~夏休みは終わり、気持ちを切り替える〜今日で長かった夏休みも終わりという学生さんも多いはず。明日から新学期、心機一転、勉学にスポーツに励んでください。実は、日本人は上手に生まれ変われる民族です。新年になれば前の年の嫌なことを全て忘れて新しくスタートする。それと同じ。1学期に学校でいじめられたり嫌なことがあった人は、明日からは武道、格闘技を身につけ夏休み前とは違う自分になって登校してみてください。キャラ変えのいい機会ですよ。
2017年08月31日2020年度から、小学校で「プログラミング」が必修科目となります。それに向けて、プログラミングを学ぶ教室が増えたり、関連本や子供向けのおもちゃもたくさん発売されており、幼少期から関われる機会が増えています。プログラミングとはどういったもので、なぜ子どもにプログラミング教育が必要なのでしょうか。そして、楽しみながらプログラミングの世界に入っていくことのできるおもちゃを紹介します。これからはプログラミングが必須の時代にプログラミングとは「コンピュータプログラムを作成することにより、人間の意図した処理を行うようにコンピュータに指示を与える行為である」(Wikipediaより)とあるように、コンピュータ言語のことです。IT業界の人材不足という背景から、文部科学省が小中学生のプログラミング教育を推進するという動きが高まり、中学校では既に必修科目となっています。小学校では2020年度から必修科目となることが決定しています。「プログラマーになるわけでもないのにそんな教育は必要ないのでは?」と思う方もいるかもしれませんね。しかし、現代ではどんな仕事を選んでも情報技術は欠かせません。プログラミングの基本的な知識があるかないかで、リーダーシップや他者とのコミュニケーション能力に差がついてしまいます。実際、他の先進国でもプログラミング教育の推進を進める国がどんどん増えています。どのような仕事に就くとしても、プログラミングは基礎的な教養として身につけておく必要があるのです。さらにプログラミングを学ぶことで得られるのは知識だけではなく、課題を発見して解決方法を論理的に考えたり、新たな価値を想像したりする思考方法を育むことができます。コンピュータに指示をする「考える力」が育ち、思うように動かないという失敗をすることでチャレンジする・成功するという体験から自信や達成感を得られるようになります。プログラミング教室に通ったことで、何に対しても飽きっぽかった子が集中して取り組むようになったという例もあり、集中力を強化する役割もあります。子どもの頃から取り組むことは、子どもの潜在的能力を引き出す可能性をたくさん秘めています。おすすめのプログラミングおもちゃプログラミングの導入としておすすめなのがおもちゃです。低年齢から扱えるものが多く、プログラミングの仕組みを考えなくとも基礎的な考え方を吸収していけるからです。・プログラミンロボコード・A・ピラー(対象年齢3~6歳)[caption id="" align="aligncenter" width="321"][/caption]こちらはアメリカのマテル社から発売されているイモムシ型のロボットです。胴体のパーツをどう組み合わせるかによって、動きを指示することができます。子どもがモノをつなげて遊ぶことが好きなことに着目し、プログラミングの基礎的なスキルを遊びながら身につけることができます。・キュベット(対象年齢3歳~小学生低学年)[caption id="" align="aligncenter" width="435"][/caption]イギリス、プリモトイズのキュベットは、ボードに動き方を決めるブロックをはめると木製のロボットが指示に従い動きます。ブロックの組み合わせによって動きが変わり、マップ上で目的地までの最短ルートなどを考えて遊ぶことができます。可愛らしい見た目と、手触りのよい木製のおもちゃで、子どもがひきつけられる作りになっています。・ソビーゴ(対象年齢5歳以上)[caption id="" align="aligncenter" width="434"][/caption]開発社のワイズインテグレーションが「日本でも面白いプログラミング教材を作りたかった」として発売した、日本製のプログラミングおもちゃ。付属の子ども用プログラミングパソコンを使い、段ボール製のロボットを動かします。「wait60(1秒待つ)」などの決められた言語を打って指示を出します。ロボットは自分で組み立てると共に、色を塗ったりシールを貼ったりして好きなようにカスタマイズができます。関連した「ソビーゴこどもブロックプログラミング」では、ブロック遊びをするだけでプログラミングを学ぶことができ、対象年齢も3歳からと小さいうちからプログラミングに触れることができます。こちらは一般販売されていませんが、多くの幼児教室などで教材として取り入れられています。書店には関連本が多く出ているだけではなく、体験コーナーなどがあるところもあり、必修科目化に向けて、関心が高まっていると感じます。プログラミングと聞くと難しいイメージがありましたが、既にスマホやタブレットがあるのが当たり前になっている子ども達には抵抗がないようです。早いうちから触れることで能力を伸ばしていくことでしょう。これからの時代に必要不可欠なプログラミング。まずはおもちゃから慣れてみてはいかがでしょうか。
2017年08月31日飲みの席で、「Tさん、その世代では珍しいくらいの子煩悩パパですね!」と称された知人が言う。「そりゃあさ、離婚してるからだと思うよ。子どもたちと一緒に住んでないからこそ、子どもや別れた妻のためにできることを考えられるようになったの」50代のTさんの語るこの状況、属性でいえば別れた妻側である私にも身に覚えがある。離婚してからようやく、私と元夫は子育てのパートナーになれたと思う。ラッキーなことに、そうしょっちゅうは出くわさない程度に近くに住んでいるし、お互いの職場も近いので、どうしても夜や休日の外出ごとが続くときには「お願い!」と頼み込めば父親の方が食事などの面倒を見てくれる。決して暇な人ではないけれど、どうしようもないときには自身の打ち合わせや会食に子どもを同席させたり、職場に呼んだりして、かなり柔軟に対応してくれる。思えばまだ結婚していた頃、同じように「お願い!」を言っても「無理だよ」「仕事だから」で協力してもらえないことが圧倒的に多かった。もちろん、必ずしも元夫にばかり非があったわけではなく、私の方にだって少なからず甘えがあったのも事実だ。必ずしも緊急性がない協力要請だって出していた。日ごろから私の方が圧倒的に我慢させられているんだから、少しくらい助けてくれて当然、と思っていたし、そんな風に蓄積された鬱憤が色々な場面で災いして、最後のほうでは、肝心なときの助け合いすらままならなかった。離婚してからというもの、そういうものが全てリセットされて、途端に親同士の歯車がうまく噛み合うようになった。彼は金銭的な面から子どもたちの養育を支え、私は一緒に暮らして生活の世話をする。役割が明確になると、元夫の父親としての貢献に、心から感謝できるようにもなった。おそらく元夫の方も同じように、母親である私の貢献を当たり前のものと思わず、感謝してくれていると思う。だからこその今があるのだろう。誤解を恐れずに言えば、父親と母親という役割を維持しながら、夫婦ではない状態となる、つまり親の離婚は、子どもにとっても必ずしも悪いことばかりじゃないようにも思える。というのも、親が家の中と外にいる、という状況は、子どもにとっては、家の中と外、2箇所に、自分の強力な味方となってくれる大人がいるということなのだ。先日、元夫の提案で、夏休み中の娘、夢見を沖縄のサマーキャンプに参加させることになった。急に決まって慌てる私をよそに、細やかにサポートしてくれたのは元夫の友人A氏であった。自分の子どもを参加させるついでだからと、申し込みから飛行機の予約、空港までの送迎にいたるまでほとんど全部やってくれた。 A氏と私は面識もあったが、結婚していたころに元夫との関係がこじれ、彼の周りにいる人全員に不信感を持って以来、完全に交流を断っていたので、今回のことでは、“元夫の友人というだけでうさんくさいと思って本当に申し訳ない”という気持ちになった。「パパの友達って聞いて、正直どんな友達が不安だったけど、Aさんはびっくりするくらいいい人だね」というのは今回のサマーキャンプ申し込みに至るまでの大人たちの一連のやりとりを見ていた娘・夢見談である。娘も同じ気持ちのようであった。そして、満を持して出発という日の朝。お迎えの車の到着まで残すところ30分あまりという段になって、「パンツが足りない!」と言い出す夢見。なんで今言うの!なんで前もって準備してないの!とお決まりのセリフを口に出したところで(まあ、私の娘だから仕方がない)とつい自分の心の中で突っ込み不可避。今から買いに走ろうにも、娘にも私にも他にもいろいろとやるべきことがあり、これはいよいよ積んだか……と思った矢先、救世主が登場した。私の友人がたまたま近所のカフェでコーヒーを飲んでいたのだ。そのカフェのお隣にはコンビニが……!「お願いだから、何も聞かずにコンビニで女性もののパンツを買ってきてくれない?」と頼むと、「了解、急ぐ」と一瞬で全ての事情を察し、疾風の如くパンツを届けてくれる友人。男らしさを絵に描いたようないかつい見た目で、女性もののMサイズのパンツを2枚も買うのはなかなかに恥ずかしかっただろうに……。感謝とともにパンツを受けとると、直後にお迎えが到着。夢見は無事、替えのパンツを欠くこともなく、沖縄に飛び立ったのであった。私と元夫は、もはや夫婦でなく、全く別の場所で全く別の人々に囲まれて生きている。子育てを除けば連携はほぼ皆無だ。けれども、だからこそ、今も昔も変わらず、私と元夫の間にいる子どもたちは、別々に暮らす大人、二人分の世界の恩恵に授かることができるようになった。私と元夫との二つの生活圏、それぞれの世界の良さに触れることができるし、そこにいるさまざまな大人たちのサポートを得ることができる。両親の所在が分散することで、ある意味では以前より広範囲で、より盤石な体制で、子どもたちを支えることができるようになったのだ。極端な例だが、今もし私が死んだとしても、それが同時に、子どもたちの父親が最愛の人を失うことを意味“しない”からこそ、元夫がしっかり子どもを支えて、育ててくれるだろうと思う。そんな安心感があるし、逆もまたしかり。決して離婚を綺麗事にしようというつもりはないが、こうやって身の上話を書く仕事をしている以上、離婚によって得られるメリットが皆無ではないこともまた、きちんと書き記していかなくてはいけないなと思うのだ。イラスト:片岡泉
2017年08月29日夏休みももう後半になりましたが、みなさん、慌ただしい毎日を送られているかと思います。お疲れ様です。かくいうわが家も残りの夏休みをどう乗り切るのか、あたふたしております。その夏休みといえば、やはりわたしたち昭和世代は学校のプールではないでしょうか。振り返ると、僕らの子ども時代(もちろん昭和です)としては唯一、涼のとれる場所であり、夏休みの楽しみとしても、学校の授業としても心待ちにしていた方は多いのではないでしょうか?水への顔つけやバタ足の仕方からはじまって、クロールや平泳ぎ方をマスター。検定をクリアしていくと、僕の通っていた小学校では確か線が与えられて水泳帽につけて級をわけていたような…。とにかく一生懸命プールの授業をこなしていました。ただ、これはもう昔の話といっていいかもしれません。この学校のプール、すごくいま微妙な立場になっている。というのも、これは僕自身もびっくりしたのですが、今の子どもたちって、小学校に上がるころにはほとんどの子が泳げるようになっています。ほとんどの子が未就学のときからスイミングスクールに通っちゃってるんですよ。これって、通わせていなかった親御さんからすると、ちょっと焦りますよね。“うちの子だけクラスで泳げない、どうしよう”って。聞くところによると、まあいろいろ予定もあるのでしょうが、夏休み期間の学校のプールは意味がないと行かせない親御さんもちらほらいるようです。正直なことを言うと、僕自身はこの状況、いかがなものかなと思っています。といいつつ、わが子も3歳ぐらいからスイミングスクールに通わせ始めました。言い出したのは妻の方。「命に関わることだから少しでも早く泳げるようにさせたい」と譲らなかったんです。実際はプールの泳ぎと自然の川や海での泳ぎは別物とも違うといわれてたりするんですけどね。正直、僕はあまり乗り気じゃなかったんですけど、最終的に送り迎えは基本的に妻がするということでのんだんです。もうかれこれ5年以上前の話になりますが、いま振り返ると、世間のスイミング熱はこのときからすごかった気がします。うちから通えるスイミング・スクールは2カ所あったんですけど、申し込み時点ではどちらも生徒数は満杯。退会者が出ることをひたすら待つ、いわゆるキャンセル待ちです。このキャンセル待ち、いつぐらいに入れるのかメドさえつかないんですよ…!数日先になるかもしれないし、半年先になるかもしれない。たかがプールの入会でえらい待たされる。当時、“どれだけ水泳って人気あるんだ?”と思いました。しかも、月謝だってけっこう馬鹿にならない。そのスクールによって違うんでしょうけど、万は超えてくるわけです。はっきりいって、ほとんど水遊びに近い最初の講習のときは、“これにお金を費やすのか?”って思いましたよ。結局、キャンセル待ちの予約をしてから数カ月後に一方のスクールから連絡がきて、そこに通うことになったんですが、見学に行って驚きました。もう数えきれないぐらいの子どもたちでプールが埋め尽くされている(苦笑)。僕らの時代、スイミングスクールに通いだすのは小学生ぐらいからだった気がするのですが、もう小学生なんて大人に見えるぐらい。ちびっこ=幼児ばかり。そして、プールサイドにはわが子に鋭いまなざしを送る親御さんであふれかえっている。“今のスイミング・スクールってこんなことになっているんだ”と驚きました。わが家は、たまたま先にキャンセルが出た、一方のスクールに通わせたのですが、そこがけっこう本格派で。こちらはとりあえず泳げるようになればいいぐらいのゆるーい感じで通わせるつもりだったのですが、かなりみっちり教え込むといいますか。はっきり言って、指導が厳しい。スパルタとはいいませんが熱血指導に近い。そういう心づもりではなかったこちらとしては“うちの子、この指導に耐えられるか?”とちょっと心配。ということで、もうクロールをマスターしたぐらいのところで辞めさせようと思ったのですが、今度はわが子が頑張りをみせ、泳ぐのが大好きな子になり、今もまだ通い続けています。ただ、上級になればなるほど、親はさらに真剣になるといいますか…、すごいです。練習にも関わらずコーチよりも叫んで叱咤激励するお母さんがいたり、練習後に子どもを延々と叱り続けているお父さんがいたり…。すべてを否定するつもりはないんですが、このスイミングスクールを取り巻く環境に違和感を覚えるのは私だけでしょうか。