支援の空白期間娘には小学校1年生から4年生までの間、『支援の空白期間(支援を受けていなかった期間)』がありました。主な理由は・小学校入学と同時に引越しをしたため、それまでの受けていた療育機関からの引継ぎが上手く機能しなかった・下の子の妊娠、出産で親が思うように動けなかった・療育センターに相談しても「様子見しましょう」と言われ、療育プログラムを受けられなかった・受動型だったため、学校での本人の困り感が見過ごされていたなどでした。その間、学校の授業で必要な縄跳びや鉄棒などの練習や、定規やコンパスの練習や工夫は家で試行錯誤しながら行っていました。『読める』けれど『書けない』高学年になると、娘は漢字テストを苦痛に感じるようになりました。小さい頃から本を読むことが大好きで、多くの知識を本から吸収してきた娘でしたが、“読む”ことはできても、何度練習してもどうしても“書く”ことができない漢字が徐々に増えきたのです。娘のクラスでは国語の授業時に毎回漢字の20問テストがありました。それは“黒板に先生が書いた問題(ひらがな)を、無地の紙に漢字で書く”という形式のテストで、板書が苦手な娘には二重の苦しみでした。また、学期ごとに50問の漢字テストがあり、こちらは一定の得点が取れるまで再テストを受け続けることになっていました。娘は懸命に書き取りの練習するのですが、どれだけ練習しても書くことができない(または少しの期間は覚えていられるけれどちょっと時間がたつと見事に忘れてしまう)漢字がいくつもあり、何度も再テストを受けました。Upload By 荒木まち子練習すれば練習するほど間違えてしまう傾向さえあり…これは漢字に限ったことではありませんでした。アルファベットのbとd、pとqはほぼ100%間違えましたし、記号や図形なども家で練習しても“書けば書くほど形が崩れていく”こともしばしばありました。Upload By 荒木まち子精神的に追い詰められる娘。親子関係もギスギスし始めて...担任の先生からは「お母さん、家庭での学習をもっとさせてください」と言われました。娘は毎日遅くまで漢字の練習をしましたが、どうしても覚えることができず、精神的に追い詰められていきました。親子関係もギスギスし始め、家庭での工夫やサポートに限界を感じた私は、民間の支援先を探しました。専門家のサポートに救われる幸いにも娘は5年生の時にプロの支援者に出会い、SSTやビジョントレーニングを受けることができました。トレーニングを受けることで魔法のようにすべての問題が解決するわけではありません。でもプロフェッショナルの支援者に出会ったおかげで、親や学校の先生が娘の障害を理解し、適切な接し方やアプローチの方法、日々の生活の工夫などについての知識を持つことができたことで、私達親子の生活に一筋の光が差したことは確かです。専門家のアドバイスのもと、何度もくじけそうになりつつも学校に理解と協力をお願いし、授業毎の漢字20問テストは無地だった解答用紙→問題番号と罫線付きの解答用紙にする(クラス全体で変更)など、本人の負担を軽減する対策をとってもらうことができました。中学校への引継ぎがスムーズに娘がこの時期に受けていた専門家の指導や病院での視覚認知機能の検査結果は、その後の中学進学時の引継ぎの際にとても役に立ちました。娘に適したフォントの大きさも把握できていたので、定期テストの問題用紙や解答用紙の大きさを娘に適したサイズに拡大してもらうなどの配慮を受けることができました。Upload By 荒木まち子この時期の娘は、周りの友達と違うことをとても嫌がっていましたが、このテスト用紙の拡大については「すごく見やすい!」と喜んでいました。親子で話し合ってみると良いかも!Upload By 荒木まち子これは娘が小学生の時にビジョントレーニング指導を受けていた先生がつくってくださった『計算用のマス目プリント』です。娘が一番見やすいサイズになっていて、筆算の時に数字を重ねて書いてしまうことによる計算ミスを防ぐことができました。担任の先生に許可をもらい『マイ計算用紙』として学校にも持参していました。学生の期間は特に“できないことを必死に努力する”よりも、ちよっとした“工夫”や“配慮”で本人の負担を減らすことができるなら、その方が良いと私は思っています。高学年以上になると支援やサポートの内容や程度は親が勝手に決めるのではなく、本人の希望を聞くことが大切になってきます。見やすいと感じる文字のサイズや字体の種類、色などもそれぞれ違うので、例えば親子で“フォント”について話をしてみる機会などをつくってみると、意外なこともわかって楽しいかもしれません。ちなみに現在わが家は、私のプチ老眼の進行によって、娘と私の『見やすい文字サイズ』がシンクロしつつあります(笑)
2020年11月09日みんなはどうしてる?進路を考えるときに読みたいコラムをまとめました小学校への入学や、中学校・高校への進学は、お子さんの学びや生活に関しての大きな決断をするタイミングですよね。就学相談や進路指導など相談できる機会はあっても、わが子にとってどのような選択がよいのか、どう判断したらよいのか...悩みも多いかと思います。発達ナビユーザーに行った「どんなコラムが読みたい?読みたいテーマを教えて」アンケートでも、「進路選び」についてのコラムが読みたいとの声を多くいただきました。そこで、連載ライターによる「進路」に関するコラムをまとめてご紹介します。Upload By 発達ナビ編集部【小学校】特別支援学校?通常学級・特別支援学級・通級指導?就学先をどう決めた?面談や見学を通して、どんな環境がわが子に合うのかをじっくり検討したウチノコ家。むっくん本人の気持ちも確認して、決定した就学先は...複数の小学校を見学して、クラスの人数や雰囲気などを見ながら、わが子に合う環境をイメージ。希望を提出したのは、年長の9月でした。先輩ママや家族、主治医の意見も参考に、通常学級に入学したSAKURAさん家のあーさん。最初は順調だったけれど、学習面も友達関係も少しずつ課題が見えてきて...本人にとってよりよい環境をなんども検討し、2年生からは「特別支援学級」に転籍することに。【中学校】より子どもにあった環境を考えたい。私立受験も選択肢?娘が5年生のときに考え始めた進路。小学校では通常学級に在籍しているけれど、中学校は?特別支援学級、通級指導教室、私立中学など、選択肢にあがった先をそれぞれ見学することに。小学校時代から高等部進学に至るまで、全7話の連載。まずは第1話から読んでみてください。小学校では周囲と馴染めず、いじめも経験した宇樹さん。私立中学に進学すると取り巻く環境が一変して...6年生になってから私立中学を受験することに決めた、スガカズ家の長男。どの学校がいいか、メリットとデメリットを整理しながら親子二人三脚で学校選びをしていきました。【高等学校】子どもの気持ちも尊重して選びたい、中学卒業後の進路さまざまな選択肢を検討した上で、通常学級に入学した荒木家の娘は、中学2年生で特別支援学級に転籍することに。高校選びも早くから動き出していたけれど、中学生活を経て気づいた大切なことは...受験勉強になかなか身が入らなかった中学3年生のリュウ太くんが、「行きたい学校があるから」とパンフレットを持ってきたのは『専修学校』でした。不登校の娘が、パンフレットをみて「見学に行きたい」と言った通信制高校の技能連携校。見学に行き、付設するフリースクールに週に1回通い始めて...
2020年11月08日老化による認知機能の低下と、発達凸凹は似ている?Upload By 丸山さとこ私もコウも一般的に”集中力に欠ける”もしくは”好きなことにだけ集中する”と言われるタイプです。宿題など、気が乗らない作業をするときには終始気が散っている状態になります。一方、私の母は”必要な作業であれば集中してさっさと終わらせる”タイプだったのですが、そんな彼女も「集中力が落ちてきたのを感じる。年ね…」と言うようになりました。母は、先日電話をした際にも「(集中力がない)コウの気持ちが分かるなぁ。年をとると、皆ADHDのようになっていく」と言っていました。「そうかもね。お客さんからも似たような話を聞くことがあるよ」と相槌を打った後で、「…ん?そうかな?」と少し首を傾げました。母のそれとコウのそれは、少し違うような気がしたのです。”集中力がない”と言われるのに”過集中”する人たち母の老化と、コウや私のADHDの要素は、行動自体は似ているなと思います。母が言うように、”集中力に欠け・記憶がすり替わり・うっかりミスが起きる”点はかなり近いものがあります。Upload By 丸山さとこけれど、私はコウを見ていて集中力がないとは感じません。趣味に没頭する時は過集中になることも多く、苦手な宿題であってもコウが乗っていればすごい速さで終わらせることもあります。私自身も過集中が起こりやすい方です。作業に夢中になりすぎて休息や水分補給を忘れ、体調を崩すことすらあります。私は仕事でご年配の方からお話を伺うことが多いのですが、そこで言われている”集中力がない”状態とは、”集中しようとしているが上手く集中できない”もしくは”集中するための気力体力がない”状態なのではないかと思います。Upload By 丸山さとこ一方、コウが”集中力がない”と指摘されるときの様子を見ていると、集中力がないというよりも”気が散っている”状態なのかな?という印象です。集中力を向ける方向を意識的に選ぶことが難しいようなのです。もしもご年配の方が”集中するための力が低下した状態”になっているのだとしたら、コウの場合は”集中をコントロールする力がない状態”なのかもしれません。環境調整や薬でサポートしつつ…母に上記の考えを伝えると、「分かる!」と頷いていました。「確かに、コウもさとこも集中力あるよね。気が散る要素を減らすと上手くいきやすいのも分かる。私は、気力体力の衰えから来てる感じあるわ…」とのこと。Upload By 丸山さとこ母の場合は、集中を向ける先をコントロールする方法は既に分かっていても、それを実行する力が衰えてきているということなのかもしれません。コウの場合は、集中する力そのものはあってもコントロールする力が弱いということで、そこを環境調整や薬の服用などで補いつつ、練習(療育)をしていくことが大切ということなのかな…?と、改めて思いました。
2020年11月07日現在、5歳になる長男は言葉が遅く、3歳になっても「パパ」「ママ」の発語もありませんでした。同い年の子どものおしゃべりばかりが気になり、毎日ネットで発達障害の情報を検索していました。「この子は、このまま一生おしゃべりができないのかな?」と悩んだ日々についてお話しします。 長男がしゃべらない!長男は本当に言葉が遅く、3歳になっても「ママ、パパ」もはっきりとした言葉で話すことができませんでした。言葉の理解はあり、1歳のころには「おいで」や「ちょうだい」の言葉に反応して行動することができましたが、自分の名前に反応しないなど心配な点も……。 昔のビデオを見ても宇宙人のような喃語(なんご)を話す長男の動画が残っています。最初の子どもということもあって、私はとても悩み、同級生の子どもたちが流ちょうに話すのをうらやましく見ていました。 「男の子は遅いから」「そのうち話すようになるから」という周囲の言葉を信じて待っていましたが、一向に話す気配がありませんでした。 子どもが話さないのは母親のせい?年齢が上がるにつれ、はっきりとしゃべれない長男に私はとても焦りました。他の同級生の子どもたちに引け目も感じて、一緒に遊ぶこともできませんでした。 絵本も毎日読み聞かせ、言葉掛けもしましたがそれでも発語は増えません。義理の母からは「母親の言葉掛けが少ないからだ」「保育園に入れているからだ」など心ない言葉を言われ、「私のせいなのかな……」と悩みました。 毎晩、長男が寝たあとにネットで発達障害について書かれたブログやネット記事を読み漁り、長男と同じ症状の子どもを探して一喜一憂するという日が続きました。 療育に通いみるみる話すように当時は長男とおしゃべりする夢を見るほど、悩んでいた日々でした。しかし3歳から「言語遅延」ということで療育に通い、発語の練習をおこなったところ、だんだんと滑舌が良くなってきたのです。そして、4歳の誕生日を目前に他の子たちと同じようにおしゃべりができるようになりました。 今では、幼稚園の先生に「発音が良い」と褒められるほどです。私が当時、言葉の遅い子に多いと聞いていた言葉の爆発というのではなく、本当に少しずつ、いつの間にか言葉が話せるようになっていったのです。 悩んだ日々も後悔しない結果、話せるようになった長男は、月に1度通っていた療育も「問題ない」ということで卒業しました。 「あれだけ悩んだ日々はなんだったんだろう?」「狂ったようにネット検索している間に、もっとやれることがあったんじゃないか」「もっと他の子どもとも遊ばせてあげればよかった」などと後悔した時期もありました。しかし、今は「私にとっては悩んでいたあの日々も育児の一部だったんだ」と思えるようになっています。 当時の私に声を掛けるとしたら、「この子はもう少しでしゃべるようになるよ」ではなく、「ゆっくりと見守ってあげてね」だと思います。今の私にとっては悩み抜いたことも、子育ての一環だと思えるからです。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 原案/竹内優実作画/YUDAI9℃監修/助産師REIKO
