「不妊治療」について知りたいことや今話題の「不妊治療」についての記事をチェック! (4/6)
令和2年4月1日、日本生殖医学会は「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する声明」を発表しました。 不妊治療の延期を選択肢に…現在、感染拡大が留まる気配がまったくない新型コロナウイルス感染症。海外では妊婦さんへの感染の情報もありますが、4月1日現在、日本ではまだそのような情報はありません。ですが、妊娠中は免疫機能が低下し、新型コロナウイルスに関わらず感染症にかかりやすくなったり重症化するおそれがあるとされています。 今回発表された声明でも、新型コロナウイルス感染症が妊婦さんや妊娠初期の胎児に及ぼす影響が明らかになっていないこと、母体から胎児への感染の可能性は不明であること、妊婦さんが新型コロナウイルスに感染するリスクが高いとはいえないとした上で、新型コロナウイルスに感染した場合、重症化の可能性が指摘されていることや治療に使用される薬が妊婦さんには使用できないものが施行されていることから、不妊治療による妊娠が成立したあとの対応に苦慮することが予想されるとしています。 また受診や医療行為に関連した感染の新たな発生も危惧されることから、日本で新型コロナウイルス感染の急速な拡大の危険性が亡くなるまで、あるいは妊婦さんが使用できる予防薬や治療薬が開発されるまでを目安として、不妊治療の延期を選択肢として患者さんに提示するよう推奨しています。 そして、採卵を予定している方や胚移植を予定している方には胚移植時期を検討、人工授精、体外受精・胚移植、生殖外科手術などの治療に関しては、延期が可能なものについては延期を考慮するよう伝えています。 ICMART からも声明文が今回発表された声明文には、世界各国のART(生殖補助医療)のデータ収集・分析・普及をおこなっている非営利国際機関、 International Committee for Monitoring Assisted Reproductive Technology(ICMART) の声明文の和訳も付記されています。 CMARTの声明では、新型コロナウイルス感染症に関して、今後新たな情報が得られるまでの間、新規治療の開始を見合わせること、不妊治療に関連するその他の非緊急処置をすべて延期することを推奨しています。また、IVF(体外受精)治療をすでに開始されている方には、妊娠を延期するために胚や卵子を凍結保存することをすすめています。 日々更新される新型コロナウイルス感染症の情報に不安が募る毎日かと思います。そんななかで発表された日本生殖医学会の「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する声明」は、現在不妊治療をおこなっている方やこれから治療を受けようとしている方にとっては、ショッキングな声明だったかもしれません。ですが、CMARTの声明には「不妊治療を受けている方は、他の方と同様に、政府や地方自治体のすべての勧告にしたがってください。私たち全員が協力することで、このウイルス大流行から受ける影響を軽減できます。また、不妊治療が再開できるときに備えて心身の健康を保つ努力も継続してください」とあります。世界的な問題となっている新型コロナウイルスの問題を乗り越えるためにも、今は一人ひとりがさまざまな困難と向き合い、耐える時なのかもしれません。 監修者・著者:助産師 REIKO医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。
2020年04月02日27歳で結婚後、2年間妊娠できなかったので婦人科に通い始めました。タイミング法を6回、人工授精を6回しましたが妊娠しませんでした。半年ほど悩んだ末、体外受精専門の病院に転院。子宮鏡手術を経て、1回目の移植で妊娠できました。今回は、なかなか原因がわからなかった不妊治療の体験をお伝えします。 タイミング法・人工授精で結果が出ない結婚後すぐに「赤ちゃんに恵まれたらいいな」と思っていましたが、なかなか妊娠することができませんでした。不安に感じ、まだ20代でしたが、1度夫婦で検査を受けてみようと近くの婦人科を受診しました。その結果、各種の検査で夫婦ともに異常はなし。「タイミング法で解決するか」と楽観的にとらえていました。しかし、半年間試みましたが妊娠せず、人工授精にステップアップ。そして人工授精を6回しましたが、結果が出ませんでした。 体外受精へのステップアップを決断体外受精へステップアップする決断はなかなかできませんでした。そしてメンタル的にもPMS(月経前症候群)が悪化したり、友人の妊娠を喜べないなどの状態が続く時期だったと思います。決断のきっかけとなったのは実母からの一言でした。「どうしても子どもが欲しいなら、まずは1度、体外受精を試してみたら?」と背中を押してくれたのです。母の言葉で、まずはチャレンジしてみようと前向きになることができました。さらに同世代で3人の友人たちが先にステップアップして妊娠していく姿にも励まされました。 体外受精、そして妊娠・出産体外受精の専門病院に転院し、子宮鏡手術を経て体外受精をおこないました。1回目の採卵は仕事の繁忙期と重なってしまい、採卵できたのは2個。さらに受精もうまくいかず、移植できる受精卵が1個もない状態……。高額の費用をかけたにも関わらず、納得できない結果でした。2回目の採卵は仕事を休み、担当も院長先生を指名して調整し、5個の受精卵ができました。そして1個目の移植で妊娠でき、無事出産することができたのです。 赤ちゃんが欲しいなと思ってから出産に至るまで、約5年の月日がかかりました。ステップアップは経済的負担も身体的負担も大きいものでした。不妊原因のわからなかった私たちにとっては体外受精が解決策だったようです。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 著者:小川かなえ2歳の双子姉妹の母。東京郊外在住。元保育士、不妊治療を経て妊娠出産。子連れハイキングやキャンプなどアウトドアも再開。現在は親子の森のようちえんを運営し、地域や自然とともに子育てをしている。
2020年03月05日第一子は自然に妊娠しました。そして第一子を出産し、少し期間をおいて第二子への妊活を開始しました。しかし1年経っても子どもを授からず……。2人目不妊に悩んだ私の体験談をお伝えします。 第一子出産後、妊活開始第一子出産後、なぜか妊娠しませんでした。産婦人科に通い、基礎体温を測りながらわかったのですが、実は排卵していなかったようなのです。そんななか仕事へ復帰し、職場が変わってしまったこともあってか、精神面で弱ってしまい、うつ病を発症してしまいました。 育児と仕事の両立がうまくできずにいましたが、子どもが欲しい気持ちは強かったです。ところが、夫から妊活をやめたいと言われてしまいました。育児と仕事の両立をできずにいることに対して罵声を浴びせられ、私も精神的に追い込まれてしまい、当時は離婚の話もしました。 ですが、まずはうつ病を治して、職場も変えてから、今後についてどうするか決めようということになりました。 不妊治療をやめることに…半年後、子どもが欲しい気持ちに変わりはなく、不妊治療を再開しました。排卵誘発剤を使って人工授精を4回おこないましたが、妊娠せず。5回目のときに夫に原因があり、顕微受精でしか子どもができないということがわかりました。 私たちは共働きで、不妊治療の助成金は所得制限の対象になり受け取ることができません。高額な治療費がかかるため、夫に「不妊治療にお金をかけるなら、1人目の子にお金をかけてあげたい」と言われました。 悩んだ挙句、パートナーがそういう気持ちになっている以上、不妊治療を続けることができないと思い、不妊治療をやめました。 健康に意識して過ごしていたら夫との会話も一気に減り、しばらくは家庭内での笑顔が少なくなりました。でも、不妊治療をやめて、私の体への負担も少なくなったせいか、育児、家事、仕事をテキパキこなせるようになり、夫との会話もだんだんと戻ってきました。 そんななか、気休めではありますが、夫と共に運動を始め、夫は亜鉛のサプリ、私は葉酸サプリを飲み始めました。お互いの健康のために始めたことでしたが、ダイエットにも成功! 上の子は、トイトレがうまくいき始めており、また甥や姪と一緒に遊んでいるのを見て、ひとりっこでも、こうしてきょうだいのように遊んでくれる存在のありがたさを感じていました。 夫婦の心身が健やかであることそんなとき、生理が遅れていることに気づきました。妊娠していたのです!とてもうれしく、本当に感動しました。不妊治療は女の人だけでなくやはり男性にもプレッシャーはかかっています。改めてパートナーとの気持ちを通わせることは大切だな、と感じました。不妊治療は、先が見えず、不安なことだらけでした。だからこそ、心の負担が大きくなりすぎたときに一度思い切って休むことも必要だったんだな、と感じました。やはり夫婦の心身が健やかであることが大事なので、気休めでもストレス解消になることをして過ごせたことがよかったと思っています。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 著者:井上由美子3歳、0歳の二児の母。 今は子育てに奮闘中。
2020年02月28日私は第1子を不妊治療で授かり、現在は第2子不妊治療中です。不妊治療をしていると薬の服用やホルモン注射、度重なる通院などにより精神的にも肉体的にも疲れ、ささいなことでも苛立ってしまうことがあります。今回は、私が不妊治療をするなかで言われてイラッとした言葉があるので、いくつかご紹介します。 「諦めたら赤ちゃんが来るってよく言うよね」この言葉は、不妊治療をしていることを相手に伝えると大抵の人に言われる言葉です。言っている人はおそらく励ますつもりで言ってくれているのでしょうが、治療の最中であるとなかなか素直に受け入れられないのです。 もちろんその場では「 そうですよね!」 と答えますが、心の中では「 その諦めがつかないから治療をしているんです。諦めて赤ちゃんが来なかったらきっと後悔するんです」 と叫んでいます。相手が不妊治療を経験して赤ちゃんを授かった人であればまた受け止め方が違うのですが……。 「少し休んでみたらいいんじゃない?」これは夫に言われてすごくイラッとした言葉です。 1年間で子どもを授かることのできるチャンスは12回程度しかありません。だからこそ、今休んだらそのチャンスを1回捨てることになると感じてしまうのです。ゆったりとした気持ちのほうが妊娠しやすいのかもしれないと思いつつ、先の見えないトンネルを早く抜けて赤ちゃんを授かりたいと思ってしまうのです。 夫婦で治療に対する考えを伝え合うことの大切さを感じたきっかけとなった言葉でもあります。 「そんなに怒るから赤ちゃんが来ないんだよ」この言葉を言われたときの衝撃は、今でも忘れられません。一瞬何を言われたのかわからず、理解してから湧き上がる怒りに我を忘れるほどでした。実はこれ、3歳の娘に言われた言葉なのです。ついついイライラしてしまっている自分を自覚していたからこそ、言われたときは怒って娘に当たり散らしてしまいました。 その後、「この言葉は本当に傷つくし悲しくなる言葉だからもう言わないで」と娘に伝えましたが、それだけ私が怒っていたのだなぁと反省しました。 不妊治療をしていると、自分ではコントロールできないような怒りや悲しみに振り回されることがあります。それでも、周りの人の言葉をネガティブに捉えるのではなくポジティブに捉えて、かわいい赤ちゃんを授かることができるように頑張りたいです。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 イラスト/imasaku監修/助産師REIKO著者:吉川麻和一児の母。娘の出産を機に仕事を退職し、現在は子どもの成長に合わせた働き方を模索中。不妊治療の経験や子育て経験に基づき執筆中。
