吉本ばななの初期の名作『ムーンライト・シャドウ』が小松菜奈主演、エドモンド・ヨウ監督で映画化、今秋に公開されることが分かった。吉本ばななは、1989年の著書『TUGUMI』(1989年・山本周五郎賞受賞)と『キッチン』で年間ベストセラーの1位と2位を独占、平成最初のベストセラー作家となった。それ以後も多くの人気作品を発表、美しく詩的な文章とその独特な世界観で、日本のみならず海外のファンも多い。その中でも特に『キッチン』は世界30か国以上で翻訳され、発売から30年以上経った今でも世界中の人々に愛されている。この中に収録されている短編小説が『ムーンライト・シャドウ』だ。この作品は1987年に吉本ばななが大学の卒業制作として発表し、日本大学芸術学部長賞を受賞、そして翌1988年に泉鏡花文学賞も受賞したもの。吉本自身も「初めて他人に見せることを前提に書いた思い出深い小説」と語り、手に取った者を物語の圧倒的パワーで強烈に引き寄せて心を揺さぶり、胸を熱くし、ファンの中では初期の名作との呼び声も高い。物語は突然訪れる恋人の死をなかなか受け入れることができない、さつきの一人称の視点で描かれる。今回の映画化に当たり、その主人公を演じたのは長編映画単独主演となる女優・小松菜奈だ。2014年に公開された映画『渇き。』で鮮烈な女優デビューを果たし、それ以降も話題作に多数出演。第44回日本アカデミー賞では、映画『糸』で優秀主演女優賞を受賞するなど人気実力ともにトップを誇る。原作で描かれた主人公の心の機微をどう演じるのだろうか。メガホンを取ったのがエドモンド・ヨウ監督だ。彼が撮影した映画作品は、世界中の重要な国際映画祭で上映されており、国際的に高く評価されているマレーシア人映画監督のひとりである。2017年の東京国際映画祭では、『アケラットーロヒンギャの祈り』で東南アジア初となる最優秀監督賞受賞の栄誉に輝く。原作への尊敬と愛情を抱きながら、幻想的で詩情豊かな物語を描くその手腕で新境地へと挑戦してくれるはずだ。このコラボレーションがどの様な作品を生み出すのか、続報に期待したい。<吉本ばなな:コメント>『ムーンライト・シャドウ』は、私がちょうど小松さんと同じ年齢の頃の24歳くらいに、初めて他人に見せることを前提に書いた思い出深い小説です。主人公のさつきを小松さんが演じると聞いて、そのときの気持ちに作品を生まれ変わらせてくれるんじゃないかと、そんな気がしました。小松さんは、ものすごく旬でパワフルな方という印象でしたが、このお話の中にある“暗さ”のようなものも彼女の中に感じられるので、すごくぴったりだと思いました。今回手掛けるエドモンド監督の作品にある、ちょっとだけ日常からふわっと浮いている感覚が、人を亡くした時の人の気持ちとすごく似ていると思います。全編を通じて、夢なのか妄想なのかそれとも現実なのか。この小説の大切なところは、「人が死んでしまう」ということ。若くて美しくて順風満帆で、何も陰りのなかった人が、突然「別れ」というものに晒された時にどうにもしようがない期間があり、地に足がつかない気持ちを時間が立ち直らせてくれる。生身の人間が演じることで映像によってどう表現されるのか、自分が描いていなかった部分がふと出てくることがいっぱいありそうな気がしていて、私も楽しみにしています。もしかしたらこの小説は全部妄想なのかもしれない。小説だとちょっと浮いている感じを行間で表すしかありませんが、映像になると目に見えて現れる。でも現実ではない。そういう表現を、エドモンド監督は得意なんじゃないかなと思います。今、特にこの時代だからこそ、急にびっくりするようなことが起こるというのは、誰にでも起こり得ることだと思います。美しい映像を味わう気分で観ていたとしても、心の中に何かがだんだん食い込んでくるような映画になる予感がしています。できれば大きい画面で観て欲しいなと思います。<小松菜奈:コメント>吉本ばななさんの『キッチン』はもちろん知っていたのですが、今回『ムーンライト・シャドウ』のお話をいただいて、改めて原作を読むきっかけとなりました。「さっきまで目の前にいた人が急にいなくなってしまう」でも周りの日常は何も変わらない。どれだけ自分や誰かを責めても二度と戻る事ができない…その時から時は止まってしまうのだろう。走り出したり、止まったり、ぽつぽつと歩く。その繰り返しの日々の中で登場人物が何かを抱き締めながらも、哀しみ・喪失感・絶望・孤独それだけじゃない、乗り越えようとする人間のエネルギーみたいなものを吉本ばななさんの生み出す1つ1つの魅力的な言葉から感じました。いつか人生で経験する「死」、このようなカタチで再び本を開くきっかけとなってよかったと思います。主人公のさつきは普通の子だからこそ難しい部分もありましたが模索していく中で、さつきと同じ感情になった瞬間は嘘がないような気がしました。撮影中はエドモンド監督の描きたいシーンについて、みんなが監督を信頼しているからこそ、私たち役者の感情を大事にしていただき、スタッフさんのアイデアや意見も取り入れて、最終的に一つになるという現場でした。今回、監督とご一緒できて、また一つ私の新しい扉を開けていただいたと思います。自分でもどんな風に完成しているのか未知の世界で、こんなに想像がつかない作品は初めてかもしれません。だからこそ作品の完成がとても楽しみです。是非、皆さんも楽しみにしていただけたら嬉しいなと思います。<エドモンド・ヨウ監督:コメント>いちばん最初に原作を読んだのは2006年のことです。シンプルな構成と短い物語であるにも関わらず、『ムーンライト・シャドウ』を読んだ記憶は10年以上経った今でも色褪せず、鮮明に残っています。当時、私は20代初めで、登場人物達や、作者である吉本さんが執筆された年齢と同世代だったのです。その時揺さぶられた感情はとても力強いものでした。言わば、ちょうど良い年齢の時にこの本を読んだのです。その2年後、大好きな日本映画や日本文学の影響で、早稲田大学で修士号を専攻する事になり、その頃撮った短編は、ほとんど日本の偉大な小説作品から影響を受けて作ったものです。映画化のお話を頂いた時、私の旅が原点に戻ったような気持ちでした。吉本さんの文章の普遍性やエモーションをスクリーンに投影する素晴らしい機会を嬉しく思いました。『ムーンライト・シャドウ』のさつきは、その後吉本さんが生み出した、多くの登場人物の原型だったのではないかと思っています。そのほとんどのキャラクターにさつきの姿を見出すことが出来ます。このさつきを演じるのは、小松菜奈さんしか考えられませんでした。彼女なしでは映画化は不可能でした。演技をするのではなく、小松さんはさつきになったのです。監督の私にとっては、このようなコラボレーションは本当に幸福で豊かな体験でした。シーンの1つ、ショットの1つを撮るたびに、期待に胸を膨らませて小松さんのお芝居を見守っていました。それは非常に有機的なプロセスでした。彼女はキャラクターについての新たな秘密を打ち明け、あたかもその魂が垣間見えるように、一瞬にして喜びと悲しみの閃光を放つのです。現在のような世界的規模のパンデミックのさなかに、この作品を皆さんに送り届けることが出来て本当に光栄です。コロナ禍における撮影は非常に困難でしたが、スタッフやキャスト、私のムーンライトファミリー全員が、この映画に魂とハートを注いでくれました。このような困難な時期にあっても、愛する映画のためにやり遂げたことは驚くべき事だと思います。息もつく間もありませんでしたが、私にはそのすべてが幸福な時でした。『ムーンライト・シャドウ』今秋より公開
2021年05月12日女優の小松菜奈が、映画『ムーンライト・シャドウ』(2021年秋公開)の主演を務めることが12日、明らかになった。同作は、小説家・吉本ばななによる社会現象ともいえる大ヒット作『キッチン』に収録されている短編小説の実写映画化作。突然訪れる恋人の死をなかなか受け入れることができない、主人公・さつき(小松菜奈)の物語となる。短編小説「ムーンライト・シャドウ」は、1987年に吉本ばななが大学の卒業制作として発表し、日本大学芸術学部長賞を受賞、そして翌1988年に泉鏡花文学賞も受賞した作品。吉本自身も「初めて他人に見せることを前提に書いた思い出深い小説」と語り、ファンの中では初期の名作との呼び声も高い作品。小松は、今作で初の長編映画単独主演となる。メガホンを取ったエドモンド・ヨウ監督は、撮影した作品が世界中の重要な国際映画祭で上映されており、国際的に高く評価されているマレーシア人映画監督の1人。2017年の東京国際映画祭では、『アケラットーロヒンギャの祈り』で東南アジア初となる最優秀監督賞受賞の栄誉に輝いた。長年世界中で愛されている“吉本ばなな”の名作の主人公を、今もなお進化を続ける女優・“小松菜奈”が演じ、アジアを代表する将来有望な“エドモンド・ヨウ監督”が新境地へと挑戦するという、三者のコラボで新しい形の日本映画が誕生する。○原作・吉本ばなな コメント「ムーンライト・シャドウ」は、私がちょうど小松さんと同じ年齢の頃の24歳くらいに、初めて他人に見せることを前提に書いた思い出深い小説です。主人公のさつきを小松さんが演じると聞いて、そのときの気持ちに作品を生まれ変わらせてくれるんじゃないかと、そんな気がしました。小松さんは、ものすごく旬でパワフルな方という印象でしたが、このお話の中にある“暗さ”のようなものも彼女の中に感じられるので、すごくぴったりだと思いました。今回手掛けるエドモンド監督の作品にある、ちょっとだけ日常からふわっと浮いている感覚が、人を亡くした時の人の気持ちとすごく似ていると思います。全編を通じて、夢なのか妄想なのかそれとも現実なのか。この小説の大切なところは、「人が死んでしまう」ということ。若くて美しくて順風満帆で、何も陰りのなかった人が、突然「別れ」というものに晒された時にどうにもしようがない期間があり、地に足がつかない気持ちを時間が立ち直らせてくれる。生身の人間が演じることで映像によってどう表現されるのか、自分が描いていなかった部分がふと出てくることがいっぱいありそうな気がしていて、私も楽しみにしています。もしかしたらこの小説は全部妄想なのかもしれない。小説だとちょっと浮いている感じを行間で表すしかありませんが、映像になると目に見えて現れる。でも現実ではない。そういう表現を、エドモンド監督は得意なんじゃないかなと思います。○小松菜奈コメント吉本ばななさんの『キッチン』はもちろん知っていたのですが、今回「ムーンライト・シャドウ」のお話をいただいて、改めて原作を読むきっかけとなりました。「さっきまで目の前にいた人が急にいなくなってしまう」でも周りの日常は何も変わらない。どれだけ自分や誰かを責めても二度と戻る事ができない…その時から時は止まってしまうのだろう。走り出したり、止まったり、ぽつぽつと歩く。その繰り返しの日々の中で登場人物が何かを抱き締めながらも、哀しみ・喪失感・絶望・孤独それだけじゃない、乗り越えようとする人間のエネルギーみたいなものを吉本ばななさんの生み出す一つ一つの魅力的な言葉から感じました。いつか人生で経験する「死」、このようなカタチで再び本を開くきっかけとなってよかったと思います。主人公のさつきは普通の子だからこそ難しい部分もありましたが模索していく中で、さつきと同じ感情になった瞬間は嘘がないような気がしました。