『シンデレラ』『マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー』のリリー・ジェームズと、『君の名前で僕を呼んで』『ナイル殺人事件』のアーミー・ハマー共演で贈る心理サスペンス『レベッカ』が、10月21日(水)よりNetflixにて配信されることが決定。予告編が到着した。リゾート地・モンテカルロで運命的な出会いを果たし、恋に落ちた若い女性(リリー・ジェームズ)と、妻を亡くしたハンサムな男マキシム・ド・ウィンター(アーミー・ハマー)。やがて結婚を決めた彼女は、荒涼とした海岸沿いにある夫の豪華な大邸宅マンダレーに新妻として移り住むことに。新婚夫婦の夢のような時間は永遠に続くかと思いきや、亡くなったはずの優雅で洗練されたマキシムの前妻レベッカの影に苦しめられていき…。本作は、イギリス人作家ダフネ・デュ・モーリアが1938年に発表し、代表作となった小説を基に、新たな解釈で描く心理サスペンス。1940年には名匠アルフレッド・ヒッチコックがジョーン・フォンテインとローレンス・オリビエで映画化した。この度到着した予告編では、夫との甘いロマンスに酔いしれるリリー演じる新妻が、美しい大邸宅で、亡くなったはずの前妻レベッカの影に徐々に翻弄されていく様子が緊迫感たっぷりに映し出されていく。主人公には、レベッカを慕うあまり新妻に悪意を抱く家政婦ダンヴァース夫人(クリスティン・スコット・トーマス)の容赦ない洗礼が浴びせられる。さらには、香水や髪の毛など、亡き元妻レベッカの痕跡も至る所に残されていた。愛する夫にレベッカのことを尋ねてもはぐらかされるばかり、彼もまたレベッカの死に関して何か秘密を抱えている様子。果たして、彼の抱える恐るべき秘密とは?前妻の影に翻弄され次第に憔悴していく彼女の運命は…。併せて、熱い視線で夫を見つめる女と、彼女から視線を外しどこか別の場所に視線を移す男を写した、妖艶かつ不穏なキービジュアルも解禁されている。運命的な恋に落ちる女性を演じるのは、実写版『シンデレラ』で世界一有名なプリンセスを演じて日本でも脚光を浴び、人気ドラマ「ダウントン・アビー」でも知られるリリー・ジェームズ。その夫マキシムを演じるのは、『君の名前で僕を呼んで』や『ホテル・ムンバイ』、10月23日公開予定『ナイル殺人事件』にも出演する実力派アーミー・ハマー。さらに、『トゥームレイダー ファースト・ミッション』『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』などで幅広い役を演じてきたクリスティン・スコット・トーマスや、『マレフィセント』ではアンジェリーナ・ジョリー演じるマレフィセントに仕えるディアヴァル役で知られるサム・ライリーも参加。監督を務めるのは、トム・ヒドルストン主演でJ・G・バラードの近未来小説を見事に映画化した『ハイ・ライズ』や、ブリー・ラーソンはじめアーミー、サムら豪華キャストが出演した『フリー・ファイヤー』など、唯一無二の作品を世に送り出してきたベン・ウィートリー。衣装デザイナーは『ボヘミアン・ラプソディ』で英国アカデミー賞の衣装デザイン賞ノミネート歴を誇り、『インフェルノ』『ロケットマン』などの衣装も手掛けてきたジュリアン・デイ、プロダクションデザイナーは『アンナ・カレーニナ』『美女と野獣』など数々の名作のデザインを手掛けてきたサラ・グリーンウッドと、今年の賞レースでも注目を浴びそうな美しい劇中のファッションや造形も見逃せない。Netflix映画『レベッカ』は10月21日(水)より独占配信開始。(text:cinemacafe.net)■関連作品:【Netflix映画】ブライト 2017年12月22日よりNetflixにて全世界同時オンラインストリーミング【Netflix映画】マッドバウンド 哀しき友情 2017年11月17日よりNetflixにて全世界同時配信【Netflixオリジナルドラマ】オルタード・カーボン 2018年2月2日より全世界同時オンラインストリーミング2月2日(金)より全世界同時オンラインストリーミング
2020年09月09日日々いろいろな事件や事故のニュースが飛び込んできますが、その背景には人間のさまざまな感情が渦巻いているもの。そこで、ある事件をきっかけに、運命が一変してしまう人たちの姿を描いた注目作をご紹介します。それは……。超一級のサスペンス・ノワール『悪の偶像』【映画、ときどき私】 vol. 307クリーンなイメージで絶大な人気を誇る市議会議員のミョンフェ。ところがある夜、息子が飲酒運転によるひき逃げ事故を起こし、政治家としての危機に直面してしまう。揉み消し工作を実行するも、被害者の新妻であるリョナが行方不明になっていることが判明し、見つけ出そうと動き出す。いっぽう、被害者の父であるジュンシクは、リョナが妊娠していることを知り、何としても彼女を探し出そうとするのだった。そして、“消えた目撃者”の行方を追う2人の父親は、葛藤を抱えながら、後戻りできない道へと進み始めることに……。韓国でも実力派として知られるミョンフェ役のハン・ソッキュさんと、ジュンシク役のソル・ギョングさんがダブル主演を務めた話題作。そこで、作品の見どころなどについて、イ・スジン監督にお話をうかがってきました。韓国のイ・スジン監督2013年に『ハン・ゴンジュ 17歳の涙』で長編デビューをはたした際には、巨匠マーティン・スコセッシ監督から絶賛されたイ・スジン監督。今回は、長編作品2本目となる本作の完成までの道のりや現場での様子、さらには映画作りに対する思いなどを語っていただきました。―この作品は、「韓国社会で起きている事件や事故を誘発し、選択しているのは結局人間である」と感じたところから始まったそうですが、そのなかでも「ひき逃げ」というテーマを選んだのはなぜですか?監督これまで、ひき逃げを題材とした作品はたくさん撮られているので、観客のみなさんにとっては少し食傷気味のところもあるかもしれません。しかし、本来事故というものは故意的に起きるものではないため、事故を起こしたあとの行動が非常に重要なところですよね。もし、しっかりと対処していれば、ひき逃げにはなりませんが、何もしなければひき逃げになってしまうので、この差は運転手の選択にかかってくる事件だと思っています。つまり、この映画は、大枠で見ると、人の選択に関する映画であり、人がどんな選択をするのかによって起こる物語を軸としている映画なのです。そんなふうにひき逃げには本人の選択によって、状況が大きく変わるという側面があるので、今回のテーマにしようと思いました。―劇中では、事件によって生まれる“被害者の父親”と“加害者の父親”を中心に描かれています。その点に関してはいかがですか?監督まず、私の考えとして、人間というのは、もともとは“善なる人”。つまり、ミョンフェも最初は善人であり、善人として人生をスタートしたのだと思っています。しかし、それがいろいろな夢や信念、さらに欲望を持つなかで、一線を越えてしまうんですよね。いっぽう、事件に巻き込まれてしまうジュンシクは被害者ではありますが、息子に対する愛情が強いがゆえに、ある条件と交換でリョナと息子を結婚させ、さらに時間が経つにつれて、息子の違った顔、つまり息子も加害者側の人間であったという一面を知ることになります。ミョンフェとの関係でみるとジュンシクは被害者ですが、リョナとの関係を考えると、彼もまた加害者と言えるのではないかと思ったので、そういった関係性を見せたくて、加害者と被害者という設定にしました。環境が人をどんなふうに変えるのか見せたかった―今回は、いずれも見事なキャスティングだと思いましたが、最初は意外にもハン・ソッキュさんにジュンシク役をお願いしようとしていたそうですね。ただ、ご本人がミョンフェを演じたいとおっしゃったのだとか……。監督そうなんです。具体的にキャラクターの何に惹かれているかということには触れていませんでしたが、以前からまさにこういうキャラクターを待ち望んでいたと。特に、いまこの時期に演じてみたい役だとおっしゃっていました。―ちなみに、ジュンシク役のソル・ギョングさんも実はミョンフェを狙っていたんですよね?監督もしかしたら、ミョンフェのほうが、見た人が理解しやすいキャラクターだと思ったからではないでしょうか。ミョンフェは感情の起伏がすごく大きいですが、けっこうわかりやすいですよね。逆にジュンシクのほうは感情を隠す部分がありますので、そういう意味でミョンフェのほうが感情の表現的に演じやすいと思ったのかもしれないです。―また、チョン・ウヒさんが演じたリョナも、かなりインパクトのある役どころです。彼女の登場で一気に展開も変わりますが、作品のなかで彼女にどのような役割を持たせようと意図されていたのでしょうか?監督リョナという人物を通して、私は「環境が人をどんなふうに変えるのかを見せたい」と思っていました。人の性格まで環境が作るのではないか、と思えるくらい環境は大事なものですから。だからこそ、厳しい環境で育ったリョナは本当に恐ろしい人物。まったく怖いもの知らずで、やられたら倍で返すくらいの激しいキャラクターとなりました。この映画は、前半は2人の父親の物語でどんどん展開していきますが、後半になってリョナが登場すると、そこからガラリと映画の構図が変わります。そういう作りにしたいという意味もあり、これほどまでに強烈なキャラクターのリョナを登場させる必要がありました。楽しかったけど、つらい現場でもあった―現場の雰囲気はどのような感じでしたか?監督もう撮影が終わって1年以上が経ちますが、振り返ってみるとにぎやかで楽しかったなと思います。ただ、いっぽうでは映画と同じように重みのある現場、つまり大変なつらい現場でもありました。その一番の理由は天候。本当に天気に恵まれなくて、非常に苦労したのを覚えています。―撮影は、半年間にわたって行われたそうですが、俳優たちとのコミュニケーションを取るうえで大事にしていたことはありますか?監督誰もが映画に対する強い思いを持って臨んでくれましたし、特にメインの3人は本当に情熱的だったので、コミュニケーションを取るうえで難しいことはまったくありませんでした。彼らは私にとって本当に大きな力になってくれましたし、最大の支持者であったとも思います。―そのお三方を演出するうえで、監督から具体的にお話されたことがあれば、教えてください。監督私は事前に台本の読み合わせやリハーサルに時間を多くかけるタイプなので、撮影に入る前にしっかりと話し合いをしました。みなさんベテランの方々ですし、特別たくさんの演出をしたわけではないですが、現場でのやりとりを挙げるとすれば、ハン・ソッキュさんから「この感情表現はちょっと強すぎますか?もう少し弱めますか?」と聞かれたときに、抑えた表現のほうが好きだったので、そういった要求を出したことがあったくらいです。―では、いま振り返ってみて、完成するまでで一番大変だったのは、どのあたりですか?監督まずは、先ほども話した天候。あとは、スケジュールとロケハンにも苦労しました。というのも、撮影が始まる直前になっても、撮影場所が決まっていないところが多くありましたから。そのため、撮影中も撮り終えたらすぐにロケハンに行くという状況が続き、本当に大変でした。自分自身の個性を生かして作品を作ることが大事―現在、韓国映画では多様性に富んだオリジナル作品が次々と生み出されており、評価も非常に高いですが、監督が思う“韓国映画界の強み”とは何だと思いますか?監督私自身はよくわからないですが、やはりいま指摘してもらった多様性ではないかと思います。商業映画よりもインディーズ映画のほうがよりオリジナリティあふれる傾向にあると思いますし、映画が大好きな監督の卵たちが熾烈に競い合いながら準備していることも、大きく影響しているのではないでしょうか。―「素晴らしい監督はたくさんいるが、ポン・ジュノ監督のあとに続く次の世代が育っていない」という声もあるようですが、監督はどのようにお感じになりますか?監督そうですね。ただ、誰もがポン・ジュノ監督みたいになれるわけではないですし、全員がポン・ジュノ監督みたいになってもダメだ、と私は思っています。もちろん私もポン・ジュノ監督は好きですが、映画監督というのはやっぱり本人のカラーがあり、その人にしか描けない物語、そして自分自身の個性を生かして作品を作るのが一番。そういうものを映画にするということが、大事なことですよね。―では、監督にとって映画作りのモチベーションとなっているものとは?監督実は、私はいままで「これからも映画を作り続けよう」とか「たくさんの映画を作ろう」といった大きな夢を抱いたことはありませんでした。もしかしたら、いまでもそういう夢はないのかもしれません。ただ、どんな瞬間も、どの作品でも、「いま撮っている作品が最後かもしれない」という思いで作っています。おそらく今後もそういう思いは変わらないでしょうね。この作品は、私にとって長編2本目の映画ですが、3本目を撮ることになっても、同じように「これが人生の最後の映画になるかもしれない」という気持ちで撮ると思います。次も、これが最後になってもいい思えるような映画になったらいいですね。―次回作も楽しみにしています。それでは最後に、日本の観客へ向けてメッセージをお願いします!監督観客のみなさんには、ここに登場するたくさんの人物のなかで、誰と一番自分が似ているのか、といったことをこの作品を通して考えながら観ていただけたらうれしいです。そして、選択の岐路に立たされた瞬間、もし自分だったらどういう選択をするんだろうかということを想像してご覧いただくと、より興味を持っていただけると思います。二転三転するストーリーから目が離せない!漂う緊張感に息を潜めつつ、予測できない展開に終始引き込まれてしまう本作。ひとつの選択によって人生が思いもよらぬ方向へと大きく変わっていく様、そして人間の奥底にある本性や闇を覗いてみては?衝撃が走る予告編はこちら!作品情報『悪の偶像』6月26日(金)より、シネマート新宿・心斎橋ほか全国順次公開配給:アルバトロス・フィルム© 2019 CJ CGV Co., Ltd., VILL LEE FILM, POLLUX BARUNSON INC PRODUCTION All Rights Reserved.
