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個人が不動産投資をする場合、ほとんどの方が不動産投資ローンを利用することになります。不動産投資ローンは審査基準や金利相場が住宅ローンと異なるため、実際に不動産投資をする前に知っておくことが大切です。そこで本記事では、不動産投資ローンの審査基準や金利相場について徹底解説します。物件を購入する際に借入を活用するわけとは不動産投資にかかわらず、日本人の意識としては「ローン=借金」というネガティブなイメージが強いこともあり、不動産投資ローンを組むことに抵抗感を感じる初心者投資家の方が多いように感じます。確かに借金であることに変わりはありませんが、不動産投資の場合はたとえ自己資金があったとしても銀行から借入することで次のようなメリットがあるのです。銀行融資のおかげで収益の効率がよい例えば自己資金が100万円の方が利回り5%で1年間運用した場合、生み出される利益は5万円です。一方、不動産投資ローンで900万円借入して1,000万円を利回り5%で運用すれば、利益は50万円と一気に高額になります。どちらも自己資金は100万円の投資なのに、不動産投資ローンを活用することで年間収益が10倍も違うのです。利回りと家賃相場が間違いなければ、返済の心配もない銀行から借金をする際に一番心配になるのが返済のことではないでしょうか。不動産投資ローンの場合は、不動産を賃貸することで得られる家賃収入をローンの返済に充当することができるので、自分自身の給与などから削られる心配がありません。投資をする前に予定される利回りと、購入物件の家賃相場さえ読み間違えなければローンが返済できなくなるリスクはほぼ回避できるのです。このように不動産投資ローンを使って不動産投資をすることは、非常に大きなメリットがあるのです。ローン審査基準の4つのポイント不動産投資ローンは自分で住むことを目的として購入する際に利用する住宅ローンとは審査をする際に見る視点が違うため、利用するにあたってはどこを銀行に見られているのか事前に知っておくことが審査を通過するためにも大切です。審査基準1:物件の担保評価一般的になじみがある住宅ローンは、基本的に本人の属性が審査対象ですが不動産投資ローンの場合は投資を目的としたローンであるという観点から、本人の属性に加えて購入対象となる物件自体の担保評価が審査の重要な判断基準となります。担保評価は大きく分けて不動産を売却した場合の評価と、不動産を賃貸した場合の評価によって総合的に判断されるのです。不動産を売却した場合の評価不動産投資ローンを組む際には、購入する物件自体を担保に入れることになるため、融資をする銀行としては万が一返済ができなくなった時に、不動産を売却して残りのローンを完済できるのかという見方をします。不動産を売却した場合の評価については、物件の築年数、最寄り駅からの距離などによって異なってきます。また、耐用年数の短い木造よりも鉄筋コンクリートマンションの方が高く評価されやすいです。不動産を賃貸した場合の評価賃貸経営による収益力についても重要な審査基準となります。例えば、2,000万円で購入予定のマンションの家賃が5万円だとすると年間で60万円の収益となり、利回りにすると3%にしかなりません。このように収益力の低い物件を購入するために融資をしてしまうと、銀行としても回収できなくなるリスクが高いので、価格が下がらないと審査が通らない可能性が出てきます。また、郊外の物件については都市部に比べて空室リスクが高いので、満室時の想定利回りが良い場合でも審査が通らないこともあるのです。賃貸経営による収益力については、利回りだけではなく地域性の問題なども加味して総合的に判断されます。審査基準2:既存の借入について不動産投資ローンは概ね年収の20倍程度が借入できる限度とされているため、すでに金融機関から借入をしている場合については審査に影響してきます。既存の借入についてよく質問されるのが住宅ローンです。すでに住宅ローンを組んでマイホームを購入している方の中には、不動産投資ローンは組めないのではないかと考えて不動産投資をあきらめている方が時々いますが、年収の20倍以内であれば住宅ローンを組んでいても不動産投資ができる可能性は十分あります。審査基準3:自己資金不動産投資をするにあたって頭金にできる自己資金がどの程度あるのかについても、審査に大きな影響を与えます。以前は事前の貯蓄なしで、物件価格の100%をローンで組むフルローンを利用する人が大勢いましたが、フルローンの場合は毎月返済する金額が重くのしかかることとなり、空室になると返済ができなくなってしまう可能性があるため注意が必要です。基本的に物件価格の1~2割程度の自己資金があった方が、同じ物件を購入する場合でも審査結果が変わる可能性があります。審査基準4:本人の属性不動産投資ローンを組む本人の属性は、審査において非常に重要になります。具体的には次のような項目が審査の対象です。年収本人の年収は不動産投資ローンを組むにあたって非常に重要な要素となります。不動産投資ローンをはじめとする事業用ローンというと、ある程度の年収が必要になるイメージがあるかもしれませんが、不動産投資ローンの場合は先ほど解説した物件の担保評価も加味されるため、実際は年収400万円程度の一般的なサラリーマンの方でも担保評価が出やすい都内の駅近物件などであれば審査が通る可能性もあるのです。また、年収は金額だけでなくどの程度安定しているのかについても審査の基準となります。基本的には過去3年間分の源泉徴収票や確定申告書を提出して、年収が安定しているのかについて審査されるのです。そのため、前年度の年収が高かったとしてもインセンティブの比率が高く、前々年の年収と落差が大きい場合はその分審査が不利になることもあります。本人単独の年収でローン審査が通らない場合は、夫婦の収入を合算して審査を通すという方法もありますので、詳しくは銀行に聞いてみましょう。勤続年数収入の安定性が審査の重要なポイントとなるため、本人の勤続年数も重要な判断材料となります。基本的にできるだけ長い方がプラスに働きますが、3年未満の場合は通らない可能性が高くなるため注意が必要です。転職を考えている方は、できるだけ転職して勤続年数がリセットされる前に不動産投資ローンを組んだ方が得策と言えます。勤務先ローンを組む本人の勤務先は、収入の安定性に直結する情報なので審査においても非常に重要です。例えば、次のような勤務先や職業の方は不動産投資ローンが通りやすいと言われています。上場企業公務員医師弁護士公認会計士税理士勤務先での役職についても審査の対象です。中小企業のサラリーマンでも、ある程度の収入と勤続年数があれば審査が通る可能性は十分あります。また、医師や弁護士といった国家資格の有無についてもできるだけあった方が審査により有利になる傾向です。銀行ごとの審査の傾向について不動産投資ローンの審査基準の大枠はここまで解説してきた通りですが、あとは金融機関によっても審査の傾向に特徴があります。[adsense_middle]大手都市銀行系の場合不動産投資において都市銀行系は最もハードルが高い金融機関です。住宅ローンとは違い、事業用ローンに該当する不動産投資ローンについては基本的にある程度の頭金がないと非常に厳しいと言われています。特に過去取引がない都市銀行だと、サラリーマン投資家が一発でローンを引き当てることはむずかしいでしょう。地方銀行系の場合金融緩和政策が始まって以降、融資先に困った地方銀行が都心部の物件に投資する投資家に向けて積極的に不動産投資ローンを斡旋しています。都市銀行系に比べると審査のハードルが低く、年収が低い人でも担保評価がしっかり出る都市部の物件であれば審査に通りやすいです。ただし地方銀行の中には営業エリアを限定しているケースもあるため、東京に支店がない地方銀行だと東京での不動産投資には利用できない場合があります。信用金庫、信用組合の場合審査のハードルは地方銀行と同じくらいですが、信用金庫や信用組合はその名の通り信用を重要視しているため、過去に同行での取引実績がある方が審査に通る可能性が高いです。また、都市銀行系よりも担当者ベースで融通が効きやすいというメリットもあります。ノンバンクの場合審査のスピードが速く通りやすいというのが最大の特徴です。年収が低いサラリーマンでも利用できますが、場合によっては購入する物件以外にも担保を求められる共同担保となる場合もあります。ただ、他の金融機関と比較すると金利は高めです。不動産投資でおすすめできる金利の目安と金融機関ごとの比較不動産投資で成功するためにはローン審査が通るかどうかよりも、いくらの金利で通るかの方が重要です。例えば、利回り7%の物件だったとしても、ローン金利が4.5%だとイールドギャップ(投資利回りとローン金利の差)は3.5%しかありません。一方で利回り6%の物件でもローン金利が2%だとイールドギャップは4%となり、後者の方がより収益性が高いことになります。このようにローン金利は投資利回りと同じレベルで重要なのです。[adsense_middle]今ならローン金利は1%台を目指せる昨今は超低金利時代なので、住宅ローンであれば金利が1%を下回るほどです。不動産投資ローンでも金利1%台で融資が下りることも少なくありません。ちなみに昭和のバブルの頃の不動産投資ローンは8%を超えていたこともあるくらいなので、いかに今現在の金利が不動産投資において有利かがわかります。ローン金利は審査が通りやすい金融機関ほど金利が高くなる傾向があり、一部の金融機関では4.5%前後になる場合もあります。ローン金利が高くなると、手元に残るキャッシュが大幅に減りますので金利が3%を超えるようであれば、一旦物件も含め考え直した方が良いかもしれません。ノンバンクは金利が高めノンバンクについては、年収が低いサラリーマンでも審査が通りやすい反面金利が高くなる傾向があります。高利回りの物件を見つけて購入を急いでいる時は、あまりローン金利が目に入っていない方が多いのですが、実際に不動産投資家の手元に残る金額はローン金利も考慮に入れなければならないので、慌ててノンバンクから借りるのではなく、必ず金利をよく確認してから売買契約を結ぶようにしましょう。不動産投資ローンの返済期間について不動産投資ローンを利用する際、金利の他にもう一つ重要となるのがローンの返済期間です。不動産投資のキャッシュフローを考えた場合、返済期間が長ければ長いほど毎月の返済額を減らせるためキャッシュフローが安定し、反対に短くなると家賃に対する返済比率が高くなります。このように返済期間は毎月のキャッシュフローに直接影響するため、不動産投資ローンを組む際にはどのようにして返済期間が決まるのかについて知っておくことが重要です。物件の法定耐用年数がポイント不動産投資ローンの返済期間は、物件の法定耐用年数が一つの基準となっています。簡単に言うと築年数が新しい物件ほど長い返済期間で借入することが可能で、また木造、鉄骨、鉄筋コンクリートの順に法定耐用年数が長くなるため、返済期間についても長く設定できるのです。また、中古物件の場合は、法定耐用年数から経過年数を考慮して返済期間が決まります。法定耐用年数自体が返済期間になるとは限りませんが、返済期間を決める重要な指標となるのは間違いありません。そのため、できるだけ返済期間を長くしたい方については、新築鉄筋コンクリートマンションを狙うと良いでしょう。不動産投資ローンに関するまとめ不動産投資ローンは住宅ローンとは違い、本人の属性に加えて物件自体の担保評価がとても重要な審査基準となるため、できるだけ担保評価が出やすい都心部の物件に投資する方が審査に通りやすくなります。ただ、審査が通りやすい金融機関ほどローン金利が高くなる傾向にあるので、金利3%を超える場合についてはよほど利回りの良い物件でもない限りあまりおすすめできません。審査を通す事ばかり優先してしまうと、結果として無難に返済できない高金利や短い返済期間で借りてしまうことがありますので十分注意が必要です。ローン審査は不動産投資の入り口でとても重要ですが、通すことを最優先に考えるのではなく、通った後の返済計画のことを第一に考えましょう。
2019年10月17日東京都心の不動産価格が値上がりを見せる中、比較的手頃に購入できるワンルーム投資がサラリーマンを中心に人気を集めています。初心者でも安心して始められると言われていますが、ネットなどを見るとワンルーム投資で失敗したという話も少なくありません。そこで本記事では、これからワンルーム投資をやってみたいという方が成功できるよう、事前に知っておくべきメリット、デメリット、具体的な失敗事例や回避すべきリスクなどについて詳しく解説します。ワンルーム投資することのメリットとはそもそもワンルーム投資とは、不動産投資の中でもアパートやマンションを一棟丸ごと建てたり買ったりするのではなく、部屋ごとに区分された分譲マンションの一室に投資することをいいます。このように最低でも㎡単価で135円位のはずが、新築のワンルームマンションの中には100円未満で設定されていることもよくあります。例えば20㎡前後のワンルームの場合、新築時には1,000円/月くらいの非常に低い設定金額になっており、それが徐々に購入後に値上がりしていき最終的には10倍くらいにまで値上がりすることも珍しくありません。修繕積立金が値上がりすると売値が下がる修繕積立金が値上がりすると利回りが悪くなるのはもちろんのこと、それ以上に深刻なのが売値の値下がりです。将来的に物件を売却しようとした場合に、修繕積立金が高いと買主側に与える印象が悪くなり売値自体が値下がりします。ワンルームの場合、修繕積立金が1,000円値上がりすると売値が50万円前後値下がりすると言われているため、修繕積立金の値上がりは非常に大きなデメリットです。ワンルーム投資のよくある失敗事例ワンルーム投資のデメリットを理解した上で成功するためには、実際の失敗事例を知ることがとても大切です。ここでは、よくあるワンルームの失敗事例について御紹介します。[adsense_middle]無理してフルローンを組んで失敗するケース不動産投資をしてみたいと考えた際に、最もネックになるのが自己資金です。ある程度の貯蓄のある人であればよいのですが、一般的なサラリーマンの場合そこまで投資にまわせる自己資金がないケースが多いため、物件価格の100%のフルローンを組むケースがあります。通常は物件価格の1割程度を頭金として出すところを頭金なしのフルローンで組むことになるため、その分ローン金額が大きくなり毎月の返済額、返済利息ともに多くなってしまいます。つまり、同じ物件を買う場合でも頭金があるかないかで購入後にかかる返済負担が大きく変わってくるのです。ローンを借りられるだけ借りると失敗する初心者投資家の方は物件を買うことにばかり意識がいくことが多く、ローンを組んだ後の返済額や金利などについてはあまり細かく確認しないことがあります。そのため、金融機関の審査が通ればどんどん借りてしまうため、後で返済が苦しくなって最悪の場合自己破産になってしまうことがあるのです。融資の審査が通ると、まるで金融機関から投資にお墨付きをもらったような錯覚をしがちですが、実際はそうではなく金融機関は物件自体の担保評価も含めて審査結果を出しているに過ぎないのです。すなわち、返済できなくなったら物件を競売にかけて回収できそうな金額まで審査を通しているだけなので、その投資が成功するかどうかはそこまで関係ありません。無理なく返済していけるのかどうかは、あくまで不動産投資家自身でシミュレーションしておく必要があることをよく覚えておきましょう。リスクを回避して成功するためにすべきこととは不動産投資には多くのメリットがある一方で、今回ご紹介したように致命的なデメリットもあります。ただ、だからと言ってワンルーム投資はやめたほうがいいということではありません。実際、今の日本は銀行にお金を預けておいても増えるわけではないので、投資で運用していくという意識はとても良いことです。不動産投資は株式投資やFXとは違い、比較的相場が安定しているため、購入する物件さえ判断を間違えなければ初心者でも概ね成功しやすいと言われています。ワンルームの不動産投資に関するまとめワンルーム投資のデメリットについては放置すると致命的なダメージを受けますが、事前に認識した上で適切な対策をとることができれば、ほとんどのリスクについては回避もしくは軽減することが可能です。例えば家賃滞納リスクについても、事前に滞納した際の適切な督促方法を知っていればそこまで大きなリスクにはなりませんし、修繕積立金の値上がりリスクについても、あらかじめ織り込み済みで購入価格を検討すればよいのです。不動産投資で失敗する人の多くは、こういった重要なことを「知らずに」不動産投資を始めたことが主な原因と言えます。これからワンルーム投資を始めようと考えている方は、まずメリットよりもデメリットをよく認識した上で、どのような方法でリスクヘッジができるのかについてよく検討してから購入しましょう。
2019年10月07日不動産購入時にかかる諸費用は高額になる場合が多く、その種類や支払うタイミングなどをきちんと把握していないと、あとで「資金が足りない!」という状況になることも……。そこで今回は宅地建物取引士で現役不動産営業マンの高幡和也さんに、不動産を購入する際にかかる諸費用の種類と、その諸費用を支払うタイミング等について聞いてみました。■ 1.契約書の印紙税Mugimaki / PIXTA(ピクスタ)不動産の売買契約書や、家を建てる場合の建設工事請負契約書は印紙税法で定める課税文書にあたり、課税文書を作成した人(売主や買主)はその記載金額に応じた印紙税を収めなければなりません。印紙税は、税額分の収入印紙を契約書に貼付し、そこに消印をして納付することになります。例えば、購入する不動産が4,000万円である場合は、1万円(2020年3月31日までの優遇措置、通常は2万円)の収入印紙を売買契約書に貼付し消印しなければなりません。印紙を貼付しないと、その3倍の過怠税を課される場合がありますのでご注意を!■ 2.手付金しげぱぱ / PIXTA(ピクスタ)手付金は代金の一部と認識されがちですが、実は手付金は代金の一部ではなく、買主が売主へ支払う「契約の証拠金」です。例えば、銀行が物件価格の100%を住宅ローンで融資してくれる場合でも、契約時に支払う手付金については別に用意しなくてはなりません。一般的には物件価格の5%前後~10%程度が手付金の目安となりますが、取引内容・条件等によっては10%以上を用意しなければならない場合もあります。手付金は最終的に「代金の一部に充当」されるため諸費用という認識をもつ方は少ないかもしれませんが、「契約時に用意しなければならないお金」であることを覚えておきましょう。■ 3.仲介手数料xiangtao / PIXTA(ピクスタ)不動産を購入する際に仲介業者を利用する場合には、仲介手数料(物件価格の3.24%+6.48万円)を支払わなくてはなりません。仲介手数料は契約時に半金を支払い、残金決済時(物件引渡し時)に半金を支払うのが一般的ですが、仲介業者との話し合いによっては、残金決済時に一括で支払うという約定にする場合もあります。■ 4.登記費用吉野秀宏 / PIXTA(ピクスタ)不動産を売買する場合は登記が必要となり、登記には税金(登録免許税)と、登記手続きを代行してもらう司法書士や土地家屋調査士への報酬が必要となります。登記には、建物を新築した場合の「建物表題登記(建物表示登記)」や「保存登記」、中古住宅や土地の所有名義を変更する「所有権移転登記」、銀行等から融資を受ける場合に必須となる「抵当権設定登記」等があります。これらの登記のうち、保存登記・所有権移転登記・抵当権設定登記は、残金決済時(物件引渡し・所有権移転時)に同時に行われ、費用もその時に支払うことになります。しかし、建物表題登記については建物完成から1か月以内に行わなければならず、そのタイミングは残金決済時よりも前になります。そのため、建物表題登記費用は残金決済時の前に請求される場合があるのでご注意ください。表示登記は土地家屋調査士に依頼し手続きを代行してもらうのが一般的で、その費用は約8万円~15万円程度です。■ 5.火災保険CORA / PIXTA(ピクスタ)住宅ローンを利用する場合、火災保険への加入は必須です。万一の火災だけではなく、近年増加している自然災害への備えとして、住宅ローンを利用しない場合でも火災保険には必ず加入しましょう。火災保険は建物引渡しと同時に加入することになりますが、保険料の支払方法については長期一括払いや月払い等がありますので、保険会社と打ち合わせのうえ自分のニーズに合わせた方法を選びましょう。■ 6.住宅ローンにかかる費用Naoaki / PIXTA(ピクスタ)住宅ローンを利用する場合には、「印紙税」「融資手数料」「保証料」などの費用がかかります。印紙税銀行との間で締結する金銭消費貸借契約書も不動産売買契約書と同様に課税文書なので、収入印紙を貼付しなければなりません。例えば、借入額が1000万円を超え5000万円までなら、2万円の収入印紙が必要となります。融資手数料融資を受ける際に銀行に支払う融資手数料(融資事務手数料)は、3万円(税別)~借入額の2%(税別)など、ローンの種類や各銀行によって大きな差があります。保証料保証人の代わりとなる保証会社へ支払う保証料は、借入金額や借入期間によって異なり、一般的には借入期間35年なら、借入100万円につき「2万円強」程度となっています。それぞれの費用を支払うタイミングは、印紙税は金銭消費貸借契約時、融資手数料と保証料は残金決済時となります。shimanto / PIXTA(ピクスタ)これ以外にも、修繕積立基金(新築マンション)、地盤調査費用(注文住宅)、地鎮祭費用(新築住宅・注文住宅)、不動産取得税、固定資産税精算金、団体信用生命保険料(フラット35)など、購入する物件の種類や金融機関ごとにさまざまな費用が必要になる場合があります。諸費用の金額と支払うタイミングについては事前に仲介業者、建築業者、分譲業者等にしっかり確認し、実際の支払い時に慌てないよう準備しておきましょう。【参考】※国税庁ホームページ「印紙税」※法務局ホームページ「不動産登記」
