誰がなんといっても絶対手放せないダウンコート 。一度この暖かさを知ると他のアウターは頼りなく感じてしまうものです。しかし、そんな機能性を優先するにしても太って見えるのはなるべく避けたいですよね。そこで今回は、ダウンコートでありがちな太って見えるNGコーデをご紹介します。ダウンコート+シャツアウトコーデロング丈のダウンコートは長さ、厚みともにボリューム過多になるのでオシャレを意識するならばやっぱり前ボタンは開けて着たほうがスッキリします。ただ、前ボタンさえ開ければどんなトップスやボトムスを着ていてもスッキリする…というわけではありませんので気をつけて。特にやってはいけないコーデはシャツアウトスタイル。ゆったりとしたニットにタックパンツを合わせたシャツアウトコーデは引き締まった印象を表現できません。そこにロングのダウンコートを合わせるとコーデ全体が丸みを帯びて、りんご体型のようなシルエットを生み出すので注意しましょう。ロングのダウンコートに合わせるインナーはくびれを見せるためのシャツインコーデもしくは、直線的なシルエットのニットワンピースが良いでしょう。ダウンジャケットにギャザースカートショート丈のダウンジャケットはダウンコートに比べてスッキリ見えやすいとも言われていますよね。もちろん着痩せ効果もありますが、それも組み合わせるボトムス次第です。ショートダウンはとく上半身を中心にシルエットが丸くなるのでボトムスはその対比となる直線的なシルエットをつくることが鉄則。なので、腰から足先にかけてふんわりと広がるギャザースカート、ワイドパンツはダウンジャケットとの相性が悪いアイテムになります。ギャザースカートは上半身が細身のシルエットだからこそ美しいラインが表現されるので、上半身がふっくらするダウンジャケットでは雪だるまのようなシルエットに。もし、ふんわりしたスカートを合わせたい時は裾がさりげなく広がるフレアスカート、マーメイドスカートだと比較的上手に着こなせますよ。靴のコーディネイトにも意識を置く!コーディネイトで気合をいれる部分といえばトップスとボトムス、そしてアウターの組み合わせですが、靴の組み合わせも同じく重要ポイント。全身コーデが完璧なのに、靴だけちょっと違和感のあるデザインだったり、ボトムスとの相性が悪かったりするとせっかくのおしゃれも決まらないので、合わせる靴にもこだわってみてくださいね。ハーフパンツにロングブーツ、細身スカートにミドルブーツの組み合わせはダウンコートとバランスが取れるのでおすすめです。ぜひお試しを!イラスト 角佑宇子
2022年01月02日1児のママでもあるライター・かわむらあみりがお届けするコラム【ママライフばんざい!】連載第35回は、関わりたくないママ友たちの特徴をお届けします。1.気に入らないママ友だけ連絡しない【ママライフばんざい!】vol. 35保育園や幼稚園に子どもが通っていると、ママたちとの付き合いが何年間か固まってしまうものですよね。だからこそ、多少イヤなことがあっても、できれば穏便に過ごしたいところ。ですが、人がたくさんいればいるほど、自分とは合わないママ友だって出てくる可能性は高まります。そんな関わりたくないママ友エピソードのひとつめは、「気に入らないママ友だけ連絡しない」人。これはママ友との交流だけに関わらず、明確に「気に入っている人」「気に入らない人」に分けて人と接しているタイプのママ友だと、そのクセは学生時代から続いている場合もよくあります。もともとグループに分かれることを好み、物事が正しいか、そうでないかということではなく、自分自身が好きか、嫌いかという二択だけで人を判断しがちなタイプがママになって、いい大人になっても同じようなことを繰り返していることが多いもの。こういったタイプがまったく関係のない立場のママ友ならほうっておけばいいですが、同じクラスに子どもが通う保護者同士だと、まったく関わらないわけにはいかなくて困ってしまいます。たとえ自分がその手のママ友に気に入ってもらったとしても、いつどんなタイミングで気に入らないチームに区分けされるかわかりません。この手のママ友には、なるべく普段から距離を詰めすぎずに、接していけるといいですよね。2.やたらと委員を強調するあるママ友の場合、もともとまわりを取り仕切るような役割が大好きなタイプで、クラス委員に率先して立候補している人がいました。他のママ友たちにしても、いつもお世話になっている園や学校に役立ちたいという思いはありながらも、ママ友たちの家庭事情はさまざまで、委員になると忙しくなることもあってどちらかといえばやりたくない人も。そんななかで毎年、率先してクラス委員になって、常にクラスのことを考えているそのママ友は、ありがたい存在でもあります。ただ、他のママ友は知っているのに、自分の耳には入ってこないような情報があると「クラス委員なのに連絡がきてませんけど」と、トゲのある言い方で報連相を強いてくるのだとか。確かに、クラスの何かに関わる重大なことなら、クラス委員に報告するでしょうが、けっこうどうでもいいような「くんのところが今度旅行に行くらしい」という世間話まで、クラスの間のすべての動きを知りたがるようです。それはもともとの性格なのか、それとも長年クラス委員をやっているから、知らない間にクラスの人たちの詳細をつかもうとするようになってしまったのかは謎。いずれにしても、あまり肩書きばかりを強調するようにはならないほうが、健全なママ友付き合いができそうですよね。3.そもそも感じが悪いこれを言ったらおしまいですが、そもそも感じが悪いママ友って、あまり近づきたくないですよね。とはいえ、自分自身では特定のママ友と会うと「感じが悪いな…」と思ったとしても、同じように感じない人もいるかもしれません。感じが悪い、苦手だな、と感じるママ友がいたとしても、もっと踏み込んで交流してみれば、意外と話のわかるママ友というパターンもなくはない話。ですが、言葉で言わなくてもだいたい肌で感じる雰囲気は、当たっているときもあるのかもしれません。なんであのママ友だけ仲良くなれないんだろうなと、思い悩んで頭を抱えていては体に悪いものですし、歩み寄ろうと努力してもなんともタイミングが合わない人だってこの世にはいます。そんなときは、ただ相性が合わないだけということ。100人いたら100通りの考え方や好みがあるので、全員と良好でいられるようにするのは難しいものです。感じが悪いママ友がいても、そしてママ友ではなくてもそれが感じの悪い知り合いだったとしても、人生のなかでそんな人たちと触れ合うのは、ほんのひとときだけのことと知っていれば、なんとかやりすごすことができることもあるのではないでしょうか。ママになると、さまざまな人たちと交流する場合もあるはず。でもそんなときになるべく穏やかな生活が送れるといいですよね。みなさんが健やかなママライフを送れますように!文・かわむらあみり©Sima_ha/Getty Images©draganab/Getty Images©Highwaystarz-Photography/Getty Images
2021年12月31日寒い冬に欠かせないコート。とはいえ暖かければなんでもいい...ということはありませんよね。せっかくならコートを着ている姿すらおしゃれに見られたい!そこで今回は、最新の人気コートのデザインと洗練見えするコートコーデのポイントをご紹介します。なぜ野暮ったく見える?NGコートコーデ当たり前ですが寒い日はコートの前ボタンやリボンをしっかり締めて着用しますよね。しかし、残念なことにそのコートを前閉じしたシルエットが美しくないせいでコーデ全体が野暮ったく見えてしまうのです。具体的には、前を閉じることによって生まれる服のラインが問題。バスト・胴回り・お尻が丸く楕円形のように膨らんでしまうと、それだけで太って見えます。リボンで結ぶタイプの場合、厚手のコートをギュっとリボンで結ぶことで生まれる余計な服ジワが着膨れた印象に。首元もマフラーで覆われ、コーデで使われている色も全体的に黒っぽいと軽やかやさが足りません。また、意外と見落とされがちなのがコート丈。もっとも使い勝手の良いミドル丈コートは中途半端な丈感がなのでワイドボトムだとより太く見え、細身のボトムスだとお腹まわりの膨らみが強調されるのであまりおすすめしません。もしミドル丈コートを取り入れたいときは、ロングブーツを合わせるのがAラインコートで背が高くスラッとした印象に今季、コートはロング丈が多いということもありその影響で生地をたっぷり使ったAラインコートが人気です。もちろんAラインコートがおすすめなのはトレンドだからという理由だけではありません。Aラインコートは裾に向かうにつれて生地のボリュームが出るので上半身がスッキリ見え、視覚効果としても背が高く見えやすいといった嬉しい要素を持ち合わせています。おすすめはメルトン生地のリバーコート、もしくはバルマカンコート。リバーコートは上品でクラシカルな印象があるのでロング丈のニットワンピースと合わせても良いですね。バルマカンコートは2021年冬を象徴する注目のアウター。丸い襟と、ゆったりした袖口のラグランスリーブが特徴的なデザインです。バルマカンコートは必ずAラインと決まっているワケではありませんが、Aラインシルエットだと前閉じした状態でもおしゃれに着こなせるのでおすすめです。コートの上から手触りの良いニットストールを羽織るなどするとさらに高級感がアップして洗練された印象にもつながりますね。小物のどこかに白を足すと手持ちコートも洗練見えしやすい手持ちコートを変えずに洗練された印象を見せたいときは、全身コーデのどこかに白を足すと良いですね。つい黒やグレーでまとめてしまいがちな方はとくに、顔まわりに柔らかく明るい色が入るとそれだけであか抜けた印象にもなります。なので、おすすめなのはマフラー、ストール。帽子に白orオフホワイトを加えましょう。そのほか、バッグと靴のどちらかにもプラスするとコーデで明るい色を占める面積が増えるため華やかな印象になりますよ。いきなり白を取り入れるのは勇気がいるという方はホワイトよりのライトグレーを投入してみてくださいね。イラスト・角佑宇子
2021年12月31日芯まで冷える真冬シーズン。新しい服を買うよりも今、ほしいのは“あったか小物”!今回は、2021~2022年冬に登場した最新マフラーの特徴とオススメの今っぽコーデのポイントをご紹介します。最推しトレンドは〈トップスとマフラーのセットアップ〉今年目立って特徴的なのは、ニットトップスと同素材で作られたマフラーのセットアップアイテムです。数年前のハイブランドコレクションでも小物とトップスのセットアップが登場していました。その影響もあってか、今年はそうしたセットアップアイテムの展開が、例年以上に多いようです。小物とトップスのセットアップだと、コーデの組み合わせに迷わなくて楽ちんですね!ボトムスに何を持ってきても全身がまとまった印象になるので、手っ取り早くおしゃれな着こなしをしたい方におすすめですよ。シンプル派は単色無地を、個性派は幾何学模様のデザインがよさそうです。その他に人気なのは、ざっくりとしたローゲージ編みのニットマフラー、ふわふわとした質感のメランジマフラー。よりボリューミィなシルエットが昨今のトレンドなので巻くだけで今っぽさを感じるスタイルが作れます。今っぽマフラーコーデの特徴セットアップがトレンドということで、セットアップ対応をしていないマフラーでもできるだけマフラーとトップスorアウターを同系色でまとめるスタイルがおすすめです。例えば、オフホワイトのトップスまたはアウターならベージュ、ネイビーならブルー系のマフラーを合わせるなど。とくにマフラーにボリュームがある場合はコーデ全体のシルエットが大きくなりやすいので、色合いで統一感を出したほうがスッキリ見えもしやすいです。また、上半身にまとまりがあるぶん、ボトムスに柄モノを取り入れると華やかさが出て良いですね。その他全身をモノトーンなど比較的落ち着いた色にしている場合、マフラーに柄を入れると無難な印象が払拭されますよ。靴はどんなものを合わせてもOK。バッグは小ぶりなミニタイプがボリュームのあるマフラーとのバランスが取れます。鉄板で外さないチェック柄は、服と同色を使う鉄板アイテムのチェック柄マフラーも、もちろん今季おすすめのアイテム。ですが、服の色が大きく違っているとマフラーだけが浮いて見えるので気をつけましょう。コーデで使用している色とマフラーの色をリンクさせるのを忘れずに取り入れてみてくださいね。イラスト 角 佑宇子
2021年12月30日現在ヨーロッパ在住のファッションジャーナリスト、平野秀美さんのファッションスナップレポートです。一瞬にしてゴージャス、お洒落になれる真冬のアウタースタイルをピックアップしてみました。これからはポンチョコートでゴージャスに!毎年冬になると各ブランドからポンチョがコート同様販売されますが、いまいちどのように着ればいいか悩ましいと思っていた方もいらっしゃるのでは?私もその一人でしたが、ファッショニスタ達の着こなしを見ていると、実は簡単でいてゴージャス!コート以上に着やすそうです。厚みのあるトップスや変形型の上着の場合、ポンチョは袖部分が邪魔にならないというメリットもありそうです。やっぱり豹柄!いつか着こなしたい1着上級向けのアウターではありますが、豹柄は着こなせたらとってもセクシー。オールブラックでも映えるアウターと言えるでしょう。今季は長めダウンジャケット!ダウンジャケットも短いものから超ロングまで種類が豊富ですが、やっぱり膝上丈のダウンは一番動きやすそうです。またお洒落感もバッチリ。これから新しいダウンジャケットを探している方には、この長さがおすすめ!短めレザー&ファージャケット!モコモコ感が可愛い暖かさ抜群のレザー&ファージャケット。中はTシャツ1枚でもいいくらい暖かいですよね。ただし、本革の場合は重さがあるので、写真のように短めジャケットが一番人気。何よりモコモコ感もかわいいですよね。海外でも人気のモンクレールは個性を出して暖かさを重視するならモンクレール!とお考えの方も多いと思いますが、実はカラフルだったり色鮮やかなジャケットも海外では人気なんですね。日本では比較的シックで目立たないダウンジャケットが人気ですが、今年は思い切って色鮮やかなアウターもチェックしてみては!?ファーのロングコートはゴージャスに見える!ロングファーコートは、とってもゴージャスで高価に見えるからこそ、あえて小物や着こなし方はカジュアル感を含めると今っぽい感じに着こなせます。あまり上品に全体をまとめすぎるよりも、ちょっと個性を出したり、遊び心を出す大人の余裕があるファッションの方が、素敵に見えますよ!チェックのトレンチコートは大・大人気!立っているだけで絵になるトレンチコート。定番の無地xベージュはすでに持っているという方、ぜひチェック柄はいかがでしょう?シンプルなのに、なんでこんなにお洒落に見えるんでしょう。つい新しいトレンチコートがほしくなります。いかがでしたでしょうか?今年も人気のアウターストリートファッション、これから新しいコートやジャケットの購入をお考えの方には、参考になれば嬉しいです。写真、文・平野秀美
2021年12月29日冬の定番、ハイネック、タートルネックセーター。首までしっかり暖まるので重宝しますが、いっぽうで「首が短く見える」「顔が大きく見える」といったお悩みも絶えません。そこで今回は着こなしが難しいハイネック、タートルネックの小顔見えコーデのコツをご紹介します。薄手のタートルネックセーターは〈Vネックカーディガン〉と体にピタッとフィットする薄手のタートルネックセーター。ボディラインにフィットするからこそ、体の肉感を拾ったり顔の大きさを際立たせたりしやすいです。そんなタートルネックセーターは、あえて上からざっくりとしたミドルゲージのVネックニットカーディガンをONすると良いでしょう。カーディガンのVネックは切り込みが深いほど、上半身がスッキリして見えます。タートルネックセーター単体では顔のラインを強調しますが、そこに重ね着を加えると顔・体のラインへの視線を分散させることができるので顔まわりが気にならなくなります。さらにプラスアルファで小物も上手に活用しましょう。バケットハットは顔まわりに影を作るため、フェイスラインをシャープに見せます。ネックレスはショートとロングを重ねづけして、縦長のラインを強調すると良いですね。コーデ全身がおしゃれに仕上がっているほどフェイス・ボディラインが気にならなくなります。ぜひ重ね着、小物アイテムを上手に活用してみてください。ゆったりハイネックニットは「Aラインシルエット」をハイネックは首回りにゆとりがあるほど、小顔効果が高いです。なので、タートルネックへの苦手意識が強い方はまずミドル、ローゲージのハイネックニットを取り入れるのがおすすめ。とくにリブが太く、ネックラインの立ち上がりがキレイなニットはシルエットが美しく、重宝しますよ。首まわりがボリューミーなハイネックニットは、基本的に身頃もゆったりとしたオーバーサイズシルエットが多いでしょう。となると横幅が広くなるのでボトムスはできるだけ細身のパンツやスカートがよいでしょう。また、ニットの編み方にも注目を。幅広ニットはその分、太って見えやすいので編み地が立体的な、あぜ編みニットでシャープな印象を持たせると良さそうです。おすすめのコーデは、ロング丈のカットソーをレイヤード+細身のフレアニットパンツを組み合わせた着こなし。今っぽいシルエットが簡単に実現できるだけでなく、動きやすくて楽ちんですのでワンマイルコーデにぜひ。ヘアアレンジとの兼ね合いも重要ポイント薄手のタートルネックは、髪型をきっちりまとめると顔のラインが前面に出るので注意しましょう。まとめる際はふんわりと空気感のあるような巻き髪のダウンシニヨン、ダウンポニーテールで柔和な印象に。反対に、ゆったりしたハイネックニットはハイネックのシルエットの邪魔にならないよう、コンパクトにまとめるのが好バランス。トータルバランスも考慮して取り入れるとさらなる小顔効果が期待できるので取り入れてみてくださいね。文・イラスト 角佑宇子
2021年12月28日デザイナー、アートディレクター、絵本作家として活躍した堀内誠一さん(1932-87)。2022年に生誕90年を迎えることを記念し、彼の画業を振り返る展覧会が開かれます。『堀内誠一絵の世界』展、開催!【女子的アートナビ】vol. 2322022年1月4日から京都の大丸ミュージアムではじまる本展では、昭和時代に多方面で活躍した“レジェンド”デザイナー、堀内誠一さんの「絵の世界」にフォーカス。今なお愛される名作絵本『ぐるんぱのようちえん』をはじめとした多彩な絵本原画を中心に、雑誌の表紙やデザインの仕事、絵手紙など約150点の作品や資料が紹介されます。堀内さんは、『anan』にとっても“レジェンド”。1970年の雑誌『anan』創刊時に、タイトルロゴや表紙、ページネーションを手がけられました。『BRUTUS』や『POPEYE』など多くのロゴも堀内さん作。それらのロゴは今でも愛され、使われ続けています。20世紀の雑誌や絵本などのカルチャー界で多くの偉業を残した堀内さんとは、どんな方だったのでしょう?その画業をざっくりとご紹介します。14歳で伊勢丹宣伝課に入社!1932年、東京に生まれた堀内さんは、図案家だった父親の影響を受け、幼少期から絵を描きはじめます。少年期に第二次世界大戦が勃発。疎開先の石川県で終戦を迎え、東京に戻ります。1947年、14歳という若さで伊勢丹宣伝課に入社。ディスプレイデザインやPR誌の編集作業に取り組みながら、美術研究所に通って絵画も制作。1949年には現代美術会展に出品し、奨励賞を受賞します。堀内さんは、著書『父の時代・私の時代わがエディトリアルデザイン史』(日本エディタースクール出版部)で「私がエディトリアルデザインに興味を持ったのは6、7歳の頃でした」と述べています。幼少期に自分でつくった詩に絵をつけたり、図案を描いたり、さらには雑誌風に編集もされていたとのこと。それらの記録の一部も、本展で展示されます。絵本画家デビュー!その後堀内さんは、クリエイティブ集団アドセンター株式会社でデザイナーとして活躍。雑誌のエディトリアルデザインや化粧品の広告、パッケージデザインなどを手がけます。1958年には、はじめての絵本『くろうまブランキー』を出版し、絵本画家としてデビュー。さらに『ぐるんぱのようちえん』や『たろうのおでかけ』など人気絵本を次々と生み出していきます。驚くのは、これらの本が今でも書店で購入することができ、正真正銘のロングセラーになっていること。1965年に出された『ぐるんぱのようちえん』は、2021年に大江戸線の「子育て応援車両デザイン」にも採用されています。パリに移住!1960年から61年にかけて、堀内さんはヨーロッパを視察。はじめての海外旅行で、フランス・パリを拠点にイタリア、スペイン、ドイツなどの美術館や教会を巡り、コンサートや芝居にも出かけます。帰国後は再びデザイナー、アートディレクターとして雑誌や広告の仕事を手がけ、当時のカルチャー界をけん引。トップランナーとして最先端のトレンドを生みだし、『anan』の創刊プロジェクトにも携わります。1974年、堀内さんは家族とともにパリ郊外へ移住。約7年滞在し、絵本の仕事に専念します。人気絵本『こすずめのぼうけん』が生まれたのもパリ時代。古今東西、さまざまな文化を吸収していた堀内さんの作風は多彩で、物語にあわせた絵柄で数々の絵本を制作していきます。堀内さんの絵本への情熱は格別だったようです。著書『ぼくの絵本美術館』(マガジンハウス)では、「幼児にとって絵本とは何と素晴らしい人間の発明品か」と述べ、同書で絵本の歴史と絵本愛を余すところなく語っています。また、ヨーロッパだけでなく世界中を旅した堀内さんは、風景画や絵手紙、シチリアやパリの地図なども描き残しました。それらの作品も、今回の展覧会で見ることができます。1981年にフランスから帰国。その後も創作活動を続けていた堀内さんは、1987年、下咽頭癌により急逝。享年54歳でした。ぜひ生の作品を!本記事でご紹介したのは、堀内さんの仕事のほんの一部です。展覧会では、子どものころに描いたスケッチや青年期の油絵、絵本原画、デザインの仕事など、生の作品を通して“レジェンド”の偉業に触れることができます。令和の時代まで色あせずに愛され続けている堀内さんの作品たちを、ぜひ会場でご覧になってみてください。展覧会は、大丸ミュージアム京都のあと、クレマチスの丘 ビュフェ美術館、県立神奈川近代文学館、ひろしま美術館などに巡回予定です。参考文献・参考サイト:堀内誠一『父の時代・私の時代わがエディトリアルデザイン史』(日本エディタースクール出版部)堀内誠一『ぼくの絵本美術館』(マガジンハウス)コロナ・ブックス編集部編『堀内誠一旅と絵本とデザインと』(平凡社)Information会期:2022年1月4日(火)~24日(月)※会期中無休会場:大丸ミュージアム〈京都〉[大丸京都店6階]開館時間:午前10時~午後7時30分まで(午後8時閉場)※最終日は午後4時30分まで(午後5時閉場)観覧料:一般・大学生¥1,000、中高生¥800、小学生以下無料※最新情報などの詳細は公式サイトをご覧ください。