2020年06月24日テレビ東京の「サタ☆シネ」枠は“6月は女と罪のサスペンス”と題して作品をお届け。6月6日(土)深夜はクリント・イーストウッド主演の異色サスペンス作『白い肌の異常な夜』を放送する。『ダーティハリー』シリーズのヒットで世界的スターとなると、俳優だけでなく監督、プロデューサーとしての手腕も発揮。『許されざる者』『ミリオンダラー・ベイビー』でアカデミー賞作品賞、監督賞のダブル受賞を果たしたほか、日本から二宮和也、中村獅童らを起用した『硫黄島からの手紙』など、アクションから文芸作まで幅広く出演、監督、製作を手掛けてきたクリント・イーストウッド。アカデミー賞に輝いた『許されざる者』は彼が“盟友”ドン・シーゲルに捧げた作品でもあるが、2人は『マンハッタン無宿』でイーストウッドが主演、ドン・シーゲルがメガホンを取って以降『真昼の死闘』や『ダーティハリー』『アルカトラズからの脱出』といった作品を共に世に送りだしてきた。本作はそんな2人がコンビを組んだ一連の作品群のなかでも異彩を放つ傑作ゴシックスリラー。南北戦争末期、南部の森深くにマーサ校長(ジェラルディン・ペイジ)が農園内に開いた女学園があった。そこでは教師のエドウィナ(エリザベス・ハートマン)と12歳から17歳の生徒の少女6名、黒人奴隷のハリー(メエ・マーサー)が暮らしていた。ある日12歳のエミー(パメリン・ファーディン)が大ケガをした敵の北軍兵士マクバニー伍長(クリント・イーストウッド)を見つける。マクバニーを南軍に引き渡したらすぐ死んでしまうと思った彼女たちは、彼を治療してから引き渡すことに。女の園に迷い込んだ若い男の存在に色めき立つ学園。傷が回復し松葉づえで動けるようになったマクバニーだが、マーサ校長はかつて愛した兄に彼をダブらせ南軍への引き渡しを躊躇する。彼に初めての恋をするエドウィナ。彼に迫る生徒のキャロル(ジョー・アン・ハリス)、生き残るため自らも彼女らを誘惑するマクバニーだったが…というのが本作のストーリー。昨年公開された監督最新作『リチャード・ジュエル』では、1996年のアトランタで起こった爆破テロ事件をテーマにするなど、いまだ精力的に映画を作り続けるイーストウッドのキャリアのなかでも異色を放つ『白い肌の異常な夜』は、6月6日(土)27時15分~テレビ東京「サタ☆シネ」枠で放送。(笠緒)
2020年06月06日映画『ルース・エドガー』が、2020年6月5日(金)に公開される。少年は“優等生”か、それとも“テロリスト”なのか『ルース・エドガー』は、誰からも称賛される少年の“知られざる真実”を巡って展開するサスペンスフルなヒューマンドラマ。主人公でアフリカ系黒人のルース・エドガーは、成績優秀なスポーツマンで、誰とでも分け隔てなく接するオープンな性格の持ち主。幼少期に、戦場へ駆り出された過酷なトラウマを見事克服し、自由の国アメリカで希望を象徴する存在へと成長した。ある日、同じアフリカ系の女性教師ウィルソンに危険な過激思想に染まっているのではという疑惑をかけられる。若きバラク・オバマの再来とも称されるルースは“完璧な優等生”か、それとも“恐ろしいテロリスト”なのか。謎めいたルースの内面に迫ることで、人間の謎めいた本質とアメリカの現実をリアルに描きだす。ナオミ・ワッツら豪華キャスト陣本作には、アカデミー賞にノミネート歴のある実力派が勢揃い。主人公のルースを演じるのは、映画『WAVES/ウェイブス』でも主演を務め、次世代スターとして注目を集めるケルヴィン・ハリソン・Jr.。また、ルースを育てた白人の養父母を、ナオミ・ワッツとティム・ロスが演じる。さらに、ルースに疑念を持つ女性教師ウィルソンに、『シェイプ・オブ・ウォーター』で好演したオクタヴィア・スペンサーが抜擢された。あらすじアフリカ、エリトリア出身のルース・エドガーは文武両道に秀でた17歳の高校生。彼は幼少期に戦場へ駆り出された過酷なトラウマを克服し、自由の国アメリカで希望を象徴する存在へと成長した。そんなルースは、ある課題のレポートをきっかけに、同じアフリカ系の女性教師ウィルソンと対立し、順風満帆の日常が大きく揺らぎ出す。ルースが危険な過激思想に染まっているのではというウィルソンの疑惑は、ルースの養父母である白人夫婦エイミーとピーターの胸にも疑念を生じさせていく。そして、奇妙な事件がウィルソン教師の身に降りかかることに。はたしてルースは本当に“完璧な優等生”なのか、それとも世間を欺く“恐ろしいテロリスト”になり得るのだろうか…。【詳細】『ルース・エドガー』公開日:2020年6月5日(金)ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開監督・脚本:ジュリアス・オナー製作:ジュリアス・オナー出演: ナオミ・ワッツ、オクタヴィア・スペンサー、ケルヴィン・ハリソン・Jr、ティム・ロス配給:キノフィルムズ/東京テアトル
2020年03月14日「芸術の秋」で思い浮かべるものといえば、読書や映画鑑賞など。そこでご紹介するオススメの作品は、ベストセラー作家・吉田修一さんの「犯罪小説集」から2篇を組み合わせ、瀬々敬久監督によって映画化されたサスペンス大作『楽園』です。今回は、本作で重要なキャラクターを演じたこちらの方にお話をうかがってきました。写真・角戸菜摘(杉咲花)注目の若手女優・杉咲花さん!【映画、ときどき私】 vol. 270少女時代に経験したあるトラウマを抱えたまま大人に成長した紡(つむぎ)を演じた杉咲さん。映画やドラマなど、話題作への出演が続いている杉咲さんに、本作の現場で学んだことや共演者とのエピソードなどについて語っていただきました。―まずはオファーを受けたときのお気持ちから教えてください。杉咲さんこれまでに吉田修一さんの小説が実写化された作品はほとんど観ていたので、素直にすごくうれしかったです。もちろん、テーマは重いので、緊張感はありましたが、それに対する抵抗はありませんでした。むしろ重たい作品のときは、苦しいけれど、それ以上に終わったあとの達成感とかやりがいを感じることができるので、私にとっては喜びでもあります。―今回の紡は、繊細な演技が求められる役どころだったと思いますが、演じてみていかがでしたか?杉咲さん最初からすごく難しい役だと思ってはいましたが、実際に演じてみると、いままでで一番難しい役でした。というのも、どこにもぶつけられない紡の怒りや後悔など、頭では理解できているはずなのに、いざ演じようとするとわからなくなってしまったからです。そんなふうに、どんなに考えてもわからなくなってしまう瞬間が多かったのですが、ラストのほうで「わからなくたっていい」という紡のセリフがあったので、「私もわからないけど、このまま一度現場に行ってみよう」と思って、そうすることにしました。それまではちゃんと理解して、わかっている状態で現場にいかないとダメだと考えていましたが、わからないまま行くことに一回挑戦してみようと思って行ったら、自分では想像もしなかったところまで感情がたどりつきました。そこで、「わからないことは悪いことではないんだ」ということを知ることができて、すごく勉強になりました。この作品以降は、現場に行くのも少し気が楽になっています。感覚的に似ている人と共鳴し合いたい―そんな紡は闇を抱える青年の豪士(たけし)と出会うことによって、少しずつ心を開いていきますが、演じるうえで意識したことはありますか?杉咲さん台本を読んだときに、紡が豪士に対して抱く感情がLOVEなのかLIKEなのか、気になったので、そこは監督に確認しました。そうしたら、「どっちだと思う?」と聞かれたので、「どっちもですかね」と言ったら、「じゃあ、それでいいよ」と。そのように、監督も私にゆだねてくださる方だったので、自分のなかにある豪士への特別な感情を大事にしながら演じました。私も感覚的に自分と似ている人と出会うと一緒にいたいほうですが、紡も同じように豪士と共鳴したい、慰め合いたいという気持ちがあったのだと思います。―その豪士を演じたのは綾野剛さんでしたが、共演されてみていかがでしたか?杉咲さん綾野さんとのシーンで感じたのは、とにかく安心感でした。内容が内容なので、現場にいるだけでも苦しくなってしまって、「早くホテルに帰りたい」と思うこともありましたが、綾野さんはカメラが回っていないところでもすごく優しく接してくださいました。そのおかげで安心できましたし、助けていただいたと思います。―では、オフのときの綾野さんとの印象的なエピソードなどがあれば教えてください。杉咲さん撮影中に綾野さんが2回ほどご飯に連れて行ってくださったのですが、ちょうど私の誕生日が重なったときがありました。そうしたら、サプライズでお祝いをしてくださるだけでなく、なんとプレゼントの箱を2つも用意してくださっていたんです!そこで「どっちか良い?」と聞かれたのですが、「どちらも素敵です」と答えたら、「じゃあ、両方あげるよ!」と言って2つともくださいました。よくよく聞いたら、「どっちも似合うと思って選べなかったから両方買ったんだけど、いきなり2つもプレゼントしたらびっくりされちゃうと思ったから2つ用意した」、とのことでした。杉咲さんにとっての楽園とは?―今回、原作となった短編小説集のタイトルは「犯罪小説集」ですが、映画では『楽園』というタイトルになりました。最初に聞いたときはどう感じましたか?杉咲さん漠然とではありますが、とてもいいタイトルだなと思いました。紡は自分の楽園をずっと探しているようなところがありましたし、それを探す気力があったからこそ、明日が来ることをちゃんと受け入れられているのかなと感じられたので。―演じ終えたいま、紡にとっての楽園は何だったと考えていますか?杉咲さんおそらく、「自分自身」ではないかなと思います。―ちなみに、杉咲さんにとっての楽園は?杉咲さんおいしいご飯がたくさん食べられるお店です(笑)。―それは最高の楽園ですね(笑)。「楽園」と聞いて最初に思い浮かぶ場所はありますか?杉咲さん私の好きな場所は、代々木上原。オシャレなお店もいっぱいありますし、すごくいい空気が流れている気がして、ステキなエリアだと思っています。―もし、長期のお休みが取れて遠出できるとしたら、行きたいのはどこですか?杉咲さんスペインに行ってみたいです。本場の生ハムとか白ワインとかパエリアを味わいたいです!仕事とプライベートを切り替えることを意識した―では、杉咲さんが幸せを感じる瞬間はどんなときですか?杉咲さんおいしいご飯を食べているときと、大好きな人たちと会っている時間です。―杉咲さんにとっては、「食」が大きなポイントなんですね。そんなふうに、プライベートも充実した日々を過ごされていると思いますが、撮影中は役を引きずってしまうことはありませんでしたか?杉咲さんいままではすごく引きずってしまうタイプだったので、自分自身が苦しくなることもよくありました。ただ、そういうことがあるからこそ、より役に近づけている気がしていましたし、切り替えないからこそ、現場に入ったときに楽だと思っていました。ただ、その代わり肉体的、精神的な負担が大きかったので、「これでいいのかな?」と考えてしまうことが最近増えていたんです。そんなときに、「仕事もプライベートも一生懸命がんばることが自分にとっての幸せなんだ」と思えるようになり、今回の作品ではあえて切り替えることを意識しようと心がけました。―実際、それはどのくらい実行することができたと感じていますか?杉咲さん仕事とプライベートを切り替えるために、友達と連絡を取ったり、会う時間を大事にしているので、今回も撮影がないときは、東京に戻って友達と遊ぶようにしていました。ただ、どうしても「こんなに苦しい役を演じているのに、私はこんなに楽しくていいのかな?」という気持ちになってしまうこともありました。そういうときは、「いや、これでいいんだ」と自分に言い聞かせるように意識していました。とはいえ、演じているだけでも自分自身の体を通して体験したことになるので、いまでも思い出すだけ苦しくなります。実際、トラウマになっていたのか、一時は撮影中の記憶が飛んだような状況に陥ってしまったこともありました。それが役に入り込んでいたということなのかもしれませんが、自分にとっては、嘘のない時間だったと思っています。ただ、今後も切り替えはできるようにしていきたいです。もう媚びるのはやめようと思った―瀬々監督とは初めてとなりましたが、監督の言葉から学んだことなどはありましたか?杉咲さん打ち上げのとき、「私、どうでしたか?」と監督に聞いたことがありました。そしたら、監督から「どうだったとかではなくて、もう撮ってしまったものはしょうがないんだよ」と言われました。そのときは、「ああ、ダメだったんだ」とちょっと落ち込みそうになったのですが、確かに撮影していたころには戻れないですし、それを聞くことで安心したいだけの自分や嫌われたくないという思いがあっただけだったことに気がつきました。これまでの作品でも監督に同じ質問をしてしまったことが何度かありましたが、それを聞いて「そんなふうに媚びるようなことはもうやめよう。嫌われてもいいから、現場でそのときそのときにちゃんとかけよう」という気持ちになったんです。恥ずかしさもなくなり、楽になれたので、これは瀬々監督のおかげだと思います。―とはいえ、本作の紡も含めて過去には戻れないとは知りつつも、「あの瞬間に戻れたら」と思ってしまうことは誰にでもあると思います。ちなみに、杉咲さんにも戻りたい時代はありますか?杉咲さんそれは、高校時代ですね。実は、当時はあまり学校を楽しもうという思いがなかったのですが、卒業間近になって友達の大切さや学校の楽しさがわかり、「もっと早くに気がつけばよかった!」と後悔しました。なので、戻れるなら高校のころに戻りたいです(笑)。―それでは最後に、これから作品を観る方に向けてのメッセージをお願いします。杉咲さんこの作品は観客にゆだねている部分が多いからこそ、私が言ったことに囚われてほしくないので、具体的なメッセージはあえて言わないことにしますが、私は最初にお話した「わからなくたっていい」という紡の言葉に救われました。なので、すべてをわかっていることが決して正解ではないですし、わからないからこそ見えてくるものや逆にそれが自信になることもあるというのを感じていただきたいです。インタビューを終えてみて……。ananwebではちょうど1年ほど前にもインタビューをさせていただきましたが、そのときと比べるとさらに大人っぽくなっている杉咲さん。これからは役の幅もどんどん広がると思いますし、この作品を通して女優としても得たものは多かったようなので、今後もますます楽しみです!実力派俳優陣の熱演にも揺さぶられる!現代が抱えるさまざまな問題を背景に、それぞれの人生が交錯していくさまを描いた衝撃のサスペンス。些細なことがきっかけで大きく運命が変わってしまう人々の姿に、あらゆる感情が心に湧き上がるのを感じるはずです。ストーリーとある地方都市のY字路で起きた少女失踪事件。事件は未解決のまま12年の時が過ぎ、少女と失踪直前まで一緒にいた紡は、罪悪感を抱えながら成長するのだった。そんななか、孤独を抱える青年の豪士と紡が出会い、同じ痛みを抱える者同士いつしか共感し合うようになる。ところが、事件の容疑者として疑われた豪士は追いつめられ、新たな悲劇が起きてしまう。その様子を見ていた男・善次郎もある出来事をきっかけに村で孤立してしまい、徐々に正気を失っていくのだった。そして、ついに想像を絶する事件へと発展してしまうことに……。衝撃の予告編はこちら!作品情報『楽園』10 月 18 日(金)全国公開出演:綾野 剛 / 杉咲 花村上虹郎片岡礼子黒沢あすか石橋静河根岸季衣柄本明佐藤浩市配給:KADOKAWA©2019「楽園」製作委員会
