こんにちは、婚活FP山本です。会社員なら年末調整で生命保険料控除を申告したことがあるかもしれませんが、確定申告でならいかがでしょうか。確定申告と聞くと身構えてしまう方も多いですが、例えば年末調整で申告し忘れてしまえば、確定申告が必要になります。そんな時のためにも、ぜひ確定申告での申告方法も覚えておきましょう。今回は、確定申告で生命保険料控除を申告する基本や方法をお伝えします。ぜひご参考にどうぞ。生命保険に入っているなら保険料控除できる!なお、仮にあなたが確定申告書Bを使う場合であっても、微妙に書く位置が違うだけで書き方は確定申告書Aの場合と同じです。また、その他の控除を申告する場合であっても、書き方の要領は変わりません。ちなみに確定申告書類の作成は、国税庁サイトにある「確定申告書等作成コーナー」を使うと、簡単で説明もあるのでおすすめです。ぜひ一度、試してみましょう。項目に沿って自分で書き写せばOK一度やってみると分かるでしょうが、生命保険料控除の申告は保険料控除証明書の内容を項目に沿って自分で書き写せば良いだけです。強いて言えば、先ほども触れた通り生命保険料控除の制度は、平成24年1月1日の前後で変更があり、新旧の区分がある点には注意しましょう。もちろん、それもちゃんと証明書には記載がありますけどね。生命保険料控除の申告は、たったこれだけで完了です。今のところ生命保険に未加入という方は、これを機に加入を検討するのはいかがでしょうか。[adsense_middle]持ち物や添付書類を揃えて提出しよう今度は添付書類や持ち物などについてお伝えします。先ほど使用した生命保険料控除証明書は、転記して終わりではなく、証拠として確定申告書への添付が必要です。もちろん、他の控除申告もするのであれば、それぞれに対応する証明書などを添付しましょう。また確定申告を提出する際には、しっかり完成していれば、特に確定申告書類(控えを含めて2通)以外の持ち物は要りません。なお、確定申告書類の提出方法は、以下の3通りがあります。税務署へ郵送する税務署へ持参するe-Taxを利用する(事前の申請や一定の機器が必要)はじめて確定申告書を提出するなら、その場で簡単にチェックしてもらえるので、持参する方法がおすすめです。確定申告の期間中は土曜日も受け付けている税務署も多いので、可能であれば持参しましょう。確定申告の期間には注意が必要確定申告は、毎年2月16日~3月15日が申告期間となっています。この期間を過ぎると延滞税が発生する可能性がありますから、少し注意が必要です。その一方で、還付を受ける確定申告(還付申告という)の場合は、翌年1月1日から5年間、申告できます。会社員の場合はすでに源泉徴収で税金を納めており、還付を受けるケースのほうが多いです。生命保険料控除を申告するなら尚更ですが、念のため上記の期限内に申告しましょう。青色申告・白色申告の違いとは?最後に、補足として確定申告の種類についてお伝えします。実は確定申告には「青色申告」という申告方法があり、こちらのほうが少し精密な帳簿が必要になる代わりに様々な恩恵があるのでお得です。ただし、青色申告できるのは不動産所得・事業所得・山林所得に限られます。一般的な会社員なら関係ないように思えるかもですが、最近では不動産投資をする方も増えましたし、副業収入が事業所得に該当する可能性もある訳です。覚えておいて損はないでしょう。ちなみに青色申告するには、事前に「青色申告承認申請書」を提出する必要があり、提出していない場合は白色申告に該当します。せっかく生命保険料控除を通して確定申告できたなら、これを機に税金の勉強を始めるのもおすすめです。手始めに生命保険料控除のような節税方法について、どんどん学んでいきましょう。確定申告できると色々お得かも?あなたは今まで、「確定申告が必要」と言われて控えてしまった行動は無いでしょうか?税金上の優遇や恩恵を受けられる制度の多くは、確定申告を必要とします。逆にいえば、確定申告できるようになりさえすれば、それら様々な優遇や恩恵を受けられるようになる訳です。それに、最近では会社員でも副業や定年後の労働で、確定申告が必要になることが多いといえます。いつ必要に迫られるかも分かりませんから、ぜひ少しでも若いうちに確定申告を覚えてしまいましょう。保険料控除で確定申告を有利にしよう!生命保険料控除は国も認めている節税方法なのですから、生命保険に加入しているなら申告しないのは損なだけです。むしろ節税のために生命保険に加入する考え方すらあります。ぜひ生命保険料控除を通して、少しでも有利に確定申告していきましょう。
2019年12月01日年末調整で生命保険料控除を受けるには「保険料控除申告書」を毎年勤務先に提出しなければなりません。申告書を書くのが初めての人、毎回どう書けばいいか迷っている人は、この記事で申告書の書き方と注意点を確認しておきましょう。生命保険料控除とは日本生命保険料控除証明書の主な記載項目証券番号保険料払込期間保険種類/年金種類適用制度(旧契約・新契約)払込方法契約日保険期間/年金支払期間保険金(年金)受取人名(年金契約の場合)年金支払開始日証明書作成時点までの保険料払込額(証明額)その年の12月まで払い込んだ場合の保険料払込額の見込み額(申告額)生命保険料控除対象となるか分かりにくい契約保険期間5年未満の貯蓄保険や財形貯蓄などは対象外貯蓄性を重視した保険期間が5年未満の保険契約は控除対象とはなりません。そのほか保険型の「財形貯蓄」商品やケガのみを補償する傷害保険、外国保険会社と国外で契約した保険契約なども控除対象外です。変額個人年金保険は一般生命保険料控除の対象運用成果によって受取額などが変動する変額個人年金保険は、一般の生命保険料控除の対象となります(個人年金保険料控除の対象ではない)。離婚後に元妻が保険金受取人となっている契約の保険料を支払っても控除対象外生命保険料控除の対象となるには、保険金等の受取人のすべてが保険料支払者、またはその配偶者その他親族であるという要件があります。妻が保険金受取人となっている契約の保険料を納税者が支払っており、離婚後も引き続き保険料の支払いを継続する場合、離婚成立以降に支払われる保険料は控除対象となりません。子どものために加入している死亡保険などであれば、保険金の受取人を元妻から子どもに変更すれば引き続き控除を受けられます。一時払い保険料と全期前納保険料の取り扱い保険料の支払い方法には月払いや年払いのほか、契約時にすべての保険料を支払う一時払いや全期前納払いという方法があります。生命保険料控除の対象となる契約の保険料を一時払いあるいは全期前納払いした場合、控除における取り扱いに次のような違いがあります。一時払い…保険料を支払った年のみ控除対象となる全期前納払い…支払った保険料を保険料払込期間で按分し、保険料払込期間中は毎年控除を受けられる一時払い保険料100万円の契約と全期前納保険料100万円(保険料払込期間10年)の契約であれば、どちらも契約時に支払う保険料は100万円です。一時払い契約では控除を受けられるのは契約した年の一度のみ(控除対象額は100万円)であるのに対し、全期前納払いでは契約後10年間にわたって毎年10万円ずつ控除を受けられます。生命保険料控除には後述のように控除限度額があり、控除対象額が限度額を超えればそれ以上は控除されません。そのため生命保険料控除については、通常一時払いよりも全期前納払いのほうが有利といえます。保険料控除申告書の記入法・注意点年末調整による生命保険料控除の適用は、勤務先に「給与所得者の保険料控除申告書」を提出して行います。保険料控除申告書は、生命保険料控除だけでなく他の保険料控除の申告書も兼ねています。出典:国税庁(筆者により加筆)生命保険料控除の記入欄には、生命保険料控除欄に保険料控除証明書に記載された内容から必要項目を転記し、前述の計算式を使って計算した控除額を記載します。保険料控除証明書から必要項目を転記する控除額を計算して記入控除額証明書の添付[adsense_middle]【保険料控除申告書の記入①】保険料控除証明書から必要項目を転記する記入が必要な項目は、基本的に保険料控除証明書に記載された内容を保険料控除申告書に転記します。保険金等の受取人については証明書に記載がないため、保険証券や契約内容のお知らせ(通知書)、保険会社の契約者サイトなどによる確認が必要です。〈記入例(見本)〉出典:国税庁(筆者により加筆)保険会社等の名称保険等の種類保険期間又は年金支払期間保険等の契約者の氏名保険金等の受取人氏名・続柄新・旧の区分あなたが本年中に支払った保険料等の金額(1)保険会社等の名称契約している保険会社の名称を記入します。(2)保険等の種類控除証明書に記載された「保険種類」または「年金種類」に記載されている保険(・年金)種類を転記します。(3)保険期間又は年金支払期間控除証明書に記載された「保険期間」または「年金支払期間」に記載されている期間を転記します。(4)保険等の契約者の氏名控除証明書に記載された「契約者名」を転記します。(5)保険金等の受取人氏名・続柄受取人の氏名は保険証券や契約内容のお知らせ(通知書)、保険会社の契約者サイトなどで確認し、納税者との続柄を記入します。年金契約であれば控除証明書に記載された「年金受取人名」と「年金支払開始日」を転記します。(6)新・旧の区分控除証明書に記載された「適用制度」欄から新契約・旧契約の区分を確認し、該当するほうに○を付けます。(7)あなたが本年中に支払った保険料等の金額支払った保険料等の金額には、控除証明書の「申告額」(12月まで保険料を払い込んだ場合の見込額)に記載された金額を転記します(年内にその契約を解約した場合を除く)。控除証明書発行後、年内に保険を解約した場合控除証明書が届いた後、年内に保険契約を解約した場合、保険料控除申告書には実際にその年に支払った保険料の金額を記入します。申告の際には控除証明書の原則添付が必要ですが、このケースでは証明書に記載された申告額(証明額)と実際の支払額が異なってしまいます。この場合、保険会社に控除証明書の再発行を依頼するか、手元にある控除証明書にその旨を付記して対応します。手元にある控除証明書に付記して対応する場合、まずは保険会社の問い合わせ窓口などに連絡して、何月分までの保険料が支払い済みであるかを確認します。その上で、控除証明書の余白に「本年中に支払った保険料は○カ月分であることを保険会社に確認済み」の旨を記入します。勤務先によってはこの対応が認められない場合もあるため、担当部署に確認した上で行うようにしましょう。【保険料控除申告書の記入②】控除額を計算して記入控除証明書から転記した保険料等の金額をもとに、以下の計算方法により控除額を計算し記入します。[adsense_middle]生命保険料控除額の計算旧契約と新契約では控除額の計算方法も異なり、それぞれの保険料控除区分ごとに計算した後に全体で控除額の調整を行います。新旧両方の契約がある場合の計算方法・上限額(*)新旧両方の契約がある場合、各保険料区分ごとに次のように計算します。旧契約保険料が6万円超の場合:旧契約の支払保険料のみで計算した控除額(最高5万円)旧契約保険料が6万円以下の場合:新契約の支払保険料で計算した控除額と旧契約の支払保険料で計算した控除額の合計額(最高4万円)新契約の控除額の計算方法契約日が2012年1月1日以降の新契約の控除額は、3つの保険料区分(新生命保険料・介護医療保険料・新個人年金保険料)ごとに、次の計算式により計算します。*支払保険料等は、その年に支払った保険料から受け取った剰余金・割戻金を差し引いた金額旧契約の控除額の計算方法契約日が2011年12月31日以前の旧契約の控除額は、2つの保険料区分(旧生命保険料・旧個人年金保険料)ごとに、次の計算式により計算します。*支払保険料等は、その年に支払った保険料から受け取った剰余金・割戻金を差し引いた金額実際の計算例ここでは下図の場合を例に説明します。〈控除額の計算・記入例(見本)〉出典:国税庁(筆者により加筆)一般生命保険料区分の計算上図の例では、一般生命保険料区分に新契約に該当する契約が2本と旧契約に該当する契約が1本あります。新契約の控除額新契約に該当する契約に支払った保険料の合計額は9万円。8万円以上であるため、控除額は上限額の4万円となります。旧契約の控除額旧契約に該当する契約に支払った保険料は12万円。10万円以上であるため、控除額は上限額の5万円となります。旧契約のみで控除を受ける場合の5万円のほうが、新旧契約を併用する場合の4万円より大きいため、一般生命保険料区分の控除額は5万円となります。介護医療保険料区分の計算介護医療保険区分に該当する契約の保険料は3万円。新契約(新保険料)の控除額計算式位にあてはめて計算し、控除額は2万5,000円となります。個人年金保険料区分の計算個人年金保険料区分には、新契約と旧契約に該当する契約がそれぞれ1本あります。新契約の控除額新契約に該当する契約に支払った保険料は12万円。8万円以上であるため、控除額は上限額の4万円となります。旧契約の控除額旧契約に該当する契約に支払った保険料は4万円。旧契約(旧保険料)の控除額計算式にあてはめて計算すると、控除額は3万2,500円となります。旧契約のみで控除を受ける場合の3万2,500円よりも新旧契約を併用した場合の4万円のほうが大きく、個人年金保険料区分の控除額は4万円となります。3つの保険料区分の控除額を合計それぞれの保険料区分ごとに控除額を計算したら、それらを合計して最終的な控除額を求めます。3つの保険料区分をあわせた控除額の上限は12万円です。例の場合、5万円(一般)+2万5,000円(介護医療)+4万円(個人年金)=11万5,000円各保険料区分の控除額の合計は上限額12万円以下であり、最終的な生命保険料控除額は11万5,000円となります。この金額は源泉徴収票にも記載されます。【保険料控除申告書の記入③】控除額証明書の添付保険料控除申告書には、記入した契約の控除証明書を添付するのが原則です。しかし次のような契約の控除証明書は添付を省略できます。勤務先で加入している団体保険などで、勤務先が契約内容・支払保険料などを把握している契約旧契約(契約日が2011年12月31日以前)かつ年間保険料が9,000円以下の契約(確定申告を行う場合)年末調整で控除の適用を受けた契約年末調整に証明書を提出できなかった場合契約した時期や再発行によって控除証明書の発行が間に合わず、年末調整の際に証明書を提出できないこともあります。この場合、翌年の1月末日までに証明書を提出することを条件に、年末調整で生命保険料控除を受けることができます。後日提出する旨は勤務先に伝えておきましょう。控除限度額に達するまでの契約だけ申告すればOK同じ保険料区分内で控除限度額(旧契約であれば年間保険料10万円以上、新契約であれば年間保険料8万円以上)に達すると、それ以上はいくら申告する契約を増やしても控除額は増えません。生命保険料控除の申告自体が任意なので、申告書には控除限度額に達するまでの契約だけ記入すれば問題ありません。記入しない契約については証明書の添付も不要です。たとえば上記の一般保険料区分の場合、旧契約1本(年間保険料12万円)の内容だけ記入すれば、満額の控除を受けられます。一度下書きしてから申告書に記入するのがおすすめ申告漏れや書き間違いなどを防ぐため、一旦すべての契約を別の紙に書き出し、控除額を計算した上で申告が必要な契約だけ申告書に記載するとよいでしょう。生命保険料控除申告書の書き方に関するまとめ生命保険料控除の仕組みや申告書の書き方を理解していれば、年末調整で迷わないだけでなく、どの契約まで記入すれば控除を上限まで受けられるか判断できるようになり、記入の手間を減らすことができます。生命保険料控除の手続きは年に1回とはいえ毎年必要な手続きです。しっかりと理解しておきましょう。
2019年11月10日この記事では、所得税(・住民税)の扶養控除について、家族のうち誰が扶養控除の対象となるのか、扶養控除の対象範囲や社会保険の扶養との違いや、年末調整で扶養控除の適用を受けるための手続きについて解説します。扶養控除とは国税庁また血縁関係のある親族のほか、知事から養育を委託された児童(里子)や、市町村長から養護を委託された老人も扶養親族に含みます。内縁関係(事実婚)のパートナーは控除対象にならない税法上、内縁関係(事実婚)のパートナーは配偶者ではなく、その他親族にも該当しません。そのため控除対象配偶者、控除対象扶養親族のいずれでもありません。要件2:納税者と生計を一にしている納税者が実際に生活費や教育費、療養費などを負担しているかどうかが「生計を一にしている」かの基準です。単身赴任や下宿などで別居していたとしても、定期的に生活費や教育費の仕送りなどを行っていれば「生計を一にしている」とみなされます。控除対象となる例納税者が仕送りをしている下宿中の子ども納税者が仕送りをしている海外留学中の子ども(非居住者)納税者が仕送りをしている故郷の両親単身赴任中の納税者の収入で生活している別居の家族同居している親族は原則扶養とみなされる要件1の親族に該当する人が同居している場合には、お互いが明らかに独立して生活している場合を除き「生計を一にしている」とみなされます。1人を重複して扶養することはできない複数の納税者に対して扶養親族となる要件を満たしていたとしても、重複して扶養親族にすることはできません。たとえば複数の子どもから親が仕送りを受けている場合、仕送りをしている子のうち1人だけが親を扶養にできます(父親と母親の両方を扶養にできる場合、それぞれ別々の子が扶養にするのはOK)。誰の扶養とするかは、仕送り額などに関わらず話し合いによって決めることができます。また子が母親を扶養とした場合、父親は配偶者控除の適用を受けられなくなります。そのため子の扶養とする場合と父親の控除対象配偶者とする場合、どちらが有利になるかを比較して判断する必要があります。要件3:所得が38万円以下(令和2年分以降48万円)扶養(納税者の収入で生活している)とみなされるのは、対象者の年間合計所得金額が38万円以下(令和2年分以降48万円)の場合です。収入が給与のみの人であれば給与所得控除(令和元年分まで65万円、令和2年分以降55万円)が適用されるため、給与収入が103万円以下であれば収入要件を満たします。要件4:青色申告者の事業専従者として年間を通じて一度も給与支払いを受けていない、または白色申告者の事業専従者でない事業を行っている納税者は、その事業へ専ら従事する配偶者やその他親族(事業専従者)へ支払った給与を、必要経費として所得から差し引くことができます(「青色事業専従者給与(青色申告者)」または「事業専有者控除(白色申告者)」)。専従者として以下に該当する親族は、控除対象とすることができません。納税者が青色申告者の場合:青色事業専従者として控除を受けようとする年に給与支払いを受けている親族納税者が白色申告者の場合:白色事業専従者である親族要件5:12月31日時点で16歳以上要件1〜4を満たす人のうち控除対象となるのは、控除を受けようとする年の12月31日時点で16歳以上の人です。16歳未満の扶養親族(年少扶養親族)については、扶養控除の対象ではありません。社会保険の扶養との違い全国健康保険協会同居が不要同居が必要・直系尊属(父母・祖父母・曽祖父母)・配偶者(内縁関係を含む)・子・孫・兄弟姉妹・左記以外の被保険者の3親等内の親族・内縁関係の配偶者の父母および子・内縁関係の配偶者が亡くなった後における父母および子収入要件社会保険の被扶養者となるのは、主として被保険者に生計を維持されており、その人の年間収入が130万円(60歳以上または障害者の場合は180万円)以下かつ、次の要件を満たした人です。同居の場合:収入が扶養者(被保険者)の収入の半分未満(原則)別居の場合:収入が扶養者(被保険者)からの仕送り額未満年間収入は将来の見込み収入額が基準収入要件における年間収入は過去の収入ではなく、被扶養者となる日以降の見込み収入額が基準となります。年間収入となっていますが、実際には各月ごとの収入を基準に判定され、年間収入が130万円未満であっても、月収が10万8,333円(=130万円÷12カ月)を超えると扶養から外れます。年末調整で所得税(住民税)の扶養控除を受けるために必要な書類と手続き扶養控除は年末調整の際、勤務先に〈給与所得者の扶養控除等申告書〉を提出することで適用を受けられます。申告書は、控除を受ける年において最初に給与支払いを受ける日の前日までに提出する必要があり、前年の年末調整の時期にあわせて翌年分の申告書を提出するのが一般的です(中途就職の場合には就職後最初の給与支払いを受けるまでに提出)。給与所得者の扶養控除等申告書の書き方(記入例)国税庁控除対象扶養親族欄への記載事項16歳以上の控除対象扶養親族に関する事項は申告書の中段に記載します。出典:国税庁 (一部抜粋・加筆)(1)個人番号(マイナンバー)個人番号欄には、各控除対象扶養親族の個人番号(マイナンバー)を記載します。勤務先が一定の要件に基づいて作成した帳簿を備えていれば個人番号の記載を省略できる場合もあります。記載するかは勤務先の指示に従いましょう。(2)老人扶養親族欄・特定扶養親族欄控除を受けようとする年の12月31日時点で70歳以上の場合には、老人扶養親族欄(上段)のいずれか(「同居老親等」または「その他」)該当するチェックボックスにチェックを入れます。控除を受けようとする年の12月31日時点で19歳以上23歳未満の場合には、特定扶養親族欄(下段)のチェックボックスにチェックを入れます。(3)所得の見積額欄所得の見積額欄には、それぞれ控除対象扶養親族のその年の見込み所得額を記載します。所得額が38万円(令和2年分以降48万円)を超える見込みであれば控除対象扶養親族には該当せず、扶養控除を受けられません。所得金額が38万円以下となる収入金額の目安収入金額収入が給与所得のみの場合103万円収入が公的年金等に係る雑所得のみの場合65歳未満108万円65歳以上158万円住民税に関する事項欄(16歳未満の扶養親族)申告書の下段には住民税に関する事項(16歳未満の扶養親族)を記載します。16歳未満の扶養親族(年少扶養親族)は扶養控除の対象外ですが、住民税の非課税限度額を計算する際の扶養親族にはカウントされるため記載が必要となります。出典:国税庁 (一部抜粋・加筆)住民税の非課税限度額住民税の非課税限度額とは住民税が課税されるかどうかの判断基準となる金額のこと。前年中の合計所得金額が非課税限度額以下であれば住民税がかからないメリットがあります。限度額は「控除額」ではなく、あくまで「課税されるかされないかの基準」。限度額を超えた場合の住民税額計算には影響しません(年少扶養親族は控除対象扶養親族とならない)。住民税の非課税限度額所得割・均等割いずれも非課税住民税の所得割が非課税扶養親族がいない場合35万円35万円扶養親族がいる場合35万円×(本人+扶養親族等の数*3)+21万円35万円×(本人+扶養親族等の数*3)+32万円(*3年少扶養親族を含む)単身児童扶養者欄令和2年分以降の申告書からは〈単身児童扶養欄〉が新たに設けられます。この欄は離婚や死別(生死不明を含む)などによって、ひとり親として子ども(所得見積額48万円以下・令和2年分以降)を扶養し、児童扶養手当の支給を受けている人が記入します。該当者はチェックボックスにチェックを入れ、「児童扶養手当証書の番号」「生計を一にする児童の氏名」「その児童の所得見積額」を記入します。児童扶養手当証書の番号が不明な場合には、住んでいる市町村の担当課で確認できます。扶養等控除申告書提出後に変更(異動)が生じた場合申告書のを提出した後に、家族構成などが変化して記載内容に変更(異動)が生じた場合、その後最初に給与支払を受ける日の前日までに変更後の内容を記載した申告書を提出する必要があります。結婚した場合には配偶者に関する項目の変更が必要ですが、通常扶養親族に変更はありません。ただし連れ子などがいる場合には、扶養親族の変更もあわせて必要となります。年末調整の扶養控除に関するまとめ扶養控除は年齢や収入によって控除対象となるか、控除対象となる範囲がやや分かりにくい部分もあります。控除対象となる範囲を正しく理解して、もれのない申告を行いましょう。