よくよく考えると、スイミングスクールに限ったことではなく、勉強にしても、スポーツにしても習い事にしても、なんかみんな前のめりすぎているというか。ほかより早くマスターすることが必須のようなことになっている気がします。どうも、人から後れをとることは“負け”みたいな風潮になってきている。“みんなが行かせているから、自分のところも行かせないと”という勝手な競争を勝手にスタートさせている。これって果たして、子どもためというよりむしろ親の都合になっているのではないかとはたと感じるんです。夏休みでいえば、サマーキャンプとかもこれに当てはまります。“みんな行かせてるから、うちの子も行かせないと”という気分にだんだんなってくる。行った子どもを見るとちょっと大人になっているような気がして、“自分の子も”といった気分になりがち。なんかこういったスクールや習い事って、子どもの可能性を広げるためのもののような気がするんですけど…。いまどちらかというと、わが子がほかの子に比べ、先をいっていることの証明というか。親がわが子がほかの子に後れをとっていないか? 後れをとっていないことを証明する単なる安心材料になってしまっている気がしてならないんです。そしてある程度のレベルに達してくると、今度は“ここまでやってきたんだからもっと高みを”と親の願望がのっかってきてしまっている。果たしてそれでいいのかなと……。勉強もスポーツも小さいころからするのは悪いことではないと思います。ただ、横並びでみんな乗り後れないために通わせてしまうのは、どうなのかなと。もうちょっと子どもの自主性や望んでいることに耳を傾けてあげてもいいのかなという気がするのですが……。プールで延々と泣き続けている子を見ると、“なんだかな”と思うんですよね。みんながスクールに通わせているから、“うちの子も通わせないとまずい”と焦っている親御さんがいらっしゃったら、正直こういいたいです。“学校のプールの指導ではじめて泳げるようになっても決して遅くはない”と。そんなものです。無理にやらせる必要はまったくありません。現在、わが子はいまや親よりも速く長い距離を泳げるようになっています。しかもクロール、平泳ぎ、背泳ぎ、バタフライすべてこなす。しかし、スイミングの講習と学校のプールの授業は別、それはそれで真剣に取り組んで、上の級にいけるように頑張るように常に夏になると言い聞かせています。ただ、学校の検定は検定でけっこうハードルが高いらしく、なかなか合格できない(笑)。それはそれで屈辱らしく、今年は学校の夏休みのプールはいけるところは全部行くと息巻いています。
2017年08月23日先日、思うところあって映画『嫌われ松子の一生』を数年ぶりに観た。この映画、鮮やかな色味のミュージカル調に仕立ててあるが、内容は相当重い。重いどころか、不調のときに観るとある種の呪いにかかる。確か私は離婚前に1度、さらに離婚してからもう1度観ていて、今回が3度目。離婚後に観たときには、これは他人事ではないかもしれない、私も「嫌われ明子」として一生を寂しく終えるのかもしれないと恐々とした。離婚して、仕事がそれなりにうまくいったり、いくつかの恋愛を経ていく中で、今は少し遠くなったけれど、きっとこれから先も、思ってもみないことでつまづいたとき、「嫌われ松子」の影はきっとすぐにまた寄ってくる。観たことのない人のために簡単にあらすじを説明すると、この物語はタイトル通り、川尻松子という女性の一生を描いたフィクション。それも、もともとは中学教師だった松子が、坂道を転がり下りるように転落していく様を描いたものだ。松子の嫌われ人生を決定付ける行動は、要所要所で描かれていて「えー!なんでそうやっちゃうの?」と理解できないものもある一方、本人の選択や行動が及ばないところで迎えてしまう、不可抗力な不幸展開もある。ちょっとした選択ミスとそして運命。この二本が、運悪く延々と絡まり続けて「嫌われ者」として一生を終えることが自分には絶対にない、なんて言えない。だから怖い。映画の中の松子は最初から最後まで一貫して、ただ男に愛されるためだけに生きている。ところが、その全てがうまくいかない。ひとつ不幸を迎えるたびに「なんで?」と自問自答する。「なんで?」の回答としてひとつ、劇中で明確に描かれているのは父親との関係だ(このシーンは序盤で描かれるということで、ここまでのネタバレはどうかひとつご容赦ください)。幼少期の松子は、色々あって自分に注意を向けてくれない父親が、コメディアンのまねをした変顔を作ったときにだけ、笑ってくれることを発見。以降、父親の笑顔が欲しい一身で、変顔を向け続ける。心理学用語に「モンロー・スマイル」という言葉があるそうだ。魅力的な笑顔で周囲の人間を魅了したマリリン・モンロー。しかしその笑顔は、不遇な幼少期、多くの家庭を転々とすることを余儀なくされた彼女が、周囲の大人に愛され、関心を向けさせるため、生きていくために身に着けたものだった。彼女のように、親の愛情に恵まれていない子どもが、周囲の大人の気を引くために魅力的な笑顔を振りまくことは少なくないといい、これを「モンロー・スマイル」と言うらしい。劇中の松子の変顔も、ただ自然体に、当たり前にしていては愛されないと悟った子どもが、大人に愛されるために意識的に取る行動としてこの「モンロー・スマイル」と軌を一にしたものだろう。愛し愛されるという行為は、できるときには何も考えなくてもできるのに、うまくいかなくなった瞬間、それはもうとんでもなく複雑な、哲学級の難題になる。「なぜあの人は自分を愛してくれないのか」「なぜ世の中の多くの人は当たり前に愛されているのに自分だけは愛されないのか」夫婦関係の破綻で私は一時その迷路に迷い込んだけれど、幼少期にもっとも身近な大人である、養育者からの愛情を安心して受けられない子どもというのは、子どもの体で、そんな無理難題と向き合わざるを得ないのであって、それはきっと、いい大人が好きな人に愛されるために努力するのとはまるでわけが違うことだろう。子どもはただ生きてくれている、ただ存在してくれているから感謝され、愛される。そうあるべきだし、そもそも大人の都合で勝手にこの世に産み落とされたのだから、そうあるのが筋ってものだと思う。いい子だから。可愛いから。迷惑をかけないから。面白いから。役に立つから。子どもが愛されるのに、理由はひとつも必要ない。ところが、色々な事情でそんな当たり前のことがうまくいかないということは、物語の中に限らず、現実にたくさんある。愛されるために必要とされた条件は、本来ならばまっすぐで平坦な道に、大人によって乱暴に置かれた大きな石、もしくは壁のようなもので、子どもの前途を阻む。そして、ときには子どもに限らず、大人になってからも足枷となり続ける場合だってある。子ども時代に追い込まれた迷路から抜け出せずに、いつまでも苦しみを抱え続ける大人がたくさんいる。愛し、愛されることがうまくいかない問題は、病院でも学校でもそう簡単に解決してくれない。にも関わらず、大人は庇護される対象ではないから、全て自分でなんとかしなくてはならないのだ。そういう人達が迷路から抜け出すための出口は一体どこにあるのか、周りの人間には何ができるのか、ということを、最近は延々と考えている。イラスト:片岡泉
2017年08月22日長い長い夏休みも、もう終盤戦となってきました。お子さんの夏休みの宿題、とりわけ自由研究や工作はテーマ決めから頭を悩まし、1日、2日ではどうにもならないものだけに、早々に終わらせたいものですね。わたしも長女が小学校に上がった時から自由研究で苦しみ続け、めでたく今年で10年目を迎えました。8月31日の夜は毎年、親子で深夜まで自由研究の仕上げに追われるという恐怖を味わってきているわけです(涙)。そこで、今年こそは早めに終わらせようと小3息子と参加したのが、「夏休み2017 宿題・自由研究大作戦」。東京・仙台・大阪3会場で開催され、合わせて約3万人の親子が参加した体験型イベントです。東京会場に参加したわたしたちは、ここで2つのプログラムを体験取材。第一弾レポートの 「悩める小3男子が行ってみた! 自由研究のお助けイベント体験レポ―トpart1」 では、WWFジャパンのプログラムをご紹介しました。続いて、息子が挑戦したのが、憧れの企業バンダイのプログラム「カプセルはんこ エコ工作」です。ガシャポン®の空カプセルが大変身!、カプセルはんこ エコ工作子どもだけでなく大人にも人気のカプセルトイは、中身を出したあと、空になったカプセルはどうしていますか? いろいろな色があって、しっかりした作りなので、捨ててしまうのはもったいないですよね。そこで、楽しいアイデアで再利用するワークショップを展開するのが、バンダイの「カプセルはんこ エコ工作」。このカプセルはんこは、バンダイのカプセルトイ「ガシャポン®」の空カプセルと、東京都墨田区の町工場で出るウレタンの廃材を組み合わせたオリジナルのはんこです。プログラム前半では、おもちゃの3R(ゴミを減らすリデュース、捨てずに繰り返し使うリユース、もう一度資源に戻すリサイクルの3つの頭文字をとって)を紹介し、生活の中でできる環境活動を考える機会を提供しています。続いて、プログラム後半のエコ工作では、不要になったものを実際に再利用することで、身近で楽しく環境への取り組みを体験することができるプログラムになっています。あらかじめセットされた制作キットを使うので、未就学児でも簡単に作ることができます。ハサミに慣れていない低学年は、切れ目の入ったスポンジシールから好みの形を選んで貼り、高学年は自分で好きな形をハサミで切り抜くようにできるなど、幅広い年齢に対応したプログラムとなっていました。その中で、小3男子の心をとらえたのが、カプセルはんこ作りを説明する映像に登場するキャラクター。色とりどりの空カブセルのキャラクターが「カプセルはんこがつくりたーい!」と歌って踊る映像にくぎ付けとなり、その日一日、ずっと歌っているほどの気に入りようでした。肝心のエコはんこは、愛猫の顔を模してかわいくできました。おもちゃという身近なものを通して、企業のエコ活動や取り組みについても学べ、楽しく工作を体験できました。ラストスパート! まずは体験イベントに参加してみよう夏休みも残りわずかですが、自由研究や工作をテーマとした小学生向け体験イベントやワークショップは、まだまだ各地で開催されています。「自由研究・工作はまだ手つかず」というお子さんほど、こういったイベントへの参加がおすすめ。バンダイの「カプセルはんこ エコ工作」のように、短時間で工作も研究もできるプログラムもありますので、悩む前にまずは参加してみてはいかがでしょう。 ▼「夏休み2017 宿題・自由研究大作戦」HP ※上記記事は、2017年の開催内容となります。来年以降、参加する際のご参考としてください。
2017年08月22日子どもが中学生になると思春期を迎え、いろいろな問題も出はじめます。その中で不登校になる子どももいるでしょう。昔は、学校へ行かないなんて言語道断でした。そんな甘えは許されない、親が首に縄をつけてでも引っ張っていく…。そういう感覚が強かったんじゃないかしら。でも、いまは状況が違ってきているようです。無理をせず様子をみる、というのが大きな流れのような気がしますね。確かに、子どもがイヤがる場所に何が何でも通わせる、というのはよくないと思いますよ。その子にしてみたら学校に通うことが死ぬほどつらいのかもしれません。大人にはわからない子どもなりの事情もあるでしょう。そういう気持ちを親が無視することは、子どもの信頼を裏切ることになります。もちろん、親は子どもの将来を心配すればこそ学校へ通わせようとするのよね? でも、世間の体裁を気にする気持ちが、その中に隠れている場合もあると思うのよ。「みんな、ふつうに登校しているのに、なぜうちの子だけ…」という感情が出てきてしまうのね。 その気持ちもわかるけれど、これだけ時代のスピードが速いんです。親側の意識を変える必要もあるんじゃないかしら? 過去の常識にしばられて子どもの可能性をつぶしてしまっては、何にもなりませんからね。特に、いまの時代は選択肢が多いでしょう?転校したり、フリースクールへ通わせることもできます。その子に合った学校へ通わせてあげられれば、それがいちばんです。もちろん、ただのワガママに親が振り回されるようではいけませんよ。そんなことをしていたら、それこそ子どもの生きていく力を奪うことになります。親は、子どもがひとりで生きていくために必要な「たくましさ」を育む責任があるの。甘やかされて困るのは、その子自身ですからね。とにかく、一度くらい不登校になったからといってあきらめないこと。学校は、ひとつだけではないんです。子どもに学校を選ばせ、自分が選んだからには最後まで通わせる、という選択もあります。大事なのは、家に引きこもらせないこと。他人と触れ合う機会をなくすことは、子どもにとって大きな損失ですからね。ただ、それでも引きこもってしまった場合は専門家へ早めに相談するなどして、長引かせないことを考えてください。子どもには子どもなりの理由があるはずです。親が子どもと根気よく向き合うことが、何よりも大事なことですからね。 2017年下半期の運勢を≪全網羅≫新宿の母が贈る珠玉の人生鑑定
2017年08月18日「うんこ!」「ちんこ!」「おなら」「おしりブリブリ~!」2歳ごろになると子どもたちはどこから仕入れたのか、普段使ってほしくない言葉を言うようになります。「保育園で覚えてきたんだろうな…」と思う方がほとんどだと思いますが、保育士は「家か出先で覚えてきたんだろうな」と思っていることも…。しかし、そういった言葉を連呼したとき「やめなさい!」や「汚い言葉は使わないで」と叱るのは無意味です。叱れば叱るほど「困らせるにはこれが1番いいんだな…しめしめ」と心の中で彼らは笑っているはずです。言葉の意味を改めて考えさせようしかし、黙ってみているわけにはいきませんよね。公共の場やおじいちゃんやおばあちゃんの前でこんな言葉を連呼されたらひとたまりもありません。以前、担任だったクラスの男の子3人が、私を祭りの社に見立てて「ちんちん!」「ちんこ!」と言いながら盆踊りのようにぐるぐる回っていました。「静かにしてほしい…」と心から思ったので「ちんちんとちんこの違いを教えて」と聞いてみました。すると3人はピタッと止まって「えーっと…」と考え始めたのです。「ちんちんってなんだ?」「ちんこって言うとお姉ちゃんは絶対怒るんだよ…」「ぼくのお父さんはちんこって言うな…」「え、僕のお父さんはちんちんだよ…」「なんで同じ呼び方じゃないんだよ!」この会議は30分~40分ほど続きました。言葉は考えることで使い方がわかる会議の結果は「ちんちんは英語でちんこは日本語」。2歳児の思考回路に驚きました。彼らはいくつもの意見を出し合い、精査しながらこの回答を導き出したのです。子どもならではの発想と行動がユニークですよね。その後、子どもたちが汚い言葉を繰り返し言う回数が格段に減りました。子どもは毎日色々なことを頭に入れています。だからこそ、意味が無く、他人が反応する言葉を連呼することが楽しいのです。今回は大人にとっては公共の場で連呼して欲しくないワードですが、このように言葉には意味と役割があることを発見することで、「大人が反応するからおもしろい、困らせたい」という理由だけで言っていた言葉が、子どもたちの中で意味のある言葉に変わったのです。その発見を自らすることで、言葉には使うために必要なタイミングがあることを知ります。例えば、目の前にメガネがあるから「メガネ」という単語を使いますよね。突然「めがね!」と言っても何も起きないし意味はありません。自ら導き出すことが何よりも大切もちろん、私が子どもたちに聞いた質問の正解なんてありません。だからこそ、子どもたちが一生懸命考えて導きだしたことを、大人も「そういことだったのか! 知らなかった」と笑顔で真正面から受け止めてあげることが大切です。もしも、間違ったまま覚えてしまうと困ってしまう答えであれば、その時に大人がちゃんと導いてあげればいいのです。「やめなさい!」と叱るのは簡単ですが、その言葉はどういう意味なのか、似た言葉にどんな違いがあるのか、なぜ今発言したのか、子どもに考えさせることもひとつのコミュニケーションであり、大人が考えるきっかけを与えるチャンスでもあります。