2020年11月05日育児に疲れたときは、レスパイト(一時的休息)をとることが大切出典 : 「レスパイト」とは英語で、「小休止」「息抜き」「休息」といった意味を表す言葉です。誰かをケアする立場である介護者や保護者が、介護や育児で疲れたときに一時的に休息をとることは「レスパイト」と呼ばれ、ケアする人たちの権利であるとされています。休みなく続く育児で疲れてしまったときやワンオペ育児で余裕がないとき、保護者が休息をとり、リフレッシュすることは非常に大切です。保護者が自分自身をケアして心に余裕を持つことは、子どもにとってもプラスになるはずです。この記事では、発達障害のある子どもを育てる保護者が休みたいときに利用できる、レスパイトサービスを紹介します。発達障害のある子どもの育児で利用できる、レスパイトサービスは?出典 : 発達障害がある子どもの育児で使えるレスパイトサービスには、障害者総合支援法や児童福祉法に基づいたものが複数あります。育児における困りごとや状況に応じて、利用しやすいものを探してみてください。障害者総合支援法に基づいた「障害福祉サービス」で、国が障害区分等により利用対象者を定めています。障害のある人を自宅で介護する人が病気などの場合、障害者支援施設や児童福祉施設等へ短期間入所し、入浴、排せつ及び食事の介護など、必要な支援を受けることができます。宿泊を伴って最大で連続30日間利用することができ、介護者の病気や体調不良のほか、出張や旅行、休息をとりたいなどの理由で利用が可能です。障害福祉サービスについて(厚生労働省)障害者総合支援法のうち「地域生活支援事業」に含まれており、市区町村が地域の実態にあわせた基準を設けて運営しています。障害のある人の家族の一時的な休息のため、障害者支援施設や児童福祉施設等で障害のある人の日中活動の場を確保し、預かりのサービスを提供します。宿泊を伴わない支援となります。障害者総合支援法に基づいた「障害福祉サービス」で、国が障害区分等により利用対象者を定めています。自宅において、入浴・排せつ・食事など家事や生活等に関する介護や相談・その他の生活全般にわたる支援を受けられます。利用対象は、国の定める障害支援区分に則って定められています。障害福祉サービスについて(厚生労働省)児童福祉法に基づいた通所支援サービスで、障害のある子どもが利用できます。児童発達支援は未就学の子ども、放課後等デイサービスは就学児童(小学生・中学生・高校生)を対象としています。児童発達支援・放課後等デイサービスでは、各事業所によってそのサービス内容が異なります。習い事や療育に特化した支援を行う場合もありますが、保育園や学童保育のように子どもたちが日中の時間や放課後を過ごす、預かり型の支援を行う事業所もあります。障害者総合支援法のうち「地域生活支援事業」に含まれており、市区町村が地域の実態にあわせた基準を設けて運営しています。移動が困難な人が、ガイドヘルパーによる外出の支援を受けられます。冠婚葬祭や投票、文化的活動などの社会生活を送る上で欠かすことのできない外出や、イベントへの参加や観劇など余暇活動などの社会参加のために利用することができるとされています。市区町村によっては、通学や通園の移動支援を行う場合もあります。また、類似サービスとして「同行援護」「行動援護」があります。利用対象や内容が市区町村により異なる移動支援に対し、同行援護と行動援護は、全国どの市区町村でも同じ基準が適用されます。同行援護は視覚障害のある人を対象としており、行動援護は重度の知的障害、精神障害のある人を対象としています。児童福祉法に基づき市区町村が主体となって行っている、未就学児向けの支援サービスです。保護者が子どもを見ることが一時的に困難になった家庭のために、保育所、幼稚園、認定子ども園、地域子育て支援拠点などが一時的に子どもを預かります。別名「一時保育」ともいいます。一時預かりのスタイルは主に以下の3つにわけられます。①幼稚園・保育所に通っていない子どものための「一般型」子どもが保育所、幼稚園、認定こども園等に通っていない場合に利用することができる②幼稚園に在籍する子どものための「幼稚園型」普段の幼稚園の教育時間の前後、または春休みや夏休みなどの長期間の休業日に幼稚園等において一時的に預かってもらうことができる③ 保育施設の一般利用に空きがあるときに利用可能な「余裕活用型」利用している子どもの数が定員に達していない保育施設で保育が行われ、預かる子どもの人数は、定員の範囲内で行うようにと取り決められているレスパイトサービスの利用方法は?どんな人が利用できるの?出典 : 障害者や障害児を対象とした福祉サービスを利用するには、受給者証の申請が必要です。申請窓口や手続きは、そのサービスの根拠法によって異なります。なお障害者総合支援法や児童福祉法における「障害者」「障害児」の規定には特に障害者手帳の所持が条件となっていないため、サービスの利用にあたり手帳の有無は問われません。ただし、医師の診断書により障害があることを確認するケースはあります。ショートステイや居宅介護は障害者総合支援法の「自立支援給付」に含まれ、利用するサービス費用の一部を行政が障害のある方へ個別に給付するものです。そのため、国が障害区分等により利用対象者を定めています。1. 市区町村の障害福祉担当窓口へ申請申請の際には、状況に応じて障害者基礎年金1級の受給の有無や介護保険申請の状況などを聞かれる場合があります。2. 障害者支援区分認定調査市区町村の認定調査員による面接が行われ、全国共通の質問票から心身の状況に関する80項目と状況の調査が行われます。詳しくは次のリンクをご覧ください。障害者総合支援法における「障害支援区分」の概要(厚生労働省)3.一次判定認定調査の結果に基づき、コンピューター判定が行われます。4.二次判定一次判定の結果と状況調査、医師意見書などを踏まえ、市区町村が主催する、支援区分や特別な支給決定を審議する「審査会」で二次判定が行われます。5.障害区分認定二次判定の結果に基づき、非該当、区分1~6の全7段階で支援区分認定が行われます。各サービスの区分ごとのサービス量は上記のリンクを参考にしてみてください。6.サービス利用意向の聴取・サービス等利用計画案の提出支援区分の認定と並行して、市区町村から福祉サービスの利用等に関する計画(サービス等利用計画、または障害児支援利用計画と呼びます)の案を提出するように求められます。サービス等利用計画案、障害児支援利用計画案は市区両村から指定された特定相談支援事業者、障害児相談支援事業所が作成しますが、申請者自身による作成(セルフプラン)も可能です。7.支給決定支援区分や本人の状況、家族・家庭の状況、現在の困りごとや将来に向けた希望、福祉サービスの利用意向、サービス等利用計画案などを踏まえてサービスが支給決定され、受給者証が申請者に通知されます。8.サービス担当者会議申請した方が利用する全サービスの担当者(サービス管理責任者)が出席し、利用する方に適したサービス提供のあり方や、事業所ごとに作成する「個別支援計画」の方向性などについて話し合われます。9.支給決定時のサービス等利用計画の作成市区町村の支給決定やサービス担当者会議での案協議をもとに、最終的なサービス等利用計画を作成します。(セルフプランの場合には、8・9が省略されることがあります)10.サービスの契約・利用開始申請した方はサービスを提供する事業所と利用契約を結び、サービスの利用を開始します。サービスの量や内容については、サービス利用開始後であっても必要に応じて見直すことができます。※費用について※利用者負担は、原則として「1割」です。ただし、世帯ごとの前年の収入に応じて負担額の月額上限が定められているため、その金額以上の自己負担は生じないことになっています。利用月額が0円に免除される場合もあります。特に、生活保護を受けている世帯や住民税が非課税の世帯については、利用者負担はありません。障害者総合支援法における「障害支援区分」の概要(厚生労働省)移動支援・日中一時支援は障害者総合支援法のうち「地域生活支援事業」に含まれ、市区町村が地域の実態にあわせた基準を設けて運営しています。具体的な利用手続きは市区町村やサービスによって異なるため、申請窓口で必要書類や手続きについて確認しておくと良いでしょう。1. 市区町村の障害福祉担当窓口へ申請この際、具体的な手続きや必要書類について確認しておきましょう。2.利用手続き具体的な手続きは、市区町村やサービスごとに異なります。3.支給決定市区町村からサービスを受けるに適当だと判断されると、受給者証が申請者に通知されます。4.サービスの契約・利用開始サービスを提供する事業所と利用契約を結び、サービスの利用を開始します。サービスの量や内容については、サービス利用開始後であっても必要に応じて見直すことができます。※費用について※利用にかかる料金は、自治体により異なります。障害福祉サービスの利用者負担区分により、サービスの1割負担が基本となります。世帯の収入の状況によっては負担のない場合もあります。詳しくは市区町村の福祉担当窓口へお問い合わせください。児童発達支援・放課後等デイサービスは、児童福祉法に基づいた「障害児通所支援」に含まれます。1.福祉窓口に相談児童相談所・障害児相談支援事業所や、市区町村の福祉担当窓口などに相談します。利用したいサービスや子どもの状況を聞かれることが多いので、母子手帳を持参したり、過去に子どもの発達について相談した履歴や発達検査の受検歴があれば、その時の状況や結果なども伝えたりするとよいでしょう。2.施設見学&相談実際に利用したい事業所に行き、見学します。その際に利用についても具体的に相談しましょう。利用したいサービスが決まったら、相談支援事業所で受給申請に必要な障害児支援利用計画案を作成してもらうか、セルフプランで作成します。3.障害児通所給付費支給申請をする受給者証取得のため市区町村の福祉担当窓口に障害児通所給付費支給申請をします。必要な書類は市区町村によって異なりますので、事前によく確認しておきましょう。4.調査・審査受給者証を発給するための利用要件を満たしているかどうかや、子どもに必要だと考えられる適切なサービスの量(日数)について、市区町村の支給担当窓口によって検討されます。面接調査や訪問調査で、状況や利用意向の聞き取りやアセスメントを行う自治体もあります。5.支給決定支給が決定したら、受給者証が交付されます。受給者証には受けられるサービスの量についても記載されています。交付を受けたら障害児支援利用計画を作成します。相談支援事業所が受給者証の給付決定内容に基づき、利用を希望する事業所と連絡し調整して作成してくれます。6.サービスの契約・利用開始受給者証と障害児支援利用計画(もしくはセルフプラン)を持って利用する事業所に行き、サービスを受ける契約手続きをします。※費用について※放課後等デイサービスは障害児通所給付費の対象となるサービスです。受給者証を取得することで国と自治体から利用料の9割が給付され、1割の自己負担でサービスが受けられます。利用した日数に応じた1割負担分の利用料を支払いますが、前年度の所得によりひと月に保護者が負担する額の上限が決められているので、利用する日数が多くても下記の金額以上の負担は発生しません。また、自治体によっては独自の助成金がある場合もありますので、問い合わせてみましょう。【児童発達支援・放課後等デイ】障害児支援利用計画って?作成の依頼先やセルフプランも紹介一時預かり事業の利用対象子育て家庭の保護者が以下の理由で利用することができ、理由によって利用できる日数は異なります。・保護者の育児にともなう心理的、肉体的な負担を軽減したいとき・保護者の就労支援・病気・出産・看護・冠婚葬祭などの場合また、施設での一時預かりを実施するのが難しい場合、子どもの自宅に直接職員が訪問をする「居宅訪問型」を選択できる場合もあります。ただし、以下の3つの要件のうちのどれかを満たしている必要があります。・子どもに障害、疾病等があり、集団保育が著しく困難であると認められる・ひとり親家庭などで、保護者が一時的に夜間、および深夜の就労を行っている・離島その他の地域において、保護者が一時的に就労を行っている利用対象は基本的に就学前の子どもですが、自治体や各施設によって預けることのできる月齢が異なります。一時預かり事業の利用方法一時預かりの申し込みを行いたいときには、直接各施設にお問い合わせの上で申し込みを行う場合と、まれに市役所の窓口で申し込みを行う場合の2つがあります。直接施設へ申し込むときには、一時預かりのための登録を行う必要があります。一時預かりのサービスの利用の際には利用登録と申請書の提出が求められます。市役所の窓口で申し込みを行うときには、窓口にて案内される申請書に必要事項を記入し、申し込みを行います。※費用について※一時預かりにかかる費用は自治体や実施施設によって異なります。料金が1時間単位で決められている場合もあれば、半日・1日単位で決められている場合もあります。だいたい、1日あたりに換算すると1,500円から5,000円くらいの幅の中で料金が定められていることが多いようです。まとめ発達障害のある子どもの保護者のなかには、「育児で疲れても、頼れる人が少ない」「子どもを預けることに罪悪感がある」と考えている方もいるかもしれません。育児に忙しい保護者が休息をとることは、保護者自身にとってはもちろん、子どもにとっても大切なことです。育児による心身の疲労を一人で溜め込むのではなく、サービスを利用して休息をとることを検討してみてください。
2020年11月05日チャートで自分のストレスタイプを探り、ケア方法が学べるーー『イラスト版13歳からのメンタルケア心と体がらくになる46のセルフマネジメント』子どもから大人へと成長し始める10代の心の中には、たくさんの悩みがあります。そのストレスの方向性を、「緊張のケア」、「不集中のケア」など8つの項目に分け、なぜそんな気持ちになるのか、またどう対処したらいいのかのケアについて、わかりやすく書かれているのが『イラスト版13歳からのメンタルケア心と体がらくになる46のセルフマネジメント』です。本書には、自分のストレスがどこにあるのかをチャート式でチェックできるページがあり、このチャートで、自分に必要なケアを確認することができます。そして、次のページからはケア別に1項目ずつ、気持ちの詳細をセリフの入った1コママンガと文章で示してあるので、自分の気持ちに近いものを一目で探せる工夫がされています。大人が読んでも役に立つことがたくさん登場する本書。10代の頃から「大人」の世界で生きている、今の子どもたち。大人は、自分の10代の投影だけではサポートしきれないことがたくさんあります。親子それぞれが読んで、支え合うことができる、そんな1冊です。海外事例や豊富な実践例も掲載ーー『学びをめぐる多様性と授業・学校づくり』『学びをめぐる多様性と授業・学校づくり』は、「学びをめぐる多様性」とはどういうことかをふまえ、変わりつつある社会の中で、日本における未来の教育や発達障害のある子どものためのインクルーシブ教育はどうあるべきかを考え、形にしていく手段を教えてくれる1冊です。3部構成となっており、「インクルーシブ教育」とはそもそもどういったものなのか、という基本的な部分から、欧米の実際の事例まで、幅広く知ることができます。社会のありさま、人々を取り巻く環境は間違いなく変わってきています。これからも変わっていくでしょう。その変化の中にあって、日本の「学びの多様性」そして「インクルーシブ教育」について原点回帰してみる。本書はその一助となり、未来の「インクルーシブ教育」を形づくっていく術になるでしょう。教育にかかわる、保護者の方、先生たちにおすすめの一冊です。結婚・恋愛、薬物療法まで幅広く分かる!ーー『大人の発達障害の理解と支援』本書は、発達障害・特別支援教育の理解と実践について、ひとつのテーマを深く掘り下げて解説するシリーズ「発達障害・特別支援がわかるシリーズ」のうちの1冊であり、「発達障害のある大人」に焦点を当てて、発達障害のある大人の置かれる現状の解説から、就労・生活支援、「親亡き後」、薬物療法、女性へのサポートまでと、大人の発達障害を包括的に解説した一冊です。「発達障害」という言葉が少しずつ知られるようになり、ここ数年「大人の発達障害」も注目されるようになってきました。しかし「発達障害のある大人」が抱える困難さへの理解やその支援は、まだまだ不十分です。発達障害のある大人への支援は、就労支援だけに注目が集まりがちです。しかし実際には、就労後の職場での支援や、生活の支援、余暇への支援など包括的なサポートが重要です。本書は、幸せに暮らしていくための必要な支援が幅広く解説されていることから、家族や職場に発達障害のある大人がいる人、職場、福祉施設など、さまざまな場所できっと参考になる一冊です。科学的な分析から、具体的な支援法まで幅広く網羅!ーー『保護者の声に寄り添い、学ぶ 吃音のある子どもと家族の支援:暮らしから社会へつなげるために』吃音の研究と支援に情熱を注ぐ専門家2名によって執筆された『吃音のある子どもと家族の支援』。科学的な吃音の基礎知識、陥りがちなNG対応例や、本人の意識の持ち方、周囲への理解・啓発の働きかけ方を、当事者や家族への徹底した「共感」と「傾聴」を軸に、丁寧に解説しています。また、本書には吃音に関するリアルな声も収録されています。吃音当事者である子ども、大人の体験談や、吃音がある子どもをもつ保護者のエピソードから、当事者や支援者の悩みを知ることができ、また言語聴覚士や教員による支援の事例も紹介されているため、実践的な吃音がある子どもへの支援法を学ぶこともできます。吃音があるお子さんをサポートする保護者の方や、支援員の方にぜひ読んでいただきたい一冊です。