撮影中はエドモンド監督の描きたいシーンについて、みんなが監督を信頼しているからこそ、私たち役者の感情を大事にしていただき、スタッフさんのアイデアや意見も取り入れて、最終的に一つになるという現場でした。今回、監督とご一緒できて、また一つ私の新しい扉を開けていただいたと思います。自分でもどんな風に完成しているのか未知の世界で、こんなに想像がつかない作品は初めてかもしれません。だからこそ作品の完成がとても楽しみです。是非、皆さんも楽しみにしていただけたら嬉しいなと思います。○エドモンド・ヨウ監督 コメントいちばん最初に原作を読んだのは2006年のことです。シンプルな構成と短い物語であるにも関わらず、「ムーンライト・シャドウ」を読んだ記憶は10年以上経った今でも色褪せず、鮮明に残っています。当時、私は20代初めで、登場人物達や、作者である吉本さんが執筆された年齢と同世代だったのです。その時揺さぶられた感情はとても力強いものでした。言わば、ちょうど良い年齢の時にこの本を読んだのです。その2年後、大好きな日本映画や日本文学の影響で、早稲田大学で修士号を専攻する事になり、その頃撮った短編は、ほとんど日本の偉大な小説作品から影響を受けて作ったものです。今回「ムーンライト・シャドウ」を映画化するお話を頂いた時、私の旅が原点に戻ったような気持ちでした。吉本さんの文章の普遍性やエモーションをスクリーンに投影する素晴らしい機会を嬉しく思いました。「ムーンライト・シャドウ」のさつきは、その後吉本さんが生み出した、多くの登場人物の原型だったのではないかと思っています。そのほとんどのキャラクターにさつきの姿を見出すことが出来ます。このさつきを演じるのは、小松菜奈さんしか考えられませんでした。彼女なしでは「ムーンライト・シャドウ」の映画化は不可能でした。演技をするのではなく、小松さんはさつきになったのです。監督の私にとっては、このようなコラボレーションは本当に幸福で豊かな体験でした。シーンの一つ、ショットの一つを撮るたびに、期待に胸を膨らませて小松さんのお芝居を見守っていました。それは非常に有機的なプロセスでした。彼女はキャラクターについての新たな秘密を打ち明け、あたかもその魂が垣間見えるように、一瞬にして喜びと悲しみの閃光を放つのです。現在のような世界的規模のパンデミックのさなかに、この作品を皆さんに送り届けることが出来て本当に光栄です。コロナ禍における撮影は非常に困難でしたが、スタッフやキャスト、私のムーンライトファミリー全員が、この映画に魂とハートを注いでくれました。このような困難な時期にあっても、愛する映画のためにやり遂げたことは驚くべき事だと思います。息もつく間もありませんでしたが、私にはそのすべてが幸福な時でした。(C)2021映画『ムーンライト・シャドウ』製作委員会
2021年05月12日女優の小松菜奈が、明治「ガルボ」の新CMキャラクターに就任し、2日から全国で放送される新CM「ガルボ あるあるモンスター」編に出演することが分かった。オンライン会議でスーツを着用し、気合バッチリと見せかけてズボンはパジャマの「パジャマ・ケンタウロス」など、共感できるような仕事のワンシーンを、小松が“あるあるモンスター”となって表現するCM。髪を1つにまとめたスカイブルーのスーツ、真っ赤なワンピース、ビビットなピンクのブラウスとグレーのパンツでゆるい巻き髪……とカラフルな衣装を着こなし、さまざまなヘアメイクを披露している。女優業やモデル業で多忙な小松だが、モチベーションにしているのは「美味しいものを食べること」だという。「現場でも『今日のお昼何かな?』とか、『お休みの日、あれ食べに行きたいな』とか考えている時間が幸せです。食べ物のことを考えていないことがないくらい大好きなので、おいしいものを食べるためにちゃんと働くことを大切にしています」と明かす。春から新たにチャレンジしたいことも「魚を綺麗にさばけるようになりたいです」と、食べ物関連。「家で魚を1匹まるまる買ってさばくことはなかなかないので、勉強してキレイに魚をさばける人になりたいです。三枚おろしとか綺麗にできたらかっこいいなと思うので、そういう動画をよく見ています」と熱い思いを語った。
2021年04月02日ミツメの6枚目のアルバムタイトルはシンプルに『VI』。コロナ禍ということもあり、リモートで作られた楽曲も多く、一曲一曲が独立した短編集のイメージがあったという。今はせめて作品ぐらいはポジティブにいきたい。「制作期間も長めだったので、コンセプトを設けずに曲を作っていって、アルバムまでそれをやりきった感じでした。その都度バラエティに富んだことをしたというか」(川辺)「リモートで人の意見を気にせず自分のアイデアを突き詰められたんです。そういう感じで各メンバーが音を乗っけていったので、アンサンブル的にも面白いものになった気がします」(nakayaan)様々な音楽を通過した、ミツメならではのミステリアスでドリーミーな音像。新しい制作スタイルによって、その独自性がより進化した。特に「コンタクト」は、不安定なビートにしっとりとした歌が乗るマッチングが面白い。「『コンタクト』は、デモではもっと不安定なビートを乗せていたので、僕的にはメンバーはNOと言うだろうと思ったんですけど、nakayaanが『面白いじゃん』って言ってくれて、(大竹)雅生も何も言わずにそれを飛び越えてくるような爆裂したギターを弾いて送ってくれて。『意外とみんなダメって言わないんだな。面白いな』って(笑)」(須田)「いつもみたいに集まってセッションで作ると時間の制限があるのでその場での反射神経が重要になるんですけど、今回は何日もかけて取り組むのが新鮮でしたね。変わったドラムパターンが送られてきたとしても(笑)、どうやってそれにギターを乗せようかってじっくり考えて」(大竹)叙情性とほのかな熱情感が高まった歌詞も今作の特徴だ。「前作『Ghosts』の歌詞は割とシビアに物事を捉えていたんですけど、今はせめて作品くらいはポジティブにいきたいなって思って、前向きな作り話めいたものを心掛けました。なかでも『コンタクト』の歌詞は、僕としてはシリアスな冗談として捉えてて。でもアルバム終盤の10曲目だと熱すぎなんじゃないかって思ったんですけど、メンバーに『ここがいいんじゃないか』って言われて(笑)」(川辺)「近況の話もするから、川辺の歌詞を読んで『こういうことなんじゃないか』って思うこともありますが、それが当たってるかどうかも確認しないし、それはそれでいいと思ってて。やっぱり含みがある方がいいんですよね。自分が他の音楽を聴く時もそういう楽しみ方をしたいので、川辺の歌詞を読む時も同じような感じというか」(須田)作品を重ねれば重ねるほど、時流にとらわれずに我が道を行く“ミツメらしさ”が増しているのでは。「メンバーみんな、周りを見渡してどうするかっていうより、自分はこの音楽が好きで、それをずっと聴いてるって感じが強まってるんじゃないですかね。自分の趣味を突き詰めているようで、結果的に社会ともどこかで接続している感じがベストだと思ってて。それで4人集まると、音楽の幅もできていくっていうのが、ここ数年よりできるようになってる気がします」(川辺)6thアルバム『VI』。3月24日発売。【CD2枚組】DISC1は12曲+ボーナストラックとして「Basic(feat. STUTS)」を収録。DISC2はインスト盤。¥3,000【初回限定生産商品LP】12曲入り。¥3,200(mitsume)ミツメ左から、nakayaan(Ba&Cho)、須田洋次郎(Dr&サンプリングパッド)、大竹雅生(Gt&Syn&Cho)、川辺素(Vo&Gt)。2009年、東京にて結成。’10年頃からライブ活動を開始。’11年、1stアルバム『mitsume』リリース。※『anan』2021年3月24日号より。写真・岩澤高雄(The VOICE)取材、文・小松香里(by anan編集部)
2021年03月23日藤原竜也主演「青のSP」の9話が3月9日放送。暴行事件の被害者である涌井と密かに親しくする尾崎…そこから隆平がたどり着いた香里の死の真相に「尾崎と涌井がラスボスか」「岡部も被害者」など、SNSには様々なコメントが投稿されている。学校内に警察官が常駐、トラブル対応や予防活動を行う「学校内警察(スクールポリス)」が試験導入された赤嶺中学校。赤嶺中で教師をしていた元恋人の香里が謎の死を遂げ、その真相を突き止めるためスクールポリスに志願した主人公・嶋田隆平が、香里の死の真相に迫りながら学校にはびこる悪を成敗していく本作。隆平を藤原さんが演じ、香里と同僚だった3年1組担任の浅村涼子に真木よう子。嶋田の後輩の少年係刑事、三枝弘樹に山田裕貴。生徒を脅迫し香里の死のきっかけを作って逮捕された、赤嶺中学の校長・木島敏文に高橋克実。教育委員長の尾崎賢治に升毅。1年前、生徒に性的暴行未遂事件を起こした岡部に遠藤雄弥。1年前の暴行未遂事件の被害者となった生徒、涌井美月に米倉れいあ(821)。1組のクラス委員長・尾崎香澄に鈴木梨央。自転車のブレーキに細工されたことがきっかけで亡くなった、嶋田の恋人で音楽教師の小川香里に明日海りお。赤嶺中学の教師として柴田透に泉澤祐希、阿部裕亮に音尾琢真、一ノ瀬悟に石井正則、新津清に須賀健太、福島美津子に峯村リエ、水野楓に山口紗弥加らも出演。※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。木島が逮捕されたが香里の死にはまだ裏があると考える嶋田は、事件の被害者であるはずの涌井に「化けの皮をはがす」と告げる。そんななか3年生のクラスで高校受験の進路指導が始まる。三者面談の場であるにも関わらず反抗的な態度を取った涌井に暴力をふるう父親。家庭内に問題があると考えた隆平が美月を尾行すると、図書館で涌井が尾崎と楽しげに建築の本を読む姿を目にする。そのことを涼子に話すと1年前の暴行事件の現場に尾崎もいたことを思い出す。尾崎に涌井との関係を問う嶋田。尾崎は涌井に「気を付けて」と連絡すると、その足でレストランへ。そこで待っていたのは教育委員長の尾崎賢治。尾崎は賢治の子どもだった。さらに涌井と尾崎が同じ新設校への進学を希望していることも発覚する。一方、岡部は警察の事情聴取が来たことで予備校の職を辞めさせられ、さらに恋人もネットにさらされる。すべてを失った岡部は手製の銃で釈放された木島を撃つ…というのが今回のストーリー。岡部が木島を撃つ直前「約束が違う」と叫んでいたことや、涌井と尾崎の2人のことを回想した嶋田が口にした「あの2人にだまされていたのかもしれない」というセリフから、「岡部先生と校長は何を必死に隠してるの??涌井さんと尾崎さんは何をしたの…??」「涌井さん尾崎さんが岡部を陥れたってこと…??」「涌井と委員長は岡部をハメたっぽいし岡部も被害者なんだろうね」「尾崎と涌井がラスボスか」など様々な反応が上がる。また母親から希望とは別の進路を強制される井上双葉(唯藤絵舞)、相良恭子(石井薫子)を巡る物語にも「自分の時も思い出しながらしみじみしました」など、自らの体験を重ねて共感する声が多数寄せられている。(笠緒)
