2020年は、大切な人を突然失う悲しみや喪失感について改めて考えさせられる瞬間も多かったと思いますが、そんな苦しみと向き合う主人公のリアルな姿を描き、各国で絶賛されている映画がまもなく公開を迎えます。それは……。ミステリアスな話題作『おもかげ』【映画、ときどき私】 vol. 334スペインに暮らすエレナは、元夫と旅行中の6歳の息子から「パパが戻ってこない」という電話を受ける。ひと気のないフランスの海辺から助けを求める息子の声。エレナにとっては、それが息子の声を聞いた最後となる。それから10年が経ち、エレナはその海辺のレストランで働いていた。ある日、そこで偶然出会ったのは、息子の面影を宿した少年のジャン。エレナを慕うジャンは、お店を頻繁に訪れるようになる。しかし、徐々に距離を縮める2人の関係に周囲は戸惑い始めるのだった……。2019年アカデミー賞の短編実写映画賞にノミネートされ、世界各地の映画祭で50以上の賞を受賞した短編映画『Madre』。長編映画となった本作では、短編の“その先”を描き、話題となっています。そこで、こちらの方にお話をうかがってきました。ロドリゴ・ソロゴイェン監督短編が高く評価されたことによってその才能が認められ、“スペインの新鋭”として注目を集めているソロゴイェン監督。短編を長編の冒頭としてそのまま使用し、新たな物語を紡いでみせるという珍しい手法で完成させた本作に込めた思いや現場の様子などについて語っていただきました。―まずは、息子を失う母親を主人公にした物語を描こうと思ったきっかけを教えてください。監督正直言って、自分でもなぜ描きたいと思ったのかはわかりません。ただ、短編の『Madre』がこの映画の出発点であったということだけは、間違いなく言えると思います。この短編というのは、もともとひとつの“試し”のようなつもりで作ったものでした。その過程で感じていたのは、ここで描いているような母親が子どもを失うという体験が何よりも重い感情であり、非常に大きな“爆発”を生む題材になるであろうということ。特に今回の場合は、生死が不確定な失踪という状況であるため、愛する人を亡くしてしまうというのとはまた違う深い悲しみを生むものだと考えました。―母と息子という関係性を取り上げたことに関しては、何かご自身の経験が反映されている部分もあるのでしょうか?監督おそらく、僕と母の関係も少しは投影されているところがあるかもしれないですね。というのも、僕と母親は20年間2人だけで暮らした経験があり、その間にまったく問題がなかったわけではないですが、ものすごく深い繋がりがありますから。脚本を書きながら母のことが頭にあったのは間違いないと思います。劇中で母と息子の関係を扱い、タイトルにスペイン語で母という意味を指す単語「Madre」を選んだほどなので。これは映画監督としてこれまでに何度も経験していることなんですが、あとで自分の作品を振り返ったときに新たなことに気づかされるというのは多いものなんですよ。短編で感じていた“借り”を返すことができた―では、今回の作品をいま振り返ってみていかがですか?監督いまの僕がこの映画を作ったときの自分を完璧に判断できる時期にはまだきていないので、よくわからないですが、あえて少しだけ分析してみると、さっき言ったように僕の母が影響を与えているとは思います。20年後にこの作品を振り返ってみても、きっとそう感じるでしょうね。映画を作っているときは、「自分はこういうことを言いたいのかな」と思って映画を撮っているんだけれど、数年後に振り返ってみると、「あのとき気づいていなかったけど、実はこういうことを言いたかったんだな」と再認識することはよくあることなんです。―なるほど。ちなみに、短編を作ったあと、物語に対して“借り”があると考えていたそうですが、長編を作ったことでその借りを返せたと感じていらっしゃいますか?監督それは今回の登場人物に対して、何か続きを与えなければならない“義務”があったという意味ですが、間違いなく今回の映画を通じて、その借りは返せたものと感じています。エレナはブラックホールに陥ってしまったような狂気に近い状態にいたので、彼女に提供したいと思ったのは、その続きとひとつのラブストーリー。最初に描いている感情は、おそらく誰もが考えうる最悪な状態のひとつであるけれど、10年間も絶望にいた彼女を光のほうへ導くようなストーリーと癒しを与えられたのではないかなと個人的には考えています。みなさんにそれぞれの答えを探してほしい―観客に委ねるような部分も多く見られましたが、そのような意図に込めた思いを教えてください。監督この映画は最初から何もかもが決まっていたわけではなく、オープンな映画にしたいという狙いはありました。とはいえ、それはいつもと同じで、撮影中はひとつの旅をしているようなところがあったので、そのなかでいろいろな発見があれば、それらをどんどん取り入れるようにしています。ただ、今回のキーポイントは、ミステリーの要素を残すことだったので、観客のみなさんにもさまざまな答えを出してほしいと思いました。とはいえ、観客によってはすべての答えを提示してほしいと感じる人もいるかもしれないし、自らいくつかの答えを出して楽しむ人もいるかもしれないし、なかには答えを一切必要とせずに映画をそのまま味わって感動する人もいるかもしれないですけどね。―確かに、観客によって受け取り方は大きく異なるほど“余白”があると思いました。監督僕としては、この映画という旅を一緒に歩むなかで、必ずしも答えがなければならないとは思っていません。実際、最初に決めていたことだけでなく、現場の流れのなかで生まれた部分もたくさんありましたから。これからも信憑性のある作品を作っていきたい―では、作品を作り上げるうえでもっとも苦労したのは、どのあたりでしょうか?監督ジャンとエレナの2人の関係性を表している場面がありますが、エモーションの部分が絡んでくるようなシーンは難しかったと言えるかもしれないですね。なぜかというと、ここで彼らがお互いのことをどういうふうに見ているのか、2人の関係は何なのかというのを問いただすところでもあったからです。彼らの関係性は「相手に喜んでほしい」とか「相手を幸せにしたい」といった感情からできあがっているので、冒頭でまるで死んでいるかのような状態だったエレナが磁石のように引き付ける存在のジャンのおかげで光へと向かう旅に出ることができたのです。と同時に、ジャン自身も自分の旅をしているので、最終的にはお互いに助け合って旅を続けている側面が大きかったように感じています。技術的な面で大変なところもいくつかありましたが、複雑な撮影を前に僕たちは苦しむよりもひとつの挑戦として楽しみながら挑んでいたので、本当にいい経験になりました。役者たちにも、自由に演じてもらった部分はけっこうあったのではないかなと思っています。―それでは、監督自身が映画作りにおいて、一貫して大事にしていることがあれば教えてください。監督映画監督をやっていくうえで規範のようなものはあるかもしれないですが、できればそういった決まりにしばられることなく、つねに真っ白な気持ちで新しいプロジェクトに取り掛かりたいと思っています。もちろん難しいこともありますが、そういう気持ちで毎回臨むのが僕のスタイルです。そして、もうひとつ譲れないものを挙げるとすれば、それは信憑性。あくまでも僕の価値観においてですが、いままで撮った作品は話の内容や登場人物の言動など、大切にしている基準は観客に信じてもらえるかどうかですね。もちろん、ほかの人が作った非現実的な映画におもしろさを感じることも、興味も深いと思うこともたくさんあります。とはいえ、そういう作品を観ると、自分が撮りたいのは人々に信じてもらえるようなものなんだと改めて感じさせられるので、これからもそういった物語を作っていきたいです。希望の光を見つける“旅”に出る!愛を失った悲しみと愛に出会った喜び、そして絶望から再生までの道のりを見事に描いた本作。予測できない展開に引き込まれた先で、観客が思うそれぞれの“答え”を見つけてみては?引き込まれる予告編はこちら!作品情報『おもかげ』10月23日(金)よりシネスイッチ銀座、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国ロードショー配給:ハピネット©Manolo Pavón
2020年10月22日単調になりがちな日常生活に刺激を与えてくれるもののひとつといえば、劇場の大きなスクリーンで映画を楽しむこと。そこで、予測不能な展開に引き込まれてしまうオススメの話題作をご紹介します。それは……。衝撃のネオ・ノワール『ストレイ・ドッグ』【映画、ときどき私】 vol. 333ロサンゼルスにあるハイウェイの下に止められた車の運転席で目を覚ましたのは、憔悴しきった中年女性のエリン・ベル刑事。足を引きずりながら歩き始め、男の射殺体がある現場へと向かっていた。死体の近くにあった38 ⼝径の拳銃と強盗対策⽤の紫の染料に染まった紙幣に⽬に留めたエリンは、「犯人を知ってる」と謎めいた⾔葉を呟き、その現場を後にする。そんななか、LA市警のエリン宛てに差出人不明の封筒が届く。そこにはかつてエリンが関わった未解決事件に関わる“あるもの”が入っていたのだった……。ハリウッドを代表する美人女優のひとりニコール・キッドマンが、これまでのイメージを覆す危険な汚れ役に挑み、ゴールデングローブ賞ではドラマ部⾨の主演⼥優賞にノミネートされた注目作。今回は、その舞台裏などについて、こちらの方にお話をうかがってきました。カリン・クサマ監督『ガールファイト』などで評価され、その手腕に注目が集まっているアメリカ出身の⽇系⼥性監督のクサマ監督(写真・左)。本作では、アメリカ映画の伝統的ジャンルのひとつであるフィルム・ノワールに初挑戦しています。そこで、制作過程の苦労や主演を務めたオスカー⼥優ニコール・キッドマンの魅力などについて語っていただきました。―脚本家たちの話し合いに途中参加された監督から、「主人公を女性にしたらどうか」という提案をされたそうですが、理由を教えてください。監督今回は、警官を題材にした少し変わった構造の物語にしようというのが最初にありました。そのあと、みんなで話し合いをするうちに「主人公を女性にしたほうが、これまでにないより新鮮な作品になるんじゃないか」という結論にたどり着いたからです。―本作はさまざまな映画からインスパイアを受けているようですが、そのなかでも特に影響を受けている作品はありますか?監督70年代のアメリカのジャンル映画に影響を受けている部分が大きいですね。たとえば『コールガール』(71年)や『タクシードライバー』(76年)、『狼たちの午後』(75年)のように人物形成がしっかりしている映画だったり、『L.A.⼤捜査線/狼たちの街』(85年)みたいに腐敗した人物が出てくる映画などを参考にさせてもらいました。あとは、これまでの私の人生において、自分のしたことに責任を取ろうと葛藤している人をたくさん見てきたので、そういった人たちを人物像の参考にしたところもあります。自分の内面にも共感するところが多くあった―エリンは監督が描いてきたキャラクターのなかでも、もっとも気に入っている登場人物だそうですね。どのようなところが魅力ですか?監督すごくパワフルだけど、葛藤や怒りを抱えていたり、壊れたようなところもあったりしていて、自分のなかに共感できる部分がたくさんあったからかもしれないですね。私が住んでいる世界とエリンが住んでいる世界は違いますが、そういった内面の部分は理解することができました。それに、私自身がキャラクターのことを愛していないと、描けないですからね。―なるほど。今回は、脚本を読んだニコールさんから監督に会いたいと面会を求めてきたそうですが、彼女からこの役を演じたいと言われたときどのように感じましたか?監督最初にこの役を演じてくれると聞いたときは、とにかく驚きました。実際にニコールと話をしてみると、「こういった役は演じたことがないからすごく怖い」と話してくれたので、「なんて正直な人なんだろう」というのがそのときの印象ですね。でも、彼女はこの役を演じることに刺激を受けているようにも見えました。それ以外にニコールと話し合ったのは、エリンが抱えている後悔や恥といったものが、肉体的そして精神的にどのような影響を与えるのかということ。私はこれまでにニコールの作品を観て、尊敬していたので、彼女だったらできると確信しました。ニコール・キッドマンは本物のアーティスト―実際、ニコールさんとは思えないような変貌ぶりでしたが、ご本人からもアイディアなどもありましたか?監督ニコールはこの役を演じると決めたときから、外見をとても重視していました。なぜなら、それによって人生に打ちのめされて、疲弊している人物の見た目を作らなければいけないということをわかっていたからです。彼女としてはもっと老け込んだ感じにしたかったみたいですが、私たちがもう十分ですと言って止めたんですよ(笑)。今回私たちが特に意識していたのは、エリンの肌は紫外線でやられていて、シミやそばかすだらけで、乾燥している質感であるということ。メイクアップアーティストが素晴らしい方だったのもありますが、みんなで何度もテストを重ねて、最終的にあのようなビジュアルにたどり着きました。―見たことのないニコールさんの姿に、観客も驚かされると思います。監督そうですね。彼女自身も、あの外見からはすごくインスパイアされていたようです。ご自身とはまったく違う人物ですから。そんなふうに変貌した自分の姿を鏡で見ることで、キャラクターをよく理解することができたとおっしゃっていました。―では、ニコールさんと一緒に仕事をしてみて、感銘を受けた瞬間はありましたか?監督彼女は用意周到に準備をされていましたし、とても勤勉な方なので、本当の意味でアーティストだと感じました。現場に来るときには、すでにキャラクターに入り込んでいて、撮影が終わってもそのキャラクターのままセットを出て行くようなタイプの女優。撮影期間中はずっとエリンでいたように見えました。彼女に対しては尊敬と憧れの気持ちをずっと抱いてきましたが、今回一番驚いたのは、失敗を恐れることなく、つねにリスクを取っているところ。たとえ間違ったことをしても、新しいことに挑戦し続け、世の中に対して好奇心を抱き続けている姿からは学ぶことも多かったです。これは女性にとっても男性にとっても、大切なことだと思っています。撮影中にはさまざまなトラブルもあった―そういったところが、長年にわたってハリウッドでも第一線を走り続けられる秘訣かもしれませんね。では、監督が見た素のニコールさんの魅力はどんなところですか?監督ニコールは10代ときから映画スターとして活躍されていますが、それにもかかわらず、とにかく優しくてオープンな方。周りにいる人だけでなく、社会に対しても優しさを持っているんですが、そういうところが本当に魅力的だと感じました。―劇中ではリアルなロケーションも見どころですが、危険地域とされる場所でも撮影をされたとか。撮影中にトラブルなどに見舞われたことはありませんでしたか?監督夜にヒスパニック系の教会で撮影していたとき、近くで襲撃事件が起こってしまい、警察が犯人を捜していたので、そのときは一旦撮影を止めたこともありました。みんなその場から動くことができず、大変でしたね。そのほかにも、すごく治安の悪い場所でたくさん撮影していたので、なるべく映画の撮影だと気づかれないようにしていましたが、なかなか難しかったです。ただ、不思議なことに、外見が豹変しすぎていたので、ニコールが一番目立たず、誰も気がついていなかったですね(笑)。とはいえ、誰にも気づかれずに街を歩けるのが、彼女はすごく楽しかったみたいです。実際の日常生活ではありえないことですから。自分らしく生きるとは何かを考えてほしい―確かにそうですね。監督は「本作は⼥性が⾃らに⽴ち向かう鮮烈なドラマであり、この物語に自身のこだまを見出し、共感を覚えてほしい」とコメントされていますが、監督自身もエリンと向き合うなかで、新たな発見がありましたか?監督それは自分のことを受け入れたうえで、自分を愛することができない部分が私のなかにもまだあると気がついたことですね。エリンもそれができない人ですが、私自身としてもそういった自分の側面は変えていかないといけないと感じました。―最後に、ananweb読者へ向けてメッセージをお願いします。監督いまは、正直に生きるというのがとても難しい時代。だからこそ、みなさんには自分自身をオープンにすることを恐れず、自分を受け入れて見つめ直してほしいと思っています。特に、女性は周りからいろいろなことを期待されて、さまざまな役割を演じなければいけないという期待を背負っているかもしれません。だとしても、そういったことに関係なく、自分らしく生きることとは何かを考えてほしいと伝えたいです。最後まで緊張感が止まらない!圧倒的なニコール・キッドマンの存在感と、衝撃的な結末から目が離せなくなる本作。秘密、孤独、葛藤、後悔、復讐、贖罪を描いた物語のなかで、主人公とともにさまざまな感情が渦巻くのを体感してみては?胸がざわつく予告編はこちら!作品情報『ストレイ・ドッグ』10月23日(金) TOHOシネマズ シャンテほか全国順次公開配給:キノフィルムズ© 2018 30WEST Destroyer, LLC.
2020年10月22日2020年もだんだんと終わりが見えてくるなか、ラストスパートをかけるべく、新たな決意を固めている人もいるのでは?そんなときにオススメの映画といえば、実話を基にした感動作『キーパー ある兵士の奇跡』。そこで、こちらの方に本作についてお話をうかがってきました。主演のデヴィッド・クロスさん!【映画、ときどき私】 vol. 332『愛を読むひと』などで知られるドイツの実力派俳優デヴィッドさんが本作で演じたのは、実在の人物であるバート・トラウトマン。第二次世界大戦中に捕虜としてイギリスの収容所へ送り込まれたナチス兵士の青年がサッカーのゴールキーパーとして活躍し、イギリスとドイツを結ぶ平和の架け橋となる姿を描いています。今回は、演じるうえで学んだことや苦労などについて、語っていただきました。―もともと、バート・トラウトマンについてはご存じでしたか?デヴィッドさん僕はサッカーファンであるにもかかわらず、彼については名前すら知りませんでした。だから、彼の信じられないような物語を監督から聞いたとき、「えっ!?それ、作り話じゃないの?」と言ってしまったくらい。本当に驚きましたが、同時に「映画にすごくぴったりな題材だなぁ」というふうにも感じたのが最初の印象です。彼は“平和の大使”のような役割も果たしているので、映画によって当時起きたことをみんなに思い出してもらう、あるいは知ってほしいと思いました。いかにキャラクターの真実に迫れるかが挑戦だった―演じるなかで、トラウトマンをどのような人物像としてとらえましたか?デヴィッドさん彼はもともとナチス・ドイツで若い頃を過ごしたのち、ナチスの青少年組織であるヒトラーユーゲントに入り、そういったイデオロギーというものを刻み付けられて兵士になった人物。でも、自分が犯罪に加担している政権の一部なんだということに気がついて、それに向き合っていくわけですよね。戦争捕虜となった英国で新しい家と家族を見つけても、彼はずっとその罪悪感を抱えて過ごしていたんです。最終的にそれはユダヤ人コミュニティの代表者が「一国の罪を人に背負わせてはいけない」と言うまで続いたわけですが、1956年のFAカップの決勝では首を骨折しているにもかかわらずプレイし続け、彼はサッカーのヒーローに。無意識だったとは思うけれど、2つの国をつなぐような役目を果たした人物だと思いました。―今回の役を演じるうえで、難しかったことがあれば教えてください。デヴィッドさんキャラクターとして、成長していくところをいかに見せるのか、というところがひとつの挑戦でした。もちろん、リアリティに寄り添ってはいきたいけれど、当然ドラマ的に作っているところもありましたから。たとえばマーガレットのために、いきなり試合中に踊り出すところとか、あれは本当にあったわけではないですよ(笑)。そんなふうにバランスをとりながら、いかにキャラクターの真実に迫れるか、というところがひとつのチャレンジではありました。あと、短い時間しか映し出されていませんが、しっかりと見せたいと思ったのは、ヒトラーユーゲントの一員となり、兵士に志願して戦争に赴いたときの彼の姿。その後、彼が自身の抱えるトラウマとどのように向き合ったのか。個人としても、国としても大きな罪悪感や葛藤を抱えているなかで、つねにそれが彼の脳裏にあり続けていましたから。楽しい瞬間でさえも、どこかそれが脳裏にあるということを感じさせることは苦労したところでもありました。偏見を持たずに個人を見ることの大切さを学んだ―そんな彼の生き方から、現代の私たちが学ぶべきところがあるとすれば、どんなことだと思いますか?デヴィッドさんまず、「スポーツにはすごい力がある」ということ。“インテグレーション”と呼ばれるいろいろな国をひとつに融合するような力があることを学べるんじゃないかな。これは、チームのキャプテンが控え室で「ここには戦争はない」という言葉からも伝わってくると思います。いろいろと抗議は受けたけれど、「スポーツを通してみんなひとつになるんだ」「チームスピリットが大事なんだ」という訴えが政治的な違いを乗り越え、強さに繋がっていったと感じました。スポーツにはそういう力があるということを彼から学べるのではないかなと。―確かに、改めてスポーツの持つ力を目の当たりにしました。デヴィッドさんあとは、人を見たときに、その人個人と向き合うことの大切さですね。お互いを分け隔てようとする人がいるかもしれないけれども、そういったものに引っ張られずに、しっかりと個人を見つめること。そして偏見を持って人を見てはいけないということも、学べるのではないかと思います。愛を見つけていく姿は感動的だった―いまの時代にも通じるところですね。では、想像を絶する誹謗中傷を浴びるトラウトマンを支えていたものは何だと感じましたか?デヴィッドさんそれは、妻のマーガレットの存在だと思います。彼女は彼のために立ち上がり、そして彼のために戦う女性でしたから。この映画では、そういった彼女の姿もしっかり描かれているので、ぜひ見てほしいところです。彼女がどんなことを経験して、どんなふうにそれと向き合い、どんなふうに彼と歩んでいったのか。そもそも敵だとみなされていた人とともに生きるなかで、いろいろと葛藤があったはずですからね。そんななかでも立ち上がる姿を通して、人というものをカテゴリーとかで判断するのではなく、その人自身をしっかりと見つめていこうとする気持ちが伝わってくると思います。―では、マーガレットの女性としての魅力をどのようなところに感じましたか?デヴィッドさん彼女の魅力は、強いところ。自分が信じているものからブレない女性ですよね。トラウトマンの人生において、彼女はすごく重要な一部分だったと感じました。捕虜になったあと、ドイツに戻らずにイギリスに残り続けるというのは、彼の人生においてもすごく大きな決断だったと思いますから。彼らは戦争による違うトラウマをお互いに抱えていたので、最初は話すことも通じ合うこともなかったですが、それが少しずつオープンになっていき、2人の間に愛を見つけていく。その姿はすごく感動的でした。デヴィッドさんにとってのヒーローとは?―素敵な瞬間ですよね。本作ではナチス兵がイギリスの“国民的ヒーロー”となっていく様子が描かれていますが、デヴィッドさんにとってのヒーローは誰ですか?デヴィッドさんいっぱいいるからなぁ。もう引退してしまったので今後映画に出演するかわからないけれど、役者だったらダニエル・デイ=ルイスかな。あとは、小さかったころは僕の兄がヒーローでした。つねに兄のあとを追いかけ、つねに一緒にいたいと思っていたような弟でしたから(笑)。―それでは最後に、日本のファンに向けてメッセージをお願いします。デヴィッドさんこの作品は、サッカーのシーンがあるのでスポーツ映画としても観れますが、ユーモアがあって、ドラマチックな瞬間があって、わくわくできるプレーは、サッカーファンじゃなくてもきっと楽しんでもらえるんじゃないかなと思っています。トラウトマンが当時のイギリスでも一番大きなチームのゴールキーパーになり、サッカーのヒーローになっていくまでの道のりを考えると、すごく大きな変遷のある物語ですよね。そのあたりも映画的にとても面白いところですし、あとは何と言ってもラブストーリーの部分にも共感してもらえるのではないかなと期待しています。憎しみも愛に変えることができる!どんな逆境のなかでも、信念を貫き続けることの大切さを教えてくれる本作。環境や社会的状況など、自分ではどうにもならないことに対する悩みを抱えることもあるけれど、後ろ向きになりそうなときこそ、トラウトマンの生き方と愛の持つが強さが私たちの背中を押してくれるはずです。ストーリー第二次世界大戦中、ナチスの兵士として戦っていたバート・トラウトマンは、連合国軍の捕虜となり、イギリスのランカシャー収容所に送り込まれていた。終戦を迎えてもすぐには帰国できず、過酷な労働に従事していたドイツの兵士たち。そんななか、地元のサッカーチームの監督であるジャックにゴールキーパーとしての才能を見出されたトラウトマンは、無理やり試合に出場されられることとなる。ところが、ジャックの娘であるマーガレットは大反対し、トラウトマンに敵意をぶつけるのだった……。気持ちが高ぶる予告編はこちら!作品情報『キーパー ある兵士の奇跡』10月23日(金)新宿ピカデリーほか全国公開配給:松竹Photo by Jeanne Degraa©2018 Lieblingsfilm & Zephyr Films Trautmann
2020年10月21日現在ヨーロッパ在住のファッションジャーナリスト、平野秀美さんのファッションスナップレポートです。突然12月の気温になったりと、どんな服装をすればいいかわからない時期ですが、そんな時こそデニムが活躍!本日はヨーロッパの着こなし方を参考に、デニムの選び方や今持っているデニムの着こなし方をご紹介いたします。上下デニムって意外とオシャレで簡単!デニムのジャケットにデニムのズボンなんて古臭い!とか、着こなせない!などと思っている方、今シーズンはぜひ上下デニムスタイルをおすすめします。全く色の違うデニムを選ぶというよりは、ファッショニスタのみなさんは似たような色合いのデニムを好んで合わせているようです。そこのポイントだけ押さえておけば、実は簡単にセレブっぽいカジュアルファッションが完成です。そして、デニムは寒さにも比較的対応してくれるので、まさに今の時期にぴったりのスタイル!オフィススタイル!大人っぽいデニムの着こなし方春や秋といった季節には、よく見かけるスタイルですね。デニムにロングジャケットは、すらりとしたデキる女性っぽい雰囲気にも見せてくれるので、オフィスカジュアルにも休日のクールなスタイルにもおすすめ。既に持っているもので着こなせるような簡単スタイルなのも、好印象ですよね。デニムのオールインワン!実は人気です比較的見かけるようになったのが、このデニムのオールインワン。個人的にもオールインワンは上下を合わせる必要もなく、簡単にカッコ良く見せられるので、カジュアルの代名詞になりつつあるほど、私の中では大推薦!グレーデニムは、デニム感がなく着こなせる先ほどの上下デニムのグレーカラーバージョンですが、だいぶ印象が異なると思いませんか?ブラックやグレーのデニムだと、一般的なデニムカラーではないので、上下デニムには抵抗がある…という方にはおすすめ。この時期だと、デニムジャケットの内側にモコモコがついているジャケットや、襟部分にファーがついているものもあるので、お好みで自分スタイルに変えるといいかも!デニムは個性で勝負!という方には最近は超ワイドなズボンやパッチワーク風のズボンなどがありますが、写真のように個性的なデザインでも、デニムならなんでも似合っちゃう!それがデニムのいいところ。ジャケットも最近ではトレンチコートとデニムジャケットが半分になっているものなどもあるので、本当に好きなデザインやカラーでオシャレできますよね。ただし、金額も本当にピンキリなのもデニムの面白いところ。いかがでしたか。真冬ではないけど寒くなったり比較的暖かったりと、季節の変わり目はどんな服装をすれば悩みますよね。そんな時期にはデニムをぜひ多用してみると良いと思います!
