ロバン・カンピヨ監督最新作『BPM (Beats Per Minute)』(原題)が、2018年、日本で公開される予定。フランス全土で60万人を動員したヒット映画だ。『BPM』の背景には…舞台は1990年代初頭のパリ。エイズによる差別や不当な扱いに抗議し、政府や製薬会社などへ変革に挑んだ実在の団体「ACT UP」(正式名称:the AIDS Coalition to Unleash Power)の活動を通して、若者たちの恋と人生の輝きを表現する感動作。ACT UPのメンバーだったという監督自身の経験がストーリーのベースとなっている。明日生きられるか分からない主人公。エイズの感染を減らしたい、友人の命を助けたいという想い、そして恋人との限りある愛。生と死や、理想と現実の間で葛藤、そして強く生きる若者たち。彼らの生き生きとした表情や行動が、力強くエモーショナルな映像と共に描いていく。ACT UPとは?ACT UPは、エイズ・アクティビストの団体。英語では”the AIDS Coalition to Unleash Power”で意味としては、”力を解き放つためのエイズ連合”。1987年3月にアクトアップ・ニューヨークが発足。エイズ政策に感染者の声を反映させることに尽力。また、差別や不当な扱いに抗議して、時には政府、製薬会社などにデモなどの直接行動に訴える。現在はNYだけではなく全米にも広がり、他国では、フランス、インド、ネパールなどにもアクトアップが作られている。ロバン・カンピヨ監督『BPM』は、カンヌ映画祭パルムドール作品『パリ20区、僕たちのクラス』の脚本家で、監督としては『イースタン・ボーイズ』でヴェネチア映画祭オリゾンティ部門の最高賞を受賞したロバン・カンピヨ監督の長編3作目。作品情報原題:BPM(Beats Per Minute)脚本・監督:ロバン・カンピヨ出演:ナウエル・ペレ・ビスカヤー(『グランド・セントラル』)アーノード・ヴァロワ、アデル・エネル(『午後8時の訪問者』)他(c) Céline Nieszawer
2017年10月28日お笑いコンビ「ラーメンズ」の小林賢太郎が、年1回テレビに登場しコントを披露する番組「小林賢太郎テレビ」の第9弾が、12月10日(日)に放送されることが決定した。これまで、「ラーメンズ」として100本以上のコントを作り、舞台を拠点に活動し、“アート”とも称される完成度の高い笑いで海外でも高い評価を受ける小林さん。今回第9弾となる番組では、ゲストに小林さんの盟友であり、『アウトレイジ』シリーズや、現在続編が放送中のドラマ「コウノドリ」などに出演する個性派俳優・大森南朋。そして女優としても活躍する壇蜜を迎える。さらに、一大ブームを起こしたバラエティー「水曜どうでしょう」の企画・出演者であり、 映画監督としても活躍するミスターこと鈴井貴之が、お題コントの出題者として登場。どんな無理難題を小林さんに出すのか?そのほか、竹井亮介、辻本耕志、安井順平、久ヶ沢徹、菅原永二、伊勢佳世、犬山イヌコらも出演する。なお、BSプレミアムでは、小林さんが去年立ち上げたプロジェクト「カジャラ」の最新舞台 「裸の王様」をテレビ初オンエア。さらに密着映像とインタビューで、小林さんの創作の秘密、舞台を活動拠点にするその理由に迫る。「小林賢太郎テレビ9」は12月10日(日)22時50分~BSプレミアムにて放送。小林賢太郎テレビ PRESNTS カジャラ「裸の王様」は12月17日(日)22時50分~BSプレミアムにて放送。(cinemacafe.net)
2017年10月27日「ポーランド映画祭2017」が、2017年11月25日(土)から12月15日(金)まで東京都写真美術館にて開催される。今回の開催で6年目を迎える「ポーランド映画祭」。今年は、ポーランドを代表する映画監督の一人であるイエジー・カヴァレロヴィッチ監督の没後10年に際し、カヴァレロヴィッチ監督作品にフォーカスを当てる。『影』『尼僧ヨアンナ』『夜行列車』『太陽の王子ファラオ』 の4作品を、デジタル・リマスター版にて上映する。さらに、新しい映画に注目する「ポーリッシュ・シネマ・ナウ!」では、山形国際ドキュメンタリー映画祭大賞の『オラとニコデムの家』、子供と大人の狭間の時期をリアルに描いた『プレイ・グラウンド』、社会主義政権下において700万部の売上を記録した書籍の著者ミハリナ・ヴィスウォツカについての映画『アート・オブ・ラビング』の3作品を上映。加えて、2017年12月に劇場公開される『ユダヤ人を救った動物園 〜アントニーナが愛した命〜』もプレミア上映される。第二次世界大戦中のポーランドでの出来事を描いた、感動のノンフィクションだ。また、これまで日本で見られる機会がほとんどなかった、イエジー・スコリモフスキ監督の幻の作品『早春』や、世界中で絶大な人気を誇る作家スタニスワフ・レム特集として、レムの伝記映画『ソラリスの著者』、ボグダン・ジヴォルスキの傑作ドキュメンタリー5作品など、見逃せない作品が目白押しになっている。予告映像も公開されているので、イベントに足を運ぶ前に是非チェックしてみて。【詳細】ポーランド映画祭2017会期:2017年11月25日(土)~12月15日(金)※11月27日(月)、12月3日(日)、12月4日(月)、12月11日(月)は休館につき上映なし。場所:東京都写真美術館ホール住所:東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内TEL:03-3280-0099上映作品:・ポーリッシュ・シネマ・ナウ!『プレイグラウンド』、『アート・オブ・ラビング』、『オラとニコデムの家』、『二つの冠』、『ゆれる人魚』、『ユダヤ人が救った動物園アントニーナが愛した命』・スタニスワフ・レム特集『ソラリスの著者』『寄せ集め』(2作品同時上映)・イエジー・スコリモフスキ!『早春』デジタル・リマスター版(2018年1月 YEBISU GARDEN CINEMA にて公開)、『イレブン・ミニッツ』・ボクダン・ジヴォルスキの傑作ドキュメンタリー『アイスホッケー』、『クラシック・バイアスロン』、『人生の舞台』、『フェンシング選手』、『フランツ・クラマーとスキーの風景』(5作品同時上映)・アンジェイ・ワイダ監督追悼『コルチャック先生』、『カティンの森』、『残像』・イエジー・カヴァレロヴィッチ監督特集『影』、『夜行列車』、『尼僧ヨアンナ』、『太陽の王子ファラオ』・画家ベクシンスキー特集『最後の家族』、『ベクシンスキー家の人々 映像と音声のアルバム』・ポーランド俳優ツィブルスキ没後50年『灰とダイヤモンド』『ズビシェク』・ポーランド・アニメーション70周年企画『ツィーゲノルト』『黒』『魔法のえんぴつ』『ボレック&ロレック』(4作品同時上映)・アンコール上映『イマジン』『イーダ』『ユナイテッド・ステイツ・オブ・ラブ』
2017年10月26日全国公開中の『斉木楠雄のΨ難』に出演している俳優の田辺誠一、賀来賢人、同作でメガホンを取った福田雄一監督。同作でタッグを組んだ3人が10月22日(日)朝に放送される「ボクらの時代」に出演。“映画”“家族”…この3人ならではのトークを繰り広げる。「ボクらの時代」は俳優、ミュージシャン、アーティスト、映画監督、学者、ビジネスマン、デザイナー、教師…そして政治家まで、ひとつのジャンルにとらわれることなく、多方面で活躍する3人のゲストがそれぞれの立場から自由気ままに語り合うトークドキュメンタリー。今回は“1つの作品”でつながった3人がゲストとして登場。雑誌「メンズノンノ」のモデルから俳優へと進出。80年代後半から90年代の“トレンディ”時代を駆け抜け『ハッシュ!』『害虫』では報知映画賞など各賞を受賞。最近では「ボク、運命の人です。」で亀梨和也演じる主人公の上司役を演じるなど、名脇役として数多くの作品に出演している田辺さん。連続テレビ小説「花子とアン」のヒロインの兄役、大河ドラマ「花燃ゆ」での沖田総司役などで注目され、その後映画『森山中教習所』で主演。「勇者ヨシヒコ」シリーズや「スーパーサラリーマン左江内氏」など数々の福田監督作品をはじめ、「Nのために」で共演した女優の榮倉奈々との結婚も話題を呼んだ賀来さん。放送作家としてバラエティ畑で活躍。そこから「33分探偵」「コドモ警察」などの個性派ドラマで注目され、「勇者ヨシヒコ」『HK 変態仮面』シリーズなどの人気作を続々に世に送り出し、この夏には『斉木楠雄のΨ難』と同じく「週刊少年ジャンプ」連載の人気コミックを映画化した『銀魂』を大ヒットさせた福田監督。田辺さんは、高校時代にコントを制作したり、映画制作に夢中だったと語り、なぜ撮る側から演じる側に進んだのか?23歳で役者の道に進んだ理由を明らかにする。賀来さんは、若い頃の貧乏生活をふり返り、水道を止められたこともあるエピソードを披露。また、次々と出てくる同世代の若手俳優に焦りを感じているといい、彼が意識する若手俳優を激白。福田監督は、結婚を機に、無職から放送作家に。“笑い”についての難しさと、三谷幸喜や宮藤官九郎のすごさを熱弁する。また、家庭を持つ3人が、それぞれの結婚がもたらした変化についても言及。田辺さん&賀来さんは、俳優同士の結婚とその日常についてなど、プライベートトークも展開!結婚&子どもの誕生でどのような変化があったのか?ここでしか繰り広げられない貴重な30分をお見逃しなく。『斉木楠雄のΨ難』は生まれながらに与えられたとんでもない超能力を隠して高校生活を送る斉木楠雄と、普通の生活に憧れる楠雄の周囲のトラブルメイカーなクライメイトたちが織りなすギャグコメディ。主人公・斉木楠雄役には数々のコミック原作映画で主演を務めてきた山崎賢人。斉木に想いを寄せるヒロイン・照橋心美役に橋本環奈。そして転校を機に優等生キャラへとイメチェンを図ろうとしている元暴走族総長・窪谷須役に賀来さん、田辺さんは楠雄の父親役で出演している。『斉木楠雄のΨ難』は全国にて公開中。「ボクらの時代」は10月22日(日)7時~フジテレビ系で放送。(笠緒)
2017年10月21日現在、韓国にて開催中の「第22回釜山国際映画祭」でガラプレゼンテーション部門(Gala Presentation)に正式出品された福山雅治×是枝裕和監督のタッグで贈る映画『三度目の殺人』。この度、昨日10月19日(木)の公式上映を受け、是枝監督と主演の福山さんが記者会見、上映前の舞台挨拶、上映後のQ&Aに参加したことが分かった。上映前の舞台挨拶では拍手と大歓声が巻き起こる中、福山さんは「アニョハセヨ、ありがとうございます、カムサハムニダ、福山雅治です」「映画楽しみにして下さっていると聞いています。どうぞ楽しんでいってください」と挨拶。続いて是枝監督は「こんばんは、是枝です。新作ごとにこの映画祭に呼んで頂いて、毎年のように韓国のファンの皆様とこういう時間を設けて頂くこと本当に感謝しております。ありがとうございます」と韓国ファンへ感謝の気持ちを述べた。さらに、是枝監督は作品について「4年前に『そして父になる』で福山さんと初めて釜山を訪れまして、次にどんなものを作ろうかと企画のキャッチボールを続けていきながら今夏の作品に辿り着きました」と話し、「今回は一つの殺人事件をめぐる、弁護士と殺人犯と被害者の家族の話です。これまで私が作ってきたホームドラマとはやや趣が違いますし、ミステリーやサスペンスのジャンルとも、見て頂けばわかると思いますが、違うストーリーの流れを持った作品です。いい意味でみなさんの予想を裏切るようなそんな作品に出来上がっているといいなと思います」とこれから観賞するファンへ期待煽るメッセージを寄せていた。また、上映前に行われた公式記者会見や上映後のQ&Aでは様々な質問に答えた2人。まず、どういう視点で本作を作ったのか、という質問について監督は、『そして父になる』において法律監修した弁護士と話をしていた中で出た言葉にきっかけがあったそうで、「『別に法廷って真実を明らかにする場所じゃないんですよね』って言ったんですよね。そこで『何をする場所なんですか?』と聞いたら『利害の調整ですね。弁護士には真実は分からないですからね』って言われたのが凄く印象に残って。誠実だなって思う半面、そういう人間たちが真実を分かったという振りをしながら判決に至って人を裁くということ、そういう制度を私たちの社会が持っているということのちょっと怖さみたいなものを感じたというのがこのストーリーを考えたスタートにありました」とコメント。さらに、ジョン・ウー監督作『追捕 MANHUNT』にも出演している福山さんへ、2人の監督の共通点について質問がなげられると、「映画に対しての愛情」と語り、また「今回の2作品でいうと、両作品とも台本がずっと撮影中、撮影の最後まで変化し続けるという共通点がありました。それは僕にとってすごくワクワクする興奮する現場で、そのライブ感といいますか、コンサートでいう生演奏のようなそういったようなものを現場でずっと見させていただいていて、演者である僕自身もすごく興奮できる現場でした。偶然にも、ファンである是枝監督、ファンであるジョンウー監督が同じような作り方をされていたことがうれしい体験でした」と明かす。前作『そして父になる』と今作との出演において、準備に違いがあったかという問いかけに福山さんは、「凄く役の準備をすることも大切ですが、準備しすぎることも監督は好まれないのではないかと思っていましていかに現場で、準備してきたものと、実際の撮影現場で起こる出来事、そのときの感情含めてですが、アジャストしていけるかだと思います。一緒にお芝居する俳優さんとの関係もそうですし、監督が現場で実際に見て感じたこと、思ってたよりこうだったかなということが沢山あると思うのでいかにアジャストしていくか、余白を持ってあまり固めすぎないで現場に入ることをお芝居においては心がけました」とコメント。また、韓国の観客に作品をどう見て感じて欲しいかという質問に監督は、「観て驚いて面白いと思ってくれたら嬉しい」と話す一方で、「自分で映画を撮ろうと思って色んな作品を見直したときに一番参考にしていたのは、実はサスペンスやスリラーではなく『夕陽のガンマン』とか西部劇だったんですよね。男と男が対峙して相手の気持ちを探りながらどちらが先に拳銃を抜くか、そういう作品が観ていて参考になったんですよね。だから男2人の話として観てもらうのが一番いいかなと思っています」と述べる。さらに、『追捕 MANHUNT』の撮影現場に訪れたと言う監督は、その際「『あなたの映画に出てくる男たちはなんであんなにいつも色っぽいんだ?今度男たちの映画を撮るんだけどアドバイスをいただけないか?』という話をモニター脇でしたら、セクシーとは違う色っぽさなんだと思うんですが、男を色っぽく撮るには男を隣に置くんだって言われたんですよ。それは凄く印象に残ったんですよね。それは役所さんと福山さん2人を撮りながら何度か自分の頭に浮かんだ言葉ではありました」とも明かしていた。『三度目の殺人』は全国にて公開中。(cinemacafe.net)
2017年10月20日映画監督に、出演役者の印象を伺っていく「監督は語る」シリーズ。今回は『斉木楠雄のΨ難』(10月21日公開)に主演の山崎賢人(23)について、福田雄一監督に話を聞いていく。山崎は2010年に俳優デビュー、『管制塔』(11)で映画主演デビューを果たした後、様々な作品で活躍する。2015年には、NHK連続テレビ小説『まれ』で幅広い人気を獲得。また『ヒロイン失格』(15)、『orange-オレンジ-』(15)で第39回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞した。最新作となる映画『斉木楠雄のΨ難』では、タイトルロールとなる超能力高校生・斉木楠雄を演じる。○山崎賢人の印象この漫画を読んだ時に、「山崎賢人しかいない」と思い、そう思ってしまったばかりに、なかなかクランクインできませんでした(笑)。山崎くんが忙しすぎるために、全然、スケジュールが組めなくて。もう別の人でやるしかないんじゃないか、という所までいったんですけど、頑として山崎賢人でやることを譲りたくありませんでした。それは嫁に言われたから、というのもあるんですけど(笑)、ビジュアルやキャラを考えた時に、日本中を見渡しても山崎賢人が1番うまくやるだろうなと思っていましたし、映画を観てもらえればわかっていただけると思います。思っていたイメージと1ミリも間違いなかったことは現場でもわかったし、単純に明確に言えばこの役に合っていたということですね。僕が山崎賢人の"や"の字も知らない時から、嫁が「山崎賢人っていいよ」と言っていました。基本的にうちは嫁なんです。うちの嫁はだいぶ嗅ぎつけるのが早かったですよ。「いいから見てみ」と言われても、今のようにたくさんの作品に山崎くんが出てなくて、何を見ればいいのかもわからなかったほどですから。僕みたいな年齢のおじさんが見るドラマじゃないけど、「どうしても山崎賢人と吉沢亮の芝居を見ろ」って、毎週『水球ヤンキース』を見せられました(笑)。それくらい、山崎くんが10代の頃から見ていました。○撮影現場での様子やりやすいと思ったのは、山崎くん自身が楽しんでいてくれたから。基本的にはクールな斉木が、照橋さん(橋本環奈)の想像の中では崩れる、という遊びをやりたかったんですよ。今まで確実にやったことがないことだろうから、そのトライを自分なりに楽しんでくれたことは作品にとっての収穫でしたし、今まで山崎くんを見てきた方からすれば新しい山崎賢人でしかないから、そこを出せたのは、僕にとっては「どうだ」っていう感じですね。やっぱり山崎くんのキャリアを考えた時に、新しい山崎賢人を見せたいという所がありました。そういうのを、楽しいと思ってくれない、「苦手だ」という人もいると思うんです。でも、山崎くんが楽しいと思ってくれていることは、初対面の時からずっと感じていました。案外やらせてもダメかも、とか、ふざけすぎちゃって逆に面白くなくなるかも、というパターンもあるんです。山崎くんは、いい塩梅を見せてくれました。○映画『斉木楠雄のΨ難』でのおすすめシーンやっぱり、照橋さんの妄想の中で、はじけているシーンですね。山崎くん自身の遊びが効いているシーンとして、大きいです。あとの絡みは割と受けの芝居ですから。ちゃんと受けるというのが『斉木楠雄』の1番のキーポイントなんですけど、今まで見たことがない山崎賢人を、と思うと照橋心美絡みのシーンが一番面白いですよね。
