日常の中でたまっていくイライラビンゴの穴たちUpload By 丸山さとこいつもボンヤリしているためなのか「穏やかで冷静なお母さん」と思われることも多い私ですが、実際は日々些細なことでイライラしながら過ごしています。コウと暮らす毎日の中で「このプリント提出期限先月じゃん!」「玄関に水筒置きっぱなし~」「また説得祭りか…」「床散らかり過ぎ~!(ハサミも落ちてる!!)」とワーワー言ってばかりです。それでも普段はイライラする程度で終わっていますが、ビンゴの穴が空くように『イライラ要素の数』がたまっていくにつれ、イライラでは済まない怒りが沸くこともあります。Upload By 丸山さとこストレスによって穴が開いていき、リーチでイライラと角を生やし、ビンゴになれば怒りで火を吐く私の「ストレスビンゴ」。そのビンゴカードは、「疲れ・眠い・掃除」などによりコウとは関係なく穴だらけなこともよくあります。Upload By 丸山さとこそこにコウの行動で数個穴が開くので、コウの帰宅から夕飯までの間にいきなりリーチが何本も現れることが珍しくありません。・宿題がやりかけのまま・明日の支度をしていない(けど確認をしていないのに気づかない)・納得するまで動かない・部屋が散らかったままパソコンで遊んでいる(片づけてからのルールあり)などなど、こうして並べてみると「まだ未熟なんだな」「神経発達症(発達障害)の特性もあるし、年齢相応を求められても難しいのだろうな」と思うようなことばかりなのですが、すでに穴あきストレスビンゴを抱えているときの私は「今日これ声掛けするの何回目~!?」とイライラがピークに達し、にょきにょきと角が生えてくるのです。Upload By 丸山さとこストレスビンゴの穴が空くことは止められないけれど私自身も神経発達症があり疲れやすく、疲れれば過敏や鈍麻や注意欠如も強く現れるため、「コウの特性を理解する」「ゆったりとした気持ちで見守る」などの方法ではどうにもならない状態になりがちです。日々生活の中で空いていくビンゴの穴を減らすことは難しくても、「疲れた・眠い→仮眠をとる」「宿題をやっていない→やっていない事実をコウと共有する(その後どうするかまでは責任を持たずにコウ本人にまかせる)」などのように、空いた穴を意識的にふさいでいくことはできるんじゃないかな?と思います。Upload By 丸山さとこ「ほっこりビンゴ」や「うれしいビンゴ」の穴がたくさん空いていたとしても、なかなか帳消しにすることはできない「ストレスビンゴ」の穴の数々…できる範囲で空けないようにしつつ、空いたときは一つずつふさぐようにしていきたいです。執筆/丸山さとこ(監修:井上先生より)「ストレスビンゴ」は、自分のストレスを客観視するのに非常によい考え方ですね。穴の開き具合を意識して対処法がとれるように準備されているのはとてもすばらしい発想と思います。「ビンゴになりそうになったら『寝る』」など、あらかじめ対処を決めておくことによって、自己嫌悪にならずに割り切ってしまえることが怒りのコントロールやコーピングに役立っているのではないでしょうか。お子さんやご家族にも「ストレスビンゴ」が可視化できると面白いかもしれません。
2022年06月21日わが家の長女ゆいは現在小学6年生。未知のものに対してとても不安を感じるタイプです。幼いときは「人よりも怖がり屋さんなのかな?」とそれほど気にしていませんでした。でも成長するにつれてそうではないと感じることが増えてきて、小学5年生の春にASD・場面緘黙・軽度知的障害の発達障害の診断も受けました。今回は、小学5年生のときの自然学習体験についてお話ししたいと思います。Upload By 吉田いらこ数ヶ月前に「自然学習体験という一泊二日の行事がある」ということを知っただけで、ゆいの表情はくもりました。「怖い。行きたくない」とよく口にして不安そうに過ごす日が続きました。まず、ゆいに何が不安なのかを確認すると、どんな場所かもわからないとこに行くのを怖がっているということがわかりました。ゆいにとって未知の世界はワクワクするものではなく恐怖の対象なんですよね。でも家族旅行の場合は問題ないですし、保育園時代に一泊二日で行った自然学習体験も平気だったので、小学校の自然学習体験だけに不安を感じるのが不思議でした。いつも一緒にいる家族や、物心つく前から一緒に過ごしてきた保育園のお友達とはやはり違うのかもしれませんね。Upload By 吉田いらこ私は何度か学校に通い、スクールカウンセラーの先生にアドバイスを受けて「見通しを立てる」ということを徹底することにしました。タイムスケジュールと持ち物はしおりに書いてあるので問題ないですが、問題は宿泊先のホテルがどんな場所かです。まずはゆいにホテルのWebサイトを見せました。ホテルの外観や部屋の画像がたくさんあり、フロアマップもあったので助かりました。ここがお風呂、そしてこの部屋があなたの泊まる部屋、この階段を上がったらホールがあるよ…と画像を一枚ずつ見せました。得体のしれなかった場所の全体像がわかったことで、ゆいはなんとなく安心できたようです。Upload By 吉田いらこ次にしおりに書いてあるタイムスケジュールとホテルのフロアマップを照らし合わせ、何時にこの場所に移動するということを確認しました。屋外についてはわかりませんでしたが、ホテル内での流れが前もって把握できて、ゆいはまた安心できたようです。正直なところ、ここまで確認しないといけないのか…と思いました。そして、ゆいは将来どうなるのかなとも…。もし大人になってからも同じように、新しい場所に行くときはこれくらい下調べを必要とするのだったら、本人もちょっと大変だろうなと感じます。何かこれから対策できることはないかと考えさせられました。Upload By 吉田いらこそして自然体験学習が終わり、帰宅したゆい。ちょっとお疲れのようでしたがとても楽しかったということを教えてくれました。事前の下調べは大変だったけれど、ゆいにとってちゃんと「安心」に繋がっていたようでこちらもホッとしました。先生方にご協力いただき、ゆいが楽しい思い出を作ることができて感謝しています。私自身もゆいのこれからについて新しい問題点を見つけられたいい機会となりました。執筆/吉田いらこ(監修:井上先生より)学校行事などの特別活動は、楽しい雰囲気も感じつつ「いつもと違う、どうしよう」という予期不安を高めてしまいますね。こうした場合、予測性を上げることは有効な支援の一つだと思います。具体的には、ご紹介されているようなWEBサイトを見ること、ほかには去年の行事のビデオをみる、家族で泊りに行くなどをされている方もおられます。一泊二日のスケジュールを一つひとつ辿りながら確認するのは大変ですが、食事、寝室、お風呂、トイレなど、どこが一番不安に感じるのか共通理解し、解決案を一緒に考えていくことがお子さん自身の対処法の獲得に繋がっていくでしょう。今回、うまく事前準備をして泊まってこれたことは成功体験として本人の中に蓄積されていきます。みんなと同じようにできなくても良いのです。どうしても不安が消えない場合は、”夜は迎えに行く”など100%の参加でなくても努力を認め、成功体験にしていくことが重要で、このような成功体験を積み重ねることで、大人になったときに今よりも不安を感じることなくいろいろな場所に行けるようになると思います。
2022年06月20日ある日、わが家にママ友家族が遊びに来て息子は現在小学2年生。3歳のときに自閉スペクトラム症と知的障害の診断を受けました。性格は真面目で優しく、面倒見も良いですが、情緒が不安定なところがあり、不安なども感じやすいです。ある日わが家に、同じ賃貸マンションに住んでいるママ友とママ友の息子くん(3歳)、と娘さん(1歳)が遊びに来ました。みんなで楽しくお菓子を食べたり、アニメを見たり、楽しい時間を過ごしていました。そのうち、ねんど遊びをしようという話に。しかし息子は「やりたくない!」と言って拒否。仕方ないので、息子には違う遊びをしてもらい、私、ママ友、ママ友の息子くんと娘さんの4人でねんど遊びを始めました。Upload By 発達ナビ編集部しかし、息子はその様子が面白くなく…構ってほしい気持ちからか突然台所からハサミを持ってきてなんと自分の服を切り出しました!Upload By 発達ナビ編集部注意が引き金になり、情緒不安定にママ友の子どもたちもいるので私は焦って「ハサミは危ないよ!使いたかったらお母さんに言ってね」と注意をしました。そうするとその注意が引き金になり、息子は情緒不安定に…先ほどまで楽しく遊んでいた表情がみるみる豹変し、「あっちいけ!来るな!」とすごい形相で私をにらんできました。Upload By 発達ナビ編集部ママ友たちの反応は…突然ハサミで服を切りだした息子を見て、ママ友は最初「うちも洋服やカーテンを切ったことあるよ」などとフォローをしてくれていましたが、息子の変わり様を見て恐怖を感じてしまったようで息子を直視することができない様子でした。ママ友の子どもたちも突然のことにびっくりしたようで、あっけにとられていました。私は息子の特性を理解していますし、情緒不安定になることもよくあることなので慣れていましたが、やはり定型発達の子どもを育てるママ友にとってはこのような出来事は「怖い」につながってしまうんだな…と思いました。ママ友にはあらかじめ息子の特性などは説明をしていましたが、やはり言葉での説明と実際に見るのでは違ったようです。私は引いているママ友に対して「驚かせてごめんね。でも現実はこんな感じなんだ。周りに発達障害の子どもがいたら、優しく見守ってほしい」と声をかけました。ママ友は「分かった」と言ってくれましたが、やはり当事者家族しか分からないことはあるんだろうな…と少し切ない気分になりました。その後ママ友一家は遠方に引っ越してしまい、それっきり疎遠となってしまいました。Upload By 発達ナビ編集部息子を育て、今思うこと現在息子は小学生になりましたが、やはり育てるには苦労の連続で大変でした。ですが、それと同時に息子はとても可愛く、愛おしい存在です。そして一番苦労をしているのは息子本人だということも理解しています。今後も私たち親が高齢になったり、親なきあと問題などで私たち家族には課題や困難がたくさんあるでしょう。それを解決するには、やはり当事者家族だけではなく、地域の方の理解や見守りなどが不可欠だと思います。障害のある人が一生を安心して暮らせるように、もっと発達障害について講演会や説明会、発達障害のある人たちとの交流会などを行い、周りの人が発達障害について理解ある環境になることを願っています。(監修:井上先生より)家に小さな子が遊びにくると、どうしてもその子たちが中心になってしまいます。最初はもてなそうという気持ちがあっても、いつもは自分の家、自分のスペース、自分のお母さんなのに取られてしまった…と次第に嫉妬してしまう気持ちが出てきてしまったのかもしれないですね。お子さん自身も、自分の予想以上に強い感情が生まれてしまい、つい衝動的にしてしまったことかもと思いました。親としては「落ち着いてから話せば分かってくれる」と思っていても、ママ友やお友達がいる手前、その場で叱らないといけないという葛藤もあるでしょう。このような避けがたいトラブルに対して、子ども自身や親御さん自身が自分のことを責めないことが大切かと思います。コラムに書いていただくことで、お子さんと親御さんにとって、成長とともに乗り越えていける経験の一つと思えるようなエピソードにしていただければと願っています。エピソード参考/こんげろイラスト/taekoあなたのエピソードもコラムになるかも?体験談募集中!保護者の方が日々子育てをする中で「こんなトラブルがあった」「こんなハプニングがあった」など悩みはつきないと思います。そんな発達ナビユーザーのみなさんの「困った」エピソードを募集しています。テーマは「反抗期・思春期」「自傷」「学習」「不登校」「ゲーム」「不器用」「ママ友・保護者」「ご近所トラブル」などに加え、今回より「パートナーや両親(義両親)、親族間トラブル」「冠婚葬祭」のお悩みも追加募集!パートナーなどとの意見の相違、冠婚葬祭でのルールが分からない、反抗期による親との言い争い、癇癪を起こして自分の頭を叩く、地団太を踏むなどの自傷行為…読み書きや計算の困りはもちろん、授業を落ち着いて受けられないなどの学習の悩み…行き渋りや不登校などの悩み…いろいろなお悩みエピソード、お待ちしております。お寄せいただいたエピソードの中から数作品、発達ナビの連載ライターさんにコラムとしてコミックマンガエッセイ化していただき、発達ナビで公開いたします!あるあるのエピソードからヒヤリとしたエピソード、SNSなどではなかなか言えないような家族やママ友とのトラブルまで。いろいろな「困った」エピソードをぜひ教えてください。
2022年06月19日学校法人角川ドワンゴ学園N高等学校・S高等学校・N中等部って?学校法人角川ドワンゴ学園N高等学校・S高等学校(以下、N/S高)は、インターネットとICTツールをフル活用している通信制の高校です。N/S高、N中等部では、インターネットを活用した授業のほか、豊富な課外授業をうけることができます。さまざまなカリキュラムの中で生徒一人ひとりが自分のやりたいことを見つけ、将来につながる多様な学びを得られることが特徴です。オンラインとリアルで開催された「磁石祭2022 -N高S高N中等部文化祭-」Upload By 発達ナビニュース文化祭は、毎年インターネットの祭典「ニコニコ超会議(※)」において行われています。コロナ禍で2020年、2021年はオンライン会場のみの開催でしたが、今年はオンライン会場とリアル会場(千葉県、幕張メッセ)の2つの会場で行われました。※「ニコニコ超会議」…ドワンゴが運営する日本最大級の動画サービス「ニコニコ」が毎年開催している参加型イベント。「ニコニコ超会議2022」では会場来場者9万6,160人 ネット総来場者1,389万1,680人を動員Upload By 発達ナビニュース「磁石祭2022 -N高S高N中等部文化祭-」の実行委員を務めたのは、全国各地に住むN/S高、N中等部に在籍する約 60 名の生徒。オンラインとリアルの両方で開催するのは初めてのことでしたが、生徒たちはオンラインで話し合いをしながら準備を進めました。4月29日(金・祝)、4月30日(土)の2日間にわたって行われた「磁石祭2022 -N高S高N中等部文化祭-」のリアル会場のステージ企画、ブース企画の様子の一部をご紹介します。VRで卓球!「メタバース卓球対決 produced by 普通じゃない普通科」Upload By 発達ナビニュースN/S高の普通科では、バーチャル空間を活用した学びやイベントを企画・運営。今年の磁石祭では来場者と教職員がバーチャル空間で卓球対決ができるブースを出展しました。「ヘッドマウントディスプレイ」を頭部に装着すると、目の前にはバーチャル空間が広がります。来場者は、現在も現役エンジニアとして活躍するS高の吉村校長との卓球対決を楽しみました。未来のエンジニアたちによる「LT大会」Upload By 発達ナビニュースLTとは、Lightning Talk(ライトニング トーク)の略で、5分程度のプレゼンテーションのことを示します。LT大会は、多くのIT企業でも社員教育の一環として取り入れられているそう。たくさんの観客の前で、生徒たちは、自身がプログラミングをして制作した作品をプレゼンテーション形式で紹介しました。オリジナルゲーム・アプリ・楽曲、IoT製品(インターネットを活用した製品)、本格的なメールサーバーなどそれぞれの持ち味を活かした作品ばかり!【職業体験】LUSH×磁石祭社会もハッピーにする販売体験Upload By 発達ナビニュース生徒が職業体験の一環として、ナチュラルコスメブランド「LUSH」のハンド&ボディローション「チャリティポット コイン」を販売しました。実際の「LUSH」の店舗では、お客さまに商品の香りや使い心地が伝わるよう実演販売が行われています。今回の職業体験の企画でも、生徒たちは実際にLUSH渋谷駅前店で働く販売スタッフと一緒に実演販売に挑戦しました。実演販売は大好評で商品は完売! 消費税を除く売上の全額がLUSHよりLGBTQ+を支援する一般社団法人にじーずに寄付されるそうです。「あにまるっと缶パ〜動物保護もできちゃうってホントですか!?〜」Upload By 発達ナビニュースUpload By 発達ナビニュース「動物保護について多くの人にもっと身近に考えてもらいたい」という思いから始まったリアルとオンラインでの企画。美術部の有志メンバーたちが動物のオリジナルキャラクターをデザインし、缶バッチ、ステッカー、栞を販売しました。この売上は、全額が動物保護団体へ寄付されます。オンライン会場では、N/S高生によって制作された、動物をモチーフにしたオリジナルキャラクターのイラストを展示し、動物保護の現状・活動について紹介をしました。磁石祭2022テレビUpload By 発達ナビニュース「磁石祭2022 -N高S高N中等部文化祭-」では、実行委員の生徒がMCとなり、会場内の特設中継ブースから生徒制作のオリジナル番組を生配信していました。ニコニコ生放送の磁石祭特設チャンネルで一般公開放送するのは初の試み。番組の企画から制作まで全てを生徒が担当し、ブース出展者へのインタビュー中継、N/S高のキャンパス紹介番組などを放送しました。このほかリアル会場では、東大発知識集団 QuizKnock作問のクイズ大会、オンライン会場では、VR eスポーツゲーム『Echo VR』の試合の実況番組の放送や、囲碁の対局の様子の配信などなど…、記事に書ききれないほどの企画が行われました。「磁石祭2022 -N高S高N中等部文化祭-」のオンライン会場とリアル会場で行われた企画はなんと約80!生徒たちのエネルギーとアイデアあふれる文化祭でした。発達ナビでは、通信制高校の特色を知ることができるオンラインイベントを開催!Upload By 発達ナビニュース発達ナビでは、2022年7月9日(土)に『一人ひとりに合った進路選び応援セミナー』を開催予定です。進路選びの進め方や通信制高校のしくみについて解説する講演や、複数の通信制高校の担当者から実際にお話を聞けるコーナーも。ご自宅にいながら学校の特色を一挙に知り、通信制高校への進学についてイメージを膨らませることができます。既に特設サイトもオープン!今回の記事を読んで通信制高校に興味を持たれた方は、ぜひセミナーにも参加してみてください。【概要】日時:2022年7月9日(土)10:00~12:30参加費:無料形式:Zoom配信参加方法:事前の参加登録必須。登録いただいた方に、視聴URLをお送りいたします。対象:中学生のお子さまをお持ちの保護者の方向けのイベントですが、ご興味のある方はどなたでもご参加いただけます。