2021年03月10日「小松さんは、子供のころから僕のアイドルでした。それで、僕が初めて映画を撮ることになったとき、どうしても出演していただきたくてお手紙を出しました。ほどなくして小松さんから『舞台出演が続いているので難しいです』と丁寧な断りのお返事がきました。でも諦めきれなくて、小松さんが出演している舞台を立て続けに見に行き、そのたびに楽屋へ押しかけて。『何年でも待ちます』と言い続けました。すると、あるとき『わかった!君には負けたよ!出るよ』と言ってくださって。本当に嬉しかったですね」こう語るのは、映画「モルエラニの霧の中」で監督を務めた坪川拓史さん(49)だ。7話で構成されたオムニバス映画である同作には香川京子(89)や大塚寧々(52)、さらに18年2月に急逝した大杉漣さん(享年66)といった名優たちが数多く出演。そして第3話・夏の章「しずかな空」で主演を務めているのが、昨年12月に亡くなった小松政夫さん(享年78)だ。00年、初めて監督を務めた映画『美式天然』で小松さんとの縁が生まれた坪川さん。以降、制作した全ての作品に小松さんが出演することに。「20年もの間、本当に良くしてくださいました」として、こう明かす。「この20年、小松さんとの連絡が半年以上空いたことはありません。僕はいま北海道に住んでいますが、上京するたびに食事をご一緒してくださいました。昔の芸人さん達の話もたくさんしてくれましたね。いつも話は尽きず、とても貴重な話ばかりで、全部録音しておきたかったです」坪川さんは「小松さんが吹き込んでくれた留守電を20年分保存しています」という。そしてスマホの留守電フォルダを再生すると、「いやぁ、どうも。小松でございます」と“小松節”の数々が。何気ない記録だが、坪川さんにとって愛おしい財産だ。「モルエラニの霧の中」は14年5月から撮影が始まり、18年10月に撮影終了。その制作期間は、5年に及んだ。やっと日の目をみるというタイミングでコロナ禍となり、公開が一年延期に。その際、小松さんはこんな留守電を残してくれた。「しばらくでした~、お元気ですか?いやいやいや、えらいことでしたね。どんなふうにしてるのかなって思って。何の用もないんですが、ちょっと電話してみました。また電話しまーす。よろしく」■小松さんが残してくれた言葉20年の年始にも留守電が残っていた。折り返して電話をしたところ、小松さんは「なんだ、監督見てたの?いま、病院から出てきて車に乗ったとこだよ」と話したという。「『どこか悪いんですか?』と聞いたんですが、詳しくは教えてくれなくて。最後に話したのは、亡くなる3ヵ月ほど前。ちょっと声が細くなったかな、とは思ってたんですけど。その一年前には舞台もやっていたので、まだまだお元気だろうと思ってました」坪川さんは、小松さんのある言葉が胸に残っているという。「『芸人とは人様が呼んでくれるもの。自分で“芸人です”って名乗るのはおかしい』と常々言ってました。小松さんはいろんな芸を観てきているから、芸の引き出しが無数にある。小唄、長唄、義太夫、都々逸、たくさんのお座敷歌も教えてくれました。“バナナの叩き売り”の口上、“泣き売”など、今は見ることが出来ない香具師の口上の真似も。かと思うと、ふとモップを手にしてフレッド・アステアみたいに踊り出したこともありました。小松さんこそ、本当の意味での芸人だと思います」そんな小松さんの“芸人ぶり”に助けられたこともあった。坪川さんが続ける。「1作目には、廃館になった映画館で撮影するシーンがありました。でも、撮影の準備がなかなか進まなくて。しかも、記録的猛暑の日だったんです。電気が通ってないので、エアコンも何もない。照明も焚いているので、館内はサウナ状態に。さらに冬の日という設定だったので、100人近くいたエキストラの皆さんは冬服を着て待っていました」過酷な現場の様子を舞台の袖で見ていた小松さんは「みんな大丈夫かな?」と言いながら、ふと舞台へと出て行ったという。「小松さんは、『いやぁ、どうも。小松でございます。撮影ってのは待ち時間が長いんですよ?』と和ませてくれて。それで『私も昔、こういう舞台に立って歌手やってたんですよ』と言いながら、『デンセンマンの電線音頭』を披露してくれたんです。『皆さんお手拍子!』と言いながらフルコーラス、汗だくで歌って踊って。そのお陰で、みんなに笑顔が戻ったんです。『じゃあ皆さん、帰らないでね~!』と言って、袖に戻ってきて。僕がお礼を言うと、『ちょっとは気が紛れたでしょ?』って気遣ってくれました」■「もはや、僕にとって“映画の育ての親”です」「小松さんには感謝の気持ちしかありません」と語る坪川さん。「モルエラニの霧の中」には、恩返しの思いも込められていたようだ。「小松さんがあるとき、『次は、ホロリとさせる真面目な役をやりたいな』と言ったんです。たしかに、これまでは楽しい役柄の方が多かったんですよね。その言葉に応えようと、何度も話し合いながら脚本を書いて……。だから、今回の作品は一緒に作りあげたものです」坪川さんは最後に、こんな思いを語った。「20年前のあの日、いきなり押しかけた若僧の僕の話を聞いてくれて、そして出演もしてくれた。その後もすべての作品に出てくれた。小松さんはもはや、僕にとって“映画の育ての親”です。亡くなってしまわれたのは残念でとても淋しいですが、僕はある役割を担ったんだと思っています。それは“小松さんがいかに素晴らしい本物の喜劇人だったかを伝えていく”ということ。その芸の素晴らしさを広めていくのが、これからの使命のように感じています」坪川さんの歩む道を、小松さんは天国から見守っているだろう。
2021年03月06日2ndEP『Answers』の表題曲は、浮遊感のあるアレンジやメランコリックな歌といったmol-74らしさがありながら、サビが際立った展開がとてもキャッチーだ。今までやってなかったことを取り入れたかった。「オーソドックスな構成にしたかったんですね。かつ今まで自分らがやってなかったことを取り入れたくて。それで、よくJポップにある、ラストサビで転調して半音上がる展開を取り入れてみました」(武市)「あまり“らしさ”ばかりを意識してもおもしろみがないと思ったので、ギターを歪ませて火花が散るような音色を出していたり。やっぱり新しいチャレンジはしていきたいですよね」(井上)「デモの段階では、もっと打ち込み感が強かったんですが、その雰囲気を残しつつ、弾いてる人の表情や空気感がちゃんと見えるようにアレンジしていきました」(髙橋)アニメ『BORUTO-ボルト-NARUTO NEXT GENERATIONS』のエンディングテーマであり、不安を感じながらも希望に向かう強い意志を感じさせる。「去年ツアーが中止になってしまって、バンドの士気が少し下がってしまったんですね。それで、例えばメンバーが脱退してしまったらってことを想像して感じた思いと、『BORUTO』で描かれてる別れのシーンを重ねて歌詞を書きました。コロナの影響もあって、2020年は選択肢がすごく増えた年だと思っていて。でも全部をネガティブなものではなく、何年かして、あの選択があるからこそ今があると捉えられたらって思いもありました」(武市)音楽性がバラバラの4曲が収められたEP。しかしどの曲も、繊細な情景が浮かび上がる。結成から10年が経ち、“自分たちらしさ”についてはどう考えているのだろう?「結成当時、僕らはだいぶひねくれてたので(笑)、周りがやってないことをやろうと思ってて。僕がファルセットで歌ってるのもそうですし、ギターで空気感を作るのがかっこいいなって思っていて」(武市)「ドラムも変な縛りを設けたりしてましたね(笑)」(坂東)「でも歳を重ねていくうちに角が取れるというか。幼少期はJポップしか聴いてなかったこともあって、その土壌に挑戦してみたい気持ちも加わって、最近の曲が生まれてきてる気がします」(武市)2nd EP『Answers』。アニメ『BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』エンディングテーマを含む4曲入り。【初回生産限定盤(CD+DVD)】¥1,500【通常盤(CD)】¥1,250(Sony Music Labels)モルカルマイナスナナジュウヨン左から、井上雄斗(Gt&Cho)、武市和希(Vo&Gt&Key)、髙橋涼馬(Ba&Cho)、坂東志洋(Dr)。2010年、京都で結成。’19年4月、初のフルアルバム『mol-74』でメジャーデビュー。※『anan』2021年3月10日号より。写真・大嶋千尋ヘア&メイク・山口朋子取材、文・小松香里(by anan編集部)
2021年03月04日藤原竜也主演、真木よう子、山田裕貴らが共演する「青のSP」の8話が3月2日オンエア。ついに判明した香里の死の真相に驚きの声が上がるなか、暴走する嶋田を止めた三枝を讃える声も多数。「山田裕貴くんの神回」という感想も投稿されている。学校内に警察官が常駐、トラブル対応や予防活動を行う制度であるスクールポリス制度が赤嶺中学に導入される。赤嶺中学では1年前、音楽教師の小川香里が謎の事故死を遂げており、香里の恋人だった刑事の嶋田隆平は彼女の死の真相に迫ろうと、刑事を辞めスクールポリスに志願する…という本作。嶋田を藤原さんが演じるほか、香里と同僚で今は3年1組担任で国語を担当している浅村涼子に真木さん。嶋田にこき使われる後輩で少年係刑事の三枝弘樹に山田さん。何者かに自転車のブレーキを切られ事故に遭い、その結果階段から転落死した嶋田の恋人、小川香里に明日海りお。スクールポリス導入を決めた赤嶺中学の校長、木島敏文に高橋克実。赤嶺中学の教師役で泉澤祐希、山口紗弥加、音尾琢真、石井正則、峯村リエらが出演する。※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。今回は野球部でピッチャー・矢島裕(長島令玖)にレーザーポインターが照射される嫌がらせをきっかけに“闇部活”が発覚。当初は顧問の阿部(音尾さん)に恨みを抱く者の犯行と思われ、嶋田は1年前に熱中症で倒れ事故にあった部員の坂木司(山時聡真)から話を聞く。坂木は阿部が悪いわけでなく、熱中症の原因は先輩の黒石たちの執拗な“しごき”で、香里が事故にあったのも黒石たちの仕業だと告白する…というストーリー。そして明かされる香里の死の真相…それは黒石の仲間の松田という少年が、校長の木島から指示を受け自転車のブレーキに細工をしていたというものだった。木島に怒りと憎しみをぶつける嶋田。このままでは木島の命を奪いかねないという瞬間に三枝が現れ「これ以上は、俺が先輩に手錠をかけなきゃいけなくなりますから!」と嶋田を止める…。「三枝さんが飛び込んできてくれて良かった」「何だかんだタイミング良いし、すげー頑張ってるしカッコいいよね」「やっぱりただの可愛い子じゃなかった…」「山田裕貴くんの神回」「こういう真っ直ぐなキャラも合うんだね」など、三枝の活躍と山田さんの演技を讃える声がSNSに溢れる。一方、校長の木島が香里の死の黒幕だったことに「日和見&ことなかれ主義の小物と思って侮っていたらまさかの逮捕」「裏の裏の裏の…と、どんでん返しの展開が続くね」と驚きの声が上がるなか、「まだ最終回じゃないってことは、まだ黒幕がいるってことですね」と今後の展開を注視するコメントも。最終回に向け嶋田が香里の死、赤嶺中学の闇にどう迫っていくのか、多くの視聴者が注目している。(笠緒)
