いま最も旬な街、日比谷に新しくオープンした『HMV&BOOKS HIBIYA COTTAGE(日比谷コテージ)』の内覧会に行ってきました。こちらのコンセプトは、ずばり “女性のための本屋さん”。女子に響くポイントがたくさん散りばめられている噂のショップをリサーチしてきました!日比谷シャンテ3階にオープン!『HMV&BOOKS HIBIYA COTTAGE』がオープンしたのは、日比谷シャンテ3階の奥。エスカレーターを上がっていくと、目の前におしゃれな店名ロゴやかわいい飾りが見えてきます。導入部分から、普通の本屋さんとは明らかに雰囲気が違いますね。なんだか気分がワクワクしてきます。書店の棚づくりも女性目線。雑誌コーナーには『Hanako』が積まれていますが、最新号が並んでいるだけではありません。雑誌の置き方にもこだわりを感じます。一般書籍の陳列方法もユニーク。私は学生時代、書店でアルバイトをしていたのですが、そのときに覚えた棚づくりとはまるで違います。棚にはできるだけたくさんの本を入れるのが一般的なので、普通の棚では背表紙しか見えません。でも、こちらの本屋さんでは表紙が見えるように並べられたり、インテリアグッズと一緒に陳列されたりと、空間が贅沢に使われています。ところどころにグリーンの観葉植物が置いてあるのもうれしいですね!そして極めつけは、書店の一角にある超かわいいギャラリー。人気イラストレーターの利光春華さんが手がけられました。このステキな空間については、利光さんに直接お話をうかがったので、後ほど詳しくご紹介します。女性が主役の本屋さん『HIBIYA COTTAGE』では、お客さんだけでなくスタッフも女性が主役。店長さんをはじめ、店内装飾やロゴのデザインを担当されたのもすべて第一線で活躍されている女性クリエイターの方々です。内覧会の説明会では、店長の花田菜々子さんが登壇。この書店について語りました。花田さんお店のコンセプトとして女性向けということがあるので、いろいろな女性に来ていただきたいです。マーケティングで「女性だったらこんなものが好き」と決められると嫌だなと思うこともあるので、K-POPが好きな人も社会問題が好きな人も、どんな人が来ても「オーッ」と思えるものがあって、それがさらにクロスオーバーして「仕事の本を買いに来たら好きなミュージシャンを見つけた」みたいな出会いを提供できればいいなと思っています。また、こちらのショップでは、映画館や劇場が多い日比谷の特性を生かし、映画や舞台関連の書籍、DVD、CDも充実。女性だけでなく、男性のみなさんも楽しめるような品ぞろえになっているそうです。人気装丁家、名久井直子さんインタビュー今回の内覧会では、店舗づくりに携わった女性クリエイターのお二人にお話をうかがうことができました。まずは、文芸書やコミックスなどさまざまな書籍の装丁を手がける人気ブックデザイナーの名久井直子さん。名久井さんは今回『HIBIYA COTTAGE』の顔となるロゴをはじめ、ブックカバーやトートバッグのデザインも手掛けられています。――ロゴがとてもかわいいですが、どんなイメージでデザインされましたか?名久井さんこのロゴは、本でできている家なのですが、本を読んでいる場所そのものが空間というか、例えば喫茶店で読んでいても自分の空間があるような、そういういろいろな意味で家の形になっています。休む場所・空間ができるようなイメージで考えました。――ロゴデザインの場合、本の装丁を考えるときとは違うアプローチをされるのですか?名久井さん本の装丁をするときとは気分が全然違いました。本はひとつひとつ中身があるので、それをどう出すかという感じなんですが、ロゴはこの後いろいろな形になっていくので。エプロンにデザインされたり、ブックカバーやトートバッグになったりして形を変えていくので、そのあたりを意識しました。――ブックカバーのデザインもステキです。二種類もあるのですね。名久井さんいつも私はブックカバーをつけていないんですけど……。本そのもののカバーを出しておきたいので。「みんな見て」という感じで(笑)。もちろん自分が装丁を担当した本はゲラで読んでいるので本の状態では読まないのですけど、人がデザインした本でも「私はこれを読んでいます」ってアピールしたいんです(笑)。――植物模様のブックカバーはどんなふうに考案されたのですか?名久井さん実は、あれは切り絵なんですよ。小さいころから切り絵は割とできるので、切り絵したものを印刷しました。切り絵は自分にとって身近なのです。――オリジナルグッズのトートバッグもおしゃれです。名久井さんサブバッグにおすすめですよ。私はメインバッグにしていますけど。マチもあるので、本がたくさん入ります。しかも800円なのでお値打ちです(笑)。――最後に、名久井さんはこの本屋さんを訪れたらどんなふうに楽しみたいですか?名久井さんここは音楽と本がボーダレスに陳列されているので、例えば宝塚を見終わって本屋に立ち寄った人が社会的な本を目にしたりして「うっかりした出会い」といいますか「ひょんな出会い」をしていただける場所だと思います。普通の本屋さんと違って、背だけでなく面(表紙)が見えている本がとても多いので、ジャケ買いのように「これかわいい」という感じで普段見つけられなかった本を見つけることができるかな、という気がします。続いて、利光春華さんにインタビュー!続いてお話をうかがったのは、大人気のイラストレーター、利光春華さん。広告や雑誌挿絵など幅広い分野で活動されている利光さんは、2017年12月にビジュアルストーリーブック『Ribbon』(上ノ空)を刊行。今回の『HIBIYA COTTAGE』では『Ribbon』の世界をギャラリー空間などで展開されています。――まずは、はじめて『Ribbon』に触れる方のために、簡単にご本の紹介をお願いします。利光さんこの本は、鳥が春夏秋冬という季節を旅することで「世界はいつだってこんなに美しい」ということを教えてくれる希望のストーリーです。『HIBIYA COTTAGE』のオープンがちょうど春なので、春の場面をこのギャラリーで再現しているという感じで、店内ではお花を中心に鳥や蝶など春らしいものを飾っています。――『Ribbon』の世界を書店の空間で表現されてみて、いかがでしたか?利光さん『Ribbon』出版後に開催した個展でも空間装飾をしましたが、本屋さんの店内を装飾したのははじめてです。書店だといろいろなものがあるなかで空間を作っていくので、バランスをとるのが少し大変でした。でも、私は本がすごく好きなので……例えばギャラリーのすぐ手前にある、ピンクが使われている表紙のみを集めた本棚とマッチするように色の使い方などを意識したりするのはとても新鮮でした。――鏡のところでは写真撮影もできるのですね。利光さんこの鏡は最初から意識していて、ここで女の子たちに写真を撮ってほしいなって思って作りました。インスタとかにも上げてほしいな、と。このコーナーでは、座っておしゃべりしてもらったり、ここで休んでからまた違う本を見てもらったり……休憩の場所みたいに使ってもらえたらうれしいなと思います。――女性が楽しめるギャラリーですね。利光さんただ絵を飾るだけのギャラリーにはしたくなくて。「インタラクティブ・コンテンツ」やパッケージ化したものも置いたりして、女性が「キャーかわいい!」と言いたくなるような空間にしたいと思い、女性目線で作りました。もちろん男性にもこの”カワイイ”を共感してもらえると嬉しいと思っています。――いろいろなお菓子も置いてありますね。利光さんこのお菓子は、人気洋菓子店『ピネード』とコラボしたものです。お菓子は自分へのプレゼントにもいいですよね。鳥パッケージのお菓子は「今日は自分のために一羽買って帰ろうかな~」という感じで、使ってもらえたらうれしいです。誰かに贈り物を考えている方にも、おすすめです。食べ終わったらお部屋の飾りにも使えるといいなと思いながら、絵だけでなく形からパッケージを考えました。――このギャラリーにいると、とっても幸せな気分になれます。利光さん人のために絵を描くときは、常にみんなに幸せになってほしいと考えています。実は、ふだん自分で描く絵は全然違ったりするんですよ。毒のある世界とかもすごい好きで(笑)。でもやはり自分の絵を誰かにプレゼントすることを考えたら、『Ribbon』のような絵になるのかなと思います。――最後に、利光さんご自身はこの本屋さんを訪れたらどんなふうに楽しみたいですか?利光さんコンセプトに沿って作られている本屋さんなので、今まで知らなかった本がたくさんあるんですよ。自分で選書するときは作家ごとに見ていったりするのですけど、ここはランダムに置かれていて、表紙も楽しめるし、知らなかった作家さんに気づいたり……たくさん買いたいなと思いました。「新しい発見の場所」みたいな本屋さんだと思います。新名所、日比谷ゴジラスクエアもチェック!本屋さんで楽しんだあとは、日比谷シャンテ入り口前広場にある「日比谷ゴジラスクエア」にも立ち寄ってみませんか?こちらも新・ゴジラ像が設置されたばかりの注目スポット。建物内には、ローソンチケット初の独立店舗『ローチケ HIBIYA TICKET BOX』もあるので、舞台のチケットなどを買うことができて便利ですよ。なお『HIBIYA COTTAGE』では、店舗オープンにあわせたイベントなどもたくさん開催されています。この春はトレンドの街、日比谷にぜひ足を運んでみてくださいね。Information公式サイト:
2018年03月30日六本木の国立新美術館で開催中の『至上の印象派展ビュールレ・コレクション』に行ってきました。ルノワールやモネ、ファン・ゴッホなど誰もが知っている巨匠たちの名作をまとめて見られるゴージャス感たっぷりの展覧会、その見どころをレポートします!ハイレベルな印象派が勢ぞろい!【女子的アートナビ】vol. 104『至上の印象派展ビュールレ・コレクション』では、フランス印象派の画家たちが手がけた名作が勢ぞろい。ルノワールやセザンヌなど巨匠が描いたものでも、さまざまなタイプの作品がありますが、今回は折り紙付き。正真正銘の名画が集まる展覧会です。さらに同展では印象派に加えて、17世紀のオランダ絵画から20世紀のモダン・アートまでの作品64点を展示。その半数が日本初公開なので、見ておかないとたぶん後悔すると思われます。強奪された作品4点も来日!質の高い作品ばかりですが、これらのコレクションはすべてドイツ生まれの実業家、エミール・ゲオルク・ビュールレ(1890~1956)がひとりで集めたもの。大学で美術史などを学び芸術に造詣が深かった彼は、スイスに移住したあと絵画の収集を開始。特に第二次世界大戦後は毎年100点ほどの作品を購入した時期もあり、どんどんコレクションを増やしていったそうです。プレス内覧会では、ビュールレ氏の孫で、E.G.ビュールレ・コレクション財団理事長のクリスチャン・ビュールレさんが出席。そのスピーチで、約10年前に起きた絵画強奪事件について触れました。2008年、ビュールレ氏の個人美術館に武装した強盗が押し入り、セザンヌ、ドガ、ファン・ゴッホ、モネの名画4点を強奪。そのうち2点はすぐに発見されたものの、残りの2点は2012年になってからベオグラードで見つかりました。この事件により、警備上の理由から美術館を閉館することを余儀なくされ、作品は2020年に完成するチューリヒ美術館の新館に移管することに決定。それまでの間、世界各都市で展覧会を開催することになったそうです。日本の展覧会では事件で盗まれた4点の名画すべてが展示されるため、ビュールレさんは「孫である私にとっても忘れられない展示になる」と感慨深げに語っていました。“美しすぎる少女” は必見!それでは、見どころをご紹介していきます。まずは、展覧会のメインヴィジュアルにもなっている必見作品《イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢(可愛いイレーヌ)》。ピエール=オーギュスト・ルノワールが初期のころに描いた油彩画です。モデルは、裕福なユダヤ人銀行家、カーン・ダンヴェール伯爵の長女イレーヌちゃん。当時8歳だったそうです。E.G.ビュールレ財団館長のグルーアさんによると、ビュールレ氏は1949年にイレーヌさん本人からこの絵を購入したとのこと。すでに77歳になっていた彼女は、作品がビュールレ・コレクションに加わることを喜んでいたそうです。ここからは個人的な感想ですが、ビュールレ氏は工作機械、つまり武器製造で富を築き上げた人で、戦時中はナチス・ドイツも取引相手でした。大戦を生き抜いた絵のモデル、イレーヌさんはユダヤ人であったため、当時相当な苦労をしたことは想像に難くありません。実際、彼女の娘さんは強制収容所で亡くなっています。しかも、イレーヌさんの肖像画は当時その娘さんが所有していたため、ナチス・ドイツにより略奪されてしまいました。戦後はイレーヌさんの元に戻されましたが、そんな経緯を知ると、名画の持つ数奇な運命に複雑な思いを抱かずにはいられません。盗まれたセザンヌも展示!また、ポール・セザンヌの傑作《赤いチョッキの少年》も見逃せません。セザンヌが描いた肖像画のなかでも特に有名な作品です。この貴重な絵画も2008年の強盗事件で奪われた4作品に含まれていました。2012年に同作品がセルビアで発見されたとき、グルーア館長がベオグラードまで引き取りに行ったそうです。「現地の警察本部でこの絵に再会し、そしてほとんど無傷で戻ってきたのを見たとき、いかにホッとしたか、ご想像いただけると思います」と当時の心境を話してくれました。戦争中だけでなく平和な時代でも常に略奪される危険がある名画たち。今、日本でこれらの美しい絵を見られることは一期一会のチャンスなのかもしれません。最後は美しいモネを堪能そして最後の展示室では、クロード・モネの《睡蓮の池、緑の反映》が待っています。高さ2メートル、幅4メートルほどもある大作で、画家が晩年に描いた代表作のひとつです。本作は、門外不出といわれ、スイス以外で公開されるのははじめてとのこと。しかも、撮影もOK。ぜひ記念に撮ってから帰りたいですね。ビュールレ・コレクションとして日本でまとめて鑑賞できるのは、今回の展覧会が最後のチャンス。 東京のあとは、福岡と名古屋に巡回する予定ですので、お近くの会場に足を運んでみてくださいね。Information会期:~5月7日(月)休館日:火曜日(ただし5月1日(火)は除く)時間:10:00〜18:00 ※毎週金・土曜日、4月28日(土)~5月6日(日)は午後8時まで(入場は開館の30分前まで)会場:国立新美術館企画展示室1E料金:一般 1,600円/大学生 1,200円/高校生 800円/中学生以下無料公式サイト:
2018年03月27日ー 女性ならではの繊細な感性で、様々な美しいプロダクトを生み出す女性クリエイターたち。連載【Creation by Ladies】では、そんな彼女たちの作品...そしてその作品に込められた想いや背景を紹介していきます。 ——————————————— 第二回目は、イラストレーターの岡崎マリーさん。 柔らかなタッチと優しいカラーリングで描かれる、花や空、そして女の子のイラスト。どこか懐かしさを感じる、イラストレーター 岡崎マリーさんの作品たち。 現在ルミネエストのキャンペーン広告のデザインや個展の開催、オリジナルのプロダクトの製作など、活躍の場を広げる彼女。そんな彼女はこう語る。 — 「子どもの頃から描き続けてきた『女の子』が土台になっています。4歳の頃の手作り絵本、小学校の頃に友達と作っていた『りぼん』的な雑誌や付録、中高の頃の友達との手紙交換の絵やひたすらお互いの妄想を描く交換絵日記など。その時々にやりたいことを夢中でやっていましたが、思えばほとんどのモチーフは『女の子』でした。今自分に起きている事を表現するのが私の中で一番自然な方法なので、絵のほとんどは実体験から生まれるものが多いです。」 ー 「『窓を拭くように、空を拭いてみる。そうすると自分の見たいものが見られる。』そんなイメージがふっと浮かんできました。いつも、どちらかというとネガディヴなところから脱出するというか、そこから自分で変えていくことが「生きてるな」と感じます。意味もなく憂鬱になったり、ちょっとしたことで一喜一憂したり、コロコロ気分が変わったり、自分をコントロールするのは本当に大変だな、と日々思っていて、でもこれは女の人特有なものなのかな?と思ったときに、それに対して何か特別な魅力を感じました。」 『True Colors』ー 「これを描いていた頃、もう何年も前になりますが、恋愛で、もう本当に髪の毛からも気持ちが溢れちゃうようなイメージがあって…笑。一度イメージが浮かぶと、そのイメージを次の日も保っていられるかが不安で、その日のうちに『描き留める』感覚で描いています。絵を描いて客観的に自分は今こうなんだな、と見ることもあります。」 ー 「2014年に友人が制作したZINE用に描きおろした挿絵です。シェアハウスで自由に暮らす女の子たちがテーマのZINEだったので、人と人とが交差する感じとかじんわり溶け合う感じを意識して描いていた記憶があります。この頃からラメを使いだし、スキャンで出来る光り具合とか印刷したときの変化などを楽しんでいました。」 『Tough swimmer』 ー 「2017年の秋に描いた作品で、その時、本当は出来るのに、何縮こまってるの?という自分へのある思いがあり、水面ギリギリのところで出ようとしている女の子を描きました。いつも思う事ですが、『私はこうだから、きっと無理かな』と自分の範囲を勝手に決めてしまって、実際やってみたら出来たりして、『あれ?