2022年06月18日痛みにあまり反応しないむっくんは小さなころから痛みに強い子でした。転んでも泣くことはなく、少々怪我をしてもケロっとしています。実はむっくんの父も痛みにあまり反応しないタイプなので、特性なのか家系なのか、ハイブリッドなのかは分かりませんが、とにかく痛みに鈍感なのです。そんなむっくんは周囲にぶつかりやすかったり、物を踏みやすい傾向があります。こういう場合、ボディイメージの弱さが考えられるという話をきくのですが、むっくんの場合はぶつかっても痛くないから、回避行動をとらない面もあるのでは?と感じることもありました。また、他者の体へ接触するときは自分が痛くないように相手に触れるという、心理的な手加減があるかと思うのですが、むっくんは痛いと思わないからか当たりが強く、ぶつかられた私のほうが悶絶し、本人は涼しい顔をしていることもよくありました。発熱時などもつらそうにふるまうことがないので看病などは弟と比較すると楽だと感じることもありましたが、痛みを伴う重大な怪我や病気に気づけなかったらどうしようという心配もありました。その上、癇癪やパニックを起こしているとこの痛みへの反応の鈍さがますます強くなるのです…。Upload By ウチノコうっかり自分を傷つけてしまうむっくんは小さなころ、癇癪を起こすとひっくり返ってじたばた暴れたり、周囲のものを投げたり殴ったり蹴ったりして全身で体の中で膨れ上がる何かを発散させていました。このときに周囲に力いっぱいぶつかることで、怪我をすることがときどきありました。「自傷」のように自分で自分を傷つけようと思っているわけではないのですが、パニックがおさまって我に返ったらあざができていることもしばしば。冷蔵庫をおもいきり蹴とばしたあとに、歩けないと訴えて病院にかかったこともあります。(捻挫でした)むっくんは癇癪時にはいつも以上に痛みに鈍くなるため、怪我をするかしないかの力加減ができなくなっているのではないかと私は考えています。こういうときは、ぶつかられた私もいつも以上に痛い!手加減なしで暴れるので、怪我をしないように押さえようとした結果、お互いぶつかり合ってそれぞれあざができてしまうこともありました。現在は8歳になり力も強くなったむっくん。成長と共に我を忘れるほどの癇癪は起こりにくくなり、暴れたり物や私への暴力も減ってきています。だけど昨年、自分の感情の爆発をなんとか我慢しようと体を手でぎゅうっと握りしめた結果、爪が食い込んで出血してしまったのです。Upload By ウチノコ鎮めるか発散するか今までむっくんは、癇癪を起こしそうなときにはお風呂に入る、好きな読書をする、静かな場所に行くなどの興奮を鎮める対処をしてきました。だけど、この件を受けてこれから力がますます強くなることを考えると、鎮めるだけではなく、安全に発散することも考える必要があるのだなと感じました。そこで手っ取り早く力をおもいきり使えるように部屋にサンドバックを設置。これは過去に私自身もストレスに対処する方法として児童精神科医の三木先生 からアドバイスいただいています(笑)今のところ、サンドバックを蹴り蹴りしながら邪魔!と言っていますが(笑)それでもカーッと来ると部屋に飛び込んでたまに使っている様子です。ほかにも「大きな声で叫ぶ」もよさそうですし、夫は走る感覚と怒るときの感覚は似てる気がするから、全速力で走るのもいいかも?なんて言っています。これからはむっくんの内なる大きなエネルギーを、怪我しない程度に発散し程よくコントロールする術を身に着けていけたらいいなぁと考えています。Upload By ウチノコ執筆/ウチノコ(監修:三木先生より)おおお、サンドバック設置されたんですね…!たしかに邪魔かもしれませんが(笑)。エネルギーを爆発させる、外に出す方法にはいろいろあります。本人がつらくなく、周りに迷惑ではなく、そしてちゃんと発散になる方法が見つかると、かなり暮らしやすくなると思います。
2022年06月17日子育てアプリの成長スケジュールを見て不安になる私はしのくんがお腹にいるときから、子育てアプリを使っていました。アプリでは、子どもの様子を記録する育児ノートのような機能や、子どもの生年月日を入力するだけで月齢に合った役立つ情報を得ることができます。アプリが教えてくれる赤ちゃんの成長のめやすを見ては、「何ヶ月で〇〇ができるようになるんだ」と成長を楽しみにしていました。ところが…1歳を過ぎたあたりから、アプリの成長のめやすでは「このころ、できるようになる」と書いてあるのに、しのくんはできていないことが増えてきました。このころから子育てアプリを見ると、私の心はザワザワするようになりました。Upload By keiko一歳半健診一歳半健診できっと何か引っかかると思っていた私。ドキドキして健診へ行き、先生にしのくんの言葉が遅いことを相談しました。Upload By keikoしかし、そのとき診察してくださった先生からは、「2歳までにしゃべったら大丈夫」と言われました。「そうなのか?じゃあ心配しなくても大丈夫なんだ⁉︎」と思った私。心配でしたが、とにかく2歳までは考えすぎないように過ごそうと思ったのを覚えています。Upload By keiko大丈夫、大丈夫と自分に言い聞かせて…。そして、見ると心がザワザワしてしまう子育てアプリは完全に見なくなりました。言葉が増えないしのくんが2歳になったばかりのころ、「パパ」だけ言えるようになりました。私たち夫婦は安心しましたが、それ以上言葉が増えることなく2歳4ヶ月になってしまいました…。そんなとき、保育園から発達に関してのご指摘がありました。扉の開け閉めが大好きで最終的にクラスから脱走する、絵本に興味なし、一人遊びが好き、長い時間集中して遊べない、などなど…。心の中にはずっと不安があり、でも大丈夫と言い聞かせて過ごしていましたが、いよいよ先生にも指摘されたので、市役所に電話して、発達検査を受けることにしました。今だから思うこと当時の私は、しのくんの言葉が遅くて心配していたくせに、見て見ぬふりをして2歳まで何もしませんでした。2歳4ヶ月のときに保育園の先生とお話しすることができて本当によかったなと思っています。保育園の先生がしのくんの発達に関して言ってくださったことが、言葉の教室や療育センターに行くきっかけになりました。でも、今でも私は「〇歳になったらこれができる」みたいなのはあえて調べず、なるべく見ないようにしています。心配なことがあったら保育園の先生や、言葉の教室、療育の先生などに聞いています。子育てする中でどうしたらいいか分からないからこそ、情報だけを見て自己判断をしたり、一人で悩んだりしないでプロに相談するのが1番安心だなと思っています。執筆/keiko(監修:鈴木先生より)知的に遅れがあるお子さんは、言葉の遅れで気づかれることが多いのですが、知的に遅れのないお子さんは神経発達症(発達障害)があっても健診ではスルーしてしまうことが多いようです。保育園のような集団生活に入ってさまざまなつまずきを指摘され、初めて医療を受診されるお子さんもいれば、様子をみるだけで経過し、小学校に入って初めてほかのお子さんとの違いを指摘されるお子さんもいます。園や学校から指摘をする場合でも、親御さんの受容次第で医療機関への受診をすすめたり、すすめなかったりするという現状があります。
2022年06月17日発達ゆっくりな娘、初めての社会へ発達グレーゾーンの娘は去年の4月、年少さんになりました。入園した当時、娘は3歳半ごろ。単語もたくさん出始め、意思疎通がなんとなくできるようになりました。とは言えスラスラ話せるわけではなく、同じ月齢の子と比べたら明らかに発語はゆっくり。ある日、娘を教室まで送ると、子どもたちが自分の持ち物を一斉に自慢してくれました。Upload By とまぱん私は子どもたちのおしゃべりの上手さにびっくり。みんなこんなに自分の言いたいことをちゃんと言葉にできるんだ、と驚きました。それと同時に、こんなに発達の度合いが違う中で娘に友達ができるのだろうか、仲間はずれにされたらどうしよう、と一気に不安が膨らんでしまいました。入園後すぐに激しい登園渋りで疲労困憊娘の登園渋りはとても激しく、制服なんて着せられませんでした。着せられたとしても暴れる鯉状態で、紐でぐるぐる巻きにしない限り連れて行くのは無理でした。こういうときは行くのを諦め、幼稚園に休む電話をするのですがこの電話が私には苦痛で…。初めは体調不良でと言ってましたが、途中から正直に「娘が行き渋ってしまい…」と話しました。そうすると電話に出た先生は「お昼からもし来られたら来てね」と気遣って言ってくださるのですが、変に真面目な私は「お昼から行かせなきゃ!」と思ってしまい。そうしてまたお昼ごろ登園を試みてまた激しい拒否をされ、2倍の疲れを味わうのでした。幼稚園を休んで家で楽しく過ごしている娘を見て、私は複雑な気持ちになり娘に優しくできませんでした。Upload By とまぱん「みんなと同じように幼稚園へ行ってほしい」「もう娘と家に二人っきりはつらい」と…。でも娘が幼稚園を拒否する気持ちも分かります。急に親と離れて大勢の知らない人たちの中で過ごさなければいけないし、周囲の子たちは自分より成長も早くて。娘なりの疎外感、恐怖があるのかなと…。娘に寄り添おうとしてる気持ちと、幼稚園に行かないことへの焦りとで感情がごちゃごちゃでした。教室の前で大声で泣きわめく娘。そんな中、先生に助けられ…どうにか制服に着替えさせ、幼稚園に登園できた日のこと。教室の前で私と別れるときに案の定、泣きわめいてしまいました。娘は声がものすごく大きいので一気に注目の的に。ほかのお母さんからの視線が痛い….。すると先生が教室から出てきて娘に声をかけてくれました。先生「ほらとまちゃん見て、鯉のぼり大きいね~いろんな色のがあるね。とまちゃんは何色のが好きかな?」少し落ち着き始めた娘。また離れるときは泣いてしまいましたが、この時期は何度も先生に助けられたのを覚えています。Upload By とまぱん「ママも幼稚園嫌いだったよ」正直に言った私の言葉に娘は…?「幼稚園行きたくない!!」ある日いつものように登園を渋っていました。そのとき私は「今日給食ハンバーグだよ」とか「お友達待ってるよ」とか声をかけていました。心の中でこんな子ども騙しな言葉は効かないよな~と思いつつもそんな言葉しか思いつかず。こんなに嫌がってるのにハンバーグだからって行く!ってなるわけがないし、そもそもハンバーグそこまで好きではないし。「お友達待ってるよ」って言ったけど娘を心待ちにしてくれるような子がいるか分からない。そもそもお友達と呼べるような子がいないかもしれない。こういう良かれと思った言葉かけが、逆に子どもの心をえぐることもあります。私は子どものころ、こういう大人の薄っぺらい言葉が嫌いでした。なのに自分が大人になって同じことを言っている。今になると分かりますが、あのときの大人は何と言ったらいいか分からなかったんだなと思いました。私は正解の声かけが分からないので正直な気持ちを娘に言いました。Upload By とまぱんすると愚図っていた娘は急に静かに。何か考えてるようでした。そのあと、幼稚園までずっと抱っこではありましたが、その日は無事に登園してくれました。もしかしたら自分の気持ちを分かってくれたと思って安心したのかもしれません。年中さんになった今。娘の登園渋りは?現在娘は年中になり、年少のころのような激しい登園渋りはなくなりました。とは言っても毎朝「幼稚園行きたくない。今日は○○へ遊びに行きたいの!」と言ってます(笑)でもなんだかんだ制服を着ると、幼稚園に行くスイッチが入るようで。私自身も前の晩に、次の日登園させるのが苦痛で思い悩むということはもうなくなりました。登園時間に年少さんが泣いているのを見ると、とても懐かしくなります。当事者だったときは本当につらかったのですが、ほかの子の行き渋りはこんなに微笑ましく感じるものなんですね…。また、心配していたお友達関係はというと。年少の夏くらいから徐々にお友達ができたようでした。成長がゆっくりだからか娘の手助けをしてくれる女の子が何人かいて。ある日、教室まで送ったときのこと。Upload By とまぱんUpload By とまぱん教室の中にいた女の子がとまちゃんに気づき、ほかのお友達にも声をかけてくれ、何人か迎えに来てくれました。娘も少し嬉しそうな表情に。娘の行き渋りは先生だけではなくお友達にも助けられました。まだまだぐずったり喜怒哀楽の激しい娘ですが、今年は鯉のぼりを見ながら娘の成長を感じたのでした。Upload By とまぱん執筆/とまぱん(監修:鈴木先生より)登園・登校渋りの原因としては集団の多さによる視線恐怖や音過敏が多いと思います。徐々に周りの音や集団の視線に慣れたのに加え、お友達が声をかけてくれるようになったのが大きな救いだと思います。園に一人でも「味方」がいれば安心できるのです。すぐに友達やママ友をつくれる親子もいれば、1年経ってようやく仲間に入れる親子もいます。小学校の不登校も同じです。休日に近所でみんなと遊べれば、「明日また学校で遊ぼうぜ」の一言で行けるようになったお子さんもいます。注目されるのが好きなASDのあるお子さんであれば、その子の名前で声をかけてあげて注目してあげると良いですね。仲間づくりが不登校解決の一つの方法だと思います。ASDのあるお子さんは一人を好みますが、やはり不安なので誰か仲間がいるだけでその不安もとれるのではないでしょうか。仲間は同級生でなくても先生や上級生・下級生でもいいのです。
2022年06月16日支援が必要な学生により早い段階で支援を提供したい2005年に施行された発達障害者支援法では、「大学及び高等専門学校は、個々の発達障害者の特性に応じ、適切な教育上の配慮をするものとする」と明示されました。そこで発達ナビでは、実際に大学でどのような支援が行われているかについてお届けしていきたいと思います。このコラムで紹介する中央大学では、2007年から一部の教員が「軽度発達障害の縦断的研究」を開始。これを引き継ぐ形で2016年から「発達障害者傾向を有する大学生についての縦断的研究」を行い、このたび『キャンパスにおける発達障害学生支援の新たな展開(中央大学人文科研究所研究叢書)』に活動の記録をまとめました。今回は、同研究チームの主査を務めた山科満教授に、キャンパスにおける学生支援の現状や発達による特性がある学生、保護者の方への願いについて伺いました。参考:発達障害者支援法 | 文部科学省編集部(以下――)現在注力されている研究について教えてください。山科先生:中央大学では、未診断ながら発達の特性がある学生への支援体制の構築と、支援のノウハウについての臨床研究を続けています。従来型の学生相談室、あるいは支援室というのは、いくら「箱」を充実させても、支援が必要な学生の多くはそこにたどりつくことなく、大学からドロップアウトしていきます。そのような学生により早い段階で支援を提供できるために必要なことは何だろうと、手探りで活動を続けてきました。――山科先生は、精神科医から大学教員に転身されたのですよね。山科先生:はい。大学教員、それも臨床心理学の教員になろうと思った理由は2つあります。私は1989年に医学部を卒業して精神科医になり、最初の十数年は統合失調症の入院治療に力を入れていました。臨床経験を積む傍らで、次第に薬物療法の対象とはならないパーソナリティ障害や神経症の治療、すなわち個人精神療法、とりわけ精神分析の勉強もするようになりました。これが自分としては興味深かったのですが、脳科学全盛の大学病院の精神科で精神分析を実践することや、まして研究することはできないことだったのです。端的に、居場所がないわけです。もし研究を続けたければ、文系の大学の教員になるしかない、という状況がありました。より直接的には、大学病院で臨床心理士を目指す大学院生の実習指導を引き受けるようになったところ、実習生たちがとても熱心で、その人たちに基礎的な精神医学と精神分析学の両方を教えることに、やりがいを感じるようになったのです。そこで、大学教員を目指すなら臨床心理士養成のための大学院をもっているところにしようと、思い定めました。2006年に文教大学人間科学部に就職したのは、こういう経緯からでした。その後、2010年春に中央大学文学部に移りました。――現在の支援体制について、どのようにお考えですか。山科先生:少しずつ支援体制をつくりつつあるのですが、私のやっていることはどうしても支援者ないし教員の目線での発想に傾きがちです。支援対象当事者の気持ちや困りごとをより具体的に知るために、今は学生さん当事者の人たちに協力してもらいインタビュー調査を積み重ねているところです。また、ピアグループの運営をサポートするようにもなりました。――そのほかの研究はいかがですか。山科先生:東日本大震災にまつわる臨床研究を行っています。中央大学文学部に移った約1年後、2011年3月に東日本大震災が発生しました。以来私は岩手県の北リアス地域に通い、病院臨床や地域の精神保健活動に携わりながら、津波被災者の心理過程と、過疎地域におけるひきこもりの支援に関する臨床研究を続けています。――ひきこもりには発達の特性も影響しているのでしょうか。山科先生:そうですね。その地域で家庭訪問を行っていて、大学中退、あるいは卒業後早期に社会からドロップアウトして、実家に戻りそのままひきこもっているという人たちに少なからず出会いました。その人たちの生きにくさのベースに、多くの場合で発達の特性が絡んでいることが見いだされました。まだ論文化できるほどのデータはたまっていないのですが、実感としてはそういうことです。3/4が支援開始時点で発達障害未診断というデータも出典 : ――大学に通う発達に特性がある学生の傾向や、支援状況について教えてください。山科先生:中央大学の一学部のデータですが、発達の特性があるために適応に困難を来して支援を受けることになった学生のおよそ4分の3は、支援開始時点で未診断でした。多くは幼稚園・保育園時代から多少なりとも「発達が気になる子ども」ではあったのですが、よく護られ、あるいは勉強ができるために周囲から一目置かれ、大学まではさほど不適応にならずに来ているのです。――そのような学生は、大学入学後に困り感が生じているということですね。山科先生:そうなりますね。大学では高校までの生活とはタスクが全く異なります。また、コロナ禍で普及したオンライン授業にはメリットもありますが、時間管理や同時並行処理など、発達の特性を有する人には高いハードルとなることもありました。さらに、授業はこなせても、就職活動で「筆記は通るのに面接でことごとくはねられる」といった経験から、自身の特性について気づくこととなる学生さんも少なからずいます。――学生自ら支援を求めることができているのでしょうか。山科先生:支援対象者となっている学生のうち、自ら支援機関や支援者に直接コンタクトを取った学生は半分以下です。ドロップアウトしかかったところで、ゼミの教員や、キャリアセンターの職員、学部事務室の職員などが関与し、そこから支援者につながることが多いです。ということは、支援機関・支援者は、学生からみてアクセスしやすいだけでなく、一般の教職員にとってもアクセスしやすい存在でなければなりません。これは「箱」を整備すれば良いというものではなく、支援者の「顔」が多くの学生や教職員から認知されることと、支援システムが柔らかいものであることが必要と考えられます。――現在、キャンパスで支援している学生はどれくらいですか。山科先生:中央大学では、私の推計では概ね全学生の1%ほどの学生を支援対象としていると思われます。他方、私たちはいくつかの学内調査から、発達の特性を有し、本人なりに困り感を抱きながら過ごしている学生が1割弱いるだろうと見積もっています。以前行った調査で「自閉症スペクトラム指数(AQ)」という質問紙では、カットオフポイント(その点数以上であれば自閉スペクトラム症の傾向がある可能性が高い)を超える人が数%ほどいました。もちろん、カットオフポイントを超えた人がみな困っているわけでも、まして発達障害と診断されるわけではないのですが、私は、今支援を受けているのは本当に支援を必要としている人の一部に留まっているのではないかと、危惧しています。また、今困っていないから支援の必要がない、とは必ずしも言えません。問題が先送りされ、会社員になってから不適応に陥っても、企業の中では大学のように手厚い支援はありません。それは、私がクリニックや企業内の健康管理センターで精神科医として働いていて実感することです。――さまざまな課題を感じられているのですね。発達の特性がある学生には、どのように過ごしてほしいとお考えですか。山科先生:できることなら、発達の特性がある人は、学生時代に自身の特性と向き合い、この複雑で曖昧な世の中を生き抜く戦略・戦術について考え始めてほしいと願っています。「障害は社会の側にある」のですが、その社会と自分との相性を客観的に分析する視点をもつこと、その前提となる柔軟な自我が育つような支援を一人ひとりに提供することが、私たちの最終目標です。ただし、本人にその自覚が無いまま支援者が人の人生や心の中に踏み込むことなどできません。