2019年11月08日agent getting keys to customer new house, hand of real estate agent or realtor giving apartment key to receiving man after finish purchase deal agreement and sign contract, renting or buying home concept弁護士が必要になるケースは、突然やってきます。例えば夫婦間の不倫問題は、「怪しい」という感覚はあったとしても、発覚は予告なくやってくるものです。そこから費用を工面することが難しい場合もあるでしょう。そのようなケースで、「お金がないし自分が我慢すれば丸く収まる…」と相手の不倫を我慢してしまう人も少なくないと聞きます。しかし、自分の人生ですから、信用を失った人間と夫婦生活を送るのは嫌なもの。お金がなくても弁護士の力を借りることはできないのでしょうか?弁護士保険なるものも、あると聞きますが…。詳細を銀座さいとう法律事務所の齋藤健博弁護士に質問してみました。 費用がないと弁護士に相談できない?齋藤弁護士:「不倫問題は、不貞慰謝料請求、もしくは配偶者に対する適法な離婚原因となり、法律問題が山積みです。弁護士に相談することは、仕切りが高いものであると見聞きすることがあります。しかし、初回相談が無料の先生も多いですし、不倫問題は、身近でセンシティブな問題ですから、弁護士に相談するだけでも、いまの抱え込んでいる状態は脱却できるのでは?と感じることはあります。臆することなく、弁護士に相談してほしいと願っていますが、着手金無料、完全成功報酬制での不倫慰謝料請求などに対応している弁護士の先生もおられるので、躊躇せず、相談してほしいと願っています」不倫問題は法律の知識が山積しており、弁護士の知識が不可欠であるそう。費用については完全報酬型など、事情に合わせたものにしてくれる弁護士もいるそうなので、その辺りも含めて相談するのがいいかもしれません。 弁護士保険って?弁護士を利用するその日のために、「弁護士保険」があると聞きます。聞き慣れないシステムですが、どういったものなのでしょうか?銀座さいとう法律事務所の齋藤健博弁護士に聞いてみました。齋藤弁護士:「弁護士費用保険とは、事件が生じる以前にMIKATAなどの保険に加入しておくことによって、弁護士費用が掛からない形での処理が可能です。相談料さえもかかりません」 諦めずに模索を不倫問題は我慢すれば終わってしまうことや、高額な弁護士費用への不安から「見て見ぬ振り」を選択する人も多いようですが、そんな状態で生活することは不幸以外の何物でもありません。弁護士費用については懐事情に合わせた形態としてくれるケースや、相談料などを免除してくれる弁護士保険など、救済措置も用意されています。諦めずに様々な手立てを模索してみてはいかがでしょうか。 *取材協力弁護士: 銀座さいとう法律事務所齋藤健博弁護士(弁護士登録以降、某大手弁護士検索サイトで1位を獲得。LINEでも連絡がとれる、超迅速弁護士としてさまざまな相談に対応。特に離婚・男女問題には解決に定評。今日も多くの依頼者の相談に乗っている。弁護士業務とは別の顔として、慶應義塾大学において助教も勤める。)*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています配偶者に不倫発覚も弁護士費用がない!やっぱり諦めるしかない?はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。配偶者に不倫発覚も弁護士費用がない!やっぱり諦めるしかない?はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。
2019年10月30日年末調整の際、住宅ローン控除を適用できると還付額がとても多くなるイメージがあります。ではそもそも住宅ローン控除とはどのような控除のことを言うのでしょうか?住宅ローン控除とは住宅借入金等特別控除ともいい、適用要件はありますが住宅ローンによってマイホームを取得した場合、その住宅ローンの借入金の残高によって所得税から控除できるというものです。では年末調整で住宅ローンを控除する方法と適用要件とは何なのでしょうか?今回の記事では住宅ローン控除を申請する方法と必要書類の種類、書類の書き方について解説していきます。住宅ローン控除の概要と適用要件少し先述しましたが、住宅ローン控除とはそもそも何なのでしょうか?ここでは住宅ローン控除の概要と適用要件もあわせて紹介していきます。住宅ローン控除の概要について住宅ローン控除とは、個人が住宅ローン等を利用して自宅の新築や取得又は増改築などをした場合に様々な要件はありますが、その要件を満たすと、住宅ローン等の年末残高の合計額を基準にして計算した金額を、一般的に10年間にわたって納めた所得税から差し引くことができるというものです。なお各種の要件については下記のとおりとなります。居住要件について年収要件について床面積の要件について借入金の要件について譲渡の際の特例を受けていないこと居住要件について住宅ローン控除には、居住についての要件があります。要件として、自宅の新築や自宅の取得の日から起算して6ヶ月以内に住み始めて、その後住宅ローン控除を受ける年の年末まで住み続けていることが要件とされています。つまり新築や住居を取得して、そのまま放置しているだけでは要件を満たさないということになります。年収要件について住宅ローン控除には、年収について要件があります。基準としては3,000万円になりますが、年収3,000万円ではなく合計所得が3,000万円以下であることが適用要件になります。なお年収と所得の違いについてですが、年収が収入の額面金額であるのに対して、所得とは収入から各種の所得控除を差し引いた金額のことをいいます。そのため、例えば年収が3,000万円であれば各種の控除を差し引けば合計所得が3,000万円以下になるため、適用要件を満たす形となります。床面積の要件について住宅ローン控除には、床面積についての要件があります。要件として自宅の新築や自宅の取得をした建物の床面積が50㎡以上で、床面積の50%以上を居住用として使用していることとなっています。床面積の判断基準などの詳細につきましては国税庁HPなども参考にしていただければと思いますが、このように床面積についても要件がある点には注意が必要です。借入金の要件について住宅ローン控除の借入金についても要件があります。10年以上にわたって分割して返済する予定になっている、新築や取得のための一定の借入金で、住宅とともに土地を取得するための借入金も含みます。こちらについても詳細は国税庁HPを参照いただければと思いますが、借入金の要件としては金融機関からの借入などが要件となっております。譲渡の際の特例を受けていないことその他の要件として、居住した日の年の前後の2年ずつの5年間に、居住用財産の譲渡した場合の特例を受けていないことなどが要件となっています。例えば今まで居住していた物件を譲渡して、新築する場合などはこの要件を満たさない可能性もあるため特に注意が必要です。税金から直接控除できるので減税額が大きい可能性が高い住宅ローン控除は通常の所得控除とは異なり税額控除という種類のものになります。所得控除とは収入から差し引ける金額のことで、収入から所得控除を差し引いたものが所得というイメージです。そして所得をもとに税額の%を掛けて所得税を計算する流れになります。一方、税額控除とはその名のとおり税額から控除できます。つまり税金から直接差し引くことができる控除になるため、納めた税金の額が大きければその分、減税額も大きい可能性が高いです。住宅ローン控除の申請方法先述したように住宅ローン控除は減税効果が大きいものではありますが、適用するためにはどのようにすればいいのでしょうか?ここでは住宅ローン控除の申請方法について紹介します。初年度に確定申告しておく2年目からは年末調整で処理が可能となりますが、初年度だけは確定申告をしておかなければなりません。初年度の確定申告については、内容が煩雑になるため専門家への依頼も選択肢の1つとなります。参考:床面積の居住割合に注意確定申告の際の注意点として、建物の総床面積のうち居住割合が50%以上ないと住宅ローン控除が受けられないという点については見落としやすいので注意が必要です。税理士などの専門家へ依頼する際も確認されるかと思いますので要件を満たしておかなければいけません。せっかく念願のマイホームを購入しても、住宅ローン控除が受けられなくては喜びも半減となってしまうため購入の前によく検討していただくことが大事です。2年目の年末調整前の準備初年度の確定申告後の注意点として、確定申告をした年に2年目以降の年末調整に使用する住宅ローン控除に関する書類が複数年分まとめて送られてくることになります。書類の保管場所を決めておかないと紛失してしまう可能性もあります。再交付も可能ですが、紛失しないことが一番なので送られてきた際は大事に保管しておくことが重要です。年末調整時に提出住宅ローン控除は確定申告後、2年目以降は年末調整で控除が可能です。そのため年末調整時に提出している給与所得者の扶養控除等申告書や保険料控除申告書などと一緒に必要な書類を準備します。住宅ローン控除の提出書類住宅ローン控除を年末調整で処理するためには、通常の年末調整の書類の他にも書類を提出しなければいけません。ここでは2種類の提出書類について紹介します。[adsense_middle]給与所得者の住宅ローン控除申告書の書き方今回のケースでは、新築で自宅と土地を夫婦折半で購入した場合について考えていきます。まずは、まとめて送られてきている給与所得者の住宅ローン控除申告書(給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書)の中から該当年度の書類を使って記入していきます。使わなかった書類は翌年度以降に使用するため、保管場所などを決めて大事に保管しておくことをおすすめします。住所等の記入欄書類の左側から書き方について紹介します。税務署長:お勤め先の管轄の税務署名を記入します。給与の支払者の名称(氏名):お勤めの勤務先の名称を記入します。給与の支払者法人番号:お勤め先で管理している場合が多いため確認して記入します。給与の支払者の所在地(住所):お勤め先の住所を記載します。あなたの氏名:氏名を記入し、認印などで押印をします。その上には世帯主の氏名と続柄の記入をします。あなたの住所又は居所:新築等で取得した自宅の住所を記入します。計算の記入欄(前半)次に計算の記入欄(前半)について紹介します。左側の記入欄が新築や購入に関する計算となるため、今回のケースでは左側の記入欄について紹介します。記入欄①:今回のケースでは自宅と土地の購入という形なので、Cの記入欄の住宅及び土地等に金額を記入します。なお記入金額については夫婦折半の金額で個人ごとの金額を記入する形です。記入欄②:書類の一番下が確定申告時の内容の証明書となっています。そのため②のA、Bについては証明書の内容を転記する形となります。最後に②のCについてはA、Bの合計金額を記入します。記入欄③:②と同様に③のA、Bについては証明書の内容を転記する形となります。最後に③のCについてはA、Bの割合の合計を記入します。計算の記入欄(後半)計算の記入欄(後半)について紹介します。記入欄④:①のCの金額を転記します。記入欄⑤:①のCの金額を転記します。記入欄⑪:①のCの金額を記入します。記入欄⑭:⑪×1%(取得時の年月日によって異なりますが今回は1%のケースとしておきます)その他の記入欄その他の記入欄について紹介します。年間所得の見積額:所得要件があるため見積でいいので所得金額を記入します。連帯債務による住宅借入金等の年末残高:住宅ローンの夫婦の総額の年末残高を金融機関から送られてきた残高証明書を参照しながら記入します。備考:連帯債務がある場合は、住宅ローンの債務の総額と個人の負担額を記載して住所、記名押印、勤務先住所、勤務先等を記入します。住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書とは?住宅ローンを組んでいる金融機関等からは、毎年年末残高が記入されている住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書が送られてきます。住宅ローン控除では住宅ローンの年末残高を基準として、所得税の控除金額を計算するため大変重要な書類となります。一般的に10月頃から届き始めるので到着したら、税務署から送られてくる給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書と一緒に保管しておくのも1つの方法です。参考:繰り上げ返済などを行った場合先述したように金融機関の残高証明書は10月頃送られてくるのですが、通常通り返済した場合の予定の残高となります。そのため10月以降に繰り上げ返済などをすると当然、年末の予定残高も変わってきてしまいます。繰り上げ返済などをした場合は、早めに金融機関に問い合わせをして書類の再発行の手続きを取ることをおすすめします。年末調整による住宅ローン控除に関するまとめ今回の記事では年末調整による住宅ローン控除について、申請方法や書類の書き方について紹介しました。1年目に確定申告を自分で行った人は、年末調整での住宅ローン控除申請は楽に思えるかもしれません。しかし1年目の確定申告を専門家に依頼した人にとっては、年末調整での住宅ローン控除申請は書類の種類も増えるため手間がかかるものです。確かに手間はかかるかもしれませんが、書類の管理さえ徹底することができれば必要以上に構える必要はありません。この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。
2019年10月13日年末調整で行う地震保険料控除申請がよくわからず地震保険料控除申請を行わない方もいらっしゃいます。毎年の地震保険料控除申請で減税できる金額は微々たるものでも、10年、20年と積み重なると数十万円を超える場合もあるので、地震保険に加入されている方は地震保険料控除申請を行うことをおすすめしています。今回は地震保険に加入されている方、加入を検討されている方向けに、地震保険の基礎知識と地震保険料控除のポイントをご紹介します。知っておきたい地震保険の基礎知識地震保険料控除に関するまとめ今回は年末調整時に行う地震保険料控除のポイントをご紹介しました。国が定める控除は私たちの利益につながるものが多いので、地震保険料控除だけでなくその他の税金に関する控除も積極的に活用して減税制度を最大限活用しましょう。小さいことの積み重ねが大きなお金を生み出します。ぜひ将来的に節税できる金額を想像しつつ、楽しんで地震保険料控除申請を行われてください。
2019年10月08日所得控除のひとつである「地震保険料控除」。この記事では年末調整で地震保険料控除を受けるにはどうすればいいのか。控除額の計算方法や必要書類の書き方について解説します。地震保険料控除とは三井住友海上保険料控除証明書の例(2年目以降)三井住友海上旧長期損害保険に係る経過措置地震保険料控除が2007(平成19)年から適用開始されたのと同時に、火災保険や傷害保険など幅広い保険種類が対象となっていた「損害保険料控除」が廃止されました。経過措置として一定の要件を満たす損害保険は地震保険料控除の対象となる損害保険料控除廃止に伴う経過処置として、以下の要件を満たす長期損害保険の保険料については、「旧長期損害保険料」として地震保険料控除の対象となっています。2006年12月31日までに締結した契約(保険(共済)期間の始期が2007年1月1日以後のものは除く)満期返戻金のあるもので保険(共済)期間が10年以上の契約2007年1月1日以後に、その損害保険契約等の変更をしていないもの(*1)*1 旧長期損害保険契約に該当する火災保険に地震保険が付帯されている場合、地震保険料のみの変更はここでの変更とはみなされず、保険料変更後も経過措置の対象となります。地震保険料控除額の計算方法国税庁保険料控除証明書三井住友海上保険料控除申告書における地震保険料控除に関する事項の書き方給与所得者の保険料控除申告書に記載する項目は以下のようなものです。契約している保険会社等の名称保険等の種類(保険の目的)保険期間保険等の契約者の氏名保険等の対象となった家屋に居住または家財を利用している者等の氏名・申告者からみた続柄地震保険料・旧長期損害保険料の区分その年に支払った保険料のうち、選択した区分の金額控除額の計算結果給与所得者の保険料控除申告書(地震保険料控除欄)の記載例国税庁記入のポイント記入の際には次のようなポイントに注意が必要です。保険契約者と保険対象となっている家屋の居住者・家財の利用者との関係保険対象となっている家屋などに住んでいる人、家財を利用している人は、申告者(納税者)本人または本人と生計を一にしている親族でなければなりません。これは地震保険料控除を受けるための要件であり、もし異なれば控除を受けられません。控除額の計算控除額の欄には、保険会社から届く保険料控除証明書に記載の金額をもとに、先述の「地震保険料控除の控除額の計算方法」に従って計算した結果を記入します。地震保険料と旧長期損害保険料の両方がある場合、それぞれ別々に控除額を計算したものを合算して控除額を求めます。その場合の上限は5万円です。地震保険料の控除額の上限は5万円、旧長期損害保険料の控除額の上限は1万5,000円ですが、単純な合計ではない点に注意が必要です。年末調整で地震保険料控除を受ける方法に関するまとめ地震保険料控除は年末調整で控除を受けられます。控除申請に必要な情報は基本的に保険料控除証明書に記載されており、多少の計算は必要ですが、仕組みを理解できていれば難しいものではありません。年末調整で申請し忘れた場合、控除を受けるには確定申告が必要になってしまいます。控除の対象となっている人は申請を忘れないようにしましょう。
2019年10月04日本記事ではiDeCoの所得控除について考察します。記事の中ほどに「年収などの違いによってどのくらい減税の効果があるのか」分かりやすい一例の一覧表を作成しましたので、ご覧いただければ幸いです。iDeCoのメリットの一つ、所得控除とは税金がお得になることiDeCoは老後のための資産形成の制度です。大きなメリットが3つあります。「掛け金が全額所得控除になる」「運用益が非課税になる」「将来お金を受け取るときに所得控除が受けられる」この中でも今回は1の「掛け金が全額所得控除になる」について見てみましょう。iDeCoへの掛け金の全額が所得控除になる。iDeCoの所得控除の仕組み&メリットを受けられる対象は所得税・住民税が課税される人iDeCoの所得控除の仕組みを簡単に言うと「iDeCo口座に毎月(あるいはまとめて)お金を出していくと、税金の負担が減少しますよ」ということです。もう少し詳しく言いますとiDeCoに出した掛け金の全額が「小規模企業共済等掛金控除」の対象となります。個人事業主や所得のある専業主婦などは確定申告が必要です。そして、iDeCoの所得控除の減税メリットを受けられる人は、会社員・公務員・自営業者などの「課税される所得のある人」です。【質問】所得税・住民税が課税されない人でもiDeCoに掛け金を出すと、所得控除のメリットがありますか?答え:ありません。所得税・住民税が課税されない人の場合には、所得控除による減税メリットはありません。ただ「減税メリットがないからiDeCoをする理由がない?」かというと、そうではありません。理由は後述します。【質問】家族のiDeCoの掛け金を自分が負担すれば、自分に減税メリットがありますか?答え:ありません。家族の掛け金を負担しても、減税メリットは得られません。iDeCoの所得控除はどのくらい減税効果があるのか【年収別シミュレーション】それでは具体的に、iDeCoの所得控除のメリットによる減税効果がどのくらいなのか一例を見てみましょう。注意点:以下は毎月掛け金を出した場合です。途中で課税所得や掛け金の変更がない前提です。こちらの一例は「イデコ公式HPかんたん税制優遇シミュレーション」を使用して出しています。実際とは異なることがあります。[adsense_middle]iDeCoの所得控除のメリット【金額】をチェックしてみよう共通の条件として、20歳で加入して60歳まで40年間続けた場合です。ちなみにiDeCoに出せるお金の毎月の限度額は「加入者区分」によって異なります。以降のシミュレーション一例では、以下のパターン(月/5,000円・12,000円・23,000円・68000円)で見てみましょう。最低掛け金額/月5,000円公務員の限度額/月12,000円会社員の限度額/月12,000円or23,000円(会社員の場合、企業年金のある・なしなどにより異なる)専業主婦(主夫)の限度額/月23,000円自営業者の上限/月68,000円①年収が200万円の場合のiDeCoの所得控除による減税金額上記を見ると掛け金に応じて軽減額が大きくなることが分かります。②年収が300万円の場合のiDeCoの所得控除による減税金額自営業者の上限68,000円のケース以外では①と同じ数値です。③年収が400万円の場合のiDeCoの所得控除による減税金額このケースでは②と全く同じです。④年収が500万円の場合のiDeCoの所得控除による減税金額③より減税金額が大きくなってきました。⑤年収が600万円の場合のiDeCoの所得控除による減税金額こちらは④と68,000円のところだけが異なります。⑥年収が700万円の場合のiDeCoの所得控除による減税金額やはり年収が上がるほどに所得控除の減税メリットが大きくなってくることが分かります。iDeCoの本当のメリットは所得控除じゃない?さて上記のシミュレーション一例をご覧になって、どのような感想を抱かれたでしょうか。「結局、高所得者の方がお得になるじゃないか」「所得が低いと減税の金額にお得感が感じられない」「そもそも収入の無い専業主婦だと所得控除のメリットがないからiDeCoをする気が起きない」などと思われた方もいらっしゃるかと思います。その一面は確かにあります。ただ、iDeCoは所得控除のメリットを受けられるだけの制度ではありません。その本質は「老後のためのもう一つの年金」にあります。どういうことでしょうか。[adsense_middle]老後の公的年金が減るからiDeCoは重要2019年8月27日に厚生労働省より「公的年金の財政検証」が発表されました。これは簡単に言うと、「公的年金の健康診断」のようなものです。5年に一度のペースで公表されます。今回のポイントはいくつかありますが、少しだけ見てみましょう。公的年金制度の「健康診断(財政検証)」のポイント一例:「減税だけじゃ乗り切れない?」筆者にとって(そしておそらく読者の方にとっても)印象的なのは次の点でした。現在20歳の方が現状の高齢者と同水準の年金をもらうには68歳9か月まで働く必要があるということでした。現在定年の多くは60歳ですので、実に8年9か月長く働かなくてはいけません。