なんだ出来るじゃん』みたいなことがあります。自分の知らない自分はたくさんいて、何か挑戦する事でそれが発見出来るから、飛び出そう、という気持ちを込めた作品です。」 『WARM BIG COAT』 ー 「先にイメージがあったわけではなく、ちょっとしたラクガキ感覚で描きました。ふとしたときに描いた絵に、新たな発見があったりします。出来上がってから『なんかコートみたいだなぁ』というゆるい感じで、こういうのが制作の合間の気持ちのリセットになったりします。」 『Drama』 ー 「“モノクロにチラっと色”が昔から好きで、これは2014年の冬の作品ですが、今もモノクロシリーズは続けています。この絵は珍しく文字を入れたくなり、少しストーリー仕立てです。観る人がそれぞれのストーリーを想像してくれたらなと思います。」 『with my favori.』 ー 「ハンドメイドアクセサリーブランドのイベントのキービジュアルを制作したときの作品です。(noodさん、sAnさん)イベントのテーマは『Parfum et Fleur(香りとお花)』ブランドのイメージから、可愛くなりすぎず、でも大人すぎず、というところを目指しました。依頼されて描く事は、何を気に入って頼んでくださったのかということを考えるので、自分の特性を再認識することでもあります。依頼してくださった方の要素と、自分の個性とのバランスは本当にいつも難しく、葛藤するポイントですが、仕上がってみると、一人では描けなかったものに仕上がる。それがいつも面白いです。」 『cherish each day』 ー 「これは2016年の春に熊本地震があったときに描いた作品です。何かが起こったときにSNSでこういった発信をすることはあまりなかったのですが、インスタグラムのフォロワーが増えてきて、たまにコメント等で『絵を見ると元気になる』とか『いつも楽しみにしています』というコメントをいただくようになって、この小さな部屋で籠って描いてる絵で、どこかで誰かがそんなふうに思ってくれてることがなんてすごいことなんだろうと思いました。微力でも、もしかしたら誰かが少し元気になってくれるかも、という思いで描いてすぐにアップしました。私が好きなアーティストの作品を見てパワーがみなぎるように、やっぱりアートってこういう時のためにあるのかな?と思ったりもします。」 『KIMAGURE GIRL』 ー 「今年1月の個展のメインに選んだ作品です。描きながら色を考える絵もありますが、この作品は色からイメージして描いていきました。他の作品にも言える事ですが、表情がつかめない子を描いていることが多いです。そうすることでいろいろな見え方になって面白いかな?と思います。観る人のその時の気分によって見え方が変わるかもしれないし、2回目観たらまた感じ方が変わる。そんな余白を作りたいなと思っています。」 『Summer Dreams』 ー 「ポストカードセットを制作する際、パターンを集めたポストカードセットを作りたい、と思い、描いたそのうちの一枚です。お花を描くのはあまり得意ではなく、いつも気に入ったお花が描けなくて、しっくりきていなかったのですがこれはそれが珍しくうまくいった作品です。黄色の入り方も気に入っています。」 左上から時計回りに『FRAMBOISE』『BLUE SALT』『MANGO』『PISTACHIO』 ー 「1月の個展で展示した作品です。普段の自分の顔色や気分を4種のジェラートのフレーバーに見立てています。真っ白なキャンバスや画用紙に向かうとき、どうしても変な力が入ったり、堅くなったりするので、いつもどれだけ無意識なゆるさを作れるかということを考えています。スポーツでもそうですが、最初は身体も慣れなくて筋肉も固まっているけど、時間が経つと馴染んで、考えなくても身体が動くようになる。それと同じで、最初は『うまく描こう』という気持ちがどこかにあるけど、何枚も運動のように描いているとそのうち良い意味で気の抜けた作品が出来てきます。これはそれを実感した作品です。これからもっとこういったことが出来てくるといいなと思っています。」 ガーリーな世界観のイラストの中には、想像以上に大きい、秘められた想いがあった。自分の思った事に対して、まっすぐな気持ちでキャンバスに向かうマリーさん。 「自分の創作欲を満たすように始めた今の活動ですが、作り出すもので周りの人が喜んでくれたり、刺激になったと言われたりすると、本当に心底喜びを感じます。一人で完結する作品ではなく、人との関わりで変わっていく制作をしていきたいなと思っています。」 イラストレーター:岡崎 マリー多摩美術大学の絵画科を卒業後、雑貨の企画会社に就職。その後広告関係の企画会社に転職。雑貨デザイナーをしている頃の2010年あたりから会社の仕事と平行して自身の制作を続けており、現在はルミネエストなど駅ビルのキャンペーン広告やヘアサロンのアートワークなどを手掛けるほか、オリジナルのプロダクト制作(MARY,mon raw.)でも活動中。グループ展、個展、イベント参加もしている。 HP::
2018年03月22日メトロ末広町駅から徒歩5分ほど。大通りから一本裏路地に入ると、「泊まれるアート」がコンセプトのホテル『BnA STUDIO Akihabara』が見えてきます。 2015年にオープンした京都の『BnA machiya Kyoto』、2016年の高円寺店『BnA HOTEL Koenji』は国内外のメディアから注目を浴び、クリエイターを含む多くの旅行者が宿泊に訪れました。しかし「泊まれるアート」とは一体どういうことでしょうか? 彼らが手がける施設は、単にアート作品を飾る・描くホテルではありません。 まるで宿泊者がアートに入り込まれてしまうように、客室をまるごと、気鋭のアーティストたちがクリエイションするのです。部屋の形から、特注家具、素材まで。細かなディティールに、彼らの創作魂が込められています。 秋葉原は「ARTと暮らす、東京の次世代アーバンライフスタイル」というテーマのもとつくられました。ではさっそく一部屋ずつ覗いてみましょう! 【401 ZEN GARDEN】扉を開けると、部屋の中央には真鍮箔が貼られた座卓に豪華すぎる座布団。これみよがしに画面に映された「山水」の文字、ネオンの「禅」、奥には囲碁……? この部屋は名前【ZENGARDEN】の通り、伝統的な和のエッセンスを入れつつ、外国人が捉える少し歪曲された日本的「禅」のイメージを広げた空間です。 周りを見てみると、あちらこちらにパンチのあるギミックがあります。 so coolな五重塔のキンキラ土産に、男の子なら一度は手にしただろう木刀、そしてコート掛けにも使える般若の木彫り。さらにはTOKYOらしいネオンや、金閣寺を想起するぎらついた装飾センスなどなど。 日本で生活している人なら見慣れてしまったものが、ミニマルな空間に整然と(または混沌と?)置かれていると日常風景に隠れていたカオス感が際立ちます。 手がけたのは、東京を拠点とする若手作家、緒方数馬、NANOOK、Mitsuko Shimaeの3人によるユニット「51.3 G-Wave」と、キュレーターの佐藤拓。 ギラギラとした現代的な活気を、文化がそっといなすような。しかし、どこかでこれぞJAPAN!大和魂!フジヤマ!と叫びたくなるような不思議な空間に迷い込んでみてください。 【301 RESPONDER】扉を開くと度肝を抜かれるような、原色壁画。描いたのは、‘81年生まれのアーティストを中心に構成される『81BASTARDS』というアーティストコレクティブです。アーティストひとりだけではなく、互いの作風を理解し合う複数人が呼応し合うように、コラボレーションして描くことでこの壮大な作品は生まれました。 天井と壁の間はそのまま地続きとなるように弧を描き、違和感を覚えることなく、三次元アートに包まれることができます。 ベッドで仰向けになっても 横を向いても視線がぶつかるアイツが、ちょっとニクイ。空間として捉えるか、お気に入りの場面を見つけてニヤニヤするか。アーティストたちの自由なエネルギーを感じるほど、のびやかに描かれた作品に囲まれると、鑑賞者の私たちも気負うことなくアートを感じ取ることができるのです。 【302 HAILER】同じ81BASTARDSが手がけたアートでも、色彩がぎゅっと絞り込まれた空間がお隣にありました。ベッドの上には、かの有名な『風神雷神図』。俵屋宗達によって1620年代に描かれた有名な屏風絵で、様々な絵師によって模索や模写が繰り返されてきましたが、81BASTARDSも今回挑戦! 現代アートシーンでも活躍する表具師、井上雅博によるカスタムメイドの屏風に合わせて、SUMAR WORKSが特注でベッドボード、蹴上、ライティングを作成しています。 スケートボードをあしらった三脚椅子に、和柄が配された机。そして窓際のカーテンサイドのチェアなど。 部屋の中央に構える「和」に、ストリートの感性が加わります。ホテル名にもある「STUDIO=東京の未来の都市生活」のコンセプトから、アーバンライフを送る人々の感性に届く現代的な和室に仕上がっていました。 【201 ATHLETIC PARK】・【202 WONDER PARK】2階はstudioBOWLの村上諒平による、少し趣旨が異なったジャンクな雰囲気の部屋。 【201 ATHLETIC PARK】 【202 WONDER PARK】【202 WONDER PARK】のやわらかでポップに色づく調度品を見てみると、サイドテーブルの足元には三輪車、天井には工事現場のもの(子供用?)など身近なものが再利用されているのがわかります。 大人になってしまうと遠のいてしまう、愛らしい造形の公園の遊具。この二部屋は、遊具とそれに貼られたグラフィティの書かれたステッカーとのギャップにインスピレーションを受け、大人の遊び場として「PARK」をテーマに泊まれる公園としてつくられました。 二段ベッドの階段を上がるとき、ワクワクするのは大人も子どもも一緒。【201 ATHLETIC PARK】では、特にアスレチック遊具のような高低差を活かして空間づくりがされていました。 手元に集まった変わったアイテムを販売するジャンクキオスクや、懐かしのポールも生え、屋外のような雰囲気。見たことあるものが、普段は見かけないところにあるとまた違ったものに見えてしまいます。 アーティストはこのように、誰もが目にしたことのある公園への既視感を活かして、外みたいな内、野宿のような優雅な空間を演出しました。 子どものころの「遊びたい!」という欲求や興奮が、懐かしさと共に思い出されるような、不思議で特別な感覚を抱かせてくれます。 しかしこれらの作品は未完成の状態。というのも、ホテルには宿泊者が欠かせません。紹介した5部屋は人々が空間に入り込み、寝泊りする動作や時間がアートの一部となることで、初めて完成するインスタレーション的作品となっているのです。 BnAが目指すのは、旅行者と日本のアーティストが交流できる場所です。旅行者はアーティストたちの作品の中に泊まるという他にはない体験が出来るだけでなく、彼らを支援することもできます。 そのひとつが、利益の一部を参加アーティストに還元すること。そして『BnA STUDIO Akihabara』の1階ロビーをクリエイター向けのコワーキングスペースにすることで、そこを基点に新しいコミュニティーを創り上げていこうとしています。 多角的に日本のアートシーンを盛り上げるBnAプロジェクトに、あなたもぜひ参加してみませんか。これまでの視点が変わるような、東京都市の未来を垣間見えるかもしれませんよ。 BnA STUDIO Akihabaraを詳しく知りたい方はこちらへ
2018年03月20日松本市美術館で開催中の『草間彌生ALL ABOUT MY LOVE私の愛のすべて』に行ってきました。草間さんの生誕地で開かれるということで注目を集めている特別な展覧会、その見どころ&楽しみ方をご紹介します!松本が草間ワールドに変身!【女子的アートナビ】vol. 103新宿から特急スーパーあずさに乗り約2時間半、JR松本駅を出ると街のあちこちで草間さんのシンボル「赤い水玉」が出迎えてくれます。松本市美術館には駅からバスでも徒歩でも行けますが、以前松本に住んでいたことのある筆者は徒歩を選択。ゆっくり歩いても15分ほどで到着します。松本市美術館に着きました。建物にも水玉や作品のキャラクターたちがいっぱい!入り口前のエリアでは、草間さんの野外彫刻《幻の華》も見ることができます。この美術館では、今まで草間さんの大規模個展が2回開かれていますが、いずれも巡回展でした。3回目となる今回の『草間彌生ALL ABOUT MY LOVE私の愛のすべて』は、松本だけで開催される完全オリジナルの特別展。生誕の地である特徴を最大限に生かし、日本初公開となるミラールーム作品をはじめ、松本時代の貴重な絵画から最新作まで約180点を紹介。日本を代表するアーティスト・草間彌生の集大成となる展示になっています。松本時代の作品は超必見!まず3階の第1会場では体験型のインスタレーションからスタート。空間全体に水玉が散りばめられた作品《I’m Here, but Nothing》やシャンデリアを使ったミラールーム《傷みのシャンデリア》など幻想的な作品が続き、一気に草間ワールドに引き込まれます。続いて、子供時代のパステル画などが展示。制作年で一番古いのは1934年ごろ、なんと5歳のころに描いたものでした。特に感動したのが、1950年代初期に描かれた作品群。パステルやインクを使った作品から本格的な油彩画まで展示され、アーティストの原点となるような作品も見ることができます。最新作は撮影もできる!続いて2階の展示室へ。入り口近くには立体作品《真夜中に咲く花》が展示されています(こちらは撮影OK)。そして第2会場最初の展示室では、《天国への梯子(はしご)》や《ゴッド・ハート》などライトを効果的に使った幻想的な作品を見ることができます。さらに大きな展示室に入ると、「わが永遠の魂」68点が壁一面にずらりと並んでいます。これらは現在も草間さんが描き続けている最新シリーズ。見ごたえ抜群で写真撮影もOKです。最後に、日本初公開のミラールーム《南瓜へのつきることのない愛のすべて》が登場。鏡に覆われた小部屋のなかに20秒間入り、無限のカボチャワールドを体感できます。人気のYAYOIちゃんプラッシュで遊ぶ!ところで、2017年の草間彌生展(国立新美術館)で大ヒットした人形「YAYOIちゃんプラッシュ」が松本でも登場しています。この新・YAYOIちゃんプラッシュ(松本限定版、税込み1,200円)は松本市美術館のミュージアムショップで買えるのですが、すぐに売り切れてしまう大人気商品。私が松本に訪れたのは、展覧会が開幕して約1週間たったころでしたが、このときすでに売り切れ・入荷待ち状態でした。幸い、私は人形付きチケットを事前に購入していたので、受付でチケットと引き換えに人形をゲット。YAYOIちゃんと一緒に展示会場を回ることができました。それでは、インスタグラムの「#やよいちゃんプラッシュ」に投稿されている写真をまねて、私も人形で遊んでみます。まずは館内の撮影可能スポットで記念に一枚。うしろに見えるのは、作品《ヤヨイちゃん、トコトン》の一部です。次は、松本市美術館に併設されているレストラン、『ビストロサンチーム』で展覧会記念メニューと一緒に撮影。かぼちゃのキッシュ(サラダ・パン付き 税込み1,080円)、おいしかったです。こちらは、松本市美術館の近くにある「イオンモール松本」で展示中の《宇宙にとどけ、水玉かぼちゃ》。この作品は無料で見ることができますよ。さらに、私の大好きなケーキショップ『5HORN』の松本パルコ店で展覧会開催記念スイーツ「スクエアドット―赤と白ー」(税込み980円)を食べてきました。赤い水玉がとってもキュートで食べるのがもったいないくらい、かわいいプレートでした。展覧会は7月22日まで開催。春の松本で濃厚な草間ワールドをぜひ体感してみてくださいね!Information会期:~7月22日(日)休館日:月曜日※4月30日(月・祝)、5月7日(月)、7月16日(月・祝)は開館時間:9:00〜17:00 ※土曜日は19:00まで開館。(入場は開館の30分前まで)会場:松本市美術館料金:一般 1,200円/大学生・高校生 800円/中学生以下無料公式サイト:
2018年03月14日実践してきた物質との対話六本木のサントリー美術館や浅草の文化観光センターにはじまり、2020年のオリンピック会場となる新国立競技場の設計に携わるなど、国内外で膨大なプロジェクトを抱えながら、疾走している世界的建築家である隈研吾。これまで古今東西の思想に精通し、様々な外力を受け入れるとされる柔軟な建築を目指す『負ける建築』や、竹、木、土、紙といった自然素材を用いた「自然な建築」などの理念を実践してきた。本展覧会では、隈研吾による約30年に及ぶプロジェクトを集大成して展観し、仕事で用いてきた素材に着目した建築設計やプロダクトデザインなどの蓄積を、時系列順ではなく主要なマテリアル(竹、木、紙、土、石、など)に分類し、“もの(物、物質)”という切り口から、人と環境をつなぐ建築の可能性に迫っている。 10種類の物質と、隈研吾のダイアローグ隈研吾が用いる主要なマテリアルに沿って紹介される約80のプロジェクト。模型やモックアップ(実物素材による原寸大の部分模型である)だけでなく、現場の施工や建設の様子を捉えて建物が出来るまでを追った映像、ダイアゴナルな立体格子の木材や透かしが美しい和紙などの素材サンプルから、隈研吾が手掛けた仕事を分かりやすく紹介している。 空間を楽しめるパビリオン展示空間に足を踏み入れると、畳と檜の香りに満たされ、心癒される「香柱(こうちゅう)」は、香りに浸した4mmの竹ひごを曲げながら編んだ構造体による新作パビリオン。その他にも、竹という素材の柔軟性に着目したパビリオン「ナンチャンナンチャン」。そして、スーパーオーガンザという極度に薄い布とバルーンを用いた茶室「浮庵(ファン)」が展示室に合わせて再現されている。アート作品とも言えるパビリオン…そこには自然素材の特性を生かすことはもちろんだが、人の行動を強く思い描いて設計されていることが随所に感じられた。 社会や環境を考えて、私たちと“もの(物、物質)”を繋ぐ繊維染色の過程で出来上がるスラグを乾燥させた産業廃棄物を生かしたグリーンビズ『カルチュラル・ヴィレッジ』や、廃材となったLANケーブル(通称:もじゃもじゃ)を再利用し、天井や家具などを覆って柔らかく転進させた『てっちゃん』。そして、古新聞を水で溶かして型に入れ、紙の水素融合だけを頼りにし、乾燥させて成型するタマゴケースの技術を応用した『ペーパーブリック』や、工事現場で仮設のバリケードとして用いられる、水を注入するタイプのポリタンクからヒントを得た『Water Branch House』。上記作品のような現代社会において生み出された廃材を利用した作品や、災害時に外部インフラに依存しない強さを発揮する作品など、社会や環境を柔軟に捉えて適合することはもちろん、私たちと“もの(物、物質)”との架け橋になってくれていることが感じられた。 隈研吾による未来の建築「土地には培ってきた文化や文明があることから、木は日本、瓦は中国、石はイタリア、金属はフランス…など、それぞれの土地に合ったマテリアルが存在する。建築家である自分のアイディアを一方的に押し付けるのではなく、その土地のマテリアルを使用しながら調和をはかってきた。自分の作品を身近に感じてもらいたい。」とギャラリートークで語った隈研吾。現在、コンクリートで覆われた重苦しいモダニズムの建築物に対して、これからの建築は私たちの洋服のように柔らかく、そして軽いものになっていくだろうと予想し、『膜・繊維』の素材を用いて建築物を生み出すことに挑戦していることを教えてくれた。主要なマテリアル(竹、木、紙、土、石、など)とともに、様々な建築の在り方を見せてくれる作品を鑑賞していると、時代の流れとともに民主的な建築方法を生み出していることがわかる。会期中には、六本木・南青山コース、本郷・浅草・銀座コースの2回に分けて、隈研吾が手掛けた建築物を鑑賞する『建築ツアー』が開催される。私たちの生活と密接してる“建築”というアートに触れてみてはいかがだろうか。 【情報枠】くまのもの隈研吾とささやく物質、かたる物質会期:2018年3月3日〜5月6日会場:東京ステーションギャラリー住所:東京都千代田区丸の内1-9-1電話番号:03-3212-2485開館時間:10:00〜18:00(金〜20:00)※入館は閉館の30分前まで料金:一般 1100円 / 高校・大学生 900円 / 中学生以下無料 【プレゼント応募】本展覧会の無料鑑賞券をプレゼント致します。件名に【「くまのもの 隈研吾とささやく物質、かたる物質」チケットプレゼント】に加え、下記の情報を記入の上、info@pelulu.jp宛にメールにてご応募下さいませ。名前(漢字/カナ)郵便番号住所電話番号Q1:pelulu.jp内で今までで面白かった記事3つをあげるとしたら?Q2:今後pelulu.jpで取り上げて欲しい記事を3つあげるとしたら?応募締切日:4月16日プレゼント当選者は発送をもって代えさせていただきます。
2018年03月10日ヨーロッパの巨匠による作品が一堂に集まるゴージャスな展覧会、『プラド美術館展ベラスケスと絵画の栄光』がはじまりました。そのプレス内覧会に潜入、 公式プレゼンターをつとめる及川光博さんのコメントも聞いてきました!スペインから名画が来日!【女子的アートナビ】vol. 102日本スペイン外交関係樹立150周年を記念して開催されている『プラド美術館展ベラスケスと絵画の栄光』では、スペインを中心にイタリアやフランドルの絵画など61点と9点の資料を含めた約70点を展示。ベラスケスやルーベンス、ムリーリョなど17世紀を代表する巨匠たちの作品をまとめて見られるまたとないチャンスです。ベラスケスって?ところで、タイトルにも出ているベラスケスとは、いったいどんな人なのでしょう?ディエゴ・ベラスケス(1599~1660)はスペインを代表する画家で、西洋絵画史においても最重要クラスに属する巨匠のひとり。美術愛好家として知られる国王フェリペ4世に気に入られ、宮廷画家として大活躍した人です。しかもベラスケスは王室侍従代や王宮建設の検査官兼会計官などさまざまな職に任命され、美術品の買い付けなども担当。1652年には王宮の重要ポストである王宮配室長にまでのぼりつめ、多忙を極めます。忙しすぎて過労死したという説もあるようですが、画家という職業があまり高い地位ではなかった当時のスペインでは異例の大出世を果たし、最後は貴族の称号も手に入れました。過去最大級のベラスケス7点は必見!それでは、見どころを数点ピックアップしていきます。やはり見逃せないのが、ベラスケスの作品です。彼の絵画は、プラド美術館で貸し出しを制限しているほど大切に扱われているので、7点一挙に日本で見られるのは今回がはじめての機会。国王の肖像画から宗教画まで、どれも見ごたえあるものばかりです。特に必見なのが、展覧会のメインヴィジュアルにもなっている作品《王太子バルタサール・カルロス騎馬像》。フェリペ4世の長男、バルタサール・カルロス王太子を描いた油彩画です。馬に乗っている姿は堂々として気品にあふれていますが、彼は当時5~6歳だったとのこと。王位継承者としての輝かしい未来が伝わってきます。将来を期待されていた王太子ですが、王位を継ぐことなく16歳で早世しました。同展の見どころは、スペイン絵画だけではありません。イタリアの巨匠、ティツィアーノの《音楽にくつろぐヴィーナス》やフランドルの画家ルーベンスの見ごたえある名画も来日しています。比較的大きな作品が多いので、絵の前に立つとその迫力や神々しさに圧倒されることもしばしば。絵画鑑賞の醍醐味をたっぷり楽しめる展覧会です。及川光博さんがコンシェルジュに?!プレス内覧会には、公式プレゼンターを務める歌手で俳優の及川光博さんが出席。とってもステキなコンシェルジュ姿で現れました。及川さんは、展覧会の公式サイトに掲載されているPR動画で「あるお屋敷に仕えるコンシェルジュ、ミッチー」として出演。この動画では、プラド美術館やベラスケス作品への愛を熱く語る及川さんの姿を見ることができます。また、展覧会の音声ガイドも担当。美術展のガイダンスをするのは初めてとのことですが、「みなさんのお耳汚しにならないよう注意を払いつつ、ほどほどに個性を吹き込んで収録しました」と仕上がりに満足されている様子。そして、展覧会を実際に見た感想を「本物の迫力はスゴイというものを感じましたね」と述べ、「どうぞ一度といわず二度三度といらっしゃっていただきたいと思います」と熱くPRしました。この展覧会に来たら、ぜひ及川さんの甘い声が聞こえる音声ガイドを借りてみてください。プラド美術館展の見どころやベラスケスの生涯など、興味深い話もたくさん聞くことができますよ。同展は5月27日まで上野で開催。その後、6月13日から10月14日まで神戸の兵庫県立美術館に巡回します。スペインの至宝をどうぞお見逃しなく!Information会期:~5月27日(日)休館日:月曜日※*3月26日(月)、4月30日(月)は開館時間:9:30~17:30(入館は開館の30分前まで) (金曜日、土曜日は20時まで)会場:国立西洋美術館料金:一般 1,600円/大学生1,200円/高校生 800円/中学生以下無料公式サイト:※本記事の写真は、プレス内覧会で主催者の許可を得て撮影しております。
2018年03月09日いつの時代も、いくつになっても「嫉妬」という感情は生まれるもの。恋愛、仕事、同姓、異性、あるいは若さ。自分が知らないパートナーの異性の友人、もしくは不倫相手の本妻、同僚の奇抜なアイデア。まさかと思っていた人の昇進、ふと横目に見た、輝いている女性と自分を比べたときなど。あなたはこれまで、どうやってこの感情を乗り越えてきましたか。嫉妬し続ける。誤魔化す。その状況から逃げる。カミングアウトして吐き出す。向き合う。もし、嫉妬という感情を自身で対処する方法がわからない、消化不良な状態になっている方がいたら、空海の考え方を参考にしてみてはいかがでしょうか。■空海とは空海というお坊さんのことは、学生時代の歴史の勉強で出てきたかと思います。しかし、仏教のひとつくらいの認識で、クローズアップされることは一般的には少ないのではないでしょうか。「弘法にも筆の誤り」ということわざがありますが、ここにある「弘法」は弘法大師、つまり空海のことです。空海は世界遺産である高野山で、金剛峰寺を建立した真言宗の開祖でもあります。■空海の考える「嫉妬」とは義浄という唐の時代の僧が訳した「能断金剛般若経」という経があります。元々は、大乗仏教の般若経典のひとつです。空海は、漢訳された義浄の「能断金剛般若経」を読み取り、中国・長安で学んできた密教をと自身の考えを織り交ぜて解釈しています。密教とは、インドから中国に伝わったばかりで、当時最新の仏教の教えでした。それを草書体(漢字の書体のひとつ)で書かれたものがあります。大正大震災の折に焼失してしまい全部は残っていませんが、今でも一部残っています。「嫉妬の心は彼岸(ひが)より生ず平等を得ればすなわち嫉妬を離る」「嫉妬は、自分とそれ以外とは別々の存在だと思う心から生じる。もし、自分と自分以外の人を別ではなくなり、公平な心になり、全ての人の善行を心から賞賛できる」空海がなぜ嫉妬について記したのかは定かではありませんが、その時代から、既に嫉妬はあり、その感情をどのようにコントロールするかを記していたくらい、よくある感情だったのでしょう。その感情をなくすのは難しいかもしれません。しかし、もし空海の考え方が心に響き、新たな一歩を踏み出すきっかけになれば、次につながる何かがあるのではないでしょうか。TEXT / 冨田 英理子
2018年03月09日150年以上の歴史を誇る、画家一族 16世紀のフランドル地方(現在のベルギーに相当する地域)を代表する画家、ピーテル・ブリューゲル1世にはじまり、150年以上にわたって画家を生み出してきたブリューゲル一族。東京都美術館で開催中の『ブリューゲル展画家一家 150年の系譜』は、2人の息子や孫、さらにひ孫の世代まで、一族に連なる9人の画家の作品を見比べられることはもちろん、個性的な一族の全体像を見ることができる貴重な展覧会だ。その系譜を巡りながら、風景画、風俗画、花の静物画、通常見ることはできない個人コレクションの絵画など、約100点を鑑賞することができる。 一族の祖、ピーテル・ブリューゲル1世画像:ピーテル・ブリューゲル1 世 [下絵] ピーテル・ファン・デル・ヘイデン [彫版]《最後の審判》 1558年 Private Collection 150年以上の歴史を誇るブリューゲル一族は、ピーテル・ブリューゲル1世からはじまった。彼は雄大な風景や、悪魔や怪物が略動する作品で知られるヒエロニムス・ボス風の幻想世界を描き、「第2のボス」との名声を確立した画家である。ピーテル1世が下絵を手掛けた作品のひとつ「最後の審判」(画像上)は、ボスと同じように悪魔や怪物たちが描かれている。しかしボスとは違って、道徳的なメッセージ性が薄く、現実の世界を忠実に描こうとする姿勢が映し出されている。宗教画が中心だった時代にも関わらず、人生の最後の6年間には同時期の農民たちを描き、“農民画”とでも呼ぶべき風景画を描いた革新的な人物だった。 子、ピーテル・ブリューゲル2世とヤン・ブリューゲル1世 ピーテル・ブリューゲル1世の2人の息子、ピーテル・ブリューゲル2世とヤン・ブリューゲル1世もまた画家になった。長男のピーテル・ブリューゲル2世は、生涯にわたり父の作品の模倣作を作り続け、父の作風を世に広めた画家である。現在の感覚では“コピー”は否定的な印象が持たれがちだが、当時では優れた画家によるコピーにそれなりの評価が与えられていた。ただ、ブリューゲル2世の作品は人気が高かったものの、高値で売れることはなく、家賃の支払いが滞ってしまうこともあったそうだ。一方、次男のヤン・ブリューゲル1世は独自の作風を確立させていった。父譲りの風景画をはじめとし様々な作品を描いたが、花の静物画で有名になり、“花のブリューゲル”とも呼ばれた。自身の息子であるヤン・ブリューゲル2世とともに描いた「机の上の花瓶に入ったチューリップと薔薇」(写真上)は、チューリップの縞模様が描かれており、実はモザイク病というウイルス性の病気にかかったためだったが、当時はそれが分からず希少なものとして珍重されたそうだ。そんなヤン・ブリューゲル1世は貴族や聖職者を顧客に持ち、6軒もの家を所有するなど経済的に大きな成功を収めた。 孫、ひ孫と続いていく才能 ヤン・ブリューゲル2世は父と似た作風で、風景画や花の静物画を描いたほか、父ヤン1世の作品のコピーはもちろんだが、父ヤン1世が急に亡くなった後にその工房を引き継ぎ、派生作品なども描いていった。人間の五感を表した「聴覚の寓意」も、父であるヤン1世とその友人パーテル・バウル・ルーベンスの共作をもとにしている。ヤン1世の孫にあたるヤン・ファン・ケッセル1世は、昆虫や小さな生き物を写実的に描いた習作が有名。本展覧会でも「蝶、カブトムシ、コウモリの習作」、「蝶、コウモリ、カマキリの習作」が展示されている。この作品は、大理石に描かれた非常に珍しい作品で、大理石が蝶の羽の透明感を際立たせている。 代々受け継がれていく描写 上記で紹介した画家以外にも、ピーテル1世のひ孫世代で、故郷を離れたアブラハム・ブリューゲルや、ダーフィット・テニールス2世など、ブリューゲル一族の個性的な画家たちの作品が多数展示されている。現実世界を冷静に見つめ、人間の日常生活を何の偏見もなく、ありのままに表現した観察眼は、子から孫、ひ孫へと受け継がれ、一族の絵画様式と伝統を築き上げていく。代々受け継がれた細密な描写は必見!そして、展示作品の多くが普段公開されることのない個人コレクションなので、ほとんどが日本初出展という貴重な機会である。また、会場ではデジタルコンテンツとともに観る、ピーテル2世の「野外での婚礼の踊り」がスクリーンに映し出され、当時の農民が生き生きと踊る様子がとても感動的。父親の世界観を受け継いだ息子の心意気に、親子の絆を感じに足を運んでみてはいかがだろうか。 【情報】 『ブリューゲル展画家一家 150年の系譜』 会期:2018年1月23日(火)~4月1日(日)会場:東京都美術館台東区上野公園8-36休室日:月曜日時間:9:30~17:30金曜日は9:30~20:00※入室は各閉室30分前まで 【プレゼント応募】本展覧会の無料鑑賞券をプレゼント致します。件名に【『ブリューゲル展画家一家 150年の系譜』チケットプレゼント】に加え、下記の情報を記入の上、info@pelulu.jp宛にメールにてご応募下さいませ。●名前(漢字/カナ)●郵便番号●住所●電話番号●Q1:pelulu.jp内で今までで面白かった記事3つをあげるとしたら?●Q2:今後pelulu.jpで取り上げて欲しい記事を3つあげるとしたら?応募締切日:3月10日プレゼント当選者は発送をもって代えさせていただきます。
2018年03月04日東京のなかでも特におしゃれな本屋さんとして知られる代官山の蔦屋書店で、いま小さな展示会が開かれています。展示されているのは、シンプル&クールなイラストで人気のイラストレーター、長場雄(ながばゆう)さんの作品。春の代官山散歩でふらりと立ち寄りたい、ステキな空間をご紹介します。代官山 の蔦屋書店へ【女子的アートナビ】vol. 101春めいたお天気の2月下旬、代官山に行ってきました。雑貨店やカフェなどおしゃれなショップが立ち並ぶ通りをぶらぶらしながら、目的の蔦屋書店さんへ。店内には外国人観光客の方も多く、とてもにぎわっています。長場さんの展示会『LOVE』が開かれているのは、2号館1階の奥にあるブックフロア。壁一面を使って、キャンバス作品や額装作品、書籍が展示販売されています。今回の展示会は、長場さんの新刊書『みんなの恋愛映画100選』(オークラ出版)の刊行を記念して開催。この展示にあわせて描き下ろされた最新イラストや、モーショングラフィックス(動くイラスト)の映像も見ることができます。さらに、Tシャツ、バッグなどの新作オリジナルグッズも販売。本屋さんの一角で、長場さんのクールなイラスト世界を楽しめます。ぜ~んぶ恋愛映画!2月に刊行されたばかりの『みんなの恋愛映画100選』には、長場さんが描いた映画100タイトルの名シーンが収録されています。取り上げられているのは、すべて恋愛映画。『ゴースト~ニューヨークの幻』や『華麗なるギャツビー』、『ラ・ラ・ランド』など誰もが知る名作から、ちょっとマニアックな映画まで、全100点のイラストと3人のライターさんによる解説が掲載されています。例えば、恋愛映画の代表作『タイタニック』で描かれているのは、ヒロインがヌードで横たわるあの名場面です。レオナルド・ディカプリオ演じる主人公ジャックが、ヒロインのローズをモデルにヌード画をデッサンするシーンは、映画を観た人ならきっと誰でも覚えていますよね。シンプルな線だけで描かれたモノクロの小さなイラストなのに、一見しただけでタイタニックのあの場面がドワーッとよみがえってくるから不思議です。ワンシーンだけでなく、映画を見たときの感動や、当時のできごとなどさまざまな記憶が呼び起こされます。ちなみに、このタイタニックのイラストは、個数限定のスペシャルブックカバーになっています。蔦屋書店限定での販売ですが、通常版の『華麗なるギャツビー』のイラストカバー(写真上)に加えて、タイタニックのスペシャルブックカバーがおまけで付いてきます。とってもお得なので、興味のある方は蔦屋書店の公式サイトをチェックしてみてください。長場さんの作品展示は3月25日まで。代官山散歩の際に足を運んでみては?Information