2021年12月27日日本が誇る鬼才・園子温監督の最新作にして、自身初となる本格ワークショップから誕生した話題作『エッシャー通りの赤いポスト』がいよいよ公開を迎えます。そこで、すでに海外の映画祭でも熱い支持を得ている本作について、こちらの方々にお話をうかがってきました。藤丸千さん、黒河内りくさん、モーガン茉愛羅さん、山岡竜弘さん、小西貴大さん【映画、ときどき私】 vol. 440697名もの応募があったなかで、ワークショップの参加者に選ばれたのは51名ですが、そのなかでもメインキャストに抜擢された5名。ある新作映画のオーディションを舞台に繰り広げられる本作で、訳ありの女・安子役の藤丸さん(写真・中央)、若き未亡人・切子役の黒河内さん(左から2番目)、カリスマ映画監督・小林役の山岡さん(右)、小林を支える恋人・方子役のモーガンさん(右から2番目)、小林を尊敬する助監督・ジョー役の小西さん(左)がそれぞれの役を熱演しています。今回は、撮影の裏側や園監督の現場ならではの経験などについて語っていただきました。―まずは大勢のなかから選ばれたと知ったとき、どんなお気持ちでしたか?小西さん園子温監督の作品に出られるというのは、すごいチャンスだなと思いました。でも、そのぶん不安も大きかったですね。モーガンさん私は楽しみが100だったかな。初めての映画を園監督のもとでできることがうれしかったので。出演が決まった聞いたときはあまりにうれしくて、一回電車を降りてホームでガッツポーズしてしまいました(笑)。藤丸さん51名に選ばれた時点では、まだ役は決まっていなかったので、キャスティングに向けて気を引き締めていました。絶対に安子を演じたいと思っていたこともあり、かなり気合は入っていましたね。―役の争奪戦もあったようですが、どのようにキャスティングが決まったのでしょうか。小西さん挙手制だったんですけど、女性たちはけっこう熾烈でしたよね。いい意味で。モーガンさん確かに、女性陣のほうがメラメラしていたかも。藤丸さんそんなに熾烈だった?まあ、誰かが安子に手を挙げたら「迎撃するぞ!」とは思ってましたけど……。山岡さんそういうところだよ!一同(笑)モーガンさんでも、オーディションが本番というくらい、みんな本気でした。藤丸さんしびれるような熱い3日間で楽しかったです。園監督からは愛しか受け取っていない―黒河内さんは、実は園監督の作品を1本も観たことがないまま応募されたとか。その後、監督の“霊感”が働いて、そのことがバレたそうですが……。黒河内さん応募してからは観ましたが、申し訳ないことにそれまでは園監督の作品を観たことがありませんでした。ただ、このことは誰にも言っていなかったのに、途中で「あなたの映画は実は⼀度も観たことがありません。オーディション会場では、『昔からのファンです』と嘘つきます」というセリフが追加されたんです。あとで、事実を監督に話したら「そうだったの?」と監督も驚いていましたが。山岡さん園監督ってそういうところあるよね。藤丸さん“洞察の鬼”だからこその直感なんでしょうね、きっと。黒河内さん本当にドキッとしましたが、おかげでより役とリンクできました。―園監督は「つい厳しくなることもあった」とおっしゃっていますが、現場できつかったこともあったのでしょうか。藤丸さん監督の話を聞いて、私たち5人はみんな「そんなことあった?」と思っていました(笑)。ピークに持っていくためのアシストはしてもらいましたが、怖い印象はないです。小西さん甘えさせない厳しさはあったし、決してゆるい現場ではなかったですけど、僕らは全部愛としてしか受け取ってないですから。理不尽に怒られることもなく、いい意味で追い込んでくださいました。山岡さんあとは、納得いかないと思っていたときに、「もう1回だけだぞ」とチャンスをくれることも。モーガンさん特に方子と小林のシーンでは、なかなか思い通りにいかなくて、深夜1時を回っているのに、何テイクもしてくださって、すごく応援してくれました。山岡さん監督からは「お前の自由だから、好きなようにやれ」と言っていただきましたし、そういう思いも映り込むようにしてくださいました。なので、セミドキュメンタリーみたいな作品になっていると思います。いまでも園監督の言葉は背中を押してくれる―そのほかにも、園監督からかけられた言葉で印象に残っているものがあれば、教えてください。小西さん僕は撮影の中盤で「いまからお前は世界の反対側にいる人たちの心臓めがけて伝えろ!」と言われたんですが、そこで不思議とすべてのことが腑に落ちるのを感じました。まさに“園監督マジック”ですね。藤丸さん私はマスコミに向かって吠えるシーンを撮ったとき、セリフを言い終えたのに、カットがかからなかったので、とりあえず続けたんです。そしたら、撮影が終わったあと、「そのまま自由にいけ」と。その言葉は、いまでもふとしたときに私の背中を押してくれています。―撮影中に大変だったことやハプニングはありましたか?小西さん声を張り上げるシーンが多かったので、まったく声が出なくなったことはありましたね。黒河内さん私も熱が出たり、のどが痛くなってしまったりしたので、小道具の裏にのどあめを隠しながらやっていました。藤丸さん暑さのせいもありましたが、頭にグッと力を入れたせいで、鼻血が出たことも。血のりまみれのシーンではありましたが、リアルな血も出てしまったのはハプニングでした(笑)。山岡さん僕は急遽川に飛び込むことになったシーンですね。しかも、小林監督の親衛隊である“小林監督心中クラブ”のみんなが僕をつかまえようと本気で乗っかってきたので、溺れかけました……。小西さんさすがの園監督も「小林が死ぬから手を放してやれ!」って横で走りながら叫んでましたよね(笑)。モーガンさんハプニングではないですけど、ペンキをみんなにかけるシーンでは衣装の関係で、絶対に一発で成功させないといけなかったのはかなりプレッシャーでした。しかも、そのあとに半ページ分はある長ゼリフ。やり遂げたときは思わず笑みがこぼれました。藤丸さんその撮影のあとみんなで銭湯に行ったのも、思い出深いよね。芝居ではなく、真実が映っている―渋谷でのゲリラ撮影もあり、大変だったのではないかなと。黒河内さん確かに、渋谷のスクランブル交差点だったので、かなり周りからは注目されましたね。モーガンさん私が撮影を見に行ったとき、園監督が「Sono Sion Films」と書いたTシャツを着てかなり目立っていたので、それに周りがざわついていておもしろかったです。一同(笑)藤丸さん本編でも本気で生きている人に感化されていく様子が描かれていますが、それが現実とリンクしているようなところがあったので、私たちが雑踏のなかで発した「立ち上がれ!」という言葉を一人でも覚えてくれていたらうれしいですね。黒河内さんあのシーンは、芝居ではなく真実だったと思っています。―そのほかにも、忘れられない出来事はありましたか?モーガンさんワークショップの初日のことで鮮明に覚えているのは、初めての顔合わせのときのこと。藤丸さんの第一声を聞いた瞬間に「この人は絶対に安子だ」と強く思いました。山岡さん僕も「こんなお芝居をする人がいるのか」と衝撃でした。演技と言うよりも、とんでもない人がいるなと事件を目撃しているような感覚に陥ったのを覚えていす。藤丸さん実際のパーソナリティは、まったく違いますけどね。うれしすぎて、いまマスクの下で口角がめっちゃ上がってます(笑)。初めての現場でありがたいスタートを切れた―今回、山岡さんは応募を相談した先輩の1人から「もしかしたら⼈⽣変わるかもしれないね」と言われて応募したそうですが、実際にこの作品に関わったことで、人生が変わったと感じている方はいますか?藤丸さんもし、本当に変わるとしたら、それは公開のあとの話になるのかなと。ただ、すでに海外の映画祭で観てくださった方から感想をたくさんいただいていて、それはすごく支えになっています。小西さん僕は色んなチャンスに声をかけてもらいやすくなりましたね。それだけ園監督の作品に出たということに対する期待値が業界のなかで高いんだなと。改めて、園監督の偉大さを感じています。山岡さん僕は世界の見つめ方が変わりました。園監督がいろいろなことを楽しんでいる姿を見たことによって、日々が瑞々しくなったと言いますか。撮影から2年半、ずっと夢のなかにいるような気分です。その眼差しを持ち続けていれば、これからももっと変えていけると思うので、いまは期待でいっぱいですね。モーガンさん私はこの映画が初めてだったので、まだ変化はわからないですけど、いろいろなことを試せた現場で、ありがたいスタートを切ることができたと感じています。小西さん園監督には、「地球にナイフを突き立てろ」とよく言われましたが、この映画ではみんなが爪痕を残し合っているので、そういう生き方をしたいですし、自分を出すことを臆さないという姿勢に変われたと思います。園監督の映画の素晴らしさを見てほしい―劇中では、みなさんそれぞれに見どころがありますので、「自分のここを見てほしい」と思うシーンやポイントについて教えてください。小西さん僕は川原で小林監督と走ったあとにお別れするシーンです。藤丸さん私は安子が中盤に再登場するアパートのシーンに注目してほしいですね。でも、ラストも好きなので、正直言うと全部です(笑)。あと、実はスタートと言われる前から撮られていた部分も使われていたりするので、そのあたりも見ていただけたらと。モーガンさん確かに、本番前の映像もけっこう使われていたりするよね。そういった部分も楽しんでほしいですが、劇中で使っている方子のカメラは実際に私が仕事で愛用していたカメラを使いました。カメラ好きの方には、喜んでもらえるかなと思います。黒河内さん切子に関しては、抑圧されている人の象徴のようなところがあるので、心情的にリンクする方は多いのかなと。なので、特定のシーンを挙げるというよりも、周りの人に支えながら花開いていく様子や切子の心情に思いを馳せながら観ていただくとおもしろいと思います。山岡さん何度か観ているなかで気がついたのは、仮面を外したような純粋な顔をする小林の顔が随所に差し込まれていること。見逃しがちなところではありますが、そういう部分にも園監督の映画の素晴らしさが表れていると思うので、ぜひ見ていただけるとうれしいです。―この経験を経て、今後はどんな役者になりたいと思っていますか?藤丸さん今回はちょっとエキセントリックな役でしたが、どんな役でも演じられる役者になるべくがんばりたいです。モーガンさんこの作品がきっかけで藤丸さんと一緒にアクションのレッスンを受けているので、いつかアクション映画に出たいと思っています。強い敵をどんどん倒すような“最強の女”をやってみたいですね。黒河内さんまずは、黒河内りくとして実生活でいろんな経験をしながらそれを役に生かしていけたらと思っているので、幅広くいろいろなことに視野を広げていきたいです。小西さんわかりやすく言うと、「売れたい」です。今回の作品では無名でも実力があって、役に合っていればキャスティングされるということを実現しているので、風穴を開けたこの映画の意味をつなげるためにも、1人でも社会に認められる人が出てほしいし、僕自身もそうなりたいです。山岡さん僕はお芝居が大好きなので、自分がまだ触れたことのないような表現で作家さんの思いを伝えられたら最高ですね。それを一生続けていきたいですし、個人それぞれの芸術が尊ばれる世界になったらいいなと思っています。この映画で、世界中を元気にしていきたい―それでは最後に、どなたか代表して作品の見どころをメッセージとしていただきたいのですが……。藤丸さん監督役ということで、ここはやっぱり山岡さんを推薦します!モーガンさん・黒河内さん・小西さんこれは全員一致ですね。山岡さんいやいや、無理だって。―では、みなさんの期待を背負って山岡さんお願いします!山岡さんわかりました。この映画では、51名それぞれの人生が、虹色どころか、51色の繊維の束のようになり、それが映画のなかでうねるように……。一同(笑いがもれる)モーガンさん繊維の束?小西さん言い方が芸術的過ぎるから(笑)。もう少しわかりやすくお願いします。山岡さんすみません、気を取り直して。キャストみんなの人生が映画に乗っかり、それが面白さにもつながっているので、いままでの映画にはないものに仕上がっています。公開の延期もありましたが、コロナ禍でふさぎこんでいるいまこそもっとも届けたい映画になったので、一人でも多くの方にご覧いただきたいです。この映画で、日本中、そして世界中が元気になることを願っています。小西さん観た方の何かが変わるような映画なので、それを確かめてほしいです。キャストみんなが命がけで前に進もうとしている姿も見ていただけたらと。藤丸さん51名の登場人物全員が主役なので、みなさんには自分に一番響く主人公を見つけていただきたいです。インタビューを終えてみて……。濃密な時間と経験を一緒に過ごした仲間だからこそ生まれた絆に触れることができた今回の取材。みなさんが目を輝かせながら話す姿を見ているだけで、この作品に対する思いと園監督への愛をひしひしと感じました。みなさんが今後どのような役者になるのか、ますます楽しみです。人生には立ち向かうべきときがある!ほとばしる熱量がスクリーン全体から溢れ出し、圧倒的な演技で観る者を魅了する本作。「人生のエキストラでは終われない!」と、誰もが胸のなかに湧き上がるものを感じずにはいられないはず。新たな年を迎える前のいまこそ、観ておきたい1本です。写真・北尾渉(藤丸千、黒河内りく、モーガン茉愛羅、山岡竜弘、小西貴大)取材、文・志村昌美ストーリー鬼才のカリスマ映画監督・小林正は、新作映画のために演技経験の有無を問わず出演者を募集する。参加者は、浴衣姿の劇団員、小林監督の親衛隊“小林監督心中クラブ”、俳優志望の夫を亡くした若き未亡人・切子、殺気立った訳ありの女・安子など。オーディションではそれぞれの事情を語り、演じて見せる。助監督のジョーたちに心配されながら、脚本作りに難航する小林の前に現れたのは、元恋人の方子。脚本の続きを書いてくれるという彼女に励まされながら、制作に打ち込んでいたが、エグゼクティブプロデューサーからの無理な要望で、自暴自棄に陥ってしまうことに……。衝撃が走る予告編はこちら!作品情報『エッシャー通りの赤いポスト』12月25日(土)より全国ロードショー配給:ガイエ©2021「エッシャー通りの赤いポスト」製作委員会写真・北尾渉(藤丸千、黒河内りく、モーガン茉愛羅、山岡竜弘、小西貴大)
2021年12月24日まもなく今年も終わりを迎えますが、華やかな気持ちで締めくくりたい人にオススメの映画は、制作費30億円をかけた音楽エンターテインメント『ヴォイス・オブ・ラブ』。そこで、こちらの方にお話をうかがってきました。ヴァレリー・ルメルシエさん【映画、ときどき私】 vol. 439ヴァレリーさん“フランスを代表するマルチ・タレントの⼀⼈”とされているヴァレリーさん。世界の歌姫セリーヌ・ディオンの半生を初めて映画化した本作で、主演・監督・脚本のすべてを担当していることでも話題に。劇中では、役名をアリーヌと変え、大スターが誕生する瞬間から葛藤までを見事に表現しています。今回は、制作秘話や愛について、そして日本への熱い思いを語っていただきました。―現在、ヴァレリーさんは57歳ですが、本作では驚くべきことに12歳からすべてご自分で演じていらっしゃいます。どういったいきさつで、子ども時代から演じることになったのでしょうか?ヴァレリーさん私は一人芝居の舞台でも子ども役をしょっちゅう演じているので、実は私にとっては慣れている役どころなんです。それに、私はアリーヌというキャラクターすべてを自分ひとりで引き受けたかったというのも大きな理由だったかなと。なぜなら、子役が演じるには難しいところがありましたし、彼女の持つ不器用さが私の幼少期と重なるところがあったので、そういう意味でも誰かに任せることなく自分で演じたかったのです。―とはいえ、実際演じてみて難しさを感じることもあったのでは?ヴァレリーさん幼少期やティーンエージャーの頃というのは、けっこう決まった“コード”みたいなものがあるものなので、意外と楽なものなんですよ。それよりも、20代の彼女を演じるほうが難しさを感じました。子どもと大人の中間地点が、一番大変だったと思います。とはいえ、彼女が自信を身に着け、グラマラスなスターになって行く過程を演じられるのは、楽しいものではありましたけどね。ちなみに、観客のみなさんは特殊効果を使って私の頭を子どもの体に乗せているんじゃないかと思うかもしれませんが、小さく加工してもらっただけで、体もすべて私自身のものなんですよ。そういうところも、ぜひ見ていただきたいですね。セリーヌの魅力は、地に足がついているところ―そこは注目ですね。演じるうえで、セリーヌさんのあらゆる文献を読まれたそうですが、彼女の生き方に触れてみて、どのように感じましたか?ヴァレリーさん驚いたことは、いくつもありました。なかでも、セリーヌの父親は結婚当初、「子どもはいらない」と宣言していたにもかかわらず、14人もの子どもを設けたこともそのひとつ。しかも、当時のカナダ・ケベック州では、それでも大家族のレベルではなかったというのにも、びっくりしました。あとは、彼女がラスベガスに移って以降、自分の家と移動中のリムジンと劇場以外、一歩も外に出たことがなかったという事実にも衝撃を受けましたね。―では、彼女がここまで世界中の人を惹きつけている理由については、どのようにお考えですか?ヴァレリーさん彼女が育った家庭環境が影響しているとは思いますが、すごく地に足がついている人であるというのは大きいと感じました。それに加えて、連帯感が強い家族に囲まれていたからというのもありますが、自分の出自を忘れず、家族を無視することがないのも素晴らしいところかなと。だからこそ、彼女はスターになっても、お高くとまることもなく、人柄の良さとユーモアを持ち続けることができたんだと思います。愛とは、一番価値がある大切なもの―なるほど。また、彼女が感じる孤独やアーティストしての義務感といったものには、ご自身も共感されたそうですね。苦しい時期を乗り越えるためにしていることはありますか?ヴァレリーさん孤独だと言っても、私の場合は長年同じメンバーに囲まれて仕事をしているので、そこまで孤独を感じてはいないかもしれないですね。実際、彼らの存在が私の心を和ませてくれていますから。孤独や困難から私を救ってくれているのは、人間関係における忠実さだと改めて思っています。―この作品は、いろいろなカタチの愛に溢れた作品だと思いますが、ヴァレリーさんにとっての愛とは?ヴァレリーさん私にとって愛というのは、一番価値のある大切なものです。たとえば、20年前に出演していた映画の写真を見たとき、仕事がどうだったかよりも、「このときの私は恋をして幸せだったかな?」みたいなことを考えるので、私にとっては愛が何よりも大事なんだなと感じます。そういったこともあって、今回の作品では曲が生まれる過程はあえて見せず、アリーヌと夫でプロデューサーのギィ=クロードが築いた唯一無二の愛情関係を中心に描くことにしました。私も彼のようなマネージャーがほしかったですね、そうはなりませんでしたが(笑)。多くのスターがドラッグやアルコール、不幸な恋愛でキャリアを台無しにしてしまうなか、そういうことのないセリーヌにとって、愛は一番欠かせないものだったと考えています。現場では、2つのことを意識している―また、劇中では素晴らしい歌も見どころのひとつです。ご自身が好きな曲はありますか?ヴァレリーさんそれは、「愛をふたたび」ですね。この曲は、ジャン=ジャック・ゴールドマンが彼女のために書いた曲ですが、彼はセリーヌのことをよく理解していましたし、彼女もその思いに応えるように歌っており、彼らが一緒に仕事をしている姿はとても美しいと思いました。歌詞も素晴らしいですし、私にとっても大切な一曲です。―ヴァレリーさんは、長年にわたって幅広いジャンルで活躍されていますが、ご自身が大切している信念や言葉があれば、教えてください。ヴァレリーさんまずひとつめは、「避けられないものは、抱擁しなければならない」というシェイクスピアの言葉です。どちらかというと私は、運命論者みたいなところがあるので、うまくいかないことがあっても、あまり根に持たずに「そういうものなんだな」と考えるようにしています。そしてもうひとつは、リラックスすること。やはり仕事というのは、楽しくなければいけないと思うので、相手にストレスを与えてはいけません。というのも、私がデビューしたばかりのころ、いつもカメラの後ろでしかめっ面して私をにらんでいる監督がいて、つらい経験をしましたから。俳優というのは、「愛されたい」「信頼してもらいたい」という欲求が高い存在。だからこそ、私が演出するときは、「私が彼らの一番のファンなんだ」と感じてもらえるように意識しています。そうすることで彼らは自信を持って演じてくれるので、そういう現場作りは大切にしているところですね。大事なのは、一緒に笑える人といること―まもなく日本で公開を迎えますが、どのようなお気持ちですか?ヴァレリーさん実は、私はいままでに26回も日本を訪れたことがあるんですよ!なので、今回来日が果たせなくて、本当に悲しいです。もし日本に行けていたら、本当にビッグなクリスマスプレゼントになっていたでしょうに……。日本には、行くたびに自分の家にいるみたいにくつろげるので、とにかく大好きな国なんですよ。―ありがとうございます。そのなかでも、日本での思い出といえば?ヴァレリーさん飛騨高山もすごく印象に残っていますが、おもしろかったのは地方で大相撲を見たときのこと。初めて観戦しましたが、あの雰囲気も気に入りましたし、マス席でいろいろなものを食べられるのも楽しかったです。しかも、ラッキーなことに相撲部屋まで見学させていただくことができ、力士たちが一生懸命鍛えている姿を見ることができたのは興味深かったですね。そのほかに好きな街は、大阪。最近は、フランスから大阪に直行便で飛ぶようにしています。そして、何より一番はマッサージの技術。私は世界各地でマッサージの施術を受けていますが、日本のマッサージは最高です!―それでは最後に、ananweb読者に向けてメッセージがあればお願いします。ヴァレリーさんアリーヌとギィ=クロードを描いていて、いいなと思ったのは、2人がよく笑い合っている姿。特に、彼女が彼を笑わせているシーンが多いですが、笑わなくなったカップルというのはとても悲しいことです。だから、みなさんにも「一緒に笑える人といることが一番大事ですよ」というのは伝えたいと思っています。インタビューを終えてみて……。仕事の話から愛のことまで、興味深いお話をしてくださったヴァレリーさん。取材中、「日本」というワードが出た瞬間、一気にテンションが上がり、質問を聞き終えることなく日本愛を炸裂されて、うれしくなりました。今回は、幼少期からすべてを演じていらっしゃるヴァレリーさんの熱演ぶりにも注目です。愛を乗せた歌声が心を震わせる!世界的スターが歩んできた波乱の道のりを一緒に旅するかのような感覚を味わえる本作。その裏にある家族の愛、音楽への愛、そして夫婦の愛は、観る者の心を温かくし、大きな感動を与えてくれるはず。圧巻の歌声と迫力のステージは、ぜひスクリーンで堪能してみて。取材、文・志村昌美ストーリー1960年代、カナダのある小さな田舎町に暮らす音楽好きの一家に、14人兄弟の末っ子として生まれたアリーヌ。彼女は5歳から人前で歌い始め、その歌唱力はすぐに町で話題となる。そんな彼女の特別な歌の才能に気づいたのは、地元の名プロデューサーであるギィ=クロード。“奇跡の原石”を大切に育て、12歳でデビューさせると、アリーヌは世界的歌姫へと成長していくのだった。そして、それは自分を見いだしてくれたギィ=クロードとの真実の愛と出会う旅にもなることに……。魅了される予告編はこちら!作品情報『ヴォイス・オブ・ラブ』12月24日(金)より ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国ロードショー配給:セテラ ・インターナショナル©Rectangle Productions/Gaumont/TF1 Films Production/De l’huile/Pcf Aline Le Film Inc./Belga© Laurent Humbert / H&K©photos jean-marie-leroy
