気温に合わせて、自分で服を選べるようになってほしい。季節の変わり目は、娘にとって、もっとも難しい時期。部屋の温度調整と同じように苦手なのが、気温に合わせた服装の調整です。小学校低学年までは私がその日の気温をチェックし、服を出してあげたり、「今日は、半袖一枚ね」など娘の服装を決めていました。しかし、高学年になっても毎朝私に何を着たらいいか聞きに来る娘…。私は「自分で服装を決められるようになってほしい」と思い、娘に話をしました。Upload By SAKURA天気予報の見方を教えて、数字で判断。娘は、なんとなーくや、臨機応変というのが苦手です。私はまず、天気予報の見方を教えました。Upload By SAKURAUpload By SAKURA服装を決めることは、大人でも難しい。しかし、天気予報も100%ではありません。晴れかくもりかで、風を寒く感じることもあり、日によって体感も違います。私は、娘にこう話しました。Upload By SAKURA大人でも、朝の時点で服装を決めることはとても難しいです。着ていった服装で失敗することも、よくあります。完璧な判断はしなくていいと、分かってもらうための話でした。まさかの体感で判断にチャレンジ?!次の日から娘は自分で服装を決め始めました。Upload By SAKURA天気予報を見て服を前に少し悩んだあと、パジャマのまま外に出て、しばらく佇んでいた娘。Upload By SAKURA己の神経を研ぎ澄ませて、体感で判断しているような…そんな光景でした。どうやら、気温を見ての判断は、娘にはしっくりこなかったようでした。正直・・・外に出て体感で判断することは、今の娘には難しすぎると思いましたが、娘が選んだこと。私が思った方法は押しつけず、やらせてみることにしました。失敗も経験。時間をかけて選んだ服装は、私の経験上、「今日、それは暑いんじゃ…」と感じるものでした。Upload By SAKURAアドバイスすべきか悩んでいると、夫から「そのまま行かせるように」と言われ、私はぐっと我慢して、そのまま学校へ行かせました。帰宅後・・・Upload By SAKURA娘は、着ていった服が暑かったと言いましたが、パニックはなく、自分で袖をまくるという判断ができたようでした。積み重ねていく経験値。それから娘は、何度も失敗をして、少しずつ経験を積み重ねています。私が意識してやったことは、娘が暑すぎる格好のときはスルーし、その服じゃ寒くて風邪ひいちゃう…というときだけ、薄手の上着やカーデガンをカバンにこっそり忍ばせたり、学校に送るときに、こっそり上着を持っていき「これ持ってきたけど…どうする?」と最終判断をもう一回聞いてみたりしたこと。Upload By SAKURAそして、あーさんが服装の失敗を重大に考えないように、自分の服装の失敗を笑い話のように話すことでした。Upload By SAKURA娘は今も、毎朝悩みながら服装を決め、経験値を稼いでいます。たまに頭がパニックになり、『今日は分からない~!』と、時間がかかっても決められないこともあります。そんなときは、「今日はママがあーさんの服装、コーディネートしていい?」と助け舟を出しています。娘の特性上、どうしても難しいということもありますが、今のうちに練習することで、少しでも苦手度が減るなら…。大人になったときのため、いろんな苦手に一つずつ、少しずつ、一緒に向き合っていきたいと私は思っています。娘の負担にならないように、楽しみつつ…ときには真剣にと、織り交ぜながら、将来を見据えて動いていきたいと思います。執筆/SAKURA(監修:井上先生より)お子さんに合わせた工夫をして完璧な支援を目指すのではなく、小さな失敗をさせながら学ばせる姿勢が素晴らしいですね。自分の体験を通して学習したことは、スキルとして身につきやすいです。寒さを感じても、"タイミングをみてカバンから上着やマフラーを取り出す"のような、見えないところから取りだすことはステップとして意外に難しいです。 "腕まくりをする"というお子さんなりの今できることを褒められたのはさすがです。また思春期のお子さんには、SAKURAさんのように親御さんが自分の失敗体験やうまくいった工夫を話してあげられると、お子さんが反発せずに受け入れやすくなるでしょう。これも多くの方の参考になると思います。
2022年02月16日一人ひとりのお子さまが自分に合う学校と出会い、前向きな選択ができますように。大好評だった昨年9月のイベントを受け、第2弾を企画しました!昨年9月に開催し、2,800名を超える方から参加登録をいただいた「一人ひとりに合った進路選び応援セミナー」。発達ナビユーザーでご検討されている方が多い通信制高校をメインでご紹介し、参加者の方々からご好評をいただきました。Upload By 発達ナビアライアンス プログラム進路選びについて継続的な情報発信の機会を望む声も多くいただきましたので、この度、進路選び応援企画第2弾として、通信制高校の情報をまとめたサイトを公開しました!「通信制高校のしくみや特徴を理解するところから始めたい」「通信制高校はわが子に向いている選択なのか悩んでいる」「発達が気になる子や不登校の子の入学を相談できる通信制高校の選択肢を知りたい」「高校ごとにどんな違いがあるのか知りたい」このような方はぜひご覧ください!さらに、3/26(土)には、サイトに掲載されている学校から直接話を聞けるオンラインセミナーも開催!こちらは、通信制高校についてまだよく知らない方にもおすすめのイベントです。通信制高校のしくみや各学校の特徴のほか、進路に関する会話をする際の思春期のお子さまとのコミュニケーションについてもお伝えします。コロナ禍で、実際に学校を訪れることもなかなか難しいご時世。ぜひ気軽に情報が得られる機会として、ご活用ください。企画1:気になる高校にすぐに資料請求ができるサイトをオープン!Upload By 発達ナビアライアンス プログラムかねてから発達ナビユーザーからの要望が多かった「発達が気になる子や不登校の子の入学を相談できる学校情報サイト」をつくり、気軽に資料請求ができるようにしました!サイト内では、全国から入学でき、学習スタイルや学べる内容も多様な通信制高校をご紹介しています。期間限定公開なので、ぜひ今のうちにご覧ください!各学校の紹介ページには、コースの特徴などとともに、・学生への心理面への支援・学習の遅れがある子への対応・卒業に必要な単位取得のためのサポート体制・卒業後の進路選択に向けたサポート体制など、特に発達ナビユーザーで気になる方が多そうな項目について直接取材した情報をまとめており、ここだけの情報が満載です。気になる学校があれば、ぜひお気軽に資料請求を行ってみてくださいね。企画2:専門家と学校が登壇!通信制高校について理解がぐっと深まるオンラインイベントを開催!Upload By 発達ナビアライアンス プログラムLITALICO内の専門家と通信制高校4校が登壇する、特別セミナーを開催!直接学校担当者の話が聞け、さらにその場で質問もできる貴重な機会です。LITALICOからは、元N高等学校副校長で通信制高校の実情に詳しい上木原と、発達が気になるお子さまへの指導経験が豊富なLITALICOジュニアシニアスーパーバイザー永塚が登壇。保護者の方から実際に寄せられた疑問や不安をもとに、進路選びに役立つ内容をお話します。Upload By 発達ナビアライアンス プログラム「一人ひとりに合った進路選び応援セミナー2022春」【企画概要】○日時:3/26(土)10時~15時(第1部:10時~12時/第2部:13時~15時)○参加費:無料○形式:Zoom配信を予定○参加方法:事前の参加登録必須。登録いただいた方に、視聴URLをお送りいたします。○対象:中学生のお子さまをお持ちの保護者の方向けのイベントですが、ご興味のある方はどなたでもご参加いただけます。○内容:通信制高校による学校紹介プレゼン、進路選びに関する専門家講演みなさまからのお申込みをお待ちしております。
2022年02月16日息子の発達障害について知らせていなかった義母が、パパと息子を外へ追い出し、はちみつこさんと二人きりになって、はなはな園(療育施設)について聞いてきました。はなはな園(療育施設)へ通うようになった経緯を、発達障害については触れず、遠回しに説明すると、義母から質問の嵐が! はちみつこさんが一つずつ答えて、義母が「そうだったのねー!」と言って安心したかのように見えたのですが、「発達障害とかではないでしょ?」と、急に直球の質問が飛んできて……!? 止まらない追及……! まさかこんなピンポイントで突いてくるとは……と焦るはちみつこさん。「なんか聞くでしょ、テレビでも。ご近所の方のお孫さんもそうだって聞いたもんだから……」「まぁきいくんは大丈夫だろうけど」と悪気なく話す義母。 一方のはちみつこさんは、全然大丈夫じゃないし、どうしよう……(義母へ発達障害について)言うなら今?変にはぐらかしたり、嘘つくのもなぁ……はぁ…… そして悩んだ結果……「実は4歳のときに診断されて、ハイ、そうなんです」結局義母へカミングアウトしてしまいました。 それを聞いた義母は「え!? きいくんが? 嘘でしょ?」と、信じられないといった様子。そして、やっぱり言わなければよかった……と秒で後悔するはちみつこさん。 「大丈夫なんじゃないの? どこで言われたの?」家族のデリケートな問題なのに、まだまだ質問をやめない義母。 いつもパパは義母の質問攻撃をかわすため、義母は何かあればすぐにはちみつこさんに聞いていました。 しかし、きいくんの発達障害の話は、実母や保育園の先生、療育の先生にこれまでの経緯を毎回はちみつこさんが説明してきてしんどいときもあったため、義母へはパパから話して欲しいと思っていました。 はちみつこさんが黙っていると、「私ったらごめんね、いろいろ聞いちゃって……話しづらいこともあったよね」と謝る義母。 義母が察してくれた……と、ホッとしたはちみつこさん。さすがにそこまで無神経ではないよね……と思ったのも束の間。 「息子(パパ)が帰ってきてからの方が話しやすいわよね! せっかくだし今日夜ご飯も食べてったら? みんなでゆっくり話しましょ!」 と、まだまだ追求が続きそうです……。ただでさえデリケートな話題なのに、グイグイ聞かれてしまうと気持ちも落ち込んでしまいます。苦手な話題を避ける方法がわかるといいですね。 著者:マンガ家・イラストレーター はちみつこ
2022年02月15日青年期の子どもとの関わり私は、発達が気になる子どもたちの幼児期や学齢期の心理的支援の仕事に長年携わってきています。たくさんのご本人・ご家族との関わりから教わった、ライフステージを通じて大切にしたいことの中から、今回は青年期について、ご家族に知っておいてほしいことをお伝えします。「青年期」とは、何歳ごろからを指すのでしょう?中学生?高校生?それとも、もっと大人になってから?発達心理学における青年期の定義は、研究者によって多少異なりますが、だいたい中学生以上を指すことが多いようです。とはいえ、人は突然青年期になるわけではありません。小学校の半ばごろから、ゆっくりと時間をかけて青年期に移行していきます。身体つきが少しずつ変化するだけでなく、心も変化します。幼少期の子どもは、「みんなが自分をどう見ているか」「こんなことをしたら、周りはどう思うか」ということをあまり意識していません。しかし小学校の半ばから、子どもは「周りの目」をだんだんと意識し始めます。そして、同世代の仲間と自分を比べて、できていないことを気にしたり、自分だけが目立って注目されると不安を覚えたりします。周りの目を気にするようになると、子どもによっては「いつまでもお母さんに甘えていると知られたら、恥ずかしい」と思う場合もあります。いつかは親から自立する、という気持ちが強い子ほど、親に甘えることをカッコ悪いと思うのかもしれません。そして、家庭ではまだまだ親に甘えているのに、家の外では親から距離をとろうとしたりします。ついこの前まで一緒に手をつないで歩いていたのに、急に拒否したりするのです。子どもによっては、親が自分の部屋に入ってきて、掃除をしたり物を動かしたりすることを、極端に嫌がるようになります。親からすれば「散らかっているから、ちょっと片づけてあげよう」という親切心でやっているのに、子どもから乱暴な言葉で反発されると「二度とやってやるもんか」という気持ちになりますよね。こんなふうに、子どもが親から距離をとろうとすることを「親離れ」と言います。親離れの始まりでは、多くの親は戸惑うものです。赤ちゃんのころからずっと世話をしてきたわが子に対して「あれ?」「いつもと違う」と感じ、急に大人びて見えたり、なかには「最近、自分の言うことを聞かない」と苛立ちを覚えたりする場合もあります。こうした親御さんのちょっとした心の変化、違和感は、「子離れ」の始まりです。まず子どもの側から「親離れ」のサインがあって、それに気づいた親の側にも「子離れ」が始まる。だんだんと、親子関係が変化していくのです。出典 : 前回、子どもに合ったペースは一人ひとり違う、という話をしました。親離れについても、時期ややり方は、子どもによって全く違います。中学生や高校生になっても「親離れ」のサインが見えにくく、人前で親に甘える子もいますが、まったく心配はいりません。「うちの子は、こうなんだ」と思って、それぞれの個性やペースを尊重したいですね。ただ、子どもの「親離れ」のサインが見えにくいと、親の側が「子離れ」のタイミングを逸してしまうことはあります。たとえば、高校生の子どもが鼻をぐずぐずさせているとき、お母さんがパッとティッシュを取って、「はい、チーン」と子どもの鼻をふいてしまうことがあります。お母さんにとっては、赤ちゃんのころからずっとしてきたことですから、違和感はありません。でも、電車の中など周囲の目がある場所でそれをしたら、周りはびっくりしますよね。親離れ・子離れとは、単に距離をおくことではなく、親子双方が相手を自分と独立した一人の人間として意識することです。子どもが赤ちゃんのときは、先に親が気づいて鼻をふいてあげていた。いわばディレクター(仕切り役)の役割を、自然ととっているんです。でも、子どもを自分と独立した存在と認識すると、子どもには自分のことは自分で考え、自分でやってほしいと思うものです。そして、できないことがあれば、そっと手伝ってあげようと思う。ディレクターから黒衣へと、自然と役割の転換が起こります。ちなみに黒衣とは、舞台で役者が演技しやすいように、黒い衣を来て目立たないようにしながらサポートする役割のことです。ディレクターとは、ずいぶん違いますね。前回、幼少期は保護的な環境が大切、という話もしました。保護的な環境の中で、大人に手伝ってもらってできることが増えるに従って、子どもは「困ったときは、助けてもらえる」という絶対的な安心感を心の中に育んでいきます。そして家庭や学校といった、いつもの慣れた人間関係や場所だけでなく、一人でお店に入ったり、遠くまで外出したり、趣味の仲間を見つけたりと、世界を広げていきます。もちろん、失敗もたくさんします。でも、「困ったときは、助けてもらえる」という安心感があるからこそ、多少の失敗にめげることなく、自分で乗り切ろうとするのです。これを「試行錯誤」と言います。そして、試行錯誤を通じて成功体験を積むことは、子どもの折れない心(「レジリエンス」)を強くします。青年期は、安心して試行錯誤できる環境が大切です。常にディレクターが子どもに口出しをしていると、子どもは試行錯誤の機会を持つことができません。多少の失敗を体験しないと、折れない心も育ちません。ですから親の役割は、黒衣くらいがちょうどよいのです。ちょっとハラハラするかもしれませんが、子どもがやりたいことはやらせてみる。失敗したら、どう立ち直るかを見守りましょう。どうしても難しそうだと判断したら、子どもに声をかけてみる。こうすることで、子どもの側に「人に相談する力」も育ちます。ライフステージの変化に沿って、子どもも親も変化します。子育てに悩んだり迷ったりしたときは、先のライフステージにも目を向けながら考えてみましょう。この度の新刊『発達が気になる子の子育て10か条――生活スキルやコミュニケーションを伸ばすコツ』は、幼児期、学齢期、青年期のどのステージにおいても大切なことを、ギュッと詰め込んだ1冊です。それぞれのお子さんのペースに合った育て方のヒントとして、きっとお役に立つと思いますので、ぜひご一読ください。執筆/日戸由刈
2022年02月15日ダウン症という障害があるという告知を受けただけでも衝撃だったのに…こんにちは。6歳のダウン症のある男の子、きいちゃんを絶賛子育て中の星きのこです。きいちゃんは現在保育園の年長さんで、もうすぐ小学校一年生になります。いやー早いです!!きいちゃんを出産したばかりのころは6歳のきいちゃんを思い浮かべることなんてできませんでした。何しろあのころの私は産後1週間できいちゃんに「ダウン症の疑いがある」と告知を受け、その障害をすぐに受け入れることができなくていっぱいいっぱいだったのですから。わが子にダウン症という障害があるという告知を受けただけでも衝撃だったのに、さらに衝撃だったのは、次々と聞かされる「合併症」の数でした…。特に心臓疾患の合併症があるダウン症の子どもの割合は高いと言われています。きいちゃんも例外ではなく、「心臓に8ミリの穴が空いている」と言われたときは、もうつらすぎて涙があふれて止まりませんでした。参考:MSDマニュアルプロフェッショナル版 ダウン症候群(21トリソミー)Upload By 星きのこ結局きいちゃんは、心房中隔欠損症、甲状腺機能低下症、動脈開存症というたくさんの合併症がありました。ひとくちに「ダウン症」といっても、その障害の程度はさまざまで、合併症がない場合もあれば、たくさんの合併症がある場合もあります。知的障害に関しても、軽度から重度まで本当にいろいろで、身体能力もさまざまです。最近はダウン症のある方も大学に行ったり、一般企業に勤めたり、才能を生かして活躍する人もたくさんいます。Upload By 星きのこついついほかの子と比べてしまう染色体異常のある赤ちゃんは、流産になってしまい生まれてこられない場合が多いと言われています。ダウン症の場合も、流産になってしまう可能性が高いそうです。その中でも頑張って生まれてきてくれたわが子…。子どももお母さんも誇っていいことだと私は思っています!…と、そんな話をしたあとに恐縮なのですが、この「合併症や障害の程度に幅がある」ために多くのダウン症のある子どもの親が陥りがちなことの一つに、ほかのダウン症のある子と比べてしまうということがあるのではないかと思います。「わが子の知的障害の程度は?」「わが子の発達はダウン症のある子どもの平均とくらべてどうなの?」などです。え?私??ええ、そりゃもう昔はガッツリ比べてしまっていました…。でも、これ、当たり前のことじゃないかと思うのです。わが子の障害が少しでも軽くあってほしいと願うのが親心ではないかと思うのです。でも、ずーっと、ほかのお子さんとわが子を比べてばかりだなんてつらいですよね…?私はつらかったし、そんな自分が嫌でした。周りの人には「ダウン症のあるわが子を差別してほしくない」と思う一方、わが子に対しては重くあってほしくないことを望む自分。それって自分が「障害があること」に対して差別していることなんじゃないかと気づいたときには愕然とし、深く反省しました。Upload By 星きのこきいちゃんに教えてもらったこと現在、私はきいちゃんをほかの子と比べることなく楽しく子育てできています。(たまに比べてしまうときはありますが…笑)それはどうしてか?何故ならきいちゃんの成長と共に年々きいちゃんの個性が出てきて、きいちゃんはきいちゃん!と思えるようになってきたからです。そして、どんなきいちゃんも愛しく思えるようになった自分がいます。Upload By 星きのこきいちゃんに限らず、障害があっても、感情表現がとっても豊かで楽しい子が多いんですよ!(笑)本当に、この6年間できいちゃんに成長させてもらってるな…と思います。障害があろうとなかろうと、命や心はみーんなみんな一緒なんだなあとしみじみきいちゃんを子育てしながら思うのです。これもきいちゃんから教えてもらった「大切なこと」の一つです。Upload By 星きのこ執筆/星きのこ(監修:鈴木先生より)障害がある子どもの心身に治療が必要な場合は主治医が対応していきますので、ぜひお母さんは子育てを楽しんで、たくさん遊んであげてください。きいちゃんから教わったように、「命や心はみんな平等」に授かっているのです。ダウン症のあるお子さんに限らず、どんなお子さんもさまざまな困難や問題があるでしょう。きいちゃんには感情表現が豊かで楽しい一面があるので、その個性豊かないいところを大切にして育ててあげればいいのではないでしょうか。親もまた、子どもに育てられています。私のような小児科医でもいまだにお子さんから教わることが多いのです。
