俳優の柄本佑が6日、東京・品川のグランドプリンスホテル新高輪で開催された第43回日本アカデミー賞の授賞式に出席。司会を務める妻で女優・安藤サクラとステージ上で同賞史上初となる“夫婦共演”を果たし、汗だくになる場面があった。『アルキメデスの大戦』で優秀助演男優賞を受賞した柄本。もう一人の司会者・羽鳥慎一とのやりとりでは冷静に撮影エピソードを語っていたが、羽鳥が「だそうですよ、安藤さん」と話題を振ると徐々に落ち着かない雰囲気に。安藤が「その当時、朝ドラで一年大阪に住んでたので全くその時を知らない。気がついたら坊主になってて。新しい友だちが久しぶりにできたみたいで」と『アルキメデスの大戦』撮影中の時期を振り返ると、柄本は目を合わせないまま「菅田(将暉)氏のことですね……ちょっとやべえな! 汗出るね」とハンカチで額の汗をぬぐった。その後、『決算!忠臣蔵』で同賞を受けた岡村隆史が話し始めるも、柄本の汗が止まらず。羽鳥が「ちょっと待ってください」と岡村とのやりとりを一旦ストップし、「汗が尋常じゃないですよ!」とイジると、柄本は「大丈夫です」とタジタジ。さらに岡村から、「さっき通路で(2人が)イチャイチャしてるの見てますよ、何回も。一緒に写真撮ったりしてて」と暴露され、恥ずかしそうに苦笑していた。(C)日本アカデミー賞協会
2020年03月07日女優の岸井ゆきのが6日、東京・品川のグランドプリンスホテル新高輪で開催された第43回日本アカデミー賞の授賞式に出席し、新人俳優賞受賞の心境を語った。『愛がなんだ』で受賞した岸井は、「この作品の撮影前に、事務所の社長に『あなたの名刺になるような作品にしてきなさい』と背中を押してもらいました」と明かし、「そんな映画でこのような賞を頂けて、本当に光栄です。『愛がなんだ』のスタッフ、キャストならびに今まで関わってきた皆さまに感謝します」とコメント。また、「テルコという役は、大好きな人のそばにいながら、恋人になれない、でも、思い続けてそばにいるという役でした」と自身が演じた役柄を振り返り、「作品中に追いかけた手に入りそうで入らなかった希望を、今やっと少し手に入れたような気がします。本当にありがとうございました」と結んだ。(C)日本アカデミー賞協会
2020年03月07日俳優の森崎ウィンが6日、東京・品川のグランドプリンスホテル新高輪で開催された第43回日本アカデミー賞の授賞式に出席し、新人俳優賞受賞の心境を語った。『蜜蜂と遠雷』で受賞した森崎は、「今日この日この場にこうやって立てていることをとても光栄に思い、そしてとても嬉しく思います。映画『蜜蜂と遠雷』に出会えて、そしてその作品を産んでくださった恩田陸先生、石川監督を初め、最高のスタッフのみなさん、そして最高のキャストのみなさんとご一緒できたことを本当に光栄に思います」とコメント。また、「僕は10歳の時にミャンマーから日本に来たのですが、今でもミャンマーに住んでいるおばあちゃんに今日とても大きなおばあちゃん孝行ができたかなと思っています」と祖母への思いを伝え、「これからも今までお世話になった方々、そしてこれから出会うであろう方々にたくさん恩返しできるように日々精進してまいります。本日はありがとうございました」と結んだ。(C)日本アカデミー賞協会
2020年03月06日「第43回日本アカデミー賞」授賞式が3月6日(金)に行われ、『新聞記者』が最優秀作品賞を受賞し、本作でW主演を務めたシム・ウンギョン&松坂桃李が、そろって最優秀主演賞も射止め、歴史的快挙を遂げた一夜となった。また、最優秀監督賞は『翔んで埼玉』の武内英樹監督が、最優秀助演賞には『キングダム』より長澤まさみ、吉沢亮が受賞となった。作品賞には、漫画原作の実写化映画として誰もが唸り、興行収入57億円の大ヒットを遂げた『キングダム』、時事的なテーマで鋭くメスを切り込んだ社会派映画『新聞記者』、強烈な埼玉ディスりが海外の映画祭でも受けた『翔んで埼玉』、精神科病棟で紡ぎ出される物語を丁寧に撮った『閉鎖病棟-それぞれの朝-』、余韻の残る音楽/青春映画として光った『蜜蜂と遠雷』の5作がラインナップ。振り返ってみても、第一線のエンターテインメント感が強い作品から、繊細なテーマを扱う作品まで、例年よりもバラエティが広がったように見受けられる。中でも、医療系大学の新設をめぐる権力の闇、そこでの記者と官邸の攻防を描いた『新聞記者』が頭ひとつ抜きんでての受賞となった。『新聞記者』は公開当時、決して大規模な館数での公開ではなかったが、シムさんや松坂さんの確かな演技、加えて、日本の政治という表現が難しいジャンルに屈さず、正面から描き切った藤井道人監督の手腕が光り、口コミからヒットへとつながった。一方、東京をめぐる埼玉と千葉の大抗争、郷土愛を大真面目にコメディとして描いたエンタメ超大作『翔んで埼玉』の最優秀監督賞受賞や、『キングダム』において、長澤さん、吉沢さんがそれぞれ最優秀助演賞を受賞したことも忘れ難い。スピーチで武内監督は「取っちゃいけない作品が取ってしまった」と照れ笑いを浮かべていたが、多種多様なジャンルの作品が豊かに作られ、一極集中の結果にならなかったことが第43回アカデミー賞の特徴と言える。それは同時に、観客が選ぶ楽しみ、観る楽しみの選択をより高いレベルでできるようになったことの表れでもないだろうか。それにしても、最優秀主演女優賞を受賞したシムさんの涙のスピーチは美しいものだった。役所広司に名前を呼ばれた後、しばし呆然とし、固まった顔をしていたシムさんは、壇上に上がりブロンズ像を受け取った後、涙をハラハラと零した。声にならないか細い声で、「すみません」と一言発すると、場内から大きな拍手が沸き起こり、彼女を支えた。その後、シムさんは何度も「ありがとうございます」と言い、「一緒に共演できて本当に光栄でした、松坂桃李さん。本当に本当にありがとうございました。これからも頑張って活動します」と日本語でしっかりと言葉を紡いだ。シムさんの透き通るような瞳と、心のこもった言葉のひとつひとつが、お茶の間にも感動を呼んだ。昨年は『孤狼の血』で最優秀助演男優賞を受賞し、熱いまなざしでスピーチしていた松坂さんだったが、今年は最優秀男優賞受賞の際、穏やかな表情で喜びをかみしめる形のスピーチを披露。「この作品は僕の知る限りでは実現するまでに二転三転、四転…五転くらい、いろいろなことがあって。それでも、この作品をしっかりと映画を観てくださる方に届けたいという人が一致団結し、藤井監督の舵の元、撮影を終えることができました」と撮影の日々を思い返しながら、気持ちを伝える。最後は、「今日という日を糧に、また新たに作品の一部に自分がちゃんとなれるようにいけたらと思います。今回は本当にありがとうございました」と、今後にも期待がかかる言葉で締めていた。(text:赤山恭子)
2020年03月06日女優のシム・ウンギョンが6日、東京・品川のグランドプリンスホテル新高輪で開催された第43回日本アカデミー賞の授賞式に出席し、『新聞記者』で最優秀主演女優賞を受賞した。受賞者の発表をにこやかに見守っていたシム。自身の名前が呼ばれると笑顔は消え去り、困惑した表情のまま登壇した。マイクの前に立つとブロンズを両手で握り締め、「すみません……」と号泣。「本当にすみません……全然思わなかったので、全然準備をしていなかったです。ごめんなさい。本当にありがとうございます」と両頬を涙がつたい、「本当に一緒にできて光栄でした。松坂桃李さん。本当に本当にありがとうございました。これからもがんばって活動します。本当にありがとうございます」と何度も頭を下げた。授賞式後のインタビューでは、「『新聞記者』を観てくださったみなさんに伝えたいです。あとたくさんの人がいますが、あとでメールします」と笑顔を見せたシム。「本当に何とも言えない気持ちになってとても緊張もしてたし、泣いてしまいました。すみません。本当にありがとうございます」と自身のスピーチを振り返っていた。(C)日本アカデミー賞協会
