癇癪がない?Upload By まる昨年末に自閉スペクトラム症の診断を受けた息子リュウ(3歳)。今までひどい癇癪やパニックがない、おっとり鈍感タイプだ。友人たちにも「リュウちゃんは本当におっとりしてて優しいよね~」とよく言われる。叱っても泣くのを我慢することがあったり、泣いていてもそんなに長時間泣くことはなく親の私でも驚くほど切り替えが早い。人見知りや場所見知りで困ったこともほとんどない。こう言うとすごい楽な子じゃん!と誤解されがちだがそれなりに心配がある。癇癪などで、嫌な気持ちを今の小さいうちに表現したりすることで気持ちの切り替えや伝え方などを学んでいくと聞く。「小さいうちに体験して学んでおかないと、大人になって力が強くなってから思い通りにいかなくて暴れたりするとママの力じゃ抑えられないから今癇癪がある方がいいんだよ」と言われたことがある。息子はすでによく食べるお陰で年齢よりも大きく成長している、親戚中から将来はお相撲さんかな〜⁇と言われるくらい。これで将来手がつけられない癇癪などされたらたまったもんじゃない。息子が診断される前の私の中の自閉スペクトラム症のイメージが「癇癪、こだわりが強い、多動」などがあった。2歳ごろのリュウは癇癪とこだわりがあまりないが多動ではあった。静かに移動するので外で本当にすぐ見失う。私が買い物の棚を見ているほんの一瞬でいなくなるのだ。忍者か。それは保育園でも同じようで公園などでもそろ~っといなくなるらしい。迎えに行ったときに先生から「静かな多動」といわれて笑ってしまった。息子はおっとりタイプの性格…そうなると保育園ではUpload By まる発達障害かもと言われてから初めて支援センターで心理士さんと面談した際、「この子はおとなしいしぼーっとしているタイプの子なので、大人数の保育園などに入れると放置されやすくなるかもしれない。自ら学びを吸収しようと動くタイプでもない、そうなるとこれまで以上に発達が遅くなる危険があるのでちゃんと大人が一緒に関わるようにした方がいい」と言われた。現在通っている保育園は少人数制で先生の人数も多くよく見てもらえ、息子にとても合っていた。母子家庭ということもあり先生方にもすごく気にしてもらっていたので感謝しかない。2歳児までの保育園なので残念ながら3月で卒業だが、来年度からは、新しい保育園に転園するが、そこでは加配保育士(※)をつけていただけることが決まっている。※加配保育士とは:障害の診断を受けた子どもを対象に配置される保育士で、子ども2人につき1人を基準として配置されることが一般的。ついにきたイヤイヤ期(3歳前後)Upload By まるおとなしいと思っていた息子だが、徐々に3歳ごろからイヤイヤで大騒ぎするようになった。バナナを食べると言うのでむいてあげ、黒ずみを見つけたのでそこだけ取ると欠けたバナナが気に入らなくて泣いて投げつけてきたり、パンを食べるときに半分にして渡すと半分にしたことに怒って泣きじゃくったり。お散歩中駅に電車を見にいきたいと道路でひっくりかえって大泣きしたり、スーパーであっちこっち行く息子と買い物ができなくて手をがっちり捕まえると離せと大泣きして転がったり…私も思ったように動けず買いたいものも買えなく、泣きながら帰宅することも多々あった。療育でのイヤイヤもUpload By まる1番大変だったのは2歳9ヶ月ごろ療育に通い出したとき。最初は週1回通っていた(現在週2回)ので慣れるのに時間がかかったせいもあるかもしれない。行くたびにリトミックに参加したくない、教室から出たいと怒って大泣き、なにも参加できず「この療育に通って何の意味があるんだろう」と毎週ぐったりしていた。何ヶ月か過ぎたとき、不機嫌に泣いている息子を見てため息をついていると先生に「癇癪とまではいかないけど、ちゃんと自分の嫌なことは嫌って表現できているから大丈夫よ。それに前より『聞く』ことができていますね。これをお片づけしたらそっちのおもちゃ出そうね、とか聞き分けて自分で納得して動くこともできるようになってきているから!」と言ってもらえて安心したことを覚えている。もうすぐ4歳の息子、最近は…Upload By まるリュウはもうすぐ4歳になる。スーパーや道端で寝っ転がって泣くことやスーパーであっちこっち行くことも、1年ほどの間で少なくなってきた(日によってはある)。お陰で私が泣きながら買い物から帰宅することもなくなったし、療育でもすべてではないが多少参加できるようになってきた。先日療育で絵本の読み聞かせ中に座って居られなくて笑いながら逃げ回っている息子にちょっとイライラしていると先生が「でもさ!リュウちゃん変わったよ!最初のころ思い出してみて!ずっとドアのところで泣いてたんだよ!?」と言われてハッとした。一つできるようになるとできなかったことを忘れてしまう。この記事を書くまでイヤイヤで外で泣いて転がっていたことも忘れていて、うちの子大変なときあったっけ…?と考えていたほどだ。今も大変なことは多いが、少し前を思い出すと成長しているなぁと思える。執筆/まる(監修:井上先生より)癇癪が強いか弱いかというのは、周囲の受け止め方の違いもあったりするので、大きな癇癪がないことに対して過度に気にされる必要はないかと思います。リュウくんはその理由が比較的はっきりしていますね。そのような場合大人も原因が推測できるので、癇癪の代わりになる周囲に伝わる言葉や行動を教えていくチャンスにしていくこともできると思います。ただ、大人の要求水準が高すぎるとバトルになってしまうので、まるさんのように事前に予告をしたり、100%できなくても25%で良しという行動にしたり(25%ルール)、できている部分ややろうとしている部分に注目してそこを少しずつ増やしていけるようにすると良いと思います。まるさんの努力によって、リュウくんも少しずつ自分の感情をコントロールしたり、コミュニケーションに置き換えたりすることができてきたのだと思います。
2022年03月19日癇癪は減ってきているけど現在8歳のむっくんは小さいころと比べると、明らかに癇癪は減ってきていますがゼロではありません。最近特に癇癪を起こしやすいシーンが、弟のテレビゲーム視聴中です。むっくんは弟のプレイを見ているうちにゲームの世界にのめりこんでいってしまうようで、弟に対してつい口を出してしまう、思うようなプレイでないときはコントローラーを取り上げて自分でやろうとしてしまう。当然、弟は応戦してケンカになるため、私が介入するとそれが引き金となって癇癪を起こすというコースです。Upload By ウチノコ自分の行いをどう思っているの?毎日ではありませんが週に何度か繰り返されるこのパターンに困っていました。とにかく環境改善だと、弟のゲームを目にしないようむっくんに別の部屋に行っておいてもらう工夫をしつつ、むっくんとも話し合いを重ねました。むっくんは、弟のゲームが見たいなら黙って見ればいいと分かっているけれど、自分が大好きなキャラクターが負けてしまうことが耐えられない。自分がやれば負けないのにと、思わず弟からコントローラーを奪ってしまう。そんな自分の行いが好ましくないことは分かっていて、頑張って我慢しようとしているけどできなくて。そんなときにお母さんに怒られるとワケが分からなくなると話してくれました。Upload By ウチノコ私の対応を変えてみるこの件で私は、むっくんが弟に口や手を出すタイミングで介入していました。だけどむっくんの話では、介入より前は本人なりに必死で努力していることになります。だとしたら介入のタイミングが遅すぎるのかもしれないと考え、弟がゲームを始めたタイミングでむっくんのそばについてみることにしました。すると、むっくんは弟のプレイを見ながら手を出さず、口も出さず、じっと耐えています。こぶしをぎゅっと握りしめて、口を一生懸命つぐんでいます。Upload By ウチノコ弟のゲーム時間は30分間。しばらく耐えていたむっくんですが、少しずつ興奮して口を出すシーンがちらほらと現れはじめました。どうしようかな…と考えて、私は黙って背中をさすってみることにしました。すると少し興奮が落ち着いたのか、また我慢をはじめたのです。そんなふうにむっくんが興奮してきたら背中をさすることを繰り返すと、その日むっくんは最後まで弟とケンカをせず、癇癪も起こさず過ごすことができました。ひとりでがんばらせないこの日の体験で私は、ずっと彼なりに必死で頑張っていたんだなぁということを肌で感じました。私は今まで、むっくんが弟に口や手を出したことにだけに注目して介入していました。だけど、むっくんなりに努力をしていた時間もある。それなのに、頑張り続けられなかったことにだけに注目されて叱責されてしまうなら、癇癪だって起こしたくなるよな…と私はこれまでの対応を反省しました。以前「ひとりでがんばらせないで」という言葉を発達障害の本で読んだことがあります。ひとりでがんばらせないってどういうことなんだろう?と思っていたのですが、叱責ではなく努力を認め、そっと背中をさすること。これが「ひとりでがんばらせない」ということなのだなと理解することができました。Upload By ウチノコ見えない努力に注目する癇癪は目立つため、つい注目しがちですが限界を超えるまで頑張っていたから癇癪が起こることもあります。この場合結果としての癇癪ではなく、そこに至る過程や心の変化、特に【努力】への注目が大切なのだと私は感じました。癇癪前にある本人の頑張りに気づき、認めてもらえるのなら、癇癪を起こす必要なんてなくなるのかもしれません。私にとってむっくんの癇癪は「問題行動」などではなく「気づかないといけない何かに気づけていないよ!」という私へのサインだということを忘れず、これからもむっくんと向き合っていこうと思います。執筆/ウチノコ(監修:初川先生より)素敵な気づきのシェアをありがとうございます。癇癪でお困りの保護者の方は多くいらっしゃると思いますが、どう収めるか、というだけではなく、まずはむっくんと話し合いをし、そして癇癪のはじまりから見てみるようにしたのですね。むっくんの発達度合いや年齢にもよりますが、癇癪時の自分の心の動きを言葉にしているのは素晴らしいですね。むっくんの思いのように、癇癪は、その前の事象でイライラが募っていることに加え、それを収めようと関わる大人の言動でますます混乱してしまうことが多々あります(そこに気づけているむっくんは本当に立派!)。すでにイライラが限界に達しているお子さんに、いかに火に油を注がずに対応するか、そこを考えるには、イライラが限界に達する前の関わりが大切です。そういう意味では、弟くんがゲームを始めるときからむっくんの様子を見てみた、というのは重要な情報を得るためにとても重要なポイントでしたね。弟くんのプレイを見ているときの頑張って我慢している姿に気づき、そして思わず背中をさすってみた。その親子での協働的な関わりによって、むっくんにとってはお母さんが見ていてくれる中で、我慢を応援してくれている中で、安心して我慢できつつあったのでしょう。弟くんのプレイを見る時間がこれまではただただイライラして、結果お母さんにも怒られる残念な時間になっていましたが、3人で楽しく過ごすためにどうしたらよいかを母子で頑張る時間に変わりましたね。ときには我慢が効かず、癇癪を起こすこともあるでしょうが、それでも上手に我慢できたときは、「よく我慢できたね、頑張ったね」と褒められる機会に変化しています(繰り返しますが、これまでは怒られる機会だったのに!)。そうして、安心できる中で、イライラを爆発させずに我慢する時間を保つという行動を身につけてゆきます。癇癪は困ったものではありますが、大人が癇癪は困ったもの、迷惑だとだけ思ってしまうと、子どもへのまなざしがきつくなってしまいます。癇癪を起こしたくて起こしている子はいないと思います。まずは癇癪の前に注目して関わってみる、ということ。とても参考になるエピソードでした。
2022年03月18日悩んでいる方も多い「癇癪」特集第二弾!発達ナビユーザーの中でも「読みたい!」との声が多い「癇癪」。そんな癇癪についてのエピソードを今回も連載ライター陣に描き下ろしていただきました。「あるある!」と共感できる癇癪エピソードや、すぐに実践できそうな癇癪への対応方法、マンガで学ぶ・専門家解説の癇癪についての原因や背景など、内容も盛りだくさんです!初めての習い事。先生は「大丈夫」と言っていたけれど…?4歳、発達グレーゾーンのとまちゃん。習い事に通わせたいけれどまだまだ癇癪が多く、不安だった母親のとまぱんさんでしたが、体操教室での体験で先生の「大丈夫!」の言葉を聞いて通う決意をします。先生の「大丈夫」の言葉に安心していましたが、参観日で目の当たりにしたとまちゃんの姿は…?!あの手この手を駆使して見つけたクールダウンアイテム9選!ADHDと自閉スペクトラム症の診断がある小学2年生、むっくん。小さなころから母親のウチノコさんはむっくんの癇癪で悩んできましたが…さまざまな経験を重ねるうちに見つけた、癇癪が起こるイメージとクールダウン方法は必見です!癇癪を起こしていたころとターニングポイントを親子で振り返る小学5年生のときに「もしかして、自分の表現って人より激しいのかな…?」と気づいたコウくん。そこからグッと癇癪も落ち着いてきました。そんな過去をコウくんと母親の丸山さとこさんが分析をしながら振り返ります!「みんなと同じ経験をしてほしい」だけなのに…行事で癇癪を起こしてしまう息子を見て遠足、運動会、発表会など子どもにとっては楽しみなイベントでも嫌がる子どもももちろんいます。立石美津子さんの、自閉スペクトラム症のある息子さんもその一人でした。今は21歳になった息子さん。立石さんは写真を見返しながら、当時の心境を思い出します。相手が謝っていても「絶対に許さない!!」という息子。担任の先生にも心配されてASDのある小学2年生ミミくんの小学校での個別面談で、担任の先生から「対人関係の形成に支障がでるかもしれない」と言われる母のtaekoさん。学校での様子では、ほかにも気になるところがあって…。まるで地雷のような息子の癇癪!何が原因なの?自閉スペクトラム症のあるPくんの癇癪がいつ、どんなときに起こるのか分からずにいつも注意を払いビクビクしていた母のみんさん。「仕方ない」と思っていたけれど一体これっていつまで続くの?と悩んでいましたが、Pくんが5歳を過ぎたあたりからその状況にも変化も見えてきて…。子ども癇癪が心配で、外出できない!広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)のある、あーさん。小さいころからよく癇癪を起こしていました。SAKURAさんは、癇癪が起きたときの対応で消耗する体力・気力のことを考えただけで、ため息が出るほど。「癇癪をなくす方法」があるのではないかと思い、当時通っていた発達支援センターで聞いてみると…!癇癪について、マンガで専門家が解説!癇癪(かんしゃく)とは、声を荒げて泣いたり、激しく奇声を発したりするなどの興奮を伴う混乱状態を指します。そんな癇癪ですが、何故起きてしまうのか?原因や癇癪が起きてしまうまでの背景などを解説します。たびたび癇癪が起こるからといって発達障害があるというわけではありません。ですが、発達障害のある子どもに強く見られる傾向が癇癪が起こるきっかけと絡んでいる場合があります。このコラムでは発達障害のある子どもによくみられる4つの傾向を紹介します。いったん始まってしまうと、癇癪を鎮めるのは難しいので、普段の生活から子どもに十分配慮をし、癇癪が起きないように回避することが重要です。癇癪が起きないように気をつけたいこと、実際起きたときのクールダウン方法などを紹介します。まとめ癇癪の原因、対応方法などはお子さん一人ひとりで違います。そして、癇癪が起きないようにどんなに気をつけていても不慮の癇癪が起こることもあります。もし、つらい、どうしたらいいか分からないなどあれば、お近くの相談機関などに相談し、一人で抱え込まずに周りの人に頼ることも大切です。
2022年03月17日わが子の癇癪のスイッチが分からなくて悩む母自閉スペクトラム症のある息子P。こちらが良かれと思ってしたことに対して怒ってしまったり、何の前ぶれもなくパニックになったりすることもあり、私は自分が1番近くで見ている親なのにPの気持ちも、接し方も分かってあげられなくてずっと戸惑っていました。思えばPが2〜3歳のころが1番大変な時期だったような気がします。なだめようにも言葉を理解できないのでこちらの言うことも伝わらない。そしてPは言葉を発せないのでこちらも癇癪の原因を想像しかできず本当の気持ちや理由までは理解してあげることもできない。だから癇癪が起きたときはただただ途方に暮れることの方が多かったように思います。Upload By みんそしてPが原因の分からない癇癪やパニックを起こす度に、私は心の中で「大丈夫!大丈夫!時間が解決してくれる!そのうちおさまる!」と思ってひたすら耐え続けていました。「この子は自閉スペクトラム症があるから仕方ない」「この子は知的障害があるから仕方ない」と自分自身に言い聞かせ、納得させながら癇癪の対応をしていたのですが何十分、何時間とも続くか分からない癇癪にどうすることもできない日々が続き、「仕方ないとしてもこれはいつまで続くんだろう?このまま大きくなったらどうなってしまうのだろう?今でも大変なのにもっと大変になるのかな?」と未来を漠然と考えては不安になっていました。Upload By みん癇癪が起きないように常に注意していた私はありとあらゆる癇癪の原因を避け、排除し、癇癪が起きないように先回りするようになりました。そして癇癪が起きても落ち着けるようにと、Pのお気に入りのおやつやおもちゃなどクールダウンできそうな物を、出かけるときは常に持ち歩いていました。そうやっていつ爆発するかも分からない爆弾のようなわが子との日々を過ごしてきました。Upload By みんそんなPが少し落ち着いてきたかな?と思えたのは、5歳を過ぎたあたりです。まだ言葉は上手く出ませんが、ジェスチャーや、絵カードなどで少しずつ自分の要求を、人に伝えられるようになってきたことと、療育でも繰り返しお終いや切り替えの練習を積み重ねてきたので、自分の要求が通らない状況に納得できることも、切り替えられることも増えてきました。また、集団の中で過ごすことにより、家とは違って自分のペースばかりでは動けない経験や、我慢する経験なども増え、本人の中でもいろいろと変化があったのかもしれません。家で母子だけで過ごしていた日々に比べると、圧倒的に指示が通りやすくなり、簡単な意思疎通もできるようになってきたので、お互いに「相手の考えや思いを理解できやすくなった」ということが、癇癪が減ってきた理由の一つではあると思います。Upload By みん癇癪を少しでも減らすために私たち親子に必要だったことは?ずっと癇癪のスイッチが分からなくて、Pの気持ちを分かってあげられなくて悩んでいた私でしたが、それはきっとPの方も同じで、自分の願いや気持ちを伝えたくても伝わらないもどかしさや、伝える方法が分からないつらさの中で、今まではそれらを「癇癪という形でしか表現できなかった」のだと思います。まだまだ全てを分かってあげられないときもありますが、そういう場面になったとしても癇癪以外の方法に置き換えらえるように模索している途中です。自分の気持ちが伝わり、相手に理解してもらえるというのは、一方的ではなくお互いに必要です。たとえ言葉で表現するのが難しくても、さまざまな伝達方法を探し、それを習得しながら、お互いに意思疎通ができるようになるということが、癇癪やパニックを減らせる第一歩になるのかもしれないと思っています。Upload By みん執筆/みん(監修:井上先生より)自閉スペクトラム症のある子どもの子育ての悩みで一番多いのは癇癪などの行動的な問題です。子ども自身が言葉で表現できない場合、また感覚過敏やこだわりがある場合はその理由が分からず親御さんも困惑される場合が多いと思います。直接的な原因が発見しにくい場合も、一人でいるときに起こりやすい/起こりにくい、外出したときに起こりやすい/起こりにくい、など大まかに予測するようにすると、みんさんがされていたように事前の心構えや準備ができると思います。特に小さいころの癇癪については、完璧に予測したり、コントロールしたりすることは難しいと思います。またこのことで親自身が不安になったり苦しくなることもあると思います。そのようなときには、身近な人や相談機関にお話をするのも良いと思います。