2018年03月01日スヌーピーがロボットに!?科学とピーナッツのコラボ展はグッズも注目!そのコミカルな動きはまさに最新テクノロジーの賜物。協力はロボット研究で知られる愛知工業大学。一連の仕掛け人は作者のチャールズ M.シュルツ氏と生前親交が深かったアーティストの大谷芳照氏だ。こうした科学とアートのコラボレーションは「サイエンスアート」と呼ばれる。「サイエンス」には最新のテクノロジーだけでなくいわゆる「ローテク」も含まれるのだとか。例えばひとつの動きをきっかけにした連鎖的な動きが楽しい「からくりオブジェ」。1993年に製作された金属製の作品で、ローテクを駆使したからくりは、一見の価値あり。そのほか旬の造形作家やフィギュア作家ら8組による新作や、「ピーナッツ」の漫画を約5000枚使った4Dモザイクアートが展示される。分野や作風が違っても、あたたかくてユーモラスな「ピーナッツ」の世界はそのまま。改めて時代を超えた人気を感じられるはず。オリジナルグッズにも注目!本展でのみ購入できる350アイテム以上のオリジナルグッズをはじめ、約600アイテムのスヌーピーグッズが勢揃い。キーホルダーやトートバッグなど、さりげなくそばに置いてなごめるアイテムを探してみては?スヌーピー×おもしろサイエンスアート展「SNOOPY(TM)FANTARATION」東京都中央区銀座3-6-1松屋銀座8 階 イベントスクエア3月1日(木)~19日(月)10:00~20:00(入場は閉場30分前まで。最終日は~17:00 )無休一般1000円ほかTEL:03・3567・1211 (C)2018 Peanuts Worldwide LLCスマホケース各3780円(税込み)※『anan』2018年2月28日号より。文・松本あかね(by anan編集部)
2018年02月24日東京・丸の内の三菱一号館美術館で開かれている『ルドン―秘密の花園』展に行ってきました。ちょっと不気味なキモい系作品で人気のルドン。今回の展覧会でも、あやしげな雰囲気の版画や花の絵など、期待を裏切らないアートが揃っています!ディープなルドンの世界を堪能!【女子的アートナビ】vol. 100『ルドン―秘密の花園』はタイトルからも推察できる通り “植物” にスポットを当てた展覧会。といっても異才のルドンさんですから、単なる美しい花の絵ではないようです。後ほど詳しくご紹介しますが、これらの作品はオルセー美術館など海外の主要美術館から来日。さらに、世界有数のルドンコレクションをもつ岐阜県美術館からも名作が集まり、約90点の作品を通してルドンのディープな世界を楽しむことができます。ざっくりルドンオディロン・ルドン(1840~1916)はフランス南西部のボルドー生まれ。地元の画家に素描を習ったあと、親の希望でパリの国立美術学校・建築科を受験するも失敗し、故郷に戻って版画家のブレスダンなどから指導を受けます。また、植物学者のクラヴォーや風景画家カミーユ・コローからも影響を受け、サロン(官展)などに出品しながら版画や油彩画など多くの作品を制作。初の石版画集を出したのが39歳という遅咲きの画家でしたが、その後はパトロンがついたり、レジオンドヌール勲章を受けたりと生きているうちに評価されたので、比較的恵まれた人生だったといえそうです。ちなみに、ルドンは印象派のモネと生まれた年が一緒。活躍した時代もほぼ重なります。黒~いルドンそれでは、展覧会の見どころをピックアップしていきます。まずは、黒~い世界からスタート。ルドンといえば、木炭の素描や版画などの白黒作品が有名で、特にキャラ立ちした怪物のような絵がよく知られています。これらの絵、今まで謎の生き物と思っていましたが、展示解説によると樹木などの「植物」と「人間」が組み合わされているとのこと。確かによく見ると、花や植物の一部に顔や目玉が埋め込まれています。この独創的な作品が生まれた背景には、植物学者クラヴォーの影響があったそうです。クラヴォーは博物学から文学、哲学、仏教まで幅広い知識をもち、ルドンを幻想的な世界へ導いたといわれています。明るいルドンもあります版画などの白黒作品をさかんに制作した「黒」の時代を経て、ルドンは明るい色彩の絵も描くようになります。左の絵は岐阜県美術館が所蔵する傑作《眼をとじて》。人物の周囲に花が散りばめられ、色鮮やかで美しい作品です。眼を閉じた女性の表情がとても神秘的。何かが暗示されているようでもあり、見ていると作品の世界に引き込まれていきます。ほかにも、神話や聖書、シェイクスピアの作品をもとにした絵画がたくさん展示されています。必見! ドムシー城の装飾画展覧会で最大の見どころは、ドムシー城食堂の装飾画。これは、ルドンが60歳のころにパトロンのドムシー男爵から依頼を受けて制作したもので、今回、全16点が日本ではじめて公開されています。一部の会場では、ドムシー城食堂を再現した形で作品を展示。実際にどんなふうに飾られていたのかがわかるよう、配置図も貼られています。こちらも食堂装飾画のひとつ《グラン・ブーケ(大きな花束)》。高さが2メートル以上もある大作です。大きな花瓶にたくさんの花が活けられていますが、どの花もなんだか非現実的で、怪物のように見える花もあります。美しいのにキモいという独創的なアートをつくりだしたルドン。その世界観を存分に体感できる作品です。ちなみに、ドムシー城食堂の装飾画全16点のうち15点はオルセー美術館に所蔵されていますが、残りの1点、この《グラン・ブーケ》だけ三菱一号館美術館のコレクションです。同美術館館長の高橋明也さん(写真)によると、この作品以外の15点はドムシー家からフランスに「相続税物納」として譲渡され、オルセー美術館の所蔵となっているそうです。そして、《グラン・ブーケ》だけがドムシー城に置かれていたとのこと。それが、さまざまな経緯を経て三菱一号館美術館の所蔵となったそうです。その具体的な経緯については、展覧会公式カタログにも詳しく書かれています。美術館のコレクションがどんなふうに形成されていくのか、現場の興味深い話も載っているので、ぜひカタログもご覧になってみてください。ショップもキワモノ揃い!?展示を見終わったらミュージアムショップへ。作品をモチーフにしたオリジナルスカーフやハンカチがたくさん並んでいます。花や蝶などがデザインされていますが、さすがにルドン独特の不気味臭は控えめな感じ。でも、なんとなくフシギな雰囲気は漂っています。ルドンらしさ全開なのがエコバッグ(1,200円)。こちらを持ち歩けば、注目されること間違いなしです!幻想的なルドン・ワールドに魅了される展覧会は5月20日まで開かれています。訪れるたびに新しい発見があると思いますので、ぜひリピートしてみてくださいね。Information会期:~5月20日(日)休館日:月曜日(※ただし、トークフリーデーの2月26日と3月26日、4月30日、5月14日は開館)時間:10:00~18:00(祝日を除く金曜、第2水曜、会期最終週平日は21:00まで)※入館は閉館の30分前まで会場:三菱一号館美術館料金:一般 1,700円/大学生・高校生1,000円/中学生・小学生 500円※新しいサポーター制度もスタート!2018年の2月8日より三菱一号館美術館のサポーター制度(MSS)が新しいシステムに変わりました。・MSS…年会費7,500円(税込)で会員本人と同伴者1名が何度でも入館可能・MSS-mini…年会費4,000円(税込)で会員本人が何度でも入館可能その他、各種サービスも受けられます。詳しくは、同館の公式サイトをご確認ください。※本記事の写真は、プレス内覧会で主催者の許可を得て撮影しております。
2018年02月21日世田谷美術館で開催中の『パリジェンヌ展』に行ってきました。美しいパリジェンヌのアートやファッション、さらに彼女たちのリアルな生き方にも触れられる女子必見のアート展、その詳細をレポートします!パリのアートやファッションが勢ぞろい!【女子的アートナビ】vol. 99『ボストン美術館パリジェンヌ展時代を映す女性たち』では、18世紀から20世紀のパリで生きた女性たちの姿やライフスタイルをテーマにした作品を展示。絵画を中心に、彫刻や写真、ファッションに関するものまで約120点の作品を楽しめます。同展は5つの章で構成され、まずは第1章「パリという舞台」からスタート。ここでは、18世紀の王侯貴族や上流階級の女性たちの華やかなファッションや暮らしぶりなどを見ることができます。学芸員さんの解説によると、この時代、上流階級の女性たちは単に着飾っていただけではなく、自宅でサロンを開いて知識人たちをもてなす女主人として活躍していたとのこと。洗練された会話術を駆使して客人を接待し、知らない人同士を結び合わせ、社交の場を作るのが彼女たちの大事な役割だったそうです。パリジェンヌの現実は…続く第2章のタイトルは「日々の生活」。壁が暗めの色調で、なんとなく重い雰囲気が漂う展示室です。ここでは、18~19世紀のパリジェンヌたちが社会的にどういった役割を期待されていたのか、その理想から外れた女性たちはどんなふうに批判されたのかをリアルに伝える作品が展示されています。フランス革命を経て、ナポレオン統治下となったパリでは社会が大きく変化。でも、伝統的な価値観は残り、良き妻、良き母として家庭を守るのが女性の役割とされていました。いっぽうで、自立して生きようとする女性たちが出てきたのもこの時代。ですが、かなり強いバッシングを受けたようです。こちらの壁面に並んでいるのは、オノレ・ドーミエなどが描いた風刺画。例えば、夫のボタン付けを拒否する妻や、書き物に専念して育児をおろそかにしている母親など、新しい生き方をしようとする女性の姿が批判的に描かれています。家庭のことを押しつけられ、昔の女性たちは気の毒…と言えないのが悲しい現実。約170年前のパリも現代も、女性の役割はそれほど変わっていないのかもしれません。おしゃれなパリジェンヌの登場!第3章は一転して明るいピンク色の部屋になっています。タイトルは、『「パリジェンヌ」の確立』。主に19世紀後半の作品が展示されています。フランス第二帝政下の19世紀、パリの街は大改造が行われ、機能的でエレガントな都市に生まれ変わりました。ファッション産業も発展し、おしゃれなパリジェンヌの姿は雑誌や美術作品などを通して拡散され、パリは流行の発信地へと進化。洗練されたパリジェンヌは、海外の女性たちにとっても憧れの存在となっていきます。特にアメリカの女性たちはパリの流行を熱心に取り入れていたそうで、ボストン美術館では当時のファッション関連の装飾品なども多数所蔵。今回の会場では、ファッションが描かれた作品だけでなく、靴や手袋なども展示。ため息が出るような美しいドレスも見ることができます!活躍するパリジェンヌたち次は2階の展示室へ。第4章のテーマは「芸術をとりまく環境」。19世紀後半に、画家や女優、モデルとして活躍したパリジェンヌたちが登場します。印象派の画家として有名なベルト・モリゾ、アメリカからパリに渡り芸術家として大きく開花したメアリー・カサットなど、女性画家たちの作品なども見ることができます。ふたりとも今では有名な画家ですが、当時、女性は国立美術学校での教育が制限され、職業芸術家になる方法も限られていました。差別や偏見もあるなかで自分の道を切り開いてきたパリジェンヌたちの作品、ぜひじっくりと鑑賞してみてください。こちらは、展覧会のメインヴィジュアルのひとつ、エドゥアール・マネの《街の歌い手》です。モデルとなった女性ムーランは、マネの “ミューズ”。彼女は画家にインスピレーションを与える存在で、マネの重要な作品に何度もモデルとして登場しています。最後の第5章は20世紀のパリに生きた女性がテーマで、タイトルは「モダン・シーン」。ランウェイのような舞台にバレンシアガ、ピエール・カルダンなどのドレスが並んでいます。周囲にはダンサーや歌い手、女優などパフォーマーとして活躍した女性たちの写真やポスターなども展示。往年のスター、ブリジット・バルドーの魅力的な写真などを通して、パリジェンヌたちのさまざまな生き方を見ることができます。あの中村さんも絶賛!プレス内覧会では、展覧会の音声ガイドを担当したフリーアナウンサーの中村江里子さんが登場。同展を見た感想として「ドレスや肖像画などの作品を通して、社会の中でパリジェンヌという女性たちの位置づけが変わっていく様子を見られるのが楽しい」とコメント。さらに「良妻賢母がよしとされていた時代、社会に出ていく女性たちが増えていく移り変わりをしっかりと見ていくことができたのが興味深かった」と展示構成について絶賛されていました。また、長年パリ暮らしをしている中村さんから見た現代版パリジェンヌの印象については、「自由でのびやかで、でもわがままな人たち。わがままというのは自分自身を主張するし、とても大切にしているということ。その姿勢が魅力的」と語っていました。憧れのパリに生きた女性たちの姿をアートの視点で掘り下げていく “女子のための” 展覧会、ぜひ一度足を運んでみては?Information会期:~4月1日(日)休館日:月曜日※2/12は開館、翌2/13(火)は休館時間:10:00~18:00(入場は17:30まで)会場:世田谷美術館料金:一般 1,500円/大学生・高校生900円/中学生・小学生 500円/65歳以上1,200円※本記事の写真は、プレス内覧会で主催者の許可を得て撮影しております。
2018年02月10日ギンザ シックス(GINZA SIX)5階のアートギャラリー、アールグロリュー ギャラリーオブトーキョー(Artglorieux GALLERY OF TOKYO)では「草間彌生と世界の現代アート作家展」を2月1日から14日まで開催する。アンディ・ウォーホル, Andy WarholCommittee 2000 1982年シルクスクリーン、額 76.35 x 50.95 cm戦後美術史に大きな足跡を残し続け、日本を代表する前衛現代アート作家となった草間彌生の作品を中心に、同時代からそれ以降に活躍した世界の著名な現代アート作家の作品を集め紹介。アンディ・ウォーホル(Andy Warhol)やデビッド・ホックニー(David Hockney)など、60年代に全盛期を迎えたポップアートや、それ以降ポップアートの影響を受け現れたミニマルアート、80〜90年代に活躍したジェフ・クーンズ(Jeff Koons)やジュリアン・オピー(Julian Opie)など様々な現代アートを展示する。【イベント情報】草間彌生と世界の現代アート作家展会期:2月1日〜2月14日会場:ギンザ シックス 5階 アールグロリュー ギャラリーオブトーキョー
2018年02月02日渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムで開催中の『神聖ローマ帝国皇帝 ルドルフ2世の驚異の世界展』に行ってきました。好奇心いっぱいのオタク皇帝、ルドルフ2世が主役のこの展覧会では、芸術・科学的なものからキモエロ絵画までさまざまな作品が勢ぞろい。ちょっとアブナイ香りもただよう美の世界をレポートします!名品&珍品に興奮!【女子的アートナビ】vol. 98『神聖ローマ帝国皇帝 ルドルフ2世の驚異の世界展』では、神聖ローマ帝国皇帝、ルドルフ2世(1552~1612)が愛した芸術家たちの作品を中心に、同時代のアートや天文機器、貴重な資料などを多数紹介。プラハやウィーンをはじめとしたヨーロッパ各地の美術館や修道院などから名品や珍品が来日し、華やかでちょっと怪しげな “皇帝のプライベートミュージアム” を体感できる空間になっています。ルドルフ2世って?ヨーロッパの名門、ハプスブルク家出身で、神聖ローマ帝国皇帝だったルドルフ2世。さらに、オーストリア大公、ローマ王、ハンガリー王、ボヘミア王という肩書もあり、いかにもすごそうな方なのですが、歴史的な知名度は今ひとつ。しかも、皇帝としての評価は散々なもので、仕事に興味を示さない・結婚もしない・後継ぎも残さない……というナイナイづくしで “無能” 呼ばわりされ、晩年は弟に実権を奪われたうえ城に幽閉され59歳で死去、とあまりにも切ない最期。ですが、そんなルドルフ2世にもズバ抜けた一面がありました。究極の “オタク” だったのです。1576年、24歳のときに父の跡を継いで神聖ローマ帝国皇帝になり、1583年にはウィーンからプラハに遷都。そこで広大な領土などから珍しいものや芸術作品を集め、思う存分に自分の好きな世界を作り上げていきます。美しい絵画や工芸作品はもちろん、異国の珍しい動植物、鉱物や天文学、占星術、当時の最先端科学に関するものまで収集。なかには伝説の動物である一角獣の「ツノ」など、怪しいものも含まれていたようですが、好奇心旺盛なルドルフ2世は、生きた動物も集めてプライベート動物園までつくったそうです。さらに、芸術家や科学者、錬金術師のパトロンとして文化芸術を保護。プラハ城に華やかでちょっと怪しげな宮廷文化が花開きました。無能呼ばわりされた皇帝も、今では当代随一の趣味人・教養人として評価されているようです。インパクト強すぎっ!変わり者だったルドルフ2世の姿を端的に表現したのが、同展のメインヴィジュアルにもなっている作品《ウェルトゥムヌスとしての皇帝ルドルフ2世像》。こちらのお顔、インパクト強すぎです。描いたのは、皇帝お気に入りの画家、ジュゼッペ・アルチンボルド(1526~1593年)。野菜や植物で構成された奇妙な肖像画で、ふつう、こんなふうに自分の顔を描かれたら気を悪くしそうなものですが、皇帝はご満悦だったとのこと。(やはり、かなりブッ飛んでいる皇帝さんです。)この絵を読み解くには、ローマ神話や当時の情勢、植物のことなどさまざまな知識が必要で、教養人であれば深く理解できて楽しめるそうです。皇帝のプライベートミュージアムを体感動物愛好家でもあった皇帝は、特に馬が好きで、ヨーロッパをめぐり純血種の馬を購入していたとのこと。そんな馬をテーマにした油彩画なども展示されています。動物だけでなく、もちろんエロティック系の絵画もありました。神話をもとにした女性像やキュートなお尻を丸出しにした少年風キューピットなどドキッとする作品も見ることができます。展示されているのは絵画作品が中心ですが、最後の展示室ではルドルフ2世の奇妙なお宝を中心に陳列した“驚異の部屋”風の空間が再現されています。このような部屋は、現代の博物館や美術館の原型になったとのこと。からくり時計や天球儀、望遠鏡や動物のツノなどがずらりと並び、皇帝のプライベートミュージアムを体感できます。オタク皇帝が愛したアートが見られる展覧会は3月11日まで開催。ちょっと怪しげな美の世界にハマること間違いなしです!※本記事の写真は、プレス内覧会で主催者の許可を得て撮影しております。Information会期:~3月11日(日)2/13(火)のみ休館時間:10:00-18:00(入館は17:30まで) 毎週金・土曜日は21:00まで(入館は20:30まで)会場:Bunkamura ザ・ミュージアム料金:一般 1,600円/大学生・高校生1,000円/中学生・小学生 700円