2020年03月06日第43回日本アカデミー賞の授賞式が6日、東京・品川のグランドプリンスホテル新高輪にて行われ、最優秀主演男優賞を受賞した松坂桃李が登場した。昨年の第42回日本アカデミー賞では、最優秀助演男優賞を受賞した松坂。今年は映画『新聞記者』で最優秀主演男優賞に輝いた。優秀主演男優賞を受賞した菅田将暉と並ぶと、実は連絡先も知らないという2人の関係について「不思議な感覚なんですよね。僕はライバルという風にも思ってますし、同じ事務所の一人として、同志とも思ってますし」とコメントする一幕も最優秀賞の受賞が発表されると、驚いた様子で登壇し、「ハードルが高い役だなと思いましたが、ウンギョンさんと一緒にお芝居をすることがで きて最後まで駆け抜けることができました」とコメントすると、最優秀主演女優賞を受賞したシム・ウンギョンも見守った。『新聞記者』はさらに、作品賞も受賞。松坂は「ここにいないスタッフとも、喜びを分かち合いたい」と喜び、ウンギョンは「計り知れません。本当に光栄です」と笑顔を見せた。○最優秀主演男優賞 松坂桃李 コメントこの作品は僕の知る限りでは実現するまでに二転三転四転、五転くらいおそらく色々なことがあって、それでもこの作品をしっかりと映画を見てくださる方に届けたいという人が一致団結し、藤井監督の舵の元、撮影を終えることができました。僕自身も、10年ちょっと(俳優を)やってきて、ハードルが高い役だなと思いましたが、ウンギョンさんと一緒にお芝居をすることがで きて最後まで駆け抜けることができました。何より、「この作品で頑張ってこい」「行ってこい」と行ってくれた事務所のマネージャーさん、社長含めて後押ししてくれて嬉しい気持ちでいっぱいです。今日という日を糧に、また新たに作品の一部に自分がちゃんとなれるようにいけたらと思っております。今回は本当にありがとうございました。■最優秀賞受賞リスト作品賞…『新聞記者』監督賞…武内英樹(『翔んで埼玉』)主演男優賞…松坂桃李(『新聞記者』)主演女優賞…シム・ウンギョン(『新聞記者』)助演男優賞…吉沢亮(『キングダム』)助演女優賞…長澤まさみ(『キングダム』)アニメーション作品賞…『天気の子』外国作品賞…『JOKER』新人賞…岸井ゆきの、黒島結菜、吉岡里帆、鈴鹿央士、森崎ウィン、横浜流星(C)日本アカデミー賞協会
2020年03月06日第43回日本アカデミー賞の授賞式が6日に行われ、『新聞記者』が最優秀作品賞に輝いた。『新聞記者』は、ひとりの新聞記者の目線を通して、新聞社や内閣特別調査室など緊張感あるシーンをリアルに映しながら、報道メディアが権力にどう対峙するかを描写した作品。本作は作品だけでなく、最優秀主演部門を独占。最優秀賞の数では『キングダム』が最大で4部門を受賞した。最優秀主演男優賞の松坂桃李は「僕自身も、10 年ちょっと(俳優を)やってきて、ハードルが高い役だなと思いましたが、ウンギョンさんと一緒にお芝居をすることができて最後まで駆け抜けることができました。今日という日を糧に、また新たに作品の一部に自分がち ゃんとなれるようにいけたらと思っております」と噛みしめるようにコメント。最優秀主演女優賞のシム・ウンギョンは受賞に大粒の涙を流し「全然思わなかったので、全然準備をしていませんでした。ごめんなさい」と語り、監督や共演した松坂桃李に感謝を述べ「これからも頑張って活動します。本当に今日はありがとうございます」とスピーチを締めくくった。また、最優秀助演男優賞に輝いた吉沢亮は『キングダム』で主演を務めた山崎賢人に感謝を述べ「彼が主演でみんなを引っ張ってくれたおかげですごく素敵な作品になったと思うし、彼とお芝居をしたことによって、僕が(最優秀助演男優賞)いただけることになったのかなと思っています」と緊張した面持ちで語った。最優秀助演女優賞に選ばれた長澤まさみも『キングダム』の演技での受賞。トロフィーを手に「まだまだこの先自分がどうなるかというのは自分も見えていないし、見えない自分というか、まだ会ったことのない自分を目指してこれからも励んでいきたいなと思います」と晴れやかな表情を浮かべた。第43回 日本アカデミー賞 主な結果最優秀作品賞『新聞記者』最優秀主演男優賞松坂桃李『新聞記者』最優秀主演女優賞シム・ウンギョン『新聞記者』最優秀助演男優賞吉沢亮『キングダム』最優秀助演女優賞長澤まさみ『キングダム』新人俳優賞岸井ゆきの『愛がなんだ』黒島結菜『カツベン!』吉岡里帆『見えない目撃者』『パラレルワールド・ラブストーリー』鈴鹿央士『蜜蜂と遠雷』森崎ウィン『蜜蜂と遠雷』横浜流星『愛唄 -約束のナクヒト-』『いなくなれ、群青』『チア男子!!』最優秀アニメーション作品賞『天気の子』最優秀監督賞武内英樹『翔んで埼玉』最優秀脚本賞片島章三『カツベン!』最優秀音楽賞RADWIMPS『天気の子』最優秀外国作品賞『ジョーカー』
2020年03月06日第43回日本アカデミー賞の授賞式が6日、東京・品川のグランドプリンスホテル新高輪にて行われ、話題賞 俳優部門を受賞した星野源、作品部門を受賞した『決算! 忠臣蔵』中村義洋監督、主演の岡村隆史が登場した。ニッポン放送『オールナイトニッポン』リスナーが選ぶ同賞で俳優部門を受賞した星野は、「ものすごい歴史があって数々の名優の方々受賞されてて嬉しく思います。京都の太秦で撮影した愛ある皆様と作りあげた作品が、唯一の一般投票の賞で、映画ファンのみなさんの民意が反映された賞で嬉しいです」と喜びのコメント。一方岡村は、「作品部門いただけて非常に嬉しかったです。ラジオを25〜6年やっているので、『みなさん、ぜひ投票してください』と呼び掛けさせていただきました」と振り返る。さらに岡村は「俳優部門もお願いしますと呼びかけたんですが、見事に源さんに取られてしまいました。リスナーに裏切られてしまいました」と憮然とした表情に。このスピーチに星野も苦笑し、会場の俳優陣も笑顔を見せていた。(C)日本アカデミー賞協会
2020年03月06日女優の長澤まさみが6日、東京・品川のグランドプリンスホテル新高輪で開催された第43回日本アカデミー賞の授賞式に出席し、『キングダム』で最優秀助演女優賞を受賞した。『世界の中心で、愛をさけぶ』(04)以来、2度目となる同賞。マイクの前に立った長澤は、「17歳の時に助演女優賞を頂いたことがあって、その時はまだ何もよくわかっていなかったんですが」と当時を振り返り、「歳を重ねるごとに仕事の魅力を感じて、自分にできることはなんだろうということを考えながら日々仕事と向き合ってきました。まだ会ったことのない自分を目指してこれからも励んでいきたいと思います。本当にありがとうございました」と笑顔を見せた。司会者とのトークでは、「(『キングダム』では)とても強い役だったので、普段の自分の弱さが出ないように『自分は強いんだ』と思うようにしてできるだけ落ち着いて撮影に挑むようにしました」と明かし、「私が振り回していた剣はとても長くて重たかったんですね。はじめの頃は剣に振り回されそうになることが多くて、そうならないように、ベッドのふちに当たらないように素振りを止めるというのを毎日やって筋トレしていました」と役作りについて語っていた。(C)日本アカデミー賞協会
2020年03月06日第43回日本アカデミー賞の授賞式が6日、東京・品川のグランドプリンスホテル新高輪にて行われ、新人賞を受賞した横浜流星が登場した。『愛唄 ー約束のナクヒトー』『いなくなれ、群青』『チア男子!!』の3作品で受賞した横浜。「3作品を通して、たくさんのことを得たんですけど、それよりも自分の力不足を痛感し、正直まだ自分にこの賞は早いんじゃないかと思っています」と心境を吐露。しかし「いただけたからにはこの賞に恥じないように、心に残るような素敵な作品を作っていけたらと思いますし、またこの場に立てるよう、日々精進したいと思います」と真摯に語った。新人賞は他、岸井ゆきの、黒島結菜、吉岡里帆、鈴鹿央士、森崎ウィンが受賞した。○横浜流星 コメントこのような素敵な賞をいただけたのは『愛唄 -約束のナクヒト-』『いなくなれ、群青』『チア男子!!』で携わってくださった方々のおかげだと思っています。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。3作品を通してたくさんのことを得たんですが、それよりも自分の力不足を痛感し、正直 まだこの賞は早いのではないかと思っていますが、いただけたからにはこの賞に恥じないように心に残るような素敵な作品を作っていけたらと思っていますし、またこの場に立てるよう日々精進したいと思います。ありがとうございました。(C)日本アカデミー賞協会
2020年03月06日女優の吉岡里帆が6日、東京・品川のグランドプリンスホテル新高輪で開催された第43回日本アカデミー賞の授賞式に出席し、新人俳優賞受賞の心境を語った。『見えない目撃者』と『パラレルワールド・ラブストーリー』で同賞を受賞。マイクを手に取ると足元に目をやりながら、「ちょっとでも背が高く見えるようにと思ってヒールをはいてきたんですけど」と明かし、「ヒールがすごくプルプルしてて。すごく緊張する場所なんだと実感しています」と苦笑した。「観てくださるお客さんの何かプラスになる瞬間が作れるように、自分も大先輩の皆さんを追いかけながら日々がんばっていきたいなと思っております」と決意を新たにした吉岡。「本当に今日はありがとうございました」と深々と頭を下げると、会場は拍手に包まれた。(C)日本アカデミー賞協会