2017年10月20日長い間『スター・ウォーズ』のスピンオフ映画『ハン・ソロ』の単独映画などと呼ばれていた、若き「ハン・ソロ」に焦点を当てた作品のタイトルがついに明らかになった。監督のロン・ハワードがインスタグラムに投稿した動画で、チューバッカからタイトルが書かれたサインボードを受け取り発表した。『Solo: A Star Wars Story』(原題)だ。同作は、フィル・ロード&クリス・ミラーの監督コンビが撮影途中で降板したことでハワード監督が引き継ぎ、先日まで撮り直しなどが行われていた。ハワード監督は動画の中で『Solo: A Star Wars Story』の製作が終了したことをファンに伝え、「とてつもない才能を持ったキャストとスタッフたちのがんばりに感謝したい」とキャストらを労った。「ファンのみんなにもこの映画を楽しんでほしいよ!」と言いかけたときに、隣にいる画面外のチューバッカに「映画のタイトルって言ってもいいのかな?」と問いかけ、その後に発表した形だ。同作は2018年5月25日に公開を予定していることから、ハワード監督は「来年、会おうね!」と笑顔でファンに呼び掛けて動画を締めくくった。ファンからは「うれしくて鳥肌が立った」、「まずは予告編を早く見たい」、「待ちきれない」など興奮と喜びを表すコメントが寄せられた。(Hiromi Kaku)
2017年10月18日新潟、東京、金沢、魚津、沖縄の5都市による全国共同制作プロジェクトとして、プッチーニのオペラ『トスカ』が上演される。新潟、魚津、沖縄で大勝秀也、東京、金沢で広上淳一が指揮し、映画監督・河瀬直美が演出を手がけることでも話題だ。公演に先駆けて稽古の様子が公開された。歌劇「トスカ」チケット情報『トスカ』といえば19世紀初頭のローマを舞台にした物語だが、河瀬は、古代日本の雰囲気漂う架空の場所、“牢魔”と設定。役名も、ヒロイン・トスカはトス香、その恋人カヴァラドッシはカバラ導師・万里生、トスカに横恋慕するスカルピアは須賀ルピオ、といった具合に改められている。公開された稽古は2幕、ルイザ・アルブレヒトヴァ演じるトス香が三戸大久扮する須賀ルピオに、捕らえられた万里生を自由にしてほしいと頼む場面だった。映画監督だけあって、河瀬の演出は細かい。身体の向きや振り返り方、タイミング……。演技がリアルであることに加え、河瀬が特にこだわるのは、須賀ルピオのあり方だ。三戸に「身体が流れないよう、背筋を伸ばして」「カッコイイほうがいいです」と指示する河瀬。トス香に野卑に襲いかかろうとはせず、余裕をもってじっくりと追い詰めるのが、河瀬の須賀ルピオ像なのだ。その演出に応え、三戸の須賀ルピオはトス香を心理的に追い込んでいく。トス香が嘆くアリア「歌に生き愛に生き」の切ない調べ。『トスカ』で必ず拍手が起きる名アリアだ。すると、須賀ルピオも拍手しながらトス香に近づく。そんな須賀ルピオの求愛に応じたかに見せかけ、ナイフで刺すトス香。須賀ルピオの死体に、彼女は腰に刺していた赤い羽根を置く。「トス香は鷹のような女」とする河瀬の言葉に呼応する演出だろう。稽古場には、河瀬をサポートしながら歌手に助言する大勝、広上の姿もあった。続いて行われた会見では、河瀬は「映画とは違い、既に脚本があり、その脚本を一言一句変えることができず音楽も必ずそのリズムでついてくるという中で、どれだけオリジナリティを出せるかを考えています」「世界から戦争がなくなったことはないけれど、芸術がひと筋の光を見出す力になると信じています。今回の『トスカ』では、須賀ルピオが悪いのではなく、その時代、その瞬間の人間関係が生んだ悲劇として描きたい」と抱負を語った。そんな河瀬を、広上は「監督が非常に新鮮な感覚で僕らに色々なアイデアを提供してくれるのが一番嬉しい。畑の違う才能のある方の手にかかるとこんなに面白いのかと、お客さんと共有できる舞台になりつつあります」、大勝は「僕達は楽譜を読んで歌い手達と作るが、河瀬さんはテキストから誰もが持つ欲望やエゴを読み解き、奇をてらわず、今の世の中もこんなこといっぱいあるよね、というふうに新風を吹き込んでくださる。それがオペラの普遍さになるでしょう」と笑顔で讃えた。新潟での公演を終え、この後、10月27日(金)より東京公演が開幕。取材・文:高橋彩子※河瀬直美の「瀬」は正しくは旧字体
2017年10月18日映画監督グザヴィエ・ドランの素顔に迫るドキュメンタリー映画『グザヴィエ・ドラン バウンド・トゥ・インポッシブル』が、2017年11月11日(土)より、YEBISU GARDEN CINEMAほかにて公開される。若くして世界の注目を浴びる「美しきカリスマ」「美しきカリスマ」と称され、映画界のみならず世界のカルチャーシーンにその才能を放ち続ける、弱冠28歳のグザヴィエ・ドラン。幼少期より子役としてテレビや映画に出演していたグザヴィエ・ドランは、その異名を裏付ける美貌を活かしてモデルとしても活躍するなど、監督デビュー前から多岐にわたって活躍していた。2009年に『マイ・マザー』で監督・脚本家デビューを果たすと、同作を含む監督全6作品全てカンヌ国際映画祭に正式出品。2014年の『Mommy/マミー』ではカンヌ国際映画祭で審査員賞、2016年の『たかが世界の終わり』では同映画祭でグランプリを受賞と、若くして世界中の映画人から熱い注目を集めている気鋭の映画監督だ。天才映画作家の素顔に迫る本作は、その若き天才の秘密と素顔に迫るドキュメンタリー映画。ドラン本人が自身の映画作りへの思いやこだわり、過去作における数々の名シーン誕生秘話などを語るほか、ヴァンサン・カッセル、マリオン・コティヤール、ナタリー・バイなど、ドラン作品に出演した名優たち、そしてドランの才能にいち早く目をつけ、バックアップしてきたカンヌ国際映画祭総代表のティエリー・フレモー、ガス・ヴァン・サント監督ら映画人が、新世代の象徴として謳われるドランの魅力の秘密を語り尽くす。監督デビュー作『マイ・マザー』から最新公開作『たかが世界の終わり』まで、ドランワールドの全貌を余すことなく見せるファン必見のドキュメンタリーとなっている。【作品情報】映画『グザヴィエ・ドラン バウンド・トゥ・インポッシブル』上映劇場・日程:■東京劇場:YEBISU GARDEN CINEMA上映期間:2017年11月11日(土)〜終了日未定■大阪劇場:なんばパークスシネマ上映期間:2017年11月11日(土)〜11月17日(金)■名古屋劇場:伏見ミリオン座上映期間:2017年11月25日(土)〜12月1日(金)■福岡劇場:KBC シネマ上映期間:2017年11月25日(土)〜12月1日(金)■札幌劇場:シアターキノ上映期間:2017年11月11日(土)〜11月17日(金)鑑賞料金:一般 1,300円※その他の料金詳細、上映スケジュール等は劇場まで要問合せ。出演:グザヴィエ・ドラン、マリオン・コティヤール、ヴァンサン・カッセル、ナタリー・バイ、アンヌ・ドルヴァル、メルヴィル・プポー、ニールス・シュネデール、ギャスパー・ウリエル監督:ブノワ・プショー原題:Xavier Dolan - A l’impossible je suis tenu2017年/フランス/52分/Blu-ray上映/カラー/ビスタ/2.0ch ステレオ©2016 Tangaro – Shoot again productions – MK2 – Sons of Manual – Metafilms
2017年10月16日小説やマンガを原作とする実写映画が数多く製作される中、完全オリジナルで挑む綾瀬はるか×坂口健太郎共演の映画『今夜、ロマンス劇場で』。この度、本作の新たなキャストとして、本田翼、北村一輝らの出演が明らかになった。映画監督を夢見る青年・健司(坂口さん)の前に、彼が長年憧れ続けたスクリーンの中のお姫様・美雪(綾瀬さん)が現れるところから始まる本作。今回はそんな物語をよりロマンティックに彩る新たなキャストが発表。現在放送中のドラマ「奥様は、取り扱い注意」に出演し、『鋼の錬金術師』のヒロイン役でも注目を集める本田さんが演じるのは、健司に密かに思いを寄せる映画会社の社長令嬢・成瀬塔子。美雪と健司を取り合う三角関係を繰り広げるという。また60年代が舞台の本作。可憐でレトロなファッションにも注目だ。そして、撮影所の看板作品をいくつも抱える大スター・俊藤龍之介役を、『テルマエ・ロマエ』シリーズ以来の武内英樹監督作品となる北村さんが演じる。社長令嬢という役柄、経験したことのない設定の時代背景に「自分にとっては全て新たな挑戦の作品」と語ったのは本田さん。「監督から細やかなアドバイスを頂き撮影に臨むことができました。またクラシカルで上品な衣装が多く身につけるだけで作品の世界に自然に入りこめたと思います。切ない想いを抱える控えめな女性を精一杯演じさせて頂きました。完成がいまから楽しみです」とコメント。また、台本を読んで泣いたと明かす北村さんは、「年代問わず楽しめる、王道のラブストーリーです。私は『蒲田行進曲』の銀ちゃんのような役どころで監督のアイディアでインパクトのある俊藤龍之介に仕上がっています。その辺りも楽しんで頂ければ嬉しいです」と自身の役柄についても語っている。そのほか、健司と同じく映画監督を志す良きライバルであり友人でもある山中伸太郎役を中尾明慶。牧野の通いつめる映画館“ロマンス劇場”の支配人・本多正役を柄本明。そして、物語のカギを握る役どころとして石橋杏奈、加藤剛が出演する。『今夜、ロマンス劇場で』は2018年2月、全国にて公開予定。(cinemacafe.net)
2017年10月16日辞書は鏡であり、鑑である。これは著名な日本語学者であり、三省堂国語辞典の編纂者である見坊豪紀(けんぼうひでとし)の言葉だが、この辞書編纂哲学とでも言える精神は他の辞書にも見受けられる。例えば、現在の小型国語辞書の基盤となったと言われる明鏡国語辞典はその名に明鏡という言葉を冠し、その精神を明確に映し出している。広辞苑は、紛うことなく日本の辞典を代表する辞典だ。その広辞苑の、10年に一度の改定作業を目前に、一つのキャンペーンが展開されている。フェミニストアートコレクティブの明日少女隊による広辞苑のフェミニズム及びフェミニストという言葉の再定義を訴えるキャンペーンだ。驚くことに、広辞苑では現在、フェミニズムが「女性の社会的・政治的・法律的・性的な自己決定権を主張し、男性支配的な文明と社会を批判し組み替えようとする思想・運動。女性解放思想。女権拡張論」と、そしてフェミニストが「女性解放論者。女権拡張論者。俗に、女に甘い男」と定義されているのだ。お金も男も動く欧米フェミニズムの現状と歴史。英語の”Feminism”という言葉は元々フランス語の”Féminisme”という言葉を輸入したものである。1890年代に生まれたこの言葉は、当初はもっぱら女性の参政権獲得運動を指すのに使われていた。20世紀初頭、欧米諸国で女性に参政権が与えられ、2つの世界大戦が起こる中、フェミニズムは一度は衰えを見せたものの、1960年代後半から1970年代初頭にかけ、今度は女性の家庭内や職場、教育現場での平等を訴え再び盛り上がりを見せた。1980年代、90年代には、中級階級白人女性主導であった第二波フェミニズムのインターセクショナリティー(例えば、たとえ同じ女性であっても、上流階級の異性愛者である白人女性と、労働者階級で同性愛者である有色人種女性の面する性差別は異なるものであると認識すること)の欠落を指摘し、人種や階級、宗教やセクシャリティーを問わずに女性が平等な権利を与えられるように求める動きが始まった。そしてここ数年でまた、フェミニズムを取り巻く環境は大きく変わった。世界一広告費が高いとされるスーパーボウルのコマーシャル中、世界最大の消費財メーカーであるP&Gが生理用品ブランドAlwaysの#LikeAGirlと題されたエンパワメント広告を放送したのを封切りに、今ではフェミニスト的メッセージを用いたマーケティング手法であるフェムバータイジング(Femvertising)をしていないグローバル企業はないと言っても過言ではない。FeministとプリントされたTシャツを着て街を歩く少女たち、パーティーで一晩中熱く生理用品の無償化の必要性やマスターベーションについて語る女性とトランスジェンダーの女性たち。数年前には考えられなかったそんな光景の中で、最も印象的なのは多くの男性がフェミニズムムーブメントに参加しているという動きだ。1月に世界各地で行われたウーマンズマーチには、俳優のジェイクギレンホールや映画監督のマイケルムーアを始め多くの男性の姿があった。カナダの首相のジャスティントルドー氏は、自身はフェミニストであると幾度も宣言している。
2017年10月14日映画化もされた「青春☆金属バット」「ライフ・イズ・デッド」「死んだ目をした少年」の古泉智浩が描く人気漫画「チェリーボーイズ」の実写映画化がこのほど決定。主演には林遣都、共演に柳俊太郎と前野朋哉を迎え、2018年2月17日(土)に公開されることが明らかになった。とある地方都市に住むボンクラ3人組――国森信一(林遣都)、吉村達也(柳俊太郎)、高杉誠(前野朋哉)。仕事も恋愛も上手くいかず、何事にも中途半端。揃いも揃って25歳になっても童貞をこじらせている。3人集まって考えること、話すことは、上手く行かない世の中への愚痴と女性とSEXのことのみ。そんな負け組認定の男たちが、自分と人生を変えるためにある計画を立てた!?いざ、脱童貞大作戦へ――!原作は、2000年に発表されて以降、童貞漫画の金字塔として高い人気を得ている同名コミック。監督を務めるのは、ドラマ「カルテット」(2011年)、「彼岸島」、「初森ベマーズ」や、オムニバス映画『BUNGO~ささやかな欲望』の中の一編『乳房』を手掛け、今回が長編映画監督第1作目となる西海謙一郎。また、『アズミ・ハルコは行方不明』で監督を務めた松居大悟が脚本を担当した。本作でどうしようもない3人組を演じるのは、実力派として、個性派として活躍するキャスト。自己中心的で見栄っ張りな主人公・国森信一を演じるのは『HiGH&LOW』シリーズや「火花」の林さん。また、乳首が大きいことがコンプレックスの吉村達也を、雑誌「MEN’S NON-NO」でモデルとして活躍し、『東京喰種トーキョーグール』など俳優としても活動する柳さん。オタクっぽい外見と内気な性格で女性が苦手な高杉誠役を、数々の作品に出演し、auのCM「三太郎シリーズ」で一寸法師役に扮したことでも話題となった前野さんが演じる。原作を読み、この漫画の世界に飛び込んでみたいと感じたと言う林さんは、「20代半ばにしてチェリーボーイズと呼ばれる中身も外身もコンプレックスだらけの3人の男たちが、諦めかけていた人生、敗れ去った青春を取り戻すべく、必死にもがき苦しみ叫び続ける、情けなくもどこか切ない物語に、沢山勇気を貰いました。西海監督、そして柳俊太郎さん、前野朋哉さんと共に、魂を込めて悩める童貞青年の思いをぶつけました。是非見届けていただけたらと思います」とコメント。柳さんは「最初はクンニ、カウパーという呼び名に少し抵抗はあったものの、すぐにチェリーボーイズの世界に引き込まれ、とても充実した撮影期間を過ごさせて頂きました。最低でくそったれな3人組が終わりに近づくにつれて、とても寂しく切ない気持ちになったのをいまでも覚えています」と撮影をふり返り、真剣に「童貞」と向き合ったと話す前野さんは、「童貞だった頃に書いたとされる松居大悟さんの脚本『チェリーボーイズ』を紐解いていくと心情や行動がとんでもなく複雑なのです。それを読み解き、演じながら体感していく中で、林くんと柳くんと僕の仲に生まれたモノがありました。生きとし生きるもの全ての方にご覧頂きたいです」とコメントを寄せている。『チェリーボーイズ』は2018年2月17日(土)よりシネ・リーブル池袋、渋谷TOEIほか全国にて公開。(cinemacafe.net)