2020年10月20日「崖っぷちアラサー」「こじらせ女子」「おひとりさま」のどれかひとつでも当てはまる人には、わかりみが深すぎると話題の映画『私をくいとめて』。綿矢りささんによる同名小説を『勝手にふるえてろ』の大九明子監督が映像化した最新作が、12月18日に公開を迎えます。そこで、そんな注目作の魅力に迫るため、今回お届けするのは……。『私をくいとめて』現場取材レポート!【映画、ときどき私】 vol. 331ヒロインは、おひとりさま生活を満喫している31歳の会社員・黒田みつ子。本作では、何年も恋人がおらず、脳内にいる相談役の「A」と会話をしながら楽しく暮らしていたみつ子が取引先の年下営業マン・多田くんに恋をしたことで、“平和な日々”が一変してしまう様子が描かれています。恋愛に対してなかなか一歩を踏み出せなくなった31歳女子のみつ子が繰り広げるむずがゆい恋愛模様は、同世代のananweb読者なら共感せずにはいられないはず。そこで、本作の見どころについてご紹介します。都内某所で行われた撮影現場に現れたのは、みつ子を演じたのんさんと多田くん役の林遣都さん。ここで撮影されたのは、フレンチディナーを楽しんだあと、東京タワーが見える夜道で会話をしながら散歩する2人の姿。少しずつ距離が近づくみつ子と多田くんにとって大事なシーンのひとつです。撮影時には現場付近を通過する新幹線を待つ必要があったり、画角がシビアだったりしたこともあり、ちょっとしたミスも許されなかったのだとか。それだけに、スタッフの方々の間には少し緊張感がただよっているように感じましたが、のんさんと林さんは時折笑顔を見せつつ、楽しく演じられているのが印象的でした。のんさんと林遣都さんの“圧倒的透明感”に魅了される今回が初共演にもかかわらず、息もぴったりだったというのんさんと林さんですが、そんなおふたりの様子を誰よりも近くで見守っていたのは大九監督。そこで、おふたりの魅力について教えていただきました。監督おふたりとも、「どこにでもいそうな、あなたの会社にもいませんか?」という感じをやれるところだと思います。もちろん、見た目麗しいおふたりですが、スッとその役に入って、気持ちよく染まってくださる。それと、おふたりとも本当にかわいいんです。それぞれかわいらしい雰囲気とお姿ですが、合わさると何千倍にもなる。みつ子と多田くんが食事をするレストランのシーンに出てくれた私の友人がおふたりを見て「圧倒的透明感」と言っていたくらいですから。ーー確かに、のんさんと林さんが並んで歩いている姿を見るだけでも、胸がキュンとしてしまうのを感じましたが、監督曰く、みつ子と多田くんがアウトレットモールで買い物をするシーンでもふざけ合うおふたりならではの“化学反応”を感じる瞬間があったのだそう。見事なキャスティングも本作の見どころですが、監督にとって現場で印象的だった出来事とは?30代であることを意識して演じてもらった監督みつ子に関しては、誰にやってもらえばいいのだろうすごく迷いましたが、プロデューサーから「のんさん」と言われたときに、バチっときました。のんさんは、実際の年齢がまだ26歳なので、ときどき喋り方や走り方が幼くなってしまうときもありましたが、30代であるということをすごく意識してやってくれたと思います。実は私が30歳になったとき、あまりの恐ろしさに家を飛び出して、ひとり旅をしたことがありました。それはみつ子の上司のエピソードとして入れていますが、『何かしてないと何ひとつ成し遂げないまま朽ち果てていくなこりゃ!』という不安でいっぱいだったんです。まだ何者でもない自分とアルバイト代だけで貯めたお金が嫌で、それを清めるつもりで一気に使ってやろうと。その恐怖を「経験している者」と「していない者」という違い、女性にとって30歳になることは特別なことだから、それを想像しながらやってほしいとのんさんには説明しました。ーーいっぽうの林さんが演じたのは、原作とはキャラクター設定が少し異なる多田くん29歳。監督多田くんは、私のフィルターを通させていただくことで、私の好みに変換されているのかもしれません。みつ子の家に初めて招待されたときに、うれしくてダッシュで走って行ってしまったので、笑っちゃって、「心はヤッホーだろうけど、普通に去って行く感じでお願いします」と言いました(笑)。ちょっと恥ずかしそうに『はい』って言って、下を向いていてかわいかったです(笑)。ーーそして、もうひとつの注目と言えば、「みつ子の脳内にいるAの声を誰が演じているのか?」ということ。すでにネットでもファンたちが予想をして盛り上がっているところですが、今回はそのヒントもいただきました。監督まずは、「Aをどうやる?」というのはチャレンジではありました。実際、A役の声は一番悩んだかもしれません。原作を読んでいるときから、紳士的な喋り方やみつ子を心地よい気持ちにさせるような声が良いなと思っていました。俳優さんが良いのか、それとも違うほうがいいのかと悩み、最終的にはプロデューサーと話していくなかで、「あっ!彼がいるじゃん!」となって。すごく良い声だということはわかっていたので、面白いと思いました。わかりすぎる気持ちはくいとめられない!ーー紳士的な喋り方で女性を心地よくさせる声の主とはいったい誰なのか……。現在解禁されている特報を見る際には、注意深く聞いて予想してみるのも、本作の公開までの楽しみ方のひとつと言えそうです。ananweb読者なら共感度高めであること間違いなしの本作。いまから作品に関する続報と公開が待ちきれないところです!早く続きが見たくなる特報はこちら!作品情報『私をくいとめて』監督・脚本:大九明子原作:綿矢りさ「私をくいとめて」(朝日新聞出版)出演:のん林遣都ほか製作幹事・配給:日活制作プロダクション:RIKIプロジェクト企画協力:猿と蛇©2020『私をくいとめて』製作委員会12月18日(金)全国ロードショー公式twiter:@kuitometemovie
2020年10月19日10月20日からBunkamura ザ・ミュージアムで『東京好奇心 2020 渋谷』がはじまります。この展覧会では、100人の写真家たちが撮影した作品約200点が集結。今回、同展キュレーターの太田菜穂子さんに取材し、見どころなどをうかがってきました。東京好奇心って?【女子的アートナビ】vol. 185「東京好奇心」とは、「写真が社会のために何かできるのではないか」という思いをもって活動しているNPO東京画が2018年に立ち上げたプロジェクト。東京をキーワードに100人の写真家が撮影した作品をまとめ、世界に発信しています。2018年にはパリ市4区庁舎で、2019年にはベルリン市庁舎とベルリン日独センターで展覧会を開催。そして、いよいよ2020年秋、『東京好奇心 2020 渋谷』がスタートします。今回、NPO東京画のファウンダーで、同展のキュレーターも務める太田菜穂子さんにお会いし、写真展のお話をうかがってきました。どんな100人?展覧会の公式サイトを見ると、参加作家はアジアから欧米、南米まで16の国と地域にわたり、年齢もさまざま。巨匠と呼ばれる人から若手まで、個性的な100人が集まっています。そんな写真家たちについて、太田さんは次のように語りました。太田さんこの100人全員は、みんな私と実際に会った人たちです。写真は、ドキュメンタリー・建築・風景、アート系、エンターテインメントからコマーシャルまで、多くのカテゴリーに分かれています。同じ時代を生きていても、フォトジャーナリズムの写真家とファッションやコマーシャルの分野で活躍する作家間にはまったく交流がありません。私はさまざまなケースでのキュレーションをする機会があり、自由な関係性のもと、垣根を越えて多ジャンルの方々が「東京好奇心」に興味をもち、集まってくださいました。20代から80代まで、東松照明さんや上田義彦さん、森山大道さんなど有名な方もいれば、無名の新人写真家もいます。普通の展覧会ではスター写真家に焦点をあてることが多いのですが、この展覧会ではみなさんを平等に扱い紹介しています。写真はどう見ればいいの?会場構成は、テーマごとに13の壁がつくられ、作家ごとに原則ひとり2点の作品が展示されるとのこと。約200点も並んでいると、どんなふうに見ればよいのか、迷いそうです。そこで、写真の見方についてお聞きしてみたところ、次のように教えてくれました。太田さん200点近いプリントや映像があるので、最初から全部をわかろうとするのは無理です。いくつか好きなものがあれば、それでいい。人生は、欲張らないほうが幸せです(笑)。でも、たくさんあるなかから自分で選ぶ習慣をもたないとだめ。自分で考え判断する習慣をもって、「これが好き」と感じ、発言していくことが大切です。100人の写真家が主役のようですが、本当の主役は実は“見る人”。“見る人”が「これが好きだ」「これ、わからない」「こんなのでいいの」「この人と話をしてみたい」と感じ、写真の後ろ側にどんな物語があるのか、どんな意味合いを指しているのかなど、想像する力を養ってもらいたいのです。例えば「東京ってこうだよね」と今まで自分が思っていたことが、写真を見ることで「あれ?」と思ったり、自分から積極的にかかわろうとする当事者意識をもって新しい発見をしてほしいのです。会場では、自分の感受性を思いっきり解放してみてください。とはいえ、展覧会では各章のはじめに、写真への理解が深まる短い解説を設置していますし、今回はJ-WAVEの4人のナビゲーターの解説もオーディオガイドとしてご用意しています。4人のナビゲーターのことばからの“気づき”は、きっと新しい写真との出逢いをつくってくれるはずです。女子におすすめの作品は?好きな作品を自分で選ぶことが大切、というお話に心から納得しました。でも、やはり具体的な作品の鑑賞方法なども知りたいですよね。そこで、太田さんにおすすめの作品と見どころポイントを語っていただきました。太田さんまず、第1章では東京の近過去を撮った写真からはじまります。ここではマーク・リブーさんの《日本の女性たち》にぜひ注目してください。女性が口に手をあてて笑い、その手前にマネキンの手が写り込んでいます。当時、女性は口を隠してエレガントな仕草で笑っていたのです。まだ戦後の影が残る街で、女性たちが美しい洋服を着て笑いながら街を歩いている姿はいかに華やかであったか、想像してみてください。彼女たちの姿に、元気をもらった人たちもいたでしょうね。見てはいけない…神々しい作品とは?太田さん次の章では、上田義彦さんの一対のヌード作品の前にたたずんでください。“女性の美しさとは何か”、その原点に想いがゆくはずです。ひとつめの鮮明に写し出された黒バックのヌード。このモデルは色素がない、真っ白な女性です。金髪碧眼の女性が美の究極イメージとしてありますが、何が本当に美しいのか、ということを新しい形で見せてくれています。もうひとつの対になる作品は、雪の森に赤いボートがあり、そこにヌードの女性が立っている写真。フォーカスアウトでぼんやりと写されています。これらの二点は私にとってヌードの最高傑作のひとつ、黒バックの作品は見れば見るほどミステリアス。そして雪の中のヌードは、圧倒的に美しい存在が目の前にあるのに、“神々しく”て見てはいけないと感じさせる力を秘めているようです。太田さん次は、瀧本幹也さんの作品、一年がかりで森を撮影した「LOUIS VUITTON FOREST」シリーズから今回は夏と冬の二点。季節によって風景はがらりと変わります。一回見ただけではわからない、自然界の奥深い美の姿を感じてみてください。これらの写真は大型クレーンを立てて、地上を見下ろす神の目の視点から描かれています。太田さん大和田良さんの作品は数百年を生き抜いた盆栽、後ろには光を反射する金屏風。実は、一か月ごとに撮影した複数の写真を合成した作品です。金屏風は月ごとの光の変化を見せていますが、木は一切変わらない。さらに盆栽は生と死の共存が生み出す造形美です。そんな盆栽を愛でる感覚は日本的なるもの。ヨーロッパ人は満開の花の状態が一番美しいと評価する“完全”という基準がありますが、日本には異なる美のありようを追究する姿勢があり、それが写真のなかにも見出されます。最後は、希望の作品太田さん最後に、澄毅さんとルイーズ=クレール・ワーグナーさんの写真を紹介します。写真はリアリティを克明に撮るものと理解されがちですが、フォトグラフィーの「フォト」とは“光”、元来は“光画”を意味します。光を求めた若い作家たちの写真をここではご覧ください。太田さんコロナ禍の現在、私たちは暗闇の底にいるのかもしれません。でも、これからみんなで力を合わせ、誠実に一歩を踏み出せば、きっと希望を託せる時代がくるはずです。この展覧会をご覧になり、未来への希望となる“光”を感じてもらえたらうれしいです。インタビューを終えて…「若い女性たちにぜひ見に来てほしい」と熱く語ってくれた太田さんは、キュレーターをはじめ、さまざまな仕事をされているキャリアウーマン。東日本大震災のあと、被災地の方々がアルバムを探す姿を見て、「未来を生きるために過去が必要で、その過去を保証するのが写真」と気づき、東京画の活動をはじめたそうです。各国のアーティストと交流され、世界でもっとも重要な現代写真家のひとりといわれた故ロバート・フランクさんからは、「写真家と社会をつなぐ仕事をすべき」といわれたとのこと。太田さんは、世界の写真家たちから信頼される存在です。そんな太田さんが心をこめてつくりあげた『東京好奇心 2020 渋谷』は10月20日から開催。ぜひ会場に足を運んで、自分の好きな写真を見つけてみてください。Information会期 : 10月20日(火)~11月12日(木) ※会期中無休 時間 : 10:00-18:00(入館は17:30まで)会場:Bunkamura ザ・ミュージアム入館料:一般¥1,000、高校・大学生¥500、中学生以下無料音声ガイド:この展覧会では、自分のスマートフォンとイヤホンを持参すれば、音声ガイドアプリ「33Tab/ミミタブ」をダウンロードして、無料の“音声ナビゲート”を聞くことができます。J-WAVEのナビゲーター4名(ジョン・カビラさん、クリス智子さん、ハリー杉山さん、マリエさん)が、展示作品からご自分の視点で作品を選び、自らの言葉で語ります。問合せ:03-5777-8600(ハローダイヤル)
2020年10月18日婚活で約1000人の男性と出会い、年下夫を射止めたライター・かわむらあみりがお届けするコラム【結婚引き寄せ隊】連載第53回は、恋活や婚活をしているなかで見聞きした“女性のダメなクセ”エピソードを3つご紹介します。1. 男友達が多い女性【結婚引き寄せ隊】vol. 53出会いを探す女性のなかには、本人は決して遊び人ではないのに、密かに男性から軽く見られることをしてしまっていたという“ダメなクセ”を持つ女性がいるようです。そんな女性のひとりが、20代後半のAさん。スポーツインストラクターのAさんは、いつもハキハキとしていて笑顔が印象的な女性。職業柄もあってか、誰とでもフレンドリーに対応する性格のため、気づくと男友達がたくさんいたそうです。ただ、彼氏ができても「今度は誰と会ってくるわけ!?」と言われて恋は長続きしないという、Aさん。話を聞いてみると、彼氏が束縛しがちということでもなく、仕事終わりに職場の同僚男性と飲みに行ってデートの約束をつい忘れてしまったり、彼氏が休みの日でも、男友達に誘われるとすぐ出かけてしまったりしていました。彼氏ができても、女友達だけでなく、男友達に対しても対応がよすぎるAさんに、相手がうんざりしてしまうようです。それに、「女の子ならわかるけど、男にまでいい顔するなんて軽すぎる」と言われたこともあるAさんですが、まったく悪気がないため「べつに男女の関係じゃないからね」とあっけらかんと話すのです。でも、それを嫌がる大事な人がいるなら、せめてお付き合いしている人がいるときは、男友達との遊びの誘いを減らすほうがいいのではと思ったのでした。2. 誘われたらすぐ出かける女性それは営業職をしている30代半ばのBさんのこと。仕事柄、フットワークの軽いBさんは、もともと家でじっとしているのが苦手だという、行動派。それにひとりでいるより、誰かと一緒にいるほうがいいという考えがあるようで、毎日なにかしらのスケジュールが入っているという女性です。そんなBさんは常々「誰かいい人いたら紹介して〜」と言って出会いを探していたり、婚活にも精を出しているのですが、残念ながら出会いが結婚へと結びつくところまではいたらないのが悩みでした。とはいえ、アクティブなBさんのことを気に入る男性も多く、いろいろなところからお声はかかるのです。すぐ行動するBさんなので、たとえ夜遅くのお誘いであっても、「ま、いいか」とひょいっと外出。でもその結果、相手の男性から「呼んだらすぐ来るんだね」などと言われてしまうこともあったとかで、Bさんとしてはなんとか恋につなぎたい一心での行動が、知らないうちに“誘うといつでも会える”女性になってしまい、逆に本命から遠ざかっているようでした。そのフットワークの軽さは、お付き合いするまではちょっと控えめにしておいて、付き合ってから本領発揮すると、きっと彼氏もうれしいのかもしれないなぁと思ったのでした。3. ついボディタッチしてしまう女性それは事務職をしている30代後半のCさんのこと。職場ではベテランといわれるようになってきたCさんは、後輩の指導もする頼り甲斐のある一面を持ちつつも、寿退社に憧れているという、かわいらしい女性です。ただ、Cさんは、うっかりボディタッチをしてしまうところがありました。とくにお酒が入っている場合ではなくても、カフェで男女でお茶を飲んでいて「頑張ってね」と言いながら、ぽんっと男性の肩を触ったり、歩いているときでも横にいる男性の腕をつかんでしまったり。触られたほうの男性は、「気があるのかな」とちょっとドキッとしてしまうらしいのですが、Cさんはまったくそんな気はありません。そうです、本人にとってはただのクセなのですよね……。無意識だからこそ、止められないのか、飲みの席だとさらにボディタッチの頻度がアップ。もしも、気になる男性がCさんのそのボディタッチの様子を見ていたら、間違いなくドン引きするであろうことを忠告されたCさん。知らずのうちにうっかりボディタッチしてしまっていたCさんは、そのクセが縁遠い原因だとまずいと感じ、タッチしていたらまわりに教えてもらうようになり、少しずつ改善されているようです。真剣に結婚したい男性に「遊ぶだけならいいけど」と、見られてしまいがちなボディタッチ多めのクセは、なるべくなら封印できるといいのになあと思ったのでした。いい恋に巡りあえないのは、タイミングのせいかもしれないですし、もしかしたら“ダメなクセ”のせいかもしれません。でも、原因さえわかれば、傾向と対策を練って、よりよい出会いがすぐそこに待っているのではないでしょうか。©pixelfit/Gettyimages©Westend61/Gettyimages©GlobalStock/Gettyimages
2020年10月16日ここ数年で「多様性」という言葉が頻繁に使われるようになっているものの、言葉だけがひとり歩きしているように感じることがあるのも事実。そこで、日本国内に存在する文化の多様性を映し出した注目作をご紹介します。それは……。海外でも話題の『アイヌモシㇼ』【映画、ときどき私】 vol. 330北海道阿寒湖畔のアイヌコタンでアイヌ民芸品店を営む母親のエミと暮らしている14歳の少年カント。アイヌ文化に触れながら育っていたが、1年前に父親を亡くしたことがきっかけとなり、アイヌの活動から距離を置いていた。アイヌコタンの中心人物で父親の友人でもあったデボは、来年には高校進学で故郷を離れることになっていたカントに、アイヌの精神や文化を教え込もうと試みる。徐々に理解を示すカントの姿に喜ぶデボは、密かに育てていた子熊の世話をカントに任せることに。しかし、実はこの子熊は“イオマンテ”と呼ばれる熊送りの儀式のために飼育していたのだった……。ニューヨーク・トライベッカ映画祭の国際コンペティション部門において、長編日本映画史上初となる審査員特別賞を受賞した本作。タイトルの『アイヌモシㇼ』とは、「神の国」という意味を持つカムイモシㇼと対をなす言葉で「人間の国」という意味があります。そこで、作品に込めた思いについて、こちらの方にお話をうかがってきました。福永壮志監督長編2作目となる本作は、国内外で注目を集める福永監督が5年もの歳月をかけて完成させた意欲作。今回は、北海道で生まれ育った監督だからこその経験や長年の海外生活で得た視点ついて語っていただきました。―アイヌという題材は繊細なことなので、批判されるかもしれないという不安が当初はあったそうですが、実際周りの反応はどうでしたか?監督最初は、各映画制作会社からはまったく興味を持ってもらえなかったですね。「おもしろいね」と言ってくれる人がいても、現実的にお金を集めて映画にするということに対して可能性を見てくれる人はなかなかいませんでした。特に、僕は俳優ではなく、現地の人に出演をお願いしようと考えていましたから。制作のパートナーを見つけることもそうですし、一時は撮れるかわからない状況に陥るほど資金集めには苦労しました。―なかなか厳しいスタートだったんですね。では、アイヌのみなさんのリアクションはいかがでしたか?監督現地に直接行ってお話を聞いてみると、過去に「アイヌのことを記事にしたい」とか「写真を撮りたい」と言った人たちのなかに失礼な態度を取った人がいたことがあり、そこに対する警戒心を抱いている方もいらっしゃいました。そんなふうに人によって反応はさまざまでしたが、きちんと作品の真意を伝えることで、ひとりずつ徐々に信用してもらっていったという感じですね。本当に、ひとつひとつの積み重ねでした。―今回は、阿寒湖のアイヌコタンに暮らすみなさんが実際に出演されていますが、説得にも時間がかかったのでしょうか?監督海外のインディペンデント作品では、俳優ではない人に出演してもらって撮ることはわりとありますが、日本ではそういった作品はまだまだ少ないので、最初はあまりわかってもらえないところもあったと思います。でも、「アイヌの役をアイヌの人で撮ることに意味があるんだ」という僕の思いを伝えて、理解してもらうことができました。内面の下地があるおもしろい子だと感じた―その結果、アイヌの方々のいまがリアルに映し出されていたと思いますが、なかでも初めての演技にして見事な存在感を放っている主演の下倉幹人くんが素晴らしかったです。彼との出会いについて教えていただけますか?監督はじめは彼のお母さんであり、本作に母親役でも出演している下倉絵美さんと知り合い、阿寒湖へ行くたびに幹人くんとも会っていました。そのときから口数は少ないけど、考えていることや感じていることはたくさんあって、内面の下地がすごくある子なんじゃないかなと。幹人くんは特に目が印象的なんですが、それはきっと彼の繊細で感受性豊かな心の表れなんだろうと思います。―ということは、幹人くんありきでこの脚本を書かれたところもありましたか?監督実は、最初に脚本を書いていたときの主人公は青年だったんです。それを途中で少年の設定を変えたんですが、そのときにこの役は幹人くんしかいないなと。そこから彼と遊んだり、話をしたりするなかで距離を縮めていきました。カメラの前で彼がどれだけ自然な状態でいられるかを最優先事項にしていたので、それを基準にすべてを決めていきましたし、スタッフの人数も最小限で撮影しています。―そのなかで新聞記者役と先生役だけは、リリー・フランキーさんと女優の三浦透子さんを起用されています。このキャスティングの意図を教えてください。監督観光客の役などは釧路の市民劇団の方々にお願いしたんですが、この2つの役に関しては、“外からの視点”を持ちながら中の人間と接するという少し違う役割があったので、そこで求められているものを表現できるのはプロの役者さんしかいないと思い、おふたりにお願いしました。