2020年02月23日ウーマンエキサイトをご覧のみなさま、こんにちは。妊娠を望む方たちのサポートをしているファミワンです。今回の担当は、ファミワンの生殖医療相談士・看護師の石橋です。看護師として不妊治療の現場で十数年働きながら、妊活を頑張られている夫婦のサポートをさせて頂いています。さて、今回のテーマは一番気になるけど中々聞けない「お金」のお話です。不妊の治療や検査は保険でできるものもありますが、自由診療となるものも多いため“不妊治療は高い“というイメージがあると思います。それが気になって実際に病院への受診を躊躇していらっしゃる方も多いのではないでしょうか。そこで今回は不妊治療のお金のあれこれについて少しお話しさせて頂きますね。<検査費用>保険適用検査月経中のホルモン検査:1,500円〜2,00円子宮卵管造影検査:8,000円超音波検査:1,600円〜2,000円フーナーテスト:600円黄体期の検査(超音波+血液検査):4,000円自費検査血液型:1,000円〜2,000円感染症検査(B型肝炎・C型肝炎・梅毒・HIV):5,000円〜8,000円クラミジア検査:4,000円〜5,000円AMH(抗ミュラー管ホルモン):5,000円〜10,000円甲状腺ホルモン検査:3,000円〜4,000円風疹抗体検査:3,000円〜5,000円精液検査:3,000円〜8,000円これらは一部検査であり、全てではありません。また、全てが一例ですので各病院にて料金は異なります。病院によっては月経周期に関係なくできる自費の検査を、少しでもお得にできるようにとセットにしているところもあります。<治療に関わる費用>不妊治療にはタイミング療法・人工授精・体外受精があります。それぞれの治療内容により費用は大きく変わります。今回は、それぞれの治療の1周期にかかる費用をご紹介します。タイミング療法8,000円〜15,000円月経が開始してから、排卵が終わるまでに通常2〜3回の受診が必要となります。その間に、超音波検査や必要に応じて排卵誘発剤の内服や注射、排卵促進剤の注射などが必要となります。診療の回数や必要な薬剤によって費用は前後しますが、保険適用の治療なのでこれくらいの費用になることが一般的です。人工授精10,000円〜50,000円診療の回数や使用する薬剤はタイミング療法とほとんど変わりません。しかし人工授精は自費診療となるため、料金が高くなってきます。体外受精・顕微授精診察代:50,000円〜10,000円 採卵と移植又は凍結:200,000円〜600,000円月経が開始してから排卵誘発剤の注射や内服を開始します。診察は採卵が決まるまで3〜5回ほど必要でその都度、超音波検査やホルモン検査が必要です。誘発剤の注射も1回3,000円〜8,000円を平均10回ほど実施します。また、実際にこの診察料とは別に採卵から受精卵の凍結保存又は胚移植までの費用もかかります。それらをトータルすると高額な費用となります。体外受精や顕微授精は刺激方法や卵巣機能などにより大きく変動しますが、それでもやはり高額であることに間違いはありません。<不妊治療に関する助成金や医療費控除>これまでご紹介させて頂きましたが、不妊治療は高額になりがちです。そのため経済的にサポートする目的で助成金の制度があります。また不妊治療にかかった費用は医療費控除の対象になるため申請することで負担を少しでも軽くすることができます。助成金制度不妊治療や検査に関する助成金は3種類あります。不妊治療・検査の助成金検査やタイミング療法・人工授精までの治療に関する助成制度です。こちらは各市町村にて対象や助成額が異なるためお住いの自治体にご確認下さい。特定不妊治療助成金制度体外受精・顕微授精が対象となる助成金制度です。特定助成金制度は初めて助成を受けた日に女性の年齢が39歳までであれば通算6回受けることができ、40歳以上の場合は3回となります。女性の年齢が43歳以上の場合には対象となりません。また所得制限も設けられていますので、詳細は各自治体でご確認下さい。男性不妊治療(精巣内精子生検採取法等)に関わる医療費助成特定不妊治療(体外受精及び顕微授精)に至る過程の一環として行われる、精巣内精子生検採取法(TESE)、精巣上体内精子吸引採取法(MESA)、経皮的精巣上体内精子吸引採取法(PESA)、又は精巣内精子吸引採取法(TESA)の費用の一部が助成されます。但し、男性不妊単独での申請はできません。医療費控除不妊治療にかかった費用は医療費控除の対象になるため、所定の手続きをすることで所得税や住民税の負担を軽減できます。医療費控除の対象になるものには不妊治療の検査代、治療費、お薬代、不妊治療のための鍼治療やマッサージ代です。申請する場合には領収書が必要になるためしっかりと保管しておいてください。このようにいくつかの制度があるので、それぞれの制度を理解し申請をすることで負担を少しでも軽減して下さい。又、これら以外にも例えば妊娠を目指しているご夫婦の場合、風疹抗体検査やワクチンの接種なども助成制度を設けている自治体は多くありますので、こちらも一度確認することをお勧めします。さらに企業によっては、不妊治療の費用を援助してくれる会社もありますので、お2人の会社の制度を確認しても良いかもしれませんね。今回お伝えしたように、不妊治療にはお金がかかります。そのため、受診前から実際にどの程度の費用がかかるものなのか知り、お2人でどこまでの治療をどの程度行うのか、又治療費をどのように捻出するのかなど事前に話し合っておくと良いでしょう。実際にお金の事が心配で病院を受診できない方が多いこともデータによって判明しています。治療でどの程度の費用がかかるのか情報を得ることで、事前に話ができ、受診後の不安も多少軽減できるのではないかと思います。ただそれぞれの病院によって料金は異なるので、もう少し詳細に知りたい方はこれから通いたいと思われている病院へ直接聞かれることをお勧めします。病院側も情報提供として料金をお伝えできるように準備しているところも珍しくありませんし、聞くことは決して恥ずかしいことではなく治療をする上で必要な情報ですので遠慮せず聞いて下さい。お困りごとがありましたらお気軽に私たち ファミワン にご相談くださいね。*参考資料;NPO法人Fine 不妊治療と経済的負担に関するアンケート より
2020年02月21日不妊治療を始めて3年過ぎたあたりから、子どもを授かりたいと思う願望が義務のように変化していき、妊娠に対する感覚が徐々に麻痺し始めていました。ついに、私たちは精神的な余裕が完全になくなってしまいました。そして、治療へ真剣に向き合うことが怖くなり、できなくなってしまいました。 治療法を変えても、結果は出ず一度転院して新たに通い始めた病院で3年近く人工授精を続け、不妊治療期間が約5年過ぎていました。しかし、毎月決まった時期に儀式のように病院へ行き、医師から妊娠していない事実を聞くと、妻だけでなく自分の努力が無駄に感じてしまい、夫婦共々どんどん落ち込んでいきました。 さらに、医師のすすめで体外受精・顕微受精を数回試しましたが、1回につき約40万円の出費になるため、長期的に継続して治療することは断念せざるを得ませんでした。そして、医師と会話することすら嫌気がさしてしまって、また転院することにしました。 2度目の転院にして、最後の病院次の病院でできなかったらあきらめよう、と夫婦で決めていました。年齢と負担だけが増えていって、本来の目標を失いかけていたからです。 次に決めた病院では、お金も精神的負担もかけたくなかったので、タイミング療法のみで治療を再開しました。ここの診療方針は、上の子どもが一緒に行くことも自由、なんとなく決められた日程での診察というのんびりとした環境で、私たちはそのおかげである程度平常心を取り戻していきました。 しかし同時に、妊娠することへのこだわりも徐々に薄れていきました。もうここが私たちの不妊治療の限界だと感じていたからです。 ストレスが減り、そして…最後の病院は、負担を感じることがほとんどなく、通院することができました。電車でひと駅の距離にあることや、繁華街にあるため、寄り道して気を紛らわすこともできたことなども要因だったと思います。 あまりストレスを感じずに治療を続けた結果、最後の病院へ通院して半年、不妊治療開始から約6年目でようやく妊娠することができました。正直、喜びよりも驚きのほうが大きかったです。 今思えば私も妻も、経済的な不安も含む精神的な不安が赤ちゃんを授かることができなかった1番の原因だったように思います。自分が頑張りすぎると、妻にとって負担になります。逆の場合も同じです。妻のため、夫のためと思ってしている行動が、かえって相手を苦しめていたのかもしれません。 改めて感じること次女が無事生まれ、今、冷静に振り返って考えると、私たちは不妊治療を体験できて本当によかったと思います。 真剣に家族揃って同じ目標に向かって取り組み、家族の結束が一層深まりました。さらに、不妊治療に予想外に時間がかかったおかげで8歳差の姉妹になりましたが、長女が本当によくかわいがってくれており、楽しんで子育てに参加してくれています。 妻はもちろんですが長女も頑張って協力してくれたおかげで、子どもを授かることができたのだと私は感じています。 ゴールが見えないまま、どこまで続ければいいのか不安を感じながら治療を続けることが、ここまでつらいとは正直思っていませんでした。ただ、子どもを授かることができ、さらに家族で苦難を乗り越えることができたという充実感も得ることができました。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。検査の内容などは病院によって異なります。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 イラスト:(c)chicchimama 著者:ライター 吉田直樹二児の父。原因不明の続発性不妊症のため、夫婦揃って不妊治療を数年おこない授かる。グラフィック・Webデザイン事務所を経て、現在グラフィックデザイン・Webデザインのフリーランスとして活動中。
2020年02月15日1年の妊活で授からず、ついに婦人科への受診を決心しました。 この婦人科を選んだ理由。もちろんキレイで産科としての最新技術が揃っていて、家から近かったってこともありますが、一番の理由はまだこの時点で結婚してないってことです……。 どうやら不妊治療専門クリニックでの人工授精や体外受精は、夫婦でないと受けられないようです。まあ当たり前ですが! まだ結婚前だけどゆくゆくはしようと思っている、タイミング指導だけでもしてくれないだろうか……。「ちゃんと話し合ってきている」「親にも承諾を得ている」とか、いろいろ承諾してもらえる理由を考えてきたのですが! ここの先生、そんなことより大事なのは「自分が子どもを欲しいかどうかだ!!」と言い放ちました……! 周りや世間体じゃなく、自分たちの「欲しい」という意思が一番大事と言っていただき、「それでいいんだ……」と少し安心しました。ありがたいことです(なんかちょっと怒られ気味だったけど)。 ということで、タイミング指導してもらえることになりました! 第28話につづく 著者:イラストレーター 漫画家 まっふ令和元年5月1日生まれの男の子を子育て中の漫画家。多嚢胞性卵巣症候群からの妊娠を備忘録としてブログにのんびり4コマで更新中。ベビーカレンダーでは妊活中のお話「妊活レベル1 まっふの冒険記」を連載。息子とのお昼寝と一日の終わりにするゲームがなによりの至福。