2017年10月13日(写真:Shutterstock/アフロ) ハリウッドの大物プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインのセクハラスキャンダルは沈静化の糸口さえ見えてこない。被害者が余りにも多すぎるのだ。彼の巨大な権力の前に口を閉ざしてきた女性たちが、語る自由をようやく得て白日の下にさらした真実は、目や耳を塞ぎたくなるほどひどいものばかりだ。 スーパーモデルで、女優としても頭角を現しているカーラ・デルヴィーニュも、ついに声を上げた。Instagramで、「自らのストーリーを恥じてはだめ。それはきっと誰かを奮い立たせる」と大書した画像に添えて、ワインスタインにされた一部始終を綴っている。 女優業をスタートさせた当時、ワインスタインから電話が来たという。 「一緒に写真を撮られた女性たちと寝たことはあるのか、と訊かれた。すごく変で気分の悪い電話だった……何も答えずに切ろうとしたら、彼はこう言ったの。『もし君がゲイだったり、特定の女性と付き合うことを決めたりしたら、私は二度と君にストレートの女性の役をやらない。ハリウッドでの女優としての道を絶たれることになるぞ』」 その1~2年後、デルヴィーニュはある映画監督とワインスタインの3人で次回作のミーティングすることになり、ホテルのロビーに集まった。途中で監督が中座、2人きりになるやワインスタインはデルヴィーニュに、自身の女性遍歴を自慢し始めたという。今までに寝た女優たちの名前を列挙し、性的に不適切な表現を交えながら彼女たちのキャリアをいかにして自分が作ってやったかを、鼻高々に語った後、ワインスタインはデルヴィーニュをホテルの部屋に誘った。 「私はすぐさま断って、彼のアシスタントに私の車は外にあるかどうか訊いた。彼女は『車はない。しばらく車寄せには回されないから彼と一緒に行くべきよ』と答えた。その瞬間、自分の無力と恐怖を感じたけれど、それを悟らせるような行動は取りたくなかった。部屋に着いたとき、別の女性がいるのがわかってほっとした。大丈夫だ、と思ったけど、彼は私と彼女にキスをするように言って、彼女は私を押し倒したの」 身の危険を察知したデルヴィーニュは、ベッドから立ち上がって歌を歌い始めた。これが功を奏したのか、部屋はオーディションのような空気に包まれたという。プロの態度を貫き、歌い終わった後に「もうこれで失礼します」と宣言した。ワインスタインは彼女をドアまで送り、別れ際に唇にキスを試みてきたが、デルヴィーニュはこれを何とか阻止し、部屋を脱出することができたのだとか。 ワインスタインの要求はのまなかったが、役を剥奪されることはなかった。しかし、この出来事は、デルヴィーニュの映画に対する感情をガラリと変えてしまったという。 「映画に出るのが怖くなってしまった。その役をやる価値が自分にはないように感じたし、映画について語ることもためらわれるようになってしまった。家族を傷つけたくなかった。何か間違ったことをしているかのように気が咎めてしまった。この手の出来事が多くの女性に起こり得る上に、恐れるあまり誰にも言えない状況に追い込まれるということが、心底恐ろしい」 デルヴィーニュのこのメッセージには、勇気ある告白を賞賛するコメントが相次いでいる。
2017年10月12日●音楽・鈴木慶一に頼んだ「失礼なこと」「全員悪人」の『アウトレイジ』(10)、「一番悪い奴は誰だ?」の『アウトレイジ ビヨンド』(12)。そして、北野武監督にとって18作目にしてシリーズ完結作となる映画『アウトレイジ 最終章』のキャッチコピーは「全員暴走」。日本の二大勢力だった関東・山王組と関西・花菱会の抗争後、韓国の済州島に渡った元大友組の組長・大友(ビートたけし)。日韓を牛耳るフィクサー・張会長(金田時男)のもとで平穏な日々を過ごしていたが、花菱会の花田(ピエール瀧)がトラブルを起こし、「全員暴走」の渦中へと巻き込まれていく。人気シリーズの登場人物たちを暴走させていく一方、『アウトレイジ 最終章』は18作という北野組の歴史、そして暴走とは対極にある監督論が支柱となっている。短期集中連載「暴走の黒幕」では、本作に携わったスタッフたちの言葉を記録し、シリーズと北野組の魅力を探る。第1回は監督・脚本・編集の北野武(70)。アイデアノートから生まれた描写を、"引き算"と"リアル"の音と掛け合わせて"みんな"に委ね、最後は"俺"が自由に決める。○"引き算"の選択――音楽を担当された鈴木慶一さんは、監督との仕事を通じて「引き算」を学んだと。メインテーマで数秒無音の箇所がありますが、制作者としては「恐怖もあった」とおっしゃっていました。鈴木さんが怒ってなきゃいいけど。失礼なこと言ってるんだよね。音楽を聴いて、映像を思い出す映画ってあるじゃない? そうならないようにしてくれって(笑)。「これは音かな?」でいいと。『菊次郎の夏』(99)なんかは、あの曲を聴くとすぐに映画を思い出す。『ソナチネ』(93)の曲が何かに使われてても、映画を思い出すじゃない? そうじゃなくて、ただの「音」がよかった。だから、すごく失礼なの(笑)。――サントラを聴いても、どの場面なのかすぐに分からないですよね(笑)。うん、雑音に近くてすごくよかったね。――メインテーマの「無音」はテレビでいえば「放送事故」にもなると思うんですが、鈴木さんにはどのようにオーダーされたんですか?ある程度編集が終わると、タイムカウンターが下に出るから、「何秒から何秒までの間で音楽を付けて」と伝えて、「その後は雑音で」みたいに。音楽家としては面白くなかっただろうね(笑)。腕の見せどころがないというのは、つらいんじゃないかな。――鈴木さんは、表現の幅が広がったとおっしゃっていました。ただ、監督からの感想を聞いてないから不安だとも(笑)。バイオレンス映画なので、心地良いメロディーラインとリズムは必要なかったんだよね。マシンガン撃ちまくる時に良い曲がかかっちゃうと、「遊び」になっちゃうから。もっと、「ガッシャン!」「ドッカン!」でいい。なんだか分からない音。何て言うんだろ。ソフィスティケートって言うのかな。キレイに観せるような画の映画ではないから。「この野郎!」「バカ野郎!」と言ってるだけの映画。キレイな音楽は店内で流れる音楽ぐらい。だから、雑音でいいんだよね。――「アウトレイジ」シリーズだからこそ、その「雑音」が必要だったと。映画によっては、「ここでキレイな曲」というのはあってもいいけど。「アウトレイジ」は「音」が気になると、映像にも影響してしまう。相乗効果にならないんだよ。例えば、昔だったら勧善懲悪もので善良なヤツが車で乗りつけてきたら、そこでキレイな音楽かけてもいいんだろうけど。○本物の銃声にこだわるワケ――先ほどのマシンガンのシーンにもつながるのですが、「アウトレイジ」シリーズの銃声はすべて本物と聞きました。『BROTHER』(01)の時に録音したものが使われているそうですね。アメリカで『BROTHER』を撮影した時でも、拳銃には実弾が入ってない。火薬も3分の2とか、半分とか指定があるので、実際に撃ってみても銃を撃ってる実感がない。その音がリアルじゃないからね。それで音を録り直すことになった。音効さんも凝る人だからね。トカレフとかワルサーとか全部弾詰めて、それを撃った音を録音したんだよね。――観客は実弾の音を無意識に聞いているわけですね。うん。(ガンエフェクト師の)納富(貴久男)さんと拳銃の音を聴き比べて。マニアックな人は、みんな音を聞けば分かるんだよね。結局は弾入ってないし、相手が死ぬわけじゃないんだけど、どこかで凝りたいじゃない? 音まで偽物だとつまらないよね。だから、リアルにできるものはした方がいいと思って。●スタッフの意見を聞く「俺のやり方」――それが臨場感に繋がっているんですね。こうしてシリーズを完走されたわけですが、今後の作品作りにおいてどのような影響がありそうですか?「アウトレイジ」というか、バイオレンスには結局慣れてしまったのかな。他のラーメンが売れなければ、また売れてた担々麺やればいいんだみたいなところがあって。でも、ずーっとその専門店は嫌だし。だから、「アウトレイジ」は一応3部作で終わったけど、『アウトレイジ リボーン』みたいに続けることもできる(笑)。もしやるんだったら、すごいビッグな俳優ばかりでやるけど。それはそれで面白いと思うんだよね。うまい役者の掛け合い。ただね、世界的な傾向もあって。やっぱり時代がテロとかで落ち着かない時にこういう映画はあまり向かないとも思うんだよね。ベネチアなんかでも評判良いんだけど、それは「変わりモノ」としての扱いだと思う。だから、次はあまりやったことのない、男と女の話にしようかな、なんて考えてる。○"北野ノート"に書かれていた描写――楽しみにしています。いつもアイデアをノートに書き留めているそうですね(ロッキング・オン刊行『物語』より)。「アウトレイジ」のアイデアノートには、どのようなキーワードがあったのでしょうか。相手を痛めつける描写。たとえば、水野(椎名桔平『アウトレイジ』に登場)が菜箸を耳に指したりとか。今回やろうと思ってボツにしたけど(大杉)漣さんにハチミツをかけて、山の中に置いといて虫だらけにしちゃうとか(笑)。あとは、ピアノ線引いといて首ハネるとか、いろいろそういうことを考えてる。基本的に、最終章で花菱会の会長は神山(繁)さんの予定だったの。でも、神山さんが亡くなられて(今年1月に急逝)。だから、全然関係のない娘婿を会長にしちゃうのは、わりかし前から書いてあった。直参で体張ったヤツが相変わらず頭(かしら)で、会長の座に急に関係のない野村(大杉漣)が就いて揉め出す。あとは、大友が刑事を撃ち殺して張会長(金田時男)のシマの済州島に逃げるというのは『ビヨンド』の時に決まってて。張会長は、『ビヨンド』ではあまり出番がなかったけど、最終章ではまだ使えると思ってね。大友が日本に帰って、それから復讐戦が始まる。『ビヨンド』と『最終章』の脚本は、だいたい同時にできてたんだよね。――『最終章』は、大友が釣りを楽しんでいるシーンから始まります。個人的には「大友さん、やっと平穏な日々を過ごすことができたんだ……」と感慨深いものがありました。それからいつものように面倒なことに巻き込まれていくわけですが(笑)。うん(笑)。花菱会の花田(ピエール瀧)が済州島に遊びに来て暴れて。最初は放っとくつもりだったんだけど、今度は日本で張会長が狙われはじめたからそうはいかなくなって、大友の中では「これはやんなきゃいけないな」という感じだよね。――まずは暴力描写が浮かんで「アウトレイジ」シリーズが誕生したように、『ソナチネ』もエレベーターでの襲撃や、浜辺での相撲のシーンを最初に思いついたそうですね。うん。今回でいえば、マイクロバスの中での銃撃シーンは難しかったなぁ。あれ、「誰撃ったっけ?」みたいなシーンだよね。誰が動いて、誰が撃たれたのか。画像が暗くてね。だいたい台本通りになってるんだけど、パッと見た瞬間に誰が誰を撃ったのか分からない(笑)。――わずか数秒の出来事でしたね。大杉漣さんと松重豊さんが怒り狂うシーンがツボでした。何度観ても笑ってしまいます(笑)。お笑いっていうのは、自分に関係がなければ、ものすごい怒ってる人がいると笑っちゃうからね(笑)。自分に危害さえなければ絶対面白いんだよね。ところがその矛先が自分に向くと、恐怖で逃げたくなる。ヤクザが喧嘩して殴り合っているのはついつい見てしまう。でも、「何見てんだ! この野郎!」って言われたらみんな逃げる(笑)。そういうものだね。○北野組スタッフとの距離感――『全思考』(幻冬舎文庫)には、「俺は介護老人タイプ」「怒ったり、命令したりはしない。まずスタッフに聞く」「スタッフの能力を最大限に引き出すには、これがいちばん」とあったのですが、これは今も変わらずですか?やりたいことは、ほとんど決まってるんだよね。もちろん、もっといい意見があれば採用するんだけどね。「ああ、わかった。じゃあ、そうするよ」と言いながら、俺のやり方でやる。でも、今は半々ぐらいかな。結局、カメラマンとか照明の技術的な話もあるから、「これはできませんよ」となると、それに変わる方法を聞いて「こういうのはどうでしょう?」と言われれば、「じゃあ、それで」みたいに。そんな感じで相手の意見を聞いてる。助監(督)なんか優秀だから、言葉を直してもらったりもするけどね。「ちょっと、言葉尻ヘンです」って言われることもあってね。●なぜ編集が一番楽しいのか?――スタッフとの接し方は、作品を重ねるごとにそうなっていったんですか?最初の頃は「俺に何か言うんじゃねえ」みたいな感じでやってたけど、もう18本も一緒にやってるとね。お友だち状態になっちゃってるから、「たけしさんをみんなで支えなきゃ」という感じにできるだけなるようにしてる、それで手を抜きたい(笑)。「あー、調子悪い」ってボヤきながら何もしないで、「リハーサルも見ないから勝手にやってくれ!」と言いながら、横目でチラッと見たり(笑)。そうなるといいね。――先日のジャパンプレミアのときにも、台本を渡せばみんなが見事に演じてくれるとおっしゃっていたのも、同じようなことですかね(笑)。うん。役者さんたちは、まぁスタッフもそうなんだけど「良いところ」を見せたがるんだよね。だから、渡した台本以上の演技をしようとして努力する。照明さんでも夜の撮影の時に、違う機材を持って来て、「どうですかこれ?」「明かりが柔らかくなりましたよね?」って。「こういうこと考えてたの?」と聞くと、「もう、大変でしたよ(笑)」。そういうふうに勝手に自分たちで良いものを作ろうとしてくれる。最近は、ありがたいですよ。西田(敏行)さんも塩見(三省)さんも、思った以上に役を作ってきてくれる。時々、作りすぎて間違えちゃう人もいるけどね(笑)。――映画作り以外においても、そのような接し方を心掛けていらっしゃるんですか?お笑いなんかの方では、仕事の話じゃないんだけど。真面目な話なんかしなくて、くだらねぇことばっかり言ってて、それがいつの間にかネタになったり、次の仕事のアイデアになったり。生活自体が、映画を作ったり、ライブをやったり、いろんなところに繋がってるんだよね。「晩飯」がライブで、「朝飯」が映画みたいな。そうやって生活の中に入り込んじゃってる。あまり、客観的に見ることがないんだよね。だから、いろいろな仕事をやってるんだろうね。これが疲れねーんだよなぁ(笑)。「あー! この仕事疲れた」と思うのは、たぶん時間が長い時だけ。あとは何とも思わない。――どんな仕事でもですか?うん、だいたい。まぁ、体張ってケガする可能性があるのは別だけど。もう歳だからね。――火薬田ドンとか(笑)。うん。アレなんか、結構間抜けでくだらないことが一番神経使うよね。ケガしちゃいけないから。一番真剣な演技が、一番楽だったりね。ただ真剣にしゃべればいいじゃない? 不思議なもんだよなぁ。○一番の楽しみは撮り終わってから――同じく『全思考』(幻冬舎文庫)には、「いちばん面白いのは編集」とありました。どのようなところに魅力を感じていらっしゃるんですか?子供の頃、プラモデルのキットを買うと、解説書と部品が入ってたでしょ? あれが映画でいうところの「ラッシュ」(未編集映像)。「ラッシュ」を買ってきて、それを編集することがうれしいんだよね。俺らはその部品を撮るところからやってるから、だから「早く撮っちゃえ!」と。それを編集で組み立ててるわけだから、それは面白いよね。でもね、部品の「タイヤ」がないことに気づいたりするわけよ。「タイヤがないぞ!」となれば、その代わりにハンドルをくっつけたりなんかして(笑)。わかりゃしないよそんなもんって(笑)。そんなことが結構ある。「あっ、いけね!」となっても、「どうやってごまかそうか」というのも面白い。その前のシーンから「引っ張ってきちゃえ!」みたいなこととか、編集で強調したいところを無理やりトリミングしてもうちょっと大きくならないかなとか。今は(撮影した映像を)デジタル(データにして編集)して、それをまたフィルムに直すんだよ。見切れてるところも、少しだけずらしたり。やっぱり編集がいちばん面白いよね。――撮り終わってからの方が楽しみということですね(笑)。そうそう。こいつのセリフ気に入らないから取っちゃえ! とかね(笑)。カットして、こっちのセリフから始めちゃおうとかね。自由にできる。(C)2017『アウトレイジ 最終章』製作委員会■プロフィール北野武1947年1月18日生まれ。東京都出身。身長168センチ。O型。主演も務めた『その男、凶暴につき』(89)で映画監督デビュー。その後も、『3-4x10月』(90)、『あの夏、いちばん静かな海。』(91)、『ソナチネ』(93)、『みんな~やってるか!』(95)、『キッズ・リターン』(96)を世に送り、『HANA-BI』(98)は、第54回ベネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞。『菊次郎の夏』(99)、『BROTHER』(01)、『Dolls[ドールズ]』(02)に続いて、初の時代劇に挑んだ『座頭市』(03)は第60回ベネチア国際映画祭で銀獅子賞(監督賞)を受賞。芸術家としての自己を投影した『TAKESHIS’』(05)、『監督・ばんざい!』(07)、『アキレスと亀』(08)の後、『アウトレイジ』(10)と続編の『アウトレイジ ビヨンド』(12)、『龍三と七人の子分たち』(15)。『アウトレイジ 最終章』は、18本目の監督作となる。