2022年03月17日癇癪が心配で、外出できない。広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)のある娘は、現在小学5年生。娘は小さいころから、よく癇癪を起こしていました。当時は、娘の癇癪がいつ起きるかいつも心配で…Upload By SAKURA起きたときの対応で消耗する体力・気力のことを考えただけで、ため息が出るほどでした。ひどい時期は、ママ友に遊びに誘われても、娘が癇癪を起して迷惑をかける可能性を考え、誘いを断ることもよくありました。娘が癇癪を起こしても、放置ができる家から出ることも嫌で、娘と二人っきりの日々を、刺激もなくただ淡々と過ごしていました。癇癪をなくす方法はない?待つのみなら…このころの私は、癇癪をどうにかしてなくす方法はないかと、考えていました。Upload By SAKURA「癇癪をなくす方法」「癇癪を起してもすぐに落ち着かせる方法」など、なにか私が知らない画期的な方法があるのではないかと思い、当時通っていた発達支援センターで聞いてみたのですが…Upload By SAKURAやはり「癇癪を起さないようにする手立て」も「起こしたときに瞬時に落ち着かせる方法」もない…なんとなく分かってはいましたが、そうなると救いはどこに?どういう心持ちでいたらいいのか分からず凹んでいると、発達支援センターの方からUpload By SAKURA「ずっと癇癪が今のままってことはない。段々変わっていく」と言われ、私は、癇癪をなくすこと、ゼロにしようとすることをやめました。それは、娘についてあきらめた訳ではありません。誰だって、うまくいかずにイライラすることもあるし、大人だって泣くこともあります。何かうまく言い表せない気持ちがあって、感情が爆発しているときに、「泣くな!」「やめろ!」は、自分だってつらい。今は「癇癪は仕方ない」「癇癪起こしたっていい」と考えることにしました。自分なりにつくった癇癪のルール。ただ…そう思っても、周りの目は気になります。そこで私は、自分の中でルールを決めました。Upload By SAKURA癇癪が起きたときは、とにかくどこにいても、娘を周りの目にさらされないところ(車や家)に戻れば、いい!どんなに娘が泣き叫んでいても、泣き止ませなくていい!と決めました。そう考えるようになってからは…Upload By SAKURA暴れた娘を抱えて家に戻り、ドアを閉めた瞬間、「よし!!ゴールした!よく頑張った、自分!」と自分を褒められるようになりました。自然と落ち着いていった癇癪。そんな考え方をするようにしてから、娘も、少しずつ…少しずつ変わっていき、癇癪を起こす頻度が減っていきました。回数も減りましたが、癇癪の起こし方も、年々パワーダウンしていきました。Upload By SAKURA特に、ここ最近は、奇声がなくなり、癇癪と言っていいのか?というほど、静かになりました。ただ、パニックになることはまだよくあり、すぐ泣いてしまうのは相変わらずです。しかし私は、それをゼロにしたいという思いは、今もありません。つい先日も、弟にゲームを取られ、大泣きしていましたが…Upload By SAKURA「小学5年生なのに、そんなことで泣くな!」とはあまり思いません。私とのやり取りは、こういう淡々とした姿勢の方がうまくいき、夫との場合…Upload By SAKURA二人で爆笑して終わる…という感じです。特別なことは何もしなかった。今振り返っても、なにか特別よかったという対応や、劇的に効果があった対策というものは、思い当たりません。ただうちの場合は、癇癪を起こしている娘を否定しないという姿勢は、ずっと同じでした。会話がほとんど成立しなかった4歳ごろまでは、ひたすら癇癪が収まるのを待ち…少しずつ会話ができるようになった5歳からは、なぜ悲しいかを聞き、共感し、どうしたらいいか、納得する答えを一緒に考えました。そして、10歳になったころからは、反抗期・思春期に入ったため、私たちの話をほとんど聞いてくれなくなったこともあり、発達外来の先生のアドバイスに従い、「泣いてもいいけど、あとは自己判断で、自己責任で」という対応にしています。(これが今の娘には、合っていたようでした)この記事を書くにあたって、娘と癇癪について話をしてみたら…Upload By SAKURA自分のことではないように、客観的に答えていました。しかし私は、娘がそうやって癇癪について、パニックについて、自分の状況の話ができるというのは、その状態の自分に罪悪感を抱かず、自分を責めていないからだと感じ、安心しました。自分のことを客観的に見ることができたり、そんな自分が嫌いじゃないというのは、きっとこれから生きていく上で、大事なこと。みんなと同じような、年相応の対応ができなくても、癇癪を起こしても、少し幼くても、娘は娘。いつか、大人になって一人で生きていけるようになる、その日まで…私は娘と一緒に、頑張っていきたいと思います。執筆/SAKURA(監修:初川先生より)癇癪についてのこれまでの歴史をありがとうございます。発達支援センターの方のご助言にもあるように「待つ」はとても大事な支援です。癇癪を起こしているときに、一生懸命良かれと思って語りかけても、それが自分にとって大切な語りであると認識できるようになるまでは、残念ながら火に油を注ぐ行動でしかありません。まずは火の勢いが小さくなるのを待つ、気を紛らす関わりができるならしてみる、というところです。大人の話が多少理解できるようになってからは、気持ちを言語化してみる(「悲しいね」「つらいね」など)、説得してみる、交渉してみるといった方法が少しずつ選択肢として浮上します。しかし、これは本当に個人差の大きいことなので、お子さんがそれを受け止められる段階がいつ来るか、それまでは成長を待つしかない面があります。癇癪を起こされたら困るから行動を制限する(ママ友さんの誘いを断るなど)気持ちも生じますよね。実際癇癪が起きたときにそばにいる家族には心身ともに大きな負担がかかってしまいますね。ただ、そこで外出しなくなってしまったり、ほかのお友達との関わりが減ってしまったりすることは、課題を先延ばしにしている面もあります。そういう意味で、癇癪を起こしても大丈夫なシチュエーションで外に連れだすという方法を検討されたのは何よりです。そして、心持ちとしても、「癇癪は仕方ない」「癇癪を起こしてもいい」と思えたこと、大きなターニングポイントとなられたことでしょう。できていないことをなんとかするだけを考えていると、そこにばかり注意が向いてしまい、大人の側がつらくなりますね。今すぐにはできないかもしれないけれど、少しずつ成長するのだと、どーんと構えられたこと、きっとあーさんにも安心感として伝わっていたと思います。
2022年03月16日ADHD息子、注意欠如の項目は「重度」Upload By かなしろにゃんこ。※以前は「注意欠陥」という診断名でしたが、2013年に刊行された「DSM-5」で「注意欠如」に変更されましたわが家のADHDで広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)がある息子リュウ太は発達障害の診断では注意欠如の項目が「重度」という診断でした。忘れ物、なくし物は数知れず…うっかり忘れるのは、特性であると受け入れ、家族がフォローするしかないと決意したのはいうまでもありません。学童期では学校に持っていく物は玄関のドアノブにぶら下げておきました。それに加えて、週の始まりの月曜日は上履きや体操服など、持ち物が多いので玄関を出るときに一声かけることが通例でした。Upload By かなしろにゃんこ。家庭内では口頭で伝えても息子が忘れてしまいそうなことは、息子の目線がいく場所に蛍光色などの大き目の付箋に短い文を書いてメモを貼るなどの対応をしていました。(「便座のフタしめる」や「リモコン戻す」など)しかし、メモを見ても息子は忘れてしまったり、気をつけられないこともあります。成人した息子に当時を振り返って、メモについて感じていたことを聞いてみたら、こんなことがあるそうです。・メモを見て「あぁそうだった!注意しなきゃ」と思っても次の瞬間忘れちゃう・再びメモを見れば思い出すけれど、メモを見ても考えごとをしていたらスルーしちゃう・メモを見せてもらいながら、声かけも同時にしてくれないと何を伝えているのか分かりにくいなど。中高生になると、物の管理を自分で行うことが多くなります。なかなか家族が全部フォローはできない上に、忘れ物をしてしまうと困った結果になることが多いため、自分でもメモするクセをつけて工夫するように息子に促していましたが、面倒くさがりの息子はなかなか自分からメモを取るなどの対策はしませんでした。Upload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。息子のスケジュール管理も母が担当⁉息子はメモをしても忘れ物、なくし物は減らないからムダと思っていたそうです。スマホのスケジュール機能やアラームを使うと便利だということも、分かってはいてもセットすることを忘れる息子。結局息子のスケジュールは私が管理していました。「オレ自分で管理できないから助けて、オレが予定を言うからお母さんがメモしておいて」と学校の予定、アルバイトのシフトなど、まるっきり母の私を頼ってくるのです。Upload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。私だって自分のいろいろな仕事の管理が大変だというのに、息子はこんなんで社会に出たときに大丈夫なのかしら?と心配になりました。このような感じで18歳くらいまでは親を頼っていた息子。そんな息子も徐々に自分で管理するようになっていき、カレンダーやメモ機能に予定や大事なことを入れたりできるようになりました。20歳で就職すると、本格的に自分のことは自分で行うようになりました。たまに「忘れたらまずいからお母さん覚えておいて!」と頼まれることがありましたが、忘れずに親にSOSを出せた、それまで覚えていたことだけでもよしとしよう!なんて思いました。そして、現在は短期記憶が苦手な息子は、そのあと車の整備士として働き、今年建設関係の物品管理の仕事に転職。地上100m近い高所で働いています。大型建設工事の現場監督さんから発注された物を準備して管理する仕事です。そのためメモを取ることが必須となったようです。作業中の人に2度3度と聞き直すことができないため、全てメモを取ることにしたんだとか。監督さんに「メモしないでも覚えられるだろう」と言われるようなのですが、「いえ、僕は忘れやすいのでメモ取らせてください!」と毎回言っているそうです。「今は仕事を覚えたてだからデスクの周りはメモでいっぱいになってるよ」と教えてくれました。心配しなくても仕事ではきちんとやれるようになったみたいです。母は安心しました。執筆/かなしろにゃんこ。(監修:三木先生より)思春期から大人にかけて、注意力を司る前頭葉が発達します。また、大人になるといよいよ「抜け漏れがあると本格的にまずい」ことが増えてきます。このような生物学的な変化と意識の変化によって、自分でできることが増えていったのでしょうね。でもそのための方法論が小さいころから家庭で馴染んできた方法だからこそ、スムーズに自分のものにできたのかもしれません。今すぐに効果がなくてもサポートしてあげることの大切さが分かるエピソードです。
2022年03月15日「ダウン症のある子は天使ー…」この言葉は、ダウン症のある子どもの親御さんじゃなくても、一度は聞いたことがある人が多いかもしれません。それほど、ダウン症のある子どもは「穏やか」「天使のようにニコニコしている」「癒しキャラ」というイメージが一般的にあるようです。私もきいちゃんを産んですぐ、ダウン症があると発覚したころ、いろんな人にそう言われました。「ダウン症のある子どもは天使みたいに可愛いから大丈夫だよ!」と…。(その度に「いや、大丈夫じゃありませんが…」と当時は心の中でよく突っ込んでしまっていたものです…。)Upload By 星きのこ今思うと、ショックを受けている私を慰めてくれていたのだと思うのですが、当時の私はとてもじゃないですが、そんな言葉を受け入れる余裕はありませんでした。そんな私ですが、きいちゃんが生後6ヶ月くらいになったときに気持ちが変わる出来事があったのです。そう、それは、きいちゃんの「笑顔」…。生後6ヶ月を過ぎたくらいから、それまで全く表情のなかったきいちゃんが、私と目が合う度に「ニコッ」と笑ってくれるようになりました。そのあまりの可愛さに、さすがの私も「ダウン症のある子どもは本当に天使かもしれない…!!」と思い、癒された気持ちになったものでした。しかしきいちゃんが持っていたものは、この「天使」としての面だけではないと気づいたのは、それからほどなくのことでした…。Upload By 星きのこそうやって天使のように可愛いきいちゃんを浮かれまくって子育てしている私に容赦なくその「兆候」は襲ってきました。それはきいちゃんが2歳くらいのころでしょうか。きいちゃんに水筒を渡しても何度も放り投げるのです。最初のころはなんでかな?と思うくらいでさほど気にしていなかったのですが、何度も何度も水筒を放り投げ、仕方なく投げられた水筒を取りに行く私の様子を見て、ニヤついているきいちゃんにある日、気づいてしまったのです。「こ、この子、ワザと投げてるんだわ…!!私を困らせるために…!!」天使だと思ってたきいちゃんの、あくどい面が垣間見えた瞬間でした。Upload By 星きのこそれからきいちゃんの問題行動はどんどんエスカレート。とにかく物を投げる、テーブルの上にあるものも、手当たり次第に投げて、部屋はぐちゃぐちゃ。本人に悪気は全くなし。叱っても面白がってさらに物を投げるか、私に叱られるのが気に食わないのか、癇癪を起こしてさらに物を投げまくります。これには私も相当悩まされました。そして成長していけばしていくほど、きいちゃんが怒りっぽい性格だということも分かってきました。本当にちょっとしたことで癇癪を起こすきいちゃん。着替えをさせようとしたら怒る、歯磨きをしようとしたら怒る、ごはんを食べさせようとしたら怒る、オムツを変えようとしたら怒る。叱ったらさらに癇癪を起こして、ご飯も投げる。しかも部屋中、マジックで殴り書き。Upload By 星きのこそんなきいちゃんを見て、「癇癪を起しやすい子を育てるにはどうしたらいいんだろう…」と途方に暮れることも多かったです。そしてぐちゃぐちゃになっていく部屋とともに私のストレスはMAXになっていくのでした…。Upload By 星きのこ執筆/星きのこ(監修:鈴木先生より)ダウン症があるお子さんの中には、自閉スペクトラム症を伴っている場合がありますが、そのような場合、イライラしやすくて癇癪が多く導火線が短い易刺激性の症状で困っている親御さんを多く見かけます。易刺激性は抗精神病薬で調整できますが、中にはわざと物を落としたり、悪いことをしたりして親の反応を試したり、楽しんだりしているお子さんもいます。下手に大げさに反応したりせずに「無視」することも必要です。見守りながらの無視、つまり「無反応」がいいのです。親が反応しないことで「やる」意義が失われていくのを待つのです。逆に、「やらなく」なったら思いっきり反応して褒めてあげてください。
2022年03月15日なんで漢字の宿題には、「漢字書き取り」しか選択肢がないの…?こんにちは。『発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた楽々かあさんの伝わる! 声かけ変換』ほか、著者・楽々かあさんこと、大場美鈴です。今回のコラムは「漢字書き取り」の宿題のこと。率直に言えば、うちの長男と次男は「漢字書き取り」の宿題が大キライ。書字にやや困難さのあった長男に至っては、小学生時代の宿題体験から、トラウマになっていると言っていいほど、今でも苦手意識が頭の奥底に染み込んでしまっています。かつては漢字を書くことも、覚えることも、思い出すことも苦手だった長男ですが、さまざまな親子での試行錯誤の甲斐あって、高校生になった今ではノートに黒板の板書を写したり、テストの回答をするときに差し支えない程度には、書字ができるようになりました。漢字の小テストも、ほぼ追試を回避できています。つまり、もう彼は漢字を書くことができるし、最近は読書も好きなので、国語も嫌いな教科ではありません。ところが、「漢字書き取り」の宿題となると、話は別です。ただひたすらに、小さなマス目に同じ字を繰り返し、繰り返し書く……この作業に大変なストレスを感じてしまい、今でも「漢字書き取り」の宿題が出た翌日の長男の部屋はいつもひどい惨状に。なぐり書きでなんとか終わらせた彼は「こんな方法では俺は漢字、覚えらんない。無意味で時間の無駄なばかりか、書けば書くほど文字が分解されて、頭がバラバラになっていく感じがするから、かえって逆効果!」と訴えます。次男も、小学生時代は、字を丁寧に書き過ぎるあまりに、宿題に時間がかかり過ぎて寝不足に。見かねた私は「もっとテキトーに書いていいんじゃない?」と提案しましたが、「訂正されたり、やり直しになるのが嫌だ」と、泣きながら漢字を書き続けていました。ただ、私は「漢字書き取り」の方法自体を批判したいわけではありません。この由緒正しい、伝統的な学習方法が「合っている子」「苦にならない子」もいるからです。長女は、比較的この単調な繰り返し作業が苦にならないタイプで、体の動きで覚えることが得意なので、繰り返しの手の動きで漢字を「書いて覚える」ことも、割とできます。ですから問題は、「漢字を覚える」ための方法が、どんな子にも一律に「漢字書き取り」一択しか、選択肢がないように思われがちな、現在の宿題の環境にあるのではないでしょうか。なぜなら、「ものを記憶する」「覚えたことを思い出す」ために、その子に合った学び方や得意な学習方法は、それぞれの子で違うのにも関わらず、自分に合わない方法を宿題として強制されると非効率的で負担感が大きく、「漢字」や「宿題」、ひいては「勉強」に対しても、ネガティブなイメージができてしまうように私には思えるからです。では、漢字を覚えるために、「ひたすら書く」以外の選択肢には、一体どんな方法が考えられるのでしょう。実例!うちで試した、"ひたすら書く"以外の漢字の覚え方うちでは、以下の実例のような方法をトライ&エラーの試行錯誤で、「ひたすら書く」では漢字を覚えられなかった子も、次第に覚えていきました。中には、うちの子たちはさほど続かなかったものや、「楽しくできたけど、学習効果は微妙……」といったものもありますが、どんな方法がその子に合っているかは、試してみないとわからないので、ご参考までに、うちで実践した10のアイデアをご紹介しますね。(ただし、これらの試みのほとんどは、通常の「漢字書き取りの宿題」とは別枠で取り組んできたので、宿題自体の負担が減ったわけではありません)Upload By 楽々かあさん「手で触って確かめる」「立体的に物事を捉える」ことが得意な子や、図画工作が好きな子には、実際に手を動かして漢字で立体造形物等を作る、アートな方法が向いているかもしれません。例えば……・モールや粘土、毛糸などで漢字を作ってみる・ミニブロック、積み木などの好きなおもちゃを並べて、漢字の形にする……などで、楽しく手を動かしながら、触覚をフル稼働すると、覚えやすいのではないでしょうか。パズルが好きな子や、論理的に考えるのが得意な子は、パズル的なアプローチがいいかもしれません。うちでやってみたのは……・市販の漢字パズル(カード式のもの)や、学習・脳トレアプリなどの活用・市販のワークの活用(LDのある子向け、中学受験生向けのほか、高齢者向けの漢字パズルやクロスワード雑誌も安価でオススメ)……などが、食いつきが良かったです。「人の話をよく覚えている」など、聴覚で記憶することが得意な子は、歌って覚える方法が合っているかもしれません。例えば、「♪歌という字は、可、可に欠ける〜」「♪窓という字は、ウカンムリにハムごころ〜」とか、その子が覚えやすいフレーズをテキトーに考えて、漢字と一緒に唱えながら書くと、記憶に残りやすいと思います(この方法は、宿題と同時にできますね)。Upload By 楽々かあさん「どこかで見たものや場所をよく覚えている」なんて、視覚的な雑情報の記憶力がいい子は、日常生活の中のあちこちで、漢字を見慣れるようにしておくと、場所とつなげて思い出しやすいかもしれません。うちでは……・日用品などに、ものの名前を書いたラベルシールを貼る・市販の漢字ポスターの活用……などのほか、長男の中学受験期には、短冊状にした大量の語句の「おふだ」を本人が作り、家中のあちこちに貼りまくって「覚えたら取ってよし」にしていました(なにやら呪術的な雰囲気になっていましたが……)。やや気の長い方法ではありますが、こうしていると、「そーいえば、この漢字は階段のところで見たような……」と、思い出せるかも。「分かってるのに、いざ書こうとすると字が出てこない!」なんて子は、思い出す手がかりとなる、ちょっとしたヒントを出してあげるといいでしょう。例えばうちでは、社会の宿題で「黒シオの"シオ"が出てこない〜!」なんてときには、「水に関係しているから、サンズイがつくんじゃない?」など、口頭でヒントをだしたり、メモ帳やノートの端などに、部首などのパーツを書いたり、一画ずつ足していく、などをしていました。この方法は、周りの大人のサポートが必要になりますが、子どもの「あー!分かった!!あれだ!」って、ムズムズした記憶がつながった瞬間のスッキリ嬉しそうな顔を見ることができます(うちの経験上、1回記憶がつながると、そのあともその字を思い出せる確率がアップするように思います)。漢字テストを見ると「"博"の点が1つ足りない」とか「"美"の横線が1本多い」とか、細かなパーツの惜しい間違いが多い子は、「お手本の字をよーく見て、大きく丁寧にゆっくり書く」ことができる工夫をするといいかもしれません。・習字で半紙に筆で書く(練習用の水半紙や、筆ペンを使うのも手軽)・ホワイトボードや窓、冷蔵庫などにホワイトボード・マーカーで書く・スケッチブックやタブレットのお絵かきアプリに、指やペンで書く……など。繰り返し同じ字を大量に書かずとも、1回だけ超丁寧に大きく書けば、効率よく覚えられる場合も、結構あるんですよ。体を動かすことが好きな子は、体全体を使ったり、踊って書く方法も楽しいですよ。うちでは親子で、お笑い芸人さんのように「”命”という字は〜」と人文字を作ってみたり、宴会芸のようにしり文字で「♪"遊ぶ"という字は、こーして、こーして、こーかくの〜」と一緒に踊ったり、「なーんて書いた?」と当てっこクイズを出したりしてみました。ただし、子どもたちはとっても楽しくできたのですが、うちでは、この方法で漢字を覚えられたことは、今のところありません(笑)。まあ、漢字学習=ツマラナイ、というイメージは変えられたかも……?Upload By 楽々かあさん国語だけでなく、「得意なはずの教科でも漢字用語の書き間違いで、テストの点につながらない」なんて、少々ソンしてる子は、ふせんなどをメモリーチェックに活用すると効率アップできるかも。例えばうちでは……・覚えたい語句や用語を書き出した一覧や、教科書やプリントの太字の大事な部分などにふせんを貼る→テスト前などに「その字が書けるかどうか」を一回だけ書いてチェックし、正確に書けたものだけふせんを取る→次の日に、残ったふせんの部分だけ、もう一度書いてチェック……これを繰り返すと、いつかは書けるようになったので、長男も中学以降の定期テストを乗り切ってきました。文章を書いたり、ストーリーを考えるのが好きな子は、自分で覚えたい漢字をいくつか使った例文を考えてノートに書き、ひとつのエピソードとして複数の漢字をつなげてイメージすると、効率よくまとめて覚えやすいかもしれません(この方法は、現在の長男のイチオシです)。特に、一見無関係な漢字同士を無理やりつなげたヘンテコな文にしたり、ダジャレや語呂合わせを入れたり、自分の好きなものに関連づけたりすると、印象に残りやすいと思います。そして、その子の好きなことや、興味関心に合わせると、漢字学習だってずーっと覚えやすく、楽しくできることもあります。例えば、歴史好きの長男は、戦国武将や旧国名から、だんだんと書ける漢字が増えていきました。マンガ好きの次男には、必殺技名や好きなキャラのセリフを使った「特製漢字ノート」を作ったら、意欲的に取り組むことができました。お絵かきが好きな長女は、自ら漢字ノートに自分の創作キャラをラクガキして、「ここは出る」「点をつける」など、間違いやすいポイントの解説を入れると印象に残りやすい上、ノートを開くのが楽しいようです。こうして、効率よく楽しく柔軟に、その子に合った学び方で取り組めば、漢字だって、一つずつ「できた!」体験が増え、次の「できた!」や自信につながり、だんだんと、「もっと学びたい」「勉強が好き、楽しい」という意欲につながるように私は実感しています。先生。そろそろ宿題も、個別最適化のアップデートを……以上のように、うちの経験からの実例で、「漢字書き取り」以外の漢字を覚えるための方法を10コほど、ご参考までに紹介させて頂きましたが、本当は「その子にあった学び方」は、子どもの数だけ、選択肢があるのかもしれませんね。新学習指導要領の導入やICT教育の推進等で、様々な教育方法の見直しが進む中で、文部科学省も「個別最適な学び」を次世代の教育目標として掲げています。文部科学省|育成を目指す資質・能力と個別最適な学び・協働的な学び私が紹介した方法は、そのままでは「宿題」としては向かないものも多いでしょう。でも、ある学年での長女の担任の先生は、「宿題の漢字は、漢字ノート1ページを好きに使っていいですよ。自分の覚えやすい方法なら、繰り返し書いてもいいし、何マスか使って字を大きく書いてもいい。自分で例文を作ったり、絵を添えてもいいですよ」と、柔軟な方法で宿題を出してくれました。その年は長女も、語源を調べて象形文字の絵を書いたり、大好きな犬を使った例文を考えたり……と、漢字の宿題の時間を楽しみにしていたようです。何より、宿題をするときに「嫌だな、つらいな」「メンドクサイ、つまらない」といったネガティブなイメージと共に漢字を覚えるよりも、その子に合った方法で、効率よく楽しく覚えられたほうがずっと頭の中に残りやすく、いいイメージと共に思い出しやすいのではないかと思います。宿題の目的が「忍耐力を養うため」ではなく、「その漢字を書けるようになるため」であるのならば、そろそろ伝統的な「漢字の宿題」の方法も、個別最適化したアップデートをする時期に来ているのではないでしょうか。文:大場美鈴(楽々かあさん)(監修:鈴木先生より)現代の時代に合わせられない教育の盲点の問題ですね。今までの伝統を替えて新しいことを始めるのには困難なことが多いのです。病院でも同じです。しかし、誰かがやらないと進歩しないのです。とにかく理解のある自治体・学校・先生から勇気をもって改革してほしいと願って止みません。最近は漢字ドリルを問題文含めて3回写さないといけないとか言われて面倒でやる気を失うお子さんも多くみられます。神経発達症(発達障害)の特性を理解してもらって写すのは1回だけでもいいように親からお願いしてもらうこともあります。神経発達症(発達障害)のお子さんは練習(宿題)が嫌いでも本番には強いことが多くの場面でみられます。運動会・発表会・テストなどです。以下に紹介するアプリは筑波大学の院生の方がつくったものです。今回、1番の立体アート法でも示されたような色で分けた書き順がこのアプリの中でも展開しています。先生が黒板に色のついたチョークで示すかのごとく、わかりやすくつくられています。漢字が苦手なお子さんにはぜひ試していただきたいアプリです。つくば市は国際都市で外国の方も多く、漢字を覚えるのにこのアプリを利用なさっている方もおられます。いいアイデアは惜しまずに全国に広まってくれれば、漢字で悩むお子さんが一人でも多く、早くいなくなっていくのではないかと考えます。参考:漢字を書くことが苦手なお子さん向けの漢字練習アプリ「Oska Writing」大場美鈴(著),『発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた 楽々かあさんの伝わる! 声かけ変換』あさ出版, 2020.6.27