役者ではない人たちのなかにスッと入り込むのは簡単なことではありませんが、おふたりとも現地の方々との距離を縮めながら自然に演じてくださったので、適役だったと思っています。アイヌと距離があることはもったいないこと―監督は北海道のご出身ですが、「アイヌ」という言葉をタブーのように感じながら思春期を過ごしたとか。北海道の方々にとってもアイヌは、近いようで遠い存在なのでしょうか?監督そうですね。地域差もあるとは思いますが、僕が学生時代だったころは、“聞きたくても聞いてはいけないこと”のような印象があり、距離がありました。ただ、いまでは学校でもアイヌのことについてももう少しきちんと取り上げていると聞きましたし、マンガや国立博物館もできたりして、最近は「アイヌ」という言葉を聞く機会が以前に比べると増えているとは思います。―この作品を作る過程でさまざまなリサーチもされたと思いますが、ご自身が抱いていたアイヌに対するイメージは大きく変わりましたか?監督それはだいぶ変わりましたね。少なからず、前は彼らの現実の姿とは違うイメージをどこかで持っていたとは思うので。でも、そういった先入観はこの作品の制作を通して、なくなりました。これまではいろいろな理由からアイヌに対して距離がありましたが、それはなんてもったいないことなんだろうと感じましたし、本当にたくさんのことを学ぶことができました。とはいえ、知った気になってしまってはいけないと思いますし、映画に出演していただいたみなさんとの関係性もできたので、アイヌのことはこれからも少しずつ学び続けたいと思っています。何も知らずに来てしまったことに気づかされた―そのなかでも、新たに得た気づきとは何ですか?監督まずは自分の文化やルーツとどう向き合うかという葛藤や悩みは、誰にでも共通して言えることなのではないかということですね。ただ、アイヌの場合は他の多くの民族に対して人数が少ないので、「自分がやらないとその文化がなくなっていってしまう」という危機感の感じ方は違うと思います。それに比べると、アイヌ以外の日本人である僕たち和人(わじん)はたとえ着物の着方を知らなくても、能や歌舞伎といった伝統芸能ができなくても、それを継承している人が他にいるということがわかっていて、そういった危機感を感じることはなかなかないですから。―確かにそうですね。監督がアイヌを撮りたいと思われたのは、アメリカに渡ったあと、ネイティブアメリカンについて興味を持たれたときだそうですが、アメリカ人とネイティブアメリカンとの関係性に惹かれるものがあったのでしょうか?監督まずアメリカではネイティブアメリカンの存在がもっと身近にあり、そもそも彼らの土地を奪っていまの自分たちがいるという認識がしっかりとあるのを感じました。アメリカ人のネイティブアメリカンに対する向き合い方や意識の高さは、日本におけるアイヌの状況とはまったく違うんだなと。そして、ネイティブアメリカンの精神世界や考え方について興味を持つうちに、自分が生まれ育った北海道にも先住民のアイヌがいるのに、何も知らずに来てしまったことにもふと気づかされ、恥ずかしいと思いました。そこで、もっとアイヌのことを学びたいと思いましたし、これまでアイヌについてきちんと撮られた映画がなかったので、アイヌの人がアイヌを演じる映画を作ることに意味があると感じて、いつか作りたいと考えるようになりました。自分が経験したマイノリティの差別が作品に繋がっている―アメリカに行ったことで、日本人とアイヌのことやご自身のことについて改めて考えるきっかけになったんですね。監督そうですね。もし、アメリカに行っていなかったら、この作品は撮っていなかったかもしれません。去年日本に拠点を移すまで、16年間向こうで活動していましたが、そのなかでアジア人としてマイノリティであることでの差別や偏見を受けたこともありました。そういった経験を通して感じた気持ちや憤りが、1本目の『リベリアの白い血』でも今回の作品でもマイノリティを題材に選ぶということに通じていると感じています。―なるほど。そういったご自身の経験が作品の根底と繋がっているんですね。監督僕は普遍的な人の姿や本質をきちんと描いた作品なら、観る人のバックグラウンドに関係なく感動を与えられると思っています。そうすることで差別や偏見をなくすことにも繋がるのではないかなと考えていて、それはなぜかというと、登場人物に感情移入して映画を鑑賞する体験は思いやりの気持ちを育むと思うからです。僕自身、自分とは全く違う世界の物語なのに感動できる作品に触れてきたので、今度は逆の立場から映画を通じてそういうことが少しでもできたらいいなと願っています。―それでは、いままであまり身近なことと受け止めてこなかったアイヌ以外の日本人が、これからアイヌの方々とどのように向き合えばいいのか、ご意見をお聞かせください。監督やはりまだまだ歴史認識が浅いと思うので、まずはアイヌの土地を奪っていまがあるということを理解し、それを心にとどめたうえで一緒に何ができるかを考える必要があるのかなと思っています。いまアイヌの人たちが置かれている現状を変えようとしたときに、彼らだけでは解決できない問題も多いと思うので、僕たち和人も一緒に向き合っていけたらと。だからといって「政治活動をしましょう」とかといったことではなく、日本の問題のひとつとして身近に考えてほしいということを伝えたいです。知ったうえで何をするかは個人の選択なので、まずは知ることから始めるのが大事だと思っています。知られざるアイヌの世界に触れる!これまで教科書やニュースのなかでしか目にすることがなく、どこか遠いものとしてとらえられていたアイヌ。彼らの多様性に満ちた文化や自然の美しさ、そして「アイデンティティとは何か?」に触れることで、同じ日本人として守るべきものの大切さに気づかされるはずです。まずは、この作品で“知る”という一歩を踏み出してみては?琴線に触れる予告編はこちら!作品情報『アイヌモシㇼ』10月17日(土)より、渋谷ユーロスペースほか全国順次公開配給:太秦©AINU MOSIR LLC/Booster Project
2020年10月16日連載第157回目は、みんな大好き揚げもの!宮崎の郷土料理のチキン南蛮です。揚げるのは大変そう…という方は市販のから揚げでアレンジもOKです。甘酢にくぐらせて、タルタルソースをこんもりと添えれば立派なチキン南蛮のできあがりです。夕飯のおかずとして、お酒のおともとしても活躍する一品です!おうちでのんびりと、ぜひ作ってみて『チキン南蛮』【旬を味わう 美人レシピ】vol. 157旬食材は、キュウリ!キュウリは1年中手に入るお野菜ですが、旬は初夏~10月頃です。7月~10月は露地ものが旬を迎え、秋から春にかけてはハウス栽培が行われています。ちなみに露地栽培された旬のキュウリは、ハウス栽培のものよりもビタミンCが多く含まれています。また、濃い緑色でハリやツヤのあるもの、表面のイボがピンととがっているものが新鮮とされています。キュウリは暑い季節に最適なお野菜! キュウリの95%は水分で体を冷やす作用があり、水分補給に効果的です。また、豊富な水分とカリウムで利尿作用が期待でき、むくみケアにもなります。食欲がない時にはもってこいのお野菜ですね。生でも食べられちゃうので手軽に取り入れられ、調理も楽ちんなのが嬉しいキュウリ。さっぱりとしたキュウリを食べて暑さで疲れた体を冬に向けて労りましょう!材料はこちら!【材料(二人分)】鶏むね肉:1枚(300g程度)※鶏もも肉でも可塩:ふたつまみコショウ:適量卵:1個薄力粉:大さじ2~3片栗粉:大さじ2~3揚げ油:適量(甘酢調味料)塩 :ひとつまみ酢:大さじ3しょうゆ:大さじ1きび砂糖:大さじ2(タルタルソース)ゆで卵:1個キュウリ:1/4本玉ネギ:1/8個マヨネーズ:大さじ2レモン汁:1/6個まず、下準備を始めます。~その1:キュウリと玉ネギ、ゆで卵を切り分けます。キュウリと玉ネギはみじん切りにします。ゆで卵は白身と卵黄に分け、卵黄は粗めに切り、白身の部分はみじん切りにします。まず、下準備を始めます。~その2:甘酢を合わせます。甘酢の調味料(酢、塩、しょう油、きび砂糖)を合わせ混ぜます。では、作ります!タルタルソースを作ります。小さめのボウルにマヨネーズ、キュウリ、タマネギ、ゆで卵を加え塩をひとつまみ加え、混ぜ合わせます。レモン鶏肉を切り分けます。鶏むね肉の脂を除き、包丁で切り込みを入れ厚さを均一にします。ひと口大程度の大きさのそぎ切りにします。塩、コショウをします。切り分けた鶏肉に塩、コショウをします。衣を作ります。ボウルに卵を割り入れ、ほぐします。薄力粉と片栗粉を加えよく混ぜます。ねっとりとした固めの衣に仕上げます。鶏肉に衣を絡めます。鶏肉と衣を合わせ、絡めます。揚げます。熱した油(中温程度の170度前後)に、衣と和えた鶏肉をそっと入れ、こんがりと焼き色がつくまで揚げます。こんがりと焼き色がついたら取り出します。こんがりと焼き色がついたところで取り出します。揚がった鶏肉を甘酢にくぐらせます。揚がった鶏肉は温かいうちに甘酢にくぐらせます。お皿に盛り付け、タルタルソースを添えます。お皿に盛り付け、タルタルソースをを添えます。おいしさのアレンジポイントさっぱりとした仕上がりの鶏むね肉を使いましたが、ジューシーな食感が好みな方は鶏もも肉を使ってください。市販のから揚げでアレンジする場合はから揚げをトースター等で温めたあと、甘酢にくぐらせてください。
2020年10月15日アートのなかでも、ちょっと難しそうなイメージのある日本美術。今まであまり興味がもてなかった人にも見ていただきたいのが、現在サントリー美術館で開催しているリニューアル・オープン記念展II『日本美術の裏の裏』。同展では、展示方法に工夫を凝らし、日本美術の“裏技鑑賞法”をさまざまな形で伝えています。どんな内容なのか、たっぷりご紹介します!入り口で滝の音が…【女子的アートナビ】vol. 184『日本美術の裏の裏』、まず入り口から凝っています。さわやかな滝の音が流れ、天井からは木々の緑があしらわれたロールスクリーンが垂れ下がり、マイナスイオンまで感じられそうな雰囲気。期待が高まります。そろりと足を踏み入れていくと、一幅の掛け軸が目の前に。展示されているのは、江戸時代に活躍した絵師、円山応挙の《青楓瀑布図》です。迫力ある滝つぼの様子を描いた本作品は、縦182センチほどもあるので、ほぼ実物大。音響効果と相まって、リアルな滝を見ているようです。次の部屋との仕切りには、襖が使われています。第1章「空間をつくる」の展示室に入ると、華やかな屛風が出現。室町時代の《四季花鳥図屛風》です。四季の花や木の合間に鳥や蝶が描かれています。屛風の手前にある床には、蝶々がひらひらと舞っていました。心憎い演出です。続いてご紹介するのは《洛中洛外図屛風》。この種の作品は教科書などでおなじみですが、方角や建物をどう見たらいいのかわからない人も多いと思います。ここで、裏技鑑賞法の登場!京都のどのあたりを描いているのかイメージできるよう、床を使って図解で詳しく説明されています。風景を見たあとは、ミニチュアの世界に入ります。第2章「小をめでる」では、日本人が大好きな小さくてカワイイものが集結。ミニチュアの漆器や陶磁器、絵巻などが並んでいます。上の写真は雛道具。小さいけれど、かなり精巧につくられているのがわかります。江戸時代後期の人形屋で販売されていたもので、大名や裕福な町人たちが購入したそうです。ジワる名作絵本!続いて第3章「心でえがく」へ。室町時代の絵巻が展示されているのですが、ここでは、ぜひ学芸員さんの「言葉」にも注目してみてください。まず、章解説のボードには、次のような一文が書いてあります。“当館所蔵の「かるかや」は、一度見たら忘れられない、ジワジワと心を奪われる逸品です”いったいどんな作品なのか、ワクワクします!「かるかや」は、仏教説話を語り聞かせるためにつくられた絵本。花見の席で無常を感じ、身重の妻と娘を捨てて出家した主人公の刈萱道心(かるかやどうしん)と、父を知らずに育った息子の物語が展開します。作品横にある解説には「絵は正直下手」と身もふたもないお言葉が…。実際、美術館に展示されるものとしてはちょっと稚拙。でも、見ていると作品世界にジワジワと引き込まれていきます。ストーリーが理解できるよう、絵の下には場面解説も書いてあるので、ぜひ読んでみてください。素朴な絵と、悲劇的な物語のギャップに魅了され、ラストはちょっと感動します。お気に入りを探す!次は第4章「景色をさがす」へ。タイトルにある「景色」とは、陶磁器を焼くときに偶然できあがる形や色つやなどの表情のこと。鑑賞するとき、どの部分が好きか、自分で「正面」を探してみるのが鑑賞のポイントになるそうです。会場では、作品を360度どこからでも見られるように展示されています。例えば、野々村仁清の《色絵鶴香合》で自分が好きな景色を探してみます。このような動物の香合は「顔を正面にして飾るのが基本」らしいのですが、後ろから見る姿もエレガントです。和歌はラップ?続いて、第5章「和歌でわかる」へ。美術工芸よりもさらに難易度が高そうな和歌の世界。ですが、ここでもハードルを下げる工夫がされています。まず章解説に「かつての日本人は、ラップのように和歌でバトルを繰り広げていた」と書いてあり、一気に親近感アップ!和歌は、当時の恋愛やコミュニケーションに欠かせないツールで、和歌の名手はアイドルのような存在だったとのこと。彼らを集めたグループも結成されていました。平安時代に選ばれたのは、36人の歌人たち。会場には、36人のメンバー全員を描いた絵巻を分割した《佐竹本・三十六歌仙絵源順》も展示されています。最後の第6章「風景にはいる」では、風景画に描かれている小さな「点景人物」に注目して、作品を楽しむ方法が紹介されています。例えば、江戸時代の人気絵師、池大雅の作品《青緑山水画帖》第8図「漁舟楊柳図」では、ぜひ船に乗った人物を探してみてください。さらに、どんな場面なのかを想像し、心のなかで話しかけてみるとよいそうです。日本美術が身近に!今まで、日本美術の楽しみ方がわからなかった人でも、この会場をひとまわりすれば、きっと興味がもてるようになるはず。昔から日本人が大切にしてきた美意識に、改めて気づくこともできると思います。会期は11月29日まで。Information会期 : ~11月29日(日) ※前期・後期で作品の入れ替えがあります時間 : 10:00~18:00(金・土は10:00~20:00)※11月2日(月)、22日(日)は20時まで開館(入館は閉館の30分前まで)休館日 : 火曜日(※11月3日、24日は18時まで開館)入館料(税込): 一般¥1,500、大学・高校生 ¥1,000、中学生以下無料会場:サントリー美術館
2020年10月14日婚活で約1000人の男性と出会い、年下夫を射止めたライター・かわむらあみりがお届けするコラム【結婚引き寄せ隊】連載第52回は、婚活していると出会う“男性”についてのエピソードです。なかでも、いまでも印象に残っている「婚活男性3選」その17をお届けします。1. テンションが高すぎる男【結婚引き寄せ隊】vol. 52それは結婚前提の恋人募集中だった女友達が、「あんまり婚活が前面に出ていない場で相手を探したい」ということで、ふたりで異業種交流会に参加したときのこと。普段は“ザ・婚活”といったかたちで、婚活パーティ専用の会場などに足を運ぶことが多かったのですが、たまにはということで毛色の違ったものにも挑戦してみたんです。ビジネス目的の交流で参加している男女はほぼいないであろう、その異業種交流会は、都心のイケイケエリア(!?)と呼ばれているおしゃれエリア近辺のビル内で開催されていました。1階はバイキング形式でのビュッフェで食事ができるようになっていて、2階はお酒などのドリンクを提供するカウンターが設置され、3階以上は関係者のみで入れなかったつくりだった気がします。そこには、スーツ姿やポロシャツ姿の男性など、わりあいビジネスマンらしい20代から50代ぐらいの男性、おしゃれをした20代から40代ぐらいの女性がわんさか。「こ、これってライブのモッシュですか!?」と思うくらい、時間が経つにつれてどんどん人が増えて大賑わい。ドリンクのおかわりをしに行くのも至難の技というほど、参加者多数でした。そんななか、私たちに「なんのお仕事してるんですかー!」と、話しかけてきたベージュのジャケットを羽織った30代半ばぐらいの男性がいました。とりあえず会話ができる場所へと移動し、話していると、お酒の飲みすぎなのか、それとももともと陽気な性格なのか、とにかく明るい男性。「こういうところは初めて来たんですよー!」「べつの場所で飲み直しませんかー!」など、ありがたいお誘いを受けつつも、終始ものすごくテンションが高いその男性に、私たちはちょっと食傷気味に…。引き気味だった女友達の無表情さが増してきたので、ある程度会話したあと「もうちょっとまわってみます〜」と言って、ふたりでその場から去りました。いやあ、好意的な反応をいただくのはうれしいのですが、こちらの状況よりも、“とにかく一緒に飲みたいだけかもしれないモード”の一点張りでテンション高く来られても、なかなかついていくのが難しいなあと思ったのでした。2. やたらと家に送りたがる男それはある合コンで出会った男性のこと。その合コン自体は出会いを目的としたものではなかったものの、知り合いが多ければ多いほど、今後どこかでご縁もあるかもということで、さまざまな年代と職業の知り合いがいました。そんななか、合コンで一緒だった数人の男女で、「また飲みに行こう」という話となって再会。会うのは2度目とあって、以前より打ち解けている私たちでしたが、ひとつだけ違うことがありました。サラリーマンの30代の男性が、飲み会を開始してしばらく経った頃から「今日は思いっきり飲もう!大丈夫、帰りは送ってくから」と言ってきたこと。最初はみんなで盛り上がるために、あとのことは気にしないでといういたわりで一応言っているだけなのかと思っていたら、その後も何度も「もっと飲んだら? 家まで送るしさ」との発言。だんだんと、えっ? もしかして本気で家に送るつもりなのかな? とむしろ酔いが覚めてきました。とはいえ、自分だけにそう言っているのであれば、気があるのかなと思うところ、他の参加女性にも「いいよ、オレが家まで送って行くからさあ」と言ってお酒をすすめています。もしかして本当に、やたらと家に送りたがる男なのか?酔っ払わせて妙なことを考えているのか?と考え出すとなんだかなあと思い、さらに終電の時間も近くなっていたので、さくっと「お先にー!」と言ってその場をあとに。いずれにしても、家に送られてまでどうでもいい男性と飲み明かすことはないな、と思ったのでした。3. ゴルフばかりする男それはある婚活サイトで知り合った男性と、ふたりで会うことになったときのこと。なかなかの好条件の持ち主で、30代半ばの人柄の良さそうなその男性は、会うまでの連絡もソフトでしっかりとした人柄を感じさせる印象でした。約束の待ち合わせ時間が11時だったので、少し前には到着するために、10時45分には到着していた私。ですが、50分になっても、55分になっても、11時を過ぎても、その男性は来ません。でも何かあったのかもしれないしと思うところと、もしかしてこれはドタキャンなのか…と、ガッカリしかけた気持ちが交互にきていたそのとき、目の前に現れた真っ黒に日焼けした男性が出現。最初はそれが、婚活サイトの男性だとはわからないくらい、どちらかというと色白に見えたプロフィールの写真と全く違う、色黒の男性が目の前にいました。「お待たせしてすみません!」と、息を切らしながら、話しています。「ここ数か月ゴルフにハマっていて、今朝もゴルフに行っていたら、遠いところだったから待ち合わせに遅れてしまって、ハハ」と言い訳。ゴルフが趣味とは、やり取りしていたときにひとことも聞いていませんでしたが、ゴルフ焼けだと思われる肌色を見ると、なんと返してよいのか思考停止に。結局、とりあえずその日の予定をこなし、連絡することはなくなったのでした。婚活していると、普段は知り合わないようないろいろなタイプの人たちに会うこともあるかもしれません。くれぐれも、みなさんもお気をつけて、すてきな人を見つけてくださいね。©Nastasic/Gettyimages©Jean Paul Meyntjens / EyeEm/Gettyimages©Tom And Steve/Gettyimages
2020年10月10日現在ヨーロッパ在住のファッションジャーナリスト、平野秀美さんのレポートです。今回はベルリンから仕事でロンドンへ行った時に遭遇した、ロンドンのコロナ対策についてレポートします。2020年9月24日からのルール変更が!イギリスではロックダウンはされませんでしたが、9月24日から、今まで夜中までオープンしていたバーやレストランは22時までの営業に変更、一度に会える人数は6人までと制限されました。また、引き続き駅構内やお店には消毒液が置いてあり、マスク着用は必須。ワンウェイ システムと言って、自由に店内を歩けるのではなく、お客さんが逆流しないように、一方通行のみで店内を歩くよう指定されているショップもありました。ベルリンとロンドンの違いに驚いたのは…私が滞在していたロンドンでは、前日の9月23日は夜中までバーがオープンしており、店内に入る際、お手洗いに行く際など、ドイツのベルリンでは必ずマスク着用を義務付けられていますが、ここロンドンでは義務付けられていませんでした。また一定の距離は保たれていますが、それでも密集しているとの印象が否めませんでした。着席して食事をしたり飲む場合は、QRコードを読み取り、自分の名前、電話番号などを記入する必要がある点は、ロンドンもベルリンも同じでした。どんな時マスク必須?!ロンドンに滞在していてマスクを着用するのは、基本的にお買い物をする、またバスや電車に乗る時。ただ、ほんの一部ですが、乗客はマスクをしていない人もいました。また、ベルリンでもそうですが、ここロンドンにもコロナ対策のマスクに反対している人たちもいるようです。タクシーは乗客3人まで!?今までは助手席にも座ることができましたが、9月24日以降は助手席には座ることはできません。そのため、一般サイズのタクシーの場合は、3人までしか乗車することができなくなりました。以前ロックダウンした頃の4月5月は、ロンドンのバスは運転手側の扉は空きませんでしたが、現在は開くようになっていました。会社に行かなくて良い!?7月以降、徐々に患者の発生数が少なくなり落ち着いてきた時は、一部の会社は職場をオープンにし、会社で仕事できるようにしていましたが、9月24日からは、会社に行かなくてもできる仕事はリモートになりました。私の複数の友人も、職場にようやく行けるようになった1週間後からまた自宅での仕事を命じられたようです。話題は早くもクリスマス!?既にイギリスのデパートではクリスマス特集を組むなど、クリスマスに向けて気持ちが高まっている中での今回のルール変更。6人までしか同時に集まることができないということは、イギリス人にとって最大のイベントであるクリスマスは、家族や親戚が一堂に会することができなくなります。大人数のご家族なら、一緒に住んでいないかぎり、集まることはルール上難しそうです。私の周りの話ではありますが、複数のイギリス人は、既にクリスマスの心配をしていました。クリスマスはイギリス人にとっては、とっても大切な家族の時間。その時期までに状況が良くなっていることを願っています。ロンドン市内にある空港にて私がロンドンからベルリンに向けて戻る際に使用した空港、シティー空港は、当日は私の便しか予定がありませんでした。小さな空港ではありますが、ロンドン市内に近いので、以前はもっと頻繁に飛行機が飛び交っていましたが、現在は1日数便しかないようです。電光掲示板を見た時は、あまりの便の少なさにショックを受けました。ヨーロッパでは日本以上に新型コロナの患者発生件数は増えていますが、国と国との国境が開いているため、休暇をとって海外にバケーションに行く人も多い印象です。ただし、国によって14日の待機が必要な場所や不要な場所など、情報は常にオンラインで更新されます。また、航空券を購入する際にも、注意点や搭乗前に提出すべき情報なども詳しく書かれています。個人個人が気をつけながら休暇や旅行をしているようです。航空会社も機内のサービス提供方法など変えて対応していました。少しでも早く、安全に収まって、自由に移動できるようになるとよいのですが。
