3月21日、岩下志麻(77)が東京・八重洲ブックセンターで「美しく、狂おしく岩下志麻の女優道」の出版記念トークショーとサイン会を行った。60年の女優生活を記録した同書について、岩下はしみじみと語った。 「よくやってこられたなと思います」 岩下がそう思うのも、無理はないのかもしれない。岩下はもともと女優になりたいと思っていたわけでなく、“アルバイト気分”で女優業を始めたという。そして映画監督・篠田正浩(87)と出会い、66年に結婚。出産も経験している。 だが出産後、「私は女優をやっていていいのか」と迷うこともあったという岩下。「子どもを犠牲にしてまで女優を続けていくべきか」と悩んだ挙げ句“鬱状態”にもなったと、14年に開催された映画イベントで明かしている。 「子どもを置いて仕事に行くことについて悩んだ時期が2年ほどあったでしょうか。鬱状態になっていたと思います。『はなれ瞽女おりん』は6カ月ロケだったので、子どもを置いていかなければならない辛さを背負って演じきりました」 そんな母であり妻であり、女優である岩下を支えたのは、夫の篠田だという。「家庭は休息の場でなくてはいけない。たくさん休息して現場には元気で行ってほしい」という夫のお陰で、岩下は「仕事に没頭できた」と明かしていた。 さらに岩下が自信喪失のあまり女優を辞めようかと悩んでいたときも篠田は“女優・岩下志麻”を思い、声を掛けてくれたそうだ。 「おまえは女優をやっているときが一番輝いている」 紆余曲折があり、60周年を迎えた岩下。80歳を前にして、同サイン会ではこんな“夢”を語っていた。 「あと1本、燃え尽きる映画をやりたい。グロリア・スワンソンの主演で、女優のなれの果てを描いた『サンセット大通り』のような作品をやりたい」 支えてくれる夫とともに、岩下はその夢を追い続けている――。
2018年03月22日所属事務所『オフィス北野』を3月いっぱいで退職することになったビートたけし(71)。 「4月からは『T.Nゴン』という会社が、たけしさんの仕事のマネージメントを行います。’15年にA子さん(53)という女性が設立し、昨年にはたけしさん本人が社長に就任しました。A子さんはたけしさんより18歳年下で、’14年には『週刊文春』が“愛人”と報じています」(芸能リポーター・城下尊之さん) オフィス北野の関係者は言う。 「たけしさんは、一昨年ごろから“森社長や一部の社員が、事務所の利益を独占しているのでは?”という疑惑を持ち始めたようです。一度は話し合いにより衝突を回避しました。しかし今年1月にたけしさんがライブを開催しましたが、その直後『ギャラが少ないんじゃないか!』と激怒したのです。以前はギャラの額にそれほどこだわらない方だったのですが……。たけしさんはA子さんと交際を始めてから、変わってしまったように思います」 たけしの性格まで変えてしまったA子さんとは、どんな女性なのか?A子さんの知人は次のように語る。 「彼女は父親が九州の県会議員を務めたほどのお嬢様です。彼女自身は関西の有名ホテルのスーパーアドバイザーの資格を持っており、東京でもパーティのコーディネートなどを手がけていました。’12年ごろに彼女の知人であるアパレル会社社長に呼ばれた酒席で、たけしさんと知り合ったそうです。たけしさん相手でもひるまずにずけずけと話す様子を気に入られ、交際に発展しました」 これまで北野家の資産運用は、幹子夫人(66)が一手に引き受けてきた。北野家の資産について、本誌は調査をしたことがある。渋谷区の超一等地にある豪邸を筆頭に、6件の不動産を合わせると23億円!金融資産を合わせれば25億円は下らないという。その資産を巡り、愛人・A子さんも動き始めたというのだ。前出のA子さんの知人が続ける。 「A子さんは気が強く、上昇志向も強いのです。かねてより財産を管理する幹子夫人との間にひと悶着起きるのではないかと危惧していましたが、それは現実になりつつあります。A子さんがたけしさんに『私の将来のことも考えて!』と嘆願したことも会社設立、さらに“独立”の理由の1つのようです」 たけしは幹子夫人が社長を務める資産管理会社の役員を辞任した代わりに、『T.Nゴン』の社長に就任。さらに今年1月には増資(※資本金を増やすこと)も行っている。 「増資したのは『A種類株式』というものですが、その株式の所有者は非常に強力な権限を持ちます。《A種類株主が死亡したときは……》という条件が記載されているのも非常に珍しいですね」(相続問題に詳しい司法書士) なんと、たけしが死亡した際のことも想定されているようだ。すでに遺産を巡る本妻と愛人の“アウトレイジな闘い”も始まっているのか。 「たけしさんは昨年、恋愛小説『アナログ』を発表しました。ヒロインはA子さんをモデルにしています。A子さんは今後もたけしさんに執筆を続けさせ、『T.Nゴン』の収益の柱にするつもりのようです」(前出・A子さんの知人) 愛人のために映画監督から、小説家へ変貌を遂げつつあるたけし。そんな2人へ、本妻・幹子夫人が放つ、報復の一手はーー。
2018年03月22日誰にでも映画に興味を持つきっかけとなった特別な1本があるのではないだろうか。子供の頃に観た強烈なホラーだったり、うっとり憧れるロマンスだったり、お医者さんや警察官、消防士…映画のキャラクターや職業に刺激を受けて将来を決めた人だっているだろう。『フェリーニに恋して』の主人公のルーシーにとってのその1本、人生を変えることになるその1本は、フェデリコ・フェリーニの『道』だった。この映画はルーシーがイタリア映画の巨匠フェデリコ・フェリーニの作品と出会い、ローマ、ヴェネチア、ヴェローナ、美しいイタリアの都市を旅する物語だ。ルーシー(クセニア・ソロ)は、母クレア(マリア・ベロ)に大切に育てられた。世の中の全ての悪い事や苦しみから守られるように…。だから20歳になっても男の子とキスをしたこともない、もちろんつき合ったこともない、友だちもいない、アルバイトもしたことがなかったが、母が自分の将来を心配していることを知り仕事を探し始める。ある日、ルーシーは「製作者を求む」という新聞の広告を見て映画会社の面接に行くが、そこは彼女が思い描いていたような会社でも仕事でもなかった。落胆するなか、街で「フェリーニ映画祭」のチラシを受け取り、吸い込まれるように映画館へ──。映画祭で『道』を鑑賞し、フェデリコ・フェリーニという映画監督の存在を知り、その世界観に魅了されたルーシーは、帰宅後フェリーニの作品を片っ端から観て過ごす。そして「フェリーニに会いたい! 会って話しをしたい!」と、彼に会うためにイタリアへ行くことを決めてしまうのだった。好奇心や興味によって引き出される行動力はものすごいもので、母に守られてきた娘は、母を想いながら籠から羽ばたき、旅に出る。離れていても心は繋がっている──そんな母と娘の愛の描き方も素敵だ。旅の途中で、フェリーニの映画に登場するキャラクターが現れるのがユニークだ。『道』のザンパノが幻想の世界への誘導役として登場するほか、『甘い生活』のシルヴィアとマルチェロ、『8 1/2』のグイド、16作品以上の名シーンへのオマージュが散りばめられている。たとえフェリーニの映画を観たことがなかったとしても、ルーシーがフェリーニに導かれたように、観客はルーシーに導かれ、ルーシーと一緒に旅をしているように感じるだろう。ローマ、ヴェネチア、ヴェローナ…イタリアに行きたくなる。なかでも行ってみたいのは、ルーシーの旅の終わりと人生の始まりを感じる、とてもファンタジックなシーンとして描かれている場所、ラストシーンで登場する「Osteria Margutta」。ローマのポポロ広場とスペイン広場のちょうど中間にある裏道、マルグッタ通りにあるレストランだ。この通りは『ローマの休日』のロケ地としても有名。グレゴリー・ペックの演じたジョー・ブラッドリーのあのアパートがある通りだ。また、110/113番地にはフェリーニが住んでいたアパートもあり、フェリーニと彼の妻で女優のジュリエッタ・マシーナの名前が書かれたプレートがいまでも残っている。(text:Rie Shintani)(text:Rie Shintani)
2018年03月21日実生活で恋人であることを公言し、いま世界一センセーショナルな監督と女優として注目を集めるホン・サンス監督とキム・ミニの初タッグ作『正しい日 間違えた日』が今夏、日本公開が決定。本作の予告編がいち早くシネマカフェに到着した。STORY予定より一日早く水原(スヲン)に到着してしまった映画監督のチュンス(チョン・ジェヨン)は、時間をつぶすために立ち寄った観光名所で、魅力的な女性ヒジョン(キム・ミニ)に出会う。2人はコーヒーを飲み、人生について語らい、お酒も入ってほろ酔い加減でいい雰囲気になるのだが…。本作は運命的に出逢った男と女が、タイミングの違いによって全く異なるエンディングを迎えることになるまでを、前半と後半それぞれの場合で見せる異色のラブストーリー。また、全米映画批評No.1サイト「ロッテントマト」では96%Freshという高評価を獲得し(2017年11月時点)、日本でも長らく公開が待ち望まれていた。主演を務めるのは、『お嬢さん』で大胆なヌードも披露したキム・ミニ。本作では、ふわふわとしながらもどこか陰のあるアーティストを演じている。また、ホン監督と2人が組んだ『夜の浜辺でひとり』は、2016年ベルリン国際映画祭にて、キム・ミニが韓国俳優史上初となる女優賞に輝き、『それから』『クレアのカメラ』が2017 年カンヌ国際映画祭に出品と、2作品同時出品という異例の快挙を達成。本作は、その2人の記念すべき初タッグ作だ。予告編公開された予告編では、本作の特徴である物語が2通りの展開で描かれている様子が分かる仕上がりに。なお、キム・ミニのほかにも、『さまよう刃』のチョン・ジェヨンや、コ・アソン、チェ・ファジョン、ソ・ヨンファ、ユン・ヨジョンらが出演している。『正しい日 間違えた日』は今夏、ヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて順次公開。(cinemacafe.net)
2018年03月16日動物写真家・岩合光昭の映画初監督作品『ねことじいちゃん』が、2019年2月22日(金)に全国の劇場で公開される。岩合光昭は、全国各地で開催されている「ねこの写真展」などで人気を博す動物写真家。岩合が写す表情豊かなネコの姿は、幅広い層から絶大な支持を集め、人々の心をとらえてやまない。岩合光昭の映画初監督作品過去には岩合が題材となったドキュメンタリー映画『劇場版 岩合光昭の世界ネコ歩き』が公開されているが、自身がメガホンを取るのは『ねことじいちゃん』が初めて。ねこまき原作の同名人気コミックを実写映画化し、小さな島で暮らす大吉と飼い猫・タマのつつましくも豊かな暮らしを、写真家ならではの美しい映像で描いていく。主演は落語家・立川志の輔岩合の熱烈なオファーにより主役に抜擢されたのは、映画初主演となる落語家・立川志の輔。元校長で頼られる存在だが、家ではタマの言いなりになってしまう大吉をどのように演じるのか、注目が集まる。大吉のパートナー・タマを演じるのは、ちょっぴりふてぶてしい丸顔と短い手足が愛らしい"ベーコン"。その他にも三毛猫の"小梅"、茶トラの"ぽんず"など愛嬌たっぷりの猫たちが現れ、ネコ好きにはたまらない映画となりそうだ。ヒロインに柴咲コウ、3年ぶりの映画出演また、都会から島へ移住しカフェを開く少し謎めいたヒロイン・美智子を演じるのは、3年ぶりの映画出演となる柴咲コウ。岩合監督、立川志の輔の両者が「人間も猫も皆夢中になる」と称賛した、柴咲の暖かい人柄が感じられる演技に期待が高まる。島の住人として小林薫や田中裕子が出演舞台となる島の住人として、小林薫、田中裕子、柄本佑、銀粉蝶、山中崇、葉山奨之らが出演する。映画『深夜食堂』で主演を務めた小林は、大吉の親友で “大の猫嫌い”という役柄に挑戦。また、大吉の妻(故人)には同じく『深夜食堂』に主演する田中裕子が、そして島唯一の病院で働く若先生・健太郎役には、2018年9月公開の映画『きみの鳥はうたえる』の柄本佑が抜擢された。おんな城主直虎の猫“にゃんけい”も出演柴咲コウと小林薫は「おんな城主 直虎」に出演していたが、彼らが劇中で可愛がっていた猫“にゃんけい”役として登場した猫・まろにー。『ねことじいちゃん』でもまろにーは登場。小林とのやりとりで絶妙なアドリブを見せるという。大阪で写真展開催映画撮影中に岩合光昭が、監督業と並行して撮影した写真約160点を集めた写真展「ねことじいちゃん」を、東京・富山を皮切りに、全国各地で開催。大阪の大丸心斎橋店では、2019年2月16日(土)から3月4日(月)まで開催される。また、会場内では写真集『ねことじいちゃん』も発売される。ストーリー2年前に妻に先立たれ、飼い猫のタマと二人暮らしの大吉、70歳。毎朝の日課はタマとの散歩、趣味は亡き妻の残した料理レシピノートを完成させること。島にカフェを開いた若い女性・美智子に料理を教わったり、幼なじみの巌や気心知れた友人たちとのんびり過ごしている。しかし友人の死や大吉自身もこれまでにない体の不調を覚えたりと、穏やかな毎日に変化が訪れはじめた矢先、タマが姿を消して―。1人と一匹、生まれ育ったこの島で、共に豊かに生きるためにした人生の選択とは―。作品情報映画『ねことじいちゃん』公開日:2019年2月22日(金)全国ロードショー監督:岩合光昭出演:立川志の輔、柴咲コウ、小林薫、田中裕子、柄本佑、銀粉蝶、山中崇、葉山奨之 ほか原作:「ねことじいちゃん」ねこまき(ミューズワーク)著/KADOKAWA刊■写真展「ねことじいちゃん」<大阪エリア>会期:2019年2月16日(土)~3月4日(月) 10:00~20:00(20:30閉場)※最終日は17:30まで(18:00閉場)会場:大丸心斎橋店住所:大阪府大阪市中央区心斎橋筋1-7-1住所:北館14階イベントホール・ギャラリートーク&サイン会日程:2月17日(日)・18日(月)時間:ギャラリートーク 11:00 / 14:00、サイン会 11:30 / 14:30 ※サイン会は各回先着200名※展覧会場内イベントにつき入場券が必要。サイン会には整理券が必要。当日会場で写真集を購入した、各日先着400名に整理券を配布(1人1枚まで、整理券1枚につき3冊までサイン可能)。※イベント内容は予告なく変更の場合あり。■写真集『ねことじいちゃん』予定価格:1,600円+税サイズ/ページ数:B5変形/128ページ