2022年02月15日長男くんの発達障害について義母に知らせていなかったはちみつこさん夫婦。義実家へ遊びに行った際、義母からはなはな園(療育施設)について聞かれ、「習い事みたいなもんだよ」と機転を利かせて答えたパパ。しかし、「習い事なんて初耳!どんなことするの!?」と、義母の追求が止まりません。パパが「今度きいくんがいないときに改めて」と断るも、「きいくんとパパでドライブへ行って! ばあちゃんたちはおしゃべりしたいからお留守番してるね〜!」と、きいくんとパパを家から追い出し、はちみつこさんは義母と2人きりになって……!? 細心の注意を払いながら会話をするも、義母は……!? ドライブという名目できいくんとパパは締め出され、義実家にははちみつこさんと義母の2人だけ。義母が席に着くなり、「それで? きいくんがいろいろあったっていうのは?」と、いきなり核心を突いてきました。 物事が1〜10まであるとしたら、50まで知りたいのが義母。そのため、“自閉症スペクトラム”“療育”“発達障害”、これらのワードは絶対に出さないほうがいいと感じていたはちみつこさん。「実は……きいが保育園のお友だちに対して少し引っ込み思案というか、あまり言葉で言えないタイプみたいで……」「夫くんと話し合って、週2のペースで同年代のお友だちと触れ合う場所に行ってるんです」と、療育通いについて直接的な表現を避け、遠回しに説明しました。「あらぁ…そうだったの? それっていうのはね?」と、気になることを矢継ぎ早に聞いてきました。義母の質問にはちみつこさんが一つずつ答えて、約30分が経過。 「……そんなわけで、まだ心配な面はあるんですけど、夫くんと一緒にきいを見守っているのが現状です」と伝えました。 気になったことをすべて聞いた義母は「そうだったのねー! 最初は一体何事かと思ったけど、はちちゃんから話を聞けてよかったわぁ」と満足した様子。 しかし、余計な心配させずに済んだ感じかな……とはちみつこさんがホッとしたのも束の間。 「発達障害とかではないでしょ?」まさかのツッコミが入ってしまいました……。 ピンポイントで突かれた! こんなに気を付けながら会話していたのに、核心をつかれて焦ってしまいますね。 著者:マンガ家・イラストレーター はちみつこ
2022年02月14日公立中学校に進学しなかった理由私は公立小学校に在学中、6年間ずっといじめられていました。勉強ができるいっぽうで運動は苦手で、コミュニケーションも不得手。言動がいちいち周囲から浮いているので、周囲の子どもたちから排除されたのです。私が小学校6年生になるころだったか、地元の公立中学に通っている兄が、突然両親に「義子を私立の中学に行かせてやってくれ」と泣いて頼みました。兄は、「義子は地元の公立中学に行ったら、いじめ殺されるかいじめを苦に自殺するかになる」と言います。当時、地元の公立中学は荒れていて、ひどいいじめが横行しているとのことでした。それで両親は震え上がり、私は中学受験をして私立の学校に進むことになったのでした。私立進学校のメリットとデメリット進学校ではある程度以上勉強のできる子が集められているので、授業を聴いていて退屈に感じることがありませんでした。私の場合、勉強ができても周囲から嫉妬による攻撃を受けないので、それもとても居心地が良かったです。進学校においては、成績が良いことがスクールカーストを大幅に上げる傾向があると感じます。友達が「義子はいつも学年で上位3位以内ぐらいにいて、すごく頭がいいんだよ!」とほかの子に自慢しているのを聞いたときにはとても驚きました。これはたまたま私のいた学校がそうだっただけかもしれませんが、特定の誰かが少しグループから外されるようなことはあったものの、深刻ないじめはなかったように思います。どちらかというと、多くの子は勉強すること、自分の生活を健康的に律することのほうに興味とエネルギーを注いでいて(注ぐことのできる環境に恵まれていて)、学校の中でのグループの立ち位置がどうのとか、特定の子に対してどうこうするという方向にあまり興味を向けていないように見えました。私も、やはり発達障害の特性によりなんとなく浮いているところがあったので、何回か軽くグループから排除されるようなことはありましたが、積極的にいじめと言えるほどまで加害されつづけるようなことはありませんでした。私のいた学校では、大学受験の基礎固めのために必要なトレーニングをうまくカリキュラムの中に練り込んであって、塾に行かなくてもそうとうの力がつけられるようにしてありました。これは卒業して10年ほども経ってから学習塾で講師のアルバイトをするようになって初めて気づいたことです。国語の時間には百人一首、文学史、評論文用語の暗記と小テストの時間があり、英語の時間には英単語・英熟語の暗記と小テストの時間がありました。私にとってこれは、面倒で苦痛ながらもあたりまえに享受していたこと。でも、私が20代になって講師を担当した子どもたちは、そういったサポートを受けていないようでした。「英単語・熟語は暗記しておかなきゃいけないんだよ、それにはこういう単語集がいいよ」とか、そういう指導を中学側はやっていないか、やっていたとしても、生徒たちにちゃんと伝わっていない…私立の進学校でさせられた単語などのトレーニングは、ものすごく大学受験に役立ったし、今でも私の英語力や文章力のベースを支えています。進学校の学費は高いですが、こういうところで還元されていたんだなと、今は思います。私の学校は女子校だったのですが、地域で「伝統的なお嬢様校」としてステータスがありました。学校の周囲に卒業生がいたりするので、少しでも「お嬢様らしくない」服装や言動をしていると「わたくしの母校も落ちぶれてしまって嘆かわしい!」みたいに学校にクレームが入ります。そういうわけで、校則はとても厳しいのですが、どうも生徒の側である私たちには、それが私たちの将来のための教育ではなく、学校の体裁を保つための強制であるように感じられました。女性であってもどんどん社会に出て活躍してほしい、と口では言いながら、生徒が皆勤賞をとったらなぜか両親ではなく“お母さん”が表彰されたり、昼食は母親が弁当箱に詰めたものであることを求めてきたり… 結局は家父長制の中での良妻賢母像を維持することに加担しているような保守的な雰囲気。それが私にはとても嫌でした。(※)※私が在籍していたのは今から20年以上前のことです。こうした校則や賞は、現在は異なっていると思います。お金持ちの、勉強のできるお嬢様ばかりが集まる、かなりの均質集団だった私の学校。特に私の所属した特進クラスでは、すべての前提が「東大京大・早慶上智に入る」でした。私はそのプレッシャーの中で視野が狭くなり、汲々として、常に過労状態だったのです。同時に、自分が非常に恵まれた学習環境に置かれていることに自覚がなく、とても傲慢だったとも思います。当時から、人生の進路には人それぞれ向き不向きがあって、どれが上とか下でもないし、自分はどんな進路を選んでもいいのだ、選択肢も無数にあるのだ、ということを知っておきたかったなと思います。本人の「楽」を大事にした進路選択を私の場合、総合的に考えて、私立の中高一貫進学校に進んだことは自分にとって良いことだったと思っています。ただ、やはり私立の進学校には私立の進学校なりのデメリットもあるし、発達障害のある人が元気に過ごすには繊細な環境調整が必要です。定型発達の人でも将来に確実な約束のない今、発達障害のある人はなおさら、一般的に言う高学歴を身に着けたからといって順風満帆な人生が約束されるわけではありません。公立、私立、専門学校、高等専門学校、通信制の学校など、いろいろな選択肢の中から、本人の中でいちばんメリットとデメリットのバランスがとれて、楽に過ごせる進路を選べるといいなと思います。文/宇樹義子(監修者・井上先生より)体験として貴重な記事だと思います。そらきさんが中学進学の際に、ご自身の得意な分野、個性が認められる環境を選べたことは、とてもラッキーでしたね。このコラムで書いておられるように、私立の学校にはそれぞれ特有の校風があると思います。加えて「進学クラス」など特別に設置されているコースを目指す場合、良いクラスメイトに恵まれることもありますが、相性の悪い同級生がいてもクラス替えもなくずっと一緒に過ごさなくてはいけないリスクもあります。また私学の場合、学校側が特別な支援ニーズや合理的配慮についてどこまで学校側が理解してくれるかは、学校によりかなり異なるので、その学校の情報をオープンスクールなどでしっかり調べて進路決定することが大切だと思います。
2022年02月14日自主・自立を求められる環境に親子で迷走した一年間Upload By スガカズ中学校は小学校のころとは違って、自主自立の精神が求められていると感じます。発達に凸凹のある長男は小6のときに受けたWISC-IVの結果で処理速度が低いことが分かっています。また、注意散漫、過集中といった特性もあり、学校で次の行動に移るときに時間がかかったり、やるべきことを忘れてしまうことも多いです。中学校では課題は教科ごとにあり、提出日はバラバラ。課題がでていることを忘れてしまうので、プリントや教科書など、帰宅してから使うものを学校に置いたままにすることがよくありました。気づいた時点で学校に取りにいけばよいのですが、長男は自宅から通学するのに1時間ほどかかる私立中に通っているので、取りに行くのは難しいです。入学してからそのことを学級担任に相談しました。先生は、課題を見える化できるように、「課題チェックシート」をつくってクラス全員に配布してくれました。シートに教科、内容、日付、締め切りを予め記入しておけば抜けもれを防ぐことができます。始めのころは長男も活用していたのですが、もともと「忘れないようにメモをとる」こと自体を忘れてしまう子です。小学校までは家庭で声をかければなんとかなっていたのですが、中学校に入ると小学校のときほど家庭で把握できず、家庭で声かけするといった配慮は難しいです。2ヶ月ほど経つころにはそのチェックシートを使わなくなっていました。中学生になり慣れないことの連続で、本人は大変だっただろうと思いますが、「せめてメモをとってくれたら手伝えるのになぁ…」と、何度思ったことでしょう。また、中学校は教科担任制なので、学級担任(クラスの先生)が一人ひとりの各教科の状況を詳細に把握することは難しいようです。そのため、学級担任と話をしたあとに保護者ができることはかなり限られる気がします。学級担任からときどき保護者向けに連絡網が届くのですが、その中に「課題未提出の生徒」として長男の名前が挙げられていました。長男に聞くと「出した」の、一点張り。学級担任に電話で確認すると、「教科担任に言われたことを集約しているだけなので、私は分からないです」と返答がきました。課題を出したか否かは、各教科担任にしか分からないのです。……これは、親が把握をするのは難しいと思います。あとから、その日の課題は長男の言った通り提出できていたと分かったのですが、別の日では出していないことも多く、長男は課題未提出の生徒の中では常連です。未提出の課題に加えて、常に次の課題もこなす必要があり、なかなか全てをこなす時間が取れません。日を追うごとに未提出の課題がたまっていきます。加えて範囲が分からなくなってしまうという場合もたくさんありました。この困りごとは、友達に携帯電話で「課題の内容(または試験の範囲)は何だっけ?」と聞くことで解決することもあります。聞くと友達も教えてくれるのでよかったのですが、私が「友達に聞いてみたら?」と言わない限り本人は誰にも聞かないことがもう一つの問題でした。思春期でコミュニケーションが取りづらくなる時期Upload By スガカズ平日、部活がある日は帰宅が夜7時を越えるので、小学校のときよりも親子のコミュニケーションをとる時間が少なくなりました。長男は、帰宅してまず自分の自由時間を確保してからようやく日常生活(ご飯、風呂)の行動にうつります。そうすると課題に取り掛かる時間は多くても30分です。本人がメモをとっていないと課題の内容を親が把握するのは難しいですし、私は本人を信用するしかありません。私は、「課題は終わった?」「帰る前にメモした?」と本人に聞くと、「終わらせたってば」と、煩わしそうに答えます。また、平日の夜は、長男に話しかけても無視されることが目立ってきました。きっと「うるさいなぁ…オレの自由時間を邪魔しないでよ」と思っているのでしょう。中間期末試験では、範囲を間違っていたり、気持ちの切り替えができず勉強の時間を確保できなかったりしたため、それが成績にも顕著に現れました。教科担任に相談しました。どうやら先生も、長男のやる気を引き出すポイントを模索しているようでした。先生からは「大学附属の私立中学校なので、基本的には進学先はありますが、このままだと自分のやりたいことが明確になったときに、ほかの大学や希望の学部学科などの進学先を選べないかも知れません」と返答がありました。勉強も大事だけど、なによりも重要なのは、自分の居場所があることUpload By スガカズ中学校生活でつまずいた経験はたくさんありますが、一方で、何にも代えがたい経験もあります。長男が通う中学校には、長男と似たタイプのお子さんが多いようで、小学校と比べると友達もずいぶん増え、コミュニケーションの幅が広がったように感じます。私は、人とのコミュニケーションが円滑でない長男に対して「この子は中学校で対人関係のトラブルがおきてしまうかもしれないな」と心配していました。ですが、現在学校で自分の居場所が確保できているようです。これは成績という目に見えた評価とは比べられません。「本人に合った環境で成長すること」が重要であると改めて感じました。中学生の長男と関わる上で気をつけたこととはいえ、本人に合った環境で過ごせているのであれば、環境を維持するためにも勉強を頑張らないといけません。関わり方を模索する中で、親として気をつけたいと思っていることがあります。それは、「長男が帰宅したらすぐ(できれば笑顔で)出迎える」ことです。Upload By スガカズ親が笑顔でいることが居心地のよい場所になるという理由もありますが、目的は別にあります。帰宅して真っ先に出迎える(長男が遊び始める前に先手を打って話しかける)ことで、親子で言い合いになる機会が減ったり、「やるべきこと」が伝わりやすいです。行動するのは本人ですが、せめて話がしやすい状況はつくっておきたいと思います。執筆/スガカズ(監修:井上先生より)息子さんが思春期の中学生になり、学校も担任の先生がすべてを掌握していない中学校という環境で、「全てをサポートすることはできない」という、親としてのもどかしい気持ちが伝わってきました。中学~大学という期間は、自分に合った勉強の仕方やミスをなくすやり方などを自分自身で発見していく期間だと思います。そのはじまりが中学時代なので、親子共に戸惑いもあるかもしれません。親子の関わり方も変化していく時期です。直接的な指示などがうまくいかない場合は、保護者自身の中学時代の失敗体験や、その中で試行錯誤してうまくいった体験などを話していくことは、一方的な指示を嫌う世代にはよいかもしれません。もどかしい思いの中でも少し距離をおいて見たときに、毎日学校で楽しく過ごして帰ってくる息子さんの様子に気づき、本人なりの居場所がある大切さを感じられたんだと思います。笑顔で迎えるというのもとてもよいと思いました。
2022年02月13日【発達ナビ×フェリシモCCP】発達障害フレンドリーな3アイテム発売スタートUpload By 発達ナビニュース発達ナビとフェリシモCCPがコラボし、暮らしの中の困りごとをサポートする商品づくり第3弾の発売がスタートしました。「LITALICO発達ナビ」の1,100名を超えるユーザーへアンケート調査を行い、発達ナビライターさんによるサンプルモニター調査や試作を重ねさまざまな声をカタチにしたアイテムです。今回商品化されたのは、この3つ・座り姿勢をサポートする「両面すべり止めクッション&足もとマット」・うっかり忘れ対策に役立つ「1週間ToDoタスクチェックリストボード」・片づけが苦手な人のための「整理らくちん お片づけ収納ラック」発達障害の特性による困りごとやニーズに寄り添うことで、障害の有無に関わらず、みんなが便利に使えるやさしいグッズになりました。発達ナビでは、それぞれの商品のサンプルモニターになったライターさんのコラムも続々公開します。ぜひチェックしてください。※詳細ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから株式会社フェリシモのサイトに遷移します映画『梅切らぬバカ』のBlu-ray&DVD発売決定!2022年5月11日(水)よりUpload By 発達ナビニュース『梅切らぬバカ』Blu-ray&DVD 2022年5月11日(水)発売発売元:ハピネットファントム・スタジオ販売元:ハピネット・メディアマーケティング加賀まりこさん演じる老いゆく母と、塚地武雅さん演じる自閉症のある息子「忠さん」が地域との交流を通じ、自立の道を模索する姿を描いた映画『梅切らぬバカ』。2021年11月に公開され口コミで全国に広がり、観客動員数10万人を突破!現在もロングランヒットを記録しています。この度、2022年5月11日(水)にBlu-ray&DVDの発売が決定しました。バリアフリー日本語字幕・日本語音声ガイドつきなので視覚や聴覚が不自由な方も鑑賞しやすくなりました。同日よりレンタルとデジタル配信も開始!是非ご自宅でゆっくりとご覧ください。※詳細ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから映画『梅切らぬバカ』公式ホームページに遷移します「いつでも/どこでも、書ける/思い出せる」をコンセプトにした、腕に巻いて使用できるメモ「wemo®」Upload By 発達ナビニュース「短期記憶が苦手」「忘れ物やなくし物が多い」「子どもが迷子になったとき保護者の連絡先を伝えられるか不安」……などの困りごとを抱えてはいませんか?腕につけられるバンドタイプのメモ「wemo®」は、そのような困りごとの対策にぴったりです。「wemo®」は身に着けやすく、何度でも使用できるのが特徴。腕に巻きつけたまま油性ボールペンで書くことができ、書いたメモは消しゴムや指で消すことができます。また、水に濡れてもメモが消えないので、装着したまま手洗いや水中での作業も可能です。子どもから大人まで活用できそうです! 毎日をそっとサポートしてくれる「wemo®」は取り扱い店舗、またはオンラインショップで購入することができます。※詳細ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから「wemo®」ホームページに遷移します〈詳細〉商品名:wemo®バントタイプサイズ:W45×H238×D8(mm)材質:シリコン参考:wemo®対応のボールペンについて国内の「幼児吃音臨床ガイドライン」公開Upload By 発達ナビニュース昨年9月、国立障害者リハビリテーションセンターを代表とするAMED(日本医療研究開発機構)研究班より「幼児吃音臨床ガイドライン」が公開されました。全国の吃音の専門家と共同して作成された国内初のガイドラインです。「吃音」を専門的に対応できる機関は、全国でまだ少ない現状があります。また幼児期には自然治癒することが多いといわれているため、医療機関などで相談しても「様子を見ましょう」 という対応になるケースもあるようです。一方で、就学以降まで吃音が持続する幼児が全幼児の 2%弱程度に見られるという調査結果も報告あります。海外では近年吃音の臨床研究が進んでおり、幼児期に適切な対応をすることによって7割が改善したという研究結果もあることから、幼児吃音に関する研究は注目されています。そして今回、日本の吃音の専門家による「幼児吃音臨床ガイドライン」ができたことによって、吃音の専門機関以外でも適切な対応へとつながることが期待されています。「幼児吃音臨床ガイドライン」は発達性吃音(どもり)の研究プロジェクトのホームページから見ることができます。参考文献:RESTART試験(Rotterdam Evaluation study of Stuttering Treatment in children: A Randomised Trial)※詳細ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから発達性吃音(どもり)の研究プロジェクトのサイトに遷移します学習の困難を支援する「やさしい字幕」、ジャパンSDGsアワードを受賞Upload By 発達ナビニュースNPO法人eboardは、「学びをあきらめない社会」というミッションのもと、映像授業とデジタルドリルなどのICT教材を開発・運営。映像授業には、「やさしい字幕」がつけられています。その「やさしい字幕」が、SDGs17の目標「4.質の高い教育をみんなに」において高く評価され、ジャパンSDGsアワードの受賞となりました。「やさしい字幕」とは文化庁が作成した「やさしい日本語」の考え方をもとに、字幕の表示量を調整し、言葉や文章構造も簡素化された字幕のこと。eboardで公開している映像授業を視聴する際「やさしい字幕」を選べることによって、さまざまな学習の困難を抱える子どもたちも学習に取り組みやすくなります。実際に家庭や教育機関でも活用されています。詳しくはeboardホームページをご覧ください!※詳細ボタンをクリックすると発達ナビのサイトからeboardホームページに遷移しますLITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!