2017年08月18日おもちゃ売り場に行くと女の子向けのおもちゃと男の子向けのおもちゃがはっきり分かれています。メルちゃんは戦隊ヒーローグッズと一緒には並んでいないし、プリンセスはトミカと一緒に並んではいません。そこで、なんのために子どもがおもちゃで遊ぶのか、根本的なところから考えてみましょう。■おもちゃは出力するためのツール通常、女の子のおもちゃと男の子のおもちゃをはっきりと区切る保育園や幼稚園は少ないと思います。それは子どもの好奇心が何よりも大切だからです。子どもたちは、毎日たくさんの情報を吸収しているので、子どもは遊びを通して頭のなかを整理するのです。そのため、おままごとをしているとき、男の子でもお母さん役をするし、女の子でもお父さん役をします。昨日あったできごとや自分がなりたい自分に、おもちゃや遊びを通してなりきります。そうしたことで積み重なった頭の中のことを発散し、整理するのです。一言で説明するとおもちゃは子どもにとって「出力ツール」なのです。秩序が芽生えた時期に大活躍するおもちゃ3歳ごろになると「秩序」が芽生えます。例えば道路は端っこを歩かなければいけない、ご飯を食べながらスマホやテレビを見てはいけない、靴は脱いだら揃えなければいけないなど、保育園やご両親から得たルールを人に求める時期です。それはもう赤ちゃんではない証拠です。彼らは「僕だってちゃんと見てるんだぞ」と正義の塊になります。以前、担任をしていたクラスに秩序の塊のような男の子がいました。誰かが順番を守らなかったり、食事中におしゃべりしたり、脱いだ靴をすぐにしまわなかったりすると一目散に飛んできて注意するんです。気づけば同級生に「○○くん、うるさい」「こないで!」なんて言われるようになり、少し可愛そうでした。そんなとき個人面談でお母さんから「電車のなかやスーパーなどで見知らぬ人を注意するようになって困ってる」と相談を受けました。これは彼が今まで教わった秩序のアウトプットが足りていないと解釈した私は、メルちゃんを買うことを勧めました。すると、彼はメルちゃんという自分でお世話しなければいけない人形=今まで教わったことをアウトプットする対象を得ました。そして、数日後から彼は保育園で友だちに注意することをやめ、公共の場で見知らぬ人に注意することもやめました。こういった例があるように、おもちゃは男女関係なく子どもたちに寄り添います。子どもが、なにかしらの理由を元におもちゃを求めることはよくあることです。頭ごなしにダメ、というよりも子どもの遊んでいる様子を観察してから考えてみてください。
2017年08月16日せっかく作ったご飯を子どもが素直に食べてくれない、いくら話しをしても言うことを聞いてくれない、夜黙って眠ってくれないなど、仕事と育児の両立に爆発寸前のワーママたち。そんなみなさんに、リラックスして育児を楽しんでもらうために今日は3つのステップをご紹介します。1.頑張りすぎていることに気付こう以前、「家に帰るとスイッチが切れたように動けなくなっちゃうんです。子どもが好き勝手やってももうどうでもよくなってしまうんですよね」と話すお母さんがいました。自分のことを責めるようにお話するので「頑張っていらっしゃる証拠ですね。全てを放棄する勇気を持つことも大事ですよ」とお話しました。働くお母さんは完璧主義の方が多いので、自分の限界を超えていても一生懸命頑張ってしまいます。自分の限界を知ることは難しいことですが「あ、今日はしんどいな」と思ったときには全てを手放して気持ちをオフにすることが大切です。2.ヘルプサインを出せるようになろう自分の頑張りを気づけるようになったら、ご主人やご両親、保育士、周りの人に「助けて」とヘルプサインを出しましょう。「ちょっと今しんどくて限界。助けて!」と言うのって勇気がいることですよね。でも、あなたの頑張りをどこかで見ている人が必ずいます。私たち保育士だってその1人です。そして、お子さんだっていつもそばに寄り添って、ママの頑張りを一番近くで見ています。だからこそ「ちょっとママ、今日は疲れちゃった…」と話せば必ず力になってくれるはずです。3.子どもを一人の人間としてみてみようママが頑張りすぎる理由の1つに「子どもをしっかり育てなければ」という責任感があります。もちろん、大切な気持ちですが、一度その責任感から離れてみませんか?10ヶ月間自分のお腹で育ったかわいいわが子。しかし、お腹の外に出たら自分とは違う一人の人間です。「お風呂にはいりたくない!」、「ご飯を食べたくない!」、全部彼らが自分で決めたことです。お母さんから独立した一人の人間、他人だと考えると彼らの行動をスムーズに尊重できると思います。保護者としての責任を全うしつつ、一人の人間として子どもと対峙することは育児を楽しむ秘訣でもあります。知らずしらずのうちに大きくなっている子どもたち。言うことを聞いてくれないと思うと辛くはありますが、自分の意見を主張できるようになったと思えば、受け止め方も変わってきます。
2017年08月15日小学生のお父さん・お母さん3000人にアンケートしたところ、「夏休みの宿題、実は手伝っている」は7割を超え、「自由研究を負担に感じている」も約7割という結果が!※2017年一般社団法人日本能率協会実施アンケートより。そんな「がんばりたい気持ちはあるけど、何をがんばればいいのかわからない!」という自由研究難民の小学生親子を救うのが体験型イベント「夏休み2017 宿題・自由研究大作戦」。東京・仙台・大阪3会場で開催され、合わせて約3万人の親子が参加しました。そこで、エキサイト編集部員も小3息子と一緒に東京会場を体験取材! 自由研究のタネを探す、いや、ここで自由研究を終わらせてしまおうという勢いで参加しました。 自由研究の完成まで、動物のプロがアフターフォロー自由研究の定番テーマといえば、動植物や昆虫を観察したり調べたり。それを、もう一歩踏み込んで、子どもの探究心をくすぐってくれるのが、WWFジャパンの「ようこそ! 動物のおうちへ!」です。WWFジャパンがこういったイベントに参加するのは、今回が初めてだそう。今回のプログラムのために作られたワークブックを元に、まず最初、絶滅が心配されている動物(シロクマ、オランウータン、ウミガメ)の中から好きな動物を選びます。その動物を紹介する映像を見ながら、動物のプロフィール、生息エリア、動物が思っているだろう本音や不満を、スタッフと楽しく話しながら子ども達はワークブックに書き込んでいきます。最後に、「動物を守るために、わたしたちができることは?」という問題が出されて、20分のプログラムが終了。スタッフからのヒントを元に、この後は、子ども達自身で調べて答えをみつけ、ワークブックを仕上げれば自由研究も完了…となるわけです。このプログラムでありがたいのが、自由研究を進めるうえでわからないこと、困ったことがあったら、WWFジャパンのスタッフがメールで相談にのってくれるところ。アフターケアも万全です。 ▼WWFジャパン「ようこそ! 動物のおうちへ!」公式ホームページ 見て、触って、考える! 体験できる自由研究・工作は多種多彩そのほか、「こどもビヒダス研究所(森永乳業)」など食品をテーマとしたブースや、「水だけでピカッと光る! マグネシウムライト!!(エス・ワイ・エス)」など科学の不思議に迫るブース、「匂い香づくり教室(香老舗 松栄堂)」など女子向けブースなど、さまざまな業種・業態の企業・団体が43ものブースを出展し、自由研究の「種」を提案していました。息子はWWFジャパンのプログラムにヒントを得て、田舎のおばあちゃんの家周辺(クマも出没するほど野生動物の宝庫!)に生息する動物調べに決定! 親子共々、自由研究に一筋の光が見えた瞬間でした(ホッ)。この日、息子はもう一つ、体験取材に挑戦しました。それは、いつもお小遣いを握りしめて「何が出るかな~?」とハンドルを回すのが快感のガシャポンでおなじみ、バンダイのブースです。ここで提案しているのが、「カプセルはんこ エコ工作」。その様子は、「悩める小3男子が行ってみた! 自由研究のお助けイベント体験レポ―トpart2」に続きます。「夏休み2017 宿題・自由研究大作戦」開催概要【開催場所】東京・東京ビッグサイト仙台・夢メッセ みやぎ大阪・インテックス大阪1号館【開催期間】東京:7月21日~23日仙台:7月28日~29日大阪:8月3日~4日【参加料】無料【参加方法】公式ホームページで入場登録後、メールで送られてきた登録証を当日、受付で提示すると入場できます。予約制プログラムは事前抽選、整理券制プログラム・当日受付プログラムは当日先着順となります。 ▼「夏休み2017 宿題・自由研究大作戦」HP ※上記データは、2017年の開催内容となります。来年以降、参加する際のご参考としてください。
2017年08月10日今思えば、子どもの頃から自分のことが大好きだった。自分だけが大好き過ぎたので、周りは全然見えていなかった。子どもなら大抵そんなものだろうと言う人もいるかもしれないけど、案外そうでもない。あの子は今誰と仲良しだとか、あの子は誰と喧嘩しているらしいとか、そういうクラスの人間関係を正確に観察している子どもも中にはいるのだ。さらに、その上で戦略的に立ち振る舞える子どももいる。そもそも目的意識が違ったのだろう。子どもの頃の私は一貫して、自分がこうなりたい、こうしたいという願いを実現することしか考えていなかったけれど、一方で、今しかない学校生活を楽しみたい、という目的の子もいて、そういう子は、自我を最優先させないやり方を知っている。どちらも間違ってはいないのだろうけど、自分のことを振り返ると、もうちょっと器用なやり方もあったな、とは思う。何せ今も昔も、私のような者はどうしても独立系になりがちで、気楽さもある反面、いざというときにやっぱり数の原理で負ける。どう考えても非効率なことや不条理なことを、自分の発言力の弱さで飲まざるを得なかったりする。「えー!みんななんでそれがいいと思うの?」と衝撃とともに受けたダメージは後々長く尾を引いて、家に帰っても悶々と思い悩んだりする。そういう心理的負担は馬鹿にならないし、そもそも人間は人間の中で生きていかなきゃならないものだってことに早く気付いて、人の輪の中でうまくやっていくスキルを身につけようとしたって良かったなと思う。学校って本当に特殊な環境だ。クラス全員が同じ年齢、横並びの関係。そこで、ストレスなくパワーバランスの均衡を保ちながら毎日顔を合わせてやっていくって、さまざまな人間関係の中でもかなり高度な技術が必要だ。年齢や経験値の明確な差がないからモヤモヤとした嫉妬が生まれやすいし、個性を発揮しなければ自分が埋もれてしまう。でも、逆に個性が強すぎても疎まれる。社会って本当はもっと多様性がある。会社には同僚だけでなく、先輩や後輩がいる。特に私が今身を置く環境では、個性の強い人が、比較的個性の強いままで生きていくことができる。大人になると、子どもの頃より自由になれる。だから今、娘がたまに吐露する学校生活の愚痴には、そのいたるところにかなりの既視感があって、気の毒に思うと同時に、古傷をえぐられるような痛みが走る。そうだよね、君も親に似て生粋の文化系で、しかも私以上にオタク気質、そして早くもBLに開眼している。憎きスクールカースト。少なくとも、もう数年間の辛抱だ。でも、辛抱を課すだけではかつての私と同じであって、おそらく同じ時期の私よりももっと賢く、もっと精神的に大人な君なら、知恵を使って、望ましくない状況を好転させることができるよ。そんな風に、娘に話した。だからって、何もみんなと仲良くしたり、好かれようとしなくていい。本当は興味のない話しに延々と興味のある振りをしなくても良い。ただ、相手への敬意を保ちながら、自分の独立した世界と、自分の尊厳とを侵害されないようにしよう。大事なのは、舐められないことだ。発破をかけるだけではだめなので、私たちは売られた喧嘩を正しくおさめる練習に取り組んだ。ケース1。「夢見ちゃんってさ、KYだよね?」と言われたらどう応えるか。娘の答えはこうだ。「KYKYって正しく意味を理解してる? ボキャブラリーが貧困なんじゃないの?」大人が面と向かってこれを言われると傷つくが、子どもの喧嘩でこれは残念ながらパンチがない。小学生から反射的に向けられた容赦ない言葉に、意味のある言葉で打ち勝とうとしてもダメなのだ。相手に伝わる言語で返す、これがコミュニケーションの基本のき。汚い日本語を使うことは不本意だろうが、何もずっと続けなくていい。舐められなくなるまで、この子には何を言ってもいいんだと思われなくなるまででいいから、こう言い返しなさい。じっと相手の目を見て、絶対にそらさないで、できれば徐々に顔を相手に近づけながら、ゆっくりと「うざい」。リピート・アフター・ミー……した瞬間にゲラゲラと吹き出す夢見。道のりは長い。イラスト:片岡泉