2017年10月08日●日本映画の現状を考えて俳優・オダギリジョー(41)にとって、10月6日に公開される主演映画『エルネスト』は、彼の最高到達点と言っても過言ではない。ただしこれは、「現時点」という条件付きであり、過去に身を投じてきた役にも当然同じことが言えるだろう。TBS系ドラマ『重版出来!』でオダギリ演じる副編集長・五百旗頭が残した「正しい編集者とは何か」。彼がデビューしてから一観客として魅力されてきたこともあり、『エルネスト』の取材を終えてさらにその言葉の重みが増した。ボリビア戦線下の1967年8月31日に25歳という若さで命を落とした日系二世・フレディ前村ウルタード。日本人の父とボリビア人の母のもとで生まれた前村は心優しい青年に育ち、医師を志してキューバ・ハバナ大学に留学する。ところが、チェ・ゲバラと出会ったことが彼の運命を変える。フレディは軍事クーデターから祖国を解放すべく、奨学金を辞退してまでボリビア軍事政権へと立ち向かっていく。阪本順治監督いわく、タイトルにある「エルネスト」は、「目的を決めた上での真剣」という意味。その決断する姿は、観客に「今やるべきことは何か?」を強烈に突きつける。オダギリは本作に備え、約半年にわたってスペイン語と向き合う。しかもフレディの出身地であるボリビア・ベニ州の方言指導も仰ぎ、外見においても体重を12キロ減量して限りなく実像に近いフレディを浮かび上がらせた。「想像もできないような困難な道」と覚悟していたというオダギリ。本作が約20年の俳優人生において大きな意味を持つのは、数多の自問自答を繰り返してきたことの証左、そして日本映画に対する思いにもつながる。俳優・女優のターニングポイントに焦点を当てるインタビュー連載「役者の岐路」の第1回。日本アカデミー賞・優秀主演男優賞を受賞した映画『ゆれる』(06)を経て、オダギリは新たな進化の過程を歩んでいた。○外国語の方言習得は「限りなく時間がかかる作業」――大変な意欲作でした。まずはフレディ前村さんとご自身を比較し、共通する部分を探して臨まれたそうですね。いろいろありますが、分かりやすいのは……僕は、正しいと思うことと、正しくないと思うことに対して曲げることができないタイプの人間なんです。それに関しては相手がどういう人であっても、闘ってしまうタイプなんですよね。良い意味で自分の信念をあまり曲げられないというか……あまり悪い意味に取ってもらいたくないんですが(笑)、「自分が信じるものに対して突き進む」という点においてはすごく共感できる部分がありました。――映画の中では、亡くなった父のジャケットを炎天下の中で着る姿、勉学を優先するために友人からのチェスの誘いを断りつつ本当に申し訳なさそうに謝る姿。そして、悪友が捨てた女性・ルイサとその子供への無償の愛。そういう彼の多面的な優しさが映し出されている作品でした。勝手なイメージですが、「オダギリさんもこのような方なんじゃないか」と思いながら観ていました。僕は自分のことを優しいとは思っていません(笑)。彼の「優しさ」については、監督が時間をかけて重ねた学友からの取材や、そこから広がったイメージなどから描かれた部分がきっと大きいと思うんですよね。それをいかに人間的な説得力を持って観客に届けるかということが俳優の仕事だと思うので、自分の優しさは残念ながら関係ないのかなと思います。正直なところ、僕はどちらかというと他人に厳しく、自分には甘いタイプなんですが(笑)。僕もフレディみたいな人には憧れるというか、あのような優しさを持った男性はとても魅力的だと思います。――フレディさんが生まれ育ったボリビア・ベニ州の方言のスペイン語を、約半年間でマスターされたそうですね。阪本監督は、「言語を覚えたその先」の方が苦労があったのではとおっしゃっていました。言語の習得だけでなく、方言指導の先生からも教わったそうですね。外国語での芝居は、日本人の僕が想像できる範囲を超えることも多くあります。まずは、言葉を習得する上での先生が必要ですし、芝居の表現においても相談できる相手は多いに越したことはない。今回、セリフに関してはベニ州出身の方が茨城にいらっしゃって、その方が仕事の休みの日に東京に来てもらって。半年間、なるべく時間をとって言葉を学んでいくということをやりましたし、表現という部分ではキューバの俳優4人ぐらいにセリフの一言一言をどう捉えるか、相談に乗ってもらいました。スペイン語で芝居をする時、「この状況でこの感情だったらどの単語にアクセントを置くのか」とか、「どのようなテンポやリズムになるのか」など。それを1人に絞るとその人の感性や癖に影響されてしまうので、複数の俳優に付き合ってもらうことが重要でした。その一人ひとりが思うフレディ像に加えて、僕が想像する「フレディらしさ」をかき集めていくような日々でした。――みなさんで集まってやられたんですか?集まってやることもありましたし、一人ずつの時もありました。――4人のうち2人の言い方で迷うこともありそうですね。そういう場合は、僕と監督が思い描くフレディ像に最も近いものを選んでいました。あとは、自分が表現したいことがあったとして、それがどのような言い回しであればスペイン語圏の人にとって不自然にならないかとか。そういうことも相談しました。今思うと、限りなく時間がかかる作業ですね。――ものすごく抱えるものが大きな役柄ですね。そこから選び抜いた一語一語をどのように記憶し、現場で表現されたのでしょうか。4人のパターンは全部録音していました。その中で組み合わせたこともありましたし、1人を重点的に聞いてリズムを自分の中に刻みこむこともありました。本当にさまざまなやり方でパターンを組み立てていました。――音源を現場に持ち込んで確認されたいたんですか?ええ、そうですね。――阪本監督もスペイン語習得を試みたそうですが断念されたと(笑)。セリフの言い回しを選ぶという点においては、ご自身で監督的な役割を担われていた。スケジュールが合えば監督も参加されていました。監督がまずフレディに対してどのような人物にしたいのか。このシーンではどうあってほしいのかみたいなことをみんなで共有しながら進めたことも何日かありましたので、監督が来られない時は任せていただいていました。でも、それは監督と俳優の信頼関係があってこそだとは思います。何よりも、僕が監督のフレディ像をしっかりと理解できていれば、監督が毎回来る必要もないわけですからね。だから僕が責任を持ってフレディ像をまとめ上げることになりました。――最終決断をするのはすごく責任の大きなことだと、今のお話を聞いてあらためて思いました。一方で、俳優にとっては当然のこととも言えるのでしょうか?どうなんでしょうね。俳優が役を頂いた時点から、監督よりもその役のことを考えるのは当然のことだと思いますし、自分の感性や考えを役に投影することはあるべきことだと思います。僕は今までそういうやり方をしてきたので、それが当たり前だと思っていますが、その反面、全く違うタイプ、例えば自分の意志とは関係なく監督の言う通りに完璧に芝居できる方もいる。それはそれですごくプロフェッショナルだと思います。だからこそ、どちらが間違いでどちらが正しいとも言えない。それぞれのやり方ですね。○「今の日本映画界にとって必要なもの」――先月13日に行われた上映会では、「想像もできないような困難な道」を予感していたとおっしゃっていましたね。日本映画の現状を考えると、こういう作品を作ること自体が……どの言葉を選べばいいか分からないですが、「容易ではない」と思うんですね。それを監督がまず作ろうとしているということが挑戦だと思いました。ただ、こういう作品こそ今の日本映画界にとって必要なものだと思うので、そこにちょっとでも協力できたり参加できたりすることは、自分にとっても非常に意味があることです。それから、キューバ革命やゲバラを扱うことに対しても「容易ではない」と思いました。日本のチームがそこに足を踏み入ていいものなのか。監督をはじめ、この作品に関わった人にとっては挑戦というのか、そのような大きな思いがあったはずです。そして自分自身にとっても、準備することはとにかく山のようにあったので、それも「容易ではない」。そして、キューバでの撮影です。とにかく、現場ではとんでもないことが起こると覚悟していました。というのも、僕も過去に何度かキューバに行ったことがあったので。準備を整えて何もトラブルがなく撮影できる日本の現場とは、全く異なる環境であることは分かっていました。●俳優にとっての「甘え」「慣れ」とは?――撮影を終えて、想像通り取りだったと感じますか? それとも、想像を超えていたのか。想像を超えていたと思います。撮影2日目ぐらいからシャワーが水しか出なくて(笑)。1日目はお湯だったんですが。そういうことすら日本では起こり得ないことですもんね。細かいトラブル含めて、想像もしていないようなことがたくさんありました。――そのほか、上映会の壇上では「俳優をやっていると甘えや慣れが付きまとう」「それを排除しないと乗り越えられない作品」「初心に戻してもらう意味でも必ず乗り越えよう」と。確かに「甘え」や「慣れ」は、どのような職業にも付きまとうような気がします。別の職業との比べ方は分からないんですが、「ぬるい気持ちでやっても仕事として成立させられる時」ってありませんか? でもそれをやることが、自分にとって何になるんだろうと思ってしまうんですよね。自分の気持ちが乗らないのであれば、やらない方がいい。その仕事が何を生むんだろう、と自分が嫌になるんですよね。芝居で言うと、技術が備わって見せ方が分かってくると、ある程度のところまでは表現できたりもするんです。でも僕はそれが良いとは絶対に思えないんですね。身を削って絞り出してないということが、僕にとっては「甘え」や「慣れ」という言葉に近い。全てを死にものぐるいでやる必要はないんですけど(笑)人間ってすぐに楽な方に流れちゃうじゃないですか。日本の現場にいると、自分は甘やかされてるなと感じてしまうことが多くて、気を引き締めないと。言い方がすごく難しいんですけど……例えば時間に追われている現場だと、そこまで芝居にこだわれないじゃないですか。――そうですよね。その場を成立させるためには、仕方のないことだと思います。1回でOKを出してどんどん撮影をしていかないといけない現場で、やっぱり自分だけの芝居にこだわって「もう1回やらせてほしい」とも言えないんですよね。「100%出し切れたとは言えないんだけど……まぁ、悪くないならいいか…」みたいに過ぎていく日々が、どうしてもあるんですよ。足らない部分を技術で埋めているような感覚がどうしても許せないんです。――経験がアダになる。そういう思いが「初心」という言葉に込められていたんですね。デビュー当初は何も分からない中で、どんな仕事でも「足し算」に。そうですね。今見ると方程式を無視したとんでもないことをやっているんですけど、ただ、今はもうあんな無茶なことが出来ないんですよ。昔の自分の芝居を見ていると、危なっかしいけど、でも独創的で面白かったりもするんです(笑)。何が正解なのかは分かりません。でも、安全なことだけしていても面白くないじゃないですか? 「これが答えでしょ?」というのを指していっても、芸術や表現としてそれはどうなのかなと思うんですよね。安全なものだけ作っていても面白くないという気持ちはいつもどこかに抱いています。だからこそ、初心に戻りたいというか、「脳みそで考える」ということから外れた方がいいんじゃないかと思わされるんです。もの作りという側面に立ち返った時、そういう思いが度々起きるんですよね。だから、『エルネスト』のような現場に身を置くと、考えていたことのすべて覆されたりするので、本当に感覚的なものに頼らざるを得なかったり、自分の持つ能力というか俳優としての根本をテストされているような場面にたくさん遭遇します。そこが僕にとってはすごくリスキーで面白いんですよね。○納得できない仕事をやらなくなった理由――以前、『永い言い訳』(16)のトークイベントに西川美和監督と出席されたことがありました。オダギリさんといえば、西川監督の『ゆれる』(06)に出演。そのトークイベント前日に『ゆれる』を観て、「もっといろいろなことをやっていたと思った」「いろいろと思うことが多々あった」とおっしゃっていました。過去の出演作は、そういうものなのでしょうか。そうでしょうね。同時に、あの時にしかできないことはいっぱいあったのも事実なんです。先ほど言ったような。そのトークイベントでも、当時の自分はそう思ったんでしょうね(笑)。『ゆれる』は、その時に自分ができる120%のことをやったつもりでした。だから、今の自分が観て「何が120%だよ」と思ったんでしょうね(笑)。――たとえば10年後。この『エルネスト』を観返した時に、同じように思う可能性もあるわけですね(笑)。そうですね(笑)。10年後の自分がどう感じるのかは全く想像できないですけど、少なくとも面白い芝居をしているなとは思いたいですね。――今回の作品では、カストロの「やるべきことなんか聞くな」「それはいつか君の心が教えてくれる」というセリフが印象的でした。フレディ前村が大きな決断をする姿が描かれていたわけですが、オダギリさんの転機といえば、映画監督の勉強のためにアメリカの大学に留学したものの、願書を書き間違えたことで結果的に俳優の道へ。俳優になってからの転機はあったのでしょうか?うーん……(しばらく考え込む)。『ゆれる』は1つのターニングポイントかなとずっと思ってきました。自分が一番大切にしていた作家性やオリジナリティが発揮されていた作品でしたし、公開の規模も含めて自分が一番好きなタイプの映画だったんですよね。そして先ほどもお話したように、その時の全てを懸けて、表現者としての力を120%を出した気がしていたんです。ある種の満足感があったんでしょうね。目標としていた俳優像の1つのゴールを切ったような気がして。それから未来に気持ちが向かなくなったというと大げさなんですけど、「じゃあ、次に何をやろうか」みたいな気持ちになった時期でした。それが30歳ぐらいだったんですけど、その頃を境に仕事をより慎重に選ぶようになりました。納得できないものは、やらなくなったというか。というのも、ちょっと自分を使い過ぎていた20代だったので。『ゆれる』が終わったあたりから、自分を抑えていかないと出るものも出なくなりそうな気がしたんです。本当にやりたいと思えるものだけで勝負するべきだと思ったんですね。そういう意味でもターニングポイントだったといえるのかもしれないですね。――そういえば『エルネスト』の上映会で、阪本監督がこんなことをおっしゃっていました。一緒に飲んでいる時にオダギリさんが「越境したい」「生まれ変わりたい」と言っていたと。先ほどおっしゃっていたように、「俳優として生まれ変わりたい」ということだったんですか?酔っ払ってただけじゃないですかね(笑)? あまり覚えていません。でも、甘えで乗り越えられる現場を甘んじる環境からは、いつも出なきゃいけないという気持ちはあるので、そういうことも含めて「越境したい」と言っていたのかもしれないですね。――なるほど。さて、オダギリさんが予感していた「困難な道」の『エルネスト』。こうして踏破した今、俳優としてどのような変化、成長があったのでしょうか。何よりも自信につながりました。やっぱり、強烈に困難だと予測した上で、それを何があっても乗り越えるんだということを目標にしていたので、甘えることなく乗り越えられたことは、役者としても人間としても成長したのではないかと感じています。マラソンを走り切った後に近いような気がします。振り返ると、この作品がまた新たな転機になっているのかもしれません。そして、自分の中ではある種、できることを全て注ぎ込んだ作品だと思っているので、『ゆれる』の後のように「じゃあ、次何をやろうか」みたいになるのかもしれません。■プロフィールオダギリジョー1976年2月16日生まれ。岡山県出身。身長176センチ。O型。2003年、第56回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品された黒沢清監督の『アカルイミライ』で映画初主演。その後、『あずみ』(03)で日本アカデミー賞新人俳優賞、エランドール賞新人賞、『血と骨』(04)で第28回日本アカデミー賞とブルーリボン賞の最優秀助演男優賞、『ゆれる』(06)、『東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~』(07)で日本アカデミー賞優秀主演男優賞、『舟を編む』(13年)で日本アカデミー賞優秀助演男優賞を受賞。最近作に『南瓜とマヨネーズ』(17)が控えている。本作の阪本順治監督とは、『この世の外へ クラブ進駐軍』(04)、『人類資金』(13)に続く、3度目のタッグとなる。
