人気絵本作家のヨシタケシンスケさんがファン宣言をした、クリハラタカシさん。絵本作家としても、注目度急上昇中だ。タッチは癒し系、物語は非凡。一度読んだらクセになる無二の世界。2015年に出版されたクリハラさんの『冬のUFO・夏の怪獣』が、このたび新版になって登場。表題作のひとつ「冬のUFO」は、親子3人で宇宙博物館に出かける話だ。収蔵されているレトロさが漂う宇宙船や建物。よく見かける、ふつうの親子の様子や会話。そんな光景に、オトナ女子の心をくすぐる愛らしさとユーモアがある。「作中で描いたように、親が何かを見てふいに笑いだしたとき、子どもは意味がわからなくてしつこく『なぜ?』と聞いたりしますね。でも大人のほうは、子どもに説明してもどうせわからないと放っておく。よくある場面だと思うんです。『こんなことを考えたことがあるかも』『言われてみればそうだ』など、ひとつひとつでは形にならなそうな、小さな“あるある”を掬い上げたいなと」子どもの頃からいままでの、自身が見たり経験したりした断片。すぐに消えていってしまいそうな感情。名前のない感覚。それらを集めて描いているという。基本的に読み切りスタイルだが、同じ登場人物が活躍する「ひろしとみどり」や「私立探偵大町駿作の事件簿以外」などシリーズになっているものもある。読んでいるうちに、各編にちりばめられた小ネタのつながりや人物相関図が見えてきて、それを発見するのも楽しみのひとつだ。ストーリーの軸は、うそばなし。「うそとわかりきってしゃべっている、どうでもいいうそが好きなんです。『こうだったら面白いよね』といううそに、さらに他愛のないうそをかぶせていくとか。昔、同人用語に“やおい”というのがあって、いまはBL(ボーイズラブ。もとは男性同士の恋愛を描いたマンガや小説を指す)という言葉に変わりましたが、その語源である“ヤマなし、オチなし、意味なし”の世界が僕自身は理想。それで面白いなら最高という気持ちなんです」色使いの独特のセンスも、クリハラさんの画の大きな魅力だ。「完璧な湿度や心地いい風がシャツの中を通り過ぎる夏の空気感みたいなのは描きたいことのひとつです。ひなびた場所と海が好きで、自分なりのユートピアを描きたい欲もあるので、それをひろしとみどりの旅先に組み込んだりしています(笑)」未読の人は、書店へ走れ!『冬のUFO・夏の怪獣【新版】』巻頭、巻末漫画を含む27編を所収。収録作「ひろしとみどり」のスピンオフ作品「日曜日のはじめちゃん」が『母の友』(福音館書店)で連載中。ナナロク社1200円©TAKASHI KURIHARAクリハラタカシマンガ、イラスト、アニメーションなどを制作。著書に『ツノ病』(青林工藝舎)、『ゲナポッポ』(白泉社)など。くりはらたかし名義で、絵本を手がける。※『anan』2021年2月24日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2021年02月20日身内を装って電話をかけ、さまざまな口実で金銭をだまし取ろうとする『オレオレ詐欺』。警察庁によると、2020年1月~6月のオレオレ詐欺を含む特殊詐欺の認知件数は約6900件、合計被害額は約129億円にのぼるといいます。知り合いを装い「携帯をなくした」という電話をかけ、電話番号が変わったと思い込ませた後に、再度電話をかけ「お金が必要になった」といって金銭をだましとる手口もあるようです。笠井信輔「ばーか、俺がシンスケだよ!」元フジテレビアナウンサー、笠井信輔さんは2021年1月18日、Instagramでオレオレ詐欺らしき怪しい電話がかかってきたことを明かしました。自宅に突然かかってきた1本の電話。相手の男性は「あのさあ、電話かかってこなかった?」と話し始めたそうです。「あのさあ、電話かかってこなかった?」やや低い長男のような声しかし、自信が持てずに聞き返しました「かかってこないけど、どなた?」「……シンスケだけど」(信輔!! オレじゃんか!)「シンスケなの?」「そうだよ」「どうしたの?」「携帯電話なくしちゃってさあ、多分、交番から連絡があると思うけど、よろしくね」shinsuke.kasaiーより引用男性は笠井さんの名前と同じ『シンスケ』と名乗っていたそうです。オレオレ詐欺を疑い始めた笠井さんは「ばーか、俺が信輔だよ!」といって切ろうかと思いますが…。そこで私は、「わかったけど、何番の携帯電話をなくしたの?」セオリー通りに相手に個人情報を確認するために詰め寄ってみるとオ「いつものやつだよ」私「え?でも2台持ってるじゃん」(ホントは1台しか持ってないけど…)(中略)オ「わからない。なくしたから」私「いつも教えてくれるじゃない」そう優しく言った瞬間、ーーーツーツーツー…突然電話は切れたのでしたshinsuke.kasaiーより引用笠井さんは、携帯を2台持っていることにして「あなたが失くしたのは、どっちの携帯か」と問いつめます。すると男性は嘘がバレたと思い焦ったのか、突然電話を切ったのでした。詐欺の電話や自分の知らないところで個人情報が流出しているのは、本当に怖いもの。投稿の最後に笠井さんは「みなさん、詐欺には本当に気を付けてください!」と注意を呼びかけました。【ネットの声】・怖かったことでしょう…。高齢の両親がいるので、こんな危ない電話があることを伝えたいと思います。・笠井さんの返し方が冷静で、とても勉強になります。身近な話なので気を付けようと思いました!・まさか本人へのオレオレ詐欺とは…。笠井さんの対応力、さすがですね!オレオレ詐欺などの被害を防ぐため「迷惑電話防止機器を利用する、事前に家族の合い言葉を決めておく」「個人情報や暗証番号を安易に教えない」などの対策を徹底したいものですね。[文・構成/grape編集部]
2021年01月20日こんにちは、保育士の中田馨です。1歳半を過ぎたころから少しずつ意識しはじめることの一つとして「トイレトレーニング」があると思います。今回は、そんなトイレにまつわるおすすめ絵本を紹介します。 絵本を通じてトイレのイメージを楽しくする急におむつはずしをスタートすると、戸惑ってしまう子ももちろんいるでしょう。トイレってどんな感じ? 下着を履くってどんな感じ? というのを絵本を通して伝えることもできます。 また、機嫌よくトイレに座ってくれるときはいいけれど、「断固拒否!」という時期もあります。また、調子よく過ごしていたのに、「紙おむつがいい!」と下着を拒否する時期もあります。そんなときでも、トイレが楽しい場所であることを絵本を通じて感じてもらえるといいですね。 『おトイレさん』(教育画劇) きたがわめぐみさんの絵本です。本屋で初めて見たときに、おトイレさんのイラストに衝撃を受け思わず手に取りました。「おトイレさんのおトイレでおトイレをするこどこにいるかな?おトイレにこまったらいつでもいらっしゃーい!」と、おトイレさんは歩いています。 トイレをしたいリスやヘビは、おトイレさんに「おしっこさせて」とやってきてはスッキリいい気持ち。きりんのぼうやは、まだおトイレしたことがないんだけど…とストーリーが続きます。随所にちりばめられた、ダジャレがまたクスッと笑えます。 楽しい絵とリズム感のあるこの本を読むと「トイレって楽しいな!」と思えてきます。子どもがおトイレさんを好きになったら、便器のフタに画用紙などで作ったおトイレさんの顔を貼り付けてもいいですね。「おトイレさんが○○ちゃんを応援しているね!」なんてお話しながら、楽しんでトイレができそうです。大人がクスッと笑える「おトイレしんぶん」も絵本にこっそり挟まっていますよ。 『ひとりでうんちできるかな』(偕成社) きむらゆういちさんの「あかちゃんのあそびえほん」シリーズの1つです。絵本にはいつものメンバー、ネコのミケ、ことりのピイちゃん、こいぬのコロ、かいじゅうさん、ゆうちゃんが出てきます。それぞれが「うーん、うーん」と頑張って便を出すお話です。この絵本はしかけ絵本になっていますので、しかけをめくるときは、いつも以上に少し間をあけて、めくったら「おや!」と元気な声色で読むと子どもが引き付けられるようです。 「なかなかトイレで便ができないから、きっかけになれば」と思って読むこともあると思います。でも、絵本を読んだあとに「○○ちゃんもトイレでしてね」などの声かけをするとかえって子どもにプレッシャーになります。絵本はあくまで遊びの1つととらえ、読んだあとは「みんなスッキリしたねー」程度の感想にしておきましょう。 『しろくまのパンツ』(ブロンズ新社) tupera tuperaさんの絵本。私の保育所では2歳児の誕生日プレゼントとしても定番の絵本です。「どこにいったんだろう」と下着をなくして困っているしろくまさんと、心配したねずみさんが一緒になって探しに行く絵本です。まず見つけたのは、カラフルなシマシマ模様の下着。その次はお菓子の絵がいっぱい書かれたもの。花柄に「I ♡ ねずみ」と書かれたものなど。行く先々でいろいろな下着と出会います。はたしてしろくまさんの下着は見つかるのか? この絵本は、のぞき窓があるしかけ絵本になっています。のぞき窓から見える下着がしろくまさんのものじゃないと分かったら、「じゃあ、だれのかな?」と問いかけて、一度子どもの顔を見てあけましょう。子どもの期待に満ちた表情を確認したあとにパッとページをめくり、履いている動物を紹介して、その下着と動物の絵を一緒に楽しみます。 何度も読んでいると、子どもたちに「だれのパンツ?」と聞くだけで、「ねこ~!」などと教えてくれます。ねこと分かっていても、ページをめくってねこが出てくるとやっぱり楽しくて、ウキウキ体を揺らしながら読んでいる子もいます。 『おしっこちょっぴりもれたろう』(PHP研究所) ヨシタケシンスケさんの絵本です。絵本に出てくる「ボク」は、おしっこをする前かした後に、いつもちょっぴりもれて、いつもお母さんに怒られます。でも、しばらくすると乾くから、お母さんに見つからないように少しだけ冒険に出かけます。きっと、ぼく以外にももれたろうがいるのではないか? と思って、出会った困った顔をしている子どもたちに「ねえ、キミ、もしかしてもれたろう?」と聞いて回ります。 この絵本では、「おしっこがもれても大丈夫なんだよ」ということも伝えたいと思って読んでいます。子どものなかには、おしっこや便を漏らすと隠そうとする子もいます。私たち大人が「それくらい平気、平気!」と大らかな気持ちで子どもを受け入れられるきっかけになる絵本でもあるかもしれません。最後にもれたろうのおじいちゃんのひとことと、それを聞いているお母さんの表情。思わず吹き出してしまいますよ! トイレに関する絵本を読むときに気を付けたいことは、しつけの教育をするわけではないということ。あくまで遊びの一環として取り入れることです。「トイレってこんな感じなんだよ」と、トイレへ明るいイメージを与えるきっかけ作りとして取り入れてみてくださいね。 著者:保育士 一般社団法人 離乳食インストラクター協会 代表理事 中田家庭保育所施設長 中田馨0~2歳対象の家庭保育所で低年齢児を20年以上保育する。息子が食べないことがきっかけで離乳食に興味を持ち、離乳食インストラクター協会を設立。現在は、保育士のやわらかい目線での離乳食の進め方、和の離乳食の作り方の講座で、ママから保育士、栄養士まで幅広く指導。離乳食インストラクターの養成をしている。「中田馨 和の離乳食レシピ blog」では3000以上の離乳食レシピを掲載中。『いっぺんに作る 赤ちゃんと大人のごはん』(誠文堂新光社)も発売中!
