言葉にできない悩みが盛りだくさん!児童精神科医 三木崇弘先生にお聞きしましたUpload By 丸山さとこ今回は、医療や学校の現場で多くの子どもや保護者の方々と関わっていらっしゃる、児童精神科医・スクールカウンセラーの三木崇弘先生にいろいろとお聞きしました。息子のコウと同じく私自身もASD・ADHDであり、悩みはあるものの「言葉にできない!」と困ることも多く…。アワアワしながらあいまいなことを言う私の話を聞いてくださった三木先生に、「スミマセン上手く言えなくて…私の話、伝わっていますか?」と聞いてみると、「7割くらいは伝わっていると思います」とのお答え。頼もしい…!コウとの生活の中で『問題があること』は突きつけられつつ『解決の見通し』が立たない状況に焦ることも多いです。問題は今現在起きていることに限りません。スクールカウンセリングや個人懇談などの話し合いの場で”今後悪い事態が起こる可能性は高い”ことは提示されつつも、『いざ悪いことが起きたときに』どうすればよいのかは分からないこともしばしばあります。Upload By 丸山さとこ現在の困りごとに対する具体的な対策も知りたいし、それが目標時点までに解決しなかったときにどのような選択肢がありうるのかも知りたい。そんな私の質問に、先生は「能力獲得ができるタイミングにはばらつきがあって、特に僕が関わっているような子たちは生活年齢で求められてもできない・難しいことが結構あります。そうすると、そこは学校ともどう対応するか相談しなくてはいけません」と、具体的に何をどう話していけばよいのか詳しく話してくださいました。学校にサポートをお願いするとき心がけたい大事なこと三木先生:例えば「5年生だからこれくらいできて欲しい」という話になったときに、「でも、それ相応のことが達成できる・理解できる準備ができてない(中身が育っていない)」ということもあります。その場合はトライさせてみたところでおそらくできないし、ただ失敗体験を積むだけで学びにならないことも多いです。なので、そこはまだ大人がサポートしよう…という考え方があってもいいと思います。ただ、そうなったときにサポートのための生活上の手間を大人が引き取るというのを、親だけではなく周りの大人も納得してやっていくことが必要になります。その現在位置ですよね、『今まだできない』『そろそろできそう』などの現在時点の状況についての把握と、『何年後にはどうなっていそうか』という予想について話していく必要があります。Upload By 丸山さとこ三木先生:(例えば、現在の息子の状況のように)「中学校に入るからできるようにならなければ困る」というのは確かに正しくて、それはなぜかと言うと「中学に入るとよりサポートがなくなるだろう」と予想されるからです。「でも今のやり方のままだと中学に入ってからも引き続きサポートがいるよね」となったときに、『じゃあそのサポートを獲得できる見通しがあるのかないのか、なければ親がどこまでやれる余裕がありそうか…』みたいなところを考えていく必要があるかもしれません。でも学校の先生側としたら『それ実際困りますよ』みたいな話になると思うので…。丸山さとこ(以下、――)私の今の現状としては、・中学以降は学校側の負担をお願いするのはやはり難しいだろうと思うので、基本的には先生に声掛けをお願いするというよりは『全教科置き勉させていただく』ような方向でいきたいと考えている。・現在は「忘れ物をしているのかしていないのか曖昧な状態をハッキリさせることでフィードバックがもっと明確になるとありがたい」ことを学校と相談しつつ、連絡帳のチェックや忘れ物の連絡をお願いしている。という状況です。三木先生:今の話はすごく大事です。学校側も納得できないことに取り組むのは大変なので、プロセスを通じて…やってみて「あぁやっぱりそうなんだな」と感じてもらうという段取りを踏んでから、やってほしいことを再度お願いするということが重要です。Upload By 丸山さとこ改めて考えてみれば、「説明し、納得してもらい、できる範囲から実行をお願いする」という手順は息子のコウ相手であれば普段していることです。もし「大人なのだから、一緒に子どもを育て教育する立場なのだから、必要性を理解して協力するのは当然でしょ!?」という考えが根底にあるとすれば、それは私自身が一番困る「もうコウ君は〇年生ですから」「もうじき中学生ですよね?これはできるようにならないと…」などの言葉と同じことを先生方に強要しているわけで…!『コミュニケーションの基本は、相手が誰であっても同じなのかもしれない』と、改めて初心にかえるような気持ちになりました。失敗は”撒いておいた種”を育てる栄養…なのかも?また、今後もし『担任の先生にどうお伝えしても全く話が嚙み合わない』ということがあればという仮定の上で「学年主任だったり、養護教諭、スクールカウンセラー、管理職などを巻き込みながら相談していくといいかもしれないですね」とのアドバイスもしてくださったので、上手くいかないケースとしてありがちなことについてもお聞きしました。連絡帳を書き忘れては「覚えてるから大丈夫!」と切り抜けている間に書く習慣が消えてしまったり、”宿題を必ず出すものと学ぶ”ために朝の読書タイムをあてられていたのに「朝やれば家でノンビリできるな!」と宿題をやらなくなったりと、視野が狭いがゆえの浅知恵で面倒なことを避けようとするコウ。Upload By 丸山さとこ――特に2~5年生にかけては思い込みからの誤学習も起きやすかったため、私も夫も(そして先生方も)しょっちゅうコウに手を焼いていました。学校も”連絡帳をチェックする”などいろいろな対応をしてくださっているのですが、どうしても最初は『もう高学年だから』などの理由で、自主性を育てるべく様子見となりがちで…。一回ダメなパターンに陥ったりグズグズになったりすると、そこから立て直すのはすごい大変で…場合によっては1年2年かかることもあるし、カバーしきれないこともあります。学校というシステム上、困ってからの対応になりがちなのは仕方のないことだと思っているので、『家庭からできること』を知りたいです。という私の相談に、三木先生は鋭くも現実的なアドバイスをくださいました。三木先生:それ結構難しいなと思っていて…どちらかと言うと、そういうトラブルが発生することをプランの中にある程度「確率的なリスク」として織り込んでおくみたいな方が、現実的かなという気がするんですよね。――そうですね。三木先生:で、どちらかというとその予備力をおいておくとか、そこの手間を『諦める』という方がいいかな~と…やっぱ転んだときってエネルギーとリソースがとられるので、そこに対しての準備か覚悟をしておく。準備っていうのは『親が余力をもって暮らしておく』ということだし、覚悟っていうのは『余力がないけど、起きたらもうしょうがないと腹を括る』みたいな。――なるほど…。『準備か覚悟をしておく』という三木先生の言葉が胸に沁みました。Upload By 丸山さとこ本当にそれだな…『親が余力をもって暮らしておく』っていう準備が理想だけれど、実際余力がないときはあるし、そのときに親が用意できるものって言ったら『起きたらもうしょうがないと腹を括る覚悟』だろうな…。と、しみじみ頷く丸山でした。追い詰められてからの覚悟ではなく『事前の心構えとしての覚悟』をすることで、少しでも『余力』を生み出せるようになったらいいなと思いました。――中学年で子どもが調子を崩して荒れたときから私もそう考えているところがありました。『絶対にそういうことは起こる』覚悟を決めた上で『あとで修正が効くように種を撒いておく』ことも含めた対処をするように方向性を切り替えました。三木先生:そうですね、これから年齢が上がっていくと、物事の因果関係とかもっと分かるようになると思うんで…。Upload By 丸山さとこ三木先生:その「撒いておいた種」がより生きてくるというか、狭い範囲しか見えてない…あるいは深みがなく物事を捉えていた小さいころって、昔やったことと今の関係とか、最近の出来事の因果ってあまり分からないままだと思うんですけど、長期スパンで物を見れるようになってくると「そもそもこういうことでやってきてて、こんな出来事があって、今こうなった」という全体の流れと、そこからどうやってリカバーしたかみたいなことが、ある程度ひとかたまりで見れるようになってくると思うんですよね。で、そうすると、失敗する価値が昔よりは高くなってるはずです。これから人生が先に何十年とある中で、失敗がゼロということはないわけで…失敗したときにどうリカバーしたかとか、「この大きい失敗はそもそも何があって起きてしまったか」みたいな検証をできるチャンスとも言えるんじゃないでしょうか。Upload By 丸山さとこ『失敗&リカバーというものを織り込んでいくことが大切なのだ』という三木先生の言葉は、先行きが見えずにジワジワと焦っていた私の心を大分落ち着けてくれました。『どっちに向かって私は進みたいの!?』と混乱する日々の中で…目の前のことに追われて対応しているだけになりがちな現状に対して、私は心の片隅で『ロングスパンでの視座や方針というものをどのようにもっていったら良いのか』という悩みを長い間抱えていました。私は、方針というものが実際の行動に与える影響は大きい部分があると考えています。例えば、二次障害を防ぐというロングスパンの視座で見ると、今ある問題に対して『これがなくなればいい・解決すればいい』ではなく『時間はかかるけれどこういう風にアプローチしていこうか』となります。そんな私にとって方針が見えないということは『将来のことが不安だな~』という気持ちだけの問題ではなく、『現在の対応をどうしていいか分からない』ということに直結する死活問題だったのです。Upload By 丸山さとこ「先の心配より今ある問題に集中しましょう」という意見はもっともです。それに対しては頷ける一方で、「その”今ある問題”に集中して対応するために指針が欲しいんだよ~!」という私の心の中の叫びは上手く言語化することができずにいました。そんな私にとって、三木先生の『失敗&リカバー』に対する捉え方は長く続く今後の指針たりうるものでした。長年の悩みが言語化できたことも含めてすごく救いになりつつ癒されましたし、親子共々『失敗がめっちゃ多い毎日』になりがちなので、失敗そのものを『失敗とリカバーのための学習の機会』と捉えることでストレスを減らせそうなのも大変ありがたいなと感じました。Upload By 丸山さとこまた、三木先生へのインタビューにて「自分で学習していき、発展していく力」と、その鍵となる「問いを立てる」ということについてもお聞きしたので、そちらも別の記事にて描いていきたいと思います。執筆/丸山さとこ
2021年08月05日発達障害がある子の中学卒業後の進路の選択肢わが子の発達状況や特性に合った進学先を選ぶには、まずどのような高校があるのか、それぞれどのような特徴があるのかを知っておく必要があります。ここでは、発達障害グレーゾーン~軽度知的障害があり中学校で特別支援学級を選んだ場合、進学先としてどのような選択肢があるのか、それぞれの高校の特徴などを紹介します。学校選びの際に留意したいのが「大学受験資格」が得られるのかと言うことです。障害者枠での就労の場合は、大学受験資格については考慮する必要はないかもしれませんが、大学進学を検討している場合は考慮する必要があるためです。(また、高等専修学校や特別支援学校卒業後、一般枠での就職を希望する場合、学校卒業時に「高卒」とみなされるのかについては雇用主の判断となりますので、就業の際に確認が必要です)【卒業後高卒認定される学校】高卒認定とは、その名の通り『高校を卒業した』という認定です。・普通科高校(公立・私立)・専門高校(実業高校)・単位制高校・定時制高校・通信制高校・チャレンジスクール(4年制)これらの学校は卒業と同時に高卒認定が与えられます。【卒業後高卒に準ずると認定される学校】卒業時に高卒認定に準ずるとみなされる「大学受験資格」を得ることができる学校もあります。・高等専修学校文部科学大臣が指定する課程を修了した場合、高等学校卒業者と同様に大学入学資格が与えられ、その他の進学についても高等学校卒業者と同等に扱われます。学科により、専修学校の高等課程には1年制~5年制までさまざまなコースがあります。調理学校などは1年制が多く、准看護は2年、理美容学校などは2年以上、そのほかの学校については3年制が多くなっています。高等課程の3年制を卒業すれば専門課程(専門学校)に入学することもできます。大学や短期大学へ進学も大学入学資格付与の指定を受けている学校を卒業すれば可能です。高等専修学校とは?文部科学大臣指定専修学校高等課程一覧(平成30年3月28日現在)・特別支援学校高等専修学校は卒業と同時に大学入学資格が与えられますが、特別支援学校についてはさまざまな学校や科があり、制度上は特別支援学校卒業で大学受験資格は得られますが、大学側が定めた科目の単位を取得していないと受験自体ができない場合もあります。特に知的の特別支援学校については入学前に確認が必要です。【短大卒に準ずる資格を取得できる学校】・高等専門学校卒業後「準学士」の学術称号と、高専の専攻科や大学への編入資格が得られます。大学・短期大学、高等専門学校、専門学校の制度の比較国立高等専門学校の学校制度上の特色Upload By 発達障害のキホン大学入学資格を得るためには以下の条件のいずれかが必要となります。①高等学校又は中等教育学校を卒業②特別支援学校の高等部又は高等専門学校の3年次を修了※特別支援学校については大学入学資格は得られますが、大学側が定めた科目の単位を取得していないと受験自体ができない場合があるので入学前に確認が必要です。③指定された専修学校の高等課程を修了④高等学校卒業程度認定試験(旧大学入学資格検定)での合格大学入学資格について文部科学大臣指定専修学校高等課程一覧(平成30年3月28日現在)制度上は特別支援学校卒業で大学入学資格は得られます。しかし、特に知的障害高等特別支援学校、知的障害特別支援学校高等部の場合は自立活動なども多いため、志望する大学側が定めた科目の単位を取得していないと受験自体ができない場合があります。したがって、入学時点から大学進学に合わせた教育課程を個別に編成してもらえるかどうかを学校側と話し合っておく必要があります。卒業後進学を考えている場合は入学前に事前に卒業までに取得できる単位数などの確認をしておく必要があります。学習指導要領「生きる力」知的障害高等特別支援学校とは、知的障害の生徒を対象に、高等部のみ設置している学校です。職業技術科や職業学科、産業科などさまざまな科に分かれ、職業生活に必要な能力や技術を高めるために実践的なカリキュラムを行っており、知的障害特別支援学校高等部よりも就職に特化した学校となります。就職率が高い、就職先とのミスマッチが少ない、学校と企業とのパイプがあるなどのメリットがあります。学費は、公立の場合は公立普通科高校と同じ、私立はその学校のカリキュラムや校舎などの施設によります。卒業と同時に大学入学資格を取得できますが、上記にもある通り、就業にむけた実践的なカリキュラムのため、大学側が定めた科目の単位を取得していない場合があります。大学進学を希望している場合には入学時点から教育課程を個別に編成してもらえるかどうかを学校側に相談しておきましょう。【卒業時に取得】・大学入学資格:〇(大学側が定めた科目の単位を取得していないと受験自体ができない場合があるので注意が必要)平成30年度新特別支援学校高等部学習指導要領等説明会における文部科学省説明資料(3/3)知的障害特別支援学校高等部とは、小学部から高等部まである、いわゆる小中高一貫特別支援学校の高等部です。知的障害高等特別支援学校と同様に卒業すれば大学入学資格を取得できますが、大学受験を希望している場合には高等部入学時点から大学進学に合わせた教育課程を個別に編成してもらえるかどうかを学校側に相談が必要です。一貫校となっていますが、多くの学校が中学部、高等部からの入学も可能です。【卒業時に取得】・大学入学資格:〇(大学側が定めた科目の単位を取得していないと受験自体ができない場合があるので注意が必要)平成30年度新特別支援学校高等部学習指導要領等説明会における文部科学省説明資料(3/3)病弱特別支援学校高等部とは、慢性疾患などで、義務教育終了後も医療・生活上の規制を必要とする生徒、または高校入学後の発病や病状の悪化により学校生活への制約を余儀なくされた生徒が通える、医療や生活管理体制の整った高校です。適切な学習集団を確保する観点からも、近隣の高校と連携を図りながら、校内外でさまざまな学習を行うのが特徴です。療育手帳が取得できない知的レベルの生徒でも、普通科高校では必要な配慮が受けられず通えない場合の選択肢となる学校といえます。卒業すれば大学入学資格を得ることができます。【卒業時に取得】・大学入学資格:〇病弱・身体虚弱教育:文部科学省普通科高校(公立・私立)とは、いわゆる全日制あるいは定時制の高等学校のことです。平成30年度から言語障害、自閉症、学習障害、ADHD、弱視や難聴などの障害のある生徒に対し、通級による指導が制度化されました。しかし、47都道府県の中でも実施校に大きなばらつきがあり、東京都立高校は2021年から導入されています。また、支援体制が不十分な場合もあるため、過去の特別支援学級からの入学歴の有無を確認したり、個別相談を受ける、通っている人の話を聞くなど、学校の支援体制がわが子に適したものであるかを事前に調べる必要があります。学費は、公立は卒業までに約50万円、私立の多くは公立の倍以上はかかります。卒業と同時に高校卒業資格が取得できます。【卒業時に取得】・高卒認定:〇・大学受験資格:〇高等学校における通級による指導の制度化及び充実方策について(報告)概要専門高校・実業高等学校は、農業、工業、商業、水産、家庭、看護、情報、福祉など職業教育を主とする学科を設置する高等学校です。各分野に特化した専門的なスキルが学べるので、普通科高校に比べ就職率が高いのがポイントです。学費などは普通科高校とほぼ同様ですが、実習などで使う専門の道具などは別途購入が必要となってきます。平成30年より高等学校においても通級の制度化が始まり、専門学校も同様となりました。しかし、普通科高校と同様に実施にばらつきがある、専門教科・科目については必修科目となるので学校の支援体制、実習内容などに苦手な項目がないか、苦手な項目により必修単位が取得できないことはないか、などは事前に調べておく必要があります。【卒業時に取得】・高卒認定:〇・大学受験資格:〇専門高校の現状(専門高校に関する諸データ)専門高校紹介高等学校における通級による指導の導入について単位制高校とは、学年による教育課程の区分を設けず、決められた単位(74単位)を取得し、単位認定試験とスクーリング(ある程度決められた日数学校に通えばいい)で高卒資格が得られる高等学校のことです。昭和63年度から定時制・通信制課程で導入され、平成5年度からは全日制課程でも設置が可能となりました。必修科目にとらわれず、自由に単位を選べるのが特徴です。学費は、公立・私立で大幅に変わってきます。【卒業時に取得】・高卒認定:〇・大学受験資格:〇就労などを理由に全日制高校に通うことができない人の教育の受け皿として始まった高校ですが、不登校や特別な支援を必要とする生徒、睡眠障害など心身に何らかの問題を抱える生徒も多く通っています。毎日登校するという点は全日制高校と同じですが、登校時間帯を・夜間定時制・昼間二部制…昼食を挟み、朝と昼の時間帯に行う・三部制…9時~13時、13時~17時、17時~21時のように三部に分けるの3種類から選べる学校が増えています。学費は、公立は年間およそ20万円弱、私立はその約2~3倍となっています(授業料と学校徴収費〔給食を含む学校が多い〕)。3年制と4年制がありますが、いずれも卒業と同時に高卒資格が得られます。【卒業時に取得】・高卒認定:〇・大学受験資格:〇通信制高校は、自宅学習がメインで、単位取得(74単位+ホームルーム30単位)で高校卒業資格が得られます。空いた時間で好きなことをしたり、登校日を自分で選べるなどのメリットがあります。単位制高校との大きな違いは、必修科目がある、高卒資格を取得するには単位認定試験とスクーリングに加え、レポート提出が必須になります。サポート校は、通信制の高校生の卒業をサポートする「塾」のような存在です。連携している通信制高校に籍があり、連携先の通信制高校卒業で高校卒業資格を取得できます。サポート校のみでは、高卒資格は取得できません。卒業や大学受験、資格取得など自分に合ったサポートを選べますが、通信高校+サポート校費用のダブル負担がかかり、公立と私立では学費に6倍もの差が出てきます。【卒業時に取得】・高卒認定:〇・大学受験資格:〇※通信制高校の場合高等専門学校(高専)は、5年制で一般科目と専門科目をバランスよく配置した教育課程で、技術者に必要な教養と体系的な専門知識を身につけることができます。5年制ということもあり、卒業までの学費はおおよそ150万~240万円となっています。5年間の本科を卒業後(短大卒と同じ扱い)、さらに2年間専攻科でより高度な技術教育を学ぶことも可能です。専攻科を修了すると学士の学位(大学学部と同じ)を得ることができます。卒業後の進路は多岐にわたりますが、倍率が非常に高いのが難点といえます。【卒業時に取得】・高卒認定:3年修了時に同等の資格を得られる・大学入学資格:卒業時短大卒扱い参照:国立高専機構 豊田高専高等専修学校は、工業・農業・医療・商業など8分野にわたりバラエティーに富む職業教育を行っています。3年制で基本的に高校卒業資格は得られません(何校かは可能)が専門課程(専門学校)への入学が可能です。小学校や中学校の間にすでに「やりたいこと」「就きたい職」が決まっている生徒には向いている学校といえます。また、不登校や高校を中退した生徒を積極的に受け入れる学校もあります。学費は専門的分野によって差があり、平均して150万~200万円程度かかりますが、奨学金制度があります。高校卒業認定は得られませんが、修業年限が3年以上、総授業時数が2,590時間(74 単位)など条件を満たせば文部科学大臣が指定した学科の修了者は、高等学校卒業者と同様に大学入学資格が得られることになっています。【卒業時に取得】・大学入学資格:〇(文部科学大臣が指定した学科の修了者の場合)専修学校高等課程・一般課程と特徴・資格取得チャレンジスクールは、小・中学校時代に不登校経験を持つ生徒や高校を中途退学した生徒が新たに目標を見つけてチャレンジするための都立高校です。三部制・定時制・単位制の総合学科の高校で、現在5校とチャレンジ枠併設の1校があります。卒業と同時に高校卒業資格が取得できます。定時制のため通常は卒業までに4年間必要ですが、単位制でもあるので、授業を多く履修すれば3年間での卒業も可能です。学費は都立高校に準じています。【卒業時に取得】・高卒認定:〇・大学受験資格:〇フリースクールは、不登校の生徒が学校以外で学んだり友達と過ごしたりできる居場所ですが、公的な機関ではなく個人や民間企業、NPO法人などによって運営されています。入学資格を設けていない、異なる年齢の子どもが集まっているので学校のような決まったカリキュラムがないという特徴があります。高校卒業資格を得るには、高卒認定試験(旧 大検)に合格する必要があります。フリースクールの形式や規模によって学費(授業料)は変わってきますが、ひと月3万円前後のところが多いようです。高卒資格は取得できないため、大学へ進学をする場合には高卒認定試験を受ける必要があります。【卒業時に取得】・高卒認定:×・大学入学資格:×過去10年での進学率の変化10年前の2010年は特別支援学級に在籍する子どもが(特別支援学校以外の)高校に進む割合は約2割でしたが、2019年には約5割と2倍以上に増え、特別支援学校に進む子どもと高校に進む子どもが約5割ずつと半々になりました。文部科学省「学校基本調査 /卒業後の状況調査 中学校」平成22年度版文部科学省「学校基本調査 /卒業後の状況調査 中学校」令和元年度版中学校の特別支援学級から高校進学者が増えた背景には、情緒障害特別支援学級の在籍児童生徒数が近年大幅に増加していることが影響していると考えられます。そしてこれに伴って受け入れる高校側も必要に応じて別室での受験や、試験時間の延長、問題用紙の文字の拡大や読み上げ機能の使用など、受験の際に障害や特性に合わせた配慮を実施したり、通級教室を設置したりする学校も増えてきていることも理由に挙げられます。特別支援学級と一言で言っても特性や障害種別により複数のクラスがあります。それぞれのクラスによって進学率などは変わってきます。すべてのクラスにおいて高校への進学率が増えたという訳でもないので注意が必要です。特別支援学校高等部やフリースクールに進む場合は内申は必要ありませんが、そのほかの学校の多くは内申が必要となってきます。