※ちなみにこれは今後「日本経済が良かった場合」の楽観的なシナリオです。現実はもっと悪くなると筆者は考えています。ちなみに30歳以降が今の65歳と同水準の年金を受給するには、次の年齢まで働かないといけないことが数値上算出されています。現在の30歳→68歳4か月現在の40歳→67歳2か月現在の50歳→66歳ここだけ見ても、何となくiDeCoやつみたてNISAを利用しての資産形成の重要性が見えてきます。将来、年金を現在と同水準もらうには、現在よりも(短くて)6年~8年4か月働かないといけない可能性がある。若い人ほど老後のお金は厳しくなる。所得控除のメリットにこだわりすぎないことも重要ではまた公的年金制度の「健康診断(財政検証)」では、所得代替率の低下についても触れられていました。所得代替率:ざっくり言うと、現役世代の今の私たちの手取り収入に対する年金額の割合。低いほど受け取れる年金額が少ない。いま(2019年度)は所得代替率が61.7%です。しかし「健康診断(財政検証)」では6つある、どのシナリオでも将来の所得代替率は低下しています。一番良いシナリオ→51.9%一番悪いシナリオ→36%~38%ちなみにこれは賃金が上がり続けるという前提のお話です。しかし直近5年間で賃金が上昇したのは2016年の一年だけでした。筆者の個人的な考えでは、一番悪いシナリオよりも将来は悪くなる(もらえる公的年金は減る)のではないかと考えています。その理由は少子高齢化です。公的年金は現役の世代が高齢者にお金を「仕送りする+積立金を上乗せしている形式」です。そして、今の現役世代が年金受給資格を得るころには、ますます若い人が減っていると思われます。つまり、「未来の私たちに仕送りをしてくれる人が減っている」わけです。そのため、将来のもらえる年金額は構造上減ってしまうと考えられます。ちなみに6つのシナリオの一番悪いものでは2052年には国民年金の「積立金が枯渇する」ということになっています。つまり「仕送りする+積立金を上乗せしている形式」の「積立金を上乗せしている」部分がなくなって、単純な「仕送り形式(正式には賦課方式という)」になることを意味しています。早い話が受け取れる年金がさらに減る可能性があります。ちなみに公的年金を受給開始後も、加齢とともに所得代替率は下がる見通しです。嫌なお話ばかりですが、だからこそiDeCoの所得控除のメリット以外について考えてみることが重要かもしれません。将来もらえる年金の所得代替率は今61.7%だが、36%~38%(あるいはそれ以下)に下がる可能性がある。iDeCoの所得控除に関するまとめiDeCoのメリットの一つは所得控除で実質減税になるあなたの所得控除のメリットはいくら?年収・掛け金別一覧でまる分かり!iDeCoで大事なのは所得控除だけじゃない。iDeCoで未来の自分を助けようiDeCoのメリットの一つに「掛け金が全額所得控除になる」というものがあります。税制面でとても優遇されているのがiDeCoの特徴です。本文内のシミュレーション一例で見ましたが、基本的に年収・掛け金が大きいほど所得控除のメリット金額が大きくなっていきました。ただ、iDeCoの本質は所得控除のメリットだけではないと筆者は考えています。記事の最後の方で触れましたが、これからは若い人ほど、公的年金だけでは老後の生活が成り立ちにくくなると考えられます。そこで出てくる考え方が「自助努力(自分の老後のお金は自分で形成する)」です。人によってはiDeCoの所得控除のメリットがない・少ないことがあり、魅力的に見えないかもしれません。ですがiDeCoの本質はそこではないのではないでしょうか。本記事が読者の方の合理的な資産形成の一助になれば幸いです。
2019年09月03日生命保険料控除は、保険会社に対して支払った生命保険料がある場合、一定の計算式にあてはめて計算した金額を所得税や住民税といった税金を計算する上で控除することができるものを言います。ざっくり言ってしまいますと、生命保険に加入している場合、税金を少なくすることができることになりますが、本記事は、この生命保険料控除の計算方法を中心に押さえておきたいポイントを紹介していきます。生命保険料控除の計算をするための重要ポイント2つ.手元にある生命保険料控除証明書を新制度と旧制度に分ける新制度で、一般用の合計金額は、120,000円でしたので、上記計算式にあてはめると、80,000円超に該当し、この結果、一般用の生命保険料控除は40,000円であると計算されます。また、新制度で、介護医療用の合計金額は、60,000円でしたので、上記計算式にあてはめると、40,000円超80,000円以下に該当し、この結果、介護医療用の生命保険料控除は35,000円であると計算されます。結果、一般用40,000円と介護医療用35,000円を合算した75,000円が生命保険料控除の金額となります。参考大同生命と第一生命の2つの保険契約があった場合の生命保険料控除金額大同生命と第一生命の2つの保険契約があった場合の生命保険料控除金額は、一般用266,870円、介護医療用104,492円といずれも80,000円超に該当しているため、どちらも一律40,000円の控除金額となります。したがって、一般用40,000円と介護医療用40,000円を合算した80,000円が生命保険料控除の金額となります。生命保険料控除のシュミレーションは、控除証明書がすべて届いた後に行う生命保険料控除を正しく計算するためには、現在加入している生命保険の控除証明書がすべて届いてから行うことが重要なポイントとなります。この理由は、計算方法の流れの中でも紹介しましたように、生命保険料控除証明書に記載されている制度や金額を基に生命保険料控除が計算されるためです。したがって、生命保険料控除証明書が届く秋ごろに行い、以後、行うことになる年末調整や確定申告前の対策とするのが最も望ましい方法と言えます。[adsense_middle]年末調整で適用し忘れた生命保険料控除は確定申告で行える会社員や公務員などのような給与所得者の場合、毎年12月頃に勤務先が行う年末調整によって1年間の税金精算手続きが完了することになります。この時、年末調整で適用をし忘れた生命保険料控除や誤った生命保険料控除で税金の精算を終えた場合、確定申告をすることによって訂正することができます。特に、次項で紹介するようなパターンにあてはまる場合は、再確認しておくことが望ましいでしょう。夫婦いずれも給与所得者(課税対象者含む)である場合の注意点本人と配偶者が共に給与所得者で、いずれも年末調整をする場合、生命保険料控除の適用の仕方に工夫をした方が得策な場合があります。たとえば、生命保険料控除の適用対象者になる人とは、その生命保険料を実際に負担している人だけに限らず、別の家族を適用対象とすることができ、大まかなイメージを次項で紹介します。参考生命保険料控除の賢い適用の仕方こちらはあくまでも参考情報であり、それぞれの世帯における状況をあらかじめ確認精査する必要があると前置きした上で、生命保険料控除の賢い適用の仕方を紹介します。なお、生命保険料控除の計算方法で紹介した以下、2つの生命保険に加入していると仮定し、いずれも保険料を支払っている人は夫であるものとします。夫婦で分散して生命保険料控除を適用する大同生命と第一生命の生命保険料控除を夫だけに単独で適用した場合と夫婦それぞれが1つずつ適用した場合の違いは以下の表の通りです。(計算過程は省略します)生命保険料控除を夫が単独で適用すると、夫個人の生命保険料控除は、分散するよりも多くなりますが、世帯で考えますと、妻が全く生命保険料控除の適用ができない分、ロスが大きくなることが分かります。生命保険料控除の計算に医療費や医療保険金が影響することはない生命保険料控除は、あくまでも1年間に支払った生命保険料に対して控除されるものにあたるため、医療費控除のように、実際に支払った医療費や受け取った医療保険金の金額が生命保険料控除の計算に影響を与えるということはありません。ごく稀に、生命保険料控除や医療費控除をごちゃまぜに考えてしまう人もおられますので、この点には注意が必要と言えそうです。1年の途中で新規加入や見直しをする場合は、年払いが得策生命保険料控除は、1月1日から12月31日までの1年間で実際に支払った保険料を基に算出される控除となります。そのため、この1年間の途中で生命保険の新規加入や見直しをする場合、保険料の支払方法を月払いではなく年払いにすることによって、月払いよりも総支払保険料を安く抑えられ、かつ、生命保険料控除を多く適用できる可能性があるため得策です。とても細かいですが、この辺もできる限り意識しておきたいものです。まとめ生命保険料控除は、仕組上、新制度および旧制度の違いのほか、夫婦共働き世帯なのかどうかなど、置かれている世帯の状況によっては、適用の仕方が節税になるかどうかの違いを生じさせます。そのため、少なくとも生命保険の新規加入や見直しを行った場合、自分たちはどのような組み合わせで生命保険料控除を適用するのが最適なのか、時には、FPなどの専門家を通じてしっかりと確認しておくことが望ましいでしょう。
2019年08月13日生命保険料控除は、1月1日から12月31日までの1年間で支払った生命保険料を基に計算される税金の軽減制度のことを言います。この生命保険料控除は、制度による違いや加入している生命保険の種類によって分類や計算の仕方をはじめ、控除される金額も異なります。加えて、生命保険料控除には、控除ができる上限額も決められていることから、本記事では、この生命保険料控除の上限額を中心に押さえておきたいポイントを解説します。生命保険料控除で適用できる最大の控除限度額わかりやすい例で解説しますと、新制度が対象の生命保険契約を締結し、一般用、介護医療用、個人年金用のそれぞれの契約に、1年間でそれぞれ120,000円ずつ支払ったものとします。この時に算出される生命保険料控除は、以下のように計算されます。一般用・介護医療用・個人年金用をそれぞれ単独で計算式にあてはめて計算一般用:年間支払保険料120,000円のため80,000円超に該当控除額40,000円介護医療用:年間支払保険料120,000円のため80,000円超に該当控除額40,000円個人年金用:年間支払保険料120,000円のため80,000円超に該当控除額40,000円上記3つの生命保険料控除をすべて合算することで、1年間に適用できる生命保険料控除が確定することになります。よって、新制度における生命保険料控除の最大控除限度額は120,000円(40,000円+40,000円+40,000円)となるわけです。生命保険料控除の旧制度とは生命保険料控除の旧制度とは、平成23年12月31日以前に締結した保険契約のことを言い、ざっくり説明しますと、昔から加入している生命保険を引き続いて契約している場合などは、旧制度による取り扱いイメージとなります。なお、旧制度における生命保険料控除は、新制度とは異なり、一般用、介護医療用、個人年金用といった3つの控除ではなく、一般の生命保険料控除と個人年金保険料控除の2つの控除に分けられます。旧制度における生命保険料控除の最大控除限度額は100,000円旧制度の生命保険料控除は、加入した生命保険の種類や契約内容によって、一般の生命保険料控除と個人年金保険料控除の2つの控除に分けられますが、こちらも先に解説した新制度と同じように、それぞれの種類ごとに以下の計算式にあてはめて生命保険料控除を算出する必要があります。なお、新制度と計算式や控除金額が異なる点には要注意です。わかりやすい例で解説しますと、旧制度が対象の生命保険契約を締結しており、一般の生命保険料控除と個人年金保険料控除のそれぞれの契約に、1年間でそれぞれ120,000円ずつ支払っていたものとします。この時に算出される生命保険料控除は、以下のように計算されます。一般の生命保険料控除と個人年金保険料控除をそれぞれ単独で計算式にあてはめて計算一般の生命保険料控除:年間支払保険料120,000円のため100,000円超に該当控除額50,000円個人年金保険料控除:年間支払保険料120,000円のため100,000円超に該当控除額50,000円上記2つの生命保険料控除をすべて合算することで、1年間に適用できる生命保険料控除が確定することになります。よって、旧制度における生命保険料控除の最大控除限度額は100,000円(50,000円+50,000円)となるわけです。誰でもできる新制度と旧制度の判別方法生命保険料控除証明書は、保険会社によって書式は異なりますが、上記イメージ図のように、適用制度が新制度なのか旧制度なのかが必ず記載されておりますので、そちらを確認することで判別が誰でも簡単に行えます。[adsense_middle]生命保険料控除の金額は、保険種類や契約の仕方によって変化する生命保険料控除の金額は、新制度と旧制度の違い、支払保険料のほか、実際に加入している生命保険の種類や契約の仕方によっても変化します。なお、現在、生命保険の新規加入や見直しにかかる生命保険料控除の適用制度は、すべて新制度になることを踏まえ、本項では、新制度に対応した保険種類と契約の仕方について解説を進めます。加入している保険種類によって、異なる3つの生命保険料控除新制度の生命保険料控除は、加入した生命保険の種類や契約内容によって、一般用、介護医療用、個人年金用といった3つの控除に分けられることをすでに解説しています。ここでは、主な生命保険の種類と適用となる生命保険料控除の関係について箇条書きで大まかに紹介しておきます。一般用:終身保険・定期保険・収入保障保険・学資保険など介護医療用:医療保険・がん保険・介護保険など個人年金用:個人年金保険(契約の仕方に要注意)個人年金用のみ保険契約の仕方に注意が必要生命保険料控除の中でも、一般用と介護医療用は、契約内容による控除の違いが生じることはありませんが、個人年金用に限っては、保険契約の仕方によって、一般用または個人年金用のいずれかに該当することになるため要注意です。なお、個人年金保険に加入するメリットの1つには、個人年金用の生命保険料控除が適用できることもあげられ、仮に、個人年金保険への加入を検討している方は、次項の内容を参考に条件を満たしているか必ず確認しておきましょう。個人年金用の生命保険料控除を適用するための条件個人年金用の生命保険料控除を適用するためには、保険会社が販売している個人年金保険に加入することに加え、税制適格要件と呼ばれる条件を満たした個人年金保険の契約を締結していなければなりません。なお、税制適格要件を満たした個人年金保険の契約とは、以下、3つの条件をすべて満たしている保険契約となります。個人年金保険の保険金受取人は、保険契約者(本人)または、配偶者となっている契約個人年金保険の保険料支払期間が10年以上の契約個人年金保険の保険金支払いは、保険金受取人の年齢が60歳になってから支払われるもので、かつ、10年以上に渡って支払われる契約上記3つの条件をすべて満たしていなければ、個人年金用の生命保険料控除は適用されず、一般用の生命保険料控除としての取り扱いになります。これによって、生命保険料控除を上限額いっぱいまで最大限に活かせない結果となるため注意が必要と言えるわけです。生命保険料控除(所得控除)による税金対策はあくまでも限定的なもの生命保険料控除(所得控除)を適用することによって、個人に対して課される所得税や住民税といった税金を軽減させられる効果が得られることは確かです。ただし、実際に適用をすることができる生命保険料控除には上限が設けられているため、生命保険の極端な掛け過ぎによるメリットは得られない点には注意が必要だと言えます。極端な例ではありますが、たとえば、1年間で終身保険料を10万円支払ったとしても、100万円支払ったとしても、生命保険料控除額は、一律40,000円で同額です。このように、生命保険料を多く支払ったからといって、生命保険料控除の恩恵が多く受けられるわけではないため、税効果と保障内容のどちらもニーズに沿った対策を取ることが望ましいと言えます。新制度と旧制度の保険契約が混じった生命保険料控除の上限額生命保険の契約をしている人の中には、新制度の保険契約と旧制度の保険契約のどちらの契約もある場合があります。実のところ、このような2つの制度が対象になる保険契約を締結している場合、生命保険料控除の適用方法によって、税効果が、有利になったり不利になったりする場合があります。このようなことから、次項より一例を紹介しながら新制度と旧制度の保険契約が混じった生命保険料控除と上限額について解説を進めます。[adsense_middle]新制度と旧制度の保険契約が混じった生命保険料控除の適用ルール生命保険料控除の適用において、新制度と旧制度のいずれも適用をすることができる場合、新制度および旧制度の計算式にあてはめ、それぞれの生命保険料控除の区分ごとに、どちらの控除額を適用(または併用)するか任意に選択できることになっています。つまり、現在加入している新制度と旧制度の生命保険料控除証明書を用いて、それぞれ生命保険料控除を計算し、自分にとって最も有利(得)になる選択をすることができるといった意味になります。新制度と旧制度の保険契約が混じった生命保険料控除の選択前項の解説だけではよくわからないため、以下のような前提条件で、最も有利な選択とは、どのような選択なのかイメージを持っていただければと思います。新制度(一般用):年間支払保険料40,000円旧制度(一般):年間支払保険料120,000円医療保険(介護医療用):年間支払保険料30,000円新制度(個人年金用):年間支払保険料40,000円旧制度(個人年金):年間支払保険料110,000円前提条件の支払保険料を基に、上記の生命保険料控除の計算式にあてはめて計算した場合における生命保険料控除は、以下の表のようにまとめられます。制度区分年間支払保険料生命保険料控除額新制度(一般用)40,000円30,000円旧制度(一般)120,000円50,000円新制度と旧制度の併用160,000円40,000円制度区分年間支払保険料生命保険料控除額医療保険(介護医療用)30,000円25,000円制度区分年間支払保険料生命保険料控除額新制度(個人年金用)40,000円30,000円旧制度(個人年金)110,000円50,000円新制度と旧制度の併用150,000円40,000円生命保険料控除を最も有利になるように適用するには、金額が最も高いものを適用すれば良いことになります。したがって、すべての生命保険料控除を併用して適用するのではなく、旧制度(一般)、医療保険(介護医療用)、旧制度(個人年金)の3つを組み合わせて適用するのがベストな選択肢であると判定することができます。新制度と旧制度を組み合わせた場合の最大上限金額は120,000円前項の解説より、旧制度(一般)、医療保険(介護医療用)、旧制度(個人年金)の3つを組み合わせて適用するのがベストな選択肢であることが分かりましたが、これらの生命保険料控除金額を合計しますと125,000円となります。しかしながら、生命保険料控除の適用ルールとして、新制度と旧制度を組み合わせた場合の最大上限金額は120,000円という決まりがあるため、生命保険料控除金額は125,000円ではなく120,000円となる点に注意が必要です。それぞれの保険会社が無料で提供しているシミュレーターを活用しよう生命保険料控除の計算は、制度の確認と支払保険料さえ間違えなければ、それぞれの保険会社が無料で提供しているシミュレーターを活用すると早くて便利、かつ、正確に計算結果が表示されることになります。そのため、自分に合ったシミュレーターを見つけて活用されてみることをおすすめします。なお、筆者個人としては、第一生命のシミュレーターが使いやすかったので、以下、シミュレーターのリンクを紹介しておきます。生命保険料控除は、確定申告や年末調整で適用を受ける生命保険料控除は、所得税や住民税といった個人に対して課される税金を軽減させられる効果がありますが、実際に生命保険料控除の適用を受けるには、年末調整または確定申告の手続きが必要です。また、年末調整や確定申告で手続きを行う際、保険会社から郵送された生命保険料控除証明書を添付する必要があります。なお、年末調整や確定申告での手続き方法は、同サイト内で公開されている以下記事をそれぞれ読み進めていただければと思います。まとめ生命保険料控除が適用される上限は、新制度と旧制度によって異なるほか、実際に加入している生命保険の種類や契約内容によって変わることが分かりました。また、生命保険料控除を適用することによって税金を軽減させられる効果が得られるものの、上限が設けられていることから、極端な掛け過ぎによるメリットは得られないこともご理解いただけたと思います。新規加入や見直しをする上に置かれましては、保障内容の重視は当然のことながら、生命保険料控除を考慮した組み合わせを考えることも大切なポイントになると言えます。
2019年08月12日医療保険は、公的医療保険と民間医療保険の2種類があり、いずれの保険料を支払った場合も、所得税や住民税の負担額を軽減する所得控除の対象になります。ただし、実際に負担した公的医療保険料と民間医療保険料では、適用となる所得控除の種類が異なるほか、税額を軽減する効果も大きく異なります。そこで本記事では、2つの医療保険にかかる所得控除と知っておきたいポイントについて紹介していきます。医療保険と所得控除の基本ポイント保険会社を問わず、上記図のように適用制度が新制度なのか旧制度なのか記載されているため、そちらを見ることでどちらの制度なのか簡単に確認することができます。新制度と旧制度のいずれの契約もある場合は、シミュレーターの活用がおすすめ生命保険料控除について、新制度と旧制度のいずれの生命保険にも加入している場合は、適用の仕方によっては税負担を少なく抑えられる場合があることをお伝えしました。しかしながら、そのような専門的なことはよくわからないといった方も多いと思いますので、保険会社が無料で提供している生命保険料控除のシミュレーターを使ってみるのも良いでしょう。参考までに、以下、第一生命が無料提供している計算ツールとなります。医療保険と関係の深い医療費控除について医療保険に加入している状態で、病気やケガで入院した場合など、保険金の支払事由に該当する場合は、保険会社から保険金を受け取ることができます。この時、医療保険と関係の深い所得控除として、これまで解説した生命保険料控除のほかに、医療費控除が挙げられます。医療保険に関わる控除についてのまとめ医療保険に関係する控除には、生命保険料控除と医療費控除があります。保障内容や保険料といった目に見える部分だけではなく、いずれの控除も考慮しておくことがとても大切です。