2020年11月04日4歳になると娘は、簡単な会話が成立するようになっていきました。言葉でコミュニケーションをとることができるようになり、どんなことが嫌か、どうすればいいかなども、会話から聞き取ることができるようになり、泣いた時の対処もどんどん楽になっていきました。しかし、癇癪自体がなくなることはありませんでした。友達と参加したイベント先でのこと。娘4歳のある日…私は友人に誘われ、娘と、あるイベントに参加しました。そのイベントでは入場時に、子どもたちだけに抽選券が配られました。そして、イベントの最後に子どもたちが集められ、抽選会が行われました。Upload By SAKURA娘も抽選券を握りしめ、やる気満々でお友達と一緒に、最前列を確保。司会者がくじを引き、当たりの番号が読み上げられていきます。隣に座ったお友達は早々に当たり、商品を手にして嬉しそうにお母さんのところへかけていきました。娘はそれを見つめていました。「ハズレもあるよ」と伝えてみたけれど…この抽選は、全員が当たるわけではありません。ひたすら呼ばれるのを待つ娘を見て、私に不安が募りました。もし…もし最後まで番号が呼ばれなかったら…癇癪を起こしてしまうかもしれない。私は、慌てて娘のそばに駆け寄り、全員が当たるわけじゃないと、伝えました。Upload By SAKURAしかし、娘は私の話を一切聞かず、その視線は番号を読み上げる人に集中していました。私は、当たることを祈りつつ抽選会を見守りました。当たらないまま終わった抽選会。娘は…結局、娘の番号は最後まで呼ばれませんでした。抽選会が終わったとわかった瞬間、娘は癇癪を起こし、泣き出しました。Upload By SAKURAこうなると、何と声をかけても無駄なのです。普段大人しいだけに、周りの人は何事かと、注目。一瞬で凍りつくその場の空気と、突き刺さる視線。私は、娘を抱え、逃げるようにその場を去りました。帰宅後、娘の様子を見て思いついたのは…娘は家に着いても泣き止みませんでした。泣き続ける娘を見ていて、その手に抽選券が握りしめられているのに気がつきました。Upload By SAKURAその姿を見て、「当たった体験をしてもらいたい!」と思った私は、お家で抽選会をやってみようと提案しました。Upload By SAKURA娘は涙しながら、「いいよ」と言ってくれました。慌てて家にあるお菓子をラッピングし、「参加者は娘一人、商品はたった一つ!」の抽選会をしました。Upload By SAKURAやらせ感は満載(笑)でしたが、娘はとても喜んでくれました。癇癪を見越して、事前に確認。これ以降、くじや抽選に関しては、当たらないことがあるということを事前に話し、「当たらなくても大丈夫?それでもやる?」と、確認したうえで参加するようになりました。Upload By SAKURAもちろん、事前に説明をしたら負けをすんなり受け入れられるようになった訳ではありませんでした。ゲームや勝負に負けて泣くことは、小学校1年生頃まではよくありましたし、「負けることもあるよ?」と確認すると「じゃあやらない」と避け、学校に事情を説明して、見学させてもらうこともありました。Upload By SAKURAしかし、成長と共に、負けることもあるということも少しずつわかってきて、「悔しいけれど仕方がない…次は勝つぞ!」という考え方や、負けても「まあいいや!」と受け入れることができるようになっていきました。
2020年11月04日読み書きに困難あり。毎日の宿題は親子で我慢くらべUpload By スガカズ次男は読み書きに対して特に困難があります。また、勉強に限らず本人が嫌だと思ったことへは基本的にしたくない性分です。小学校に入学して始めの頃は、私が次男に音読に取り組んでもらうタイミングを見計らったり、1行目は私が読むなどして何とかきっかけを作れていました。ですがいつまでも私が関わり続けるのも限界があるし、自主的に行動する機会をつくれていないと感じていました。小3になる頃、音読に関してこの様な困難さがありました。・自ら教科書を開く気分にならない・国語の教科書は単元ごとに、音読する量が違う・読み間違い、読み飛ばししがち・勉強した内容(特に漢字)が定着しづらい他にも、学校で配られる音読カードのチェック欄で「自分を(△〇◎などで)評価される」のを嫌っているといった理由もあります。頑張ったのだから全部〇という風にすると、「こんなもんでいいんだ」と本人が思う様になりそうだと感じる場面が多く、「今日は声がネズミさん(5段階でいうと1段階)だから、声の大きさは△」といった風に正直に書いていたので、次男はいい気がしなかったと思います。(読み間違いや読み飛ばしに関しては特性なので○にしていました。)ママ友に教えてもらった「デイジー」という支援ツールUpload By スガカズ特別支援教室のママ友とランチをしていたときに、「マルチメディアデイジー教科書」というツールを教えてもらいました。公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会から提供されている、パソコンやタブレット端末で利用できる図書の一つです。子どもが通う学校の教科書(出版社)のデジタルデータ(保護者が申請して承認を得てからダウンロードが可能)にルビ振りや音声読み上げ、さらには読み上げている部分が色分けされているなど、かなり配慮されたツールです。もともと視覚障害者向けにつくられた様なのですが、発達障害のお子さんにも有効であると言われています。マルチメディアデイジー教科書について実際に利用してみると、次男の行動に変化が!Upload By スガカズ「マルチメディアデイジー教科書」をネットに紹介されている手順に従ってダウンロード。本人に使い方を簡単に説明しました。普段は自ら教科書を開く気分にならない次男ですが、タブレットに目を輝かせながら音読していました。Upload By スガカズ利用するうちにたくさんの効果を感じました。・楽しく音読(読書)ができる・音声の情報で記憶力が鍛えられる・褒めるきっかけになるタブレットなどの身近なデバイスで、さらに目や耳の情報が入りやすく読みへの困難さが軽くなっていることを実感しました。「やらせる音読」から、「すすんでやる音読」に変わりました。Upload By スガカズさらに利用していくことで、・授業に関する親子の会話が増えるという利点も感じました。音読をしているとき、あるいはする前に、自分が授業で学んだ知識を共有してくれることも。今までは、勉強が苦手な次男に授業の内容を聞いてもあまり良い反応はなかったのですが、自然に学校での授業の様子を話してくれるので、親子の会話の幅が広がったと感じました。現在はLDはあるものの、自ら教科書を開くことが多いため、困ったときに利用させていただいている状態です。これも「マルチメディアデイジー教科書」を利用した効果なのかもしれません。国語に限らず小学生だと算数、理科、社会にも対応しているので、家庭学習で、授業の振り返りをしやすいと感じています。
2020年11月03日発達障害当事者のホンネと、悩んでいる人に伝えたいこと「女性の発達障害鼎談企画」に集まっていただいた姫野桂さん、宇樹義子さん、鈴木希望さんは、成人してから診断を受け、それぞれ発達障害に関する情報発信をされています。第2弾コラムでは、「学生時代の友達関係」や「SNSとの付き合い方」についてお話しいただいたことをご紹介します。Upload By 発達ナビ編集部ーー学生時代の友達関係について教えてください姫野さん:女の子は小学3年ごろから群れたがるようになりますよね。実際に私の学校もそうだったんですが、話をうまく合わせられないし、本当になじむことができなかったですね...!宇樹さん:うんうん、群れるタイプの子たちとは合わなかったですね。姫野さん:どうして、みんなで行動するんだろう?みんなで同じものを選ぶんだろう?と思っていました。鈴木さん:なぜ?ですよね笑。宇樹さん:大人の、とりあえずビール!全員ビール!みたいな笑。姫野さん:オシャレに目覚めて髪をお団子にして行った時も、女の子の集団からコソコソコソ言われて、なぜか私が先生に怒られるという…。「そういうハデな格好してくるからでしょ」みたいなことを言われて、トラウマになっています。ーー今、友達関係で悩んでいる子たちに、アドバイスはありますか?宇樹さん:そうですね、私の学校には群れるだけじゃなくて、積極的に自分たち以外を排除しようとするタイプもいたんですが、そういう子たちとはできるだけ適度な距離を保つようにしていました。小学校のころだとなかなか難しいと思いますが、「この人たちと合わないだけ」「彼らが正しいのではなくて、違うだけ」「向こうの方が数が多いだけ」と考えて、学校以外の居場所をつくるように頭を切り替えるのがいいのかなと思います。鈴木さん:本当にそうですね。私は小学校のころにいじめられたり、誰もかばってくれなかったりということがありました。中学生ぐらいから精神的にきつかったからか、てんかん発作が増えたり体調を崩したりして、あんまり学校に行けなくなって。勉強にもついていけなくなってしまいました。当時を振り返って思うのは、「みんなと仲良くしなくちゃ」と無理しなくていいんですよね。必要最低限の挨拶はして、あとは近づかないようにするという。宇樹さんと同じで、人生は学校だけではないと思うので。年齢によっては学校の世界がすべてになってしまいがちですけど、そんなことは全然ないんですよね。Upload By 発達ナビ編集部発達ナビ 女性・女の子の発達障害(3)学生時代の友達関係ーーSNS疲れの経験はありますか?宇樹さん:SNS疲れ、ありますね。だから、通知はほぼ切ってます。姫野さん:私も宇樹さんと同じで、通知は切っています!宇樹さん:あとは、タイムラインをムダに眺めない!1日に3回ぐらい見るタイミングを決めて、それ以外は見ないようにしています。特にTwitterは刺激にあふれているので、すぐに疲れてしまうんです。姫野さん:感情が揺さぶられてしまいますよね。鈴木さん:そうですよね。いろいろなものが流れてきて、ADHDのある私は刺激されてすごくおもしろいんですが、引っ張られないように気を付けています。あと、SNSに書いていることを読んで、あたかも私のことを全部わかったように接してくる人がいると、すごく疲れてしまいますね。SNSに自分のすべてを書いているわけではないのに…。姫野さん:わかります…。あとは、フォロワー数が増えるとメッセージが埋もれてしまって、必要な返信をしていなくて気まずくなってしまったこともありました。ーー通知を切る、タイムラインを見過ぎない、他に何か付き合い方のコツはありますか?宇樹さん:リアルの人間関係と一緒で、SNSも適度な距離が大事だと思います。姫野さん:距離感ですよね…!10年ぐらい前、本当にSNS中毒になったことがありました。ちょうど会社で事務職の仕事をしていた時期なんですが、とんでもなく向いてなかったんですよね。算数LDなのに経理業務もあって。会議用資料の準備を依頼されても、コピーが曲がっていたりサイズが違ったりで。よく3年間やってたなと思うんですけど、そうすると家に帰ってきてからずーっとSNS。ある日、このままではダメだなと思って、1週間SNSを禁止して、小説を書き上げたんです。それを文学賞に応募したら最終選考まで残ることができて、それが今の仕事につながっています。こんな過去の経験もあって、SNSとは自分の距離感で付き合っていけたらと思っています。鈴木さん:たしかに。あとは、SNSに過度な期待を持たない方がいいのかなと思っています。SNSならなんでもできる、なんでも与えてもらえると思ってのめりこんでしまうと、トラブルにも巻き込まれてしまうのかなと。姫野さん:本当ですね。最近は知らない人が投稿している、ネイルやメイクの動画を見るのが平和で楽しいです笑。鈴木さん:私も情報収集はしつつ、あとはヤギの動画に癒されていますね笑。Upload By 発達ナビ編集部・LITALICO発達ナビ 女性・女の子の発達障害(4)SNSいかがでしたか。友達関係もSNSも、無理をしないで適度な距離を保つことが大事というお話が印象的でした。次回は、「身だしなみ」と「母親との関係」についてお届けします。お楽しみに!宇樹義子さん発達障害当事者ライター・著者。「ため込み症者家族の会(HRAJ)」運営。高機能自閉症と複雑性PTSDを抱える。30歳で発達障害を自覚するも、心身の調子が悪すぎて支援を求める力も出なかったが、幸運にも現在の夫に助け出される。その後発達障害の診断を受け、さまざまな支援を受けながら徐々に回復、在宅でライター活動を開始。著書に『#発達系女子の明るい人生計画』(河出書房新社)。鈴木希望さん1975年新潟県生まれのコピーライター。側頭葉てんかんと自閉症スペクトラム障害、注意欠如多動性障害、算数障害の当事者で、軽度の相貌失認持ち。2009年生まれ、自閉症スペクトラム障害を持つ息子と二人暮らし。食い意地の張った料理好き。カレー大學認定カレー伝道師。姫野桂さんフリーライター。1987年生まれ。宮崎市出身。大学卒業後は一般企業に就職。25歳のときにライターに転身。現在は週刊誌やウェブなどで執筆中。専門は性、社会問題、生きづらさ。猫が好き過ぎて愛玩動物飼養管理士2級を取得。著書に『私たちは生きづらさを抱えている発達障害じゃない人に伝えたい当事者の本音』(イースト・プレス)、『発達障害グレーゾーン』(扶桑社新書)、『「発達障害かも?」という人のための「生きづらさ」解消ライフハック』(ディスカヴァー21)。
2020年11月02日わが家の息子が、初めて発達障害の可能性を疑われたのは1歳半健診(1歳6カ月児健康診査)のときでした。市町村によって検査内容や診断方法に差があるようですが、今回は息子が発達障害と疑われた1歳半から、実際に診断が出るまでの検査内容などをご紹介します。 発達障害の可能性を指摘された1歳半健診1歳半健診では簡単な絵を見せられ、そのなかから「○○はどれ?」と質問される検査があります。息子は、市の検査と小児科の検査、どちらもその指示を適切にこなすことができず、言葉もほとんどしゃべらないことから「要経過観察」となりました。 この時期、同じような対応の子どもは意外と多いようですが、息子の通う小児科は偶然にも発達障害に詳しく、その後も定期的に検査を受けることになりました。 半年に一度のペースで実施された発達検査 1歳半で要経過観察になって以降、半年に一度のペースで「遠城寺式 乳幼児分析的発達検査」という検査をおこないました。定期的におこなうことで前回と比べることもでき、先生が子どもの様子を見ることで発達具合もわかるようです。 この検査は先生と個室でおこなわれ、指示にきちんと従えるか、言われたことがどこまでできるかはもちろん、子どもの様子や理解力なども確認されます。息子は3歳までこの検査を定期的におこないました。 発達障害と診断されたときは…実際に発達障害と診断されたのはかかりつけの小児科ではなく、その後リハビリに通うことも考慮して紹介された、リハビリテーション病院でした。小児科からの紹介状に、今までの検査結果が詳しく記されており、リハビリテーション病院では診察のみ。息子は「自閉症」の診断がつきました。 診断がつくまでの診察時間は約10分と、予想外の早さでした。その後、これからのリハビリについての説明や診断の理由などが詳しく説明されました。 発達障害の検査は大変そうと思われがちですが、私の場合はかかりつけの小児科が発達障害に詳しい病院だったので、スムーズに診断がつきました。難しいことはあまり考えず、少しでも気になることがあれば、発達障害に詳しい小児科や市の保健センターに相談してみるといいと思います。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 イラスト/マメ美監修/助産師REIKO著者:前田奈々自閉症の長男、次男の二児の母。自身の体験をもとに妊娠・出産・子育てに関する体験談を中心に執筆中。