2021年12月23日婚活で約1000人の男性と出会い、年下夫を射止めたライター・かわむらあみりがお届けするコラム【結婚引き寄せ隊】連載第95回は、婚活していると出会う、ちょっと遠慮しておいたほうがいい男性の特徴をお届けします。1.自分はイケてると思っている【結婚引き寄せ隊】vol. 95出会いを探しているときは、いろいろ出会いの場所へ足を運ぶ機会も多いはず。そうしていくなかで、「おや?」と思ってしまう男性のひとつめは、「自分はイケてると思っている」タイプ。つまり、自分で自分をカッコいいと思っている男性です。ある男性は、その場にいたみんなが初めましてで自己紹介をするときに、聞いてもいないのに「よく俳優のに似てるって言われるんだよね、そんなに似てるとは自分では思わないけど」と、自ら俳優レベルのビジュアルであることを申告。しかも20代の若手人気俳優の名を口にしたその男性は、30代後半……。もし似ていたとしても、まわりに気づかれて「似てるよね?」と言われるならともかく、誰にも聞かれていないのになんだかなあと。全然似てないよ、とはさすがに言えない雰囲気で、「……言われてみれば(苦笑)」となぜかフォローする人も。さらには、連絡先の交換をしようという話になった際、「僕の連絡先をほしい人!」と、ノリノリで携帯をふりかざしていた姿を見て唖然。そんなにあなたの連絡先が人気だと思っているのですか……と、心のなかでつぶやいたのは私だけではないでしょう。のらりくらりと交わし、結局その男性の連絡先は聞きませんでした。やっぱり、妙に勘違いしている人って、厳しいですよね。2.強引すぎる楽しい飲み会のはずが、「強引すぎる」タイプの男性のおかげで、うんざりしてしまったこともありました。お酒が入ると、ある程度気が大きくなってしまうところは誰にだってあるかもしれませんが、それが周りを楽しくする振る舞いかそうでないかによって、ずいぶん印象が変わってくるものです。「彼女募集中」だと言うある男性は、隣りに座る女性を見境なく口説いていくという、軽々しさ。最初に座った女性は、まだその男性の本性がわからなかったため、「こんなかわいい子と出会えるなんて運命かも」という歯の浮くような台詞なのに、だんだんとまんざらでもない雰囲気になっていっていました。ただ、女性がトイレで席を立つと、他の女性に対しても同じような言葉でその男性が口説きだして、相手に「はあ?」と怒られそうになると、サーっとその場を離れるという逃げ足のはやさ。少し離れた場所でその光景を見ていた女性陣からは、「アイツ要注意!」の警報発令。一部警戒する女性陣がいることをわかっているものの、相変わらずそばにいる女性を口説く強引なその男性。「俺に口説かれたら誰だってうれしいはず」という謎の自信で、強引すぎて敬遠する女性多数ながら、そのぐらいの空気の読めなさがあるほうが本人は幸せなのかもしれないと思いました。3. 頼られていると思っているときどき遭遇することがある、自分は「頼られていると思っている」男性。本当に頼り甲斐があって、周りから信頼されている男性もなかにはいるのですが、そうではない勘違い系の男性だっています。その様子がよくわかるのは、アルバイト先や職場といった、働く場所かもしれません。ある男性は、誰も頼んでいないのに、「どうした?悩みがあったらいつでも言ってくれていいから!」と、一方的に連絡先を書いたメモを渡してくることがありました。確かに本当に悩んでいて誰にも言えないタイプに寄り添うなら、そのアプローチは正しいかもしれないものの、そうではないタイプにもグイグイと悩みごとを話すように迫っていくのは違うんじゃないのと思う人が続出。“どんどん頼ってくれ”と、頼ってもいないのに発してくる男性は、もしかすると善意で行動しているのならいいことでもあるため、なかなかハッキリと嫌だと言いづらいこともあります。本当に頼られている男性ならいいのですが、頼られていると思っている男性は、ちょっと厄介かもしれませんね。恋活や婚活をしていると、ちょっと変わったタイプの男性にも遭遇してしまうことも。くれぐれも、みなさんもお気をつけて、素敵な恋をつかんでくださいね。文・かわむらあみり©Minerva Studio/Getty Images©aleksle/Getty Images©Moon Safari/Getty Images
2021年12月20日過去に3度も個展を開催しているタレントのベッキーさんが『BANKSY GENIUS OR VANDAL?(バンクシー展天才か反逆者か)』のプレス限定イベントに出席。その後インタビューに応じ、バンクシーやアートについて、語ってくれました。ベッキーさん登場!【女子的アートナビ】vol. 231世界で300万人以上動員している話題の展覧会『BANKSY GENIUS OR VANDAL?(バンクシー展天才か反逆者か)』が、原宿駅前の東京・WITH HARAJUKUにてはじまりました。開幕に先駆けて開かれたプレス限定イベントに、ベッキーさんが登場。キュレーターの山峰潤也さんと一緒にトークセッションが実施されました。まず、展覧会の感想について問われると、ベッキーさんは「会場に一歩足を踏み入れた瞬間バンクシーの世界観に入れて、すごいです!」と興奮気味に回答。また、バンクシーについては「愛がある人。世界のこと、先のことをいろいろ知っている人だと思う」といい、もし会えたら「悩みを相談してみたいです(笑)いいアドバイスをもらえそう」と語りました。山峰さんは、「たくさん作品があり、めまいがするくらいの展覧会。バンクシーはアートの世界で時代の寵児。政治などいろいろなメッセージも含まれているので、若い人たちが感化されるような機会になればいい」とアピールしました。ベッキーさんインタビュー!イベント終了後、ベッキーさんにインタビューを実施。まずは、バンクシーの魅力について、語っていただきました。――バンクシー作品の魅力は、どんなところにあると思いますか?ベッキーさん伝えたいことを100パーセント伝えてくれていない感じがいいです。30パーセントくらいポーンと投げかけられて、あとは人それぞれどうキャッチするか。アートは基本そうだと思いますが、なかでもバンクシーは考えさせられます。こういう意味なのかな、とか。謎解きみたいで、その時間が楽しいですね。――本展のバンクシー作品のなかで、特に《ボム・ラブ》が好きだと仰っていました。少女が爆弾を抱えているというシュールな作品ですが、どんな部分に惹かれましたか。ベッキーさん遠くから見たら全体の色がピンクで、女の子がステキな表情で何か抱きしめているから、「ハッピーな絵かな?」と最初は思ったのです。でも、抱いているのは爆弾なんですよね。それって、すごく胸を締め付けられる。相反するものを組み合わせるのがバンクシーらしさなのかもしれませんけど、いろいろ考えさせられます。しかも、この絵の隣に、軍のヘリコプターをイメージした作品が並んでいたので、ふたつセットで胸にぐっときました。「キュン」とした作品は…――ベッキーさんはお父さまがイギリスの方で、イギリスにもよく行かれていたそうですが、バンクシー作品にもそのお国柄が感じられますか?ベッキーさんすごくイギリスらしいです。イギリスに行ったらよく行く大型スーパーの絵が描いてあったり、国旗も出てきたり、あとはケイト・モスをモチーフにしていたり。レンガの町の雰囲気が作品に出てきたりすると「キュン」とします。今は世界一のアーティストといっても過言ではないバンクシーの作品に、イギリス感が満載なのがうれしいです。――バンクシーの活動スタイルはどう思われますか?神出鬼没で謎が多いですよね。ベッキーさん正直、どこまで言っていいのかわかりませんけど……。建物にアートを描いてしまって、ひょっとしたら困っている人もいるかもしれないですよね。だから100パーセント支持をしてはいけないのかもしれないですけど、でも、「次は何をしてくれるのだろう」と楽しませてくれる感じが最高ですよね。バンクシーは、新作を単に発表するだけでなく、この国に行ったとか、いろいろな舞台裏を考えさせてくれることも含めてアート。彼は、生きざまそのものがアートですよね。代表作は、結局彼自身だと思います。周りの人を幸せにしたい――ベッキーさんはご自身でも絵を描かれ、個展も開かれています。ベッキーさんの作品は、とても明るくて、ハッピー感があふれていますね。ベッキーさん自分のルールとして、ハッピーな気持ちでしか筆を持たないと決めています。見た人の目、心を汚したくないという気持ちがあるので。とはいえ、つらいときもある。つらいときは、「つらいな。でもハッピーになりたいな」という気持ちで描くと、ぎりぎりハッピーゾーンに入るから、なんとか前向きになれます。あと、私自身、色が好きなのです。カラフルな色は、心が躍ります。だから遊園地や子ども服、子どもの遊び場なんかもカラフルなんですよね。昔からイラストとか描いていましたし、子ども服とかデザインの仕事もしていました。やはり、私はカラフルなものが好きですね。――絵だけでなく、ベッキーさんご自身も明るくて元気なイメージがあります。ベッキーさんの元気の原動力は、なんでしょうか?ベッキーさん私は、そんなに自分では元気だと思っていないのです(笑)。お仕事もあるし、子育ても家事もあって、いつもヘトヘトになっています。でも、いつも意識しているのは、「周りの人を幸せにしたい」という気持ちです。それが、原動力になっているのかもしれません。アートは、いい世界――アートというのは、高尚なイメージがあったりして、どんな風に見ればよいのかと考えてしまう場合もあります。ベッキーさんアートは、どう考えてもいいと思います。見る人が解釈したものが、それが答えだと思います。それだから、いいんですよね。「1+1=2」だけが答えではない。「私はこう思う」という感じで、人の数だけ正解があり、それぞれの見方でいいんだと思います。例えば「ベッキーの絵は子どもの絵みたいでしょうがない」といわれても、全然傷つかないです。私が楽しんで描いているのだから、それが私にとっての正解。だから、アートはいい世界です。――これまでに感動したアート体験はありますか?ベッキーさんやまもとしんじさんというイラストレーターの方が、イラストをプレゼントしてくれて、それが私の理想とするカラフルさとかわいさがあるステキな絵なのです。いろんな動物とかお菓子とかあって、よく見ると私や旦那さん、昔飼っていたペットが描いてあって。その絵をもらったとき、絵はこっそりと思いを忍ばせて、手紙のように使えたりするすばらしいものなんだと思いました。その絵は、もう宝物です。とにかく楽しいですよ!――最後に、anan読者にメッセージをお願いします。ベッキーさんananを読んでいるおしゃれさんは、アート大好きという方もいるかもしれませんし、いろいろだとは思いますけど、バンクシーのアートは心がワクワクしたり、考えさせられたり、みんなが触れられるアートだと思います。だから、本当に気軽な気持ちで遊びに来て後悔はないと思います。場所も原宿ですし、とにかく楽しいですよ! 「アートって好きかもしれない」と思えるようになると思います。――ステキなお話、ありがとうございました。インタビューを終えて…インタビュー前、バンクシーの「ケイト・モス」作品やバスキア作品の前で写真撮影が行われました。明るくキラキラした笑顔がステキで、まさにテレビで見せる元気なイメージそのものでしたが、お話をうかがうと繊細な部分も多く感じられました。つらいときも常に前向きになれるよう心がけ、仕事や育児、家事、絵画制作に一生懸命取り組んでいるベッキーさん。彼女の生きざまも、ひとつのアートなのかもしれません。年末年始も開催!『BANKSY GENIUS OR VANDAL?(バンクシー展天才か反逆者か)』には、貴重なオリジナル作品、版画、立体作品、映像や本など100点以上が集結。アンディ・ウォーホルやバスキアの作品12点も特別展示されています。バンクシー作品のルーツを探る他作家との比較展示は、日本初登場。特に、ウォーホルの「マリリン」作品から影響を受けた「ケイト・モス」は、必見です。本展は、年末年始も開催しています。原宿駅から数分の便利なロケーションで見られる楽しい展覧会、ぜひ足を運んでみてください!Information会期:~2022年3月8日(火)※2月24日(木)休館会場:WITH HARAJUKU開館時間:10:00~20:00 ※入館は閉館の30分前まで観覧料:※日時指定制平日一般¥1,800、大・専・高¥1,600、中学生以下¥1,200土日祝一般¥2,000、大・専・高¥1,800、中学生以下¥1,400※最新情報などの詳細は公式サイトをご覧ください。撮影 : 安田光優
2021年12月20日いよいよ年に一度のクリスマスが近づいてきましたが、待っていたからこその喜びを感じている人もいるのでは?そこで、そんな気分にぴったりのピュアなラブストーリーをご紹介します。『雨とあなたの物語』【映画、ときどき私】 vol. 4382003年、まだスマートフォンもSNSもない韓国。夢も目標もなく、ソウルの予備校に通う浪人生ヨンホは、長い間大切にしてきた記憶のなかにいた友人を思い出し、あてもなく手紙を出す。そのころ釜山にいたのは、自分の夢を見つけられないまま母親と一緒に古書店を営むソヒ。ある日、ヨンホから姉のソヨンに届いた手紙を受け取る。「質問しない」「会いたいと言わない」「会いに来ない」という約束を条件に、ソヒは病気の姉に代わって手紙を交わしていく。偶然始まった手紙のやりとりだったが、返事を待つ楽しみがいつしかモノクロだった2人の日常を鮮やかに彩り始める。やがてヨンホは「もしも12月31日に雨が降ったら会おう」と提案をするのだが……。1通の手紙によって始まった8年越しのひたむきな愛の物語を描いた本作。現在人気急上昇中のカン・ハヌルが主演を務めていることでも、話題となっています。そこで、こちらの方にお話をうかがってきました。チョ・ジンモ監督韓国で2021年春に公開された際には、興行収入初登場第1位を記録し、注目を集めているジンモ監督。今回は、現場で見たキャストの様子や手紙に関するエピソードなどについて、語っていただきました。―最初に脚本を読まれたときは、どのような印象でしたか?監督まずは、純粋にいい脚本だなと思いました。そのうえで、作品に込められているメッセージには、以前から僕自身が気にかけていたことと一致する部分があったのも共感した理由です。それから、3年ほどかけて完成させました。―ちなみに、監督が以前から気にかけていたこととはどのようなことですか?監督それは、他人に対しての想像力です。この作品では、そこが大きなテーマにもなっているわけですが、そういったものがいかに相手を幸せにするかを手紙という普遍的な媒体を介して描き、隠された形で表現しているところに感銘を受けました。―軍隊にいたときにこの脚本を読んだカン・ハヌルさんは、思わず泣いてしまったので寝たふりをしたこともあったとか。監督彼がどこで泣いたのかを具体的には聞いていませんが、実は僕自身も自分の作品でありながら、この映画を観て何度も泣いてしまったことがあるんです(笑)。おそらくそれは、とても優しく描かれている繊細な脚本によって、自分が過去に経験したことを思い出したから涙が込み上げてきたんだと思います。俳優たちには、感謝の言葉しかない―今回はカン・ハヌルさんとチョン・ウヒさんの共演にも注目が集まっていますが、監督は「奇跡のようなキャスティングだった」とお話されています。どういった経緯でおふたりに決まったのでしょうか。監督まず、カン・ハヌルさんに脚本を送ったのは彼が軍隊にいるとき。すぐに脚本を読んでもらうことができ、気に入ってくれたので、出演してもらえることになりました。チョン・ウヒさんに関しては、ちょうど彼女がとても忙しい時期だったので、脚本を読んでもらえるかもわからないような状態ではありましたが、たまたま時間が少しだけ空いたときがあったんです。そのときに脚本を読んでもらうことができ、感動したので出たいと言っていただきました。もしあのときにタイミングよく(彼らに)時間ができなかったら、このキャスティングは不可能だったでしょうね。この業界ではキャスティングが自分の思い通りになることは、なかなか難しいことなので、恵まれているなと思いました。―実際に、おふたりと現場をともにしてみて、感銘を受ける瞬間はありましたか?監督これは毎回感じていたことですが、彼らには本当に感謝の言葉しかないくらい、どれもありがたい時間でした。なぜなら、この映画はすべてを見せているわけではなく、隠された部分も多かったので、その代わりに俳優自身が想像力を使って表現しなければならなかったからです。実は、当初はどこまでその意味をくみ取ってもらえるだろうかという心配もありましたが、彼らの表情や感情の出し方、そして視線にいたるまでどれもうまく表現してくれたので、それを見て感謝の気持ちが込み上げてきました。時が経っても、変わらない心の動きを見せたかった―劇中では、幅広い年代を演じられていますが、どういった演出をされましたか?監督今回は、8年という年月が流れていきますが、見せたかったのは見た目よりも心の変化。それも、変わらないという心の動きのことです。なぜなら、2人が心のなかに持ち続けたのは、お互いのことを想う気持ちですからね。そこに重点を置いていたので、彼らも演じるうえで難しさを感じてはいなかったのではないかなと。時が経って髪は伸び、ファッションも変わったけれど、気持ちは変わっていないというのを見せられたと感じています。―では、監督から見た主演カン・ハヌルさんの魅力についても教えてください。監督みなさんが持っている印象と実際の彼は、あまり差がないように思います。韓国には「良い人間であってこそ、いい俳優になることができる」という言葉がありますが、彼はまさにその通りの素晴らしい人。なかには、現場でピリピリしてしまう俳優もいますが、彼はスタッフみんなに配慮してくれる明るさがあります。そして、穏やかでありながらうちに情熱を秘めているところも彼の魅力ですね。―劇中に登場する2人の女性を星と雨にたとえているシーンがありましたが、監督がカン・ハヌルさんを何かにたとえるとしたら?監督僕が決めていいのかわかりませんが、星のような人だなとは思いました。現場にはいろいろなタイプの人がいますが、彼はどんな人にも親しみを持って接し、相手が楽に仕事をできるようにしてくれるのです。だからといって先頭に立って引っ張っていくというスタイルでもないので、周りを導いてくれるような明るさを持っているところが星に近いのかなと。実際、みんなが彼に導かれていく瞬間は多かったように感じました。待ったからこそ会える人や出来事があると思っている―非常に興味深いたとえですね。現代は何かとスピード感が求められていますが、本作で描かれている「待つこと」にはどんな良さがあると思いますか?監督今回の作品では、待ったからこそ会える人がいることや待ち受けているといいことがあるよ、というのを伝えられたらいいかなと。もちろん、待っている時間は苦しいこともありますが、楽しさもあるものなので、そこを経て出会える何かは必ずあると思っています。―監督自身は、待つのは得意なほうですか?監督そうですね。いまでもまだ何かと出会うのを待っているような気がしています。それは決まった人というわけではないですが、いつも誰かとの出会いを待っている感覚です。―本作において、重要な役割を果たしているのが手紙ですが、手紙にまつわるエピソードがあれば、教えてください。監督最近は、手紙のやりとりというのはほとんどなくなりましたが、それでも本心を伝えるには一番いい方法だと思っています。僕が若いころは、ペンフレンドが世界的に流行っていたので、僕も海外に大勢のペンフレンドがいました。そのなかでおもしろい話といえば、会いたくなって会いに行ったけど会えなかったり、顔を見たいから写真を送ってほしいと言った途端に文通を打ち切られてしまったり(笑)。数えきれないほどいろいろな思い出がありますね。でも、そういった文通を経験したことで僕の人間形成において、待つことの楽しさを教えられたのかもしれません。手紙を通して慰められたり、元気をもらったりしたので、文通をしていてよかったなといまは思っています。成長過程において、近くにあったのは日本の文化―劇中では日本に関わる描写も出てきましたが、ご自身は日本に対してどのような印象をお持ちですか?監督日本には親しい友達がいたので、これまでに10回以上行ったことがあります。もちろん友達に会うためではありましたが、大きな目的のひとつはおいしいご飯を食べられること(笑)。また落ち着いたら、ぜひ行きたいなと思っています。―何か影響を受けている、お好きな文化や作品はありますか?監督僕が子どものときは、韓国で日本の文化に触れられる機会は少なかったですが、規制が緩和されてからは、いろいろなものを楽しむようになりました。いまでは日本の音楽も映画も、大好きになってしまったほど。僕の成長過程において日本の文化は近くにあったので、さまざまな影響を受けていると思います。―それでは最後に、日本の観客に向けてメッセージをお願いします。監督まずは、この作品が日本で公開されることになり、本当にうれしいです。実は、「この映画は冬に公開されたらいいな」と思っていたので、ちょうど12月に公開されることにも喜びを感じています。ぜひ、本作とともにいい時間を過ごしていただけることを願っていますし、もし気に入っていただけたら、周りの方にも勧めていただけますと幸いです。離れていても、お互いを想う気持ちが支えとなる何事にも早さを求めがちな現代において、待つことで味わえる喜びを教えてくれる本作。一途な想いが引き起こす奇跡の瞬間は、寒さを忘れて心が温まるのを感じられるはずです。取材、文・志村昌美輝きが詰まった予告編はこちら!作品情報『雨とあなたの物語』12月17日(金)よりシネマート新宿、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次ロードショー配給:シンカ© 2021 KIDARI ENT, INC., SONY PICTURES ENTERTAINMENT KOREA INC. (BRANCH), AZIT FILM CORP., AZIT PICTURES CORP. ALL RIGHTS RESERVED
2021年12月16日“SFアクションの金字塔”と呼ばれ、世界中を熱狂の渦に巻きこんだ『マトリックス』シリーズ。謎に包まれている18年ぶりの最新作『マトリックス レザレクションズ』が、いよいよ公開を迎えます。そこで、本シリーズを知り尽くしているこちらの方にお話をうかがってきました。声優の小山力也さん【映画、ときどき私】 vol. 437シリーズ1作目からキアヌ・リーブス演じる主人公ネオの日本語吹き替えを担当している小山さん。『24 -TWENTY FOUR-』のジャック・バウアーや『名探偵コナン』の毛利小五郎など、幅広いキャラクターを演じていることでも知られている小山さんに、第一線で活躍し続ける秘訣や『マトリックス』の魅力などについて、語っていただきました。―ネオを演じるのは久しぶりとなりましたが、また演じてみていかがでしたか?小山さんリハーサルをしているうちに昔のことを思い出し、感慨深いものがありました。『マトリックス』といえば、僕にとっては劇場映画の吹き替えで最初の大役。いままでいろんな役をやらせていただいていますが、そういったこともあってネオについては鮮明に覚えているので、感覚を取り戻すのに時間はかかりませんでした。―小山さんにとって、ネオは演じやすいキャラクターですか?それとも苦労されることのほうが多いのでしょうか。小山さん1作目のときは、吹き替えの経験が浅かった時代で、僕自身がまだ新しい世界に戸惑っているところがありました。でも、そのなかでもいろいろなことを吸収したいという気持ちが『マトリックス』の世界に戸惑いながら成長するネオと重なる部分があったので、そういう意味では演じやすかったのかもしれませんね。ただ、キアヌさんといえば、ピュアでかっこよくて、エネルギーがあり、それでいてお芝居も洗練されている方なので、一番意識しているのは、そういう彼の良さを決して汚さないこと。そのために、息つぎのタイミングや表情の出し方というのは、確認するようにしています。キアヌさんは、吹き替えていて楽しい存在―最新作では、経験を重ねたからこそできたこともあったと思いますが。小山さんそうですね。僕とキアヌさんは同世代で、お互いに歳を取りましたが、今回の彼は歳を重ねたからこその良さがでていて、とても素敵だなと思いました。僕としては昔よりもいろいろな方法論や技術が増えたので、それを応用することができたのはよかったかなと。特に、日本語と英語では語順が違うので、英語のセンテンスの並びに合わせながら日本語の感情を出すように工夫しています。―小山さんから見たキアヌさんの魅力とは、どんなところですか?小山さんストイックに減量してヒーローを演じたと思ったら、オフでは無精ひげでちょっとぽっちゃりしてしまうところとか、二枚目なのに気取っていないところがいいですよね。純粋で子ども心を持っている方なんだろうなと思っています。そういう部分も、ネオとリンクしているのかもしれないですね。工夫しなければいけないことは多いですが、僕にとってキアヌさんは吹き替えていても楽しい存在。自分と役の気持ちをうまく膨らませて演じていらっしゃるので、僕はキアヌさんの遊び心を自分なりに想像しながら演じるようにしています。20年以上経っても、あのときの気持ちは忘れたくない―新作のなかで吹き替えていて楽しかったシーンと難しかったシーンについて教えてください。小山さん楽しかったのは、やっぱりトリニティーと久しぶりに会話できたこと。演じているキャリー=アン・モスさんも大人の魅力が増していてとても素敵だったので、思わずこちらまでドキドキしてしまいました(笑)。自分が相手をしていただいているつもりで演じられたのは、うれしかったです。難しかったのは、非常に凝っている特撮やグラフィックのディテールをつかまなければならなかったこと。