2018年03月16日2年前に上演され、大好評だったあの舞台が帰ってきた!皆川猿時さんと荒川良々さんという芸達者2人組が、次々とあぶない目に遭う、くだらなくもおもしろいこの舞台「さらば!あぶない刑事にヨロシク」。二人があぶない目に多々遭うので、それをゲラゲラ笑ってください。演出を手がける細川徹さんは、題材は本当にバカバカしいが、この二人との仕事は戦いに等しいと語ります。「二人は本当に芝居が上手い。例えば“あぶない”と一口に言っても、“ドーベルマンが迫ってくるあぶない”と、“銃口を向けられるそれ”は、異なる“あぶない”ですよね。そのニュアンスの違いを、コントにせずに、セリフの中にこまやかな感情を落として、芝居として出せるんですよ。そんな実力派の二人だからこそ僕も緊張感がありまして。稽古初日に台本を全部書き上げて持っていったんですが、演じてもらったら役者のおもしろさに負けてまして…。すぐに全部書き直しました(笑)」前回と比べ、あぶなさはより一層強くなっているそう。「この二人って、すごく強い人に見えるじゃないですか。肉体的に強そうだから、少々のあぶない目に遭ってもかわいそうに見えないんですよね。舞台上では、ひどい目に遭えば遭うほどおもしろくなる。だから『あぶない刑事にヨロシク』の世界観は、この二人じゃないと成立しないんです。本家の舘ひろしさんと柴田恭兵さんがスズメバチに2回も刺されたら、かわいそうじゃないですか……って、いや、意外とイケますね、カッコよくあぶない目に遭ってくれる気がしてきた(笑)。でもたぶん、村杉蝉之介さんは刺されたら死ぬと思うし、池津祥子さんは、刺されないように立ち回るタイプだと思います。皆川さんと荒川くんが、あぶない目に遭っても大丈夫に見えるのは、スターだからだってことにしておきましょう(笑)」今回も、前回好評だった、観客全員がクラッカーを鳴らして皆川さんを殺す、というような、観客参加型のタイミングも何回かあるそう。どんな“あぶない”が出てくるのか、お楽しみに~!3月16日(金)~4月1日(日)下北沢・本多劇場作・演出/細川徹出演/皆川猿時、荒川良々、池津祥子、村杉蝉之介、近藤公園、上川周作、早出明弘、本田ひでゆき(本田兄妹)、河原雅彦全席指定5800円(税込み)大人計画TEL:03・3327・4312(月~金曜11:00~19:00)ほそかわ・とおる脚本家、演出家、映画監督。1971年生まれ、東京都出身。‘16年には映画『オケ老人!』を監督。映画、アニメ、ドラマ、ラジオなど、幅広く活躍中。※『anan』2018年3月21日号より。写真・土佐麻理子(by anan編集部)
2018年03月14日2017年4月28日に渋谷にオープンした複合施設、「SHIBUYA CAST.」。都会のど真ん中にあるこの場所で、血縁にも地縁にもよらない「拡張家族」になることを目的に、共に暮らし、共に働く集団がいる。名前は「Cift(シフト)」。現在のメンバーは39名。半数以上が起業をしていたり、フリーランスのような形で働いている。ファシリテーター、弁護士、映画監督、美容師、デザイナー、ソーシャルヒッピー、木こり見習いなどなど、全員の肩書きを集めると100以上に。大多数のメンバーがCift以外にも、東京から地方都市、海外まで、様々な場所に拠点を持っていてその数も合わせると100以上になる。メンバーのうち約半数は既婚者で、何人かは離婚経験者。2人のメンバーはパートナーや子どもも一緒にCiftで暮らしている。そうした“家族”も含めると、年齢は0歳から50代にわたる。バックグラウンドも活動領域もライフスタイルも異なる39人が、なぜ渋谷に集い、なぜ「拡張家族」になることを目指しているのか。本連載では、CiftのメンバーでありこれまでにBe inspiredで記事の執筆もしてきたアーヤ藍が、多様なメンバーたちにインタビューを重ねながら、新しい時代の「家族」「コミュニティ」「生き方」を探っていく。アーヤ藍Photo by Jun Hirayama第3回目は、対話の場でみんなの意見を引き出したり、整理してコミュニケーションを円滑にしたりするサポートをするファシリテーターの丹羽 妙(にわ たえ)さん。最近は特に、企業内のコミュニケーションを活発化するためのワークショップ等を行っている。Ciftでもメンバーが集まって対話をする際にファシリテーションをしたり、アクティブブックダイアローグ(通称ABD)という読書法を用いた読書会を開催したりしている。また、Ciftのなかでも一番、人との物理的距離が近く、日常からメンバーにハグをしたり、マッサージをしたりと、身体的にふれあうことをよくしているのが丹羽さんだ。丹羽妙さんPhoto by Ai Ayah一人ひとりが意見を持ち寄り、世界を広げるファシリテーションアーヤ藍(以下、アーヤ):たえちゃん(丹羽妙さんのこと)はファシリテーションを仕事にしているけど、ファシリテーターとしてのキャリアを積み始めたきっかけは? 丹羽妙(以下、丹羽):10年前、学生のときに出会った「京都市未来まちづくり100人委員会」っていうプロジェクトがきっかけだね。京都でいろんな活動をしている市民、大学生から、地域の経営者やお坊さん、研究者、80歳のおじいさんまで、様々な立場・バックグラウンドの148人が集まって、京都の未来のために今したいことは何かを対話したの。そして、与えられた議題を決まり切ったスタイルで議論するのではなくて、参加者が自ら重要だと思うアジェンダをあげて、関心のある人同士で仲間を作り、実際にプロジェクトを起こして行く…っていう、参加者の主体性を最大限引き出すように考えられた形式の会なの。アーヤ:もともと拡張家族みたいなテーマは、たえちゃんにとっても大事だったんだ? 丹羽:「居場所」っていうのは私の人生のテーマだと思う。生まれてからしばらく、父母兄とイギリスで幸せに過ごしていたんだけど、2歳10ヶ月くらいのときに父親の病気がわかって急に日本に帰り、約1年の闘病生活ののちに死んじゃったんだよね。母親は2日に1回病院にいっていて、その間、祖父母に面倒をみてもらっていたんだけど、子どもながらに大変な状況だって分かっているから、母親が病院に行くときも「寂しい」とか「行かないで」って言わずに我慢してたみたい。 そのあと、そうやって育ててくれたおばあちゃんが、私が高校生ぐらいの時に認知症になったの。野菜炒めにクッキーを入れるとか、笑えることもあるんだけど、家族の間に不穏な空気が流れることも増えて…。大好きで尊敬している人が、別人に見えてくることはショックだったし、人間の脆さや不確かさを痛感させられた。それを家族に言うことが「できない」っと思って一人で抱えていたんだよね。 そういう原体験があったから、ずっと「世界は孤独で、誰も信用しちゃいけない」って心のどこかで思ってたみたい。中高生の頃から、張り切りガールな一方で、家では甘えたり、心の悲鳴を伝えられず、代わりに女子友達にベタベタくっつくみたいなアンバランスさがあったなあ。今もCiftでもよく人にくっついているけど(笑)。安心できる人に触れることで充電したり、何かを交流させたりすることを覚えたんだと思う。Ayah Ai(アーヤ藍)1990年生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業。ユナイテッドピープル株式会社で、環境問題や人権問題などをテーマとした、社会的メッセージ性のあるドキュメンタリー映画の配給・宣伝を約3年手掛ける。2017年春にユナイテッドピープルを卒業し、同年夏より「ソーシャル×ビジネス」をさらに掘り下げるべく、カフェ・カンパニー株式会社で精進中。
2018年03月13日漫画や小説をもとに実写化される「原作モノ」が増える中、独自に生み出す世界観で「絶対に観客の心をつかむ」という揺るぎのない気概をもって、映画制作に挑む人々を取材する連載「オリジナルの担い手たち」。第2回は、綾瀬はるかと坂口健太郎初共演の映画『今夜、ロマンス劇場で』(公開中)の稲葉直人プロデューサーのあふれ出る映画愛に触れる。本作は、誰からも忘れ去られたモノクロ映画の中から現実世界に飛び出した美雪(綾瀬はるか)と、映画監督を夢見ながらスクリーンの中の美雪に恋をしていた健司(坂口健太郎)の切ない恋物語を描く。この作品の萌芽はまさに映画的で、今から10年前まで遡る。アシスタントプロデューサー時代の稲葉氏は綾瀬と出会ったことで、「もっと映画館でしか楽しむことのできないオリジナルの物語があってもよいのではないか」という大いなる野望を抱いた。『のだめカンタービレ』『テルマエ・ロマエ』シリーズの武内英樹監督、『信長協奏曲』の脚本家・宇山佳佑氏。稲葉氏と共に原作モノを手掛けた同志たちが再集結し、完全オリジナル脚本による映画が完成した。そこには情熱のみならず、原作含めた映画作りの経験、名作への尊敬の念と豊富な知識が惜しみなく注がれていた。○『ハッピーフライト』の現場で「ボーッと考えていた」――もともと稲葉さんの発案だったそうですね。もう10年前になりますね。アシスタントプロデューサー時代に『ハッピーフライト』(2008年)を担当して、主演の綾瀬さんはとにかく「ユニークな女優さん」という印象でした。凛としたシリアスなお芝居はもちろんですけど、コメディエンヌなところだけじゃなく、とにかく存在感がある方。似たような女優さん、いませんよね? そこが何よりも魅力的だと感じました。綾瀬さんだからこそできる、最大限魅力を引き出せる作品は何だろうか……現場に立っている時にそんなことをボーッと考えていたんです。――いつもそうやってアイデアが浮かぶんですか?通ってない企画ではいくつもありますよ(笑)。役者さんを起点に考えることはあります。ただ、それは時と場合によって異なっていて、原作や小説を読んだ時に浮かぶこともあって。イメージがピッタリ重ならないと、あまり気持ちが動かないんですよね。例えば、『テルマエ・ロマエ』(2012・2014年)の時は阿部寛さん、『信長協奏曲』(2016年)の時は小栗旬さんだったんですが、『テルマエ・ロマエ』は原作が外国人だったので「ちょっと待てよ」と一拍ぐらい間がありました(笑)。『信長協奏曲』は、すぐに小栗さんが。原作を読んでいると、「この人だったらすごく面白くなる」と自然と浮かぶんですよね。――『ハッピーフライト』は2月3日に地上波でも放送されました。あらためて観ましたが、面白い作品ですね。6回目の放送なのに視聴率が10%超えて、本当にすごい映画だなと思いました。――どのあたりのシーンで綾瀬さんの作品意欲が湧いてきたんですか?パッと思いついたのが、落雷で停電した映画館にすすけた「お姫様」の綾瀬さんが現れるというものでした。『ローマの休日』(1954年)のアン王女だったり、『隠し砦の三悪人』(1958年)の雪姫だったり、そういう感じの役がハマりそうだなと。スクリーンから飛び出してくる話は、『カイロの紫のバラ』(1986年)とか『ラスト・アクション・ヒーロー』(1993年)とか『魔法にかけられて』(2008年)とかいろいろあるんですが、『キートンの探偵学入門』(1924年)に影響を受けてウディ・アレンが『カイロの紫のバラ』を作ったという背景もあります。そうした作品が脈々とある中で、白黒映画から白黒のまま出てくる作品ってなかったよなと。――『ハッピーフライト』の現場で思い浮かんだことが、そのまま今回の設定に繋がっていますね。そうですね、細かいところは脚本家と詰めました。映画監督を目指す青年は振り回される側。王女と青年の恋愛物語は、本来であれば日本では成立しません。でも、SF設定であればそれが可能になる。それに加えて、実際は存在しない人間と存在する人間が後半で立場が逆転するのは面白いなと。前半がコメディで、後半はまさかの切ない展開になる。それをどう細かく描いていくかがスタートラインでした。原作モノをやる時は、「原作だからやってはいけないこと」のような制限があるんですが、オリジナルはそれがない分、「観客を楽しませるにはどうすればいいのか」を徹底的に考えられる。「まだ何かある」という欲がどんどんあふれ出て来るんです。――脚本の宇山佳佑さんと練り続けて。そうですね。1年半前に編成部に異動したので日中はそっちの仕事をしながら、深夜はファミレスで映画の打ち合わせ。ちょうど映画化が決まった後ぐらいの人事異動だったんです。自分発のものだと脚本家や監督を置いてけぼりにはできないし、キャストもせっかくオリジナルに乗っていただいているのに、「すみません。僕いなくなります」とは言えませんからね。