2020年11月02日むっくんの癇癪・パニックむっくんの癇癪・パニックは2歳頃から始まり、現在も続いています。むっくんはパニックになると暴言や暴力が始まり、私の心もかき乱されるので、冷静な対応が難しい!と日々悪戦苦闘しています。最近は、むっくんのこと、私自身のことを切り分けていく必要性を感じています。それでも、年齢と共に暴力は減ってきており、最近では暴力だけはコントロールしようと、必死で自分と戦う様子も見られるようになりました。攻撃対象も誰彼構わずだったものが、最近は外では我慢して、帰宅後に私をターゲットにストレスをパニックとして吐き出す形に変化してきています。パニックをその場でどう落ち着けるか、というマニュアルはなんとなくできてきたのですが、将来を見据えて自己コントロール力をつけることに関しては、むっくんの成長にまかせるしかないというのがわが家の現状です。Upload By ウチノコどうしてパニックを起こすの?パニックを起こす理由は人によってさまざまだと思いますが、むっくんの場合、大きな要因は感情のコントロールが苦手なことと、「他者への恐怖感」からくる「疲れ」だと考えています。むっくんは感覚や周囲の雰囲気、人の持つ感情などに敏感で恐怖を抱く傾向があります。特に対人コミュニケーションが苦手なむっくんにとって、他者からの予測不可能な刺激は恐ろしく、対応に大きなエネルギーを使っている様子。結果、疲れによりいつもはできる、感情コントロールしながら人と関わることが難しくなります。すると、まるでヤマアラシのように全身から棘を出し攻撃を開始。相手を戸惑わせ退けて自分を護ります。きっかけはさまざまですが、パニックの底には「自分を護りたい欲求」があるように感じています。Upload By ウチノコパニック後のようすパニックを起こした後はすっきりして穏やかになることもあります。むっくんにとってパニックや癇癪は、どう表現するのか解らない心の苦しさを発散する効果があるようにも感じています。ぶつけられる方はたまったものではないのだけど…ただ、穏やかな時を知っていると、「普段はあれだけのエネルギーを自分で律しているのだな…」と、その苦労を感じる瞬間でもあります。Upload By ウチノコパニックをしばしばおこすむっくんですが、パニック後には「周りに酷いことをしてしまった」と理解しています。聞き分けの良い子でいようとする時もあり、周囲の反応を気にしている様子がうかがえ、パニックはむっくんにとっても好ましい発散方法ではないのだとも感じています。穏やかに戻ったむっくんとパニックについて話すこともありますが、別人なんですよね・・・。穏やかむっくんは、話すまでもなく自分の行いが好ましくないことも理解しているし、どうしたらよかったのかも理解している。更にパニックを起こしている自分に対し、恥ずかしいという感情まで持っている。こんなむっくんですが、パニックを起こすと人格が変わるので、いつもの倫理観は吹き飛んでしまうのです。Upload By ウチノコパニックを起こしているむっくんのことを、穏やかなむっくんに話しても別人に説教しているようでしっくりこない。そう思っていたらむっくんが面白いことを言いました。「あれは『ビックバンむっくん』だから・・・」むっくんの自分研究5、6歳ごろから、癇癪やパニックを起こしている自分を「ビックバンむっくん」と呼び、通常の自分と分けて考えるようになったむっくん。この頃から「自分研究してみようか!」と私が呼びかけ、むっくんが自分のパニックについて客観的に考えることを促しています。Upload By ウチノコ「ビックバンむっくん」という別人格の行いについて話し合うことで、私もむっくんも敵対するのではなく、共同研究者のような気持ちでパニックと向き合えることも増えました。自分を客観視しつつ、自己理解を深めていく。時間はかかりますがこのやり方こそ、将来のむっくんを助けうる力になるのでは?と期待しています。Upload By ウチノコUpload By ウチノコ癇癪・パニックを肯定し共に生きる覚悟むっくんのパニックは、私に対する暴言や暴力で現れます。先日は夕方に「買い物に行きたいのだけど、一緒に来る?待ってる?」と聞いただけで始まり(行きたいか行きたくないか、自分の気持ちがわからず表現できなかったから)これは私の予告不足の影響なのですが、そんな時はさすがに心が折れます。暴言や暴力で負の感情をぶつけられると、腹は立つわ、悲しいわ、「なんでこんな目にあわないといけないの?」と、私まで怒りに支配され、言い争ったり取っ組み合いになる日もあります。「私は子どものころ我慢したのに…自由で羨ましい!」と嫉妬してしまい、引きこもって泣いて過ごす日もあります。しかし、視点を変えてみるとパニックはむっくんに、どうして自分はこうなんだろう、嫌われてしまう、見捨てられるという恐怖を生み出します。むっくんが叩いているのは私なのか、むっくん自身なのか。どこか自傷行為のように感じることもあり、彼の苦しみに切なくなる日もあります。Upload By ウチノコだけど、その場しのぎの対応でその瞬間はおさめることができても、本当の意味で私にむっくんを救うことはできません。感情のコントロールはむっくんがこれからも自分で向き合っていかないといけない課題だからです。この先も自分と向き合い、理解し、自分自身の好ましくないと感じている面も、否定するだけではなく、時に受け入れ、時に工夫し、折り合いをつけながら生きていく先に、幸せがあるのだと私は考えています。そのために今、私にできることは何なのか。これからも考え続けていきたいです。
2020年10月31日発達障害のある息子と一度は家族を捨てた父の共同生活を描いた映画「靴ひも」Upload By 発達ナビニュース母の突然の死により同じ屋根の下で暮らすことになった父と発達障害の息子の生活が描かれた映画が、10月17日より公開されています。明るく誰に対してもフレンドリーな一方で、発達障害があり、生活習慣へのこだわりが強く、苦手なことも多いガディ。そんなガディに対して、どう接したらいいかわからず、戸惑う父のルーベン。そんな約30年ぶりの共同生活は、せつなくも愉快な発見の連続。タイトルにもなっており、重要な場面で登場する「靴ひも」にも注目です。本作の監督を務めたのは、イスラエルの映画・テレビドラマ界で長年活躍するヤコブ・ゴールドヴァッサー。イスラエルで報道された実在の父子の臓器移植にまつわるエピソードをもとに、これまでにありそうでなかったユニークな親子ドラマをつくり上げました。ゴールドワッサー監督自身も、障害を持つ息子の父親であり、テーマが身近であるだけに困難な挑戦だったが、映画を通して人々の障害に対する意識を変えたいという情熱が制作の原動力になったと語っています。【公開予定】10月17日(土)より、シアター・イメージフォーラム ほか全国順次ロードショー中知りたい!聴きたい!障がい児者のきょうだい座談会Upload By 発達ナビニュースぜんち共済株式会社が主催する、障がいや慢性疾患、難病などのある人の兄弟姉妹”きょうだい”に関するセミナーが開催されます。セミナーでは、“きょうだい”の立場であり、きょうだいのグループを運営する4名が登壇して、それぞれの体験談や思い、家族との関係から、結婚や「親なきあと」まで、これまでのこと、今のこと、そして、これからのことを語ります。障がいのある方のご家族(親・祖父母、きょうだい他)、支援者の方、関心のある方は、どなたでもご参加ください。セミナー後のアンケート回答者には、「当日の資料」、「当日皆様よりいただいた質問への回答集」が送られる予定です。(※当日、ご都合により、視聴できない方にもお送りします。)【日時】2020年11月14日(土)10:00-11:45【申し込み期間】2020年10月10日(土)~11月13日(金)【参加費用】無料ココ・ファーム・ワイナリーが「第37回どこでも収穫祭」を開催!Upload By 発達ナビニュース栃木県足利市に位置する、ココ・ファーム・ワイナリーは、知的障がいのある人たちが、いきいきと作業する醸造所です。人と自然に寄り添い続けることで、上質なワインを造り出します。そのワインは、2000年、2008年の主要7ヶ国首脳会議でも使用されました。そんなココ・ファーム・ワイナリーが「第37回どこでも収穫祭」を開催します。ココ・ファーム・ワイナリーの収穫祭は、1984年からはじまり今年37回目。例年と違い、葡萄畑に集まらず、密集・密閉・密接を避け、9月1日から12月31日で開催中です。古澤巖や坂田明COCODAなどスペシャルゲストによる演奏を中心とした“オンライン収穫祭”はパソコンやスマートフォンからご覧いただけます。参加するには、ワインやグラスがセットになった「収穫祭セット」を事前に購入することが必要です。収穫祭セットを購入すると抽選でワインなどが当たるチャンスも!お家で職場で山で浜辺で・・・おひとりでも、ご家族や仲間と一緒にも・・・どこでもいつでもだれでも楽しむことができる「第37回どこでも収穫祭」です。【日時】オンライン収穫祭2020年11月14日(土)12:00~14:00YouTube配信※アーカイブ配信:2020年12月31日(木)まで【参加方法】オンラインサイトで販売されている、A~Eのどこでも収穫祭セットいずれかの購入が必要です。収穫祭セットに含まれる、収穫祭カードからオンライン収穫祭を視聴できます。11月14日(土)の配信日に視聴ご希望の方は、11月3日(火)までにどこでも収穫祭セットをご購入いただく必要があります。「LITALICO発達ナビPLUS」が無料オンライン体験会開催中!Upload By 発達ナビニュースLITALICO発達ナビPLUSでは現在、ご自宅でカンタンにサービスを体験できる、無料オンライン体験会を開催中です。進級・進路の悩み、癇癪(かんしゃく)、他害、コミュニケーションの難しさなど、さまざまな 困りごと に対して「発達ナビPLUSでどうサポートできるのか」を質疑応答が可能なオンラインのサービス体験会で説明しています。体験会はビデオチャットで開催され、参加者の顔出しはありません。スタッフの画面を共有する形でのご紹介となるため、画面操作はスタッフが行います。オンライン体験会参加者さま限定で、オンライン体験会の参加後にお申し込みをされた場合、初期コンテンツ利用料が50%OFFという特典もあります。【所要時間】1時間程度【参加方法】お申し込み後、担当スタッフよりビデオチャットでの参加方法をご案内します【開催日時】▼未就学児・11/1(日) 10:30-11:30・11/3(火・祝) 13:00-14:00・11/4(水) 11:00-12:00・11/8(日) 15:00-16:00・11/10(火) 11:00-12:00・11/14(土) 10:30-11:30・11/19(木) 11:00-12:00▼小学生・11/1(日) 13:00-14:00・11/3(火・祝) 10:30-11:30・11/5(木) 11:00-12:00・11/8(日) 13:00-14:00・11/11(水) 11:00-12:00・11/14(土) 13:00-14:00・11/20(金) 11:00-12:00▼中高生・11/14(土) 15:00-16:00
2020年10月30日長男の物を投げる、蹴るが始まったのは小学1年ごろからでした長男シュウは3歳で自閉症と診断され、なかなか言葉が出ませんでした。そのため言葉で気持ちが伝えられないもどかしさがあるためか、時折火がついたように泣き出していました。これも一種のかんしゃくかもしれません。けれど、6歳を過ぎるとぽつりぽつりと単語が出るように。それは嬉しいことでしたが、しかし、今度は泣くのではなく、かんしゃくを起こして物を投げる行為が増えていきました。Upload By シュウママ理由は全くわかりません。どうしたの?やめなさい!と叱っても聞く耳持ちません。突然キレるシュウに私はどうしたものか…頭を抱えていました。かんしゃくがひどくなった小学2~3年頃、小児精神科医に相談する小学2~3年生くらいになると、言葉数が増えていきました。自分の感情も少し表現することができていたので、かんしゃくを起こした理由もわかるようになりました。たとえば、「テレビない~!」だと「見たいテレビが休止になったんだな」というような感じです。ほかにも、「学校ない~」だと、「学校にいきたくないんだな」ということがわかります。Upload By シュウママしかし、ただ理由がわかったとしても、突然やってくるかんしゃくは防ぎようがありません。たとえば、見たいテレビが休止になったとき、「特番が放送されているから、いつも見ているアニメはお休みだよ」と説明しても効果はありません。かんしゃくを起こしている間は話が耳に入らないのです。こんな状況に、さすがにどう対応してよいのか私も困り果てて、かかりつけの小児精神科に相談に行ったのでした。先生に、シュウのかんしゃくでとても困っていると話すと「それは一番多い相談ですね」とうんうん頷かれました。そして、「衝動を抑えるのは難しいですね。とりあえずかんしゃくが起きることを前提で対処されたらいいかもしれません」とのこと。「シュウくんに投げられても大丈夫なもの、ボールとかプラスチックのものを箱に入れておいて、かんしゃくを起こしそうになったら、それを使うように促すんです。」Upload By シュウママこの話をきいたとき、私は「かんしゃくの根本的な解決は難しいんだな」と思いましたが、先生は「そのうち、自分で怒りを鎮める方法を覚えていくと思います。階段の下にうずくまって落ち着く子、布団をかぶって頭の中の嵐を鎮める子、いろいろなやり方で乗り越えていきますよ」そうおっしゃいました。言葉の発達によりかんしゃくも収まってきたけれど、5年生頃からまたひどくなって先生の教えてくれた投げてもいい箱を置く方法は効果がありました。テレビを叩いたり、スマホを投げられたりするよりは、こちらのストレスもたまりません。ただ、それも長くは続きませんでした。小学5年生くらいになると体も大きくなっていきます。すると、壁をけったりするようになりました。次第に、シュウは箱の中のものを投げても、イライラが解消されなくなっていきました。あるとき、お気に入りの服が洗濯中で別の服を着せたときでした。「服ない!」と言ってシュウが怒りはじめました。なだめようとするとシュウは椅子の上に置いてあるひざ掛けの毛布を取ってきました。えっ?と不思議に思っているとなんと毛布を噛んだのです。Upload By シュウママ見ていると噛みながら一生懸命怒りを我慢してるようでした。それはシュウが唯一自分で習得した心を落ち着かせる方法だったと思います。先生と相談しながら…衝動を抑えるのではなくけれど小学6年の今でも、かんしゃくはまだおさまっていません。毛布を噛んでかっとなった気分を静めようとしてはいますが、やはりこらえきれず壁をけって穴をあけたりしています。学校やデイサービスでは全くそういったことはなく、かんしゃくは家でのみ起こるので、やはり家だと甘えが出ているのかもしれません。現在はエビリファイという気分の高まりや興奮を静める薬を服用していますが沸点まで怒りが簡単に到達してしまうので、まだまだかんしゃくとは長くつきあうことになりそうです。Upload By シュウママ月に1回、先生と話しあいながら、効果的な方法を模索しています。