2021年03月02日全15曲入りのメジャーファーストアルバム『Billow』は、複数の映画やドラマの主題歌等が収められた上で、多様な音楽性が詰まっている。「コロナ禍においても、暗さや深い意味を持ちすぎず、ちゃんと楽しめる曲を改めて書いた」と語る須田景凪さん。タイトルにも、そのような意図が込められているという。ここ数年でやりたかったことを限りなく詰め込めた。「今は“どうやってコロナと生活していくか”ということをみんな考えているところもあると思うんですけど、去年僕がこのアルバムを作り始めた最初の緊急事態宣言の時って、急にすべてのことがストップしましたよね。僕も、レコーディングもできないし、ひたすら家で曲を作る生活になりました。そこでSNSを見た時にそれまで当たり前にあった一人一人の考え方みたいのが、強度を増して鋭い意見としてはびこっていて、それがぶつかり合っていて。いろんな人の思想みたいなものが渦を巻いている状態だなと感じて、自然と『Billow』っていうタイトルになりました」アルバム曲には、斬新なトライアルをしているトラックが多い。「自分の音楽を振り返って、再構築する時間があった気がしてます。それによって、ここ数年でやりたかったことを限りなく詰め込めたのかなと。中国っぽいサウンドを作りたくてできた『迷鳥』だったり、静かでうるさいドープな感じをやりたかった『風の姿』だったり。やりたかったチャンネルを一つ一つアウトプットできたのかなと思ってます」奔放なトラックだとしても、向上したボーカルの力で強力なポップスとして成立させている印象がある。「僕は元々ボカロPという自分で歌う人間ではなくて、何も考えず歌うと結構癖があるタイプだったので、いかに癖をなくして歌うかってことと向き合ってたんです。でもここ一年くらい、スタッフの方とかに『もっと自由に歌ってみたら』って言ってもらったりして。それで、効果的に癖を残すところとそうじゃないところのメリハリをどうするかに向き合った。そういう部分が自然に出てきたのかなと思ってます。こう歌うと音楽理論的には誤りかもしれないけど、このほうが言葉は刺さるっていうことを大事にしましたね」「飛花」や「刹那の渦」といった、コロナ禍になって序盤にできた楽曲は突然の事態に打ちひしがれた心境が表れているが、1曲目の「Vanilla」と映画『名も無き世界のエンドロール』の主題歌であるラスト曲「ゆるる」は強い希望を感じさせる。「強い意志を持ったテーマの曲を入り口と出口に置くことで、聴いてくれた人の印象が、後ろ向きではなくなるんじゃないかなと思ってこの曲順にしました。『ゆるる』は、『名も無き世界のエンドロール』を観た印象として、全体的に少し苦しい雰囲気があると感じて、喪失感をテーマに書いたんです。タイアップ曲は今までだったら、結構作品に寄せたものを書くことが多かったんですけど、今回は寂しさみたいなものにフォーカスをあてることで、自然と今の時代とリンクするものになる。そうやって自分が今考えてることを多く入れたほうがいろんな人に伝わるんじゃないかと思ったので、必要以上に作品を意識せず書いたんですよね」アルバム『Billow』。映画『名も無き世界のエンドロール』主題歌「ゆるる」ほか、全15曲収録。【初回生産限定盤(CD+DVD+80Pアートブック)】¥4,800【通常盤(CD)】¥3,000(Warner Music Japan/unBORDE)すだ・けいな2013年より「バルーン」名義でボカロPとしての活動を開始し、’16年に発表された「シャルル」は3年連続で10代カラオケランキング1位に。’17年10月、自身の声で歌う「須田景凪」としても活動を開始。※『anan』2021年2月24日号より。写真・松田 拓ヘア&メイク・YOSHIKO(SHIMA)取材、文・小松香里(by anan編集部)
2021年02月21日デビューから10年間の歴史が詰まった、[Alexandros]初のベストアルバム『Where’s My History?』は2枚組全33曲に及ぶ。ロックバンドであることを強固な軸としながらも、日本語と英語、そして多様なサウンドが入りまじった音楽性はまさにボーダーレスだ。ロックバンドって反骨精神だと思うんです。「セカンドアルバムまではアマチュア時代のストック曲でまかなえてたんですけど、そこからは、新しいものを絞り出していく時期でした。4枚目からは、ロックやライブハウスに興味のない人にも届くための曲を意識し始めた頃。そういう歴史もわかる選曲になってますね」(川上)「サードから新しいところにいくために、キーボードやギターの本数が増えて、音数が増えましたね。実験的なことが始まったし、幅が広がったと思います」(白井)「その時期は、このままでもいい部分と足りない部分はどこなんだろうって、己から出てくる瞬間的な爆発を求めて、4人でずっと試行錯誤を続けていた日々でしたね」(庄村)「僕らには基本的にはプロデューサーがいないんです。自分たちで判断するしかなかったから、音も混沌とするはずですよね。だからこの10年で何を培ったかといったら自己プロデュース力。衣装も自分たちで選んでますし。それがうちらのスタイルを培いましたよね」(川上)混沌としたベスト盤の中でも、初期からのライブアンセムのひとつでもある「For Freedom」は、[Alexandros]の座右の銘のような曲名と、枠を壊すようなヘビーで振り切れた音が、バンドの宣誓にも聞こえる。「ライブハウスでお客さんが増えなくて、少しでも増やすために路上ライブをやって。目の前を歩いてる老若男女に対して間口の広い曲を作ったこともあったけど、やっぱりライブハウスのことを考えて『For Freedom』ができた。この頃僕は会社員とバンドの二足の草鞋で精神的に苦しかったんですが、その気持ちも込めてこの激しい曲ができて。転機になりましたよね」(磯部)「『俺ら本当に死に物狂いでやらなきゃ終わっちゃうな』って思ったことによって、初めて同じところを見つめられて、一発録りでこの曲ができて。俺にしか作れないこういう曲をメンバーも待ってたと思うし。やっぱり、ロックバンドって反骨精神だと思うんですよね。僕らも曲の作り方やバリエーションは増えていったけど、基本的なマインドはそこ。僕がクラスの端っこにいるような性格っていうのもある(笑)。それがロックだと思ってるんです」(川上)連続ドラマ『ウチの娘は、彼氏が出来ない!!』への川上さんの出演も話題になっている。「脚本の北川悦吏子さんから直々にお手紙をいただいて。それで新しい景色が見たいって気持ちが生まれて、出ることを決めたんです」(川上)ベストアルバム『Where’s My History?』は3月17日発売予定。全33曲収録。【初回限定盤(2CD+DVD)】¥4,300【初回限定盤(2CD+Blu‐ray)】¥4,700【通常盤(2CD)】¥3,000(UNIVERSAL MUSIC)アレキサンドロス左から、庄村聡泰(Dr)、磯部寛之(Ba&Cho)、川上洋平(Vo&Gt)、白井眞輝(Gt)。2010年1stアルバム『Where’s My Potato?』発売。’15年ユニバーサルミュージックとグローバル契約を結ぶ。※『anan』2021年2月3日号より。写真・内田紘倫(The VOICE)取材、文・小松香里(by anan編集部)
2021年01月31日2枚のシングル、『life』と『love』をCDと配信で同時リリースしたMy Hair is Bad。『life』には生活や人生を歌った曲、『love』には“君”に向けたラブソングが収められている。ギター&ボーカル、椎木知仁さんは語る。制限のある中で、自然と背中を押したい気持ちになった。「毎年100本切ることなくライブをやっていたのがコロナで急になくなって、初めて自分の音源を振り返ることで冷静になれたのは良いことでしたね。でも、メンバーにも会えなくなって落ち込んで、家で曲を作ってお酒を飲むということを繰り返してて、すごく寂しかったです(笑)。その中で、シングルに向けて立て直していきました」リード曲の「白春夢」は、淡々とした日常描写から、一気にサビで突き抜ける曲調がとても新鮮だ。コロナ禍で感じていたことが率直に綴られている。「辛い気持ちも全部曲にして消化したいなと思って、久しぶりに写真を撮る感じで思ってることを描写した曲が作れたと思います。今思い返すと5月は、どこに怒ったらいいかも、どこで喜んでいいかもわからなかった。上がるも下がるも何もない、初めて味わう感覚。それに対して一番しっくりくる言葉が“夢”だったんです」全6曲、音と言葉がシンプルに際立った楽曲が印象に残る。「全体的に音も言葉選びも、もっと曲の主人公の気持ちやメロディが伝わるように、今までより一歩先の努力ができたと思ってます。それでいて、僕らはバッドエンドの曲を書くのも好きなんですけど、ある程度制限のある暮らしをしていく中で、自然と背中を押したい気持ちになったことも反映されているかもしれないですね」行定勲監督のショートムービー『映画館にいく日』で有村架純さんの恋人役を演じたことも話題になった。「行定監督には前から声をかけてもらってたんですが、時間ができたので出させていただきました。そうしたら、相手役が有村架純さんって言われて(笑)。有村さんの表情や演技を見させていただいて…人を魅了する人ってやっぱりすごいんだなって驚きました(笑)。舞台に出る立場として、すごく勉強になりましたね」上・CD シングル『life』。ミュージックビデオが公開された「白春夢」を含む3曲を収録。¥1,100下・配信シングル『love』。「味方」を含む3曲を収録。iTunes、レコチョク、Apple Music、Spotifyほか、各音楽配信サイトで配信中。(EMI Records)マイ・ヘア・イズ・バッド左から、山本大樹(Ba&Cho)、椎木知仁(Gt&Vo)、山田淳(Dr)。2008年結成。’16年、シングル『時代をあつめて』でメジャーデビュー。’21年4月にさいたまスーパーアリーナ2デイズライブを開催予定。※『anan』2021年1月13日号より。写真・藤川正典インタビュー、文・小松香里(by anan編集部)
2021年01月09日澤部渡さんのソロプロジェクト、スカート。2010年から’14年に自主レーベル・カチュカ・サウンズから発表した曲を再録したメジャー3rdアルバム『アナザー・ストーリー』は、耳馴染みの良いポップスでありながら、歌詞もアンサンブルもどこか得体の知れない楽曲がズラリ。充実したレコーディング環境によって、曲の奥行きがぐっと増している。読んだ漫画のいろんなシーンが織りになってる。「昔のアルバムは本当に勢いだけで録ってたんですよね。良い曲なんだけど、みんなに聴いてもらえる音源かというと、そうではないかなと(笑)。それで、今のバンドメンバーで再録するのはいいんじゃないかって提案させてもらったんです。今でも堪え得る曲なんだってことを証明したい気持ちもありました」全16曲が収録され、澤部さんがひたすら様々な情景と向き合ってきたということが伝わってくる。「この頃は、内に向かっていくエネルギーをどう表現するかって感じだったので、そういう歌詞が多いですよね。特に20代前半は、少女漫画を読んでいて気持ちが動いて曲ができることが多々あった。いろんなシーンが織りになってる気がします」悶々としていたり、心が置き去りになっていたり、何かが欠けているような感覚が多く描かれている。「『描き切らない曇天の美学がある』ということはよく言ってました。わかりやすい歌詞を書きたくなかったんです。音楽は小説や漫画と違って、歌ってる人と曲がどうしても切り離せない。それが嫌だったので、自分の目線は1割入ってるか入ってないか程度で、あとは創作。漫画もそうなんですけど、『こういうことが起こったからこういう結果になりました』みたいな説明的なものがあまり好きじゃなくて。『こういうことが起きている。彼女は何かを考え込んでいる』…もうそれでいいじゃん!みたいなタイプなんです(笑)」初めてのアルバムを出してから今年で10周年だ。「10年続くことを思い描いていたというより、可能な限り音楽をやっていたいと思っていました。僕の憧れてるムーンライダーズやスパークスが60歳を越えてすごいアルバムを出してるんですね。だから、いくつになっても音楽を続けたいなって」10周年を記念したメジャー3rdアルバム『アナザー・ストーリー』。代表曲「ストーリー」「セブンスター」「ガール」等全16曲を収録。【CD+Blu-ray】¥4,500【CD】¥2,500(ポニーキャニオン)スカート2006年、澤部渡のソロプロジェクトとして活動開始。’10年、自身のレーベル「カチュカ・サウンズ」から1stアルバム『エス・オー・エス』をリリース。’14年、カクバリズムへ移籍。’17年、メジャー1stアルバム『20/20』をリリース。※『anan』2020年12月23日号より。写真・小笠原真紀取材、文・小松香里(by anan編集部)