普通科高校の中でも、都立(市立・県立)高校のほとんどは内申が必要です。私立や専修、専門学校の中には内申は関係なく入学試験の点数や書類のみで合否を決める学校もあります。なお、入学試験にあたって内申が必要な場合について、通常学級の生徒と同様の中間・期末テストを受けていない場合は通常学級の生徒とは異なる評価の内申になる場合があります。進路選びのポイント高校で「支援体制がしっかりしている」「障害や特性に合わせた個別カリキュラムが組まれている」というような学校はまだ少ないのが現状です。その中でも、・子どもが学校に合わせるのではなく、子どもを理解し、配慮できる「子どもに寄り添った学校」か・特性や障害からできないことやゆっくりな部分にはじっくりと見守り、今できていることを伸ばしてくれる環境か・教職員が保護者の話を聞いてくれる姿勢があるか・必修科目や実習の内容に苦手なものはないかを見極めることが大切です。学校見学や説明会に足を運ぶ、資料を取り寄せるなどして、なるべくたくさん情報を収集しましょう。実習内容が必修科目になっている場合が多いのでオープンキャンパスなどであらかじめ聞いておくことも重要です。診断がある場合、入学試験でどのような合理的配慮をしてもらえるかなど、事前に話をしておくことも大切です。単位制でない場合、1科目でも欠席日数が既定の日数を超えてしまうと原級留置となりますが、学校によっては、診断があれば配慮がある場合もあります。学校に質問をするほか、通っている子どもや保護者の生の声を聞くことで、困りごとなどへの実際の対応や配慮・支援の様子なども知ることができます。子どもの将来のQOLを上げるためにも、できるだけ「失敗体験」をさせない進路先を選ぶ方がベターです。特性を抱える子どもは、「失敗体験」を重ね続けることで挫折感が強くなり、つまずいてしまうケースも多く見られるからです。就職できても、就職先とのミスマッチがあったり定着率が悪く職を転々としてしまう、というケースも出てきます。科が細かく分かれているか、実践的なカリキュラムが多いか、子どもの特性に合った職業選択を考えてくれるか、職業への連動性が高い指導をしているか、企業とのパイプはあるか、ということも大きなポイントになってきます。グレーゾーンや軽度知的障害の場合、家族や周囲の大人たちが「特別支援学級の生徒は特別支援学校へ」という流れが普通だと思ってしまうことが多く、内情をよくわからないまま特別支援学校に入学してしまうケースも少なくありません。特別支援学校に進んでみて、物足りなさや周囲とのギャップを感じて不登校につながることもあります。子どもとよく話し合い、子どもの意思を尊重しながら進路を選択することが大切です。進路先でつまずいてしまったらせっかく悩み考えて結論を出した進学先でも、子どもの性格や特性に合わず、不登校や二次障害などにつながってしまうこともあります。もしも進路先でつまずいてしまった場合どう対応したらいいのか、そのために保護者が準備できることを解説します。高校の通常級に在籍している発達障害が疑われる児童のうち、平成22年~26年度の間に平均7~10%の児童が不登校になるというデータが出ています。高校で不登校になる理由としては、・学習や実習についていけない・友人との人間関係がうまくいかない・「なぜできないの?なぜ行けないの?」という親からのプレッシャー・発達障害に対する理解がないなどが挙げられます。不登校になってしまった場合、「無理に学校に行かせない」「先生と相談・連携して学びやすく生きやすい環境を作る」ことも選択肢としてありますが、「その学校にこだわり続けない」「環境を選び直す」ことも必要です。なお、単位制の高校でない場合は、欠席日数が既定の日数を越えてしまうと原級留置(留年)となることも認識しておく必要があるでしょう。発達障害者支援に関する行政評価・監視結果報告書「不登校になってしまったけど、この学校は手厚いからもう少し頑張ろう」「せっかく好きなことができる科に入れたから、もう少し様子を見よう」などと進学先にこだわり続けることで、親子で苦しくなる場合もあります。中学生活の様子を担任の先生に聞いたり、わが子の特性や障害の程度を改めて見直したうえで、なるべく多くの高校の情報を収集して複数の選択肢を持っておき、子どもに提示できるようにしておくことも大切です。中学卒業後の進路決め、それはその後の子どもの「長きにわたる将来」につながる重要な選択になってきます。子どもの将来につながる教育や指導をしてくれるかどうか、支援体制はあるのか、入学の選考方法はどうなっているのかなど、事前の情報収集がとても大事になってきます。そして、「発達障害や特性のことをすべて伝えたら受からないかも」と不安になる方が多いようですが、障害があることを理由に落とされることはありません。充実した高校生活を送るためにも、卒業後の将来を考えるうえでも、子どもの障害や特性を包み隠さず学校側に伝えることがとても重要になってきます。また、親子で進路を相談すると衝突して考えがまとまらない、というケースもあります。その場合は保護者だけで抱え込まず、第三者や専門家に相談してもいいかもしれません。「この先子どもがどういうふうに生きていきたいのか」という将来像から逆算して、子どもにとってベストな環境を考えていきたいですね。執筆/田崎美穂子
2021年08月05日小学校1年生夏休みの宿題Upload By まゆん夏休みに、アサガオの絵を描く宿題があった。ある日、アサガオもきれいに咲いていたため太郎に「アサガオの絵を描こう」と誘った。すると、太郎の顔は一瞬で曇った。太郎は保育園時代から何かを見て描くことが苦手だった。このときも、スムーズにはいかないだろうなとは感じていた。それでも太郎はアサガオの前に座って観察をしていた。が…Upload By まゆん太郎は「ううう」「うあああああ」「むずかしい」「むずかしい」と言いながら身体を反らせたり、寝転がったりしていた。しかし決してアサガオの前からは逃げようとはしなかった。悶えながらも眉間にしわを寄せ、真剣にアサガオと向き合っていた。Upload By まゆんUpload By まゆん太郎にこのくねくねはどこの部分か尋ねると、顔をこわばらせ、答えなかった。答え方がわからないのかと思い、具体的に指を差してこう質問した。Upload By まゆんUpload By まゆんUpload By まゆん太郎は、ゆっくりとアサガオの花びらの縁を指さした。私は気づき、そしてハッとした。「たしかに、そうだ」Upload By まゆんこの花びらのくねくねのリアルさを太郎は一生懸命描こうとしていた。「難しい」とうなっていた理由がわかった。アサガオの花弁はくねくねしていて、それをもっとクローズアップして見てみるとさらにくねくねしていた。太郎はきっとそこまで観察していたに違いない。3時間も…。Upload By まゆんこのほかにも「木を描いてください」という課題で、「難しい」「難しい」と言いながら描いたのは木の根っこというエピソードもあります。全体像をとらえることが苦手で、細かいところに焦点をあてがちな太郎は、私とは全く違った物の見え方をしているのではと感じました。細かくものを見るため、「難しい」という言葉が出るのはあたり前なのかなと思ってます。しかし全ての絵が苦手ではなく、想像画は得意としてます。想像画では太郎の世界を楽しく、私を魅了させるほどのかわいい絵を描いてくれます。肉眼で見たものを模写することが苦手なようで、スケッチの授業でも先生の手助けを受けながら描いていました。このアサガオの絵も結局太郎の画力が追いつかないこともあり、私と一緒にシンプルなアサガオを描いて学校には提出することになりました。シンプルなアサガオは、太郎にとってはアサガオに見えていなかったようで「全然違う…」とつぶやいていたのを覚えています。親子ともども悩みながら、新しい発見ができた夏休みとなりました。執筆/まゆん(監修:井上先生より)アサガオというものを全体像としてとらえるのではなく、花の特徴の細部をとらえることができたのは、研究者のような視点ですね。周りの方は、こうしたとらえ方ができることを否定せずに、その子の強みとして認めてあげることが大事だと思います。一般的なフレームで描かせたい場合は、対象物を写真に撮ってアプリなどで輪郭線がはっきりした絵に加工したものを見せると、描けるようになることが多いです(字が書けるお子さんの場合)。ただ、そうすると個性を活かせなくなってしまうかもしれませんね。
2021年08月04日1つ下のゆいちゃんとお友達に近くの公園に母さんと娘より1つ下のお子さん(当時1歳半)が遊んでいて、何気なくお話しし連絡先を交換することになりました。それからお互いのお家を行き来する仲に。当時娘は2歳半ごろで単語がちらほらしか言えませんでした。2語文なんてまだまだ先の時期でした。そのお子さん家に遊びに行ったときのこと。お子さん(ゆいちゃん)は少しの2語文や、娘の知らない単語などたくさんお話ししていました。Upload By とまぱんUpload By とまぱんUpload By とまぱん私は出かけ先ではいつ娘が爆発するか分からなくて、話しかける余裕なんて全然ありませんでした。常に気を張っていつも無言だった私。家の中でも娘の癇癪にやられて話しかける気力がありませんでした。家でも外でも声掛けを十分にしていなかったと思います。子どもの発達の遅れは親のせいではないとよく言われますが、私はこのとき娘の言葉の遅れは私のせいだ…と落ち込みました。ゆいちゃんと発達の差は言葉以外でもゆいちゃんと娘との差は言葉以外にもありました。それは情緒的な部分です。娘がゆいちゃんのおもちゃで遊んでいると、ゆいちゃんは一緒に遊びたくて娘に近づいてくれます。しかし娘は、それを邪魔しにきたと思ってしまうのです。親としては子ども同士で楽しく遊ぶ姿を見たいのですが、娘にはまだ難しいようでした。Upload By とまぱんゆいちゃんが近寄ると激しく奇声をあげる娘。ときにはおもちゃを投げることもありました。一応娘なりにゆいちゃんに当たらない方向に投げているものの、物を投げることはとても危ないしいけないこと。娘を強く怒るとヒートアップしてもっと激しくなってしまうのですが、ゆいちゃんとお母さんがいる手前しっかり怒らなくてはなりません。「おもちゃ投げちゃダメ!危ないでしょ!」と怒りますが、ヒートアップが怖くて強く怒れない私。はたから見たらもう少し怒ったほうがいいのでは、と思われていると思います。でも強く怒るとその分娘が激しい癇癪を起こし、それを見たお母さんは引いてしまうのではとそれも恐れていました。いつも娘が癇癪を起こすと、どうすることが正解なのか咄嗟に判断がつかず、頭の中はいつもテンパっていました。遊ぶ時間は大体3時間くらいでしたが、その3時間はとても長く感じ、お別れしたあとはひどい疲労を感じてました。そんな娘の様子にゆいちゃんママの反応は...?ゆいちゃんのお母さんはとてもいい人で、そんな娘を穏やかな様子で見てくれました。ゆいちゃんもこんな激しい娘にも関わらず「お姉ちゃん、お姉ちゃん」となぜか懐いてくれました。とてもありがたいのですが、それとは裏腹に遊ぶ度に必ず癇癪を起こす娘。それを毎回必死に抑える私。お菓子を与えたり、しまいにはタブレットで動画を見せたりして抑えました。おもちゃで遊ぶゆいちゃんと、一人で動画を見る娘。何のために一緒にいるのか分からないときもありました。徐々に疲れていき遊ぶ間隔を空けることにUpload By とまぱんゆいちゃん親子と遊ぶようになり、私はこんなことを考えてしまうようになりました。ママ友というのは子どものためでもありますが、このとき近所にママ友がいなく孤独で娘とずっと二人っきりがつらい時期でした。そんなときにできたママ友。とても嬉しかったものの、一緒に遊ぶことによって心身ともに疲れていき、徐々にゆいちゃん親子と遊ぶ間隔を空けていきました。それから娘が幼稚園に入園し、ゆいちゃん親子と遊ぶ機会が減りました。今娘はゆいちゃんの家を通ると、「ゆいちゃん家行きたい」とたまに話しています。以前より癇癪が少なくなり、おもちゃを譲ることも覚えたのであのときよりは仲良く遊べるかもしれません。子どものためにほかの子と関わることは大事かもしれませんが、難しいときは無理せず、子どもにとってよいタイミングで遊ぶのがいいのかもしれません。執筆/とまぱん(監修:鈴木先生より)文部科学省が提唱しているインクルーシブ教育のように、最近の研究では発達障害のあるお子さんが定型発達のお子さんと一緒に学んだり遊んだりする環境は良いとされています。大切なのは、お友達の親御さんにも、お子さんの特性をよく説明して発達障害の理解をしてもらうことです。
2021年08月03日読み書きが苦手な子の勉強がめっちゃラクになる簡単小技出典 : こんにちは。『発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた楽々かあさんの伝わる! 声かけ変換』他、著者・楽々かあさんこと、大場美鈴です。毎日の宿題に、定期テストや受験勉強、夏休みの課題…特に、LD(学習障害/学習症)や、そのグレーゾーンの傾向があって、読み書きに苦手さがあるお子さんの場合は、肝心の「問題を解く」以前のハードルが高くて、大変な思いをされているかもしれません。宿題にものすごく時間がかかってしまったり、「なんでこんな簡単なことができないんだ」って自分にイライラしたり、あるいは、無茶苦茶がんばっているのに結果がついて来なかったり、周りの人から「努力が足りない」「サボっている」なんて思われたり…。でも、既にスマホ・タブレットで誰もが使える音声アシスタントなどの先端技術が、LDのある子の凹を補い、勉強をめちゃラクにしてくれるんです。実は「LDxAI」の相性って、すごくいいんですよ(うちの経験上!)。LDがある子も、そうでない子も、今のうちからスマホ・タブレットを身近な学習サポーターとしても「手足の延長」「脳の外付け」くらいのつもりで、自由自在に使いこなせるようになっちゃいましょう。今回のコラムは、お子さん自身が「自分でスグできる!」スマホ・タブレットの音声アシスタントや基本機能、無料アプリの活用術を中心に、読み書きがめっちゃラクになる簡単小技・裏技を7つ、具体的に紹介しますね。スマホの音声アシスタントが即戦力の学習サポーターに!出典 : まず、LDがある子は、AT(Assistive Technology )という言葉を、頭の片隅で覚えていてくれると嬉しいです。なぜなら、これから受験や進学・就職の際に、キミ達の未来を切り開くキーワードになるかもしれないから。「AT」とは、分かりやすく言えば、「障害などがある人をサポートする、ありとあらゆる技術すべて」のことです。例えば、広い意味では、メガネや補聴器などの身近なものから、パラリンピックのアスリートの義足…あるいは、最近の自動車に搭載されている、自動ブレーキやクルーズコントロールなどの運転アシスト技術なども、一種のATといえるでしょう。要するに、その人の「凸凹の凹」を補って(更には+αして)くれる、便利グッズ&テクノロジーなのです。そして、読み書きが苦手な子の学びをぐっとラクにする、「勝手にATとして即応用できる技術」は、身近なところに既に沢山あるんです。実は、ひと昔前まで、LDがある子のためのATは、「特別な機器が必要で少々敷居が高い」というイメージが私にはあったのですが、今では「そんなのスマホで簡単にできちゃうじゃん!」ということが本当に多くなりました。その最たるものが、「音声アシスタント」の登場と進化です。「字を読むのが苦手」「読書に時間がかかってしまう」「音声で聞いたほうが内容が頭に入りやすい」「ながら勉強のマルチタスクのほうが得意!」…という子は、まずは、スマホやタブレットの音声アシスタントをONに設定してみるといいでしょう。・iOS → 設定>Siriと検索・Android → 全ての設定>全般>GoogleアシスタントUpload By 楽々かあさんすると…「Hey Siri画面を読み上げて」「OK google, このページを読んで」等と声かけするだけで、今開いているwebサイトなどのテキストを、全文音声で読み上げてくれます。これで調べ学習などもずっとラクになるでしょう。部分的な選択テキストだけを読み上げて欲しい場合には、・iOS→設定>アクセシビリティ>読み上げコンテンツ・Android → 設定>ユーザー補助>選択して読み上げで、設定を有効にすればOK。こうしておくと、PDF書類のテキストなども読み上げることができます(スキャナアプリで、カメラ撮影した紙のプリント等をPDF化することも簡単にできますよ)。Upload By 楽々かあさんまた、うちでは3-4年前から、スマートスピーカー(画面付き ※)に搭載の「Alexa」とも暮らしています。実は、最初の頃は「カップラーメンを作るときに便利なタイマー」という程度の認識だったのですが(笑)、最近ではかなりスキルが充実してきて芸達者になり、手軽な学習サポーターとしても、とても使いやすくなってきました。例えば、宿題中にちょっと漢字が出てこないときに、「アレクサ、興味のキョウを漢字で」とお願いすると、大きめに見やすく表示し、親切に書き順まで教えてくれます。英語学習の場合も同様に、ちょっと単語のスペルに自信がないときに、「アレクサ、”興味深い”を英語で」とお願いすると、正しいスペルを表示した上、さすが「本場のいい発音で」読んでくれ、翻訳・スペル・発音が、声かけだけで同時に瞬時に分かります。早い!便利!※現在Amazon.co.jpで販売しているディスプレイつきEchoシリーズは、Echo Show 5、Echo Show 8、Echo Show 10となります。進化する検索機能がヤバい!そして、LDのある子は宿題などにすごく時間がかかってしまうことが、大変な負担やストレスになっている場合もあると思いますが、音声アシスタントだけでなく、便利な検索機能も進化しているので、使いこなせば学習効率が格段とUPできるでしょう。特に、文字の正確な認識が苦手な子にとって、キカイが凹を補って文字を認識してくれるOCR(※)を応用した技術は、まさに「魔法の杖」になるはず。しかも、待望の「紙のテキストの即読み上げ」だけでなく、身の回りのありとあらゆるものが、その場で一瞬で検索できる時代になってしまいました。※光学的文字認識。カメラやスキャナで紙の文字やモノの情報を読み取って、コンピューターが認識できるようにする技術のことUpload By 楽々かあさんまずは、ちょっとした裏技から。既にご存知の方も多いとは思いますが、スマホやタブレットで読書や調べ学習などをしているときに、「あれ、この熟語、なんて読むんだっけ?」などと、部分的に「読み」や「意味」が分からない言葉が出てきたら…。えいッ!テキスト長押し!すると、Androidスマホの場合は気になる単語を長押しし、画面の下に現れるタブを上にスワイプすると、日本語の読みを音声で読み上げてくれます(意味が知りたい場合は「ウェブ検索」を)。長文の選択テキストもOKなので、音声アシスタントなしの読み上げにも便利です。英訳なども可能ですし、本格的な発音で英語の音声を聞くことも出来ます。同様に、iPhone/iPadでも、テキスト長押しすると出てくるメニューの「ユーザ辞書」から、瞬時に文字で読みや意味が分かります。また、自分が珍しい名前の子や、よく読み間違える熟語などは、ユーザ辞書に単語登録しておくと、文字入力や確認がラクになりますよ。さて。問題は、やっぱり紙ですよね、紙!Upload By 楽々かあさん"読み"の苦手な子にとって、「紙」の教科書、テストやプリント、ワークへの対策は、死活問題でしょう。でも、少なくとも、家庭での紙ベースの宿題やテスト勉強は、紙…いえ、神アプリ&機能の「Google レンズ」が、強力な学習サポーターになってくれます。宿題等のときに、「Google レンズ」アプリ(または、アイコン)から、カメラ機能を使って対象物を見ると、こんなことがいとも簡単にできてしまいます。<紙のテキスト読み上げ>教科書、ワーク、先生が配布したプリントなどのテキストを認識して、選択部分を「聴く」ボタンで読み上げ!(しかも、先生の温かい手書き文字での手作りプリントも、ちゃんと認識できます)…だけでなく、選択したテキストをコピペしたり、即時に分からない言葉を検索・翻訳なども可能。<実物・印刷物の画像検索>道端の雑草や昆虫の名前から、テストや資料集の名前が思い出せない偉人や、謎の建造物の写真など、「えーと、これ何だったっけ?」という疑問を、パパッと画像検索して特定。<「解き方」検索>「宿題」モードで、解けなかったワークやテストの問題を見ると、「解答そのもの」ではなく、問題文を分析して、「解き方」の検索結果を表示し、わかりやすい解説動画や参考サイト、用語の説明などをスグ確認(これは、親も助かりますね)。他、教科書や参考書に記載のQRコードやURLの読み取り→Webサイトへの移動も早いですよ。なんか、便利過ぎて、おばちゃんちょっとコワイ…。デジタルxアナログの合わせ技も大活躍!さて、ここまで、主に読み書きの苦手なお子さんが、自学自習をする際にスグに「自分でできる!」技をお伝えしてきました。でも、「うちの子は、まだ1人でそこまでIT機器を使いこなせないかも…」といったお子さんにも、「デジタルxアナログ」でのちょっとした合わせ技で、読み書きのハードルを下げることができます。例えば…Upload By 楽々かあさん以前、うちの長男は、「文字の形を正確に認識して書くこと」が苦手だったため、漢字書き取りの宿題サポートに、拡大ルーペなどを使っていましたが、同じことがスマホ・タブレットのカメラ機能でもできることにフと気づきました。「博」の点は1つなのか2つなのか、「美」の横棒が何本なのか、「シンニョウ」のうにゃうにゃは一体どうなっているのか、自由自在に拡大して確認できますね(これは、そろそろ老眼が入ってきて、時々「字が小さくて読めなーい!」となる私にも、便利な小技です)。出典 : 音読の宿題の負担が大きな子や、あんまり楽しくできない子も、スマホ等の「ボイスレコーダー」で、録音してみてはどうでしょうか。字を読むのが苦手な子は、最初におうちの方に国語の教科書を読んでもらった録音を聞きながら、文字を目で追いつつ一緒に声に出したり、繰り返し録音を聞いたりすることで、読みや内容が頭に入りやすくなるかもしれません。また、自分で録音した音読の音声を、仕事や家事・育児で忙しいパパ・ママの時間があるときに、ゆっくり聞いてもらうこともできますね。更には、「ボイスチェンジャー」アプリなどを使って遊びながら読むと、単調でつまらない音読の宿題も、案外楽しくなるかもしれません(うちの長女も時々ラップ調で音読をこなしています)。出典 : 宿題で分からない問題などは先述のように、ササッとキカイで検索することもできますが、「ビデオ通話で友達に聞く」って手もあります。うちの次男などは、ZoomやLINEのビデオ通話で、友達と一緒にお互いの苦手分野を教え合ったり、持ち帰り忘れたプリントや、なくしたワークの解答を写真で送ってもらったりしながら、助け合って宿題やテスト勉強を片付けています。一種の互助会…?誰かと一緒だとやる気が出るタイプの子には、合っているかもしれませんね(ただし、いつの間にか、オンラインゲームが始まっていることも…)勉強は人に教えることで理解が深まりますし、なかなか1つの部屋で皆で密に集まりにくい今の状況下で、オンラインでも顔が見えれば人とのつながりが感じられるので、子ども達の精神面の安定にも役立っている気がします。まさに次世代スタンダードな勉強法でしょう。LDのある子は、現在進行形で進化しているのかも…?出典 : 現在、一般的には、LDがある子は、学習に関する脳の認知機能に「局所的・限局的」な障害がある、と考えられています。でも、これだけ「LDxAI」や先端技術との相性がいいと、私はそんな子達の凹の部分を、「ひょっとして、来るAI時代に向けて、人類最速でプラグインできるように進化しているんじゃないの?」なんて、つい想像してしまいます。とはいえ、まだまだ、LDがある子の学びや、進学・進級には、「紙」を始めとする数々のハードルが存在し続けているのも現実でしょう。それでも、AIの音声アシスタントさんだけでなく、周りの人達の理解とサポート、そしてLDのある子自身の「学びたい!」という強い意志があれば、現在進行形で道を切り開いていけると信じています。未踏の地で「最初の1人」になるのは大変だと思いますが、応援しています。大場美鈴(著),『発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた 楽々かあさんの伝わる! 声かけ変換』あさ出版, 2020.6.27LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!