2017年08月08日長い夏休みが始まりました。小学生となると、子どもだけで自転車に乗る機会が増えるかもしれません。そう遠くない場所へ遊びに行くとしても、車との思わぬ事故などに遭わないか、親としては心配ですね。子どもだけで出掛ける前に確認しておきたいことをまとめました。親子でしっかり共有をしておきましょう。基本の交通ルールと、走行ルートを一緒に確認子どもだけで自転車に乗るにあたり、基本の交通ルールを再確認しておきましょう。基本中の基本は「自転車は車の仲間であり、道路の左端を走る」ということです。事故に遭うことばかり心配しがちですが、自転車が歩行者にけがをさせる可能性があるということも十分に理解し注意させる必要があります。また、走行ルートはあらかじめ一緒に自転車で走るなどして、どこが危険かを確認しておきましょう。近所の危険箇所の地図を作るなどして、楽しみながら安全対策を学ぶこともオススメです。安全走行と自転車点検のポイント意外と知らない、安全走行のポイントをおさえておきましょう。・必ずヘルメットを着用する・こぎ出す前に必ず左右と後方を確認する・道路の左端を走る。13歳未満は車道寄りの歩道を走ることも可能・走る速度は、すぐ止まれる程度にする・自転車は、年に1回専門店で点検する自転車の基本として、自分の体格に合う自転車に乗りましょう。サドルの高さは、両足の爪先がつく高さに調整します。自転車の点検についてはおろそかになりがちですが、整備していない自転車は、必要な時にブレーキが利かないなどの命に関わる危険の可能性があります。点検の合言葉は「ぶたはしゃべる」ぶ・・・ブレーキは利くかた・・・タイヤの空気圧、すり減りを確認は・・・反射光は光るかしゃ・・・車体(ハンドル・サドル・チェーン)に不具合はないかべる・・・ベルは鳴るか(自転車協会ホームページより)自転車の不具合で事故につながる…ということのないように、ポイントをおさえた点検を定期的に行いましょう。さらに安全のための重要ポイント安全を確認していても、友達とのお出かけが楽しくて走っている内に忘れてしまうこともあります。一番事故の多い交差点では、特に気を付ける必要があることをしっかりと伝えておきましょう。小学生の自動車事故で最も多いのは、裏道や脇道の交差点での車との出合い頭で起こるものです。交差点では止まれの標識がなくても一時停止・左右確認を怠らないように普段一緒にいる時から徹底しましょう。自転車に乗っていない時でも徹底することで身についていくでしょう。自転車、特に小学生が乗っている場合はドライバーから死角になりやすく巻き込まれる事故も多発しています。車の動きに特に注意するようにしましょう。車が横にいたら無理に進まず一旦止まることで防げることが多いですね。横断歩道などでは、ドライバーの目線を見るように指導するところもあります。「横断歩道だから譲ってもらえる」という思い込みは危険です。ドライバーが自分に気付いているかどうかを判断できるようになると事故に遭う確率は格段に下がります。逆に、歩道では歩行者を優先することも知っておく必要があります。すぐに止まれる速さで走り、歩行者がいたら道を譲ることを徹底させましょう。年長の息子も、最近自転車に乗ることができるようになりました。いつかは子どもだけで出掛けるようにもなるでしょう。今から交通ルールについて学び確認しておくことは、今後につながるのだと実感しました。楽しい夏休みを無事に終えることができるよう、親子でしっかりと確認しておきたいですね。
2017年08月03日小学校の夏休みとともにやってくる、宿題の定番・自由研究。イベントやワークショップの参加を検討したり、図書館やインターネットなどで情報収集をしたり、テーマ決めに向けた行動を開始している家庭もあることでしょう。子どもが興味をもてるテーマが見つけられずに困り果てているお母さんにオススメしたいのが、 『夏休み! 発酵菌ですぐできるおいしい自由研究』 (あかね書房)です。味噌や納豆、ヨーグルトなどの発酵食品のつくり方をわかりやすい文章やイラスト・写真で教えてくれます。著書の小倉ヒラクさんは、発酵デザイナーという不思議な肩書きの持ち主。微生物学の研究や一般向けの麹づくりワークショップなど、目には見えない菌を見えるようにする活動を広く行っています。そんなヒラクさんに発酵食品のおもしろさやポイントを聞きました。■見えない菌を育てる! 発酵食品をつくるメリット菌の働きによっておいしさがアップすることに加え、保存性を高められるといいことづくしの発酵食品。自由研究のテーマとどう結びつくのでしょうか。「発酵食品は、料理とサイエンスという二つのジャンルにわけられます。僕の専門は微生物学のため、本書は料理よりも菌を育てることに重点を置いているんです。発酵食品づくりの魅力は、生き物の反応がわかること。観察していると、菌が魔法のように食べ物をおいしくする過程を楽しめます。たとえば、パンをふくらませるための酵母をつくる場合、瓶の中に果物と水と砂糖を入れて酵母菌を呼び込みます。発酵が進むと酵母がシュワシュワしてくるので、菌が元気に育っている様子を実感できます。『ここに菌がいるんだ!』と子どももワクワクしてくれますよ」とヒラクさん。目に見えない菌の存在を言葉だけで説明しても、子どもはうまく想像できません。実践を伴うことにより、菌の存在や自然の力に対するイマジネーションを育てられる。ワークショップを通じて多くの子どもたちと接するなかで、ヒラクさんが感じたことだそうです。もうひとつ、発酵食品づくりで得られるものがあるそうです。「現在の学校教育は、出題者の意図を汲み取って答えを出す力を要求されることが多く、『よく観察すること』を教えてもらえる機会が少ないと感じています。人の予想を大きく上回る現象が起こりうる生物学では、主観は邪魔になることも多い。発酵食品づくりは、“ただ観察をして目の前に起こっている事実を受け止める”トレーニングになります。つまり、生物学の基本を学ぶことができるんです」■思い通りにいかないのが菌の魅力 失敗も楽しんでしまおう!本著で紹介している発酵食品は、比較的簡単にできるヨーグルトから少しレベルの高い麹まで、難易度もさまざまです。しかし、学年や年齢の設定はとくにないそうです。「年齢で区切るよりも、子ども一人ひとりが持つ好奇心の度合いによってできる範囲が変わってくるからです。それから、親の関わり方も大きい。発酵が進む過程で見た目や匂いが変わると、不安になる子どももいます。親が『それでいいんだよ』と声をかけて一緒におもしろがってくれると、子どもも先に進める。親と楽しみながらだと、5歳くらいでも難易度の高い味噌づくりに挑戦できるんですよ」本著で紹介する味噌は、夏休み中に完成できるように麹を多めに使ったアレンジレシピ。仕込みから40日で完成します。手前味噌を使ってお味噌汁をつくれば、嫌いな野菜も食べてくれるかも?「食べ物を自分でつくることって大事ですよね。現在、絶賛イヤイヤ期で汁物を拒否している僕の娘も、一緒につくったスープならたくさん食べてくれる。発酵食品は最高の食育になるんじゃないかな」菌をうまく育てられるか、ばい菌にしてしまうかのカギを握るのが温度管理。夏は、発酵商品を仕込むのに適した季節だとヒラクさんはいいます。「菌が元気になるのは、30℃前後の温度です。冬場に仕込んだら4、5日くらいかかるヨーグルトも、真夏なら翌日にできます。一方、放置しすぎると腐ってしまうので、本に書かれた時間を守ってつくってくださいね」直射日光の当たる場所やジメジメした場所には置かないことも腐らせないためのポイントです。ヒラクさんのオススメは、オープンシェルフや本棚の一番上の段。風通しがよく、空気がよどんでいない場所を「発酵棚」にするといいそうです。とはいえ、生きている菌が人間の思い通りになるとは限りません。ときには菌がうまく育たずに腐ってしまうこともあります。「失敗も失敗で楽しいんですよ。発酵がうまくいかないと、臭くなったり、ドロドロしてしまったりするけど、子どもは『くせえ!』とかいいながら意外とよろこんでいる。僕のワークショップでも、失敗すると逆に盛り上がることもあるくらいです」「食べ物がくさるとはどういうことなのか」「失敗から発見できることもある」など、事前に本を読み失敗したときの対処法を親が把握しておくことも大切です。見えない生き物との生活を親子で楽しめれば、うまくいっても失敗しても学びの多い自由研究になりそうです。目に見えない菌たちの働きを実感できる発酵食品づくり、ぜひ親子で観察してみませんか?\発酵って楽しそう! と興味が湧いた方に、ぴったりのイベントが開催/夏休み!歌って踊る手前みそ〜『発酵菌ですぐできる おいしい自由研究』出版記念イベント〜『発酵菌ですぐできる おいしい自由研究』の出版を記念して、小倉ヒラクさんがイベントを開催! はじめての人でもカンタンにできる手前味噌づくりをはじめ、オリジナルアニメ『てまえみそのうた』を使ったダンスワークショップ、発酵レクチャーなど、盛りだくさん! 夏休みの自由研究に、思い出に、ぜひ親子で参加してみませんか。日時:2017年8月11日(金) 10:00開場 10:30スタート料金:¥3,500(手前みそキット1kg付き)詳細ページ: 『夏休み! 発酵菌ですぐできるおいしい自由研究』 小倉ヒラク (著)/あかね書房 1,000円(税別)小倉ヒラク プロフィール1983年東京生まれ。発酵デザイナー。自身の体調不良を機に発酵食品に出会い、東京農業大学の醸造学科研究生として醸造学を学ぶ。全国各地の醸造家たちと商品開発や絵本、アニメの制作やワークショップを行うと同時に、自由大学や桜美林大学等の一般講座で発酵学の講師もつとめる。著書に、「てまえみそのうた」「おうちでかんたん こうじづくり」(農山漁村文化協会)、「発酵文化人類学 微生物から見た社会のカタチ」(木楽舎)。一児の父でもある。
2017年08月02日私のバイト先にはやたら東大卒の人がいる。かつて、地元福岡の小さな世界から東京に出てきたばかりの頃は、“東大卒”なんて経歴の持ち主と出会えばそれだけで地面にひざまずいて靴を舐めなければいけないような気持ちになっていたものだが、いつしか東京にも慣れ、東大卒にも慣れた。所詮我々は同じ人間だし、東大差別などはせずフラットに受け入れていけるようになった。ところが、最近になって、やっぱり奴らは只者ではないのだと思わされる一件があった。女子の御三家の一つとして知られる有名女子私立中・高から、東大法学部に進んだ才女に、「やっぱり塾の模試では当たり前にいい成績とってたの?」と何気なく訪ねたときのこと。なんと彼女は小学生時代、大手進学塾日能研で全国1位の常連だったというのだ。私は東大を受けたことはないけれど、小学校時代に塾の模試なら受けたことがあるので、この1位がどれほどの偉業かということはわかる。受験者に配られる成績上位者の順位表、その一番先頭に載っていた人が目の前にいるのだ。めったにお目にかかれない芸能人にでも出会ったような感動を覚え、気を良くした私はその日、別の東大卒男子(公立中→開成高→東大教養学部卒)に同じ質問をした。するとその彼もやっぱり中学時代、栄光ゼミナールの全国1位だったという。全国1位ビンゴがあればもう少しで上がれそう、と勢いづいた私はこれまた別の東大卒男子(開成中高→東大教養学部)にも同じ質問を投げたところ、案の定その彼は、小学校時代、四谷大塚の全国1位だったという。「朝ごはん食べました」と言うのと同じくらいこともなげに「全国1位でした」と言う彼ら。やっぱ東大ってすごいところだな……と思った。そして、すごいところだな……という凡庸な感想しか出てこない高卒の私はやはり凡庸に「めちゃくちゃ勉強したの?」と聞いたわけだが、意外にも彼らの答えは一様にノーなのである。誰からも“勉強し過ぎて死にかけた”というような苦労話が出てこない。やはり全国1位ともなると天賦の才がものを言うのか、勉強せずとも勉強ができるのかと思ったものの、よくよく話を聞いてみると、実はここに、彼らが秀才たる秘密が隠されているらしいことがわかった。というのも彼らは、そんなに勉強していない、と言ったあとで決まって「自分の集中力は◯分しかもたないので」と、自分の集中力の限界値について話し出すのだ。例えばある子はこんなことを教えてくれた。「自分の集中力は15分しかもたないので、好きな30分アニメも最後まで集中して観られない。だから受験前は、15分勉強したらご褒美として5分間アニメを観る、というサイクルを作りました。これで勉強もできるしアニメも最後まで観ることができる。それでも最大6時間が限界ですけどね」かなり特殊な勉強法だけど、おそらく全国模試で1位を取るような人達というのは皆、大なり小なりこんな風に、他人には適用できないが、自分にとってベストな勉強法を早いうちから発見して、いたずらに時間をかけたりせず、効率的に勉強するのだろう。その証拠に、全国模試1位という華々しい過去について、ある子は「完全に時間の無駄だった」と語る。「98点を100点にして1位をとらなくても、きっと受験の合否は変わらなかった。本当に頭のいい人は、模試で1位を取ろうなんて無駄な努力はしませんよ」とのこと。秀才が勉強における効率を突き詰めると、全国模試1位はもはや非効率なのだ!彼は続けてこんな風にも言った。「1位を取るためにたった2点を上げる努力をしていた当時は、自分の価値判断を他人任せにしていた。今はそのことを後悔している」私たち、学業における天才というとつい、理解力や暗記力が突出して秀でている人をイメージするけれど、天才が天才たる真の所以は、自分の特性を正確に把握し、目的に添ってコントロールする能力が突出しているから、なのかもしれない。まあどっちにしても、すごいよ(凡庸)。イラスト:片岡泉
2017年08月01日夏が終わり秋の風を感じるころ、年中さんや小学校3年生の子どもを持つママ達が、顔を合わせれば必ず出る話題なのが「小学校(もしくは中学校)受験をするか、しないか」。受験派は、この頃から本格的な受験準備に入る時期だからです。最近は受験準備のスタート時期もどんどん早くなり、受験塾は増え、知育教材やおもちゃの売れ行きは伸びていると聞きます。子どもが生まれた時から「自分の出身校に入学させたい!」と受験を考えている家庭であれば、迷いなく受験の準備となるのでしょう。しかし、「周囲に受験する子どもが多いから、うちも考えたほうがいいのかな」、「なんとなく公立の教育に不安を感じる」など、受験に対して興味はあっても、迷いや不安が多いという方が大多数でしょう。■「大変な受験」になりやすいのは?この時期から、親子関係の相談では受験関連のことが多くなってきます。その中でもよく聞かれるのが「受験準備は親も子どもも相当負担がかかると聞くので、それに耐えられるのか不安」というものです。わたしのところに寄せられた数々の相談から分析するに、「親子ともに辛くて大変な受験」に陥りがちなのは「子どもの適正より、まず志望校ありき」のケースだと思います。自分の母校だから、親が通いたかった学校だから、自宅から近くて通いやすいから、大学付属でもう受験をしなくてすむから、兄弟がすでに通っているからなど、子どもの適正を見ずに親が志望校を決めてしまう理由はいろいろです。親が通わせたい学校に合わせて受験準備をさせると、子どもの精神年齢(学力ではありません)が受験勉強に追いついていかない場合、親子ともにかなり気持ちが追い込まれるケースが多いように感じます。不安を払拭するために、塾の講座をたくさんとったり、かけ持ちしたり、個別の家庭教師をつけたりとのめり込んでも、かえって子どものやる気を失わせてケンカになり、ますます疲れて「受験はやはり大変だ」という感想だけが残ります。■受験はあくまで子育て方針を確認する一つのきっかけに小学校や中学校受験を考えることは、改めて「どのように子どもを育てたいか」を夫婦で話し合う良いきっかけになると思います。高校受験や大学受験になると、もはや親の介入する余地はほとんどないからです。まずは、子どもの学力を含めた現状を見極め、伸びしろを期待しつつ、子どもに合いそうな学校を探し二人三脚、三人四脚で受験準備を進めれば、結果がどうであっても、机に向かう習慣がついたり、興味の対象が広がったりと、いろいろな意味で子ども自身のプラスになるでしょう。私立校はそれぞれ教育方針や学問に対する理念がありますから、学校説明会などに参加すると、賛同できたり「ちょっと違うな」と感じたりと、親のほうも教育に対する気づきを得られます。そのまま地元の小中学校に進学できるのに、あえて受験するのであれば、親子初の共同作業ととらえましょう。結果より「頑張ったね!」と笑顔で終えられるよう、充実した時間としていただきたいと思います。