2019年10月06日働き方改革などによって副業が当たり前になりつつある昨今、不動産投資に興味を持つサラリーマンの方が増えています。不動産投資というと昔は一部の資産家がすることというイメージがありましたが、実際のところサラリーマンが不動産投資をすることにどのようなメリットがあるのでしょうか。そこで本記事では、サラリーマンが不動産投資をすることのメリット、デメリットについて詳しく解説します。不動産投資はサラリーマンにおすすめサラリーマンができる資産運用というと株式投資やFXなどがありますが、それらの投資で安定的に資産を増やしているという話はあまり聞きません。むしろ、失敗して大損し「二度と手を出さない」と言っている人の方が多い気がします。株や為替は変動が激しい株式投資やFXは、株価や為替の変動が非常に激しく、場合によっては1日のうちに価値が大暴落することもありえます。これらの投資は非常に専門性が高く、サラリーマンで成功できる人はほんの一握りにすぎません。また、サラリーマンをやっている以上、日中は本業に集中しなければならないため、いくらスマホアプリを使って取引ができるようになったとはいえプロのトレーダーのような立ち回りはできないでしょう。サラリーマンが投資で成功するためには、以下の条件を満たす投資であることが重要です。相場変動が少なく、比較的「安定」している本業に支障がないよう、大部分を「プロに委託」できるある程度の「安定した利回り」が期待できる「専門知識が不要」で、初心者でも簡単にできるそして、これらの条件にすべて当てはまるのが不動産投資なのです。サラリーマンにとっての不動産投資のメリット不動産投資はサラリーマンとの相性がよく、メリットを受けやすいと言われています。ここからは、サラリーマンが不動産投資をすることのメリットについて詳しく解説していきます。メリット1:ローンを組んで投資ができる通常、投資をするためには元となる資金が必要です。株式投資やFXをする場合は、事前にある程度の資金を貯蓄してから始める必要があるため、本格的に投資を始めるまでに時間がかかってしまいます。一方、不動産投資については、投資としては珍しく投資資金のほぼ全額をローンで組むことができるのです。不動産を購入するためには、ワンルームの区分マンションだとしても1,000万円くらいのキャッシュが必要ですが、不動産投資の場合はローンでほぼ全額の資金を調達できるため、始めたいと思ったその時にすぐに始めることができるのです。年収400万円でも不動産投資ローンが組めるサラリーマンと言っても、ローンが組めるのはある程度の年収がある人だけではないかと思っている方もいるかもしれませんが、実は年収400万円程度の一般的な会社勤めのサラリーマンでも問題なく融資を受けることが可能です。通常、融資を受ける場合は本人の年収や勤続年数など本人の支払い能力に基づいて審査されるため、高額な融資を受けることは容易ではありません。ですが、不動産投資ローンの場合は、購入する不動産自体を担保に入れて借入をするため、本人の年収が400万円でも購入する物件の担保価値によって何倍もの融資を受けられるのです。レバレッジ効果がすごいローンを組んで不動産投資ができるということは、自己資金の何倍もの投資ができるということでもあります。例えば、手元に100万円がある場合に、利回り5%の投資をすると年間で5万円の利益しか出ませんが、900万円のローンを組んで合計1,000万円で利回り5%の不動産投資をすると、年間で50万円もの利益を出すことができるのです。このように、少ない資金で大きなリターンを受けられる効果のことをテコの原理の意味で「レバレッジ効果」と言います。日本人は「ローン=借金」というネガティブなイメージが強く、ローンを組んで不動産投資をすることに罪悪感を感じるという人もいますが、投資の世界ではローンを組んで自己資金以上の投資をする方が、効率がよいと考えるのです。メリット2:初心者でも成功しやすい不動産投資は比較的相場が安定していて、株やFXのように短期間で損失を出すことが少ないため、初心者でも成功しやすいという特徴があります。サラリーマン投資家の方は、基本的に平日は本業で忙しいため、投資のために時間を割くことができません。そのため、サラリーマンで投資に成功するためには、できるだけ時間をかけずに安定した利益を出せる仕組みが必要です。不動産投資の基本はインカムゲイン昭和のバブルの頃の不動産投資というと、買った金額より高く売る売却益目当ての「キャピタルゲイン」が主流でしたが、バブル崩壊以降は毎月の家賃収入で継続的に利益を出していく「インカムゲイン」にシフトしました。これにより、急激な価格変動によって損をする人がいなくなり、長期的に家賃収入を得ることを目的として投資する人が増えたのです。インカムゲインは不動産を保有することで継続的に利益を出す手法なので、長期安定的に運用できるという面で忙しいサラリーマンと相性がよいと言えるでしょう。最低限の知識だけで始められる株式投資の場合は、投資する企業の業績や業界の動向、経済情勢など広い視野で様々な情報を収集し、そしてそれを自分で分析する能力が必要ですが、不動産投資については基本的に最低限の知識だけあれば、あとは不動産会社や管理会社が丁寧にサポートしてくれます。自ら売り注文や買い注文の判断をする必要はなく、基本的な業務としては毎月家賃が入金されてくるのを通帳記帳で確認するくらいです。あとは基本的にすることはありません。特段のスキルは必要ないため、初心者でも比較的成功しやすいと言われています。サラリーマンにとっての不動産投資のデメリットサラリーマンにとってメリットの多い不動産投資ですが、投資である以上は必ずデメリットもあることを忘れてはいけません。ただ、デメリットと言っても対策次第でリスクにはならないものがほとんどなので、本記事をよく読んで理解しておけば心配しなくても大丈夫です。[adsense_middle]空室リスクによりローンが返済不能になる危険があるローンを組んで不動産投資をする場合、ローンの返済には家賃収入を充当する計画でシミュレーションをします。ところが、満室時はそれでよいのですが、入居者が退室して空室になると次の入居者が決まるまでの間は家賃収入が途切れてしまい、ローンの返済が苦しくなってしまうのです。一棟アパート経営であれば、1部屋空室になったとしても他の部屋の家賃収入でカバーできますが、区分マンション投資の場合は戸数が1戸で空室になると収入がゼロになってしまい、手出しでローンを返済しなければなりません。空室リスクについては、募集方法を工夫して軽減させる努力はもちろん必要ですが、基本的には1ヶ月程度は空室になることを前提に、キャッシュフローをシミュレーションすることが重要になります。できれば、満室時に少しずつキャッシュを貯蓄して、空室になった時に補填に回せるようにするとキャッシュフローが安定するでしょう。家賃保証という選択肢もあるどうしても空室が心配という方は、不動産会社の家賃保証を利用するのも選択肢の一つです。家賃保証とは、不動産会社が物件を一括で借り上げて、相場の9割程度で毎月家賃を保証する一種の管理形態で、空室リスクを懸念する初心者投資家の方がよく利用します。家賃保証を利用すれば毎月の取り分は少し減りますが、常に安定した収入が確保できるため、当初のキャッシュフローシミュレーションさえ正確にしておけば、ローン返済ができなくなるリスクはなくなるでしょう。家賃が値下がりするリスク初心者投資家の方が最も勘違いしやすいのが、家賃の値下がりリスクです。初心者投資家が新築物件に投資をする場合、新築時の家賃をベースにキャッシュフローをシミュレーションすることがあるのですが、新築時の家賃は「新築」というステータスがつくことで、相場よりも若干割高な設定になっています。よって、新築時の入居者が退去すると新築というステータスが消えて、家賃は若干値下がりしていくことになります。物件によって値下がりするスピードや金額は違いますが、最近の傾向では古くなって家賃が値上がりするというケースはほとんどありません。そのため、不動産投資で失敗しないためにはキャッシュフローをシミュレーションする際に、家賃が値下がりすることを前提としたシミュレーションを組むことが重要です。意地になって家賃を下げないと余計マイナスになる初心者投資家の中には引くに引けなくなり、空室が長引いても家賃を値下げしない人がいますが、空室が何ヶ月も続くよりも家賃を下げて空室期間を短くした方が、年間収支で見た場合は必ずと言って良いほどプラスになるはずです。空室が生じた時に柔軟に対応できるかどうかは、当初のキャッシュフローシミュレーションにかかっています。キャッシュフローに余裕さえあれば、家賃の値下げについても早い段階で決断できるため、空室を短くすることもできます。サラリーマンによくある融資失敗のリスクサラリーマンでも比較的簡単に融資が受けられるのが不動産投資の魅力ですが、自分の返済能力以上に借りてしまい、返済不能に陥るケースは少なくありません。特に初心者投資家の方は、金融機関の融資審査が通ると金融機関からその投資にお墨付きが出たと勘違いし、当然返済していけるものとタカをくくってしまう人がいます。ですが、金融機関が見ているのは返済していけるのかということだけではなく、返済不能になった際に不動産を売却して回収できるのか、という視点も見ているため、決して投資としてお墨付きをもらえたわけではないのです。サラリーマンの収入には手をつけないのがポイント返済能力以上の融資を受けてしまうと、その時点でほぼ不動産投資の失敗が確定してしまいます。そこで、ローンを組む際には毎月の返済額と家賃設定などを用いてシミュレーション表を作成し、毎月どのようなキャッシュフローになるのか計算することが大切です。この時点でキャッシュがギリギリだったり、すでに赤字だったりする場合については、たとえ融資が通ったとしても絶対に借りてはいけません。借りるからには余裕を持って返済できる状況でなければならないので、余裕がなければもう少し価格を下げて物件を探し直すという決断も必要です。何もしないことが一番のリスク不動産投資のリスクについていくつか触れてきましたが、最も大きなリスクは「何もしないこと」です。昨今では、老後の生活資金は年金だけでは不足することが明らかになってきており、金融庁の報告では老後資金が2,000万円足りなくなるという試算も出ているくらいなので、もはや自分自身で何らかの対策をとらないと老後の生活がままならなくなる可能性があります。現在は超低金利時代でなので、ただ銀行口座に貯蓄しているだけでは老後資金不足を解消することは難しいでしょう。今のうちから不動産投資を始めれば、仕事を引退する頃にはローンの返済が終わり家賃収入だけが残るので、それによって老後資金を補填することができるのです。不動産投資をすることがメリットというだけではなく、しないことで将来に抱えるリスクの方が大きな問題なのです。[adsense_middle]サラリーマンの不動産投資、まずは始めることが重要不動産投資のいいところは、ローンを利用することで今すぐにでも始められることです。そして、管理会社に管理を委託すれば本業に支障が出ることもありません。今の現役世代の方は、将来どこかのタイミングで今よりももっと深刻な形で老後資金の問題に直面するはずです。その時に、すでに不動産投資をしている人とそうではない人で老後生活が大きく異なるでしょう。不動産投資は早めに始めた方が、ローン返済が早く終わる分将来的に見ても有利なので、20代の方でも早すぎるということはありません。また、不動産所得の赤字分についてはサラリーマンの給与所得と損益通算によって相殺できるので、確定申告をすることで所得税が還付されるという追加のメリットもあります。早めに始めた方が将来的により多くの戸数を保有できるようになりますので、まずは一度不動産会社のセミナーなどに参加してみてはいかがでしょうか。
2019年10月06日不動産投資というと様々なメリットがありますが、中でも不動産会社の営業マンが特に強調してアピールしてくるのが「節税」です。不動産投資は節税対策になると一般的によく言われていますが、実際のところ、なぜ節税になるのか理解できていない方も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、不動産投資が節税になる仕組みや、メリット、デメリットなどについて徹底的に解説したいと思います。不動産投資による税金対策がサラリーマンに注目されるわけ不動産投資を使った税金対策は、資産家などの富裕層だけではなく、一般的な所得のサラリーマン投資家にも人気があります。なぜなら、不動産投資をすることでサラリーマンの給与所得を引き下げられるため、確定申告をすることですでに源泉徴収されている税金が還付されるからです。このように聞いても、まだピンとこない方がほとんどでしょう。では、なぜ不動産投資をするとサラリーマンの給与所得が引き下げられるのでしょうか。理由は不動産所得との損益通算不動産投資によって得られる家賃などの収益は、不動産所得として申告する必要があります。そして不動産所得で赤字が出た場合は、他の所得から赤字分を相殺できるのです。このように他の所得との間で赤字を相殺することを「損益通算」と言います。不動産所得はサラリーマンの給与所得との間で損益通算が可能なため、不動産所得で赤字が出た分、サラリーマンの給与所得から控除され、引き下げられた給与所得で計算した所得税以上に源泉徴収されている分については、確定申告によって還付されるのです。不動産投資が税金対策になる仕組みとは不動産所得と給与所得の損益通算によって、給与所得が引き下げられて節税になるという理屈はお分かりいただけたかと思います。ただ、なぜそもそも不動産所得が赤字になるのでしょうか。ここが不動産投資が節税になる最大のポイントです。減価償却の仕組みを理解しよういくら節税になると言っても、不動産所得が赤字では本末転倒ではないか、と思われるかもしれませんが、ここでいう赤字とは、あくまで帳簿上の赤字だということが重要です。つまり、不動産所得は帳簿上赤字でも、キャッシュフロー上は黒字ということなのです。その理由は減価償却という経費計上の仕組みにあります。不動産投資で5,000万円のマンションを購入した場合、帳簿上はマンションの建物部分の価格と土地部分の価格に分けて、建物部分の価格については年々劣化していく資産に該当するため、減価償却という方法で経費として計上していくのです。例えば、建物部分の価格割合が2,000万円だとした場合、マンションを購入した翌年の確定申告で、いきなり2,000万円全額を経費とするといきなり大赤字の計上となり、その翌年からは大幅な黒字が出ることになってしまい、非常にバランスが悪くなってしまいます。そこで、建物部分の価格2,000万円を法定耐用年数に応じて、毎年経費化していく方法が減価償却です。法定耐用年数は建物の構造に応じて次のように定められています。【建物の法定耐用年数】木造:22年鉄骨造:34年鉄筋コンクリート造:47年例えば、鉄筋コンクリートのマンションであれば、2,000万円を47等分して少しずつ「減価償却費」という名目で経費として計上していきましょうというのが、減価償却の仕組みです。減価償却費で節税効果が出るわけとは減価償却費は不動産投資の経費の中でもかなりの割合を占めるため、不動産所得を大幅に引き下げることができます。一方で、減価償却費という経費は帳簿上経費として計上するものの、実際に減価償却費という金額がキャッシュアウトしていくわけではありません。つまり、キャッシュは減らないのに経費として計上できるため、帳簿上の不動産所得が赤字になったとしても、実際のキャッシュフローについては黒字という状態が発生するのです。それだけであれば不動産所得が赤字になるだけで終了ですが、冒頭でも解説した通り不動産所得は損益通算ができるため、不動産所得の赤字分をサラリーマンの給与所得にぶつけて相殺して、全体の所得を引き下げることができます。よって、所得をもとに課税される所得税や住民税が節税でき、確定申告をすることで源泉徴収されていた税金の一部が還付されるのです。このように、不動産投資は家賃収入による利益だけではなく、節税効果による利益も非常に重要なのです。不動産投資ローンの活用方法不動産投資をする方のほとんどは、キャッシュで購入するのではなく不動産投資ローンを組んで購入し、家賃収入の一部を毎月の返済に充当します。キャッシュで購入することが難しい会社勤めの方だけでなく、キャッシュで購入が可能な富裕層でもあえてローンを利用するのはなぜなのでしょうか。[adsense_middle]利息がメリットに!?節税につながる仕組みを解説ローンを組むと発生するのが「利息」です。毎月返済する返済額のうち、元金以外の建物部分の購入にかかる利息分については、不動産投資の経費として計上することができるのです。また、不動産投資ローンは多くの場合で変動金利の元利均等返済方式で借り入れることも、節税に大きく関係しています。元利均等返済方式と元金均等返済方式ローンの返済方式には、大きく分けて元利均等返済方式と元金均等返済方式の2種類があります。元利均等返済方式とは(※イメージ図)毎月の返済額は常に一定で、その一定の金額の中で利息と元金の比率が変化していく返済方式です。返済開始当初は利息部分の割合が多く、返済が進むにつれて徐々に元金部分の割合が増えていきます。元金均等返済方式とは(※イメージ図)毎月の返済額の中で、元金部分が常に一定で利息が変化する返済方式です。返済開始当初は返済額が高くなるため、当初のローン返済が大変で、返済が進むにつれて利息が減った分返済額が減ってきます。元利均等返済方式は、返済開始当初から経費にできる利息部分の返済割合が大きいため、資金繰りが一番厳しい開始当初の節税効果が最も高いというメリットがあるのです。減価償却の落とし穴「逆転現象」による失敗を回避する方法不動産投資の税金対策を考えるうえで絶対に外せないのが、「逆転現象」です。逆転現象の仕組みを理解しておかないと、気が付いた時にはキャッシュフローが赤字になってしまい、「なぜこうなってしまったんだ」と後悔することになってしまいます。ここでは、不動産投資で必ずリスク管理しなければならない逆転現象による失敗を回避する方法について解説します。[adsense_middle]恐怖の黒字化、逆転現象とは?元利均等返済方式は、毎月の返済額自体は常に一定です。ところが、返済が進むと経費にできる利息分の割合がどんどん減っていき、反対に経費にならない元金部分の割合がどんどん増えていきます。つまり、キャッシュアウトする金額は同じなのに、経費として計上できる割合が減っていくため、税務上は不動産投資の利益が徐々に増えていくことになるのです。そしてやってくるのが、恐怖の逆転現象。逆転現象とは、元金部分の返済額が減価償却費の金額と逆転することを意味しています。経費にならない元金部分の返済額が減価償却費の金額を追い越してしまうと、そこからはどんどん利益が出ることになるため、課税所得額が高額になるという非常事態が発生するのです。逆転現象はマンションよりも木造が怖い逆転現象による打撃が大きいのは、減価償却期間が短い木造アパートで、中でも築22年以上経過している中古アパートの場合はさらに注意が必要です。法定耐用年数のすべてを経過した建物については、法定耐用年数の20%に相当する年数で償却することになります。木造アパートの場合、法定耐用年数が22年なので、なんと4年という短期間で全部償却してしまうのです。購入当初4年間は、かなりの金額の減価償却費を計上できるため、不動産所得は赤字になり税金は発生しないでしょう。ところが、5年目になると減価償却費が突然ゼロになるため、逆転現象どころか一気に利益が出てしまい、高額な所得税が課税されてしまうのです。逆転現象は避けられないからこそ対処方法が重要逆転現象の問題は木造だけの問題ではありません。鉄筋コンクリートマンションでも長期間かけてじわじわと元金の返済比率が増えていくため、どこから減価償却費を元金が超え税金が上がり始めるのです。逆転現象については税務上どうしても避けることはできないため、仕組みを理解したうえで、いつまでにどのような準備が必要なのかをシミュレーションすることが重要になります。シンプルな対処方法としては、貯蓄することです。不動産投資開始当初の節税効果が高いうちはキャッシュフローに余裕があるはずなので、その時にある程度のキャッシュを貯蓄しておき、将来的に利益が出るようになってきたら貯蓄を納税資金として利用するのです。ただ、このやり方も建物が古くなってくると以前より修繕費用がかかるようになり、どんどんキャッシュフローが悪化するようになるので、可能であれば「売却」という対処方法も検討すべきです。逆転現象は利益確定のタイミング不動産の売り時というと、単に不動産価格が高騰した時というイメージがあるかもしれませんが、税務上は逆転現象が発生するタイミングを目途に、売却による出口戦略を計画すると、税金面で損をしなくて済みます。そもそも、節税効果を期待して不動産投資をしたのであれば、逆転現象が起きたら早めに物件を買い替えた方が、節税効果が高いのです。例えば木造アパートであれば、新築で購入したとしても23年目からは減価償却費がなくなってかなりの黒字が発生するため、節税どころではありません。そうなる前の段階で売却して買い替えることで、もう一度減価償却をやり直した方が賢い選択なのです。売却は計画性が重要不動産投資は、最終的に不動産を売却した時に利益が確定します。よって、いくらよい物件に投資をして高利回りを叩き出していたとしても、売るタイミングや金額の目測を誤ると最後の最後で不動産投資に失敗してしまうのです。不動産は株式とは違い、流動性が低いため、すぐに売却しようと思っても価格が割安でもない限り難しくなります。税金が上がったことに気がついて慌てて売りに出したとしても、それではタイミングが遅いのです。逆転現象が発生する1年以上前から、徐々に利益確定に向けて不動産会社と媒介契約を締結するなどして、早めから売買募集を開始することをおすすめします。ただ何も考えずに物件を保有していると、気が付いた時には高額な所得税を課税されてしまうため、十分注意しましょう。売却時の譲渡所得税にも注意減価償却で十分な節税効果が得られて油断していると、売却時の税金に不意打ちされる可能性があるため注意が必要です。不動産を売却すると、売却で発生した譲渡所得に対して譲渡所得税が課税されます。譲渡所得税というと、買った金額よりも高く売れたら課税される税金、と思い込んでいる方が時々いますが、正確には買った金額ではなく、未償却残高よりも高く売れたら税金が課税されるのです。建物部分を毎年減価償却費で計上していくと、まだ償却されていない未償却残高が残ります。譲渡所得の計算は、この未償却残高に対してどのくらい利益が出ているかで計算するため、減価償却が進んでいるほど、譲渡所得が発生しやすくなります。つまり、1,000万円で買った建物を20年以上保有して800万円で売却すると、見た目上は200万円マイナスのように見えますが、譲渡所得は発生してしまうのです。そのため、減価償却が進んでいる古い物件を売却する際には、事前にいくらの譲渡所得税が発生するのかについて試算したうえで売却価格を決めるようにしましょう。不動産投資は節税対策だけを目的にしないことが重要このように、不動産投資は上手に活用することで継続的に大きな節税効果をもたらしてくれます。ただし、不動産投資の目的はあくまで利益を上げることであり、節税だけが目的ではありません。節税だけに意識が行ってしまうと肝心の賃貸経営で利益が出にくくなってしまい、節税にはなっているものの不動産投資ではキャッシュが残らなくなってしまいます。不動産投資で成功するためには、今回ご紹介した節税対策のメリットとデメリットをよく理解したうえで、どのタイミングで、どんな税金が、どのくらい課税されるのかについて予測し、それに向けてキャッシュフローを組み立てることが非常に重要です。不動産投資は節税というメリットがあると同時に、所得税などの税金との闘いでもあるということをよく理解しましょう。