2022年03月14日「塾に通わせてほしい」中1の秋に長男に言われ、理由を聞くと…発達に凸凹のある長男が中1秋のころのお話です。長男が通う私立中学は前期後期制。この日は前期期末試験が近づいていたこともあり、長男は試験勉強に取り組もうとしていました。浮かない顔をしていたので、静観していたのですが、しばらくすると長男が少しイライラした様子で私に「英語が全くついていけていないから、塾に通わせてほしい」と相談してきました。Upload By スガカズ英語に関しては、小学校のときから「苦手だろうな」と、心配していた教科です。実際長男は、中学校にあがってから、文法もつづりも理解していないままどんどん授業が進んでいくため、今さら恥ずかしくて先生に質問することができないようです。長男にとって英語の時間は苦痛以外の何物でもなかったようでした。これまで長男は気が進まないのに、こちらが半ば強引に勉強をさせてもあまり意味がありませんでした。そのような経験を、数えきれないほどしてきたため、こうやって長男自身が自分から「塾に通いたい」と言うのはとてもよいきっかけだと感じ、私はできる限り長男の希望に応えたいと思いました。Upload By スガカズとは言っても、長男の通う中学校は土曜日を含めて毎週6日通学しないといけません。通学にかかる時間も往復2時間かかるため、現状のタイムスケジュールに加えて塾に通うことは本人にとって負担となると感じました。そこで、私は自宅にいながら指導してもらえる家庭教師にお願いするという選択肢を長男に提案しました。長男と私だけの判断で決定することができないので、長男と私で話したあと、パパに相談をすることにしました。ですが、事情を聞いたパパに「(塾などの勉強に関する習い事は)認められない」と却下されてしまいました。パパに相談してみると、「解決する努力をしていないのに、それって費用対効果はあるの?」Upload By スガカズ理由はこうでした。・長男が家庭で予習、復習をする習慣をつけていないことが気になる・長男は分からないことに対して解決策を考えず、おざなりにしていることが気になる・そんな状況で簡単に決断はしたくないこと・そもそも長男は4人きょうだいの中で最も教育に対してお金や労力をかけられていること正論を言われてしまい長男も私も「これはOKをもらえないパターンだ…」と察しました。Upload By スガカズパパの言い分はもっともですが、私は普段子どもたちのことを見ている立場からすると、「教育に対して費用対効果を求めるのは難しいのではないか」と感じました。特に発達に凸凹のある子どもたちは、やる気があったとしてもさまざまな特性が勉強に対する困難につながることもあるため、1つの成功体験をつむためのコスト(時間、労力、お金)はある程度寛容であった方がよいと私は思っています。費用対効果を求めてしまうと、結果的に本人がいろいろなことに対して挑戦しにくくなってしまうかもしれませんし、保護者も期待しすぎてストレスの原因にもなってしまうかもしれません。また、そこから親子の関係がギクシャクしてしまうのでは…と心配になります。私は長男が自分自身で「苦手な英語を少しでも分かるようにしたい」と思ったことを応援したいと思ったので、その日は一旦諦めて、時間をかけてパパを納得させられる理由を模索しようと思いました。約2か月後、長男の弟(次男)が解決のカギにUpload By スガカズところで、長男には3歳離れた小4の弟(次男)がいます。なんと今回の悩みを解決するカギは、この次男の存在でした。次男はADHDとLD(書字障害)があるのですが、長男が勉強で悩んでいたこの時期に学校でほかの友達と言い合いになる場面が増えてきました。クールダウンのために保健室や廊下で過ごしたり、教室内で授業中に工作に没頭することが目立つようになりました。そうすると、授業に参加する機会が減ります。授業で使うノートも、プリントも真っ白です。もともと次男は勉強が苦手なので、私は「授業を受けるだけでもえらい」と思っていました。ですが、授業を受けない状態を許容した状態を続けると、次男がだんだんと「授業に参加しなくてもよい」「周りが何も言わないから勉強はしなくてもいいや」という発想になってしまうのが心配でした。その穴を埋めるためにも次男には、学校以外での勉強の場(苦手かもしれないけどある程度は勉強をしないといけない)をつくったほうがいいと感じました。ところが、私が家庭で次男の勉強を見ようとすると本人が嫌がるため、勉強の場として第三者との時間が必要であると思いました。そのようなこともあり、きっかけは異なるものの長男と次男の勉強に対する問題は両方「家庭教師にお願いする」ことで解決するのではないかと私は考えました。家庭教師は塾よりも個別のニーズに合わせやすい特徴があります。また、きょうだいがいる家庭は、1人の先生に2人同時に見てもらったり、時間を区切って別のきょうだいを見てもらうことが可能です。次男には「パパがOKだしたらの話なんだけど、家庭教師のお兄さん(その子に合った先生を選ぶことが可能)に、勉強を教えてもらうのはどうかな?ゲームとかYoutubeの話もできるかもしれないし、塾に通うよりも次男は楽しいと思うよ」と話しました。次男は「それはいいね!」と応えました。Upload By スガカズ私はそのことをパパに相談しました。また長男に関して、ここ2ヶ月私も一緒に英語の勉強のサポートに入ってみたり、本人なりに英語の復習の時間をつくったりしてみたけれど解決できず、限りある時間を有効に使うことが難しかったということや、後期の中間試験で得意な教科にも影響が出始めたことを伝えました。パパはLDのある次男に対して、「自分で解決することは難しい特性だから、学校以外で勉強の場を設けてもよいのかも知れない」と感じたらしく、長男のときのような否定はしませんでした。であれば長男の件についても、そこまで否定する必要はないし、金銭的な面でも納得できたようでした。こうして紆余曲折しましたが、当初の目的である長男の勉強環境と、さらに次男の環境もつくることができました。まさに一石二鳥といえるでしょう。子どもに合った先生のもとで学ぶことの大事さUpload By スガカズはじめのころに来ていただいた家庭教師の先生は、当時大学生でした。小4の次男は学校以外(放課後等デイサービス除く)でほかの人に勉強をみてもらう機会は少ないです。まずは環境に慣れてもらうために、「勉強をがんばったあとに、先生と30分遊べる」というルールにしました(先生に快諾していただけました)。先生のお陰で長男も次男も楽しく勉強をするきっかけを得ることができました。未就学の下のきょうだいたちも、先生が来る日をとても楽しみにしており、約1年間子どもたちと友達のように関わっていただきました。ですが、その先生は今年の4月から社会人なので、家庭教師を引退することになりました。そのため、今年の1月から代わりに新しい先生に勉強を見ていただいています。その先生は発達障害のある子の指導を長年やってきたという経験があるため、子どもの特性に合わせた関わり方がとてもうまいです。新しい先生に代わったタイミングで「30分遊べる」ルールは終わりにしたのですが、それでも長男も次男も前向きに勉強に取り組んでいます。先生は毎回2人に宿題を出すのですが、2人とも「先生との約束だから」と、宿題に取り組んでいます。長男が英語が苦手で悩んでいた当初は、パパに家庭教師をお願いすることを反対され、どうなることかと思いましたが、先生方に関わっていただいたことで長男も英語に限らず、勉強に取り組む様子に変化が見られるようになりました。少し前に、長男が「勉強は、ルールさえ理解できたらあとは楽になるんだ。でもそのルールを見つけるまでが大変なんだ」と話していました。そういった気づきは本人でないと得られないことなので、家庭教師をお願いしたことで、長男の気づきを得る手伝いをできたのかも?と少し安心しました。パパが反対していた当時に言っていた「費用対効果」は、得られているのではないか?と感じています。執筆/スガカズ(監修:井上先生)家庭教師作戦が成功してよかったですね。長男さんが言われているように「自分に合った学び方のルール」が分かっていくことがとても大切だと思います。親が教えるとどうしてもお互い感情的な部分が出てきてしまうので、お子さんの特性を理解してもらえる家庭教師という第三者の存在はとても大事ですね。また、家庭教師の先生がいないときに学習の習慣がついてきたというのは、すばらしいと思います。勉強以外に友達のことや将来の目標のことなど、気軽にしゃべれるような関係性ができることで自分のお兄さんのような感じで心の支えや目標になってくれるといいですね。
2022年03月14日癇癪を起こさないために普段から気をつけたいことUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンいったん始まってしまうと、癇癪を鎮めるのは難しいので、普段の生活から子どもに十分配慮をし、癇癪が起きないように回避することが重要です。・刺激の過敏性に対する配慮気になるものをなくす、不快な刺激を生み出すものを遠ざける、違うものに変更するなど・見通しの立てられるような言葉がけを気持ちの切り替えを行うことは子どもにとっては難しいことです。いきなり遊びを中断されたりすることは子どもにとって大変ストレスなことなので、癇癪を起こす要因の一つとなります。あらかじめ予定を視覚的に見せることで伝わりやすくしたり、感覚過敏のある場合には、苦手な環境や状況を避けるなど、癇癪の背景にある特性に合わせて、癇癪が起きにくい環境を整えることが大切です。・自分の気持ちを知ってもらう「今、自分はこんな気持ちだ」ということが周囲に知ってもらうだけでも、気持ちが楽になっていくこともあります。例えば、困ったときに口に出すべき具体的なセリフを教えてあげることで、「困ったときには人に頼ってもいいんだ」という安心感が生まれます。・余暇グッズを用意する長時間待たなければならない場合など、何もすることのない状態だと手持無沙汰によるイライラや不安などから癇癪に繋がることがあります。本人の楽しめる余暇グッズを用意することで気を紛らわし癇癪を減らすことができます。・ルールを一緒に決める言葉を理解し、話すことができるくらいの年齢の子どもに対して有効な方法です。癇癪が起きてしまったときにつぶやくと落ち着く言葉や、落ち着く場所や行動など子どもと一緒にルールを決めておくとよいでしょう。対処方法をルール化することで、怒りの感情から抜け出すための「いつもの方法」をもつことができ、癇癪が起こったときに子どもが自分で冷静さを取り戻すことも可能となります。子どもが癇癪を起こしてしまった! クールダウンの方法は?癇癪への対応はそれが起こる前の環境調整や対応に力を注ぐことが原則です。しかし、十分な対応をしても癇癪が起きてしまう場合があります。その場合はどのように接するべきか前もって知っておくことで、焦らずに対応しやすくなります。癇癪が起きたときは、まずは子どもが怪我をしないように安全を確保します。危険なものを遠ざけたり、周りの安全を確保したりします。癇癪が生じた場合、必要以上に声掛けをしたり、注意したりしてかまうことで、結果的にそれが子どもの注目要求をかなえてしまったり、より興奮させてしまうことに繋がってしまうかもしれません。難しいところもありますが、できるだけほかのことに気を散らしたりして落ち着くまで待つほうがよいでしょう。癇癪が止まり、子どもが完全に冷静さを取り戻したタイミングで落ち着けたことをしっかり褒めるようにしましょう。褒めてあげることで子どもは安心感を抱き、さらには気分を落ち着けるための方法を学ぶことで、予防にもつながります。時間が経ってからだと、癇癪を起して落ち着いたという一連の流れを忘れてしまうので、落ち着いたらその場で褒めてあげることを心がけましょう。不適切な対処は、癇癪をエスカレートさせてしまう先に述べたように子どもが激しい癇癪を起こしている様子に周囲の大人が感情的に引きずられないように注意しましょう。親自身も子どもの隣にいるだけでイライラしたり、気分が乱れてしまいます。対応する大人の心が乱れていては、子どもに冷静に対応することはできません。物が飛んできたり、たたいたりと怒りの矛先が自分に向いたときには距離をとることも大切です。・感情的に叱るのはNG頭ごなしに叱りつけたり、いきなり力でおさえるような対応は、子どもを混乱させ、癇癪をエスカレートさせてしまうこともあります。逆に、強い癇癪に対して好きなものを与えてその場をおさめることを繰り返すと癇癪によって自分の要求をかなえると言う事を学習してしまう可能性もあります。・要求を通さないようにする癇癪を鎮めるためにおもちゃやお菓子を与えると、子どもの癇癪はその場では止むこともありますが、子どもに「癇癪を起こすとなにかいいことがある」と言うことを学習させてしまうことに繋がります。また、要求を通さないと最初に子どもに言ったならば、その態度を貫き一貫性をもって接することが大切です。ただ、乳児期の子どもの泣きやぐずりについては、子どもと保護者の愛着関係をつくり上げるための大切なコミュニケーション手段となり、その後の子どもの気持ちの発達の基礎となるので、子どもの要求に合わせて応対するという姿勢が必要です。子どもの癇癪に悩んだら、早めに相談を子どもがたびたび過剰に癇癪を起こす場合、保護者が一人で継続して向き合うことは簡単ではありません。また、癇癪が起こる場面を予測し、予防の方法を考えるには、専門性が求められることがあります。特にプランを見直しながら継続するのは負担が大きいので、専門家と連携しながら取り組むとよいでしょう。もし現在子どもとの関わり方や、癇癪への対応に一人で悩まれているのでしたら、なるべく早く相談できる味方を見つけることをおすすめします。子育て支援センターは、乳幼児の子どもと子どもをもつ親が交流を深める場です。市区町村ごとに、公共施設や保育所、児童館などの地域の身近な場所で、乳幼児のいる親子の交流や育児相談、情報提供などを行っています。子育てをしている家庭の支援活動を行う施設であり、保護者にとっては、育児に関する不安の相談に総合的に応じてくれる心強い施設です。詳しくは、お住いの市区町村のHP内の子育て・育児のページをご覧ください。子どもの特性や困りごとに応じた支援を行う、いわゆる療育プログラムを提供している福祉施設です。事業所によっては相談支援事業も行っており、保護者からの子育ての相談にも乗ってもらえます。また施設にもよりますが、言語聴覚士や理学療法士、 作業療法士などの専門家による支援を受けられる場合もあります。利用までにはお住まいの自治体の福祉担当窓口への申請が必要となりますが「通所受給者証」を取得することで、低い自己負担額で利用できます。発達障害の当事者、及びその周囲の関係者(保護者や教師など)を支援する機関です。大人の発達障害や、その関係者の支援が充実している施設ですが、基本的に年齢に関わりなく相談できる場所です。子どもの問題行動について機能分析の知識をもつ発達支援の専門家がいることもあります。癇癪があまりに強すぎると、反抗挑戦性障害や破壊的気分調節不全障害 、行為障害として診断される場合があります。そのようなときには何らかの医療・福祉的な配慮によってトラブルを解決できることもあります。あまりに高頻度で長時間の癇癪が続いたり、自傷行動を行うなど身体的、精神的にダメージが大きいときや、解決に緊急性が求められるときには医療機関への相談も選択肢の一つです。医療機関に相談する場合、「発達外来」や「小児神経科」「児童精神科」が専門となります。まとめ子どもが癇癪を起こさないように気をつけていても、すべてうまく対応できる訳ではありません。予期せぬ癇癪や、子どもの癇癪が続くことで親自身が落ち込んでしまったり、子どもに対して感情的な態度をとったことで自分自身を責めてしまうことがあります。つらい、どうしたらいいのか分からない、など悩むことがあれば、一人で抱え込まずに上の相談機関などに相談することが重要です。イラスト/かなしろにゃんこ。
2022年03月13日相手が謝っていても「絶対に許さない!!」というミミUpload By taekoASDのあるミミは小学校の通常学級に通う現在、2年生。通っている小学校の面談は、年2回の希望制です。学校でのミミのことを少しでも知りたい私は2回とも面談を希望し、先日その面談がありました。先生によると、お友達との関わりでトラブルになったあと相手が謝っていても、ミミの悲しい気持ちが怒りになり「絶対に許さない!!」と、大きな声で言うので、今後の対人関係の形成に支障が出るかも…と懸念しているとのことでした。家庭で弟のふー(4歳)と揉めてミミが大きな声で弟にひどい言い方をしたとき、私はミミに「ミミは○○したかったんだね、でも△△って言われると悲しいよ。こういうときは□□って言ってみようか」など言うようにしています。でもミミが私のいないところで怒鳴ったりチクチク言葉(※)を言ってしまうのは止められません。言われた方は怖くなってしまうし、お友達は「ミミとはもう関わりたくない」と思うだろうなと心配になります。※言われると相手が嫌な気持ちや怒りを抱いてしまうような言葉「指摘」が止まらない…Upload By taeko「指摘グセ」のあるミミ。なぜそんなに?と思うほどミミは「考え過ぎ」る。小学2年生になったばかりのころ、登校班で一緒の子に対して「指摘」を繰り返してしまい、相手の保護者の方とも相談し学校に登校班を変えてもらうということがありました(今ではその子とは公園で遊ぶこともあるのですが…)。新しい登校班でも年上の子にブツブツ小言を言っています。その子は歩きながら雑草を1本抜いただけなのに、ミミにとっては許せないようで「年上のクセに悪いことして、低学年が真似するだろう!」と、先生の口調を真似して指摘をしてしまいます。転入生がきたときは…ミミ:「なんでこっち見んだよ。オレに悪いことしようと考えてるな」母:「誰もミミのこと悪く考えてないよ、みんな自分のことでせいいっぱいだよ」などなど。チクチク言葉(※)をミミが言うときは「言われた方は悲しい気持ちになるよ。言いたくなっても、心の中で言おうね」と繰り返し繰り返し伝えているけどミミは止まらない、言えば言うほどヒートアップするので私の伝え方は何か違う気がしています。※言われると相手が嫌な気持ちや怒りを抱いてしまうような言葉Upload By taekoミミは公園でその転入生の子を見かけたときは「指摘」をしない。遊びに夢中だったり、広い空間でほかにも人がいるから気にならないんだろうな。そのとき登校班や、エレベーターの中など、人が密集したときに周りが気になってしまうんだったと思い出しました。それで2年生の春に登校班を変わったんだ、と。あれから半年以上経つけれど、まだ気になることを口に出してしまうんだな…。思ったことを隠さず正直に言えることは素晴らしいけど、相手の気持ちを傷つけるような言葉は言わない、と考えるのはまだ難しいのかな…。その場での対応方法が分からないので、書きためてスクールカウンセラーさんとの面談時に相談しようと思っています。Upload By taeko執筆/taeko(監修:井上先生より)ミミくんが思ったことをそのまま人に言ってしまったり、人を傷つけるような感情的な言葉を言ってしまうことがあると、ミミくんが集団に入るたびにtaekoさんもヒヤヒヤしてしまうかもしれませんね。コラムの中で書かれているようにミミくんが感情的な言葉になってしまうのは、人が密集している場面でテンションが上がったり、自分のペースが乱されたりした場合に生じやすいのかもしれません。もう少し年齢が上がると、ミミくん自身がこのことに自分で気づけるようになり、苦手な相手や状況から少し距離を置いたり、一呼吸待ったりして感情をコントロールできるようになっていくのではないかと思います。思ったことを口に出すことそのものは、全て悪いことではないので「言っていい場合」と「そうでない場合」を、少し長い目で見ながら分かりやすく教えていくことが大切だと思います。