2017年10月06日菅田将暉は「使命感」という言葉でこの305分の映画を世に送り出す意味を語った。大人気の胸キュン恋愛漫画を原作にした、時代の空気に乗って作られたような映画ではない。いや、確かに寺山修司の原作小説に若者は熱狂した。ただし、50年以上も前のことだが…。新宿の街を這いつくばるように生きる、2人の男の姿が前後篇あわせて305分でつづられる。現代の邦画としては規格外。誰に頼まれたわけでもなく、作り手たちのただ「形にしたい」という熱い欲求によって作られた映画。いや、そんな流行りや空気と逆流する作品ほど、時代を色濃く反映するものなのかもしれない。ヤン・イクチュンは、監督、プロデューサーら作り手たち、そして菅田さんの思いを受け止め、異国の現場で躍動した。詩人、劇作家、エッセイストに映画監督、評論家と多彩な活躍で半世紀前の日本のカルチャーアイコンとして絶大な支持を集めた寺山の唯一の長編小説を映画化した『あゝ、荒野』。舞台を東京五輪後の2021年に置き換え、少年院あがりの新次と、吃音と赤面対人恐怖症に悩む床屋の青年・“バリカン”こと建二が新宿の街で孤独を抱え、もがき、葛藤しながら生きていくさまを描き出す。新次とバリカンは、とあるきっかけから共にボクシングに熱中していく。ジムでの練習、プロテスト、そしてデビューと常にボクシングが物語の中心にあるが、菅田さんにとっても、新次を演じる上で、ボクシングの存在が軸となったという。「撮影に入る前から半年ほどトレーニングをさせてもらったんですが、それはすごくデカかったですね。撮影でもクライマックスの試合のシーンは後半のほうで、グラデーションもつけやすかったし、撮影しながらもずっとトレーニングをして、体を鍛えるというのがベースにあった。体に常に緊張感があったし、たくさん食べて、動かないといけない。シャドーボクシングをするシーンでも、もう何時間、シャドーやってんだってくらいずっとやってて、自然とたぎってくるものがありました。ウエイトトレーニングでも(重量が)上がると嬉しくなるんですよ。よく鏡を見ながら筋肉を育てるって聞きますけど、そういう気持ちになったし(笑)、(筋肉が増えることが)モチベーションにもなり『もっと!もっと!』という高ぶりを大事にしていました」。ヤンさんは、ボクシングに加え、吃音交じりの日本語の会話、ハサミを持って散髪の手さばきなど「宿題が山積みで、大変でした(苦笑)」とふり返りつつ、それでも何よりも重視していたのは、そうした細かいテクニックではなく「バリカンとして映画の中に存在するということだった」と語る。「日本語に始まり、体作りにボクシングのテクニック、ハサミを持つ手さばきなど本当にたくさん、準備しないといけませんでした。でも、大事にしたことをひとつ挙げるなら、やはりバリカンとして存在すること。映画を通して新次との感情の触れ合いがありますが、目に見えるイメージだけでなく、表面上は描写されない隠れた気持ちの触れ合いもとても大切でした」。そんなヤンさんとの現場の中で、菅田さんが驚いたと語るのが、劇中でバリカンが描く新次の絵。実はこれらの絵の全てをヤンさん自らが描いているという。「見たままを描いているだけなのかもしれませんが、すごく単純なようで難しいですよね。絵って物事を捉える力、それを表に出して表現する力が必要。あぁ、この人は本当に“作る”人なんだなと、芸術的な感性に感動しました。ヤンさんのタッチがすごくバリカンらしいんです。細いペンで何本も陰影を重ねて作り上げていき、柔らかい表情の中にも新次の陰や闇、母親に捨てられた過去を持つ彼の暗い目が出ていて。(絵を見て)自分はバリカンの目から見て、こういう風に見えているんだということに安心しました」。ヤンさんは菅田さんの表情を捉えようと「ストーカーでした(笑)」と語るほど、菅田さんの表情や動きを追いかけていたという。そんな彼が、羨望さえ感じたというのは、菅田さんの意外な(?)現場での立ち居振る舞いだった…。「普通、人前でズボンを脱ぐとなったらためらいますよね?でも菅田さんは、何のためらいもなくパンツ一丁になってボクシングをしてて、うらやましかったですね(笑)。この人は全てを投げ出せる人なんだなと。新次も人前で何かをすることを気にしない男。でも私の場合、ヤン・イクチュンとしてもバリカンとしても、それをためらわずにできるかというとできない性質(たち)なんですね(苦笑)。人前で、照れたり慎重になってしまう…。菅田さんは、そういう人の視線から解放されていて、うらやましく思っていました」。菅田さんにとっては『二重生活』に続いての岸善幸監督の現場。テストをほとんどせず、役者が自由に動き回るのを手持ちのカメラが追いかけていくというのが岸組のスタイルであり、菅田さんは「ライブ感」という言葉で表現する。「僕も同じこと何回も器用にできるタイプじゃないけど、ヤンさんも本番で全然違うことをしてくる。そこで生まれるものもあるし、笑いも起きる。撮影をふり返って、パッと思い出されるのはそういうシーンなんですよね。2人でシャワー浴びてるだけのシーンだったったり、夜中に起きてボクシングが始まるシーンとかもそう。そこでも僕はパンイチですけど(笑)。それこそ僕が、今回の撮影で勝手に望み、求めていたことでもあったと思います。そういう日々、そういう瞬間にこそ、新次とバリカンになれるから」。繰り返しになるが前後篇合わせて305分。原作は約50年前の小説。なかなか諸手を上げて「ぜひ作りましょう」となる作品でもなければ「大ヒット間違いなし!」などと簡単に言える作品ではない。それでも、菅田さんもヤンさんも喜々としてこの作品に身を投じた。この作品が持つ現代へのメッセージ。現代の若者をも揺り動かす普遍性とはどんなところにあるのだろうか?ヤンさんは、50年前とは比ぶべくもないほど技術が進歩し、あらゆることが簡単で便利になった“いま”こそ、この映画が意味を持つと語る。「私が監督・主演した『息もできない』はもう10年も前の作品ですけど、いまでも日本のみなさんからもいろんなリアクションをいただきます。黒澤明や小津安二郎といった監督の作品も、いまなお多くの人が共感を覚えますよね?いま、私たちは新しいものに疲れているところあるんじゃないでしょうか?文明が発達し、なんでも自動でやってくれて、手を使って何かをする世界じゃなくなっていますが、この作品は身体を使っています。エレベーターやエスカレーターではなく、しっかりと自分の足で歩いてたどり着いたとき、目の前にある扉は、自動ドアじゃなく、手を使って開けなくてはいけない。そういう“生態系”が描かれています。いま、人々がそういうものを恋しく思い始めているのかなと思います。物事がシンプルになればなるほど、楽しさはなくなっていきます。手で何かをする楽しさを人々が取り戻そうとしているのだと思います。自分の力を使ってしっかりと生きている人たちの物語に共感してほしいですね」。菅田さんは、ヤンさんの“生態系”という言葉に深くうなずき、続ける。「もしかしたら、そういう“生態系”が崩れたり、人とのつながりが薄くなっていることにすら気づいてない人もいるかもしれないし、僕も、この世界に入るまではそうでした。いまは、お芝居をする中で時代をさかのぼったり、いろんなこと知ることができています。だからこそ、どこかで“使命感”を持っているんだと思います。僕自身、人と人がぶつかったときじゃないと生まれない何か――熱や美しい瞬間に本当に感動したんです。いまは、なかなかそういうものを目の当たりにする機会自体が少ないですよね。だからこの映画がひとつのきっかけ、奮起する瞬間になってくれたら嬉しいです」。(text:Naoki Kurozu/photo:You Ishii)
2017年10月05日キャスリン・ビグロー監督最新作の映画『デトロイト』が、2018年1月26日(金)よりTOHOシネマズ シャンテ他、全国で公開される。デトロイトを舞台に暴動の中に起きた“ある一夜”の事件ストーリーは、アメリカの近現代史を語る上で忘れることができない凄惨な暴動事件が起きたデトロイトを舞台に、連日暴動が続く中で起きた恐怖に満ちた“ある一夜”の事件がもととなっている。アルジェ・モーテルの別館に捜索押収のため乗り込んだ警官たちによって始まった、モーテルの宿泊客たちへの不当な強制尋問。それは、誰彼構わず脅迫し自白を強要する「死のゲーム」だったという。そこで一体何が起こったのか。アメリカだけでなく、全世界を震撼させた禁断の真実が、『デトロイト』で明かされる。キャスリン・ビグロー監督作監督はキャスリン・ビグロー。『ハート・ロッカー』で女性初のアカデミー賞監督賞を受賞、『ゼロ・ダーク・サーティ』では作品賞を始め5部門にノミネートされた。徹底したリアルな描写による圧巻の臨場感、先が読めない骨太でスリリングなストーリーテリングで、常に観客を圧倒してきた彼女の手によって、衝撃の一夜が蘇る。ビグロー監督は、「観客の皆さんをアルジェ・モーテルの中へと誘う。リアルタイム感覚でストーリーを体験してほしい。『デトロイト』のように現実のストーリーを語る場合には、語り手として歴史とそれに関わった人々、生存者にも亡くなった人たちにも、自ら責任を持つ心構えが必要だ。我々はドキュメンタリーではなく、フィクションのエンターテイメント作品を製作しているので、配慮と誠意を込めて、過去の出来事に対して敬意を払わなければならない」と話している。キャスト2017年12月に公開を控える『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』でストームトルーパーの脱走兵フィンを続演するジョン・ボイエガが出演。警備員ディスミュークスを演じる。そのほか、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』のアンソニー・マッキーらが名を連ねる。8月4日に全米公開されるやいなや、メディアがこぞって絶賛。早くもアカデミー賞最有力候補作品のひとつとなっている。凶悪警官を注目のウィル・ポールター『メイズ・ランナー』での宿敵役で強烈なインパクトを残し、アレハンドロ・G・イニャリトゥ監督の『レヴェナント:蘇えりし者』でディカプリオと共演。各国のワードではブレイクスルー演技賞やライジングスター賞などを手にし、急上昇中の俳優だ。『デトロイト』では、凶悪な差別主義者であるデトロイト市警の警官クラウスを演じる。この難しい役を演じるにあたっては、無知になることを心掛けたそうで次のように話す。「とても難しい役。間違った事実を信じ込んでいる男の心理、人種差別主義者を演じるためには、その役に無知になりきる心構えが必要でした」と語る。事件に巻き込まれたシンガー、ラリー・リードの特別映像もバンド、ザ・ドラマティックスのシンガーであるラリー・リードもまた、「アルジェ・モーテル事件」に巻き込まれ、容疑者として白人警官の暴力的な尋問に晒されたうちの1人だ。ラリー本人と、ラリー役を演じるアルジー・スミスが“戦慄の一夜”を語る特別映像も公開。『デトロイト』あらすじ1967年夏、デトロイト。暴動で街が戦場と化す裏側で、世界を揺るがす“ある事件”が起きていたー。デトロイトの暴動発生から2日目の夜、ミシガン州兵隊の集結地付近で銃声の通報があり、デトロイト警察、ミシガン州警察、ミシガン陸軍州兵、地元の警備隊が、アルジェ・モーテルの別館に捜索押収のため乗り込んだ。何人かの警官が捜査手順を無視して、モーテルの宿泊客たちに不当な強制尋問を始めた。この尋問で、誰彼構わず脅迫し自白を強要する「死のゲーム」が展開されていく・・・。作品詳細映画『デトロイト』公開日:2018年1月26日(金)監督:キャスリン・ビグロー脚本:マーク・ボール出演:ジョン・ボイエガ、ウィル・ポールター、ジャック・レイナー、アンソニー・マッキー2017年/アメリカ/英語/142分/1.85 : 1/カラー/5.1ch/原題:DETROIT/日本語字幕:松崎広幸提供:バップ、アスミック・エース、ロングライド配給:ロングライド© 2017 SHEPARD DOG, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
2017年10月05日5月のカンヌ映画祭では、エヴァ・グリーン、エマニュエル・セニエと共にレッドカーペットを歩いた(写真:INSTARimages/アフロ) 映画監督ロマン・ポランスキー(84)に、また新たな性犯罪疑惑が持ち上がった。ニューヨーク・タイムズによると、元女優のドイツ人女性ラナーテ・ランガー(61)が、15歳のときにポランスキーにレイプされたとスイス警察に訴え出たという。ポランスキーによるレイプ被害に遭ったという女性はこれで4人目となる。 ポランスキーは1977年にジャック・ニコルソン邸で当時13歳だったサマンサ・ゲイマーに薬物とアルコールを摂取させた上で性的関係を持ち、強姦をはじめとした6つの罪に問われた。保釈中だった1978年、判決が出る前にフランスへ逃亡し、以後一度も米国の土を踏んでいない。 2人目は『テス』(1979年)の主演女優ナスターシャ・キンスキー(56)。ポランスキーは彼女と交際していたが、その関係は彼女が15歳の頃から続いていた。 2010年には、『ポランスキーのパイレーツ』(1986)でデビューした英国人女優シャーロット・ルイス(50)が、16歳のときにポランスキーに性的虐待を加えられたと記者会見で公表している。 今回新たに名乗り出たランガーは、15歳だった1972年2月、スイスのリゾート地グシュタードにある家で、ポランスキーに性的暴行を受けたという。ポランスキーの代理人と顧問弁護士ハーランド・ブラウンは双方とも、この件に関してコメントを避けている。
2017年10月04日エイミー・アダムスやジェイク・ギレンホールを迎え、世界的ファッションデザイナーのトム・フォードが『シングルマン』以来、7年ぶりに監督を務めた『ノクターナル・アニマルズ』。自身で脚本も手掛けたスリリングでミステリアスな展開と、細部までこだわった映像美には世界中が絶賛を贈っており、ヴェネチア国際映画祭では審査員グランプリ、助演のマイケル・シャノンがオスカーにノミネートされ、同じくアーロン・テイラー=ジョンソンがゴールデン・グローブ賞に輝いている。ファッション界のみならず、映画界でも類まれなる才能を発揮するトム・フォードとは、どんな人物なのか、その魅力に迫った。■「グッチ」を立て直したファッション界の生きる伝説1961年8月27日、テキサス生まれのトム・フォードは、ニューヨーク大学で美術史を専攻後、編入したパーソンズ美術大学で建築を学ぶ。あまり知られていないが、在学中に俳優を志し、CM出演も果たしている。70年代のニューヨーク、ビアンカ・ジャガーやデヴィッド・ボウイ、マイケル・ジャクソン、トルーマン・カポーティなど錚々たるメンバーが足を運んだ最先端のナイトスポット「スタジオ54」に出入りし、アンディー・ウォーホルら時代の寵児たちと親交を深め、ファッションやアートの世界にも傾倒していく。その後、キャシー・ハードウィックとペリーエリスのもとファッション業界で才能を発揮し、注目を集める。94年、「グッチ(GUCCI)」のクリエイティブディレクターに就任。しかし、当時の「グッチ」は深刻な業績不振で経営が危ぶまれており、トム・フォードは立て直しに奮闘。それまでのクラシックなイメージを一新し、セクシーでゴージャス、かつモードな「グッチ」を確立させた。その成果は、トム・フォードがクリエイティブディレクターに就任してから10年で、売り上げをおよそ13倍に伸ばしていることでもわかる。この復活劇は「トム・フォード シンドローム」と呼ばれ、ファッション業界では伝説として語り継がれている。2000年には「イヴ・サン=ローラン(Yves Saint-Laurent)」と「グッチ」グループ全体におけるクリエイティブディレクターに就任。05年、自身の名を冠したブランド「トム・フォード(TOMFORD)」を設立。14年には、ファッション業界のアカデミー賞にあたるCFDA賞のジェフリー・ビーン生涯功労賞を、15年にはメンズウェア・デザイナー・オブ・ザ・イヤーなど、これまで7度の受賞に輝き、不動の地位を確立した。■ジェームズ・ボンド着用スーツとして知られるデザイナーとしてはもちろん、経営的な観点も併せ持った才能で長年ファッション業界の第一線を走ってきたトム・フォード。そんな彼のブランドは、『007 慰めの報酬』から、ダニエル・クレイグ演じるジェームズ・ボンドが着るスーツを衣装提供していることでも知られる。『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』では、トニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr)が「(アイアンマンのスーツはないけど)「トム・フォードのなら」と話すシーンもあった。また、アカデミー賞などの場でも着用する俳優やセレブは多く、最近では『ベイビー・ドライバー』で主演を務めたアンセル・エルゴートがオフィシャルイベントで身に着けていたことが記憶に新しい。「トム・フォード」がお気に入りと公言しているオスカー女優ジュリアン・ムーアは、監督デビュー作『シングルマン』に出演するなど、多くのハリウッドスターから愛されている。