2019年10月17日映画評論ユニット「お杉とB子」が今回おすすめするのは『シンプル・フェイバー』。お杉:どこから見ても完璧なブレイク・ライブリーと、実力が売りのアナ・ケンドリック。対照的な人気女優が初共演ってそそられるね!B子:夫亡きあと、主婦ブロガーとして地味に活躍中のシングルマザー、ステファニー(アナ)が、息子を通して美人キャリアウーマンのエミリー(ブレイク)と親友に。そのエミリーが行方不明になり、夫に疑いがかかるなか、ステファニーが探偵気取りで真相を探り始めるの。お杉:冒頭、事件にいたるまでの背景をビデオブログで語るステファニーがハイテンションなので、のっけから彼女を疑っちゃったわ。B子:普通は夫を疑うけどね。お杉:おっ、『ゴーン・ガール』ですか(笑)。あれも完璧に思えたヒロインに裏の顔があったわね。B子:そう、この2人も見た目どおりじゃないの。夫がベストセラー作家でリッチに見えたエミリーだけど、実は家計は火の車。ステファニーにも人に知られたくない闇がある。お杉:怖いですなあ。闇を抱えたもの同士、惹かれあったのかしら?コメディかと思わせたり、お洒落サスペンスの様相を呈したり、ころころテイストが変わるのが面白い。B子:変わらないのが、ブレイクのお洒落さんぶりとアナの庶民派ぶり。お杉:だからこそ、ステファニーとエミリーの違いが際立つ。行方不明を機に、ステファニーはエミリーの夫と急接近。どうなる、女の人生!?B子:最近のサスペンスで鍵を握るのが監視カメラとかSNS。今回はもちろんブログが鍵を握ります。お杉:ステファニーもブログを通してある人物にメッセージを送ったりしてたもんね。いやあ、現代ならではのサスペンスですな。B子:ステファニーは昔ながらに足でも情報収集してたね。もうひとつ、もっと昔ながらのものに驚くはずよ。『シンプル・フェイバー』監督/ポール・フェイグ出演/アナ・ケンドリック、ブレイク・ライブリー、ヘンリー・ゴールディングほか3月8日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国公開。©2018 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.お杉とB子C・イーストウッドの代表作を愛するファンの情熱に感動する『サッドヒルを掘り返せ』(3月8日公開)。私も参加したかった。(お杉)『運び屋』(3月8日公開)でそのイーストウッドが久々に銀幕復帰!Make my day的な決め台詞はなかったけど、老いても素敵。(B子)※『anan』2019年3月13日号より。イラスト・いいあい(by anan編集部)
2019年03月06日いよいよ2019年も幕を開けたところですが、今年がどんな一年になるのか、先が見えないだけにいまは不安と期待で胸がいっぱいなはず。そんななかご紹介する映画は、激動の時代に、ある殺人事件に取りつかれたひとりの男が主人公の話題作です。それは……。重厚な本格派サスペンス『迫り来る嵐』!【映画、ときどき私】 vol. 2081997年、中国の小さな町の古い製鋼所で警備員をしているユィ。近所で発生していた若い女性の連続殺人事件の捜査に刑事気取りで首を突っ込んでいた。警部から捜査情報を手に入れたユィは、犯人を捕まえるために奔走し、どんどん事件に執着するようになる。そんなある日、ユィは自分の恋人であるイェンズが犠牲者たちの特徴と似ていることを知り、予想外の行動を取ることに。そして、事態は思わぬ方向へと進み始めてしまうのだった……。物語が進むにつれて、ますます目が離せなくなる本作ですが、今回は監督・脚本を務めたこちらの方に、舞台裏についてお話を聞かせていただきました。それは……。監督デビューをはたしたドン・ユエ監督!ユエ監督にとって、本作が初の長編映画となりますが、2017年の東京国際映画祭では見事に最優秀男優賞と芸術貢献賞をW受賞し、高く評価されています。そこで、撮影現場での過酷なエピソードや作品に込めた思いについて語ってもらいました。―本作では、初の長編作品にして、新人監督賞など数々の賞にも輝きましたが、制作の段階で手ごたえを感じる瞬間もありましたか?監督今回手ごたえを一番感じたのは、去年の東京国際映画祭で賞をいただいたときですね。中国でも注目されている大きな映画祭で、自分の作品が出品されただけでも満足でしたが、まさか受賞できるとは思ってもいなかったので。でも、そのおかげで「この映画はうまくいったんだ」という確信を持つことができたと思います。90年代の中国が置かれていた状況とは?―ということは、観客の反響は監督の予想を上回るものだったのでしょうか?監督映画祭で上映したときはQ&Aの時間も短かったので、観客のみなさんがどこまで受け入れてくださっているかは、正直言ってわかりませんでした。ただ、私は観客が自分の映画を観ている様子を見るのが好きなので、実はこっそりとみなさんの様子を見ていたんですよ(笑)。―本作の舞台となったのは香港返還前の90年代。監督にとっても少年から大人になるような多感な時期だったと思いますが、改めて振り返ってみて当時のことをどのように感じましたか?監督90年代といえば私もまだ学生で、中学から高校、大学へと進学していく時期でした。いまにして思えば、あの当時の中国というのは入ってくる情報が少なかったんだなということ。それは中国以外の世界についてだけではなく、国内の情報すらも非常に少ない状態だったんだと感じています。いまではインターネットが発達したおかげで、いろいろな情報を得られる状態になっていますが、あの時代の私たちというのは、まるで井の中の蛙のような状況。自分たちは全部知っているつもりでいましたが、実際は何も見えていない時代だったんだと思います。それを今回のリサーチを通して知りました。―では、当時の経験や記憶が作品に反映したところはありますか?監督特に具体的なことは入れていませんが、主人公がこの映画のなかで感じていることは、当時の私が感じていたこと。つまり、感覚として「あのときの自分はこういう考え方だったな」というのを反映しています。とはいえ、それは私だけではなく、おそらくあの当時の中国人のほとんどが同じような感覚を持っていると思いますよ。―今回、劇中では雨のシーンが多いので、不気味な雰囲気はより不気味に、悲しみはより悲しみが深く、怒りはより怒りが強くなるような効果も感じましたが、雨のシーンを取り入れた理由を教えてください。監督もともと、意図的に雨のシーンを入れようと思っていたわけではないんです。ただ、撮影場所を決めたときに、「この地方の特徴は何だろう?」考えてみたところ、非常に雨が多い地域だったというのが最初のきっかけでした。しかも、雨が多いほうが質問でも触れてもらったように、ストーリーの情感をより強くしてくれると思ったからなんです。現場でも事件が起きそうなほど過酷だった―とはいえ、撮影はかなり大変だったと思いますが、雨だからこその苦労もあったのでしょうか?監督雨が多いなかでの撮影は大変になるだろうというのは最初から予想していましたが、実際私たちの想像をはるかに超える大変さでした。もちろん、技術的なこともありましたが、それよりも雨がスタッフや俳優たちの精神面に与えた影響のほうが大きかったですね。というのも、ずっと雨が降っているなかで撮影していたせいで、みんながどんどん憂うつになってしまったんです……。だから、最後のほうには、スタッフ全員がこの映画に出てくる重苦しい工員たちの雰囲気のようになってしまっていました。それくらい本当にみんなが落ち込んだ状態だったので、撮影を64日で撮り終えることができて本当によかったと思います。なぜなら、あれ以上続いていたら、おそらくスタッフの間で殺人事件が起こっていたかもしれないので(笑)。―まさにその雰囲気は、スクリーンからもひしひしと伝わってきました。監督観た人がそう感じるということは、現場ではもっとなんですよ(笑)!クランクインした当初はみんな仲良くて和気あいあいとしていましたが、終わりのほうになるとみんな何も言わなくなるくらい、とにかく雨の影響を受けていました。―そんな重苦しい空気感の現場を、どのようにして最後まで引っ張っていったのでしょうか?監督とにかく我慢することでした。というのも、私自身も非常に鬱々とした状態に陥っていたので……。主演のドアン・イーホンさんも、最後のほうは何もしゃべらないくらい口数が減っていましたね。―真に迫る演技でしたが、現場でもそのような苦労があったのですね。監督普段はシーンごとにバラバラに撮ることが多いですが、今回の作品は基本的に順番に撮ったので、どんどん状態が悪くなっていくというのはまさにそのまま。おかげで、すごくリアルになっているとは思います。ドアン・イーホンさんとの運命的な出会い―そんなドアン・イーホンさんの熱演は作品を引っ張っていく力にもなっていると感じましたが、どのようにしてキャスティングされたのでしょうか?監督脚本を書いているとき、私はまだ新人監督だったので、ドアンさんのようなトップの俳優さんと仕事ができるとは思っていませんでした。そんななか、プロデューサーが「一流の俳優を使ってみたらどうだろうか?」と言ってくれたんです。何名か俳優の名前を上げてくれましたが、そのなかにドアンさんが入っていて、彼が一番合うだろうと感じたので選びました。それに、ドアンさんとは縁を感じていたんです。というのも、いまから18年ほど前に私はライターをしていたんですが、当時はまだあまり有名ではなかったドアンさんの舞台を見に行っていました。そのとき、舞台上で輝いているドアンさんの姿に驚き、「この人は将来必ず中国で主演を張るようなトップスターになる」というのを直感していたんです。―それから長い年月を経て、違う立場で一緒にお仕事することになったときのお気持ちはいかがでしたか?監督最初に彼に会ったときには、舞台で観たときのことを思い出して、非常に感慨深いものがありましたね。そのあと実際に話をして、すぐに意気投合したので、出演してもらえることになりました。―本作では観客に判断をゆだねるようなシーンも多く見られましたが、あえてそのようにした意図は?監督私は以前から「中国人にはひとつの方向しか見ない悪い癖があるが、それではいけない」と感じていたので、観客にはこの映画の中に入り込んで考えてもらうような形にしたいと思っていました。それこそが、この映画の持つ意義だと感じていたからです。そのために、今回はかなり観客にゆだねる作り方にあえてしてみました。―それでは最後に、これから観る日本の観客に向けてメッセージをお願いします!監督プロとして映像業界に入ってから初めて賞をもらったのが日本ということもあり、私にとっては非常に幸運な場所。それが私の創作活動や人生において非常に大きな励みにもなっているので、日本で上映できるということに喜びを感じています。なので、ぜひ観客のみなさんにも作品をに気に入っていただき、もっと中国を理解していただけたらうれしいです。嵐に巻き込まれるような衝撃を味わう!事件に取りつかれる主人公のように、気がつけばストーリーへとどんどん引きずりこまれてしまう本作。驚くべき運命が待ち受けるダークでサスペンスフルな世界へと迷い込んでみては?抜け出せなくなる予告編はこちら!作品情報『迫り来る嵐』1月5日(土)より、新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開配給:アット エンタテインメント© 2017 Century Fortune Pictures Corporation Limited
2019年01月01日来年2月に日本でも公開が決定しているデンマーク発の新感覚サスペンス『THE GUILTY/ギルティ』が、ジェイク・ギレンホール主演でハリウッドリメイクされることが決定した。犯人は、音の中に、潜んでいる――。本作は緊急指令室のオペレーターを主人公に、「電話からの声と音だけで、誘拐事件を解決する」という異色のサスペンスドラマ。シンプルな設定ながらも、予測不可能な展開で観る者を圧倒させ、第34回サンダンス映画祭では『search/サーチ』(NEXT部門)と並び、観客賞(ワールド・シネマ・ドラマ部門)を受賞。その後も世界中の映画祭で観客賞を総なめにした。そんな注目作が、今回ジェイク・ギレンホールの製作会社ナイン・ストーリーズと、ボールド・フィルムズ(『ナイトクローラー』『セッション』など製作)がリメイク権を獲得し、ハリウッドリメイクが決定。電話からの音だけの誘拐事件に挑む主人公を演じるのは、『デイ・アフター・トゥモロー』『ナイトクローラー』『ノクターナル・アニマルズ』などに出演する個性派俳優のジェイク。今回のリメイク決定に関して彼は、「サンダンスで『THE GUILTY/ギルティ』を見て圧倒された。モーラーの映画は、緊張感を巧みに登場人物の鋭い性格描写に織り交ぜている。まさにナイン・ストーリーズが求めていた素材そのものだ。ボールド・フィルムズとともにアメリカの観客に届けられることを誇りに思う」とコメントも寄せている。また、オリジナル版のグスタフ・モーラー監督とプロデューサーのリナ・フリントが、エグゼクティブ・プロデューサーとして関わることも決定している。『THE GUILTY/ギルティ』は2019年2月22日(金)より新宿武蔵野館/ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:THE GUILTY/ギルティ 2019年2月22日より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて公開© 2018 NORDISK FILM PRODUCTION A/S
2018年12月12日芥川賞作家・中村文則の処女作を原作とし、銃に魅入られた男・トオルの狂気をスリリングに描いた『銃』。村上虹郎さんに熱烈な出演オファーを送ったのは、企画・製作を手掛けた奥山和由さん。奥山さんは、深作欣二監督の『いつかギラギラする日』や北野武監督の『ソナチネ』などを手掛けた日本映画界のレジェンド。虹郎さんは、キャストとスタッフが誰ひとり決まっていない段階で、出演を快諾したそう。「奥山さんはお金のためだけに映画を作りません。自分が観たいと思った映画を、奥山さんの心意気に共感したキャストとスタッフで作るというスタイル。僕も奥山さんに共感し、憧れを抱いていたので、出演することに迷いはありませんでした」武正晴監督は、そんな虹郎さんの演技に魅了されたそう。“表情から立ち振る舞い、雰囲気、何から何まで本当に驚いた”と手放しで大絶賛。「武監督から、細かい演技指導はありませんでした。撮影現場では、僕自身がトオルとして存在していて。役を作るというよりも、自分の中に湧き出る感情を表現しました」トオルの危うさを男の色気全開で表現した虹郎さん。とりわけ、銃を構えるシーンは官能的。「色気を出す演技をしようと思ったことはありませんが、俳優に色気は必要だとは思っています。色気のない俳優にはなりたくないです」『銃』には観客の度肝を抜く、とっておきのサプライズも。トオルと対峙する「オッサン」を熱演したのは、虹郎さんの父親で俳優の村上淳さん。虹郎さんのデビュー作『2つ目の窓』以来の親子共演を果たした。「お互いをよく知っている者同士でお芝居をするのは難しかったです。相手が親父だからこそ、僕にとって意味のあるハードルでした。『オッサン』がトオルを執拗に挑発するセリフは、親父のアドリブ。本編を観て、俳優・村上淳を改めて尊敬しましたし、僕の演技を良いほうへ引っ張ってくれたと思っています。親父は僕の演技を褒めてくれ、ふたりで“良い作品に出合えてよかった”という話をしました。実は撮影当初、トオルとして『オッサン』と向き合ったとき、“一瞬、息子の顔をした”と親父に突っ込まれて(笑)。そのカットは本編には使われていませんが、無意識のうちに息子としての感情が顔に出たのかもしれません」17歳で俳優としてデビューした虹郎さんは、現在21歳。役者として急成長を続け、天才と評されることも少なくない。「天才とは自分の才能に気付き、伸ばしていく人だと思います。すべての人が才能を持っていて、それを伸ばしていけば、天才になれる。僕は今の環境に生まれたことで、才能を伸ばす機会に恵まれました。そこはラッキーだったと思います」20歳の夏に撮り終えた『銃』が、早くも20代最初の代表作となりそうな虹郎さん。今後の目標は、役に深みを出し、役の幅を広げていくこと。「僕の俳優人生において、『銃』は序章の終わりを告げるものだと思っています。これからは年齢的にも違和感なく学生以外の役を演じることができる。仕事を詰め込みすぎず、深みのある役作りをして、役の幅を広げながら、人としての余白を大切にしていきたい。どんどんまわり道をしていきたいですね」『銃』銃を拾った男の理性が崩壊していくさまを描いたサスペンス映画。企画・製作/奥山和由監督・脚本/武正晴出演/村上虹郎、広瀬アリス、リリー・フランキーほか11月17日よりテアトル新宿ほか全国公開。©吉本興業むらかみ・にじろう1997年3月17日生まれ、東京都出身。カンヌ国際映画祭出品の主演作『2つ目の窓』で俳優デビュー。出演映画『チワワちゃん』が来年1月18日公開、5月には舞台『ハムレット』に出演予定。カットソー¥30,000(YOHJI YAMAMOTO/ヨウジヤマモト プレスルームTEL:03・5463・1500)シューズ(beruf Harajuku TEL:03・6427・6563)その他はスタイリスト私物※『anan』2018年11月21日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・Ryohei Matsudaヘア&メイク・TAKAIインタビュー、文・田嶋真理(by anan編集部)