2022年02月12日今までの健診では「問題なし」Upload By taekoミミの弟、ふーは4歳。1歳半健診のときは、発達に関してなど特に何も言われませんでした。しかし兄のミミにASDがあるので、ふーも同じ可能性があるかも知れないと思い私は保健所の方に「少しでも息子に気になる所があったら教えて欲しい」と伝えました。すると半年後にフォロー健診をしてもらえることに。そのフォロー健診でも特に問題はない、とのことでした。ふーは保育園では帽子をかぶることを嫌がったり、冬の散歩時に上着を嫌がるというところがありましたが、ひとまず安心しました。ほかのふーの様子というと……、コロナ禍では3歳以上はマスクの着用を求められることが多いですが、頑なに嫌がるところがあります。電車内ではしぶしぶつけるけど、マスクから鼻が出ています。4歳になった今もオムツ。指しゃぶりとタオルは乳児のときから手離せません。でも、小学生になるまでには落ち着けばいいかなと思い、私自身はそれほど深刻に考えてはいませんでした。ある日、保育園の先生にUpload By taekoそんなある日、保育園の先生から療育をすすめられました。ふーの発達に関して、あまり悩んだり困ったりはしていなかったので、療育をすすめられたときは正直ショックでした。この子のどこが気になるの?? 兄のミミが保育園のころと比べたら、ふーは神さまにしか見えないほどに手のかからない子! お迎えに行くと笑顔で駆け寄って来てくれる!! ミミはお迎えに行っても帰るまでに30分かかることがしょっちゅうだったから、すぐ保育園から帰れるふーのことが信じられない! こんな仏さまのような子! いつも笑ってミミと遊び、ミミもふーの反応がうれしくて喜ぶ、とても良いきょうだい関係!こんなに手のかからないおだやかな子どもがいるのかと、私は毎日感動しているほどです。それなのにどこが気になるの? ほかの子どもはもっともっと育てやすいの?!(でも……、ふーはミミと比べて大人しくおだやかだけど、本人は帽子やマスク、上着と戦っているのかも…)と、私自身を落ち着かせ、善は急げと、1ヶ月半後に療育の面談を予約しました。面談の結果、療育が必要になったら仕事を休む口実ができたと喜ぼうと思っています。Upload By taeko私は子どものことについては、わが子の二人のことしかよく知りません。保育園の先生は何年もたくさんの子どもを見ているから、先生の指摘は適切なのだと思います。ふーに何が必要なのか、できるだけ早く見つけてあげたいと思っています。Upload By taeko執筆/taeko(監修:鈴木先生より)私の外来に初診する患者さんには二通りのケースあります。自分自身や保護者が困っていて受診するケース、もう一方は自分自身や保護者は困っていないが園や担任など周りが困っていて受診をすすめられ受診するケースです。前者は、お子さんや保護者の困難を改善・対処したいという意思があるので通院を継続し治療にも同意されるケースが多いのですが、後者の場合は神経発達症(発達障害)がある可能性を否定されたいという思いで受診する保護者もおり、診断をしたあと、通院が途切れてしまうというケースもあります。今回、taekoさんが保育園の先生からの指摘を受け入れ、早期療育につながったというのはとてもよかったと思います。1歳半児健診や3歳児健診で異常がないからと言っても神経発達症(発達障害)の可能性がないとは言い切れません。また、母子手帳の「子育てに困っていますか?」という質問項目で「いいえ」以外に〇をつけても適切にフォローされているケースはまだまだ少ないという現状があります。担当の医師や保健師が少しでも保護者の話に耳を傾けてくれれば、早期介入が可能となるケースも後を絶ちません。今回は保育園の先生の知識と経験により早期に指摘されたことで療育につながったラッキーなケースだと思います。今の日本の健診システムにおいて、診察では主に身体における発達を診ることが多く、心における発達まで診られることが少ない現状なのです。保育園の先生もtaekoさんに言うまでは、言っていいのかどうか悩んでいたのではないかと思います。しかし、今回お子さんの発達に関する現状を適切に伝えられたという背景には、園長先生の理解や園の環境のよさもあるのではないかと思いました。
2022年02月12日学校の研修での質問私は、学校から研修講師を依頼されることがあります。そうした研修時、先生方から「集団行動がとれない生徒にはどう対応すればよいですか」、「椅子に長く座っていられない生徒にはどうすればいいですか」などの質問を受けることがよくあります。それらの質問を聞いて思うことは学校の先生方は、・椅子に座っている。集団行動がとれる。勉強ができるなどの枠組みの中で捉えている・算数、国語、運動などオールマイティにできる子が評価される世界で生きているもちろん、そうではない先生もいますが、一定の枠組み内で評価すること以外は想定していない先生方も確かにいます。リフレーミングしてみる先生方にも、そして親御さんにも伝えたいこと、それは、リフレーミング(=枠組みを変える)してみるということです。・集中力がなくて、椅子に座っていられない=さまざまなことに興味関心が行く・給食で好き嫌いが多い=味がわかる敏感な舌を持っているので、将来料理人になる素質があるかもしれない「捉え方を変えてみると学校生活の中では問題視されることでも、才能を発揮するかもしれません。だから、学校での評価が低いことは気にしないで、リフレーミングして明るい未来を想像しましょう!」このように親御さんには伝えたいところなのですが…人生の初めの段階で長く一緒に過ごす大人、特に担任の先生は子どもの人生に大きな影響を及ぼします。また、学校は日中一番長く過ごす場所です。そこで、担任の先生からの評価が低く、自信を失くしたり、自己肯定感が低くなったりしたら、卒業後に認めてくれる人が現れたとしても回復はなかなか難しいかもしれません。褒めポイントを変えてみる生徒を叱ることが多い先生方に伝えたいことは、「褒めポイントを変えてほしい」ということです。例えば・給食をおかわりする・寝癖がついていない・誰よりも早く学校に到着している(※忘れ物魔でも)・蝉とりがうまい・風邪をあまり引かない・砂場で泥団子を上手に作れるほんの小さなことでも、子どもが頑張っていること、一心に取り組んでいることなどを褒めてほしいと思うのです。また、支援が必要な児童ばかりに関わっていると、ほかの児童は「えこひいきしている」と感じるかもしれません。そして、大人の注意を引こうとする行動をするかもしれません。中には、「先生、○○君が席を立っています」と「チクリ魔」と化してしまう生徒もいるかもしれません。ですから、それぞれの生徒に合わせて、褒めポイントを変えてほしいと思います。生徒は「自分のことをよく見てくれている」と感じ、変わってくると思います。中高生以上で、自己肯定感が低い場合先生方から以下の質問も受けました。「二次障害までは至らないけれど、中高生や大人になって自己肯定感が低い場合どうしたらよいですか?」中学生にまでなってしまうと、それまでの人生で「自分はできないという経験」を積み重ね過ぎているので、できなくても、それごと受け止めてくれる人に出会うことが大切になるのではないかと思います。自分の適性に合っていない職場で働いて叱責されることが続くと失敗体験を重ねてしまいます。例えば、あまり人とのコミュニケーションが得意ではないのに、接客や営業職についたり、野球やサッカーなどのチーム競技の部活に入ったりしないで、一人で黙々と作業ができる仕事に就いたり、個人プレイのスポーツに取り組むのがよいのではないでしょうか。自己肯定感を壊されてしまうような場に「努力すれば何とかなる」、「気合で乗り越える」と鼻息荒くして、これからは跳びこまない方がいいと思います。子どもの特性を理解し、「定型発達児に近づけよう」として子どもにとって苦手なことをばかりをしいないことが、その子どもの将来にわたっての生活の質を高めることになるのではないでしょうか。学校の先生方には、子どもをリフレーミングしてみてほしい、そして小さなことでも褒めてあげてほしい。叱責ばかりで自信を喪失させ、二次障害をおこさせない関わり方をぜひ意識していただきたいと思っています。(監修・鈴木先生より)神経発達症(発達障害)のあるお子さんは、保護者や理解のない担任など周囲の大人たちから叱られる場面が多く、自尊心が低い状態となっている場合がよく見受けられます。ADHDのあるお子さんは6歳から治療ができるので、早期介入によって自尊心を下げないようにしていくことが肝心です。私の外来では、神経発達症(発達障害)のあるお子さんに対して、部活は一人でもできる、またはシングルスのあるスポーツを勧めています。今は部活の数も少なくなっているので、実際には美術部や吹奏楽部(パーカッション系)に入部しているお子さんが多くみられます。宿題などに関しても特別支援学級に在籍するお子さんに対してはハードルを下げ、交流学級とは異なった独自の宿題を出すことで達成感を味わらせることが重要です。そのお子さんに何ができるか、「Not unable, but able」の精神が学校を含めたその子を取り巻くコミュニティーの中に根付くことを願っております。一方、「外れ先生」ももしかしたら被害者と言えるのかもしれません。今まで神経発達症(発達障害)の研修も受ける機会がなく、相談できる上司にも巡り合わなかったのかもしれません。各市町村の教育委員会が定期的な神経発達症(発達障害)の研修会を“きちんと”やって少しでも理解してくれる先生を増やしていくしかないのではないかといつも考えています。教員ファーストではなく、生徒ファーストの考えをすべての学校の先生方に持っていただきたいと常々思っております。
2022年02月11日男の子2人を育てるはちみつこさん。長男・きいくんに発達障害があることを義母に知られた際の体験談をマンガ化!長男・きいくんの発達障害について、義父母にカミングアウトしていないはちみつこさん。療育に通っていること、自閉症スペクトラムと診断されていることを話していないのは、義母がおしゃべり好きなうえになんでも知りたがって根掘り葉掘り聞いてくるから。そんな義母のところへ久しぶりに遊びに行ったのですが…… 知りたがり屋さんの義母 長男・きいくんの発達障害について、義母にカミングアウトするのは“やめておこう”という意見でパパと一致していたはちみつこさん。今までも義父母からきいくんのことを聞かれても、無難な話題を選んでいました。しかし、久しぶりに義実家へ行ったときのこと。 「きいくん保育園楽しい? 来年は小学校ね〜」ときいくんへ話しかける義母。 「うん楽しいよ。あと……はなはな園(療育施設の名前)も楽しいよ」と、きいくんが答えてしまいました。 「あら、はなはな園って?」と義母の気になるスイッチが入ってしまいました……! 著者:マンガ家・イラストレーター はちみつこ
2022年02月10日小学校3年になって、難易度が上がった勉強につまずきだした現在小学校5年生の長女ゆい。小学校4年生のときに発達検査を勧められ、その後5年生で軽度知的障害、自閉スペクトラム症、場面緘黙などの診断を受けました。小学校の勉強って3年生あたりからだんだんと難しくなっていくのですが、ゆいがつまずいたのはまさにそこでした。3年生から難易度が上がるといっても、テストで高得点をとる子も多いと思います。でもゆいの算数のテストは50点以下が多かったです。これを見ても「勉強の苦手な子だなあ、でも元気ならそれでヨシ!」と適当に考えていた私のところへ、ゆいが4年生に上がったある日、担任の先生から電話が来たのです。教室にいたのは担任の先生。そしてもう一人…。先生からお話したいことがあるので学校に来てくれませんかと言われたとき、最初に考えたのは「クラスの子と何かトラブルがあったのかな?」ということでした。4年生のクラス替えで仲の良い子と離れてしまい、友達をうまくつくることができていなかったようなのです。教室に入ったとき、担任の先生ともう一人、加配の先生がいらっしゃったので「あれ?」と感じました。加配の先生は、授業に集中できない子たちの横について個別にサポートしてくださる方です。「なんで加配の先生がここにいるんだろう」と不思議に思っていました。私はここまで、ゆいが特別扱いを受けていることに気づいていなかったのです。Upload By 吉田学校でのゆいの様子は先生がゆいの学校でのことを教えてくださいました。「勉強についていけず、理解する余裕がない状態です」…そうですよね。この子は勉強が苦手なんです。「私たちもゆいさんに合った指導方法を探していこうと考えています」…あれ、これはもしかして、大ごとなんじゃないのかな?「もしよろしければ、発達検査というものがあるので一度受けてみてはいかがでしょうか?」……。Upload By 吉田学校の先生からこんな提案受けるなんてよっぽど大変なことになってるんだ。でも私はこんなことを言ってしまったんです。Upload By 吉田「でも、個別指導の塾にも通うようになりましたし、これから頑張ればみんなに何とか追いつくんじゃないかと思ってます」なんでこんなことを言ってしまったのかというと、多分受け入れることができなかったからなんだと思います。それは「検査を勧められるほどに発達に心配があると思われているわが子」ではなく、「子どもの遅れに目を背けた自分自身」にです。普通のお母さんだったら、子どものためにもっと早く動いていたのでは?小学校3・4年生のテストとは言え、いつもテストの点数が低かったゆい…。「勉強ができなくてもいい、元気だったら」と思っている気持ちに嘘はないけれど、それと同時にそれは親がラクしたいための言い訳だったのではないかとうしろめたさを感じてしまいました。そんな私に対して先生は「お母さん、お子さんを普通という小さな箱に入れようとしていませんか?」と仰いました。Upload By 吉田「普通」であることにこだわっていた私先生の言葉に私は頭を強く叩かれたように感じました。そうだ、私は”普通であること”にこだわっていたんだな。「普通でいてくれたらそれが一番」なんて思ってたけど、普通に勉強ができて、普通に新しい友達ができる…その”普通”はゆいにとってはとてもハードルの高いものだったと言うことにそこで初めて気づくことができました。「お母さんの思う”普通”、みんながそこを目指す必要はありません。子どもの可能性はもっともっと大きいです。もっとゆいさんのためになることを探していきませんか?発達検査でその手がかりを知ることができるかもしれません」先生はそう仰いました。Upload By 吉田ここまできたらもう腹をくくって行動しなきゃな。この子はちょっとサポートが必要なタイプの子らしい。ゆいのためになることをこれから一緒に探していかないと。先生のこの言葉があと押しになり、私は帰宅してすぐに発達検査の申し込みをしたのでした。執筆/吉田いらこ(監修:三木先生より)学年が上がると学習内容が複雑化・抽象化した上に量が増えるので、つまづきやすくなってきます。そこでついていけていないこをと突きつけられると、わが子の順調な発達を願う身としてはつらいですよね。お母さんにとってつらい話にもかかわらず、ゆいさんのためを思って検査を進めてくださった学校の先生方の勇気には敬意を表したいです。そしてその勇気から逃げずにしっかりと向き合ったいらこさんもまた素晴らしいと思います。
2022年02月10日感覚過敏のある私の高校選びこんにちは。加藤路瑛です。15歳、高校1年生です。自分の困りごとである感覚過敏の問題を解決したいと思い13歳のときに「感覚過敏研究所」を立ち上げ、感覚過敏の課題解決に取り組んでいます。当事者目線、特に子どもの視点で感覚過敏について話していきたいと思います。 今回は、感覚過敏から少し離れて、私が通っている通信制高校の角川ドワンゴ学園N高等学校・S高等学校の学生生活についてお話します。私は中学2年生の夏、当時通っていた私立中学を退学し、地元の公立中学に在籍しました。しかし(公立中学には)1度も通うことはなく、角川ドワンゴ学園のN中等部に通いました。N中等部は、いわゆるフリースクールのようなものです。地元公立中学には事前に相談し、N中等部での出席日数をそのまま公立中学校の出席日数にしてもらうことができました。ですので公立中学校には通っていませんでしたが、出席日数はあったので不登校としての人数にはカウントされないようでした。と言っても、私は地元公立中学校の通知表をもらったことがないので本当に出席日数にカウントされていたのかも分かりません。出席日数の扱いは学校や校長先生の判断で変わってしまうようですが、私自身はとても理解のある対応をしていただいたと思っています。私立中学をやめ、フリースクールのような扱いであるN中等部に行った理由は複数ありますが、大きな理由は感覚過敏でした。私立中学時代、教室内は聴覚過敏のある私には騒がしく、保健室に通う日々でした。教室にいること自体が苦痛になり、校内の静かな場所を求めて一人で行動することが増えます。そうすると、仲良しの友達というのもいなくなってしまい、ますます学校に居場所のなさを感じてしまいます。特にいじめられたわけでも無視されたわけでもありませんが、賑やかな校舎の中で私は孤独を感じることが多かったように思います。感覚過敏だけが理由ではありませんが、学校に行くのが苦痛に感じることが増え、中学1年生の冬ごろから学校は休みがちになり、中学2年生の9月に退学しました。地元の中学に通っても、感覚過敏で学校生活がつらいのは変わらないでしょうし、そのころはすでに私は起業していたこともあり、先進的な学びができそうなN中等部に行くことにしました。この時点で高校はそのままN高等学校に行くつもりでいました。N高等学校・S高等学校とは?N高等学校・S高等学校はKADOKAWA・ドワンゴが創るネットと通信制高校の制度を活用した、新しいネットの高校です。生徒数は両校合わせて20,603名になります(2021年9月30日現在)(※)私は中学2年の時点で高校はN高に行くとほぼ決めていたので、受験勉強もなく平和な中学生時代を過ごしました。N高は通信制高校で、入試の際に、(中学校に通えず)不登校生であっても問題ありませんし、ネットコースなら、学力テストのようなものもありません。基本的には書類選考だけです。通学コースの場合は面接や筆記試験があるようなので、N高のホームページなどでご確認ください。N中等部ネットコースからN高ネットコースへの進学には特別な優遇措置はありませんでしたが、通学コースへの進学に関しては一般受験者よりも早くに試験と結果がわかる制度もあるようです。キャンパスによっては定員になれば募集終了なので、早めに入学が決まるのは楽です。友達が欲しいので通学コースも魅力ではありましたが、感覚過敏で疲れやすいこともありますし、好きなことに時間を使いたかったのでネットコースを選びました。出願の話題が出るころに、S高等学校が新設されることを知りました。中身は同じ。ただ、N高の本校が沖縄に対して、S高の本校がつくばで、違いはそれだけということでした。私はN高6期生よりもS高1期生というピカピカな感じに惹かれて、S高進学を選びました(※)参考:N高等学校・S高等学校ホームページUpload By 加藤路瑛普段の勉強は?Upload By 加藤路瑛普段の勉強は学習アプリ「N予備校」を使います。単元ごとに動画があり、それを受講し、レポートを提出して単位を取っていく単位制です。動画が工夫されていて、早送りやスキップができないのです!全部再生し終わらないとレポートに取り組めないようになっています。鬼です。動画は教科や単元によって違いますが、3-5分くらいです。美術や家庭科などは1単元で30分ある場合もあります。