2018年03月11日映画『億男』が、2018年10月19日(金)に全国で公開される。佐藤健と高橋一生の初共演作品。“お金”を巡る川村元気のヒット作『億男』を実写化『億男』は、億万長者たちと主人公が向き合いながら、“お金”を巡る、幸せのあり方、家族のあり方、友情のあり方などの問いの答えを探し出していく姿を描いた、新感覚マネーエンターテインメント作品。原作は、川村元気の『億男』。2015年に「本屋大賞」にノミネートされ、日本だけでなく、中国、韓国、台湾などでも出版された、累計発行部数56万部超のヒット作品だ。佐藤健×高橋一生、初共演主演は佐藤健。映画『るろうに剣心』シリーズ、『何者』、『亜人』、『8年越しの花嫁』、『いぬやしき』といった数々の話題作で様々な役を演じている。『億男』では、借金を抱え家族もバラバラだったが、3億円の宝くじが当選したのを機に人生をやり直そうとする矢先、その金を億万長者であったはずの親友に持ち逃げされてしまう不運な男「一男」を演じる。「一男」の億万長者の親友であり、謎多き男「九十九」を演じるのは、『シン・ゴジラ』や『嘘を愛する女』、『blank13』、『3月のライオン』などの映画にも出演している高橋一生。その他、一男の妻・万佐子を黒木華、謎の女性・あきらを池田エライザ、九十九の過去を誰よりも知る女性・十和子を沢尻エリカ、ミリオネアニューワールドの教祖・千住を藤原竜也、九十九の元同僚でスーパーエンジニア・百瀬を北村一輝が演じる。『るろ剣』シリーズの大友啓史監督監督は、映画『ハゲタカ』や『プラチナデータ』、『ミュージアム』などの作品を手掛けてきた大友啓史。佐藤健とは『るろうに剣心』シリーズで、高橋一生とは『3月のライオン』でもタッグを組んでいる。脚本は、「ドラゴンクエスト」シリーズ開発などを手掛けた、渡部辰城。本作が初映画脚本となる。主題歌はBUMP OF CHICKEN「話がしたいよ」主題歌はBUMP OF CHICKENの「話がしたいよ」。ボーカリスト&ギタリストの藤原基央が、映画のために書き下ろした新曲だ。ピアノに重ねた独唱から始まる、清涼感とぬくもり溢れる楽曲に仕上がっており、物語のエンディングに彩りを添える。ストーリー兄が3,000万円の借金を残して失踪して以来、図書館司書の一男(佐藤健)は、夜もパン工場で働きながら借金を返済している。妻・万左子は度重なる借金の返済に苦心し窮屈に生きることしか選んでいない一男に愛想を尽かし、離婚届を残して娘・まどかと一緒に家を出てしまうのだった。そんな踏んだり蹴ったりの一男だったが、突然宝くじが当たる。当選金額3億円!これで借金を返せるだけでなく、家族の絆を修復することができるはず。だがネットを見ると、宝くじの高額当選者たちはみな悲惨な人生を送っているという記事ばかり・・・。怖くなった一男は、大学時代の親友であり、起業して億万長者となった九十九(高橋一生)にアドバイスを求めることにする。久しぶりの再会と九十九プロデュースの豪遊に浮かれて酔いつぶれた一男が翌朝目を覚ますと、3億円と共に九十九は姿を消していた――。3億円と親友のゆくえを求めて、一男のお金と幸せをめぐる冒険が始まった。九十九の家のパーティで出会った“あきら”(池田エライザ)と名乗る女性を頼りに、かつて九十九と起業した仲間=“億男”と呼ばれる億万長者たちに九十九の手掛かりを探る。ギャンブル好きの実業家:百瀬(北村一輝)、マネーセミナーの教祖:千住(藤原竜也)、10億円を隠し持つ主婦:十和子(沢尻エリカ)・・・。クセ者ぞろいの億男たちを渡り歩く“地獄めぐりに”翻弄される一男。お金、友情、そして家族。すべてを失った男が最後にたどり着くのは?お金とは何か?幸せはどこかー詳細映画『億男』公開日:2018年10月19日(金)監督:大友啓史脚本:渡部辰城、大友啓史出演:佐藤健高橋一生、黒木華、池田エライザ/ 沢尻エリカ、北村一輝、藤原竜也原作:川村元気著『億男』主題歌:BUMP OF CHICKEN「話がしたいよ」
2018年03月08日●友情を超えた、眩しい絆の物語第57回小学館漫画賞一般向け部門を受賞し、「このマンガがすごい! 2009オンナ編」第1位に輝いた小玉ユキの漫画『坂道のアポロン』が実写映画化され、3月10日より公開される。長崎・佐世保を舞台に、孤独な青年・薫(知念侑李)が札付きの不良と恐れられるクラスメイト・千太郎(中川大志)と、心優しいクラスメイト・律子(小松菜奈)と出会い、ジャズを介して心を通じあわせていく。メガホンをとった三木孝浩監督は、恋愛映画の名手としても知られているが、今回は薫と千太郎の友情が物語を動かしていく。知念、中川、小松という若手トップクラスの俳優陣や同作の見どころについて、三木監督に話を聞いた。○未成熟な人間がもがく姿を描きたい――恋愛映画のイメージが強い三木監督ですが、今回は薫と千太郎、2人の友情がメインなのかなと思いました。恋愛映画のイメージ、強いですか?(笑) 僕は、大きなくくりで「青春映画」が多いということなんだと思います。だから恋愛も青春映画だし、友情も青春映画なんですよね。「未成熟な人間が、自分のあるべき姿に向かってもがく」ところに美しさを感じるし、キャラクター達がすごく愛おしくなるので、描くのが好きなテーマです。もがく対象が恋愛のときもあれば、部活のときもあり、音楽や友情だったりもする。でも目指すものがそれぞれ違うだけで、根底には未成熟な人間の成長があります。――今回の『坂道のアポロン』では、これまで恋愛映画で使われていた手法を、2人の友情を描くときにもとられていたというお話でしたが。普通のラブストーリーに使う手法を、薫と千太郎の関係を描くときに応用したところはありますね。たとえば薫が千太郎を見る時の音楽や映像表現は、女の子が魅力的な男の子を見た瞬間の演出にしています。「強烈な魅力を放つ千太郎に、どんどん反発しながらも惹かれていく薫」という図を、一種のラブストーリーに見えてもいいかな、くらいの感覚で撮っていました。というのも、この作品は単なる友情の話ではなく、それぞれが奥底に孤独を抱えながら、「独りじゃない」と思わせてくれる相手に出会う物語だからなんです。薫と千太郎が音楽を通じて「自分がここにいていい」という証明を見つけて、互いに存在理由を見出していく。その友情を超えた結びつきは、律子の目線で見るとすごくうらやましく感じるし、映画を観た方が「その中に入りたい」と思ってくれたら、世界観が描けているということなのだと思いました。――夜の教会に2人で並んでいるところや、2人で坂道を駆け下りていくところなど、あまりにもまぶしすぎて……。手を取ってダッシュするって、映画『卒業』のような駆け落ちパターンですからね(笑)。しかも笑顔で駆け下りていく。でも、薫と千太郎だったら「そうだよな」と納得してしまう感じがありますし、観客の方にも愛おしく見えたらいいなと思いました。●期待以上の演奏シーンに、監督もキュンキュン○律子のキュートさは小松菜奈ならでは――一方で、律子と薫もキュンとするシーンが多くて、糸電話のシーンやキスシーンも素敵でしたよね。糸電話も、昭和の時代設定だからこそ描けるアナログ感でしたね。電話も携帯ではなく家の電話ですし、なかなかコミュニケーションを取れない難しさがある。でも顔を見合わせることがやっぱり一番のコミュニケーションというところが、この時代を描く面白さだったりもしますし、今までにない空気感を出せたのですごく楽しかったです。――出演者の方も少しレトロポップ感のある顔立ちなのかなと思いました。特に菜奈ちゃんは、60年代のファッションがすごく似合うんですよ。元々、モデルもやっているので何でも似合うんですけど、あのキュートさは、なかなか出せない。やっぱり、菜奈ちゃんだなと思いました。――三木監督は、映画を観てキュンとしたりするタイプなんですか?めちゃめちゃします(笑)。もう、キュンキュンしてますね。――撮影中もキュンキュンされているんですか?かなりしています(笑)。でも今回何が一番キュンと来たかって、完成披露のときの舞台挨拶かな。その場でピアノを演奏した知念くんと、ドラムを演奏した大志くん、2人の目線が合った瞬間は、もうキュンキュンしました。映画の演奏シーンも、千太郎と薫が「よしいくぞ!」と目を合わせたり、相手の演奏を見て「すごいな」と笑顔になっていたりする瞬間、2人は笑顔なのに、観ているこっちは泣けてくるんです。彼らが音楽を演奏している姿を見て、孤独を抱える2人が本当に幸せそうな表情をしているところが、やっぱりグッときました。演奏シーンでは互いの目線を撮るときに、2つのカメラでそれぞれ顔に寄っていたんですが、モニターを並べて見ていたら、「これだけ演奏を練習してきたけど、もう、表情だけでシーンが成立するんじゃないか?」という気持ちになりました。これまでの準備や練習があって、感情も高めて来たからこそ、この表情が出来るんだなと思いました。表情だけで2人のすべてが伝わる、それくらいの演技をしてくれたんです。○アニメ版に刺激された――映画を拝見しても、よくあの演奏を……とびっくりしました。やはり演奏シーンはすごく大事に撮られていたんですか?原作も素晴らしいですし、僕も元々アニメ版を観ていたので、文化祭のシーンのすごさは身に染みていました。プレイヤーの動きをトレースして、もはや音楽が流れていなくても音の伝わるようなアニメーションになっていて、すごいと思っていたのに、それを自分が撮らなきゃいけない。これを実写でやるとなると、役者に相当負担がかかると思いました。実際に若い年代の俳優さん達がやらなければいけないと考えると、最初は「それは無理じゃないかな」と、思ったくらいです。でも目標としては、遜色ないものを作りたかったですし、特にこだわって作った部分でした。――演奏シーンをプロの方の吹き替えにしようと考えたりはしなかったんですか?最初は、手元はプロのプレイヤーに任せるという選択肢もあるのかな、と思いました。でもこちらの想像以上に、2人が演奏曲を完璧にトレースできていたので、もう本当に、感動しましたね。嘘をつかなくてすむというのは、監督として本当に幸せな事です。本人が演奏しているというリアリティがあるからこそ、感動できるというのは大きいです。■三木孝浩1974年生まれ、徳島県出身。これまでに、いきものがかり、FUNKY MONKEY BABYS、YUI、ORANGE RANGE等、数多くのPVやライブ映像、TVCM,ショートムービーなどを手掛け、MTV VIDEO MUSIC AWARDS JAPAN 2005 最優秀ビデオ賞、カンヌ国際広告祭2009メディア部門金賞などを受賞。2010年に『ソラニン』で長編映画監督デビュー。以降、『僕等がいた』(前篇・後篇/12)、『陽だまりの彼女』(13)、『ホットロード』(14)、『アオハライド』(14)、『くちびるに歌を』(15)、『青空エール』(16)、『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』(16)、『先生!、、、好きになってもいいですか?』(17)などがある。(C)2018 映画「坂道のアポロン」製作委員会 (C)2008 小玉ユキ/小学館
