東京・六本木のサントリー美術館で『京都・醍醐寺―真言密教の宇宙―』展がはじまりました。同展の仏像大使に就任したイラストレーターのみうらじゅんさんと、作家のいとうせいこうさんがプレス内覧会に出席。展覧会の見どころや楽しみ方を語ってくれました!どんな展覧会?【女子的アートナビ】vol. 127『京都・醍醐寺―真言密教の宇宙―』展では、874年に開山した京都・醍醐寺に伝わる約15万点の名宝のなかから厳選された国宝・重要文化財など約100件を紹介。会場内には美しい仏像をはじめ、絵画や書跡など貴重な寺宝が並んでいます。また、醍醐寺は豊臣秀吉が行った「醍醐の花見」をはじめ、創建時から天皇や有力武士などとの深い関わりがあることでも知られています。そんなお寺が所蔵する為政者たちゆかりの品々を見ながら、歴史についても知ることができる展覧会です。“密教”って?作品を見る前に押さえておきたいワードが、“真言密教”。真言密教とは、平安時代のはじめ、弘法大師空海が中国で学び日本に伝えた仏教の教えのことです。同展担当学芸員の佐々木康之さんによると、真言密教のお寺として開かれた醍醐寺では、儀式など“祈りの実践”を重視していたとのこと。そのため、祈りの場に欠かすことのできない仏像などが多くつくられたそうです。会場では、2メートル近くある国宝《薬師如来および両脇侍像》などの仏像をはじめ、曼荼羅(まんだら)などの仏画、儀式で使われる仏具など、密教美術の名品を見ることができます。仏像大使が登場!プレス内覧会では、仏像大使に就任したみうらじゅんさんといとうせいこうさんが出席。まずは重要文化財の《五大明王像》前でフォトセッションが行われました。この仏像群は、平安時代につくられたもの。いとうさんによると、これらの仏像は「ライオンみたいな目玉をしていたりして、醍醐寺オリジナルという感じ。ふつうの五大明王とはだいぶ違う」とのこと。五大明王のなかでも特におふたりが気に入っているのが『大威徳明王(だいいとくみょうおう)』。この仏像の前で、いとうさんは「牛ちゃんがめちゃかわいい。ふつうはあんなにかわいくないんですよ」と大興奮。みうらさんも「そうそう」と激しく同意していました。「密教界のお宝が相当あります!」その後、囲み取材に応じたおふたりは「ここには密教界のお宝が相当ある」といい、特に空海の書を絶賛。「だいたい空海のものって『伝』と書いてあって偽物が多いけど、ここのは本物ですから。なかなか見られないですよ」と力説していました。また、360度展示になっている重要文化財の《如意輪観音坐像》についても、「あの如意輪はすごくきれいです」「めちゃめちゃいい。バランスがいいよね」と大絶賛。仏像大使として熱くPRしていました。「ぼくらは物欲担当…」ちなみに、おふたりは展覧会グッズの監修も担当。「ぼくら “物欲” 担当ですから。仏様の “仏欲” ではなくモノのほうね」といいながらオリジナルグッズを紹介。特にオススメは「光仏」というプロジェクターライト(税込¥700)。壁などにこのライトを当てると美しいお不動さんの光が写し出され、悪いものを打ち払うための効果があるかもしれない……とのことです。密教美術というと難しそうなイメージがあるかもしれませんが、仏像の豊かな表情や造形美を見ているだけでも十分楽しめます。さらに、作品解説を読んだり音声ガイドを聞いたりすれば、より深く楽しめるはず。まずは会場に足を運んでみてくださいね。Information会期:~11月11日(日)※会期中、作品保護のため一部作品の展示替えがあります。時間:10:00〜18:00(金・土および10月7日[日]は20:00まで開館)※入館は閉館の30分前まで休館:火曜日(ただし11月6日は18時まで開館/shop×cafeは会期中無休)会場:サントリー美術館料金:一般¥1,500/大学生・高校生¥1,000/中学生以下無料
2018年10月01日10月5日から上野の森美術館で『フェルメール展』がはじまります。この展覧会のナビゲーターとして音声ガイドを担当される女優の石原さとみさんにインタビューを実施。音声ガイドの収録を終えたばかりの石原さんに、展覧会のことや美術の楽しみ方について語っていただきました!音声ガイドに初挑戦、その感想は?【女子的アートナビ】vol. 126――今回、美術展の音声ガイドに初挑戦とのことですが、収録を終えられて、今の感想をお聞かせいただけますか?石原さん最初は緊張しました。みなさんの耳もとで流れる声なので、どういうテンションでどういう声色でどういう硬さがいいのか、とても迷いました。はじめは硬めにやってみたのですけど、休憩後に柔らかい調子でやってみたら、この雰囲気がいいなと思って、また最初からやり直したりもしました。いろいろ試行錯誤して……。まだ完成したものを聞いていないのでわからないのですが、「これでいい」と言ってくださったスタッフのみなさんを信じるしかないです(笑)。――収録の様子をスタジオで拝見していたのですが、録音されているときの表情がとても優しい雰囲気でした。石原さんフェルメールの絵が柔らかい雰囲気なので……、堅い表情よりも柔らかい表情で優しく問いかけているほうがいいのかな、と考えたりしましたね。――今回の音声ガイドのなかで、特に石原さんが気に入っている部分、「これだけは聞き逃さないでほしい」と思われている部分はありますか?石原さん展示室の1階「フェルメール・ルーム」の前で流れるボーナストラックです。私が自分で考えた文章を読んでいるんですけど、ここは「消さないで!」って(笑)。最後まで聞いてほしいなって思います。ここではフェルメールについて話しているのですけど、私が思うフェルメールの良さみたいなものが何か伝わったらいいなと思っています。女心を描いた絵が好き!――今回展示される作品の中で、お気に入りのフェルメール作品はどれですか?石原さん黄色い上着を着ている女性の絵シリーズが好きですね。ラブレターを書いているかもしれない、読んでいるかもしれない、という雰囲気の絵があるのですが、女性としていろいろ想像してしまうんです。全作品、とても想像しやすくて……。もし絵の中に吹き出しがあったら、登場人物はなんて言っているのだろうか、ということを想像しやすい作品だと思うんです。日が沈んできて、小さな窓から入る光だけをたよりに絵が描かれている感じが、女性の持つ女心のせつなさみたいなものとか、はかなさみたいなものが表わされている感じがして、とても好きですね。絵のモデルにシンパシーを感じる――女優さんとして、何かフェルメールに共感する部分はありますか?石原さんつい最近までやっていたドラマ『高嶺の花』では華道家の役を演じて、ゼロからイチにする作業の苦悩みたいなものを描いていたので、芸術家の苦悩というのを疑似体験させてもらいました。でもどちらかといえば、作品に描かれている登場人物のモデルさんのほうに共感しますね。私自身、監督さんからの難しい注文を聞かなければならない状況がよくあるのですけど、例えば《牛乳を注ぐ女》のモデルさんも、「もうちょっと細い感じで牛乳を流してほしいんだけど…」とかフェルメールに言われて牛乳の量を調整したりしているのかな、と勝手に想像したりして(笑)、すごくシンパシーを感じます。ファッションもかわいいです!――フェルメール作品で女の子が楽しめるポイントはありますか?石原さん専門知識がなくても楽しめる絵画だと思います。絵画って難しいイメージがあるんですけど、フェルメールの絵は見て想像しやすいので、「全然難しくないよ」って言いたいです。歴史を知らなければいけないとか、勉強していかなければとかはいっさいないから大丈夫です!また、フェルメールのブルーや黄色がとても鮮やかなので、17世紀に描かれたものが現存するんだというその希少価値、その昔からの美しさを今も美しいと思えるかどうかも試していただきたいですね。あとはファッションもかわいいし、恋をしている女性の絵や、恋に焦がれている感じの絵がフェルメール作品には多いので、そこも女子が共感できるポイントかもしれないですね。また、ドラマや物語が好きなみなさんは、ひとつの絵を見ていろいろなことを想像してみると楽しめるのではないかなと思います。NYでアート好きに…――海外旅行ではわざわざ美術オタクのガイドさんをリクエストすることもあるそうで、ふだんから美術に親しまれていますが、美術や芸術にはいつごろから興味がありましたか?石原さん小さいころから親に美術館に連れて行ってもらっていたと思います。バレエとかも見に行った記憶があります。習い事もやっていたので、「習い事をするなら一流のものを見なさい」といわれていましたので、そのころからのベースはあるのかもしれないですね。でも、自発的に好きになったのは、2010年にニューヨークに遊びに行ったときかな。いろいろな美術館に行ったり、舞台を見たり、楽しめたので。見方がわからなくても、見て回るのが楽しくて。そこでたぶん博物館よりも美術館が好きって自覚したと思います。そして一昨年スペインに行って、美術オタクの人にガイドをしてもらってから、美術の見方とか楽しみ方を感じて、そこから日本でも海外でも美術館でより楽しめるようになりましたね。各部屋にアートを飾っています――特に好きな画家はいらっしゃいますか?石原さん家で飾るなら、持っていないですけど、ミロ(スペインの画家)の絵が好きです。抽象画ですけど、夢と現実のはざまのような雰囲気がすごい好きですね。どこの部屋に飾っても通用する色で、好きな色を選ぶ感覚で選べる絵画は飽きがこないから。フェルメールも色がステキだから飽きがこなくてさみしくならない。風景画でもさみしい絵ってけっこうあるのですが、そういうのは家に飾りたくないですね。――実際、何か家に飾っていらっしゃいますか?石原さんいっぱい飾ってありますよ。各部屋に全部あります。キューバで買った誰が描いたのかわからない絵もありますし、海外の美術館で買ったポストカードを額縁に入れて飾ったりとかしています。私はひとりで見るのが好き――石原さん流の美術館めぐりのコツ、楽しみ方を教えてください。石原さんあまりオススメはしないんですけど……、私はひとりで見たいです。ひとりで行ったり、時間差で友だちと行って、そのあとお茶したりしています。それぞれ見るスピードが違ったりするので、無理に合わせなくていいかなと思うんです。音声ガイドを聞きたい子も聞かない子もいるので。私は聞きたい派なので、見るペースが変わってきますよね。ひとりで音声ガイドを聞きながら、誰の目もペースも気にせずに、絵と自分の一対一で楽しみながら考えている時間は好きです。気に入った絵は絶対ポストカードも買いますよ。気軽にカジュアルに来てみてほしい――最後に、読者の方にメッセージをいただけますか?石原さん絵を見る際、どんな見方も正解がない……いや全部正解なんですね。どこが気になっても正しいし、歴史を知らなくても、「ここが気になってこう思う」というのも、もしかして歴史が全部正しいわけではないから正解かもしれない。今回は難しくない美術展だからこそ、気軽な感じでカジュアルに来てもらって、一流のものに触れてほしいです。17世紀のオランダで輝いていた色というものを今も感じられる……その喜びは作品を見たら感じられるので、会場にきて見てほしいですね。若くて感受性豊かなみなさんが作品を見て何かを感じる、その可能性をこの展覧会で引き出せるかもしれないから、ぜひ足を運んでほしいですね。取材を終えて…あの美しすぎる眼差しで、筆者の目をじっと見ながら質問に丁寧に答えてくださった石原さん。その言葉の端々から、美術を愛する気持ちがあふれ出ていました。今回、特別に収録中のスタジオも取材させていただいたのですが、石原さんは納得がいくまで何度も果敢に吹き込みにチャレンジされていました。またスタッフのみなさんの熱量も非常に高く、プロフェッショナルな熱い現場の雰囲気に感動しました。そんな石原さんたちの情熱が詰まった音声ガイド、東京の会場では来場者全員、無料で借りることができます。ぜひ彼女の優しい声を聞きながら、珠玉のフェルメール作品を楽しんでみてくださいね!『フェルメール展』概要同展は、日本初公開を含む9点ものフェルメール作品を展示する、日本の美術展史上最大となるフェルメールの展覧会です。東京展の会場ではフェルメール作品が一堂に会する【フェルメール・ルーム】が登場。まるで奇跡のような贅沢な空間でフェルメール作品を堪能できます。ほかに、ピーテル・デ・ホーホ、ヤン・ステーンなど約40点の作品を通して、17世紀のオランダ絵画を心ゆくまで楽しめます。会期:2018年10月5日(金)~2019年2月3日(日)※会期中、一部作品の展示替えがあります。「赤い帽子の娘」10/5(金)〜12/20(木)、「取り持ち女」1/9(水)〜2/3(日)時間:9:30~20:30(入場は閉館の30分前まで)※開館・閉館時間が異なる日があります。詳しくは公式サイトをご確認ください。休館:12月13日(木)前売り日時指定券:一般¥2,500/大学生・高校生¥1,800/中学・小学生¥1,000/未就学児無料※本展は、日時指定入場制。入場券は事前にご購入ください。※音声ガイドは来場者全員無料
2018年09月27日日本で生まれ育ち、パリで大ブレイクし、5人の女性と暮らしヨーロッパで生涯を終えた画家、藤田嗣治(1886~1968)。彼の画業を紹介する大回顧展『没後50年藤田嗣治展』が上野の東京都美術館で開かれています。キュートな猫や女性の絵で人気を博した画家のドラマチックな人生にも注目します!どんな展覧会?【女子的アートナビ】vol. 125『没後50年藤田嗣治展』では、明治期に生まれ、フランスで高く評価された画家、藤田嗣治の作品100点以上を紹介。パリのポンピドゥー・センターやアメリカのシカゴ美術館など、欧米の美術館が所蔵する名品も多数来日し、質・量ともに史上最大規模で開かれている大回顧展です。超エリート軍医の息子藤田は現在の東京都新宿区で、医者の家に生まれます。父親は、軍医として陸軍軍医総監まで昇りつめた超エリート。でも、画家になりたいという息子を応援し、東京美術学校(現・東京藝術大学)への入学から卒業後のパリ行きの資金まで面倒を見てくれました。とっても理解のある優しいパパです。展覧会の第一章では、そんな父親の肖像を描いた作品も見ることができます。ちなみに、1913年、26歳のときに藤田は女学校の教師をしていた日本人女性と一度目の結婚をしています。新居を構え、妻を残してパリに旅立ったのですが、3年後離婚することとなりました。パリで大ブレイク!パリに渡った藤田は、ピカソやモディリアーニなどの仲間と交友しながら腕を磨いていきます。しかし、1914年に第一次世界大戦が勃発。父親からの送金も途切れて厳しい生活を強いられましたが、終戦後、「狂乱の時代」といわれた1920年代に大ブレイクを果たします。特に注目されたのは、細い線で描写された裸婦像。彼が描く女性の白い肌は「すばらしき乳白色」と絶賛され、肖像画の注文なども舞い込むようになります。作品だけでなく、その風貌も人気でした。セルフプロデュースに長けていた藤田は、“おかっぱ頭・メガネ・ちょびひげ”という独特のスタイルでパリを闊歩。パーティに参加しては派手な行動を繰り返していました。そんな姿が注目され、パリの通りに藤田そっくりの人形が飾られるほど人気が出たそうです。ちなみに、展示室内のミュージアムショップでは、しりあがり寿さんが特別に描き下ろしたイラスト『フジタ画伯とねこ』をモチーフにしたグッズが売られています!さらに、ラインのスタンプも好評発売中です!二番目~四番目のパートナーたちここで、藤田を囲む女性たちをご紹介します。一番目の妻と別れたあと、まずパリで画家のフェルナンド・バレーと結婚します。この彼女の尽力が、絵が売れるきっかけとなったともいわれています。その後ブレイクした藤田のもとには、モデルの女性をはじめとしたさまざまな人たちが出入りし、さらには妻フェルナンドの不倫もあったようで、結局ふたりは離婚。続いてリュシー・バドゥーと結婚します。肌が白いため藤田から「雪(ユキ)」と呼ばれていたリュシーは、絵のモデルとして彼の作品にもたびたび登場。今展の出品作にも描かれているので、ぜひ会場で探してみてください。しかし1929年の世界恐慌による景気の悪化でパリ美術界の空気が変わってきたことに加え、ユキとの生活にも不和が生じ、藤田は新たな恋人のマドレーヌ・ルクーを連れて中南米に旅立ちます。このマドレーヌがモデルになった作品も今回の会場で見ることができます。日本を去ったわけは…?マドレーヌと死別した藤田は、1938年に最後の妻となる君代と結婚。そして第二次世界大戦がはじまると日本に戻り、陸海軍の依頼で「作戦記録画」を制作します。今展では、代表作《アッツ島玉砕》を含む2点を展示。それまでの画風とはまるで違う迫力ある油彩画をぜひご覧になってみてください。しかし、これらの戦争画が原因となり、戦後、藤田は戦争責任を問われることになってしまいます。結局、彼は妻とともに日本を離れてフランスに行き、同地で国籍を取得。その後、日本に戻ることはありませんでした。晩年にはカトリックの洗礼を受けて「レオナール・フジタ」となり、宗教画を制作。さらに79歳でランスに『フジタ礼拝堂』(通称)をつくり、内部のフレスコ画装飾を仕上げました。81歳で亡くなった画家は、妻とともに今もその礼拝堂で眠っています。猫だけじゃない!フジタ作品の中の猫をモチーフにしたタオル藤田といえば猫と裸婦像のイメージで、南米時代の作品や戦後の活動などが取り上げられる機会は少なかったように思います。没後50年の節目で開催された今回の展覧会では、藤田の画業を総覧できるほか、晩年に制作した自宅用の食器や妻に贈った木箱など手づくりの品々も紹介され、彼の人生とその日常までも伝わってくる味わい深い内容になっています。画家の人生を知ることで、また作品についても新たな魅力を発見できるかもしれません。この展覧会では、ぜひ藤田画伯のドラマチックな人生も一緒に味わってみてくださいね。Information会期:~10月8日(月・祝)時間:9:30~17:30*金曜日は20時まで開室。(入室は閉室の30分前まで)休室:月曜日。25日(火)。ただし9月24日(月・休)、10月1日(月)、8日(月・祝)は開室。料金:一般¥1,600/大学生・専門学校生¥1,300/65歳以上¥1,000/高校生¥800/中学生以下無料※巡回情報:京都国立近代美術館2018年10月19日(金)~12月16日(日)