早送りや飛ばせないのは生徒にとってはめちゃくちゃ迷惑な機能ですが(笑)、教育視点ではよくできた工夫だと思います。1回視聴済みになると、2回目以降は早送りや飛ばし見できるので、レポート提出で調べ直したい時は便利です。レポートは各単元16問の問題と4問の記述で構成されています。それほど難しいものではなく、教科書や動画に沿ったものです。正直にいうと、動画見なくても解ける問題も多いですし、教科書見れば答えがわかる問題もあります。ですが動画を見ないとレポートが表示されないので、ここは耐えるしかありません(笑)動画は教科書に沿って淡々と説明している感じで、面白要素はゼロです。ギャグなどは無縁なコンテンツです。レポートは毎月15日が提出日で、それぞれの単元の提出日がわかるようになっているので、自分で提出日に合わせて動画をみてレポートを提出しなければなりません。結構な量があり、動画を再生しないとレポートに取り組めないので、締め切り前日に全部やろうと思っても、残念ながらレポートを表示することもできません。締め切り当日に動画の総合再生時間が25時間あれば、もう絶対に間に合わないのです。私は、隙間時間に動画を再生しています。真面目に机に座ってパソコンを広げて学校で授業を受けるように動画を見ることはありません。横になってみたり、食べながら見たり、自由なスタイルで受講しています。(これ、公開して先生に怒られないでしょうか?笑)N予備校はパソコンだけでなく、スマホでも見られるので、締め切りギリギリなときは電車の中でスマホで再生していることもあります。とにかく再生させてレポートに取り組めるような状態にしてしまうことがポイントです。レポートの問題は、すぐに分かるものもあれば、教科書見れば分かるもの、動画を見直さないと分からないものがあります。レポートを先に見ることができれば、その部分の動画を集中して見られるのですが、これができないのが苦しい。結局2回見た単元もあります。期限内にレポートを提出できればOKです!もしできなくても問題はなくて、最終提出日が12月15日で、その日に全部クリアできていれば大丈夫です。私は、毎月15日の期限だけは守っています。溜めるとやりたくなくなると思うからです。大体、13日か14日に提出しています。早い人は1年分の単元を夏前に終わらせて、あとは自由!という強者もいるようですが、私はギリギリをせめています。事前に先生から、12月は最終提出日目前ということで、全生徒が動画再生し、サーバーが混み合う可能性があるので、できるだけ11月中に終わらせることを勧められました。多くの生徒が締め切りギリギリまで頑張っているのだと思います。課題は大変と言っても1ヶ月分の課題は1−2週間集中的にやれば終わります。なので私は、1ヶ月のほとんどの時間は学校の勉強とは無縁な生活をし、好きに生きています。高校を卒業するということだけなら、この動画を見てレポート提出をしていけばいいので、予習とか復習とかありません。なので、私の場合は、英単語は覚えないですし、漢字も書けないですし、暗記なども必要に迫られることはありません。もし、勉強をきちんと身につけたい、大学受験を考えているというならば、足りない状態です。ネットコースの日常生活は?私はネットコース生なので、毎月15日に課題をコンプリートすることだけに集中すれば、あとは高校生っぽいことは何もありません。大体、毎月月初に「そろそろ課題やらないと締め切りに間に合わないな」と思ってぼちぼち初めて、10日ごろに「やばい、間に合わないか?」と焦りながら集中的に動画やレポートに取り組み、14日くらいに全課題を提出という感じです。提出もWEB上にある問題や記述に回答すればいいですし、提出済みかも確認できます。毎回、「次は早めに取り組んでギリギリはやめよう」と思うのですが、結局、次の月まで勉強はせず、「やばい、レポート!」と思い出してやりはじめます。ですので、ほかの時間は好きなことができます。私は学生起業をしているので普段は仕事をしています。ほとんどが家で作業したりオンライン会議です。もちろん、外出して打ち合わせもしています。また、起業だけでなく、カフェでバイトもしています。隙間時間は、動画見ていることが多いですし、深夜の時間帯はゲームをしていることが多いです。ゲーム仲間とオンラインで通話しながらゲームも多いです。同じN高生やS高生ともゲームしたりします。ほかのネットコース生も、バイトしたり、ゲームをしたり、イラストや音楽など自分の好きなことに時間を使って、勉強は最低限をしている感じです。私の交友関係の中にはいませんが、勉強を好きなようにやりたくて一般的な高校には通わず自分のペースで勉強をとことんやっている人もいるようです。通学コース生の勉強部分はネットコースと変わりはありません。日中の時間帯にキャンパスに通っています。ただ、キャンパスで教科の勉強だけをするわけではなく、プロジェクト学習などをしているようです。通学してプロジェクト学習などリアルでの体験をし、必修授業はネットコースと同様N予備校を使って勉強しています。スクーリングは?通信制高校は基本は家で学習できますが、実際に会場で参加型の授業を受ける単元があります。N高S高は生徒が2万人いるので、スクーリングの日程を自由に選べるという感じではありません。スクーリングは5日間程度が必須でしたが、コロナ禍のため、オンラインでのライブ授業が開催され、リアル会場での授業は2日間だけとなりました。オンライン授業の日程は、ピンポイントで指定されて連絡がきました。ただ、予定があって参加できない場合は、日程変更をお願いすれば大丈夫です。私も参加できない日があって変更してもらいました。オンライン授業は、カメラやマイクをオンにする必要もないです。ただ、そこも工夫しているなと思うのが、授業中に先生が合言葉を発表するのです。その合言葉を投稿して受講チェックされます。ログインだけして画面放置しないでねという工夫です。早く合言葉を送信して遊びたい人や、見逃すのが不安な人たちが「先生、早く、合言葉を!!!」とコメント入れていて面白いです(笑)オンラインライブの授業は結構面白かったです。一番面白かったのは、家庭科で、アパートを借りるときの物件の見方を教えてもらいました。敷金とか礼金とか、LDKって何なのかとか。実際に自分が家を借りることになった場合をリアルに想像しながら話が聞けて面白かったです。リアル会場でのスクーリングは、私は東京会場を選びました。ほかの地域はわかりませんが、3つくらいの候補日が提示されて、その中で選びましたが、予定があわなければ、ほかの候補日をくれるはずです。N高・S高の良いところは、日程を変更して参加できたり、内容によってはアーカイブ視聴ができることです。学校の指定した日程に合わなくても何とかなります。リアルスクーリングは朝からびっしり授業が詰まっています。普通の学校のように授業を受けます。だいたいはプリントが用意されていて、それを埋めていく感じです。特にテストみたいなことはしないので、心配なく参加することができます。テストは?Upload By 加藤路瑛12月15日までに全てのレポートを提出し、スクーリングも受講が終わると、テストの案内が届きます。これも日程が決まっていますが、都合が合わなければ変更可能です。私の場合は9教科で、各教科30点以上取れれば合格です。テスト範囲が1年分というのがハードです。私の試験日は1月13日でした。お正月明けくらいから「そろそろ勉強しないとまずいな」という気持ちになります。1週間前くらいから、N予備校の問題を解き直しました。2日前に本気でやらないとまずいと思い1日集中的にやりました。前日は、スクーリングのプリントを見直しました。テストは紙ではなくタブレットです。学生番号でログインして、入力していきます。選択肢式ではなく、タブレットのキーボードで入力して回答する感じです。テスト受験後順次、WEB上で教科ごとに採点が終わったものから「合格」という表示がでます。採点中のものは「提出済み」となっています。私は全教科合格でした!なので、赤点だった場合、「不合格」と表示されるのかは未確認です。30点未満だった科目があった人の話では、追試の問題が届き、定められた期間内に回答すれば良いみたいで、教科書などを見て回答も可能で、合格するまで何回でも挑戦できるようなので、進級できないとか卒業できないとかそういう心配はテストに関してはしなくても大丈夫そうです。テストの点数は成績確認のページから確認できます。WEB上にコメントも表示されていて、理解ができていない部分が多いようですとか、苦手な部分は見直しておきましょうなどの文章がありました。1月19日に全教科の合格が判明したので、もう勉強に関してはやることがありません。自由です!!!!人数も多いので2月にテストの人もいると思いますが、テストに合格すれば、その学年の課題はなくなるので、あとは好きなことをして進級・卒業を迎えられます。私のテスト会場は茨城つくば本校でした。つくば駅から校舎までは距離があり、スクールバスが出ています。試験当日、8:20くらいにつくば駅集合でバスに乗ります。朝が弱い私は、つくば駅前のホテルに前泊しました。同じような高校生がホテルにたくさんいました。朝は8時までホテルにいたので、体力的に疲れることなく試験会場に入れました。高校1年生である今年度は全てのことが初めてで、特にテストはどんな感じなのか不安でしたが、難易度は基礎問題のみで、追試があっても問題なく進級できそうなので安心しました。勉強以外のことUpload By 加藤路瑛通学コースにいる人はキャンパスで友達を作ることができるかもしれませんが、ネットコース生は、リアルに同級生と会う機会はスクーリングとテストの日だけという人が多いかと思います。これだけで友達は作りにくいかもしれません。普段の交流はコミュニケーションツールSlackを利用します。N高生・S高生と先生が参加している巨大コミュニティです。事務的な連絡チャンネルもありますが、部活のチャンネルや非公式のチャンネルがいろいろあって、興味のあるチャンネルに参加すれば、誰とでも繋がることができます。Slackは実名参加しなくていいので、誰が誰なのか分かりません。私はSlackをマメに見ておらず、業務連絡でしか使っていないので、Slackで友達を増やした経験はありませんが、みなさん、結構Slackで友達を増やしているようです。部活も基本はネット中心でリアルに集まる部活は少ないです。生徒中心で主体的に動いている部活は生徒間の交流も多いかもしれません。私は立ち上げ初年度の研究部に所属していますが、積極的にリアルに集まって交流するという感じにはまだなっていません。コロナ禍というのも影響しているなとは思います。ネットコース生で友達ができるかは、人それぞれだと思うので何とも言えません。私自身はめちゃくちゃ少ないですが、一緒にゲームする仲間はいます。コロナが落ち着いたら、友達ともリアルに会いたいなとも思います。通学コースで友達がたくさんいる人を見かけると「いいなー」と思いますが、じゃあ自分が通学コースに変更したり、積極的に交流をするかというと、それはしなくていいかと思ってしまうので、自分の心地いい関わり方をすればいいのだと思います。S高の1年間の生活を振り返って私はネットコースなので、通うべき学校もなければ、みんなで会うような教室もありません。普段は自分の好きなことに没頭し、毎月15日締め切りの課題提出のために動画をみて、レポートを作成します。「高校生らしい」と呼ばれる生活かと言われれば、高校生らしい生活とはかけ離れています。そもそも「らしい」というものは本来ないものだと思っています。私は今のS高生としての生活にほぼ満足しています。不満はやっぱり同世代との交流が少ない部分でしょうか。それはN高・S高が悪いのではなく、そう行動していない私の問題です。N高・S高は良くも悪くも放任です。自主性が必要です。定期的に担任の先生が電話やSlackで連絡をしてくださいますし、レポート提出状況や、今の生活で困っていること悩んでいることは聞いてくれます。でも、結局は自分次第です。自分で課題提出日に間に合うように勉強しなければなりません。先生が家にきて、提出するまで見張ってくれる訳でもありません。友達がいないと相談しても、オンラインの海の中で友達と会うためには自分で動くしかなく、先生がマッチングしてくれる訳ではありません。通学コースでは人間関係などまた別の問題があるかもしれませんが、少なくとも、ネットコースで不満がある場合は、それは自分で解決するしかないと思います。ただ、全ての担任の先生はわかりませんが、私の担任は、生徒の悩みや近況を聴きながら、アドバイスというよりも本人が自分で答えを見つけるようにコーチングしてくれる感じです。私は高校とはゆるい関係性しか求めていないので、学校での悩みも全くないのですが、困ったことがあれば頼りになると思いますし、保護者へも定期的に電話を下さっているので、保護者の方も困ることがあれば、担任の先生に相談できると思います。こんな感じで私はS高の生活に不満は全くありません。オンラインコースなので、そもそも自分が高校生である自覚も薄いです。勉強も部活も人間関係もストレスがほぼないので、通信制高校のスタイルが私には合っているのでしょう。日中やりたいことがある人、勉強や人間関係などのストレスが嫌な人、マイペースに生きたい人にはN高・S高は最高にいいと思います。執筆:加藤路瑛(監修・初川先生より)S高での1年間の詳細なレポートをありがとうございます。N中、N高、S高について、興味関心を持っている不登校の中学生やその保護者の方は多くいると思うので、その方々からすると、学校からの公式案内だけではわからない、リアルな生徒の声を知ることができてとても参考になったことと思います。高校生活に何を求めるか、高校生活で何をしたいか、そのあたりを考えるきっかけがたくさんありましたね。
2022年02月10日進路指導は高校2年生からわが家のASDのある息子タケルは、大分市の私立の中高一貫校に通っていました。その学校を選んだのは、進学指導について実績があったことと、少人数制で先生方の面倒見がいいという評判があったためです。実際に通ってみると、1クラスしかないので、とても静かだったこと、ずっとクラス替えがなく人間関係の変化が少なかったことなどが大変良かったなと思いました。本格的な進路の指導は、高校2年生のときに受けました。タケルの目標は、子どものころから「生き物ハカセ」になること。希望の学部は理学部となります。2年生の2学期の三者面談の資料とするため、夏休み前に「希望の学部が決まっている人は、大学名も書いてください」と書かれたプリントをもらったのですが…。Upload By 寺島ヒロ大学のレベルとか評判みたいなことは私たちにはよく分からないので、オープンスクールに行って障害のある学生への支援の様子を見て決めよう!ということにしました。なお、プリントはいったん白紙のまま提出しました。オープンスクールとは、大学がキャンパスを高校生などに開放し、学校の様子やカリキュラムを知ってもらうために開くイベント。大体、夏休みから秋ごろにかけて開催されます。いざオープンスクールに行こうと、インターネットで調べてみると、理学部はあちこちの大学にあるけれど、基礎研究をやる生物学科となると実はそう多くないことが分かりました。生命学科、生物化学科、生物環境科…などは、タケルに言わせると似てるけど微妙に違うのだそうです。とりあえず、タケルの興味のありそうな研究をしている6校に絞り、順番に回っていくことにしました。が、結局は6校も行くことはなく、2校目にオープンスクールに行った公立の学校をタケルは気に入り「ここを受けたい!」「浪人してもいい!」と、いうことになりました。なったのですが…苦手科目を克服しないと…!さて志望校も決まり、意気揚々と挑んだ2学期の三者面談。Upload By 寺島ヒロUpload By 寺島ヒロ発達障害のある子どもの場合、興味のない教科は極端にできないということは「あるある」ですが、タケルも例にもれず、英語だけが極端に苦手だったのです。先生によれば、数学など問題数の少ない教科は、例えば4問しか出ない場合、2問見たことのない問題が出ると50%しか点が取れないことになる。しかし英語は問題数が多いのでこういう失敗が少ない上、70%ぐらいは暗記で解けるので、大学受験においては非常に重要とのこと。先生は「英語が普通の点数になれば合計点がぐんと上がります。伸びしろと思って頑張りましょう!」と言ってくれたけれど…タケルはしぶ~い顔…Upload By 寺島ヒロUpload By 寺島ヒロそう、タケルは楽しいから勉強しているだけ…!大学に行くのも、良い環境で勉強や研究ができるからいいなあ、とぼんやり思っているだけ。あれとあれをやっておくと次にこれが有利になって、これがあればいい点が取れて…みたいな受験のプロトコルを踏まえて言っているわけではないのです。どんなにテストができても、研究への情熱があっても、タケルはタケル。学校からもらう入試対策のプリントなど「興味がないから」読んでるはずはありません…。結局、先生との「英語、頑張れ」の話は平行線のまま、その場は終わり…。私はタケルに、受験での英語の重要性を理解してもらうにはどうしたらいいのかなあ…と頭を抱えていました。ところが…数日後、タケルが朝早く起きて英語の勉強しているのを見かけました。今まで、家では英語の勉強なんて全然やっていなかったのに!「学術論文は英語じゃないといけないから、もっと点数取れるようになっておけって。それで、とりあえず英検を目指せって、先生に問題集もらったから」と、タケル。目からうろことはこのこと…!たくさんの受験生を見てきた先生は、タケルには「受験において英語が重要だ」ということの理解が難しいことを見抜き「理解してもらう必要はない。英語の実力をつけさえすればいい」と考えたのでしょう。目標を設定して、こなすべき具体的な課題を与えるというのもタケルの特性にかなっています。さすが先生だ!!と感心しました。なお、その翌年、タケルは英検を2級まで取得し、希望の大学にも合格することができました。タケルも頑張りましたが、やはり先生の作戦のおかげだよなあと思います。執筆/寺島ヒロ(監修:井上先生より)思春期に「勉強する意味が感じられない」と言うお子さんは少なくありません。寺島さんとタケルさんのように、事前に大学で学べることを調べてオープンスクールに行くというプロセスはとても大事です。将来やりたいことが決まっているお子さんはオープンスクールに行くことで現実感を持てますし、その分野の第一線で活躍している先生たちと話すことでやる気が出やすくなります。合わせて、自分がやりたい分野では論文を英語で書く必要がある、英語で書かれている文献が多いといったことが分かると、自分で勉強できるようになりますね。志望校が決まれば、高校や塾の先生との勉強方法や対策についての相談もスムーズです。また、オープンスクールでは障害学習支援室などがあるかも確認すると良いでしょう。
