多くの著名人や社長から支持を集める売れっ子タロット占い師・濱口善幸さん。タロットを教えたタレントの栗原類さんが、先日ベッキーさんの結婚を当てたことでも話題に。そんな濱口さんに、令和時代を占ってもらうことに。人気タロット占い師・濱口善幸が令和時代を大胆予想!「9枚のカードを引いて、4枚が逆位置で、最初がいきなりデビルのカード。令和全体を通して、激動の時代になりそうですね。しかしカードからのメッセージをしっかり読み解けば、未来を良い方向に変えていくことができるので安心して」と濱口さん。具体的にどんな時代になり、どんなふうに行動すれば?「令和を象徴しているのが、右から2番目と3番目のカード。2番目のワンドの騎士のカードは新たな一歩へ進むことを表しています。次の3番目は、大勢で行動すると勝利を手に入れることができるカードなのですが逆位置なので、個のエネルギーが強くなる時代に突入していくことを示唆しています。つまり多様性が認められ、生きやすくなるということ。他人の意見に惑わされず、自分がやりたいと思ったことを突き詰めていけば、未来を切り拓けます」今年は11月が転換期で、12月に向けて、気の流れが良くなるそう。この流れに乗るために今から積極的に活動することが、令和時代を幸せに過ごすカギ!新時代をリードしていくのはどんな人?「個が尊重される時代なので、自分にしかない才能・技術を持っている人や発想の転換が上手くできる人が、時代の開拓者となります。副業が流行り、今までなかった職種も増えてきます。だからどんどんチャレンジすべき。自信はあとからついてくるものだから、まずは一歩前に踏み出してみること。自分をリードできる人こそが、時代をリードできる」どんな女性がモテそう?「激動の時代なので、引っ張ってくれる人や頼れる女性に、男性は惹かれ始めます。たとえば何か困難なことに遭遇した時、多角的な視点から問題を解決する糸口を探せる人とか。そのためにも映画を観たり本を読んだりして、相手の立場に立って物事を考えられるクセをつけて。男性に頼って生きようと思っていると、恋愛を遠ざけてしまう可能性も」新時代を生き抜くためにすべきことは?「右から4番目のペンタクルの3のカードと、6番目のマジシャンのカードがどちらも逆位置。これはスキルや技術不足、消極的な気持ちを表しています。令和は、今までのやり方や常識が通用しない時代になっていきそう。だから現状に満足することなく、次のビジョンを考えて、新しい情報を積極的にキャッチして、視野を広げていくことが大事です」新時代に注意すべきことは?「デビルのカードが示唆するように、口が達者な人や遊び人には気を付けたほうがよさそうです。またマジシャンのカードの逆位置は、詐欺の暗示でもあるので、あやしい勧誘や誘いには乗らないように。おいしい話には裏があると思い、まずは疑ってかかること。お金持ちになりたいなら、自分にしかないスキルを身につけて、地道に稼ぐのが一番です」濱口善幸さん1981年生まれ。2004年より占い師としての活動をスタート。よゐこの濱口優さんの弟。これまで関西を中心に2万人以上を鑑定。※『anan』2019年6月19日号より。写真・大嶋千尋取材、文・鈴木恵美(by anan編集部)
2019年06月14日幅広い層から人気の大ヒットシリーズから、待望の最新作が7年ぶりに日本に上陸!この夏をさらに熱くすること間違いなしの話題作とは、『メン・イン・ブラック:インターナショナル』です。そこで今回は、ひと足先に本編を体感したこちらの方にお話を伺ってきました。写真・大嶋千尋(今田美桜)日本語吹替版でエージェントM役を務めた今田美桜さん!【映画、ときどき私】 vol. 239地球に生息するエイリアンを取り締まる最高機密機関「メン・イン・ブラック(MIB)」に所属するエリート新人女性エージェントMを演じたのは、ドラマ『3年A組―今から皆さんは、人質です―』などで注目を集めている今田さん。吹き替えに初挑戦した心境やいまハマっていることなどについて語ってもらいました。―このシリーズはちょうど今田さんが生まれた1997年に誕生し、20年以上に渡って世界中で愛されているシリーズですが、参加してみていかがでしたか?今田さんうれしい反面、これだけ人気のある作品なので、緊張してしまい、アフレコでは頭が真っ白になってしまいました。みなさんにどう思っていただけるか不安なところもありますが、いまは終わってホッとしているのと同時に、楽しかったなという思いでいっぱいです。―緊張したなかで、どのようにして乗り越えましたか?今田さんとにかく自分の声がキャラクターと一致することだけに集中して、それ以外特別なことは考えないようにしました。手のひらに「人」を書いて飲み込むと緊張が和らぐといいますが、それでは治らないくらいでしたね(笑)。でも、現場に入ったらやるしかないですから。負けず嫌いなところは自分と似ている―今回、女優のテッサ・トンプソンが演じたエージェントMは、実年齢でいうと今田さんよりひと回り以上も年上の女性。声をあてるうえで難しかったことはありませんでしたか?今田さんエージェントMは、すごく知的で、冷静で、エリートな大人の女性なので、正直どうしようかなと思ったところもありました。でも、本編を拝見させていただいたら、すごくお茶目なところがある女性であることがわかったんです。なので、大人のしっかりとした部分を意識しつつ、かわいいところも残せるように声の幅を使うことを心がけて演じました。―そのなかでご自身と似ていると感じる部分もありましたか?今田さん負けず嫌いなところだけですね。ほかは全然似てないです(笑)。彼女は冷静で頭がいいので、負けず嫌いな部分も内に隠しているところがかっこいいなと思いました。―ちなみに、自分が負けず嫌いだと思う瞬間はどんなときですか?今田さんプライベートではそういうことはないですが、仕事に関しては負けず嫌いだと思います。最近だと、今回の吹替のお仕事が初めはなかなかうまく行かなくて、録り直しをしたり、悔しい思いをしたりもしました。難しいからこそやりがいもあった―特に苦労したのはどのあたりですか?今田さん抑揚の付け方や声の音程、あとは声にどうやって感情を乗せるかとか、英語の冗談をどういうふうに日本語で伝えるか、という部分は本当に難しかったです。普段は声と顔で演じていることもありますが、そういう意味ではすごく勉強になりましたし、難しいからこそ、やりがいもありました。―今回、ハリウッドの大作の一員になってみて、海外の作品に挑戦してみたいというお気持ちも湧いてきましたか?今田さんもちろんかっこいいなとは思いました。夢のまた夢ではありますが、中国語を勉強していたこともあるので、完璧に話せるようになったら中国の作品に参加してみたいなという興味はあります。英語もその次に勉強してみたいですね。―声優として次にやってみたい役などはありますか?今田さんこういったSFやアクションの作品は、楽しみながら演じさせていただくことができますが、ヒューマンドラマも好きなので、次はそういうジャンルにも挑戦できるようにがんばりたいです。今年は運動を続けることが目標―これからもまだまだ新しいことにチャレンジする機会があると思いますが、いまやってみたいことは?今田さん今回、初めて声優のお仕事をさせていただいたというのも私にとってはひとつの変化であり、成長だったと感じています。なので、新しいジャンルに挑むというより、そこで学ばせていただいたことを糧に女優として今後活かせたらいいなと思っているところです。―忙しい毎日だと思いますが、いまプライベートで興味があることはどのようなことですか?今田さん私は基本的にインドアなタイプで、あまり運動もしないほうでしたが、最近ようやくジムに通い始めました。飽き性なところがあるので、今年は運動を続けられるようにがんばりたいと思っています。―そう思うようになったきっかけはありましたか?今田さん単純に「そろそろ体を動かさないといけないかな」と感じるようになったのと、食べるのが好きなこともあり、「このままだと大変なことになっちゃうかな」と思ったので。運動でプラマイゼロにできたらいいんですけど……(笑)。女性たちにも楽しんでもらえる作品―もし、美容のために欠かさずにしていることがあれば教えてください。今田さんお風呂上りに自分でマッサージをしてリンパを流したり、ツボを押したりしてむくみを取るようにはしていますね。体のメンテナンスと言えるほどではないですが、一応毎日続けています。―それでは最後に、本作の見どころを教えてください。今田さん今回は主な舞台がロンドンになりますが、パリやモロッコでもストーリーが展開されるので、とてもスケールが大きい作品となっています。メインのエージェントにかっこいい女性が参加するのもシリーズ初となるので、女性にも楽しんでいただきたいですね。エージェントMは、クリス・ヘムズワース演じるエージェントHとタッグを組んでいますが、2人のかけあいは、本当におもしろくてお茶目なので注目です。そして、最後は裏切られるところもあるので、ぜひ楽しみにしてください!インタビューを終えてみて……。吸い込まれそうな大きな瞳が印象的な今田さん。撮影中に見せるチャーミングな笑顔と大人っぽいクールな瞬間とのギャップには、思わず釘付けになりました。エージェントMの活躍とともに、今田さんの初吹替にも乞うご期待です。宇宙人も地球人もテンション上がりっぱなし!本作でもお決まりのブラック・スーツとサングラスは健在で、ド派手に暴れまわるMIB。今回は、さらなるスケールアップとシリーズ史上初となる男女のコンビから目が離せなくなりそうです。ストーリーエリート新人女性エージェントMは、MIBにいるスパイを探すため、ロンドンへと向かっていた。そこで待ち受けていたのは、イケメンでチャラ男の敏腕エージェントH。対照的な2人がコンビを組み、スパイ摘発のミッションへと挑むこととなる。しかし、真相に近づくにつれ、地球の存亡をかけた大事件へと発展してしまうのだった……。興奮が止まらない予告編はこちら!作品情報『メン・イン・ブラック:インターナショナル』6 月 14 日(金)より、全国ロードショー!配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントヘアメイク:宮本愛(yosine.)スタイリスト:有本祐輔(7回の裏)ジャケット¥53,000、パンツ¥32,000(ANALOG LIGHTING/ANALOG LIGHTING OFFICEMARUNYABUSSAN.CO tel 03-3710-2990)サンダル¥16,800(STACCATO/バロックジャパンリミテッド tel 03-6730-9191)パールリング¥37,000(シキ tel 03-6885-7489)リング¥15,000(ココシュニック tel 03-5413-5140)
2019年06月13日お笑いトリオ・ジャングルポケットの太田博久(35)の妻でモデルの近藤千尋(29)が3日、自身のインスタグラムを更新し、第2子を妊娠していることを報告した。近藤は、太田との連名でコメントを掲載。おなかに手を当てた写真を添えて、「この度新しい生命を授かることになりました安定期に入り、体調も少しずつ落ち着いてきましたのでご報告させて頂きます」と報告した。そして、「第一子の十愛を授かった時とは全く違う妊娠生活で戸惑う事も沢山ありますが、周りの皆様のご協力を頂きながら太田家で力を合わせてお腹の子を守り育てていけるように頑張ります!!」とつづり、「引き続き温かく見守って頂けたら嬉しいです」と呼びかけた。2人は、2015年9月に結婚し、2017年5月4日に第1子女児が誕生している。
2019年06月03日2001年に日本公開、2003年の第75回アカデミー賞授賞式で長編アニメ映画賞を受賞した『千と千尋の神隠し』が、6月21日についに中国で公開されることが決定した。「The Hollywood Reporter」などが報じた。なお、昨年12月には、ジブリアニメとしては初めて中国で『となりのトトロ』が30年の時を経て公開され、2600万ドル(約28億円)の興行収入を得ている。中国のジブリファンは、「20年もネタバレを避けるの、どれだけ大変だったかわかる?」とジョークを交えたコメントや、「昨年『トトロ』を観たから、『千と千尋の神隠し』も絶対に映画館で観なきゃね。ところで、『ハウルの動く城』の公開はいつなの?」と早くもほかのジブリ作品の公開を待ち望む声などを寄せた。『千と千尋の神隠し』は、アカデミー賞のほかに第52回ベルリン国際映画祭で最高賞である金熊賞、第30回アニー賞の作品賞、監督賞など世界で多数の賞を受賞した作品。まだ正式公開はされていないものの、中国では海賊版などで目にしてファンになった人もすでに多くいて、「大きなスクリーンで観られるのが本当に楽しみ」という声も多くみられる。(Hiromi Kaku)■関連作品:となりのトトロ 1988年4月16日より公開
2019年05月28日清水エスパルスのエースストライカー・北川航也選手の素顔に迫りました! 試合中の勇ましいプレーからは想像できない「かわいい発言」連発で取材陣はキュンキュンしまくり! 日本代表のこと、将来のことも語ってくれて、北川選手の知られざる(!?)魅力が満載です写真・大嶋千尋 文・伊藤順子北川航也、22歳のヒミツスピードと高い得点力、そして抜群のセンスを併せ持つ、清水エスパルスを牽引するエースストライカー・北川航也選手。自身の武器は「相手ディフェンスの裏に抜けるプレー」と断言するだけに、シュートはもちろん、それに絡むプレーも素晴らしく、多くのサポーターを虜にしています。サッカーを始めたのは5歳のとき。きっかけは、2つ上のお兄さんの影響だといいます。「ただ兄のマネをしていた」くらいの気持ちからスタートした北川少年ですが、すぐにサッカーの魅力にハマッたのだそう。ーーどんなところにサッカーの魅力を感じますか?北川選手 ひとりじゃできない、11人の力が合わさらないと結果が出ないところが魅力だと思います。もちろん、ピッチに立つ選手だけじゃなく、ベンチの選手やサポーターの応援も強い力になる。みんなでひとつの目標に向かうところが好きですね。ーーでは、観る側、特に初心者はゲームをどのように観ればいいのでしょうか?北川選手 団体競技でありながら、個人技も光るスポーツなので、1対1における激しさやボールの奪い合いは、見応えがあると思います。また、スタジアムを訪れたら、クラブごとに独特な、サポーターの応援を見るのもおすすめです。エスパルスだったら、サンバのリズムで応援してくれるんです。『勝ちロコ』というダンスがあり、試合に勝つと選手も含めてみんなで踊るんですよ。ーー楽しそうですね! いまのJリーグの現況をどうご覧になっていますか?北川選手 イニエスタやビジャなど世界的に有名な選手が加入してくれて、大きな刺激となり、プラスになっています。結果、全体的にレベルが上がっていると思いますね。だから、試合を観てくれたら絶対に楽しめるんですよ。さきほどのサポーターのこともそうですけど、少しでも興味があるなら、ぜひスタジアムに足を運んでほしいです。テレビとは大きく違う、生ならではの空気を感じてほしいですね。恋愛、女の子、デート…赤裸々告白!ここまで、びっくりするほど穏やかな口調で丁寧に答えてくれた北川選手。日本代表にも召集されるほどのFWだけに、“勝気な男子” 像を抱いていましたが……。北川選手 話すとイメージが違うとよく言われます(笑)。人見知りなので、自分から話すというよりは、バンバン話しかけてくれたほうがありがたい。その場が明るい雰囲気になれば、話せるんですけど。ーー意外と受け身なんですね! もしかして、恋愛も “リードされたい” ですか?北川選手 好きな相手には自分からアクションを起こしますけど、女性の押しに弱いかも(笑)。積極的なアプローチは、嫌だとは全然思いませんね。押されて、自分もいいな、と思えば、それはそれでいいと思います。ーーまるで来るもの拒まず宣言ですが(笑)、好みのタイプはありますよね?北川選手 さっき言ったようなたくさん話してくれる明るい人がいいですね。見た目だったらショートヘアが断トツにいいです。その理由は自分でもよくわからないですけど、本田翼さんのようなヘアスタイルの女性に惹かれます。特に、今までロングだった人がいきなり短く切ったりするとヤバいですね。ギャップに弱いです(笑)。年齢は、お姉ちゃんがほしかったから、憧れというのがあって、もしかしたら年上がいいのかもしれないです(笑)。ーー年上女性に明るい希望をくれました! ひょっとして甘えたい?北川選手 ……かもしれないですね(笑)。ーーテレながらも、どんどん話してくれるから、こちらももっと聞きたくなっちゃう! では、キュンとする女性の仕草や行動などはありますか?北川選手(しばし考えて、にこにこしながら)ボディタッチがいいですね。