5人の人気俳優が製作費・製作日数など同条件で25分以内のショートフィルムを製作したWOWOW「アクターズ・ショート・フィルム」。このほど、森山未來監督、永山瑛太主演の作品『in-side-out』が、米国アカデミー賞公認・アジア最大級の国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア2021」(SSFF & ASIA 2021)のオフィシャルコンペティション supported by Sony ジャパン部門にノミネートされた。『星屑の子』を世界初公開今年のSSFF & ASIAは6月11日(金)~21日(月)をメイン日程に、本日27日(火)より先行してオンライン会場がスタート。2021の各部門ノミネート作品および特別上映作品は映画祭オフィシャルサイトにて発表されている。特別上映作品には、ウィル・フェレル主演のカンヌ国際映画祭ノミネート作『デイビッド』、ベン・ウィショー 出演『ミス・フォーチュネット』、キム・ボラ監督の『リコーダーのテスト』、ヴェルナー・ヘルツォーク監督の1986年のドキュメンタリー『ポートレイト/ヴェルナー・ヘルツォーク』などが世界から到着。日本作品では、國村隼主演作『願いのカクテル』、筒井真理子主演の『The Supermission』を特別上映。また、ジャパン部門には人気俳優がショート・フィルムの監督に挑戦したWOWOWのプロジェクト「アクターズ・ショート・フィルム」から森山未來監督、永山瑛太主演による『in-side-out』のほか、照屋年之(ゴリ)監督、満島ひかり主演の『演じる女』もノミネート。また、オンライン会場では日本人監督による過去映画祭ノミネート38作品を一挙世界配信。また「いきものがかり」×内田英治監督による、全編スマートフォンで撮影されたショートフィルム『星屑の子』も世界初公開されている。『in-side-out』森山未來監督からコメント到着『in-side-out』は、森山さんと公私ともに関係が深い永山さんが主演を務め、コロナ禍でより身近になった“孤立”をある男の妄想と現実の狭間に生きる姿で描く、“閉鎖的ミュージカル”として大きな話題を集めた。森山さんは初監督作品が昨年のSSFF & ASIAで特別上映されるなど、本映画祭との縁も深い。昨年より監督としてパワーアップした森山“監督”の作品が、グランプリを獲得し、翌年の米国アカデミー賞短編部門へのノミネート候補とされる権利を獲得することができるのか、期待が高まる。なお、ジャパン部門優秀賞およびグランプリとなるジョージ・ルーカスアワードは6月21日(月)に行われる映画祭アワードセレモニーにて発表される。森山監督は、「去年にも『Delivery Health (the escort)」という作品をSSFF & ASIAさんに選んでいただいたという経緯があり、これらの作品をより多くの観客の皆さんに観てもらえることが素直に嬉しいです」と喜びをコメント。「典型的なミュージカルのイメージではなく、ある密室の中での最小人数によるモノローグやダイアローグから生まれる『言葉を飛躍した何かしらの衝動/表現』のようなものを切り取ってみたい」という意図から始まった本作について、「何かしらの理由で引き籠もらざるを得なくなった男が、ワンルームの、彼だけの世界の中で妄想を爆発させます。そんな中で生まれる、一人の存在による表現の自由とその限界を、一緒に見つめられればと思っています」とアピール。また、ショートフィルムについても「短いからこそ、作家の純度がより強く凝縮されるのだと改めて感じました」と言及し、「声をかけていただけるのであれば、また監督もやるかも」とコメントを寄せている。さらに、今回のノミネートを記念して『in-side-out』のWOWOWにてアンコール放送が決定。6月4日(金)には「特集:6/4はショートフィルムの日!」として、「アクターズ・ショート・フィルム」5作品はもちろん、『SKIN 短編』『そうして私たちはプールに金魚を、』といった話題作を特集。6月26日(土)よりアクターズ・ショート・フィルムのこれまでの歩みを記録した「アクターズ・ショート・フィルム・ドキュメンタリー」も放送する。「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア 2021」は6月11日(金)~6月21日(月)、都内にて開催。オンライン会場は4月27日(火)スタート。「アクターズ・ショート・フィルム」はWOWOWオンデマンドにて配信中。森山未來監督作品「アクターズ・ショート・フィルム #5 in-side-out」は5月14日(金)22時~WOWOWプライムにて放送・WOWOWオンデマンドにて配信。(text:cinemacafe.net)
2021年04月27日映画は知らない世界への扉だと言われる。ドキュメンタリーは特にそうだ。新型コロナウィルスの影響が色濃くなったここ1年は、心がざわつく作品とは少し距離を置いている。気がつけば勇気づけられる作品を好んで観るようになった。最近のお気に入りドキュメンタリーはファッション映画だ。生きた芸術とも言われるファッションへの好奇心と、クリエイションへの好奇心、そのどちらも満たされるものだから、つい繰り返し観てしまう。『メットガラドレスをまとった美術館』は、US「VOGUE」編集長で、メット理事でもあるアナ・ウィンターが、年に一度、服飾部門の活動資金調達のために行う世界最大のファッションイベントの制作過程を追っている。メットガラの席料は一人25,000ドル(約275万円)。招待状を入手できるのは、マドンナ、ジョージ・クルーニー、アン・ハサウェイ、ジュリアン・ムーアらアナに影響力を認められた人のみだ。絢爛豪華な祭典の様子も見物だが、私が惹かれたのは前日譚。次々に降りかかる問題を、アナとキュレーターのアンドリュー・ボルトンが、あの手この手で乗り越えていく。アナが頭を抱える姿は、彼女の日常に密着した『ファッションが教えてくれること』からは想像できない。必然性のない提案にNOを出し、5万ドルかけた撮り下ろしも容赦なくボツにする。マリオ・テスティーノやオスカー・デ・ラ・レンタのような大物にすら忖度なし。即断即決の彼女が思い悩む姿を見ていると、「躓いたって立ち上がればいい」という気になるのだ。デザイナーを追った作品には、アナの作品同様にお仕事映画的側面が感じられるものも多く、そのプロフェッショナリズムに心が震える。『ヴィヴィアン・ウエストウッド 最強のエレガンス』では、パンクと優雅さを融合させたファッションで、無一文から世界を手中にしたヴィヴィアンの人生が紹介されている。デザイナー、実業家、母親、妻、環境&人権保護活動家としてのボーダーレスな活躍、エネルギー溢れるプライベートライフには目を見張る。『ディオールと私』では、オートクチュール未経験のラフ・シモンズが、パリのメゾンでベテランのお針子たちと1枚の布に魂を注ぎ込もうと奮闘する姿に胸が熱くなった。もちろん、コレクション完成が終点ではない。発表後、デザイナーたちを待ち受けるのは賞賛か酷評か。『マックイーンモードの反逆児』では、ある人物がこの業界にいると心のバランスを崩すと言っていた。華やかなファッション業界の過酷さを象徴するひと言だ。創り手の思いを知るほどに、ファッションを短いシーズンで区切ることへの違和感が募る。だからこそ、私のお気に入りは『ドリス・ヴァン・ノッテンファブリックと花を愛する男』だ。彼は流行と戦い続けている。何着か我が家のクローゼットにあるドリスの服は、なるほど何年経ってもお気に入りだし、飽きることがない。確固とした自分軸を持つ彼は、世界的に成功した今もアントワープに邸宅を構えている。アンティークや花、自家菜園で採れた野菜を慈しむ姿に、トレンドとは別の価値観で生きるドリスの精神を感じ、彼の服にますます愛着を感じることとなった。ドリス同様「アントワープの6人」の一人であるマルタン・マルジェラの映画『We Margiela マルジェラと私たち』は、素顔を隠してセンセーショナルな作品を発表し続けたマルタンが、突然表舞台から姿を消した理由を探る。理想と現実、創作と資金のバランスに常に悩まされていた現実には驚かされた。彼がブランドについて語る際、常に“I”ではなく“We”と言い続けた理由も明かされる。それは、『ライフ・イズ・カラフル未来をデザインする男ピエール・カルダン』の冒頭でカルダン氏が明かした、「ブランドについて三人称で語る理由」と同じだ。カルダン氏は、「自分はブランドにおいてあくまでもひとつの要素にすぎない」と言う。そのスタンスを貫き、2020年に設立70周年を迎え、今も巨大コングロマリットと距離を置き、設立者本人が幸せそうに采配を振るう姿に励まされるデザイナーは多いはずだ。数あるファッション映画の中でも大好きなのが『アルマーニ』だ。一代で帝国を築き上げたジョルジオ・アルマーニの鬼気迫るこだわりと、それが具現化されたミニマルな服、そして美しい暮らしぶりには圧倒された。だが、その裏で彼が犠牲にしてきたものにも気づかされる。“道”を極める覚悟を垣間見ている気もするのだ。無から美を生み出そうとする人々のたゆまぬ努力は、覚悟のひとつのカタチなのだろう。だからこそ、彼らを見ると身が引き締まる。勇気をもらえるのだ。さあ今日も、お気に入りの一着を身に纏ってがんばろう。(text:June Makiguchi)
2021年04月09日佐古忠彦監督最新作となる映画『生きろ 島田叡―戦中最後の沖縄県知事』(3月20日公開)が18日、東京・渋谷のユーロライブにて同日開幕した「TBSドキュメンタリー映画祭」にて先行上映され、佐古監督が舞台挨拶に登壇した。本作は、『米軍が最も恐れた男 その名は、カメジロー』2部作で戦後沖縄史に切り込んだ佐古監督が、新たに発見された資料を交え、知られざる沖縄戦中史に挑んだ野心作。沖縄戦を生き延びた住民、軍や県の関係者、その遺族らへの取材を通じ、戦中最後の沖縄県知事となった島田叡(しまだ・あきら)氏の生涯と、語り継ぐべき沖縄戦の全貌に迫った長編ドキュメンタリー映画だ。沖縄で先行公開されており、佐古監督は「開館前から列を作っていただいていて。『いい映画だったよ』という言葉を残してくれる方が本当に多かった」と沖縄での反響を明かし、「沖縄戦は、今の状況につながる一つの原点。沖縄のみなさんにとっては、あの時代に何があったのか、改めて原点を見ることにつながったというところもあり、本当に作ってよかったと思うことができる沖縄の公開でした」としみじみと語った。また、3月に公開することについて、「沖縄戦は3月に始まっている。この季節の中で、あの出来事が起きたという季節感を感じながら作品を見ていただくことも意義があるのかなと」と述べ、「どういった中で人々が命に向き合っていたのか感じながら映画を見ていただけたらうれしい」とメッセージ。さらに、「命に向き合うことは、時代関係なく、一番の尊厳の部分。この映画には、昔話だけではなく、今日的なテーマがたくさん含まれている。リーダー論、官僚の在り方、そして、全体主義の中で個がどんな行動をとれるのか。時代を超えて今に投げかけてくるメッセージがある」と語った。本作では、佐々木蔵之介が島田叡氏の語りを担当。佐古監督は「蔵之介さんのお力をお借りし、その場面場面での島田さんの気持ちを考えに考え抜いて、素晴らしい表現をしていただいた。沖縄でも『佐々木蔵之介さんの語りが島田さんのイメージにぴったりだ』という声をたくさんいただいて、本当に蔵之介さんにお願いしてよかった」と感謝し、「実は蔵之介さん、直前に沖縄に行かれて、いろんな空気を感じとって収録に臨まれた。いろんなものをこの作品に乗せていただいた」と明かした。「TBSドキュメンタリー映画祭」は3月18日~21日に東京・渋谷のユードライブにて開催。テレビ放映版から新たに編集をした作品に加え、劇場公開作を含む全22作品を上映し、監督やゲストによるトークイベントも実施する。なお、この日の舞台挨拶ではTBSの出水麻衣アナウンサーが進行を務めた。
2021年03月18日いまや私たちの日常に欠かせないインターネットやSNS。便利であるいっぽうで、危険な側面があるのを誰もが感じているのでは?そこで、ある人気キャラクターがインターネット上でたどった衝撃の出来事を目の当たりにする話題作をご紹介します。『フィールズ・グッド・マン』【映画、ときどき私】 vol. 366ハッピーなキャラクターたちが繰り広げる若者のリアルな日常を描いているマット・フューリーの漫画「ボーイズ・クラブ」。カルト的な人気を博していたが、主人公であるカエルのペペが「feels good man(気持ちいいぜ)」というセリフを放ったことがすべての始まりとなる。いつからかインターネットの掲示板やSNSには、このセリフとともに“ネットミーム”として改変されたペペのイメージ画像が溢れだしてしまう。さらに、2016年のアメリカ大統領選時には、匿名掲示板「4chan」で人種差別的なイメージとともにペペが大拡散され、ADL(名誉毀損防止同盟)からヘイトシンボルとして正式認定される始末。マットの思いとは裏腹にペペの乱用は加速し続けることに……。アメリカの映画批評サイト「ロッテントマト」で96%を叩き出し、「いますぐ必見の痛烈なポリティカル・ドキュメンタリー」と絶賛されている本作。今回は、その裏側について、こちらの方々にお話をうかがってきました。アーサー・ジョーンズ監督&ジョルジオ・アンジェリーニさん本作で監督デビューを飾り、サンダンス映画祭新人賞を受賞するなど高く評価されているアニメーターで脚本家でもあるジョーンズ監督(写真・左)。今回は、マットと同じアーティストとして感じている思いや制作過程で発見したインターネットが抱える問題などについて、本作のプロデューサーであるジョルジオ・アンジェリーニさん(写真・右)と一緒に語っていただきました。―ペペの生みの親であるマット・フューリーさんが経験した一連の騒動を監督は、友人として間近でご覧になっていたそうですが、それを映画にしようと思ったのはなぜですか?監督ペペがニュースに出たり、掲示板でミームとして扱われるようになったりしてから、この騒動ついてはずっと驚かされていたんです。以前からマットとはペペについていろいろと話し合っていたので、この数年間でペペの身に起こったことについて非常に興味深く感じていました。そんななか、2016年にペペがヘイトシンボルに登録されてしまい、それによってマット自身がネオナチやオルタナ右翼なんじゃないかと勘違いしている人も増えていたので、ドキュメンタリーを作ることで「ペペを守って真実を伝えたい」「いまのアメリカの現状を世界に発信したい」と思うようになったのがこの作品を制作しようと考えた理由です。―制作の過程では、それまで知らなかった事実に直面することもありましたか?監督僕は普段あまりSNSを使わないですし、「4chan」を見たのも初めてだったので、新しい発見はたくさんありましたね。作品自体がリサーチプロジェクトでもあるので、SNSがいかに世界やコミュニケーションの方法を変えたのかという経緯や社会の変化をこの映画を通して伝えたかったというのもひとつです。そのために、SNSのコミュニティを理解するように努力したり、現代の哲学やメディア論に関する資料を読んだり、学者の方にお話を聞いたりと、多方面から調べていきました。インターネットには忍耐力を持って接することが大事―ペペが置かれている立場については、どう思われましたか?監督もうひとつ僕が驚いたのは、ペペがいかにファンたちと感情的なつながりがあるかということ。たとえば、「4ちゃんねらー」と呼ばれる4chanの投稿者であるミルズと話しているなかでも、彼らのような人たちにとって、ペペとの絆がどれほど強いのかを感じることもありました。それは、作品を作っていくなかでも、おもしろいと思った点です。―そういった一連の出来事を目撃して、インターネットやSNSとの向き合い方は変わりましたか?ジョルジオさん監督はあまりSNSをしないタイプの人なので、これに関してはこの映画の公式SNSなどを担当している僕が答えたいと思いますが、まずは忍耐力を持つことが大事だと気がつきました。今回のペペのようにインターネット上では、ネガティブな方向に用いられることもありますが、そんなときでも忍耐力を持って接していれば道は必ず開けていくということを学んだからです。―では、利用している人に向けてアドバイスがあればお願いします。監督まず頭に入れておくべきなのは、それぞれのプラットフォームはユーザーを操るためのツールであって、できるだけそこで時間を費やすように作られていたり、不安や恐怖をあおったりするようになっているということ。いま、SNSは空気のような存在とされていますが、もう少し批判的な目を向けていく必要があるのかなとは思っています。特に、この作品を通してみなさんにも考えてほしいのは、メディアリテラシーの大切さやSNSとどう接していくかということです。いかに協力して平和な社会を作れるかを考えてほしい―そのいっぽうで、いい面もあるとは思いますが、どうお感じですか?ジョルジオさんインターネットやSNSというのは、あくまでもみんなが繋がることのできる“偽りのユートピア”のような場所なんじゃないかなと思っているので、正直言って、今回の過程ではあまりポジティブな面を見つけることはできませんでした。