どうやって気づいていただくか、気づいたときに強い不安や孤独感を抱くことなく支援を開始するにはどうすれば良いのか、学生の成長に寄り添い「伴走」する支援者のあり方とは、など課題はつきません。大学・学部選びでは「本人の興味・関心」を優先させてほしい出典 : ――ここまでお話を伺い、発達の特性による困り感がある大学生の多さを再認識しました。発達に特性がある場合、どのようなことを大学・学部選びで大切にしたほうが良いとお考えでしょうか。山科先生:大学・学部選びに関しては、何よりもまず「本人の興味・関心」を優先させてほしいと思います。大学の勉強は、高校時代よりはるかに複雑でレベルも高くなります。「好き」という原動力がないと、ただただ苦しいだけの日々を送ることになりかねません。就職に有利だからという理由で学部を選んだり、大学のネームバリューに惹かれて「その中で入りやすい学部」といった選択をしたりすると、入学後に壁に当たった際に乗り越えることは難しくなります。――「好き」という原動力が、困難を乗り越える力にもなるということですね。山科先生:大学時代に学んだ「知識」など、卒業後数年したら古びてしまいます。大学で身につけるべきなのは、「調べる力」「長い、構造化された文章をつくり上げる力」「ディスカッションの力」「プレゼンテーションの力」などです。仮に会社員として生きていこうということになった場合に、これらの力があれば、支援を受けながらになるかもしれませんが、それなりの仕事ができる可能性があります。好きな勉強を通してなら、こういう経験を積みスキルが向上することが可能になるかもしれません。コミュニケーションが苦手な人でも、自分の好きなことなら話せるかもしれません。まず楽しんで話す、その次に「相手に伝わる話し方」を考える、ということで、この順番でなければコミュニケーションスキルの進歩などありえないと私は思います。――大学卒業後、つまり「将来の自立」にも関わってきますよね。山科先生:自立ということでいえば、当たり前のことですが生活スキル、自己管理能力の強化は、どうしても必要と思います。大学生活で躓くのは、実はこの点が大きいのです。ただし、朝起きられないとか、時間にルーズだとか、片づけができないといったことが、全て「心がけ」の問題として本人が叱責されてしまうというのは残念でなりません。これらはいずれも発達の特性がベースにあって生じることなのですから、本人を傷つけずにどう意識づけをやっていくか、ということについては、いろいろな工夫が必要でしょうし、薬物療法を検討すべき場合もあります。――保護者はどのようなことを意識すれば良いでしょうか。山科先生:より根本的には、「自己」を育てていく、ということが大事かもしれません。「これが好き」「あれがやりたい」という願望を持ち、その実現に向かって努力するとか、自分が頑張った結果どういう良いことが待っているかということがイメージできるように、親は気長に関わっていく必要があると思います。発達の特性によってイマジネーションが難しいからこそ、そのような頭の使い方を、地道に教えて行く必要があるのではないでしょうか。やがて経験を積み、親しい人に導かれながら内的な経験を言語化する営みを重ねると、少しずつ「自己」が複雑化していきます。そうなると、異なる視点でものを見比べるとか、思考実験的なことを頭の中で行えるようになります。発達の特性を有する人たちにはそういうことは苦手なのですが、将来を考えるときに、不安感と嫌悪感ではなく希望に根ざした発想ができるように、ということを親は意識している必要があるように思います。執筆/LITALICO発達ナビ編集部
2022年06月15日友達と遊んでいると、塾の予定をど忘れする中2息子Upload By かなしろにゃんこ。息子は、中2のとき運動部からパソコン部に転部しました。部活動は週3で、部活のない日は友達とぶらぶら遊び歩くか、何人か遊びに来てわが家でゲーム三昧。「今日は7時から塾だよ」と声をかけても、ウッカリ屋の息子は遊んでいるうちにスッカリ忘れてしまい塾に行かないことがよくありました。たとえテスト前であっても、テスト勉強はせずにそんな調子。塾をさぼったり、テスト勉強をやらなかったりと母と子の争いが過熱していました。そんなある日、「塾をさぼるな」「塾の授業料を無駄にするな」と私が言ったことから親子ケンカに発展してしまいました。「わざとじゃないよ、本当に忘れちゃうんだ」と言う息子に対して、「絶対わざとさぼっている!」と私が疑ってしまうことで親子ケンカとなったのです。息子にとっては、本当にわざとではないのに怒られたことが腹立たしかったのだと思います。息子はケンカしたまま「出かけてくる」と言って自転車でどこかに行ってしまいました。Upload By かなしろにゃんこ。家を飛び出したきり、息子がなかなか帰って来ないそのうちお腹を空かせて帰ってくるだろうと思って、私はいつものように夕飯をつくって待っていました。しかし、夜の8時になっても、9時になっても帰ってきません…。(図々しく友達の家にお邪魔してちゃっかり夕飯をごちそうになっているかもしれない)と思った私は、お友達の家に電話をしてみました。しかしどのお家でも「来ていない」と言います。Upload By かなしろにゃんこ。今まで息子は、門限を破ってどんなに遅くなったとしても夜の8時には帰って来ていたので、段々心配になってきました。お金も持っていないだろうからお腹がすいていても何も食べていないはず…。このころは私のスマートフォンを塾に行くときだけ持たせていましたが、それ以外のときは持たせてはいませんでした。連絡する手段がない息子。(そういえば公衆電話の使い方を教えてなかったわ…)(事故にでもあったのかな?)などと考えながら息子の帰りを待っていました。夜の11時ごろようやく帰宅した息子Upload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。何も連絡がないまま夜の11時になろうとしたとき、外でガタン!と自転車のスタンド音がして「ただいま~」と機嫌よく息子が帰ってきました。「こんな時間まで何してたのよー!」と怒ってやろうと思っていましたが、無事に帰ってきたことで怒るよりもホッとした私は「お風呂入ってご飯食べなさい」と言ってしまいました。夜遅くまでどうしていたのか聞くと、「遠くに行きたくなって、自転車で走っていたら市外に入ってしまったから、そのまま行けるところまで行こうとして、自宅から22キロも離れた場所まで行ってしまった」と息子は答えました。Upload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。「夜でも店の看板が明るくて人もいっぱいいて楽しかった」と、キラキラした街に感動してウロウロ見て回っていたら帰りが遅くなっちゃったということでした。走っているうちにケンカのことは忘れて、自転車で走ることが楽しくなってしまったんだとか。Upload By かなしろにゃんこ。息子に改めてこのときのことを聞いてみると「最初はムシャクシャして走るんだけど、そのうちに行きたい場所の目標ができて楽しくなってきたんだよね。オレ、時間とか距離の逆算ができないから、このまま行っちゃうと家に帰るまでにすごい疲れるのは想像できてなくってドンドン走っていっちゃった」と言っていました。ただ“放っておいてほしい”という思いもあったので、途中で(これは、帰るのが大変そうだ)と気づいても家に連絡して居場所を伝えたいという気持ちにはなれなかったと言うのです。無事でよかったことと、特性でどうしようもない部分を攻めすぎたことで遠くまで自転車で走らせてしまったことを反省したのでした。反抗期の子の接し方は難しいけれど、心配した出来事があって愛情を再確認するものだと知りました。その後も何度か同じように息子は、親子ケンカの末に自転車で遠くまで行ってしまうことがありました。そういう日は、帰ってくると疲れ果てていて、とっても大人しくなります。たまっていたイライラが程よく抜けるのでしょうか。気性が荒い息子も穏やかになるのでした。今思うと好奇心のまま突っ走り知らない土地で刺激を得て心のパワーチャージをしていたのかもしれません。ちなみに塾は、中3になると受験の意識が芽生えてきたのかあまりさぼらずに行けるようになったのでした。執筆/かなしろにゃんこ。(監修:井上先生より)思春期になり、自分の価値観もはっきりしてくると主張も強くなり親の考えと対立することも多くなってくると思います。お互いが感情的になってしまわないよう、ほどよい距離を保ちクールダウンをはかるという対策がありますが、なかなか難しいものです。感情的に対立しているときには子どもを納得させることは難しいので、「うーん、そうかぁ」「それは、なかなか難しいなぁ」「どうしたらいいと思う?」など子どもの困った気持ちに寄り添いつつ、すぐに答えを出さずに一緒に悩みながら言葉がけをするとお互い少し冷静になれるかもしれません。
2022年06月15日「子どもの未来を幸福に」というビジョンの下、発達障害児の将来の自立と就職に向けてトレーニングを行う教育事業者(児童福祉法に基づく児童発達支援・放課後等デイサービス)に対する開業・運営コンサルティングを提供する株式会社アイラ(本社:宮城県仙台市、代表取締役:遠藤 千尋)は、「人との繋がりの中で未来を生きる力を育む」をコンセプトに埼玉県内で児童発達支援・放課後等デイサービス「ヒトツナ」を運営する株式会社サイドアイ(本社:埼玉県越谷市)と業務提携を行い、2022年6月10日より、「ヒトツナ」フランチャイズ事業を開始しました。埼玉県のヒトツナがフランチャイズ事業を開始■児童発達支援・放課後等デイサービスの概要児童発達支援、放課後等デイサービスは、0歳から18歳までの発達に特性のあるお子様を日中や学校終了後の放課後等にお預かりし、将来の就職と自立に向けた様々なトレーニングを行う事業です。2012年の法改正により現在の児童発達支援・放課後等デイサービスの体系になってから数年で事業所数は急増し、それに比例して利用するお子様も増加しております。「発達に特性のあるお子様」とは、自閉症スペクトラム、ADHD、LD等の診断を受けているお子様や、診断名がなくても療育の必要性を認められたお子様等が対象となります。■「ヒトツナ」のコンセプト児童発達支援・放課後等デイサービスヒトツナは、2019年に埼玉県越谷市に開業しました。「人との繋がりを大切に、人との繋がりをもっと楽しく」というスローガンで、発達に特性のある子どもたちが“人と通じ合う経験”の中でたくさんの学びや発見が得られるような体験学習を重視しております。特性から、他者と通じ合う経験の乏しさや困難さを抱えている子どもたちが多かったり、自分に対する否定が強いお子様が多くみられますが、だからこそ「人と人との繋がり」が生きづらさを解消する手助けになると信じて、質の高い社会性の経験が大切に関わっています。■ヒトツナの療育の特徴ヒトツナでは、〇〇式、〇〇プログラム等、一つの療育の手段に偏らず、「子どもに関わるスタッフ一人ひとりのアセスメント力向上や、療育に向き合うマインドの形成。その上で、多様な“手段”の獲得」が何よりも大切な療育だと考えております。療育プログラムという“手段”が先行した事業所づくりでは、お子様をその手段に当てはめることが目的化してしまい、一人ひとりに合った個別性のある支援からはかけ離れていきます。最も重要なのは“一人ひとりと向き合う力”だと考え、職員に対する療育者としてのマインド、スキル両面からの育成を行うことが、ヒトツナメソッドの特徴です。■フランチャイズの特徴ヒトツナフランチャイズ加盟店様の開業にあたっては、本部のコンサルタントが物件選び、商圏調査レポート、関係法令適合の確認、事業計画書作成、資金調達支援、人材採用支援、集客、マーケティング支援、教育等、開業に必要なノウハウを以てサポート致します。【ヒトツナフランチャイズの強み】(1)開業からわずか3か月で単月黒字化を達成した実績を集約実際の教室運営に基づくサポートをいたします。(2)業界初の経過年数ごとにランニングロイヤリティを低減させる仕組みを採用フランチャイズだけど加盟店様の“自立”が目的です。高額なランニングロイヤリティで運営がひっ迫し、事業継続が困難にならないよう、ヒトツナフランチャイズはランニングロイヤリティもおさえ、さらにしました。その間に加盟店様はノウハウを内製化し、自立した運営を目指していただきたいと思っております。(3)優秀なスーパーバイザーによるリモート、巡回指導当たり前ですが、開業してからが本番です。フランチャイズや開業コンサルティングでよくあるトラブルは、「開業したら支援が手薄になる」ことです。ヒトツナフランチャイズは、本部教室の優秀な人材がスーパーバイザーとして、加盟店様の事業所運営をサポート致します。(4)WEBマーケティングに強いヒトツナフランチャイズの運営チームには、WEBマーケティングに特化した広告・制作会社も参加しています。ヒトツナ本体としてのブランディングにも力を入れ、加盟店様にとってのバリューを高め続けることは勿論の事、加盟店様の認知・訴求においてもWEBマーケティングのサポートが可能です。■当サービス立ち上げの経緯“放課後等デイサービスのフランチャイズ会社が説明している内容が施設の実態と乖離している。”当社、株式会社アイラは、児童発達支援・放課後等デイサービスに長年関わってきた実績から実際の施設運営、人材育成、障害児への教育内容の実証に基づくサービス開発等を行って参りました。実際の生きた事業所運営を行う中で感じたのは、大手フランチャイズ等の広告で表示される謳い文句は「現実とのギャップがある」ものが多いという事です。コンプライアンスを遵守した上で、人材を確保し続けながら事業所を運営していくのは、それなりの覚悟が必要ですが、短期間で高収益等の謳い文句が動機となって参入した事業者にとっては想像よりも労力の方が掛かる事です。その為、事業の早期撤退等も業界の隠れた問題であると感じておりました。放課後等デイサービスは、手軽に小資本で始められる事業ではないからこそ、「やりたい」と一念発起した起業家さんたちには必ず成功して、必ず幸せになってもらいたい。それは、結果的に地域で療育を必要とする障害児の幸せになるのだから。当社は、障害児の居場所をより質の高い環境にする事、そして、放課後等デイサービスという社会的意義の高い事業に参入した事業者様には、必ずこの事業を通じて人生を豊かにしてもらいたい。これが、私たちのビジョンです。■詳しくはこちら資料請求や個別相談にお問合せください。フランチャイズ加盟店様は、オーナー様との面談による入会審査を行わせていただいております。詳しくはこちらをご覧ください。 ■株式会社アイラについて株式会社アイラは、障害児の教育事業を開始したい事業家のスタートアップを支援するコンサルティングを行っております。中でも、クライアント企業様のスタッフ教育には力を入れており、表面的な施設運営のノウハウだけではなく人間の基本的欲求や本質を踏まえて「根本的解決」に働きかけるスタイルで、人材育成をサポートしております。特性のある子どもたちに質の高い療育を提供するためには、支援に従事する職員のマインドを高める事も、とても大切な事です。当社では、子どもたちに質の高い療育を提供する側の大人が人として満たされ、成長することにより、結果、子どもたちに還元できるものが増えるという考えのもと、事業所の教育環境の整備、研修の提供、人材育成のコンサルティングを強化しております。また、代表の遠藤自身もADHD、ASDの当事者で、不登校やうつ、適応障害等の二次障害を経験してきました。そのような経験を踏まえて、発達に特性のある子どもが今ある環境にとらわれ人生を悲観することなく、未来に向かって生きる心の器を育てていきたいと思っております。今回のヒトツナフランチャイズ事業では、フランチャイズ本部機能を受託しております。【会社概要】社名 : 株式会社アイラ所在地 : 宮城県仙台市青葉区国分町1-8-14 仙台協立第2ビル3階代表者 : 代表取締役 遠藤 千尋資本金 : 1,100万円(資本準備金含)事業内容: 障害児通所支援事業のコンサルティング事業、EC事業、人材育成事業等お問合せ: info@ayla.co.jp HP : SNS : ■株式会社サイドアイについて株式会社サイドアイは、埼玉県越谷市、春日部市で児童発達支援・放課後等デイサービスを運営する事業者です。障害や特性がある事により、自分の将来の選択肢を悲観的に考えている子どもやそのご家族に対し、自分らしく人生を充実させる事ができるよう、感性や社会性を磨き、選択肢を広げ、豊かな人生を送る事が出来るよう、障害児支援事業を通じて社会に貢献致します。【ヒトツナ創業時の思い】お読みいただき、ありがとうございます。ヒトツナ創業者の齊藤です。この事業をやるきっかけは、息子が3歳の時に受けた発達検査でした。ADHD、ASDの診断を受け、子どもの療育について学ぶうちに、「私自身も当事者なのではないか」と思い、数年前に検査を受けた所、自分自身もADHD、ASDの診断を受けました。息子の療育先を探す上で様々な施設を見学、実際に通所しましたが、親の目線で思うことが沢山ありました。障害を障害としてとらえてレールに乗った教育をするのではなく、「どうすれば生きやすくなるか」を一緒に考え伴走することこそが、療育なのではないかと思うようになり、ならば自分の理想とする施設を作ろうと思ったのがきっかけです。様々な事業所が、エビデンスや研究に基づいたカリキュラムやメソッドなどを展開されておりますが、当然、支援者としてエビデンス等から学ぶことはとても重要です。しかし、現場レベルでは子どもたち一人一人にどう向き合い、技術や知識をどう実際の支援に落とし込めるかが重要であると私たちは考えております。「何をやるか」ではなく「誰がやるか」が重要である事を、実際の教室運営の中で勉強させていただいております。私自身の診断の際に担当医に「頑張って社会適応してきたんだね、頑張ったね」と言われ、とてつもない安堵感で満たされた経験から、「誰か一人でも、世の中に自分の事をわかろうとしてくれる人がいる。」この、居場所感や大きな器こそが発達障害の支援には欠かせないと思い、人との繋がりをテーマにした施設をもっと多くの方に知っていただき、一人でも多くの親御様とお子様の手助けができたらと考え、このほど同じ志の方々とでメソッドや教室の人材、知識などの資源の共有を行うことを決意致しました。私自身が当事者でその親である事、自分自身がエビデンスになれるように。何より大切なのは、子どもたち一人一人に愛情を持って接すること、受容することです。自分自身を受け容れてくれる仲間や大人と出会えることで育まれる心の豊かさを、子どもたちにも感じてもらいましょう。【会社概要】社名 :株式会社サイドアイ所在地 :埼玉県越谷市袋山1431番4代表者 :代表取締役 齊藤 博晃資本金 :888万円事業内容:障害児通所支援事業、保護者支援、研修事業等 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年06月15日ダウン症と療育は切っても切れない関係なぜダウン症のある子どもが療育と切っても切れない関係なのかというと、それはダウン症という障害が「生まれてすぐに」分かる障害だからです。ダウン症のある子どものママパパさんは、子どもがダウン症という障害があるというのを告知されるのとほぼ同時期に、「子どもに療育をして下さい」と医師からアドバイスをされることが多いと思います。「療育をすれば子どもの成長や発達を伸ばすことができる」と…。私の場合は遺伝子検査をし、はっきりと「ダウン症」という障害があるとわかったとき、医師から告知されるとともに、「療育をして下さい」と言われました。Upload By 星きのこ療育は一筋の希望?恥ずかしながら私、この「療育」という言葉をそのとき初めて知りました。