2021年01月18日ピエール アルディ(PIERRE HARDY)と、アーティスト河原シンスケによるコラボレーションバッグ&ウォレットなどが登場。2020年11月7日(土)から11月22日(日)までピエール アルディ 東京などでオーダーを受け付け、2020年12月中旬より発送される予定だ。河原シンスケとコラボ河原シンスケは、ウサギのモチーフをシンボルに創作活動を行うアーティスト。メゾンブランドのキャンペーンにおけるイラストなどを手掛けるほか、プロデューサー、空間演出家としても活躍している。ウサギを描いたキューブ柄バッグ&ウォレット今回は、河原と同じくパリを拠点とし、長年の友人でもあるというピエール アルディとコラボレーション。河原シンスケを象徴するウサギのモチーフと、ピエール アルディのアイコンであるキューブを掛け合わせたカメラバッグ、財布、ポーチを展開する。モノトーンのキューブ柄をベースにしたボディに、河原の生み出したキャラクター「MISS YOGA」「MR STRONG」「RABBIT CAGE」をあしらった。イニシャルを入れることも可能いずれのアイテムにも、希望のイニシャルを入れることが可能。注文を受けてから、ひとつひとつ手書きで丁寧に名入れを行う。【詳細】ピエール アルディ×河原シンスケオーダー受付:2020年11月7日(土)~11月22日(日)発送:2020年12月中旬予定販売店舗:ピエール アルディ 東京、公式オンラインストア・CAMERA BOX -MISS YOGA- 47,000円+税 H10.5×W18×D7cm・WALLET -MR STRONG- 27,000円+税 H9.5×W12.5cm・POUCH L -RABBIT CAGE- 32,000円+税 H20×W30cm※希望のイニシャル(2~4文字)を入れることが可能。【問い合わせ先】ピエール アルディ 東京TEL:03-6712-6809
2020年11月08日家事、仕事、そして正解がない子育て。忙しい毎日を過ごす中で、うまくいかないことが続いてしまったり、疲れ果てて気持ちが落ち込んでしまうときもありますよね。そんな時は少しだけでも時間をつくって読書をしてみませんか? 読んだらきっと心が軽くなる、素敵な育児エッセイを10冊ご紹介します。前向きになるヒントを見つけるきっかけになるかも。気分転換にぜひ役立ててください。これからママになる人へのプレゼントにも、思い切ってパパとシェアしてみるのもおすすめです。育児エッセイ #01『大丈夫。今日も生きている』田尾沙織カメラマン田尾沙織さんの息子・奏ちゃんは妊娠25週、わずか500gで生まれた。戸惑いのなか、医師から告げられたのは「72時間が山で、それを乗り越えてもまだいくつもの山があり、どうなるかわからない」ということ。さまざまな病気のリスクをかかえながら、NICU(新生児集中治療管理室)、GCU(回復治療室)を経て、無事に退院するまでの256日間が日記形式で、奏ちゃんの写真とともに綴られる。次々に押し寄せる不安や後悔と向き合いながら、「生きている時間が残り少ないとしたら、産まれた事実を残してあげたい」と生きる希望に変えて、日々シャッターを切り続けた田尾さんと奏ちゃんの命の記録。『大丈夫。今日も生きている』田尾沙織/ 赤ちゃんとママ社刊育児エッセイ #02『きみは赤ちゃん』川上未映子35歳で初めての出産を経験した、芥川賞作家・川上未映子さん。妊娠検査薬で陽性反応が出た瞬間から、長男の通称・オニくんが1歳の誕生日を迎えるまで、至難の連続を綴った一冊。つわり期を「胃から食道にかけて、すわっすわのものがやってきて」と独特な表現をしたり、観察眼が光るエピソードは読みごたえたっぷり。まるでジェットコースターのように、日々めまぐるしく変化する妊娠・出産時のリアルな身体と心情、ありのまま描かれる痛みや苦しみにママの共感の声が多数。ときには笑いながらぐんぐんと読み進め、オニくんへの愛を語るラストには涙が止まらない。『きみは赤ちゃん』川上未映子/文春文庫刊育児エッセイ #03『母ではなくて、親になる』山崎ナオコーラ37歳で第一子を産んだ人気作家・山崎ナオコーラさんの、新しい感覚の出産・子育てエッセイ。流産や妊活、健診、保育園落選など、子どもが1歳になるまでのエピソードを通し、驚きや喜びをありのまま綴る。著者は「お産ではなく手術」や「(子どもと親の)似ているところは探さない」とあえて記すことで、わが子への愛情を家族内だけで完結させず、これから子どもが待ち受けるだろう広い世界や社会に目を向け、多様性を重んじることの大切さを教えてくれる。社会やジェンダーのステレオタイプな考え方にとらわれ窮屈な気持ちを抱えている人を、やさしく解放してくれるはず。『母ではなくて、親になる』山崎ナオコーラ/河出文庫刊育児エッセイ #04『すべて、こども中心。』齋藤紘良東京・町田市にある保育園『しぜんの国保育園』の理事長・齋藤紘良さんによる初著書。ミュージシャンとしても活躍し、独自のアプローチがメディアでも注目を集める著者の目線から、子どもが主体性を持ちのびのび育っていくためのヒントをひも解き、子どもがいる暮らしをより楽しむための新しい視点について語る。「読み聞かせやアートに触れることって大切?」などの子育て世代の悩みや疑問にも丁寧に答えている。これからの子どものための社会を考え、「自分らしい親になりたい」と願うすべてのパパとママに読んでもらいたい参考書。『すべで、こども中心。しぜんの国保育園から知る、 こどもの主体性を大切にしながら家族が豊かに暮らす方法』しぜんの国保育園 齋藤紘良/KADOKAWA刊育児エッセイ #05『そういうふうにできている』さくらももこ故・さくらももこさんによる超ロングセラーの育児エッセイ。「この腹の中に、何かがいるのである。大便以外の何かがいる……!」と著者らしい言葉でスタートを切る。多忙を極めるなか妊娠発覚し、バカバカしいギャグを考えて乗り切ろうとしたどん底のつわり期、便秘との壮絶な戦いなど、笑いあり涙ありの十月十日が描かれる。エッセイの締めくくりでは「全ての現象の現れはそれがそういう状態になるように、そういうふうにできているということだ」とタイトルの由来が語られる。妊娠・出産時のあまりに激しすぎる身体や心の変化や、どうにもならないことを楽に受け入れ、前向きになれる一冊。『そういうふうにできている』さくらももこ/新潮社刊育児エッセイ #06『へそまがり』菊池亜希子女優&モデルの菊池亜希子さんによる、雑誌『リンネル』での人気連載エッセイが待望の書籍化。結婚、出産、子育て……人生の転機が次々に訪れるなか、不安な気持ちと正直に向き合いながら、著者らしい丁寧な言葉で、かけがえのない日常がやさしく紡がれる。出産後のリアルな心境を書いた「3人になった日」ほか、娘さん(通称・イコ坊)や旦那さん、家族とのエピソードの数々に、ときにくすっと笑い、ときにほろりと涙をこぼし、読み終わった後はあたたかい気持ちになること必至。ファッションの話や、昔の思い出話なども収録されており、ちょっと息抜きしたいときのお供におすすめ。『へそまがり』菊池亜希子/宝島社刊育児エッセイ #07『懺悔日記』藤田あみい漫画家でエッセイストの藤田あみいさんが、娘の発達に疑いを持ってしまったことをきっかけに、インターネットに溢れるさまざまな情報の渦に巻き込まれ、深刻な産後うつ、加えて強迫性障害を発症。壮絶な苦しみと再生、娘さんへの愛溢れる2年半の記録した、ママ向けWEBサイト「Hanakoママweb」での人気連載が一冊に。飾り気なく、淡々と描かれる日常はやけにリアルで共感の嵐。巻末に収録された「子育てがつらいと感じたら 産後ママのためのヘルプガイド」も必読。「つらいときは無理せず、人に頼っていい」と、そっと寄り添ってくれる。『懺悔日記 子どもの愛し方を知るまで』藤田あみい/マガジンハウス刊育児エッセイ #08『ヨチヨチ父』ヨシタケシンスケ/人気絵本作家・ヨシタケシンスケさんによる、「パパ目線の初めての育児」をテーマに綴ったイラストエッセイ。子育てがひと段落した著書が、“パパのトホホな日常”を振り返り、育児における父親と母親の差を、ユーモアたっぷり、時にはちょっぴり切なく描く。赤ちゃんとママの絆の強さにどこか疎外感を感じてしまったり、ママの強さを感じたり、ママの気持ちがわからない苦しみ、多くの戸惑い……。パパが読んだら、「そうそう~!」と思わず共感してしまうはず。壮絶な毎日の裏でパパが密かに感じていたことに、ママは新発見もあるかも。『ヨチヨチ父-とまどう日々-』ヨシタケシンスケ/赤ちゃんとママ社刊育児エッセイ #09『新米母は各駅停車でだんだん本物の母になっていく』大平一枝作家でエッセイスト、2人の子どもを育てる大平一枝さんによる17年間の子育ての記録。WEBサイト『北欧、暮らしの道具店』やアサヒコムなどでの連載を中心に、子どもの年齢順にまとめられたもの。「どんなに失敗したって、少々手抜きしたって子どもは勝手に育っていく」「あんまりがんばりすぎず、正しいお母さんを目指しすぎないでいい」「自分流でいい」と、著者のおおらかでやさしい言葉で、毎日奮闘するママたちへエール送る。他人と比べてしまい「自分はダメだなぁ」とがっかりしてしまったときに手に取りたい一冊。『新米母は各駅停車でだんだん本物の母になっていく―母業23年つれづれ日記』大平一枝/大和書房刊育児エッセイ #10『れもん、うむもん!』はるな檸檬漫画家・はるな檸檬さんが「泣いているお母さんの横で、肩を抱いて一緒に泣くようなものを描きたい」と、自身の妊娠発覚から出産後の育児までを描いたエッセイ漫画。つわりに始まり、分娩、母乳。思うようにならない自分の身体と心、小さな命を預かることへの緊張など……共感すること間違いなし。出産、育児の言葉にできない大変さにやさしく寄り添ってくれる一冊。お医者さんとの会話や、妊娠期の状況など、とても細やかに描かれているので、プレママに役に立つ情報も多数。『れもん、うむもん!――そして、ママになる――』はるな檸檬/新潮社刊
2020年10月19日言葉は人間が生み出した最強のツールである。それにより、気持ちを伝え、情報を共有し、思考を深化させてきた。そして今、言葉がさらに大きなチカラを持つ時代になりつつある。響く言葉と紡ぎ方について考えてみました。今こそ、言葉の重要性が高まっている。ニューノーマル時代に突入し、人と直接言葉を交わす機会が減ってきている。「一昔前は、“以心伝心が美徳”とされたものですが、今は違います。人と気軽に会えなくなり、さらにマスクが必需品になり、目や息遣いで察することは難しく、言葉の重要性はこれまでになく増しています」(日本語教師・清水由美さん)オンラインツールの普及も、言葉の可能性を広げていると、SHOWROOM代表の前田裕二さん。「オンライン上でのコミュニケーションが定着し、地位や権力に関係なく、よりフラットに自分を表現できるようになりました。これからは極端にいえば人間力の前に言語力が問われる場面がたくさん訪れます」アナウンサーの吉田尚記さんは語る。「そもそも言葉は、敵か味方かを判断するために生まれた道具だと、僕は思っています。言葉を上手く使い、相手の心に響けば、仲間を増やすことができ、その結果、自分が望んでいることを実現しやすくなります。人生を切り拓いていくには、言葉のチカラは欠かせません」多様化が進み、どんな場面でも最大の武器として使えるのが言葉である。心に残る言葉はいかにして生まれるのか?人との会話の中や、小説や音楽の中でふと深く心に突き刺さる言葉。反対に、耳には残るけれど、何だか嘘っぽい言葉。その違いって何だろう?「それは、その言葉にちゃんと指紋がついているかどうかの違いかなと思います。情報が瞬時に行き渡るネット社会は、いうなれば、誰でも同じ言葉をコピペして、言ったり書いたりできてしまう時代です。一見同じような指でも、よく見ると全て違った種類の指紋がついていることとよく似ていますが、その言葉の裏側に、その人固有のストーリーがあるか。その言葉が紡ぎ出された独自の背景や、“味”が見えてくるのか。そんな“言葉の指紋”が見えた時にはじめて、本当に人の胸を打つのだと思います。そのためにはまず、ストーリーを紐付ける内省力や思考力が、狭義の言語化力(≒コピペ力)以上に重要だと思います。自分の心を深く見つめて、想いを込めた言葉は、自然と誰かに届くでしょう」(前田さん)事前に用意された言葉や、取り繕った言葉は、人の心に残らないと、吉田さん。「感情が自然と溢れて発せられた、ライブ感のある言葉にこそ、人は感動します。だからいつも周りをきちんと見て、その場で感じることを大切にしてほしい。どんな心の動きがあったか自分の気持ちと向き合うことを続けていけば、人の感情を揺さぶる言葉を自然と発しやすくなります」人は自分のことをわかっているようで、案外わかっていないもの。だからこそ思考するクセをつけることが大事なよう。新たな言葉が、イノベーションを生み出す。時代を表す言葉や流行語など、新しい言葉は次々と生まれてくる。たとえばお笑い第7世代という言葉が広まったことで、5は?6は?と気になり、興味の幅が広がった。さらに、社会に影響を与えることも。「呼び名のなかった人や現象、感情に対して名前が付くということは、新たな価値観や概念を生み出すことに繋がるので、言葉の持つ大きなチカラのひとつだといえます。例を挙げるとイクメンという言葉ができたことで、それを目指す男性が増えたり、はたまた母親にはそれに該当する呼び名がないということに社会が気づくきっかけにもなりました。LGBTもしかり。これまでないことにされてきた人たちに名称ができたことで、社会や世間が多様性を受け入れられるようになり始めました」(清水さん)若者言葉が流行るのにも大きな意味が。「ぴえんなど、“パッと聞いて意味がわからない”けれど、使いたくなる。そんなつい口にしたくなる、自分たちにしかわからない秘密の共通言語が、気づかぬうちにコミュニティの境目を生み、仲間感を濃くします」(前田さん)新しい言葉には、それぞれに生まれる意味があるのだ。言葉を紡いで、本当に伝えたいことを磨く。気持ちを言葉にするのが苦手な人は、アウトプットの精度を高める作業も必要になってくる。「言葉は∞。語彙力を高めれば、自分の感情の輪郭をなぞるようにリアルに描写することができ、相手に伝わりやすくなります。そのためにも良質な言葉や文章と、数多く出合うこと。言葉を吸収して、実践を繰り返せば、状況に応じて、ドンピシャな表現ができるようになります。僕のマイルールは、『頑張ってください』などの通り一遍な言葉を極力使わないこと。自分の中で禁止ワードを作ると、表現を工夫するようになり、言葉を紡ぎ出すことが楽しくなります」(吉田さん)さらに、話し方を磨くことも重要。「たとえば本当に伝えたい言葉は、心を込めて放った後に、少し我慢して間を置いてみます。言葉に、体重と体温、そして魂をのせるイメージです。思い切り体重をのせたなら、重たい言葉なので、すぐには次にいけずに間ができますよね。熱い言葉は伝播しやすいし、魂ののり方次第で抑揚、トーン、リズム、音量なども自然と調整されて、気づいた時には、皆さんの言葉の威力は格段に上がっていると思います」(前田さん)新しい世界を開く言葉のチカラ。あなたも手に入れてみませんか?清水由美さん日本語教師。千葉大学や法政大学大学院で非常勤講師として、留学生に日本語を教える。著書に『すばらしき日本語』(ポプラ新書)、ヨシタケシンスケさんとの共著に『日本語びいき』(中公文庫)など。前田裕二さんSHOWROOM代表。オンラインサロン「メモ魔塾」主宰。『スッキリ』『新・日本男児と中居』(共に日本テレビ系)をはじめ、コメンテーターとしても活躍。著書にベストセラーの『メモの魔力』(幻冬舎)など。吉田尚記(ひさのり)さんニッポン放送アナウンサー。ラジオ番組『ミューコミプラス』は、月~木曜24:00~生放送中。『元コミュ障アナウンサーが考案した 会話がしんどい人のための話し方・聞き方の教科書』(アスコム)を上梓。※『anan』2020年9月23日号より。取材、文・鈴木恵美(by anan編集部)