というのも、ネットカルチャーにおいては、愛情や共感よりも悪意やヘイトの感情のほうが広がりやすいんだと感じたからです。なので、みなさんにもそういったことを忘れずに、インターネットに参加してほしいなと思っています。そして、SNSにコントロールされるのではなく、する側に立ち、いかに協力して平和な社会を作れるのかも考えてもらえたらいいなと。あとは、自分を偽ることなく、インターネット上でも自分らしさを見せることを恐れないでほしいので、そういったメッセージも受け取ってもらいたいです。―こういう作品なのでインターネット上に投稿される作品に対する感想も気になったのではないでしょうか?監督確かにネガティブなコメントを恐れていましたが、人々は驚くほどいい反応を見せてくれました。そのときに感じたのは、インターネットやSNSが与える影響について対話をする心の準備がみなさんできているんだなということ。そして、ネガティブなイメージがついてしまったものの、いかに人々がペペのことを愛しているのかを実感しました。それによって僕たちは勇気をもらえましたし、ペペが歩んできた長い旅路の一部になれたこともうれしく思えた瞬間だったと思います。ペペはアメリカ社会の鏡になっている―もしも、ペペというキャラクターが存在せず、インターネット・ミームとしてここまで利用されることがなければ、アメリカの歴史も変わっていたと思いますか?ジョルジオさんペペは社会に影響を与えるキャラクターというよりは、社会の鏡だと考えています。なので、愉快でハッピーなペペから悲しいペペになり、怒りを抱えているペペを経て、最後は暴力的になるという変化がありましたが、あれはまさにアメリカの文化を象徴していると言えるでしょう。アニメーションのなかで、ペペが見ている鏡が割れるシーンがありますが、そこでもアメリカの文化を比喩的に表現しているんですよ。ペペがいなければこの作品は生まれませんでしたが、ペペ自身が社会を変えたということはないと思います。監督だからペペがいなくても、トランプは当選していたでしょうね(笑)。―誰もがマットさんの立場になりうる可能性がありますが、同じアーティストとして活動するうえで監督も創作活動や表現の自由の難しさを感じることはありましたか?監督マットは僕よりも才能がある人なので、同じ立場になれるとは思っていませんよ(笑)。ただ、いまの世の中で漫画は消費文化だと思われているところがありますが、社会のなかで重要なアートだと僕は考えています。それまでは受け身なところもありましたが、自分自身が動くことで世の中を変えることができることを知れたので、不安や恐怖を感じるよりもワクワクした気持ちのほうが強かったですね。―これからも、ミームは影響力を増していくのでしょうか?ジョルジオさん「ミーム」というのは新しい言語だと思っているので、今後なくなることはないでしょうね。ただ、ちょっと影響力が大きすぎるという意味では問題だと思っているので、ミームに対して社会がどのように反応していくか、というのが課題なのかなと考えています。2020年の大統領選挙のときに民主党候補者を目指していたマイケル・ブルームバーグ氏もお金を払って自分のミームを作成し、影響力を得ようとしていたほど。彼のような人でもミームを意識しているんだと知り、改めてミームの力の大きさを知りました。普通に見ているだけならミームはいろんなユーモアのセンスが融合されていて面白いので、いい意味で発展してもらいたいなとは感じています。世の中にとって何がベストかを考えていくべき―今後、ミームとはどのように付き合っていけばいいと思いますか?監督これはアメリカだけではなく、世界中で起きていることですが、ミームを使って力の弱い人たちを操ろうと悪用しているケースも見られるので、それに対しては、何かしらの形で戦っていかなければいけないと感じています。―なかなか難しいことではありますが、みなが「フィールズ・グッド」と言えるようになるになる社会に必要なものは何だとお考えですか?監督まずは、オンラインに費やす時間を減らすこと。そして、プラットフォーム自体が社会的責任を負うということが大事だと感じています。そのために、プログラマーや経営者たちと多様な思考を持った人たちが集まって一緒に作り上げていくことが必要なのではないかなと。ユーザーも声を上げるべきですし、会社もグローバルな責任を持って運営をしていかなければいけないですが、とにかく世の中にとって何がベストなのかを議論しながら、プラットフォームを作り上げることが求められると思います。あとは、コミュニティのなかでお互いに力を与え合って、幸せを感じることですね。そんなふうに社会のなかで役に立てているという感情が人々をフィールズ・グッドにさせるのではないかと考えています。―最後に、おふたりが日常生活で「フィールズ・グッド」と感じる瞬間を教えてください。ジョルジオさん一番幸せを感じるのは、家族や友人、ペットと時間を過ごしているとき、それからアーサーのようなクリエイティブな人たちとの仕事をしているときですね。監督僕もジョルジオと同じで、大好きな仲間と一緒にコラボレーションして制作しているときがフィールズ・グッドな瞬間です。あとは、シャワーを浴びてさっぱりして、強いコーヒーを飲んで、好きな音楽を聴きながら犬を散歩させる時間に幸せを感じています。世界中で起きている問題にみんなで向き合う!現代社会が抱える問題や闇の実態について、人気キャラクターを通して見ることができる本作。インターネットという世界では、誰もがいつ被害者や加害者になるかもしれない危険性があるだけに、これからの付き合い方を考える意味でもいま観るべき1本です。取材、文・志村昌美痛烈な予告編はこちら!作品情報『フィールズ・グッド・マン』3月12日(金)ユーロスペース、新宿シネマカリテほかにて全国順次公開!配給:東風+ノーム©2020 Feels Good Man Film LLC
2021年03月11日世界最大のNYブックフェアの裏側から本を愛するブックセラーたちの世界を追ったドキュメンタリー『ブックセラーズ』が公開されることが決定。併せて、ポスタービジュアルが解禁となった。世界最大規模のNYブックフェアの裏側から「ブックセラーズ(直訳:本を売る人たち)」の世界を紐解いていく本作。監督はドキュメンタリーで活躍してきたD・W・ヤング、製作総指揮でナレーションを務めたのは「インディペンデント映画の女王」と呼ばれる女優のパーカー・ポージー。辛辣でありながらユーモアあふれる語りで、映画の要所要所に登場するのはNY派の作家、フラン・レボウィッツ。Netflixで配信が始まったばかりのマーティン・スコセッシ作の新作ドキュメンタリーシリーズ「都市を歩くように -フラン・レボウィッツの視点-」の主人公である彼が、ブックセラーの世界をガイドする。映画に登場するブックセラーは、ニューヨークの老舗書店の人々から、業界で名を知られたブックディーラー、希少本のコレクター、古書業界に新しい風をもたらす若手から伝説の人物まで。彼らは皆、本をビジネスとして扱うだけでなく、本への愛情に溢れており、中には「奇人」とも「物好き」とも言いたくなるユニークなキャラクターの持ち主も。また、ビル・ゲイツによって史上最高額の2,800万ドル(約28億円)で競り落とされた本「レオナルド・ダ・ヴィンチのレスター手稿」や、あの「若草物語」のオルコットが偽名で書いたパルプ小説、宝石が施された本、人間の皮膚で作られた本など、映画には、コレクターしか見ることのできないような希少本が多数紹介されるのも、たまらない魅力だ。今回解禁されたポスタービジュアルはニューヨークの小さな書店の扉がモチーフで、右角には映画に登場するブックセラーの飼い猫をフィーチャー。「本のない人生なんて。」というコピーが添えられ、本好きの好奇心をくすぐるビジュアルに仕上がっている。『ブックセラーズ』は4月23日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ、UPLINK吉祥寺ほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ブックセラーズ 2021年4月23日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ、UPLINK吉祥寺ほか全国にて公開
2021年02月16日「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2021」コンペティション部門(国際コンペティション・国内コンペティション)の作品公募が2月15日(月)より開始されることが発表された。SKIPシティ国際Dシネマ映画祭は、デジタルシネマにフォーカスを当て、若手映像クリエイターの発掘と育成を目的に埼玉県川口市で2004年より開催されてきた映画祭。本映画祭のコンペティションは“若手映像クリエイターの登竜門”として、映画界の未来を担う新たな才能の発掘と育成を主たる目的としている。国際コンペティションは広く世界中から、長編部門と短編部門の二部門に分かれた国内コンペティションは国内作品を対象に、エンタテインメント性とデジタルの新たな表現の可能性を感じる作品を募集。ノミネート作品は映画祭期間中に上映し、著名な映画人等による最終審査を経て、最優秀作品賞をはじめ各賞を授与する。これまでに、海外作品では、カンヌ映画祭4冠を達成したトルコの巨匠ヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督(『うつろいの季節(とき)』)、『シンプル・シモン』のアンドレアス・エーマン監督、『彼の見つめる先に』のダニエル・ヒベイロ監督、『家へ帰ろう』(映画祭上映タイトル『ザ・ラスト・スーツ(仮題)』)のパブロ・ソラルス監督など、世界各国の新鋭をいち早く紹介してきた。国内作品では今年『孤狼の血 LEVEL2』の公開も控える白石和彌監督、『浅田家!』の中野量太監督、『ピンカートンに会いにいく』の坂下雄一郎監督、『カメラを止めるな!』の上田慎一郎監督、『岬の兄妹』の片山慎三監督、昨年劇場公開された『泣く子はいねぇが』の佐藤快磨監督、『滑走路』の大庭功睦監督らが本映画祭での受賞・ノミネートを契機に劇場公開や商業映画デビューへと羽ばたいていった。18回目となる本映画祭の開催日程は、9月25日(土)〜10月3日(日)を予定している。開催方式・内容の詳細については、今後の新型コロナウイルス感染症の状況等を考慮の上、後日発表される。SKIPシティ国際Dシネマ映画祭 2021開催概要(予定)会期:2021年9月25日(土)〜10月3日(日)会場:SKIPシティ彩の国ビジュアルプラザ 映像ホール(埼玉県川口市)ほか内容:国際コンペティション、国内コンペティション(長編部門、短編部門)ほか主催:埼玉県、川口市、SKIP シティ国際映画祭実行委員会、特定非営利活動法人さいたま映像ボランティアの会公式サイト: ●コンペティション部門 公募概要公募期間:2021年2月15日(月)〜4月5日(月) 必着公募部門:国際コンペティション、国内コンペティション応募方法:映画祭公式サイト内オンラインエントリーフォームから応募URL: 公募対象作品:国際コンペティション(長編作品のみ / 国内作品・海外作品対象)長編映画制作本数が3本以下の監督による60分以上の作品国内コンペティション(長編部門、短編部門の2部門 国内作品のみ対象)【長編部門】長編映画制作本数が3本以下の監督による60分以上の国内作品【短編部門】商業公開された長編映画を制作したことがない監督による、15分以上60分未満の国内作品※各部門ともに、実写作品(ドラマ・ドキュメンタリー)、アニメーション作品のいずれも応募可能です。※ノミネート結果、賞構成、審査員は後日記者発表および公式サイトにて発表予定です。(参考:2020年賞金総額230万円)※応募規約および応募方法の詳細は 2月15日(月)より映画祭公式サイトで公開します。
2021年02月10日2016年のデビュー作『Hooligan Sparrow』、2019年の『一人っ子の国』に続き、中国生まれのドキュメンタリー映画監督ナンフー・ワンが、最新作『In the Same Breath』をサンダンス映画祭でお披露目をした。今回のテーマは、新型コロナ。昨年秋のトロント映画祭では、やはり新型コロナをテーマにしたドキュメンタリー『76 Days』が上映されたが、そちらは都市封鎖された76日間の武漢の病院に焦点を当てるものだった。一方で、過去2作でも中国政府を批判したワンは、政府の対応にフォーカスする。2019年の12月から武漢では同じ症状を訴える人が続出していたことを見せるセキュリティビデオ、中国政府は死者数を3,300人と言っているが「桁がひとつ違う」という葬儀屋のコメント、政府のプロパガンダをそのまま垂れ流す現地メディアの様子などを、ワンは批判たっぷりに見せていくのだ。批判の矛先は、現在ワンが住むアメリカにも向けられる。アメリカの政府は、当初、コロナの脅威を過小評価し、「アメリカは大丈夫だ」「心配する必要はない」と国民に言い続けた。アメリカのコロナ感染のメッカとなるニューヨークですら、ロックダウンが始まる直前まで同じメッセージが伝えられていたことを、ワンはこの映画で人々に思い出させる。そんなふうに現実をきっちり見なかったがために、患者が一気に押し寄せてくると、十分なマスクや防護服が足りず、医療従事者は不安な状況でケアを行うことを強いられたのだ。映画には、その状況に反論したためにクビにされた元看護士も登場する。もし、政府が最初からことの大きさを理解し、国民に真実を語って、早急にロックダウンをしていたら?亡くなった人々の墓を映しながら、ワンはそう問いかける。コロナは進行形であるだけに、これについてのドキュメンタリーは、おそらくこの後も出てくるだろう。そんな中で、今作は、この1年を振り返り、考察する、意義ある作品といえる。文=猿渡由紀
2021年02月01日「音を作っているときの彼らはものすごく真剣で、ストイックで、心を込めて歌っているし、演奏している。楽しいときもいっぱいあって、仲も良くて。そういう姿って、ふだん、なかなかみなさんは見ることができないので、今回はそれを見せたいと思いました」そう語るのは、Mr.Childrenのアーティスト写真、アルバムジャケット、ライブなどを撮り続け、プライベートでも親交のある写真家・薮田修身さん。12月の名古屋に続き、1月15日から渋谷PARCOにて、ミスチルの最新アルバムのレコーディング写真で構成したインスタレーション『THERE WILL BE NO MIRACLES HERE』を開催している。撮影期間は、’19年7月から、新型コロナウイルス感染予防によるロックダウン直前の’20年3月まで。20枚目となるオリジナルアルバム『SOUNDTRACKS』の製作のためにロンドンとLAに訪れた4人に密着し、レコーディング風景を余すところなくとらえたものだ。テーマは、“ドキュメンタリー”。会場には2台のプロジェクターが設置され、1,000点以上の写真が映し出される。置かれている椅子が4脚なのは、ミスチルのメンバーの人数に合わせたという。「アルバムの収録曲で、最初にレコーディングされた『Documentary film』という作品の歌詞にインスパイアされて、ドキュメンタリーという言葉を意識するようになったんです。写真はほとんどセレクトせずに、撮った順番どおりに壁に映し出されるような見せ方にしました。1本4時間と長い作品になりましたが、椅子でも床でも座りながら、位置も自由に見ていただければと思います(笑)」また本展では、来場者が各自持参したデバイス、およびイヤホン、ヘッドホンなどで好きな音楽を聴きながら作品を楽しむことができる。『SOUNDTRACKS』を聴きながら、「この曲をレコーディングしてるのかな?」と想像力を膨らませてもいいだろう。「最初、映画館で見てもらおうというアイデアもあったんです。でも、僕のなかではその真逆の、すっごく個人的なところに届けたいという思いが強かった。同じものを見て、同じ音を聴いて盛り上がるというよりも、みんながそれぞれ違うものを聴いながら、見る人個人の好きな解釈で自由に見てもらえたらいいなあと思いました。というのも、日本って、“みんなと一緒が良し”という考え方が強い国民性だから、違うことをすると叩かれるし、端に寄せられてしまう。でも本来は、一人一人違うはずだと僕は思っていて、こういう空間やアートを通して“みんなと同じじゃなくていい”ということを伝えたいと思っています」展示会では1月25日発売のミスチルの写真集『THERE WILL BE NO MIRACLES HERE』も先行販売されているが、薮田さんの熱い思いが込められている。「将来、ミスチルを知らない人たちが古本屋でこの本を見つけたときに、『この人たちの音楽を聴きたい』と思ってもらえるようなものになったらいいな、と。100年後も残るようなものを目指してこの写真集を作りました。彼らって、ビジュアル的にはヤンチャなロックバンドという感じはないから、逆の入り口ではないけれど、真剣度みたいなものからミスチルを知ってもらうのもいいのかなあと思っています」最後に、薮田さんだからこそ知るミスチルの素顔を聞いた。「ヤンチャじゃないと言いましたが、もちろん、若いときはそうでもなかったよ(笑)。でも、彼らもいいおじさんだからね、いまさら変なことはやらない。常識人だし、みんなに優しい人たちですね」