療育とは何かというと、心身に障害のある子どもに対して社会的に自立した生活を送れるように行う治療・教育のことです。公的や民間の療育施設で専門の先生に指導を受けたり、家庭で親が子におこなったりします。「子どもに障害がある」と告知を受けた親御さんの多くは突然の告知に戸惑うと思います。(もちろん私もその一人でした。)でも、そこに「療育をすることで子どもの成長や発達を促すことができる」と医師から聞いたら…多くの親は、必死に子どもに療育を受けさせようと思うはずです。療育をすることで子どもが少しでも良くなるなら…と、親にとっての一筋の希望にもなるからです。Upload By 星きのこ医師から「療育をしてください」と言われ…一般的にダウン症のある子どもの成長は、定型発達の子どもの約2倍の時間がかかると言われています。定型発達の子どもは約1歳前後で歩けるようになりますが、ダウン症のある子どもはその2倍、約2歳前後で歩けるようになると言われています。(あくまでもそれは平均値で、きいちゃんは2歳3ヶ月で歩けるようになりましたが、ダウン症があっても1才で歩けるようになる子どももいれば、もっと時間のかかる子どももいます。その子その子でそれぞれです。)医師から「療育をして下さい」と聞いた私は…少しでも早くきいちゃんに療育をしてあげなければと焦りました。でも、地域の療育施設はいっぱいで、入れるのは半年後…焦りは募ります。療育に行けない間、きいちゃんの発達が遅れてしまうんじゃないかと思ったからです。せめて家で療育をしなければ!と思い、療育関係の本をたくさん買い漁って実践したり、民間療法のマッサージに行ったり、とにかく「少しでもダウン症のある子どもにいい」ということを聞けば、少々遠くても飛んでいったりしていました。慣れない子育てで大変だったにも関わらず、そんな中でも少しでも時間ができると「きいちゃんへの療育」に全て費やしていました。ダウン症のある赤ちゃんの成長|NIPT JapanUpload By 星きのこ今ではなんであのとき、あんなに必死だったのか、そんなに自分自身がへとへとになるまで頑張る必要もなかったんじゃないかとも思いますが、あのときほどきいちゃんのことを思い、行動していた日はなかったなあと懐かしくも思います。(目頭が熱く…(笑))これが私ときいちゃんの「療育」との出合いでした。そしてここから長~い療育の日々が始まったのでした…。Upload By 星きのこ執筆/星きのこ(監修:鈴木先生より)療育とは、「科学&こころ」です。最新の知識をもって子にも親にも優しく接していくことが療育だと常々思っています。心の「heart」の中に 「art」 があり、「hear」もあります。音楽や美術などの「芸術」に触れながら子どもの話を「聞いて」あげることも重要なのです。いろいろな療育をはしごしている親御さんを見かけますが、決して「療育ママ」になりすぎることなくお子さんといろいろなところへ行き、みんなと楽しい思い出を作ってあげてください。きょうだいがいる家庭ではほかのきょうだいが親御さんに甘えられなくて心身症として受診されるケースも見受けられます。これは神経発達症に限らず血液や心臓など、病気のある子どものいるご家庭にすべて言えることです。ダウン症にはさまざまな合併症があります。療育に加えて小児科や整形外科など病院通いも多いと思います。つまり、親御さんが自由な時間をとることが難しいと言うことです。そういう親御さんの強い味方として専門の看護師が預かってくれる訪問看護という手法も最近は増えてきました。自分の時間ができるだけでなく、ほかのきょうだいとも触れ合う時間が作れますので、是非使ってもらいたいサービスです。
2022年06月15日学校のコロナ対策で、過剰な負担が減った子・親・先生たちこんにちは。『発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた楽々かあさんの伝わる! 声かけ変換』ほか、著者・楽々かあさんこと、大場美鈴です。突如現れた未知の新型コロナウイルスのために、全国一斉休校措置となった、あの2020年春の緊張感を思い出すと、最近の「少しずつ、コロナ前の日常を取り戻しつつある」空気感を、私はとても嬉しく思っています。当時元気がなくて心配していた長女も、このころは毎日放課後、近所のお友達と外で走り回って遊べるようになりました。その一方で、長女の公立小学校では、運動会に向けて長時間の事前練習が始まったり、PTA講演会の動員が再開されたり…と、私には非合理的に思えることも一部で復活の兆しを見せており、「コロナを機に改善されたことも、また、元に戻ってしまうのではないか」という心配もしています。長男・次男の小学校時代、まずは自分たちでできる努力や工夫をした上で、私は合理的な配慮について学校側と相談してきましたが、公教育の体質的・制度的な大きな壁にぶつかり、「よほどのことがない限りは変われないだろうな」と諦めた部分も多々あり、長男・次男は私立中学受験を選択しました。その、「よほどのこと」が起きたのが、新型コロナウイルスの感染拡大です。新型コロナウイルス対策を機に合理化・効率化されたことのうち、発達障害・不登校傾向のある子など、学校生活に特に負担を感じやすい児童生徒を始め、多くの子どもたち・先生・保護者にメリットがあり、「ぜひ続けてほしい」「もとに戻さないで」と私が願う公教育の変化を5つ挙げます。立場や考え方によって、「旧来の方法のほうがよい」と思われる方もいらっしゃるでしょう。多様性を考えるひとつの視点として記させていただきます。1.オンライン授業の定着公立小中学校でのICT教育の推進は、政府のGIGAスクール構想の前倒しなどで、ひとまずはほとんどの児童生徒にタブレットが配布され、うちの小学校も全教室でWi-Fiが使えるようにもなりました。ただし、その活用度合は、「去年の担任の先生はタブレット沢山使ったけど、今年はあんまり使わない」などと長女が話すように、学習に十分に活かせている場合もあれば、未だに「持ち帰り訓練をするだけ」なんて場合もあり、地域・学校・先生による状況のようです。オンライン授業も、公立に通う長女は試験的に一度15分のホームルームが行われたのみですが、長男次男の私立学校ではすでに授業ノウハウがすっかり定着しています。学校間のICT格差がかなり開いているように感じます。それでも、感染拡大の局面でニュース等で報じられたような、教室の密を避けるために一部の学校で試験的に行われた、対面授業とオンライン授業が選択できる「ハイブリッド型の授業」の試みに、私は公教育への希望を感じました。コロナの影響で不登校の子も増えていると聞きますが、ハイブリッド型の授業が全国的に広まれば、不登校やいじめ、感覚過敏などで「教室にいるのがつらい」と感じる子の学びの選択肢を増やすことができます。離島や過疎地域などに住む通学負担が大きな子どもや、病気やケガで長期間登校できない子どもなどへの学びの保障にもなります。また、地震などの災害リスクに加えて、近年は気候変動の影響で、「危険な暑さ」の猛暑日や、台風・豪雨・豪雪などの異常気象が増え、徒歩通学の子ども達がとても心配になることもありますし、感染症の流行は新型コロナウィルスだけに限りません。最低限、各校でオンライン授業のノウハウを絶やさずにいれば、コロナ以外の理由でも、臨機応変にオンライン授業に切り替えられるので、子ども達の命や健康を守りながら、学びを止めずに済みます。2.デジタル教科書の普及2024年度より本格導入予定の「デジタル教科書」も、LD(学習障害/学習症)のある子どもの読み書きがラクになったり、忘れ物が多い子の心配事が減ったり、教科書すべてがタブレット一台に入れば子どもたちの過重なランドセルの負担を減らせたりできるので、私は大いに期待を寄せています。ですが、文部科学省の「デジタル教科書の今後の在り方等に関する検討会議第一次報告」(2021.6.8公表)によれば、デジタル教科書の発行状況は小中学校ともに約 95%に達しているものの(R3年度現在)、児童生徒への普及状況は「公立学校全体では 7.9%、公立の小学校では 7.7%、公立の中学校では 9.2%、公立の高等学校では 5.2%となっている」(R2.3.1.現在)とのこと。つまりは、「モノはあるけど、使いこなせていない」状況で、まだまだ十分な活用の実践例が不足しているようです。それでも、コロナを機に教育現場が重い腰を上げて、一歩でも二歩でも、導入の歩みを進めた実績は大きいでしょう。デジタル教材を十分活用できれば、個別最適化された学習もしやすく、宿題も「音読・漢字書き取り・計算ドリル」以外の選択肢を増やせるので、デジタルネイティブの子ども達の学習意欲と効率がUPするのではないでしょうか。そして、みんなが文房具のように学校でタブレットを使いこなしていれば、LDのある子どもが教室に持ち込んでも、誰も「〇〇さんだけズルい」だなんて言わないでしょうし、先生方がIT機器の取り扱いに慣れれば、親も理解を得るために何度も学校側と交渉しなくて済むハズです。多忙な先生方にとっても、デジタル教材の活用で、板書や教材作り、プリント配布や採点、提出物のチェックや検温記録の管理などの負担も減るでしょう。文部科学省|デジタル教科書の今後の在り方等に関する検討会議第一次報告3.学校行事の工夫と効率化ここ数年、多くの小中学校で、運動会や学習発表会などの行事を規模縮小しながらも、試行錯誤でなんとか工夫して実施していたことと思います。今年度から、手洗いや消毒などはしつつも、「コロナ前と同じ形」で、運動会が実施される学校もあると思いますが、これは、保護者によって賛否が分かれるのではないでしょうか。例えば、運動会での迫力ある組体操や、一糸乱れぬ動きの集団ダンスなどを観て感動する方もいれば、ケガや熱中症が心配だったりで「そこまで求めていない」という方もいるでしょう。そして、以前は子ども達も先生方も、一ヶ月以上前から膨大な時間をかけて、運動会の練習を積み重ねていました。率直に言えば、小学校の運動会の季節は、上の子たちも私も憂鬱でした。なぜなら、その時期は休み時間を削りながら炎天下で事前練習が続き、子どもの心身に大きな負担がかかるので、毎年決まって登校しぶりが続いたからです。また、疲れや不満が溜まるのは他の子も同じなので、運動会の前後はトラブルが発生しやすく、いじめ要注意の季節でもありました。ところがこの数年は、先生方は運動会の競技をさほど練習の必要がないレクリエーション的な内容に工夫してくれ、子ども達の心身の負担やトラブルも減りました。私は、「徒競走はみんなでゴール」などと言わずに、運動が得意な子には活躍の場を与えてあげて欲しいですし、みんなでひとつのことに向かって協力することは子どものソーシャルスキルや心の成長にも繋がりますから、運動会自体はぜひ実施していただきたいと思っています。でも、過剰な事前練習が必要だったり、安全面で不安があったり、整列や入退場の練習を繰り返したりすることはこれを機に見直し、より負担の少ない方法を継続してほしいですし、そのためには、保護者の側も学校行事に過剰な期待を寄せないであげて下さい。特に、運動が苦手な子どもは、危険度・難易度の高い競技や、「みんなの動きがピッタリそろうまで」ダンスの練習をすると、心身に過剰な負担がかかる上、自分ができないせいで他の子どもたちの練習量までが増えれば、つらい思いをします。体力がなかったり、感覚過敏などがある子どもは、大音量の音楽に合わせて何度も練習したり、身体接触の機会が多かったり、休み時間に休めないことが一ヶ月以上も続いたりすると、本番当日までに疲れ切ってしまいます。先生方も、ただでさえ人手不足で多忙な中、日々の感染症対策まで追加されている上、更に学校行事に多くの労力を費やすと、子ども達に余裕のある接し方ができなくなるかもしれません。この数年間のような工夫された運動会が定着すれば、児童生徒・先生方の負担が減り、保護者も、早朝から席取りや大人数分の弁当作りに追われたり、妊婦や乳幼児連れの親が長時間炎天下で立たなくて済みます。同様に、学習発表会などの事前練習の負担の大きな学校行事は、効率のよい方法を柔軟に続けて頂ければ、学校側も新しい学習内容や感染症対応で圧迫されている授業時間に、少しは余裕ができるのではないでしょうか。子どもたちも先生方も、休み時間は休みましょう。4.全校集会などの合理化長女の小学校では体育館での密を避けるために、全校集会がビデオ会議システムを使った各教室での「オンライン集会」に変更されました。長男は私立中学に入学して、まず真っ先に「全校集会で体操座りをしなくていい」ことを、嬉々として報告してきました。ADHD傾向のある彼にとって、小学校の体育館の硬い床の上で、狭いスペースに長時間姿勢を崩さずに黙ってじーっと座り続けることは、心底苦行だったようです。長時間体操座りをしなくて済めば、成長期の子ども達みんなが、体への負担を減らすことができるのではないでしょうか。また、全校集会のために、全児童・生徒を廊下に整列させて移動する時間の短縮にもなりますし、先生方の準備や後片付けの手間も減らせます。こういった、小さな負担の積み重ねを1つでも2つでも減らして、合理化していくことで、学校の印象は徐々に柔らかく変わっていくと私は思っています。5.欠席のネット連絡と書類のペーパーレス化子どもの欠席時、コロナ前は連絡帳を近所の子に手渡しする方式でしたが、接触機会の感染リスクを避けるため、うちの子が通う小学校では「欠席連絡専用メールアドレス」ができました。ほかにも、専用のグループウェアやSNSなど、「連絡帳以外の方法」で欠席を伝えることが可能になった学校は多いと思います。「正直、もっと早くやってほしかった!」……と、思う保護者は多いのではないでしょうか。なぜなら、連絡帳を手渡しするために、朝の忙しい時間に他のお宅を訪ねることは、預ける側・受け取る側双方の負担になるだけでなく、「帰り」も誰かが欠席した子の家に立ち寄る必要があったからです。特に、低学年や、部活や塾のある子どもや、自宅同士が離れた子どもが遅い時間に1人で立ち寄るのは、防犯面でも心配でした。そして、不登校傾向のある子とその親にとって、「連絡帳の手渡し」は、大きな心理的負担になっていたことと思います。うちでは次男が小5の時、学校に行けない日が続いた時期がありました。私は毎朝、連絡帳を同じ登校班の子に預けにゆき、帰りも同級生の女の子が遠回りして連絡帳をうちに届けてくれましたが、本当に申し訳ない気持ちでしたし、次男自身も、そのことをとても気にして負担に思っていたようです。また、ほかのお子さんに連絡帳を預けると、登下校中などに、ちらっと「中身」を見てしまうこともありました。時折、連絡帳には、発達面での気がかりや、クラス内の人間関係に関することなど、担任の先生にデリケートな相談内容を書くこともあるので、他のお子さんに預けるのは少々不安でした(以降、デリケートな相談内容は封書にするか、「お手すきの時にお電話頂けますか」とだけ書くようにしました)。これらの悩みを一発解決したのが、欠席のネット連絡の導入です。ありがとうございます。また、うちの子どもの小学校では、ネット連絡と同時に書類のペーパーレス化も進みました。子どもの欠席時の他、忘れ物の多い子や、仕事で多忙な保護者や、(私のように)書類の整理が苦手な保護者も、学校からのお便りがネットでいつでも閲覧・ダウンロードできるようになったので大助かりです。教頭先生も「紙代とインク代が大幅に節約できるし、担任の先生が各教室で紙を配る手間も減らせてよかった」とおっしゃっていました。また、PTAの議決やアンケート回答も、ネットから回答フォームで送信できるようになったので、集計作業はもう不要です。コロナ前には戻さないで。学校を誰もが頑張りすぎない環境へ。コロナ以前は、学校生活のあらゆる場面で、子ども・先生・保護者に過剰に負担がかかっていた状況だったように思います。それでも、なかなか柔軟に変われない印象を受けていた公教育の現場が、未知の感染症への対応を迫られたこの数年間は、学校をどんな子にとっても合理的で過ごしやすい環境に改善する千載一遇のチャンスでもありました。何度も小学校側に理解や配慮を相談してきた私には、「ここで変われないことは、もう二度とムリかも」とすら思えます。そして、学校を負担に感じているのは、発達障害・不登校傾向のある子だけではありません。多くの子ども達・保護者、そして先生方が、様々な事情を抱える中で、無理をし続けているのです。子ども達の笑顔につながること以外は、どうか、コロナ前に戻さずに、学校を誰もが負担なく、頑張りすぎない環境に改善されていくことを、社会全体で許容してあげてほしいと、私は切に願ってやみません。文:大場美鈴(楽々かあさん)(監修:井上先生より)新型コロナの流行は私たちの社会や学校にとって大きな衝撃でしたが、デジタル化や遠隔での授業の浸透、行事の簡素化など、革新的な面も多くもたらしました。楽々かあさんの言われる通り、これらの変化の中にはコロナ収束後もニーズの多様性への対応として重要なヒントが含まれています。地域や学校の実情に合わせて、ぜひ継続して欲しいと思います。このコラムを書いた人の著書大場美鈴(著),『発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた 楽々かあさんの伝わる! 声かけ変換』あさ出版, 2020.6.27
2022年06月14日特別支援教室のガイドラインが変更に出典 : 東京都では、平成28年度から小学校、平成30年度から中学校の特別支援教室の導入を進めてきました。この導入期に合わせて「特別支援教室の導入ガイドライン」が作成され、ガイドラインに沿って各校で特別支援教室の導入が進められました。そして、令和3年4月に東京都の全ての区市町村立小中学校において特別支援教室の導入が完了しました。それに伴い、令和3年3月に「特別支援教室の運営ガイドライン」が作成されました。このガイドラインには、あらたに指導期間の考え方や指導目標の設定の仕方などが記載されました。東京都教育委員会|「特別支援教室の運営ガイドライン」を作成しました「特別支援教室の運営ガイドライン」は、導入時のガイドラインとどのような点が変わったのでしょうか。東京都教育委員会の教育庁都立学校教育部特別支援教育企画調整担当の方にお話を伺いました。新ガイドラインでは、指導期間や指導目標について明確に。そのねらいとは?出典 : 発達ナビ編集部(以下――)特別支援教室の導入時のガイドラインと、最新の 「特別支援教室の運営ガイドライン」の違いはなんでしょうか?東京都教育委員会:特別支援教室の運営に必要なことだけではなく、特別支援教室での指導以外の場面での役割の重要性など、これまでの導入ガイドラインの内容をさらに充実させています。特に、指導期間の考え方、指導目標の設定(読み書きチェックリストの活用、連携型個別指導計画の作成)の仕方、指導による達成状況の確認、指導目標を達成した後の在籍学級での支援などについても記載を充実するなど、発達障害のある児童・生徒への支援について総合的に記載しています。ーーガイドラインが発表されたことにより、支援者や保護者からどのような声がありましたか。東京都教育委員会:保護者の方や学校の先生方から、指導期間の考え方について教えてほしいといった声などが寄せられました。発達障害のある児童・生徒は、学校生活での多くの時間を通常学級で過ごしています。こうしたことからも、特別支援教室での学びを通じて、学習上や生活上の困難さを低減し、学校生活を有意義に過ごしてほしいと考えています。そのため、一定の指導期間の中で、どの程度、指導目標を達成できたのかを確実に評価すること、その上で、引き続き指導の継続が必要なのか、それとも指導を終了し、通常学級の中での配慮や工夫をしていくことが良いのかなどをしっかりと判断して実践していくことが重要だと考えています。指導期間は、一つの区切り。大切なのは、子どもの困りに着目すること出典 : ーーガイドラインの中の「原則の指導期間 は1年間とする」「延長する場合、再設定する指導期間は最長1年間とする」という指導期間について具体的に教えて下さい。それ以降は在籍できないということなのでしょうか?東京都教育委員会:そのような声が保護者の方や先生方からもありました。期間をはっきり記載したのは、「基本的に1年間しか在籍できません、最長2年間までしか在籍できません」ということではありません。1年、2年というのはあくまでも一つの区切りなので、期間を設けた上で「本当にその子が困っていることは何なのか」「指導法は合っていたのか」などを確認しよう、2年間の指導に対し、指導目標の達成まで至らなかった場合は、改めて適切な支援の在り方から考え直そう、ということです。そこでやはり特別支援教室での指導が必要であれば、再度在籍することもできます。また、特別支援教室を退室したお子さんが、やはり指導が必要だとなれば、改めて特別支援教室で指導を受けることも可能です。ーーありがとうございます。指導期間の考え方についてよく分かりました。最後に子どもたちへのメッセージをお願いします。東京都教育委員会:発達障害による困難さで、さまざまなつまずきを感じているかもしれません。また、うまくいかないなどの経験から自信をなくしてしまうこともあるかもしれません。特別支援教室は、みなさんのスキルを向上するための教室です。発達障害による困難さを少しでも低減することができるよう、先生方が寄り添ってくれます。先生方を信じて頑張ってくださることを願っています。取材協力:東京都教育委員会教育庁都立学校教育部特別支援教育企画調整担当