2022年03月13日親子で大切にしたいーー『発達が気になる子の子育て10か条ーー生活スキルやコミュニケーションを伸ばすコツ』ここでの「発達が気になる子」とは、特性のある子どものこと。一般的・平均的な子育てをしようと接していると、親子の足並みが揃わない場合があります。子どもに合った育て方を考えていったほうが、親子共にストレスなく過ごせることが多いようです。わが子の特性はどんなタイプか考え、そのタイプに合った接し方、対応を知ることができます。この本で紹介している「子育て10か条」は、幼少期から学齢期、青年期までの子育てのポイントがまとめられています。子どもの成長の土台をつくる幼少期から学齢期、子どもが土台の上で成長していく青年期、それぞれの時期の困りごとやそれぞれの成長段階ならではのエピソード、タイプ別の対応例が具体的に書かれています。子どもが成長していくごとに、保護者の悩みも変化していくもの。「どうしてこうするのだろう」「どう対応したらいいのだろう」と悩んだときにぜひこの本を開いてみてください。お金や福祉の仕組みが分かるーー『障害のある子が安心してくらすために―支援者が知っておきたいお金・福祉・くらしのしくみと制度』発達が気になるお子さん、障害があるお子さんを育てる保護者の多くは「親なきあとわが子は生活していけるだろうか、支援はあるのだろうか、お金は足りるのだろうか」という悩みを持っているのではないでしょうか。しかし具体的な対策や、相談先などが分かりにくいというのが現状にあると思います。この本では、具体的な事例を挙げて、障害のある人やその家族が利用できる制度や相談先などを紹介。支援に関わる方が、それぞれの制度ついて保護者の方から相談されたときに、アドバイスする際のポイントが分かりやすくまとめられています。障害のある人の支援者の方だけでなく、「親なきあと」に悩む保護者の方にとって参考になる、手元に置いておきたい一冊です。指先で凹凸を感じながら楽しく学べるーー『凹凸書字ドリル』Step1〜Step5Upload By 発達ナビBOOKガイドPriPriパレット×できるびより 凹凸書字ドリル「STEP1なぞり書き編」「STEP2模写編【基本】」「STEP3模写編【ななめ線】」「STEP4・5 ひらがな・数字編」鴨下 賢一 (監修)世界文化社『凹凸書字ドリル』シリーズは、凸凹のある特殊な印刷を使った今までにない新感覚の書字学習ドリル。紙の凹凸を感じながらStep1〜Step5まで1冊ずつクリアしていきましょう。えんぴつを思うように動かす力、線や形をまねして書く力、正しい書き順を一つずつ身につけ、「ひらがな50音」が書けるようになるまで段階的に、楽しく学ぶことができます。文字の練習に入る前段階としての、えんぴつを動かす練習にぴったり。直線、斜めの線、波線、ぐるぐる、丸など…凹凸あり、凹凸なしのシートを交互に使ってえんぴつを自在に動かす「運筆力」と手先を器用に動かす「巧緻性」を育みましょう。丸や縦線・横線などさまざまな図形が凹凸で印刷されています。模写する練習に最適。「運筆力」「巧緻性」だけでなく文字を書けるようになるために必要な、線や図形をまねして書く力「模写力」が育ちます。ひらがなを書くためには、ななめ線が書けるようになることが大切です。Step3ではななめ線が含まれる線や図形を模写する練習をします。紙の凹凸がななめ線をしっかりガイド。楽しく練習できます。ひらがなを「あ」から練習するのではなく、直線で構成されるものから、難易度順に練習します。凹凸のある印刷のひらがなは触ってみるだけで楽しい! 書き順も1、2、3…と色がついているので分かりやすく、自然と正しい書き順を身につけることができます。「STEP4 難易度順」が書けるようになったら「STEP5 50 音順」で 50音を確認しながら練習します。はみ出さないように書く練習が苦手、たくさんなぞって書く練習がイヤ、手先の器用さやなめらかな動作に不安があるお子さんでも大丈夫!凹凸習字ドリルで楽しみながら文字の練習をしてみませんか?3つの理論に基づくアプローチを紹介ーー『「うまくいかない」ことが「うまくいく」に変わる! 発達障害のある子どもがいきいきと輝く「かかわり方」と「工夫」』Upload By 発達ナビBOOKガイド「うまくいかない」ことが「うまくいく」に変わる! 発達障害のある子どもがいきいきと輝く「かかわり方」と「工夫」岩坂 英巳 (著), 宮﨑 義博 (著)幻冬舎「発達障害」という言葉が広く知られてきたことで、授業中じっとしていられない、集団行動が苦手など…これまで「クラスでも手のかかるタイプ」として捉えられていたお子さんの行動が「特性によるものかもしれない」と教員や親など周囲の大人が気づくというケースが増えてきているようです。一方で関わり方に悩みを抱えてしまう保護者も増えているといいます。この本では、どうすれば子どもとよりよいコミュニケーションが取れるのか、親子のストレスを軽減しつつ子どもの成長を促すポイント、学校や病院、支援機関との連携の取り方など、具体的な事例を挙げて紹介。社会生活に欠かせないスキルを身に着つける「SST(ソーシャルスキルトレーニング)」、子どもに合った接し方を親子で身につける「ペアレントトレーニング」、対人関係や学習面の困難さの原因を、感覚や運動面から探る「感覚統合療法」の3つの理論に基づくアプローチをイラストや写真を交えて解説しています。保護者にも、支援する方にも参考になる一冊です。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!
2022年03月12日カナヅチ克服のために通ったスイミングASDのある私は、子ども時代いろいろな習いごとに通いました。しかし、「私には向いていなかったなあ」と感じるものも多くありました。私は水泳がまったくできませんでした。水が怖いのです。バタ足をしてみてもうまく水が蹴れず、どんどん沈んでいく。無理してクロールしてみれば、息継ぎのときに上げた側の耳にどうしても水が入ってしまうのが嫌だし、息継ぎの瞬間に盛大に沈んでプールの床に足がついてしまう。親から「水泳の苦手克服のためにスイミング教室に通いなさい」と言われ、仕方なく通ったのですが、特に目立った効果は感じられませんでした。しかも今思えば、室内プールの中って音がすごく反響するので、すぐに疲労困憊してしまう。当時は誰も私に発達障害があると知らなかったので、特に障害特性に沿った指導がなされなかったのも、目立った効果が感じられなかった理由のひとつだと思います。算数の苦手克服のために通った塾国語は飛び抜けて得意だったものの、算数が苦手だった私。苦手克服のために、決まった内容のプリントを繰り返し行うことで基礎力をつけることを謳う塾に通いましたが、これも合いませんでした。もともと興味の持てない、苦痛なことを単純に繰り返すだけなので、いかに楽をして乗り切るかばかり考えるようになります。もう詳細は忘れてしまいましたが、同じプリントを繰り返しこなす塾のシステムを悪用して、以前やった答案を参照しながら答えを書き写すようなことをしていました。こういったタイプの塾は、発達障害のある子どもでも、タイプによってはすごく合っていて、ゲームのように何周もこなすうちに確実に力をつけていく場合もあるようです。しかし、私にとってはまったく効果がないばかりか、苦しいばかりの習いごとだったように思います。30歳を過ぎて受けた知能検査では、IQのバランスが「単純作業を手際よくこなすことが非常に苦手」なものだとわかって、私は初めて、あのときの塾がなぜ自分に合わなかったのか理解することになりました。習いたくて通ってみたけど、合わなかったピアノ合わなかった習いごとの中で唯一、私が自ら希望して通い始めたものにピアノがあります。同級生の子がピアノに通っていると聞いて、単純にぼんやりとした憧れを抱いて「私も通いたい」と言ったのですね。しかし、「ピアノを習っている」ということに満足してしまったら、私はまったく練習をしなくなりました。毎週まったく練習せずに教室に行って、毎度先生にこってり怒られるのにまったく意に介さない。楽譜を読めるようになろうという気概もなく、いつまでも楽譜にドとかミとかカナをふっていました。あなたが言い出して始めたことなんだからまじめに続けなさいと言われて、ものすごく面倒臭かったのを覚えています。仕方なく何年か続けたものの、確か中学受験をするために進学塾に通い始めるタイミングでそそくさと辞めてしまいました。唯一楽しく続いた課外活動はバトン部、部長にまでなる自ら希望して始め、かつ楽しんで続けられた課外活動は学校のバトントワリング部でした。私はスポーツ全般が苦手でしたが、いま思えば障害特性に合った指導をしてくれる指導者に出会えなかっただけで、身体を動かすこと自体は嫌いではありません。特にリズムにのって踊ることが好きで、嫌いな運動会の練習でもダンスの練習だけは楽しみでした。バトントワリングとはもともと器械体操の種目。そのとき私が通っていた学校のバトン部では、運動会で可愛い衣装を着て、鼓笛隊に先導されてクルクルとバトンを回して踊リながら行進することをメインの活動にしていました。よくある大学のチアリーダー部の妹版みたいな感じで、花形だったのです。当時は目立ちたがり屋でもあった私には、運動会で出しゃばれるのは行進やダンスだけだったので、すっかりのめり込みました。3年生から始めて4年間続け、6年生になったときには部長まで務めました。本人のモチベーションが何より大事いま振り返ると、単純な苦手克服系習いごとをはじめ、私の障害特性と合わない習いごとはやはり私に向いていなかったなあと思います。根本問題は、当時誰も私の発達障害に気づいておらず、学校においても、私の障害特性に合った指導法がなされていなかったところにあります。私が体育全般が苦手だったのにも算数が苦手だったのにも理由があるから、その苦手な理由をクリアしていない習いごとをいくら重ねても苦手を克服できるわけもなく、負担が増えるだけでした。発達障害のある子どもの体力は多くの場合、定型発達の子よりも限られていると思います。このため、習いごとや課外活動をたくさん掛け持ちすることには限りがあるでしょう。習いごとや課外活動を選ぶ際には、本人の障害特性に対する理解と配慮があり、本人が自らモチベーションを示すようなものを選んでいくのが大事なのではないでしょうか。こうした、繊細な条件に合う習いごとや課外活動だけをさせるのは遠回りのように見えます。甘やかしのようにも感じられるかもしれませんが、本人に大きな負担をかけずに楽しく続けられるものを選ぶことが、結局は近道のように思えます。文/宇樹義子(監修・鈴木先生より)いろいろな習いごとで向き不向きはありますが、指導者との相性も重要になります。「できないことを克服」できたのも理解のある指導者が優しく丁寧に教えてくれたからだと推察します。また、バランスが悪く、運動嫌いで、不器用なお子さんは発達性協調運動症の並存が考えられます。以前にもお話ししたように、リハビリでは作業療法士(OT)が行っている感覚統合訓練が効果的です。算数が苦手なお子さんは特異的学習症の計算障がいの可能性もありますので専門家と相談して対処するのがいいでしょう。将来的には電卓ができればいいと思います。
2022年03月12日バディウォーク東京Upload By 黒木 聖吾今年もバディウォーク東京が開催される。初開催から10年目のアニバーサリーイヤーだ。2012年、NPO法人アクセプションズがスタートしたバディウォーク東京は、ダウン症への理解と受容、社会的な平等を促進するチャリティイベント。開始当初からダウン症のある当事者とその家族だけではなく、さまざまな企業や学生などのサポートを受け、ダウン症をキーワードに参加者全員が楽しむイベントだった。現在のバディウォーク東京はNPO法人SUPLIFEが主催し、規模も広がり、より多くのサポーターが参加して、インクルージョンな1日を楽しむ素晴らしいイベントに成長した。そんなバディウォーク東京という体験を通じて、ある行動を起こした高校生のエピソードを紹介したい。ある高校生の決意「次のフリードレスデイをわたしに企画させてください。ダウン症のある人たちを理解するイベントにしたいんです」高校1年生のエレナは自分の通う学校の校長先生をじっと見据え、こう切り出した。これから校長先生を前に、たった一人でプレゼンテーションをしなければならない。こんなに大胆な行動を自分が起こせるなんて、少し前までは考えてもみなかった。緊張する。でも、「大事な友人」のために勇気を振り絞る決意は変わらなかった。フリードレスデイとは、エレナの通うインターナショナルスクールで月に2回行われるチャリティイベント。生徒たちが自ら社会課題をテーマに選び、それに合わせた色や形の私服を着て登校し、校内で募金活動をする。エレナはこのフリードレスデイで、ダウン症を理解するための「バディウォーク・フリードレスデイ」を企画したいと考えた。バディウォークとは、自分も参加したことのあるダウン症啓発のためのウォーキングイベントの名前で、1995年からアメリカで開催されるようになり、2012年から東京でも開催されるようになった。エレナの考えた企画では、このバディウォーク東京のイメージカラーである「黄色、青色、オレンジ色」の服を生徒たちに着てきてもらい、ダウン症とは何か、どんな人たちで、わたしにできることはどんなことなのか、そういったことをみんなに知ってもらおうと思った。Upload By 黒木 聖吾しかし、新しいフリードレスデイを企画するのは、校内行事といえども簡単なことではなかった。これまでのフリードレスデイは「東北大震災支援」や「がん患者支援」「ホームレス支援」といったテーマで、長年ずっと変わらずに開催されてきていて、新しいテーマが提案されること自体が珍しい。そのうえ企画申請の手順は社会人さながらの難しさで、校長先生へのプレゼンテーション、生徒全体への趣旨説明、ニュースレターの送信など多岐にわたった。単なる思いつきでできることではない。「それでも成し遂げたい、ダウン症のある友人ナナのために」エレナはふうっと深呼吸してから、校長先生へのプレゼンテーションをはじめた。Upload By 黒木 聖吾ダウン症のある友人ナナUpload By 黒木 聖吾ナナとの出会いは、エレナが7歳、ナナが4歳のときだった。母親同士が友人だったことから、ナナとは小さいころからよく遊ぶ仲良しで、いっしょに旅行にいったり、テニスで遊んだりもした。友人であるナナにダウン症があることは知っていたが、楽しい時間を過ごすのに、ダウン症であることはまったく関係なかった。だから2014年、エレナが9歳のときに初めてバディウォーク東京に参加したときも、ダウン症に関するイベントだとはまったく思わず、たんに3歳年下の小さな「ナナ」といっしょにウォーキングをする楽しいイベント、ぐらいにしか思っていなかった。お揃いの旗を振って歩いたり、楽しい音楽に合わせて口ずさんだり、風に乗ってたくさんのシャボン玉が飛んでいくのを見て、二人とも楽しくてしかたがなかった。それから毎年のようにエレナは、渋谷や新宿で開催されたバディウォーク東京に参加した。年齢と共に、これがダウン症の啓発活動で、参加者が街中を歩くことでダウン症の理解につながるのだと分かり、少しずつ意識が変わっていった。そして2020年、決定的にエレナを変える出来事が起こる。新型コロナ感染症の流行。それまで普通に遊んでいたナナと、会えなくなったことに気がついた。学校の同級生とは毎日のようにSNSでやりとりしていたが、リアルなコミュニケーションを主としていたナナとは、コロナの流行を境に会うことがなくなってしまった。ナナはコロナに罹っていないだろうか?ニュースでは基礎疾患のある人は重症化しやすいと言っているけど、ダウン症のある子はどうなんだろう?急にナナが遠い存在になってしまったようで、動揺した。わたしはナナについて何も知らなかったんじゃないか、と。わたしにできることは何か。行動を起こした高校生エレナ2021年、高校1年生になったエレナは二つの行動を起こした。まずは、渋谷で開催されたバディウォーク東京に、ボランティアスタッフとして参加すること。これまでのように「お客さん」の一人ではなく、運営するほうに参加したかったのだ。Upload By 黒木 聖吾二つめが、冒頭に紹介した「バディウォーク・ドレスデイ」だ。プレゼンテーションのための準備や活動はまだ1年生のエレナにとって大変だったが、いつのまにか親しい友人だけでなく、知らない生徒たちもエレナのサポートに加わってくれるようになった。ハンディキャップのある生徒がいないこの学校で、はたして理解してもらえるだろうかと初めのうちは心配していたが、自分が行動を起こしたことで、協力と理解の輪が広がっていくことに今まで感じたことのない感動を覚えた。Upload By 黒木 聖吾エレナや仲間たちの努力が実り、いよいよ「バディウォーク・フリードレスデイ」当日を迎えた。「幼稚園から高校生まで、多くの人が黄色、青色、オレンジ色を着てきてくれ、うれしさのあまり涙があふれました」エレナは当日の感動をそう振り返る。「バディウォーク・フリードレスデイ」は想像以上の大成功を収めた。幼稚園から高校生まで多くの生徒たちがテーマカラーの服を身にまとい、募金に協力してくれたばかりでなく、「ダウン症について今回のイベントで初めて知ったよ」「バディウォークについてもっと知りたい」とたくさんの生徒が声をかけてくれた。エレナの次の目標は、この「バディウォーク・フリードレスデイ」を関東や日本各地すべてのインターナショナルスクールに広げることだという。Upload By 黒木 聖吾さあ、次はあなたの番です。あなたもバディウォーク東京で、新しい世界をつかんでみませんか?執筆/黒木聖吾Buddy Walk® Tokyo 2022 for allオンラインイベント生配信日時:2022年3月19日(土) 13時~15時ごろ(延長最大16時まで)NPO法人SUPLIFE YouTube チャンネルにて配信配信会場:代々木 公園ケヤキ並木 通り生ライブ配信 @ 代々木公園ケヤキ並木通り当日は、個性あふれるゲストのみなさまをお招きし、代々木公園ケヤキ並木通りから生ライブ配信を予定しています!• バディウォーク東京の 10年振り返り• バディウォーク東京テーマソング ライブ• 各種 パフォーマンス• ユニバーサルスポーツ紹介• 各企業に聞く!「誰一人取り残さない」取組みホットニュース法人SUPLIFE YouTube チャンネル法人SUPLIFE
2022年03月11日凸凹兄妹は行動がユニーク!?うちの凸凹兄妹は21歳と14歳。2人ともASDがあり、知的障害はありませんが日常生活では年齢の割にできないことが多々あります。Upload By 寺島ヒロまた、こだわりの強さゆえに、好きなものに没頭して、行動がユニークになることもあります。Upload By 寺島ヒロとはいえ、日常生活で必要なことは、ゆっくりではありますが身につけていってますし、好きなことに没頭するのも悪いことではないと、私は思っています。日々の暮らしの中でのフォローは大変ですが、大抵のことは受け入れて、彼らのペースでの成長を見守ってあげたいのです。しかし、そんな私にも、どうしても許容できない息子の行動がありました…。どうしても許容できない、息子の行動とは?それは、小学校4〜5年生のころ頻繁に起こっていた、軽く飛び跳ねながら「わっわっ」「わっわっ」と二回ずつ繰り返して言うという行動です。Upload By 寺島ヒロ一度この「わっわっ」が始まると、2~30分は続きます。本人に「耳障りなのでやめてくれない?」と言っても、「やろうとしてやってるわけじゃない。自然に出てくるんだよ」と言うだけです。木曜日と金曜日によく見られるので、学校に行く日が続くとストレスが溜まってきて、こういう行動が出るのかもしれません。療育センターの先生に聞いてみたところ、チックの一種かもしれないと言われました。ストレスを逃すための行動だとすると、無理に止めると本人の負担が増えて良くないかもしれません。ですが…この「わっわっ」が、なぜか私はすごく気に触るのです!夫や、当時よく家に来ていた私の母もそれほど気にならないと言っていたので、相性があるものなのかもしれません。仕方ないので、この「わっわっ」が始まると、ほかの部屋に移動したり、ほかの家族がいるときは、もう任せて近くの喫茶店に逃げたりして凌いでいました。逃げ場のない車の中で事件が!しかしある日、私とタケルといっちゃんの3人で、車で出かけていたときに事件は起こりました。後部座席のタケルが座ったまま、「わっわっ」と言い出したのです。焦りました!タケルの「わっわっ」は、一度始まると2~30分は止まりません。運転中にこれをずっと聞かされてはたまらない。でも、この状態ではお店などで休むことも難しいでしょう。どうする?…懸命に考えましたが、後ろから聞こえてくる声が気になって考えがまとまりません。「少し黙ってて!」と叫びそうになったとき…意外なところから救世主現る!当時まだ4歳だったいっちゃんが「んぱぁぱ♪んぱあぱ♪」と、タケルの声に合わせて歌い始めたのです。Upload By 寺島ヒロ不思議なことに、メロディーラインが被さると、タケルの声が気に障らなくなりました。最初からそういう音楽の一部だったかのように聞こえてくるのです。これが「正解」だったのか!それから家でも時々いっちゃんは、タケルが「わっわっ」と言い出すと歌い出し、一緒に飛び跳ねて踊ります。なぜか歌が終わるとタケルの「わっわっ」も終わるのです。今までの1/10の時間に短縮され、私も逃げなくて良くなりました。いっちゃんには、お兄ちゃんを助けるというつもりはなかったと思いますが、結果的にこれが突破口となり、タケルは飛び跳ねたくなったら音楽プレイヤーで曲をかけて、リズムに合わせて体を揺するという方法を編み出しました。あの「わっわっ」という声も次第に聞かれなくなり、わが家に平和が訪れたのです。執筆/寺島ヒロ(監修:井上先生より)この行動がチックであるかどうかは分かりませんが、お子さんの示している常同的な行動(同じ動作を繰り返したりする行動)には、そのお子さんなりのさまざまな意味があることが多いです。状況によって、またお子さんによって異なるのですが、何もすることがないときに感覚刺激として行っている場合もあれば、嫌な刺激や浮かんでくる考えから逃れるためにしている場合もあります。寺島さんのエピソードのように、周囲が落ち着いた環境になることが、お子さんの行動を強化しないで減らすことにつながるかもしれません。
2022年03月09日カラフルレンジャー発達ナビライター・荒木まち子さんのオリジナルマンガ『カラフルレンジャー』を1話からどうぞ!それぞれ違った特性のある6人のレンジャーと、個性豊かなキャラクターたち。それぞれの背景、隠されている秘密とは…?【第1話】6人6色のカラフルレンジャー現る!【第2話】レンジャーみんなで昆虫採集【第3話】行きつけの子ども食堂へ。ケーキを目の前に、それぞれが考えることは...【第4話】怪しい集団に声をかけられたピンク!お菓子につられて...【第5話】怪しい集団からピンクを救出!【第6話】「マジョリティー隊」の目的とは?【第7話】マジョリティー隊員にレッドが遭遇!【第8話】個性炸裂なレンジャーたち!さらなる『必殺技』を求めて!?【第9話】それぞれの思いを胸にレンジャーたちは、海へ【第10話】趣味の「推し活」を楽しむグリーン【第11話】マジョリティー隊長が隊長職を退く?【第12話】「PP団」とは?幹部シャサは今後の相談をしにガバナーのもとを訪れるが…【第13話】カフェ・レインボーが臨時休業。みんな様子がいつもと違い…!?【第14話】レンジャーたちが海外へ!!【第15話】ガバナーとカフェのマスターが密会!?【第16話】悩める親、シャサは「クラブ・ルーツ」へと…【第17話】突然サッカーを始めたブラック。どうやら好きな子がサッカー好きなようで…?【第18話】ガバナーに会いたい…とクラブルーツに通うサシャ。そこに現れたのは…!?これからどうなる!? 最新話をお楽しみに!LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!