■映画監督デビュー作でコリン・ファースがヴェネチア男優賞!ファッション界で成功を収める一方、2005年、映画製作会社フェイド・トゥ・ブラックを設立し、長年熱い想いを秘めていた映画の世界へ進出。09年に、クリストファー・イシャーウッドの小説に基づく『シングルマン』で映画監督デビューを果たし、同作では共同脚本、製作も務めた。同作での独特の映像美と世界観は絶賛され、主演のコリン・ファースは、ヴェネチア国際映画祭男優賞、英国アカデミー賞主演男優賞を受賞。アカデミー賞やゴールデン・グローブ賞など多数の賞にノミネートされ、トム・フォード自身も初監督作品とは思えない、異例の高評価を得た。■最新作は究極まで感覚を刺激される美しくも危ういミステリー監督2作目となる『ノクターナル・アニマルズ』は、ヴェネチア国際映画祭審査員グランプリほか、ゴールデン・グローブ賞では監督賞、脚本賞にノミネートされ、賞レースを席巻。米作家オースティン・ライトの原作に惚れ込んだトム・フォードが1人で脚本を担当。20年前に別れた夫から送られてきた1冊の“小説”と、“過去”、そして“現在”が複雑に絡み合い、曖昧になっていくミステリアスな物語を描き出し、映画祭では脚色賞も受賞するなど、才能を発揮している。ファッション同様、一切妥協をしないトム・フォードこだわりの映像美と緻密な脚本で映し出される極上のミステリー作品。天が二物どころか、幾つもの才能を与えたトム・フォードが、新たに生み出した傑作を、スクリーンで体感してみて。『ノクターナル・アニマルズ』は11月3日(金・祝)よりTOHOシネマズシャンテほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2017年10月03日「アートたけし展」が、松坂屋名古屋店にて2017年9月30日(土)から11月18日(土)まで開催される。漫才師として一時代を築き、「コマネチ!」など伝説のギャグを次々と生み出してきたお笑い芸人「ビートたけし」。今では、俳優として、『アウトレイジ』などを手掛ける映画監督としても名を馳せ、「世界のキタノ」とも呼ばれる存在だ。漫才、お笑い、コメンテーター、司会者、俳優、映画監督、作家、歌手など、枚挙に暇もない程の様々な顔をもつ彼の出発点。それは、脳内に浮かぶ様々な一枚のビジュアルだという。「映画を撮るときは、まず1枚の絵もしくは写真が頭に浮かんで、そこからストーリーを作っていく」という北野の制作秘話は有名。また、「コマネチ!」も、あのポーズ=北野武の脳内に浮かんだ1枚のビジュアルといえる。本展覧会では、北野武の最も素に近い世界=「絵画」約100点を一堂に会する。 彼自らが手を動かし、ただただ「楽しいなぁ!」と夢中になり、無心で表現した世界が繰り広げられる。また、同展は、北野の希望により展示はノンコンセプト、作品はノンタイトル。「ビート」でも「キタノ」でもない第三の“たけし”、「アートたけし」の作品の数々を堪能できることだろう。【詳細】会期:2017年9月30日(土)~11月18日(土) 50日間(会期中無休)開場時間:10:00~19:30(最終日は18:00閉館、 入館は閉館30分前まで)会場:松坂屋名古屋店南館7階 松坂屋美術館住所:愛知県名古屋市中区栄3-16-1入館料:一般 1,200円、 高・大学生 800円、 小・中学生 500円(税込)※未就学児童無料
2017年10月01日褒められたら嬉しい。でも必ずしも評価される訳じゃないby Kyle Broad突然なんだという話ですが、人に褒められると嬉しいですか? もちろん嬉しいですよね。私もすごく嬉しいです。程度の差こそあるものの、人に褒められて嬉しくない人はなかなかいないと思います。人間が仕事をする主な理由は生活費を稼ぐためだけれど、社会やまわりの人と関わる中で承認を得たいからというのもある。一生働かなくてもいいほどの大金を手に入れたとしても、2~3年ふらふら遊んだらだんだん飽きて退屈になってきて、猛烈に何かがやりたくなったりするんだと思います。褒められたら嬉しいし、やる気も出る。それは誰だってそうだし、悪いことではないです。でも、自分の行いが常に他人に評価されるかといったら、残念ながらそうとは限りません。評価してほしいところで評価してもらえなかったり、逆に「え、そこ?」という部分で褒めてもらったり。他人のことは自分でコントロールできないから、「他の人からの承認」に自分のモチベーションをすべて依存してしまうと、浮き沈みが激しくて情緒不安定になってしまいます。現代に生きる私たちの「思いついたことすぐ言っちゃう病」先日、クリストファー・ノーラン監督の新作『ダンケルク』を映画館で観てきたんです。第二次世界大戦中のダンケルク海岸における、英仏連合軍の撤退作戦を描いた作品です。いろいろなインタビューによると、『ダンケルク』の構想のきっかけとなった体験は25年も前。友人と、小さな船に乗ってドーバー海峡を19時間かけて渡ったそうなんですが、その体験がものすごくキツくて印象に残っていたらしい。いつか映画にしたいとは思っていたものの、25年前のその時点では、自分の映画監督としての技術に自信がなかった。だから、今回になってやっとそれが実現したわけですが、25年もの間、ノーラン監督は他の作品を製作しつつ、構想を温め続けてきたということですね。ノーラン監督は、ゴシップや興味のないニュースに時間を奪われるのが嫌なので、スマホをあまり使わないんだそうです。ということはおそらく、SNSも積極的には見ていないのでしょう。でも、もしノーラン監督がドーバー海峡を渡ったのが今で、しかも彼がTwitterをやっていたら……「ドーバー海峡めっちゃ荒れててワロタ」「まじでキツい」「最高にキツいので映画化しようと思う」とか、すぐ言っちゃうと思うんですよね。そして、それがたくさん「いいね!」されるなりリツイートされるなりして、すぐに実現しちゃう。もしくは、あまり反応がなくて、「あ……もしかして、ドーバー海峡がキツい話、つまんない?」と思って、その時点で諦めちゃう。これって、どちらもすごくもったいないと思うんです。前者のように、話が早くていいという考えもあるかもしれない。だけど、「自分の中で期が熟すのを待つ」「技術がそこまで到達するのを待つ」ということを、現代の私たちはなかなかできなくなっていると感じるんです。「思いついたことすぐ言っちゃう病」です。すぐにアウトプットしたい、すぐに評価されたい。そしてそれこそが最善であるという風潮ができています。だけど、出来上がった『ダンケルク』を観ると、ノーラン監督があまりスマホを使わない人で良かった、25年前にTwitterがなくてよかったと、きっと多くの人が思うはず。『ダンケルク』は、ノーラン監督が今の技術で、今のタイミングで製作したからこその作品であると、私は思ったんです。たった一人で「温め続ける」思いがあってもいいまわりの人から褒められたい、承認されたいという思いは誰もが持っているし、もちろんノーラン監督だって例外ではないでしょう。映画がヒットしたら嬉しいし、興行成績が振るわなかったら落ち込むと思います。人間が社会的動物である以上、モチベーションを完全に自活するのは難しいけれど、他者からの承認にモチベーションを依存するのは、簡単な代わりにとても不安定です。せっかくのアイディアを失ってしまう危険だってある。「まだ誰にも言ってないんだけど、私はこれをすごく面白いと思ってる!」という事柄を、1つや2つ抱えていてもいい。期が熟すのを一人で静かに待っていてもいい。なかなか出来なくなっているからこそ、一人で「温め続ける」ことはとても尊いのではないかと、『ダンケルク』を観て思いました。そんな「ドーバー海峡がキツい話」、もとい英仏連合軍の撤退作戦を描いた本作、ぜひ観に行ってみてください。IMAXは迫力満点だけど、酔います(私だけ……?)。Text/チェコ好き前回記事<「孤独死」ってそんなに怖い?私はむしろ理想の最期です>もチェック!孤独死って、考えようによっては案外悪くないものかもしれません。
2017年09月30日猫のような目にぽてっとした唇、グラマラスでキュートなボディ、60年代のファッションアイコンにしてセックスシンボル、そしてフランスのマリリン・モンロー…「永遠の小悪魔」といえばブリジット・バルドーのこと!■映画『軽蔑』を観られるチャンス若い女性はブリジット・バルドーと聞いてもピンとこないかしら?筆者も、わりと近年になって彼女に関心を持った1人。なので、当時の彼女のリアルな人気や恋愛遍歴などは、上の年代の人から聞きかじった程度なのですが、彼女のホロスコープをチラッと見ただけでも、この上なく美しくかわいい女性であったことは一目瞭然です。安易に略したら、長年のファンの方にお叱りを受けそうですが、美しさを最大の武器として、挑発的な賢さを真の魅力としてお持ちの女性でしょう。実は今月30日から東京・恵比須にあるYEBISU GARDEN CINEMAにて、彼女が29歳の時に出演した映画『軽蔑/Le Mépris』が、デジタル・リマスター版として公開されます。こちらは“愛の終焉”を描き出す、ゴダールの初期の傑作メロドラマで、イタリア人作家モラヴィアの原作をもとにした作品です。ブリジット・バルドーを知っている人はもちろん、知らない人も、あの映画の独特な世界観は必見。今回は映画の公開にちなんで彼女の魅力を、西洋占星術でひも解いてみたいと思います。■B.B.ってどんな人?まずはブリジット・バルドー(Brigitte Anne-Marie Bardot )の略暦をご紹介しますね。頭文字が B.B.であることから、同じ発音で「赤ん坊」を意味するフランス語 bebeとかけた「ベベ」の愛称で知られています。厳格で裕福な家庭に育った彼女は15歳でモデルになり、その後、映画監督の助手と恋に落ちました。両親に交際を猛反対されるも自殺未遂して説得し、婚約。18歳で晴れて結婚します(1952年)。1956年に夫が監督を務めた映画『素直な悪女』が世界中で大ヒットしますが、その際の共演者と浮気して離婚。1959年には別の俳優と恋に落ち、妊娠&結婚するも3年で離婚。1966年にドイツの富豪と結婚し、69年に離婚。その途中、セルジュ・ゲンスブールと不倫したり、また別の人と結婚したり。1973年に女優業を引退するまで、恋愛・結婚・不倫・離婚と、数々の恋の遍歴を重ねました。引退後は動物愛護活動家として精力的に活動しているそうです。それでは彼女が生まれた日の星の配置をチェックしてみましょう。■品のある美しさと正義感の持ち主ブリジット・バルドー(1934年9月28日)ブリジット・バルドーの出生ホロスコープによると、太陽は天秤座、月は双子座、金星は乙女座、火星は獅子座にあります。メインとなる天秤座太陽の特徴は、12星座中で最も品のある美しさと、平和主義で世渡り上手なところ、強い正義感などでしょう。参考までに記すと、天秤座のエレメンツ(4元素)は「風」、モダリティ(3区分)は「活動」、ルーラー(支配星)は「金星」、ナチュラルハウスは「結婚」と「人間関係」の 「7ハウス」です。こうした要素からも、彼女を含む天秤座生まれは、積極的におしゃれを楽しみ、人生のパートナーと出会って愛し合い、素晴らしい経験をしていきます。■セクシーさより品の良さ「私を、さらっていってよ」天秤座の美しさのポイント、それは「上品さ」です。マナーがきちんとしていること、さりげなく流行を取り入れることなどが天秤座の美しさを引き立てます。セクシーである必要はないのです。また、天秤座はバランスの達人ゆえに、時として、正しいことは正しいのだと強く主張します。白黒ハッキリさせたくなる一方、嫌な人にはなりたくなくて、いい人ぶって空気を読みすぎ、結果、思い悩み、フラフラして迷い続けるってことも…。例えば誰かを好きになると、自分と釣り合うかどうかで悩み、気を回しすぎて本音が言えないなんて場合もあります。論外な相手には、よそよそしく振舞うのですけどね。そんなわけで、ブリジット・バルドーは天秤座の代表のような女性です。彼女の名言のひとつ「私を、さらっていってよ」は、天秤座の“人生はパートナー探しに始まり、パートナー探しに終わる”そんな資質を表現するのにピッタリな言葉じゃないかと思います。あなたの周りを見回して、人当たりが良く、姿勢も美しく、品行方正で正義感の強そうな、そして家柄の良さそうな方がいたら天秤座かもしれません。女性なら気さくで美人なモデル、男性なら爽やかでスマートな好青年、そんなタイプが多いのも天秤座生まれです。また、天秤座は美的センスやバランス感覚を活かすファッションモデル、空間コーディネーター、ブライダルの仲介人などの仕事がお似合いです。■恋愛は楽しく、結婚は賢く?ちなみに彼女の太陽天秤座を支える裏方は双子座の月です。月の意味は基本的な性格、あるいはプライベートや結婚など。双子座月の特徴は、12星座中で最も若々しい感覚と気難しさの二面性にあります。この矛盾する二面性は、プライベートを守る手段として無意識に使い分けます。例えば恋愛は楽しく、結婚は賢く…、そんな感じで恋愛相手と結婚相手を分けて選んだりも。参考までに記すと、双子座のエレメンツ(4元素)は「風」、モダリティ(3区分)は「柔軟」、ルーラー(支配星)は「水星」、ナチュラルハウスは「会話」と「学び」の「3ハウス」です。■子どものような無邪気さ「恋をしていないとき、私は醜くなる」双子座の若々しさのポイント、それは「好奇心」です。早熟でいたずら好きで…家の中で安全に暮らすより、窓を開けて外気を吸い発見したい。双子座は、子どものような無邪気さにあふれています。また双子座は時として、傷つきやすく優柔不断にもなります。あの人はステキだし、この人は面白いし…。論外な相手は、勘違いしないでねと、スルッと身を避けますけどね。彼女の場合は、太陽も月も「風」という要素から処世術に長け、みんなに愛されかわいがられます。ですが、風の向くまま、気の向くまま、やりたい放題のエゴイストな面があるのも否めません。そんなわけで、ブリジット・バルドーは月双子座の代表でもありそう。彼女の名言のひとつ「恋をしていないとき、私は醜くなる」は、双子座の恋の多さ、浮気性などの悪名高い所以などを表現するのにピッタリな言葉じゃないかと思います。■恋や結婚と星の関係太陽と月を見ただけでも、ブリジット・バルドーはいかにも小悪魔的な女性って感じですね。でも、本来の彼女の女性心理や恋愛観は、どちらかといえば献身的であり、なおかつ、夢見がちで精神的な消耗も激しかったのではないかと…(乙女座金星と海王星の影響)。そして、彼女のご縁があった男性の多くは共演者ですから、恋も多くなるわけです(獅子座火星=スポットライトを浴びる華やかな男性像)。いくつもの恋をし、結婚を繰り返したブリジット・バルドー。占星術的には、いずれもある星のタイミングで、それぞれのお相手と交わっていました。どんな人だって個々に、星のタイミングで、その星の該当する人物と関わっているもの。みなさんの恋愛や、結婚、不倫も?離婚も??…何かしらのタイミングで起こるので、お見逃しなく!当時とは環境もニーズも国も立場も異なるけれど、参考になればいいなと思っています。ライタープロフィールはゆき咲くら土と陽の独自メソッドで占い。新宿、町田、東京タワーの占い処に不定期で出没中!略歴:相性研究家・プロ占い師。メディア&雑誌多数連載。昭和レトロな商店街生まれ。お風呂から見上げる宙とタロットと猫と格安ランチが大好き