2022年02月09日「できる」「できない」のギャップが気になったら私は、発達が気になる子どもたちの幼児期や学齢期の心理的支援の仕事に長年携わってきています。1992年から在籍した横浜市総合リハビリテーションセンターでは、児童精神科医の佐々木正美先生、発達精神科医の本田秀夫先生とともに20年以上、発達障害のある子どもや大人の支援に取り組みました。その中でたくさんのご本人・ご家族との関わりから教わった、ライフステージを通じて大切にしたいことの中から、今回は幼少期の子どもに対して家庭で取り組みたいことをお伝えします。お子さんが就学を迎える際など、ライフステージの変わり目では特に、お子さんの「できる部分」と「できない部分」のギャップが気になったりしませんか?保護者のみなさんが「できるようになってほしい」「できることを増やしたい」とお感じになるのは当然のことと思います。また「できる」を増やすための働きかけは、お子さんにとってもプラスになります。そこで、働きかけにあたって、ぜひ気をつけてほしいことがあります。それは、お子さんのペースに注目することです。「マイペース」という言葉がありますね。私たちは誰もが「自分に合ったペース」を持っています。そのペースは、人によって違います。テンポよくどんどん取り組みたい人、時間をかけてじっくり取り組みたい人…みなさんも自分にとって心地よい、ゆとりを持って取り組めるペースをお持ちではないでしょうか。そのことは、お子さんも同じです。自分のペースを崩され周りに合わせてばかりの状態が続くと、どうですか?「ゆっくり過ぎて、つまらない」「急かされて、とても焦った」…おそらく、ストレスが溜まることでしょう。マイペースと聞くと、よくないイメージがあるかもしれませんが、マイペースを保障されることは、実は心の健康にとって、とても大切なことなのです。幼少期(幼児期~小学校低学年)のお子さんは、「自分に合ったペース」がどれくらいなのかを、よく分かっていません。自分のペースが乱れたときに、周囲に対して「もっと早くして」または「ちょっと待って」など、大人のようにパッと伝えることもできません。ですから、お子さんが自分のことを分かって伝えることができる年齢(おおむね小学校高学年以降)までは、周りの大人がその子の「マイペース」をよく理解して合わせてあげること、すなわち「保護的な環境」が大切です。保護的な環境の中でこそ、お子さんは安心感を持ってさまざまなことにチャレンジしたいという気持ちになります。苦手なこと、できないことでも「やってみよう!」と思えるようになるのです。幼少期に取り組みたいことUpload By 日戸由刈お子さんの発達が気になるとき、家族は何から取り組んだらよいのでしょう。言葉の発達を伸ばすための声かけ?手先を器用にするための練習?いえいえ、家庭の中でもっと簡単にできる、とても基本的なことがあります。たとえば幼少期では、家族の「ちょっとした」コミュニケーションを心がけてほしいのです。朝、起きたときに「おはよう」という言葉を交わす、物を取ってもらったときに「ありがとう」と返す、うれしいこと・楽しいことがあったときに「よかったね!」「楽しかったね」「うれしいね」と分かち合う。日常場面には、人間関係を良好に保つような「ちょっとした一言」があふれています。これらを丁寧に使ってみてはいかがでしょう。お子さんの中には、繰り返し教えても、こうした一言がパッと出てこない子もいます。教えても身につかない…と否定的に考えるのではなく、「いつか、使えるようになるだろう」という気長な構えで、保護者のみなさんがお手本を示し続けてください。「ちょっとした一言」は、魔法の言葉です。日常場面で、繰り返しこうした言葉に触れることで、お子さんの中に「人間関係って、こういうものなんだな」という土台がつくられていきます。幼少期のお子さんを育てている保護者の方には、まだピンとこないかもしれませんが、実はこの土台こそが、生涯を通じてお子さんに大きな影響を与えます。これは20年余りの現場経験の中で、たくさんの親子を見てきて感じていることです。ちなみに、「ちょっとした一言」は、家族の関係を円満にする効果や、保護者のみなさん自身のイライラした気持ちを切り替える効果もあります。ぜひ試してみてください。幼児期、学齢期、青年期…どのステージでも大切なこととは幼少期から青年期まで、多くのお子さんとその保護者を支援してきた過程の中で学んだ、ご家族とお子さんとの関わりを、このたび書籍にまとめました。新刊『発達が気になる子の子育て10か条ーー生活スキルやコミュニケーションを伸ばすコツ』では、幼少期の関わりの基本を、「ちょっとした一言」についての第1条のほか、第7条までにまとめました。また、第8条から第10条では、小学校高学年から青年期までの子育てで大切にしたいことにも触れています。高学年以降については、別のコラムでそのエッセンスをご紹介したいと思います。幼児期、学齢期、青年期のどのステージにおいても大切なことを、ギュッと詰め込んだ1冊ですので、それぞれのお子さんのペースに合った育て方のヒントとして、ご参考いただければ幸いです。執筆/日戸由刈
2022年02月08日同い年の子にあまり興味のない娘。そんな娘にもお友達ができて幼稚園に入園し、娘は先生にべったりの様子でした。お友達が遊ぼう、と寄ってきてくれてもあまり興味を示してないよう。娘は昔から子どもよりも大人に安心感があるようでした。そんな娘にも唯一「もんちゃん」というお友達ができました。お互いの家を行き来したり公園で遊んだり。その光景を私もうれしく眺めていました。Upload By とまぱんここで怒るの?娘の謎の怒りスイッチ娘にお友達ができて喜んだのも束の間。娘は毎回もんちゃんとケンカばかり。そんなに怒らなくてもいいのに、という場面で娘がすぐに怒ってしまいます。おもちゃの取り合いはほかのお子さんでもよくある話ですが、娘はおもちゃの取り合い以外にも独特なところで怒ったりするのです。例えばもんちゃんのおうちにお邪魔したときのこと。もんちゃんが私たちを招き入れようと玄関の門を開けてくれました。Upload By とまぱんうちはマンションなため娘は門が珍しかったのでしょう。自分で門を開けてみたかった娘は怒り始めました。もんちゃんが親切に開けてくれたにも関わらず娘はたちまち不機嫌に。もんちゃんはなんで怒るの?と不思議に思ったことでしょう。Upload By とまぱんそう声をかけても機嫌が直らない娘。「じゃあ帰りはとまちゃんが開けようね」と、もんちゃんのお母さんも声をかけてくれましたが、娘は気持ちの切り替えがすぐにできませんでした。娘は4歳になった今でもエレベーターのボタンを絶対に自分で押したがります。今回の門もそうですが、娘は4歳ごろのお子さんにはもう興味がないであろうものにまだ強い興味と執着心があるのです。家の鍵の開け閉め、電気のスイッチなどもそうです。一人ぼっちにされたと思いまた癇癪に...あるとき、もんちゃんと娘が滑り台で遊んでいて、もんちゃんがふと滑り台を離れてシャボン玉で遊び始めました。娘は取り残されたことで不安になったのでしょう。もんちゃんが怒って行ってしまったと勘違いしたのかもしれません。そこからまた癇癪が始まってしまいました。Upload By とまぱん「もんちゃんはシャボン玉で遊びたくなっただけだよ。とまちゃんも一緒にシャボン玉やる?」と、私がどんなに言っても娘の耳には入ってない様子。なんでうちの子はちょっとしたことですぐ怒ってしまうんだろうと疲れてしまいました。やっぱりこれ。娘の気持ちを切り替える必須アイテム娘が怒り始めるとあるものを使います。やっぱりこれ、お菓子です…(笑)私はもんちゃんと遊ぶときは、必ずお菓子を忍び込ませています。いつも食べてるものではなく、新発売のものなどちょっと目新しいお菓子です。初めて見るお菓子に娘は一瞬で怒りがストップ。言葉で伝えておさまればベストですが、伝えても切り替えがうまくできないうちは開き直ってお菓子に頼ろうと思います。もんちゃんのお母さんも娘がギーギャーしたときは「2人で特別なお菓子食べよう!!」と言って用意してくれており…。ありがたい限りです。また、もんちゃんのお母さんが「あ!これ見て見て!!」と言って娘の気をそらしてくれたり。Upload By とまぱんしょっちゅう娘が怒っている中、最後には仲直りしお別れのぎゅーをしてる2人。もんちゃんのお母さんの協力があってこそです。人によっては「この子いつも怒ってるし、もう娘(息子)と遊ばせるのはやめよう...」と思うお母さんもいるかもしれません。そんな中、広い心で見守ってくれるもんちゃんのお母さんには感謝です。もんちゃんも娘が怒ったあと切り替えが早く「とまちゃん仲直りしよ」と言ってくれ…。そんなお姉さんなもんちゃんにも何度も助けられています。今は年少だけど、これから年中年長になると友達関係も複雑になってきます。「そうなったら娘はどうなるのだろう、こんなに怒ってばかりでお友達が離れてしまったら…」という不安でいっぱいです。でも娘も、1年前よりは少しずつこちらの言っていることを理解して感情をコントロールできるようになりました(本当に少しずつですが)。そんな娘の成長も受け止め根気強く娘に向き合っていけたらと思います。執筆/とまぱん(監修:井上先生より)小さい子のお友達関係は、大人から見ると冷や冷やすることが多いかもしれませんが、子どもは大人ほど気にしていないこともありますし、むしろ後ろにある親同士の関係が影響する場合があります。とまぱんさんのように親同士の信頼関係があると気持ち的には楽になると思います。このコラムのように、お子さんの特性や自分がやりたいことを遮られると不安になりやすいことなどを、相手のお母さんが理解してくれていることが大事だと思います。気持ちの切り替え方法としては、気そらせが一番良いですね。お菓子は、癇癪パニックになるとお菓子、という学習をしてしまう可能性もあるので、最終手段にできると良いですね。親同士の理解があれば多少のトラブルは、対人関係の学習には良いと思います。お子さんが落ち着いたあとで、ルールや理由をゆっくり伝えてあげてください。
2022年02月08日調理実習の宿題は、調理以外にも大事な作業があって…!?Upload By 丸山さとこ小学校から学習用にタブレット端末が貸与されるようになった今、リコーダーの演奏や英語のスピーチなど「家庭で撮影した画像や動画を提出する」という宿題の形も見られるようになってきました。演奏やスピーチなど”発表する姿”を撮影して送信する宿題もあれば、調理実習など”途中過程を撮影してレポートに組み込んだもの”を送信する宿題もあります。Upload By 丸山さとこ特性からパニックになり硬直して呆然とし始めたコウに指示を出しても混乱すると思ったので、彼を一度その場から少し移動させてから、私は”調理実習で使ったものと同じ食材”を取り出して調理台の上に並べました。私が「これを撮ればいいよ」と勧めると、コウは怪訝そうに「これは(今つくりかけの料理で)使ってるものじゃないよ」と言いました。Upload By 丸山さとこ「確かに今使っているものではないね。じゃぁ最初からもう一度つくる?」と聞くと、『今つくっているこれが宿題の調理だから、やり直すことはできない』ということを繰り返し主張し、コウは頑なに拒みました。”宿題として今つくっている料理”と、”調理された食材の調理前の写真”にこだわり身動きがとれなくなってしまったコウに、「今調理に使っている食材と同じ物だから大丈夫だよ。同じ袋から出したジャガイモだし、ベーコンもセットで売ってたものでしょ? だからいいの」と少し強引に説得すると、しぶしぶといった調子ではありますが、コウは「そうか…」と言って作業を続けました。料理が出来上がってくるに従って「いい匂いがしてきた。美味しそう!」と表情もゆるみ、無事に盛りつけまで終えて写真を撮り、宿題を提出できました。Upload By 丸山さとこ普段とは違うことをしていると浮き彫りになる”苦手”と”成長”コウは普段から料理をすることが多く、レシピを見ながら料理をつくることも珍しくはありません。また、タブレットを扱うことにも慣れていますし、タブレットで撮影した画像や動画を学校に提出することもたびたび経験しています。ですが、一つひとつは簡単なはずの作業であっても、複数を同時進行で行うことは彼にとっては大きな負担のかかることなのかもしれないなと思いました。Upload By 丸山さとこまた、今回は”大きな負担”によって『不得意だけでなく成長も見えたな~』と感じる部分もありました。一度はパニックになりかけたものの落ち着くことができたコウに「どうして落ち着いて作業を再開できたの?」と聞くと、「実際にタブレットの画面を見たら『これで大丈夫だ』ってなったんだ」と返ってきました。Upload By 丸山さとこ言葉にすると簡単なやりとりですが、パニックになりかけたときに”人の言葉を聞いて差し出されたものを見る”ことはコウにとっては難しかっただろうと思います。それに加えて”タブレットの画面を見て「これで大丈夫だ」と受け入れられた”ということは、大きな変化だなと思いました。私がそう言うと、コウは「僕にもなんでそうなったか分からんけど、気づかない間に成長したんじゃない?」と言って笑いました。『親も本人も気づかない間に、じわ~っと成長していたのかもしれないな~』と思う、”調理実習写真撮り忘れ事件”でした。執筆/丸山さとこ(監修:井上先生より)タブレット端末で写真を撮ってそれを宿題として提出するというのは、学校の取り組みとしてとても進んでいますね。さとこさんがご指摘のように何かしながら、必要な場面だけを撮影するというのはとても難しい作業だと思います。そのような中でもお母さんの助言を聞き入れて、作業できたことはコウ君のすばらしい成長ですね。2つのことを同時並行で作業することは、難しいことです。しかし、それが『好きなこと』で、なおかつ『先に計画しておくこと』ができることであれば、要領よく作業できるかもしれません。今回のような料理をしているところを撮影するという場合ですと、(1、材料を並べる2、材料を並べたたところ撮影する3、材料を切る 4、材料を切ったところを撮影する…)などといった手順を、先に紙に書いておき、それを手元に置きながら作業をする方法があります。作業を始める前に必要な手順を書いておくことで、重要なことを忘れず、慌てずに作業ができるかもしれません。タブレット端末を使った学習は、多角的な視点で大切なことを学べるチャンスだと思います。作業をする、撮影をする……などの複雑な手順を行う体験にもなりますし、撮影をする中で写りこんではいけないものはないか、写っている人の許可は得ているか……などプライバシーについて学ぶこともできます。まだ、学校でも家庭でも試行錯誤しながら学習していると思います。はじめのうちはうまくいかないことがあっても、だんだんと上手になる過程を大切にすることが大事ではないかと思います。
2022年02月07日マンガで感覚過敏を学ぼう!マンガで分かりやすく発達障害が学べる『マンガで学ぶ発達障害』シリーズ。今回は感覚過敏、感覚の鈍感さなどの感覚の偏りについてまとめてご紹介!一体どのようなパターンがあるのか、発達障害との関連や子どもにもし気になる行動があったらどうする?など、公認心理師の井上先生の解説とともにご説明します。感覚は、個人の主観的なものであり、個々によって刺激の受け取り方はそれぞれです。そのために、感覚の偏りがある人の困難さは、ほかの人からは理解されにくいものです。感覚の偏りの4つのパターンを知って、客観的な把握をすることで安心して過ごせるような環境をつくっていきましょう。感覚過敏のある人に起こる、五感や固有感覚、平衡感覚についての症状をそれぞれ解説。感覚過敏と発達障害との関係性についても説明します。子どもの行動が気になったときには、まず何をすればいい?保護者のできることや対応方法などを解説。子どもの感覚の偏りを知ることで、日々の子育てに役立てることができたり、幼稚園や保育園、学校の先生に具体的なサポートをお願いしたりすることができます。まとめ感覚の過敏がある子どもに対してはまず環境調節が大切だと言われています。子どもの様子をよく見て、どのような刺激が苦手で、それがどのように引き起こされているのかを周囲の大人が知っておくことが重要です。特性を理解することで、家や保育園、幼稚園、学校での必要なサポートが分かり、子ども自身の過ごしやすさにつながっていきます。
2022年02月06日0歳からすぐに役立つーー『新版赤ちゃんの発達障害に気づいて・育てる完全ガイド』発達障害の兆しは乳幼児から現れるともいわれています。また、発達障害の可能性がある場合、早期に適切な対応につなげることは望ましいとされています。この本は、2009年に発行した『赤ちゃんの発達障害に気づいて・育てる完全ガイド』を見直し、新しい情報を加えた新版です。困りごとの実例集や、具体的な対応方法がイラスト入りで分かりやすく解説されています。1歳6ヶ月児用、3歳児用の記入式を活かすことで子どもの傾向とその子に合った適切な接し方を知ることができます。専門家だけでなく、子育てに悩む保護者におすすめ。正しく専門家につながるために参考になる一冊です。怒りと仲良くなろうーー『子どものためのアンガーマネージメント・ワークブック:イライラ、ムカムカとうまくつきあう50のトレーニング』「アンガーマネジメント」を知っていますか? これは、1970年代にアメリカで始まった、「怒り(アンガー)」をコントロールする心理療法プログラムのことをいいます。「怒り」は、「うれしい」「悲しい」「こわい」と同じで誰もが抱く感情です。でも、その「怒り」のコントロールがむずかしくて困っているお子さんもいるかもしれません。この本は、アメリカでベストセラーになった子どものためのアンガーマネジメント・ワークブック。ワークブックにそって「怒りのなぞ」を紐解くことによって、「イライラ」「ムカムカ」と上手につきあうヒントを得られます。謎解きをするように楽しんでほしい!怒りを抱えて困っているお子さんにおすすめです。今日の気分でぬってみてーー『ガストンのきぶんをととのえるぬりえ』フランス発、子ども自身で感情をコントロールするメソッドを教える人気の絵本シリーズがぬりえになりました。主人公はユニコーンの子ども、ガストン。ガストンは「しあわせ」「おこってる」「こわい」「はずかしい」…などなど気分によってたてがみの色が変わります。「ガストンはいろいろなきぶんをもってる。それはきみとおなじだよ」ガストンのたてがみをあなたの気分の色にぬってみよう!ぬり終わったら、思わずにっこりしてしまうかも。記録文、説明文、感想文などさまざまな作文に対応ーー『これで書ける! サクサク作文サポート[小学校編]』発達障害の特性により「作文が苦手」というお子さんは少なくありません。その背景には、認知の特徴や、言語の問題があるのではないかといわれています。この本では、そのような作文が苦手な子どものサポート方法が具体的に解説されています。作文といっても、さまざまな様式があります。「記録する文」「説明する文」「感想を書く文」「物語」「紹介する文」「推薦する文」「報告する文」「提案する文」「意見を書く文」。この9つの様式それぞれの作文例、書き方のポイント、子どもにとって難しく感じるポイント、指導のコツをていねいに解説。支援者が活用しやすいだけでなく、家庭でのサポートにも役立つ一冊です。小児科医が描く発達障害のある女の子の物語ーー『ひまりのすてき時間割』主人公のひまりは、忘れ物一番、ケアレスミス一番、ケンカっぱやいの一番……困りごともたくさんあるけれど、周りを明るくするほどに元気いっぱいの女の子。ひまりが小学校6年生のとき、ある出来事が。その後、ひまりにADHDと自閉スペクトラム症があることが分かります。さまざまな出来事に落ち込むひまりでしたが、ある日幼馴染の真由に『ひまりのすてきな時間割』と書いたノートを手渡します。そのなかに書いてあったのは…?著者の井嶋敦子さんは、秋田市今村記念クリニックで小児科医として働く小児科医でもあります。医師ならではの専門的な知見と、著者が伝えたい想いが物語の中にたっぷり描かれています。主人公のひまりが「発達障害」とまっすぐに向き合う姿、友達との関わり合いに勇気をもらえることでしょう。子どもから大人まで読んでほしい一冊です。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!