2020年01月28日不妊治療について調べてみて、他にも不安になったことがあります……。 調べてみて不安になったこと「痛み編」です。 もうね、怖い……。めっちゃ怖い。 注射だけでも怖いのに自己注射とか無理でしょ!!毎日薬飲んで使って注射してって恐怖しかないんですけど!! 子宮卵管造影検査、めっちゃ痛いらしいじゃん! みんな言ってる!採卵とか針ぶっさして採るんでしょ! そんなん絶対痛いやん!(確信) この覚悟がないと不妊治療はできないのだろうか……。調べれば調べるほど怖くなるのでした……。 先に言ってしまうと、そこまでの治療はしておりません。幸い運良くそこにいくまでに授かることができたのですが、この時は相当恐怖していた気がします。 第27話につづく 著者:イラストレーター 漫画家 まっふ令和元年5月1日生まれの男の子を子育て中の漫画家。多嚢胞性卵巣症候群からの妊娠を備忘録としてブログにのんびり4コマで更新中。ベビーカレンダーでは妊活中のお話「妊活レベル1 まっふの冒険記」を連載。息子とのお昼寝と一日の終わりにするゲームがなによりの至福。
2020年01月21日妊活開始から1年。診断を受けたわけではありませんが、「不妊」の領域に……。 そこで婦人科への通院を決意したのですが、予約をとった日まで数日あったのでいろいろ調べてみました(すぐ調べるマン)。 調べてみて不安になったこと、お金編です……! 無理やり4コマに押し込んだので、だいぶ簡易な説明になってしまいましたが、調べた感じ、だいたいこれくらいの費用がかかる感じでしょうか。保険がきかないので実費なんですよね……。市から助成金は出るらしいですが、それでも高額になるとか……。 ぶっちゃけ私の情報源が不妊治療されている方のブログとかで、そこで気になったことは自分で調べる感じなので、いろいろ間違っていたらすみません! でもリアルな声が聞けるブログ、いつも参考にさせていただいてます……! しかし不妊治療ってめっちゃお金かかる!! 第26話につづく 著者:イラストレーター 漫画家 まっふ令和元年5月1日生まれの男の子を子育て中の漫画家。多嚢胞性卵巣症候群からの妊娠を備忘録としてブログにのんびり4コマで更新中。ベビーカレンダーでは妊活中のお話「妊活レベル1 まっふの冒険記」を連載。息子とのお昼寝と一日の終わりにするゲームがなによりの至福。
2020年01月14日私は31歳で結婚し、すぐに妊活を開始しましたがなかなか妊娠できませんでした。人工授精に3回トライしても授からず、この先どうするか迷っているときにまさかの自然妊娠。33歳のときのことでした。人工授精をしながら今後を考えていたときは、妊活中でも特につらい時期でもありました。当時の気持ちと、いろいろ考えた結果、行き着いた私なりの答えをご紹介します。 人工授精のこと私の場合、人工授精をするためには、もうすぐ排卵という時期から通院を開始し、何度か卵胞チェックに通いました。排卵日を可能な限り正確に特定し、排卵直前に人工授精をおこなうためです。排卵がいつもより遅いと、その分通院の回数も増えてしまいます。私が通っていた病院では、卵胞チェックは2,000円程度、人工授精は2万円程度でした。決して安くはありませんが、当時は夫婦ともにフルタイムで働いており、月々のお金からやりくりできる金額。納得して支払っていましたし、夫も協力的でした。 報われない努力私はSNSで妊活中の方たちと積極的に交流を取っており、不妊治療によって妊娠する方も多く見てきました。私自身も、人工授精で授からない場合は体外受精を視野に入れていました。ところが、何度か人工授精をしても妊娠できないと、だんだんその金額を支払うことに戸惑いが生まれます。人工授精をして生理がきても、人工授精のために支払ったお金は1円も返ってきません。手元には何も残らないし、次周期に何かいい効果が期待できるわけでもありません。本当に水の泡です。わかっていたことではあるけど、その事実に呆然としてしまいました。 人工授精で妊娠できる気がしないそして、人工授精に何度かトライしていると、人工授精では妊娠できる気がしなくなってきます。そんな気持ちを抱えたまま、次の人工授精のために通院する日々。3度目の人工授精のとき、職場には「猫を病院に連れて行く」と嘘をついて、処置を受けに行きました。その後ろめたさと、妊娠できる気がしないものに2万円を払う虚しさ、そしてこれがもし体外受精だったら、もっとケタ違いのお金を失ってしまうかもしれないのだと思って怖くなりました。 誰も代わってくれない3回目の人工授精のあとも生理がきました。本当に「誰か私を妊娠させてくれ!」と思いました。もう期待もしたくないし落ち込みたくもない。どうして私だけが……。妊活は誰にも代わってもらえません。残酷だけど動かしようもない事実。思う存分落ち込んで、たどり着く答えは結局いつも同じでした。毎周期、やるべきことを淡々とやるだけ。落ち込んでも投げやりになってもいい。「妊娠の可能性をゼロにしないこと」。自分にできることは、それしかありませんでした。 結局、私はこの後通院を少し休んでいる間に自然妊娠をしました。うれしい気持ちを超えて、自分が妊娠できることに単純に驚きました。それでも無事におなかの子の心拍が確認できたときには、安心と喜びで涙があふれました。妊娠してからは本当にノンストップ。気持ちが追いつかなくても子どもは生まれるし、毎日どんどん大きくなります。そのときの娘も4歳になりました。 何度も立ち止まって苦悩し続けたあの日々は、今思い出しても苦しくなるけれど、私にとって二度と戻ることのできない青春時代のようでもあります。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 イラスト/塩り監修/助産師REIKO著者:ひらたかおる二児の母。趣味はメルカリと写真。自分の備忘録と、いつか誰かの役に立つことを願って妊活中からブログを続けている。2018年から、自身の妊活や子育てでの経験をさらに活かすべくライターとして活動している。
2020年01月13日夫婦2人とも健康なら、子どもは自然と授かるもの…とは限りません。今や約6組に1組のカップルが不妊( 日本産科婦人科学会「不妊症」より )といわれています。「もしかして不妊かも?」「2人目がなかなかできない…」「夫は大丈夫かな?」と感じたら、まずは専門医に相談してみてはいかがでしょうか?今回は日本にわずか800人弱しかいない日本生殖医学会認定生殖医療専門医でもある、 桜十字渋谷バースクリニック 院長 井上治先生に、不妊やその治療、不妊につながる生活習慣についてうかがいました。教えてくれたのは…桜十字渋谷バースクリニック院長 井上治先生医学博士。2005年、福岡大学医学部卒業後、慶應義塾大学病院産婦人科医局入局。東京歯科大学市川総合病院をへて、2018年、桜十字渋谷バースクリニック院長に就任。日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医、日本生殖医学会認定生殖医療専門医、母体保護法指定。 >>桜十字渋谷バースクリニック 公式サイト ■女性の加齢と妊娠率の関係とは?最近の不妊治療の傾向「幅広い年齢の方が受診されますが、最近は、結婚間もない若い方が早めに受診されるケースも増えましたね。妊活して2~3カ月とか、まだ妊活もやっていないけれど『心配だから…』と来院される方もいます(井上先生)」井上先生は、若い方の受診増加傾向について、不妊治療に関する正しい情報が認知され、子どもが欲しい方の意識の高まりが影響しているのではないかと分析します。「以前は、40歳を越えても治療さえすればすぐ妊娠できると思われて来院される方が多かったんです。でも、女性の場合、加齢によって妊娠が難しくなるというのはデータ(下記グラフ参照)でも顕著に表れています。そういった情報が認知されて『何か不妊の原因があるなら、先に治療してしまおう』と考え来院される方が多くなっているのでしょう(井上先生)」受診する年齢の目安は?グラフでもわかる通り、不妊治療をしていても35歳を境に、妊娠率の低下は加速します。「35歳がひとつの目安となります。日本産科婦人科学会では、『妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交をしているにもかかわらず、1年以上妊娠しないもの』を不妊と定義づけています。これは、排卵検査薬などを使って排卵があることを確認し、一番妊娠しやすい日に性交するタイミング療法を取り入れての1年です。しかし、妊娠には加齢が大きく影響しますので、当院では、35歳以下なら1年、35歳以上なら6カ月、40歳を越えている方なら、できればすぐにでも受診していただきたいと考えています(井上先生)」。■最近よく聞く不妊の原因は?最近は、「2人目不妊」という言葉がよく聞かれるようになりました。「1人目はスムーズに自然妊娠できたのに、2人目がなかなかできない…」。その原因について、井上先生に伺いました。「2人目ということで当然、お母さんの年齢が上がっていますから、1人目の時より妊娠しづらくなります。女性の場合は、加齢による子宮筋腫や腺筋症なども増加します。また、授乳中は妊娠しにくいことも挙げられるでしょう。男性の加齢も影響します。それに加え、育児で忙しく、なかなかタイミングをとるのが難しいのではないでしょうか。2人目だから不妊になるというわけではなく、加齢と育児による忙しさが原因だと思います(井上先生)」若い男性の不妊傾向も一方、最近の不妊の傾向として、男性が原因というケースが増えているそうです。「最近は、最初から夫婦そろって検査にいらっしゃる方が増えていますが、男性側に不妊原因があるというケースが増えているように感じます。環境ホルモンの影響などといわれていますが、若い男性で精液所見が悪い方も散見されます。逆に、女性の不妊傾向は今も昔もあまり変わりません。しかし、ご夫婦両方を検査しても、実ははっきりとした不妊の原因がわからないというケースが多いです。その場合は、治療をステップアップしていくことになります(井上先生)」■あなたは大丈夫? 不妊リスクチェック実は、日常生活で何気なくやっていること、あまり気にしていない症状が、不妊の遠因になっているかもしれません。不妊に少なからず影響しているといわれる項目を、男女それぞれ井上先生に挙げていただきました。1つでも当てはまれば、不妊のリスクがあります。この中で、当てはまるものはありますか?【女性の不妊リスクチェックテスト】□1. 年齢が35歳以上□2. たばこを吸っている□3. 仕事や育児で忙しい□4. 運動不足□5. 生理不順□6. 不正出血や生理時の出血が多い【男性の不妊リスクチェックテスト】□1. 年齢が35歳以上□2. たばこを吸っている□3. 仕事で忙しく、睡眠時間が短い□4. 運動不足□5. サウナに頻繁に入る□6. 携帯電話をズボンのポケットに入れたり、ノートパソコンを膝の上にのせて作業する□7. 自転車やオートバイに乗ることが多い女性の不妊リスクチェック解説1.~4.は男女共通となります。「2. 喫煙」や、「4. 運動不足」は、万病の元といわれており、不妊にもつながります。また、「3. 忙しい」は、妊娠しやすい日に性交するタイミングがなかなか合わせられないことが不妊原因と考えられます。「女性の『5. 