2019年10月01日資産運用の一つの選択肢として不動産投資がじわじわと注目を集めていますが、興味はあっても実際のところ、どんなメリット・デメリットがあるのか分からないからちょっと怖い、という人も少なくないようです。そこで本記事では、不動産投資のメリット、デメリット、そして初心者不動産投資家におすすめしたい運用法について詳しく解説します。初心者でも安心!不動産投資の高いメリット第 21 回市場ワーキング・グループ 厚生労働省資料このニュースを受けて、多くの方が老後の生活資金をどうすればいいのか不安になったことと思いますが、実は不動産投資こそがここで大きなメリットを発揮します。不動産投資最大のメリット、それは「家賃収入」です。何もしなくても毎月一定額の収入が発生することは、他の投資にはない大きなメリットになります。つまり、不動産投資による家賃収入は個人年金としての役割を担ってくれるのです。メリット2:ローンを使って効率的な資産形成と運用ができる投資には不動産投資の他にも、株式投資やFXなどさまざまな方法がありますが、不動産投資には他の投資にはない独自のメリットがあります。それは「ローン」が使えるということです。通常、個人の方が投資をするためには、もととなる投資資金を自己資金で準備しなければなりません。ところが、不動産投資については自己資金がほとんどない状態でもローンで借りられるのです。今現時点で手持ちの自己資金が十分にない人でも、すぐに投資を始められるところが不動産投資の特徴であり、大きなメリットと言えます。不動産投資でローンが使える理由とは個人が銀行からお金を融資してもらうためには、個人の収入や勤務先などの属性をもとに審査されるため、そこまで大きな融資は受けられません。ですが、不動産投資の場合は、購入する物件自体を債務の担保に入れられるため、物件自体の担保評価に応じて高額な融資が受けられるのです。不動産投資の「レバレッジ効果」とは不動産投資のメリットでよく言われるのが「レバレッジ効果」です。レバレッジとはテコの原理のことで、少ない自己資金で大きなリターンを得るという意味でよく使われます。例えば、自己資金100万円を利回り10%で運用したとすると、年間の利益は10万円ですが、900万円のローンを組んで合計1,000万円で運用したとすると、年間の利益は100万円となり、たった1年で自己資金をペイできてしまうのです。このように、ローンを活用して不動産投資をすることで、自己資金の何倍ものリターンを得ることができるため、投資規模を容易に拡大していくことができます。メリット3:団信で生命保険代わりになるローンを組んで投資をすると聞くと、人によっては「多額の借金を負うようで怖い」と感じる人もいるようです。特に、自分自身に万が一のことがあったら、家族に多額の借金を残してしまうのではないかと心配する人も少なくありません。ですが、ご安心ください。不動産投資でローンを組む場合、同時に「団体信用生命保険」にも加入するため、万が一の時にも全く心配はありません。団体信用生命保険とは団体信用生命保険とは、ローンを組んでいる人が死亡した場合に、その時点におけるローン残高相当額の保険金がおりる保険のことです。例えば、4,000万円のマンションに投資をして、その後ローン残高2,000万円の時に本人が病気などで死亡した場合、2,000万円の保険金が支給されて、残りのローンが自動的に完済します。残された家族には、ローンのなくなった賃貸物件だけが残るので、家賃収入を遺族年金代わりにしたり、売却して保険金代わりにしたりすることができるのです。このように、不動産投資には生命保険としての機能も備わっています。メリット4:確定申告で還付される?サラリーマンの節税効果不動産投資で発生する所得のことを「不動産所得」と言います。不動産所得は税務申告上、他の所得との間で赤字を相殺できる「損益通算」が可能です。この仕組みを利用すれば、下記イメージ図のように、不動産所得で生じた赤字を給与所得から相殺できるため、サラリーマンであれば確定申告によって所得税の還付を受けることができます。不動産所得が赤字でもキャッシュフローが黒字になるわけ不動産投資が節税になる一番の理由は、キャッシュフローが黒字のまま不動産所得を赤字にできることにあります。不動産投資をすると、購入した建物部分の価格については減価償却することになるため、毎年減価償却費という経費を計上することができます。節税できる2種類の税金ただ、減価償却費というのはあくまで減価償却という帳簿上の経費計上の仕組みであるため、実際に減価償却費という経費がキャッシュアウトしているわけではありません。そのため、実際は家賃収入でキャッシュフローは黒字でも、帳簿上の不動産所得は赤字にできるため、それをサラリーマンの給与所得にぶつけることで、所得税と住民税という2種類の税金が節税できるというわけです。メリット5:インフレに強い資産である日本は長期的にデフレから脱却できずにいますが、今後急激にインフレになることも十分想定されます。インフレが生じた際に預金資産を大量に抱えていると、物価が上昇してしまうため、資産が大幅に目減りしてしまうのです。一方で、不動産投資によって不動産を所有していれば、万が一インフレになったとしても、物価の上昇とともに不動産価格も上昇する可能性があるため、預金資産よりもインフレに強いと言われています。このように、不動産投資にはたくさんのメリットがありますので、初心者の方でも安心して始めることができます。本当はリスクが高い?低い?不動産投資のデメリットメリットの多い不動産投資ですが、投資である以上は必ずデメリットもあります。ここでは、初めて不動産投資をする方が、最低限覚えておいた方がよいデメリットについて次の2つをご紹介したいと思います。賃貸経営は「空室リスク」との戦いオーナーの頭を悩ます「滞納リスク」[adsense_middle]デメリット1:賃貸経営は「空室リスク」との戦い不動産投資最大のメリットでもある「家賃収入」ですが、家賃収入を得るためには常に部屋を賃借人に貸していなければなりません。ですが、いつも満室であるとは限らず、むしろ保有物件の1割程度は空室があることが一般的であるとも言われています。空室期間については収益が大幅に減ることになるため、あまり長くその状態が続くとローンの返済が厳しくなる可能性が出てくるのです。募集条件とリフォームを工夫することでリスクヘッジ空室リスクを回避するためには、ただ単に募集に出すのではなく、次の2種類のポイントに基づいて対策を打つことが大切です。礼金ゼロ?募集条件を工夫する募集家賃が相場からかけ離れていると、空室が長期化してしまいます。たとえ近隣相場が値下がりしていなくても、賃貸需要は季節によっても変動しますので、夏の暑い引越し閑散期に空室が発生した際には、家賃を値下げして募集するといった工夫が必要です。また、どうしても家賃を下げたくないのであれば、礼金をゼロにするなど、募集条件にアレンジを加えるとよいでしょう。少額でも効果大!リフォームを工夫する賃貸物件は都内でも供給過多の状況にあるため、空室になった際にコストだけを考えて最低限のリフォームだけを行っていると、結果として空室が長引いてしまう可能性があります。では具体的にどのようなリフォームをすればよいのでしょうか。アクセントクロスで印象に残る部屋にするウォシュレットや浴室乾燥機を設置する畳やカーペットをフローリングにするこれらのように、大掛かりなリフォームというよりは、通常の原状回復工事にプラスアルファ付加価値のある施工をすることで、他の物件と差別化を図ることができます。最近では、IKEAなど安くてデザイン性の高いインテリアが増えてきていますので、そういったものも積極的に取り入れていくとよいでしょう。デメリット2:オーナーの頭を悩ます「滞納リスク」オーナーが直面する問題で、最も解決が難しいのが「家賃滞納」です。昭和のころは終身雇用が一般的だったため、収入が安定している人が多く、家賃滞納はそこまで大きなリスクではありませんでした。ところが、終身雇用が崩壊した昨今、収入が安定せず、たびたび家賃が滞納するケースが増えているようです。管理会社任せでは解決が難しい理由管理会社に丸投げすれば大丈夫、そう考えている人も多いのですが、確かに管理会社に委託すれば賃借人に連絡くらいはしてくれますが、本格的に家賃を取り立ててもらうことはできません。そもそも、滞納家賃の督促は債権回収に該当するため、弁護士以外の人間が行うと非弁行為となってしまい違法なのです。つまり、家賃滞納が発生したら、最終的にはオーナー自身で対処するか、弁護士に依頼することになります。保証会社でリスクヘッジ可能家賃督促をやりたくないという方は、保証会社を利用することでリスクヘッジができます。保証会社とは、賃借人からの依頼を受けて家賃等を保証してくれる会社のことで、万が一家賃滞納が発生しても、保証会社が速やかに立て替えて支払ってくれるのです。最近では、集金代行もセットで委託できる保証会社が増えており、家賃が滞納しても自動で立て替えてくれるため、滞納という状態自体が発生しません。また、賃借人の累積滞納額が増えて建物の明け渡しを求める場合についても、訴訟費用や強制執行の費用などすべて保証会社が負担してくれるので、滞納リスクについてはほぼ完全に解消できるでしょう。初心者やサラリーマンにおすすめの不動産投資運用法不動産投資の中にも、幾つかの運用法があります。そこで今回は、初心者やサラリーマン投資家におすすめの運用法についてご紹介したいと思います。[adsense_middle]手頃な価格から始められる分譲マンション投資不動産投資は大きく分けるとアパートやマンション一棟に投資する一棟投資と、分譲マンションの一部屋に投資する区分マンション投資の2種類があります。一棟投資ですと、一度に投資する金額が大きくなるため、ハイリスクハイリターンであるのに対し、区分マンション投資は手頃な価格で購入できるローリスクリターンであるため、経験の浅い初心者や、サラリーマン投資家は区分マンション投資から始めて経験を積むことがおすすめです。ワンルームの分散投資で賃貸経営のリスク管理分譲マンションであれば、一棟アパートとは違い別々の地域に分散投資することが可能です。災害が多い日本において、狭いエリアに集中して物件を所有することは大きなリスクとなるため、分散投資することが最大のリスクヘッジとなります。急な転勤、住宅活用で始める不動産投資不動産投資で成功している人の中には、もともと自己使用目的の住宅、つまりマイホームとして購入した物件を賃貸に出すことから始めた人も多くいます。例えば、住宅ローンを組んで購入したものの、すぐに転勤が決まった場合、売却するのではなく、他人に貸して家賃収入を得ることで不動産投資が始まったというケースは比較的よくある話です。「住宅ローン」でも他人に賃貸できるというメリット住宅ローンは不動産投資ローンとは違い、マイホームを購入するということで、低金利で貸し付けてくれるローンです。そのため、通常は住宅ローンで不動産投資をすることは絶対にできないのですが、転勤などやむをえない事情で賃貸に出す場合については、例外的に金融機関の了承を得られれば、住宅ローンでもマイホームを他人に賃貸できる場合があります。マイホームから引越しをする際には、すぐに売却するのではなく、賃貸に出すことも一つの選択肢にすると面白いでしょう。不動産投資のリスクに関するまとめ不動産投資には魅力的なメリットがある一方で、空室リスクや家賃滞納など一定のデメリットがあることもお分かりいただけたでしょうか。ただ、デメリットのほとんどは今回ご紹介したような対策をとることで、十分リスク管理することが可能ですので、そこまで心配する必要はありません。不動産投資のリスクが高いと感じている方は、リスクの低いワンルーム区分マンション投資から始めてみてはいかがでしょうか。
2019年09月25日不動産投資というと、ひと昔前までは地主や資産家がすることというイメージがありましたが、最近では、年収400万円前後の一般的なサラリーマンの方でも、大家さんとなって家賃収入を得る人が増えています。そこで本記事では、これから不動産投資を始めてみようと検討中の初心者の方向けに、不動産投資の基本的な仕組みやメリット、始める際のポイントや注意すべき落とし穴などについて解説していきたいと思います。不動産投資で利益が出る仕組みとは?【総務省】第1部特集人口減少時代のICTによる持続的成長ワンルームの区分マンションの場合、都内でも中古物件であれば1,000万円程度でも購入できるので、初心者の方が不動産投資の経験を積むには最適と言えます。駅から徒歩10分圏内の住宅街の物件物件を選定する上で非常に重要なポイントとなるのが「立地」です。特に電車移動が生活の基本となる都心部の場合、最寄駅からの徒歩分数が賃貸募集した際の入居者の付き具合に大きな影響を及ぼします。具体的に言うと、最寄駅から徒歩10分圏内の物件であれば、比較的安定的に入居者が決まるため、失敗する確率は低いでしょう。徒歩10分以上の物件については、入居者が決まりにくくなるだけでなく、金融機関から見た物件の担保評価も低くなるため、希望する額の融資が受けられない可能性も出てきますので覚えておきましょう。出費が少ない新築不動産投資で失敗しないためには、できる限り予期せぬ出費を発生させないことが大切です。ただ、不動産という物的資産に投資する以上は、保有している間にエアコンや給湯器、ガスコンロなどといった設備について修理や交換が必要になります。中古物件に投資すると、設備についても古い状態からスタートするため、購入後の比較的早い段階で修理や交換が必要になるリスクがありますが、新築であればしばらくの間はそういった出費のリスクは回避することが可能です。ポイント2:初心者投資家が必ず覚えておくべき用語「利回り」とは?不動産投資で物件選定をする際に、絶対に知っておかなければならない指標が「利回り」です。利回りとは、配当の元金に対する割合のことで、不動産投資に置き換えると、年間家賃収入の物件価格に対する割合となります。例えば以下の2つの物件を比較する場合、利回り計算をすることで収益率のよい物件を見分けることが可能です。物件価格1,000万円で、年間家賃収入合計が60万円のマンションX物件価格1,600万円で、年間家賃収入が80万円のマンションY利回り計算をすると次のようになります。マンションX=6%マンションY=5%よって、マンションXの方が収益率のよい物件と判断することができるのです。利回りは物件選定をする際の重要な指標となりますので、意味と計算方法について覚えておきましょう。利回りを勘違いすると落とし穴にはまる利回りには次の2つの種類があり、どちらの利回りを指しているのかによって、大きく意味が変わってきます。表面利回り(グロス利回り):年間家賃収入を物件価格で割った利回り。実質利回り(ネット利回り):年間家賃収入から必要経費を差し引いた実質的な収入を物件価格で割った利回り。表面利回りについては、不動産投資で発生する経費である管理費や修繕積立金といった出費を一切考慮していない大まかな指標にすぎないため、実際の利回りを知るためには実質利回りで計算する必要があります。ところが、募集広告や募集図面に表示されている利回り、さらには営業マンの口から発せられる利回りのほとんどは表面利回りであるため、初心者投資家がその利回りを見て、実質利回りと勘違いしてしまうケースがあるのです。利回りという表記を見つけたら、実際の利回りと勘違いしないよう注意しましょう。初心者向けの不動産投資に関するまとめ不動産投資は様々な投資の中でも、銀行から融資を受けて投資ができるなど、他の投資にはないメリットがある点に大きな魅力があります。初心者の方でも管理会社の力を借りることで、サラリーマンを兼業しながらでも問題なく投資することが可能です。まずは、今回ご紹介した物件選定のポイントを参考に、物件選びから始めてみてはいかがでしょうか。
2019年09月05日かつて高い資産価値を誇っていたはずの不動産も、近年では少子化による「家余り」で売るに売れない「負動産」になるケースが増えているという。「不動産」ならぬ「負動産」とはなんだろう。「一般的に負動産とは、『持っているだけで資産的にマイナスになる不動産』のことを指します。もっともイメージしやすいのは、地方にある戸建ての空き家でしょうか。もともと住んでいた親は亡くなったものの、売却もできず子どもが固定資産税を払い続けているような状態は、負動産の典型例です。また、それに限らず『いまよりも価値が下がっていく不動産』も、大きな枠で負動産に該当すると私は考えています」そう語るのは、負動産問題の専門家で、相続・不動産コンサルタントの藤戸康雄さん。すでに国内にある「所有者不明」の土地は九州の面積を超す広さに達しているが、藤戸さんは「今後はさらに、マンションも含めた負動産が大幅に増加していくでしょう」と警鐘を鳴らす。「すでに都心でも、木が鬱蒼と生い茂った空き家を目にするようになりました。相続争いなどの問題もあるのでしょうが、もし所有者や相続人たちが『場所がいいから、売ろうと思えば高く売れる』と思っているのなら大間違いです。需要自体が減っているなか、不動産業者もいつ空き家状況が解消するかわからない物件より、いま売りに出ている土地や家を優先して扱います。都心でさえすでに『その気になればいつでも売れる』などという時代ではなくなっているのです」地方となればなおさらだ。もはや、不動産はプラスの資産になるどころか、売ることも貸すこともできず、固定資産税などのお金だけがかかっていく「負動産」になりうる時代。かといって、そのまま放置しておけば、さらに最悪のシナリオが待っている。それは「特定空家」に指定されること!「’15年5月26日に、『空家等対策の推進に関する特別措置法(空家対策特別措置法)』が全面施行されました。これはずばり、増え続ける日本の空き家をなんとかするべく、国土交通省の肝いりでつくられた法律です。この空家対策特別措置法に定められた『特定空家』に指定されると、最大で、固定資産税が更地の6分の1となる優遇措置の対象から外れるほか、市町村長から建物の除却や修繕、周辺環境のために必要な措置をとるよう(1)助言または指導、(2)勧告、(3)命令、と段階的に措置がとられます」最後の措置である命令に従わないときは、50万円以下の罰金刑が下される。「さらに、家屋倒壊の危険が大きいときは『行政代執行』といって強制的に家屋の取壊し除去が行われますが、そこにかかる費用はすべて所有者に請求されます。払わなければ、給与や財産を差し押さえて回収されることになるので、注意が必要です」特定空家に指定されるのは、次の4つの要件を満たしたとき。【1】そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態。【2】そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態。【3】適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態。【4】その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態。もはや、実家の「負動産」対策は待ったなし!まずは「不動産神話は完全に終わった」ことを、心に強く刻んでおこう。
2019年09月04日多くのご家庭にとって、家計費のなかでいちばんの支出は住居費(家賃)なのではないでしょうか? 人生100年時代、たとえば平均して10万円の家賃を30歳から100歳まで払い続けるならば、その総額は8400万円!(※)元の金額が大きいだけに、住居費を賢く節約できれば、節約効果は絶大なはず! でも、そんなことはできるのでしょうか? 子育て中のママがどう住宅を選べばいいのか、住居費に詳しいファイナンシャルプランナーの竹下さくらさんにお話を伺いました。竹下(たけした)さくらさんCFP®(国際ライセンス)。1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。自らの生活者としての経験を踏まえた、家計の見直しや、教育資金設計のご相談のほか、講演、執筆活動等を行っている。2児の母。※住居費の総額8400万円=(10万円×12ヶ月)×70年■家賃を下げてもらうのは、意外と簡単!?「同じ住まいを長く借りている人は、大家さんや仲介業者にひとこと言えば、月々5,000円分程度の家賃を下げてもらうのは、意外と簡単なんです」と、竹下さんは言います。なぜなら、住んでいる間にその物件は古くなっていくから。借りた時よりも古くなっている物件の家賃を下げてもらうことは、さほど無理なお願いでもないのです。筆者は住居費関連の取材で「家の更新時、家賃を下げてもらう交渉は、やるのがあたり前」といった論調を何度か耳にしました。大切なことは、こういった話を「知っていること」です。とかくお金のことは、「知っている」「知っていない」が、明暗を分けるのです。■30代で「家を買うこと」を本気で考える理由では、知っている人になるためには、どうしたら良いのでしょうか? これについては、お金のアンテナを立ててみるのが早道。アンテナを立てれば情報は自然と入ってきます。 けれども、「どうしてもお金のことは苦手で」という人も多いものです。そんな人は、“家を買うことを自分事として意識”してみてはいかがでしょうか?竹下さんは言います。「私は、『30代になったら、一度は家の購入を意識すること』をご提案することがあります。賃貸と購入で、何が違ってくるかというと、家計の引き締め度なんです。多くの家計相談にのってきて感じるのは、家を買おうと意識するだけで、家計が引き締まり、お金のアンテナも立つということです。現実を直視し、『このままじゃいけないな』と思われる方が多いからです。ずっと賃貸だと、そういう節目がない。それが、賃貸と購入の、お金のやりくり上手に差が付く一番の違いだと思います」■家購入のターニングポイントは、小学校入学前家を買うとなると。そのタイミングが気になるところです。「最初のお子さんの小学校入学が視野に入ってきた時期は、家を買うひとつのターニングポイントかもしれません。小学校の場合、受験をして私立などに行くのは、全体の2%。残りの98%は地域の小学校に通いますが、いじめの評判なども加味して、小学校に入る前に引っ越しておこうと考える親御さんは多いですね」(竹下さん)■住宅購入で気になる! 小学校の学区問題小学校となると、学区の問題も気がかりです。たとえば、評判のよい小中学区では越境禁止にしていて所定の地域内に住んでいることを求められます。せっかく引っ越すならいっそのこと買ってしまおうという流れで踏み切ると、予算がオーバーしてしまうというような場合も。そこで次の2択をどう考えれば良いのか竹下さんに教えてもらいます。Q.マイホーム購入の際、学区はどう考えればいいですか?□学区優先で、生活を切り詰める□学区を妥協し、無理なく生活する「はじめてのお子さんを持つ親にとって、小学校の学区が気になる気持ちは、すごくわかるんです。園時代のお友だちとの関係を重視するというケースも、気になるのは最初だけで、小学校に入ってしまえば人間関係も変わっていきます。実際のところ、学区に縛られるのは、小学校、中学校くらいまで。家を購入する際は、少し俯瞰(ふかん)した視点を持って欲しいのです。子どもが二人いたとしても、その子たちが小中学生なのは、せいぜい10年前後。一方で住宅ローンは35年で組むことが多く、子どもが巣立ったあとも支払いは続きます。学区を優先したばかりに、子どもが巣立ったあとも高額な住宅ローン返済に追われる生活になるのは避けたいところです」(竹下さん) 竹下さんは、さらに続けて教えてくれました。「子どもの教育を中心に住宅購入を検討するのであれば、最優先すべきは子どもの教育費にしわ寄せのこない物件価格です」(竹下さん)。子どもの教育費にしわ寄せのこない物件価格!?それって、いくらなのでしょうか? 次回は、そのあたりのお話しを、しっかりと伺いましょう。■今回のお話を伺った竹下さくら先生のご著書 『書けばわかる! わが家にピッタリな住宅の選び方・買い方』 (竹下さくら著/翔泳社 本体1,500円(税抜き))