そういう部分を想像しながら演じるのは、苦労したところです。―ちなみに、過去の作品のなかで忘れられないシーンもありますか?小山さん人の頭の後ろに装置が付けられていて、そこに長い鉄の棒がグサッと刺さるシーンを最初に見たときはやっぱり驚きましたね。あの場面はいまでも怖いですし、1作目はいま観ても新しいと感じます。―確かに、色褪せない魅力がありますよね。ご自身のキャリアにおいて、『マトリックス』シリーズとの出会いはどのようなものになりましたか?小山さん僕はドラマ『ER緊急救命室』で初めて吹き替えをやらせていただいたばかりだったので、そのときはまだド素人。にもかかわらず、なぜか『マトリックス』ほどの大作に主役で声をかけていただいたので、「本当に自分でいいのかな?」という戸惑いと喜びの両方がありました。あの気持ちは20年以上経っても忘れられないですし、これからもそのときの初心は持ち続けていきたいです。あとは、映画の反響が大きかったこともあり、日本語の吹き替えに受け継がれてきた伝統や先人たちの足跡、世界でどういった評価をされているのかも知ることができたので、そこで得たものは、今後も大切にしたいと思っています。ルーティンをなくすことで、プレッシャーが減った―そこから長年にわたって、第一線を走り続けていらっしゃいますが、ご自身で秘訣を挙げるとすればどんなことがありますか?小山さん先ほどの話とつながりますが、作品を汚さないことです。スタッフやキャストをはじめ、あらゆる才能が集まり、お互いの技術を切磋琢磨し合うことで素晴らしい作品が完成しているので、僕がそれをおとしめてはいけない、という意識はつねに持っています。―では、現場で欠かさずされていることは何かありますか?小山さん昔はいろんなルーティンがありましたが、フィギュアスケート羽生結弦選手が「一切のルーティンをなくしました」と話しているのを聞いて、実は僕もすべてなくすことにしたんです(笑)。不安も多少ありますが、いろいろなことの時間を節約できるようになり、楽になりました。あとは、よく見て、よく聞くことですね。―以前は、どのようなルーティンをされていたのでしょうか。小山さん直前に見直したり、準備運動したり、決まったペンを使うとか、そういったことですね。もちろん、見直す必要があるときもありますが、決めてしまうことで「これをしなかったから今日はうまくいかないんじゃないか」というプレッシャーになるのはよくないといまは思っています。ただ、イチローさんが現役時代にたくさんのルーティンを持っていたというのを聞いて、それもまた超一流の証明なんだなと。もちろんそこはイチローさんの素晴らしいところでもありますが、それを捨ててかかる羽生さんもすごいなと感じたので、僕も一旦なくすことにしました。忖度なしで励ましてくれる周りに支えられている―どちらも深いですね。今回、タイトルの「レザレクションズ」は「復活」という意味ですが、いま小山さんが復活させたいことはありますか?小山さんここ最近は、コロナや地震などで大変な思いをされた方が多いと思うので、できればいろいろな命を復活させたいです。科学の進歩とともに、助かる命が増えてほしいと願っています。―本当にその通りですね。劇中ではネオもさまざまなピンチを迎えますが、小山さんにとって声優人生で一番ピンチだったことといえば?小山さんコンディションを崩してしまって声が出なくなったり、求められているものができなかったりしたことは何度かあり、そのときはつらかったです。―苦しい時期や悩みは、どのようにして乗り越えていらっしゃるのでしょうか。小山さん自分が信頼している人や心を許せる人から励ましてもらうと、それが一番の力にはなりますね。たとえば、身内が「私がついているから大丈夫だよ」と声をかけてくれたり、先輩が「気にすることないよ。今日がダメでもまた今度ね」みたいに言ってくださったりとか、さりげない言葉でもこの人に言ってもらえたから助かった、ということはたくさんありました。そんなふうに、何の忖度もなく励ましてくれる周りの方には本当に感謝しているので、その気持ちは忘れたくないですし、きれいごとではなく、僕自身も誰かを励ませられる存在になりたいと思っています。日本語の吹き替えで作品をおもしろくしたい―これまでかなり幅広いキャラクターの声を演じていらっしゃいますが、今後挑戦してみたい役はありますか?小山さんどんな役かというよりも、歴史に残るような素晴らしい俳優さんや心から感銘を受ける作品に関わっていけたらいいなと思っています。あとは、どんな作品でも、「日本語の吹き替えでおもしろくするぞ!」という意気込みはあるので、1本でも多くの作品に携わりたいです。―ちなみに、ネオ以外にも実は『マトリックス』シリーズで演じてみたいキャラクターがあれば、教えてください。小山さん今回で言うなら、役名は伏せますが、一番の悪役でしょうか。ベラベラとしゃべっているところが少しコメディチックでもあったので、トライしてみたいなと思いました。―それでは最後に、公開を待っている観客へ向けて、見どころや注目のシーンを教えてください。小山さんいまではVRやAIが当たり前のように現実に入ってきているので、以前よりも人間が人工知能に負けてしまうのではないかといった恐怖や『マトリックス』の世界もリアルに感じられるかもしれません。そんななかで、この作品では人と人のつながりが復活する様子や前に進むために必要なことなどが大事に描かれているので、人間ドラマとしても考えさせられるはずです。SFとして楽しめるのはもちろんですが、そういった部分を自分に置き換えながら観ていただけたらうれしいなと思っています。インタビューを終えてみて……。『マトリックス』シリーズへの思い入れの強さはもちろんですが、どの作品に対しても深い敬意を払っていらっしゃるのが伝わってくる小山さん。忘れずに持ち続けている初心や仕事への向き合い方など、非常に興味深いお話を聞かせていただきました。ぜひ、本作に込められた小山さんの思いを感じながら、ネオに注目してみてください。興奮と覚醒が止まらない!さらなる進化とともに復活を遂げ、まさに新章の幕開けにふさわしい『マトリックス レザレクションズ』。アドレナリン全開の刺激的な映像と予想を上回る展開で、見たことのない世界へと一気に引き込まれること間違いなし。圧倒的な没入感は、ぜひスクリーンで体感してみて!写真・安田光優(小山力也)取材、文・志村昌美ストーリーもし世界がまだ仮想世界=マトリックスに支配されていたとしたら?ネオは、最近自分の生きている世界の違和感に気づき始めていた。 やがて覚醒したネオは、マトリックスに囚われているトリニティーを救うため、何十億もの人類を救うため、マトリックスとの新たな戦いに身を投じていく。衝撃が止まらない予告編はこちら!作品情報『マトリックス レザレクションズ』12月17日(金)より全国ロードショー配給:ワーナー・ブラザース映画©2021 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED.写真・安田光優(小山力也)
2021年12月16日いつの時代も美への飽くなき憧れは誰の心にもあるものですが、それによって数奇な人生を送ることになってしまった人たちが存在しているのも事実。そこで、ある少年が実際に経験した波乱に満ちた人生に迫った衝撃のドキュメンタリーをご紹介します。『世界で一番美しい少年』【映画、ときどき私】 vol. 4361971年、“世界で一番美しい少年”として一大センセーションを巻き起こしたのは、巨匠ルキノ・ヴィスコンティに見出され、映画『ベニスに死す』に抜擢された15歳の少年ビョルン・アンドレセン。その美しさは日本のカルチャーにも多大なる影響を与え、マンガ「ベルサイユのばら」の主人公オスカルのモデルともなった。それから約50年が経ち、伝説のアイコンは『ミッドサマー』の老人役としてスクリーンに姿を見せ、強烈なインパクトと驚きで話題となる。そして、いま明かされる『ベニスに死す』の裏側と、世界一の美少年と言われたビョルン・アンドレセンの栄光と破滅とは……。2021年サンダンス映画祭で上映された際に、大きな注目を集めた本作。そこで、5年にわたってビョルンさんを追いかけてきたこちらの方々にお話をうかがってきました。クリスティーナ・リンドストロム監督 & クリスティアン・ペトリ監督映画監督としてだけでなく、ジャーナリストや作家など、幅広いジャンルで活躍しているリンドストロム監督(写真・左)とペトリ監督(右)。今回は、日本で行われた撮影の裏側やビョルンさんが本作を通じて伝えたい思いなどについて、語っていただきました。―本作では、かなり真に迫る内容が多かったと思いますが、撮影を続けるなかで、ビョルンさんが躊躇するようなことはなかったでしょうか?リンドストロム監督今回は、5年という長い時間をかけ、ゆっくりとしたプロセスのなかで作っていたので、そういうことは特にありませんでした。どの段階においても確認していたのは、彼の準備が整っているかどうか、彼自身が見せてもいいと思っているかどうか。彼が望まなければ、そもそも撮影もしないスタンスでいたので、彼が途中で止めることはありませんでした。ただ、お母さまの死に関する報告書を警察で読んでいる場面では、彼が受け止めきれていないように見えたので、こちらの判断で撮影を止めたことはありましたが、そのくらいですね。美を求める気持ちには、破壊的な側面がある―天から与えられた美貌と才能が彼の人生を奪っていく様子は、ある意味では悲劇のようにも思いましたが、ビョルンさん自身は完成した作品をどのようにご覧になっていましたか?リンドストロム監督彼は「若い人たちが自分の人生を振り返るうえで、この映画が役に立てばすごくうれしい」と話していました。あとは、子どもや若者たちにとって、美への執着がいかに危険かをとても心配していましたね。特に、10代のころは内にある自分自身がまだ形成されていないので、彼らの持つ美が原因で周りの人たちから人生を奪われてしまう場合もありますから。そういったことを語るのは、非常に重要なことだと思っています。彼自身、いままで娘さんや妹とそこまで深い話をせずに来ていましたが、この作品を通して自分の過去と向き合うことができたので、それは彼にとって大きなものとなりました。―美への強迫観念についても本作では描いていますが、日本も外見へのこだわりやルッキズムが根強いところがあるように感じています。そういった問題と、どのように向き合っていけばいいとお考えですか?ペトリ監督確かに、とても危険なことですよね。私たちは、美を求める普遍的な気持ちや憧れというのを当然持ってはいますが、そこには同時に破壊的な側面があることをつねに意識していなければなりません。世の中には、注目されたいと思う若い男女がたくさんいますが、ビョルンから言わせると、そこには死の危険すらあるのだと。特に、いまはSNSが登場したことで、彼の時代よりも悪化しているようにも感じています。もちろん、周りにしっかりとした大人やいい友人がいる場合は、破滅的な人生を歩まずに済んでるかもしれませんが、いずれにしても危険であることに変わりがないというのは、忘れずにいてほしいです。映画を通して、観客に愛を与えることができた―ビョルンさんと長い時間をともにするなかで、ご自身にも影響を与えたことはあったのではないでしょうか。ペトリ監督映画を作るうえで、自分がすごく謙虚な気持ちになりましたし、ビョルンさんが持つ勇気には本当に感銘を受け、感嘆することばかりでした。もし自分だったら、彼のような経験をしたうえに、ここまでたくさんの人にそれを分かち合い、撮影を許可することはできなかっただろうと思うので。そう考えると、彼の姿から学ぶことはたくさんありましたね。今回、観客を入れた試写を行った際、上映後に20分ほどのスタンディングオベーションが起きたことも。彼はたくさんの努力をしてこの映画と向き合いましたが、最終的には観客に愛を与えることができたので、その苦労も報われたんだなと感じたときに、思わず泣きそうになってしまいました。ビョルンは、日本の文化も人々も大好き―本作では日本とビョルンさんの関係にも触れていますが、若い世代はビョルンさんが日本でここまでブームになっていたという事実に驚く部分もあるかと思います。ただ、いっぽうで日本もある意味では彼の美を“消費”していたところがあったように感じたのですが……。リンドストロム監督まず言いたいのは、彼が日本で経験したことと、日本という国とを一緒にしてはいけないということです。そもそもこれは異なる2つのことなのですから。彼もそう考えていたからこそ、日本の文化も人々も大好きだし、「日本に撮影で来れてよかった」と言っていました。ペトリ監督彼としては、日本での仕事は『ベニスに死す』の続きのような感覚だったようですね。もちろん、仕事においてストレスを感じていた部分もあったみたいですし、次に自分がどうなるかもわからない状況ではありましたが、それでも日本はすごく楽しかったと。だから、彼はずっと日本に戻りたいと話していたんですよ。その理由としては、10代で日本にいたときを思い返そうとすると、本当に自分は日本にいたんだろうかと思うくらい、とてもシュールな気持ちになるからだとか。だからこそ、本物の経験を改めて日本でしたかったみたいです。リンドストロム監督実際、今回の撮影で日本に行こうと話したらすごく喜んでいて、撮影中は本当に楽しんでいましたよ。大人たちは、本当に子どものためかを問いかけてほしい―その言葉が聞けてよかったです。では、監督たちにとって、日本はどのような印象ですか?リンドストロム監督これまでも何度か日本には行ったことがあり、森山大道さんなど、いろんな方を取材させていただいていたので、私たちにとっては慣れ親しんだ国と言えます。今回は、2週間という限られた期間で集中して撮影を行いましたが、いい経験になりました。ペトリ監督僕が一番長く日本にいたのは、以前『Tokyo Noise』という長編ドキュメンタリーを撮影したときのこと。実は、日本には1年ほど滞在していたんです。村上春樹さんや荒木経惟さんをはじめ、文化的に有名な方にたくさんインタビューをさせていただきました。しかも、その作品がYouTubeに上がったときには、すぐに何百万ものアクセスがあったほど好評だったので、日本にはいい思い出がたくさんありますね。そんなふうに、日本にはとても愛情を持っているので、旅行者ではなく、住人として日本の生活を味わってみたいと考えています。できれば、東京の富ヶ谷に住みたいですね(笑)。そうすることで、より日本の文化に沈み込んでいけると思うので、実はそのためにいま助成金の応募をしている最中なんですよ。―ぜひ、お待ちしております!それでは最後に、ビョルンさんからの言葉で忘れられないものや作品を通して伝えたいことをメッセージとしていただけますか?ペトリ監督たくさんあるんですが、そのなかでも彼が本気で伝えたいと思っていたのは、「親や大人たちがもっと子どものことを守らなければいけない」ということ。世の中には、自分の子どもをサッカー選手にしたいとか、ミュージシャンにしたいと思っている人もたくさんいますが、「それは子どものためではなく、自分のためにしていませんか?」というのを自分に問いかけてほしいのです。子どものことを本当に思って行動する大切さを教えてくれた彼の言葉は、僕のなかでも強く残りました。リンドストロム監督この作品では、美への強迫観念、欲望と犠牲、そしてルキノ・ヴィスコンティ監督が「世界一美しい少年」と宣言したことで人生が一変してしまった少年についての物語を描きました。他人によって作られたイメージ、アイコン、ファンタジーとなったことで青年期の人生を奪われることとなった1人の少年の物語に耳を傾ける機会を観客のみなさんに届けられたらと願っています。映画史の傑作に隠された衝撃の真実を知る世界を陶酔させる崇高な美で、人々を魅了した少年ビョルン・アンドレセン。誰もがうらやむ美しさの裏に隠された悲しみ、そして葛藤と孤独に触れたとき、人生において大切なものとは何かに気づかせてくれるはず。ふたたび立ち上がろうとする姿から、本来人間が持っている美しさを感じ取ってみては?取材、文・志村昌美衝撃が走る予告編はこちら!作品情報『世界で一番美しい少年』12月17日(金)より、ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿シネマカリテ他にて全国順次公開配給:ギャガ© Mantaray Film AB, Sveriges Television AB, ZDF/ARTE, Jonas Gardell Produktion, 2021
2021年12月15日婚活で約1000人の男性と出会い、年下夫を射止めたライター・かわむらあみりがお届けするコラム【結婚引き寄せ隊】連載第94回は、彼氏が浮気男なのに別れたくない彼女に着目。そんな不幸を呼ぶ習慣を断ち切って幸せになろう!という理由を3つご紹介します。1.「付き合ってもらっている」【結婚引き寄せ隊】vol. 94シングルの時は出会い探しが大変なものの、いざ恋人ができたからといって、いつも安泰とは限りません。なかでも、相手が浮気男だったら最悪です。そんな男性を彼氏に持つ女性は、浮気男なのに別れないでいても、けっして幸せには見えません。恋人同士は対等なはずなのに、彼女のほうがなぜか「付き合ってもらっている」という、自分を低い位置に見ている意識があると、なかなか浮気されてもすぐ別れよう、という思考回路にならないこともしばしば。付き合う前はどちらかの片想いだったとか、いわゆるふたりの気持ちの強さに違いがあったとしても、いざ付き合ってしまえば、ふたりは恋人同士なわけですから、妙に下手に出る必要はありません。付き合う前の経緯なのかそれとも、付き合ってからのふたりのパワーバランスなのかはわかりませんが、相手が浮気をしても平気だという女性以外は、傷つく心に気づかないふりをしないでいたいもの。しっかりと事実に向き合うほうが、自分で自分のことを守れるだけでなく、その恋はもちろん、未来の恋の行方を左右するはず。暗い恋をするよりも、明るい恋をするほうが、女性は輝きます。2.「モテるから仕方ない」ときどきいるんですよね、彼氏がほかの女性と浮気をしていることが周囲に知れ渡っているような状態でも、彼は「モテるから仕方ない」なんて、浮気男を野放しにしている女性。もしかすると、そもそも彼女も最初は浮気相手から恋人へと昇格したという流れがある場合もありますし、そうではなくひたすら彼氏のことが好きすぎて、目をつぶっているのかもしれません。いずれにしても、モテるからって、本当に自分以外の女性と関係のある男性が、いいんでしょうか?確かにモテると恋のライバルも多いですし、そこまで異性に魅力がある人なら、諦めの境地に達するときもあるかも。でも、本音を言えばやっぱり「自分だけを大切にしてくれる人がいい」という女性がほとんどです。それに、そんな男性を将来のパートナーに選ぶよりも、もっと誠実でもっと愛してくれる素敵な男性が、この世にいるかもしれません。そのときに、「本当の幸せ」の意味を知ることになるのでしょうか。モテるから遊んでいてもいいなんて本音じゃないなら、一刻も早く浮気男とは別れましょう。そうすると、心から笑顔になれる日が多くなります。3.「尽くしたいだけ」女性のなかには一定数、男性のお世話をすることが好きだというタイプが存在します。いまの時代は、昔で言うところの亭主関白タイプはウケず、自立した女性を尊重してくれるような男性や、むしろ女性側が男性を引っ張るような組み合わせも出てきました。そんななか、甲斐甲斐しく彼氏のことをお世話するタイプの女性は、仕方なくそうなっているのではなく、実は自分が「尽くしたいだけ」ということが少なくありません。同じ目線に立って、肩を並べて発展させていく…というようなのびのびとした恋よりも、尽くして喜ばれることが好き、尽くしている自分が好きということも。それはもしかすると、何かをしてあげたことによって得られる見返りが好きなこともあるでしょうし、そんなことはなくただ単に、つい手を差しのべてあげたくなってしまうだけという、奉仕精神が強いのかもしれません。ただ、尽くせば尽くすほど図にのってしまう男性もいて、それが当たり前の状態になると、浮気だって平気で許されると思ってしまうことも。一見、尽くしたい彼女と尽くされてOKの彼氏は円満風ですが、よく考えればそれってすごく理不尽。もし尽くすなら、尽くし甲斐ある男性を厳選すべきです。心にスキマ風が吹いていることに気づいたら、ふたりの恋を見直しましょう。恋をしていると、つい目の前にいる相手のことが冷静に見れなくなってくることもあるかもしれません。くれぐれも、みなさんもお気をつけて、素敵な恋で笑顔になってくださいね。文・かわむらあみり©Neustockimages/Getty Images©tool51/Getty Images©Kathrin Ziegler/Getty Images
2021年12月14日現在、新宿のSOMPO美術館で『川瀬巴水 旅と郷愁の風景』展が開かれています。日本の風景画などを数多く手がけた版画家の川瀬巴水(1883-1957)。アメリカにもファンが多く、あのスティーブ・ジョブズも作品を購入したことで知られています。今回は、巴水の人生と作品をご紹介します。周囲からは反対され…【女子的アートナビ】vol. 2301883年、東京市芝区(現在の港区)の糸屋兼糸組物職人の長男として生まれた川瀬巴水(本名・文治郎)は、幼いころから絵が得意で、画家になることを夢見ていました。ですが、跡取りであったため周囲から反対され、家業をつぎます。絵の道を諦めきれなかった巴水は、家業を妹夫婦に譲り、25歳のとき日本画家・鏑木清方に入門を希望します。しかし、年齢を理由に断られてしまいます。27歳で、再び清方に入門を懇願。そこで認められ、約2年後に清方から画号「巴水」を与えられます。1918年、35歳で木版画家としてデビュー。風景画を得意とした巴水は、旅に取材してさまざまな景色を写生し、最初の連作『旅みやげ第一集』を発表します。巴水の制作を支えたのは、版元の渡邊庄三郎です。もともと浮世絵商だった渡邊は、大正期に、芸術性の高い木版画「新版画」の制作を開始。才能のある絵師と彫師、摺師と組んで制作を進めていました。巴水も渡邊のもとで、さまざまな作品を生み出していきます。巴水が描いたのは、日本の名所だけではありません。江戸情緒が残る街並みや、ガス燈や電柱など近代化しつつある日常風景など、彼の心に響く場面が題材に選ばれています。例えば、現在の浅草・駒形橋あたりを題材にした《こま形河岸》は、竹屋の情景を巴水独自の視点で切り取り、味わいのある構図で描かれています。竹の間から見える夏空もポイント。場面の空気感までも伝わってくるようです。震災ですべて焼失…風景画の絵師として注目され、創作活動に打ち込んでいた1923年9月、関東大震災が発生。巴水の自宅は全焼し、家財だけでなく、写生帖188冊と画業の成果もすべて失います。しかし巴水は版元の渡邊に励まされ、同年10月から長期の写生旅行に出発。諏訪から木曽、富山、城崎、出雲、瀬戸内、近畿などをめぐる102日間の旅で制作した写生帖をもとに、新しい作品を生み出していきます。巴水版画のなかで最も売れた作品《芝増上寺》も、震災後の写生をもとに誕生。ほかにも、復興途上の東京や、昔ながらの美しい東京を描いた作品も生み出し、国内外で高い評価を受けます。特に巴水らの「新版画」はアメリカで人気があり、オハイオ州では大規模な展覧会が2度も開かれました。スランプや戦争も…人気を博していた巴水ですが、その後もスランプに陥ったり、戦争による空襲の激化で疎開したりと数々の困難が彼を襲います。戦争によりアメリカとの関係も絶たれていましたが、終戦後は進駐軍が“お土産”に版画を買い求め、再びブームが到来。巴水の作品もたくさん売れました。1957年、胃がんにより74歳で逝去。絶筆となった《平泉金色堂》は、死後に版画が完成しました。12月26日まで開催中巴水の作品を見ていると、大正から昭和初期の雰囲気がよくわかり、日本の美しさを再発見できます。また、雪や雨の細かい描写や、夕景や夜景などの深い青の発色も大変美しく、彫師や摺師の技術力の高さにも感動します。なお、会場には「ジョブズと巴水」のコーナーも設けられています。新版画のコレクターだったジョブズは、巴水の風景画を気に入り、1980年代に何度か来日して作品を数十点購入。ジョブズが買った作品と同じ版画も展示されています。アップル社の洗練された製品スタイルに、日本の美が影響を与えたのかも……と想像しながら見ても楽しいです。本展は、初期から晩年までの巴水版画をまとめて見ることができる貴重な機会です。ぜひ心に響く日本の景色をご覧になってみてください。会期は12月26日まで。Information会期:~12月26日(日)※休館日: 月曜日会場:SOMPO美術館開館時間:10:00~18:00(最終入場時間 17:30)観覧料:※日時指定制オンラインチケット一般¥1,300、大学生¥1,000、高校生以下無料当日窓口チケット一般¥1,500、大学生¥1,100、高校生以下無料※入場無料の方もオンラインチケット(無料)を取得のうえ、ご来館ください。オンライン取得が難しい方用に、当日券も一定数ご用意しています。※最新情報などの詳細は公式サイトをご覧ください。※画像写真の無断転載を禁じます。