2020年10月09日誰にでも経験のある忘れられない恋や人生における孤独。そんな思わず目を背けたくなる心の痛みに迫った注目作『あざみさんのこと 誰でもない恋人たちの風景 vol.2』がまもなく公開を迎えます。そこで、こちらの方にお話を伺ってきました。写真・黒川ひろみ(小篠恵奈)主演を務めた女優の小篠恵奈さん!【映画、ときどき私】 vol. 329映画やドラマでキャリアを積み重ね、さまざまな役を演じてきた小篠さんが本作で演じたのは、主人公のあざみさん。昔の恋人を忘れられず、その孤独を埋めるために性に奔放な一面を持ち合わせた女性を熱演しています。今回は、難しい役どころで感じた思いや体当たりで挑んだ現場の様子などについて、語ってもらいました。―最初に脚本を読んだときは、どのように感じましたか?小篠さん正直に言うと、最初はあざみさんのことが全然わかりませんでした。というのも、私とは真逆のタイプなので。そういったこともあり、今回は役作りをするというよりも、現場で越川(道夫)監督と「あざみさんとはどんな子なのか」ということについてたくさん話すことを意識していたと思います。―あざみさんと自分とは、どのあたりが真逆ですか?小篠さんあざみさんは、男性に助けを求めるのがうまいところがありますが、私は嫌なことがあっても誰かを頼る感覚があまりないんです。落ち込むときは、何もせずにひとりで落ちるとこまで落ちるみたいな感じで、けっこう自分で解決できてしまうタイプなんです。そういう意味では、不器用ながらも誰かを頼って一生懸命生きようとするあざみさんに対して、どこかうらやましさはあったと思います。ただ、現実にいたら友達にはなれないかもしれないですけど(笑)。あざみさんを演じるなかで苦しさを感じることもあった―同じ女性から見ると、意見がわかれそうなタイプかもしれないです。小篠さんもちろんわからなくもない部分もあるんですけど、男の人で心の隙間を埋めるのではなく、もっとほかのことにも目を向けたらいいのにとアドバイスしたくなりますよね。でも、それだと彼女にはしっくりこないのかなと思うと、少し切なくなるのですが……。「飲みに行って、一回ゆっくり話そうか?」と言いたくなる感じですね(笑)。―確かに、あざみさんが抱えている孤独や苦しみを見ていると、手を差し伸べたくなりました。小篠さんあざみさんって、何もよけずに全部にぶつかってダメージを受けているところがありますよね。監督からも「あざみさんは、泣くのを必死に我慢しながら生きている子」と言われましたが、私自身がそこまで一生懸命に生きてきたことがなかっただけに、こんなにも気持ちがしんどくなるんだなと知りました。あざみさんを演じながら心がえぐられるような感覚があったので、うらやましく感じる部分があるいっぽうで、本当に苦しかったです。―では、この役と向き合うことで自分自身の生き方を考えさせられる部分もあったのでは?小篠さんそれはあったと思います。いままでは、「生きる」とか「死ぬ」ということをあまり考えたことがなかったのかもしれませんが、ラストシーンで「生きていかなくちゃね」というセリフを言ったときに、「私もちゃんと生きていかなくちゃいけないんだな」と強く感じました。体当たりなシーンも余裕を持って臨むことができた―あのセリフは、特にいま観客にも非常に響くところだと思います。そのほかに、印象に残っているシーンはありますか?小篠さん今回は、ひと混みの渋谷でゲリラ撮影をしたこともありましたが、そのときにスタッフさんがついてきていると思って歩いていたのに、気がついたら誰もいなくなっていたことがありました。携帯も何も持ってないまま渋谷で迷子になったときは、かなりテンパりましたよ!―渋谷での映像もかなりの臨場感があるシーンでしたが、裏ではそんな事件もあったのですね。小篠さんあと、知らない男の人がずっとついてきたこともありましたね(笑)。でも、カメラマンさんがその人を映らないようにうまく撮られていて、そういった技術的な面の高さにも感動しました。―今回は、かなり体当たりなベッドシーンにも果敢に挑戦されていますが、そこに対する不安はありませんでしたか?小篠さんもちろん、撮影の前はすごく不安でした。ただ、初日に海で引きずられるシーンを撮ったとき、それがあまりにも大変だったので、ベッドシーンのときにはある意味で吹っ切れていたかもしれないです。実際、撮影の前には私がいち早く前貼りの準備を終わらせて、相手役の方を待っていたほどだったので、心に余裕を持って臨むことができたと思います。―実際、完成した作品をご覧になったときはいかがでしたか?小篠さん正直、1回目のときは指の隙間から覗くような感じで、心臓がバクバクしてちゃんと見られませんでした。自分のお芝居を冷静にはなかなか見れないですよね。でも2回目に見たときは、あざみさんが昔の恋人であるキタジマさんとの関係に下した結論に対してずっと抱いていた疑問が解けたので、心を無にして純粋にストーリーを追うことができたんだなと感じました。これからはどんな役でも誰にでもなってみたい―では、共演者の方々についても、教えてください。小篠さんノダくん役の奥野瑛太さんついては、ただただ「すごい」とか「素晴らしい」という言葉しかないですね。本当にいろいろなことを考えて現場に入っていらっしゃって、そこで放たれる爆発力がすごかったので、その勢いには押されそうになったことも。なかなかできることではないので、刺激をいただきました。キタジマさん役の斉藤陽一郎さんは、つねにキタジマさんでいてくださったので、「この人に寄りかかっていればあざみさんでいられる」と思えましたし、本当に助けていただいたと思います。実際の斉藤さんは、フランクでひょうきんな方なんですよ。あと、シン役の嶺豪一さんは、以前もご一緒したことがありましたが、あの目がすごく好きなんですよね。今回演じていて、「シンにはいい女の子を見つけて幸せになってほしい」と願わずにはいられませんでした。―この作品を経て、女優としてもさらに幅が広がったと思いますが、今後演じてみたい役はありますか?小篠さん月並みな答えになってしまうのですが、やれるならどんな役でも挑戦したいです。私は自分を使って自分じゃない誰かになりたいという気持ちがあるので、誰にでもなってみたいですね。私はお芝居をすることが本当に好きなので、この作品がまた次の作品につながっていけばいいなと。そういう意味でも、今回は私にとってもいいチャレンジだったと思っています。ただ、もう27歳になるので、女子高生の制服を着るのはちょっと厳しいかなというのだけはありますね(笑)。休みの日の息抜きでハマっていることは?―それでは、いまプライベートでハマっていることがあれば、教えていただけますか?小篠さん去年、撮影が終わったあとすぐに1週間ほど免許合宿に行って、運転免許を取りました。それ以降、休みの日はずっとドライブしていますね。この前も、レンタカーで仙台までひとり旅行をしてきました。山とか川を見るのが好きなので、山奥を走ったりして楽しんでいます。―自然のなかをドライブとは、気分転換には最高ですね!あと、マンガもお好きなんですよね?小篠さんそうですね。マンガを読んだり、お気に入りのキャラクターを描いたりするのが好きなんです。―ちなみに、ananweb読者にオススメしたいマンガはありますか?小篠さん少女漫画だったら、『コレットは死ぬことにした』というのにいまハマっていますが、これに胸キュンしない人はいないんじゃないかなと。私は異世界とつながっているような設定が大好きなんですが、独り言で「めっちゃイケメンやん」とかツッコミながら、キュンキュンしています。―マンガを読む時間が、仕事の息抜きになっている感じですか?小篠さんそうかもしれないですね。大変な撮影のあとは、狂ったようにマンガを読んでいたこともありますから(笑)。普段は、休みの日とかに「今日はあのマンガのあのシーンを読みたいな」と考えてから、読んでいます。自分もがんばろうと感じてもらえたらうれしい―本棚にはどのくらいのマンガを置かれていますか?小篠さん正確に数えたことはないですが、だいたい2000冊くらいですかね。家にはほとんど物がなくて、あるのはマンガくらいです。―2000冊もですか!?それがすべて頭に入っているということですよね。小篠さん頭のなかに絵が浮かぶと、作者の方の名前が出てくるので、そこから本を探して読みたいページを見つける感じです。なので、本棚は作者の名前順に並べています。―まだまだマンガのお話もうかがいたいところですが、最後にこれから作品を観る方に向けて、メッセージをお願いします。小篠さん人生で何かに対してがんばっている方は、一生懸命に生きようとするあざみさんに共感できるところもあるんじゃないかなと思っています。映画を観ていただいたあとに、「自分は仕事をがんばろう」とか「恋愛にまっすぐぶつかってみよう」とか、そういう気持ちになっていただけたらうれしいです。インタビューを終えてみて……。とても柔らかくて、優しい笑顔が印象的な小篠さん。ひとつひとつの質問に対して、真摯に答えようとする姿勢がひしひしと伝わってきました。「誰にでもなりたい」という小篠さんが、次は誰になって私たちを楽しませてくれるのか待ち遠しいところ。まずは、全身全霊で挑んでいるあざみさんは必見です!人生における愛と再生の意味を知る!すべてに全力でぶつかり、ときにボロボロになるまで傷つきながらも、生きるとは何かを教えてくれる不器用なあざみさん。愛すること、そして生きることに正面から向き合う姿に、心が震えるのを感じるはずです。ストーリー17歳で複雑な家庭から逃げ出したあざみ。年の離れた編集者キタジマさんの恋人になり、釣り合う女になりたいと背伸びをするも、仕事優先で向き合ってもらえなくなる。その後、あざみは優しくしてくれるシンや誰と付き合っても、キタジマさんのことが頭から離れることはなかった。そんななか、あざみの前に現れたのは、子どものようにまっすぐに愛をぶつけるノダくん。愛憎入り混じる母との再会と別れを経験したあざみは、生きることを見つめ直すことに……。心に突き刺さる予告編はこちら!作品情報『あざみさんのこと 誰でもない恋人たちの風景 vol.2』10月10日(土)より、新宿K’s cinemaほか全国順次公開配給:コピアポア・フィルム©2020キングレコードスタイリスト:池ノ上菜々ヘアメイク:稲月聖菜〔MARVEE〕ボトムスottod’Ame ¥20,000ピアスMcKenna ¥3,600ネックレスROOM ¥2,436(すべて税抜)
2020年10月09日現在ヨーロッパ在住のファッションジャーナリスト、平野秀美さんのレポートです。肌寒さも感じるこれからの季節に参考になる、ニットやセーターの選び方や、今年の着こなし方をご紹介します。モコモコセーターは今年も人気!肌触りもよく、見ていてもかわいいモコモコセーター。ここヨーロッパでもモコモコセーターは人気。シンプルなものより、個性的な柄や色の配置のものをよく見かけますよ。日本では超オーバーサイズのものをワンピースのように着こなすオシャレさんも!定番でもやっぱり素敵!清楚なシャツ&セータースタイルシャツにセーターは優等生スタイル!仕事やちょっとした打ち合わせなどにもおすすめの正統派の着こなしです。シャツをインする場合は、セーターは少し大きめをチョイスすると着やすいです。重ね着は、色のチョイス次第でカジュアルにも清楚にも見えるので、お好きな色でオシャレを楽しめますね!なるほど…セーターも斜めがけ、これはいい!以前はジャケットやシャツなどは、腰に巻いたり、肩にかけたりしていましたが、こちらは斜めがけ!今っぽいですね。秋はまだ暑くなったり寒くなったりするので、こういうちょっとした技を知っておくと便利ですよ。上級者向け!全身セーターワンピース秋から冬に向けてのファッションになりますが、ニットワンピースが徐々に人気傾向になっています。写真のようにマフラーまでお揃いにするなんて、かなりの上級者ですが、暖かさにかわいらしさが加わってイチオシ。冬にしかできないスタイルなので、思い切ってニットワンピースを今年はゲットしてもいいかも!?個性的なオーバーサイズのニットは、ヨーロッパで大人気!ワンカラーであっても、編み方や素材を上手に組み合わせてデザインされるニットは、少しゴージャスでオシャレ度も増しますよね。また、モデルやインフルエンサーで人気なのは、ニットの一部をボトムスインにして、あとはルーズに外だし。お尻を見せたくない場合や脚長に見せたい場合など、インする場所を変えるだけで雰囲気も変わるし着こなしが自由です!ロングニットでスカートみたいに見せちゃう!?ロングニットは暖かいだけではなく、スタイルをカバーしてくれるので、比較的多くの人が既に着こなしている方法ですが、気をつけたいポイントは、厚手ニットより薄手ニットがおすすめということ!厚手ニットの場合、着太りして見えがちです。オーバーサイズや長めニットを選ぶ場合は、少し薄手をおすすめします。いかがでしたか。これから冬に向けてどんどん寒くなるので、ニットやセーター、カーディガンなどがほしくなりますよね。着こなし方や色次第で、いくらでもオシャレに見せることができるので、ぜひ参考になれば嬉しいです。
2020年10月08日現代の女性たちにとって、いつの時代も頭を悩ませることのひとつといえば、家庭と仕事のバランス。そこで、多くの女性から高い支持と共感を得ているオススメの作品をご紹介します。それは……。感涙の話題作『82年生まれ、キム・ジヨン』【映画、ときどき私】 vol. 328結婚と出産をきっかけに仕事を辞めたジヨンは、育児と家事に追われる生活を送っていた。つねに誰かの母であり妻であることに、いつしか閉じ込められているような感覚に陥るようになっていたジヨン。そんな妻の異変を心配した夫のデヒョンは、病院に行くことをすすめる。最初は深刻に受け止めないジヨンだったが、他人が乗り移ったような言動を取るようになり、記憶も途切れるようになっていった。ジヨンの心は、本当に壊れてしまったのか……。本作は韓国で130万部を突破し、社会現象を巻き起こしたベストセラー小説を映画化した注目作。現代女性が抱える生きづらさを描き、大きな反響を呼んでいます。そこで、こちらの方にお話をうかがいました。キム・ドヨン監督本作が初の長編作品であるにもかかわらず、韓国のゴールデングローブ賞と称される第56回百想芸術大賞でみごと新人監督賞を受賞し、高く評価されているドヨン監督。今回は、自身の経験を重ねながら描いた本作に込めた思いや日本の女性たちへ伝えたいことについて語っていただきました。―まずは、小説を映画化するうえでこだわったのはどのあたりですか?監督原作はジヨンの人生が時期ごとに展開されていて、エピソードを羅列する形で書かれていますが、映画にするうえではひとつの物語として事実をありのままに描く叙事の形にする必要があると感じました。そこで私が意識したのは、ジヨンの現在を主軸にしながら物語を構成していくこと。そのうえで、さまざまなエピソードを取り込んでいくように心がけました。そうすることで、キム・ジヨンという人物に観客が共感し、感情移入できるようになっているのです。今回は、そういった部分に集中して作り上げていきました。また、原作とは異なるラストになっていますが、観客に前向きなメッセージを伝えることが大事だと思い、あのようなエンディングになっています。―主人公を演じたチョン・ユミさんと夫役のコン・ユさんには、どのような演出をされましたか?監督私は演出家として、やるべきことをやっていただけという感じでしたが、おふたりとも本当にスマートで素晴らしい俳優さんなので、すべてのシーンにおいて高い理解度を持って見事に演じてくださいました。それに私がもともと俳優だったこともあって、意思疎通を図るのはスムーズだったと思います。本当に、満足度の高い現場でした。この作品が自分の人生を見直すきっかけとなった―そのなかでも、おふたりの演技から感銘を受けた瞬間などがあれば、教えてください。監督チョン・ユミさんもコン・ユさんも、現場ではとにかく自然体で、おふたりはとても相性がいいので、見事な“化学反応”も見せてくださいました。チョン・ユミさんは、とても透明感があってピュアな人。だからこそ、あれほど魅力的なジヨンを演じることができたんだと感じました。いっぽうのコン・ユさんは、主人公ジヨンを支える役柄。その役割をきちんと認識されていて、それを非常によく表現してくださったと思っています。―本作では多くの女性が経験している感情や悩みが描かれていますが、監督自身もこの映画を作る過程で気づかされたことがあったのでは?監督そうですね。原作を読んだときに、自分の人生を見つめ直すきっかけを得られたと思っています。映画を作っている際には、自分のなかにあった認識を新たにしていく感覚もありました。―その認識とはどのようなものですか?監督どういうことかというと、大きく言って地球上の半分は女性ですよね?にもかかわらず、女性の人生や生き方というのをじっくり見つめ直したり、振り返ったりする機会がこれまで不足していたのではないかなということです。そのうえで、女性を見つめる視点にも今後変化が必要なのではないか、と考えさせられました。この作品で私自身もいろんなことを学び、そして新しい視点を持って周りを見直す機会を持つことができたと感じています。―なるほど。ちなみに、監督もジヨンと同じく、お子さんを持つ母親ですが、この作品にご自身の経験を反映している部分もありますか?監督もちろん、私が経験したことも多く反映されています。実際に、いまも育児を経験中ですから。たとえば、疲れてベビーカーを足で揺らしてしまったり、幼稚園のママ友と集まったときに「大学で専攻したことをいまは活かせていない」という会話をしたことだったりというのは、私が実際の生活のなかで経験したことが作品のなかに溶け込んでいます。夫とはお互いに必要なことを話し合って理解を深めた―誰かの母であり妻であるということにとらわれ過ぎて、自分を見失ってしまう女性も多いかと思います。監督自身もそういう経験はありましたか?監督そういった部分は、私にもあると思います。だからこそ、本を読みながらいろいろなところで共感したんじゃないかなと。いまも自分自身が見失っている部分が何なのかということを探そうとする努力をしているところです。そのうえで、私のなかにある欲望に対して、より正直でありたいと思いますし、自分が何を望んでいるのかを問うことはこれからもしっかりとしていきたいと考えています。―監督が仕事や家庭において、意識していることがあれば、教えてください。監督まずは、もし私の夫が積極的にサポートしてくれていなければ、社会に出て仕事をすることにもっとさまざまな制約があったのではないかなと感じています。その部分については、これまでに夫とたくさん話し合いをし、ときにはケンカもしながら、少しずつお互いにとって何が必要なのかということを理解していきました。そういった夫からの助けもありますが、国としての制度も少しずつ改善されてきていると思うので、それらをうまく活用しながら仕事ができていると思います。―やはり夫の理解は欠かせないですね。ちなみに、劇中のデヒョンに監督の夫が投影されているところもありますか?監督重なる部分もありますが、まったく重ならない部分もあります。ただ、夫からすると、デヒョンに似ていると言われたら喜ぶかもしれないですね(笑)。女性の置かれている現状はもっとよくなるべき―監督自身は、デヒョンのような男性は、夫としてどのような人物として見ていますか?監督デヒョンに関しては、いい夫にも見える人もいれば、そうではないと感じる人もいますが、それくらい見る人の環境や立場によって、見え方が違ってくるキャラクターだと感じています。おそらく「デヒョンは悪くない夫」という印象を持つ人が大半じゃないかなと思いますが、「悪くない」ということはある意味「改善の余地がある」ということでもありますよね。私個人としては、女性の置かれている現状はもっとよくなるべきだと考えているので、そのためには夫婦がもっとお互いに努力していく必要があると思っています。―監督は長らく演劇の世界にいたあと、46歳で韓国芸術総合学校に入って映画を勉強し始めたそうですね。なぜそのタイミングで始めたのでしょうか?監督子どもが生まれてからは、演劇の舞台に立つことが難しくなっていたのですが、そのときに「創作をしたい」という気持ちが強くなっていくのを感じました。もともと、そういう願望は私のなかにずっとありましたから。そこで、まずは文章を書き始めるようになり、次第にその文章を基にした戯曲やシナリオを書き上げ、短編の映画を作るようになりました。それがきっかけとなり、「もっと遅くなる前に、本格的に映画の勉強したい!」という気持ちになって、映画学校に志願することに。運よく合格することができてよかったです。自分の欲望をしっかりと見つめることが大切―40代半ばで新たな分野に挑戦することに対して、不安はありませんでしたか?監督もちろん、不安はありました。でも、“不安の実態”というのを覗き込んで見つめたとき、「本当に映画監督になれるのだろうか」「自分は映画界に受け入れてもらえるのか」「映画監督として評価されるだろうか」といった不安はあったものの、そこであることに気がついたんです。それは、ある分野で高みまで登れることや遠くまで行けることも大事ではあるけれど、それよりもどんな方向性に向かって行くかのほうが重要であるということ。たとえ、結果が出なくても、自分が望んでいる方向に近づいているのであれば、達成感や満足感は十分に得られると思ったのです。その瞬間に、新たな一歩を踏み出す決心ができました。―それでは最後に、仕事や育児などで悩んでいる女性に向けて、監督からアドバイスがあればお願いします。監督みなさんも不安を感じたときこそ、「自分は何をしたいのか」「自分は何を望んでいるのか」といった自分の欲望をしっかりと見つめることが大切だと思っています。ただ、その欲望というのは、自分で動かない限り、どこかから与えられるものではないので、自分が本当にしたいことを常に問い続けてほしいです。当然、その過程ではいろいろな経験をすることになるとは思いますが、決してそこで諦めることなくやり続けてください。そうすれば、周りの人たちの力を借りながらでも乗り越えていけると思うので、日本の女性たちにも幸運があることを心から願っています。あふれる思いが止まらなくなる!就職や結婚、出産、そして家族の問題など、人生におけるさまざまな分岐点で感じる女性の生きづらさをリアルに描いた本作。誰もがジヨンに共感し、ともに痛みを分かち合い、そして「自分はひとりじゃない」と救いを感じることができるはず。どんな絶望の先にもきっとある希望を探しに、ジヨンと一緒に新たな人生へと踏み出してみては?心に響く予告編はこちら!作品情報『82年生まれ、キム・ジヨン』10月9日(金)より 新宿ピカデリー他 全国ロードショー配給:クロックワークス© 2020 LOTTE ENTERTAINMENT All Rights Reserved.