2018年03月07日美女とクリーチャーのラブストーリー、映画『シェイプ・オブ・ウォーター』。本作のメガホンをとったギレルモ・デル・トロ監督にお話を聞きました。モンスターと美女が結ばれてもいい。幼いころの願いを成就させました。「とてもスイートな物語でしょう。僕の最高傑作だよ」インタビュールームにやってきたギレルモ・デル・トロ監督が満面の笑みで放った第一声だ。自信満々な最新作『シェイプ・オブ・ウォーター』は、政府の極秘研究所で清掃員として働くイライザ(サリー・ホーキンス)と“クリーチャー”(不思議な生物)とのラブストーリーだ。主人公が二人とも言葉を話せないというトリッキーな仕掛けが、ギレルモ監督らしい。「現代人は感情をないがしろにしがちだから、そこに一石を投じたかった。サリーはあらゆる感情を瞳だけで表現できる素晴らしい女優です。クリーチャーを演じたダグ・ジョーンズは20年来の友人で、過去6作でもコラボしています。特殊メイクを身につけてきちんと演技ができる数少ない役者のひとりです」発話障害の女性とクリーチャーが紡ぐ愛情が、観客の心をエモーショナルに揺さぶるのは間違いない。「種を超えて惹かれあう二人ですが、その精神的な結びつきにこそ美しさがあります。イライザが隣人に『彼(クリーチャー)はあるがままの私を見てくれる』と手話で説明する場面があります。相手をそのまま受け入れることこそが愛なのです」実はギレルモ監督、6歳の時に観た『大アマゾンの半魚人』の結末に憤り、本作でそれを正したかったとか。「幼かった僕は半魚人に感情移入し、モンスターと美女が結ばれてもいいと思った(笑)。この映画は愛についての物語で、シェイプ・オブ・ラブと言ってもいい。道教では『生命は流れである』と教え、ブルース・リーも『水のようであれ』と言ってる。水はとても強い。自由自在に形を変えながら、岩も金属も破壊しますからね。愛も同様。決まった形はないけれど、何よりも強く、障害を軽々と超えます」物語の時代設定は1962年だが、トランプ大統領によって分断された現代と重なる部分も多い。「この映画は、今のアメリカに対する僕の批判でもあります。映画を観た人が政治はもちろん、社会問題やさまざまな差別、人間感情について考えるきっかけとなってくれるといいと思います」ギレルモ・デル・トロ監督1964 年、メキシコ生まれ。『クロノス』(‘93)で長編監督デビューし、『パンズ・ラビリンス』(‘06)でアカデミー賞脚本賞候補に。永井豪や押井守の熱狂的ファン。冷戦下、極秘研究所で働く孤独なイライザは、アマゾンで捕獲された生物と心を通わせ…。出演/サリー・ホーキンス、マイケル・シャノン、R・ジェンキンスほか3月1日よりTOHOシネマズ シャンテほか全国公開。(C)2017 Twentieth Century Fox※『anan』2018年3月7日号より。写真・内山めぐみインタビュー、文・山縣みどり(by anan編集部)
2018年03月06日アイドルグループ・Kis-My-Ft2の藤ヶ谷太輔が5日、主演舞台『そして僕は途方に暮れる』 の公開フォトコールに登場し、前田敦子、中尾明慶、板尾創路とともに取材に応じた。同作は演劇ユニット・ポツドールの代表で、映画監督としても活躍する三浦大輔によるオリジナル新作。自堕落な生活を送るフリーター・菅原裕一(藤ヶ谷)は、恋人、後輩、家族を芋づる式に裏切り、あらゆる人間関係から逃げ続けるが、家族から逃げていった父に出会い変わっていく。裕一はなぜ逃げ続けたのか、最後にどのような決断をするのか。フォトコールでは、藤ヶ谷と中尾の"生着替え"シーンも披露された。すべてから逃げる男を演じ、レポーターからも「観ていてムカついた」と言われると、藤ヶ谷は「作戦通りですね。三浦さんにいろいろ鍛えていただいたのが出てたのかなって、自信になりました」とニヤリ。藤ヶ谷が演じた裕一は三浦、前田が演じる恋人の里美は三浦の彼女がモデルになっているというが、藤ヶ谷は「稽古中も話し方とか姿勢が感じを盗みつつ、わからないことも聞いて、リアルな話を聞けた」と振り返った。Kis-My-Ft2のメンバーで"裕一ぽい人"を尋ねられると、悩んだ末に「やっぱ宮田(俊哉)さんあたりは、本当は心で思ってることと違っても『いいね!』って言って、その後に『良くない』って顔をしてる。たまにテレビとか見てても、『ははは』と言って、目が笑ってない時がある」と暴露し、「多少参考にしましたね」と明かした。また、以前に舞台で共演経験がある中尾は、藤ヶ谷について「すごくいい匂いがする座長ですね。とてもいい香りがして」と笑顔を見せる。「甘い匂いがするんですよ。こんな甘い匂いする座長は初めてなので、後半ちょっと友達同士で抱き合うシーンがあるんですけど、その匂いを楽しみに頑張ってます」と裏側について話した。中尾から「前回よりも舞台を楽しそうにやられてるなという印象があります」と言われた藤ヶ谷は、「この前は、ストレートプレイが初めてだったので、悔しさしか残らなかったですね。できないことばかりで。今回は楽しみながら」と成長を見せた。東京公演はBunkamuraシアターコクーンにて2018年3月6日~4月1日、大阪公演は森ノ宮ピロティホールにて4月9日~15日。
2018年03月06日元AKB48のメンバーで女優の前田敦子が5日、藤ヶ谷太輔主演舞台『そして僕は途方に暮れる』 の公開フォトコールに登場し、中尾明慶、板尾創路とともに取材に応じた。同作は演劇ユニット・ポツドールの代表で、映画監督としても活躍する三浦大輔によるオリジナル新作。自堕落な生活を送るフリーター・菅原裕一(藤ヶ谷)は、恋人、後輩、家族を芋づる式に裏切り、あらゆる人間関係から逃げ続けるが、家族から逃げていった父に出会い変わっていく。裕一はなぜ逃げ続けたのか、最後にどのような決断をするのか。座長の藤ヶ谷について、前田は「すっごい真面目だし、距離感をすごく考えてもらっているので、難しいですよね。あんまり仲良くないです。今」と笑顔で語る。祐一に裏切られる恋人を演じているため「あんまり普段からペラペラ喋るのはなんか違う気がする」と心境を明かし、「観てもらうと分かりますが、藤ヶ谷さんはずっと舞台にいるので、コミュニケーションどうこうより、役でどういう距離感でいるのかが一番なのかな。知りすぎない方がいい気がする」と真意を説明した。それぞれの人物が藤ヶ谷と対峙するような構成に、藤ヶ谷は「全員のシーンも全然ないんですよ」と解説し、「仲悪いとかではないんですよ。でも三浦さんからも『僕が出す空気が静かすぎるからこうなっちゃうのか、1日だけ盛りあげようか』と相談されて。『多分、無理なさらないほうがいいんじゃないですか』というお話もしました」と様子を語った。板尾は「シーンとしてます。(自分が出番のない時に)何回も居眠りした」と驚きの発言の一方で、演技に当たっている俳優陣は「すごい集中してる」と雰囲気を表した。
2018年03月06日日本・キューバ合作の音楽ドキュメンタリー映画『Cu-Bop across the border』。東京・シネマート新宿にて、3月10日(土)・11日(日)に先行上映、3月18日(日)より一般上映される同作の上映後トークゲストが決定した。【チケット情報はこちら】同作監督の高橋慎一とトークを展開するのは、音楽家・文筆家の菊地成孔(3月10日(土))、音楽評論家の柳楽光隆(3月11日(日))、映像制作集団「空族」メンバー・映画監督の相澤虎之助(3月21日(水))、映画監督の阪本順治(3月23日(金))の4組。2015年に渋谷のミニシアター、アップリンクで限定上映として公開がスタートし連日ソールドアウト。その後も追加上映が何度も組まれ、音楽ドキュメンタリーとしては異例の半年間にわたるロングランヒット作となった『Cu-Bop Cuba New York Music Documentary』。困難に直面しながらも、それをものともせずに、自分の音楽を演奏し続けるセサル・ロペス、アクセル・トスカなどキューバのミュージシャンたちを記録し、話題を呼んだ。今回公開される『Cu-Bop across the border』は、『Cu-Bop Cuba New York Music Documentary』公開後、激変するキューバ/米国情勢を踏まえ、入念な再撮影と再編集を施したもの。前売チケットは発売中。
2018年03月05日シンプルで質のいいものと向き合い続けてきた〔無印良品〕。そのブックセレクト〔MUJIBOOKS〕から、新たに文庫本シリーズが発売されました。〔無印良品〕らしく、インテリアにも馴染むシンプルなデザインの文庫本たちは、いったいどのようなコンセプトや特徴を持っているのでしょう?「ずっといい言葉と。」『茨木のり子』(著者:茨木のり子発行元:株式会社良品計画価格:税抜500円)〔無印良品〕が展開する〔MUJIBOOKS〕は、「ずっといい言葉と」をコンセプトに掲げた本のセレクトショップ。創業以来、モノ本来のすがたを、「素」となる少しの言葉で伝えてきた〔無印良品〕。今回誕生した〔MUJIBOOKS〕の文庫本たちには、そんな〔無印良品〕が古今東西の書物から集めた「素の言葉」「ずっといい言葉」が詰まっています。「人と物」をつなぐ本たち左から順に、●『柳 宗悦』(著者:柳 宗悦発行元:株式会社良品計画価格:税抜500円)●『花森安治』(著者:花森安治発行元:株式会社良品計画価格:税抜500円)●『小津安二郎』(著者:小津安二郎発行元:株式会社良品計画価格:税抜500円)〔MUJIBOOKS〕の文庫本では、職業のジャンルを問わず「くらしを見つめた文筆家」を取り上げ、複数の短編や写真などを集めて1人1冊の仕立てに編集しています。2018年2月現在、発行されている文庫本は全6冊(『人と物1〜6』)。「人と物」第一弾では「くらしを考える仕事、三者三様」をコンセプトに、『柳宗悦』『花森安治』『小津安二郎』の3タイトルが登場。いずれも、美術評論家、雑誌編集長、映画監督と、それぞれの立場から「くらし」を見つめた人物です。左から順に、●『佐野洋子』(著者:佐野洋子発行元:株式会社良品計画価格:税抜500円)●『茨木のり子』(著者:茨木のり子発行元:株式会社良品計画価格:税抜500円)●『米原万里』(著者:米原万里発行元:株式会社良品計画価格:税抜500円)第二弾は「くらしを味わう言葉、三者三様」がコンセプト。絵とことば、詩やエッセイ、翻訳された言葉など、さまざまな形で言葉と向き合った『佐野洋子』『茨木のり子』『米原万里』の3タイトルとなっています。シンプルなデザイン中には文章だけでなく、本人の写真や系譜、原稿の写真なども数多く掲載されています。〔MUJIBOOKS〕の文庫本は、〔無印良品〕らしいシンプルでおしゃれなデザインが特徴。クリーム色の表紙と、クラフト紙のような素材の帯がやさしい印象です。読み終わったら、インテリアとして飾ることもできます。本棚の中はもちろん、机の上、飾り棚の上など、いろんな場所になじんでくれそうです。〔MUJI BOOKS〕で、本のある毎日を。コンセプトやデザインなど、さまざまな箇所に〔無印良品〕らしさが散りばめられた〔MUJIBOOKS〕の文庫本。読書好きの方も、普段あまり本を読まないという方も、ぜひ一冊手に取ってみてはいかがでしょうか?あなたの暮らしを豊かにしてくれるような、「ずっといい言葉」と出会えるかもしれません。女子にとにかく優しい! 無印良品のアトレ恵比寿西館を徹底リサーチ