2021年08月03日物心ついたときから生きづらかった私は発達障害があると大人になってから診断されました。幼少期は私も家族も、私に発達障害の特性があると気づいていませんでした。そんな私が幼稚園ぐらいのころのことです。私はなぜか古ぼけてカビ臭い離れの部屋で父方の祖母と寝かされていました。祖母は私のことを邪険に扱いました。私が母を恋しがって泣くとあからさまに面倒くさそうな反応をしたり、幼児の私にもわかるような狸寝入りをしたりする。いっぽう両親と兄は新しい母屋で川の字になって寝ていたので、私は「自分は悪い子だから両親から嫌われているんだ」と思っていました。あとから母に聞いたことには、「自分が小さいころおばあちゃんに育てられて幸せだったから」というのが、母が私を祖母(母にとっては義母)に任せた理由でした。虚弱で神経質な身を押して都心までフルタイムの仕事に出ていた母は、週末になると毎度のように寝込んでいました。子ども二人の世話を十分できるような余裕がなかったのでしょう。また、「祖母に育てられた自分は幸せだったのだから、娘も祖母に育てられたら幸せに違いない」という思い込みもあったのかもしれません。父は昔でいう典型的な企業戦士で、有能でよく働きますが家族との情緒的な交流というとてんで苦手でした。今から40年近く前、家父長制的な雰囲気のまだ色濃く残っていた家族の中で、娘に十分なケアを施さない妻(私の母)と母親(私の祖母)の代わりに自分が、と思うには至らなかったようです。友達が行っているようなファミリーレストランに行きたかった私が小学生になったのはちょうどバブルの時期。家の近所にはカジュアルなファミレスがどんどんできました。クラスメートは皆、「このあいだあそこのファミレスに行ってお子さまセットを食べたんだ」などと自慢しあっていました。その様子を見た私は「私もみんなみたいにファミレスでお子さまセットを食べたい」と父に頼むのですが、毎度「ああいうレストランにわざわざ出かけて(高級でもない食事を)食うなんて」と一蹴されるのです。バブルの空気に乗ってあっという間に出世した父。戦後の貧しさを見ながら育ち、自分の努力で今の豊かさを勝ち取ってきたと信じていた彼は、妻子には贅沢なものを与えたいと思っていたのでしょう。高級レストランでの顔色を読みあう食事そして、私たちが連れていかれるのは和牛や伊勢海老といった贅沢な食べ放題や、仲居さんのいるような個室の高級料亭、コース料理のレストランなどでした。私と兄はデパートで買ったちょっといい服を着せられ、テーブルマナーを小声で教えられながら席に着きます。ここでほぼ毎回、父が胸を張って言う台詞がありました。「いちばん高いものを食え」。私は「うちはそんなに金持ちなんだ」と少し誇らしくなると同時になんだかモヤモヤします。それでもASD特性があり、額面通りに解釈する私は、それならばといちばん高いものを注文するのでした。兄はそんな私に顔をしかめながらほどほどに高いものを注文するのが常でした。珍しくて美味しいものをお腹がはちきれそうになるほど食べながら、私がとても不思議だったのが、父が伝票を私たち子どもには見せようとしないことでした。「ものの値段について子どもに気にさせたくない」と言うのです。よくわかりません。いちばん高いものを食えといつも言う父こそが、いつも真っ先に子どもに(特に大人の顔色を気にしがちな兄に)ものの値段について気にさせているように思うのですが…いま思えば、このようなところに「たくさん稼げていることを自慢したいけどあまりあからさまにやると下品かな」という葛藤が見えると感じます。私があの場でどの程度の値段のものを頼み、料理や伝票に対してどんな反応をすればよかったのか、正解はいまだにわかりません。正解がわからないのが私がASDがあるからなのか、それとも父の子どもに要求することのハードルが高すぎるからなのかもわかりません。高くて美味しいものを食べさせてもらえたことは感謝しています。しかしそもそも、子どもを連れての外食が「家族サービス」であるならば、子どもに(無意識にせよ)感情労働させようとするのではなくて、当のサービス相手である子ども本人の意向をできるだけ汲むことをメインにしてほしかったなと思ったりします。外食先で「空気」が悪くなる祖母には、その場を自分の支配下に置いていないと我慢がならないようなところがありました。私たち子どもがなんだかんだでそれなりに外食を楽しみ、機嫌よくはしゃいでいたりすると、祖母は必ず何かしら騒ぎを起こすのです。「素うどんでいい!」と言い張ったり、「こんなものまずい!」と騒ぎだしたり、給仕の人に「帰る!」と叫んだり。周囲の客が何事かと振り返るほどの大声で騒ぎ立てるものだから父が「いい加減にしろ!」と怒鳴り、それで店中がシーンとなってしまったり…これは実は私自身はほとんど具体的には覚えていなくて、大人になってから父がこぼしていた話です。私の中には、「よくわからないけど外食に行くと必ず何かでお父さんが怒り出して嫌な気持ちになる→ 外食≒嫌だ」という記憶として埋まっていました。祖母は家族が幸せそうにしているのを見ても楽しくなかったのでしょう。突飛な言動をしてでも、みんなが自分に注目してくれないと不満だったのだろうと思います。今でこそ私は祖母のことをこのように分析できるようになりましたが、当時は誰も、祖母の不機嫌や突飛な言動の理由を理解できませんでした。彼女に対して嫁の立場である母は、なおさら強く出られなかったことでしょう。私たち家族はしだいに外食に行かなくなりました。父は単に忙しいのだと言い張っていましたが、彼にもやはりどこか違和感や嫌な気持ちがあったのだろうと今は思っています。高級な食事より欲しかったのは当たり前の団らん今私は、休みになると夫に近所にあるファミレスに連れて行ってもらいます。そして800円と1000円のランチをじっくり比較して選び、クーポン券でドリンクバーを無料にしてもらいます。吟味して選んだとはいえ、常に美味しいものばかりに当たるとは限りません。それでも「これは好みじゃなかった、前回のあれは当たりだっけど今回は外れだったなー」などと言い合いながら二人でゆっくり食事を楽しみます。夫は最初「せっかくの外食なのにファミレスでいいのか?」と不安げでしたが、私が「ファミレス『が』いいの、そういうとこにあなたと一緒に行くのが嬉しいの」と言い続けていたら、そのうち休みの日に二人でファミレスに行くことは普通になりました。義母や義姉、義兄とのつきあいで和食ファミレスに行ったりもしますが、驚いたことに(?)食事の最後まで誰も怒り出したりしません。そして、ファミレスでの食事でもみんなとなんでもないおしゃべりをしながら食べたら、なぜかとても楽しく心癒やされるのです。私は実家を離れ、新しい家族に身を置くことで「自分に欠けていたのはこれだ、安全で穏やかな団らんだったのだ」と気づきました。リラックスし、信頼の中で接することのできる人たちとの食事や外食は、それだけで人間の芯の部分を温めるような力を持っていると感じます。栄養バランスや料理自体の美味しさは確かに大事です。けれど私は、それ以上に大事なのが、ともに食事するメンバー同士の関係性と心身の状態だと思っています。ワンコインのファミレスでもいい、レトルトのカレーでも100円のお惣菜でもいい、食卓につくみんながリラックスして安心感のなかで食事ができればそれでいいのです。とても大変な幼少期を過ごされたようですね。しかし大人になってきちんと振り返り、出来事とある程度距離を取れていますね。旦那さんとのやり取りでも丁寧に自分の思いを自分の思いを伝えられているのは素晴らしいと思います。(監修:児童精神科医 三木 崇弘先生)
2021年08月02日Q.ペアレントトレーニングって?A.発達障害がある子どもとのより良いかかわり方を学びながら、日常の子育ての困りごとを解消し、子どもの発達促進や行動改善を目的とした、保護者向けのプログラムです。Upload By 発達障害のキホンペアレントトレーニングでは、子どもが言うことを聞いてくれない、何度叱っても同じことを繰り返す、かんしゃくを起こすことが多い、言葉が遅い、危険な行動をどう止めたらいいかわからないなど、発達が気になる子どもの子育てで起きやすいことがらについて、どのように対応すればいいかを学びます。当初は、知的障害や自閉症スペクトラムを対象として、支援機関で行われている子どもへの療育を家庭でも行うことで、家庭での般化を促進し定着を促し、療育の効果をアップさせたり維持させたりすることが目的とされていました。日本では、ADHDを対象として、ご家族の日常生活の困り感を軽減するためのプログラムとして広がり、これらが合わさって独自に発展してきました。現在の日本でペアレントトレーニングを行っている団体は複数あります。一つは、各都道府県に設置されている発達障害者支援センターや教育センターなどの行政機関です。また、病院などの医療機関や、大学に付属している心理センターなどでも実施をしているところがあります。近年は、各地の親の会や支援団体が運営するNPO法人、民間の事業所、個人開業者などで実施をしているところも増えています。参考:日本ペアレント・トレーニング研究会
2021年08月01日わが家の第1子は、幼稚園入学直前に自閉症スペクトラムの診断を受けました。私はショックで何も手につかず、不安で涙が出てくることも……。それでも、幼稚園が始まってみると問題行動を起こし、その対応に追われ、泣いている暇さえなくなりました。そんな幼稚園時代、困り事はいろいろありましたが、特に目立った行動への対応の仕方についてご紹介します。 じっと座っていられない本人を観察してみると、「座っていないといけない」ということを理解しているけれど、そのことをふと忘れて席を立ってしまっているように感じました。そして、ただ座っていなさいというのは苦痛のようで、「座って色塗りをしなさい」など課題をつけると座っていられることが増えました。 さらに、自閉症児の特徴として、先の見通しがたたないと不安になるとも言われています。そのため、「時計の長い針が〇にくるまで」といったようにゴールを明確にして座る練習をしました。 覚えるのが苦手幼稚園では「のり、はさみ、画用紙を用意して」など、複数の指示がありますが、それを覚えるのが苦手なようです。自閉症児の特徴として、聴覚より視覚のほうが指示が入りやすい子もいるようですが、わが子は発達検査の結果をみても、聴覚のほうが優位なようです。 それなのに、なぜ覚えて行動に移せないのか観察してみると、指示の声はBGM化して覚える気がないようです。そこで、要件を話す前に「〇〇君」と声をかけて意識を集中させてから要件を伝えると、覚えられることが多いとわかりました。 音に過敏! 運動会どうなる?当時、あまり意識していなかったり、経験もそうなかったので不思議だったのですが、運動会の練習を始めると嫌がる、脱走するということが起きていました。今思えば、運動会のダンス、組立体操の太鼓の音が苦手なようでした。これについては、当時の私の勉強不足でなすすべがなく、どうしてあげることもできず……。 今なら、苦手な音があることがわかりますし、イヤーマフを使うなどの方法も思いつきます。健常な私たちには理解できない不快感のなかで戦っていたのかと思うと、申し訳なくなります。 発達障害の診断を受けるまでは子育てに希望をもっていましたが、いざ発達障害と診断され、しかもそれは治らないと聞いたとき、一時期はどん底の思いでした。それでも、わが子のためにと療育の本で知識を深めたり、発達検査の結果や目の前にいるわが子と向き合うことで、少しずつ理解が深まっていき、サポートに繋げることができたと思っています。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 ベビーカレンダーでは、赤ちゃん時代を卒業して自己主張を始めた2~6歳までの子どもの力を伸ばし、親子の生活がもっと楽しくなる【キッズライフ記事】を強化配信中。今よりもっと笑顔が増えてハッピーな毎日なりますように! 監修/助産師REIKO著者:小林 香穂自閉症スペクトラムの13歳の長男と、グレーの10歳の次男のママ。療育、育児、学習サポートの面で試行錯誤しつつ、その経験を執筆中。「それぞれが居心地のいい場所作り」を目標としている。
2021年08月01日発達障害のある息子にキャンプを体験させたいと思い…Upload By かなしろにゃんこ。ADHDと広汎性発達障害がある息子リュウ太、小4の夏休みのことです。その春にリュウ太が発達障害の診断を受けてから、私は発達障害に関する本を読んだり、インターネットで発達障害がある子の情報を調べたりしていました。その中で発達障害や身体の障害がある子がボランティアの人と過ごすキャンプがあることを知りました。2泊3日と短い期間だったので、周りの人とうまく付き合うことが苦手なリュウ太もギリギリ参加できるかな~?と思い、私はリュウ太をそのキャンプに行かせたくなりました。Upload By かなしろにゃんこ。「フィールドワークをしたり、川遊びをしたり、知らない子同士でも楽しめるのではないかな?」「仲間と協力してできるワークなどがあるんじゃないかな?」と一人考えてはワクワクしていました。参加させる気満々でリュウ太に「夏休みだからキャンプ行かない!?」と伝えると…「お母さんが行かないなら行きたくない、それに山に興味ないな~」と答えが返ってきました。息子は人見知りがなく、自分が好きな電車や車のイベントでは遠くまで一人で出かけられる行動力もあったので、参加を期待していたのですが…母親から離れて一人で泊まりに行く勇気はないとのこと…トホホ。夏休みに家族でハイキングへ!夏休み中、行くところは市民プールとショッピングモールのオモチャ屋ぐらいです。コンクリートに囲まれた場所じゃ感じられない空気や感触を知って欲しい!自然の中でいろいろな体験をさせてあげたい気持ちがむくむく湧いてきました。リュウ太が山に興味がなくても連れていってしまえば、それなりに良い刺激になるんじゃないかしら?と思い、長野県の上高地に家族でハイキングに行くことにしました。Upload By かなしろにゃんこ。上高地という場所は自然保護のためにマイカー規制があり、山の中に入るための専用のバスがあります。そのバスに乗ってご機嫌な息子。このあと、生まれてから歩いたことがないくらいの長い距離を歩くことになるとは知らず…。しかし、普段から怠惰で面倒くさいことが大キライ、疲れることが苦手で長距離を歩くことがないリュウ太も上高地の美しい池や湿地、山々が新鮮だったようで「こんなところがあるんだね」と感動してくれました。土や河原、木の遊歩道を歩き川の流れの音を聞いて川の水を触り楽しそうにして順調に歩いていたので、ハイキングコースの折り返し地点・目的地にすぐ到着しました。夫の提案に「息子がついていけるのか!?」と不安になり…Upload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。夫が「ここから少し歩くけど、さらに奥のほうに歩くと美味しいイワナの塩焼きが食べられるポイントがあるから行こうか!」と誘います。イヤなことからすぐに逃げるし、体力のペース配分ができないのでくじけやすいリュウ太を、私はそんなに頑張れないと思っていたので、折り返し地点からバスに乗って帰ろうと提案しました。しかしリュウ太は調子が良かったのか「イワナ食べたい!」と歩く気満々になっていました。夫が言う「少し歩くと」は嘘で、実際は歩いてきた3キロメートルの距離と同じ距離を歩かなければなりませんでした。途中でぐずられたら最悪だな~…リュウ太のぐずりは、グチが止まらず無気力になってわめきはじめる超一流のぐずりです。疲れて歩かなくなる10歳の息子を背負って歩くようになるのかな?と最悪の結果を考えて、私はイヤな気持ちになっていましたが、心配をよそにハイキングコースをどんどん歩いてイワナの塩焼きポイントに到着してしまいました。Upload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。たくさん歩いたからお腹もすいていたからでしょうか、竹串のイワナにかぶりついて「塩焼きのイワナ美味しい!もう1匹食べたい」と満足そうでした。いつも魚を全部食べないリュウ太ですが、イワナを2匹もたいらげて帰りのバスに乗るバス停までさらに3キロ歩き、その日は合計8キロメートルも歩きました。リュウ太にしてみたら上出来を超えての『奇跡』でした。おんぶして帰ることを想定していたので帰りのバスターミナルまで到着したときは普段息子を褒めたりしない夫が「頑張ったな!よく歩いたな」と珍しく褒めていました。リュウ太には内緒ですが、正直お母さんはスタミナ切れでバテバテで「もう歩きたくない」と心の中で悲鳴(泣)Upload By かなしろにゃんこ。大成功のハイキング。当時の気持ちを息子に聞いてみたUpload By かなしろにゃんこ。リュウ太はお父さんに褒めてもらったことが嬉しかったようです。ハイキング大成功でした。そのときに撮影した写真です、まだ疲れる前のはしゃいでいる息子(10歳)でございます。このコラム原稿を書くために当時の気持ちを息子に聞いてみました。「たくさん歩いてキツかったけど、それよりもきれいな場所を歩いてイワナがうまかったり、楽しかったり、達成感あったよね」なんだそうです(笑)街中だったらきっと歩けない距離だったと思います。自然の中だとナゼか頑張れちゃうんだってリュウ太を通して私も学びました。そしてリュウ太は本当は頑張れる子だったんだ!と言うことにも気がついた母でした。(監修:三木先生より)自然に触れることとリュウ太くんが自分から「やりたい!」と思えることが重なった、素敵な体験でしたね。普段ならできなかったことができた経験が自信になると良いですね。そしてお母さんもお疲れ様でした(笑)
2021年07月31日ADHDってなに?Upload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンADHDは先天性の発達障害「人の話をじっと聞けない」「集中力が続かない」「気になることがあると、後先を考えずに行動してしまう」、こうした行動は、多くの子どもに見られるもの。まだ自分の気持ちを上手にコントロールすることができず、その場にそぐわない行動をとったり、大人から見るとわがままに見える振る舞いをしたりするのも、子ども時代にはよくあることですね。子どもたちはさまざまな経験を積み重ねるなかで、叱られたり、周囲の反応から学んだりしながら、少しずつ社会生活に適応していきます。ところが、ADHDがある子どもの場合は、毎日のように忘れ物をしたり、パッとほかのことに気を取られてしまったり、じっとしていることに苦痛を覚えたりといったことが続きます。本人が努力してもなかなか改善が難しいため、だんだんと集団生活に困難を感じたり、生きづらさを抱えたりするようになることも少なくありません。ADHD(注意欠如・多動性障害)とは、不注意(集中力がない)、多動性(じっとしていられない)、衝動性(考えずに行動してしまう)の3つの症状がみられる先天性の発達障害です。平成24年に文部科学省が行った調査によると、通常学級に在籍している児童生徒のうち、行動面で著しい困難を示す子は3.6%程度と言われています。これは、ADHDの診断がある子の数ではありませんが、通常学級の中に行動面の問題を持つお子さんが多くいることが伺えます。ADHDの3つの症状ADHDの具体的な特徴を見ていきましょう。1.不注意による症状・忘れ物が多い・何かやりかけでもそのままほったらかしにする・集中しづらい。ただ自分がやりたいことや興味のあることに対しては、集中しすぎて切り替えができない・片づけや整理整頓が苦手・注意が長続きせず、気が散りやすい・話を聞いていないように見える・忘れっぽく、物をなくしやすい2.多動性による症状・落ち着いてじっと座っていられない・そわそわして体が動いてしまう・過度なおしゃべり・公共の場など、静かにするべき場所で静かにできない3.衝動性による症状・順番が待てない・気にさわることがあると、乱暴になってしまうことがある・会話の流れを気にせず、思いついたらすぐに発言する・他の人の邪魔をしたり、さえぎって自分がやったりするADHDの3つのタイプとそれぞれの特徴ひとくちにADHDといっても、症状の出方は人によって異なります。不注意が強く出る人もいれば、多動性や衝動性が強い人もいます。診断の場では、ADHDは大きく3つのタイプに分けられます。また、性別によっても多いタイプが変わると言われています。1.多動性-衝動性優勢型多動と衝動の症状が強く出るタイプです。・授業中でも構わず歩き回ったり、体を動かしてしまったりするなど、落ち着いてじっと座っていることが苦手・ちょっとしたことでも大声をあげたり、乱暴になったりしてしまう・思いついたことをすぐに口に出してしまうため、不適切な発言をしたり、自分の話ばかりしたりしてしまう全体的にみると「多動性-衝動性優勢型」の割合は少ないものの、男性(男の子)に多くあらわれることがわかっています。2.不注意優勢型不注意の症状が強く出ているタイプです。・気が散りやすく、物事に集中することが苦手・やりたいこと、好きなことに対してはとても集中して取り組むが、切り替えが苦手・忘れ物やなくし物が多い・片づけが苦手・ぼーっとしているように見えて、人の話を聞いているのか分からない忘れ物が多いのは、ADHDの子どもばかりとは限りません。とくに幼いころは、ADHDでなくても忘れ物をしたり、長時間の集中が苦手だったりする子どもも多いもの。そのため不注意優勢型のADHDは気づかれにくく、大人になってから診断されることもあります。このタイプは、女性(女の子)にあらわれることが多いと言われています。3.混合型多動と衝動、不注意の症状が混ざり合って、強く出ているタイプです。・多動性-衝動性優勢型と不注意優勢型のどちらの特徴も併せ持っていて、どれが強く出るかは人によって異なる・忘れ物やなくし物が多く、じっとしているのが苦手で落ち着きがない・ルールを守ることが苦手・順番を守らない、大声を出すなど衝動的に行動することがあるADHDの原因は脳の機能障害ADHDは生まれつきの脳の機能障害です。ただ、その症状が起こる確かな原因はまだはっきりと解明されていません。近年の研究から、ADHDは行動をコントロールしている神経系に機能異常があると考えられ、脳の前頭前野との関連が有力視されています。脳が働くためには、ドーパミンやノルアドレナリンといった神経伝達物質が必要です。しかしADHDの人の場合、神経伝達物質がうまく運ばれず、そのために「不注意」「多動」「衝動」の3つの特徴があらわれると考えられています。また、前頭前野の働きが弱いと、五感からの刺激を敏感に受け取りすぎてしまいます。感覚を過剰に感じるために、集中することや論理的に考えることを苦手としやすい、という説もあります。ADHDは親のしつけが原因ではない親の育て方やしつけが発達障害の原因である、と言われていたこともありますが、これは大きな誤解です。また、ADHDは外見からその特徴が分かりにくいため、本人の努力不足と決めつけられてしまうこともよくあります。周囲から理解されず、責められたり、非難されたりということが続けば、子どもの自己肯定感は下がるばかり。「ほかの子みたいにできないから自分はダメなんだ」と自信をなくしてしまったり、「また叱られちゃうかもしれない」と萎縮してしまったりすることも。こうした経験が重なると、ADHDの症状がより強くあらわれたり、うつや不安障害、不登校、ひきこもりなど、ほかの症状や問題行動が引き起こされたりすることもあります。これをADHDの「二次障害」と言います。一方で、「興味のあることをとことん追求できる」「行動力がある」など、ADHDの特性を生かして活躍している人もたくさんいます。ADHDの子どもたちが自分らしくのびのびと育っていくためには、本人はもちろん、周囲の人がADHDの特性を理解し、適切なサポートをすることが大切だといえるでしょう。
