマでできた曲ですか。人間関係のひとコマが描けたらいいなと書いた曲です。僕自身、高校時代に人間関係で悩んだこともあって、そういうときにそれぞれの登場人物の主観ではなく、俯瞰して客観的に見た話が書きたかった。誰がいい、悪いではなく、人間関係で悩んだり苦しんだりしている人たちのことを俯瞰で見て事実だけを書いて。それぞれによって受け止め方や感じ方が違ってくる曲が書きたくて作りました。――橋口さんはwacciのほぼすべての曲の作詞作曲を手掛けていらっしゃいますが、Hey!Say!JUMPやももいろクローバーZの高城れにさんなど、他の方にも楽曲提供されていますね。ご自身が歌うときと、他の方の楽曲提供とでは、やはり違うモードで曲作りをしているのですか。作る段階のモードは変わらないのですが、自分が歌えるか、歌えないかは、曲作りに大いに関係ありますね。提供するのがジャニーズの方のようにイケメンだからこそ歌える歌や言葉もありますし、女性だからこそ伝えられる言葉もあると思っていて。wacciだと自分が歌うので、どうしても避ける言葉や使わない言葉もあります。楽曲提供だと、曲によってはそういう縛りがなく書けますよね。――いつもどんなふうに歌詞を書いているのですか。僕はけっこう机に向かってねばるタイプです。日常の中で女友達から聞いたひどい男の子との話や、逆に男友達から聞いたひどい女の子の話とか。そういうところにもヒントを探しているときがあります。――ライブハウスツアーが終わると、秋からはホールツアーもありますが、構成も変わりますか。前半がライブハウスツアーで、後半がホールツアーなんですが、ホールツアーではセットリストを変えようかなと。老若男女問わず、いろいろな世代の方に楽しんでいただける音楽をやってきたつもりなので、そういう意味ではホールは座席もありますし、ライブハウスよりも来やすいという方もたくさんいらっしゃると思うんです。だから、ホールが似合うバンドといいますか、お茶の間感のあるバンドとしてやっていきたいと思っているので、全世代の方に楽しんでいただけるようにと。wacciを知っている方も知らない方も楽しめる、みんなが一緒にひとつになれるようなそんなライブをホールツアーではやりたいと思っています。大事なときにwacciの曲を選んで聴いてもらいたい――お話は変わりますが、橋口さんがいまハマっているものはありますか。まさか自分がハマっているものとしてコレを言う日がくるなんて……という感じなんですが(笑)、韓国ドラマにハマっています。OLさんみたいで、自分でちょっと面白くなるんですが、韓国ドラマの面白さに最近気づきました。――最近ということは、自粛期間があって配信ドラマをたまたま観たのですか。いえ、きっかけはトーク番組でご一緒した内田監督です。今回番組でお話しさせていただくということで、内田監督が何話か撮っているNetflixの『全裸監督』を事前に観ていて。観ていると、他のオススメ作品がトップに出てきたりするので、時間があるときにちょっと韓国ドラマも観てみようかと思って観たらハマってしまいました(笑)。『梨泰院クラス』も『ヴィンチェンツォ』も『愛の不時着』も、どれも面白かったです。いまもちょっと時間が空いたときには観ています。――家でリラックスするときはどんなことをしていますか。この間、長野県の白馬で開催された山頂で音楽を楽しめて、絶景も味わえるというフェスに参加させてもらったんです。屋上にテントサウナと水風呂のようなものがあって、そこに外で寝そべられる椅子もあって、要は外気浴ができるというようなものでやってみたら、すごく気持ちよかったんですよ。その流れがあって、家に戻ってきたときに、狭いベランダがあるのでそこに置けるキャンプ用の椅子を買いまして。お風呂上がりに、これからの季節、そこでぼーっとするのいいなと思って、これからそれでリラックスしようとしています(笑)。――ちなみに、橋口さんは「ドラえもん」に造詣が深いそうですが、 いつからお好きなのですか。小さいときからです。僕はひとりっ子で、よくドラえもんの漫画を買ってもらって、部屋で読む時間が長かったから好きになったんですよね。アニメもドラえもんばかり観ていた少年でした。漫画の世界の登場人物たちに共感していたのかもしれませんね。そういえばトーク番組で「叶えたいことは口に出して言うことが大事だ」と洸平くんも言っていましたが、それこそ音楽を始めて、大好きな「ドラえもん」と音楽でつながれる日が来るといいなと。いつか「ドラえもん」の映画の主題歌をやれたらなと思います。――叶えたいこともお聞かせいただきましたが、では最後に、今後の抱負も教えてください。昨年、有観客で日本武道館公演を初めて開催したのですが、コロナ禍でキャパも半分でしたがソールドアウトできなかったので、次は満員の武道館でワンマンライブができるようにwacciのみんなで頑張っていきたいです。それが当面の目標なのかなと思っていますね。あとは聴いていただくみなさんに、楽曲に共感してもらえることが一番幸せだなことだと感じているので、僕らの楽曲を聴いてちょっとでも自分と重なるところがあって、人生の大事なときにwacciの曲を選んで聴いてもらえるようになったらいいなと思っています。誰かにとっての大事な曲を1曲でも多く作っていきたいですね。取材後記wacciのフロントマンとして、さまざまなアーティストに楽曲提供する音楽家として、活躍されている橋口洋平さん。楽曲のことから普段のご様子まで、いろいろなお話をお聞かせいただきました。wacciのみなさんで演奏される楽曲が、ドラマや映画の世界と重なって、より一層これからも広がっていくに違いありません。そんなwacciのニューシングルをみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。取材、文・かわむらあみりwacciPROFILE橋口洋平(Vo&G)、小野裕基(B)、因幡始(Key)、村中慧慈(G)、横山祐介(Dr)による5人組バンド。バンド名の由来は「わたしたち」を輪にして頭とお尻をくっつけてwacci(ワッチ)。2009年12月、橋口を中心に結成。2012年11月、ミニアルバム『ウィークリー・ウィークデイ』でメジャーデビュー。2018年8月に配信リリースしたシングル「別の人の彼女になったよ」が異色の楽曲と話題になり、ミュージックビデオはYouTube総再生回数8,000万回以上、SNS総再生回数が2億回を突破し、日本レコード協会でプラチナ認定された。2020年10月、東京・日本武道館にて無観客配信ライブ「wacci Streaming Live at 日本武道館」を実施。2021年11月、日本武道館にて初の有観客ワンマンライブ「wacci Live at 日本武道館 2021 ~YOUdience~」を開催した。2022年6月15日、ニューシングル「恋だろ/僕らの一歩」をリリース。InformationNew Release「恋だろ/僕らの一歩」(収録曲)01. 恋だろ02. 僕らの一歩03. あの子2022年6月15日発売*収録曲は全形態共通。(通常盤)ESCL-5675(CD)¥1,300(税込)(初回生産限定盤)ESCL-5673 〜 ESCL-5674(CD+Blu-ray)¥3,000 (税込)【Blu-ray収録内容】「wacci Streaming Live at 日本武道館」01.最上級02.足りない03.別の人の彼女になったよ04.感情05.フレンズ06.僕らの日々07.まばたき取材、文・かわむらあみり
2022年06月30日【音楽通信】第113回目に登場するのは、今回1stアルバムを発売し、朝ドラのヒロインも決まって、女優、声優、歌手活動までジャンルレスに大活躍中の、福原遥さん!小さい頃は歌って踊れるアーティストに憧れた【音楽通信】vol.113小学生の頃から子役として活動し、声優としてアニメ『キラキラプリキュアアラモード』(2017〜18年)に出演するなど、ジャンルレスに活躍している福原遥さん。近年ではドラマ『ゆるキャン』(テレビ東京系)シリーズや『アンラッキーガール』(読売テレビ・日本テレビ系)で主演を務めるなど注目度が高まるなか、2022年度後期連続テレビ小説『舞いあがれ!』のヒロイン役が決定し、これからもますますの飛躍が期待されています。音楽活動としては、2019年に個人名義でソロ歌手としてデビューした福原さんが、2022年6月8日に1stアルバム『ハルカカナタヘ』をリリースされたということで、音楽的なルーツなどを含めて、お話をうかがいました。――あらためて幼少時に音楽に触れたきっかけから教えてください。福原さんは幼児向け食育番組『クッキンアイドル アイ! マイ! まいん!』(NHK Eテレ 2009〜13年)の柊まいん役として、主題歌を歌う姿も披露されていましたね。そうですね、まいんのときぐらいからは歌の楽しさがわかってきましたが、実は小さい頃は歌うことはあまり得意ではなかったんです。でも音楽を聴く習慣はあって、車ではいつも音楽が流れていました。母が運転する車で習い事などへ移動していたのですが、母がよく安室奈美恵さんや倖田來未さんの曲をかけていて、わたしも聴きながら通っていました。――歌うことはあまり得意ではなかったということは、お仕事で歌うまで、きっかけがなければ歌っていなかったのでしょうか。すごい音痴ですし、自分の声もあまり好きではなかったから……(笑)。ひとりで歌うのは苦手でしたが、カラオケでみんなで賑やかに歌うのは楽しかったですね。――では自発的によく聴いた音楽やアーティストはいたのでしょうか。安室奈美恵さんやフェアリーズさんなど、見ているとダンスがやりたくなったので、歌って踊れるかっこいい方に憧れがありました。そうったこともきっかけで、『クッキンアイドル アイ! マイ! まいん!』のときには歌ったり踊ったりすることがすごく楽しくなって。そこから歌うことの楽しさを感じるようになってきたと思います。――歌手活動だけではなく女優や声優としてもご活躍されていますが、福原さんの中で音楽は、どのような存在でしょうか。いまはなくてはならない存在です。歳を重ねるごとに歌う楽しさを感じていますし、歌手活動以外のお芝居のお仕事でも、音楽にとても支えられていますね。日々の生活で「この場面にはこの音楽が合いそうだな」と合う音楽を探すことも好きで、1日が始まる朝に音楽をかけて気持ちをリフレッシュさせたり、大事なシーンに向かうときに気持ちを高めるために音楽を聴いたり。気持ちを入れ替えたりするのに、音楽は大切です。もっと上へいけるよう願いを込めた1stアルバム――2022年6月8日に1stアルバム『ハルカカナタヘ』をリリースされました。まずタイトルの意味からお聞かせください。ハルカカナタへというタイトルは自分でつけました。名前が「遥」で、両親が「遥か彼方へ羽ばたけるように」という意味を込めてつけてくれたので、このアルバムも歌手活動でまた新たな一歩を踏み出すような気持ちで、遥か彼方へもっと上へのぼっていけるようにという思いを込めています。――既発のシングル曲や新曲など全14曲が収録されていますが、今年4月に配信されたばかりの「道標 feat. Hiplin & Rin音(Prod. GeG)」は、ラッパーのHiplinさん、Rin音さんとのコラボ曲です。プロデュースしてくださったGeGさんのおしゃれで優しくて心地良いメロディがすごく素敵で、HiplinさんやRin音さんとも、ご一緒させていただいてうれしかったですね。いままでは恋愛系の歌をあまり歌ったことがなかったので、今回はラブストーリーやバラードを歌ってみたい気持ちもあって、相談させていただいてアルバムが完成しました。――「道標」では福原さんも作詞に参加していますね。歌詞は自分で書いたことがなかったので、やってみたいなとずっと思っていて。今回作詞の機会をいただけて、全部ではなく自分が歌うパートのみの歌詞ですが、いろいろな方と相談させていただきながら、伝えたいメッセージを込めて書かせていただきました。――初めての作詞作業は大変でしたか?難しかったです。何もかもわからない状態からのスタートだったので、アーティストのみなさんが普段どんなふうに書いていらっしゃるんだろうと思いながら試行錯誤して。最終的に、いま自分が一番伝えたい思いを伝えることをテーマにして、いろいろな言葉を調べました。作詞は奥が深いと、少しやらせていただいただけでも感じたので、楽しいですがもっとたくさんの言葉を知っていけたら、いつかまたできたらいいなと思います。――昨年末にリリースされたシングル「Lucky Days feat. OKAMOTO’S」も収録されていますが、福原さん主演ドラマ『アンラッキーガール』主題歌でバンドサウンドながらOKAMOTO’Sのオカモトショウさんと福原さんのデュエットが新鮮でした。確かに、いままで歌ってきた曲と全然違うテイストの曲でもあったので、この曲も他の曲も素晴らしい方々に作っていただいているので、なじめるように頑張りながら、毎回歌っています。――収録曲の「シャボンの人」は元ガールズバンド「ねごと」の蒼山幸子さん、「スキップサイダー」はシンガーソングライターのみゆはんさんのプロデュース曲で、いろいろな方に提供された多彩な曲があります。歌とお芝居では表現の仕方にも意識の違いはありますか。歌は、お芝居で表現するのとは、全然違いますね。お芝居はキャラクターとして演じていますが、歌は自分として歌っている感覚が、ちょっと恥ずかしいような不思議な感覚(笑)。でもそんな歌で表現する楽しさを最近感じるようにもなってきて、歌い方ひとつ、息遣いや声の出し方だけで、伝わり方がまったく変わってくるんです。今回、いろいろな方とご一緒させていただいて、そのことをすごく感じました。