2017年07月30日みなさんの中で、子どもに間違ったことをしたときに、自分から子どもに謝ることができる人はいるでしょうか?「誰でも絶対間違うことがある」と話すのは、子どもたちとのたったひとつの約束「自分がされていやなことは、人にしない、言わない」を実践し、教師はもちろん保護者とも一緒に「学ぶ」ことを実践した小学校の校長を務めた木村泰子先生です。木村先生が校長を務めた大空小学校の姿がドキュメンタリー映画『みんなの学校』となって公開され、2年がたちました。そしていまなお自主上映会が開催され続けています。この映画の中で木村先生は、「やり直し第1号はわたし」と話しています。木村先生は、自分が間違ったと感じたとき、どうしたのでしょうか?そして、問題が起こる学校現場で、親はどうしていけばいいのか。親が学校の先生に意見をすると嫌な顔になったときに、一発で効く印籠を木村先生は授けてくれました。はたして守りに入った先生に効く印籠とは…。※本連載は、木村先生との「学びの会」を抜粋したものです。記事内に登場する参加者は、「学びの会」に出席した方々となります。■「一生懸命やっている」価値観は大人失格木村:私は思ったことしか言わないので、「バカやろ」「バカたれ」と、子どもたちによく怒りました。でも、「4つの力(※)」を大切にしながら関わっていれば、子どもは絶対に離れないんです。自分の想いが相手に通じないと、「これだけ一生懸命やっているのに、何で通じないの?」と言う大人もいます。そういう人は、大人をやめた方がいい。そんな気持ちと態度でいたら、「子どもの前に立つ大人」としては失格です。なぜなら、「これだけ一生懸命やって、なんで通じへんの?」というのは、100%大人サイドの物の見方だからです。子どもの立場になってみることが、何よりも重要なんです。「自分が子どもやったら、どうかな?」。これは、「人を大切にする力」です。「子どもやったら、どうかな?」と思ってみると、「大人が勝手にやってことに対して、何で言うこと聞かなあかんの?」という気持ちになるのではないでしょうか? 「本当に大人は、勝手やな」という気持ちに子どもがなるような行為を大人がしているのです。参加者:でも、なかなか、そんな気持ちで子どもと関わることができません。※4つのちから:「人を大切にする力」、「自分の考えを持つ力」、「自分を表現する力」、「チャレンジする力」のこと。この4つの力があれば、子どもたちは、これからの多様な国際社会で「なりたい自分になっていけるよ」と、木村先生は話します。■大人サイドで物事を考える教員はアウト木村:もちろん、そういう現実はあります。ここで、みなさんに質問させてください。子どもに対して間違えた行動をとってしまったとき、「ごめんなぁ。どうしたらよかったと思う?」と、すぐ言えますか? そんな自分を確立できていると思う人。では、そういう自分を、まだ確立できていない人は? どうもありがとうございます。確立できていない人が大半ですね。問題は、そこなんです。教員はお給料をいただいているから、大人サイドで物事を考えていたら、本来はアウトです。けれども、アウトであることを伝えれば伝えるほど、学校現場では、守りに入る教員が多いのが現実です。守りに入ってしまった教員をどう変えるか。自分の4つの力を使って、その教員に対して「教師も学校も子どもから学んでほしい」と表現するんです。それは理屈じゃありません。■保護者が意見をして機嫌が悪くなる教師への対応は?参加者:私は、小学校の支援学級(通級)の教員をしています。学校現場にいる者として発言させていただくと、教員の専門性を、教科指導(国語・算数・理科・社会といった「勉強」を教えること)だと思っている教員は多いのです。そんな教員に対して、通級指導の教員である私たちですら食い込むのが難しいのに、保護者が食い込むのは、もっと難しいと思うのです。木村:保護者が意見をすると機嫌が悪くなる先生は、たくさんいます。残念なことですが、それが現実です。その現実に対しては、水戸黄門の印籠を出すんです。「これが目に入らぬか!」と(笑)。そのセリフを、今日はお伝えしましょう。私は、文部科学省の上層部の方から、「教員の仕事は、教科を教えることではない。教員の仕事は、その子が学びたいと思う学びを、その子が安心して学べる、そのための学ぶ力をつけることです」と教えてもらってきました。いまは、このセリフ(言葉)を知らない教員が多すぎます。ですから、これからの社会に役立つような資質を持った子が、いまの学校現場では、排除されてしまうことも、現実的には多いんです。いまの学校は、4つの力を使わない方が、居場所を作ることができるからです。たとえば、自分の考えを持ちさえしなければ、先生に文句を言うことはないでしょう。自分を表現しなければ、先生に怒られることもありません。自分の意見を言う、文句を言う、「イヤという」、こういった自分を表現するということは、教員側から見ると「自分の好きなようにわがまま言っている」と見えることも多いわけです。人を大切にするといっても、子ども本人が大切にされていないのに、どうやって人を大切にできますか? そんな環境で、どうしてチャレンジをしようなんて気持ちになれますか? でも、悲しいことに、いま、学校現場は、そんな場所になっているのです。■学校が「すべての子どもに規則を守らせる」場となる恐ろしさ参加者:でも、子どもに好き勝手なことをさせていたら、現実的には、困ることも多いのではないかと思うのですが…。木村:その発想が、最初から大人が子どもを信用していない発想だと思うんです。「子どもは、悪いことをする」と思っている大人がいるから、そんなふうに期待されてしまった子ども(悪いことをするだろうと思われた子ども)は、悪いことをするんです。学校が「子どもに規則を守らせる」場になってしまうのは、ありえないと思いませんか?参加者:だから、うちの子は悪いことするのか…(笑)。大空小では校則はなくて、「自分がされてイヤなことは、人にしない」という、たったひとつの約束があるだけ、と聞きました。それを破ったときは、みずから校長室にやり直しをしに行くと。木村:校長とやり直しをするのではないんです。やり直しをする場所が、校長室なだけです。これも、子どもたちが決めたことです。みなさん、「校長にざんげに行く」と思っていらっしゃるようですが、私にざんげに来られても、どうしたらいいかわかりません(笑)。なぜなら、大空小でいちばん最初にやり直しをしたのは、私だからです。そんな人間にざんげされても、困ります。■「この子さえいなければ」木村先生が、大空小で「やり直し第1号」になるシーンを、ご著書の中からご紹介します。大阪市立大空小学校は、新設の小学校として2006年4月に開校しました。その、開校初日、始業式のシーンです。「絶対、良い学校にしよう」始業式の朝。私はもちろん、教職員の誰もが意欲をかき立てられました。引き継ぐ伝統も何もないゼロからのスタートです。(中略) 「わーっ、ぎゃーっ」ひとりの男の子が講堂に入ってくるなり、大声を出しながら走り始めました。転校してきたばかりの6年生でした。始業式に転校を知らされたばかりで、私たちも会ったのはこの日が初めてでした。(中略)「良い学校をつくろうと思っているのに、なんでこんなすさまじい子が入ってくるんや」「この子さえいなければ、良い学校をつくれるのに」(中略)そう思ったのです。開校当初は、とてもいやな校長として、私は子どもたちの前に立っていました。校長という立場以前に、大人として失格です。出典: 『大人がいつも子どもに寄り添い、子どもに学ぶ!「みんなの学校」流 自ら学ぶ子の育て方』 (木村泰子/小学館)この彼は、その後も、教職員を振り回し続けますが、ある日、彼を追いかけて足をすべらせ尻もちをついた女性教師のそばに寄りそうようにしゃがみ込みました。そのときに彼が取った行動を木村先生は、黙って見守ったあと、全校朝会で、こう切り出します。「彼な、逃げられたのに、戻ってきて、痛いね、痛いねって先生をさすってあげたんやで。私はそんな彼のことをちっともわかってへんかってん」出典: 『大人がいつも子どもに寄り添い、子どもに学ぶ!「みんなの学校」流 自ら学ぶ子の育て方』 (木村泰子/小学館)【『みんなの学校』流「生き抜く力」まとめ】●「一生懸命やっているのに、何で通じないの?」と言う大人は、「子どもの前に立つ大人」として失格●子どもに対して間違えた行動をとってしまったとき、謝ることができない教師はアウト●自分の考えを持たなければ、先生に何か意見を言うこともない。自分を表現しなければ、先生に怒られない。本人が大切にされていないのに、人を大切にできない。そんな環境でチャレンジしようという気にはならない木村先生の言葉には迫力があって、毎回、痛快なドラマを見たときのような気持ちになります。けれども、一方で、あまりに斬新な発想(言われてみれば『本当にそうだ』と思うのですが…)に、まだ気持ちがついていかない部分もあります。 ドキュメンタリー映画『みんなの学校』を作った真鍋俊永監督は、映画のパンフレットでの中で、こんなふうに言っています。この映画の「みんな」が指しているものは、「児童と教職員と地域の人」を飛び越えた「すべての人」の事であり、私たち一人一人にとっての学校である「社会」を、「みんなで一緒に作り上げていきませんか」という、そんな思いを込めた作品を作り上げたので、映画を見られる方たちも自由に何かを感じ取ってほしい出典: 映画『みんなの学校』 (パンフレットより) この記事がひとつのキッカケとなり、社会にみんなで学び合えるような雰囲気が広がっていくことを心から願っています。■今回取材にご協力いただいた木村 泰子先生の著書『 不登校ゼロ、モンスターペアレンツゼロの小学校が育てる 21世紀を生きる力 』木村 泰子,出口 汪/ 水王舎 ¥1,400(税別)
2017年07月28日もうすぐ長い夏休みが始まります。外遊びは暑さが気になりますし、毎日遊園地などに出かけるわけにもいきません。さらに夏は生活が不規則になりがちです。夏休みのオススメの過ごし方と、有意義に過ごすためのポイントをおさえておきましょう。人気の過ごし方は水遊び暑い夏にはやはり水遊びが人気です。近所の川やプール、あとは最近増えているジャブジャブ池などが手軽に水遊びできる場所として人気です。私の息子が通う園では、夏季休暇の間だけ園のプールを一般開放しているので何度か利用しています。ただ屋外の場合は付き添って見ているママの日焼けも気になりますし、そういった場所が近くにないという場合もありますよね。そんな場合にオススメなのは、お風呂で水遊びです。お風呂に水を10cmほど溜め、水遊びできるオモチャを浮かべたり水鉄砲を用意したりします。ママも一緒に入る必要はありませんが、浴室のドアは開け目を離さないようにしましょう。家のお風呂であれば水着を着せずに遊ばせることもできますし、雨の日でも遊べますね。他にオススメの夏休みの過ごし方他にオススメの過ごし方を見てみましょう。児童館や図書館は上手に活用したいですね。同世代の子がいれば一緒に遊ぶこともできるので、家で遊ぶのとは違う刺激を得ることができます。さらにデパートもママが活用する場所として人気です。キッズの遊び場や試食など、時間をつぶせるところが色々あるのが魅力です。私自身も出掛けることが多いですが、数人のママ友に遭遇することが多いです。夏は冷房代もバカにならないので、暑い時間に外出して節約するという声が多いですね。夏休みを有意義に過ごすための5つのポイント長い夏休みですが、毎日何となく過ごしていたらただ終わってしまいます。それではもったいないですね。有意義に過ごすためのポイントをおさえておきましょう。1.目標を決め、やり遂げる今できないことでやってみたいことを、夏休みの間にクリアするという目標をたててみましょう。「自転車に乗れるようになる」「逆上がりができるようになる」「平仮名を書けるようになる」など何かに取り組んだり、「毎日自分で起きる」など何かを習慣化したりするのもいいですね。やり遂げた達成感は子どもの自信につながります。2.家のお手伝いをする普段からお手伝いする子も多いでしょうが、「毎日〇〇をする」と決めてそれに関しては任せるようにすると、責任感を養うことができます。靴を並べる、テーブルを拭く、洗濯物をたたむなど、その子の年齢やできることに合わせてどんなことでも構いません。大切なのは責任を持って取り組むことです。長い夏休みに毎日行うことで持続力もつきますし、大人に信頼してもらえたという信頼感もうまれます。3.読書の習慣をつける読書の大切さは色々な場所で提唱されています。普段園や学校、習い事で忙しく読書ができないという方は特に、読書の習慣をつけておきましょう。楽しさを知って自分で進んで読むようになると理想的ですね。就寝前の20分などと時間を決めて、親子でそれぞれの読書をすると集中力が高まります。自分で本が読めない子には、親が読み聞かせてもいいでしょう。4.普段できない体験をする夏休みしか実施しないイベントが各地で開催されます。子ども向けということでお手頃の価格だったり無料だったりするものが多いので、積極的に参加してみましょう。また、小学生は自由研究が夏季の課題であることが多いですが、学校の課題でなくても挑戦してみるのもいいですね。さらに園児が取り組むのも良いでしょう。本屋などで自由研究キットなどが多く販売されています。興味のあるものがあればTRYしてみるといいですね。5.自分のことは自分で行う長期休暇に限ることではないですが、自分のことは自分でできる習慣をつけておくことは大切です。普段は忙しくて親が手を貸してしまいがちなことも、自分で行えるように習慣づけていきましょう。布団の上げ下ろしや皿洗い、整理整頓など普段より難易度の高いことに挑戦するといいですね。子どもの長い休みは大人にとっては大変なものですが、終日子どもと向き合える時間は小さいうちだけであり、大事にしたいものですね。大人も一緒に色々なことを経験して楽しい親子の時間を過ごしましょう。