2019年06月21日サラリーマンの方は年末調整で書類に生命保険料控除証明書を添付し、自営業の方は確定申告で申告書に生命保険料控除証明書を添付されていると思います。毎年機械的に申告する方が多く、手続き名を忘れられがちですが、それらが生命保険料控除の手続きです。今回は年末調整と確定申告に必要な生命保険料控除証明書と申請方法をご紹介します。生命保険料控除って何?生命保険料控除とは、払い込んだ生命保険料に応じて、一定の金額が保険料負担者(契約者)のその年の所得から差し引かれる制度です。税率を掛ける前の所得が低くなるので所得税、住民税の負担が軽減されます。ここでは生命保険控除の新制度/旧制度、生命保険料控除の計算方法をご紹介します。生命保険料控除の制度生命保険料控除には新制度と旧制度の2つの制度があります。新制度は「平成24年1月1日以後に契約した生命保険等」が対象になり、旧制度は平成23年12月31日以前の契約が対象です。生命保険料控除の新制度生命保険料控除の新制度には3つの控除があります。一般生命保険料控除個人年金保険料控除介護医療保険料控除新制度では一般生命保険料控除、個人年金保険料控除、介護医療保険料控除について、所得税から最大でそれぞれ4万円まで控除され、住民税から最大で2.8万円まで控除されます。新制度では介護医療保険料控除が新たに加えられ、税金をより軽減できるようになりました。生命保険料控除の旧制度生命保険料控除の旧制度には2つの控除があります。一般生命保険料控除個人年金保険料控除旧制度では一般生命保険料控除、個人年金保険料控除が所得税からそれぞれ最大で5万円まで控除され、住民税からそれぞれ最大で7万円まで控除されます。生命保険料控除の計算方法生命保険料控除は以下の式で計算します。所得税と住民税それぞれ新制度と旧制度の計算式があります。所得税の生命保険料控除の計算式住民税の生命保険料控除の計算式確定申告に必要な生命保険料控除の書類と手続き生命保険料控除申請はサラリーマンは年末調整時に、自営業者は確定申告時に行いますが、それぞれ申請の時期が異なります。年末調整は毎年12月くらいに必要書類を提出、確定申告は基本的に毎年2月16日~3月15日の期間に行う必要があります。控除手続きには生命保険料控除証明書が必要生命保険料控除申請には「生命保険料控除証明書」が必要です。生命保険料控除証明書は毎年10月から11月にかけて保険会社から送付されます。契約している保険会社が複数ある場合は、各保険会社から生命保険料控除証明書が送付されます。生命保険料控除証明書を紛失した場合は再発行が可能ですが、発行までに時間がかかるので大切に保管してください。生命保険料控除申請のタイミング生命保険控除申請は、サラリーマンと自営業者でタイミングが異なります。サラリーマンは年末調整時に「給与所得者の保険料控除申告書」に生命保険料控除証明を添付することで生命保険料控除申請が完了します。自営業者は確定申告時に生命保険料控除証明を添付することで生命保険料控除申請が完了します。このとき、生命保険料控除証明書はコピーではなく原本を添付します。実際の生命保険料控申請ここでは実際の生命保険料控除申請をご紹介します。近年はe-taxによる電子申請が推奨されいます。最初は電子申告に抵抗があるかもしれませんが、慣れてくると電子申告の方が短時間で簡単にできます。サラリーマンの生命保険料控除申請サラリーマンの生命保険料控除申請の書き方は、年末調整時に記入する「給与所得者の保険料控除申告書」の「生命保険料控除」の欄に該当する保険区分と新制度/旧制度に分けて「保険料控除証明書」に記載されている内容を記入します。その後、前出の所得税の生命保険控除の計算式を用いて所得税控除額を記入します。年末調整書類に保険料控除証明証を添付して会社に提出すれば、生命保険料控除申請は完了です。自営業の生命保険料控除申請自営業の生命保険料控除申請は、確定申告時に行います。確定申告では事前に用意する書類がいくつかあるので、申告までに全て揃えておく必要があります。確定申告時に必要な書類の準備以下が代表的な確定申告に必要な書類です。給与所得や公的年金の源泉徴収票(原本、コピー不可。)医療費の領収書社会保険料(国民年金保険料)控除証明書生命保険の控除証明書地震保険の控除証明書確定申告に必要な申告書などの書類は国税庁ホームページからダウンロード可能で、税務署でも配布されています。申告書の作成確定申告書はAとBの2種類あり、確定申告書AとBにはそれぞれ第一表と第二表があります。確定申告書Aは、申告する所得が給与所得、雑所得、総合課税の配当所得、一時所得のみで、所得税及び復興特別所得税の予定納税額のない方が使用します。確定申告書Bは所得の種類にかかわらず、どなたでも使用できます。源泉徴収などの添付書類は、添付書類台紙に貼って申告書と一緒に提出します。国税庁ホームページ「確定申告書等作成コーナー」の利用国税庁ホームページ「確定申告書等作成コーナー」では、画面の案内に従って金額を入力すると簡単に確定申告書を作成できます。申告書提出方法申告書の提出方法は3つあります。郵便又は信書便により、住所地等の所轄税務署に送付住所地等の所轄税務署の受付に持参e-taxによる電子申告で生命保険料控除申請をする方法書類で提出する場合は郵送か税務署に持参する必要がありますが、電子申請で確定申告をする場合はオンラインで確定申告書類のデータを提出します。e-taxによる電子申告で生命保険料控除申請をする方法確定申告を電子申請する場合は、インターネットを利用した国税庁が運営する「e-tax」で、ウェブ上で申告書を作成し、オンラインで提出します。e-taxを用いた確定申告は、マイナンバーカードやICカードリーダ、パソコンの事前セットアップが必要です。生命保険料控除まとめ生命保険料控除は、申請すると支払った保険料に応じて税の負担が軽減される制度でした。パソコンで申請書を作成でき、電子申請も可能になったのでより手軽に申告できるようになりました。1回の生命保険料控除で節税できるのは小さな金額ですが、数十年で考えるとまとまった資金になります。年末調整や確定申告の時は忘れずに生命保険料控除も申請してください。
2019年04月06日住宅ローン控除と個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)は、どちらも節税メリットがあります。個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)とは、簡単にいうと、自分でつくる年金制度のこと。しかし、控除の金額と拠出金額のバランスで、住宅ローン控除のメリットがフルにいかせなくなる場合があります。あなたの場合は実際どうなのか、調べてみましょう。■ 1.まずは2つの控除の仕組みを知るfreeangle / PIXTA(ピクスタ)2つの控除は「どの段階で控除するか」が異なります。個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)では、課税所得から年間に支払った拠出金額全額分を差し引きます。そこから税金計算を行い、算出した税額から住宅ローン控除を差し引きます。個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)とは?個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)は、老後の資金を作るため積立投資を行うものです。拠出金が全額控除になることから節税効果があります。運用益も非課税になり、受け取り時も税制優遇されお得です。r.s / PIXTA(ピクスタ)また、一時金として受け取る場合は「退職所得控除」、年金として受け取る場合は「公的年金等控除」が適用になります。運用にあたっては、運営管理機関の手数料などがかかり、その額は運用機関によって異なります。掛け金には限度額があります。・自営業者などの「国民年金第1号保険者」 は国民年金基金と合算で6万8,000円/月(付加保険納付者は6万7,000円/月)・会社員が加入できる「国民年金第2号保険者」は1)企業年金なし、企業型確定拠出年金なし 2万3,000円/月2)企業年金なし、企業型確定拠出年金あり 2万円/月3)企業年金あり 企業型確定拠出年金あり、なしにかかわらず一律1万2,000円/月4)公務員 1万2,000円/月・専業主婦などの「国民年金第3号保険者」は2万3,000円/月となっています。住宅ローン控除とは住宅ローン控除は、年末の住宅ローン残高の1%が税額から10年間または13年間控除される制度です。控除を受けるためには、年収が3,000万以下である、住宅ローンの返済期間が10年以上あるなどの要件を満たす必要があります。対象者は2009年から2021年12月末までの間に入居した人なら、所得税額から住宅ローン控除しきれないとき、住民税から残りの額を差し引くことができます(上限あり)。住民税からの控除は手続きを必要とせず、自動的に手続きされます。■ 2. 計算の仕方は?freeangle / PIXTA(ピクスタ)モデルケースの世帯の税額計算を実際にしてみましょう。・新築住宅を購入して、年末に2,500万円の残高あり・住宅ローン控除額25万円・世帯主は会社員の場合を考えます。最初に課税所得を算出します(図1参照)。個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)で拠出していない場合、所得税額は300万円×10%-9万7,500円、つまり20万2,500円です。ここから住宅ローン控除で25万円をさらに引こうとすると、4万7,500円が引ききれなくなります。しかしこれは、住民税からは13.65万円までなら引けますので、このケースでは控除枠をすべて使うことができます。個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)で月2万円拠出しているとしたら、年額は24万円なので20万2,500円-24万円=-3万7,500円となります。住宅ローン控除を加味すると-28万7,500円となり、住民税から引いても住宅ローン控除枠を使いきれなくなってしまいます。図1※平成27年分以降参考/国税庁■ 3.両方のメリットをいかすには?【IWJ】Image Works Japan / PIXTA(ピクスタ)住宅ローン控除の枠をすべて使いきれない人は、高所得ではないが、借入額が多い人です。両方のメリットをフル活用できないなら、住宅ローン控除を優先さるべきです。そして、個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)ではなく、つみたてNISAを利用したらいかがでしょうか。個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)と異なり、好きな時に引き出しができるので、いざという時にも役立ちます。Sqback / PIXTA(ピクスタ)住宅ローンを組む前ならば、夫婦二人に分けてローンが組める「ペアローン」にするという選択肢もあります。それぞれに住宅ローン控除が使えるために、個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)と併用しても住宅ローン控除のメリットがいかせます。まずは、自分がどんなパターンに当てはまるかを知るために試算してみてください。税金のしくみは、国の政策で、ここに挙げた税率から変更になる、制度が新設されるなど、各制度が複雑に絡み合い、とても複雑です。専門家に相談し、自分がメリットを十分に受けられるよう検討することが大事です。
2019年02月09日確定申告や年末調整は、個人の方が1月1日から12月31日までの1年間で得た収入(所得)を基に所得税を計算して精算する手続きを言います。この時、所得税を計算する流れの中で、所得控除と呼ばれる控除を差し引いて所得税を計算する仕組みになっているのですが、実のところ、確定申告と年末調整では、適用することができる所得控除に違いがあります。そこで本記事では、確定申告で適用可能な所得控除の紹介をはじめ、節税対策に使える大切なポイントをわかりやすくまとめて紹介していきます。所得控除とは?所得控除のイメージをざっくり知ろう所得税は、1月1日から12月31日までの1年間に得た収入(所得)を基に計算される税金ですが、すべての方が公平な税負担をするための措置として、14種類の所得控除が設けられており、これらの所得控除を差し引いて所得税を計算することによって、税負担の公平性を保っています。所得控除の具体的なイメージとして、たとえば、本人も含め障害を抱えている家族や親族を扶養している場合は、他の方に比べて多くのお金がかかる場合や生活する上での負担が大きいと考えられるため、このような方々には、障害者控除を適用できるようにすることで、税負担を軽くします。また、高校生や大学生などの子供を扶養している場合は、教育費にお金が多くかかることが考えられるため、このような方々には、扶養控除を適用できるようにすることで、税負担を軽くします。このように、所得控除はその方が置かれている状況や置かれていた状況を加味された上で税負担が軽減される控除のことを言い、所得控除の種類は次項の通りです。確定申告で適用可能な所得控除は14種類所得税法で定められている所得控除は、全部で14種類あり、所得控除を適用することができる条件に合致している場合は、確定申告をすることで、14種類すべての所得控除を適用することができます。所得控除の種類所得控除が受けられる場合雑損控除災害や盗難、横領により住宅や家財などに損害を受けた場合医療費控除1年間を通じて、医療費負担の合計金額が一定額以上となった場合寄附金控除ふるさと納税(都道府県・市区町村に対する寄附金)をはじめ、国や政党などに対して寄附をした場合社会保険料控除健康保険料や国民健康保険料(税)、後期高齢者医療保険料、介護保険料、国民年金保険料などの支払いがある場合小規模企業共済等掛金控除iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金や自営業者などが加入している小規模企業共済の掛金がある場合生命保険料控除終身保険や医療保険、個人年金保険など各種生命保険や共済へ加入している場合地震保険料控除地震保険料や旧長期損害保険料の支払いがある場合寡婦・寡夫控除申告する方が、寡婦または寡夫である場合勤労学生控除申告する方が勤労学生である場合障害者控除申告する方や配偶者、扶養親族が障害者である場合配偶者控除配偶者が専業主婦(主夫)などの場合や配偶者の収入が低い場合配偶者特別控除申告する方の合計所得金額が1,000万円以下で、配偶者の合計所得金額が38万円を超え、76万円未満である場合扶養控除12月31日時点で16歳以上の扶養している親族などがいる場合基礎控除すべての方に適用される所得控除上記14種類の所得控除は、毎年1月1日から12月31日までの1年間において、所得控除が受けられる条件にあてはまっていることで適用を受けることができます。ただし、実務上、それぞれの所得控除を適用するための条件は、さらに細かくなっているため、上記表は大まかな目安とした上で、適用になりそうな所得控除がある場合は、国税庁のWEBサイトで詳しく調べたり、税務署や税理士へ尋ねてみることをおすすめします。確定申告のみで適用可能な所得控除は3種類本記事の冒頭でもお伝えしましたように、実のところ、確定申告と年末調整で適用することができる所得控除には違いがあるのですが、具体的に、雑損控除、医療費控除、寄附金控除といった3種類の所得控除は、確定申告のみで適用可能な所得控除になります。そのため、年末調整でこれら3つの所得控除の適用はできないため、1年間において、雑損控除、医療費控除、寄附金控除のいずれかの適用を受けるためには、原則として、翌年2月16日から3月15日までの間に確定申告をしなければなりません。ちなみに、会社員や公務員で、基本的に年末調整のみで1年間の税金精算を終了した方がふるさと納税をした場合、寄附金控除の適用を受けられますが、確定申告をする手間を省くことができるワンストップ特例制度がありますので、そちらの制度も合わせて確認されておくのも良いでしょう。なお、年末調整で適用できる所得控除と確定申告で適用できる所得控除の内容や条件は、手続きによる違いはありません。確定申告のみで適用可能な医療費控除とは?医療費控除とは、1月1日から12月31日までの1年間において、本人や配偶者をはじめ生計を同一にしている家族の医療費を支払った場合で、支払った医療費が一定額を超えるときに受けられる税金の軽減制度です。ここで言う、支払った医療費の一定額というのは、確定申告をする方の収入(所得)によって異なる特徴があり、それによって、医療費控除が適用できる、できないといった判定も異なります。加えて、医療費控除の適用を受けるためには、作成した確定申告書のほかにも医療費控除の明細書などが必要であり、さらに、医療費控除の対象となる金額を計算する必要もあります。ここだけ見ますと、とても難しそうな感じを受ける方もおられるのかもしれませんが、以下、同サイト内で公開している記事では、確定申告で医療費控除を適用する方法や医療費控除の計算方法をはじめ、対象となる医療費などポイントを幅広く紹介しておりますので、合わせて確認されてみることをおすすめします。住宅ローン控除の適用を受ける場合も確定申告が必要住宅購入は、一生に一度の大きな買い物と言われますが、夢のマイホームを金融機関から住宅ローンを借入して購入された場合は、こちらも一定の条件を満たしていることで、住宅ローン控除の適用を受けることができます。住宅ローン控除の重要なポイントの1つとして、住宅ローン控除の適用を受けるためには、初年度のみ必要書類を添えて確定申告をしなければならないことも適用条件に含まれています。なお、住宅ローン控除は、本記事で紹介している所得控除ではなく、税額控除にあてはまるため、節税効果はかなり大きいメリットがあり、さらに、会社員や公務員など給与所得者の方であれば、2年目からは勤務先が行う年末調整で適用が可能です。住宅ローン控除は、購入した住宅が新築なのか中古なのかといった種類のほか、リフォームをした場合など、それぞれによって適用条件が異なるのですが、こちらも、以下、同サイト内で公開されている記事を合わせて読み進めてもらうことで、住宅ローン控除の適用方法から必要書類をはじめ、多くの方が抱えている疑問まで解決することができると思います。確定申告で節税対策に使える大切なポイントとは確定申告は、年末調整で1年間の税金精算が終える方々にとってみますと、馴染みがないため難しいイメージや面倒なイメージをお持ちの方も多いと思いますが、確定申告のメリットは、適用し忘れた所得控除を追加できるところにあります。たとえば、給与所得者であれば、年末調整後に新たに適用できる所得控除がわかった場合や適用できる所得控除を適用するのを忘れていた場合など、いわば、税金の精算をやり直すことで、所得税の還付を受けられ、翌年納める住民税も軽減できるのが、確定申告のメリットと言えます。そのため、必ず節税効果が得られるといったわけではありませんが、これまで紹介した14種類の所得控除がどのような場合に適用されるのか、そして、それぞれの所得控除の適用忘れがないかを再確認することで節税対策につながる可能性があると考えることができます。確定申告で適用可能な所得控除まとめ確定申告で適用可能な所得控除の紹介をはじめ、節税対策に使える大切なポイントを紹介させていただきましたが、特に、確定申告をしなければ適用されない雑損控除、医療費控除、寄附金控除については、いま一度、適用できるのか確認されてみることをおすすめします。また、住宅ローン控除の適用を受けるために初年度は確定申告が必要であることや、そもそも確定申告とはどのような手続きなのか大まかな概要やポイントも押さえておく必要があるでしょう。
2019年01月24日配偶者を亡くされ、単身となる。この立場を、バツイチならぬ”没(ボツ)イチ”と呼び、死別という暗いイメージから抜け出し、新たな人生を前向きに生きていこうという動きが広がっていることをご存じですか?没イチ人口の増加に伴い、昨今話題となっているのが「没イチの再婚」です。死別の悲しみを分かっているからこそもう再婚は考えないのでしょうか、それとも再婚に前向きになるのでしょうか?親族や、子どもたちなど関係者が多い分、障害も多そうなイメージがありますが実態が気になりますよね。今回は、そんな「死別再婚」についてのお話です。■ 8割以上の”没イチ”が1人は寂しい総務省の国勢調査によると1990年から2015年の25年間で65歳以上の“没イチ”率はなんと1.5倍に増加し、2015年は男女合わせて864万人を突破しています。Fuchsia / PIXTA(ピクスタ)ここで「よりそうのお葬式」を運営する「株式会社よりそう」が実施した没イチと死別再婚についての調査をみてみると、配偶者との死別は”寂しい”と感じる方は8割以上に上るという実態が明らかになっています。子世帯が遠方に住んでいるなど、老後に”夫婦二人だけの暮らし”が増加していることもあり、悲しみと寂しさは大きく、人生においてかなりのインパクトを与えるようです。Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)■ 没イチの約7割が再婚を希望するけれど…次に、”死別再婚”についてみていきましょう。再婚の希望については、「再婚したい」「死別再婚を妨げる理由が解消されるなら再婚したい」という回答が69%にも上ります。keroking / PIXTA(ピクスタ)そこで、”死別再婚を妨げる理由”をみてみると、以下のようなものがあがりました。「死別した配偶者に申し訳ない」(27%)、「親類からの評判や批判が気になる」(20%)、「子どもから理解が得られるか」(12%)、「世間体が気になる」(12%)などその思いは複雑。自身は再婚に前向きでも、周りからの批判を恐れる気持ちが強く、これが死別再婚を阻む大きな原因となっているようなんです。freeangle / PIXTA(ピクスタ)■ 実は多い死別離婚”賛成派”死別再婚をネガティブにしてしまうのは、”周囲の目”。それでは”没イチ”となった親の子どもたちや、一般の方は、”死別再婚”についてどのように考えているのでしょうか?両親のうち片親を亡くした方に対して、「親が残りの人生を幸せに生きるために新しいパートナーと再婚することをどう思いますか?」と質問してみると……、なんと65%の方が「再婚はありだと思う」と回答していることが判明!チータン.C / PIXTA(ピクスタ)理解してもらえるかどうか不安を抱いている回答が挙がりましたが、実際は子どもは死別再婚には賛成しているという実態が明らかになりました。また、”一般の方の抱く死別離婚へのイメージ”も同様です。賛成派の割合が62%と高く、残された人生を楽しく過ごす選択肢の一つとして”死別離婚はアリ”という概念が世間には定着しているようです。いかがでしたか?今回の調査で、死別再婚について当事者はそれほど不安を抱く必要がないことが分かりました。死別再婚とは別に、死別でよく問題とされるのが”妻に先立たれ夫が残された場合”。夫のほうが先立つというイメージがあるため、掃除、洗濯などの家事を妻に頼りきりな男性は多いはず。身の回りのことをおろそかにし、女性のように定期的に集まって話をする習慣もなく、引きこもりがちになり孤独死という例も珍しくありません。あまり想像したくはありませんが、自分が没イチになって前向きに行動できるタイプかどうかはパートナーがいなくなってからでないと誰も分からない事なのです。個人としてできることは、普段から人とのつながりを大切にすること。そして、地域社会は死別された方の生活の豊かさを保つ取り組みを広げていくことが急務であると感じます。【参考】※死別再婚したいと考える“没イチ”は約7割「スイートピー再婚便」 実施決定