後ろから、肘をトントンって軽く触られるのがたまらないです。ーーこちらもニヤけてしまいます(笑)。理想のデートコースは?北川選手(引き続きにこにこ)ディズニーが好きなので、東京ディズニーランドかシーに行きます。朝早いと辛いから、昼から夜にかけてが理想ですね。タワー・オブ・テラーの1番上から眺める景色が最高ですよ。あとはただ落ちるだけなので(笑)、あの眺めが一番いいと思っています。ーーそう語る北川選手がかわいらしくて(すごい選手なのにすみません!)、取材陣のほうがキュンキュン やっぱりサッカー選手ってモテるんですね。北川選手 僕のことは置いておいて、同年代の選手を見てもみんなモテると思いますね。特に、(南野)拓実は試合ではあんなに熱い男ですけど、素は意外と天然。そこがモテるんだろうなぁと思うし、(堂安)律はけっこうしゃべるので、一緒にいて飽きないと思います。日本代表への思いと描く未来北川選手の口から、森保ジャパンで活躍中の選手名が挙がりました。そこで、日本代表への思いを聞いてみると、柔和な笑顔は一転、キリリとした表情に変わり、次のように答えてくれました。北川選手 日本人プレーヤーであれば、誰しもが目ざすところだと思います。もちろん自分もそうで、またそこに選ばれるように、いまは精一杯頑張るしかありません。そのために必要なことを自分で考えながら、簡単ではありませんが、結果を残すことが代表への道につながっていくと思います。ーー3月に行われたキリンチャレンジカップをご覧になってどう思われましたか?北川選手 自分が出ていたら……(勝敗が違ったものになっていたのではないか)とも思ったりしますが、呼ばれなかったという時点で、自分があの場所に立つ資格はないわけで。だから、選ばれたメンバーであの結果なのですから……僕は1サポーターとして、出ている選手に頑張ってほしいと素直に応援していましたね。堂安、南野、中島、富安は僕と歳が近く、それでいて海外で活躍しているから、とても刺激を受けますね。いつかは、自分もそこでプレーしたい気持ちを持っていますが、まずはエスパルスで結果を残すことが大事だと思っています。最後は、自分に言い聞かせるように話した北川選手。この取材ではほかに、「キャンプで星空を眺めるのがすごく好き」と趣味を明かし、「視界が星で埋まるんです。ただ、すげぇとしか言いようがないですよ」と教えてくれました。富士山の麓で見るという星々と同じく、北川選手自身もまさにスター。しかも、よりいっそう輝ける可能性を秘めています。その過程を私たちは眩しく見守りながら応援し続けたいですね。Information北川選手のプレーをぜひ”アイスタ”で!4月のホームゲーム4/20(土) vs.セレッソ大阪(15:00キックオフ@IAIスタジアム日本平)4/24(水) vs.松本山雅FC(19:00キックオフ@IAIスタジアム日本平)4/28(日) vs.浦和レッズ(16:00キックオフ@IAIスタジアム日本平)
2019年04月13日人生において、いつかは訪れる大切な人との別れ。悲しみだけではないあらゆる感情に心を揺さぶられるものですが、突然病に襲われる母親との最後の日々を描いた人気エッセイ漫画『母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。』が映画化され、話題となっています。そこで、主人公であるサトシを演じたこちらの方にお話を伺ってきました。それは……。写真・大嶋千尋(安田顕)カメレオン俳優として人気の安田顕さん!【映画、ときどき私】 vol. 217映画やドラマなど、作品ごとに見せるさまざまな表情で観客を魅了し、幅広い役で唯一無二の存在感を放ち続けている安田さん。本作は実話ということで、現在マンガ家として活躍中の宮川サトシさんの役を熱演しています。そこで今回は、現場でのエピソードから原動力まで、たっぷりと語っていただきました。―最初に原作を読まれたときはどのような印象を受けましたか?安田さん親の死というものは必ず訪れるものですが、作者である宮川さんの視点がすごく独特でユーモアにあふれていると感じました。悲しい出来事ではあるけれど、クスっと笑えるところもある。でも、そのなかにこそ人の気持ちの真実があるので、涙腺がジワっと緩むステキな作品だと思いました。この作品に触れると、人に対して優しくなれるので、毎日夜中に読もうかなと思っているくらい。ただ、翌朝目が腫れちゃって困るんですよね(笑)。―実在の人物を演じるということで意識したことはありましたか?安田さん実際に生きている人を演じることに対する過度なプレッシャーはなく、あるとしたらちゃんと作品を残さないといけないというプレッシャーだったと思います。ご本人には現場で初めてお会いしましたが、今回は純粋に作品に対して心を打たれたので、責任を持ってやろうという覚悟はありました。―母親役の倍賞美津子さんとの掛け合いも素晴らしかったですが、共演されてみて印象に残っていることはありますか?安田さん倍賞さんはとにかくステキな方なんです。現場でも父親役の石橋蓮司さんと何てことない雑談をしているだけでも、佇まいや物事への観点が素晴らしいんですよ。それから、これはあとで気がついたんですが、倍賞さんと僕の母親の誕生日が一緒だったことには驚きました。母親とは男にとって絶対的な味方―運命のような偶然ですね。ちなみに、安田さんにとって母親とはどのような存在ですか?安田さん女性と母親との関係性とはまた違うと思いますが、男にとって母親は絶対的な味方。愚痴も言えるし、心から甘えられる存在なので、僕には実体験はありませんが、失ったときの喪失感というのはとんでもないものがあるんだろうと思っています。―そういう意味では、衝撃的なタイトルに共感できる部分もありましたか?安田さんそうですね。だって、遺骨って最後に遺してくれたものですよね?「それを食べて何が悪い!」と思うんですけど、「遺骨を食べたいと思った」ですからね。「僕は遺骨を食べた」というタイトルじゃないですから(笑)。君の膵臓も「食べたい」であって、「そう思った」ということですからね。―(笑)。それぐらいの気持ちになるという意味ではわかる気がします。そんななか、サトシを演じるうえで大事にしていたことはありますか?安田さん「ここで僕の演技を見て欲しい」というようなエゴはまったくなくて、考えていたのは作品のことだけ。本当にそれしかなかったですね。撮影前に大森立嗣監督から言われたことは、「とにかく穏やかで温かい現場にしていきたい」ということだったので、そこをとても大切に過ごしました。―役作りはどのようにしていきましたか?安田さん前にある先輩から「役を演じるときは3つのことを考えなさい。それがあればブレないから」と言われたことがありましたが、サトシに関しては、「泣き虫・お調子者・甘えん坊」とすでに脚本に書いてあったので、必要なものはそろっていました。―では、泣くシーンなどもすべて脚本通りでしたか?安田さん実は、脚本のト書きに「泣く」と書かれているところでは涙が出なくて、反対に書かれていないところで涙が出てしまうことがあったんです。そのとき、「ト書きに『泣く』と書かれているので、目薬でもしましょうか?」と監督に言ってみたことがありました。そしたら、監督から「そんなことしなくていいよ。心が泣いていればいいんだから」と返されたんです。本当にステキな監督だなと思いました。―じんとくるお言葉ですね。では、この作品に参加したことで、家族やご両親への思いに変化はありましたか?安田さん撮影中は作品のことしか考えてなかったので、自分の親のことは全然思い出しませんでした。ただ、できあがった作品を観てから親に対していろいろと考えるようになったので、いま作品から教えられているところです。「より大切にしたいな」とは思っています。これこそが役者の仕事だと感じた―本作では母親が中心ではある一方、父親役の石橋蓮司さんとお兄さん役の村上淳さん、そして安田さんという男3人が湖でそれぞれの思いをぶつけ合うシーンがとても印象的でした。安田さん実は最初に脚本を読んだときに、一番心を打たれたのはこのシーンでした。監督とも話をしていたのは、残された人たちがどう再生していくか、ということ。この作品では、受け継ぎ、伝えていくというのが大事なテーマでもあるので、そういう意味でも湖のシーンはすごくいいなと思いました。―みんなで裸になって湖に入るところもありましたが、そのときの撮影の様子はいかがでしたか?安田さん実は倍賞さんが「監督、みんなスッポンポンで湖に入ったほうがいいんじゃない?」と言い始めたのがきっかけだったんです。それで、実際にやってみたら、お母さんに見守られながら男3人が裸になって水のなかに入るほうがおもしろくてステキだし、より笑って泣けるんですよね。ちなみに、あのシーンで僕が一番好きなのは、石橋さんのシャツのボタンを倍賞さんが外してあげるところ。倍賞さんの手つきと仕草、そして「いってらっしゃい」の一言は、いま思い出しても涙が出てくるくらい、僕が一番泣ける場面なんですよね。言葉は少ないんだけど、夫婦の関係性がはっきり伝わるので、「これこそが役者の仕事なんだ」と感じました。―次々と出演作も続いており、毎日お忙しいと思いますが、原動力となっているものは何ですか?安田さん音楽を聴くことですね。特に、近所にあるバーに行って、いいスピーカーでレコードを聴きながら、焼酎を飲むのが一番。最近だと、竹内まりやさんの「静かな伝説(レジェンド)」という歌を聴くとやる気になります。歌詞が素晴らしいので、みなさんにもオススメです。―SNSではいろいろな料理のお写真もよく上げていらっしゃいますが、食もストレス発散になっていますか?安田さん写真を撮るようになったのは、せっかくロケでいろいろな場所に行っているのに、そこで何もしないのも嫌だなと思ったからです。時間が空いたときにはその土地のものを食べるようにしています。最近感動したおいしい料理とは?―ちなみに、料理をにらんで写真を撮る「睨み飯」というスタイルがおもしろいですが、そうなったきっかけは?安田さんおいしいものを食べたときに、料理だけを撮って載せている方もいますよね?でも、SNSはその人が好きで見ている方が多いので、料理だけだとおもしろくないかなと思って、顔を近づけて撮るようになったのが始まりです。ただニコッと笑っているのもいいんですが、にらんでいるほうがおもしろいかなと思って、いまのスタイルになりました。―そんななか、最近食べておいしかったのは?安田さん東京の大森で食べたおそばですね。噛んだときにそばの香りが強くておいしかったですし、あとは見た目もよかったんですよ。グルメサイトを見たときの評価もよかったから、そういうのもあったかな。―ネットでの評価などもけっこう気にされるのですか?安田さん気にはします。人も料理も見た目が大事ですから(笑)。7割がた見た目らしいですよ。―見た目が7割ですか!?そう思うようになったのはなぜですか?安田さん以前、『問題のあるレストラン』というドラマで、パティシエの役をやったんですが、そのときのセリフに、「食べ物は見た目で7割決まる。同じ味であればその方が絶対においしく感じるんだ」というセリフがあったんです。つまり、見た目が7割。じゃないと、オシャレもお化粧もしないんじゃないですか?―確かにそうですね(笑)。ということは、安田さんも普段からおしゃれに気をつかっているのですか?安田さんいや、それが全然ですね(笑)。というのも、現場に行ったらすぐに脱いで、着せてもらえますから。着せてもらえなかった頃はがんばりましたけど、着せてもらえるようになったらがんばらなくなっちゃって、いまはジャージです(笑)。でも、立派な役者さんたちを見ていると、普段もちゃんとこだわってらっしゃるので、見習いたいところです。―では、40代の目標は何かありますか?安田さん運動や料理などをやってみようかなとは思っています。手先を使うことを今年はチャレンジしてみたいですね。自分のペースで行くことが大事―それでは最後に、ananweb読者にひと言メッセージをお願いします!安田さん30歳になるときは「もう30歳になっちゃった」とすごく意識したんですよ。でも、そこを超えちゃうとなんてことないので、そのときそのとき一生懸命やっていればいいんだなと思っています。20代前半で物事を確立しちゃう人もいれば、30歳過ぎるまでかかる人もいるので、下手に焦る必要はないんですよね。それぞれのペースがあるから、「自分のペースでやっていきましょう」と伝えたいです。というのも、いまはスピードが速い時代でもあるので、そこについていこうとすると、他人のことを見捨てないとやっていけないときもあるんですよ。でも、ゆっくりしたペースでいくと、いままで見過ごしていた人のことが見えてきたり、困っている人に「どうしたの?」と声をかけられるようになったりするので、そういう過ごし方も大事だなと思っています。インタビューを終えてみて……。ユーモアと優しさにあふれている安田さん。お話を伺いながら作品を思い出していると、思わず目頭が熱くなりましたが、次の瞬間には笑ってしまうという、まさに笑って泣ける本作を観たときと同じような温かい気持ちになる時間でした。ぜひ、みなさんも劇場でそんな温かさに浸ってみてください。それぞれの“愛のかたち”に胸が揺さぶられる!人生には耐えがたい悲しみに襲われることもあるけれど、失ったことによって新たに得る絆や改めて気づかされる家族の思いが必ずあるもの。優しさと愛情に満ちあふれた本作に触れれば、大切な人をもっと大切にしたくなると思います。ストーリーサトシは幼いころから泣き虫で頼りなかったが、いつも明るくてパワフルな母に救われていた。ところが、その母がある日突然ガンだと宣告されてしまう。心優しいサトシは母のためにがむしゃらになるものの、やがて母との永遠の別れが訪れる。そして、1年後、天国の母から驚くべき贈り物がサトシの元に届けられる……。愛おしい予告編はこちら!作品情報『母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。』2 月 22 日(金)全国順次ロードショー出演:安田 顕松下奈緒村上 淳石橋蓮司倍賞美津子監督・脚本:大森立嗣原作:宮川サトシ「母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。」 (新潮社刊)配給:アスミック・エース©宮川サトシ/新潮社 ©2019「母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。」製作委員ヘアメイク:西岡達也(ラインヴァント)スタイリスト:村留利弘(Yolken)ジャケット¥64,000(マンド)/パンツ¥34,000(マンド)/シャツ¥18,000(カイコー)/その他スタイリスト私物衣装問い合わせ先:スタジオファブワーク(tel 03-6438-9575)