2021年12月12日2021年を振り返るなかで、改めてスポーツの力を感じた人も多いと思いますが、過去にも偉業を成し遂げた選手は数多くいます。そこで今回オススメするのは、いまなお日本が世界に誇る女性選手たちにスポットを当てたドキュメンタリーです。『東洋の魔女』【映画、ときどき私】 vol. 4351954年、大阪に本社を構える大日本紡績株式会社は、貝塚工場・女子バレーボール部を設立。監督に就任した大松博文は「鬼の大松」と呼ばれるほど、徹底したスパルタ式トレーニングで選手たちを指導していた。設立から数年後には、日本国内の四大タイトルを独占。さらに、「回転レシーブ」などの秘密兵器を生み出し、世界選手権でも優勝を果たす。「東洋の魔女」と恐れられた彼女たちが、当時の秘密をいま打ち明ける……。女子バレーボールの歴史を語るうえで、欠かすことができない東洋の魔女たちの存在。そこで、日本人でも知ることのなかった舞台裏に迫ったこちらの方にお話をうかがってきました。ジュリアン・ファロ監督フランス国立スポーツ体育研究所の映像管理部門で働きながら、スポーツと映画をつなぐ映像作品を数多く手がけてきたファロ監督。今回は、東洋の魔女たちとの撮影で得た真実や日本に対する思いについて、語っていただきました。―10年ほど前に、女子バレーボール日本代表チームの映像を見たことが本作の始まりということですが、最初に映像を見たときはいかがでしたか?監督いまでは多くの選手がしていることですが、あそこまでハイレベルなトレーニングは60年代では非常に珍しいことではないだろうかと感じました。体格の大きなヨーロッパの女子選手でも、あれほどの厳しい練習はおそらくできなかったでしょうね。そういう意味でも、女子バレーボール界において、東洋の魔女たちはパイオニア的存在だと思いました。―映像を見たとき、監督のなかで感覚的なつながりもあったとか。監督確かに、神経回路がパッとつながるような感じはありました。それは子どもの頃にバレーボールを題材にした日本のアニメを見ていたので、構図や選手たちの美しさが僕のなかで一致したのだと思います。そして、その瞬間に何かがひらめき、この映画を作ることにしました。―いまの時代に、東洋の魔女たちの真実を伝えることには、どういった意味があるとお考えですか?監督昔に比べると、女性の地位も上がったので、近年は激動の時代と言えるかもしれませんが、それでもいまだに学者や政治家をはじめとする著名人や主要なポストにおいて、男性のほうが優位であることは変わっていないのではないでしょうか。そんななかで、男子選手でも難しい258連勝という偉業を成し遂げた東洋の魔女たちに光を当てたいと考えたのです。バレーボールは世界的に見てもポピュラーなスポーツですし、彼女たちはいまでも美しくて生き生きとしているので、その姿を多くの人に見せたいと思ったのもこの作品の原動力になりました。今回は、監督と選手の関係性を掘り下げたかった―大松監督に関しては、賛否あったようですが、監督自身はどのような人物だと捉えましたか?監督確かに、「鬼の大松」と言われているくらいですからね。怖いイメージはありました。でも、だからこそ監督と選手の関係性をより掘り下げていきたいと思ったのです。ただ、暴力やセクハラの犠牲者というのはなかなか自己表現ができないものなので、もし彼女たちがそう感じていたのであれば、非常にデリケートな問題になることはわかっていました。そういったこともあって、今回はナレーションを入れずに、彼女たち自身の言葉で語ってもらっています。とはいえ、もし話しにくいと感じていたらどうしようという不安もありましたが、意外にも彼女たちは「大松監督は、自分たちが会った監督のなかで一番優しい監督。本当に鬼みたいだったと思いますか?」と言って笑っていました。―とはいえ、練習風景を見るとかなり過酷なので、選手は監督に対して反発しているのかと思っていましたが、みなさんが大松監督を父親、もしくは彼氏のように慕っていたとおっしゃっていて驚きました。監督そうですね。ただ、なぜ彼女たちがそう思っているかというと、強くなるために厳しい練習をするのは当然だと感じていたからなんです。彼女たちも納得したうえでトレーニングを受けていましたし、監督と選手がお互いに信頼し合っていたからこそ、健康的な関係を築けていたんですよね。それは話を聞いて、初めてわかったことです。ただ、海外のメディアでは批判的な見方もあり、特にアメリカの記者からは「女性にそんなことをしてはいけない」といった意見があったと聞きました。でも、僕からすると、「男性ならOKだけど、女性だからダメ」というのは女性の尊厳を汚しているように感じて、苛立ちを覚えたことも。なぜなら、その記者の言葉の裏には、「女性は家で家族の世話をしていればいい」といった意図があったからです。僕は女性でも高いモチベーションと熱意を持ち、納得しているのであれば、自分たちが望むトレーニングを受ける権利があると思っています。つまり、犠牲者かどうかは本人たちの意志次第。周りがそれを否定することはできません。アーカイブにはなかった面白い発見があった―今回の彼女たちの証言がなければ、多くの人が誤解していたままだったかもしれませんね。監督そうですね。ちなみに、60年代のフランス人女性は日本人女性に比べると、ほとんどの権利を持っていたと言えますが、「すべてにおいてほどほどに」が暗黙の了解。たとえば、お酒は飲んでもいいけど酔っ払うほど飲んではいけないし、スポーツもしていいけれどあまり激しいのはダメといった感じだったので、東洋の魔女たちほどの過酷なトレーニングは許されていませんでした。その理由としては、「女性は子どもを産むためのエネルギーを残しておかなければいけない」という社会の見方が強かったから。だからこそ、僕は東洋の魔女たちの真実を立証したいと思いました。―日本で撮影するなかで、思い出に残っていることについて教えてください。監督本作では彼女たちの日常も見せたかったので、撮影場所はそれぞれ好きなところを選んでもらいました。普段通りにしてもらったからこそ、これまでのアーカイブでは見せられない面白い発見もできたと思っています。回転レシーブがダルマや起き上がり小法師からヒントを得て生まれたものだった、というのもそのひとつですね。あと、今回は是枝裕和監督作で知られている山崎裕さんが撮影監督を務めてくださったのですが、東洋の魔女たちと同世代ということもあり、彼女たちから聞けなかった話を山崎さんから聞けたのも興味深かったです。ちなみに、山崎さんは若い頃に東洋の魔女の一員である宮本恵美子さんに憧れていたのだとか。ただ、残念ながら体調の関係で電話での取材しかできなかったので、山崎さんは「もう少しで“昔の恋人”に会えそうだったのに」とがっかりされていたのが印象的でした(笑)。日本人には、自分を過小評価してほしくない―撮影ではさまざまな日本人と触れ合ったと思いますが、どのような印象を受けられましたか?監督日本に滞在している間は、本当に驚くべきことにたくさん出会いました。そのなかでもフランス人から見て不思議だと思ったのは、日本のみなさんがいつも自分たちの価値を過小評価しているところがあること。非常に謙虚で、自分を表に出さないからというのはありますが、ときには海外を理想化し、自分たちは劣っていると感じているようにも見えました。おそらく、戦後にアメリカがモデルとなっていたことで、「欧米がベストなんだ」という考えが根づいているからかもしれませんが……。でも、日本には景色や工芸品、和食など、繊細で美しくて素晴らしいものがたくさんあるので、僕からすると日本のみなさんこそが“僕のアイドル”なんですよ。日本のアニメはもはや世界の文化になっていますし、ほかの国からすると日本はモデルになっている部分もあるので、そんなふうに思わないでほしいです。―ありがとうございます。今後もまた日本をテーマにした映画を作る可能性があれば、どんなことを取り上げたいか教えてください。監督僕の場合、最初にテーマを探してからアーカイブを探すのではなく、アーカイブを見ているなかで火花が散るようなインスピレーションを受けたものを題材にするという仕事の進め方なので、いまはまだわかりませんが、日本にはまだまだ興味はありますよ。実はいま、片目だけ入れたダルマを持っていて、また日本に行くという目標が達成できたら、もう片方の目を書こうと思って大事に置いてあります。でも、次は仕事ではなく、観光で行けたらいいですね(笑)。バレーボール界が変わった瞬間の目撃者となる!アニメーションを駆使した演出と新しい視点で、通常のスポーツドキュメンタリーとは一線を画す本作。60年の時を経て明かされる偉業の裏側と東洋の魔女たちの真実に、胸が熱くなる1本です。取材、文・志村昌美エネルギーに満ちた予告編はこちら!作品情報『東洋の魔女』12月11日(土)より、渋谷ユーロスペースほか全国順次公開©UFO Production、©浦野千賀子・TMS
2021年12月10日三菱一号館美術館で『イスラエル博物館所蔵 印象派・光の系譜 ― モネ、ルノワール、ゴッホ、ゴーガン』展が開かれています。イスラエル博物館が誇る珠玉の印象派作品がまとまった形で展示されるのは日本初。「光」をテーマにした“眼福すぎる”美しい絵画たちをご紹介します!どんな展覧会?【女子的アートナビ】vol. 229本展では、エルサレムにあるイスラエル博物館から、印象派を中心にバルビゾン派、ポスト印象派やナビ派などの作品69点が来日。そのうちの59点が初来日です。1965年に開館したイスラエル博物館は、古代から現代までの50万点を超える作品を所蔵。なかでも印象派とポスト印象派のコレクションは、画家たちのピーク時の傑作を数多く取り揃えています。コローやドービニーからはじまり、モネ、ルノワール、セザンヌやファン・ゴッホ、ゴーガン、ボナールなど、会場に展示されているのは巨匠の作品ばかり。日本とイスラエルの外交関係樹立70周年を記念して開催されている展覧会ということで、展示内容はかなりゴージャスです。本展のタイトルは『印象派・光の系譜』。印象派の光と色彩が、ポスト印象派以降どのように受け継がれ変わっていったのか、展示を通して画家たちの光の系譜をたどれるようになっています。美しい…!モネの光それでは、展示作品のなかから3点ピックアップしてご紹介します。まずは、クロード・モネの《睡蓮の池》。展覧会のメインビジュアルにもなっている大変美しい作品です。描かれているのは、画家が愛していた庭の池。フランス・ジヴェルニーにあるモネ宅の裏庭には、睡蓮を栽培できるように改修した池がありました。モネは池の水面に映る空や木々、光の美しさに魅了され、後半生に「睡蓮」の連作を制作。本作品も、そのうちのひとつです。モネの睡蓮をさらに深く理解できるよう、本展では特別展示として日本国内にある睡蓮作品3点も見ることができます。ぜひ、イスラエルの作品と見比べて、楽しんでみてください。明るい!ファン・ゴッホの光次にご紹介するのは、フィンセント・ファン・ゴッホの作品《麦畑とポピー》。ファン・ゴッホは、初期のオランダ・ハーグ時代には暗い色調の絵が多かったのですが、パリで印象派の作品に出会ってから色彩が鮮やかに変化していきます。アルルに移り住んだファン・ゴッホが最初に激しい発作を起こし、自分の左耳を切り落としたのが1888年の12月。本作品は、恐らくそれより前の時期に描かれています。赤いポピーの色彩がパワフルで美しく、この絵を見ていると不思議と明るい気分になれます。画家も楽しい気分で描いていたのかな、と思わせるような元気の出る作品です。都会的!ユリィの光最後は、個人的に大好きな作品、レッサー・ユリィの《夜のポツダム広場》をご紹介します。描かれているのは、戦前のドイツ・ベルリンの中心地だったポツダム広場。傘をさした人たちの姿や近代的な建物が暗い色彩で表され、濡れたアスファルトには夜の光が反射しています。100年前の作品とは思えないほど、クールでステキな作品です。ユリィはユダヤ系ドイツ人画家。ベルリン分離派展などに出品し、1922年、60歳のときに開かれた大規模展覧会で名声を確立します。本作品は、ベルリン・ユダヤ人団体美術品コレクションに入り、1933年設立のユダヤ博物館に収蔵されますが、同館は1938年に強制閉館となり作品は没収されます。その後イスラエルに返還され、今はイスラエル博物館のコレクションとなっています。戦時中のドイツで本作品が生き残り、こうして日本で見られるというのも奇跡。この絵を見るために何度も美術館に足を運びたくなる、強く惹きつけられる作品です。どの作品も、写真ではほとんど魅力を伝えることができません。ぜひぜひ美術館で、本物をご覧になってみてください。『イスラエル博物館所蔵 印象派・光の系譜 ― モネ、ルノワール、ゴッホ、ゴーガン』展は1月16日まで。その後、大阪のあべのハルカス美術館に巡回します。Information会期:~ 2022年1月16日(日)※休館日: 月曜日*と年末年始の12月31日、2022年1月1日*ただし、12月27日と1月3日・1月10日は開館会場:三菱一号館美術館開館時間:10:00~18:00(最終入場時間 17:30)(祝日を除く金曜と会期最終週平日、第2水曜日は21:00まで)観覧料:一般¥1,900、大高生¥1,000、中学生以下無料※最新情報などの詳細は公式サイトをご覧ください。
2021年12月10日街がネオンで色づきはじめるこれから時期、華やかで刺激的な体験を味わいたいと思う人も多いのでは?そこで、そんな気分にオススメの話題作をご紹介します。『ラストナイト・イン・ソーホー』【映画、ときどき私】 vol. 434ファッションデザイナーを夢見るエロイーズは、小さな田舎町を出て、ロンドンのデザイン学校に入学する。しかし、寮生活では周囲となじめず、孤立してしまう。そこで、ソーホー地区の片隅で一人暮らしを始めることに。新居のアパートで眠りに着くと、夢の中で60年代のソーホーにいたエロイーズは、歌手を夢見る魅惑的なサンディに出会い、身体も感覚も彼女とシンクロしていく。夢の中の体験が現実にも影響を与え、充実した毎日を送れるようになったエロイーズは、タイムリープを繰り返していたが、“ある殺人事件”を目撃したことで事態は徐々に変わり始める……。映画『ジョジョ・ラビット』のトーマシン・マッケンジーとNetflixシリーズ『クイーンズ・ギャンビット』で脚光を浴びたアニャ・テイラー=ジョイという映画界が注目する若手女優の共演でも話題の本作。今回は、こちらの方に見どころをうかがってきました。エドガー・ライト監督2017年に『ベイビー・ドライバー』で多くの観客を熱狂させ、世界中の映画ファンが新作を待ち望んでいたライト監督。本作では現代と60年代を行き来するタイムリープ・サイコ・ホラーを完成させています。そこで、物語が誕生したきっかけや撮影秘話について、語っていただきました。―まず本作の着想はどこから得たものなのか、教えてください。監督そもそも僕は、昔から60年代に取りつかれているようなところがあるんです。きっかけは両親が60年代の音楽のアルバムをコレクションしていたからでもありますが、両親は兄が生まれてから音楽を聴くことをやめてしまったため、70年代以降の音楽が家になかったんですよね(笑)。そういったことから60年代の音楽にハマり、徐々に映画やアート、ファッションを通して60年代への思いが強くなって行きました。―では、男性の主人公を多く描いてきた監督が、2人の女性を主人公にしようと思ったのはなぜですか?監督60年代を舞台にしたこれまでの映画では、小さい田舎の町から大きな夢を抱いて都会に出てくる若い女性が、どこか罰せられるように描かれている作品が多いと感じていました。わかりやすく言うと、進歩的な女性が大胆な夢を見ることを許さないというか、道徳観を押しつけられているように、僕には見えていたのです。そこで、「それをひっくり返したら面白いんじゃないか?」という発想から、この物語を思いつきました。つまり、現代のロンドンにいる女性が60年代に夢を持っていた女性と同じことをしたらどうなるか、というのを描いてみたいと考えたのです。そういった思いから、時代の違う2人の女性を主人公にしました。60年代を再現したムービーマジックを味わってほしい―ロンドンのソーホーが舞台となっていますが、監督自身にとっても思い入れの強い場所だとか。監督そうですね。僕も27年前にロンドンに出てきて以来、多くの時間をソーホーで過ごしました。それが今回舞台に選んだ理由のひとつでもありますが、ソーホーといえば、エンタメ業界やナイトライフの中心地でもありますから。それも大きかったとは思います。あと、僕が引っ越してきた当時はショウビズ界と裏社会がつながっている場所でもあったので、何かザワザワするような雰囲気も非常に興味深いところだと感じています。―本作には、過去の作品からインスパイアされた部分やオマージュが散りばめられています。そのなかでも、ご自身がこだわったシーンについてお聞かせください。監督今回は、特に60年代という時代に対してオマージュを捧げているところが多いですが、なかでもヘイマーケットといってロンドンの中心地で撮影したシーンでは、野心的なカットを撮れたと思っています。なぜなら、ロンドンのなかでも交通量も人通りも多い場所にもかかわらず、60年代の車を入れ、映画館も当時の装飾にすべて変えて、実際に撮影を行ったからです。このシーンを撮影するにあたって、5か月も前から許可を申請して撮影を実現させたのですが、許された時間はたった4時間だけ。時間的にやり直しはきかないという厳しい状況だったので、正直に言うと、僕のなかにも「はたしてこのシーンを撮れるのだろうか」という不安はありました。だからこそ、CGではなくリアルな60年代をとらえることができたシーンを撮れて、いまは誇らしい気持ちです。ソーホーのなかを車で走っているシーンも、外に見える景色は実際に建物の装飾をすべて60年代に変えて作り上げました。ぜひみなさんにも、このムービーマジックを味わっていただきたいです。姉妹のような関係性を築いて演じてくれた―エロイーズ役のトーマシン・マッケンジーとサンディ役のアニャ・テイラー=ジョイの現場での様子はいかがでしたか?監督最初に2人が一緒にリハーサルをしたのは、鏡を挟んで同じ動きをするシーン。すぐに姉妹のような関係性を築いていましたね。お互いの動きをコピーし合っていたこともありますが、2人の間に絆が生まれる様子を目撃したときは、まるで魔法が起きているのを見ているような気分でした。それが観た方にも伝わっていたのか、劇中で2人が言葉を交わすシーンはほとんどないにもかかわらず、世界中のファンの方々が作ってくれたファンアートを見ると、どれも彼女たちを1組のペアとして捉えてくれているものばかり。それくらい2人が心理的につながっているのを感じてもらえたのはうれしいです。―劇中で見どころのひとつといえば、エロイーズとサンディがダンスをしながら入れ替わるシーン。トリック撮影を駆使して撮影されたそうですが、撮影時の裏側を教えていただけますか?監督あのシーンは実際にワンカットで撮っていますが、いろいろなセクションのスタッフたちのコンビネーションのおかげで作り上げることができました。実は、脚本でも絵コンテでも、当初は2人が入れ替わるのは1回だけの予定だったんです。でも、VFX担当と振り付け担当、それぞれのスタッフからいくつかの提案があり、6回は入れ替えられるんじゃないかと。そこで、「じゃあ、全部の提案を入れてやってみよう!」となり、いまの形になりました。そのほうが観客のみなさんも「一体どうなってるの?」と楽しんでもらえるだろうという期待も大きかったですね。日本には仕事ではなく、ホリデーで遊びに行きたい―なるほど。実際、素晴らしいシーンに仕上がっていたと思います。監督あともうひとつ裏話があって、それは本番の前の夜に、2人の代役を務めてくれたダンサーによるリハーサル映像を僕のガールフレンドに見せていたときのこと。彼女が「ちょっと待って!2人がどこで入れ替わっているかわからない!」とすごいリアクションを見せたんです。ダンサーの2人は金髪と黒髪で髪の色が違っているにもかかわらず、よくわからないと。当初はエロイーズもサンディも、金髪にピンクのドレスを着せて撮影するつもりでしたが、その反応がすごく印象的だったので、2人に同じ格好をさせないほうがいいんじゃないかと気がつきました。そこで、メイクと衣装のスタッフに「本当に申し訳ないんだけど、トーマシンを元の茶色の髪とパジャマ姿に戻してほしい」と急遽お願いしたんです。直前での変更にはなりましたが、新しいアイディアを形にしたことで、よりよいシーンになったと思っています。―ぜひ、注目していただきたいですね。それでは最後に、まもなく公開を迎える日本に関して、どのような印象をお持ちなのか教えてください。監督東京にはすでに7回くらい行ったことがあって、これまでにフジロックフェスティバルやサマーソニック、クラブクアトロなどに行ったのをよく覚えています。そのなかでも、僕が好きなのはゴールデン街や小さなバー。渋谷のグランドファーザーズとか、オーナーがかける曲にこだわっているようなところはすごくいいですよね。とはいえ、日本には仕事でしか訪れたことがないので、次はぜひホリデーとして遊びに行きたいと思っています。スリリングな展開に、歓喜と悲鳴が交錯する!エドガー・ライト監督ならではの映画愛と音楽愛が詰め込まれた本作。妖艶な映像美と斬新なストーリーテリングで、観る者を一気に異世界へと誘ってくれるはず。夢と恐怖がシンクロする新感覚をエロイーズとともに、体感してみては?取材、文・志村昌美魅惑的な予告編はこちら!注目のシンクロダンスシーンをひと足先に解禁!作品情報『ラストナイト・イン・ソーホー』12月10日(金)、TOHO シネマズ日比谷、渋谷シネクイントほか全国公開配給:パルコ ユニバーサル映画© 2021 FOCUS FEATURES LLC. ALL RIGHTS RESERVED