2020年09月18日ウートピの8月の記事ランキング(集計期間:2020年8月1日〜30日)を振り返ります。1位もしも彼がセクシストだったら?いま、声を大にして言いたいこと【小島慶子】1位は、小島慶子さんの人気連載「πな人生を生きていく」から「もしも彼がセクシストだったら?」でした。セクシストとは、性差別者のこと。「ある男性が女性を自分と対等な存在だと思っているかどうかは、残念ながら身内に対する態度からはなかなかわからない」と小島さんは指摘します。けれど、もし、気づいてしまったらどうしたらいいのでしょうか?2位「自己開示ヤクザ」にならないために、気をつけたいこと【秋葉原の心療内科医に聞く】2位は、心療内科医・鈴木裕介さんのインタビューがランクインしました。弱さを打ち明けることをテーマにお話を聞いたこの連載。この回では「感情をうまく取り扱い、他者に弱さを開示する」ための具体的な方法を教えてもらいました。「感情は2歳児のゴリラ」「自己開示ヤクザ」「敵国の司令官が心の中にいる」など、気になるフレーズが飛び出しました。3位「新しい価値観や考え方は人を自由にする」生活保護に支えられた私が伝えたいこと3位は、『家族、捨ててもいいですか?一緒に生きていく人は自分で決める』(大和書房)を上梓した、小林エリコさんのインタビューでした。「私の経験が、『病気になったり貧困に陥ったりしても、ちゃんとこの社会で生きていけるよ』という知識に変わればうれしい」と話してくれた小林さん。理想的な「家族」ではないことが、「不幸」ではないと言います。4位「産めば仕事の幅が広がるんじゃない?」って、わたし半人前扱いされてる?【アルテイシア】4位は、アルテイシアさんの人気連載「○○と言われて微妙な気持ちになる私」がランクイン。今回のモヤ言葉は「産めば仕事の幅が広がるんじゃない?」です。アルテイシアさんの痛快な考察に膝パーカッションが止まらない連載です。5位3代目バチェラーの結婚で気づいた、自分の中の「小姑マインド」5位は、トミヤマユキコさんによる「バチェラー婚」の考察記事がランクイン。バチェラーの友永真也さんと、出演者の岩間恵さんが今年の7月にそれぞれのSNSで結婚を発表。そのニュースを見て、「ルール違反をしたカップルだけど、入籍したなら許してあげよう」と思ったという、トミヤマさん。その理由についてつづっていただきました。6位「相手に期待しない」ってどういうこと?期待と応援の違い【DJあおい】6位は、DJあおいさんの人気連載「DJあおいの私は仕事ができない。」から「『相手に期待しない』ってどういうこと?期待と応援の違い」でした。「ある時から他人にも自分にも期待しなくなったら、随分と楽になりました」という相談者さん。友人に「ちょっと寂しくない?」と聞かれて、あおいさんの意見が聞きたくなったそうです。そんな相談者さんに、あおいさんは「期待」と「応援」は違うと言います。7位育児で辛い時期もあるけれど…子どもは丸洗いできるんです【ヨシタケシンスケ】7位は、絵本作家、イラストレーターとして活躍中のヨシタケシンスケさんの新刊『欲が出ました』(新潮社)の特別転載でした。今作のもとになっているのは、ヨシタケさんが普段から持ち歩き、思ったことをかきとめるスケッチ帳なのだそう。この記事では、「親子そろって、欲が出ました」の一部を特別に公開しています。8位「いい嫁ではないが、いい妻である」私が頑張るのをやめてよかったこと【吉田潮】8位は、吉田潮さんの寄稿記事がランクイン。現在放送中の火曜ドラマ『私の家政夫ナギサさん』(TBS系)のストーリーに違和感があるという吉田さん。「(主人公のメイは)家政夫を雇える自分に誇りを持っていい」と言うその理由とは——?9位今なら言い返せるのに…! 嫌な過去にとらわれているときの対処法【DJあおい】9位にもDJあおいさんの連載がランクイン。「嫌な過去にとらわれているときの対処法」でした。過去にされてつらかったことを思い出してつらつらと考えてしまうことがあるという相談者さん。過去にとらわれてしまっているときの対処法を知りたいです、と言います。そんな相談者さんに、あおいさんは「とらわれてしまうのは過去の自分が許せないから」と話します。10位キンプリ、セクゾ、関ジャニ…大人になってハマった“沼ジャニ” 推しの魅力を聞いてみた10位は、ヒアリング記事がランクイン!大人になってハマったジャニーズのグループについて教えてもらいました。10代がメインのファン層かと思いきや「大人になってから大好きになった……!」「仕事のつらさを支えてもらっている」なんて声も多数。ずぶずぶハマってしまう大人の“沼ジャニ”、自身も大人になってジャニーズWESTにハマったという、ライターの菅原さくらさんに調査してもらいました。■SNSをフォローすると最新記事がタイムラインに届きます!facebook: @wotopiTwitter: @wotopinews
2020年08月31日本当に好きな人とそうではない人では、接するときの態度が変わってきますよね。だからこそ、自分が彼の本命かどうかは、ふとした瞬間に分かることも……。では、“男性が本命女子にだけする行動”とは?今回は、男性たちに“無意識にしてしまった本命女子への行動”を挙げてもらいました。文・塚田牧夫ギリギリまで送る「彼女と食事に行ったとき、彼女の家の近くで事件があったという話を聞いたんです。ちょっと心配になるじゃないですか。だから、帰りは彼女の家の最寄り駅まで送りました。でも、それでも心配なんです。結局、そのまま家までついていってしまいました」コウジ(仮名)/32歳大好きな人が危険な目にあわないように、家まで送っていったのでしょう。ただこの場合、“できるだけ長く一緒にいたい”という理由もありそうです。「今度返して」とものを貸す「好きな女の子とのデート中、途中で“スマホの充電が切れそう”と言われたので、持っていた携帯用の充電器を貸したんです。彼女は帰り際にそれを僕に返そうとしたのですが、あえて“今度会うときに返して”と渡したまま別れました。また会う口実ができて良かったです」シンスケ(仮名)/28歳男性にとって相手が本命なら、またすぐに会いたいはず。だからこそ、次に会う口実作りのためにあえて貸したままにしたのでしょう。質問が多くなる「好きな子には、興味があるのでいろいろ質問しちゃいます。特に家族や友だちの話を聞きますね。やっぱり付き合うからには、その子の周りにいる人を把握することも大事だと思うので。でも、つい質問しすぎてあとで反省することも……」トシヤ(仮名)/26歳相手が本命の女性なら、もっと親しくなりたいと思うはず。すると、もっと相手のことが知りたいと思うので、自然と質問も多くなります。また、沈黙を避けるための気遣いにより質問で間を埋める場合もあるでしょう。時間が経つのが早い「2時間のコースを予約して、狙っている女の子と飲みに行ったんです。すると、あっという間にラストオーダーの時間に。好きな子といると、やっぱり時間が経つのが早い。なんでコースにしたんだろうと後悔しました」ミツル(仮名)/26歳男性は好きな女性と一緒にいると、つい時間を忘れるようです。時計を見たら“もうこんな時間だ”という経験もあるはず。それだけ女性に対して夢中になっている証でしょう。“男が無意識に本命女子にだけする行動”をご紹介しました。本命の女性には無意識のうちに好意が溢れでるもの。意外と分かりやすいはずです。ただ、下心があって同じような行動を取る場合もあるので、そこはご注意を!©monkeybusinessimages/gettyimages©Westend61/gettyimages
2020年08月09日絵本作家、イラストレーターとして活躍中のヨシタケシンスケさん。発売したばかりの新作は、大人のためのイラストエッセイ『欲が出ました』(新潮社)です。このエッセイのもとになっているのは、ヨシタケさんが普段から持ち歩き、思ったことをかきとめるスケッチ帳。このスケッチ帳から絵本のアイデアが生まれることも多いんだとか。そんな大切なスケッチ帳から、選りすぐりのイラストをエッセイで解説した今作。今回は、その第二章「親子そろって、欲が出ました」の一部を特別に公開します。おなかがバカーッてなってしんでもいいからこれはうちの子じゃなくて、お店に行ったら、どっかの子がお母さんに、ジュースを頼みたいんだと、一生懸命せがんでいる。で、お母さんが、さっき飲んだでしょ、そんな飲んだらおなか破けちゃうよ、と怒ったら。おなかがバカーッてなって、しんでもいいから、バナナジュースのみたいの!って。すごい力説してて、わかるなあって。この「今さえよければ」感。面白い。人んちの子だから飲ませたいけど、自分の子が言ったら絶対飲ませない、という話でもあるんですけどね。これはきな下の子のズボンが汚れて、はき替えさせてって嫁に言われて、僕がズボンを選んで。「これはきな」って持ってったら、「え?それはお母さんがそう言ったの?」。全然信用されてないんですよね。保護者としての価値が低い。でも、向こうにしたら、どうせそれをはいたところで、「え、それなの」ってお母さんが言ってきたら、もう一回はき替えなきゃいけないから、面倒くさいわけです。それ誰セレクトなんだ、お母さんが言うならはく。お父さんが言ってるんだったら、まだはかなくていいんじゃね、ってこと。この決定権のなさ。でも、実際に間違ったもの持ってくるじゃんとか、思われてる。夏なのに、それ長袖だろみたいなことで、しょっちゅう怒られてるの見てるんで。こちらとしても、「ちょっと上司に確認してまいります」って感じですね。フーセンをふくらませてフーセンをふくらませてくれ、と次男が部屋に入ってくる。しあわせですな。このときは気持ちに余裕があったんですよ。仕事部屋にいきなりガチャッと入ってくるから何かと思ったら、ふくらませてくれって、フーセンを差し出されて。五歳くらいの頃かな。自分じゃふくらませられないから、代わりにやってあげられる時期です。まだ父親を必要とする。これが自分でふくらませられるようになると、もうお父さん要らなくなるんで。こうやって頼るあてにされているっていうのが、要は本当に親にとっては幸せなときなんだろうなあって丸洗いできます子どものいいところ。丸洗いできるんです、どんなに汚れても。よごれてもよごれても丸洗いできます!って。頭なんかもね。別にドライヤーなんか使わなくてもすぐ乾く。服もどろどろになってもほとんど落ちる。育児の本当に一番つらい時期って、いったい、いつ終わるんだろうって苦しいけど、基本、丸洗いできるってことで、毎日リセットできるんだよって、いい話です。丸洗い可。***続きは絶賛発売中の『欲が出ました』でお楽しみください。
2020年08月09日絵本作家、イラストレーターとして活躍中のヨシタケシンスケさん。発売したばかりの新作は、大人のためのイラストエッセイ『欲が出ました』(新潮社)です。このエッセイのもとになっているのは、ヨシタケさんが普段から持ち歩き、思ったことをかきとめるスケッチ帳。このスケッチ帳から絵本のアイデアが生まれることも多いんだとか。そんな大切なスケッチ帳から、選りすぐりのイラストをエッセイで解説した今作。今回は、その第二章「親子そろって、欲が出ました」の一部を特別に公開します。次男は次男は、とにかく甘いものを食べるのが好きなので、事あるごとにお菓子をたべていいかっていう、許可をもらいに来るんですよ。ハイチュウたべていい?ハイチュウたべていい?って。さっき、たべたじゃんっていうのに、それでも、一回一回交渉しに来る。勝手にこっそりたべたりしないのが、律儀なところで、毎回ちゃんと許可を得ようとする。承認欲ですかね。そこが面白くて描きました。大きなものを持つと大きなものを持つと人は(主に子ども)ちょっと興奮する。特にちっちゃい子がそうなんだけど、何か長ーい棒とか持つと、おおーってなりますよね。体がぶるんぶるんとして、大きいものを持つのって楽しいんですよ。運動会で、校庭に自分の椅子を持って行ってくださいと言われたときに、椅子持って歩くのもちょっとわくわくするでしょう。普段持たないものを持つと、興奮しませんか。大きな机を二人で両端持って動かしたりするのも、ちょっと楽しかったりする。待って待ってとか、一回置こう一回置こうとか、声を掛け合ったりして。ああいうやり取りって、何かいい。一人でもできるけど、人が二人いて、いいなって思う瞬間がたまにあります。二人でシーツをたたんだりすると、ああ、やっぱり二人って便利だわって思う。大きなものを運ぶときに反対側を持ってもらうと、すごい!人って最高!みたいに嬉しい。何も愛だ、恋だ言わなくても、シーツをたたむためだけで、二人で暮らしてもいいんじゃないか。夫婦が一緒にいる理由は、大きなものがたたみやすいってだけで、十何年連れ添ってもいいわけですよ。そんな人間の体の仕組みから、愛を取り戻すって方法もないわけじゃないな、という思いもあります。話が予想外の所へ来ました。やさしくそーっとひっぱるとズズズズ。やさしくそーっとひっぱると、しっぽのもちぬしの正体を見ることができる。らんぼうにひっぱると、しっぽはきれちゃうけど。ちょっと絵本っぽいでしょう。こういう始まりっていいなと思って。ここまでしか描いてないんですけど。よーく見ると、この世界のいろんなところに、しっぽが出ている。普段、僕が、どんどんスケッチを描きためてるのって、まさにこういうことなんじゃないかなと。その気になって探すと、いろんなところに面白いもの、何か世界の秘密みたいなものが、転がってるんですね。塀の隙間だったり、サラリーマンのおじさんのYシャツの端っこだったりとかに。それをらんぼうにひっぱると、ただそれだけで終わってしまう話なんだけど、よーく考えてひっぱると、何でこの人こんな服着てるんだろうとか、何であの人はあの後ろ髪の長さでいいと思ったんだろうとか、アイデアのかけらになる。何でこの子は何回言っても忘れ物しちゃうんだろうみたいな、小さい小さいことの中に、その人らしさだったり、人間らしさだったり、世界の秘密や、人類の癖みたいなものってあるはずで、そういうしっぽを一個ずつそーっとひっぱって、こいつのしっぽだったんだみたいなことを、見つけてみたいんです。しっぽってこういうところにあるんだぜとか、こういうふうにひっぱると怒るんだぜとか。一個ずつ集めていけたら僕は面白いし、俺こういう新しいしっぽ見つけたんだけど、すごい長かったのにひっぱったら結構本体がちっちゃくてがっかりしたよ、みたいなことを、みんなで寄せ集めて、しっぽ図鑑を作って楽しんでいけたら、平和だなあと。幸せのなり方とか、つらいことの忘れ方みたいなことも、多分そういういろんなしっぽの先についてるんじゃないでしょうか。それはほっとくと、しっぽでしかないけれども、実際は大きなものの一部であり。じゃあ、そのしっぽからそれぞれが何を読み取るか。それを丁寧に手繰り寄せるのは自分だし、その本体から何を読み取るかも、自分のセンスだったり努力だったりする。でも、何度もひっぱってると、そのうちうまくなるんです。俺、こういうのが好きなんだとか、こういうことが許せないんだとか、これをやってると楽しいんだみたいなことが案外わかってくる。しっぽ探しは、いつでも始められるし、いつでもやめられるし。で、そこからその人にとって面白いと思うものが見つけられるよというのが、とても救いのある楽しいことなんじゃないでしょうか。***続きは絶賛発売中の『欲が出ました』でお楽しみください。
2020年08月08日社会性や実験性の高い斬新な新作公演を重ねている燐光群。彼らが2016年から3年間実施した「アジア共同プロジェクト」では、タイとフィリピンで取材やワークショップを行い、両国の俳優・演出家を招いて清水弥生作の2本、『Summer House After Wedding』(2016年)と『リタイアメン』(2018年)を東京で初演。バンコク、チェンマイ、マニラでのツアーでも好評を博したが、今回は同企画に参加していたタイの気鋭、ニコン・セタンの戯曲『Rai Phamnak』を、日本版『安らかな眠りを、あたなに YASUKUNI』として、セタンと坂手洋二の共同演出で上演する。物語に登場するのは、亡霊となった昔の彼女に取り憑かれているワンチャイ。そして、幼なじみのシンスケの霊魂を探している日本兵の亡霊タダシ。彼は、泰緬鉄道が建設されていたカンチャナブリで消息を絶っていた。現在のバンコクで、不思議な出会いを果たした仲間たち。迷いながらたどりつく、それぞれの真実とは……。本作は、アジアの演劇人が初めて日本の靖国神社について描く作品であり、歴史性にポップさとユーモアを交えながら、伝統と現代、国際性を融合した国際合作。セタンは今回の上演に向けて「靖国神社。その名前は安らぎの地を意味し、第二次世界大戦よりも遥か昔から、国のために犠牲となった老若男女すべての人々の御霊を祀るという大切な意味をもっている。それなのに何故、日本の首相がこの神社を参拝するたびに、中国、韓国からの抗議の火種になってしまうのだろうか」と疑問を呈する。また、作品については「バンコク・サムヤンに私たちの劇団が持っていた小さな劇場を閉館する前の最後の作品だった。あれから13年を経て、ついに、この作品を日本で上演することになった。私にとっては、タイで行方不明になった日本人の帰国の手助けをするような感じだ。日本の人たちがどう受け入れてくれるか、想像するとわくわくする」と語る。燐光群とタイ気鋭のアーティストが、戦争の時代と現在、霊界と今を生きる人間の交錯を描き出す舞台は、3月20日(金・祝)から29日(日)まで東京・劇場MOMOにて上演。文:伊藤由紀子