2018年09月21日2013年のヴェネチア・ビエンナーレでウォールストリートジャーナル紙が「必見の展示ベスト5」に挙げるなど、国際的な注目を集めた作家リー・キット。’16年には米国とベルギーで個展を同時開催。次世代アートシーンを牽引する彼の日本の美術館初の個展が始まった。彼を一躍有名にしたのは、布に絵の具でストライプや格子柄などを描いたシリーズ。彼は自分でペイントした布を何度も洗って、ある時はピクニックに、ある時は展覧会に持っていく。実用性も兼ね備えたこの作品はアートというより愛用品といった佇まいで、観る人にも親近感を与えた。また淡いパステルカラーに塗られた段ボールに、ニベアなどの生活用品のロゴをペイントしたシリーズも有名。こういった観る人それぞれの日常的な体験を呼び覚ます彼の作品は、アートをより身近なものにしてくれると評判だ。近年は絵画やドローイング、プロジェクター映像の他、家具や日用品等を配置した空間を淡い色調で仕上げた絵画のようなインスタレーションに力を入れるリー氏。「展覧会をするなら、開催地の歴史や空気感を大切にし、その場所だけのための作品を」という彼にとって、昭和の実業家・原家の私邸であり、第二次世界大戦時にはGHQに接収された歴史を持つ原美術館は、まさに最高の舞台。どんな展示が登場するのか、気鋭作家の日常の視点に注目したい。個展「Not untitled」(シュウゴアーツ、2017年)より「Only the wind」1978年、香港生まれ。2013年ヴェネチア・ビエンナーレ香港代表。’17年にはパリのパレ・ド・トーキョーで展覧会に参加するなど精力的に活躍。「リー・キット『僕らはもっと繊細だった。』」原美術館東京都品川区北品川4-7-25開催中~12月24日(月)11時~17時(祝日を除く水曜~20時、入館は閉館時刻の30分前まで)月曜(9/24、10/8、12/24は開館)、9/25、10/9休一般1100円ほかTEL:03・3445・0651(代)©Lee Kit, courtesy the artist and ShugoArts※『anan』2018年9月26日号より。文・山田貴美子
2018年09月21日『Art Of Soule(アートオブスール)』は、“フランスエスパ”の伝統を守ろうと立ち上がった二人のクリエイターによって生まれたブランドで、フランスらしい発想で色使いやプリント柄などに溢れ出る遊び心を盛り込んでいるのが特徴。 フランスの伝統的なエスパドリーユの生産地である、Soule(スール)地方はMauleon-Lichard(モレオン・リシャール)で彼らのシューズは作られています。 ブランド名に付された「Soule」は、モレオン・リシャールを含む地域の総称で、その名前に「スール地方の代表的なアートブランドとして発展したい」という願いを込められているそう。 “フランスエスパ”の伝統と、モダンで独創的なアイデアの融合 “フランスエスパ”の伝統と誇りにこだわる、『アートオブスール』のエスパドリーユ。しかしその一方で、クリエーションにおいてはそのセオリーとは全く違うアプローチで挑み続け、独創的なものが数多く生み出しているのはこのブランドならではの妙味。鮮明なトーンの無地やプリント、ストライプの色の組み合わせで、独特のアプローチで美しいリゾートシューズを生み出しています。 エスパドリーユ BIARRITZ ¥5,800 / Art Of Soule BIOを新たな価値観で提案する、“BIOHOTELSJAPAN”をスタート ヨーロッパビオホテル協会の公認を受け、日本で2013年5月に発足した、BIOHOTEL®。そのプロジェクトで『アートオブスール』は、“自然に還るエスパ”というもう一つのエスパドリーユを提案しています。 明治21 年創業の老舗綿織物メーカー『タケヤリ』のプロデュースする“オーガニック・コットン帆布”を採用したシューズで、通常「ハトメ」で留めるところを「縫製ステッチ」で留めることで“土に還る”コンセプトの実現を目指しているそう。素材の耳には、タケヤリ創業者の武鑓石五郎氏と、梅に連想するカラー(石がグレー, 梅が赤)の配色を施すことで130 年続く会社のルーツを伝える耳ありタイプと、生地耳を使わずかかとのグリップ感度を高めたパイピングタイプの2種類で展開。生地耳タイプは、4足に1足しか作れない希少で貴重なモデルです。 エスパドリーユ FAMILLE BIO ¥8,900 / Art Of Soule ×BIO HOTEL×TAKEYARI 『アートオブスール』のエスパドリーユの靴底のジュートは、素足でもベタつくことのないドライ感で快適な履き心地。更に、バスクリネンが靴内の湿度を逃がしてくれるのも特長。また、ソールの反りが良いため、ドライビングシューズとしても重宝します。一度、その快適さを味わえばきっと手放せなくなるはず! 外履きとしてだけでなく部屋履きにも最適。夏だけのシューズにするのはもったいない!そう思いませんか? Art Of Soul03-6447-4785(フライオン):Hiroshi Nakamurastyling:Saori Ikedatext : Akira Watanabe
2018年09月15日これからの行楽シーズンに欠かせない “お弁当”。そのさまざまな魅力を体感できる参加型の展覧会『BENTO おべんとう展―食べる・集う・つながるデザイン』が現在、上野の東京都美術館で開かれています。インスタでもちょっと話題になっている展覧会、その様子を取材してきました!どんな展覧会?【女子的アートナビ】vol. 124『BENTO おべんとう展―食べる・集う・つながるデザイン』では、おなじみの “お弁当” をコミュニケーション・デザインの視点からとらえ、写真や映像、参加型のインスタレーション作品などで紹介。歴史や食文化など、知っているようで知らないお弁当の魅力を、見て感じて再発見できる楽しい展覧会です。まずはお弁当箱!最初の展示室でまず目に入るのが、江戸時代など昔のお弁当箱。インパクトが強めのものも並んでいます!例えばこちらは、個人蔵の《楼閣型弁当》。沈金(ちんきん)という技法を使って、楼閣の広間などが描かれています。このお弁当箱、いったいどんな構造になっているのか、どこにおかずを詰めるのか気になりませんか? 会場では分解された写真も一緒に展示されているので、ぜひ確認してみてください。さらに、手袋をつけて触れるお弁当箱もあります。実際手にしてみると、質感や温もりなどが感じられて楽しいです!お弁当の精霊がかわいい~!次の章では、現代作家2名によるインスタレーション作品が展示されています。まず、オランダで活動されているイーティング・デザイナー、マライエ・フォーゲルサングさんの作品《intangible bento》(2018)から体験。体験前に、係の人から音声ガイドのような機械「精霊フォン」を借りてください。これで精霊の声を聞きながら、リボンで囲まれたbentoの世界に入っていきます。作品を上から見ると、こんな感じ。ひとつひとつがお弁当箱のようになっています。このリボン空間の中に何が入っているのかというと……例えばこんな感じのかわいい精霊に会えたりします! 精霊は全部で10種類いて、ふだんは見えないお弁当のさまざまな側面について、語ってくれます。“おすそわけ” を楽しむ!続いて上の階に行くと、展示室内に市場のような空間が広がっています。これは、北澤潤さんのインスタレーション作品《FRAGMENTS PASSAGE ―おすそわけ横丁》(2018)。 “おすそわけ” しながら人とつながっていくお弁当のマインドを空間で表現したもので、アジアの屋台風の場所に雑貨や服、本、玩具など、さまざまなおすそわけ品が並んでいます。そして、ここでは来場者も “おすそわけ” に参加できるんです! 家におすそわけしたい品がある人は、まずスタッフの方に声をかけてください。そして専用ボックスを預かります。なぜおすそわけしたいのか、そのストーリーもぜひ考えてみてください。あとは品物を持ってくればOK。再訪の際、このボックスを入口で見せると、2回目の入場料は無料になります。ちなみに…、もしおすそわけしてもらいたいモノがあった場合は、スタッフの方に相談してみてくださいね。来場者のおすそわけ品で、展示風景も変わっていきます。美術館での貴重なおすそわけ体験、参加して知らない誰かとつながってみるのも楽しいですよ。父娘のお弁当にほっこり最後の章では「お弁当から考えるコミュニケーション・デザイン」と題して、森内康博さんの《Making of BENTO》(2018)と小山田徹さんの《お父ちゃん弁当》(2017)の写真や映像などが展示されています。小山田さんは、幼稚園に通う息子さんのためのお弁当を、小学生の娘さんが描く指示書に従って作っています。その記録がパネルになっているのですが、これが本当におもしろい。娘さんが出すテーマは動物や植物などシンプルなものから「光合成」や「傾斜地層」など学校で習ったことまでバラエティに富んでいます。どんなテーマでも、お父ちゃんはおいしそうなお弁当に仕上げています。父娘が小さな弟に喜んでもらおうと作業している姿が目に浮かび、なんとも言えずほほえましい気持ちになります。時には「おじさん犬弁当」など無茶振りされても見事に完成させるお父ちゃん、かっこいいです!すべての展示を見終わると、改めて “お弁当” という食文化の奥深さに気づきます。大切な誰かのためにつくるのも、また誰かにつくってもらうのもうれしいお弁当。人と人をつなぐ最強ツールの新たな魅力を会場で発見してみませんか?Information会期:~10月8日(月・祝)時間:9:30~17:30*金曜日は20時まで開室。入室は開室の30分前まで。休室:月曜日。9月18日(火)、25日(火)。ただし9月17日(月・祝)、24日(月・休)、10月1日(月)、8日(月・祝)は開室。料金:一般¥800/大学生・専門学校生¥400/65歳以上¥500/高校生以下無料*10月1日(月)は「都民の日」によりどなたでも無料
2018年09月14日9月5日(水)から、松屋銀座8階のイベントスクエアで『田園の快楽玉村豊男展』がはじまります。玉村さんは、長野の里山に移住した人気エッセイスト。画家としても活躍し、さらにワイナリーのオーナーもされています。そんな彼のステキなライフスタイルを展覧会でご紹介します!玉村豊男さんって?【女子的アートナビ】vol. 123玉村さんは1945年、日本画家・玉村方久斗(ほくと)氏の末子として東京都杉並区に生まれます。東京大学仏文科に入学し、在学中には2年間パリに留学、卒業後は通訳・翻訳業を経てエッセイストとして活躍されています。執筆のテーマは、旅や料理、田舎暮らしなど実にさまざま。味わいのある内容を軽やかな文体で表現され、新聞や雑誌での連載のほか、単行本も多く出版。この夏には新刊『新 田園の快楽』(世界文化社)と『はじめて描く人へ花の水彩画レッスン』(KADOKAWA)も刊行されました。自然豊かな長野での暮らし1983年から長野県の軽井沢町で生活し、その後は同・東御(とうみ)市に移住した玉村さんは、ハーブなどを栽培する農園をはじめます。さらに、果実酒製造免許を取得し、カフェやショップなどを併設した『ヴィラデスト ガーデンファーム アンド ワイナリー』もオープン。また『日本ワイン農業研究所』を創立し、栽培醸造経営講座「千曲川ワインアカデミー」も主宰するなど、精力的に活動されています。展覧会では、ワイナリーやぶどう畑、ステキなキッチンの写真などが紹介されるほか、実際に使われている愛用の品々も展示。緑豊かな里山や、居心地のよさそうなリビングの写真を見ているだけで、さわやかな気分になってきます。また、会場にはワイナリーガーデンの一部も再現されるとのこと。銀座にいながら憧れの里山暮らしを体感できそうです。新作12点も展示!玉村さんは、画家としても活躍されています。1987年より、高校以来中断していた絵画制作を本格的に再開され、2007年には箱根芦ノ湖畔に『玉村豊男ライフアートミュージアム』がオープン。作品のモチーフは、身近な植物やパリをはじめとした海外の風景などで、特に玉村さんが日常的に慈しみ育てているぶどうの絵は人気があります。今回の展覧会では、新作12点を含む絵画のほか、版画も含めて約70点の作品を展示。やさしい色彩で描かれた花や植物の水彩画は、眺めていると気持ちが癒されていく心地よさがあります。玉村作品には女子のファンも多く、また、花の絵がデザインされた文具や食器などのグッズも大人気。今回、同展のショップでも販売される予定です。夏の終わりに、銀座で里山のライフスタイルを体感してみてはいかが?クレジット:・画像2枚目~4枚目:撮影 鈴木一彦・画像5枚目:「ぶどうの時間」(鉛筆・水彩) ©TOYOO TAMAMURAInformation会期:2018年9月5日(水)~10日(月)開催時間:10:00~20:00 9月9日(日)は10:00~19:30。最終日は17:00閉場。入場は閉場の30分前まで開催場所:松屋銀座8階イベントスクエア料金:大人¥1,000/高校生¥700/中学生¥500/小学生¥300
2018年09月04日1987年から連載が始まった人気マンガ『ジョジョの奇妙な冒険』で、日本のみならず、今や世界からその才能を認められている、マンガ家の荒木飛呂彦氏。彼の圧倒的な画力と、オリジナリティ溢れる世界観を体感できる展覧会が開催される。ジョジョから広がる“奇妙な世界”を堪能。今回展示されるのは、荒木氏がこの展覧会のために描き下ろした新作大型原画12枚をはじめ、初公開を含む原画や関係資料など。誕生から30年という長い歴史を振り返る〈ジョジョクロニクル〉、主人公とライバルの信念を感じる言葉やシーンが並ぶ〈宿命の星 因縁の血〉などの展示に加え、美術家であり彫刻家の小谷元彦氏、『ANREALAGE』デザイナーの森永邦彦氏、ビジュアルデザインスタジオのWOWといったアーティストとのコラボ作品も。さらに、荒木氏の創作の秘密に迫る展示もあるそう。ファンにとっては垂涎の内容!今回はオリジナルグッズが多数揃っており、さらに近隣のカフェではコラボメニューも味わえる。荒木氏による唯一無二の『ジョジョ』ワールドを、思い切り体感できる!『荒木飛呂彦原画展JOJO冒険の波紋』国立新美術館 企画展示室2E東京都港区六本木7-22-2開催中~10月1日(月)10:00~18:00(金・土曜~21:00、入場は閉館の30分前まで)火曜休一般1600円ほか(完全日時指定制・会期前に完売の各回の当日販売はなし)TEL:03・5777・8600(ハローダイヤル)11月には大阪に巡回。 ©荒木飛呂彦&LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社『ジョジョの奇妙な冒険 Part8 ジョジョリオン』ご朱印帳¥1,800(税込み)©LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社※『anan』2018年9月5日号より。(by anan編集部)