2019年01月20日医療費控除とは、1月1日から12月31日までの1年間において、本人や配偶者をはじめ生計を同一にしている家族の医療費を支払った場合で、支払った医療費が一定額を超えるときに受けられる税金の軽減制度です。ただし、実際に、医療費控除で税金の軽減を受けるためには、年末調整では受けられず、翌年2月16日から3月15日までの確定申告期間中に確定申告をしなければならないほか、確定申告をする方の収入(所得)によって、医療費控除が適用できる、できないといった判定も異なる特徴があります。このようなことを踏まえまして本記事では、確定申告で医療費控除を受けるための方法や医療費控除で押さえておくべきポイントをわかりやすく紹介していきます。確定申告で医療費控除が適用になる金額医療費控除が適用になる金額の計算式確定申告で医療費控除の適用になる金額は、確定申告をする方の収入(所得)によって、金額が異なりますが、実務上、医療費控除が適用になる金額は、以下の計算式によって求めることになります。(実際に支払った1年間の医療費合計額-保険金などで補填される金額)-10万円たとえば、1月1日から12月31日までの1年間で、実際に支払った1年間の医療費合計額が30万円、医療保険から保険金を15万円受け取ったと仮定した場合、上記の計算式にあてはめますと、医療費控除の金額は5万円(※)となります。※(30万円-15万円)-10万円=5万円なお、保険金などで補填される金額には、医療保険から支給される入院給付金や手術給付金といった受取保険金のほか、健康保険などから支給される高額療養費・家族療養費・出産育児一時金などがあてはまります。ちなみに、1年間の総所得金額などが200万円未満の人は、総所得金額等の5%の金額を超えた場合に医療費控除が適用できることとされていることから、先に紹介したように、一概に、1年間に支払った医療費が10万円を越えなければ医療費控除が適用できないといったわけではありませんので注意が必要です。総所得金額ってどのように判断する?1年間の総所得金額などが200万円未満と言われても、そもそも総所得金額って何?と感じられている方も多いと思いますので、ここでは、1年間の収入が給料のみである会社員や公務員を想定して、総所得金額の確認方法について、源泉徴収票を例に紹介しておきます。国税庁No.2260 所得税の税率納めるべき復興特別所得税:355円(16,950円×2.1%)納めるべき所得税および復興特別所得税の合計金額:17,305円→17,300円(100円未満切り捨て)還付される所得税:2,800円(17,300円-20,100円(源泉徴収票の源泉徴収税額)=▲2,800円)医療費控除の適用によって、本来納めるべき所得税および復興特別所得税は、17,300円で良いのですが、20,100円が源泉徴収されているため、結果として2,800円、多く税金を納めていることがわかります。そのため、差し引きした2,800円の所得税の還付が受けられるほか、翌年から納めるべき住民税も少なくなる効果が得られます。確定申告で医療費控除の対象となる医療費を知ろう先に紹介した医療費控除の計算式において、実際に支払った1年間の医療費には、医療費控除の対象となるものと医療費控除の対象にならないものがあり、医療費控除の対象になる医療費が計算式の結果よりも多くなければ医療費控除を受けることができません。医療費控除の対象となる医療費と対象にならない医療費国税庁のWEBサイトでは、医療費控除の対象となる医療費や対象にならない医療費は、以下の通りとしていますが、治療のための医療費は、医療費控除の対象、予防のための医療費は、医療費控除の対象外と考えながら読み進めてみるとわかりやすいでしょう。1 医師又は歯科医師による診療又は治療の対価(ただし、健康診断の費用や医師等に対する謝礼金などは原則として含まれません。)2 治療又は療養に必要な医薬品の購入の対価(風邪をひいた場合の風邪薬などの購入代金は医療費となりますが、ビタミン剤などの病気の予防や健康増進のために用いられる医薬品の購入代金は医療費となりません。)3 病院、診療所、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、指定介護老人福祉施設、指定地域密着型介護老人福祉施設又は助産所へ収容されるための人的役務の提供の対価4 あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師による施術の対価(ただし、疲れを癒したり、体調を整えるといった治療に直接関係のないものは含まれません。)5 保健師、看護師、准看護師又は特に依頼した人による療養上の世話の対価(この中には、家政婦さんに病人の付添いを頼んだ場合の療養上の世話に対する対価も含まれますが、所定の料金以外の心付けなどは除かれます。また、家族や親類縁者に付添いを頼んで付添料の名目でお金を支払っても、医療費控除の対象となる医療費になりません。)6 助産師による分べんの介助の対価7 介護福祉士等による一定の喀痰吸引及び経管栄養の対価8 介護保険制度の下で提供された一定の施設・居宅サービスの自己負担額9 次のような費用で、医師等による診療、治療、施術又は分べんの介助を受けるために直接必要なもの(1) 医師等による診療等を受けるための通院費、医師等の送迎費、入院の際の部屋代や食事代の費用、コルセットなどの医療用器具等の購入代やその賃借料で通常必要なもの(ただし、自家用車で通院する場合のガソリン代や駐車場の料金等は含まれません。)(2) 医師等による診療や治療を受けるために直接必要な、義手、義足、松葉杖、補聴器、義歯などの購入費用(3) 傷病によりおおむね6か月以上寝たきりで医師の治療を受けている場合に、おむつを使う必要があると認められるときのおむつ代(この場合には、医師が発行した「おむつ使用証明書」が必要です。)(3-1)医療費の中には、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法などの規定により都道府県や市町村に納付する費用のうち、医師等の診療等の費用に相当するものや前記(1)・(2)の費用に相当するものも含まれます。(3-2)おむつ代についての医療費控除を受けることが2年目以降である場合において、介護保険法の要介護認定を受けている一定の人は、市町村長等が交付する「おむつ使用の確認書」等を「おむつ使用証明書」に代えることができます。10 骨髄移植推進財団に支払う骨髄移植のあっせんに係る患者負担金11 日本臓器移植ネットワークに支払う臓器移植のあっせんに係る患者負担金12 高齢者の医療の確保に関する法律に規定する特定保健指導(一定の積極的支援によるものに限ります。)のうち一定の基準に該当する者が支払う自己負担金(平成20年4月1日から適用されます。)出典:国税庁No.1122 医療費控除の対象となる医療費確定申告で医療費控除を受けるために必要なことこれまでの解説より、確定申告で医療費控除を受けるために必要なことをまとめますと、以下のようになります。医療費控除の適用を受ける方の1年間の総所得金額が200万円未満なのか、200万円超なのかを確認しておく医療費控除の対象となる医療費が、計算式で計算した結果よりも多くなっているのかを確認しておく確定申告で医療費控除を受けるための必要書類確定申告で医療費控除を受けるためには、原則として、翌年2月16日から3月15日までの確定申告期間中に作成した確定申告書に医療費控除の明細書を一緒に提出する必要があります。なお、医療費控除の明細書を作成するための基となった医療費の領収書は、5年間に渡って自宅などで保管する必要があるのですが、所定の事項が記載された医療費通知(医療費のお知らせなど)を医療費控除の適用を受ける際に提出する場合は、医療費控除の明細書や領収書の保管を省略することもできるようになっています。ちなみに、平成29年分の確定申告より、医療費控除を受けるために、医療費通知(医療費のお知らせなど)を添付することで、医療費控除が簡単に受けられるようになりましたが、1年間の支払った医療費が、すべて網羅されているわけではありません。たとえば、薬局で購入した市販の風邪薬や公共交通機関を利用して通院した場合の交通費も医療費控除の対象になるわけでありますから、このようなことを踏まえますと、少しでも多くの医療費控除を適用するためにも、やはり、医療費控除の明細書を作成することが望ましいのではないかと筆者は感じています。確定申告で添付が必要な医療費控除の明細書とは国税庁平成30年分確定申告特集(準備編)医療費控除の明細書は、医療費の領収書を見ながら必要事項を明細書へ記入していく流れとなりますが、すべてを個別に記入する必要はなく、医療を受けた方の氏名や病院・薬局などといった支払先の名称ごとにまとめて記載しても良いことになっています。国税庁医療費控除に関する手続について(Q&A)上記イメージ図のように、まとめて記入し、明細書を作成することで、手間や時間が省けることにつながります。医療費控除を受ける際に領収書の添付をしても差し支えないこれまでは、医療費控除の適用を受けるためには、医療費控除にかかる領収書の添付が求められておりましたが、平成29年分の確定申告からは、領収書の添付が省略できるようになっています。一方で、これまで通りのやり方で医療費控除の適用を受けたい方や多くの領収書を自宅で保管することに対して煩わしさを感じている方は、経過措置として、平成31年分まで引き続き領収書の添付をすることで医療費控除の適用を受けることが認められています。仮に、5年間に渡って保管しなければならない医療費控除にかかる領収書を紛失したり破棄する恐れがあると感じている方は、これまで通りの方法で確定申告の際に領収書を添付してしまう方が確実、かつ、安心と言えるでしょう。医療費控除で交通費がある場合は、忘れずに領収書などの添付を病院へ治療に行かれる際に、電車やバスなどの公共交通機関やタクシーを利用される方もおられると思いますが、これらは、医療費控除の対象になるため、忘れずに領収書の添付をするように心掛けておきたいものです。中には、領収書が発行されないものもあると思いますが、メモに残しておくことやエクセルなどの表計算ソフトへ入力して保存しておくなどの方法も認められているため、何かしらの証拠として残しておくことがとても大切になります。なお、ご自身が自ら自動車などを運転して通院するためのガソリン代や駐車場の代金は、医療費控除の対象とはなりませんので、こちらも合わせて注意しておくことが大切です。確定申告で医療費控除を受けるための方法まとめ医療費控除は、医療費通知(医療費のお知らせなど)を確定申告書に提出することで簡単に受けられるようになったため、医療費控除の適用を受ける方にとって手間や負担が前よりもかからなくなったことは確かです。ただし、医療費控除の対象となる医療費の範囲はとても広いことから、普段から家族にかかった医療費の領収書を1つの場所にしっかりと保管しておき、年末になりましたら一通り合計金額を算出される習慣を身に付けておくことをおすすめします。これは、長い人生の中で、病院へ入院したり、高額な医療費がかかる場合が将来的に十分考えられることから、いつかは必ず役に立つ内容のものであると考えられるからです。日常生活を振り返ってみて、普段と違った特殊な事情が生じた場合は、医療費控除が受けられる可能性も高くなるとも考えられますので、ケース・バイ・ケースではありますが、本記事で紹介した医療費控除のポイントを、ぜひ、今後に役立てていただければと思います。
2019年01月13日住宅ローン控除は、金融機関などから住宅ローンを借入して住宅購入をされた方が、一定の条件を満たし、確定申告など、所定の手続きを行うことで受けられる税金の優遇制度です。一定の条件や所定の手続きは、後程紹介させていただきますが、住宅ローン控除は、手続きが難しくないほか、制度を受けるためのハードルが極めて低いため、住宅を購入されたほとんどの方が適用できると言っても過言ではありません。そこで本記事では、初めて住宅ローン控除を受ける方を対象に、確定申告で住宅ローン控除を受けるために必要な手続きから必要書類まで幅広く解説を進めていきます。住宅ローン控除とは住宅ローン控除は、正式名称が住宅借入金等特別控除と言い、金融機関などから住宅ローンを借入して住宅購入をした場合、12月31日時点における住宅ローン残高の1%を最大で10年間に渡って税金控除できるといった税金優遇制度です。住宅ローン控除は、購入した住宅が新築なのか、中古なのかによって適用できる条件が異なっているほか、住宅ローンを単独で借入するのか、夫婦で収入合算して借入するのかによっても適用される金額が異なります。新築住宅を購入した場合の住宅ローン控除新築住宅を購入した場合に住宅ローン控除が適用できる条件は、以下の通りです。新築または取得の日から6か月以内に購入した住宅に住み、住宅ローン控除の適用を受ける年の12月31日まで引き続いて住んでいる住宅ローン控除を受ける年分の合計所得金額が、3,000万円以下新築または取得をした住宅の床面積が50平方メートル以上であり、床面積の2分の1以上の部分が住宅部分であること住宅ローンの返済期間が10年以上で分割返済であること居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例など、特殊な税制度を一定期間に渡って受けていないこと中古住宅を購入した場合の住宅ローン控除中古住宅を購入した場合に住宅ローン控除が適用できる条件は、以下の通りです。建築後、使用された住宅であること建物が、建築された日からその取得の日までの期間が20年(マンションなどの耐火建築物の建物の場合には25年)以下地震に対する安全上必要な構造方法に関する技術的基準、または、耐震基準に適合する建物であること購入した中古住宅が、親族や特別な関係のある者などから購入した住宅ではないこと贈与によって取得した中古住宅ではないこと住宅ローンを組んで新築住宅を購入する場合は、さほど大きな注意点は見受けられないのですが、中古住宅を購入する場合で住宅ローン控除の適用を受けられる予定がある方は、購入した中古住宅の築年数や耐震基準など、注意しなければならない点が多いため、あらかじめ気を付けておく必要があります。リフォームをした場合も住宅ローン控除が受けられる住宅ローンを借入して中古住宅を購入される方は、リフォームやリノベーションも住宅ローンやリフォームローンといった借入で行われる方も多いと思いますが、このような中古住宅の購入とリフォームなどをした場合でも住宅ローン控除をそれぞれ受けることができます。なお、リフォームやリノベーションをした場合に住宅ローン控除が適用できる条件は、以下の通りです。住宅の所有者がご自身で、所有している建物について行うリフォームやリノベーションであること以下、いずれかの工事に該当するものであること①増築、改築、建築基準法に規定する大規模な修繕または大規模の模様替えの工事②マンションの場合は、ご自身が区分所有する部分の床、階段または壁の過半について行う一定の修繕・模様替えの工事③居室、調理室、浴室、便所、洗面所、納戸、玄関または廊下の一室の床または壁の全部について行う修繕・模様替えの工事④バリアフリー改修工事⑤一定の省エネ改修工事⑥地震に対する安全性に係る基準に適合させるための一定の修繕・模様替えの工事リフォームやリノベーションの日から6か月以内に住み、住宅ローン控除の適用を受ける年の12月31日まで引き続いて住んでいること住宅ローン控除を受ける年分の合計所得金額が、3,000万円以下リフォームやリノベーションをした住宅の床面積が50平方メートル以上であり、床面積の2分の1以上の部分が住宅部分であることリフォームやリノベーションをした工事費用が100万円を超えており、その2分の1以上の額が住宅改修にかかる工事費用であること住宅ローンの返済期間が10年以上で分割返済であること居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例など、特殊な税制度を一定期間に渡って受けていないこと中古住宅を購入してリフォームやリノベーションも合わせて行った場合で住宅ローン控除を受ける場合は、すまい給付金や地方自治体からの補助金が絡む兼ね合いも十分考えられるため、工事費用には、特に注意が必要と言えます。住宅ローン控除の適用は、初年度のみ確定申告が必要住宅ローンの借入をして新築住宅や中古住宅を購入した場合をはじめ、リフォームやリノベーションをした場合で、初めて住宅ローン控除の適用を受ける年は、確定申告をしなければ住宅ローン控除の適用を受けることはできません。また、確定申告の際には、作成した確定申告書のほかにも、住宅ローン控除を受けるための必要書類も忘れずに添付する必要があります。なお、確定申告は、原則として、翌年2月16日から3月15日までの間に行わなければならないことになっているため、上記の確定申告期間中に確定申告を間に合わせるためにも、後述する必要書類をあらかじめしっかりと確認して準備することが大切です。確定申告で住宅ローン控除を受けるための必要書類確定申告で住宅ローン控除を受けるための必要書類は、以下の通りです。確定申告書(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書住宅ローンの残高証明書土地や建物の登記事項証明書土地や建物の売買契約書の写し住民票の写し給与所得者の場合は、源泉徴収票マイナンバーおよび運転免許証など身分証明書の写しなお、中古住宅を購入した場合は、耐震基準適合証明書または、住宅性能評価書の写しが紹介した書類に加えて必要なほか、リフォームやリノベーションを行った場合は、工事業者からの工事証明書や工事請負契約書の写しも必要になります。また、新築住宅、中古住宅に関わらず、すまい給付金や地方自治体からの補助金(助成金)を受けた場合は、それらを受けた明細書(無ければ支給を受けた通帳の写しなどでも可能)も添付しなければならないため、確定申告をする際は、やはり、時間と余裕を持って計画的に必要書類を準備することがとても大切になります。2年目からの住宅ローン控除は、確定申告不要住宅ローン控除の適用を受ける上で、初年度は、必要書類を添えて確定申告をしなければならないため、時間や手間がどうしてもかかってしまうのですが、2年目から10年目までの期間は、確定申告をしなくても年末調整で住宅ローン控除の適用が可能です。そのため、会社員や公務員のように勤務先が行う年末調整で1年間の税金の精算が終了する方は、税務署から郵送される(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書と金融機関が発行する住宅ローンの残高証明書を添付して年末調整をすることで、引き続き、住宅ローン控除の適用がなされることになります。住宅ローンを夫婦で収入合算した場合は、それぞれ確定申告が必要住宅ローンを夫婦で収入合算した場合で、夫婦それぞれが住宅ローン控除の適用を受ける場合は、それぞれ、必要書類を添えて確定申告が必要になります。そのため、先に紹介した住宅ローン控除を受けるための必要書類も夫の分、妻の分といったように2部必要になりますので、業者などが発行する必要書類で写しではなく、原本の提出が必要なものにつきましては、あらかじめ時間の余裕を持って準備と対策をしておくことがとても大切になります。住宅ローン控除の金額は、住宅などの持分によって按分される住宅ローンを夫婦で収入合算した場合は、夫婦が住宅ローンの連帯債務者であれば、それぞれ住宅ローン控除の適用がなされることになりますが、登記をした持分割合に応じた住宅ローン控除が適用となる点に注意が必要です。たとえば、夫婦それぞれが2分の1ずつ土地や住宅の持分があったと仮定し、12月31日時点で2,500万円の住宅ローン残高があったとします。この時、夫の債務および妻の債務は、それぞれ1,250万円(2,500万円×2分の1)ずつとなり、住宅ローン控除の金額もそれぞれ12.5万円(1,250万円×1%)となります。初めて確定申告をして住宅ローン控除の適用を受ける場合、確定申告書に添付する(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書には、ご自身の持分のみの金額を記入することになりますので、この辺には注意が必要と言えるでしょう。確定申告で住宅ローン控除を受けるための方法まとめ確定申告で住宅ローン控除を受けるための方法を解説させていただきましたが、以下、要点をざっくりまとめます。住宅を購入した年の翌年2月16日から3月15日までの間に確定申告を行わなければ住宅ローン控除が適用できない購入した住宅の種類によって、住宅ローン控除の適用条件や必要書類が異なるため注意時間に余裕を持って確定申告や必要書類の準備をする住宅ローン控除の適用を受ける方の中には、確定申告も住宅ローン控除の手続きも初めてという方も多いと思いますが、わからない場合や不安な場合は、ご自身が住んでいる地域を管轄している税務署へ尋ねてみるのも効果的です。直接話を聞きながら手続き方法を教えてもらうことで、安心で確実な確定申告ができることにつながるとも考えられます。