2021年12月07日婚活で約1000人の男性と出会い、年下夫を射止めたライター・かわむらあみりがお届けするコラム【結婚引き寄せ隊】連載第93回は、婚活していると出会う“男性”についてのエピソードです。なかでも、いまでも印象に残っている「婚活男性3選」その31をお届けします。1.旅行が好きな男【結婚引き寄せ隊】vol. 93それは20代から40代までの幅広い年代が集まる、カジュアルな婚活パーティに参加したときのこと。まずは自己紹介タイムで会場にいる人たちと、数分間会話をする際、自分の名前や仕事、趣味などを書いた簡単なプロフィールカードを相手と交換します。初対面同士ゆえに、プロフィールカードは重要で、そこにある「仕事」や「趣味」などから最初の会話のとっかかりをつかむことがほとんど。このときは、30代のサラリーマンの男性と会話する番になり、プロフィールカードを見ると「趣味」に「旅行」と書いてありました。さっそく旅行についてたずねてみると、「時間があれば国内外にひとりで旅行してしまう」とのこと。「もし結婚したら家族で旅行できるからいいですね」と言うと、「え?家族で……旅はひとりだからいいんですよ。家族ができてもひとりの時間は大事ですから」という返事が。え?と思いながらもすぐ次の人との会話の時間になり、結局旅行好き男性とはそれっきり。ひとりの時間はもちろん大事ですが、自分の愛する家族と一緒にいても旅の思い出を分かち合いたいという気持ちより、自分優先で独身時代のままのような気持ちが強すぎるなんて、こりゃないなと即断。逆の立場でよく男性は、海外旅行が好きな女性を嫌がる、と聞きますがそれは「お金がかかりそうだ」と思うから。でも男性が(しかも自分ひとりだけが)旅行好きというのも、経済力があったとしても、家族と共有していくやさしさが足りない気がして、なんだかなと思ったのでした。2.カッコよすぎる男それは30代がメインの婚活パーティに参加したときのこと。その会を開催している会社のパーティには、それまでにも何度かいろいろな種類に足を運んだことがあったものの、このときは久しぶりに参加していました。すると、パッと見ただけでも明らかにカッコよすぎる男性がひとり、参加していたのを発見。その男性は、長身で甘いマスクのさわやかな印象で、その日の参加者のなかでダントツに目立っていました。まわりの参加女性たちもその男性を見て笑顔になるなど、見た目で圧勝しているような雰囲気に。ただ、恋活ならまだしも婚活なので、あまりにカッコよすぎる男性は女性関係で苦労したり、経済力は比例しないこともしばしば(イケメンでお金持ちなら婚活するまでもなく女性が寄ってくることが多いので)。ということで、カッコよすぎる男性が気になりながらも、婚活会場にその手のタイプがいることに少し不思議だなあと思っていました。その日のパーティの終盤、参加男女が、希望する相手の番号を書いてカップリングしたらその後連絡先を交換したり、一緒に帰ったりというタイミングになって、意外にもそのカッコよすぎる男性は誰ともカップリングせずの結果。帰りは入り口に近い人から席を立つため、たまたま出るのが最後になった私がふと、婚活パーティのスタッフの方が並ぶ場所を見ると、あのカッコよすぎる男性がスタッフと談笑しているではありませんか。まさか、サクラだったのかな…もしくは、男性の頭数が足りなくて頼まれて参加しただけなのかな、だからあえてカップリングしないよう番号書かなかったのかもねと、イケメンが婚活にまぎれこんでいた理由が最後になんとなく腑に落ちたのでした。とはいえ、スタッフの方に「サクラだったんですか?」と聞くこともなく、事実はわからないので、本気で出会いを探していたカッコいい男性だったのかもしれません。3.長髪の男それは飲み会に参加したときのこと。友達の友達がまた友達を呼んでくる……といったかたちで、なるべくシングルの男女が集まるようにと企画された飲み会の場。職業や年齢で区切ったものではなかったため、さまざまなタイプの男女が集合していました。とりあえずテーブルごとに鍋を食べることになって、それぞれ食材を入れていく人、おしゃべりしている人など自由な感じ。そんな同じテーブルに、ヘアゴムで無造作に髪を結んでいた、長髪の男性がいました。「バンドでもやってるの?」と、隣にいた男性に聞かれた長髪の男性は、「まさか」と即答。気になっていたので、向かいに座っていた私も聞き耳を立てていました。「じゃあ、クリエイターかなんか?」と聞かれ、面倒くさそうに「違う」と言う長髪の男性。なんだか聞いてはいけない雰囲気を醸し出していたから、質問していた男性は「……ふーん」と言ったきり、もう長髪男性には興味がなさそうに、鍋を食べ始めました。それを見ていた同じテーブルの女性が、「なんで髪をのばしてるんですか?」とすかさず質問したら、笑顔で「長い髪が好きなんだ」とひとこと。理由が言いづらかったというよりも、女性に話しかけられたら笑顔で返すということは、単に女好きなのかなと思いながら、ただわいわいと食事をして何も収穫なく終わったのでした。婚活していると、必ずしも気になる人と出会えるわけではないので、こんなときもあります。出会いを探していても、すぐにハッピーエンドに結びつくとは限りません。くれぐれも、みなさんもお気をつけて、運命の恋をつかんでくださいね!文・かわむらあみり©ajr_images/Getty Images©GlobalStock/Getty Images©kali9/Getty Images文・かわむらあみり
2021年12月06日70代で絵を描きはじめ、80代で一躍スター画家となった女性の作品と生き方を紹介する展覧会、生誕160年記念『グランマ・モーゼス展―素敵な100年人生』が世田谷美術館ではじまりました。本展の公式サポーターに、タレントの結城アンナさんが就任。ご自身でも絵を描かれる結城さんに、展覧会の楽しみ方や女性の生き方について、お話をうかがいました。どんな展覧会?【女子的アートナビ】vol. 228本展では、グランマ・モーゼス(モーゼスおばあさん)と呼ばれ愛されているアメリカの国民的画家、アンナ・メアリー・ロバートソン・モーゼス(1860-1961)の絵画や愛用品、資料などを展示。最初期の作品から100歳で描いた絶筆、さらに日本初来日作品も含めた約130点が紹介されています。グランマ・モーゼスは、ニューヨーク州の農家に生まれ、27歳で結婚。ヴァージニア州に移住し、農場を営みます。夫の死後、72歳のとき孫に贈るため刺繍絵をはじめますが、リウマチで続けられなくなり、絵筆をとります。やがて絵が評判となり、80歳で初個展を開催。アメリカだけでなく海外でも作品が展示され、大統領からも表彰されます。名声を得た後も農家の主婦として自然体で暮らし続け、101歳で亡くなりました。自然に囲まれた農村での暮らしを愛し、その風景や身近な出来事を描いたグランマ・モーゼスの作品は、素朴で温かく、優しさに満ちています。彼女のステキな生き方や作品の魅力について、公式サポーターの結城アンナさんに語っていただきました。結城アンナさん!モデル・タレントとして活躍されている結城さんは、スウェーデン生まれ。10代から日本で元祖ハーフモデルとして活動をはじめ、雑誌『anan』の草創期にも登場されています。俳優の岩城滉一さんと結婚し、出産されたあと30代で専業主婦となり、60代から芸能活動を再開。北欧スタイルを取り入れた暮らしをインスタなどで発信し、そのシンプルで自然体な生き方は世代を超えて支持されています。ネガティブなことが何ひとつない!――まず、展覧会をご覧になって、全体的な感想を教えていただけますか。結城さんつらいことがいっさい絵に出てこないのが、すごくステキです。農村での暮らしはいろいろ大変なことがあったと思いますけど、いっさい絵に出ていない。すごくポジティブ。見ていて私もハッピーになりました。ネガティブなことが何ひとつないのです。――特に印象に残った作品はありますか?結城さん全部印象に残りましたよ(笑)。でも、すごく好きなのは《美しき世界》という作品。あまり人物は描かれていない風景の絵で、早い朝なのか夕方なのか、空がピンク色になっているのです。それを見ていると、「神様ありがとう。こんな美しい自然をありがとう」という画家の祈りのような気持ちをすごく感じたのです。私もお散歩しているとき、特に朝の早い時間や太陽が沈むときの景色を見て、「神様ありがとう」と思うときがあります。その美しさを絵に表してくれたグランマ・モーゼスは、すばらしいなと思いました。――自然への感謝が絵に表れているのですね。結城さんすべての絵に感謝が出ていると思います。自然に感謝、身近にいる、がんばっている村の人たちに感謝。彼女はすべてに感謝しているということが作品から伝わります。幸せのヒントがもらえるかも…――グランマ・モーゼスは、テーブルなどにも絵を描いています。結城さんも、ご自宅の壁などに絵を描かれていますが、絵描きさんはいろいろなところに描きたくなるのでしょうか。結城さん私は画家ではないけれど、グランマ・モーゼスの気持ちはわかるわ。壁とかに絵を描くと、気持ちいいのよ。そういうことを、してみたくなるの。テーブルの絵などを見て、彼女に一歩だけ近づけたかな、と思いましたよ(笑)。――ananwebの読者は20~30代の若い方が多いのですが、その世代はこの展覧会をどんなふうに楽しめますか。結城さん絵というのは人それぞれ見方が違うので、楽しみ方をお伝えするのは難しいのですけど……。例えば、自分がたまにどこを向いているのか、自分はどういう人生を歩みたいのか、自分を見失ってしまうときがありますよね。そういうときに、このグランマ・モーゼスの作品を見ると、ちょっと安心するのではないかしら。彼女はシンプルに暮らし、一生懸命働いて、遊ぶときは家族で遊ぶ。自然も動物も大事にしている。きっと嫌なこともあったはずですが、「どうにかなるさ」と思って生きていたのだと思います。そんな生き方が表れた絵を見ると、幸せのヒントがもらえるかもしれない。グランマ・モーゼスは、映画館など何もないような自然のなかで、みんなでメープルシロップをつくったりして生活し、それを楽しんでいました。でも、何かつくらなければ食べていけないし、暮らしていけない。生と死が身近な自然のなかで生きているから、危険もある。クマが出るかもしれないし、嵐がきて作物がダメになるかもしれない。だから、みなで協力して暮らしているのです。みなで助け合って生きている様子が作品にあふれています。やりたいことは、やる!――グランマ・モーゼスが、80代でスター画家になったというのもすごいです。結城さん彼女は、子どものころからずっと働いていました。結婚前も、結婚してからも。働かないと、生きていけないのよ。別に絵を描いて稼ぐことに限らず、彼女はきっとなんでも自分ができることにトライしたのだと思います。すごくフレキシブル。自分でジャムを煮て売ったり、絵を描いて売ったり。もし絵がなければ、違うものをつくったのではないかと思います。――グランマ・モーゼスは、リウマチで刺繍ができなくなっても落ち込まず、頭を切り替えて絵を描きはじめています。前向きに生きる姿勢にも驚かされます。結城さん彼女は、落ち込むタイプではないですよ(笑)。以前、老人ホームの社長さんから聞いたお話なんですが、女性はすごく順応力があるらしいです。老人ホームに来て、あまりうれしくはないけれど、ここでがんばる!と女性は前を向く。男性は、しゅんとなってしまうようです。女性は、小さいときから「これは女の子だからダメ」といわれたりしているので、「じゃあしょうがないから、こちらにする」と切り替えることができる。状況の変化に慣れていると思います。グランマ・モーゼスも、困ったり悩んだりせず、先に進む人なのでしょうね。あと、想像力と勇気もある。人に絵を見せるのは勇気がいります。彼女は絵を描いて、それをドラッグストアに置いてみて、値段もつけています。誰かに買ってもらえるかもしれない、という想像ができたのです。――今を生きる女性も、見習える部分がありそうですね。結城さんそうね。あまりクヨクヨしないことよ。やりたいことは、やる!人が何をいっても、やったほうが勝ち。ダメだといわれても、やりたかったらやればいいのよ。もっと怖いのは、自分で自分にダメ出しすること。そんなことはやったらダメ。怒られるからとか、怖いから、失敗するからとか、そんなふうに考えるのは、もったいないわね。若いころは…怖いもの知らず(笑)――結城さんは10代からモデルとして活躍されていましたが、そのころはどんな女性でしたか?結城さんめちゃくちゃ女の子していました(笑)。好きなようにやっていたわ。今考えると、あちこちに迷惑をかけていたと思うのですけれど……。あまり人のいうことを聞かず、好きなようにしていました。だから、怖いもの知らず(笑)。でもね、これをやるんだと思ったら、もうやるしかないの。人が何をいっても関係ない!――すごくパワフルでいいですね。では今、若いころの自分にアドバイスするとしたら、どんなことでしょうか?結城さんもうちょっと勉強しておけばよかったわね。言葉のレッスンもしましたし、良い先生もいましたし、良い学校に行かせてもらいましたけど、自分ではあまり勉強しませんでしたね。やはり勉強は大事。若いころはタダで勉強できるし、脳が柔らかいから、いろいろなことが入っていくでしょ。今やろうと思っても、無理ですからね。――今後、挑戦してみたいことはありますか?結城さん新しいことは50歳のときにいろいろやりましたので、今は、今あることをもっと深く、ちゃんと時間をかけてやりたいと思います。暮らしでも絵でも、すべて磨きたいかなと思っています。――今後のご活躍も楽しみにしています。最後に、読者の方にメッセージをいただけますか。結城さんこの展覧会は、見終わるとすごくホッとします。だから今の時代に合っています。ハッピーで前向きな気持ちにもなりますし、来てよかった、見てよかった、と本当に思いました。グランマ・モーゼスの人生の話も、少し知ってから見るのもいいと思います。画家のフィルターを通して絵になるので、そのフィルターの裏には何があるのか、その部分も大事だと思います。――元気が出るお話を聞かせていただき、ありがとうございました。インタビューを終えて…仕事、恋愛、育児、介護などさまざまな経験をされてきた結城さん。困難なこともあったと思いますが、グランマ・モーゼスの絵と同じように、結城さんの言葉も常にハッピーでポジティブ。聞いているだけでパワーがわいてきました。インスタや書籍などで見られる結城さんのイラストも、ほっこり幸せな気分になるものばかり。まさにグランマ・モーゼスのようなステキな方でした。2月27日まで開催!生誕160年記念『グランマ・モーゼス展―素敵な100年人生』は2022年2月27日まで開かれています。ポジティブなパワーがあふれる展覧会、幸せのヒントを見つけに足を運んでみてはいかがでしょうか。Information会期:~2022年2月27日(日)※休館日: 月曜日(祝・休日の場合は開館、翌平日休館)、12/29(水)~1/3(月)※1月10日(月・祝)は開館、翌1月11日(火)は休館会場:世田谷美術館1階展示室開館時間:10:00~18:00(最終入場時間 17:30)観覧料:※日時指定制一般¥1,600、大高生¥800、小中生¥500、65歳以上¥1,300※最新情報などの詳細は公式サイトをご覧ください。
2021年12月03日2017年の配信以降、750万ダウンロードを突破するなど、大ヒットを記録しているイケメン役者育成ゲーム『A3!』。その舞台版である、通称“エーステ”も、熱狂的な人気を誇っていますが、今回は『エーステ』を原作とした、映画『MANKAI MOVIE「A3!」~SPRING & SUMMER~』が完成し、大きな注目を集めています。そこで、こちらの方々にお話をうかがってきました。横田龍儀さん & 陳内 将さん【映画、ときどき私】 vol. 433春・夏・秋・冬という4組のユニットから構成されている劇団「MANKAIカンパニー」で奮闘する劇団員の物語を描いた本作で、春組のリーダー・佐久間咲也(さくまさくや)を演じている横田さん(写真・左)と、夏組のリーダー・皇 天馬(すめらぎてんま)を演じている陳内さん(右)。2018年からスタートした舞台版に引き続き、同役を演じているおふたりに、現場の裏側やお互いが明かす素顔、さらにハマっていることなどについてお話いただきました。―まずは、映画化が決まったときの気持ちからお聞かせください。横田さんエーステを3年間続けているなかで、まさか映画化されるとは思っていなかったので、素直にうれしかったですし、とにかく驚きました。陳内さん僕も話を聞いたとき、「オリジナルであるゲームの『A3!』を映画化するんじゃなくて、エーステを映画化!?どういうこと?」と思ってしまったほど。それくらいびっくりしましたが、それはエーステが愛されているからこそなんだなと気がつき、めちゃくちゃ喜びました。あとは、映像俳優でもある皇 天馬の説得力を出せるチャンスにもなるなという期待もありましたね。―映画ということで、いままでの舞台とは意識を変えたことや工夫したことはありましたか?横田さん舞台と違って、映画ではオーバーアクトしてしまうと映像のなかで浮いてしまうと思ったので、表現方法としては抑えめに、でも心のなかでは大きく動くような意識はしていました。陳内さん確かに、僕もまったく別物になるなとは考えていました。特に、セットをリアルに作っていただいていたので、そのなかで存在するというか、その場で起きていることに素直に反応できるようにするというのは、舞台以上に心がけていたことだと思います。リアルなセットに、みんなのテンションも上がった―舞台にはないリアルなセットに入ったときは、かなりテンションも上がったのでは?横田さん舞台では見えていなかった部分も再現されていたので、気持ち的にはだいぶ違いましたね。陳内さんうん、ものすごい上がったよね。横田さん細かいところにまでいろいろな置物が用意されていたので、春組では「これは誰が持ってきたものかな?」とか、自分が一番好きなアイテムについて話し合ったりもしました。その時間はすごく楽しかったですね。ちなみに、僕のお気に入りは、劇中にも映っている風見鶏です。陳内さん夏組は舞台にもゲームにもなかったオリジナルストーリーが今回はあって、合宿へ向かう途中、レンタカーにみんなで乗るシーンなんですが、実際にありそうなエピソードを作っていただいてありがたかったです。あと、合宿用のオリジナルTシャツについても、劇中では触れていませんが、「夏組の一成がデザイナーで、衣裳係の幸が作ったという設定なんですよ」とスタッフさんから教えてもらったとき、なんて愛が深いんだろうと。みんながそれぞれのキャラを理解して愛してくれて、そういう喜びも大きかったです。組のリーダーとして、一緒に壁を乗り越えてきた―おふたりは舞台でもずっとご一緒されていますが、お互いにどんな存在なのか教えてください。横田さん僕からしたら、最初のときからずっと頼りになる大先輩ですね。陳内さんいやいや(笑)。横田さん初めは不安で仕方なかったんですが、そんななかでずっとサポートやアドバイスをしてくれていました。今回の現場でも、映画に対する取り組み方を後ろから見ていて、すごいなと感じることは多かったですね。僕からすると、初演からいまでも変わらず、本当に頼れる存在です。陳内さんこれだけ愛されているゲームを初めて舞台にするということで、それぞれの組のリーダーとして同じプレッシャーを共有し、たくさんの壁を一緒に乗り越えてきた仲ですから。でも、映画ではあまり同じシーンがなくて残念だったよね。横田さんそうなんですよね。陳内さんただ、2人っきりのシーンが撮れたのはよかったかなと。天馬は咲也よりも年下という設定ですけど、役者としては先輩なので、そういう意味で咲也に少しでも影響を与えられたらいいなと心のなかで思って演じていました。―ちなみに、自分が知っている相手の意外な素顔はありますか?横田さん僕は緊張しいなんですが、そういうときはだいたい陳さんが急に変なことを言って、場の空気をよくしてくれます。って、意外ではないですかね?陳内さん(笑)。龍儀はつねに進化を求めるからこそ、過去の自分に厳しいところがあって、ちょっと気にしすぎじゃないかなと思うことも。だから、「そのときはそのときでちゃんと精一杯生きてるよ」って言ってあげたいですね。横田さんありがとうございます。陳内さんでも、それはもっと進化したい欲望の表れでもあると感じています。できなかった打ち上げを早くみんなとしたい―タイトルの『A3!』は、「Act!」「Addict!」「Actors!」の3つを合わせたものになります。では、まずおふたりにとって「Act(演じる)」とは?陳内さん実は、僕は素の自分でいるよりも、演じているほうが自然になれるタイプなので、演じていない期間が長いと、逆に疲れちゃうこともあるくらい。だから、僕にとって「Act」はないとダメなものですね。表と裏があるとすれば、表が演じている自分なので、人生における優先順位は高いです。横田さんおそらく、誰しも演じて生きているところがあると思いますが、僕が演じる理由は、人の心を動かしたいから。というのも、僕自身が昔見たお芝居や映画に心を動かされてこういう人生を歩んできたので、僕も誰かの人生における何かのきっかけになれたらいいなと思っています。それが僕にとっての「Act」ですね。―「Addict(夢中になる、中毒になる)」と聞いて、思い浮かぶものといえば?横田さんいま、ふとコーラが頭に浮かんだんですけど、なんだろう……。陳内さん僕も飲み物が出てきたよ!本当は「芝居です」とオシャレに答えたかったんだけど、やっぱりレモンサワーかな(笑)。横田さん僕も本当はお酒がいいですね。芋焼酎とか、日本酒とか。陳内さんほんと、日本酒好きだよね!昔、まだみんなで飲みに行けたとき、日本酒のこと教えてくれたこともあったよね。懐かしい……。―早く安心して一緒に飲みに行けるようになるといいですね。横田さん作品のことを考えて、ずっと我慢しているので、そういう時間がめちゃくちゃ恋しいですよ!陳内さんコロナ禍になってから打ち上げをまったくできていないので、落ち着いたらその間の作品すべてをさかのぼって全部の打ち上げをしたいです。家族に活躍を見せられるのが、俳優としての喜び―ラストは、「Actors」です。「俳優になってよかった」と感じる瞬間は、どんなときでしょうか。陳内さん僕はけっこうたくさんありますが、実家がある熊本にいるおばあちゃんにがんばっている姿を見せられるのは、喜びのひとつです。足腰が弱いので、遠出して舞台を見に行くことはなかなかできませんが、今回は近くの映画館でも上映されますからね。家族に活躍を見てもらえるのはうれしいことです。横田さん僕は人の笑顔が見られるとき。誰かの心が動いたのを感じられると、舞台に立ってよかったなと思いますし、僕自身も自分が生まれた意味を実感することができるので大切な瞬間です。―もし俳優になっていなかったら、何をしていた?陳内さん僕はお笑いが好きなので、芸人さんを目指していたと思います。横田さん僕は父親のあとに続いて土木関係の仕事か、プロボクサーとかかな。でも、役者じゃない自分をいまは想像できないです。仕事のあとに飲むのが、リフレッシュ法のひとつ―仕事で忙しい日々が続いていると思いますが、疲れを吹き飛ばしてくれるものと言えば何ですか?陳内さんさっきと同じになっちゃいますが、やっぱりお酒ですかね(笑)。横田さん確かに、仕事のあとのお酒はおいしいですよね!特に、悩んでいるときは、リフレッシュになりますし、新しい発見もあったりしますから。人生を楽しむためには、欠かせないです(笑)。陳内さんあと、僕がもっとがんばれると思えるのは、稽古や撮影が終わったときに監督や演出家の方から少しでも褒められたときかな。横田さんいやー、それもすごいわかります!陳内さんやっぱり人間は、悪いところばかりを突かれるよりも、褒められなきゃダメなんですよ。横田さんその通りですね。陳内さん僕は褒めていただけたら、それががんばるための“養分”になる感じです。組ごとの違いも楽しみながら観てほしい―おふたりはそれぞれの組のリーダーですが、最後に「ここはほかの組には負けていない!」と思う自分の組のいいところを教えてください。横田さん春組は、家族みたいな仲の良さですね。恥ずかしさもなく、何でも言い合える関係です。つねにくだらない話をしていますし、春組のグループLINEでも、誰かが変なこと言い出したらみんなでボケ合ったり、ツッコミ合ったりするほど。あとは、いいことがあればお互いに褒め合い、ダメなときはちゃんと意見を言い合うようにもしています。それは、家族のような近い関係になれたからこそなので、そこはほかには負けないと自信を持って言えるところです。陳内さん夏組は、やるとなったときの瞬発力と集中力の高さはすごいんじゃないかなと。横田さん確かに、夏組はすごい。陳内さんたとえば、初めての通し稽古をするとき、段取りの確認くらいでいいよと言われて、直前までわちゃわちゃ遊んでたのに、いざ始まったら最初から最後まで全力。段取り確認どころか、みんなガチでやるようなチームです。組によっても違うので、そういうところもみなさんには楽しんでいただけたらと思っています。インタビューを終えてみて……。舞台で一緒にいろいろな経験をしてきたからこそ、相手に対する信頼感と仲の良さが伝わってくる横田さんと陳内さん。とても和やかで、笑いに溢れた取材となりました。おふたりの思いが交錯する2人っきりのシーンは、必見です。エーステの新しい魅力にハマる!ゲーム、アニメ、舞台と進化を続けている『A3!』シリーズですが、本作では映画ならではの見どころが満載。観客が監督気分を体感できるという斬新な演出で、エーステの世界を最大限に楽しんでみては?写真・安田光優(横田龍儀、陳内将)取材、文・志村昌美ストーリー東京郊外天鵞絨(ビロード)町。この街には「ビロードウェイ」と呼ばれる通りがあり、多くの劇団が拠点にする劇団員の聖地がある。そこに、かつての栄光を失った、借金まみれのボロ劇団があった。劇団を潰さないために提示された条件は2つ。年内に、かつてと同じく春・夏・秋・冬の4ユニット分の劇団員を集めること。4公演、すべてを成功させること。まずは1カ月後に迫った、新生春組の旗揚げ公演。千秋楽までに満席にするため、たった1人の劇団員・佐久間咲也は立ち上がる―!胸が熱くなる予告編はこちら!作品情報『MANKAI MOVIE 「A3!」~SPRING & SUMMER~』12月3日(金)より全国ロードショー配給:ギャガ©2021 MANKAI MOVIE『A3!』製作委員会写真・安田光優(横田龍儀、陳内将)