2022年06月14日ほぺろうの癇癪でつらかった時期、家族はバラバラUpload By ぼさ子自閉スペクトラム症と知的障害のあるわが家の息子ほぺろう。正式に診断が下りたのは3歳のときでした。1歳半ごろから発達の遅れは気になってはいましたが、2歳を過ぎたあたりから手のつけられないレベルで癇癪が激しくなり、いよいよ『ほかの子とは違う』という現実を突きつけられていました。当時の私は障害について検索するのに必死。改善する方法を検索して必死。障害じゃない可能性を検索して必死。…頭がおかしくなるくらい検索漬けの毎日でした。しかも「私は母親なんだから子どものことをしっかりやらなくてはならない!」という変な意地を張っていたので、仕事のあるペー太(夫)に支障がないようにほぼ毎日別室で寝ていたし、ほぺろうのことはほぼ全て私がやっていました。ただでさえ大変なほぺろうに私は24時間つきっきり。ほぺろうが何よりも最優先。ペー太とはすれ違い生活で会話は減り、そのころの夫の記憶がほとんどありません。限界のとき…妻に放たれた夫のセリフ3歳でほぺろうの診断名が出た当時の私の気持ちは、わが子の将来が見えなくて不安と絶望。また「育児は母親が背負うもの」という間違った先入観が邪魔して、「癇癪で大暴れ」や「夜の寝つきが悪い」などなど…ほぺろうと二人っきりの閉鎖的な世界で(他人に会うと迷惑をかけるので)全てを私一人で抱え込んでいました。毎日の癇癪と寝不足で心身はボロボロ。限界でしたが助けの求め方が分かりません。というか、もう正しい判断もできなくなっていたので「母親なんだから助けを求めてはいけない」と思っていました。あるとき、追い詰められていた私はペー太に心配してほしくて「ほぺろうがいなくなっても後悔しないかも…」と心にもない言葉を出してしまいました。でも そんな屈折したSOSを理解する方が難しいでしょう。Upload By ぼさ子Upload By ぼさ子Upload By ぼさ子そう言い残し、戸を閉めて行ってしまいました。そのときは、「夫は私やほぺろうに無関心なんだと」思ったし、寄り添ってもらえないと感じました。そして、さらに夫に頼るということができなくなりました。転機!全てのきっかけは私自身にあったその後もずいぶん一人でもがき苦しんでいました。でもやがて、地域のサポートや保育園にお世話になれるようになってから私の気持ちに少しずつ余裕が出てきました。そして就職も私にとって大きな転機だったと思います。決して自慢できませんが、家事がどんどん下手クソになっていったのです!あまりにも上手く家事ができな過ぎて、逆に「ま、いっか!」と開き直るようになったせいか、助けの求め方が分からなかった私が自然にペー太を頼れるようになっていきました。すると不思議なことに、なぜか家族仲が良くなってきました。ほぺろうがお父さんに懐くようになっていきました。Upload By ぼさ子Upload By ぼさ子壁をつくっていたのは私自身だったんだと気づきました。実は誰よりも息子を想っていたペー太ほぺろうが6歳になった現在、今では子煩悩で ほぺろうのためなら何でもやってくれるペー太。最近になって初めて、診断が出た当時の気持ちを聞いてみました。ペー太いわく、「診断が出たときはホッとした。その前からほぺろうはほかの子とは違うとハッキリ感じていたから、早く対策してあげたかった」「診断名が分かったから、ようやく適切なステップを踏めると思った」とのこと。私は衝撃でした。私なんてむしろ障害じゃない可能性を探したりしていたのに、ペー太はスタートラインから心構えが違っていました。全然無関心なんかじゃなかった。診断名を聞いて「よし、これからだ」とペー太は思っていたのに、障害を受け入れられずに悲観してばかりの私を見て「何やってんの」となるのは当然だと思いました。当時、ほぺろうのために何かしたかったのに、私が壁をつくっていたせいで手を出しにくかったらしい…。本当に最近までペー太の気持ちを知らず、対話してみないと分からないものだと実感しました。Upload By ぼさ子現在の気持ちも聞いてみました。ペー太いわく、「障害とは何か?と聞かれたら詳しくはよく分からないけど、”ほぺろうはほぺろう“としか思えない」とのこと。障害と向き合うと言うより、本人そのものと向き合おうとする子育ての本質を、意外にも父親であるペー太の方がつかんでいたことに驚かされました。今ではほぺろうはすっかりお父さんっ子。相変わらず私に対しては優しくない夫ですが(笑)、ほぺろうへの愛情深さは本当に尊敬しています。Upload By ぼさ子執筆/ぼさ子(監修:初川先生より)夫婦の思いが分かり合えるに至るプロセスのシェア、ありがとうございます。はじめは、ぼさ子さんがまさに孤軍奮闘している思いだったのですね。お子さんの発達がゆっくりだったり癇癪がすごかったりして、なんかちょっと違うのでは…と思うこと、そして実際に診断が下りること。うすうす感づいてはいても、衝撃と困惑とさまざまあったことと思います。大きな衝撃を受けたときの反応は人それぞれで、読者の方の中にも、ぼさ子さんのように思われる方も多くいらっしゃると思います。そして、“孤軍奮闘”になると、どうしても視野が狭くなってしまうものです。人は頑張りすぎると周りが見えなくなりがちなのはいかなる場合・状況でもそうなるものです。保育園や地域資源の利用、就職などで、さまざまな方のお力を借りる(というか、分業する、子どもと離れる時間を設け、子どもを見る良き支援者が増える)ことで、ぼさ子さんの場合には精神的なゆとりと物理的な支えを得たことが、視野が広がるきっかけだったように思います。ぺー太さんのように、子どもの発達の遅れや診断を「よかった」と受け止める方もいらっしゃいますね。そうしたところについては、夫婦や家族の中であっても、どう受け止めているのかは聞いてみないとわからないものです。話してみたら、意外とわが子を「子」として見ていてくれた(障害の有無にかかわらず「子」として見るって素敵なことです)とのこと、素敵なパートナーさんですね。一緒に子育てを担う方の中に、そうしてどーんと構えて、子どもをかわいがってくれる人がいるというのは心強いですね。
2022年06月13日子どもの不器用さ、発達性協調運動症(発達性協調運動障害・DCD)かも?発達性協調運動症(発達性協調運動障害・DCD)とは、日常生活における協調運動が、本人の年齢や知能に応じて期待されるものよりも不正確であったり、困難であるという障害です。一つひとつの運動を関連づけたり、統合することが困難な障害ですが、運動の得意不得意はどんな子どもにも見られるため、単に不器用だから、で済まされる場合も少なくありません。そんな発達性協調運動症について、年齢別の困りごとや発達障害との関連性、支援機関や家庭でのサポート方法などを専門家の解説とともにまとめてご紹介します。発達性協調運動症(発達性協調運動障害・DCD)ってどんな障害?そもそも協調運動とは?粗大運動、微細運動の基本的な解説から、発達性協調運動症(発達性協調運動障害・DCD)のある子どもの年齢別の困りごとなどを詳しく解説します!発達性協調運動症(発達性協調運動障害・DCD)の原因は?発達性協調運動症(発達性協調運動障害・DCD)の原因や、限局性学習症(学習障害)、自閉スペクトラム症、ADHDなどの発達障害との併存の関連性などを解説。診断基準ごとの違いなどの詳しい説明も。子どもの不器用さが気になったらどこへ相談したらいい?子どもの運動や動作の不器用さが気になったら、どのような施設に相談に行けばいい?相談場所はもちろん、支援が受けられる機関を紹介します。遊びの中で取り入れられる、家庭で簡単にできるサポート方法なども!まとめ発達性協調運動症のある子どもは一見「ただの不器用」と思われがちです。しかし、見過ごされ、必要な支援を受けられないままでいると、その子どもが集団に適応することが困難になることもあります。子どもに発達性協調運動症があるのかどうか心配な場合は、早めに相談機関に相談し、必要に応じて専門家の支援を受けながら、家庭でできる工夫を行っていきましょう。
2022年06月12日「もしかして発達障害」特集第2弾入園、入学、進学…新年度の行事がひと段落して、子どもの学校や園生活の様子を落ち着いてみることができるようになってくる時期ですね。この時期に「うちの子、なんだかほかの子と違う…?」「こんなにも育てづらいのはわが家だけ?」とわが子と周りの子どもとの違いに気づく保護者の方も多いのではないでしょうか。昨年度、多くの方に読んでいただいた「発達障害かも」特集、このたび第2弾として企画しました。学校での勉強の遅れや、健診で「〇」がつかずに要観察、発達検査をして診断がおりた話、誤解や偏見を感じることの多い障害児育児の胸の内など、気になるコラムはぜひリンクをクリックして読んでみてください。小5のときに軽度知的障害・ASD・場面緘黙と診断されて吉田いらこさんの長女、小学6年生のゆいちゃん。現在は軽度知的障害・ASD・場面緘黙の診断を受けています。ゆいちゃんが診断を受けたのは小学5年生のときですが、それ以前に「あれ?」と思ったこととは…?育てやすかったけれど、昔から勉強は苦手だったゆいちゃん。勉強は無理にさせなくてもいい、と思っていた吉田さんでしたが、小学校3年生くらいから本格的に「この子は勉強が苦手だなあ」と思うことが増えてきて…。自閉症育児は「かわいそう」じゃない!自閉スペクトラム症がある、かさはらあやこさんの息子さん。育児の中で 誤解や偏見を感じる場面も多くあり、たくさんの悔しい思いもしてきました。「この先、同じような思いをする人が少しでも減りますように」と願いの込められたコラムです。子どもの発達の遅れを意識した3つのポイントとは?重度知的障害を伴う自閉スペクトラム症があるべっこうあめアマミさんの息子さん。小さいころは育てやすいくらいだった息子さんの発達の遅れを意識した3つのポイントとは。3歳グレー息子、ついに発達検査!発達外来を受診してから数ヶ月後、まるさんの息子、リュウくんは発達検査を受けることに…!検査の流れやリュウくんの様子、気になる検査の結果は…!?2歳5ヶ月、発育の遅れの指摘をされて…広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)のあるあーさんは、現在小学6年生。母親のSAKURAさんが発達障害の可能性を考え始めたのは、2歳のときに行った母子相談で2語文が出ていないことを指摘されたことがきっかけで…。もしかして次男も発達障害⁉ 保育園の先生に療育をすすめられ…手がかからないおだやかな次男。発達に関して、あまり悩んだり困ったりはしていなかった母親のtaekoさんですが、ある日保育園の先生に療育をすすめられました。一体その理由とは?そのほか人気まとめコラムはこちらから!
2022年06月12日はじめての児童館。はじめて会う親子娘は2歳前ころから癇癪が激しく、私の悩みの種でした。そんな娘が1歳10ヶ月のときのお話です。私たち親子はよく公園には遊びに行っていたものの、ほかの親子に会うことが少なく、出会いを求め、近所の児童館に遊びに行きました。残念ながらその日、ほかの親子はおらず、私と娘の貸し切り状態。娘はお家にはないおもちゃや、広々としたスペースで楽しそうに遊びはじめました。(これはこれでいいかも!)と私も思い、親子で遊ぶことにしました。翌日も同じ児童館へ。その日は先に2歳半の男の子とママが遊びに来ていました。娘はおままごとのおもちゃで、男の子は滑り台で別々に遊んでいました。そんな子どもたちを見守りながら、私と男の子のママはお話をしていました。私は地元を離れて子育てをしており、当時周りに友人がおらず、夫以外の大人と話をする機会が本当に少なかったので、久しぶりに大人と会話ができることがとてもうれしかったことを今でも覚えています。娘と男の子は、はじめはお互いの様子を伺い別々に遊んでいたものの、だんだんと近くで遊ぶようになり、二人でおままごとのおもちゃで遊び始めました。Upload By 発達ナビ編集部おもちゃの取り合いで癇癪発動!おままごとのおもちゃの中には本物そっくりのマヨネーズのおもちゃがありました。押すと中身がピュッと飛び出してたのしいおもちゃ。ところがそのマヨネーズは1つしかありませんでした。娘も男の子もそのマヨネーズにロックオン!取り合いがはじまってしまいました。私も男の子のママも「順番に使おう」とわが子に声をかけましたが、うまくいかず…。大人二人がアワアワしている間におもちゃのひっぱり合いになってしまい、男の子がおもちゃを獲得しました。そして、娘の癇癪が発動…!Upload By 発達ナビ編集部このころ娘は一度泣き始めてしまうと大声で叫びながら1時間ほど泣き止まないことがしばしば。「ぎゃ~!」と泣き叫ぶ娘に、男の子のママはとても驚いていました。男の子のママ「ごめんなさい!!○○、ひっぱっちゃダメでしょ!貸してあげて!もう本当にごめんね」私「いえいえ、こちらこそすみません。こんなに泣かなくてもと思うんですが…本当にすみません」娘の泣き声にかき消されながらも大人二人で謝り続けていました。男の子はマヨネーズのおもちゃで少し遊んだあと、また滑り台で遊び始めました。男の子のママが、マヨネーズのおもちゃを渡してくれても大声で泣き続ける娘。抱っこも拒否され、「こっちのおもちゃで遊ぼう?」「絵本読む?」「おやつを食べる?」など空気を変えようとしてもダメ。とても気まずい空気になってしまいました。娘が大泣きする空間の中で、遊びにくくなってしまったようで「もう帰ろう」と男の子。男の子のママは気まずそうに「本当にごめんね」と言いながら帰っていきました。Upload By 発達ナビ編集部おもちゃの取り合いは、みんなが通る道?”おもちゃの取り合いは、みんなが通る道”と思いながらも、児童館での娘の止まらない癇癪と、はじめて会う親子を困らせてしまったことにはこたえました…。この経験はつらかったものの、”子ども同士で遊ぶ機会をつくりたい”と思っていた私は、数日後また同じ児童館に行ってみることにしました。私たちの行く時間がほかの親子とずれているのか、貸し切りのことがほとんどでした。少しだけホッとする自分と、娘にほかの子とも交流してほしいな…という気持ちがありました。別の日、また児童館に行くと2組の2歳くらいの女の子とママが遊んでいました。しばらくすると…娘と一人の女の子が、1つのおもちゃにロックオン!その日はひっぱり合いにはならなかったものの、ヒヤヒヤするやり取りが続きました。(また癇癪を起こしてしまったらどうしよう…)と私は心配になり、早めにお家に帰ろうと娘に提案しました。すると「帰らない(怒)!!」と娘の癇癪がはじまってしまいました。(ああ〜失敗しちゃった…)そう心の中で言わずにはいられませんでした。前回の経験から娘がなかなか泣き止まないと、ほかの子が遊びにくくなってしまう…ということが気になりその日は泣き叫ぶ娘をそのまま抱いて家に帰りました。そして、また別の日は、これまたはじめて会う男の子とおもちゃの取り合い、そしてまた癇癪を起こした娘。このようなことが続き、(室内でお友だちと遊ぶのは、娘にまだ難しいのかも?)と思いました。児童館はもう諦めた!公園に遊びに行くと…児童館は娘が癇癪を起こすきっかけが多すぎて、諦めました。きっと屋外だったらまだましだろうと思い、出会いを求め公園に遊びに行くことにしました。しかし公園に行けば行ったで、スコップやバケツの取り合いになってしまう娘。2歳ごろからは、おもちゃの取り合いなどなく遊べたとしても、「そろそろ帰ろう」と私が言うと、毎回癇癪を起こすようになってしまいまいした。娘の泣き声はそれはそれは大きな声で、周りの人も慌ててしまうほど。でも一度癇癪を起こしてしまうと、気持ちを切り替えることが難しく、収まるのを待つしかないので、外で癇癪になってしまうとそれはそれは気まずいものでした。Upload By 発達ナビ編集部娘が癇癪を起こすきっかけに室内、屋外は関係ないのかもしれない…。ほかの親子との出会いを求めていた私でしたが、娘の癇癪を起こす頻度が上がるごとに、ほかの親子がいないタイミングで公園に行くことが多くなりました。お友達とトラブルを起こしがちな娘を見て(娘はまだお友だちと遊ぶことを求めていないのかもしれない)とも思いました。それ以上に娘がいつ癇癪を起こしてしまうかドキドキしながらほかの親子と遊ぶということに私はとてもつらくなっていました。それでもやっぱり外に行きたい!児童館も、公園も穏やかに過ごすのは難しい。でも家の中で長時間過ごしていてもまた娘はよく癇癪になりました。娘はやっぱりお外に行きたいんだろう、というのもありましたし、私もまた二人きりで家で過ごすことに限界を感じていました。そこで、私は娘と近所中をお散歩をすることにしました。私が「もう帰ろう」と言うと娘は癇癪を起こすので、娘が自分で「おうちにかえる」と言うまでとにかく歩き続けました。朝10時に家を出て、お弁当を持って行ったり、パン屋さんのテラスでお昼にすることもありました。娘が「帰ろう」と言うのは、だいたいいつも夕方になってから。この当時はほぼ毎日朝から夕方まで私たち親子はお散歩をして過ごしました。娘は癇癪を起こすことがかなり減り、穏やかに過ごすことができました。ただこの時期の子育てはちょっと孤独だったな〜と思います。現在は10歳になった娘。やっぱりスイッチが入ると癇癪を起こすことはありますが、8歳ごろから、その頻度はめっきり減りました。言葉で説明すれば分かるようになった6歳ごろからは、私(母)とのやり取りがきっかけで癇癪を起こすことはあっても、お友達に自分の思いを言葉で伝えることができるようになり、仲良く遊べるようになりました。私もママ友が増え、孤独な気持ちは薄れてきたように思います。悩んでいたあのころの自分に「大丈夫だよ」と伝えてあげたいです。エピソード参考/カワカワイラスト/keiko(監修:三木先生より)毎日朝から夕方まで、大変お疲れ様でした。本人が気持ちを切り替えられるようになるまで、あるいは言葉が分かって説明できるようになるまでは、癇癪という形で表現するしかなかったんですよね。大きくなってご本人も楽になったと思います。これから親子ともにつながりが広がっていくと良いですね。あなたのエピソードもコラムになるかも?体験談募集中!保護者の方が日々子育てをする中で「こんなトラブルがあった」「こんなハプニングがあった」など悩みはつきないと思います。そんな発達ナビユーザーのみなさんの「困った」エピソードを募集しています。テーマは「反抗期・思春期」「自傷」「学習」「不登校」「ゲーム」「不器用」「ママ友・保護者」「ご近所トラブル」などに加え、今回より「パートナーや両親(義両親)、親族間トラブル」「冠婚葬祭」のお悩みも追加募集!パートナーなどとの意見の相違、冠婚葬祭でのルールが分からない、反抗期による親との言い争い、癇癪を起こして自分の頭を叩く、地団太を踏むなどの自傷行為…読み書きや計算の困りはもちろん、授業を落ち着いて受けられないなどの学習の悩み…行き渋りや不登校などの悩み…いろいろなお悩みエピソード、お待ちしております。お寄せいただいたエピソードの中から数作品、発達ナビの連載ライターさんにコラムとしてコミックマンガエッセイ化していただき、発達ナビで公開いたします!あるあるのエピソードからヒヤリとしたエピソード、SNSなどではなかなか言えないような家族やママ友とのトラブルまで。いろいろな「困った」エピソードをぜひ教えてください。