2020年10月30日当事者研究、仲間たちとの関係についてーー綾屋紗月さん東京大学先端科学技術研究センターで、特任講師として発達障害の当事者研究(※)や、当事者研究の研究などを行っている綾屋紗月さん。幼い頃から家庭や学校で違和感を抱いていましたが、そこにASD(自閉症スペクトラム)の特性が関係していると知ったのは大人になってからだと言います。インタビュー後半では、綾屋さんたちが取り組む「当事者研究」について、また活動を通して出会った仲間たちとの関係について、お話しいただきました。当事者研究とは:一人ひとりが自分自身の困りごとや生きづらさについて研究者となり、周囲の仲間たちと語り合うなかで困りごとへの理解を深めることや、よりよい付き合い方を探していく営みのこと。綾屋紗月さんが主宰する、発達障害当事者による当事者研究活動「おとえもじて」をはじめ、さまざまなテーマ・共通点ごとに当事者研究コミュニティがある。当事者研究を続けるのは、新たな仲間に伝えたいから――綾屋さんは、「当事者研究」をテーマに研究者として活動されていますよね。お仕事についてもお聞きしたいです。綾屋:研究職に就いたのは偶然の重なりのようなもので、わたしはいただいた仕事を一生懸命やってきているだけという感覚があります。自分たちの発達障害当事者としての経験をもとに当事者研究をするだけでなく、専門家の研究にマイノリティ当事者の視点を反映させるための研究をするのが、わたしの主な仕事です。どのようにしたらマイノリティの人たちのニーズや感覚からずれずに研究を進められるのかを突き詰めながら、組織づくりを考えたりしています。Upload By 姫野桂綾屋:学術研究のフィールドでも、自分のマイノリティ特性を研究テーマとして掲げる人はまだまだ少ないので、そういった当事者としての視点も活かせる立場での働きが求められていると感じます。例えば、無理なことはしないとか、「こういう場面では無理をしそうになっちゃうな」ということにちゃんと気づいて記録し、そこにある苦労を細かく拾ったり、普通とは異なるオリジナルの方法で同じ目的にたどりつけるかどうかトライしたりして、発表という形で外に出していくとか。こうしてさまざまな人との人間関係や利害関係が広がっていったことで、当事者研究だけでは対処できない新たな苦労が発生し、当事者研究と同時に、「ソーシャル・マジョリティ」の研究も進んだように感じています。――「ソーシャル・マジョリティ」の研究とは、具体的にはどんな内容なのでしょうか?綾屋:発達障害当事者をはじめとする社会的マイノリティの立場から、多数派社会のルールやコミュニケーションを研究するのがソーシャル・マジョリティ研究です。新しく経験する人間関係の苦労は、わからないことの連続でした。以前であれば怖くなって撤退していましたが、当事者研究で培った研究マインドや、そこで出会った仲間の存在のおかげで、そうしたわからないことに研究的に向き合うことができるようになっていました。そして、いろいろな人とのやりとりを観察し、「あの場面ではどんなことが起きていたのか」「こういうときはどこまでなら言ってもいいのか」などを後から教えてもらい、意味付けを介助してもらうことを重ねました。自分がメールの返信を担当しなければいけないときには、失礼がないか一つずつ確認してもらい、さまざまな視点があることを教えてもらいました。そのようにして3年ほどを過ごすうちに、いわゆる定型発達の人が多い社会……わたしは「娑婆(シャバ)」と呼んでいるんですが、その仕組みを頭で理解できるようになり、「怯えていたほど、シャバの仕組みも難しくないかもしれない」と思える程度にはなりました。こうした経験を、多分野の専門家と共に、研究として整理・分析して発表していくのがソーシャル・マジョリティ研究という試みです。――「シャバ」、思わず使いたくなる表現ですね。シャバのルールが自然とわかるわけではなくとも、頭で理解できれば、スムーズになる物事もありそうです。綾屋:そうですね。知識体系があるとわかったことで、重要なポイントをうっかり踏まないように気をつけることができたり、「あのよくわからないルールを使わなければいけなそうだから撤退しよう」と判断できたりと、サバイブには役立ったと思います。Upload By 姫野桂――今の綾屋さんは、自分のことも、自分を取り巻く環境のことも、学生時代に比べれば理解が深まってきているわけですよね。そうなってくると、自分自身の困りごとを起点とする「当事者研究」は一段落ついてもおかしくないように思うのですが、それでも関連活動を続けているのは、何かモチベーションがあるのでしょうか?綾屋:一段落はしましたが、新しい環境や身体の変化に直面するたびに、「今の自分には何が起きているんだろう」という問いが生まれる自分は、あいかわらずなくなりませんでした。現在のわたしは「生きていく態度」として、当事者研究が一生続くのだろうと感じています。また、それとは別に、仲間に伝えていく、という責任も感じています。自分の当事者研究がある程度終わり、生きやすくなってきたときには、これからどうするのだろうとやはり思いました。当時は「自分は一体何者なのだろう」という問いが、終わってしまった感じがして。今後に悩んでいたときに見学参加した薬物依存症からの回復施設のミーティングで、たまたま読んだ文章が、「今まで誰かにしてもらったことをありがたく思っているのなら、新しい次の仲間に返しなさい」といった内容でした。それで、「ああ、そうなんだ」と思ったんですよね。ちょうどその頃、「次はあなたが当事者グループをやる番だよ」と言われていたけれど、わたしはそんなことできないと思っていたんです。でも、そのときに「あ、やらなきゃいけないんだ」と受け入れて。今もその延長線上にいます。わたしは前に出たいタイプでもないし、人づきあいに対する負担も大きくて、当事者グループを続けて10年目になるのに、いまだに「当事者グループの運営なんて、わたしには向いてない!」と、始まる前は緊張して毎回泣きそうになっています(笑)。「みなさんにお世話になったんだし、新しい仲間に返していくんだよな…」という気持ちに動かされ、また、参加してくれる仲間たちに助けられながら、なんとか続けられている感じです。仲間と出会って得られるものがある。ただ、そこはユートピアというわけではない――これまでのお話に、「仲間」という言葉が何度か出てきましたよね。綾屋さんにとって、仲間とはどんな存在ですか?綾屋:ささやかなつながりを感じられたときに泣いてしまうくらいにうれしい存在です。ただ、しょっちゅう仲良く遊びに行くような感じではなく、数ヶ月に一度、ミーティングの中で近況報告を聞くような関係が何年も続くのが、自分にとってちょうどいい距離感の仲間ですね。依存症当事者の人たちの言葉に、「迷惑をかけられたりしても、仲間だから仕方がない」というものがあるのですが、それもすごくしっくりきます。いいことばかりをもたらしてくれるわけではないけれど、大変なときも相手の状態を想像して、受け入れられる人たち。本名も、年齢も、バックグラウンドも全然知らないこともあります。でも、その人の困っていることや考えてきたことなど、内面をわかちあえる関係です。学生時代も含めたシャバでの人間関係というものは、なんだか虚勢を張り合っていて、なかなか自分の弱さは見せられないようだな、という印象を持っています。でも、今の仲間とのつながりは弱さを公開し、自分の恥ずかしくて情けない話からスタートできる。正直すぎるぐらい正直に話しても大丈夫、という基準が共通しているのは、すごく楽ですね。「ああ、人とつながれて、自分ともつながれた」と思えたのは、本当にこの10年ほどのことです。Upload By 姫野桂――近い特性を持つ人同士なら、問題なくつながれることもあるんですよね。わたしも発達障害の当事者ですが、サバイブのためにシャバに対応していく必要性や、それによって楽になる部分があるのを理解しつつも、なぜマイノリティだけがそこに力を割かねばならないのだろうと、やるせなさを感じることがあります。綾屋:それは、本当にそうですよね。わたしはたまたまマイノリティに囲まれた場所を選べているので、職場ぐらいまでなら自分の話も認められるし、恵まれた環境にいる、助かっているなあと思います。でも、わたしの仲間の多くは、それこそシャバで障害者就労等をして、苦労しているわけで。そこにどうやってわたしたちが貢献していけるのかを考えて、今、組織側をマイノリティに合わせて変えていくためのアプローチもし始めたところです。――もし、今後の働き方や生き方に悩む発達障害当事者から相談を受けたら、綾屋さんはどんな話をしますか?綾屋:そうですね……人それぞれですし、難しいですが。先ほど話したような職場環境を変えていくための働きかけには、賛同してくれる企業も少なくはないんです。おそらく、どう対応したらいいか企業側もわかっていないような状況なのだと思います。そんな中で、長期的に考えたときに勧めたいのは、仲間とつながる場を作っていくことです。世代を超えて縦につながることと、若い人同士で横の仲間とつながることの両方が、早めにできたらいいのではないかと思います。――仲間とつながることで、何が起こるのでしょうか?綾屋:当事者研究というやり方にこだわらなくてもいいのですが、自分たちは確かにこうなんだな、ということが、似た身体を持つ人と出会うとわかるようになります。あるあるネタが見つかったり、似た人と集まっても残る違いに気づき、「この部分は障害ではなく、自分のオリジナルなのかな」と思うことがあったり。そういうマイノリティ性に関する共通点や差異は、多数派の中にいては絶対に見つけられないんです。シャバ以外の場所で仲間と出会うことで、「ああ、ここだったら自分の当たり前が、他の人にとっても当然のルールになるじゃん」と感じられることもあります。それが、自分の安心材料になっていくんですよね。例えば、以前、発達障害の当事者が集まっていたとき、準備中にマイクのハウリングが起きたんです。すると、その場にいた人がみんな、耳を塞いだり、しゃがみこんだり、ギャーッと言ったり、大騒ぎになりました。シャバだと多分、「それぐらいで耳を塞ぐの?」と思われるような状況でしたし、わたしも我慢していたかもしれないのですが、そこではわたしも含め、一斉にみんなが耳を塞いだことに何か「文化」のようなものを感じました(笑)。そういう風に仲間同士の空間では、相手と仲がいいか悪いか、相手の性格を好きか嫌いかなどを超えて、身体的な感覚を分かち合い、つながりを感じられるんですね。そんな経験があれば、自分の感じ方に素直に振る舞っても大丈夫な場所が確かにあると思えます。多数派の中だけで過ごしていると、そこのルール以外を知りにくいので、どうしても適応する方向へ動きがちです。でも、仲間と出会えていれば、自分の身体を承認できて、シャバにいるときでもちょっと適応しきらないような、工夫した対応の仕方もできるようになると思うんです。それに、仲間と一緒にいれば、大学選びやきちんと対応してくれる企業に関する情報、生活保護の取り方のルートなど、多数派の間ではなかなか話されないような情報についても、重要情報として交換できるかもしれません。発達障害に関しては、そういったコミュニティが、これからできていくところだと思います。わたしたちの世代では残された時間で達成するのが難しいかもしれないので、そこは若い世代に託したいところですね。Upload By 姫野桂――そのような仲間とのコミュニティを作っていくときに、何か気をつけたほうがいいことはありますか?綾屋:「似たような人たちで集まればユートピアになる」とは限らないのを、認識しておくといいかもしれません。シャバの中では排除されがちな人たちが集まるわけですから、そこで初めて人間関係を結ぶ場合もあるわけですよね。当然、うまくいかないことはたくさん起きます。しかし、そのときようやく、シャバではできなかった、自分たちにとって「わけのわかる」ケンカを初めて経験したり、解決の仕方を学んだりする場にもなりうるわけです。発達障害当事者の集まりでなくとも、そのような人間関係のトラブルは起こりうるものです。上の世代が手助けしたり、気を配れる部分は配ったりして一定の安全を保ちつつも、高校生ぐらいになったら、管理や監視のない空間で、仲間との関係性を味わえるような場所を自分たちで作れるようになったらいいなと思っています。――綾屋さんは、お子さんが2人いらっしゃいますよね。保護者と子の距離感については、どうお考えでしょうか?綾屋:子どもに対する愛情は十分に持ちつつも、手を出し過ぎず、見守るような距離が必要だと思います。親と子では親のほうが当然権力が強かったり、子がマイノリティでも親がマジョリティだったりするので、どんなに親が親切にしようとしても、できることには限界があるんですよね。親が一生懸命、子どもと環境を適応させようと支援することで、本人が学ぶべきことを取り上げてしまい、経験するはずだった苦労を奪ってしまうこともある。一概には言えない、匙加減が難しい話をしていますし、もちろん、マイノリティ性があるかどうかにかかわらず、ひどいいじめに合っている子どもを放っておくのは論外です。ただ、もし親が子どものマイノリティ性に対して「なんとかしてあげなきゃ」と不安に思ったり、熱心に頑張ってしまったりしている場合は、自分と子を切り離して考えて、「子どもが親以外の手を借りて対応していけるようにするためには何をするべきか」を考えることが重要だと思っています。そのときに子どもが頼れる相手として、仲間や、医師・教師・カウンセラーなど親以外の支援者もいますし、介助者を利用する方法もあります。家庭で親がなんでも先回りしてやってあげてしまうと、自分主体で動く力を子どもが養うことはできません。例えば、ある程度、言葉を扱えるお子さんであれば、将来的には本人が主体的に「ご飯作りをお願いできますか」「片付けを手助けしてほしいのですが」と自らのニーズを伝えていけるような関係や距離でやっていけるようになるのが理想かもしれません。周囲の人々の目の厳しさやしがらみ、親としてきちんとやれているのだろうかと不安な気持ちはわかります。わたしも暗中模索で今までやってきました。それでも、仲間とつながるためのサポート等のできることはしながらも、子は子でやっていけるように、親と子を分離していく意識を持っていたいです。(終わり)和やかな語り口で濃厚な話をしてくださった綾屋さん。幼い頃の「自分自身のわからなさ」を、大人になってから時間をかけて受け入れていくまでの、苦労や発見を教えてもらえた気がします。綾屋さんとシャバ(マジョリティ)との関係性も、興味深いものでした。マイノリティの仲間とつながった後には、シャバと交わることで学べるものや新たに知れることもあるかもしれません。Upload By 姫野桂取材・文:姫野桂編集:鈴木悠平・佐藤はるか撮影:鈴木江実子
