4月クールのドラマも放送終了の時期を迎え、この春もたくさんのドラマで数多くのイケメンたちが活躍し、視聴者の心にときめきとうるおいを与えてくれました。今回は、この春放送されたドラマに出演したイケメンをプレイバック!イマ押さえておきたい、要チェックな推しメン俳優3人をご紹介。■小関裕太/“天てれ”時代からの成長にも胸キュン!ブレイク前夜!まず1人目は「恋がヘタでも生きてます」で美沙の部下・柿谷真吾を演じた小関裕太。1995年生まれの現在22歳。2006年~2008年まで数々の子役スターを生んだNHK「天才てれびくんMAX」に出演。その後2011年から2年間、イケメン俳優の登竜門であるミュージカル「テニスの王子様2ndシーズン」で菊丸英二役を演じ、2.5次元俳優ファンから注目の存在に。その勢いで2013年には舞台「FROGS」で初主演。その後は2014年のドラマ「ビター・ブラッド~最悪で最強の親子刑事~」や「ごめんね青春!」、「ホテルコンシェルジュ」などをはじめ、2015年の映画『Drawing Days』、翌年公開の『ドロメ』では主演を務めるなど、着実にキャリアを重ねてきた小関さん。「恋ヘタ」ではスマホゲーム会社のプランナー兼ディレクターとして尊敬する美沙に仕事の面でも男としても認めてもらいたいという“弟キャラ”の柿谷真吾を演じ、最終回で柿谷は美沙を愛し幸せを願うがゆえに身を引く男気をみせたのですが、そんな健気さに心打たれた視聴者からは「かわいい後輩すぎてああいうのほんと好き」「小関裕太の年下男子に激萌え」などの声が続々SNSに投稿。さらに「天てれ」時代を知る視聴者からは「天てれの時からずっと好き~」「死ぬほど男前なってる」「かわいさ残しつつのイケメン!!素晴らしい」など、その成長した姿を喜ぶ投稿も多数寄せられました。そんな小関さんは11月には『覆面系ノイズ』が、来年2月には『曇天に笑う』の公開も控えるなど今後も出演作が続々。ブレイク確実な“塩顔ニューフェイス”としてチェック必須な存在になりそう。■葉山奨之/今後演じる“役幅”の広がりは無限の可能性!次に注目したいのがこの春シーズン「釣りバカ日誌 Season2」に「フランケンシュタインの恋」とドラマに2作同時出演した葉山奨之。こちらも1995年生まれで現在21歳。2011年に「鈴木先生」で俳優デビューし、2013年には大河ドラマ「八重の桜」で徳川家茂役を、翌年の大河「軍師官兵衛」では最終話で豊臣秀頼役をそれぞれ演じ、翌年の連続テレビ小説「まれ」で一気に認知度を高めました。一方で『今日、恋をはじめます』や『青空エール』『アズミ・ハルコは行方不明』など出演した映画もヒット。昨年大ヒットした「逃げるは恥だが役に立つ」では星野源演じる津崎平匡の同僚役を、続いて今年1月クールの月9「突然ですが、明日結婚します」では西内まりや演じるヒロイン・高梨あすかの弟役を好演したのも記憶に新しいはず。葉山さんは「釣りバカ」では濱田岳演じるハマちゃんの同期役で2015年シーズンから出演中。「フランケンシュタインの恋」では綾野剛演じる“怪物”が住み込みで働く稲庭工務店の従業員・飯塚光毅を演じました。SNSには「可愛い奨之くんたくさん見れて幸せでした」とドラマでの演技への感想と同時に「西内まりやちゃんの弟役で出てきて、今度は稲庭工務店で働いてた。この次の活躍が楽しみ」「今期も来期もずっと出てるねすごい」などその活躍ぶりに触れたツイートも多数。そんな葉山さんですがこの夏スタートする“火9”ドラマ「僕たちがやりました」に窪田正孝演じる主人公・トビオの同級生・マル役で出演。突如爆発事件に巻き込まれた高校生たちの逃亡劇である同作での葉山さんの演技にも注目です。■細田善彦/着実に積み重ねるキャリアをファンと共に歩むそしてもう1人、「櫻子さんの足下には死体が埋まっている」で高嶋政宏演じる先輩刑事をさりげなくサポートする若手刑事の近藤卓也を演じた細田善彦も今後ブレイク確実な若手イケメンの1人。1988年生まれの29歳、2005年にNHK「きみの知らないところで世界は動く」で主演を務めると、ドラマ「ライフ」では悪役にも挑戦。佐藤健と前田敦子の共演が話題を呼んだ「Q10」や『僕の初恋をキミに捧ぐ』『王様ゲーム』などコンスタントに出演作を世に送り出し、2015年の大河ドラマ「花燃ゆ」、そして翌年の「真田丸」で2年連続大河出演を果たすと「逃げるは恥だが役に立つ」などへの出演でブレイクの波に乗り、この春の「櫻子さんの足下には死体が埋まっている」の出演へとつなげた。NHK BSプレミアム「2度目の旅」シリーズで彼の虜になったという声も多く、「ドラマや映画でもっとたくさん見たいなあ」「表情がとても素敵だった」などの投稿が多数。「好きなんだよなー、Q10観たときから」といった昔からのファンの声援も彼のブレイクを支えているようです。今回ピックアップした3人が今後のドラマや映画でどんな魅力を放ってくれるのか、楽しみでしょうがないですね。そしてもうすぐスタートする7月クールの新番組ではどんなイケメンたちが活躍してくれるのか、こちらにもお楽しみに!(笠緒)
2017年06月29日2017年春クールも、あっという間に終わりの季節を迎えました。今回は全体的に視聴率が拮抗。話題性の高いドラマが数多く並んだ印象です。今日はその締めくくりに、毎クール全ての作品をチェックしているドラマニアな筆者が「勝手にベスト3」を発表! 独自の観点から、春クールを総括していきますよ~。■第1位:人間らしい“感情”のぶつかり合い上質な警察ドラマ「小さな巨人」
2017年06月27日6月1日から日本でも公開が始まった映画『LOGAN/ローガン』。ヒュー・ジャックマンが不死身のミュータント、ウルヴァリンことローガンを演じる最後の作品としても話題の本作では、ローガンと彼の父親ともいうべき存在のチャールズ(プロフェッサーX)、そして2人が出会う謎の少女ローラの険しい旅が展開します。そんな彼らをつけ狙い、非情な攻撃を仕掛けてくるのがドナルド・ピアースという狂暴なイケメン。武装集団を率い、ローガンたちの前に立ちはだかるピアースのことが気になった人も多いのではないでしょうか。ピアース役のボイド・ホルブルックは、ヒュー・ジャックマンも絶賛する35歳。モデルとして活躍した後にニューヨーク大学やコロンビア大学、さらには演劇学校ウィリアム・エスパー・スタジオで本格的に演技を学び、ガス・ヴァン・サント監督の『ミルク』で俳優デビューを果たしました。この起用は、ボイドがガス・ヴァン・サント監督に自作の脚本を送ったことがきっかけになっているそうです。また、『アベンジャーズ』シリーズのスカーレット・ウィッチことエリザベス・オルセンと婚約していたことでも知られており、2015年1月の破局まで美男美女カップルとして注目を集めました。そんなボイド・ホルブルックを知るうえで絶対に外せないのが、Netflixの大人気シリーズ「ナルコス」。実在したコロンビアの麻薬王パブロ・エスコバルの実像に迫る犯罪ドラマで、ボイドはエスコバルと激しい攻防を繰り広げるアメリカ人捜査官スティーブ・マーフィーを演じています。現在はシーズン2まで配信され、シーズン3も予定されている「ナルコス」ですが、麻薬取締局の捜査官としてマイアミに勤務していたマーフィーが、麻薬の流通を断つためコロンビアにやって来るところからシーズン1はスタート。ナレーションもマーフィーが務めているため、実質的な主人公の役割を担っているとも言えます。70年代末に始まり、80年代、90年代といった時代のムードを漂わせながら、血みどころの麻薬戦争、その中心にいるパブロ・エスコバルのダークでハードな物語が展開していく中で、正義を掲げるマーフィーは視聴者が最もそばにいたいキャラクター。残忍でありながらどこかチャーミングでもあるエスコバルに翻弄され切った後、目に飛び込んでくるマーフィーの姿にどれほど安心感を覚えることか。とは言え、激しい麻薬戦争は徐々にマーフィー自身を蝕んでいき、彼のパーソナリティも徐々に変化を遂げていきます。捜査官としての成長と言えばそれまでかもしれませんが、傍から見れば非常に危うい変化。このギリギリのラインを進むマーフィーを、ボイドが巧妙に演じています。『LOGAN/ローガン』をご覧になった人ならわかるように、狂気の悪役を演じても魅力を発揮するボイドですから、“ちょっと危うい正義の捜査官”は本当にハマリ役。単なるイケメンではない物憂げな印象が、今後もボイド・ホルブルックらしさとして鍵を握るのではないかと思います。公開待機作の中には、大人気SFアクション映画『プレデター』のリブート版もあるボイド・ホルブルック。『LOGAN/ローガン』「ナルコス」共々、彼にご注目を!(text:Hikaru Watanabe)
2017年06月07日爽やかな季節にはオープンエアでデートを楽しみたい! 今月の「映画ではじめるデートプラン」は、オープンエアのテラスで楽しむグルメなひとときを楽しむ、ちょっぴりクールな大人デートをご紹介。フォーカスしたのは東京ミッドタウンで展開されている「~テラスで楽しむ~○○とお酒」のフェア。都会の真ん中のテラスで優雅な気分を2人で楽しんで。注目の映画は、ヒュー・ジャックマンが演じる『X-MEN』シリーズにおいて最高の人気を誇るウルヴァリン(別名:ローガン)の最後の戦いを描いた『LOGAN/ローガン』。ミュータントの大半が死滅した2029年の近未来を舞台に、ミュータントの最後の希望である少女・ローラを守るため、迫りくる“最後”の死闘に身を投じる。しかし治癒能力を失った男は、もはや不死身の超人ではない。生身の人間としての“ローガン”を描いた「魂」の物語。ウルヴァリン最後の姿、そして“人間ローガン”がたどる壮絶な運命の終着点には…。先日来日したヒュー・ジャックマン自身も「これぞウルヴァリン映画の決定版だよ」と手応えを語った本作。シリーズの前作を見ていなくても楽しめるヒューマンドラマに仕上がっているので、カップルでぜひ、ヒュー最後のウルヴァリンを鑑賞して。本作は、六本木では「TOHOシネマズ六本木ヒルズ」で鑑賞出来る。映画を観たら、お散歩がてら東京ミッドタウンへ。東京ミッドタウンでは、7月13日(木)まで、レストラン各店がこの時期におすすめする料理とお酒を組み合わせた「~テラスで楽しむ~○○とお酒」のメニューを提案するイベントを開催中だ。人気カジュアルイタリアン「ノック クッチーナ ボナ イタリアーナ」(ガレリア内ガーデンテラス2F)では、夏野菜のパスタと夏の果実酒カクテルのペアリングを提案。一皿にほぼ1本分のとうもろこしを使用した「佐賀のとうもろこしと鴨のスモークで「もろこし・ペペロンチーノ」スパゲッティーニ」(1,512円)と、スイカ、マンゴーなど夏果実を焼酎で漬け込んでソーダで割った「サングリ和ソーダ」(864円 グラス。仕入れ状況により果実の種類は変更あり。)で、夏の旬を感じるディナーを楽しめる。テラス席は予約可能。いまどきのリッチなグルメバーガーとカクテルのペアリングを提案するのは、シャンパンビストロ「オランジェ」(プラザ1F)。3時間かけて焼き上げた特製ローストビーフと、トリュフオイルを絡めた野菜、黒トリュフをトッピングした「トリュフ・ローストビーフ・バーガー with トリュフフレンチフライ」(1,706円)と、国産オレンジを生絞りしてつくるカクテル「orange ミモザ」(1,350円)をペアリング。旨みたっぷりの脂とトリュフオイルが香るグルメな一皿を、テラスでカジュアルに堪能したい。テラス席は当日予約可能。こちらは11時からランチでも利用できる。また、6月1日(木)東京ミッドタウンにオープンするベルギー発祥のベーカリーレストラン「ル・パン・コティディアン」もぜひチェックを。同店は、世界中のセレブに愛用されているオーガニック中心のヘルシーなベーカリーレストランで、従来のブレックファスト、ブランチメニューに加え、今回世界初のディナーメニューを展開することでも話題だ。ディナーメニューは、「37 Steakhouse & Bar」や「37 QUALITY MEATS」等の肉料理専門店を手掛ける株式会社スティルフーズの監修による上質なグリルメニューや、BIOワイン、オーガニックのオリジナルカクテルを充実させている。映画鑑賞時間に合わせて、朝食からディナーまで幅広い時間帯で利用できるのも嬉しい。屋外テラス席は32席用意。テラス席はフリー席で予約は不可。映画とテラスで楽しむ一杯。都心でのんびり過ごす、初夏にぴったりな映画デートを楽しんで。『LOGAN/ローガン』は6月1日(木)より全国にて公開。(text:Miwa Ogata)■関連作品:LOGAN/ローガン 2017年6月1日より全国にて公開(C) 2016 TWENTIETH CENTURY FOX
2017年06月02日“映画並みのクオリティのドラマ”という表現が、古めかしく聞こえてくるようになって久しい昨今。いえ、古めかしく聞こえるのは、いまに始まったことではありません。HBOのミニシリーズ「エンジェルス・イン・アメリカ」にメリル・ストリープとアル・パチーノが出演し、それぞれがエミー賞とゴールデン・グローブ賞の受賞トロフィーを2本とも貫禄たっぷりに受け取ったのは2004年のこと。そう考えると、アカデミー賞受賞スター出演の新作ドラマ「ビッグ・リトル・ライズ」も、ドラマのスタンダードから外れた作品とは決して言えません。「ビッグ・リトル・ライズ」の製作総指揮を務め、出演も果たしているのはリース・ウィザースプーンとニコール・キッドマン。補足するまでもなく、リースは『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』で、ニコールは『めぐりあう時間たち』で主演女優賞に輝いたアカデミー賞受賞スターです。そんな2人がタッグを組み、共に惚れ込んだ同名ベストセラー小説(リアン・モリアーティ著)の映像化企画に着手。プロジェクトの争奪戦が繰り広げられる中、NetflixやShowtimeを退け、HBOが放送権を獲得しました。物語の舞台は、カリフォルニア州のシーサイドにある高級エリア、モントレー。登場人物いわく「年収1,500万円以下は負け組」の街で、ある死亡事件が発生します。事件にかかわるのは、同じ小学校に通う子どもを持つ母親たちのよう。誰の身に何が起きたのか?事件の鍵を握るのは誰か?誰が被害者かも明かされない“現在”を挟みつつ、物語は“事件の始まりとなる日”からスタート。この日は小学校の新入生説明会当日であり、何にでも首を突っ込みがちなマデリン(リース・ウィザースプーン)と年下のハイスペック夫を持つセレステ(ニコール・キッドマン)のママ友コンビが、引っ越してきたばかりのシングルマザー、ジェーン(シェイリーン・ウッドリー)に初めて出会った日でもあります。ミステリーの格好を取る全7話の脚本を手掛けたのは、「アリー my Love」などのヒットメイカー、デイビッド・E・ケリー。共感度たっぷりの人間ドラマとスリリングな法廷劇のミックスなどに定評のあるケリーが、女性たちの抱える問題を徐々に浮き彫りにしていきます。2人の娘の母親であり、元夫やその後妻(ゾーイ・クラビッツ)との関係に緊張を走らせるマデリンの胸の内にあるものは何か?年下夫(アレクサンダー・スカルスガルド)とラブラブなセレステの密かな事情とは?そして、ジェーンはなぜモントレーにやって来たのか?事件の真相以上に、彼女たちのドラマに興味をかき立てられます。そんな彼女たちのドラマを描き上げたのは、『ダラス・バイヤーズクラブ』のジャン=マルク・ヴァレ。リース・ウィザースプーンとは『わたしに会うまでの1600キロ』で組んでいるヴァレが全7話すべてを監督し、美しくもどこか滑稽で、ときにエモーショナル、ときに思わせぶりな映像世界へと導きます。ちなみに、『わたしに会うまでの1600キロ』でリースの母親を演じ、アカデミー賞助演女優賞にノミネートされたローラ・ダーンも小学生の娘を持つ母親役で出演。ジャン=マルク・ヴァレ組の再集結とも言えます。1人の監督が全話を手掛けた作品と言えば、スサンネ・ビアの「ナイト・マネジャー」やキャリー・ジョージ・フクナガの「TRUE DETECTIVE/二人の刑事」などが記憶に新しいところ。冒頭で触れた「エンジェルス・イン・アメリカ」も、故マイク・ニコルズが全6話の監督を務めています。監督にとって、映画は2時間で描きたいものを描く手段、ドラマは長い時間をかけて描きたいものを描く手段。彼らのように、描きたい物語を数時間、あるいはそれ以上をかけたドラマとしてたっぷりしっかり描く監督は、今後も増えてくるのではないでしょうか。(text:Hikaru Watanabe)