自分の心が動いて歌っていても、歌い方次第で全然伝わらないんだなとか、ささやくような感じで歌うと曲にのって伝わりやすいんだなということがわかって。まだできていないんですが、自分なりに考えながら、曲ごとにある物語に強弱をつけながら歌うのが、すごく楽しいです。――そういったテクニカルな面でも、今回のアルバムは楽しんでやり遂げたんですね。そうですね、小さい頃から歌も得意じゃなく自信もなかったので、いままでは正解を求めて「うまく歌わなくちゃ」と思っていました。でも、この間、わたしの音楽のほうのYouTubeチャンネルにHiplinさんに来ていただいたことがあって。一緒に歌うときに、緊張してますます自信がなくてと伝えたら、「歌に正解も何もないから楽しく気持ちを込めて歌えばいいんだよ」と言っていただいたんです。それで「ああ、その通りだな」と感じて、いまはどれだけ自分の気持ちを伝えて、いい気分でその1曲を歌えるかが大事だなって、楽しみたいなって思っています。――そういう意味で一番挑戦しがいのあった曲はどの曲でしたか。やっぱり「道標」ですね、音楽の楽しさをあらためて感じた曲でした。あと「シャボンの人」は、作っていただく前に蒼山さんにお会いさせていただいて、わたしの声質や、どういうことを歌いたいかを聴いてくださって、できた曲なんです。だからなのかとても歌いやすくて、ありのままの自分というか、歌った瞬間すんなり曲に入っていく感覚がすごくあって。わたしに合わせて作ってくれた驚きと、感謝といいますか。蒼山さんの思いをこの1曲に詰め込んでいただいて、うれしかったですね。いままでで一番、自分らしく歌えたかもしれません。――そういった曲作りの前から参加されて自然に歌われた曲がある一方で、男性シンガーRakeさんの曲『100万回の「I love you」』のカバーもあります。音楽チームの方からのオススメ曲で、もともと男性が歌われている曲をいろいろな方がカバーされていて、人によって曲の印象がとても変わる感じがあったんです。女性が歌うと、可愛らしくて甘酸っぱい印象があるので、わたしも歌ってみたいなと思って収録しました。――今後のライブのご予定はあるのでしょうか。いつかしてみたいですね。アルバムの1曲目に流れるインストも作っていただいたんですが「この曲がライブの最初に流せたらいいね」という話も音楽チームのみなさんと話していたので、いつかはライブができたらいいなと思っています。元気やパワーを届けられるように頑張りたい――お話は変わりますが、普段のご様子も教えてください。オフの日はどんなふうにお過ごしですか。いまは毎日朝ドラ『舞いあがれ!』の撮影があるので、ご飯も気をつけないといけないと思って、スーパーに行っています。これまでは作品に入ったら自炊をしていなかったんですが、最近は作り置きおかずを作ったりして、忙しくてもレンジで温めればいいだけにしています。料理をするのもリフレッシュになるんですよね。――お料理は得意なのですね?一応いろいろとやっています(笑)。でも、一般的なおかずを何品かぐらいで、おしゃれなものは作らないんですよ。最近だと、豚汁とかチキンのトマト煮とか、タイ料理のカオマンガイを作りましたね。ご飯を冷凍しておいて、後から簡単におにぎりにできるようにしたりもしています。――福原さんのYouTubeチャンネルでは、大阪アメリカ村でたこ焼きを食べていらっしゃいましたが、街を散策するお時間も少しはあるのでしょうか。撮影のために大阪に滞在していて、あまり外に出られなかったりもするのですが、少しの時間に、たこ焼きを食べに行かせてもらって。しっかりと大阪を感じられました。とはいえオフの日は、現地のカフェに入って店員さんと話すこともあります。台本を読んだりしたいので、ゆったりできるおしゃれなカフェを探したり、カフェ巡りをしたりしていますね。――撮影中の『舞いあがれ!』のご様子はいかがでしょうか。町工場で生まれ育ったヒロインが飛行機に憧れ、旅客飛行機のパイロットを志すというストーリーのようですね。毎日、青春を感じています。学生たちで人力飛行機を飛ばしたり、夢や目標に向かって頑張っていたりするシーンをいっぱい撮っているので、みんなで何かひとつのものを力を合わせて作ることが、撮影しながらもすごく楽しくて、学生気分ですね。――お忙しいながらも充実されているご様子が伝わります。撮影中は不規則な生活になりそうですが、美容や食事面で気をつけていることはありますか。ロケが多いと肌が焼けるので、日焼け止めをいっぱい塗っています。帰ってからは保湿のためにパックをしていたり、フルーツを食べたりしていますね。とくにパックをすることと湯船に浸かることは大事だと思っています。むくみが改善されますし、次の日の肌のトーンやスッキリ具合が全然違うように感じますね。湯船にはしっかりと浸かって、好きな入浴剤を入れて汗をいっぱいかいて毒素を全部出すことは、大事なお仕事の前日はしています。――メイクやコスメのこだわりはありますか。すごくコスメが好きなので、いっぱい集めています。薄づきのメイクが好きなので、ハイライトや肌に艶を出すようなアイテムを探して買っていますね。――いろいろなお話をありがとうございました。では最後に、音楽活動や、お芝居などすべての活動においての、今後の抱負をお聞かせください。音楽活動は、これからさらに上を目指して、みなさんにお届けしていけたらいいですね。アルバムは心を込めて歌わせていただいたので、たくさんの方に聴いていただいて、歌に込めたメッセージや思いを受け取っていただきたいです。みなさんに寄り添えるような、そっと背中を押せるような歌を歌っていきたいので、聴いてくださる方にとってのそういう存在やアルバムになれたらいいですね。こういうお仕事をしていて、誰かの心を動かせたり、少しでも元気やパワーを届けられたらいいなと、日々思っています。今年は朝ドラでも、観ている方に少しでも笑顔になって「今日も頑張ろう」と思ってもらえるようなエネルギーを届けられるように頑張ります。取材後記小さい頃からキュートな姿をお茶の間に見せてくれている、福原遥さん。ananwebの取材では、朝ドラ撮影中のご多忙のなか、大阪からリモートインタビューをしてくださいました。福原さんといえば、わが家では子どもが大好きなプリキュアのひまりちゃん役でも親しませていただいていて、ほんわかとした愛らしい魅力にあふれた人柄にも癒されます。音楽活動での歌手としての歌声を聴くのはもちろん、朝ドラなどさまざまな今後のご活躍も楽しみ。そんな福原さんの1stアルバムをみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。取材、文・かわむらあみり福原遥PROFILE幼児向け食育番組『クッキンアイドル アイ! マイ! まいん!』(NHK Eテレ)のメインキャラクターである柊少まいん役を務め、一躍お茶の間の人気者となる。2017年、女優として映画『チアダン』に出演、「もしもツアーズ」3代目ガイトを務めるほか、声優としてアニメ『キラキラプリキュアアラモード』(有栖川ひまり/キュアカスタード役)に出演するなど、ジャンルレスに活躍。2019年は映画『4月の君スピカ』主演、2020年から2021年はドラマ『ゆるキャン』シリーズ(テレビ東京系)、2021年『アンラッキーガール』(読売テレビ・日本テレビ系)主演を務めるなど注目度が高まるなか、2545人ものオーディションから勝ち抜き2022年度後期連続テレビ小説『舞いあがれ!』のヒロイン岩倉舞役が決定。音楽活動としては、『クッキンアイドル アイ! マイ! まいん!』主題歌、2013年にはCVを務めた「なめこのうた」がYouTubeで話題に。2018年には声優の戸松遥と共演したドラマ『声ガール!』がきっかけとなり「福原遥×戸松遥」名義でCDをリリース。2019年8月7日、「福原 遥」名義でテレビアニメ『BORUTO-ボルト- -NARUTO NEXT GENERATIONS-』(テレビ東京系 毎週日曜 午後5時30分)のエンディングテーマとなったシングル「未完成な光たち」をリリースし、ソロ歌手デビューを果たす。2022年6月8日に1stアルバム『ハルカカナタヘ』をリリース。InformationNew Release『ハルカカナタヘ』(収録曲)01. Introduction02. 透明クリア03. 道標 feat. Hiplin & Rin音(Prod. GeG)04. シャボンのひと05. Lucky Days feat. OKAMOTO’S06. In the park07. スキップサイダー08. 100万回の「I love you」09. 未完成な光たち10. 風に吹かれて11. 君が好きだって言えたら12. モノクローム13. ハンドメイドセカイ14. 箱庭のサマー2022年6月8日発売*収録曲は全形態共通。(通常盤)AICL-4245(CD)¥3,300 (税込)(初回生産限定盤)CD+ビジュアルブック(B5変形版全64P)AICL-4243~4¥5,500 (税込)取材、文・かわむらあみり
2022年06月28日【音楽通信】第112回目に登場するのは、いきものがかりのボーカリストとしても素晴らしい歌声を届け、今回はソロシンガーとしてのニューシングルをリリースする、吉岡聖恵さん!ソロではさらに世界が広がり景色が違ってくる【音楽通信】vol.112「いきものがかり」のボーカリストとしても、「ありがとう」「YELL」「風が吹いている」など、たくさんの名曲をわたしたちのもとへ届けてくれている、吉岡聖恵さん。2018年2月からスタートしたソロ活動では、昨年、シンガーソングライターの秦基博さんとの共作楽曲「まっさら」をリリース。同年11月に開催した自身初のオンラインソロイベントに約1万人が参加するなど、ソロシンガーとしても、表情豊かな歌声で聴き手を魅了しています。そんな吉岡さんが、2022年6月15日にソロ第2弾となるニューシングル「凸凹(でこぼこ)」をリリースされるということで、音楽的なルーツや普段のご様子なども含めて、お話をうかがいました。――あらためて、そもそも吉岡さんが音楽に触れたきっかけや、影響を受けたアーティストから教えてください。小さい頃に、家族から童謡を歌うように教えこまれていたんですよ。ひいおばあちゃんも、おばあちゃんも、両親も歌が好き。家族でカラオケ大会を開くような家なので(笑)、子どものときから童謡がかなり染み込んでいたんですよね。小学校から中学校までは合唱団に参加していましたし、ミュージカルにも脇役で出演させてもらっていました。だからなのか、言葉で情景を見せてくれる歌が好きで、歌で景色を伝えたいという思いがひとつのベースとなっています。成長していくにつれて、90年代から2000年代の音楽を思春期や青春時代に聴くようになりました。ゆずさんに憧れて「路上ライブをやりたい」「バンドもやってみたい」という合唱からの脱却の時期に、J-POPが大好きになって聴いてきた時期を経て、いまがあります。――音楽活動は、2006年に「いきものがかり」としてメジャーデビューされ、2021年夏には2人体制での活動がスタートしましたが、デビュー16年を振り返っていかがでしょうか。長いようでいて短かったのかもしれないと感じていて。というのも、1999年に3人で結成してから、23年目に入ったんですよ。お休みの期間もありましたし、いまは2人ですし、激動でしたね。でも、いろいろな楽曲をみなさんにお届けするにあたって、たくさんの方に支えていただきながらの23年です。題材を与えてくださる方やまわりの方々によって曲もできましたし、そのおかげで前進できているので、あらためてすごく恵まれたグループだと思っています。――「いきものがかり」のボーカリストとして歌うときと、ソロシンガーとして歌うときと、ご自身の中で意識の違いはありますか。これまでは3人なり2人でやっていた作業において、自分で決める分量や、いろいろな人と関わる分量がとにかくソロのほうが多いんですよね。そういった意味では、ソロだとよく考えることも直感的な部分も、自分の意見がパッと反映されることもあって。よりひとりの人として、好きなものや、嗜好が出やすいかなと思っています。いきものがかりは3人で始めていますが、男子2人が作った歌をずっと歌ってきたので、それがすごく楽しい。ソロでは、オリジナルで初めてメンバー以外の曲を歌っているので、さらに世界が広がったなあと。景色が違ってくるのかなと感じています。緑黄色社会の長屋晴子が手がけた最新曲――2022年6月15日に、キラキラとした躍動感にあふれるソロ2ndシングル「凸凹」をリリースされます。今回、親交の深い緑黄色社会のボーカル&ギター、長屋晴子さんが作詞作曲を担当されていますね。緑黄色社会さんは、近い存在なんです。いきものがかりをずっと育ててくれているディレクターさんが緑黄色社会に関わっていたり、レーベルが一緒だったり。(長屋)晴子ちゃんにお会いしたときに、すごくいきものがかりを好きで感激してくれて。そんななかでコロナ禍に入ってから、わたしもリョクシャカ(緑黄色社会の略称)のアルバムを聴いて、元気をもらっていました。晴子ちゃんと交流があるなか、今度やらせていただく曲を誰かに作ってもらいたいと思ったときに「晴子ちゃんだったら、いい曲はもちろん、今回の題材においても、自分の良さも理解してくれているし、曲や歌も素晴らしいから頼めたらいいな」と。今回、TVアニメ『カッコウの許嫁』(テレビ朝日系 毎週土曜日深夜1:30)のオープニングテーマでもあるので、アニメの世界観も理解してくれると思い、このタイミングでお願いしました。――では遅かれ早かれ、長屋さんにお願いしていたのですね。そうですね、「作ってもらえたらうれしいな」って話していました。