2019年08月25日ご両親が亡くなるなど、相続はいつか必ず経験するものです。人生の中で何度も経験するものではありませんので、何から手を付けてよいか分からなくなってしまうものです。いざというときに慌てないように、まずは相続手続きの全体の流れを解説していきます。■ 1.相続の開始(相続人の死亡)makaron* / PIXTA(ピクスタ)1-1死亡届の提出(相続発生後7日以内)相続は人の死亡で開始します。人が亡くなった場合、まず死亡届を役所に提出しなければなりません。届け出をする役場は、亡くなった方の本籍地、死亡地、届け出をする方の所在地を管轄するいずれかの市区町村役場です。1-2「死体埋火葬許可証」がないとお葬式はできないmakaron* / PIXTA(ピクスタ)死亡届を出す際「死亡診断書」「死体検案書」のどちらかが必要になります。死亡診断書は病院で亡くなった場合または死亡理由が明らかな場合に医師が作成します。死亡検案書はそれ以外の場合に死亡の事実が確認された後に作成されます。これらが役所に受理されると「死体埋火葬許可証」が発行され、はじめてお葬式を行うことができます。■ 2. 遺言書などの確認(目安:初七日)CORA / PIXTA(ピクスタ)死亡の手続きが一通り終了したら、お葬式の手配をするのと同時に遺言書を遺品の中から探します。亡くなった人が住んでいた家のほか、貸金庫を借りていた場合などは、その中に保管されているケースが多いようです。2-1遺言書には3種類ある遺言書には、亡くなった人が自ら書いた自筆証書遺言のほか、公証役場にて作成する公正証書遺言や秘密証書遺言というものがあります。いずれも最新の日付のものが有効となります。自筆証書遺言の場合は家庭裁判所にて「検認手続き」が必要になるため、勝手に開封しないようにしましょう。2-2保険、年金関係の確認をする遺言書を探すのに加えて社会保険や生命保険などの保険関係や年金関係の手続きも確認します。関係機関の窓口を尋ねるか電話で問い合わせをし、亡くなった事実を伝え、その後どのような手続きをすべきかを確認します。■ 3.相続財産、相続人の調査(目安:四十九日)相続財産と相続人の調査を合わせて行います。これらを行うことは、適切な遺産分割を行うため、または相続税申告を行うために必ず行います。遺産の額や内容が分からないと正確な相続税の申告ができず、過少申告してしまうと加算税を課されることになります。3-1相続財産の調査kai / PIXTA(ピクスタ)相続財産の調査対象となるのは、不動産、預貯金、株式、投資信託、公社債、生命保険金のほか現金、ゴルフ場の会員権、骨董品などの動産などが該当します。宝石などの貴金属も相続財産です。3-2相続人の特定相続人の特定は、被相続人の現在の戸籍(除籍)謄本を取得することから始まります。これですべての相続人が分からない場合、死亡時からさかのぼって出生したときの戸籍までを順番に取得します。本籍の移動が伴う場合、複数の役所で謄本を取得する必要があります。「婚姻」「離婚」「養子縁組」などの身分事項から前妻との間に子供がいないか、養子や養親がいないかなどを確認し、知らない相続人がいたら、その相続人が被相続人の死亡時に生存していることを確認します。すでに亡くなっていた場合は相続関係が変わってきますので注意が必要です。■ 4.相続放棄をする(目安:相続後3~4か月)akiyoko / PIXTA(ピクスタ)相続において、プラスの遺産だけ引き継ぐことはできません。相続とは亡くなった人の財産をまるごと引き継ぐという制度です。相続放棄をしないまま期限が過ぎると、相続することを承認したとみなされます(=単純承認)。4-1手続きを放置すると単純承認とみなされる相続した財産を処分(消費、売却など)したときも単純承認したとみなされます。一度単純承認したとみなされると、期限が過ぎる前であっても以後放棄することはできません。相続放棄には家庭裁判所での手続きが必要です。この手続きは3か月を目途に行いましょう。4-2放棄により相続人が変わる夫が亡くなった場合、妻と子の相続放棄によって、夫の父と母に相続権が移ります。このことがあまり知られていないため、トラブルになることが多くあります。妻と子が相続放棄する場合、手続きをする前から意思表示しておかないと、父母や兄弟に迷惑がかかりますのでよく話し合っておきましょう。相続放棄による相続権の移動は、法定相続人の相続範囲である兄弟姉妹までとなっています。■ 5.遺産分割協議(目安:相続後4~10か月)Satoshi KOHNO / PIXTA(ピクスタ)遺産分割協議とは、相続人全員で被相続人(亡くなった人)の遺産の分け方を決める「話し合い」のことです。遺言書がない場合、相続人全員で遺産分割協議を行います。話し合いで決まった内容を書面におこしたものが「遺産分割協議書」です。5-1協議はなるべく早く行うトラブルを起こさず協議を終えるには、できるだけスピーディーに行うことがポイントです。様々な書類には、全相続人の実印が必要だからです。例えば、株などは換金のタイミングを逃せば大損する可能性があり、賃貸不動産を所有していた場合は、相続が発生した翌日から遺産分割協議が成立するまでの賃貸収入は、相続人全員に法定相続分での配分を求められるケースが多く、厄介です。5-2協議はやり直しがきかない遺産分割はやり直しができません。そのため、一歩間違うと、税金を余分に支払ったり、身内でトラブルになったりしかねません。さらに、法律改正が近年行われ、税金の計算はさらに複雑になっています。相続人だけでなく、ファイナンシャルプランナーや税理士などの専門家を交えて行うのも1つの手です。■ 6.不動産や預貯金などの解約・名義変更(目安:相続後4~10か月)Graphs / PIXTA(ピクスタ)不動産がある場合は遺産分割協議書にのっとり、名義変更を行います。単独の名義もあれば、複数の人の共有名義になることもあります。貯金や証券の名義変更も一緒に行いましょう。6-1預貯金の名義変更被相続人が死亡すると、被相続人名義の口座は凍結されて入出金が一切できなくなってしまいます。この凍結は自動的に解除されることはありません。相続人等の預貯金を相続した人が解除の手続きを行わない限り、そのお金は使えませんので手続きを行いましょう。必要書類がたくさんあるので、予め問い合わせておくのがベターです。6-2不動産の名義は単独にするのがおすすめ不動産を売却する際には、共有者(相続人の相続人等)全員の遺産分割協議が必要です。法律上は、自分の持ち分だけ売却することも可能ですが、現実的にはかなり難しくなります。そのため、不動産の共有名義はあまりおすすめできません。■ 7.相続税の申告(目安:相続後4~10か月)相続財産が一定額を超える場合は、相続税の申告と納付を行います。納付が必要な場合は相続が発生してから10か月以内に行う必要があります。相続税の申告が必要なのは、納付すべき相続税の金額がある相続人です。相続税の特例を利用して相続税がかからない場合でも、特例を利用するために相続税の申告は必要なケースがあるので注意が必要です。7-1相続財産は「時価」で評価相続財産の「評価額」を算定する際の原則は時価主義と言われるものです。取得後の価値の上下は考慮されません。ゴルフ会員権を500万円で購入後、相続発生時に100万円になっていたら、評価額は100万円とみなされます。7-2土地の評価方法では時価ではない不動産の場合は「路線価方式」という計算方法で算定されます。間違いやすいのですが、実勢価格や、公示価格、固定資産税の評価額とは異なります。目安としては「実勢価格の8割程度」と言われることが多いようです。また「小規模宅地」や「貸家建付地」などの特例があり、実勢価格に比べて相続の評価額が安くなるので、相続税対策に不動産を購入する人が多くいます。■ 8.まとめこのように相続には細かなタイムスケジュールが設定されているため、期限を過ぎてしまうと取り返しがつかなくなってしまううえ、かなり多くの手続きが必要となります。揃えておく書類もたくさんあります。これらの流れをフローチャートにして、1つ1つチェックしていくとよいでしょう。流れをしっかりと押さえて、相続が発生したときに慌てないようにしましょう。
2019年06月07日不動産というものは高額であるのでどうしても慎重になってしまうもので、その中で「買います」「借ります」と言わせるために営業は様々なテクニックを駆使します。今回は、新築マンションの不動産広告が「肝心な点をわざとぼかす」ことについてお話します。不動産取引において正直であることはもちろん大切なことですが、最初の内はぼかしておいた方がいいものもあるのです。■ 「肝心な点をぼかす」不動産の広告tkc-taka / PIXTA(ピクスタ)先日筆者はたまたま乗車していた電車内で新築マンションの不動産広告に注意を引かれました。「東京23区」「大手町〇分」「□□□線直通」「△△△線始発」「「2駅2路線利用可」「南向き」という言葉がデカデカと並んでいますが、肝心の最寄り駅がどこにも見当たりません。(恐らく見えないくらいの小さい字でどこかに書いてあるとは思います)不動産の営業を長くやっているとこれだけでおおよその場所とざっくりとした周辺環境までイメージできますが、一般の人にそこまで求めるのは無理でしょう。利用者のことを無視した不親切な広告と思いがちですが、こういう「肝心な点をぼかす」というのは新築マンションの営業ではよくある手法なのです。■ 肝心な情報をぼかすことで反響につながる!?Renoir / PIXTA(ピクスタ)港区・千代田区・中央区の「都心3区」などと違って東京23区内にも人気のないエリアは確実に存在し、そのような立地の物件で馬鹿正直に全ての物件情報を出してしまえば誰も見向きもしてくれない事態が十分に予想できます。今回の物件のように最寄り駅をぼかしておけば客はHPにアクセスするか業者に問い合わせをすることになり、そうなればHP制作者や営業マンの腕次第で立地面の不利を克服できる場合もあります。環状八号線と東名高速道路が交差する場所に建っているマンションを担当した営業に話を聞いたことがありますが、モデルルーム完成前というような初期の段階では現地案内まで立地を伏せるのに最も苦労したそうです。■ 客に勝手に物件を見に行かせないTOSHI / PIXTA(ピクスタ)土地や戸建てで住居表示の枝番が省略されていたり、マンションで部屋番号が明示されず「10階建ての7階部分」というような表記となっていることもよくあります。不動産業界において物件情報は所定の流通機構に登録して業界全体で共有化しなければならない定めとなっていますが、登録の段階でぼかされているので仲介会社の営業マンもこれだけでは客の案内ができません。物元の業者(売り主・貸主側の仲介会社)に内見申し込みを入れると初めて教えてくれるのですが、最大の狙いは客だけで物件を見に行かないようにするためです。最初から物件が特定できる状況になっていると客が勝手に物件を見に行き、外見だけで判断されてしまう恐れがあります。kazukiatuko / PIXTA(ピクスタ)不動産の真の価値は営業マンの説明のもとでしっかりと内部を確認して初めてわかるもので、素人判断で検討の対象から外されてしまってはたまりません。不動産は高額であるため売買にせよ賃貸にせよ簡単に成約となるものではなく、そのため客に「買います」「借ります」と言わせるために営業マンは様々な工夫を積み上げます。不動産業界特有の広告の出し方もそのうちの一つなのです。
2019年05月19日史上最長といわれる10連休のゴールデンウィークが終わりました。不動産会社の営業マンは休めた人と仕事だった人の両方かと思いますが、どちらのタイプであってもこれからしばらく「閑散期」というつらい時期がやってきます。たとえ閑散期といえど給料(歩合給)をもらうためには売り上げを上げなければならず、そのためには地道な努力が必要になります。■ 不動産会社にとってのGWとは7maru / PIXTA(ピクスタ)土日が書き入れ時となる不動産業者は水曜日が定休日という場合が多く、世間の人と休みが合わないというのはこの業界で生きている人にとってどうしようもない宿命です。そんな不動産会社の社員が世間並みに休むことができるのが年末年始とお盆休みですが、ゴールデンウィークに関しては休む会社と営業する会社の二通りに分かれます。新築マンションの営業にとっては1年で最も物件が動く時期であり、朝から晩まで商談と現地案内に追いまくられていました。賃貸物件の営業は会社によって違いますが、筆者の場合は出社したことの方が多かったと思います。歩合給の営業にとっては売り上げが上がれば休みなどどうでもいいもので、最終的に成約に結びついた反響が多く取れて「いいゴールデンウィークだった」と思ったことを覚えています。■ ゴールデンウィークが終われば「閑散期」キャプテンフック / PIXTA(ピクスタ)不動産業界は年が明ければ引っ越しシーズンに突入して猛烈に忙しくなるため、一段落する3月末までを「繁忙期」と呼んでいます。4月もなんやかんやで忙しさは継続しますが、ゴールデンウィークが終われば客足はパタッと止まってしまい、そこから長い長い「閑散期」が始まります。大企業や公務員の人事異動の関係で7月は少し忙しくなったように思いますが、その時期以外は12月まで比較的ヒマな毎日でした。とはいえ閑散期といえど個人で引っ越しをする人は年間を通して一定数います。また新婚カップルの新居用として1LDK~2LDKもある程度動きますが、賃料の高い3LDK以上のファミリー向け物件は繁忙期を逃してしまうとほとんど動きません。筆者が在籍していた会社では、売り上げが一定金額を下回った場合は歩合給が支給されない定めとなっており、この時期はどうしてもこれに引っかかってしまうことがあるため、その分まで繁忙期に稼いでおく必要がありました。■ 「閑散期」に必要な地道な努力makaron* / PIXTA(ピクスタ)閑散期だからと言って最初からあきらめてしまうと大変なことになってしまうため、不動産会社では「キャンペーン」と称してこの時期様々な対策をとるものです。部屋探しをしている人に物件を紹介する「客付け」の場合は自社サイトを改良して反響を増やすしかありませんが、オーナーから預かった物件を賃貸市場に出す「物元」の場合はいろいろと工夫の余地がまだあります。空き部屋に客を付けるにはできるだけ多くの営業から顧客に紹介してもらわなければなりません。賃料を下げれば検索に引っかかる回数が増え、また成約の場合にバックマージン(広告料とかADと呼んでいた)を付けることができれば営業が優先的に顧客紹介してくれます。これらの原資は全てオーナーが負担しなければならないため、当然ながら事前に交渉して了解を取らなければなりません。■ 長期空室物件の注意点shimi / PIXTA(ピクスタ)契約のためには内見が絶対に必要ですが、その際の印象が悪ければとても申し込みなどとれるものでないため、空き室は定期的に見回りをする必要があります。長期間にわたって空室になっている物件の場合、「封水切れ」と言って水回りの排水トラップの水が蒸発してしまって蓋になるものがなくなり、下水管から臭いやハエが室内に侵入していることがあります。床にホコリがたまっていることもあればゴキブリの糞が散乱していることもあり、こうした見回りに際してはペットボトルの水と清掃用具を持参する必要がありました。■ 安定している不動産会社とは?カワグチツトム / PIXTA仲介手数料しか売り上げの手段がない場合は社会情勢の影響を受けやすく、筆者の勤めていた不動産会社もリーマンショックや東日本大震災後の業績は散々でした。以前不動産会社はどう選ぶ?社名の「漢字か、カタカナか?」その差はとんでもなくデカい!という記事を投稿したことがありますが、地元に長く根付いて管理物件を多く抱えた不動産会社の場合は管理料や礼金、更新料等で毎月の売り上げが計算できるため、ガツガツした営業活動をする必要がありません。不動産会社に就職しようという場合、こういう点も考慮して選ぶようにした方が良いと思います。
2019年05月12日不動産登記とは、土地や建物の所在、地番、家屋番号、権利関係などを公の帳簿に記載し、一般に公開するものです。登記があることによって、不動産の持ち主や権利関係の内容が分かります。すでに住宅や土地があるなら、法務局で「登記識別情報」が取得でき、ここに情報が記載されています。ここでは、登記の役割とその重要性、住まいを購入する際にいくらかかるのかを中心に紹介します。■ 1. 不動産登記は何のためにするの?ino masa / PIXTA(ピクスタ)住宅を購入した人が必ず行わなくてはならないのが「登記」です。不動産購入したい人や不動産を担保に融資をしたい人が、スムーズに取引ができるようするもので、人間の住民票の登録にあたるものです。土地や建物の面積はどれくらいあるのか、誰が所有者なのかは外見だけでは分からないものです。こつづ / PIXTA(ピクスタ)土地の場合、境界線に杭が打たれていても、隣の土地とはっきりと線が引かれているわけではないので、隣の人と境界線の場所について主張が異なり、争いになるケースが少なくありません。そのため、物理的状況と権利関係とを法的に明確にしておくことは非常に大切です。また、土地や建物を担保にして複数の金融機関からお金を借りるときに、どの金融機関に貸付金回収の優先権があるかも登記をしておくことで明確になります(これを抵当権の設定順位と言います)。これらを記載することで、正確な不動産取引を円滑にすることができるのです。■ 2.登記しないとどうなるの?PHOTO NAOKI / PIXTA(ピクスタ)じつは、「登記事項証明書」の権利部(甲区・乙区)と言われる部分は、登記の義務がありません。登記申請を行わなくても、罰則はないのです。そのために、土地の名義が他界したままになっていて、売却時に名義変更していないことが判明するケースは非常に多くあります。親から受け継いだ土地を売ろうと思ったら、自分の名義になっておらず、売却までに手間取ってしまう人や、名義変更のときに兄弟ともめごとが起きて名義変更ができなかった、という話は少なくありません。また、AさんがBさんへ土地を売却したのに登記がなされなかったとき、AさんはCさんにも同じ土地を売ってしまったとします。Cさんは土地の登記を行いましたが、Bさんは登記を行わなかったら、Bさんが先に土地を買っても自分のものである主張ができません。このように登記は自分の物がどれだけあるかを主張する重要な判断材料なのです。■ 3. 家を買う際に必要な登記と費用は?自分の住まいを購入するときは、住まいが自分の持ち物であることを示すために「所有権保存登記」または、「所有権移転登記」を行います。「所有権保存登記」は、まだ所有権の登記がされていない不動産に初めて登記する際に行われ、新築住宅の登記はこれに該当します。「所有権移転登記」は、売買などにより、一度は登記したことがある不動産の所有権が移ったことを示すために行うものです。中古物件や土地は通常、こちらの登記方法になります。PIXTOKYO / PIXTA(ピクスタ)マンションは複数の所有者が土地を共有していて、専有部分の所有権と敷地の利用権を一体化しているため(これを敷地利用権といいます)、土地の登記は省略されます。登記手続きを一般の人が行うのは難しいため、一般的には一定の報酬を支払って司法書士に依頼するのが一般的です。住宅購入資金の残金を支払う時に一緒に支払い、銀行で行われることが多いようです。司法書士報酬(8~10万円程度)と登録免許税(売買なら固定資産税評価額の0.3~2パーセント)がかかり、どちらも買い主が費用を負担するケースがほとんどです。住宅ローンを利用するなら抵当権設定登記も行います。資金を貸し付ける金融機関(債権者)が住宅を担保にした証拠として登記を行います。この権利が登記されていると、ローンの支払いが滞ったときに差し押さえとなり、競売にかけられ、貸したお金を回収することができるのです。■ 4.まとめkazu / PIXTA(ピクスタ)住宅を購入する際は、ローンの支払いなど、ほかのことに気を取られがちですが、登記は非常に大切なものです。登記識別情報に目を通し、間違いがないか確認しましょう。購入時に確認しておけば、将来売却するときに慌てることがありません。しっかりと目を通すようにしましょう。