2018年11月15日サスペンス映画の巨匠ヒッチコックが映画化した、ダフネ・デュ・モーリアの長編小説「レベッカ」。2006年にミヒャエル・クンツェ(脚本・歌詞)とシルヴェスター・リーヴァイ(音楽・編曲)のヒットメーカー・コンビがミュージカル化し、2008年に日本初演。2010年の再演を経て、3度目の日本版公演が決まった。主人公は“わたし”。南フランスで出会った上流紳士マキシムと結婚し、広大なマンダレイの屋敷で暮らし始めるが、そこはマキシムの亡くなった先妻レベッカの影に支配されていて…。初演から“わたし”を演じてきた大塚千弘が来阪、作品への想いと初演から10年目で挑む今回の“わたし”を語った。ミュージカル「レベッカ」チケット情報「今でも人生で一番大事な作品と言ってもいいくらい、思い入れのある作品です。とても好きで、大切な作品です」と話す大塚。初演と再演で200回以上演じ、10年の再演では第36回菊田一夫演劇賞を受賞している。「絶対にやり抜きたいという一心で、とにかく必死でした。21歳の“わたし”は年相応で、自分に自信がなくて。でも、私は“わたし”から自信をもらいました」。演じる上で大切にしたのは「身寄りもなく孤独で愛を知らない女の子だけれど、愛によって自信を得る。そこを強く描きたいと」。そして初演から10年を経た今回、“わたし”は平野綾、桜井玲香と初めてのトリプルキャストだ。「この10年間に私生活や仕事面でいろいろな経験をしてきたので、それをたくさん取り入れて、もっと繊細に表現して深みのある“わたし”ができたらと思います。今回は、おふたりの“わたし”に対する解釈が楽しみです。新鮮さや、私が考えていないことをきっと感じることもあると思うので」。秘密を抱え苦しむマキシム。彼を支える“わたし”。レベッカ亡き後も彼女を崇拝する家政婦頭ダンヴァース。レベッカの死に隠された謎の真相とは?3人の関係を軸に衝撃の結末へ向かう。濃密な台本、登場人物の心理をダイナミックで幻想的な旋律で綴る名曲の数々。「メロディが素晴らしく、歌える方がそろっている。そしてストーリーがものすごくしっかりしたサスペンス。ほんとに豪華な作品です。名前のない“わたし”に、お客様が感情移入して物語が進んでいくという構成を楽しんでいただけると思います。女性が強くなるというお話なので、女性の方は是非!」。今回の公演では、クリスマスとイブにも登板する。「ロマンチックですよね、クリスマスにラブストーリーを演じることができるなんて。平成最後の年末に『レベッカ』に出演ができるのも、特別なのでうれしいです」。公演は、東京・THEATRE1010でのプレビュー公演、愛知、福岡公演を経て、12月20日(木)から28日(金)まで大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ、2019年1月5日(土)から2月5日(火)まで東京・シアタークリエにて上演。取材・文:高橋晴代
2018年10月29日◼︎NEXT『カメラを止めるな!』はこの映画で決まり!DRESS読者のみなさん、こんにちは。今回みなさんにご紹介したいのは、なんと全編がPC画面の中で展開される斬新なサスペンンス『search/サーチ』です。新人監督の初長編作品ながら、2018年のサンダンス映画界で大評判を呼び観客賞を受賞した本作。行方不明になった16歳の娘・マーゴットを必死で探そうとする父親・デビッドの姿が、SNSやメール、You Tubeの動画、防犯カメラの記録、担当刑事との電話もFacetimeのカメラ機能が使われるなど、最初から最後までPC画面から一度も出ずに描かれます。その絶妙な映像マジックは、今年話題を呼んだ映画『カメラを止めるな!』を彷彿とさせるような出来の良さです!◼︎『search/サーチ』のストーリー3年前に愛する妻・パムを病気で亡くして以来、高校生の娘・マーゴットと暮らしているデビッド・キムは、シングルファーザーとして思春期を迎えた娘と、ぎこちないながらも良好な日々を過ごしていた。そんなある日、ゴミを捨てずに学校に行ったマーゴットにデビッドがFacetimeで連絡を入れると、友人の家で勉強会をしているというマーゴットからは「徹夜になるかも」というメッセージが返ってくるのだった。その日の深夜、マーゴットからデビッドに着信が入る。熟睡していて着信に気づかなかったデビッドは、翌朝からマーゴットにあらゆる手段で連絡を入れるが、まったくコンタクトが取れない状態が続いた。娘が行方不明になったと警察に相談したデビッドは、事件の担当者となったヴィック刑事とともにマーゴットのインスタグラムやツイッター、フェイスブックなどのSNSから情報を集めていくが、それまでまったくと言って良いほど知らなかった、娘・マーゴットの驚愕の事実が次々と明らかになり……。◼︎「最初から最後までPCモニターから一度も出ず」に物語が展開このあまりに斬新な映画のメガホンを取ったのは、本作が長編監督デビュー作となる現在27歳のインド系アメリカ人、アニーシュ・チャガンティです。南カリフォルニア大学で映画製作を学んだチャガンティは、23歳のときにGoogle Glassだけで撮影した2分半の短編映画『Seeds』がYou Tubeで24時間の間に100万回以上再生され、話題を集めました。この短編をきっかけにNYのグーグル・クリエイティブ・ラボに招かれ、2年間グーグルのCM制作などに携わったチャガンディは、本作で斬新な映像体験を生み出しました。行方不明になった娘のPCに父親が潜入するという斬新な映像手法から展開される『search/サーチ』。友人との会話からネットショッピングや銀行振込まで、あらゆることがPCやスマートフォンで済ますことができるようになった現代社会を生きる私たちにとっては、その怖さをリアルに感じられるような作品になっています。マーゴットの行方不明事件が二転三転するストーリーの面白さはもちろん、思わぬ会話や写真が伏線となる後半の急展開や、最後までPC画面から出ない「仕掛け」の面白さに、きっとあなたも夢中になってしまうことでしょう。あまりに良く出来た第一級サスペンス『search/サーチ』。ぜひ劇場のスクリーンでお楽しみください!◼︎『search/サーチ』公開情報『search/サーチ』10月26日(金)全国ロードショー監督:アニューシュ・チャガンティ出演:ジョン・チョー、デブラ・メッシング、ジョセフ・リー、ミシェル・ラー配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント上映時間:102分公式サイト:
2018年10月27日オードリー・ヘプバーン主演の映画でも知られるフレデリック・ノットの名サスペンス劇『暗くなるまで待って』が、深作健太演出で上演される。盲目の主婦スージーの家に、ひょんなことから麻薬の隠された人形が持ち込まれ、これを奪おうとする男達を相手にスージーが孤軍奮闘する物語だ。【チケット情報はこちら】スージーが相手にする悪党のひとり、ロートを演じる加藤和樹は「2007年に日本で上演された舞台を観て、“なんだこの芝居は!”と衝撃を受けたんです。ロート役は浦井健治さんがやっていらして、“この人、すごいな!”と思って。いつかこのお芝居をやりたいという願いが叶って、嬉しいです」と目を輝かせる。加藤にとって、2010年、2017年の『罠』でもタッグを組んだ深作が演出を手がけることも大きいという。「健太さんはいつも、役者に寄り添い、一緒に考えてくださる。同じペースで歩んでいける演出家なんです。健太さんが初めて舞台の演出を手がけた『罠』では、稽古が“よーい、スタート!”で始まり、演技が終わったら“カット!”とおっしゃったのが、今でも忘れられません(笑)。その後、僕はミュージカルにも出演し、健太さんはオペラの演出もなさり…と、お互い経験を重ねて再会するたび“健太さんはこんなカードを出してくるんだ!じゃあ自分はあのカードを出してみよう”というふうに、良い関係性が築けています」『暗くなるまで待って』は、その『罠』と同じワン・シチュエーション・プレイのサスペンス。「決め事が多くなり、1個でもボタンをかけ違ったらおしまい。大変ですが、良い緊張感にもなるはずです。視覚的なものに加えて、サスペンスの醍醐味なのが、会話。膨大な情報を、台詞でお客様に与えていかなければなりません。この台詞は立てなければならないとか、でも立て過ぎるとわざとらしくなる、とか、そういったところに難しさもやり甲斐もありますが、相手役に言葉をきちんと届けることができれば、お客様にも伝わると思っています」加藤がロートのような悪人を演じるのは珍しい。「ここまでの極悪人は初めてかもしれません。役者が役の1番の理解者でないといけないので、彼がどんな人間で、どういう私生活を送っているのかを考えていく必要がある。見た目だけでなく中身も彼として舞台上で立っていられることが目標ですね」台詞をどう届けるか、役をどうとらえるかを語るその口ぶりからは、役者としての充実がうかがえる。「20代後半くらいの頃、演出家の白井晃さんとの出会いもあって、“自分と役を別物に考えるのではなく、自分のベースに自分の言葉として出てくるものが役になるんだ、役者って難しいことをやってるんだな”と気づいて。そこから面白くなってきました。来年は僕も34歳。これまでやってきたことを生かして、若さだけではないものを表現したいです」公演は2019年1月25日(金)から2月3日(日)まで東京・サンシャイン劇場で上演。その後、大阪、愛知を周る。ぴあでは10月9日(火)午前11時まで東京公演のプレイガイド最速先行受付中。取材・文:高橋彩子
2018年10月02日デンマーク発のサスペンス・アクション「BELOW THE SURFACE 深層の8日間」が、海外ドラマ専門チャンネル「スーパー!ドラマTV」にて独占日本初放送される。この度、本作の主人公の声を人気実力派声優・神谷浩史が担当することが明らかになった。■ストーリー対テロ特殊部隊の指揮を執るフィリップ・ノアゴーは優秀な指揮官だが、1年ほど前に中東で捕虜となり、そのときに受けた拷問で悪夢に悩まされていた。ある日、デンマークの首都コペンハーゲンで、3人のテロリストが地下鉄の電車をハイジャック。乗客15人を人質にして工事中の地下駅に立てこもる。テロリストたちは人質の命と引き換えに400万ユーロを要求するが、同時に女性ジャーナリストのナヤ・トフトに人質への独占インタビューをもちかける。インタビューの最後に登場した覆面姿のテロリストのリーダー格、通称“アルファ”は、カメラに向かって警察と自分はパートナー関係になることを願うと語りかけるが、最後の「よう、パートナー?」という一言にフィリップは凍りつく。それは、自分を拷問した男の言葉に酷似していた――。■デンマーク発の最新サスペンス・アクション次々とハリウッドでリメイクされている注目のデンマーク発のドラマ。本作は、近年ヨーロッパで頻発しているテロ事件を題材に、テロリストVS対テロ特殊部隊の攻防と、事件に絡む人々の心理や人間関係を描いたダイナミックなサスペンス・アクションだ。また全8話からなる本作は、同じデンマーク発の大ヒットドラマ「THE KILLING/キリング」と同様に、1つの事件が解決するまでの8日間を1日1話で描き、さらに1話の中で登場人物のうちの1人の過去が回想の形で語られるというスタイルになっている。■神谷浩史、北欧ドラマ初主演!本作の主人公でヨハネス・ラッセンが演じる対テロ特殊部隊の指揮を執るフィリップ・ノアゴーの吹き替えを務めるのは、「夏目友人帳」「進撃の巨人」「おそ松さん」、吹き替えでは『ハンガー・ゲーム』シリーズのピータ・メラーク役ほか数多くの人気作に出演し、ラジオパーソナリティーやアーティスト活動など様々なシーンで活躍する神谷浩史。初の北欧ドラマに挑戦する神谷さんが演じるフィリップは、過去にトラウマを抱えながらも人質テロ事件の犯人を相手に果敢に立ち向かう役どころ。「海外ドラマ自体の経験も浅い中、今作に抜擢していただけたのは本当に有り難かったです」と出演を喜んだ神谷さんは、「フィリップはデンマークでは英雄として扱われている人物ですが、当の本人はその自覚があまりない…それは何故なのか?と言うのがポイントになってくると思います。北欧デンマークを舞台に繰り広げられる、それぞれの登場人物たちの真相に迫る8日間の物語を、ぜひお楽しみください!」と見どころを語っている。ほかにも、地下鉄テロ事件でフィリップと共に仕事をすることになるルイーセ・ファルク(サーラ・ヨート・ディトレセン)を安藤瞳、女性ジャーナリストのナヤ・トフト(パプリカ・スティン)を松熊つる松が吹き替える。「BELOW THE SURFACE 深層の8日間」は10月4日(木)22時~スーパー!ドラマTVにて独占日本初放送。(cinemacafe.net)
2018年08月15日映画『search/サーチ』が、2018年10月26日(金)に公開される。全てが“PC画面”の中で完結するサスペンススリラー『スター・トレック』シリーズのスールー役で知られる俳優ジョン・チョー演じるデビッドは、忽然と姿を消した16歳の娘・マーゴットの行方を追うため、彼女のPCにログイン。SNSにアクセスしその行方のヒントを探そうとするが、そこで自分の全く知らない娘の一面を知る…。と、ここまでは一見すると何の変哲も無い物語のようにも思えるが、本作最大の特徴はその映像にある。普通はシーン毎に様々なカメラワークの映像を組み合わせながら物語が進行していくが、本作では100%全てがPC画面の映像だけで完結する。この全く新しい巧みな手法により生み出した新感覚のサスペンススリラーは、米サンダンス映画祭でも話題を呼び見事観客賞を受賞している。監督は、若干27歳のインド系アメリカ人アニーシュ・チャガンティ。「グーグル グラス(Google Glass)」だけで撮影した「Seeds」というYouTube動画がインターネットで話題を巻き起こし、映画界デビューへのチャンスを掴んだだという異色の経歴を持つ注目の人物だ。ストーリー忽然と姿を消した16歳の女子高生マーゴット。行方不明事件として捜査が始まる。家出なのか、誘拐なのかわからないまま37時間が経過。娘の無事を信じる父デビッドは、彼女のPCにログインしSNSにアクセスを試みる。インスタグラム、フェイスブック、ツイッター…。そこに映し出されたのは、いつも明るく活発だったはずのマーゴットとはまるで別人の、自分の知らない娘の姿だったーー。作品情報映画『search/サーチ』公開日:2018年10月26日(金)原題:Searching監督:アニーシュ・チャガンティ製作:ティムール・ベクマンベトフ(『ウォンテッド』監督・『アンフレンデッド』製作)脚本:アニーシュ・チャガンティ&セブ・オハニアン出演:ジョン・チョー(『スター・トレック』シリーズ)/デブラ・メッシング(「SMASH」「ウィル&グレイス」)/ジョセフ・リー/ミシェル・ラー