生理不順』は、排卵日の予測が難しいため。タイミング療法を取り入れるには、まず生理周期を整える必要があります。また、『6. 不正出血や生理時の出血が多い』というのは、筋腫といった別の病気が隠れている可能性があるためです(井上先生)」男性の不妊リスクチェック解説一方、男性の「5. サウナに頻繁に入る」、「6. 携帯電話をズボンのポケットに入れたり、ノートパソコンを膝の上にのせて作業する」「7. 自転車やオートバイに乗ることが多い」が不妊の遠因となるかもしれないことに、驚いた人も多いのではないでしょうか。「男性の精子は熱や圧迫に弱いんです。ある研究によると、サウナや熱を発する携帯電話・ノートパソコン、サドルによる圧迫が精子に悪影響を及ぼす結果が出ています。精子はとても弱く、Wi-Fiにも影響されるという研究結果もあるくらいです。最近は、精子をチェックできるアプリもありますから利用してみるのもいいですね(井上先生)」■「妊娠できるかな…」まずは気軽に受診を不妊治療には健康保険が適用にならない治療もあるため、高額となってしまう検査や治療があります。しかし、所得や年齢、回数などに制限はあるものの、2004年から特定不妊治療には国からの助成が受けられるようになりました。また、自治体でも助成金を給付しているところがあり、ハードルの高かった不妊治療が身近になってきました。初診の内容は?「当院は7~8割の方が不妊治療は初めてという患者さんなので、まず最初は希望をお聞きします。検査ご希望か、タイミング指導だけか、1人ひとりに合わせた治療をします。ただ、何か問題があって妊娠ができない場合もありますので、検査をされたほうが安心だと思います。初診時には、基礎体温表をつけているかどうか、排卵検査薬(排卵アプリ)を使っているかどうかなどをお伺いします。それも、つけていれば・使っていればなお良いくらいのお話なので、必須ではありません。まずは、ご相談にいらしてください(井上先生)」「子どもは欲しいけれど、妊娠できるかどうか」といった漠然とした不安を抱えながら年齢を重ねるのは、妊娠率を下げることにつながります。少しでも不安があるようなら、まずは専門医に相談してみてはいかがでしょうか? 井上先生が院長を務める 桜十字渋谷バースクリニック のご紹介JR渋谷駅より徒歩約5分の好立地に、2018年開業した渋谷エリア唯一(※)の不妊治療専門クリニック。日本生殖医学会認定生殖医療専門医である井上治院長をはじめ、体外受精を数多く手掛けるクリニックで経験を積んだ培養室長など高い技術を持った医師・スタッフがそろい、胚(受精卵)へのストレスを最小限にした最新型培養器「タイムラプス」や培養液の工夫、卵子凍結技術の向上など、ソフトとハード両面で患者さんを支えています。※2019年12月現在【住所】東京都渋谷区宇田川町3-7 ヒューリック渋谷公園通りビル4階( Google Map )※JR山手線 渋谷駅 ハチ公口 徒歩5分/東京メトロ 渋谷駅 6番出口 徒歩4分【診療日】月~土 ※水土午後・日祝休診( 詳細はこちら )【TEL】03-5728-6626 渋谷バースクリニックを公式サイトで見る イラスト:グラハム子[PR]医療法人社団 東京桜十字
2019年12月25日私は2年半の妊活の末に、第一子である娘を授かりました。通院しながらタイミング法や人工授精にトライしましたが、最終的には33歳のときに自然妊娠。 妊活中は、SNS上で同じ境遇の人たちと励まし合いながら過ごしました。その一方で、子どもが欲しくてできないことや不妊治療のことは、それ以外の誰にも話さないと決めました。 その上で、妊活中の人間関係はどうだったのか、子どもに関して言われたことなどをご紹介します。 話さないと決めた理由不妊は私の中でとてもデリケートな問題でした。かつての自分がそうだったように、経験がない人には渦中にいる者の気持ちはとても理解できないだろうと思ったのです。当事者の自分でさえ、妊娠できないことのあまりのつらさに戸惑っていました。経験がない人からの励ましも慰めもアドバイスも欲しくないと思ってしまい、とにかく触れてほしくなかったのが誰にも話さないと決めた一番の理由です。その代わり、私が妊活中であることを知らずに「子どもは早いほうが良いよ」などと言ってくる人がいることについては、「知らないのだから仕方ない」と諦めることにしました。 親や親族との関係私の実家も夫の実家も遠方なので、頻繁に会う機会もなかったのは幸いかなと思います。会ったときも子どもについて触れることはなく、静かに見守る姿勢だったのはありがたかったです。両家に孫はなく、みんな待ち望んでいたと思います。せめてぬか喜びをさせないようにと、誤解を招くような発言はしない、妊婦に見えそうな服は着ない、など密かに気をつかっていました。 難しい30代の友人関係30代の女の友人関係は、ただでさえとても難しいものだと思います。独身・既婚、子どものあり・なしで環境が大きく変わるため、今まで通りの付き合いも難しくなっていました。結婚以来、なんとなく友人と疎遠になるタイミングだったこともあり、妊活中も積極的に会おうとはしませんでした。意外と手強いのが独身の友人で、サラッと「子どもは欲しいの?」と突っ込まれることがありましたが、「あんまりそういうことは聞かないほうが良いよ」などと答えていました。今思えば、その返答で察してくれていたかもしれないと思うと恥ずかしいです。でも「欲しい」と答えていたら「作らないの?」と返されるだろうし、いまだに正解がわからずモヤモヤします。 職場の人との関係職場は男性が多く、そんなにフランクな仲ではなかったのですが、個人的なことはほとんど聞かれないので気楽でもありました。一度飲み会の席で「子どもは作らないの?」と聞かれたことがありました。「まあそのうち」など適当に流しましたが、不意打ちのダメージは大きかったです。 通院するときは、仕事が終わってから診察に向かいました。ところが人工授精では、急に「明日の朝に人工授精をしよう」と決まることがあります。そうなると仕事を遅刻しなければならず、不妊治療のことは職場には一切話していないので、「猫を病院に連れて行く」と嘘をついて遅刻していました。その罪悪感と、効果の出ない人工授精に打ちひしがれることもありました。 誰にも話さないと決めたのは、例えば、独身の友人に話したとして、その独身の友人が結婚して私より先に妊娠したとしたら、私もやり切れないし、友人のほうが申し訳なく思うだろうという理由もありました。今になれば、そこまで先回りしなくてもと思う部分があるのも本音です。でもそれは、2人の子どもを育てている今だからこそ言えること。当時の記録を読んでいると、正解が見えず苦しくなります。難しい問題と向き合い続けたのだなと、妊活中の自分を素直に労いたいと思います。 著者:ひらたかおる二児の母。趣味はメルカリと写真。自分の備忘録と、いつか誰かの役に立つことを願って妊活中からブログを続けている。2018年から、自身の妊活や子育てでの経験をさらに活かすべくライターとして活動している。
2019年11月23日2009年生まれの双子ちゃんのエピソードをブログやInstagramで公開しているかよポンさん(Instagram@kayoponkan)。不妊治療を経て双子を妊娠、出産するまでのエピソードを9回に分けてご紹介! 夫と「これが最後」と決めた不妊治療をおこなっています。 夫は1個に賭けようとしていましたが、私は、最後に賭けたかった…。「卵を2個を戻す」その決断を、夫は受け入れてくれました。そして、いよいよ妊娠判定の日……! つづく。 かよポンさんの育児エピソードはInstagramやブログなどから更新されています。ぜひチェックしてみてくださいね。 この投稿をInstagramで見る かよポン(@kayoponkan)がシェアした投稿 - 2019年 8月月5日午後11時59分PDT ✿❀ベビカレ秋のマンガ祭り❀✿大好評のマンガ記事を増量してお届けする期間限定“マンガ祭り”開催中! 人気レギュラー連載10作品に加え、新たにゲスト連載8作品が登場♪ 育児や家事、仕事などの合間の息抜きタイムにどうぞ♡著者:イラストレーター かよポン2009年生まれの二卵性男女双子育児中の40代母。家族の出来事を4コマで。 趣味はキャンプ。不妊治療~双子出産、子育ての日常を描いたブログも人気!blog:「おじゃったもんせ双子~笑いと涙の双子育児」Instagram:かよポン@kayoponkan
2019年11月03日2009年生まれの双子ちゃんのエピソードをブログやInstagramで公開しているかよポンさん(Instagram@kayoponkan)。不妊治療を経て双子を妊娠、出産するまでのエピソードを9回に分けてご紹介! 夫と「これが最後」と決めた不妊治療をおこなっています。洗浄の痛みに耐え、採卵を終えて帰宅しました。前回採卵したときに受精したのは、わずか2個。今回も…。せめて1個だけでも…。そんな気持ちで電話を待ちました。嬉しさと安ど感でホッとしたのもつかの間、今度は、次回の胚盤胞移植までキャンセルの電話が来ないことを祈る日々……。まだまだ気の抜けないときが続きます。 かよポンさんの育児エピソードはInstagramやブログなどから更新されています。ぜひチェックしてみてくださいね。 この投稿をInstagramで見る かよポン(@kayoponkan)がシェアした投稿 - 2019年 8月月5日午後11時59分PDT ✿❀ベビカレ秋のマンガ祭り❀✿大好評のマンガ記事を増量してお届けする期間限定“マンガ祭り”開催中! 人気レギュラー連載10作品に加え、新たにゲスト連載8作品が登場♪ 育児や家事、仕事などの合間の息抜きタイムにどうぞ♡著者:イラストレーター かよポン2009年生まれの二卵性男女双子育児中の40代母。家族の出来事を4コマで。 趣味はキャンプ。不妊治療~双子出産、子育ての日常を描いたブログも人気!blog:「おじゃったもんせ双子~笑いと涙の双子育児」Instagram:かよポン@kayoponkan
2019年11月02日2009年生まれの双子ちゃんのエピソードをブログやInstagramで公開しているかよポンさん(Instagram@kayoponkan)。不妊治療を経て双子を妊娠、出産するまでのエピソードを9回に分けてご紹介! ~ あらすじ ~旦那さんと出会って半年でスピード婚。結婚当時、仕事が忙しく、不正出血が何週間も続き、婦人科を受診したところ左右両方の卵管が詰まっていることが判明!「自然妊娠は90%以上難しい」と告げられ、不妊治療を開始するも、出血が続き命の危険に……! その後、顕微授精、体外受精を試みるも妊娠判定は陰性。一度赤ちゃんを諦めようとしたものの、やっぱり赤ちゃんが欲しい…! 自分の周囲の赤ちゃんや子どもの姿をうらやましいと思いつつ、『夫婦二人で過ごすのもいいかもしれない』。そんな風に思い始めた矢先に、義母の病気が再発しました。義母に…子どもの顔をみせてあげたい。 やってみてダメならそれでいい。でも、やらずに諦めるのはいやだ。私にはまだ治療を頑張れる時間が残されている。だから、やりたいんだ。やってみたいんだ。 ついにダンナが「1回だけ…本当に治療はこれが最後、ダメなら諦めること」と、承諾してくれたのでした。個人差はあるものの、私の場合採卵よりも、その前の洗浄が「ひぃぃーーっ!」と、飛び上りたくなるほどの鈍痛で、永遠とも感じる時間を耐えに耐えました。 その時、看護師さんに「赤ちゃんほしいんだったらがんばる!」と励まされたものの、「わかっとるわい!」と心の中で思い切り毒づいてしまった私でした。そして、卵は無事、5つ採ることができました。 かよポンさんの育児エピソードはInstagramやブログなどから更新されています。ぜひチェックしてみてくださいね。 この投稿をInstagramで見る かよポン(@kayoponkan)がシェアした投稿 - 2019年 8月月5日午後11時59分PDT ✿❀ベビカレ秋のマンガ祭り❀✿大好評のマンガ記事を増量してお届けする期間限定“マンガ祭り”開催中! 人気レギュラー連載10作品に加え、新たにゲスト連載8作品が登場♪ 育児や家事、仕事などの合間の息抜きタイムにどうぞ♡ 著者:イラストレーター かよポン2009年生まれの二卵性男女双子育児中の40代母。家族の出来事を4コマで。 趣味はキャンプ。不妊治療~双子出産、子育ての日常を描いたブログも人気!blog:「おじゃったもんせ双子~笑いと涙の双子育児」Instagram:かよポン@kayoponkan