2019年01月12日年末調整で、1月1日から12月31日までの1年間に支払った国民年金保険料は、社会保険料控除として所得控除の対象になります。そのため、勤務先から年末調整の時期になると渡される、給与所得者の保険料控除申告書へ記入し、控除証明書などを添付することで、1年間に支払った国民年金の全額を所得控除することができます。一般に、会社員や公務員などのように、厚生年金保険へ加入している方であれば、直接、国民年金保険料を支払うことはありませんが、実のところ、子供をはじめとした生計を同一にしている方の国民年金を代わりに支払ったとしても、控除の対象になります。そこで本記事では、年末調整と国民年金の関係性を中心に、絶対に押さえておきたいポイントをまとめて紹介します。そもそも社会保険料控除とは何か社会保険料控除について、国税庁のWEBサイトでは、以下のように記述しています。納税者が自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族の負担すべき社会保険料を支払った場合には、その支払った金額について所得控除を受けることができます。これを社会保険料控除といいます。控除できる金額は、その年に実際に支払った金額又は給与や公的年金から差し引かれた金額の全額です。出典:国税庁No.1130 社会保険料控除ざっくりポイントをまとめますと、自分や配偶者、子供、両親など、生計を同一にしている方が負担しなければならない社会保険料を支払った場合は、支払った金額の全額を所得控除できるとしています。なお、社会保険料控除の対象となるものには、雇用保険料、健康保険料、厚生年金保険料といった給料から天引きされる社会保険料をはじめ、国民年金、国民健康保険料(税)、国民年金基金や厚生年金基金の掛金などがあります。大切なポイントは、社会保険料控除の適用を受けられる方は、社会保険料を納めなければならない本人のみに限定されていない部分です。そのため、たとえば、20歳以上の大学生や短大生などといった学生が納めなければならない国民年金を親が代わりに支払った場合、その支払った国民年金について、親が年末調整で社会保険料控除を受けられることを意味します。年末調整で支払った国民年金の控除を受けるためには国税庁平成30年分給与所得者の保険料控除申告書年末調整で支払った国民年金の控除を受けるためには、給与所得者の保険料控除申告書(上記イメージ図の赤枠部分)に必要事項を記入し、併せて、毎年秋ごろになりますと、日本年金機構より郵送される社会保険料(国民年金保険料)控除証明書を添付することで適用が受けられます。具体的な書き方の一例として、以下の前提条件で国民年金を支払った場合をイメージ図と共に紹介しておきます。平成30年の1月1日から12月31日までの1年間において、国税太郎さんは、国税一郎さん(20歳以上の大学生)の国民年金を代わりに納付した平成30年1月から3月までの1ヶ月あたりの国民年金は、月額16,490円平成30年4月から12月までの1ヶ月あたりの国民年金は、月額16,340円これだけ記入すれば完了となりますので、とても簡単に手続きが行えます。もしも、国民年金の控除証明書が年末調整に間に合わない場合は国民年金を支払ったのにも関わらず、時として、社会保険料(国民年金保険料)控除証明書を紛失してしまった場合や破棄してしまったなどの理由で年末調整の際に、控除証明書の添付が間に合わない場合があるかもしれません。このような場合は、社会保険料(国民年金保険料)控除証明書でなくても、実際に国民年金を納めた時の控えなど、支払ったことを証明する書類を添付しても差し支えありません。(この方法を活用する場合は、控えの写しを手元に残しておきましょう)国民年金の保険料及び国民年金基金の掛金に係る社会保険料控除の適用については、その保険料又は掛金の金額を証する書類を、確定申告書又は年末調整の際に提出する「給与所得者の保険料控除申告書」に添付するか、これらの申告書を提出する際に提示する必要があります。出典:国税庁No.1130 社会保険料控除1年間に支払った国民年金について、社会保険料控除の適用を受けるためには、社会保険料(国民年金保険料)控除証明書が必要とは書かれておらず、保険料又は掛金の金額を証する書類と書かれています。なお、筆者自身も過去に社会保険料(国民年金保険料)控除証明書に代えて、国民年金を支払った際に受け取った控えを添付して控除の適用を受けたことがありますが、何ら問題はありませんでしたので、極度の心配をする必要はないでしょう。確定申告でも社会保険料控除は適用できる国民年金の控除証明書が、年末調整に間に合わない場合のほか、すでに年末調整が終わった後に社会保険料控除の適用ができることに気が付いた場合は、翌年2月16日から3月15日までの確定申告期間中に確定申告をすることで控除の適用も可能です。会社員や公務員といった普段から確定申告をしない方にとってみますと、確定申告をすることは、時間と手間がかかってしまい面倒だと思われるかもしれませんが、社会保険料控除は、支払った全額が所得控除の対象となるため、節税効果は高めです。ちなみに、確定申告で社会保険料控除の適用を受けますと、所得税の還付に加え、翌年、給料から天引きされる住民税の金額にも好影響を及ぼすことになるため、控除が適用できる場合は、率先して忘れずに手続きされることをおすすめします。国民年金は、あくまでも納めた年の控除対象になる国民年金を納めることによって、社会保険料控除の対象になることがわかりましたが、これは、あくまでも、実際に国民年金を納めた年の控除対象になるため、未納や免除期間分の国民年金は、社会保険料控除の対象外となります。たとえば、先の例で、国税太郎さんは、国税一郎さんが納めるべき平成30年の国民年金を実際に納めたからこそ、社会保険料控除の対象となっていることを意味しており、これが未納である場合や学生納付の特例を活用した免除申請を受けた場合は、社会保険料控除の対象外となるわけです。逆に言えば、平成29年分の国民年金が未納の状態であったものの、平成30年中に未納の国民年金を納めた場合は、平成30年中に支払った国民年金の全額について社会保険料控除の対象となることになります。同じく、免除申請を受けていた国民年金を実際に納めた場合も同様の取り扱いとなります。Q1生計を一にしている子供の国民年金保険料を過去3年分まとめて支払いましたが、その支払った全額を私の本年分の社会保険料控除の対象としてよいでしょうか。A1本年中に支払ったものであれば、過去の年分のものであっても本年分の社会保険料控除の対象になります。出典:国税庁No.1130 社会保険料控除国民年金は、未納や免除分も含めて、支払った年の社会保険料控除になるため、年末調整や確定申告で控除の適用を忘れないように心掛けておきたいものです。夫婦のいずれかが自営業者で、事業所得が少ない場合は節税になることも夫婦共働き世帯が多い現在において、夫婦のいずれかが自営業者で、もう一方は会社員や公務員といったケースも考えられます。仮に、このような場合で事業の所得(儲け)が少ない場合や赤字の場合は、会社員や公務員である方へ国民年金を支払った社会保険料控除を適用した方が、世帯にとって有利になる場合も十分に予測できます。仮に、このような特殊な事情がある場合は、一度、専門家を通じて再確認されてみるのをおすすめします。まとめ年末調整と国民年金の関係性を中心に解説を進めてきましたが、絶対に押さえておきたいポイントは、以下の通りです。1月1日から12月31日までの1年間に支払った国民年金は、社会保険料控除の対象支払った国民年金は、本人だけではなく、配偶者や子供など生計同一の方が負担するべきものであれば、年末調整や確定申告で控除が可能国民年金は、あくまでも納めた年の控除対象になるため、過去に未納や免除を受けたものを納めることで控除金額が増加し、納めるべき税金が少なくなる夫婦のいずれかが自営業者で、事業所得が少ない場合は節税になることもあるため、社会保険料控除の適用が適切か再確認する押さえておきたいポイントは、決して難しいものではありませんので、いま一度確認していただきまして、今後に活かしてもらえればと思います。
2018年12月28日年末調整で生命保険料控除の適用を受けるためには、毎年秋ごろになると、加入している保険会社から郵送で送られてくる生命保険料控除証明書を添付し、給与所得者の保険料控除申告書と呼ばれる書類に必要事項を記入して勤務先に提出する必要があります。通常、生命保険料控除は、基本的に何かしらの生命保険に加入している方が適用を受けることができる所得控除であり、多くの方にとって馴染み深いものであると思われますが、筆者の実務経験上、賢く活用できていない場合も多く目にします。そこで本記事では、年末調整で生命保険料控除を賢く適用するためのポイントを紹介し、併せて、夫婦共働きに多いもったいない事例も紹介します。生命保険料控除の基本的なポイント年末調整で生命保険料控除を賢く適用するためのポイントを知るためには、まず、生命保険料控除の基本的なポイントを知っておくことが大切です。ここで紹介する生命保険料控除の基本的なポイントは、すでに多くの皆さまがご存知のことも多いと思いますが、再確認といった意味合いも含めて目通しいただければと思います。生命保険料控除は、新制度と旧制度の2つに分けられる生命保険料控除は、保険契約をした時期が、平成24年1月1日以後なのか、平成23年12月31日以前なのかによって、新制度なのか旧制度なのかに分けられ、生命保険料控除の金額が異なる特徴があります。新制度(平成24年1月1日以後の保険契約)旧制度(平成23年12月31日以前の保険契約)新制度の生命保険料控除は3種類、旧制度の生命保険料控除は2種類新制度の生命保険料控除は、大きく、一般用、介護医療用、個人年金用といった3種類に分けられ、旧制度の生命保険料控除は、大きく一般用と個人年金用の2種類に分けられる特徴があります。また、1つの種類ごとに、先に紹介した計算式にあてはめた生命保険料控除が適用されることになるため、新制度では、最大で120,000円の生命保険料控除が適用でき、旧制度では、最大で100,000円の生命保険料控除が適用できます。ちなみに、支払った生命保険料が、どちらの制度で、どの生命保険料控除の対象となるかわからないといった方もおられると思いますが、こちらにつきましては、保険会社などから送られてくる生命保険料控除証明書に必ず記載されておりますので、それを見ることによって確認することができます。以下、制度の確認の仕方になります。損保ジャパン日本興亜ひまわり生命生命保険料控除証明書【見本】生命保険料控除証明書は、それぞれの保険会社によって書式が異なりますが、旧制度と新制度といった文言が必ず記載されているほか、一般用、介護医療用、個人年金用といった文言も必ず記載されています。上記イメージ図の場合ですと、旧制度の欄に支払った保険料の金額が記載されているため、旧制度の対象となる生命保険契約であることがわかります。また、一般用という文言が記載されていることから、この保険契約は旧制度で一般用の生命保険料控除が対象になると判断することができます。仮に、上記の保険契約のみである場合、1年間に支払った保険料は、282,850円(申告額)となるため、以下の表にあてはめますと、生命保険料控除は、50,000円となります。旧制度(平成23年12月31日以前の保険契約)生命保険料控除を適用するための給与所得者の保険料控除申告書の書き方冒頭でもお伝えしましたように、年末調整で生命保険料控除の適用を受けるためには、保険会社から送られてくる生命保険料控除証明書を添付し、給与所得者の保険料控除申告書と呼ばれる書類に必要事項を記入して勤務先に提出する必要があります。ここでは、一例として、先に紹介した生命保険料控除証明書を実際に、給与所得者の保険料控除申告書へ記入したものを流れに沿って紹介します。給与所得者の保険料控除申告書と生命保険料控除証明書を用意するはじめに、勤務先から渡された給与所得者の保険料控除申告書と加入している保険会社から届いたすべての生命保険料控除証明書を用意します。紹介する例は、1枚のみですが、すべての生命保険料控除証明書を用意しておきましょう。生命保険料控除証明書を見ながら給与所得者の保険料控除申告書へ記入する赤枠の部分が、生命保険料控除の適用を受けるために記入する欄となります。向日葵太郎さんの加入している生命保険は、旧制度の一般用に該当しますので、一般の生命保険料の欄に記入します。なお、保険会社等の名称や保険等の種類は、生命保険料控除証明書に記載されておりますので、その通りに記入することで足ります。生命保険料控除の計算式も記載されているため、すでに紹介した新制度なのか旧制度なのかを確認し、一般用、介護医療用、個人年金用を確認できれば、後は、それぞれの欄に同じように記入することで作成が簡単にできます。実務上、夫婦共働きに多いもったいない事例を紹介生命保険料控除は、多くの皆さまにとって馴染み深い所得控除ですが、その一方で、賢く生命保険料控除を適用できていないケースが見受けられます。ここでは、筆者個人の実務経験によるものとなりますが、平成30年中に実際にあった相談事例の中から、生命保険料控除を賢く適用できていなかった2つの事例を紹介させていただきます。①保険契約者の名義のまま生命保険料控除を適用していたやはり今年もありました、というのが筆者の率直な感想なのですが、筆者は、独立系FPという職業柄、ライフプランニングの相談などでお客様の源泉徴収票や加入している保険証券の内容を見ることがあります。この時、これらの情報から生命保険料控除を賢く適用できていないことが簡単に確認できるのですが、受け取った生命保険料控除証明書を保険契約者の名義のまま適用することによって、世帯全体で節税できていない場合が多く見受けられます。たとえば、2人の子供に対する学資保険に加入していて、それぞれ1年間で150,000円ずつ学資保険料を支払っていたとします。(わかりやすくするために、学資保険のみに加入しているものとします)この時、夫婦共働きで、かつ、保険契約者が夫、いずれの学資保険も新制度であった場合の生命保険料控除は、以下のように適用している場合が多く見受けられます。仮に、夫婦共働きである場合、せっかく妻も生命保険料控除を適用できるのにも関わらず、保険契約者でなければならないと勘違いしていて、賢く生命保険料控除を適用できないのは、非常にもったいないことです。なお、夫が支払った学資保険の生命保険料控除について、妻も適用を受けられる根拠は、以下、国税庁が回答している通りです。【照会要旨】当社の従業員Aは、妻Bが契約者となっている生命保険の保険料を支払ったとして、妻B名義の生命保険料控除証明書を添付した保険料控除申告書を提出してきました。当社で年末調整を行う際に、その保険料を生命保険料控除の対象としてよいでしょうか。なお、その生命保険の被保険者及び満期保険金の受取人はB、死亡保険金の受取人はAとなっています。【回答要旨】Aがその保険料を支払ったことを明らかにした場合は、生命保険料控除の対象として差し支えありません。生命保険料控除は、居住者が一定の生命保険契約等に係る保険料又は掛金を支払った場合に総所得金額等から控除することができます(所得税法第76条第1項)。この生命保険契約等については、その保険金等の受取人の全てがその保険料等の払込みをする者又はその配偶者その他の親族(個人年金保険契約等である場合は、払込みをする者又はその配偶者)でなければなりませんが、必ずしも払込みをする者が保険契約者である必要はありません(所得税法第76条第5項、第8項)。したがって、保険契約者が保険料を支払うのが通例ですが、契約者の夫であるAが支払ったことを明らかにした場合には、Aの生命保険料控除の対象となります。出典:国税庁 妻名義の生命保険料控除証明書に基づく生命保険料控除通常、1つの保険契約に対して1つの生命保険料控除証明書が発行されるため、2人の子供の学資保険に対する生命保険料控除もそれぞれ1枚ずつになります。したがって、以下のように割り振りして生命保険料控除を適用したとしても、国税庁は差し支えないとしています。世帯全体で加入している生命保険を賢く割り振りすることによって、節税対策となることに加え、配偶者は、保険契約者でなくても生命保険料控除が適用できる点も押さえておきたいポイントと言えます。新制度と旧制度のどちらも対象になっているのにも関わらず、新制度のみ適用新制度と旧制度では、生命保険料控除の対象金額が異なりますが、新制度では、1年間に100,000円を超えて生命保険料を支払った場合、一律50,000円の生命保険料控除が適用でき、旧制度では、1年間に80,000円を超えて生命保険料を支払った場合、一律40,000円の生命保険料控除が適用されます。仮に、新制度と旧制度でいずれも100,000円を超えて生命保険料を支払った場合は、合わせて90,000円(新制度40,000円+旧制度50,000円)とはならず、いずれか大きい方の生命保険料控除が適用されます。そのため、このような場合ですと、旧制度の生命保険料控除は確実に適用されるようにしておく必要があるのですが、実際の相談事例において、なぜか、旧制度の生命保険料控除を適用せずに、新制度のみを適用しているケースがありました。仮に、旧制度の一般用や個人年金用の生命保険料控除が適用できる場合には、新制度よりも優先して適用するように心掛けておきたいものです。まとめ年末調整で生命保険料控除を賢く適用するためのポイントについて、実際にあった相談事例を紹介しながらポイントを解説させていただきました。生命保険料控除は、実際に適用される所得控除の上限金額が大きいとは言えないものの、さまざまな種類の生命保険に加入している方が多いことを踏まえますと、賢く適用するための工夫は、極めて大切になります。夫婦共働きの場合や多くの種類の生命保険へ加入されている方は、本記事をきっかけに、一度、ご自身が適用している生命保険料控除が無駄なく適用されているのか確認されてみることをおすすめします。
2018年12月27日配偶者控除や配偶者特別控除は、1月1日から12月31日までの1年間において、配偶者の収入(所得)が一定金額の範囲内であれば、適用することができる税金の軽減制度です。平成30年4月より、この配偶者控除や配偶者特別控除の範囲が広がったことに伴い、これまでよりも多くの方が、控除の対象になることが予測され、併せて、年末調整において、新たに給与所得者の配偶者控除等申告書と呼ばれる書類を記入し、勤務先に提出する必要が生じました。そこで本記事では、年末調整で配偶者控除や配偶者特別控除を適用するために必要な基本的な部分を解説し、併せて、給与所得者の配偶者控除等申告書の書き方についても紹介していきます。配偶者控除・配偶者特別控除とは配偶者控除および配偶者特別控除とは、夫や妻を扶養している場合に適用することができる所得控除にあたり、所得税や住民税を軽減させることができる制度のことを言います。ただし、配偶者控除または配偶者特別控除の適用を受けるためには、本人の収入金額(所得金額)と配偶者の収入金額(所得金額)のいずれも一定の条件にあてはまっていなければならなくなりました。国税庁平成 30 年分以降の配偶者控除及び配偶者特別控除の取扱いについて上記表を参考に、仮に、本人および配偶者の収入が給料のみの方で、配偶者控除または配偶者特別控除の適用を受ける条件をまとめますと以下のようになります。本人の1年間の年収(給与)が1,220万円以下であること配偶者の年収(給与)が201.6万円未満であること上記2つの条件をどちらも満たしていることで、配偶者控除または配偶者特別控除のいずれかが適用できることになります。くどいようですが、上記は、本人および配偶者が給与収入のみである場合を前提としているため、たとえば、株式投資などによる配当所得がある場合やその他の所得がある場合におきましては、精査確認が必要となりますので、専門家にあたる税理士や税務署へ尋ねるようにして下さい。年末調整で配偶者控除や配偶者特別控除を適用するための方法ここからは、多くの皆さまが気になる年末調整で配偶者控除や配偶者特別控除を適用するための方法をいくつかの具体例をあげて紹介していきたいと思います。配偶者控除が適用できる具体例まずは、配偶者控除が適用できる具体例について、以下の前提条件のもと、具体的な流れと共に紹介していきます。平成30年中における国税太郎さんの給与収入は800万円とします平成30年中における国税花子さん(太郎さんの配偶者)の給与収入は140万円とします花子さんの年齢は、70歳未満であるものとします住所・生年月日・マイナンバーは仮のものです配偶者控除を適用する方は、国税太郎さんをご自身に置き換えて考えていくと、よりイメージがわきやすくなると思います。給与所得者の配偶者控除等申告書へ必要事項を記入する給与所得者の配偶者控除等申告書へ氏名、住所、配偶者の氏名、配偶者のマイナンバーなど必要事項を記入しておきます。国税太郎さんの収入と所得を記入する1年間の収入800万円を収入金額等の欄へ記入し、給与所得者の配偶者控除等申告書の裏面に記載されている3.所得の区分を下に、所得金額を計算します。800万円×90%-120万円=600万円(給与所得)配偶者控除の適用を受けるための判定をする国税太郎さんは、給与所得が600万円で、他の所得がないため、本年中の合計所得金額の見積額に600万円と記入し、Aの欄にレ点チェックを入れ、併せて、右欄の区分IにAと記載します。国税花子さんの収入と所得を記入する1年間の収入140万円を収入金額等の欄へ記入し、給与所得者の配偶者控除等申告書の裏面に記載されている3.所得の区分を下に、所得金額を計算します。140万円-65万円=75万円(花子さんの給与所得)配偶者控除の適用を受けるための判定をする国税花子さんは、給与所得が75万円で、他の所得がないため、配偶者の本年中の合計所得金額の見積額に75万円と記入します。花子さんは、年齢が70歳未満ですので、②にあてはまることから、②へチェックを入れ、併せて、右欄の区分Ⅱに②と記載します。国税太郎さんと国税花子さんの判定から配偶者控除金額を確認する国税太郎さんは、区分IのA(青色枠)で、国税花子さんは、区分Ⅱの②(ピンク枠)でしたので、これらが交わる金額が配偶者控除の金額となります。この判定の結果、国税太郎さんは、38万円の配偶者控除の適用が可能だとわかります。以下、給与所得者の配偶者控除等申告書を記入後の完成イメージとなります。配偶者特別控除が適用できる具体例今度は、配偶者特別控除が適用できる具体例について、以下の前提条件の下、具体的な流れと共に紹介していきます。平成30年中における国税太郎さんの給与収入は800万円とします平成30年中における国税花子さん(太郎さんの配偶者)の給与収入は170万円とします花子さんの年齢は、70歳未満であるものとします住所・生年月日・マイナンバーは仮のものです先に紹介した配偶者控除と同じ流れの部分については省略させていただきまして、異なる部分のみを紹介していきますので、あらかじめご留意下さい。国税花子さんの収入と所得を記入する1年間の収入170万円を収入金額等の欄へ記入し、給与所得者の配偶者控除等申告書の裏面に記載されている3.所得の区分をもとに、所得金額を計算します。①:(A)÷4(千円未満切捨て)=(B)⇒②:(B)×2.4=(C)上記計算式にあてはめて計算します。170万円÷4(千円未満切捨て)=42.5万円5万円×2.4=102万円(花子さんの給与所得)配偶者控除の適用を受けるための判定をする国税花子さんは、給与所得が102万円で、他の所得がないため、配偶者の本年中の合計所得金額の見積額に102万円と記入します。花子さんの本年中の合計所得金額は、102万円ですので、④にあてはまることから、④へチェックを入れ、併せて、右欄の区分Ⅱに④と記載します。国税太郎さんと国税花子さんの判定から配偶者控除金額を確認する国税太郎さんは、区分IのA(青色枠)で、国税花子さんは、区分Ⅱの④(ピンク枠)となりますが、花子さんの本年中の合計所得金額は、102万円ですので、④の内、100万円超105万円以下の欄に該当します。これらが交わる金額が、配偶者特別控除の金額となりますが、判定の結果、国税太郎さんは、21万円の配偶者特別控除の適用が可能だとわかります。配偶者特別控除の適用は、配偶者の収入に特に注意が必要配偶者控除や配偶者特別控除が適用できる場合と給与所得者の配偶者控除等申告書の書き方について紹介をさせていただきましたが、配偶者特別控除の適用を受ける場合には、配偶者の収入に特に注意が必要です。これは、配偶者特別控除の金額は、配偶者の収入によって段階的に異なっているところにあるためです。たとえば、先の例において、国税花子さんの年収は170万円であるものとして配偶者特別控除を計算し、その結果、国税太郎さんは、21万円の配偶者特別控除の適用を受けられることがわかりました。仮に、国税花子さんの年収が170万円ではなく、176万円だった場合は、どうでしょう?年収がたった6万円しか変わらないだけで、配偶者特別控除の金額が異なっていることがわかります。この部分が極めて重要であり、配偶者の1年間の収入金額が正確でなければ、実際に適用した配偶者特別控除の金額と本来適用になる配偶者特別控除の金額に差異が生じてしまうことになります。このようなことになってしまいますと、結果として修正申告などのやり直しが必要になってくるため、かえって時間や手間がかかってしまいます。そのため、特に、配偶者特別控除を適用する場合におきましては、配偶者の1年間の収入が確定している状態で適用をすることが望ましく、12月の給与や賞与の計算が完了した後の1年間の正確な収入金額を下に計算するのが良いと筆者は感じています。まとめ年末調整で配偶者控除や配偶者特別控除を適用するのは簡単ですが、本人と配偶者の判定が必要になるため、少々の手間がかかるのは確かです。配偶者控除の適用を受ける側であれば、いわゆる高所得者でなければ特別の問題が生じることはありませんが、対象となる配偶者に収入がある場合は、金額や所得の種類を詳しく精査する必要性が生じます。そのため、配偶者控除や配偶者特別控除の適用を受ける方は、配偶者の収入や所得に注意して適用を受けるように心掛けておくようにしたいものです。