2021年01月22日コロナのワクチンに大きな期待が寄せられる中、開発競争の舞台裏を描くドキュメンタリーが進行していることがわかった。タイトルは『Race for the Vaccine』。製作するのはCNNフィルムズとBBC。監督は、元ウィルス学者でフィルムメーカーのイギリス人キャサリン・ゲールと、医療ジャーナリストでフィルムメーカーのアメリカ人ケイレブ・ヘラーマンが共同で行う。ナレーションは、CNNの医療コレスポンダントで医師のサンジェイ・グプタが担当する。来年春、アメリカではCNN、イギリスではBBC Twoが放映する予定。文=猿渡由紀
2020年12月11日何かとすぐに炎上しがちな昨今において、表現することの不自由さを感じている人も多いのでは?そこで今回ご紹介するオススメ作品は、“20世紀を最も騒がせた写真家”に迫った注目のドキュメンタリーです。それは……。『ヘルムート・ニュートンと12人の女たち』【映画、ときどき私】 vol. 348一流ファッション誌で女性を撮り続け、さまざまな物議を醸してきたファッション・フォトグラファーの世界的巨匠ヘルムート・ニュートン。強烈なインパクトを与える作品は、ときに「ポルノまがい」「女性嫌悪主義」との議論も巻き起こしたが、女優やモデルなど多くの女性たちを魅了した。生誕100年となる2020年。彼にインスピレーションを与えた12人の女性たちの視点から作品や人物像を捉え直したスリリングなドキュメンタリーが完成した。ヘルムートの真実とは……。2004年に自動車事故による不慮の死を遂げたあとも、長く人々の記憶に残り続けているヘルムート・ニュートン。その素顔から撮影の舞台裏までを映し出している本作について、こちらの方に見どころをうかがってきました。ゲロ・フォン・ベーム監督これまでに製作したドキュメンタリーは100本を超えるという“ドキュメンタリーの名手”ベーム監督。今回は、ヘルムート本人と生前交流があった監督に、彼との忘れられないエピソードや表現の自由が奪われつつある現代に訴えたいことなどについて語っていただきました。―まずは、この映画を作ろうと思ったきっかけから教えていただけますか?監督それは、もう一度ヘルムートの作品や彼という人物をいまの時代の人たちに見せることで、いろんなことを考えてほしいと思ったからです。このタイミングになったのは、ちょうど今年で生誕100周年を迎えたからというのがありましたが、これまでドキュメンタリーが作られていなかった20世紀最大の写真家の一人である彼について、知ってほしいというのが最大の理由でした。映画にしようと思ったのは、彼の写真がシネマスコープのサイズで撮られているものが多いから。大きなスクリーンで見せるにはピッタリだと思ったというのもありました。あとは、以前彼とコラボしたときの素材が残っていたので、それを多くの人に見せたいという気持ちも込められています。―この作品を作っている過程で、現在の時代における創作活動の難しさや見直すべき点について考えた部分もあったと思います。いちアーティストとして、いまのこの現状に対して訴えたいことはありますか?監督これはとても興味深くて、重要なテーマだと思います。いまのポリティカル・コレクトネスの風潮は、私たちが60年代から80年代にかけて活躍していたころとはまったく違っているので、もし彼の写真をいま雑誌に掲載したら、おそらくフェミニストたちが抗議するでしょうね。でも、私は芸術の自由は大切にしなければいけないと思うので、これはとても危険な風潮だというふうにも考えています。もしポリティカル・コレクトネスばかりを尊重するのであれば、ボッティチェリやピカソのような作品もそのうち消えてしまうのではないかと危惧しているからです。表現の自由は守られるべきものなので、検閲を行うことは独裁国家の始まりとも言えるかもしれません。それは、気をつけるべきことだと思っています。若い人にはもっと勇気をもって冒険をしてほしい―では、いまのアーティストたちにアドバイスするとしたらどんなことでしょうか?監督ヘルムートの真似をするのではなく、その時代ごとに合った作風を模索しながら、冒険してほしいと思ってます。つまり、挑発的で斬新な作品をもっと探っていってほしい、ということですね。私からすると、特に最近のファッション業界の写真は退屈な方向へと進んでいるように感じるので、若い写真家たちにはもっと勇気を持ってがんばってくださいと伝えたいです。―ヘルムートさんの作品については、ポルノまがいや女性差別と批判する者も多かったと劇中でも触れていますが、紙一重とも思えるアートとわいせつさの差を生んでいるものは何だと思われますか?監督これもまた興味深い問題ですよね。ヘルムートはつねにその境界線を操るように、そして遊ぶように写真を撮っていたように思います。ただ、そのなかでもつねに何かしらのストーリーを伝えようとしていたというのは、大きな違いではないでしょうか。つまり、女性をただの物としてとらえるのではなく、そこにきちんとメッセージがあるのが彼の写真が持っていた特徴でした。とはいえ、当時もそこが伝わらずに「女性蔑視だ」という批判もあがったのも事実です。―監督にとって印象に残っている作品はありますか?監督映画にも出てくる2枚の写真が対になっている作品で、左側にはオートクチュールの服に高い宝石を身に着けた女性たちがいて、右側には同じ女性たちがすべてを脱ぎ捨てて裸でハイヒールを履きながら同じポーズを取っているという写真があります。これは「服がなくても、女性たちは強く見える」ということを言っていますが、そんなふうに彼は写真を通してつねに何かしらのメッセージを見る人に送り続けていたのです。ただ、「オートクチュールの服はいらない」というメッセージを込めたこの写真を当時のファッション業界が受け入れて掲載したということが、私にとっては何よりも驚きではありました。いまだにヘルムートに恋しているように感じられた―確かにいまでは難しいと思います。しかも現代はインターネットの発達などによって、些細なことでもすぐに炎上してしまうため、アーティストには生きづらい時代と言えるかもしれません。もしヘルムート・ニュートンさんが生きていたら、どのようにこの時代に立ち向かっていたと思いますか?監督おそらく、彼の姿勢は特に変わらなかったんじゃないでしょうか。他人が何と言おうと、変わらない人でしたから。ポリティカル・コレクトネスに配慮するような写真は撮らなかったでしょうし、自分の作品が雑誌に掲載されなかったとしても、彼は気にしなかったと思います。実際、彼は「敵は多いほうがおもしろい」という言葉をよく言っていましたからね(笑)。―そんな刺激的なヘルムートさんと時間を過ごしたことで、影響を受けたことも多かったのではないでしょうか?監督そうですね。いまでもよく覚えているのは、2人で一緒に彼の生まれ故郷でもあるベルリンを歩いていたときのこと。そこでいろいろな話をしたのですが、彼からは写真のことよりも人生について多くのことを学ばせてもらったと思います。彼は紳士的ないっぽうで、アナーキストという相反する側面を持っていましたが、そういう彼の姿からは自由と勇気を教えてもらいました。つねに前向きで、ときにはルールを破りながら新しい表現方法を探し続けていた彼に刺激をたくさんもらったと感じています。―本作には、ヘルムートと縁の深い女優シャーロット・ランプリングや編集者のアナ・ウィンターといった多くのセレブが出演しています。いずれも個性豊かで強さのある12人の女性たちでしたが、彼女たちからインスピレーションを受けた部分はありましたか?監督彼女たちと話をしていると、驚かされることばかりでした。なかでも30~40年も前の撮影のことを事細かに話してくれたのには、本当にびっくりしましたね。ただ、インタビューしていくなかで感じたのは、どれだけ月日が経っても彼女たちはどこかヘルムートに恋しているようなところがあるんだなということ。シャーロットも初のヌード写真となったヘルムートとの撮影では、パワーをもらったと話していましたし、あの写真がなければ自分のキャリアはまったく違う方向に行っていただろう、と振り返っていましたから。彼のクリエイティビティに触れて考えてもらいたい―インタビューを続けるなかで、なぜ彼女たちがヘルムートから愛されたのかという理由も見えてきたのではないでしょうか?監督それもありましたね。彼女たちがヘルムートからあんなにも愛されたのは、知的で強気な態度の女性たちだからだと思います。男女関係なく、彼は退屈な人が嫌いだったので、彼女たちのようにつねにチャレンジをして楽しませてくれる人が好きでモデルにしたんだと理解しました。―そんなヘルムートさんにとって、妻のジューンさんがミューズだったと映画のなかで明かされていますが、監督にとってのミューズもしくは創作活動の源とは何ですか?監督ここはヘルムートと私がすごく似ているところなのですが、私も妻がクリエイティビティを刺激してくれる存在です。結婚して45年が経ちましたが、つねに愛情を注いで力をくれていますし、仕事も一緒にしているのでそういった環境づくりにも気遣ってくれていますから。毎日が前の日よりも楽しい、というとても素晴らしいパートナー関係を築けていると思います。―とても素敵なエピソードをありがとうございます。それでは最後に、日本の観客にメッセージをいただけますか?監督自分たちの文化や写真文化を大切にしている日本で公開できることはとても光栄ですし、みなさんにスクリーンで観ていただけることも非常にうれしく思っています。何と言っても日本は、杉本博司氏や荒木経惟氏、細江英公氏といった素晴らしい写真家を輩出している国ですからね。ぜひ、ヘルムートのクリエイティビティに触れていろいろと話し合ってほしいです。そして、それが若い人にとっていい刺激になってくれたらとも願っています。そして最後に、みなさんにはこれからも健康に気をつけて過ごしていってください、ということを伝えたいです。内に秘めた創作意欲を掻き立てられる!表現の自由や芸術のあり方について、改めて考えさせられる本作。コンプライアンスや周囲の評価にがんじがらめになりつつある現代に生きるからこそ、自分の表現を追求し続けたヘルムートの生きざまからエネルギーと刺激を存分に浴びてみては?取材、文・志村昌美刺激的な予告編はこちら!作品情報『ヘルムート・ニュートンと12人の女たち』12月11日(金)よりBunkamuraル・シネマ、新宿ピカデリーほか全国順次公開配給:彩プロArena, Miami, 1978 (c) Foto Helmut Newton, Helmut Newton Estate Courtesy Helmut Newton FoundationGero von Boehm (c) Foto Helmut Newton, Helmut Newton Estate Courtesy Helmut Newton FoundationDavid Lynch and Isabelle Rossellini, Los Angeles, 1988 (c) Foto Helmut Newton, Helmut Newton Estate Courtesy Helmut Newton FoundationCharlotte Rampling (c) Pierre Nativel, LUPA FILMAnna Wintour (c) Pierre Nativel, LUPA FILMHelmut at home, Monte Carlo, 1987 (c) Foto Alice Springs, Helmut Newton Estate Courtesy Helmut Newton Foundation
2020年12月10日8時間以上におよぶ“眠り”のためのコンサート「SLEEP」を映画館で体験できるドキュメンタリー『SLEEP マックス・リヒターからの招待状』の日本公開が決定した。観客は開演した真夜中から明け方まで、会場に並べられたベッドに横たわり“眠っている間に聞く”ために作られた8時間以上に及ぶマックス・リヒターの「SLEEP」ライブ演奏を聴く。本当に眠ってしまったり、歩き回ったりと自由に過ごす――。そんな世界各地のシンボリックな場所で次々と開催し話題をさらった“眠り”をテーマとするコンサート「SLEEP」。本作では、その全貌とその裏側を、コンサートを企画し、「SLEEP」の作曲・演奏も手掛けた音楽家マックス・リヒターの素顔と共に追いかける。そんな型破りなコンサートをリヒターが思いついたのは、睡眠に対する素朴な興味からだった。睡眠は人間にどんな影響を与えているのか?音楽はどんな風に人間の脳に影響を与えるのか?リヒターは脳科学者のデイヴィッド・イーグルマンの協力のもと、音楽と睡眠を科学的に分析し融合、これまでに誰も経験したことのない新しい音楽体験、そして最高級の“眠り”と“目覚め”へと導くための楽曲「SLEEP」を作り上げていく。リヒターは、クラシックとエレクトロニック・ミュージックを融合させて作られるポスト・クラシカルの旗手であると同時に、『戦場でワルツを』『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』といった映画やテレビのサントラも数多く手掛け、いま映画音楽の世界において最も重要なアーティストのひとりともいわれる人物。劇中では、リヒターと彼の公私に渡るパートナーであり、本コンサートも一緒に作り上げてきたマールへのインタビューや、15年間に渡って彼女が撮りためていたリヒターの創作の様子を捉えたプライベート映像、そして、彼が作曲家として成功するまでの苦難の道のりやマールとの強い絆も明らかになる。監督を務めたのは、ボノやサム・スミスなど様々なミュージシャンとコラボしてきたナタリー・ジョーンズ。睡眠と芸術を題材に、人間にとって本当に必要なものは何かを考えさせてくれ、同時に観賞後は実際に「SLEEP」に参加したかのように最高級の“眠り”と“目覚め”の体験を感じられる作品となっている。また公開決定と同時に公開されたシーン写真では、ニューヨークでのコンサートの際、演奏会場に設置されたベッドの上で、演奏に聴き入る女性の姿を捉えている。『SLEEP マックス・リヒターからの招待状』は2021年3月26日(金)より新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:SLEEP マックス・リヒターからの招待状 2021年3月26日より新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて公開©2018 Deutsche Grammophon GmbH, Berlin All Rights Reserved
2020年12月09日モデルで女優の飯豊まりえが、「ABEMA」開局史上初となるオリジナルドキュメンタリー番組「MILLENNIAL /ミレニアル」のナレーションを担当することが決定した。“ミレニアル世代”の視聴者に向けて、ミレニアル世代の多様な生き様や価値観を追いかけて届ける、ミレニアル世代に特化したドキュメンタリー番組「MILLENNIAL /ミレニアル」。番組初回には、若手実力派俳優の岡田健史を取材。ほかにも、バレエダンサー、クリエイター、モデルといった、各界を代表するミレニアル世代が登場する。そんな本番組のナレーションを務めることが決定した飯豊さんは、『きょうのキラ君』「パパ活」「花のち晴れ~花男 Next Season~」「僕だけが17歳の世界で」など話題作に出演、現在22歳で自身もミレニアル世代。「様々な分野で活躍する10代から20代前半のトップランナーの方々の素顔をクローズアップしていて、わたしもワクワクしながらナレーションさせていただきました。ぜひ、ご覧ください」とコメントを寄せている。「MILLENNIAL /ミレニアル」は12月10日21時~ABEMA SPECIALチャンネルにて3週連続毎週木曜配信。※kemioと莉子の密着回は2021年以降配信予定(cinemacafe.net)