2021年07月31日情報が頭の中で書き変わる、集中している対象以外の情報が脳に届かないUpload By 発達ナビ編集部牟田暁子LITALICO発達ナビ編集長(以下――)小島さんはご自身にADHDの特性があると公にされていますが、ご自身の特性を感じるエピソードについて教えていただけますか。小島慶子さん(以下、小島):今日も、リアルの取材だってわかっていたのに、家で原稿を書いているうちに、オンライン取材だと頭の中で予定が書き変わっていたんです。昼過ぎにマネージャーから「15時から中目黒での取材、頑張ってくださいね」と連絡が入って、「あ!リアル取材だった!」と思い出してあわてて支度するという。スケジュール管理が難しくて、何重にもリマインダーを用意しておかないと、こんな風に情報が書き変わったり、抜け落ちたりするんです。――それは子どものころからですか。小島:そうです。なんで間に合わないんだろう、どうして勘違いしたんだろう、これは魔法?と思うくらい。情報がすぐ書き変わってしまうのはもしかしたら、ワーキングメモリーが弱いからかもしれません。そして、過集中になっているときには、集中している対象以外のことについて横から何か言われても、脳に届かない状態なんです。ただ、過集中のときも、私はどうやらリアクションは普通らしくて、何か言われると「わかりましたー!」と返事をしている。それで相手はこれで伝わったと思っているけれど、私の頭には入っていないという具合です。見たもの聞いたものが目と耳で止まっていて、脳まで届いていない感覚です。――今はスマホなどでさまざまなリマインダーがありますが、子ども時代や学生時代はどうされていましたか。小島:大事なことは紙に書いて壁に貼ったり手に書いたりしていましたけど、それでもうまくいかないこともありました。私が子どもだった1970年代から80年代当時、まだ発達障害はほとんど知られていなかったので、とにかく困った子どもだと思われていました。面白そうなことを見つけると、後先考えずにそっちに行ってしまったり、不用意な発言で友達を傷つけたり、場がシーンとなっちゃったり。いわゆる空気が読めない子どもだったから、いじめのターゲットになったこともありました。もちろん、いじめは発達障害の特性があったからというだけでなく、転校生だったことや背が高いことなど、複合的な要因によるものだと思いますが。そうした経験があって、「どうやら、思いついたことをそのまま言ってはいけないらしい」などと、うまくやっていくための工夫を、傷だらけになりながら学習してきました。「助けて」と言えない環境だった子ども時代――そんな小島さんは、家庭の中でどんなふうに育てられたのでしょうか。小島:私の親は1930年代生まれで、子育てしていたのは1960~90年代。発達障害のことなんて知られていないし、私みたいな子どもを育てるのはほんとに大変だったろうと思います。だけど、あとから思うと、子どもが発達障害であろうとなかろうと、「なんで普通にできないの?」と聞かれるのはかなり重たいことでした。私は、“わがままでひねくれていて、すぐご機嫌ななめになってしまう子ども”。母は、「どうして慶子はこんなに育てにくいのかしら」と悩んだのでしょう。よく「なんで普通にできないの」と言っていました。母も苦しかったでしょうし、両親を責めることはできませんが、適切な言葉がけではなかったと思います。子どもの私にしてみたら話を聞いてほしいのに、「ひねくれている」といわれて話を聞いてすらもらえなくて、ますます機嫌が悪くなるという悪循環でした。――「普通」って重い言葉ですよね。小島:今考えると、両親が「普通」と呼んだものは青い鳥みたいなものでした。多分、みんながニコニコ笑っていつも仲良く、何のトラブルもない家庭を「普通」とイメージしていたんだと思います。両親は東京の貧しい家庭に育ち、家族との関係でも苦労していました。戦争で空襲や疎開を経験し、戦後は日本の経済成長とともに、一歩一歩豊かになってきた人たちです。あんなに貧しかった自分たちが、マイカーやマイホームを手に入れることができたという喜びがあったのだと思います。だからこそ、ホームドラマに出てくるような絵になる素敵な家庭への憧れが強くあって、あの時代の集団幻想みたいなものを「普通」と呼んだのかもしれません。暗黒の中学時代、生まれ変わろうとした高校時代Upload 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発達ナビ編集部――中学校、高校時代は、どのように過ごしてこられましたか。小島:人間関係がうまくいかなかった中学3年間は、暗黒時代でした。自分も世界も全部消えればいいのにと思っていました。私が通っていたのは私立の中高一貫校で、当時はいわゆるバブル全盛期。とにかく周りのみんなが眩しく見えたんです。お金持ちのうえに、可愛くておしゃれで成績もよくて、あげくに性格もいい、そんな子たちが羨ましくて。授業中に前に座る友人のセーラー服の四角い襟をジーっと見つめて、じっとり鬱々としていました。「妬ましい…」って。でも、中学3年生になるころには妬むのに疲れちゃって。一貫校だったんですが、高校になったら校舎も移るし、「よし、生まれ変わろう」と決意しました。で、人に好かれる友人の会話をじっくり観察したんです。ほほう、このタイミングで笑うんだ、ここでそういうリアクションするんだ…と学習しました。高等科になって、学習したことを実践。まずは挑戦しやすそうな、“無口な人”になる。生来のおしゃべりである私にとっては新鮮な体験でした。とにかく黙る。誰かに話を振られるまでは口を開かない、ニコニコしてただ「おもしろーい」と言うだけ。たった1ヶ月、無口チャレンジをやったところで、「慶子ちゃん、おとなしいよね」なんて言われるようになったんです。中等科3年間の私のトンガリぶりを見ていたはずの同級生たちが、たった1ヶ月で私を「おとなしい子」だと信じてしまう。人はこんなに簡単に、評価を変えるものなのかと思いました。そこで次に、笑い方や発声、リアクションも変えてみました。古典芸能と同じ。「型」から入って、次第に自分のものになっていくのですね。あとから思うと、これは衝動性をコントロールするためのひとつの効果的な方法だったんじゃないかと思います。無口な人とかふわふわした人とか、どの型もうまくいくようになって、そうか、相手や状況によって使い分ければいいんだ!と学びました。1年が終わるころには、いちいち考えずに今と同じように普段の自分を出しても、トラブルが起きなくなって、友人たちに受け入れてもらえるようになりました。自分の特性をコントロールするコツをつかんだということかもしれません。働き始めて、自分と向き合う――働くようになってからはどうでしたか。困っていたことだけでなく、認めてもらった経験についても聞きたいです。小島:私が選んだアナウンサーという仕事は毎日が変化に富んでいて、単調な仕事が苦手な性分に合っていました。油断すると喋りすぎるという特性については、アナウンサーの研修や現場での失敗を経験して、過剰な部分を刈り込んでととのえて調整することができるようになりました。テレビやラジオの仕事は、自分がしゃべる姿や声を後で客観的に観察できるので、特性を把握するのにとても役立ちました。当時はスマホなんかないですから、自分の姿を画面で見る機会があるのは、せいぜいホームビデオくらい。テレビ画面で客観視することで改善すべき点がわかり、だんだん人への伝え方が洗練されていきました。勤めていたTBSには、テレビだけでなくラジオがあります。声だけのメディアでは、台本ナシでもとめどなくおしゃべりができるという、いわば過剰な部分がかえってプラスになりました。ラジオで「この人おもしろい」と認められて自信をつけるという経験をもとに、映像がある場合のしゃべり方、つまりテレビでは何を言葉で伝え、何を仕草や表情で伝えるといいのかを研究しました。最初は荒削りだし、面白いけど弾け過ぎとも言われましたが、それを大目に見てくれたりアドバイスしてくれたりする人がいました。放送局には極端な人がたくさんいましたし、それを面白がるおおらかな空気もありました。アナウンサーという仕事は、自分の特性をプラスに転化しやすい環境だったのですね。とても幸運だったと思います。――アナウンサーになろうと思ったのはいつごろですか。小島:大学1年生まではいわゆる“玉の輿”に乗るつもりでいたんです。でも、当時付き合っていた年上の彼氏にふられて大失恋しました。銀行に内定していた人だったんですが、気づいたら「どうしよう、次は商社の人かな、広告代理店かな」と相手の肩書きばかりを気にしている自分がいて、浅ましさにうんざりして。じゃあ、年収と社会的信用は、男の人に頼らず自分で手にしよう!と思ったんです。それなら思い切り純粋に恋ができると(笑)そこで、当時はまだ少なかった女性が男性と対等に働けるマスコミ業界、その中でも学科試験より実技試験重視のアナウンサー、という選択になりました。テレビに出るのは楽しそうでしたしね。いちばんの理由は経済的自立でしたが、子どものころから国語の音読が好きで、学芸会のナレーターをやったら楽しかったという理由もあります。目立ちたいけど主役は恥ずかしいという、屈折した自己顕示欲ですね(笑)自己嫌悪感の強さから病気を経験し、それが発達障害の診断を受けるきっかけに――そんなふうに活躍されていた小島さんが、発達障害の診断を受けようと思うまでのことを教えてください。小島:私は長い間、摂食障害という病気でした。親の過干渉がしんどくて15歳ごろから始まり、18歳の失恋で悪化。もともと自己肯定感が低かったのが、さらに自己嫌悪が強くなってしまった。一人でいるときは、つい自分のことを考えてしまうでしょう?それは嫌いな人とずっといるのと同じこと。それで、自分を忘れるために食べてしまう。食べていると無心になれたんです。過食で太り、これではアナウンサーの試験も受けられないと思って、今度は吐くようになった。過食嘔吐を繰り返しながら、アナウンサー試験を受け、就職後も食べ吐きしながらテレビに出ていました。給料は食費に消え、そんな自分に嫌気がさしてますます悪化。今思うとあれは、自分と折り合いがつかない生きづらさをやり過ごすための自傷行為でした。アナウンサーの仕事を選んだのには、実はもうひとつ理由があります。アナウンサーになって有名になって、たくさんの人に褒められるようになったら、自分のことを好きになれるかもしれないと思ったんです。見た目も性格も、自分で自分を好きになることは無理だけど、他人が好きになってくれたら認めてやることができるんじゃないかと。でも、人前に出れば出るほど自分がすり減っていくのです。仕事では、メンタルの渇きを癒すことはできませんでした。30歳で出産してからは、過食嘔吐している暇がなくなって摂食障害はおさまりました。でも、育児の過労や仕事復帰の不安、実家との関係、夫婦関係などが積み重なり、33歳で不安障害という病気を発症しました。そのときからお世話になっている精神科の主治医からは、摂食障害も不安障害も根っこにあるものは同じだと言われました。平たく言えば、生まれ持ったさまざまな特性に加えて、安心できる居場所がない中で育ったことが影響しているということでしょうか。人間は複雑な生き物ですよね。不安障害の症状がほぼ寛解してからも、折に触れて主治医のカウンセリングを受けていました。主治医は発達障害が専門でもあったことから、生育歴などを話すううちに「もしかしたら」と気付いてくださったんです。それで、最終的に41歳のときに診断を受けました。――周りの人にもオープンにしようと思ったのはどうしてですか。小島:家族やマネージャーには、初めから話していました。自身の障害についてエッセイで書いたのは、発達障害という言葉がなんだか雑に使われているなと感じたからです。発達障害という言葉が世の中に広まるにつれ、「うちの子のクラスに発達障害の子がいるんだけどね」と眉をひそめる人や、「うちの子がそうだったらどうしよう」と不吉なことのように恐れる人に出会うことが多くなり、かと思うと自己診断で、発達障害は天才の証拠!みたいにアピールする人もいて……。なんだか“雑”だなあと思ったのがきっかけです。発達障害の一つであるADHDにもいろいろな人がいる。私の場合はこうだけど、みんながみんな私みたいではない。10人いたら10人違う発達障害を、不吉なものとか天才とか極端な話で括らないでほしい、と。そうしたら、思いのほか反響が大きかったです。Upload By 発達ナビ編集部大人になって上手になった、助けを求めること――小島さんが、今のように強く生きられるようになったのは、どうしてでしょうか。小島:けっして強くはなっていないですよ。私は大嫌いな自分が許せなかったけれど、もうしょうがないと思うようになって、それで折り合いをつけたのです。嫌いな自分、すぐ死にたがる自分と友達になったというか……、ずっと二人三脚です。今も、ずいぶんいろんな人に頼って、話を聞いてもらっています。いちばん話を聞いてくれるのは夫。カウンセラーや友人、子どもたちもよく話を聞いてくれます。「今日さあ、どんよりしちゃって、元気ないんだ」とか「また時間を間違えちゃったんだよ」なんてこぼすと、励ましてくれます。大人になって、助けを求めることが上手になりました。不安障害になったときに、臨床心理士さんや精神科医の先生に恵まれて、たくさん助けてもらった経験から、つらいときには「頼れば誰かが助けてくれる」と学習したのです。頼っていいんだな、って。子どものころの方がつらかったですね。家族の中では、相談して弱みをさらして受け入れてもらうという関係は難しくて、根っこのところでは誰にも頼れなかったから。ネガティブ思考の沼に落ちたときときは、「こんな状況で思いっきり不幸な未来ばかりを思い描いているんですけど」と誰かに言ってみる、すると「それは認知がゆがんでいますよ」と返してくれる。そうかなあ、この人がそう思うだけかもしれないぞと思って、違う人にも相談してみると、「ちょっと妄想に振り回されてない?」と言われる。何人かから同じようなことを言われるうちに自分を俯瞰する視点を得て、沼から這い上がれる。こういうことの繰り返しです。――SOSを出せるのは大事なことですよね。小島:本当にそうですね、助けてと言えばちゃんと助けてくれる人っているんだ、という経験から学んだことです。もし今つながっている人が助けてくれなくても、ほかの人は信用できるかもしれない。一つずつは何気ない言葉でも、いろいろな人の言葉がだんだん集まって、自分を支えてくれることもある。一人のスーパー救世主に頼るのはその人に完全に依存することになってしまうので共倒れのリスクがあるけれど、気軽にちょっとずつ頼れる人をたくさんつくると、生きやすくなるのだそうです。「自立とは依存先を増やすこと」という言葉を、今悩んでいる人には伝えたいです。頼っていいんです。生身の人間でなくても、本や映画や音楽の中にも、ちょっとずつ自分を支えてくれる言葉は見つかるはずです。――子どもも「助けて」のサインを出せるようになることが大事かなと思います。小島:そうですね。息子たちには、「助けて」と言える技術を伝えてきました。親はいつも全力で子どもたちの力になりたいけれども、思春期の子どもなどは、親には言いたくないこともあるでしょう。だから、「つらいときはつらいと言っていいんだよ。私たちはいつでも力になるけど、もし親以外の人がいいときは、学校の先生でも友達の親でもいい、スクールカウンセラーや、この人だったらと思える信頼できる大人に、相談していいんだよ。お医者さんもいる。必要ならいつでもつなぐよ」と伝えてきました。――うちの息子はすぐに私を頼ってくるんですが、それは息子のいいところだったのかもしれないですね(笑)。私は恥ずかしくて親に頼ることはできなかったから、余計にそう思います。小島:素晴らしい!信頼されているんですね。安心して弱みを見せられる場所って、子どもにも大人にも必要ですよね。読者には、日本ではまだ発達障害に偏見があって心ないことを言う人もいるけれども、助けてくれる人もたくさんいるし、必ず助けてくれる人につながる方法がある、と伝えたいです。お子さんに「困っていることはない?助けてほしいときはいつでも言ってね。一緒に考えて、頼れる仲間を探してあげるからね」と常日頃から声をかけるだけでもいいと思います。もし、今タイムマシンがあったら、子どものころの自分のそばに行って「私でよければ話を聞くよ」って言ってあげたいですね。Upload By 発達ナビ編集部取材・文/関川香織撮影/鈴木江実子(注釈)摂食障害や不安障害は、発達障害のある人は併存のリスクは高いですが、発達障害がすべての原因ではありません。(監修:井上雅彦先生鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授)
2021年07月30日1歳での入園後、保育園での生活は?入園後、保育園の生活自体には、わりとスムーズに慣れた次女。…というか、あまりに良く適応できていて問題を起こさないので、先生から「次女ちゃんは100点満点!」と言われるほどでした。さらに、次女と1歳児クラスの担任の先生とがとても良い信頼関係を結ぶことができていて、次女自身が何かあるとすぐにその先生に無言で訴えかけ、「何かあったらこの先生に訴えたら大丈夫!何とかしてくれる!」と、安心して過ごせていたようです。ただ、運動会や発表会などでは、ずっと不安そうにしていて泣いてしまい、先生に抱っこされているか、手をつないでもらうかして何とか参加している状況でした。Upload By まりまり順調に2歳児クラスに進級したけど、できなかったことが…1歳児クラスのときの担任の先生が、一人持ち上がりで2歳児クラスの担任となり、小さい園でクラス替えもないので、ほぼストレスなく進級できた次女。毎日楽しそうに保育園に通っていて、先生やお友だちともコミュニケーションが取れていたし、一緒に遊ぶことができていました。そんな中、2歳児クラス最初のイベントである、夏祭りのダンスの練習には、どうにも参加できず…。Upload By まりまりUpload By まりまりたぶん、大きな音と騒がしい感じが怖かったんだろうと思います。(音に少し過敏さがあり、これは今も苦手なので)それに対して担任の先生は、無理に参加させずに見学させてくれていました。Upload By まりまりただ見ているだけでなく、その後無理なく、「先生が手を持ってみんなと離れたところで踊る → 先生と一緒にみんなの近くを歩くだけ…」と段階づけた対応で気長に待ってくれました。すると…Upload By まりまり安心して取り組めたおかげで、夏祭り直前に、やっとみんなと一緒に踊ることができるように…!初めてみんなと一緒に踊れた日、次女はうれしくてうれしくて、帰宅後に「次女ちゃんおどったの~!」とハイテンションに家族に報告してくれました!家でもかつてないくらいダンスを披露してくれて、このとき、よほどうれしかったんだろうな~と…。この経験が、かなり次女の自信になったようで、これ以降の保育園での運動会や発表会も泣かずに参加できるようになりました。先生方が次女のペースをよく見て、本人が納得いくようにじっくり対応してくださったおかげで成功体験を積むことができました!次女が通っていたのが、子どもに対して先生の人数が多い園(それが自慢の保育園でした)だったので、先生方も余裕をもって対応できる状況だったのではないかなと思います。こういう成功体験があったことと、自信となる体験を何度も積ませていただいたことで、小学生となった現在も、場面緘黙の症状がありながらも、運動会や発表会などには何とか参加できているんじゃないかな~と思っています。園の丁寧な対応に感謝ですね!本人の気持ちに寄り添い、気持ちがついていくペースで少しずつ進めてくれたことが成功の要因だったと思います。こうしてスモールステップで成功体験を積んでいくと、苦手なことでもだんだん取り組めるようになるという好例です。