2020年10月29日3歳、言葉が少し出るようになったころの癇癪。今でも記憶に残っている癇癪…今回は3歳のときのお話をしたいと思います。娘は3歳ごろから、少しずつ言葉が増えていきました。しかし、会話でのコミュニケーションはまだまだ難しく、娘のしたいこと、言いたいことを言葉で探るのは至難の業でした。GWのお出かけのときのこと...3歳のGW中のことです。当時、娘は(髪をとかす)くしのおもちゃがお気に入りで、どこへ行くのにも持ち歩いていました。この日のお出かけ時も、持って家を出た娘。家を出て、最初にガソリンスタンドへ寄り、その後、何軒かお店に行った後、娘が急に泣き出しました。Upload By SAKURA大きな声で、泣き叫ぶ娘。私たちは娘がなぜ泣いているかわからず、困り果ててしまいました。癇癪の原因は…当時、自分がしゃべれる言葉を、精一杯使い、必死に泣き続ける娘。Upload By SAKURAその言葉から、くしのことを思い出し、確認してみると、娘が家を出るときに持っていたはずのくしがありませんでした。私たちは慌てて荷物や車の中を探しましたが、見つかりません。Upload By SAKURA3歳当時の娘は、少し言葉が通じるようにはなっていましたが、「いつまであったの?」「どこで落としたの?」という質問には答えられませんでした。どこで落としたか、見当もつきません。私は「くしは諦めて…」と言いましたが、聞く耳をもたず…。癇癪を起し、ひたすら叫び、泣き続けていました。もうこうなったら手が付けられません。私たちは、寄ったお店に戻ることにしました。Upload By SAKURA店員さんに落し物がなかったか聞いたり、商品棚の隙間を探したりしましたが、まったく見つかりません。そして、家を出てから最初に寄った、ガソリンスタンドへ。ここで私は、出発前にごみを捨てていました。もしかしたら、ごみと一緒に捨ててしまったのかもしれない…周りの視線を浴びながら、ガソリンスタンドのごみ箱の中を必死に探しましたが、見つかりませんでした。諦めるしかない…その時…Upload By SAKURAこれだけ探してなかったのだ…仕方ない……なーんて、当時の娘には理解できるはずもありません。探している最中も、癇癪を起している娘のわめき声と、必死になだめている夫の姿が見えます。Upload By SAKURA見つからなかった…という結末は、避けなければならない…絶対に見つけないといけない!最後の望みをかけ、ガソリンスタンドの店員さんに、くしの落し物がなかったか聞きに行きました。私の切羽詰まった状況が伝わったのか、スタンド内を探してくれた店員さん。そして…Upload By SAKURA店員さんの活躍で、無事くしが見つかり、娘の癇癪をおさめることができたのでした。娘の持ち物は、「持っているか」をこまめにチェック。もちろん、なくして困るものは、持っていかないのが一番いいのですが、「持っていきたい」というのも、娘のこだわり。このころは、置いていくよう説得しても通じず、無理やり取り上げるとさらに癇癪を起してしまいました。私たちにできるのは、娘が外出時持っていくものが、ちゃんとあるかどうかを、こまめに確認することでした。この件があって以降、私たち夫婦は、娘の持ち物に関しては注意するようになり、娘が持ち物から手を離した時は、すかさず自分たちで保管し、こっそり管理するようになりました。Upload By SAKURAそして、持っていったものがなくならず、無事に帰宅した時は、2人でほっと胸をなでおろしていたのでした(笑)Upload By SAKURA続く…
2020年10月28日ミドルエイジの先輩たちが「自分らしい生き方」に至るまでーー綾屋紗月さん東京大学先端科学技術研究センターで、特任講師として発達障害の当事者研究(※)や、当事者研究の研究などを行っている綾屋紗月さん。幼い頃から家庭や学校で違和感を抱いていましたが、そこにASD(自閉症スペクトラム)の特性が関係していると知ったのは大人になってからだと言います。自分の身体や他人との「つながれなさ」を感じていた綾屋さんが、自分を理解し、社会とつながっていくまでのプロセスをお話しいただきました。当事者研究とは:一人ひとりが自分自身の困りごとや生きづらさについて研究者となり、周囲の仲間たちと語り合うなかで困りごとへの理解を深めることや、よりよい付き合い方を探していく営みのこと。綾屋紗月さんが主宰する、発達障害当事者による当事者研究活動「おとえもじて」をはじめ、さまざまなテーマ・共通点ごとに当事者研究コミュニティがある。子ども同士の「暗黙のルール」がわからなかった――綾屋さんは、発達障害のある人を中心に当事者研究を行う会「おとえもじて」の発起人で、ご自身も大人になってからASDの診断を受けていますよね。幼少期はどのように過ごされていましたか?綾屋紗月さん(以下、綾屋):3〜4歳の頃、家では、「なんでこんなに自分の思っていることが両親に伝わらないのだろう」「どうしてわたし、いつも泣いているのかな」と感じていました。父に怒られたわたしは悔しくて泣くのですが、後から「あのとき、あなたはこういうつもりだったんだよね」と通訳のように言葉にしてきて。「わかってるんだったら、なんでさっきあんな風に怒ったんだよ」と腹が立って、余計に泣いてしまうようなこともありました(笑)。母はわたしが何を考えているのかが本当にわからなかったようで、「この子も大きくなれば、自分のことを自分で説明できるようになって、生きやすくなるだろう」と思いながら育てていたらしいです。それでもどうにか家庭の中ではやっていけたのですが、幼稚園に入ってからは、子どもたちの間にあるルールや、今何が起きているのかがよくわからなくて。ちょっと怯えながら様子を見ているような状態でした。Upload By 姫野桂――集団の「暗黙のルール」のようなものの難しさを、幼稚園ですでに感じ取っていたんですね。綾屋:他の子たちが遊んでいる輪に、わたしが「入れて」と言ったら「ダメ」と言われるけど、他の子が言うと「いいよ」と言われる。他方で、何も言わなくても自然と一緒に遊び始める子もいて。どうしたらあんな風に加われるのかがわかりませんでした。先生の指示に従うのも難しかったですね。手順が明確でない説明がだらだらと続くと、まず何から始めればいいのか、具体的な行動が把握できないし、そもそも園内では音がすごく反響しているようにわたしには聞こえていたので、聞き取るのがとても難しくて。わからないから質問をすると、「さっき言ったでしょ」「ちゃんと聞いていなさい!」と怒られてしまいました。――ちゃんと聞いていたにもかかわらず、そのように怒られてしまうのはつらいですね……。小学生になって、変化はありましたか?綾屋:小学校に入って過ごす校舎が変わっても、音がワンワンと反響して聞き取りづらいのは続きました。人との関わり方については、成長するにつれてだんだんわかるようになるだろうと予想していたので、ますますわからなくなったのにはちょっと驚きましたね。「もしかすると、いじめだったのかな?」と思うようなこともあったのですが、嫌なことをされたら反撃したりもしていたので、ある意味ではやり過ごせていました。集団のルールのようなものがあるらしいことや、自分がそのルールを理解していないので仲間はずれにされているようだ、ということは感じていましたが、わたし以外にもいろいろな人が順に仲間はずれの対象になるのが見えていたので、そんなに気にすることでもないのかなとも思っていましたね。――綾屋さんはその後、中学受験をして私立の女子校に進学されたんですよね。綾屋:はい、中高大一貫でエスカレーター式の私立女子校に入りました。いじめのようなものをさほど気にしていなかったとはいえ、「自分には友達ができないなぁ」ということを気にしてはいたんですよ。そんなときに、親が「勉強ができる子たちのところに行けば、お友達ができるかもしれないよ」と中学受験の話をしてきたので、そんなものかなあと信じて近くの私立を受験し、進学しました。「自分は一体どうなっているんだろう」という疑問――中学に入って、人との関係に変化はありましたか?綾屋:わからなさは、むしろ増しましたね。小学校の頃とは違い、やり返したら大変なことになりそうだと感じたので、攻撃されないようになるべく無難に動くようにしていましたが、孤立していました。今になって振り返れば、周囲の環境にも原因があったのだと考えることができますが、当時は「人とうまく関われないのは、自分のせいなんじゃないか」と自分を責める気持ちにもなりました。人間関係に向かう以前に、「自分は一体何者なんだろう」というような感覚があったんですよ。ものの見え方や聞こえ方、たくさんの人の中にいるとすぐに具合が悪くなってしまうこと。そういった他の人との「ズレ」に、一つひとつ気づいては驚いていました。自分の身体との付き合い方もわかりませんでしたし……。自分のことも、自分を取り巻く社会のことも混沌としていて意味付けができない。檻の中に閉じ込められているような窮屈で息苦しい感覚でしたね。それは30歳を超えて、仲間とつながるまで続きました。Upload By 姫野桂――学生時代からさまざまな症状があったようですが、「心療内科を受診してみよう」といった話は持ち上がらなかったのですよね?綾屋:親から言われたことはなかったですね。「心療内科」ができたのはわたしが成人してからですし、当時は「発達障害」という言葉もメジャーではありませんでした。そもそも父方の家系には強烈な特性をもつ人がたくさんいて、むしろわたしはマイルドなほうだったんですよ(笑)。だから、親も単に「神経質な子」ぐらいに捉えていて、病院に行くなんて考えつきませんでした。ただ、わたし個人としては、「この原因不明の心身の具合の悪さを抱えて、社会で働くことに耐えられるわけがない」と就職をあきらめていたので、大学を卒業する頃、覚悟を決めて精神科を受診しました。しかし「あなたは大丈夫ですよ」という言葉と、体に合わない大量の薬を処方され、「医者でもわたしの困難を見つけてくれないのだ」と思い、それ以上、医者に期待するのをやめました。ASDという「物語」を通じて、これまでの記憶が整理された――綾屋さんは大人になってから発達障害の診断を受けたとのことですが、そのきっかけを教えてください。綾屋:書店で見かけて手に取った本の中に「自分によく似た体験が載っている!」というものがあって、それがASD当事者の書いた本だったんです。それまでも心理学などの専門書は読んできましたが、そこには当事者の視点から見たことは書かれていませんでした。専門家が使っている言葉が具体的にどんな体験を指し示しているのかピンと来なくて、自分のことを書かれているという意識も持っていませんでした。「コミュニケーション障害と言ったって、別に親との日常会話は成立しているしなぁ」などと思っていたんですよ。でも、その本に書かれている具体的な経験には、自分と重なる部分が多かった。ASDの診断を取ることで人とつながれるようになるのなら、自分にも診断がほしいと思い、31歳のときに医療機関を受診しました。ASDと診断されたときは、特にうれしくはありませんでしたが、少しホッとしたような感じでした。――診断を受けたことで、何か変化はありましたか?綾屋:記憶に時間軸ができました。それまでは、わたしの記憶は瞬間ごとの写真を平面にぶちまけたように散らばっている状態だったんです。それが、自分の中にASDという「物語」を得たことによって、「ああ、幼稚園のときはこういう理由で大変だったんだ」という風に意味付けができるようになりました。ばらばらだった記憶が一直線に並び、今の自分にしゅーんとたどり着いていくような感覚でした。そのときに過去から現在へ続く「時間」というものがわたしの中にできたのだなと思っています。とはいえ、学生時代に同級生にされたことなど、まだ自分の中で疑問が残っていて意味付けができていないものは、今でも整理されておらず、時々バーンと写真のように頭に浮かぶことはあります。――一部ではあるものの、幼少期からの「わからなさ」が、少し解消されたのでしょうか。周囲には、診断について話されましたか?綾屋:親や当時の夫、つながりの残っていた高校・大学時代の同級生には言いました。親は「それで何が変わるの?」という感じで、ピンと来ていませんでしたね。夫はその後離れていきましたが、今から振り返れば、そもそもお互いにいろいろなことを共有できていなかったんだなと思います。親戚には親から話が伝わり、わたしの研究活動も知っているので、困りごとを抱えている子どもたちの相談を受けることはありました。いとことは「わたしたちの特性って、ただの家系だよね」「『ちょっと変わった子』ぐらいだったのに、社会的にマッチしてないことになっちゃったね」みたいな感じで話しますね。Upload By 姫野桂――現在も、感覚過敏の症状はあるのですよね。何か対策されていることはありますか?綾屋:人がいるところに行きたくても、無理だなと思ったら早めに引き返すとか、耳栓をするとか。具合が悪くなってきたら、とりあえずその場で15分ぐらい寝て、帰宅するだけの力を回復させる、などはしています。あともう一歩行きたいというときに、自分のキャパシティを踏まえて「いやいや」と撤退することが増えましたね。「実際はそんなにいいものじゃないよ」と言われても、ワイワイ楽しんでいるところを見ると惹かれるんですよ。先日も学生街の駅付近で盛り上がっている人たちを見かけて、面白そうにしているなあと近くに寄ってみたら、思ったよりもドロドロした感じであまり楽しくなさそうで。「遠くから見ると楽しそうでも、近くではこんな感じなのかあ」となんだかしょんぼりして帰ったり(笑)。わたしは「セクシャルよりソーシャルが好物です」と表現しているのですが、触れるだけで痛い感覚過敏の特性も影響しているのか、恋愛などのセクシャルな関係への欲望よりも人の輪に入っていくというソーシャルなことへの欲望が強いんです。今は、適度な社会的なつながりを仕事を通じて得られているので、それがすごく幸せですね。(後編に続く)「自分は一体何者なんだろう」と、ずっと違和感や疑問を抱いて生きてきたという綾屋さん。自分の経験に意味付けをし、記憶を整理することができたのは、同じASD当事者の物語との出会いがきっかけでした。インタビュー後編では、綾屋さんが取り組む「当事者研究」について、そして、研究を続ける中で出会った仲間たちとのつながりについてお話しいただきます。取材・文:姫野桂編集:鈴木悠平・佐藤はるか撮影:鈴木江実子