2020年12月03日「MIU404」での好演が記憶に新しい若手俳優の岡田健史が、「ABEMA」初となるオリジナルドキュメンタリー番組「MILLENNIAL/ミレニアル」の記念すべき初回を飾ることが分かった。新番組「MILLENNIAL/ミレニアル」は、その名の通り“ミレニアル世代”の視聴者に向けて、“ミレニアル世代”の多様な生き様や価値観を追いかけて届ける“ミレニアル世代”に特化したドキュメンタリー番組。そんな番組の初回に登場するのは、ドキュメンタリー作品初出演の岡田さん。有村架純主演の「中学聖日記」で鮮烈なデビューを果たし、九重役を演じた「MIU404」、主演を務めた「いとしのニーナ」などが話題に。今後は「ウチの娘は、彼氏が出来ない!!」や大河ドラマ「青天を衝け」、『新解釈・三國志』、『奥様は、取り扱い注意』などが放送・公開を控えており、これからの活躍に目が離せない。今回の配信では、岡田さんにとって“第2の故郷”である長崎県の母校にて撮影する様子や、自身のキャリア史上初となる役どころへの挑戦など、これまでメディアで見せることがなかった一面に迫る。岡田さんは「僕自身も今作品を観て密着時と“自分自身”がどれだけ変わっているのかを楽しみながら、皆様と一緒に見届けられたら幸いです」と思いを語り、「役者の『岡田健史』ではない一人間の『岡田健史』を公開するのは正直お恥ずかしい限りですが、是非ご覧ください」と呼びかけている。ほかにも、12月17日からの配信では、歌手やモデルなどマルチに活動するYOSHI。12月24日からの配信では、ロシアの名門バレエ団「マリインスキー・バレエ」に在籍し、数々の演目の主役に抜擢されるなど世界的に注目を集めるバレエダンサーの永久メイが登場。また来年は、クリエイターのkemio、雑誌「Popteen」専属モデル・莉子が出演する。出演者コメント<岡田健史>皆様、お初にお目にかかります岡田健史です。この度、自身初となる密着をABEMA様より発信することとなりました。僕も勿論のこと、生命を持つ生き物は常に変化し流動していくもの。1秒たりとも同じ瞬間は無い中で、不安定でも周りと共存し、その中で信念を持つことが“生きる”ということだと今回の密着で学ばされました。僕自身も今作品を観て密着時と“自分自身”がどれだけ変わっているのかを楽しみながら、皆様と一緒に見届けられたら幸いです。役者の『岡田健史』ではない一人間の『岡田健史』を公開するのは正直お恥ずかしい限りですが、是非ご覧ください。<YOSHI>俺はこの地球に暮らす70億分の1人の人間だ。人はみんなそれぞれ違うし、人が俺をどう見るかもそれぞれ違う。俺は1人なのに1人じゃなくて、小さかったり大きかったり、AだったりBだったりする。しかも、俺自身も変化し続けてるんだから、ジレンマや怒りも沢山ある。だからこそいつも自分に問いかける、俺の本質は何かって。そうすると思うんだ、一瞬一瞬を燃やし尽くせって。一度きりの人生、生まれて死ぬまでを精一杯生きろ!<永久メイ>今の私だから表現できるものがあるはずと信じ、ジュリエットを今年3月マリインスキー劇場で踊りました。原作を読み込み、先生と話して、レッスンして・・・ジュリエットに没頭した日々でした。映像に残してもらえて嬉しい気持ちと、リアル過ぎるのではないか、と不安も少しあります。でもこれが私。これからもこんな風に役や踊りを深めていきたい、と思っています。3歳からずっとバレエに夢中だった気がします。もちろん今も。ロシア・サンクトペテルブルグから 永久メイ<kemio>とても久しぶりに日本に帰国する!去年はありがたいことにお仕事で25、6回ほど日本とアメリカを往復したので今年はコロナの影響も有ってほとんどの時間をアメリカで過ごした。家族や友達そしてzoomじゃなくてやっと対面して皆さんとお仕事ができるのが嬉しくて泡吹いて倒れそう!いえーい!kemio<莉子>今回、錚々たる出演者の方々と一緒に起用していただくことになり、嬉しい気持ちと同時に、私でいいのかと不安も大きかったです。でも、小学生の頃から今の仕事をさせていただき、お仕事に対する姿や気持ちをきちんと皆さんにお見せする機会があまり無かったので、進路や将来に悩んでいる同世代の皆さんに何か伝えることができたらいいなと思っています。私自身にとっても女優業はまだ新しく挑戦しているところなので、この番組を通して、更に真っ直ぐ力強く成長したいと思っています。莉子「MILLENNIAL/ミレニアル」は12月10日(木)21時~3週連続毎週木曜ABEMA SPECIALチャンネルにて配信。※kemioと莉子の密着回は2021年以降配信予定(cinemacafe.net)
2020年12月01日2021年3月にABCテレビにて『マーダー★ミステリー ~探偵・斑目瑞男の事件簿~(仮題)』が放映されることが決定した。「マーダー・ミステリー」とは、その場で渡された設定を読み込んで殺人犯を探すという即興舞台の体験型ゲームのこと。中国ではバラエティ番組をきっかけに大ブームとなっており、日本でもすでに数多くのオリジナル作品が制作されている。「リアル脱出ゲーム」や「人狼ゲーム」に続く次世代の体験型ゲームと言われているものだ。『マーダー★ミステリー ~探偵・斑目瑞男の事件簿~(仮題)』では、巷で話題となっているこのゲームをベースに、出演者が即興芝居に挑戦。演者たちは隠れた犯人を探し出し、また犯人役はバレないように嘘をつく。謎解きをしながらという特殊な状況の中で、即興によるドラマが展開していくというスリリングな「ミステリードラマ」であり、ある意味「ドキュメンタリー」ともいえる、かつてない画期的なドラマコンテンツとなっている。番組では、この即興ドラマに挑戦する俳優を募集するオーディションを実施。「有名無名は関係なく、実力ある役者たちの中から新たなスターが誕生する、役者たちのジャパニーズドリームとなる番組を目指している」という。応募の詳細は以下の通り。ぜひチェックしてみて欲しい。【スケジュール】■エントリー期間:10月19日(月)~11月30日(月)締め切り●12月⇒1次選考・応募フォーム( )に各項目を入力し、写真&課題動画を添付してください。●翌1月⇒2次選考@東京・大阪にて開催・オーディション用のマーダーミステリーゲームを体験して頂きます(所要時間3時間程度)・7名1組で東京・大阪で数回開催します。●2月⇒2次選考を勝ち抜いた7名で本番収録@大阪予定●3月中旬⇒地上波放送【応募要項】▼応募資格プロ・アマ、所属事務所の有無、年齢など一切不問です。▼応募方法以下応募フォームからエントリーに必要な項目を入力し、静止画や課題動画を添付してください。※ほか詳細は応募フォームを参照のこと。
2020年11月24日この数年、日曜の夜は『関ジャム完全燃SHOW』が楽しみだ。ミュージシャンがプロならではの視点で読み解いてくれる名曲の名曲たるゆえんは、音楽用語がわからなくても面白い。勉強になるのはもちろんだけど、一流のプロたちの推し曲への愛やリスペクト、ときには羨望までもが伝わってくるから。『音響ハウス Melody-Go-Round』は、そうした楽曲解説とはまた違うベクトルで、プロたちの音楽への愛が伝わってくるドキュメンタリー。音響ハウスは、1974年に銀座に設立されたレコーディングスタジオ。坂本龍一や松任谷由実、矢野顕子、佐野元春など、日本を代表するアーティストたちに愛され、かずかずの名盤を送り出してきた場所なのだそう。創設期からのスタッフである超ベテランのメンテナンスエンジニアが、毎日、和光や歌舞伎座の前を通ってスタジオへと向かう規則正しい出勤風景を映し出す凛とした空気には、たちまち引きつけられてしまう。そう、音響ハウスの魅力に触れさせてくれるのは、ミュージシャンのみならず、エンジニアやプロデューサーら、さまざまな人たちの言葉や仕事ぶり。それが、ギタリストの佐橋佳幸とレコーディングエンジニアの飯尾芳史が発起人となった本作の主題歌「Melody-Go-Round」のレコーディング過程とともに綴られていく。13歳のシンガーHANAがみずみずしい歌声を聴かせるその楽曲に参加するのは、作詞を手掛けた大貫妙子ら、もちろん音響ハウスにゆかりの深いミュージシャンたち。いかにこのスタジオにオーラがあるか。そのオーラは何から生まれるのか。坂本龍一や、松任谷正隆とユーミン夫妻をはじめとして、関係者が語るエピソードのかずかずは、坂本と忌野清志郎のメイクとコラボが衝撃だった「い・け・な・いルージュマジック」など、ここで生まれた楽曲が彩った時代をも映し出していく。音響ハウスのまさしく音響や、スタッフの技術、そして、このスタジオならではの空気を愛する彼らのエピソードにもまた、アーティストそれぞれの個性が出ているというのだろうか。矢野顕子はおっとりとレコーディング中の食事へのこだわりを語り、坂本のオスカー受賞者らしいスケールの大きなスタジオスケジュールの押さえ方には、ほかのミュージシャンたちが驚愕する。その坂本を藝大時代から追いかけつづけている葉加瀬太郎は、坂本の名盤のかずかずが生まれたスタジオへの思いと、バイオリニストとしてそのスタジオを楽器としていかに使いこなすかを達者なトークで楽しませてくれる。なにより、レコーディングしている誰もがすごく楽しそうなのだ。それもこの作品の大きな魅力。打ち込みで音楽が作られる時代になっても、みんな、一緒に演奏することが嬉しくて仕方がないのが伝わってくる。そうだよね、そもそもライブも大勢が一堂に会して演奏するんだもんねと、大いに納得。一人で仕事していると自分の中だけで完結してしまいがちだけど、特別な場所に人が集まるからこそ生まれるものもある。それって音楽だけの話じゃない。この映画の幸せは、そこに気づかせてくれることにもあるのかもしれない。『Melody-Go-Round』監督/相原裕美出演/佐橋佳幸、飯尾芳史、高橋幸宏、井上鑑、坂本龍一、矢野顕子、沖祐市、川上つよし、佐野元春、葉加瀬太郎、大貫妙子、HANAほか〈登場順〉11月14日より渋谷ユーロスペースほか全国順次公開。©2019 株式会社 音響ハウス※『anan』2020年11月18日号より。文・杉谷伸子(by anan編集部)
2020年11月16日いまや多くの人の日常生活において欠かせない音楽ですが、私たちのもとに届くまでにもさまざまなドラマがあるもの。そこで、名曲の誕生秘話を存分に味わえるドキュメンタリー『音響ハウス Melody-Go-Round』をご紹介します。見どころについて、こちらの方にお話をうかがってきました。写真・北尾渉(佐橋佳幸)ギタリストの佐橋佳幸さん【映画、ときどき私】 vol. 343佐橋さんが出演している本作で舞台となっているのは、昨年で創立45周年を迎え、「CITY-POP」の総本山として近年ふたたび注目を集めているレコーディングスタジオ「音響ハウス」。今回は、日本の音楽史を陰で支え続けてきた音響ハウスとゆかりの深い佐橋さんに、スタジオの魅力や忘れられない思い出などについて語っていただきました。―まずは、初めて音響ハウスに来たときのことを教えてください。佐橋さん高校の先輩に、シンガーソングライターのEPOさんとアレンジャーの清水信之さんがいましたが、僕が音楽業界に入る大きなご縁となったのは、彼らとの出会いでした。あるとき、そのおふたりが音響ハウスでレコーディングしていると聞いて、「見学に行っていいですか?」とお願いして来たのが初めて。僕は組んでいたロックバンドの解散が決まって、音楽活動とバイトを掛け持ちしていた頃でした。1985年にリリースされたEPOさんの「私について」という曲をレコーディングされていたときに、清水先輩からいきなり「ちょっとギター弾いていくか?」と言われたんです。で、そこにあったギターでソロを弾きました。あれがここで初めて演奏した瞬間でしたね。―このスタジオでの経験が、音楽の道で生きて行こうとする気持ちを後押しした部分もありましたか?佐橋さんそれはありましたね。そのあと僕はスタジオミュージシャンをやりつつ、編曲家やプロデューサーとして裏方の仕事も始めるわけですが、35年以上のキャリアのなかで一番多く来ているスタジオは音響ハウス。少し前にもレコーディングで来たばかりですが、やっぱりいいですよね。ここはインディペンデントのスタジオとしては先駆けだったそうで、それがいまだに同じ場所で、稼働し続けているのはすごいことだと思います。あとは、場所が銀座というのもいいですよね!当時、下北沢に住んでいた20代の若者にとっては、銀座に行くというだけでもイベント性が高かったです(笑)。「ここに来ない理由がない」のひと言に尽きる―いままでを振り返って、思い出の場所や忘れられない出来事を教えてください。佐橋さん通常、最後は6stで全部の音をまとめるミックス作業をすることが多いんですけど、その間スタジオ前のロビーで曲が仕上がるのをずっと待っている時間が楽しいんですよ。曲が完成する瞬間は、ワクワクしますからね。当時はテープに録音していたので、いまなら1時間でできることも3~4時間くらいかかってしまうのが普通で、当然スタジオにいる時間が長くなり、ここで1日中過ごすというのが日常茶飯事でした。でも、居心地がいいんですよね。それはみんながここを好きな理由でもあるのかなと。それから、映画のなかで矢野顕子さんがいまはないとんかつ屋さんの話などをしていましたが、ここで食べる出前も思い出深いんですよ。だから、銀座のグルメもここで味わった感じかな。しかも、人のお金で(笑)。―素敵な思い出ですね。ちなみに、ここだからこそ生まれた曲というのも、ありましたか?佐橋さんいろいろありますが、一度、ほかのスタジオで録音した曲が、どうしても思い通りのサウンドにならなくて、ピアノだけここの2stで録り直したということがありました。ほかのパートも、ピアノの演奏も素晴らしかったんですけど、ピアノの音だけがイマイチで……。それでプレイヤーに音響ハウスに来てもらって、ピアノだけ演奏して差し替えました。結果的には、妥協しなくてよかったと思える仕上がりになりましたが、そんなこともありましたね。―そういった設備の豊富さやクオリティの高さも、音響ハウスの魅力のひとつでしょうか?佐橋さんそうですね。ここは、時代の最先端に全部ついてきたところはあると思います。しかも、ここに常設してある機材や楽器は非常によくメンテナンスされているんですよ。最近のスタジオでは楽器どころか、ピアノがないところもありますから。たとえば、星野源ちゃんがいまだにここを使うのは、彼の好きなマリンバがちゃんとあるというのも大きいんですよ。昔から劇伴やCMのセッションも多いので、基本的な楽器が揃っている。とても安定した響きを持った部屋もありますし、僕みたいにみんなで合奏したい人にとっては大勢で音を出せる広いスタジオ環境も魅力。とにかく好きなところや素晴らしいところがいっぱいあるので、「ここに来ない理由がない」というひと言に尽きます。おもしろいインスピレーションが湧いてくる場所―ミュージシャンのみなさんにとっては、インスピレーションを刺激してくれる場所でもあるんですね。佐橋さん過去には、10人のギタリストが弾いているような効果を僕ひとりで出したくて、「広い部屋にもし10人のギタリストがいたら?」というのを想像しながらある実験をしたこともありました。同じパートをひとりで10回演奏するんですが、1回録音するごとにマイクをどんどん離し、10人が1つの部屋で同時に演奏している様子を疑似的に生み出しました。できあがりは、最高でしたし、おもしろかったですね。ここでしかできない実験や無駄な努力に見えるようなことも、本当にいろいろとやりました。でも、みんな本気ですし、おかしなことをしていても、誰も「バカじゃないの?」とは言わないんですよ。だからそういうおもしろいインスピレーションが湧くんだと思います。―最高の環境ですね。では、そのなかでも佐橋さんがお気に入りの場所を教えてください。佐橋さん実は、2stを使うときには、“僕の部屋”みたいにしているスペースがあるんです。本来ドラムのブースなんですが、そのなかにギターのアンプを入れて扉を全開にして弾くと、すごくいい音がするので、そこが僕の好きな場所。今回、映画のなかで作っている新曲「Melody-Go-Round」でも、(葉加瀬)太郎ちゃんのソロのあとにある僕のギターソロはそのスタイルで録りました。ここには数えきれないほど来ていますが、長年通うなかで見つけた方法です。―では、完成した映画をご覧になったときに印象に残っているエピソードはありましたか?佐橋さん自分が出ていないほかの方々の話は、どれも本当におもしろかったです。特に、矢野顕子さんが娘の(坂本)美雨ちゃんが眠たくなったときに、ドラムセット用の毛布をかけて寝かせたというのには爆笑しましたね。あとはプロデューサーの笹路正徳さんが音響ハウスの響きのことを「真面目な音」っておっしゃっていましたけど、まさにその通りだなと。オリジナリティを追求するあまり、変わった響きのスタジオもありますが、ここはどの部屋も本当にナチュラルな響きを持っているので、「ここでやれば間違いない!」という安心感はありますね。それから、大貫妙子さんがテープで録音していた時代の話をされているなかで、「テープを巻き戻す時間がいいのよ」とおっしゃってましたが、確かに僕もあの時間に次はどうしようかなって考えていたことを思い出しました。みんなの思いがそのまま曲に反映されている―アナログならではの良さがあったということですね。佐橋さんそうですね。ただ、いまでは笑い話だけど、当時はスタジオにいたみんなが固まってしまうような出来事もありました。たとえば、現在は有名な録音エンジニアがアシスタントだった頃、撮り直さないといけないところを残して、残さないといけないところを間違えて全部消してしまったんです。いまは間違えても、「Undo」で簡単に戻れますけど、あのときはそれができない時代でしたから。怒鳴られて泣いてましたよ(笑)。とはいえ、やり直せないからこそ味わう緊張感は優秀な人材を育てるためには、必要な部分もあるのかなとも思っています。―それはあるかもしれないですね。では、新曲「Melody-Go-Round」についてもおうかがいしますが、今回こだわった部分を教えてください。