2017年06月01日五月病の一種でしょうか、単なるおひとりさま病でしょうか(きっとそうです、間違いなくそうです…)。寂しくていたたまれなくなり、男友だちに連絡すると「エリーってさ、半年に一度くらいそうやって俺に連絡よこすよね。どうせまた寂しくなったんでしょ」とあっさり見破られてしまう、何ともわかりやすい女、古山エリーです。こんばんは。今宵もたわごとお付き合いくださいませ。ひとり飲みのバーを続々開拓中ですが(相も変わらず…)、寂しい四十路の考えることは似たり寄ったりなんですね。たまに同類とお隣同士になります。とある夜のお隣は、明らかに四十代。結婚している気配ナシ。海外を飛び回っているお仕事のようで、ずーっと外国での食事とお酒について語っていました。ワインの銘柄とかですね。おまけにけっこう高飛車。そういう時は、仕事で人の話を聞くことに慣れちゃっていることもあり、ひたすら聞き役に徹します。でも本音は──愚痴のひとつふたつ言いたくて、マスターに聞いてほしくてわざわざ飲みに来てるのに、ここでも聞き役かよっ!そこの姉さん、少しペースダウンしてくれないかなぁと、心のなかで小さくチッと舌打ちしますが、表向きはいい女であろうと笑顔を繕っております(しかし、絶対にひきつっているのをマスターは知っている…)。女って、時と場合によりますが、同性に対していい女なんだとアピールしたがる生き物で(要はマウンティング)、下に見られてたまるかってライバル心を燃やすんですよね。で、その日は聞き役に徹することがいい女だと思い(我が身に言いきかせて大人しくしておりました…)、四十路の生体を知るいいチャンスだと思い、お酒を1杯2杯、もう1杯。自分のことはほぼ話さずに帰りました。反面教師で学ばせてもらったのは、私ってデキる女でしょ、私のこと羨ましいでしょとアピールすることは、かなりイタいってこと。改めて痛感しました。いくつになっても“かわいい女”でありたいなぁと思ったわけです。で、近々で観た映画で「こんなふうに年を取りたいなぁ」「かわいいおばあちゃんだなぁ」と惹かれたのは『ハロルドとリリアン ハリウッド・ラブストーリー』というドキュメンタリーです。絵コンテ作家の巨匠ハロルド、映画の名リサーチャーのリリアン。夫婦揃ってハリウッドで活躍した夫婦のお話です。「へぇ~、そうだったの」「こうやって映画は作られるのね」などなど映画の裏側を知ることもできます。そして、自分たちの人生を語るリリアンがとってもチャーミング!年齢を重ねたからこそ言えるブラックジョークや本音が、まあ面白い。下手したら悪口や愚痴に聞こえることも、こういう感じで言えばチャーミングなのかと、“かわいい女”について学ばせてもらいました。もちろん、映画の世界を知るドキュメンタリーとしても見応えあります。彼らは、携わった映画にクレジットこそされていないですが、めちゃくちゃ映画に貢献してきた。その仕事っぷりに感激、感動。超有名なアニメーションシリーズ『シュレック2』に登場する国王と王妃の名前も彼らに由来しているって、凄くないですか?そんな彼らの仕事は知れば知るほど奥深くて、素晴らしくて、プロフェッショナル!映画が好きな人、必見のドキュメンタリーでした。映画を観て感動したあとも夜な夜なバーでひとり酒、哀愁度120%です(自分にとってのハロルド探しに行けよ…)。このまま行くと来月はひとりぼっちのハッピーバースデーか…(ひぃい~!)。はしご酒、確定ですわ。今宵はここまで、また次回。(text:Elie Furuyama)(Elie Furuyama)
2017年05月31日絶望の淵にあるときでも、人はなんとかして立ち直るすべを見つけ、また人生を歩く第一歩を踏み出します。そのとき、手を差し伸べてくれる人がいるなら、人生はそれほど悪くないと言えるのかもしれません。映画『光をくれた人』は、とっても切なく、やるせない物語です。戦争で惨劇を目の当たりにした元軍人トムは心を閉ざし、オーストラリアの孤島で灯台守となります。孤独な人生でしたが、美しく快活なイザベルを妻に迎え、思いもよらない幸せな日々に恵まれるのです。ところがそんな日常は長くは続きません。イザベルは立て続けに流産を経験し、深く傷ついてしまいます。そんな折、2人は流れ着いたボートに、男性の遺体と泣き叫ぶ赤ん坊が乗っているのを発見します。トムには、保全局へ報告する義務がありますが、イザベルは赤ん坊を手放したがりません。そして2人が下した決断は――。誰も悪くないというのに、人生の歯車が狂うとはこういうこと。でも、その中にも“光”をもたらしてくれる、そんな存在のいてくれる日々が描かれているのです。2人が、結ばれるまでの物語もとてもロマンティックです。出会ってすぐに海によって隔てられてしまった2人は、しばらく手紙で思いを交わすのですが、互いにドキドキしながら郵便を待つ姿に、スローライフの趣を感じます。会えない時間、待っている時間が、恋心を募らせ、愛する覚悟を育むということを、すっかり忘れていたことにも気がつきました。でも、この物語が最も美しいのは、結ばれるまでではなく結ばれた後。確かに、過酷な戦場から戻ったトムにとって、イザベルとの出会いは人生に喜びを見出す大きなきっかけとなります。ところが、流産という悲しい出来事が度重なり、2人は試練の時を結婚後まもなく迎えてしまうのです。結婚はエンディングではなく、人生の第二章の始まり。結婚の誓いにもあるように、どんなときにも、むしろ逆境のときにこそ、愛を確認し、深め、支え合って生きるのが夫婦というもの。ハッピーエンドのその先にあるものを誠実に描く本作は、決して甘くはない結婚生活を映し出していきます。絶望の中にあるときに、夫婦は互いの光になれるかという問いを投げかけているかのように。主に夫であるトムの視点から描かれることが多い本作。でも、彼にとって妻が光となったというだけではなく、妻にとって、夫はどう光になれるかを描いているようにも思うのです。あなたにとって、光をくれる人とは誰のことなのか。いま、そばにいる人に感謝することを思い出させてくれる作品です。(text:June Makiguchi)■関連作品:光をくれた人 2017年5月26日より全国にて公開(C) 2016 STORYTELLER DISTRIBUTION CO., LLC
2017年05月28日現在放送中のドラマ「僕、運命の人です」。本作に登場する満島真之介さん演じる定岡光圀がいま、大きな注目を集めているのをご存知ですか?以前のドラマであれば、主人公のライバルとして登場するキャラクターはどちらかと言うと“恋の邪魔をする”悪役要素を含んでいましたが、昨今このポジションに立つ男性キャラクターに対し「見ていて甲乙付けがたい」「私がヒロインなら彼を選ぶだろう」と視聴者人気が高まってきているのです。また同時に、このような役柄を演じた俳優さんはその後ブレイク必須という伝説も…。そこで今日は、毎クール全作品をチェックしているドラマニアな筆者が徹底解析!主人公の恋路に深く関わる二番手男性キャラクターの魅力について、考察していきましょう。■主人公より“本命”に近い!?魅力溢れる花沢類ポジション最初は紳士的で良い人なのに、時間が経つにつれて嫉妬に狂い、主人公たちの恋路を邪魔してしまう――昔であれば、このような二番手キャラクターは最後「自業自得」「ひどいことをしたんだから、フラれて当然」とすんなり負けていましたよね!しかしながら昨今、私の記憶では恐らく「花より男子」の小栗旬さん辺りからなのですが、恋路の邪魔をすると思いきや、損な役回りを買って出て二人の恋を応援するという“縁の下の力持ち”ポジションを確立。猪突猛進な主人公を優しく見守るお兄さん的立場で、視聴者に「もしあのとき、違う道を選んでいたら…」と別のエンディングを妄想させる余地を残す傾向にあります。以降、代表的な例を挙げるとするなら「プロポーズ大作戦」「ラスト・シンデレラ」の藤木直人さんや「今日、会社休みます」の玉木宏さんなど人気俳優の皆さんが、実はめちゃくちゃイケているのにフラれてしまうという切ない二番手キャラクターを演じてきました。いずれの作品も最終回放送の後、結末に大きな反響を呼んだ話題作と言えます。■スピンオフが見たくなる、注目のキャラクターへと進化また昨今、このような役どころが名バイプレイヤーへの登竜門ではないかという声もちらほら。具体的には、「せいせいするほど、愛してる」の中村蒼さん、「逃げるは恥だが役に立つ」の大谷亮平さん、「突然ですが、明日結婚します」の山崎育三郎さんが3クール連続で世の女性たちのハートを鷲掴みにしています。素直に恋心を伝えることのできない主人公とは対照的に、ヒロインへのアピールはストレート。女性なら誰もが一度は言われてみたい胸キュンワードを炸裂しているはずなのに…最後の最後、なぜかヒロインの背中を見送ってしまうちょっぴり損な役どころを演じています。そして、この道の最前線を歩いているのが「僕、運命の人です」の満島真之介さんです。人生最大のモテ期に突入しているという設定で、道行く全ての女性が振り返るパーフェクトイケメンを好演。物語の序盤、欠点の無さ具合に「絶対裏がある!」と深読みしていたのですが…なんと、根っからの良い人でした(笑)。ヒロインにフラれて以降、きっぱりさっぱりと諦め、主人公の恋を全力で応援――やや風変りな性格も癖になる!?あまりの爽やかさに、つい心惹かれてしまう方も多いのではないでしょうか。まさにそんなプラスの裏切りが、病み付きの鍵を握っているのかもしれませんね。今後の彼の動向から目が離せないと言えるでしょう。以上、いかがでしたか?ドラマのメインストーリーには関わらずとも気になってしまう二番手男性キャラクター、是非最後までチェックしてみてください。(text:Yuki Watanabe)
2017年05月24日全米でデビューと同時に木曜~日曜の4日間で興収1億4,504万ドル(約164億円)という国家予算並みの売り上げを叩き出した大ヒット作『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』。日本でも封切りで盛り上がっている本作の製作中に起きた知る人ぞ知るとっておきの、見どころ&ウラ話をトップ10形式でご紹介!第10位:すごくオタク知識なんですが…カート・ラッセル演じるエゴの惑星のデザインには、フラクタル(=次元分裂図形)の専門芸術家ハル・テニー氏を招いてアドバイスを得た。ちなみに惑星を描くにあたって使用されたポリゴンは1兆個(!!)。VFX業界史上において一番大きな仕事だったと言われている。第9位:俳優も大変だよなぁドラックス(デイヴ・バウティスタ)のメークにかかる時間は意外と速くて1時間半。でも前作『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のときは、なんと毎回4時間かかっていたらしい。今回メークの時間は短縮されたものの、毎日撮影後にはメーク落としの一環としてスチーム・サウナにしばらく座らなければいけないという部分は変わっていなかったらしい。第8位:ガーディアンズの小道具係、孤軍奮闘!縁の下の力持ちこと小道具係さん。責任者ラッセル・バベットさんは、ピーターが映画で使うことになっていたウォークマン用ヘッドフォンを探すのに一苦労。どこへ行っても有りものは壊れていて使い物にならず、本家のソニーに問い合わせても無しのつぶて。仕方ないから結局いろいろな部品をかき集めてヘッドフォンを6体製作した。さすが小道具チーフ!第7位:グルート語(!?)を翻訳した脚本みなさんご存知のとおり、グルートは「ボクはグルート」しか話せない。だが、そのひとことひとことにはちゃんと意味がある。そこでジェームズ・ガン監督はグルートの声を担当しているヴィン・ディーゼルが、状況に応じて感情移入しやすいように「ボクはグルート」を“英語に訳した”脚本を用意してヴィンに渡した。第6位:レッチ役のエヴァン・ジョーンズの変なニックネームレッチ役のエヴァン・ジョーンズはジェイムズ監督の長年のお友達。そんなエヴァンには変なニックネームが付いている。「いつの頃からか、あいつのニックネームは“オッパイ=Tits”っていうんだ!)とは監督自らの証言。「撮影中は拡声器を使って指示を出すから、“おーい、オッパイ!もう少しこっちへ!”とかなんとか言うたびに、内情を知らない人たちの間では妙な反応が起きてちょっとヤバかった。」とはジェームズ監督の証言。この会話の内容、小学生のレベルでしょ!?(笑)第5位:ピーターのお父さん役の候補に上がっていた男優って?ピーターの父親エゴ役として白羽の矢が立ったのはカート・ラッセル。でもカートに決定する前は、ゲイリー・オールドマン、ヴィゴ・モーテンセン、クリストフ・ワルツ、マックス・ヴォン・シドウ、リアム・ニーセン、そしてなんとマシュー・マコノヒーが検討されていた。第4位:新作にはハンカチを持っていくこと脚本も担当したジェームズ・ガン監督は主演クリス・プラットに本作の脚本第1稿が仕上がったときに読んだ感想を知らせてほしいと頼んだ。