2020年12月21日2020年12月7日、タレントの小松政夫さんが肝細胞がんのため亡くなりました。バラエティ番組『みごろ!たべごろ!笑いごろ!』(テレビ朝日系)などで共演していた、タレントの伊東四朗さんは同月12日に会見を開き、小松さんの死を偲んだといいます。番組から生まれた『デンセンマンの電線音頭』では、「チュチュンガチュン、チュチュンガチュン。電線にスズメが3羽とまってさ~」と、小松さんと伊東さんたちによるおなじみのフレーズで世代を超えて多くの人に愛されました。サンケイスポーツによると、伊東さんは小松さんを『戦友』と表現し、悲しみをあらわにしたそうです。テレビ朝日系「みごろ!たべごろ!笑いごろ!」など昭和の人気バラエティーで共演した伊東は小松さんについて「若い頃に一緒に戦った戦友」と表現。「こまっちゃん(小松さん)が死亡するというのはなかなかくっつかなかくて、(訃報に触れた)昨日は立ったまんましばらく呆然としていた。こんなことは三波伸介が亡くなったとき以来ですね」と寂しがった。サンケイスポーツーより引用また、伊東さんは小松さんを「異才といってもいいような人」と振り返ったといいます。小松さんが元々タレントの植木等さんの付き人だったことから、「久しぶりに師匠である植木さんに会えて嬉しいんじゃないか」と天国でも付き人として走り回ってほしいと願いました。視聴者にも多くの笑いと思い出を届けてくれた小松さん。伊東さんの小松さんへの言葉が心に沁みますね。[文・構成/grape編集部]
2020年12月12日2020年12月7日、タレントの小松政夫さんが、78歳で亡くなりました。産経新聞によると、小松さんは肝細胞がんだったといいます。「シャボン玉ホリデー」など多くのバラエティー番組で人気者となり、数々のギャグを世に送り出したタレントの小松政夫(こまつ・まさお=本名・松崎雅臣=まつざき・まさおみ)さんが7日、肝細胞がんのため死去した。78歳だった。産経新聞ーより引用小松さんは音楽バラエティ番組『シャボン玉ホリデー』(日本テレビ系)などで人気となり、「小松の親分さん」など数々のギャグを披露してきました。また、『電線音頭』、『しらけ鳥音頭』、『タコフン音頭』などの楽曲は多くの人に愛されたちまちヒット曲に。映画やドラマなどにも出演し、活躍の場を広げていました。ネット上には「また日本を代表するコメディアンが…」「さびしすぎます」「小松の親分さん…ショックです」といった声が上がっています。小松さんのご冥福をお祈りします。[文・構成/grape編集部]
2020年12月11日広がりのあるオルタナサウンドをベースに、美しいメロディと文学的な歌詞など、様々な魅力のあるバンド、羊文学。メジャー1stアルバム『POWERS』は、よりその世界観が濃くなった上で、ポップに開け、言葉と歌が際立った作品だ。聴く人のおまもりみたいになってほしい。「一曲一曲にパワーがあるなと思ったのと、“権力”って意味もある。政治的にもいろんなことがあったし。あと、私自身コロナ禍で部屋に一人でいた時に、いろんなことを葛藤して、すがれるものが欲しいなって思ったんですね。それで、聴く人にとってのおまもりみたいになればいいなって“おまもり=magicalpowers”っていう単語も意識しました」(塩塚)ギター&ボーカルの塩塚モエカさんが作る楽曲では、世の中は曖昧なものだらけだが、その不確かなところから、希望をつかもうとする気持ちが書かれている。「普段生活していても、本当に生きてるかわからないっていうか。自分が生きてる世界と映画の世界が違うってわかってるけど、どこにも証拠はないとか考えるんです。論理よりも、雰囲気や気持ちに左右されることが多くて。だから、発言する内容も曖昧なんですよね。この前占いでも『一生葛藤の星だね』って言われました(笑)」(塩塚)「(塩塚は)常に揺れてる(笑)。だからいろんな気持ちの曲が出てくるのかなって思います」(河西)「選ぶ洋服も昔から、日によって全然違くて。すごい派手だったり、フリフリの服の時もあれば、男の子みたいな時もあって。髪型も結構違うし。フクダはいつもぶれないからすごいなって(笑)」(塩塚)「確かに僕は、同じ映画や漫画をずっと見続けますね。食べ物も『グミが好き』ってなったら、ずっとそればっか食べてる(笑)」(フクダ)はっきりとした色ではなく、様々な色が混じり合ったグラデーションのような音像が特徴のひとつ。「聴く音楽が3人ともバラバラなんです。僕はUSインディーやポストロック、シューゲイズやドリームポップに影響を受けた。そういうジャンルと、羊文学のサウンドが良い具合に混ざってると思ってます」(フクダ)「3人っていう人数なので、シンプルなアンサンブルが基本で。それで曲によって飾りをちょっと変えたりしてます」(河西)メジャー1stアルバム『POWERS』。配信シングル曲「砂漠のきみへ」「Girls」「1999」など、全12曲収録。CD+DVD永久仕様。DVDには、’20年8月のオンラインライブハウスツアー映像を収録。12月9日発売。¥3,500(F.C.L.S.)ひつじぶんがく左から、フクダヒロア(Dr)、塩塚モエカ(Gt&Vo)、河西ゆりか(Ba)。2012年結成、’17年2月に現在の編成となる。’20年8月、配信シングル『砂漠のきみへ/Girls』をリリースし、メジャーデビュー。※『anan』2020年12月9日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・kika取材、文・小松香里(by anan編集部)
2020年12月02日go!go!vanillas初の日本武道館公演を記念する初EP『鏡 e.p.』は、4人のメンバーそれぞれが作詞・作曲・ボーカルを担当した4曲を収録。バラバラの個性が混ざり合い形作られているバンドの特性が前面に出た作品に。ボーカル&ギターの牧達弥さんはこう話す。世の中が変わっていってるから曲も今まで通りじゃない方がいい。「僕が曲を書くことが多いんですけど、元々他のメンバーが作ってる曲もあって。それを一回まとめて一個の作品にして出したかったんです。バニラズはメンバーそれぞれの個性が強いので、初の武道館のタイミングで、それを活かして他のバンドにできないことやりたいなって思ってて。だから、4曲ともバラバラで、結構自由に詰め込みました」牧さんが作った表題曲「鏡」は、カラフルなインディーポップ調のアレンジがとても新鮮だ。「緊急事態宣言中に作った曲です。今までと違う感情とも向き合ったし、いろんな曲を聴いて、今までと違うアプローチの仕方も勉強して。世の中が変わっていってるから、曲も今まで通りじゃないほうがいいなと思ったんです。普段と違い、僕がギターを弾いていなかったりもします」「鏡」は、コロナ禍において様々なことがそぎ落とされ、本当に必要なものに向き合うようになった、世界の動きと重なる歌詞も印象的だ。「今まで表だったものが裏になったり、その逆もあって。鏡って同じものが映るんだけど、そうじゃなくなってるなって。例えばSNSというフィルターを通すと、見た目だったり、豪華な暮らしだったり、“虚構”が映されていると思った。でもコロナってすごくリアリティのある現象で。いくら人間が取り繕ってもどうしようもない自然のパワーみたいなものを突きつけられることによって、いろんなことを考えさせられましたよね。マスクすると表情も見えなくて繋がってる感覚も薄い。でも元々音楽って顔が見えない人に向けて作ってて、言葉と演奏という聴覚だけでどれだけ人の心を揺さぶることができるかというもの。そういう気持ちも落とし込んだ曲ですね」交通事故に遭い、約1年間の休養期間を経て復帰した、ベースの長谷川プリティ敬祐さんが作った熱いロックンロール曲「バームクーヘン」も収められている。「プリティは、今また音楽を続けられていることに対して魂が燃えているんです。その『復帰できたんだから、自分の好きなことやるぞ!』っていう気持ちをそのまま詰め込めばいいじゃんって話をしましたね。リハビリとかで辛いことも多い入院中の唯一の楽しみがバームクーヘンを食べることだったらしいので(笑)、タイトルもそれになりました。バームクーヘンってレコード盤のことでもあるのでそういう意味でも良いと思ったんですよね」デビュー当初の“ロックンロール”と“フォーク”という2本柱から、どんどん音楽性の幅を広げている。「バンドというより、ひとつの音楽集団みたいな方向にもっていきたいんですよね。僕らは自由に新しいものを取り入れたいタイプ。過去の偉大なミュージシャンにいつまでも負けてるのは悔しいので、自由に新しいことを取り入れて、彼らができなかったことに挑戦していきたいと思っています」『鏡 e.p.』。各メンバーが作詞・作曲・ボーカルを担当した全4曲。初の日本武道館公演記念作品。【完全限定生産盤(CD+DVD)】¥2,020【通常盤(CD)】¥1,300(JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント)ゴーゴーバニラズ牧達弥(Vo&Gt)、長谷川プリティ敬祐(Ba)、ジェットセイヤ(Dr)、柳沢進太郎(Gt)によるバンド。’14年、メジャーデビュー。初のホールツアーに続き、11月23日、初の日本武道館公演を開催。※『anan』2020年11月25日号より。写真・内山めぐみインタビュー、文・小松香里(by anan編集部)