2020年10月06日六本木の森美術館で『STARS展:現代美術のスターたち―日本から世界へ』が開かれています。世界で活躍する6人のアーティスト(草間彌生、李禹煥〈リ・ウファン〉、宮島達男、村上 隆、奈良美智、杉本博司)による初期作から最新作まで見られるゴージャスな展覧会、その詳細をレポートします!トップバッターは、あの巨匠!【女子的アートナビ】vol. 183『STARS展』、入場するとまずは現代アートの巨匠、村上隆のかわいいフィギュア作品がお出迎え。さらに広い空間に出ると、村上ワールドが全開です!壁には、おなじみのポップな花のキャラクターが描かれた最新作《ポップアップフラワー》が掛かり、中央には巨大な像が2体、展示されています。さらに展示室を進んでいくと、全裸少年のフィギュア彫刻が目の前に!少年は左手で男性器を握っていますが、その先から精液のような物体が頭上まで吹き出しています。本作品は1998年作の《マイ・ロンサム・カウボーイ》。同名作品が2008年に約16億円で落札されて話題となりましたが、実物を間近で見るとインパクトがすごいです。肉体が妙にリアルなので、作品を凝視してよいものか、ちょっと心がざわつきました。このような作品は、どう解釈したらいいのでしょう?わからないときに役立つのが音声ガイドです。同展では、自分のスマホに音声ガイドをダウンロードして聞くことができます。(税込¥500)作品解説だけでなく、アーティスト本人のインタビューも収録されている豪華版。さっそく村上さんの話を聞いてみると、《マイ・ロンサム・カウボーイ》のような性をデフォルメした作品は、日本美術の「浮世絵」とも関係があるとのこと。詳しくは、ぜひ会場で作品を見ながら音声ガイドを聞いてみてください。割れたガラスと石が…次の展示室に入ると、一転して静かな雰囲気に様変わり。韓国で生まれ日本で活動しているアーティスト、李禹煥(リ・ウファン)の絵画と立体作品が展示されています。割れたガラスの上に大きな石が置いてある作品《関係項》は、初期につくられた代表作のひとつ。木や石など素材そのものを提示する「もの派」と呼ばれる芸術動向の思想が現れた作品です。ありていにいえば、単に物体が置いてあるだけなのですが、何か静かに訴えてくるものがあり、村上作品とは違う意味で心がざわつきます。ふたりの個性派作家の作品を見たあとは、アーカイブ展示のコーナーへ。ここでは、6名のアーティストたちが出展した展覧会のカタログや展示風景写真など、彼らの活動歴を見ることができます。さらに、海外で開かれた日本の現代美術展の概要や展示資料なども紹介されています。草間彌生&宮島達男続いて登場するのは、草間彌生の作品群。アメリカで活動していた1960年ごろの初期作品から2019年の作品まで、絵画や立体作品、鏡のインスタレーションなどが展示されています。ひとつの空間に各年代の草間作品が集結している光景は、まさに圧巻!個性的な作品のひとつひとつがぶつからず、見事に調和した展示方法もすばらしいです。ちなみに、この展覧会は一部を除いて写真撮影OK。カラフルな草間作品は、「映え」ること間違いなしです!草間ワールドを抜けると、今度は少し暗めの空間が待ち受けています。この作品は、宮島達男の《「時の海―東北」プロジェクト(2020東京)》。東日本大震災の犠牲者を鎮魂し、震災の記憶を継承していくことを願って制作されたインスタレーションです。緑や青のLEDランプは海のイメージを表しているとのこと。実はこのLEDはすべてデジタルの数字カウンターで、1から9、あるいは9から1へとカウントして0のときは暗くなります。この暗闇になる瞬間が「死」で、作家のコンセプトである「時間」や「生命の永遠」を表現しています。本作品は、東北の被災された人たちと一緒に制作し、現在も進行しているプロジェクト。今後も発展し、最終的には東北沿岸部の海の見える場所に設置することを目指しているそうです。奈良美智&杉本博司続いて、奈良美智の展示室へ。初期のドローイングや新作の大型肖像画、さらに巨大なインスタレーション作品も見ることができます。こどもや動物などがモチーフになっていて、色彩もパステル調なので、優しくあたたかい感じがする奈良作品。一見すると「かわいい」のですが、こどもの目がうつろだったり、悲しそうだったりして、あまり幸せそうには見えません。ちょっと闇を抱えているような彼らの表情を見ていると、想像力をかきたてられます。最後は、杉本博司の展示室へ。初期の代表的な「ジオラマ」シリーズの写真作品や、2020年に制作された初映画作品《時間の庭のひとりごと》などを見ることができます。写真家のイメージがあるアーティストですが、建築や造園、古美術や古典芸能にも造詣が深く、パリ・オペラ座で舞台演出をしたり、展覧会の会場構成を手がけたりと、多彩な活動をされています。2017年には、彼の創作活動をまとめた「小田原文化財団 江之浦測候所」が小田原にオープン。70代になっても、世界から注目を集め続けている現代美術家です。刺激的な展覧会へ!この展覧会には現代美術界のスター6人の作品が集結しているので、どの展示室も濃くて見ごたえがあります。作品から出てくるパワーも刺激も強いので、体調を整えてから見に行くことをおすすめします。なお、森美術館では入館前に検温チェックなどがあります。9月末現在、事前予約は不要となっていますが、最新情報を公式サイトで確認してからお出かけください。Information会期:~ 2021/1/3(日)会期中無休時間:10:00~22:00(最終入館 21:30)※火曜日のみ17:00まで(最終入館 16:30)場所:森美術館(六本木ヒルズ森タワー53階)チケット:一般¥2,000、高校・大学生¥1,300( 9月21日(月)~10月31日(土)は「STARSの学割」を実施、特別割引料金¥650)子供(4歳~中学生)¥700、65歳以上¥1,700公式サイト: www.mori.art.museum
2020年10月02日女性にとってテンションの上がるワードのひとつといえば、「ファッション」。そこで、現在のファッションに多大な影響を与えているカリスマ的なある人物の人生を紐解いた話題作をご紹介します。それは……。『ライフ・イズ・カラフル! 未来をデザインする男 ピエール・カルダン』【映画、ときどき私】 vol. 3272020年に70周年を迎えるのは、フランスが誇るファッションブランド『ピエール・カルダン』。創立者のカルダンがいまも現役で采配を振るう伝説のブランドでもある。これまでドキュメンタリー作品や伝記のオファーを断り続けてきたピエール・カルダンだが、本作でついに初密着が実現。さらにカルダンと関わりの深い著名人が次々と登場し、その魅力を語りはじめることに。カルダンの知られざる素顔、そして波乱に満ちた97年の人生がいま明らかとなる……。本邦初公開の映像から衝撃の告白まで、スキャンダラスな天才デザイナーの人生を垣間見ることができる本作。そこで、撮影秘話についてこちらの方にお話をうかがってきました。P.デビッド・エバーソール&トッド・ヒューズ今回、カルダンの初密着を許されたのは、私生活でもパートナーであるデビッド監督とトッド監督。おふたりにとっても刺激的な経験となったカルダンとのやりとりやファッションの持つ力などについて語っていただきました。―まずは、本作に登場する著名人や関係者のみなさんに監督たちがした質問からうかがいますが、おふたりにとってピエール・カルダンさんは何者ですか?デビッド監督僕から見ると、透明性があって、自分のことをすべて見せてくれる方ですね。これまでは、あまり私生活を見せておらず、謎めいた人物だと思っている人が多いですが、実はそれは違っていたことがわかりました。というのも、彼は仕事を通して、自分自身とデザインをすべてさらけ出して表現しているんですから。それを見れば、彼が何者かはわかるはずですよ。トッド監督彼には、父親的なところもあると感じました。みんなに対してすごく寛大で優しくて親切で、励ましながら特別な気持ちにさせてくれるので、誰もが尊敬しています。なので、アドバイスがほしいとき、彼に相談することを恐れる人はひとりもいません。自分の知っていることを他人と分かち合ってくれる素晴らしい人なんです。―では、密着している際に、カルダンさんから感銘を受けた瞬間はありましたか?デビッド監督すごくシンプルなことなんですけど、彼は自分が作ったものや成し遂げたことを褒めてもらったとき、心からの感謝を言える人。たとえば、僕たちは彼と会うときにはピエール・カルダンのネクタイをするようにしていましたが、それだけでも喜んでくれるんです。そういう姿にとてもグッときましたし、彼の心の広さみたいなものを感じました。トッド監督あと、とても驚いたのは、演劇を見ながら涙を流していたこと。彼がほかの人が作る実験的な芸術をあそこまで応援し、まるで自分も一緒に作っているかのように入り込み、一生懸命に感想を述べている様子には感動しました。ファッションとは社会を映すものである―忘れられないシーンのひとつですね。あと、彼が発するさまざまな言葉も印象的でしたが、監督たちの心を捉えたものはありましたか?トッド監督僕は「人に押し付けるのではなく、提案することが大切」というような言葉がとても美しいと思いましたね。デビッド監督僕が感動したのは、「ファッションは社会を映すものである」と言っていたとき。彼はただ素敵なものを作りたいというだけではなくて、ちゃんと文化的なことも考えているんです。つまり、ファッションと文化は呼応し合っているものだからこそ、お互いのことをしっかりと考えながら作っていこうと。その姿勢は素晴らしいですよね。―この作品を通して、世界中のさまざまな著名人にインタビューされましたが、そのなかでも印象に残っている方といえばどなたですか?トッド監督まずは、やっぱりジャン=ポール・ゴルチエかな。カルダンとまったく同じようなハツラツさと素敵な人柄を持つ人で、とても光り輝いているように感じました。そして、彼はカルダンのことが本当に大好きなんですよね。でも、それは彼だけでなく、カルダンと仕事をしたことがある人はみんな一種のカルトのように彼のことを好きになってしまうんですよ(笑)。デビッド監督僕は、歌手のディオンヌ・ワーウィック。毎日メッセージのやり取りもしているくらい僕のお気に入りなんです!彼女にNYでインタビューさせてもらったとき、彼女は引きずるほど長い毛皮のコートをはおってアパートの一室に現れましたが、特徴的なほお骨とあの声を目の当たりにした瞬間、ひざが震えましたね(笑)。もともと彼女の音楽をずっと聞いていたというのもありますが、ご本人もあれだけ美しい人柄であることに感動しました。カルダンとのエピソードも印象深いものばかりでした。トッド監督あと、東京で会った高田賢三さんも、ディープで美しい声でお話されている姿が素敵でしたね。次に密着してみたいと思うセレブとは?―そんな個性豊かな方々と会われるなかで、次に密着してみたいと思った方はいませんでしたか?トッド監督それはいい考えですね。たとえば森英恵さんや高田賢三さん、シャロン・ストーン、ジャン=ポール・ゴルチエなどおもしろいストーリーを持っているんじゃないかなと。ちなみに、周りから撮ってほしいと言われているのは、ナオミ・キャンベル。ぜひ挑戦してみたいです。デビッド監督そうだね。今回はカルダンの映画ということだけで、みなさんが出演してくださったので、本当に興味深い方々とお会いすることができました。でも、そのなかで一番おもしろい題材になりそうなのは、カルダンの世界的コレクターである日本人のマダム・ヨリさんとヨシオ・ハットリさんじゃないかな。―劇中では日本に関するエピソードも数多く登場しましたが、日本にはどのくらい滞在されていたのですか?トッド監督撮影で行ったときが初めての日本でしたが、3~4日しかいられなかったので、また早く訪れたいと考えているところです。―そのなかでも、日本での思い出といえばなんですか?デビッド監督僕たちのプロデューサーがガイドしてくれて、戦後どんなふうに東京が再興したのかといったいろいろな話を聞かせてくれました。改めて興味深い街だと感じています。トッド監督あと、LA出身の僕らにとっては、もうアメリカにはないタワーレコードにまた足を踏み入れられたのは最高でしたね!そのとき買ったCDは、B’zとSOLEILというバンド、あとは以前作品のなかで楽曲を使わせてもらったこともあるガールズバンドのThe 5.6.7.8’sです。僕たちは彼らのファンでもあるんですよ。日本のストリートファッションは最高だと感じた―日本の音楽にもお詳しいんですね。では、日本のファッションについてはどう感じましたか?デビッド監督もっと滞在できていれば、いろいろと見ることができたんだけど、撮影中は朝起きたらすぐに取材場所まで車で行かなければいけなかったので、あまり見て回ることができなくて……。トッド監督そうなんです。ピエール・カルダンが入っているデパートやお店ばかりを訪れていたので、日本にいても基本的に見ていたのはピエール・カルダンだけ(笑)。ただ、劇中にも出てきた文化服装学院では、学生のみなさんのファッションを見ることができ、ストリートファッションは最高だなと思いました。―本作からはファッションの持つ力を改めて感じましたが、おふたりにとってファッションで大事にしていることは?デビッド監督ファッションとは、自己表現の手段。自分が誰であるかということを伝えるために使うものだと思います。トッド監督それはありますね。あとは、自分の好きなものを表現することで、周りとコミュニケーションを取ることもファッションではできると考えています。―最後に、ピエール・カルダンさんから学んだことを教えてください。デビッド監督彼は本当にインスピレーションを与えてくれる存在で、自分が好きなことをひとつひとつ形にしてきた方だと思います。「心から望むことを追いかけて、いろいろな挑戦をしなさい」と小さい頃から言われていたとしても、実現できる方はそんなに多くはないのが現実。でも、彼はそれを形にしているので、その生き方には刺激を受けました。トッド監督彼は98歳になってもいまだに仕事をされていて、すごく生き生きとしていらっしゃいます。そういう姿から学んだことは、「キャリアや語学など、新しいことにチャレンジするのはいくつになってもいいんだ」ということ。彼にインスパイアされたおかげで、僕たちの人生もより“カラフル”なものになったといまは感じています。常識にとらわれない生き方に胸が熱くなる!ファッション業界のみならず、時代をも変えてしまった“モード界の革命児”ピエール・カルダン。どんな状況でも、いくつになって、果敢に挑戦することを止めず、自身の夢を実現し続ける姿は、私たちの気持ちもポジティブに変えてくれるはず。いまなお誰にも負けない情熱を内に秘めたカルダンさんから、多くのことを学んでみて!ファッショナブルな予告編はこちら!作品情報『ライフ・イズ・カラフル! 未来をデザインする男 ピエール・カルダン』10月2日(金)Bunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国公開!配給:アルバトロス・フィルム©House of Cardin - The Ebersole Hughes Company
2020年10月01日大人の女性として内面を磨くために欠かせないものといえば、芸術に触れること。そこで、波乱な半生を経験した“現代美術界の巨匠”をモデルに描いたオススメの話題作をご紹介します。それは……。各国で絶賛の『ある画家の数奇な運命』【映画、ときどき私】 vol. 326ナチ政権下のドイツで、少年のクルトは叔⺟の影響を受け、芸術に親しむ⽇々を送っていた。ところが、精神のバランスを崩してしまった叔母は安楽死政策によって、命を奪われてしまう。終戦を迎えると、東ドイツの美術学校に進学したクルト。そこで出会ったエリーと恋に落ちるが、その父親こそがクルトの叔母を死に追いやった張本人だった。しかし、そんな残酷な運命に気づかないまま2人は結ばれる。そして、ベルリンの壁が築かれる直前、2人は西ドイツへと逃亡を試みることに……。本作で主人公のモデルとなっているのは、オークションで数⼗億円の価格がつくことで知られ、2012年には生存する画家としては最高金額で落札されたアーティストのゲルハルト・リヒター。そこで、こちらの方にお話をうかがいました。フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク監督2007年には『善き⼈のためのソナタ』でアカデミー賞外国語映画賞を受賞したドナースマルク監督(写真・右)。13年振りに祖国ドイツを舞台に描いた最新作では、激動の時代を背景に、歴史の闇と芸術の光に迫っています。今回は、作品完成までの道のりや監督が思う芸術の必要性ついて語っていただきました。―今回は、リヒターさんへ1か月にわたる取材を敢行したのち、制作に取り掛かったそうですが、取材のなかで感じたリヒターさんの印象を教えてください。監督確かにリヒターは、僕にとってインスピレーションの一部ではありました。ただ、僕が関心を持っていたのは、彼の芸術家としての本質。あらゆる成功者が抱いている野心や成功したいという強い動機は、彼のなかにもありましたが、そういう個人的な面に興味はありませんでした。あくまでも彼の芸術家としての“エッセンス”にフォーカスしたかったのです。―そういった思いは、俳優への演出面にも影響を与えましたか?監督そうですね。主演のトム・シリングから「身振り手ぶりは、リヒターのまねをしたほうがいいですか?」と聞かれたとき、「ものまねは必要ないよ。君は俳優なんだから自分自身でいてほしいし、僕が書いた脚本のなかのキャラクターを自分のなかに探してほしい」と伝えたほどでしたから。―なるほど。では、リヒターさんと過ごした時間のなかで思い出に残っているエピソードがあれば、教えてください。監督リヒターと出会って何週間か経ったとき、彼が子ども時代を過ごしたドイツのドレスデンという街に行こうと誘ってくれました。そのとき彼は「一緒にプライベートジェットで行かないか?」と言ってくれましたが、そういう部分は僕が作り上げたキャラクターのイメージとはまったく異なるものだったんですよね……。そういった思いから、その誘いを断った僕は冷たい電車に乗り、10時間もかけて自力でドレスデンまで行ったんですよ(笑)。人生の大事な瞬間にリヒターの作品と出会うこともあった―作品のためとはいえ、すごいですね。その後、リヒターさんは完成した作品に対して感想をお話されることはありましたか?監督実は、彼はまだ観ていません。でも、その理由はよくわかります。なぜなら、クルトは彼とは違うキャラクターであるとはいえ、自分の半生にあまりにも近く、しかも人生のトラウマ的な部分を大きなスクリーンで観ることは、つらかった時期をもう一度生き直すことであり、痛ましいことだと思いますから。もし、僕だったら同じように観たくないと思うでしょうね。なので、今回はできあがった脚本を僕が全部彼に読み上げました。その段階で、あまり観る気になれないとおっしゃっていたので、僕もそれはすごく理解できますとお答えしたほどです。―今回は、取材で知った内容を必要に応じて使うのは自由だけれど、映画のなかで何が真実かは明かさないという約束をリヒターさんとされたそうですね。その制限のなかで難しさを感じることはなかったですか?監督実はその制限は、僕から提案したアイディアだったんですよ。というのも、そういった制限を設けることで彼が安心して話をしてくれるのではないかと考えたからです。「これはフィクションになるんだから」と思えば、話しやすくなりますよね。―見事な交渉術ですね。ちなみに、監督の人生において、重要な瞬間にリヒターさんの作品と出会うことも多かったそうですが、そのなかでも忘れられない出来事といえば?監督私の初長編作品である『善き人のためのソナタ』を作る際、当時すでに有名だったウルリッヒ・ミューエに主演をお願いしに行く機会がありました。彼は脚本を気に入ってくれてはいましたが、気がかりだったのは、僕が初監督であるということ。やはり初めての監督を信頼するのは、俳優にとってもリスクのあることですからね。そういったこともあり、彼は2回ほど僕を自宅に呼んで、インタビューをしたのです。僕にとっては、彼が引き受けてくれないとこの映画が作れないというプレッシャーがあったので、非常にストレスのかかる状況でした。そのとき、リビングのソファに腰を掛けていた彼の真後ろにあったのが、リヒターの有名な作品のプリントだったのです。純粋な芸術とは“魂の表現”のこと―その作品から何か得るものがあったのでしょうか?監督ウルリッヒが芸術に関するアーティスティックな質問を僕にしているとき、ずっと目に入っていたのはリヒターの娘が顔を後ろに向けている姿を描いた絵。いまでもそのときのイメージははっきりと残っていますが、おそらくウルリッヒにとってリヒターの絵というのは、彼の芸術における参考基準となっているのだと感じたので、それを受けて質問の答えを言いました。そういった出来事がひとつの例ですね。―劇中では、芸術に対する印象的なセリフがいくつか見られましたが、この作品と向き合うなかで監督が「芸術とは何か?」について改めて考えたこともあったのでは?監督それはとても大きな問題ですが、僕が常に考えているのは、「まったく異なる表現形態の芸術のなかにある共通点は何か」ということです。たとえば、何かのアート作品を見た人がいたとして、素晴らしい芸術なら、それをきっかけにその人の世界に対する見方を変える力があるはず。それがどんな芸術にも共通していることではないかなと感じています。ただ、プロパガンダ絵画のように、芸術に目的を持ってしまうのはちょっと違うんじゃないかなというのが僕の意見。純粋な芸術というのは、魂の表現なので、見る人の感覚や心に訴えかけるものがあると思っています。そしてまた、芸術には人々を結びつける力があるのです。―具体的には、どのようなことでしょうか?監督たとえば、哲学的な疑問としてよくあるのは、「どうして自分の周りにいる人がロボットではないとわかるのか?」というもの。それをどうやって証明できるかの答えのひとつが芸術にはあると思っています。自分が深いところで感じたものを表現したとき、相手も自分と同じように感じることがありますが、それによってお互いを理解することができるのです。そういったものが純粋な芸術には存在するのだと、今回の作品で考えさせられました。この作品が人々の助けとなることを願っている―コロナ禍でドイツ政府は「芸術やアーティストは生命維持に必要不可欠な存在」として大規模な支援をし、日本でも注目を集めました。こういった状況下で、なぜ私たちには芸術が必要なのだとお考えですか?監督経済的な問題で社会が弱くなっているときやいろいろな葛藤が生まれている危機の時代こそ、芸術が大切だと僕は思っています。それゆえに、芸術に対する支援は増やされるべきであって、決して減らされるべきではありません。特に、コロナが原因でほかの人と接触する機会が減り、1人で過ごす人が増えているなかで、「いったい自分の価値とは何なのか?」「自分は何を感じて生きているのか?」といった問いと向き合う時間も増えていますよね。そんなときに、芸術はその助けになると思っています。そういったこともあり、この作品もいまの時代によりインパクトを持って受け入れられたらいいなと。なぜなら、本作は一人の人間が自分自身を発見する物語でもあるので、同じことに直面している人々の助けになればと願っているからです。―最後に、監督が映画や芸術を通して続けていきたいことはありますか?監督僕が映画を作るときに優先しているのは、まずストーリー。たとえば、何年も寝ても覚めてもずっと考えられるようなストーリーなら、映画にしてもいいのかなと思っています。というのも、僕にとっての悪夢は、おもしろいと思って作り始めた作品だったのに、途中で自分がその物語に飽きてしまうこと。自動的に作業しなければいけなくなるような状況は最悪ですからね。それくらい自分を魅了し続けるストーリーを探すことが大切だと思っています。おそらくそういった物語は僕の核心を突くものであり、ある意味で“自画像”のようでもあると思いますが、それは事前に意図したものではありません。できあがった作品を観てはじめて、無意識のうちに意識していたことに気がつき、自分自身が見えてくるものなのです。深い感動を味わい、余韻に浸る!時代と運命に翻弄されながらも、苦しみのなかから希望を見出した主人公を描いた本作。その姿に心を揺さぶられるとともに、芸術の持つ力強さを感じるはず。脳裏に焼き付く圧倒的なシーンの数々を放つ世界観に、身を委ねてみては?真に迫る予告編はこちら!作品情報『ある画家の数奇な運命』10月2日(金)より、TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー配給:キノフィルムズ・木下グループ©2018 PERGAMON FILM GMBH & CO. KG / WIEDEMANN & BERG FILM GMBH & CO. KG