数日後、脚本を読み終わったクリスは「マジで泣いた!」とジェームズ監督に報告。クリスのリアクションは、映画を観ると納得できる。第3位:クリス・プラットは2014年に最愛のお父さんを失くしていた「この映画に出ることで、ふさがっていた心の傷が開いちゃったんだ」とイギリスのUK版GQ誌のインタビューで語った主人公ピーター・クイルを演じるクリス・プラット。「完全には治らない心の傷ってあると思うんだ。この映画の役作りに役立った。ボクの場合、前にちゃんと対処できていなかった感情なんだけど、人間って、親を失くしてやっと、もっと一緒にいる時間を大切にすれば良かったって後悔するものなんだよね」エーン、これ聞いてるだけで泣けてくる!第2位:ソーシャル・メディアで監督自らファンに大ヒットのお礼James Gunnさん(@jamesgunn)がシェアした投稿 - 2017 5月 7 12:13午後 PDTアメリカ以外の国々でも大ヒットを飛ばしている『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』。ジェイムズ・ガン監督は、「こんなに売れたのは皆んなのおかげ!住んでいる国が大きかろうが小さかろうが、本当にどうもありがとう!」と可愛い絵文字とヨンドゥとテイザーフェイスの仲良しツーショットをインスタグラムに載せてファンに感謝の言葉。こういうマメなところにファンがグッとくるのである。第1位:ガーディアンズのこれからガーディアンズはすでに3本目の続編決定はもちろんのこと、2018年公開予定の『アベンジャーズ:インフェイニティ・ウォー』(原題)に登場することが決まっている。ガーディアンズの面々、そしてお馴染みアベンジャーズたちに加えて、アントマン(ポール・ラッド)、スパイダーマン(トム・ホランド)、キャプテン・マーベル(ブリー・ラーソン)、そしてDr.ストレンジ(ベネディクト・カンバーバッチ)がズラリ勢揃いする予定。スゴい…。お楽しみに!(text:明美・トスト/Akemi Tosto)■関連作品:ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス 2017年5月12日より全国にて公開(C) Marvel Studios 2017Marvel-japan.jp/GOG-Remix
2017年05月22日世界30か国、60都市以上で500万人以上を魅了している、アルゼンチン生まれのシアター・エンターテインメント「フエルサ ブルータ」。2003年に誕生して以来、“獣のような力”という意味を持つこのパフォーマンス集団は、これまでのジャンルには当てはまらない、観客を巻き込む体感型の超現実パフォーマンスで世界を驚かせ続けています。そして今年、待望の最新作が登場。それが、日本文化と出会い、10年の構想を経て創り上げた「WA! - Wonder Japan Experience」。最新テクノロジーを駆使し、会場内の360度すべてを使って繰り広げられる爆発的アクションとダンス、光と映像、音楽のすべてを融合させ、壮大なスケールで展開する最新作が、2017年8月1日、東京・品川プリンスホテル ステラボールにて、世界初演を迎えます。その制作発表記者会見が、5月16日、まさにワールドプレミアを迎えるステラボールにて行われました。まず登場したのは、これまでに公演を何度か観ているという岸谷五朗。「20年ほど前、フエルサ ブルータの前身のショーをNYで観て、度肝を抜かれました。NYは多くのミュージカル、芝居、いろいろなパフォーマンスがあり、沸点が上がっているところ。その中でも話題の公演でした。最新作『WA!』は世界初演。これをプレゼンテーションできるのは嬉しい」と興奮気味。今回は、公演の魅力を伝えるチーフアンバサダーにも就任し、この3月にはアルゼンチン、ブエノスアイレスでのリハーサル現場を訪れ、作品の魅力に触れてきたとか。彼が率いるのは、大谷亮平、松井愛莉、吉沢亮ら3人の若手アンバサダーたち。「フエルサ ブルータ」お馴染みのランニングマシーン、ワイヤーを使ったアクション、客席の真上に出現する透明な巨大プールで行われる水中パフォーマンスなどはもちろん、日本ならではのサムライ&ニンジャアクションを加え、「和風」「調和」「平和」「輪」、そして驚嘆の「わっ!」が詰め込まれた作品映像を観て、驚きと期待を隠せない様子。(確かに、これを観ると期待に胸を膨らませずにはいられない!)すでに公演を観たことのある松井さんと吉沢さんは「プールがすごかった」とふり返り、「実は、まだ観たことがないんです」と大きな体を小さくする大谷さんは、岸谷チーフから「何だと!」と怒られる一幕も。「フエルサ ブルータ」のパフォーマンスに感激し、思わず自らが主宰する劇団「地球ゴージャス」の公演で「ワイヤーアクションをぱくった」と告白した岸谷さんとしては、思わず熱が入ってしまったよう。(当日は、その“証拠映像”も披露され、「オマージュか?」「ぱくりか?」というMCとのやり取りに場内から笑いが。)とはいえ、観客同様、4人でさえも新作は未知の領域。この日登場した日本人キャストの迫力あるダンスを観ただけでも期待がかなり高まります。そんな作品はもちろん、個人的に気になっているのは日本ならではの楽しみ方。実は、当公演のために大改造し、アップグレードされた演出とセットを展開するステラボールにはほかの劇場とはひと味違った感覚で鑑賞できる特別席が登場するのです。会場2Fのセンターにある26席は、公式パンフレットにオリジナルグッズ、そしてオフィシャルシャンパンに決まったモエ・エ・シャンドンのシャンパンが付いたVIPシート(15,000円税込)。ブランドのシンボルであり、ナポレオン1世の生誕100周年を記念して1869年に皇帝の名前を冠して登場した「モエ アンペリアル」のミニボトル「ミニ モエ(200ml)」が付いてくるのです。ミニ モエは、飲み口にミニフルートをつけて楽しむスタイルなので、臨場感たっぷりの劇場内でも、片手で気軽にシャンパンを楽しめます。実は「フエルサ ブルータ」の代名詞でもあるプールパフォーマンスを、上から鑑賞できるのは世界でも日本のこの2F席のみ。しかも、手が届くほど近くに降りてくる空中プール下に行きたい方は、オープニングアクト後に1F(スタンディングエリア)への移動も可能。心躍るひと時を、より華やかに楽しませてくれるVIPシートはすでに先行発売されているので、気になる方は急いで。公演は撮影も可能なので、この夏はSNSでも話題を集めそう。「フエルサ ブルータ」ファンはもちろん、初めてという方も、「WA!」で常識と重力を超えた最先端エンターテインメントを体感してみてはいかが?(text:June Makiguchi)
2017年05月20日コミックの実写映画化が相次ぐ一方で、期待通りのヒットに至らないケースが増えている邦画界。そんな状況にあって、古屋兎丸氏の異色作を原作にした『帝一の國』が絶好調だ。配給の東宝によると、5月17日(水)時点で動員100万人を突破している。エリート学生800人が通う全国屈指の超名門にして、政財界に強力なコネを持つ海帝高校を舞台に、「総理大臣になって、自分の国を作る」ことを夢見て、 その絶対条件である生徒会長を目指す主人公・赤場帝一の奮闘を描く本作。原作の知名度では、同時期に公開された漫画原作映画に比べて、一歩譲るが「1本の映画として楽しむ」という点では、シンプルなあらすじで、「原作は知らないけど、面白そうだな」と興味をそそられた人も多いはず。そして、実際に映画を観てみると、これが純粋に面白い!主人公の帝一をはじめ、クセがすごい高校生たちがそれぞれの思惑を胸に、策略を練り上げ、裏切りと陰謀うずまく選挙戦で火花を散らす姿は、スリリングかつ胸アツ。もちろん、腹を抱えて笑えるコメディ映画としての魅力も存分にあった(この点は永井聡監督の功績が大きい)。主演の菅田将暉を筆頭に、野村周平、竹内涼真、志尊淳、千葉雄大、間宮祥太朗という旬のイケメンが勢ぞろいしたキャスティングが、観客のターゲットを格段に広げたのは言うまでもない。また、彼ら自身が俳優として“若手枠”から飛躍しようと、しのぎを削っている現実が、映画の内容と見事にリンクしているからこそ、一見シュールな選挙戦に、リアルな命が吹き込まれた。これも作品のクオリティを押し上げ、予想以上のヒットを記録した一因だ。現在では、自作のイラストなどをアップロードするウェブサービス上で、『帝一の國』の“二次創作”も大盛り上がりだ。注目したいのは、その多くが実写版のキャストを題材にしているという点。同様の現象は舞台版の「おそ松さん」でも見られただけに、いかに菅田さんらが演じたキャラクターが、ユーザーの想像力をかきたてているかがわかる。公開を前にしたプロモーションの場で、菅田さんは繰り返し「この作品は、僕らからの果たし状」と強い自信を示していた。その言葉通り『帝一の國』は、ハリウッドの話題作や長編アニメが強さを見せた今年のゴールデンウィークに風穴を開けるスマッシュヒットを飛ばし、コミックの実写映画化のあり方にも一石を投じる結果となった。(text:Ryo Uchida)
2017年05月18日昨今、恋愛からつい遠のきがちなお年頃女性を対象に「タラレバ言ってもいても始まらない」「我がフリを見直すならいまがチャンス」と指南要素満載のドラマが数多く放送され、世の注目を集めています。そこで本日は、今クールを彩る“恋愛不器用”な主人公たちの生態を徹底検証!どうすれば前向きな恋ができるのか、ドラマを通して学んでいきましょう。■「自信が無い」はマイナスの呪文―隣の芝生ではなく、自分の芝生を見ることが大切この教訓を学ぶことができるのが、ドラマ「人は見た目が100パーセント」です。製紙会社に勤務する真面目な理系女子研究員・城之内純(桐谷美玲)は、ある日突然、会社の統合を機にお洒落な町・丸の内で働くことになってしまいました。煌びやかな世界を目の当たりにし、自分たちは“女子モドキ”なのかもしれないと気づいたリケジョ三人衆。新しい上司から「人は見た目が100%なのだから、もう少し身なりに気を遣ってみては?」と言われ、美の特別研究を始めることにしたのですが…そう簡単に可愛くなれたら、苦労しませんよね(涙)他部署のステキ女子たちを横目に、「あんな風に身も心も可愛く生まれたかった。私なんて…所詮…」と自信の無い発言を繰り返し、諦めモードに突入したときでした。ステキ女子たちから渾身の喝が入ります。「私たちは自信を持つために、人知れず努力を重ねているんです!」と――まさにこのシーンこそ、世の女性たちへのエールなのではないでしょうか。見た目の冴え度に多少差があるとしても、美への努力を惜しむ理由にはなりません。自信の無さを口にすることで、自分自身に「努力しても無駄なんだから」とマイナスの暗示をかけているに過ぎないのでは?隣の芝生が気になる気持ちはわかりますが、他人の粗を探している間に自分のが枯れてしまってはもったいない!オンリーワンの庭を好いてくれる人が必ず現れると信じて前進あるのみです。「人は見た目が100パーセント」は毎週木曜日22時~フジテレビにて放送。■恋も仕事も、両方手に入れればいい―邪魔をしているのはあなたの“プライド”です続いては、「恋がヘタでも生きてます」をピックアップ。(5月18日放送の第7話場面カット/写真)大ヒット恋愛ゲームのプロデューサーとして実績を積み上げてきた主人公・茅ヶ崎美沙(高梨臨)は、仕事一筋バリバリのキャリアウーマン。ユーザーが求めている愛の台詞や壁ドンエピソードを考えるのは得意なのですが…プライベートではなぜか2か月以上恋人関係が続かないという“恋愛不器用”ぶりに苦戦していました。そんな彼女の前に、雇われ社長として突如現れた雄島佳介(田中圭)――直感で生きるタイプの彼は、出会ったばかりにも関わらず「君のことをもっと知りたい」と猛烈アピール。その強引さに次第に惹かれていく美沙でしたが…何度シミュレーションをしても、最後はどうしても自分が傷つく結末を想像してしまい、彼の告白を素直に受け入れることができません。「恋愛に失敗するなんて恥ずかしいこと、絶対にしたくない」その高い“プライド”が、彼女の恋路に大きな影響を及ぼしていることがわかりますよね。私たちはつい「仕事も恋も100点満点を取って当たり前」と考えがちですが、実際のところ、恋愛は相手があってこそ。どんなに足掻こうと、自分一人の頑張りで満点は取れないという現実を受け入れる必要があるのかもしれません。そうして肩の力を抜き、“プライド”という重たい鎧を脱ぎ捨てたとき、初めて、これまでと違う形で世界を見ることができるのではないでしょうか。仕事はこれまで通り全力で構いません。ふと舞い込んで来た恋心には嘘をつくことなく、真っ直ぐな気持ちで向き合うことをおすすめしますよ。「恋がヘタでも生きてます」は毎週木曜日23時59分~日本テレビにて放送。以上、いかがでしたかでしょうか。“恋愛不器用”で悩んでいる方は是非、彼女達のの背中を通して、失敗・成功の両例を疑似体験してみては?(text:Yuki Watanabe)