2020年10月28日2歳後半で、ようやく普通ではないわが子に気付くUpload By ぼさ子ほぺろうの癇癪のピークは2~3歳。不満・不安・空腹・眠気・場所見知りなど様々な原因を起爆剤に一日10回は泣き暴れ。しかも1回につき1時間くらい引きずるので、私はほぺろうが寝ているとき以外は休みなく癇癪に付き合わされるという毎日でした。2歳の前半までは無発語とはいえ、「チョット発達が遅れてるだけだよね…?」と障害の可能性を受け入れたくなかった私。それ故、ほぺろうが癇癪を起こしても『子どもは泣くもの』と思い込み、なんとか気にしないようにしていました。しかし周りを見渡せば、他の子は泣いてもなだめれば泣き止むし、ましてやほぺろうみたいに頻繁ではないし暴れたりもしないという現実。2歳後半から日増しに癇癪がひどくなるほぺろうに、「ああ…ウチの子は普通ではないんだな」とようやく事態を受け入れるのでした。対処法を実践するも…「神様…発語は無理でも癇癪だけは何とかしてください」と思わず祈ってしまうくらい激しいほぺろうの癇癪。どうにか改善したくてABA(応用行動分析)の本を手に取ったり、育児書を読みあさったりネットで検索したり…。共通して書かれているのは、『子どもの気持ちに寄り添うこと』。まったくその通りだと思い、まずはほぺろうを否定せず温かく寄り添うことに努める私。Upload By ぼさ子発達サポートの先生に相談すると「ほぺろう君の気持ちを代弁してあげるといいよ。モヤモヤした自分の感情を知ることができて心の整理がつくし、共感してあげることで安心感を与えることもできるのよ」というアドバイス。Upload By ぼさ子一般的に効果があるとされている方法でも、まったく成果が出せず、私は自分の無力さにホトホト嫌気がさしていました。さらには、泣き暴れに付き合わされて疲れ果てている上に、ほぺろうに投げ飛ばされたり髪の毛をむしられたりする毎日で、私のイライラもピークに。感情が抑えられず、私はついにやってしまいます。とうとう堪忍袋の緒が切れるUpload By ぼさ子『どんなことがあっても決して子どもに手をあげてはいけない』…わかっているはずなのに、ほぺろうが3歳の時のある日。私は感情の糸が切れてしまい、思わずほぺろうの頭を強く掴んでしまいました。Upload By ぼさ子決して許されることではないし、この時のことは深く反省しています。「やってしまった…ほぺろうゴメン!!」と後悔が押し寄せたのと同時に、「あ…これって、虐待になっちゃうのかな…」という自責で頭がいっぱいになりました。以来、ほぺろうの癇癪がどんなに激しくてもその時の後悔がフラッシュバックして、結果的にイライラが抑えられるようになり、ちょっとずつ冷静さを取り戻すことができるようになりました。イライラが抑えられた経緯は誰かの参考になるものではまったくありませんが、イライラが減って余裕が出てきたことで気付けたことがあります。ほぺろうにとって一番つらいことに気付いた「ほぺろうの癇癪は、いろいろなことに対応できないせいで起こっている」すべての原因は、そこにあると私は思い込んでいました。でも、ふと気付きました。「ほぺろうは、いつもイライラしている私を見て“お母さんはボクのことが嫌いなんだ”って不安になっているんじゃないか!?」…これこそ猛省です。「お母さんに嫌われている」なんて思われているとしたら胸が締めつけられます。私はその日の晩、一緒に布団に入ったときに「ほぺろう、大好きだよ!」と言葉できちんと伝えました。すると毎晩寝ぐずりがひどかったのに、安心したように眠りについたほぺろう。「ずっと不安な思いをさせてゴメン…」私は何度もほぺろうを抱き締めました。Upload By ぼさ子Upload By ぼさ子その日から、毎晩おやすみの時に「大好きだよ」「めんこい(北海道弁で可愛い)よ」と伝えるのが私の習慣に。この習慣のおかげか徐々にほぺろうの癇癪が減り、少なくとも寝ぐずりはしなくなりました。5歳になった今では、お母さんとイチャイチャしながら眠りにつくのが楽しいらしく、おやすみタイムがほぺろうにとっても私にとってもお気に入りになっています。時が経って思うこと子どもの癇癪に付き合うのは本当に大変なことです。でも、私の経験を振り返ってみると「本当の敵は、わが子の癇癪ではなく、自分のイライラだった」と思えるのです。最近、私はご近所の方に「親がリラックスしてると、不思議と子どももリラックスするのよ」という名言をいただたのですが、本当にその通りで、私がノホホンとしているときはほぺろうもあまり癇癪を起こしていない気がします。現在の私が昔の私にアドバイスするならば、「何をやってもうまくいかなかったとしても、それは『今』できないだけ。焦らなくて大丈夫。自分を責めないでね」。そして、「ちゃんと寝なさい。脳を休めないと精神ボロボロになるよ。眠る時間をつくるのが難しいなら、周りの人に『助けて』って言ってね」ということです。なので今の私のモットーは、「頑張らないを頑張る」なのです。Upload By ぼさ子※発達ナビに無料会員登録をしていただくと、他の【かんしゃく特集】記事もお楽しみいただけるようになります。
2020年10月28日ASD兄妹、感情の出し方はそれぞれうちのでこぼこ兄妹、タケルといっちゃんは6歳違い。2人とも似た傾向のASDです。しかし、元々の性格の違いや興味の方向性もあり、感情の表現の仕方は結構違うな~と思うことが多いです。特に違うのが、もやもやしたものが溜まって感情が爆発したときにどうなるか!Upload By 寺島ヒロUpload By 寺島ヒロこんなとき、「そんなにここに座りたかったの?」とか、「そんなに変わらないよ?わかんないかなー?」というように周りがとりなしても、「そこが良かったとかじゃないんだ!ぼくは正しいことをしていたのに、どうしてそれが覆ったかの説明がないんだ…!」と悔しく思い、さらに激しく泣くのでした。学校でもひとたび何かあると2時間ぐらい泣いてたみたいです。Upload By 寺島ヒロ中学生になるころには、長いこと泣くこともなくなり、納得のいかないことがあると口にして伝えることができるようになりました。もっとも、その長い話を聞いてくれる人はあまりいないので、概ね私が聞くことになるのですが…。一方、いっちゃんはといえば、赤ん坊の頃こそよく泣いていましたが、1歳を過ぎるころからほとんど泣かなくなりました。Upload By 寺島ヒロUpload By 寺島ヒロUpload By 寺島ヒロそんないっちゃんも、今までに1度だけ「もうダメ!」というそぶりを見せたことがありました。それは5歳の頃、おばあちゃん(私の母)の家に遊びに行って、おばあちゃんちのピアノで練習をすると言っていたのに、他の遊びに熱中してしまったことをとがめられ「毎日練習するって言ってたじゃない。ウソつく子は針千本飲ますよ!」と脅されたときのことです。大好きだったおばあちゃんに針を飲ますと言われたショックと、針千本の恐ろしさに狼狽したいっちゃん、よろよろと私の方へやってきて「ばあばが針飲ますって…針千本って多い?飲んだら死ぬ?死ぬのやだああ…!」と崩れ落ちました。大事件です!慌てて「それは子どもを懲らしめるときの常套句みたいなもので、本当は飲ませないよ。大丈夫だよ。」と言っても、暗い目をして固まったまま動きません。ぎゅーっと抱きしめると、身体中がカチコチになっているのがわかりました。Upload By 寺島ヒロUpload By 寺島ヒロあ、これはいかんやつや。と思ったので、「よし…おばあちゃんから逃げよう!」と言って、いっちゃんを車に乗せて逃げてしまいました。国道をひたすら北上し、50キロ程離れたファミレスへ。そして、「ここまで来ればもう追ってこないよ。」とご飯を食べさせました。(丁度夕食前にごたごたしたので食べてなかったのです)「ここまで来れば針を飲まされないよね…!」と、いっちゃんも落ち着きを取り戻し、ようやく目に光が戻ってきました。それからしばらくの間、おばあちゃんの家に行く時は電話で「針ない?本当にない?」と、確かめていましたので、よっぽどショックだったのでしょう。大事なのは状況の整理!何が起こっているのか一緒に考えること目に見えるところに出てくる表現の形は違うのですが、二人とも、自分の予想ができない何かが起こり、自分がどうしたらいいかがわからなくなると、教えてくれない周囲の人に怒りを感じ、不安と恐怖が湧いてくるようです。家の中であまり感情の爆発が起こらないのは、私が1聞かれたら10返す性格なので、十分な回答が得られているからかもしれません。Upload By 寺島ヒロASDのある子どもは(大人も)、他人が感情的になったり、合理的な行動をとらないことがあるということを知ってはいても、心のどこかで納得してはいないのです。だから、他人が悪意をもって、もしくはわざと騙したりからかうようなことをすると、ひどく混乱し、自分が認識している現実のどこまでが本当で、どこからが虚構かがわからなくなり不安と恐怖に襲われます。なかなか生活の中では難しいのですが、他人との間で思いがけないことが起こったとき、何が起こったのか、それがどういう意味を持つのかを、一緒に考えてあげることが大事なのかなあと思います。※発達ナビに無料会員登録をするとこのほかのかんしゃくコラムも読むことができます
2020年10月27日ゲームの話が楽しすぎて…Upload By 丸山さとこコウは時々嘘をついたり誤魔化したりすることがあるのですが、詰めが甘くバレることも多いです。というのも、コウがつく嘘は大抵が”その場しのぎ”のもので、計画性や「相手を信じ込ませるためのストーリー作り」というものがちっとも練られていない嘘ばかりなのです。(私が気付いていないだけで、バレていない嘘もたくさんあるのだろうなと思います。)ゲーム管理アプリを使っていることはコウも承知しているので、少し考えれば「やってないよ?」がバレることなど明らかなのですが、コウはそこまで考えることなく”今、都合の良い答え”をつるっと口から出しているようです。Upload By 丸山さとこそのため、”自分が知っていない筈のこと”や”相手に知られていない筈のこと”を調整することができず、「楽しくおしゃべりをしようとしていたら嘘の自白になっていた!」ということもしばしばです。”他者視点”や”他者の信念”を理解しつつ衝動性をコントロールしなくては上手な嘘はつけないのだと考えると、「バレないように嘘をつく」という行為は結構高度な行いなのだなぁと思ったりします。コウも、「嘘をつくと、ろくなことにならないな…」ということ自体はよく分かっています。わが家は宿題をしていなくても「今からやりなさい」と言われるだけですし、ゲームも宿題や片づけが終わっていればOKです。Upload By 丸山さとこ「嘘をつかないと酷く叱られたり、やりたいことをやれなかったりする」という状況でもない上に、「嘘をつくと後々損をする」のですが、それでも『誘惑には勝てない』と言います。「誘惑に勝てないのなら仕組みや人の力を借りた方が良いのでは?」と提案した結果、「お母さん(お父さん)、預かってください」と預かりをお願いするという形になりました。子どもの世界を知るきっかけに年齢が大きくなればなるほど親の声は届きにくくなりますし、トラブルの規模も大きくなりがちです。ゲームをすることで「目先の都合が良い安易な嘘をつくコウ」が今の内に露わになったのは、良いことだなと思います。Upload By 丸山さとことはいえ、今後親の側がどう対策しようが、コウの方が友人やネットなどから「すり抜ける方法」を学んでいくのだろうなと思います。長い間続くであろうイタチごっこに対し、親の側が早めに覚悟を決めておく時期なのかもしれません。そうして「親の世界」と「子どもの世界」がどんどん離れていくであろう思春期に入りかけの今、ゲームという話題を通じてフラットに話せる時間があるのは、ありがたいことなのかもしれないな…と思うこの頃です。自分が夢中なゲームや教室で流行っている動画などについてイキイキと話すコウを見ていると、「現役小学生の今」が少しだけ垣間見えるようで面白いなと感じます。Upload By 丸山さとこ『令和の現代っ子だな~』と感じる話しぶりの中に時々現れる「ん?今またそれが流行ってるの?」という古いワードに謎を感じながら、今日も子どもとゲーム談義に花を咲かせる一家です。
2020年10月26日3歳息子のかんしゃく、長いときには1日続くことも自閉症と中度知的障害のある3歳の息子は、眠いのに上手く寝付けない時や、寝起き、遊びが思い通りにいかなかったとき(うまく並べられない)突然起こる嫌なことを避けられなかったとき(聞きたくない音を聞いた)いつもと違う状況(旅行や行事)体調が悪かったり、怪我をしていたり、気圧や気候、温度や湿度が少し変わったとき…上記のような理由で癇癪を起こし、1〜2時間、長い時は3〜4時間、もっと長い時は一日中、怒って泣いていることがあります。息子は発語もなく、意思の疎通も全くできないので、その時々で「きっとあれが嫌だったんだろう」など理由を推測してみるものの、真相は一切わかりません。Upload By かさはらあやこだんだん余裕がなくなり、私までイライラすると...息子の癇癪が始まると、最初こそ理由を考える余裕があるものの、激しい泣き声と甲高い奇声が混じり、暴れてのたうちまわり、妹に対して攻撃的になったり…自らを噛んで傷付けたりすることもあります。耳の奥に響く声で、気が滅入るほど泣き続けるので、だんだんと耐えられなくなり、私までイライラしてきます。でも、イライラして感情的に叱ってしまうのは火に油を注ぐも同然。母親である私がイライラすると、癇癪はおさまるどころか、イライラのエネルギーは他の家族にも伝染していきます。兄と妹のダブル泣きが発動して生き地獄状態に陥ったり、私が夫に当たってしまい夫婦仲が悪くなったり、何もいいことがありません。癇癪にスマートに対応するには、母親であるわたしの精神状態がとても重要になってきます。イライラしないことが一番の解決策!Upload By かさはらあやこかんしゃくが起きたら...「スルーすること」も対応の1つ!?とりあえず、イライラする前の段階で、体調が悪くないか、熱や怪我の有無などを確認します。これといった原因が無いのであれば、療育の先生が教えてくれた〝なにか違う刺激を与える〟ことを試します。水を飲ませてみたり氷のカケラを口に入れてみたりタオルでくるんでみたりだきしめてみたりトントンしてみたり…←拒絶されるできることをやった後、それでも泣き止まない場合は、布団やクッションなどを床に配置し安全を確保して、スルーします。スルー力、大事。Upload By かさはらあやこUpload By かさはらあやこアイテムだってフル活用!療育の先生に聞いたポイントは奇声や泣き声があまりにも激しく妹が眠れない時や、週の後半で私も疲れが溜まっていて、スルーにも耐えられないと感じたら、イライラが爆発する前に、息子の気持ちを落ち着けるアイテムに頼るようにしています。我が家の場合、現在は視覚が一番効果的なので好きな映像を観せたり、または歌を聴かせたりして落ち着かせます。あまり観せるのはよくないって専門家が言っている?そんなことを気にしていたら、こちらがやられてしまいます。長引かせてお互いに疲弊するほうが良くない!療育の先生曰く、ここで大事なのは、子どもにコントロールされないことなのだそうです。以前は決まった時間に映像を観せることをルーティン化したり、アイテムに頼りすぎていたりしたために、それが原因で癇癪になってしまうことがたびたびありました。今は映像を観て気持ちの切り替えができたら、さりげなくOFFにするようにしています。また、「癇癪を起こせば好きな映像を観せてもらえる」とインプットしてしまわぬよう、癇癪が起こった時だけ観せるのではなく、ごはんをたくさん食べられた日や幼稚園を頑張ったあとなど、楽しい気分の時も観せる時間をとるようにしています。Upload By かさはらあやここのコラムを執筆するにあたり、過去の癇癪を振り返り、写真や動画で確認したところ、2〜3歳までの癇癪がそれはもう凄まじく、毎日のように癇癪と夜驚が起こっていました。今、大変なお母さんたち!決して一人で頑張らないでください。つらかったら、周囲に相談し、愚痴ってください。そしてアイテムを上手く使い、子どもにコントロールされることなく、このつらい癇癪を乗り越えましょう!!