2019年02月21日誰もが何かと戦いながら日々を過ごしているものですが、そんななか“最強戦士”として覚醒したひとりの少女を描いた話題作『アリータ:バトル・エンジェル』がついに日本に上陸!今回は究極の映像体験を誰よりも体感したこちらの方にお話を伺ってきました。それは……。写真・大嶋千尋(ローサ・サラザール)ヒロインを務めたローサ・サラザールさん!【映画、ときどき私】 vol. 216ローサさんが演じたのは、奇跡的に復活を果たしたサイボーグの少女アリータ。本作では人間の動作や表情をコンピューターに取り込む「パフォーマンス・キャプチャー」での演技に挑戦しています。そこで、役をつかみ取るまでのいきさつやアリータを演じるなかで感じた思いなどについて語ってもらいました。オーディションで監督を泣かせたことは忘れられない―今回はオーディションでこの役を勝ち取ったそうですが、そのときのことについて教えてください。ローサもう3年も前のことなんだけど、すごくよく覚えているわ。なぜなら、私はオーディションでロバート・ロドリゲス監督を泣かせたのよ!だから、もしこの役をもらえないとしても、そんなふうに彼を感動させることができたというのは、記憶に残ることであり、思い出になると感じたわ。通常のオーディションでは、1~2シーンくらいしか演じさせてもらえないから、幅のある演技を見せることはできないんだけど、そのときはありがたいことに5シーンも演じることができたの。だからこそ、私はアリータに必要なあらゆる感情を見せることができたと思うわ。―そのときに、ロドリゲス監督とのやりとりで印象に残っていることはありますか?ローサロドリゲス監督というのは、あまり多くを語らないし、直感で決める人。それもあって、「どうぞ好きにやってください」と俳優を信じて任せてくれるのよ。そういうところも私は監督の好きなところなの。ホテルの一室で行われたオーディションでは、テーブルのうえに大勢の女優たちの顔写真が並んでいたんだけれど、監督は私の写真を探したあとに、私にこう言ったの。「そういえば、僕の友達が君と仕事をするべきだと言っていたよ」と。そう言われて、「そうね、私もそう思うわ」とつい答えてしまったんだけど、部屋を出てから、「ああ、なんて生意気なことを言っちゃったんだろう!」って頭を抱えてしまったわ(笑)。でも、アリータもまさにそういうことを言うタイプ。だから、これも運命なのかなと思ったわね。私が語るべきストーリーだと感じた―そういう意味でも選ばれるべくして選ばれたんだと思いますが、実際にアリータを演じていくなかで共感したり、若いときに同じような思いを経験したことを思い出したりしましたか?ローサもちろんよ!でも、これは女性なら誰でも共感できるキャラクターだと思うわ。いや、女性だけじゃなくて、人なら誰でもと言ったほうがいいかもしれないわね。私はどんな脚本でも読むときには、「これはもしかしたら私の物語かしら?」と思いながら読むようにしているんだけど、今回はまさに私が語るべきのストーリーだと感じたの。特に、アリータが最初に感じていた気持ちはとても理解できたわ。つまり、不安があったり、大きな世界で自分が小さい存在だと感じたりするということだけど、誰もが若いころはそう思うことってあるわよね?―確かに、誰もが自分を重ね合わせることができる部分がありますね。ローサあとは、私もアリータも理想主義者だから、同じようにその理想を砕かれる経験もしているし、彼女が自己発見の旅に出ようとする気持ちもすごくよくわかるわ。そして、彼女は戦士でありながら、感傷的な部分があって、何よりもハートを持っているの。本来、戦士が持ってはいけないものかもしれないけれど、その気持ちにも共感することができたわ。―全編パフォーマンス・キャプチャーというのは、普通に演技するのとは全く異なる難しさがあったと思いますが、実際に経験してみていかがでしたか?ローサパフォーマンス・キャプチャーは私をサイボーグにも10代の少女にもさせてくれたわけで、そういう意味では俳優としての幅をものすごく広げてくれたわ。こういう技術がなければ、演じられない役だったと思うから。でも、大変だったのはスーツがものすごくきついこと。それからヘルメットは重いし、目の前には2つのカメラがつねに自分を撮っているような状況で、さらにマイクやファン、レコーダーにバッテリ-といったものすべてがマジックテープで体中につけられているのよ。手袋もしているし、靴もぬぐことができないから、閉所恐怖症の人にはできない役なんじゃないかしら(笑)。―想像するだけでも、その状況で繊細な演技をするというのはかなり難しいことだったと思います。ローサとはいえ、普段のヘアメイクや衣装で役を作り上げていくのとはまったく違うプロセスは興味深かったこと。特に、私は映画作りの最先端にいられることを目標としてきたところもあるからうれしかったわ。もちろん、スタントなどは挑戦でもあったけど、私はカメラに映ることが好きなので、つねにカメラが私の演技や表情をとらえてくれていたのも、楽しいことだったわね。最高の監督たちと出会えてすべてが学びだった―今回は、ロドリゲス監督だけでなく、製作・脚本を務めたジェームズ・キャメロン監督とも一緒に作品を作り上げていったわけですが、その過程でアリータ同様に成長を感じた部分もあれば教えてください。ローサまず、彼らは私が成長することを許してくれたと言えるかしら。というのも、2人とも巨匠でありながら、上から目線で指示をすることもなく、自分たちのエゴを押しつけるようなこともなく、とてもオープンに愛情を注いでくれたのよ。監督のなかには、自分のビジョンに俳優を取り込もうとしすぎて俳優たちが輝きを失う場合もよくあるけれど、彼らは俳優のことを一番に考えてくれて、俳優を輝かせてくれる最高の監督たち。今回、これだけの大作で主演を務めることになった私にも、「君だからできるんだよ」という気持ちにさせてくれたし、本当にすべてが学びの体験だったわ。インタビューを終えてみて……。部屋に入ってきた瞬間から弾けるような明るさが印象的なローサ。本物のアリータが現れたかと思って驚きましたが、周りからあまりにも「アリータだ!」と言われてしまうこともあり、自分と切り離すためにいまは金髪にしているのだとか。とはいえ、それもまた似合っていて、とてもチャーミングなローサにすっかり魅了されました。見たこともない世界へと引き込まれる!ハリウッドの最先端技術を駆使した圧巻の映像は興奮必至!アクションとしても、人間ドラマとしても、ラブストーリーとしても楽しめる見どころ満載の本作に、思いっきり飛び込んでみては?ストーリー世界は天空に浮かぶユートピア都市「ザレム」と廃棄物が堆積したクズ鉄町「アイアンシティ」の2つに分断されていた。アイアンシティに暮らすサイバー医師のイドにより、荒廃した瓦礫の中から拾われ、新しい身体で蘇ったサイボーグの少女は、過去の記憶をすべて失っていた。そして、サイボーグの少女はアリータと名付けられることに。長い休眠状態の影響で過去の記憶を失っていたが、襲ってきた敵からイドを守るために戦った際に、自分のなかに戦闘能力が備わっていることに気がつく。アリータに隠された秘密とは……。驚異の映像が広がる予告編はこちら!作品情報『アリータ:バトル・エンジェル』2月22日(金)より全国ロードショー配給:20世紀フォックス映画©2018 Twentieth Century Fox Film Corporation
2019年02月21日2019 年は平成最後の年明けとしても大きな話題となりましたが、さまざまな思いを胸に新年を迎えたという人も多いはず。そんなときにオススメしたい映画は、心に大きな傷を抱えた青年と罪の意識を抱えながら生きていた男を描いた注目作『夜明け』です。そこで、こちらのおふたりに作品の見どころについて伺ってきました。それは……。写真・大嶋千尋(柳楽優弥・小林薫)柳楽優弥さん&小林薫さん!【映画、ときどき私】 vol. 209謎めいた悩める青年シンイチを演じたのは、現在ドラマに映画にCMに大活躍中の柳楽優弥さん。そして、偶然シンイチを助けることになった哲郎を幅広い作品で唯一無二の存在感を放ち続ける小林薫さんが演じています。今回は豪華な2ショットインタビューが実現し、撮影秘話からそれぞれの役者観についても語っていただきました。―まずは、本作への出演を決めた理由から教えてください。小林さんひとつは監督や共演者が若いということに興味があったからですね。年齢を重ねていくとどうしてもいろんなことが硬くなってしまうからね。こういう現場に入ることでいろいろな要求をされたり、とまどって大変なこともありますが、そもそも映画ってそういうものなんじゃないかな。柳楽さん広瀬(奈々子)監督は是枝裕和監督のもとで監督助手をされていた方で、しかも初監督作品。それだけでおもしろそうだなというのもありましたが、実際に台本を読ませていただいて共感できる部分もあったので、ぜひやりたいと思いました。撮影以外の雰囲気も作品に反映できた―この作品では土地も大事な要素のひとつとなっていますが、現場はどのような雰囲気だったのでしょうか?小林さん今回は撮影中に自宅へは帰らなかったこともあり、現場にもそういう空気がなじむ感じもありました。それは、自宅に毎回帰って撮る仕事とはまた意味合いがちょっと違うものなんですよ。現場の近くには3、4軒しかお店がなかったので、順番に回って毎晩みんなで飲みに行っていたんですけど、こういうことも東京だと撮影後に共演者とバラバラになってしまうからできないですしね。それが自分たちでも気がつかないところで“化学反応”を起こすこともあるので、そういうところが楽しいなとは思いました。柳楽さんいまお話にあったように、今回は千葉でまるまる1か月間の撮影だったこともあり、薫さんが僕と共演者の鈴木常吉さんやYOUNG DAISさんたちをいつも食事に連れて行ってくださいました。そんなふうに撮影していないところでの雰囲気みたいなものが映画にもすごく出ていると感じました。答えが出ないことと向き合う難しさがあった―脚本を読んでから、役作りはどのようにされたのでしょうか?小林さんわかりやすい部分とやっていくうちに難しいなと思う部分とありましたが、話自体はシンプルなものだと感じました。ただ、「親子なのになぜうまくいかないんだ」という親子の問題は答えが出ないものであって、それこそ2000年も前のオイディプスの書かれた時代から言われていること。解決する術はないんですよね。だから、人間だけにあるこの試練というのは一体何なんだろうって思うわけですよ。でも、この映画はそれがいいとか悪いとか、そういうことを言いたい作品でもない。だからこそ、僕らはどうしたらいいのかなと考えなければならなかったので、実は難しい題材なんだなと思いながら演じていました。こんな難しいテーマを若い監督がよくやるなとも思いましたね。―では、そういう疑問や葛藤をつねに抱えながら現場にいらっしゃったということですか?小林さん答えが出ないことだからね。それが難しさのひとつでもあったのかなとは思いました。ただ、自分たちがやったことに対しては、ああも考えられたとか、こうもできたとかをいまさら言ってもしょうがないし、正解だったと言わざるを得ないですよね。だって、あれがあのときの全力だから。―柳楽さんは微妙な心の動きを求められるような難しい役だったと思いますが、どのようにして挑まれましたか?柳楽さん難しいなとは感じましたが、まずは自分のなかで信じたものと監督に言われたことに従って演じようと思っていました。今回、撮影に入る前に僕が思っていたのは、僕がキャスティングされた意味。それは是枝監督の『誰も知らない』でデビューしたという流れもありますが、僕の持つ“生命力”というものを出せたらいいなと思っていたので、そこは意識するようにしていました。変な先入観を持たずに観て欲しい―実際に完成した作品を観たときはどのように感じましたか?小林さんもっと気楽な映画も作れたのに、30歳の若い監督がこんなに難しくて渋い映画をよく撮ったなと(笑)。でも、広瀬監督は東日本大震災のあと、コミュニケーションの在り方に悩む時期があったということもあり、映画との出会いがひとつの救いだったのかなとは思うんですよ。だから、そういうところに近いテーマなのかもしれないですね。あとは、監督自身が「答えはこうです。マル」みたいなわかりやすい映画を作りたいわけじゃないというのもある。カメラマンにしてもドキュメンタリーを中心に撮ってきた人を採用しているから、劇用のカメラマンとは違いますしね。―特に違いを感じた瞬間などもありましたか?小林さんたとえば、木工所に「おはよう」って入ってくる人がいてもカメラはそっちを向いていない。もちろんセリフを言う側にだけドラマがあるわけじゃないけど、それを聞いている側がどう聞いているかを撮りたいんだなと思ったんです。だから、僕らもいわゆる劇用の映画ではないんだなという思いを感じ取りながら演じていたので、そういう意味ではいろいろな “違和感” も含めて「なるほどな」と思うところもあっておもしろかったですね。柳楽さん最初はどういう作品に出来上がっているんだろうと、怖さやワクワクもありました。僕自身はいろいろな方の感想を聞きながらいまも考えているところはありますが、だからこそ観ていただく方には変に先入観をつけたくないなというのがあります。観た人の心にどう残るかという可能性にかけている映画だなと思いました。―ラストシーンも非常に印象的ですが、どのように受け止めていますか?柳楽さん「生きる」という感じですね。人生を一回あきらめようとしたシンイチが哲郎さんと出会い、助けてもらったおかげで、ゆっくりではあるけれど真っ暗なトンネルから少しずつ歩み始めることができたんだというふうにとらえています。今回の現場だからこそあのシーンが生まれた―劇中ではシンイチと哲郎の関係性について描かれていますが、実際の柳楽さんと小林さんはどのような関係性なのですか?小林さんお互いに余計なことは言わず、「このシーンはどうしようか」というのもあまり相談しないようにはしていました。それは広瀬監督の作品が持つ性質もあるとは思いますが、2人で納得して答えが出ちゃったらつまらないじゃないですか。そこにはわからなさの不安があるんだけど、わかることをやってもしょうがないからね。ただ、今回すごくよかったなと思ったのは、台所でシンイチが初めてある重大な告白をするシーン。僕は台本を読んだとき、体に力が入っている状態だとこのセリフは出てこない気がして、「僕が受け止めるから、体を預けて脱力した感じでやるのはどう?」と提案してみたんですよ。そしたら、柳楽くんも「それはありがたい」ということになったので、実際にそのような形で本番を迎えました。それは最初からプランがあったわけでもなかったんですけど、広瀬監督の現場と千葉で合宿をしていた環境のおかげで、役のことをふと考えたときにそうなったのかなとは思います。それは計算とかではなくて、神様がふわっと降りてきたような感じがいまでもしていますね。―それはNHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』での共演を経て、おふたりの間に強い信頼関係があったからこそできたことだったのではないでしょうか?小林さんそんなきれいなものじゃないと思うけど(笑)。でも、そういう関係みたいなものがふと成立するときというのがあるんだよね。だから、あのシーンについては、僕もいまだにそう思っているし、監督も周りで見ていた人たちからも、あのときの哲郎とシンイチの雰囲気がよかったとほめてもらいました。―柳楽さんにとって、小林さんはどういう存在ですか?柳楽さん難しいことが多い現場でしたが、ドラマで1年近くご一緒させていただいた薫さんがいてくださったからこそ、少し落ち着くことができたところもありました。あとは、現場以外でも自然とキャラクターと同じような感じでいてくださったので、それは作品にとっても僕にとっても助けられていた部分だったと思います。役者という仕事に対する思いとは?―小林さんから見て、柳楽さんの魅力はどのようなところでしょうか?小林さん役を演じる以前の役者としての在りようというところで、すごく悩んでいるというか、ためらいがある人なのかなという印象。ただ、それはこれからも続けたほうがいいと思っているんです。というのも、僕らは腰を据えて落ち着いてしまったら、それはそれでつまらなくなっちゃうものだからね。俳優というのは、その妙な居心地の悪さみたいなものを抱えていく職業なのよ。しんどいと思うけど、そこを卒業しないでやっていってもらいたいなという気はしますね。だから、僕らは死ぬまで答えの出ないことをやっていると思いますよ。僕も最近は方法論も含めて、正しいことってわからなくなってきちゃっているからね。―小林さんでさえもそのように感じているのは、みなさん意外に思うのではないでしょうか。小林さんたとえば「役者とはこういうものだ」と言って人を納得させている人がいたら、「いいこと言うな」と思うのと同時に「お気楽でいいね」と心のなかで皮肉も出てくるんですよ(笑)。何が正しいかわからなくなってくる “居心地の悪さ” みたいなものは、ずっと続くんじゃないかな。だから、柳楽くんも役者としての在りようとか、役をつかむ方法とかをどうしたらいいかというのをずっと考えていくしかないと思うんだよね。「こういうことね」っていうのは絶対ない気がするから。―それでは最後に、柳楽さんから今後に向けて一言をお願いします。柳楽さん答えがあるエンターテインメント性の高いメジャーな作品も大好きですが、今回はこういうインディペンデントなものづくり感のある現場で、同世代の監督とご一緒できてよかったなと思います。ただ、まだ自分は満足とはほど遠いところにいるので、薫さんにおっしゃっていただいたように、これからもそれに耐えてがんばっていきたいです!インタビューを終えてみて……。ときおり少年のような笑顔を見せる柳楽さんと、大人の色気が漂う小林さんというそれぞれの魅力に釘づけとなった今回の取材。作品や役者という仕事に対して真摯に向き合い続けるおふたりだからこそ、ひと言ひと言にも重みを感じました。柳楽さんと小林さんの圧倒的な演技は、ぜひ劇場でご覧ください。「生きるとは何か?」と向き合う!親子や人間関係のなかで生じる葛藤や苦悩も、すべては生きているからこそ感じるもの。人は答えの出ない問いと向き合いながら、つねに新たな一歩を踏み出す選択を求められているのかもしれません。心のなかに抱えているものがあるのなら、シンイチとともに“人生の夜明け”を探し求めてみては?ストーリー地方の町で木工所を営んでいた哲郎。ある日、河辺で倒れていた青年を助け、自宅で介抱することとなる。偶然にも、その青年は哲郎の亡くなった息子と同じ「シンイチ」という名前だったのだ。自分のことを語らないシンイチだったが、周囲の温かさに触れるうちに心を開き、哲郎の家に暮らしながら木工所で働くようになる。時が経つにつれて、哲郎に対し父親のような感情を抱き始めるシンイチと徐々にシンイチに執着をし始める哲郎。親子のような関係の2人だったが、そんななか数年前に起きたある事件の噂が流れ始めることに……。胸がざわめく予告編はこちら!作品情報『夜明け』1月18日(金)より、新宿ピカデリーほか全国ロードショー出演:柳楽優弥/YOUNG DAIS鈴木常吉堀内敬子/小林薫監督・脚本:広瀬奈々子配給:マジックアワー©2019「夜明け」製作委員会