2017年05月17日まるで人間と見分けのつかない“レプリカント”(人造人間)の誕生の瞬間という衝撃的シーンが収められた『ブレードランナー 2049』の最新予告が解禁され、話題を呼んでいる。怪しげな施設でジャレッド・レト演じる謎の男の監視のもと、袋状のようなものから“生まれ落ちた”1体のレプリカント…。いまだ多くの謎に包まれた本作に大抜擢されたのが、キアヌ・リーブス主演『ノック・ノック』(’15)で一躍注目を集めたキューバ生まれの女優アナ・デ・アルマスだ。リドリー・スコットが生み出した名作『ブレードランナー』の35年ぶりの続編となる本作への出演で、“今年の顔”の1人になること間違いなしの彼女に注目した。■注目せずにはいられない!女優アナ・デ・アルマスとは?1988年4月30日、キューバ・ハバナ生まれ、現在29歳のアナ。14歳でナショナル・シアター・スク-ルに入学して演技を学びながら、16歳のとき『カリブの白い薔薇』(’06)で魅惑の美少女を演じて映画デビュー。19歳でスペインに移住し、映画・TVで若手俳優として活躍した。2009年には、第6回ラテンビート映画祭で主演作『セックスとパーティーと嘘』が上映され、初来日も果たしている。その後、ハリウッドにやってきた彼女が一躍その名を知られるようになったのが、『ノック・ノック』。『ジョン・ウィック』で“完全復活”を果たしたキアヌが製作総指揮・主演を務め、ホラー界のカリスマ監督イーライ・ロスと組んだ、まさかのエロティック・スリラーだ。家庭的で子煩悩なパパが、家族の留守中に訪れたセクシーな美女2人に翻弄され、誘惑に負けて一晩の快楽を得るも、その美女たちから飛んでもない(ホントに笑えない…)仕打ちをくらう、という内容で、日本でもスマッシュヒット。美女たちにデレデレ、骨抜きになるキアヌだけでなく、彼女たちの容赦のない暴力と破壊の標的となり、あんなことやこんなことまでされてしまう姿に、『ジョン・ウィック』で「やっぱりキアヌ、カッコイイ!」と再確認したファンたちをいい意味で(?)裏切った。その2人の美女のうち、金髪美女ベルを演じ、制服姿も披露していたのが、アナなのだ。その美貌は、米サイト「TC Candler」が選ぶ毎年恒例の「世界で最も美しい顔トップ100」に2014年から3年連続でランクインするほど。2016年は、クロエ・グレース・モレッツや2012年第1位のエミリア・クラーク、オスカー女優のルピタ・ニョンゴらを抑え、16位に選ばれている。そんなアナは、キアヌとクライムスリラー『エクスポーズ 暗闇の迷宮』で再タッグが実現。NY市警の刑事スコッティ(キアヌ)は相棒を何者かに殺害され、犯人を追うが、捜査は難航。一方、信仰厚いイザベル(アナ)は信じがたい現象を次々に目撃するようになり、やがて2人の物語が交錯、驚くべき事実にたどり着く。一応、キアヌが主人公となっているが、実質的な物語の牽引者となるのはアナ。スタジオ側と監督ギー・マリク・リントンがもめ、監督名が仮名でクレジットされるというミソがついた同作だが、ラストで判明する衝撃の事実に、複雑な役柄を見事に演じ切った彼女こそ主役だったという思いを強くするはず。さらに2016年は、『セッション』のマイルズ・テラー、『ウルフ・オブ・ウォールストリート』のジョナ・ヒル主演の『ウォー・ドックス』にも出演。米陸軍相手に300万ドルもの大型取引を得た若き武器売買業者の実話を、『ハングオーバー』シリーズのトッド・フィリップス監督がクライム・アクション・コメディとして描き、全米初登場3位を獲得。6月21日にはブルーレイ&DVDでリリースされる。■今後の出演作は?『ブレードランナー 2049』ほか話題作が続々ロバート・デ・ニーロとエドガー・ラミレスで実在の伝説的ボクシング・チャンピオンを描き、R&Bアーティストのアッシャーも出演した『ハンズ・オブ・ストーン』では、カンヌ国際映画祭を肌で体験したアナ。2017年は、『ワイルド・スピード ICE BREAK』のスコット・イーストウッドと共演する『スクランブル』も公開され、その人気・注目度は急上昇中。そして、ライアン・ゴズリングが新人“ブレードランナー” Kを演じ、ハリソン・フォードがリック・デッカードとして帰ってくるドゥニ・ヴィルヌーヴ監督『ブレードランナー 2049』では、Kが唯一心を許す“恋人”ジョイ役に抜擢された。アナが演じるジョイはゴズリング演じるKに接触し、何か重要な事柄を彼に伝える様子だが…。ちなみに、前作でデッカードと恋に落ち、逃亡するレプリカントのレーチェルを演じたショーン・ヤングといえば、バレエダンサー、モデルから女優に転身し、同作で鮮烈な印象を放って一躍、人気女優の仲間入りを果たした。以後、デヴィッド・リンチによる『砂の惑星』(そのリブート版もヴィルヌーヴ監督が手がける)、ケヴィン・コスナー主演『追いつめられて』などに出演したが、マット・ディロン主演『死の接吻』(’91)のころには、相次ぐ作品降板や交際相手へのストーカーなどで、すっかりお騒がせ女優となってしまった…(以下、自粛)。とにかく、前作の舞台2019年から30年後、2049年の世界が描かれるという本作。まだ明らかになっていないことばかりだが、当時、“ネクサス6型”といわれたレプリカントはさらにバージョンアップしているのだろうか?予告映像でも確認できるように、本作でのアナの艶っぽさ、そして垣間見られる感情の豊かさ、理知的な部分は、人間以上に“人間的”であることを予感させているが…。スリラーからコメディまでこなし、全裸や大胆な性描写をもいとわない“体当たり”女優でもあるアナ・デ・アルマス。2017年、この名を覚えておいて損はない。(Reiko Uehara)
2017年05月17日昔もいまも、映画のなかで列車や駅はとても重要な場所として描かれてきました。たとえば個人的に好きな映画でいうと、旅の途中で出会う男女の一夜のラブストーリー『ビフォア・サンライズ 恋人までの距離』、自分と家族の関係を見つめ直すヒューマンコメディ『ダージリン急行』、ジョニー・デップとアンジェリーナ・ジョリーが初共演したロマンチックミステリー『ツーリスト』も長距離列車で主人公たちが出会い、物語が進んでいきます。サスペンスやアクション映画の舞台としても数多く使われていますし、列車と映画をキーワードに調べていくとなかなかどうして奥深い。そんなふうに列車と映画について調べたくなったのは、今回ピックアップした『僕とカミンスキーの旅』で描かれる列車の旅が印象的だったからです。この映画は、31歳の青年ゼバスティアン(ダニエル・ブリュール)と85歳の老人カミンスキー(イェスパー・クリステンセン)が西ヨーロッパを旅するロードムービー。…と、その前にカミンスキーって誰?となると思いますが、彼はフランスの画家アンリ・マティスの最後の弟子であり、パブロ・ピカソの友人でもある──という設定の架空の画家です。しかも盲目の画家として脚光を浴びたアーティストでもある。物語は、隠遁生活を送り世間から忘れ去られつつあるカミンスキーの伝記を書いて一儲けしようとするゼバスティアンが、スイスの山奥に向かうところから始まります。彼の家には気難しい娘が居て思うようにカミンスキーから話を聞き出すことができないため、ゼバスティアンはカミンスキーを家から連れ出すことを企み、そこから2人の奇妙なロードムービーが始まるわけです。スイスからフランス、ベルギーへと旅する2人。その途中に長距離列車でのエピソードもあります。ちぐはぐな2人がわけあって一緒に旅をするなかで、いつしか友情が生まれる…というストーリーはありがちですが、この『僕とカミンスキーの旅』の面白いところは、盲目の85歳の画家を利用して一儲けしようとしていた31歳のインチキ美術評論家に主導権があると思いきや、実は逆、カミンスキーのほうが一枚上手だった?ちょっと意外な展開と結末が待っていることです。そして、観終わる頃にはすっかりこの映画の世界に魅了され、列車の旅を含めたスイス、フランス、ベルギーをまたぐ旅に出たくなりました。そのときには、もちろんこの映画の原作「僕とカミンスキー」(著ダニエル・ケールマン)も忘れずに持っていきたいと思います。(text:Rie Shintani)(text:Rie Shintani)
2017年05月14日花の都、恋の街、モードの発信地でもあるパリ。あなたが、もしそんなイメージを持っているなら、それを印象づけたのはいったい何だったのでしょう。古くは、ジャック・タチやジャック・リヴェット、フランソワ・トリュフォーやジャン=リュック・ゴダールらの映画や、ココ・シャネル、クリスチャン・ディオール、イヴ・サンローランといったファッション、フランス・ギャルやシルヴィ・バルタンらのフレンチ・ポップス。それらの影響を受け、自由な発想を持つフランスの現代カルチャーも、自国の粋な伝統を受け継ぎ、世界中の人々を惹きつけています。そんなフランスの小粋なエスプリを世界に印象づけたもののひとつが、有名な写真「パリ市庁舎前のキス」でしょう。撮影したのは写真家ロベール・ドアノー。彼の素顔と作品群の魅力をとらえたドキュメンタリーが『パリが愛した写真家ロベール・ドアノー<永遠の3秒>』です。「パリ市庁舎前のキス」は、1950年に米国「LIFE」誌からの依頼で“パリの愛”をテーマに撮影された連作のうちの1点でした。あまりに有名な写真で、20世紀を象徴する写真とも言われているので、ドアノーやタイトルを知らずとも、観たことがある方も多いでしょう。ある時はポストカードで、ある時はチラリとメディアに映ったウディ・アレンの部屋で、ある時はポスター店で。実は、私も大好きでかつて自室に飾っていました。通りすがりの恋人たちの親密な瞬間を偶然に切り取ったと思われていたこの写真ですが、実は、当時は公共の場でキスをすることがそれほど多くなかった時代。モデルを雇い、様々な場所でキスをしてもらうことで実現した企画だったようです。演出があったとしても、真のきらめきを感じるからこそ、人々はパリの持つロマンティックな表情をそこに重ねたのでしょう。それは、モデルたちが本物の恋人同士だったということもあったのでしょうが、孫娘によるドキュメンタリーを観ると、この作品が単にファッショナブルな写真として消費されていくのではなく、20世紀を象徴する1枚として永遠に色褪せないのは、ドアノーのエスプリによるものだと確信できます。「パリ市庁舎前のキス」を、ずっと一般の人を偶然にとらえた写真だと思っていた私ですが、モデルを配していたと知っても、「なーんだ」とは思いませんでした。その理由も、このドキュメンタリーの中にあります。ドアノーは、スクープよりも日常の風景を愛する人でした。そして、自らの分を知り、芸術家ではなくあくまでも職人であることを貫いた人。ありきたりのものや人の中にある輝きを見出すことを愛し、その瞬間が訪れるまで歩き、探し、待つ、努力の人だったのです。そして、その努力や苦労は決して作品ににじませない。でも、その裏側こそが、彼の作品の魅力の土台となっていたのです。むしろ、あの瞬間が計算によって実現していたこと、そしてそれでもなお、あの瞬間が真実となり、ロマンティックなパリという世界観を映し出す確かな細部となっていたことに驚いたのです。私たちは、これまでになく写真と密接な関係を持つ時代に生きています。常にカメラが内蔵されたスマートフォンを持ち歩き、思いつくまま撮影し、それをSNSなどにアップロードし、人と感情を共有しています。だれもがカメラマンだと言える時代かもしれません。でも、職人になれる人はひと握り。技術や写真の出来以上に、ドアノーを写真家たらしめたのは、1秒への執念だったのかもしれません。ドアノーが生きたフィルムカメラの時代には、大きなメモリを内蔵するデジタルカメラが主流のいまでよりも、1枚の重みが違っていたことでしょう。皆、どれほどの緊張感を持ってシャッターを押していたことか。だから、その瞬間が来るのを、準備を十分に重ねてひたすら待つ。そして、その瞬間が来たことを知る嗅覚も研ぎ澄まされていく。ドアノーは、写真家は釣り人のようだと言っていたそうです。以前、通信社の写真部門で働いていた私は、ある同僚のカメラマンにこう教えてもらったことがあります。「シャッターを押す、最も大切と思われるその瞬間に、写真家は像を観ることができない」と。写真というものが持つ不条理さと、ロマンチシズムを感じた瞬間でした。でも、だからこそ努力し、準備し、待ち続け、1秒先を予測する心の目を養う。ドアノーは、まさにその権化ともいえる人。彼の、そして作品の魅力をたっぷり味わってみてください。(text:June Makiguchi)
2017年05月10日『ラ・ラ・ランド』『モアナと伝説の海』『SING/シング』、そして『美女と野獣』と、歌&ダンスが映画と幸せな関係を築いている2017年。もちろん、歌&ダンスたっぷりの人気作なら、海外ドラマの世界にもあります!今回は、話題のミュージカルラブコメディ「クレイジー・エックス・ガールフレンド」を紹介します。「ゴシップガール」などの放送局The CWで2015年秋から放送されている「クレイジー・エックス・ガールフレンド」は、ニューヨークで活躍する超エリート弁護士レベッカ・バンチが主人公。仕事ができて、収入も多いレベッカはいわゆる“デキる女”ですが、思い込みが激しいというか、妄想癖が過ぎるというか…な面も。そんなレベッカが高校時代にちょっとだけ付き合った元カレのジョシュと再会し、恋心を再燃させ、東海岸での暮らしを投げ捨て、ジョシュの暮らす西海岸に引っ越すところから物語が展開していきます。本当は優しくていい子ではあるものの、ストーカー上等!と言わんばかりに我が道をマイペースに突っ走るレベッカは、新しい就職先となる法律事務所の面々ら、周囲を巻き込んでジョシュの愛を勝ち取る作戦を開始。ですが、ジョシュにはすでに美しい恋人バレンシアが。また、自己中女子と知りながらもレベッカに惹かれるバーテンダーのグレッグら、第2の男子も現れる中、レベッカはジョシュと結ばれることができるのでしょうか…。主人公のレベッカを演じるだけでなく、脚本&製作総指揮も務めるレイチェル・ブルームは、ニューヨーク大学で演劇の勉強をし、脚本家やコメディ女優として活躍してきた才女。全米放送が始まった直後の2016年、ゴールデン・グローブ賞テレビの部でミュージカル/コメディ部門主演女優賞に輝きました。レベッカと同じくレイチェル自身も相当お茶目な性格のようで、「クレイジー・エックス・ガールフレンド」でドラマ界の人気スターになる以前には、自作のミュージックビデオ「Fuck Me, Ray Bradbury」(あえて原題表記にしてみました)をYouTubeに公開。SF作家レイ・ブラッドベリの生誕90周年を祝うこのビデオは、ざっくり言えば「ブラッドベリ大好き!」という内容。ですが、タイトルからもわかるように表現は過激。“クレイジー・エックス・ガールフレンド”であるレベッカが、ジョシュに対して表現する過激な恋心の原点とも言えそうです。過激なユーモア&音楽のミックスを愛するレイチェルの姿勢は「クレイジー・エックス・ガールフレンド」でも確実に見られるもので、劇中には楽しいものからエロいもの、馬鹿馬鹿しいもの、シリアスで感動的なものまでミュージカルシーンが満載。レベッカだけでなく、おバカなくらい素直でムキムキ筋肉が自慢のジョシュも、気の強さとナイスバディで彼を尻に敷く恋人のバレンシアも、レベッカに振り回される皮肉屋のグレッグも、レベッカの恋を応援するアシスタントのポーラも、歌います!歌声自慢の実力派キャストが集結したおかげで、全員上手いです!しかも、1シーズン全18話(シーズン2は全13話)にわたってオリジナリティに溢れたミュージカルの数々が楽しめるのですから、量的にも2時間の映画よりお得?ちなみに、記念すべきシーズン1第1~2話は、『(500)日のサマー』『アメイジング・スパイダーマン』のマーク・ウェブが監督を務めています。すでにシーズン3の全米放送も予定されている「クレイジー・エックス・ガールフレンド」。ミュージカル映画にハマった人は、ぜひこちらもご覧ください。(text:Hikaru Watanabe)