2018年03月05日細田守監督3年ぶりの監督作となる、映画『未来のミライ』が、2018年7月20日(金)より全国東宝系にて公開される。細田守監督が描く“きょうだい”物語『時をかける少女』『サマーウォーズ』『おおかみこどもの雨と雪』、そして『バケモノの子』と日本を代表するアニメーション作品を世に送り出してきた細田守。ヒットアニメーション映画を続々と作り出す細田監督は、国内のみならず海外でも注目を集める人物だ。新作『未来のミライ』 は、『バケモノの子』同様、細田自らが原作・脚本を担当。すでに88の国と地域で公開が決定しており、第71回カンヌ国際映画祭では、1,609本もの応募作品の中から選ばれ「監督週間」として世界初の上映を行った。全20の作品の中で、アニメーション作品が選出されたのは、細田監督のみ。改めて細田守という名を世界にとどろかせた。甘えん坊の男の子と未来からやって来た!?妹が時をこえる旅へ細田守監督3年ぶりの新作は「きょうだい」の物語だ。主人公のくんちゃんは、両親の愛情をいっぱい受けて育った4歳の甘えん坊の男の子。しかし、くんちゃんに妹が出来るとその生活が一変する。生まれたばかりの妹に両親の愛情を奪われ、初めての経験に戸惑うくんちゃん。そんな彼のもとにやってきたのは、自分のことを「おにいちゃん」と呼ぶ不思議な少女“ミライちゃん”だった。未来からやって来た妹・ミライちゃんに導かれ、時をこえた家族の物語へ旅立つ。それは小さなお兄ちゃんの大きな冒険のはじまりだった。細田守監督にインタビュー公開に先駆け、細田守監督にインタビューを実施。最新作『未来のミライ』の制作秘話や作品にかける思いについて話を聞いた。Q.映画『未来のミライ』で細田監督が目指したストーリーはどんなものでしたか。様々な人が自分の子供時代を思い浮かべたり、自分の身近な家族を思い浮かべながら見る作品。ストーリー展開を子供の視点から描く作品は過去にないので描いてみたいと思いました。Q.そのきっかけ何でしょうか。それは息子の一言でした。ちょうど息子が3歳。下の子が生まれた時期でした。毎朝、僕は息子に聞くんです。「今日はどんな夢をみたの?」って。あるとき「大きくなった妹に会ったよ」って息子が言ったんです!いつもは「電車に乗ってた」とか言うのに…「妹が大きな赤ちゃんになっちゃったの?」と聞いたら「違う、お姉ちゃんになった」って。自分の妹の成長した姿に会ったって言うんですよ。「え、面白い!」って驚いて。妹はまだ小さな赤ちゃんなので、どんな女の子になるかも分からない時期です。なんか将来の娘に会ってみたいじゃないですか。夢を見た息子を本当に羨ましく思いました。Q.息子さんの夢をきっかけに作品制作を始めたのですか。はい。そこから想像し始めたのが始まりです。息子に「大きくなった妹と会って何したの?」って聞いたら、そこはいつもの回答で「一緒に電車に乗った」って答えるんですよ。「あ~やることは変わんないんだな」って思いながらこのエピソードも劇中に取り入れました。奥さんにその話をしたら「え、でも私はまだ小さいままがいいな…」って言われてしまい、この言葉もセリフとして取り入れました。Q.お子さんの夢から広がっていったんですね。ただ始めてみると、幼児の男の子を主人公にするってことはとてもチャレンジングでして…。そもそもなんですが、男の子の幼児を主人公にした作品というのは、世界の映画史の中を探してもあまりないんですよ。『クレヨンしんちゃん』は5歳児なんですが、それぐらいしかないです。逆に、主人公とは少し違いますが、メインキャラクターではある『となりのトトロ』のメイちゃん、ほかには『ミツバチのささやき』のアナ・トレント、『ロッタちゃん はじめてのおつかい』のロッタちゃんなど女の子の幼児が主人公の映画はあるんですよね、面白いことに。そういう点からスタッフも当然不安がる。主人公は4歳の男の子と話したときなんて、誰が見るんですか?無謀だ、挑戦的だ、子供が見るんですか?とか言われてしまいました。Q.意外ですね。そうなんです。アニメーションで子供や幼児を描くのって普通だと思いません?これが意外と普通じゃない。実はここ最近、アニメーションで子供を描いている作品なんてほとんどないんです。よもや、主人公になっている作品なんてもってのほか。ともなると、現場も忘れるくらい幼児を描いていないので、子供を描ける人がいない。もちろん脇役で子供が登場することはあります。例えば僕の作品では『サマーウォーズ』『おおかみこどもの雨と雪』などには幼児が登場していることはありました。でも、主役で描くことがいままでになくて現場も対応できない。なので、子供を観察するところから始めました。幼い子供たちをスタジオに連れていってスケッチをして、抱っこして重さや柔らかさを確かめたり。それはキャラクターデザインを描くときや作画がはじまったときなど、何度か行いました。たとえば劇中で階段の昇り降りをするシーンがあるのですが、そのシーンを描くアニメーターが、スケッチブックを構えて階段を降りる子供の姿を観察することもありました。Q.描くのさえ難しい4歳児の世界をどう広げていきましたか?4歳の男の子にとって家の中というのは、彼のほぼ全てじゃないかって思ったんです。そこから家1軒と庭1つで映画を作るという試みを行いました。4歳の男の子は幼稚園には行っていますが、まだ社会生活第1歩目を踏み出したくらい。その歳の子って1歳で大きく変わっていて、4歳より幼い年少さんだと自分のことばっかりでどこにいても一人で遊んでいる。年長さんだとだんだん社会性のある行動をするようになる。でも年中さんはそのちょうど間。微妙な4歳の時期を想像すると、彼の世界は家が中心だなと感じて。そこで、家の中そのものを主人公・くんちゃんの世界であるというように表現するといいんじゃないかなって思ったんです。家からほとんど出ない、家1軒と庭1つで映画を作るという試みそのものも過去に例がなくて、面白いかなって思い浮かびました。Q.確かにくんちゃんの家は傾斜があり個性的なデザインですよね。実際に本当の建築家さんに設計してもらったんですよ。普通だったら、美術監督が美術設定として考えたりすることが多いのですが、自分が家を購入するつもりで、予算はこのくらいで、とかリアルなところまでオーダーしながら作ったんです。なので、映画に登場する家は実際に建てようと思えば建つんです。Q.家のデザインでこだわった点は?新しい家族にふさわしい新しい家にすること。『未来のミライ』では、子育ての方法を含めていまの時代の新しい家族を描いているので、平屋のような伝統的で昔ながらのデザインは取り入れていません。段差を使って家の構造を仕切り、壁をなくす。壁がないので、どこにいても家族みんなのことが見える。主人公くんちゃんの子供部屋は1番下にあるんですが、そこから見上げると他の部屋が見える。4歳の子供が走り回って冒険できるような家にしたいと思って作りました。Q.表現的なことですが段差というキーワードは、細田監督のこれまでの作品に通じるところがありますよね。『時をかける少女』もそんなシーンが印象的に思えました。段差・斜面っていうのは映画にとって重要な要素です。例えば平地だと成り立たない、坂道がないところじゃないと物語が組めないことがしばしばあります。高低差がダイナミックな空間を生み出す。そこに映画的な力が宿ると思うのです。『未来のミライ』では、家はもちろん未来の東京駅のシーンでも段差の要素を取り入れています。地下ホームまでだーんと下がって上がるっていうのも、上下の関係を使った映画的な表現。上にいったかと思えば実は下がってた、そういう要素をどのように使うかというのも監督の腕の見せ所といいますか…。それが分かって頂けたのかカンヌ映画祭・監督週間の上映では、映画の美学みたいのを持ち込んでいるんですねって声をかけていただきました。Q.段差以外に『未来のミライ』でこだわったポイントはありますか。過去の作品では、群像劇とまでは言いませんが、平行していくつかのストーリーが進み、時間とともに話が繋がっていくという流れを作っていたのですが、今回は作品を5つパートに分けました。1番最初は犬のゆっこの話、2番目は妹のミライちゃん、3番目はおかあさん、4番目はおとうさん、最後は自分の話って、家族5人にそれぞれにフォーカスを当てた5つの話を作ってあげたいなって思ったんです。一人ひとりのストーリーを一巡すると、だんだんくんちゃんそのものが変化していく様をみせられたらいいなと思って。特に、1番最後に自分の話に立ち返るっていうのがポイントです。Q.『未来のミライ』で伝えたいテーマは何でしょうか。小さな子供と一緒に過ごす喜びをこの映画を通して味わって欲しいと思います。いま社会っていうのは子供から遠ざかっている気がしていて、少子化の影響もあると思いますが、子供のことをあんまり考えない環境、社会じゃないかと感じていて。でも僕は、子供と過ごす時間や人生、そして子供と過ごす社会っていうのは、すごく大事で得るものが多いんじゃないかと思います。いま子育てをしていて感じるんですけど、小さい子供と過ごしていると、もう一回子供時代を生き直している気持ちになるんです。それは自分の時間がなくなる、お金がかかるとか世間で言われているマイナスな要素を補っても余りあるほどのもの。もっと社会全体が子供を意識して、社会の中に子供がいることを幸せに感じること、そんな幸せがあることを忘れない方がいいと思います。映画を通して、小さな子供と一緒に過ごす喜びを味わって欲しい。僕が子育てで体験していることと同じようなことを観客の皆さんにも体感してもらえるんじゃないかと期待しているんです。上白石萌歌&黒木華が「きょうだい」役に主人公・くんちゃんの声を担当するのは、映画・ミュージカル・CMなど幅広い活躍をみせる新進気鋭の若手女優・上白石萌歌だ。当初ミライちゃんのオーディションを受けていた上白石だったが、細田監督の提案でくんちゃんの声に挑戦。見事に初主演の座を射止めた。また、未来からやってくる妹・ミライちゃんを黒木華が務める。黒木はこれまでも『おおかみこどもの雨と雪』『バケモノの子』と細田作品に出演しており、今回が3度目。時を越えてやってきた妹を魅力たっぷりに演じきる。くんちゃんとミライちゃんのおとうさん役には星野源、おかあさん役には麻生久美子を起用。くんちゃんのばあば役を宮崎美子、じいじ役を役所広司が、そしてくんちゃんが出会う謎の男を吉原光夫が担当する。福山雅治、アニメーション映画へ初の本格出演主人公くんちゃんが時をこえた旅先で出会うキーパーソンには、福山雅治が抜擢。福山のアニメーション映画への本格的な出演は、本作が初となる。細田と福山は、かねてから親交があったが共演は初めて。キャスティングが難航していたこの青年役のイメージに、福山の人間性がぴったり当てはまっていると感じたことから細田監督自らオファーをしたという。オープニング&エンディングテーマに山下達郎オープニング&エンディングテーマを手掛けるのは、山下達郎。細田守とは『サマーウォーズ』以来9年ぶり2度目のタッグとなる。山下達郎自身、映画のオープニングと主題歌の2曲を手掛けるのは初めての試み。オープニングは、アップテンポのポップチューン「ミライのテーマ」、エンディングは切ない曲調の「うたのきしゃ」で山下達郎の歌声が、観客を物語へより深く引き込んでいく。ストーリーとある都会の片隅の、小さな庭に小さな木の生えた小さな家。ある日、甘えん坊のくんちゃん(4歳)に生まれたばかりの妹がやってきます。両親の愛情を奪われ、初めての経験の連続に戸惑うくんちゃん。そんな時、くんちゃんが出会ったのは、未来からやってきた妹、ミライちゃんでした。このちょっと変わったきょうだいが織りなす物語。それは、誰も観たことのない、小さなお兄ちゃんの大きな冒険の始まりでした―。【作品詳細】『未来のミライ』公開日:2018年7月20日(金)より全国東宝系監督・脚本・原作:細田守作画監督:青山浩行、秦綾子美術監督:大森崇、髙松洋平プロデューサー:齋藤優一郎企画・製作:アニメーション映画制作会社 スタジオ地■原作小説『未来のミライ』 560円+税著:細田守発売日:2018年6月15日(金)発行:KADOKAWA 角川文庫刊※児童文庫レーベルの角川つばさ文庫からは6月30日(土)に発売予定、ライトノベルレーベルの角川スニーカー文庫からは7月1日(日)に発売予定。■主題歌:山下達郎「ミライのテーマ/うたのきしゃ」1,000円+税発売日:2018年7月11日(水)<収録曲>M1:ミライのテーマ、M2:うたのきしゃ、M3:僕らの夏の夢(Acoustic Live Version)、M4:ミライのテーマ(Original Karaoke)、M5:うたのきしゃ(Original Karaoke)