今回の題材の青春だったり、キラキラしていたり、みずみずしさがあるようなものとお話しして、快く作っていただきました。――長屋さんは吉岡さんのことをリスペクトしていると公言されていますが、交流されているときはどんなお話が多いのですか。一緒にご飯に行かせていただいたこともありますし、お互いに男女混合のグループというところが共通しているので、そのあたりの共通点のことを話したりします。歌のことは、ざっくばらんに言ってきてくださいますが、歌のことについて自分が伝えられることはないし、そんなことはおこがましいと思っていました。でも、ディレクターさんがポロッと「そろそろ自分の伝えていきたいことを伝えていっていいんじゃないか」と言われて。だったら、同じボーカリストとして、「自分はこうだったよ」と話せることもあるかなと思うようになり、いまはお伝えしています。わたしも、歌っている姿勢において晴子ちゃんはすごいと思っているので、お互いにリスペクトし合いながら付き合えているのかな。――レコーディングの様子を収めた映像も拝見しましたが、今回、レコーディングには編曲を担当された緑黄色社会のメンバーが参加し演奏もしていますね。今回やっていただけることになって、すごくうれしくて。一度、いきものがかりのデジタルイベント(いきものがかり結成20周年・BSフジ開局20周年記念 BSいきものがかり DIGITAL FES 2020 結成20周年だよ!! ~リモートでモットお祝いしまSHOW!!!~)に出てくださったことがあったので、お互いに親近感もありました。勝手にバンドの一員になったぐらいの勢いで、レコーディングのときに歌わせてもらって。みなさんの勢いも感じられたから、本番の歌入れも、イキイキと歌えましたね。――どちらのファンの方にとっても、うれしい組み合わせですよね。晴子ちゃんと吉岡のコラボを喜んでくださる方も多いみたいです。恐縮なんですが、両方とも好き、と言ってくださる声も届いています。――長屋さんはアニメの世界観も意識して曲作りされたんですよね。意識はしていると思いますが、たんにアニメに合わせていくというよりは、曲の主人公と、想う相手に対してのストーリーが出来上がっているので、すごくいいバランスで取り組んでくれました。レコーディングの前の仮歌の段階で、ちょっと歌ってみようとわたしがブースに入り、晴子ちゃんがコントロールルームにいて、「この歌詞の語尾は『ね』かな。聖恵ちゃんぽいから作ってみたんです」「聖恵ちゃんの鼻濁音がいいから入れてみました」など、わたしが歌っていいものになる、ということまでも意識して作ってくださいました。すごく全体が見えている方で、シンガーソングライター、ボーカリストというだけではなく、プロデューサーとしての目線を感じたので、すごく信頼しています。――吉岡さんのことが大好きで、歌い方も伝えたいことも考え抜いて、長屋さんが曲作りされたことが伝わりました。そうですね。聴いてきてくれているというのも、あると思います。だとしても、それをこんな素晴らしい曲の中に入れ込める才能が、すごい。たぶんわたしだけじゃなくて、いろいろな歌手の方を鋭い視点で見ているんだと思います、「あの歌手の方のこの感じでどうですか?」と言ってくださったりするから。すごく楽しかったですね。――『カッコウの許嫁』のヒロインの声を務める声優の鬼頭明里さんは「まさかの吉岡聖恵さんの歌唱で、ものすごくテンションが上がりました」とコメントされていますが、ソロでは初のTVアニメのオープニングテーマです。ありがたいですね。アニメのオープニング映像も観させていただいて、クレジットに「吉岡聖恵」と出ているのが、すごく新鮮でした。いきものがかりでも、アニメ主題歌をやらせていただいておりますが、個人名でクレジットが出るなんて、うまくハマっていたらいいなと思います。――ミュージックビデオでは、ジャケ写にも写っていますがカラフルで袖の長い衣装やネイル、ダンサーさんなど、キュートでポップな印象で、楽しく歌の世界を堪能できました。衣装はあそこまで袖が長くなるとは思っていなかったんです(笑)。前作と同じHARUさんという方に監督していただいたのですが、世界観がすごく好きで、ポップでキャッチーででもひっかかりがあってというところがツボで。いろいろな衣装を着たのですが、最終的にあのインパクトのある衣装になって、着ているだけで笑顔になるといいますか。陽気に愉快に、自分がユニークなものとして、飛び込んでいけました。ボーカルだから真ん中にいたけれど、あの世界のパーツになれたのがうれしかったですね。その世界の一員になれて遊べましたし、遊んでもらえたかなって。ダンスは、国内外でダンサー・振付師として活躍されている、山田うん先生という方のコンテンポラリーダンスカンパニーの方を中心に集まってくださって、すごく新鮮でした。かっこいいだけではなく、不思議な世界があって、自然と笑顔になって。「踊ってください」とはとくに言われなかったのですが、勝手にまねして踊っていたら「やりましょうよ!」と山田さんに言っていただいて、喜んで踊りました(笑)。ホールで踊っているシーンがあるんですが、大学時代のミュージカルコースで踊っていたときのことを思い出して、仲間と一緒にステージの上で自由になる、という楽しさがすごく出たかなと。リョクシャカさんチームがばっちりかっこいい曲にしてくれたところにのっていきつつ、ミュージックビデオでは弾けて遊んでいる感じもあるので、観ていただけるとまた曲の印象も違ってくると思います。これからも曲を作って、歌を届けていきたいーーお話は変わりますが、吉岡さんがいまハマっているものはありますか。散歩からの、プチピクニックです。晴れた日はもちろん、晴れていなくても、歩いていて「これだ!」というお店をまず見つけて。だいたいパン屋さんなんですが、さらにちょうどいい公園を見つけて、そこでラジオを聴きながら、ひとりで陽にあたりながらパンを食べるんです(笑)。その時間がけっこう好きで、プチピクニックをしていますね。あとは最近、スイカスムージーを飲みました。プチピクニックでは、果物のスムージーとパンの組み合わせが多いですね。コロナ禍がなかったら、そういうことはしなかったかもしれないです。以前なら、もっと遠くに行こうとか、カフェを探して行こうとなっているかもしれませんが、コロナ禍で行動に気をつけているなかで、ゆっくり歩いて密にならずのんびり太陽を浴びることは、自分の中では心が落ち着く瞬間ですね。――ボーカリストとしてステージに立ち、多くの方に歌を届けるお仕事をされていますが、普段から良いコンディションを保つために、美容や健康面で気をつけていることはありますか。わたしは、実はとてもおしゃべりなので、ずっとしゃべっていますね(笑)。心の健康といいますか、精神衛生上、あまり溜めこまないようにしていて。悲しかったこと、うれしかったこと、悔しかったことなども、スタッフさんにも聞いてもらっています。学生時代の友達とのグループLINEがありまして、そこでも「夕飯は何にした」とか、くださらない話をしていますね。話を聞いてくれる方がいるから、救われる。でも、まわりは迷惑かも(笑)。人によってタイプは違いますが、わたしの場合は、しゃべってスッキリするということがわかったので、やるようにしています。――いろいろなお話をありがとうございました。では最後に、今後の抱負をお聞かせください。多くのことはそんなにできないなって、いい意味でも悪い意味でも、気づくときがあります。そのなかで、いきものがかりやソロ活動に限らず、今後も自分ができること、頑張れば喜んでもらえる可能性のあることを軸にやっていきたいと思っています。いきものがかりでも、いまデモテープを作る作業に入っているので、マイペースになりますがこれからも曲を作って、歌を届けていきたいですね。取材後記いきものがかりでも、ソロシンガーとしても、力強く心に響く歌声を聴かせてくれる、吉岡聖恵さん。ananwebの取材の際も、ひとつずつ誠実にはきはきとインタビューに応えてくださり、吉岡さん自体が明るい太陽のような存在感を放っていました。だからこそ多くの方を惹きつけるんですね。そんな吉岡さんのソロとしてのニューシングルをみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。取材、文・かわむらあみり吉岡聖恵PROFILE1984年2月29日生まれ。1999年11月3日、水野良樹と山下穂尊によるユニット「いきものがかり」が行っていた路上ライブに飛び入り参加したことがきっかけで、ボーカルとなる。2006年3月、シングル「SAKURA」でメジャーデビュー。以降、「ありがとう」「YELL」「ブルーバード」「風が吹いている」など多数のヒット曲を世に送り出す。2017年1月、「放牧宣言」を行い、一時グループ活動を休止。2018年11月、「集牧宣言」で活動を再開。2021年夏に山下がグループを離れ、2人体制での活動がスタート。グループ活動休止中の2018年2月より、吉岡のソロ活動を開始。10月にはカバーアルバム『うたいろ』をリリース。2021年11月には秦基博との共作楽曲「まっさら」をリリースし、約1万人が参加した自身初のオンラインソロイベントを開催した。2022年6月15日、ニューシングル「凸凹」をリリースする。InformationNew Release「凸凹」(収録曲)01.凸凹02.凸凹(tofubeats remix)03.凸凹(Aiobahn Remix) SACRA BEATS Singles04.凸凹(Instrumental)【DVD収録内容】01.凸凹(Music Video)02.凸凹(Music Video -Behind The Scenes)03.凸凹 (Recording -Behind The Scenes)04.TVアニメ「カッコウの許嫁」ノンクレジットオープニング映像05.TVアニメ「カッコウの許嫁」メインPV第1弾2022年6月15日発売(初回仕様限定盤)ESCL-5665/6(CD+DVD)¥2,200 (税込)*TVアニメ『カッコウの許嫁』描きおろし絵柄ダブルジャケットスリーブ仕様。取材、文・かわむらあみり
2022年06月14日直木賞&本屋大賞受賞作家・辻村深月の人気小説を原作に、アニメ制作の現場で働く人々が織りなすドラマを描いた映画『ハケンアニメ!』が先日、公開を迎えた。計441ページ(単行本)におよぶ原作小説を約2時間の映画として脚色したのが、ドラマ「死役所」、「レンタルなんもしない人」、「あのコの夢を見たんです。」など、一風変わった設定やシチュエーションの異色ドラマを数多く手がけてきた脚本家の政池洋佑である。新卒で一般企業に就職するも突如、サラリーマンとしての生活を捨て、脚本家を志したという政池だが、どのようにしてこの世界に入り、年に数本の連ドラを任される人気脚本家となったのか? いまの時代に、脚本家に必要とされる視点や能力とは? たっぷりと話を聞いた。――まず、政池さんが脚本家になられるまでの道のりについて伺ってまいります。大学卒業後、まず企業に就職されて、その後、エンタテインメントの世界に入られたそうですね。学生時代から脚本家になりたいという気持ちはあったんですか?いや、なかったですね。ただ、TVドラマは好きで、ドラマのプロデューサーや監督になりたくて、就職活動でTV局は受けていました。ただ、選考はわりと進むんですけど、最後の最後で落ちるんですよ。たぶん、薄っぺらさが伝わるんでしょうね…(苦笑)。実際、薄っぺらかったと思います。「ドラマが好き」と言いつつも、僕よりももっと好きな人はたくさんいたと思いますし、なんとなくノリだけで面接は進んでたんでしょうね。結局、TV局は全部落ちたんですけど、就活で受かったUSENで新卒で働き始めたんです。そこで毎朝、1時間ひたすらバナーの確認をするといった仕事をしてまして。1時間ずっと「F5」ボタンを押し続けて、特定の広告が何回出たのかをカウントするんですけど「これはつらいぞ…」と(苦笑)。僕、大学の頃にママチャリで日本縦断をしたことがあるんですけど、その頃の親友がTBSで働いていたんです。そのつながりである日、音楽番組の収録を見学させてもらったんですけど、なんて楽しそうな世界なんだろう!って。大学時代は2人ともあんなに楽しそうだったのに、一方はいまもキラキラ楽しそうにしてて、俺は「F5」を延々と押し続けてて…。加えてその頃、大失恋をしたんですね。そのイキオイで会社を辞めて「脚本家になろう」と思ったんです。――会社を辞める時は、この先、生きていく自信はあったんですか?いや、完全なノリですね。当時、付き合ってた彼女にフラれて「絶対にあいつを見返してやる!」って感じでそのままノリで辞めちゃいました(笑)。いや、こう言いつつ、僕はもともと、ものすごい安定志向なんですよ。メチャメチャ貯金するタイプだし。なのにイキオイで辞めちゃったんですね。つくづく、いろんな歯車が狂った結果として、いま、ここにいるんだなと思いますね(笑)。だから『ハケンアニメ!』を書くときも、主人公の瞳に感情移入できる部分は大きかったです。彼女は大学を出て、県庁で働いていたのに、退路を断ってアニメの世界に飛び込んでくるじゃないですか。自分自身を重ねながら脚本を書いていました。――会社を辞められて、その後、有名な放送作家の元に弟子入りしたと伺いました。そうです。当初から脚本家を目指してはいたんですが、構成作家にも興味があって一度、そちらも勉強してみたいなと思って、放送作家さんの弟子として働き始めました。――その後、すんなりと構成作家に?そうですね。構成作家というのはわりと人数が多い業界なんですね。いまも僕は朝の情報番組で仕事をさせてもらっていますが、わりと早い段階からいくつかの番組に入れましたね。――構成作家のお仕事というのは、ドラマや映画の脚本家とは全く違うものですか?