2022年03月09日イライラすることはあるけれど、癇癪は落ち着いてきました!Upload By 丸山さとこ小学5年生のときに「あれ?みんな自分と同じような状況でも怒ったり泣いたりしてないな。もしかして、自分の表現って人より激しいのかな…?と思った」と言うコウはそこからグッと落ち着いていきました。今でもイライラしたり突っかかってきたりすることはありますが癇癪というほどの大爆発はなくなり、周囲の人はもちろん本人も「楽になった」と言います。そんな風に過去を振り返ってサッパリと語る彼の癇癪の歴史はそこそこ長く、ブリッジしながらキーキー叫んでいた保育園児のころから始まっています。(今思うと、乳児のころに反り返って泣いていた姿も癇癪だったのかもしれません)小学校に入学してから2年生までは癇癪よりもパニックになることが多かったコウは、思うようにならないときや上手くいかないときは青ざめて震えながら固まっていました。泣きながら頭や腕を床に打ちつけることもありました。しかし、2年生の後半からは再び癇癪を起こすようになり、”言葉を使った癇癪”が増えてきました。Upload By 丸山さとこ今振り返ると、コウはそのあたりから癇癪を起こしながらも少しずつ周囲を見られるようになったのだと思います。前述の「もしかして自分の表現って人より激しいのかな?」という発言も、癇癪を起こす自分や周りの子ども達を客観的に見られるようになったからこそ出てきた言葉だと考えると、癇癪を起こしつつも、落ち着いたあとでそのときの状態について会話ができるようになった小学2年生辺りがターニングポイントだったのかもしれません。コウと私、それぞれが振り返る「なぜ癇癪は落ち着いていったのか?」パニックについて「心や思考が遠心分離機にかけられる感じ?回されてバラバラになっちゃう」と言う彼。その彼にとって、癇癪は「『あー!』ってムシャクシャする感じ」なのだそうです。Upload By 丸山さとこそのためか、小学2年生以降の『言葉を使った癇癪』に対しては、声をかけることがある程度有効でした。話しかけて気をひいたり交渉に持って行ったりできるようになったことで、少しずつ「癇癪を起こすよりも、気持ちや考えを言葉で訴えた方が自分にとって得になる」と学んでいったのではないかな?と思います。コウに「自分としては、癇癪が減ったのはなぜだと思う?」と聞いてみると、「昔は何かにつけて”絶対”と思っていたけど、今は”諸行無常(※)”と思っているからじゃないかな?」との答えが返ってきました。※諸行無常:この世のすべてが常に移り変わり、永遠に変わらないものはないということ。Upload By 丸山さとこ確かに、”言葉を使った癇癪”を起こしている最中のコウは「絶対〇〇なのに!」と言って引きませんでした。絶望して泣きわめく彼に「そうなの?お母さんには絶対○○とは見えないな」「そうなの?それは困ったね」と感想を伝える形で見守り、会話が始まるのを待ったこともたくさんありました。そうして予定を変更したり「もうダメだ!」と泣きながらも作業を続けたりすることで、「予定を変更しても大丈夫だったな…?」「もうダメだと思ったけど、案外そうでもなかった!」と感じる経験が増えていったそうです。Upload By 丸山さとこ日常生活でのさまざまな経験や、対話や読書で知ったことなどが合わさっていく中で、コウは次第に「絶対〇〇だ!」という考えから「物事は諸行無常だな」という実感を得ていったのかもしれません。一難去ってまた一難!? 癇癪が落ち着いたら増えてきた「まあいいか」そうして『めでたしめでたし』となれたら何よりでしたが現実はそう上手くいかず、今度は”絶対”による癇癪が減った代わりに”まあいいか”によるミスやトラブルが増えたコウに振り回されるようになったので、一難去ってまた一難という感じのこのごろです。そんなコウも、最近は「『融通がきかない僕』と『抜け道を探す僕』のどちらも人の話を聞いていないね」と自分の姿を振り返るなど、新しい視点を獲得しようと模索している様子が見られます。Upload By 丸山さとこ彼が今後どのような考えを持つようになるのか楽しみにしつつ、「これからも『今度はそうきたか~!』って振り回されたりするんだろうな」と思う私です。Upload By 丸山さとこ執筆/丸山さとこ(監修:井上先生より)幼児期以降の癇癪の多くは、何かの不都合に対して「人に伝えたい」という思いがお子さん自身にあると思います。その気持ちを癇癪という行動で表すのではなく、言葉にして伝えられるようになったのはすごいことです。丸山さんが癇癪の際にされていたような、お子さんが言葉にできるまで待つこと、癇癪を言葉にすることができたときや、感情をコントロールできたときに肯定的な対応をしてあげることは大事になってくると思います。「癇癪であらわす」よりも「言葉にして伝える」ということが、周りの人も理解しやすく、自分とってもメリットがあると分かってくることが大事です。癇癪が起きているとき、親も感情的になってしまうこともあると思いますが、一度子どもの気持ちを肯定して、ルールを伝えるなど、冷静に対応できたことがよかったのだと思います。
2022年03月08日受けてみるか、WISC-IV!Upload By 吉田いらこ発達相談センターで新版K式発達検査という検査を受けて、療育手帳の申請ができる(つまり軽度知的障害に該当する)と説明された小学5年生の長女ゆい。どうして民間のクリニックで追加の検査をしようと思ったのかというと、どうせ調べるなら成長に関わる全部を調べてほしかったからです。クリニックで検査を受ける前、ゆいにはこう説明していました。「このテストで、ゆいの得意なことと不得意なことが分かるんだって。まあ、性格診断みたいなものだよ。不得意なことが分かったら、学校の先生と相談してゆいに合った教え方をしてもらえるようにするからね」正直に『発達に気になるところがあるから検査をするよ』と伝えることは、やはりできませんでした。本人にどう伝えたらベストなのかがまだ分からなかったからです。ですが、この「性格診断」という言葉に興味を持ったのか、ゆいは特に不安がることもなく検査を受けてくれました。Upload By 吉田いらこ驚きの検査結果クリニックでWISC-IVという検査を数時間かけて受けたあと、1ヶ月たってから検査結果を教えてもらえることになりました。渡された検査結果は『報告書』というかたちで、具体的な数値やグラフが出てくることはありませんでした。すべて文章で、どういった特性があるかがA4サイズの用紙数枚にわたって書かれています。ただ、ゆいが読むには難しすぎるので、先生が平易な言葉で読み下してくださいました。Upload By 吉田いらこ私も検査結果に最後まで目を通したのですが、気になることがありました。発達障害の話題でよく聞くASDやADHDといった単語が出てこないのです。私は「つまり、診断名としては何になりますか?」と思わず聞いてしまいました。どうやらWISC-IVの結果だけでは診断名はおりないようでした。その後の医師の問診をふまえた診断の結果、ゆいには『ASD(自閉スペクトラム症)』『緘黙(かんもく)』と診断がおりました。そして軽度知的障害については今回調べたWISC-IVでは該当しないということでした。数ヶ月前に発達相談センターで受けた新版K式発達検査では軽度知的障害に該当し、療育手帳が申請できると言われたので、すぐに役所に行って手帳を発行してもらっていました。それなのに軽度知的障害じゃないの?と驚いたのですが、クリニックの先生がおっしゃるには、知的障害に関してはいわゆるギリギリラインだったそうです。「こういうことはよくありますよ。数年後に手帳の再判定がありますが、その際に対象から外れるかもしれません」と先生にさらりと言われて呆気に取られてしまいました。Upload By 吉田いらこなぜかASDと緘黙の結果が出たことについてのショックはほとんどありませんでした。最初に軽度知的障害の判定結果が出たときはショックを受けたのですが…。今日説明された特性2点については『あ、そうなんだ。じゃあ次の対策考えなきゃ』『次は学校に説明する段取りを取らなきゃな』と仕事をするときのような感覚しかありませんでした。検査を受けて思ったことはUpload By 吉田いらこクリニックからの帰り道、ゆいはご機嫌でした。判定結果の解説文にあった『言語化が得意』という一文がうれしかったようです。確かに算数と漢字が苦手なゆいですが、作文が好きなので長所を当ててもらったように感じたのかもしれません。『こだわりが強く、聴覚から入る情報を処理するのが苦手』といった一文についても、確かにその通りだなあ、と笑って気に留めていないようでした。私はゆいに発達検査のことを性格診断だと説明しましたが、意外と合ってるんじゃないかなと感じました。得意なことと苦手なことをはっきりさせて、さらにアドバイスしてもらう。人生をよりポジティブに生きるため、この検査を受けて良かったと私もうれしくなりました。執筆/吉田いらこ(監修:井上先生より)まずは、発達相談センターとクリニックでの二回にわたる検査、お疲れ様でした。お子さんもいらこさんも大変だったと思います。クリニックで受けたWISC-IVは知能検査なので、その子自身の認知の特性について詳しく知ることができます。しかし、WISC-IVの結果によってASDや緘黙の診断ができる訳ではありません。今までの発達の様子や、医師の問診によって、それぞれの発達障害の診断基準に適合するかどうかなどの総合的な判断で診断がおりるかどうかは決まります。また、いらこさんが体験されたように、知能検査や発達検査の種類によって数値が異なる場合もありますし、時期によって変動することもあります。全体の数値だけでなく、その子の中での得意なことや苦手なことの把握が重要になってきます。診断後は検査などで得られた本人の強みや苦手な部分を周囲の人が理解することで適切な環境や学習の方法などが見えてくると思います。
2022年03月07日カナダ「National accessArts Centre(NaAC)」とはUpload By 発達ナビニュースカナダの障害者芸術団体「National accessArts Centre(NaAC)」。発達障害、身体障害、後天性障害のある人々に芸術的トレーニング、創作、展示の機会を提供しています。その活動は、障害のある人への経済的自立支援にもつながっています。NaACは、カナダで最も歴史ある障害者芸術団体です。創立から45年経った2020年、現代表・ジョンソク・リュウ さんが中心となり団体のコンセプトや支援の仕組みを刷新。団体名を「National accessArts Centre(NaAC)」とし、さらに躍進的に、障害者芸術の新しい支援の形を作り出し、唯一無二のアーティストたちを輩出する団体へと進化しました。NaACで最も大切にしていることは所属するアーティストが「障害のある人」として作品を提供するのではなく、「アーティスト」として仕事をし、適正な対価を得るということ。実際に芸術に関するサポートを受けた人々はすばらしい作品を生み出し、それらは芸術作品として高い評価を得ています。NaACの活動は、海外から見ても障害者芸術への支援の先駆けであり、その支援の仕組みや所属するアーティストたちの芸術性は、カナダ国内にとどまらず注目されています。その活動は芸術的支援のみならず、2021年の国連気候変動会議(COP26)では、カナダの代表として展示会「Conference of the Birds 」を開催しました。のホームページNaACの代表、ジョンソク・リュウさんに活動について伺いました。発達ナビ編集部(以下、ーー)NaACの活動を通して伝えたい思いを教えてください。Upload By 発達ナビニュースジョンソク・リュウ:NaACでの仕事を通じて私が学んだことは、機会を提供すると、驚くべきことが起こる可能性があるということです。長い間、障害のある人のコミュニティは無視され、差別されてきた印象があります…特に芸術の世界では。私たちはこれを変えるべく活動を始めましたが、これからもたくさんやるべきことがあると考えています。私たちはNaACのアーティストと、世界で活躍するさまざまなアーティストとのコラボレーションする機会もつくっています。今ではNaACに所属する12人以上のアーティストが、海外を旅して文化交流活動に参加しています。活動を通し、今までにないすばらしい芸術作品がうまれ、新しい価値を創造していると感じています。また2021年からNaACでは、音楽に関する活動も始めました。障害のある人々によって革新的な音楽が次々に作曲されています。さらに世界中でアーティストの作品を展示しています。アートの力で、障害のある人に対する社会の誤解や偏見を変えたいと思っています。NaACは、障害者芸術団体にとどまらず、よりよい社会をつくる最前線にいると感じています。展覧会「マイ・イマジネーションー創造性は無限だ!」の見どころそのNaACの展覧会「マイ・イマジネーションー創造性は無限だ!」が、東京都港区にあるカナダ大使館高円宮記念ギャラリーで022年5月25日(水)まで開催されています。※新型コロナウィルス感染拡大防止のため2022年1月17日(月)より一般公開を一時休止しています。今回日本で行われている展覧会では、発達障害のある5人のアーティストが手掛けた約20点の作品が一堂に並びます。Upload By 発達ナビニュースアーティストの一人、ジェーン・キャメロン(1949―2000)は、「発達障害のある芸術家が活躍できる」という道を開きました。 展覧会「マイ・イマジネーション ー創造性は無限だ!ー」というタイトルは、彼女の記した「My imagination is so many things」という言葉に由来しています。そして、アディール・サディク、デビッド・オポン、ドナルド・グリノー、レイ・ワンの4人は、ジェーンと共通する創造性を持って新たなメディアやその組合せを開拓している注目のアーティストです。世界中でこの2年の間に生活様式が変わり、今までのような制作活動が難しい面もありました。その中で彼らは新しい方法での制作に挑戦し、心ゆさぶられるような作品の数々をつくりだしています。キュレーターを務めるカーリー・モーティマーさんにこの展覧会について伺いました。Upload By 発達ナビニュースーー展覧会「マイ・イマジネーションー創造性は無限だ!」の見どころを教えてください。カーリー:全て注目してほしい作品なので、お気に入りをひとつ選ぶのは難しいですね。ジェーン・キャメロンの「Calgary Boy」は、パワーにあふれ、私たちが暮らすカルガリー市(カナダの都市)がよく表現されており大好きな作品です。Upload By 発達ナビニュースまたデビッド・オポンの作品は、自然災害からの復興という観点でも重要だと思います。 2013年、カナダのカルガリー市では約10万人が避難を余儀なくされる洪水があり、私を含めて多くの人々が家を失いました。デビッド・オポンは、困難に見舞われたあともアーティストとして芸術作品をつくり続けました。その前向きに進もうとするアーティストの力は、人々に希望を与えるものであると思います。Upload By 発達ナビニュース私はアーティストには世の中を変えていく力があり、あらゆる問題の捉え方を変えていく存在だと思っています。そして作品をつくるためには、アーティストたちは多くの課題に取り組む必要があります。 ドナルド・グリノーの作品「Sheriff Rug」は、それを強く印象づけるものです。 彼はこの作品を完成させるのに、なんと8年の年月を費やしました。彼が作品を完成させた日、私たちは作品を誇らしげに掲げる彼の写真を撮りました。Upload By 発達ナビニュース障害のある子どもたち、そして保護者へ伝えたいことジョンソク・リュウ:ぜひ展示会を見に来てください。今回ギャラリーまで足を運べない場合でも、インターネットで障害のあるアーティスト、ダンサー、ミュージシャンの芸術を見ることができます。きっと、芸術を通して自分自身の価値観を表現している人がたくさんいることに気づくでしょう。芸術にふれ、「やってみたい」と感じているか、ぜひたしかめてみてください。あなたの視点と創造性にワクワクして、あなたが持つその価値観をすばらしいと感じている人たちが、身の回りや世界中にいることを忘れないでくださいね。表現することを恥ずかしがらなくて大丈夫。障害があってもなくても、あなたはあなたなのです。もし『自分の感じていること、思っていること、表現したいことを誰かと共有したい』と思うのならば、ぜひ一歩踏み出してみてください。そこに共感してくれる人がきっといますよ。のYouTubeチャンネルはこちらカーリー:価値観を限定せず、思い切ってのびのびと作品をつくること、表現をすることを恐れないでくださいね。今回の展覧会でアーティストたちは、今までにない新たな挑戦をしました。私はそこから今まで以上に彼らの力強さを感じ、とても胸を打たれました。世界中の人たちが、発達障害のある人々の視点や価値観からもっと多くのことを学ぶ必要があると感じています。あなたが何かをつくり出すことで、あなたのすばらしい視点や価値観がきっとたくさんの人に伝わると思います。ジョンソク・リュウ:私たちはみんな、障害のある人々にとってより良い世界をつくろうと思っている仲間です。私はたまたま、発達障害のある人々が驚くべき創造性と可能性を持っていることを世界に証明しようとしている芸術団体の代表をしています。障害のあるお子さんを育てる保護者のみなさんも、いろいろな形でより良い世界をつくるための行動をしていらっしゃることでしょう。やっていることが何であれ、それがときには挑戦的で、落ち込んでしまうようなことがあるということを私は知っています。私たちの挑戦や苦悩を知らない人たちは、「どうして、さらに求めるの?」と聞くかもしれません。 私はNaACの活動する中で「今のままでも十分ではありませんか?」とこれまで何度も聞かれました。難しいことではあるのですが、そんなとき「いいえ、まだまだ」と言う勇気と力を持ち、子どもたちにとって最高のサポートと環境を求めることが大切ではないかと思っています。お子さんは、やがて成人へと成長し、その可能性を開いていくことで、自分らしい充実した生活を送ることができます。お互いに、そして私たちのようなグループや団体からインスピレーションを得てみてください。良い世界をつくっていく勇気と力をみんなが持てることを願っています。カーリー:みなさんのお子さんは世界を変えていく存在であり、将来の仕事などにつながる新しい方法を見つけるでしょう。彼らはイマジネーションの力と考える力を秘めていて、私たちがこれまでに見たことのないような芸術的な表現をすることがよくあります。保護者の方はお子さんや、そのほかの障害のある方たちの一番のサポーターになることができます。彼らのために一番よい方法に出合ったら、それが今までにないサポートだとしても怖がらず挑戦してみてください。障害のある人たちの才能と能力がたくさんの人たちに知られることで、みんなにとっての壁がなくなるのではないかと思います。NaACは、いつでもその味方になります。※クリックすると発達ナビのサイトからカナダ大使館のホームページに遷移しますUpload By 発達ナビニュース〈詳細〉【会期】:2021年12月6日 (月)~2022年5月25日(水)10:00~17:30(入場は17:00まで)休館日:土曜、日曜および、2022 年 3 月以降は、3 月 21 日(月)、4 月 15 日(金)~18 日(月)、5 月 3 日(火)~4 日(水)※新型コロナウイルス感染予防のため、同時のご入場は 5 名まで※2022年1月17日(月)より一般公開を休止しています。詳しくは以下へお問い合わせください【会場】:カナダ大使館 高円宮記念ギャラリー(東京都港区赤坂7-3-38)【観覧料】:無料※ ご入館に介助を必要とされる方は事前にご連絡ください。【問い合わせ】:カナダ大使館広報部(tel) 03-5412-6310現在、オンラインでも展示会の紹介動画を公開しています