2020年03月18日毎月1日、ママのひとり時間に読みたい素敵な本と、おすすめの新作絵本を紹介する連載企画がスタート! 今月はママにおすすめのお弁当やつくりおきなどのレシピ本3冊と、子どもと一緒に読みたい楽しい3冊の絵本をご紹介します。読書は、ママのリフレッシュする時間にも、親子のコミュニケーションを深める時間にも、とってもいいものです。ぜひ、読んでみてくださいね。ママにおすすめの新刊_01『にぎりっ娘。のはじめての子どもべんとう』にぎりっ娘お弁当動画人気No.1を誇る“にぎりっ娘”さん初の著書。冷蔵庫にあるものでつくる、簡単・可愛い・等身大のお弁当レシピは真似したくなること必至。子どもが好きな味付け“甘み”を活かしたレシピは、大人もごはんが進むものばかりです。新入園・入学の前にチェックしておきたい一冊。『にぎりっ娘。のはじめての子どもべんとう』にぎりっ娘 /学研(Gakken)1/29(水)発売ママにおすすめの新刊_02『一生使えるつくりおきBEST』スガつくりおき歴20年! 月間アクセス数140万を超える人気「つくりおきブロガー」スガさんによる新刊。一生つくり続けたい158のレシピは、時短・節約・体にやさしいと3拍子揃ったものばかり。家族の健康を考えて、一家に一冊は置いておきたい保存版。『一生使えるつくりおきBEST』スガ/扶桑社1/30(木)発売ママにおすすめの新刊_03『果実とパンの組み立て方』ナガタユイ人気のフルーツサンドをはじめ、ジャムやコンポートを使ったサンド、タルティーヌ、ナッツやドライフルーツの合わせ方など、パン好きなら絶対に知っておきたい鉄板ルールを紹介。おいしさを引き出す果物の切り方、加熱や乾燥による味や用途の変化なども解説してあるので、プロを目指す人も必見の一冊。『果実とパンの組み立て方』ナガタユイ/誠文堂新光社 2/10(月)発売キッズにおすすめの新刊_01『100』名久井直子小さな数しか数えられない子に、「100ってどのくらい?」を伝えるビジュアル絵本。どんぐり、貝がら、輪ゴム、金魚、積み木。暮らしの中にある、いろいろなものの100個を、見て感じて楽しもう! 「風船100個をふくらます」「スーパーボール100個を弾ませる」など、撮影時の苦労を想像して見るのも◎。『100』名久井直子 作、井上佐由紀 写真/福音館書店2/10(月)発売キッズにおすすめの新刊_02『もしものせかい』ヨシタケシンスケ『りんごかもしれない』『りゆうがあります』などで人気の絵本作家・ヨシタケシンスケさんの新刊。ある日、大切なオモチャが“もしものせかい”に行ってしまうことに。大事なものを失った時や思いがけない別れが訪れた時、「どうやって心に空いた穴を埋めたらいい?」を考える、やさしさに満ちた心温まる絵本。『もしものせかい』ヨシタケシンスケ/赤ちゃんとママ社1/28(火)発売キッズにおすすめの新刊_03『あぶない!どーする?』穂髙順也動物学者であり、『ざんねんないきもの事典』シリーズの今泉忠明さんが監修を担当。敵が現れた時、動物たちはどんな身の守り方をするの? ヤマアラシ、フグ、アルマジロ、スカンクが登場し、個性的な防御の仕方を紹介。ページを開く前に、どんな身の守り方をするか想像をめぐらせても楽しい!『あぶない!どーする?』穂髙順也 著、西藤 燦 絵、今泉忠明 監修/岩崎書店 1/30(木)発売それでは、来月もお楽しみに。edit&text/Yukiko Takeda
2020年02月01日彼を夢中にさせるのに、エッチのプレイ内容は重要。さらに、それが終わったあとの対応がいいと、彼はもっと大事にしてくれるかも?そこで今回は、“エッチ後に骨抜きにされた彼女の行動”というテーマで、男性たちに話を聞いたのでご紹介します。文・塚田牧夫「もう1回」と舐め回す「ある日の彼女とのエッチ。いつになく彼女が感じてて、喘ぎ声もすごくて、終わったあとも興奮冷めやらぬ様子でした。すると、“もう1回”と言って、俺のアソコを舐め回したんです。まるで動物みたいにベロベロと舐めてて、いやらしかったですね」コウイチ(仮名)/30歳男性としては、求められるのは嬉しいこと。しかも、性欲丸出しで、なりふり構わない様子は、本能剥き出しの動物のよう。その姿に、興奮する男性もいるようです。おっぱいで搾り上げる「エッチが終わったあと、後処理があるじゃないですか。アソコを握って、ティッシュで拭いてくれたんです。そうしたら彼女が、おっぱいで挟んできました。彼女、胸が大きいんです。谷間に挟んで、ギュ~ッと搾ってくれました。気持ちいいというよりは、インパクトがありますよね」シンスケ(仮名)/29歳おっぱいでアソコを挟まれるなんて、男としてはなんとも幸せな行為。気持ちいいというよりは、視覚的に強い刺激を受け、興奮につながります。「早く復活しますように」とおまじない「エッチが終わったあと。ふぅ……とひと息ついて彼女の隣に横になりました。すると彼女が起き上がり、俺のアソコをジッと見つめるんです。そして、軽く指で撫で始め、“早く復活しますように”とおまじないを始めました。それがすごく可愛かったですね」カズト(仮名)/28歳チチンプイプイ……という感じだったのでしょうか。まるで子どものような、可愛らしいおねだりですよね。そんなふうに求められたら、また頑張ろうという気にもなるでしょう。“エッチ後に男が骨抜きにされた彼女の行動”をご紹介しました。エッチが終わったあとは、一旦落ち着くぶん、男性は女性の行動をしっかりと見ています。対応によって、男性の愛情が湧き上がることもあるので、参考にしてみては。©fizkes/shutterstock©Arthur-studio10/shutterstock©4 PM production/shutterstock
2019年11月28日子どもから大人まで幅広い人々を魅了する、当代一流の絵本作家のひとり、ヨシタケシンスケさん。ゆるかわな絵のタッチも、思いがけない角度から切り込む発想も、親近感が湧いて愛でずにはいられないヨシタケさんの絵本たち。このたび、著者初となるイラストエッセイ集『思わず考えちゃう』が刊行された。ゆるかわスケッチとエッセイの中に、新感覚のヨシタケ流哲学が見え隠れ。「講演会などで、“常日頃から手帳に描いているスケッチを、手元カメラでスクリーンに映し出してもらい、そのイラストに対してコメントする”というようなことをよくやっていたんです。それをテーマごとにまとめてみたのがこの本です」だが、イラストのほっこり加減とは裏腹に、コペルニクス的転回が起きそうな鋭い名アドバイスが並んでいる。やる気を出す方法として〈もう明日やるよ。すごくやるよ。っていう言葉を三回唱えてから寝る〉。仕事に対して〈できないことをそのままにするっていう覚悟の決め方(略)もあるんじゃないか〉等々、目からウロコ。「いまの社会でメジャーな前向きな考え方やものの言い方にこそ、やる気を鼓舞される方もいると思うんです。ただ、7~8割の人がそう考えていても、2~3割の人はきっとそう思えなくて、世の中の隅っこで悶々としている。じゃあ、陽が当たらない意見側の僕みたいな人間は、どんな言葉ならほっとするのだろう。やる気が出るのだろう。そんな自分に対する言い訳や負け惜しみを集めた本でもあって(笑)。もしこれを読んで救われたとか共感したと思う誰かがいるのならそれはうれしいし、何よりそう描くことで、僕自身が救われたいんだと思いますね」日常のスケッチを始めたのは大学時代。社会人1年目に、ノートを手のひらサイズのシステム手帳に変更して以来、こつこつ描き溜めたものがすでに約80冊ある。コピックというサインペンの0.3mmを愛用。できあがりの絵のサイズは数cm四方と、驚くほど小さい。「“描いておかないと忘れてしまいそうなくらいどうでもいいこと”が、何を描くかの基準のひとつです。自分の気分を盛り上げるためだけに描いていたものが、他の人にも喜んでもらえるというのは不思議な感覚。人生何があるかわからないものだなあと、我ながら面白いです」『思わず考えちゃう』どうでもいいことの中にその人らしさは宿り、ときに哲学も生まれる。イラスト100点以上収録、描き下ろしのスケッチ解説エッセイ付き。新潮社1000円1973年、神奈川県生まれ。筑波大学大学院芸術研究科総合造形コース修了。絵本デビュー作『りんごかもしれない』で一躍注目を集め、話題に。MOE絵本屋さん大賞第1位をはじめ、受賞歴多数。※『anan』2019年5月15日号より。写真・土佐麻理子(ヨシタケさん)中島慶子(本)インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2019年05月12日絵本『りんごかもしれない』『りゆうがあります』など、子どものみならず大人にもファンが多い絵本作家のヨシタケシンスケさん。3月30日に初のエッセイ集『思わず考えちゃう』(新潮社)を上梓しました。発売されるやいなやたちまち重版がかかり、話題になっています。ヨシタケさんがいつも持ち歩いているというスケジュール帳に書き留めたメモやスケッチを元に、「こんなことがあったんです」「あんなことを考えていたんです」と自ら解説した一冊。「富士山を撮るのは盗み撮りにならないの?」「子どもに優しくできないよ」「何かを決めた瞬間が一番楽しい」など、“思わず考えさせられちゃう”エピソードがつづられています。“思わず考えちゃう”女性に向けて、ヨシタケさんに5回にわたってお話を伺いました。最終回のテーマは「自分を責めてばかりの貴女へ」です。【関連記事】気の合う人と悪口言っている時間も楽しい「大人には立場がある」を言っていきたい——今はどんな作品に取りかかっているんですか?ヨシタケ:ちょうど今作っている絵本のテーマが「転べばいいのに」なんです。6月くらいに出るんですけど、「嫌なやつは転べばいいのに」っていう内容なんです。——テーマは「嫌なやつ」なんですか?ヨシタケ:「嫌なやついるよねー」っていう本なんですよ。「“嫌いな人”っていてもいいよね」って言いたいというか。——嫌いな人がいると自分はダメな人間なんじゃないかって思っちゃいます。世の中にはマザー・テレサみたいな人もいるのに……。ヨシタケ:そうでしょ?僕もずっとそう思ってたし、でもやっぱりそれを自分の子どもには言いたくないじゃないですか。でも、嫌いな人っているよっていう。それを別に好きになろうとしなくてもいいよねっていう。まさに今の自分にも子供の頃の自分にも言いたいことが、自分が本を作るときのテーマで、そこに帰っていくんですよね。——小学校のときに「クラスみんなで仲良くしよう」って言われて、すごく辛かったです。ヨシタケ:でも、先生として言わなきゃいけない気持ちもわかるじゃないですか。——はっ!ヨシタケ:先生は、大人として立場上、ケンカしてもいいって言っちゃダメなんですよ。そういう大人には立場があるっていうことも言いたいわけです。大人は思ってても言っちゃいけないことがある。だから、それで大人が言うことは、本当のときと建前のときがあるってことも、子供のときに知ってたら随分楽になる場面もいっぱいあったはずなんですよ。大人を憎まずに済んだはずなんですよね。そういう至極当たり前のことを、ちゃんと言いたいっていうのはどのシーンでも思いますね。今後やっていきたいことはそういうことです。身も蓋もないことをちゃんと言っていくっていう。——先生を恨んじゃっていました。「綺麗事ばかり言いやがって」って。ヨシタケ:ないとされてることを、あるからねって。嫌いな人は転べばいいって思うよねって。その存在に、ちゃんと名前を付けていきたいっていう。それは消えないからって。でも、ゼロにはできないけど、減らすことはできるよねって。戦争と一緒ですよね。構造上ゼロにはできないけど、減らしていくには越したことはないよねって。そこはちゃんと言っていきたいですね。綺麗なウソをつけるのが大人のよいところ?
2019年04月23日絵本『りんごかもしれない』『りゆうがあります』など、子どものみならず大人にもファンが多い絵本作家のヨシタケシンスケさん。3月30日に初のエッセイ集『思わず考えちゃう』(新潮社)を上梓しました。発売されるやいなやたちまち重版がかかり、話題になっています。ヨシタケさんがいつも持ち歩いているというスケジュール帳に書き留めたメモやスケッチを元に、「こんなことがあったんです」「あんなことを考えていたんです」と自ら解説した一冊。「富士山を撮るのは盗み撮りにならないの?」「子どもに優しくできないよ」「何かを決めた瞬間が一番楽しい」など、“思わず考えさせられちゃう”エピソードがつづられています。“思わず考えちゃう”女性に向けて、ヨシタケさんに5回にわたってお話を伺いました。4回目のテーマは「それでも目標が欲しい貴女へ」です。【第1回】「できないよね」ってちゃんと傷を舐め合いたい “思わず考えちゃう”貴女へ【第2回】「向いてないこと」から自分の道を決めてもいい【第3回】僕が“つながらない関係性”を大事にしたい理由小さな「好き」を必死で拾い集めて目標にしたがっている——2回目で「やりたくないことから自分を決めていってもいいんじゃないか」という話が出ました。テーマをひっくり返すようで申し訳ないのですが、それでもやっぱり「好きなこと」や「やりたいこと」を求めてしまう人は多いと思います。「好きなことが見つからない」と悶々としちゃう……。ヨシタケシンスケさん(以下、ヨシタケ):きっと、死ぬまでそうじゃないですか。——えっ、死ぬまで?ヨシタケ:「みんなは好きなことややりたいことを持っている。でも、自分は持ってない。だから、自分はダメなんじゃないか」というのが出発点なんですよね。だから、「言うほどみんな持ってないよ」というところをデータで示してあげられればいのかなって思います。それだけでも随分救われるじゃないですか。「みんな持ってるって言ってるけれど、結構あやふやだよ、みんなコロコロ変わってるよ」って言ってあげるだけで。自分のやりたいことをハッキリ持ってる人って、そうそういないんですよ。持っている人はすごく輝いて見えるから、デカく見えちゃうけど、割合でいうと滅多にいないからねって。——ああ、声が大きいとみんなそうなのかなって思っちゃうというのと似ているかも。ヨシタケ:希少動物だからねっていうところをちゃんとわかっていれば、もう少し落ち着いて考えられると思う。「好き」というのも、何気ないことやつまらないことで好きになったりしてるわけであって、細かいところをみんな必死で拾い集めて自分の目標にしたがってるわけですよね。でも、持ってないことを気に病んだところでモテるわけでもないし。——「目標を作りたがっている」というのはそうかもしれないです。ヨシタケ:一方で、「やりたいことがない」というのは豊かなことの証拠でもあるんですよね。何不自由なく過ごせてるからこそ、別に夢を持たなくて済んでいる。それって、100年前に比べたらすごく幸せなわけ。昔はそんなこと言ってる場合じゃなかったから、好きなことを探してるのは最高に贅沢な悩みなのであって、どうぞどうぞ悩んでくださいって話じゃないですか。それだけたくさん選択肢があるし、選ぼうと思えば選べるからこそ、決められないわけであって、存分に悩めばいい。そのことを気に病むのって、少なくとも楽しくはないはずですよね。とはいえ、僕自身も自分でそう言いながら「みんな本当は努力してるはずだ」「みんな本当は夢があるはずだ」「持ってないのは僕だけだ」って頑固に思い込んでいる部分もあるから、「でも結構みんないい加減みたいよ」ということを僕は知りたいし、自分を説得したいので、そこを探していきたいですね。——過去の自分にも言ってあげたいなあ。真面目な人が溜まりがちな“吹き溜まり”があるヨシタケ:真面目な人が陥りがちな場所、溜まりがちな場所があるわけですよ。吹き溜まりが。「思わず考えちゃって、このコーナーに追いつめられる」みたいな場所が社会にはあって、自然とそこに集まってきてしまう生真面目な人たちが、ここしか居場所がないんだよねっていうところで、傷を舐め合える場所をちゃんと作るべきなんでしょうね。息を止めて職場に向かっていくというか、明日もちょっと我慢しようっていう場所を作れれば一番良いかなって思って。——真面目な人たちのためのサードプレイスみたいですね。料理を作るのが好き? 食べるのが好き?