2020年03月06日第43回日本アカデミー賞の授賞式が6日、東京・品川のグランドプリンスホテル新高輪にて行われ、最優秀助演男優賞を受賞した吉沢亮が登場した。『キングダム』で同賞を受賞した吉沢は、2役を演じて「目線の動かし方とか姿勢、王としての剣術と、我流な野蛮さを意識したり、いろいろやってました」と明かす。共演した長澤まさみは「同じシーンで、監督が吉沢くんに『嬴政はこれを言うかなあ』と提案したときに、吉沢くんが『それは言いませんね』とはっきり言ってて、頼もしい人なんだなあと思って、とてもたくましく見えました」と絶賛する。最優秀賞が発表されると、瞳を潤ませながら「去年、新人俳優賞でこの場に来させていただいて、今年は優秀助演男優賞ということで嬉しい気持ちでいっぱいだったんですが、まさか最優秀をいただいてここでスピーチをすることになるとは思っていなかったので、少し緊張しています」と語った吉沢。スピーチの終了後には裏側で取材に応じ、共演した長澤について「『おめでとう』と言ってくださった」と明かしつつも、先ほどのスピーチで「お母さんのように優しい」とコメントしてたため、「緊張してお母さんと言っちゃったんですけど、お姉さんです!」と訂正していた。○吉沢亮 コメント本当にありがとうございます。去年、新人俳優賞でこの場に来させていただいて、今年は優秀助演男優賞ということで嬉しい気持ちでいっぱいだったんですが、まさか最優秀をいただいてここでスピーチをすることになるとは思っていなかったので、少し緊張しています。僕が優秀助演男優賞をいただいた時に一番最初に連絡が来たのが主演の山崎賢人でした。「おめでとう」と連絡をくれて、「次は続編で2人で(この会場に)来ようぜ」と熱い話をしていたんですけど、彼が主演でみんなを引っ張ってくれたおかげで、すごく素敵な作品になったと思うし、彼とお芝居をしたことによって、僕が(最優秀助演男優賞)いただけることになったのかなと思っています。彼だけでなく、他のキャストの皆さん、監督、スタッフの皆さん、皆さんの力があっての 受賞だと思っております。とにかく嬉しいです。これからも素敵な作品を届けられるよう精一杯頑張っていきます。ありがとうご ざいました。(C)日本アカデミー賞協会
2020年03月06日映画の祭典「第43回 日本アカデミー賞授賞式」の結果をお伝えします。◎最優秀作品賞『新聞記者』・優秀作品賞『キングダム』『新聞記者』『翔んで埼玉』『閉鎖病棟―それぞれの朝―』『蜜蜂と遠雷』◎最優秀主演男優賞松坂桃李『新聞記者』・優秀主演男優賞笑福亭鶴瓶『閉鎖病棟―それぞれの朝―』菅田将暉『アルキメデスの大戦』中井貴一『記憶にございません!』松坂桃李『新聞記者』GACKT『翔んで埼玉』◎最優秀主演女優賞シム・ウンギョン『新聞記者』・優秀主演女優賞シム・ウンギョン『新聞記者』二階堂ふみ『翔んで埼玉』松岡茉優『蜜蜂と遠雷』宮沢りえ『人間失格 太宰治と3人の女たち』吉永小百合『最高の人生の見つけ方』◎最優秀助演男優賞吉沢亮『キングダム』・優秀助演男優賞綾野剛『閉鎖病棟―それぞれの朝―』伊勢谷友介『翔んで埼玉』柄本佑『アルキメデスの大戦』岡村隆史『決算!忠臣蔵』佐々木蔵之介『空母いぶき』吉沢亮『キングダム』◎最優秀助演女優賞長澤まさみ『キングダム』・優秀助演女優賞天海祐希『最高の人生の見つけ方』小松菜奈『閉鎖病棟―それぞれの朝―』高畑充希『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』長澤まさみ『キングダム』二階堂ふみ『人間失格 太宰治と3人の女たち』◎最優秀監督賞武内英樹『翔んで埼玉』・優秀監督賞佐藤信介『キングダム』周防正行『カツベン!』武内英樹『翔んで埼玉』平山秀幸『閉鎖病棟―それぞれの朝―』藤井道人『新聞記者』◎最優秀脚本賞徳永友一『翔んで埼玉』・優秀脚本賞片島章三『カツベン!』詩森ろば、高石明彦、藤井道人『新聞記者』徳永友一『翔んで埼玉』平山秀幸『閉鎖病棟―それぞれの朝―』三谷幸喜『記憶にございません!』◎最優秀アニメーション作品賞『天気の子』・優秀アニメーション作品賞『空の青さを知る人よ』『天気の子』『名探偵コナン 紺青の拳』『ルパン三世 THE FIRST』『劇場版ONE PIECE STAMPEDE』◎最優秀音楽賞RADWIMPS『天気の子』・優秀音楽賞周防義和『カツベン!』藤倉大、篠田大介『蜜蜂と遠雷』やまだ豊『キングダム』Face 2 fAKE『翔んで埼玉』RADWIMPS『天気の子』◎最優秀撮影賞河津太郎『キングダム』・優秀撮影賞河津太郎『キングダム』柴崎幸三『閉鎖病棟―それぞれの朝―』谷川創平『翔んで埼玉』ピオトル・ニエミイスキ『蜜蜂と遠雷』藤澤順一『カツベン!』・優秀照明賞上田なりゆき『閉鎖病棟―それぞれの朝―』李家俊理『翔んで埼玉』宗賢次郎『蜜蜂と遠雷』長田達也『カツベン!』◎最優秀美術賞斎藤岩男『キングダム』・優秀美術賞棈木陽次『翔んで埼玉』磯田典宏『カツベン!』斎藤岩男『キングダム』上條安里『アルキメデスの大戦』中澤克巳『閉鎖病棟―それぞれの朝―』◎最優秀録音賞久連石由文『蜜蜂と遠雷』・優秀録音賞加藤大和『翔んで埼玉』久連石由文『蜜蜂と遠雷』郡弘道『カツベン!』小松将人『閉鎖病棟―それぞれの朝―』横野一氏工『キングダム』◎最優秀編集賞河村信二『翔んで埼玉』・優秀編集賞今井剛『キングダム』河村信二『翔んで埼玉』洲﨑千恵子『閉鎖病棟―それぞれの朝―』古川達馬『新聞記者』宮島竜治『アルキメデスの大戦』◎最優秀外国作品賞『ジョーカー』・優秀外国作品賞『イエスタデイ』『グリーンブック』『ジョーカー』『運び屋』『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』・新人俳優賞岸井ゆきの『愛がなんだ』黒島結菜『カツベン!』吉岡里帆『見えない目撃者』『パラレルワールド・ラブストーリー』鈴鹿央士『蜜蜂と遠雷』森崎ウィン『蜜蜂と遠雷』横浜流星『愛唄 -約束のナクヒト-』『いなくなれ、群青』『チア男子!!』・会長功労賞高田宏治宝田明司葉子中島貞夫若尾文子・会長特別賞金子鉄男小田部羊一丹羽邦夫山田好男・協会特別賞市原悦子降旗康男高島忠夫和田誠・追悼佐藤純彌京マチ子川又昻西岡善信八千草薫松田孝坂上順矢島信男・話題賞作品部門『決算!忠臣蔵』俳優部門星野源第43回 日本アカデミー賞 授賞式3月6日(金) 21:00~22:54日本テレビ系
2020年03月06日3月6日(金)に予定されていた第43回日本アカデミー賞授賞式が、新型コロナウィルスの感染拡大を考慮し観覧を取り止め、規模を縮小して開催することを発表。テレビ、ラジオでの番組放送は予定どおり行われる。日本アカデミー賞協会は本日2月27日(金)、「新型コロナウィルス感染予防の観点から、授賞式開催について慎重に検討を重ねました結果、会場にいらっしゃる多くの方々の安心と安全を最優先に考え、すべての観覧を取り止め、チケット代を返金させていただくこととしました。観覧チケットをご購入いただいた映画ファンの皆様には心よりお詫びを申し上げます」と公式サイトで発表。グランドプリンスホテル新高輪の国際館パミールで行われる予定だった授賞式は規模を縮小して実施し、日本テレビ、ニッポン放送での授賞式番組放送は予定どおりに行うという。観覧チケットの払い戻しについては、公式サイトに詳細が記載。プレゼンターとしては、昨年第42回の最優秀賞及び話題賞受賞者の安藤サクラ(司会)や、伊藤健太郎、松坂桃李、役所広司、是枝裕和監督らが予定されている。「第43回日本アカデミー賞授賞式」は3月6日(金)21時より日本テレビ系全国29局ネットにて放送。(text:cinemacafe.net)
2020年02月27日2月10日(日本時間)に行われた第92回アカデミー賞で、『パラサイト半地下の家族』(以下、『パラサイト』)が、作品賞・監督賞・脚本賞・国際長編映画賞の4冠に輝いた。ポン・ジュノ監督(50)が成し遂げたこの偉業は、韓国映画101年の歴史上初であると同時に、非英語の作品としては初めての快挙だーー。『パラサイト』は、“半地下住宅”で暮らす貧しい家族・キム一家4人を中心にしたストーリー。しがない内職で生活をつなぐ4人が、巧みに裕福な家庭・パク家に入り込み、家庭教師や運転手、家政婦につくことで、彼らに“寄生”していく様子が描かれている。「いま、国内外で話題を呼んでいるのは“チャパグリ”という料理。劇中で、家政婦についた母・チュンスクがパク家に振る舞ったもので、実際に売られている『チャパゲッティ』『ノグリ』という2種類のインスタント麺を混ぜて作る手軽な料理です。同商品のメーカーである『農心(ノンシン)』もこの快挙にあやかり、“お祝いキャンペーン”を催しています」(韓国在住ジャーナリスト)企業も国民も“祝賀ムード”に沸く韓国。しかし、この受賞を“手放しでは喜べないはず”と語るのは、ジャーナリストで『コリア・レポート』編集長の辺真一(ピョン・ジンイル)さんだ。「たしかに快挙かもしれませんが、この映画は韓国の格差社会を、あまりにリアルに描いたノンフィクション映画といってもよい。つまり、韓国における“社会の恥”が明らかになった作品でもあるのです」キム家が住む“半地下住宅”という設定は、韓国の実態にもとづいている。半地下部屋とは、地上と地下の間に位置する居住空間のこと。もともとは、’60年代後半、南北問題が緊迫化するなかで、北朝鮮の侵攻に備えた地下の避難場所として、住宅施設に設置が義務づけられていたものが、徐々に居住空間へと変わっていった。家賃は一般的なアパートの半額で約3万~5万円程度。キム家のように収入の少ない家庭や若者、年金のみを頼りに生活する高齢者などが住んでいるという。「’15年の韓国政府が発表した統計によると、約86万人が半地下または地下に住んでいるといわれています(韓国の人口は約5,000万人)。住民の生活は苦しく、日光が差さない半地下住宅は、カビ・高湿度・プライバシー侵害などの問題を抱えています」(前出・在住ジャーナリスト)皮肉にもポン・ジュノ監督の快挙によって抉り出された驚きの実態。アカデミー賞受賞は、貧困層に“光が差す”きっかけになるだろうか。「女性自身」2020年3月3日号 掲載