違うと思われる部分が多いと思いますけど、僕は構成作家であることが、脚本を書く上ですごく活きているなと感じることが多いです。『ハケンアニメ!』もそうですね。今回の原作小説を読むと、3人の主人公たちが少しだけ時系列がずれているところで奮闘していて、それぞれがすごく良いセリフを口にするんですよね。それを俯瞰で見て「このセリフは絶対に大事にしなきゃ」とか「このシーンは大切だな」というふうに組み替えながら1本の映画として“構成”していくんです。僕はこの“構成力”が、脚本家として自分が得意な部分なのかなと感じていて、おそらく今回、僕を起用してくださった東映の須藤(泰司)プロデューサーもそこを評価してくださったんじゃないかと思います。――構成作家が具体的にどういうお仕事なのか詳しく説明していただけますか?やることはメチャクチャいっぱいあります。それこそ番組の企画書を書いて、その企画を会議で通して…、といったこともしますし。先ほどもお話した映画やドラマ脚本の仕事との類似という部分で言うと、例えば、ある俳優さんのことを、情報番組で紹介するとします。「昨日の映画のイベントに出席しました」とか「過去にこういう作品に出演しています」とか「インタビューの映像があります」とかいくつも“素材”があって、それらを決められた時間の中で、どういうふうに見せたら視聴者の興味を引くことができるか? というのを考えます。「オリンピック」であれば、「競技の映像」、「過去の映像」、「表彰式」や「インタビュー」の映像があって、それらをどういうふうに組み合わせて、どういうふうにVTRを終わらせたら、一番面白いか? カタルシスを感じられるか? といったことを考える仕事ですね。素材は決まっているので、“ゼロ”から“1”を作ることはできないんですけど、素材を並べて魅力的なVTRを作っていくということをやります。――構成作家として仕事をしつつ、どのように脚本家にシフトしていったのでしょうか?まずはシナリオセンターというところに通ってみました。その後、賞に応募したりもしたんですが、なかなかそこからは仕事につながらなかったんですよね。ただ、ある幸運な出会いがありまして…。サラリーマン時代にお世話になっていた先輩がいて、その人から「昼間に西荻窪で飲もう」ってずっと誘われてたんですね。最初のうちは何度か断ってたんですけど、5回目くらいにようやく行ったんです。そこになぜかリンボーダンスを踊る人たちがいて(笑)、そこで先輩に「お前も踊れよ」と言われて僕も「イェーイ!」ってメッチャ踊ったんですけど、なぜか先輩たちはすぐに帰っちゃって、せっかくリンボーダンスを踊ったのに、ひとりで寂しく飲んでたんですよ(苦笑)。――なかなか酷い展開です…。「もう帰ろう」と思ったら、隣に座ってた2人組の女性が「さっき踊ってたよね?」と話しかけてくれて、ひとりがドラマのAPをやっている方で、もうひとりは脚本家の大島里美さん(※「1リットルの涙」、大河ドラマ「花燃ゆ」など)だったんですよ! 僕は「1リットルの涙」が大好きだったので「えぇっ! 大島里美がいるよ! 嘘でしょ?」って感じで(笑)。「こんなチャンスはない!」と思って、そこから親しくさせていただいて、自分が書いたシナリオを送って読んでもらったり、一緒に飲みに行ったりするようになって、ある時、大島さんのピアノの発表会に行ったら、そこでテレ東のプロデューサーの方と知り合って、その出会いがきっかけで、脚本家として連ドラデビューすることになったんです。いま振り返ると、あそこでリンボーダンスを踊ったことがデカかったなって思います。リンボーダンスで人生変わりましたから(笑)。だから、若い脚本家の人と話をするとき、「何かあったら、自分から動けば人生変わるかもしれない」ってことはよく言いますね。――脚本家の金子ありささん(「恋はつづくよどこまでも」、「中学聖日記」など)に師事されていた時期もあったそうですね?そうですね。金子さんは大島さんの先輩で、大島さんから「いま、金子さんが弟子を募集してるけどやらない?」ってお話をいただいて、「やる!」と食い気味に行きまして(笑)、金子さんの下で1年ほど修行させていただきました。金子さんは本当に優しくて面倒見がよくて、とにかく脚本会議などの現場に常に連れて行ってくださって、そこで、僕が考えたプロットも発表する時間を持たせてくれるんです。もちろん僕のプロットなんて1ミリも使われないんですけど(苦笑)。まず会議で、金子さんがプロットをどうやって練り上げていくか? というシナリオ術と会議術を見ることができて、さらに会議の後にカフェで1~2時間ほど、金子さんが僕のプロットの何が悪いのか? どうしたら良くなるかということをマンツーマンで指導してくださるんです。それは本当に貴重でありがたい時間でした。その時のメモは「一生忘れちゃいけないな」と思って大切にとってあるし、いまでもたまに見返してます。「あぁ、金子さん、このことを言ってたんだ!」って当時はわかってなかったことが理解できたりしています。――そもそも「脚本家になろう!」と思ったのはなぜだったんでしょう? 映画やドラマは昔から好きだったんですか?好きでしたね。ただ、学生時代にそういう創作活動は全くやってなかったんです。さっきも言いましたけど、学生時代にやったことと言えば、ママチャリで日本縦断ですから。後は遊び歩いてました。だから我ながら、よくこの仕事をやれてるなぁって思います。僕は「自分に才能がない」と認める才能があって、そのぶん、吸収力はハンパないと思うんです(笑)。他人が作った面白いストーリーから学んで、自分のものにしていくのが得意なんだと思います。いまでもいろんな作品から勉強させてもらって、自分の力にしていますね。――好きなドラマや影響を受けた作品はありますか?ドラマは好きでわりと何でも見てましたけど「やまとなでしこ」とか「マイ ボス マイ ヒーロー」、映画だと『耳をすませば』とかメチャメチャ好きでした。クリエイターで言うと古沢良太さんとかは本当にすごいなぁと思います。ただ、さっきも言いましたけど、僕の武器ってたぶん「普通」であることなんですよね。ドラマがメチャクチャ大好きで、メチャメチャ見ているという人もいるじゃないですか? でも、僕は「普通」に好きで、「普通」に見てるんですよね。だから就活の時、TV局を落ちたんだと思いますけど、それは弱点でもありつつ「普通の感覚を持っている」ことが自分の特徴なのかなと思います。なので「○○さんが大好きで、憧れて、追いかけてます!」みたいなのはないですね。――先ほど、お話に出た「武器」と通じるかと思いますが、これまでいくつもの作品を手がけてきて、ご自身の作風だったり、作品の特徴ってどういう部分だと思いますか?『ハケンアニメ!』はちょっと違いますけど、「ぶっ飛んだ設定」と「ぶっ飛んだキャラクター」ですね。ドラマ「スナイパー時村正義の働き方改革」(※)なんかはまさにそうですね。※「スナイパー時村正義の働き方改革」:2020年3月にCBCテレビで深夜枠で放送された連続ドラマ。情報機関の伝説のスナイパーと同機関の人事部のOLの2人だけで繰り広げられるシチュエーションコメディで、仕事一筋のスナイパーが社会の波を受け、ミッションのさなかに“残業ゼロの定時退社”や“デジタル化”といった働き方改革を強いられていくさまを描く。2020年日本民間放送連盟賞番組部門 テレビドラマ番組最優秀賞、令和2年度(第75回)文化庁芸術祭 優秀賞、JNNネットワーク協議会 特別番組賞などを受賞。ただ、こうして賞をいただいたりもしたんですけど、番組自体は全然見られていないんですよね…(苦笑)。――CBCでの深夜放送ということもあって、「見られなかった」という人も多いのかと思います。Paravi(パラビ)でも配信されてるんですけど、なかなかね…(苦笑)。ネットでバズることもなく、「月刊ドラマ」の5月号にもシナリオを載せてもらったんですけど、これもあんまり売れてないのかなぁ…(苦笑)?ちょっと話が脱線してしまうんですけど、今回、シネマカフェさんにこの「映画お仕事図鑑」でインタビューをしていただこうと思った理由が、この「スナイパー時村正義の働き方改革」がきっかけなんですけど、自分で自信のある面白いものを書いて、それが賞をとったとしても、意外と人々に届かないというのを感じたからなんです。民放連の最優秀賞をいただいた時に「よし、これで売れるぞ」「大ブレイクするな」と思ってたんですけど、この作品をきっかけにしたお仕事のオファーというのがひとつもなかったんです。そこにはもちろん、いろんな要素があると思うんですけど、“僕”という人間のコンテンツ力がメチャメチャ低いというのも原因のひとつだなと思ったんです。まず、僕自身が多少なりとも有名になることも大事なことだなと。この連載で、少し前に『罪の声』の野木亜紀子さん(「逃げるは恥だが役に立つ」「アンナチュラル」など)のインタビューが掲載されていましたが「野木亜紀子の新作!」となると、その時点で「絶対見る!」というファンの方が多くいると思いますけど、脚本家でなかなかあのレベル、あのゾーンに達するのって簡単なことではないですよね。もちろん、「面白いものを書く」というのが一番大切なのは言うまでもないですが、それと同時に違うアプローチ、違う戦い方も必要なんじゃないかと考えるようになったんですね。「スナイパー時村正義の働き方改革」のシナリオが「月刊ドラマ」に掲載されたのも、その一環で「今度、Paraviで配信されるので、載せてもらえませんか?」と自分から編集部に売り込んだんです。これまでは「面白いものさえ書いてれば、いつか評価される」と思ってた部分があったんですが、民放連の受賞をきっかけに、それだけじゃダメなんだって勉強させてもらいました。――ここまで話をうかがってきて、『ハケンアニメ!』の脚本を政池さんに任せようと考えた須藤プロデューサーが慧眼だなと思います。僕がお話をいただいたのは5~6年前かな? 当時はまだドラマは1本くらいしか書いてなかったと思います。実は、最終的に実現には至らなかったあるプロジェクトがあったんですけど、その作品のプロットを僕が書かせていただいたんです。それを須藤さんが読んで気に入ってくださって、そのことがきっかけで『ハケンアニメ!』で僕を抜擢してくださったんだと思います。――ここから今回の『ハケンアニメ!』の脚本の執筆に関して、詳しくお話をうかがってまいりますが、政池さんはこれまで、『ハケンアニメ!』以外のドラマ作品でも、漫画や小説の脚本家を手がけてきています。原作を脚本にする際に大事にしていること、心がけていることはありますか?一番大切にしているのは最初に読んだ時に「素晴らしい!」と思ったセリフやシーン、展開で、読みながら「おぉっ!」って心が動いた部分に関しては印を付けていくようにしています。で、脚本にする際に、その部分を確実に入れるということを大事にしています。それって当たり前のことに聞こえるかもしれませんが、他の脚本家の方が書いた作品を見ていて「え? あの原作のセリフなくす?」「あのシーン、削っちゃったの?」って思うことってわりとあるんですよね。「ちょっと待って! あのセリフのためにここまでの展開があったんじゃないの?」という部分がバッサリなくなってたりしてると「この作品の面白さの“核”を理解してますか?」って思っちゃう。まあ、これは他人の作品だからこそ冷静に見られる部分もあると思いますけど(笑)。これはやはり、構成作家をやっている影響が大きいと思います。「このコンテンツがなぜ世の中で流行っているのか?」「この作品がなぜ多くの人の心を打つのか?」ということを考えていかなくてはいけない仕事なので。この原作の一番面白い部分はどこなのか? を的確に見つけて、それをきちんと脚本に組み込むことが大切だなと思います。――辻村深月さんの書かれた小説「ハケンアニメ!」を最初に読んだ時は、どんなことを感じましたか?とにかくキャラクターが魅力的過ぎるなと。全キャラクターが本当に魅力的で、これを2時間の映画にまとめるのはメチャクチャ難しいぞと思いましたね。あとはセリフのうまさが印象的でしたね。小説家もいろんなタイプの方がいらして、必ずしもセリフで勝負しない方もいると思うんですけど、辻村さんが書くセリフは本当に“刺さる”んですよね。これは一文字も変えちゃいけないな! と思わせるセリフが多いので、それは実際に原作のまま変えずに脚本にしています。中村倫也さんが演じた王子監督が新作発表の場で熱く語るシーンとかはまさにそうですね。――原作は、プロデューサーの有科香屋子(尾野真千子)、アニメ監督の斎藤瞳(吉岡里帆)、アニメーターの並澤和奈(小野花梨)をそれぞれ主人公にした3章の物語で展開します。この3つの物語をどのように1本の映画にしていったのでしょうか? また、映画では、同時刻に放送される瞳と王子(中村倫也)のアニメ対決が中心に据えられています。こうした構成はどのようにして生まれたのでしょうか?映画として作るとき、バトルとした方が見やすいだろうというのはありました。原作では瞳が手がける「サウンドバック 奏の石」と王子の「運命戦線リデルライト」は違う時間帯に放送されることになってるんですけど、“ハケン(覇権)”を争うということを考えても、同じ時間帯に放送されて対決するとした方が、わかりやすく多くの観客に刺さるだろうと思いました。原作の3章の物語は、つながってはいるけれど、時間軸がちょっとずれてるんですよね。それを同じ時間軸の物語にしつつ、対決させることで物語として見やすく、まとまるなと思いました。そうすることで、映画オリジナルのシーンとして生まれたのが、瞳と王子がアニメイベントで、それぞれの新作について語る対談のシーンです。