2019年05月10日いよいよ来年は待ちに待った東京オリンピックの開催年、2020年を迎えます。東京オリンピックを心待ちにする声がある一方で、さまざまな方面から「オリンピック後は不動産が暴落するのでは」と心配する声も聞かれます。果たして2020年の東京オリンピック以降、本当に不動産は暴落するのでしょうか?そこで今回は、「暴落する」という意見のなかで、代表的なものをいくつか検証してみましょう。■ 2020年に東京でも人口が減少するから不動産が暴落?ABC / PIXTA(ピクスタ)国立社会保障・人口問題研究所が2013年に公表した「日本の地域別将来推計人口(平成 25(2013)年3月推計)」では、東京の人口が減少に転じる時期を2020年としていましたが、 最新の推計(2018年3月30日公表)では、前回より10年遅い2030年が東京の人口のピークとされています。出生率が若干改善していることや都市への人口移動が続いていることなどから、都市の人口は当初の推計よりも減少に転じる時期が遅くなっているのです。つまり、東京の人口はまだ減少期に入らないので、2020年に東京の人口減少が理由で不動産が暴落することは考えにくい、といえるでしょう。■ 2020年にZEH基準が義務化されるから不動産が暴落?pixelcat / PIXTA(ピクスタ)経済産業省資源エネルギー庁は、2016年4月18日に策定された「エネルギー革新戦略」で、「2020年までに、ハウスメーカー、工務店等の建築する注文戸建住宅の過半数でZEHを実現することを目指す」という目標を掲げました。ZEH(ゼロエネルギー住宅)とは、住宅の高断熱化・高効率設備により大幅な省エネを実現するとともに、太陽光発電などによってエネルギーを創り、年間の「1次エネルギー消費量」を正味で、おおむねゼロ以下にする住宅のことです。実は、このZEHを義務化することが不動産を「暴落」させるという意見があるのです。bee / PIXTA(ピクスタ)法律の改正や新設などによって、以前の法律であれば問題なかった建築物が新しい法律の下では違法なものとなるような場合を「既存不適格」といいます。住宅を新築する場合、ZEHの基準が義務付けされれば、その後に市場へ供給される既存住宅(中古住宅)はすべて既存不適格の住宅となります。その場合、ZEH基準を満たしていない既存住宅は資産価値が激減し、そのような住宅が大量に市場に出ることで価格も下落していくのではないかと予想されているのです。freeangle / PIXTA(ピクスタ)しかし、2019年2月15日に「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律の一部を改正する法律案」が閣議決定され、「戸建住宅等に対する措置」として、「設計者である建築士から建築主に対して省エネ性能に関する説明を義務付ける制度を創設」することになりました。つまり、戸建住宅に関しては2020年にZEH基準は義務化されるどころか「建築主に省エネ性能を説明する義務」に止まることになったため、この理由で2020年に不動産の暴落が始まることはなくなりました。■ 2020年のオリンピック後に訪日外国人旅行者が激減?momo / PIXTA(ピクスタ)日本政府観光局(JNTO) によると、訪日外国人旅行者は2013年から1,000万人を超え、その後も年々増加し続け、2018年には3,119万人を突破しています。このような状況のなかではオリンピックが終わった後でも急激に訪日外国人旅行者が減ることは考えにくく、この理由で不動産が暴落することはないでしょう。■ 2020年から管理不全のマンションが増加し都心のマンションが暴落?スイマー / PIXTA(ピクスタ)少子高齢化の進行や、しっかり機能しない管理組合が増えていくこと等によって、管理不全のマンションが増加していく可能性が高いのは間違いありませんが、この問題は日本の区分所有建物がこれからどのように発展・進化するかについての大きなテーマであり、短期的な市況判断(○○年に暴落する等)とは全くの別物だと考えるべきでしょう。また、「2020年までにキャピタルゲインを狙って投資家が投資物件を大量に売りに出す」という声も聞かれますが、東京で人口減少が始まるのはまだ先であり、訪日外国人旅行者が年々増加しているなか、投資家の多くが「2020年に東京の不動産価格はピークを迎える」と考えるでしょうか?2020年を目前に控えた現在、マーケットにはまだその兆候がみられません。J6HQL / PIXTA(ピクスタ)不動産の暴落・急騰を正確に予想することは誰にもできません。実際には明日、不動産の暴落が始まるかもしれませんし、この先数十年、地価は安定して推移していくかもしれません。これから不動産取引を考える場合に大事なのは、あまり「過激なアナウンス」に影響されず自分にとって必要な時に必要に応じた取引を心がけることではないでしょうか。※参考国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(平成30年推計)」国土交通省報道発表「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律の一部を改正する法律案」日本政府観光局「訪日外客数」
2019年05月07日筆者は分譲マンション、賃貸マンションの営業、マンション用地の仕入れ、分譲マンションの管理とマンションを巡る様々な場所で仕事をしてきました。突き詰めるとどれも人対人の個々の人間関係にまでたどり着くことになり、スムーズに仕事を進めるためにはお互いの信頼関係というものが重要になります。今回はお客様と信頼関係を構築する上で筆者が使った小ワザをご紹介します。■ 信頼関係は日頃の積み重ねからfreeangle / PIXTA(ピクスタ)必然的に長いお付き合いとなる管理と比べ、売買や賃貸の仲介は一期一会の積み重ねで「契約が済めばそれっきり」という要素が強いもの。ある日突然「他社の物件で決めました」という電話がかかってくることを未然に防ぐためには信頼関係を構築しておくことが大切です。しかし信頼関係というものは一朝一夕に築けるようなものではなく、やはり日頃の積み重ねが大事です。そのため筆者はカバンの中にちょっとした小道具を常備していました。■ 顧客を安心させるためカバンに常備していたものU-taka / PIXTA(ピクスタ)信頼関係を築く方法は様々ですが、顧客の疑問に対してその場で何らかの回答を出すということは特に大切です。そのための手段としてフロント時代の筆者はカバンにクラックスケールと打診棒を常備していました。鉄筋コンクリート造のマンションの場合どうしても細かなひび割れ(クラック)がつきものですが、幅が0.3ミリ以下のものは構造体に影響を与えない「ヘアークラック」として放置しても差し支えないとされており、クラックスケールをあてれば0.3ミリ以上か以下かその場でわかります。U-taka / PIXTA(ピクスタ)また、タイルの躯体への接着が不十分だと将来剥がれて落下する恐れがありますが、打診棒で表面を撫でれば浮いているかどうか音の違いで判断可能です。これだけでは実際には大したレベルのことはできませんが、お客様から出された不安に対してカバンから颯爽と器具を取り出し、危険性の有無をその場で判定して「特に問題はありませんよ」と言ってあげることで「この人は良く分かっている」と思ってくれるはずで、そのぶんだけ信頼度がアップします。少なくとも筆者はそう信じていました。■ カッコよく採寸するコツ賃貸物件の営業をしていると内見のための案内が日常的にありますが、その際は必ずメジャーを持参するようにしていました。引っ越しがいよいよ具体性を帯びてくるとどのお客様もメジャーを持ってきますが、お部屋探しを始めたばかりの段階ではそうでない方が多いからです。内見時に部屋の寸法が問題となった時、「私が測りましょう」とカバンからすぐにメジャーを取り出すことの重要性は先ほど述べたことと変わりませんが、どうせ測るならスマートにカッコよくやればお客様からの信頼もその分だけ厚くなるというものです。高さを測る場合、まずメジャーの先端部分を床と壁の角にあてます。そしてメジャーを伸ばして折り曲げ、高さを測りたい場所にあてて数字を読み取れば立ったまま、しかも片手だけで高さを測定できます。同様にすれば幅も床に這いつくばったりせず、立ったままで測定することができます。こうして「俺は経験豊富な専門家だ!」とアピールしておくことは仕事をスムーズに進めるうえで重要です。■ カーテンレールの写真が必要な理由契約が終わり、鍵の引き渡しが近づいてくると「部屋の寸法を測りたいのでもう一度入らせてほしい」という依頼をいただくことがよくあります。この段階ではまだ契約開始前なので仲介会社の営業が必ず立ち会いますが、その際に筆者はカーテンレールの写真を撮っておくことをお勧めしていました。カーテンをオーダーメイドで作る際、カーテンレールの形状によってフック部分が変わってくるため、サッシの寸法だけでは作成できない場合があります。そうなると仲介会社に頼んでさらにもう一回中に入れてもらわなければならず、営業にとってもお客様にとっても手間が増えます。「カーテンレールの写真を撮っておくといいですよ」と一言いうだけで余計な手間も防ぐことができますし、お客様からは「あら、この人詳しいのね」と思っていただけます。様々なタイプのお客様を相手にする不動産の世界ではハッタリというものも意外と重要なのです。
2019年04月14日地震大国の日本。平成の間には阪神淡路大震災や東日本大震災など大きな地震が発生しました。地震の恐ろしさは、いつどこで発生するか誰にもはっきりとは分からないこと。あなたの家庭では、地震の被害を予防したり、最小限に留めたりするためにどのような対策をとっていますか?今回は、木造耐震設計事業など手掛けるエヌ・シー・エヌが実施した都道府県別「耐震に関する全国意識調査」の結果をご紹介します!■ 耐震意識が高いのは地震の危険性が高い地域この調査では、全国の2,889名に対し「住宅の耐震意識」と「地震への備え」に関する質問をして、都道府県別の回答率をスコア化して、そのスコアを合計した値をもとに「耐震県」ランキングが作成されました。IYO / PIXTA(ピクスタ)調査で聞かれた質問は次の通りです。その結果、スコアが高かった「耐震県」ランキングトップ5は以下のようになりました。1位……神奈川県(4,253点)2位……岩手県(4,186点)3位……兵庫県(4,179点)4位……宮城県(4,125点)5位……青森県(4,092点)1位は神奈川県。最近では大きな地震被害はありませんが、首都圏で地震が発生した場合は大きな被害を受ける可能性があるためか、防災に対する意識が高いようです。haku / PIXTA(ピクスタ)2位は1995年に阪神・淡路大震災で大きな被害を受けた兵庫県、そしてトップ5に東北3県と6位に福島県が入っています。shiii / PIXTA(ピクスタ)2011年の東日本大震災で大きな被害を受けた東北地方では、まだ大地震の記憶が新しいと思われます。enase / PIXTA(ピクスタ)■ 耐震意識の低い県1位は「広島県」!では、逆に耐震意識の低い都道府県はどこでしょうか?下位の5府県は以下のようになりました。43位……香川県(3,164点)44位……長崎県(3,136点)45位……京都府(3,134点)46位……島根県(3,121点)47位……広島県(2,557点)地域はまちまちですが、最も耐震意識の低い2県はこれまであまり大地震が起きていない中国地方の2県です。たっきー / PIXTA(ピクスタ)上の地図を見ると分かるように、耐震意識の高い県は軒並み太平洋側に面しており、低い県はほぼすべてが日本海側となっています。地震の多い地域と少ない地域でこのようにきっぱり意識が分かれる結果が出ました。cba / PIXTA(ピクスタ)■ 「震度7以上の地震が起きる可能性」が最も高いと思う県は?上記の質問のほかに、地震に対する意識を調査するため「自分の住むエリアで、今後30年以内に震度7以上の地震が起きる可能性があると思うか?」について地震に関すると質問しました。「思う」と答えたのはなんと「徳島県」が最も多く78.0%。nobutti / PIXTA(ピクスタ)次いで「山梨県」(75.0%)、「静岡県」(73.0%)が上位3位となっています。まちゃー / PIXTA(ピクスタ)反対に少なかったのは、「富山県」がダントツ1位で14.0%。次いで沖縄県23.0%、そして長崎県23.8%という結果でした。まちゃー / PIXTA(ピクスタ)富山県は日本でもこれまで地震の影響が最も少なかったと思われる県。しかし、日本ではいつどこで地震があるか分かりませんから、油断は禁物です!■ 地震多発地域では住居の「耐震」に対する意識が高い!次に、「現在の住居は、どの震度まで耐えると思うか」と尋ねました。haku / PIXTA(ピクスタ)「震度7以上」と答えた人が最も多かったのは「福島県」で26.2%、震度6では36.9%、震度5は13.8%で、震度6以上と答えた人が全体の63.1%、震度5以上は76.9%と高率になりました。MediaFOTO / PIXTA(ピクスタ)2位の「宮城県」も震度7が24.2%、6が47.0%、5が12.1%で、震度6以上が71.2%、5以上が83.3%となりました。5位までの県では震度5以上に耐えると思う人が全体の75~80%前後とかなりの高確率になっています。一方、順位の低い県を見ると、ここでもやはり「富山県」で、震度7まで耐えられると答えた人はたったの3.5%!また「わからない」と答えた人が40.4%とかなり多く、耐震住宅に関する意識や興味がかなり低いことが見受けられます。EKAKI / PIXTA(ピクスタ)以上、耐震意識に関する全国調査の結果についてご紹介しましたが、いかがでしたか?家族や資産を守るためにも、普段から防災に関する意識を高くして、いざというときのために備えたいものですね!【参考】※<耐震・地震に関する全国意識調査>耐震意識の高い「耐震県」1位は、47位は広島にーエヌ・シー・エヌ
2019年04月09日あなたはどんな時に不動産会社を利用しますか?「家を借りたい」「家を売りたい」「家を買いたい」など、その理由は人によって異なります。不動産会社を選ぶときは、その目的によって選ぶべき会社が違ってきます。種類と特徴を理解して、自分にとってベストな不動産会社を選ぶべきです。■ 不動産会社によって得意・不得意な分野があることを知ろう!cba / PIXTA(ピクスタ)不動産会社とひと口にいっても、いろいろな種類があります。大きく分けて不動産の業務には管理と仲介があります。管理とは、賃貸住宅を借りて、実際に住んでから関わる業務全般のことで、業務を行う会社を「管理会社」といいます。仲介会社は、いわゆる「仲人」のようなもので、賃貸住宅の貸し手と借り手、不動産の売り手と買い手を結びつける役割を行います。1. 管理会社の業務吉野秀宏 / PIXTA(ピクスタ)管理会社は家賃の入金管理、滞納督促、退去時の精算業務など、賃貸住宅へ入居している間のお金に関わることを管理しています。また、設備が故障した際の修理手配、共有部分の定期メンテナンスを行います。2. 仲介会社の業務cba / PIXTA(ピクスタ)仲介会社は、いわゆる「仲人」のような仕事です。賃貸住宅の貸し手と借り手、不動産の売り手と買い手を結びつけることを行います。マンションを購入したり借りたりする際は、仲介会社にお世話になることになります。3. 不動産会社の特徴を知るためにはサイトを確認するGraphs / PIXTA(ピクスタ)仲介会社は、成約したときの仲介手数料が収入源のため、1人でも多くのお客さんに部屋を借りてもらおうと広告活動を行います。広告活動としては、大半がインターネットの住宅ポータルサイトを利用しています。借主や買主は不動産会社に来店する前に、大半の人がインターネットサイトを見ています。そのために、その不動産会社がどんな物件をポータルサイトに掲載しているかを確認すれば、どのような特徴を持っているかがある程度分かります。賃貸が得意であれば、賃貸物件の掲載件数が多くなり、売買が得意であれば売買物件が多く掲載されています。賃貸7~8割、売買2~3割くらいの数が賃貸・売買ともに力を入れている不動産会社の標準的な掲載割合でしょう。■ 不動産会社のタイプを理解しよう次に、不動産会社の事業規模をチェックしましょう。会社の規模が、どんな事業を行っているか理解する際の手掛かりになります。1. 大手不動産会社PIXTOKYO / PIXTA(ピクスタ)※写真はイメージです全国展開し、テレビCMが多く放映されているのが、このタイプの不動産会社です。フランチャイズに加盟している地元企業とは異なり、自社でアパート建設なども行っています。大手不動産会社が手掛けているために、見学から入居、管理まで一貫して同じ会社に関わってもらうことが可能となります。2. 地元の不動産会社freeangle / PIXTA(ピクスタ)※写真はイメージです地元密着型の不動産会社で、フランチャイズの看板をあげていることが多いのが特徴です。仲介している物件数も多く、地元の企業なので気軽に利用できます。地元不動産会社は、抱えている物件がほかのタイプに比べ多いため、対応が手薄になることがあるので注意が必要ですが、地元密着であることを考えると、一番訪問しやすく、利用しやすいと予想されます。3. 家族経営や個人経営など小規模な不動産会社saki / PIXTA(ピクスタ)※写真はイメージです扱う物件は少ないものの、掘り出し物の物件が見つかるケースが多いのが、このタイプです。営業規模が小さいために、すべての物件をカバーしているわけではないことに注意すれば、親切丁寧な対応をとってもらいやすいので、満足度は上がります。■ まとめMills / PIXTA(ピクスタ)信頼できる不動産会社探しは、物件探しを始める前にするべきことです。理想の物件が手に入れられるかは不動産会社の選び方次第と言っても過言ではありません。扱う不動産の種類や数が会社ごとに異なるのがその理由です。いろいろな角度から不動産会社を調査し、その特徴を理解したうえで不動産会社を選ぶべきです。
2019年04月08日2018年は「横浜」が初めて第1位に輝くなど、最近では東京以外の街に注目が集まっている関東の住みたい街ランキング。生まれた時から現在も横浜に住んでいる筆者の友人は、「昨年のランキングが発表されてから、さらに駅前が活気づいている気がする」と言っていました。それほど、このランキングの注目度が高いと言えるでしょう。2019年も「SUUMO住みたい街ランキング2019 関東版」が発表されました。■ 都心の駅か、神奈川 or 埼玉のターミナル駅かに分かれた結果に株式会社リクルート住まいカンパニーが、20~49歳男女の関東(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県・茨城県)居住者を対象にした「住みたい街」のアンケートを実施しました。今回のランキングを見てみましょう!首位はまたしても「横浜」となりました!これで「横浜」は2年連続の第1位に。たっきー / PIXTA(ピクスタ)2位は「恵比寿」、3位は「吉祥寺」と「住みたい街ランキング」の常連組2つが後に続きます。そして注目すべきは4位の「大宮」!kazukiatuko / PIXTA(ピクスタ)大宮はこれまで20位前後を行き来していましたが、昨年の9位を経て今年は初のトップ5入りを果たしました。そして5位以下は「新宿」、「品川」、「目黒」、「浦和」、「武蔵小杉」、「鎌倉」という順位に。トップ10全体を見てみると、東京都から5駅、神奈川県から3駅、埼玉県からは2駅がランクイン。そして埼玉は「大宮」と「浦和」だけでなく、「さいたま新都心」が29位から23位、「武蔵浦和」が83位から67位とさいたま市の中核駅が上昇しました。都心のど真ん中にある駅か、神奈川と埼玉にあるターミナル駅かという二極化が目立つ結果となっていることがわかります。またトップ10のうち、山手線の駅が4駅を占めました。そして「新宿」が7位から5位に上昇しただでなく、「三鷹」が38位から16位に、「立川」が22位から18位とJR中央線の中核駅も上昇。t.sakai / PIXTA(ピクスタ)三鷹も立川も、新宿へのアクセスの良い街です。この二つの順位が上がったことを考えると、新宿自体の人気が上がっていると言えます。そして「柏の葉キャンパス」は圏外から90位、「守谷」は68位から51位、「研究学園」は56位から46位、「つくば」は51位から35位、「流山おおたかの森」は46位から41位とつくばエクスプレスで開発の進む駅も上昇を見せました。kawamura_lucy / PIXTA(ピクスタ)開業から13年経ったつくばエクスプレスはここ数年で利用客が伸び続けているんだとか。ファミリー層を中心に人口も増え、タワーマンションも年々増加して住みやすくなってきていることから、このような結果になったのでしょう。■ 利便性が高いのに物件価格が割安なイメージがある街は?次に見ていくのは、「穴場だと思う街ランキング」です。アンケート対象者に、交通利便性や生活利便性が高いのに家賃や物件価格が割安なイメージがある街を調査しました。1位「北千住」、2位「赤羽」、3位「和光市」というトップ3が2年連続で同じという結果になりました!aki / PIXTA(ピクスタ)この3駅は「住みたい街ランキング」でも20位、32位、33位と上位になっていました。sunny / PIXTA(ピクスタ)「和光市」「大宮」などの始発駅や、「駒込」「田端」「池袋」など山手線のなかでは家賃の安い北側エリアの駅が上位にくる傾向がありました。また、「中野」「海老名」「新宿」などが去年と比較して大幅にランクアップしました。中野や新宿は、都心の駅なのでとにかく家賃や物件価格がとても高いイメージがありますが、探してみると意外とそこまで高くないと感じている人が少なくないのかもしれません。海老名は2015年10月に大型商業施設「ららぽーと海老名」がオープンするなど、ベッドタウンとしての機能だけではなく、わざわざ足を運びたくなる街へと進化している街。HAKU / PIXTA(ピクスタ)今年は5位でしたが、今後はさらにランクアップする可能性があります!穴場だと思う街は、住まい探しをしている人にとってはとても参考になりそうですね。■ 住みたい自治体では港区と世田谷区が2年連続のツートップ!最後に、「住みたい自治体ランキング」をご紹介します。1位の「港区」、2位の「世田谷区」が3位以下を大きく引き離して2年連続トップ2となりました。まちゃー / PIXTA(ピクスタ)しかし、昨年と比較すると「港区」は-337pt、7位の「千代田区」は-290pt、8位の「文京区」は-252pt、11位の「中央区」は-197ptと都心の中心区が大きく得点を落としたことも注目すべき点です。保育園の入りにくさといったポイントも加味されているのかもしれません。一方で9位の「鎌倉市」は+193pt、12位の「武蔵野市」は+119pt、19位の「浦安市」は+105ptなど、郊外の自治体が大きく票を伸ばしました。LEOSHOU / PIXTA(ピクスタ)人気が都心と郊外とで分かれたのは「住みたい街ランキング」と同様でしたが、「住みたい自治体」となると、より郊外の方が人気が高まっていることがうかがえた今年の結果でした。神奈川のベッドタウンは以前から根強い人気がありましたが、今年は埼玉の飛躍が目立った「住みたい街ランキング」。2020年は3年連続で横浜が1位となるのか、はたまた横浜をしのぐ人気の街が出てくるのか。今後も注目したいところです。【参考】※SUUMO住みたい街ランキング2019 関東版総合1位は2年連続で「横浜」「大宮」が初のトップ5入り!!