2018年02月01日国宝アートや貴重な秘仏が大集合している特別展『仁和寺と御室派のみほとけ』に行ってきました。さらに関連イベントとして開催中の「お坊さんカフェ」にも潜入! 詳しくレポートいたします!国宝アートや秘仏が大集合!【女子的アートナビ】vol. 97上野の東京国立博物館でスタートした特別展『仁和寺(にんなじ)と御室(おむろ)派のみほとけ―天平と真言密教の名宝―』では、京都・仁和寺創建時のご本尊をはじめ、全国の御室派寺院から国宝や秘仏が大集合!ふだん目にすることのできない仏像や書、絵画、工芸品などをまとめて楽しむことができます。仁和寺は平安時代の仁和2年(886年)に光孝天皇が建立を発願し、仁和4年(888年)に宇多天皇が完成させたお寺。ご本尊は国宝の阿弥陀如来坐像です。宇多天皇は譲位されたあと出家、真言宗のお坊さんになり仁和寺に住まわれます。宇多法皇が住む場所が「御室(おむろ)」と呼ばれ、やがてそれが仁和寺の別称となり、地名にもなったとのこと。ちなみに、御室派とは仁和寺を総本山とする真言宗の一派のこと。全国に約790寺あるそうです。歴代天皇に崇敬されてきた仁和寺は、天皇ゆかりの品々も数多く所蔵。最初の展示室では国宝となっている高倉天皇直筆の書《高倉天皇宸翰消息》(展示期間:~2月12日)をはじめ、肖像画や工芸品を楽しめます。続く部屋では、弘法大師・空海ゆかりの国宝、「三十帖冊子」が登場! 空海と同じく“平安の三筆”と称されている橘逸勢(たちばなのはやなり)の書も見ることができます。(会期中の2週間、1月16日~28日までは全帖公開)そして圧巻なのが、こちらの展示室。仁和寺の観音堂が再現されています!実際に安置されている33体の仏像がずらりと並び、背景には高精細画像で壁画をリアルに再現。ふだん観音堂は僧侶の修行場所として使われていて非公開となっているため、今回の機会はとても貴重です。(こちらのコーナーは、一般のお客様の撮影が可能となっています)実際に仁和寺の観音堂で修行されたお坊さんがこの展示室をご覧になり、あまりのリアルさに「修行中を思い出して涙が出た」と話していました。最後の展示室では、仁和寺と御室派寺院の貴重な秘仏や本尊などが勢ぞろい。どの仏像も、ふだんはめったに見られないものばかりです。特に、大阪・葛井寺(ふじいでら)の国宝、《千手観音菩薩坐像》は必見中の必見。公開期間は2月14日~3月11日限定となっているので私もまだ見ていませんが、必ずその期間に再訪したいと思っています。展覧会の関連イベントにも行ってみた!展覧会にあわせて、さまざまな関連イベントも開かれています。今回は、そのなかから「講演会」と「お坊さんカフェ」を取材させていただきました。会場は、読売新聞社本社3階の「よみうり大手町スクール」です。まずは講演会で仁和寺の歴史や文化についてお勉強。講師は、仁和寺執行(しぎょう)で真言宗御室派財務部長の大石隆淳師です。創建から応仁の乱、明治維新、太平洋戦争にいたるまでの歴史を振り返りつつ、仁和寺で起こったさまざまな出来事や秘話などを分かりやすくお話しくださいました。また、仁和寺・御室桜の見ごろや仏教の教えについてのありがたいお話もあり、あっという間の90分でした。「お坊さんカフェ」に潜入!続いて、同会場で開かれた女子限定の「お坊さんカフェ」に潜入!スタバのコーヒーを飲みながら、ざっくばらんにお坊さんとトークできるイベントです。この日ご担当されるお坊さんは、愛媛・醫王院(いおういん)のご住職、藤橋泰宣師。まもなく40歳になるという、とってもイケメンなお坊さまです!京都の仁和寺で修行され、その後しばらく仁和寺でおつとめをされたあと、ご実家のお寺に入られたという藤橋住職。まずは、お坊さんに関する素朴な疑問について、ご自身の楽しいエピソードを交えつつお話しくださいました。例えば「お坊さんってクリスマスはどうするの?」との疑問については、「12月24日には家でクリスマスケーキを食べるし、子どもたちにプレゼントもあげる」とのこと。お寺の子どもとして生まれ育った藤橋住職ですが、当時ご住職をされていたお父さまが一般の家庭と同じように育ててくださったとのこと。ご自身の家庭でも、ごくふつうの父親として子育てもされているそうです。親しみやすいお話とあわせて、“お経” についてのレクチャーもありました。例えば、大般若経(だいはんにゃきょう)というお経は600巻もあり、全部読み上げると膨大な時間がかかるそうですが、実は「このお経の最初の部分を大きな声で読み上げ、パラパラ~っと広げるだけで1冊拝んだことになるんですよ」とご住職。その様子も再現してくれました。こんなふうにお寺でお坊さんにお経をザッと広げて読んでもらうことを “大般若転読法会(だいはんにゃてんどくほうえ)” といい、この法会に参拝すると功徳があるとされているようです。念珠づくりも初体験!楽しくためになるお話しだけでなく、“念珠づくり体験” の時間もありました。数珠とひも、針金などのセットが配られ、その場で数珠ブレスレットを作っていきます。ひもに数珠を通していき、自分の手首サイズになったら、ひもを結びます。最後の結び目の部分は、なんとご住職が直々にやってくださいました!こちらは、お隣の方のブレスレット。かわいい~!最後は藤橋住職と一緒に記念写真を撮っている参加者も多く、とっても和やかで楽しいカフェでした。この「お坊さんカフェ」イベントは、あと2回開かれるとのこと。お坊さんに恋や仕事の悩みをぶつけてもいいそうです!毎回内容が違うので、すべてに参加してみるのも楽しいと思います。(詳しくは、最後のインフォメーション欄をご覧ください)関連イベントも盛りだくさんの展覧会、ぜひ足を運んでみてはいかが?Information会期:~3月11日(日)休館日:月曜日(ただし 2月12日は開館)、2月13日(火)時間:9:30 ~ 17:00(金、土曜日は21:00まで、入館は閉館30分前まで)会場:東京国立博物館平成館料金:一般 1,600円/大学生1,200円/高校生 900円/中学生以下無料女子におすすめの関連イベント情報♪※会場はすべて「よみうり大手町スクール」です。・カフェと「阿字観(あじかん)」体験仁和寺と御室派寺院の若手僧侶とコーヒーを飲みながら楽しくお話しをします。この日は、密教の瞑想「阿字観(あじかん)」も体験できます!開催日時:1月26日(金)18:00~19:30参加費:コーヒー付き1,080円・写仏を楽しむ『なぞり描き京の美仏』(JTBパブリッシング)をテキストに、仏像写真を見ながら仏さまを写していきます。講師は、ホトケ女子の安達えみさん。開催日時:1月26日(金)19:45~20:30参加費:1490円(テキスト代含む)・お坊さんカフェ仁和寺と御室派寺院の若手僧侶とコーヒーを飲みながら楽しくお話しをします。恋や仕事の悩みをぶつけてもOK。お坊さんから直接お話しを聞ける最後のチャンスです!開催日時:2月23日(金)18:30~20:00参加費:コーヒー付き1,080円
2018年01月25日本邦初、巨匠ベラスケスの傑作7点が出品黄金期といえる17世紀スペインを代表するのみならず、西洋の美術史上もっとも傑出した画家のひとりであるディエゴ・ベラスケス。マドリードのプラド美術館では、彼が残したおよそ120点のうち、46点を所蔵していますが、国民的画家としての重要性から、まとまった数で貸し出される機会は極めて限られています。本展には重要作ばかり7点が出品され、日本で開催される展覧会では過去最高の作品数です。うち4点をここではご紹介します。バルタサール・カルロス(1629-46)はフェリペ4世の長男として生まれ、広大なスペイン帝国の王位後継者として国中の期待を一身に背負って育てられました。本作は、フェリペ4世がマドリード市外に作らせたブエン・レティーロ宮殿の心臓部「諸王国の間」で、両親である国王夫妻の騎馬像に挟まれて扉口の上を飾っていたものです。5-6歳の王太子は落ち着き払って指揮棒を掲げ、凛々しく馬の両前脚を高く上げて王国の未来の確かさと明るさを強調しています。しかし王太子は王位を継ぐことなく、16歳で早逝しました。背景の風景はマドリード郊外のグアダラマ山脈を描いたもので、それを描き出す流麗でよどみのない色彩、そして写実性は本作にスペイン風景画史における傑出した地位を与えています。ベラスケスの主君であり、稀代の美術コレクターとしてスペイン王室に膨大な絵画コレクションを築いたフェリペ4世(1605-65年)。トーレ・デ・ラ・パラーダの「王のギャラリー」を飾っていたこの肖像では、その場にふさわしく狩猟服を身に付け、猟銃を持ち、猟犬を従えて戸外に立つ姿で表されています。狩猟は単に王族の嗜みであっただけでなく、戦争のための訓練でもあり、その腕前は統治者の軍事的責務と力量を示すものでもありました。ベラスケスの近代性は、ここに華美な装飾や狩りの獲物などを描いていないだけでなく、像主が国王であることを示す一切の道具をも排除し、一人の男を極めて率直に、しかし威厳をもって表している点にあります。これは主にセビーリャで活躍した17世紀スペインを代表する彫刻家モンタニェース(1568-1649年)の肖像です。宮廷風の衣装に身を包んだ彫刻家は肖像を制作中に手を休め、鑑賞者の側に視線を向ける姿で表されています。線描のみで荒描きされた制作中の像は、髭の形などからフェリペ4世であることが明らかです。鑑賞者の側には肖像のモデルがいるはずの場面設定も含め、これを《ラス・メニーナス》に描かれる、ベラスケスの自画像の原型と見なすこともできます。故にこれは単なる彫刻家の肖像ではなく、彫刻が絵画同様に知的創造であり、高貴なる自由学芸の一分野であると称揚しているものと解釈されています。当時の宮廷では障害を持つ矮人や道化たちが「慰みの人々」として仕えていることが常で、ベラスケスは彼らの肖像を数多く制作しました。「バリェーカスの少年」として知られる本作の像主は、本名をフランシスコ・レスカーノと言い、王太子バルタサール・カルロスの遊び相手として宮廷に暮らした矮人でした。ここでベラスケスは堅苦しい王候の肖像画のしきたりから解放され、構図や人物のポーズ、表情などにおいて先例のない新たな試みを行っています。短い脚や大きな頭部といった特徴を大ぶりの筆致で包み隠すことなく表しながら、それでいて像主には国王や貴族と何ら変わらぬ、一人の人間としての尊厳が与えられているのです。展示概要ベラスケスが宮廷画家として活躍した当時のスペインは、他にも多くの芸術家を輩出するとともに、国王らにより未曾有の規模で芸術の擁護と収集が行われ、絵画の黄金時代が築かれました。とりわけ、ベラスケスを宮廷画家としたフェリペ4世は3000点を超える美術作品を集めたメガコレクターでした。本展は、「芸術」「知識」「神話」「宮廷」「風景」「静物」「宗教」の7つの章で構成され、スペインだけではなく、イタリアやフランドル絵画の作例を加えて、61点の油彩画と9点の資料によって、17世紀のマドリード及びスペインの国際的なアートシーンを再現します。開催概要東京展会期:2018年2月24日(土) – 5月27日(日)会場:国立西洋美術館 [東京・上野公園]〒110-0007 東京都台東区上野公園7-7開館時間:午前9時30分~午後5時30分(金、土曜日は午後8時)休館日:月曜日(3/26(月)、4/30(月)は開館)主催 国立西洋美術館、プラド美術館、読売新聞社、日本テレビ放送網、BS日テレ後援 スペイン大使館お問合せ:TEL.03-5777-8600 (ハローダイヤル)兵庫展会期:2018年6月13日(水) – 10月14日(日)会場:兵庫県立美術館 [神戸市]〒651-0073 神戸市中央区脇浜海岸通1-1-1HAT神戸内主催 兵庫県立美術館、プラド美術館、読売新聞社、読売テレビ後援 スペイン大使館お問合せ:TEL.078-262-0901無料観覧券を5組10名様にプレゼント
2018年01月20日ヘタウマ絵で人気の画家、熊谷守一の展覧会が東京国立近代美術館で開かれています。そのルックスや生き方などから “超俗の画家” とも呼ばれた彼の作品は、シンプル&ユーモラス。見ているだけで何とも幸せな気持ちになれちゃうアート展をご紹介します!なごめるアートがいっぱい!『没後40年 熊谷守一生きるよろこび』【女子的アートナビ】vol. 96この展覧会は、熊谷守一(1880~1977)の没後40年を記念する大回顧展。97歳まで生きた画家の代表作《猫》をはじめ、絵画やスケッチ、日記など250点以上が集まっています。ゆるカワな絵で人気を博した熊谷画伯、ルックスが個性的で、20年間ほとんど自宅から外に出ることなく絵を描いていたことから “超俗の画家” とも呼ばれていました。いかにも自由気ままに生きてきた画家のようにも見えますが、実はかなりの苦労人。岐阜県に生まれた熊谷は東京美術学校(現・東京藝術大学)を卒業後、故郷に戻って材木を扱う仕事などにつきます。その後ふたたび上京し、友人の援助を受けながら作品を制作。しかし生活は苦しく、戦争や家族の死などの試練が彼を襲います。そんななかでも描き続け、おなじみのシンプルな画風を確立したのは60代になってから。代表作といわれる作品の多くは晩年に描かれています。花も餅も超シンプル!熊谷作品の特徴は、明るい色彩とシンプルな形。例えば《ハルシヤ菊》という作品は花びらが何枚もあるキク科の花を描いたものですが、花の部分が単純な円形になっています。まるで目玉のようにも見えて、何ともユーモラス。また、地面には花と同じような円い形のカタツムリも描かれています。《伸餅》もたまらなくシンプル。3個の餅と包丁が1本描かれているだけなのですが、とても印象に残る絵です。餅はそれぞれ微妙に形が異なり、さらに白い絵の具を塗る筆の方向なども変えて奥行きが出るようにしているとのこと。シンプルなものほど絵にするのは難しいといわれますが、餅をこれほど味わい深く表現できるなんて、熊谷画伯、やはり只者ではございません。代表作はゆるカワ猫!熊谷守一の代表作といえば、《猫》。見ているとほっこりしてくる作品です。さらりと描いた絵のように見えますが、猫の骨格や体の特徴などが正確にとらえられていて、技術的にはかなりハイレベル。シンプルな絵なのに猫のやわらかさまで伝わってきます。この作品を描いたのは、彼が85歳のときでした。会場では、ほかにもさまざまな猫作品を見ることができます。考え抜かれたヘタウマ素朴な作品が多いため、もしかして熊谷画伯ってちょっとヘタ…? と思ってしまうかもしれませんが、もちろんそんなことはありません。展覧会では若いころに描いた裸婦像や肖像画なども展示されていますが、デッサン力の高さに驚かされます。重厚な油彩画から次第に明るくシンプルな画風に変わっていきましたが、ただ単純化したのではなく、色彩学などの科学的根拠に基づいてヘタウマ画風を確立。例えば《稚魚》という作品では青地の背景に赤い魚を描くことにより、色彩の効果で魚が動いて見えるように計算されているとのこと。ヘタウマの背景には画家のさまざまな努力と工夫が盛り込まれていたようです。会場では油彩画のほかに水墨画や書も展示。特に、即興で仕上げられたという書が何とも味わいがあり、画家の人柄が伝わってきます。この展覧会は3月21日まで開催。ぜひ足を運んで熊谷画伯の魅力に触れてみてくださいね。Information会期:~3月21日(水・祝)休館日:月曜日(ただし 2月12日は開館)、2月13日(火)時間:10:00 ~ 17:00(金、土曜日は20:00まで、入館は閉館30分前まで)会場:東京国立近代美術館 1階 企画展ギャラリー料金:一般 1,400円/大学生・専門学校生900円/高校生 400円/中学生以下無料