僕自身、あのシーンが映画オリジナルであることを忘れてて(笑)、撮影現場にお邪魔して「良いシーンだな」とか思って見てたら、ちょうど辻村さんもいらして「こういうつくり方もあるんですね」とおっしゃって「そうか、俺が作ったんだ!」って(笑)。――原作では、瞳がアニメの世界を志すきっかけになった作品が、別の監督の作品だったのが、映画では王子のデビュー作という設定に変更されていますね。「憧れの監督との対決」となることで、瞳と王子のバトルがより運命的なものになっていると感じました。そうですね。そこは映画として2時間で見せる上で、ギュッとコンパクトにするというのもありましたし、そうすることで瞳の思いをより強く感じさせられるんじゃないかと思いました。――原作を読んで「キャラクターが魅力的過ぎる」と感じたとおっしゃっていましたが、この魅力的なキャラクターを映画で描く上でどんなことを意識されたんでしょうか?2時間の映画にする上で、どうしても描き切れないキャラクターというのは出てきてしまうんですが、それでも、そのキャラクターが放つ魅力的なセリフは短くても最大限活きるように――たとえワンシーンだけだったとしてもなんとか残したいなと思って、死守しました。映画では決して長くはないですけど、並澤と市役所の宗森(工藤阿須加)のやりとりはまさにそんなシーンですね。――特に政池さんの心に残っている大事なセリフやシーンを教えてください。一番を選ぶのは本当に難しいですが…やっぱり、王子が瞳との対談で“オタク”について熱く語るところですかね。僕自身、読んでてしびれたし、これを中村倫也さんが演じたら面白くなるなと。このセリフを辻村さんがどれほど大切に思って書いたかということも感じました。行城(柄本佑)が「うちは大手だからこそ、こういう作品を作る」ということを言うところも好きですね。あと、その少し前の瞳の独白で「人生には、何かを失っても、それでも何かを成し遂げたい時がある。やらなければならない時がある」というのがあるんですけど、これは瞳の人生、彼女のストーリーの全てが詰まっているような言葉だなと思いますね。――いま、話に出ました「サウンドバック」のプロデューサーである行城に関して、映画を観てファンになる人が多いと思います。原作では「ポロシャツにジーンズ」と描写されていますが、映画では一貫してスーツを着ていますね。こうした変更など含め、“キャラクターを立てる”ためにどういった工夫をされたんでしょうか?衣装に関しては、衣装合わせで監督や柄本さん、衣装スタッフさんが話し合って決めたんだと思います。行城のキャラクターに関しては、とにかく瞳を振り回す男にしたいなというのはありました。彼なりに「作品を届ける」という思いもあって、そうしているんですけど、それをイヤ~な感じで見せたいなというのがあって、映画オリジナルで瞳を振り回す描写をいくつか入れています。辻村さんが描いたキャラクターをより魅力的に見せるために一度、僕自身で飲み込んで、咀嚼して、自分に憑依させて「この男なら、こういうことをするんじゃないか?」「こうすると、辻村さんが描いたキャラクターの魅力が最大限に際立つな」と考えながら、行動を描いていきました。――先ほど、個人的に思い入れのあるセリフやシーンについて伺いましたが、登場人物で政池さんが最も感情移入したのは誰ですか?やっぱり瞳かな? 僕自身、この作品が初めての映画脚本で、吉野耕平監督は2本目なんですよね。だからこそ、長編アニメデビュー作のために奮闘する瞳の心情をここまで丁寧に描けたんじゃないかっていう内容の感想を試写会で映画を鑑賞したお客さんからいただいて「なるほど!そうかも」って思いました。仕事をしている中で「これは絶対に外しちゃダメだ!」という仕事ってあると思うんです。最近は僕もそれなりにお仕事をいただけるようになりましたけど、最初の頃ってそんなにチャンスをいくつももらえないんですよ。まさに野球でいうところの“代打”みたいな感じで、巡ってきたその1打席で結果を出さないといけないという。僕の場合、文字通り最初にいただいたテレ東のドラマの仕事は、別の方が降板しての代打でしたからね(笑)。代打って難しいんですよ(苦笑)! 誰かが作っていたものを引き継いだり、時間があまりなかったり、条件が決して良くない中で、その1回で結果出さなきゃいけないんですから。だからこそ瞳に感情移入する部分があるのかなと思いますね。――改めて、『ハケンアニメ!』の脚本執筆の中で、一番大変だったこと、苦労されたのはどういう部分ですか?原作でそれぞれ別の章で描かれている3人をきちんと絡めるという部分ですかね。原作では、有科と並澤ってそこまで深く絡む描写ってないんですけど、映画では有科が「リデルライト」の原画を並澤に頼みに行くシーンを描いてますし、あれは良いシーンになったなと思います。それから、瞳と有科がボクシングジムで偶然出会って、銭湯に浸かって…というシーンも映画オリジナルですね。原作はそれぞれの章が独立して素晴らしいので、あまり必要なかったんですけど、映画にする上で、3人の女性がそれぞれ戦いつつ、支え合うという描写は絶対に必要だなと思っていました。かといって、あまりに都合よく、無理やり描いてもよくないので、辻村さんの世界観を大切にしつつ、彼女たちをいかに絡めるか? 瞳と王子の対談のシーンを作ったのもそうだし、冒頭に雑誌の表紙を巡るシーンを入れたのをそのためです。最初に表紙のシーンがあるからこそ、並澤をそこできちんと出して、群像劇として描くことができたんです。そのあたりはすごく考えて、工夫しましたね。完成した映画と原作を比べてみると、時間軸を組み替えたり、オリジナルで加えたりしている部分は結構あるんです。でも、原作を読まれている方が見ても、都合よく変更したような無理やりな印象を受けることはないと思います。――映画は瞳を中心に進みますが、瞳だけでなく有科、並澤、王子、行城らに感情移入し、自身を投影する観客も多そうですね。本当にひとりひとりの人物が“脇役”ではなく、それぞれ“主人公”として丁寧に描かれていると思います。原作者の辻村さんが映画オリジナルのセリフで一番刺さったとおっしゃっていたのが、有科が王子に「私に(TV)局と戦えるだけの武器をください」というセリフなんですけど、出来上がった映像を見て、書いた僕もしびれましたね。“心で戦っている”というのを尾野さんと中村さんのお2人が表現してくださったなと思いました。実は、最初の時点で瞳を主人公にするか? それとも有科を主人公にするか? というのは、結構時間をかけて議論した部分でした。初見では有科のほうが入りやすいところはありました。最終的には須藤プロデューサーが瞳を中心に据えることを決めましたが、そういう議論があるくらい、全ての登場人物が本当に魅力的でした。――ここから再び、政池さんご自身のお仕事観などについて伺って参りますが、今後、やってみたいお仕事や目標などはありますか?昔は「朝ドラを書きたい!」とか目標はあったんですけど、最近はとにかく「誰も書いてないような話を書きたいな」と思っています。こんな話、1億回は見たなって話じゃなく、設定やキャラクターがぶっ飛んだ物語を作りたいです。最近、フジテレビで放送された「ここにタイトルを入力」という深夜バラエティでドラマを書いたんですけど「予算が足りなくて、撮影中にどんどんセットが減っていく」という設定のドラマなんです。徐々に会議室の机や椅子がなくなっていったり、主人公の男がパンツ一丁になってしまったりして、最終的に主人公とヒロインがパネルの写真になってしまって、会話もできなくなるんですけど、なぜかグッとくるという展開になってます。視聴者には事前に設定などは説明されないので、物語が進むにつれて「あれ?どうなってんだ、これ?」ってなると思います。こういう仕事をしている時に、自分はこういうのが好きなんだなって実感しました。誰もやらないようなクレイジーな話を書いてるとワクワクするんです。個人的に「笑って泣ける」話が好きなんですよね。くだらなくて「あははは!」って笑ってるのに、最後に泣けてきちゃって「え? なんで俺、これで泣いちゃってるの?」となるような。そういう話を書きたいです。――物語の着想を得るために大事にしていることやアイディアを考える上での自分なりの方法はありますか?よくあるのは「逆のことをぶつける」ってことですよね。「スナイパー時村正義の働き方改革」はまさにそうですけど、スナイパーという“働き方改革”とか関係なさそうな仕事にあえてそれをぶつけてみるという。アイディア帳という意味では、スマホのメモに10年以上前から「この設定、面白いな」と思ったことをメモするようにしています。――本作も人気小説の映画化ですが、最近の日本の映画やドラマでは、オリジナル脚本による作品よりも、どうしても人気漫画や小説を原作とした作品が多い傾向があります。脚本家としてはこうした傾向をどう感じていますか?原作ものが好まれるのもわかります。制作側からしても、オリジナルで連ドラ全10話を作るって、メチャクチャ大変ですから。とはいえ最近、またオリジナルの作品が少しずつ増えてきている気もします。そこはチャンスだと思うので、面白い企画を考えて、通していくしかないなと思いますね。――いま、脚本家になりたいと思っている人に「こういうことをやっておくといい」というアドバイスがあればお願いします。いまの時代、昔と比べて脚本家になりやすいかなりにくいかで言うと、なりやすいと思います。深夜も含めてTVドラマは増えていますから。とはいえ、狭き門ではあるので、なるための戦略は必要だと思います。いま、僕の下にひとりアシスタントがいるんですが、その子はYouTubeで漫画やシナリオを配信しています。そういうところでストーリーを作ることで脚本家としての“筋肉”をつけることはできるなと思います。昔よりはこうした“ストーリーコンテンツ”をアウトプットする場は増えているので、ドラマを書きたいなら、その手前にあって誰でも自分の作品を発表できるところで、ストーリーを作る筋力や技術を身に着けることは役に立つと思いますね。いまはNETFLIXやAmazonプライムビデオなど、配信事業も増えていて、コンテンツの量が増えているのはもちろん、自分が書いた作品が届く範囲も昔よりも広がっているので、そういう意味で“夢”を持てる業界でもあると思います。もちろん、大変なことはたくさんありますけど。コンテンツが増えるのは、ありがたいことですけど、TikTokとかと戦わなきゃいけなかったりするわけですから、大変ですよ!――政池さんご自身も配信作品や韓国ドラマ、海外のドラマなどもご覧になりますか?見ますね。「参考のために」というのもありますけど、見てるとやっぱり面白いですね。もちろん、韓国ドラマが何でも面白いというわけではないんでしょうけど、人気のある作品は日本の作品と比べてもバーンっと突き抜けてると思いますね。先ほども言いましたけど、僕は自分で見ていて心が「おぉっ!」って動いたら、一度止めて、なぜそう感じたのか? というのを分析し、メモしておくということを10年以上やっているんですけど、韓国ドラマを見てると「おぉっ!」というシーンの連続ですね。「愛の不時着」とか一時停止しまくってなかなか進まなかったです(笑)。あれは本当に勉強になりましたねぇ。――「愛の不時着」はプロの脚本家の方から見てもすごい作品なんですね?抜群に面白かったですね。僕の中で「やまとなでしこ」が長くNo.1ドラマだったんですが、久々に「やまとなでしこ」を脅かす…ヘタしたら陵駕するような作品が出てきたなと。大前提としてやはり、設定が面白いですよね。先ほどの「どうしたら見てもらえるか?」という話とも通じるんですけど、いまの時代、「見てみたら面白かった」じゃなくて、「見る前から面白そう」なコンテンツを作らないといけないんだと思っています。だからこそタイトル、設定が本当に大事なんですよね。意外とドラマを作っている人たちって、自分も含め、そのことを忘れがちな気もしてて。バラエティを作ってる人たちは「タイトル命!」というくらい、そこは大事にするんですけど、ドラマだと、わりとフワッとしたタイトルが多かったりしますよね。タイトル、設定に関しては以前から大事だけど、ここ数年、より大事になっているなと感じています。――お話を伺っていて、改めて「面白い作品を作る」ということが大事なのはもちろんですが、それをどう届けるか? 「面白そう」「見てみようかな」と感じてもらうためにコミュニケーション力やマーケター的な視点も必要なんだなということを感じました。そう思います。行城と同じですね。実際、行城が映画の中で言ってることは「わかる!わかる!」って思います。“クリエイター”というのは本来、そういう部分からもっとも遠い存在だと思うんですけど、もはやそういう時代ではないんですよね。最初の話に戻るんですけど、やっぱり自分は「才能がない」ことを認める才能があるからこそ、一歩引いた視点で物事を見ているんだと思います。今回の映画で言うと王子のようなタイプは、才能と寝食を忘れるほどの情熱で自分の作りたいものを作って、その作品が世間に称賛される天才ですけど、自分はそうじゃないんですよね。だからこそマーケター的な視点も必要だし、実際、この映画を通じて行城に教えてもらったことはすごく多いなと思いますし、瞳と一緒に成長させてもらえたなと感じています。(photo / text:Naoki Kurozu)■関連作品:ハケンアニメ! 2022年5月20日より全国にて公開©️2022 映画「ハケンアニメ!」製作委員会