2021年07月30日発達が気になる契機わが子の発達が気になるきっかけにはどういったことがあるでしょう。母親としての感覚育てていて、なんとなく違うように感じていたとか、上のきょうだいと比べてという、感覚もあるようです。もっとも初めての子どもは、こんなふうな感じかなと思っていた、という方もおられました。言葉が出る前に、なんとなく関わっても反応が薄いということを気にされていたり、そんなときにたまたま来ていた実家の母から指摘されて、やっぱりと思ったり。もっとも、実家の母が大丈夫だよと言ってくれたことでちょっと安心したという場合もあります。実際、のちに健診や医療機関で診断された親への聞き取りでも実際は2歳前後までに、なんとなく気がついていたという話が多いようです。ママ友との関わりのなかで子育てが孤育てにならないように、出産した産科医院で知り合ったり、近所や友人を通してママ友となり、そこで一緒に話したりすることで、それとなく、わが子の様子を比べてみたりして、心配したり、気になったりして。健診会場でそれまでのなんとなく、どことなく心配はしてきたのですが、1歳半健診会場で担当保健師さん等からの言葉や助言から、やはり、と思ったり。さまざまな情報から最近は子どもの育ちに関した書籍やネット情報が沢山あります。検索してみると、自分と同じような悩みを持って半歩先を歩いていた方の情報と出会い、そこからどんどんと広がって、という流れなど。いずれにしても、その多くは密やかにでも家族、特に主たる養育者が、なんとなく違う、という感覚を持っていたというのが僕の臨床現場で得た所見です。ただ、そのわが子に感じた「違う」という感覚に直面するか、もう少し様子を見たいと時間をかけるか、日々揺れながら、迷いながら、一喜一憂しながら日々を送っているような印象はあります。僕は、養育者の方が診察室に来られたときに、どのような思いで日々を過ごされてきたかを、最初の出会いや表情、仕草から思いを馳せます。そのうえで、よく決心して来て下さいましたねと向きあったり、できるだけ淡々と話を聴いたり、安心を提供するような思いを込めて対応します。かなり早い段階で気になっていた、気にされたとしても、それを医療の中へ持ち込むまでには、それぞれの養育者のなかでの戸惑いや葛藤があると、いつも僕は診察室で実感します。関係者との関わり診察するということは『診断』することになるので、養育者にとっては、わが子の現状を医学的に知ることになります。ですから受診したことで、ある程度の先が見えて、改めて関わりを考えたり、当然ショックを受けたりします。医師から診断を受けた親の心理は、以前から、ショックからはじまり、否定し拒否を経て、哀しみと怒りという感情を抱き、そのあとに原因を突き止めようとして、結果気持ちが落ち込む、再度哀しみと怒りに戻りながら一喜一憂していくと言われています。実際、養育者の思いは、健診の時期、入園前後、そして就学を迎え、入学後と、子どもの生活する場所の様子や、関わる方々からの意見や助言によって、常に揺れ動きます。ほっとするときもあれば、とても落ち込むようなこともあるでしょう。友達との関わりから学習の様子と、その心配のテーマも年齢や状況によって、変化していきます。診察室での相談もこうした折々の家族の揺れや子どもの育ちの様子によって、相談の間隔が縮まったり、伸びたりします。子どもの様子を見ながら、すこしでも具体的な関わりを提案したり、現状を『この子のそだち』から理解し、その意味を一緒に探ったりしていきます。それ以上に大切なものは、その子が生活する保育所、幼稚園、学校での生活ぶりであり、そこの関係者との関わりだと、僕は思っています。最近は、現場の先生がたの障害察知感覚は、非常に優れていると思いますが、察知したことと、関わり対策の整備には、若干の開きがあるように感じています。発達が心配だから医療機関に相談するように言われてきました、診断がおりれば加配の先生がつくので、今まで以上に細やかな対応ができます、と言われ受診しました、という方もおられます。そもそも親のほうもなんとなく気にされていたので、どこかで「やっぱり」という思いと、ここでの生活がどれほど豊かになるのかは不明なままで医療機関での受診を勧められたことに、不安や不満を抱えながら、診察室にいらっしゃることもあります。特別支援教育がスタートしたころに、僕はあちこちの教育現場の先生方に「発達障害」の研修を行っていました。当時は知的に遅れのない自閉スペクトラム症や、ADHD、またいわゆる学習障害についての理解が決して充分ではなく、教育現場も大きく戸惑っていたと感じています。しかし、当時はそれでも通常学級で、どうやって向き合い教育を提供したらよいのかに尽力していたように思います。当時、学校現場に足を運び、教室の様子を見せてもらい、教師と一緒になって、関わり方を模索していました。それがどうも最近は、いかに個別支援を提供するか、という流れになっているような気がします。診断がつけば、できるだけ配慮し、できるだけ個別に対応し、というような流れになっているように感じています。確かにかつては暗中模索のなかで、子どもたちの関係性にも細やかに対応することが求められ、教師は同じ教室のなかでの対応に疲弊していました。最近は、登校時間を調整したり、クールダウンできる部屋が整備されたりして、個別の対応が強化されているように感じます。最近の子どもたちの言動は、一つの視点では把握できないような複雑な様子を呈してきたような印象もあります。育ちのなかで後天的に形成されるべき関係性が作られにくくなっているようにも感じます。また、家族が抱えている課題も複雑な場合が少なくないように感じます。もっともこれは、それぞれ相談を持ちかけられる医療現場によって、その感覚も異なるかとは思います。ただ、僕の臨床では、子どもと同時に、養育者へも相応の配慮ある支援が強く求められてきたように感じています。親同士、家族全体を視野に入れた、総合的な支援策を検討する必要が求められていると痛感することも少なくありません。実際、子どもの相談を続けている途中、きょうだいや養育者が、当事者として診察を希望される場合が増えてきている印象があります。それぞれが相応の課題を抱え、個々に生きにくさを感じているのかもしれません。こうした複雑な状況のなかで、今目の前の子どもを真ん中にし、保育・教育の現場と養育者、家族との連携が改めて整備されることが求められています。さらに最近では子どもが利用している児童デイサービスなどの機関との連携も求められています。ここに医療がどう関与するか。僕はそれぞれに一定の距離を置いて、それぞれの良さを引き出しながら、折り合いをつけ、できることを大切に、できないことは無理強いしないで、今より、その子が生きやすくなる、楽しくなるような生活作りのために、関係者の連携、むすびめ作りのお手伝いをしたいと思っています。連携に思う僕は、子どもの育ちには、医療だけでは、まったく役不足だと思っています。それ以上に、日々の生活を支えるには他職種の力が必要だと痛快しています。文字通り、総力戦での支援です。そのおかげで、僕は実際同業者よりも多職種者の友人のほうが多くなりました。それでも、最近の多職種者との繋がりにくさには、危機感が募ります。実際に、他の職種の方の守備範囲や力量を知るには、僕も現場に行ったり、お会いしてお考えを聞いたりする必要があります。異職種であるため、僕の常識が通じないという異文化体験もたくさんしました。でもそのおかげで、支援の多様性ということを学ぶことができました。結果的に、同業者よりも他職種の友人のほうが多くなりました。ただ、こうしたことを20年以上行って来て、僕は他職種者との連携の難しさ、むすびめ作りの難しさを痛感し、危機感を募らせています。これは、これまで情で成立していた繋がりの衰退なのか、組織的、構造的なつながりへ移行への狭間なのでしょうか。僕は、つながりあうことへの衰退に成らないことを祈るしかありません。僕が今も大切にしている他職種の方々と手を組み、協働作業をしようとするときの心構えは、以下の7つです。1.互いの職場に足を運び、それぞれの仕事の内容・職場の雰囲気・大変さに身と心を寄せ、できるだけ理解するようにしたい2.相手の職場の仕事に就いた場合を想像したい3.己の職場の専門用語はできるだけ使用せず、日常の言葉で話をすることのないように注意したい4.出会ったときに「ご苦労様。お互い、大変ですね」と声をかけ、相手をねぎらい、くれぐれも、苦言・提言という会話をしない5.関係者の助け合い・支え合いは、支援する方々を支える基になると信じる6.それぞれの専門的立場を尊重し、尊敬したい7.支援する方々の「今の心」、「未来へ向うための生きがい作り」を最も大切にしたい連携とは、単に専門性に裏付けられた技術のやりとりではなく、人と人との関わりから作られるネットワーク、精神的絆(むすびめ)で成り立っていると思っています。そして、傷みを抱え、生活に立ち往生したとき、この見えない絆が、支えてくれることを、僕は身をもって体験してきました。そのなかで、最近生じてきた危機感に、どう関わっていくか、今最大の課題ですが、とりあえず、出会ったときに、いやな感情を相手に生じさせない配慮だけは行い続けたいと思っています。よく養育者の方に、相手とけんかだけはしないようにしましょうね、と伝えていますが、これは、僕自身にもいえることです。また次に会えるために、最初の出会いに心を込めたいと思います。
2021年07月29日わが子の急激な成長を期待ばかりしていた私…Upload By みん療育を始める前の私は「療法士の先生が療育をしてくれるんだから、きっとすぐに効果が現れてどんどん言葉を発したり、いろんなことができるようになるのだろう!」と期待ばかりしていました。でもその様子を何度見学しても、先生は毎回毎回同じようなことを繰り返しているだけで、療育というよりは先生と遊んでいるだけのように見え、これが半年も待った療育?と最初は疑問に思っていました。周りにいるPよりも少し大きい子どもたちの様子を見ていると、その子たちは椅子に座って机の上で勉強のような療育をしているのに、何でうちの子はこんな遊びのようなことばかりしているんだろう?と不安に思ったりしていましたが、この考えは間違っていたとあとで気づかされることになります。Upload By みん先生たちは個別に支援計画を立ててくださるのですが、保護者からのニーズだけではなく、子どもの様子を把握し、検討した上でその子の発達段階や性格に応じた療育をしてくれていたのです。そのようなことを何も知らなかった私は、初めての要望では「単語が増えてほしい」「スプーンやフォークが使えるようになってほしい」などと当たり前のように言っていたのですが、そのころのPはまだまだそれらを目標にできる発達段階ではなかったのです。いきなり単語が出たり、道具が使えたりするようになるわけもなく、まずは現在できること、分かること、認知や概念がどれだけ育っているのか?など子どもの全体的な発達を知り援助することが必要でした。先生は最初にPとの信頼関係をつくり、先生と関わりたいという気持ちを育て、その上でこの先必要となる療育をする為の「土台づくり」をしてくれていたのです。でも対人関係が苦手な自閉症のPは、月に数回、数時間だけのやり取りだけでは簡単に信頼関係を築くことはできません。何回も同じ場所へ通い何回も同じ人と同じようなことをすることでやっと先生と関わりたい、伝えたいという気持ちが芽生え、信頼関係の土台ができ、そこから次のステップへとつなげることができるのです。療育は想像していたものとは違っていたUpload By みん早期療育の大切さが分かった現在はこのように先生の狙いや目的などが分かり、その効果が半年後一年後に目に見えて現れるようになってからは、私も前とは違った視点で療育を見学できるようになりました。先生が何ヶ月も何年もかけてPに土台をつくってくれたことで、現在は私が療育を始める前に思い描いていた、座ってお勉強のようなこともできるようになりました。なぜ早期療育が良いという声を聞くのか?を振り返って考えてみると、必要な手続きや待ち時間の話だけではなく、療育を受ける為の「土台づくり」にも時間がかかるからなんだと分かりました。何でもいきなり成長するというわけではなく、スモールステップで積み重ね全体的な成長があるからこそできるようになる。そしてこのように個別にも対応してくださることでP本人に合った必要な療育を一緒に考えながら進められるので、親の私にも目標や狙いが分かりやすく、とても勉強になっています。Upload By みん「遊んでるように見えるだけ」ってこと、ありますよね。僕も初めて療育を見たときは「え、これ大丈夫なの?」って思いました(笑)場所も人も発達も、安心感や土台がしっかりあって初めて次のステップに進むことができますよね。
2021年07月29日暇な時間は、ちょっともったいない。また習い事を始めることに。前回の続きです。娘が小学生になる3か月前に、市外に引越しをしたわが家。それまで習っていたダンスとピアノは、遠くて通えなくなるため、やめることに。結果、習い事はゼロになりました。小学生になってからは、習い事より小学校に慣れることが優先だと考え、放課後をのんびり家で過ごしていたのですが…。小学1年生はまだ帰宅時間が早く、宿題も少ないため、放課後は結構暇。Upload By SAKURA入学から半年ほど経過したころ、家で暇を持て余す娘の様子を見て、そろそろ何か習い事を始めてみてもいいのではないかと感じるようになりました。新しく始めたのは、琉球舞踊!前回同様、個人指導のものか、集団指導のものか…運動系、文化系で迷っていたところ、親戚から琉球舞踊をすすめられました。Upload By SAKURAいろんな動画や写真を見せたところ、娘も「やってみたい」とやる気に。早速、琉舞を始めることになりました。ダンスを習っていたころよりは、人の話も指示も聞けるようになっていた娘は、思った以上にきちんと琉舞に取り組んでいました。Upload By SAKURA曲を聞けば身体も動くようになり、何度も発表会の舞台にも立ち、「これはずっと続けて、将来かなりの腕になるのでは!?」と、親として期待するようになってきました。順調だと思っていたら…習い事の日に体調不良?しかし、小学2年生になったある日…Upload By SAKURA琉舞の日になると、「お腹が痛い」「足が痛い」と、体調不良を訴えるようになったのです。「休む?」と聞けば『行く』というので、行かせると『楽しかった』と帰ってきました。原因は精神的なもの?最初は一時的なものだと思い、様子見て通わせていたのですが、一度気分が悪いと言った日に「じゃあ、今日は休んじゃおう!」と言ってみたところ…Upload By SAKURA休みだとわかった瞬間、娘は元気になりました。その態度を見たとき、「これは精神的なものだ」と確信しました。主人に相談すると…Upload By SAKURA主人も、私と同じように「嫌だと思っている状態で、無理やり続けることはない」という考えでした。「やめてもいいよ」と言うと…私は、娘の気持ちを再度、確認することにしました。Upload By SAKURA「先生に『やめます』って言ったから、もう行かなくていいよ」と報告すると、娘は…Upload By SAKURA初めて、やろうと思った理由や、嫌だったことを話してくれました。「やめたい」と言ったら、私に悪いと思ったのでしょうか。本心を聞けたことで、改めてやめてよかったのだと思いました。(続く)LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!
2021年07月28日いつも元気なレンジャーたちがなんだか元気がない様子…その原因は?レンジャーたちが海外へ!!Upload By 荒木まち子意外と国境の壁を越え、馴染んでいるようで…Upload By 荒木まち子執筆後記困り感やハンディを持つ人、マイノリティの人が文化や言語が異なる“外国”に行ったら更に苦労する?いえいえ決してそんなことはなく、むしろ海外の方が過ごしやすいかと…(荒木まち子)LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!
2021年07月28日心理検査は思ったより問題数が多かった!?はじめての診察の後、日を改めて今度は「心理検査」を受けました。Upload By 寺島ヒロ心理検査とは知能水準や発達水準、パーソナリティを評価するための検査。筆記テストや、スタッフさんとの言葉のやり取り、数字の読み上げなどいくつもの項目を記録し、総合的に判断するそう。今回いっちゃんは、ウェクスラー式知能検査(WISC-Ⅳ)と、人格テストを受けました。人格テストは、前回の診察の後にもらった自己チェックシートなどを参考に、専門スタッフとの面談で行われました。内容は「内緒」なのですが…いっちゃんに感想を聞いたら、こんなことを言っていました。「問題がいっぱいあって、『もう飽きたーっ』て何度も思ったけど頑張ったよ!」「クイズみたいなのは、すぐ分かるのと考えてもわからないのがあった。絵の問題は全部できたと思う」「数の問題はダメだった。自分でもびっくりするぐらい覚えてなかった!」う~ん、なんというか、予想通りです。いっちゃんは得意不得意がはっきりしている子どもだと普段から感じていたので、ちゃんとその辺の傾向をあぶりだしてくれるテストなんだなという印象を持ちました。Upload By 寺島ヒロちなみに、心理検査を受けた日のお会計は2,000円ほど。国民健康保険がきいて3割負担だったので、保険なしだと6,000円程度なのかな?と思います。また、心理検査の結果を紙面で後日もらったところ、文書作成料として3,600円かかりました。文書の作成料は医療機関によってかなり差があるようです。心理検査で分かったことさて、2週間ほど経って心理検査の結果が出たというので再度来院しました。担当医師には「予想通りというか、かなり顕著に(ASDの)傾向が出ました。低いところでもそこそこの数字が出ているので、日常生活では困ることはあまりないかもしれません。当面は睡眠が1番の問題かと思われます」と、言われました。また、性格傾向についても説明を受け…いっちゃんは「すっげー!当たってるうー!」と感心していました。占いじゃないんですけど(笑)そして気になる診断は…?診断については、「必要があるのであれば発達障害の診断はすぐ出せると思いますが、困りごとが睡眠だけと受け取られる書面になると不都合が出るかもしれない。少し様子を見てから出しましょうか」ということで、しばらく定期的に通いながら、本人の困りごとや心配ごとを細かく調べてからということになりました。Upload By 寺島ヒロ※なお、今回ご紹介したのはあくまでいっちゃんが受診したときの話で、必ずしもこの順番、内容になるとは限りません。
2021年07月27日お子さま向けワークショップがいよいよ開催!夏休み突入!なかなか外出も難しいこのご時世、お子さまと何をして過ごそうかとお悩みではないでしょうか。そこで発達ナビでは、夏休みの思い出に残る楽しい時間をお届けするイベントを企画し、「オンラインサマーフェスタ2021」として開催中!7/17・7/18に行われたオンラインセミナーは、おかげさまで多くの方にご覧いただいたイベントとなりました。続いては、いよいよお子さま向けワークショップです!オンライン開催なので、全国どこからでもご参加可能です。サマーフェスタを通して、皆さまの夏のおうち時間が、充実したものになりますように。たくさんのお申込み、お待ちしております。Upload By 発達ナビ編集部開催概要<お子さま向けワークショップイベント>■日時:7/31(土)・8/1(日)■参加費:無料■形式:Zoom配信■参加方法:事前申込必須■定員:あり(先着順)■内容:発達が気になるお子さま向けの楽しくまなべるオンライン教室英会話、工作、科学実験などおうち時間を盛り上げるコンテンツをご用意しています。7/31(土)おうちでできるオンライン英会話レッスンの体験会Upload By 発達ナビ編集部お子さま一人ひとりのレベルに合わせたマンツーマン英会話レッスンを提供する、「リップルキッズパーク」。今回のイベントでは、レッスンを"オンライン"で特別体験できるセミナーをご用意しました。ご自宅のいつもの環境から参加できるので、発達が気になるお子さまにも安心です。英語に自信がないけどやってみたいお子さまは【おやこ】一緒でも、自信がある場合は【マンツーマン】でもチャレンジが可能!お子さまの「好き」が見つかるきっかけになるかも。ここだけのマンツーマン体験で、外国人の先生と楽しくお話ししてみませんか?8/1(日)4つのテーマで、よしもと芸人によるワークショップUpload By 発達ナビ編集部「ラフ&ピース マザー」は、吉本興業とNTTグループが今年3月にスタートさせた、まったく新しい“学び”のプラットフォーム。自分の“好き” が見つかる動画や、遊びながらいろんな力が身につくアプリなど、何度でも遊べるコンテンツが盛りだくさんのサービスです。今回のイベントでは、講師は吉本興業所属の芸人さん!そして【科学実験・日本史・工作・英語】のテーマで、一緒に手を動かしながら学びへの探究心を育みます。楽しく遊んでいると思いきや、気がついたらたくさんの学びが得られている、そんな夢のような時間をぜひお楽しみください。【満員御礼】VRゴーグルでバーチャル旅行へUpload By 発達ナビ編集部満員となったため、お申し込み受付は終了しました。ご参加予定の方はお楽しみに!【アーカイブ配信登録受付中】7/17・7/18保護者さま向けセミナーさらに、7/17(土)・7/18(日)に開催された保護者さま向けセミナーの、アーカイブ配信がスタートいたしました。専門家や登壇者への質問コーナーは、オンラインとはいえかなりの熱気を感じ、日々の子育てに役立つ情報が盛りだくさんな時間となりました。そんな内容充実なセミナーを、期間限定でアーカイブ配信中!当日配信を見逃してしまったという方、もう一度じっくり見返したいという方はぜひこの機会をお見逃しなく!さらに、アーカイブ視聴者の方へのサマーフェスタ限定特典もあります!今からでもアーカイブ視聴を希望の方は、ぜひ特設サイトから参加登録をして、アーカイブをご覧ください。Upload By 発達ナビ編集部