2019年01月17日セイコーウォッチ(SEIKO)の手掛ける「アルバ」から、スタジオジブリ作品『千と千尋の神隠し』とのコラボレーション限定モデルが登場。2019年1月25日(金)より、全国の「アルバ」取り扱い店にて発売される。「アルバ」は、安心の品質と手頃な価格で、セイコーブランドのなかでも様々なシーンに対応できるカジュアルウオッチとして位置づけられるブランド。スタジオジブリ作品の『千と千尋の神隠し』とのコラボレーションでは、同作に登場するモチーフをたっぷり詰め込んでカジュアルながらも個性際立つデザインを完成させた。展開するモデルは2つのカラーでラインナップ、どちらのカラーにも、映画に登場する印象的なキャラクターである「カオナシ」を文字板中央に描いた。「カオナシ」は、ルミブライト(高輝度蓄光塗料)でプリントされており、暗闇では光って浮かび上がる。インデックスと針は、千尋たちが最初に訪れた不思議の町の時計台をモチーフにしており、「大字」の数字表記によって示される時はオリエンタルなムード。また、カーフストラップの裏には、竜の姿になったハクが描かれており、表には油屋の「油」のマークが刻印されている。なお、裏ぶたには映画タイトルと数量限定モデルの証であるシリアルナンバーを記した。夜空に浮かび上がる時計台を描いたスペシャルボックスに収められるこのモデルは、各色500本のレアモデルだ。【詳細】アルバ スタジオジブリ作品『千と千尋の神隠し』コラボレーションウオッチ発売日:2019年1月25日(金)取り扱い店:全国の「アルバ」取り扱い店価格:14,000円+税ダイヤル:シルバー、ブラックケース:ステンレススチール(ブラック硬質コーティング ※各色共通)ストラップ:カーフ(ブラック ※各色共通)【問い合わせ先】セイコーウオッチ(株) お客様相談室TEL:0120-061-012(C) Studio Ghibli
2019年01月13日双子の彼らは毎年、誕生日に不思議な能力を発揮する――伊坂幸太郎さんの新作『フーガはユーガ』は、久々のノンシリーズ、独立した話の単行本だ。「『砂漠』という本を出した時、担当編集の方に双子が生まれたんですよ。それで“次は双子の話を書きましょう”という話になって。だいぶ月日が経ってそろそろ書こうと思い、どう面白くするか考えました。それで、誕生日だけ2時間おきに双子の意識が入れ替わる話を思いついたんですが、その後で映画の『君の名は。』が公開され、これは絶対ヤバイ、真似したと思われる、と(笑)。あの映画自体好きですし、悩んだ末、苦肉の策で意識だけでなく体ごと入れ替わるという設定にしました」風我と優我は仙台に暮らす双子の少年。誕生日だけ2時間おきに体が入れ替わる不思議な能力を持つ彼らはその日は注意深く過ごしているが、時にはその能力を利用して、いじめられっ子を助けることも。テレポーテーションが起きる瞬間、周囲はどうなるのか、手にしているものも一緒に移動するのかなど、細かな設定も作り込んだ本作。「フィクション作品では、大きな嘘は1個だけならアリかなと思っていて。それを成立させるために細かな制約を設定していくのが僕の作風でもある。ここで瞬間移動だけでなく透明人間にもなれる、なんて嘘を重ねると著者に都合がいいだけの設定になるので、嘘はひとつだけです」双子の成長と遭遇する奇妙な出来事が語られるわけだが、謎めいているのは、これが大人になった優我がファミレスでテレビ番組のディレクターに語っている、という形であることだ。しかも優我はしばしば「わざと嘘をついている部分もある」と断りながら話を進めるのだ。「ずっと一人称だけで書いてもいいんですけれど、急に“それはどういうことなんだ”などと割り込んでくる人がいたほうがワクワクしながら書けるんです。それに、後からこいつは信頼できない語り手だったと分かるより、最初から堂々と“嘘も入ってるよ!”と言っておいたほうが読者に対して親切な気がして(笑)」つまり読み手は最初から「何かが怪しい」と思うわけだが、次第にそれを忘れて物語に引き込まれるはず。ただ、辛い場面もある。双子の母親は家を出、彼らは父親から虐待を受けている。近所では幼い女の子が轢き殺される事件も発生し、さらに…。「僕は家族がチームとなって敵に立ち向かう話が好きですが、世の中そんな家族ばかりじゃない。過酷な状況を生き抜く子たちだからこそ、突飛な能力があっていいんじゃないかと思い、はじめて辛い家族環境の主人公にしました。そのほうが2人で乗り越えていく感じが強まりますし。ただ、この能力でできることって、そんなになくて、かなり地味(笑)。そこがいいなと思っています」不思議で切なくて寂しくて、でも優しいラストが待っている本作。「一人称で語り続ける話にしようと思いついたから書けました。映画ではできないことをやりましたし、小説だから味わえる読後感になったのでは。切なさは『アヒルと鴨のコインロッカー』と似ているかもしれません。そういう意味では、原点回帰的な小説になりました」『フーガはユーガ』仙台市内のファミレスで、常盤優我は語りだす。双子の弟・風我のこと、自分たちが持つ不思議な能力のこと、そして彼らが遭遇した、ある事件のこと…。実業之日本社1400円いさか・こうたろう1971年生まれ。2000年『オーデュボンの祈り』で新潮ミステリー倶楽部賞を受賞しデビュー。’04年『アヒルと鴨のコインロッカー』で吉川英治文学新人賞ほか、受賞多数。※『anan』2018年12月26日号より。写真・大嶋千尋インタビュー、文・瀧井朝世(by anan編集部)
2018年12月25日エモーショナルな瞬間を、美しいビジュアルと言葉、そして俳優の肉体を駆使して描き出し、いまや演劇のみならずジャンルを超えて注目されるマームとジプシー(以下、マーム)。最新作の『BOOTS』では、ドイツ生まれのシューズブランド・trippenとコラボする。靴がいったいどうやって演劇になるの?「マームの藤田(貴大)さんから最初にお話をいただいた時は、衣装提供ということかなとか、靴の物語を作るのかなと考えていたんです」とは、セールスマネージャーの中村光仁さん。しかし、藤田さんからの要求は、「trippenの感性で僕を刺激してほしい」というものだったそう。「展示会を観ていただいたりもしましたし、ブランドのコンセプトや、今回のシーズンテーマについてなど、うちの靴についてあらゆる側面から知っていただけるよう、いろんなお話をさせていただきました」(バイヤー・斉藤いずみさん)そしてお二人は一計を案じる。公演のフライヤー撮影時に、マームのメンバーだけのために、撮影場所となる屋外に什器を持ち込み大量の靴をディスプレイして見せたのだそう。「まずは、私たちはこうなんです、ということを目で見える方法でお伝えするのが一番だと思ったんです」と、斉藤さん。言葉やビジュアルから、ブランドを支える靴作りへの思いを感じ取り、そこから受けたインスピレーションを藤田さんが舞台として立ち上げていく。そしてこれまでに、今年の夏に上演された『BEACH』を含めた2作を制作。今回が3作目の共同作業だ。「紆余曲折を経て最後に帰結したのが、ブランドの今シーズンのテーマ“Speed”。ここには速度だけでなく、時の流れといった意味合いも含まれています」(斉藤さん)「デザイナーの、言葉にできない思いまで汲み取ってくれるのが藤田さん。僕らも想像しなかった角度の舞台ができていて、いまから拝見するのが楽しみです」(中村さん)2018年の8~9月に上演された『BEACH』より。今回は、前作『BEACH』と新作『BOOTS』の両作品が上演される。会場には、trippenの靴も展示。撮影・井上佐由紀『mum&gypsy×trippen「BOOTS」』12月21日(金)~29日(土)新宿・LUMINE0作、演出/藤田貴大予約4000円当日4500円『BEACH』『BOOTS』セット券7500円スケジュールの詳細はHPで。マームとジプシーTEL:070・5454・7311※『anan』2018年12月26日号より。写真・大嶋千尋取材、文・望月リサ(by anan編集部)
2018年12月21日ドラマも映画もイケメンなしには楽しめない!今回、ご紹介する作品は、愛媛県を舞台にした、オリジナルのファンタジー映画『ふたつの昨日と僕の未来』。現実世界とパラレルワールドを奔走しながら自分の生き方を見つける主人公・海斗を演じた佐野岳さんにお話を伺いました。写真・大嶋千尋 文・田嶋真理 スタイリスト・菊池陽之介 ヘアメイク・富永智子【イケメンで観る海外ドラマ&映画】vol. 25演技もアクションも超一流! 進化し続けるアツい男『ふたつの昨日と僕の未来』は、愛媛県新居浜市の協力をもとに撮影した、新居浜市市制80周年記念映画です。主演をつとめる佐野さんは、『仮面ライダー鎧武/ガイム』で主人公の鎧武を演じてブレイクした若手俳優。人気ドラマ『陸王』では竹内涼真演じる茂木裕人役のライバルとなる長距離ランナー・毛塚を好演し、圧倒的な存在感を示していました。『ふたつの昨日と僕の未来』では、怪我を理由にオリンピック出場の夢を絶たれたマラソンランナー役。挫折によって、心身ともに傷を抱える青年・海斗を繊細に演じています。ーー脚本を読んだ時の印象は?佐野さん ファンタジーを交えながら、主人公の成長を描くところにワクワクしました。特に海斗と彼のおばあちゃんがふたつの世界について話をするシーンが好きで。自分と重ね合わせながら、脚本を読むことができました。ーー役作りとしてはどのようなことを?佐野さん 愛媛県の方言・伊予弁のセリフが多かったので、現地の方々にいろいろと教えていただきました。海斗の内面の役作りとしては、自分も高校のサッカー部時代に怪我で挫折した経験があるので、そのときのことを思い出しながら演じました。これまで演じたなかでもっとも素の自分に近い役だと思っています。ーーランナー役を演じるにあたって、肉体的なトレーニングは?佐野さん 同じくランナーを演じた『陸王』の撮影後だったので、すでに体は仕上がっていました。肉体的な部分も含め、説得力を持って演じることができたと思います。ーー佐野さんの伊予弁がとてもお上手で驚きました。愛知県出身だそうですが、これまでに愛媛県へ行かれたことは?佐野さん 愛媛県へ行ったのは、今回が初めてでした。先行上映をご覧になった方が「伊予弁がとても自然で、ネイティブのようだった」という感想を寄せてくださって。それを読んだときはすごく嬉しかったです。ーー海斗は、現実世界とパラレルワールドと行き来することによって、過去をやり直そうとします。もし、佐野さんが過去に戻れるとしたら、どの時代へ行ってみたい?佐野さん 自分の高校時代に戻って、留学を経験してみたいです。外国語を学んだり、旅をしたりすることが大好きで。オフがあったら、世界のいろいろな場所を観に行きたいですね。ーーすべて愛媛県で撮影されたそうですね。共演者の方々と一緒に、観光を楽しむ時間はありましたか?佐野さん 約2週間ほどの撮影でしたから、プライベートな時間はほとんどありませんでしたが、海斗の父親を演じた神保悟志さんとご飯をご一緒したとき、別れ際に「佐野くんが息子で良かった」と言ってくださって。すごく嬉しかったですね。ーーそれは最高の誉め言葉ですね。佐野さん 神保悟志さんを相手にしても、臆せず自分の演技ができたということなのかな? と良い意味に捉えています。ーー印象に残っているロケ地は?佐野さん 山根グラウンドで行われた太鼓祭りは、ものすごく迫力がありました。この映画を観て愛媛県に興味を持った方がいらしたら、ぜひロケ地巡りをしていただきたいです。ーー本作には、海斗が元恋人・真里乃の愛を取り戻そうと奮闘する様子も描かれています。佐野さんの理想の女性は?佐野さん 自分の判断で物事を決めていくような、サバサバした女性に惹かれます。それでいて、キャパの狭い自分をフォローしてくれるような、包容力のある方が良いですね(笑)。インタビューのこぼれ話取材した日は、来年のカレンダーをちょうど撮り終えたころ。毎年、露出度が高いことで有名な佐野さんのカレンダーですが、今回は過去最高の露出に備えて!? 初めてカレンダー撮影のために腹筋を鍛えたそう。佐野さんのセクシーなシックスパックは必見です!Information『ふたつの昨日と僕の未来』愛媛県にて先行公開中、12月22日(土)より全国順次公開出演:佐野岳、相楽樹、菅谷哲也ほか配給:キャンター©2018「ふたつの昨日と僕の未来」製作委員会衣裳協力:ジャケット¥75,000、パンツ¥36,000、チーフ¥10,000(すべてワコマリア/パラダイストウキョウ TEL:03・5708・5277)ベスト¥22,000(トローヴ TEL:03・3476・0787) その他はスタイリスト私物
2018年12月17日連載時から大胆に改稿し、できあがった大長編『熱帯』は、森見登美彦さんご自身も“怪作”と言い切る、2018年の目玉と呼べる一冊だ。幻の本に魅入られた人々の「読む/書く」をめぐる冒険奇譚。作家の〈私〉は、ふと学生時代に出合った佐山尚一の『熱帯』という小説を思い出す。大切に読もうと思っていた〈私〉の元から忽然と消え、以来、図書館や古書店を探し歩いても見つからない謎の本。その奇書をめぐり、物語は進んでいく。「単行本化に取りかかるタイミングで『千一夜物語』を初めて読んでみたんですね。200話ほどしかなかった原型が、勝手に付け加えられて増えたり、バージョン違いが生まれたりと、成り立ちも含めて面白いと思ったんです。最初は、’80年代の京都を舞台に、作中作である『熱帯』の内容や誕生の経緯を書くのだろうと考えていたのですが、影響を受けてどんどん膨らみ、“謎の本”についてより深く考えることになりました」〈この本を最後まで読んだ人間はいない〉等、噂を聞けば聞くほど、『熱帯』についても、著者の佐山尚一についても、知りたくなると同時に、よくもこんな風変わりな物語を思いつくものだと、作家としての森見さんを、謎多き作家・佐山尚一に重ねてみたくなる。「彼は、この世界のどこかに穴があって、その向こう側に心惹かれるような人物ではあるので、そのメンタリティは僕自身と重なる部分かもしれません。実は、佐山尚一は平凡なようでいて、ネットなどで調べても、同姓同名の人が全然引っかからなかった名前なんです。自分が作り出したことで、初めてこの世に出てきた存在だと思うと興味深いですね」登場人物たちが、読書とは何かと考察する丁々発止も楽しい。突き詰めていく場面も出てくる。たとえば、同じ小説を読んでも人によって解釈はいろいろなのに、みな同じ一冊を読んでいるといえるのだろうか。「そもそも『熱帯』という魔術的な小説のことを書かなくてはいけない。それに重ねて、読書についてや、断片的な妄想が小説という形になっていく自分の小説が生まれてくる過程を、小説にしようとも考えていました。複雑に考えすぎて、納得できる形になるまで試行錯誤の連続。担当編集さんは、書き終わらなかった別バージョンの『熱帯』を山のようにお持ちです(笑)」もりみ・とみひこ1979年、奈良県生まれ。京都大学大学院農学研究科修士課程修了。2003年、『太陽の塔』で日本ファンタジーノベル大賞、’07年『夜は短し歩けよ乙女』で山本周五郎賞を受賞。『熱帯』Amazonには佐山尚一の古書が用意され、作中の古書店「暴夜(アラビヤ)書房」プロジェクトも進行中。本好きの心をくすぐる仕掛けも。文藝春秋1700円※『anan』2018年12月19日号より。写真・土佐麻理子(森見さん)大嶋千尋(本)インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2018年12月13日フリーアナウンサーの平井理央とモデルのでタレントの近藤千尋が29日、東京・渋谷のカフェ・ベローチェ 渋谷二丁目店で行われたカフェ・ベローチェ「ホワイトフェア」開催記念PRイベントに出席した。シャノアールが運営するコーヒー店「カフェ・ベローチェ」は、12月1日から2019年2月28日の期間限定で、同社初となる冬のフェア「ホワイトフェア」を開催。冬をイメージした真っ白な限定メニュー全4種(ホワイト甘酒ラテ、ホワイトパンナコッタ~エスプレッソソースがけ、ホワイトモンブラン、ホワイトショコラて)を提供する。平井と近藤はキャンペーンの名前にちなみ、白のワンピース姿で登壇。クリスマスのシーズンらしいデコレーションを施した店舗について平井は「天井もテーブルの上も素敵なデコレーションがされていていつものベローチェとは違って素敵ですね」と目を丸くし、近藤も「普段とは違っていてインスタ映えしそうだなと思いました」と笑顔。キャンペーン中に提供されるホワイトモンブランを平井が、ホワイトパンナコッタ~エスプレッソソースがけを近藤が試食し、平井は「ホワイトチョコレートとマロンチョコレートが絶妙で、とても美味しいですよ! クリの食感も楽しめるので、1回で何回美味しいんだ!という驚きのある美味しいモンブランです」と絶賛し、それを聞いた近藤は「平井さんの食レポがあまりに上手すぎて頭が真っ白ですよ(笑)」としつつ、「パンナコッタとソフトクリームとエスプレッソを同時に食べることなんてないので、こんなに美味しいんだと思いました」とまとめていた。また、クリスマスの予定を聞かれると、平井は「まだ子供が小さいので、お家ですね」と残念がり、近藤も「お家ですかね。お家でサンタさんのコスプレをして楽しもうかな」と2人とも自宅で楽しむという。また、テレビの番組内で夫・太田博久(ジャングルポケット)と格差婚で話題を集めた近藤は「以前は私の(給料の)7分の1でしたが、今は売れてきて3カ月前は3分の1くらいになりました。今は年末なので、身体張って頑張っています」と笑いを誘っていた。