2018年07月30日世界中の映画祭を騒然とさせた話題作『ラブレス』!【映画、ときどき私】 vol. 153一流企業で働くボリスと美容サロンを経営するジェーニャの夫婦は、離婚に向けて協議中。ふたりの間には12歳になる息子のアレクセイがいたが、すでにそれぞれ別のパートナーがいることもあり、お互いに親権を押し付け合い、言い争いが絶えなかった。そんな両親の口論に心を痛めていたアレクセイは、ある日学校に出かけたまま行方不明となってしまう。自分たちの幸せな未来のため、必死に息子を探し始める身勝手な両親。アレクセイの安否はいかに……。昨年のカンヌ国際映画祭での審査員賞受賞をはじめ、アカデミー賞外国語映画賞ノミネートなど、注目を集めてきた映画がいよいよ日本でも公開を迎えますが、今回は監督・脚本を務めたこちらの方にお話を聞いてきました。それは……。ロシアの鬼才アンドレイ・ズビャギンツェフ監督!デビュー作以降、発表する作品すべてが世界三大映画祭で評価されていることもあり、世界中の映画ファンからも新作に対する期待値が高いズビャギンツェフ監督。今回は新たな傑作とともに来日し、作品に込めた思いを語っていただきました。本作の『ラブレス』というタイトルは、ロシア語の原題「Nelyubov」というのを英語に直訳したものだそうですが、そもそもロシアでもあまり使われない単語であり、単に愛がない状態ということでもないのだという。まずはこのタイトルに込めた思いから教えてください。監督この単語は辞書には載っているけれど、文学でも日常生活でも極めてまれにしか使われない言葉。でも、僕にとっては辞書に書かれている解釈でも不十分だと思っている言葉でもあるんだよ。なぜなら、憎しみや無関心、愛がないといった概念が書かれていたとして、人生というのはそういうストレートなものだけではないと思っているからなんだ。つまり、ピアノに例えると、この単語は半音に近いものがあるから、白い鍵盤の部分ではなく、黒い鍵盤のような言葉なんだよ。説明するのは難しいことなんだけど、唯一言えるとすれば、いろんなものが不足しているという状態であって、愛や忍耐、寛容性、他の人に対する関心といったものが欠けているということなんだ。本作のような “ラブレスな夫婦” の姿はロシアでも多く見られていますか?監督確かに、何年も家庭内別居状態であるにも関わらず、子供が成長するまで一緒に暮らしている夫婦はたくさんいるよ。とはいえ、この作品を観ている人たちに考えてもらいたいという思いもあって、劇中ではあえて極端に描いているところもあるんだ。2時間という映画だといろんな要素を凝縮して伝えないと心に響かないからね。僕の映画を観てロシアを知ることができると思ってくれるのは嬉しいけれど、あくまでもそれは一面にすぎない。ただ、この映画で伝えたかったことのひとつは、相手を思いやれないのであれば恋愛するべきじゃないし、そういう恋愛の結果に、犠牲になる子どもたちがいることを忘れないで欲しいということなんだ。本作では印象的なシーンも多く見られましたが、撮影監督とはどのようにして作り上げていますか?監督撮影監督のミハイル・クリチマンとは一緒に仕事をして18年もの関係になるんだけど、初めて仕事をしたときに、「理想的で完璧なパートナーを見つけた」というのが僕の印象だったんだ。まさに、恋愛と同じように、ずっと昔から恋をしていて、「これが運命である」と感じるのとまったく同じ状況だったんだよ。僕はミハイルのなかに自分の目を見いだしたと感じているんだけど、僕にとっては友であり、同志であり、自分と同等の仕事をする人間でもある。だから、彼とならたとえ火の中水の中、どこにでも行けると思っていて、いまでは他の撮影監督と仕事をすることは想像できないね。そんなおふたりがこだわったシーンはどこですか?監督僕たちの特徴としては、同じシーンを何度も何度も撮るというスタイルなんだけど、この映画に関しては、唯一例外があったんだ。それは、ある人物の死体置き場でのシーン。俳優たちには、シートを外すと損傷の激しい死体を模した人形があるということは伝えていたんだけど、どのようなものかは事前に見せてはいなかった。実際、俳優たちの目に触れることがないようにスタッフ全員に指示をしていたくらいなんだよ。そして、本番でそれを見せたときにはやはり効果があって、彼らはシナリオにあるセリフを口にしてはいたけれど、リアクションは実際の人生から取ってきたものだったんだ。だから、そこは1回目のカットで行こうと、それを “信じよう” と決めたんだ。これまでの作品も含めて、一貫して心がけていることはありますか?監督僕の作品というのは、自分自身のこれまで生きてきたことや職業と密接に結びついているものだと思っているよ。それと、僕は俳優としての教育を受けた人間ということもあり、演技をしているというふうに見えないことが俳優としての価値基準だとも考えているんだ。つまり、スクリーン上の出来事であるというのではなく、観客にも現実だと思い込ませることが重要なんだよ。さっき、僕は俳優に対して「信じる」という言葉を使ったけれど、それはロシア演劇のある権威が言った言葉。というのも、彼は俳優が何かを演じようと試みているときにはOKを出さず、本当だと感じられたときに「信じる」と言うんだ。そんなふうに人生と同じだと感じられることが僕にとっての基準なんじゃないかな。だから、役者にもカット毎にいま言ったことを求めているんだよ。最後に、この作品を通して観客に感じて欲しいことがあれば教えてください。監督もし、この映画から政治的なメッセージしか感じられなければ、こんなにも国境を超えることはなかったし、これだけ海外で広く受け入れられたということは、この作品が「普遍的なメッセージを発している」ということでもあるよね。僕がこの夫婦を通して伝えたかったのは、他人への思いやりと愛情を持つことがいかに大事かということ、そして他者への共感や尊敬などが失われている現代への警告なんだ。僕にとって映画というのは「良薬は口に苦し」。それによって自分の人生や周囲との関係について振り返って考えて欲しいと思っているんだ。ワクワクできる楽しい映画は、甘いお菓子みたいでいいと思うけど、人生にはそれだけじゃなくていろんな食べ物が必要なんじゃないかな。こんな時代だからこそ観るべき1本!観る人によって感じ方が大きく異なり、抜けないトゲのようにいつまでも心の奥に残り続ける驚愕のラスト。自分にとって「本当の幸せとは何か」、そして「愛とは何か」という問いかけに誰もが向き合わずにはいられないはずです。心をかき乱す予告編はこちら!作品情報『ラブレス』4月7日(土)、新宿バルト9、ヒューマントラストシネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国公開配給:クロックワークス、アルバトロス・フィルム、STAR CHANNEL MOVIES©2017 NON-STOP PRODUCTIONS – WHY NOT PRODUCTIONS「あなたにとっての幸せとは何ですか?」と聞かれてすぐに答えられない人も多いと思いますが、そんな自分のなかにある価値観を揺るがすような衝撃作を今回はご紹介したいと思います。その作品とは……。
2018年04月06日通勤電車といえば、毎日同じ時間、同じ景色で何の変化もないと思いがちですよね?そこで、通勤電車でのある出会いによって平凡な日常が激変してしまう主人公を描いたスリリングな話題作『トレイン・ミッション』をご紹介します。今回は日本での公開を迎えるにあたって、本作に欠かせないこちらの方を直撃してきました。それは……。第一線を走り続けるリーアム・ニーソン!【映画、ときどき私】 vol. 150『96時間』シリーズや『フライト・ゲーム』などでも主演を務め、65歳のいまなおアクションスターとしても現役のリーアムさんに映画の裏側や俳優としての心構えについて語っていただきました。最初に脚本を読んだときの印象はいかがでしたか?リーアムこの作品に限らず、スリラーというのはどれもそうだけど、「よく考えたらちょっとこれは無理あるんじゃない?」みたいなことってあるよね。でも、そういうことを忘れて、ポップコーンを片手に物語を一緒に経験していくアトラクションのような作品として見事な形になっているなと思ったんだ。つまり、映画を観たあと家に帰って、ミルクでも飲もうと冷蔵庫を開けた瞬間、「あれ? あそこって……」と思うのはどんな映画にもつきものだけど、そんなことよりも楽しめる映画になっているんじゃないかなということだよ。それに今回は、僕が演じたマイケルとともにリアルタイムで観客がこの道のりを体験し、一緒に発見することが重要なところ。すぐに次の状況に放り込まれるから、それを分析する暇なんかないはずだよ。本作でもアクションシーンは見どころでしたが、どのようにして生み出されたのですか?リーアムこれまでに18本ほど一緒に映画を作っているスタントコーディネーターと今回も組み立てていったんだけど、ちょうどロンドンのスタジオが空いていたので、そこにテープで電車のなかを再現して、スタントチームとともに脚本に合わせたファイトシーンを考えたんだ。そこではご自身もアイディアを出されましたか?リーアム僕はほかのスタジオでも撮影があったので、撮影が終わる夜になってからスタントチームが考えたものを見せてもらって、「ここはいいね」とか「これは信ぴょう性がないかな」と提案しながら話し合っていったんだ。そうやってゆっくりとスタントマンたちとリハーサルをはじめていったんだよ。撮影中は毎晩そんなふうにファイトシーンを作っていたんだけど、ある程度できあがったら監督からOKをもらって、そこからリハーサルを何度も何度も繰り返す。そして、目隠ししてもできるくらいまでに仕上げていったんだ。では、撮影中に意識していたことは?リーアムカメラが回ったときに重要なのは、実際は目隠ししてもできるくらいなんだけど、それがあたかも初めて行われるかのようにやること。そして、本当に起きているんだというのを観客に見せなければいけないということだね。それが一番難しいところでもあるんだけど、そこが一番ワクワクするところでもあるんだ。ジャウム・コレット=セラ監督とは4度目のタッグとなりましたが、現場での様子は?リーアム僕は監督のことを100%信頼しているから、現場ではほとんど言葉を交わさなくてもいい関係なんだ。つまり、お互いに何を考えているのか読み取れるくらいの間柄で、素晴らしいダンスパートナーのような感じだね(笑)。僕たちはリハーサルをあまりしすぎないようにもしているから、ワンテイクで撮れることもあったくらいなんだ。気心知れた相手だからこそ、作品に盛り込んだ遊び心はありましたか?リーアム実は、今回はあんまりそういう遊び心を発揮する余地がないほど大変な撮影でもあったんだ。というのも、劇中で電車の設定は7両なんだけど、現場ではスタジオのなかに1~2両くらいしかなかったから、それをそれぞれの車両に合わせて毎回変えていかないといけなくて、美術部さんは本当に大変だったと思うよ。リーアムさんは、撮影中セットに行く前に毎朝ジムでトレーニングをして準備をしていたのだとか。それだけにスラッとしたかっこいい佇まいは、男性から見ても女性から見てもあこがれてしまうところ。鍛え上げられた肉体を維持されていますが、カラダづくりで続けていることはありますか?リーアム普段から体にいいことはちゃんとしているよ。家にも小さなジムスペースがあるからエクササイズのようなことは取り入れているし、パワーウォーキングも好きなんだ。当然、役者としては体調管理が欠かせないんだけど、特に主役を演じるときというのは、ほかのキャストやスタッフにとってもいいお手本であるべき。たとえば、時間に遅れないとか、病気にならないとか、休憩はちゃんと取るとか、自分がやらなければいけないことに対する肉体的な準備を怠らないとかなんだけど、そのためにはやっぱりスタミナは必要だよね。だから、水泳でも、ウォーキングでも、ジョギングでも何でもいいんだけど、それをキープすることはすごく重要だと思っているよ。だって、映画というのは製作費がすごくかかっているわけだから、それに対して責任を持たないとね!本作に出演している俳優陣からは、リーアムさんと共演できることが出演の決め手だったという声が多数あがったほど、誰からも尊敬されている存在のリーアムさん。ご自身の役者としてのモットーを教えてください。リーアムモットーというのは特にないかなぁ(笑)。でも、この仕事をできているということはとても恵まれていることだし、運がいいとも感じているよ。僕はアイルランドの小さな町の出身だから、もしそのまま残っていたら、仕事の選択肢というのはあまりなかったと思うんだ。だから、こんなふうに世界中を旅できるような仕事につけたこと、そして映画を作ることができるという幸せを決して忘れないでいようと心がけているよ。そういう思いがあるからこそ、一緒に働くキャストやスタッフと仲良くしたいと思うし、つねにこの仕事の素晴らしさを祝福するような気持ちでいたいんだ。だって、もし僕が現場で機嫌が悪くなったりしたら周りのみんなに対して失礼なことでしょ?そう考えると、こういうこと自体がモットーといえるのかもしれないね。インタビューを終えてみて……。今回はなんと13年ぶりの来日となったリーアムさんへの貴重なインタビューでしたが、誰もが引き込まれてしまうオーラとダンディさがとにかく印象的。どんなにスターになっても、主演としての現場でのあり方や感謝の気持ちを忘れない謙虚な思いが伝わってくるからこそ、世界中で愛され続けているのだと痛感しました。今後も次々と新作が控えているようなので、まだまだ若手には負けない魅力で楽しませてくれることは間違いなさそうです。一度乗り込んだら最後まで降りられない!通勤電車という日常空間が緊張感あふれる密室空間へと一変し、繰り広げられるのは二転三転するノンストップサスペンス。終点まで一気に駆け抜ける予想不可能な展開に、何度も息をのんでしまうはず。ぜひ、スクリーンで乗客の気分を体感してみて!ストーリーいつものように通勤電車で出勤するマイケル。ところがある日、60歳という定年間近にも関わらず、10年間務めてきた保険会社にリストラされてしまう。途方に暮れながらも帰りの電車に乗ったマイケルの頭のなかは、住宅ローンと息子の学費のことで頭がいっぱいだった。そんななか、見知らぬ女性が目の前に座り、乗客のなかから “ある人物” を探し出せば、10万ドルの報酬を払うと持ち掛けてくる。マイケルは元警察官としてのスキルを駆使しながら、わずか3つのヒントをもとに捜索を開始。しかし、そこには予想だにしていなかった陰謀が隠されていたのだった。絶体絶命のピンチに追い込まれたマイケルは、終点までに標的を見つけ出すことができるのか……?疾走感に包まれた予告編はこちら!作品情報『トレイン・ミッション』3月30日(金) 全国ロードショーTOHOシネマズ日比谷にて3月29日(木)特別先行上映!配給:ギャガ© STUDIOCANAL S.A.S.写真・大嶋千尋(リーアム・ニーソン)