2019年03月15日投資信託とは金融商品の一種です。投資信託のことをファンドなどと呼んだりもします。元本は確保されていません。つまり、損をする可能性があります。投資信託とファンド:広い意味では、ファンドとは運用する金融機関などを指す場合にも使われる。本記事ではファンドとは投資信託のことを指す。損をする可能性:基本的にどの投資信託を選んでも、損をする可能性がある。何を選んでも、ずっと運用成績が良い、ということはない。投資信託の大まかな仕組みを言葉で表すと、次のようなものです。投資信託は、多数の投資家から資金を集め、第三者である専門家がその資金を運用・管理し、その運用による利益を出資割合に応じて投資家に還元する仕組みである。出典:金融商品ガイドブック2018年度版投資信託とは何かをかみ砕いて言いますと、「みんなから集めたお金をプロが運用する」わけですね。そして、景気が良かった場合などには、利益をくれることがある、というものです(分配金の設定がない投資信託もあります。この場合は最終的な売却差益が利益となります)。投資信託とは?その意味をもう少しわかりやすく説明しますそれでは、もう少しわかりやすく投資信託とは何か、について見てみましょう。投資信託を大変に乱暴にイメージで表現しますと「大きな風呂敷」のようなものです。投資信託とは「大きな風呂敷」ですから、いろいろなものを包むことができます。日本国内の二千社程度の株式や、日本国内の1万種類程度の債券すらも投資信託という「大きな風呂敷」に入れることができます。一例ですが、日本国内の株式を入れた投資信託なら「国内株式の投資信託」と呼ばれます。また、日本国内の債券を入れた投資信託なら「国内債券の投資信託」と呼ばれます。株式と債券:どちらも私たちが購入することで、いわゆる「会社にお金を働きに出す」ことができる仕組み。一般的に投資の「伝統的資産」とは株式と債券の2種類を指すことが多い。その他の「代替資産」には不動産・金(ゴールド)・商品(石油や大豆)などがある。筆者はしばしば「株式と投資信託とは違うものですよね?」という質問をいただきますが、このように、同じものもありますし、違うものもあります。まだ少しわかりづらいですね。さらにかみ砕いていきましょう。投資信託とは?何でも入れられる便利な風呂敷このように投資信託という「大きな風呂敷」には、たくさんの金融商品を入れられます。そのため、「投資信託とは?」という質問には色々な答え方をすることができます。つまり、投資信託を購入することで、株式投資もできれば、債券投資もできる、さらには金投資や不動産投資できる、ということになります。もちろん、海外の株式・債券・不動産などにも投資ができます。また、種類も様々なモノがあります。ほんの少しですが、一例を挙げてみましょう。※表は筆者作成名称中身・スタイル・特徴インデックス型投資信託市場の平均に連動することを目指すものアクティブ型投資信託市場の平均を超えることを目指すものターゲットイヤー型投資信託退職時期などに合わせて運用が変化するものバランス型投資信託国内外の株式・債券など複数の「資産群」が入っているもの毎月分配型投資信託分配金と呼ばれるお金が毎月受け取れるもの上場投資信託(ETF)株式市場に上場している投資信託不動産投資信託少額から不動産投資ができるものファンド・オブ・ファンズ複数の投資信託を組み入れた投資信託このように、たくさんの種類があり、その他にもたくさんあります。現在国内で流通している投資信託は5千本とも6千本ともいわれています。ただ、これらのたくさんの種類を把握・理解する必要はありません。重要なところだけ押さえておけば十分です。投資信託の仕組みをわかりやすく図解で解説しますそれでは、投資信託の仕組みをわかりやすく図解しましょう。※図解は筆者作成まず、上記の図で左端にいるのが私たちです。私たちは証券会社などを通して、投資信託を購入することができます。電卓を持っているのが証券会社の人です。真ん中の黄色い袋のイメージが投資信託です。投資信託とは風呂敷のようなものですので、中には国内外の株式や債券などを入れることができます。大きな黄色の袋のところにいる人たちが投資信託を管理・運用・販売などする人たちです。そして、前述のように、その種類はたくさんあります。私たちが投資信託を購入するということは、私たちのお金が投資信託という「大きな風呂敷」の中身の株式や債券を通じて、世界中の会社などで働くことも意味しています。投資信託のメリット・デメリットをわかりやすく解説ここまでで、ザックリと投資信託とはなにか?が見えてきました。ここからは、投資信託のメリット・デメリットについてわかりやすく見てみましょう。投資信託のメリット「分散」とその意味をわかりやすく説明します投資信託のメリットをわかりやすく言うと「分散投資がしやすい」ところです。分散投資と言いますと、有名すぎる格言の一つに「卵を一つのカゴに盛るな」というものがあります。どういうことでしょうか。これは、「大切な卵を一つのカゴに盛っていると、卵を落とした場合、多数の卵が割れてしまって大変だから、カゴを分けましょう」という意味合いです。お金に置き換えますと、こうなります。「資産を分散して投資していないと、金融危機時などで暴落した場合には、(慌てて売却した場合)大損してしまって大変だから、投資対象を分散しましょう」ということになります。これが一般的な分散投資のイメージです。投資信託で簡単にできる、分散投資とは?上記のような事態を避けるためには、分散投資が必要です。つまり、投資対象を分けるのです。これは現代ポートフォリオ理論でも重要な考え方です。現代ポートフォリオ理論:1952年ハリー・マーコウィッツ。同氏は1990年「資産運用の安全性を高めるための一般理論形成」においてノーベル経済学賞を受賞。もう少し、踏み込んで説明しますと、投資対象を分散すると、リスク(値動きの幅)が小さくなります。少しむつかしいように感じますが、これは「少し良いこと」を意味しています。これは、特別な分析や経験がなくても、誰にでも起こる現象です。大切なことですので、もう一度言います。誰でも、投資対象を分散することで「少し良いこと」が起こるのです。いくらで買える?投資信託を使えば、2億円かかる株式投資も100円程度からできるつまり、投資をする上では、株式や債券を一種類だけに集中して買うと、「卵を一つのカゴに盛った状態」になるので、あまり合理的とは言えません。そこで、分散投資が必要です。そして、上記のように、分散すると誰でもリスク(値動きの幅)が小さくなる、という「少し良いこと」が起こるので、できるだけ分散投資をした方が良いことになります。ただ、私たち個人が株式を千社・二千社買うとなると、とても大変です。仮に一社平均十万円とした場合、一億円・二億円が必要です。そんな大金はありません。さらに海外にまで分散投資をしようとしてはより大変です。そこで便利なのが投資信託です。風呂敷ですから、千社・二千社など簡単に入れられます。そして、基本的に1万円程度で買えます。証券会社によっては、百円から買えます。今では本当に、数百円あれば、誰でも世界中に合理的な分散投資ができる時代になっているのです。このように便利ですので、「もう一つの年金」とも呼ばれるiDeCo(イデコ)や、つみたてNISAでも、投資信託が運用商品として採用されています(つまり、個別の株式や債券は買えません)。投資信託のメリットは、少額で誰でも分散投資ができること。つまり、リスクを抑えた運用がしやすい、ということ。投資信託のデメリットである手数料(コスト)とその意味を説明しますそんな分散投資に向いている投資信託ですが、当然ながらデメリットがあります。それは、手数料(コスト)が高いものがあるということです。わかりやすく見てみましょう。投資信託のデメリットのコストとは?投資信託のデメリットの手数料(コスト)は、大きく3種類が挙げられます。買う時持っている間売る時基本的にこの3種類の手数料(コスト)がかかります。もう少し詳しく見てみましょう。投資信託を買う時にかかる購入時手数料の意味を説明しますまず、買う時にかかるお金(手数料)です。購入時手数料などと呼ばれます。下の図ですと、電卓を持っている女性(金融機関)に支払うお金です。ただ、この購入時手数料には運用成績との相関性はありません。つまり、どれだけたくさんの購入時手数料を支払っても、運用成績は良くなりません。単純に、その手数料(コスト)の金額分だけ目減りした資産で運用が始まるだけです(ただし、金融機関は儲かります)。例えば、購入時手数料が3%で投資額が100万円なら、3万円が引かれて、97万円から始まる、というイメージです。私たちには何のメリットもありません。まったく同じ中身の投資信託で購入時手数料が無料(ノーロードともいう)のものがあることが一般的ですので、そちらから選ぶ方が賢明です。購入時手数料:現在では無料(ノーロード)の投資信託が販売されている。選ぶ場合は無料の中から選ぶことが重要。投資信託を持っている間にかかる信託報酬の意味を説明します次は投資信託を持っている間にかかる、信託報酬と呼ばれるものです。上の図解で言いますと、風呂敷袋の下の人たちの手間賃のようなものです。投資信託(ファンド)を運用する人たちはボランティア活動ではありませんので、お給料が必要です。そのため、投資信託を持っている間には、この信託報酬と呼ばれるものが毎日かかります。年率1.5%などで表記されていますが、毎日引かれます。例えば(現実には値動きは毎日変わりますが)ずっと元本が100万円の投資信託があるとして、それを持っていれば、年間1.5%の信託報酬なら、1万五千円÷365日=一日あたり40円くらいが引かれるイメージです(現実とは異なります、あくまでも直感的なイメージとしてお考え下さい)。ただ、現実には引かれた後の金額が表示されているので、投資家の中には引かれていることを知らない人もいます。また、「信託報酬を○○円もらいました」という旨のお知らせも来ません。基本的に、「買う時」の選ぶ際にチラッと目にするだけです。そのため、軽く扱われてしまうこともあります。しかし、信託報酬が高いと、それだけ確実に実質運用成果が押し下げられます。長期投資では数百万円も手数料(コスト)だけでかかることが現実にあります。そして、こちらの信託報酬も運用成績との相関性はありません。たくさんの信託報酬を支払っても、特に良いことは起こりません。私たちが損をしやすいだけです。そのため、信託報酬は0.3%以下から選ぶようにしましょう(より低い方が良いです)。信託報酬:単純にマイナスに作用するだけなので、0.3%以下から選ぶ。例えば運用成績が平均・年2%の投資信託があっても、信託報酬が年1.5%なら、2―1.5=0.5%の実質運用成果になるだけ。そして、信託報酬が年0.1%なら、2―0.1=1.9%になるだけ。合理的に考えるなら、低い方が良い。投資信託を手放すときにかかる「信託財産留保額」の意味を説明します最後に、投資信託を手放すときにかかる手数料(コスト)について見てみましょう。それは信託財産留保額と呼ばれます。冒頭で投資信託は「みんなでお金を出し合う仕組み」というお話をしました。ということは、見方を変えれば、途中で抜けられると困るという一面もあることになります。そこで信託財産留保額がかかることがあります。日常生活で例えるなら「職場のみんなで忘年会を予約したけど、当日参加できないメンバーがいるとお店が困る。だから、途中で抜ける場合は、ある程度のキャンセル料を支払わないといけない」そんなイメージが近いかもしれません。ただ、やはりこの信託財産留保額もただの手数料(コスト)です。運用成績向上には寄与しません。また、信託財産留保額の設定がない投資信託がやはり多くあります。飲食店の予約でいうと、キャンセル料金なし、というイメージです。当然ながら、信託財産留保額も「ない」方が良いです。信託財産留保額:信託財産留保額の設定が「ない」方から選ぶ投資信託のメリットの分散投資とデメリットである手数料(コスト)に対する合理的な考え方少しむつかしくなったかもしれませんので、投資信託のメリットの「分散」とデメリットである手数料(コスト)について、おさらいします。※表は筆者作成内容理由メリット分散投資がしやすい分散すると「リスク(値動きの幅)」が下がるというちょっと良いことが誰にでも起こる投資信託なら、数百円で世界中に分散投資が誰にでも可能デメリット手数料(コスト)が高いものがある手数料(コスト)と運用成績(世界の景気など)には相関性がない手数料(コスト)が高いと、その分だけ運用成績が確実に押し下げられるこのような内容でした。ついつい、投資経験が浅いうちは「誰かに高い手数料(コスト)を支払って、運用を任せると良いことが起こりそう」と勘違いを起こしそうになります。しかし、合理的に投資を考えてみますと、そのように「手数料をかければ運用成績が上がる」ということは起こりません。手数料(コスト)は純粋に運用成績を押し下げるだけのもの手数料(コスト)は純粋に「運用成績を押し下げるだけのもの」です。そして、分散投資は理論的に正しいことです。そうである以上、投資信託は分散投資の重要な選択肢です。だからこそ、手数料(コスト)には厳しい目を向けていかなくてはいけないのではないでしょうか。投資信託のデメリットは手数料(コスト)が高いものがあること。手数料(コスト)は、理論上、運用成績を押し下げるだけの存在。投資信託とは?:まとめ投資信託とは、複数の金融商品が入った金融商品投資信託のメリットは分散投資が容易な点投資信託のデメリットはコストが高いものがある点本記事では、投資信託とは?に焦点を当てて記しました。投資信託の本数が国内だけで六千本くらいありますが、途方に暮れることはありません。今回の手数料(コスト)のポイントなど、一つ一つ抑えていけば、本当に驚くほど合理的な投資対象の本数は絞られてきます。大切な資産運用だからこそ、合理的な投資対象がどのようなものなのかを理論的に把握しておくと良いのではないでしょうか。投資信託は分散投資に適しているが、手数料(コスト)の高いものには気を付ける
2019年03月06日購入した土地の前に高層マンションなどの大きな建物が建てられ、騒音や日照の問題に悩まされることがあります。このことを心配することを「前建て不安」と言います。「前建て不安」を解消するためには、購入前の調査が大切です。どんなことに注意したらよいかを考えましょう。■ こんなはずじゃなかった!購入時と変わってしまった住環境PIXTOKYO / PIXTA(ピクスタ)購入した後に住環境が変わってしまった具体的なケースとして、どんなものがあるのでしょうか。1つ目は「日照」の問題に関するものです。高層マンションや住宅が建つことで日照量が減ると、暗くなり不快に感じます。また、日中から照明を点けなくてはならず、電気代がかかり、太陽光発電システムを採り入れていた場合は、見込んでいた発電量よりも少なくなってしまいます。HAKU / PIXTA(ピクスタ)「騒音」の問題もあります。コンビニエンスストアができた場合は、人の出入りが多い、話し声が夜遅くまで聞こえる、車のエンジン音がするなど、生活上のデメリットが起こりやすいようです。このほかにも、眺望のよさが気に入って購入したのに見晴らしが悪くなった、向かいの建物から自分の家の中が丸見えになってしまうなどのトラブルが考えられます。■ 目の前に何が建つのか、予測はできる?自分の家の前に何が建つのか予測するためのキーワードは3つ。「用途地域」「建ぺい率」「容積率」です。1. 用途地域を確認するまちゃー / PIXTA(ピクスタ)豊かで暮らしやすい街づくりを進めるために、国は田畑、工場、住宅などをまとめて配置し、適切な「街並み」を作ろうと考えています。そのため、国内の土地の大半には「用途地域」が指定されています。用途地域はおもに住居系、商業系、工業系の3つに分類されています。もし自分が購入した家が住居系で、南側にある空き地が工業系であれば、今は何も建っていなくても将来工場ができる可能性がありますし、商業系であれば、商業ビルが建つ可能性が高くなります。ino masa / PIXTA(ピクスタ)住居系はさらに細かく7つに分けられています。「10メートル以上の建物は建てられない」「隣の敷地との境界線から一定の距離を設けないと家を建てられない」などのルールがそれぞれに設けられています。家を建てる場合は、大半が住居系の用途地域に建築するので、住居系の7つのカテゴリはどんな建築ルールがあるのかを確認しておきましょう。役所には建築関係の部課があり、そこに行けば詳細を教えてもらえます。2. 容積率、建ぺい率で予測するkawamura_lucy / PIXTA(ピクスタ)「建ぺい率」とは、敷地面積に対してどれだけの割合までなら建物を建てていいかをパーセントで表すものです。建ぺい率が60%なら、敷地面積が100平方メートルの敷地に最大60平方メートルの家を建てることができます。「容積率」とは、敷地面積に対する延床面積のこと。50~1,300%と土地によって大きな差があります。100%より大きければ大きいほど高さのある建物が建てられます。建ぺい率80%、容積率800%であれば10階以上の建物が建てられる可能性が高くなります。つまり、土地が広ければ広い程高い建物を建てられるようになるので、複数の空き地を確保することでタワーマンションが建てやすくなります。各用途地域には、建ぺい率、容積率が指定され、それに地域条例などが加味され、どんな建物を建てられるかが決まってきます。■ まとめYNS / PIXTA(ピクスタ)駐車場や広い空き地がある場合は、将来的に建物が建つ可能性が高いでしょう。購入しようとしている家の周辺にそのような土地があったら、用途地域と建ぺい率、容積率を調べましょう。これら3つを調べることで、将来何が建てられるかをある程度特定することが可能ですが、建物を建てる場合は、建築基準法や条例などのさまざまな要素が絡み合い、建築するための条件が決められます。更に詳しく調べたい場合は、不動産会社や建築会社など、プロに依頼することをオススメします。
2019年03月04日不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME’S」等の住生活関連サービスを提供する株式会社LIFULLは、「2019年 首都圏版LIFULL HOME’S住みたい街ランキング」を発表!「LIFULL HOME’S」で住まいを探すユーザーの検索・問合せ数をベースに算出した“実際に探されている街・駅”のランキング結果です。買って住みたい街、借りて住みたい街のそれぞれ1位に輝いた街は、いったいどこなのでしょうか?ショッピングモールやタワーマンションの建設、環境の良さ、保育園の多さなど、さまざまな要因によってランキングが決まるため、住まい探しの参考にしてはいかがでしょうか。■ 1位は目黒!買って住みたい街は都心の駅に人気が集中それでは早速ランキングを見てみましょう。首都圏「買って住みたい街」ランキングは、2018年2位だった「目黒」が初のトップを獲得しました。2018年までは「船橋」「戸塚」と、都心以外の駅が1位でしたが、今回は3年ぶりに都心の駅が首位に輝くという結果に。目黒は、駅前に大規模なタワーマンションができたことで環境がさらに大きく変化し、より住みやすい街に発展。「職・住・遊」がバランスよく整った注目エリアへとなったことが、トップに返り咲いた要因となったと考えられます。2位は「八王子」。昨年3位からの上昇で、2年連続で上位にランクインしました。八王子も、2018年は駅前に新築マンションが相次いで誕生。”マンション激戦区”として注目されているので、今後も人気が集まりそうです。HAKU / PIXTA(ピクスタ)3位の「恵比寿」は、昨年の13位から一気に順位が上昇。このほか「広尾」「月島」「人形町」「三越前」など、都心の駅が上位に順位をあげています。特に、住宅地としてのイメージの薄い「人形町」「三越前」は、単身者やDINKS向けのマンションが登場したことで新たな需要を呼び起こし、結果的に都心回帰を推し進めることになりました。■ 1位は池袋!借りて住みたい街は二極化の傾向に次に、首都圏「借りて住みたい街ランキング」を見ていきます。1位は3年連続で「池袋」でした!池袋は2位以下を大きく引き離し、不動の人気を証明した結果に。駅周辺が広く発展しており、商業施設や娯楽施設が集中する繁華街であること、JR山手線や西武池袋線ほか計8つもある路線が乗り入れるビッグターミナル駅であること、大学や専門学校などが多くある学生の街であることなどが人気の理由と考えられます。2位以下も「川崎」「中野」「高円寺」と昨年と変わらないランキング結果となりました。これらの駅はいずれも池袋と似た特性をもつエリアで、街としての規模があり、交通利便性に加えて多様性とエンターテインメント性が高いことが賃貸人気を得やすい共通点があります。sunny / PIXTA(ピクスタ)また、「本厚木」「柏」「津田沼」「千葉」など都心から一定の距離がある駅も上位にランクイン。これらの駅は拠点性があり、物価が安定していることから、単身者が安心して住みやすいエリアだと言えるでしょう。借りて住みたい街ランキングは、このように人気の理由が二極化していることがわかる結果となりました。■ 今年から新設!行政区ごとの住みたいランキングは?住みたい街ランキングでは、今年から「買って住みたい・借りて住みたい行政区」の結果も発表しています。「買って住みたい行政区」「借りて住みたい行政区」ともに、1位に輝いたのは世田谷区でした。面積が広い世田谷区には、二子玉川や成城、駒沢公園、下北沢、上野毛など以前から文化人も多く暮らす人気の街が点在。また、大きな公園や文化施設も整っています。都心ではなかなか手に入らない、自然が多い落ち着いた住環境と適度な利便性とのバランスの良さから多くの支持を集め、1位という結果になりました。また世田谷区は、JR線は通っていませんが、東急田園都市線や小田急小田原線、京王線・京王井の頭線と城南方面への私鉄路線が揃っており、東京メトロとの相互乗り入れによって都心へのダイレクトなアクセスが可能です。主に新宿、もしくは渋谷方面へのアクセスを中心として交通利便性が確保されていることが1位となったポイントと考えられます。「買って住みたい行政区」を見てみると、世田谷区の他の上位には中央区や港区、渋谷区、文京区など、都心と近郊の行政区がずらりと並びます。やはり「通勤・通学の便がよく、生活に便利な施設が整っている都心エリアで生活したい」というユーザーの気持ちがランキングに反映されていることがわかります。また、4位の千葉県船橋市のほか、東京都八王子市や埼玉県川口市、千葉県市川市がランキングに登場。ベッドタウンのある行政区も、都心同様に支持が高いことが明らかになりました。今回、ランキングが発表されたことで、ランクインした街の人気がさらに集中する可能性も。住まい探しをしている人は、ぜひ参考にしてみてください。【参考】※総掲載物件数No.1の不動産・住宅情報サイト『LIFULL HOME’S』「2019年 首都圏版LIFULL HOME’S住みたい街ランキング」