2021年12月02日婚活で約1000人の男性と出会い、年下夫を射止めたライター・かわむらあみりがお届けするコラム【結婚引き寄せ隊】連載第92回は、ついダメ恋をつかんで時間を無駄にしがちな女性の特徴をお届けします。1.バンドマンがスキ【結婚引き寄せ隊】vol. 92いわゆるダメンズウォーカーといわれる女性は、まわりから心配されアドバイスをされたとしても、それでもなぜか心配になってしまうような男性(ダメンズ)に思いを寄せたり、ダメな恋を続けてしまったりする傾向があります。そんなダメ恋をつかんで時間を無駄にしないためにも、これからご紹介する特徴を知ってピンときたら回避して、楽しい恋をする参考にしてみてくださいね。まずひとつめは、「バンドマンがスキ」という女性。プロアマ問わず、ステージに立つその姿は、思わず惹きつけられてしまう魅力にあふれているものです。中学生ぐらいまではクラシックが好きで、以降はロックにハマり、ライブハウスなどにせっせと足を運んでいた筆者のまわりにも、当時からバンドマンが好きな女性はたくさん存在しました。そのバンドを応援することは素晴らしいことですし、バンドマン自身も悪いわけではありませんが、あまりにもバンドマンにのめり込んでしまって視野が狭くなる女性は、ダメ恋に陥りがちなようです。ステージでパフォーマンスするボーカリストや、カッコいいサウンドを響かせるプレイヤーに夢中になるほど、実際にまわりにそんな男性がゴロゴロ転がっているはずもなく、理想と現実の壁にモヤモヤ…。つまりは、その人が一番カッコよく見える場所で恋してしまうため、日常生活でバンドマン風なタイプの男性を探してもなかなかいない、いたとしてもその人はステージに立つ仕事ではないのであんまり気持ちが入らないということも。とはいえ、別にカッコいい男性じゃなくても、自分のことを大切に想ってくれる男性のほうが楽しい恋ができるのは言うまでもありません。2.追いかける恋がスキ「今日は目が合った!」と喜んでいたり、「なんとしてでも振り向かせてみせる!」と息巻いていたり、追いかける恋がスキだという女性は一定数います。追いかけること自体が悪いわけではなく、受け身な恋よりも能動的な恋を好むからこそつかめる恋もあるでしょうから、絶対にそれがダメ恋だとは限りません。ただ、相手から好かれてアプローチされる場合に比べて、自分から追う恋は間違いなく労力を使うことが多いもの。好かれて付き合うとスムーズに進展するところ、相手との関係を縮めることからトライして、さらにとっておきの存在である恋人というポジションになるためには、努力だけではどうにもならないことも…。たとえ魅力的な女性でも、相手の男性のタイプではない場合もあれば、すでに恋人がいる場合もあるでしょうし、そもそも恋愛に興味のない男性なのに追い続けて、しまいには嫌われてしまうリスクもはらんでいます。気づくと、その男性が好きなのではなく、“追いかける感覚がスキ”になっている可能性も。そうこうするうちに、貴重な時間がどんどん過ぎてしまいますから、追いかけ傾向のある女性は「そろそろ見切りをつけよう」と区切って、新しい恋にも目を向けましょう。3.尽くす自分がスキもともと気配りができるタイプの女性は、まわりの人たちを自然とサポートしてしまう面がありますよね。そんなタイプの女性が恋をすると、気持ちが入るため、よりいっそう相手の男性に尽くしてしまうようです。相手のためだと思って、なんでもやりすぎてしまうと、そのうちそれが当たり前だと思って、相手を付け上がらせてしまうことにもなりかねません。それが付き合う前ならなおさらのこと、ただの便利な人扱いされてしまう危険もあり、尽くすことが必ずプラスになるとは限らないパターンも。そしてつい尽くしてしまう女性は、実は、尽くしている自分がスキ、という場合もあるんですよね。その見極めはけっこう難しいかもしれません。いずれにしても、尽くしすぎていいことはありませんから、恋がうまくいかないときは、少し立ち止まって冷静に振り返ってみるといいですよ。出会いを探していると、つい自分の好みに振り回されてしまうこともあるかもしれません。そんなときはひと息ついて、心を新たにより幸せになるようなご縁をつかんでくださいね。©PeopleImages/Gettyimages©The Good Brigade/Gettyimages©nensuria/Gettyimages
2021年11月28日生きているように見える金魚のアート作品を手がける現代美術家の深堀隆介さん。メディアでも数多く紹介され、その美しい作品を見たことがある人も多いと思います。そんな深堀作品約300点が、東京の美術館に集結。12月2日から上野の森美術館で、『深堀隆介展「金魚鉢、地球鉢。」』がはじまります。今回、展覧会を直前に控えた深堀さんに取材を実施。アトリエにお邪魔し、さまざまなお話を伺ってきました!金魚がいっぱい!アトリエで飼われている金魚たち【女子的アートナビ】vol. 226今回の取材で訪れたのは、横浜にある深堀さんのアトリエ「金魚養画場」。まさに名前のとおり、金魚を養って描く場所で、生きている金魚がいっぱいいます!深堀さんがご自身でエサをやったり水を替えたりしながら、大切に育てているそうです。アトリエでは、いくつか作品も見せていただきました。こちらの画像、「生きた金魚」にしか見えませんが、“絵画”なのです!詳しい技法は後ほど紹介しますが、はじめてご覧になった方はリアルさに驚かれると思います。私も、かなりの至近距離で見せていただいたのですが、本物の金魚が泳いでいるようにしか見えず、鳥肌が立ちました。特に尾鰭の繊細さには目を見張るばかり。衝撃レベルの美しさです。このような超絶技巧アートを手がけている深堀さんのご出身は、愛知県。1973年に生まれ、幼少期には日本一の金魚産地で知られる弥富市の金魚を見て育ったそうです。愛知県立芸術大学を卒業後、会社勤めを経てアーティストに転身。2000年から金魚をモチーフにしたアートを制作され、作品は国内だけでなく海外でも高く評価されています。今回、深堀さんに作品制作の詳細や展覧会への思いについて、語っていただきました。絵が動き出した…!深堀隆介さん。後ろに見えるのは、深堀さんが描いた平面の金魚作品。――深堀さんの作品は、本当に驚くほどリアルです。樹脂の上に少しずつ絵を描く独自の技法“2.5Dペインティング”(積層絵画)を使われているとのことですが、なぜ従来の絵画ではなく難しい技法にチャレンジされたのですか?深堀さん僕は平面でも描きますが、自分だけの技法が欲しいと思っていました。芸術の世界は群雄割拠しているので、自分の十八番のような芸がないと生き残れません。実は以前、樹脂工房で働いていたことがあるので、役に立つかもと思い、余っていた樹脂を器に半分入れて固め、その上にアクリル絵具で絵を描いてみたのです。でも絵具が樹脂に溶けて、失敗すると思っていました。一晩待ってみたところ、絵がきれいに残り、しかも水面ができていたのです。絵が自分の手を離れて水面の向こうに行ったようで、絵が動き出したような不思議な感じがしました。アトリエの様子。手前には制作中の作品があります。――水面ができたのがポイントなのですね?深堀さん平面であれば、金魚と自分が同じ世界にいるように感じます。でも水面ができたとたん、彼らは向こう側の違う世界に行くのです。金魚と僕の間に水面ができるのが重要なのです。子どものころから魚釣りが好きだったのですが、なぜ魚が陸にくると死ぬのか不思議でした。水面を越えてくるから死ぬのです。逆に、人間は水の中では暮らせません。水面は生と死の境界線。水面の向こうの世界にずっと興味と畏怖の念がありました。この技法があれば、水面ができる。この中で、自分の描いた金魚を泳がすことができるのです。死んだときだけ金魚を描く…!?――アトリエでたくさんの金魚を育てていらっしゃいますが、この仔たちが作品のモデルになっているのですか?深堀さん僕の作品は、よく写実といわれていますが、そうではありません。僕の品種、心の中にいる金魚、脳内にいる架空の金魚を描いているのです。「こんな金魚が生まれました」という感じ。最近、金魚を育てるブリーダーさんのなかに、僕の描いた金魚を品種改良でつくってみたいという人が出てきているんですよ。逆転現象です(笑)。絵が先で、そこから新しい金魚が生まれるかもしれません。――では、育てている金魚たちは見ているだけなのですか?深堀さん死んだときだけ描きます。彼らを埋める前に姿を見させていただいて、その特徴を描く。デスノートと名付け、今回の展覧会でも展示しますが、どんな仔だったかという記録を残しています。動いている金魚は、暮らしのなかで見て観察しているだけ。泳いでいる金魚を捕まえて描くのはかわいそうですよね。写真でもだめです。克明に描けるのは止まったときだから、死んだときしかないのです。僕が描くのはフォトリアリズムではなく、あくまでも空想の理想の金魚。だから背びれがなかったりするので、「こんな金魚いない」といわれたこともあります。全部、自分が今まで飼ってきた金魚の集合体なのです。そんなふうに空想できるのが、写真やコンピューターに唯一人間が対抗できる能力だと思います。――すごくリアルなのに、現実にはいない金魚。おもしろいです。深堀さん江戸の絵師たちも、想像しながら襖に虎や龍を描いていますよね。脳でビジョンが見えているから、あたかもそこに龍がいるように描けるのです。彼らの絵は泥臭くて、そんなにリアルではないかもしれないけど、龍が生き生きと魂をもっているように見える。それがおもしろいし、僕も魂が宿っているように描きたいのです。昔、展覧会をやったとき、僕の作品のことを詳しく知らないお客さんから、「餌をあげなくていいんですか。口をパクパクしていたわよ」といわれたことがあります(笑)。「あれは絵ですよ」といったら「動いていたじゃない」と。うれしかったですね。その人には動いて見えたのです。CGのようなものを使わなくても、人間には心の中で金魚を動かせる能力が備わっています。ほんの少しなら動いているように見える、僕のはそんな作品なのです。なぜ金魚を描き続ける?――深堀さんは、放置していた水槽で生き残っていた1匹の金魚の美しさに魅了され、金魚を描き始めたとのことで、この体験をご自身で「金魚救い」と呼ばれています。ずっと金魚だけを描き続けているのですか?深堀さん20年前に金魚を描き始めたときは、アーティストをやめようと悩んでいたころでした。祭りの金魚すくいでとってきて以来何年も一緒に過ごし、大きくなった金魚の背中を見ながら、この仔は自分みたいだなと思ったのです。僕の金魚は、この水槽で一生を過ごし、誰とも会えない。当時、自分は部屋にこもって、もんもんと悩んでいたのですが、僕はこの仔と一緒で、まだ誰とも会っていないのではないか、と思ったのです。この仔から「自分の代わりにお前が行け。外はもっと広いぞ。海があるんだぞ」といわれたような感じがして、描き出したのです。20年経って、ようやく描き続けている理由がわかりました。金魚のいる水面に自分の顔が映り、金魚の中に自分が見えたのです。だから、タイやヒラメではなく、金魚に執着して描き続けられたのです。今の自分を描けばいいのですから。自分自身を描くのは照れくさいので、金魚を使って自分を出しているのです。地球と金魚鉢は一緒!?――展覧会についてお尋ねします。『深堀隆介展「金魚鉢、地球鉢。」』というタイトル、地球鉢というのがユニークですが、どのような思いがこめられているのですか。深堀さんコロナだからこそ、この名前になりました。コロナのせいで人間は室内に押し込められ、外に出られなくなりました。小さな、目に見えないウイルスに翻弄されて、苦しめられている。金魚を飼っていて、一番大事なのは水替えです。1週間に最低1回は取り替えないと水槽の水がよどみ、金魚は病気になり、死んでしまいます。地球も水槽と一緒。地球の空気が汚れると、我々人間も免疫が弱まり病気になりやすくなるし、コロナのようなウイルスにも弱くなる。この地球を地球鉢と考えて、汚れた金魚鉢と同じ状況としたら、いろいろなことがわかってくると感じています。人間がこのまま地球を汚し続けたら、自分の子どもたちの世代はもっとひどくなる。僕はずっと金魚を描いてきたので、コロナと金魚もつながるところがあったのです。――私も金魚が好きなので展覧会が楽しみです。日本人は、なぜこんなに金魚が好きなのでしょうね。深堀さんなぜ金魚に惹かれるのかは、深く掘るといろいろあると思います。中国では、どんどん品種改良をして金魚を変えていくのですが、日本はひとつの品種を大切に守っています。日本の金魚は、細かいところまで神経が行き届き、鱗の並び方とか泳ぎ方にまで審査基準があり、すごいのです。でも、原点は金魚すくいかもしれませんね。あれは、ほかの国にはないらしいですよ。みんな、いい思い出になっているのだと思います。僕自身、最初に描いたのは金魚すくいの金魚でしたし、あの仔が僕の究極の金魚。僕を救ってくれましたから。今回のインスタレーションも、金魚すくいの屋台にしてあります。――展示も楽しそうです。いろいろお話いただき、ありがとうございました。深堀さんananの読者さんに、今日の話が少しでも響いたらうれしいです。インタビューを終えて…言葉の端々に金魚愛があふれていた深堀さん。常に水面下にいる金魚たちを慈しみ、その水槽を取り囲む人間社会、地球の未来にも問題意識をもちながら、作品制作をされているようです。深堀さんの熱い想いがこめられた作品は、日本だけでなく世界でも愛され、美しい金魚アートたちが地球のあちこちで泳いでいます。金魚に救われたという深堀さんが、アートの力で人の心を動かし、いつか地球の危機を救ってくれるかもしれません。会場では金魚飴やおみくじも登場!『深堀隆介展「金魚鉢、地球鉢。」』では、樹脂を使った積層絵画(2.5Dペインティング)作品のほか、平面の絵画やインスタレーション、映像作品も展示。さらに、ミュージアムショップでは深堀さん描き下ろしの「金魚飴」やオリジナル金魚おみくじも登場します。縁日みたいに楽しそうな展覧会、ぜひぜひ足を運んでみてくださいね!(アトリエ写真撮影・提供:フジテレビ)Information会期: 12月2日(木)~ 2022年1月31日(月)※休館日=12月31日(金)、1月1日(土)会場:上野の森美術館開館時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)観覧料:前売券【一般】¥1,400【高校・大学生】¥1,100【小・中学生】¥600深堀隆介描き下ろし 金魚飴付き前売券【一般】¥2,200【高校・大学生】¥1,900【小・中学生】¥1,400当日券【一般】¥1,600【高校・大学生】¥1,300【小・中学生】¥800
2021年11月28日東京国立近代美術館で、柳宗悦没後60年記念展『民藝の100年』が開かれています。日本各地に残されている優れた手仕事、名もなき職人さんたちがつくった生活道具に“美”を見いだした「民藝運動の父」柳宗悦。本展では、柳らが集めた陶磁器や木工など暮らしの道具や同時代資料を展示。驚くほどモダンでかわいい「モノ」も登場します!どんな展覧会?【女子的アートナビ】vol. 227本展では、柳らが蒐集した陶磁器や染織、木工、蓑などの生活道具や民画とともに、出版物、写真など総点数450点超の作品と資料を展示。「民藝運動の父」と呼ばれた宗教哲学者の柳宗悦(1889-1961)の没後60年という記念の年に、彼の活動を振り返りながら、時代とともに変化しつづけた民藝の試みを俯瞰的な視点からとらえなおします。日本の美しい「モノ」を守る!1925年、柳宗悦と陶芸家の濱田庄司(1894-1978)、河井寬次郎(1890-1966)は、民衆がふだん使っている生活道具に“美”を見いだし、「民藝(民衆的工芸)」と名付けます。柳らが民藝に注目したのは、工業化が進み、大量生産されるモノが出回りはじめた時代。職人によって生み出された昔ながらの美しい「モノ」が失われていくことに憂慮し、日本の伝統的な手仕事を維持し、文化を守るための「民藝運動」を進めていきます。具体的に、彼らはどんな活動をしたのでしょう?まず、民藝品を集めることから開始。日本各地を旅し、旧家や朝市などを訪れてさまざまな民藝を探し、蒐集していきます。さらに、欧米にも行き、イギリスでウィンザーチェアなどを買い付け、海外の生活スタイルや椅子文化を日本で紹介。東洋と西洋を比較し、世界の工芸やデザインの流れも見ながら、日本各地の民藝を発見していきます。雑誌がおしゃれすぎ!柳らは、集めた民藝を雑誌や展覧会で広めていきます。1931年には、民藝運動の機関誌として雑誌『工藝』を創刊。写真や記事で、民藝の美などを紹介しています。表紙には織物や漆絵が使われ、用紙は各地の手すき和紙を使用。紙や布がテーマとなっている号では、実物が貼り込まれています。会場に展示されている雑誌は、表紙デザインがすごくおしゃれ。装幀や小間絵は、染色家の芹沢銈介や陶芸家の河井寬次郎など民藝の同人が担当し、素材も作り手もかなり贅沢です。1936年には、日本民藝館が完成。集められた作品を展示紹介し、さらに日本各地の作り手と協力して新しい民藝品を売る店も開きます。日本の大事な手作り文化を保存、紹介するだけでなく、新しい民藝品を流通させるという点も民藝運動の大切な活動のひとつでした。鉄瓶も藁沓もかわいい!それでは、展示品のなかから、驚くほどモダンでかわいい民藝を2点ご紹介。ひとつは、展覧会のメインビジュアルにも使われている《羽広鉄瓶》。山形のものですが、このような鉄瓶は寒い地域でお湯を沸かすときに使われていました。持ち手もフォルムもとってもキュート。羽のように広がる部分は、熱が伝わりやすくするための形であり、使いやすさが重視されたデザインです。もうひとつは、《藁沓》。雪の上を歩くためのものです。豪雪地帯の農村で、農作物のできない冬に副業として制作し、販売していました。米粒をとった稲わらを使い、手で編んでいます。素朴でかわいく、とても暖かそうです。手元に残った稲わらを使い、日用品として循環させていく生活はエコライフそのもの。当時のような暮らし方を見習えば、持続可能な社会が実現できそうです。本展のさまざまな民藝や、その歴史に触れることで、今のライフスタイルについても新たな気づきを得られそうです。展覧会は2022年2月13日まで開催。Information展覧会名:柳宗悦没後60年記念展『民藝の100年』会期: ~2022年2月13日(日)※会期中一部展示替えあり休館日:月曜日[ただし、2022年1月10日(月・祝)は開館]、年末年始[12月28日(火)~ 2022年1月1日(土・祝)]、1月11日(火)会場:東京国立近代美術館開館時間:10:00~17:00(金・土曜日は20:00まで) *入館は閉館の30分前まで観覧料:一般¥1,800、大学生¥1,200、高校生¥700、中学生以下無料問い合わせ先:050-5541-8600(ハローダイヤル)※最新情報などの詳細は展覧会公式サイトをご覧ください。
2021年11月28日芸術の秋真っ只中ということもあり、アートへの関心がいつも以上に高まっている人も多いのでは?そんななかでオススメの映画は、アート界の裏で行われている闇の金銭取引を暴き、アートとお金の“怪しい関係”に迫った話題のドキュメンタリーです。『ダ・ヴィンチは誰に微笑む』【映画、ときどき私】 vol. 4322017年、レオナルド・ダ・ヴィンチ最後の傑作とされていた「サルバトール・ムンディ」が、史上最高額の 510 億円で落札。アート界に激震が走る。「購入者は一体何者なのか」「真のダ・ヴィンチ作品だと証明されたのか」など、謎は深まるばかりだった。一般家庭で発見され、13万円という激安で売られていた名画が、なぜ政府やハリウッド・スターのレオナルド・ディカプリオまでも巻き込んだ大騒動へと発展していったのか……。オークションが行われた当時、世界的なニュースとなり、大きな注目を集めた通称「男性版モナ・リザ」。そこで、一連の出来事の背景について、こちらの方にお話をうかがってきました。アントワーヌ・ヴィトキーヌ監督ドキュメンタリー映画監督としてだけでなく、ジャーナリストとしても活躍しているヴィトキーヌ監督。今回は、政治的なテーマを数多く取り上げてきた監督があぶり出すアート界の闇や取引の裏側について、語っていただきました。―まずは、この題材に取り組もうと思った理由から教えてください。監督実は、2018年にサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子のドキュメンタリーを作っていたので、そのときに彼が「サルバトール・ムンディ」を買ったと聞いたのが最初でした。私自身はそれまであの絵に関してはあまり知らなかったので、彼が買ったということに対しての驚きのほうが大きかったですね。調べてみると、当時はルーヴル美術館が鑑定するのかしないのか、展示するのかしないのか、といった噂で持ち切りだったので、僕としてはその“謎”を探るために調査を始めたのがきっかけです。ドキュメンタリーを作るうえでは、オークションの前から始める必要があると思い、2005年までさかのぼって構成しました。―いろいろな方のインタビューやオークションにも密着されていますが、監督にとって予想外の出来事はありましたか?監督一番驚いたのは、この絵が外交問題にまで発展していたこと。ロシアの富豪が登場するあたりまでは、想像の範囲内でしたが、まさか政府が関わるほどになるとは……という感じですね。あともうひとつは、オークションハウスのサザビーズが果たしていた役割が非常に特殊であったこと。サザビーズがロシアの富豪からお金を預かったとき、彼の右腕がしていた怪しげな工作に関与していたとされています。現在、アメリカでは訴訟中ですが、あれほど大きなオークションハウスが合法と非合法のすれすれのところに介入していることに、びっくりしました。利益を求める人たちによって、芸術が貶められている―アートとは崇高なものだと思っていたので、本作で映し出しているようなお金との関係性には驚かされましたが、監督自身はいまのアート業界のあり方をどう感じていますか?監督もちろん、アート業界のなかには崇高な部分もまだ存在しているとは思います。つまりそれはここまで大きなお金が動くことなく、純粋にアートと向き合っているアーティストたちがクリエイトした作品を発表するうえで、オークションハウスやギャラリーの力を必要とする通常の流れのことですけどね。ただ、そのいっぽうで、世界の大富豪たちが芸術的な価値よりも投資目的で落札するという流れが現代のアート界にあるのも事実。本作で映しているように、芸術作品がお金を生んでいる状態となっているのです。不誠実な人ばかりとは言いませんが、そんなふうにアートに利益を求める人たちの存在と行動によって、芸術が貶められているところもあるのではないかなと思っています。―確かに、この作品を観る方の多くがそういう危機感は覚えるのではないかなと。監督名前は伏せますが、実は最近もイギリスの非常に有名なアーティストの展覧会に行ったときに、驚いた出来事がありました。非常に素晴らしい絵だったので、ギャラリーの人にどのくらい枚数があるのかを尋ねてみたんです。そしたら、なんと107枚作っています、と。それほどの枚数だと、もはや工場で作品を製造しているのに近いと思うので、そういう意味では、崇高なアートとは少し違う次元に行ってしまっているように感じました。国を広げるためにいま必要なのは、武器よりも美術館―監督は芸術の国と言われるフランスで生まれ育っています。実際に「サルバトール・ムンディ」をご覧になったときは、どのような印象を受けましたか?監督実は、僕が初めてこの絵を見たときは、すでに皇太子が買ったという事実を知っていたので、「いわくつきの作品だな」という色眼鏡を通して見ていました。悲しいことに、美術館で絵画を見るような純粋な気持ちでは見れなかったので、強い印象を抱くことなく、特に大きな感動もなかったというのが正直なところです。美しいという人もいれば、そうではないという人もいるので、どう感じるかはみなさん次第だと思います。―ちなみに、監督の意見としては、この絵は本物だと思いますか?監督ダ・ヴィンチと彼の工房による共同の作品、というのが僕の想像する正解に一番近いと思う答えじゃないかなと。ただ、この作品に関しては、ダ・ヴィンチの弟子が1人で描いたという説もありますからね。とはいえ、いずれにしてもクリエイションの過程のなかにダ・ヴィンチの存在があったことは間違いないとは思います。―13万円が510億円になるとは、夢のある話だと思いますが、投資目的にアートを使うことに関して、監督はどうお考えでしょうか。監督皇太子ほどお金を持っていないので、自分ならどうするかというのはちょっと想像できないですね(笑)。ただ、ひとつ言えるとすれば、お金があっても「サルバトール・ムンディ」は買わないかなとは思います。今回、僕が一番惹かれたのは、この作品をサウジアラビアの皇太子が買ったことです。彼は自分の国を世界に向けてもっと広げていきたいという希望がありますが、そのためには武器を買うよりも、美術館を建てることのほうが必要だと考えたのは非常に興味深いことだなと。しかも、そこにはヨーロッパの美術史史上一番高額な絵を買うことに価値があるんだ、という彼の意思表示のようなものも感じることもできました。国の統治者として彼がした選択は、まったく無意味だとは思いません。日本に対しては直感的な親しみを抱いている―まもなく日本での公開を迎えますが、日本に対してどのような印象をお持ちかお聞かせください。監督残念ながらまだ一度も行ったことはありませんが、昔からずっと興味のある国で、いつか行きたいと思っています。うまく説明はできませんが、日本には直感的な親しみすら抱いているほど。実は若い頃に10年ほど柔道をしていたことがあり、トレーニングのビデオなどを通して日本の風景を見続けていたので、そういったことも影響しているのかもしれませんね。日本のみなさんはフランスが好きだと聞いていますが、僕たちフランス人も日本が大好き。僕の11歳になる息子はしょっちゅう日本の漫画を読んでいて、日本語も少し離せるくらい本当に日本が好きだと言っています。それくらい、僕たちにとって日本は近い存在となっているのです。―ありがとうございます。それでは最後に、日本の観客に向けてメッセージをお願いします。監督もちろん、理解することも大切ではありますが、理解しようとし過ぎて頭を使うよりも、まずは世の中には“異なる世界”というのがいくつも共存しているんだというのを体感していただきたいです。アメリカ・ルイジアナ州の一般家庭から始まり、サウジアラビアの砂漠にたどり着くまでの経緯というのは、まさに現代のグローバリゼーションならではの現象だと思うので、そういった部分も含めて、目を大きく見開きながら観ていただきたいです。欲望にまみれた世界で最後に微笑むのは誰か?すべて事実でありながら、まるで先の読めないミステリー映画を観ているかのような錯覚に陥る本作。芸術的感性だけでなく、金銭感覚までも刺激されること間違いなしのこの秋見逃せない注目作です。取材、文・志村昌美謎に満ちた予告編はこちら!作品情報『ダ・ヴィンチは誰に微笑む』11月26日(金)TOHO シネマズ シャンテほか全国順次ロードショー©2021 Zadig Productions ©Zadig Productions - FTV