2018年11月30日なんなく生きづらさを感じている人たちに向けて、「日頃、こんなことを心がけてみるといいのでは?」という、気持ちがふと軽くなるヒントを占い師・しいたけ.さんと精神科医・名越康文さんに教えてもらいました。ひらめきが形になると人生はもっと楽しく!N(名越さん):いいアイデアとか、これは危険とか、しいたけ. は、ひらめきを信じている?S(しいたけ.さん):はい、信じているほうだと思います。N:占いはどうやって書いているの?言葉がひらめく感じ?S:うーん。ひらめきというとおこがましいんですけど、まずはそういったものが先にあって、そこから引っ張られるように最後まで押しきっちゃう、みたいなところはありますね。N:やっぱり。文章から、そんな気がしていました。僕もカウンセリングをしていて、ひらめくことがあるんですよ。ぱっと見た瞬間に、確信するというか。S:そうなんですね!N:でも、「その根拠は?」なんて言われると、言葉にするのはなかなか難しい。だって、直感なのだから。ただ、本人と話しているうちに、やっぱりそうなんだ、とあとから理屈がついてくる。S:そのひらめきは、これまでのカウンセリングの蓄積が、もとになっているということもありますか?N:そういう学術的な側面もありますよ。でも、それは半分くらいで、あとの半分は、「これだ!」という答えがパンと外側からやってくるような、本当に説明しづらい感覚なんです。S:ひらめきは、誰にでも起こり得るものなのでしょうか?N:起こり得るんですけど、それをほとんどの人が使えていないんです。ある有名大学の理系の教授と話した時に、日本人の多くは、どんなにエリートでも、脳の半分の機能しか使えていないんじゃないか、と。そして、その残り半分の重要な機能を司っているのが、実はひらめき。それなのに、とかく実務主義の日本人は、ひらめきのような実態のないものを信じられず、ウソだと思ってしまうんですね。彼と深く意見が一致したのが、もっとひらめきを使いなさい、ということ。S:でも、どうやったら使えるんでしょう。N:一見、本筋とは関係のないことをするのがおすすめです。たとえば仕事の企画で煮詰まったら、散歩をしたり、自然と触れ合ったりしてみてください。世界的な発明も、研究者がお風呂に入っている時にひらめいた、なんて話もあるでしょう。ひらめきを作動させるには、無駄だと思うことでもやってみる必要があります。S:僕の場合はどうなんでしょう。それこそ理屈はわからないんですけど、ひらめきがあって、それを誰にも咎められなかったから、自分の占いのスタイルが出来上がったというか。ひらめきがあっても、目の前の人に面白くないと言われたら、それが正解になってしまうわけですよね。僕はずっとひとりだったので、そういうこともなく、自分の考えを熟成できたっていうのが、かえってよかったんだと思います。N:そう。ひらめきって、ひらめくだけじゃダメなんです。それによって、たとえばしいたけ. みたいに占いに活かせた、とか成功体験がないと、ひらめきなんて信じられないでしょ。だから、1回でいいんです。若いうちに成功体験をしてほしい。そうすると人生が変わるから。ただ、ひらめきを得るためには、無駄なことをやらないといけないんですよ。騙されたと思って、まずはいっぺん森でぼーっとしてみて!S:旅に行って、不思議な味のカレーとか食べてほしいですね(笑)。N:そういえば、しいたけ. の占いには、無駄というか、読者が想像を膨らませる余地のようなものがあるよね。S:え、そうですか?N:僕は蟹座なんだけど、しいたけ. の占い当たっているなぁって思って読んでいたら、僕とはまったく性格の違う蟹座の人が次に読んで「とっても当たっている!」って。それってやっぱり、それぞれの読者が自分のことだ!と直感するような余白が、というか表現のゆらぎのような幅が文章の中に息づいているからだと思うんです。それともう一つ、しいたけ. の占いが読者をひきつけているのは、一般の感覚とは微妙に違う特有のズレ。S:それは僕も感じたことがあります…。N:そうなの?ズレているなんて言うと傷つけてしまいそうで言っていなかったんだけど、自分で気づいていたの!?S:…はい。僕は目の前にいない人に向かってシャドウボクシングのような会話をずっとしてきたので、生身の人と話をする時は、きっと論点がズレているんだろうなぁ、と。N:気づいていたと知って、ほっとしました(笑)。でも、これはもちろん褒め言葉なんですよ。とにかく感性が独特なので、いつも話している時、僕の中のクリエイティビティが問われていると思って、わくわくしますから。S:そう言っていただけると、こちらもほっとします(笑)。N:彼は幸いにもその才能を摘まれずに済んだけど、ひらめきは誰かに話した時に、最初は訝しがられることもあると思うんです。でも、ズレていてもいいと思って前に進み、一度成功体験を味わってください。クセになりますよ!なこし・やすふみ精神科医。相愛大学、高野山大学客員教授。NTV系『シューイチ』ほか、さまざまなメディアでコメンテーターとしても活躍。著書多数しいたけ.さん占い師。早稲田大学大学院政治学研究科修了。哲学を研究するかたわら占いを学問として勉強。著書に『しいたけ占い 12星座でわかるどんな人ともうまくいく方法』(小社刊)ほか。最新刊『しいたけ.の部屋ドアの外から幸せな予感を呼び込もう』(KADOKAWA)が12月15日に発売予定。名越先生から「体癖」について学ぶなど師弟関係にある。ツイッターでのふたりのやりとりに注目者多数※『anan』2018年11月28日号より。写真・大嶋千尋イラスト・100%ORANGE文・保手濱奈美(by anan編集部)
2018年11月27日なんだか不安&同じことでずっと悩んでいる…。そんなあなたは占い師・しいたけ.さん&精神科医・名越康文さんがおススメする自問自答メソッドにトライしてみては?現代人が感じている生きづらさ。そのもやもやを解決する一つの方法として“架空の第三者との対話”をおススメしている名越さん。しいたけ.さんも実は自分の悩みと向き合う際にその方法を行っていました。S(しいたけ.さん):架空の人物と対話する…。それ、実は僕もよくやっています。僕の日常を架空の取材班が追ってくれる、いわば「ひとり密着番組ごっこ」です。なんかつらいなぁという時に、自分を整えるためにやるんですけど、昨日なんかは朝起きた時から、もう密着取材が始まっている。そして、ちょっと不機嫌な感じでスタッフさんに「おはようございます」って挨拶して。N(名越さん):わかる、わかる。カメラの存在にも慣れてき始めている感じ(笑)。S:今日もずっと一緒かって思って。「仕事、何時からですか?」「13時からなんですよ」みたいな。N:密着、3週目に入った朝くらいかな。S:この「ひとり密着番組」のいいところは、たとえ架空でも、対話の中に第三者が入ることなんです。自分の本意って、自分がわからないところにあったりもするから、誰かに聞いてもらうことが大切な気がしていて。そういう時に番組のディレクターが、「どうしたいんですか!?」って突っ込んできたりする。すると、「仕事やりたくないよ。でも、この原稿を書ききりたいよ!」とか、自分のまっすぐな意見をぶつけられるという。これは僕が誰も友達がいない時に編み出した技なんですけど…。N:けっこうギリギリの人生。S:そうですよ、ほんとに(笑)。ただ、生身の人が相手だと、結局、格好つけてしまったりして、本心が言えない部分もあるから、友達がたくさんいる人でも、自分の気持ちに素直に耳を傾けたい時は、「ひとり密着番組ごっこ」はおすすめですよ。N:確かに。自分で自分の問題を解決する“セルフカウンセリング”って、実はきちんと教育を受けたことがあるプロでないとできないくらい、とても難しいんです。でも、「ひとり密着番組ごっこ」のような飛び道具を使えば、自分を癒すこともできるかも。そうやって、ある意味、自問自答していくうちに、たとえば「なんだかもやもやする」といった漠然とした悩みの本質にも行き着くのでは。S:行き着きます!N:言いきったねー!(笑)論理的ではないけど、とにかく説得力がある。S:これ、すごく恥ずかしいんですけど、「ひとり密着番組ごっこ」も、僕の中ではもう何段階も熟成されているんです。DVD化できるくらいまでいっていて、そうすると場面によってインタビュアーが変わってくる。N:(爆笑)S:最初は経験の浅い若者で、「何を悩んでいるんですか?」「私もわかります」とか、どんどん突っ込んでくるんです。勢いづけたい時はそういう人でもいいんですけど、本音を探りたい時は、おじいちゃんインタビュアーの登場。すると肩の力が抜けて、「実はあの仕事のプレッシャーを受け止められるか不安なんですよね」とか、ぽつりぽつりと話しだす。N:そうやって設定がしっかりあると、リアリティも増すよね。S:そうなんです。あと、“老人”っていうところも僕の中ではポイントになっているようで、「ひとり密着番組ごっこ」以外にも悩んだ時にやっているのが、50~60年後の自分を思い浮かべることなんです。N:それはどうして?S:問題の渦中にいると夫婦喧嘩のように、「今日のごはんはいい加減なものだったし」みたいな生々しい感情が入ってきちゃうけど、そこからいったん離れて、老人になった自分の視点から見ると、いろんなことが、いい意味でどうでもよくなっているというか。極端な話、“老い先が短い”みたいなところまでいって、やっとシンプルに、大切な答えが見つかるような気がするんです。N:なるほど。たとえば渦中から離れるなら、茶道とか華道とか、日常の自分とはまったく関係のない趣味を持つことでも、できそうですよね。そういう“別の場所”があると、自分を整えられたり、あるいは人と理解し合えたりもするのかな。S:そうですね、そんな気がしますね。N:しかし、「ひとり密着番組ごっこ」の話は、「しいたけ.一代記」を聞いているようで面白かったなぁ(笑)。カメラで撮られている時点で、冒頭で話した“日常の底上げ”にもつながるし、非常にいいと思います!しいたけ.さん流自問自答メソッドひとり密着番組ごっこ密着取材の主人公になり、あれこれ質問を受けよう。自分がドキュメンタリー番組の取材班に密着されるという妄想を開始。インタビュアーは、ある時は血気盛んな若手、ある時はライバルとなり得る同年代、そしてある時は定年間近の年配…。こうして架空という片肘張らない世界の中で、さまざまな相手から取材を受けるうちに、本心を探り当てられる。なこし・やすふみ精神科医。相愛大学、高野山大学客員教授。NTV系『シューイチ』ほか、さまざまなメディアでコメンテーターとしても活躍。著書多数しいたけ.さん占い師。早稲田大学大学院政治学研究科修了。哲学を研究するかたわら占いを学問として勉強。著書に『しいたけ占い 12星座でわかるどんな人ともうまくいく方法』(小社刊)ほか。最新刊『しいたけ.の部屋ドアの外から幸せな予感を呼び込もう』(KADOKAWA)が12月15日に発売予定。名越先生から「体癖」について学ぶなど師弟関係にある。ツイッターでのふたりのやりとりに注目者多数※『anan』2018年11月28日号より。写真・大嶋千尋イラスト・100%ORANGE文・保手濱奈美(by anan編集部)
2018年11月26日今の生活に、とくに不満はないけれど、幸せとも言いきれない。過去の問題が自分の中で消化しきれず、もやもやしている…など、心の澱を、なにかしら抱えている人は少なくないはず。そんな時に取り入れたいのが占い師・しいたけ.さん&精神科医・名越康文さん流の自問自答メソッド。N(名越さん):僕はこれまで、精神科医という仕事をしてきた経験から、不安や悩みを“根本から解決すること”は、本当にそこまで必要なのかって思うところがあるんです。S(しいたけ.さん):といいますと?N:もちろん、とても深刻で、しっかり解決したほうがいい場合もありますよ。でもそれは100人に1人くらいの話で、そういう人は専門家のカウンセリングを受けたほうがいいでしょう。ただ、そのほかの大多数の人の不安や悩みっていうのはね、根本からの解決というより、朝から機嫌をよくするとか、毎日を少しずつ底上げしていくほうが大切なんじゃないかな、と思うんです。S:それはとても興味深いお話ですね。N:とりあえず僕ね、心理的にしんどい状態の人には、鏡に向かって口角を上げて笑顔にして、映っている自分に「大丈夫」とか「素敵だよ」って言ってくださいって言うんです。でも、これをやるにはその前に条件があって、“絶対に毎日やる”と誰かに誓いを立ててからでないと意味がない。僕の心理講座などにも真っ暗な表情をして来る子がいるでしょ。そうするとその子に「誰にでもできることだけど、絶対にやると言うまで教えないよ」って言うんです。その時に焦って「やります!」と答えても、「きちんと考えて、またおいで」って。そうしないと、聞いたところで「バカげている」って思って、真剣にやらなくなってしまいますからね。「大丈夫」という役柄を自分の人格に取り入れる。S:実際、「大丈夫」って言っているうちに、大丈夫だと思えるようになるのでしょうか?N:思えるというか、“役になりきる”ということ。演劇をイメージするとわかると思いますが、シチュエーションに応じた役柄に徹すると、それが人格の中に取り入れられるという。S:なるほど。「大丈夫」という役柄が自分のものになるんですね。ただ、これを絶対にやりたくても、名越先生が身近にいない読者は誰に誓いを?N:その相手は、学生時代の恩師とか、先輩とか、親友とか、自分の人生の羅針盤になっているような人がいいでしょう。S:僕は昔、まったく友達がいなかったんですけど、そんな以前の自分のように言える相手がいない場合は…。N:それなら架空の“師”に誓うという方法もありますよ。椅子を2脚、向かい合わせに置いて、一方に自分が座り、誰も座っていないもう一方の椅子に、自分の話したい相手がいると想定するんです。心理療法の世界では「エンプティ・チェア」といいますが、これもおすすめです。この誓いさえしっかり立てたら、あとは朝、起きた時にでも、会社でやっかいな会議の前にでも、トイレに駆け込んで鏡に向かって「大丈夫」って。名越さん流自問自答メソッド約束型「大丈夫」法実践する前に、必ず「やる」と誓いを立てて。鏡の中の自分を見つめて、口角を上げ気味で「大丈夫」と声をかけ、前向きな気持ちを養う方法。訝しんだり、面倒くさがったりしているようでは、もちろん意味なし。そうならないために、実在の人にでも架空の人にでもいいので、「絶対やる」と誓いを立てること。最低でも1日1回、1か月は行って。なこし・やすふみ精神科医。相愛大学、高野山大学客員教授。NTV系『シューイチ』ほか、さまざまなメディアでコメンテーターとしても活躍。著書多数しいたけ.さん占い師。早稲田大学大学院政治学研究科修了。哲学を研究するかたわら占いを学問として勉強。著書に『しいたけ占い 12星座でわかるどんな人ともうまくいく方法』(小社刊)ほか。最新刊『しいたけ.の部屋ドアの外から幸せな予感を呼び込もう』(KADOKAWA)が12月15日に発売予定。名越先生から「体癖」について学ぶなど師弟関係にある。ツイッターでのふたりのやりとりに注目者多数※『anan』2018年11月28日号より。写真・大嶋千尋イラスト・100%ORANGE文・保手濱奈美(by anan編集部)