2018年01月14日旅好きで訪れた国は50か国以上と、いつの間にか世界一周をしてしまったLuxury Backpackerの雨宮。今回は国内旅行、冬の京都特集です。昔銭湯だった場所をカフェに改築したレトロカフェやアートを楽しめるお寺をご紹介します。女子がときめくタイルがいちめんに! レトロなカフェがたまらないまずは、京都で話題のカフェ。北部の大徳寺エリアにある築80年の銭湯を改築して作られたカフェ『さらさ西陣』です。ここでは京都ならではの和の趣とモダンなカフェ文化を上手に融合させたレトロ空間を味わえます。店内に入ると、天井も高く、意外と奥行きもありました。昔ながらの電話が残されていて、アンティーク家具などの調度品がいい感じに壁や床、タイルと融合していてとても素敵。思わず「わ〜」と声が出てしまいます。写真左上・低くなっている場所は脱衣所や番台だったそう。実際に使われていた鏡もそのまま残されていました。写真下・奥に進んでいくと、ときめくのはこの「和製マジョリカタイル」。お風呂場で昔から使用されていたもので、日本でもこのようなデザインタイルは珍しいそうです。男女の風呂場を隔てる壁は雑に崩されていて、それがまたいい趣を出しています。写真右上・実際のお風呂はこの床の下に隠れていて特別に見せていただきました。テーブルの下からひょっこりと現れた湯船の意外な小ささに驚きですね! 昔お風呂だっただけあって、音の反響もいいそうで、時々、カフェでは音楽ライブも開かれるそうです。今回いただいたのはケーキセット950円(税込)。店内の雰囲気は和製レトロですが、スイーツはアメリカの焼き菓子を用意しているそうです。ナッツタルト、マロンチョコレートタルト、キャラメルチーズケーキなど、しっかりとした甘さを楽しめるケーキがそろっています。紅茶は京都のこだわりのブランドを使用していて、コーヒーも丁寧にドリップして淹れてくれます。一面に広がるタイルはとてもフォトジェニックで有名芸能人もポスターの撮影にくるほどです。写真を撮ったりと素敵な思い出写真が残せる女子旅でもおすすめの場所でもあります。アートも楽しめるお寺へ続いて、ご紹介するのは洛中エリアにある妙覺寺です。ここには織田信長など、さまざまな人物が宿泊していたそうです。また千利休による茶会も開かれていました。まさしく偉人も滞在したパワースポットですね。織田信長というと本能寺のイメージが先立ちますが、実はここは定宿で信長が京都に来た20数回のうち18回も妙覺寺に宿泊していたそうです。本能寺には実際、3回しか宿泊しておらずその3回目に本能寺の変が起こりました。もし、その時も妙覺寺に宿泊していたら……「妙覺寺の変」と時代は変わっていたのかもしれませんね。こちらでは冬の時期、特別に室町時代に活躍した絵師、狩野元信筆と伝わる幅約4.6m、高さ約5.9mの巨大な「大涅槃図(だいねはんず)」の寺宝も特別展示されます(1月6日〜3月18日)。元信の展覧会は東京でも開かれ、歴代の狩野派絵師のなかでも最も高く評価されたといわれるほど素晴らしい才能を秘めた絵師です。この機会にぜひ、普段は見ることのできない作品をみておきたいものですね。色鮮やかでとても迫力がある作品でした。さらに、妙覺寺の見所は巨大仏画の公開制作です。制作者は、元・雑誌のアートディレクターで、岡本太郎氏にインタビューで衝撃を受け画家となった塩澤文男氏。なんと横幅12mにも及ぶお釈迦様と四天王の巨大な仏画を公開制作しています。アートディレクターに限らず、パーカッショニストなど、さまざまな才能を持つ塩澤氏。この作品はまだまだ途中だそうで、運がよければ実際に彼が書いているところも見られます。最後には蛍光塗料を塗って光る仏画が完成する予定だそうです。お寺に光る仏画とは! 新旧の融合な感じがしておもしろいですよね。ぜひ完成後を見てみたいものです。※妙覺寺は敷地内は庭園を除いてすべて一般撮影禁止となっております。今回は特別に撮影させていただいています。新幹線ではふわふわのオムレツサンド今回、2回に渡り日帰りでも楽しめるのんびり冬の京都をお届けしました。古いものと新しいものの融合、珍しいカフェ、アート観賞などのんびりと冬の京都を散策するのも、いつもと違う顔を楽しめていいものです。最後に帰りの新幹線でのおすすめは昭和23年、京都創業の老舗パン屋さん『志津屋』 の「ふんわりオムレツサンド&ビーフカツサンド」(520円)はいかがでしょう? 京都駅内に支店もあるので購入しやすく、ボリュームもたっぷり。新幹線で食べるのにピッタリですよ。京都は行くほどに深みが増して楽しいところです。Information■妙覺寺京都府京都市上京区下清蔵口町135
2018年01月09日お正月明けの1月13日から、銀座の森岡書店で「『えじえじえじじえ』とその世界展」がはじまります。日本を代表するクリエーター佐藤可士和さんと詩人の谷川俊太郎さんがコラボした絵本の世界を紹介する同展では、佐藤さんによるトークイベントも開催!気になるその内容をご紹介します。ワクワクがいっぱい!「『えじえじえじじえ』とその世界展」【女子的アートナビ】vol. 95この展覧会では、佐藤可士和さんが描いた絵に谷川俊太郎さんがことばをつけた絵本『えじえじえじじえ』の世界を紹介。佐藤さんの新作ドローイングや有田焼なども展示販売されます。会場は、“一冊の本を売る本屋” として知られる銀座の森岡書店です。佐藤可士和さんは、クリエイティブディレクター・アートディレクターとして第一線で活躍されているクリエーター。さまざまな仕事を手がけられていますが、身近なものではユニクロや楽天のロゴ、国立新美術館のシンボルマークなどが有名です。また『佐藤可士和の超整理術』(日本経済新聞社)など著書も多く、大学で教鞭もとられています。そんな佐藤さんと、詩人の谷川さんがコラボした『えじえじえじじえ』とは、いったいどんな絵本なのでしょう?書名を見ただけでワクワクしてくるこの本は、絵と文字、デザインが楽しくコラボ。開いてみると、どのページも “飛び出す絵本” のように躍動感があります。特に感激するのは、佐藤さんのドローイング。さまざまな表現が散りばめられていて、ページをめくるたびに今まで見たことのない新しい世界へと連れて行ってくれるのです。とっても刺激的な佐藤さんのドローイングに、谷川さんの味わい深いことばが加わっているのですから、この絵本、おもしろくないわけがありません!子供から大人まで楽しめる最高のアート絵本です。スタイリッシュな現代アートも展示!会場では、『えじえじえじじえ』とあわせて、佐藤さんのアート作品も展示販売されます。例えば、上の画像は展示作品のひとつ。ドローイングの「DISSIMILAR」シリーズです。筆などで絵の具を飛散させるスプラッシュペインティングという技法を使って描かれ、躍動感にあふれています。こちらは、佐藤さんが絵付けした有田焼。シンプルな豆皿や蕎麦猪口に斬新なドローイングがデザインされていて、とってもおしゃれです!これらは、会場で購入することもできます。また、新作ドローイングの「LINE」シリーズも見逃せません。ビビッドな赤をベースにしたスタイリッシュなデザインで、感性を刺激されること間違いなしです!佐藤さんのトークイベントも開催!さらに展覧会の初日、1月13日(土)にはトークショーも開かれます。森岡書店のオーナー・森岡督行さんと佐藤さんによるトークイベントで、先着40名様限定、参加費は1,000円です。第一線で活躍する佐藤さんのお話をナマで聞ける貴重なチャンス、ぜひ今から予定を空けておいてくださいね!Information「『えじえじえじじえ』とその世界展」会期:2018年1月13日(土)~1月28日(日)会期中無休時間:13:00~20:00会場:森岡書店・銀座店(東京都中央区銀座1丁目28−15 鈴木ビル)入場無料※佐藤可士和トークショー日時:2018年1月13日(土)14:30 ~ 15:30(開場14:00)会場:森岡書店・銀座店上階の特設スペース参加費:1,000円お申し込みは森岡書店(03-3535-5020)まで。
2017年12月28日12月も残りあと少し。年末年始はどこに行こうかな~と迷っている人におすすめしたいのが、六本木ヒルズで開催中のアート展。見るだけでなく、作品の中に入ったり写真を撮ったり、とにかく楽しい体験がいろいろできちゃうのです。元旦もオープンしている話題のスポットをレポートします!楽しすぎ~!『レアンドロ・エルリッヒ展』【女子的アートナビ】vol. 94まずは超楽しい体験ができる『レアンドロ・エルリッヒ展:見ることのリアル』をご紹介。六本木ヒルズ森タワー53階の森美術館で開かれています。アルゼンチン出身の現代アーティスト、レアンドロ・エルリッヒ(1973~)による過去最大規模の個展で、新作を含む作品44点を展示。そのほとんどが日本初公開です。エルリッヒは錯覚の効果などを使ってウィットに富んだ作品を作っているアーティスト。金沢21世紀美術館に恒久展示されている人気作品《スイミング・プール》は代表作のひとつです。彼の作品を見ると、思わず「えっ? 何? どーなってるの?」という言葉が出てしまうほど、楽しいスパイスの効いた仕掛けが満載なのです。例えば、上の写真は最初の部屋に展示されている作品《反射する港》。水の中にボートが何艘か浮かんでいるように見えますが、実は違うのです。ネタバレになるので詳しくは実際に見てのお楽しみですが、彼の作品は必ずネタが仕込まれているので、ぜひ会場でじっくり観察してみてください。目の前に見える景色をそのまま素直に信じてしまうと、楽しいネタに気づけないかもしれません!こちらの作品は《試着室》。鏡に向かって写真を撮っている私の姿が写っていますが、このように鏡が入っている個室もあれば、鏡の部分が空洞になっていて、通り抜けられるようになっている個室もあり、それらの個室がいくつもつながっていて迷路のようになっています。実際に個室のなかに入って写真を撮ったり、出口がわからなくなり迷ったりして、ワクワク感たっぷり。子どもから大人まで、みなさん楽しそうに体験していました。そして、極めつけはこちらの大型インスタレーション作品《建物》。窓から落ちそうになっているのは私です。この仕掛けも、ネタバレになるので明かせませんが、とにかく体験してみてください。ポーズを工夫すれば、いろいろ楽しい写真が撮れちゃいます。このアート展は、友だちや彼を誘って行くのがベスト。かなり盛り上がると思います!話題沸騰途中!『THE ドラえもん展 TOKYO 2017』次にご紹介するのは、すでに話題沸騰中の『THE ドラえもん展 TOKYO 2017』。みんな大好きなドラえもんをテーマに国内外で活躍する現代アーティスト28組が作品を制作。絵画をはじめ、彫刻や写真、さらには書道など、さまざまな技法で手がけた新作が展示されています。参加作家がとにかくゴージャス。世界で活躍する村上隆や奈良美智、森村泰昌をはじめ、梅佳代、しりあがり寿、蜷川実花、増田セバスチャンなど錚々たるアーティストたちの作品がそろっているのです。まずは、こちら。展覧会のメインヴィジュアルにも使われている村上隆の作品《あんなこといいな 出来たらいいな》。ドラえもんの登場キャラと村上作品の定番モチーフがコラボしています。近くでじっくり見ると、ジャイアンが木箱の上に乗って歌っている絵やしずかちゃんのヌードなど、おなじみの場面がちりばめられていてワクワクします。こちらは個人的に大好きな作品、奈良美智の《依然としてジャイアンにリボンをとられたままのドラミちゃん@真夜中》。このドラミちゃんの顔は、一度見たら絶対忘れられません!増田セバスチャンの作品《さいごのウエポン》も見ごたえあります。きゃりーぱみゅぱみゅの演出・美術なども担当し、日本の「kawaii」文化を発信している彼が手がけたドラえもんは、高さが3メートル近くもある巨大サイズのぬいぐるみ。色もカラフルなので、うまく撮ればインスタ映えすること間違いなし!『THE ドラえもん展 TOKYO 2017』は2018年1月8日までの開催なので、まだ見ていない人はこの年末年始が最後のチャンスです。『レアンドロ・エルリッヒ展』と同じ六本木ヒルズ内で開かれているので、ぜひ二つまとめて楽しんでみてくださいね!Information『レアンドロ・エルリッヒ展:見ることのリアル』会期:~2018年4月1日(日)会期中無休時間:10:00~22:00(最終入館 21:30)※火曜日のみ17:00まで(最終入館 16:30)会場:森美術館料金:一般 1,800円/大学生・高校生1,200円/4歳~中学生 600円/シニア(65歳以上)1,500円『THE ドラえもん展 TOKYO 2017』会期:~2018年1月8日(月・祝)会期中無休時間:10:00~20:00(最終入館 19:30)※12 月 26 日(火)のみ 17 時閉館(最終入館 16:30)会場:森アーツセンターギャラリー料金:一般 1,800円/中学生・高校生1,400円/4歳~小学生 800円
2017年12月23日■「観」とイメージしてみよう今回のテーマを「観」にした理由には、私の深い思いがあります。皆さんは「観」と聞いて、何をイメージするでしょうか。インスピレーションは「能舞台の鏡松」から能舞台における「松」の意味を、皆さんはご存知ですか?演舞者は松に向かって踊るのが本来で、舞台上の松は鏡に映った松を意味しています。「鏡松」つまり演舞者は鏡に映った松を背に、観客に自分を観せることになるのです。ある日、20年ぶりに能を鑑賞していたときに、突然「観」と一瞬のインスピレーションを受けました。それをベースに王義之の「蘭亭序」の「観」「仰ぎ観る」という一節がミート。私は鏡に「映る姿」と実際に「観る姿」とを対比させて、自分のしてきた書の世界観を確認することができたのです。こうしてできた作品が「観」です。映すとは鏡に映ったもの。そのままの形を映す。つまり「書く」こと。日々の映し書く練習の蓄積。観るとは単に形を映すものではなく、そこにインスピレーションが加わること。つまり発想したものを「描く」こと。この相対するふたつがうまく重なり合うときに作品が生まれます。■「仰観宇宙之大府察品類之盛」(仰ぎて宇宙の極まりなきを観て、府しては満類の数多きを察する)上を向いては宇宙の広大さを観て、下を向いては万物の豊かさを察する。「観察」するということです。この文は王羲之の蘭亭序のあまりにも有名な一節です。■王羲之「蘭亭序」王羲之の書をことごとく収集していた唐の太宗皇帝は、「蘭亭序」だけは入手することができませんでした。そこで智永の弟子の弁才が所有していると聞いた太宗皇帝は、臣下に命じて弁才に近づき、蘭亭序を盗み出させました。こうして太宗皇帝は蘭亭序を手に入れましたが、あまりにも素晴らしい書に惚れ込み、遺言で自分の墓の昭陵に副葬させてしまい、王羲之の最高傑作の蘭亭序はこの世から姿を消すことになったのでした。このようなエピソードがまた蘭亭序の価値をさらに高め、後世に言い伝えられています。■「観」と書いてみよう前回の王羲之の「集字聖教序」と同じです。空間の造形美を考え、構成することが大事です。臨書とはお手本を見て書くこと。映すことを何回も重ね、練習を蓄積させていくことが大事。追い求めては答えが逃げていき、くじけそうでもまた追い求め、何回も練習すること。そしてあるときに、ふとインスピレーションが下りてきて、今までの蓄積とひらめきがミートする瞬間がやってきます。私が能舞台を観て感じた瞬間のようなひらめきです。臨書の意味は、そこにあると確信しています。練習の蓄積と自分の発想の重なり合った瞬間に、ただ単に「映る」ことから「観る」瞬間になるのです。臨書は蓄積と発想の宝庫です。心を入れ込み、「書く」ことから「描く」ことに、臨書の目的があると思います。太宗皇帝の墓で王義之を揮毫して唐の太宗が愛し、墓にまで一緒に埋葬した王羲之の蘭亭序を追い求め、私は中国に渡りました。そして、太宗皇帝の墓の上で「仰観宇宙之大府察品類之盛」と揮毫(きごう、筆で字や絵を書くこと)しました。自分の今までしてきたことは正しかったとはっきりと確信しました。皆さんも臨書することで心の鍛錬をしてみませんか。ひとつ磨きがかかり、ステップアップしますよ。