2020年02月20日第92回アカデミー賞で国際長編映画賞にノミネートされたフランス映画『レ・ミゼラブル』のプレミア試写会が2月17日(月)、都内で行われ、2度目の来日を果たしたラジ・リ監督が出席。さらに本作に感銘を受けたという細田守監督が駆けつけた。長編デビュー作で、いきなりアカデミー賞候補に!「幸運であり光栄」ヴィクトル・ユゴーの小説「レ・ミゼラブル」で知られ、現在は犯罪多発エリアとなったパリ郊外のモンフェルメイユを舞台に、犯罪防止班に配属された刑事の視点から、現代社会に潜む闇を描いた。ある少年が引き起こした事件によって、同地で対立する複数の犯罪グループが、かつてない緊張状態に陥る…。ポン・ジュノ監督の『パラサイト 半地下の家族』がパルム・ドールに輝いた第72回カンヌ国際映画祭(2019年)で審査員賞を受賞している。先日のオスカー授賞式にも出席したラジ・リ監督は「自分にとって初めての長編作品でノミネートされたのは幸運であり光栄なこと。たくさんの人たちの目に触れるチャンスを得られますから」と喜びのコメント。昨年、同じくアカデミー賞の授賞式に参加している細田監督は「今年は作品賞も、国際長編映画賞も良い作品がいっぱいで充実していた。そのうちの1本が間違いなく『レ・ミゼラブル』だった」と太鼓判を押していた。細田守監督「僕らがどうするべきか突きつけてくる」モンフェルメイユで生まれ育ったラジ・リ監督は、本作を作る上で「ここに暮らす子どもたちの未来はどうなるんだろうという思いが強かった」そうで、「実際、健全に機能していない社会で、最初に犠牲になるのは子どもだから、社会や教育がいかにあるべきか考えている。それに僕自身が10歳の頃、警察から職務質問を受けた記憶も根強く残っている」とも。映画には、現地に暮らす演技経験ゼロの子どもたちを起用し「すばらしい演技を見せてくれて、誇りに思っている」と胸を張った。細田監督は「子どもたちの存在がカギを握る点は、僕の作品と共通している」と分析し、「社会派の作品で、ここまで子どもたちのリアリティを描いた作品はあまりないはず。それがとても感動したところ。僕らがどうするべきか突きつけてくる」。また、ハードな中にコミカルな要素を含む作風について「(北野武監督の)『その男、凶暴につき』を思い出したり、いろいろな切り口で楽しめる。観終われば、タイトルも腑に落ちる」と語ると、ラジ・リ監督も大いにうなずいていた。『レ・ミゼラブル』は2月28日(金)より新宿武蔵野館、Bunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:レ・ミゼラブル(2020) 2020年2月28日より新宿武蔵野館、Bunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて公開© SRAB FILMS LYLY FILMS RECTANGLE PRODUCTIONS
2020年02月17日第43回目を迎える日本アカデミー賞の授賞式が3月6日に開催される。今年は、昨年まで6年連続で司会を務めた俳優の西田敏行からフリーアナウンサーの羽鳥慎一へバトンタッチされ、昨年最優秀主演女優賞に輝いた安藤サクラと共に式を進行する。大役を担うことになった羽鳥と、2度目の司会となる安藤が本番に向けての意気込みを語った。元日本テレビのアナウンサーだった羽鳥は、局在籍時に日本アカデミー賞受賞式で、受賞者へのインタビューを務めていたこともあり、司会の話を聞いたときは「とても光栄なこと」と感慨深かったという。一方で「他の仕事を含めて、もっとも緊張する番組だった」と当時を振り返ると「すごく嬉しいという気持ち6割、自分で務まるかなという気持ちが4割ぐらい」と率直な胸の内を明かしていた。安藤にとっては、第40回日本アカデミー賞(前年『百円の恋』で最優秀主演女優賞を受賞)」に続き、2度目の大役となる。前回は西田とのタッグだったが「西田さんは俳優さんの目線で自由にお話をされていたので、視聴者の方と同じような気持ちでお話を伺っていました。羽鳥さんは、完璧な進行になるのではないでしょうか。どんなことも受け止めてくださる気がします!!おふたりともものすごく安心感がありますが、まったく違うタイプの司会になるだろうと思います」と羽鳥に期待を寄せる。羽鳥も「西田さんは偉大過ぎて比較にならないので、逆にプレッシャーはないですね」と開き直っているというと「しっかりお勉強をして準備はしていきますが、僕は映画の人間ではないので、素人目ではないですが、一映画ファンとして感じたことをぶつけていきたい」と羽鳥ならではの視点で映画の祭典を彩りたいという。本年度は、『翔んで埼玉』の12部門を始め、『閉鎖病棟-それぞれの朝-』が11部門、『キングダム』が9部門受賞するなど、話題作が目白押しだ。安藤は「出産してから映画を観る本数が減ってしまったので、(2月15日~2月21日まで第43回日本アカデミー賞優秀賞受賞作品上映会がある)T・ジョイPRINCE品川に通おうと思っているんです」と意欲満々なところを見せると「『新聞記者』が優秀作品賞を受賞するなど、日本アカデミー賞のラインナップも少しずつ変わってきたなと感じています」と感想を述べる。また安藤は「優秀主演女優賞、男優賞を見ていると、すごくバラエティに富んでいるなと思いました。韓国のシム・ウンギョンちゃんがいて、松岡茉優ちゃんや二階堂ふみちゃんなど20代がいると思えば、宮沢りえさん、吉永小百合さんらベテランもいる。みなさんが並ぶ姿は華やかでしょうね!とっても楽しみです」と目を輝かせる。羽鳥は「すべての方々が素晴らしいのですが、私の注目は柄本佑さんのインタビューを安藤さんがどうするのか、その一点です」と煽ると、安藤は「(柄本への)インタビューはハードルが高いのか、低いのか……。家ではなるべく(柄本が受賞した作品の)『アルキメデスの大戦』の話をしないで、新鮮な気持ちを保ったまま当日を迎えたいです」と照れ笑いを浮かべていた。さらに安藤は、多数受賞したチームは出演者や監督らスタッフが円卓を囲んで座るというが、単独で受賞した人たちだけが集まるテーブルの存在に言及。「私も『0.5ミリ』で受賞したときは一人で参加していたので、色んな作品の女優さんたちと女子会みたいになっていました。普段共演する機会のない先輩俳優さんや、映画界の方と一緒の空間にいられることができるのも日本アカデミー賞の醍醐味なんです」と安藤ならではの見どころを語ると、羽鳥も「そういう席の方々にも、しっかりとお話しが聞けたらと思っています」と抱負を述べていた。第43回 日本アカデミー賞授賞式3月6日(金)開催第43回 日本アカデミー賞 優秀賞受賞作品上映会2月15日(土)から21日(金)までT・ジョイPRINCE 品川にて取材・文・撮影:磯部正和