2018年03月28日人は誰もが、大なり小なり秘密を抱えながら生きているもの。そこで今回は、ある秘密の告白が引き起こした事件を描いたこの春注目のサスペンス映画をご紹介します。それは……。注目の知的ミステリー『修道士は沈黙する』!【映画、ときどき私】 vol. 149ドイツの高級リゾート地として知られるハイリゲンダム。まもなく世界経済に多大な影響を与えるであろう国際的な会合が行われようとしていた。そんななか、会議前夜に開催される夕食会のゲストとして招かれていたのは、イタリア人修道士のロベルト・サルス。各国の大臣と著名人たちによる楽しい宴は過ぎていった。会食後、サルスは天才的エコノミストであり国際通貨基金の理事を務めるダニエル・ロシェ専務理事に呼び出され、告解をしたいと打ち明けられる。ところがその翌日、ロシェは死体となって発見されるのだった。はたして、自殺か、他殺か?そして、沈黙を貫くサルスは、殺人事件の容疑者として疑いをかけられることに……。そこで今回は、謎と疑惑が渦巻くスリリングな世界観を見事に作り出したこちらの方に、物語の真相に迫るべく、お話を聞いてきました。その方とは……。イタリアの鬼才ロベルト・アンドー監督!映画監督としてだけでなく、オペラや舞台の演出、さらには小説の執筆など、あらゆる分野で評価の高いアンドー監督ですが、本作のテーマや制作に込めた思いについて語ってもらいました。主演のトニ・セルヴィッロさんとパリで散歩中にこの物語が生まれたそうですが、どんなことを話されましたか?監督トニと会って話をしたとき、実はすでに漠然としたアイディアみたいなものはあったんだ。それというのは、権力者たちと修道院という世界の外で生きている人間とのありえないような出会いについてのスリラーにしたいということ。そんなことをトニと話しているうちにだんだんと発展していって、「じゃあ一緒にやろう」という話になったんだ。だから、その時点で主人公の修道士を彼が演じることも決まっていたよ。トニ・セルヴィッロさんといえばイタリアが誇る名優ですが、監督から見た魅力はどんなところですか?監督彼はもともと舞台で活躍していたので、映画俳優として有名になって成功を収めたのはすごく遅かったんだ。だから、最初は主役ではなく脇役だったんだけど、それが徐々に頭角を現していって、いまではイタリアの映画俳優としても舞台俳優としてもトップクラスの存在で、海外でも非常に愛されているよね。そんな彼の魅力というのは、いかにも人生をしっかりと生きてきたような過去を感じさせる深みのある顔。「もしかしていろいろな大変な思いをしてきたかもしれない」ということを想像させるんだけど、それと同時に知性もあるし、何かを隠しているようなミステリアスな印象も観客に抱かせることができるんだ。そういう意味でも、この修道士という役は非常にぴったりだったし、沈黙を通じて語ることができる稀有な役者だとも思っているよ。今回、本作の重要なカギをにぎっているのは、日本ではあまりなじみのない「告解」という言葉。キリスト教のいくつかの教派において、罪のゆるしを得るのに必要な儀礼のことを指しています。では、この題材にしようと思った理由は何ですか?監督いまの時代というのは、SNSにしてもそうだけど、すべてがオープンにされている時代だと思うんだ。そういう意味でも “秘密の領域” というのがなくなってきていると感じていたから、告解ということを考えたんだよ。この場合、権力者が秘密を暴かれない唯一のシチュエーションであり、プライバシーが守られる場所。しかも、修道士と権力者というのは、こういう機会がなければ出会う可能性がないんじゃないかな。脚本を作り上げるうえで、こだわった描写はありますか?監督やはり一番気をつけたのは、ストーリーにおけるスリラーとリアリズムのバランス。つまり、「リアリスティックでありながらイマジネーションな要素が徐々に出ていく」というバランスにすごく気をつけていたんだよ。監督が思う告解の持つ意味とは?監督本来、告解というのは教会と信者との絆。実際には信者がいろいろな罪を神父に打ち明けるんだけれど、神父はその秘密を絶対に守らなければいけないし、そのうえで許しを与えるかどうかというのを決めるんだ。この映画のなかでは、国際通貨基金のトップであるロシェも許しを得たいと思って告解をするわけで、それがされるかどうかというところが作品のキーポイントでもあるんだよ。ちなみに、監督も告解をされたことはありますか?監督僕自身もカトリックの洗礼を受けたので、子供の頃は何年間か告解をしていたことはあるよ。なぜなら、キリスト教の信者は若い頃から大人になっても、日曜日になるとその週の罪を告解することが慣例になっているからなんだ。それでは最後に、本作を通じて日本の観客に伝えたいメッセージをお願いします。監督この作品というのは、楽しめる映画であり、驚くことのできる映画でもあり、そしてサスペンスでもあるんだ。そのなかで、非常に魅力的で謎めいている人物にも出会うことができるから、この映画ではいままでの僕たちとはまったく違う考え方を持っている人間というのを知ることができるんじゃないかな。そして最後に、彼はある謎を残して去っていくんだけれど、ぜひそこも味わって欲しいなと思っているよ。一瞬たりとも緊張が解けない!「知的でスタイリッシュな異色のミステリー」といわれている本作は、大人こそが味わうことのできる極上の一本。世界各国の実力派俳優が集結して繰り広げられる心理合戦とともに、じっくりと堪能してみては?息をのむ予告編はこちら!作品情報『修道士は沈黙する』3月17日(土)よりBunkamuraル・シネマほか全国順次ロードショー配給:ミモザフィルムズ©2015 BiBi Film-Barbary Films
2018年03月15日ここ数年、韓国の小説が数多く邦訳されるようになってきたことにお気づきだろうか。複数の出版社が、気鋭の作家たちの面白い作品を続々紹介中。そんな韓国文学の活況を牽引する翻訳家のひとりが、斎藤真理子さん。なぜ韓国文学の人気に火がついたのか、おすすめ作品とともに解説していただいた。韓国の傑作小説が、続々と邦訳。この面白さに乗り遅れるな!「韓国の40代以下の若い世代に、格段に面白い小説を書く作家が増えたことは大きいです。観察眼に長けていて、素材の切り取り方や見せ方など、お皿に盛って出すときの手つきに芸がある書き手が増えている印象ですね。それより上の世代の作品だと、韓国の歴史的な背景や文化風俗を知らないと理解するのが難しいところがあり、興味がある人が読むという状況でした。けれど世界が平準化されてきたいま、日本でも韓国でも、人々は同じような消費社会を生き、同じ悩みを抱えています。韓国について知っていても知らなくても、小説の中には共感のしどころがいろいろある。中学校のいじめ問題が世界の縮図にも見えるパク・ミンギュの『ピンポン』などは、その典型かもしれません」(翻訳家・斎藤真理子)よく取り上げられるテーマは、都会で働く人々の不安や生きづらさ、親子の葛藤、恋愛や育児の悩み、格差社会の鬱屈など日本とほぼ同じ。ハン・ガンが『ギリシャ語の時間』で描いた喪失と再生もそのひとつ。「ただ、日本の小説と比べると、似たテーマを扱っていても、韓国小説はとろりと濃いというか。若者であっても、親世代、祖父母世代から聞きかじった朝鮮戦争や南北分断、軍事独裁政権時代の苦しさなど、歴史的な経験の影響を受けています。そうした重層的な社会の空気を吸って育ってきた民族ならではの、打たれ強い生命力を、作品から感じるんですよね」そこが現代韓国文学の魅力ではないかと、斎藤さんは分析する。「エンタメ市場も成熟しつつありますし、純文学とミステリーの相乗効果が楽しめる『殺人者の記憶法』などにも注目です」右・いじめられっ子の少年<釘>と<モアイ>が、ピンポン球と言葉のラリーを続けながら世界のありようを見つめていく『ピンポン』。「純文学とエンタメの垣根を取っ払った作風で高い人気を誇る著者。社会へのメッセージを奇想と過剰なリリシズムで描きます」。パク・ミンギュ著斎藤真理子訳白水社2200円。中・『ギリシャ語の時間』は、視力を失いつつある男性教師と失語症の女性受講生の交流劇。「英国のブッカー国際賞を受賞していて、日本でもよく知られた女性作家。個人の痛みを社会の傷と重ね合わせて描き、読者にも問いかけてきます」。ハン・ガン著斎藤真理子訳晶文社1800円。左・映画化もされた『殺人者の記憶法』。「認知症の元殺人鬼が書く日記というポップな設定に、人間にとって根源的な悪とは何かという息詰まるようなテーマを組み合わせるアイデアに瞠目」。キム・ヨンハ著吉川凪訳クオン2200円。さいとう・まりこ翻訳家。主要訳書に、第一回日本翻訳大賞に輝いた『カステラ』(パク・ミンギュ著クレイン)が。5月に、邦訳を担当した『鯨(仮題)』(チョン・ミョングァン著晶文社)が発売予定。※『anan』2018年3月21日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2018年03月14日中学時代の秘密を抱く4人の男女。愛と狂気が迸る村山由佳版ノワール。最新刊『嘘Love Lies』について話を伺いました。「週刊誌で連載するにあたって、これまでとは違うことをやってみたいなと思って。それで、『スタンド・バイ・ミー』のような少年時代の切なさを基調にしつつ、サスペンスタッチのものを書くということに挑戦してみました」と語るのは村山由佳さん。最新刊『嘘Love Lies』で描かれるのは思春期のきらめきと罪、大人の愛情と罰。中心人物の秀俊は中学生の頃、母の愛人から虐待されていた。彼の日常に光を与えたのは、美月、亮介、陽菜乃という仲間だ。「秀俊のような環境に育つ子も、きっとたくさんいる。本人はそれが当たり前と思って育つから、あまり声が届いてこない。それを小説に書くことで、読者に自分の体験かのように感じてもらえたら。それが報告書とは違う、フィクションの力だと思っています」友情を育む4人だが、ある悲劇をきっかけに彼らの人生は一変する。「それをきっかけに彼らは心ならずも闇の方へと突き進むことになるんですよね。あの場面を書くのは、書いていいのかという逡巡も含め、しんどかった。でも、それも世の中のどこかで実際に起きていることだからと、覚悟を持って書きました」一方、秀俊には親以外に面倒を見てくれた九十九(つくも)という男がいる。実は彼は極道。九十九に助けを求めたことから、秀俊はこの男の呪縛から逃れられなくなる。そして20年後。傷を抱えながらもそれぞれの人生を歩む彼らに、再び悲劇が。彼らはそれと、どう向き合っていくのか。「ご都合主義の救いも書きたくないし、大山鳴動して鼠一匹、ともしたくなくて。彼らのその後に寄り添って、きっちり最後まで書かなければ、という思いで書き進めました」意外な事実も判明、スリリングな展開の後半では、九十九の運転手だった近藤という男もキーパーソンに。「女性はだいたい秀俊派か近藤派に分かれますね(笑)。タイプは違うけれどそれぞれ男気があるんですよね。それは女性側からすると要らない強がりだったりする。それもむしろ愛しいなと思いながら書きました」村山さん自身は「実は私は山田・佐々木派(笑)」。この二人の人物が何者なのかは、読んでご確認くださいませ(きっと驚くはず!)。むらやま・ゆか作家。‘93年『天使の卵-エンジェルス・エッグ』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。‘03年『星々の舟』で直木賞、‘09年『ダブル・ファンタジー』で中央公論文芸賞ほか受賞。村山由佳『嘘Love Lies』秀俊、亮介、美月、陽菜乃は仲の良い同級生。しかしある悲劇が彼らの運命を狂わせる。20年後、傷を抱えたまま懸命に生きる彼らを襲う、再びの悲劇とは…。新潮社1800円※『anan』2018年2月21日号より。写真・土佐麻理子(村山さん)水野昭子(本)インタビュー、文・瀧井朝世(by anan編集部)
2018年02月20日映画評論ユニットのお杉とB子。今回は『エターナル』を紹介してくれました。失意の男の心の旅。行き着く先は?お杉:ビョン様の役者としての奥深さに触れられたわ。『MASTER マスター』の極悪詐欺師から一転、今度は良心の呵責に苛まれるエリート証券マン、カン・ジェフンの苦悩を繊細に演じてるの。B子:でも、大事なのはそこじゃないの。その失意のなか、仕事にかまけて放っていた家族の大切さに気づくというのが感動を呼ぶのよ。お杉:将来のためにシドニーで暮らす妻子に、2年も会ってないってすごくない?B子:それだけ家族のために仕事に打ち込んでいたのよ。それなのに会いに行った彼が目撃したのは隣家の男と親しげな妻の姿。そりゃあ、俺の2年はなんだったんだと動揺。お杉:だから、なかなか妻子の前に姿を見せられないってか?(笑)この男の煮え切らなさがすごくリアルでもどかしいのよ。B子:そんなジェフンの前にワーキング・ホリデー中の女学生ジナが現れる。不良学生のせいで窮地に陥った彼女を助けるうちに、二人が恋に落ちるのかと思ったわけよ。隣人に心が傾いてる奥さんより、絶対いい。お杉:ジナ、かわいいからな。ところが二人の間には別の絆があった! 自分も悩みを抱えながらジナの力になろうとするあたりからも、実は思いやりのあるジェフンの人柄がうかがえる。いろいろと彼について不審に思うことがあるけどね。B子:今の韓国における、エリート家族の母子留学事情や留学生相手の詐欺の実情も描かれてる。留学予定のある皆様、参考になるかもよ。お杉:「うまい話には裏がある」ってジェフンも言ってたわ。この物語の構成もうまいの。冒頭のタスマニアのビーチで遊ぶ妻子の優雅な映像が、ラストに繋がる感動ときたら!B子:その感動の前にワンクッションあります。お楽しみに!監督・脚本/イ・ジュヨン出演/イ・ビョンホン、コン・ヒョジン、アン・ソヒ、ジャック・キャンベルほか2月16日よりTOHOシネマズ新宿ほか全国順次公開。(C)2017 WARNER BROS PICTURES, ALL RIGHTS RESERVEDお杉とB子下戸でも面白かった『ウイスキーと2人の花嫁』(2月17日公開)。求婚者の一人、ショーン・ビガースタッフを強力プッシュ!(お杉)スコッチ好きなので、映画を観ながら「飲みたい!」と思うことしきり。映画館さん、上映期間中はウイスキー販売よろ!(B子)※『anan』2018年2月21日号より。(by anan編集部)
2018年02月17日「え、元カノと連絡取るの、何が悪いん? 別にやましいことなければよくね?」付き合っている彼が、ちょっと聞くに耐えないような発言をさも「常識だろ」みたいなトーンで言い放ったとき、「ああちょっと今日はもう無理。少し一人になりたいわ・・・・・・」みたいな気持ちになってしまいますよね。こんなときには、「ちょっと少し一人で考えさせて」という一言を口にすることがあるかもしれません。「少し距離を置きたい」とかも同義ですね。決まってこのとき、男子は、「え、今答えほしいんだけど。一緒に話し合おう」みたいに、なぜか「今すぐ」の答えを欲しがります。欲しがりさんなんだから。こんなとき「いやだから聞いてる? 『少し』、『一人で』、『考えたい』って3つのキーワードを散りばめたよね?」との思いから、泣きつく彼をなだめてとにかく帰路につく。誰もが一度は体験したことのある場面かもしれません。■■この一言は、男子にとって最高(悪?)の「サスペンス」密室で人がバーっと殺されて、刑事や探偵がバーっと推理して、犯人がバーっと白状するのでおなじみの「サスペンス」もの。サスペンス(suspense)のもともとの意味は、精神的に宙ぶらりんの状態とか、どっちつかず、不安、気がかりといったもので、観ている人をこういった気持ちにさせることから「サスペンス映画」とか言われるようになったものです(英語では「スリラー」という方が一般的かもしれません)。男子が「ちょっと少し一人で考えさせて」と言われるのが嫌いなのは、まさにそう言われることで、彼女との関係が宙ぶらりんで、不安な状態に陥ってしまうから。**でも、「ただの」サスペンスだったら、本当はそこまで気が気じゃない状態、もっと言えば彼女に泣きついて「今すぐ答え出してよー!」なんてことにはならないはず。そもそもサスペンスもののドラマを、本当に手に汗握って観ている人なんてそんなにいないはずで、暇な母ちゃんとかが、おせんべいをボリリながら「絶対犯人これだろ(笑)」とか言いながら楽しく愉快に観てるものだと思います。男子にとって、彼女が与えるこのサスペンスが最強に効く(正確に言えば、心がすり減らされる)のは、ふたつ理由があります。ひとつは、「マジで振られる」リスクがあるから。「一番怪しくないやつが犯人」なんてお決まりの展開になるサスペンスものとは違って、このサスペンスはマジでサスペンス。「ちょっと考えさせて」なんて言われるわけだから、そりゃ彼女にとって聞き捨てならない一言を言ってしまっているわけで、激怒した彼女が、本気でお別れを考え始めている可能性だって十分に想定できてしまいます。もうひとつは、決定権を彼女に取られてしまっているから。「ちょっと考えさせて」とか言われたとき、少なくとも大事な部分では自分が彼女を引っ張る側でいたい(優位に立っていたい)と思っている男子の場合、二人の恋愛の行く末を、彼女一人が考えて、そして決定するという状態に耐えられないのです。■■考えるためにも、「ちゃんと」待ってもらいましょうあなたの恋愛は、あなたのもの。いくら彼にとって究極のサスペンスだろうが、あなたには考える権利があって、それを邪魔される筋合いはありません。でも、いくら考えたいからといって、彼を必要以上に不安にさせる必要はありません。もしもあなたの言う「考える」が、「別れるつもりはないけど、少し気持ちを落ち着けたい。少なくとも今日はこのまま笑顔でデートなんて無理だし、また改めて、スッキリした気持ちで会いたい」というような、いい意味での「考える」だったら、あえて言葉を絞り込んで「ちょっと少し考えさせて」とだけ言うのではなく、「別れるとかそういうことは考えてないけど」とか、少しでも彼が安心できるような一言を添えてあげてください。もちろん、「ムカつくこと言われたし、ちょっと懲らしめよう」みたいな気持ちでわざと(怒りはしたけど本当は別れる気まではないのに)「わかんない。もう無理かも」とか必要以上に冷たく言ってみるのも、なるべくやめた方がいいでしょう。あなたが傷ついてしまったことは、決して彼を傷つけ返すことを正当化しないからです。それに、彼に安心して大人しく待ってもらった方が、自分もゆっくりと考えられるし、それに、大人しく待っててもらわないと、その日の夜にも早速「答え出た?」とか「やっぱり二人で話し合おうよ」とか、あなたが彼にさらにうんざりしてしまうような惨めな言動に走らせてしまいかねません。自分が伝えたいことは伝えるべき。でもそれが、相手にとってショッキングかもしれないときには、いつにもまして、言葉遣いや言い方はマイルドにしてあげるのが、恋愛に限らず人間関係を上手に運ぶ、コツかもしれませんね。(遣水あかり/ライター)(ハウコレ編集部)(三方優加/モデル)(gaku/カメラマン)