2022年05月26日【音楽通信】第110回目に登場するのは、オリジナリティあふれる世界観で魅了する、新体制となった音楽ユニット・水曜日のカンパネラから、20歳の二代目ボーカリスト、詩羽(うたは)さん!母や軽音楽部の影響でさまざまな音楽を聴く二代目主演・歌唱担当の詩羽。2001年8月9日、東京都生まれ。【音楽通信】vol.1102013 年より始動した音楽ユニット、水曜日のカンパネラ。昔話や偉人などをテーマにしたウィットに富んだ楽曲が持つ世界観は、オリジナリティ抜群で聴き手を虜にしてしまうものばかり。2021年9月に初代主演・歌唱担当のコムアイさんが脱退し、高校卒業後フリーモデルとして活動していた大学生の詩羽さんが、二代目主演・歌唱担当として加入しました。そんな水曜日のカンパネラが、2022年5月25日に、新体制後初となるEP『ネオン』を配信リリースされるということで、詩羽さんにお話をうかがいました。――小さい頃に音楽に触れたきっかけから教えてください。母は音楽が好きで、以前CDショップで働いていたこともあって、ショップでたくさんのCDを借りてきたり、ポップスを聴いたりしていました。小さい頃は、家でYUKIさん、椎名林檎さん、東京事変などの女性ボーカルの曲や、くるり、キリンジといった男性ボーカルの曲が日常的に流れていました。昔から母は自分で歌を作って歌っていて(笑)、いまでもときどき自己流の“ママソング”を歌い続けていますが、母のおかげで自然と音楽が身近な環境に育ちましたね。――音楽好きなお母さまということで、詩羽さんは楽器に触れることはありましたか。高校生のときに3年間、軽音楽部でギターとボーカルを担当していました。当時、弾き語りの魅力に惹かれて、最初はアコースティックギターでひとりで弾き語りをしていて。次に、軽音楽部でバンドをやろうと思い、エレキギターも始めてみました。――もともと音楽で表現したい気持ちがあったのですか。それはなかったですね。その高校に入った理由のひとつは、わたしと年齢があまり変わらないぐらいの女性が弾き語りの路上ライブをしていて、ギターも上手で歌声もすごく素敵で、影響を受けたんです。だから、その先輩と同じ高校、軽音楽部に入りました。いまその先輩は「Day and Night」という2人組の音楽ユニットをしていて、テレビで開催されていたTikTok弾き語りシンガーのオーディションで優勝してドラマ主題歌を勝ち取っていたので、すごいなと思いますね。わたしは高校生の頃から、邦楽のロックをいろいろと聴くようになりました。高校を卒業してバンドをやめてからは、女性シンガーソングライターのカネコアヤノさんの曲をよく聴いています。――では、詩羽さんご自身で歌手になりたいと思ったことはなかったんですね。はい。水曜日のカンパネラとしての活動を始める前は、フリーランスモデルとして自己表現を模索していましたが、歌は自分の楽しい表現のひとつとして趣味でやろうと思っていたぐらいで、歌手になりたいとは思ったことがなかったんです。――そんななか昨年9月に、知人の方の紹介で面談を受けて、水曜日のカンパネラに加入されました。19歳のときにお話があって、正式に加入を発表するときには、20歳になっていましたね。水曜日のカンパネラのことは、中学生のときに「桃太郎」や「一休さん」などの曲が流行っていたのでもちろん知っていて。「加入しますか?」というお話があった日に、すぐ「やります!」とお返事をしました。でも、家に帰っていろいろと水曜日のカンパネラのことを調べ直したというぐらい、実は知識が薄かったんです(笑)。「やったー!」ぐらいの感覚でお返事をしたものの、もしかして自分が思っているよりも、大きな話だったのかなと。「チャンスは全部掴んでやろう!」というスタンスで、いろいろなことに挑戦している最中だったので、悩まずに直感的に即決しました。――初代ボーカリストのコムアイさんは、詩羽さんにとってどのような存在ですか。尊敬できる人ですね。初めて会ったときは世間話をしつつ、こちらから「いままでで一番楽しかった場所は?」「大変なことはありましたか?」といったことを質問していました。その度にコムアイさんは、「大丈夫、大丈夫!」と言って、フラットに接してくださって。コムアイさんに「代わるタイミングでインスタライブしたいんですよね」とお話ししたら、「一緒にやろうよ」と言ってくださって、なかなか他では見られない、いまの時代ならではのインスタライブ上での主演・歌唱の引き継ぎ配信をすることができました。――それまでリスナーとして聴いていた水曜日のカンパネラに、実際に加入してみて、まわりの方からの反響はありましたか。家族は、もともとわたしがやることを信じてくれているので、今回も「すごいね、やったじゃん!」と喜んでくれました。友達には、発表するまで言わなかったので、発表後に「どういうこと!?」とたくさん連絡が来ましたね(笑)。新体制になって初めてのEPが完成――2022年5月25日に、デジタルEP『ネオン』が配信リリースされます。まずこのタイトルに込めた意味からお聞かせください。わたしがアルバムタイトルを考えて、そのまま使ってもらいました。最近ネオンの看板に興味があっていろいろと調べているうちに、いまは使い勝手がよくて経費も抑えられるからと簡易的にできるネオンが増えていて、本格的なネオンを作る職人さんがどんどん減っているという現状を知りました。本来ネオンは繊細なもので、ガラスを熱で動かしてライティングするという技術は昔からあるものですし、なくなってしまうのは惜しいと思っていたところに、アルバムタイトルをどうするかという話があって、ふと「ネオンっていいな」と思ったんですよ。「ネオン」はラテン語なんですが、調べていくとどうやら「新しい」という意味も含まれているという解釈も。時代も新しい、わたし自身も新しく加入して、二代目になったという意味でもぴったりだなと「ネオン」とつけました。――4月27日に先行配信されたシングル「織姫」がアルバムのリード曲になっていますね。これは7月7日にしか会えない織姫と彦星が1年ぶりに再会したら、織姫が令和のギャルラッパーになっていたというストーリーの歌です。歌っているときは、最初にくる彦星目線の歌詞と、その後すぐにくる織姫目線のラップパートが、曲調としてもテンションとしてもとても落差があるので、彦星のところでは感情を込めてきれいに歌おうと心がけていて。でも、織姫の気持ちを表すラップの部分では、一気にいまどきの令和ギャルになるというマインドを大事にして、楽しんで歌っています。――2021年10月に、新体制後初の両A面シングルとして配信された「アリス」「バッキンガム」もEPに収録されていますが、詩羽さんにとって初レコーディングとなった曲ですね。初めてのレコーディングでしたが、あまり緊張しませんでした(笑)。でも、機材は全然わからないですし、どこでボリュームをあげるのか、どこでリズムをとるのか。そんな状況でしたが、楽しく歌入れできました。――今年2月の配信シングル「招き猫」「エジソン」も収録されていますし、新曲「卑弥呼」「モヤイ」など、タイトルだけでも興味深い曲が収録されていますね。「招き猫」は経営コンサルの招き猫という曲で、「エジソン」は、エジソンがバズってバンドマンになってしまったっていう曲なんです。新曲の中では、いまは「卑弥呼」の印象がわたしの中で強いですね。歴史上の人物の卑弥呼が、もしもお天気キャスターだったら……という、天気と卑弥呼が一緒になっている、面白いお天気の曲です(笑)。「卑弥呼」はリズムのテンポがはやくてポップな曲。高くなったり、低くなったり、歌っていても楽しい曲で、ライブでも2、3度披露しています。テンポ感とリズムがポイントの曲ですね。――聴き手には全曲聴いてほしいところですが、まずはこの曲からだけでも聴いてみてほしいというEPの推し曲というと?「織姫」です。「わたしの曲だな」と感じるぐらい、わかりやすさがある曲。わたしは水曜日のカンパネラの歌の部分とラップの部分、どちらも好きで「どちらもやりたい!」と欲張りな気持ちがあったんですが、「織姫」は歌もラップもきれいに入って曲が成り立っていて、自分の歌い方を調整できるので、歌っていてとても気持ちいい曲なんです。だから、一番推している曲でもありますね。――ミュージックビデオも凝っていますが、撮影はいかがでしたか。こちらも楽しんで撮影できていますね。いままでにリリースしたシングル4曲はミュージックビデオも作っていて、2曲リリースする際はひとつがいままで水曜日のカンパネラでお世話になっていた方にお願いするかたち、もうひとつは、わたしの知り合いを連れてきて新しい人に撮ってもらう、同世代のクリエイターと一緒に作っていくミュージックビデオというかたちでした。どちらにも良さがあって、どちらも楽しくて、いい経験ができました。いままでもお願いしていた方は、撮影の場数が圧倒的に違うので、衣装ややりたいことはわたしから事前にお伝えするんですが、当日はお任せしているタイムスケジュールで自然と進んでいくので「ベテランだな、すごい」と(笑)。逆に、同世代の方とミュージックビデオを作っているときは、途中で「どうしよう」と止まることもあったんですが、わたしも一緒にその場に参加して、制作側の気持ちも一緒に考えながら土台を作っていくという経験ができたので、どちらもやってみてよかったです。――もともと物作りにご興味があって、ミュージックビデオ制作にしても、作るほうにも携わっていきたいとお考えでしょうか。水曜日のカンパネラに入る前にも、学生だからこそいろいろなことをやっておこうと思って、写真を撮ったり、自分たちでチームを作ったりしていました。だから、制作側やディレクションする側の気持ちも汲んでいかないと作品は成り立たないと思っています。これからもどんどんアイデアは出していきたいですね。――6月と7月には対バンライブで全国ツアー予定、8月3日には詩羽さんになってからの初ワンマンライブが恵比寿LIQUIDROOMで行われる予定です。ステージで歌うときに、意識していることはありますか。ライブはどんなステージになるのか、まだ何も決まっていません。初ワンマンは、いまのところはとくに気負うことなく、楽しみにしていますね。ライブはいつも無意識にやっていることが多くて、ライブが終わって、メンバーのケンモチヒデフミさんとお話しすると「今日のあの部分よかったね」と褒めてもらうこともあるんですが、そのパフォーマンスも覚えていないことが多くて。ステージでは、その場で瞬時に感覚的にやっていることが多くて、逆に頭で考えてやろうとするとパンクしちゃうんですよ(笑)。だから、とくにあれこれ考えずに、ポンとステージに立ったほうが、心底ライブを楽しめちゃうタイプなんです。――レコーディングのときも、例えばうまく歌おうなどとくに考えないですか。うまく歌おうとするよりも、「まあ、なんとかなるだろう!」と思っているので(笑)。ただ、わたしは声が出るまで時間がかかるので、曲の頭から最後まで歌って、声の調子がさらによくなっていたらまた頭の部分を録り直す、ということもけっこうあるんです。だから、何かあってももう一度録り直せばいいと、そのときその場で出る声質や、気持ちを大事にして歌っていますね。「たくさんの方々に認知される存在になりたい」――以前から写真を撮るというお話もされていましたが、趣味はカメラですか。最近ハマっていることがあればお聞かせください。最近はあまり触っていませんが、以前はフィルムカメラで写真を撮ることが多かったですね。最近は、料理をすることが楽しくて、趣味としてやり始めました。あとは、粘土で立体を作ることにハマっています。オーブン粘土という陶芸用の粘土が市販されていて、おうちのオーブンで焼くと、それでコップやお皿を作ることができるんです。大量にその粘土を買っています。友達のアーティストが作った二次元のキャラクターがあって、その絵で描いている平面のものをわたしは粘土で三次元にすることが好きなんです。奥行きや頭のつくりを想像して、最近は手や爪を泥だらけにしながら、部屋で粘土の立体作りをしていますね。――詩羽さんはとてもチャーミングでオシャレですが、印象的な唇の下のピアスや刈り上げのヘアスタイルなどは、いつからしていますか。高校1年生のときからです。もともと小さい頃から内気なほうで、中学校から高校2年生ぐらいまでは学校生活がうまくいかなかったり、対人関係でトラブルが多かったり、校則に縛られていたりするのがすごく苦しかった時期がありました。いろいろなことでとても悩んでいた時期があったのですが、あるとき「自分のことを助けてあげられるのは自分自身だけだ」と、そう思えたときに「自分の好きなことをしていこう!」と勢いでピアスを開けたことが自己表現の始まりでしたね。そのとき、髪の毛も刈り上げて、前髪もオンザ眉毛にしました。――悩んで大変な時期があったのですね。そのときがあって、いまの自分があるなって思っています。当時は自己肯定感がとても低かったので、自信がなくて、自分のことは全然好きじゃなかったから、そのぶん尖っていました。いまと変わったところは、当時より圧倒的に尖りが取れてきたかな(笑)。まだ見た目は尖っているかもしれませんが、気持ちは、尖っていたものが取れました。――取れたのはなぜでしょうか。自分のことを好きになってくると、尖っている必要がなくなってきて。「あれもこれも全部素敵じゃん!」というマインドになりました。そのほうが自分も幸せだし、まわりにいる人たちも幸せになると思ってからは、そんなに尖っている必要はないなって思い始めたんです。優しい人になりたいですね。――詩羽さんはモデルもされていますが、ファッションについてのこだわりや、好きな着こなしはありますか。ファッションは自分に似合うものを探すことを大事にしていて、古着やネットでプチプラのものを買うことが多いですね。着方によって、値段は見ないとわからないですし、自分に絶対似合うものはあるから。わたしの場合は、落ち着いた色やテイストのものよりも、派手な色のほうが自分に合っていると思うので、今日はピンクを選びました。どれだけ目立っても、派手でも大丈夫だと思っているので、いつも「詩羽」という自己主張をやっています。