2022年02月05日一般社団法人日本ビジョントレーニング普及協会(本部:大阪府大東市、代表理事:久保田 実希、理事:横田 幹雄)は、2020年より大阪府泉大津市の教育委員会と協働で、教員がビジョントレーニングの専門的な知識と技術を習得し、特別支援教育に関わる教員が特別支援の授業の中で活用・実践できるようになるための、従来なかった民間プロトレーナーの実践スキルを習得する研修をスタートしました。公式サイト: 研修風景1研修の実施期間は2020年度から3年度の2年間にわたり、「児童の視覚機能と認知能力」、「感覚統合による児童の発達」などの専門的なテーマを全8回に渡っておこなわれました。研修はコロナ禍の中でありましたが、感染対策をしっかりとおこない、対面で実践的におこなわれました。2021年10月に研修のすべてを終え12月に受験希望者24名が認定試験を受験。2022年1月に認定試験の合否が発表され、みごと受験者の全員にあたる24名の教員が合格し、当協会の発行する認定資格と認定証が2月1日にが授与されました。泉大津市ではビジョントレーニングを発達に課題のある児童・生徒への指導・支援に生かしていくことを目指しており、現在は学校内の通級による指導においてビジョントレーニングの実践と効果に検証をおこなっている。詳細は下記をご覧ください。取り組みの骨子は以下の3つです。〇公民連携で全国初となる、自治体の就学前施設、小・中学校の特別支援コーディネーター、通級教室の指導担当教員等を対象に集団研修をおこなう。(当協会として全国初の取り組み)〇教員に専門的な知識やスキル、プログラムメソッドを学ぶために研修費用を市教育委員会が負担し、個々の専門的スキルの向上を応援。(2カ年継続研修は教育委員会として初の取り組み)〇講座修了者で希望者には、学科と実技の認定試験を用意し、合格者には一般社団法人日本ビジョントレーニング普及協会よりビジョントレーニングの専門家として、合格された教員のそれぞれに認定資格証を授与(自治体として全国初の取り組み)資格名:一般社団法人日本ビジョントレーニング普及協会認定就学前・小・中学校教員 ビジョントレーナー資格(泉大津市の教員限定)※初の取り組みについては当社調べ認定証(サンプル)【ビジョントレーニングとは?】私どもが普及に努めている「ビジョントレーニング」は、人間に本来備わっている「見るチカラ(視覚認知機能)」を目覚めさせ、それを鍛えることによって、集中力や判断力、運動能力や情報処理能力など、さまざまな能力を向上させていくプログラムです。欧米では80年以上前から実践されてきたものですが、最近では日本国内でも、注意欠陥多動性障害(ADHD)や学習障害(LD)、読み書き障害(ディスレクシア)などの発達障害が見られる子どもたちの課題改善・克服に活用され、教育現場ではその効果が注目を集めるようになってきました。例えば、漢字を覚えるのが苦手な子、算数の計算が苦手な子、あるいは、エスカレーターに乗るときに不安を覚えるなど、日常生活に必要な身体の動きができていない子 ――そうした子どもたちが数カ月間~1年間のビジョントレーニングよって、それぞれのつまずきを改善、解消していったという事例はたくさんあります。このトレーニングの目的は、子どもたちの心と身体の発達を促し、学習能力と運動能力の土台を育てることによって健やかに成長して「生きる力」を身に付けさせることです。【日本のビジョントレーニングの歴史は始まったばかり】私ども「一般社団法人日本ビジョントレーニング普及協会」の設立は2018年。ビジョントレーニングの普及が子どもたちの未来を変えることにつながると考え、トレーニングスタジオの運営。また、地域の教員を始め様々な職種の方を対象にした講座、保育園や小・中学校でのビジョントレーニング講演会といった活動をおこなってきました。次第に私どもの一連の活動は、地元大阪府内の教育委員会から高い関心を寄せられるようになり、ビジョントレーニングの教育現場への普及を行う協働プロジェクトが次々に立ち上がるようになりました。今回皆様にご紹介する大阪府泉大津市とのプロジェクトもその一つです。【このプロジェクトは全国的にかなり画期的】教育委員会が一般社団法人との協働で研修を運営すること自体が画期的と言えますが、教育委員会主催で民間スキルを特定の方に習得していただく研修はほかに例がありません。同様のプロジェクトは大阪府内の他の自治体とも立案中で、まさに大阪がビジョントレーニング普及の発火点となり、発達支援の先進地として日本全国の子どもたちの未来を拓いていくことを私たちは願っています。日常生活や学習で、つまずきを克服できない多くの子どもたちのために、ぜひ多くの方に、泉大津市と私ども協会の協働プロジェクトに関心を持ってくださり、この活動の意義を広く理解していただくことにご協力を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。【法人概要】商号 : 一般社団法人日本ビジョントレーニング普及協会代表者: 代表理事 久保田 実希所在地: 大阪府大東市諸福1-12-12 From Earth Kids 2階設立 : 2018年11月14日URL : 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年02月04日見通しの大切さこれまで、発達障害の勉強会に参加すると何度も「見通しの大切さ」について学ぶ機会がありました。スケジュール表をつくって日々の予定を伝える工夫をすること。イラスト、写真、文字などその子に伝わりやすい方法を用いること。ものごとを教える時は手順を細かく分けた手順書を作るといいこと。外出時は特に。変更の可能性も含めて事前に予定を伝えておくこと。私にとって、むっくんが診断を受けてからの5年間はそのまま「見通し」の大切さを痛感する5年間だったように思います。日常生活での「見通し」はもちろん、叱られるとパニックを起こしがちなむっくんに「お母さんは〇時〇分まで怒ります!」と伝えると、緊張が解けてパニック回避できたこともあって。こんなとこまで「見通し」か!と、思わず笑ったこともあります。Upload By ウチノコそんなむっくんは8歳になった今も「見通し」が立ちにくい状況が苦手です。「どうして苦手なの?」と聞くと「何が起こるのか分からない状態がとても怖い。嫌なことや怖いことが起こったらどうしよう?って考えてしまって不安になるんだよ。だからできるだけ予定を教えておいて欲しい」と伝えてくれました。むっくんも自分が不安を感じやすいことを自覚しているので、外出時は安心できるアイテムを持ち歩くなどの心の平穏を保つ努力をしています。今では出先でパニックを起こすことはなくなりましたが、それでも予定を伝え忘れたり急な予定変更をしてしまうと強い疲労感をいだく様子で、帰宅後に不安定になることも多々あります。分からないことは怖い。見えないものは怖い。むっくんに「見通し」を伝えることは「見えない未来」を「見える未来」に変えることなのかもしれないなぁと感じています。見通しの立たない怖さを想像するいったい彼は見通しが立たないことをどんなふうに感じているのかな?なんて思っていたある日。私は出先から帰宅するために夜道を一人で歩いていました。そこは普段通らない慣れない道で、街灯は少なく薄暗くて周囲の様子が見えません。なんだかこわいな、スマホで地図確認しようかな?なんて思ったとき。ああ、そうか。むっくんはこんなふうに感じているのかもしれないと、ストンと腑に落ちたのです。Upload By ウチノコUpload By ウチノコUpload By ウチノコ見通しを伝える意味これまで私にとって「見通し」を伝えることは、【癇癪を防ぐ】という意味合いが大きかったように思います。夜道の比喩は私の想像にしかすぎないけれど。むっくんの心に想いを馳せたとき「見通し」とは【本人が怖くないように、安心できるように、楽しめるように】する意味を持つのだと気づくことができました。むっくんとの暮らしは、発見の連続で。8年も一緒にいるのに私はまだまだ彼を理解できていないのだと思います。と言っても、むっくんと私は違う人間だから、何もかも全て理解しあうことはできなくて、寄り添うくらいしかできないのかもしれないけれど。それでも私はもっと深く彼を知り、できる限り理解していきたいなぁと思っています。Upload By ウチノコ執筆/ウチノコ(監修:初川先生より)夜道の比喩、素敵ですね。私も見通しを持つことの良さをそんな風に捉えています。見通しがつかないと不安、パニックや癇癪を起こすことのベースは強烈な不安ともいえます。子ども本人や周りが困ったことにならないように、というよりも、安心して過ごすためにはと考えると、見通しを伝えたり、その余白(例えばウチノコさんの場合には「AがダメならBにするよ」というところまでの幅のある見通しをされていますね)も含めて伝えることがきっとやりやすくなると思います。お母さんが怒る時間(怒り終わる時間)まで伝えてこられたという積み重ねも素敵ですね。つらい時間は長く感じるものなので、大好きなお母さんを怒らせてしまったら、その時間が延々と続き大変なことになってしまったと感じるでしょうが、実際には大人の気持ちは切り替えられるものなので、目安を伝えるのはお子さんにとっては大切な“世界のルール”なんだろうなと感じます。最後に書かれている通り、最終的には独り立ちしてやっていくことを考えると、自分で見通しを立てる、その方法を伝授してゆくフェーズが来ます。ウチノコさんはむっくんに“道を照らす方法”を伝えながら一緒に照らしてゆく(一緒に見通しを立ててゆく)段階に入られてきているのですね。
2022年02月04日特別支援学校高等部卒業は、中卒扱い?「特別支援学校高等部卒業だと、就職するとき中卒扱いとなってしまうから不利になると聞いたよ」と知人から言われたことがあります。本当にそうであれば、「(高卒扱いとなる)高校へ行かせたい」と悩んでしまう保護者の方がいるのも無理からぬことだと思います。ですが、特別支援学校高等部を卒業すると、履歴書に書く学歴としては「特別支援学校高等部卒」になります。果たして本当に企業就労するときに不利になるのでしょうか。企業に求められる人材とは以前、障害がある子どもの就職についてのセミナーに参加したとき、企業が求める人材について聞きました。人事の採用者がご自身の考えをこのように述べられていました。「”○○ができる/できない”ということではなく、仕事をする上で知ったかぶりをしないで、素直に『分かりません』、『助けてください』と言える人、そう言う人が結果として長く勤めています。質問することを恥ずかしいと思ったり、注意を受けるとふてくされてしままったり、素直に聞けない場合、対応がなかなか難しいです」ということでした。そのためには、劣等感を感じず、自信を持てる学生生活を送ることができる環境に進級することが大切なのではないかと感じました。特別支援学校高等部での進路指導息子は高等部卒業後の進路希望先は就労移行支援事業所を希望していました。そのため、学校での個人面談前にこの用紙を提出しました。Upload By 立石美津子希望した就労移行支援事業所は、住んでいる行政区から少し離れた行政区にありました。面談日に進路担当の先生と担任から「私どもは(学校のある)〇〇区外の事業所について詳しくなかったので、午前中にお母さまが書かれたご希望の就労移行支援事業所を見学に行ってきました。見学をしないで、本日の面談で話ができないと思ったので…」と言われました。私「え、見に行って下さったんですか、先生、お忙しい中、わざわざ息子のために足を運んで下さりありがとうございます!」先生「進級希望先は保護者の方が直接交渉するよりも、学校長の名前でまず実習希望を依頼した方が先方の心象もいいことが多いです。仮に実習できたとしても、実習後、内定が出なかったら次の策として、区内の実習先で○○と○○がありますので、そちらに行って…」こんな風にドンドン決めてくれます。最後に担任と進路の先生から「お母さま、今日は寒い中、お忙しい中、お越し下さってありがとうございました」と言われました。(おい、おい、それはこっちのセリフ、先生方、息子のためにいろいろと考えて下さり、本当に感謝しています!)と私は心で叫び、頭を下げました。このやりとりを普通科高校に障害のある子どもを通わせている知人に話をすると「過保護すぎる学校!」と言われてしまいました。でも、私は(過保護でもありがたい。親の力ではできないことを、学校側が交渉してくれているのだから…)と心の中で思いました。情報が入らない地元の公立中学の特別支援学級で同じクラスだったお子さんが普通科高校へ進級しました。道でばったり会ったとき、お母さまが卒業後のことを悩んでいました。私が“就労移行支援事業所”の説明をすると、「それなあに?」との返答。「障害がある生徒が少ない学校に在籍していると、保護者にも情報が入らないのだな。就職指導でも障害がある人向けの就労先の案内などはなさそうだ」と感じ、改めて”特別支援教育を受けられる恵まれた環境”に感謝したことを思い出します。スペシャルスクール私の知人のお子さんで、特別支援学校高等部を卒業して、企業就労して8年目の人がいます。自分の苦手を知り、できないことについては、周りの人に頼ったり質問したりできます。言われた仕事をきちんとこなせ、注意や指摘されても素直に受け取り働き続けています。「普通科高校や商業科高校などに行った方が伸びるのではないか」と漠然と考えるのではなく、わが子の特性や障害の程度を見極めて進路を選ぶことが大切だと思います。学校生活の中でコミュニケーションや生活力を高める教育を受け、就労についても手厚い支援を受け、職業訓練や適性を見極めえ指導してもらえる特別支援学校高等部の利点にも目を向けていただけたらと思います。障害者雇用枠であっても卒業すれば否応なしに、すざまじい競争社会に放りだされるでしょう。そのとき、母校での安心安全を確保されていた経験がそれを乗り越えるエネルギーになるのではないでしょうか。学生生活最後の3年間を過ごす高等部、無理をさせることなく、わが子が自信を持って楽しく通える場所を探してほしいと思います。執筆:立石美津子(監修・鈴木先生より)息子さんの目標の中にあった「指示を最後までしっかり聞いて作業する」ことは、ADHDのある人にとっては困難なことなので、ADHDがあれば早めに治すことも必要になりますね。私の診ている患者さんのケースの中にも、保護者の思いから、特別支援学校高等部へ進学するのをためらうケースが毎年みられます。そういう保護者の方には、特別支援学校に所属している特別支援教育巡回相談員が地域の小学校に訪問して相談にのってくれるという都道府県の事業を紹介しています。神経発達症(発達障害)に理解の乏しい高校へ進学して情報が入らないよりも、理解があり地域の企業や事業所などともつながりのある特別支援学校で、社会性を身につけさせ、さらには就労支援までしてもらうという手もあるのです。実際に特別支援学校へ進学された方は、最終的な就職率はいいとされています。大切なのは「教育&就労環境」です。お子さんが今どのような状態でどのようなことができるのか、そして何がお子さんのためになるのかという基準で進路を考え、導いてあげてください。(「発達障がいに困っている人びと」鈴木直光著幻冬舎ルネッサンス新書より一部抜粋)最近はまだ少ないですが、神経発達症(発達障害)に理解のある私立高校や通信制の高校があり、集団が苦手なお子さんは「少人数または一人でも学習のできる環境」のある高校を選ぶ傾向にあります。知的なレベルにもよりますが、中学時代に不登校だったお子さんもそうした高校へ通うと、皆勤となっているケースも多くあります。学校も社会も「障害に理解のある環境」が重要ですね。