2019年11月01日不妊に悩む人はどのくらい?あなたのまわりは、「望んでいるのだけれど、なかなか赤ちゃんができない」という人はいませんか?「子どもは望めばいつでもできるもの」と思っている人もいるかもしれませんね。実際に、望んだときにすぐできた、という人もいるかもしれませんが、そうでない人も、実はたくさんいるのです。その割合は、どれくらいだと思いますか?国立社会保障・人口問題研究所「第15回出生動向基本調査」(2015年実施)によると、不妊を心配したり悩んだりしたことがある夫婦は35%という結果でした。つまり、3組に1組の夫婦が「もしかして不妊かも?」と心配した経験があるということ。そして、子どものいない夫婦の場合では、この数字は55.2%、半数以上にものぼります。(※1)不妊は、とても身近な存在なのです。 実際に治療を受けたカップルは5.5組に1組では、病院やクリニックを受診して、不妊の検査や治療を受けたことがある人は、どれくらいいるのでしょうか。同調査によると、不妊の検査や治療を受けたことがある夫婦、または現在受けている夫婦は、全体で18.2%でした。ということは、夫婦の約5.5組に1組が、不妊の検査や治療を受けたということ。そして、子どものいない夫婦での治療経験は、28.2%という結果でした。(※1) 子どもがいても不妊?!子どもが1人いる夫婦の場合の調査結果もあります。子どもが1人いる夫婦で不妊の心配をしたことがある割合は45.4%と、半数に近い数字です。そして、検査や治療を受けたことがある割合は25.7%でした。不妊を配したものの自然に子どもを授かることができた、または治療で子どもを授かった。もしくは、「1人目の子どもは自然に授かったけれど2人目がなかなかできないと心配している」といったケースもあることでしょう。 どのような背景があるかは具体的にはわかりませんが、いま子どもがいたとしても、「もしかして不妊かも?」と心配した経験のある人は、これだけ多いということです。こうしたことから想定すると、あなたのまわりにも、きっとたくさんの不妊体験者がいることでしょう。 不妊とはどういう状態のことなの?ところで、不妊とは、どういう状態をいうのか知っていますか?日本では、健康な男女が定期的に性交渉をもっているにもかかわらず、1年以上妊娠しないことを「不妊」といいます。ただし、女性は加齢とともに妊娠しにくくなるので、20代の人と40代の人をいっしょに語ることはできないでしょう。一概にはいえませんが、年齢が高い女性は若いときよりも妊娠しにくい状態である可能性が高く、妊娠するまでに時間がかかることもあります。もちろん、1年を待たずして、病院で検査や治療を受けてもかまいません。妊娠しにくい原因がないかどうか調べておくことは、妊活の第一歩といえます。とくに生理不順や子宮内膜症、子宮筋腫などの婦人科系の病気がある場合は、早めに受診したほうがいいといわれます。また、男性側に不妊原因があるケースもあります。1年というのは、「もしかして妊娠しにくいのかも?」と考えて、検査を受ける目安になりそうです。 不妊治療は身近な存在いかがでしょうか? 不妊で悩む人は、あなたが想像していたよりも、ずっと多い数ではありませんか? おそらくそれは、治療をしていると相手が言わないために、あなたが知らないだけなのかもしれません。実は、不妊治療によって子どもを授かっている人は多いのです。2016年の日本産科婦人科学会のデータでは、体外受精や顕微授精などの高度な生殖補助医療(ART)によって生まれた子どもは54,110人となっています。その年の日本の出生児の約18人に1人の赤ちゃんがARTによって誕生していることになるのです。 2018年に日本で生まれた赤ちゃんは、921,000人でした。(※2)そのうちのどれくらいの赤ちゃんが、両親に望まれて、積極的な妊活である不妊治療によって、この世に生を受けたのでしょうか。3組に1組の夫婦が「もしかして不妊かも?」と心配する現在。あなたのまわりにも、きっとそんな経験をした人がいるはず。もしかして、あなた自身が不妊を心配したことがあったり、不妊治療を体験していたかもしれませんね。そう、あなただけではなく、たくさんの人が不妊で悩んでいる(いた)のです。いまや不妊や不妊治療は、とても身近な存在です。 ほかのママとは違う……不妊体験後の感情不妊を体験したあと、妊娠・出産、育児をしていて、なんとなくまわりとの違和感を感じたり、気持ちがざわついたりする……そうしたことはありませんか?「難なく子どもを授かった人と自分は違う。でも、子どもがいる自分は、不妊仲間には入れない。こんな気持ちを誰にも話せない……」こうした気持ちは、不妊を体験したゆえの独特の感情なのだそうです。NPO法人Fineでは、そうした人のためのグループカウンセリングを行なっています。生殖心理カウンセラーが同席して、不妊を体験したあとの特有の心理についてサポートしています。 参考:※1:2015 年社会保障・人口問題基本調査 <結婚と出産に関する全国調査>※2:平成 30 年(2018) 人口動態統計の年間推計 - 厚生労働省NPO法人Fine〜現在・過去・未来の不妊体験者を支援する会 著者:ライター NPO法人Fineスタッフ 高井紀子北海道生まれ。編集者・ライター。広報誌、雑誌、書籍、ウェブサイトなどで、妊活や不妊治療に関する企画・記事を数多く手がける。不妊体験者を支援するNPO法人Fine()スタッフ。コミュニティFM「渋谷ラジオ」に出演中。趣味は月を見ること、温泉めぐり、ボルダリングなど。健康マスター(ベーシック)。
2019年09月10日不妊治療をしている上で大切なもの、それは「お金」と「時間」「お金」は、助成金を受けられると言っても額は決まっている上、後日給付なので一度は支払いをしなければなりませんし、長引けば長引くほどその金額は大きくなっていきます。そして「時間」、排卵日とホルモンの状態を、血液検査と内診で医師が予測しながら治療を進めていく為、どうしても急な診察や連日の病院通いがある上に、予約制ながらも待ち時間はかなりのものです。1回の診察で文庫本1冊読みきれます。(しかも病院によっては椅子が足りなかったりしてかなりしんどい)時は金なりという言葉にもある通り、時間を失うとそれだけお金を稼ぐ機会が減る訳で、この2つのバランスを取るのが非常に難しかったです。私はたまたま退職する機会とも重なったので、正社員から、比較的休みを取りやすいオフィスワークのパートに転職しました。最初に不妊治療中という事を知ってもらえていれば気持ちも楽かもと、求職中、いくつかの会社には面接で「不妊治療中です」と伝えてみたら見事に全部不採用でした。パートは日曜定休で週4の9時~17時のシフト制でしたが、休みをスムーズにとる為にしていたのは「他の人が急に休みを取る事になった時は進んで自分が代わりに出勤する事」。時給制だったのでシフトに入ればお金も稼げるし、急に通院の予定が入った時も普段から代わりに出勤していれば罪悪感も多少減るし、上司も快くお休みをくれるという打算的な理由で… 本当ならこんな気を使ったりせず、どの会社でも、どんな理由でも「お休みもらいますー」「どうぞー」っていう世の中になってほしいですが。そして助成金ももっと幅広くしてほしいですが。連日の通院で仕事の日程の調整を何度も余儀なくされ、もう働きたくない! と思った事もありましたが、やはり治療自体にかなりのお金がかかるので働き続けなければなりませんでした。心と体に影響の多い不妊治療中に、仕事と治療の調整でストレスを溜める事はできるだけ避けたいですよね。
2019年09月05日前回 の記事で採卵の話をさせていただきましたが、今回は採卵後の話をさせて頂きたいと思います。1度目、自然周期での採卵でひとつも卵子が取れなかった私。間髪空けず、今度は低刺激(最小限の排卵誘発剤を使用)での採卵を行い、無事卵子を取ることができました。精子の状態によってはお医者様の判断で顕微に切り替えて貰えます。とにかくまずは第1段階突破ということで、ホッと一息。しかしここから怒涛の確認地獄が待っているのです!なぜなら、受精卵が無事分割しているかをまた電話で確認し、そのあとは胚盤胞まで育てて凍結できたかをまた確認する事になるから!連絡するように指示される時間は大体昼間なので、時間作るのが地味に大変で…無理な時は夫にお願いしたりしていました。この不安とドキドキは結局出産するまで続きました(切迫流産で18週から36週までの長期入院になったため)現在2人目は? と聞かれることがありますが、不妊治療〜出産までの事を思い出すと、どうしても一歩踏み出せない自分がいます。
2019年08月22日排卵のあと妊娠が成立しなかった場合は月経が起こりますが、月経周期が規則的ではなかったり、出血が多かったりなどの症状に悩まされている方も少なくありません。その場合はもしかしたら「無排卵月経(無排卵周期症)」かもしれません。今回は、無排卵月経について解説したいと思います。 正常な月経周期について自分の月経周期を把握するときは、生理が始まった日から次の生理が始まる前日までの日数を数えてみましょう。正常な月経周期とは、この日数が25~38日の範囲にある場合とされています。 正常な月経周期の変動正常な月経周期において、卵巣では卵胞期→排卵期→黄体期と呼ばれる形態の変化が起こります。それに伴い、ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)の分泌パターンが変化するため、子宮内膜はその影響を受けて、増殖期→分泌期→月経期へと周期的に変化します。こうしたホルモンの周期的変化は子宮のみならず、乳腺など体の他の組織の機能や全身の代謝、精神状態などにも影響を与えます。 ●増殖期(卵胞期)卵巣の中にある卵胞が成長して大きくなっていくとともに、卵胞ホルモン(エストロゲン)が分泌され、そのエストロゲンの刺激で子宮内膜が増殖して厚くなっていく時期です。↓排卵(卵胞が破れて卵子が外に押し出される現象)がおこります。↓●分泌期(黄体期)排卵後の卵胞は黄体と呼ばれる組織に変わり、主に黄体ホルモン(プロゲステロン)を分泌します。プロゲステロンは子宮内膜を着床に適した状態にしていきます。↓●月経期(黄体~卵胞期)受精が起こらなかった場合、あるいは受精が起こっても受精卵が子宮に着床しなかった場合、黄体は退縮して白体になり、エストロゲンとプロゲステロンの分泌が減少します。すると子宮内膜が剥がれ排出されます。これが月経です。月経は、排卵が起こってから約14日で起こります。卵胞期の長さはさまざまであっても、排卵から月経までの日数はほぼ一定です。そして、ふたたびエストロゲンの分泌が増えてくると子宮内膜が再生し、出血が止まります。↓●増殖期へ・・・ 無排卵月経(無排卵周期症)とは?