2021年07月26日東京都児童発達支援事業所Upload By 発達ナビ施設情報ヒーローズきっず八王子教室は、2021年10月オープン予定。「世界基準の介入教育を早期に!」をスローガンに掲げ、TEACCH、ABAなどの介入方法を実践し、感覚統合、学習支援、ソーシャルスキルトレーニングを支援の三本柱とした療育を行う施設です。アセスメントを丁寧に行い、ご家族や指導員の情報をもとに、一人ひとりに応じた課題の設定や到達目標を決定し、手指の巧緻性を養ったり、認知課題を取り入れたり、感覚統合の観点からアプローチなど、「得意を伸ばし」「楽しく」療育に取り組むことができます。東京都の児童発達支援事業所をもっと見る神奈川県放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報2021年7月にオープンしたばかりのOne step smile日野教室は、 ~体験し体感し体現する~ をテーマに、お子さんのいろいろな体験『やりたい』『わくわくする』『できた』を大切にしている施設です。一人ひとりの個性を大切にし、いろいろなことをスタッフやお友達と体験し、挑戦することができます。集団生活の中のルールや決まりごとなどの遊びを通して、子どもたちが学び、その中で起こる困りごとや、お子さんの特性や個性を理解し、支援を行っています。いろいろな体験・体感・体現をして、楽しいをみつけませんか?神奈川県の放課後等デイサービスをもっと見る神奈川県児童発達支援事業所Upload By 発達ナビ施設情報グローバルキッズAct大倉山では、お子さん一人ひとりが笑顔で過ごせるよう、お子さんの思いや気持ちを第一に考え、一人ひとりの個性を伸ばせるよう支援を行っています。個別療育では一人ひとりのお子さんに応じた関わり、小集団療育ではコミュニケーションの方法や気持ちをコントロールする活動を行っています。明るく笑顔でお子さんの素敵な部分を見つけることが得意なスタッフが揃っていて、将来豊かな気持ちで楽しく過ごせるように保護者の方と、一緒に成長を喜び合える療育を提供する施設です。神奈川県の児童発達支援事業所をもっと見る愛知県児童発達支援事業所Upload By 発達ナビ施設情報ヒーローズきっず本郷教室は、一緒に見る景色の中にあるたくさんの隠れたヒントを拾い上げ、観察し「得意なこと」「楽しんで取り組むこと」が増えるように1つずつ階段を上り、時には立ち止まり、サポートをする施設です。発達の過程に応じて、個別又は集団における支援を行っています。教室は、ほかの人の気配を感じられる距離感でありつつ広々とした空間となっており、個別療育から集団への移行もしやすい環境です。周囲との関わりや遊びを通し、豊かな感性や表現する力を養い、創造性を豊かにできる具体的な支援を行っています。愛知県の児童発達支援事業所をもっと見る大阪府放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報「経験・体験から学びへ」社会体験や、日常生活に大切な経験など、放課後等デイサービスFun Funには、数多くのプログラムがあります。スタッフには、お笑い芸人や俳優が在籍しており、さまざまなイベントへの参加、歌のレッスン、クリスマス会など、ほかでは体験できないイベントが盛りだくさんで、数多くのことを経験することができます。また子どもたちの居場所となるように、家庭とも連携しながら、それぞれの個性に合わせた個別の療育を通し、子どもたちの「できる」を増やすサポートをする施設です。あっぷるtreehome神崎川は、2021年8月にオープン予定。夏には広いバルコニーで水遊びをしたり、目の前には公園があり、びのびと過ごせる環境になっており、プログラミング、ロボット教室、英語、学習支援、外出支援、運動、感覚統合、地域交流、外出支援、農業体験、食育など、自主性や将来的な生活能力を培うことができます。将来、自立できる力を培うため、特にプログラミング・ロボット教室・システム学習に力を入れています。お子さん一人ひとりの成長に合わせた、スモールステップでの目標を設定し、自立に向けてのサポートをする施設です。Upload By 発達ナビ施設情報大阪府の放課後等デイサービスをもっと見る大阪府児童発達支援事業所Upload By 発達ナビ施設情報あっぷるtreehome神崎川は、2021年8月にオープン予定。MSPA研修を受講・認定者が診断を行い、子どもの得意・不得意など凸凹をグラフ化し、一人ひとりの特性を知ることで自宅での取り組み方を一緒に考えたり、支援計画を作成し、療育を行う施設です。どう凸(できる事)を伸ばすか、凹にはどのような方針で対応していくか、先生全員で子どもと関わり、きめ細やかな療育を受けることができます。感覚動作アセスメントを元に、幼児からできるプログラミング、ロボット教室、学習支援、外出支援、地域交流、食育などの支援をする施設です。大阪府の児童発達支援事業所をもっと見る福岡県放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報2021年3月にオープンした放課後等デイサービスポコアポコ福岡南。習い事・学習支援・生活支援の3つの療育カリキュラムに沿って支援を行っています。音楽と英語活動を週に1回程度取り入れており、音楽ではピアノの個人レッスンや集団でのリトミック、英語では発音練習やコミュニケーションゲームなどを行い、お子さんの集中力やコミュニケーション能力を伸ばすことができます。学力や特性に応じて、伸ばしたいスキルに応じた療育課題を出したり、食事・片付け・掃除など生活の自立に必要なスキルを身につける活動を行っています。福岡県の放課後等デイサービスをもっと見る「もっと施設の情報を詳しく知りたい!」「見学をしてみたい!」と思ったら、WEBからもお問い合わせが可能です。施設情報ページでは、掲載されている施設の情報を地域ごとに検索して見ることができますよ。
2021年07月26日Upload By スガカズスガカズ現在4人の子どもを育てているママです。・長男(中2 ASD、ADHD)・次男(小5 ADHD)・長女(年長 定型発達)・三男(年中、定型発達)障害のある子に手がかかることできょうだい児がガマンしすぎていないか?精神面のフォローはどうすればいい?Upload By スガカズスガカズ(以下、――)障害のある子にどうしても手がかかることで、きょうだい児に、例えば注意散漫や自己肯定感の低下など、発達障害に似た症状に陥る事例があると聞いています。親としてそういったことは心配です。実際子育てをする上できょうだい児にガマンさせているだろうという場面が多々あるので…三木先生:どんな場面で、心配だと感じますか。――例えばわが家の場合だと、3番目の子(年長・長女)です。長女は家では口が達者なので上の子たち(障害児)に対して指摘する場面をよく見ます。保育園では下の学年の子たちのお世話を率先して行っているようです。例えば、乳児クラスのお友達の子に靴をはかせてあげていたり。私はそんな様子の長女に感心しましたが、一方で、この子は本来世話好きな性格と言う訳ではなく、普段の生活で『私が頑張らないと』と潜在的に思って無理しているのではないか…と、心配にもなります。三木先生:長女さんだけの時間をとって、タスクオフにするとどう振る舞うのか見てみるのは大事かもしれないですね。それで本当に無理させていないかの温度感を見てみましょう。タスクオフにしてあまりにはしゃぎすぎていると確かに心配ですが、タスクオフでもお世話をするようなら、もともとお世話することが好きだと考えてもいいのではないでしょうか。――ときどき2人の時間をとっています。タスクオフにしてもお世話するタイプです。三木先生:であれば長女さんにとって、お世話をしたり他人に気を遣うことが自然なのかもしれないですね。年齢的に考えても誰かのお世話をしたがる時期でもあります。行動の是非を評価するのではなくて、彼女がしたくてやっていることを認めてあげる、というイメージです。Upload By スガカズきょうだい児を育てる上で親がとる姿勢Upload By スガカズ三木先生:きょうだい児に対しても障害のある子と同様に、普段『この子大丈夫かな?』と思う目線は大事です。子育てでトラブルをゼロにすることは不可能です。トラブルの兆候を早めにキャッチできると早めに対応しやすいので、大きなトラブルにつながりにくいと思います。――ちょっとしたトラブルが起こると、『きょうだい児だからなのか?発達障害の素質があるのか?』と、考えながら毎日子育てしています。発達障害のある子が2人いる時点で『この子は大丈夫だ』とは、まずならないので…三木先生:発達障害の特性があるとしてもどれくらい強く出るかは子どもの環境が影響しますが、長女さんの場合は『そうなのかもな』と頭の隅に置いておくくらいで大丈夫ですよ。スガカズさんはしっかりとお子さんを見ているように感じますので安心して子育てしてもらって大丈夫だと思います。親が頑張りすぎないことが大事Upload By スガカズ三木先生:とはいえ…あまり子どもたちに気を遣いすぎるとお母さんも疲れませんか。――そうですね。ときどき疲れがたまって『もうお母さん今日は何もしません!』という日もあります(笑)三木先生:その方がよいです。頑張りすぎていることに気がつかないで、ある日突然倒れるよりも、自分でオンオフを切り替えられる方が大崩れしにくいです。無理だと感じたら遠慮なく楽をしてください。そんな姿を親が見せることで、頑張り過ぎるタイプの子どもにも『力をぬいてもいいんだ』と理解してもらえるんですよ。Upload By スガカズ障害のある子を育てているお母さんは、きょうだい児に対して「この子の精神面は大丈夫なのだろうか?」「もしかしてこの子も発達障害があるのかも?」など、ふとしたときに心配する経験も多いのではないでしょうか。三木先生は、そんな親の気もちを理解し、ねぎらった上でアドバイスしてくださったので、私自身、目を光らせたり、時には楽をすることは悪いことではないのだと再確認できましたし、きょうだい児との向き合い方も明確になった気がします。
2021年07月26日小学5年生の宿泊学習は途中離脱こんにちは。加藤路瑛です。僕自身、感覚過敏の特性があることから13歳のときに「感覚過敏研究所」を立ち上げ、感覚過敏の課題解決に取り組んでいます。当事者目線、特に子どもの視点で感覚過敏について話していきたいと思います。感覚過敏があると修学旅行でどんな困ったことが起きるのか、またどんな対策ができるのかを、僕の経験を通してお伝えします。Upload By 加藤路瑛小学4年生のとき、学校で宿泊学習があり、2泊3日で山に行きました。それほど高い山ではありませんでしたが、2日間とも山の中をトレッキングしました。僕は味覚過敏や嗅覚過敏があり、食べられるものが限られています。給食もほとんど食べられません。ですから、宿泊先のご飯は食べられるものがないだろうと不安でした。1日目のお昼は家から弁当を持って行き、夜から宿泊先の食事になります。もちろん事前に、親と担任も食事の件は話し合っていました。「無理に食べなくていいので、食べられるものがあれば」という感じだったので、それなら食べられなくても怒られないし、大丈夫だろうと考えていました。1日目の夜ごはん、2日目の朝ごはん、お昼ごはん……食べられるものがありませんでした。白米だったら食べられるのですが、混ぜごはんだったので主食も食べることができませんでした。問題は飲み物でした。1日目は家で水筒に水を入れていきました。2日目は、宿泊先で生徒全員の水筒に麦茶を入れてくれました。ですが僕は、麦茶は飲めません。ホテルを出てトレッキングしているときに、喉が渇いて水筒の水を飲もうとしたら…麦茶だということに気がつきました。1日目の夜、2日目の朝と昼も夜も、僕は何も食べられませんでした。そして、トレッキング中は水筒に入っている麦茶も飲めず水分補給ができませんでした。僕は栄養不足と脱水で気持ち悪くなり、動けなくなりました。保健の先生と相談し、親に迎えに来てもらうことになりました。夜、おそらく22時くらいだったと思いますが、両親が車で迎えに来てくれました。とてもほっとした記憶があります。車にのったら、僕が食べられるおにぎりや飲み物やお菓子がたくさん買ってありました。僕は夢中で食べました。とても美味しく感じました。水分もとれて元気になりました。途中で父が車を止めて、家族で外に出ました。見上げると、星がいっぱいキラキラ光っていて、こんなに空には星があるのだとびっくりしました。そして、父が「よくがんばった」と頭をなででくれました。小学6年生の修学旅行。去年の反省を活かそう!出典 : 小学6年生の修学旅行では、日光に2泊3日で行きました。もちろん、僕の心配事は食べ物についてでした。小学6年生のときの先生は、事前に親に連絡してきてくれました。母から聞いた内容は以下のような感じです。「5年生のときの宿泊学習の件、聞きました。まず、飲み物ですが、水が飲めるということなので、必要な分だけペットボトルを持たせてください。重いと思うので私が代わりに持ちます。次に食べ物ですが、食べられるパンを持たせてください。おなかが空いて困ることがあれば、教職員の部屋で食べられるようにします。」話を聞いて、こんなことができるんだ!とびっくりしました。この担任の先生は、以前、給食が食べられない僕に弁当持参を提案してくださったこともあります。食べられない僕のことを本当に考えてくださる先生でした。Upload By 加藤路瑛先生は修学旅行中の食事のメニューをすべて調べて、事前に教えてくれました。それを母が見ながら、「2日目のお弁当の焼きそばなら食べられかも」など、先生と打ち合わせてくれました。さらに、宿泊先のホテルの料理長と母が電話で話ができるよう取り計らってくれました。料理長は「お食事がご不安だとお聞きしました。できるだけ食べられるものをお出ししたい。」と言ってくれたそうです。母は、白米があれば大丈夫なことや、豚肉はしゃぶしゃぶにして、できれば焼肉のタレがあれば食べられることなど、僕が食べられる食材や調理方法を伝えてくれました。料理長の「安心して食事の席につけるようにします」という言葉がとてもうれしかったです。(担任も調理長も神対応です!)おかげで僕は、小学6年生の修学旅行では、“まったく食べられるものがない”という状況にはなりませんでした。水筒の中身も持参した水を入れて飲むことができました。お菓子も持っていっていたので、非常食のパンを出動させることはありませんでした。ちなみにパンは、チョコチップのついたスティックパンを持って行きました。こうして2泊3日の修学旅行は、親に迎えにきてもらうこともなく、楽しむことができました。中学1年生。入学オリエンテーリング。中学校では、入学式の翌日からオリエンテーリングで宿泊がありました。入学前の説明会で、オリエンテーリングで食事について相談したいと親が学校に言ったところ、「それなら養護教諭が担当します」と保健室の先生が相談にのってくれることになりました。この時点でも僕も親も感覚過敏という言葉を知りません。「味に敏感なため食べられるものがあまりありません。飲める飲料も限られているので、脱水にならないか心配です」と言うと、先生は「それなら栄養補助食品を持参されるのはどうでしょう?お腹が空いたとき、食べていただいて大丈夫です。それから、飲み物はホテルの自動販売機を自由に使って大丈夫です。まだ、担任が決まっておりませんので、決まり次第、担任には伝えておきます」と1分くらいの相談で解決しました。小学校の時は一大事件みたいな扱いだったのに、中学では、“たいした問題ではない”という感じで、僕はうれしかった記憶があります。実際、オリエンテーリングでは、食べられなかったら栄養補助食品もあるし、お菓子もあるし、なんなら自販機で飲み物を自由に買えるし、なんとかなりました。ただ、結局、オリエンテーリングでは体調が悪くなりました。当時は理由がわからなかったのですが、今、感覚過敏という知識を持って振り返れば、聴覚過敏による体調不良ではないかと思います。味覚過敏についての対策はできていたけれど、聴覚過敏についての対策はできていなかったからです。入学直後のオリエンテーリングだったので、「友達をつくろう、みんなと仲良くなろうと」生徒たちのテンションも高く、騒がしい状態が続いていました。その音の洪水にやられてしまったように思います。Upload By 加藤路瑛もう宿泊学習は行きたくない。出典 : 感覚過敏が強い人の宿泊学習・修学旅行で気をつけたいこと中学1年の秋にも宿泊学習がありました。海のフィールドワークというもので、海辺で生物をさがしたり、グループワークをするようなものでした。入学後のオリエンテーリングと同じような感じで、念のため栄養補助食品を持って行きました。飲み物は自動販売機が使えるのも同じでしたので、困ることはありませんでした。この頃は、教室の騒がしさで体調が悪くなることが多く、保健室に駆け込むことが多いころでした。保健室の先生から「聴覚過敏」という言葉を聞き、自分の体調不良が聴覚過敏からくるものではないかと調べているころでした。宿泊学習でも、やはり具合が悪くなりました。海でフィールドワークをしているときは問題ないのですが、ホテルの自由時間や食事の時間は、音の洪水で頭が痛くなって、気持ち悪くなるのです。中学2年の4月。また2泊3日のオリエンテーリングがありました。宿泊学習のあの雑踏にいるような騒がしさを思い出し、「行きたくないな」と思いました。食べるものも限られてしまうので、気持ちが乗りませんでした。親にオリエンテーリングに行きたくないことを伝えました。オリエンテーリングを欠席することのメリット、デメリットも話し合いました。メリットは、「とりあえず行きたくないので気持ちが安定する」です。話し合った結果、デメリットは「学校での思い出が1つ減ること。オリエンテーリングの話題に入れないこと」だと思いました。僕は、思い出が1つ減ろうが、その会話に入れないことがあろうが、それよりも、宿泊学習に行くストレスの方が高いと思いました。親には、自分で先生に相談するようにいと言われたので、自分で先生にオリエンテーリングを欠席することを伝えました。1年生の3学期は、オリエンテーリングの班決めや準備の時間もあるので、当日は欠席してもよいが、準備には参加するようにと言われました。自分が行かないと分かっていて、班のメンバーにも伝えている中で、準備に参加するのは多少の罪悪感や面倒臭さがありましたが、オリエンテーリングを欠席することに後悔はありませんでした。これまでの宿泊学習を振り返って思うことは、まず、子ども本人は、感覚過敏のある自分が宿泊学習に行くことによって、どんな困った状況が起きるかについて、想像することが難しいので、親や先生が起こる状況を想定して対策を考えて欲しいということです。また、「1日、2日くらい我慢すればよい」という考え方も危険だと思います。僕は小学5年生の宿泊学習で、丸1日食事をとれず、トレッキング中に水分を取れなかったことで具合が悪くなりましたが、低血糖や脱水などで生命に関わる可能性もあったのではないかと思います。家や学校とは違う環境で逃げ場もありません。心配だと思うことは、1つずつ先生と親と生徒で確認していくのがいいと思っています。そして、修学旅行などは学校行事の中でも大きなイベントです。「思い出のために」「みんなと一緒に」という気持ちを親や先生が子どもに押し付けているかもしれないと、考えてみてもらいたいと思います。小学生時代の僕は「学校行事は参加するもの」と思っていました。休むという選択肢を持っていませんでした。僕は中学1年の終わりに、「宿泊学習は行かない」という選択をしました。クラスの話題に入れなくなっても、学校の思い出が少なくなったとしても、それでもいいと思えるようになりました。最後の切り札として「行かない」という選択肢があること、たとえ、一つの行事に参加できなかったとしても、そのことで損なわれるものは思っているほどはないことをみなさんに知っていただきたいです。出典 : 小6の時の先生や宿泊先の神対応が素晴らしいですね。また、必要な支援や取り組みのメリット・デメリットをしっかりと自分で考えられるようになった成長にも目を見張ります。このように、困っていることを整理して皆で相談できるようになると良いですね。(監修:児童精神科医 三木 崇弘先生)
2021年07月25日トイレトレーニングはいつから?生まれたての赤ちゃんは膀胱が小さく、おしっこを溜めておくことができません。赤ちゃんは意思とは無関係に反射的におしっこをしていて、回数も頻回!1日に10数回もおむつ交換をしていたことを、懐かしく思い出すママ、パパも多いでしょう。1歳半ごろになると膀胱も成長し、排尿の間隔があいてきます。また、脳の神経伝達も発達するため、おしっこが溜まる感覚もわかるようになってきます。トイレトレーニングには、こうした体と心の準備が不可欠です。親が主導して「今日からトイトレ」と始めるべきものではなく、子どもの「準備OK」のサインをキャッチしてからスタートするもの、と心に留めておきましょう。トイレトレーニングの始めどきに迷ったら、次の3つを参考にしてください。「おしっこの間隔が一定時間あいている」膀胱が発達し、一定時間尿を貯めておく機能が発達してくると、だんだんとおしっことおしっこの間隔があくようになってきます。2時間以上あけば、トイレトレーニングの始めどきです。おしっこの間隔は、おむつを交換してから“おしっこライン”が出るまでの時間をチェックしたり、おしっこの前やおしっこ中にモゾモゾしたりなど、表情の変化や仕草がないかを見るとわかりやすいでしょう。「ひとりで歩ける」ひとりで歩ける程度の運動発達段階となっていることが一つの目安です。※身体障害などがある場合はこの限りではありません。「コミュニケーションの理解が進んでいる」トイレトレーニングには、大人からの「おしっこ、出る?」「トイレに行こうか?」といった呼びかけや、絵カードなどでの指示などを理解する力が必要です。※発語がない、少ない場合でも指示の理解が一定できればスタートの目安となります。トイレトレーニングを始める前に準備しておきたいこと子どもの体と心の準備が整うことはもちろん、親の側もトイレトレーニングについて予習をし、準備をしておくことが大切です。おむつ替えのときに「おしっこ出たね」「おむつを替えると気持ちいいね」など声をかけることも、トイレトレーニングのための大事な準備。赤ちゃん時代からこうした声がけを意識するといいでしょう。おむつが濡れた感覚や、おしっこが出る前後の感覚をつかむ手助けになります。また、おしっこのときにもじもじしたり、落ち着きがなくなったり、おむつを触ったりするなどの決まった仕草をしているようであれば、おしっこの“サイン”として覚えておきましょう。タイミングよくトイレに誘うことは、トイレトレーニングの成功の鍵。「トイレでおしっこができた!」という成功体験を積み重ねることが、子どもの自信につながります。そろそろトイレトレーニングを初めてもいい、というサインをキャッチしたら、ママやパパ、きょうだいがトイレに行く様子を見せることもおすすめ。子どもは、大好きなママやパパ、おにいちゃん、おねえちゃんの真似をしたがるものです。トイレでおしっこをする様子を見せることで、「自分も!」という意欲が高まります。おまるでトレーニングをする予定なら、少し前から部屋に置いて、慣らしておくといいでしょう。トイレの環境を見直すことも、トイレトレーニングをスムーズに進めるための重要なポイントです。暗くて狭いトイレをこわがったり、場所見知りをしてしまうケースは少なくありません。子どもが好きなキャラクターのポスターや、トイレでおしっこができたらシールを貼れるカレンダーを貼るなど、親子で楽しくトレーニングができる演出を心がけましょう。トイレやうんち、おしっこをテーマにした絵本を読み聞かせるのもおすすめです。トイレでおしっこやうんちができると、気持ちいい、すっきりする、というプラスのイメージを持てると、子どものやる気も高まります。また、寒い時期を避け、気候が良い季節から開始するほうがよいでしょう。トイレトレーニングの上手な進め方は?トイレトレーニングは、まずは回数が多いおしっこから進めるのがよいでしょう。トイレでおしっこができるようになると、リズムがわかりやすいうんちのトレーニングも進めやすくなります。おしっこのトイレトレーニングは、4つのステップを踏んで進めていきます。朝起きたとき、食事のあと、お昼寝の前後などにおむつをチェックしてみましょう。まだおしっこが出ていなければ、「トイレに行ってみよう」「おしっこ出るかな?」と、誘います。補助便座やおまるに座ると、偶然にでもおしっこが出ることがあります。おしっこができたら、「気持ちいいね!」「おしっこできたね」と声をかけ、排尿の感覚を学ばせましょう。おまるやトイレでの排尿に一度でも成功したら、だんだんとトイレに誘う回数を増やしていきましょう。もちろん、失敗することもたくさんあると思います。