2017年05月09日自身の製作&主演作『ウォー・マシーン:戦争は話術だ!』を引っさげ、まもなく2年6か月ぶりに来日する大スター、ブラット・ピット。本年度のアカデミー賞を制した『ムーンライト』のエグゼクティブ・プロデューサーとしても知られ、彼が率いる製作会社「プランBエンターテインメント」は『ディパーテッド』(’06)、『それでも夜は明ける』(’13)に続いての作品賞獲得となった。かたや、ヴィン・ディーゼルは最新作『ワイルド・スピード ICE BREAK』が全世界的に大ヒット中。全世界オープニング興収の歴代第1位に躍り出る特大ヒットスタートを切り、公開17日で全世界興収10億ドルを突破。日本でも、『ワイルド・スピード SKY MISSION』を超えるシリーズ最大のオープニング成績を記録している。一時シリーズから退いたヴィンは、エグゼクティブ・プロデューサー兼主演として復帰するや、以降の大躍進はご存じのとおり。彼らをはじめ、賞レースにからむ高評価を受けたり、世界的大ヒット作を生み出したりと、人気俳優たちの名プロデューサーぶりが今年は特に顕著だ。■ブラピ、マットにコリン…ときには裏方に徹する人気俳優たちブラッドは、『それでも夜は明ける』やアカデミー作品賞ノミネートの『マネー・ショート華麗なる大逆転』『ツリー・オブ・ライフ』などに出演してはいるものの、必ずしもすべてのプロデュース作品に出演しているわけではない。そのネームバリューを最大限に活かしつつ、時代性に即した挑戦的なテーマを求め、いち早く才能豊かな新鋭監督と組むなどの手腕が光り、いまや最も注目を集めるプロデューサーの1人となった。アカデミー賞に好まれるような社会派作品だけでなく、『キック・アス』シリーズや『ワールド・ウォーZ』などのアクション・エンターテインメントなど、振り幅の広さもポイントだ。そのブラッドが自ら、独特の話し方とオーバーリアクションの“クセがすごい”主人公を演じるNetflixオリジナル映画『ウォー・マシーン:戦争は話術だ!』は、5月26日(金)からの配信に合わせ、『フューリー』以来の来日PRをするとあって、かなりの自信作といえそう。Netflixとは、ハリウッドの気鋭クリエイター、ブリット・マーリングとともにオリジナルドラマ「The OA」を手がけ、カンヌ国際映画祭コンペティション部門に正式出品されるジェイク・ギレンホール、ティルダ・スウィントンら豪華競演のポン・ジュノ監督作『オクジャ』(6月28日配信)も控えている。また、今年は自らIMAX版のナレーションも担当した巨匠テレンス・マリックのドキュメンタリー『ボヤージュ・オブ・タイム』が公開され、今後もチャーリー・ハナム、トム・ホランドらが出演する『The Lost City of Z』(原題)、クリスチャン・ベイル主演のチェイニー元・米副大統領の伝記映画など注目作が続く。ブラッド製作・主演の『ジェシー・ジェームズの暗殺』(’07)でアカデミー賞助演男優賞に初ノミネートされ、今年『マンチェスター・バイ・ザ・シー』(5月13日公開)で主演男優賞に輝いたのが、ケイシー・アフレックだ。彼の兄ベン・アフレックと長年の友人であるマット・デイモンは製作会社「パール・ストリート・フィルム」の共同経営者で、『マンチェスター~』はマットが当初、製作・監督・主演を務めるはずだった。だが、マットがスケジュール的に難しくなり、監督を、脚本を執筆したケネス・ロナーガンに、主演を、キャリアにいまひとつ伸び悩んでいた親友の弟ケイシーにバトンタッチ。アカデミー賞の受賞スピーチでは、ケイシーがマットに「チャンスを与えてくれてありがとう」と胸アツの言葉を贈っていたことも記憶に新しい。『キングスマン』の続編『Kingsman: The Golden Circle』(原題)で“生存”が明らかになったオスカー俳優コリン・ファースも、自ら製作会社「レインドッグフィルムズ」を設立している。そのきっかけになったのは、夫婦の実話に心打たれたコリンが映画化を熱望した『ラビング愛という名前のふたり』(公開中)で、主演女優ルース・ネッガのオスカー初ノミネートをはじめ、賞レースを席巻。コリンはヘレン・ミレンと故アラン・リックマンの共演作『アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場』でも製作を務めた。ケイシーの兄ベンの『アルゴ』以来の監督・主演作『夜に生きる』(5月20日公開)で、ベンとともに共同プロデューサーを務めているのが、レオナルド・ディカプリオ。レオの製作会社「アピアン・ウェイ・プロダクションズ」は、オンラインカジノを題材にしたベン主演の『ランナーランナー』、レオ自身に念願のオスカー像をもたらした『レヴェナント:蘇えりし者』、ブラッド・ピットに競り勝って権利を手に入れた『ウルフ・オブ・ウォールストリート』など数多くの作品を手がけてきた。一方、“バットマン”でもあるベンは、DCヒーロー大集合の『ジャスティス・リーグ』(11月18日公開)では製作総指揮も務め、続くバットマン単独主演映画でも製作と脚本を務める。■主演作だからこそ徹底的にこだわる人気俳優たちレオやベン、“不可能”なミッションに挑戦し続ける『ミッション:インポッシブル』シリーズのトム・クルーズなどのように、自身で演じたいキャラクター、描きたいストーリーがあるからこそ俳優たちは自らプロデューサーを務める。『ワイルド・スピード』シリーズのヴィンは、第1作目が大ヒットとなった後、2作目は出演しなかったものの、3作目『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』にカメオ出演、4作目『ワイルド・スピード MAX』で製作総指揮も兼ねて主演復帰を果たした。以降、オリジナルメンバーといえるポール・ウォーカー、ミシェル・ロドリゲスらに、ガル・ガドットやドウェイン・ジョンソン、ルーク・エヴァンス、ジェイソン・ステイサム、シャーリーズ・セロンなどなど、人気俳優やネクストブレイカーたちを続々と参戦させ、1作ごと右肩上がりの興収で世界的にファンを獲得、大進化を成し遂げてきた。前作『ワイルド・スピード SKY MISSION』では、撮影中に他界したポールとの“劇中での別れ”を最大限の愛とリスペクトを持って最高の形で示し、ファンたちの涙を誘った。もちろん『ICE BREAK』にも、愛とリスペクトはたっぷりだ。まさに、ファンと一体となって“ファミリー”を形成してきたヴィン。今後、あと2作(2019年、2021年)が製作され、10作目で完結することを明らかにしている。さらに、ヴィンが『ワイルド・スピード』の後、製作総指揮を務めた代表作の1つに『トリプルX』シリーズがある。自身が出演しなかった前作(’05)は興行的に振るわなかったが、最新作『トリプルX:再起動』で再び型破りなエージェント、ザンダー・ケイジを演じてシリーズの“再起動”に大成功。こちらにもニーナ・ドブレフ、ドニー・イェン、ルビー・ローズ、ディーピカ・パーデュコーン、トニー・ジャー、サッカー選手のネイマールなど、グローバルな最旬キャストが集結しており、“プロデューサー”ヴィンの俳優を見る目は確かかも。また、昨今の潮流にもれず、自身の製作会社「ワン・レース・フィルムズ」にTV部門を設け、自身のこだわり主演シリーズ『リディック』のスピンオフTVドラマなどを製作する。もう1人、注目しておきたいプロデューサーは、8月に超大作『トランスフォーマー/最後の騎士王』が控えるマーク・ウォルバーグ(Closest to the Hole Productions)だ。彼はアカデミー作品賞ノミネートの『ザ・ファイター』や、「アントラージュ★オレたちのハリウッド」「ボードウォーク・エンパイア 欲望の街」などの傑作海外ドラマを手がけていることで定評があるが、今年、『ローン・サバイバー』のピーター・バーグ監督とタッグを組んだ実録ものの製作&主演作が連続公開。『バーニング・オーシャン』(公開中)は2010年に起きたメキシコ湾沖の石油掘削施設での“人災”と決死の脱出劇を描き、『パトリオット・デイ』(6月9日公開)では2013年に起きたボストンマラソン爆弾テロ事件の裏側に迫る。いずれも世界を震撼させた事故・事件だけに、製作者としての真摯な姿勢が問われるところ。前者では実際の掘削施設作業員たちと交流を深め、熱演を見せただけに、『パトリオット・デイ』でのボストン警察の刑事役ではどんな姿を描いてみせるのか、期待が高まる。(text:Reiko Uehara)
2017年05月08日ゴールデンウィークです。5月1日と2日の2日間、有給を取って休みにしてしまえば9連休になる人もいるそうですね。9日間、仕事をしなくていいとしたら、何をしようかとウキウキするものなのでしょうけれど、何故でしょうか、思い返してみるとイベントごとは決まってひとりで過ごすことが多いです…。今年も例外ではなく、彼氏と一緒に旅行に行けるかも!?なんていうのは妄想の先のまた妄想。ええ、この前のデートも実らずに終わりました。ここはひとつ年齢の幅を広げないと未来はないぞと、思いっきり年下を狙ってみたのですが、年代を変えてみても私の恋のアンテナはやっぱりダメ男、クズ男にピピッとくるようになっているんですね。連休直前に「コイツはダメだ…(四十路の心の声)」と判断してしまったので、ゴールデンウィークもめでたくひとり、ゆるゆる仕事をしながら過ごしている古山エリーです。今宵もたわごとお付き合いくださいませ。2~3歳年下とつき合ったことはありますが、さすがに一回り以上となると躊躇してしまいます。しかし!マルグリット・デュラスの晩年の最後の恋人は38歳年下、「セックス・アンド・ザ・シティ」のサマンサとスミスは確か15~16歳差カップルだったので、つい私もー!(それがおこがましい…)と思い切ってみたんです。実際、仕事や趣味の話はまったく問題なく合う、合う。問題は、恋人を1人に絞れない人、恋人がいても「いいな」と思う女性が現れるとデートしちゃう、行くとこまでいっちゃう、恋愛に自由な人だったわけです(そういう人を狙いに行っているとしか思えない私の命中率…)。受け入れてつき合う選択肢もありますけどね、無理ですって。育てるって手もありますけどね、リスク高すぎですって。そんなときは、ラブストーリーを観ても泣ける感動系を観ても、すごーく冷めた目で観てしまうので…そうだ!爽快な気分にさせてくれる映画を観よう!と選んだのは『フリー・ファイヤー』です。銃の取り引きをするために集まったギャングとギャングが、ささいな言い争いをきっかけに銃撃戦を始めてしまうノンストップのアクション・コメディ。この人たちって…と、ただただ呆れてしまう、実にクレイジーな映画でした(そして実に面白い!)。感動した~!とはならないですが、おひとりさま女子のストレスを心地よく解消してくれる映画です。ちなみに紅一点のブリー・ラーソンをはじめ、キリアン・マーフィ、サム・ライリー、ジャック・レイナー、アーミー・ハマーなど、好きな俳優が揃っていたのも観ようと思った決め手。こういう映画を一緒に観る彼氏が欲しいーっ!というわけで、レッツ婚活、頑張れ四十路!今宵はここまで、また次回。(text:Elie Furuyama)(Elie Furuyama)■関連作品:フリー・ファイヤー 2017年4月29日より全国にて公開(C) Rook Films Freefire Ltd/The British Film Institute/Channel Four Television Corporation 2016
2017年05月06日現在放送中のドラマ「フランケンシュタインの恋」で元ヤンの“職人女子”室園美琴を演じているのが、2年前に「AKB48」を卒業、その後女優として活躍している川栄李奈だ。グループ卒業以降、女優として一気にブレイクした川栄さん。その“飛躍”の理由とは?「フランケンシュタインの恋」は120年もの間、人間界から遠ざかっていた綾野剛演じる“怪物”が、二階堂ふみ演じる津軽継実に出会い恋に落ちるが、怪物にはある秘密があり、それが怪物を苦しめていく…という物語。川栄さんは怪物が住み込みで働くことになる稲庭工務店の大工職人・室園美琴役で出演している。「AKB48」がブレイクを果たした2010年7月にグループ入り、同年11月に研究生公演でデビューした川栄さんは、2012年の「真夏のSounds good !」で初の選抜メンバー入り、ユニットデビューも果たしファンの間で次世代エース候補と目されるようになった。一般には「めちゃイケ」での“おバカキャラ”で注目を浴びた彼女だが、当時から“女優への思いを持っていた”という。2011年に「マジすか学園2」で女優デビューすると2014年には「セーラーゾンビ」でドラマ初主演を飾る。「AKB48」在籍時はグループ関連のドラマ出演が多かったが、同年秋には宮藤官九郎脚本、「関ジャニ∞」錦戸亮主演による「ごめんね青春!」に出演するなど単独での女優仕事もこなし、2015年夏のグループ卒業後は怒涛のごとく女優業にまい進することに。卒業後に主演した舞台「AZUMI 幕末編」が高評価を受け、連続テレビ小説「とと姉ちゃん」で高畑充希演じるヒロインが下宿する森田屋の一人娘・森田富江役に抜擢。「早子先生、結婚するって本当ですか?」や「死幣-DEATH CASH-」など連ドラへの出演が続くと、昨年秋には『デスノート Light up the NEW world』で渋谷にいる普通の少女ながらデスノートで無差別殺人を行う“史上最悪のデスノート所有者”青井さくらを演じるなど短期間の間に数多くの作品に出演。幅広い役柄をこなす“実力”が評価され女優として大躍進を遂げた。同じ「AKB48」メンバーから女優へと転身を遂げた代表格といえば前田敦子と大島優子が挙げられるが、いずれもグループ在籍時から単独での女優活動が多く、女優として地道な準備を進めてきた印象が強い一方で、彼女たちはグループが最も注目された時代のエース級メンバーでもあり「元AKB48」の“色”を強く残して女優への道を歩み出したのも事実。それに対し川栄さんは在籍時にはグループ関連作品出演が中心で、あくまでグループの活動の延長として女優業を行っている感があった一方、彼女を起用した監督や演出家がこぞって絶賛する演技に対する意識の高さや勘の鋭さと、「AKB48選抜総選挙」での最高順位が16位と、共に総選挙1位に輝いた前田さん、大島さんに比べると「AKB48」としての“色”が強くないこと。またバラエティで定着した“おバカキャラ”と女優としての演技力のギャップも意外性がある魅力になっており、元「AKB48」の肩書きと女優としての実力が良い形でバランスしているのが、彼女の強みとしていまの“躍進”の原動力になっていると言える。そんな彼女が本作「フランケンシュタインの恋」で演じている室園美琴は元ヤンでちょっと口が悪いが、柳楽優弥が扮する稲庭聖哉にひそかに思いを寄せているという役どころ。以前のインタビューでは「口の悪い役はよくやらせてもらう」と言いながらも、監督から「明るく」と指示を受け自分の中のイメージとの違いから難しさを感じていると語り、「自分の性格が明るくないので、テンションを高くするのが大変」だが「自分でOAを見て演技を改善できる」連続ドラマならではの利点を生かして本作に挑んでいると話していた川栄さん。4月30日オンエアの第2話放送終了後のTwitterでも「演技うまいもんなー」「元AKB48の中で一番、実は演技うまい?」「48グループで川栄の演技が一番すき」「川栄は意外と演技上手い」など、その演技力を評価する声が多数ツイートされており、“OAを見ての改善”が今後反映されていけばさらにその評価が上がることは想像に難くない。この秋には人気コミックの実写化作品『亜人』の公開や、来年には「ジャニーズWEST」小瀧望、黒島結菜らと共演する『プリンシパル~恋する私はヒロインですか?~』が控える川栄さん。今後の彼女の成長ぶりに期待が高まる。(笠緒)