佐橋さんこの曲は、井上鑑さんや高橋幸宏さんをはじめ、音響ハウスを好きで使い慣れているメンバーが集まっているので、みなさんにもここのスタジオならではの音作りをしてもらえたと思っています。楽曲としては、80年代っぽいところがありますが、その時代はちょうど僕が音響ハウスデビューした頃なんですよね。撮影中もその当時のことや失敗した思い出話とか、お化けが出た話とか、いろんな話をしながら作ったので、そういうみんなの思いもそのまま曲に反映されていると思います。―現在はコロナ禍で音楽業界も大変だと思いますが、そのなかでお感じになっていることはありますか?佐橋さんエンタメ業界に関するガイドラインは、現場の事情がわかる人の意見を聞いたうえで見直してほしいという気持ちはありますね。すでに潰れてしまったスタジオもありますし、今後もそういうところは増えてきてしまうと思うので。本当に、現場は大変なことになっていますから。そのいっぽうで、みんな時間ができてものづくりに励んでいるところはあるので、いつかこの騒動が終わったとき、新しい良質なものがたくさん生まれている可能性もあるのかなと。僕も、そういう前向きな考えで過ごすようにはしています。ちなみに、これまでは家でギターを弾くことはあまりなかったんですけど、最近は家でも毎日弾くようになりました。もしかしたら、前よりもうまくなったかもしれないです(笑)。先日、Charさんにこの話をしたら、「俺も今までで一番ギター弾いてるかもしれない」と。お互いに「酒を飲むか、ギターを弾くしかないよな」って話になったくらいです。時代にそくしたものづくりを大事にしていきたい―(笑)。いままでとはまた違う音楽との向き合い方をされているんですね。佐橋さんそうかもしれないですね。あと、僕はギタリストの小倉博和さんと「山弦」というギターのデュオもやっていますが、「リモートでやろう」って話になって、もうすぐ15年振りのアルバムが完成しそうです。そんなふうに、おうちでできることもあるんだなというのは感じています。ただ、繰り返しにはなりますが、早くきちんとしたガイドラインの変更は早急にお願いしたいですね。―では、佐橋さんにとって“いい音”を生み出し続ける秘訣を教えてください。佐橋さん時代の変遷とともにツールやメディアも変わるので、音も変わってしまいますが、僕はその都度エンジニアやスタジオの方々と相談しながら自分が表現したいイメージに近づけていくようにはしています。それはたとえるなら、いつも変わらない味を出し続けている老舗の料理屋さんと同じこと。食材も人もいつも同じとは限らないなかで、ただ同じことを繰り返しているだけではなく、変わらない味を出すための努力をしているはずですから。そんなふうに、僕らも時代にそくしたスタイルにアレンジしながらものづくりすることは大事なことだと思いますし、変わっていくことに対応しないといけないなと。僕は「いつも通りやってるから責任取れないよ」みたいな生き方はしたくないですね。座右の銘は「温故知新」ですけど、ただの懐古主義になってしまうのではなく、「2021年なら2021年らしい音」みたいにそのときに合った音をこれからも作っていけたらいいなと思っています。インタビューを終えてみて……。とても気さくで、いろいろな裏話を聞かせてくださった佐橋さん。アーティストのみなさんがいかに音響ハウスを愛しているのか、その理由がよくわかりました。これからもここで誕生する素敵な音楽が、私たちの人生を彩り豊かなものにしてくれる予感でいっぱいです。45年にわたる歴史の重みを感じる!まるで音響ハウスのなかに、一緒にいるかのような気分を味わえる珠玉のドキュメンタリー。一流のアーティストたちがものづくりをする感動的な瞬間はもちろん、普段はなかなか見ることのできないミュージシャンたちの素顔も垣間見ることができるのはうれしいところです。“至福の音”に身を委ねてみては?写真・北尾渉(佐橋佳幸)取材、文・志村昌美ストーリー1974年12月、東京・銀座に設立された音響ハウス。多種多様なスタジオを持つ総合スタジオとして、数々の有名アーティストたちに愛されてきた。本作で、音響ハウスとの出会いや楽曲の誕生秘話について語っているのは、坂本龍一をはじめ、松任谷由実、松任谷正隆、佐野元春、綾戸智恵、矢野顕子、鈴木慶一、デイヴィッド・リー・ロス(ヴァン・ヘイレン)といった錚々たる顔触れ。そんななか、ギタリストの佐橋佳幸とレコーディングエンジニアの飯尾芳史が発起人となり、大貫妙子や葉加瀬太郎、井上鑑、高橋幸宏といった音響ハウスにゆかりのあるミュージシャンによるコラボ新曲「Melody-Go-Round」が誕生しようとしていた。心が躍る予告編はこちら!作品情報『音響ハウス Melody-Go-Round』11月14日(土)より渋谷ユーロスペースほか全国順次公開配給:太秦©2019 株式会社 音響ハウス
2020年11月13日世界初の相撲ドキュメンタリー映画『相撲道~サムライを継ぐ者たち~』。監督を務めたのは、テレビ番組『マツコの知らない世界』をはじめ、長年演出家として活躍してきたTBS社員、坂田栄治さん。この作品は坂田さんにとって初の映画監督作品になる。社外活動になるため制作費は協賛を募った。約半年間、2つの相撲部屋に密着し、本場所の熱い土俵はもちろん、激しい朝稽古や筋トレ、部屋での日常生活など、普段は見ることができない力士たちの姿も映像に収めた。部屋でちゃんこをおいしそうにかっこんだり、焼き肉店で気持ちいいくらい次々に肉を平らげていく様子など、食事の場面も見どころの一つ。力士たちの映像の合間には、初心者でも相撲の歴史や、「番付」といわれる階層などを簡単に理解できるよう、解説動画なども挟んでいる。「作品を作る上で大事にしたのは、相撲好きに『おもしろい』と言ってもらえることはもちろんですが、相撲をまったく知らない人や外国人でも、最後まで飽きずに楽しく観られる作品にすることです」バラエティ番組制作で培ったストーリーの組み立て方、カット割り、効果音などで、あちこちに飽きさせない仕掛けを盛り込んだ。大画面で音響が良い、映画館の環境を活かして、目の前で当たり合う力士同士、大歓声があがる満員の国技館なども、迫力と臨場感で満ちている。「密着していると、お相撲さんって365日戦っていて、本当に頑張っているということが身に沁みてわかるんです。みんな体のどこかしら痛めながらも、必死で稽古をしないと強くなれない世界ですから。そういう、普通では知り得ない隠れた部分を伝えたいと思いました」大怪我で大幅に番付を落とした後、再び這い上がってきた竜電関が語る相撲ができる喜び、豪栄道(現・武隈親方)がどんなことがあっても弱音を吐かない理由など、力士や親方たちの言葉も胸を打つものが多い。「お相撲さんってモテる人が多いんですけど、この映画を観ればその理由がよくわかると思います。サムライのように男気があってカッコいい、お相撲さんたちの姿をぜひスクリーンで観てください!」『相撲道~サムライを継ぐ者たち~』境川部屋と高田川部屋の稽古場に密着。相撲の魅力をさまざまな角度から解き明かしていく。ナレーションは遠藤憲一さん。10/30より東京・TOHOシネマズ 錦糸町ほか全国順次公開。©2020「相撲道~サムライを継ぐ者たち~」製作委員会※『anan』2020年11月4日号より。取材、文・古屋美枝(by anan編集部)
2020年11月02日人によって青春の思い出はさまざまだと思いますが、誰にでも何かに熱中した懐かしい記憶があるもの。そこで今回ご紹介するのは、ある若者たちが自分たちの未来をつかむために戦い続けたリアルな記録を映し出した注目の映画です。それは……。話題のドキュメンタリー『私たちの青春、台湾』【映画、ときどき私】 vol. 3352011年、社会運動の最前線にいたのは、台湾学生運動の中心人物である陳為廷(チェン・ウェイティン)と台湾の社会運動に参加する人気ブロガーで中国人留学生の蔡博芸(ツァイ・ボーイー)という2人の大学生。自らの訴えを必死に訴える彼らに対し、「社会運動が世界を変えるかもしれない」という期待とともにカメラを回していく。2014年には、国民党がサービス貿易協定をわずか30秒で強行採決したことに反対した学生たちが立法院(国会)に突入し、23日間にわたって占拠。この一連の抗議活動は「ひまわり運動」と呼ばれ、台湾政治の地殻変動を引き起こした。しかし、ひまわり運動後、彼らの運命は失速していくことに……。同じアジアではあるものの、日本にいると台湾の現状に触れる機会はなかなかないですが、現地のリアルな実情を体感できるのが本作。そこで、立場の違う2人の大学生と行動をともにしたこちらの方にお話をうかがってきました。傅楡(フー・ユー)監督2018年には、本作で“台湾のアカデミー賞”とされる金馬奨で最優秀ドキュメンタリー映画賞を受賞したフー・ユー監督(写真・右)。今回は、ウェイティンさんとボーイーさんと過ごした濃密な時間のなかで気づかされたことや女性の活躍が目覚ましい台湾の事情などについて語っていただきました。―まずは、ウェイティンさんとボーイーさんとの出会いについて教えていただけますか?監督出会ったのは2人別々で、最初に知り合ったのはウェイティン。この作品の前に撮った映画がきっかけでした。その作品とは、政治的に違う意見を持つ若者たちを集めて討論させるという内容だったので、プロデューサーから「社会運動に関わっている若者を一人出したらいいんじゃないか」というアイディアを提案されたんです。そこで、ウェイティンに接触を試みたのが始まりでした。―ほかにも学生がいるなかで、ウェイティンさんを選んだのはなぜですか?監督いろいろな情報を調べていくなかで彼の書いているものを目にしたんですが、社会運動に関わっているほかの人たちに比べて怖くないユーモラスな人だという印象を受けたからですね。というのも、当時の私は何もわかっていなかったので、社会運動に参加している人たちに対して、「大声を出して叫んでいる凶暴な人たち」というイメージがあったので(笑)。彼を通じて、社会運動というのは怖いものではないんだというのも知りました。どういう人が社会運動に参加しているか知りたかった―確かに、ウェイティンさんは社会運動に参加している人に対する一般的なイメージとは違ったので、驚かされました。では、ボーイーさんについてはいかがですか?監督彼女と知り合ったのも同じく2011年。馬英九(マー・インチウ)総統の政策のひとつで中国の若者を台湾の大学で4年間受け入れるというものがありますが、その第一期生がボーイーだったのです。私は、18歳から22歳という価値観が形成される時期に台湾へやってくる学生がどんなふうに感じるのか興味がありました。特に、中国と台湾では社会や政治の制度が全然違いますからね。そういう人たちにいまの台湾がどう映るのかということについて、彼女を通して撮りたいと思ったのです。―しかも、ボーイーさんはネットではすでに有名なブロガーだったとか。そういう意味でも注目されていたのではないでしょうか?監督そうですね。彼女は中国人の視点から台湾のいいところと悪いところ、そして中国のいいところと悪いところに関して素直に書いて発表していたので、中国でも台湾でも知られた存在でした。―出演に関しては、すぐに許諾してくれたのでしょうか?監督彼女自身も以前から社会運動には興味を持っていたので、運動に参加している人たちと知り合えるということも出演してくれた理由だと思います。というのも、実はボーイーには8歳年上の台湾人の彼氏がいるのですが、その人も以前は社会運動に参加していた人。ただ、非常に穏やかな性格なので、「こんなおとなしいタイプの人がどうして社会運動に参加していたんだろう?」という疑問があり、社会運動について知りたいと考えていたようです。社会運動はほかの学問同様に知る必要がある―出演の背景には、そういった興味もあったのですね。監督自身も最初は社会運動に対して、苦手意識があったそうですが、この作品を通して見方は変わりましたか?監督変わりましたね。いまでは社会運動とは、学問における学科のようなものだと思っています。たとえば、文学や映画を勉強するように、社会運動もそのひとつなのではないかなと。かなり専門的ではありますが、みなが知る必要があると感じています。もちろんすべての国に必要があるかどうかはわかりませんが、社会運動が起きるのは政府が十分な政策が取れていないなど、多くの原因があるから。少なくともいまの台湾にはさまざまな不平等や社会的な問題があるので、それに対して、体制の外から声を上げなければいけないと思っています。―現在の台湾でも社会運動はさかんに行われているのでしょうか?監督いまでも小さな社会運動は行われていますが、ひまわり運動のあと、若者の社会運動に対する関心は以前に比べると薄れているような気がします。それについては、非常に残念だと感じているところです。―彼らを追いかけていくなかで、さまざまな場面に遭遇したと思いますが、そのなかでも忘れられない出来事を教えてください。監督映画のなかにも出てきていますが、やっぱりひまわり運動のときが一番印象深いですね。なぜなら、それ以前にも彼らと一緒にさまざまな社会運動に参加しましたが、どれも非常に規模の小さいものだったので、最初は「台湾の社会運動とはこの程度のものなんだろう」と感じていました。それがひまわり運動では、以前から活動をしていたウェイティンたちでさえも驚くほど多くの人たちが参加するまでに。最終的には50万人もの人々がデモを応援して街に出てきてくれたので、その様子にはとても感動しました。不安もあったが、達成感も味わった―とはいえ、身の危険を感じるようなことはなかったですか?監督ひまわり運動の6日目に、立法院へ突入することになりましたが、建物の周囲は有刺鉄線だらけ。安全が確保されていないなかで、その柵を乗り越えなければならなかったので不安はありましたが、有刺鉄線を踏みつけて乗り越えたとき、ある種の達成感のようなものを味わいました。もちろん、本来は危険な行動を取りたくはないですが、あのときはそうせざるを得ない状況だったと思います。―この作品ではそういった政治的な面だけでなく、学生たちの青春についても映し出されていますが、監督自身は青春時代に熱中していたことを教えてください。監督私が若い頃は、社会運動のことを知らなかったので、そういったことに参加することもなく、大学受験のために勉強を一生懸命していました。とはいえ、高校生の頃はアイドルを追っかけたり、ライブに行ったりしていたことも(笑)。ごく普通の学生たちと同じようなタイプでしたね。よりよい大学に行って、学校生活を楽しもうという気持ちが強かったので、社会運動に対しては「なんで社会運動なんかしなきゃいけないんだろう?」と思っていたほどです。映画やテレビを見たり、友達と自転車に乗ってでかけたり、といった青春時代を送っていました。―現在の台湾についてもおうかがいしたいのですが、台湾はアジア初の同性婚法制化や政界における女性の進出も進んでいますよね。監督から見て、それを支えているものは何だと思いますか?監督台湾の社会状況から考えると、比較的女性が政治に参加しやすい雰囲気ができていることは大きいでしょうね。もちろん、台湾でも昔は女性の政治家は決して多くありませんでしたし、同性婚が認められるということも想像できないことだったと思いますが、その時に比べて台湾が開放的になったというのがあるかもしれません。その背景には、少数派の人たちが「自分たちの権利を得るためにどんどん声を上げるべき」という空気を作ってくれたのもあると思います。そういった環境の変化が徐々に女性の活躍へとつながっていったのではないでしょうか。そのなかで、2016年に蔡英文(ツァイ・インウェン)氏という女性初の総統が誕生したのも、いいタイミングだったとみなが感じています。自分たちの国をそれぞれが守っていかないといけない―なるほど。そういった社会的な変化が女性の背中を押したんですね。監督そうですね。どこの国でも結婚や出産、子育てなどがあって女性が政治に参加するのは大変なことですが、台湾では女性の政治家も増えているように思います。そのなかには、子どもを持つ女性たちもいますが、彼女たちが声を上げているのは、母親だからこそわかる問題を伝えたいから。そうやって多くの可能性が生まれていっているように感じています。―素晴らしいことですね。監督は2018年の金馬奨授賞式で「いつか台湾が“真の独立した存在”として認められることが、台湾人として最大の願いだ」とスピーチをしてニュースとなりました。もしいまスピーチする機会があったら、どんなことをメッセージとして伝えたいですか?監督いま、世界はコロナ禍という大変な困難に直面していますが、私は“神からのサイン”のようなものだと感じています。なぜなら、世界的に政治の権力が大きくなりすぎて腐敗している部分がありますし、あまりにも発展しすぎているところがあるからです。そういったことに対して、全世界的に警告を促されているようにも感じるので、世の中がこれ以上悪い方向に進んで行ってしまわないように注意を怠らず、これからもそれぞれの国が自分たちのことをきちんと守っていかなければいけないと思います。自分たちの未来は自分たちでつかむべき!自らの未来と自由をつかむため、全力で立ち向かう若者たちの姿に迫った本作。たとえどんな運命がその先に待ち受けていたとしても、声を上げることの大切さを学び、意義を感じることができるはずです。熱を感じる予告編はこちら!作品情報『私たちの青春、台湾』10月31日(土)より、ポレポレ東中野ほか全国順次公開配給:太秦© 7th Day Film All rights reserved映画の公開に合わせて、傅楡監督の書籍も発売中!書籍名:わたしの青春、台湾語り:傅楡本体価格:1,800円+税発行:五月書房新社