2019年04月18日絵本『りんごかもしれない』『りゆうがあります』など、子どものみならず大人にもファンが多い絵本作家のヨシタケシンスケさん。3月30日に初のエッセイ集『思わず考えちゃう』(新潮社)を上梓しました。発売されるやいなやたちまち重版がかかり、話題になっています。ヨシタケさんがいつも持ち歩いているというスケジュール帳に書き留めたメモやスケッチを元に、「こんなことがあったんです」「あんなことを考えていたんです」と自ら解説した一冊。「富士山を撮るのは盗み撮りにならないの?」「子どもに優しくできないよ」「何かを決めた瞬間が一番楽しい」など、”思わず考えさせられちゃう”エピソードがつづられています。“思わず考えちゃう”女性に向けて、ヨシタケさんに5回にわたってお話を伺いました。3回目のテーマは「名刺交換が苦手な貴女へ」です。【第1回】「できないよね」ってちゃんと傷を舐め合いたい “思わず考えちゃう”貴女へ【第2回】「向いてないこと」から自分の道を決めてもいい思っちゃったことはしょうがない——仕事に関するエピソードに励まされました。「その時その時にその場にいない人を悪者にしながらなんとかのりきる」「できないことをできないままにするのが仕事」とか。普通は逆のことを言われるし、求められる。大きな声では言えませんが、私は悪口のセンスが合う人といるのが一番楽しいです。ヨシタケシンスケさん(以下、ヨシタケ):要はそういうことじゃないですか。楽しく悪口言っていきたいわけであって。世の中ってやっちゃいけないことがたくさんあるけど、思っちゃいけないことはないはずで。思ってもいいんですよ。そのことをわざわざ言うかどうかっていう話であって。僕も子育てが最初すごく大変だったときに「子どもを作って良かったんだろうか?」って思っちゃったことに、自分で傷ついちゃったりしてるわけだけど、思っちゃうのはしょうがないよねって。それをみんなの前でベラベラ言ったりすると問題だけれど、思っちゃうことはしょうがないよなって。思っちゃったことにいちいち傷つくことはないよなって自分でも思ったんです。どの範囲で発散するかっていうことのセンスを問われるだけで。気の合う人と悪口言ってる時間が一番楽しいわけで、ポジティブなことばかり言い合っていてもつまらないわけですよ。だから、その辺のぶっちゃけた話を言える友達が増えるっていうことが、人生の質を上げるわけですよね。だから、どれだけ悪口言えるかだと思うので。つながらない関係性も大事——QOLが上がるっていうことですか?そこまで言われるとは思ってなかったです(笑)。まあ、ポジティブなことはSNSでいくらでも言えるから……。ヨシタケ:(SNSも)「ようやるわ」と思うんですよね。僕は、SNSは怖くて一切やらない、というかできる気がしない。一方で、こういう本というか紙の束を通じてのコミュニケーションはまだまだ全然できるわけだし、そういうつながらない関係性も大事だなって思うんです。——つながらない関係性?ヨシタケ:僕は小さい頃からすごく本が好きだったんです。わざわざファンレターは書かないけれど、好きでその本をただ持っている。そういう関係があっていいし、わざわざ作家のSNSに投稿して返事もらって「ワーイ」みたいなことがなくても、自分にとっての大事な本はいっぱいあるわけで。僕が本が好きな理由はそういうところもあるんですよね。一方通行な感じというか。何かの運命で手にして読んで、その本の影響を受けてっていう。作った人には一生会うことはないだろうし、思いを伝えることもないだろうけれど、何かしらお互いにとってやんわり影響を与え合ってるわけですよね。そういう関係って良いなって。そういう意味では、本を人に渡せるのはすごくうれしいんです。——あまり考えたこともなかったです。今の時代はSNSみたいな双方向のやりとりがよしとされるから。ヨシタケ:お互いにコール&レスポンスをするような、相互的な関係が好きな人ももちろんいるし、それが楽しいのであれば邪魔する気はまったくないです。僕は、コンサートや演劇とか苦手なんですよね。目の前でやっているから、面白いところで笑わないといけないんじゃないかとか気を遣っちゃう。映画を見るのは好きなんですよ。目の前にいないから。本も本人がいないじゃないですか。だからそういう一方通行なものが落ち着くんです。だから、絵本のイベントをやっていても、前に来れない子やお母さんの後ろから出てこない子に感情移入しちゃうんです。「来なくていいよ」「来たくて来てるわけじゃないんだよね、わかるわかる」って。「うちに帰ってニヤッとしてくれればいいからね」って。自分自身も前にグイグイ来れない人間だったし、今でもそうなので。だから、もしこの本を読んでくれて面白いと思っても、別に僕に言わなくていいというか……。お互いに何も言葉は交わさないけど、「だよね」というやんわりとした共感でつながるはずで、そういうつながり方もあるはずだと信じています。——セミナーとか懇親会での名刺交換がすごく苦手なんです。ヨシタケ:同じ感覚ですよね。だったら「ビデオで見せてくれ」っていう。ゴロゴロ寝っ転がって、お菓子食べながら見たいじゃないですか。——中継や録画でいいからって。でも、そういうことを言うと社会人失格だの意欲がないだの言われる。少なくとも「セミナー行ったけど名刺交換しないで帰ってきました」なんてSNSには書けないですね。ヨシタケ:お互い顔を付き合わせなきゃできないこともたくさんあるけど、顔を付き合わせないからこそできるコミュニケーションもたくさんあるはずで。そういうものを探したいですね。みんなで一緒に一つのものを作り上げるのが楽しい人もいれば、そうじゃない人もいる。だから、“そうじゃない人側”として、そうじゃない人はどういうことに喜ぶんだろうって、自分で観察し続けていきたいなと思います。——自分が喜ぶことを観察していきたいということですか?ヨシタケ:自分が何に喜ぶかを観察していきたい。自分のような、綺麗事にイラっとしちゃう人間は何に喜ぶのかを。自分で夢を持てない人間はどういうことでホッとするのかというのは、僕が知りたいことであって。その方法論を一つでも二つでも増やしていければ、僕は楽になるはずだってことなんですよね。そういうところをずっとやっていきたいですね。※次回は4月18日(木)公開です。(聞き手:ウートピ編集部:堀池沙知子、撮影:宇高尚弘)
2019年04月16日絵本『りんごかもしれない』『りゆうがあります』など、子どものみならず大人にもファンが多い絵本作家のヨシタケシンスケさん。3月29日に初のエッセイ集『思わず考えちゃう』(新潮社)を上梓しました。発売されるやいなやたちまち重版がかかり、話題になっています。ヨシタケさんがいつも持ち歩いているというスケジュール帳に書き留めたメモやスケッチを元に、「実は、こんなことがあったんです」「あんなことを考えていたんです」と自ら解説した一冊。「富士山を撮るのは盗み撮りにならないの?」という日常のちょっとした疑問から「何かを決めた瞬間が一番楽しい」といった「幸せ」について“思わず考えさせられちゃう”エピソードなどがつづられています。“思わず考えちゃう”女性に向けて、ヨシタケさんに5回にわたってお話を伺いました。2回目のテーマは「やりたいことがない貴女へ」です。【第1回】「できないよね」ってちゃんと傷を舐め合いたい “思わず考えちゃう”貴女へ「自分に向いていないこと」がハッキリするとホッとする——前回のお話で「世の中の2、3割くらいの人に共感を得てもらって、2割くらいの人をイラっとさせられれば十分」とおっしゃっていましたが、世の中の空気としても、ヨシタケさんの言葉を欲している気がします。ヨシタケシンスケさん(以下、ヨシタケ):そういう意味では時代が変わったなって思います。きっと、20年前にこんなことを言っても、誰も見向きもしなかったと思うので。僕自身は昔から同じこと考えてるし、同じことをやっているんだけど、「そうそう」って喜んでくれる人がこれだけたくさんいることがびっくりですね。2、3割しかいないはずなのにって(笑)。——前回、年齢を重ねていくにつれて「肩の荷が下りた」とおっしゃってましたけど、それは年齢を重ねたからですか?それとも何かきっかけがあったのですか?ヨシタケ:年を取ることで、強制的に選択肢が減っていくわけですよね。「今から宇宙飛行士は無理だな」とか、できることとできないことがわかってくる。社会人として時間が経っていくと、おのずと自分がやりやすい居心地の良いところに行き着くわけですよね。向いてないことを何十年もやってられるほど、人間は器用じゃないし、我慢強くもないわけで。30代、40代になってきて、だんだん自分が動きやすいやりやすい仕事に方向付けられるのかなと。自分はこれが向いてるんだなというのが、やっとわかってきたというか。それがわかってきたときに、自分の生命力の使い方をどこに持っていけばいいのかっていうのもわかってくる。それが僕にとっての「幸せ」に近い感情だったというか……。若い頃って、やらなきゃいけないことがいっぱいある気がするじゃないですか。何かにチャレンジしなきゃいけないって思っている。それが強制的に減ってきたときに、「別にやらなくていいんだ」「あそこって心配する必要すらなかったんだな」とわかってホッとする。そういう意味で、「やらなきゃ!」と勝手に思っていたことが、経験によって一個ずつ消えていくわけですよね。それが「肩の荷が下りた」という表現につながりますね。——そういう意味なんですね。でも、それは最初から諦めたり、やらなくていいというわけではないですよね?ヨシタケ:うん。やっぱり年月が経ってみないとわからないし、20代でわかるわけないんですよね。いろいろやってみて、「あれは向いてなかったわー」っていう。「何であんなことやったんだろう?」って。でも、やったからこそ、あれは絶対にやるまいと。あれをやらなくていいんだったら、別のことはいくらでも我慢できるっていう経験があったからこそ、自分にとっての居場所を見つけられたわけであって。紆余曲折は必要なことなんですけどね。——紆余曲折や試行錯誤も決して無駄ではないんですね。ヨシタケ:って思いたいし、だからこそ、自分に向いてないことがハッキリするっていうことがすごくうれしいというか、生きていて羨ましくない人を見たときにすごくうれしい感覚。もてはやされてるけど、全然僕はああはなりたくないっていう感覚に、すごくホッとするというか。別に自分はあれを目指さなくていい。あの人たちがやってる方法は自分には必要ないってことがわかるわけですよね。——生きていて羨ましくない人(笑)。ヨシタケ:それが生きやすさにつながるというか。しなくていいことがわかってくる。やっぱり若いうちはそれがわからないし、決められないし、いろいろ知っておかなといけないんじゃないかって思うんだけど。「英会話を習っておいたほうがいいんじゃないか」とかね。でも英語使わないなっていう。具体的にそういうことだと思うんですよ。「いらないんじゃないの?」っていう。ということは、それでモヤモヤする時間で、もっと自分を喜ばせることに使えるなというところがわかってくることが、生きやすさだったり、楽しみだったりするわけですよね。「やりたくないこと」から自分の夢を決めてもいい——「自分には向いていない」「これはやりたくない」ということがわかるのも、自分を知る一つの方法なんですね。ヨシタケ:「僕はこうなりたいんだ」という欲求が一番格好いいとされてるわけじゃないですか。そのために僕は頑張るんだって。そうすると、「こうなりたい」がない人がすごくコンプレックスを抱くわけですよね。肩身が狭いんですよ。夢を語れないことの申し訳なさ。そのときに、やりたくないことなら勇気を持って言えるっていう。だから、やりたくないことから自分の夢を決めてもいいはずであって。引き算で自分を決めていくというのは、あまり良くないイメージがあるけれど、現に僕はそうしてきたし、今楽しくやってるというかどうにかなってるわけで。引き算で、負の部分をいかに逆に持っていくか。やりたくないことを引いていって残ったことだけやる生き方が悪いわけじゃないはずなんですよね。ヨシタケ:夢を持ってる人の光輝く陰で、ひっそりとしている居心地の良さもあるはずで。自分が感じてた肩身の狭さだったり、申し訳なさだったりは常に意識をしてるし、それをどう自分の中で楽しめるかどうかなんですよね。「自分ではできやしないけどね」っていうところ込みで、面白がれれば、日々の生活が、仕事がちょっとでも余裕が持てる。面白がれる時間が2分でも3分でも増えればいいじゃないですか。それは何より僕自身が必要なことで、「こうあってほしい」と世の中に期待するイメージでもあるんです。——それはヨシタケさんが作品を通じて伝えたいことでもあるのでしょうか?ヨシタケ:「伝える」っていうかね、小さい声で(笑)。ボリュームを抑えてひそひそ声で言っていきたいことですね。※次回は4月16日(火)公開です。(聞き手:ウートピ編集部:堀池沙知子、撮影:宇高尚弘)
2019年04月11日絵本『りんごかもしれない』『りゆうがあります』など、子どものみならず大人にもファンが多い絵本作家のヨシタケシンスケさん。3月30日に初のエッセイ集『思わず考えちゃう』(新潮社)を上梓しました。発売されるやいなやたちまち重版がかかり、話題になっています。ヨシタケさんがいつも持ち歩いているというスケジュール帳に書き留めたメモやスケッチを元に、「実は、こんなことがあったんです」「あんなことを考えていたんです」と自ら解説した一冊。「富士山を撮るのは盗み撮りにならないの?」という日常のちょっとした疑問から「何かを決めた瞬間が一番楽しい」といった「幸せ」について“思わず考えさせられちゃう”エピソードなどがつづられています。“思わず考えちゃう”女性に向けて、ヨシタケさんに5回にわたってお話を伺いました。1回目のテーマは「真面目な貴女へ」です。【関連記事】吉本ばなな「傷があるなと認識するだけ」「こうあるべき」にとらわれている——エッセイは初めてということですが、本が完成していかがですか?ヨシタケシンスケさん(以下、ヨシタケ):こういう体裁の本は初めてなので、今回はとても心配ですね。ドキドキしていますね。どういう形で読んでいただけるのか、楽しみですけど、今は不安のほうが大きいですね。——ウートピは働く女性を応援するメディアなんですが、読者やまわりの友人を見ていて思うのが「真面目だなあ」ということと、「普通」や「常識」にとらわれていて息苦しそうだなということなんです。余計なお世話かもしれないですが、何となくそういう人たちにヨシタケさんの本を読んでほしいなと思ったんです。ヨシタケ:僕自身が「こうじゃなきゃいけない」「普通はこうあるべきなんじゃないか」という考え方に苦しめられているというか、とらわれているんです。子どものころからの心のクセとして「こんなことしたら怒られるんじゃないか」といちいち引っかかるんです。だからこそ、「そうじゃなくてもいいと思うよ」「こういう考え方もあるよね」というのを、日々自分に言い聞かせないといけないんですよね。なので、真面目な方の気持ちはすごくよくわかります。とはいえ「できねえよな」というのは、誰よりも本音として言えるというのもあって。それもわかってるし、ある程度年を取ったことで、綺麗事ってなかなかうまくいかないよねってことも知っている。両方の気持ちがわかるときに「それをどう埋めていけばいいのか」と。理想があって、現実があって、「じゃあ自分はどの辺に落とし込めばいいのか?」という部分で悩んじゃうんですよね。ヨシタケ:でも、みんな置かれた状況や環境はそれぞれ違うから、最後は自分で決めないといけないという至極当たり前のところに帰ってきちゃうわけなんだけど、そんな身も蓋もないことをちゃんと言いたいし、そうはいっても「できないよね」というところをちゃんとスタートにしたいなって。やっぱり、型にハマってない人のほうが格好良く見えるじゃないですか。——そうなんです。でも、そこまで振り切れない。ヨシタケ:型にハマらないのはかっこいいってわかっているんだけれど、自分の人生の役割としてあっちは無理だなと。