2018年11月25日ドラマも映画もイケメンなしには楽しめない!今回、ご紹介する作品は、『母さんがどんなに僕を嫌いでも』。母親から拒絶され、友達からも愛されることなく育った青年・タイジが起こした奇跡を描く感動作です。本作で、タイジの心の機微を繊細に表現した太賀さんにお話をうかがいました。写真・大嶋千尋 文・田嶋真理 スタイリスト・山田陵太 ヘアメイク・高橋将氣【イケメンで観る海外ドラマ&映画】vol. 22コメディもシリアスもハマる、若手きっての実力派俳優原作は、漫画家、小説家、エッセイストとして活動する歌川たいじが2013年に出版した、同名のコミックエッセイ。母親から暴力を受け、児童保護施設に入れられながらもひたむきに母を愛する姿は、観る者の心を震わせます。太賀さんは、自分の殻に閉じこもっていたタイジが次第に心を開いていくさまを熱演。福田雄一監督作『今日から俺は!!』や『50回目のファーストキス』のコメディ演技とは全く違った、新たな魅力を披露しています。ーータイジを演じるうえで、大切にしたことは?太賀さん 誰かに認めてもらいたいという気持ちの底にある強烈な寂しさは、タイジの原動力。僕が最初に、タイジを肯定してあげたいと思いました。タイジは、自分の気持ちに寄り添ってくれる友だちを得たことで、母と向き合えるようになります。個人的に、役と自分との境界線は作るものではないと思っていて。自分自身が感じる喜びや悲しみを繊細にすくっていくことを心掛けながら演じました。ーータイジの心を深く傷つける母・光子を演じた吉田羊さんと太賀さんとの演技のぶつかり合いが素晴らしかったです。太賀さん 僕と吉田さんが撮影現場でお話をすることはほとんどありませんでした。吉田さんは母・光子として、ずっと緊張感をキープされていて。近くにいるけれど遠くに感じるというタイジと母の距離を体現されていました。その雰囲気は、映画にも反映されていると思います。母を演じた吉田さんのイメージは、僕の心にずっと残っていて。一緒の撮影がない日でも、吉田さんの顔を思い浮かべながら演じていました。ーー演じていて難しかったシーンは?太賀さん すべてのシーンにおいて、難しかったです。これまで僕はリアリティを持って演じていくことを大切にしてきましたが、御法川監督はリアリティよりも地上から10センチ浮いたポップな世界観を目指していました。僕も、その10センチがより多くの共感を生むために重要だと理解できたので、どのように表現すれば良いのか、悩みました。脚本の後に原作を読んだとき、歌川さんの絵のタッチにぬくもりを感じて。壮絶な人生ですが、悲しいだけのドラマではない。そこには生きていくうえでの力強さや希望がある。そういったところを演技で表現したいと思いました。ーー幼少期のタイジを演じた子役・小山春朋さんのつくり笑いを見ていると、切ない気持ちになります。太賀さん 顔合わせで小山くんと初めて会ったとき、“イケる!”と思いました。こういう雰囲気の子がつらい目にあったら、とても悲しく見えますし、小山くん持ち前の愛らしさもある。すごく良い形でバトンをもらえそうだなと。大人になったタイジのつくり笑いも、彼の演技が僕に良い影響を与えてくれたと思っています。ーータイジが友だちと一緒に過ごすシーンがとても自然でした。タイジを支える友だちを演じた森崎ウィンさん、白石隼也さん、秋月三佳さんの印象は?太賀さん 森崎ウィンくんとは、僕が中学生のころからの知り合いで。同じ事務所ですから、一緒にレッスンを受けたこともあります。タイジ役に決まった後、キミツを誰が演じるのか、ずっと気になっていました。愛嬌ある毒舌家という現実にいそうでいない役を堂々と演じることができるのは彼ならではの魅力。彼がキミツ役で良かったと思っています。僕はタイジが所属する社会人劇団のミュージカル・シーンに備え、ダンスのレッスンを受けたのですが、ウィンくんはそれに付き合ってくれました。白石さんと秋月さんはとても温かい方たちで、現場では自然とタイジを支える雰囲気になっていきました。ーー印象に残っているセリフやシーンは?太賀さん 友だち3人と温泉に行ったタイジが、海辺で身の上話をするシーンです。秋月さん演じるカナのセリフ、“タイちゃん、うちの子になりなよ” が強く心に残っています。彼女の愛情深さが、どれだけタイジの助けになっただろうと。演じていて心が震えました。ーータイジを演じて、ご自身の母親との関係を思い起こしたことは?太賀さん 僕には、甘えたくても甘えられない時期はありませんでした。甘えん坊の超マザコンです(笑)。といっても、「ママ、お金貸して、ご飯作って」みたいなことは決して言いません。言葉や態度では甘えず、仕事に対するアドバイスを求めることもありません。母は自分の中にある精神的な支え。言葉を交わさなくてもお互いに何かを感じ取れる。僕にとって、揺るぎない存在なんです。インタビューのこぼれ話太賀さんは、雑誌の企画でカメラマンデビューを果たし、フィルムとデジタルを使い分けるほどのカメラの達人。撮影時はカメラマンの機材に興味津々でした!Information『母さんがどんなに僕を嫌いでも』11 月16 日(金)より 新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座、イオンシネマほか全国公開出演:太賀、吉田羊ほか配給:REGENTS©2018 「母さんがどんなに僕を嫌いでも」製作委員会
2018年11月15日2016~’17年に、立て続けにエリート大学生らによる性暴力事件が報道されたのを覚えているだろうか。姫野カオルコさんの『彼女は頭が悪いから』は、そんな暴行事件のひとつ、東大生による集団わいせつ事件に着想を得て書かれた。読者自身の倫理観や価値観を映し出す、恐るべきミラー小説。「最初にラジオのニュースで聞いたときから、直感的にこれまで見聞きしてきた事件とはどこか違うと違和感を覚えました」姫野さんは、自分なりに報道等で事件を調べるとともに、裁判の傍聴にも出向いた。同じくこの事件について取材を重ねていたフリーライターの高橋ユキさんから話を聞いたりもしたという。結局、取材開始から出版まで、2年近くを要した。「事件そのものは、すでに法廷で裁かれており、細かい事情まで知らない私があれこれ言うことではありません。性衝動では説明できないような事件が起きたという結果の報道から、こうであったかもしれないという、自分にも多くの人の中にもある醜さを考えたいと思いました」のちに被害者となる神立美咲は、横浜の平凡な家庭で育ち、普通の女子大に進学した。加害者となる竹内つばさは、東京の一等地の公務員宿舎に住まいがあるような家庭で何不自由なく成長し、東大生となった。「私なりの調査から推測した女性像、男性像です。美咲は『ま、いっか』とその場の空気に流されてしまう女性で、つばさは東大ブランドを万能だと勘違いしているような男性」物語のほとんどは、美咲やつばさがどうやって育ってきたかに割かれており、それがわいせつ事件の背後に潜む、現代社会や市井の人々の歪んだ倫理観や価値観を際立たせる。「この作品に出てくるのは、加害者もその家族もSNSユーザーもイヤな人たちばかり。その中の誰に、どんな物言いに嫌悪感を覚えるかで、自分がどういう人間かが見えてきます。見たくないのに、できてしまったおできは鏡で見ずにはいられないですよね。そんなミラー小説と呼べるような作品になりました」問題作にふさわしいエンディングは、最初から決めていたのだろうか。「展開も含め、作者の意図が介在する余地がなかったですね。登場人物たちがみな自分で語りだし、行動し……、私はそれをただ書き留めていただけのような気がします」姫野カオルコ『彼女は頭が悪いから』カバー絵に、身分格差のある悲劇的な恋愛を描いたといわれるジョン・エヴァレット・ミレイの「木こりの娘」が使われているのも印象的。文藝春秋1750円ひめの・かおるこ1958年、滋賀県生まれ。2014年、『昭和の犬』で直木賞受賞。エッセイにも卓抜した才能を発揮。著作に『近所の犬』『純喫茶』ほか。※『anan』2018年10月3日号より。写真・大嶋千尋インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2018年09月27日直木賞作家の桜木紫乃さんが新作『ふたりぐらし』を上梓。夫婦の“裏切り”がテーマだという同作について、桜木さんに聞きました。「イメージとしては、水色を塗り重ねて暮らす二人のところに誰かが突然藍色を差しはさんでくる感じ」一組の男女の日常を、そんなふうに表現する桜木紫乃さん。新作『ふたりぐらし』に登場する、北海道で静かに暮らす夫婦の話だ。「直木賞をいただいた後の連載依頼で、“裏切り”というテーマを打診されたんです。たぶん、私が原稿で一回も使ったことのない言葉だと思う。“裏切り”は難しいけれど、日常の中で小さな嘘を重ねる話なら書けるかもしれない、と考えた時に、夫婦の話だなと思いました」映写技師だったが映画のデジタル化が進み仕事にあぶれてしまった夫・信好と、看護師の紗弓。子どもはおらず、生活は倹しいが仲の良い夫婦だ。たまに外出先を偽るくらいの嘘はあるが、「夫婦の間にはこれくらいの嘘はある。それは相手を傷つけない嘘、自分のためじゃない嘘でもある。二人ともそうしたことは話さず静かに暮らし、一日が無事に終わったらああよかったと思う。私もこんな満足を手に入れたい」そこに、互いの家族や隣人らが関わり、彼らの日常を少しだけ揺らす。全10話の本作は、1編が原稿用紙30枚の短編。比較的短いなかに、「一編ずつ、夫婦のやりとりを証明問題を解くように書いていき、全体を見た時に二人の間に流れている時間が分かればいいなと思いました」ささやかな波乱はあっても、二人の生活は続く。こうして人と人は一緒に暮らしていくのだという事実に、豊かさすら感じさせる。互いに支えあっている彼らについて、「責任って取るものでなく、持つものだと思う。この二人は、同じだけ二人で責任を持っている。それは継続から生まれたものでしょうね。ただ、夫婦って、毎日ちゃんと出会って、ちゃんと別れないとうまく時間が流れないから難しいですよね」それは“おはよう”“おやすみ”をちゃんと言う、なんてことではない。「毎日上手に別れるというのは上手に忘れる、流す、ということ。毎日出がけにハグする習慣の夫婦もいますが、そうやってリセットできるといいでしょうね。水色を塗り重ねて、同じ景色を見続ける経験が、もし気まずい状況が訪れた時に、救いになるのではないかなと思います」『ふたりぐらし』北海道に暮らす信好と紗弓の夫婦。札幌に住んでいた彼らだが、信好の母が亡くなったことから、実家の江別に移り住むことにして…。新潮社1450円さくらぎ・しの作家。1965年、北海道生まれ。2002年に「雪虫」でオール讀物新人賞を受賞。’13年『ラブレス』で島清恋愛文学賞、『ホテルローヤル』で直木賞受賞。※『anan』2018年9月26日号より。写真・土佐麻理子(桜木さん)大嶋千尋(本)インタビュー、文・瀧井朝世
2018年09月20日若いというのは、必ずしもいいことばかりなんかじゃない。自分がその“季節”を生きている最中は、わかりきっていたはずのことなのに…。紀伊カンナさんのマンガ『魔法が使えなくても』は連作形式の群像劇なのだが、そこに出てくる若者はかつての、あるいは今の私たちの姿だったりもする。たとえば「辞めたい」が口癖で、なおかつ失踪癖のあるアニメーターの岸くん。仕事はクールにこなすものの、心ここにあらずといった感じの千代ちゃん。バンドマンとして夢を叶えつつあるように見える、たまき。地下アイドルに魅せられるキキちゃん。社会に漕ぎ出した彼らは、オールの使い方もわからず、夢と現実の折り合いを思案している。「仕事も恋も元気にバリバリやる!的なものも楽しいけど、自分が描くならもっと違うアプローチをしてみよう、そのほうが今を生きてる人に沿っているような気がしたんです。ハツラツと過ごす人の一方で、こんなはずじゃあ…と日々をしょんぼり過ごしてしまうような、そんな人たちに向けて描こうとしているところはあります」別物だと思っていた物語が思いがけずつながったり、登場人物がニアミスしたりするのが連作短編の面白さといえるが、そういう意味で本作はさりげない部分から、「こうきたか!」と唸ってしまうものまで、しかけがたっぷり。ときに物語の見え方がガラリと変わったりもするのだが、これもまさに周到に練られた短編を読む醍醐味といえるだろう。「私はマンガで特に何かを伝えたいとは思っていなくて、基本的に読む人が何かを感じて考えてもらえたらのスタンスでやっています。ただ、筆が遅くて作品ごとの間が空いてしまうタイプなので、そのぶん一冊を繰り返しじっくり読んでもらえるような構成や画面を目指せればと思っています」やりたいこととできること、そしてやるべきことの間でもがき、かけがえのない日々を生きる若者たち。カッコ悪さも眩しく見えてしまうのは、やっぱり若さのなせるワザかも。『魔法が使えなくても』ガツガツせず自然体で生きようとする若者を、仕事や夢を軸に切り取った6つの連作短編。今にも音楽が鳴りだしそうな、ポップで躍動感のある絵柄も注目。祥伝社1000円©紀伊カンナ/祥伝社フィールコミックスきい・かんなマンガ家。沖縄の離島を舞台にした、心が洗われるようなBL『海辺のエトランゼ』でデビュー。続編『春風のエトランゼ』(既刊3巻)も人気。本作は初の一般誌での作品。※『anan』2018年9月19日号より。写真・大嶋千尋(本)インタビュー、文・兵藤育子(by anan編集部)
2018年09月18日2016年、各国の作家が集まるアイオワ大学のプログラムで、3か月ほど米国に滞在した柴崎友香さん。その体験を短編集にしたのが『公園へ行かないか?火曜日に』。「もちろん初めての体験です。よく状況をつかめないままいろんな出来事が起きるのが面白くて。それを読む人にも体感してもらうために、エッセイではなく小説で書きました」年齢もバックグラウンドも異なる作家たちと、公園まで散歩のつもりが予想外の遠出になったり、住居棟で非常ベルが鳴って避難したり…。「英語ができなくても大丈夫と言われていたんですが、初日に37人の参加者中、私が格段にできないと判明して、どうしようかと思いました(笑)。でも、せっかくの機会だしいろいろ聞きたい気持ちもあって、一緒に行動していました。少しずつ聞き取れるようになったかと思えば、翌日は全然分からなかったりと、波がありましたが、最後のほうの発表で“英語うまくなったね”と言われた時は嬉しかった」自身で撮ったカバーの写真はどれも素敵な環境だと分かるが、「部屋のカードキーが何度も使えなくなるし、自動販売機は壊れっぱなしで。そんな雑な感じが面白かったし、気楽でもありました」と、なんでも楽しめる柴崎さんのおおらかさもたっぷり味わえる。一方、後半ではニューヨークで大統領選挙という大きなイベントに遭遇するが、冷静に見ているのが印象的。「劇的な瞬間に居合わせたとは思いませんでした。私は選挙に参加したわけでもないし、本当に重要なのは、劇的な結果が起こる前の積み重ねだと思うから。むしろ、私はあの場所にいたけれど何も分かっていなかったなということを実感しますね。いい体験ができたとは思っています」ほかにはニューオーリンズの第2次世界大戦博物館で感じたことなどが、真摯に綴られ心に残る。「面白いことはまだまだあって、あと2~3冊は書けます(笑)。プログラムを経て、言葉にしても、生活や空間のスケール感にしても、自分の中の基準がちょっと変わった気がしますね。さんざん英語ができないことなどを晒していますが(笑)、自分も何か新しいことをやろうとか、めげずに頑張ろうと思ってもらえたら嬉しいです」『公園へ行かないか?火曜日に』33か国から作家たちが集まってきた、アイオワ大学のインターナショナル・ライティング・プログラムに参加した体験をつづる11編の小説集。新潮社1700円しばさき・ともか作家。1973年生まれ。著書に芥川賞受賞作『春の庭』(文春文庫)など。2010年に野間文芸新人賞を受賞した『寝ても覚めても』原作の映画が公開に。※『anan』2018年9月19日号より。写真・土佐麻理子(柴崎さん)大嶋千尋(本)インタビュー、文・瀧井朝世(by anan編集部)