2018年08月30日10月6日から京都で開かれるイベント「KYOTO NIPPON FESTIVAL 2018」の記者会見に乃木坂46の秋元真夏さん、桜井玲香さん、若月佑美さんが出席。「POPと挑戦」をテーマに現代美術家や刀剣乱舞ともコラボする3人が意気込みを語りました!「KYOTO NIPPON FESTIVAL 2018」とは?【女子的アートナビ】vol. 122「KYOTO NIPPON FESTIVAL」とは、京都の伝統や文化を土台に、現代美術家やPOPカルチャーとコラボしながら日本のアートや食文化、音楽の魅力を発信していくイベント。今回で3回目となり、会場は昨年に引き続き北野天満宮で開かれます。イベントの目玉は、北野天満宮の文道会館で開かれる乃木坂46のメンバーと現代美術家のコラボギャラリー展。現在活躍中のアーティスト、川人綾さん、北林加奈子さん、島田清夏さんが “日本の美” を展示します。(上の写真は北林加奈子さんの作品)また、華道家元池坊や京都吉兆、さらには今回初めて「刀剣乱舞-ONLINE-」とのコラボ展示も実現。さまざまな楽しいカルチャーを体験できるイベントです。乃木坂46メンバーが登壇!記者会見では、京都市 市長の門川大作さんや華道家元池坊 次期家元の池坊専好さんらとともに乃木坂46の秋元真夏さん、桜井玲香さん、若月佑美さんが登壇。今回のコラボについて、それぞれコメントしました。京都吉兆とコラボして料理を担当する秋元さんは「旅行とかプライベートで京都に行っている」と京都好きであることを明かし、「昔から大切にされてきた歴史や文化を皆さんに教えていただき、それを吸収して私たちの世代やもっと若い世代にも伝えていきたい」と意気込みを語りました。若月さんはアート担当!また、二科展などにも入選している芸術家肌の若月さんは、今回アートを担当。イベントのテーマ「POPと挑戦」について問われると、「アイドル自体が毎日いろいろ新しいことをしていかなければいけない挑戦な日々」といい、「音楽やダンスなどでPOPを生み出していくことを日ごろしているので、そういうものをアートとして新しい形で出したい」とコメント。さらに「新しいものを探しがちなのですけど、逆にこうして日本が伝統的に大事にしてきた文化をたくさんのプロの方に教えていただいて、それを組み合わせていいものを作れたらいいな」と抱負を語りました。桜井さんは生け花!そして、中学・高校と華道部にいたことのある桜井さんは、池坊さんとコラボして生け花にチャレンジするとのこと。「レベル的には初心者同然ですけど、ふだんアイドルをやっているなかで華道を習っていたというのを披露する場面がなかったので……」と今回のコラボをとても喜んでいる様子。「まさかの池坊さんとご一緒なので、かなりレベルが上がってしまった感じがあるのですが、なんとなく、こういうのをやりたいなというイメージは膨らんでいるので、楽しんで作っていきたいと思っています」と声を弾ませていました。ちなみに、記者会見には「刀剣乱舞」の着ぐるみ「おっきいこんのすけ」も出席。フォトセッション前の空き時間に、華道家元池坊がプロデュースする “イケメン” 男子華道グループIKENOBOYSと戯れるひとコマもありました。こちらは、フォトセッションの写真です。囲み取材では「吉本坂46」にリクエストも…記者会見後に行われた囲み取材では、坂道グループの第3弾として先日お披露目された「吉本坂46」が話題に。秋元さんは「急に巨大勢力みたいなのが出現して……おもしろいので負けていられない」とライバルの登場に焦りのコメント。坂道グループとして認めているか?と問われると、「いつか『インフルエンサー』を完璧に踊ってほしい。そしたら、もう坂道グループの一員です!」とリクエスト。若月さんと桜井さんも笑いながら「それは見たいかも~!」と同意していました。また、“後輩アイドル” にアドバイスを求められると、若月さんは「えー、アイドルなの?」といいつつ「私たちはダンスや歌はできるけどMCは四苦八苦している。そこは長けていらっしゃると思うので」と新グループにエールを送っていました。以上、「KYOTO NIPPON FESTIVAL 2018」の記者会見レポートでした!Information【KYOTO NIPPON FESTIVAL 2018】会期:2018年10月6日(土)~12月2日(日)開催場所:北野天満宮 文道会館
2018年08月26日カナダ経済の中心地でカナダ最大の都市・トロントは、住民の半数以上がカナダ以外にルーツを持つという真の国際都市。トロントはトロント国際映画祭が開かれる映画の街としても知られていますが、世界有数のアートな都市としても有名。この時期は特に個性的な展覧会が目白押し!トロントのおすすめアートスポットをご紹介します。世界的アーティスト、バンクシー(BANKSY)のエキシビションが開催中!このためだけにトロントを訪れてもいい!と思ったのが、バンクシーのアートエキシビション『THEARTOFBANKSY』がです。工業ビルを改装した大きな建物の中に、バンクシーの作品80点以上が展示されています。とても広い会場に作品がぎっしり覆面アーティストとして活動し、神出鬼没なバンクシーの作品をまとめて見られることはかなり稀。展覧会に出品されている作品は、ロンドンやロサンゼルスのセミナーに作品や、世界中のアートコレクターからこの展示のために集められたものです。同じモチーフの作品を、さまざまなアプローチから見ることができる風船の女の子や、花束を投げる兵士、ミュージシャンたちとのコラボ作品など、さまざまな作品が展示されています。会場もとても広く、作品を見て回るだけでも2~3時間かかりました。バンクシーを代表する作品も多数この展覧会の企画を立てたのはバンクシー本人ではなく、バンクシーの元マネージャーのスティーブ・ブライデス氏。そしてなんと6月10日には、今回の展示作品の中の1作品が盗難被害にあったとして国際的なニュースにもなりました。何かと波乱含みですが、バンクシーの作品を一度にこれだけ見られる機会は、またとないチャンス!ぜひ訪れておきたいスポットです。【THEARTOFBANKSY】●住所:213SterlingRd,Toronto●電話:+1-855-323-7878●開場時間:日~水11:00~19:00、木~土11:00~20:00●休館日:なし●入館料:35CA$/大人、32.5CA$/シニア・学生、無料/5歳までTHE ART OF BANKSYマノロ・ブラニクの特別展も!世界の靴が大集合女心をつかんで離さないミュージアムが、1万点以上の靴が展示されている世界最大規模の靴の博物館〔バーター靴博物館(BataShoeMuseum)〕です。《バーター(Bata)》とは世界的に有名な靴メーカーで、バーターの社長夫人で靴のコレクターだったソニア・バータさんの膨大な靴コレクションをもとに1995年に〔バーター靴博物館〕を設立しました。紀元前数千年前に発見されたエジプトの靴から、中国の纏足文化時代の靴、日本の祭事に使われる靴など、学術的・文化的にも貴重な靴から、ハリウッドセレブやバスケのスーパースターのバスケットシューズまでもりだくさん。館内には膨大な量の靴があるのですが、ソニアさんの靴への愛着が伝わってくるような展示方法で、見ていてまったく飽きません。歴史的にも貴重な靴から現代ファッションとしての靴までずらりさらに、2019年1月6日までは、女性憧れのシューズブランド《マノロ・ブラニク》の企画展『MANOLOBLAHNÍKTHEARTOFSHOES』が開催されています。《マノロ・ブラニク》の美しい靴はもちろん、スケッチワークや実際に靴を作る工程が分かる木型の展示、本人のインタビュー映像などを見ることができます。アート級のお値段がする靴ですが、実際にその工程を目にすると、たしかに高いのは納得……といった感じ。マノロ・ブラニクのアートのような美しいスケッチや、気が遠くなるような職人の工程を知ることができる昔のハリウッド女優の靴の横に置いてあったとしても通用するような存在感。乙女な世界にどっぷりつかれること間違いありません。【BataShoeMuseum】●住所:327BloorStreetWest,Toronto●電話:+1-416-979-7799●開場時間:日~水・土10:00~18:00、金10:00~21:30、日12:00~17:00●休館日:なし●入館料:14CA$/大人、12CA$/シニア、8CA$/学生、5CA$/子ども(5~17歳)、無料/4歳までBata Shoe Museum併設カフェやレストランも人気!器の世界にうっとりテーブルセッティングが楽しくて仕方ない。そんな人におすすめなのが、15~19世紀のヨーロッパの陶磁器を集めた〔ガーディナー陶磁器美術館(GardinerMuseum)〕です。カナダのスターシェフ、ジェイミー・ケネディ氏がプロデュースしてたカフェが併設され、されていることでも有名。今年8月には美術館併設の《クレイ(CLAY)》レストランがリニューアルオープン予定ということで、工事の真っ最中でした。館内にはイタリアのマジョルカ陶器やドイツの《マイセン》など、陶磁器マニアにはたまらない貴重な品が展示されています。年代別に少しずつ変化していく食器の変遷がわかっておもしろい個人的に一番のツボだったのが、モンキーオーケストラ。かなりリアル地下の教室では、ワークショップのプログラムも多数用意されているので、時間があれば参加するのも楽しそうです。【ガーディナー陶磁器美術館】●住所:111Queen’sPark,Toronto●電話:+1-416-586-8080●開場時間:月~木10:00~18:00、金10:00~21:00、土・日10~17:00●休館日:なし●入館料:15CA$/大人、11CA$/シニア、9CA$/学生、無料/子どもガーディナー陶磁器美術館美しい布の世界を堪能したい!13000点以上のコレクションを誇る〔テキスタイルミュージアム(大オブカナダ(TextileMuseumofCanada)〕は、布や衣服を通して私たちにさまざまななことを考えさせてくれる美術館ですカナダへ移民してきた人たちの文化を布からたどる展示テーマごとに展示されているコレクションは、見る側へのアプローチ方法もユニーク。楽しみながら布について学ぶことができます。展示品の周りには、それぞれが感じたキャプションを書いていきますみんなで完成させようという作品もアートなテキスタイル作品コーナーもギフトコーナーも充実していました当時の手仕事を感じる貴重な布や、現代アートとしてのテキスタイルなど、さまざまな布の魅力に出会うことができる場所です。ウェブサイトでは、過去の展覧会の詳細が確認できるので、まずはチェックしてみて。【TextileMuseumofCanada】●住所:55CentreAvenue,Toronto●電話:+1-416-599-5321●開館時間:平日11:00~17:00、水11:00~20:00●休館日:なし●入館料:15CA$/大人、10CA$/シニア、6CA$/学生Textile Museum of Canada街並みのアート散策も楽しいトロントの街中アートのランドマーク的な存在が、《セントローレンスマーケット(St.LawrenceMarket)》から徒歩5分ほどの場所に建つ《グッダーハムビルディング(GooderhamBuilding)》、通称《フラットアイアンビル》です。上から見ると細長い三角形をしている特徴的なビルビルの後ろ側に描かれたイラスト。中には本物の窓も!ビルの後ろには、本物の窓に混じってトリックアートが描かれています。そして、このビルのすぐ隣にある《バークジーパーク(BerczyPark)》に今年誕生して話題をさらっているのが、黄金の骨が輝く犬の噴水です。ワンちゃん大集合。子どもから大人まで大人気の噴水たくさんのワンちゃんたちが、骨を見上げている姿がかわいい!中には猫も1匹まじっているので、探してみてくださいね。食べ歩きやお土産物探しが楽しめる〔セントローレンスマーケット〕〔セントローレンスマーケット〕は、昔からトロント市民の台所として愛されている市営の市場。イートインスペースもたくさんあり、メープルシロップなどのお土産もたくさんあって、おすすめのスポットです!カナダへは、デルタ航空のデトロイト経由で乗り継いできたのですが、デトロイト空港内のトンネルが、かなりアートで楽しめました。音楽とライトアップで楽しませてくれるデトロイト・メトロポリタン空港内のトンネル【取材協力】●デルタ航空●オンタリオ州観光局デルタ航空オンタリオ州観光局●写真・文美濃羽佐智子
2018年08月25日六本木ヒルズで9月1日から期間限定で『EVs+cafe(イーブイズ プラス カフェ)』がオープンします! ここでは、女子に人気のかわいいポケモン“イーブイ”とその進化形たちが有名クリエイター9組とコラボ。ポケモンキャラクターのデザイナーによる初公開のアート作品も見られます!9日間限定! コラボカフェ【女子的アートナビ】vol. 121『EVs+cafe(イーブイズ プラス カフェ)』が開催されるのは、六本木ヒルズにあるヒルズカフェ/スペース。9月1日から9日までの9日間限定でオープンします。“イーブイ”は『ポケットモンスター』シリーズに登場する人気キャラクターのひとつ。シャワーズ、サンダースなど8種類ものポケモンに進化する珍しいモンスターで、つぶらな瞳やモフモフした見た目がとってもキュート。女子にも大人気のポケモンです。9匹と9組がコラボ!今回のカフェでは、イーブイとその進化形たち全9 匹のポケモンと9組の人気クリエイターがコラボ。彼らの作品が会場で一挙に展示されます。特に注目したいのは、『ポケットモンスター』シリーズのキャラクターデザインを担当する杉森建さんがアナログ着彩した初期のアートボード20点。こちら、なんと初公開とのこと。やわらかい色彩で描かれたイーブイが何ともいえず愛らしいです。モフモフ感もアナログならではの優しい仕上がり。ファンにはたまりませんね。また、人気絵本作家で画家のヒグチユウコさんが手がけたというレアな作品も登場。ファンタジックでかわいいポケモンは必見です!ほかにも、アートディレクターの佐野研二郎さんによるシャープなイーブイや、日本の古典絵画と現代風俗をミックスさせた「ニッポン画」で知られる画家・山本太郎さんのアートなど、豪華クリエイターによる個性豊かな作品たちが会場で待っています。参加クリエイター:杉森建、ヒグチユウコ、福田利之、山本太郎、コンドウアキ、キューライス、KUNIKA、佐野研二郎、BEAMS(敬称略、順 不同)限定豆乳ソフトもかわいい~また、会場ではタニタカフェが監修した豆乳ソフトクリーム(¥600・税込)が限定で販売されます。オーガニック豆乳を使っているというヘルシーなソフトクリームは見た目もキュート。イーブイたち9匹のイメージにあわせた自家製ソースがかけられ、さらに9種のトッピングから好きなものを選べるとのこと。かわいくておいしくてヘルシーで、女子にぴったりのスイーツです!グッズもかわいい~そして、カフェではクリエイターの作品をもとにした記念オリジナルグッズも購入できます。イーブイがデザインされたスマホケース(¥3,024・税込)やマグカップ(¥3,780・税込)、クリアファイル(各¥270・税込)など大人の乙女心を刺激するものがいっぱい!さらに、今回の展示作品をすべて収録した初回限定書籍『EVs(イーブイズ)』(¥1,620・税込)も会場で先行販売されます。イーブイの新たな魅力を発見できるカフェに足を運んでみては?Information会期:2018年9月1日(土)~9日(日)の9日間開催時間:午前11時~午後9時入場料:無料開催場所:六本木ヒルズヒルズカフェ/スペース©2018 Pokémon. ©1995-2018 Nintendo/Creatures Inc. /GAME FREAK inc.ポケットモンスター・ポケモン・Pokémon・モンスターボールは任天堂・クリーチャーズ・ゲームフリークの登録商標です。