無排卵周期症は、無排卵月経とも呼ばれています。正常な月経周期では、排卵が起こり妊娠が成立しなかった場合、月経となります。これに対して無排卵月経では、排卵が起きていないのに、月経のような出血がみられることが特徴です。 正常な基礎体温のパターンは、月経周期前半の低温相と後半(排卵後)の高温相に分かれる「二相性」ですが、無排卵月経の場合、低温期だけの「一相性」となります。無排卵周期症においては、月経周期の長さが一定ではないことが多く、月経期間(日数)も短かったり長かったりしますが、正常な月経と区別できない場合もあります。また、無排卵月経は不妊の原因にもなります。 無排卵月経(無排卵周期症)の原因は?正常な月経周期では、脳(視床下部・下垂体)から分泌されるホルモンが卵巣に働きかけ、卵胞を発育させ、排卵させます。一方、無排卵月経の場合は、脳から分泌されるホルモンがうまく分泌されないため、卵胞が十分には育たず、排卵が起こりません。排卵が起こらないと、排卵後に増加するプロゲステロンの分泌が欠如するため、子宮内膜が維持できず、剥がれ落ちてしまいます。ただし、無排卵月経の場合は、排卵は起こらないものの卵胞は発育してエストロゲンが分泌されるため、その程度に応じて子宮内膜は厚くなり、その剥離による出血がみられます。 これに対し、エストロゲンの分泌がより悪くなった場合には子宮内膜は薄いままで、したがって月経も起こらない「無月経」という状態になります。脳からのホルモンがうまく分泌されない原因はさまざまあり、ストレス、体重の変化、内分泌疾患、加齢などがあります。 無排卵月経(無排卵周期症)の症状は?無排卵月経の主な症状は月経不順、不正出血、不妊です。月経不順は、そのパターンにより以下のように分類されます。 ・頻発月経:24日以内で月経が来る・希発月経:39日以上3カ月未満で月経が来る・過多月経:出血量が異常に多い・過少月経:出血量が異常に少ない・過長月経:出血日数が8日以上・過短月経:出血日数が2日以内不正出血については、いろいろなパターンでの出血が起こりえます。ただし、ここで気をつけないといけないのは、長期にわたり無排卵周期が続く場合、黄体ホルモン分泌を伴わないエストロゲン単独分泌が持続することにより、子宮内膜増殖症や子宮内膜がんが発症する可能性があるということです。特に更年期において不正出血がみられた場合、無排卵月経と子宮内膜の腫瘍との鑑別診断は大切です。いずれにしても、不正出血があった場合、自分で無排卵月経と決めつけずに、診察を受けるようにしましょう。ちなみに無排卵月経の人が、無排卵であることを自覚することはあまりありませんが、元々黄体期(月経前)特有の症状(眠気や食欲の増加、精神的不安定など)が強かった人は、そうした症状がなくなっていることに気づくかもしれません。 無排卵月経(無排卵周期症)の治療法は?無排卵月経の治療は、年齢や妊娠の希望があるかどうかによって異なります。 ●妊娠の希望がある場合排卵誘発剤を内服または注射し、排卵を促します。無排卵月経の場合は無月経の場合と比較して、内服薬など比較的マイルドな排卵誘発剤で排卵が起こりやすい傾向にありますが、排卵誘発の副作用として、多胎(双子以上)妊娠やOHSS(卵巣過剰刺激症候群)を発症する可能性があります。●妊娠の希望がない場合無排卵月経は、卵巣機能が未熟な思春期、卵巣機能が低下しつつある更年期には頻繁にみとめられる現象です。妊娠・出産が可能な性成熟期(20代~40代前半)でも妊娠の希望がない場合、経過観察とする場合も多く、月経不順などで日常生活に支障をきたしている場合に治療の対象となります。その際にはホルモン療法やピルの内服がおこなわれます。 ●漢方薬などによる体質改善漢方薬は、生薬の組み合わせであり、種類は数えきれないほどあります。それだけ症状や体質にあった漢方薬が処方されます。最近では漢方外来がある病院も増えており、漢方の専門知識を持った医師が治療をおこなってくれます。 まとめ妊娠可能な時期にあり、妊娠を希望している女性が無排卵月経では、妊娠することができません。妊娠を望んでいる場合は、パートナーや医師と相談したうえで、自分に合った治療法を見つけていきましょう。妊娠を望んでいない場合でも、子宮や卵巣機能に何らかの異常がある可能性があるため、早めに受診することをおすすめします。 参考:『病気が見えるVol.9婦人科・乳腺外科』(メディックメディア) 監修者:医師 産科婦人科福岡医院院長 福岡 正恒 先生京都大学医学部卒。同大学院修了後、京都大学助手、講師を経て、平成11年より産科婦人科福岡医院院長。京都大学在職中は、婦人科病棟や産科病棟などを担当。またこの間、英国エジンバラ大学・生殖生物学研究所に留学。日本産科婦人科学会・産婦人科専門医,京都大学医学博士
2019年08月11日朝の情報番組で放送していた不妊治療特集で、採卵の針が話題になっていたので、自分の苦い採卵の記憶を思い出しました…。病院や先生、治療を受ける本人によっていろんな事が違うとは思いますが、こういう場合もあるんだーと読んでやってください!■初めての採卵! 耐えられると思っていたけれど…体外受精をするにあたって、私が通院を決めた所は、体への負担やよりよい卵子を取る為、極力薬を使わない自然周期の採卵を行なっている病院でした。無麻酔で。痛みが少ないよう設計された細い針を使う為、麻酔の必要がないそうで、安静時間も短くすぐに帰宅が出来るとのこと。初めての経験に不安はあるものの、卵管造影検査が悶え苦しむレベルの痛みだった私は、多少痛くても耐えられるだろう…なにより、これが終われば子どもを持つという夢に一歩近づけるという希望で胸いっぱいのまま、その日を迎えました。恐怖の中、採卵がスタート。■いよいよ採卵開始…この時私の体にあった卵胞は「空胞」で卵子が入っていない状態で、空胞かどうかは採卵してみないと分からないと看護師さんから説明を受けましたが、処置後の痛みと採卵数0の衝撃で頭に入ってきませんでした。排卵痛がある方は是非、排卵痛の痛みを5倍くらいにして想像してくださると分かりやすいかなと思います…(私も排卵痛持ち)結局、出産に至るまであと2回採卵を行ったのですが、毎回泣く程痛かったです。トラウマすぎて娘を出産する際、陣痛中ずっと「無麻酔の採卵を耐えた私だぜ!? まだまだぁぁ!! 来いやぁぁ!」みたいにずっと耐えてたら、子宮口全開であやうく陣痛室で産まれそうになりました。しかし、同じ病院で体外受精をした姉は、同じく無麻酔採卵を経験したのですが、ほとんど痛くなかったと言っていたので完全に個人差だと思われます…羨ましい。
2019年08月06日娘一人、息子一人のわが家ですが…、私はもともと、子どもができにくい体質でした。結婚したのは24歳のとき。結婚後なかなか子どもができず、不妊治療に通っていました。そして、結婚しても妊娠しないことで、周りから「子どもはまだ?」と言われ始めました。周りからかけられる言葉に傷つき、余計ネガティブになった私。「私には子どもが一生できないのではないか」そんな思いを話すと夫は…「大丈夫」と、涼しい顔で言いました。不思議なことに、夫から「大丈夫」と言われると、なぜか本当に大丈夫な気がしてくるのです。結局、夫と話し合い、辛かった不妊治療はやめることにしました。その後、治療をやめて2、3か月経ったころ…私は自然妊娠。27歳のときに娘を出産しました。そして、時は流れて私は31歳になり、今度は二人目の不妊に苦しんでいました。「二人目はまだ?」という言葉に傷つき、2回の流産を経験し、また私はネガティブになっていきました。このときも夫は「大丈夫よ」と、また涼しい顔で言い続けていました。その後、私は33歳のときに二人目を授かりました。しかし、妊娠中はトラブルばかり。繰り返す出血で、入院や自宅安静が続きました。医者からは「あなたの場合、安定期はないよ」と言われる始末。「もう産めないかもしれない」そんな風に考えていたとき、また夫は「大丈夫よ」と言いました。もちろん夫には、医学的な知識もありませんから、何の根拠もありません。でもなぜか「そうか…大丈夫か…」と私の緊張はほぐれていきました。結局最後までトラブル続きではありましたが、私は無事息子を出産することができました。その後も、私は夫のこの「大丈夫」という言葉にたくさん救われてきました。どんな状況でも慌てることなく、いつも同じ表情で、さらっと「大丈夫」と言ってくれる夫。このさらっとした言い方が私には合っているようで、いつも安心できます。夫のこの言葉で、私の心は保たれているといつも感謝しています。
2019年07月03日不妊治療をしていた頃、ふと気になって調べた事がありました。それは「不妊治療している、もしくはしていた事を両親や義実家に話すべきなのか」です。もしかしたら、悩んでいる方の何かの役に立つかもと思ったので、我が家の場合を書いてみたいと思います。母が私を生んだのが35年前なので、その頃はまだ不妊治療が一般的ではなかっただろうし、きっと、よくわからない治療を娘がする事に不安を感じたんだろうなと今なら思うんですが、その時は、母に分かってもらえず悲しい気持ちが少なからずありました。結局、その後不妊治療について改めて話をする事もなく、その場をおさめて終わったきりになっているので、うちの両親は体外受精をした事を今も知らないままです。娘が体外受精によって産まれた事を隠している訳ではないですが、わざわざ改めて言う必要もないかなと。同じように、義実家にも特に治療の話はしていないのですが、出産後…遠方で年に1度しか合わないので孫の話も特にされないなーと思ってたんですが、どうやら夫には言っていたようでした。私に原因のある不妊だったので、きっと義実家に直接催促されていたら精神的にしんどかったろうなと思います。それを分かってか、私の耳に入らないようにしてくれた事はとても嬉しかったのですが、立ち会い出産の際に株が下がりに下がりまくっていたので(前日に飲みに行って陣痛室のソファーで爆睡、からのいざ産むって時に行方不明)プラマイゼロくらいな感じでした笑。ただでさえ肉体的にも精神的にも負担の多い不妊治療なので、余計な事は考えずに挑みたいですよね。
2019年06月25日現在は姉妹の母の私ですが、昔、全く妊娠しないという時期がありました。病院に通って、タイミングを見て注射をし排卵をうながしても、妊娠にかすりもしませんでした。■近くの産婦人科に通うも妊娠しない日々当時は近所の産婦人科へ通っていたのですが、そこの医師に「ネットは見ないでください」といわれました。おそらくネットの情報で不安になったりするからだと思います。そこへ通い続けたのですが、まったく妊娠する気配すらありませんでした。あまりに妊娠しないので不安になり、医師に「ネットを見ないで」といわれたにもかかわらず、ネットでいろいろな情報を集めたりしました。その医師のいうことだけをきいて、妊娠できなかったら一生後悔すると思ったからです。■不妊治療の実績のある病院へ転院…すると、不妊治療には、今私がしているタイミング療法の他にも、人工授精、体外受精、顕微授精など、色々な方法があることがわかりました。今通っている病院では、タイミング療法しか行っていませんでした。他の病院では色々な方法にチャレンジすることができることを知りました。それでいろいろ調べて考えた結果、少し遠くても不妊治療での実績がある病院に転院しようと思いました。そして、不妊治療の実績がある病院に転院して治療を開始することになりました。そこの医師は最初から、夫も病院にくるようにといいました。以前の病院ではそんなことはいわれず、ただ私がひとりで通っていましたが、たしかに不妊の原因はかならずしも私のせいとはかぎりません。夫婦で検査を詳しくすることができて、治療もさまざまな方法を選べました。…結論からいいますと、そこの病院のおかげで私は、長女を授かることができました。この経験から、病院を選ぶことは大事だなと心底実感しました。あのとき、転院の決断をして本当によかったと思っています。