2020年10月28日セリーヌ オム(CELINE HOMME)2021年サマーコレクションより、カプセルコレクション「モノクローム(MONOCHROMS)」が、10月16日から発売される。トリオンフ キャンバス ベルトバッグ(9万5,000円 / 予定価格)スタッズ付きルーズ シャツ(5万7,000円 / 予定価格)2021年サマーコレクションは“THE DANCING KID”と題して、ティックトック(TikTok)から誕生したE-boyや、昨今のスケートカルチャーにまたがる“ドキュメンタリー”コレクションとして、2020年7月に発表されたもの。エディ・スリマン(Hedi Slimane)が描く現代のユースは、オーバーサイズのカーディガン、スケーターショーツ、スパンコール刺繡が施されたトラックパンツやテディジャケットなどに身を包み、グランジとカジュアルなミックス&マッチを楽しみ、何より自由なファッションをエンジョイする若者達だ。ルーズジョギングパンツ(7万2,000円 / 予定価格)11月中旬からのローンチに先がけ、10月16日より順次展開される本カプセルコレクション「モノクローム」では、セリーヌロゴのアイテムを中心に、フレッシュでプレイフルなアイテムがそろう。ソックス、バケットハット、キャップ、バッグ等の小物の他、オーバーサイズのTシャツやフーディーなど、多岐にわたるアイテムで構成されている。CELINE エンブロイダリーソックス(カラー:ホワイト、ペールイエロー、フューシャ / 各 1万1,000円 / 予定価格)ストライプソックス(カラー:レッド、グリーン / 各 1万2,000円 / 予定価格)CELINE エンブロイダリービーニー(カラー:ブラック、イエロー、ブルー / 各 2万8,000円 / 予定価格)CELINE バケットハット(カラー:ブラック、ホワイト / 各 4万1,000円 / 予定価格)CELINE キャップ(カラー:ブラック、ホワイト / 各 4万1,000円 / 予定価格)トリオンフ キャンバス ベルトバッグ(9万5,000円 / 予定価格)ルーズTシャツ(カラー:ペールイエロー、レッド、ブラック / 各 4万7,000円 / 予定価格)スリーブレスフーディー(8万7,000円 / 予定価格)ルーズフーディー(カラー:イエロー、ピンク、ブラック / 各 8万1,000円 / 予定価格)スタッズ付きルーズフーディー(9万1,000円 / 予定価格)ルーズジョギングパンツ(7万2,000円 / 予定価格)取り扱いは、セリーヌ表参道、他セリーヌ オム取り扱い店舗および、セリーヌ公式オンラインストア(www.celine.com)にて(予定)。なお、一部限定店舗のみで取り扱われる商品もある。>>その他のセリーヌの記事はこちらから
2020年10月14日アイドルグループ『欅坂46』の元メンバーとして活躍していた長濱ねる(ながはま・ねる)さん。グループ卒業後、しばらくは活動についての情報がありませんでしたが、最近になってバラエティ番組に出演し「変わらず美しい」と話題になりました。そんな長濱ねるさんが大学に通っていたエピソードや、現在の姿を画像や動画で紹介します!長濱ねる、現在の姿は?2019年3月に『欅坂46』のシングル『黒い羊』での活動をもってグループ卒業を発表した長濱ねるさん。同年7月に幕張メッセで行われた卒業イベント『ありがとうをめいっぱい伝える日』を最後にアイドル人生に幕を下ろしました。その後、長濱ねるさんは約1年間活動芸能活動を休止。ファンからは「悲しい」「復帰してほしい」とたくさんの声が寄せられていました。そんな中、長濱ねるさんがドキュメンタリーバラエティ番組『セブンルール』(フジテレビ系)にレギュラー出演することが決定。2020年7月7日に更新された番組の公式インスタグラムには長濱ねるさんの写真とともに、初収録を終えた本人の感想が掲載され、待ちわびていたファンを歓喜させています。 この投稿をInstagramで見る #セブンルール 新キャスト2人目は… 欅坂46元メンバー・長濱ねる さん 〈初収録を終えて…〉 「いつも見ている番組で、すごく緊張しました。皆様とは初対面でしたけど、テレビを通して見ている感じと変わらなくて、気さくに話してくださってうれしかったです。」 「皆さんすごく優しい先輩方なので、あまり力まず、のんびり楽しくやっていけたらなと思います」 「 7RULES ( セブンルール ) 」 (@7rules_ktv)がシェアした投稿 - 2020年 7月月7日午前7時30分PDTそして、同日に長濱ねるさんのオフィシャルサイトと公式ツイッターアカウントがオープン。ネット上には長濱ねるさんの本格復帰を喜ぶコメントがあふれ、ツイッターではハッシュタグ『#長濱ねる』がトレンド入りを果たすなど大きな話題になりました。長濱ねるのツイッターで現在の画像を見よう!長濱ねるさんは2020年7月7日に、本人とスタッフによる公式ツイッターアカウントを開設。同年10月現在のフォロワー数は27.9万人を記録しており、増加の一途をたどっています。そんな長濱ねるさんのツイッターにはかわいい写真が満載!アイドル時代のかわいさはそのままに、グッと大人の女性に進化した現在の姿が「美しい」と注目されています。2020年9月4日の投稿では、22歳の誕生日を迎えたことをお茶目な表情の自撮りショットとともにツイート。そんな長濱ねるさんの投稿にファンは「かわいい」という声や、たくさんの祝福コメントを寄せています。22歳になりました愛をくださる皆さま、変わらずいてくれる近くの皆さま、いつもありがとうございます☺️22歳、心がしなやかな人になるぞ〜(長濱ねる) pic.twitter.com/yXUrn0GWHj — 長濱ねる&STAFF (@neru_and_staff) September 4, 2020 ・ねるちゃん、お誕生日おめでとう!これからも応援するね。・22歳、いい一年になりますように。・本当にかわいい!一緒にゲームしたい!!2020年9月14日には橋のたもとでポーズを決める、かわいらしい写真を公開。「秋は何をしましょうか?」という問いかけに多くのファンが反応を示しています。夏も終わりますな〜最近は少し涼しくって嬉しいです。秋はなにをしましょうかー!(長濱ねる) pic.twitter.com/KTtMjRE7o4 — 長濱ねる&STAFF (@neru_and_staff) September 14, 2020 ・私はねるちゃんとデートがしたい!・秋といったらねるちゃんの大好きな読書!読書の秋!・かわいいー!ねるちゃんと会えるイベントとかしてほしいな。そして2020年10月1日には「読書の秋」に関連して、「10月はたくさん雑誌情報があるのでお楽しみに!」というスタッフからの嬉しい報告が。謎のポーズを決める長濱ねるさんの写真も掲載され、「楽しみ!」「早く読みたいな」とファンの期待を膨らませています。読書の秋、雑誌の秋10月はたくさん雑誌情報があるのでお楽しみに!(staff) pic.twitter.com/8llA4U3yUU — 長濱ねる&STAFF (@neru_and_staff) October 1, 2020 ・写真のポニーテール、似合っててかわいー!楽しみにしてます!・告知ありがとうございます。お仕事、頑張ってください!・めちゃめちゃ嬉しいんですが!!ねるちゃんにつぎ込みまくりますね。長濱ねるが動画で「休養中は大学に行っていた」ってホント?長濱ねるさんは『セブンルール』で、『欅坂46』卒業後、初のメディア出演を果たしています。2020年7月7日には同番組の公式YouTubeチャンネルが更新され、新メンバー・長濱ねるさんの特別インタビューが公開。その中で『欅坂46』卒業後に通信制の大学に入学していたことを明かしています。通信大学に今も通っていて、卒業後に大学に入学して勉強をしながら、でものんびり、いろんな場所に行ったり、いろんな映画を観たりして過ごしました。セブンルール公式チャンネルーより引用〜長濱ねる編〜【セブンルール・新メンバー特別インタビュー】大学名については明かされていませんが、素敵なキャンパスライフを送っているようですね。これからも無理しない範囲で仕事と学業の両立に努めてほしいと思います。長濱ねるのこれからは?長濱ねるさんは2020年7月7日から、『セブンルール』にレギュラー出演しています。先日の収録でみんなでお祝い✨長濱ねるさん、改めまして、お誕生日おめでとうございます❣️そして、このあと23:00から、 #セブンルール はじまります。 pic.twitter.com/81Ty2PrIGP — 7RULES (セブンルール) (@7rules_ktv) September 8, 2020 また、同年9月4日発売の雑誌『ダ・ヴィンチ』10月号より、初のエッセイ連載『夕暮れの昼寝』を担当。【雑誌情報】9月4日(金)発売『ダ・ヴィンチ』10月号より初のエッセイ連載「夕暮れの昼寝」がスタートすることが決定しました☺️ぜひチェックして下さい!長濱ねるコメントはこちら pic.twitter.com/VbzTHeKVh5 — 長濱ねる&STAFF (@neru_and_staff) August 31, 2020 文章だけでなく、写真、題字も長濱ねるさん本人が手掛け、連載第1回目では故郷・長崎の銭湯について文才豊かにつづっています。このほかにもラジオやテレビ番組、ナレーションなどマルチに活躍の幅を広げている長濱ねるさん。【TV情報】10月13日(火)19:25~19:50NHK Eテレ「すイエんサー」出演「おうちでお祭りSP〜りんごアメ&ラムネ 」ぜひご覧ください☺️ #nhketv #すイエんサー #いとうあさこ さん #横山だいすけ さん #長濱ねる — 長濱ねる&STAFF (@neru_and_staff) October 7, 2020 アイドル卒業後も唯一無二の魅力を発揮し、さらに芸能界で活躍していくことが期待されています。長濱ねる プロフィール本名:長濱ねる生年月日:1998年9月4日出身地:長崎県血液型:O型身長:15932015年にアイドルグループ『欅坂46』の1期生オーディションに応募。一度は親の反対を受けて断念するも、特例で同グループに加入(当初は『けやき坂46』メンバーとして活動。『欅坂46』と兼任)した。2017年からは『欅坂46』の専任となり、同年に発売された1st写真集『ここから』は重版10回目で発行部数20万を突破。女優やタレントとして活動する中、2019年7月30日をもって『欅坂46』を卒業した。長濱ねるが「めちゃくちゃ可愛くなってる!」と話題に明かした性格や、幼少期の思い出は?[文・構成/grape編集部]
2020年10月12日現在、新宿K’s cinemaにて行われている「台湾巨匠傑作選 2020」では、台湾ニューシネマの原点から最近作まで、様々な台湾映画33作品を上映中。この度、台湾の人気バンド「宇宙人」からのメッセージ映像が上映されることが決定した。今年で5回目となる「台湾巨匠傑作選」。今回は、本邦劇場初公開となる台湾映画界のレジェンド、ワン・トン監督の『バナナパラダイス』がデジタルリマスター版で劇場初公開。ほかにも、エドワード・ヤン監督上映可能全作品、ツァイ・ミンリャン監督4部作など、様々なジャンルの台湾映画が上映中だ。今回決定した「宇宙人」のメッセージ映像が上映されるのは、ウェイ・ダーション監督のミュージカル映画『52Hzのラヴソング』本編前。本作で主役のパン職人を演じた「宇宙人」ボーカルのシャオユー(リン・ジョンユー)を中心に、ギターのアークェ、ベースのファンキューが撮影秘話など本作について語り合う内容となっている。ほかにも「台湾巨匠傑作選 2020」では、いまでは台湾だけでなくアジアを牽引する人物となった俳優たちの映画主演デビュー作から最近作を上映。いまでは錚々たる巨匠たちに引っぱりだこの人気俳優となった、チャン・チェン14歳の衝撃デビュー作『クーリンチェ少年殺人事件』や、チャン・チェン主演の未公開映画『停車』。グイ・ルンメイとチェン・ボーリンが揃って映画主演デビューを果たした青春映画『藍色夏恋』。多くの映画祭で受賞を重ね、グイ・ルンメイが声の出演をしているアニメーション『幸福路のチー』。さらに、ホウ・シャオシェン監督が朋友エドワード・ヤン監督の映画に俳優として主演した『台北ストーリー』、『モンガに散る』の監督として知られるニウ・チェンザーの好演を楽しめる『バナナパラダイス』など、いまでは著名な映画監督が若かりし頃に俳優として出演した作品も登場。そのほか、エドワード・ヤン監督の遺作『ヤンヤン 夏の思い出』は35mmプリントで上映。航空写真家チー・ポーリンによる台湾の美しい大自然をとらえた異色の全編空撮ドキュメンタリー『天空からの招待状』(日本語版)は西島秀俊がナレーションを担当しているなど、様々な見どころがある。「台湾巨匠傑作選 2020」は11月13日(金)まで新宿 K’s cinemaにて開催中。(cinemacafe.net)
2020年09月27日韓国の4人組ガールズグループ「BLACKPINK」の軌跡をたどるドキュメンタリー映画『BLACKPINK ~ライトアップ・ザ・スカイ』が「Netflix」にて配信が決定した。「BLACKPINK」は2016年のデビュー後、ミニアルバム「BLACKPINK」がいきなりオリコンアルバムランキングで1位を獲得。1stミニアルバム「SQUARE UP」は、全世界44か国のiTunesチャートで1位に輝いた。さらに最近では、レディー・ガガやセレーナ・ゴメスらとのコラボなどグローバルな影響力も高まっている。本作では、メンバーの独占インタビューや未公開映像を織り交ぜながら、練習生時代の過酷なトレーニングやレッスンを経て、メンバーそれぞれが素晴らしい才能を融合させていくまでの様子を捉えた映像から、デビューしてヒットを勝ち取り、アメリカ最大級の音楽フェスティバル「コーチェラ・フェスティバル 2019」に出演、歴史的なパフォーマンスを披露し、世界的ブレイクを果たした現在までに迫る。今回の配信について「BLACKPINK」は「この映画が視聴者の皆さんに喜びと光をもたらし、過去4年間の私たちの歩みを一緒に楽しんでいただけることを願っています」とコメント。配信に先駆け、「Netflix」のプロフィール画面を模して作られたメンバーのアイコンがポップなキービジュアルも公開された。Netflixオリジナルドキュメンタリー『BLACKPINK ~ライトアップ・ザ・スカイ』は10月14日(水)より独占配信開始。(cinemacafe.net)■関連作品:【Netflix映画】ブライト 2017年12月22日よりNetflixにて全世界同時オンラインストリーミング【Netflix映画】マッドバウンド 哀しき友情 2017年11月17日よりNetflixにて全世界同時配信【Netflixオリジナルドラマ】オルタード・カーボン 2018年2月2日より全世界同時オンラインストリーミング2月2日(金)より全世界同時オンラインストリーミング
2020年09月09日台湾アカデミー賞こと金馬奨最優秀ドキュメンタリー賞を受賞した、ドキュメンタリー映画『私たちの青春、台湾』が公開されることが決定。併せて、メインビジュアルと直木賞受賞作家・東山彰良の映画応援コメントが解禁となった。2011年、魅力的な2人の大学生と出会った。ひまわり運動のリーダー陳為廷(チェン・ウェイティン)、中国人留学生で台湾の社会運動に参加する蔡博芸(ツァイ・ボーイー)。彼らが最前線に突き進むのを見ながら「社会運動が世界を変えるかもしれない」という期待が、私の胸いっぱいに広がっていた。しかし彼らの運命はひまわり運動後、失速していく。それは監督の私が求めていた未来ではなかったが、その失意は私自身が自己と向き合うきっかけとなっていく――。本作は、社会運動に身を投じる若者の姿を追ったドキュメンタリー。金馬奨最優秀ドキュメンタリー賞を受賞し、授賞式で傅楡(フー・ユー)監督が涙を流しながら、「いつか台湾が“真の独立した存在”として認められることが、台湾人として最大の願いだ」とスピーチをしたことは大きなニュースとなった。ひまわり運動は、23日間に及ぶ立法院占拠、統率の取れた組織力、全世界に向けたメディア戦略で、まれにみる“成功”をおさめたといわれている。しかし立法院内では、一部の指導者たちによる決議に対する不満など、理想の“民主主義”の困難さに直面し、多くの課題を残していた。雨傘運動前の黄之鋒(ジョシュア・ウォン)、周庭(アグネス・チョウ)との交流など、カメラは台湾、香港、中国の直面する問題、海を越えた相互理解の困難さ、民主主義の持つ一種の残酷さを映し出していく。台湾出身の直木賞受賞作家・東山彰良は映画応援コメントとして、「突き進む者と、それを記録する者。その裏側にある個人的な憂鬱と後悔。それでもなにかを正したいと願う若者たちの想いは、こんなにも純真でまぶしい」と語っている。今回解禁されたメインビジュアルには、「きみの笑顔の先に、未来をみた」というコピーが2人の若者の後ろ姿の間に配置され、「黄」をベースに切り取られた台湾の街並みが印象的な1枚に仕上がっている。また映画公開にあわせ、傅楡監督の人生と台湾の民主化の歩みを書いた、「わたしの青春、台湾」(五月書房新社)邦訳版が、10月23日(金)に発売されることが決定している。『私たちの青春、台湾』は10月31日(土)よりポレポレ東中野ほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)