2018年08月25日夏休みシーズンもいよいよ終盤、この時期オススメのお出かけスポットは日本科学未来館で開かれている企画展『デザインあ展 in TOKYO』。見るだけでなく、ワイワイ楽しめる体感型展示もあります!デザインを体感!【女子的アートナビ】vol. 120デザインと聞いて何をイメージしますか?女子にとって身近なのはファッションデザインやインテリアデザインなどですが、実は身の回りにはさまざまなデザインがあふれています。そんなデザインについての考え方を映像で楽しく学べるNHK Eテレの人気番組『デザインあ』のコンセプトを体感できるのが今回の展覧会。「みる」、「考える」、「つくる」ことが生み出す豊かさを感じ取り、感性や想像力を磨ける場としてあらゆる世代で楽しめる展示になっています。展示室に入ってみます!広~い展示室内はABCの3つのエリアに分かれています。まずはA「観察のへや」からスタート。身の回りに存在するモノ・コトから「お弁当」「マーク」「容器」「からだ」「なまえ」の5つがテーマに選ばれています。お弁当といえばたまご。《たまごの変身》(パーフェクトロン)は、調理のやりかたでたまごの形がさまざまに変化していく様子を作品にしています。こちらの展示は《抽象度のオブジェ》(岡崎智弘+スタンド・ストーンズ)。この見慣れたトイレマークが、もしリアルな男女の姿をしていたら……かなり違和感があります。こんな人物マークがトイレの扉に示されていたら非常に使いづらいです。このレベルでもイヤ……。抽象化されシンプルなマークになっているから、「誰でも使っていい」と感じられるんですね。デザインのおかげで使いやすくなっているモノやコト、気づいていないだけで、ほかにもたくさんありそうです。こちらも遊べる作品《名は顔をあらわす》(大日本タイポ組合+奥田透也)。自分の名前を入力すると、文字で顔をつくってくれます。似てる? 似てない? とワイワイ盛り上がること間違いなし!「体感のへや」へ続いては、「体感のへや」へ。ここでは、四方の壁面いっぱいに映し出された映像を音楽と一緒に楽しめます。この映像は、《「あ」のテーマ》(中村勇吾/音楽:小山田圭吾)。「あ」という文字がさまざまに変化していきます。360度「あ」の世界になり、音楽も映像も超クールです!こちらは《ガマンぎりぎりライン》(柴田大平/合唱制作:福島康晴)。掃除機がゴミを吸い取るまでのところを段階的に映像化し、別の壁には場を盛り上げる曲を歌うコーラス隊が映し出されています。この映像空間のおもしろさは写真では伝えきれません。全部で4タイプの映像作品が出てくるので、ぜひ現地で体感してみてください。最後は「概念のへや」ちょっと難しそうなタイトルですが、ここでは「くうかん」「じかん」「しくみ」の3つがテーマになっています。まずは「じかん」の展示室。じかんという概念をデザインの視点で体感できる空間で、時の流れを映像アニメーションで見たり、じかんを表現するさまざまな形を観察することができます。こちらは「くうかん」を表す作品のひとつ、《ト~~イレ》(plaplax+齋藤雄介)。別の角度から写真を撮ると……異常に長いトイレです! こんなに空間あったら落ち着かないし、なによりもまず紙に手が届かない! トイレって理想的な狭さにデザインされていたのですね。とても楽しかった作品が《しくみ寿し》(パーフェクトロン+柴田大平)。回転寿司のしくみが、もし違っていたらどうなるのか……。例えば「偶然寿し」を見てみます。寿司が食べられるかどうかはルーレットでの運次第。板前さんがルーレットの外で寿司を握り、客のほうが回っています!こんなふうに、普段何気なく使っているモノもコトもすべて使いやすいようにデザインされている……と気づかせてくれるのがこの展覧会のポイント。さまざまな展示を見て遊んでいるうちに、感性が磨かれていきます。身の回りにあるデザインに気づくと、今度は自分で日常生活や仕事を新しくデザインできるようになるかもしれません。楽しみながら感性を磨ける展覧会は10月18日まで。Information展覧会名:企画展『デザインあ展 in TOKYO』会期:~10月18日休館日:9月4日、9月11日、9月18日、9月25日、10月2日、10月9日、10月16日時間:10:00~17:00(土曜、祝前日は20:00まで開館。常設展は17:00に終了。入場は閉館の30分前まで)会場:日本科学未来館料金:大人 ¥1,600/小学生~18歳以下¥1,000/3歳~小学生未満¥500/2歳以下無料
2018年08月22日いつもは国内のアート情報をご紹介している『女子的アートナビ』、今回は夏の番外編!デンジャラスな男が大好きなライター・田代が、西洋美術史上もっともワイルドといわれる画家、カラヴァッジョの足跡をたどり、シチリア島に行ってきました!カラヴァッジョが逃亡したシチリアへ【女子的アートナビ】番外編カラヴァッジョ(本名:ミケランジェロ・メリージ 1571~1610)は美術史に名を残す天才画家。でも、本当にデンジャラスな男で、けんかや暴力は日常茶飯事、はては殺人までおかして逃亡する……という何ともハチャメチャな人生を送った人です。そして、彼が残した作品も半端ない凄さ。神々しさと荒々しさが渾然一体となり、見ていると自然に涙が流れてしまう感動的な絵もあります。彼の魅力にすっかりハマってしまった私は、数年前からカラヴァッジョの足跡をたどる旅を開始。2018年の夏は、彼が殺人や傷害事件を起こしたあとに逃亡したシチリアまで行ってきました。逃亡ルートは?カラヴァッジョはローマで殺人をおかして死刑宣告を受けたあとナポリ、マルタ島へと逃亡。さらにマルタでも事件を起こし投獄されますが、脱走してシチリア島のシラクーザ→メッシーナ→パレルモへと逃げていきます。マルタ騎士団の刺客に狙われながら再びナポリに行き、恩赦を求めてローマへ戻る途中で亡くなった……といわれています。まずはメッシーナへ!今回私が訪れたのは、彼の作品が現存するメッシーナとシラクーザ。まずはシチリア島への玄関口として栄えた港町、メッシーナへ行きました。カラヴァッジョ作品が展示されているのは、メッシーナ州立共同美術館。メッシーナ駅からトラムに乗車し、終点のMuseo(美術館)駅で降りて徒歩数分で美術館に到着します。美術館の外観です。ここに所蔵されているカラヴァッジョ絵画は《ラザロの復活》と《羊飼いの礼拝》の2点。美術館の至宝なので、これらの作品だけ特別な空間に展示されています。カラヴァッジョ作品に会えた!こちらが特別展示室。大作が2点も並んでいます!《ラザロの復活》(写真左)は、死んで4日たったラザロがイエス・キリストの呼びかけで生き返るという場面を表した絵。画家はモデルとなる遺体を掘り起こして描いたといわれています。写真では伝わりづらいですが、本物はラザロの描写が実にリアル。人間が腐敗した臭いまで漂ってきそうな凄みがありました。いっぽう《羊飼いの礼拝》(写真右)には出産直後の聖母と幼子イエスが描かれているのですが、こちらの絵にも明るさはありません。カラヴァッジョがメッシーナに滞在したのは1608~1609年の間。亡くなったのは1610年なので、どちらも最晩年に描かれたものです。命を狙われながら逃亡を続けるカラヴァッジョの重い気持ちが絵に表れているようでした。※写真はメッシーナ州立共同美術館の許諾を得て掲載。無断複製は禁止されています。Su concessione della Regione Siciliana, Assessorato dei Beni Culturali e della Identità siciliana - Dipartimento dei Beni Culturali e della Identità siciliana- Polo Regionale di Messina per i Siti Culturali - Museo interdisciplinare di Messinaちなみに、メッシーナの見どころはドゥオーモ(大聖堂)とその近くにあるオリオンの噴水。もともとメッシーナは歴史ある港湾都市でしたが、1908年の大地震や第二次世界大戦の空襲などにより歴史的建造物が多く失われてしまったそうです。元カレのいたシラクーザへ続いて訪れたのは、古都シラクーザ。メッシーナから列車に乗って3時間ほどで着きます。カラヴァッジョがこの町に逃げてきた理由のひとつは、舎弟で元カレともいわれている画家仲間、マリオ・ミンニーティが住んでいたから。シラクーザのオルティージャ島にあるマリオ・ミンニーティ通りこのマリオ君はシラクーザ出身で、ローマでカラヴァッジョと一緒に暮らしていたこともあるイケメン画家。カラヴァッジョは彼をモデルにした作品も残しています。ただマリオ君はローマでは活躍できず、地元に戻って画家として活動していたところにカラヴァッジョが逃げ込んできました。1608年の後半から数カ月間、逃亡者はこの地に滞在していたそうです。元カレを匿い、絵の仕事もあっせんした優しいマリオ君のおかげで、シラクーザにはカラヴァッジョの大作《聖ルチアの埋葬》が残っています。現在その作品はシラクーザの中心地、オルティージャ島のドゥオーモ広場に建つサンタ・ルチア・アッラ・バディア教会(写真上)で見ることができます。(教会内の写真撮影はNGでした)こちらは観光名所のひとつ、サン・ジョヴァンニのカタコンベ(地下墓地)に隣接する地下礼拝堂の入り口。カラヴァッジョは、この礼拝堂を参考に《聖ルチアの埋葬》の背景の一部を描いたといわれています。ちなみに、シラクーザは古代ギリシアの植民都市として繁栄したこともある古代都市。紀元前5世紀ごろに建造されたギリシア劇場など見どころも多く、世界遺産にも登録されています。名所のひとつ、ネアポリス考古学公園の石切り場には、カラヴァッジョが名づけたといわれる「ディオニュシオスの耳」(写真上)もあり、多くの貴重な遺跡を見ながら天才画家の足跡をたどれます。シチリア料理も半端なかった!最後に、シチリアで味わった超絶品の海の幸をご紹介! 今回は海に面したメッシーナとシラクーザを旅したので、どこでも新鮮な魚介類を食べられたのですが、なかでも感動的だったレストランがシラクーザ・オルティージャ島の海沿いにある『ラ・カンブーサ』さんです。シラクーザ在住の日本人女性、秋草奈緒子さんが経営するお店で、とれたての魚介を使ったシチリア料理や和食もいただけます。ムール貝などがたっぷり入った海鮮パスタやウニ山盛りのパスタ、大きなエビを丸ごと食べられる料理など、おいしいものだらけ。日本語で料理の説明もしていただけて、分量の調整などもご提案くださるので、好きなものをいろいろ食べられました。そして、レストランの席からは美しい海辺のサンセットも見られます!日没後の景色にもうっとり♡ 夢のようにステキなディナーを楽しめました。シチリアロスに…はじめて訪れたシチリア島ですが、イタリア本土とはまた違う異国情緒たっぷりの雰囲気で、時間がゆったりと流れていました。島の人たちはみな優しくておおらか。電車やバスが時間どおりに来なくても、誰もイライラしていません。私が通っている都内のイタリア語教室では、シチリアに行った人はみな帰国すると “シチリアロス” に陥ると話していましたが、今まさにその状態。カラヴァッジョ目的で訪れたのですが、アート以外にも魅力的なもの・おいしいものがたくさんあり、恋しくてたまりません。ぜひ一度 “シチリアロス” を経験してみませんか?
2018年08月18日何度足を運んでも欲しいものが見つかるイケア!デザインやユニークなアイデア商品など常に新しいものを生み出しているエネルギーを感じるから、行くたびにワクワクするんですよね。そんなイケアがまたしても新しいことに挑戦!世界を代表するカメラブランド「ハッセルブラッド」とタイアップし、新コレクション「NORRHASSEL/ノッルハッセル」の販売を開始しました。カメラブランドとコラボって、いったいどんな商品なの?というわけで、販売開始を記念したプレス発表会に行ってきました!■ 写真をもっと楽しもう!新コレクション「NORRHASSEL/ノッルハッセル」アートをもっとたくさんの人に楽しんでもらいたい!そのための企画やチャレンジをイケアは積極的に行なっています。イケアが行った暮らしに関する調査「Life@Home レポート」によると、住まいに対してその昔はいかに機能的かを求めていましたが、現在は感情面に重きを置く傾向があるようです。心を休められる、落ち着く空間作りへと変わってきているのですね!部屋は創造性をかきたててくれるとても大切な場所。アートを飾ってもっと想像力を豊かに育ててもらいたい!というイケアの願いから生まれたのが今回のノッルハッセルコレクションです。でも、写真を部屋に飾るってとてもハードルが高そう。ですが、素敵なインテリアの部屋を丸ごと一つ再現して、写真作品をカッコ良くバランス良く飾っているのはさすがイケア!部屋の内装や小物に至るまで、とても落ち着く素敵な空間でした!もちろん、すべてイケアの商品です!■ 日常生活に取り入れることでもっと身近に写真を楽しめるハッセルブラッドのマーケティングマネジャーBronius Rudnickas氏世界を代表するカメラブランド「ハッセルブラッド」は長年にわたる功績を認めたフォトグラファーを「ハッセルブラッド・マスター」として2年に1度表彰しているそう。今回の作品8点はすべてそのハッセルブラッド・マスターたちが造り上げた世界トップレベルの写真作品です。ハッセルブラッドは、フォトグラファーが創り出す新たなアートをより多くの方に見て知っていただきたいと考えており、今回のイケアとのコラボレーションが実現したそうです!写真を飾るって、絵に比べると少しハードルが高い気がするけれど、日常生活に取り入れることでもっと身近で楽しめるものなんですね。ハッセルブラッド・マスターでもあるフォトグラファーBara Prasllova氏ハッセルブラッド・マスターであり、今回の作品8点のうちの1つ「吹きながしの靴下」を撮影したフォトグラファーのバーラさんによるトークもありました。シンプルな中にも不思議な雰囲気漂う作品が多いバーラさん。想像したアイデアを絵に描き起こし、現存しないものは作って現実に落とし込み、撮影を進めていくそう!Baraさんの作品「吹きながしの靴下」(右)シンプルなものを作るのに大掛かりなセットを作る。3Dで作り出したものが、写真を撮ることで平面になる。そんな想像したものを現実に変えていく作業がとっても楽しいとおっしゃっていました。日夜創造力を掻き立て、被写体を探し、日常を切り取ってアートに変換する。そんなフォトグラファーの心の内を知り、写真を見る楽しさがアップ!もうすっかり写真に対するハードルが下がりました!イケアのRangeCommunicator Niklas氏(写真左)と共に記念撮影イケアのデザイン責任者を務めるMarcus Engman氏は「アートに接することが心身の健康にどれだけ大切か私たちはわかっています。今回のコレクションをきっかけに多くの人々が創造性を刺激されるだけでなく、”家”という一番大切な空間でどのようなアートに囲まれたいか、について考えてもらえるきっかけになれば」とコメントしています。新コレクション「NORRHASSEL/ノッルハッセル」は全世界同時発売で、日本では8月7日から発売開始となりました。6か月限定発売となりますので気になる方はお早めに!1点を除き額は別売りとなりますので、自分好みの色の額を選ぶのもまた楽しいのではないでしょうか。店頭でもホームページでも、作品に触れてぜひ心を揺さぶられる1枚を見つけてみてはいかがでしょう。※IKEA公式HP
2018年08月11日■インナーチャイルドを見つめる機会をつくる「インナーチャイルド」という言葉をご存知でしょうか。言葉の通り、自分の中に存在する子ども、つまり"小さな頃の自分自身"とも言えます。年齢や時期は人それぞれですが、もう覚えていないほど幼少期の記憶や感情というものは、実は根深く自分の中に残っていることがあります。そこには、ご両親との関係性や体験での感情、友達との感情、自分の中だけの感情など、さまざまなものが存在します。例えば4歳のときの経験で、とても傷ついた、または悲しかったことがあったとします。当時のあなたは、とても悲しかったし寂しかったし、孤独を感じたかもしれません。ですが、その感情を感じきることのないまま記憶が薄れていき、忘れていくことで前に進んでいきます。そして大人になったあなたは、その出来事さえも思い出すことはないかもしれません。ここでのポイントが、大人になって忘れているからといって、あなたの心が癒されたわけではないこと。忘れてしまうくらいのことなら良いのですが、忘れてしまわなければ前に進めなかった、という強いネガティブな感情であった場合、無意識レベルでその過去の小さな私が、現在のあなたに影響していることがあります。それは、生まれたばかりの頃であったり、中学生のときであったり、人それぞれ。少なくとも、非力な小さな子どもの感じる力というものは、大人になった私たちが想像できないほど、繊細で敏感です。だからこそ改めて、今度は大人になったあなた自身が、小さなあなたが気づいてほしかった気持ちに気づいてあげてみることで、それらを癒してあげましょう。■小さな私とつながる方法おすすめの方法はお風呂です。湯船に浸かりながらメディテーションをすると、小さな私とつながりやすくなります。のぼせないように、比較的ぬるめと感じる温度にしてください。●スッキリと自分のお手入れが終わってから、お風呂に浸かります。●血流が良くなっていて、呼吸もしやすくなっているので、ゆっくりと呼吸を意識します。●両手をお腹の上に置きます。下腹部を両手で温めてあげるようなイメージです。●目を閉じて、両手からお腹の内部を感じてみます。●そして、こう問いかけます。「こんにちは、〇〇ちゃん(ご自分のお名前)」。小さな私にまずご挨拶をしてください。ひとりで心の中で言うだけで、誰にも気づかれないので大丈夫です。●どんな自分がいるのか想像してみましょう。何歳くらいのあなたでしょうか?そしてどんな表情や印象でしょうか?しばらくイメージしてみましょう。自然に浮かんでくるまで、ゆったりとしていましょう。●映像でイメージが出てくる場合もあれば、自分の感情が湧き出てくることもあります。または何かの言葉が浮かんでくることもあるかもしれません。どれも間違いではないので、湧き出てくるものを信頼して感じていましょう。●感じているものを、感じきる、ということを意識してみましょう。●そして、感じきったと思えたら、最後に小さなあなたに、こういってあげましょう。「本当にごめんね。そしてずっとがんばってきてくれて、ありがとう」と自分なりの言葉でもかまいませんので、心の中で言ってみてください。●そのとき、どんな感覚になるかも、しっかり感じてからゆっくりと目を開けます。■露巌先生の8月の新月作品獅子座の新月のイメージは、心ときめく太陽のようなキラキラした軽やかなものですが、今回の新月は改めて、ポンポンと沸いてくるような軽やかなものではなく、しっかりと自分の中につながり、そしてそこからしなやかに強く伸びていく、ということがとても大切なメッセージなのだと、露巌先生の作品で再確認しました。夏の間に知らぬ間に成長していた子どもの頃のように、ぐんぐんと飛び出るような勢いを持ちながら、自分の中に在った〈本当に大切なもの〉が覚醒していく。それは確かに、これまでずっと自分の中に存在し続けていて、そして出ていくのを待っていたのだと、そう気づかされるのです。そしてそれこそが、自分自身を解放していく、ということなのかもしれません。深くつながりやすくなる8月の新月、猛暑で動きにくい時期ですが、逆にここでしっかりと自分自身と向き合う時間を設けてみませんか?自分のルーツとも向き合うことで気づきを得ていくと、これまで凝り固まっていたものも解け出していきます。そして軽やかな心で、秋からの自分の活躍に向けて準備していきましょう。海老原 露巌さん