2017年05月06日唐沢寿明が演じるアツすぎる“昭和デカ”と、窪田正孝が演じる草食系“平成刑事”の凸凹コンビが文字どおりスクリーンで大暴れする『ラストコップTHE MOVIE』。ついに公開された本作と連動したスピンオフドラマ「another story of THE MOVIE」2作が、Huluで配信されている。GWの後半、本作をはじめ現在公開中の映画や、まもなく公開される人気シリーズの予習・復習として見ておきたい作品をピックアップ。また、大型連休といえば、前から気になっていたドラマシリーズをイッキ見して、その世界にひたれる絶好の機会。自宅に居ながらにして楽しめる配信作品を中心に、オススメをご紹介しよう。■最新作に備え人気シリーズをイッキ見!2015年に日テレ×Hulu共同製作のドラマとして誕生した「THE LAST COP/ラストコップ」。2人の刑事の名(迷)コンビぶりや豪快なアクション、笑って泣ける胸アツストーリーなどで人気を博し、配信ドラマから地上波ドラマを経て、その集大成となるべく映画化が実現した。30年の昏睡状態から目覚めた京極浩介(唐沢さん)は、刑事に現役復帰するも、平成生まれの現代っ子で自分の娘・鈴木結衣(佐々木希)と付き合っている若手刑事・望月亮太(窪田さん)とコンビを組むことになり、ハチャメチャながらも事件を解決していく。彼らのほか、和久井映見、竹内涼真、藤木直人、桜井日奈子、武田玲奈、伊藤沙莉、宮川一朗太、黒川智花、松尾諭、田山涼成、佐野史郎らの豪華競演も見逃せない。“伝説”といわれた生放送の地上波最終回も含め、これまでの全ドラマが配信されているので初見の人にもオススメ。また、映画のイッキ見なら、アイアンマンやキャプテン・アメリカなどのヒーローたちが同じ世界観を共有する、全世界累計興行収入1兆円超え(!)のマーベル作品はいかが?Huluにて期間限定で配信されているのは、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』をはじめ、『アントマン』『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』など11作品。これらは「マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)」と呼ばれ、それぞれの作品は密接に関連し合っている。製作順に見るもよし、ヒーロー別に見るもよし。イッキ見してみると、ヒーローたちの性格や背景、関係性などがより明確になり、『シビル・ウォー』や『アベンジャーズ』などで共演する際の人間ドラマも楽しみの1つになる。最新作『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』が連休あけ5月12日(金)より劇場公開、ベネディクト・カンバーバッチ主演『ドクター・ストレンジ』がデジタル先行配信中だが、彼らも今後“アベンジャーズ”の仲間入りを果たすだけに、チェックしておきたい。さらに、最新作『ワイルド・スピード ICE BREAK』が日本公開を迎え、週末3日間で興行収入8億超えというシリーズ最高の成績で大ヒットスタートを切った『ワイルド・スピード』シリーズにも注目。『ICE BREAK』は世界的にも大ヒットを爆走中で、全米では3週連続No.1、全世界興収では早くも10億ドル超え。これほどまでに右肩上がりに興収を伸ばし、人気と高評価を獲得していく超大作シリーズは本当に珍しい。しかも今回は、“ファミリー”の要であるヴィン・ディーゼルが“サイバーテロリスト”シャーリーズ・セロンの手に堕ち、ドウェイン・ジョンソン、ミシェル・ロドリゲスらと訣別!だが、前回登場したジェイソン・ステイサムや“新顔”スコット・イーストウッドが加わり、彼らの絆のみならず、アクションも空前絶後のスケールアップ。まだストリートを疾走していたころの第1作目『ワイルド・スピード』(2001年/みんな若い!)からシリーズをふり返ってみると、在りし日のポール・ウォーカーの活躍や、いまや『ワンダーウーマン』となったガル・ガドットらの姿も目にすることができる。同じく、前作超えのシリーズ歴代最高の大ヒットスタートとなったのが、「名探偵コナン」の劇場版最新作『名探偵コナン から紅の恋歌(ラブレター)』。1997年公開の第1作目『名探偵コナン 時計仕掛けの摩天楼』から歴代の名作を、配信で楽しむことができる。最新作では久しぶりにコナンと平次がコンビを組むこともあり、Huluでは2人が組んだ過去のTVシリーズ回も。ちなみに、主題歌を歌う倉木麻衣の「名探偵コナン」主題歌メドレーライブも配信されている。劇場版といえば、Amazonプライム・ビデオでは『映画クレヨンしんちゃん』と『映画ドラえもん』のシリーズを配信中。「クレヨンしんちゃん」は、昨年の『映画クレヨンしんちゃん爆睡!ユメミーワールド大突撃』などの劇場版はもちろん、Amazonオリジナルの外伝シリーズも好評だ。近未来宇宙を舞台にした「クレヨンしんちゃん外伝 エイリアン vs. しんのすけ」、原作41巻の「フィギュアウォーズ」をバージョンアップした「クレヨンしんちゃん外伝おもちゃウォーズ」、最新のシーズン3「クレヨンしんちゃん外伝 家族連れ狼」と、非日常の世界観を描く外伝は休日にぴったりかも。■気になる海外ドラマのイッキ見こそ大型連休の醍醐味!?まずは、8年ぶりに帰ってきた「プリズン・ブレイク」のシーズン5が、dTVでCS「FOXチャンネル」の放送に合わせてリアルタイム配信中。また、シーズン1から4まで過去の全シーズンも一挙配信中だ。ハマった海外ドラマとして、「24 -TWENTY FOUR-」や「LOST」などと並んでよく名を上げられる本作だけに、楽しみにしていた人も多いはず。今回は、死んだと思われていたマイケル(ウェントワース・ミラー)が、実は中東イエメンの刑務所で生きているかもしれない…というところから物語が始まっている(各エピソードは配信開始日から20日間の限定配信なので御注意を)。また、5月病とはいかないまでも、新年度から1か月経ち、ちょっと疲れ気味…という人には、Netflixオリジナルドラマからご紹介。ファッションサイト「ナスティ・ギャル」のカリスマオーナーだったソフィア・アモルーソのベストセラー自伝を基にした“アメリカ版ビリギャル”「ガールボス」は、オシャレ女子にオススメ。ソフィアは学なし、職なし、金なし、でも自分を押し殺して誰かの下で働くなんてまっぴら、という女の子。自ら古着販売サイトを立ち上げ、さまざまな事態に巻き込まれながらも年商100億円超えのサイトオーナーとなっていく。主演のブリット・マーリングは、そんなソフィアのぶっ飛び半生を独創的なファッションも体現しながら好演。製作総指揮には、『ピッチ・パーフェクト』シリーズの脚本家ケイ・キャノンとソフィア本人、さらにシャーリーズ・セロンが名を連ねている。一方、『ロミオ+ジュリエット』『ムーラン・ルージュ』のバズ・ラーマン監督が描く「ゲットダウン」では、若きヒップホップグループ“ゲットダウンブラザーズ”のクールなパフォーマンスと、ヒロイン・マイリーンの圧倒的な歌声を楽しみたいところ。だが、ディスコクイーンとしてスターダムに押されていくマリーンとのすれ違いや、仲間との音楽活動と堅実な将来との間で葛藤を抱えていく主人公“ジーク”ことエゼキエルのように、若者たちの恋と友情、人生を見つめながらの成長にはほろ苦さも…。70年代後半のニューヨーク、ヒップホップの黎明期にタイムスリップしてみては?さらに、女性のお仕事ドラマとしては、1920年代のマドリード、当時最先端の職場だった国営電話会社を舞台に、境遇も性格も異なる4人の女性交換手が火花を散らす「ケーブルガールズ」も登場。現在のアメリカの若者たちを映し出す作品として、有名大学を舞台に“ダイバーシティ”に辛辣なツッコミをいれる「親愛なる白人様」、高校を舞台に生きづらさを抱える若者の姿を描くセレーナ・ゴメス製作総指揮「13の理由」なども、じっくりと観ることができそう。なお、マーベル×Netflixのドラマ「Marvel アイアン・フィスト」も要チェック。飛行機事故で行方不明になっていた大富豪ダニー・ランドが、炎を操る神秘の技“アイアン・フィスト(鋼鉄の拳)”を手に入れてNYに舞い戻り、奇怪な犯罪組織との壮絶なバトルを繰り広げていく。これまで、「デアデビル」2シーズンに「ジェシカ・ジョーンズ」「ルーク・ケイジ」と配信されてきたが、今夏には、彼らが一堂に会して最強ヴィラン(シガニー・ウィーバー!)に立ち向かっていく「Marvel ディフェンダーズ」が控えている。まさにNetflixドラマ版の“アベンジャーズ”といえる作品だけに、いまのうちに個性的なヒーローたちについて知っておきたいところだ。いずれも魅力的な映画・ドラマばかり。見たいものが多すぎて、結局、時間が足りなくなってしまいそう!?(text:Reiko Uehara)
2017年05月06日「劇場に2回、足を運んでもらう」――そんなディズニーの強い自信が感じられる。『美女と野獣』の日本語吹替版声優陣の顔ぶれのことだ。興行収入200億円、いや、社会現象となったあの『アナと雪の女王』超えのために、彼らの声が必要!そんな思いがひしひしと伝わってくる。そもそも、1月末の吹替キャストの発表の時点で、ディズニーの本気度が感じられた。会見なしのリリースのみによる発表でも、単なる記者会見でもなく、発表の場で、いきなり吹替キャスト11名による生歌を披露!収録はまだ始まってもいないにもかかわらず、圧巻のハーモニーで集まった報道陣を魅了した。正直、一般のファンの方々がいないことが申し訳ないくらいの凄まじいパフォーマンスだった。エマ・ワトソン演じるヒロイン、ベル役の昆夏美、野獣役の山崎育三郎をはじめ、岩崎宏美(ポット夫人)、村井國夫(ベルの父親・モーリス)、吉原光夫(ガストン)、藤井隆(ル・フウ)、成河(ルミエール)、小倉久寛(コグスワース)、濱田めぐみ(マダム・ド・ガルドローブ)、島田歌穂(プリュメット)、池田優斗(チップ)。間違いなく、洋画の日本語吹替キャストとして“史上最強”のメンバーである。普段、あまり舞台やミュージカルを観ない映画ファンは「え?誰?この人たち…」と思うかもしれない。「藤井隆って歌えるの?」と疑問を感じた人もいるかもしれない…。いやいやいや、いずれも演劇、ミュージカルの世界で知らぬ者のいない実力派の面々である。ひとりひとり、どれだけすごいか説明したいところだが、とてもスペースが足りない。なので、脇役の中でひとり、ぜひこの人の声に注目を!という人を挙げるなら、ルミエール役の成河(そんは)さん。ここ数年で「ショーシャンクの空に」、「100万回生きたねこ」、「グランドホテル」、「わたしは真悟」など次々と話題の舞台に出演。現在、上演中の劇団☆新感線の『髑髏城の七人』Season花でも凄まじい存在感を放っているが、演技力の高さに加え、声が美しい!この1月末の会見場で、普段は演劇・ミュージカルの専門誌で取材をしている知り合いの記者と顔を合わせたが、彼女の興奮した面持ちが忘れられない。会見には、映画を専門とする記者、エンタメを扱う新聞社の記者などに加え、普段、映画の取材にはあまり来ることがない、演劇・ミュージカル専門の報道陣も足を運んでいたのだが、吹替キャストのメンバーが書かれたリリースを手にしたその女性記者は「ちょっと!映画専門の人たちはみんな『ふーん』って感じの反応ですけど、このメンバー、ヤバいですよ!凄まじいですよ」と熱かった。ちなみに彼女は、ミュージカルを見たことがない知り合いに、山崎育三郎について説明するとき「元モー娘。のなっち(安倍なつみ)のダンナさんで、最近では『下町ロケット』とか月9の『突然ですが、明日結婚します』にも出てて…」と言わないとわかってもらえないことを嘆いていた。『アナと雪の女王』の神田沙也加と松たか子、『シンデレラ』の高畑充希&城田優に比べて、一般の知名度という点では確かに劣るかもしれない(といって、この2作の吹替キャストが知名度で選ばれたわけでは決してなく、彼らもまた素晴らしい歌唱力の持ち主である)。知名度が多少、低く、その点でプロモーション活動は苦労はあるかもしれないが、実力は折り紙付きのメンバーをキッチリと11名揃えて、口コミの評判の高さで映画館に何度も足を運んでもらう。その覚悟が表れたキャスト発表、そしてメンバーだった。日本人は世界でも有数の“字幕版好き”の国民。オリジナルの言語、俳優の発する声、言葉を尊重し、楽しみたいという思いが強いとも言われる。実際、本作に関しても、エマ・ワトソン、ダン・スティーブンス、ユアン・マクレガーらによるオリジナル版の評価もかなり高い。だが一方で、「普段は字幕で観る」という映画関係者から「本作に関しては、吹替版が本当に素晴らしい」という声が聞こえてくる。歌唱付きの本作の舞台挨拶の場で、吹替キャストの幾人かからも「普段は自分も字幕で観るのが多いけど、この映画は吹替版で観てほしい」という言葉が飛び出したが、絶対的な自信の表れだろう。本作は歌唱シーンばかりがフィーチャーされがちだが、各シーンの映像表現の豊かさも見どころ!それを逃さないためにも、映像に集中できる吹替版をおススメする声は多い。吹替版も観たい。とはいえオリジナルの歌唱も聴きたい…じゃあ、せっかくなので、両方…とディズニーの“策略”にまんまと乗せられて、興行収入は積み上がっていく。このメンバーの歌唱を映画館の音響で聴くことができるなら1,800円は安いもの。それだけの面々が揃っている。すでに先日より公開が始まり、金土日の3日間で13億7800万円超、95万人動員という『アナ雪』を超えるペースという、“予想通り”のロケットスタート。2017年の映画界最大の社会現象が始まった。(text:Naoki Kurozu)■関連作品:美女と野獣 (2017) 2017年4月21日より全国にて公開(C) 2016 Disney. All Rights Reserved.