2018年02月01日いまの時期は、「どんな2018年にしていこうかな」と考えている人も多いと思いますが、「今年はスリリングな一年にしたい!」と思っている女子にオススメしたいのが、話題のサスペンス映画『悪と仮面のルール』です。今回は、本作の主人公とヒロインを務めたあの方々にお話を聞いてきました。それは……。玉木宏さん&新木優子さん!【映画、ときどき私】 vol. 136悪になるために育てられ、愛する人を守るために整形で別人の顔を手に入れた男・久喜文宏を演じたのは人気と実力を兼ね備えた玉木宏さん。そして、女優だけでなくモデルとしても活躍中の新木優子さんは、文宏が命懸けで守ろうとする初恋の女性・香織を演じています。そこで、公開を直前に控えたおふたりに、撮影の裏話や今後の抱負について語ってもらいました。まずは、芥川賞作家でもある中村文則さんの原作を読んだときの感想から教えてください。新木さん私は趣味が読書でよく本を読むんですけど、そのなかでもすごく重くて、濃厚な作品だなというふうに思いました。しかも、最初はミステリーかと思いきや、純粋なラブストーリーとしての結末を迎えるすごく意外な作品。でも、ただ純粋なのではなくて、好きだからこそ犯してしまう罪とか人間の欲望も色濃く描かれた作品だなとも感じましたね。玉木さん僕の印象は、本当に文学的要素の強い作品だなというものでした。ただ、最初は何が言いたいんだろうと思いながら読んでいたんですけど、だんだんとこの世界観に引き込まれていきましたね。閉鎖的な空間であるからこそ2人が象徴的に描かれていますが、恋愛小説かと思うような意外性もある。独特なアプローチの作品ですが、読み終わってようやくこの『悪と仮面のルール』というタイトルが腑に落ちました。現場には中村さんもいらっしゃったそうですが、どんな話をしましたか?玉木さん僕は原作を読んだときに、「幸せな生活を送っていない人なんだろうな」と思っていたので、失礼ながら開口一番に「幸せですか?」と聞いたんです(笑)。すると、どこからこういう世界観や言葉が生まれてくるのか不思議なくらい、ものすごく明るくて意外性のある方でした。でも、逆を返すと普段が本当に不幸だったらこういう作品は生まれないのかもと思いました。新木さん私は現場ではそんなにお話できなかったんですけど、明るい方というのは噂で聞いてましたね(笑)。でも、だからこそ、自分の範囲を超えたところまで、想像が膨らんで書けるのかなと、私もそこはおもしろいと思いました。今回は、演じるにあたっての難しさはありましたか?新木さん私の役に関しては、性格がゆがんでいるようなキャラクターではなかったので、難しいというよりは、普通でいようと心がけました。玉木さん僕の場合は、難しく考えたらいくらでも難しくなってしまう役。結果何を伝えたいかというところに焦点を合わせると、これは2人の恋愛物語であり、文宏の香織に対しての純真な気持ちがすべてのことを起こす原動力になっていたと思うので、そこから逆算することにしたんです。そして、表面的にはポーカーフェイスだけど、内面にある香織へのシンプルで強い思いを大切にしていました。本作では、整形した男性の役ということで、顔に違和感を表現するために、なんと50本もの鍼を顔に打ったという玉木さん。どのような経緯で行ったのかを教えてください。玉木さん整形は経験がないですし、ましてや整形をして他人の顔をまるごと手に入れるというのは、なかなか想像もしにくい世界なのですが、どうにかしてそういう違和感を芝居だけではなく出せないかと考えました。そこで、知り合いの鍼の先生に相談をして、安全の範囲のもと、包帯を巻いている冒頭のシーンの直前に顔中に鍼を打ってもらい、変な違和感を作ったんです。実際に顔がこわばっている感じがあったので、それは成功だったと思います。新木さんは、香織を演じられてみて感じたことはありましたか?新木さんいままでに出させていただいた作品とは違う新しい作品だったので、このなかで香織を演じることができて、すごく楽しかったです。あとは、香織の気持ちや文宏とのシーンについて監督とすり合わせをしたときに、自分が思っていたことと意見が合うことがたくさんありました。そのおかげで、「私の考えは間違ってなかったんだな」とか、「私はこの現場でしっかり香織でいられているんだな」というのを感じられるタイミングがあったのもよかったなと思っています。では、初共演でのお互いの印象は?新木さん私は玉木さんのいろいろな作品を拝見していたので、どれが本当の玉木さんなのかわからず、最初はどういう方なんだろうと思っていたんです。でも、リハーサルに入ったときに、自分が想像していたよりもすごく気さくで、壁がなくて、自然体でいらっしゃる方なんだなと感じました。玉木さん最初に思ったのは、まず顔が小さいなということ(笑)。あとは、スラッとしたいまどきの子でありながら、芯があって物事をまっとうに捉える力のある人。そして、作品に対しては真摯に臨むけど、まじめすぎなくて明るいんだろうなという印象でした。ただ、やはり自分と比べることの方が多いので、「僕が若いときにはもっとフワフワしていたのにしっかりしているな」とも思いました。そういう意味でも変に言葉を交わさなくても、一緒の方向にむかっていける人なんだろうなと感じましたね。今回のクライマックスでもある文宏と香織が車の中で向き合うシーンは、この作品にとっても大きな見どころであり、玉木さんと新木さんの共演シーンのなかでも印象的なところ。ラストシーンはどのような思いで演じていましたか?玉木さん実は、あのシーンはもともと台本上では、空港のロビーという設定だったんです。でも、それまでずっと閉鎖的空間で描かれていたのに、空港のロビーとなるとすごく開放的で、どうしても腑に落ちませんでした。あのシーンは、閉ざされたなかで文宏が香織の匂いや空気を感じながら話すのが一番ふさわしいと思ったので、どうにか原作と同じ車の中という設定にできないかとお願いしたんです。本当に自然のままに感情を乗せられるすごくいいシーンになりました。長回しで何度も撮影を行ったのですが、同じタイミングで涙が出てきたので、計算しているようでしていないような感じでした。新木さんあそこは今回の撮影のなかでも、監督と一番細かく話し合った思い出のあるシーンです。自分が泣くところや文宏のリアクションが台本を読んでいたときと撮影に入ってみたときとでは全然違っていたので、これはやってみないとわからない部分なんだろうと思って台詞だけを覚えて、他は何も準備せずに行きましたが、それがよかったなと思っています。特に予定せずに出た涙とか、こんなところで感情が湧きだしてくるんだなとか思いがけない感情の沸点があったので、そういう意味でもすごくおもしろかったという印象はありますね。そうやって作り上げられたラストシーンは、なんと25分間もカメラを止めずに撮影したというほど。撮影方法に関しては、監督とどのような話し合いをしたのですか?玉木さんすごくデリケートなシーンの連続なので、最後の部分に関しては、僕らの気持ちが途切れない方法はなんですかと監督が聞いてくれて、一連で撮ってもらうのがいいのではないかということになったのです。そのうえで、長回しをして、それをまた別のアングルで長回しをしてというのを繰り返しました。もしあれをカット撮りしていたら、多分成立していなかったと思います。撮影中はハードだと思いますが、気持ちを切り替えるためにしていることがあれば教えてください。玉木さん翌日の予習をすることはありますけど、僕は役を持ち帰ることはまったくないですね。新木さん私も引きずることはあまりないですが、撮影中はお風呂にゆっくり入って自分を取り戻すようにしています。家にいるときこそ、自分の時間をちゃんと作らないと、悪いほうにひっぱられるのはよくないと思うので。玉木さんあとは友だちとご飯に行ったり、走ったりボクシングジムに行ったりしますね。寝る時間を削ってでも毎日2時間は運動しています。2018年は玉木さんにとっては俳優デビューから20周年であり、新木さんにとっても映画デビューから10年という節目の年。改めて振り返ってみていかがですか?新木さん10年と言われてびっくりしましたけど、本当にそれぐらい年数を意識してなかったので、あっという間にすぎていった感じですね。でも、そんななかでも自分ではひとつひとつの作品で成長させていただいているな、と思っています。玉木さん僕も意識して過ごしているわけではないので、気がついてみればこの4月で丸20年。ということは、新木さんが4歳のときということですよね?そう考えるとすごい時間だし、しかもその新木さんと恋愛映画をやっているわけですから、おそろしいなと思います(笑)。それでは最後に、今後チャレンジしたいことがあれば教えてください。新木さん去年はアクションの作品があったこともあり、体を動かすというのが目標でした。ただ、他の撮影に入ってしまうとどうしても滞ってしまって目標を達成しきれなかったなという悔しい思いがあるので、今年は体を動かすというのを新しい角度からやってみようかなと思っています。あと、ボルダリングにも挑戦したいですね。玉木さん日々新しいことの連続でもあるお仕事ですし、人との出会いによって刺激を受けて、変化もしていると思います。特に映画やドラマの在り方も変わってきていると思うので、そこについていきながら、新しいものを生むということにトライしていきたいです。あとは、基本的に趣味はいっぱいあるほうなので、仕事以外のすべての時間をそういうところに費やしてリセットしながら、進んで行きたいと思っています。インタビューを終えてみて……。30代の後半に入ってからますます大人の色気が漂う玉木さんと、若いのに芯の強さを感じさせる新木さん。おふたりが醸し出す雰囲気があまりにステキなので、撮影中も思わず見とれてしまいました。劇中では違う意味で釘付けになってしまう2人の関係性も、ぜひお見逃しなく!人はみな “仮面” の下に本心を抱えて生きている!誰のなかにもある悪の部分を問われるだけでなく、サスペンスとしてもラブストーリーとしても、ズシリと胸に響く本作。目の覚めるような圧倒的な展開に、新年早々心を揺さぶられてみては?ストーリー11歳のときに、「この世に災いをなす絶対的な悪である “邪” になるために創られた」と父親から告げられた久喜文宏。ある出来事をきっかけに失踪していたが、整形によって顔を変えた文宏は、初恋の女性である香織を守るために殺人を繰り返していた。その後、異母兄やテロ組織までもが香織を狙い始め、ついに文宏は自身の運命に立ち向かうこととなるのだった。はたして文宏と香織が迎える結末とは……。ミステリアスな予告編はこちら!作品情報『悪と仮面のルール』1月13日(土) 新宿バルト9ほか全国ロードショー配給:ファントム・フィルム(C)中村文則/講談社(C)2017「悪と仮面のルール」製作委員会写真・大嶋千尋(玉木宏、新木優子)
2018年01月13日『MASTER マスター』『密偵』など、今年、韓国映画の出演作が目白押しのイ・ビョンホンの主演最新作『エターナル』。イ・ビョンホン史上最高のラブ・サスペンスといわれる本作の予告映像とポスタービジュアルが公開された。カン・ドンウォン、キム・ウビンと競演を果たした『MASTER マスター』では、韓国犯罪史上最大の金融投資詐欺事件を起こした“犯罪者”に扮したイ・ビョンホンが、本作で演じるのは、勤務する証券会社の不良債権に巻き込まれ、すべてを失ったエリートビジネスマンのジュフン。ジュフンは離れて暮らす妻スジン(コン・ヒョジン)と息子との約束を果たすため、家族が暮らすオーストラリアに向かうが、妻と子にはすでにオーストラリア人の男性の影が…。ショックを受けたジュフンは妻子の秘密を探り始めるが、辿り着いた先には驚愕の事実が待ち受けていた――。このたび、解禁となった本予告映像では、オーストラリアの崖に立つビョンホンの姿から始まり、さらに不良債権のため倒産を告げた顧客から平手打ちされるという、これまでのカリスマ性あふれるイメージを覆すようなシーンへと続く。妻子に会うためオーストラリアまで向かったが、そこにもジュフンの居場所はなかった。「1人で勝手にここに来たように、1人でそっと消えるべきなのか」――。苦悩するジュフンが辿りつく衝撃のエンディングとは!?そして映像のラストでは号泣するビョンホンの姿が。映画本編は、想像をはるかに超えるラストを予感させている。また、ポスタービジュアルは、舞台となるオーストラリア・シドニーのオペラハウスをバックに失意のビョンホンが哀愁を漂わせえつつ海を眺める姿と、オペラハウスに向かう謎の女性の姿が印象的なビジュアルとなった。本作は、ビョンホン自身が惚れ込んだ脚本に衝撃のラストが待ち受ける、本年度ナンバーワンの呼び声も高いサスペンス映画。妻・スジンには「大丈夫、愛だ」などで知られる実力派女優のコン・ヒョジン、現在公開中の映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』にも出演している元「Wonder Girls」のアン・ソヒらが脇を固める。監督は、本作が長編映画デビューとなるイ・ジェヨン。語り手としての優れた能力と、広告界で築いた演出力にビョンホンが惚れ込んだという。『エターナル』は2018年2月、TOHOシネマズ 新宿ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2017年11月10日『Final Phase』の著者である医療サスペンスの新星・朱戸アオさんに、最新作『リウーを待ちながら』についてお話を伺いました。アウトブレイク目前の町で、絶望を乗り越えて女医は闘う。舞台は、S県横走市という架空の地方都市。突然吐血して危篤状態に陥ったり、そのままなすすべもなく死亡したりする患者が、相次いで現れる。陸上自衛隊駐屯地のお膝元にある横走中央病院の医師・玉木涼穂は、自分たち医療関係者や自衛隊員、地域住民らがアウトブレイク寸前の状況に直面していることに気づく。医療サスペンスを得意とする朱戸アオさんの最新作『リウーを待ちながら』は、感染症パニック、命の現場、自衛隊のドラマなどが絡み合い、かつてない読みごたえをお約束。「医療には死期を先延ばしにする側面もありますが、そうして助けても、最後には必ず敗北する。人は必ず死ぬ運命にあるので。そうした矛盾を含め、医師の仕事は興味深いです」感染症や治療をめぐる、難解な説明も多いはずなのに、わかりやすくて臨場感もたっぷり。さぞや朱戸さん自身が科学や医療に詳しいのだろうと思いきや、「いえ、サイエンスやメディカルなどに詳しかったわけではありません。医療マンガを描くという抜き差しならない事情に迫られて、本や資料を読み漁り、元同級生の医師や彼女たちの同僚医師などを頼って必死に取材したんです。人生でいちばん勉強しています(笑)」玉木が感じ取っているただならぬ雰囲気が、杞憂ではないことは、すぐにわかる。玉木の前に現れたふたりの男│〈俺達は地獄を見た〉という自衛隊新富士病院に勤務する駒野二佐と、感染症の怖さをよく知る疫研の研究員・原神│の活躍が、そのまま事態の重さを物語っているからだ。実は、朱戸さんは自衛隊と関わりの深い御殿場市在住。横走市の風景や町の様子といった物語のリアリティは、そんな環境もひと役買っているらしい。