2018年08月11日宮沢賢治の童話の漫画化やアニメーション『銀河鉄道の夜』の漫画原作者としても知られている、ますむらひろしさん。なかでも猫と人間の理想郷を描いた漫画「アタゴオル」シリーズは彼の代表作だ。そのキャラクターと葛飾北斎の浮世絵が合体した展覧会が今、話題を呼んでいる。双方の魅力がより際立つ、漫画と浮世絵の異色コラボ展。ますむらひろし≪凱風快晴(冨嶽三十六景)≫2009年発表©ますむら・ひろし「きっかけは私が20年以上描いてきた雑誌の表紙のネタに困って、本棚にあった北斎の画集を手に取ったことでした。パラパラとページをめくる中、これを少し直せば“アタゴオル化”できるんじゃないかと思う浮世絵があって。そこから少しずつ北斎画のアタゴオル化に取り組むようになりました」(ますむらさん)実際に模写してみると、とんでもない先人の才能に悩まされ、七転八倒の日々を送ることになったとか。「通常の遠近法では考えられない北斎独自の視点やアングル、デフォルメがあるんです。それが私にはなかなか腑に落ちなくて。けれど、実際手を動かして、これこそが北斎画最大の魅力になっているとわかった時は『見たまま描いてちゃ、絵じゃねえだろ!』と北斎に言われている気がしましたね」そんな浮世絵の巨人に尊敬の念を込め、“自然との共存”を描いたというアタゴオル×北斎作品。本展ではその作品を、本物の北斎画と比較しながら楽しめる点が魅力だ。また今回のために描き下ろした新作(下)をはじめ、「アタゴオル」シリーズの漫画原稿やイラスト作品など140点もの作品が登場する。漫画ファンの期待も裏切らない内容だ。ますむらひろし≪漁師図≫2018年発表©ますむら・ひろしすみだ北斎美術館東京都墨田区亀沢2-7-2開催中~8月26日(日)9時30分~17時30分(入館は17時まで)月曜休一般1000円ほかTEL:03・5777・8600(ハローダイヤル)ますむらひろし1952年、山形県生まれ。‘73年『霧にむせぶ夜』で第5回手塚賞準入選。‘97 年には『アタゴオル玉手箱』で日本漫画家協会賞大賞受賞。※『anan』2018年8月8日号より。インタビュー、文・山田貴美子(by anan編集部)
2018年08月01日みなとみらいの横浜美術館で『モネそれからの100年』展がスタート。みんな大好きな画家モネと現代アートがコラボした展覧会では、ペイントパーティやスペシャルランチなど夏の思い出づくりにぴったりな関連イベントが盛りだくさん! お得な割引サービスもある話題の展覧会をレポートします!モネと現代アートがコラボ!【女子的アートナビ】vol. 119『モネそれからの100年』展では、印象派の巨匠クロード・モネ(1840~1926)の作品と、モネとの結びつきを感じられる近現代のアートをあわせて展示。20世紀アートの人気作家ウォーホルやリキテンスタイン、ロスコなどの作品とモネの絵を同じ空間で楽しめる何とも贅沢な企画展です。全体の構成は4章に分かれ、モネ25点と近現代26作家による66点の計91点を展示。絵画が中心ですが、版画や写真、映像などさまざまなジャンルの作品が並んでいます。また、現代アーティストのうち半数以上が日本人作家というのも特徴のひとつ。そのうち3人の作家さんが今展のために新しく作品を制作されたとのことで、最新作とモネの競演も楽しめます。モネはチャレンジャー!でも、なぜモネと現代アートを一緒に並べたのでしょう?モネといえば、睡蓮や積みわらなどのある風景画を描く画家。抽象的な作品の多い現代アートとはあまり関係がなさそうにも思えますよね。実は、モネは西洋絵画の世界で新しいことにチャレンジしていた画家。例えば新しい技法を使ったり、大気や光、水など形のはっきりしないモチーフを描いたり、当時としては斬新なことをしていたので、批評家からは痛烈に批判されていました。そんな先見性のあるモネの作品は、現代でもアーティストたちにインスピレーションを与え続けています。この展覧会を担当した横浜美術館の主任学芸員 松永真太郎さんによると、モネ作品と現代アートを一緒に展示することで「モネの革新性、現代性、普遍性を浮かび上がらせることができる」とのこと。「現代アートは取っつきにくいというイメージを持っている方々に、例えばモネの風景画を見るようなまなざしで現代アートを見ていただいたら、純粋な色彩のハーモニーなど視覚の喜びを再発見していただけるのではないか」と松永さん。会場では展示作品のそばに作品を見るためのヒントも掲示されているので、抽象画などを見慣れていない人でも楽しく理解することができると思います。楽しいコラボイベントも満載!この展覧会の開催にあわせて、楽しい関連企画も多数用意されています。そのなかから女子におすすめのイベントを2つセレクトしてご紹介!ひとつめは、横浜ロイヤルパークホテルのレストラン『フローラ』で楽しめるスペシャルランチ。モネの世界をシェフの感性でお皿に表現したというランチは、まるでアート作品のような美しさ。特にモネの《睡蓮》をイメージしたデザートのお皿は食べるのがもったいないほどステキです。前菜とスープ、メイン料理にデザートとコーヒーまたは紅茶までついて¥2,019(税サ込み)。しかも、展覧会の鑑覧券か半券があれば飲食代10%の割引サービスも受けられます。モネの作品を見た後にぜひ食べてみたいですね。もうひとつのコラボ企画は、横浜のダイニングバーで7月28日(土)に開かれる「ペイントパーティー」。なんとカクテルを飲みながらモネの《睡蓮》を模写するというユニークなイベントです。画材も貸してくれるので、手ぶら参加OK。絵を見るだけでなく描く楽しみも味わえちゃいます。講師の先生と一緒に描いていくので、初心者でも大丈夫。さらに描いた絵も持ち帰れるので、ステキなお土産にもなりますね。このイベントには展覧会鑑覧券1枚と画材レンタル、キャンバス代がついて¥4,500(税込み)。店舗にて1ドリンク以上のオーダーが必要です。ほかにも、横浜美術館周辺では展覧会のチケットや半券を見せれば割引サービスを受けられるお店がいろいろあります。この夏は横浜でアートな一日を過ごしてみては?Information会期:~9月24日(月・休)休館日:木曜日(8月16日は開館)時間:午前10時~午後6時※ただし9月14日(金)、15日(土)は午後8時30分まで※入館は閉館の30分前まで会場:横浜美術館料金:一般 ¥1,600/大学生・高校生¥1,200/中学生¥600/小学生以下無料※本記事の写真は、プレス内覧会で主催者の許可を得て撮影しています。
2018年07月26日映画館といえば、“座って映画作品を観るだけの場所”だと思っていませんか?それは、もはや過去の話。映画以外の芸術作品を堪能できるプログラム上映もあれば、登場するキャラクターを思いっきり声を出して応援する(!?)ような、新しい観賞スタイルも登場。さまざまなエンターテインメント要素を味わえる劇場に、早速、足を運んでみよう。【1】アート&ミュージカルまで、いろいろな作品を上映!映画館で楽しめる作品の幅はどんどん広がり、バリエーション豊かなものに。そのひとつが「アート・オン・スクリーン」。歴史的な美術作品を手がけたアーティストの人生に焦点を当てながらひもとくというプログラムを、映画館で上映するというもの。世界60か国、100万人が体験した人気作品で、展覧会とはまた違った形で、美術鑑賞を体感することができる。また、英国ナショナル・シアターが厳選した傑作舞台を収録し、映画館で観られる「ナショナル・シアター」は、ファンが多い人気シリーズ。公演中に収録された映像を上映するため、現地の観客同様、緊張感あふれる生の空気感も味わうことができる。お好みのエンタメ作品を、大画面で味わってみよう!【2】声を出して楽しみます!新しい観賞スタイルが大人気。近年、“映画は静かに観るもの”という、これまでの概念をくつがえすような観賞方法が人気を集め、話題となっている。そのひとつが、映画の上映中に自由に大声を出すことが認められている「応援上映」。盛り上がるシーンで歓声をあげたり、つっこんだり、好きなキャラクターに「がんばってー!」と声をかけたりと、いろいろな楽しみ方ができる。また、「ライブ・ビューイング」は、コンサートなどの生放送映像を、劇場で上映するというもの。チケットが売り切れていたり、遠かったりして会場に行けなかったイベントに手軽に参加できる。どちらも、同じ作品を愛する人たちと一緒に盛り上がり、一体感を楽しめることが醍醐味。上映作品を確認してみよう。【3】最高の映画体験ができるスゴい設備の登場!映画を観賞する環境も、変化が止まらない模様!シネコンを中心に、映像を観るだけでなく、作品の世界をリアルに体感できるシステムを搭載した映画館が、どんどん登場している。「IMAX(R)シアター」では段違いの迫力を味わえ、「ドルビーアトモス」は、これまでとは違う音響体験ができる。さらに、場面に合わせてシートが動くなど、まるで自分が主人公になったかのような気持ちになれる「4DX」は、アミューズメントパークのアトラクションに似た体験ができる。また、周りから独立した環境や、高級ソファで映画を観ることができる「プレミアムシート」など、リッチな席が用意されている映画館も増加中。贅沢な映画体験をどうぞ。※『anan』2018年7月18日号より。取材、文・重信 綾(by anan編集部)
2018年07月17日この夏、あの東京国立博物館がビアガーデンになります! 4日間限定で開かれる「トーハク BEER NIGHT!」では、現在開催中の特別展『縄文―1万年の美の鼓動』とコラボしたお楽しみ企画も登場。その気になる内容&話題の縄文アートをご紹介します!話題沸騰!縄文アートを楽しむ展覧会【女子的アートナビ】vol. 118現在、上野の東京国立博物館では特別展『縄文―1万年の美の鼓動』が開かれています。約1万3000年前から1万年ほど続いた縄文時代のアートに焦点をあてた同展では、土器や石器、土偶などの貴重な作品が勢ぞろい。北海道から沖縄まで日本全国のさまざまな地域で出土した「縄文の美」約200点を楽しめる展覧会です。今展で特に注目されているのが、国宝6点が集まる展示室。縄文時代の遺跡は9万点以上も確認されているのですが、国宝に指定されているのはわずか6点のみ。今回そのすべてが上野に集結します。(※《土偶 縄文のビーナス》と《土偶 仮面の女神》は7月31日から展示。)このなかには、教科書で一度は見たことのある国宝《火焔型土器》も含まれています。映像や写真で見た人も多いと思いますが、実物はかなり存在感があり迫力満点。とてつもないパワーが伝わってきます。土器の周囲は粘土のひもで装飾されていますが、これは隆線文(りゅうせんもん)と呼ばれる文様。へりの部分からは鶏のとさかのようなものが突き出ていて一種独特な造形美を楽しめます。このような土器は、当時の人たちが火を使って煮炊きするためにつくられたもの。実用的な道具なのですが、縄文人たちは美しく装飾して楽しんでいたのですね。ゆるカワ土偶に胸キュン!そして、数ある土偶のなかでもイチオシの作品は縄文時代後期の《みみずく土偶》です。なんともゆるカワな雰囲気にすっかり魅了されてしまったのですが、実はこの作品からは当時の風俗などが読み取れるとのこと。例えば、耳に飾りがついているのですが、これは縄文時代のピアス。縄文人は幼いころに耳に穴をあけて耳飾りを入れる習慣があり、大人になるにつれて大きな飾りに入れ替えていったそうです。縄文ピアスには透かし彫りされたものなどさまざまなデザインがあり、会場にはピアスだけを集めた展示コーナーもあります。博物館でビールが飲める!この縄文展期間中の4日間、7月27日(金)、28日(土)、8月3日(金)、4日(土) に東京国立博物館本館前の特設会場で楽しいイベント「トーハク BEER NIGHT!」が開催されます。ちょっとお堅いイメージのある国立の博物館にビアガーデンがオープンするなんて、なかなか珍しい企画ですよね。実は2017年の夏にも開かれていたイベントで、2018年はさらにキッチンカーのメニューなどもパワーアップして再登場。展覧会にあわせ、縄文の国宝6件が出土した北海道や東北、長野など各地域のクラフトビール(800円)が各日数量限定で販売されるそうです。しかも、クラフトビールを買った人には、特別展オリジナルグッズ「火焔型土器紙コップ」も付いています!しかし4日間限定となると会場内は大混雑してテーブル席はあいていないのでは……と心配になりますよね。でも大丈夫です! トーハクのかわいいキャラクターがデザインされたオリジナルレジャーシート(500円)を生ビール販売テントにて購入可能。ピクニック気分でビールを楽しめちゃいます!さらにビアガーデンでは縄文展オリジナルグッズの特設ショップも登場。土偶ペンライト(1300円)や土偶パペットタオル(2000円)などインパクト強めの「攻めた」グッズも買うことができます。※各日16:00~20:004日間限定の博物館で楽しむビアガーデン、展覧会とあわせて楽しんでみては?Information会期:~9月2日(日)休館日:月曜日(ただし8月13日は開館)時間:9:30~17:00(金曜、土曜は21:00まで。日曜は18:00まで。)※入館は閉館の30分前まで会場:東京国立博物館平成館料金:一般 1,600円/大学生1,200円/高校生900円/中学生以下無料「トーハク BEER NIGHT!」開催日: 2018年7月27日(金)、28日(土)、8月3日(金)、4日(土)時間: 9:30~21:00(オーダーストップ 20:00)※アルコールの提供は16:00~会場: 本館前庭特設会場※荒天中止参加方法: 事前申込・予約不要。※当日の入館料は必要です(特別展「縄文-1万年の美の鼓動」は別料金)