――今日もご自身でメイクされているんですよね?基本的にメイクは自分でしています。自分の顔を一番理解していて、一番可愛くできるのも自分だと思っているので、毎日鏡を見てメイクしています。アイラインを大きく“くの字”にひいているんですが、日常的にくの字をやっている人はいないですし、わたしは仕事でもプライベートでもこのアイライン。童顔なので、メイクをしないと本当に子どもっぽく見えるんですが、アイラインをひくと少し大人っぽく見えて、コーディネイトの幅が広がります。ブランドだと、ヴィヴィアン・ウエストウッドは好きですね。漫画家の矢沢あいさんが好きで、『ご近所物語』も好きですが、一番は『NANA』。漫画にヴィヴィアンがよく出てくるので、その影響でヴィヴィアンが好きです。――スレンダーな詩羽さんですが、体型キープはどうされていますか。わたしはウエストだけは細いですが脚が太くなりやすい体型だから、ウエストも締めていれば細く見えるだけで、実はそんなに細くないんですよ(笑)。ただ、体重が増えないように気をつけていることは、いま朝食や夜ご飯にオートミールを食べる生活を3ヵ月ぐらい続けています。前日にヨーグルトに入れておいたオーバーナイトオーツを翌朝食べて、夜ご飯は白米のかわりにオートミールを食べて。あとは、毎朝家から駅まで歩くこと。歩くだけでも意外と運動になります。――いろいろなお話をありがとうございました。では最後に、今後の抱負をお聞かせください。いま少しずつフェスやライブが再開し始めていて、音楽業界の中でも動き出せるようになってきたと感じています。これからはいろいろなイベントなどにも出演していって、「織姫」やデジタルEPの『ネオン』をもっと世の中にちゃんと広げていきたい。今後、水曜日のカンパネラの詩羽としても、たくさんの方々に認知される存在になりたいですね。取材後記「水曜日のカンパネラ」の二代目ボーカリストとして、ユニットのフロントに立つ、20歳の詩羽さん。ananwebの取材では、クールにさまざまなポーズで撮影し、明るくニコニコと笑顔でインタビューに応えてくださいました。ヴィヴィアン・ウエストウッド好きの筆者としては、三連パールチョーカーもファッションも髪型もピアスも似合う、パンキッシュな詩羽さんに釘付けに。そんな水曜日のカンパネラのEPをみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。写真・北尾渉取材、文・かわむらあみり水曜日のカンパネラPROFILE2013年から、主演と歌唱担当のコムアイ、作詞作曲担当のケンモチヒデフミ、それ以外を担当するDir.Fの3人により始動した音楽ユニット。ライブなどオフィシャルな活動で表に出るのは、主演と歌唱担当のみが行う。2021年9月6日、初代コムアイが脱退し、新しい主演と歌唱担当として詩羽が加入。同年10月、新体制後初めてとなる両A面シングル「アリス / バッキンガム」を配信リリース。2022年5月25日、EP『ネオン』を配信リリース。6月から7月は対バンライブで全国をまわり、新体制初のワンマンライブを8月3日恵比寿LIQUIDROOMにて開催予定。InformationNew Release『ネオン』(収録曲)01.織姫02.卑弥呼03.エジソン04.一寸法師05.バッキンガム06.アリス07.モヤイ08.招き猫2022年5月25日発売写真・北尾渉 取材、文・かわむらあみり
2022年05月19日誘拐犯と被害者と“された”男女の壮絶な運命を描いた映画『流浪の月』が、5月13日に劇場公開を迎えた。本屋大賞に輝いた凪良ゆうの同名小説を、『怒り』『悪人』の李相日監督が実写映画化した骨太な一作。宿命を背負わされてしまったふたりに扮したのが、広瀬すずと松坂桃李だ。高い実力を誇る両者だが、今回演じた更紗と文は、キャリアの中でも最高級の難役。どのような道をたどり、作品を作り上げたのか。広瀬さん×李監督の『怒り』、広瀬さん×松坂さんの『いのちの停車場』といった過去作も振り返りつつ、濃密な日々を語っていただいた。1年ぶり再共演も「初共演に近い感覚」――広瀬さんと松坂さんは『いのちの停車場』に続く共演ですね。広瀬:はい。更沙を演じるうえで李さんとお話ししたのは、「文の存在が唯一自分を支えるもので、想うだけでブレがなくなる」ということ。そしてちょうど『流浪の月』をやると決まったタイミングで『いのちの停車場』の撮影が入り、桃李さんと共演できました。そのときには李さんから「桃李くんに会ってくる」という話も聞いていたので、『いのちの停車場』の撮影現場で「この人が文になる人なのかな?」という感じで松坂さんをずっとそわそわ見ていました(笑)。松坂:そうだったんだ(笑)。広瀬:はい(笑)。そこから『流浪の月』の撮影まで1年空いて、桃李さんとお仕事でお会いする機会もなく、それがそのまま文に会えていない感覚と重なっていきました。――おふたりは本作に挑むにあたり、身体をかなり絞られたかと思います。1年ぶりに再会したとき、驚きもあったのではないでしょうか。松坂:カメラテストでお会いしたときに「すごい痩せてる…!(驚)」とびっくりしました(笑)。ちょっともう役をまとい始めている感じがあって、そこから自分も「これから現場に入るんだ」というモードに切り替わった気がします。広瀬:私も同じです。「痩せた…!(驚)」と思いました(笑)。『いのちの停車場』のときは、役柄的にも「この人(松坂さん)に出会ったことで感情が動き、信頼してついていく」というものだったのですが、そこから違う想いに一瞬で切り替えられた感じでした。「そうか、いまは一人で生きてるんだな」と急に寂しくなってしまって、更紗の孤独ってこんな感じなのかなって。「この人についていけばいい」と思っていた関係性だったのが、全く違う空気感や距離感になったときに、まっすぐ見られないし見ていいのかな…という戸惑いが生まれました。――再共演ではあれど、新鮮な気持ちが自然発生したというか…。松坂:そうですね。「久しぶり!」みたいな感覚ではなく、しっかりと腰を据えて準備したうえで再共演したので、初共演に近い感覚がありました。広瀬:文との濃厚なシーンは撮影の後半だったので、実は撮影で会えるまでに少し期間があったんです。桃李さんは私よりもだいぶ早くクランクインされていましたし、私は私でずっと「文に会えない…。どこにいるんだろう」状態でした。お会いしても一日中喋らないことも多く、役の距離感を保ちながら後半に「やっと喋れた!」という開放感がありました。そして、そこを境に更紗も違う人生を歩み始めて、ふわっと軽くなる瞬間が訪れる。文や亮くん(横浜流星)のことであったり、自分の周りをふとした瞬間に考える時間がたくさんできるのですが、そういった感覚に近づけたのは『いのちの停車場』とはまた違っていて、新鮮でした。現場で悩み抜き「役作り」の答えを模索――今回は物語の中で描かれる時間が15年以上と長く、白鳥玉季さんが10歳の更紗を演じ、広瀬さんが現在の更紗を演じるという構造です。二人一役とはいえ、15年ぶりの“再会”にしなければならないため、非常に難易度が高いですよね。松坂:文にとって、更紗と出会えて初めて自由や解放感を得られたぶん、別れてから15年間はその幸福感を力強く握りしめ、苦しい日々を過ごしていたところはあると思います。それが再会したときに、「ひょっとして更紗も同じような時間を過ごしていたのではないか」と感じられる。玉季とすずちゃんの二人が演じてはいましたが、僕にはちゃんとつながって見えて、すごく心強かったです。広瀬:ただ私としては、やっぱり10代の頃の文との楽しい時間を皮膚感覚として感じられていなかったのが大変でした。途中で李さんに「桃李くんに聞いたら?温度差を感じる」と言われて、桃李さんにお聞きしましたね。そこで桃李さんが教えて下さった言葉を15年ぶん経年させるというか、部分部分で覚えていたり、瞬間瞬間で感じたことが残っているという状態にしないといけない。自分の想像と桃李さんからもらった文の言葉、色々リンクさせていくのはすごく難しくて、つかめるまではひたすら苦しかったです。涙腺がプツンと切れてしまって、何をやっても涙が出てきちゃう状態になってしまい、毎回本番前に李さんに「泣くなよ、強くいるんだ」と声をかけられていました。――広瀬さんは『怒り』から約6年ぶりの李監督とのタッグですね。広瀬:『怒り』のときは、登場人物も多いし東京・千葉・沖縄の3つの舞台で物語が進行するぶん、李さんも映画3本を同時に撮っているような状態で相当大変だったと思います。私自身のことでいうと、『流浪の月』に入る前、初めて立ち止まるというか…敏感じゃなくなっていた時期でした。繊細な何かを感じ取れなくなってしまって、しかもその状態が続いていたんです。クランクイン前に李さんに「どうしたらいいかわからない」と相談するところから始まりました。そういった意味で、『怒り』のときとはお互いに変化がありましたね。――松坂さんは、初めての“李組”はいかがでしたか?松坂:李さんはリハーサルを何度も重ねたり、キャスト同士でコミュニケーションする時間を取ってくれたり、コーヒーを淹れる練習も「実際にお店で練習してみたら」とか、役作りで「撮影場所に寝泊まりしてみたら?」とアドバイスしてくれたり、とにかく芝居にとことん向き合わせてくれるんです。すごくフラットに「役として生きるためならやればいい」と言ってくれるというか、いままで僕があまり経験したことのない温度感の現場だったので新鮮であり、嬉しかったですね。――李監督は現場でとにかく悩み抜く、というお話も伺いましたが、おふたりの目にはどう映りましたか?松坂:悩んでいるのか、或いは待っているのか…。先ほど「役として生きる」とお話ししましたが、それがカメラの前に現れるのを待っているような状態だと感じました。たとえるなら、下からじっくり火であぶられているような感覚です(笑)。広瀬:そのたとえ、正しいです(笑)。松坂:おっ、やった(笑)。広瀬:『怒り』のときと比べると、監督自身も明確な答えを持っていない感じがしました。前作は「自分でどんどん踏み出していけば答えがあるから」とずっとおっしゃっていて、それまでお芝居に答えがあるって考えたことがなかったけど、一つじゃないとはいえ何かはあるんだと初めて思えたんです。今回はその答えがないぶん、李さんとはとにかく話しながら作っていきました。芝居を観て「今はこうだったよね?」と明確に言葉にされると、やっぱりちゃんと見てくれているし待っているし、全部伝わっているなと思います。李さんの前では、嘘をつけないんですよね。――松坂さんが先ほどお話しされていた入念なリハーサルは、どういった形式で行われたのでしょうか。松坂:現場でカメラが回る前に、監督とキャストだけでリハーサル兼ディスカッションをやってみて、そこから何度かリハーサルを繰り返して、その後撮影部や照明部の方が入り、皆さんにお芝居の流れ見てもらい、撮影をいう形でした。この温め方は、他の現場にはなかなかないやり方ですね。監督は答えをくれるわけではないが「そこに導いてくれる」――2021年の11月に放送された「情熱大陸」の中では、警察署のシーンを広瀬さんと李さんが話し合いを重ねながら研磨していく様子が収められていました。広瀬:お互い言葉にするのが苦手で、私発信で生まれてくるものと、李さん発信で生まれてくるものがうまく伝わらなかったんです。そのシーンだけ李さんのおっしゃっていることがよくわからなくて「どういうことですか?」と聞いたのですが、ニュアンスで伝えて下さったこともあってどうしてもうまく理解できなくて。じゃあもう色々と変えてやってみよう!と模索していきました。それで17回くらいそのシーンを繰り返していくなかで、不意に自分の中で新しいものがぽんって生まれたときに「その方向性!」と李さんに言われて、「ずっと違うことをやっていた…」ってなりました(苦笑)。松坂:わかる。試して試して「ちょっと一回外の空気吸ってこようか」って休憩が入り、「どうやったらうまくいくんだろう。ここまではこっちの方向性でやってきたけど、一回横にずれた目線でやってみるか」と思って休憩明けにやってみると「はい(OK)」となることが何回かありました。決して答えをすぐくれるわけではないのですが、そこに導いてくれる感じがありました。やっぱり「待ってる」んだよなぁ…。広瀬:待ってますね、あれは(笑)。(text:SYO/photo:Jumpei Yamada)■関連作品:流浪の月 2022年5月13日より全国にて公開(c)2022「流浪の月」製作委員会