2020年10月01日夏が終わるとどこか寂しいものですが、そんな気持ちを一気に吹き飛ばしてくれること間違いなしの話題作『トロールズ ミュージックパワー』がまもなく公開を迎えます。そこで、本作の見どころなどについて、こちらの方にお話をうかがいました。写真・大内香織(ウエンツ瑛士)日本語吹き替えを務めたウエンツ瑛士さん!【映画、ときどき私】 vol. 325ウエンツさんが演じたのは、トロール王国のポップ村に暮らす女王のポピーに密かに想いを寄せる親友のブランチ。楽天的で猪突猛進のポピーと対照的に、内気で生真面目なブランチを見事に表現しています。今回は、本作の魅力や自身の経験から学んだことなどについて、語っていただきました。―まずは、ブランチというキャラクターを演じるうえで、どのようなことを意識されましたか?ウエンツさんオリジナルの声を演じているジャスティン・ティンバーレイクさんと僕とでは、もともと声質も声の響き方も違うので、真似しようというのはありませんでした。それよりも、すでに吹き替えが終わっていたポピー役の上白石萌音ちゃんの声との掛け合いのほうを重視して演じようという気持ちが強かったです。―突っ走ってしまうタイプのポピーと慎重派なブランチですが、ご自身に近いのはどちらですか?ウエンツさんブランチのほうが近いかなと思います。ポピーみたいに思い立ったらすぐにするとかはあまりなくて、どちらかというと各所にご迷惑をかけないように…という感じですね(笑)。ただ、あまりにも周りを優先しなきゃと思い込んでしまうと、自分のなかにわだかまりが生まれたり、「本当に自分が幸せを感じられているのか?」と考えてしまったりするので、そこはバランスが大事ですし、つねに自分自身を分析しながら行動するようにしています。そのせいか、自分にはないような部分を持っている人には憧れますね。人と話していくなかで気づかされることが多くなった―ということは、ポピーのような真逆の女性のほうが気になりますか?ウエンツさんそこまで意識したことはないですが、そういう女性を見ると、「僕はわかっているからいいけど、知らない人から見ると自分勝手に見える場合もあるから、周りから誤解されなければいいな」と余計なお世話で勝手に心配してしまう感じですね(笑)。―意外と心配性なんですね。ウエンツさんそうなんですよ。性格上、最悪なことを最初に考えてしまうところはありますね。とはいえ、ずっと心配事ばかりを考えているのはキツイですし、いまはそこを突き破れるようになってきているんじゃないかなとは思っています。―ロンドンから帰国されて半年ほどが経ちましたが、留学前と後で自分が変わったと感じる部分はありますか?ウエンツさん帰ってきてすぐは人と話していても、自分が意図した通りに受け取ってもらえなかったり、そんなつもりはなくてもネガティブにとらえられてしまったりすることはありました。でも、人と話していくなかで新たに気づかされることも多いので、どこが変わったかとかどう成長したのかとか、自分ではわからないですけど、いまはそれをひとつずつ情報として自分のなかに入れているような感じですね。理解できないことも相手を好きな気持ちで包み込みたい―本作では、他者との違いを受け入れることや多様性の大切さも描かれていますが、海外生活のなかでそういったことを実感することも多かったのではないでしょうか?ウエンツさんありましたね。たとえば、「自分の知らないことに出会ったときに怖がらない」というのはすごく大事だなと思いました。特に、イギリスでは文化も宗教も知らないことだらけでしたし、初めて出会うような方々も多かったですから。自分が理解できないことはなかなか受け入れられなかったりしがちですが、そこで怖がったり拒否したりしないだけでも物事が回っていくことはたくさんあるんだなというのを知りました。たとえば、大好きな人だとしても理解できないところってありますよね?でも、それも相手を好きだという気持ちで包み込むことができるようになれたらいいなと思っています。―実際に、文化などの違いに驚かされたことがあれば、教えてください。ウエンツさん友達とご飯を食べに行くだけでも、そのなかにどういう宗教の人がいるかによって、食べれるものと食べられないものを細かく注意しないといけないですが、日本にいるときはアレルギーのことくらいは頭にあってもそこまで考えることはなかったですよね。そういったことにも驚きましたが、同時にイギリスにはそれに対する選択肢がたくさんあるので、そういうところもすごいなと感じました。―さまざまな経験を通して、それぞれの国の良いところも悪いところも見えてきたのではないでしょうか?ウエンツさん「ここを変えていったほうがもっと楽に生きられるんじゃないかな」みたいなことは、どちらの国に対しても思うことはありますね。これからもいろいろなことを知っていくなかで自分の考え方も広がっていくはずなので、何に対しても「これがすべてだ」と考えないようにしようとは思っています。率先して前に進めるような自分でありたい―なるほど。それでは、今後挑戦したいことについても教えてください。ウエンツさんせっかく1年半という時間をかけていろいろなものを勉強することができたので、そこから繋がっていくようなお仕事をもっとさせていただきたいですね。あと、いまは閉塞感を抱いている状況に追い込まれていて、心配から新たな一歩を踏み出せない自分がいますが、ここから解き放たれたときに率先して前に進めるような自分になりたいなとは思っています。―大事なことですね。それとこの作品のもうひとつの見どころとしては、さまざまなジャンルの音楽ですが、最近ハマっている音楽はありますか?ウエンツさんほとんどミュージカルのアルバムしか聴いていないかもしれないですね。それから、最近は次の舞台のためにクラシックをけっこう聴いています。―音楽を聴くときも、仕事に関係する曲が多いですか?ウエンツさんそうなりますね。ただ、自分が知らない音楽と新しい出会いができる場合もあるので、仕事のためではありますが、ポジティブに楽しく捉えています。あと、僕は散歩がすごく好きなので、最初の5分だけ曲を聴いたら、そのあとはイヤホンを外して、街の音を聴いたりしますね。街の中に溢れている音とか、木が生い茂ってる公園のなかで感じる自然の音とか、そういうのを聴くのも好きなんです。忘れられない思い出の一曲とは?―素敵ですね。ちなみに、忘れられない一曲があれば、教えてください。ウエンツさんどうしても自分が歌ってる曲ばっかりが出てきちゃうんですけど、それ以外で最初に思い浮かんだのは、とんねるずさんの「ガラガラヘビがやってくる」ですね。―この曲にはどんな思い出があるんですか?ウエンツさん小学校低学年のときのお遊戯会で流れていた曲なんですけど、あの曲を聴くと、そのときにやった腕相撲大会で負けた自分を俯瞰で見ている映像が頭のなかに出てきちゃうんですよ……。相手と体格の差が如実に現れていて1ミリも勝てる感じじゃなくて、遊ばれていたんですけど、悔しかった気持ちが一気によみがえります(笑)。―闘志が湧く一曲と言えそうですね。それでは最後に、メッセージをお願いします!ウエンツさんオリジナルの曲も素敵ですけど、僕にとっては80年代や90年代の音楽が懐かしくて、「やっぱり超いい音楽だよなぁ」というのがあるので、ぜひみなさんもノリながら観てほしいですね。あとは、いろいろなメッセージもたくさん映画からもらえると思うので、そのあたりも含めて楽しんでいただきたいと思います。インタビューを終えてみて……。とっても気さくで優しさにあふれているウエンツさん。ロンドンでさまざまな経験を重ねたことによって、ますます大人の色気も出てきたように感じました。劇中での磨きのかかった歌声にも大注目です!歌あり、ダンスあり、友情ありの三拍子!ポップに始まり、テクノ、クラシック、カントリー、ファンク、ロックなど、バラエティに富んだ音楽の魅力が一度に味わえる本作。キュートなキャラクターたちから元気をもらい、ハッピーな気分に満たされてみては?ストーリー歌って踊ってハグをして、ポップ村のトロールたちは毎日ハッピーに暮らしていた。そんなある日、女王ポピーのもとに、ハードロック族の女王バーブからの手紙が届く。ポピーたちは、この世界に別の音楽を楽しむ仲間たちがいることに大興奮。個性豊かな村が集まる1つの王国だったことを知ることに。ポピーと親友のブランチたちは期待を胸に旅に出るが、それはすべての音楽を奪い、トロール王国をロックで支配しようとするバーブのワナだった。世界中のハッピーを取り戻すため、壮大なアドベンチャーが始まろうとしていた……。ワクワクする予告編はこちら!作品情報『トロールズ ミュージックパワー』10月2日(金)より、TOHOシネマズ 日比谷ほかにて全国ロードショー配給:東宝東和、ギャガA UNIVERSAL PICTURE ©2020 DREAMWORKS ANIMATION LLC.ALL RIGHTS RESERVED.スタイリスト:伊達めぐみ(UM)ヘアメイク:輝・ナディア(Three PEACE)ジャケット ¥48,000パンツ ¥34,000(以上EZUMI/RI Desigh電話03-6447-1264)その他スタイリスト私物
2020年09月30日連載第156回目は、梅肉でさっぱりといただける簡単小鉢です。鶏ささみ肉を使ってあっという間にできるので、夕食の小鉢として、またはお酒のおつまみとして作ってみてはいかがでしょうか!『鶏肉とキュウリの梅肉和え』【旬を味わう 美人レシピ】vol. 156旬食材は、ミョウガ!薬味として食卓に登場するミョウガは、ショウガ科の香味野菜で旬は6月~10月です。夏に旬を迎える夏ミョウガと秋に旬を迎える秋ミョウガがあります。秋ミョウガのほうが色、香りともに良く、粒も大きいのが特徴的です。ミョウガは独特のさわやかな香りであるアルファピネンという成分に血行促進や発汗作用があります。ストレス緩和やリラックス効果も期待できます!また、爽やかな香りで夏場の食欲不振にも効果的です。ほかにもカリウムが含まれており、血行促進効果や発汗作用があり、女性には嬉しいですね。薬味として活躍するミョウガ!ぜひ旬の時期に、料理のアクセントとして取り入れてみてはいかがでしょうか。材料はこちら!【材料(二人分)】キュウリ:1本塩:少々鶏ささみ肉:2本(100g程度)酒:小さじ1塩:ふたつまみミョウガ:2本梅干し:小4個ゴマ油:小さじ1きび砂糖:ふたつまみまず、下準備を始めます。~その1:野菜を切ります。キュウリは4㎝幅に切り分け、縦に4等分にします。ミョウガは千切りにします。梅干しは種から外し、包丁でたたき細かくします。では、作ります!鶏ささみ肉に火を通します。熱湯に酒と筋を除いた鶏ささみ肉を加え、ふたをして10分ほど蒸らします。火にかけず熱湯で蒸らすことでささみがパサパサにならず柔らかく仕上がります。蒸らし終えたら、手でほぐします。蒸らし終えたら、手でほぐし、塩をまぶします。キュウリに塩をまぶします。キュウリに塩をまぶし、手でもみます。しんなりとしてきたら水気を切ります。ボウルに叩いた梅ときび砂糖、ゴマ油を加え混ぜます。ボウルに叩いた梅ときび砂糖、ゴマ油を加え混ぜます。鶏ささみ肉とキュウリ、ミョウガを加えます。鶏ささみ肉と水気を切ったキュウリ、ミョウガを加えます。さっと混ぜ合わせます。さっと混ぜ合わせ、器に盛り付けます。おいしさのアレンジポイントミョウガの代わりに大葉を使用しても美味しいですよ
2020年09月29日秋の深まりとともに、“芸術の秋”への意識も徐々に高まるところ。そこで、そんな気分にぴったりの注目作をご紹介します。それは……。時代を超えて描かれる感動作『イサドラの子どもたち』【映画、ときどき私】 vol. 324“モダンダンスの始祖”として知られるイサドラ・ダンカンは、20世紀初頭に舞踊の世界で革命を起こしていた。その後、2人の子どもたちを事故で亡くすという悲劇に見舞われ、痛みに苦しむなかでソロダンス「母」を創り上げる。それからおよそ100年が経った現代で、ソロダンス「母」と向き合っていたのは、振付師のアガト、障害を抱える若きダンサーのマノンと振付師のマリカ、舞台を鑑賞している高齢女性のエルザ。年齢も国籍も異なる4人の女性たちによって、ソロダンス「母」が新たに綴られようとしていた……。劇中では、ソロダンス「母」をきっかけに生まれた3つの物語を中心に描かれていますが、今回は作品が完成するまでの過程についてこちらの方にお話いただきました。ダミアン・マニヴェル監督“フランスの俊英”と呼ばれ、2019年には本作でロカルノ国際映画祭の最優秀監督賞受賞したマニヴェル監督。コンテンポラリー・ダンサーとしても活躍していた監督ならではの視点や今後について語ってもらいました。―監督自身がダンサーであったこともあり、以前からイサドラ・ダンカンには興味を持たれていたのでしょうか?監督もちろん、イサドラのことは昔からよく知っていましたが、だからといって彼女の映画を撮りたいという思いが最初からあったわけではありません。出発点となったのは、映画監督として「ダンスの映画を撮りたい」と考えていたときに、振付師の女性からイサドラのソロダンス「母」という舞踊があることを教えてもらったこと。それが今回の作品につながりました。―この作品を通してイサドラへの印象も大きく変わりましたか?監督そうですね。僕が彼女に抱いていたイメージはステレオタイプなものでしたが、リサーチを重ねていくうえで気がついたのは、イサドラというのはとても脆弱なところがあって、極端なまでに感受性の強い人だということでした。なぜなら彼女は数々の悲劇を経験するものの、そういったものも芸術的な創作の原動力にしているということがわかったから。そうやって彼女の足跡をたどる過程で新たな一面や考え方を発見しましたが、それらを“翻訳”して映像にしたのがこの作品です。ユニバーサルで普遍的な感情が内包されている―ダンスを題材にした作品ということで、ご自身も出たいという欲求にかられることはなかったですか?監督準備期間に少しだけ踊ることはありましたが、出たいというのはなかったですね。というのも、僕は俳優やいろんな人々を観察し、撮るほうが好きですから。ただ、もし僕が心から敬愛する映画監督から、「映画に出ないか?」とお誘いがあったら、「出ます!」っていうかもしれないですね。でも、ダンサー役はあり得ない、もうずっと踊ってないもの。実は、僕はダンサーとしてはもう長いこと踊ってはいないんです。でも、もしいまでもダンサーを続けていたらきっとダンスについての映画は撮らなかったでしょうね。どこかでダンスが恋しいという気持ちがあるから撮りたかったんだと思いますし、ダンスが自分の映画を豊かにしてくれることもわかっています。―今回はイサドラを題材にした作品ではありますが、3部構成で4人の女性たちが中心に映し出されています。このような形式にしようと思ったのはなぜですか?監督最初は1つ目のストーリーの主人公であるアガトだけに焦点を当てようと思っていたんですが、徐々に年代も身体も背負っている過去も異なるさまざまな女性たちに演じてもらいたいと思うようになりました。なぜなら、ソロダンス「母」には、ユニバーサルで普遍的な感情が内包されていて、みんなを感動させるものがあると気がついたからです。僕にとっては、このソロダンスが主人公でもありますが、100年の歴史に込められている“遺産”を解読し、映画にして観客に届けるべきだと思いました。現場で新しいアイディアをどんどん入れている―劇中の女性たちはストーリーを組み立てたあとにキャスティングしたのか、それとも彼女たちとの出会いが脚本に影響を与えたのでしょうか?監督その両方ですね。というのも、僕はオーディションなどでキャスティングするのは好きではないので、出演者を決めるときは自分が知っている人のなかから選ぶことが多いんです。なので、今回はソロダンスを題材とすると決めたあとに、この作品を誰と撮りたいか、ということを考えました。アガトとはパリで出会ったときから仕事したいなと思っていましたし、マリカは10年ほど前にダンサーとして一緒に踊ったことがあって、また仕事をしたいと思っていたときに今回のチャンスが訪れた感じですね。マノンはアヴィニョンの演劇祭で彼女のパフォーマンスを見たときから、考えていた1人。そして、エルザも2011年の『犬を連れた女』で仕事をしましたが、またいいタイミングが来たと感じたので起用しました。―彼女たちの動きや会話は、俳優たちのアドリブに委ねた部分も多かったのでしょうか?監督僕の作品は、いつもフィクションとアドリブがミックスされていることが多いですね。実在する人からインスパイアされて人物像を築き上げていくのが好きなんです。この作品の脚本はたった30ページほどしかなかったので、セリフは全然書かれていません。それだけ余白の部分が多いので、現場で新しいアイディアをどんどん追加できるようにしています。僕が監督として楽しみにしていることは、撮影中に僕自身を驚かせてくれるような出来事と出会えることなんですよ。観客が深いところで感動しているのがわかった―では、今回の現場で監督が驚いたこととは?監督毎日いっぱいありましたが、そのなかでも感動したのは、タイプの違う4人の女性たちが、同じ題材を通して、それぞれに異なるエモーションを届けてくれたこと。僕は完璧なダンスやすでに完成されたものには興味がありません。大事にしたのは、誰もが自分のなかにクリエイティビティを持っているんだということ。僕はいつでも俳優たちにとって最初の観客という思いで見ていますが、そのなかで彼女たちは僕に感動を与えてくれました。実際、作品を観てくださった方々のお話を聞いても、表面的な感動ではなく、深いところで感動してもらえていることがわかりました。そういう瞬間が映画監督として作品を提示することの喜びでもあるんですよね。―そのなかでロカルノ映画祭最優秀監督賞を受賞したことも、大きなモチベーションとなったのではないでしょうか?監督そうですね。自分のことだけでなく、作品に参加してくれたすべての方と自分のチームに対してもすごく誇りに思いました。と同時に、これからも作品を作ってもいいんだと励まされましたね。―では、次に興味のある題材はどんなことですか?監督実は、少し前に新作の長編を撮り終えたばかりなんです。今回題材となったのは、イエス・キリストの弟子でもあるマグダラのマリア。彼女が過ごした最後の日について語った作品で、『イサドラの子どもたち』に出演したエルザが主演を務めています。本作のラストシーンを撮っているときに、彼女と一緒にマグダラのマリアについての作品を撮りたいと考えていたんですよ。この作品が心に届くことを願っている―この作品も、そういった形で次へと繋がっているんですね。五十嵐耕平監督との共同制作による『泳ぎすぎた夜』では日本で撮影されたこともありますが、また日本でも撮りたいお気持ちもありますか?監督日本でも3年以内にもう一度撮りたいと考えています。アイディアはたくさんあるので、まだ絞れていなくて……。でも、最近はホラーに興味を持っています。―イサドラ・ダンカンからマグダラのマリアときて、次はホラーとはすごいふり幅ですね。では、映画監督として作品を通して観客に伝えたい思いはありますか?監督僕の場合、メッセージを伝えたいというよりも、観客に問いかけをして、みなさんのなかに感動を呼び起こしたいという思いのほうが強いんです。僕がいままで撮ってきた作品は、実在の人物のポートレートのようなものなので、たとえるなら僕は絵を通して感動を与える画家みたい感覚ですね。―最後に、日本の観客へのメッセージをお願いします。監督まずは日本で公開できることをとてもうれしく思っていますし、この作品が日本の観客の方々の心に届くことを願っています。イサドラの魂と皆さんが出会うきっかけにこの映画がなれば、とてもうれしいです。魂と魂がゆっくりと呼応していく!喪失を経験し、苦しみながらも再生していく人々の姿を映し出した本作。普遍的なテーマと向き合うなかで、言葉では表現できない深い感動を味わってみては?静かに胸を打つ予告編はこちら!作品情報『イサドラの子どもたち』9月26日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開配給:コピアポア・フィルム