2019年06月17日正常な月経周期において、女性ホルモンであるエストロゲンやプロゲステロンなどのホルモンバランスや卵巣、子宮内膜などが時期によって変化していきます。卵巣の変化に着目してみると、「卵胞期(らんぽうき)」→「排卵期」→「黄体期」という変化を繰り返しています。今回は黄体期にどのような変化が起きているのか、妊娠している場合の変化などについて解説します。 黄体期とは?妊娠しているとどうなる?月経が終わると、卵巣では再び妊娠の準備に向けて卵胞が成熟していきます。卵胞が完全に成熟すると、卵胞から卵子が出され(排卵)、残った卵胞は黄体になります。妊娠が成立しなかった場合、黄体はおよそ14日間程度で白体(はくたい)へと変わり老廃物となります。この一連の変化のうち、排卵の時期を排卵期といい、排卵期より前の時期を卵胞期、後の時期を黄体期といいます。黄体期の特徴としては、黄体から分泌されるプロゲステロンの効果によって体温が上がります。そのため、黄体期に入ると基礎体温のグラフは上がり、次の月経が始まる2日ほど前まで体温が高い状態が続きます。妊娠が成立すると黄体は妊娠黄体となり、胎盤ができるまでの間、プロゲステロンを分泌します。そのため、月経予定日を過ぎても基礎体温は下がらず、高温相がつづきます。妊娠をしていない場合には、月経予定日の前に基礎体温は下がり、月経が始まります。 黄体期にみられる症状卵胞期にはプロゲステロンよりもエストロゲンの方が多く分泌されていますが、黄体期では、エストロゲンよりもプロゲステロンの分泌量が多くなります。 プロゲステロンの分泌量が増えることで、基礎体温が上昇するほか、乳腺の発育・発達、子宮内膜が厚くなる、頸管粘液が透明から白色で少なくなるなどの変化が生じます。そのほか、月経前症候群(以下PMS)が現れる方がいます。 PMSは、月経予定日の3~10日に心や体にあらゆる症状が出るものです。原因はまだはっきりわかっていませんが、今のところ、PMSはエストロゲンとプロゲステロンのアンバランス、ホルモン異常、カルシウム不足や精神状態の影響など、さまざまな原因が考えられています。 【PMSの代表的な症状】・眠気または寝つきが悪い・頭痛・体のむくみ・乳房の張りや痛み・倦怠感・イライラする・やる気が起きない・集中力の低下 PMSの症状が出る方とそうでない方、症状として感じるものやその程度は個人差があります。PMS症状が重い方では学業や仕事を休まざるを得ないケースもあり、日常生活への影響も大きくなります。気になる症状がある方は、産婦人科に受診をするとよいでしょう。 基礎体温の変化からみる黄体期の異常正常な基礎体温の変化は低温相と高温相の二相性を示し、高温相が陥落することなく10日以上持続することなどがあげられます。しかし正常な基礎体温の変化が見られない場合、以下のような異常が生じていると考えられます。■高温相が不安定で10日以内の場合黄体機能不全が考えられます。本来、排卵後、卵胞は黄体に変化し、プロゲステロンを分泌し体温を上昇させますが、黄体機能不全の場合はプロゲステロンの分泌が不十分なため、高温相を維持できなくなり、不安定になってしまいます。黄体機能不全の原因は明らかになっていませんが、ホルモンの分泌異常や子宮内膜の異常などの要因が関連して起こると考えられています。■高温相がない無排卵性月経ということばで聞いたことがあるかもしれませんが、無排卵周期症が考えられます。無排卵周期症では、ホルモンの分泌異常により卵胞が発育せず、排卵が起こらないため、卵胞が黄体に変化せず、体温の上昇が起こりません。どちらの場合でも、月経様の出血が見られるため、基礎体温を習慣的に測っていない人は、異常に気付きにくいかもしれません。黄体機能不全や無排卵周期症は、不妊の原因にもなりえます。 まとめ黄体期は排卵期の後から次の月経が始まる前日までの期間のことをいい、基礎体温では高温相にあたります。妊娠していない場合には月経予定日の前日には基礎体温が下がり低温期に入って月経が始まりますが、妊娠している場合は月経予定日を過ぎても高温相が持続します。基礎体温を計測することで、自分の黄体期の有無を確認することができます。黄体期を示す高温相に異常がある場合は、黄体機能不全や無排卵周期症の可能性があり、不妊の原因にもなります。基礎体温は妊娠の可能性や体調の具合を表すひとつの指標になりますので、基礎体温計測が習慣化できるとよいですね。 監修者:医師 産科婦人科福岡医院院長 福岡 正恒 先生京都大学医学部卒。同大学院修了後、京都大学助手、講師を経て、平成11年より産科婦人科福岡医院院長。京都大学在職中は、婦人科病棟や産科病棟などを担当。またこの間、英国エジンバラ大学・生殖生物学研究所に留学。日本産科婦人科学会・産婦人科専門医,京都大学医学博士
2019年05月27日専業主婦の年金削減なんて話がSNSで飛び交っている今日この頃…私は子どもを妊娠し、いろいろな事情もあり仕事を辞めることになったので、今日はそのお話をさせていただこうかなと思っています。■出産ギリギリまで働こうと思っていたけれど…私は不妊治療をしていたのでお金が必要だったのもあり、妊娠するまでずっとフルタイムのパートで働いていました。パートだった理由は、正社員だと、突然の通院のたびにお休みや半休を貰うのが困難だったからです。そのため、子持ちのパートさんがたくさん働いていた通販サイトの受注管理の仕事に転職しました。その会社は、通院だけじゃなく、子どもの急な発熱でのお休み等も他のパート同士でフォローし合いつつ休みやすい雰囲気を作っていたので、できれば出産後に戻ってきたいなと思っており、妊娠報告をした時も上司に「子どもが1歳くらいになったら戻ってきて欲しい」と言っていただきました。なので、出産ギリギリまで働こうと思っていたのですが…こうしてあれよあれよという間に、予想外の退職。正社員だったらまた違ったかもしれませんが、生まれてくる子どもの事が第1だったので今でも後悔はありません。ですが……■ハードルが高い、育児中の復職やっぱり家族が増えると今まで以上にお金がかかる!夫に何かあった時のためにも、自分も仕事をしていた方がいいなと思いつつ、なかなか思うようにはいきませんね…。保育園に預けられず泣く泣く退職したという話や、育児しながらの激務に耐えきれず止むを得ず辞めたというようなお話を周りからも聞いたりするので、育児中に限らず、全ての人が、もっと余裕のある働き方、生き方ができる世の中になって欲しいなと願うばかりです。
2019年05月14日私は不妊治療を約6年おこない、ようやく子どもを授かることができた40代のパパです。不妊治療にここまで時間がかかるとは想像していませんでしたが、結果的に妻も高齢出産になってしまいました。そのため、無事に出産ができるのだろうかという新たな問題が発生し、出生前診断をおこなった体験談です。 時間のかかった不妊治療不妊治療開始時に、病院で高齢出産に対しての説明を受けました。説明を受けたときの私たちの年齢は、私は30半ば、妻が30代前半だったので、私たちにはあまり必要のないことだという認識しかありませんでした。 ただ、私たちの不妊治療は想像以上にお金と時間がかかってしまい、ようやく妊娠できたのは不妊治療を開始してから約6年が経過したころ。私たちにとって待望の妊娠だったのですが、そのとき初めて高齢出産に対するリスクを認識しました。 妊娠がゴールという錯覚不妊治療の期間が私たちの予想より長かったため、私は次第に妊娠することが目標になっていました。妊娠前に高齢出産の知識を得て不妊治療をおこなっていれば、治療期間を短く設けていたかもしれません。ただ、原因不明の続発性不妊症(※1)だったため、「いつか妊娠するのでは」という思いでずるずると長い治療期間になってしまいました。 しかし、出生前診断をおこなう期間は限られていたので、いつまでも決断を先送りすることができませんでした。 出生前診断するか否か、決断する難しさ最近よくさまざまなメディアでも目にする「命の選別」という言葉が私たちを悩ませ、簡単に決断できませんでした。 ただ、もし赤ちゃんが障害を持って生まれた場合、高齢出産である私たちは将来に不安を抱えたまま過ごすことになると予測できます。検査費用もNIPT(新型出生前診断)の場合、約20万円とわが家にとっては高額だったため、不妊治療を長年おこなっていた私たちには相当な負担額でした。 そして待望の妊娠にも関わらず、診断の結果次第で子どもを諦めなければならない状況になることにも、気持ちの落とし所が見つかりませんでした。 前向きになるための診断最後は、「不安な状態での出産を迎えるより、どのような診断結果であれ受け止め、産み育てたい」という思いで、診断を受けることに決めました。 検査から約2週間で結果が出る予定でしたが、その間も「この検査は受けてよかったのか?」という自問自答を繰り返し続けていました。2週間後、診断の結果は「陰性(異常なし)」。どのような結果であれ産むつもりでいたので、出産に向けての悩みがようやく解消されたような気持ちになりました。 順風満帆ではありませんでしたが、悩みのない状態で出産を迎えられたのは、長い間夫婦で不妊治療に向き合い、コミュニケーションを取り続けた結果だと思っています。世間の風潮に惑わされるとこなく、家族全員が納得するように悩みを共有し、診断をおこなうか否かを決めることが大切なのではないかと、私は感じました。 (※1)続発性不妊症:1人目は自然妊娠できたのに、2人目がなかなかできない不妊症のこと。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 著者:ライター 吉田直樹二児の父。原因不明の続発性不妊症のため、夫婦揃って不妊治療を数年おこない授かる。グラフィック・Webデザイン事務所を経て、現在グラフィックデザイン・Webデザインのフリーランスとして活動中。
2019年05月12日筆者は不妊治療をして娘を授かりました。現在は第二子妊娠のために再び不妊治療中です。今、娘は幼稚園に通っていますが、入園前は一緒に病院へ連れて行っていました。そこで子連れでの不妊治療の経験を元に筆者が考えた「子どもを抱えながら不妊治療に通いやすい病院の条件」をご紹介します。 子どもを連れて行きやすい雰囲気かどうか子連れで不妊治療に通える病院かどうかというのは1人目の不妊治療では考えなくていいことですが、第二子以降の不妊治療では重要だと思います。他の患者さんへの配慮で子連れでの来院を断る病院もあると聞いたことがあり、筆者は最初の予約の際に電話で確認をしました。また、子連れでの通院が可能であっても、子どもが遊ぶスペースやおもちゃがないこともあります。混んでいる病院であれば数時間待つこともあるので、子どもが飽きない工夫は必要だと思います。 託児の施設が近くにあるかどうか筆者が不妊治療に通う病院には、すぐ近くに病院が運営している託児所があるのですごく助かりました。空いているときの診察や注射のみの場合はあまり時間がかからないので一緒に通院することも可能ですが、人工授精や検査などで時間がかかるときは預かってもらえる場所があるというのはすごく便利です。また、病院の診察のための託児であれば通常よりも安く預かってもらえるという制度であったため、金銭的にも非常に助かりました。 家から近いかどうかこれは一人目の不妊治療の際にも大切な条件かもしれません。人工授精や体外受精などをおこなう場合は、朝早く病院に行かなければならないこともあります。筆者が体外受精をおこなったときには、深夜に排卵を促す注射を打ちに行かなくてはならないこともありました。治療の内容によっても通院の頻度は違いますが、子どもがいる場合は特に準備に時間がかかるため、家から病院が近いと通院をすることのストレスは少なく済んでいます。 いつか生まれてきてくれるわが子のためにと思っても、不妊治療に通うのは肉体的にも精神的にも金銭的にも負担がかかります。少しでも通院することに対するストレスを減らすことができれば、治療に対するモチベーションの維持もしやすいと思いました。 著者:ライター 吉川麻和一児の母。娘の出産を機に仕事を退職し、現在は子どもの成長に合わせた働き方を模索中。不妊治療の経験や子育て経験に基づき執筆中。