「朝方に駐屯地からのラッパの音が聞こえたり、町中に操縦訓練の自衛隊のトラックが走っていたり…。普通ならあまり触れることのないものを見聞きすることも多いので、いい刺激になります」待望の第2巻は、10月23日発売予定。物語のプロットはほぼ決まっているそうだが、果たして玉木たちは危機的状況を回避できるのか。「『特効薬が開発された』というような“奇跡は起こらない”を基本のスタンスにしています。シビアな事態は動かない。その中でキャラクターたちがどう動くのか、どんな思いを抱くのか、そのあたりをしっかり描き、なおかつ希望が残るようなドラマにしていこうと思っています」若き日に読んだカミュの『ペスト』に衝撃を受けたという著者が挑む、新感覚のアウトブレイク・ストーリー。隔週発売のコミック誌『イブニング』で連載中。講談社630円あかと・あおマンガ家。2010年、アフタヌーン四季賞冬のコンテストで準入選。’11年に『Final Phase』を発表、医療サスペンスの新星として注目される。著作に『ネメシスの杖』ほか。※『anan』2017年10月18日号より。写真・水野昭子インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2017年10月14日1935年にイギリスで発表された戯曲が、この秋日本へ。『夜が私を待っている』、心理サスペンスの決定版と言われる傑作が80年の時を経て、どう現代に息づくのか。演出の河原雅彦と出演の入江甚儀、秋元才加に話を聞いた!舞台『夜が私を待っている』チケット情報多彩な作品を手がけるなかで、「久しぶりにストレートな翻訳劇」と、河原雅彦。ロンドン郊外、身体が不自由な未亡人ブラムソン夫人(前田美波里)と姪のオリヴィア(秋元才加)が暮らす邸宅に、青年ダン(入江甚儀)がやって来る。弁舌巧みなダンに気難しい夫人も魅了され、森の中では失踪事件が…。とかく不満の多い未亡人を筆頭に、登場人物は人間味あふれるキャラクターがそろう。物語のカギとなるのは、ダン。「すべては入江くんにかかっています」と河原が言うように、絶対的な魅力が求められる。そんな期待を、入江は真っ正面から受けとめているようだ。「今までにない危うさ、もろさのある役でうれしい。それがある種のかわいらしさに見えたら……。ダンがコミュニティをどう崩していくか、お客様も一緒にぞくぞくしながら楽しんでいただきたい」。一方の秋元も、気持ちを内に秘めた複雑な役柄だ。「やればやるほど難しいですが、やりがいのある役でしたと言えるようがんばりたい」。ふたりとも河原の演出は初めてだが、「入江くんは最初の本読みから「いいじゃん」と感じさせてもらえたし、秋元さんは堂々としたもの」と、手応えを感じている様子。そんな稽古場を前田美波里が、「花が咲いたような存在感」で引っ張っているとか。「人間力がないと難しい作品ですが、本当にキャストに恵まれました。魅力的な登場人物をどう見せるか、あとは物語の運びやちょっとした空気感が粒立っていくように」と、河原。事件の展開はもちろん、登場人物と彼らが紡ぐニュアンスが観客の想像力を刺激するようだ。さらに、クラシカルなムードも見どころのひとつ。「タイムスリップしたかのような感覚が味わえるかも。時代の感覚に共感したり、考えたりして楽しんでいただきたい」と秋元が話せば、「その通り!」と河原もうなずく。「犯人すら人間味があって興味深い、古き良きサスペンスです。クラシカルなイギリスの雰囲気が、逆に新鮮にうつると思います」(河原)。舞台『夜が私を待っている』は、10月15(土)から30(日)まで、東京・紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYAにて上演。チケット発売中。取材・文/大西美貴
2016年09月30日シャーリーズ・セロンが主演を務める、記憶にまつわるヒューマンサスペンス『ダーク・プレイス』が、6月24日(金)より公開される。このほど、「ゴーン・ガール」のギリアン・ フリンが手がけた長編ミステリーを原作とする本作に、“日本ミステリー界の女王”山村美紗の娘として知られる女優・山村紅葉や、日本のミステリー界の著名人が絶賛の声を寄せていることが分かった。本作は、28年前に一家殺人事件に遭い、 唯一生き残った少女が真実を見つめ直す物語。主演と製作を務めるのは、現在『スノーホワイト/氷の王国』では邪悪な女王を圧倒的な迫力で演じているシャーリーズ・セロン。さらに、彼女演じるヒロインの“真実探し”を助ける“殺人クラブ”の主催者、ライル役には、本作ほか主演作『アウトバーン』など活躍著しいニコラス・ホルト。事件を起こし終身刑の身となる長男のベンには、 スティーブン・スピルバーグの次回作『ゲームウォーズ』で主演を射止めタイ・シェリダン。この内気なベンを翻弄する恋人を、ブルックリン・ベッカムと交際宣言したクロエ・グレース・モレッツが熱演する。目を疑うスキャンダラスな事件の記憶と、狂気に満ちた世界を漂流するヒロインばかりでなく、誰の心にも潜む“ダーク・プレイス”をも呼び覚ます本作。“サスペンスドラマの女王”との異名をとる山村さんをはじめ、多数の人気ミステリー作家の心をも、ざわつかせている。<コメント一覧>■山村紅葉(女優)予想外の結末!伏線は見事に張りめぐらされていたのに…。シャーリーズ・セロンの見事な演技に脱帽!!■♪akira (翻訳ミステリー・映画ライター)被害者としてしか生きられず、世界に置き去りにされたリビー。原作とは異なる印象のラストをぜひ見届けてほしい。■中谷友紀子(『ダーク・プレイス』原作本「冥闇」訳者)あの嘘がなければ、あの偶然が起きなければ、悲劇は避けられたのか。心えぐる真実にたどりついたあと、きっともう一度観直したくなる。■千街晶之(ミステリー評論家)この物語では、人生も犯罪も、決して計算通りには進まない。愛情も悪意も、すべては気まぐれな運命によって織り成される糸にすぎない。■福田和代(ミステリー作家)悲劇をきっかけにやさぐれた主人公のシャーリーズ・セロンが、カッコいい!ミステリー好きは二回観てしまいます。■水生大海(ミステリー作家)原作のキャラが目の前に!特にディオンドラは、クロエ・グレース・モレッツの凄みある演技が迫ってきます。■桜木紫乃(作家)真実という傷と戦うリビーに「自分がいま見ているものを疑うことができるのか」と問われている気がしました。『ダーク・プレイス』は6月24日(金)よりTOHOシネマズみゆき座ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年06月12日寒い日は外へ出かけず、彼とおうちでまったり過ごすのもよいですよね。そんなおうちデートを盛りあげてくれる3作の海外ドラマシリーズを紹介します。サスペンスに絞り、男女ともに楽しめる作品を厳選しました。■『HOMELAND(ホームランド)』アメリカで2011年に放送を開始した『24 -TWENTY FOUR-』の製作陣が手がけた人気沸騰中のサスペンスドラマ。ゴールデン・グローブ賞を2012年と2013年の2年連続で受賞し、全米で称賛を浴びている話題作です。アルカイダの捕虜として捕らえられていたニコラス・ブロディと、ブロディの正体を暴こうとするCIAのキャリー・マティソンを中心に、CIAとテロ組織の攻防を描いた物語。『24 -TWENTY FOUR-』と比較すると、銃撃戦や爆破シーンは控えめでアクション性は低いものの、緊迫したストーリー展開は息をのむものがあります。主演のキャリーを演じるクレア・デインズは、映画『ロミオ&ジュリエット』でレオナルド・ディカプリオと共演を果たし、アイドル的女優として脚光を浴びました。しかし、このドラマでは当時のあどけなさはまったくなく、双極性障害を患うCIAの作戦担当官役を見ごとに演じきっています。2015年にシーズン5まで制作されており、国内ではシーズン4まで見られます。■『クリミナル・マインド FBI行動分析課』アメリカで2005年より放送を開始し、2015年でシーズン11を迎えたロングラン・ヒット作です。FBIのエリートチーム「BAU(行動分析課)」が、次々と起こる凶悪犯罪に挑むクライム・サスペンス。このドラマの見どころとなるのが、犯罪者の心理を探る“プロファイラー”です。プロファイラーとは、過去のデータや犯罪歴を分析しながら犯人像を割りだしていく「犯罪心理分析官」のことをいいます。犯罪描写はリアリティがあり、少しゾッとする場面もあるものの、スリルあるストーリー展開に目が離せなくなります。■『THE BLACKLIST/ブラックリスト』アメリカで2013年に放送開始。視聴率ナンバーワンを記録したサスペンスドラマです。「犯罪のコンシェルジュ」と呼ばれる重要指名手配犯レイモンド・レディントンが、ある日突然FBIに出頭。面識もない新人捜査官エリザベス・キーンを指名し、凶悪犯罪者たちの捜査に協力すると申しでます。突然の指名に困惑するエリザベスですが、レイモンドをパートナーに数々の犯罪捜査にあたることに…。レディントンこと“レッド”は、冷酷ながらもやさしさも兼ねそなえた謎の多い人物です。このくせのあるレッドという役どころを主演のジェームス・スペイダーは、見ごとに体現しています。また、新人捜査官のエリザベスがストーリーとともにベテラン捜査官に成長していく姿も見逃せません。緊迫感あふれるアクションと先が読めないストーリー展開に、くぎづけになることまちがいなしです。1本見たらもう1本と、ついつい彼のおうちに長居しちゃうかも!? 彼と一緒にハラハラドキドキしながらスリリングな時間を楽しんでくださいね。
2016年02月06日トム・クルーズ主演映画で知られる軍事法廷サスペンス『ア・フュー・グッドメン』が、鈴木勝秀脚本・演出の舞台劇として新たに登場する。映画『ソーシャルネットワーク』、TVドラマ『ニュースルーム』の人気脚本家アーロン・ソーキンが手掛け、1989年にブロードウェイで上演されたオリジナル戯曲は20人以上の登場人物を要したが、鈴木はそれを7人の出演者のみで構築するドラマにブラッシュアップ。米海軍基地を舞台に奮闘する若き弁護士ダニエル役にTVドラマ『昼顔』で注目された新鋭、淵上泰史を抜擢し、紅一点の女性法務官ジョアン役を瀬奈じゅん、基地司令官のジェセップ大佐役を田口トモロヲが演じるなど、個性派による新鮮な顔合わせが実現した。舞台『ア・フュー・グッドメン』チケット情報6月19日の開幕を前に、公開舞台稽古が行われた。稽古場に入るや取材陣が見たものは、検察官ロス役の小西遼生、判事ランドルフ役の阿部丈二、被告人ドーソン役の平埜生成の3名による快活なウォーミングアップだ。海兵隊の物語よろしく、腹筋や腕立て伏せなど、顔を真っ赤にして息を弾ませるほどに入念に動く様子を、瀬奈が笑いながら見守っている。その横では初舞台にして初主演の淵上が、一心に台詞をつぶやき続けていた。演出の鈴木が所定の位置につくのに合わせて、各々もスタンバイ。演出家が自ら音響を操作して、海兵隊の訓練音を流す。それと同時に冒頭から立ち稽古がスタートした。いかにも鍛えられた海兵隊員のように、感情を見せず、声を張って堂々と事件を供述する平埜。彼の弁護人に志願するジョアンの熱意を、背筋の伸びた美しい立ち姿で表現する瀬奈。ダニエルの若さゆえの大胆不敵な勢いを、全身で軽快に見せる淵上。最小限のセットのみで展開する序盤は、各キャラクターの個性が観る側にはっきりと迫ってくる。ダニエルの友人ながら事前取引を持ちかけられても揺るがないロス役の小西は、瞬時に甘さを消す怜悧な瞳が魅力的だ。事件のカギを握るケンドリック中尉に扮した菅原永二も、少ない言葉の中に不穏なムードを漂わせ、気になる存在である。俳優の空間移動による場面転換、テンポのよい会話の応酬によって、スリリングな空気が見事に増幅していった。欠席の田口の代役を途中まで務めていた阿部が、判事として舞台中央に立つ。芯のある穏やかな声が響き、いよいよ緊迫の法廷シーンへ突入か……と思ったその時、鈴木が「じゃあここまで」とストップをかけた。取材陣に向けられた「続きは劇場にて」という微笑みまじりの言葉に、思わず脱力。たった7人による巧妙な会話劇、その濃さとスピード感にまんまとあおられてしまった。この後に控える手に汗握る法廷対決は、なんとしても劇場で確かめなければならない。映画ではジャック・ニコルソンの怪演が光ったジェセップ大佐を、田口がどう立ち上げてくるかにも期待したい。公演は6月19日(金)から28日(日)まで東京・天王洲 銀河劇場にて。取材・文:上野紀子
2015年05月28日トム・クルーズの同名映画で知られる傑作軍事法廷サスペンス『ア・フュー・グッドメン』。映画公開より23年の時を経て、日本オリジナル版の上演が決定した。舞台『ア・フュー・グッドメン』キューバの米海兵隊基地で起きた殺人事件。その弁護にあたった法務総監の若きメンバーたちは、軍隊内の落ちこぼれに対する暴力的制裁「コード・レッド」の存在を知り……というストーリー。元の作品では20人以上の人物が登場するが、今回の上演にあたり演出の鈴木勝秀が脚本を一部改定、キャストは7人に絞りこまれた。殺人の被疑者として裁かれる若き海兵隊・ドーソンを演じるのは平埜生成。アミューズ所属の若手俳優で構成される「劇団プレステージ」所属、昨年は蜷川幸雄演出『ロミオとジュリエット』に出演するなど近年活躍の幅を広げている注目の俳優だ。出演にあたり映画作品を観て「いろんな事を考えさせられた」という。「法廷ものなんですけど、今よくある法廷ものとは違うんですよね。けして華やかな演出などではないですし。あくまで法廷が舞台になっているだけというか……裁判の争点になっているのは軍隊内部での話ですけど、今でも色々なところにある話だと思うんですよ。学校とか会社とか、そこでしか生きられない人たちの起こしてしまったこと、という意味ではどこでも起こりうるなと」けして単純な「正義対悪」の二項対立ではないこの作品。それだけに殺人を犯し裁かれるドーソンの存在……“なぜ”彼が罪を犯すに至ったか、そしていかなる葛藤を持っているか、ということが物語上で大きな意味を持つ。「多分、登場人物それぞれが“間違ったこと”はしていないというか、それぞれの正義があるんですよね。ドーソンにはドーソンの正義がある。それをきちんと演じることで、ラストシーンがより意味を持つのでは、と思っています」近年劇団以外の作品も目立ってきた彼だが、今は「舞台に出るのが楽しくて仕方ない」という。それは昨年の『ロミオとジュリエット』で、蜷川演出の強烈な洗礼を受けたことが大きいようだ。「本当にきつかったです(苦笑)。でもボロボロになって『今の自分には価値がない』ということに気付かされたから、今“演じる”ことがどんどん面白くなってます」物語上のキーマンともいえる役柄に抜擢されたことで、やはりプレッシャーもある模様。「ドキドキですよ(笑)」と語るが、新たな出会いがもたらす刺激への期待が上回っているようだ。さらなる成長を遂げた姿を舞台上で観られるのも楽しみに待ちたい。公演は6月19日(金)から28日(日)まで東京・天王洲 銀河劇場にて。チケットは発売中。取材・文:川口有紀
2015年05月08日『マイティ・ソー』のクリス・ヘムズワースが主演を務めるサスペンス大作『ブラックハット』の公開日が5月8日(金)に決定し、予告編映像が公開になった。タイトルの“ブラックハット”とは、コンピューターやネットワークに攻撃をしかけるハッカーのことで、劇中ではヘムズワース演じる主人公が追跡不能の凶悪犯に挑む。『ブラックハット』予告編映像このほど公開された予告編映像では、何者かが仕掛けた攻撃によって香港の原子炉が爆破される事件が発生し、全世界に衝撃がはしる場面から始まる。犯人はネットワーク技術を駆使して攻撃を仕掛けており、世界中が標的になる。そこで、ハッキングの罪で服役中のハサウェイ(ヘムズワース)が召還され、謎の犯人に挑む。監督を務めるのは『ヒート』や『コラテラル』などを手がけてきたマイケル・マンで、映像でも主人公と犯人の息つまる頭脳戦だけでなく、重厚なアクション描写や、激しい銃撃戦、極限状況下でのロマンスなど、マン監督らしい場面が次々に登場。ヘムズワースのシリアスな表情も大きな見どころになっている。『ブラックハット』5月8日(金) TOHOシネマズ みゆき座 他全国ロードショー
2015年02月20日