2017年05月02日4月20日、銀座中央通り沿いに、新たに銀座エリア最大の商業施設「GINZA SIX(ギンザ シックス)」がオープンした。今回の【映画ではじめるデートプラン】は、いま最も旬なスポット「GINZA SIX」の館内で、カップルにおすすめのスポットをピックアップしてご紹介!GWの映画デートプランの参考にして。GWにおすすめの映画は、エマ・ワトソン主演で贈るディズニー作品の実写版『美女と野獣』。魔女の呪いによって野獣の姿に変えられてしまった美しい王子。その呪いを解くためには、魔法のバラの花びらがすべて散る前に、野獣が誰かを心から愛し、そして愛されなければならない──。そんな野獣の前に現れたのは、聡明で進歩的な考えを持つ美しい村の娘ベル。その出会いは、はたして奇跡を生むのか…?本作は、1991年のディズニーのアニメーションの完全実写化したもの。華やかなドレスを身にまとったベルと野獣が二人の舞踏会でダンスを踊るシーンは世界中の人を魅了して止まない名シーン。“真実の愛”とは何なのか。かけ離れた二人が紡ぐロマンスに、今よみがえる不朽の名作をご堪能あれ。華やかでゴージャスな気分に浸れる映画を観た後は、のんびり銀ぶらデートを楽しもう!ちなみに銀座で『美女と野獣』を観るなら、有楽町寄りの「TOHOシネマズ日劇」が最も近い。お出かけ前に上映時間をチェックをしてみて。銀座の新しいアイコンにふさわしい大規模複合施設「GINZA SIX」。まず驚くのが規格外のスケールだ。館内には241店舗ものブランドが出店し(その半数以上の121店舗が旗艦店、日本初12店舗、世界最大級4店舗、新業態65店舗、銀座初83店舗、日本最大級35店舗)、屋上には日本の四季が楽しめる4,000平方メートルもの屋上庭園「GINZA SIX ガーデン」、地下には日本の伝統芸能の拠点「観世能楽堂」を擁すほか、オフィスやツーリストサービスセンター、そしてパブリックアートなど、ワールドクラスクオリティの施設と設備が集積しているのだ。訪れるだけでゴージャスな雰囲気とその規模感に圧倒されてしまう「GINZA SIX」。一日で見てまわるのは難しいので、カップルにおすすめなスポットのみをピックアップ! まず6F「銀座 蔦屋書店」だ。銀座店では、「アートのある生活」を提案し、「アート」と「日本文化」を主題として、世界一のアートブック集積を目指すほか、江戸文化に光を当てて、東京カルチャーも発信していく。高さ6メートルの書架には、アーティな書籍がずらり並び、独立したギャラリースペースもあって、アート販売や重さ約40キロの「BIG BOOK」など珍しい作品もみられる。5月末までは、杉本博司氏、名和晃平氏、蜷川実花氏の作品が展示されているなど、飽きずに居られるので待ち合わせ場所としておすすめ。次は、ライフスタイル雑貨を扱う店舗が入っている4Fへ。おとなのための新しいPLAZA「#0107 PLAZA(オトナプラザ)」や「CIBONE」からスピンアウトした新たなショップ「CIBONE CASE」、デザイン会社「DRAFT」のプロダクトブランド「D-BROS」など、既存の店舗とは一線を画す新たなコンセプトや空間設計を展開するショップが揃っていてウィンドウショッピングするだけでも楽しいはず。「#0107 PLAZA」内には、「ベジタブルスペシャル」(1080円)や「ジンジャー・キャロットジュース」(870円)、「フルーツミクスチャー」(810円)などのコールドプレスジュースや「コーヒー」(430円~)、焼菓子などを提供するスタンドバーも併設されているので、ぜひ立ち寄ってみて。スタンドは、可愛いクマのキャラクターが目印。食事処としては、日本食を中心に「GINZA SIX」ならではのラグジュアリーな高級店が多いので、もう少しカジュアルにと考えるならば、あえてレストランには入らず、B2Fのグルメ&スイーツフロアで、弁当やパン、スイーツなどをテイクアウトして、晴れていれば屋上庭園で食べてもいいし、お持ち帰りして続きはお家デートを楽しんでみてもよいかも。お弁当といっても粒ぞろい。明治創業の老舗「荻野屋」のお弁当をはじめ、「Soup Stock Tokyo」などを手掛けるスマイルズの新業態で、素材にこだわった海苔弁専門店「刷毛じょうゆ 海苔弁山登り」の海苔弁、発酵熟成肉の専門店がNYスタイルのサラダと進化系サンドウィッチをコラボさせた世界初の新業態「meat&green 旬熟成」のデリ、ベーカリーには「Viennoiserie JEAN FRANCOIS」や「ル・ブーランジェ・ドゥ・モンジュ」など、ハイクラスなテイクアウトメニューが揃う。またショップで購入したボトルワインを、カフェ&バー スペースで飲める「ワインショップ・エノテカ」や、炊きたての土鍋ご飯と季節の料理をいただける「旬菜三山」など、いくつかの店舗ではイートインスペースを併設している店舗もある。東京初出店となる「辻利」では、銀座店だけの特別メニュー「辻利ソフト 濃い茶」をテイクアウトできるスタンドもあるので、甘党の彼氏彼女は併せてチェックを!『美女と野獣』は4月21日(金)より全国にて公開中。(text:Miwa Ogata)■関連作品:美女と野獣 (2017) 2017年4月21日より全国にて公開(C) 2016 Disney. All Rights Reserved.
2017年04月27日「こんにちは。ハンナよ。ハンナ・ベイカー。途中でテープを止めないでね。私の人生について話すから、じっくり聴いて。厳密には、“人生が終わった理由”なんだけど」。Netflixの新作ドラマ「13の理由」は、自らの人生を終わらせた女子高生ハンナ・ベイカーのこんなモノローグで始まります。3月31日の全世界同時配信と共に、この作品が頭から離れない人たちが続出。その1人として、「13の理由」をご紹介します。ハンナの生前の独白が録音されたカセットテープを受け取るのは、彼女に想いを寄せていた同級生のクレイ。テープの声は、自分が死に至った“13の理由”を語り始めます。A面にもB面にも声が吹き込まれたテープは全部で7本。テープの声は「このテープを聴くあなたも理由の1つよ」と言い、“13の理由”を1つ1つ明かしていきます。ジェイ・アッシャーのヤングアダルト小説をベースにした作品世界には、ハイスクール、女の子、男の子、恋、友情といった青春の象徴が確実に存在。しかしながら、「13の理由」はそれらが残酷な武器に変わる瞬間を冷静に見つめています。なぜ僕が理由の1つなのか?学園の尊大な人気者タイプでもなければ、人の死の原因になるはずもないクレイは、自転車に乗るときにヘルメットをきちんとかぶるような男の子。そのバイト仲間でもあったハンナは、生真面目で誠実な彼を「ヘルメットくん」と愛情たっぷりに呼ぶキュートな女の子。アカデミー賞作品賞受賞作『スポットライト 世紀のスクープ』のトム・マッカーシーが第1~2話の監督を務め、戸惑いと恐怖でテープを聴き進められないクレイに寄り添います。ハンナのいない現在とハンナのいた過去を交錯させながら、1歩ずつ“ハンナの真実”に近づくクレイは、まるでミステリーの主人公のよう。『スポットライト 世紀のスクープ』同様、マッカーシー監督が深刻な題材とスリルを真摯に融合させます。そんな中、自らの関わる事情に向き合うのと同時に、“13の理由”のすべてを知っていくのもクレイの大切な役目。彼が“ハンナの真実”を知っていく過程で、いじめや性的暴力など、ティーンエイジャーの抱える問題が浮き彫りになっていきます。このドラマの製作総指揮を務めるセレーナ・ゴメスは原作小説に出会った当初、1本の映画にすることを想定していましたが、全13話の連続ドラマに着地したのは大正解。“13の理由”が1話ずつ語られる構成の妙はもちろん、ハンナの命が少しずつ損なわれていったこと、結果とはたくさんの「あのとき」が重なって訪れるのだということを示すのに適した長さだからです。また、「13の理由」は音楽も秀逸で、たくさんの「あのとき」と様々な楽曲がリンク。ハミルトン・リーサウザー+ロスタムの「A 1000 Times」がハンナとクレイの運命の瞬間を包めば、決意するハンナのバックに流れるのはウルトラヴォックスの「Vienna」。ジョイ・ディヴィジョン、エリオット・スミスからセレーナによる「Only You」のカバーまで、クレイたちの「いま」の中でも音楽が意味を持ち、鑑賞後も頭の中で鳴り響く楽曲の数々がドラマの力を物語っています。「13の理由」に併せ、作品の意義についてスタッフやキャストが語るメイキング番組「13の理由 現代が抱える社会の闇を考える」もNetflixで配信。「現実を映し出し、人の助けになる作品を作りたかった」というセレーナのメッセージ共々、年齢や性別に関係なく、大勢の人たちの目に留まってほしいドラマです。(text:Hikaru Watanabe)
2017年04月23日2017年春ドラマが続々とスタート。皆さん、お気に入り作品は見つかりましたか?今回ドラマニアな筆者が注目したのは、迫力ある警察ドラマ2本です。テイストの異なる「CRISIS」と「小さな巨人」――本日はその魅力に迫ります。■出し惜しみのない全力投球見応えバッチリ「CRISIS 公安機動捜査隊特捜班」瞬きをする暇がないとはまさにこのこと。スタートダッシュとも言える濃厚なアクションシーンで始まる本作は、コロコロと坂を下るように、物語が加速してあっという間に60分が経ってしまいます。扱われるのは部署の特性上、どれも現代ならではの悲惨さを孕んだ凶悪事件ばかり。公安機動捜査隊特捜班のメンバー5人――小栗旬さん、西島秀俊さん、野間口徹さん、新木優子さん、田中哲司さんらも各々過去にダークなトラウマを抱えているようで…一見「ものすごく暗いドラマなのかな?」と受け取られがちなのですが、実際に作品を見終えてみると、妙な納得感と次週への興味が心に残るから不思議なんです。こだわりが強すぎて本来であれば絶対にハマらない、決して染まり合うことのない5人の刑事。彼らが事件解決という同じゴールを描いたとき、バラバラだったはずのピースがカチッとひとつにおさまる瞬間がとっても痛快!癖になる方も多いのではないでしょうか。加えて、所々に散りばめられている稲見刑事(小栗さん)の女癖の悪さや田丸刑事(西島さん)&同僚の妻・千種(石田ゆり子)の謎の関係など、恋愛要素もドラマを盛り上げる重大なポイント。出し惜しみすることなくとことん面白さを追究していく展開に、今後の期待が高まります。■リアルな人間関係に共感必須新感覚な警察ドラマ「小さな巨人」また警察ドラマの真骨頂とも言える、こちらの作品も忘れてはなりません。第1話にて、早くも大どんでん返しが巻き起こった「小さな巨人」です。従来の作品であれば、話ごとに何らかの重大事件が起こり、問題を解決する中で登場人物達も成長していくという展開が通常だったかと思うのですが…本作はまずその根本が違います。私たちにとって事件報道が非日常であったとしても、警視庁捜査一課長の香坂(長谷川博己)たちにとっては日常の出来事――彼らはみんな「いかに早く解決するか」が出世に関わる世界で生きている。だからこそ事件の内容がどんなものであれ、「手柄を自分のものにすることが重要」という、野心的な側面を持ち合わせていて当然なんですよね!本作では、そんな警察内部のリアルな人間関係を忠実に描き出しており、非常に新鮮な仕上がりとなっています。物語の中のヒエラルキー…その頂点に立つのが、香川照之さん演じるノンキャリアの叩き上げ捜査一課長です。彼の右腕として活躍していた・香坂(長谷川さん)でしたが、小さなミスに足元を救われ、所轄へ飛ばされてしまいました。それまで警視庁という肩書に守られていた全てを奪われた香坂――果たして、彼の強固たる信念は現場でも通用するのでしょうか。岡田将生さん、安田顕さんら実力派役者勢と繰り広げられる繊細な会話劇にも注目です。以上、いかがでしたか?まだまだ間に合いますので、是非チェックしてみてくださいませ。(text:Yuki Watanabe)
2017年04月23日『ゴースト・イン・ザ・シェル』の足を引っ張った“ホワイトウォッシュ”批判ってナニ?士郎正宗原作コミック「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」のハリウッド映画版『ゴースト・イン・ザ・シェル』が3月31日に全米で封切られた。デビュー週末の興行ランキングがスタジオの期待を大きく裏切って第3位だったことからハリウッド業界内では大きなニュースとして取り上げられた。公開されてまだ1か月足らずの本作だが、このままでいくと最終的に6,000万ドル(約65億円)の損失になる可能性があると業界筋は分析している。この映画の悪い予兆は、主役にスカーレット・ヨハンソンが抜擢された当初からあった。原作では日本人がヒロインなのにも関わらず、白人女優が起用されたことで、俗に言うところの「ホワイトウォッシュ」批判が持ち上がったのだ。いったい、「ホワイトウォッシュ」とは何か?去年2016年度のアカデミー賞候補が白人ばかりだったとき、関係者のみならず社会的にも「映画アカデミーは人種差別だ」という非難が巻き起こった。社会問題にまで発展したこの一件で、古きを守る映画アカデミーが遂に腰を上げ、会員の人種をもっと均等にするべく、新たな規約を設けるという異例の事態にまで発展した。その時期に流行ったのが「ホワイトウォッシュ」という言葉だ。ほかの人種をまじえず白人ばかりで彩られたイベントを軽蔑した造語で、文字通りWHITEとWASHを組合せ、「白で洗い流された」という意味合いである。ホワイトウォッシュという形容詞は、『ゴースト・イン・ザ・シェル』のキャスティングが発表された時点から、この映画に対して頻繁に使用されていた。アメリカ国内のアニメファン(結構な数の映画ライターも含む)は、ともすると日本人よりも日本を愛し、日本の美たるものに対しても日本人にはないレベルの敬意を抱いている人が多い。そんな彼らは日本人には程遠いスカーレットが「少佐」役に抜擢されたと聞き、「ヒロインは日本人のはずなのに白人女優にすげ替えるとは失礼の極み!」と怒り心頭したわけだ。Care2.comという署名サイトでは「少佐」役の変更を求める署名サイトが立ち上げられ、なんと100,000の署名が集まったという。製作スタジオのパラマウント・ピクチャーズ製作責任者が業界誌のインタビューで、日本アニメのファンの熱心さに敬意を払いながら製作を進めてきたと語っていた。彼らを味方に付けることがいかに映画のPR大切かは理解していたが、今回はうまくいかなかった、と。おそらくコアなアニメファンの心はスカーレットが少佐役に起用された時点で、すでに作品から離れ出していたに違いない。スカーレットの女優としての人気には全く問題はないが、悲しいことに彼女の人種がこの「少佐」というヒロインの役に合わないことが大問題だったのである。ファンはこの点をスタジオ側にわかってもらいたかったに違いない。なぜ“最高のアンドロイド”の容姿は、スカーレット・ヨハンソンでなければならなかったのか。現存の日本人系女優に候補が見つからなければ、新人を発掘することはできなかったのか。「スカヨハのほうが世界レベルでの客ウケがいいから」、と言われてしまえばそれまでだが、彼女をキャスティングしたことで作品自体が「ホワイトウォッシュ」などと揶揄されてしまうようでは本末転倒だろう。単一民族国家である日本に住んでいると人種問題に関して疎くなりがちだ。最近でこそ様々な国の人たちが都会に流れ込んできているようだが、人種のるつぼであるアメリカの比ではない。その証拠に日本は『ゴースト・イン・ザ・シェル』発祥の地で、主役の人種に対してもっと敏感であるはずが、スカーレットの抜擢に関して殆ど問題になっていない。それどころかウェルカム、と言った感じだ。この様子を見た日系アメリカ人たちは、日本人の「ホワイトウォッシュ」に対する無関心さは、「白人はカッコいい」という目線で育ってきた多くの日本人が持つ「白人コンプレックス」から派生しているに違いないと話す。これは事実なのだろうか?アメリカでは『ゴースト・イン・ザ・シェル』のホワイトウォッシュ問題について様々なニュースがオンラインに溢れたが、その中に何とも悲しくなるレポートがあった。本作の日本人関係者たちは、最初から主役に日本人女優を起用する考えがなかったというのである。母国のクリエイターたちが後押ししてくれないのでは日本人女優が少佐役を射留めるチャンスはゼロに等しかったに違いない。この話を聞いてムッとしたのは筆者だけだろうか。あろうことか日本人自身が自国のタレントたちをアシストせずにホワイトウォッシュを煽る立場に身を置いているとは、なんとも情けないことだ。ハリウッドのスタジオは少しでも損のリスクを軽減するため、世界的に人気のある俳優を使って客足を伸ばす、という安全パイを使いたがる。よって菊地凛子や栗山千明ではなく、スカヨハがキャスティングされてしまうわけだ。(筆者的には千明ちゃんをイチオシしていたのだが…)お客の側からして安全圏の作品ばかりを見せられていたら飽きてくる、という自然の摂理をスタジオは理解していないようだ。映画ファンはたまにはリスクを冒した作品を見たいのだ。今回の『ゴースト・イン・ザ・シェル』は、リスクを冒す絶好のマテリアルだったのに、ハリウッドは結局いつもの安全パイを使い、その結果、「ホワイトウォッシュ」と叩かれ、ご覧のとおりに興行収入低迷の憂き目にあった。ここ数年のあいだ、「AKIRA」にも映画化の話が持ち上がっているのだが、製作の方向性が二転三転しているらしく話しがまとまらないらしい。もしこの作品を実際に映画化するあかつきには、今回の『ゴースト・イン・ザ・シェル』実写化で学んだ教訓を活かしてくれることを願うばかりだ。(text:明美・トスト/Akemi Tosto)■関連作品:ゴースト・イン・ザ・シェル 2017年4月7日より全国にて公開(C) 2016 Paramount Pictures. All Rights Reserved.