2017年12月18日■「有」とイメージしてみよう前回は「無」について触れたので、今回はそれに相対する「有」という文字を選びました。「有」と聞いてあなたは何をイメージしますか?漢字から私がまずイメージするのは、「presence」「肯定する」「存在する」という言葉です。「無」が純粋無垢で、あなたが何かを見てその物に色を付けない状態をいうのに対して、「有」はあなたの意志が加わり存在する物をイメージさせます。「有難う」という言葉にも「有」が使われていますね。漢字の意味のごとく、「滅多にないようなことが有る」という素敵な言葉です。「ありがとう」とひらがなで書くよりも漢字で書く方が気持ちが深くなり、感謝が伝わるように感じます。■「蓋聞二儀有像顕覆」前回の「無」のときに「雁塔聖教序(がんとうしょうぎょうじょ)」について触れましたが、同じ文章の中に「無」に対するものとして「有」という文字があります。「天地(二儀)は像を有しており、私たちの頭上を覆いつくす天と私たちを乗せている地は生きるもの全てを包んでいるものである。一方では四時(春夏秋冬)には像として顕れることが無く寒暑に潜んで万物を変貌させるので賢者でも理解することはできない」となります。■「集字聖教序」前回は「雁塔聖教序」(653年)について書きました。今回はその19年後に作られた「集字聖教序(しゅうじしょうぎょうじょ)」(672年)について。「雁塔聖教序」は褚遂良が書いたものです。その後、24年間に渡り、弘福寺の懐仁が王羲之の文字を集め「雁塔聖教序」と同じ文章を書いたものが「集字聖教序」です。24年間も王羲之の字を集めるとは気が遠くなる話ですが、それだけの魅力が王羲之の文字にあったという証ですね。残念ながら王羲之の真筆は残っておらず、コピーのコピーを重ねたものが現在に伝えられています。そのような状況で、この「集字聖教序」はかなりオリジナルに近いものと言われています。■なぜ王羲之の文字がないのか太宗皇帝が王羲之の「蘭亭序」を、遺言に従って共に墓へ埋葬したこと。また王羲之の文字は宮中にあり憧れの存在だったため、戦乱を重ねて失われてしまい、真筆がなくなってしまったという歴史があります。一字ずつ集めているから大きさに統一感はなく、一貫性はないけれども王羲之の一字一字の美しさに見どころがあります。■「有」と書いてみよう太宗皇帝が王羲之の字を「鳳が舞い上がり、龍がわだかまるようだ」と称賛したほど、王羲之の文字には律動感があり、三次元の奥行感があります。ワンポイントアドバイス「空間造形美を意識しよう」人間が凛と立っているような姿をイメージしてみましょう。「有」は均衡がとれた美しい立ち姿。また余白の美しさを取り、龍が天に舞い上がるような姿を線で表現してみましょう。平面に表現された拓本からはわかりにくいところですが、そこからあなたが空間をイメージし、文字を立体的に再構築しながら書くことが大事です。臨書を勉強する上で、三次元に空間を造形した美しさを常に意識すると上達しますよ。
2017年12月09日■「無」をイメージしてみよう「無」という意味を考えると、とても含みがある文字です。「"無"とはこうである」とは一言では言い尽くせません。非常に宗教的な悟りの世界であります。辞書では「無」とは、否定を一般化した表現。対義語は「有」とあるので”物事が存在しない”ことも表します。「無」を単に否定的な表現、ととらえるべきではないと感じています。純粋無垢の「無」、すなわち、あなたが何かと出会ったときに、自分の概念で色付けするのではなく、そこにある本来の物というイメージも持つべきだと。何もないのではなく、本来の色付けされていないあるべき姿。あなたは「無」とはなんだと考えますか?■「大唐三蔵」孫悟空の西遊記でおなじみ、三蔵法師はみなさんご存知の人物でしょう。インドに渡り、17年間学んで仏法を唐に持ち帰りました。その偉業を称えるために、唐の皇帝、太宗が褚遂良に命じて書かせた「雁塔聖教序」の冒頭の文字です。「偉大なる三蔵法師がインドより持ち帰った仏典の序文」という意味です。■「四時無形」「四時無形」とは、三蔵法師の持ち帰った仏典の一部で、ここでいう四時とは四季のこと。言葉の意味としては「春夏秋冬は形がなく、目に見えないものである」となります。前後に書かれた文の意味は「天地というものは像を有している。頭上を覆いつくす天、我々を乗せている地は生きとし生けるもの全てを包み込むものであると言えるが、四時(春夏秋冬)はどうだろうか。何ら形もなく寒暑の中に潜んで万物を変貌させる。どんな愚かな者でも天地の有様を見ることはできるのは像があるからで、四時のように像としてないものについてはどんな賢者でもその本質を知ることは不可能に近い」となります。■褚遂良(596~658)先に述べた「雁塔聖教序」は、楷書を高度に完成させ、楷書の範として尊重される最高傑作であると言われています。彼は、楷書の最終形といえる唐の文化を背負った成熟した作品を残しました。また、褚遂良(ちょすいりょう)は唐の政治家でもありました。皇帝太宗に仕えて信頼厚く、後の皇帝高宗の教育を担いましたが、則天武后を皇后に立てることに反対したことで今のベトナムに左遷されました。■「無」と書いてみようワンポイントアドバイスとしては「リズムよく」褚遂良の楷書は、呼吸の振幅の幅、リズムの表現を具現化して漢字を芸術に作り上げたように感じられます。私は音楽が好きですが、主観で言うと、まるでマーラーの交響曲第五番 第四楽章のアダージョの旋律の世界とリンクするようなイメージ。リズムよく、呼吸の幅を大きくとるところ、また引くところ。書くときは、一角一角をこれでいいのかとゆっくり自問自答しながら、姿勢は雑巾を絞り上げるように丹田に力を入れて書いてみましょう。
2017年12月04日クリスマスシーズンの夜デートにぴったりなアート展、『パリ♥グラフィック展』に行ってきました。会場の三菱一号館美術館には、おしゃれでセンス抜群なグラフィック・アートがいっぱい! 美術を楽しんだあとは、シャンパンゴールドの光がきらめく丸の内エリアを散策。イルミネーション&かわいいツリーのオブジェも楽しめます!おしゃれなアートが満載!『パリ♥グラフィック展』【女子的アートナビ】vol. 93『パリ♥グラフィック─ロートレックとアートになった版画・ポスター展』は、19世紀末の版画にスポットをあてた展覧会。ポスターや挿絵などのおしゃれなグラフィック・アートを中心に、油彩画や挿絵本など含めた計約170点が紹介されています。ポスターや版画ってアートなの? と思うかもしれませんが、19世紀末のパリで急速に技術が発達した版画は当時の最先端メディア。今のインスタグラムみたいな感じかもしれません。芸術家たちはその新しい表現方法に魅了され、次々とカラフルでステキな作品を生み出しました。芸術レベルになった美しい版画作品は、ポスターや本の挿絵という形で日常生活にも浸透。一般の人たちも気軽にアートを楽しめるようになっていったのです。この会場では、三菱一号館美術館が誇るコレクションに加えて、版画作品を多数所有するファン・ゴッホ美術館(オランダ)のお宝コレクションも展示。充実の展覧会になっています。パリの街並みも再現!見どころいっぱいの同展ですが、そのなかでも特に感激したのは、パリの街並みが再現されている広い展示室。入った瞬間「わ~」っと声を上げそうになりました。こちらは、写真撮影もOK。当時のパリはこんな雰囲気だったのかな~と想像できて、とても楽しいです。ポスターのジャンルで有名な芸術家といえば、トゥールーズ=ロートレック。彼はパリの娼婦や庶民の姿、さらに人気のあった有名人などを独特の視点で描いたことで知られています。例えば、上の写真(左)に写っているポスターは、ロートレックが名声を確立するきっかけとなった《ムーラン・ルージュ、ラ・グーリュ》。当時の有名な踊り子をモデルに描いたもので、しなやかな線描と鮮やかな色彩の美しさはもちろん、絵と文字の配置の仕方なども抜群です。こんなおしゃれなポスターが街に貼られていたなんて、やっぱりパリはすごい!ほかにも、男女の怪しい関係を描いたフェリックス・ヴァロットンの版画連作《アンティミテ》や、やわらかな色彩が美しいピエール・ボナールのポスターなど、さまざまなグラフィック・アートを見ることができます。グッズも超おしゃれ♡展示を楽しんだあとは、ミュージアムショップへ。こちらの美術館には、いつもセンスのいいグッズが並んでいますが、今回は特にステキ。おしゃれなセレクトショップみたいになっています。ロートレックの作品などを素材にしたバッグやTシャツなど欲しくなるものばかり。とりあえず、トートをひとつゲットしましたが、まだまだ何度か通ってしまいそう…。女子にうれしいサービスも!さらに、女子にうれしいサービスもたくさんあります。そのひとつが、「アフター5(ファイブ)女子割」。毎月第2水曜日の17時以降に行くと、当日入館料がなんと1,000円になります。今回の『パリ♥グラフィック展』は1,700円なので、700円もお得。毎月第2水曜日は開館時間が21時まで延長されているので、ゆっくり楽しめますよ。ちなみに、私は三菱一号館美術館サポーター制度の会員になっているので、開催中の展覧会に何度でも行くことができます。この制度も、かなりお得。年会費10,260円(税込)を払えばだれでも(18歳以上であれば)サポーター制度に入会できて、さまざまなサービスが受けられます。例えば、会員本人だけでなく同伴者1名も無料で入館できるので、友だちや家族と一緒に何度でも展覧会を見ることができるんです。ご招待券4枚プレゼントや貸切鑑賞会、提携施設での優待サービスなどもあって、いろいろ楽しめますよ。丸の内イルミネーションを堪能!三菱一号館美術館を出たら、そのまま丸の内のイルミネーション散歩に出かけてみませんか?まず、美術館の目の前にある丸の内ブリックスクエアのツリーをチェック。こちらは泡をイメージしたバブルツリーです。丸の内・有楽町エリアに登場するクリスマスツリーを手がけているのは、あの有名なフラワーアーティスト、ニコライ・バーグマン氏。丸ビルや丸の内オアゾなど、いくつかのスポットで見ることができます。そして、丸の内仲通りにはシャンパンゴールドのイルミネーションがキラキラ!「夜デートなう」な写真がいっぱい撮れます!ぜひこの時期は丸の内でイルミ&アートを楽しんでみてくださいね。Information『パリ♥グラフィック─ロートレックとアートになった版画・ポスター展』会期:~2018年1月8日(月・祝)休館日:月曜日(ただし、1月8日と、「トークフリーデー」の12月25日(月)は開館)、年末年始休館:2017年12月29日~2018年1月1日時間:10:00~18:00(祝日を除く金曜、12月13日、1月4日、1月5日は21:00まで)※入館は閉館の30分前まで会場:三菱一号館美術館料金:一般 1,700円/大学生・高校生1,000円/小・中学生 500円※展示室の写真は許可をいただいて撮影しております。
2017年12月02日謎のネーデルランドの画家ボス謎に包まれた生涯をすごしたネーデルランドの画家、ヒエロニムス・ボス。その傑作のひとつがマドリードのプラド美術館に収蔵されている『快楽の園』。見るものを驚かせ、夢中にさせるその作品と画家の真相に迫るドキュメンタリー映画が12月に公開されます。ネーデルランド(現在のオランダ、ベルギー、ルクセンブルク)の画家ヒエロニムス・ボス。没後500年を迎えた2016年、ヨーロッパでは彼の作品を集めた最大規模の展覧会が、ボスが生まれたオランダ南部の街、デンボスの北ブラバント博物館で開催され、世界中からボスのファンが42.5万人も集まりました。そしてこのドキュメンタリー映画も500年を記念して、スペインを代表するドキュメンタリー映画監督のホセ・ルイス・ロペス=リナレスにプラド美術館の依頼で制作されました。ヒエロニムス・ボスには60代とおぼしき自画像が1枚あるだけで、手紙も日記もなく、その生涯は謎に包まれています。分かっているのはヒエロニムス・ファン・アーケンという本名から、出自はドイツのアーケン、代々画家の家系だったことぐらいなのです。描いた作品は30点ほどしか残されていません。幻想的で怪異な作風が特徴で、ブリューゲルをはじめとする後世の画家に大きな影響を与えました。そしてボスの代表作で、もっとも謎めいた作品が、プラド美術館に収蔵されている『快楽の園』なのです。プラド美術館全面協力のもと撮影されたこの映画は、いまだ決定的な解釈のなされていないボスの最も有名で魅力的な作品『快楽の園』が世界中のクリエイターに与えた影響を検証し、謎に満ちたボスという作家のドキュメンタリー作品となっています。The Garden of Earthly Delights, El Bosco. Oil on panel, 220 x 389 cm, 1500 – 1505. Madrid, Museo Nacional del Prado.パネルを閉じた状態の外側には天地創造を模した絵が描かれ、パネルをひらくと、左側にエデンの園を、右側に最後の審判を、中央のパネルには、多数の裸の男女が描かれ、快楽を貪る楽園のように見えることから、教会の祭壇画ではなく、特定のパトロンに依頼された絵画という説が有力です。この映画では、20人ほどの美術史家、歌手、作曲家、作家、画家、指揮者、写真家、アーティスト、歴史家、哲学者、漫画家、音楽学者、プラド美術館学芸員、さらにはボスが所属していたとされる「聖母マリア兄弟会」のメンバーなどが、『快楽の園』の解読を試みて、魅了される姿を描きます。赤外線・X線などで、下絵に描かれていた全く別の絵柄の正体や、祈祷書や写本の欄外に描かれた装飾とボスの絵画との関連、「聖母マリア兄弟会」の入会で得られる免罪府など、ボスの時代と『快楽の園』のリンクが見え隠れしてきます。500年以上前に描かれた「百科事典のような絵画であり、とんでもなく詩的でもある」「美術史において唯一無二だと思う」「これは幻想的なオペラだ」と文化人を魅了するボスの世界に迫る90分です。『謎の天才画家ヒエロニムス・ボス』12月16日 シアター・イメージフォーラムほか全国順次ロードショー監督:ホセ・ルイス・ロペス=リナレス出演:ラインデルト・ファルケンブルグ、オルハン・パムク制作:2016年/スペイン・フランス/90分配給:アルバトロス・フィルム© Museo Nacional del Prado © López-Li Filmsホセ・ルイス・ロペス=リナレス監督プロフィール1955年4月11日スペイン、マドリード生まれ。ドキュメンタリー作家、撮影監督、プロデューサー。プラド美術館から6人の作家のドキュメンタリーを依頼されるなど、スペイン随一のドキュメンタリー作家。監督作品としては『ファイティング・シェフ美食オリンピックへの道』(2007)『シェリー&パロ・コルタドの謎』(2015)などがある。
2017年11月29日人気のイラストレーター、長場雄(ながばゆう)さんのアーカイブ展、「YU NAGABA EXHIBITION 『 I DID 』」が12月2日から渋谷パルコのGallery X BY PARCOではじまります。展覧会には、イラスト原画とあわせてオリジナルグッズも多数登場!その気になる内容をご紹介します!YU NAGABA EXHIBITION 『 I DID 』まもなく開催!【女子的アートナビ】vol. 92長場雄さんは、雑誌や書籍、広告、さらにはアパレルブランドにもデザインワークを提供するなど幅広い分野で活躍されている大人気のイラストレーター。12月2日よりスタートする「YU NAGABA EXHIBITION 『 I DID 』」は、長場さんにとって初となるアーカイブ展。会場では、2014年から2017年の約3年の間に描かれた原画約100点が展示されるほか、映像インスタレーションなども紹介されます。シンプル&クールなイラストがかっこいい!長場さんが描くイラストの特徴は、とことん “シンプル”。無駄なものをそぎ落とした究極の線で、親しみやすく共感の持てる作品を次々と生み出しています。シンプルでミニマルな絵というのは、ごまかしがきかないので実はとてもハイレベル。長場さんがこの作風を確立されたのは2014年ごろとのことで、以来、彼のイラストは日本だけでなく海外でも支持され、欧米のセレクトショップで個展も開かれています。おなじみのイラストも登場!ここまで、長場さんの作品をいくつかご紹介してきましたが、「どこかで見たかも…」と気づかれた方もいるのではないでしょうか。そう、関東の人なら『東京メトロ』のマナーポスターでご覧になったことがあると思います。2016年4月から2017年3月までの1年間、駅や車内に貼られていたポスターのイラストを描かれていたのが長場さんです。すごく印象に残る絵で、私もメトロに乗るたびに楽しみにしていました。そして、我々『anan』の人気連載、「鈴木亮平の中学英語で世界一周!」のイラストも担当していただいています。長場さんのイラストと鈴木さんの写真がコラージュされていて、誌面がとても親しみやすい雰囲気になっています。また、上のイラストは雑誌『POPEYE』(2014年09月号)の表紙を飾った作品。超クールです!この絵が評判となり長場さんのファンがどんどん増えていったそうですよ。過去作品が収録された作品集を先行発売!この展覧会で、原画鑑賞と並んで楽しみなのがグッズのコーナー。Tシャツをはじめ、マグカップやトートバッグなどさまざまなものが揃う予定です。長場さんのおしゃれなイラストがデザインされたグッズを持っていたら、高感度な女子に見えること間違いなし!そしてもうひとつ気になるのが、作品集 『 I DID 』(税別3,000円)の先行発売。この作品集には、BEAMSや東京メトロなどに提供したクライアントワークを含めた約800点の作品が収録されています。限定300冊だけ刊行されるオリジナルテキスタイルを用いた豪華特装版(税別6,000円)も会場で先行販売されるそうです。さらに、特装版の作品集を買われた先着100名限定で「似顔絵サイン会」も実施。長場さんに自分のイラストを描いてもらえるなんて、かなり貴重なチャンスです!売り切れ必至なので、ぜひお早めにお出かけください。展覧会は12月2日の土曜日、11時からスタート。入場は無料です。どうぞお見逃しなく!Information会期:12月2日(土)~12月12日(火)時間:11:00 ~ 20:00会場:Gallery X BY PARCO(渋谷区宇田川町13-17)料金:入場無料・長場雄作品集『 I DID 』¥3,000(税別)会場で先行販売・展覧会記念特装版 長場雄作品集『 I DID 』¥6,000(税別)特装版仕様:上製本オリジナルクロス貼り・箔押し・長場雄さんのInstagram(@kaerusensei)には、毎日1点、作品がアップされています!