2018年03月05日北川景子(31)が3月2日、「あさイチ」(NHK総合)に出演。“自暴自棄だった”という下積み時代について語った。 06年に公開された映画「間宮兄弟」で映画デビューを果たした北川。しかし同作のオーディションを受けるまで、100本近く“落選”したそうだ。北川は当時を回想する。 「また今日もダメなんだろうな……って思って。いま思えば自暴自棄になっていたのかも」 同作のオーディションにも「どうせダメだから」という投げやりな気持ちで挑戦していたことを明かした。 「自己アピールとかはほとんどしなかったですね。そこでアピールした方が受かるとか思ってやっててもずっと無駄だったから、自分らしく、私はこういう人間です!みたいな感じで」 実は北川が自暴自棄だったのは“下積み”をしていたから、という理由だけではない。08年8月、雑誌のインタビューで明かしている。当時の北川はまだ学生であり、「あと1回休んだら単位を落としてしまいそうな、大事な授業があった」そうだ。しかし事務所に勧められたので、大切な授業を休んでまで会場に向かったが――。 「(オーディションの)時間がすごく延びていて、授業を受けた後に来ても間に合う時間だった(笑)」 「授業を受けておけばよかった」という後悔で“自暴自棄”になってしまったそうだ。 オーディションが始まってからも「ブルー」だったという北川。森田芳光監督(享年61)から「『俺のこと誰だか分かる?』って聞かれても、『分かりません。私に自己紹介してください』みたいな受け答えをしてしまった」と明かしている。しかし監督は「森田です」と答えたそうだ。 「『君は何で今、不機嫌なの』って(笑)。脚本について意見を聞かれて、『この役は私じゃないと思います』って言ったら別の役(“夕美”役)をやることになったんです」 北川はそれ以来「『この子だったら合う』って、“人”としてキャスティングしてくれた」と、森田監督を尊敬するようになったそうだ。 「そうやって幅広くキャスティングしてるから、本当に映画を愛してるんだなって」 「あさイチ」でも森田監督との出会いが、仕事を続ける動機だと語った。 「親とか家族だけじゃなくて、森田監督にも成長した姿をお見せしたいと思うようになれた。出会えたことは大きかった。このために(オーディションに)落ち続けたんだと思いました」
2018年03月02日平日昼の帯番組「バイキング」など民放で7本のレギュラーを抱えるタレントの坂上忍(50)だが、4月からさらに忙しくなる。 まずTBS系で昨年2回にわたり放送されたHKT48の指原莉乃(25)とMCをつとめる「坂上&指原のつぶれない店」、そのレギュラー放送がスタートする。そしてフジでは、3月で終了する「とんねるずのみなさんのおかげでした」の後番組を任されることになったのだ。 「TBSは、何をやっても外れる激戦の日曜午後8時枠の立て直しを坂上さんに託しました。またフジは女性向けの番組で、こちらも坂上さんの手腕にかかっています」(放送担当記者) 今でこそ売れっ子の坂上だが、00年代は本業だった俳優業とキッズプロダクションの運営をしていた。子役の発掘・育成に力を入れていた。 だが、12年に状況は一変。当時放送されていた昼の帯番組「笑っていいとも!」内のコーナーに出演した際、「ブスは嫌い」と毒舌を吐いたことがきっかけでバラエティー番組で引っ張りだこに。その後もバラエティーで顔が売れると、今度はMCの仕事が舞い込んだのだ。 「坂上さんの毒舌を吐くようになったのは、実は01年に映画監督の相米慎二さんの影響なんです。役者を辞めることも考えた時期に相米さんから『お前は宇宙人だ、何を考えているのかわからない』などと言われ、『じゃあ、言いたいこと言えばいいんだ』と吹っ切れたといいます。相米さんはいわば、坂上さんの“恩人”。今では『坂上さんぐらい毒舌を吐ける芸能人はなかなかいない』と重宝されていますよ」(テレビ局関係者) 天国の相米監督も、坂上の大ブレーク喜んでいるはずだ。
2018年03月02日3月2日(金)今夜の日本テレビ系「アナザースカイ」で、2月21日に急逝した俳優の大杉漣さんの韓国ロケの模様がオンエアされる。オンエアでは大杉さんが役者論が変わったという劇場や映画監督との再会などの模様が放送されるという。劇団活動からVシネマ出演などの長い下積み時代を経て、『ソナチネ』のオーディションで北野武監督に見出されたことが転機となり、その後『ポストマン・ブルース』『HANA-BI』などでその演技力が認められ、日本を代表する演技派俳優としての地位を確立していく。『BROTHER』や『アウトレイジ』をはじめとした北野作品の常連となったほか、『おかえり、はやぶさ』『土竜の唄 潜入捜査官REIJI』『シン・ゴジラ』など様々なジャンルの映画作品はもちろん、「相棒」シリーズの衣笠藤治役や最近では「お迎えデス。」「レンタル救世主」などのドラマまで幅広く出演。昨年からは「ぐるぐるナインティナイン」の“ゴチバトル”のレギュラーとしてバラエティー番組でも活躍。この2月から放送が開始されたドラマ「バイプレイヤーズ ~もしも名脇役がテレ東朝ドラで無人島生活したら~」の撮影中、急な病に倒れ帰らぬ人となった。日本映画界、ドラマ界に大きな足跡を残した大杉さんは、どのようにして名俳優へと駆け上がってきたのか。本番組では大杉さんが、人生を変えた想い出の韓国を訪れ、人生の節目で訪れた地を巡り30年前のどん底だった時代に訪れた劇場や、出演した韓国映画の監督と再会、当時の過酷な撮影をふり返る。大杉さん自身が思い出の地で振り返った人生とは?多くの人に愛された名優の軌跡を辿る「アナザースカイ」は3月2日(金)23時~日本テレビ系でオンエア。(笠緒)
2018年03月02日人間界とバケモノの世界を描き、大きな反響を呼んだ2015年公開の『バケモノの子』をはじめ、次々に大ヒットアニメーション映画を生み出すアニメーション映画監督・細田守の新作『未来のミライ』。このたび、ついに物語が動き出し、新たなキャラクターも登場する最新映像の予告編が公開された。高校生と田舎の大家族のひと夏のふれあいを描いた『サマーウォーズ』、2人の子どもを育てる母親と子の自立の姿を描いた『おおかみこどもの雨と雪』、ひとりぼっちの少年と師匠となる“バケモノ”との種族を超えた絆を描いた前作『バケモノの子』。誰もが共感できる普遍的なテーマを、時にリアルに、時にファンタジックに鮮やかにスクリーンへと投影してきた細田監督。3年ぶりの新作となる本作は、細田監督が自ら原作・脚本も担当。主人公の4歳の男の子・くんちゃんが、未来からやって来た妹・ミライちゃんと出会い、初めての体験を繰り返しながら成長していく姿を、細田作品ならではのファンタジーな世界を融合させながら描いていく。今回、新たに解禁された予告映像では、くんちゃんが未来からやって来たミライちゃんと出会うシーンをはじめ、近未来らしき巨大な駅のホームの景色が登場。さらに、耳と尻尾が生え(?)まるで犬のように楽しそうに走り回るくんちゃんの姿も。また、くんちゃんに話しかける謎めいた男性、ウインクを投げかける少女、そしてくんちゃんをバイクに乗せて走る青年など、新キャラクターも登場しているのが見てとれる。いよいよ始まる、小さなお兄ちゃんの不思議な大冒険。見たことのない世界、初めての体験、たくさんの出会い。時間も空間も超えてくんちゃんとミライちゃんが辿り着いた、その場所とは?どうしてミライちゃんは未来からやってきたのか――?まだまだ気になることが多い本作。今後の続報も楽しみにしていて。『未来のミライ』は7月20日(金)より全国東宝系にて公開。(text:cinemacafe.net)
2018年03月02日『感染列島』『64-ロクヨン- 前編/後編』『友罪』などを手掛ける映画監督の瀬々敬久と女優・菊川怜が、WOWOWで放送される「生中継!第90回アカデミー賞授賞式」のスタジオゲストに決定した。WOWOWでは、アメリカ・ロサンゼルスのドルビー・シアターにて行われる映画界最高峰の映画の祭典「第90回アカデミー賞授賞式」を3月5日(日本時間)に生中継。今回日本のスタジオゲストに決定した瀬々監督と菊川さんは、案内役のジョン・カビラと高島彩と共に、授賞式の模様を伝える。さらに、レッドカーペット・レポーターを務めるすみれが、アカデミー賞授賞式の会場に向かうスターたちの様子や生の声を届ける。瀬々監督は、「ハリウッドの動向は世界やアメリカの政治や社会との緊張関係の中に、いつもあったと思います。とりわけアカデミー賞はまさにアメリカの現代史、そのものである気がします。今年も、何か象徴的な選択が行われるのではないか、いまから心躍っています」と期待。菊川さんは、「毎回数々のドラマが生まれるアカデミー賞授賞式にいまからワクワクが止まりません」と心境を明かし、「役者の方々の素晴らしい演技、そして制作スタッフのチームワーク全てが一体となり、それが観る者、ひとりひとりの“こころ”を震わす映画に繋がるのは本当に素晴らしいことだと思います。当日はテレビの前の皆さんも一緒に盛り上がりましょう!!」とメッセージを寄せている。「生中継!第90回アカデミー賞授賞式」は3月5日(月)8時30分~WOWOWプライムにて生中継(同時通訳)、同日21時~字幕放送。「第90回アカデミー賞 直前予想」は3月3日(土)13時45分~ほか随時放送。(cinemacafe.net)
2018年03月01日フランシス・ローレンス監督とジェニファー・ローレンスが再タッグを組んだスパイ・アクション映画『レッド・スパロー』のニューヨークプレミアが2月26日(現地時間)に行われ、ジェニファーがまるで裸のようなセクシー衣装で登場した。ニューヨークのリンカーンセンターAlice Tully Hallにて行われた今回のプレミア。ジェニファーをはじめ、会場にはローレンス監督、ジョエル・エドガートン、原作者のジェイソン・マシューズらが駆けつけていた。本作では相手を悩殺するセクシーさと、巧みな心理操作を最大の武器に大国を手玉に取る罠を仕掛けるドミニカを演じたジェニファーは、ヨーロッパプレミアに登場したときのような、胸元と背中が大きく開いたセクシーなドレスとはまた違った、今回は胸元のデザインが際どく、シースルーのスカートといった挑発的な衣装で登場。そんなジェニファーにカメラマンからは「ジェニファー!」「Turning to the right!」「Turning to the left!」とたくさんの声掛け、そして大量のフラッシュがたかれ、報道陣を魅了していた。また、サウンドバイツに応えたジェニファーは「フランシスが監督でなければ、私はこの作品に出演できなかったわ。彼は長年の友人で、映画監督としても信用しているの。脚本を読んだとき、ダークで重厚なこの作品をユニークで、味わい深いものに仕上げることができる人はたった一人しかいないと思った。それが、フランシスよ」と本作への出演を決めた経緯を明かす。本作で演じたドミニカについては、「私には想像もできないような過酷な状況で生き延びなければならなかった。バレエや彼女の身体的や精神的な強さを理解することが、彼女を演じる上で訳に立つと思ったの。でも彼女は、わたしよりもずっと、ずっと、かっこいいのよ」と説明。また、生き延びることが本作のテーマだと語る彼女。「新しいことに挑戦したかったから、この作品は、スパイの姿、謀略の残忍さ、監視されることの不安感、暴力的なライフスタイル、を全く新しい視点で描かれることになると思った」とこれまでのスパイ作品とは一線を画すると述べていた。なお、本作は元CIA工作員という異色の経歴を持つジェイソン・マシューズによる同名小説を原作にした映画。原作者のマシューズ氏は、「フランシス・ローレンスがハイクオリティな作品に仕上げたと思う。作品の雰囲気はノアール映画のようで、刺激的で、感情に訴えてくる。CIAに姿もとてもリアルに描かれている」と本作を絶賛している。『レッド・スパロー』は3月30日(金)より全国にて公開。(cinemacafe.net)
2018年02月28日『ブラインド・マッサージ』『二重生活』などで国際的に知られる中国の名匠ロウ・イエ監督の新作映画『SATURDAY FICTION』(英題)に、日本から実力派オダギリジョーと「花子とアン」の中島歩が出演することがわかった。本作は、ロウ・イエが代表を務める制作会社YINGFILM、日本の映画制作・配給会社アップリンク 、ドイツのベルリンを拠点とする制作会社Achtung Panda!による国際共同制作作品。太平洋戦争開戦前夜、スパイが暗躍する上海を舞台に、上海租界(外国人居留地)に実在した「蘭心劇場」で巻き起こる愛と謀略の物語となる。オダギリジョー&中島歩、国際色豊かなキャストに参戦!主演は、『紅いコーリャン』『妻への家路』などで知られる中国を代表する女優コン・リー。共演には、ドイツから海外ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」ジャクェン・フ=ガー役のトム・ヴラシア、フランスからは『エディット・ピアフ~愛の讃歌~』のパスカル・グレゴリー、台湾から国民的人気俳優のマーク・チャオなど国際色豊かなキャストがずらり。そして、日本からは『南瓜とマヨネーズ』『湯を沸かすほどの熱い愛』や、キューバとの共同制作作品『エルネスト』に主演するなど、内外での活躍が目覚ましいオダギリジョー。さらに、NHK連続テレビ小説「花子とアン」で注目された中島歩が、海外の作品に初出演を果たす。コン・リーは香港から上海に戻った大女優、トム・ヴラシアはグランドホテルの支配人。パスカル・グレゴリーはコン・リー演じる女優の養父を演じ、マーク・チャオは「蘭心劇場」の支配人である舞台演出家に。オダギリさんは日本から来た暗号通信の専門家で、中島さんはその護衛にあたる人物を演じるという。ロウ・イエ監督からコメント到着「1941年、太平洋戦争開戦までの1週間は、中国、ヨーロッパ、アメリカ、アジアにとって全てが変わってしまう直前にあたります。また、その時代の上海はショー・ビジネスとスパイの世界が交差した特異な場所でした。この映画が描くのは、策略とロマンス、裏切りに満ちた二つの世界です」『SATURDAY FICTION』(英題)完成は2019年を予定。(text:cinemacafe.net)