2020年11月20日菅田将暉と小松菜奈のW主演で、シンガーソングライター・中島みゆきの楽曲から着想を得た映画『糸』のBlu-ray&DVDリリースが決定。菅田さん&小松さんのメッセージ入り映像と、瀬々敬久監督からのコメントが到着した。中島みゆき35枚目のシングル曲として平成10年(1998年)にリリースされ、糸を人に見立てて出逢いの奇跡と絆の大切さを歌った国民的人気曲が映画に。人気実力ともに若手トップ俳優の菅田さん・小松さんのW主演に加えて、 斎藤工、榮倉奈々ら演技派俳優陣が揃い、平成元年生まれの男女の人生を平成史の変遷と重ねて壮大なラブストーリーを描写した。監督には『8年越しの花嫁奇跡の実話』『64-ロクヨン-』など、確かな演出力で知られる瀬々敬久をはじめ、脚本は林民夫、音楽は亀田誠治と日本最高峰のスタッフも集結。興行収入は22.4億円を突破し、週末興行ランキングでも7週連続TOP10入りのロングランを記録した(11月15日現在 興行通信社調べ)。今回、豪華版ではこのBlu-ray&DVDのために撮りおろした菅田さん・小松さんの1ショットインタビューの他、未公開シーンやメイキングなど130分を超える映像特典を収録した特典DVDが付属、さらに秘蔵写真が多数掲載された24ページのオリジナルブックレットが封入される。監督:瀬々敬久コメント映画『糸』がBlu-ray&DVDとして出されます。僕は多くの人たちと時間と空間を共有する映画館が大好きですが、最近は配信の気軽さもまた鑑賞の一つだと思っています。でも、自分の好きな映画を所有し繰り返し見ることができる、この円盤という宝物もとても素敵です。映画との一期一会の繋がりがそこにできる気がします。特に今回は映画で涙を飲んでオミットした、たくさんの未公開映像が豪華版の特典映像に収まっています。ぜひ、漣と葵の隠されていた恋の歴史を追体験してください。きっとこの映画ともう一つの新しい糸でつながることが出来ると思います。映画『糸』は2021年2月3日(水)よりBlu-ray&DVD発売、同日レンタル開始。(text:cinemacafe.net)■関連作品:糸 2020年8月21日(金)より全国にて公開予定©2020映画『糸』製作委員会
2020年11月20日最近、チェキで家族写真を撮りました映画『さくら』で兄妹を演じた北村匠海と小松菜奈。顔を合わせるなり飛び出す息の合った掛け合いは、まるで本物の兄妹のよう。撮影中も、読者プレゼント用のチェキを見て、「なつかしい〜」と口にした小松に、「なつかしい?こういう取材のときよく撮ってもらわない?」と北村がすかさずツッコミ。照れたように「本当だ」と舌を出す小松から、末っ子感が溢れ出ている。平凡な家族に降りかかった大きな悲しみ。心の傷を抱えながら、それでもゆっくりと前へ進み出す一家の姿を描いた本作では、「家族写真」が折々に挿し込まれている。ふたりは最近いつ「家族写真」を撮っただろうか。「私、撮りました」(小松)「撮ったんだ」(北村)「チェキで撮った」(小松)「やっぱりチェキ使ってるじゃん!なつかしいとかテキトーなこと言って(笑)」(北村)「バレた?(笑)しかもわざわざ自分の家から引っ張り出して」(小松)「マイチェキじゃん!」(北村)「たまたま下のお兄ちゃんとふたりで実家に帰ったら、上のお兄ちゃんもちょうど家族で帰ってきて、みんなでハイキングしたりバトミントンしたりボウリングしたり」(小松)「めっちゃ仲良いやん」(北村)「そのときに久しぶりに写真撮ろうよって言って撮りました、チェキで(笑)」(小松)ダウンロード(dpia-app://contentAll?contentId=aba5f994-dd9c-4aa4-94f6-aa95e5c4adde&contentTypeId=2) すると、この記事内に応募ボタンがあります。撮影/岩田えり、取材・文/横川良明
2020年11月13日ROTH BART BARON、5枚目のアルバム『極彩色の祝祭』。複数のミュージシャンを招き、トランペット、トロンボーン、フルート、バイオリン、チェロなど、たくさんの楽器が奏でられ、とてもシンフォニックで肉体的な音像に溢れている。人が感動する根源的なものを見せたい。その情熱を緻密に作り上げた。メンバーの三船雅也さんはこう語る。「自粛期間中に、他のミュージシャンと会って音を出すことができなくて。以前は当たり前だったことに対する喜びが予想外に大きかったんです。人と人が会って音を震わせ合った瞬間は、アルバムのテーマの“祝祭”にも繋がる。人が感動する根源的なものを見せたいなと。その情熱を緻密に作り上げました。人間って単純にいろんな音を聞くと嬉しいんですよね。違う人がいるほうが面白いし。その何層にもレイヤーされた感覚が好きなんです」アルバム制作中に、メンバーが脱退し、ROTH BART BARONは三船さんひとりのバンドに。「メンバーが抜けたのはタフな出来事だったんですけど、それ以上に世界がタフだし。熱い温泉に入って、すごく熱いお湯を注がれても熱いと思わない感覚というか。世界の痛みに比べたらっていう気持ちで、目の前のことを一生懸命やるしかなかった。静まり返って活気がなくて、僕たち人類が3000年ぐらいかけて作った都市が全く意味なかったみたいな世界で聴く音楽って何だろうって。無責任に励ましたくないけど、明日が見られる見通しのいいものは作りたかった。それでいて、血が通ったものを作りたかったんです」厚みのあるインディーフォーク曲「極彩 | I G L(S)」では、“君の物語を絶やすな”“誰かが作った幸せに逃げるな”と、強いメッセージが歌われている。「コロナ禍でタイムラインを見ると、悲しみが溢れてて。そこで、ひとりで信州の山小屋に歌詞を書きに行ったんです。周りには猪や鹿がいて。そこには完璧に豊かな景色があった。人間のことばかり考えてたなあって思ったんですけど、人間をやめるわけにはいかない。そこでシンプルだけどいろんな人に当てはまるような言葉が出てきた時に、もっと遠くに届けられる音楽が作れるんじゃないかって思えて。その感覚はこのアルバムに強く活きてます」5thアルバム『極彩色の祝祭』。MVが公開中の「極彩 | I G L(S)」など、全10曲収録。【CD】¥3,000【LP】¥3,300(SPACE SHOWER MUSIC)。11月7日、広島クラブクアトロからリリースツアーが開始予定。ロットバルトバロン三船雅也(Vo&Gt)を中心としたフォーク・ロックバンド。2014年、フィラデルフィアで制作された1stアルバム『ロットバルトバロンの氷河期』を発表。※『anan』2020年11月11日号より。写真・大嶋千尋取材、文・小松香里(by anan編集部)
2020年11月05日西加奈子のベストセラーを原作に、北村匠海、小松菜奈、吉沢亮が共演する映画『さくら』のキャラクターポスターが公開された。『三月のライオン』、『ストロベリーショートケイクス』の矢崎仁司監督が、直木賞作家・西加奈子の同名小説を映画化した本作。長谷川家の兄弟妹を演じる北村さん、小松さん、吉沢さんのほかに、3人の母を寺島しのぶ、父を永瀬正敏が好演。また彼らと出会うキャラクターとして小林由依(欅坂46)、水谷果穂、山谷花純が出演する。この度、公開されたキャラクターポスターは、次男・薫(北村匠海)、末っ子・美貴(小松菜奈)、長男・一(吉沢亮)、そして愛犬サクラの印象的な表情を切り取ったもの。合わせて「あのときの僕らに、足りないものなんて何も無かった。」など各キャラクターの印象的な劇中セリフが配され、映画の世界観をより印象付けるものとなっている。これら4種類のポスターは新宿ピカデリーの1階、2階のサイネージにて10月16日より掲出される予定だ。『さくら』は11月13日(金)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:さくら 2020年11月13日より全国にて公開©西加奈子/小学館 ©2020 「さくら」製作委員会
2020年10月15日大阪を中心に活動するスリーピースバンド、TETORA。2ndフルアルバム『me me』は、ざらついたアンサンブルと瑞々しいメロディが、より情感豊かに。ロックバンドはジャンルじゃなくて人だと思ってる。特に疾走感がある曲「抱きしめてるもの」では、“誰にも言わない心から大切なものは内緒にしておくんだよ私達以外何もいらないよ”と、強い信念が歌われている。ボーカル&ギターの上野羽有音(はゆね)さんはこう語る。「学校の放課後にみんなで同じカバンを持つのとか、あんまり好きじゃなくて。“自分が好きなものを好きでいればよくない?”ってずっと思ってるんです。バンドも流行りを追ってるつもりはなくて、でも、みんなと違うことをしようとも思ってなくて、ほんま好きなことをやらせてもらってる。だけど、よく落ち込むんです(笑)。ライブやって“楽しかった!”って思うんですけど、粗を探そうと思ったら、“あの時噛んだよな”って思って、帰り道でひとりで泣いたり。でも、悔しさも楽しいんですよね。プラス、昔と比べてお客さんがたくさん観てくれるようになっていて、新鮮さもあって。どんどん楽しくなってます」TETORAの武器となっている、はみだした感情がそのまま映し出されたようなハスキーな歌声が、昔はコンプレックスだったそう。「みんながカラオケで歌うような曲も私はキーが出ないし、人前で歌うのも嫌でした。でも、京都大作戦っていうフェスに行って、“バンドやらな!”って思って(笑)。それで京都大作戦に出られるようなバンドになるためには、やっぱり自分で歌わないと駄目だって思ったんです。バンドで歌ってたら、みんながこの声を個性ってとってくれたんで、やってよかったなって思います」目標は、「TETORAが全国のライブハウスで一番かっこいいバンドになる」こと。「ライブハウスで何もかも教わったので、私のすべてはライブハウスにあると思ってて。私の好きなライブハウスは、店長さんとかも含めて、そこにいる人がみんな人として尊敬できたりするんです。そういう人たちに、かっこいいバンドだって思われたい。私がライブで一番大事にしたいのは、どれだけドキドキするかっていうこと。だから、自分がライブしてる時より、対バンのライブを観てる時のほうがドキドキしてしまうと、崩れ落ちそうになります(笑)。ロックバンドって、ジャンルじゃなくて人やなって思ってるので、そういう尊敬できる先輩たちの背中を見て、私たちも自分らしく生きようと日々思ってます」約1年ぶりの2ndフルアルバム『me me』。MVが公開中の「正直者だな心拍数」「知らん顔」「友達、以上」等を含む全13曲収録。¥2,500(Orange Owl Records)10月28日よりリリースツアーを開催予定。テトラ上野羽有音(Vo&Gt)、いのり(Ba&Cho)、ミユキ(Dr)からなるスリーピースバンド。2017年結成。メンバーチェンジを経て、’18年に現体制となる。’19年6月、1stフルアルバム『教室の一角より』をリリース。※『anan』2020年10月14日号より。写真・内山めぐみインタビュー、文・小松香里(by anan編集部)