2017年11月28日■「天」をイメージしてみよう「天」と聞くと、どんなイメージがありますか?宇宙、空、また人を超えた人の上の存在。宗教的な世界観においては神の住む理想郷。などイメージは広がります。その色は何色なのでしょうか。朝焼けの赤、夕焼けの黄色、雲ひとつない青、紫がかった霞の色。また新月の夜の吸い込まれそうな黒。すべての色を統合したら黒(玄)になりますね。「天」の字形は人間の体の上部から由来しています。「天」とは人間に関わるすべてを統合した言葉と言えます。■智永の「千字文」とは今回は智永の「千字文」の冒頭の文字「天」をテーマにしました。「千字文」は初回に触れた王義之の筆跡を一千字集め、周興嗣(470年〜521年頃)が作りました。1000字を重複なしに四言古詩250句にしたもので、以後、さまざまな人が書いています。中国、朝鮮、日本で識字、習字用の教科書として広く近年まで用いられていました。智永(生没年不詳陳時代から隋時代580年代頃活躍した僧)は王義之の7代目の孫です。いろいろな人が「千字文」を書いていますが、私は智永の書いた「千字文」はテキスト的に優れていると考えます。なぜならその書体は冷たくもなく暖かくもなく辛くもなく甘くもなく鋭くもなく柔らかくもなく智永の「千字文」には人間としての中庸さがあります。次に進むためのこうあるべきという、指針のような法帖と言えるでしょう。■天地玄黄宇宙洪荒「天も地も世界はすべての色に満ち、もっと広い宇宙はあふれかえり、わきかえっている」「千字文」の冒頭の部分です。広大な宇宙観です。天地は地球上のすべてのもの、また宇宙はそれをはるかに超えた世界です。人間には越えられない壮大な世界です。■コンプレックスは誰にでもある人間にはそれぞれ個性があります。すべてが完璧な人間などいないのです。自分のいいところ、悪いところ、見つめていますか?ときどきでもいいので、自分のいろいろな面に心を向ける時間は必要です。■書道は道とつくものです道とつくものは書道、茶道、華道、武道などさまざまですが、道を学ぶとはどういうことなのでしょうか。自分に向き合い、自分に足りないところは何だろうと考える。そして気づく。マイナスな面を補おう、中庸になろうと努力する。それが道とつくものの学び方の一面です。■実際に「天」を書いてみようワンポイントアドバイスとしては「気づく」「中庸」。まず、広大な宇宙空間をイメージしてみよう。空間の構成をどうとらえるかが大事です。自分に向き合い、偏りをなくし中庸を目指して練習しましょう。人には皆コンプレックスがあります。そこにとらわれる必要はないですが、「気づき」は必要です。道とつくものを学ぶとは「気づく」ことなのです。心を落ち着かせ、自分の内面に目を向け「中庸を目指す」。そんな思いで「天」と書いてみましょう。
2017年11月23日秋といえば「芸術の秋」。アートを身近に感じたい方は、ミュージアムショップへおでかけしてみませんか?最近では、さまざまなミュージアムグッズを幅広く取り扱うミュージアムショップも増えていて、個性豊かでハイセンスな雑貨も豊富です。今回は、都内にある人気ミュージアムショップ3店の目的別・おすすめ商品をご紹介します!アートな日用品が豊富!〔スーベニアフロムトーキョー〕年間を通してさまざまな企画展を開催している国立新美術館。その1階・地下1階にあるミュージアムショップが〔スーベニアフロムトーキョー(SFT)〕です。こだわりの品々を幅広くセレクトしているので、お気に入りの一品が必ず見つかるはず。〔スーベニアフロムトーキョー〕で特におすすめなのが、「作家もの」の商品です。こちらの《枝のフック》は、〔TARASUKINBONKERS(タラスキンボンカース)〕という、南伊豆に暮らす男性ユニットによるもの。ひとつひとつ丁寧に作り上げた一点もののフックから、お気に入りのかたちを見つけましょう♪後ろにはマグネットがついているので、冷蔵庫にもつけられますよ。これから寒くなる季節に手に入れたいのが、〔tamakiniime〕のショールです。兵庫県の北播磨地区で受け継がれる技法をつかい、ひとつひとつ柔らかい質感に仕上げているので、肌触りも抜群です。絵画や彫刻などのアート作品は高すぎてなかなか手が届きませんが、作家がつくる日用品なら日常生活をちょっぴり豊かにしてくれるでしょう。ほかにも、〔スーベニアフロムトーキョー〕オリジナル雑貨も人気です♪お値段も少し頑張れば買えるものから、お手ごろ価格で買えるものまで豊富にそろっています。自分へのご褒美探しに、ぜひ足を運んで見ましょう。【SOUVENIRFROMTOKYO店舗情報】●住所東京都港区六本木7-22-2国立新美術館1階・地下1階●電話03-6812-9933●営業時間10:00〜18:00(金曜日のみ20:00まで)●定休日毎週火曜日(祝日または休日に当たる場合は開館し、翌日休館)ワンランク上のインテリアを目指そう!〔MoMA Design Store〕〔MoMADesignStore〕が取り扱う商品は、ニューヨーク近代美術館(MoMA)のキュレーターがこだわり抜いてセレクトしたもののみ。本場ニューヨークと、日本にしかないお店なので、海外からの観光客も多く訪れます。東京にいながら、ニューヨークのアートセンスを気軽に取り入れられますよ♪こちらは好きな文字を入れて使えるライトボックス。アルファベットと記号のプレートが付いてくるので、毎日の目標や気分を飾ることができます♪ちょっぴりレトロで、デザインもシンプル。自立もすれば、壁にかけて使うこともできるので、インテリアにも使いやすく、アクセントになりそうです!黒い文字盤に描かれたイラストがかわいいこちらの時計は、アメリカ人イラストレーター、ドナルド・ザイツによるもの。MoMAのコレクションにも選ばれ、アート史においても重要な画家たちの特徴がシンプルに表現されていて、DIYでリノベーションしたインテリアにもぴったり合いそうです♪ほかにも、話題の本のようなライトや、イクラの軍艦巻きの形をしたピンなど、デスク周りを楽しくさせるグッズも盛りだくさん♪ステーショナリーグッズは値段もお手ごろなので、いろいろ集めたくなります。これからの季節、プレゼントをこだわって選びたい方にもおすすめです。【MoMADesignStore表参道店舗情報】●住所東京都渋谷区神宮前5-10-1GYRE3階●電話03-5468-5801●営業時間11:00〜20:00●定休日年中無休(GYREビルに準ずる)アートな書籍や、紙の雑貨が豊富!〔NADiff modern〕〔渋谷Bunkamura〕の地下1階にある〔NADiffmodern(ナディッフモダン)〕は、アート系の書籍に限らず、絵本やライフスタイル系の書籍や雑貨が数多くそろうショップです。ここでなら、普通の本屋ではなかなか手に入らない、インテリアにも映えるアートな本が手に入りますよ♪お店は、誰でも入れるブックショップと、〔ザ・ミュージアム〕内のミュージアムショップ(※)にわかれています。※〔ザ・ミュージアム〕内への入場は、展示チケットが必要です。この季節、ぜひ手に入れて欲しいのがカレンダーです。こちらは、紙を組み立てて使えるカレンダー。花瓶のものや、椅子、動物などのデザインなので、カレンダーを置物のように飾ることができます♪子ども用の絵本も、インテリアに取り入れたいすてきなものがそろいます♪Bunkamuraザ・ミュージアム内で取り扱う商品は、展示内容に合わせて商品をセレクトしているので、展示ごとに大幅に商品が入れ替わるそう。現在開催中の「オットー・ネーベル展」のセレクトテーマは、「色・かたち」。ステーショナリー雑貨だけでなく、ボタンや使用済み切手などのパーツもあり、ハンドメイドのアイデアが広がりそうでした♪展示は2017年12月17日(日)までとなっているので、お見逃しなく!【NADiffmodern店舗情報】●住所東京都渋谷区道玄坂2-24-1Bunkamura地下1階●電話03-3477-9134●営業時間10:00〜20:00(金・土のみ10:00〜21:00)さあ、ミュージアムショップへ出かけよう♪ミュージアムショップとひとことに言っても、取り扱う商品はさまざま。ただのアートグッズではなく、日常がアートになるような商品がたくさんありました!寒くなってくるこの季節、感覚を研ぎ澄ませながら、身の回りのアートを楽しんでみましょう♪
2017年11月22日アニメーション監督、新海誠さんの商業デビュー15周年を記念して開かれる展覧会『新海誠展』が六本木の国立新美術館ではじまりました。このプレスプレビューに、新海監督と俳優の神木隆之介さんが登場!お二人のトークと展示風景をあわせてお届けします。原画&映像がいっぱい!【女子的アートナビ】vol. 90『国立新美術館開館10周年新海誠展 「ほしのこえ」から「君の名は。」まで』では、新海誠さんの15年にわたる映像制作の軌跡を絵コンテや作画、映像などの展示物約1000点で紹介。リアルで美しすぎる数々の映像がどうやって生み出されたのか、その舞台裏も知ることができるファン待望の展覧会です。2002年に短編アニメーション『ほしのこえ』でデビュー以来、すれ違う男女のせつなくも美しい物語を描いてきた新海監督。その作品は日本のみならず世界でも高く評価されています。同展は静岡と長野を巡回して東京会場での開催となりましたが、“国立” の美術館で現役アニメーション映画監督の展覧会が開かれるのははじめてとのこと。ぜひ会場では展示の仕方にも注目してみてください。新海監督×神木隆之介さん登場!展覧会の開幕前日に開かれたプレスプレビューでは、新海監督と俳優の神木隆之介さんが出席。まずは展示室入り口でフォトセッションが行われました。神木さんは新海作品の大ファン。映画『君の名は。』では主人公・立花瀧役を演じ、今回の展覧会では音声ガイドも担当されています。会場ではMCも交えてお二人のトークセッションが行われましたので、その一部をご紹介します。――映画『君の名は。』の中で登場した国立新美術館でご自身の展覧会が開かれることについて、監督はどう思われましたか?新海監督映画では、国立新美術館をデート場所として描いたのですが、東京の象徴として圧倒されるような建築物があって、高校生のデートとしては少しだけ敷居が高いような場所として、ここを選びました。(主人公の)瀧君のキャラクターを描くために選んだのですが、まさかこの場所で『君の名は。』を含めた過去作品を展示していただける機会があるなんて、想像すらしていませんでした。すごく光栄だと思います。同時に、日本の中でアニメーション映画の受け取られ方というのも少し変わってきたのかなと。こんなところで展示していただけるなんて、アニメーション映画をずっと作ってきた先輩方の流れのなか、その末端に僕たちの作品もあるのかなと思っています。神木さん、興奮しすぎて…――いち早く展示をご覧になった神木さん、第一印象で「わっ!」となった展示はありましたか?神木さん入ってすぐ「わっ!」てなりましたね(笑)。どこまで言っていいのかわからないのですけど、すごく迫力のあるものがあるんです。監督の作品は、風景の絵とかが写真のように美しくて、最初に作品を見させていただいたときは写真なんじゃないかなと思っていたくらいでした。だけどこの展覧会でいろいろ見させていただいて、一本一本、手で描いていらっしゃるのだなと実感しました。本当に、語りつくせないです。展示の様子を熱く語ってくれた神木さん、トークの途中「あれ、質問は何でしたっけ?」とMCに聞き直す場面もあり、「興奮しすぎて、まとまりがつかなくなってすみません!」と感動さめやらぬ様子でした。そんな感想を聞いて、新海監督も「神木君が、一本一本線が引かれていると思ってくださったのが僕もうれしいですし、スタッフもとても喜ぶと思います」とうれしそうにコメント。さらに、「アニメーションの絵は平均して1カット4秒ぐらいしか映画の画面に映らないのですが、今回の展示は立ち止まってじっくりと見ることもできますし、その成り立ちも一枚一枚見ることができます。僕が描いているというよりスタッフが心血を注いでやってくれているものですので、彼ら200人、300人の映画作りの戦いの軌跡をここで感じていただければとてもうれしいなと思います」と語っていました。神木さんと一緒に見られる!?神木さんが興奮したという展示会場は、どんなふうになっているのでしょう?実際に入ってみたいと思います。この展覧会に行ったら、音声ガイドはマスト。ぜひ入り口でガイド機を借りてみてください。神木さんが先ほどのトークセッションで「(音声ガイドが)みなさんのお供になれたらいいな」と語っていましたが、このガイドを聞きながら展示を見ていると、彼と一緒に作品を見ているような、二人でデートしているような気分になれちゃいます!展示はオープニングムービーからはじまり、第1章「ほしのこえ」から第6章「君の名は。」へと続き、最後はクロージングムービーで終わる構成になっています。「雲のむこう、約束の場所」、「秒速5センチメートル」、「星を追う子ども」、「言の葉の庭」など歴代作品も登場。コアなファンにはたまらない内容です。もちろん、新海監督の作品世界を最初から味わうことができるので、初心者の方でも大丈夫。展覧会を見てから映画を見てみるのもいいと思います。(展覧会開催期間中に、新海誠監督作品の特別上映会も予定されています。詳しくは公式サイトをチェックしてみてください)神木さんが感動されていた “手描きの線” が見られる絵コンテや作画も本当にすばらしいですし、映像の展示や音楽による演出もあるので、あらゆる角度から作品を楽しむことができます。特に、第6章「君の名は。」をご覧になるときは、ぜひ音声ガイドをじっくりと聞いてみてください。瀧君を演じたときの “秘話” なども語られていますよ。瀧君の声で解説を聴きながら作品を見られるなんて、本当に贅沢。感動すること間違いなしです!新海ワールドにたっぷりひたれる展覧会は12月18日まで。どうぞお見逃しなく!Information会期:~12月18日(日)休館日:火曜日時間:10:00 ~ 18:00(金・土曜日は20:00まで)入場は閉館の30分前まで会場:国立新美術館企画展示室 2E料金:一般 1,600円/大学生1,200円/高校生 800円/中学生以下無料
2017年11月22日