2022年02月03日家庭は「落ち着けない場所」アルコール依存の父とDV母Upload By 桑山 知之manaさんは、公務員の父親と保険などの営業を行う母親のもとで、2人姉妹の長女として育った。父親はアルコール依存症、母親は包丁を突きつけたり首を絞めてきたりと、たびたびmanaさんに暴力をふるっていたという。喘息などアレルギーにも悩まされた。家庭は「落ち着けない場所だった」と振り返る。「母親に崖に連れていかれたこともありました。家出もよくしていたんですよ、母親は。ただ、そういったことも最近まですっかり忘れていたんです。母親の影響もあって、私のメンタルがやられていたのかなって思い至るようになりました」(manaさん)Upload By 桑山 知之授業中も、椅子に座っていられない不快感や衝動があり、とても苦痛だった。中学1年から不登校気味になり、15歳で小児科の「思春期外来」を受診した。診断は「心身症」。25年以上前の当時は発達障害の認知が今ほど進んでいなかったこともあり、ストレスによるものだと医師から言われた。普通科高校に進んだが、中学3年のころに無理して登校していた影響などから、過食のため胃腸の調子が悪くなり、夏休みの宿題に着手できなかったことがきっかけとなって退学し、通信制高校を転々とした。「自分は人と違う」と自覚した。その後、福祉の専門学校に進み、発達障害について学ぶ機会があった。教科書を読み進めれば読み進めるほど、自分にあてはまることが多かった。家でその話をすると、「知らんほうがいいこともある」と父親に諭された。物をよく失くすなど、どうやら父親も発達障害の特性が見られたらしい。manaさんが26歳のころ、父親はアルコールの飲みすぎなどが原因で、食道ガンにより亡くなった。母親に相続の放棄をさせられたため、遺産を受け取ることはできなかったという。28歳で診断生きづらさと向き合ってUpload By 桑山 知之専門学校を卒業後、高齢者施設に半年ほど勤めたが、父親が倒れてからは仕事を辞め、看病をしていた。父親の死後、就いたのはコンビニ店員のアルバイト。マルチタスクを処理する能力が求められるため、ADHDがある人は苦労すると言われる職種だが、manaさんにはこれが合っていたという。のべ13年間働き、トレーナーも経験した。「バイトで来る人にもいろいろな方がいて。店の様子を把握しながら、その日の進行管理を考えつつ、レジ打ちしつつ、発注書を書いたり、レンジをチンする40秒の間にほかのことをやったり。なぜだかわからないんですけど、自分の傾向がたまたますごく合っていたんですよね」(manaさん)Upload By 桑山 知之専門学校の実習先で知り合った男性と、28歳のころに結婚。その後、ADHDかつ双極性障害だと診断を受けた。また、言語性IQと動作性IQに明らかな違いが見受けられた。不注意で忘れ物が多く、家が散らかってしまうこと、聴覚過敏のことも、特性だと思えば肩の力を抜いて生活できるようになった。現在、8歳の長男と4歳の次男、夫と4人で暮らしている。スマホは紛失補償のある保険に入り、夫や妹がGPSを見られるようにしているほか、予定を詰めないために小さな手帳を使っている。財布がわりの透明なケースは、著名な料理家がジップロックを使っているのをテレビで見て参考にした。Upload By 桑山 知之「家は極力モノを少なくしています。荷物もいっぱい持つとなんだか訳がわかんなくなって落としちゃうので、そもそも減らすっていうか、カバンを小さくしました。学生時代は登山用のリュックサックで登校していたんですよ(笑)」(manaさん)福祉×アートで世の中をより良く学生時代、家庭の方針でテレビはNHKしか見ていなかった。好きだったのはドキュメンタリー。「いろいろな人が世の中にはいっぱいいる」と興味が湧いた。マイノリティと言われる人々の生きざまに、自然と惹かれていた。そんな中、ドキュメンタリーCM『見えない障害と生きる。』をテレビで見て、「生きることを認められている」気持ちになった。育児がひと段落し、昨年夏には障害者支援施設で働いた。しかし猛暑の中頑張りすぎてしまったためか、パニック発作が出た。“日本一暑い町”多治見市は、感覚過敏のmanaさんにとってなかなか酷である。来年度からは、多治見市が委託する「母子保健推進委員」として活動する予定。無理をしすぎないよう調整しながら、障害のイメージを「ポジティブに変えたい」と話す。Upload By 桑山 知之「自分にも見えない障害があって、周りにもそういう人がたくさんいるわけで。もっといろいろなことを知って、パッと見ではわからない困りごとがある人と、行政やサービスを結ぶ活動をしていきたいです」(manaさん)気軽に話せる相手がいなかった幼少期。誰かに助けてもらうという選択肢すらなく、今も当時の記憶は断片的なまま。子どもを社会全体で育てていく、そのチームの一人になりたい。それが当面の目標だ。中でもアートが大好きだというmanaさん。子どものころには、鼻血を出すまで集中して絵を描いていた。引きこもっていたころも、アートに支えられた。「アートには力がある」。福祉とアートをつなげる仕事ができたらと、一歩を踏み出していく。Upload By 桑山 知之Upload By 桑山 知之平成元年愛知県名古屋市生まれ。慶應義塾大学経済学部在学中からフリーライターとして活動。2013年に東海テレビ入社後、東京支社営業部を経て、報道部で記者/ディレクター。2018年から公共キャンペーンのプロデューサーとして「いま、テレビの現場から。」や「見えない障害と生きる。」、「この距離を忘れない。」といったドキュメンタリーCMを制作。主な受賞歴は、日本民間放送連盟賞CM部門最優秀賞、ACC TOKYO CREATIVITY AWARDSゴールド、JAA広告賞 消費者が選んだ広告コンクール経済産業大臣賞、ギャラクシー賞CM部門優秀賞、広告電通賞SDGs特別賞など。取材・文:桑山知之取材協力:若者支援ネットワーク研究会in東海(監修・井上先生より)専門学校で福祉を学んだり、実際にその分野で働いたり、子育てを経験する中で、ご自身の特性や診断に向き合ってきたということは、同じような特性や診断のある人や支援に対して非常に役立つだろうと思います。障害者支援の仕事は、一方では利用者の方々の得意なことにスポットをあてていく仕事だと思います。そういった視点はmanaさんにあっているのではないかと思います。ただ、福祉や支援サービスの現場は過酷な面もあり、合理的配慮が得られにくい場合もあります。ご自身の特性を踏まえて、働く時間や内容をアレンジするなどして、ご自身が無理しすぎない環境を整えることも大切です。職場の中で理解や配慮が得られるようにしつつ、当事者であり支援者であるということを活かし、またご自身の得意な分野でmanaさんらしい仕事を続けていっていただけるよう応援しております。
2022年02月02日一般社団法人青少年ワークサポートセンター広島(広島市東区、代表理事:杉野 治彦)は、2022年3月1日、不登校気味な小・中高生を対象とした個別指導型の学習塾『STUDYWALK(スタディウォーク)』を開業します。スタディウォークは、不登校気味な小・中学生の「復学」や「復学の先にある進学」、「進学の先にある卒業」を目指した学習支援をICT教材やオンラインを活用しながら、「卒業の先にある自立」までを見据え、「社会性(力)を身につける」支援を、生徒ひとりひとりの不登校状況や進度、理解度に合わせた「寄り添い型個別指導」によって行います。スタディウォークでは、通塾による「勉強」だけではなく、オリジナルプログラムによって「様々な社会(家族・学校・ともだち・クラブ活動・etc)とのつながりをしっかりと構築できる力」の育成も並行して行っていきます。なお、現在、無料相談・無料体験を受け付けています。★現在、無料相談・無料体験受付中!通塾学習(イメージ)お子さまの進度に合わせて(イメージ)訪問学習支援(イメージ)◎STUDYWALK(スタディウォーク)事業概要◆名称小学生・中学生個別指導塾 STUDYWALK(スタディウォーク)学校へ通いづらくて、立ちどまっているお子さまが、まずご自身のペースで踏み出す一歩が大切で、ひとりひとりに合ったゴールを目指すために歩み続けていくための支援を行う指導方針をネーミングに込めました。◆所在地広島県廿日市市駅前1-3-201◆塾長上田 嘉治◆運営団体一般社団法人青少年ワークサポートセンター広島〒732-0052 広島市東区光町2-9-30-204◆電話番号TEL:0829-30-8696・FAX:0829-30-8697◆営業日時9:00~18:00(土日祝除く)◆授業時間12:00~18:00(土日祝除く)(※このうち3時間程度の授業を受けていただきます)◆入塾対象小学校高学年・中学生(学校に通いづらい方・保健室登校の方・不登校の方)◆支援内容個別又は集団学習指導で授業を行います●個別学習指導●スタディウォークオリジナルプログラム・コミュニケーションプログラム(レクリエーションから社会生活技能訓練等)・基礎体力作りプログラム/各種スポーツ・社会体験プログラム/農業体験・英会話など●訪問型学習支援/家庭教師派遣(ご自宅へ学習指導に伺います)●ICT教材を活用した在宅学習支援◆通塾コース・基本料金(入塾相談時にお子さまの状況により決めて行きます)・週1回コース:初期段階・訪問指導の場合 /月額16,500円(税込)・週2回コース:1回あたり3時間程度・主に小学生/月額27,500円(税込)・週3回コース:1回あたり3時間程度・主に中学生/月額33,000円(税込)・随時コース :初期段階・訪問指導の場合 /1回 5,500円(税込)◆オプション・訪問指導:1回 3,300円(税込)・送迎 :距離・回数などは別途ご相談に応じます。◆ICT利用料パソコン、スマートフォン、タブレット等の端末は自己所有の機材を利用※ご自宅内のインターネット環境整備も自己負担にてご用意ください。◆HP ◎STUDYWALK(スタディウォーク)開業の目的「不登校児童生徒への早期支援による復学」、ひいては「ひきこもり問題の長期化を未然に防ぐ」という目標を達成するため、今般、前頁の内容にて新たなサービスを実施する運びとなりました。広域通信制高等学校のサポート校として実績のある当社が、学校へ通いづらくて立ちどまっている小学生や中学生を対象に、「復学」や「復学の先にある進学」、「進学の先にある卒業」を目指し、学習支援だけでなく、「卒業の先にある自立」までを見据え、「社会性(力)を身につける」支援を、生徒ひとりひとりの不登校状況や進度、理解度に合わせた「寄り添い型個別指導」によって新たに行います。◎STUDYWALK(スタディウォーク)開業に至る背景これまで当社は、ひきこもりがちになられている方々に特化した支援を行っている団体は殆ど見当たらない状況において、相談から自立までを総合的に支援して行くために『無料相談』というサービスである「ひきこもりケアセンター」を立ち上げ、幅広くひきこもりに関する相談を行う一方で、ひきこもりの主要因に発達障害が深く関係している実態に着目し、「障害福祉サービス」などの活用により各個人へのより細かく専門的な支援アプローチを活用・運営し数多くの社会復帰への実績を積んできました。一方で、『8050問題』に象徴されるように、重度化・複雑化したひきこもり問題は増加しており自立が困難なケースも増加しています。これらの、多くのケースを分析検討したところ、発達障害等によるひきこもりの早期段階での支援策が整っていないことに起因し、結果的にひきこもりが長期化してしまう事例がとても多い事がこれまでの支援活動から分かってきた重要なポイントです。そこで、一昨年より準備を進め、廿日市市を拠点に「不登校児童・生徒」への支援を開始しました。しかしながら、コロナ禍という環境要因もある一方で、相談者の人数は予想以上に多いものの不登校初期段階で必要な支援として重要な、障害福祉サービスを始めとしたより専門的な支援プログラムの利用になかなか繋がらないという課題も出てきました。これらの要因について精査したところ、不登校児童・生徒の一番の復学への阻害要因が「学校の勉強についていけなくなっている事」に対する「本人の不安感」や「家族の焦燥感」であることが分かってまいりました。その他、「復学・進学に対しての高すぎる目標設定」「不登校について相談出来るところが無い」「発達障害等の正しい理解が進んでいない」などの様々な要因から、本来必要である適切な支援が受け入れられにくいという厳しい現状が分かってきました。こういった、現状の課題を打破しながらも、早期に、より高度で専門的なプログラムの利用を促進し、不登校・ひきこもり状態を長期化させず、社会復帰(復学・自立)を強力にバックアップするため、今般、小学生・中学生向け個別指導型の学習塾『STUDYWALK(スタディウォーク)』として新たなサービスを開始する運びとなりました。◎一般社団法人青少年ワークサポートセンター広島 企業概要・設立年月日:2012年5月17日・代表者 :代表理事 杉野 治彦・所在地 :広島市東区光町2-9-30-204・事業内容 :生活訓練(自立訓練)事業就労移行支援事業就労定着支援事業就労継続支援B型事業共同生活援助事業放課後等デイサービス事業ひきこもりがちな若者サポート事業児童発達支援事業広域通信課程サポート校学習支援(小学生・中学生向け個別指導型学習塾)・事業拠点:◎本社 同上◎ワークサポートセンター広島東(生活訓練(自立訓練)事業)広島市東区光町2丁目9-30-204 Tel. 082-569-5252◎ワークサポートセンター広島南(就労移行支援事業・就労定着支援事業)広島市南区出島1丁目7-14 Tel. 082-258-3530 ※3月移転予定◎ワークサポートセンター広島光町(就労継続支援B型事業)広島市東区光町2丁目9-15-203 Tel. 082-207-0858◎明誠高等学校広域通信制課程広島SHIP広島県廿日市市津田596-1 Tel. 0829-40-1150◎わくサポケアセンター廿日市駅前(学習支援/STUDYWALK併設)広島県廿日市市駅前1-3-201 Tel. 0829-30-8696◎わくサポジュニア廿日市(放課後等デイサービス・児童発達支援事業)広島県廿日市市津田596-1 Tel. 0829-40-1151◎ワークサポート廿日市ヴィレッジ(共同生活援助事業)広島県廿日市市津田596-1 Tel. 0829-40-1152◎STUDYWALK(スタディウォーク)塾長 上田 嘉治(うえだ よしはる) 略歴・出身地 :広島県広島市出身・生年月日:1960年 3月生まれ・学歴職歴:1983年 3月 早稲田大学法学部卒業1986年 3月 早稲田大学教育学部国語国文学科卒業1986年 4月 有名私立中学・高等学校勤務2021年 3月 有名私立中学・高等学校定年退職2022年 2月 STUDYWALK塾長に就任◎一般社団法人青少年ワークサポートセンター広島代表理事 杉野 治彦(すぎの はるひこ) プロフィール・出身地 :広島県広島市出身・生年月日:1963年 3月生まれ・学歴職歴:1987年 3月 広島大学教育学部卒業 障害児教育(自閉症)専攻・民間企業にて人事・採用(新卒・中途)業務を10年以上経験2007年 4月 キャリアコンサルタントとして活動開始2010年1月~2012年6月 広島市ひきこもり相談支援センターにて相談員2012年 7月より現職2017年 12月~ RCCラジオ「おひルーム」(月1回金曜日13:10~)出演中・資格 :産業カウンセラー、ジョブコーチ(第1号職場適応援助者)特別支援学校教諭・広島県内の地方自治体や社会福祉協議会などで講演会多数STUDYWALK(スタディウォーク) 公式SNSQRコード 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年02月01日「なんでうちの子が発達障害なんだろう……」。息子の発達障害という現実をなかなか受け入れることができずに苦しむばよさんでしたが、ひとまず療育相談センターへタロちゃんを連れて行き、検査やトレーニングをおこないました。その後、小学校入学するにあたって「通常級」か「支援級」か、葛藤することに。ばよさんの答えは……?! 「誰のため…?」 療育相談センターは市の施設で、平日しかやっていませんでした。もし仕事が平日休みじゃなかったら、どうしていたんだろう……。会社辞めていたのかな??などとたまに過去の自分に思いをはせます。 ひとたび気持ちがストンと決まり、ご近所の仲良いママたちに何もかもすっかり打ち明けたら、気持ちが軽くなってオープンマインドになれました。何をあんなに私は悩んでいたんだ?とすら思えます。 市の教育委員会による就学相談会が開催され、特別支援級が望ましいとの通知を受けます。 「できれば通常級に入れてやりたい……」と悩みましたが、「一番大事なことはなんだ?」と改めて考え直したばよさん。 「タロに合ってるんだからいいじゃん」 ストンと気持ちが決まりました。 仲の良いママたちにも打ち明けることができ、気持ちが軽くなってよかったですね! 監修/助産師 松田玲子 著者:マンガ家・イラストレーター 星河ばよ
2022年01月31日「YouTubeで学ぶこと」が浸透してきたのはこの1~2年中学生・高校生に向けて、Youtubeで「とある男が授業をしてみた」を発信中の葉一(はいち)さん。子どもたちからお金をとることなく学ぶ環境をつくりたいという熱い思いを、LITALICO発達ナビ編集長・牟田暁子が聞きました。Upload By 発達ナビ編集部発達ナビ牟田暁子編集長(以下――)葉一さんは、中学生・高校生に向けて、自宅で撮影した動画をYouTubeに投稿している「とある男が授業をしてみた」を発信中で、チャンネル登録数167万人(2022年1月現在)!すごい数字だと思います。かなりの更新頻度でアップされていますよね。葉一さん(以下、葉一):はっきりとは決めていませんが、週3~4回くらいの頻度で更新しています。それと、「自習室」はできる限りやっています。約1時間の間は無言で作業するというライブ配信です。これはコロナ禍の一斉休校をきっかけに本格的に始めたものですが、休校期間中は最高時2,500人くらい集まっていました。学校が再開してからは落ち着いて、700人くらいが同時に参加してくれています。――たくさんの子どもたちが、一緒に勉強しているんですね。でも、こんな風にYouTubeで勉強できるということが認知されるようになったのは、いつごろからですか?葉一:ここ1~2年くらいですね、YouTubeで学べるということが、社会人の方も含めて認知が広がったのは。自分のチャンネルが人気になるというより、このジャンルが盛り上がらないと意味がないと思っているので、やっとだなと感じています。始めた当初は、YouTube自体がいわば無法地帯でしたからね。そんな場所に「教育」という、ある種「聖職」といわれる部門を混ぜたものだから、誹謗中傷を受ける毎日でした。「教育に携わる者ですが」で始まるメールは、特につらいものが多かったです。「偽善者」と言う言葉は毎日のように言われていた気がします。非常にきつかったですね。大人を信頼できなかった中学時代。高校で恩師に出会うことで変わったUpload By 発達ナビ編集部――やはり10年前は大変だったんですね。YouTube学習を始めたきっかけを伺いたいのですが、そもそも教育に携わろうと思われたのは、いつごろからだったのでしょうか。葉一:中学時代は、教師は「悪」だと思っていたんです。当時ぽっちゃりしていた私の体形をからかう教師がいて、大人全般が信頼できないものだと思っていました。そんな自分を変えてくれたのは、高校時代、恩師となる先生との出会いでした。一昨年、その先生とYouTubeで対談させていただいたのですが、そのときにも「あのころは、ほんとに斜に構えていたよね」と言われるくらい、ひねくれていたんですよね。そんな自分が、先生のことは100%信頼できると思った。