2022年03月06日癇癪と発達障害って関連はあるの?Upload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンたびたび癇癪が起こるからといって発達障害があるというわけではありません。ですが発達障害のある子どもに強く見られる傾向が癇癪が起こるきっかけと絡んでいる場合があります。自閉スペクトラム症、ADHDなど発達障害のある子どもによく見られる4つの傾向と癇癪の関係自閉スペクトラム症のある子どもには、感覚過敏がある場合が多くあります。周りの子が大丈夫な刺激でも過敏に反応して癇癪を起こしてしまうことがあります。また、自閉スペクトラム症のある子どものこだわりや不安の強さによって、普段と違うことが起きたり、突然の予定変更に気持ちがついていかず、癇癪に繋がってしまうこともあります。強い癇癪の背景には、言葉の理解と表出の発達に関するアンバランスさが影響している場合があります。また、知的障害を合併する場合は言葉の発達全般に遅れが見られたり、身振りや手振りなど言葉以外での表現も苦手であることで、その伝わらないもどかしさや要求を伝えるための手段として、癇癪を起こしやすくなると考えられます。このほかにも感覚の過敏性がある、決まったパターンが乱れることが苦手(同一性保持)、余暇の乏しさなどが、癇癪の背景にある場合もあります。私たちは、自分の意思と相手の意思の両方を考えながら、時には譲ったり、自分の願いを優先させるために交渉したりして、他人との関わりの中で生きていきます。発達障害のある子どもたちは、他者の意思と自分の意思を調節することが難しい傾向があります。自分と他者の意思を調整するためには、まず相手の気持ちを把握した上で、「これぐらいなら譲れる(または要求できる)」という2つのステップが必要です。自閉スペクトラム症といわれる発達障害のある子どもの場合、まず最初に必要な相手の気持ちや意図を理解するというステップを通過することが難しく、そのために自分と相手の意図を調節するための材料を持ち合わせていない状態に陥りやすいのです。こだわりがある、他人のペースに合わせるのが苦手、ということもあります。また、ADHD(注意欠如・多動性障害)がある場合は、「やりたい」という気持ちを抑えるのが難しいために、相手の気持ちが分かったとしても、その気持ちを譲ることができないことと、感情がすぐに表面化することで、爆発的に怒ってしまうことがあります。成長するにつれて人は自分のストレスを減らすために工夫を行います。発達障害のある子どもたちは、この自己調整や衝動性のコントロールを行うことが難しい傾向があります。このような行動の工夫を行うことが苦手なので、不快な状況をそのまま経験することになり、ストレスが蓄積されていきます。最後には自分の気持ちをコントロールすることができずに不満や怒りが爆発して癇癪を起こすことがあります。まとめ癇癪の原因は必ずしも子どもに発達障害があるから、というわけではありません。ですが発達障害のある子どもに強く見られる傾向を知っておくことで、子どもに癇癪が起きたときにより良い対応が取れる可能性があります。イラスト/かなしろにゃんこ。
2022年03月05日「アール・ブリュット」とは、専門教育を受けていない人がつくり出すアートアニエスベーといえば、ボーダーのTシャツにスナップボタンが特徴的な「カーディガンプレッション」といった、フランスらしいタイムレスなスタイルを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。流行に左右されないオーソドックスなデザインだからこそ、その人らしさを引き出す服というイメージがあります。そのアニエスベーの青山のショップには、ギャラリーが併設されています。ここで2022年4月17日まで開催されているのが、BRUT展。アール・ブリュットの展覧会です。Upload By 発達ナビ編集部アール・ブリュットというと、日本では障害のあるアーティストがつくり出す作品というイメージがあるかもしれませんが、障害がある人によるもののみを指すのではありません。アートの専門教育を受けていない人が、独自の表現で生み出したアート、「アウトサイダーアート」のことを意味します。アニエスベーでは次のように定義しています。アール・ブリュットとは、1940年代にフランスの画家 ジャン・デュビュッフェが考案した既存美術や文化潮流と異なるコンテクストによって制作された芸術作品の総称で、一般的にアウトサイダーアートとも称される。 "ART=芸術""BRUT=生の"を組み合わせた言葉で、自身から湧き上がる衝動をそのままに、教育や社会的,文化的な通念から自由な思考で表現した芸術と定義されている。出典:アニエスベー ニュースリリース今回のBRUT展で作品が展示されるのは、13組の日本人アーティスト。ドローイングありペインティングあり、立体作品あり、個性は色とりどりです。パリが本拠地であるアニエスベーのギャラリーで、日本人のアール・ブリュットのアーティストの作品展が開催されるに至ったのは、ブランドの創始者でありデザイナーであるアニエス本人と作品との出合いがあったからでした。南仏ブルターニュのギャラリーで出合った日本人アーティストの作品から始まる今回のBRUT展に参加しているアーティストの一人が菅原康匡(すがわらやすまさ)さん。彼は、東京にある福祉サービス事業所「やすらぎの杜」でパン職人として働いています。Upload By 発達ナビ編集部アニエスの娘が、ブルターニュのギャラリー・プレインジュール(Gallery Plein-Jour)で菅原さんの作品と出合いました。ギャラリー・プレインジュールで開催されていたのは、ギャラリーのキュレーションによる展示「Art Brut Japoinais(日本のアール・ブリュット)」。そこで購入した1枚の絵を、彼女にプレゼントしたのです。娘から贈られた菅原さんの作品をアニエスはとても気に入りました。その後、彼の作品のオリジナルプリントのTシャツも販売しました。それと同時に「いつか日本で、日本のアール・ブリュットの作品展を開催したい」という思いを抱き企画が動き始めたのだそうです。それから2年、コロナ禍の状況もあり、ようやくこの春、開催にこぎつけたのでした。世に知られていない、若手アーティストを応援したいという思いこれまでも、アニエスベーはアート展の開催や、サポートなどを行ってきました。でも、アール・ブリュットの展覧会を独自で開催するのは初の試みです。アニエスベーがアート作品を購入したり、アーティストを応援したりするのは、投資のためではありません。応援してきた人たちの中から、有名になった人たちもいますが、有名になりそうだから応援している、ということではないのです。彼女のアートへの思いの根底には「若い人たちを応援したい」という気持ちが常にあります。「若い」というキーワードから、グラフィティ・アートやストリートアートが関連していきますが、そのひとつが「アール・ブリュット」だったのです。今回の展示も、障害がある人による作品だから、アール・ブリュットだからという視点で開催を企画したわけではないといいます。「アニエス自身が出会って好きになった」という、感情の動きが大事なのだと言います。アニエスベーの作品やグッズの中で自然と知りえる、社会への思い今回はBRUT展について取り上げていますが、アニエス自身は創業当時から、持続可能な社会への意識をもって環境問題や人権問題などの社会課題解決活動をし、発信してきました。たとえば、コンセプトにある「GIVE LOVE」という言葉は、商品のキャッチフレーズでもありますが、これは彼女がずっと発信しているメッセージです。たとえば、海洋科学探査船タラ号プロジェクト。Upload By 発達ナビ編集部青山の店舗にディスプレイされている、タラ号プロジェクトにまつわるアート作品と商品のコーナータラ号プロジェクトは、アニエスベーフランス本社のCEOであり、Tara Océan財団共同創設者兼会長であるエティエンヌ・ブルゴワが、アニエスベーと共に支援しているプロジェクトです。二人は2003年、科学的、環境保護的ミッションを遂行するためにスクーナー船タラ号を購入しました。科学探査船タラ号は世界中を航海し、海が直面する環境的脅威や気候変化の影響を調査しています。タラ号の航海が始まったのが2003年。世界中の海を訪れ、海洋科学の調査研究に貢献しています。当時はまだSDGsという言葉はほとんど知られていません。海洋汚染というテーマに人々が見向きもしなかった時代。サンゴ礁の調査から、最近はマイクロプラスチックの調査も進めています。日本には、2017年、2018年に寄港し、海洋環境に関する多くの講演会やワークショップが開催されました。タラ号が特徴的なのは、研究者や海洋環境に関する専門家だけでなく、アーティストも同船していること。青山のショップには、タラ号のクルーを撮影した作品たちやタラ号に関連する書籍やグッズが、タラ号の解説とともに展示されています。また、1998年より30年以上にわたって、HIV/AIDS患者の支援を続けています。赤いエシャルプ(えり巻き)を販売し、その収益はエイズ患者を受け入れる組織や病院に寄付。赤いエシャルプは、ウールのマフラーとコットンのスカーフがあり、通年で販売しています。Upload By 発達ナビ編集部コンドームのパッケージは、アニエスベーが支援するアーティストの作品やブランドに縁りのあるロゴやモチーフがあしらわれ、スタイリッシュ。啓発メッセージと共に、無料配布されており、ショップを訪れた人は自由に持ち帰ることができる。HIV/AIDS患者支援の活動の一環として、1995年からはコンドームを無料配布。旗艦店を始めとする一部のショップには「ご自由にお取りください」というメッセージとともに、おしゃれなミニカード風のパッケージに入ったコンドームがさりげなく置かれています。自分の体を大事にするということを積極的に考えてほしい、そんなメッセージを感じます。これらの活動は、アニエス自身の想いそのものから生まれたもの。それがまた、ショップのコンセプトを形づくっていると言えるでしょう。彼女は子どものころ、毎週訪れていた日曜日の教会での記憶が根底にあると言います。体が不自由な人や困っている人のために、自分にできることを捧げる、という体験。そこから生まれたのは、人と分かち合うという精神でした。アニエス自身が若くてまだビジネスで成功する前にたくさんの人から助けてもらったように、今度は自分が出会った若い人、まだ世の中に出ていないアーティストを応援するということは、呼吸をするように当たり前のことと言えるのでしょう。服を買うということはライフスタイルを選択するということでもあるUpload By 発達ナビ編集部ネオンサインの形は「ポワンディロニー」と呼ばれる感嘆符の一種。同名のアートフリーペーパーを不定期に無料配布している。「ポワンディロニー」は19世紀の終わりにフランス人作家のアルカンテール・ド・ブラームによって提唱され、皮肉めいた内容を指し示すために文章の最後に使われる。このようなメッセージやアートが店内にもディスプレイされている。アニエスベーのショップにある洋服やファッションアイテムたち。それらは商品であると同時に、メッセージがこめられた作品でもあります。BRUT展が開催されるのはショップ併設のギャラリーですが、ショップ自体もギャラリーのようです。壁にはメッセージが書かれ、映画の大きなポスターがあり、タラ号の活動記が展示されています。こうしたディスプレイが訪れる度に様変わりするのも楽しみの一つ。私たちは服を選ぶとき、「おしゃれに見える」「流行っている」「着心地がいい」ということがポイントとなりますが、服は自分を表現するものだからこそ、服がもつメッセージや背景も選ぶポイントとなるのだと、今回の取材を通じて感じました。文/関川香織撮影/鈴木江実子日本在住のアウトサイダー・アーティスト13組のグループ展。開催日時:2022年2月25日(金)~4月17日(日)(定休日無し)11:00~20:00開催期間中無休(※ただし新型コロナウイルスまん延防止措置の状況によります)会場:【agnès b. galerie boutique | アニエスベー ギャラリー ブティック】住所:東京都港区南青山5-7-25 ラ・フルール南青山2F電話:03-3406-6010Instagram: @agnesb_galerie_boutique※詳細ボタンをクリックすると発達ナビのサイトからアニエスベー ギャラリー ブティックのサイトに遷移します
2022年03月04日癇癪の予兆をつかむむっくんは小さなころから癇癪を起しやすい子でした。最近では以前と比べると自力でコントロールできるようになってきましたが、相変わらずときどき元気いっぱいに癇癪を起しています。パニック状態になり叫んだり暴れたり、周囲の言葉が届かなくなるので勘弁してよと言いたくなるむっくんの癇癪ですが、起こすときは必ず理由があります。むっくんの場合は周囲からの強い刺激(騒がしい音などの不快な感覚)や疲れに眠気。また、物事が思うようにいかないフラストレーション、他者から怒られるという恐怖、周囲に自分の想いを伝えられない苦しさ、自分を理解してもらえない悲しさなどが多いです。Upload By ウチノコこういった経験を重ねるうちに、私はむっくんの中にストレスや不快感をためておくコップがあってそれがあふれるときに癇癪が起こるイメージを持つようになりました。一度コップがあふれはじめると、むっくんはある程度発散し終わるまで落ち着くことが難しくなります。だけど癇癪を起こしたいと思っているわけではありません。それしか発散方法がない所まで追い詰められるから、癇癪で放出するしかなくなるのだろうと感じています。そのため、わが家の癇癪対応のカギのひとつは【コップの中身をあふれさせない過ごし方】であると考えています。Upload By ウチノコクールダウンアイテムむっくんの癇癪の予兆は、イライラしていたり家族の生活音を嫌がるなどがあります。基本的には不快、恐怖、不安などがストレスの成分なので、予兆を感じたら安心安全心地よさを感じられるアイテムを発動します。むっくんの大好きな揺れや包まれた感覚、浮遊感などの感覚刺激を入れることができます。そこで本を読む時間がとれると、最高に落ち着けるようです。体重を預けて横になると、とてもリラックスできるようで本人も疲れると自分から横になっています。周囲を囲まれた段ボールの中などの狭い空間は落ち着く様子で、イライラしてくると自分からソファーの下に潜り込んだり、静けさを求めて自分の部屋にこもったりすることもあります。そういうときは家族みんなむっくんが落ち着くまで刺激を与えず、そっと見守るように心がけています。好きな音楽はむっくんにとってクールダウン効果の高いアイテムです。好きな音楽はむっくんのタブレット端末に入れてあり、自分の判断で聞けるようにしてあります。また、好きな音楽を使った音楽ゲームなども視覚、聴覚から心地よい感覚を入れることができる様子です。Upload By ウチノコこれはむっくんが小さなころから大好きな4原則。この要素を含んでいてぼんやり眺めることのできるおもちゃは8歳の今も相変わらず大好きです。こういった同じ動きを反復するものを静かに眺めることはクールダウンにつながりますむっくんは大人向けの宇宙の番組が小さなころから好きでいくつかお気に入りがあるのですが、疲れを感じるときほど好んで見ている様子です。興奮したりワクワクする番組ではなく、何度も繰り返し見ている静かな宇宙の番組を選ぶのは安心できて落ち着くからなのだろうと感じています。全身でお湯の心地よさを感じることができるお風呂やシャワーは小さなころからクールダウン効果の高いアイテムです。癇癪を起こしてからでも水に触れると落ち着きやすいのでよく利用しています。むっくんは空腹感で癇癪を起こしやすくなることがあります。彼には感覚鈍麻な一面があり空腹に気づきにくいことがあるので、イライラしていたらラムネやチョコなどで血糖値を上げることを意識しています。むっくんはどこへ行くにも決まったお気に入りのおもちゃ(ぬいぐるみやブロック)を持っていきます。これは遊ぶためではなく、かばんに入っていると思うだけでとても安心できるから持ち歩きたいのだと教えてくれました。年齢にそぐわない行動かもしれませんが、外出時はいつも以上に不安を感じやすいので彼なりのお守りなのかな?とその習慣を尊重するよう心がけています。Upload By ウチノコ自分と折り合いをつけていく小さなころは癇癪を自制することがとても難しかったむっくんですが、現在は一生懸命自分の中にある激しさと折り合いをつける努力を重ねるようになりました。癇癪は問題行動とレッテルを張られてしまうこともありますが、何より、誰より、本人がそれと折り合いをつけたいと思っているように感じています。むっくんが7歳になったころから、ストレスにうまく対処する方法【ストレスコーピング】を意識してどんなときに緊張が高まるか、どんな方法をつかうと緊張が和らぐかということを一緒に話し合うようになりました。自分の感覚を共に言語化していくことで、自分を知り少しずつ対処できることも増えてきたむっくん。これからも相談し合いながら心地よい環境を整えていけたらと思っています。執筆/ウチノコ(監修:初川先生より)癇癪を起こすことを“コップに注がれるストレスや不快感があふれるイメージ”と捉え、癇癪を起こしたくて起こしているのではなく、そういう方法しかないところまで追いつめられているからそうなっているのだ、という理解。その理解によってどれほどむっくんは救われていることか…!と思います。癇癪を起こされると、保護者や周りの関わる大人はご自身が困ってしまうため、いかにして癇癪を起こさないようにするか、だって癇癪が起きたら迷惑…そんな風に考えてしまうこともあると思います。しかし、癇癪を起こしたくて起こしているのではなくそうせざるを得なかったから、という理解があるだけで、お子さんへのまなざしはとてもあたたかいものになっているだろうと感じます。不快感やストレスを減らし解消する具体的な方法も、同じように困っている子や保護者の方にはとても参考になりますね。さまざまなところで言われているように、触覚、聴覚、視覚に働きかけるものが多いですね。お子さんの好みに合うものをぜひ探してみてください。持ち歩けないものは写真で持ち歩き安心感を得る、というのはなるほどそういう方法もあるんだなと勉強になりました。むっくんはまだ子どもですが、大人になるにつれて、自分自身でどういう場面でどう疲れてしまうのか、そのためにどうしたらよいか、ということを理解していく(自己理解を深めていく)ことが求められていきます。その準備として、親子で試行錯誤してみることはとても大切ですね。親子での理解、自己理解が深まるにつれ、「折り合いをつける」ことがどんどん上手になってゆくことと思います。
2022年03月04日次男が3歳半のころ、市の3歳児健診を受けたときのことです。当時人見知りが激しかった息子は、3歳児健診での保健師さんからの質問に終始無言。まったく話さない次男を見て、保健師さんが発達障害を疑ったのです。 せまる3歳児健診次男が3歳半になったころ、市の3歳児健診を受けることになりました。次男は普段からよく喋る子で、4歳上の長男とも言い合いをするほど。保育園の同じ歳の子と比べても口数が多いほうで、自分の要求をうまく伝えるタイプでした。 でも当時の次男は人見知りの絶頂期。知らない人に話しかけられると泣いてしまうこともあるほどで、3歳児健診でうまく保健師さんの質問に答えられるか、私は心配していました。 3歳児健診当日3歳児健診前日のこと。健診の内容は長男のときに経験しているので、身体測定や歯科検診、積み木や保健師さんからの質問があることを、あらかじめ次男に伝えておきました。もともと活発なタイプなので、健診内容を伝えたときはやる気満々の次男。 そしていよいよ健診当日。次男と一緒に待合室で待機していましたが、人が増えてくるたびにおとなしくなっていきました。話しかけても無言で、私は「まずい。これは保健師さんの質問にも答えないかもしれない」と心配に。そうこうしている間に次男の順番がきました。 無言の次男健診は、まず体重測定から始まりました。知らない人から積極的に話しかけられるわけではないので、体重測定や歯科検診は無事にクリア。しかし保健師さんの待つ部屋に入って座った途端、次男は私にしがみつき、明らかに嫌がっている様子。 保健師さんから名前や年齢、好きな色や好きな食べ物を聞かれても、次男は無言を貫いていました。私は思わず「普段はよく喋るんですけど、人見知りで……」とフォローを入れました。その後も終始無言で、積み木をしようと提案されても、まったく触ろうともしませんでした。 発達障害を疑われるあまりにも何も反応しない次男に保健師さんは発達障害を疑った様子で、「本当に普段は話しますか? 発達障害の可能性もあるし、まだひと言も聞けてないので、このまま終えるわけには……」と言われる始末。焦った私は、「保健師さんの代わりに、私が息子に質問してもいいですか?」と提案しました。 それでも良いとのことだったので、私から次男に名前や好きな物を聞くと、次男はスムーズに返答。積み木も私からお願いすると進んでやってくれたので、保健師さんは「お母さんだとこんなに話すんですね! これなら全然心配いりませんよ! 人見知りの時期なんでしょうね」と理解を示してくれたようでした。 人見知りが激しいがゆえに発達障害を疑われた次男ですが、私が代理で質問をするという提案でなんとか乗り切ることができました。4歳半になった次男は「あの人見知りはどこへ?」と思うほど、知らない人にも自ら喋りかけるように。健診当時は激しい人見知りにとても心配していましたが、今では次男の成長をひしひしと感じています。 ベビーカレンダーでは、赤ちゃん時代を卒業して自己主張を始めた2~6歳までの子どもの力を伸ばし、親子の生活がもっと楽しくなる【キッズライフ記事】を強化配信中。今よりもっと笑顔が増えてハッピーな毎日なりますように! 監修/助産師REIKO著者:森井さやか小学生と幼稚園児の男児2人を子育て中。育児の経験やアパレル販売員をしていた経験を生かして、子育て体験談やファッション記事を執筆している。