2017年09月28日●刷り込まれたヤクザ像と「生々しさ」千原ジュニア(43)のエピソードトークで度々登場する"鬼軍曹"。ジュニアを慕う後輩芸人たちをまとめ上げるその男・三浦誠己(42)は、『侠飯~おとこめし~』(16年・テレビ東京系)、映画『アウトレイジ』(10)、『極道大戦争』(15)、『ディストラクション・ベイビーズ』(16)などその名を彷彿とさせる強面の印象が強いが、近年でも『木屋町DARUMA』(15)、『関ヶ原』(17)、『ナラタージュ』(17)、『火花』(17)など、幅広い役柄のバイプレーヤーとして多くの監督から支持を集めている。その三浦が、芸能事務所・ディケイドの設立25周年を記念して企画・製作された映画『AMY SAID エイミー・セッド』(9月30日公開)で主演を務める。村上淳、村上虹郎、渋川清彦、山本浩司といった同事務所の役者が総出演する中、彼は主演としてある"実験"を行っていた。よしもと所属の芸人時代に一度は見失った「本質」。役者転向後、その重みを噛みしめる三浦の演技は凄みを増している。『AMY SAID エイミー・セッド』は、かつて映画に注いでいた情熱も冷め、人生に疲れた元映画研究会の40代男女8人が行きつけだったバーで再会する物語。三浦演じる朝田は、周囲の羨む声とは裏腹に、誰よりも自身の才能に失望している人物だが、酒を酌み交わしながらの会話では「才能」という言葉が頻出する。芸人としての挫折を知り、演技の実績を積み重ねてきた三浦にとって「才能」とはどのような意味を持つのか。○死ぬまで終わらない目標――公式サイトには「本気で挑んだ大人の青春映画」とありました。そして、ディケイド設立25周年という他の作品にはない要素も含まれてます。そうですね。この映画に出ているすべての俳優がそうだと思うんですけど、「25周年」ということはあまり考えなくて、それぞれが全ての作品を全力で取り組んできたのと同じように。節目になる映画だから特に気合いを入れたということでもなかったんですが、同じ事務所なので予定が合わせやすくて、その上、仲も良いので事前の本読みを3~4回することができたり、そういう部分では他の作品との違いは感じました。――映画化の話を聞いたのはいつ頃だったんですか?去年の夏に撮って……その半年ぐらい前に聞いたと思います。社長から聞いてその時点で台本はできていなかったんですが、「分かりました」と。その後に台本をもらって読んで、そこからですよね。闘いというか。監督と喫茶店で話させてもらって、社長とも意見を交わしました。というのも、僕が抱いていた同窓会イメージとはちょっと違っていたんです。人の出入りが多かったり、電話で外に出たり、登場人物がもっと散らばるのが同窓会のイメージだったんですが、一人ひとりが告白していくのはあまりないことなのかなと。映画のリアリティから外れている印象だったので監督とお話しました。そのやりとりの中で、ピンときたんです。同窓会って、やっぱりみんなどこか装うというか。そこがきちんと伝われば成立して厚みが出る話になると思ったので、僕が演じた朝田という役は「演じない」と決めました。生々しさというか。極端にいうと、どこからか素人の人を連れてきて演じさせたような。「演技を取り除くこと」が、この作品の背骨になればと思いました。――最近の『侠飯』をはじめ、これまでの作品とは三浦さんの雰囲気が何となく違うと感じるのは……その生々しさだったんですね。それは僕が演じる上での裏テーマでもあるんです。地上波やネット、映像カテゴリーがこれだけ増えている中での映画を考えると、昔の映画のアクションシーンは体に当たっているように撮っていました。でも、生で人を殴っている映像はネットで簡単に見ることもできる。映像の中での暴力のリアリティって何だろうとなりますよね。『ディストラクション・ベイビーズ』(16)では真利子哲也監督とそういうお話もしました。ヤクザの役をやることも多いんですけど、多くの人に刷り込まれているイメージは『仁義なき戦い』なんです。そして、実際にヤクザを生業としている方々も影響を受けていたりする。そういう逆転現象が起こっています。だからこそ、演じ方はもっと違っていてもいいはずなんです。きっと時代によってヤクザ像も変わるはず。これが僕の中での「生々しさ」という裏テーマです。――まずはリアリティを重視すると。ウソっぽくならないように。これは雲をつかむような話なんですけど、映画に出ている僕を観た方に「僕」と気づいてほしくないんです。「よっ! 待ってました三浦誠己!」にはなりたくない。「この人は誰だろう?」から、エンドロールで名前を見つけて、「どこに出ていたっけ?」となるのを目指したい。不可能なんですけどね。顔は変えられないわけで。出演作が増えれば増えるほど、それは難しくなります。――先月千原ジュニアさんを取材しました。トーク番組で三浦さんの名前を出されることが多くて、あらためて三浦さんの経歴を確認してみて驚きました。自分が観ていた作品がたくさんあったからです。そうですね、それが理想です(笑)。自分が出ているから観てくださるのはうれしいことでもありますし、それが俳優の仕事だとも思うんですけど、そう思わないと役者として成長できないというか。生々しくありたい。これも変な話になるんですけど、「お嫁さんを僕にください」と相手の両親の実家でする結婚のあいさつ。実はもともと、実際にそういう人なんていなかったんじゃないのかなと。おそらく何かの作品でそういうシーンがあって。そうやって無意識のうちに刷り込まれていることは、日常生活では無数にあると思います。僕は、そうやって刷り込まれているものがたくさんあるんだと意識してこの仕事をしてきました。それが自分のポリシーです。役者としての目標を聞かれた時に、例えば「大河ドラマに出たい」とか「賞が欲しい」とかそういう具体的なことではなくて、「生々しさを追求する」という死ぬまで終わらないようなことが僕の目標(笑)。それいつ終わるんだよというものが本質的なことなんじゃないかなと思ったので。この作品の中で感情が高ぶって泣くシーンがあるんですけど、もともと泣こうと決めていませんでした。どういうリズムでしゃべろうとも考えず。それを本読みしている時とかに、これだとリズムがよすぎるし、観ている人に違和感なく届いてしまうかもしれないとか考えました。それって結局、「刷り込まれている」ことなんですよね。実際の会話は、そんなに流暢にしゃべることなんてないですよね。それを僕は大事にしていますが、それを「芝居じゃない」と監督にけちょんけちょんに言われる時もあります(笑)。基本的には監督に従いますが、話し合って歩み寄れるポイントを探っています。●千原ジュニアから「よしもと辞めたほうがええ」――事務所の方々がみなさん揃って撮影するのは初めてなんですか?こういうアンサンブルではなかったんですけど、5年前に『Playback』を撮りました。その時に僕や渋川清彦、山本浩司とか事務所の俳優が揃って共演したことはありました。年に1回忘年会があったり、出演舞台を観に行ったり、お互い交流しながら俳優として気にしながらの関係なので、今回の映画でも自然と同窓会っぽい雰囲気が出せたんじゃないかなと思います。――親しい間柄でこれだけ熱量の高い作品を演じるのは、役者としてどんなメリット、デメリットがありますか?確かに、やりやすいところとやりにくいところがありますね。やっぱり感情的になるところで、相手は芝居なわけですけど「いつもと同じだ」と思ったりする(笑)。だから僕はプライベートをあまり知らない人の方が演じやすいです。あまり知っていると笑ってしまうというか。千原ジュニアさんなんかプライベートの時間が長すぎるので、絶対に無理です(笑)。仕事なんて照れて緊張してしまいます。――お二人の共演楽しみにしています(笑)。25周年作品の主演と聞いて、率直にどう思われましたか?僕を主演に据えてくだったからこそ、実験的な試みをしようと思いました。「演じない」というか普段やらないスタンスでやること、そのわがままを主演だからこそ通させてもらおうかなと。本読みの前後、監督や社長とこのあたりを話し合いました。そこで「演技をしない生々しさを突き詰めることができる」と確信しました。これができたら、この作品の見え方が変わるんじゃないかと。完成した作品を観た時に、監督と社長がそれを予感してこの映画を作っているような気がして、計画的に俺はハメられたんじゃないかと思いました(笑)。自分では分からないけど、他者から見た自分。的確に課題を与えられているような気がしますし、演じる人間の核となる部分に気づいていらっしゃるのかなと感じた作品でした。○お笑い芸人、俳優の才能とは――この映画の中には、渡辺真起子さん演じる芸能事務所の社長が登場します。「自意識のない俳優はつまらない」というセリフがすごく印象的でした。演技に対してやりたいことがないとか、目標がないとか。悩んだり苦しんだりすることがない俳優はつまらないという意味だと受けとめています。結局はみんな「商売」なんですが、演じることを商売のための「ツール」にしてしまうのは良くないなと。「演じる」をツールにするのではなく、自分の中で膨らませたり、縮ませたり、悩みながら取り組んでいきたいですね。――今回の映画には「才能」という言葉がたくさん出てきます。主人公は同級生から、映画監督としての「才能」をうらやましがられていた。「芸能界と才能」は密接に関係していると思うんですが、芸人から俳優へと転身した中で、「才能」をどのように受けとめていますか?才能……本当に難しいですよね。自分自身のことしかわからないですが、僕は子供のころから歌はヘタだったし、楽器ができる環境でもなかった。それは自分に才能がなかったからなのか、チャレンジしようとしなかったからなのか、そういういろいろな要素が「才能」へと結びつくと思うんです。最初にお笑い芸人になったのは、1990年頃でバブル崩壊や湾岸戦争で世の中でいろいろな変化が起こっていたタイミングでした。当時15、6歳の自分は、こんな時代でどんな大人になろうかと考えた時、立川談志さんとか、上岡龍太郎さんとか、ビートたけしさんとか、松本人志さんとか。世の中の本質を捉えるような発言をしているのが芸人さんだった。すごくかっこよかった。実は最初、教師になりたかったんです。人が生きる上での指針になれる存在。でも、ふと考えた時に、学校の1クラスは40人ぐらい、全校生徒は500人ぐらい。もっと多くの人の耳に届けるには、芸人じゃないかと。本質を捉えている芸人さんは、すごく魅力的な仕事に感じました。和歌山出身なので、よしもとも身近な存在でしたから。あとは、大学に行きたくなかったんですよね。勉強が嫌いで。それから逃げるためというのも半分はあったのかもしれません(笑)。今振り返ると、時代の流れの中で自分の価値観も変わっていったんですよね。笑いの勉強を一生懸命しようと思いながらよしもとの養成所に入り、最初に最終目標を聞かれるんです。みんな冠番組を持ちたいとか、漫才賞がほしいとかあるんですが、僕は「映画監督」でした。すべてのことを成し遂げた先に「映画監督」があるんじゃないかと。そして、それは本質を捉えている人たちに回ってくる仕事なんじゃないかと。そういう人になりたいと思いました。物事の本質を捉え、それを笑いに変えるのが芸人です。世の中のあらゆる本質を見抜ける男になりたかった。17歳からはじめて、27歳で芸人を辞めました。どういう家庭で育ったのかとか、もともと備わっていたとかに才能には関係してくると思いますが、僕が芸人を辞める時に最後に思ったのは、「情熱」と「才能」の欠如でした。お笑いの才能はないと思っていましたが、そんなことより、「情熱」がなくなったことが辞めるきっかけでした。――何か決定的な出来事があったんですか?年齢による考えの変化もあると思いますが、自分がやってきたこと、やろうとしたことが、今になってですが本質を捉えることとはかけ離れていたんだなと感じます。芸人になりたての時はお金がほしいとか、イイ女を抱きたいとか、売れたいとか、よこしまなことばかり。最初はそれがハングリー精神になって努力へとつながっていったんですけど、それが最後は努力を置き去りにしたただの欲望になっていた気がします。それは若さゆえの欲望だったはずですが、一流の先輩方と接する中で「俺、無理やな」と思いました。17歳の頃に思い描いていた未来の自分がそこにはなかった。その時、27歳。僕にとっては挫折ですね。今思えば若いと思うんですけど、10年芸人をやった上だと「もう27歳」だったんです。芸人を辞めて次に何をやろうかと思った時に、映画の話が来ました。これは奇跡的なことなんですけど、あるきっかけがありました。芸人を辞める前に映画のオーディションに行くように事務所に言われて、そこにはたくさん俳優がいるわけですよ。オーディションでは芝居の審査をされて、「こんなん受かるわけないやろ、アホちゃうか」と思いながら適当にやったんです(笑)。そんな僕を監督が気に入って下さって使っていただきました。芸人辞めるときに、その映画を観た別の方が仕事をくれました。タイミングよくつながって、ちょこちょこ俳優の仕事をやりながらアルバイトをする生活が続きました。これからも俳優をやらせていただく環境があるのであれば一度きりの人生、せっかく入った芸能界ですし、もう一度17歳の時の気持ちに戻って欲望を捨て去ろうと。「本質を捉える」ということだけを守ってやっていこうと誓いました。芸人から役者へと職業が変わりましたが、芸人時代の自分を知ってくれている木村祐一さんや板尾創路さんが監督として起用してくださったり、一つひとつは繋がっています。生々しく、本質的でありたい。どんな仕事でも、そういう人と人の縁は大切でしょうし、自分で大事にしていることがたとえ難しいことでも思い続けていれば必ず具現化してくるんだと信じています。――千原ジュニアさんがよしもとから現在の事務所に移るきっかけになったと聞きました。芸人を辞めて俳優の仕事をはじめた頃も、よしもとに籍を置いていました。よしもともそれを理解してくれて俳優部門みたいなところに1年半ぐらいいたんですけど、それをジュニアさんは「よしもと辞めたほうがええ」と。最初、それを聞いてもピンとこなかった。ジュニアさんは映画にも出ていたので見えていたんでしょうね。一度やめて、別の俳優事務所で看板を立て直した方がいいと。だから、あの人は本質を見ているんですよ。活躍していた漫才コンビが解散する時、僕なんかは「解散せんほうがええ」と思いがちなんですが、ジュニアさんは「解散したいんやったらしたらええ」と。「めっちゃがんばらなアカンぞ。ただ、未来のことは誰にも分からへん」「お前がどうなるかなんて誰にも分からへんから」。僕らは過去からつみあげてきたものをまた一からやり直すのが怖かったりするんですけど、ジュニアさんはそういうことを常に俯瞰で見ている感じがします。今は年に1回か2回ぐらいしかお会いしてないんですけど、昔は毎日のように一緒にいて。だからこそ、そういう部分に触れることができたのかなとも思います。毎日、毎晩、飯連れて行ってもらって。「本質を捉える」はここにも通じているような気がしますね。――その後、ディケイドに入るきっかけは? 10年前ぐらいですよね。どうしようかと思って、知り合いのプロデューサーに相談して。いくつかある中で、ディケイドに自分が出ているすべての作品資料と手紙を送りました。佐伯社長から会いましょうと言われて2時間ぐらい話して、「とりあえず預かるよ」とあっさり。まだ、預かられてるんとちゃうかと思います(笑)。■プロフィール三浦誠己1975年11月16日生まれ。和歌山県出身。身長181センチ。B型。『岸和田少年愚連隊』(96)でスクリーンデビューし、同年にお笑いコンビ・トライアンフを結成。翌年、コンビ解散後は東京でピン芸人として活動。2005年に現在の事務所ディケイドに移籍した。これまで、『きょうのできごと』(04)、『ニセ札』(09)、『アウトレイジ』(10)、『人類資金』(13)、『木屋町DARUMA』(15)、『ディストラクション・ベイビーズ』(16)などの映画に出演。今年は『AMY SAID エイミー・セッド』のほか、『なりゆきな魂、』、『昼顔』、『関ヶ原』、『ナラタージュ』、『火花』など。
2017年09月28日三浦しをんの小説を原作に、井浦新主演で描く大森立嗣監督最新作『光』が、イタリア・ローマで開催される「第12回ローマ国際映画祭」のオフィシャル・セレクションに公式招待されることが決定。今回の決定を受け、井浦さんと大森監督から喜びのコメントも到着した。本作は、映画化・アニメ化もされた「舟を編む」の原作者・三浦氏の作品群で、徹底的に人間の闇を描き、ファンの中で特別な評価を得ている同名小説が原作。これを今回『さよなら渓谷』『まほろ駅前』シリーズの大森監督がメガホンをとり、かねてからの競演を望んでいた井浦さんと瑛太、さらに長谷川京子、橋本マナミらを迎え映画化。25年前、消滅したはずの「罪」を携えて、やってきた男の目的とは…。心に潜む闇を徹底的に描いた、苛烈なる人間ドラマが誕生した。そんな本作が、この度10月25日~11月5日(現地時間)に開催される「第12回ローマ国際映画祭」への公式招待作品に決定。世界3大映画祭のひとつであるベネチア映画祭に対抗して、2006年より開催されたローマ国際映画祭は、世界的な映画スターが参加し、国際色豊かでありながら、一般市民が審査を行う市民参加型の映画祭であることでも有名。近年では、2014年に三池崇史監督作『神様の言うとおり』(福士蒼汰主演)がコンペティション部門に出品され、三池監督には日本人として初めて特別賞“マーベリック賞”が授与。また昨年は、西川美和監督の『永い言い訳』(本木雅弘主演)がオフィシャル・セレクションに招待されている。大森監督は「この度ローマ国際映画祭に映画『光』が選ばれたこと大変嬉しく思います。僕にとってこの『光』という映画は特別な想いがあります。理性の外側の生命の輝きを撮りたいと思っているのに、自分が自分に収まったり、映画の枠に収まっているわけにはいかなかったからです。ですから本当に国際映画祭に選んでいただいて嬉しいのです」と今回の決定に喜びのコメントを寄せる。また井浦さんも「この『光』という作品は、日本人にしか感じ取れない世界観ではなく、世界中の人間の本質だったり、生き物であれば必ず感じ得られるものが、封じ込められていると思います」と世界でも通用する作品だと語り、「ローマの皆さんがどんなことを感じるのか、とても興味があるし、楽しみにしています。この映画を観た人たちの中にあるそれぞれの光というものを感じて、探してもらえるきっかけになれば嬉しいです」と話している。『光』は11月25日(土)より新宿武蔵野館、有楽町スバル座ほか全国にて公開。(cinemacafe.net)