2019年02月27日マイホームは「購入」と「賃貸」のどちらがお得なのでしょうか?2018年、日本国内の20歳以上の男女18,601人を対象に「住宅の居住志向や購買に関するアンケート調査」が実施されました。ここでは、実際の調査結果を元に、年代別の不動産の購買傾向や不動産の保有志向などについて解説していきます。このアンケート調査は、公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連)と公益社団法人全国宅地建物取引業保証協会(全宅保証)は毎年9月23日の「不動産の日」にちなみ、実施しているものです。■ 2018年は住まい購入の意識が大きく変わった年にまず、「不動産は買い時ですか?」という質問に対して得られた回答は、「買い時だと思う」が16.3%「買い時だと思わない」が22.6%「わからない」が61.0%という結果でした。2017年の調査結果を比較すると、「買い時だと思う」が3.6%、「買い時だと思わない」が2.1%それぞれ下降し、「わからない」が5.6%も上昇。多くの人にとって、2018年は不動産の買い時の見極めが難しかったといえるでしょう。「買い時だと思う」と回答した人の理由としては、「消費税が上がる前だから」が約半数の45.0%で、「住宅ローン減税など税制優遇が実施されているから」(25.3%)、「今後、住宅ローンの金利が上昇しそうなので(今の金利が低いので)」(13.7%)が続きます。Tsubaki / PIXTA(ピクスタ)「買い時だと思わない」と回答した人の理由には、「不動産価値が下落しそうだから」(29.8%)、「自分の収入が不安定または減少しているから」(23.1%)、「地震や水害などの天災が心配だから」(13.7%)といったものがありました。freeangle / PIXTA(ピクスタ)2018年は地震や台風・集中豪雨など、さまざまな天災があった年でもありました。Graphs / PIXTA(ピクスタ)天災に対する住まいの意識については、「築年数や構造(免震・耐震)について考えるようになった」(47.1%)、「地震などの状況を意識するようになった」(31.3%)、「緊急避難場所や防災マップを意識するようになった」(30.0%)と2018年に日本全国で多発した天災が大きな影響を与えたことがわかりました。■ マイホーム購入と賃貸はどちらがいい?「夢のマイホーム」という言葉は薄れて「不動産購入はコスパが悪い」と考えている人が増えている昨今。今回の調査では、現在の居住形態にかかわらず、持家購入派、賃貸派のどちらがいいかを調査しました。すると、持家購入派が80.5%と全体の約8割を占めました。ino masa / PIXTA(ピクスタ)その理由としては、「家賃を支払い続けることが無駄に思えるから」が52.9%と最も多く挙げられました。「持ち家を資産と考えているから」という回答も30.9%得られ、相変わらず家を持つことによる経済的メリットを考える人は多いと言えます。面白いのは「マイホームをもつことが夢だから」は13.2%と低い数値ながら、20~30代の若い年代ほど強い傾向が見られたこと。yukiotoko / PIXTA(ピクスタ)人生100年時代といわれる今、今後数十年という長い将来を見据えて、持家を希望している若年層は今後も増えるかもしれません。一方、19.5%だった賃貸派は19.5%と2割に満たなかったものの、これは2013年の調査開始以降最も高い結果に。今年の理由としては、「住宅ローンに縛られたくないから」が41.8%と最も高く、次いで「天災時に家を所有していることがリスクになると思うから」(35.8%)、「税金が大変だから」(26.1%)が続きました。「住宅ローンに縛られたくない」傾向は若い年代ほど強かった結果でした。住環境の意識についても、「好きなときに転居しやすい住環境が良い」「家族向けシェアハウスなど新たな住環境が良い」と回答したのは、若い年代ほど高い傾向に。これらから、若い年代は仕事やライフスタイルの変化による引越しの可能性、多様化する家族の在り方などが住環境への意識に影響を与えていることがわかります。■ マイホーム購入vs賃貸。それぞれの重視する点に違いは?それでは、住宅購入や賃貸において、どのような点を重視しているのでしょうか。住宅購入時に重視する点については、「購入金額」が60.0%、「周辺・生活環境がよい」が48.1%、「交通の利便性がよい」が38.8%でした。一方、賃貸時に重視する点については、「家賃」が71.8%と最も多く挙げられ、「交通の利便性がよい」(49.5%)、「周辺・生活環境がよい」(41.6%)が続きます。「購入」「賃貸」ともに、経済面を最も重視するという結果に。EKAKI / PIXTA(ピクスタ)どちらにおいても、若い年代ほど購入金額や家賃を気にし、年代が高くなるにつれて気にしない傾向にありました。一方で、「賃貸」の方が交通の利便性をより重視していることがわかります。既存住宅(中古住宅)への抵抗感については、「まったく抵抗がない」と答えたのは13.5%で、「キレイであれば抵抗はない」が39.8%と、合わせると約半数は抵抗感が薄いようです。「売買金額と状態のバランスを見て判断する」は33.2%で、約3人に1人という結果になりました。一方で、「どんな状態であろうと抵抗がある」は13.5%と、「まったく抵抗がない」と同率という面白い結果に。また、「きれいであれば抵抗はない」「売買金額と状態のバランスを見て判断する」は、20代と30代で高い割合となりました。経済状況がまだ安定していない若い年代ほど、中古住宅購入を前向きに捉えているのかもしれません。■ 近所に保育園ができたら支持?反対?最後に、昨今問題となっている保育園建設に関する意識について聞いてみました。shimanto / PIXTA(ピクスタ)「あなたのお住まいの近くに保育園が建設されることになったらどう思いますか?」という質問に対し、「全面的ではないが支持する」が 51.8%と最も多く挙げられ、 次いで、「全面的に支持する」が25.6%、「できることなら受け入れたくない」が16.9%となりました。「全面的に支持する」は20代が高い傾向が、「できることなら受け入れたくない」「断固として反対する」は40代が高い傾向が見られ、年代によって大きく意識が異なっているようです。いかがでしたか?2018年に起きた天災や2019年10月からスタートする消費税増税などに伴い、住まいに対する意識が大きく変化したことが伺えた2018年の調査結果。近々、家を購入しようと思っている人は、ぜひ参考にしてみてください。【参考】※2018年「不動産の日」アンケート結果公表
2019年02月21日「バランス釜」って、ご存じですか?銭湯での入浴が主流だった日本で住まいに浴室が普通に設置されるようになったきっかけは昭和30年に設立された日本住宅公団による団地建設ですが、その動きが一般家庭にまで広がった背景としては昭和40年に登場した「バランス釜」の果たした役割が大きかったようです。今回は不動産における絶滅危惧種的存在である「バランス釜」についてお話します。■ 徹底的に嫌われている「バランス釜」ABC / PIXTA(ピクスタ)バランス釜は正式にはバランス型風呂釜の通称でガス風呂釜だけを指しますが、一般的には浴槽と風呂釜が並んで設置された浴室全体を称して呼んでいる場合が多いように思います。築年数の古い賃貸物件では今でも時々見ることができますが、お客様の嫌悪感はかなり強いようで「バランス釜は嫌です」ということで資料の段階ではねられてしまい、賃貸物件の営業時代の筆者はバランス釜物件に関しては内見にこぎつけたことすらありません。現在も残っているバランス釜は年数が経過しているため、どれも古ぼけたものとなっており、浴室というデリケートな空間内であることからどうしても我慢できないということかもしれません。しかし設備としてはそれほど悪いものではなく、賃料の安い物件を探す際はむしろオススメなのです。■ かつては「バランス釜」が当たり前だったm.Taira / PIXTA(ピクスタ)筆者は小学校低学年の一時期に愛媛県松山市の五右衛門風呂の家で生活したことがあります。chinen / PIXTA(ピクスタ)父が公務員であったため決して貧乏だったといったことではなく、昭和40年代は公務員宿舎でもこのような家がまだまだあったのです。たけちゃん / PIXTA(ピクスタ)薪を割って風呂を沸かすという今では時代劇でしか見ることができないようなことを日常的にやっていたわけですが、子供にとってはちょうどいい遊びで今思い返してみても面白かったという記憶しかありません(すぐにでも風呂に入りたいという場合は徒歩10分の道後温泉本館を利用できたということもありますが)。この数年間を除き筆者が社会人となって家を出るまでの大半はバランス釜の風呂だったと思います。浴槽に水を張ってから釜の横にあるハンドルをガチャガチャ回して点火する面倒な仕組みや、いちいち湯加減を確認しなければならないこと、釜の幅の分だけ浴槽が狭くなるため体育座りのようになって手足を伸ばせないといった様々なデメリットも当時はそれが当たり前で、特に何とも思いませんでした。■ 現代人には到底理解できないバランス釜の注意点ボタン一つで指定された湯加減の風呂を沸かすことができる(タイマー予約までできる)のが現代の風呂ですが、バランス釜を使用する際は現代人に到底理解できない注意点がありました。空焚きは絶対に不可TATSU / PIXTA(ピクスタ)バランス釜は浴槽と風呂釜が2本の管でつながっており、風呂釜内部で管の中の水が熱せられ対流によって上方の管から浴槽に送り出されると同時にその分だけ浴槽下部の冷水が下方の管から風呂釜内部に引き入れられるという構造になっています。そのため管の内部の水が切れてしまうと風呂釜が「空焚き」という大変に危険な状態になるため、風呂を沸かす際はあらかじめ十分な量の水を浴槽内に張っておく必要がありました。放っておくと沸騰するphoto-uny / PIXTA(ピクスタ)バランス釜には温度調整機能がないため、風呂を沸かしていることを忘れてしまうと後で大変なことになります。浴室からポコポコという音が聞こえてくるということがたまにありましたが、こうなると浴槽内は完全に沸騰状態で、大量に水を注入しなければ入れたものではありません。湯加減をみるときはかき混ぜなければならないGraphs / PIXTA(ピクスタ)「気体や液体が熱せられると軽くなって上部に上がり下部に低温のものが流れ込む」現象である対流は誰もが小学校の理科の授業で習いますが、この現象を最も実感できたのがバランス釜です。浴槽の上部が熱くなっていても下半分がまだ水というのはよくあることで、湯加減をみる際には蓋でお湯をかき回してからというのが子供から大人まで当時の常識でした。現在の小学生でこのことを知っている人がどれだけいるのでしょうか。■ 毛嫌いせず検討してみては?naokisai / PIXTA(ピクスタ)一世を風靡したバランス釜ですが屋外壁掛け式給湯器が普及すると次第に姿を消し、現在ではほとんど絶滅危惧種のような存在となっています。逆に言えばバランス釜がある物件は賃料の安いお得な物件である可能性が高いということです。諸事情あってどうしても安い部屋に住まなければならない場合、バランス釜をそんなに毛嫌いせず検討してみてはいかがでしょうか(近くに銭湯のある風呂無し物件を選ぶという手段もありますが……)。
2019年02月18日賃貸アパート大手のレオパレス21が施工した建物に施工不良が見つかった問題で、レオパレス21は同建物の入居者7,782人に2019年3月末までの退去をお願いしているようです。補修工事のためとはいえ、2~3月は年度末のうえ引越しシーズンでもありますので、なかなか住み替え先の決まらない入居者も少なくないでしょう。そもそも「なぜ」長期間にわたりこの様な施工不良が見過ごされてきてしまったのでしょうか?■ 行政のチェック機能はどうだったのか?HAKU / PIXTA(ピクスタ)建物を建築する場合には、建築基準法とともに各自治体ごとに制定されている様々な制限を受けます。アパートのような共同住宅に対しては事前協議を要する条例や行政指導を行っている自治体もあります。それらを事前に調査し、各制限に従ってまず行わなければならないのは「建築確認の申請」です。建築主は「建築主事」または「指定確認検査機関」に確認申請書を提出し、その計画が建築基準法等の基準に適合していることの確認を受けなければなりません。この基準に適合していることが確認されれると「確認済証」が交付されます。この「確認済証」が建築行為の「第一のチェック」といえますが、施工者がこのとおりに施工しなかったことで今回の問題が起こってしまったのです。■ 中間検査は適正に行われたのか?YNS / PIXTA(ピクスタ)「第二のチェック」として挙げられるのは「中間検査」です。中間検査とは建築物の安全性に深く関わる工程(特定工程)が終わった段階において、建築物が法令基準に適合しているかの検査です。中間検査の対象となる建築物は、中間検査合格証を受けないと次の工程に進むことが出来ないのです。しかし、この中間検査についてその中身を問題視する声が絶えません。実は、この中間検査の対象となる建築物の範囲が少し狭いのではないかと言われています。建築基準法第7条の3によると、特定工程を有する(つまり中間検査を受けなければならない)対象建築物は、「階数が3以上である共同住宅の床及びはりに鉄筋を配置する工事の工程」とされているのです。阪神・淡路大震災の際に、建築の施工不備による被害が多数みられたため、これまでも何度か建築基準法の改正が行われ、さらには特定行政庁(建築主事を置く都道府県や市町村)が独自に中間検査を実施する区域、期間及び構造、用途、規模を定めることができることになっていますが、当然その基準は地域によっていまだに差があるのです。この様な状況の為、すべてではないにせよレオパレス21が施工した建物においてもこの中間検査を受けずに建築されたものが多数あると考えられます。■ 完了検査で施工内容のチェックは可能か?よっしー / PIXTA(ピクスタ)完了検査とは、工事が完成した段階で、建築物が法令基準に適合しているかの検査です。しかし、文字どおりすでに完成してしまった建物の内部構造を外から目視できるはずもありません。実際には現地確認(外観・内観等)、建築関係書類との照合、建築中の写真などから建築基準関係規定に適合すると判断されれば「検査済証」が発行されます。金融機関の融資関係、将来の用途変更、コンプライアンス順守意識の向上などから、最近ではほとんどの建物が検査済証の交付を受けていますが、それがイコール「施工不良が無い」ことにはなりません。■ 行政のチェック体制以外にも理由が?YNS / PIXTA(ピクスタ)※写真はイメージです建築行為に対する行政チェック以外にも、同建物の入居者に短期居住者が多かったことや、建物オーナーの多くがレオパレス21とサブリース契約を結んでいたため、賃貸実態について建物オーナーが把握しづらかったことなども、長期にわたり建築施工不良が公にならなかった原因とも言われています。ただ、どんな理由があったとしてもプロである事業者(レオパレス21)と地主(建物オーナー)の間には建築知識に対する情報の非対称性(どちらか一方が格段に多い情報をもっていること)が歴然であり、消費者である地主側から今回の問題を指摘することは困難だったように思います。やはり、結果的に被害が大きい建築行為の施工不良や不備については行政のチェックや関与がもう少し必要なのではないでしょうか。
2019年02月17日全国や海外に支店が多い企業なら、転勤の可能性もあるはず。では、急な転勤などを経験した人々は、それまで住んでいた自宅についてどのように対処したのでしょうか?特に持ち家の場合は、「賃貸にする」「売却する」「空き家のまま」のどれにするか悩むところです。今回は、東急住宅リースが転勤経験のある既婚男性ビジネスパーソン500名と、夫の転勤に伴い一緒に引越しをした経験のある既婚女性「転妻(てんつま)」500名の計1,000名を対象に実施した「ビジネスパーソンの転勤事情に関する調査」の結果をご紹介しましょう!■ 持ち家があると「転勤の苦労」が増える?調査ではまず、直近の転勤の際、家族も一緒に引越しをした人549人(男性164人、女性385人)に「転勤の際、苦労したこと」を尋ねました。すると、持ち家組と賃貸組では回答にかなり差があることが判明しました。Hemul / PIXTA(ピクスタ)まず、賃貸組の結果は以下のようになりました。たっきー / PIXTA(ピクスタ)1位……引越しの荷造り(73.8%)2位……引越しの手続き(63.9%)3位……新居探し(53.8%)4位……不用品の処分(29.2%)5位……引越し業者の選定 (23.0%)一方、持ち家組は以下のような結果でした。HAKU / PIXTA(ピクスタ)1位……引越しの荷造り(51.7%)1位……住宅の対処(51.7%)3位……引越しの手続き(43.1%)4位……新居探し(35.3%)5位……不用品の処分(23.3%)Rina / PIXTA(ピクスタ)どちらも1位の「引越しの荷造り」は予想できる結果として、持ち家組の同率1位は「住宅の対処」。転勤が多い場合は、落ち着くまでは賃貸にしたほうが理に叶っているかもしれません。また、転勤が永続的なものか、短期間のものなのかで、自宅をどう対処するかの方法も違ってきそうですね。■ 転勤になったら「今住んでいる家」をどうする?では、持ち家組は、転勤時の苦労の1つである持ち家の対処をどのように行ったのでしょうか?家族一緒に引越しをした持ち家の回答者116人に「転勤の際、持ち家についてどのように対処したか」と訪ねると、1位は「賃貸物件として第三者に貸した」(37.1%)。dimarik / PIXTA(ピクスタ)続いて「空き家の状態で保有した」(27.6%)、「売却した」(22.4%)「親戚など身内に貸した」(10.3%)の順でした。全体的に見て、家を所有し続けた人が全体の65%と大多数を占めています。回答者にそれぞれの対処法を選んだ理由を聞くと、まず最多だった「賃貸物件として第三者に貸した」と答えた人は、makaron* / PIXTA(ピクスタ)「資産として手放したくなかったのと、老後の住まいとしてもっておきたかったから」(女性・40代)「少しでも収入を得て、転勤先の借家の家賃にするため」(男性・50代)「住んでいない家は傷むし貸したほうが合理的だと思ったから」(女性・50代)という声が挙がりました。「空き家の状態で保有した」という人は、TATSU / PIXTA(ピクスタ)「短期間の転勤だったから」(女性・50代)「戻ってくることが決まっていたから」(男性・50代)という理由からでした。また、「売却した」と答えた人は、makaron* / PIXTA(ピクスタ)「管理が出来ないから」(女性・40代)「新築を購入したから」(男性・50代)「戻ってくることを考えていなかったから」(男性・50代)という理由を挙げています。■ 持ち家を「第三者に貸した」人の満足感が最も高い!持ち家を第三者に貸した人が最も多い結果になりましたが、知らない人に自宅を貸すのは不安なことでもあります。Mills / PIXTA(ピクスタ)「家をめちゃくちゃにされたらどうしよう!?」「すぐ出て行かれたら面倒!」などと、不安になることも多いでしょう。そこで、「自身が行った持ち家の対処法についての満足度」を尋ねると、最も満足度が高かったのは「賃貸物件として第三者に貸した」で(72.1%)。次に「売却した」(57.7%)、「空き家の状態で保有した」(56.3%)という結果に。ふじよ / PIXTA(ピクスタ)「第三者に貸した」という人が満足した理由は、1位が圧倒的に「家賃収入が得られた」(74.2%)。同率2位に「きれいに使ってもらえた」「家の老朽化を防げた」「元の勤務地に戻った時にまた住めた」が各29%で続きました。CORA / PIXTA(ピクスタ)以上、転勤に伴う持ち家の対処についての調査結果をご紹介しました。転勤が決まったらまず考えなければならないのが引越し、そして現在住んでいる家を対処する方法。いろいろ難しいことも多いようですが、調査の結果、転勤の間は自宅を賃貸すると収入が得られることから最も満足度が高いことが判明。そのお金を貯めて、転勤から戻った際に家をリモデルするのもいいかもしれません。「転勤が決まった!どうしよう……」と悩んでいる方、ぜひ参考にしてくださいね!【参考】※ビジネスパーソンの転勤事情に関する調査 ー 東急住宅リース