目指しても無理だというのは、年を取ってくるとわかるわけで、でも「あっちは無理だな」とわかったときに、やっと落ち着ける瞬間があるんですよね。目指さなくていいんだって、肩の荷が下りる部分がある。それを、20代、30代でまだ頑張らなきゃいけないんじゃないかって思っていたときに、僕自身が言われたら救われたはずなんですよね。結局、他人のことってよくわからない——過去の自分に言ってあげたいということですか?ヨシタケ:そうですね。悩めば悩むだけ解決されるんじゃないかと思っていて、悩む量が足りないんじゃないかと悩んでいた自分に「いやいや、別に悩みは減らないから」と教えてあげるだけで、同じ悩みでも随分気楽に悩めるはずで……。そういう、生きてきてやんわりわかってきた部分を、絵なり文章なりにして、かつての自分に伝えたいというか。昔の自分が聞いたらちょっとホッとできるんじゃないかという言い方を日々探しているし、今日の自分にとっても必要なことなんですよね。明日気付くであろう、今日の自分に言ってあげたいことでもあるんですよね。——ということは、ヨシタケさんが誰に向けて絵本を作るのかって言ったら……。ヨシタケ:自分に向けてなんですよね。絵本でも何でもそうなんですけど、テーマとして共通してるのは「他人(ひと)のことってよくわからない」ということに尽きるんですよ。自分のことは経験としてわかるけれども、他人のことはわかったつもりで全然違ったりするわけですよね。だから、おそらく世間の人はこういうところを求めているはずだとか、みんなこう思ってるに違いないみたいなことに、僕は何の自信も持てなくて……わかるわけないじゃないですか。でも、僕だったらこう思うし、僕だったらこう言われるとうれしいんだけど、ということであれば言える。よく言うのが、自分用の松葉杖みたいなものを自分で作っている感覚というか、自分が歩きやすくなるような道具を自分で一生懸命作って、「これは僕にとって役に立つんですけど、いかがですか?」と。「もし使いやすいようであれば、使っていただいて構わないですし、肌に合わないようだったら、ただちに使用を中止してください」って。そういう感覚のモノづくりなんですよね。ちゃんと傷を舐め合いたい——マーケティグじゃないんですね。ヨシタケ:うん。マーケティングは怖くてできない。僕の仕事としては、世の中の2、3割くらいの人に共感を得てもらって、2割くらいの人をイラっとさせられれば十分なのかなって。ギリギリ喜んでくれる人が勝っていれば、世に出していいのかなって。ただ、僕みたいな人って少なからずいるんですよね。100人の中に15人くらいは必ずいて、そういう人たちに「だよねー」「なかなかできないよなー」とちゃんと傷を舐め合いたいなって。今回の本も、そういう本だと思っていて、生真面目な方同士で生きづらさみたいなものを再確認して、それをすることによって生きやすくなるわけじゃないんだけど、「辛いよな」って言えるだけでも、言った前後30秒くらいは気分が楽になる。だから、そういう志の低い感じでいければいいなとは思っています。——「志の低い感じ」っていいですね。ヨシタケ:僕自身が絵本作家になれるとは思ってなかったし、なりたいとすら思ってなかった人間が、こういうモノを発信する側になったことが、過去の僕に教えてあげたい事実なんですよね。ずっと真面目じゃなきゃいけないんじゃないかと気に病んでる、人の目を気にして気疲れしていた人間が、インタビューを受けたりすることもあるんだよ、という僕の通ってきたこと自身がすごく一つのメッセージになるはずで。それであったら言えるというか……。——それって希望ですよね。ヨシタケ:そうですね、何があるかわからないなって。ずっと心配してたことやビクビクしていたことが、ある日突然、自分を前に進めることがある。誰かとつながるきっかけになる。それはすごく希望になるはずなんですよね。※次回は4月11日(木)公開です。(聞き手:ウートピ編集部:堀池沙知子、撮影:宇高尚弘)
2019年04月09日「本選びのプロ」がとっておきの情報を教えてくれる連載『まなびの本棚』第4回です。新しい年を迎えてようやく落ち着いてきたこの時期。しかし一方で、入園や入学の心配や次の学年に上がる準備で緊張感が高まる時期でもあります。そんなときこそ、ぜひ親子で一緒に「読書時間」を楽しみませんか?今のお子さんよりも少し上の年齢を対象にした本を一緒に読んで、ワクワクドキドキの気持ちを味わってみるのもいいですね。今回ご紹介する本も、お子さんが物事を多角的な視点で見るきっかけにつながるものばかりですので、ぜひご参考にしてください。この連載では、日販図書館選書センターで選ばれた本のランキング、そして選書のプロ・コンシェルジュによるコラムをご紹介します。きっとお子さんの本選びのお役に立つはずです。選書センターについて、詳しくはこちらをお読みください→図書館司書や教育関係者が足繁く通う『日販図書館選書センター』って知ってる?人気図書ランキング1位みずとはなんじゃ?かこさとし 作・鈴木まもる 絵小峰書店2位みえるとかみえないとかヨシタケシンスケ/伊藤亜紗アリス館3位またまたねえ、どれがいい?ジョン・バーニンガム 作評論社4位天皇と元号の大研究 日本の歴史と伝統を知ろう(楽しい調べ学習シリーズ)高森 明勅 監修PHP研究所5位失敗図鑑いろは出版 編著いろは出版(※2018年11月26日~12月27日に集計)今回のランキングでは、選書センター2周年期間に選ばれた図書を紹介しています。1位の『みずとはなんじゃ?』は、かこさとしさんが手がけた最後の絵本です。私たちの生活に欠かせない水の不思議な性質を知ることで、科学への関心を高めるきっかけになるかもしれません。2位の『みえるとかみえないとか』は、視覚障害がある人の世界を通して「普通ってなに?」と問いかける絵本。「みんな一緒」で共感して安心することもときには必要ですが、「自分とは少し違う」ことを楽しいと感じる心を育てることも大事ですね。コンシェルコラム"本選びのプロ"選書センターコンシェルジュのおすすめの本先住民族アイヌの歴史や文化がよくわかる!QRコード付きで音声も。アイヌの文化については、小学校の社会(5・6年)や国語(6年)、中学校の社会(1年)、国語(2年)にて学習します。また、週刊ヤングジャンプで連載中の『ゴールデンカムイ』(野田サトル)のアニメの影響もあり、アイヌについての関心が高まっています。小・中学校の学習においては、地理、歴史、人権の切り口から触れる機会が多い話題ですが、類書は少ないのが現状です。先住民族アイヌの文化を正しく知るため、衣・食・住や歴史をイラストや写真でやさしく解説されている本書では、QRコードで楽器の音やアイヌ語の音声を聞くこともできます。ここで本書より、豆知識をご紹介。私たちが日常的に使っている「トナカイ」や「シシャモ」という言葉、実はもともとアイヌ語なんです。このようなことを知ると、アイヌがより身近に感じますよね。『アイヌ もっと知りたい!くらしや歴史』北原 モコットゥナシ/蓑島栄紀 監修岩崎書店
2019年02月19日パパに対して「なんでそんなこと言うかな?」「なんでこれができないかな!?」と思ったことがあるママ、多いですよね。筆者も何百回思ったか知れません…。パパって子供やママをどう見てるんだろう?そんな疑問に楽しく答えてくれるのが、パパが描いた「パパエッセイ」!中でもオススメの3作をピックアップしてみました。パパにイライラした時に読むと、ちょっと優しい気持ちになれるかも?大人気絵本作家・ヨシタケシンスケの『ヨチヨチ父』972円(税込)/赤ちゃんとママ社『りんごかもしれない』や『もうぬげない』といった大ヒット絵本を連発する、今をときめく絵本作家ヨシタケシンスケさんのイラストエッセイ。二児の父でもある著者が、陣痛中の声にドン引きしたり、横に大きくなっていくママに思うところあったりなど、パパの本音をコミカルに描いています。ママとイチャイチャしたいのにバッサリ断られたり、風邪をひいて邪険にされ「心配してもらったり、看病してもらったり。パパの世界ではそれらはもうすでにファンタジーの領域なのです」としょんぼりしたり、なんだかパパがかわいく見えてきちゃうシーンも。子育ての心配や辛かったことなど、親としてのあるあるネタもおさえてあるので、パパもママも笑いながら大きくうなづいてしまう一冊。(C)2017 Shinsuke Yoshitake妻(伊藤理佐)のエッセイと対をなす、吉田戦車の『まんが親』全5巻/各802円(税込)/小学館『伝染るんです。』で一世を風靡した吉田戦車の育児エッセイ漫画。同じく漫画家の伊藤理佐と結婚し、それぞれがそれぞれのエッセイで娘を描いています。『まんが親』はパパ目線。幼児ならではの語彙や言いまわしを気に入ってるシーンや、娘の鼻歌をBGMにしたお散歩など、日常の何気ない家族の幸せがつづられています。たまにダークな面が出てきたり、娘の突然の小芝居やごっこ遊びに戸惑いながらも全身でつき合う姿がパパならではかも?伊藤理佐が描くママ目線の『おかあさんの扉』と一緒に読むと楽しさ倍増です。(C)吉田戦車/小学館SNSでバズり中!横山了一の『きょうの横山家』既刊1巻/594円(税込)/KADOKAWAこちらも夫婦で漫画家の横山了一による『きょうの横山家』。息子の理不尽な対応を描いた『息子の俺への態度が基本的にヒドイので漫画にしてみました。』が人気となり、育児・家族エッセイがライフワークに。ゲームや漫画大好きな両親のもと、同じように育った息子と娘とともに送る、楽しくオタクな賑やか生活。調査兵団(『進撃の巨人』に登場する兵団)より念入りにパパのうなじを切る息子、「パパのみためはきらいだけど、あそんでくれるところはすき」と女子全開の娘。時として子どもたちより子どもかもしれないパパは、ブログやSNSで積極的に漫画をアップ中()。よくバズっています。(C)横山了一/KADOKAWAついつい視野が狭くなりがちな育児期、パパエッセイで楽しく視点変換できたら夫婦間にも笑顔が増えるかも! <文・写真:フリーランス記者清宮(clabocco)>
2019年01月12日不倫をしている男女の中には、危機感や罪悪感を微塵も感じさせないほど、のんきなLINEを送り合っているカップルもいるようです。魑魅魍魎(ちみもうりょう)な人間模様分析を得意とする並木まきが、そんな“不倫カップルのほのぼのLINE”を3つご紹介します。ちょっと呆れちゃうかも?文・並木まき1:「家ついたぁ?“ただいま”LINE待ってるね!」「僕が“夫婦仲は崩壊していて、家庭内別居状態”と言っているからだと思いますが、いま交際している不倫相手からは、まるで独身カップルみたいなノリのLINEが届くことが多いです。毎日、“おはよう”も“おやすみ”も普通に送り合いますし、会えない日には、僕を気遣って“家ついたぁ?ただいまLINE待ってるね!”なんて送ってきます。いや、本当は家庭内別居状態なんて嘘で、妻ともそれなりに仲良く暮らしてはいるんですけど……。彼女にそんなことは言えませんからね。嘘を完全に信じているのか、本当にのんきなLINEばかり届くんですよ。僕が妻の目を盗んで必死に返信しているなんて、あの子は想像もしてないんだろうなぁ」タカヒロ(仮名)41歳男性不倫する男性の常套句のひとつに“妻とは家庭内別居中”というものがあります。彼の言葉を鵜呑みにしている女性は、想像以上に多いのかもしれません。2:「いつか結婚しようね!」「いま不倫している相手の女の子は、いつか僕と結婚できるものだと信じているみたいです。LINEで、“シンスケさんのお嫁さんになるために、今日もお料理がんばらなくちゃ!”とメッセージを送ってきたり、“こんなチャペルで結婚式挙げたい~”と写真を送ってきたりと、とにかくのんきなんですよ。否定しても仕方ないので、僕も適当に調子を合わせています。これまでに何人かの女の子と不倫関係になりましたが、ここまでほのぼのとしたLINEを毎日のように送ってくるのは、彼女が初めて。新鮮ですね」シンスケ(仮名)33歳男性このLINEを男性の妻が見たら、心中穏やかではいられないでしょう。ただ、“不倫”だと知らなければ、単なるラブラブカップルのLINEに見えますよね。3:「ウチの奥さんは頭がよくないから大丈夫だよ~」「不倫関係になって、かれこれ2年の彼がいます。しかし最近、彼の奥様に私たちの関係がバレているような気がします。というのも、私のケータイに定期的に無言電話がかかってくるんです……。彼にLINEで相談しても、“ウチの奥さんはあまり頭が良くないから、気づくわけないよ!心配しなくて大丈夫だよ~”と返ってくるだけ。彼いわく、奥様はスマホの使い方もあまりよく分かっていないとのこと。日に日に無言電話の回数が増えているけど、本当に大丈夫なんでしょうか……」さっちん(仮名)39歳女性不倫している男性の妻から無言電話がかかってくるとは、かなり危機的な状況。しかし、危機感のない男性にいくら相談しても、のんきな返答しかないようです。不倫は許されないこと。それなのに背徳感や罪悪感なく、のほほ~んとLINEでコミュニケーションをとりあっている男女も。みなさんの周りにも、そんな不倫カップルがいるかもしれません……。(C) Monkey Business Images / shutterstock(C) HDesert / shutterstock(C) baranq / shutterstock
2018年12月19日今月の人。脳研究者・薬学博士池谷裕二さん1970年、静岡県生まれ。1998年、東京大学大学院薬学系研究科で薬学博士号取得。2002~2005年コロンビア大学客員研究員を経て、2014年より同学部教授。専門分野は大脳生理学。特に海馬の研究を通じて、脳の健康について探求している。文部科学大臣表彰 若手科学者賞(2008年)、日本学術振興会賞(2013年)、日本学士院学術奨励賞(2013年)などを受賞。著書に『記憶力を強くする』、『進化しすぎた脳』、『受験脳の作り方』、『パパは脳研究者 子どもを育てる脳科学』、『脳には妙なクセがある』など多数。「ぱぴぷぺぽ」の音とカラフルな色と形の世界に赤ちゃんも大はしゃぎ!『ぽぱーぺ ぽぴぱっぷ』絵・おかざきけんじろう文・谷川俊太郎¥1200/クレヨンハウス谷川俊太郎さんの「あかちゃんから絵本」シリーズ。多彩な創作活動を展開するアーティスト、おかざきけんじろうさんの絵を見て、谷川俊太郎さんが文を書きました。「ぱぴぷぺぽ」の音に合わせて、ヘンテコなものたちがあっちこっちに……。赤ちゃんと一緒にパパ、ママも心地よい言葉のストレッチができます。読み聞かせのときは、大きく口を開けて、大きな声で読むのがポイント。「初めて手に取ったのは、長女が生まれて半年くらい経ったとき。ストーリーはなく、ただ“ぱぴぷぺぽ”の音と、原色っぽい色と形の抽象画で構成されているんですよ。この音と光!人間の原点というか、魂に直接触れちゃうようなイメージですね。赤ちゃんでもめちゃめちゃ反応します。たぶん500回じゃすまないくらい読んだので、うちの絵本はボロボロです。最初は読むのが大変だったけど、もう見なくてもぜんぶ言えちゃうくらい(笑)」音に敏感な詩人ならではのセンス読めばポーンと心地よく胸に入ってくる「私は絵本好きだという印象があるんでしょうね。まだ子どもがいない時から、学生さんが『先生、これ誕生日プレゼントです』って、よく絵本をプレゼントしてくれたんですよ。だから、むしろ大人になってから知った絵本が多いです。絵本って、もちろん子どもが読むのもいいけど、大人も楽しい。物語のように起承転結もいらないし、伏線を回収しなくてもいい。それって絵本だけに許された自由なんだと思います」脳研究者として、長年、さまざまな研究を続けるかたわら、脳について最先端の知見を老若男女、世界に向けて分かりやすく伝えている池谷裕二さん。私生活では現在5歳半の長女、2歳半の次女がいる、子育て真っ最中のパパでもある。「子どもがもっとちっちゃかった頃は、大脳生理学的に考えて、絵本を選んでいました。