2018年12月27日年末調整で扶養控除の適用を受けるためには、勤務先から渡される給与所得者の扶養控除等(異動)申告書へ扶養している方の年齢やマイナンバーを記入する必要があります。通常、扶養控除が適用できる一般的なケースには、子供が高校生や大学生などで扶養していることに加え、年金生活の両親を扶養している場合などが多いと思われますが、何よりも、どのような場合に扶養控除が適用できるのか、ポイントをしっかりと押さえておくことが大切です。そこで本記事では、扶養控除の基本的なポイントの紹介をはじめ、給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の書き方や扶養控除が適用できるケースも広く紹介していきます。扶養控除とは?国税庁のWEBサイトでは、扶養控除について、納税者に所得税法上の控除対象扶養親族となる人がいる場合には、一定の金額の所得控除が受けられますと記載しています。ここで言う控除対象扶養親族とは、その年の12月31日時点で以下、5つの要件にすべてあてはまっている人のことを言います。配偶者以外の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族)または、都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人であること納税者と生計を一にしていること年間の合計所得金額が38万円以下(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないことまたは白色申告者の事業専従者でないこと年齢がその年の12月31日時点で、年齢が16歳以上であること上記の内容をざっくりまとめますと、収入がない家族(親族)や収入の少ない家族(親族)を扶養している場合で、年齢が16歳以上であれば、扶養控除の対象になるといったことになります。なお、0歳から15歳までの子供を育てている方は、子供を扶養控除の対象にすることはできませんが、その代わりとして、児童手当が支給される仕組みになっています。扶養控除は、年齢や同居の有無によって所得控除の金額が異なる扶養控除は、その年の12月31日時点での年齢が16歳以上の方で、先に紹介した要件に当てはまる方が対象となりますが、年齢や同居の有無によって所得控除の金額が異なる特徴があります。平成30年12月現在の法令に基づき筆者作成おもなポイントとして、19歳以上23歳未満といった大学生、短大生、専門学校生に多い年齢の方を扶養している場合は、扶養控除の金額が大きくなっていることに加え、70歳以上の両親や祖父母を扶養している場合も扶養控除の金額が大きいところにあります。通常、大学生、短大生、専門学校生は、教育費が多くかかる年ごろであり、70歳以上ですと、医療や介護にかかるお金が多くなるとも考えられ、このような方々を扶養している方には、厚みのある優遇がなされていると見ることもできます。また、ご自身と血のつながった両親や祖父母は、直系尊属にあたるため、同居をして扶養している場合は、同居していない場合に比べて厚みのある優遇がなされていることもわかります。扶養控除を適用するための給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の書き方扶養控除の基本的なポイントについてお伝えしたところで、ここでは、扶養控除を適用するための給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の書き方について紹介していきます。なお、給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の記載にあたっての家族構成は、以下の表の通りとします。なお、生年月日は記入省略、住所やマイナンバーの記入は仮のものとし、国税太郎さんは、家族全員を扶養しているものとします。※国税庁 給与所得者の扶養控除等申告書(入力用)より筆者作成国税花子さんは、配偶者にあたるため、源泉控除対象配偶者の欄に記入します。国税一郎さん、国税二郎さん、国税カネさんは、いずれも扶養控除の対象となるため、控除対象扶養親族欄にそれぞれ記入します。なお、一郎さんは19歳のため、特定扶養親族、二郎さんは18歳のため、一般扶養親族(その他)、カネさんは、80歳で国税太郎さんと血のつながった母親であるほか、同居している理由から、直系尊属同居老親になるため、同居老親等にそれぞれレ点を記入します。今回の例では、所得金額はいずれも0円で住所もすべて同じであることから、イメージ図のように記入します。国税三郎さんは、扶養控除の対象外ですが、住民税に関する事項欄への記入が必要となりますので、氏名、マイナンバー、住所等を他の方と同じように記入します。これで作成は完了です。参考:国税太郎さんの配偶者控除と扶養控除は合わせていくら?こちらは参考情報となりますが、国税太郎さんが1年間に適用できる配偶者控除と扶養控除を合わせた金額は、以下の表の通りとなります。扶養控除が適用できる特殊なケースを3つ紹介本記事の最後に、知っておくと得になるかもしれない扶養控除が適用できる特殊なケースを3つ紹介していきたいと思います。筆者個人の相談経験や実務経験で対応したものもいくつか紹介していきますが、知っておくといつかは役に立つかもしれませんので、参考までに目通しいただければと思います。扶養親族が死亡した場合もその年は扶養控除の対象になるこちらは、両親や祖父母を扶養している方に多い事例となりますが、仮に、扶養している両親や祖父母が年の途中で死亡した場合、扶養控除が適用できる12月31日前のことであるため、扶養控除の対象外と思っている方もおられます。しかし、扶養親族が死亡した場合は、死亡の時の現況で判断するため、死亡した時に扶養していた場合は、死亡した方をその年の扶養控除の対象にできる決まりになっています。たとえば、先の例で、国税カネさんが平成30年中に死亡した場合、国税太郎さんは、国税カネさんを扶養の対象とした扶養控除が適用できることを意味しています。遺族年金の支給を受けている年金受給者は、扶養控除の対象となるこちらは、本年、筆者のところへ相談に来たお客様の実際にあった事例となりますが、基本的に65歳以上で遺族年金の支給を受けている年金受給者は、扶養控除の対象となります。遺族年金は、所得税法上、非課税の扱いとなっており、100万円であったとしても200万円であったとしても、金額を問わず、収入とはみなしません。また、65歳以上の遺族年金の支給を受けている年金受給者は、ご自身が受け取る国民年金が仮に満額の支給を受けていたとしても、計算上、所得が0円となります。そのため、65歳以上で遺族年金の支給を受けている年金受給者は、扶養控除の対象となりますので、ご自身の将来の知識として知っておくほか、両親などはどうなのか再確認されてみることをおすすめします。別居の両親などへの仕送りは、形として証拠を残しましょうこちらも、本年、筆者のところへ相談に来たお客様の実際にあった事例となりますが、別居している母親に対して仕送りを行っており、扶養控除の適用を受けられているのを源泉徴収票から確認することができました。珍しいケースだなと率直に感じましたが、別居の両親などへ定期的に仕送りをする場合は、必ず、その仕送りがわかるように、たとえば、銀行口座からの振込のように形として証拠を残しておくことが極めて重要です。こちらに関しましては、別居の両親に仕送りをしたからといって、必ず扶養控除の対象になるとは限らず、場合によっては、贈与の問題にも発展しかねませんので、専門家である税理士や税務署などへ尋ねてみることをおすすめします。まとめ扶養控除の基本的なポイントの紹介をはじめ、給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の書き方や扶養控除が適用できるケースも広く紹介させていただきました。扶養控除は、たとえば、会社員の子供が1年の途中で失業して無職になった場合やこれまで別生計であった両親と同居するようになったなど、特殊な事情が発生した場合は、適用できる可能性があります。そのため、いつもと違って特殊な事情が生じた場合は、扶養控除が適用できるのか確認されてみることがとても大切になります。
2018年12月26日サラリーマンは年末調整書類の「給与所得者の保険料控除申請書」を毎年記入し、保険会社から送られてくる「生命保険料控除証明書」を添付して提出している方が多くいらっしゃいますが、その書類を提出するとどういう効果があっていくら得するのか正確にご存じの方は少ないのではないかと思います。これから、「生命保険料控除」がどういう制度で、どのような効果があるのかをご紹介します。長期間積み重ねると数十万単位で税金の負担が軽減される生命保険料控除のことをよく知り、税制上の優遇制度をしっかり利用しましょう。生命保険料控除ってどういうもの?生命保険料控除とは、払い込んだ保険料に対して一定の金額が生命保険契約者の所得から差し引かれる制度です。所得が低くなることで、所得税、住民税の負担が軽減されます。生命保険料控除は国税庁が定める所得控除の一つです。他には、医療費控除、社会保険料控除、配偶者控除など全部で20項目があります。新制度と旧制度生命保険料控除には新制度と旧制度があり、対象となる保険契約が違っています。生命保険料控除の新制度は「平成24年1月1日以後に契約した生命保険等」が対象になり、旧制度は平成23年12月31日以前の契約が対象です。以下は対象となる保険の区分です。生命保険料控除の対象区分は、新制度には一般生命保険料控除、個人年金保険料控除、介護医療保険料控除、旧制度には一般生命保険料控除、個人年金保険料控除があります。新制度では介護医療保険料控除が新たに加わっています。社会的に介護のニーズが高まり、社会保障に頼らず介護に備えて保険料を負担する方に対して税制上の優遇が受けられるようになりました。その他にも控除額が変更になっているので、次項で新制度と旧制度の控除額をご紹介します。新制度と旧制度の所得税控除額生命保険料控除の控除額は、その年の1月1日から12月31日までに払い込んだ年間払込保険料で決まります。新制度の所得税控除額は以下の式で計算します。新制度(平成24年1月1日以降)の契約で、毎月1万円の保険料を支払っている場合は、年間の支払保険料が12万円です。年間の支払保険料は8万円を超えているので、所得から4万円控除されます。その4万円に所得に応じた税率(5~45%)をかけた金額分の税金が軽減されます。旧制度の所得税控除額は以下の式で計算します。旧契約(平成23年12月31日以前の契約)で、毎月1万円の保険料を支払っている場合は、年間の保険料が12万です。年間の保険料は10万円を超えているので、所得から5万円控除されます。その5万円に所得に応じた税率(5~45%)をかけた金額分の税金が軽減されます。新契約と旧契約の双方について生命保険料控除を適用する場合は、新契約と旧契約の控除額を合計(最高4万円)した金額が控除額です。また、新制度には3つの控除(一般生命保険料控除、個人年金保険料控除、介護医療保険料控除)、旧制度には2つの控除(一般生命保険料控除、個人年金保険料控除)がありますが、それぞれで控除が受けられます。一般生命保険だけでなく、個人年金や介護保険に加入している方は税金の負担がより軽減されます。新制度で3つの控除を受けた場合の所得税の限度額は12万円、2つの控除を受けた場合の所得税の限度額は8万円、1つの控除を受けた場合の所得税の限度額は4万円です。旧制度で2つの控除を受けた場合の所得税の限度額は10万円、1つの控除を受けた場合の所得税の限度額は5万円です。毎年戻ってくるお金は微々たるものかもしれませんが、生命保険は10年以上の長期契約がほとんどです。生命保険に加入されているのであれば、年末調整時や確定申告時に生命保険料控除を申請することで、長期的に考えて数十万のお金が戻って来る場合があります。面倒でも生命保険料控除の申告は行ってください。新制度と旧制度の住民税控除額生命保険料控除は住民税でも利用できます。下表は新制度での住民税の控除額です。下表は旧制度での住民税の控除額です。これらの税率に住民税の税率10%(一律)をかけた金額が実際に負担が軽減される税金の金額です。例えば、新制度で年間10万円の保険料を支払っている方は控除額が2.8万円です。この金額に住民税の税率10%をかけた金額である2,800円の税金の負担が軽減されます。新制度で3つの控除を受けた場合の住民税の限度額は7万円、2つの控除を受けた場合の限度額は5.6万円、1つの控除を受けた場合の限度額は2.8万円です。旧制度で2つの控除を受けた場合の住民税の限度額は7万円、1つの控除を受けた場合の所得税の限度額は3.5万円です。生命保険料控除手続きここからは、生命保険料控除の手続きをご紹介します。生命保険料控除の手続きはサラリーマンと自営業で異なっています。サラリーマンサラリーマンの生命保険料控除は、年末調整の時に「給与所得者の保険料控除申告書」に毎年10月~11月に保険会社から送られてくる「生命保険料控除証明書」を付けて提出することで手続きが完了します。年末調整で生命保険料控除手続きができなかった場合は、確定申告で手続きができます。5年間さかのぼって還付の申告ができるので5年以内の手続きが済んでいない方はまだ間に合いますので申告されてください。自営業自営業の生命保険料控除は確定申告(毎年2月16日~3月15日)で手続きできます。サラリーマン同様、毎年10月~11月に保険会社から送られてくる「生命保険料控除証明書」を添付して確定申告します。平成28年から確定申告にはマイナンバーが必要ですので、確定申告を行う際にはマイナンバーをご用意ください。生命保険料控除でどれくらい負担が軽減されるの?ここでは生命保険料控除で実際どれくらい税金の負担が軽減されるのかをご紹介します。実際軽減される所得税所得税の税率は5~45%と所得により異なっています。生命保険料控除額に下表の税率をかけた金額が生命保険料控除で軽減される所得税です。例えば、新制度で年間10万円の保険料を支払っている方は控除額が4万円です(前項「新制度と旧制度の控除額」表参照)。この4万円に対してご自身の所得が「330万円を超え695万円以下」の場合は税率20%をかけた金額である「8,000円」が生命保険料控除で軽減される所得税です。サラリーマンは年末調整後にこの金額が還付されます。ご注意いただきたいのは、年末調整では還付されるだけでなく、扶養家族が減った場合や賞与が高額になった場合に「不足金額の徴収」が行われる点です。実際軽減される住民税住民税の税率は一律10%です。前項「新制度と旧制度の住民税控除額」で紹介した住民税の控除額に10%をかけた金額が実際に負担が軽減される税金の金額です。例えば、新制度で年間10万円の保険料を支払っている方は控除額が2.8万円です。この金額に住民税の税率10%をかけた金額である2,800円の税金の負担が軽減されます。生命保険料控除で軽減される実際の金額年収が330万円~695万円以下の方が新制度で年間10万円の保険料を支払っている場合は、所得税で8,000円、住民税で2,800円、一年間で合計10,800円の税金負担が軽減されます。これが30年続くと32.4万円です。生命保険は長期間契約が続きます。生命保険料控除は面倒でも毎年申請し、税制上の優遇を受けてください。まとめこれまで「生命保険料控除ってどういうもの?」「生命保険料控除手続き」「生命保険料控除でどれくらい負担が軽減されるの?」をみてきました。一年間の節税効果は少ない金額であっても、長期間生命保険に加入することで小さな金額が積み重なり、数十万円になることがわかりました。生命保険料控除の手続きは難しくないので、サラリーマンの方は年末調整で、自営業の方は確定申告で忘れずに生命保険料控除を申請してください。
2018年12月22日ふるさと納税は、都道府県や市区町村に対して寄附を行った場合に、納めるべき所得税や住民税を減らすことができる制度にあたり、所得税法上では、寄附金控除として所得控除の対象になります。実際のところ、総務省が公開しているふるさと納税のポータルサイトを見ていきますと、一見、税額控除のように感じている方も多いと思いますが、こちらにつきましては、国税庁のWEBサイトや実際に確定申告書をe-taxで作成するとその理由が明白です。そこで本記事では、国税庁が公開している様々な情報を下に、源泉徴収票から実際に確定申告書を作成して、ふるさと納税が、所得税法上、所得控除である理由を検証した結果を紹介していきます。ふるさと納税をした寄附金が、所得税法上、所得控除である理由ふるさと納税をした寄附金が、所得税法上、所得控除である理由は、以下、国税庁が公開しているWEBサイトの寄附金控除について、解説を見ることで確認ができます。国や地方公共団体、特定の公共法人などに寄附をした場合は、確定申告を行うことで、所得税及び復興特別所得税が還付される場合があります。個人が特定寄附金を支出したときは、寄附金控除として所得金額から差し引かれます。個人が支出した政治活動に関する寄附金のうち政党若しくは政治資金団体に対する寄附金又は個人が支出した認定NPO法人等若しくは公益社団法人等に対する寄附金については、1寄附金控除(所得控除)の適用を受けるか、2寄附金特別控除(税額控除)の適用を受けるか、どちらか有利な方を選ぶことができます。出典:国税庁 寄附金を支出したとき 個人が支出した寄附金の控除上記の解説をまとめますと、寄附をした先が、政党・政治資金団体・認定NPO法人等・公益社団法人等であれば、所得控除と税額控除の内、納税負担が軽くなる方を選択しても良いとしています。ふるさと納税の場合は、寄附をした先が、都道府県や市区町村といった地方自治体にあたり、政党・政治資金団体・認定NPO法人等・公益社団法人等にあてはまらないため、税額控除は適用できず、所得控除されることになるというわけです。ふるさと納税が、税額控除として見られる理由も実はあるふるさと納税をした寄附金は、所得税法上、所得控除になることをお伝えしましたが、国税庁のWEBサイトでは、参考情報として、住民税の税額控除についても触れています。個人住民税における寄附金税額控除について都道府県・市区町村や住所地の都道府県共同募金会・日本赤十字社支部に対する寄附金、住所地の都道府県・市区町村が条例で指定した寄附金を支出した場合は、住民税(翌年度)において寄附金税額控除を受けることができます。この寄附金税額控除を受けるには、原則として所得税及び復興特別所得税の確定申告又は住所地の市区町村に簡易な申告書による申告を行っていただく必要があります。出典:国税庁 寄附金を支出したとき 特定寄附金とはふるさと納税は、都道府県や市区町村に対する寄附であることは、すでにお伝えした通りですが、上記の参考情報を見ますと、都道府県・市区町村に対して寄附をした場合で、確定申告など必要な手続きを行った場合、翌年度に納める住民税から直接減額される寄附金税額控除が受けられるとしています。このような理由から、ふるさと納税は、実のところ所得控除と税額控除が入り混じっており、少々複雑でわかりづらい仕組みになっていると考えることができます。ここまでの解説のポイントを以下へまとめます。ふるさと納税を行った寄附金は、所得税法上、所得控除の対象ふるさと納税を行った寄附金は、個人住民税の寄附金税制において税額控除の対象つまり、所得税や住民税といった税金の種類によって、ふるさと納税の寄附金は、取り扱いのされ方が変わることを意味します。源泉徴収票から実際に確定申告書を作成して検証ここからは、実際に国税庁がサンプルとして公開している源泉徴収票を下に、ふるさと納税をしたものと仮定し、e-taxを利用して確定申告を行ったものとしてポイントを紹介していきます。国税庁 平成30年 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引上記の源泉徴収票を下に、国税太郎さんが、平成30年中にふるさと納税を7万円寄附したものとし、確定申告書をe-taxを利用して作成していくものとします。源泉徴収票の支払金額と確定申告書の収入金額等の給与の金額が合致しています。また、源泉徴収票の給与所得控除後の金額と確定申告書の所得金額も合致していることが確認できます。源泉徴収票の所得控除の額の合計額と確定申告書の(16)が合致しています。また、ふるさと納税を70,000円行ったことによって、所得控除として68,000円の寄附金控除の適用がされていることが確認できます。ふるさと納税を行って寄附金控除の適用を受けた結果、国税太郎さんが納めるべき所得税は、161,600円であることが確認できます。ただし、住宅ローン控除が140,000円あるため、直接差し引いた21,600円が納めるべき所得税となり、これに2.1%を乗じた金額453円を加えた22,053円が納めなければならない税金ということになります。国税太郎さんは、すでに所得税と復興特別所得税を合わせて28,900円納めているのですが、ふるさと納税を行ったことによって、本来納めるべき税金は、22,053円で済むことになりました。つまり、28,900円から22,053円を差し引いた6,847円が本来納めるべき税金よりも多く納めていることになるため、この金額が還付(戻ってくる)お金となります。手引きが公開されているため、確定申告書をe-taxで作成するのは簡単ふるさと納税の寄附金控除を確定申告で適用することに対して、抵抗がある方は、とても多いと思いますが、実のところ、会社員や公務員のように普段、確定申告と馴染みが無い方であったとしても、手順通りに行うことで、誰でも簡単に確定申告書が作成できる手引き(マニュアル)が公開されています。こちらにつきましては、同サイト内で公開している別の記事で紹介しておりますので、併せて読み進めてみることをおすすめします。確定申告が無理そうな方は、ワンストップ特例制度の活用を検討しましょうふるさと納税の節税効果を受けるには、すでに紹介した確定申告を行うほかにも、ワンストップ特例制度を活用するといった方法もあります。ワンストップ特例制度とは、基本的に確定申告が不要となっている会社員や公務員などのように、給与の支給を受けている方が制度の対象で、この制度を活用しますと、確定申告を行わなくとも、先に紹介した個人住民税における寄附金税額控除を受けることができます。ただし、ワンストップ特例を活用するには、ふるさと納税をする地方自治体に対して特例の適用に関する申請書を提出する必要があるほか、その年の1月1日から12月31日までの1年間を通じて、5つ以下の都道府県や市区町村に対して行った場合に活用できるなどの条件があります。なお、ふるさと納税の節税効果は、確定申告を行ったとしても、ワンストップ特例制度を活用したとしても、節税効果は同じになるため、特に、会社員や公務員の皆さまは、どちらの方法も確認した上で、活用しやすい方を選ぶのが望ましいでしょう。まとめふるさと納税を行った寄附金は、所得税法上では所得控除となり、個人住民税の寄附金税制においては税額控除となることがわかりました。所得控除・税額控除のいずれにしましても、ふるさと納税の節税について、確定申告をした場合もワンストップ特例制度を活用した場合も効果が同じところが大きなポイントになります。ただし、所得税の還付金や住民税の税額控除される金額は、確定申告を行った場合とワンストップ特例制度を活用した場合では、金額が異なるため、どのように異なるのか、比較したものを確認しておくことも大切です。この辺の比較シミュレーションも公開しておりますので、本記事と併せて、以下、記事を読んでみることを強くおすすめします。