2020年08月26日2017年12月に惜しまれつつ閉店を迎えたパリの伝説的なセレクトショップ『コレット』。閉店までの日々を追ったドキュメンタリー『COLETTE, MON AMOUR(コレット・モン・アムール)』の日本公開が9月26日に決定した。ベルリン発のメンズオンラインメディア『HIGHSNOBIETY(ハイスノバイエティ)』とパリの映像プロダクション『La /Pac』が共同プロデュースし、Hugues & Eliane Lawson-Body(ユージ & イリアーヌ・ローソン=ボディ兄弟)がディレクターを務めた本作品には、カニエ・ウェスト、ファレル・ウィリアムス、Futura 2000, ヴァージル・アブロー、NIGO(R)︎、阿部千登勢、Verbal、片山正通などコレットのファンであった世界中の著名人が彼らの思い出やコレットがファッション業界に与えた影響について熱い思いを語る貴重な映像も含まれている。『COLETTE, MON AMOUR(コレット・モン・アムール)』は2019年末のパリでのプレミアを皮切りに、ロンドン、N Yで限定プレミアとイベントを開催。東京では2020年9月26日から10月8日、渋谷PARCO8Fの映画館(WHITE CINE QUINTO)限定で公開となる。映画の公開を記念し各都市で限定のマーチャンダイズを取り扱うポップアップストアもオープン。それぞれの都市でコレットとハイスノバイエティがキュレーションした限定のコラボ商品が発売される。東京のポップアップストアは9月に渋谷パルコ内『2G』にて開催予定(詳細は後日発表)ディレクターのユージ・ローソン=ボディは「閉店のニュースを聞いてすぐに、コレットの最後の日々を記録しなければいけないという衝動にかられ撮影を始めました」と語る。「伝説のアドレス、パリ、サントノーレ通り213番地の閉店までの日々やコレットが象徴するものを記録に残すことは我々にとって 不可避なことでした」とイリアーヌ・ローソン=ボディもコメントする。「このプロジェクトに対して自分の中で危機感がなくなり始めてきたときに、コレットとサラをどれほど尊敬しているかに気付きました。彼らがアートやカルチャーに注ぎ込んだすべてのこと、彼らが発信し続けたあらゆるジャンルのミックスカルチャーがどれだけ多くの人に影響を与えてきたか、また、多くのアーティストやクリエイターと同じように、カメラマンとしてコレットに出入りしていた私もキャリアの転機を迎えることができたことを思い出しました。エリアーネと私は、コレットストアのストーリーを私たちの視点から伝えなければいけないということに気づいたのです。 この映画は、伝説のコンセプトストア『コレット』とその創設者へのトリビュートなのです」とユージは続ける。「お店のクローズを発表したときに、ユージからドキュメンタリーを撮影させてもらえないかとお願いされました。どんな結果になるのか、誰をインタビューするのか全く想像がつきませんでしたが、とりあえずOKしました。このドキュメンタリーを通して私と母の過ごした美しい時間を共有し、すでにコレットを訪れたことがある人にはその時の体験を呼び覚まし、訪れることができなかった人たちには当時の様子を少しでも感じていただければと思っています」とコレットの創立者でありクリエイティブディレクターを務めたサラ・アンデルマンはコメントする。ハイスノバイエティ ファウンダー兼CEO, デイビッド・フィッシャーも以下のようなコメントを発表している。「コレット閉店のニュースは世界中のファッション業界にショックをもたらしました。このドキュメンタリーを通して、コレットがストリートとファッションシーンに残した功績を蘇らせることができたことは、私にとってもハイスノバイエティにとっても誇り高いことです」『COLETTE, MON AMOUR』作品: ドキュメンタリー 60分言語: フランス語、英語、日本語製作: HLB, La Pac Film , Highsnobiety監督: Hugues and Eliane Lawson-Body編集: Thibaut Sève会場:ホワイト シネクイント WHITE CINE QUINTO〒150-8377東京都渋谷区宇田川町15-1 渋谷PARCO8階日時:2020年9月26日(土) ~2020年10月8日(木) ※2週間限定公開イベント特設サイト Colette1997年、コレット・ルソー(Colette Roussaux)と娘のサラ・アンデルマン (Sarah Andelman) によりオープンしたパリ・サントノレ通りの世界初のコンセプトショップ。ラグジュアリーファッションとストリートウエア、アート、ビューティー, ライフスタイルなどを融合した提案や異業種のコラボレーションを仕掛け、当時のリテールの考え方に改革を起こした。若手の発掘も得意とし、多くの気鋭ブランドをいち早く紹介してきた。2017年12月に母の引退を機にコレットを閉店。About Highsnobietyベルリン発のオンラインメディア『HIGHSNOBIETY(ハイスノバイエティ)』はファッション、ミュージック、アート、ライフスタイルにおける最も影響力のある新たなトレンドとプロダクトを発信する。2005年の設立以来、ストリートウエアムーブメントの進化と発展、およびメインストリームのポップカルチャーにおいてリーディングメディアとしての地位を築き上げてきた。厳選されたエディトリアルコンテンツを発信するメディア(年2回発行する印刷物、ウェブ、ビデオ/ポッドキャスト、ソーシャルメディア)、インハウスのコンテンツとHighsnobiety+と呼ばれるスタジオ、及びe-コマースのプラットフォームを通してハイスノバイエティは、カルチャーを発信するブランドと次世代のテイストメーカーやトレンドセッターをつなぐリエゾンの役割を担っている。企業プレスリリース詳細へ本記事に掲載しているプレスリリースは、株式会社PR TIMESから提供を受けた企業等のプレスリリースを原文のまま掲載しています。FASHION HEADLINEが、掲載している製品やサービスを推奨したり、プレスリリースの内容を保証したりするものではございません。掲載内容に関するお問い合わせは、株式会社PR TIMES()まで直接ご連絡ください。
2020年08月17日2017年末に閉店したパリのセレクトショップ「コレット」の最後の日々を追ったドキュメンタリー映画『コレット・モン・アムール(COLETTE, MON AMOUR)』が、2020年9月26日(土)より渋谷パルコ8階の「ホワイト シネクイント(WHITE CINE QUINTO)」で上映される。パリから世界へ、愛され続けたセレクトショップ「コレット」1997年、コレット・ルソーと娘のサラ・アンデルマンによりオープンしたパリ・サントノレ通りのコンセプトショップ「コレット」。ラグジュアリーファッションとストリートウェア、アート、ビューティー、ライフスタイルなどを融合する提案や、異業種のコラボレーションを仕掛け、当時、ショッピングといえば百貨店が主流だったフランスでコンセプトストアという形態を根付かせた。また、若手デザイナー・アーティストの発掘も得意とし、多くの気鋭ブランドをいち早く紹介してきた。そんな「コレット」が、2017年12月、コレット・ルソーの引退とともに、惜しまれつつも閉店。著名人を含めて、世界中にファンがいただけに、ファッション業界に与えた衝撃は大きかった。閉店のニュースを聞き、本作ディレクターのユージ・ローソン=ボディが最後の日々を記録しようと立ち上がった。彼は、兄弟のイリアーヌ・ローソン=ボディとともにディレクターを務め、ベルリン発のメンズオンラインメディア『ハイスノバイエティ(HIGHSNOBIETY)』と、パリの映像プロダクション『La /Pac』をプロデューサーに迎えて制作へと動きだした。カニエ・ウェストやNIGOら著名人が想いを語る映像映画『コレット・モン・アムール』には、最後の日を記録するとともに、著名人らが思い出と、「コレット」がファッション業界に与えた影響について熱い思いを語る貴重な映像が含まれている。参加したのは、カニエ・ウェスト、ファレル・ウィリアムス、Futura 2000、NIGO、Verbal、 KAWS、片山正通ら。さらにルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)およびオフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH)のヴァージル・アブローや、sacai(サカイ)の阿部千登勢、ダブレット(doublet)の井野将之といったファッションデザイナーも登場する。「コレット」の創立者でありクリエイティブディレクターを務めたサラ・アンデルマンは、「 このドキュメンタリーを通して、私と母の過ごした美しい時間を共有し、 すでにコレットを訪れたことがある人にはその時の体験を呼び覚まし、 訪れることができなかった人たちには当時の様子を少しでも感じていただければと思っています」と本作への想いを語っている。渋谷パルコから“コレットブルー”の限定アイテム登場また、映画『コレット・モン・アムール』の公開を記念し、渋谷パルコ内2Gに期間限定ショップがオープン。メゾン キツネ(MAISON KITSUNÉ)やsacai、メディコム・トイ(MEDICOM TOY)、スウォッチ(Swatch)などが“コレットブルー”をキーカラーにした限定アイテムを展開する。さらに、劇中に登場するダブレット、ヒューマンメイドのクリエーターによるスペシャルプロダクト、ハイスノバイエティとサラがキュレーションした日本限定アイテムなども展開される。【作品情報】『コレット・モン・アムール(COLETTE, MON AMOUR)』公開期間:2020年9月26日(土)~10月8日(木) ※2週間限定公開作品:ドキュメンタリー 60分言語:フランス語、 英語、 日本語製作:HLB, La Pac Film , Highsnobiety監督:Hugues and Eliane Lawson-Body編集:Thibaut Sève■会場詳細ホワイト シネクイント(WHITE CINE QUINTO)住所:東京都渋谷区宇田川町15-1 渋谷PARCO8階【期間限定ショップ】期間:2020年9月26日(土) ~2020年10月11日(日)会場:2G住所:東京都渋谷区宇田川町15-1 渋谷パルコ2階TEL:03-6455-3003<限定アイテム例>・BE@RBRICK AROMA ORNAMENT Colette mon amour No.2G 14,800円・Colette Mon Amour Doublet T-Shirt 16,000円・Colette Mon Amour x RetaW Car Tag 2,000円・Colette Mon Amour x Sacai Bag 62,000円・sacai "Colotan" x colette mon amour key chain 17,000円・Colette Mon Amour x Swatch Watch 11,000円・Pop Corn T-Shirt 6,500円
2020年08月16日世界中を旅できない、スポーツをライブで観戦できないなど、これまで当たり前だったことができなくなり、常識が大きく変わってしまった今、時代と社会を映し出すドキュメンタリー作品に、これからを生き抜くヒントがある。今こそ観るべき、厳選ドキュメンタリーをお届けします。生の感情を呼び起こすドキュメンタリーが急伸。新型コロナの影響で動画配信サービス愛好派が増えるなか、ドキュメンタリーへの注目度が上昇!Huluによると、「自粛期間中は、若者の支持が厚い『セックス・ストーリーズ』や『ゲイケーション』などのドキュメンタリーの視聴がかなり伸びました」とのこと。アカデミー賞の長編ドキュメンタリー賞受賞作を多く配信するネットフリックスも、「4月までの1年間で、ネットフリックス使用世帯のおよそ90%が、なんらかのドキュメンタリー作品を再生しています」とコメント。世界的ブームとなった『タイガーキング:ブリーダーは虎より強者?!』は日本でも話題に!“時代を映す”というドキュメンタリーの特質を実感させたのが、Amazonプライム・ビデオだ。ステイホーム中の話題作『真の英雄たち~新型コロナウイルスと戦う人々~』は、パンデミックに立ち向かうエッセンシャルワーカーを追った作品。同社によると「企画から配信までわずか2週間のハイスピードで制作」というから驚く。新型コロナで生活が一変し、“ニューノーマル”な時代が到来。新しい生き方のヒントは、生の感情を呼び起こすドキュメンタリー作品にあるのかもしれない。2020上半期バズった必見作!新型コロナと戦う縁の下の力持ちに、エールを送りたくなる。『真の英雄たち~新型コロナウイルスと戦う人々~』新型コロナの最前線で戦う、普通の人々の活躍に焦点を当てた作品で、パンデミック発生と制作がほぼ同時期というリアルタイムさも魅力。医療従事者を支える病院職員や、ホームレスに食事やマスクを配るNGOを主宰する元ホームレスの女性など、縁の下の力持ちとして人々の生活を支える庶民派ヒーローに、エールを送りたくなること確実。困った人や地域社会を大事に思う彼らの頑張りや思いやりに、番組ホストを務めるスターが思わずもらい泣きするほど。頑張るヒーローへの支援を早々に決めたAmazonの懐の深さにも感動。2020年/Amazon Prime Videoにて独占配信中究極の状況下で生き延びるハウツーと精神力を学べる。『ALONE~孤独のサバイバー~』無人島に送られた10人のサバイバルを追う冒険ドキュメンタリー。各人が撮った映像などで構成され、シェルターや食料を確保し、火をおこすところからスタート。クマやオオカミに怯えて早々にギブアップする人もいれば、孤独な日々に精神的に参ってしまう人も!?究極の状況に陥った場合、人間を生かすのはサバイバル能力よりも心の強さと実感する。また出場者全員に共通していたのが家族愛の強さで、カメラに向かって心情を吐露する姿にしんみり。1話観たらすぐに続きが観たくなり、一気見必至!2015年/Hulu、Amazon Prime Videoにて配信中キャラクターの凶悪かつ強烈な個性で新型コロナの恐怖への耐性を養う!『タイガーキング:ブリーダーは虎より強者?!』私設動物園を隠れ蓑に、野生動物の違法繁殖ビジネスに手を染めた、ジョー・エキゾチックの転落人生を追うドキュメンタリー。宿敵キャロル・バスキンとの確執や、動物ビジネスで金儲けをたくらむうさんくさい輩の介入、ジョーの狂気的な行動と歪んだ人間性、すべてが常軌を逸していて目が点に!映画や小説よりも奇妙な現実に頭がクラクラする。戦時中はホラー映画がヒットするといわれているけれど、今回、新型コロナの恐怖への耐性を養うのに、ジョーたちの強烈な個性が役立ったのかも!2020年/Netflixオリジナルシリーズ 独占配信中バスケットボール界のレジェンドとなったM・ジョーダンの真実とは?『マイケル・ジョーダン:ラストダンス』名将フィル・ジャクソンの下でシカゴ・ブルズが優勝した1997‐1998年シーズンを軸に、バスケットボール界のレジェンド、マイケル・ジョーダンを追う作品。20年分近い映像と当事者の証言を巧みに構成した全10話の力作だ。500分を超える作品は、ジョーダンがスター選手へ上り詰める過程や勝利にこだわるメンタル、父親やチームメイトとの関係、ブルズ全盛期を支えたS・ピッペンやD・ロッドマンらの逸話など盛りだくさん。ジョーダンを知らない若者にとって、彼がスニーカーのアイコンだけではないことがよくわかるはず。2020年/Netflixオリジナルシリーズ 独占配信中性的嗜好は千差万別。人のセックスを笑うことなかれ!『セックス・ストーリーズ』女優やプロデュサーとしても活躍する作家カーリー・ショルティーノが多様化する性的嗜好とSEXを探究!『フィフティ・シェイズ』シリーズで一般化(?)したBDSM=嗜虐的な性向は氷山の一角にすぎず、リュクスな大人のオモチャ界やオンライン覗き部屋、風変わりな嗜好に特化した旅行業社などが次々に登場。女王様に尽くすのが生き甲斐のライフスレイブや環境保護意識がフェティッシュ化したエコセクシュアルなんて知らない言葉も学べて、奥深い性の世界が覗ける仕組み。性をオープンに語るプラットフォーム的番組だ。2018年/Huluにて独占配信中※『anan』2020年7月15日号より。文・山縣みどり(by anan編集部)