2018年07月17日暑~い夏のデートにぴったりな場所といえば、ひんやりクールな美術館。クーラーがばっちり効いているので、汗もかかずメイク崩れの心配もナシ。そんな涼しい美術館で開催中の企画展から、今回は超ゆるカワな椅子が見られるアート展をご紹介します!キュートな椅子がいっぱい!【女子的アートナビ】vol. 117現在、目黒にある東京都庭園美術館で『ブラジル先住民の椅子野生動物と想像力』が開催中です。ここでは、アマゾン河流域で暮らす先住民の人たちがつくったさまざまな椅子を見ることができます。これが、とにかくかわいいのです。サルやジャガーなど動物の形をしているものや、鳥、魚もいて、フォルムがとってもユニーク。どの作品も独創的で、その愛らしさに心を射抜かれます。これらはすべて丸太から彫りだされているとのこと。先住民の人が斧や紙やすりなどを森の中に持ち込み、制作しているそうです。椅子の種類は3タイプ今回展示されている椅子は、すべてブラジルのベイ出版社が収集したもの。同社が所蔵する300点を超えるベイ・コレクションのなかから選りすぐりの約90点が来日しています。会場では、椅子の種類をABCの3つのカテゴリーにわけて紹介しています。例えば、こちらはカテゴリーA「伝統的な椅子」の作品。幾何学模様がデザインされていますが、これらは先住民のボディ・ペインティングと共通しているとのこと。彼らにとって、椅子はふだんの生活で使うだけでなく宗教的な儀式などでも用いられる大切な存在。そんな椅子に座れるのは、シャーマンや長老など部族内で社会的ステータスの高い男性だけだったそうです。こちらはカテゴリーB「動物形態の伝統的な椅子」。モチーフはネズミです。ちょっと座りにくそうですが……。これはサル。飛んでいる感じのポーズが超かわいい~!鳥の形をした椅子もたくさんありました。鳥類はあの世とこの世をつなぐ存在として重要なモチーフになっているそうです。こちらはカテゴリーCの「動物彫刻の椅子」。モチーフはバクです。ここまでくると現代アートの彫刻作品に見えますが、やはり椅子として制作しているとのこと。座り心地はあまり考慮されていない感じですが、見ていると癒されます。展示空間も見どころのひとつ!ところで、この展覧会は展示空間も見どころのひとつになっています。会場構成を手がけたのは、世界的に有名な建築家、伊東豊雄さん。装飾が美しく小さな部屋が多い本館(旧朝香宮邸)ではシンプルな台の上に展示して作品の存在を際立たせ、白い空間の新館では作品を床置きにするなど、各展示室にあわせて工夫をしているそうです。特に感激したのが、新館の展示室。大きな部屋の周囲にかわいい動物彫刻が並び、中央には白いふわふわの椅子が置かれています。この白い椅子に座って動物たちと同じ低い目線で作品を鑑賞できるのですが、とてもリラックスできる椅子なので居心地抜群! さらに室内には癒し系のBGMも流れているので、いつまでもこの空間に座っていたくなります。ちなみに、東京都庭園美術館では7月20日から8月31日までの毎週金曜は、夜21時まで開館する「サマーナイトミュージアム」を開催。学生さんは17時以降の入場料が無料となり、一般の人も960円で入れます。仕事帰りの夜に訪れてもよさそうですよね。この夏は涼しい美術館で椅子アートを楽しんでみては。Information会期:~9月17日(月・休)休館日:第2・4水曜日(7/25, 8/8, 8/22, 9/12)時間:10:00~18:00(*7月20日〜8月31日までの毎週金曜は21時まで開館)※入館は閉館の30分前まで会場:東京都庭園美術館料金:一般 1,200円/大学生960円/中学・高校600円/65歳以上600円※本記事の写真は主催者の許可を得て撮影しています。
2018年07月15日7月21日から東京都美術館にて、『BENTO おべんとう展――食べる・集う・つながるデザイン』が開催されます。例えば今日、日本中の人が食べている手作りのお弁当には一つとして同じものはないはず。なぜならそれは食べる人を思い、作られるものだから。「お弁当を作る時には体調、食事時の環境など、食べる側の状況に思いを巡らせますよね。だから何をどう詰めるかということだけにとどまらず、自然にお弁当の時間や場をデザインすることにつながるのです」と東京都美術館学芸員の熊谷香寿美さん。“BENTO”は世界にも類を見ないコミュニケーション・デザインの場なのだとか。本展のみどころは弁当をテーマにしたさまざまな試み。料理家が読者の依頼に応え、「あの人に食べさせたい」お弁当を作る誌上企画や、黙々と“お弁当を食べる人”を撮影したポートレートなど、ユニークなプロジェクトを紹介。また、お弁当にまつわる記憶、文化などをテーマにした参加型の展示も。部屋全体をお弁当箱に見立てたインスタレーションや、アジアの市場のような異空間「おすそわけ横丁」が出現。実際におすそわけがもらえるそう。本誌連載でもおなじみ“チオベン”こと山本千織さんをはじめ参加作家によるワークショップも多数開催。お弁当を巡る忙しい一日になりそう。あゆみ食堂のお弁当webマガジン「&w」の人気連載から。応援や感謝の気持ちを表した相手に寄り添う贈り物のような佇まいにため息。《あゆみ食堂のお弁当》2017年料理:大塩あゆ美、写真:平野太呂ひるけ“お弁当ハンター”こと阿部了のポートレートシリーズ。全国を回り手作り弁当と食べる人をテーマに。本展に合わせ写真集も発売。阿部了《ひるけ》2018年お父ちゃん弁当写真左は小学生の姉が弟の弁当のために書いた指示書。美術家の父はそれに従って制作する。蛇行する川、三日月湖は本や散歩から着想。小山田徹《お父ちゃん弁当》2017年個性あふれるワークショップも注目!阿部了氏による対談形式レクチャーを8月10日、本展で新作アニメーション《おべんとうDAYS》を披露する発酵デザイナー・小倉ヒラク氏によるダンスワークショップを7月29日に開催予定。そのほかデザイナーのマライエ・フォーゲルサング氏によるレクチャー(7月21日)、山本千織氏によるお弁当ワークショップ(7月27日)、美術家・小山田徹氏によるワークショップ(9月16日)も。東京都美術館東京都台東区上野公園8‐367月21日(土)~10月8日(月)9:30~17:30(7/27、8月の金曜は~21:00。7/13・20、9・10月の金曜は~20:00。入室は閉室の30分前まで)月曜、9月18・25日休(8/13、9/17・24、10/1・8は開室)一般800円ほかTEL:03・3823・6921※『anan』2018年7月18日号より。文・松本あかね(by anan編集部)
2018年07月12日夏の夜空を彩る、華やかで迫力のある打ち上げ花火。大きな音と共に放たれるカラフルな光からは、美しさだけでなく風情も感じることができます。そんな印象深い「花火」をアートで表現してみませんか。ティッシュペーパーとカラーペンで、綺麗な花火を手軽に描くことができます。幼いお子さんでも負担なく楽しんで取り組めますよ。用意するのはティッシュペーパーとカラーペンだけ!材料は「ティッシュペーパー」と「カラーペン」のみです。「花火」を描いてみましょう!2枚合わせのティッシュペーパーを剥がし、1枚にします。1枚になったティッシュペーパーを、横長の向きに広げます。縦に半分に折ります。更に横に半分に折ります。更に三角になるように折ります。折ったティッシュペーパーに、カラーペンのペン先をトントンと押し付けて「ドット」を描いていきます。(机にインクが写らないように、新聞紙などを敷いておきましょう)ティッシュペーパーは薄いので、カラーペンのインクが、折り合わせた下の方(=裏側)まで染み込んでいきます。染みたインクにより、描いたドットが複写されることで、ティッシュペーパーに模様が作り出されます。裏側までしっかりとインクが染みていることを確認したら、ティッシュペーパーが破れないように気を付けながら、広げると、ティッシュペーパー一面に綺麗な模様が表れ、花火のようです!ドットでシンプルなラインを描くと…円形の模様になりました。ランダムにドットを描いても、複写されることで「対称」の模様ができます。次々と素敵な作品ができますよ!折った状態のティッシュペーパーに、どのようにドットを描くと綺麗な模様になるのか、広げた後の状態を想定しながら描き込んでもいいですし、何も考えずにランダムに描き込み、偶然作り出された模様を楽しむのもいいですね。”どんな模様になっているかな”とドキドキワクワクしながらティッシュペーパーを広げ、作り出された模様の美しさを感じ取ることが、この活動の醍醐味!たくさん描いて、オリジナルの花火を思う存分表現しましょう。<文・写真:フリーランス記者又多実千恵>
2018年07月04日東京・丸の内の三菱一号館美術館で『ショーメ時空を超える宝飾芸術の世界―1780年パリに始まるエスプリ』展がはじまりました。その記者発表会に女優の桐谷美玲さんが出席! キラッキラのジュエリーをまとった美しすぎる桐谷さんの写真&コメント、展覧会の様子もあわせてレポートします!ハイジュエリーにうっとり♡ ショーメの展覧会【女子的アートナビ】vol. 116『ショーメ時空を超える宝飾芸術の世界―1780年パリに始まるエスプリ』展では、パリの高級宝飾店、ショーメのきらびやかなジュエリーを中心に、デザイン画や写真など約300点を展示。あの英雄、ナポレオンの御用達ジュエラーとして名声を高め、歴史に残る芸術的なハイジュエリーを数多く生み出してきたメゾンの約240年にわたる美の世界をたっぷり楽しめます。皇帝や女王、ピカソもお得意さま!ショーメが誕生したのはフランス革命前の1780年。創業者のマリ=エティエンヌ・ニトは、王室が所蔵する宝飾品の鑑定なども手がけていましたが、革命後はナポレオンに気に入られ、お抱えジュエラーになります。皇妃ジョゼフィーヌや2番目の妻、マリー=ルイーズのジュエリーもショーメが制作。ヴィクトリア女王など世界の王家や大富豪、ピカソなどの芸術家もお得意さまだったそうです。記者発表会では、ショーメのCEO、ジャン・マルク・マンスベルト氏が登壇。ショーメは創業以来、デッサンやノート、記録写真などの資料を保存してきたとのことで、「宝飾にとどまらずフランスにおける歴史や技術、文化、伝統の証人になることができる」とコメント。「これらの財産を伝えることは今の時代にとって価値のあること。この規模の展覧会は二度と開催されることはないので、ぜひみなさんにもこの感動を味わってほしい」とアピールしました。さらに、監修者の三菱一号館美術館館長、高橋明也氏とルーヴル美術館名誉館長のアンリ・ロワレット氏も登壇。ロワレット氏は40年来の友人である高橋館長を信頼しているといい、「明治期の建築物を復元した三菱一号館美術館でショーメの展覧会を開くことは学術的にも意味がある」と同展開催の経緯についても語りました。キラッキラの桐谷美玲さん!続いて、女優の桐谷美玲さんがショーメのジュエリーを身につけて登壇。記者発表の会場は都内高級ホテルのチャペルだったので、美しいティアラ姿がぴったりです♡今回はじめて展覧会の音声ガイドを担当した桐谷さんは、「ショーメの優美さや気品にあった声はどういうトーンで出せばいいのだろう、ゆったりしたスピードで話したほうがいいのかな、などと考えながら務めました」と収録の感想を述べました。さらに、会場で音声ガイドの一部が流されると「完成したものを聞くのは初めてなので不思議な気持ちです」とはにかみ、「これをみなさんに聞いていただけると思うとうれしい反面恥ずかしいような、でもやれてよかったと思います」と笑顔を浮かべました。桐谷さんお気に入りのジュエリーは…また、お気に入りのジュエリーについて問われると、「ショーメといえばティアラというイメージ」といい、「そのティアラのレプリカが約200点並んでいる展示室について音声ガイドでも説明したので、実際にそれを見てみたい」と答えました。ショーメでは自分の頭に合わせて世界にひとつだけのティアラをつくってくれるとのことで、「実際にそのティアラを見て私もじっくり自分に似合うものはどういうものなのかなと選んでみたい」と目を輝かせていました。最後に、「何百年も前のものを今もこうやって見られるのは本当にすばらしく、それがジュエリーの魅力」といい、「もし自分がごほうびで手に入れたら、子どもだったり孫だったり受け継いでいけたらいいな」と幸せそうな表情で語っていました。会場では空間もチェック!この展覧会を訪れたら、ぜひジュエリーの展示方法にも注目してみてください。ジュエリーと関連した絵画作品が並んでいたり、あるいはデジタルアートが映し出されたモダンな展示室があったりと、作品だけでなく空間演出も一緒に楽しめます。館内は涼しいので、暑い夏のデートにもぴったり。ぜひ彼と出かけてみては?Information会期:~9月17日(月・休)休館日:月曜日(ただし、7月16日、9月10日、9月17日と、トークフリーデーの7月30日、8月27日は開館)時間:10:00~18:00(金曜、第2水曜、9月10日~13日は21:00まで)※入館は閉館の30分前まで会場:三菱一号館美術館料金:一般 1,700円/高校・大学生1,000円/小・中学生500円※音声ガイド貸出し550円(ナビゲーター:谷原章介、桐谷美玲)※本記事の写真は、プレス内覧会で主催者の許可を得て撮影しています。
2018年07月02日生誕110年を迎える東山魁夷の大規模な回顧展が、8月29日より京都国立近代美術館、10月24日より東京の国立新美術館で開催されます。今回の展示では、代表作である『残照』、『道』、『緑響く』のほか、ヨーロッパや京都の古都の面影を描いた風景画など約80点により、国民的風景画家とうたわれた東山魁夷の全貌をたどります。さらに、構想から完成まで10年を要した東山芸術の記念碑的大作、奈良・唐招提寺御影堂の障壁画(襖絵と壁面全68面)を再現展示します。1章国民的風景画家1908年横浜に生まれ、神戸で育ったのち、18歳で東京美術学校日本画科に入学した東山新吉。23歳で卒業し、研究科へ進み、結城素明に指示し、「魁夷」を雅号とした。25歳で東京美術学校研究科を終了し、ドイツに留学。ヨーロッパ各地を旅行、日独交換留学生に選ばれ、西洋美術史を学ぶ。27歳のとき、父病気のため、留学を中断して帰国。32歳に結婚したが、34歳で父、37歳で母、38歳で弟を亡くすという辛い30代であったが、39歳で第3回日展に出品した『残照』で特選を受賞します。第6回日展には『道』を出品。日本中を写生して回り、写生地の特徴を残しつつも普遍化された作品は、日本の風景に親しんだ人々にとってはよく見知っているもののように感じられ、素直に心をゆだねることができる風景画となり、国民的風景画家と呼ばれるようになりました。2章北欧を描く1962年(54歳)に、北欧の旅に出ます。妻・すみの父、日本画家・川崎小虎から見せてもらった北欧風景を題材とした写真集が記憶にありました。『残照』『道』の発表以来、一躍人気作家となり、安住の地となる自宅の再建がかなったにもかかわらず、その安定した場所から抜け出そうとしたのです。果たして北欧の風景は想像通り、帰国後連作を発表すると、幻想的で清澄な画面が評価され、「青の画家」というイメージが生まれました。3章古都を描く・京都京都は、北欧に旅立つ以前から、川端康成より、失われつつあるかつての姿を画面に描き止めるように勧められていました。また東山自身も、神戸時代以来、たびたび訪れたところでした。帰国後、皇室から依頼された新宮殿の大壁画制作の仕事は、日本的なものを前面に押し出した図柄でなくてはならず、ついに日本の古都を代表するこの町を描くことに着手しました。新宮殿の大壁画が完成した同じ年(1968年)に、「京洛四季」展で連作が発表され、北欧シリーズとは全く違う、大和絵的側面が現れた日本回帰の作風として、東山の画風に新たな魅力を加えたのでした。4章古都を描く・ドイツ、オーストリア京都シリーズを公表した翌年、ドイツ・オーストリアへ旅立ちます。父の病気で留学を中断したとはいえ、約2年間をすごしたドイツ。自然の風景を描いた京都の連作と比較して、ドイツ・オーストリアの連作は圧倒的に建物や街並みを描いたものが多かったのです。自然風景を主に描いてきた画家にとってはやや異色な連作となったが、その魅力の幅も広がりました。5章唐招提寺御影堂障壁画1971年(63歳)に熟慮の末、奈良の唐招提寺から受けた、鑑真和上の像を安置する御影堂障壁画制作と御厨子内部装飾の依頼を受託する。67歳で、唐招提寺御影堂の第一期障壁画『山雲』『濤声』を完成、72歳で第二期障壁画『黄山暁雲』『揚州薫風』『桂林月宵』を完成、翌年唐招提寺鑑真和上像厨子絵『瑞光』を完成する。6章心を映す風景画唐招提寺障壁画を完成させた東山は、この時はじめて、描くことは「祈り」だり、それであるなら、そこにどれだけ心を籠められたかが問題で、上手い下手はどうでもいいことなのだと思い至ったという。信じがたいことであるが、これまでずっと才能がないと思い続けていた画家は、やっと自分が描き続けることの意味を悟り、価値を見出すことができたのだ。70歳を超えて、より多忙を極めて、写生に出ることもむずかしくなりました。これまでに見つめてきた無数の風景とスケッチをもとに、迷いなく制作を続け、作品を生み出したのです。90歳で生涯を終えるまで、東山芸術の集大成として、凝縮された自然と自らの命を描きつけた作品群をのこしました。展覧会概要京都展会期2018年8月29日(水)~10月8日(月・祝)開館時間午前9時30分~午後5時(毎週金・土曜日は午後9時まで)※入館は閉館の30分前まで休 館 日毎週月曜日(ただし、9月17日、24日、10月8日は開館。9月18日、9月25日は休館)会場京都国立近代美術館 (岡崎公園内)〒606-8344 京都市左京区岡崎円勝寺町主催京都国立近代美術館、日本経済新聞社、テレビ大阪お問合せ:TEL.075-761-4111東京展会期2018年10月24日(水)~12月3日(月)開館時間午前10時~午後6時(毎週金・土曜日は午後8時まで)※入場は閉館の30分前まで休 館 日毎週火曜日会場国立新美術館 企画展示室2E〒106-8558 東京都港区六本木7-22-2主催国立新美術館、日本経済新聞社、テレビ東京、BSジャパンお問合せ03-5777-8600(ハローダイヤル)