2017年04月22日名作アニメをディズニー自ら実写化する『美女と野獣』といえば、『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』と並ぶ2017年洋画シーンの最重要タイトルだ。それだけに出来ばえが気になるところだが、ご安心を。マジ、最高です!長編アニメーションとして史上初めて、アカデミー作品賞候補にもなったアニメ版『美女と野獣』から約25年。新たな命が吹き込まれた実写版は幕開けたその瞬間から、エンドクレジットが終わるまで、かけがえのない至福のときが流れ、2時間10分の上映時間は終始ウットリしっ放しだった。永遠に語り継がれるボールルームでの舞踏シーンをはじめ、ファンの願いすべてを見事に叶えた本作は、まさに“完璧な実写版”といって過言ではない。さらに胸を打つのは、単にアニメをなぞって実写化したのではなく、主人公ベルの聡明さに磨きをかけ、21世紀における理想的なヒロイン像を膨らませることで、「なぜ、ベルは野獣を愛するようになったのか?」という本作のテーマに、より強い説得力と深い共感を与えている点。ハーマイオニー役を卒業し、女優としては試行錯誤の連続だったエマ・ワトソンだが、ついにパブリックイメージの“呪い”が解けるキャリア最大の転機を迎えた。流麗な映像美、そこで躍動する新旧の名曲たち。ミュージカル映画としての魅力が、あふれているのは言うまでもなく、ビル・コンドン監督(『ドリームガールズ』)の起用は大正解だった。今年は『ラ・ラ・ランド』の国内興収が40億円を突破するなど、ミュージカル映画というジャンルそのものにも注目が集まるだけに、「アニメ版は見たことない」という人であっても、音楽と映像が織りなすゴージャスな世界観をたっぷりと堪能してほしい。「アニメを実写化する」とはこういうこと。『美女と野獣』を見終わると、きっとそう感じずにはいられないはず。それに比べると…って、これ以上は言いませんけど、本物のエンターテインメントを体感するという意味でも、やはりディズニー渾身の本作は、絶対に見逃すべきではない。今後も『ダンボ』『ピノキオ』『アラジン』『ムーラン』『ライオン・キング』などなど、ディズニー・アニメの実写化が目白押しだが、いまは期待しかありません!(text:Ryo Uchida)■関連作品:美女と野獣 (2017) 2017年4月21日より全国にて公開(C) 2016 Disney. All Rights Reserved.
2017年04月22日ハーイ、みなさん!今年も桜のシーズンを楽しめましたか。実は私も東京に滞在していたのですが、まだ桜で咲く前だったので、残念ながら満開の桜を見ることができませんでした(涙)。皆さんはもうご存じかしら。ディズニーの名作アニメを実写化した『美女と野獣』が、世界中ですごく大ヒットしていますね!いまの時点では、2017年最大の興行成績を記録していて、なんと世界興行成績は10億ドル超え!それにまだまだ数字を伸ばしています。主人公ベル役には、『ハリー・ポッター』シリーズの、イギリス人女優エマ・ワトソン。野獣役は「ダウントン・アビー」の、イギリス人俳優ダン・スティーヴンス。そしてエマ・トンプソン、ジョシュ・ギャッド、ユアン・マクレガー、ケヴィン・クラインなどの大スターも、カメオ出演しています。当初、ディズニーがアニメの傑作を実写化すると聞いたとき、私は好きになれるのかなと不安でした。でも完成した映画を観たいまは、大好きだと胸を張って言えるわ!それにね、私たちが生きているこのクレイジーな時代に合った、とても大切なメッセージも込められているの。エマ・ワトソンは、以前から女性の権利のために声をあげ、メディアの前でも堂々と発言していますよね。そのエマ・ワトソンが、新しく生まれ変わったこの『美女と野獣』のベルを通じて、たくさんの“ガールズパワー”を表現していたのは、とてもうれしかったわ。いま、世界中で、女性は平等の権利を得るために闘っているでしょ。映画やテレビ番組で、彼女たちをサポートする意思を示すことは、とても大事だと思っています。小さな女の子たちには、ただかわいいだけのお姫様ではなく、尊敬できる強いロールモデルが必要なの。物語自体は大きく変わっていませんが、ディズニーストアで売っている『美女と野獣』グッズに変化が見られました。たとえばTシャツに“本当の美しさは、あなたの内側にある”と書かれていたりね。エマ・ワトソンのような若い女優が、世界中の女性をリードしていってくれるといいなと思っています。どんな女性でもお姫様にもなれるし、平等な権利を得ることができると伝えてほしい。最近の世の中では、おかしなこともたくさん起きるけど、前向きで堂々とした女性を見るのはとても気持ちがいいですね。これからもっと、こういう映画が増えることを願っています!(text:Lisle Wilkerson)■関連作品:美女と野獣 (2017) 2017年4月21日より全国にて公開(C) 2016 Disney. All Rights Reserved.
2017年04月21日ファッション界の最大の祭典として、世界が注目する“メットガラ”。NYメトロポリタン美術館(MET)で、毎年5月の最初の月曜日に行われるこのイベントは、美術館の運営資金調達のため行われ、その高額にして限られた数しか用意されないインビテーションは本物のセレブの証ともされています。2015年は、同美術館の服飾部門の企画展「鏡の中の中国(China: Through The looking Glass)」のオープニングイベントとして開幕しました。その企画の裏側を8か月にわたって追った初のドキュメンタリーが『メットガラ ドレスをまとった美術館』。US版「VOGUE」の編集長で、メットの理事でもあるアナ・ウィンターとともに、伝説の一夜を実現させた立役者で、企画展のキュレーターであるアンドリュー・ボルトンさんにお話を伺う機会がありました!アートファンもファッショニスタも、大満足すること間違いなしです。――メトロポリタン美術館で服を展示することには、“ファッションは芸術のひとつか”という議論に、ひとつの方向性を示しているように感じます。アンドリューさんが、“ファッションはアートである”と確信できるきっかけとなった出来事(エピソード)があれば教えてください。それは特に無かったんです。僕は大学で文化人類学の文化理論を学んでいました。芸術であろうとファッションであろうと、そのプロセスに関わっていきたいという気持ちがあったので、それらの文化的な再解釈をどうやっていくかということに興味があったんです。僕にとっては、アートを生み出すことに対してヒエラルキーにこだわることはありません。絵画であろうと、彫刻であろうと、どちらが重要であるかということは自分にとって意味はないのです。私にとって重要なのは、ファッションはいま現在作られているという点ですね。その制作プロセスにとても興味を感じたわけです。そしてエッジを持っているし、民主主義的な性質も持っている。アーティスティックな制作物として定義づけるというのは、価格ではないと思いますし、どちらが優れているかということではないと思っています。――では、ファッションの魅力とは?ファッションというのは、トレンドによってどんどん変化していくことに魅了されますね。ファッションの持つパワーがトレンドによって左右される、それが魅力的なのです。――美術館とキュレーターへの憧れが、現在の仕事を目指すきっかけになったと思いますが、キュレーターとしてのアンドリューさんの使命とは何だと思いますか?いい質問ですね!我々の使命としては、展覧会をコンセプチュアルに挑戦的な形で作り出していくこと。人にそれを伝えながら、教育をしていくことだと思います。人々をインスパイアするということ、自分の趣向を持つこと、彼らにそうするように勧めていくこと。自分の解釈を行って、客観的なことだけではなく主観的に物事を判断して見ていくことを誘うということでしょうか。そのためのキュレーションして行っていくのが、私の使命だと思います。(text:June Makiguchi)■関連作品:メットガラドレスをまとった美術館 2017年4月15日よりBunkamura ル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテほか全国にて公開(C) 2016 MB Productions,LLC
2017年04月12日4月21日公開の『美女と野獣』で野獣役を演じ、注目度急上昇中の英国俳優ダン・スティーヴンス。海外ドラマファンには「ダウントン・アビー」のマシューとしてもお馴染みの彼ですが、現在、彼の新作主演ドラマも話題沸騰中なのをご存じでしょうか?今年の2月から米ケーブル局FX、日本ではCSのFOXチャンネルで放送された「レギオン」は、映画『X-MEN』シリーズの世界からつながる新作ドラマ。映画の中ではジェームズ・マカヴォイらが演じていたミュータント、プロフェッサーXの息子を主人公にした物語です。その主人公デヴィッドを演じるのが、ダン・スティーヴンス。地上最強のテレパスと言われるプロフェッサーXの血を受け継ぐデヴィッドが、自身のルーツを巡る戦いへと身を投じていきます。プロフェッサーXとデヴィッドの間には何らかの事情があるようで、シリーズ冒頭のデヴィッドは自分がミュータントだと知りません。そのため、能力者ゆえの幻覚や幻聴に幼い頃から悩まされてきたデヴィッドは、精神病院への入退院を繰り返すことに。そんなデヴィッドに、本当の自分を理解する存在との出会いが訪れます。現実と虚構、過去と現在、能力の自覚と無自覚の狭間で揺れるデヴィッドの覚醒が物語の主軸にあるため、彼が手探りで真実に向かっていくのと同じように私たち視聴者も手探り!? つかみかけたと思ったらまた手から離れてしまうような、まさに翻弄してくるドラマになっています。『X-MEN』史上最も奇抜で挑戦的でもある「レギオン」を手掛けたのは、「FARGO/ファーゴ」のクリエイター、ノア・ホーリー。人を食ったようなおかしみとダークな味わい、そしてスタイリッシュさが混在する作品世界は、「レギオン」にも「FARGO/ファーゴ」にも共通するものと言えます。ウェス・アンダーソン好きはハマること間違いなしのカラフルな本編もさることながら、エンドクレジット画面まで「レギオン」はいちいちオシャレ。登場人物たちのファッションも、60~70年代のクラシックスタイルに未来的な要素が加えられていてとにかくかわいいです。そんな中、ダン・スティーヴンスの魅力が炸裂しているのは間違いないところで、能力に困惑する姿もキュートなら、一目惚れした女性ミュータント、シド(レイチェル・ケラー)とのロマンスもキュート。触れた相手と入れ替わる力を持つシドとは、プラトニックをキープせざるを得ず。とは言え、モジモジにはもう飽きた!と言わんばかりに、ミュータントらしい解決方法をちゃっかり見つける展開も面白いです。ちなみに、『美女と野獣』で歌声を披露しているダンですが、「レギオン」にもまさかの歌唱シーンが。しかも、『美女と野獣』が野獣仕様の歌声であるのに対し、こちらではダンの生声を堪能できます。ダン自身にとっても昨年の仕事面のハイライトはバンクーバーで4~5か月間かけて行われた「レギオン」の撮影(私生活でのハイライトは「3人目の子どもの誕生!」)だそうで、「作品と同じように、狂った撮影だった(笑)」とのこと。先頃シーズン2も決定した「レギオン」を、ぜひチェックしてみてください。(text:Hikaru Watanabe)
2017年04月10日この世にはわずかだが「優れた続編映画」が存在する。『ダークナイト』『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』といった名作をはじめ、『トイストーリー』や『スパイダーマン』の続編も成功例だ。そしてこの春、『T2 トレインスポッティング』がその仲間入りを果たした。同作は1996年に公開された青春映画『トレインスポッティング』の約20年ぶりとなる続編。ダニー・ボイル監督を筆頭に、脚本を手がけるジョン・ホッジ、主演のユアン・マクレガーらが再集結し、前作から20年後の新たなる群像劇を繰り広げる。その時点で、続編映画として他に類を見ない“奇跡”であり、リアルタイムで前作に触れたファンなら誰もが興奮と郷愁を同時に噛みしめ、「こんな完ぺきな続編ある?」とうなってしまうはずだ。主人公のレントンが、スパッド、サイモン(=シック・ボーイ)、ベグビーを出し抜き、麻薬取引で得た大金を持ち逃げしてから20年。彼らが故郷スコットランドのエディンバラで再会すれば、きな臭いトラブルが巻き起こるのは時間の問題だ。若かった20年前に比べて、見た目は老けても、中身がまったく成長していないという男の悲しい性(さが)。一方、奔放な女子高生だったダイアンが、いまや敏腕弁護士なのだから、女性は聡明でたくましい。前作で描かれたエピソードや登場人物、さらに実際のシーンが絶妙なポジションに配置され、ノスタルジーを刺激しながら(イギー・ポップの“Lust for Life”が流れる瞬間がシビれる!)、後悔してもしきれない過去/結局は閉塞したまま現在/いまだにお先真っ暗な未来という、中年だからこそ感じてしまう容赦ない時間の残酷さを突きつける本作。20年後を描いた20年ぶりの続編、という重みがあるからこそ成立するドラマ性が最大の武器だ。歳月の経過に思いをはせれば、前作が30週以上にわたりロングラン上映された渋谷のシネマライズが閉館し、“Lust for Life”をプロデュースしたデヴィッド・ボウイ、薬物を注射したレントンが奈落に沈むシーンで流れる“Perfect Day”のルー・リードもこの世を去った。かたや、ボイル監督は『スラムドッグ$ミリオネア』でアカデミー賞を制覇し、ユアンはジェダイ騎士としてライトセーバーを振り回したのだから、人生はわからないものである。(text:Ryo Uchida)■関連作品:T2 トレインスポッティング 2017年4月8日より丸の内ピカデリーほか全国にて公開
2017年04月08日