2020年02月14日第92回アカデミー賞に10部門でノミネートされ、撮影賞など3部門を授賞したサム・メンデス監督作『1917 命をかけた伝令』。このほど、照明で物語を語る、アカデミー賞受賞の撮影監督ロジャー・ディーキンスが生み出す圧巻の撮影風景を収めた特別映像が到着した。全て屋外での“ワンカット”撮影に挑んだ本作では、入念なリハーサルを繰り返し、移動する歩数やセリフを言い終わる秒数、カメラの動きや天候まで、様々な要素を計算し尽くした上で初めてカメラを持って撮影に入ることができる。このプロダクションに関わる全ての人間の、本作への献身的な姿勢が最重要だったとメンデス監督が語るほど、撮影準備に最も時間をかけてきた。その中でも苦労を強いられたのは、“照明を使えない”ということだったという。撮影監督のディーキンスも「今回のように舞台が屋外の作品では、天候と自然光の状態が鍵となる。この映画では塹壕の中を走り抜け、360度方向転換することもあるから、照明を使用することができない。また、物語の進行順に撮影するから、シーンとシーンを自然につなぎ合わせるためには曇り空の中での撮影が必須だった。朝の時点で晴天だと撮影ができないから、その場合はリハーサルを行ったよ」と、撮影時の苦労をふり返っている。今回到着した特別映像は、本作の中でも特に見事な光と闇のコントラストを映し出している撮影シーンを収めたもの。照明が使えないため、あたりを照らすのは照明弾の明かりのみ。緊迫感に溢れたシーン全体を撮るには何秒の照明弾が必要かを計算し、事前に模型を使って影の動きを確認、全ての人間が計算通りに動くことはもちろん、影の動きまでをも把握した上で初めて描き出すことの出来る究極の映像だ。敵地を走り抜ける若き伝令兵の目に見えない脅威、曲がり角の先に潜む恐怖を照明弾のみで表現してみせたディーキンスに対し、「照明で物語を雄弁に語れるのが撮影監督のロジャー・ディーキンスだ」と惜しみない賞賛の言葉を贈るメンデス監督。「照明弾の作る影の動きは不気味な印象を残す」と語る彼の言葉通り、美しさを感じさせながら、どこか不安を掻き立てるような神秘的な映像が完成した。『1917 命をかけた伝令』は2月14日(金)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:1917 命をかけた伝令 2020年2月14日より全国にて公開©2019 Universal Pictures and Storyteller Distribution Co., LLC. All Rights Reserved.
2020年02月13日全米最大TV局を揺るがした衝撃スキャンダルを描く『スキャンダル』。この度、先日発表された「第92回アカデミー賞」で見事メイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞したその技術が映し出されるタイムラプス動画が到着した。シャーリーズ・セロンがFOXニュースのキャスターであったメーガン・ケリーを、同じくキャスターであったグレッチェン・カールソンをニコール・キッドマン、FOXニュースのCEOであったロジャー・エイルズをジョン・リスゴーが、それぞれ俳優たちが“特殊メイク”を施し実在の人物に扮している本作。特にシャーリーズの変貌ぶりには世界が驚愕し、本年度アカデミー賞メイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞。到着したタイムラプス動画では、みるみるうちに変貌を遂げるキャストたちのメイクアップの様子が覗ける。特殊メイクを担当した日本出身のカズ・ヒロ(辻一弘)は「シャーリーズが一番メイクが厚いと思う。メーガンは瞼が厚いけど、シャーリーズの瞼は深くくぼんでいる。かなり形が違う。だから、コンタクトレンズを作り、鼻の先、下顎、両側のエラにピースを付けた」と双方の違いを説明し、「それに、シャーリーズ自身も素晴らしいメイクアップ・アーティストで、時には自分でメイクをしていたよ」と明かす。一方でニコールのメイクについては「付け加えるピースは鼻と顎だけにして、最低限にとどめたんだ」と語り、「ニコールの顔は非常に細い一方で、グレッチェンの顔は丸かったので、最初は、頬をカバーするピースをデザインしていたんだが、話し合いの末、それは無しにすることになった。最終的に鼻と顎だけになったんだ」とコメント。さらに、ジョンのメイクについては「彼の場合はハイブリッドというか、ジョンとロジャーの間という感じだね」と印象を述べ、「準備期間があまりなかったので、最適なデザインを探る時間がなかった。だから、ジョンの見た目を維持しつつ、ロジャーのエッセンスを付け加えていったんだ。ロジャーは、どこかブルドッグような顔をしているからね。頬が垂れていて、鼻が大きい」と特徴を語った。『スキャンダル』は2月21日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国にて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:スキャンダル(2020) 2020年2月21日よりTOHO シネマズ 日比谷ほか全国にて公開© Lions Gate Entertainment Inc.
2020年02月11日エミネムが9日に開かれた「第92回アカデミー賞」授賞式でパフォーマンスを披露した。出演予定者として発表されていなかったエミネムだが、映画界の代表曲と音楽が劇中で持つ力について取り上げたコーナーで、ステージに登場して主演映画『8 Mile』で2003年に歌曲賞に輝いた「ルーズ・ユアセルフ」を歌った。式典では、『ア・ビューティフル・デイ・イン・ザ・ネイバーフッド』の楽曲でジャネール・モネイがオープニングを飾り、『アナと雪の女王2』からはイディナ・メンゼルが、松たか子をはじめとした世界各国のエルサ役と共に「イントゥ・ジ・アンノウン」を熱唱した。また、アカデミー賞のステージ初登場だったクリッシー・メッツは、主演作『ブレイクスルー』の「アイム・スタンディング・ウィズ・ユー」をパワフルな歌声で披露したほか、シンシア・エリヴォはゴスペル隊と共に『ハリエット』の「スタンド・アップ」を歌い上げて会場を盛り上げた。一方、アカデミー賞へのノミネートが今回で13度目となったランディ・ニューマンは、『トイ・ストーリー4』から「君のため」を、エルトン・ジョンは自身の伝記映画『ロケットマン』から歌曲賞に輝いた「(アイム・ゴナ)ラヴ・ミー・アゲイン」を披露し、観客を魅了した。(C)BANG Media International
2020年02月11日女優の松たか子が10日(現地時間9日)、アメリカ・ロサンゼルスのドルビー・シアターで開催された「第92回アカデミー賞」の授賞式に登場。歌曲賞にノミネートされた『アナと雪の女王2』の「イントゥ・ジ・アンノウン」を、米国のイディナ・メンゼルほか世界各国のエルサ役キャストとともに歌唱した。パフォーマンス時はドレス姿を披露。授賞式前のレッドカーペットでは着物姿で存在感を放った。「イントゥ・ジ・アンノウン」のパフォーマンスでは、英語版の声優を務め、ブロードウェイミュージカル女優として世界中にファンを持つイディナ・メンゼル、そして日本から高いパフォーマンス力が評価されUS本社直々のオファーを受けた松をはじめ、デンマーク、ドイツ、ラテンアメリカ、ノルウェイ、ポーランド、ロシア、スペイン、タイの9の国と地域のエルサ役キャストが集結。日本人がアカデミー賞授賞式で歌唱するのは初めて。さらに、松が人前で「イントゥ・ジ・アンノウン」を披露するのも今回が初となった。松は授賞式前のレッドカーペットでは、以前に家族が松のためにあつらえた帯と疋田総絞りの上品な着物で世界各国のエルサ役と共に登場。パフォーマンスでは着物から一転、ジミーチュウのハイヒール、ピアジェのジュエリーにピンクベージュのヴァレンティノの華やかなドレス姿を披露した。歌唱は、センターのイディナのパートから始まり、その隣に立つ松が各国のエルサ役キャストのトップバッターとして歌唱。リレー形式で「イントゥ・ジ・アンノウン」を披露した。不思議な歌声をきっかけに、再び自身の力と向き合い、迷いを感じながらもまだ見ぬ未知なる世界へと踏み出そうとするエルサの想いがつづられているこの楽曲を、各国のエルサ役キャストが美しくも力強い圧巻の歌声で表現。客席からは割れんばかりの歓声と拍手が巻き起こった。歌唱直後の松は「他の国のエルサやイディナたちとステージで歌うことができて、とても楽しかった」と興奮冷めやらぬ様子で語り、「予想をはるかに軽々超えた機会を与えてもらいました。オリジナルのエルサを演じたイディナはもちろん、各国のエルサと会えることがすごく楽しみでした。同じく皆がエルサのセリフを言い、歌を歌ってきた人たちなので、私は日本版のエルサというシンプルな気持ちで、行くしかないかなという思いでした。到着してから、レッドカーペットに行くギリギリまでサウンドチェックして、とても充実感のある数日であっという間でしたけど、とても楽しかったです」と、このオファーを受けてから授賞式までの心境を話した。さらに日本のファンに向けて、「私が今日このステージで歌えたのは、日本でこの作品を観て愛してくれた人たちの力も非常に大きかったと思います。日本での盛り上がりが認められて、“おいで”と言ってもらえたんだと思いますので、みなさんの力にとても感謝しています。日本ではまだ公開中なので、このアカデミー賞授賞式を観て気分が高まったら、ぜひ劇場に足を運んでほしい」と感謝の気持ちを伝えた。WOWOWプライムでは、2月10日21時から「第92回アカデミー賞」授賞式の字幕版を放送。