2018年07月02日上野の国立西洋美術館で『ミケランジェロと理想の身体』展がはじまりました。この展覧会にはアスリートなどの男性裸体を表現した作品が勢ぞろい♡ しかも世界に約40点しかないといわれているミケランジェロの大理石彫刻作品のうち、貴重な傑作2点も初来日しています!この夏、絶対に見逃せない貴重な彫刻アート展をレポートします。メインは男の裸♡『ミケランジェロと理想の身体』展【女子的アートナビ】vol. 115男性の裸体がメインテーマとなっているドキドキの同展では、初来日で注目されているミケランジェロの大理石彫刻の傑作2点を中心に、古代ギリシャ・ローマ時代とルネサンス期の彫刻作品や絵画など70点を展示。アスリートや戦士、神々などさまざまな男性たちのリアルな裸体彫刻を見ながら、各時代の芸術家たちがどのように “理想の身体” を表現してきたのかを知ることができます。展覧会の主役、ミケランジェロ・ブオナローティ(1475~1564)はルネサンス期に活躍した偉大な芸術家。彼はシスティーナ礼拝堂にある超有名な天井画や壁画を描いた画家であり、サン・ピエトロ大聖堂のドームをつくった建築家であり、教科書に必ず載っている《ダヴィデ》像を手がけた彫刻家でもあります。ミケランジェロは何より彫刻をつくるのが好きで自分のことを「彫刻家」と呼んでいたのですが、天才すぎてあらゆる仕事が舞い込みます。例えば、当時絶大な権力を持っていた教皇からはシスティーナ礼拝堂の天井画を依頼されてしまい「本業じゃないのに……」と不満タラタラだったとのこと。でも、本業ではないのに絵画の専門家よりも質の高い作品を描いてしまうのですから、彼がどれだけ才能があったのかわかりますね。ちなみに、ミケランジェロには詩人という肩書もあります。彼は57歳のころ、若く美しい青年に恋をして、最近話題の “恋するおっさん” になっていました。そんな乙女なミケランジェロは、年下の想い人に自作の詩や素描などを贈っていたそうですよ♡見どころは “男の裸体美”では、会場の見どころをご紹介していきます。今回は男性裸体が主役。どの展示室も男の裸だらけです。でも、なぜ男性なのでしょう? 美しい裸体といえば豊満な肉体をもつ女性なのでは? と疑問に思いますよね。そこがこの展覧会のポイント。あえて男性美にスポットをあて、理想の身体とは何かを掘り下げています。例えば、紀元前1世紀の大理石彫刻作品《アメルングの運動選手》は腹筋が割れて、いわゆるシックスパックになっています。このようなアスリートや戦士の裸体作品は、ギリシャ彫刻にとって大事なテーマ。古代ギリシャ・ローマ時代には、鍛え抜かれた男の美しい肉体は勇敢さや雄々しさを象徴する “究極の美” とみなされていました。いっぽう、ルネサンスの男性裸体像も古代彫刻に負けていません。例えば1530~50年ごろにつくられた彫刻作品《ネプトゥヌス》もたくましく美しい身体をさらけだしています(ネプトゥヌスとはローマ神話に出てくる海の神。ギリシャ神話ではポセイドン)。古代ギリシャ・ローマ時代が再評価されたルネサンス期には、古代芸術を手本にした作品が多くつくられました。特に神話は重要なテーマであり、神話に出てくる神々の姿は「男性裸体表現の技を磨くための重要な素材」だったとのこと。会場に展示されている《ネプトゥヌス》は高さ118センチなのでそれほど大きな像ではありませんが、美しい筋肉といかにも強そうな下半身は思わず見惚れる美しさ。ぜひぜひ本物をご覧になってみてください。ミケランジェロの傑作2点、初来日!そして、いよいよ展覧会のメイン作品、ミケランジェロの《ダヴィデ=アポロ》と《若き洗礼者ヨハネ》を見てみます。まずは《ダヴィデ=アポロ》。作品名を見ると聖書の英雄ダヴィデなのか、ギリシャ神話の神アポロなのかわかりませんが、実際にテーマが謎に包まれているので、このような名称になっているとのこと。実物の高さは147センチ。1530年ごろにつくられた大理石彫刻です。表面にはノミのあとがたくさん残っているのが見えるので、未完ともいわれていますが、これも謎。いろいろ謎の多い作品ですが、上半身から下半身にかけての美しいラインや左手の付け根部分など、天才彫刻家の技術がしっかりと感じられます。また、《若き洗礼者ヨハネ》はスペインから来日。スペイン国内にたった1点しかないという大変貴重なミケランジェロ彫刻です。この作品は、1936年のスペイン内戦時に破壊され、本来の姿の約40%となる14の石片だけが残されたとのこと。それをもとに復元・修復された奇跡の作品がはるばる日本まできてくれました。本作はミケランジェロが20歳をすぎたばかりのころに制作された初期作ですが、特に手足の筋肉や顔の表情などに彼の才能を見ることができます。スペインでも一般公開されていない貴重な彫刻なので、今回の来日が最初で最後のチャンスかもしれません。目に焼き付けておきたい作品です。ほかにも、ミケランジェロに多大な影響を与えた古代彫刻の傑作《ラオコーン》を模倣した大理石彫刻も来日。 この作品は写真撮影もOKとなっているので、ぜひ記念に撮ってみてください。男の美しい裸体を味わえる女子必見の展覧会は9月24日まで。Information会期:~9月24日(月・休)休館日:月曜日、7月17日(火)(ただし、7月16日(月・祝)、8月13日(月)、9月17日(月・祝)、9月24日(月・休)は開館)時間:午前9時30分~午後5時30分毎週金・土曜日:午前9時30分~午後9時※入館は閉館の30分前まで会場:国立西洋美術館料金:一般 1,600円/大学生1,200円/高校生800円/中学生以下無料※本記事の写真は、プレス内覧会で主催者の許可を得て撮影しています。
2018年06月30日6月21日、東京・お台場のパレットタウンに、チームラボによるデジタルアートミュージアム『MORI Building DIGITAL ART MUSEUM EPSON teamLab Borderless』が誕生しました。 6月21日オープン初日森ビル株式会社代表 辻慎吾社長とチームラボ代表 猪子寿之さんのテープカット チームラボとは" 2001年から活動を開始したウルトラテクノロジスト集団。アーティスト、プログラマー、エンジニア、CGアニメーター、数学者、建築家など、様々な分野のスペシャリストから構成され、集団的創造から生み出したアートによって、人間と自然、そして自分と世界との新しい関係を模索していく " 『追われるカラス、追うカラスも追われるカラス、そして境界を越えて飛ぶ』photo by teamLab 革新と実験をテーマに、これまでの常識を覆すようなデジタルアートを発信してきたチームラボ。絵画や彫刻のようなアートは、キャンバスや石などの物質がないと存在できません。しかしデジタルテクノロジーは物質からアートを解放し、境界を超えることを可能にしました。 国内初となる常設展が掲げるコンセプトは、「Borderless」。チームラボ代表の猪子寿之さんは次のように、デジタルミュージアムを説明します。 「作品はほかの作品と境界がなく、また人々との境界をなくし、人々を世界に没入させ、人々の他者との境界を連続的なものにしていく。このような作品群による境界のない、ひとつの世界がチームラボボーダレスです」(猪子寿之さん) 520台のプロジェクターが設置された10,000平方メートルの巨大な空間は、5つの異なる世界で構成されています。それぞれどのような楽しみ方があるのか、ご紹介します。 【アートと人、人と人との境界を連続的にする「Borderless World」】『花の森、埋もれ失いそして生まれる』Photo by teamLab 一階すべてを占める「Borderless World」に展示されている作品は、まるで人間のように自由気まま。作品はそれぞれ独立しているにも関わらず、展示されている部屋から移動して、ほかの作品と混ざり合い、ときには人と関係をもって、新たな作品をつくります。 『人々のための岩に憑依する滝、小さきは大きなうねりとなる』Photo by teamLab プレス説明会会場となった『人々のための岩に憑依する滝、小さきは大きなうねりとなる』では、滝は人の存在によって流れを変え、そして地面の花は人に反応して咲いたり、散ったり。 『秩序がなくともピースは成り立つ』Photo by teamLab 『秩序がなくともピースは成り立つ』から出てきた人々や動物たちは廊下を大名行列のように練り歩き、鑑賞者が触れると声を掛けてくれるので、まるで生きている人間のような親近感が湧きます。 『Walk, Walk, Walk: Search, Deviate, Reunite』Photo by teamLab 【身体で世界を捉える「チームラボアスレチックス 運動の森」】 『グラフィティネイチャー 山山と深い谷』Photo by teamLab 新プロジェクト「チームラボアスレチックス 運動森」は、複雑で立体的な空間で、実際に鑑賞者が身体を動かして、アートを、世界を捉えていきます。 猪子さんいわく、都市は意外にも平坦で、身体を動かして探索するというよりは、乗り物で行先に向かって移動する生活になりがち。そこで、身体で空間を捉え、身体で考えるような「創造的運動空間」をつくりたいと考えたのだそう。 『光の3Dボルダリング』Photo by teamLab 『光の3Dボルダリング』では、カラーグリップを目で追い、経路を頭で考え、そして耳で音を認識し、腕と足で実際に移動する……と文字通り、全身をくまなく使います。 『マルチジャンピング宇宙』Photo by teamLab 『マルチジャンピング宇宙』は複数人が飛べる巨大なトランポリン。宇宙の星々の一生をテーマにしており、人々がジャンプでつくったひずみに、星屑(チリ)とガスが引き寄せられ、星を誕生させたり、星を成長させたりします。星は一生(寿命)を終えると、宇宙を漂う星屑と星雲にもどり、新しい星の源になるのです。 【「学ぶ!未来の遊園地」でアートを共に創る】『お絵描き水族館』Photo by teamLab 子どもも一緒にデジタルアートを楽しめる「学ぶ!未来の遊園地」は、「共創」をテーマに鑑賞者と共に世界を自由に創造できる空間です。 『お絵描き水族館』では自由に色を塗った生物をスクリーンいっぱいの水族館に泳がせることができます。 『すべって育てる!フルーツ畑』Photo by teamLab 大きなすべり台が舞台の『すべって育てる!フルーツ畑』。タイトル通り、人が太陽の光となってすべり、ボールに当たることで、水が種を育てて花を咲かせたり、花に受粉してフルーツがなったりします。 【アートが人に呼応する「ランプの森」】『呼応するランプの森 - ワンストローク』Photo by teamLab 鏡に囲まれて、無限大に広がっているように感じるベネチアンガラス。人がランプに近づき、じっとしているとランプが輝き、音色を響かせ、付近のランプへと光が伝搬していきます。やがて光はまたあなたの元に戻り、光は消えます。 人が増えると灯るランプの数が増え、会場を幻想的に照らします。普段の生活でちょっと疎ましく感じてしまう他者の存在もここでは肯定的に捉えられそうです。フォトジェニックな空間ですが、一度撮影をぐっとこらえて静かに響く音色と光の通り道をゆっくり眺めてみませんか。 【一服の茶に広がるアートを飲む「EN TEA HOUSE」】Photo by teamLab 一服のお茶に広がる花。『小さきものの中にある無限の宇宙に咲く花々』ではその月、その地域の花が、お茶がある限り咲き続け、そして人は花の世界ごとお茶を飲むことができます。 Photo by teamLab 単にお茶と花を目と舌で楽しむだけでなく、デジタルアートによってお茶の世界が再構築されることで、その文化的な背景をも味わうことができるのでしょう。 ■東京から文化発信したい。ミュージアムに込めた想い 人の美的感覚を潤すだけでなく、普段見逃しがちな感覚や想いに気づかせてくれるデジタルアートミュージアム。 6月11日に開かれたプレス説明会にて。森ビル株式会社 MORI Building DIGITAL ART MUSEUM 企画運営室 室長の杉山央さんは「2020年東京オリンピック、パラリンピックに向けて東京から発信する、世界中のお客様に訪れてもらいたい新たな施設」であり、都市がモノ、お金、情報、そして人を惹きつける磁力を育てていくために一役買っていると話します。 「東京は経済力において強みをもっている一方、文化発信については世界に比べると弱い。東京の文化発信をできる施設をつくることで、東京の磁力を高めていけるだろうと我々は考えています」(杉山央さん) そして訪れる人々に対して、チームラボ代表の猪子さんは想いを話してくれました。 「人々の固定概念を外し、世界と自分との境界、自分と他者との境界をなくし、人々の価値観をもう少しでも広げることを、ほんの少しでもできたら。2020年に向けて世界から東京に訪れる多くの方に、多様な楽しみ方のひとつとなったら、この町を好きになってもらうきっかけになってくれたら幸せに思っています」(猪子寿之さん) 作品解説は、休憩室や通路などにまとめて掲載されています この館内は暗く、ほとんど壁や地面に投影されるデジタルアートの光を頼りに移動します。言葉に頼らずに、日本人も外国人も、そして大人も子供も自分の身体と感覚を信じて、館内で(迷子になりながら)探索できるのです。 「この世界に迷い込むと、風景もどんどん変わるし、作品も移動していきます。本当になにか目的をもって順路順に見ていくというよりは、迷い込んで、さまよって……さまよいながら、自らの身体で探索してなにか発見していく。そんな体験をしてもらえたらいいなと思っています。作品が(元々展示されていた)部屋から出てくると、逆にその部屋に違う作品が入る。出た作品を追いかけたらその部屋の新しい様子は見られないし、歩いていく作品も色んな方向へと分かれていく。そして分かれていく方向ごとにいろんなストーリーがあるんですけど、どこかを追いかければ逆にどこかは見られない。世界のどっかを見れば他は見られない。本来世界はそういうものだと思うんだけれども。ぜんぶを順序立てて見るというよりは、さまよって迷いながら色んなものを発見してもらえればなと思っています」(猪子寿之さん) 『追われるカラス、追うカラスも追われるカラス、そして超越する空間』photo by teamLab 東京・お台場から発信する、新しいアートの形。人と人、人とアートの境界を連続的なものにし、新たな感覚に出会えるデジタルアートの世界に身体も心も預けてみませんか。 ■施設概要森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボ ボーダレスMORI Building DIGITAL ART MUSEUM: EPSON teamLab Borderless所在地:東京都江東区青海1-3-8(お台場パレットタウン)営業時間:月~木 11:00 -19:00 (21:00)金・祝前日 11:00 -21:00 (22:00)土 10:00 -21:00 (22:00)日・祝日 10:00 -19:00 (20:00)※最終入館は閉館の1時間前※()内は6/21(木) - 8/31(金)までの特別延長時間です。休館日:第2・第4火曜日料金:一般/高・大学生3,200円(※6月21日~7月31日までは2,400円)子ども(4歳~中学生)1,000円販売場所:展覧会公式ウェブサイト ローソンチケット、セブンチケット