2019年04月09日はじめまして! この度新しく連載をさせて頂きますトキヒロと申します。4歳女児と日々をダラつきながら過ごす34歳児、よろしくお願いします!!記念すべき第1回は妊娠前まで遡ろうかと思います。子どもが欲しいと思いながらなかなか授からず、不妊治療をしていた頃の話です。当時不妊治療をしてる事は誰にも話していなかったので、平静を装っていましたが数年間の治療でだいぶ精神的に消耗していました。何よりもおめでたいことなのに、100パーセントの気持ちで祝福出来ない自分の心が醜くて、それが余計に自分を追い詰めているような状態でした。落ち込んだ気分の時にネット検索すると、わざわざマイナスな情報や言葉を探して吸収して頭が膨れ上がっていくような気がします。それでもどこかに答えがあるんじゃないかと色々な情報を読み漁りドツボにハマっていくという…まさに迷路でした。これは妊娠中や子どもが生まれて育児に行き詰まった時も、同じような事になったので、つくづくネットが向いてない(笑)。この頃から7年経ち、今思う事。あの頃の私だけじゃなく、不妊治療をしていると、行き場のない焦燥感や劣等感で、自分を責めてしまう事が多いですが、大好きな人との子どもが欲しいと頑張る自分を、少しでも褒めてあげてして欲しいなと思います。
2019年01月29日いよいよ妊婦さんとしての日々が始まり、出産の日を迎えたこてつさん。最後に改めて、3年間の治療を振り返って感じたことを綴っています。不妊治療を2005~8年に受けた中村こてつさんの体験談。最終回です。妊娠から出産までの日々2009年7月20日。干し梅のような姿だった透明の卵が、人間の赤ちゃんとしてこの世に現れました。4回目の移植で妊娠した私は、不妊治療中にもそうであったように、ネット検索魔に変身。妊娠中にとったほうがいいサプリメント、カフェインはどこまで摂取していいのか、おすすめ食材・おすすめしない食材、体重の増加について怒られないようにする方法(笑)、妊娠線の出ない方法、安産のためにやらねばならない運動など、ありとあらゆる方法を調べました。コーヒーを飲み過ぎではととがめるオットと険悪な雰囲気になったり、栄養士さんの話を聞いてから昆布やいりこでだしをとるようになったり、黒酢たくさん飲んだりしました。安産のためにとにかく歩こう! と愛犬と一緒に散歩しまくり、10km近く歩く日もありました。頭でっかち、おなかでっかちな妊婦になりました(笑)。 妊娠5カ月になってから周囲の人には伝えました。それまでは「何があるかは分からないから」とずっと秘密にしていました。マイナートラブルはあるものの妊娠経過は順調。力を合わせて産道をくぐり抜け、産声をあげる我が子と対面することを何度も想像し、安産に向けて毎日毎日歩きました。出産予定日。うんともすんともいいません。そのまま予定日を1週間超過しようかというとき陣痛がきました。陣痛は進みが遅く、徐々にひどくなる痛みに2日間耐え抜きました。子宮口がやっと全開近くになり、最後は先生におなかを押さえつけられながらいきんだものの…生めませんでした。不妊治療(特に体外受精・顕微授精など)で妊娠した子は「貴重児」と呼ばれていました。万が一のことがあったとき次の妊娠が難しい、妊娠するまでにかなりの労力を費やしている、という理由からそう呼ばれるようです。そのほか、不育症であった、流産・死産の経験がある、なども貴重児と分類されるとのこと。初めから帝王切開をすすめられるケースもあったと聞いています。バースプランを決めるとき、なるべく普通分娩で生みたいと言いました。さんざん人工的な不妊治療をしてきたのだから、出産くらいは自然な形で普通に生みたいと思っていました。だけど、自然に生むことが普通? 治療中も初めは「できれば自然に」と考えていました。自然=普通? なんで普通になりたいんだろう、私。…普通って、なんだっけ? 数人がかりでサポートされながらいきんだ後、帝王切開を提案されました。「せっかく不妊治療してまで授かった命だからこそ、最後の最後でリスクを背負うことはないよ」。先生が言いました。このまま頑張れば普通分娩で生めるかもしれないけれど、万が一のために帝王切開で安全に取り出したほうがいいとのことでした。手術が決まるとあれよあれよと準備が進み、私は手術台の上で張りつけの状態に。始まって数分、泣き声が聞こえました。「へその緒が2重巻きで回旋異常だったよ。だから出てこられなかったんだねぇ」と先生。あー、そうだったんだ~。帝王切開でよかった…無事でよかった…。出産くらいは普通がいい。そう思っていた気持ちはなくなっていました。(この後しばらくして、「おっぱいくらいは普通にあげたい!」となるのですが…こりない私。苦笑)視線の先に、助産師さんに体を拭かれながら泣きじゃくる声と我が子の足が見えました。まだ手術台に張りつけにされたままの私の手に頭が触れるよう、計測等をすませた赤ちゃんを連れてきてくれました。その頭は、まだシットリ湿っていました。「久しぶり~」心の中で声をかけました。なぜ「久しぶり」かというと、0.1mmの受精卵以来の再会だったから。こうして私の不妊治療は幕を閉じました。自分の中のさまざまな気持ちに苦悩し、はいつくばって進むような日々。夫婦で本音をぶつけ、泣いたり、笑ったりした日々。いろいろなことを知り、いろいろなことを感じました。女性として生む・生まないを真剣に考えること。子どもがいることだけで幸せか不幸せかは決まらないこと。自分の体を知ること。家族の体を知ること。心と体はつながっていること。妊娠は思い通りにならないこと。自分の気持ちを奮起させて挑戦すること。失敗が続くとどんどん落ち込むこと。周囲の何気ない一言に疲弊すること。人の感じ方は自分の感じ方と違うこと。赤ちゃんはキラキラしていること。他人を妬む私がいること。平静を装う私がいること。他人のことは他人のことだと割り切ること。流れに身をまかせること。命が止まること。悲しみは他人と比べるものではないこと。夫婦にとって一番大切なこと。自分の心を掘り下げてみること。自分を認めてあげること。想像力を持って思いやる心、人も自分も大切にする生き方。3年間の不妊治療の体験を通して知りました。はっきりと思います。私には必要なプロセスだったと。そして時々、妄想します。不妊治療に挑んだけれど、結局子どもを持たなかった私の人生を。その人生を生きている私も、きっと幸せであるだろうと。※私が長男を妊娠するために不妊治療をしていたのは、2005年11月~2008年10月のことです。また、この体験記に記載された症状や治療法は、あくまでも筆者の体験談であり、症状を説明したり治療を保証したりするものではありません。
2019年01月23日陽性判定が出て、妊娠が判明。悪阻も始まり、正式に不妊治療クリニックを卒業する日を迎えました。不妊治療を2005~8年に受けた中村こてつさんの体験談。初めて見る赤ちゃんの心拍4回目の移植で陽性判定をもらい、3日後再受診しました。HCG(※)=394。※=ヒト絨毛性ゴナドトロピン。妊娠中に産生されるホルモン。前回の78より増えているので、とりあえず安心とのことです。ネットでいろいろ検索していたので、この数値だと双子ちゃんではないだろうなぁと分かりました。2個移植したのだから、両方とも育ってほしかったのが本音でしたが。さらに1週間後、超音波で胎嚢の確認をしました。胎嚢はしっかりと映っていました。胎嚢の中にペコペコ動くものあり。 心拍でした。 初めて見る心拍に「ほ~、これが…」と感心します。 少し前から悪阻も始まっていました。 ずっと船酔いのような感じです。 匂いにも敏感になりました。ネギ、玉ねぎなどの匂いがダメでした。 あと、口臭が…。オット&愛犬の口臭に毎回「ウッ」。 隣で寝ていると、寝息がこちらまで漂ってきて「ウッ」。 オットは悲しそうでした。心拍を確認してから1週間後、8週目の診察へ。 頭と体の区別がついていました。 体の丸いポチポチは手足だと説明されました。 芋虫みたいだったのに、人間らしくなってきたね。 身長1.65cm。 軽くなったと思った悪阻はなかなか完全にはなくならず、たまに横になることもありました。 出産予定日が決定。そして初めての母子手帳数日後、出血があり、心配になって受診するも、子宮内に血の塊が残っているのが原因とのことで、赤ちゃんもしっかり見えているし、大丈夫と言われ安心しました。前回とそんなに変わっていませんでしたが、今回は見ているときに動きました(!)。首をカクカクっと左右に振っていました。ベテランお笑い芸人さんのモノマネのような感じ(笑)。おいおい、動くとちょっとかわいいじゃないか。9週の診察。身長2.62cm。順調とのことで、今日は背骨が見えました。 内診後、ドクターが「7月12日だね」と言いました。 とうとう出産予定日が決まりました。「今週中に生む病院を決めて、来週予定している10週の診察後、転院しましょう」と提案されました。 「転院までに母子手帳をもらっておいてください」とも言われました。 …スゴイ。 ここまで来ました。 自分が母子手帳を持つなんて。 オットに母子手帳をもらえると伝えると「そっか~、そうなのか~」と感慨深げです。 自分たちの生活に縁のなかった事が次々とやってきます。 浮かれるというより、なんということだ…という気持ちでいっぱいです。 10週目の診察。これをクリアすると、不妊治療クリニックは卒業です。ドキドキしながら内診へ向かいます。赤ちゃんは、手をバタバタさせながら元気に動いていました。指を確認しました。マンガみたいな短い指。「今日でおしまいです、お疲れさまでした」とドクター。最後にしてはあっけない終わり方です。待合室でオットに報告メールを打ちます。「順調だったよ。とうとう卒業だよ。」と打とうとしたら、「とうとう」のところで急に胸がつまって涙が出そうになりました。必死に我慢しました。3年という月日が長いのか短いのか、よく分かりません。しかし、この3年間、夫婦でさまざまな感情を持ち寄って、話し合い、ぶつかり合い、理解し合ってきたことは事実です。失敗するたびに凹み、考え、立ち上がり、また挑んだことも事実。自分で自分の気持ちをこんなにも深く考えた出来事はこれまでの人生にありませんでした。私は、私をほめようと思います。まだまだ先は長いけれど、とりあえず卒業おめでとう。よく頑張ったぞ、私(…と、オット。笑)。 3年通った不妊治療クリニックを卒業しました。※私が長男を妊娠するために不妊治療をしていたのは、2005年11月~2008年10月のことです。また、この体験記に記載された症状や治療法は、あくまでも筆者の体験談であり、症状を説明したり治療を保証したりするものではありません。
2019年01月09日STEAM教育って何?
子育て楽じゃありません
細川珠生のここなら分かる政治のコト