2020年02月10日2月10日(日本時間)に開催され、なんとポン・ジュノ監督『パラサイト 半地下の家族』が作品賞や監督賞、脚本賞、国際長編映画賞の最多4冠、『スキャンダル』カズ・ヒロ氏の2度目のオスカー獲得、『アナと雪の女王2』でイディナ・メンゼルや松たか子ら世界各国のエルサのパフォーマンスなどが話題を呼んだ第92回アカデミー賞授賞式。国内外の映画ファンたちが固唾をのんで見守った授賞の行方とは別に、SNSで盛り上がったセレブたちのひと幕をご紹介。今年も司会者なしで進行した授賞式。まず、オープニングは『A Beautiful Day in the Neighborhood』(原題)のトム・ハンクスを真似たジャネール・モネイのクールなパフォーマンスからスタート。「POSE/ポーズ」のビリー・ポーターも『ロケットマン』さながらに参加、マーゴット・ロビーやシンシア・エリヴォ、ちょっと照れ君のレオナルド・ディカプリオなどセレブたちにもマイクを向けながら、冒頭から会場を盛り上げた。バックダンサーの衣装には『ジョーカー』ほか、『アス』や『ルディ・レイ・ムーア』など今回ノミネートされなかった作品もモチーフにされ、背後の映像の中には『ハスラーズ』や『フェアウェル』も。さらにはジャネール自身も『ミッドサマー』の花々を被って歌い踊ることに。これには「最高すぎ」「かっけええ」との熱い声が続々と上がった。熱い声といえば、レッドカーペットから「可愛い」と話題となっていたのが、『ジョジョ・ラビット』で好演を見せた主人公ジョジョ役のローマン・グリフィン・デイビスと親友ヨーキー役のアーチー・イェーツ。リブート版『ホーム・アローン』の主役にも抜擢されているアーチー君は、タイカ・ワイティティ監督が脚色賞を受賞すると、まるで自分が受賞したかのように舞台裏で大喜びする姿も注目を集めた。タイカ監督といえば、プレゼンターを務めたナタリー・ポートマンとティモシー・シャラメを巻き込んだ(?)ユニークな写真撮影も。一方、タイカ監督の席が近くだったブリー・ラーソンは、インスタのストーリーに彼がこっそりオスカー像を座席の下に仕舞い込んでいる様子をアップ。“キャプテン・マーベル”として知られるブリーは、“ワンダーウーマン”ことガル・ガドット、そして『エイリアン』シリーズの“リプリー”ことシガニー・ウィーバーと作曲賞、歌曲賞のプレゼンターとして登壇。3大女性ヒーローが「私たちでファイトクラブを作ります」と語ると、「強すぎる」「カッコよさしかない」「最強に目が眩しい」と興奮の声が続々。また、ティモシーはレッドカーペットで、『スキャンダル』で助演女優賞候補となったマーゴット・ロビーの撮影中にまさかのフォトボム!「お茶目」「最高」との声が上がっていたが、そんなティモシーの「プラダ(PRADA)」のジャケットファッションには「作業着感」「本社から来た人みたい」との声が…。実はこの「プラダ(PRADA)」のブルゾンジャケットは、プラスチック廃棄物や漁網などを使ったリサイクルナイロン繊維「ECONYL(R)」を用いたもの。“サステナブル”(持続可能)なファッションは今年のテーマでもあるだけに、こうした取り入れ方はさすがティモシー。衣装といえば、会場もSNS上も爆笑となったのが『キャッツ』のジェームズ・コーデンとレベル・ウィルソン。2人とも同作で演じた猫のバストファージョーンズとジェニエニドッツそのものの仮装で登場、視覚効果賞のプレゼンターだったのだが、「私たち以上に視覚効果の重要性について理解している人はいません」と半ば自虐的なコメントで会場を沸かせることに。ちなみに『キャッツ』は劇場公開後、異例ともいえる視覚効果に手を加えた最終バージョンへの差し替えが行われており、ゴールデン・ラズベリー賞にも最多ノミネートされている。そんな中、全くのサプライズ登場で会場が騒然となったのが、ラッパーのエミネム。音響編集賞、録音賞の発表前にリン=マニュエル・ミランダが映画の中の音楽について語っていたとき、エミネムの主演作『8マイル』(2002)の映像も流れていたのだが、今回、第75回アカデミー賞歌曲賞を受賞した同作の主題歌「ルーズ・ユアセルフ」を披露。これには、ブリーやケリー・マリー・トランら会場の多くがノリノリで口ずさみ、ジャネールや追悼パフォーマンスを行ったビリー・アイリッシュらもスタンディングオベーション、この1番ともいえる大喝采となる中、マーティン・スコセッシ監督だけはちょっぴり眩しげな表情…。エミネムは当時授賞式に参加できなかったことから、「もう1回、またの機会があるのか…アカデミー賞、招待してくれてありがとう。ここに着くまて18年もかかってすみません」とようやく実現した歌唱パーフォーマンスについてツイートし、今年歌曲賞を受賞したエルトン・ジョンとの2ショットもアップ。彼のパフォーマンスはトップシークレット扱いのサプライズだったという。(text:Reiko Uehara)■関連作品:キャッツ 2020年1月24日より全国にて公開© 2019 Universal Pictures. All Rights Reserved.ジョジョ・ラビット 2020年1月17日より全国にて公開©2019 Twentieth Century Fox&TSG Entertainmentミッドサマー 2020年2月21日よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国にて公開© 2019 A24 FILMS LLC. All Rights Reserved.スキャンダル(2020) 2020年2月21日よりTOHO シネマズ 日比谷ほか全国にて公開© Lions Gate Entertainment Inc.ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語 2020年3月より全国にて公開
2020年02月10日女優の松たか子(42)が2月10日(日本時間)に、ロサンゼルスで開催された第92回アカデミー賞授賞式に出席した。松は歌曲賞にノミネートされた映画『アナと雪の女王2』の主題歌「イントゥ・ジ・アンノウン」を、米国女優イディナ・メンゼル(48)を中心に世界9カ国のエルサ役と共に熱唱した。日本人がアカデミー賞授賞式で歌唱するのは初めてのこと。14年に公開された前作に引き続き、同作で日本語吹き替え版のエルサ役を務めた松。そのパフォーマンスが評価され、アメリカ本社から直々にオファーを受けたという。松は参加するにあたり、こうコメントした。「この度は、大変光栄な役目をいただき、感謝しております。各国のエルサ達に会える、というのは大きな喜びであり、自分以外のエルサに出会う、というのも滅多にない機会だと思います。御覧になる方々にとって楽しいひとときになるとよいなと思っています」アカデミー賞のTwitter公式アカウントは、同日に歌唱の様子を動画で投稿した。15時の時点で233万回以上再生され、世界中から注目を集めている。松はレッドカーペットで見せた和装から着替えて、光沢感のある白いドレス姿で歌声を披露した。同作で英語版声優を務めたイディナ・メンゼルといえば、ブロードウェイのトップスターだ。13年にアメリカで公開された前作の劇中歌『レット・イット・ゴー』は、第86回アカデミー賞歌曲賞を受賞。これを機にイディナは世界的スターに輝いた。「松さんはイディナの舞台『ウィキッド』をNYで鑑賞したことがあったそうです。その時にイディナの歌声に圧倒されたと語っていました。共演の神田沙也加さん(33)から、イディナが『イントゥ・ジ・アンノウン』で限界まで挑戦したと聞いた時は動揺したそうです。大きなプレッシャーを感じていた松さんですが、必死にイディナの歌声を聴いて収録に挑んだと話していました」(映画関係者)ネットでは、大役を果たした松を讃える声が溢れている。《公式が「イントゥ・ジ・アンノウン」のパフォーマンス動画をあげてくれてる…………イディナ・メンゼルのお隣で披露する松さん凄いよ…………》《松たか子さんが素晴らしくて誇らしくて少し涙出た。私も涙もろくなったな》《パフォーマンスを見て、思わず涙が溢れました!たくさんのエルサが歌い継ぐさまが圧巻でした。 松さんも大役をしっかり果たされていて、かっこよかったです》