2018年02月26日2月20日にシアタートラムで開幕した『岸 リトラル』。この舞台から発せられる熱量は何なのだろう──。父親の遺体を埋葬するために、旅に出た息子。現実と空想が入り混じり、生と死のはざまで国境も越え、時空をいともたやすく超えてしまう、荒唐無稽な物語の幕がおりたときの客席も巻き込んだ高揚感。『岸 リトラル』は決して万人に喜々として迎えられる芝居ではないかもしれない。が、死してなお息子に悪態をつく父親、息子の空想上の親友である騎士たちも含め、確かにそこには人間が存在する。研ぎ澄まされた深い愛を感じずにはいられない。 刺激的な3時間半の初日の舞台を終えた出演者は言う。舞台『岸 リトラル』チケット情報「旅が始まった!という気持ちです。『お客様が受け止めてくれている』『一緒に旅をしている』という実感が波のように襲ってきました。そして自分たちでは見つけられないゴールに、急に連れて行ってくれた感じがして、とても嬉しかった」と母親ジャンヌと歌う娘シモーヌ役の中嶋朋子。騎士ギロムランと映画監督、盲目の老人の3役をやり終えた大谷亮介は「ほぼ全員が何役も演じるので出ずっぱり、セットも入り組んでいるというハードな芝居をやりきったのは、いろんな感慨があります。特に抽象的なギロムランをどう演じるか、稽古場では苦労しましたが、でも実際に人間には現実だけでなく、頭のなかには空想が常にある。現実をただ辛く描くだけではないこの作品でも、必要な登場人物だと思って演じました」と。ほぼ出ずっぱりの息子役、亀田佳明は「明日またどういう風に挑めるか、ウィルフリードとしては、写し鏡のように相手役の方と向き合うことでしか演じられないと感じています。千秋楽までとにかく瞬間瞬間、高みを目指してウィルフリードとして存在していきたいです」と気持ちはすでに前へ。そして「しゃべる死者」である父、岡本健一は、「いまここに生きている自分たちへのメッセージを、この作品は伝えてくれるような気がしています。この登場人物たちは様々な人との出会いによって人生がいい方向に変わっていく。それと同じように、僕たちも上村くんが船頭となって導いてくれる船に、みんなで全身全霊を込めて信じて乗っかっていく」と、『炎 アンサンディ』でもタッグを組んだ上村聡史の演出力をたたえる。その上村は「難しいか難しくないかでいうと、難しい芝居かもしれないです。でも心地よい爽快感もあって、感覚的に伝わることが大事な作品でもありますので、最後のシーンでのお客様の反応を見て、それを受け取っていただけたのかなと感じています」ほかに、栗田桃子、小柳友、鈴木勝大、佐川和正も時に応じてひとり何役も演じ、レバノン出身の作家、ワジディ・ムワワドの誌的なセリフを劇場に響かせる。果たして父子は、魂の還る場所にたどりつけるのだろうか。3月11日(日)までシアタートラムにて上演、3月17日(土)に兵庫公演。
2018年02月26日映画『ラブ×ドック』が、2018年5月11日(金)よりTOHOシネマズ新宿ほか全国の劇場で公開される。鈴木おさむ初監督監督・脚本を務めるのは「ブスの瞳に恋してる」などの小説・エッセイの執筆や、『ハンサム★スーツ』、『新宿スワン』といった映画脚本を手掛けてきた鈴木おさむ。監督に挑むのは、『ラブ×ドック』が初となる。大人も楽しめるラブムービーをオリジナル脚本で作りたいという鈴木の熱い思いの下、恋愛クリニック"ラブドック"を舞台に、大人の女性たちに送るラブコメディが展開される。運命の恋を遺伝子で診断する恋愛クリニックアラフォー崖っぷちの主人公・飛鳥を取り巻くのは、妻がいる大人のカレ・淡井(吉田鋼太郎)、親友の千種(大久保佳代子)も恋する同世代のカレ・野村(玉木宏)、15歳も年の離れた年下のカレ・星矢(野村周平)といった、問題ばかりの<運命の相手>候補たち。悩める飛鳥の前に、運命の恋を遺伝子で診断する恋愛クリニック「ラブドック」の院長・冬木(広末涼子)とアシスタントの桜木(成田凌)が現れ、打てば危険な恋愛をストップできるという特別な薬を飛鳥に処方し…。様々なトラブルに浮き沈みし、友を失い、仕事を失い、恋をする度に惨めな気持ちになってしまう飛鳥の恋の行方を描く。吉田羊が映画単独初主演主役のパティシエ・剛田飛鳥を演じるのは、吉田羊。映画『SCOOP!』などでも存在感を放ち、『恋は雨上がりのように』や声優を務めた『空海―KU-KAI― 美しき王妃の謎』の公開を控える人気女優の、初単独主演映画となる。出会いは多くてもいつも上手くいかず、恋に仕事に悩みが尽きない等身大の女性像を演じるにあたり「不器用な飛鳥の、恋のドキドキ、チクチクを精一杯お届け出来るよう頑張ります」と意気込みを語っている。恋の相手は野村周平・玉木宏・吉田剛太郎飛鳥の運命の相手候補役には、各世代の色気を放つ俳優陣が集結。同じスイーツ店で働くひと回り以上年下の花田星矢には、『ちはやふる』シリーズや『ビブリア古書堂の事件手帖』で活躍した野村周平、秘密の不倫デートをするスイーツ店のオーナー淡井淳治には、数多くの映画に出演し『OVER DRIVE-オーバードライブ-』の公開を控える吉田鋼太郎。飛鳥の友人が通う整体ジムのトレーナー野村俊介は、『悪と仮面のルール』で主演を務めた玉木宏が演じる。恋愛を遺伝子レベルで操作するクリニック"ラブ×ドック"の謎めいた雰囲気を醸す魅惑の院長・冬木玲子に広末涼子、そのクリニックで働くアシスタント・桜木美木に成田凌など豪華キャストが脇を固める。また、飛鳥の親友であり未婚のシングルマザー・人気グルメブロガーの細谷千種には大久保佳代子がキャスティングされた。さらに、飛鳥が経営するスイーツ店で働く上田美咲役には、2018年晩夏公開予定の映画『寝ても覚めても』でヒロインに抜擢された唐田えりか。卓球BARの店長役には邦画初出演となるCHEMISTRYの川畑要、淡井の経営するスイーツショップのパティシエ役には『孤狼の血』の公開を控える音尾琢真がそれぞれ出演する。加藤ミリヤが主題歌を書き下ろしミュージックディレクションと主題歌は、加藤ミリヤが担当。鈴木おさむ監督からの直接のオファーを受け、書き下ろされた主題歌『ROMANCE』には「いつになっても”ロマンス”を忘れない・追い求めるべき」というメッセージが込められている。公開に先駆け5月9日(水)よりリリースされるニューシングルのミュージック ビデオでは、”コンテンポラリーダンス”を躍る総勢50名のダンサーが出演。不規則で特徴的な踊りを踊りながら、加藤ミリヤ本人を囲む独自の世界観が広がる映像となっている。ストーリーとあるところに存在する恋愛クリニック「ラブドック」。そこは恋愛体質の人にこそ、意味のある場所。ある日訪れたのは人気パティシエの剛田飛鳥。人生で成功を収めながらも、節目節目で恋愛に走り、仕事を無くし、親友を無くしてきた。そんな飛鳥に、魅惑の女医、冬木玲子が処方したのは、遺伝子から抽出したという、特別な薬。これを打てば危険な恋愛をストップできる優れもの?果たして彼女の恋愛模様は、薬で軌道修正できるのか?いくつになっても恋をしたい!人生を楽しみたい!でも理想と現実がかみ合わない…。そんな女性たちに贈る、遺伝子レベルで恋が始まる、究極のラブコメディ!作品情報映画『ラブ×ドック』公開日:2018年5月11日(金)監督・脚本:鈴木おさむ出演:吉田羊、野村周平、大久保佳代子、篠原篤、唐田えりか、成田凌、広末涼子、吉田鋼太郎(特別出演)、玉木宏ほかミュージックディレクション&主題歌:加藤ミリヤ©2018『ラブ×ドック』製作委員会
2018年02月24日俳優としてだけでなく、写真家や映画コラムニスト、さらに最近では覆面芸人としても始動するなど、「いったい天は何物与えるんだ」と思わず言いたくなってしまう存在といえば、幅広い層から人気の高い斎藤工さん。クリエイターとしては「齊藤工」の名義で展開されていますが、なかでも本領発揮しているのが映画監督としての活動。すでに短編を6作発表していますが、今回ご紹介する作品とは……。待望の長編デビュー作『blank13』!【映画、ときどき私】 vol. 146コウジは母と兄、そしてギャンブル好きの父と4人で暮らしていた。ところがある日、タバコを買いに行くと出かけたまま父が突然失踪してしまう。そして、13年のときが経ち、父は余命3か月で見つかるものの、借金を残したまま姿を消した父に母と兄は会おうとしなかった。しかし、子どもの頃にキャッチボールをしてくれた優しい父を忘れられなかったコウジは、入院先を訪ねることを決意する。13年ぶりの再会をはたすも、2人の溝は埋められないまま父はこの世を去ってしまう。その後執り行われた葬儀では、数少ない友人たちが参列し、父とのエピソードをそれぞれ語り始めることに。そして、父の知られざる “真実” が徐々に明かされていくのだった……。24日からの全国公開を前に先行上映されていたので、さっそく劇場に行ってみましたが注目度の高い作品だけに連日満席。私も最後の1枚といわれた立ち見券をかろうじてゲットし、観ることができました。劇場で観ることで得られるものとは?本作はタイトルクレジットを境に、家族の歴史を描いた前半と葬儀の様子が展開される後半とにわかれており、テイストが大きく変わるのが特徴。そのなかでも、驚くべきは葬儀のシーンが役者たちのアドリブによって繰り広げられているということです。キャストとスタッフに絶対的な信頼感がなければ撮ることが難しいシーンだけに、観ているこちらにまで伝わってくるのは、次に何が起こるかわからない緊張感とライブ感。さらに、畳みかけるような予測不能な笑いの渦に巻き込まれ、一気にスクリーンのなかへと引き込まれていくことに。そして、一緒に笑ったり泣いたりしている観客のなかに生まれるのは、ある種の一体感。知らない者同士が集う葬儀会場と、知らない者同士がひとつの空間に集まる劇場とがリンクし、まるで自分たちもお葬式に立ち会っているかのような雰囲気に包まれましたが、それこそが劇場で映画を観ることの醍醐味であり、劇場でしか味わえないものなのです。家族とは何かを突きつけられる!今回、これだけキャラの濃い俳優陣が集結しているだけに、カットするには惜しい映像も多かったのではないかというのは想像に難くないですが、それにも関わらず本作は70分という長編としては短めの尺。とはいえ、そこには映画に造詣の深い齊藤監督だからこその手腕が光る “引き算” があり、絶妙な切り取り方によって各シーンがより印象的に映し出されています。放送作家のはしもとこうじさんの実体験がもとになっている本作は、決して派手なストーリーではないですが、誰にでもいる家族の物語だからこそ、それぞれの “家族の風景” が観客の心にも広がるはず。私にも少しややこしい家族がいますが、面倒だけど愛おしい家族の姿が浮かび、胸の奥がグッと痛くなったあとに、温かくなりました。説明過多ではないからこそ、観客が自ら想像したり、自分と重ね合わせたりすることができる “余白” があり、それこそが多くの共感を呼んでいる理由のひとつ。上海国際映画祭「アジア新人賞部門」での最優秀監督賞など、海外の映画祭でも数々の賞を受賞していますが、言葉や文化を超えて受け入れられたのもうなずけます。個性豊かなキャストが生み出す見事な化学反応!そんな本作を支えているのは、主演の高橋一生さんやリリー・フランキーさんをはじめとする実力派俳優たち。「こんなところにこの人が!?」と思わず言いたくなってしまうような豪華メンバーたちもあちこちで登場するので、くれぐれもお見逃しなく。そのなかでも、同じ女性として注目したい人物といえば、母親役を演じた神野三鈴さん。女性が持つ強さや儚さを見事に表現されていますが、特にラストシーンが秀逸。