2020年07月09日『イップ・マン』のドニー・イェンが、新型コロナ騒動の初期を語るドキュメンタリー映画をプロデュースすることになった。タイトルは『Wuhan! Wuhan(武漢!武漢!)』。共同プロデューサーは、『世界にひとつのプレイブック』『ドリーム』のドナ・ジグリオッティ。監督は、中国のドキュメンタリーフィルムメーカー、ゴン・チェンとヤン・チャン。米中合作として製作される。突然にして危機が襲ってきた時、武漢の人たちがどのように戦い、生き延びようとし、お互いを支えたのかを語る、感動の映画になるとのことだ。イェンの次回日本公開作は、『イップ・マン 完結』。その後には、コロナで公開が延期になっている『ムーラン』が控える。文=猿渡由紀
2020年06月24日『ジュラシック・ワールド』シリーズや『インデペンデンス・デイ』などで知られる名優ジェフ・ゴールドブラムが司会を務めるナショナル ジオグラフィックのドキュメンタリーシリーズ「ジェフ・ゴールドブラムの世界探求」が、6月11日(木)からサービス開始となる「Disney+(ディズニープラス)」にて独占配信。彼のインタビュー映像が到着した。本作は、「スニーカー」や「アイスクリーム」「コーヒー」「化粧品」など、日常生活で当たり前のものとして見過ごされがちな身近なものに潜む“現代の脅威”を、ジェフが遊び心にあふれた洞察力で科学や歴史をひも解いていく、ナショナル ジオグラフィックのドキュメンタリーシリーズ。身近なものの陰に隠された信じられない奇妙なウラ話を、『ジュラシック・ワールド/炎の王国』『インデペンデンス・デイ』シリーズでお馴染みのジェフが、好奇心旺盛でウィットに富んだ視点で追う。エピソードは全12話、1話あたり30分程なので、ちょっとした空き時間や通勤などの移動中でも手軽に楽しめ、好奇心を大いに刺激されるコンテンツ。今回、日本初配信に向けてジェフのインタビュー映像も公開、本作の魅力を語っている。好奇心と感動のナショジオ作品も続々さらに、ディズニープラスでは世界各地を舞台にしたナショナル ジオグラフィックの貴重なドキュメンタリー作品を配信。ロープや安全装置を一切使わずに登るフリーソロ・クライミングのスーパースター、アレックス・オノルドの巨岩エル・キャピタンへの挑戦を追った長編ドキュメンタリー映画で、アカデミー賞も受賞した『フリーソロ』は定額動画配信サービス初登場。ウィル・スミスが案内役をつとめ、宇宙と世界45か国で撮影された驚異の映像で贈る、地球とその生命についての壮大なドキュメンタリー・シリーズ「宇宙の奇石」(全10話)、そして、テクノロジーを駆使して作られた宝の地図によって存在を明らかにされた要塞やピラミッドを訪れる、定額動画配信サービス初登場の「発掘!マヤの失われた秘宝」(全4話)など、世界最高峰のドキュメンタリーが揃う。「ジェフ・ゴールドブラムの世界探求」は6月11日(木)より第1話、6月19日(金)より第2話、以降毎週金曜に新エピソードがディズニープラスにて独占配信開始。(text:cinemacafe.net)
2020年06月03日米映画アカデミーが、次のオスカーに向けて、ドキュメンタリー部門の資格に関するルールを変更した。新型コロナで劇場公開が難しくなっている現状を受けてのもの。新たなルールでは、アカデミーが指定する9つのノンフィクション映画祭のうち2つ以上から選ばれたか、あるいは36の映画祭のうちどれかから最低1つを受賞した場合、資格が与えられる。これらの映画祭が通常通りの形で開催されなかった場合も、関係ない。この春のサウスバイ・サウスウエストやトライベッカ映画祭はヴァーチャルになっており、今後、ヴェネチアやトロントもヴァーチャルと並行する形で開催される可能性が濃厚で、それを踏まえた形。次のオスカー授賞式は、来年2月28日に行われる。文=猿渡由紀
2020年05月15日編集部:学研キッズネット編集部株式会社 GLOBAL VISIONは、「世界大学ランキングTOP50を目指す英語学習」をスローガンに、AR・VR・AI 技術を駆使し、グローバル社会で活躍するために必要な「創造力」を英語“で”学ぶ、プリスクール卒園生および小学1年生~3年生を対象とした『STEAM English Academy』を 2020年5月8日(金)、東京と大阪に同時開校することを発表しました。「STEAM English Academy」紹介大阪では、「W Global Academy SEA 靭公園前校」(最寄駅:大阪メトロ「本町」駅)が開校。スイス生まれ・アメリカ育ちのEmmanuel Waldvogel(エマニュエル ワルドフォゲル)校長を中心に、生徒の可能性を広げることに責任を持ち一人ひとりの将来に“選択のドア”を増やすサポートをしていきます。東京では、「STEAM English Academy 恵比寿校」(最寄駅:JR・東京メトロ「恵比寿」駅)が開校。カナダ留学時に英語教師の国際資格を取得した柴山健太郎校長を中心に、生徒自らの“意思”で目をキラキラと輝かせながら勉強に取り組める環境を作っていきます。恵比寿校新型コロナウイルスの感染拡大が続く現在、緊急事態宣言に伴う「STAY HOME」が全国的に実施され、学校の多くも休校措置を取っています。このような状況下で学力低下への懸念が高まる中、当校は学習機会の担保をすべきと考え、厳しい情勢の中ではありますが開校することにしました。ただし、当面は新型コロナウイルスの感染拡大の影響に伴い、クラスター(感染者集団)の発生を防止すべく、その対策として英語講師による双方向の「オンライン英語学習・ライブ通信英語授業」を実施します。本プログラムは、本来の教室での授業を、ビデオ会議システム「Zoom」を活用した、英語講師による双方向「ライブ授業」に代替し、ARを活用したオンライン学習を付加することで、1.クラウドで予習→2.Zoom でライブ授業→3.クラウドで復習――の流れによる「オンライン英語学習・ライブ通信英語授業」を行うもので、通常の授業とほぼ同等の品質でのサービスを実現しています。3月に開校した四条烏丸校(京都)においても本プログラムを実施し、英語力向上の実績があります。ただし、このライブ英語通信授業はあくまでも、新型コロナウイルスの感染拡大が収束するまでの緊急措置となります。GLOBAL VISION は、皆様が一日も早く平穏な生活に戻れるよう心より願っております。※ STEAM(スティーム)とは Science(科学)・Technology(技術)・Engineering(ものづくり)・Art(芸術)・Mathematics(数学)の 5 つの単語の頭文字を組み合わせた言葉です。 2018 年 6 月より、文部科学省から「STEAM 教育」の導入方針が公開オンライン英語学習・ライブ通信英語授業の流れ『STEAM English Academy』発足の背景2020年度より、小学校3年生から英語教育がスタートし、小学校5年生から教科として英語が必修化されました。この目的は、将来英語で討論や交渉などのコミュニケーションをとれるように、グローバル化が進む日本社会において世界各国の人たちと英語で対話し、お互いに協力しあって社会活動ができるようにするためです。日本人の英語能力は、2017 年のTOEFL iBT ®の成績ランキングによると、アジア36ヵ国の中で34位(平均スコア71点)とアジア主要国の中で最下位となり、日本人が世界で活躍の場を広げるためには、英語能力を改善することが喫緊の課題となっています。そのためさまざまな内容を英語“で”学ぶ、21世紀型の新たな学習法が求められています。GLOBAL VISION は、世界をリードする STEAM 型 GLOBAL 人財の創出を社会的使命と位置付けており、それを具現化するプログラムを、英語“で”学ぶことができる『STEAM English Academy』をスタートしました。TOEFUL ランキング『STEAM English Academy』の特長■問題を解決に導き、創造する力を育む創造的思考力を育む土台は、言語としての「英語」に加え「芸術」的センスを身につけることだと考えています。従来の英語学習の目標が「英語『を』学ぶ」ものであるのに対して、STEAM English Academy の目標は「創造的思考力を習得する技術を英語『で』学ぶ」ことにあります。(1)探求学習(Project Based Learning)学習する教材は、世界各国で使用されている全ての教科の教科書から社会科学、数学、科学、健康、芸術、体育の6つの分野の内容を選定し、それをブレンドして合計120のトピックスで学べるようにしたものです。これらの教材を「Project Based Learning」で学習することで、国際的な視野と知識を自然に獲得することができます。(2)Arts を重視した教材STEAM English Academyでは、STEAM学習の「A」にあたる「Arts(Design)」を重視しており、教材には各レベルテイストの異なるイラストを使用し、デザインやアートの感覚を育成します。イラストはテキストごとに作者が異なり、エリックカール美術館が選定した絵を使用しているものもあります。WGA5(3)基礎的な発音から5-Paragraph Essayの作成までABC の基礎的な発音のスピーキングから、リーディング、ヒアリング、ライティングの4技能を AR・VR・AI の最新技術を活用した オンライン学習と教室での探求型学習の組み合わせにより、効率的に無理なく学べます。小学5~6 年生の時点で、英語でディベートをすることができるよう、5-Paragraph Essayを作成するトレーニングによって、論理的な思考力を養います。これらを「英語で学ぶ」ことで、創造的問題解決能力の基礎を形成できると考えています。(4)Language + Thinking + Arts = Creativity身に付けた言語能力と背景知識をクリエイティブシンキングプロジェクトによって「生きている知識」に融合します。例えば、「ニュースレポート」や「ドキュメンタリー」、「広告」などの映像を作成し、それらの作品をYouTubeなどで配信する表現活動をグループで行います。この繰り返しによって、「考えて行動する力」を自然と身につけていきます。(5)i-Learning(AR・VR・AI) を活用した Creative Learning とは本プログラムが提供する「April3.0」は、「言語の運用能力の強化」「芸術的センスの育成」「思考力の涵養」を融合できるよう構築した方法論に基づいています。教室での授業(c-Learning)に加え、予習・復習は AR・VR・AI技術を駆使したタブレットでの自習(i-Learning)を活用します。cLearningとi-Learning の融合により、知識の習得だけでなく、創造性に満ちた Creative Learning を英語“で”行います。AR学習イメージ(6)オークランド・インターナショナル・カレッジ(AIC)との提携提携するAICは教育プログラムに、国際的に評価の高い「IB(国際バカロレア)プログラム」を採用した「IBO(国際バカロレア機構)」の認可校です。2019 年の IB ディプロマの合格率は 89%(世界平均 77%)となり、卒業生は世界のトップ20大学の90%からオファーを受けています。こうした AIC との提携を通じ、世界大学ランキング TOP50 に入学する生徒を輩出していきます。AIC「W Global Academy SEA靭公園前校」概要■概要住所:〒550-0004 大阪市西区靭本町1丁目16-20アートスクエアビル4Fアクセス:大阪市営地下鉄(大阪メトロ)「本町」駅下車、徒歩約5分STEAM English Academy 靭公園前校 W Global Academy 内TEL:06-6225-8486E-mail : winternationalschool@gmail.com「W Global Academy SEA靭公園前校」公式HP: ・エマニュエル校長からのコメントエマニュエル校長スイス生まれ・アメリカ育ちの私から見た日本の英語教育は、聞く(Listening)・読む(Reading)・話す(Speaking)・書く(Writing)の四技能ばかりが謳われている印象があります。たとえ四技能を身につけても、グローバルな世界で活躍できるかといえば、決してそうではありません。プリスクールを運営する私にとって『STEAM English Academy』は、英語を一つのツールとして自らの問題を提議したり解決したりする力を育むカリキュラムであり、英語力というよりも一人の「個」を成長させることができるプログラムであると感じました。混沌とした現代の世界で求められるのは、思考力や創造性を持ちフレキシブルに対応できる人材です。『STEAM English Academy』ではこのような能力を身につけるためのプロセスが明確にされているので、必ず未来を担う子どもたちの力になると確信し実践していきたいと思います。「STEAM English Academy 恵比寿校」概要■概要住所:〒150-0022 東京都渋谷区恵比寿南 2-24-9 2Fアクセス:JR・東京地下鉄(東京メトロ)「恵比寿」駅下車、徒歩約5分STEAM English Academy 恵比寿校 (株) Freewill トータルエデュケーション内TEL:03-3760-0291(担当:柴山)E-mail : sea@1freewill.com「STEAM English Academy 恵比寿校」公式HP : ・柴山健太郎校長からのコメント柴山校長『STEAM English Academy』の魅力は、まさに「英語を学ぶ」のではなく「英語で学ぶ」というカリキュラムです。このカリキュラムの優れた点は英語の文章を論理的に理解する力、その理解したものを思考して英語で表現する力を身につけられる点にあると思います。STEAM をベースとした幅広い知識を英語で学べるので、自分自身で考え探求する力が身につけられるようになると確信しています。現代のグローバル社会の中で、個性や才能を存分に発揮して活躍していく力を身につけてほしい。そしてこれを学んだ子供たちの中から、世界中の社会問題を自分の意思でワクワクしながら解決していくような力を身につけてほしい――。そうした思いを実現すべく、このカリキュラムを通じて英語学習を行っていきたいと考えています。■保護者の声 (体験会参加者のアンケートより)・学習したフレーズが、すべて子どもの頭に入っていることに驚きました。・全員が発言できる、積極参加の雰囲気がとても良かったです。・子どもが英語を一気にしゃべるようになってびっくりしました。・VR を使ったレッスンを子ども自身もとても楽しんでおり、意欲が高まっているように感じました。・子どもが初見の文章の音読にも物怖じしなくなり、成長を実感しました。『STEAM English Academy』についてグローバル時代といわれる現代では、受験対策や英語試験の結果だけを求めるのではなく、長期的な観点での学びの道を歩むことが求められています。STEAM English Academy は、既存の解答が無い問題が次々と現れる複雑な 21 世紀の社会を生き抜く人々にとって、必須能力となる「創造的に問題を解決する能力」を英語“で”育成します。その方法論は、「問題発見・解決能力の獲得」「論理的思考技術の習得」「メディア創作によるアウトプット体験」「AR・VR など最新技術を活用した効率的学習」を重視したものです。未来を予測することは容易ではありませんが、たとえどのような課題に直面しても、その答えを見つけだし解決していく…。そのために必要な問題解決能力や創造力を育むプログラムがここにあるのです。■株式会社 GLOBAL VISION 概要GLOBAL VISION は、人と法人(企業・大学・学校・塾など)が未来に向けて「志」を持ち、世界で活躍できるよう、強力に支援し続ける会社です。設立以来、EduTech 事業として、独自開発の e-learning コンテンツなど、幅広い年齢層を対象とした AI や ICT 技術を用いた商品・サービスを提供してきましたが、2019年5月から日本の英語教育のパラダイムを大きく転換させるため、英語学習の初期段階にある人を対象としたサービスに特化し、事業を展開することに方向転換しました。2020年4月からは幼稚園年長~小学校 3 年生用の学習プログラムを提供していきますが、近い将来には、未就学生用、中・高校生用の学習プログラムを提供していきます。『STEAM English Academy』公式サイト:■「学研キッズネットFor Parents」のニュース一覧はコチラ■学研キッズネット編集部(がっけんきっずねっと)『学研キッズネット』は、1996年にオープンした小・中学生のためのWebメディアです。学研の子ども向け書籍や雑誌の編集ノウハウを活かし、子どもたちが安全に楽しめるサイトとして運営しています。子どもたちのしあわせのために、家族のしあわせのために、有益な情報やサービスをお届けできるよう、いつも精一杯がんばっています。すくすく伸びる子どもたちのために
2020年05月08日