2020年02月10日第92回アカデミー賞授賞式が2月10日(日本時間)、米ロサンゼルスのドルビー・シアターで開催され、『パラサイト 半地下の家族』(ポン・ジュノ監督)が作品賞に輝いた。韓国映画が同賞を受賞するのは初めてとなる。文字通り「歴史が動いた」と感じた映画ファンも多いはず。ハリウッドの資本が一切入らない韓国映画が作品賞に加えて、監督賞、脚本賞、そして当然ながら国際長編映画賞も受賞し、映画界最大の祭典であるアカデミー賞に見事“寄生”したわけで、第92回にして訪れた歴史的快挙は、これからも多くの人々の記憶に残るはずだ。投票権をもつ会員の大幅増に伴い、選択肢の幅がより広がったともいわれる近年のアカデミー賞。一方で、その投票システムにより“平均的に優れた作品”が選ばれる傾向も強かっただけに(だから『1917 命をかけた伝令』が本命だった)、一癖も二癖もある『パラサイト 半地下の家族』の主要部門受賞はやはり驚くべき結果だった。メキシコ映画『ROMA/ローマ』が快進撃を続けながら、作品賞は『グリーンブック』に落ち着いた昨年とは大違いである。ひとつ見えてきたのは、現代社会の急速な変化を目の当たりに、「自分たちも変わらなければ」とようやく重い腰をあげた、アメリカの映画業界の意識改革だ。多様性をトレンドとして持ち上げ、やり過ごそうとしていた“支配層”の思惑は崩れ、多様性こそが主流である時代が到来した現代。それを受け入れなければ、映画の未来がないことに、彼らも気づき始めているのだろう。『パラサイト 半地下の家族』の快挙の裏で、ハリウッド黄金期を懐かしむ『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(10部門候補で2部門受賞)、ポン・ジュノ監督も敬愛するマーティン・スコセッシ監督のNetflix映画『アイリッシュマン』(9部門10候補で無冠)といった話題作は、大きな勝利を収めることができなかった。映画界が視線を注ぐべきは輝かしい過去ではなく、不穏な現代、そして不透明な未来であり、『パラサイト 半地下の家族』にこそ、それらが映し出されていたのだ。一夜にして起こった映画界の地殻変動は2020年も継続するはずだ。今後の課題は、やはり女性映画監督に対して、いかにチャンスを与えるか。今年の授賞式では、女性の存在感が発揮されるシーンが多かったが、その裏には女性監督が1人もノミネートされなかった監督賞への痛烈な批判があった…。こうして、変化の道を歩みだしたアカデミー賞。今後、『パラサイト 半地下の家族』のシナリオがそうであったように、アカデミー賞にも予想もつかない展開が待ち構えているとすれば、映画ファンはそれを大いに期待すべきだろう。(text:Ryo Uchida)■関連作品:パラサイト 半地下の家族 2020年1月10日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開© 2019 CJ ENM CORPORATION, BARUNSON E&A ALL RIGHTS RESERVED
2020年02月10日現地時間10日、第92回アカデミー賞受賞式が米ロサンゼルスのドルビーシアターで開催され、『ジョーカー』のホアキン・フェニックス(45)が主演男優賞を獲得した。PEOPLE誌が受賞の際のスピーチについて報じている。’93年、19歳の時に敬愛する兄リヴァーさんを突如失い、長く失意の底に囚われていたホアキン。兄と比較されながらも、俳優として確かな実力を備えていた彼は、ハリウッドでの存在感を徐々に強めていった。しかし’08年、「俳優を引退してラッパーになる」と宣言し、表舞台から姿を消す。寝耳に水の展開に家族や友人はうろたえ、ファンは悲しみ、メディアは奇行を繰り返すホアキンを追いかけ回した。2年後、ラッパー宣言に始まる一連の行動が、ケイシー・アフレックが監督を務めるフェイク・ドキュメンタリー『容疑者ホアキン・フェニックス』(’10年)の“仕込み”であったことが明かされる。2年もの間周囲を完全に騙したホアキンは、各方面からの怒りを買い、扱いにくい“お騒がせ俳優”というレッテルを貼られてしまう。そんな過去もあって、受賞した場合はステージで何かしでかすのではないかと心配するファンもいたが、過去の自分と向き合った真摯なスピーチを披露した。「僕はこれまでずっと悪党でした。自分勝手で、時に残酷で、一緒に仕事をするのが難しい人間でした。今ここにいるたくさんの人々に感謝します。2度目のチャンスを与えてくれたことに。そして、自分が最高の状況にあるときにこそ、人は助け合うべきだと思います。過去の過ちを取り消すときにではなく、お互いの成長を助け合うとき、お互いを教育し合うとき、お互いを贖罪へと導くときに。これこそが最高の人間性です」そして目に涙を浮かべ、声を詰まらせながら「兄が17歳の時、この歌詞を書いたんです。愛をもって人を助けよう、そうすれば平和が訪れる、と」。兄リヴァーさんの遺した言葉を引いて、ステージを後にした。
2020年02月10日『パラサイト 半地下の家族』が英語以外の映画として史上初の作品賞を受賞、会場全体が歓喜に沸いて幕を閉じた第92回アカデミー賞授賞式。結果的に多様性を印象づけた今年を象徴するように、レッドカーペットはカラフルで光るドレスで華やいだ。『ジュディ 虹の彼方に』で主演女優賞を受賞したレネー・ゼルウィガーは「アルマーニ・プリヴェ(Armani Prive)」のカスタムで、白いシークインのドレス。前哨戦でも常に肩を見せるデザインを着ていたが、締めくくりとなる晴れの日もワンショルダーで片方だけスリーブのあるスタイルをチョイスした。『マリッジ・ストーリー』で助演女優賞を受賞したローラ・ダーンも「アルマーニ・プリヴェ(Armani Prive)」。デコルテ周りに黒の装飾を効かせた淡いピンクのノースリーブだ。ジュエリーは日本のブランド「NIWAKA(俄)」のもの。授賞式の追悼コーナーでビートルズの「イエスタデイ」を歌ったビリー・アイリッシュは「シャネル(Chanel)」の白のツイードのスーツで登場。前面にロゴがいくつも入ったジャケットもパンツも、彼女らしいオーバーサイズのデザインだった。着飾ることでメッセージを伝える、という方法を選んだのはナタリー・ポートマン。「ディオール・オートクチュール(Dior Haute Couture)」の黒とゴールドのケープドレスは落ち着いたデザインだが、グレタ・ガーウィグ(『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』)やルル・ワン(『フェアウェル』)、ローリーン・スカファリア(『ハスラーズ』)など、オスカーにノミネートされなかった女性監督たちの名前が刺繍してある。ナタリーは「私なりのやり方で、素晴らしい仕事を評価されなかった女性たちを知らせたかったのです」と語った。『スキャンダル』で助演女優賞候補だったマーゴット・ロビーは「シャネル(Chanel)」のミッドナイトブルーのドレス。胸元を飾るタッセルが付いたブローチとリボンをあしらったカフスリーブでエレガント。『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』で主演女優賞候補になったシアーシャ・ローナン、助演女優賞候補のフローレンス・ピューはともに鮮やかな色が印象的なドレス。シアーシャは「グッチ(Gucci)」の黒とラベンダー・カラーのドレス。実は黒のペプラムの部分は先日開催の英国アカデミー賞授賞式で着たドレスに使用したのと同じ生地。持続可能性に配慮した選択だ。フローレンスは「ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)」。ウエストをベルトでマークするデザインで、サンダルも同色でコーディネートした。カラフルな装いでは『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』で、レオナルド・ディカプリオ扮するリックに感銘を与える天才子役を演じたジュリア・バターズのピンクのドレスも。「クリスチャン・シリアーノ(Christian Siriano)」のデザインで、ボリュームある袖と、サンドイッチを忍ばせた小さなバッグがアクセントになっていた。今年は光る素材を使ったドレスが人気で、女優賞に主演と助演でWノミネートされたスカーレット・ヨハンソンは「オスカー・デ・ラ・レンタ(Oscar de La Renta)」のシルバーのサテンドレス、プレゼンターを務めたブリー・ラーソンの「セリーヌ(Celine)」のドレスは12万個のシークインと11万個のガラスビーズをあしらったデザイン。同じくプレゼンターのレベル・ウィルソンも「ジェイソン・ウー(Jason Wu)」ゴールドのドレス。オープニングにビリー・ポーターとパフォーマンスを披露したジャネール・モネイは「ラルフ・ローレン(Ralph Lauren)」のシルバーのドレス。フードがついたAラインのドレスには16万8000個のスワロフスキー・クリスタルが使用された。ちなみに昨年、タキシードとドレスを合体させたスタイルで話題をさらったビリー・ポーターはイギリスのデザイナー、「ジャイルズ・ディーコン(Giles Deacon)」のドレスをチョイス。スカート部分はバッキンガム宮殿にインスパイアされたデザインだという。