2017年09月27日「第30回東京国際映画祭(TIFF)」のラインナップ発表会見が9月26日(火)に都内で開催され、コンペティション部門に出品された『最低。』のメガホンをとった瀬々敬久監督や主演の森口彩乃らが出席した。AV女優役を演じることについて、森口さんは「最初引き受けたときはうれしかったんですけど、撮影に入る前くらいに『何で引き受けちゃったんだろう…』と思いました、すみません(笑)」と気持ちを露わにしたが、瀬々監督は笑顔で受け止めていた。TIFFは10月25日(水)~11月3日(金・祝)の10日間、開催されるアジア最大級の国際映画祭。世界各国からの新作がグランプリを競うコンペティション部門には、88の国と地域から1,028本の応募があり、その中から15本が本選に選出された。日本からは『最低。』と、松岡茉優が主演を務める『勝手にふるえてろ』の2作品がノミネート。欠席となった松岡さんからは、ビデオメッセージも届いた。『最低。』はAV女優の紗倉まなによる話題の文芸小説の映画化で、どうにもならない現実を前に、それでも自分らしく生きようとする女性たちを力強く、ときに繊細に描いた物語。元々ピンク映画を手掛けていた瀬々監督は、本作について「いわゆるAV業界の裏話ではなく、AV女優さんの友人や家族関係や日常が緻密に描かれたもの。いま、近い存在としてAVがありますが、そういう日本の現状の中で、AV女優さんたちも普通の生活ということを描いてみようと作りました」と、製作の経緯についてふり返った。コンペティション部門は世界の作品と肩を並べることになるが、「たったひとりでも『この映画が好きだ』と言う人がいれば、作っていけるという気持ちでやっています」と、熱い映画への想いを語る瀬々監督だった。また、TIFFでは監督デビュー30周年を迎えた原恵一監督のアニメーション特集「映画監督原恵一の世界」が組まれ、『映画クレヨンしんちゃん嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』などの『クレヨンしんちゃん』シリーズのほか、『カラフル』、『はじまりのみち』など計7タイトルの上映も予定している。黄色いTシャツに黒いキャラクターのアニメーションがプリントされた洋服で現れた原監督は「いま作っている作品のヒントです。たくさん撮ってください!」と集まった記者陣に向かってニッコリ。原監督は「人に見られて恥ずかしいものは1本も作ってきていないつもりです。過去作が大きい映画祭で観てもらえるのは新作のためにもなるし、非常にうれしく思っています」と笑顔を広げた。さらに、今年で30回を迎えることになったTIFFについて、原監督は「この先も映画祭が続いて、世界4大映画祭くらいに育ってくれればいい。コンペにアニメーション作品も混ぜてくれるような映画祭になってくれれば、そのときにはぜひ僕の作品を」とかわいらしくアピールしていた。そのほか、ラインナップ発表会見には、佐々木心音、山田愛奈、大九明子監督が出席した。「第30回東京国際映画祭」は10月25日(水)より開幕。(cinamacafe.net)
2017年09月26日女優・後藤久美子(43)の長女、エレナ・アレジ・後藤(20)が、ファッション誌『25ans(バンサンカン)』の姉妹情報誌『Richesse(リシェス)』(9月28日発売・No.21)で、親子初共演することが26日、明らかになった。エレナにとって本誌がメディア初登場、モデルデビューとなる。F1ドライバー(当時)のジャン・アレジ氏と結婚し、現在はスイスとフランスで暮らす久美子。エレナは今秋にロンドンの映画学校を卒業し、年末に来日する。久美子と同じ事務所のオスカープロモーションに10月1日から所属し、モデルや映像の世界に挑む。6カ国語(フランス語・英語・日本語・イタリア語・ドイツ語・ロシア語)を話すことができ、将来は映画監督になる夢も持っているという。初共演の撮影地はイタリア。ベネチアのサン・マルコ広場にあるカフェ「フローリアン」や「ブルガリ」のブティックで、和やかな雰囲気のもと撮影が行われた。久美子は「ああ、こんな服やジュエリーも似合う年齢になったんだな、と改めて思いますね」と感慨深げ。「お父さんに送らなきゃ」と娘の姿を携帯で撮るなど母親の一面をうかがわせ、エレナも「お母さんと一緒に写真を撮られるなんてうれしい」と無邪気に喜んでいたという。母・久美子のことを、「母から受け継ぎたいものがあるとしたら、それは家族へ捧げる愛。いつか私も母になる日が来たら、彼女のようになりたいと思う。ずっとずっと憧れです」と尊敬してやまないエレナ。一方の久美子は、「(私とは)別の人生をエンジョイしてほしいな、と思う。私とは性格的にまったく違うけれど、だから面白い。彼女の人生を見ることで、もしかしたら歩めたかもしれない別の人生に触れられるようで、それも面白いのです」と娘の将来に思いをはせる。2人はブルガリのハイジュエリー輝くドレス姿で表紙を飾り、全6ページにわたるインタビューを実施。誌面ではブルガリの"セルペンティ"シークレットウォッチ(久美子着用:6258万円、エレナ着用:1977万円共に予定価格)を身につけたカットもあり、「セルペンティのモチーフが好きですね。このゴージャスなデザインに魅了されます」(久美子)、「本物の輝きを身につけると気分が高まります」(エレナ)とそれぞれ感激のコメントを寄せている。なお、『25ans』11月号(9月28日発売)でも、2人の特別インタビューが掲載されている。
2017年09月26日アメリカ演劇界で最も権威のあるトニー賞で6部門を受賞した傑作ミュージカル・コメディ「シティ・オブ・エンジェルズ」が、山田孝之とミュージカル界期待のホープ・柿澤勇人を主演に迎え、福田雄一の演出で2018年9月より上演されることが決定した。1940年代後半のハリウッド、それは数々の名画が誕生したまさに映画最盛期の時代。当時のハリウッドではプロデューサーが最高権威者であり、いまでは作品の中核をなす作家もタイピスト的存在として軽くあしらわれるのが常だった。これは映画のシナリオライターとしての夢を叶えようとハリウッドに乗り込んだ新進作家とやり手プロデューサーの葛藤が生み出したドラマである。作家スタインは、自分の小説「CITY OF ANGELS」の映画化に当たって、ヒーローのストーンを自身の理想像として描こうとしている。それはロマンとダンディズム、ニヒルでセクシーで…といった、フィリップ・マーロウやサム・スペードの様な伝統的でタフな私立探偵である。そして、彼らと同じようにストーンもまた、美女に弱いための胸の痛みと、空の財布に悩まされている――。物語は1940年代のハリウッドを舞台に、ハードボイルドのシナリオを描くためにハリウッドへやってきた脚本家が執筆に四苦八苦する中で、シナリオの世界と現実に起こる出来事に混乱し様々な事件が巻き起きるというもの。本作は、ブロードウェイで誰もが知る名作曲家サイ・コールマンが音楽を手掛け、1989年ブロードウェイにあるヴァージニア劇場で初演。1990年トニー賞作品賞始め、ほか5部門を総なめにし、2015年にはローレンス・オリヴィエ賞を2部門受賞を果たした。今回そんな本作を、『HK 変態仮面』『銀魂』「勇者ヨシヒコ」シリーズなど数々の人気作を手掛ける脚本家・映画監督の福田氏が演出を担当。そして映画の脚本家・スタイン役を、劇団四季の舞台「ライオンキング」でシンバ役を演じ、退団後も「ロミオ&ジュリエット」「デスノート The Musical」など舞台作品に出演する柿澤さんが。彼が描くシナリオの中の私立探偵を、俳優業だけでなく、新会社設立や新ブランド立ち上げなど活動の幅を広げている山田さんが演じる。ミュージカル「シティ・オブ・エンジェルズ」は2018年9月1日(土)~17日(月・祝)東京・新国立劇場 中劇場にて上演。※地方公演あり(cinemacafe.net)
2017年09月25日宝塚歌劇団星組トップスター・紅ゆずるが、自身初の宝塚大劇場オリジナル主演作に挑む。ミュージカル『ベルリン、わが愛』は、演劇賞を受賞した『For the people ―リンカーン 自由を求めた男―』の原田諒による新作。1920年代から30年代のベルリンを舞台に、ナチスの圧力に抗い映画作りに邁進した人々が描かれる。【チケット情報はこちら】ポスターの扮装でもクラシカルで粋な雰囲気を出していた紅。「私はコスチューム系が多く、スーツものでの主演作はあまりないので、(スーツものならではの)様式美や佇まい、レトロな格好良さを出せたらと思います」と新たな男役像に意気込む。紅が演じるテオ・ヴェーグマンは、のちにヨーロッパ初のトーキ―映画を手掛ける映画監督。陰と陽、両方の面がある大人の男性だという。「“芯”が燃えているからこそ行動に出る情熱的な人。戦争との距離感など役作りは難しいです。ただ最初は戦争の影がないところから始まりますし、決して重たい作品ではありません。色々な困難を乗り越えて彼自身成長していく物語です」映画監督の「こだわりが強いところ」は自身と似ているとも。「稽古をしていて“違う”と思ったら、そのままにせず『もう一度させてください』と先生にお願いします。つかみきれないまま、スーッと流れてしまうのが嫌なんです」と笑う。星組トップスターに就任し約10か月。「組全体をすごく見るようになりました。例えばお稽古場でも『あの早替わりは間に合うのかな』とか、自分の場面だけではなく他の場面も気になります」。その広い視野とモチベーションの高さは今作の役で存分に活かされるだろう。同時上演の『Bouquet de TAKARAZUKA(ブーケ ド タカラヅカ)』は、ベテラン演出家・酒井澄夫が手掛けるレビュー。タカラヅカレビュー90周年を記念し、宝塚の名曲や新しいスパニッシュの場面などでバラエティ豊かに綴る。「最近の宝塚のショーとは一風違う、王道のレビューです。酒井先生は歌や踊りにも“どういう物語を感じるのか”など、内面からのアプローチを要求されるので、お稽古も楽しいです」と充実した笑顔を見せる。今年11月には紅と同期である宙組トップスター・朝夏まなとが退団する。先日朝夏の舞台を観劇した紅は、「(宝塚音楽学校の)予科のときから仲が良かったんです。トップスターとして今すごく輝いていて、『あの時の女の子が、よくぞここまで』と思いました」と嬉しそうに話す。来年は台湾公演も控えている紅。「私も頑張ります!」と明るく言い放つ言葉の裏に、宝塚歌劇団を頼もしく導く覚悟を感じた。公演は兵庫・宝塚大劇場にて9月29日(金)から11月6日(月)まで上演。チケットは発売中。東京宝塚劇場公演は11月24日(金)から12月24日(日)まで。10月22日(日)より一般発売が開始される。取材・文:小野寺亜紀
2017年09月25日小粋なフレンチ・ミュージカル『ジュリーと恋と靴工場』が、いよいよ9月23日(土・祝)より劇場公開される。本作でヒロインのジュリーを演じているポーリーヌ・エチエンヌは、これから日本で公開される話題の新作にも重要な役どころで出演していることが判明!しかも1本は、フランスの大御所女優であるWカトリーヌとの共演、もう1本は、『不完全なふたり』『ユキとニナ』『パリ、ジュテーム』などで知られる日本の映画監督、諏訪敦彦の新作。この3作品から、ポーリーヌの魅力に注目してみた。■等身大フツー女子ジュリー9月23日公開『ジュリーと恋と靴工場』職もなく、金もなく、彼氏もいない三重苦だったジュリーが、かろうじて就職できた高級靴メーカーの靴工場で、たくさんの職人や仲間と知り合うことで自分らしさを見つけていく物語。ポーリーヌはプロのダンサーやコメディアンにまじって、哀愁漂うコミカルな歌と踊りを自然に溶け込ませた演技で、同世代の女子から共感を呼ぶ等身大キャラに。親しみやすい可愛らしさとハの字眉毛で怒ったり、笑ったり、くるくると変わる表情はまるで、コメディ作品の中の綾瀬はるかを思い起こさせる。このたび到着した写真では、工場閉鎖の危機に「これから私、どうなるんだろう…」という少し憂鬱な表情をみせている。健康的なふくよかさがありつつも、小顔と白い肌で儚げ表情をつくるポーリーヌが、キュートでほほえましい。■助産婦の主人公が世話をする妊婦セシール12月公開『ルージュの手紙』地味ながら真面目に生きてきた主人公の助産婦(カトリーヌ・フロ)が、30年ぶりに血の繋がらない母(カトリーヌ・ドヌーヴ)と再会することで人生の歓びに気づく、ヒューマンドラマ。ポーリーヌ演じるセシールが登場する出産シーンは、マルタン・プロヴォ監督の、自身の誕生時に起こった実際のエピソードを反映しているとあって印象的な出産シーンとなっており、このたび到着した場面写真では、出産直後のホッとした表情と生まれたばかりの赤ちゃんへの母性がにじみ出ている。生命力にあふれた未来を見つめる光を瞳に映し出し、演技の幅を感じさせている。■老齢の映画俳優の元妻ジュリエット2018年1月公開『ライオンは今夜死ぬ』南フランスの屋敷で地元の子どもたちと映画撮影をする老俳優ジャンが、かつてそこで過ごした元妻ジュリエットとの思い出を反芻するうちに、彼女との関係性が明らかになっていく。諏訪監督が、『大人は判ってくれない』などのフランスの名優ジャン=ピエール・レオを主演に迎えたヒューマンドラマで、ポーリーヌは若き元妻を演じる。コメディからシリアスなドラマまで幅広い役柄をこなせるポーリーヌは、いまや世界的大スターとなったマリオン・コティヤールやレア・セドゥなど、時代を牽引する可能性を十分に秘めた若手女優の1人といえそう。1989年6月26日、ベルギー・ブリュッセルで生まれ、10代から舞台でキャリアをスタートし、18歳で映画デビュー。翌年、レア・フェネール監督『愛について、ある土曜日の面会室』(’09)で、エトワール新人女優賞、リュミエール新人女優賞を受賞。ベルリン映画祭コンペティション部門出品作でギヨーム・ニクルー監督の『La Religieuse』(’13/未)では主人公シュザンヌを演じ、セザール賞新人女優賞にノミネートされた。そのほか出演作に、個性派ヴァンサン・マケーニュと共演した『メニルモンタン 2つの秋と3つの冬』(’13)、ベルギーの作家アメリー・ノートン原作で日本を舞台にした『Tokyo Fiancee』(’14/未)、90年代のパリのエレクトロ・ミュージック・シーンを描き、話題を呼んだ『EDEN/エデン』(’14)などがある。『ジュリーと恋と靴工場』では満を持して主演を務めることになったポーリーヌ。日本でも徐々に認知されてきている彼女の躍進に注目していて。(text:cinemacafe.net)
2017年09月23日先日、女優・武井咲との結婚を発表したEXILE TAKAHIROが、ソロとして2年ぶりとなるニューシングル「Eternal Love」をリリース。この度、その発売に先駆け、「Eternal Love」のミュージックビデオ(以下、MV)が公開された。ハウステンボス「光の王国」のCMソングにもなっている「Eternal Love」は、「EXILE」のボーカリストとしての活動に加え、俳優として映画やドラマに出演するなど幅広い活動を展開してきたTAKAHIROさんが、より深く自身の音楽と向き合う中で生まれた美しいメロディと、普遍的で心に響く純粋で真っ直ぐな想いが込められた珠玉のバラード。今回、楽曲に込められたメッセージや世界観を映像で表現したいという想いから、“全編ドラマ構成”でMVを制作!また、以前からTAKAHIROさんが尊敬する、「TRICK」シリーズや『真田十勇士』などを手掛ける映画監督・堤幸彦との初タッグがここで実現した。MVでは、純朴で一途な生物学者をTAKAHIROさん自身が演じ、藤井美菜演じる図書館員の女性と出会い、恋をする恋愛物語を描いた。実は、全編20分以上に及ぶセリフ入りの短編映画として撮影が敢行され、そこから切り取るかたちでMVが構成。また、セリフ入りの短編映画も製作される予定となっており、こちらの完成も待ち遠しい。TAKAHIROさんは「2年ぶりのソロ作品でのMV撮影ということで、いままで以上に気合が入り、誠心誠意、心を込めて作らせて頂きました。楽曲のイメージを表現した、せつなくも美しいラブストーリーになっておりますので、ぜひ皆さん、楽しんでいただければと思います」とコメント。一方、「ニコッと笑うと目がとても素敵で、その笑顔をしっかり作品に活かしたい」とTAKAHIROさんとの出会いをふり返った堤監督は、「今作には歌唱シーンは無く、物語のみの構成ですが、彼の笑顔や魅力をしっかりと撮影し、映画・ドラマ風に作品を編集することにこだわった結果、非常に強い個性を持った作品にすることができました」と自信を見せている。さらに、「今回、TAKAHIRO君が演じているのは、絶滅種のタガメの研究者。横須賀に素晴らしい博物館があり、そこに実際展示しているものを使わせて頂いて撮影しました。ひとつの場所に限定してそこでギュッとストーリーを落とし込んでいくのが大好きなので、今回もラブストーリーのリアリアリティを高めるために横須賀のロケにこだわりました」と撮影について明かしている。EXILE TAKAHIRONew Single「Eternal Love」は10月4日(水)リリース。(cinemacafe.net)
2017年09月22日