愛した人を心のなかで火葬しているかのような姿が見せる切なさと佇まいの美しさは、思わず鳥肌が立つほど忘れられないシーンとなっています。感情を揺さぶる音楽を体感する!そして、本作のもうひとつの主役といえば、映画とは切っても切り離せない音楽。煩悩の数にちなんで、最初から最後まで108のビートで作り上げたという金子ノブアキさんの音楽も重要な役割をはたしていますが、特筆すべきは最後に流れる新潟在住のシンガー・ソングライター笹川美和さんの歌う「家族の風景」。タイアップなどで主題歌が決まることが多いなか、齊藤監督がどうしてもこの曲にしたいと最初からこだわっていただけに、「この映画のために作られたのではないか」といわれているほど。実際、曲が流れる瞬間には、映画を完成させる最後の1ピースがピタリとはまったかのように感じるはず。琴線に触れる力強い歌声は必聴ですが、この曲へとつながるこだわりの小道具も劇中には登場するので、一度聞いてから鑑賞するのがオススメです。映画は最後の最後まで見届ける!私は好きな映画に出会うと、「続きが見たいけどまだこの世界にいたいから、終わらないで欲しい」という葛藤が生じますが、今回もまさにそんな感覚。おそらく、多くの人が同じように思うかもしれませんが、そんな要望に応えるかのごとく、エンドクレジットのなかにも、“おまけ” が待ち受けているので、くれぐれも劇場が明るくなるまでは立ち上がることのないようにしてください。以前、ananwebで斎藤さんにインタビューした際に語っていたのは、「俳優が記念で映画を撮ったということにしたくはないので、これからも戦い続けたい」という並々ならぬ思い。映画への愛情で埋め尽くされた本作を観たあとには、スクリーンで受け止めることの意味をきっと感じられるはずです。目が離せない予告編はこちら!作品情報シネマート新宿にて公開中、2月24日(土)全国順次公開配給:クロックワークス©2017「blank13」製作委員会
2018年02月23日"JY"名義で歌手活動している女優の知英が、映画監督・岩井俊二氏とのコラボレーションにより新曲をリリースすることが21日、発表された。この音楽プロジェクトは、岩井氏が作詞を手掛けた「星が降る前に」を、5人のプロデューサーがそれぞれ楽曲を制作するというもの。『スワロウテイル』や『リリイ・シュシュのすべて』など岩井監督作のファンだったというJYが、ロサンゼルスで偶然出会ったことがきっかけで実現したという。JYの新曲「星が降る前に」は、岩井氏が作詞、ミュージックビデオ監督、楽曲プロデュースの3役を担当。同乗したタクシーの移動中、JYがしきりに空に浮かぶ星と月を見上げる姿にインスパイアされ、歌詞が生まれた。追って発表される参加プロデューサー陣には、ビッグネームから新進気鋭のトラックメーカーまでが名を連ねているという。岩井氏プロデュース楽曲のMVは、氷点下を記録するなど寒さ厳しい1月末に撮影。同曲は、ネスレ日本の「2018年度『キットカット受験キャンペーン』」のキャンペーンソングに採用された。なお、今作は完全生産限定商品となり、LPサイズの特製ジャケット仕様。豪華ブックレットとオリジナルトートバッグ付属の豪華な内容となっている。■JYコメント初めてLAでお会いした時に、私がつぶやいた一言をきっかけに歌詞を展開してくださったと聞いてとても特別な思いがしました。歌詞が映画のワンシーンのような情景です。MV撮影もずっとわくわくしていました。撮影現場での岩井さんの姿からは、映像へのこだわりが伝わってきました。岩井さんの世界に入れて楽しかったです。リップシンクをすべて2倍速で撮ったので出来上がりがとても楽しみです。映画のようなMVになると思います。■岩井俊二氏コメントジヨンさんとロサンゼルスでお会いした時、車中でふと見つけた月を無心に眺めていた姿が印象的でした。国を超えて活躍する彼女にとって星や月はどこから見ても変わらない心の拠り所なのかもしれないと勝手に想像しました。それがこの詞の原点でした。
2018年02月21日初主演映画『レオン』の公開が控える知英こと歌手のJYが、映画監督の岩井俊二とタッグ。岩井氏が作詞、およびMV監督を手掛ける新プロジェクトを発動する。動画再生サイトにて関連動画含め4000万回以上の再生を誇るなど、デビュー1年半にして多くの注目を集めるJY(=知英)。2017年には、一人七役を演じ分けたドラマ「オーファンブラック ~七つの遺伝子~」で連続ドラマ初主演。さらに、まもなく初主演映画『レオン』が公開されるなど、女優としても大きな活躍を見せているJYの新たなる一手は、映画監督・岩井俊二とのコラボレーションによる音楽プロジェクト。完全生産限定の企画EPとしてリリースされることも合わせて発表されている。このプロジェクトは、岩井氏が作詞を手掛けた「星が降る前に」と題された共通の歌詞をもとに、5名のプロデューサーがそれぞれ楽曲を制作する新しい試み。『スワロウテイル』や『リリイ・シュシュのすべて』など、かねてより岩井監督作品のファンだったというJYと岩井氏が、ロサンゼルスで偶然出会ったことに端を発して実現したという。リード曲となる岩井氏自身がプロデュースした楽曲は、ネスレ日本の2018年度「キットカット」受験キャンペーンのキャンペーンソングにも抜擢されている。岩井氏とJYが同乗したタクシーの移動中、しきりに空に浮かぶ星と月を見上げるJYの姿からインスパイアを受けて書かれたという歌詞に、複数のプロデューサーがそれぞれ魂を吹き込んだ作品群は、JYのアーティスト活動の新たな分岐点となるはず。また、岩井氏は作詞のみならず、Music Video監督・楽曲プロデュースの3役を務める。共通の歌詞で、複数のプロデューサーがそれぞれ楽曲を制作するのは他に類をみない新しい挑戦。追って発表されるという参加プロデューサー陣には、ビッグネームから新進気鋭のトラックメーカーまで多くのサプライズが隠されているという。岩井氏が、自らのプロデュース楽曲で監督したMusic Videoは、氷点下を記録するほどの寒さ厳しい1月末に撮影。同氏の世界観が存分に詰め込まれた作品となりそうだ。完全生産限定商品となる今作は、LPサイズの特製ジャケット仕様で、豪華ブックレットとオリジナルトートバッグが付属する。岩井俊二氏コメントジヨンさんとロサンゼルスでお会いした時、車中でふと見つけた月を無心に眺めていた姿が印象的でした。国を越えて活躍する彼女にとって星や月はどこから見ても変わらない心の拠り所なのかもしれないと勝手に想像しました。それがこの詞の原点でした。JYコメント初めてLAでお会いした時に、私がつぶやいたひと言をきっかけに歌詞を展開してくださったと聞いてとても特別な思いがしました。歌詞が映画のワンシーンのような情景です。MV撮影もずっとわくわくしていました。撮影現場での岩井さんの姿からは、映像へのこだわりが伝わってきました。岩井さんの世界に入れて楽しかったです。リップシンクをすべて2倍速で撮ったので出来上がりがとても楽しみです。映画のようなMVになると思います。完全生産限定盤「星が降る前に」は3月28日(水)より発売。(text:cinemacafe.net)
2018年02月21日『スリー・ビルボード』が英国アカデミー賞で5部門に輝いた。マーティン・マクドナーが監督を務めた同作は、 18日夜、同賞式典にて作品賞、脚本賞、英国作品賞、そしてフランシス・マクド―マンドが主演女優賞、サム・ロックウェルが助演男優賞をそれぞれ受賞した。マーティン・マクドナー(C)BANG Media International脚本も担当したマクドナー監督は、受賞スピーチの中で「タイムズ・アップ」運動についてこう触れている。「この映画は、たくさんの意味で、希望を持ったものであり、かつ怒りを持ったものでもあります。怒りが、人々に耳を傾けさせ、変えさせる唯一の手段になることがあるということを私たちは今年目の当たりにしています。このことを英国映画テレビ芸術アカデミーが認めてくれたことに興奮しています」と話した。昨年起きたハリウッドのセクハラ騒動に即して始まった「タイムズ・アップ」運動だが、マクドナー監督は今回、女性の強い部分を描くことに意欲的だったと明かしている。「それがこの映画でフランシス(マクド―マンド)と一緒に作り上げたものです。今年公開できたのは嬉しいです。『ミー・トゥー』運動や『タイムズ・アップ』運動にとっても素晴らしい出来事ですし、この運動の一部を担ったことを誇りに思っています」一方で、助演賞受賞のサムはマクド―マンドに敬意を表した。「これは、今まで出演した中で、最高のうちの1つだね。舞台で演じることに匹敵するよ。マーティンはこの役を俺のために創ってくれたんだ」他にも、『シェイプ・オブ・ウォーター』がギレルモ・デル・トロの監督賞を含む3部門で受賞。受賞スピーチの中で、ギレルモ監督はイギリスの文学史に輝く小説家メアリー・シェリーに敬意を表した。「私にとってイギリス史の中で最も重要な人物は、メアリー・シェリーという名のティーンエージャーです」「彼女は、私の人生にとって家族同様に大切な人物のままなのです。諦めそうになったり、私が夢見る映画は実現不可能だと言われる度に、彼女のことを何度も考えます」一方で、『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』は、ロンドン出身のゲイリー・オールドマンが主演男優賞を含む2部門を受賞。ゲイリーは、受賞スピーチで「1940年の暗い時代に、チャーチルは祖国や世界のため尊厳や自由などといったものを貫いた。サー・ウィンストンに感謝しています」と自身が演じたウィンストン・チャーチルに敬意を表した。表彰式の最後には、映画監督巨匠のリドリー・スコットがフェローシップ賞をプレゼンターのジョアンナ・ラムレイから贈られ「この受賞の真の理由は、遅すぎる前に何かあげておいたほうがいいということだと思います」と冗談を飛ばしていた。(C)BANG Media International
2018年02月20日世界中で展開していた、オンラインで最旬のフランス映画を楽しめる映画祭「第8回マイ・フレンチ・フィルム・フェスティバル(MyFFF)」が2月19日(月)をもって閉幕。映画監督による審査員賞や一般視聴者が選ぶ観客賞などが決定した。MyFFFは、ユニフランスが世界中で展開するオンライン映画祭。第8回となる今年は、全世界で延べ1000万回以上の視聴を記録し、昨年の670万回を大きく上回ってこれまでで最も多い数字となった。また、フランス時間の2月19日夜に各受賞作品が発表された。アカデミー賞受賞『グレート・ビューティー/追憶のローマ』やジュード・ロウ主演ドラマ「ピウス13世美しき異端児」などで知られるイタリアの名匠パオロ・ソレンティーノが審査員長を務めた映画監督審査員賞には、失われつつあるパリの下町であがく住民たちの姿を通して、“パリは誰のものか”を問う『パリ、ピガール広場』が選出。監督を、フランスのラップ界で絶大な人気を誇るグループ「La Rumeur」のアメとエクエが務めている。審査員特別賞に選ばれたのは、適応障害を持つウィリーが自立しようと奮闘する『ウィリー ナンバー1』。主演のダニエル・ヴァネは地域の人気者だった一般人で、彼の自伝的な要素を含む今作のヒットにより、一躍有名人となった。さらに、パキスタン系ベルギー人の18歳の少女を主人公にしたフランス・ベルギー合作『婚礼』及び、天使になりたい死神の息子をストップ・モーション・アニメで描いた短編作品『死と父と息子』は、それぞれ外国報道機関賞と観客賞のラコステ賞をW 受賞。ラコステ賞は投票総数5万票以上となる観客のオンライン投票により決定した。■受賞結果映画監督審査員賞『パリ、ピガール広場』(監督:アメ&エクエ)映画監督審査員特別賞『ウィリー ナンバー1』(監督:ルドヴィック・ブケルマ、ゾラン・ブケルマ、マリエル・ゴティエール、ユーゴ・P・トマ)審査員長 パオロ・ソレンティーノ(『グレート・ビューティー/追憶のローマ』『グランドフィナーレ』)審査員 ナビル・アユチ(新作『Razzia』が2018 年春に公開予定)、キム・シャピロン(『Sheitan/変人村』『スマート・アス』)、ジュリア・デュクルノー(『RAW 少女のめざめ』)、ブリランテ・メンドーサ(『ローサは密告された』『マニラ・デイドリーム』)外国報道機関賞およびラコステ賞(観客賞)※W受賞長編:『婚礼』(監督:ステファン・ストレケール)短編:『死と父と息子』(監督:ヴィンシュルス、ドゥニ・ヴァルゲンヴィッツ)(text:cinemacafe.net)
2018年02月20日