昨年の授賞式で見せたハーネス・スタイルも衝撃だったティモシー・シャラメは「プラダ(Prada)」のネイビーのアンサンブルで、今年も攻めの姿勢を崩さず。ノータイに白シャツの上に羽織ったジップアップのジャケットに「カルティエ(Cartier)」のヴィンテージのブローチをアクセントにした。タイカ・ワイティティ監督が脚色賞を受賞した『ジョジョ・ラビット』で主役のジョジョを演じたローマン・グリフィン・デイヴィスと親友ヨーキー役のアーチー・イェーツも出席。タキシード姿で元気いっぱい取材に応じる姿が微笑ましかった。シャーリーズ・セロンの「ディオール・オートクチュール(Dior Haute Couture)」、オリヴィア・コールマンの「ステラ・マッカートニー(Stella McCartney)」 、作曲賞を受賞したヒドゥル・グドナドッティル(『ジョーカー』)の「シャネル(Chanel)」など、ダークな色使いに構築的なデザインの大人のクールな装いも目を引いた。また、歌曲賞候補の「イントゥ・ジ・アンノウン」(『アナと雪の女王2』)の歌唱パフォーマンスで、イディナ・メンゼルとともに世界各国の“エルザ”の1人としてステージに立った松たか子は、レッドカーペットには着物姿で登場。淡いピンクの総絞りに松の刺繍、母から譲り受けた帯だという。(text:Yuki Tominaga)
2020年02月10日第92回アカデミー賞授賞式が2月10日(日本時間)、米ロサンゼルスのドルビー・シアターで開催され、ポン・ジュノ監督の『パラサイト 半地下の家族』が作品賞に輝いた。韓国映画が同賞を受賞するのは初めて。作品賞をはじめ、監督賞、脚本賞、国際長編映画賞の最多4冠を達成した。まさにアカデミー賞の歴史が“激動”した一夜となった。アカデミー賞史上初、といえば『パラサイト 半地下の家族』は作品賞と国際長編映画賞(昨年まで外国語映画賞)の同時受賞も達成。これは昨年、旋風を巻き起こしたNetflix映画『ROMA/ローマ』(アルフォンソ・キュアロン監督)も成し遂げることができなかった快挙だ。また、カンヌ国際映画祭の最高賞であるパルム・ドールを受賞し、アカデミー賞の作品賞も手にするのは『マーティ』(第28回/1955年)以来2作目。こちらも、記憶に留めておきたい記録である。監督賞を手にした際のスピーチで、ポン・ジュノ監督は「映画を勉強していた若い頃、最も印象に残ったのは『個人的なことこそが、もっとクリエイティブなことだ』という言葉。それは、偉大なるマーティン・スコセッシによるものでした。わたしはスコセッシ監督の作品で、映画を学んだのです」と同じ監督賞候補に挙がった名匠に最敬礼。また、以前からポン・ジュノ監督の作品を高く評価していた、同じく監督賞候補のクエンティン・タランティーノへの感謝も惜しまなかった。俳優部門はオスカー前哨戦にならい、サプライズなしの結果に。主演男優賞をホアキン・フェニックス(『ジョーカー』)、主演女優賞をレネー・ゼルウィガー(『ジュディ 虹の彼方に』)、助演男優賞をブラッド・ピット(『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』)、助演女優賞をローラ・ダーン(『マリッジ・ストーリー』)が順当に受賞している。作品賞を『パラサイト 半地下の家族』と競い合った『1917 命をかけた伝令』は撮影賞、録音賞、視覚効果賞の3部門を受賞。やはり、全編ワンカット(のように見える)撮影が高く評価され、名撮影監督であるロジャー・ディーキンスが2度目のオスカー獲得を果たした。一方、9部門(10候補)にノミネートされていたマーティン・スコセッシ監督のNetflix映画『アイリッシュマン』は無冠に終わった。【第92回アカデミー賞主な受賞結果】作品賞:『パラサイト 半地下の家族』監督賞:ポン・ジュノ『パラサイト 半地下の家族』主演男優賞:ホアキン・フェニックス『ジョーカー』主演女優賞:レネー・ゼルウィガー『ジュディ 虹の彼方に』助演男優賞:ブラッド・ピット『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』助演女優賞:ローラ・ダーン『マリッジ・ストーリー』国際長編映画賞:『パラサイト 半地下の家族』(韓国)脚本賞:『パラサイト 半地下の家族』脚色賞:『ジョジョ・ラビット』撮影賞:『1917 命をかけた伝令』編集賞:『フォードvsフェラーリ』美術賞:『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』衣装デザイン賞:『ストーリー・オブ・マイ・ライフ/わたしの若草物語』メイク・ヘアスタイリング賞:『スキャンダル』作曲賞:『ジョーカー』歌曲賞:『ロケットマン』視覚効果賞:『1917 命をかけた伝令』長編アニメ映画賞:『トイ・ストーリー4』文:内田 涼
2020年02月10日月曜深夜の映画番組「映画天国」。その2月10日(月)放送回は2016年に公開され大ヒット、アカデミー賞6部門受賞を果たした『ラ・ラ・ランド』をオンエアする。ハリウッド女優を夢見てロサンゼルスにやってきたミア。彼女はカフェでアルバイトをしながらオーディションに挑戦し続けているが、何度受けても落ちてばかり。そんなミアがクリスマスの夜、偶然通りかかったレストランのピアノ演奏に魅せられる。演奏していたのはジャズピアニストを目指すセブことセバスチャン。セブは店長の選曲に従わず自分がこだわるジャズをひきクビになったところで、声をかけようとしたミアを無視しお店を出ていってしまう。最悪の出会いをした2人だがその後何度も偶然の出会いを重ねるうちに互いに惹かれ付き合い始めるのだった。セブのアドバイスでミアは一人芝居の脚本を書くように。一方のセブはお金を稼ぐため昔の仲間のキースのバンドに参加する。お互いの夢を支え合い励まし合いながら愛し合っていた2人はいつしかすれ違いはじめて…という本作。ミア役には本作で第89回アカデミー賞主演女優賞を受賞したほか、『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』『女王陛下のお気に入り』ではアカデミー賞助演女優賞にノミネート。『ゾンビランド:ダブルタップ』も話題となったエマ・ストーン。セブ役には『マネー・ショート 華麗なる大逆転』や『ブレードランナー 2049』。史上初めて月面を歩いた宇宙飛行士ニール・アームストロングを演じた『ファースト・マン』などのライアン・ゴズリング。監督はアカデミー賞助演男優賞、編集賞、録音賞に輝いた『セッション』をはじめライアンと再びコラボした『ファースト・マン』も大きな反響を呼んだデイミアン・チャゼルがメガホンを取った。映画天国『ラ・ラ・ランド』は2月10日(月)深夜25時59分~日本テレビでオンエア。(笠緒)
2020年02月10日インディペンデント・スピリット賞が発表された。作品賞に輝いたのは、『フェアウェル』。この部門のほかの候補作は、『マリッジ・ストーリー』『名もなき生涯』『アンカット・ダイヤモンド』『Clemency』だった。主演男優賞は『アンカット・ダイヤモンド』のアダム・サンドラー、主演女優賞は『ジュディ 虹の彼方に』のレニー・ゼルウィガー。助演男優賞は『ライトハウス』のウィレム・デフォー、助演女優賞は『フェアウェル』のチョウ・シュウチン。監督賞は『アンカット・ダイヤモンド』のベニー&ジョシュ・サフディ、脚本賞は『マリッジ・ストーリー』のノア・バームバック。国際映画賞は『パラサイト/半地下の家族』だった。文=猿渡由紀『フェアウェル』4月10日(金)公開
2020年02月10日「第92回アカデミー賞」の授賞式が10日(現地時間9日)、アメリカ・ロサンゼルスのドルビー・シアターにて開催され、ポン・ジュノ監督の『パラサイト 半地下の家族』が作品賞を受賞した。同作は、全員失業中で“半地下”住宅で暮らす貧しい一家と、“高台の豪邸”で暮らす裕福な社長一家という、相反する2つの家族の出会いから想像を遥かに超える展開へと向かっていく物語。アジア映画がアカデミー賞作品賞を受賞するのは今回が初めて。なお、同作は作品賞のほか、脚本賞、国際長編映画賞、監督賞も受賞し、最多4冠に輝いた。作品賞は、『パラサイト 半地下の家族』のほか、『フォードvsフェラーリ』、『アイリッシュマン』、『ジョジョ・ラビット』、『ジョーカー』、『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』、『マリッジ・ストーリー』、『1917 命をかけた伝令』、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』がノミネートされていた。WOWOWプライムでは、2月10日21時から「第92回アカデミー賞」授賞式の字幕版を放送。
2020年02月10日