インパクトのある音や色が使われているなど、フィルターなく、子どもの脳にストレートにポンと届くもの。それ以外に、ひらがなだけで構成されているかどうかもチェックしていましたね。字を覚え始めの頃って、カタカナは読めないですから」まずは親が実際に声に出して読んだときに、子どもの耳にどう響くかが大事。その点、詩人の谷川俊太郎さんによる「あかちゃんから絵本」シリーズはさすがの完成度。中でも、池谷さんが一番好きなのが『ぽぱーぺぽぴぱっぷ』だ。「もともと谷川俊太郎さんの詩が好きで、『二十億光年の孤独』などの詩集は家の本棚に並んでいます。読むたびに、谷川さんの言葉のセンスって素敵だなと思っていたところに、この絵本。もはや言葉ですらない、音のセンスなんですよ。パピプペポだけで、こんなに表現できちゃうんだ!という感動。この作品自体が絵本というより、芸術ですね」最初のうちは噛まずに読むのが難しい。でも、何度も繰り返し読んでいるうちに、いつしかリズムよく、なめらかに読めるようになる。この爽快感ときたら!「子どものためというより、結局、私が好きなんですよ。子どもがいないときも、私ひとりで読んでいますもん(笑)。スラスラ読んでいると、気持ちが明るくなってきます。長女は今、妹に絵本を読んであげるのが好きで、この絵本も読み聞かせしているんですけど、やっぱりまだうまく読めず、悪戦苦闘しています(笑)」魅力的な絵本はいつだってイマジネーションを刺激してくれるこのところ、池谷さんの家の本棚に増えつつあるのが、ヨシタケシンスケさんの絵本。きっかけは、昨年出版されたヨシタケさんの育児マンガ『ヨチヨチ父—とまどう日々』を読んだことだった。「もうウケましたね。こんなおもしろい絵本作家さんが最近いらっしゃるんだと。その後、ヨシタケさんの絵本をたくさん買ったんですが、僕の中で自然に感覚がフィットするのが『なつみはなんにでもなれる』です。読み手のイマジネーションを刺激するというのは、絵本にとってすごく大切なことだと思っていて。この絵本の主人公の女の子のように、物マネ遊びをするって、まさにイマジネーションの世界に入ることなんです。何かの特徴を見つけて、工夫しながらマネして、相手に伝えようとする。そもそも“学ぶ”という言葉は“まねぶ”つまりマネをするというのが語源なんです。模倣することで、私たちは何でも学んでいく。だから、子どもの物マネって、学びの原点なんですよ」両手をウサギの長い耳に見立てて、うさぎのマネをするのだって、立派なイマジネーション。あらゆる動物の中で、自発的に他の動物の物マネをするのは人間だけなのだ。「反論もあるんですよ。たとえば『九官鳥だってマネしているじゃん』って。でも、あれは意味も分からず、音をコピーしているだけ。マネっていうのは違うんです。もっと広くて、ふくらみがある。マネすることによって、そこから発展していくものがいくらでもある、というのが本当のマネなんです」柔軟な視点を持つために常識をくずすことを子どもに教えたい池谷さん自身が影響を受けたメッセージ絵本として忘れられないのが、2001年に発行され、大ベストセラーになった『世界がもし100人の村だったら』。池谷さんが奥様と結婚する前、誕生日プレゼントに贈った思い出の本でもある。「妻とつきあい始めたのが、ちょうど2001年だったんです(笑)。世界を100人の村にたとえて、比較することで、日本がこんなに特殊な国なんだということが分かってハッとしましたね。当時は若造で粋がって、自分では視点をたくさん持っているつもりだったんだけど、これを読んだら、自分は何も知らなかったんだなぁと。反省するとともに、もうちょっと謙虚に生きなきゃいけないな、そもそも常識って何だろう?などと、いろいろ考えさせられました。私が本を書くときは、常識をくずすことをひとつの目標にしているんですが、そういうスタイルの原点になっています」池谷さんが自身の著書を通して伝えたいことは、やはり親として、子どもたちに伝えたいことともダイレクトにつながっている。「子どもって、何かものを見たときは『こうだね』って、すぐ言っちゃいますよね。そのときに『でも、そういう見方だけじゃなくて、こういう見方もあるよね』と、常に教えるようにしています。『君から見ればそうだけど、相手から見たら、こう感じるかもしれないよね』とか。そうやって、親子で会話するときに『あなたが信じている世界が正しいとはかぎらないよ』と伝えることを、長女が2~3歳の頃からずーっとやってきました。これがいいことか悪いことかは分かりません。だって、子どもだって、信念が必要でしょう。それをいきなり壊しているわけですからね。でもその声かけによって、娘は今、パッと何かを考えたときに、それに飛びつかないで、これってああかもしれない、こうかもしれないって、考えるクセがついています。まさにヨシタケシンスケさんの『りんごかもしれない』と一緒ですよ。だから、もしかすると変な性格になっちゃっている可能性もあるんだけど(笑)、娘が将来、柔軟な視点を持つために、すごく大切なことだと思うんです」[ 池谷さん、これもオススメ ]子どもの物マネは〝学び〟の原点子どもと親、それぞれの目線に共感『なつみはなんにでもなれる』作・絵ヨシタケシンスケ¥1000/PHP研究所人気の絵本作家ヨシタケシンスケさんがおくる、くりかえしが楽しいマネっこ絵本。なつみは「すごくいいことおもいついたよ!」と、お母さんのところにやってきました。そして、「なんのマネをしているか、あてるゲームだよ!」と問題を出します。毛布にくるまったり、手をグルグル回したり、いろいろなやり方で何かのマネをしていきますが、お母さんはなかなか当てられなくて……。親子のほのぼのとしたやりとりも見どころです。「子どもがごっこ遊びをする日常のシーンを描いた絵本ですが、初めて読んだときに大爆笑しました。最後まで、まともに読めなかった。笑っちゃって。女の子が一生懸命、アサリの物マネをする場面の可愛さなんて、もう(笑)。親から見ても、あぁ、子どもって、確かにこう!って、共感できる楽しさがありますね。長女は最近、毎日のようにこの絵本を読んでいます。それで妻のところに行って『これなーんだ?』ってやるんですよ(笑)」ラララン ロロロン♪心をつかむフレーズこんな魔法みたいな服があったら最高!『わたしのワンピース』作作・にしまきかやこ¥1100/こぐま社空からフワフワと落ちてきた真っ白い布で、うさぎさんがワンピースを作りました。出来上がったワンピースを着て、お花畑を散歩していると、ワンピースはいつしか花模様に。雨が降ってきたら、水玉模様に……。場面が変わるたびに、次々と柄が変わっていきます。1969年の発行以来、世代を超えて愛され続けているファンタジー絵本の名作。「うちの子はふたりとも女の子で、ワンピースが大好きなんですよ。この絵本のワンピースはさらに柄がどんどん変わっていくんですから、最高ですよね。一方、私がこの絵本に惹かれるのは、ララランロロロンという音の連続。読むと、頭から取れなくなっちゃう。特に意味はなくても、心をグッとつかむ力があるのがいいなぁって。作者が一文字一文字、練りに練った音のリズムと、豊かなイマジネーションの両方を兼ね備えた絵本ですね」子どもの想像力を刺激して、聴く力を育てる親子で聴きながら会話もはずむオーディオブック『お話、きかせて!聴く絵本 むかしばなし ベスト100』¥2700/パンローリング日本のお話からは『ももたろう』や『かぐや姫』、外国のお話からは『大きなカブ』や『三匹のこぶた』。イソップ、グリム、アンデルセンの三大童話も含め、本当に子どもに聴かせたい有名な昔話を集めて、100話にまとめました。子どもが集中して聴けるように、お話は1話5~10分程度。耳で聴くことで記憶に残りやすく、きれいな日本語を自然と学べます。「今、長女は〝耳で聴く絵本〟にハマっています。シリーズになっていて、500話くらい集めているところです。移動中の車の中や、夜寝る前の寝室で、毎日ずっと聴いているほど大好き。私も娘と添い寝しているので、一緒に聴いているうちに、世界中の昔話にすっかり詳しくなっちゃいました(笑)。娘も真剣に聴きながら、見たこともない昔の情景を子どもなりにちゃんと想像しているみたいです。『マッチ売りの少女』に出てくる『マッチって何?』と娘に聞かれたときは、後日、実物を手に入れて、目の前で火を点けてあげました」Illustration:Yuka HiiragiText:Keiko IshizukaComposition:Shiho Kodama
2018年09月22日©YUKA SHIMADA/OJIGI BUNNY INC./KOMAKO SAKAI/ YUKO HIGUCHI/SHINSUKE YOSHITAKE/ MIWA NAKAYA/HAKUSENSHA 絵本情報誌『MOE(モエ)』とは? 左)©YUKA SHIMADA/OJIGI BUNNY INC./HAKUSENSHA右)©KOMAKO SAKAI/HAKUSENSHA 1979年、絵本とキャラクターを扱う月刊誌「絵本とおはなし」として創刊。その後、1983年に月刊『MOE』に改称され、人気絵本・人気キャラクターをテーマとした特集だけでなく、アート・映画・旅・ハンドメイド雑貨・スイーツなどの暮らしにフォーカスした情報をお届けしています。世界でもめずらしい月刊の絵本専門情報誌として、国内のみならず海外の絵本作家・児童書作家に信頼され、良質で愛情たっぷりの取材に基づいた、確かで深い最新情報を発信しており、20代~60代の女性という広い層に支持されています。 同展覧会の見どころ 左)©YUKO HIGUCHI/HAKUSENSHA右) ©SHINSUKE YOSHITAKE/HAKUSENSHA 2019年に創刊40周年を迎えることを記念して開催される同展覧会では、絵本情報誌『MOE』の読者からの支持が高く、絵の表現や作風が異なる5人の絵本作家の代表作約40点、約200点もの原画が公開されます。その他にも、絵本作りの背景や絵本作りへの想い、日常生活の中で大切にしているものや作家自身の絵本体験について作家の言葉を通して紹介し、それぞれの絵本の魅力に迫っていきます。また、絵本情報誌『MOE』の40年にも及ぶ軌跡を辿ることで、その時代の絵本の歩みを振り返ることができ、絵本の多様な魅力と可能性に触れられるような構成となっています。 グッズコーナーを見逃さないで!©MIWA NAKAYA/HAKUSENSHA 各作家のポストカードセット(ミニMOE付き)やトートバック、マグカップなど、展覧会のための描き下ろし原画をモチーフとした会場限定オリジナルグッズを約100アイテムが販売される予定です。是非、同展覧会を通して絵本の果てしない楽しさを感じてみてください。 【情報】MOE40th Anniversary 島田ゆか 酒井駒子 ヒグチユウコ ヨシタケシンスケ なかやみわ 5人展会期:2018年4月18日(水)〜5月7日(月)時間:10:00〜20:00※最終日は17:00閉場※入場は閉場の30分前まで場所:松屋銀座 8階イベントスクエア料金:当日券/一般800円、高校生600円、小中学生400円前売券/一般600円、高校生500円、小中学生300円前売券は、ヤフーパスマーケット、チケットぴあ、ローソンチケット、セブンイレブンにて、4月17日まで販売。 【プレゼント応募】同展覧会の招待券をプレゼント致します。件名に【『MOE40th Anniversary 島田ゆか 酒井駒子 ヒグチユウコ ヨシタケシンスケ なかやみわ 5人展 』に加え、下記の情報を記入の上、info@pelulu.jp宛にメールにてご応募下さいませ。名前(漢字/カナ)郵便番号住所電話番号Q1:pelulu.jp内で今までで面白かった記事3つをあげるとしたら?Q2:今後pelulu.jpで取り上げて欲しい記事を3つあげるとしたら?応募締切日:4月23日プレゼント当選者は発送をもって代えさせていただきます。
2018年04月15日付き合っている男性に対しての愛情表現は、ときに過剰になってしまうことも……。好きなんだから仕方ない。でも、相手はそのようには受けて止めていない場合も……。今回は、“男が内心バカにしてる遊びの女からのLINE”をご紹介。もしかして、あなたも……?文・塚田牧夫「放っておくとどっかいっちゃうよ?」「飲み会で知り合った女の子。まあまあ可愛いんだけど、自分でもそれを分かっているようで、ちょっとあざとい印象を受けていました。こういうタイプを操るには、まずホメること。“可愛いね”なんてしょっちゅう言っていたら、簡単に落とせました。しばらくは会っていたんだけど、だんだんホメるのも面倒臭くなってきたんですよね。で、連絡が来てもシカトするようになっていました。そんな時LINEが来て、“放っておくとどっかいっちゃうよ?”だって。こっちとしては、別にそれでいいんだけど……と思いつつ、そのまま放置。そうしたら“寂しいよ”“ちゃんと掴まえておいて”としつこく送ってくるんですよ。どっか行っちゃうとか言ってるわりに、全然どこにも行かないんだよな……」ライト(仮名)/27歳「今日は月がキレイだね」「仕事で出張に行くことが多いんです。ある出張先で仲良くなった女性がいて、家に遊びに行きました。それから、その地域に出張に行くときは会うような関係に。でも、その子に出張で来ていることは伝えていなかったんです。僕には正式な彼女がいるので、あまり近付きすぎてもいけないと思って。それでも、僕に気があるんでしょう。たまに何気ないLINEが来たりするんですよね。“今日は月がキレイだね”みたいな。距離が離れてるから、こっちはドシャ降りだったりすることも。あまり話が噛み合わず、滑稽なやり取りになります」シンスケ(仮名)/32歳「またヤリ捨てされたらしい」「友だちとクラブに行ったとき。軽そうな女の子二人組がいたので声をかけました。二十代前半の若い子で、二人は親友ということでした。そこから二人ずつに分かれて別行動。ホテルに誘ったらすぐにOKが出て、そういう関係になりました。そこで、さっきの親友の話になったんです。親友と言うわりには、“あの子バカだから”とか“男を見る目がない”とか、見下す発言が多い。親友ってなんだろう……って考えさせられました。その後も、LINEとかで親友について色々言うんです。こっちは正直、どうでもいい。面倒なので、そろそろ関係を切ろうと思っていました。すると“あの子またヤリ捨てされたらしい”と。いや、君も一緒だよ……。やっぱり君たちは親友だよ……と言いたかった」ハイジ(仮名)/28歳“男が内心バカにしてる遊びの女からのLINE”をご紹介しました。愛を込めて送ったメッセージが、まさかバカにされているとは思わないでしょう。もう少ししっかり相手を見て、向き合っていくべきかどうかを慎重に判断すべきでしょうね。(C) Syda Productions / Shutterstock(C) GaudiLab / Shutterstock(C) TORWAISTUDIO / Shutterstock
2018年04月04日「MOE40th Anniversary 島田ゆか 酒井駒子 ヒグチユウコ ヨシタケシンスケ なかやみわ 5人展」が、2018年4月18日(水)から5月7日(月)まで松屋銀座にて開催される。同展は、世界でも珍しい絵本情報の月刊誌「MOE(モエ)」の創刊40周年を記念して、読者から支持の高い5人の絵本作家の原画約200点が展示される。また「MOE」の40年をたどって絵本の歩みを振返るとともに、各作家の絵本作りへの想いや生活のなかで大切にしているものなどを紹介し、それぞれの絵本の魅力にも迫る。参加する絵本作家は、繊細な画風と独特な世界観で資生堂(SHISEIDO)やグッチ(GUCCI)などとコラボレーションしてきたヒグチユウコをはじめ、キャラクターのぬいぐるみが人気の『バムとケロ』シリーズの島田ゆか、『りんごかもしれない』などの"発想絵本"を生み出すヨシタケシンスケ、『くれよんのくろくん』などのなかやみわ、『金曜日の砂糖ちゃん』ほか小説の表紙も手掛ける酒井駒子の5人。「MOE」を彩った彼らの作品を通し、絵本の多様な魅力を感じられる展覧会となるだろう。【詳細】MOE40th Anniversary島田ゆか 酒井駒子 ヒグチユウコ ヨシタケシンスケ なかやみわ 5人展会期:2018年4月18日(水)~5月7日(月)会場:松屋銀座8階 イベントスクエア住所:東京都中央区銀座3-6-1時間:10:00~20:00(入場は閉場の30分前まで。最終日17時閉場)入場料:一般800円(600円)/高校生600円(500円)/小中学生400円(300円)※()内は前売料金前売:ヤフーパスマーケット/チケットぴあ/ローソンチケット/セブンイレブンにて2018年4月17日(火)まで販売【問い合わせ先】松屋銀座TEL:03-3567-1211(大代表)