失敗を叱ると、子どもはトイレやおしっこに対して恐怖心やマイナスな気持ちを抱いてしまいます。失敗は当然とおおらかに構え、うまくいったときにたっぷりほめることを心がけましょう。トイレやおまるでおしっこをすることに慣れてきたら、日中は紙おむつを卒業し、トレーニングパンツや布パンツにステップアップしましょう。おもらしをしてしまうこともありますが、それも子どもにとっては大切な学びです。失敗したときでも叱らないようにしましょう。濡れると気持ち悪いことを体感することで、だんだんとおしっこの前にトイレに行く習慣が身につきます。トイレトレーニングの最終仕上げは、子どもが自分から「トイレに行く」という意思表示をするのを待つことです。これまではママ、パパが「そろそろおしっこじゃない?」「トイレに行こうね」と誘っていましたが、先回りして誘うのはストップ。子どもから「おしっこ」と教えてくれるのを待ってみます(必ずしも言葉による意思表示である必要はありません)。おしっこが出る前にトイレに行きたがり、便器で排尿ができたら、おしっこのトイレトレーニングは完了です。※ステップは子どもの困難性の種類や態度によって異なります。上記は一例であり、発達が気になる子どもの場合はよりスモールステップにするほうがいいでしょう。たとえば、感覚鈍麻があったり、失敗に過度に反応してしまう場合や、こだわりの強いタイプには、よりスモールステップで少しずつ進めましょう。成功のコツは「のんびり見守る」トイレでの排尿・排便は、行きつ戻りつしながらゆっくり習得していくものです。順調にトイレに慣れていったように思えても、急におむつに逆戻りしてしまうこともよくあります。また、その日の体調や気分によっても、うまくいく日、いかない日もあるでしょう。失敗しても当たり前とおおらかに考え、おもらしをしても決して声を荒げないように意識しましょう。トイレトレーニングのときに大事なのは、親子の信頼関係。じょうずにできたらたっぷりほめて、子どものやる気を応援してあげましょう。子どもが楽しくトイレトレーニングに取り組めるように、好きなキャラクターのパンツを用意したり、脱ぎ着がスムーズな服を着させたりするのも、親ができるサポートのひとつです。また、パンツへの移行期には、とくに失敗が多いものです。外出先でうんちやおしっこを失敗してしまうと、ママやパパも大変。ついイライラしてしまったり、楽しいお出かけを早く切り上げて帰る、なんてことにも。外出時はおむつ、家では布パンツというように、臨機応変に使い分け、トイレトレーニングがストレスにならないように工夫しましょう。ママ、パパが準備万端に整えていても、下の子が生まれたり、引っ越しでおうちの環境が変わったりすることで、トイレトレーニングが降り出しに戻ってしまうこともあります。もし子どもがトイレでおしっこをすることにストレスを感じているようならば、思い切ってトレーニングを中断し、少し時間をおいてから再チャレンジするのも一案です。焦らなくても、必ずいつかはトイレでできるようになるから大丈夫! 少し先の未来を思い描きながら、ゆっくりトイレトレーニングを進めていきましょう。発達障害がある子のトイレトレーニングはどうする?発達障害のある子どもは、トイレトレーニングが苦手な傾向があります。その理由は、発達の特性によるもの。たとえば感覚過敏や感覚鈍麻があると、トイレの水音に恐怖を感じたり、おしっこが溜まる感覚に気づきにくかったりすることがあります。また、筋力の弱さから、うんちのときにトイレに座った姿勢だとうまくいきめなかったり、独特の姿勢でないと排泄できないこともあります。そのほか、排泄する場所へのこだわりがあって、「おむつを履いていないと排泄できない」「カーテンの後ろに隠れながらでないとできない」などの特性を持つ子もいます。また、便座に座るのが嫌だったり、足がぶらぶらしていると力が入らず、中腰姿勢にならないと排泄できないという子も少なくありません。ただ、時間はかかっても、必ずおむつを卒業できる日はきます。発達障害のある子どもの場合は、特にトイレに苦手意識を持たないようにサポートすることが大切です。年齢の目安にこだわらず、「ひとりで歩ける」「言葉でのコミュニケーションができる」「おしっこの間隔が2~3時間以上あいている」の3つの条件がそろってからスタートするようにしましょう。トレーニングがうまくいかないときは、子どもの様子を観察して、つまずきの原因になっているものを探ってみましょう。たとえば「狭い空間がこわい」ようなら、ドアを開けっ放しでトイレをしてみる、トイレではなくまずはおまるでトレーニングをする、などの対策が考えられますね。おむつが汚れた感覚に気づいていないときは、トイレトレーニング用のおむつに替えて、濡れた感覚を感じやすくするのもよいでしょう。発達障害があるお子さんの中には、強い便秘症状を示す場合もあります。便が固めの場合、排泄の際に痛みが伴うため便を我慢し、そのためにさらに便が出にくくなるという悪循環にもつながります。便秘になるとかんしゃくを起こしやすいこともあります。そのような状況が続いていたら、医療機関を受診するようにしましょう。発達障害のある子のトイレトレーニングについてはこちらの記事もチェック!時間がかかってもOK!気負わずトライしてトイレトレーニングのベストタイミングは、子どもによって違います。子どもの体と心の準備ができているかをチェックし、家庭ごとのペースで進めていくことが大切。「お友達がおむつを卒業したから」「下の子が生まれてお兄ちゃんになるから」といった理由だけで始めると、かえって親子ともにストレスを感じて挫折してしまうことにもなりかねません。早い・遅いに一喜一憂せず、おおらかに取り組んでいきましょう。
2021年07月24日「怒る」の定義が親と子で違う?ウチノコ(以下、――)むっくんは現在小学2年生。ADHDと自閉スペクトラム症の診断を3歳の時に受けました。感覚過敏もあり周囲からの刺激に対する不安感の強い子なのですが、昔から悩んでいるのが癇癪。怒られるのがいやだ!という恐怖心や怒られたらどうしようという不安から癇癪を起すことが多く、本人の恐怖心や不安をどう取り除いたらいいのか、どう関わってあげたらいいのか悩んでいます。Upload By ウチノコ三木先生:う~ん、なんでだろう。普段怒ることは多いですか?――小さなころは危険な行動の多い子だったので、それなりに叱責はあったけど…診断も早く、早期から対応を学べたので「過度に」というほどでもないかと思います。…でも、例えば「お菓子食べたい」という息子の欲求に対して「ご飯前だからダメ」と私が返すと「怒られた!」と捉えるんですよね。なので、私が思うよりも本人が怒られたと感じる回数はずっと多いかもしれません。三木先生:なるほど「要求が通らない=怒られた」になってしまうんですね。怒った(怒られた)か怒っていない(怒られていない)の定義が親子で統一できていないってことですね。そこは統一した方がいいかもしれないです。――ああ!なるほど!三木先生:本人が「怒られるんじゃないか」と怯えている時に、親側がいくら「怒っていないよ」と伝えたところで、【怒る】の意味がかみ合っていないから伝わらないのでしょうね。だからそれを本人に伝わるようにわかりやすく伝えるというのをやって、怒られたと感じる回数を減らしてみるか…。でも要求が通らないことが嫌なんだよね~。――そうなんですよね…先生のおっしゃる通り「怒った」か「怒ってない」かで親子で言い争いになることが多いので、実は一か月くらい前に「お母さんが怒るときの条件」を紙に書いて壁に貼ってみたんです。ここに書いている内容以外ではお母さんは絶対怒りません!だから安心してって。それで要求が通らない時の反応が穏やかになりました。まぁ効果は2週間くらいで既にマンネリ化してるのですが、そういうことを繰り返していくっていうイメージで合ってますか?Upload By ウチノコ三木先生:そうです!掲示は目新しい方が入りやすいと思うので、その表を数種類作って、2~3週間おきに張り替えて目新しさを維持してみるとマンネリ化を防げるかもしれません。まぁ張り替えでどの程度効果が得られるかは試してみないとわからないのだけど、2度目が初回の7割くらい目新しく感じてくれるといいですね。――ウチノコ:そっか~!それだけでも新鮮になるのですね!三木先生:とは言っても、目新しさが弱かったらまた同じことを伝える新しい方法を探さないといけないので果てしないんですけどね(笑)――ウチノコ:ひぇ~(苦笑)三木先生:まぁ、目先を変えるというのは合うと思います。他にも掲示を左右替えてみたり、色合いを変えたり、紙の縦横を変える、それでも変化になります。どういう変化が合うかはその子によって異なりますが、そういった工夫で伝えたいことを意識しやすくなればいいですよね。Upload By ウチノコ癇癪後に我に返る力を育む――瞬間的に爆発して、暴言などが起きる瞬間はどうしたらいいのでしょう…。結局きっかけの出来事ではなく、爆発中の暴言やらで怒られてしまうので、損しているなって思うんですよね。嘘でいいから黙って悲しそうな顔で下を向いていたら嵐は過ぎ去るのに…三木先生:爆発するその瞬間はどうしようもないです。でも、その後に必ずハッと我に返るタイミングがあるはずです。それが何秒後か、何分後か、どれくらい時間が必要かわからないけど、その時に「今気が付いたね!」と言ってあげる。Upload By ウチノコ――ああ!確かに爆発して私に掴みかかろうとした手を引っ込めることが最近見られます!三木先生:おお!それはすごくいいですね。それを認めて、リピートしてハッと我に返れるようにしていきましょう。そしてあわよくば、ですが我に返った後に元の場所に戻って悲しそうにシュンとする動作をやってみる。――シュンとするは本心でなくてもいいんですよね!三木先生:そうそう!それが、怒られるかもという不安に対するデフォルトの動作になるといいですよね。嫌なことがあったらシュンとする練習を普段からしていくのもいいかもしれません。見た目はちょっとシュールですが。それを「いいねいいね!悲しそうだね。お母さん守ってあげたくなっちゃう!」と褒めておく。――あはは(笑)シュンとできるようになると、すっごく助かりますね。Upload By ウチノコ三木先生:もう我に返るまでは親もどうしようもないし、本人にもどうしようもないんです。とにかく子どもがハッと我に返ったという見極めを親ができるかどうかが大事です。爆発中に声かけをしてもいいけど、無駄だと思うので…。我に返るまではしょうがないなと、本人が怪我などしないように安全にして見守る。そして我に返った後に対応していくしかないのかなと思います。三木先生との対談では、私の持つ情報ををうまく引き出してもらい、先生の言葉で改めて耳から聞くことでむっくんへの理解が深まるという不思議で楽しい時間でした!悩ましい癇癪ですが、先生のアドバイスを参考にできることから一つずつ意識していこうと思います。
2021年07月23日頑張れる場合と、頑張り切れない場合があるその昔、とある実業家の先輩に聞いた話です。その方は、とある仕事で頑張って頑張って頑張って、プロジェクトの終わりのほうで自然と涙が出てきたと。それで初めて「ああ、こんなに涙が出て止まらないほど自分は頑張ったんだな」と思えたそうです。最初から難しいプロジェクトだったので結果は残念なものだったそうなのですが、それでも納得感はあったそうです。僕を含め一定数の人が、このエピソードに対して「やっぱり『やり切る』って大事だよな」と感じたと思います。でも実際には、保護者もお子さんも、頑張りきれずに疲れてしまうことも多いのではないでしょうか。あるいはお子さんが頑張りきれずにいることにたいして、イライラすることもありますよね。それで叱ってしまったり、あるいはもう頑張りきれないところまで頑張って擦り切れて僕たち専門家のところにたどり着く子もいます。世の中には「頑張れたエピソード」があり、でも一方で自分の暮らしの中では「頑張りきれないこと」が溢れています。これって、何が違うのでしょうか?自分が頑張りたいかどうかが分かれ目一つのポイントは「本人が頑張りたくて頑張っているかどうか」です。先の先輩はおそらく、自身がやりたくてたまらないからこそ「自然と涙が出るまで」頑張りきれたのでしょう。僕もありがたいことにいろんなお仕事をいただくようになり、しかも仕事の合間に大学院にも通っていて、そしてこうやって原稿も書き…我ながらよく頑張れているなと思います。しかしこれが「嫌々やらされている」「他人の基準でやると決めた」仕事や勉強だったら、どうだったでしょうか。ここまで頑張れなかったかもしれません。単純化してしまうのは危険ですが、とは言えざっくり、擦り切れてしまう子どもたち、あるいは働きすぎてうつになってしまう人は、「やりすぎている」「自分がやりたくないものをやっている」のかもしれません。擦り切れないために、頑張る対象を絞り込もうとすると、我々は頑張る対象をある程度絞り込んだほうが良いのかもしれません。優先順位の低い家事、やったほうがいいけどやらなくても困らない雑用、気が進まない頼まれごと…。組織に属していたり、コミュニティでの関係性を維持するためには不本意ながらやらなければならないこともたくさんあります。しかし、自分が「やりたい」と思うことの比率をあの手この手で高めていくことに注力するのは一つの方法です。「疲れ」には2種類ある次は、疲れには2種類あるんじゃないかという話です。僕が疲れの違いを実感したエピソードがあります。僕は初期研修の後、小児科医としてキャリアをスタートしました。若手時代は(日にもよりますが)朝から21時や22時まで続けて働くこともありました。そのころは「あ~~疲れた~~~」と思いつつも、スッキリとした気持ちで家に帰ることができました。ところが児童精神科医になり、朝から18時くらいまで働くと、そっちのほうがものすごく疲れるのです。外来が伸びて19時、20時になった日なんて、終わったあとしばらく外来の椅子から立ち上がれないほど消耗していました。「働く時間は減ったのにこんなに疲れるなんて、前と何が違うんだろう?」と思ったとき、一つの仮説にたどりつきます。「疲れの種類が違うんじゃないか?」ということです。あなたの疲れはどっちの疲れ?それは、「体の疲れ」と「心の疲れ」があるのではないか、ということです。小児科医時代は、ある程度想像のつく風邪や肺炎、アレルギーなどパターン化された作業を大量にこなしながら、その中に混ざっている難しい症例の診断と治療に頭を使うような働き方でした。また、外来と病棟と往復したり、広い病棟を歩き回ったり、処置や診察で何回も姿勢を変えたりと、体の動きも多かった。ところが児童精神科医になってからは、基本的に外来診療がメイン。一日中椅子に座って人の話を聞いています。しかも内容は人によって千差万別で、その内容もなかなかに重いものが多い。正解がどこにあるのか分からない闇の中を、一緒にうんうん唸りながらかき分けていく感じです。この「心が擦り減る疲れ」が、疲労感の原因なんだと感じました。つまり、小児科医時代はどちらかというと体力的な疲れです。体は動かしているけど、お昼を食べる時間もそこそこに一日中活動していたことによる疲れ。一方、児童精神科的な疲れとしては、精神心理的な疲れです。さまざまな人の悩みや不安といった感情に触れ、患者さんと一緒にもがき、ぐったりする。そういう疲れです。自分の疲れに必要なのは?体と心の休ませ方、ほぐし方をみつけよう疲れたら休むのはもちろんなのですが、「どう休むか」「どうほぐすか」もけっこう大事かなと思います。先ほどの僕の例は「心が疲れたから、心は空っぽにして体を使う」という解決方法でした。でも人によっては「心が疲れたから、心が癒されるものを眺める」でもいいし、「体が疲れたから、体は休めてクロスワードパズルに熱中する」でもいいかもしれません。休む方法には人に合ったものがあります。自分は何をすると楽になるのかを見つめ直していくのも、疲れをとるヒントになるかもしれません。
2021年07月23日Upload By スガカズスガカズ現在4人の子どもを育てているママです。・長男(中2 ASD、ADHD)・次男(小5 ADHD)・長女(年長 定型発達)・三男(年中、定型発達)定型発達の下の子たちにとって発達障害の上の子たちが良くないお手本に…これって誤学習?解決方法は?Upload By スガカズスガカズ(以下、――):日々障害児と定型児を育てていく中で、「これって誤学習なのでは?」と感じる場面がよくあります。例えば、食事の時間だと、ADHDのある次男は食事に集中できずに遊び始める場面が頻繁にあります。偏食や注意散漫からその日によってごはんの進みが全く違います。下の子たちにとっては次男がお手本となっているようで、同じように立ち歩いて遊び始めるなどで食事に時間がかかってしまいます。Upload By スガカズ三木先生:次男さんに対して黙認状態ではなく、「これは良いこれは悪い」と提示はできていますか。――はい。毎回口酸っぱく伝えています。例えばそれぞれの子のマークを作って机に貼り、「ここがあなたの席だよ。食事中はここで食べようね」「ごはんは30分で終わりだよ」「食事中は遊ばないよ」と伝えていて、下の子たちは「わかった」と返事をします。次男も理解はできています…ですが、結局遊びだすことが多く、30分で終わりません。簡潔に「30分過ぎたから片づけるね」と言うと次男は納得するんですが下の子たちは「食べたい!」と言って泣きだすし…仕方なく「10分だけだよ」と言って延長しますがその繰り返しで多くて1時間かかる日も…。さらに、上の子たち(障害児)のこだわりは『食卓におもちゃをもっていくこと』…。それを奪うと逆に集中できなかったり言い合いに発展するので、結果落ち着いて食事をする環境を作れていません。三木先生:つまり実際のところ、「時間は守らなくてもいい」と言うような形になってしまっているんですね。――そうですね…三木先生:うーん…まぁ、現状難しいと思います。だって好ましくない見本が目の前にあるわけですから。上の子と下の子の食事の時間をずらすなどの対応もあると思いますが、そうすると別の問題(母親のタスクが増える)が出てきますからね。「できる」「わかる」どちらを優先したらいい?Upload By スガカズ三木先生:ADHDのある次男くんのように、高学年だったらもう理解と自制がある程度伴なっているので、食べなければ片づければいいと思いますが、下のお子さんたちはまだ幼く、行動が伴わない年齢なので、難しいですね。この年の子(未就学〜低学年)は、『できる』より『わかる』を大事にした方がいいです。もちろん「なんだかよく分からないけどやる→褒められる→行動が定着」と言った『できる』を優先して成功するルートもあります。でも今のこの場合でしたら大事なのは『枠の提示』ですね。――『できる』より『わかる』ですか…『わかる』はできていそうなのですが、実際子育てする上で『できる』に目がいきがちです。三木先生:できることを求めだすと毎日がげんなりして過ごすことになるので、そこは一旦3~5年後くらいに「ごはんって、ちゃんと座って食べるよね」と運用実行できることにゴールを置いた方が現実的じゃないでしょうか。メッセージ(枠の提示)とできるは即イコールにならないことが多いです。今は60~90分など長時間になってないだけ一旦OKとしてあげていいと思います。逆に年中さん年長さんでちゃんとできていると心配だなと。下のお子さんたちは充分がんばっているんじゃないでしょうかね。――確かに…生活する上で、きょうだい2人とも『がんばっているな』と感じる場面も多いです。3番目の子(長女 年長)は、特にがんばり屋さんな面もあります。誤学習の確認方法は?今回は食事中でのできごとでの悩みについてお話しましたが、「これって誤学習じゃない?」と感じる機会がとても多いわが家…。誤学習かどうかの確認についても三木先生からアドバイスをいただけました。Upload By スガカズ三木先生:誤学習の心配については、下2人が「お兄ちゃんだってぐだぐだしてるじゃん」と心底思っているか聞いてみても良いかもしれないですね。――「お兄ちゃんずるい」「ボクも!」「私も!」と言う機会はよく目にします。三木先生:それが理念ベースで言っているのかエクスキューズ(言い訳)から言っているのかの違いがわかればいいですね。うらやましさから言ってるのであれば、「うらやましいのはわかるよ。でも本当はわかってるよね?」でOKです。外でできることは基本的に「できる」とみなしてOKです。――それでいうとエクスキューズ(言い訳)なのかもしれません。保育園では座って給食を食べているのに、家では違っているので、オンオフを切り換えていそうです…。三木先生:であれば、状況理解と自覚が整えばできるということですね。家で食事に時間がかかったとしても多少目をつむってあげてもいいと思います。感想きょうだい児の誤学習を心配していた私。現実問題上の子と下の子を育てる上で誤学習に繋がりそうな機会はとても多いです。ですが、そんな中でもきょうだい児たちはがんばっていると再確認…。親が心配する気もちが、「誤学習にならないようにしないと…」「物事の良し悪しを正しく理解してもらわないと…」と、肩に力が入っていたのでしょう。短期的に解決させる問題ではないので、「『今できなくても仕方ない』と割り切る」「枠の提示はくずさない」「緊急性がないものに関しては3~5年後をゴールに置く」ことを大事にしようと思いました。