2018年12月05日住まいを購入する際には、住宅ローンを組む人が大半です。そして、住宅ローンには控除があります。住宅ローン控除とは、年末の住宅ローン残高または住宅の取得対価のうちの少ない方の金額の1%が10年間に渡り所得税の額から控除されるというものです。控除は入居した年分の所得税から適用されます。申請には要件がありますので、すべての条件を満たしていないと控除が受けられません。売買契約が終わってから、要件から外れている物件だと分かり、慌てる人もいます。どんな場合だと控除が受けられないのか、チェックポイント3つをご紹介いたします。■ 1. 床面積は何平米か?住宅ローンは控除が適用されるのは、延床面積、または専有面積が50平米以上、240平米以下までです。IYO / PIXTA(ピクスタ)少しでもここから外れてしまうと控除は受けられません。物件を購入するときは、あらかじめ何平米あるのかをチェックしましょう。面積は登記事項証明書に記載されている広さで判断します。吉野秀宏 / PIXTA(ピクスタ)店舗や事務所と併用の住居の場合は、床面積の1/2以上は居住用であることも要件に加わってきますので、図面等で確認をしましょう。マンションの場合は、要注意です。購入するときにもらう、物件資料に記載されている面積と、登記事項証明書に記載されている面積が異なるケースが多いからです。面積の違いは、面積の測り方の違いにより起こります。freeangle / PIXTA(ピクスタ)床面積の表示方法は「内のり面積」と「壁芯面積」によるものがあります。「内のり面積は」は、壁の内側から水平方向の壁の内側までを測り、「壁芯面積」は、壁の中心から水平方向の壁の中心までを測ります。登記事項証明書に記載されている面積は、内のり面積です。■ 2. 築何年の物件か?耐用年数を超えている物件は、住宅ローン控除にならないので気を付けましょう。木造は20年、それ以外の鉄筋コンクリートは25年となっています。ABC / PIXTA(ピクスタ)自分が購入しようとする物件がどちらに当てはまるかわからない人は、建物の登記事項証明書の「構造」欄に記載されていますので確認を。中古マンションを購入して、リノベーションを考えている人は要注意です。ABC / PIXTA(ピクスタ)安いからといって、あまりに古い物件を購入すると住宅ローンが使えないばかりか、固定資産税評価額が下がるため、あまり融資してもらえなくなります。■ 3. 「居住開始期間」と「税制優遇措置」を確認!居住開始時期と居住期間も控除を受けるための要件になっています。住宅取得の日から6か月以内に居住し、適用を受ける各年の12月31日まで居住し続けていることが必要となります。xiangtao / PIXTA(ピクスタ)また、ほかの税制優遇措置を受けていると控除が受けられない場合があります。この特別控除を受ける年分の合計所得金額が3,000万円(給与収入で3,230万円)を超える、買い換えの人は、居住年の前後2年間の計5年、以前住んでいた自宅の売却について「3,000万円特別控除」や「居住用財産の買換え特例」の適用を受けていると控除が受けられません。■ まとめこの他にも、「取得する不動産は自己の居住用である」「ローン返済方法は10年以上である」「連帯保証人は住宅ローンを受けられない」「親族から個人的な借入れをしてない」など、基本的な条件も確認しましょう。Naoaki / PIXTA(ピクスタ)中古住宅の場合は、親族などから購入したり、贈与で取得したりすると要件から外れます。チェックポイントが多すぎて分からない人は、銀行や不動産会社だけでなく、ファイナンシャルプランナー、税理士などの専門家に相談してみるものよいでしょう。多面的に住宅購入を検討することをオススメします。【参考】※国税庁マイホームの取得や増改築などしたとき
2018年10月28日住宅ローン控除の歴史は、1972年に導入された住宅取得控除までさかのぼります。一方の住まい給付金は、平成26年から始まった新しい制度です。どちらも住宅購入者には嬉しい制度です。これらの制度を最大限に活用するために、制度の内容をおさらいしましょう。■ 住まい給付金と住宅ローン控除の違いGraphs / PIXTA(ピクスタ)住宅ローン減税は、控除金額を所得税から差し引く制度です。控除金額は、ローン残高をもとに計算するため、融資金額が少ない収入が低い人は、収入が多い人に対し、節税効果が少なくなります。2019年に消費税率の引き上げが予定されています。それにより、同じ住宅なのに、購入金額は消費税率上昇分だけ高くなり、低収入の人にとっては、金銭的負担が増えます。負担軽減させるためにできたのが、住まい給付金です。目的が違う2つの税制優遇制度は、条件さえ満たせば、同時に受けることができるのです。■ 住宅ローン控除とは?ABC / PIXTA(ピクスタ)住宅ローン控除は、年末のローン残高の1%を所得税から控除する制度です。10年間継続して控除を受けることができるため、節税効果も大きくなります。所得税から控除しきれない場合は、翌年の住民税から一部控除することも可能です。控除を受けるには…取得する不動産は自己の居住用であるローン返済方法は10年以上である連帯保証人はなくローンを借り入れた本人であること住宅取得の日から6か月以内に居住し、適用を受ける各年の12月31日まで居住し続けていること親族から個人的な借入れをしてない床面積の合計は50平米以上240平米以下である床面積の1/2以上は居住用であるその年の所得金額が3,000万円以下居住した年の前後にほかの税金の優遇措置を受けていない耐用年数を超えていない。または超えた場合耐震基準を満たす親族などから購入していない贈与で取得していないというすべての要件を満たす必要があります。■ 住まい給付金とは?住まい給付金とは、消費税率引上げによる金銭的負担を緩和するために創設された制度です。給付額は、収入額によって異なります。給付金額は「給付基礎額×登記上の持分割合」により算出します。給付基礎額は、市区町村発行の個人住民税の課税証明書により決定します。すまい給付金を受け取るためには、給付申請書を作成し、確認書類を添付して申請することが必要です。新築住宅の場合ABC / PIXTA(ピクスタ)床面積が50平米以上(床面積は登記事項証明書に記載してある平米数)住宅ローンを利用している場合は、新築なら、検査を受けている住宅(住宅瑕疵担保責任保険へ加入した住宅または住宅性能表示制度を利用した住宅など)住宅ローンの利用がない場合は、新築なら、施工中に検査を受けていることに加え、フラット35Sと同等の基準を満たす住宅中古住宅の場合TATSU / PIXTA(ピクスタ)床面積が50平米以上(床面積は登記事項証明書に記載してある平米数)売主が宅地建物取引業者である中古住宅。売り主が個人の場合は、消費税が課税されないので除外既存住宅売買瑕疵保険への加入など、売買時に検査を受けている住宅ローンの利用がない場合、年齢が50才以上の者が取得する住宅が対象。年齢は、引き渡しになった年の12月31日時点の年齢で判別する消費税が10%になったときは、収入額の目安が650万円以下(都道府県民税の所得割額が13.30万円以下)の要件が追加される予定■ 制度を受けるときの注意点は?ふじよ / PIXTA(ピクスタ)住宅ローン控除も住まい給付金も、受けるための要件が細かく規定されているので、契約前に購入しようとする物件が適用になるかをチェックすることが大切です。また現在のところ、平成26年4月1日以降、平成31年6月までに入居完了した住宅が対象となっています。住まい給付金は収入が一定以下であることが要件となります。消費税が8%のとき収入額の目安は510万円以上、10%のときは775万円以上の人は、住まい給付金の給付対象外となるので自分の課税所得を確認しておきましょう。これらのことに注意して、上手に物件選びを行い、両方の制度を利用しましょう。【参考】※住まい給付金国土交通省
2018年10月13日不倫はいわゆる不貞行為であり、モラルを欠いた行動とされています。しかし、実際に経験している人も多いようで、なかには「略奪婚」をする男女もいるようです。有責配偶者は「意地でも分かれて不倫相手と結婚したい」と思うようで、あの手この手で離婚を迫ることもあると聞きます。しかし配偶者にしてみれば、「ふざけるな」と言いたくなってしまいます。有責配偶者が離婚を強硬に望み、相手が拒否した場合、離婚することはできないのでしょうか?虎ノ門法律経済事務所池袋支店の齋藤健博弁護士に見解をお伺いしました。 ■有責配偶者からの離婚は認められる?齋藤弁護士:「有責配偶者からの離婚請求は、実は絶対に認められないものでもありえません。旧判例は、確かに有責配偶者からの離婚請求の局面では、離婚できない時代がありました(最高裁昭27・2・19判決 民集6-2-110が有名でしょう)。しかし、時代が変わり、最高裁は、ある一定の条件のもとにおいては、離婚請求を認められるように判例変更したのです。実は、例外的に有責配偶者からの離婚請求が認められるためには、以下の三つの条件を満たす必要があります。①夫婦の別居が両当事者の年齢及び同居期間と比較して、かなり長期間に及んでいること。②当事者の間に未成熟の子供が存在しないこと。③相手方配偶者が離婚により精神的、社会的、経済的に非常に苛酷な状況におかれることになるなど、離婚請求を認めることによって相手方が大きなダメージを受けるような事情がないこと。この3つの基準は、おもに3つ目が肝になるでしょう。というのは、精神的、社会的、経済的に過酷な状況、とはひとりひとりの状況に応じて当然異なるからなのです。もちろん、①の別居期間が長期に及んでいるか否かの判断も1件1件異なるでしょう。しかし、これらは期間の問題ですから、客観的に確定することができますね」 ■実際の判例も齋藤弁護士:「ある有名な裁判例をご紹介いたします。調停後約13年経過した事案です。18歳と16歳の2人の未成熟の子がいましたが、慰謝料150万円と二男の大学進学費用150万円を支払う旨の訴訟上の和解が成立し、原判決を取り消し請求を認容する判断が示されています(大阪高等裁判所平成19年5月15日判決)。ご紹介した判決は、調停も不成立、第1審裁判所の判断も棄却、第2審裁判所の判断で初めて離婚が認められたものです。離婚する手立てとしては、さきにご紹介した3つの条件がない、とのことを証明する証拠を揃えることが肝要です」不倫による離婚が望ましいものではないことは明白ですが、離婚請求を認めることによって相手方が大きなダメージを受けるような事情がない場合は、有責配偶者から離婚を迫ることもできるのですね。相手としては、「不倫相手と結婚したい」というような人間とは離婚したほうが良いでしょう。経済力や子どもの養育など「そうもいかない」のも事実。その場合は、やはり弁護士の力を借りるのが、解決の早道かもしれません。 *取材協力弁護士: 虎ノ門法律経済事務所池袋支店齋藤健博弁護士(弁護士登録以降、某大手弁護士検索サイトで1位を獲得。LINEでも連絡がとれる、超迅速弁護士としてさまざまな相談に対応。特に離婚・男女問題には解決に定評。今日も多くの依頼者の相談に多く乗っている。弁護士業務とは別の顔として、慶應義塾大学において助教も勤める。)*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)不倫相手と結婚したいけど配偶者が離婚拒否!なんとかならないの?はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。不倫相手と結婚したいけど配偶者が離婚拒否!なんとかならないの?はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。
2018年09月13日■医療費控除とは?1年間に10万円を超える医療費がかかった場合、確定申告をすることで、支払った税金の一部を戻してくれる制度。■医療費控除でもらえる金額は、いくら?戻ってくるお金 = 医療費控除額 − 所得税率たとえば医療費合計額が60万円で所得が320万円の場合なら、確定申告をすることで、税金がおよそ1万6000円程度(※)戻ってくる。※医療費60万円 − 出産育児一時金 − 足切り額10万円= 医療費控除額面8万円医療費控除額面8万円 × 所得税率10% =戻ってくる税金8千円住民税率10%=戻ってくる税金8千円■医療費控除を受けられる人は、どんな人?家族全員で1年間の医療費が10万円(総所得金額等が200万円未満の人は総所得金額等の5%の金額)を超え支払い、確定申告をした人。■医療費控除 手続きの概要●還付申告だけなら1年中受け付けている確定申告というと2月中旬~3月中旬のイメージがあるが、(医療費の)還付申告は、1年中受付している。対象となるのは、申告する前の年1年(1月1日~12月31日)なので、たとえば2017年の分の確定申告(医療費の還付申告)であれば、税務署が混む前に提出すれば、相談窓口も込みあわないので、確定申告初心者にはオススメ。■コラム「保険金等で補てんされる金額」について知っておこう◆医療費控除で間違えやすいのは、「保険金等で補填される金額」。じつは、私も初産の確定申告時に間違えて、税務署の方に指摘され、とても焦った記憶がある。この話を簡単に言えば、「公的制度や民間の保険会社からもらったお金は、医療費から差し引いて計算しなければならない」ということ。「差し引く必要がある費用」と、「差し引く必要のない費用」を下記の表にまとめた。ちなみに私は「出産育児一時金」を差し引くのを知らず、金額が40万円くらい違っていた(激汗)。私のように慌てないよう、ご注意を!●「保険金等で補てんされる金額」差し引く必要があるもの、ないもの■医療費控除 DATA※この記事は2018年4月末現在の法令・情報に基づいて書いています
2018年07月01日配偶者が不貞行為をはたらいた場合、配偶者本人やその相手に慰謝料を請求できることは一般的に知られていると思います。専門的には、他方配偶者に対する貞操権侵害の問題です。当人同士の話し合いで金額や支払い方法が決まることもあれば、裁判の場に持ち込まれ判決が下されることもあるでしょう。弁護士同士の交渉に持ち込まれる局面も少なくありません。この慰謝料、まとまった預貯金がなく一度に支払えない場合などは、請求者が認めれば分割払いも可能です。しかし、それが途中で払えなくなってしまったら……?虎ノ門法律経済事務所池袋支店の齋藤健博弁護士にお聞きしました。一度出た判決を覆すことはほぼできない数年前、既婚者と不倫し、その妻から慰謝料を請求され裁判になり、200万円支払うことになった。分割で支払っていたが、病気を患ってしまった。転職を余儀なくされ収入が減り生活が困窮し始めたので、慰謝料を減額してほしい。こんなケースの場合、慰謝料の減額は可能でしょうか?齋藤弁護士「実は、これは確定判決には、既判力というものが生じてしまっているので、覆すのはとても難しい。もちろん、民法上事情変更の原則なる概念は承認されているのですが、これが再度の裁判などの手続きで認容されることはよほどでないとありません。」既判力とは、裁判所が確定した判決が有する効力のことです。一度決まってしまったら新たにどんな情報があったとしても、当事者も裁判所もそれを覆す主張はできない、というものです。どうしても払えなくなったとしても減額は困難既判力があるから難しいとは言っても、決められた額の分割払いを続けることが現実的に不可能になることもあります。その場合はどのように交渉すればよいでしょうか?齋藤弁護士「減額交渉などは、一応はありえるでしょう。ただし、一度既判力が生じている判決ではありますから、交渉はきわめて困難と言わざるをえません。このケースにおいて一点可能性があるとすれば、現在、分割払い期間中ですから、これを一括払いに切り替える、その代わり減額してほしい、という交渉がありえるかもしれません。ただし、これはある意味でダメもとの議論ですね。」やはり裁判所の判決にはそれだけの重みがあるということですね。一方の事情によって一度決まった裁判の効力が変動することがあっては、法律的には安定しないからです。慰謝料支払いをバックレたら?どうしても払えなくなり、支払い途中で転居したり連絡先を変えたりするなどして逃げたらどうなりますか?追ってきたり、追徴金のようなものを請求される可能性はありますか?齋藤弁護士「逃げたら、差し押さえのリスクを負います。判決は債務名義といって、差し押さえが可能になります。たとえば、持ち家、自動車、預金口座、給料債権など、これら生活必需品が差し押さえられてしまい、有形無形の不利益が生じてしまうでしょう。」どんな事情があっても、やはり裁判の判決というのは動かしがく、逃れることはできないものなのです。「そのためにも、自分に不利な判決が出る前にしっかり裁判で争っておくことが重要だと思います。このケースでは200万円の慰謝料とありますが、夫婦が離婚していない状態であれば200万円の判決が認容されることははっきりいってまれです。もっと争う余地はあったのではないでしょうか。」裁判の判決は変更したり覆すことがたいへん難しく、重みのあるものです。裁判に挑む際も、やむをえず減額交渉をする場合も、不利益を最小限にするには弁護士に相談するほうが賢い選択といえるでしょう。 *取材協力弁護士: 虎ノ門法律経済事務所池袋支店齋藤健博弁護士(弁護士登録以降、某大手弁護士検索サイトで1位を獲得。LINEでも連絡がとれる、超迅速弁護士としてさまざまな相談に対応。特に離婚・男女問題には解決に定評。今日も多くの依頼者の相談に多く乗っている。弁護士業務とは別の顔として、慶應義塾大学において助教も勤める。)*取材・文:フリーライター 岡本まーこ(大学卒業後、様々なアルバイトを経てフリーライターに。裁判傍聴にハマり裁判所に通っていた経験がある。「法廷ライターまーこと裁判所へ行こう!」(エンターブレイン)、「法廷ライターまーこは見た!漫画裁判傍聴記」(かもがわ出版)。)*画像:pixta(画像はイメージです)不倫の慰謝料、途中までは払ったけど……減額できないか?はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。不倫の慰謝料、途中までは払ったけど……減額できないか?はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。
2018年05月07日人に言いたくない過去というものは誰にだってあるもの。なかには、配偶者や家族にその事実を隠したまま結婚・出産し、生活をしている人もいることでしょう。おもに女性の場合、苦しい生活の改善や、借金返済のためにといった理由から風俗店に勤務することがあります。性的サービスを不特定多数の男性に行うことを仕事とするのは、やはり嫌悪する人も一定数存在しますから、「隠しておきたい」と思うはず。しかし、何らかの理由で配偶者にバレてしまうこともあります。そうなると、離婚を切り出される可能性も。そのような過去があったという事実のみで、離婚することはできるのでしょうか? Q.配偶者に風俗勤務の過去を隠していた…離婚事由として認められる? A.それだけでは認められませんが、それによって関係が修復不可能になった場合は認められることもあります。離婚原因として法律が定めているのは、民法770条です。1項のうち、1号は不貞行為、などと細かに列挙されていますが、風俗店への勤務それ自体が離婚できます、とは書いてありません。『風俗での勤務』は不貞行為や配偶者からの暴力などのように、わかりやすいものでもありません。今回問題となるのは、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」(民法770条1項5号)となります。過去に風俗店で働いていたことそのものが、他方配偶者にとって、「どうしても許せない!」というのであれば、「婚姻を継続し難い重大な事由」の一要素としては判断されるかもしれません。しかし、当然、一度婚姻関係を形成し、共同生活への期待を他方配偶者は有しています。そのため、「風俗勤務の過去を隠していた」という一つだけの事実では、難しいでしょう。(齋藤先生) 「隠しごと」は時に相手を傷つけないための「思いやり」になりますが、それがあだになることもあります。愛する人なら、仮に過去にやむにやまれぬ理由での風俗勤務歴があったとしても、理解して愛してくれるはず。もちろん「言いたくない」という気持ちも理解できますので一概には言えませんが、後々のことを考えるとすべてを打ち明けたほうがいいかもしれません。 *取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています) *弁護士監修/ 虎ノ門法律経済事務所池袋支店齋藤健博弁護士(弁護士登録以降、某大手弁護士検索サイトで1位を獲得。LINEでも連絡がとれる、超迅速弁護士としてさまざまな相談に対応。特に離婚・男女問題には解決に定評。今日も多くの依頼者の相談に多く乗っている。弁護士業務とは別の顔として、慶應義塾大学において助教も勤める。) *画像はイメージです(pixta)配偶者が風俗勤務の過去を隠していたことが許せない…離婚することはできる?はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。配偶者が風俗勤務の過去を隠していたことが許せない…離婚することはできる?はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。
2018年04月16日「今年から、配偶者控除・配偶者特別控除の制度が改定されました。従来の“103万円の壁”が消え、新たに“150万円の壁”が現れています。昨年までの配偶者控除は、妻の年収が103万円以下のとき、夫の年収から38万円が控除され、その分、夫の税金が安くなるという制度でした。ですから、103万円を超えないように働く、それが女性にとって『壁』となっていたのです」 そう語るのは、経済ジャーナリストの荻原博子さん。改定された、配偶者控除・配偶者特別控除の制度。今年からは、夫が38万円の控除を受けるための妻の年収要件が、103万円以下から150万円以下に引き下げられた(夫と妻が逆でも同様)。そんな配偶者控除について、荻原さんが解説してくれた。 「配偶者控除は、女性が働くときに意識する方が多いです。それが150万円に拡大されても、実はその前に、社会保険に関する“130万円の壁”が存在します。妻の年収が130万円以上になると、夫の社会保険の扶養を外れ、妻自身が職場の社会保険に加入しなければならないというものです」(荻原さん・以下同) また、’16年10月からは、社会保険に関して“106万円の壁”も登場した。従業員501人以上の企業で、年収が106万円以上になるなどの条件を満たすと、社会保険の加入が義務付けられる。 「このように、働く女性の前に今あるのは、税金面の150万円の壁と、社会保険に関わる106万円、130万円の壁です。このうち、負担が大きい社会保険の壁なので、配偶者控除改定の検討段階から、『社会保険料を見直さないと、配偶者控除の拡大だけでは、女性の働き方を変えられない』という意見もありました」 先日、興味深いアンケート結果が発表された(’18年2月・しゅふJOB総研)。配偶者控除の改定は73.1%の人が「知っている」と回答。認知度は低くない。 「ところが、『’18年は年収いくらまで働くか』という問いには、夫の会社で家族手当が支給される場合、その支給要件であることが多い『103万円以下』と答えた方が23.9%。また、夫の社会保険の扶養から外れない『130万円まで』が19.1%と、これまでと働き方を変えない方が目立ちます」 夫が会社員の場合、パート勤めの妻が年収を130万円までに抑え、夫の社会保険の扶養でいれば、妻は保険料を負担しなくて済む。 「ですが、妻の収入が増え、自分で職場の社会保険に加入すると、保険料は地域や収入によりますが、年15万円程度はかかります。社会保険に加入することで、老後の年金が増えるなどのメリットがあるとわかっていても、目先の負担を抑えたい方が多いのです。いっぽう、新しい配偶者控除の限度まで働く『150万円以下』は8.6%にとどまりました。やはり、『収入を増やすより負担を避けたい』思いを反映しているのだと思います」
2018年04月06日