2018年02月22日source:子どもたちの感性を豊かにしてくれる絵本。とはいえ、毎年たくさんの魅力的な絵本が書店に並ぶので、「どんな絵本を選べばいいのかわからない……」というママも多いのではないでしょうか。そんなときは、まず多くの絵本屋さんが推薦している人気の絵本をチェック!「第10回MOE絵本屋さん大賞2017」受賞作品のなかでも、特に票を集めたヨシタケシンスケさんの絵本をピックアップしてご紹介します。 ▼「MOE絵本屋さん大賞」って?「MOE絵本屋さん大賞」とは、白泉社が発行している絵本専門誌『MOE』で毎年行われている年間絵本ランキングのこと。全国3000人の絵本屋さんか選者となり、もっともおすすめしたい一冊を選ぶというものです。第10回目の節目となった2017年は親子で楽しめる絵本がずらりとラインナップ。さっそく紹介していきましょう。1位:ヨシタケシンスケ(2016)『なつみはなんにでもなれる』PHP研究所source:『りんごかもしれない』で第6回絵本屋さん大賞に輝いた人気絵本作家・ヨシタケシンスケさんの絵本がトップに。「すごくいいこと」を思いついたなつみが、おかあさんのところへやってきて、「なつみがなにかのマネをして、それをおかあさんがあてるゲーム」をはじめます。子どもならではの発想が楽しく、大人も子どもも思わず引き込まれてしまう一冊です。関連記事:【2歳】子どもの言動に変化が!? 「しつけに役立つ」絵本5選2位:minchi(2016)『いっさいはん』岩崎書店source:「おむつをかえようとするとあばれだす」「くちのなかにごはんをいっぱいつめてくしゃみをする」など、一歳半ごろの子どもたちの“あるある”を切り取った一冊。愛おしくて手のかかる「いっさいはん」を通り過ぎたママが読めば、きっと胸がいっぱいになってしまうはず。関連記事: キャラクター本ばかり好む子を「名作絵本」へ誘導する方法3位:ヨシタケシンスケ(2017)『つまんない つまんない』白泉社source:位にもノミネートされたヨシタカシンスケさんの絵本。子どもが口にする「つまんない」にはどんな意味があるのでしょう。「つまらない」をおもしろく考えた不思議な一冊です。4位以下にランクインした作品4位:柴田ケイコ(2017)『おいしそうなしろくま』PHP研究所5位:工藤ノリコ(2017)『ノラネコぐんだん あいうえお』白泉社6位:詩:谷川 俊太郎/絵:岡本 よしろう(2017)『生きる』福音館書店7位:工藤ノリコ(2016)『ノラネコぐんだん そらをとぶ』白泉社8位:たな(2017)『おじいちゃんとパン』パイインターナショナル 9位:ヒグチユウコ(2017)『いらないねこ』白泉社10位:トーベン クールマン(2017)『アームストロング: 宙飛ぶネズミの大冒険』ブロンズ新社10位:いわいとしお(2017)『そらの100かいだてのいえ』偕成社※ランキングの詳細は『MOE2018年2月号』に掲載されています。関連記事:ママが読んでも懐かしい!子どもに読み聞かせたい「ロングセラー絵本」4選 ▼親子でクスッ。「なつみはなんにでもなれる」を読み聞かせてみました!MOE絵本屋さん大賞2017で見事トップに輝いた絵本『なつみはなんにでもなれる』。さっそく5歳の娘に読み聞かせてみました。(1)予想の斜め上をいく「まねっこ」に笑いがこぼれる「どんな遊びがはじまるのかな?」と不思議そうな顔で“なつみ”を見ていた娘。“なつみ”が「コレ、なーんだ!?」とまねっこをするたびに、「おもち!」「にんじゃ!」と予想がはじまりますが、まったく当てることができません。予想外の答えに、思わず声をあげて大笑い。「何のまねっこかなぁ」とページをめくりながら想像する楽しさがあったようです。関連記事:子どもは真似の天才!「大人の悪い言葉、態度」が与える影響は大!? (2)「おかあさん」の大変さに思わず共感してしまうシーンも“なつみ”の「すごくいいことおもいついたよ!」に、洗濯物をたたみながら、ちょっと面倒くさそうな表情でこたえる“おかあさん”。その姿があまりにもリアルで「うんうん、こういう場面あるある」と、読み聞かせながら思わず共感してしまいました。どこにでもある家庭のワンシーンを、ユーモラスに切り抜いた素敵な一冊でした。 つい、子どもに読み聞かせることを目的にしてしまいがちな絵本ですが、実は大人も惹きこまれてしまう作品ばかり。まずは読み聞かせる大人が、絵本の楽しさに触れることが大切です。特に「絵本屋さん大賞2017」にランクインしている作品は、今回ピックアップしたヨシタケシンスケさんの作品をはじめ、大人が読んでもおもしろい作品ばかり。ぜひ、手に取ってみてはいかがでしょうか。 【参考・画像】※ ヨシタケシンスケ(2016)『なつみはなんにでもなれる』PHP研究所※ minchi(2016)『いっさいはん』岩崎書店※ ヨシタケシンスケ(2017)『つまんない つまんない』白泉社※ 柴田ケイコ(2017)『おいしそうなしろくま』PHP研究所※ 工藤ノリコ(2017)『ノラネコぐんだん あいうえお』白泉社※ 詩:谷川 俊太郎/絵:岡本 よしろう(2017)『生きる』福音館書店※ 工藤ノリコ(2016)『ノラネコぐんだん そらをとぶ』白泉社※ たな(2017)『おじいちゃんとパン』パイインターナショナル ※ ヒグチユウコ(2017)『いらないねこ』白泉社※ トーベン クールマン(2017)『アームストロング: 宙飛ぶネズミの大冒険』ブロンズ新社※ いわいとしお(2017)『そらの100かいだてのいえ』偕成社※ Milles Studio / Shutterstock
2018年02月08日「ほぼ日手帳2018」の春の新作が、2018年2月1日(木)に発売される。今回発売されるのは、4月からはじまる手帳「ほぼ日手帳2018 spring」。見ているだけで楽しくなるようなデザインの限定柄カバーや文房具が登場する。「りんごかもしれない」をはじめとする絵本を手掛ける絵本作家・ヨシタケシンスケによる、手帳カバーや、手帳と一緒に使える文房具が誕生。手帳カバーには、全面に、しきものを広げてのんびりと芝生で過ごす人々のイラストをプリントしている。ゆるやかで心の和むデザインだ。裏表にそれぞれ「YES」「NO」のイラストを配し、意思表示に使用できるユニークな下敷きや、スケジュールに貼って使える「仕事より大事な予定シール」、手帳カバーの上からかける「カバー・オン・カバー」など遊び心に溢れた文房具もラインナップ。使っているだけで日々を楽しく過ごせそうなグッズが揃う。深谷かほるの漫画『夜廻り猫』に登場し一躍有名になった、優しい正確の野良猫「ぽー」の写真をプリントした手帳も。愛らしい「ぽー」の表情に癒される手帳に仕上がっている。また、ミナ ペルホネン(minä perhonen)の手帳カバー「piece,」には新柄「spring mix」が追加。洋服を仕立てる際の余り布をパッチワークでリメイクした、様々な柄の表情を楽しめるカバーは、抽選販売される。3月には、整理された「ひきだし」をまるごと持ち歩けるような「ひきだしポーチ」も登場。大事な物をひとまとめにして携帯することができるポーチを、ウォレットサイズとA5サイズの2サイズで展開する。無地や柄など多彩なデザインが揃う予定だ。【詳細】ほぼ日手帳 2018 spring発売日:2018年2月1日(木)取扱場所:・オリジナル(文庫本サイズ)、カズン(A5サイズ)…全国ロフト、「ほぼ日手帳公式ページ」・weeks(週間タイプ)…全国ロフト、東急ハンズ、紀伊國屋書店、丸善、Amazon、楽天ブックスなどweeks取扱店舗、「ほぼ日手帳公式ページ」■アイテム例・ヨシタケシンスケ「しきもの日和」カバー+本体セット(オリジナル)4,752円、(カズン) 7,020円・「仕事より大事な予定」シール 410円・Yes・No 下敷き オリジナル用 388円/カズン用 518円/ weeks用 432円・カバー・オン・カバー「赤い糸」(オリジナル用) 432円、「赤い玉」(カズン用) 648円・やさしいねこ「ぽー」カバー+本体セット(オリジナル) 4,752円、手帳本体(weeks) 2,592円・ミナ ペルホネン「piece,(spring mix)」カバー+本体セット(オリジナル) 18,360円、(カズン) 25,380円※ミナ ペルホネンは抽選販売。受付期間:2018年2月1日(木)11:00~2018年2月13日(火)11:00※価格はすべて税込。■関連イベント「ヨシタケシンスケ&ぽー TOBICHIのあそび場」会期:(東京)2018年2月1日(木)~2月12日(月)、(京都)2月1日(木)~2月7日(水)場所:TOBICHI2店舗(東京、京都)住所:(東京)東京都港区南青山 4-28-26、(京都)京都府京都市下京区河原町通り四条下ル市之町 251-2寿ビルデイング3階
2018年01月29日キスというと、愛情を確かめるためのもの、その先の行為へ進むための前段というイメージがあると思います。でも、キスはそんな情熱的なものばかりではありません。例えば朝の出勤前なんて、興奮している場合ではないですからね。男も激しいのは求めていません。今回は、“男が求めている理想の朝キス”というテーマで話を聞いたのでご紹介しましょう。文・塚田牧夫「目を覚ます」ためのキス「うちは結婚して五年目になりますが、朝はいつも妻からのキスで目覚めています。起きる時間になると、妻が枕元に来てチュッてしてくれるんです。前日にケンカしたときでも、それは絶対。僕たちのキスには、仲直りの意味も込められています。ケンカは翌日には持ち越さない。そのおかげで今でも夫婦円満です」ヨウスケ(仮名)/34歳「緊張をほぐす」ためのキス「僕は半年前に転職をしました。当初は慣れない仕事に、緊張の連続。朝なんて憂鬱で仕方なかったです。そんなとき、彼女が“頑張って”とキスしてくれました。そうしたら肩の力がスーッと抜けて、緊張もほぐれたんです。それ以来、朝は必ずキスをしてリラックスしてから会社に行くようにしています。朝に限らず、緊張するようなことがあるときには、キスをすると落ち着くようになりました」シンスケ(仮名)/28歳「おまじない」のキス「キスは縁起がいいものって感じがする。ちょっとした不思議な力があるようにも思えます。だから、朝はおまじない的な意味を込めてしています。出勤中の無事故だったり、仕事が上手くいくようにだったり、そんなことをお願いしながら軽くチュッてするようにしてますね」トウマ(仮名)/29歳「夜を期待させる」ためのキス「うちは朝からけっこう濃厚なキスをします。出勤前に玄関のところで、抱き合って舌を絡めてブチュ~って感じで。ムラムラってきますけどね。さすがにそこでヤッちゃうわけにはいきませんから。その感情は夜に持ち越し。でもそうすることで、夜が楽しみになるんです。カラダがカッカと熱くなってヤル気が出てくるし、気合も入って仕事も頑張れる。最高です」タケル(仮名)/32歳「口臭チェック」のためのキス「僕は接客業なので、ニオイなんかにはすごく気を使います。特に口臭には気をつけています。同棲している彼女がいるんですが、前はその子にチェックしてもらっていたんです。それがだんだん進化してきて、キスをしながらのチェックに変わってきました。大丈夫なときは、彼女がOKを出してくれます。NGが出た場合は、歯磨きのやり直しをします」ナオル(仮名)/28歳“男が求めている理想の朝キス”をご紹介しました。朝のキスには愛の確認以外にも、目覚め効果やおまじないやら、いろんな意味を込めているカップルがいるようです。キスをして悪いことはひとつもないので、朝からガンガンやっちゃいましょう!(C) nd3000 / Shutterstock(C) Look Studio / Shutterstock(C) Kamil Macniak / Shutterstock(C) KIRAYONAK YULIYA / Shutterstock(C) pathdoc / Shutterstock
2017年12月10日仲良くなった男が、果たして自分のことをどう思っているのか……もちろん気になりますよね?本気なのか、それとも遊びなのか……。どっちにしても、男は意外と早くその判断をくだしています。どんなことを基準にしているのか、知っておいて損はない!今回は、“男が遊び相手と見なす女子の特徴”について、男性の意見と共にご紹介しましょう。文・塚田牧夫経験人数が多い「よく、経験人数の話をしますよね? みんなの前では言わなくても、二人になったりすると教えてくれたりする。そういうときに人数が多かったりすると、“普通じゃん”とか言いながらも、内心“ないわ……”と思ってる。まあ、本気にはなれないですよね?」レイジ(仮名)/26歳経験人数が多いということは、かなり遊んでいるということ。そういった女子に対して、男は「きっとまだ遊ぶんだろうな」と思ってしまいます。そうなると確かに、本気にはなりづらい。遊びでいいかな……と思ってしまうのも頷けます。だとすればと、人数は嘘の申告をするのが得策となりますが、男もバカじゃない。本当の人数を言わないことぐらいは分かっています。すると、男友達の人数や、夜遊びの頻度などから、軽い女性かどうか判断する。なので、普段の素行なども気を付けるべきですね。顔はタイプじゃないけどカラダは好き「俺のことを好きなんだろうな~って子がいたんですけど、残念ながら、顔がタイプじゃなったんですよね。でもその子、おっぱいが大きかった。それを見ちゃうと、男なら生で見たいし触りたいなって思うのは当然でしょう」シンスケ(仮名)/28歳顔がそれほど良くなくても、胸が大きかったり、スタイルが良かったりする女性には男が寄ってきます。それは、とりあえず「ヤリてぇ~」と思うから。タイプじゃないから付き合わなくてもいいので、とりあえず一回お手合わせ願いたいという願望によるもの。自分のカラダに自信があると言う女性は、それが武器かもしれませんが、上手に使わないとヤバい男を引き寄せてしまう可能性があるので注意が必要です。身につけているものがブランド品ばかり「前に付き合ってた子が、すげえ金のかかるタイプだったんです。ブランド品好きで、誕生日なんかはかなり高いものをプレゼントしてました。そうしたら、あっという間に貯金がなくなって、ついに借金。返すのが本当に大変だったので、そういう女性とは、もうまともに付き合いたくはないですね」オサム(仮名)/30歳お金がかかる女性は警戒されるもの。ブランド品を身につけていたり、頻繁に海外旅行に出掛けるなどもその類でしょう。そういう女性と付き合うと、お金がかかるというのはもちろん、他にも男がいるんじゃないか……という気もしてしまうんです。そういった気配は身につけているものだけでなく、SNSなどにも現れがちなので、なんでもかんでもアップするのはやめましょう。男が遊びと見なす女子の特徴をご紹介しました。遊びか本気か、男は案外早く判断をくだしています。後半巻き返そうと思っても、なかなか厳しい。なので普段から、「こいつは遊び」とみなされるような言動は慎みましょう。(C) Svitlana Sokolova / Shutterstock(C) Refat / Shutterstock(C) Gromovataya / Shutterstock
2017年11月20日