2017年07月27日いまの学校教育が抱えた問題によって、学校に通えなくなってしまう子どもがいるという現実。そんな現実に、ごく普通の公立小学校が「不登校0」を実現して、世間に衝撃を与えました。その模様はドキュメンタリー映画『みんなの学校』で描かれ、現在でも自主上映会が全国で開催されています。その学校の初代校長を務めた木村泰子先生。マニュアルを見ながら、子どもに関わろうとする大人を、子どもは信用しないといいきります。そんな中、子育て中のママの「あるある」ネタにも、木村先生は「ママがマニュアルで考えている」と、厳しい言葉がかけられました。※本連載は、木村先生との「学びの会」を抜粋したものです。記事内に登場する参加者は、「学びの会」に出席した方々となります。■どうしてもマニュアルを探してしまう大人木村:「子どもに関わるとき、『過保護や過干渉』なのか? それとも『教育』なのか?」がわからなくなってしまったとき。それは、「自分が大人として目の前にいる子どもに、どう関われば良いのか?」を迷っているときです。そういうとき、大人は、何かしらのマニュアルを見ながら判断しようとします。大人がマニュアルを探しながら、「どっちかな?」といった態度で関わると、子どもは信用してくれません。マニュアルを見ないで、「目の前の子どもだけを見て関わろう」とする大人の態度は、子どもにもちゃんと伝わります。もちろん、結果として「やっぱり、あなたに対して過保護、過干渉だった」と反省することもあるでしょう。でも、その反省は、すべて未来につながります。「あなたに対して過保護、過干渉だった。ごめんなさい」と、きちんと謝ることができる大人が、子どもは大好きです■子どもの気持ちまでマニュアルで見ている木村:ここで大切なのは、子どもと関わるときに、「マニュアルを見ないで、目の前の子どもだけ見て関わろう」と自分で決めることです。参加者:子どもは「イヤだ!」としか表現できないとしても、そこにある気持ち、モヤモヤしている気持ち、そういうものを、大人が感じてあげるということですか?木村:それは、大人の嗜みですね。子どもに関わるときに、大切なのは「教えること」ではないんです。その子の心の中をわかろうと努力する。それが、大人の嗜みです。参加者:たとえば、お友だちと一緒のとき、うちの子がわがままを言ったとします。「わが子の心の中をわかろうとする」という行為は、そのとき、その場で、お友だちがいる前でした方が良いのでしょうか? それとも家に帰ってきてから、ゆっくりした方が良いのでしょうか?木村:そう考えてしまうこと自体、マニュアルを見ようとしているのかもしれませんね。キツい言い方かもしれませんが、「みんなの中でやった方が良いのだろうか? それとも家に帰ってきてからの方が良いのだろうか?」と考えるのは、その子だけを見ていない行為です。その場、その場、その子、その子によって、状況はすべて違います。■大人は、成功を狙って子どもに関わろうとする木村:「友だちの前で注意したことを後悔した」と思うことも、絶対あるでしょう。そんなことは、誰にでも絶対にある。でも、失敗したら、やり直せばいいんです(※)。子どもに、「ごめんね、みんなの前で言わない方が良かったね」と言えば、子どもは「いーよ、別に」と言ってくれるかもしれない。けれども、「あなたが間違ったことをするのを、注意してあげたんだから!」という気持ちでいたら、子どもは、心を開くことはないでしょう。「絶対、もう俺の気持ちなんて言わない」と思います。子どもが間違ったことをしたときに、大人は、「もう二度と失敗が起こらないためにどうしたらよいか?」を、自分(大人側の論理)で考えて「これが上手くいく方法よ」というものを提示しようとします。でも、本当のところを言えば、親は、「(提示した方法が)成功する可能性なんて、100%ない」と思っておいた方が良いくらいの話なのです。※やり直し:木村先生の教育観の大きな柱のひとつ。「人が生きていれば、必ず間違いは起こる。そのときに素直に謝って、やり直せばいい」と、木村先生。■「大人サイドの価値観」で物事を考えないようにするには参加者:「100%ない」というのは、1%すらないってことですか?木村:そうですね(笑)。「うまくいったら、めっけもん」くらいの気持ちで、子どもと関わるということです。そう思って、関わらないと、うまくいかなかったときの落ち込みも激しくなってしまう。大人に勝手に関わられて、勝手に落ち込まれていたら、子どもは、やっていられませんよね。親も教員も、よっぽど気をつけていないと、常に「大人サイドの価値観」で考えてしまうものなのです。私も相当なダメ教員でしたが、子どもたちにズタズタに鍛えてもらったことで、随分と変えてもらいました。子どもとの関わりを、大人サイドで考えない。これを実行できるようになるには、ある一定の訓練と、失敗経験が必要だと思います。【『みんなの学校』流「生き抜く力」まとめ】●大人が目の前の子どもをマニュアルで判断しようとすると、子どもにも伝わる●大人も絶対間違う。でも間違ったときに謝る大人を子どもは大好きだ●叱って二度とトラブルが起きないという「成功」を狙って子どもに関わっても、100%成功しない●大人サイドの価値観で物事を考えないためには訓練が必要次回は、「自分を表現すると嫌われる学校の現実。守りに入る教員をどう変える?」です。■今回取材にご協力いただいた木村 泰子先生の著書『 不登校ゼロ、モンスターペアレンツゼロの小学校が育てる 21世紀を生きる力 』木村 泰子,出口 汪/ 水王舎 ¥1,400(税別)
2017年07月27日家族の旅先として憧れの、ハワイ。最近は、ハワイへの母子留学や子どもの語学留学も注目を集めており、「Honolulu Zoo(ホノルル動物園)」のサマーキャンプは、予約開始からすぐに満席になってしまう人気プログラムです。お得な料金で現地の子どもと一緒に参加でき、ワイキキから徒歩で行かれる利便性も手伝って、親子にうれしい!プログラムとなっています。■年齢ごとに3つのグループに分けて実施動物園の夏のエデュケーションプログラムは、現地の夏休み期間中となる6月初め~8月半ばまでの2カ月あまり、毎週5日間を1つの単位で開催されています。4歳~11歳まで参加が可能で、4~5歳のメネフネ、6~8歳のイミロア、9~11歳のワイルドライフ・コアの3つのグループに分かれています。 参加者は、朝8時に動物園の裏口に集合。ワイキキビーチ側に面した正面入口ではなく、カパフル通り側の秘密めいた別門から動物たちがいる園内に入れるというのも気分が盛り上がります。■ユニークなテーマで自然や動物について学ぶ園の敷地奥にあるKeiki Zoo(子ども動物園)近くに、専用の建物があるサマーキャンプ。参加する週ごとにテーマが決まっています。「Zoo Careers(動物園のお仕事)」の週は将来、動物園で働くためのさまざまな仕事について、「Animal Artist(動物は芸術家)」は自然界でカラフルな色彩を持つ動物について、「Animal Ohana(動物の家族)」では、動物のさまざまな家族の形態についてなどハワイらしいテーマに沿って、年齢にあったプログラムが展開されます。■緑豊かな園内で新鮮な発見いっぱいわが家では、娘が7歳と8歳の夏(2014年、2015年)に合計4週間参加しましたが、飼育員さんと一緒に園内を回って説明を聞いたり、珍しい鳥にエサをあげたり、合間にゲームやクラフトをしたり、内容は盛りだくさんだった様子。カピオラニ公園の一角にあるホノルル動物園は、元ハワイ王家の鳥園だった敷地にあり、珍しい熱帯植物が生えた園内を散歩する時間もたくさんあったそうです。ハワイでも年間で一番暑い真夏の開催だけに、室内で過ごす時間もしっかり確保され、動物にちなんだカラフルなアートを作って持ち帰るのは、親も楽しみでした。■ロコの子と一緒に学べる、一歩上を行く英語体験現地の語学学校が開催するノン・ネイティブ向けのキッズ英語プログラムは「日本人ばかりだった…」という残念な声も聞きます。でも、このサマーキャンプは現地の子どもを中心に、米国本土からバカンスでハワイを訪れる子どもも多数参加。本場の米国式サマーキャンプをお手軽に味わえるのも人気の秘密です。■ほぼ英語オンリー 日常英会話の理解は必須日本語のわかるスタッフはほぼおらず、参加者自身にもある程度の英語力が求められますが(キャンプの申込要綱に記載)、動物を通じての「勉強」なので、そこまでの堅苦しさはなし。娘も初年度は行きたくないと前日までごねていましたが、思いのほか楽しかった様子で、次年度は「絶対また申し込んで」とせがまれるほどでした。■お弁当作りに、コンドミニアム滞在が便利サマーキャンプ中は毎日お弁当持参のため、キッチン付きのコンドミニアムに滞在するのがおすすめ。日系人の多いハワイでは、おにぎりやちょっとしたおかず、フルーツでお弁当はOKです。毎年4月頃、 動物園のホームページ で予約受付がスタート。日本の学校がお休みになる7月後半~8月半ばの週はすぐ満席になってしまいますので、申し込みはお早めに。ホームページ上で予約し、クレジットカードで参加費を支払います。その後、「キャンプ同意書」をダウンロードして氏名、住所、かかりつけ医などを記入し、動物園にメールか郵送すれば申し込みは完了です。ローカル価格で参加でき、ハワイの大自然を身近に感じられるサマーキャンプ。こどもの英語学習の“ごほうび”として、来年の夏に向け、今から準備してみては?自分での英語予約が不安な場合は、予約代行や期間中のサポートをしてくれる現地の留学エージェントに依頼するのも、ひとつの方法ですね。●ハワイ留学エージェント 「ハワイに留学.com(Hawaiihub LLC)」 2017年開催内容「Honolulu Zooエデュケーションプログラム(サマーキャンプ)」時間 8時集合、14時半解散費用 月~金の5日間で300ドル※16時または17時30分まで延長で預かってもらえるアフターケアは5日間で70ドル。持ち物 つま先が隠れるスニーカーと水筒、お弁当、日焼け止めなど※キャンプ初日の朝までに、米国の市外局番から始まる電話番号をスタッフに伝えることが必要。こどもの体調不良など緊急時のため。ハワイでは現地プリペイド携帯電話の購入も可能です。※2017年の募集は終了しております。上記データは、2017年の開催内容となりますので、今後応募する際のご参考としてください。
2017年07月26日大ヒットしたドキュメンタリー映画『みんなの学校』。「人を大切にする力」、「自分の考えを持つ力」、「自分を表現する力」、「チャレンジする力」の4つの力を育てることに尽力をしたのが、初代校長を務めた木村泰子先生です。木村先生は、この「4つの力があれば、子どもたちは未来を生きていける」と言います。しかし、いまの学校現場では、見過ごせない問題が起きているとも…。不登校になってしまった娘を抱えるママからの話をもとに、どうして学校に通うことに苦しむ子どもが出てしまうのかを考えます。※本連載は、木村先生との「学びの会」を抜粋したものです。記事内に登場する参加者は、「学びの会」に出席した方々となります。■子どもが育つ学校現場で見過ごせないことが起こっている木村:大空小が地域の新しい学校として開校したのは、2006年4月1日です。いまから約10年前に、「10年後って、どんな世の中になっているのかな? いまより、もっと日本には入り混じった人たちがたくさんいる。そんな世の中で生きていくために、子どもたちが身につけなければいけない力って、何だろうね?」と、考えました。あれから10年たったいま、映画『みんなの学校』に注目してもらえるのは、10年先取りでやってきてことが、いまになって、ニーズを感じていただいているのかな? と、思っています。いまの学校現場では、「子どもが育つ環境」という視点でみると、「見過ごしてはいけない」ということがたくさん起こっているのが現実です。でも、そんな地元の学校に行かざるを得ない子がたくさんいる。そして、学校にどうしても行けなくなってしまう。そんな苦しんでいる子、保護者は、たくさんいます。■「不登校」が増えている理由は?木村:ここ2、3年で、学校現場は「いかに子どもに規則を守らせるか」という方向に、急速に傾いています。その結果、どんなことが起こっているか?たとえば、ある都道府県では、ここ2,3年で「学校に行けなくなった子」の数が2倍強に増えたという報告がありました。それは、その地域に限った話ではなくて、全国的にその傾向が強まっています。参加者:4年生の娘が不登校です。どうして学校に行けなくなったかというと、担任の先生が「○○しなさい」「○○、しなくてはいけない」という先生なんです。過保護な母親のように、手とり足とり教えてくれることが、うちの子にとっては窮屈だったみたいで。娘のクラスでは、娘が不登校になっただけではなく暴力的になってしまう子など、いろいろな「症状」が出始めています。木村:一教員が、急激に意識を変えるというのは、現実的には難しいかもしれませんね。もし、それで変われる資質がある先生なら、もともと、そうはなりませんからね。ある意味、その担任の先生の姿は、典型的ないまの学校の姿です。参加者: 正直言って、「過保護や過干渉」と、「教育をきちんとする」の線引きがわかりません。どうやって見極めたらよいのでしょうか?■「過保護や過干渉」なのか? それとも「教育」なのか?木村:子どものある行為に対して、「これについて干渉することは『過保護や過干渉』となるのか? それとも『教育』なのか? 大人として、目の前にいる子どもに、どう関われば良いのか?」。大空小でもやまほど悩みました。たとえば、子どもが「イヤ!」と言って、いうことを聞かない。「このイヤは、この子のわがままなのか? イヤということを認めたらいいのか? イヤというのを、やめさせないといけないのか?」。大人は、そこで選択したくなるものです。でも、それを決めるのは子どもです。大人は「言うことをきかせるべきか」とか、「甘えさせるべきか」と考えてしまう。けれども、その視点でモノを考えている大人は、子どもに関わる場合に、自分の法則で考えようとしているんです。言ってみれば、子どもを、「どうにかしなければいけない」というリーダー性を大人が持たないといけないと思っている。■何で、この子は「イヤ!」と言っているのか参加者: 「どうにかしなければいけないというリーダー性」とは、どういうことですか?木村:たとえば、「これを、やりましょう!」と言って、「イヤ!」と言う子は、いくらでもいます。「イヤ!」という子に対して、大人がまず考えるのは、「どうやって、『イヤ!(NO)』を『YES』に変えようか?」ということではないでしょうか?ここで、先にお話した4つの力のうち、ひとつの大事な力が抜けています。この子が、「イヤ!」と言ったら、大人は4つの力の中の、「人を大切にする力」を使ってほしいのです。大人が「この子の、『イヤ!』をやめさせよう」と思うのは、上から目線の関わり(どうにかしなければいけないと考えるリーダー性)なんですよね。「やめさせることが、この子にとって幸せにつながる」と、思っているんでしょうけれど、それは、子どもにとっては、おおきなお節介です。「これについて干渉することは『過保護や過干渉』となるのか? それとも『教育』なのか?」。この問が自分の中に生まれたら、まず、「この話に、唯一無二の正解などない。ケースバイケースで、答えはそれぞれにまったく異なる」ということを思い出して欲しいのです。子どもの「イヤ」に対して、「過干渉なのか過保護なのか、それとも教育なのか」と考える前に、まずは目の前の子どもを「感じてみる」ということが大切なのだと思います。「学校に行きたくない」という子がいたとしたら、「なんで、『学校に行きたくない』って言っているか?」を、まずは考えてみるんです。「なんで、この子はイヤと思うのだろうか?」ということを、大人がきちんと考えてみるということです。【『みんなの学校』流「生き抜く力」まとめ】●いまの学校現場では、不登校の増加など、見過ごせない問題がたくさん起きている●子どもが「イヤ」と言ったときに、「いうことをきかせる」のは大人が上から目線になっている●子どもの「イヤ!」の理由は、子どもなりの「自分の意見」。大人はその気持ちを大切にする力を持つ必要がある次回は、「マニュアル子育ては見抜かれる! 大人の論理「あなたのため」は通じない」です。■今回取材にご協力いただいた木村 泰子先生の著書『 不登校ゼロ、モンスターペアレンツゼロの小学校が育てる 21世紀を生きる力 』木村 泰子,出口 汪/ 水王舎 ¥1,400(税別)