2018年09月13日昨今注目度を高めている作家、古谷田奈月さん。最新刊は『無限の玄/風下の朱』。三島賞受賞作の「無限の玄」は、ブルーグラスバンドを組んだ男家族の話で、父・玄は死んでは生き返ることを繰り返す。この男性しか登場しない話は『早稲田文学増刊 女性号』に掲載された。「もともと男がどう、女がどう、ということでないところを目指したいと思っていて。私という女性が、“女性だけの書き手を集めた雑誌”で女性について書くことに窮屈さを感じ、男性を書こう、と自然とそう考えました」本作では、日ごろ男性を見て感じていたことを反映させた。「男性だけのマチズモ的な社会の中で上下関係が形成され、受け継がれていっているように見えるので、その終わりのなさを書きたかった。ブルーグラスという弦楽器のバンドにしたのは、弦というものが締め付けや抑圧のイメージに繋げやすかったからです」女嫌いで威圧的だった父親の元で生きてきた息子たちの関係にも少しずつ変化が訪れるが、「自分も相手も共同体の一部であったと思っていても、実は“個”なんですよね。ずっと生きてきたコミュニティの中で自分が個であることに気づきながら生きていくのは、すごく大変だと思う。でも、今いる場所を疑う視点は持っていたい」一方、芥川賞候補作「風下の朱」は、大学の女子の野球部の話だ。「『無限の玄』は自分から見た男性を書きましたが、女性である自分が客観的に女性を書くのはずるい気がして。ですから自分のことを書きました。ここに出てくるポリティカルコレクトネスを気にする立場の人も、自分の欲求に正直な人も、何も考えていない人も、みんな自分ですね。それに今回は、生理のことを書きたかった。明らかに生活に支障をきたすものが結構なスパンでやってくる悔しさもあって」一連のジェンダーを主題とした小説を書いてみて思ったのは、「性というものから解放された状態を求めていましたが、自分が女性であることからは逃れられないと気づきました。自分の性を引き受けたうえで自由を求めることは可能だと、そう思えるものを今後は書いていきたいです」『無限の玄/風下の朱』父親と叔父、息子たちで組んだ旅回りのブルーグラスバンドで、ある日、父親が死亡するが…。男社会、女社会、それぞれを投影した2編。筑摩書房1400円こやた・なつき作家。1981年生まれ。2013年に「今年の贈り物」で第25回ファンタジーノベル大賞受賞。’17年『リリース』で織田作之助賞、’18年「無限の玄」で三島由紀夫賞受賞。※『anan』2018年9月12日号より。写真・土佐麻理子(古谷田さん)大嶋千尋(本)インタビュー、文・瀧井朝世(by anan編集部)
2018年09月10日初老に差しかかった個性派俳優・海馬五郎は、フランスの一風変わった文化賞の授賞式に出席するため、パリ行きを決意。それがトホホな道行きになっていく松尾スズキさんの『もう「はい」としか言えない』。同じく海馬五郎の語りで、幼少時より自意識でがんじがらめになっていた自らの生い立ちをたどる「神様ノイローゼ」。松尾ワールドにどっぷり浸る快感!“本人成分たっぷり”の2編を収録。読み進めるうちに、じわじわ気づくはずだ。「これ、かなり私小説的なんじゃ?」。松尾スズキさんも「僕の分身みたいな存在」と認める海馬五郎を主人公に据えた2編をカップリング。最新刊『もう「はい」としか言えない』が面白いのなんの。「『少年水死体事件』と名づけて新聞連載していた随筆にフィクションを加味して書き直したのが『神様ノイローゼ』。自意識と妄想でこんがらがっていた子ども時代の自分の話です。いままでインタビューなどでもしゃべってきたことなんですが、一度体系づけてまとめておこうと思ったんですね。もうこれを読んで、わかってくれと。僕という人間のマニュアルです」末恐ろしいほどシニカルで、冷めた思考の五郎少年。子どもが苦手だという松尾さんだが、作中に見る、あんな記憶があればさもありなん。「あいつらは自由にやってるくせに、いざ攻撃されると子どもという鎧に逃げ込むんですよ。僕もそういうガキでした(笑)」表題作もまた、松尾さんに起きた実際のエピソードや、周囲から聞いたリアルな悩みを投入してできた作品だという。道に迷いやすいという五郎のキャラもご本人と同じらしい。「でも迷ってる時間って自由だなと思うんですね。自分がどこにいるのかもわからずさまよえば、誰にも捕まえられない。究極の自由でしょう。僕が表現をやっているのも、結局は自由になりたいからだと思います。現実に対して感じている違和感を笑いに変えて、既成の価値観から逃れたい。僕の小説はドタバタしていると評されることが多いけれど、僕の中ではそれがリアルなので、そう言われるのは心外なんですよ」息苦しいルールを押し付けられていた五郎は逡巡の末、自由欲しさに、通訳を同行させるならと苦手な外国行きを承諾。しかし通訳となる斎藤聖の紹介者が、彼を〈少し新しいタイプの人間〉と説明していたわけを、五郎は行く先々で味わうことになる。「日仏ハーフの聖君が出てきた途端に、五郎がこの子によってもっと混乱に陥れられることがわかって、話に弾みがついてしまいました(笑)」自由に焦がれに焦がれた先で五郎を待っていた事態を見届けてほしい。『もう「はい」としか言えない』 妻に浮気がバレた海馬五郎。離婚回避のための誓約に汲々としていた彼は、わらにもすがる気持ちで「エドゥアール・クレスト賞」の授賞式へ旅立つ。表題作が3度めの芥川賞ノミネートとなる。文藝春秋1450円まつお・すずき1962年生まれ、福岡県出身。今年、旗揚げから30周年を迎えた「大人計画」主宰。12/18~SPIRALで「30祭」開催。作家、演出家、俳優、映画監督とマルチに活躍。※『anan』2018年9月5日号より。写真・土佐麻理子(松尾さん)大嶋千尋(本)インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2018年09月02日友だちのリア充アピールを鬱陶しく感じてしまったり、匿名をいいことに平気で他者を“口撃”したり、過去の恥ずかしい発言を後悔したり、嫌いな人からフォローされてしまったり…。ネットでモヤモヤした感情を抱いた経験は、大なり小なりあるはず。そんな複雑化しすぎたコミュニケーションに疲れてしまった人のために存在するのが、「もしもし堂」という携帯電話会社だ。マンガ『もしもし、てるみです。』について作者の水沢悦子さんに話を聞いた。ネットに疲れた人に贈る、つながりの物語。「アンチネットというつもりではないのですが、人と人の距離感についていろいろ思うところがあり、時代にも合っているので、この設定がちょうどいいと思いました」もしもし堂の営業所で働く販売員のてるみさんは、ネットを毛嫌いしている古風でおっとりした大人の女性。そんな彼女に恋心を抱いているのが、過去にスマホでいろんな失敗をやらかしてしまった、中学2年生の鈴太郎だ。「ミライフォン」が普及し、SNS「トモッター」や「ニャイン」を駆使する同級生を尻目に、ネットから遠ざかる人生を選んだ鈴太郎は、「もしメカ6号」という時代遅れ感たっぷりの携帯電話(ただし、通話相手の心拍数を計測するセンサー付き!)に乗り換えて、てるみさんの元へ足繁く通うように。「もしもし堂周辺のスマホのない空間は、どうしても昭和っぽくなってしまいますよね。自分もある程度昭和を生きましたので」と、著者が言う通り、クロスワードパズルや電話相談、間違い電話など思わず懐かしさを覚えてしまうようなアイテムや出来事がたくさん。「自分が電話で商売するならこんな感じがいいっていうのが、もしもし堂なんだと思います。女子たちが電話でお客様の相談に乗ったり、話し相手になったりする、もしもし堂サポートセンターの存在は、今の時代に絶対に必要だと思っていて、国が運営してほしいくらいです。大きな雇用も生まれるし、おしゃべりをするだけで楽しく働けて、人も癒せるなんて、素晴らしいですよね」1話2ページで展開していく物語は、笑いはもちろん、エロや癒しの要素が満載なのだけど、知らず知らずのうちにネットに振り回されている現代人に対するメッセージが、さりげなく潜んでいたりもいる。今の時代、てるみさんのようにネットを完全に遮断することは難しいかもしれないが、もしもし堂で繰り広げられる血の通った温かいやり取りには、ストレスを軽減するためのヒントがたくさんあるはずだ。「いまやネットは、どうしようもなく存在するもの。上手に使えば素晴らしいツールですし、共存していくしかないので、批判だけにならないようにして、功罪の功の部分もちゃんと描いているつもりです。もしもし堂の社訓『君子の交わりは淡きこと水の如し』が伝わればいいですね」『もしもし、てるみです。』2 『花のズボラ飯』の著者がネット全盛の時代に放つ、超アナログな世界観。個性的なデザイン&機能のもしメカ1~6号にも注目!アニメBeansでも配信中。小学館972円©水沢悦子/小学館みずさわ・えつこマンガ家。デビュー作『花のズボラ飯』(原作:久住昌之)が大ヒット。近未来を描いた「ヤコとポコ」を『エレガンスイブ』(秋田書店)で不定期連載中。※『anan』2018年9月5日号より。写真・大嶋千尋インタビュー、文・兵藤育子(by anan編集部)
2018年08月29日身悶えするほど面白い、キャラクター愛炸裂コミック『おじさんはカワイイものがお好き。』。その著者が、ツトムさんだ。小路課長こと小路三貴(おじみつたか)は、会社では、頼りになると評判のデキる上司。子どものころからカワイイものに目がないのに、素直に公言できない40歳のイケメンバツイチである。大好きな犬のキャラクター<パグ太郎>を心置きなく愛でたい!でも誰にも知られたくない!かくして、秘密死守のため、小路課長のドタバタな日常が展開する。「“おじさん”と呼ばれる年齢だけれどスーツが似合って気配り上手。小路課長には、周りにいそうでいない、理想を詰め込みました」萌えポイントは、シュッとしている大人の渋さと、パグ太郎を愛でる時の可愛らしさとのギャップ。「なので、スーツの着こなしや、自然なたたずまいはステキに描きたいですね。個人的には、袖をまくった時に見える手首や、スラックスのすそから見える靴下足首とかも好きなので、そういうディテールには特に神経を使います。また、私のような絵柄で、白目やトホホ顔などの変顔を描く作家さんは少ないように思うので、あえて多く入れています」小路課長がそれほどまでに入れ込む、パグ太郎の可愛らしさをどう表現するかも重要だ。「ボストンテリアとパグを飼っています。マスコットを描くならどちらかをモデルに!と決めていたので、さほど迷わずああいうフォルムができあがりました。考えてみると、昔から、バーバパパやムーミンが好き。彼らのしもぶくれ感といいますか、もったりした感じ……、たまりません(笑)。なのでパグ太郎の土台はそのあたりが影響してるのかな、と」小路課長の目下の悩みは、ひとり暮らしの部屋が見つかるまで同居することになった大学生の甥っ子・真純くんや、会社で一方的に小路課長をライバル視し、くってかかってくる同僚・鳴戸課長の存在。彼らによって、しばしばカワイイもの好きがバレそうになる窮地に陥るが、それを切り抜ける機転の利いたアイデアとコメディとのバランスに思わず噴き出し、つい小路課長のピンチを期待してしまう。1巻の終わりには、小路課長と同じビルで働いているという河合ケンタが意味深に登場。彼は小路課長とどんなふうに関わっていくのか、ますますこの先が楽しみだ。「自分が犬グッズをつい買ってしまうようになるなんて、ペットを飼うまでは思っていませんでした。なので、そういう熱愛対象に出合っていない方も、これからそういうものに出合ったらきっと……と思って描いています。疲れている時も、読んだらくすくす笑って息抜きができる、そんな作品にしていきたいですね」『おじさんはカワイイものがお好き。』コラボカフェに出かけたり、ガチャを引いたり。推しキャラのいる小路課長は毎日が充実。カバーをめくると、おまけの4コマまんがとあとがきが。フレックスコミックス600円©ツトム/COMICポラリス©フレックスコミックスツトム大阪府出身のマンガ家。2008年にデビューし、現在はwebコミック「COMICポラリス」で「おじさんはカワイイものがお好き。」を連載中。9月15日に待望の2巻が発売予定。※『anan』2018年8月29日号より。写真・大嶋千尋インタビュー、文・三浦天紗子
2018年08月23日いまの時期は、話題の夏休み映画が大集結しているだけに、どの作品を観たらいいか悩んでしまうところ。そんなときは、子ども時代を思い出すようなアニメを楽しんでみるのもオススメ。そこで、幅広い世代の心に響く最新作『ちいさな英雄―カニとタマゴと透明人間―』をご紹介します。本作は、異なる短編3作品を一度に堪能できることでも注目を集めていますが、今回はエンディングテーマを務めたこちらの方にお話を聞いてきました。それは……。写真・大嶋千尋(木村カエラ)歌手の木村カエラさん!【映画、ときどき私】 vol. 181子ども時代からアニメーション作品に親しんでいたという木村さんにとっては、念願の楽曲提供となった本作。そこで、曲が生まれるまでの苦労や悩める女子たちのために元気になる秘訣などを教えてもらいました。―まずはこの作品のエンディングテーマを依頼されたときのお気持ちは?木村さんこれまでドラマの主題歌などを作る際には、台本を読み込んでそこから自分でテーマを見つけていくということはありましたが、今回は3つのまったく違うテーマの短編ということで、最初は「大丈夫かな」という不安も正直ありました。―そんななか、どのようなことを意識して曲作りを始めたのですか?木村さんまず制作サイドから言われていたのは、映画を観終わったあとに観客のみなさんが曲を聞いて「楽しかったね」ってその歌を口ずさみながら映画館を後にして欲しいということ。そして、子どもが楽しんで歌えるものにしたいという要望もありました。今回のオファーを受けた際には、プロデューサーの西村(義明)さんからお手紙をいただいたんですが、そのなかに、私の歌声には明るくて元気でまっすぐさがあり、太陽と一緒にいる人みたいな感じがあるというとてもステキなお言葉をいただいたんです。なので、私のなかにある楽しさや明るさの部分を聴いた人が感じられるように、私が出せる力を精一杯出したいと思って集中して作りました。インスピレーションとなったのは、まさかのドリフ!?―とはいえ、今回はカニの兄弟が繰り広げる冒険から母と少年の感動ドラマ、そしてある男の孤独な闘いを描いた物語までの異なる3つのテーマをまとめる曲にするという難しい作業。そのなかで参考にしたものはありましたか?木村さんその手紙にも書いてあったことで一番のヒントとなったのは、実はドリフだったんです(笑)。というのも、ドリフってコントのなかにエロティックなものがあったり、ふざけたものがあったり、いろいろありますけど、結局「8時だョ! 全員集合」のテーマ曲が流れると全部持っていかれますよね?そういうまとめ方みたいなのを例としていただいたんですが、それがめちゃくちゃわかりやすいなと思って(笑)。だから、そこを意識しつつ、みんなが楽しかったと思えるようにすべてをかけてできあがったのが今回の曲なんです。―そんななかで、できあがるまでには、やはりプレッシャーもありましたか?木村さん私がひとりよがりで作っている曲ではなくて、スタジオポノックのみなさんが一生懸命作っている作品のなかのひとつとして入り込むというのは私のなかでは大きかったと思います。なので、今回はいままでにない以上にたくさん打ち合わせをして、何度も意見交換をしながら最終的な形にしていきました。期限がなければどこまでも突き詰めていけるんですけど、今回のように期限があるなかで作っていくと「これが正解でいいのかな」ということをどうしても考えちゃうんですよね。曲を聴いてひとりで泣いてしまったワケとは?―完成したときは思わず泣いてしまったということですが、そのときの心境を教えてください。木村さん特に、私が好きな作品を生み出してきている方々とのお仕事ということで、すごくうれしくて思い入れもあったので、不安と楽しみの両方がありました。それもあって、最後のほうは緊張しすぎてレコーディングの前にある程度できあがったものを家で聴きながら、ひとりで泣いちゃったんです(笑)。というのも、自分ではすごくいいと思ったんですけど、そう思ったからこそ「ダメって言われたらどうしよう」と、よくわからない感情になって涙が出てきたんですよね。―裏でそんな思いをされていたとは思えないほど、誰もが口ずさみたくなる元気があふれる曲に仕上がっていますが、歌詞でこだわったところは?木村さんまずは、子どもならではの目線で考えましたが、子どもって同じことをずっと言っていたりするので、その感覚や無邪気な部分は大事にしました。そうやって繰り返していると、どんな言葉でもゲラゲラ笑い始めちゃうような魔法があると思うんですよね。なので、サビの「あそぼあそぼ」の繰り返しでは、そういう状態の楽しさを出しています。実際、私も歌っている時は5歳児みたいなテンションで歌うことを意識しているんですよ(笑)。日常生活では、本当は誰もが英雄!―今回、映画と曲のタイトルになっているのは「ちいさな英雄」という言葉ですが、木村さんがそこから想像した英雄とはどのような姿ですか?木村さん私がこの言葉から感じたのは、「誰もがみんな英雄だ」ということ。それぞれの物語のなかに登場する子どもたちもそうですが、何でもない日常生活のなかで誰しもが英雄になる瞬間があって、みんながんばって生きているんだという印象を受けたんです。