2022年03月03日子どもをうまく愛せない……。そう深く思い悩み、心療内科を受診した私の行き着いた先は「愛着障害の疑いがある」という診断でした。なぜ愛着障害になったのか? それは私自身の生い立ちにありました。 なぜ無性にイライラするの?私は現在2児の母親ですが、上の子どもを出産したときは実家との折り合いが悪く、里帰り出産をしませんでした。したがって、退院してからは自分ひとりで子育てをしなければならず、毎日とても必死だったのを覚えています。そんなストレスフルな環境で、上の子どもが1歳半くらいのときから、子どもに対して無性に腹立たしくなってしまうことがありました。 子どもは特にかんしゃくがひどいとか、何か成長に関して大きく気になることがあるといった問題もありません。冷静に考えてみれば、ごく一般的な子どもが、ごくごく普通にママに愛情を求めて泣いたり、自己主張したりしているだけなのに、それだけでもイライラしてしまう自分がいたのも事実です。 2人目もワンオペ。そして精神の限界へ本格的に上の子に対して嫌気がさしてきたのは、下の子を出産したときでした。このときも里帰りはせず、退院直後から3歳になった上の子と新生児をワンオペで見る毎日。もう私の精神も限界に達していたのでしょう。思わず感情的に怒鳴り散らしたり、またある日は突然涙が止まらなくなったり。 そんな状態が下の子を出産して半年。私の情緒は落ち着くばかりか、ますます不安定になっていき、ついに意を決して心療内科を受診することに。結果は「適応障害」と「産後うつ」。おまけに「発達障害の疑いがある」とも言われ、後日心理テストを受けることになったのです。 発達障害を調べるテストを受けた私発達障害などを詳しく調べる検査は2日かかりました。1日目は臨床心理士さんとの面談があり、具体的にどのような家庭で生まれ育ったか、また学業成績など客観的な私の過去のデータについて話したのです。2日目はIQテストや、日常生活においてどれほど困難さを感じるかの自己記入式テストをしました。 2日合わせて3~4時間ほど費やして、精密に検査をしていただきましたが、結果は「発達障害はない」との所見でした。しかし、私の症状や実親からの虐待などの出来事から「愛着障害である可能性がある」と聞かされたのです。 検査を通してわかったこと「愛着障害」とは、乳幼児期において暴力やネグレクトなど適切な愛情を持って育てられなかった子どもが、社会人になったときに対人関係や仕事、そして育児などに支障が出る障害のことだそうです。 愛着障害と聞かされたときは「やっぱりな」と腑に落ちる私がいました。しかし、この検査を通して愛着障害と判明したことで、今までの生きづらさの理由がわかり、それを私の子どもたちに味合わせたくないと強く感じたのです。 イライラの理由が明確にわかったことで、これからは自分のつらかった過去とも向き合いながらも、子どもたちを育てていこうと心に決めることができたので、私は検査を受けてよかったと感じています。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 「共感した」「私の場合はこうだった」など、ぜひベビーカレンダーサイトのコメント欄にご感想をお寄せください。また、ベビーカレンダーでは皆さんから募集した体験談を記事でご紹介させていただくことも。ベビーカレンダーに会員登録すると届くメルマガから、皆さんのオリジナル体験談をご応募ください。 イラストレーター/あさうえさい著者:仲本まゆこ自身の体験をもとに、妊娠・出産・子育てに関する体験談を中心に執筆している。 監修者・著者:助産師 松田玲子医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。
2022年03月03日3月21日は世界ダウン症の日!チャリティーTシャツ、2/28〜3/6の期間限定でオンライン販売Upload By 発達ナビニュース3月21日は、国連で定められた「世界ダウン症の日」。世界中でさまざまな啓発イベント・活動が行われます。日本ダウン症協会(JDS)では、啓発活動として毎年オンラインでチャリティーTシャツを販売。オリジナルTシャツをつくるブランドJamminとのコラボレーションにより、毎年新しいデザインのTシャツが販売されています。ダウン症は、染色体の変異によるものです。ヒトの46本(または23対)の染色体はそれぞれ、母親から1本、父親から1本受け継いで2本で1対になっています。3本あるのは突発変異でトリソミーといいます。このトリソミーが21番目の染色体に起こることがダウン症となる原因のほとんどであると言われています。チャリティーTシャツでは、その染色体の特徴をデザインにし「1つだけ3つある」というシリーズで販売しています。それぞれ2つ描かれたアイテムが23組並び、そのうち21番目だけ3つある、というものです。2022年に販売するTシャツは「靴」がテーマになっています。販売期間は、2022年2月28日(月)〜3月6日(日)。Tシャツのほかにもトートバッグなどのアイテムもあります。購入額の一部(700円~)は日本ダウン症協会(JDS)に寄付され、キックオフイベント開催、啓発ポスターの印刷費・発送費の一部に充てられます。これらのJamminオンラインショップより購入することができます。ぜひチェックしてみてください。※詳細ボタンをクリックすると発達ナビのサイトからJamminのホームページに遷移します障害のある人から寄せられた50編の詩を紹介する「第26回NHKハート展」東京展、3/2~3/13BunkamuraギャラリーにてUpload By 発達ナビニュース全国の障害のある人から寄せられた3,502編の詩の中から選ばれた50編を紹介する第26回「NHKハート展」東京展 ~ DIVE TO THE HEART!(ハートにとびこめ!) ~。展示される詩には、作詩者の日常のひとコマや、素直な思いがつづられています。作詩者の“ハートにとびこんで”、詩に込められた思いを感じてみてください。会場では、50編の詩の展示のほか、人気声優による50編の詩の朗読を聞けるコーナー、ハート展のテーマソング「ありふれたい」の上映コーナー、会場を訪れた方々が詩を通して感じた気持ちを共有できるデジタル寄せ書きのアートコーナーなどが設けられています。ぜひ足を運んでみてください。また第26回「NHKハート展」は、全国巡回も予定されています。詳しくはホームページをご確認ください。※詳細ボタンをクリックすると発達ナビのサイトからNHKのホームページに遷移します〈詳細〉会期:2022年3月2日(水)~13日(日)10:00~19:00※感染状況や荒天などで、開催時間の変更や中止をする場合があります。会場:Bunkamuraギャラリー(東京都渋谷区道玄坂2-24-1)入場料:無料(入場自由)主催:NHK、NHK厚生文化事業団、全国社会福祉協議会後援:内閣府問い合わせ先:「NHKハート展」事務局電話:03-6804-9295(平日/10:00~18:30)日本人のアール・ブリュット作品展「BRUT」、アニエスベー ギャラリー ブティックにて開催Upload By 発達ナビニュース「アール・ブリュット」とは、アートの専門教育を受けていない人がつくり出すアートのこと。そのアール・ブリュット作品展が東京・表参道にあるアニエスベー ギャラリー ブティックで開催されています。展覧会「BRUT(ブリュット)」に並ぶのは、日本在住の13組の発達障害や知的障害のある人たちによるアート作品です。展覧会に参加するアーティストの一人、菅原康匡さんは東京にある福祉サービス事業所「やすらぎの杜」でパン職人として働いています。その菅原さんのアート作品が遠く離れたフランスのとあるギャラリーに展示され、ブランド創設者のアニエス本人の目に留まったことが展覧会「BRUT」開催のきっかけだったといいます。アニエスベーでは1975年の創業当時から、持続可能な社会への意識をもって、環境問題や人権問題などの社会課題解決活動をし、発信してきました。この展覧会が行われているギャラリーが併設されたアニエスベー青山店では、海洋環境に関する作品の展示、HIV/AIDS患者支援の赤いエシャルップ(えり巻き)の販売など、アニエスベーのフィロソフィーがあふれています。ぜひ足を運んでみてください。※詳細ボタンをクリックすると発達ナビのサイトからアニエスベーのホームページに遷移します〈詳細〉会期:2022年2月25日(金)~4月17日(日)(定休日なし)11:00~20:00開催期間中無休(※ただし新型コロナウイルスまん延防止措置の状況によります)入場料:無料会場:【agnès b. galerie boutique | アニエスベー ギャラリー ブティック】(東京都港区南青山5-7-25 ラ・フルール南青山2F)問い合わせ:電話:03-3406-6010Instagram: @agnesb_galerie_boutiqueカナダの障害者芸術団体による展覧会「マイ・イマジネーション ー創造性は無限だ!ー」、東京都港区にあるカナダ大使館高円宮記念ギャラリーで開催Upload By 発達ナビニュースカナダの障害者芸術団体、「 National accessArts Centre(NaAC)」による展覧会が、東京都港区にあるカナダ大使館高円宮記念ギャラリーで2022年5月25日(水)まで開催されています。※新型コロナウィルス感染拡大防止のため2022年1月17日(月)より一般公開を一時休止していますNaACは、発達障害、身体障害、後天性障害のある人々に芸術的トレーニング、創作、展示の機会を提供しています。その活動は、海外から見ても障害者芸術への支援の先駆けといわれています。今回の展覧会には、カナダ在住の発達障害のある5人のアーティストが手掛けた約20点の作品が集結。国境を超えるイマジネーションに満ちた作品をぜひご覧ください。※クリックすると発達ナビのサイトからカナダ大使館のホームページに遷移します〈詳細〉【会期】:2021年12月6日 (月)~2022年5月25日(水)10:00~17:30(入場は17:00まで)休館日:土曜、日曜および、2022 年 3 月以降は、3 月 21 日(月)、4 月 15 日(金)~18 日(月)、5 月 3 日(火)~4 日(水)※新型コロナウイルス感染予防のため、同時のご入場は 5 名まで※2022年1月17日(月)より一般公開を休止しています。詳しくは以下へお問い合わせください【会場】:カナダ大使館 高円宮記念ギャラリー(東京都港区赤坂7-3-38)【観覧料】:無料※ ご入館に介助を必要とされる方は事前にご連絡ください。【問い合わせ】:カナダ大使館広報部(tel) 03-5412-6310
2022年03月03日太郎に発達障害があると告げられた日Upload By まゆんある日、医師から「発達障害」とハッキリと伝えられた。「発達障害…アスペルガー症候群疑い(※診断当時の名称、現在は自閉スペクトラム症)ということになりますね」と、太郎を出生後からずっとみてきてくださってる主治医の先生から柔らかい口調でゆっくりと伝えられた。そのあとに先生は続けて言った。「まゆんさん、良く頑張ってきましたね。きつかったでしょ?」Upload By まゆん自分自身の子育てに対して、労われるのは初めてだった。周りのお母さんを見ながら苦しくなる自分もいた。「先生…私…太郎に対して…育て難いとか思っちゃいけないと思ってて…」Upload By まゆん自然と涙があふれてきて…「でも、やっぱり、きついことが多くって。太郎のことがかわいいと思える余裕もなくなることが増えてきて…。外出もすごく疲れて追いかけ回したり、癇癪起こしたりするんで人の目も気にしたり…」今まで蓋をしていた私の本音が涙と一緒にポロポロポロポロと…。そうやって話している間もずっと、太郎は私の周りで回転する椅子を回したり、ベッドに上がろうとしたり、つま先歩きを楽しんだりとしていた。Upload By まゆんそして、先生はうんうん、とうなずきながら私の話を聞いていた(太郎の多動にはもう慣れている)。「今日、こうやってハッキリと診断されて、ああ、今までのきつさは間違いではなかったんだなって…きついって思ったり、誰かに口に出してもいいんだなって、どこかでホッとしている自分がいます」自分の気持ちを言葉に表しているうちに、自分自身の気持ちに気づいた。こんな風に思っていたんだと。自分の言葉なのに自分に気づかされた。言葉にするって相手に伝えるだけではなく、自分の心の整理にもつながるんだと…。「まゆんさん、これから周りの人たちと一緒に太郎くんとの関わり方を考えていきましょうね。太郎くんを変えていくのではなくて、周りの大人たち、関わる人たちがどんな風に関わって行くか、柔軟に動けるのかというところがポイントになっていくんじゃないかなと思います」太郎を変えるのではなく、周りの人たちの関わり方を…。そうか、そうするためには太郎の現実をまずは見る必要があって、認めなくてはならない。そして私自身も何に困ってるとかきついとか、蓋をせずに表に出すことでやっと周りが問題に気づいてくれるわけで。問題が明確になると、対策も具体的なものになるわけで…。自分の気持ちを表に出すこと、太郎の現実から目を逸らさないことが、太郎の今後にも大きく関わってくるんだということを知ったできごと。Upload By まゆん健診時のアンケートの中に「子どもを育てにくいと感じることがある」という欄があったのを覚えています。そのときの私は、この質問欄を読んでドキドキしたのを覚えてます。答えがYESだったのです。でも、「子どもに対してそんなことを思うなんておかしい…私はおかしいんだ…」そう思う自分がいて正直に答えることができませんでした。診断をされる前までは、きつい心を隠して「こんなの平気、あたりまえ」と大丈夫なふりをしてる自分もいました。実際はイライラしたり涙流したりしていたのに、それを「大丈夫」と隠そうとしていました。診断をされ、ドーンとショックを受けるのかと思っていたのですが、すごくホッとしている自分がいました。太郎のことも、自分のことも、認められるようになった瞬間でした。自分の気持ちに嘘をつくのはすごくきついことで、自分で自分を労えなくなるわけで…。診断を受けたタイミングが「発達障害」「私の気持ち」「太郎」を受け入れる体制に入った瞬間だったんだと今振り返ると思います。執筆/まゆん(監修:井上先生より)診断を告げられたときの気持ちは、診断自体に「大きなショックを受けた」という方や、まゆんさんのように「今までどうして子育てが大変だったかが分かった」、「分かることで気持ちの整理がついた」など、感情や捉え方はさまざまです。共通するのは、まゆんさんが書かれているように、「診断後にどうしていくか?」ということだと思います。コラムにあるように、一人で悩むのではなく、診断を支援のスタートとして、療育や相談も含めて周りの人たちが親御さんと一緒に支援できる体制をつくれるのが良いと思います。「子どもと親の応援団」をつくることで、子育ての孤立感が軽減されてくるかもしれません。
2022年03月03日そもそもダウン症って?世界ダウン症の日はどういう日?ヒトの46本(または23対)の染色体はそれぞれ、母親から1本、父親から1本受け継いで2本で1対となっています。3本あるのは突発変異でトリソミーといいます。このトリソミーが21番目の染色体に起こるほとんどがダウン症候群(ダウン症)です。染色体が異なることから、さまざまな特性が生まれます。<ダウン症とは>この染色体の突然変異は誰にでも起こり得ます。(中略)ダウン症の特性として、筋肉の緊張度が低く、多くの場合、知的な発達に遅れがあります。発達の道筋は通常の場合とほぼ同じですが、全体的にゆっくり発達します。心疾患などを伴うことも多いのですが、医療や療育、教育が進み、最近ではほとんどの人が普通に学校生活や社会生活を送っています。(JDSホームページより)こうした特性のあるダウン症のある人ですが、当然のことながら、一人ひとり個性が異なります。ダンスが好き、人懐こい、ということもよくいわれますが、人前で何かすることが苦手で引っ込み思案の人もいます。秀でた才能をもって活躍する書家の金澤翔子さんのような人もいますが、みんながみんな書家になれるわけではありません。筋力が弱いと言われ、スポーツで活躍している村井海人さんのような人もいますが、スポーツが苦手な人もたくさんいます。個性がさまざまであることは、ダウン症のない人たちと同じです。今年の世界ダウン症連合(DSi)のテーマは「What does inclusion mean?」ところで、3月21日は世界ダウン症の日ですが、その理由を知っていますか。それは、染色体23対のうち21番目が3本だから。この日は4月2日の世界自閉症啓発デーと同様に、国連で定められた記念日です。ダウン症の「ダウン」は、最初の報告者である19世紀のイギリスの医師、ジョン・ラングドン・ダウン博士の名前からとられたものです。そして、ダウン博士の誕生日は11月18日ということから、11月には、世界ダウン症会議や隔年で開催される日本ダウン症会議が開催されます。世界ダウン症の日には、日本だけでなく世界中でさまざまな啓発イベント・活動が行われます。ダウン症についての国際的なNGO、世界ダウン症連合(Down Syndrome International:DSi)では、毎年のテーマを、世界ダウン症の日に合わせて制定します。2022年のテーマは「What does inclusion mean?」、「インクルージョンってなんだろう?」。疑問形となっているのは、多くの人に、インクルージョンの意味を考えてほしいから。Upload By 発達ナビニュース障害者の権利に関する国連条約(UNCRPD)では、「インクルージョンとは、教育を受けること・就労することに関して、障害者がほかの人たちと同じように平等に、自由に受ける権利があるということ」を示しています。でも、現実には、ダウン症や障害がある人々は社会参加が十分にできていません。実現できない理由の一つは、「インクルージョンとは何か」ということに対する多くの人の理解が一致していないから。だから、みんなで「インクルージョンとは?」と考え、ことばにして発信していきましょう。(WDSD 2022: Inclusion Means...より冒頭文を抜粋・意訳)「インクルージョンとはどういうことなのか、普段モヤモヤと頭のなかで考えていることを具体的なことばにしてみませんか?」と、世界ダウン症連合では、#inclusionmean?(インクルージョンとは?)というハッシュタグをつけての発信を呼びかけています。世界ダウン症の日2022イベント情報「本人」からの発信が注目されている!JDSが運営する世界ダウン症の日記念イベントは2012からスタートし、「キックオフイベント」という形での開催は2016年から開催されるようになりました。このなかで、初回からの定番企画が「ダウン症のある本人による発表」です。発表者はダウン症のある人自身。好きなこと、頑張っていること、困っていることやそれを乗り越えた話も、自分の言葉で発表します。表情豊かなプレゼンテーションをする人もいますが、なかには発語のない人もいます。その場合は写真のスライドショーなどを使い、保護者や代弁者が本人の意思を確認しながら、本人の思いを言葉にして発表します。本人発表は、2017年から隔年で開催されている「日本ダウン症会議」でも注目のプログラムとなっています。こうした本人による発表、セルフ・アドボカシーへの注目は世界的な流れで、2021年11月にUAE(アラブ首長国連邦)発信でオンライン開催された世界ダウン症会議でも、たくさんの当事者が発表をしました。世界ダウン症連合のサイトには、各国のセルフ・アドボカシーをまとめたページもあります。 Syndrome International / Self-acvocacy誰でも参加できる啓発活動、ダウン症啓発ポスターとチャリティーTシャツJDSでは、啓発活動のひとつとして、2013年から毎年啓発ポスターを発行しています。趣味や仕事、さまざまなことに取り組むダウン症のある人たち、赤ちゃんから大人までいきいきとした表情を捉えた写真が中心のポスターです。Upload By 発達ナビニュースUpload By 発達ナビニュース2018年のポスターに登場したのは、熊本県天草市の40~50歳(当時)の方々の元気な姿でした。Upload By 発達ナビニュース医学の進歩とともに、ダウン症のある人の平均寿命は60歳台ともいわれるようになりました。ダウン症独自の成人期の課題はさまざまなことがありますが、元気に暮らす壮年、高齢、さらには後期高齢者の方もいます。Upload By 発達ナビニュース2021年と2022年のポスターは、各地から送られた写真をつないで作成しています。2022年はスポーツを楽しむ姿が集まりました。陸上、スキー、サッカー、鉄棒、野球、自転車、水泳、ジャンルもさまざまです。スポーツを楽しむ人たちもたくさんいることが伝わってきます。今年のポスターテーマは、「結んでつつんで動き出そう。」。つながりを大事にしながら活動し始める感じをあらわしています。「インクルージョンとは?」と同じく、思いを大切にしながら外に向かって自分から働きかけるイメージがわいてきます。このポスターを学校や会社、地域の掲示板などに貼ることで、ダウン症について知ってもらう啓発活動につながっています。※ポスターは送料無料での配布、またはサイトからダウンロードも可能。送付を希望する場合はJDS事務局に申し込みを。もう一つ、ダウン症協会が毎年取り組んでいるのが、オリジナルTシャツをつくるブランドJamminとのコラボレーションでのチャリティーTシャツ。テーマに沿って、それぞれ2つ描かれたアイテムが23組並び、そのうち21番目だけ3つあるという「1つだけ3つある」シリーズです。2016年から、葉っぱ(1組だけ3枚)、自転車(1台だけ三輪車)、窓のあるおうち(1軒だけ開口部が3つ)、時計(1つだけ秒針もある)、音楽記号(1つだけ三連音符)、乾杯(1組だけ3つのグラス)、そして2022年は「靴」。Upload By 発達ナビニュースコンセプトは、2022年の「世界ダウン症の日ポスター」のテーマに合わせ、スケート靴やシュノーケリングの足ひれ、スパイク…いろんなスポーツシューズだけでなく、みんなが街中に出て行く時に必ず履く「靴」を描いています。どこに行くのかな?誰に会いに行くのかな?…街の中に溶け込み、楽しく暮らす様子が伝わってくるようです。一つだけ3つ描いたのは、「メダル」。ダウン症のある人たちの暮らしを周囲の人たちが温かく見守る様子、挑戦や社会参加に「ありがとう」を表す象徴として描きました。(Jammin「3月21日は「世界ダウン症の日」!今年のテーマは「インクルージョンって何?」〜公益財団法人日本ダウン症協会」より)年ダウン症啓発チャリティーTシャツは2022年2月28日(月)〜3月6日(日)の間、販売されます。ほかに、トートバッグなどもあります。購入額の一部(700円~)はJDSに寄付され、キックオフイベント開催日、啓発ポスターの印刷費・発送費の一部に充てられます。Upload By 発達ナビニュース世界ダウン症の日キックオフイベント2022をはじめ、各地でのイベントに参加してみませんか?JDSは3月21日を含む3月をダウン症啓発月間としています。2~4月にはダウン症に関連したイベントが、各地で開催されます。これに先立って、2月26日には「世界ダウン症の日キックオフイベント2022」が開催されました。司会進行には、フリーアナウンサーの笠井信輔さん、“ダウン症のイケメン”タレントとして活躍するあべけん太さん、フジテレビ・上中勇樹アナウンサー。さらに今年は、ダウン症のある詩人・村上有香さんが新たに加わりました。Upload By 発達ナビニュース村上さんは、力強くユニークな詩を書き、同じくダウン症のあるアーティストの伊藤美憂さんとともに詩集「弱いはつよい」を出版しています。Upload By 発達ナビニュースオープニングアクトにはダウン症のあるマジシャン・ジャニー/本名・高井萌生(たかいほうせい)さんが、手品ショーを披露。「本人発表」では、30代の金澤悠太郎さんがアパレルブランドでの勤務の様子やボッチャを楽しむ様子などを動画を交えてプレゼンテーションしました。実は台本にはなかったセリフも登場し、エンターテイナーとしての可能性を感じさせる場面がたくさんありました。司会もパフォーマンスも含めて、このイベント自体がダウン症のある当事者の発信の場にもなっているのです。世界ダウン症の日キックオフ・イベント2022 “インクルージョンを知っていますか?”ダウン症啓発月間の3月を中心に、各地でイベントが開催されます。ダウン症のある人たちによるパフォーマンス発表や、写真展や作品展を開催するところも多くあります。また、ダウン症のある人と一緒に歩く、アメリカ発のウォークイベント「Buddy Walk(バディウォーク)」は東京3月19日を筆頭に通年で、全国各地で開催される予定です。ここ数年は、オンラインやハイブリッドでの開催も増えています。世界ダウン症の日2022イベント一覧知ることは、インクルージョンの第一歩になるはずです。「啓発イベント」というと堅苦しく考えがちですが、一緒に楽しむことができるイベントがたくさんあります。世界ダウン症の日を機会に、ダウン症について考えたり、触れ合う機会を持ってみませんか。たくさんの人にダウン症について知ってもらうことは、すべての人にとって暮らしやすい社会への一歩となるはずです。※詳細ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから日本ダウン症協会(JDS)のホームページに遷移します