2021年11月25日1児のママでもあるライター・かわむらあみりがお届けするコラム【ママライフばんざい!】連載第34回は、ママたちがギョッとした、コロナ禍なのに周囲にまったく気を配らない人たちのエピソードをお届けします。1.お店で食事中に大声でおしゃべりする人【ママライフばんざい!】vol. 34最近はやっと新型コロナウイルスの感染者数が減ってきましたが、まだ油断できない状況が続いていますね。家庭にお子さんのいるママは、自分だけでなく子どものことも考えると、コロナ禍での行動は以前よりも気をつけるようになったことでしょう。現在、海外では12歳以下のお子さんも対象とした新型コロナワクチン接種の臨床試験が実施されているところもあるようですが、日本では12歳以上が接種対象となっています。日本の12歳以下のお子さんの重症率はいまのところ少ないですが、コロナにかからないわけではなく重症化することもゼロではないため、引き続き注意は必要です。そんななか、街中でママが遭遇したギョッとした出来事のひとつめは、お店で食事中に大声でおしゃべりする人。飲食をする際にマスクをとるのは仕方ないにしても、そのままノーマスクでおしゃべりを続ける人がいます。入店の際の体温測定や消毒など、感染症対策をしているお店でも、客として席にいる人たちがマナー不足だとどうしようもありません。飲食店だと、同じ空間で他の人たちもマスクをはずすときがあるため、無言ならまだしも、ノーマスクでおしゃべりに熱中しているような人たちは最悪です。コロナ禍だということを忘れずに行動したいものです。2.鼻マスクをやめない人時にまだ街中で遭遇するのが、なぜか「鼻だけ出す」という、鼻マスクをやめない人です。たとえばメガネをかけていると、マスクをすることによってレンズが曇ることがあるため、人がいないところでは鼻だけ出す人もいるよう。ですが、これだけ自粛期間が続いているとメガネが曇りにくいマスクが発売されていたり、曇り止めをレンズに塗るという手段もあるので、持病などの特別な理由がないのに口しかマスクをしないというのは腑に落ちません。咳で飛沫が飛ぶから口だけはマスクをする、という人もいるかもしれませんが、鼻だけ出していると、誰かのくしゃみを鼻から吸ってしまい、知らない間に感染してしまった…というように感染リスクを上げることになるわけですから、口だけでなく、鼻もしっかりとマスクでカバーしてほしいものです。さらに最悪なのは、一応マスクをつけているというポーズなのか、鼻も口も出しっぱなしで顎にマスクをひっかける、顎マスクの人。もしも顎にウイルスが付着していたら、顎マスクを口元にずらしたときに、口から入ってくることもあるかもしれません。いずれにしても、しっかりとマナーを守って装着してほしいですよね。3.ノーマスクを掲げる人これはきっと少数派なのだと思いますが、ノーマスクを掲げている人が存在します。マスクの着用に限らず、どんなことだって、人それぞれ考え方が違うことは仕方がありません。ですが、マスクがいらない、という考えに特化して、街中でノーマスクでおしゃべりしている人たちもいるようです。ウイルスの飛沫感染を防ぐためにはマスクは必須だと考える人がほとんどです。せめてノーマスクならしゃべらない、人がいないところでひとりで過ごすなどの配慮をするならまた別かもしれませんが、それもなく大勢いるような場所でノーマスクでの会話は、飛沫感染のリスクが伴いますよね。たとえば、風邪気味で咳が出るようなときでもマスクを着用するのは、エチケットです。新型コロナウイルスも、マスクをすることで、少しでも自分やまわりの人たちを守れるならいいと思いませんか。ママになると、自分のことだけでなく、子どもや家族の健康にも気を配りますよね。大事な人たちを自分の手で守れるように、みなさんが健やかなママライフを送れますように!©gpointstudio/Getty Images©Lubo Ivanko/Getty Images©Orachon Paksuthiphol/Getty Images
2021年11月22日冬の始まりを感じると、なにか新しい旬なアイテムがほしくなるというもの。ですが冬アウターはまだ少し活躍が先なので、今すぐ買うよりじっくり検討したいところですよね。そこでおすすめなのが、帽子や靴といった冬小物。今回は2021年冬に人気必至の小物アイテムをご紹介します。帽子は「ベルハット」&「バケットハット」昨今の帽子トレンドは著しい変化を見せています。5年ほど前まではキャップ一択に人気が集中していたのですが、ここ2~3年でバケットハットが注目されています。そして、そのトレンドも冷めやらぬうちに今、ベルハットが最新アイテムに浮上中です。現在の社会情勢も影響しているのか、服よりもコスパの良い小物へのニーズが高まっているのかもしれません。さて、ベルハットとバケットハット。実はこの2つは形がよく似ています。すみ分けとしてはベルハットは全体的に丸みがあって、上品かつクラシカルなテイスト。バケットハットは直線的でカジュアル・スポーティなテイストといった違いがあります。共通しているのは「前下がりのツバがついたハット」という点で、このシルエットの帽子がもっとも旬なスタイルを作ります。バケットハット、ベルハットは両方持っていれば、そのぶんコーデの幅も広がりそうですね。もちろんどちらか一方だけでもOKです。「ワイドブーツ」「つけ襟」は今年の顔帽子のほか注目したいアイテムはブーツとつけ襟です。とくに長らく衰退していたロングブーツ。いよいよ今年はメイントレンドと言われています。昨年もロングブーツは登場していましたが、今季のショートパンツ・ミニワンピの人気によって合わせやすいロングブーツへの支持が例年以上に高まっているようです。そのなかでも2021年の顔と呼べるべきデザインはやはりワイドブーツ。甲の切り返し部分から履き口全体にかけて太筒なシルエットがワイドブーツの特徴です。昨年まではとんと見かけなかった新しめのデザインです。筒まわりが太いので、ブーツインもしやすくておすすめですよ。もうひとつはつけ襟。つけ襟といえば春夏からビッグカラー・フリルのつけ襟が人気ですが秋冬は、ハーフジップ風のつけ襟(つけニット)やフードタイプのつけ襟が登場。手軽に旬な重ね着コーデができるのでこちらも、ぜひチェックしてみてくださいね。2021年冬は、着こなし方に変化をつける最近おうち時間が増えて、お洋服そのものを買う機会が減ったという声を身近でもよく耳にします。かくいう筆者も、衝動買いがほとんどなくなりました。そのぶん、手持ち服に新鮮さを与えてくれる新しい小物アイテムに購買意欲が傾いているところです。服を買うのは気持ち的にしんどい。でも旬な着こなしをしたい!そんなときはぜひ、今年顔の小物アイテムに注目してみてくださいね。イラスト・角佑宇子
2021年11月21日ファッショントレンドは時として挑戦的ともいえるアイテムがブームになることがあります。2021年においては「ビッグカラー」がまさにそれ。一歩間違えれば幼児またはピエロのような仕上がりになる危険性をはらんでいます。そこで今回は、ビッグカラーコーデが失敗する原因と回避テクニックをご紹介します。ビッグカラー+ハイウエストタックパンツは注意!ビッグカラーアイテムでよく見かけるコーデといえば、ハイウエストパンツとの組み合わせですが実はこのコーデは難解な組み合わせでもあります。ビッグカラーシャツは襟が大きいだけにトップスにボリュームが出るシルエットラインなので確かにハイウエストボトムとの相性は悪くありません。ただ、襟元のインパクトが強いうえにハイウエストを合わせてしまうとサーカスのピエロのようなコスチュームっぽさが出てきます。とくにウエスト・お尻にゆとりの出るタックパンツは鬼門中の鬼門と心得て。また、ビッグカラーもフリル・レース・リボン・刺繍といった甘めのデザインがあしらわれるほどに子どもっぽさが増しますので気をつけましょう。デザインに甘さがあるなら、色はブラック・ブラウン・ネイビーといったシックな色のビッグカラーシャツを選びましょう。シンプルデザイン&キャミワンピに切り替えてanan世代におすすめするビッグカラーシャツの取り入れ方。まずは、ビッグカラーはスクエアタイプをはじめとした襟が直線的なデザインもしくは、上品なラッフルタイプがおすすめです。パンツと合わせる場合はシャツインではなく、シャツアウトでラフに着こなすと良いですね。ですが一番のおすすめはキャミソールワンピースとの組み合わせです。キャミソールワンピースと組み合わせると、ビッグカラーシャツは単体のアイテムと認識されにくくなります。つまり、襟のデザインが特徴的なワンピースを着ているという印象になりビッグカラーシャツだけがコーデで浮いてしまう現象を防ぎます。もしワンピース以外の組み合わせをしたいという場合は「コーデ全体をモノトーンでまとめる」「シンプルなデザインのスカート・パンツを合わせる」などして極力ミニマルにスタイリングをすると比較的まとまりが良くなります。ぜひご参考までに!可愛いデザインをシックに着るのが正解30代前後は大人の女性の品格とフレッシュさを持ち合わせている世代。そのため、積極的にトレンドアイテムに挑戦していただきたくもあるのですが、若い子の着こなしそのままを真似するのはやっぱり違和感のもと。とくに今回のような可愛い要素が前面に押し出されたアイテムこそ、組み合わせる服の色やデザインに工夫をして上品に着こなしましょう。ぜひ今季トレンドのビッグカラーシャツをご自身なりにコーディネイトしてみてくださいね。イラスト・角佑宇子
2021年11月20日まもなく公開を迎える映画のなかで、異色の1本として注目を集めているのは、コントを映画化した『サンチョー』。そこで、主演を務めたこちらの方々にお話をうかがってきました。ジャルジャルの後藤淳平さん & 福徳秀介さん【映画、ときどき私】 vol. 431昨年、キングオブコントで優勝し、名実ともにコントの王者となったジャルジャルの後藤さん(写真・左)と福徳さん(右)。本作では、単独ライブのネタをもとに生み出した“コントシネマ”という新たなジャンルに挑み、1人で何役も演じています。今回は、作品が誕生した経緯や撮影の裏側などについて語っていただきました。―まずは、どのような経緯で映画を制作することになったのかを教えてください。後藤さん以前から単独ライブを年2回やっているんですが、コロナの影響で開催できない時期があったんです。ただ、すでに準備をしていたこともあり、ネタがもったいないから、映像にしてみようかという話が上がりました。そこで、クラウドファンディングをしてみたら、予想以上に多くの支援をしていただけることに。改めて、みなさんが応援してくれているんだと感じました。―実際、“コントシネマ”という新しい形に挑戦してみていかがでしたか?後藤さんまだ1本目なので、手探りの状態ではありますね。でも、ライブを観た方でも楽しんでもらえるように、ネタの順番やキャラクターの関係性など変えているので、そのあたりは注目していただけたらと。福徳さんライブだと直接お客さんを楽しませられますけど、映像だとまた違うので、どうなるのかわからないというのが正直なところですね。DVD用だと思って撮っていたので、まさか映画になるとは驚きました。でも、新鮮で楽しかったです。この映画は、ニヤニヤしながら観てほしい―今回、映画だからできた表現やこだわった部分といえば?福徳さんやっぱり、キャラクターの3ショットが見れるところじゃないですかね。コントだと3人目はいる仮定でやっていますが、映像だと合成できるので、そこはおもしろかったです。後藤さんあと、ドローンを使った迫力のある映像は、映画ならではだなと思います。―確かに、山のシーンなどすごかったです。ちなみに、撮影中に何かハプニングはありましたか?福徳さん山の上に行く際、30分に1本くらいしかないリフトに後藤だけ乗り遅れて、スタッフみんなと頂上でのんびり過ごしたということはありました。後藤さんいや、現場が遠すぎるって(笑)。教えてもらった住所をナビに入れていたんですが、なぜかかなり手前で止まってしまって、普通に遅刻してしまいました……。―今回、舞台と映画で笑いに違いはあると感じましたか?後藤さんライブだと目の前にいるお客さんを思いっきり笑わせようとしますが、今回の映画の場合はナチュラルなので、どちらかというとくすっと笑ったり、心の奥で笑ったりしてもらえたらいいかなと。アハハというよりも、ニヤニヤしながら観てもらう感じですね。あまりお客さんを意識していないぶん、2人だけで没頭している感覚はありました。福徳さん僕らはカメラのアングルとかにはこだわっていないので、コントをするという点ではほぼ一緒でした。観客を想像できなかった代わりに、現場のスタッフさんたちが笑いをこらえてくれたらうれしいなと思ってやりました。キャラクターを演じ分けるコツやスイッチはない―劇中では、おふたりで合計11役も演じていらっしゃいますが、演じ分けるコツはあるのでしょうか。福徳さんそんなこと話すと偉そうなので、恥ずかしくて語れないですね(笑)。ただ、切り替えのスイッチがあるとかではないです。後藤さん僕はあまり意識してないですけど、なぜか別人に見えますよね。自分で見ても、それは不思議です。―ちなみに、演じたなかでお気に入りのキャラクターといえば?後藤さん男女のお笑いコンビが出てきますが、あの2人は好きですね。ネタ合わせで揉めているところは、ずっと見ていられます。福徳さん僕は、女装すると思いっきりできるので、演じていて楽しいですね。―ライブのように、1発本番のような感じで撮っていたのでしょうか。後藤さんそうですね。だいたい1回か2回やったら終了。きっちりとした台本がないだけに、セリフを忘れてNGみたいなこともありませんからね。そういう意味では、ライブと同じような生に近いところはあると思います。僕たちは、コントができればそれだけでいい―ライブができなかった時期を経てのライブというのは、格別なものだったのではないかなと。福徳さんやっぱりお客さんが直接笑ってくれるのは、いいものですね。あと、ライブ中に客席を見て「あ、昨日も来てた人がいる!」とわかると、うれしかったりしますから。後藤さん僕らのライブを観に来て、いい思い出を持って帰ってもらいたいなという気持ちは、以前より強くなったような気がします。目の前にお客さんがいると、アドレナリンは出ますね。―昨年はキングオブコント優勝、YouTubeチャンネル登録100万人突破と大きな目標を2つも成し遂げました。今後目指しているものがあれば、教えてください。後藤さん今回のようなコントシネマはこれからも続けていきたいですし、いつかそれが海外にも広がっていったらうれしいですね。ただ、はっきりと決めているわけではないだけに、次回撮る作品は全然違うものになる可能性もあるので、ある意味それも楽しみです。福徳さん目標はだいたい半年単位くらいで考えることはありますが、僕らは基本的にコントができたらそれでいいんです。根底にあるのは、それだけじゃないかなと。あと、僕にとって大事なのは、いつも笑っていられるかどうか。毎日ヘラヘラながら生きるのが目標です(笑)。―おふたりはお笑いにも活動の幅を広げていらっしゃいますが、いま興味のあることは?後藤さん特にないですね。僕にとって、お笑いは趣味でもあるので。ただ、お話をいただけるなら、おもしろいことはどんどんやっていきたいとは思っています。福徳さん本当のことを言うと、毎日何もしたくないんです(笑)。人前に立つのも、本来は苦手なほうですから。でも、コントをやりたいし、ただ楽しいからやっているというだけですね。1人でいるときにネタを考えることはない―1日のうち、ネタのことを考えている時間はどのくらいなのでしょうか。福徳さんYouTubeに1日1本ネタを上げているので、「毎日大変だね」とよく言われるんですが、単独ライブの前に2人で一気にネタを作っているだけ。普段は何も考えていないですよ。―つねにネタのことが頭から離れない、みたいなこともないですか?後藤さんないですね。「今日何食べようかな」とかばっかり考えています(笑)。打ち合わせの前に考えるとかもないので、1人でネタを考えている時間は0秒です。福徳さん僕も1人だったら0です。ただ、その代わりに、2人でいるときは0が100になりますね。―なるほど。この1年で変わったことはありましたか?福徳さん毎年秋になると、学園祭をたくさん回るので、そこでいろいろな学校の雰囲気を感じたり、学生の様子を見たりするのが楽しかったんですけど、それがなくなってしまったのは残念でした。学生たちも青春が奪われてしまってかわいそうだなと思います。後藤さん確かに。早くやれるといいね。―おふたりは、YouTubeに毎日ネタ動画をアップしていますが、そのほかに毎日欠かさずにしていることといえば?福徳さん空を見ることくらいですね。僕は家を出たらすぐに空を見たいタイプなので、住む部屋を選ぶ際の絶対条件は、マンションでも玄関を開けたらすぐに外廊下であること。そうじゃないと、何か気持ち悪いんですよね。後藤さん僕は基本的にだらしない性格で、決めごとを守れないほうなので、個人で続けていることもルーティンも特にないですね。どちらかというと、どれも三日坊主パターンです。ジャルジャルという塊の一部のように感じている―過去のインタビューで、「仲良しと思われがちだが、そういうのとは違う」とお話されているようですが、実際のおふたりの関係性はどんな感じですか?後藤さんそもそも、仲がいいということの定義の問題かなと。プライベートでの付き合いはないですが、だからといって仲が悪いとかではないです。どちらかというと、ジャルジャルという塊の一部みたいな感じなので、それぞれを個別に考えてもいないのかもしれないですね。福徳さん確かに、一緒に食事に行くことが仲良しと言われたら終わりますけど、そういう一般的な感覚とは違いますね。ただ、街で見かけても無視します(笑)。―無視ですか!?実際に、街で偶然会ったこともあるのでしょうか。福徳さんありますよ。車でもよく見かけますけど、特に声はかけません。ただ、奥さんが一緒にいて、反応してくれたらもちろんリアクションしますが、1人だったら無視です。ネタを見て、少しでも楽しんでもらえたらうれしい―では、長年一緒にいて、自分にはないけど相手のすごいと思うところはどんなところでしょうか。後藤さんネタの書類を全部きちんと保管してくれたりするので、そういうきっちりとしたところはすごいなと思います。僕だったら絶対に紛失しているので、そこは僕にはないところかなと。福徳さん僕は、後藤のすね毛が意外と濃いところがすごいと思っています。後藤さん確かに、小学校の低学年くらいから、「あれ?」と思うようになって、中学生の頃には、立派な足になってました。―(笑)。もしお互いに出会っていなかったら、自分の人生はどうなっていたと思います?福徳さんラグビー部の友達と同じように、普通に就職していたと思うので、お笑いはしてなかったでしょうね。後藤さん僕もお笑いには絶対に進んでいなかったですね。どうなっていたか、具体的にイメージすることすらできないです。出会う前は、自分が芸人になるなんて、1ミリも考えたことなかったですから。でも、素敵なお仕事に就けてよかったなとは思います。―ファンに向けて、メッセージをお願いします。福徳さん毎日楽しいことだけじゃないと思いますが、僕たちのネタを見て、少しでも楽しんでもらえたらいいなと思っています。後藤さん僕たちは僕たちの体が持つ限り続けていくので、いま見てくれている人は引き続きごひいきにしていただいて、まだ見たことない方はこの映画をきっかけに少しでも見てもらえたらうれしいなと思います。インタビューを終えてみて……。コントやライブにかける思いを人一倍持っていらっしゃるジャルジャルのおふたり。数えきれないほどキャラクターを演じてきたからこそ、撮影時にはさまざまな表情を繰り出していて、その姿はさすがでした。本作でも、おふたりのいろんな顔をぜひ堪能してください。笑いと青春が詰まった群像劇!クセのあるキャラクターが次々と登場し、ジャルジャルワールドへと引き込まれていく本作。通常のコントとは、ひと味もふた味も違ったスケールと世界観を楽しめる新しいエンターテイメントの誕生です。写真・山本嵩(ジャルジャル)取材、文・志村昌美ストーリー高校一年生の安田は、ある日登山部の顧問に呼び出され、退部届を出してほしいと相談される。顧問との山登りが学校生活で唯一の楽しみだった安田は失意の底に落されるが、その様子を一人も友達ができずにいたある生徒が見ていたのだった。一方、公園では駆け出しの男女漫才師が解散の危機を迎え、別の場所では若手俳優が女性にアプローチを繰り返していた。さらに、オリジナルのカット技法を極めた美容師と先輩にいたずらをしかけようとする後輩、家主と鉢合わせてしまう泥棒など、それぞれの場所で必死に生きる彼らの人生はいったいどんな方向へ転がってしまうのか……。笑いが込み上げる予告編はこちら!作品情報『サンチョー』11月19日(金)より全国順次ロードショー配給:吉本興業ジャルジャルのトーク付 スペシャル上映回が、全国七都市で実施!チケット情報などの詳細は、特設サイトよりチェックしてください。©2021 「THANC YOU ─JARUJARU TOWER 2021─」 吉本興業写真・山本嵩(ジャルジャル)
2021年11月17日