2019年02月15日今、東京都内で人々がマンション購入を検討している最も人気の地域とその理由とはいったい何なのでしょうか?今回は、エム・アール・シーが、年収600万円以上で首都圏に住む35〜64歳の既婚男女600人を対象に行った「資産活用と不動産購入に関する調査」についてご紹介します!東京23区でマンションを購入したいエリアはどこでしょうか?■ 1位は「最寄り駅からの近さ」。マンション購入時に重視する条件のトップ3は?まず、人々が「マンション購入に重視する条件」を見てみましょう(複数回答)。sunny / PIXTA(ピクスタ)1位は通勤・通学時の至便性を考えた「最寄り駅からの近さ」でした。以下、2位は「静かさ・治安の良さ」、そして3位は「周辺施設の充実」(52.6%)という結果でした。TSUYOSHI / PIXTA(ピクスタ)「最寄り駅からの近さ」を選択しているのは、電車や地下鉄を利用することの多い大都市ならではの回答です。「災害などのリスクが低いかどうか」の確率がそれより低いのは、どこに住んでいても災害リスクという点で保障はないからかもしれません。■ 高所得者はマンション購入条件が異なる?では、高所得者は東京都でどの地域にマンションを持ちたいと考えているのでしょうか?年収1,000万円の人に「マンション購入を検討しているエリア」を尋ねると、1位は断トツで「港区」(21.1%)でした。まちゃー / PIXTA(ピクスタ)以下、2位は「千代田区」(14.5%)、3位は「中央区」(13.2%)と、オフィス密集地が多い都心が人気でした。sunny / PIXTA(ピクスタ)東京都内でも高所得者に人気の「港区」。港区のマンションを購入検討をしている理由の1位は「将来的に地価が下がらなそうだから」(50.0%)。freeangle / PIXTA(ピクスタ)以下、2位は「電車やバスのアクセスが良いから」、3位が「駅周辺が栄えているから」(40.9%)でした。sunny / PIXTA(ピクスタ)前述の「マンション購入時に重視する条件」とはかなり内容が違います。「地価」が「電車やバスのアクセス」より気になるとは、さすがに高所得者は目の付けどころが違うのかもしれません!■ 資産活用向けマンション購入を考える人の条件も「最寄り駅からの近さ」次に、資産活用のためにマンション購入を考える人の条件とはいったいどんなものでしょうか?1位は2位以下に大差をつけて「最寄り駅からの近さ」(25.6%)。東京では駅の近さを購入時の最重要ポイントとしている人が多くいます。投資物件購入の際は、購入者のニーズに注目するのが得策ですね。xiangtao / PIXTA(ピクスタ)2位は「将来的に地価が下がらないかどうか」。投資目的で不動産を購入するなら、物件の付近で将来はどのような開発プロジェクトが行われるか、その地域の過去から現在までの長期的な評判や、不動産価格の推移なども調査した方が良いでしょう。Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)そして3位は「職場へのアクセスの良さ」。ロストコーナー / PIXTA(ピクスタ)多くの駅が至近距離にある至便なロケーションの物件なら、まず間違いはなさそうですね!以上、不動産購入と資産活用に関する調査結果をお伝えしましたが、いかがですか?米国ハワイ州で不動産エージェントとして勤務経験がある筆者のオススメは、不動産購入時に、利便性だけではなく物件がある地域の「学区」や、子どもに関する周辺施設や環境をリサーチすること。購入者に家族がいる場合、育児のしやすさや教育施設の充実度は購入決断の大きなポイントになります!【参考】※年収1000万以上に聞いた!マンション購入に人気なエリア1位は「港区」!専門家も注目の“買い”エリアは再開発が進む新駅エリアだった!〜 資産活用と不動産購入に関する調査 Part2 〜
2019年02月11日新潟の人気アイドルグループ「NGT48」のメンバーが自宅前で暴行を受けた事件は発覚から1か月近く経過しました。にもかかわらず、事実関係に関する明確な説明がなく、一方で立場の異なる媒体により真贋入り混じった情報が垂れ流されており、混沌とした状況になっています。この事件はメンバーの寮として、グループの運営会社が借り上げているマンションが舞台となっており、不動産取引において普通ありえないことが背後で起きていたと報じられています。今回は騒動をめぐる報道を元・不動産業者社員の筆者の目で検証してみました。■ 「被害者の向かいの部屋を加害者が借りていた」報道を検証Mugimaki / PIXTA(ピクスタ)NGT48は、出身地が新潟以外のメンバーの大半はグループの運営会社が「寮」として借りたマンション内に住んでいます。被害者は自室の向かい側の部屋から出てきた男に暴行を受けたと証言しており、その部屋に住んでいたのが誰かという点が大きな問題の一つとなっています。「この部屋はもともと事件への関与が疑われているNGT48メンバーの住居だったが、1年半前に退去して現在は加害者が借りている 」と一部週刊誌が報じました。運営もこれを認めているようですが、はたしてこのようなことが実際にあり得るのでしょうか。■ 契約には個人契約の他に法人契約があるYNS / PIXTA(ピクスタ)賃貸物件の契約には大きく分けて個人契約と法人契約の2つがあり、寮ということなので今回は法人契約であったと思われます。この場合、契約上の借主は運営会社であるAKSとなるため、メンバーが退去したからといって部屋を解約する必要は必ずしもありません。家賃負担の問題があるため退居と同時に部屋も解約してしまうのが通常ですが、人気アイドルグループの寮として使用しているので、メンバーの安全やプライバシーの問題も考慮しなければなりません。■ 解約予告を出すと物件情報が公開されるEKAKI / PIXTA(ピクスタ)賃貸借契約を解約する場合、借主は退去日の1か月前(まれに2か月)までに解約予告を出します。貸主側にとっては部屋が空いている期間は家賃収入がゼロとなるため、できるだけ早く次の入居者を決めなければなりません。そのため大半の貸主は解約予告が出されると物件情報をすぐに公開して再募集を開始します(そのため解約予告は一度出してしまえば取り消しできないのが通常です)。AKSが貸主に対して解約予告を出せばほどなくして物件情報が業者専用サイトに登録され、日本中の不動産業者で閲覧可能になりますが、その際は「7階建ての4階」というような部屋を特定できないような表記だったと記憶しています。(貸主側の仲介会社に確認しないと分からない仕組みになっている)人気アイドルグループが寮にするようなセキュリティーと住環境が整った物件であれば誰もが借りたいと思うもので、そのようなマンションで空き情報が出れば猛烈な競争が始まります。■ 「〇〇マンションで空きが出たら教えて」という依頼はNG?Mugimaki / PIXTA(ピクスタ)賃貸物件の営業をしていると「〇〇マンションで空きが出たら教えてください」という依頼を何度となく受けるものですが、まともな社員であれば全てその場で断ります。解約情報はいつ出されるかわからず、多忙な中、無数の物件の中で特定のマンションに張り付いているわけにはいかないのです。そのマンションを管理する不動産業者の担当者ならばすぐにわかることですが、「NGTメンバーの向かいの部屋が空くぞ」なんて話を外部に漏らせば宅建業法に触れることになります。不動産業者は「業法違反」に特に敏感で(それ以外なら何でもやる)、業者からメンバーの情報が漏れるということは考えられません。■ 裏で起こっていたと考えられる2つの問題上記のことから、仮に報道が事実であれば、背後で次の2つの問題が発生していたことになります。どちらも考えにくいことですが、この両方が揃わないと発生しないような事態です。メンバーの向かいの部屋を運営会社が解約したABC / PIXTA(ピクスタ)空いた部屋を解約してしまえば、そこに誰か他の人が入ります。人気アイドルグループのメンバーが多数生活する場所に部外者が入り込めば安全やプライバシーの点で問題であることは明らかですが、それにもかかわらず運営は部屋を解約したことになります。新潟市のワンルームマンションの賃料はそれほど高くありません。メンバーの安全よりも月額数万円の経費削減を優先するということはあり得るのでしょうか。メンバーの内部情報を加害者が知っていたEKAKI / PIXTA(ピクスタ)部屋の退去情報というのは事前に予測することはできず、また一旦解約予告が出されれば情報はすぐに公開されて早い者勝ちの嵐にさらされます。特定のマンション内の特定の部屋を押さえるということはそれだけ難しいものです。メンバーが住む階数も知っておかなければならず、何らかの形で内部情報をかなり以前から入手していない限りありえません。■ 何が嘘で何が本当か、自分の頭で考えようWellphoto / PIXTA(ピクスタ)以上、報道されている内容を不動産会社元社員の目で出来るだけ客観的に検証してみました。今回の事件では運営会社の発表の他にNHK、民放、地元紙、スポーツ紙、週刊誌といった様々な媒体が入り乱れ、多種多様な情報が錯そうしていますが、いろいろと思惑があるようで発信する媒体によって内容がまったく違っており、そのまま信じてしまうことは危険です。今回提供した情報を参考に、何が事実かご自身の頭で考えてみてください。(ちなみに被害者の内部告発により事件が発覚したのは1月8日ですが、不起訴になった加害者は既に12月28日の段階で釈放されています。被害者の向かいの部屋を加害者が借りているという報道が事実であるとすると……。ああ恐ろしい)
2019年02月03日賃貸物件を探すときに、足を棒にして何社も回っている人はいませんか?不動産会社の仕組みを知れば、時間と手間をかけずに希望の物件を見つけることができます。入居してからも快適に暮らすためには、不動産会社の仕組みを知ることから始めましょう。■ 1.不動産会社の種類を知るFast&Slow / PIXTA(ピクスタ)不動産会社とは、どんなことをする会社かご存知ですか?不動産を扱う会社はおもに2つの業務を行っています。それは「不動産仲介」と「不動産管理」です。不動産会社は、仲介だけ行う、管理だけ行う、両方行う、の3パターンあります。1-1 不動産仲介とは物件を探している人が希望の物件を見つけるための支援をする業務です。希望家賃、エリア、間取りなどをヒアリングし、募集が出ている物件の中から条件に合ったものを紹介します。不動産会社はたくさんあるので、お客さんが来てくれるように色々な方法でPRをします。KY / PIXTA(ピクスタ)一番効果があるのはインターネットのポータルサイトの掲載です。近年は、物件を探している人はインターネットで物件をチェックし、自分が気に入った物件を掲載している不動産会社に問い合わせをすることがほとんどです。不動産会社はポータルサイトの掲載枠を買って、自分の会社の物件が目に留まるようにします。ポータルサイトの検索結果一覧の上位に表示されるには、画像や動画の掲載点数や紹介文の文字数など、ポータル会社の規定に沿ってきっちり守ることが必要となります。1-2 不動産管理とはABC / PIXTA(ピクスタ)アパートやマンションを維持し、入居者が快適に過ごせるようにする業務です。トイレから水漏れが起こった、廊下などの共用部分の蛍光が切れてしまったなど、入居中におこる住まいのトラブルに対応します。また、騒音をはじめとするご近所同士のトラブルやクレームの対応も行います。アパート管理を行うためには大家さんと「管理委託契約」を結びます。大家さんは、入居が決まった部屋に対し、毎月5%程度の管理料を支払います。freeangle / PIXTA(ピクスタ)管理会社は大家さんの代わりに建物のメンテナンスを行うほか、早く入居が決まり、かつ長く住んでもらえるように、費用対効果の高いリフォームやリノベーションを提案・工事します。入居者が支払う家賃を管理し、世の中の動向をリサーチして、的確なリフォームを提案できるかどうかは管理会社の腕の見せ所。場合によっては、家賃を管理する、滞納者に対し督促するなども行います。■ 2.どの物件も1つの不動産会社から申し込みができるmuu / PIXTA(ピクスタ)ポータルサイトを検索したとき、取り扱う不動産会社が異なるだけで、同じ物件がいくつも表示されたことはありませんか?これは、1つの物件を色々な不動産会社から申し込みができることを意味します。2-1 仲介手数料のカラクリを知るYNS / PIXTA(ピクスタ)大半の大家さんが管理を任せるとき、管理委託契約は1社としか結べません。いっぽう物件の募集はいろいろな会社が募集することが可能です。管理している不動産会社以外の業者が募集し、客付けが成功すると仲介手数料がもらえます。仲介手数料は、法律上は貸主からももらえることになっていますが、ほとんどの場合、家賃+消費税を上限とした仲介手数料を入居者からもらいます。den-sen / PIXTA(ピクスタ)管理会社以外の仲介会社が入居者を紹介・案内して成約した場合、その仲介手数料をもらうことができるのです。仲介会社は仲介手数料目当てに、たくさんの物件をポータルサイトに掲載します。そのために同じ物件がポータルサイトにいくつも掲載されるのです。管理会社は、自社で申し込みを受けた場合に比べて仲介手数料は少なくなりますが、空室でなくなれば管理料が毎月入ってきます。管理料が5%なら20か月で元がとれますので、結果的に得をします。そのために、管理会社は他社がネット掲載することを許可するケースが多いのです。2-2どの物件もすべての不動産から申し込みができるUshico / PIXTA(ピクスタ)インターネットサイトへの物件掲載は、管理会社のお許しがないとできませんが、紹介と申し込みに関しては、ほとんどの物件がすべての不動産から申し込みができる仕組みになっています。そのために、わざわざ掲載元の不動産会社に1件1件足を運んで物件見学をしなくてもよいのです。仲介会社に行ったときに、お目当ての物件のほかに「ポータルサイトでみたのですが」といって、掲載元が他社になっている気になる物件についても問い合わせをしてみてください。ほとんどの場合、チラシを取り寄せてくれ、見積作成や案内もしてくれるでしょう。まとめて問い合わせれば、1日で何件も物件の見学が可能です。ABC / PIXTA(ピクスタ)掲載元と異なる会社で申し込みをしても、敷金や礼金、家賃が変わることはありません。不動産会社の仲介手数料の「分け前」がどうなるかの問題なので、申し込み者が支払う仲介手数料の総額には影響ありません。ただし、不動産会社がキャンペーンを行っていて、自分の取り分である仲介手数料をディスカウントしてくれることはありますので、問い合わせてみるべきです。フリーレントについては、大家さんがOKするかどうかの問題なので、不動産会社が変わると極端に差が出るということはないようです。■ 3.まとめこれらの仕組みを知っておけば、「不動産会社巡り」をしなくて済みますし、値段交渉等する際にも役立ちます。入居後は仲介会社とは縁が切れ、管理会社とお付き合いすることになります。そのため管理もやっている仲介会社を通して借りたほうが何かと便利かも……と考える人もいますが、物件の見学や申し込みに限って言えば1、2社訪問するだけで十分なのではないでしょうか。
2019年02月01日お部屋の賃貸借契約を結ぶ際、用途についてははっきりと規定されていますが、貸主も管理会社も知らない間にとんでもない使い方をされていた……というのはよくあることです。こういったことは必ずバレますので、お部屋探しの際には「用途」について十分に注意しなければなりません。今回は筆者の実務経験の中で忘れられない3つの事件簿をご紹介します。■ 1.管理員の機転から規約違反のエステサロンが見つかったtomos / PIXTA(ピクスタ)マンション管理会社で分譲マンションのフロントをしていた時代に、「オートロックの前でうろうろしていた人に声を掛けたらエステをやっている部屋は何号室かと質問された」という報告を管理員から受けたことがあります。住居専用のマンションであることを説明するとあっさりと帰ったそうですが、「あれは絶対に何かあるよ」とそのベテラン管理員は筆者に断言しました。試しにマンションの住所に加えて「エステ」と入力して検索してみると、何とマンション内のとある部屋がしっかりと引っかかっているはないですか。問題の部屋は外部オーナーが賃貸物件として貸し出しており、新しい借主が入居したばかりでした。当然ながら管理規約に違反していることから不動産会社を通じて注意したところ、エステサロンとしての使用は否定しながらもすぐに退去していきました。■ 2.部屋が振り込め詐欺グループのアジトに!Caito / PIXTA(ピクスタ)同じ管理会社の別物件に関して、振り込め詐欺グループのアジトとなっている部屋があるということで所轄の警察署から館内の防犯カメラの映像の開示請求を受けたことがあります。告げられたのはオーナーが海外転勤のため外部に貸し出した部屋で、たまたま数日前に漏水が発生して筆者も中に入ったばかりでした。下の階への水漏れを止めるためにはすぐにでも原因を特定して処置をとらなければならないのですが、不動産会社を通じて入居者とアポイントを取ろうとしても多忙ということでどうにもならず(書類上では会社社長ということになっていた)、最終的にご本人の了解の上で警備会社が保管している鍵を使用して室内に入りました。kai / PIXTA(ピクスタ)テレビも食卓テーブルもなく生活感のほとんど感じられない殺風景な部屋で、今になってみれば「アジト」そのものだったと思います。捜査が入ったときにはすでに逃亡していましたが、犯行グループのメンバーは部屋に入ると5日間籠りきりになり、いったん解散して2日後に再度集結して5日間籠るというサイクルを繰り返しており、マンションに出入りする様子が防犯カメラにすべて映っていたようです。当然ながら部屋の解約手続きなどできるはずはなく、強制解約ということになりました。■ 3.カメラマンの自宅のはずが撮影会のスタジオに東中野の不動産会社に勤務していた際、地元の家主の一人が血相を変えて怒鳴り込んできたことがあります。カメラマンの自宅用に部屋を貸したところ客を集めて女性モデルの撮影会をやっていたということで、「直ちに追い出せ!」とまくしたてられました。Flatpit / PIXTA(ピクスタ)インターネットで検索してみるとどちらかというと美少女系の撮影会のようで「これは家主が怒るのも無理はない」と思いましたが、そうはいっても日本では借地借家法により借主は二重三重に保護されており「追い出す」というのは簡単ではありません。本人を呼んで話を聞くとあっさり自己の非を認めて退去に同意してくれましたが、ゴネられたらどうしようと内心ではヒヤヒヤしていました。■ 契約時に必ず確認すること部屋の使用方法については重要な問題で、「居住用」のみか「事務所使用可」なのかは契約書に必ず明記されます。後になって揉めることのないよう、契約時に十分に確認するようにしてください。
2019年01月29日昨年12月に発生した、札幌の不動産仲介会社のガス爆発事故には驚かされました。そこから様々な問題が発覚しましたが、何よりも知名度の高い不動産ネットワークであっても客の無知に付け込んで暴利を吹っ掛けることがあるということに驚かされました。引越しシーズンを前に、お部屋探しを始めるうえで知っておくべき最低限の知識をご紹介します。■ 3月下旬まで不動産仲介業者はてんやわんやであるYukini / PIXTA(ピクスタ)いよいよ2019年がスタートしました。日本では4月1日に新年度がスタートすることが多いため、この時期には新入学・就職・異動等により新しい生活が始まるという方が一斉にお部屋探しに着手します。当然ながら不動産会社も多忙を極めることになり、筆者の感覚では1月4日の仕事始めの日から問い合わせの電話が鳴りっぱなしになり、3月下旬の国立大学合格発表まで、ずっとてんやわんやであったように記憶しています。YsPhoto / PIXTA(ピクスタ)読者の皆様の中にも、転勤や入学等の事情でこれからお部屋探しをするという方もいるかと思います。全国にある不動産仲介会社の数はコンビニより多く、その中には残念ながら悪質な業者も含まれます。こういった業者に引っかからないためには最低限の注意点を知っておかなければなりません。■ 悪質な不動産会社を避けるためのポイント3つそれでは悪質な不動産会社を避けるための具体的なポイントを3つご紹介します。1. 不動産会社による情報量の差は存在しないふじよ / PIXTA(ピクスタ)売買でも賃貸でも、不動産会社は預かった物件の情報を所定の流通機構に登録して業界全体で共有化しなければならない定めとなっており、逆に言えば業者は専用サイトにアクセスすればすべての物件情報を入手することができます。そのため情報量はどこの業者も同じで「物件数地域一番店」などという看板に惑わされてはいけません。2. 「仲介手数料半額」を売りにした業者は避けるもとくん / PIXTA(ピクスタ)不動産会社の広告を見ていると「仲介手数料半額」を謳い文句にしている会社を目にすることがよくあります。不動産会社は成約時の仲介手数料以外の報酬を客から受け取ってはならないと定められており、これを半減させてしまってどうやって売り上げを確保するのでしょうか。成約時に貸主からバックマージンが出る物件がありますが、「仲介手数料半額」の会社はこういった物件以外紹介してくれないという話を聞いたことがあります。本当に気に入ったお部屋を見つけるためにはこういった「仲介手数料半額」を売りにする業者は避けた方がいいでしょう。3. 「除菌・消臭料」をとる業者はNGもとくん / PIXTA(ピクスタ)札幌の爆発事故をめぐる最大の問題点は業者が「除菌・消臭料」というような費用を日常的にとっていたことにあると筆者は考えています。退去時の原状回復は前入居者と貸主の費用負担で行うことが大原則であり、「除菌・消臭料」「消毒料」といった名目で新しい入居者からも費用を徴収することは不当(違法ではない)です。知名度の高い不動産ネットワークに属する業者でもこういう悪質なことをやっているのです。物件資料を見る際には備考欄に注目し、怪しい項目を発見した場合は外してもらうよう交渉しましょう。■ 不動産会社とのやりとりで気をつけるべきことtomos / PIXTA(ピクスタ)不動産会社を訪れる際は飛び込みではなく事前に電話をして予約してから行くようにしてください。この時期(特に週末)の不動産会社は多忙を極めており、飛び込みで店に入ってもまともに対応してもらえない可能性が高いからです。事前に希望条件を伝えて予約をしておけば必ず担当者が体を空けて待っていてくれ、さらに物件資料を揃えて内見する準備までしていてくれたりします。■ 「退去時清掃費」の扱いに注意!Graphs / PIXTA(ピクスタ)退去が完了した部屋は次の募集をかけるためプロによる室内クリーニングを実施する必要があり、その費用は前入居者が負担します。通常は敷金を利用して清算しますが、「敷・礼ゼロ」というような物件においては話が違ってきます。退去時に請求される場合もありますが、「退去時清掃費」といった名目で契約時にあらかじめ費用をとっておくことはよくあります。(これは違法でも不当でもない)「敷・礼ゼロ」が必ずしも引越し費用の軽減に結びつかないことも多いので、「退去時清掃費」のような項目があれば必ず確認してください。
2019年01月24日