2018年06月23日上野の森美術館で『ミラクル エッシャー展』がはじまりました。見るほど深みにはまるトロンプ・ルイユ(だまし絵)をはじめ、不思議で奇妙な版画作品が勢ぞろい!思わず「ありえない!」と声を上げたくなる究極のアートも登場します!『ミラクル エッシャー展』、スタート!【女子的アートナビ】vol. 113この展覧会は、オランダ出身の版画家、マウリッツ・コルネリス・エッシャーの生誕120年を記念して開催。彼の代表的な作品ともいえるトロンプ・ルイユ(だまし絵)をはじめ、初期作品や直筆ドローイングなどを紹介しています。日本でも人気の高いエッシャーは、これまでも何度か作品展が開かれてきましたが、今回は約150点もそろう大規模展。世界的なエッシャーコレクションを誇るイスラエル博物館から来日した作品で構成され、日本初公開となる秘蔵コレクションも見ることができます。エッシャーって?1898年にオランダで生まれたエッシャーが最初に版画制作を行ったのは、中学校での美術の授業。でも、大学では当初建築を学んでいたそうです。その後版画科へと転じて版画家メスキータのもとで技法を学び、自身も版画制作の道へ進むことになります。旅好きのエッシャーは各地を周りながら作品を制作。特にイタリアは好きだったようで北から南まで多くの街を訪れています。イタリアにしばらく定住し結婚もしますが、ファシズム台頭によりスイスに移住。さらにフランスやスペインを旅しながらベルギーに移住したあとオランダに戻り、1972年に亡くなるまで故国に定住しました。最初の見どころは?同展の会場は「科学」「聖書」「風景」「人物」「広告」「技法」「反射」「錯視」の8つのテーマで構成されています。例えば入場してすぐの部屋、「科学」の展示室で見られる《メビウスの輪I》はエッシャーにしてはシンプルな作品。ですが、よく見るとそんなに単純な形ではないようです。3匹の魚がそれぞれ相手の尾にかみついている構造でエンドレスにループ。じっと目で追い続けると確実に目が回ります。また、「風景」のコーナーではローマの街やアマルフィ海岸など景色をテーマにした素描や木版画が並んでいます。平坦なオランダで生まれ育ったエッシャーにとって、起伏のあるイタリアの風土は新鮮で、多くのインスピレーションを受けたそうです。断崖の景観や山上の集落など、彼の視点で切り取った美しいイタリアの風景を堪能できます。見れば見るほど大混乱…!それでは、2階の展示室に向かいます。移動の際にチェックしたいのが、展示室の壁面。階段の途中にもエッシャーのキャラクターがさり気なく描かれているので、ぜひ探し出してみてください!2階の奥、「錯視」の部屋で展示されているのが、彼の代表的な “だまし絵” のひとつ、《相対性》。独立した3つの世界がひとつの絵の中に描かれているのですが、それぞれの空間で重力が異なっています。まさに現実ではありえない世界。空間や繋がりの不自然なところを探し出そうと凝視してみたのですが、見るほどに混乱してきます。この独創的な空間表現は多くのクリエーターに影響を与え、ハリウッド映画などにも使われています。最後の最後もお見逃しなく!また、最後のエピローグの展示室で紹介されているのが、長さ4メートル近くもある大作《メタモルフォーゼII》。文字からはじまった絵が四角形や六角形などに形を変え、さらにハチの巣や魚、建物などに変容しながら最後はまた文字に戻るという不思議なアートで、展覧会の目玉作品です。この作品は展示室中央のガラスケース内に展示されていますが、拡大してパネルにしたものが展示室の壁に貼られています。(上の写真はパノラマモードで撮影)プレス内覧会では、展覧会の監修をされた東京藝術大学大学美術館の熊澤弘准教授が本作品について解説されました。それによると、エッシャーはスペインのアルハンブラ宮殿に旅したとき、建物の幾何学的なタイル模様に強いインパクトを受け、本作品のようなタイル模様が徐々に変化していく表現を生み出したそうです。また、彼の作品は戦後アメリカの雑誌などに紹介されて評判となっていったそうで、「アートの領域よりも科学や数学の分野で取り上げられる機会が多かったのがエッシャーのおもしろいところ」と語っていました。20世紀の科学者や数学者、建築家だけでなく現代のクリエーターたちにも多くのインスピレーションを与え続けているエッシャーの魅力、ぜひ美術館で体感してみては?Information会期:~7月29日(日)会期中無休時間:10:00-17:00※毎週金曜日は20:00まで ※入場は閉館の30分前まで会場:上野の森美術館料金:一般 1,600円/大学生・高校生1,200円/中学生・小学生 600円/小学生未満無料※本記事の写真は、プレス内覧会で主催者の許可を得て撮影しております。
2018年06月21日『DRESS』でも定期的に寄稿いただいている海老原露巌(えびはらろげん)さんの「墨アート展」が、6月11日〜31日まで、銀座にあるギャラリー上田で開催されています。今回の展示のテーマは「現代アート」。墨を使った、勢いのある作品群が展示会に並びます。今回の展示会に「書作品」は一切なく、墨で描くアートのみの展覧会となります。力強い墨と金泥、銀泥の美しい彩りをお楽しみいただけます。銀座付近にお立ち寄りの際には、ぜひ一度足を運んでみてください。■展示会情報名前:海老原 露巌展会期: 2018年6月11日(月)~30日(土)時間:11:30~18:30 (日曜休廊)作家在廊 : 6月11、13、20、23、26、29、30日会場:ギャラリー上田住所:〒104-0061 東京都中央区銀座6-4-7 いらか銀座ビル8Fメール:info@gallery-ueda.com電話番号:03-3574-7553海老原露巖さんの略歴在日イタリア大使館ホテル雅叙園東京強羅花壇 NOBU TOKYO在フランス日本大使館(フランス)大明寺(中国)陝西省歴史博物館(中国)カナダ歴史博物館(カナダ)他展覧会・揮毫パフォーマンス天龍寺(世界遺産)明治神宮青龍寺(中国)大興善寺(中国)アートサイエンスミュージアム(シンガポール)他
2018年06月19日インスタグラムのフォロワー33万人超を誇るマルチクリエーター、パントビスコさんの個展が池袋のパルコミュージアムではじまりました。クスッと笑える絵日記や心が温まるイラストなど、毎日インスタに投稿されている超絶人気の作品たちが会場に大集合!今回、プレス内覧会でアーティストご本人(イケメン♡)にお話も聞いてきました!『パントビスコの本当にくだらない個展』、スタート!【女子的アートナビ】vol. 112この展覧会、まずタイトルから楽しいです。“本当にくだらない個展”って、いったいどんな内容なのか見てみたくなりませんか?会場に行く前からワクワク気分になれちゃう同展の主役、パントビスコさんはインスタグラム発のマルチクリエーター。2014年秋頃からインスタに投稿しはじめた作品がジワジワと話題になり、いまやフォロワー数33万人超、一日平均の「いいね!」が3万回、テレビ出演や著書の出版、さらに企業とのコラボも手がけるなど、まさにマルチな才能を発揮されて大活躍されています。とはいえ、まだパントビスコさんの作品を見たことがないという方もいると思います。まずは会場に展示されているイラスト作品のなかからひとつご紹介。この女性同士の会話、とってもシュールですよね。お次は、私の大好きな「LINEシリーズ」。こんな状況あるある? ないない! とツッコミたくなる楽しさが魅力のひとつ。作品はイラストだけではありません。心に響く言葉のシリーズ「乙女に捧げるレクイエム」も大人気!この乙女…シリーズは単行本として出版されています。パントビスコさんインタビュー!プレス内覧会ではパントビスコさんに直接お話をうかがうことができました。帽子の似合うイケメンさんです♡まずは、気になる個展タイトルについてお聞きしてみました。パントビスコさんぼくはいろいろなものに興味があるので、タイトルを300枚ぐらい考えて書いてみたんです。そのなかでこのタイトルを選びました。映像や音楽、イラストなどなんでもやりますし、イラストのなかでもシュールなものもあれば優しいのもあります。ジャンルにとらわれることができないので、もっと広い外枠で自分を形容する言葉は何かな、と考えたときに “大爆笑” とか “おもしろさ” とかではないんですよね。ぼくが毎日やっていることはくだらないことだなぁと。それで『パントビスコの本当にくだらない個展』と。もちろんポジティブな意味で “くだらない” とつけました。“本当にくだらない個展” の見どころは?続いて、個展の見どころをご本人にお聞きしてみました。まずは第1エリアから。赤い壁の明るい展示室にはさまざまな楽しい作品が展示されています。パントビスコさんぼくはインスタから出てきた人間なので、まず見ていただきたいのが「インスタ映え映え映えフォトスポット」ですね。“映え” が3つもついた楽しい作品は、写真を撮って楽しむ体験型アート。自分のあだ名や前世占いができるのですが、次々と表示される名前がどれもユニーク。これ、デートで行ったら絶対に盛り上がります!パントビスコさんあとは「粗末な博物館」もおすすめです。日常で気づいたことを実際に形にしたらどうなるのだろう、ということで作ったものです。パントビスコさんこれはお気に入りの作品です。「馬鹿につける薬はない」ということわざがありますが、それを形にしました。探したけどなかった、ということなんです。本当にここまでしなくてもいいぐらい、くだらないことなんですけどね(笑)。パントビスコさんこちらは映画館。映像を作るのがもともと好きで、ショートドラマとかを作って20分ループで流しています。自分が出ているのもありますし、ディレクションしたアニメだったり映像がありますね。自作の歌も歌っています。続いては、第2エリア!パントビスコさんこちらは第2エリアで、ぼくの代名詞である『カオス絵日記』が展示されています。ぼくはアナログな人間で、もともとは手描きが好きなんです。もちろん、ウェブなどで恩恵は受けていますけど、デジタルなものはデータとしてパソコンのハードディスクに残っていくものなので、容量が数値で何十ギガとか出てくるだけなんですね。やはり実際にノートという形で残っていくものっていいなと思います。――どういうきっかけで絵日記をはじめられたのですか?パントビスコさんもともとは絵を描くのが大好きだったのですが、ぼくの小学校では絵日記という課題が6年間なかったんです。でもほかの小学校の友だちに聞いたら夏休みに書いたといわれて「えーっ」と思って。大人になるまでずっと絵日記を書きたかったという気持ちをもっていたんです。子どものころに書けなかったくやしさが大人になって書いてみようかな、というきっかけになったのですね。――日記を毎日書き続けるのはなかなか大変だと思うのですけど…パントビスコさんぼくが楽しんで書いているから続くんでしょうね。いやいやだったら、たぶんこんなに書けないです(笑)。――絵のタッチもイラスト的なものからリアルなものまで幅広いですが、どうやって学ばれたのですか?パントビスコさん絵は幼稚園ぐらいのときから新聞に入っているチラシの裏などに描いたり、小学校のときの休み時間に描いたりして自分で好きで描いていましたけど、ガチガチに美術の勉強をしたというわけではありません。というのは、イラストはあくまでもぼくの表現方法のひとつで、映像でも文字でもおもしろいことはなんでもやりますので。最後の第3エリアへ!最後の第3エリアではおもしろ写真やグッズ化されたキャラクターなどが展示されています。そして、プライベートを明かしていないパントビスコさんの素顔がチラリと見られるコーナーも最後に設置。――ここはファン必見ですね?パントビスコさん作品の純度が下がるのでプライベートを公にしていないんですが、今回はみなさんへの感謝の気持ちと、ぼくがどういうふうに仕事をしているかということを少しお見せするということで。このコーナーは会場に来てくれた人だけ見られる特典ですね。――少しだけプライベートなことをお聞きしたいのですが、例えば休暇はどんなふうに過ごされていますか?パントビスコさんキョロキョロしたりおもしろいことを探したりとか、そういうことをするのは好きですね。意識的に観察していると、ユニークな人に出会えたりしますから。――おもしろい人物を描かれることもあれば時事問題を扱われることもあり、テーマが幅広いですね。パントビスコさんぼくは普遍的なものが好きなので、なるべくどの世代の方が見てもおもしろいと思われることを書きたいなと思っています。――女性が共感できる作品もとても多いですよね。パントビスコさん女性はお話を聞いてもらいたい存在だと思うんですね。「こういうふうにしたらいいよ」と提案するというよりも「ああそうだね」と聞いてあげるというスタンスが全部の作品に生きているのかもしれません。押しつけることはしない、という感じでしょうかね。優しくてイケメンで誠実な方でした♡インスタで毎日アップされている作品から人柄は伝わっていましたが、実際にお会いしたら想像以上に優しくて誠実でイケメンで魅力的な方でした。そんな彼の優しさを感じられるのが、超癒し系の犬キャラクター「ぺろち」。特に女性から支持されている人気キャラが今回『ぺろちの本』(パルコ出版定価本体1,000円)として書籍化されました。いつもニコニコしているかわいい雑種犬のぺろちが主役の本ですが、「はげじじい」や「やさ村やさし」などおなじみの人気キャラも登場。この会場では特典付きで先行販売されているので、こちらもチェックしてみてください。個展は6月24日まで開催。笑ってツッコミを入れて癒されて、最後はちょっと優しい気持ちになれる “本当にくだらない個展”、ぜひぜひ体感してみてくださいね!Information会期:~6月24日(日)時間:10:00-21:00※入場は閉場の30分前まで。最終日は18時閉場予定会場:池袋PARCO本館7Fパルコミュージアム料金:一般 500円/学生400円/小学生以下無料
2018年06月14日■あなたの周りにある関係性を意識してみよう家族や恋人、友達……さまざまな形のパートナーシップが存在しています。中でも今月は、特に自分にとって大切なパートナーシップについて、少しフォーカスしてみましょう。自分自身を見つめる時間も大切ですが、パートナーとの関係性を見つめることも人生において重要な時間。身近な人とどんな風に関わるかで、あなたの人生は変わっていきます。たとえば、普段から会話をしたり自分のことを大切にしてくれる人と一緒にいれば、自分自身を知れる深い時間になります。でも、まったく会話をしなかったり、上辺だけの会話ばかりしている人といるならば、家族や友達など、他のコミュニケーションをとれる人を求めましょう。■毎日べったりしていないといけないのか?「コミュニケーション」と「依存」は違います。コミュニケーションは、お互いが自立し合って初めて成立するものです。それぞれの世界観やリズム、大切にしていることを尊重し合えてこそ、コミュニケーションが輝いていきます。それは完璧なリレーションシップとも言えます。毎日会わないといけない電話がないとすぐに不安になるメールはすぐに返信してほしいという方は、このタイミングで少し見直しましょう。それは「管理」の域にあります。これらは、相手のことを完全に信頼できていないときに、不安になって起こしてしまいがちな感情や行動です。ごく自然に毎日一緒にいて、電話をしたり、メールをしているなら問題ありません。「不安だから」とか「支配・コントロール」したい欲求からくるコミュニケーションは危険です。これはふたりのコミュニケーションではなく、自分のことしか考えていない「ひとりコミュニケーション」の状態です。■信頼をベースにした自由を手に入れる相手をまだよく知らないうちは、不安があって当然です。そして疑ってしまうことも、管理したくなる気持ちも正直でいいと思います。大切なことは、それをしっかりと認めたうえで、自分は相手とどうかかわっていきたいのか。自分はどういう人生を歩んでいきたいのかを知ること。それを意識してください。寡黙な人を愛しく思えるのなら、静寂な時間をふたりで楽しんでいくのもよいです。いつも一緒にワイワイ体験を共にしていくのが幸せと感じるのであれば、同じようにそれを大切にしてくれる人と一緒にいることを選びましょう。大切なのは、両者にとっての幸せ、そしてお互いが自由であるかどうかです。世間や周りの友達が、どういう付き合い方をしているのかと気にしたり、真似したりする必要はありません。あなたがどういう関係性を幸せに感じるのか。それをはっきりとさせておけば、あなたの隣にいる人も自然に決まっていきます。もし今のパートナーに違和感を感じているのだとしたら、それは相手の問題ではなく、あなた自身がはっきりできていないことの結果なのです。自分にとっての大切な関係性の間に「調和=ハーモニー」が生まれると完全な自由を体験できます。それは「管理」でもなければ「支配」でもなく、「信頼」という名の関係性です。■露巌先生の6月新月の作品海老原露巌先生の6月の作品「月」は、完全な自由と調和が表現されています。カチッと何かの枠にはまっていなくても、存在し合える絶妙なバランス感。縛られることなく、相手が確かに存在しながら、完全に信頼し合えることで生まれる軽やかさを感じます。もっと自由でいていいのだという安心感、そしてそれこそがお互いを大切にできるハーモニーなのです。そしてそれは、不自然な作為となった瞬間に、バランスが崩れてしまう。その瞬間に、自由はなくなってしまいます。確かなコミュニケーションがあるからこそ、信頼をベースにした自由がある。そして、調和していくことで、それぞれの世界がさらに広がっていく。それはひとりでは実現しないのです。6月14日木曜日4時44分。この双子座の新月に、あなたにとっての大切な関係性と本当の調和とは何か、一度見つめてみませんか?海老原 露巌さん
2018年06月13日