2022年03月02日発達グレーの娘、初めての習い事。体操教室の見学へ活発で動くことが大好きな娘。そして昔から何故か英語にも興味を持っていました。娘が3歳になったころから体操か英語教室に通わせてみたいな…となんとなく思っていました。しかしこの時期、娘の癇癪はまだまだ現役。参加できるのか不安だったのと育児疲れで結局見学にも行けずじまいになっていました。幼稚園に通い始めると、集団生活にも慣れ少し情緒も落ち着いた娘。通うなら今かも、と思い見学を申し込むことに。体操と英語どちらにしようか迷いましたが、日本語がまだままならなかったため一旦体操教室の無料体験を申し込んでみることにしました。でも娘はこのとき完全に落ち着いたわけではありません。申し込むときに私はあることを相談しました。Upload By とまぱんスタッフの方にそう言っていただき早速申し込みました。Upload By とまぱんUpload By とまぱんUpload By とまぱんUpload By とまぱんUpload By とまぱんUpload By とまぱん1時間の体験が終わり、恐る恐る先生に尋ねてみました。私「あの~こんな感じで落ち着きがないのですが大丈夫でしょうか…?」先生「大丈夫ですよ!最初はみんなこんな感じです。とまちゃんはでんぐり返しも上手にできてましたし。ぜひ入会していただけると嬉しいです」先生の優しい言葉に救われ入会することにしました。いよいよ体操教室初日。娘を教室まで送り、終わるまで近くのカフェで待っていました。体験では先生に大丈夫と言われたものの、ちゃんとやっているか不安でいっぱいでした。迎えに行くと元気そうに教室から出てくる娘の姿が。すかさず先生に聞きました。私「あの…今日ちゃんと参加できていましたか?」先生「はい!大丈夫でしたよ。頑張ってやっていました」娘も成長したな、体操教室通わせてよかった…そう思いすっかり安心しきっていました。言ってたことと違う!?参観日に目の当たりにした娘の自由っぷりある日、体操教室の参観日の案内がきました。Upload By とまぱん少し不安もありつつ参観日を楽しみにしていました。そして参観日当日。ほかのお母さんもゾロゾロと教室の中に集まりました。初めはとび箱、次に縄跳び。ちょこちょこ列から離れてヒヤヒヤしましたが、なんだかんだ参加してる娘の姿にほっとしました。しかし時間が経つに連れて列から大きく離れていき…。Upload By とまぱんUpload By とまぱんみんなが並んでいる間、娘はトランポリンで遊び始めてしまいました。先生は手を止め娘を元の位置へ戻してくれましたが、その後も娘は度々トランポリンへ行ってしまいました。その度に授業がストップしてしまうため周りのお子さんとお母さんに申し訳ない気持ちでいっぱいに。いてもたってもいられず途中から私が娘を元の位置へ戻しました。授業も後半になり親と子どもが一緒に体を動かすゲームをしました。娘はというと、不機嫌になっていて私を叩いてギャーギャーと癇癪。このとき周りはゲームでワイワイしていたため娘の癇癪が目立たなかったのが唯一の救いでした...。Upload By とまぱん参観日を楽しみにしてた分、想像と現実の違いに打ちのめされる私。クラスが終わると先生に早速聞きにいきました。私「今日はご迷惑たくさんおかけしてしまってすみません…。いつも娘はこんな感じでしょうか?」先生「う~ん、いつもはもう少し参加できてるんですけどねぇ」様子を見ながら引き続き通わせてみることに。それから半年経ち、今も娘は体操教室に通っています。少し教室の様子を覗いてみると楽しそうに参加してる娘の姿が。この間は「今日先生に手伝ってもらってとび箱できたの」「もっと体操したい!」と話してくれました。でもたまにまた娘が自由行動をしていて、先生から「とまちゃんコラ~!」と言われてたりもしてます…(汗)ハラハラすることもありますが今となっては習わせてよかったと思っています。幼稚園、療育そして体操教室。いろいろな先生や環境に関わってこれからも娘の長所が育っていってくれると嬉しいです。執筆/とまぱん(監修:初川先生より)保護者がずっと様子を見られるわけではない場所でわが子が集団活動に参加するとなると、どうにもどきどきひやひやしますね。とまちゃんの入った体操教室は、先生方のまなざしがとても寛大で、元気に参加していることやできていることに目を向けてくださるところだったようで何よりだなと感じます。私たち大人からすると、集団で何かをするとなったら、待つときはしっかりと列から乱れずに静かに並んで待つこと、飽きてきてもそんな素振りは見せずに最後まで積極的に参加すること、それがマナーである…と学習済みなのだと思います。しかし、まだまだ発達途上にある子どもたちは、元気さがあふれて多少逸脱したり、飽きたらそれを素直に行動で示したりします。そうしたことについて、関わる大人がどう見るか、ということなのだと感じます。おそらくその体操教室の先生方は、体操や体を動かすことを楽しく取り組むことが大事で、まずはそこができることを目指すといったように、いい意味で「子ども」はいろいろな行動を取るけれど、それは「子ども」だから当然であると捉えていらっしゃるのかもしれませんね。保護者として、わが子のできないところ、周りの子や大人に迷惑をかけているかどうかに目を奪われがちですが(それは当然のことだと思います)、だからこそ、ちょっと違ったまなざしで見てくださる大人の存在はとても意味のあることだろうと思います。成長につれて、求められるものが高くなってくるため、またそこでいろいろと摩擦や問題が起きてくることもあるかもしれませんが、まずは、今こうして楽しく体操に取り組めていて、寛大な先生方と出会えたこと、とてもよかったなぁと感じます。
2022年03月02日レデックス株式会社(本社:東京都町田市、代表取締役:五藤 博義)は、子どもの発達を支援する施設向けに個別相談サービス『となりの専門士~いざという時の相談パートナー~』を2022年3月1日(火)から開始します。想定する対象は、放課後等デイサービスや児童発達支援施設です。子どもの困りは、人とのかかわり方やこだわりの強さ、文字の読み書きから感覚の困りや不器用まで多岐にわたります。それらに対処するためには、作業療法や特別支援教育、医療など様々な分野の専門知識やノウハウが必要で、そのような人材を各施設が擁することは困難です。そこで、それらの問題を解決するための、幅広い分野の専門家によるサポートが受けられる顧問サービスを開始します。施設の支援レベルを向上させると同時に、著名な顧問の名前を施設の対外情報に明示することで、施設への信頼度のアップと利用者の獲得に貢献します。サポートの方法としては、施設の要望に柔軟に応えるために、施設ごとにビジネスチャットツールの専用チャンネルを用意しました。その中で個人情報を気にせず、気兼ねなく質問ができ、それに高度な専門性と経験をもつアドバイザーがタイムリーに答えることで、施設の支援の高度化に貢献します。となりの専門士概要■顧問としての専門家の明示による質の高い支援のアピールアドバイザーは十分な経験とスキルを持つ発達系作業療法士が担当します。アドバイザーを統括するスーパーバイザーとして鴨下 賢一氏を配置します。鴨下氏は静岡県立こども病院での27年間のキャリアを皮切りに、多数の講演や著作、優れた支援ツールの原案・監修をするなど、子育て支援のカリスマの一人として活躍を続けています。さらに、バックアップする専門家チームを組織します。チームの主なメンバーは、多職種連携による子ども支援で実績のある本田 真美氏(小児科医、みくりキッズくりにっく院長)、感覚や不器用さに関連した支援の権威である岩永 竜一郎氏(長崎大学・大学院教授)、心理士として多方面で活躍する馬場 悠輔氏(こどもとかぞくのサポートルームKNOT代表)、自治体での特別支援教育の教員研修の講師などを歴任する五藤 博義(レデックス株式会社 代表取締役、主幹研究員)です。スーパーバイザーと専門家チーム・メンバーのプロフィール等を施設の資料等に明示することで、この施設に任せれば安心という信頼感を与え、施設利用者の確保と継続利用を実現します。■ビジネス・チャットツールを使った双方向コミュニケーションによる問題解決ビジネス・チャットツールSlack(スラック)※の仕組みを利用して、本サービス契約者ごとに専用チャンネルを設けます。その中で、施設を利用する子どもの発達(学びや生活機能・社会機能の獲得)や困り(感覚過敏や不器用さ)の解決、それらに関連した家庭や学校とのかかわり等について、自由に質問ができます。それぞれの質問はスーパーバイザーの判断で、その解決にもっとも適したアドバイザーが、自身の専門知識と経験に基づき、あるいは専門家チーム・メンバーの助言を仰ぎながら、双方向コミュニケーションで解決します。様々な問題を解決して、施設の支援の質を高度化し、利用者の発達や困りの改善を支援します。※Slackは、米国Slack Technology社が開発したビジネスチャットツールです。双方向コミュニケーション例■助言の質を高める個別評価ツール支援の対象となる子どもの特性を知るために、感覚・動作アセス・キッズ※を用意しました。子どもの行動や態度に関する質問に、施設の支援者が回答することで、視覚、聴覚、触覚などの感覚の困りや、書字や描画、両側運動(両手や両足を交互に、あるいは同時に動かす)などの不器用さを発見することができます。加えて、認知機能のアセスを行う当社サービス(脳バランサーキッズや生活機能発達支援プログラムLife Skills等)を利用している場合は、カウンセラーがそれらの結果も合わせて参照することで、子どもの特性の理解を深め、その子どもに最適な支援方法を助言します。※感覚・動作アセス・キッズは、本サービスの専門家の一人、岩永 竜一郎氏の原案・監修で当社が開発したクラウド・サービスです。■契約者の業種に関連する最新情報を解説配信困りのある子どもへの支援制度等は昨今、揺れ動いています。加えて新型コロナウイルスの影響もあり、施設支援についても様々な施策が行われています。ただ、それらの情報の中からポイントになる部分を読み取ることは難しいため、本サービス契約者専用メールニュース【顧問からの業界最新情報】を用意し、施設が知っておくべき情報をタイムリーに提供します。■オンライン相談(オプション)希望に応じて、Zoom等を使ったオンライン相談にも対応します(有料)。要望に応じて子どもと直接面談をするなど、文章だけでは伝えることが難しい内容の伝達も可能になります。■サービス概要名称 : となりの専門士~いざという時の相談パートナー~利用環境 : Windows、MacOS等の搭載されたパソコンやiOSまたはAndroidの搭載されたタブレット、スマートフォンブラウザ : Google Chrome、Microsoft Edge、Safari、Firefox(※それぞれ最新版を推奨)料金 : 月額 35,000円(税込38,500円)月額25,000円(税込27,500円、脳バランサーキッズまたは生活機能発達支援プログラムLife Skills利用者向け特別料金)最短利用期間: 3か月間利用方法 : 下記Webページからお申込みください。 ■となりの専門士スーパーバイザー:鴨下 賢一専門作業療法士(特別支援教育・福祉用具・嚥下障害)。静岡県立こども病院で27年間勤務した後、リハビリ発達支援ルームかもんを設立。発達の困りを持つ子どもと関連施設へのサポートに加え、支援に必要な教材や機器の開発も手掛ける。・著書と開発した用具・福祉機器発達障害の作業療法(基礎編・実践編)(共著) 三輪書店発達が気になる子へのスモールステップではじめる生活動作の教え方 中央法規出版発達が気になる子への読み書き指導ことはじめ 中央法規出版Qシリーズ 株式会社ゴムQ凹凸書字教材シート 株式会社オフィスサニー顧問代表 鴨下 賢一■専門家チーム・メンバーの紹介下記4名を中心に、それぞれの人脈から必要な情報を得ながらメンバーが施設の幅広い問題を解決していきます。・本田 真美 医学博士、小児科専門医、小児神経専門医国立小児病院にて研修後、国立成育医療研究センター神経科、都立多摩療育園、都立東部療育センターで勤務、現在、みくりキッズくりにっく院長専門家・医師 本田 真美・岩永 竜一郎 医学博士、作業療法士発達の困りをもつ子どもたちの支援するために様々な活動をエネルギッシュに行っている。現在、長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 教授、長崎大学 子どもの心の医療・教育センター 副センター長。専門家・発達障害研究者 岩永 竜一郎・馬場 悠輔 公認心理師、臨床心理士、UCLA PEERS Clinic Adolescents Provider、William Glasser International Practicum Supervisor、スクールカウンセラー世田谷区総合福祉センター児童係スーパーバイザー、Benesse 進研ゼミ監修などを経て現在、こどもとかぞくのサポートルームKNOT代表。専門家・心理士 馬場 悠輔・五藤 博義 教育コンテンツ・プロデューサー学習環境について長年、研究開発を続ける。複数の自治体で特別支援教育担当教員研修の講師や都立特別支援学校の外部専門員(アセスメント)を務める。ベネッセーコーポレーション ニューメディア研究所長、株式会社不思議ネットワーク社長などを経て現在、レデックス株式会社代表取締役、主幹研究員■レデックス株式会社概要本社 : 〒194-0002 東京都町田市南つくし野1-3-6代表 : 代表取締役 五藤 博義設立 : 2005年7月資本金 : 2,200万円主要事業内容: 認知機能関連コンテンツの企画・開発、教材ソフトの企画・開発、教育機関・療育施設・高齢者施設等へのコンサルティングURL : 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年03月01日21歳になった息子の様子現在、自閉症(自閉スペクトラム症)のある息子は21歳になりました。以前は多かった腕を噛むなどの自傷や、パソコンのマウスを思い切り叩きつけるなど物に当たり散らすこともたまにありますが、そうしたことは減ってきました。Upload By 立石美津子自分自身を傷つけるという行為は、形を変えながらも今も続いているのではないかと感じています。幼児、小学生のころの自傷身体への自傷が最も激しかったのは幼児期です。息子は6歳になるまで言葉が出なかったので、思い通りにならないとき自分の身体を傷つけるしか、方法を知らなかったのではないかと思います。Upload By 立石美津子例えば・自分の頭を叩く・腕を思い切り噛む・(普段は適切な量を口に入れることができるのにもかかわらず)入りきらない量の食べ物を口に押し込む・壁に頭を打ちつける・顔を叩くただ、「これ以上やると痛いぞ」のギリギリのところまでのラインでやっているように見えました。ですから、大けがをするようなことはありませんでした。言葉で自分を傷つけている?言葉がでるようになってからは、自分の身体を傷つけるだけでなく、言葉によって自分を傷つけるようになってきました。例えば、気持ちと反対のことを叫び、そして癇癪をおこすのです。「もう、帰る!」と家に居ながら叫ぶ。(←どこに帰る?)「入院する」(←入院したくない)「注射する」(←注射したくない)「家出してやる」(←家出したくない)「死んでやる」(←死にたくない)「9時58分に寝る!」(←毎日必ず10時に寝るこだわりがあるのに、僅かに時間をずらして叫ぶ)心にもない言葉を言うときの対応法これらの言葉は、実は息子の心にもないこと、望んでいないことだろうとわかるので、息子の言った言葉をオウム返ししながら、共感の形をとるようにしています。息子「もう、帰る!」と家に居ながら叫ぶ。私「もう、帰りたくなっちゃたんだね」息子「入院する」私「入院したくなっちゃったんだね」息子「注射する」私「注射したくなっちゃったんだね」息子「家出してやる」私「家出したくなっちゃったんだね」息子「死んでやる」私「死にたい気持ちになっちゃったんだね」息子「9時58分に寝る!」私「9時58分に寝たくなったんだね」火に油を注がないようにもし、「家出する!」と言ったとき、「気をつけていってらっしゃい」と家出を推奨するような言葉をかけたとしたら、特性のある息子は字面通り受け止めて、出て行ってしまうかもしれません。ですので、そのような言い方はしないようにしています。Upload By 立石美津子また、以前、次のように言ったことがあるのですが…「なんでそんなこと言うの!」「いい加減にしなさい!」これらは、火に油を注ぐ結果になってしまい、息子は激しい癇癪を起こしてしまいました。切り替えの手段を探す私は、身体への自傷も言葉での自傷も、自分の混乱した心の安定を図るためにやっているような気がしています。そんなとき親が止めようとすればするほど、混乱して自傷が続くことがあります。先に述べたように、癇癪をおこし自傷までするときは、共感する言葉をかけるのも一つの方法ではありますが、状況によっては、その言葉がけ自体が刺激になることもあるかもしれません。そんなときは時間経過によりクールダウンするのを待つしか方法がありません。わが家は共感の言葉でも息子が落ち着かないときは、黙って見守りながら、ぬるめの湯加減のお風呂を用意し、入浴を促します。息子の場合は、風呂につかり気分が変わると、気持ちの切り替えがしやすくなるようです。お子さんによって、切り替えられるきっかけはそれぞれだと思います。それを一緒に探してあげるのも大切なことだと感じています。執筆:立石美津子(監修者・鈴木先生より)思い通りにならないときの癇癪は自閉スペクトラム症の易刺激性からきていると考えられます。マンションの壁を蹴って穴をあけたり、ドアを壊したりするケースも多いです。自傷や他傷は抗精神病薬で調整することも可能です。爪をかむお子さんには、「爪はばい菌がたくさんついていてきたないよ」と説明したりしますが、それでも難しい場合は、逆に透明なマニュキアを塗ってきれいにして「噛まないでおきたい」と思わせるようにしてみるのも一つの手です。いい景色を見て散歩したり、何か運動したり、音楽を聴いたりするのもいいですね。また、リズムが乱れると癇癪をおこしやすくなるので、サーカディアンリズム(睡眠覚醒リズム)を規則的にすることも重要です。
2022年03月01日