だから、いわゆる表に出ている英雄というのではなくて「みんなもそうなんだよ」みたいなイメージですね。―スタジオポノックでは、以前スタジオジブリで活躍されていたアニメーターの方々が中心となっていますが、木村さんがこれまでに影響を受けた作品はありますか?木村さん私はもともと動物が好きだったんですけど、「本当は動物もしゃべれるんじゃないか」とか「秘密基地の奥に実は宇宙人が住んでいるんじゃないか」とかそういうことを考えるのが子どもの頃からすごく好きだったんです。なので、たとえば『となりのトトロ』や『魔女の宅急便』が映像としてそういう世界を見せてくれたこともあって、より想像力が豊かになったというのはあったと思います。特に、ひとりっ子だったので、「キキのような力が私にもあるんじゃないか」みたいな遊びはよくしていましたね(笑)。そういうことを信じていたという部分では影響を受けていたと思います。原動力は、自分らしさを知りたいという欲求!―今年はご自身で絵本の制作もされるなど、幅広い創作活動をされていますが、その源になっているものがあれば教えてください。木村さん日々変わっていくものではあるんですけど、根本には「自分自身を確かめていたい」という思いですね。つまり、自分がどういうものを出したいか、どのように成長しているのかということ。おそらく、“私らしさ” みたいなものを知るために自分の中身を出していかないと落ち着かないんだと思います。そういう感覚がつねにどこかにあるので、いかに自分を吐き出して、楽しくやるかみたいなところで作品を作っていることが多いかもしれないです。あとは、絵本でも曲作りでも同じですけど、まず自分が楽しくないと、ほかの人を元気にできないですよね。それには自分がつまらないと思うことをやっていてもダメなので、そういうテンションや自分を大切にしたうえで作品が出せるようにというのは意識しています。―とはいえ、やはり生みの苦しみを感じることもありますか?木村さんもちろんありますよ!特に歌詞を書くときはずっとアドレナリンが出ているような感じで一番大変なので、1曲でも作るのはすごく苦しい作業ではありますね。それだけに、書き終えたあとは、そのことに関する記憶や思い出がすぽんと抜けてなくなってしまうんです(笑)。それは、おもしろくもあり不思議なことですが。まさに身を削って作っている感じですね。カエラ流リラックス方法を伝授!―それだけ忙しいなかで、実践している息抜き方法などはありますか?木村さんみなさんも、相性の合わない人と会ったら頭が痛くなったり、疲れたりすることって日々ありますよね?私はそういうふうに自分がマイナスに向かっていると感じた瞬間に、自分にとっていいことをたくさんするようにしています。たとえば、私は海の塩を瓶に入れたものをお風呂場に置いているんですけど、そういうときは湯船に塩をドバーッと入れるんです。そうすると発汗もよくなるし、塩で清められた感じもするので、そうやって気分を変えることはけっこう大事にしていますよ。あとは自分が好きなものを身に着けたり、朝一番にお香をたいたりとかもしていますね。とにかく、「今日はヤバいかも」とちょっとでも思ったら、そんな感じで自分にとっていいと思うことをするように心がけています。無駄なことに悩むより笑うことが大切!―最後に、ananweb読者に向けて木村さんのように前向きになれる方法を教えてください!木村さん私には悩んだときに、自分に言い聞かせる言葉があるんですけど、それは「他人に振り回されるな。自分を幸せにしなさい」というもの。たとえば彼氏とかに傷つけられたりとか、友だちとうまくいかなかったりとか、自分が悪くないことが原因で悩むときもあると思います。そういうときには、「この時間って無駄だな」と思うようにして、自分を取り戻すようにしているんです。だからみなさんにも「そういう時間はもったいないし、そのぶん笑ってたほうが楽しいよ」ということは伝えたいですね。インタビューを終えてみて……。とにかく明るいオーラ全開で、笑顔が素敵な木村カエラさん。同じ空間にいるだけで、幸せな気分に包まれてしまうほどでした。そんな木村さんが歌うエンディングテーマは、誰もが元気になれる一曲。事前に予習してから鑑賞すれば、一緒に楽しめること違いなしです。小さな奇跡が大きな感動を巻き起こす!短編という表現方法にチャレンジしたスタジオポノックから届いたのは、愛と優しさに包まれる3つの物語。この夏、新たな映画体験を期待するなら、見逃せない話題作のひとつです。ちいさな英雄たちとの出会いを求めて劇場に足を運んでみては?作品概要昨夏、『メアリと魔女の花』で一躍注目を集めたスタジオポノックが、新たに立ち上げたプロジェクト「ポノック短編劇場」。記念すべき第一弾では、「ちいさな英雄」をテーマに作られ、声優陣には木村文乃や尾野真千子、オダギリジョー、坂口健太郎、田中泯といった豪華なキャスティングが実現している。今回公開されるのは、川に消えた父を探すために旅に出るカニの兄弟の大冒険を描いた『カニーニとカニーノ』をはじめ、たまごアレルギーを抱えながらもたくましく生きる少年と母との絆を映し出した感動作『サムライエッグ』、そして誰からも姿が見えない男の孤独な闘いに迫ったスペクタクルアクション『透明人間』の3作品。世界観に引き込まれる予告編はこちら!作品情報『ちいさな英雄―カニとタマゴと透明人間―』8月24日(金)全国公開配給:東宝レーベル名:ポノック短編劇場©2018 STUDIO PONOC楽曲情報2018.08.22 releaseDigital single「ちいさな英雄」映画『ちいさな英雄―カニとタマゴと透明人間―』エンディングテーマ
2018年08月22日朝吹真理子さん7年ぶりの新刊だ。「『きことわ』を書き終わって、次回作の打ち合わせをするときには、『TIMELESS』という言葉はもう浮かんでいました。同時に、酒井抱一の『秋草鶉図』の中に不思議な距離感で並んでいる男女のイメージもあったのですが。そこがどこなのか、いつのことなのかがわからない。自分で紡いだ言葉を何度も読むことにより、次の1行が押し出されていく感覚で小説を書いているので、3~4行書いては戻って書き直すの繰り返し。6年そんな感じでした」誰かを愛しいと思ったことのない女性〈うみ〉は、高校の元同級生で被爆者の子孫であることを恐れている〈アミ〉と、恋愛感情も性的な関係もないままに結婚する。やがてふたりは交配し、生まれてきた子どもをアオと名付けた。その後アミは姿を消す。アオは、うみや祖母の芽衣子、血のつながらない姉のこよみ、うみや芽衣子の仕事関係の知り合いで奈良に住む桃さんや初子さんらと交流しながら17歳になっていた。江戸時代に江姫が火葬された場所から、南海トラフ地震が起きた2035年まで、浮かび上がっては沈んでいく、たくさんの人生と記憶と出来事。その物語構造は、朝吹さんが好きだという俵屋宗達の水墨画「蓮池水禽図」のイメージと重なる。「蓮の花が咲いて枯れるまでの時間の流れ、つまり違う時間に起きた場面を、同じ絵の空間の中に配置する“異時同図法”という手法で描かれているんです」2部構成をとる本書は、前半はうみの、後半はアオの語りで進む。風変わりな家族のサーガのようでいて、むしろ実に人間的な、温かな寄り添い合いにも見えるのだ。「うみは現代社会のルールでは薄情に映るかもしれませんが、人間の縁を血縁だとかでは縛らない人。生まれ変わるならクラゲになりたいと言ううみの心情を私なりに察すると(笑)、こんな家族のかたちも自然な流れだったように思うんです。クラゲは自分の力で泳ぐのではなく大きい海流に乗って漂うだけ。なんとなく吹き寄せられて集まり、また離れてもいい。その流れの中で交配の時期なら生殖し、個体としてはいずれ死ぬ。それはクラゲに限らず、やわらかな肉体をもった生き物の“ほがらかな宿命”という気がするんです」『TIMELESS』小説は、自分の中から湧き上がる感情やテーマを探すというより「これまで作られてきた芸術作品への応答のような気持ち」で書く、と朝吹さん。新潮社1500円あさぶき・まりこ作家。2011年「きことわ」で芥川賞受賞。エルメスの展覧会と連動し、物語「彼女と」を書き下ろす。ご希望の方は全国のエルメスブティックへ。なくなり次第終了。※『anan』2018年8月15・22日号より。写真・土佐麻理子(朝吹さん)大嶋千尋(本)インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2018年08月17日マンガの目利きも、BL好きも、巷のマンガファンも、口々に絶賛。それが、鶴谷香央理さんの『メタモルフォーゼの縁側』だ。老婦人と女子高生が織りなす、何かに夢中になれる幸せな時間。「BLで何か描きたいと提案したら、担当さんが、じゃあ主人公は老婦人と高校生とか年齢差のあるふたりでどうですか、というアイデアを出してくれました」かくて決まった主人公が、75歳の寡婦・市野井雪と、17歳の隠れ腐女子の高校生・佐山うらら。ふたりがBLコミックを介して育む、年の差を超えた友情は……。アウトラインを説明すればこうなるが、もっとも心を射抜かれるのは、好きなものを素直に好きと言い合える幸福感や高揚感が、清々しく温かく繊細に描かれているところ。「ひとりぼっちの者同士が出会い、変わっていくさまをテーマにしようと思ったんです。雪さんにもうららちゃんにも一応、家族や友人知人はいるわけですが、心情的には『何となく自分はひとりぼっちだ』と思っている。そういう人って案外多い気がするんですね。だからこそ、好きなものを存分に語り合うちょっとした会話の中で、本当に心が通ったような気持ちになれたらすごく満たされますよね。そんな空気感をマンガで描けたらいいなと思ったんです」ご自身も、うららのように、好きなものに、内向きだったころが。「高校時代、BLにしても、私は好きなんだけれど、自分の趣味をどういうふうにさらけ出していいかわからなくて、素直に表現することにはためらいがありました。友達もちゃんといたんですが、同時に、同世代とうまくつき合うのって難しいなと感じてもいました」そんなモヤモヤ感描写がリアル。ちなみに、雪がうららをお茶に誘うところから、ふたりの交流は深まっていくのだが、「あれは私のひとつの憧れのようなものかもしれません。雪さんまではいかずとも、もう少し大人になったら、好きという思いにいろいろ素直になれるのかもしれないなと(笑)」うららのイマドキな家庭環境や、「うらっち」「つむっち」と呼び合う幼なじみ・紡や、彼の彼女との関係も、気になるところ。「BLもそうですが、恋愛も考えだすと何が何やらな感じで(笑)。模索しながら描いています」『メタモルフォーゼの縁側』タイトルは「けもの」(シンガーソングライター青羊(あめ)のソロプロジェクト)の楽曲「めたもるセブン」から着想。変化を自然に受け止める心を表現。KADOKAWA780円つるたに・かおり1982年生まれ。マンガ家。本書が初めてのコミックス。web「LIKE THIS」にて「don’t like this」を連載。なお、今秋にはコミックス第2巻を発行の予定。※『anan』2018年8月15・22日号より。写真・大嶋千尋(本)インタビュー、文・三浦天紗子©鶴谷香央理/KADOKAWA(by anan編集部)
2018年08月14日TVドラマも映画もイケメンなしには楽しめない!今回、ご紹介するのは、海外ドラマ『MACGYVER/マクガイバー シーズン2』日本語吹替版で主人公のマクガイバーを演じる宮野真守さんと、その相棒ジャックを演じる土田大さん。劇中そのままの相性の良さを感じさせるおふたりにお話をうかがいました。写真・大嶋千尋 文・田嶋真理 ヘアメイク・NAKATANI(C+)(宮野真守)、HORIE(C+)(土田大) スタイリスト・横田勝広(YKP)【イケメンで観る海外ドラマ&映画】vol. 9声もルックスもイケメン! 宮野真守&土田大身の周りにあるものを使って即席の武器や装置を作り上げる“理系ニューヒーロー”の活躍を描くDIYアクション『MACGYVER/マクガイバー』。豊富な科学知識と驚くべき機転で極秘任務を遂行していくマクガイバーの活躍のほか、頭脳派マクガイバーと肉体派ジャックというタイプの違うイケメン・バディの息の合ったやり取りが人気を集めています。ーー宮野さんと土田さんは、かつて2002年のアニメ『真・女神転生Dチルドレン ライト&ダーク』でバディを演じたことがあったそうですね。土田 最初に組んだ作品は、バディというより、しもべ(笑)。主従関係みたいなものがあったんです。宮野 しかも今回はアニメではなくドラマ。いろいろと違いはありますが、土田さんと再び共演が決まって嬉しかったです。土田 やっぱり、縁があるのかな。こうして、シーズン2もできたし。ーーおふたりが初めて出会ったときのことを覚えていますか?宮野 初めて土田さんとお会いしたとき、僕は19歳でした。『真・女神転生Dチルドレン ライト&ダーク』の共演者の方々から誕生日に東京ディズニーランドのチケットをいただいて喜んだことを覚えています。土田 当時、何をあげたら良いかわからなくて。「欲しいものは?」と聞いたら、「ありません」と答えたんだよね? そのことが印象に残っています(笑)。宮野 言いました……(笑)。当時は趣味がなくて、あまり物欲もなかったんです。ーー「誕生日のプレゼントは必要ないですよ」と諸先輩方に気を遣ったのではなく……(笑)。宮野 遠慮したのではなくて(笑)。土田 遠慮するタイプじゃないですよ(笑)。ーー『MACGYVER/マクガイバー』のバディものとしての魅力は?宮野 マクガイバーは頭脳派、ジャックは肉体派。年齢差もあって、全くタイプの違うふたりなんです。それでもお互い信頼し合い、冗談を言いながら難しい任務をこなしていくところが魅力ですね。僕自身も土田さんと共演できることが嬉しくて。毎回、現場が楽しくて仕方ないです。僕らが実際に楽しんでいる様子は、声にも出ていると思います。土田 バディものは関係性がシンプルで、観ていて爽快感があります。僕もマモ(※宮野さんの愛称)と一緒に仕事をするときは、小難しいことは抜きでシンプルにやろうと。僕がピンチになったら助けてもらう、逆にマモがピンチになったら僕が助けるという気持ちでやっています。宮野 このバディの関係はとても心地良いです。ーー理想の男性やヒーローを演じることが多いおふたりですが、イケボ(イケメン・ボイス)で得したことは?宮野 特にないですね。自分の声をイケメン・ボイスだとは思っていなくて。土田 自宅に勧誘の電話がかかってきたときに役立ったことがあります。(コワモテな声で)「この番号はどこで知ったんですか」って。宮野 怖い芝居をするってことですか?(笑)。土田 それはよくやります。マモはやらないの?宮野 僕の声は迫力がないので、やったことがないですね。あ、でも自分でもビックリするくらいテンションの低い声で話しているとき、予想外に母親から「あら、良い声ね」と言われたことはあります。労力を使わずに出していた声だったのに、そう思うんだなって(笑)。土田 おもしろいお母さんだね(笑)。ーーバディとして、お互いの尊敬できるところを教えてください。土田 仕事ぶりもさることながら、彼の佇まいで現場があたたかくなるんです。本人は気づいていないと思いますが、彼の雰囲気で過酷な現場が緩和される。誰であっても彼のふわっとした空間に入れてしまうんです。自然にすごくよく笑うしね。そこはほかの人にはまねできないなと思っています。宮野 ジャックの声を初めて聞いたとき、ビックリしたんです。これまでの土田さんからは聞いたことのない声でしたから。ジャックは土田さん以外ありえないと感動しました。『MACGYVER/マクガイバー』は叫ぶシーンが多いんですが、土田さんは1個も手を抜かない。役に命を懸けていらっしゃる。こうでなくちゃいけないなって。若い世代の方にもそう思っていただきたいなと思います。インタビューのこぼれ話『MACGYVER/マクガイバー』のマクガイバーとジャックが抜け出してきたような、固い絆を感じさせてくれた宮野真守さんと土田大さん。しかもおふたりとも声だけでなく、スタイルも抜群で男前! 笑い声が途切れることのない、楽しい取材現場でした。Information『MACGYVER/マクガイバー シーズン2』出演/ルーカス・ティル、ジョージ・イーズ、トリスティン・メイズほか日本語吹き替え版/宮野真守、土田大、永宝千晶、安田裕、小宮和枝ほかスーパー!ドラマTVにて、8月8日(水)22:00より独占日本初放送©MMXVIII CBS Broadcasting, Inc. All Rights Reserved.衣裳協力:DEAL DESIGN(ディールデザイン)新宿マルイメン店
2018年08月07日