2021年07月22日「なぜそうなるのか分からないとできない」と言うけれど…?「聞き分けのよい子だね」と言われることも多いコウですが、その一方で「ああ言えばこう言う」「納得を求めて『なんで?』が多い」「言われた通りにスッと動かない」と評されることの多い子でもあります。確かに、理屈を理解して納得することができるという意味では”聞き分けがよい子”なのかもしれません。ひっくり返ってダダをこねるのも見たことがありません。けれども、私は彼のことを「分かりやすく”ジタバタするタイプのダダこね”をしないだけで、受け入れがたいことに対する拒否の強さはかなりものだな」と思って見ています。Upload By 丸山さとこ拒否していることを強引に進めようとされたコウはパニックになることもあります。「〇〇なはずなのに!?」と一度パニックのツボ(?)に入ると本人にもどうしようもないようで、落ち着いてから「焦る必要なかったな…何で焦っちゃったんだろう…?」とグッタリすることもしばしばです。この「納得いかなければ動かない・強引に進めればパニックになる」というコウの行動は、”パニックになること”を取引材料にしてゴネることで起きているわけではなさそうです。(一部そのパターンもあるかもしれませんが、全てがそうではないのだろうと思います)Upload By 丸山さとこやりたくないことだけではなく、やりたいことに関しても「えっ、えっ?だって○○だから□□なのに…!」と青ざめ涙ぐみながら抵抗するコウは、ガラス張りの床を怖がって歩きたがらない人のようだなと感じます。”ガラスは割れる”と知っているけれど”人が乗っても割れないガラスがある”とは知らない人が「ガラス張りの床を歩け」と言われたら、抵抗するのは当然だと思います。そんなのムリだと抵抗しているのに「大丈夫だから」と腕を引っ張って強引に連れていかれそうになったとしたら、必死で抵抗したりパニックになったりするのも自然な反応なのかもしれません。『人の話』に耳を傾けるということガラス床の上を歩けるということは知らなかったとしても、信用できる人が「大丈夫だよ」と言っていたり実際にガラス床の上でニコニコしているとしたら、多くの人はそれを信じるのではないかと思います。反面、大丈夫だと知識や経験では分かっていたとしても、周囲の反応から不安になることもあるだろうと思います。コウと接していると、そのような”人の言葉や反応を見て自身の考えや行動に反映するシステム”が弱いのかな?と感じるときがあります。そんなコウですが、私の話は「納得はいっていないけれどお母さんの言うようにしてみたら上手くいった」という経験があるため、いくらか聞けるのだと言います。これは「お母さんを信じている」というよりは「お母さんを信じて上手くいったという自分の経験を信じている」というニュアンスの言葉なのだと思いますが、それでも話に耳を傾けてくれることがあるのはとても助かります。Upload By 丸山さとこあまりにも「なぜそうなるのか分からない」と言うコウにじゃあ炊飯器でなぜ米が炊けるのか、どういう仕組みなのか理解しているのか!?」と何だかよく分からない追及をしてしまうこともある私ですが、少し冷静になると「まぁ…コウにとって、炊飯器は『機能と使い方を理解していれば米は炊けるもの』だもんね…」と一歩譲る余裕が出てきますし、そうなるとコウの方も「いや、今ボクはそれと同じ構造の話をしてたよね…僕も1回やってみてから言えばよかったね…」と譲ってくれたりします。Upload By 丸山さとこそれはあくまで”スムーズにいったとき”の話であって、大体の場合はコウの「何で?だって〇〇なのに」にひとつひとつ返していく毎日ですが、説得(?)の最後の一押しに「試してみてくれないか?」と提案することで何度か壁を越えられたのは、ありがたいことだなと感じます。「上手くいった!」と「上手くいかなかった…」を積み重ねて先日も私が提案する漢字練習の方法を取り付く島もなく跳ねのけていたコウでしたが、「コウの今のやり方だと多分テストまでに範囲が終わらないと思う。ここ最近何回もそのパターンを繰り返しているので、できたら3文字だけこの方法を試してみてほしい」と伝えると、「それなら…」と試した上で「あっ、この方法いいね!どんどん進んでいく…これなら最後まで間に合いそう!!」と喜んで取り組んでくれました。Upload By 丸山さとこそうして「納得はしていないけれど1回試してみて上手くいった経験」と「試してみたけど上手くいかなかった経験」の両方を少しずつ積み上げて、『試してみないと分からない』ということや『人の話しに耳を傾ける』ということをゆっくり知っていってくれたらいいなと思います。お子さんに伝わるように、さまざまな工夫をされていますね。保護者の方が「こうしたほうが良い」と思っても、お子さんが納得しないことは日々の子育てでよくあると思います。このコラムのように、少しだけ試す提案をしてみたり、いくつかの選択肢を示して本人に選ばせてあげたりするやり方など、方法はいろいろありますが、お子さん自身が納得するやり方を見つけられると良いですね。また、うまくいったときには「 ~だからうまくいったよね」と整理してあげると次につながっていきます。
2021年07月22日0歳のお誕生日。なんて可愛いんだろうUpload By かさはらあやこ0歳のお誕生日。(いま思い返すと)出てくる気力がなかったのか、陣痛が始まってから25時間後に先生に上から押されやっと出てきた息子。産まれた数時間後から目をぱっちり開けていました。とても静かで、ただただ、なんて可愛いんだろうと見つめていました。不思議なことに、夜に授乳のためベッドのライトを点灯すると、眩しそうに少しバタバタし、必ずくしゃみをしていました。〝……産まれたばかりなのに、光が眩しいなんてことあるの?〟と少し違和感がありましたが、誰に伝えても特に相手にされず…自分に似て視力がいいのかもしれないと思っていました。1歳のお誕生日。おしゃれな記念写真は撮れなかったUpload By かさはらあやこ1歳のお誕生日。「大きくなったら欲しいものを指定されて、プレゼントを選んであげることなんてなくなるから、3歳まではわたしが選びたい!」。そんな想いで選んだ、とっておきのプレゼント。頑張って飾りつけをし、おじいちゃん、おばあちゃんを家に招き、ごちそうを用意して臨んだ初めての誕生日。SNSでよくみる、おしゃれな記念写真を撮りたくて、飾り付けた壁の前に連れて行くと、秒で破壊。指示が通るはずもなく〝おしゃれな記念写真〟は撮れませんでした。誕生日前から注文していた一升餅。当日までに歩くことはできず。普段あまり会わない祖父に抱かれて、これでもかというほどギャン泣き。1歳児向けの玩具には見向きもしない。無表情で、目も合わず、にこりともしない息子を見て、せっかく来てもらった両親に申し訳ない気持ちでいっぱいでした。2歳のお誕生日。ケーキも玩具も…Upload By かさはらあやこ2歳のお誕生日。第二子の産後2ヶ月。それでも頑張って息子の好きそうな食事をつくり、大好きなキャラクターのたくさん乗ったケーキを用意。全く喜んだような反応をせず、食事には口をつけず、終始無表情で終了。2歳児向けの玩具にはやっぱり見向きもせず。悲しくて、涙を流しながら片づけをしました。当時は児童発達支援に通ってはいたものの診断前で、発達障害のことも、息子の状態もまだ全然知らない時期でした。2歳児って、こんなものなのかなぁ…?と思いながらも、せっかく用意した食事を食べないことにイライラしたり、期待した反応が返ってこないことの虚しさや、焦り、不安。毎日の夜泣き、乳児の世話…。自分でもよく耐えたなと思うぐらいストレスフルな毎日でした。妹が現在2歳。食事を出すと、「わぁ〜!おいしそう!」と言い、ハッピーバースデーも歌います。3歳のお誕生日から、頑張ることをやめてUpload By かさはらあやこ3歳のお誕生日。知的障害を伴う自閉症であることがわかってから初めてのお誕生日。廃棄するだけの料理をつくることをやめ、喜ばないケーキを注文することをやめ…とにかく頑張ることをやめました。大人はオードブル、息子にはいつものメニューを用意。ケーキはシンプルで小さなホールケーキ。誰かを呼ぶわけでもなく、騒がず、はしゃがず、小さくお祝いする。息子はオードブルのレモンをツンツンして終了でしたが、終了後に涙が溢れて止まらない誕生日を過ごした前年とは違い、心を乱すことなく、落ち着いて成長を見守ることができるようになりました。4歳のお誕生日。自閉症育児をする中で、よく「2〜3歳が一番大変」と聞いていたので、4歳を迎えるにあたって、〝あぁー、やっと4歳か。やっと大変な時期を抜けるのか〟と思っていましたが、実際に4歳を迎えてみて思うこと。相変わらず、大変。大癇癪はいまだに起こるし、身体は成長しているから、その分怒りのエネルギーもすごい。身辺自立も何一つできていないし、偏食は加速し、睡眠も不規則。いまのところ、ここが成長して楽になったなぁ~という部分は一切ありません。想像していた4歳より全然成長しておらず、あぁ、これが自閉症のわが子の成長なのかと徐々にわかってきた感じですが、一年前と比べ、身体が少し大きくなったこと、発語があったこと、笑顔が増えたこと。それでじゅうぶんだと思うようになりました。と言ったそばから、4歳のお誕生日は人生初めてのアレルギー事件が発生し、(長くなるので割愛)バタバタしてしまいましたが…。4歳は、健康で楽しく笑っていてくれたら、それでいいな、と思います。誕生日は、お子さんの記念日であり、保護者にとっても大切なメモリアルです。誕生日ごとに振り返ることで、しんどかったことも思い出されるけれど、当時と比べるとお子さんの成長も感じられると思います。お母さまには「よくぞここまで!」と大きなエールを送りたいです。お子さんがなぜパニックになるのか、なぜ喜ばないのかという理由が少しずつ分かるようになると同時に、どうしたら楽しめるか?という視点が加わることで、これからももっと、そのときの成長に合ったオリジナルな誕生日の祝い方を楽しめるようになれると思います。
2021年07月21日歯科検診で虫歯が見つかる学校の歯科検診で虫歯が見つかり、さっそく近所の子ども専門の歯医者を予約。予約のときにミミがASDであることを伝えました。人気の歯医者で、初診まで3週間!それまで毎日「今日は○○日だね、○○日は学童を休んで○○時から歯医者だよ」とミミに伝えました。Upload By taeko4歳くらいのころ、保育園から「フッ素の塗布」を勧められました。でも、当時のミミはじっとして居られなかったので、歯医者に行っても椅子にも座れないだろうと思い込み連れて行きませんでした。Upload By taeko当日は問診票の記入があるので、早めに到着。問診票にもASDであることや、療育・通級に通っていること、お医者さんの器具を触りたがることを書きました(眼科で先生が注意しても何度も器具を触ってしまうことがあったので)私が記入している間、ミミはキッズスペースでぬいぐるみ同士をバトルさせて遊んでいました。Upload By taeko時間になり、呼ばれて「え〜」と、もう少し遊びたかったようだけど、しぶしぶ診察室へ!改めて先生にASDであることを伝えると…先生「療育に行ってるんですよね」しっかり確認してくれたので、発達障害に理解がある先生かも?と少し期待しました。歯医者の椅子に座ると後ろを向き先生の様子を伺うミミ。先生は問診票をしっかり見てくれていて…先生「(薬品などを指して)これは触ると洗っても落ちない薬が入ってるから触らないでね~」「前を向いてね、イスがベッドになるんだよ~」イスが動いて行くけど、ミミはおとなしくしている…奇跡!?いよいよ診察が開始。先生はこれからすることを説明してから進めてくれます。普通に診察を受けるミミ。逃げ出すかも知れないと思っていた私はビックリ!「エライ!すごいよ~」と私も先生・助手さんもミミを褒めました。Upload By taeko口の中に空気を入れる際も、ミミの手のひらに空気を当てて「風を当てて良い?こういうの口に入れるね」など、丁寧に説明していただいたこともありスムーズに進んでいきます。虫歯は深いらしくレントゲンも撮ることに。別室に移動して口の中に検査用具を入れても大丈夫。またイスに戻り、穴の空いた虫歯に蓋をし、歯石を取って今回は終了。次回は麻酔を打って歯を削る本格的な治療になるので、まだまだこれからだけど、ひとまず安心。私がやっていた仕上げ磨きは、磨けていなかったということなのでしっかりと教えてもらい、その日の夜から実践。私の膝に頭を乗せ、ミミとのコミュニケーションの時間が増えて嬉しいです。Upload By taekoこのお子さんのように過敏さや不安が強い場合、事前に保護者の方がお医者さんと作戦を練られると良いですね。視覚的なカード(絵カード)を使って手順を説明してくれたり、椅子に座って口の中を見るだけ、次は歯磨きの練習だけ、などスモールステップで時間をかけて慣れていく方法をとっていただけたりすることもあります。また、障害がある方に特別な配慮を行う『障害者歯科』もありますので、事前に調べてみたり、親の会などで聞いてみたりすると良いでしょう。
2021年07月20日ひどいゲリラ豪雨に遭遇、恐怖を感じてしまうほどの降水に襲われた初めての体験Upload By かなしろにゃんこ。ADHDと広汎性発達障害がある息子が小学校4年生のときにひどいゲリラ豪雨に見舞われたときの話です。それは突然の雨、恐怖を感じてしまうほどの降水に襲われた初めての体験でした。夏休みのある日、息子リュウ太と自転車で買い物に行ったときのことです。朝から空にはもくもくと発生した大きな雲、昼には気温が夏日を優に超えた蒸し暑い日でした。私は運動不足を解消したくて自転車を押しながら歩いていました。しかし息子は目的地に向かう途中で早く行きたくて「お母さんボクは先に行くから」と私を置いて自転車で走っていってしまいました。Upload By かなしろにゃんこ。先に行くとしか言わずにいなくなる息子。その日はいつも息子と行っているショッピングモールではなく電車に乗って別の店に買い物に行く予定だったので「今日は◯◯百貨店に行くからね」と伝えていたのですが、私の話を聞いていなかったようで…目的地と反対方面に走っていってしまいました。小さいころから「お母さんの側にいてね」と伝えても聞いていないことが多く、目を離すといなくなり、自分が興味のあるオモチャ屋に勝手に行ってしまうような子でした。息子とはぐれてしまうことはよくあることで、私が息子をオモチャ屋に迎えに行って再会するしかないのです。この日も、「やれやれ、また人の話を聞かずに自分の思い込みだけで行動しているな~。あとを追いかけて今日はそっちのお店じゃないのよ―――と教えなくちゃ」と、のん気に思って自転車を走らせようとしたとき雨がポツポツ降ってきました。Upload By かなしろにゃんこ。それは息子とはぐれたわずか1分後でした。「あらやだ雨!早く息子が走っていったあとを追いかけなくちゃ!」と自転車に乗った瞬間バケツをひっくり返したみたいな大雨が降ってきたのです。空を見てみると、わたしたち親子の上で異常な雲が発生していたのでした。雨はどんどん強くなってきて体に打ち付ける雨が肩や頭にあたって痛く、周りが真っ白になってしまいました。「これがゲリラ豪雨か!」とゾッとしました。Upload By かなしろにゃんこ。たった2メートル先なのに目の前が雨で見えず、繁華街で自分以外にも人や車の交通がある場所なのに聞こえるのはザ―――という雨の音だけ。世界に自分一人だけになった感じがしてすごく恐くなったのです。「きっとリュウ太もこの恐い思いをしているはず、早く見つけなきゃ」と思うのですが、雨のカーテンで先が見えないことから少しずつしか歩けませんでした。大量の雨が体に降ってきたことで息苦しくなり、湿度のせいで呼吸もうまくできません。雨の量が多く体が重く感じ、その重さも恐怖の一つになっていたと思います。なんでこんな日にはぐれちゃったんだろう…と後悔しました。下水から水が噴き出しているし、道路も水が押し寄せてきてうまく歩けません。Upload By かなしろにゃんこ。雨宿りできそうなマンションがあったので非常階段で休ませてもらおうと敷地に入ったら、なんとそこには息子と若いお姉さんが雨宿りをしていました。母は息子の安否を気にする中で息子はお姉さんと『しっぽり』という感じでした(笑)「リュウ太、ここに避難していたの!」すぐに再会できて本当に良かったです、お姉さんが「危険だから一緒に雨宿りしようね」と大雨の中、困っていた息子を安全な場所に誘導してくれたのでした。Upload By かなしろにゃんこ。豪雨は5分ほどで止みました。私たち親子もお姉さんも街中の人がずぶ濡れ状態でカバンの中もびっしょびしょ、携帯電話もずぶ濡れでしたがみんな無事で何よりです。たった5分の間に降った大量の雨で道路も冠水してしまいましたので、私たち親子は買い物もせず帰宅することにしました。帰宅後もゲリラ豪雨について、あのような雨のときはどこでもいいから家や店に入れさせてもらおうね、そして今回のように大人と一緒にいさせてもらうことなどを話しました。また、勝手に行き先を思い込んで先に突っ走っていかないこと、親がどこに行く予定なのか話を最後まで聞きましょう!という約束をしました。Upload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。息子は普段、人の話を聞いたり記憶したりすることが苦手な特性がありますが、息子も恐かったのかもしれません。このときは真面目に話を聞いてくれたのでした。この雨の経験で気がついたことがあります。周りが見えない恐怖の中でも子どもを心配してどんな思いでいるのだろうと強く心配する自分がいたことに、親になると真っ先に子どもの心配をするってこんな気持ちなんだな、としみじみと感じたのでした。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!
2021年07月19日障害のある作家たちの異彩を発信する展覧会「HERALBONY GALLERY in Tokyo -3rd Anniversary Art Exhibition- 」7月19日(月)から渋谷で期間限定開催!Upload By 発達ナビニュース障害のある作家たちの異彩を発信する展覧会「HERALBONY GALLERY in Tokyo -3rd Anniversary Art Exhibition- 」が2021年7月19日(月)~25日(日)の期間、渋谷スペイン坂の多目的スペース「no-ma」にて開催されます。主催のヘラルボニーは、福祉実験ユニット。障害という言葉の裏にある先入観やこれまでの常識を超え、福祉を起点に新たな文化を作り出し続けています。7月24日に設立3周年を迎えることを記念し、今回の展覧会を開催。展示では三重県にある障害のあるアーティストの支援等をする、特定非営利活動法人 希望の園に所属する作家、森啓輔の原画作品展示、ヘラルボニーの取り組みと活動の展示、ヘラルボニーが手掛けるアートライフブランド「HERALBONY」の出店があります。入場は無料。※7月22日~15:00、23日~14:00、7月24日~14:00は、チケット購入に限り来場可能アーティストが放つ「異彩」との出会いがここにある。3周年記念イベントとして、チケット制の有料イベントも開催します。2021年7月22日(木)、23日(金)はスペシャルイベントとして、常設展示のほか、ヘラルボニー代表や特定非営利活動法人 希望の園理事長のあいさつ、コンテンポラリーダンサーによるダンスパフォーマンスなどがあります。設立3周年、当日となる7月24日(土)にはヘラルボニーの「異彩」との出会いとこれまでの3年間、そして今後の展望をテーマに、創業メンバーによるトークイベントを開催します。(尚、緊急事態宣言発出に伴い、イベントの縮小及び一部内容を変更があります。詳しくは、公式ページからご確認ください。)【作品募集のお知らせ】「2021パラアートTOKYO」第8回国際交流展、受付は8月14日(土)までUpload By 発達ナビニュース「パラアート TOKYO」は、世界中から障害のある人による芸術作品を集めて、公益財団法人 日本チャリティ協会が開催する国際交流展。「才能は障がいを超え、国境を越える 」というスローガンのもと、障害のある人の芸術作品(パラアート)の感性、才能価値を世界へ発信しています。「2021パラアートTOKYO」第8回国際交流展の開催が決定し、作品を募集しています。期間は2021年8月14日(土)まで。世界にひとつしかない作品を応募してみませんか。【募集対象】国内外を問わず、障害のある方が制作した平面(書・絵画等)作品。子どもの部:10歳~17歳 / 大人の部:18歳以上【受付】2021年8月14日(土)まで Eメールinfo@paraart.jpまたは郵送【お問合せ先】(公財)日本チャリティ協会「2021 パラアートTOKYO」実行委員会事務局住所:〒160-0004 東京都新宿区四谷 1-19 アーバン四谷 4 階TEL :03-3341-0803FAX :03-3359-7964E-mail: info@paraart.jp昨年開催した「2020 パラアートTOKYO」の全ての作品は、オンラインギャラリーで観ることができます。こちらもぜひご覧ください。発達障害のある人の困りごとにやさしく寄り添う「mahora」ノートが第30回日本文具大賞のデザイン部門、優秀賞を受賞!Upload By 発達ナビニュース「mahora」ノートは、発達障害がある100人の声を聞き、大栗紙工株式会社が一般社団法人UnBalance(アンバランス)と共に開発したノートです。お子さんがノートを使っているとき、なんだか書きにくそうだなと感じることはありませんか?視覚が敏感な場合、白い紙からの反射がまぶしく感じることがあります。特性によっては、罫線が見分けにくいために気づいたら書いている行がかわってしまっていたりすることも…。このような発達障害のある人たちが日ごろノートを使うときに感じているさまざまな困りごとの声から、「mahora」ノートは「光の反射を抑えたやさしい色の中紙」「見分けやすいオリジナルの罫線」「シンプルなデザイン」を採用。老舗ノートメーカーならではの高い技術により丈夫で書き心地よく、目にやさしいノートがうまれました。その機能とデザインで、「みんなが使いやすいノート」として、第30回日本文具大賞でデザイン部門優秀賞を受賞。既存のノートがなんだか使いにくいなと感じているすべての人におすすめのノートです。「書きにくい」が「心地いい」に。カラーとサイズ、全24種類から選べる「mahora」ノートは、以下WEBサイトから購入することができます。京都障害児教育研究センターによる夏季研究集会、8月1日(土)オンラインで開催。特別支援学校や特別支援学級の実践報告、ゲスト講師による講演から障害児教育について考えよう。Upload By 発達ナビニュース京都障害児教育研究センター(障教研センター)が8月1日(土) 10:00~15:40にオンライン学習会を開催します。内容は、実践報告とゲスト講師による講演。特別支援学校、特別支援学級の実践報告では、教育現場で大切にしたいことを考えます。講演で講師をつとめるのは、自閉症児の授業づくりについて研究、各地で講演をする三木裕和さんと、「書く」ことと子どもの育ちについて研究する川地亜弥子さん。発達の視点から子どもをみることを学ぶ講演です。支援者向けの内容ですが、どなたでも参加できるオンライン学習会です。〈詳細〉【日時・場所】2021年8月1日(日)10:00~15:40(途中入場・途中退場可)オンライン(Zoomを用いて行います)【対象】どなたでもご参加ください【講師】三木裕和さん(元鳥取大学地域学部)川地亜弥子さん(神戸大学大学院人間発達環境学研究科)【料金】1,000円(税込)【お問い合わせ先】mail : sho-ken@kyoto-fuko.comtel: 075-751-1645京都府教育会館障教研センター事務局LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!
2021年07月18日