2020年10月12日緑黄色社会のニューアルバム『SINGALONG』は、とても華やかでパワフルなJポップアルバムだ。アルバム全体を通して、歌と楽器のキャッチーな鮮やかさが響く。「自分たちの武器をちゃんと理解して、自覚的にやるべきことを表現できたアルバムだと思います。いろんな音楽をひとつのアルバムに詰め込むっていう」(穴見真吾・Ba&Cho)「各々がやりたいことを実現できた。『Mela!』で初めてブラスアレンジを入れられたり。しかも、この曲は全員が詞曲に関わってて、全員がクレジットされてるなんてなかなかない。4人それぞれやりたいことがたくさんあるんですけど、全然かぶってないんです。ハチの巣の一個一個を埋めていってるみたいな(笑)」(peppe・Key&Cho)メンバー4人それぞれが詞曲を手がけているにもかかわらず、どの曲も誰も置いていかないポップさを宿している。「活動当初は詞は(小林)壱誓が書いてて、全員が“人と違うことしてやろう”って気持ちが前に出てて。曲も詞も斜めにいきすぎてたんです。誰かがわかればいいと思ってたんですけど、それじゃ駄目だなって気付いて、曲の作り方を見直したんです。そこから私も歌詞を書くようになって、たくさんの人に届けることを意識するようになりました」(長屋晴子・Vo&Gt)「テレビで歌唱してる方たちをずっと見て育ってきたから、お茶の間に曲を届けられる存在になりたいっていうのが4人の共通項として根底にあるんです」(peppe)「長屋以外の3人は、長屋の歌に導かれてると思います。長屋の歌を初めて聴いた時から、“この歌で売れたい”って思ってた。だから、リョクシャカの強みは歌とチームワークだと思ってます」(穴見)歌の表現力も豊かになり、全員が曲作りに密に関わるというチームワークも活かされたのが、『SINGALONG』といえるのでは。「やっぱり歌が真ん中にあって、それを邪魔しないっていうのが僕ら楽器陣。歌の鳴ってないところで、楽器陣がどう歌うかっていう努力はしています」(小林・Gt&Cho)「僕の場合、長屋がボーカルじゃなかったらもうちょっとシンプルめの静かなベースを弾いてるかなって思っていて。結構歌を聴いて弾いてるので、めちゃくちゃ影響されてるんです」(穴見)「最初は演奏もみんなやりたい放題だったんですよ。とりあえずやりたいことを詰め込んで、引き算も足し算もわからないまま作ってた。でも、歌が大事だってなって、みんなの意識が変わりましたね」(長屋)ニューアルバム『SINGALONG』。映画『初恋ロスタイム』主題歌「想い人」など、全13曲収録。【初回生産限定盤・リョクシャカ詰め合わせBOX仕様(CD+BD)】¥4,091【通常盤(CD)】¥3,000【初回生産限定夏を生きた盤(2CD)】¥3,545(ソニー・ミュージックレーベルズ)りょくおうしょくしゃかい左から、peppe(Key&Cho)、穴見真吾(Ba&Cho)、長屋晴子(Vo&Gt)、小林壱誓(Gt&Cho)。2012年結成。’13年、「閃光ライオット」準優勝を皮切りに活動を本格化。’18年、ミニアルバム『溢れた水の行方』でメジャーデビュー。※『anan』2020年10月7日号より。写真・小笠原真紀取材、文・小松香里(by anan編集部)
2020年10月06日結成20周年、メジャーデビュー15周年のタイミングでリリースされたベストアルバム『Perfume The Best“P Cubed”』を携えた4大ドームツアー。そのうち、2月25日に行われた東京ドーム公演が収録された映像作品だ。Perfumeだけが持ち得る唯一無二のアートの最高峰。ベスト盤に収録された54曲の中から事前にファン投票を募り、その結果を参考にして組まれた珠玉のセットリスト。ステージの装飾だけでなく、楽曲演出に膨大な意味がある、とてつもない情報量のライブだ。ファーストツアー「GAME」のオープニングと同じく、ライトセーバーを持っての「GAME」のパフォーマンスで幕開け。当時はアルバム『GAME』がオリコン週間チャート1位を獲得した直後であり、その勇ましいオープニングは“Perfume時代の到来”を印象付けた。8年ぶりの東京ドームで披露されたライトセーバー×「GAME」は長年のファンにとってはとても感慨深いし、何より単純に、鳥肌が立つほど、かっこいい。他にも、「だいじょばない」に「Coachella 2019」時のエフェクトがかかっていたり、「SEVENTH HEAVEN」が2008年のAXワンマン時のピアノバージョンだったり、「チョコレイト・ディスコ」でMVのカラフルなネオンが天井に映ったり。次々とこれまでのPerfumeの歴史が蘇っていく。一番多くライブで披露されてきたであろう「ポリリズム」は、様々なライブでの名シーンが映像で流れ、花火が上がるという2010年の初の東京ドーム公演へのオマージュ。この「ポリリズム」1曲だけでも、こめられた熱量が半端ではない。「edge」は最後に三角形を描くという直角二等辺三角形ツアーへのオマージュがありながら、3人それぞれが違うボックスの上に乗ってアリーナエリアを移動するという斬新さ。この演出に象徴されるように、「チャレンジャー」としてのPerfumeも全開だ。このライブの翌日のツアーファイナルは、政府の自粛要請により、中止を余儀なくされた。その前日、様々な感情が去来する中でライブに臨んだあ~ちゃん、かしゆか、のっちの3人は、相当の緊張と不安を抱えていただろう。だからこそ、最初のMCタイムで客席からの大歓声を浴びた時の安堵の表情が、はっきりと焼きつく。終盤のMCで、3人の口からいかにPerfumeが最高かということが告白され、何ものにも代えがたい幸福感が場内に満ちるところも、Perfumeならでは。Perfumeだけが持ち得る唯一無二のアートとしての最高峰と、Perfumeだけが持ち得るかっこよさととかわいさの最新形がたっぷりと味わえる作品だ。『Perfume 8th Tour 2020“P Cubed”in Dome』【初回限定盤(2BD+グッズ)】¥7,500【初回限定盤(2DVD+グッズ)】¥6,500【通常盤(BD)】¥5,000【通常盤(DVD)】¥4,000(UNIVERSAL MUSIC)パフューム2000年結成。あ~ちゃん、かしゆか、のっちによるテクノポップユニット。’18年、アルバム『Future Pop』が全世界20の国と地域のiTunesエレクトロニック・アルバム・チャートで1位獲得。’19年、日本人女性アーティストとしてコーチェラに初出演。※『anan』2020年9月9日号より。文・小松香里(by anan編集部)
2020年09月06日北村匠海、小松菜奈、吉沢亮が出演する、映画『さくら』(11月13日公開)の場面写真が4日、公開された。同作は、西加奈子による同名ベストセラー小説の実写化作。ハンサムで人気者の長男・一(吉沢)と、異常なまでに長男を愛する容姿端麗で破天荒な妹・ミキ(小松)。そして、平凡な次男のボクこと薫(北村)。風変わりだけど、幸せな家族だったが、一家のヒーロー的存在の兄が交通事故に遭ったことによって、運命が大きく変わっていく。そんな家族に愛犬のさくらはいつも寄り添っていた。この度、北村匠海、小松菜奈、吉沢亮、寺島しのぶ、永瀬正敏が演じた長谷川家の5人と、愛犬サクラを切り取った場面写真が解禁された。玄関先でサクラと戯れる次男・薫(北村)と、長男・一(吉沢)と妹・美貴(小松)の姿をはじめ、一家がリビングに集まり、寺島、永瀬が演じる両親の神妙なやりとりを、兄弟妹とサクラが見つめているシーンなどが切り取られている。また、本作が映画初出演となる欅坂46の小林由依演じる大友カオルの姿や、足をくじいた山谷花純演じる須々木原環に、同級生である薫が声をかける場面、水谷果穂演じる矢嶋優子が、恋人である一と見つめあう2ショット写真も。笑顔のサクラも原作の描写に忠実に作られた犬小屋とともに映る。また、ムビチケカードが18日より発売されることも決定した。
2020年09月04日andymori、ALといったバンド活動と並行してソロ活動を行ってきた小山田壮平さん。初のソロ名義でのアルバム『THE TRAVELING LIFE』のテーマは“旅”。移りゆく情景の中で、懐かしさや高揚感や切なさが、愛おしく去来するような作品だ。根っこはずっと歌なんだなって思います。「旅っていっても、海外旅行とかだけでなく、近所を散歩したり、世界の見方をちょっと変えてみる作業をした時に曲ができることが多いんです。強く心が動いて、自分の中で何か新しいと思う感情や感覚を掴み取るようにして曲を作っていくんですね。引っ越しが好きなんですけど、新しい街に家を構えたら、最初に周りのスーパーや公園を見て、『これからこういうライフスタイルになるんだな』ってことを色々考えるのが好きで。あと、前住んでた街にひとりでただ行ったりするんですよね。その場所に行くことで忘れてた思い出が蘇ってくるのが楽しい。それが音楽に繋がってもいますね。今回のアルバムも、“人生そのものが旅である”っていうものにしたかった。なんでもない日常も時間が経てば懐かしい思い出になったりするので、それもまた旅の一部だと思います」自身初の他作品への書き下ろし曲として、友人である松居大悟監督の映画『#ハンド全力』の主題歌「OH MY GOD」も収録されている。「“全力を出すってなんだろう?”っていうのがテーマになってる映画で。SNSに翻弄される高校生たちがいる一方で、ハンドボールに青春をかけるクラスメイトもいる。自分も、周りの目を気にしてしまって自分の表現を抑え込んでしまうっていうことがよくあって。それをどうするか、というのが自分の音楽活動の中でも、ずっと考えてきたことなんです。映画への書き下ろし曲だからといって書き方を大きく変えても成功しないだろうなって思ったので、他の曲と一緒で、自分の中で湧き出てくるものを大事にした。結局自分から湧き出てくるものしか好きになれないんですね。そうではないものはどうしてもエネルギーが淡いものになってしまう」小山田さんの音楽の軸にはずっと歌があり、そこにはきらめくようなメロディと深い情感を宿す歌詞が伴っている。「小さい時からとにかく歌に惹かれてましたね。人が歌ってるのが好きだし、自分も歌うのが好きで。アレンジにもだんだん興味が湧き始めて。今は鳴ってるすべての楽器を大切に思って作品を作ってるんですけど、根っこはずっと歌なんだなって思います。いろんな音楽のジャンルをやるのも肯定的なんですけど、自分の場合、“側(がわ)”から入ると失敗してしまう。やっぱりずっと内から発信するものを作ろうとしてますね」ソロアルバム『THE TRAVELING LIFE』。DVDにはライブとMV映像が収録。【初回限定盤(CD+DVD)】¥3,800【通常盤(CD)】¥2,800【アナログ盤(2LP)】¥3,500(SPEEDSTAR RECORDS)おやまだ・そうへい1984年、福岡県生まれ。2007年、バンドandymoriを結成し、’14年、日本武道館公演をもって解散。’15年、長澤知之らとALを結成。’16年からソロ名義での弾き語りツアーを行っている。※『anan』2020年9月2日号より。写真・内山めぐみ取材、文・小松香里(by anan編集部)
2020年09月01日映画『糸』の初日舞台挨拶が21日に都内で行われ、菅田将暉、小松菜奈、斎藤工、榮倉奈々が登場した。同作は、中島みゆきの名曲「糸」をモチーフにしたオリジナル作。「糸」の歌詞を元に、平成元年に生まれた男女2人(菅田、小松)が、令和を迎える31年間の中で、出逢い、別れ、そして平成の終わりに再びめぐり逢うまでの18年間を描く。現在、興行収入20億円を狙える大ヒットスタートを切っているという同作。菅田は「いきなり金額言っちゃうんですね。お金の話」と驚きつつ、「狙って行きますよ。嬉しいですね」と感謝する。小松も先行上映後の観客の反応について「本当に真っ直ぐなコメントがいっぱいで、『これを伝えたい』ということが伝わっているんだなということがありがたい」と喜んでいた。菅田&榮倉、小松&斎藤はそれぞれ初共演となったが、菅田は「初めての父親役ということもあったので、家庭という部分では全のっかりというくらい榮倉さんを見ながら真似した」と明かす。榮倉は逆に「世代もちょっと離れてるし、すごく緊張していたんです。『今をときめく菅田将暉くん、どきどき』みたいになってて。だけど本当にのびのびとしてらっしゃる印象で、壁とかがなくて、最初からすごく楽しく撮影ができましたね」と互いに印象を語った。一方、斎藤は小松について「絵かと思いましたね。絵画が動いてるという印象でございます」と表し、小松は「独特〜! ほんとにそう思いました?」と苦笑する。小松は斉藤について「沖縄の海に馴染みすぎてて、そこにいる。タンクトップに釣竿を持って麦わら帽子かぶって、すごく大人な余裕のあるスマートな優しい風が吹いてました」と描写していた。