2022年06月11日1日限定の「注文に時間がかかるカフェ」で、吃音のある若者の夢を応援しませんか?Upload By 発達ナビニュース「注文に時間がかかるカフェ」は、接客業に挑戦したいけれど一歩踏み出せない若者に自信を、吃音を知らない人にはスタッフとの交流を通して理解を、をコンセプトに活動が始まった1日限定のカフェです。吃音を抱えながらも接客業に挑戦したいと願う若者たちの夢を叶え、吃音についての理解を広げるために活動しています。カフェに入るとまず、お客さんは吃音について説明を受けてから、吃音のあるスタッフとの交流を行います。この1日限定のカフェは全国へと活動の幅を広げていて、7月3日には川崎市での開催が決まりました。注文に時間がかかるカフェ今回は「注文に時間がかかるカフェ」発起人であり、ご自身も吃音のある奥村安莉沙さんに活動の背景にある想いを伺いしました。発達ナビ編集部(以下、ーー)「注文に時間がかかるカフェ」を始めた背景には、どのような想いがあったのでしょうか。Upload By 発達ナビニュース奥村安莉沙:私が20代前半のころに実家の机の引き出しの奥から、クシャクシャになったある一枚の手紙を見つけました。「20歳のありさへ。カフェで働く夢を叶えていますか?」その手紙は、当時カフェ店員に憧れていた10歳の私が、未来の私に宛てた手紙でした。自分の名前さえ言えないほどの重い吃音があった私は、いつしかその夢をあきらめて大人になっていたんです。25歳のころ、カフェ文化で有名なオーストラリアの街メルボルンのカフェで働きはじめた私は、障害がある人、家のない人、英語がまったく話せない人などが理解し合っている環境に衝撃を受けました。そして「日本に帰国したらこんなカフェを始めたい」と思ったのが「注文に時間がかかるカフェ」をつくった理由です。Upload By 発達ナビニュースーー活動の中で、理解が得られないなど困難なこともあったかと思います。どのように乗り越えて来られたのでしょうか。奥村安莉沙:「吃音」と一口に言っても、症状や必要なサポートは人それぞれです。ある方にとって快適な環境でも、ある方にはそうでない場合もあります。そのため、みんなが働きやすい環境にするにはどうしたらよいかを凄く悩みました。今取り組んでいることは2つあります。1つ目は、マスクに各々のニーズを書いて表現するということです。例えば、話の途中で吃音が出ても最後まで話し終えたい方や、周りの人に助け舟を出してほしい方など、求めていることは人それぞれ違います。それぞれがしてほしいことをお客さまに伝えるために、マスクに各々のニーズを記入するようにしています。Upload By 発達ナビニュース2つ目は、スタッフの意見を取り入れるということです。スタッフの中には、接客のアルバイトをしているときに固有名詞が言えなくてつらくてやめてしまったという人がいました。固有名詞の中に苦手な音があると話しにくい吃音者は案外多いのです。それならば接客のセリフは一切マニュアルに入れないようにしよう、ということになりました。Upload By 発達ナビニュースーー実際に参加された吃音のある方の変化や感想を教えてください。奥村安莉沙:カフェが終わったあと、スタッフから一番多く聞く感想は「自信がついた」ということです。今まで叶えられないと思っていた接客の夢が、吃音に理解がある安全な場で実現できた、自分はできるんだと感じたのだと思います。OBのなかには学校で吃音啓発活動を始めたり、自分より下の世代の吃音者のために交流イベントを開催したり積極的に活動している人もいるようです。Upload By 発達ナビニュース「注文に時間がかかるカフェ」が1日限定で川崎市にオープン!ーー7月3日の「注文に時間がかかるカフェ」では、どのような企画をされてますか?奥村安莉沙:今回は高校1年生のスタッフほか4人の若者たちがスタッフとして参加し、現在はオリジナルドリンクの開発を行っています。スタッフたちは学生が多いので商品企画・開発の経験は一切ありませんが、「吃音」や「夏」をテーマにしたドリンクの企画を0から行うことに挑戦しています。若者が挑戦を通して自信をつけてもらいたいと思っているので、大人がお膳立てして完璧を目指すことはしていません。若者たちが試行錯誤して取り組んだ「達成感」を大切にしているからです。私が自分の殻を破ることができたオーストラリアのカフェでの経験のように、見守りながら安心して挑戦できる場づくりに徹したいと思っています。Upload By 発達ナビニュースまた、今回はひょんなことから今回の挑戦の様子を記録した長編ドキュメンタリー映画をスタッフ総出でつくることになりました。通常、映画のナレーションは1人で話すと思いますが、2人で声を揃えると吃音があっても話しやすいということから、相談の末に高校1年生と高校3年生のスタッフ2人体制でナレーションに挑戦しています。監督、撮影者、出演者すべてが「映画製作未経験の吃音者」という風変わりなプロジェクトですが、同じように病気や障害でやりたいことに一歩踏み出せない若者に力を与えられる映画にできたらいいね、と話しています。Upload By 発達ナビニュースーー活動を継続させた先のこれからの未来に、「注文に時間がかかるカフェ」はどのような世界をつくっていきたいと考えているのでしょうか。奥村安莉沙:注文に時間がかかるカフェの活動を通して、かつてやりたいことをあきらめて生きてきたスタッフたちは「ほんの少しの理解があれば、私たちは何だってできる」ということに少しずつ気づき始めています。全国各地から集ったスタッフが故郷に戻り、その地域で注文に時間がかかるカフェの開催を手伝ってくれることで、また新たな若者が自信を得るきっかけをつくることができると思います。「理解があり、やりたいことに安心して挑戦できる環境」は吃音者だけではなく、どんな病気や障害を持つ子どもたちにとても大切なことだと私は考えています。私はそんな社会をつくるために、当事者の若者たちと力を合わせて啓発活動を続けていきたいと思います。Upload By 発達ナビニュース当日のイベントはすでに満席となり、申し込みが締め切られています。同日に予定されているライブイベントはまだ申し込み受付中とのこと。まずはぜひ、「注文に時間がかかるカフェ」を知ることから始めてみてください。星空音楽祭~吃音をもつアーティスト、若者のミニライブ~@神奈川県川崎市※クリックすると発達ナビから「注文に時間がかかるカフェ」のサイトに遷移します※記事内の写真は、2022年3月に世田谷で開催したときのものです
2022年06月11日遅れているのではなく、発達の仕方が異なるだけ知人で、自閉スペクトラム症がある4歳のお子さんの親御さんがいます。その親御さんも私と同じように、定型発達のクラスメートとわが子を比べては落ち込み、障害があるお子さんと比べては「わが子のほうができることがあるんだ」と感じてしまうと言っていました。お子さんは、保育園でもなかなか友達と遊べず、走り回っており、送迎時にその様子を見ては他の子どもたちとわが子を比べて落ち込んでいたそうです。ところが、療育に通い始めると、同じ4歳児でも、もっとじっとしていられない子どもや、発語がない子どももいました。「うちの子だってできること多いじゃない」と気持ちが少し軽くなったそうです。でも、翌朝、保育園に送っていくと定型発達の子どもたちを目にし、また落ち込んでしまいました。息子がまだ幼く、療育に通っていた時のこと。同じ療育を受けていたお子さんの親御さんは、小学校入学時に1年入学を遅らせる就学猶予を検討していました。そして私に「一年くらい遅れていると思えばいいんだよね」と言いました。私は「いえいえ、5歳になったとき定型発達の4歳児と同じようにできる訳ではないと思うよ、発達の仕方が違うんだと思うよ」と伝えました。参考:就学義務の猶予又は免除について | 文部科学省比べるのは仕方がないけれど他の子とついつい比べてしまうのは仕方がありません。「比べちゃうよね、それが親だよね」とかつての私を思い出し、共感しました。また、お子さんによっては一年遅らせることで、落ち着いたり指示が通るようになって、通常学級で学べる場合もあるのかもしれません。私は、自閉スペクトラム症のある子どもを定型発達の子どもと同じように成長させようとするのは子どもにとっても苦しいのではないかと思います。入学時期を一年ずらし、療育を行えば追いつくわけでもありません。療育は子どもがより暮らしやすく、学びやすくなるために行うものであって、定型発達児に近づけるために行うものではないと思います。他の子どもと比べて一喜一憂するのではなく、その子自身の成長を見守っていくことが大切なのだろうと思います。ただ、成長はします。発達はします。今のままの状態が永遠に続くわけではありません。Upload By 立石美津子息子の言葉息子は小学校に上がるまで、ほとんど言葉がありませんでした。オムツも5歳までつけていました。息子は現在、21歳です。昨日、息子が私に向かって夕食前に「もう!早く食べたい」、就寝前に「もう寝る!」と命令口調で言うので、「あんた、殿様だね」と言い返しました。すると「僕は殿様じゃない。立石○○だ」と怒りました。相変わらず比喩が通じない自閉症のある息子です。Upload By 立石美津子また…息子がカラスの声の真似ばかりして、家で「カアアアアーーーーーー、カアアアアアアアー」と大声を出すので…「カラスの写真付きのTシャツ買ってあげようか」「朝、起きたらカラスが横に寝ているかもね」と起こりもしないことを言うと、冗談であることを分かったような顔をして、少し笑いながら「いやだ~」と幼児のように叫びます。私が真顔で「でも、カラスは頭がいいから、外でカラスの声を出したら本当に突きにくるかもね!」と言いました。(外でカラスの声を出すので困ります。本当に突きにくるかもしれないので)その後、神妙な顔をしていました。6歳までほとんど言葉がなかった息子、このやりとりに成長を感じます。Upload By 立石美津子「相変わらず、字面通り受け止めて殿様という比喩が通じない、でも、冗談であることも口調や私の表情でわかる、昔に比べると、言葉が増えたし、会話も出来るようになった…ほんと、成長した。」とシミジミ思いました。親になると比べる病はなかなか改善しませんが、我が子の今と昔を比べるようにしたいものです。(監修・鈴木先生より)字面通り受け止めるのは自閉スペクトラム症の特徴です。ある子に「木」を描いてねと言ったところ、画用紙に「き」と書いていました。人それぞれです。皆とは違う自分の特性を生かせる環境のもとで育てることが重要です。最終的に自立・就職できることを目標にしていけばいいのではないでしょうか。自閉スペクトラム症は退行することはなく、少しずつ成長します。その子のレベルに沿ってゆっくりと進めばいいと思います。そのために特別支援学級で1~2年前の学習の復習をしつつSSTができるといいのです。日本にもデンマークのような自閉スペクトラム症専門の小中学校ができるといいですね。
2022年06月10日通常学級か特別支援学級か自閉スペクトラム症がある太郎の就学のことで頭がいっぱいだった、あのころ。悩んだ。とにかく悩んだ。悩んでも悩んでも答えが出なかった。答えは私たち親子がつくるものかもしれない、そう思った。Upload By まゆん太郎は通常の保育園に通っていた。そのほかにも療育センターへ月一、発達障害児リハビリ教室にも月一で通っていた。発達障害があるとはいえど、通常の保育園で生活できないことはなかった(園の先生方の力があってこそですが)。小学校へ進学する前の就学相談を受けた際は、就学相談の先生から「うーん…グレーだなぁ。果てしなくグレーだなぁ」と言われた。Upload By まゆんグレーならば白もあるのか長いこと太郎を診てきてくださったかかりつけの先生からは、「特別支援学級の方がいいのでは?」と言われていた。私は悩んだ。就学相談時の先生の言葉が頭から離れなかった。「果てしなくグレーだ」…グレーならば白もあるのか。だとしたら…白の方がいい。特別支援学級となると、偏見もあるだろうか。それなら白の方が…。そう考える私もいたが、それはエゴだということにも気づいていた。偏見が怖いのは私。太郎はなにも怖がってない、むしろ誰かの援助を必要としている。でも、この先、私が特別支援学級を選んだことが太郎を傷つけてしまわないか…。もう考えが分散してまとまらなかった。落ち着け落ち着け。一番に考えるべきことは、「今」の太郎だ。就学相談でほんの30分しか関わってない先生から「果てしなくグレー」と言われようが、今までと、これからの太郎をみていくのは私だ。私と太郎で、グレーを白とみなすのも黒とみなすのも自由なんだ。この時期、太郎はまだ自分で意思の決定をできなかっただけに、この決断は責任重大であった。「答えはこれから2人で探そう」そういう思いもあって、今までの太郎の状況を冷静に振り返り特別支援学級を選択した。Upload By まゆんあとがき保育園時代と違い、小学校からは特別支援学級という枠組みがあります。通常学級との違いがはっきりする気がして、私自身が周りの目を気にする部分がありました。太郎が変な目でみられないかと考えたり、ちょっと気持ちが落ち込んだりしていました。この落ち込みは、今は随分と改善してきていますが、未だにひっかかることはあります。けれど、特別支援学級を選んでよかった。そう思えることの方が遥かに多いです。それが今の私たち親子の答えになっています。これから先はまだ分かりませんが、途中経過としてはメリットの方が大きいように思っています。(執筆/まゆん)(監修:初川先生より)就学先の決定にまつわる思いのシェアをありがとうごさいます。通常学級と特別支援学級では、周りからどう見られるかという点も気になるとは思います。しかし、一番大事なポイントは、おそらくお子さんにとって、どちらが学びの多い場となるかどうか、ということだと思います。まゆんさんはあまり詳細に書かれていませんが、きっとそうした観点でも検討されたことと思います。通常学級では、知的な遅れがないことを前提として学習活動が進むので、45分間座っていること、読む・書く・話す・聞くがまんべんなく求められてゆく枠組みです。担任一人で35人以下の人数をまとめてみていく環境でもあります。特別支援学級では、担任が見る人数が少なく、また支援員の先生など大人が多く入ってくださりやすい枠組みです。座学ももちろんありますが、活動的な内容が多かったり、学習については、個々の到達度に合わせて進めてくださったり、基礎基本をじっくりと行ってくださります。子どもたちが「学ぶ」にあたっては、ただ授業を漫然と聞いていても学びにはならず、自分のレベルに合った内容について主体的に関与することで、「分かった」「できた」「そういうことか」となることで学びとして成立します。分からない授業を聞き流すことに慣れてしまうこと(学校の勉強は分からなくてもいいんだと学んでしまうこと)が私は個人的にはとても危惧するところです。お子さんにとって、どんな環境であれば学びが成立するのか。もちろんそれには配慮やサポートなど工夫が必要な場合はありますが、そのベースとして通常学級が適しているのか、特別支援学級が適しているのか。まゆんさんのお子さんは特別支援学級に所属してよかったと思うことがたくさんあるとのこと、よかったなぁと思います。
2022年06月09日2歳5ヶ月、発育の遅れの指摘広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)のある娘は、現在小学6年生。発達障害の可能性を考え始めたのは、娘が2歳のときでした。定期的に行われていた母子相談に、体重測定だけを目的に、軽い気持ちで行ったら…Upload By SAKURA「2歳5ヶ月で、2語文が出ないのはちょっと…」と声をかけられたことがすべての始まりでした。それまで、娘の発育が遅いことは気になってはいましたが…Upload By SAKURA何か発育に問題があるのだろうか…いや、そんなわけない!きっと大丈夫!でもやっぱりおかしいかも…ううん、大人しい子なんだ!と、私の考えは毎日、ころころと変わっていました。今、当時の娘を見ると…今思えば、あのときの娘はやはり明らかに、ほかの子どもとは違うと感じるところがありました。当時の動画を、今見ると…Upload By SAKURA表情がない、目が合わない、意味の分からない宇宙語の独り言、私の言葉に反応しない、クレーン現象など気になる部分がたくさんあり、「なぜ気づかなかったのか!」と過去の自分にツッコミを入れてしまうほど。しかし、私にとって娘は初めての子どもで、育児も初心者。子どもがどういうもので、どういう成長を遂げていくかということも全く知らなかったのです。始まったグレーゾーンの日々娘の発育の遅れを指摘されてから、あれよあれよという間に、私たちは療育コースへ流れていきました。Upload By SAKURAしかし、このときはまだ「発育遅れ」の状態。2歳半だった娘の言語レベルが、1歳半だと言われ、言語とコミュニケーション能力に大きな遅れがあると言われているだけで、診断名はつきませんでした。Upload By SAKURAこの子は、どこにいるのだろう…そのうち定型発達になる、ちょっと発達が遅いだけ?障害はないけれど、少し苦手な部分があるだけ?それとも障害があるの?自分の娘が、どういう子なのかが分からない状態は、とても不安でした。発達障害があるのかないのかを考え続け、表情のない娘に話しかける気力を失うこともあったし、待っても待っても、言葉がなかなか出てこないことに悩み、悲観して涙した日もたくさんありました。Upload By SAKURA娘と会話する未来が全く見えず、女の子が産まれたときに「一緒に服を選んで、買い物して、一緒にランチして、女子トークして…」と夢見たことが、一つも叶えられないんじゃないかと思ったこともありました。Upload By SAKURA発達障害が、妊娠中や出産時、育て方が原因ではないと、今は分かります。でも当時は、どこで間違ってしまったのだろうか…妊娠中、食べたものが悪かった?ストレス?出産時に時間がかかったことが原因?私がなかなか母乳が出なかったから?もっと、接し方に気をつけていれば・・・と、自分を責めて責めて、後悔して後悔して、負の連鎖でした。もし・・・発達障害があったら、この子はどうなる?生きていける?みんなに愛してもらえる?友達はできる?「発達障害」という言葉は、当時の私には重くのしかかっていました。やっとついた診断。それからときが経ち、娘が4歳のときに広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)の診断を受けました。診断を受けたとき、私は…Upload By SAKURA「やっと診断名がついた」「よかった」というのが最初の感想でした。当初は、発達障害があったらどうしよう…発達障害ではありませんように…と考えていましたが、「発育が遅れている」や「グレーゾーン」という場所にいるのは、私にとって、とてもしんどいものでした。どっちのグループにも属すことができない、道がないようなそんな感じがしていました。あんなに避けたかった診断でしたが、気がついたころには「早く診断名がついてほしい」「道をはっきりさせたい」と思っていました。Upload By SAKURA自分でも想像していなかった「発達障害」の受け止め方。診断がついて、7年。今の私にとって、「発達障害」という言葉は、そこまで重いものではありません。娘を表す一つの言葉で、私にとってはプロフィールのような…血液型や趣味、特技を書くぐらいのもので、違和感はありません。もしかして…発達障害?と、悩んでいた当時の私からしたら、想像のできない姿でしょう。今の娘は会話もできているし、学校にも通えている。今思えば、あのとき、あんなに悩む必要はなかったのではないかと思ったりもします。でも、悩み苦しんだ日々も含めて、私と娘が二人で積み重ねた経験。わが子に発達障害があるかもしれないと言われたとき、悩み苦しむのは当たり前。あの苦しんだ日々は、私を強くしてくれ、今の私の土台になっているように感じます。Upload By SAKURA今、思春期・反抗期を迎えている娘。二人で言い争いをすることも、もめてうまくコミュニケーションが取れず、イライラしたり、悩むこともあります。そんなときは、あの日々を思い出し、あのころも頑張れた…きっと大丈夫と自分に言い聞かせています。執筆/SAKURA(監修:井上先生より)発達の遅れを疑われてから診断が出るまでの間は、親御さんにとってさまざまな心配ごとや葛藤に悩まされる時期だったと思います。その時期があったからこそ今があると思えたり、今の悩みや葛藤はあのときと比べるとと思えたり、お子さんが少し大きくなられた今でもさまざまなかたちでかつてのことが思い出されると思います。当時の気持ちを誰かに伝えたり文章にされたりするのは、ひょっとしたら少しつらい部分もあるかもしれませんが、その体験を語ることがほかの親御さんにとって、とても助けになっていると思います。