2020年09月25日現在ベルリン在住のファッションジャーナリスト、平野秀美さんのレポートです。今回はファッション業界で引っ張りだこのインフルエンサー5人をピックアップ!彼女たちは今までのモデルのように高長身ではないところが、より多くのファンの共感を呼んでいるようです。2.5Mフォロワー!ファッション界に外せないインフルエンサー Caroline Daurドイツ出身のキャロラインは、「3か月フィットネスプログラム」というビジネスを立ち上げるほど、カラダ作りを意識してボディを絞っています。そんな彼女、腹筋もすごいのですが、実はとっても華奢で小柄。実際会ってお話すると、ありのままの姿を見せてくれます。モデルのように完璧なボディとかわいいフェイスは今も健在。気取らない彼女の性格はファッションにも表れていて、彼女自身の小柄なスタイルを上手に生かせるよう、高すぎないピンヒールを履いたり、オーバーサイズを取り入れないなど、ファッションにもありのままの姿を映し出しているかのようです。彼女のファッションはクールビューティがメイン。かっちりとしたきれい目スタイルがとってもお似合い!またヒールパンプスもかなり愛用しているようです。インスタグラム@carodaurスタイリスト兼ファッションインフルエンサー Emili Sindlevとってもチャーミングで笑顔が素敵なエミリーは、コペンハーゲンをベースに活動する、インスタグラムでも人気のインフルエンサー。彼女も比較的小柄で、ミニスカートやショートパンツ、ピンヒールが定番スタイル。また、必ずと言っていいほど、どこかにショッキングカラーを取り入れたとってもカラフルなファッションが上手です。その色使いとショート丈のボトムスを上手に使いこなし、スタイリッシュに見せています。加えて、色を上手に使うと、目がそこに奪われるため、脚を長く見せるには脚下にポイントカラーを持ってきたりするのもポイント。彼女はそれほど背が高くはないけれど、ショートスカートでキレイな脚を見せることで、彼女らしいスタイルを活かしています。インスタグラム@emilisindlevあどけなさがかわいいReese Blutstein彼女らしく個性的な感性を活かした色やファッションを用いたスタイルは、多くの20代女性から共感を呼んでいます。厚底ブーツやしっかりとしたヒールを愛用していることが多いです。また、腰の位置が上に見えるハイウエストズボンなどを上手に着こなしているのも、身長が高く見える理由です。パンツスタイルの時は、厚底シューズで存在感が増しています。インスタグラム@double3xposure上品でボーイッシュな雰囲気が似合う YOYO CAOグッチやディオール、シャネルのコマーシャルでも引っ張りだこの彼女。普段見せてくれるファッションは、比較的クールで素材を上手に活かしたなスタイルが多いです。身長は160センチ台で、日本人にとっても大きすぎない背丈なので、彼女のファッションは背の高いモデルさんと違って、とても参考になりまねできそう。体型がくっきり見えるスタイルよりも、小物や素材を上手に生かすことで、バランスよくモデルのような印象を与えてくれます。インスタグラム@yoyokulalaビジネスウーマンでありインフルエンサーのBlanca Miro Scrimieriなかなかまねできないような個性的でカラフルなスタイルが彼女らしい!厚底の靴をよく愛用しているのを見かけます。そんな彼女も高身長ではないですが、すらりと見えるコツは、柄やロングワンピースに上手にヒールシューズを合わせているから。前で紹介したエミリーとは対照的に、彼女は基本的にマキシワンピースやロングスカートがお好きな様子。ロングの時は、彼女を参考に!ボーイッシュな雰囲気もありながらもフェミニンな印象を与えてくれる、ブランカファッションは、多くのファッション業界人にも人気です。インスタグラム@blancamiro今回ご紹介した大人気インフルエンサー5人は、身長が150cm~160cm台のため、本当に役に立つ&参考になる着こなし方を見せてくれます。一般のモデルのような身長でもないけど、世界中のファッショニスタも注目する彼女たちのファッションは、どんな身長でもファッションモデルのように見せることができるというお手本のようです。ぜひ彼女たちのインスタグラムも覗いてみてください。
2020年09月24日1児のママでもあるライター・かわむらあみりがお届けするコラム【ママライフばんざい!】連載第20回は、もしかしてモラハラかなと思うような夫の言動があったママの声から、関係悪化を防ぐためのコツを3つご紹介します。1. 夫の小言は華麗にスルー【ママライフばんざい!】vol. 20コロナ禍の現在、仕事がテレワークに切り替わった方もいるでしょう。そうなると、以前よりも夫婦で過ごす時間が長くなり、よりお互いのことを知る時間も増えているはず。そんなときに、「もしかしてモラルハラスメントかも」と思うような相手の言動があったとき、関係悪化を防ぐためのコツを3つお届けします。相手が「夫」でなく、「彼氏」におきかえても、同じように使えるコツかもしれませんよ。共働きをしていてお子さんがいる30代半ばのAさんは、仕事に家事に毎日大忙し。同年代の夫はというと、たまに少しだけ家事を手伝う程度でしたが、大変そうなAさんのことを気にかけてはいる様子だったそう。ですが、だんだんとお子さんのことに意識が向くAさんに、嫌味を言うようになります。疲れ果てて休日の朝にAさんが起きられないときに、「あれ?洗濯まだしてないの」と催促したり、「最近部屋が片付いてないんだけど」と掃除を促したり。自分でやれば、と思うAさんですが、言い返すと倍になっていろいろと言ってくる夫の性格がわかっているのでそうなるとよけい面倒なため、疲れた体に鞭を打ってなんとか家事をすることも。しかし、あるとき、あまりに疲れ果てていて、夫が話してくる内容がほとんど頭に入ってこないときがあったのだとか。そこからわかったのが、適当に相槌を打って夫の話が終わるのを待てば、“とりあえず言いたいことを話した”という満足感からか、夫はスーッとおとなしくなるのです。モラハラかと思うような言動があっても、そこでいちいちビクビクしたり、言い返したりしないで“スルースキル”を身につけると、それ以上はしつこく言ってこないことがわかり、それ以来は華麗に夫の小言をスルーするAさん。耐えているわけではなく、相手にしないスタイルでいくと、ストレスもたまらないのだとか。確かに、ふっかけてくる相手と同じ目線になるともめやすいので、うまくかわすことができればいいかもしれませんね。但し、このやり方は、言えばスッキリする自己完結型の夫にはいいですが、なかにはスルーにキレる夫もいるのでご注意を。また、Aさんが負担過多であることに変わりはありません。家事分担など、根本的な解決を求めるのであれば、お互いが冷静な時に気持ちを伝え、じっくり話し合うのがよさそうです。2. 高いプライドを満足させるアラフォーのBさんは、バリバリ働いていましたが、結婚を機に退職。エリートサラリーマンの年上の夫と二人暮らしです。結婚当初は、恋人時代と変わらずに、記念日があるたびに高価なプレゼントを贈ってくれたり、おいしいと評判のレストランに連れていってもらったりしていたのだとか。ですが、だんだんと夫は仕事のグチをBさんに言うようになります。もちろん、がんばって働いてきているのですから、グチぐらいいくらでも言っていいと思っていたBさんですが、次第に「俺がこんなにがんばっているのにお前は家でのんびりして……」などと、八つ当たりのような言動が出てきたそう。最初は申し訳ない気持ちもあったBさんですが、働くことの大変さをわかっているからこそ、あるとき、夫がなぜそんなグチを言うようになったのかを冷静に考えました。思うに、仕事がうまくいかないモヤモヤを話せる相手がいないからぶつけてしまう、甘えてしまうんだろうと分析。そこで、夫の激しい言動が出てきたときは、「こんなに努力しているのに周りは見る目ないよね!」「やっぱりその考えはスゴイわ」などと、高いプライドを満足させるような言葉をあえて言うようにしたところ、夫の態度が落ち着いてきたのです。仕事のスランプ時期を脱したのか、夫も以前のように優しくなってきたのだとか。相手が口撃してくるときは、冷静に対処をするというのは、ポイントなのかなと思いました。とはいえこのケースは、たまたま仕事が落ち着いたことも大きいです。再び仕事が大変になった場合を考えると、また暴言を吐かれるかもしれません。穏やかないまのうちに、「あの時、あなたにあんなことを言われて、私はこういう気持ちになった。あなたも同じことを言われたらどう思う?」と自分の気持ちを正直に伝えると、夫なりに気づきを得られるかもしれません。夫の心に余裕がある時に諭し、このような事態を二度と繰り返さないようにしましょう。3. 我慢も限界になったら別離も考える30代前半のCさんは、もともとおとなしい性格で、女友達といるときも、自分から何かを提案するというようなことはありません。Cさんをグイグイと引っ張ってくれる、頼もしい夫がいて、相性は良さそうに見えていました。ただ、リーダーシップを取りがちな夫は、家庭での発言権も強く、だんだんとCさんに対して傲慢になっていきます。あるとき、Cさんが女友達と集まったときに、そんな家庭の様子を話すと、まわりからはブーイングの嵐。Cさん自身も、実は「ちょっともう限界かな」と思っていたそうで、まわりの励ましもあって、別れることも考え出すようになりました。すると、いつもと違ってきているCさんの様子に気づいた夫が、「なんかいつもと違う?」などと顔色をうかがうようになります。「別に」とそっけなく対応していたCさんは、少しずつ、本音が言えるようになり、結果として夫との関係も以前より回復しだしたのだとか。それもやはり、「別れることまで考えなかったら夫に冷たくならなかったかもしれない」と、最悪のパターンを想定したからこそ、本音が話せるようになったそうです。いずれにしても、自分にとってマイナスとなる相手や原因には、できるだけうまく対処していけるといいですよね。いろいろなものを乗り越えて、みなさんもすてきな日々を過ごしてください。©GeorgeRudy/Gettyimages©GeorgeRudy/Gettyimages©g-stockstudio/Gettyimages
2020年09月23日秋の夜長を感じ始める今日この頃。そんなときにオススメの映画は、闇夜を印象的に描いた注目作『鵞鳥湖(がちょうこ)の夜』です。そこで、昨年のカンヌ国際映画祭でも話題となった本作について、こちらの方にお話をうかがってきました。ヒロインを務めたグイ・ルンメイさん!【映画、ときどき私】 vol. 323台湾出身の女優ルンメイさんが本作で挑んだのは、水辺の娼婦とされる“水浴嬢”として生きる女アイアイ。報奨金を掛けられた警官殺しの逃亡犯チョウと出会ったことで、後戻りできない道へと突き進んでいく様子が描かれています。今回は、驚きの役作り方法や撮影の舞台裏について語っていただきました。―最初に、脚本を読んだときの印象はいかがでしたか?ルンメイさんディアオ・イーナン監督とご一緒したのは2度目となりましたが、彼の脚本は読むとその場面が頭のなかに出てくるようなところがあるんですよね。今回の脚本を読んだときには、熱くてジメジメしたような印象を受けました。―では、現場での監督の演出に関して、前作と違いを感じた部分もありましたか?ルンメイさんまず、前作と一番違うところはスケールの大きさ。私自身も出演シーンが多かったですが、登場する人物の数が増えていましたね。でも、監督はどういったものを撮りたいかというのがはっきり表現できる方で、本当に細かいところまで把握されていると感じました。ほかの監督と違うのは、自分の感情をきちんとコントロールできるところじゃないかなと思います。どんな困難な場面でも落ち着いて問題を解決してくれる監督です。キャラクターの二面性を意識して演じた―体当たりなシーンもありましたが、ご自身が演じた水浴嬢という役どころについては、どうお感じになったのかを教えてください。ルンメイさん私が演じたアイアイは、私たちが普段イメージするような典型的な風俗業界の女性とは違って、あまり風俗嬢っぽくない女性だと感じました。演じるうえで監督とも話し合ったのは、彼女の持つ二面性をどう出すか、ということ。その二面性とは、義理堅い面と風俗業界に属する女性が持つ特有の面ですが、最終的にはシンプルに表現することを一番大切に演じました。彼女がそういう性格のキャラクターだったからこそ、ラストシーンであのような決定を下し、“冒険”を受け入れることができたんだろうなと思っています。―なるほど。主人公のチョウを演じたフー・ゴーさんと共演されてみていかがでしたか?ルンメイさん彼はシンプルで無邪気な人。だからこそ、撮影中も無我夢中でキャラクターに近づくことができる俳優なんだなと感じました。あと、今回撮影していたとき、実は私はあまり体調がよくなかったのですが、彼はつねに私をサポートし、励ましてくれていたのです。それには本当に助けられました。それから、フー・ゴーさんは早くから撮影場所である武漢に入って、現地の方言を習ったり、体づくりに励んだりしていましたが、そんなふうに努力している人を見ると、私も負けずに努力しなければいけないという思いにさせられましたね。でも、そのおかげで現場のみんなが同じ方向を向いていることを実感できました。武漢は人間味と生活感があふれる場所だった―武漢での撮影で思い出に残っていることはありますか?ルンメイさんこれだけ長い時間武漢にいたのは今回が初めてでしたが、私もクランクインする前から武漢に向かい、アイアイが住んでいるという設定の部屋にも1週間ほど住んでみました。ほかの地域とは違う場所なので、普段とはまったく違う体験をすることができたと思います。私にとって武漢とは、人間味と生活感のあふれる場所。おじいさんとおばあさんがケンカをしていたり、みんなで麻雀をしていたり、制限のない自由で濃密な人間関係を目の当たりにすることができました。―そういったリアルな街の雰囲気は画面からも伝わってきましたが、特に夜のシーンが印象的でした。ルンメイさん私たち俳優は時差を調整するくらいでしたが、チームとしては夜の撮影というのは、時間が限られているのでかなりの挑戦でしたね。そこは大変だったと思います。―役作りのために、何か特別にされていたこともありますか?ルンメイさんこれは自分としてはおもしろい経験でしたが、アイアイの職業について知るために、私と同じく水浴嬢の役をしている女優さんと夜の公園に行ってみました。その公園は、一見普通に見えるけど実はストリートガールという女性がけっこうたくさんいる場所だったんです。そういう人たちがどうやってお客さんの相手をしているのかを遠くから眺めたり、自分も実際にそこで立ってみたりもしました(笑)。そのときに、水浴嬢の女性たちの動きや姿勢などを学ぶことができたと思います。光と影が生み出す美しい景色を楽しんでほしい―なかなか危ない役作りをされていたんですね……。では、撮影中の息抜きとして、楽しみにしていたことは?ルンメイさん暇ができたときには武漢の公園で、おじいちゃんやおばあさんと一緒に麻雀をしていました。最終的には、友達のように仲良くなってしまい、「また来たの?」と言われたり、「こういう手はよくないよ」とダメ出しされたりするまでの仲になりましたね(笑)。―ステキな思い出ですね。それでは最後に、観客に向けてメッセージをお願いします。ルンメイさんイーナン監督と組んだ前作とはまた違うキャラクターを監督と一緒に新しく作り上げました。ぜひ、劇場へ足を運んでいただき、このなかで描かれている光と影が生み出す美しい景色を楽しんでいただけたらうれしいです。インタビューを終えてみて……。クールビューティな印象とは違って、意外な一面を教えてくれたルンメイさん。危険な目に遭わなくて何よりでしたが、大胆な役作り方法には思わずびっくりしてしまいました。ぜひ、劇中でルンメイさんが放つ存在感に注目してみてください。危うい展開から目が離せない!闇夜のなかで絡み合うそれぞれの思いや孤独を描いた革新的ノワール・サスペンス。引き込まれるストーリー展開と印象的な映像美、そして中国ならではの独特な景色を存分に堪能してみては?ストーリー2012年、中国南部の鵞鳥湖周辺地域では、ギャングたちの縄張り争いが激化していた。そんななか、刑務所を出所した裏社会の男チョウは、対立する窃盗団との揉めごとに巻き込まれ、誤って警察を射殺してしまう。自らに掛けられた高額の報奨金を妻と息子に残そうと画策するチョウの前に妻の代理として現れたのは、水浴嬢として生きる女アイアイだった。警察と報奨金を狙う窃盗団とに行く手を阻まれた2人は、袋小路に迷い込んでいくことに……。心を乱す予告編はこちら!作品情報『鵞鳥湖の夜』9月25日(金)より、全国ロードショー配給:ブロードメディア・スタジオ©2019 HE LI CHEN GUANG INTERNATIONAL CULTURE MEDIA CO.,LTD.,GREEN RAY FILMS(SHANGHAI)CO.,LTD.,
2020年09月23日婚活で約1000人の男性と出会い、年下夫を射止めたライター・かわむらあみりがお届けするコラム【結婚引き寄せ隊】連載第50回は、婚活中に見聞きした、好みの男性に出会い即行動してうまくいった恋愛成就エピソードを3つご紹介します。1. じわじわ作戦でいく【結婚引き寄せ隊】vol. 50大なり小なり、いろいろな場面で異性と知り合う機会があるでしょう。でも、知り合った人のなかから、「この人いいな」と思うような心がときめく出会いは、そうそうあるものではありません。しかも、気になる男性がシングルだった場合、うかうかしているとほかの女性と仲良くなってしまう心配も。それに、告白するのは男性からと決まっているわけではありませんよね。そんなときは勇気を出して、女性からアプローチしていくことをおすすめします。30代前半のAさんの場合、まさに自分から恋をつかみにいき、うまくいきました。飲み会で好みの男性と知り合ったAさんは、連絡先を交換したその日から、数日おきに連絡。お互いに映画好きだという共通の趣味があったので、「あの映画レンタルされてるよ」「次はあの監督の作品がいいかも」といった具合に、短めのメッセージを送っていたのだそう。男性のほうも映画好きゆえに、おすすめの映画情報を交換し合うなど、一切ラブリーな雰囲気のない連絡だったものの、あるとき「じゃあ今度一緒に映画を観に行こう」という話に。それが初デートとなり、スムーズに距離が縮まり、付き合うことになりました。女性から行動する場合、加減がわからず、猛アタックしてしまう人もまれにいるようなのですが、それだとまだ距離感をつかめていない男性はドン引きする可能性も。一気に迫って一気に拒絶されるよりも、万が一縁のない相手だったとしても、適度な距離感を保ちながら押すほうが、ダメージは少なくて済むと考えたそう。じわじわ作戦を即実行し、恋愛成就したお話でした。2. いつも笑顔を心がける自分にとって、いいことがある日もあれば、悪いことがある日もある。だからいつも笑顔でいることなんてできないと思っていた、20代後半のBさん。職場の別の部署に好きな先輩ができてからは、気づくとその人のことを目で追っているという、思春期の少女のように恋する乙女と化していたそうです。そんなBさんは、Bさんなりに社内のネットワークをたどり、好きな先輩の情報を手に入れようと即行動。先輩の好みのタイプは、明るくて、いつもニコニコしているような女性だと判明。それを知ってからは、「いつも笑顔で」と心がけるようになったBさん。事情を知らないまわりの人からは、「なんかいいことあったの?」などと言われることもあったそうで、先輩好みになろうという努力が、結果的に職場の人たちにも好評。次第に“いつもニコニコしているBさん”として定着します。Bさんが先輩と社内ですれ違うときも、恥ずかしながらいつも笑顔で挨拶していました。ある日、先輩のほうから、「いつも笑顔がいいね!」と言われ、話す機会が増加。Bさんにとっては、好きな人と一緒にいるとなおさらニコニコしていて、ふたりでいると居心地の良さを感じた先輩も、次第にBさんが気になる存在に。そんなに時間がかからず、付き合うことになりました。3. 普段から身だしなみに気をつける職場の同年代の男性はすでに家庭を持つ人ばかりで、わずかにいる独身男性は年下女性ばかりを狙っていて、会社と家の往復ばかりだった30代半ばのCさんは、ため息まじりの日々を送っていました。ですが、このままではだめだと一念発起。Cさんは、女性誌を読んだりセミナーに参加したり恋愛中の女友達の話を聞いたりと、自分を高めて、出会いを探してみようと考えて即行動に移しました。それまでは「どうせ会社と家の往復しかしないし……」と手を抜いていたメイクやファッションを強化。ちょっと近所のコンビニに行くときも、身だしなみに気をつけていたそうです。あるとき、Cさんは職場の同期の男性から、「最近急にキレイになった気がする」と言われ、そんなCさんなら「お似合いの人がいるけど紹介しようか?」という話をされ、友人を紹介されたのだとか。それまでは「職場になんて恋愛につながるものは何もない」と思っていたCさんでしたが、身だしなみに気をつけるようになり、磨きのかかったCさんに、良い変化がもたらされました。紹介された男性とは、ゆっくりと愛を深め合っているようです。出会いを探していても、つい受け身になってしまうこともありますよね。ですが、それまではと少し違う、ちょっとの一歩を踏み出すだけで、待ち望んでいた結果が訪れることもあるかもしれませんよ。©Luis Alvarez/Gettyimages©Giuseppe Manfra/Gettyimages©Thomas Barwick/Gettyimages