2022年05月13日【音楽通信】第109回目に登場するのは、10代、20代を中心に絶大な人気を誇る、福岡発のヒップホップシーンの新世代ラッパー、Rin音(りんね)さん!ラップバトルを観たのがきっかけでラップを始める【音楽通信】vol.10918歳からラッパーとしてのキャリアをスタートさせ、数々のMCバトルを総ナメにしてきたRin音さん。さまざまな言葉で織り成すリリックは、リアルでエモーショナル。10代、20代を中心に、絶大な人気を誇っています。ヒップホップシーンの新世代ラッパーとして注目を浴びるなか、2020年2月に配信した「snow jam」がTikTokから大ヒットし、『第62回輝く! 日本レコード大賞』の「新人賞」を受賞。リリースした楽曲のストリーミング総再生回数は3億3千万回を突破しました。そんなRin音さんが、2022年4月20日に2ndアルバム『cloud achoo(クラウドアチュー)』をリリースされたということで、お話をうかがいました。――小さい頃や学生時代は、どんな音楽を聴いていましたか。子どもの頃は、親がドライブ中にかけていたRHYMESTERさんやKICK THE CAN CREWさんといった日本のヒップホップを聴いていました。その後も、とくに音楽が大好きで聴くというよりも、AKB48さんやGReeeeNさんだったり、YouTubeを観て知ったMAN WITH A MISSIONさんだったり、世間で流行っている曲を聴くという感じでした。――ではそこからラッパーになろうと思ったきっかけは何だったのでしょうか。高校1年生ぐらいの頃に、MCバトルの動画を観て「ラップバトルって面白そうだな」と興味を持つようになったんです。いろいろなラップバトルを観て、他の人の闘いを聴いているうちに「僕もやれそうだな」と思い始めたのがきっかけで、高校3年生からは自分でもフリースタイルを始めました。――ラップバトルに惹かれた理由も教えてください。MCバトルは、何が起こるかわからないから、面白いんです。例えば、格闘技なら小さい人が大きい人を倒せるかはわからないですよね、体格差があるから階級もありますし。でも、MCバトルは肉体とは別の競い合いで、音楽コンクールともまた違って、ラップで闘っていくことをスタイリッシュにやっていて、かっこいいなと思いました。――いつから音楽の道を志すようになったのですか。少しはラップができるようになったと思った大学1年生のときに、地元の福岡で「U-20 MC BATTLE」というラップバトルが開催されると聞いて出ることにしたら、ベスト8になって「意外と闘えるかも」と思いました。それと同時に、主催者の方に次のラップバトルでのライブショーケースにも出ないかというお話をもらったのですが、ライブとなると自分の曲が必要なのに、そのときはまだ自分で音楽を作ったことがなかったんです。でもライブを断って、バトルにだけ出るとディスられるので「出る」と返事をした手前、曲作りをすることになって。「歌ってみた」などの動画を参考にして、全部携帯で、曲作りをしました。今考えたら、ようやったなと思います(笑)。出る以上負けたくなくて、あのとき必死にやったことが、おかげさまで自分の大好きなものに巡り合うきっかけにもなってよかったです。――2019年7月にデビュー後、2020年2月の「snow jam」が大ヒットしましたが、心境や環境の変化はありましたか。学生時代は、「音楽やってる」とか「ラップやってる」と言うと、馬鹿にされたんですよね。本格的にやるならまだしも、かじっているだけだなんて言われて。もしかしたらそれは、やりたいことが見つかっていない人のジェラシーもあるのかもしれませんが。でも、そんな状況も、僕の曲をYouTubeにあげていくにつれて、少しずつ変わってきました。少ない再生回数だったのが、何百回再生になって、何万回再生になってと、次第にまわりからの反応も変化していって、僕のことを知っているという人が増えて。「snow jam」を出して、いろいろなTV番組に出演するようになってから、みんな「すごいね」と言ってくれるようになりました。音楽をやっていてよかった、結果が残せてよかったと思います。親にも、それまでは「就職しろ」とずっと言われていました。音楽の世界で成功することが難しいことはわかるので、僕も本当は、普通にインターンに行こうとか、就職しようと思っていて。社会人になって、趣味で音楽をやろうと思っていました。でも、「snow jam」で結果が出てからは、親も「じゃあ、がんばれ」と。だから、ありきたりですが、夢を追いかけている人には「追いかけたほうがいいよ」と言いたいですね。オバケの噂話をテーマにしたアルバム――2022年4月20日に2ndアルバム『cloud achoo』をリリースされました。アルバムに込めた思いからお聞かせください。タイトルからお話しすると、英語で「cloud」は雲ですが、ハロウィンで白い布を被って仮装するオバケが雲のように見えるので“オバケの仮装”をイメージしていて、「achoo」はハクション的なくしゃみの擬音語。よく噂話をするとくしゃみをすると言いますが、つまりは、オバケの噂話をテーマにしたアルバムです。噂話は噂話として、それが嘘か本当かはわからないじゃないですか。噂話を楽しんでもいいけど人を判断しない、どこで情報がねじまがっているか分からないから、鵜呑みにすると人が傷つくこともある、そういう思いを綴っている皮肉まじりのアルバムになりました。――タイトル曲「cloud achoo」は、どこかゲーム音楽のようなスピード感もある楽曲ですね。いままで僕の曲といえば、「snow jam」のようなしっとりしたイメージを持っている方も多いと思うのですが、「cloud achoo」はとても勢いのある曲です。オバケの噂話が流れたとき、つまり不可解な話が流れたときにどうすればいいかといえば、やっぱり「どうでもいいから暴れ回ってやろうぜ!」という感じ。何かあっても気にしなくてもいいよ、というテイストを再現して、ゲームで敵をぶった斬る、自分の中の邪魔者を攻撃するという感じの曲になりました。――リード曲「Blue Diary」は胸に刺さるようなラブソングです。この曲は、4月9日から始まったテレビアニメ『アオアシ』(NHK Eテレ 毎週土曜 午後6時25分)のエンディングテーマ曲のお話をいただいてから作りました。サッカー漫画の『アオアシ』は、ずっとサッカーをやっている主人公が、高校生になってJリーグのユースに入って、チームでスポーツをするなかでぶつかりながらも成長していく姿を描いています。青春を感じる物語なので、僕も青春を感じるタイミングで歌詞を書いたらマッチするだろうと思っていました。ちょうどツアーをやっている時期に曲作りをすることになって、僕もクボタカイ、ICARUSといった音楽を始めたときから一緒にいる仲間と全国をまわっているうちに、ツアーが成功したのはこのチームのおかげだと実感したんです。でも、家に帰ると、ひとりで問題点のことを考える課題もあったり、ぶつかって仲間にうまく接することができないときもあったり。もしこれが学生時代だったらと思うと、『アオアシ』のチームで夢を追う世界ともリンクできて、想像もふくらんだので、ツアーが終わってすぐに曲を書きました。だから思い入れもあるし、いい曲になったと思っています。――お名前のあがったラッパーのICARUSさんや、シンガーソングライターのasmiさん、A夏目(あなつめ)さんとの曲も収録されていますね。仲間との曲は、僕ももちろんリスナーのみんなも聴きたいでしょうし、作りたいものを再現したいのは、仲間なんです。1stアルバムも同じようなメンバーで作っているので、僕らの成長をまた感じてもらえたら。ICARUSとの曲なら自分の引き出しであったり、asmiとの曲なら言葉づかいの成長や表現力だったり、A夏目という新しい仲間ができたことだったり。新しいアルバムで、自分の人生を残していくというイメージもありますね。――作詞をするときなど、いつもはどのように曲作りをしているのですか。最初にメロディやフロウを考えて、そこから言いたいことをフリースタイルでやっていくと、ふと出た言葉が面白かったりするんですよね。それでまた少しずつ変えていって、前の部分につなげていってという感じで、言葉をつなげていって完成させます。基本的に、あまり考えすぎないときのほうが、ちゃんと中身のあるリリックになって、うまくいきますね。リリックにはけっこうメッセージを込めています。どんなふうに伝わっているのかはわかりませんが、凝った作りをしているので気づいてくれたらなと。もともとギミックがあるようなものが好きなので、そこを読み解いてくれたらうれしいです。――ご自身でリリックを書くときに大事にしていることはありますか。あまり否定したり、自分が言われていやなことは書きません。実際に目の前でいやなことを言われたら言い返しますが(笑)、それ以外の優しい人や聴いてくれる人たちのことを傷つけたくないから。ウェルカムの姿勢は一生崩したくないので、みんなに届くようにという思いを込めています。――どんなふうにアルバムを聴いてほしいでしょうか。全部新曲なので、一度全曲を聴いてほしいですね。その後に、好きな曲が偏ってくるのは構わないから。きっと人によって好きな曲が全然違うと思うので、それぐらい収録曲は方向性をバラバラにしたつもりですし、いろいろなことをやったつもりです。曲を聴いたときはこっちの曲が好きだったけど、ライブで聴いたらこっちのほうがよかったとか、音楽を聴く楽しさが広がってくれたらいいですね。――歌うとき、パフォーマンスするときに心がけていることはありますか。楽しくありたいですね。僕は、曲を聴くよりも、作るときが楽しいんです。作るときに楽しんでいれば、リスナーの方にも楽しさが伝わるかなと。聴き心地を大事にしたいと思っていますね。だから、実はどちらかというと、ライブはあまり好きではない(笑)。いまは披露するときよりも、曲作りに楽しさを見出しているんだと思います。「やっていて楽しいな」と思える活動を目指す――お話は変わりますが、いまハマっていることや趣味はありますか。ゲームと料理ですね。僕のYouTubeでサブチャンネルを始めたんですが、この前トマト鍋を作りました。料理が好きだから、料理番組のようにしようと思っていたんですが、ちょっと高度なボケをしてしまって(笑)。なぜなら、料理を作るYouTubeなのに、記念すべき1回目に、ただ材料を切って煮込むだけの鍋をするという内容で……。家では最近、豚汁を作りました。これも簡単ですよ、具材を入れればできます(笑)。――楽しそうですね(笑)。ところで、Rin音さんは髪色も鮮やかでおしゃれな印象ですが、ファッションなどのこだわりはありますか。全然ないんですよ。こんな髪色だと、普通のお仕事はできないかもしれないから、これは僕の特権だと思って色を入れて。ピンク色を選んだのは、ふとX JAPANのhideさんがかっこいいなと、ピンクの髪色がいいなと思ったから。なので、今後、そのときどきで髪色も変わっていくと思います。――いまも福岡県にお住まいということですが、例えばライブなどで他の街に行くと、地元との違いを感じますか。感じますね。人柄も、街並みも、ライブの盛り上がり方も違うから。僕の場合は、とくに名古屋のライブは盛り上がってくれることが多いですね。もしかすると、名古屋の街並みと、福岡の親不幸通りという、ヒップホップのクラブがたくさんある通りなどの街並みが似ているので、そういうのも関係があるのかな。――福岡の親不孝通りはヒップホップが盛んという一方で、福岡といえばシーナ&ロケッツなどの“めんたいロック”も有名ですが、音楽と相性のいい街という印象もあります。確かに、音楽といえば、ジャンルに対しての偏見がない人が多いかもしれませんね。ライブでも、東京から有名人を連れてくるのはなかなか難しいので、自分たちでやるしかないから、ラッパーの場合もひとつのライブハウスに多ジャンルのラッパーが集まります。ゴリゴリ怖い系、僕みたいなタイプ、もっとケミカリーな人など。そこは面白いかもしれませんね、異色の存在と常に触れ合えるのは、福岡の良さですね。――いろいろなお話をありがとうございました。では最後に、今後の抱負をお聞かせください。「やっていて楽しいな」と思える活動を目指したいので、常に新鮮なことをしたいですね。「誰もやっていないことができた」と言える1年にしたいので、これからもがんばります!取材後記地元の福岡から音楽を放ち、全国区へと人気が拡大していった、新世代ラッパーのRin音さん。Z世代に熱く支持されるヒップホップシーンのニュースターながら、日常を歌う曲たちのように、飾らない親しみあふれるキャラクターで、今後ますますブレイクしそうな予感です。そんなRin音さんのニューアルバムをみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。取材、文・かわむらあみりRin音PROFILE1998年生、福岡県宗像市生まれ。18 歳からラッパーとしてのキャリアをスタートさせ、数々のMCバトルを総ナメする実力派。「2018 天神U20MC battle Round1」優勝、「KMB vol.7」準優勝、「チュリトリスワールド」優勝などMC バトルで頭角を現す。2019年7月、1st EP『film drip』を配信限定リリースし、ヒップホップシーンで新世代ラッパーとして注目を浴びる。2020年2月に配信した「snow jam」はSpotify 国内バイラルランキング1位、Apple Music総合ランキング の9位にまで上昇するなど大ヒットし、各ランキングに軒並みランクイン。同年『第62回輝く! 日本レコード大賞』にて「新人賞」を受賞。現在、楽曲のストリーミング総再生回数3億3千万回突破、YouTube のチャンネル登録者数は18万人を超え、総再生回数は3600 万回を達成。地元である福岡県宗像市の「むなかた応援大使」を務める。2022年4月20日、2ndアルバム『cloud achoo』をリリース。InformationNew Release『cloud achoo』(収録曲)01. Blue Diary02. heaven town03. bless feat.asmi04. cloud achoo05. 悪運星人06. sunny hunny07. glitch switch08. hell virgo feat.ICARUS09. beryllium10. bella11. Myth12. specter wedding feat.A夏目13. Ghost U Clock2022年4月20日発売*収録曲は全形態共通。(通常盤)POCS-30010(CD)¥2,500(税込)(初回限定盤)POCS-39004(CD+DVD)¥3,500(税込)取材、文・かわむらあみり
2022年04月21日私、「サレ妻予備軍」になりました。
兄の連れてきた婚約者は…
妻は看病してもらえないのが普通ですか?