2022年06月08日劇的に効いた、発達障害向けの薬私が発達障害の診断を受けたのは32歳のとき。これよりも2年前に発達障害を自覚し、ほかの精神科医(発達障害は専門外)にも発達障害の可能性を指摘されていたため、診断には驚かなかった、つもりでしたが…エビリファイという、脳の覚醒度を調整してくれる薬(もともとは統合失調症用の抗精神病薬です)を処方され、半信半疑で飲んでみた初日、なんと頑固な昼夜逆転が劇的に改善されたのです。昼夜逆転には10年来悩まされていました。朝は昼下がりになるまでボーッとして目が冴えず、夜は空が明るくなるまで脳みそが高速回転している感じで眠れない。生活に気をつけてみたり精神安定剤を処方してもらったりいろいろやったのですが、どうにもならずに本当に困っていたのでした。なのに、エビリファイの最も用量の小さな錠剤を1錠飲んだ初日、私は夜9時に眠くなってパタッと眠り、気持ちよく熟睡して、翌朝6時にパッチリ目が覚めたのです。※エビリファイの副作用などを調整した、レキサルティという新薬が発売されました。現在はエビリファイから変更し、レキサルティを服用しています。生活が変わっていく服薬するようになって変わったことはまだあります。ケアレスミスが減り、生活の段取りもよくなって、まるで1日の時間がそれまでの2倍に、あるいは自分が発揮できる能力が2倍になったように感じたのです。日中は寝てばかり、夜はネットサーフィンしてばかりだった私は、夜に寝て朝に起き、3食決まった時間に食べるように。最低限の家事もこなせるようになっていきました。私は診断に対してどこか半信半疑でしたが、精神安定剤の服用ではどうにもならなかった症状が、発達障害があることを踏まえた薬の処方で、これほど劇的に軽減するとなると、私はやっぱり発達障害があるのだと認めざるをえませんでした。この時期は希望と絶望が入り混じった不思議な時期でした。自分の感じてきた不全感が自分の「努力不足」のせいだけではなかったという安堵、薬の力を借りればここまでパフォーマンスが出せるのだという自信が感じられるいっぽうで、そう感じるほどに「やっぱり私には間違いなく障害があるんだ」「30年間ムダな努力と傷つきを背負ってきたのでは」という無力感に襲われるのです。症状に応じた薬の追加その後私には、ときどき過覚醒状態に陥り、焦りから無理を重ねてドドッと体調を崩す、という癖があることが分かりました。それで主治医が、デパケン(バルプロ酸ナトリウム)を飲むように指示しました。この薬は、脳の異常興奮を抑えるもので、もともとはてんかんや双極性障害の薬。片頭痛の予防薬としての効果もあるので、片頭痛が持病の私には合っていました。最近になって自ら主治医に追加を希望してごく少量飲むようになった薬がセレネース(ハロペリドール)です。これは古くからある抗精神病薬。「不安・抑うつ発作」という、トラウマが関わる、フラッシュバックに近い症状によく効くという論文を見つけて希望しました。セレネースを飲み始めた頃はもともと自分自身の調子がかなり安定してきていたので、薬の影響がどれだけあるかは分からないのですが、少しトラウマを刺激されて動揺することがあっても、動揺が以前より小さく、落ち着くまでの時間も短くなったように感じています。服薬前との違い、副作用トラウマ治療を続けながら服薬をしてきた結果、今は仕事(障害のない人ほどの長時間は無理ですが)をこなしながら、最低限の家事プラスアルファをこなせるまでに生活が改善しています。SNSに没頭してトラブルを起こしたり、夫との関係性が緊張するようなこともなくなりました。服薬は面倒ですし、薬はなるべくなら飲まずに済ませたいのが本心ではあります。どの薬のせいか、そもそも薬のせいなのか分かりませんが、服薬するようになって以降、日光アレルギーのような傾向が出たり、やや太りやすかったりする傾向が出てもいます。しかし、せっかく安定している心身の調子を崩してまで薬から解放されたいとは思いません。精神科医は薬の調整のプロですし、主治医は10年近くにわたって私の調子の上下や性格傾向を見てくれているので、基本的に主治医の方針には従って服薬を続けていこうと思っています。メリットとデメリットを天秤にかけて薬には必ず副作用があり、お金も手間もかかります。薬に頼って生きていると、その薬が手に入らなくなったときにどうしようという不安もつきまといます。しかし、生活の質を大きく左右するような心身の調整の中で、向精神薬にしかできない範囲のこともたくさんあります。私はこうした薬のメリットを重視しています。ご自身の特性で生きにくさを感じている方は、メリットとデメリットを天秤にかけながら、賢く薬を使っていくのもよいのではないかと思っています。文/宇樹義子(監修・鈴木先生より)発達障害は「障害」というよりは「特性」と考えた方がいいです。最近は誤解のないように神経発達症という「障害」を削除した言葉が使われています。小児期に診断がつかず、成人期になって初めて神経発達症(発達障害)と診断される方が増えています。小児科はもちろん、精神科でも診断できる医師が増えてきたからだと考えています。特にADHDがあったにもかかわらず適応障害などと違う病名で悩んでいた人も、別の病院を受診することで実はADHDだったと診断されるケースが多くなっています。薬は多く飲めばいいというわけではなくて、エビリファイのようにごく少量を内服することで不眠が改善することもあります。小児においては自閉スペクトラム症の易刺激性を抑える目的で使用する事が多いです。また、最近はここでも紹介されているレキサルティが体重増加などの副作用が少ない理由で用いられるようになってきました。エビリファイがドーパミンのバランスを安定させるのに対して、レキサルティはドーパミン&セロトニンのバランスを安定させる作用があります。外からの刺激に対しての興奮を抑えるにはエビリファイが、内からのそわそわ感を抑えるにはレキサルティが用いられますが、レキサルティには自閉スペクトラム症の易刺激性に対する適応がまだありません。主治医とよく話し合ったうえでの使用となります。
2022年06月08日幼稚園探しのポイント(わが家の場合)公立の小学校や中学校は学区で決まることが多いですが、幼稚園は親が選ぶことができるぶん、悩むことも多いと思います。園の方針や雰囲気が自分の子どもに合っているということが一番大切なことですが、わが家ではほかにも1.園までの距離(通園バスが利用できる場合もありますが、バスに乗り遅れたときや急なお迎えのことを考えて)2.行事の多さ(親の負担の有無)3.保育料4.課外活動や延長保育の有無なども考慮しました。幼稚園見学へ私はママ友の口コミや療育センターで情報を集め、いくつかの幼稚園の見学をしました。A幼稚園は一番近い場所にありましたが、規律やしつけを重んじる方針の幼稚園でした。ママ友の中には“家から近い”という理由でこの幼稚園を選んだ人もいましたが、園の外から普段の保育の様子を見て厳しいように感じたので私は見学しませんでした。1学年1クラスの小規模幼稚園。少し離れた場所にあり、送迎バスや駐車場はなく、通園は徒歩か自転車のみ。「のびのび」「自主性を重んじる」がモットーで、娘に合うかも?と思い見学の申し込みをしました。保育時間中に見学に行くと園内の植え込みで一人の男の子がうずくまっていました。周りの大人は誰も気にとめる様子がなかったので、私はその子がかくれんぼでもしているのかと思いました。施設の案内や保育の様子の見学、幼稚園の方針などの説明を受け帰ろうとすると、先ほどの男の子がまだ同じ場所にうずくまっていました。私が案内担当の先生に「あの子はずっとあそこにいるみたいですけど…」と聞きくと、先生は「あの子は虫が好きなので」と答えました。確かに自主性を重んじている幼稚園なのだなと思いました。娘も大人数で一斉に何かをすることは苦手です。でも娘は療育センターで保護者参加のグループセッションに通うちに、みんなと一緒に歌ったり踊ったりすることを楽しむようになってきていました。順番待ちが苦手だったり、ときには癇癪をおこしたりもしていましたが、適切な声掛けや指示があれば娘は気持ちの切り替えができること、また、娘の興味が少しずつ“モノ”から“人”へと広がっていることを薄っすらとではありましたがこのころ私は感じていたのです。それらのことから私はこの幼稚園は娘には合わないだろうと感じたのでした。C幼稚園は療育センターで教えてもらった『知的障害のある子ども向けの幼稚園』で、子どもと一緒の見学会を実施していました。とても遠い場所にあり、通園バスに同乗しての参加となりました。通園バスは観光バスほどの大きさがありました。娘は大人しく座席に座っていましたが、園につくまでバスの上部のアミ棚にずっとぶら下がっているお子さんがいました。保育の内容はトランポリンやハンモック、ロープぶら下がりなど体を動かすことがメインで、娘はそれらの大きな遊具を楽しんでいました。自然豊かな立地を活かし近隣の森林公園散策もよく行っているとのことで、園児30人に対し職員の人数が27人と多く、手厚い支援が受けられそうでした。一方で子ども同士のコミュニケーションはほどんどありませんでした。おかえりの会のとき、知らないお子さんが私の膝の上に乗ってきました。そのことについて職員の方が特に声掛けする気配はなく、娘も見知らぬ子が母親の膝の上に乗っていても何も言いませんでした。私もどうしたら良いのか分からず結局おかえりの会が終わるまでそのお子さんはずっと私の膝の上に座っていました。Upload By 荒木まち子私たち親子は上記の3つの幼稚園を見学する前に、知り合いのママ友に誘われてD幼稚園のプレ幼稚園(親子で参加できる2歳児クラス)に月2回通っていました。娘は毎回自分のペースで楽しく遊び、私は先生に子育ての相談などをしていました。わが家の選択いろいろな幼稚園を検討した結果、私は過去に参加したプレ幼稚園を主催していたD幼稚園に娘を通わせることにしました。この幼稚園は少し遠い所にあり、通園バスもありませんでしたが、プレ幼稚園に参加しているときから娘やわが家の事情などを理解し、親身になってお話を聞いてくださっていました。娘は療育センターのグループセッション終了後に大学の研究室で療育を受けていたのですが、偶然にもD幼稚園にはその大学出身の先生が多く、園としても大学研究室との連携や情報共有に前向きだったこともこの幼稚園を選ぶ決め手になりました。希望の幼稚園が決まったら次は入園に向けた手続き&準備です。願書配布や願書受付方法は園によってさまざまです。当時(娘が未就園児だったのは20年も前のことですが)私たちが住んでいた地域では、願書配布は“先着順”が一般的で、人気の幼稚園は願書配布日に早朝から行列ができたりしていました(この“人気の幼稚園”は毎年変わるので自分が希望する幼稚園に行列ができるかどうかは配布日になってみないと分からない)。一方で願書配布枚数に制限がない幼稚園もあり、ママ友に頼んで“ついでに貰ってきてもらう”というケースもありました。わが家は主人に朝並んでもらい、D幼稚園の願書をゲットしました。幼稚園には入園選考の面接があるところが多いです。D幼稚園では園長先生が面接をしていました。どんな質問をされるのか?娘は初対面の相手の質問に上手く答えられるのか?…少し心配でしたがプレ幼稚園に通っていたことで娘も「ここは楽しい場所。これからもここに通いたい。」と思っていたようです。「お名前は?」「好きなものは?」などの質問にも普段と変わらぬリラックスした様子で答えていました。そして最後に園長先生が「じゃあ入園式で待ってるね」とおっしゃり面接は無事終了しました。初めての進路選択いろいろ悩んで、そのときのわが子にとって“ベスト”と思って選んだ幼稚園。娘にとっても私にとってもすべてが初めてのことばかりです。わが家の場合、翌年の主人の単身赴任も決まっていました。これからどんなことが起きるのか想像すらでない新米ママと娘の幼稚園生活がこうして始まったのです。執筆/荒木まち子(監修:初川先生より)幼稚園選びのエピソードのシェアをありがとうございます。幼稚園や保育園はどこを選んだらよいのか、また療育機関はどこを選んだらよいのか。選択肢があるのはよいことですが、子育ては選択の連続ですね。荒木さんは4つの園を見学されたのですね。それぞれの園で、ふと目についたことや、肌で感じたこと。そうしたことが結局のところ決め手になりますね。宣伝文句やふれこみ、口コミなどでは分からない、「わが子に合うかどうか」は、最終的にはそうした感覚、肌に合うかどうかということになります。そして、「話を聞いてくれた」というところは大きなポイントですね。見学するのは、園からすると日常の一場面でしかなく、一人で行動する園児をそっとしておくのはそれまでの歴史から何か意図があるのかもしれないなど、短時間の見学ではうかがい知れないこともたくさんあります。ただ、そこで働く先生方の見学検討されている方へのスタンスとして、そこで話を聞いてくださったり、説明してくださったりすると、信頼できそうな気配は感じますね。すべてにおいて完全に満点な選択はないと思いますが、その中でも、ここにする、と決めること。選択は疲れるものですが、決めたらひとまずはそこで進んでみる、先生方との関係はじめ人間関係は柔軟に変化しうる可能性があります。どうなるかは分からずとも進んでみること、大切です。
2022年06月07日異常な記憶力と、マシンガントーク…!きっとこれは「壁打ち練習」なんだわが家の長男タケルは、子どものころから話し始めたら止まらない子。喋り始めたのは生後10ヶ月ぐらいで特に気になることもなかったのですが、3歳を過ぎたあたりから特徴的な喋り方をするようになっていました。Upload By 寺島ヒロこのころ、もうかなり長い台詞を喋るようになってきていました。もちろん、これはほんの序章に過ぎなかったのです…。ゲーム漬けの日々5歳のころ、スーパーファミコンのアクションゲームにはまったタケル。朝から晩までゲーム漬けになりました。ゲームをする時間の長さはそれほどでもないのですが、まず起きたらそのゲームのキャラクターの絵本を読み、幼稚園ではゲームのごっこ遊びをして、家に帰ってくると折り紙でゲームのキャラクターをつくり…。それだけでは終わらずに、ごはんのあとにちょっとゲームをやると、ゲームの音楽を歌いながら眠りにつきます。わたし自身、結構なオタクなので「ハマってるなあ、すごく好きなんだねえ」と思うだけでしたが、ともかく朝から晩まで、口を開けばゲームの話ばかりで閉口してしまいました。YouTubeにハマる!そして...小学生になるとYouTubeなどで動画を見るようになりました。これも見ている番組や時間は限られているのですが、見ていないときは動画の内容を繰り返して喋っています。こちらから別の話を振ると会話しますが、その話が終わるとまた動画の話を再開するのです。Upload By 寺島ヒロすごい記憶力だ…!だが...見たYouTube番組の話をしてくるのは、今も変わりません。最近は数学チャンネルをよく見ているらしく、「問題を出して良いかい?」とニヤニヤしながらやってきます。大体私では問題は解けませんが、解説まで完璧に教えてくれます。タケルは覚えたことを、親にアウトプットしてみせることで、記憶を強化しているのでしょう。壁打ち練習みたいなものなのかもしれません。問題は、その「壁打ち」がいつでもどこでも始まるということです。問題点はお喋りをやめられないこととにかく、タケルの話はワンセンテンスが長い!そして一度遮られても続きをしゃべる仕様です。忙しいときは本当にうっとうしい!親の私でもそう思うのですから、ほかの周りの人たちも同じように思っているはず…。実際、友達数人とボイスチャットをしていたとき、会話の流れに構わず、YouTubeで仕入れた知識をべらべらと長尺で喋ってしまい、友達に「ご講義はいいから!」と突っ込まれていたのを聞いたこともあります。Upload By 寺島ヒロしかし、そんな息子のおしゃべりを聞いて、黙って離れていくのではなく、ちゃんと叱ってくれるお友達がいるのはありがたいことです。次第に友達への「講義」の頻度が下がることを期待しつつ(笑)家での「壁打ち」にはなるべく付き合ってあげようと思っています。執筆/寺島ヒロ(監修:井上先生より)とてもユニークで頭の良いお子さんだと思います。寺島さんが書かれているように、お友達の注意の仕方もユーモアがあって本人も受け入れやすいのではないでしょうか。自分の知識をしゃべりすぎてしまうことは、同じ趣味のお友達ができると欠点から長所に変わるかもしれません。お子さまにはぜひ研究者の道を歩んでいただければと思います。
2022年06月07日【アンケート】2つの商品化候補グッズについてさらに詳しく教えてください!【みんなのアンケート】日常の困りごとをぜひ教えてください!にご協力いただき、ありがとうございました。さまざまなお困りごとのご回答をいただきました。幅広い困りごとや、コメントへのイイネ!を、「なるほど~!」と思わず共感しながらうれしく拝見しました。ありがとうございました。今回はこれまでにいただいたお声などからも検討を繰り返し、次の2つに商品化アイテム候補を絞りました。1.お出かけ編:For 忘れんぼうさんお財布はもちろん、かぎやハンカチなど外に出るための持ち物をすっきりまとめてスタンバイできる「バッグインウォレット」2.おうち編:For お片づけ苦手さん収納すると隠れてしまい、存在を忘れやすい人に向けて、中を確認しやすい「透ける収納ボックス」2つのアイディアを具体的な商品化に向けて、さらに詳しくみなさまのご意見を教えていただくために、追加アンケートと、試作サンプルを試して直接ご意見をいただくモニター募集を実施いたします。アンケートとモニターを通して、発達ナビユーザーのみなさんと一緒にグッズをつくっていきたいと考えています。ぜひご回答とご応募をお願いいたします!(所要時間:約10~15分)※2022年6月19日(日)まで※ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから株式会社フェリシモのサイトに遷移します※ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから株式会社フェリシモのサイトに遷移します