2017年07月26日大阪市にある、ごく普通の公立小学校である大空小学校は、不登校児が0人。それは、それぞれの子に、それぞれの居場所があるから。ドキュメンタリー映画『みんなの学校』は、大空小学校の日常を丹念に描いて大ヒットし、商業映画館での上映は終わったものの、2016年度の自主上映会は全国で800回以上におよび今年も昨年以上の勢いで広がっています。映画で輪の中心にいるのは、初代校長を務めた木村泰子先生。自分が受けてきた教育をベースにした「学校観」に引きずられ、子どもを「良い子」「悪い子」の枠にはめがちなママたちと、これからの子育てに必要な「生き抜く力」についての勉強会が開催されました。※本連載は、木村先生との「学びの会」を抜粋したものです。記事内に登場する参加者は、「学びの会」に出席した方々となります。木村 泰子先生プロフィール大阪市出身。大阪市立大空小学校初代校長として、「みんながつくるみんなの学校」を合い言葉に、すべての子どもを多方面から見つめながら、全教職員のチーム力で「すべての子どもの学習権を保障する学校をつくる」ことに情熱を注ぐ。その取り組みを描いたドキュメンタリー映画 『みんなの学校』 が話題に。2015年に退職後、現在は、全国各地で講演活動を行っている。木村先生については、 「『みんなの学校』流 親子関係のつくり方」 「ママのプロになる!」 もぜひご覧ください。■多様な国際社会で、「なりたい自分」になるには?木村先生(以下、木村):最初に、「大空式」の自己紹介からお話しましょう。大空小学校(以下、大空小)では、「自己紹介をする」という人との関わりの中で、4つの力を高めることを意識しています。<大空小で大切にしてきた4つの力>・「人を大切にする力」・「自分の考えを持つ力」・「自分を表現する力」・「チャレンジする力」この4つの力があれば、子どもたちは、これからの多様な国際社会で「なりたい自分になっていけるよ」と、大空小の子どもの周りにいる大人は考えました。■人と違うから「自分の考え」になる木村:1つ目の「人を大切にする力」が、簡単なようで難しいのは、なんとなくおわかりかと思います。2つ目の「自分の考えを持つ力」。みなさんは、自分の考えを持っていますか? 「夫が、言うから」「ママ友が、言うから」「会社の上司が、言うから」と、流されてしまう自分が、いらっしゃるのではないでしょうか?隣や上を見ないで、「まず自分で考えてみよう」という習慣を、大空小の子どもたちはいつも心がけています。この「自分の考え」というのは、人と違ってあたり前。だからこそ、「自分の考え」なんです。ひとりの子が自分の考えを持ったら、その自分の考えは、「間違いなんてないよ」というまわりの空気が必要です。■自分を表現できなければ置いていかれる木村:3つ目は、「自分を表現する力」。いくら人を大切にして、自分の考えを持っていても、これからの時代は、自分を表現しなかったら、置いていかれてしまうことでしょう。「これはイヤだよ」「こうしたいよ」「こう考えているよ」ということを、自然に言えること、これも大切にしたい力です。もちろん、表現の仕方は、いろいろあります。たとえば、緘黙(かんもく)症(※)で、自分から言葉を発したことがない子。そういう子は自分なりの表現方法、文に書いたり、顔で表現をしたりができますから、まわりはその子を見ていれば、表現を受け取ることができます。※緘黙(かんもく)症:発声器官の器質的障害がなく、言語の習得に問題がないのに、特定の場面でずっと声が出ない状態のこと。たとえば家では普通に話ができるのに、学校や幼稚園に行くと一日中声が出ない状態が何ヶ月、何年間も続く症状4つ目は、「チャレンジをする力」。「こういうことを、やってみたい」「こういうことを、やろう」とチャレンジする気持ちは、「未来を作っていく」と思うんです。■「教員の仕事」は、「人間でないとできないこと」をやること木村: この4つの力を、小学校にきて「おはよう」を言ってから、「さようなら」を言うまで、どれだけ子どもたちが獲得できたのか? それを考えることが、私たち、子どものまわりにいる大人のやるべきことだと思って、仕事をしてきました。めちゃくちゃシンプルです。「分数の計算の仕方を教える」。これはあと数年したら、教員がやらなくても機械がやってくれるでしょう。「では教員の仕事は何?」と言ったら、「『人間』でないとできないことをやろうね」と、大空小の教職員で話し合いをして決めました。【『みんなの学校』流「生き抜く力」まとめ】●「人を大切にする力」、「自分の考えを持つ力」、「自分を表現する力」、「チャレンジする力」があれば、未来を生きていくことができる●「自分の考え」は、人と違ってあたり前●教員の仕事は、人間でなければできないことをやること次回は、「不登校で苦しむ子。「過保護」と「教育」の線引はどこにあるのか?」です。■今回取材にご協力いただいた木村 泰子先生の著書『 不登校ゼロ、モンスターペアレンツゼロの小学校が育てる 21世紀を生きる力 』木村 泰子,出口 汪/ 水王舎 ¥1,400(税別)
2017年07月25日保育園や幼稚園のお迎えのときに「今日とっても頑張っていましたよ」なんて先生に言われることはありませんか? しかし、親からするとどんな風に頑張っていたのか、具体的に理解するのって難しいですよね。保育園や幼稚園にいるあいだ、子どもたちがどんな風に過ごしているのか親は知りたくても知るのは難しもの。こっそり1日眺めているわけにも、監視カメラでずっと見ていることもできません。■「ママには秘密がいい」そういった子どもの真意以前こんなことがありました。途中入園で入ってきた5歳の女の子が、初めて登園した日のことでした。言葉も達者でお友だちと協力して遊ぶことも、お友だちの様子を見ながら動くこともできます。夕方、ちらほらお迎えにくるお母さんたちが見えはじめるとそわそわし始めました。「おトイレに行きたいの?」と声をかけると「おりがみがしたい」と言うので一緒に折り紙をすることに。「犬を折りたいからお手伝いして」と言うのでしっかりと折り目をつけるところや、端と端をくっつけるところを手伝いました。しかし、その間「あのさー今日何食べるの?」「あそこの時計の色変だね」「なんか靴下が変な色だね」などの発言が増え、集中力が散漫になっているようでした。折り紙を4種類折り終えて、満足したので「できたものをリュックにいれようか」と一緒にロッカーへ行きました。ロッカーからリュックを取り出してチャックを開けると、中のものが勢い置く飛び出してきました。「あーもう一回しまわなくちゃ」と言いながら中からでてきたお弁当箱や手帳をしまう女の子。無造作に入れていくのでチャックは締まりません。「あーしまらないよ…どうしよう…できるできる」と独り言をいいながらチャックと戦っています。私は基本的に子どもが自ら助けを求められないと動かないようにしているので、じっと見守っていました。すると「先生、私困っています」と助けを求めてくれたので「わかったお手伝いするね。困っていることを教えてくれてありがとう」と話しリュックの中身を整理してチェックを締められるようにしました。「これで大丈夫だから、最後の仕上げにチャックを締めてね」と言うと、チャックを握ると「先生の靴下変だね」とまた関係ないことを言いだしました。何度も言われるほど変な靴下を履いているわけではないので「変じゃないよ、ユニクロだよ」と返すと「はーユニクロか…変だよ…変なの!! うわぁああん! ママに会いたいぃいいいいいい!!!」と泣き出しました。そのとき、折り紙を折っている途中に、関係の無いことを話し続けていたのはお母さんに会いたい気持ちを抑えていたからだと気が付きました。私は彼女を膝にのせて「そうだよね、ママに会いたいよね。気づいてあげられなくてごめんね。でも、ちゃんと教えてくれてありがとう」と声をかけました。「ママに会いたいの我慢してたんだけど、もう無理だああああ」と声をあげて泣く女の子「そっか、そっか〜我慢してたんだね。大丈夫だよ、ちゃんと教えてくれて嬉しいよ」。たくさん泣いて落ち着いたころ、小さな声で「ママに会いたくて泣いたの、秘密がいい」と神妙な顔をして言いました。「わかった、じゃあこれは私と2人だけの秘密ね」と話したのです。■頑張っている子どもたちにちょっとした心遣いをこの女の子は新入園児ですが、在園児でもお母さんに会いたくなって涙することがあります。他にも、お友だちとおもちゃの貸し借りの交渉をしたり、嫌いなものを食べたり、お迎えの時間だけでは説明しきれないほど毎日子どもたちは頑張っています。彼女が「秘密ね」と私にお願いしてきたのには理由がありました。朝の母子分離時に「泣かないで楽しんでね」とお母さんに言われていたのです。そのため、彼女は「泣かないで楽しいことを探そう」と一生懸命でした。おりがみ、時計の色、私の靴下、全ては泣くことを防ぐ方法でした。大人が毎日会社に行って、一生懸命頑張っているように子どもも彼らの世界で必死に生きています。お迎えに行ってふんぞり返る姿にイライラすることもあるかもしれません。でも、そんなときはちょっとでも「きっと何か頑張ったんだな」と優しくしてあげてください。できないことを強いられるのは大人だってつらいもの。それは子どもと一緒です。家まで歩きたくない、歩けないと言っているときに歩かせるのではなく「今日何を頑張ったのか教えて」と抱っこしてあげることは、子どもに対する心遣いです。パパやママたちが甘やかしと心遣いを使い分けることで、子どもと良い関係性を築けるといいですね。
2017年07月22日夏休み前後の時期や夏休み中には、多くの小学校で個人面談が行われます。普段から先生と接する機会が多い保育園や幼稚園時代とは違い、「入学・進級後、担任の先生と1対1で話すのはこれが初めて」というママもいるかもしれません。「相談したいことがあったのに聞けなかった」などと、あとでモヤモヤしないためにも、事前にポイントをおさえておきましょう。■込み入った相談があるときは個人面談の時間は1人15分程度。保護者側から何か話すというより、子どもの学校での様子を先生から聞くことがメインです。込み入った相談など、個人面談でとくに話したいことがある場合は、連絡帳などであらかじめ伝えておくとよいでしょう。相談が長くなって予定時間をオーバーしてしまうと、うしろの順番の保護者に迷惑をかけてしまいます。相談したいことが多くあり、時間内に終わらない場合には、あらためて別の日に時間をとってもらうようにしましょう。■質問したいことがあるときは「進級してから担任の先生と1対1で話すのは初めて」ということも多い、夏休み前の個人面談。緊張してしまい、「聞きたいことがあったのについ忘れてしまった」という失敗談もよく聞かれます。面談では、先生からの話のあとに、「何か気になっていることはありますか?」などと声をかけてくれるはず。聞きたいことや相談したいことを忘れないためには、面談前にメモ書きを用意しておくのがおすすめです。事前にメモにまとめておくことで、内容を忘れる心配もなく、限られた時間で簡潔に要点を伝えることができます。とくに聞きたいことがない場合は、無理に質問事項を考えなくてもOK。「毎日楽しく学校に通っているようです」などと話をまとめるか、「先生から何か気になることはありますか?」と聞いてみてもよいでしょう。■面談後に、子どもとどう話せばいい?おうちの人と先生が1対1で話す個人面談は、子どもにとっても非常に気になるもの。面談でほめられた内容は、帰宅後子どもにも伝えてあげると、本人の自信につながります。しかし個人面談では、ほめられるばかりではありません。子どもの学校での授業態度、お友だちつきあいなど、母親が思ってもみなかった学校での態度があきらかになる場でもあります。悪い点を聞かされると、母親としてもへこんでしまい、ついつい子どもにも、頭ごなしに叱りつけてしまいそうになります。でも、それはNG。面談で聞いたプラス面の話も織り交ぜながら、どのように改善していけばよいかを子どもと話し合うようにしましょう。子どもが小学生になると、園児時代にくらべて先生と保護者が直接関わる機会はぐっと少なくなります。学校生活や家での様子など、先生と保護者が情報交換をすることは、子どもによっても大切なことです。せっかくの個人面談の時間を有意義なものにするために、しっかりポイントをおさえておきたいですね。
2017年07月22日いろいろな職業を紹介した中学生向けの絵本が数年前ベストセラーになりました。子どもが中学生くらいになったら、親子で職業について話し合うといいんじゃないかしら?職業を話し合うというより、働くことの意味を親が子へ伝える必要があると思うのです。現在は「働く喜び」が見えにくい時代。激しい競争社会のため必死で働かなければならず、働く喜びを感じる余裕もなかなかありません。かといって、やりがいのある仕事を求め続け職を転々とすれば技術が身につかず、働く喜びどころか働く場所さえ失うかもしれませんね。どちらにしても、働く喜びを見つけにくいことに変わりありません。こんな時代だからこそ、自分の子どもには喜びを感じられる仕事についてほしい、と親が必死になるのも当然です。もちろん、自分の子どもが何に向いているかじっくり観察して、子どもの才能を伸ばす方向へ導いてあげることは、とても大切なことよ。でも、親の願望や理想だけで、子どもの将来を決めないこと。本人の力で歩いていけるようサポートするのが親の役目なのよ。厳しい人生を生き抜いていくのは、子ども自身。将来、自立できなくて困るのは、その子本人なんですからね。特に、ヒラメキ型で行動派の三碧木星のお母さんは要注意。自分の思いつきを子どもに押しつける傾向があります。子ども自身の考えを尊重し、親はあくまでもサポート役に徹することが大切よ。確かに好きな仕事で食べていければ、こんな幸せなことはありません。でも、好きな仕事で生活している人は、ほんのひと握りです。圧倒的多数の人は、そうじゃない…。でも、だからといって仕事に喜びを見いだせないかというと、そんなことはありませんよね。 理不尽なことや苦しいこともあるけど、その中で成長することもできるし、やりがいを見つけることだってできます。働く喜びを見つけるのも見つけられないのも本人次第。どうせ働くなら、自分の能力が必要とされていることや社会の一員として役立っていることに感謝して働いたほうが幸せですよね。「仕事って楽しいことばかりじゃないけど、働くことは自分の喜びになるんだよ」「仕事は人生を豊かにしてくれるんだよ」こう子どもに伝えてあげてください。働くことの意味を親子で話し合うことが大切だと思いますよ。 【伝説級の奇跡的中】あなたの“結婚/貯蓄/老後まで”◆豪華人生鑑定