教師というだけでなく、大人というものへの価値観を変えてくれた先生でした。――そんなにひねくれていた葉一さんが、どうしてその先生を信頼できるようになったんですか?葉一:最初の授業のときに先生が、「おまえらに好かれようとは思わない」と宣言して、「なんていう教師なんだ!自己紹介でそんなこと言うか?」と思ったのですが、だんだんに印象が変わっていきました。いちばんインパクトがあったのは、授業が分かりやすかったことです。板書がとにかく綺麗で分かりやすい。そして、授業中は厳しいけれど、休み時間はすごくフランクに話してくださる。分からない問題があって質問しに行くと、必ずその場で解いてくれることがすごいと思っていました。そういうことが重なって、だんだんに信頼していきました。この先生はとりつくろって話をしない、本心で話す人なんだと。あるとき、その先生から「教師に向いているんじゃないか」と言われたんです。自分自身、もともと子どもが好きで、人に教えるのも好きだったので教師を目指しました。頑張って勉強して、なんとか東京学芸大学に入ったというわけです。Upload By 発達ナビ編集部――東京学芸大学といえば、先生になるための大学というイメージですね。葉一:そうなんですが、教育実習先で、ある生徒たちとの出会いがあって、また考え方が変わりました。授業中の時間のはずなのに、教室ではなくテラスにいる子たちがいたので、思わず声をかけたんです。そうしたら、保健室登校していて、そのうちの一人が睡眠薬を多量摂取して、なんとか命は助かってやっと退院した、と話してくれたのです。そのあとも、授業以外で本当にたくさん話をしました。実習後、その子たちが「もう死のうとしないから。頑張って生きていくからね。そう思えたのは○○(※葉一さんのこと)のおかげだよ。ありがとう」と、感謝の気持ちをこめて言ってくれました。そのとき、ああ、自分もこうして人の役に立つことができるんだと、力強く突きつけられた気がしたんです。当時、自分自身が生きていく意味もよく分からなくなっていた時期だったので、私があの子たちを変えたんじゃなくて、あの子たちが私を変えてくれたんですよね。だから、教育というフィールドで子どもたちに恩返しをしていこう、教育に身を捧げようと決めたのはその瞬間でした。――そうだったんですね。でも、そのまますぐに教育現場に入ったわけではないですよね。葉一:ストレートに教師になるよりも、一般企業で修行してからのほうが子どもたちにいい刺激を与えられると考えたからでした。とにかくキツイ経験を積もうと、教材販売の営業という仕事に就きました。一軒一軒まわって、ピンポンして、毎日怒られるような日々でした。その後、ドクターストップがかかったこともあって、塾講師に転職しました。そこで分かったのは、家庭の経済状況によって、学ぶ選択肢がすごく違うということでした。普段は通塾できても、夏期や冬期の特別講習の月謝は払えない、頑張りたいのに頑張れない子たちがたくさんいたのです。お金がネックになって学びが止まるという、歯がゆい状況をたくさん見ました。子どもたちからはお金をもらわずに、教育を届ける方法はないのかと強く思うようになりました。勤め始めたときに、辞めるにしても続けるにしても3年を節目にすると決めていたので、3年間はがむしゃらに働きました。数字の評価が強い職場だったので、数字の面でもかなりの成績を上げましたが、3年できっぱりと辞めることにしました。次、どうするかは決めてなかったですね――決めずに!葉一:何をしたらいいのか、そのときは思いつかなかったけれど、一度きりの人生なんだし、きっと何かできるはずと思ったんですよ。辞めたあとで、YouTubeを見ていたときに、これだ!とひらめいて今につながっています。勉強が分かるようになることが、脱・不登校のきっかけにもなるUpload By 発達ナビ編集部――10年間、いろいろなことがあったと思いますが、YouTubeの配信を続けてきて、いちばんうれしかったエピソードってどんなことですか?葉一:娘さんが不登校だったというお母さまからもらったメールでした。当時、そのお子さんは保健室登校で、私の配信を見て勉強していたそうです。保健室で受けたテストでは、だいたい80点以上とれて、そのことが自信となって学校に行き始めたら、授業もよく分かったそうなんです。周りからも「学校に来てなかったのに」にとびっくりされ、その後は卒業まで通えた、と。お母さまからいただいたその感謝のメールが、この10年でいちばん泣いたときですね。私自身も、なんとか学校は通っていたけれど、不登校になってもおかしくなかった時期があります。だから、学校が合わない子どもたちには、人生のサポートをしたいと思っています。こうして親御さんから感謝の言葉をもらえたときに、その子と同時にそのお母さまの人生もサポートできたんじゃないかと思わせてもらえた、そういう経験でした。不登校の子が学校に戻れない理由は、人間関係で行けないことが多いでしょう。でも実は、そこにプラスして、授業が分からないストレスで、学校に行けなくなることが多いということも教えてもらいました。――テストで点がとれていれば大丈夫かも、ということが心強さにつながるんですよね。葉一:私自身、勉強はできなくはないけれど、すごく得意だったわけでもありません。中学生のころは、ひどく陰口を言われていたこともあって、自己肯定感がほぼなくて、勉強しかすがることがなかったんです。勉強は、ある程度努力したら結果が出るということは、心強いものだと思っています。気持ちを吐き出していい相手でいるために、変わらずにい続けるUpload By 発達ナビ編集部――専門家の先生方からよく聞くのは、「思春期には、親や先生以外に相談できる第三者との関係があるといい」ということなのですが、葉一さん自身が、子どもたちにとって、そういう存在になっているのかもしれませんね。葉一:それは意識しています。自分が中学生のときに欲しかったんですよ、そういう存在が。今の子どもたちにとって、大人といえば先生と親がほぼすべてですよね。私は、教育をやっているけれど、学校の先生ではない。相談したときに、その子の周りにうわさが広がることもないから、そういう意味でも気持ちを吐き出せる場所になっていたいと思っています。そのためにも、変わらない安心感については意識しています。インターネットで活動しているからには、数字を獲らなくちゃいけない世界です。でも、たとえば登録者数が増えただけでも、子どもに「遠くに離れてしまった」と思わせてしまう。そこのバランスが難しいんです。だから自分は数字を狙った動画はつくらないんですよね。「2年ぶりに葉一の動画を見に来たけど、変わってなくて安心した」と言われたりするくらい(笑)。バズることを狙うならば、教科書レベルの授業をすべきではないかもしれません。でもそこは、これからも変えないでいきます。子どもたちは大人の背中を見て育つ。だから生きる教材でありたいUpload By 発達ナビ編集部――こうしてYouTubeを続けてきた情熱やモチベーション、どういうところにあると思いますか?葉一:子どもたちからの「分かりやすかったです」とか「ありがとう」を、YouTubeのコメント欄で毎日もらえることですね。ほんとに贅沢な人生だと思うんですよ。今はある程度成功しているように見えるかもしれないけれど、始めた当初の半年間くらいは誹謗中傷ばかりでしたから。だから、頼ってくれる子が一人でもいるなら、やめられないよな、とはいつも思っています。――きっと、ストイックに続けている姿を見て、みんな信頼するのでしょうね。葉一:そこは、授業のしかたも、教師としての在り方も、今でも恩師が自分にしてくれた姿を追いかけている部分があります。私自身が中学生のときに大人になりたくなかったのは、自分のまわりにキラキラしている大人がいなかったからでもありました。父は多忙すぎて家にあまりいなかったし、母も忙しくて働くのは大変だとこぼしていたから、歳をとることに対してネガティブな感情を抱いていました。学校の先生にも不信感が強かったころだから、大人になりたいとは思えなかったんですよね。でも、自分が大人になってみると、すごく楽しいんです。だから、楽しんで、自分の道を突き進んでいく姿を、子どもには見せていきたいと思っています。今、8歳、5歳の子どものパパとして、息子たちに対しても、YouTubeを見てくれている子どもたちにも、自分が生きる教材でありたいと強く思っています。――今の姿は、10年前に想像した通りですか?葉一:YouTubeを見て学べるということを浸透させるのが夢だったし、時間をかければ叶うとは思っていたけれど、実は思ったよりも早く実現に近づけました。それはコロナ禍での一斉休校があったからでもあります。人生をかけて叶えるつもりの夢だったので、前倒しにはなってきた感じです。でもまだまだこれからです!学ぶということ=お金をかけることというイコールを外していく。そこは10年前と変わっていません。手段はYouTubeではなくてもいいと思っていて、今後は、理念が重なる人たちと一緒にやっていきたいです。自分のチャンネルが数字を獲っていくということよりも、お金がなくても学べる方法があるということを浸透させるために、これからも活動していきます。文/関川香織撮影/鈴木江実子葉一さんYouTubeチャンネル「とある男が授業をしてみた」
2022年01月31日マンガで学習障害・限局性学習症(LD・SLD)を学ぼう!マンガで分かりやすく発達障害が学べる『マンガで学ぶ発達障害』シリーズ。学習障害・限局性学習症(LD・SLD)について分かりやすく解説した4つのコラムをまとめてご紹介します。知的発達自体に遅れはないものの、先天的な脳機能障害によって「読み」「書き」「計算」などに困難を示す学習障害。一人ひとりその症状は異なると言われています。そんな学習障害の原因や困難の理由、治療や療育法、学習障害のある子に対する接し方・関わり方などを公認心理師の井上先生の解説とともに詳しく解説します。学習障害とは、全般的な知的発達に遅れがないものの、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算・推論する」能力のうちいずれかまたは複数のものの習得・使用に著しい困難を示す発達障害のことです。その特徴や原因を解説します。※限局性学習障害の定義では障害内容は「読み」「書き」「計算」に限定されます。学習障害・限局性学習症の原因、症状を解説します。困難の理由などを理解して環境を調整したり、やり方を工夫したりすることで対処法が見つかることがあります。学習障害って治療できるの?どこへ相談すればいい?早期発見・早期療育が望ましいとされる学習障害ですが、一体どのような治療法、療育法があるのでしょうか。気になるお悩みについて詳しく説明しています。接し方で大きく変わる学習障害。読字障害(ディスレクシア)、書字表出障害(ディスグラフィア)、算数障害(ディスカリキュリア)の3つの学習障害のタイプ別に、子どもへの接し方のポイントをまとめてみました。まとめ学習障害と言っても、苦手さの理由や原因、症状は一人ひとりさまざまです。学習障害は、教育面・生活面での環境調整や療育といった支援で困難さが軽減されます。子どもが一体どこに困難を感じ、その理由はどこにあるのかなどを観察し、その子に合った環境調整や、やり方の工夫などを見つけてあげることが大切です。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!
2022年01月30日療育をすすめられ、ショックを受けているばよさんの気持ちを思いやることもなく、矢継ぎ早に決断を迫る主任保育士の態度に堪忍袋の緒が切れた!その場で判断せずに夫と帰宅したものの、その後数カ月にわたって夜眠れなくなってしまったばよさん。「長男が発達障害」という現実を受け入れるのにかかった時間は……? いろいろな感情が押し寄せる日々… あの面談のあと、なかなか眠れなくなりました。ショックと怒りでめらめらと……。 心は置いてけぼりでしたが、タロの成長に関わる大事なことだからと療育相談センターに行きました。 面談からどれくらい経っていたかな。遅くとも面談の翌月にはセンターに向かったと記憶しています。 悲しみ、自責、ショック、否定、成長への希望……現実を受け入れるのに2年かかりました。 いろいろな感情が大波、小波、津波のように次から次に押し寄せた2年でした。 同じように面談で子どものことを言われたママ友と情報を共有したり交換したことで、本当に救われました。 「なんでうちの子が発達障害なんだろう……」 なかなか受け入れることができずに苦しむばよさんでしたが、ひとまず療育相談センターへタロちゃんを連れて行き、検査やトレーニングをおこないました。 そして、同じように面談で子どものことを言われたママ友とつらい気持ちや情報を共有しました。 監修/助産師 松田玲子 著者:マンガ家・イラストレーター 星河ばよ
2022年01月30日4歳で初めての発達検査を受ける太郎が年少のころ、発達相談所に発達検査を受けに行った。案内されたのは6畳程の狭い個室。そこには小さなテーブルと椅子が2つ、子どもが遊ぶようなブロックや積み木が部屋の隅っこに置かれていた。Upload By まゆん発達検査を行うのは児童心理司さんだが、まだ部屋にはいなかった。太郎は部屋に案内されると、部屋にある積み木やブロックで遊び始めた。ちょうど遊び始めたころに、児童心理司さんが部屋に入ってきた。私が太郎に「おもちゃを片づけよう」と声をかけると、太郎はすぐに片づけに切り替えることができた。Upload By まゆん机を挟んで対面で太郎と児童心理司さんは座った。私と同席していた太郎の担任の保育士さんは、部屋の隅で座っていた。いよいよ検査が始まる。児童心理司さんが「こんにちは」と挨拶をすると、太郎は「こんにちは」と挨拶をかわせていた。検査の初めは静かに椅子に座っていた太郎だが、質問を重ねて行くうちにガタガタと椅子を揺らしたり身体を揺らしたり、落ち着きがなくなっていった。Upload By まゆん児童心理司さんの質問も頭に入らないのか、机に突っ伏してしまった。Upload By まゆんなかなか問題が進まなくなったとき、児童心理司さんから次の発言があった。「太郎くん、真面目にしてくれるかな?今日はね、太郎くんのお母さんはあなたのために、わざわざ仕事を休んでここに来てくれてるの、無駄にしないでほしい!」Upload By まゆん・・・・・・・ちょっと待て…私の心は凍りついた。Upload By まゆん私が思ってもいないような気持ちを代弁しないでくれないかな?いつ私が「わざわざ休みとりました」なんて、「わざわざ」なんて言ったかな?私は怒りをおさえながら、太郎と児童心理司さんのやり取りを見ていた。強めの口調で注意された太郎は、その空気を感じることができたのか、状態を起こし渋々と質問に答え始め、最後まで受けることができた。そんな児童心理司さんとのやり取りをみながら、私の心はまださっきの「わざわざ」にモヤモヤとしていた。(切り替えが苦手なのは私の方なのかも……)検査を終えると児童心理司さんは採点と評価をするため、一旦退室した。太郎は再びブロックで遊び始めた。私はまだモヤモヤとしていた。(やはり切り替えが苦手なのは私)そして評価のため、児童心理司さんが再び入室。そこでの評価の中に「注意すると我慢することができ、指示の理解もあった」というのがあった。私は、さっきの「わざわざ」は、わざと注意して太郎の行動を試していたものなのか?と思いもしたが、いやいやそれにしても、とモヤモヤしていた。Upload By まゆん私は太郎と一緒に、発達検査や療育リハビリへ何度も行っています。対応してくださるスタッフの方もさまざまで、強い口調で頭ごなしに注意されることもありました。今回のコラムで書いた発達検査では太郎は渋々と質問に答えることができましたが、ほかの場面では涙を流しながらすることも多くありました。先生から強い口調で注意をされ涙を流す場面を、私はどうしていいのか、これが正しい指導なのかと思いながら歯を食いしばって見ることもありました。発達障害についての知識が増えた今だから言えるのですが、あまやかすとは別で、注意の仕方、気づかせ方の問題だと思うのです。注意の仕方一つで相手の気づき方も変わり、人の動きは変化すると思います。頭ごなしに強い口調で注意しても相手に不快な思いしか与えられず、動けるものも動けなくなると私は考えています。これは発達障害に限らず誰にとっても、どこの社会でもそうだと思います。人を育てる、伸ばす、ということと、圧をかけることとは別だと思ってます。発達障害のある子どもはどうしても指示が入りにくく、相手の思い通りにいかないので神経を逆なでるのかもしれませんが、そういう場面を保護者が見るのはとてもつらいです。もしも同じ思いをされている方がいらっしゃるのであれば、周りにヘルプを出していただきたいと思っています。執筆/まゆん(監修:鈴木先生)4歳の太郎君は、お母さんの指示に従いおもちゃを片づけて椅子に座り、きちんと挨拶ができているので、いい子です。ただ、ガタガタと椅子を揺らして落ち着きがないのは非移動性多動がありそうですね。それでも強めの口調で注意されながらも最後まで質問に答えた太郎君は偉いと思います。心理担当者は思い通りいかないと強い口調になってしまう側面がおありかなと思いきや、「注意すると我慢することができ…」との記載があったので実は試していたのかと私も感じてしまいました。そうならば、あとで試していたという説明が親に対してあるはずです。プロなら強い口調で言ってもそのあとの質問に答えられたならば「よく頑張ったね。さっきは強く言ってごめんね」というフォローの一言があって然りだと思います。発達障害(神経発達症)のあるお子さん対する接し方の基本は、「優しく・丁寧に・具体的に・肯定文で」と日ごろ外来で親御さんにお話ししています。
2022年01月29日