2022年06月06日中学校の担任の先生と面談をしましたUpload By 丸山さとこコウが中学校に入学して1ヶ月が経ちました。早速物を忘れる・なくす・壊す…のオンパレードですが、毎日楽しく通っているようです。今のところ目立ったトラブルはありませんが、卒業した小学校の先生からのすすめもあり、先日担任の先生と二者面談をしてきました。面談にあたり、私は診断書とWISCの検査報告書をコピーして持っていきました。小学校入学時の面談の際はサポートブックを作成し持参しましたが、5年生でWISCを実施したときにいただいた検査報告書に・全体的な知的発達水準・指標得点の特徴・支援方法などの項目がA4一枚に分かりやすくまとめられていたため、今回はそちらをサポートブックの替わりとしました。いよいよ担任の先生との面談!今回の面談では、『神経発達症(発達障害)の話』ではなく『神経発達症(発達障害)がある息子コウの話』をするように心がけました。現段階で先生が神経発達症についてどのようにご理解されているのかも分かりませんし、今後の理解や対応のためには「息子は今までこうでした。最近はこのような感じです」と伝えることが必要だろうと考えたからです。Upload By 丸山さとこまた、神経発達症についての知識が深まることでコウに対する理解が深まる場合もあれば、先入観が育ってしまうこともあるだろうと考えました。WISCの結果や支援方法を見ると、コウは『今後予想される出来事のパターンとその対処法』がとても分かりやすいように見えます。「伝えるときは短く端的に」「行う作業は一つずつ」「予告をする」「環境や体調・気分の影響を受けやすい」などの項目やそれぞれの具体的な解説を読むと、『なるほど!そういうときはそうすればいいのか!』とスッキリ納得できそうです。Upload By 丸山さとこですが、『伝えるときは短く端的に』『抽象的なことよりも具体的なことのほうが分かりやすいです』とあるので「じゃあ、短く端的に、具体的に伝えよう!」とすれば上手くいくかというと、「説明が簡潔過ぎて分からない」「具体的に伝えられたけど、なぜそうするのか理解できない」と混乱することがあるのがコウなのです。Upload By 丸山さとこそのため、先生には『基本的な傾向や対処法』があることを伝えるのと同時に、『コンディションによって左右される要素も大きく、例外のパターンもあるということをお話しました。新しい学校生活の最初に面談をすることの意義このようにきっぱりと言い切れることが少ないため、先生に「結局この保護者は何を言いに来たんだろう…?」思われないだろうかと不安な気持ちがありました。ですが、先生は「あぁ、分かります」「あー、そういうことか…、ありますね」と相槌を打ちながら聞いてくださり、学校内でのコウの様子についてもいろいろと教えてくださいました。また、コウは集団生活において「掃除など役割分担のある作業を忘れる」「人の気持ちを考えずに話す」「自分のことだけに熱中して人を手助けしない」など、『道徳心が低い』とみなされる行動をとることがあります。そのため、小学校では周囲の子どもと揉めたり、大人から「道徳心を身につけましょう」と指導を受けたりすることがありました。コウとしては悪気がないため、悪意や道徳心のなさを理由として指摘され続けると、次第に自信をなくしたり周囲の人間に不信感を持ったりしていきます。小学校でも一時期周囲との軋轢や不信が目立ちましたが、先生方が「性格や悪意の有無を絡めず、ただ事実のみを指摘する」と意識してくださったおかげで、反発心や不信感を強めることなく注意や指摘を受け入れられるようになっていきました。このような、やる気や道徳心の問題と思われがちなコウの言動に関しても「今は部活動などでも、やる気や根性でどうにかしようとすることはないです」「いやー、それは…道徳の問題じゃないですね」と言っていただき、今回面談の機会をいただいて本当によかったなとホッとしました。Upload By 丸山さとこ私は、話をすることが苦手です。その中でも『意見を伝えたり、お互いの認識を理解し調整したりする会話』はかなり不得意で、今回のような面談の場ではいつも冷や汗をかきながら話をしています。ですが、卒業した小学校の担任の先生に中学校に入学したばかりの段階での面談をすすめられ、今回の二者面談をお願いすることにしました。小学1年生のときの担任の先生は「最初に(まだトラブルが起きていないときから)コウ君について教えていただいたおかげで、その後の対応をする際にとても助かりました。中学でも中学校生活の最初にお話いただいた方が、その後の対応がスムーズになりやすいと思います」と言ってくださいました。それが本当なのであれば、つたない曖昧な話であっても、学校生活の初期に面談を行うことには意義があるのだろうと思います。Upload By 丸山さとこ「6年の間に彼がとても成長した事実をお伝えください」と話してくださった小学校の先生や、具体的な事例を出しつつ丁寧にまとめた検査報告書をくださったカウンセラーの先生など、”家庭外の関り”の中でいただいた多くのものに支えられて今があることを改めて感じた、中学校初めての面談でした。執筆/丸山さとこ(監修:井上先生より)学年や学校が変わるたびに担任の先生にお子さんのことを説明するのは、大変なご苦労だと思います。丸山さんのように分かりやすい資料をつくって、見せながら説明していただくのはとてもよいと思います。支援方法はあくまで原則なので例外もあるということを伝えるのは難しいですが、お子さんのいろいろな姿を共通理解していくには大切な機会かと思います。
2022年06月06日発達性協調運動症(発達性協調運動障害)について相談できる機関Upload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホン子どもの不器用さが気になったら子どもの運動や動作の不器用さが気になったら、地域に設置されている下記のような施設に相談に行きましょう。保健センターは市区町村ごとに設置された、地域の健康づくりの場です。保健師さんが常駐しており、子どもの発達に関する悩みの相談を受けてくれます。場合によっては医療機関や療育施設の紹介をしてくれます。子育て支援センターは子育て家庭の支援に特化している機関です。自治体運営や医療機関に委託運営されており、保健師さんまたは看護師さんが相談に乗ってくれます。中には、療育指導を実施している子育て支援センターもあるので、お近くのセンターに問い合わせてみてください。発達障害者支援センターは発達障害者支援全般を行っている機関であり、都道府県・政令指定都市やその他法人によって運営されており全国に設置されています。お近くの発達障害者支援センターは以下のリンクより検索できます。参考:発達障害者支援センター・一覧|国立障害者リハビリテーションセンターここでは、相談支援と発達支援などを行っています。相談支援では子どもの相談はもちろん、その様子に応じて医療機関、療育機関の紹介、行政サービスの利用方法を紹介してくれます。発達支援では、医療機関、療育機関との連携を図りながら、家庭での療育方法のアドバイス、発達検査、発達状態に応じた療育計画の作成や具体的な助言をしてくれます。発達性協調運動症(発達性協調運動障害)への支援を受けられる機関上記の相談先で医療機関紹介してもらえることもあります。小児専門や発達障害専門の医療機関では療育も行っているところがあります。上記の相談先で、療育機関を紹介してもらえることも多くあります。療育機関では子どもの成長や自立支援のための、医療、治療、育成、保育、教育を総合的に行っています。民間の療育機関は保険が適用されないため、各施設により費用はさまざまです。内容や療育に当たる方との相性もあるので、あらかじめ見学に行くことをおすすめします。発達性協調運動症(発達性協調運動障害)の支援・治療方法作業療法は、作業(子どもの場合、主に遊び)などをして、複合的な動作をできるようにしていくものです。運動、日常生活、学習などの動作をスムーズに行えるようにするために、基本的な動作に加え、動きと動きの統合が必要な協調運動への支援を行います。発達性協調運動症のある子どもは、一つひとつの行動の統合が苦手であることが分かっているので、作業療法は障害の改善に効果があるといわれています。広義には高齢、障害などによって運動機能が低下した状態にある人々に対し、運動機能の維持・改善を目的に運動、温熱、電気、水、光線などの物理的手段を用いて行われる治療法です。特に運動による理学療法が発達性協調運動症の改善に役立つとされています。別名運動療法ともいわれますが、理学療法に含まれない場合もあり、定義はあいまいです。理学療法士が行う運動を使った療育では、日常生活で必要な運動、行動を訓練し改善していきます。家庭でもできること家庭でもできることは多くあります。家庭でさまざまなサポートを行う場合は、まず、「こうするべき、こうあるべき」という先入観を捨て、子どもと一緒に楽しみながらやることが長続きの秘訣です。あくまで遊びの中で取り入れ、訓練、という位置づけにしないことも大切です。家庭で見られる困りごとの例としては、以下のような例が挙げられます。・手先がうまく使えていない・正しくお箸の使い方を何度も教えたけれど、なかなかお箸をうまく使いこなせない・服のボタンをうまくはずしたり、かけたりすることができない・文字を書くときに極端に筆圧が弱い、強い上記のような困りごとに対して、考えられる不器用さの原因としては、・手の筋肉の動きをうまく制御できない・手元に注意が向いてない・手の動きと視覚の情報の連携が取れていないなどが挙げられます。これらを踏まえた上で、遊びの中で手で何かを握る経験や、握ったあとの状態を把握する機会を増やすことにより、手の筋肉に入れる力の制御を学ぶことができ、つまむ機能や握る機能が育っていきます。具体的に家庭でできることとしては、以下のような取り組みが一例として考えられます。・ブランコやアスレチックで遊び、どのくらいの力で自分の体重を支えられるようになるのかを学ぶ。・コイン遊びを通して、コインを握る、つまむ、入れるという動作を経験する。いろいろな指でコインをつかむことで指の力の入れ加減を学ぶ。・粘土で遊び、粘土の形を変形させたり、細かい作業を行うことで、感覚の加減を学ぶここで紹介した方法はあくまで一例であり、ほかにもさまざまな方法がありますまた、家庭でできるこうした取り組みも、すぐに効果が表れるとは限りません。ゆっくり時間をかけて、楽しみながらやっていきましょう。ICD-10では「発達性協調運動障害」となっておりましたがICD-11からは「発達性協調運動症」と名称が変更になるため一部表記を併記しております。参考:ICD-11における神経発達症候群の診断について
2022年06月05日幼いころのゆいの様子を思い返してUpload By 吉田いらこ幼いころのゆいは素直で大人しく、いわゆる育てやすい子でした。就学前までは子育てで特に大きな苦労を感じたことはありません。ただ、ゆいは勉強の苦手な子ではありました。年中のころから幼児向けのコースもある学習塾に通わせていたのですが、小学校1年生のころに本人がどうしても辞めたいというので退会させたことがあります。続けていけなくなったのは、ちょうどそのころから塾の勉強の内容が幼児向けの簡単なものからお勉強系に切り替わったからだと思います。この塾のシステムは、できない問題があればずっと同じところを繰り返し、理解し、解けるまで次に進むことはできません。ゆいは算数のある一ヶ所でつまずき、ずっとその問題を繰り返し解くことがつらかったようです。このときは辞めさせることをとても悩みました。勉強を嫌がるのは甘えではないのか、それを許していいのか…と。結局、ゆいがとてもつらそうにしているのがかわいそうになって辞めさせてしまいました。それに、まだ低学年だし勉強は無理にさせなくてもいいやとも思っていたのです。今思えば、このころに軽度知的障害の予兆に気づいていればできたこともあっただろうなと感じます。小学校三年生、テストの点数はいつも低く…Upload By 吉田いらこ小学3年生あたりから「この子は勉強が本当に苦手だなあ」と感じることが増えました。小学校で実施される小テストやカラープリントの点数がとても低かったのです。ゆいはいつも点数の低いテストを申し訳なさそうに私に見せてくるので、私は「次頑張ったらいいよ」「ほら、ここは○が多いじゃない」と数少ない、できていたところに目を向けてほめるようにしていました。内心では「この内容だったら、ほかの子は高得点を取っているのでは…?」と思いましたが、成績が悪いことをわが子に注意するのはかなり抵抗がありました。さらに勉強を嫌いになってしまうかもしれないと思い怖かったのです。きっといつか、勉強の大切さがわかったときには自主的に始めるだろう…と楽観視していました。かといって、ゆいに勉強に興味を持たせられるような効果のある声かけもしていなかったので申し訳なく思っています。小学校4年生のある日のことUpload By 吉田いらこそして何も解決しないまま小学四年生になったある日、担任の先生から呼び出しがありました。教室に入ると担任の先生と支援担当の先生がいて、ゆいの学校での状況を教えてくれました。ゆいは勉強についていくのがとても難しそうだということ。必死で板書を書き写そうとしているが間に合わず、授業を理解する以前の状態だということ。そして最後に、一度専門機関で発達の検査をしてみてはと言われました。そのときは「ああ、とうとうか…」と感じました。なんとなくそのままにしてきたことをはっきり指摘されたような気がしました。現在のゆいは…その後小学校5年生で新版K式発達検査を受けた結果、療育手帳(B2)が申請できると伝えられました。つまり、軽度知的障害があるということです。ゆいの場合は、学年が上がって勉強につまずき始めたことがきっかけで障害があることが発覚しました。ただ、こうやって第三者に指摘されない限り、家族だけではなんとなくそのままにしていただろうと考えています。学校の先生方に指摘された当時はショックを受けましたが、そのおかげでいろいろな対応を進めることができたので今では感謝しています。執筆/吉田いらこ(監修:三木先生より)「子どもに知的障害があるかもしれない」という発想は、普通に子育てをしていてはなかなか浮かんでこないものです。ただ一方で、気づかずに一般的な勉強方法を繰り返していては、本人にとってつらいだけのこともあります。特性に気づいて最適な方法に出会えると、少しずつ前に進めて良いですね。
2022年06月03日けだまさんの息子さんは、2歳の時に発達障害の診断を受けました。そのことを受け入れているつもりでも、ゆっくりなペースに挫けそうになることもあります。幼稚園への入園申し込みの結果はどうなったでしょうか?家に届いたのは幼稚園の入園願書。けだまさんは今、願書を出そうか悩んでいます。 ゆっくりすぎる息子の成長に心が挫けそうになるときも…… 息子さんの負担を第一に考えたけだまさんは、幼稚園入園の願書を出さないことに決めました。 発達障害のあるお子さんの場合、成長はゆっくりだったり凸凹があったりしますよね。 みんなと同じ時期に同じことができなくて、焦ってしまう気持ちがきっとあると思います。 そんなとき、自分を落ち着かせるために、皆さんはどんなことを考えたり、やってみたりしていますか? 著者:マンガ家・イラストレーター 海乃けだま発達ゆっくりな息子と活発すぎる娘を育てる2児のママ。クスッと笑える育児漫画を描いています。
2022年06月02日30分に及ぶ発達検査、果たしてふーは乗り越えられるでしょうか?Upload By taekoわが家の長男ミミは、ASDの特性があります。次男のふーは定型発達だと思っていたけれど、通っている保育園からの勧めもあって、発達検査を受けることにしました。福祉保健センターへ電話で療育を受けたいと伝え、2ヶ月後に発達検査の予約ができました。ふーにとって初めて行く場所でしたが、すんなり行くことができて、ひとまずほっとひと安心。面接では、初めて会う専門員の先生から、発達の検査を受けていきます。上手くコミュニケーションできるでしょうか…?Upload By taeko発達検査では、先生からの質問に答えたり、道具を操作したりしながら、回答するものがありました。初めての空間で初めての先生との検査だったのでどうなることやらと不安でしたが、30分以上の間ふーはとっても頑張っていました!発達検査の結果を聞きながら思いました、「あれ、どこかで聞いたことあるような…」検査のあとは、専門員さんと私の面談の時間がありました。その間、ふーは好きなおもちゃを選んで遊んで待っていてもらいます。先生から発達検査のメモ用紙を受け取り、口頭で伝えてくれる検査結果を、私が一つずつ記入していきます。その結果は、総合的に平均の範囲内ではありますが、ふーは月齢と比較して8ヶ月ほど遅れているそうでした。検査を通して、道具の操作や言葉での応答などに、苦手さがあることがわかりました。検査の結果からのアドバイスとして、人に求められていることよりも、自分の興味が優先されて指示されたことが頭に入りにくく、また見えない部分を推測することが苦手なため、周囲の人たちが個別の声がけや見本を見せることが必要だということでした。そんな話を聞きながら私の中に浮かび上がってきたものは、不安などのネガティブなものが少しも無かったと言ったら嘘になってしまいますが、それよりも「ふーも私も一緒なんだ!」という共感の気持ちでした。Upload By taeko先生から告げられる傾向の一つひとつが、「これ、私のことだ!」と思えてしかたなかったんです。本筋とは別のことばかりが気になって頭に入ってこなかったり、デジタル社会の情報の洪水の中で「結局なにもわからない…」という状況になってしまったり。私もそんなことが日常茶飯事なんです。あぁ、やっぱり、親子なんだなと感じました。でも、こんな私でもなんとかなっているんだから、ふーもきっと大丈夫!とポジティブに思うようにすることにしたんです。全ての結果を聞き終わり、先生からあらためて療育を受けるかどうかの意思確認をされました。そして、次男の療育を受けることを希望しました。Upload By taekoそして始まった、次男ふーの療育最後は必要書類に記入し、翌日区役所へ郵送。その後は、3月末ごろに通所する施設から連絡が来て、4月から月に1回・通所できることになりました。兄のミミが現在通っている民間の放課後等デイサービスの未就学児(個別クラス)も、自治体の療育とは別の日に、4月から週1回通うことが決まりました。自治体の療育はミミの療育で2年半通った懐かしい場所ですが、ふーが実際に通うのはさらに1駅離れた場所になるようでした。少し大変だな…と思いつつも、ふーは電車が好きだから通うことが楽しくなるかも、とプラスになることを考えるようにしました。療育にはどうしても不安はつきものですが、その中でもいつでもポジティブな要素を見つけて、前向きにがんばっていこう!それが、私たち親子の療育の形です。執筆/taekoUpload By taeko(監修:井上先生より)療育開始前に発達検査や知能検査などのアセスメントを受けることがあります。これは、本人の学習に関しての強みや弱みを把握し、適切な対処方法や学習の仕方を見つけるのに役立ちます。初めての場所で初めての支援者と発達検査を行うことは、お子さんもお母さんもとても不安だったと思います。子どもの検査の解説を聞きながら、ご自分のことにも当てはめて考えた、という方は意外に多いようです。taekoさんがされてきた工夫とかコツがあれば、お子さんに伝えてあげられると良いですね。
2022年06月02日