2020年09月22日現在ベルリン在住のファッションジャーナリスト、平野秀美さんのレポートです。今回は家具と言えば北欧が人気ですが、実はファッションも北欧スタイルが人気急上昇。今回はファッションウィークでも一番大きく開催されるコペンハーゲンより、大人気のインフルエンサー2人をご紹介します。クリエイティブディレクターであり自身のブランドオーナーJeanette Madsen/ジャネット・マッセン比較的大人カジュアルを得意とするジャネット。こちらの写真はこれからの季節に参考になりそうなスタイル!秋口には薄手のロングコートにデニムが定番スタイルになりそう。またさすが北欧、胸もとが大胆にあいたニットを上手にいやらしくなく着こなしています。ロエベをカジュアルに着こなす!お気に入りのデニムスタイルにオーバーサイズのコート、印象が重くならないように、シューズやズボンはホワイト系や薄めカラーで統一しています。彼女の得意な上下セットカラースタイル!ちょっとしたイベントやパーティではかなりおすすめの、上下セットカラースタイル。決してお揃いではなくても、色が近いものを選ぶだけで、しっかりとまとまった印象に。彼女が好きなオリーブやブラウン系は、初心者にも合わせやすいのでおすすめ!こちらもセットで!全身ホワイト&クリーム系の上級者向け!先ほどのオリーブやブラウンは合わせやすいですが、こちらのホワイト系の上下セットはなかなか難しい!ジャネットのスタイルを見てみると、シューズやバッグ、トップスに真っ白を起用し、上下セットを少しクリーム系にすることで、全体がホワイト系であってもメリハリが出ていますよね。ただし、なかなか難しいカラーなので、着こなしには注意が必要そうです。スタイリストでありクリエイティブコンサルタントのThora Valdimars/ソーラ・ヴァルディマールジャネットと共に、常にファッションウィークで人気の2人。ジャネットがカジュアルテイストだとするとソーラはよりセクシーで個性的な着こなしを好むよう。今回は、一見シンプルに見えますが、目を引く真っ白なロンググローブが着こなしの中心!色のピックアップも抜群にセンスがいい。ロエベを彼女らしく着こなした透けスカートが目を奪うなかなか普段から着こなすのは難しそうですが、堂々と透け感あるスカートを着こなせちゃうあたり、さすがファッションインフルエンサー!また1つ1つのパーツがそれぞれ個性的なのに、全体的にうまくコーディネイトできちゃうのは、さすがスタイリストと思わざるを得ません。奇抜な豹柄にシースルーレインコート、もう全てが彼女流!この組み合わせに色の使い方、参考にしようとしても難しいかもしれません。これが彼女の個性でありスタイル。本来、ファッションとはそうであると思わせてくれます。自分らしく表現することを楽しんでいるようです。本日はコペンハーゲンで人気のファッションインフルエンサーをご紹介しました。参考になる点も多くあるので、ぜひオシャレのヒントを拾ってみてください。インスタグラムジャネット・マッセン@_jeanettemadsen_ソーラ・ヴァルディマール@thora_valdimars
2020年09月22日スマホに自分の好きなアートを自由にコレクションできたら、楽しいと思いませんか。そんな夢をかなえてくれるのが、美術鑑賞アプリ『PINTOR(ピントル)』。今回、その新サービス発表イベントに参加し、新しいアート体験のお話を聞いてきました!PINTOR(ピントル)って?PINTOR(ピントル)とは、約20万点という世界中のアート作品の中から好きな絵を探したり、スマホにコレクションしたり、自分の感想をシェアすることもできるインタラクティブな美術鑑賞アプリ。20万点という膨大すぎる数字なので、画家の名前も紹介しきれないのですが、中世の画家から印象派、ナビ派、ラファエル前派、ロスコも歌麿もバンクシーの作品までもありました。普段なかなか見られないような有名作品をスマホでゆっくり見ることができる、まさに“手のひらサイズの美術館”です。美術系日本一YouTuberとトーク!イベントでは、PINTOR代表取締役社長の高橋大地さんが登壇。高橋さんはお母さまが画家という家庭で育ち、昔からアートに興味があったそうです。「美術館で一方的にアートを見るだけ、という現在の美術鑑賞の状態をこわし、新しいアート鑑賞体験をつくりたい」とPINTOR創業の思いを語りました。また、PINTOR顧問で美術系YouTubeチャンネル日本一のYouTuberいとはるさんも登壇。西洋美術の解説動画をYouTubeに配信するほか、イベントでキュレーターもされているいとはるさんは、ユーザー目線でPINTORにアドバイスをしているとのこと。「美術は娯楽のひとつ」という思いから、若者にもアートを楽しめるような工夫をして活動されているそうです。そんなおふたりのトークセッションがはじまりました。日本の美術館はしーんとして…まず、なぜ高橋さんが美術鑑賞アプリをつくったのか、その経緯などを語りました。高橋さん美術館に行って絵を鑑賞したとき、感想を友達と話したりすることに楽しさを感じている人が多いですよね。そんな体験をシェアできるサービスが日本にも海外にもなかったので、つくりたいと思いました。PINTORは世界初の試みで、食べログのアート版みたいなものです。いとはるさんPINTORはレビューもシェアしあうこともできます。鑑賞体験を共有できる点がほかのアプリとは違います。それに、現代アーティストの作品が見られるのもいいですね。高橋さん日本の美術館はしーんとしていて静かにしなければならない雰囲気。特に今はコロナもあり、集団で行くことは難しいです。そんなときでも、PINTORならアートを発端に会話したり、ほかの人の意見を知ったり、音声コンテンツで学ぶこともできます。(※学習コンテンツは10月中旬リリース予定)この前、(上野で開かれている)ロンドン・ナショナル・ギャラリー展に行ったとき、PINTORに絵の感想を書きながら見たら充実感があったし、おもしろかった。こんなふうに、新しいアート鑑賞体験を楽しんでもらいたいですね。いとはるさん学生のとき、美術鑑賞の課外学習で、ワークシートに感想を書いたりしましたけど、それと近いところがあります。アウトプットの意識を持つだけで、自分で主体的に考えて見ようとしますよね。ぼーっと見るのと違い、作品の魅力を言語化するきっかけにもなります。トイレットペーパーから生き物!?続いて、アーティストの更科あかねさんが登壇。4歳ごろから絵を描いていたという更科さんは、陶芸家のお父さまから「勉強すると自分の殻を破れなくなるから、勉強せず思い浮かんだものを描け」という教えを受けたとのこと。実際、美大などに行かず独学で絵を学び、画家になったそうです。更科さんは、ご自身の創作について、次のように語りました。更科さん物心ついたときから描くのが好きで、頭に浮かんだものを絵にしています。トイレットペーパーとか壁を見ていたら生き物が出てきて、それを全部紙に描いていたら父親から「おもしろいね」といわれて(笑)。感情的に描くこともありますけど、だいたいは頭に浮かんだもの、壁やキャンバスを見て思いついたものを絵にしているので、空想画家といわれています。イベント会場では、更科さんの色鮮やかな作品《Time Zone》のデジタル画像が披露されました。PINTORの「オンライン企画展」には、更科さんのファンタジックで美しい作品がたくさんアップされています。アプリ、使ってみた!イベント後、さっそくアプリをダウンロードして使ってみました。とりあえず自分の好きなイタリアの画家を検索してみると、ジョットからはじまり、ルネサンスのラファエロ、バロックのカラヴァッジョ、20世紀のボッチョーニやモランディまで、気になる作品は全部ありました。お気に入りの作品を「コレクション」に保存して見ることもできますし、AR(拡張現実)機能を使って作品を自宅の壁に映し出し、バーチャルな雰囲気でアートを楽しむことも可能。しかも画像が高画質なので本物の名画を見ているような気分になれました。PINTORは、「美術館に行くのは好きだけど、いまいちアートがわからない人」に向けてつくられたアプリ。まずはスマホで自分だけの美術館をつくってみては。InformationPINTORの主な機能1. 約20万作品を検索できる機能2. 作品を自宅の壁などに映し出して楽しむAR機能3. 自分の感想をシェアしたり他者の感想を閲覧できるレビュー機能4. 感想に対して“ いいね” や“ コメント” ができるSNS機能5. 自分の好きな作品をフォルダ化できるコレクション機能6. 現代アーティストを中心としたオンライン企画展機能
2020年09月19日連載第155回目は、マグロをさっと焼いて、ご飯に乗っけるだけ!たんぱく質たっぷりのマグロステーキ丼をご紹介します。フライドガーリックを添えてボリューム満点に仕上げます。とっても簡単だけど満足感のあるメニューです!まだ残暑が続くこの時期をスタミナ料理で乗り切りましょう!『マグロステーキ丼』【旬を味わう 美人レシピ】vol. 155旬食材は、ニンニク!年中スーパーで見かけるニンニクですが、旬は初夏~真夏にかけてで、9月も引き続き出荷量は多いです。ニンニクは比較的冷涼な気候を好み、日本では、青森県が生産量1位。国産ニンニクの7割近くを占めています。そのほか、中国産も多く出回っています。ニンニクと言えばスタミナの代名詞とも言えるほど強壮作用が強く、疲労回復効果があると言われ、暑い季節には欠かせない食材ですね。そのほか、殺菌効果、新陳代謝の促進、免疫力の向上など、さまざまな効能が注目されています。また女性に嬉しい効能も!ニンニクにはアリシンという成分が含まれいて、高い抗酸化作用があり、美肌効果が期待できます。ほかにも、血流血行を良くし、代謝を高め新陳代謝を活発にさせることができます。代謝が高まると美肌効果だけでなく、脂肪燃焼にもつながりダイエットにもいいですね!さまざまな栄養が詰まったニンニク!暑い日に自然と食べたくなるニンニク料理!ぜひ料理に取り入れてみてはいかがでしょうか。材料はこちら!【材料(二人分)】温かいご飯:お茶碗多め二杯分大葉:5枚マグロ(赤身):1サク(150~200g)ニンニク:1かけオリーブ油:適量コショウ:適量(もやしのナムル)もやし:ひとつかみ塩:ひとつまみゴマ油:適量白いりゴマ:適量(付け合わせ)カイワレ大根:適量ミョウガ:適量青ネギ適量:適量(たれ)しょうゆ:大さじ1きび砂糖:小さじ1/2酢:大さじ1/2コチジャン:小さじ1ショウガ:1かけゴマ油:小さじ1/2まず、下準備を始めます。~その1:野菜を切ります。大葉とミョウガは千切りにします。青ネギは小口切りにします。カイワレ大根は根っこを切り落とします。ニンニクは薄切りにし、芯を除きます。まず、下準備を始めます。~その2:たれの調味料を合わせます。たれの材料(しょうゆ、きび砂糖、コチジャン、酢、ショウガのしぼり汁、ゴマ油)を合わせます。まず、下準備を始めます。~その3:モヤシのナムルを作ります。モヤシは熱湯でさっとゆでます。熱いうちに塩、ゴマ油、白いりごまで和えます。では、作ります! フライパンにオリーブ油とニンニクを入れ弱火でじっくり火にかけます。フライパンにオリーブ油とニンニクを入れ弱火でじっくり火にかけ、揚げます。こんがり色づくまで揚げ、取り出します。弱火でじっくり、こんがり色づくまで揚げ、取り出します。マグロに軽く塩を振り、フライパンでマグロを焼きます。マグロに軽く塩を振り、フライパンでマグロを強火で焼きます。両面こんがりとさっと焼きます。強火で両面に焼き色をつけます。中まで火を通さず表面に焼き色がついたら取り出します。食べやすい大きさに切り分けます。熱いうちに食べやすい大きさに切り分けます。盛り付けます。器にご飯を盛り付け、その上に大葉の千切りを散らします。切り分けたマグロステーキを並べ、フライドガーリックを散らし、もやしのナムル、ミョウガの千切り、カイワレ大根を添えます。たれも回しかけ、お好みでコショウを散らします。おいしさのアレンジポイント最後にコショウを散らしましたがお好みで山椒を散らしても美味しいですよ
2020年09月16日現在ベルリン在住のファッションジャーナリスト、平野秀美さんのレポートです。今回は、夏の終わりから秋にかけて、おすすめしたいシンプルで上品な大人カジュアルスタイルを紹介いたします。コート風ロングワンピースが大人気!一見コートやアウターのように見えるワンピース、さまざまな種類がありますが、とっても人気があります。人気の理由は、着やすさと夏から秋にかけての気温にマッチしているから。人気のベージュブラウンやブラックをはじめ、個性的なブルーやグリーンなども秋モードスタイルにぴったりですよね!シンプルイズベストと言える、ジャケット&デニムスタイル本当にシンプル!夏はジャケットなし、寒くなったらジャケットを羽織るだけ。ポイントとしては、サンダルからアンクルブーツに変更するだけで一気に秋っぽくなっていきます。またカッコよさも増しますし、最近流行りの厚底ブーツなどで脚を長く見せると、こちらの写真のように、すらりとしたモデルっぽい着こなしになります。上級者向け!?上下お揃いのジャケット&スカートスタイルデキる女性風なこちらのファッションは、実は難しい?!普通に着こなすと平凡な印象を与えそうです。このスタイルは、シンプルでいてカチッとしたスタイルですが、大胆に見せてくれる素足がキーポイント!ラフなヘアスタイルの抜け感もちょうどいいバランス。いやらしくもなく派手でもない、とっても落ち着いた雰囲気に見せてくれます。今年も人気!脚長効果ありのハイウエストズボン私も複数持っていますが、ウエストが上の位置に見えるため、脚長効果抜群。また最近ではウエスト部分がリボン型になっていたり、個性的な絞りになっていたりと、ただハイウエストなだけではない、おしゃれなパンツも出ているので、今年はハイウエストズボンが狙い目です。全身ブラックでモードスタイル!薄めストッキングが大活躍秋になると徐々に足もとも寒くなりますが、今年の秋はスカートに薄手のブラックストッキングで攻めてみませんか?女性らしくクールビューティなスタイルを楽しめます。こちらワンピースのように見えますが、ショートパンツとトップスで上手に着こなしています。これから大活躍!薄めトレンチコート毎年秋になるとトレンチコートが流行りますが、ここヨーロッパでもトレンチコートは毎年人気です。チェック柄やカラーが異なるものなど、本当に多くのブランドが個性的でおしゃれなトレンチコートを発売しています。夏の終わりから秋にかけて、日本では羽織る程度の薄めトレンチコートが大人気。一着あれば、毎年着られるので重宝しますよ!まだまだジメジメして暑いですが、徐々に秋らしい気配を感じます。ぜひ今年も季節に合わせて、ファッションスタイルをチェックしてみてください!
2020年09月14日世界三大映画祭のひとつであるヴェネツィア国際映画祭で、日本の作品が受賞を果たしたニュースが話題となっていますが、昨年のヴェネツィアを賑わせた注目作『マーティン・エデン』がいよいよ日本に上陸。そこで、こちらの方にお話をうかがいました。主演を務めたルカ・マリネッリさん!【映画、ときどき私】 vol. 322『ジョーカー』のホアキン・フェニックスを抑えてヴェネツィア国際映画祭男優賞を受賞し、今後のイタリア映画界を担うひとりとして期待されている俳優のマリネッリさん。労働者階級からアメリカが誇る大作家になったジャック・ロンドンの自伝的小説をイタリアへと舞台を移して描いている本作で、主人公のマーティン・エデンを演じています。今回は、現場での様子や作品を通して感じた思いについて語っていただきました。―劇中では、見事な存在感を放っていらっしゃいましたが、ご自身で完成した作品を観たときはいかがでしたか?マリネッリさんこの仕事を始めたばかりのころは、鑑賞中に自分がうまくいかなかった部分が気になってしまうこともありましたけど、やはり自分が関わった作品を観るのは、非常にエモーショナルな体験ですよね。特にこの映画は、ヴェネツィア国際映画祭のときに監督やキャストのみんなと一緒に観ることができたので、大きな感動を得られましたし、とてもうれしかったです。―本作の脚本を読まれたとき、どのようなところに惹かれたのかを教えてください。マリネッリさん全部ですね(笑)。というのも、この物語は普遍的で人間的なところがあるので、誰が読んでも自分自身のなかにある“何か”を見つけられ、自分との接点を感じることができるから。どのページを読んでも感動させられたので、すべて素晴らしいと感じました。あとは、300ページもある脚本が第一稿から最終稿になるまでに、どんどん変わっていく様子を見守っていくのも興味深かったですね。何が起きても動じない監督に感銘をうけた―今回、ピエトロ・マルチェッロ監督とは初めてタッグを組まれてみて、現場で印象に残っていることは?マリネッリさん彼の映画は観たときから一緒に仕事をしたいと願っていましたが、個人的に彼がどういう人間であるのかとか、どんな仕事の仕方をするのかなどは全然知りませんでした。実際に仕事をしてみて驚いたのは、まず彼が自分の世界観をしっかりと持っていること。映画のなかには、当然演じている僕のエモーションが多く注がれていますが、彼の持っている感情も非常に多く表現されていると感じました。あとは、どんな予想外のことが起こってもまったく動じないことと、それに対してつねに備えていること。そういった部分にも、感銘を受けました。―ちなみに、現場で起きた予想外のこととは何が起きたのでしょうか?マリネッリさんそもそも撮影ではつねに予想外のことが起きますが、忘れられないのはマーティンが酔っ払って草原を歩き回るシーンでのこと。本物の嵐になってしまって、ものすごい雨や雷に見舞われながらの状況で撮影をしました。スタッフの大半は雨宿りをしていたので、監督とカメラマン、音声さんという最小限の人で嵐のなか撮影を続行したのです。でも、それはそれで素晴らしい経験でしたよ。―監督はマリネッリさんについて「この世代でもっとも才能あふれる俳優のひとり」と話されていますが、この作品を通して得たものを教えてください。マリネッリさんまずは、監督がそう言ってくれていると聞くことができて、非常にうれしいですね。僕は映画を1本撮るたびに俳優としても人間としても、両方の面から自分が豊かになっていっていくのを感じています。そのなかでも、この作品からは本当に多くのものを得ることができました。言葉ではうまく説明できないことではありますが、この映画は力のある作品なので、僕自身を大きく成長させてくれたと感じています。困難な役が自分を豊かにしてくれる―表現するのが難しい役でもあったと思いますが、アプローチで苦労した部分はありましたか?マリネッリさんもちろん、この役を演じるうえで多くの困難がありました。最初に大変だったのは、方言と体づくり。あとは、マーティン・エデンという人物になりきっている自分を信じることが大事でした。撮影が進むにつれて、ある時点で物語のなかで自分を感じることがなくなるときがあるのですが、僕にとってはそうなった瞬間にその人物になりえたという意味を持つのです。こういった難しさに直面し続けることは挑戦でもありましたが、乗り越えることで役への理解が深まり、そして自分を豊かにしてくれたと感じています。複雑な人物像なので、非常に大変ではありましたが、同時に忘れがたい経験になりました。―厳しい現場で、気持ちを切り替えるためにしていたことはありましたか?マリネッリさん映画を撮影している期間中は、たとえその日の仕事が終わってもある程度は集中力を持ち続けているようなところがありますね。つまり、撮影がない時間でも、主人公と同じようなことを考えながら生きているわけです。自分が映画の一部に入り込んでいるような感覚に陥りますが、それによって映画のなかの人生をそのまま続けているようなところがあるのかもしれないですね。とはいえ、仕事のあとに家に帰って、自分の生活のなかでリラックスしようとはするんですよ。でも、どうしても寝る前に次の日の撮影のことを考えて、集中力を高めようとしてしまうことも……。もちろん、撮影以外のときは少しだけ“衣装を脱ぐ”こと、つまり役から離れることも大事だとは思うんですけど、実際にはなかなかそれができないんですよね。だから、撮影期間中のほとんどの時間をその人物として生きることに費やしているような感じなんですよ。でも、それはそれで僕にとっては素晴らしいことであり、終わるまではそれが必要なのかもしれないなと。とはいえ、同時に自分自身の人生をチャージする時間も大切なのかなとは感じています。愛とはいつの時代も普遍的なもの―劇中ではマーティンと“運命の女性”との愛についても描かれていますが、この2人と向き合うなかで、愛の力についても考えることはありましたか?マリネッリさんありましたが、マーティンの場合は、彼の人生を破壊してしまうほどの力を持っている特殊な愛だったんだろうとは思いました。この物語は原作者のジャック・ロンドンの自伝的な作品ではありますが、必ずしも彼は愛のことを信じていなかったわけではないんじゃないかなとも考えています。なぜなら、ジャック・ロンドンの場合は、2番目の妻がすべてを分かち合える理想の女性であって、そういう女性と出会うことができた部分においては、マーティンとは違いますから。そういった現実と創作の間に生まれる違いというのもおもしろさであり、魅了されるところなんだろうなと思います。愛とは普遍的なものであって、いつの時代も大切なものですよね。―それでは最後に、日本の観客にメッセージをお願いします。マリネッリさんできるだけ多くの方に観ていただき、この作品をみなさんに好きになっていただきたいと思っています。今回、この映画を直接日本まで紹介しに行けないことは非常に残念ではありますが、いつか仕事か旅行で日本には訪れたいと考えています。そのときにみなさんと会えたらうれしいですね。インタビューを終えてみて……。劇中のイメージとは違って、精悍で爽やかな雰囲気のマリネッリさん。オンラインでの取材ではあったものの、画面越しからも伝わるカッコよさには思わずくぎ付けになってしまいました。「次は日本で」と約束してくれたので、マリネッリさんの来日を楽しみに待ちたいと思います!忘れられない1本となる!厳しい環境のなか、時代に翻弄されながらも自らの力で名声と野望を掴もうとする男を力強く描いた本作。愛によって味わう喜びや苦悩を体現する俳優陣の圧倒的な熱演にも、心を大きく揺さぶられるはずです。ストーリーイタリア、ナポリの労働者地区で生まれ育ったマーティン・エデン。貧しい船乗りとしてその日暮らしをしていたが、あるとき優雅なブルジョワ出身の“高嶺の花”エレナと出会い、恋に落ちる。そのことをきっかけに読書へとのめり込み、作家を目指す決意をすることに。ところが、そこには幾多の障壁と挫折がマーティンを待ち構えていたのだった……。圧巻の予告編はこちら!作品情報『マーティン・エデン』9月18日(金)よりシネスイッチ銀座、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開配給:ミモザフィルムズルカ・マリネッリ写真:©Kazuko Wakayama©2019 AVVENTUROSA – IBC MOVIE- SHELLAC SUD -BR -ARTE
2020年09月14日