2017年07月21日~夏休み!子供は見てます、親の人格を!〜子供にとっては楽しい夏休みシーズンに突入です。親御さんにしてみたら学校に行かない分、子供と接する時間が長くなり、両親共働きの家でも、学校が無い分、家にいるお子さんが心配の種です。でも暑さにかまけて勉強もしないダラダラした態度を見て「宿題しなさい」と感情的に怒ってみたり、子供を邪魔扱いなどはいけません!子供はまだまだ未熟な人間、間違えたって当然ですし、甘えたりすねたりもします。そんなお子さんを大きな愛で包み、子供さんが間違えたら静かに理性的にさとし、子供の人生をしっかりとしたものにしたいのなら、まずは親が手本となり背筋を正す。子供はしっかり親の人格生活態度を日頃から見ています。子供は親の背中を見て育ちます。夏休みのスタートは人として親としての資質を子供に見せられる生活態度になるチャンスです。頑張ってください。
2017年07月20日自己肯定感は「自分は大切な存在だ」「自分はかけがいのない存在」と思える気持ちや、自分の存在意義を肯定できる気持ちを指します。幼児期は自己肯定感の基盤を形成するために、とても重要な時期です。母子や父子間はもちろんお友だちとのコミュニケーションを通して少しずつ培っていきます。自己肯定感は自分を信じることにもつながります。人からどう見られているか、どう評価を受けるのか、そういったことを一番に考えるよりも、自分のことを自分で受け止め、次のステップに進める子どもに育ってほしいものです。■1.「やらない」という選択を褒める子どもはとても素直です。常に「褒められたい」という気持ちで動いています。そのため、「これをしたらお母さんは喜ぶのではないか」とさまざまな場所にアンテナを張り巡らせています。でも、「今は自分でぱぱっと家事を終わらせたい」や「お手伝いじゃなくて自分のことをしっかりやってほしい」という大人の本音もありますよね。しかし、意外と忘れてしまいがちですが、やったことだけを褒めるのではなくて、やらなかったことも褒めるようにしましょう。「今日は急いで終わらせたかったからお手伝いしないでくれて助かったよ」そう感謝の気持ちを伝えることで、子どもは人が喜ぶことにはさまざまなパターンがあることを学びます。■2.どんな選択をしても必ず一度は受け入れよう何かを選択して行動に移すのには勇気が必要です。そのため、子どもが自分で決めた選択はどんなものでさえ一度は必ず受け入れましょう。そして、その選択をした理由をしっかり聞くことが大切です。これだけでも「自分のことを受け入れてもらっている」と感じます。頭ごなしに「そうではなくてこうすべき」と言うのではなくて、現状の問題はわかりやすく伝えアドバイスをすることが大切です。アドバイスを踏まえた上での決断は、必ず受け入れてあげましょう。受け入れられない場合は、子どもが納得できるまでわかりやすく説明してあげましょう。■3.失敗をしたら強く抱きしめてあげようたとえ失敗が目に見えていたとしても、子どもが自分で決めたことは最後まで見守ることが大切です。もし失敗してしまったら抱きしめて「よく挑戦したね」と声を掛けてあげましょう。誰かが見守ってくれる安心感を感じれば、また前を向いて再スタートすることができます。成功したら一緒に喜んであげる。とても簡単ですが、とても重要なことです。
2017年07月20日子どものためのオンラインスクール「GLOBAL CROWN(グローバルクラウン)」と、海外ガイドブックで人気の「地球の歩き方」がタッグを組んで、3~12歳を対象としたオンラインレッスン「地球の歩き方×グローバルクラウンpresents世界一周スタンプラリー」を夏季限定でオープンします。「世界一周スタンプラリー」のレッスンでは、「地球の歩き方」のホームページで世界各国を紹介する“海外現地在住ブロガー”が先生を務めるマンツーマンのオンラインレッスンが受けられます。現地を知り尽くした先生と直接会話をしながら、13カ国の言語・観光スポット・現地フードを学んでいきます。レッスンに使用する専用アプリ(iOS)では学んだ国のスタンプを集めることができ、まるで世界一周旅行をしているような気分を味わいながら、グローバル体験、世界文化の理解、海外への好奇心を育むことができるプログラムです。先生は、日本語と現地の公用語の両方が話せるので、外国語初心者でも安心して各国の言語や文化が学べます。「世界一周スタンプラリー」のチケット購入者全員に、オリジナルグッズのプレゼントあり。さらに、13カ国すべてのスタンプをコンプリートすると、抽選で10名様にマネーパートナーズオリジナルトラベルセット「GLOBAL CROWN オリジナルフェイスタオル」のプレゼントもあります。■対象年齢3〜12歳■レッスン対象国アメリカ/イギリス/イタリア/オランダ/カナダ/カンボジア/スイス/スペイン/ドイツ/トルコ/ブラジル/フランス/メキシコ(計13カ国)■お申込期間2017年7月20日(木)〜2017年8月25日(金)■レッスン期間2017年7月21日(金)〜2017年8月31日(木) ※上記期間内でご希望の日時にレッスンの予約が可能です。■料金(税込)会員登録で無料体験を1回プレゼント。3回チケット 7,650円5回チケット 12,500円10回チケット 23,500円13回チケット 28,600円※入会金や教材費は一切かかりません。チケットは何度でも購入できます。■レッスンの流れ1.WEBから無料体験予約2.専用アプリ(iOS)をダウンロード3.アプリからレッスン予約4.オンラインレッスンを受ける5.スタンプゲット!■お申込方法 ホームページ から会員登録を行ってください(無料体験1回プレゼント)。※詳細は こちら から
2017年07月20日「月齢は上がっているのに、お昼寝の時間が変わっていないし、そう言えば、最近なかなか子どもが夜寝てくれない…」「夕食も全部食べてくれない時が増えてきたけど、どうしたらいいの?」という疑問をお持ちのママたちへ、今回は簡単な生活リズムの見直し方をお伝えします。■1.生活のリズムを円グラフに書いてみようまずは、時計の図を描いてみましょう。そこに起きる時間、幼稚園にいく時間、お昼寝の時間、など生活のリズムを記入していきます。すると、このような感じで、時間ごとに、子どもがどんな生活をしているのかが見えてきます。上記は、幼稚園から帰宅後の生活リズムを例として記入してみました。幼稚園から帰ってきて、おやつを食べる。それからお昼寝をして、夕食を済ませて21時過ぎに就寝…ちょっと遅いですね。■2.就寝時間を基準にリズムを見直そう時間ごとの区分が見えてきたら、こんな風に生活のリズムを変えてみるのはいかがでしょうか。ポイントは就寝時間を中心に考えることです。幼稚園卒園までは19時〜20時までにお布団に入り20時30分には寝ている状態がベストです。もしこれ以上遅くなっているのなら、それはお子さんの体力がついてきた証拠。お昼寝しなくても大丈夫だというサインです。それでは、睡眠時間から逆算してみましょう。すると…「あれ、もしかしてもうお昼寝カットしてもいいかも」、「夜ご飯の時間を早めにしよう」、「おやつ食べたら先にお風呂入れちゃうのもアリかも」なんて生活のリズムを整えるアイディアが浮かんできますね。■3.壁に貼って子どもと一緒に確認しよう完成した図はお子さんと一緒に確認しましょう。改定前後を一つずつチェックして「お昼寝をなくして夜いっぱい寝よう!」と声をかけてあげてください。年中さん、年長さんであれば時計の読み方を覚えるきっかけにもなります。■おまけの「おやつ編」ママたちと話をすると、夜ご飯をなかなか食べてくれないことに悩んでいるケースが多いようです。そんなときまず夕食の時間帯と食べる量を確認してみましょう。先程、例としてお見せした図をもう一度みてください。15時おやつを食べて20時に夜ご飯を食べています。これではちょっと夕食の時間が遅いですね。そこで、15時におやつを食べて、18時に夕食を食べるように変更してみました。おやつと夕食を天秤にかけた際、優先すべきは夕食の時間。夕食までの時間が長ければ、お腹にたまるものを、短ければゼリーなどお腹にたまりにくいものがよいでしょう。おやつ>夕食はNG。おやつは主食ではなく補助食です。そのため、夕食を食べる量が少なければおやつを減らしたり無くすことも大切です。このように、ちょっとした工夫で子どもの生活習慣は整います。お子さんが小さなうちは何かと手がかかるので、意図的に早寝早起きをさせたり、食事の量を調整したりと大変ですが、お子さんが大きくなった時に、自ら早寝早起きをし、食事もしっかりと食べてくれる子になってもらうためにも、幼少期の生活習慣は大切です。ぜひできることから実践してみてください。
2017年07月19日先日、児童養護施設で育つ子どもたちの為の奨学金プログラム「カナエール」の「夢スピーチコンテスト2017」を拝聴してきた。この大会の趣旨については、公式サイトで以下のように説明されている。なんらかの事情で親と生活できず、児童養護施設で生活した子どもたちの大学等の進学率は26.5%。また、進学できても学業とアルバイトの両立は厳しく、経済的理由等により中退してしまう割合は26.5%と、全国平均の3倍近くにもなります ※1。※1 NPO法人ブリッジフォースマイル2016年調べカナエールは夢や進学への思いを語るスピーチコンテストの出場を条件に、返済不要の奨学金を、プロジェクトへの寄附とコンテストのチケット販売を原資に給付します。120日間、スピーチコンテストに向けて3人の社会人ボランティアとのチームで取り組むことで、進学してからの「意欲」と「資金」の両面をサポートすることを目的としています。2017年も東京・横浜・福岡の3会場にてスピーチコンテストが開催されます。引用元: 大会実行委員長の植村百合香さんは、スピーチの中で「社会的養護を必要とする子どもたちの顔が見えない問題がある」とお話された。社会的養護、というあまり聞き慣れない言葉。どういう意味かというと、保護者による養育が難しい子どもや、それが適切でない子どもを、公的責任の元に保護、養育の支援を行うことだそうだ。たしかに、家庭の中で起きていることは外からは見えにくい。だからこそ、立場の弱い子どもが、ともすれば命を落としかねない事態が起きてしまうこともある。今回、10人の子ども達のスピーチの中でも、彼らが施設に辿り着くまでに経てきた壮絶な体験が語られた。エスカレートする実の親からの虐待の中で、ある夜ついに首に手をかけられ、自ら決意して家を飛び出し、警察に飛び込んだ女の子。ひとり親だった母親が彼氏と暮らすために家を出てしまい、小学生のころから幼い妹の世話を家ですべて担っていた高校生の男の子(警察が家にやってきて保護されることになったのだという)。自分以外の家族が皆精神的な病を抱えており、家で生活ができないという女の子。本人の聡明さや、周りの大人たちのさまざまな努力で、彼らは今無事に施設と繋がり、安心できる環境下で生活できているということに、大きな救いを感じた。もちろん、児童養護施設の中のことだって、家庭の中と同じように見えにくい。 「社会的養護を必要とする子どもの顔は見えにくい」という問題は、一方では子ども達のプライバシーを守るために必要なバリアでもあって、必要な「見えにくさ」でもある。けれど、このスピーチコンテストで子ども達から語られた夢の中に、将来は児童養護施設の職員になりたいと語った子が複数いたことからも、少なくとも目の前の彼らはきっと、こうなりたいと自分の未来を重ねることのできる、信頼できる大人に出会えたのだろうと思えた。施設に移って以来、2年間も会っていないという母親に「産んでくれてありがとう」と壇上から告げる子。自分を虐待していた母親も、そうでないときは優しく、大好きだったと語る子。親を亡くし、後ろ盾もないが、夢があって大学に進学したい、経済的な不安があるが頑張っていくと強い口調で決意を示す子。彼らが家庭で負った傷を少しずつ癒やしながら将来を見据えている姿は本当に立派で、素晴らしかったけれど、同時に、ここまでの寛容さ、強さを子どもに強いてしまう私たち大人の不甲斐なさを思うととにかく申し訳なく、頑張ってね、とエールを送るのだって無責任なような気がして、後ろめたさが拭えなかった。こういう複雑な思いはつい、産みの親を単純に悪者にし、同時に自分を善人にすることで消化しようとしてしまいそうになるけれど、じゃあそれで子どもが救われるのかというと当然ながらそんなことはなくて。大人にだって、家庭の外にはさまざまな生きづらさがあって、ふとしたきっかけで、そのしわ寄せが非力で無抵抗な子ども達に降りていく。だから、子ども達が家庭の中で抱える問題の多くは、社会にいる大人達の問題でもある。子ども達が、産まれてから最初に身を置く、「家庭」という小さな世界の中で、まずは肉体的、精神的に傷つかないこと。そして、残念ながらそういうことが起きてしまったとしても、いち早く外からそれに気づけること。安心して暮らせる別の場所があること。その先に“それでも”産んでくれてよかった、生きていてよかった、と言ってもらえるような、可能性を感じられる社会があること。そういった環境を用意するのはやっぱり私達大人の責任で、同時にそうやって用意された環境というのは大人にとっても生きやすいものになるのだろうと思う。* * *ところで、過去7年間に渡って続いてきた「カナエール」は、今年をもって奨学生募集を終了するとのこと。理由は、この数年で返済不要の奨学金が自治体を中心に増え、今年度より文部科学省が給付型奨学金を設置するなど、大学進学への道は、子ども達にとって以前よりも選びやすいものになってきているからだそうだ。とはいえ、運営母体であるNPO法人ブリッジフォースマイルは引き続き活動を継続されているので、もっと良く知りたいと思った方は NPO法人ブリッジフォースマイル にアクセスしてみてください。困難な状況に最初の一石を投じ、継続的な活動で状況を大きく改善させてこられた「カナエール」運営の皆さん、本当にお疲れ様でした。イラスト:片岡泉
2017年07月19日猫の手貸して~育児絵日記~
うちはモフモフ暮らし
めまぐるしいけど愛おしい、空回り母ちゃんの日々