2020年08月21日映画『糸』×LINE LIVE 「糸」カラオケオーディションファイナリスト審査が15日に行われ、菅田将暉、小松菜奈、亀田誠治(音楽プロデューサー)が登場した。同作は、中島みゆきの名曲「糸」をモチーフにしたオリジナル作。「糸」の歌詞を元に、平成元年に生まれた男女2人が、令和を迎える31年間の中で、出逢い、別れ、そして平成の終わりに再びめぐり逢うまでの18年間を描く。3度目の共演となったが、パワーアップした点を聞かれると、菅田は小松について「方々で言ってるけど、差し入れ力。現場において差し入れって大事なんですよ。初めて会った時は10代とかで、自分のことだけで精一杯なんですけど、今回は俯瞰に見た視点を持ってた」と称賛する。一方、小松は菅田について「菅田さんは昔からキモが座ってる、あたふたしないんですよ」と紹介する。「そんなことない」と言う菅田に、小松が「しないよ!」と返すと、菅田は「そう? あなたが現場でトンボを捕まえてみた時『おおっ』て……」とエピソードを披露。小松は「素手で捕まえられますよ」とにやりとして見せた。小松はさらに「子供にも好かれてたし、動物にすごい好かれるんですよ! なんかむかつくなと思って」と指摘し、菅田は「なんでやねん!」と和気藹々とした様子。菅田は「映画の現場において動物ってすごい大事なんですよ。素敵なリズムの時って動物が近づいたり魚が跳ねたりする」と説明し、小松が「餌とか落としてない!?」と聞くと、「寄ってくるんだよ」と答えていた。オーディションでは、石塚利彦、久保侑大、いさな、加藤梨菜、下北姫菜、U-keyの6名が主題歌の「糸」を歌い、視聴者の投票でU-keyが優勝した。菅田は「嬉しかったですね。あったかい人たちが集まってくれたんだなという感じがしました。この映画の持ってるパワーのような気もするし、皆さんのおかげだな」と感謝する。小松は「生で聞きたかったな。すごくよかった。画面上でも一人ひとりのパワーや個性と、素敵な『糸』が私たちの胸に届きました」と感想を述べた。
2020年08月15日映画『糸』(8月21日公開)の完成報告会が11日に都内で行われ、菅田将暉、小松菜奈、瀬々敬久監督が登場した。同作は、中島みゆきの名曲「糸」をモチーフにしたオリジナル作。「糸」の歌詞を元に、平成元年に生まれた男女2人が、令和を迎える31年間の中で、出逢い、別れ、そして平成の終わりに再びめぐり逢うまでの18年間を描く。4月に公開予定だったが、新型コロナウイルスの影響で8月公開に延期となった同作。菅田は舞台挨拶への登壇について「すごい久々で緊張しますね。あんなに慣れてたはずなのに」と苦笑。「ずっと、ただただ家に居ただけですけど、そういうタイミングでこの『糸』という映画が公開するというのも、一つの巡り合わせ」としみじみする。小松も「人と人と会うことって当たり前だから、今会わなくてもいいやと思ってたけど、今は会いたくても会えない。それで、何が大切と言うことがシンプルにわかった。だから宣伝をしていても、自分の気持ちで言えます」と同作への想いを表した。『ディストラクション・ベイビーズ』『溺れるナイフ』から3度目の共演となる2人について聞かれると、瀬々監督は「そうですね、やはりそれはすごくツーカーという感じを受けたんですけど、待ち時間とかも親しそうにしてました」と振り返る。「ただ、いったん芝居を始めると馴れ合いにならないようにやっていて。新しいところを目指す感じが素晴らしいと思いました。いいなあって、おじさんながら思いました」と客観的な様子を説明する。菅田は「ツーカーはツーカーなんでね」と苦笑。「今回結構同じシーンが意外となくて、幼少期の頃の思い出ありきのお芝居なんです。だから初めましての人じゃなくてよかったなとも思いました。過去作で中学生とかも演じてるから、お互い、その頃に首絞め合ったり、顔面に唾かけあったりした思い出が効いてきたのかな」と過去の共演作を振り返る。一方小松は「今まで激しいものが多かったので」と思い出し、「今回は王道のラブストーリーで、逆にいろんな作品を経て私たちはどう変化してったのかな、どう見せるのかなというのも面白さでもありました。本当に縁。共演してきても長いので、またご一緒できてすごく嬉しかったです」と喜びを語った。
2020年08月11日『BOOTLEG』以来、約2年半ぶりの米津玄師のアルバム『STRAY SHEEP』。2018年2月に公開された「Lemon」のミュージックビデオは、日本人アーティストとして初めて3億回再生を突破し、現在では6億回に迫る数字を記録しており、長きに亙る日本の音楽史を代表する曲となった。『STRAY SHEEP』には、その「Lemon」以降のシングルがすべて収録されている。「Flamingo」「TEENAGE RIOT」、Foorinの「パプリカ」のセルフカバー、「海の幽霊」――。巨大な才能と才能が繋がり、時代を更新するアルバム。米津の10年来の愛読書であるマンガ『海獣の子供』を原作とした劇場アニメの主題歌として書き下ろした「海の幽霊」は、繊細で美しいアニメーションと、幽玄で深遠でシンフォニックな音像が高いレベルで融合した素晴らしいコラボレーションとなった。その後米津は、いったん燃え尽き症候群のような状態に陥ったという。そこからまた立ち上がり、ドラマ『ノーサイド・ゲーム』の主題歌として書き下ろした「馬と鹿」ももちろん収録されている。ストイックなビートとドラマティックなストリングスの中で、不屈の魂そのものが燃えるように歌われる“これが愛じゃなければなんと呼ぶのか/僕は知らなかった”“あまりにくだらない願いが消えない/誰にも奪えない魂”というメッセージは、未だに胸を打ってやまない。綾野剛と星野源の名バディぶりが話題で、そこに米津とも関係の深い菅田将暉までもが加わったドラマ『MIU404』の主題歌「感電」も聴ける。明朗なホーンに快活なコーラスが乗るとてもファンキーで艶っぽさもあるダンスナンバー。どこに流れ着くかわからない混沌とした世相が映し出されながらも、強く軽やかに生きていこうとする様がとても「今」を感じさせる。ボカロP・ハチとしてネットシーンのカリスマとなった後、2012年に米津玄師として活動をスタート。以降、音楽シーンのみならず、カルチャー全体を呑み込み、刷新するような活動を続けてきた。もはや、楽曲にビッグタイアップが付くことは当たり前になっているが、それによって表現の純度が薄れるどころか、さらに特濃になり、コラボレーション相手の作品やアーティストにも米津の研ぎ澄まされたクリエイティビティが跳ね返る――そんなふうに、どんどん渦が大きくなっていくようなムーブメントが続いている。『STRAY SHEEP』には米津が強く影響を受け、今ではプライベートでも親交が生まれているRADWIMPSの野田洋次郎とのコラボ楽曲「PLACEBO」も収録されている。こうやって、巨大な才能と才能が深く繋がっていくことで、時代はアップデートされていく。よねづ・けんし2009年より“ハチ”名義でニコニコ動画へオリジナル楽曲を投稿し始める。’12年、本名の米津玄師名義でアルバム『diorama』をリリース。’20年7月、YouTube公式チャンネル登録者数が日本人アーティスト1位の500万人を突破。『STRAY SHEEP』。【おまもり盤(初回限定 CD+ボックス+キーホルダー)】¥4,500【アートブック盤(初回限定 CD+Blu-ray/DVD+アートブック)】¥6,800【通常盤(CD)】¥3,000(Sony Music Labels)※『anan』2020年8月12-19日合併号より。文・小松香里(by anan編集部)
2020年08月10日DAOKOさんのニューアルバム『anima』は、エレクトロニカ、ヒップホップ、ドラムンベース、ゲームミュージック等、とても多様な音楽性に溢れている。様々な音楽に出合えるプレイリストのような感覚が、一枚にとじこめられている。10代の経験も経て、自分が本当に向いてることもわかってきた。「サブスクリプションで、勝手に好きな曲たちがまとめられてるみたいな感じかもしれないですね。自分がいろんな音楽が好きってこともあって、ひとつの音楽ジャンルに絞りきれない。私は元々ネットから出てきて、いろんなカルチャーの影響を受けてきた。ボカロやアニメはもちろん、クラブミュージックもバンドも好き。ストリートカルチャーもですし。今回は自分の好きな音楽を追求しようと思って作ったアルバムなので、自然とそういったところが総合して表現できてると思います」DAOKOさん自身も複数の曲で作曲を担っている。「元々音楽を始めたのも、『音楽で生活していくぞ!』っていう感じではなくて、感覚でやってきちゃったところがある。一回ちゃんと勉強しようって思って、DTMソフトでデモを作って、それをプロデューサーの片寄(明人)さんをはじめとする近しいアーティストの方々がとても音楽的に仕上げてくださった。自分でも0から1にする作業ができるんだっていう手応えがありましたね。そういうこともできないと、この先ミュージシャンとしてやっていけんぞと(笑)。そのタームが来た感じがしました。今回のアルバムからの3曲のMVの絵コンテも自分で描いたんです。曲を作りながら結構映像が浮かんでいるなと思って、絵コンテを描いてみたら意外と伝わるのかなって思ってやってみた。結果、血が通った映像作品になって良かったなって思っています」『anima』のジャケットは、DAOKOさん自らネットで連絡を取ったという始発ちゃんによるイラストが飾っている。これまでの歴史を象徴する街・渋谷の再開発が描かれているが、自身も新たなステップに向かっている。「10代の経験も経て、自分が本当の意味で向いてることもわかってきた。良い悪いの判断もつくようになってきました。その状態で作った『anima』は、ここからまた次の世界へ行く切符みたいな作品だなって思ってます。これからは場所を限定するのではなく、時代に合った生き方を自然と選択していくべきだと思っていて。好きなことをして不自由なく暮らせるっていうのが一番幸福度が高いと思うんです。時代に柔軟に適応することを楽しんでやっていけるほどの心の余裕を持っていたい。そのうえで、自分でできることは自分でやろうって頑張ってます」4thアルバム『anima』。先行公開された「御伽の街」「おちゃらけたよ」等を含む全12曲収録。DVDにはライブ音源を収録。【初回限定盤(CD+DVD)】¥3,800【通常盤(CD)】¥2,800(TOY’S FACTORY)ダヲコ中学3年生の時にニコニコ動画にラップを投稿し始め、高校入学と同時にインディーレーベルと契約。2015年、高校卒業と同時にメジャーデビュー。’18年、米津玄師との「打上花火」でNHK紅白歌合戦出場。※『anan』2020年8月5日号より。写真・黒川ひろみ取材、文・小松香里(by anan編集部)
2020年08月05日