2020年10月26日偶然会った初対面のマジョリティー隊員に対し、レッドがとった行動は...レンジャーピンクがマジョリティー隊に衣装をプレゼントするが、マジョリティー隊の隊長は返却を命じる。マジョリティー隊がレンジャーに近づいたのは、相互理解を深めるためだったことも明らかになって...Upload By 荒木まち子衣装の返却をするはずが!?レンジャーの個性に圧倒されてUpload By 荒木まち子おまけUpload By 荒木まち子執筆後記律儀なマジョリティーズは再度送られてきた衣装を着て記念撮影をしました^^別バーションのコスチュームをダイアリーにupしています☆(荒木まち子)発達ナビダイアリー
2020年10月25日大阪府児童発達支援事業所Upload By 発達ナビ施設情報児童発達支援事業所メモリーでは、未就学のお子さまを対象に、就学前準備を軸として個別・集団療育を行っています。2~4歳は個々に応じて学習療育を行いながら、体を動かしたり、食育・トイレトレーニング等日常生活まで支援。5歳からは、安心して入学できるよう就学準備に向けて療育を行います。専門性の高いスタッフも在籍しているので、療育後には保護者様の悩みを聞いたり、フィードバックや成長の共有等を行うことで、一緒に成長を見守る環境を整えます。大阪府の児童発達支援事業所をもっと見る東京都その他発達支援施設Upload By 発達ナビ施設情報LITALICOジュニア幼児教室・学習塾東銀座教室では、言葉の遅れやコミュニケーション、集団行動などの困りごとを中心に、一人ひとりに合わせた学習計画を作成しています。発語、親子やお友だちとのコミュニケーションスキル、身辺自立をはじめとする基本的な生活スキル・社会性を身につけながら、言葉や数の概念、手先や体の動かし方、読み・書きなどのプログラムを通じて学習を深めます。入塾期から、2か月ごとの面談を丁寧に行い、保育園・幼稚園での具体的な生活場面での様子をヒアリングしながら、お子さまの日常生活での成長をサポートします。小学校に向けての就学移行期にも、訪問や引継ぎなどを通して、お子さまが楽しく過ごせるようにサポートしています。東京都のその他発達支援施設をもっとみるUpload By 発達ナビ施設情報LITALICOジュニア幼児教室・学習塾月島教室は、発達障害や学習障害など発達の遅れが気になるお子さまを対象に、自立に必要なコミュニケーションスキル・生活スキル、学習の支援をおこなう教室です。お子さま一人ひとりのニーズに応え、得意をいかし楽しく学べる環境を提供しています。また、お子さま自身のスキルアップだけでなく、園や学校、ご自宅などの生活環境での様子にも目を配り、必要に応じて日常場面でのアプローチを保護者と一緒に検討しながら、お子さまが自分らしく生きる力を育んでいきます。お子さまの発達や子育てのお悩みなども、気軽に相談できます。東京都のその他発達支援施設をもっとみるUpload By 発達ナビ施設情報LITALICOジュニア幼児教室・学習塾高田馬場教室では、0歳~18歳のお子さまを対象として、学習支援、ソーシャルスキル支援を行っています。指導内容はお子さまのねがいや困りを中心に、オーダーメイドで目標設定し、計画を立て、個々のお子さまの成長を最適にサポートしています。教材や指導員の研修は発達障害児支援の専門家である教授や医師が監修。お子さま、ご家族1人1人に寄り添い、お子さまのできた!やお悩みを一緒に共有していける教室をつくっています。園・学校、家庭での様子を、適宜面談等でヒアリングしながら、それぞれの場面で、お子さまの「できた」を拡げられるよう、保護者と密に連携しています。不安な点や悩みは気軽に教室スタッフに相談することができます。東京都のその他発達支援施設をもっとみる「もっと施設の情報を詳しく知りたい!」「見学をしてみたい!」と思ったら、WEBからもお問い合わせが可能です。施設情報ページでは、掲載されている施設の情報を地域ごとに検索して見ることができますよ。
2020年10月24日小学校入学前の癇癪を振り返ってミミは生後7か月で保育園に入りました。この頃からいつもと違う状況が苦手で、ハロウィンや発表会などのイベントの写真は泣いているものばかり。1歳3か月に自宅近くの保育園に入園できたのですが、発表会はやっぱり涙。不安や怖い気持ちを泣いて表現していたのかなと思います。寝起きは(昼寝後も)、涙のことが多く...。しばらくなだめて、やっと食事。と思ったら、食事中に食べようとした物がお皿に落ちただけで、また涙涙でグズグズ…。おばあちゃんにも気分次第で「あっち行って!!」「来ないで!!」。何かを失敗した時や見られたくない時に、泣きながら訴える。鼻水を拭こうとすると、キンキン声で嫌がる。ミミがテレビを見ている時に洗い物をすると、水の音が気になって「あーーーー!!」とキンキン声。「びっくりしちゃうから、テレビの音を大きくして、って言おうね」と伝える。毎日のように、涙とキンキン声が繰り返されました。Upload By taekoエレベーターに乗り、他の人が乗ってくると「乗っちゃダメ!!」。私は「みんなで乗るんだよ」となだめる。おもちゃ屋さんのキッズコーナーでミミが遊んでいた物を他の子が触ると、「ああー!!」とキンキン声。「触られるのが嫌だったの?お友達は使いたいみたいだから、待っててねって言おうか」と声をかけて、ミミをなだめる。内心、困惑することが多かったです。Upload By taeko1歳6か月から通い始めたリトミック。しばらくは楽しく参加していたけど、3歳頃になると、好きな色のフープを巡って取り合いに。ミミは、キンキン声を出して譲りません。他の子はどうしたの?といった表情。こんなに激しく嫌がるミミを見たことがなく、私も焦ってしまいました。その時は、相手の女の子が譲ってくれました。その後、フープを取り合った女の子を指差して「あの子とは遊ばない」と言ったり、リトミックへ行くことを嫌がったりすることが増えていきました。行っても、終始泣いていることもありました。ちょうどこの頃、保育園から療育を勧められ、読み始めた療育の本に「嫌がることは、無理にさせない」と書いてあったので、ミミの気持ちを確認してからリトミックへ通うのをやめました。ミミなりの、嫌な理由があったのだと思います。Upload By taekoミミは大切にしているおもちゃを、見えない後ろの方向に投げることがよくありました。投げた後、「なくなっちゃった」と言って涙。何度言っても繰り返すので、パパから厳しく叱られて涙涙。「大事にしないなら捨てるよ」と言うとうなずくので何度か確認して捨てるフリ(隠しておいて、時間を置いてから返す)。どうしてお気に入りのおもちゃを投げたり、いらないと言うのかが不思議過ぎて夫婦で???でした。Upload By taekoもっと話を聞いて待ってあげればよかった当時は、ミミの癇癪にどう対応したらよいか分からず、つい「ダメ!!」と怒鳴っていました。ミミの行動の理由が分からず「何でこんなことをするんだろう」「恥ずかしい」と思うこともありました。ミミがASDであることがわかり、発達障害や療育のことを知り、どんどんマイナス思考になってしまいました。ある日ふと、ミミが好きな魚の絵をTシャツに描いたら喜ぶかなと思い描き始めると、久しぶりに絵具を使うことの楽しさを思い出し、ストレスを解消することもできました。これが私の気持ちを切り替えるきっかけになったのかもしれません。療育の本を読んで、私の対応が間違っていると分かっても、なかなか実践できなかった日々。発達障害を受け入れるまでは、2年かかりました。あの頃、もっとミミの話を聞いて、待ってあげられたらよかったのになと今は思います。小学1年生の今は、ほとんど癇癪はなくなりました。療育に2年通ったことと、あたたかく寄り添ってくれた保育園の先生やクラスメイトのおかげです。Upload By taeko※発達ナビに無料会員登録をしていただくと、他の【かんしゃく特集】記事もお楽しみいただけるようになります。
2020年10月22日娘の癇癪、今でも記憶に残っていて...言葉が出るのが遅かった娘は、2語文が出たのは3歳前…。それでも会話はほとんど成立せず、会話でのコミュニケーションが取れるようになったのは4歳ぐらいでした。2歳半の頃は、まだ単語も2、3語しか出ず、コミュニケーションもほとんど取れない状態でした。娘の癇癪がもっとも酷かったのは、2歳半~4歳のときでした。その中でも、記憶に強く残っているお話をしたいと思います。2歳、言葉がほとんど出なかった時の癇癪。娘が2歳のときのことです。私たちはお昼ご飯を食べようと、うどん屋さんに行きました。お昼時だったこともあって、お店はとても混んでいて、行列が外まで続いている状態でした。長く待つことになると思った私たちは、うどん屋さんに入ることは諦めて、近くにある定食屋さんに移動することにしました。Upload By SAKURAその時、突然娘が大きな声で泣きわめき、暴れだしたのです。私たちは娘がいきなり泣き出した理由がわからず、どこか痛いのかと心配になりました。下におろすと、娘はうどん屋さんに向かって走りだしました。Upload By SAKURA違うお店でご飯を食べることを説明しても娘には伝わらず、うどん屋さんのドアに手をかけて、放そうとしません。結局無理やり抱きかかえて、定食屋さんの方へ歩いていくことにしました。定食屋さんに着くと、娘は急に大人しくなり、黙って店の中に入っていきました。癇癪の原因は…Upload By SAKURA私たちはそこで初めて、娘は「せっかく来たお店から離れたために、ご飯が食べられないと思って泣いていた」のだと気がつきました。Upload By SAKURA私たちは当時、発達障害の子が突然の予定変更を苦手とすることや、そのことでパニックを起こすことも知りませんでした。当時の娘は、言葉でコミュニケーションをとることができなかったので、どうしたのか話してくれず、突然癇癪を起こしたことで夫婦そろってただただ動揺し、困り果てたのを覚えています。Upload By SAKURA一度、娘が認識した予定は変えない。私たちは突然の予定変更が娘にとって苦痛であると身をもって体験しました。それから、外出に関しては気をつけるようになりました。Upload By SAKURAそのうちに、一度決めた予定を変更すると癇癪を起こす娘も、行く先がわからない状態での外出には動じないことがわかりました。そのことがわかってからは、行く先のことを事前に悟られないように気をつけ、一度娘が知ってしまった予定は変更しないように心がけるようになりました。原因を探って、回避!言葉が通じない…会話でコミュニケーションが取れない…表情もほとんどかわらない…そんな時期の娘の癇癪は、とにかく対処法がほとんどありませんでした。私たちにできたのは、パニックが起きる状況を覚え、そして予測し、回避することでした。娘が何を見ているか、どこへ行くつもりになっているかなどを神経質すぎるぐらいに見極めることが、当時の私たちには必要とされていたのでした(笑)Upload By SAKURAここから少しずつ表情がわかりやすくなったり、言葉が増えたりしていきますが、癇癪とは引き続き付き合っていくことになります。続く…。
2020年10月21日子育ても四半世紀、学校や世の中で変化したことは?Upload By ひらたともみUpload By ひらたともみUpload By ひらたともみ「発達障害」という言葉は、四半世紀子育てをしている私にとって「まだ新しいもの」という感覚があります。第一子の長男が小学校に入学したころは、「座れない・人の話が聞けない」と、授業を妨害している児童とみなされ、厄介者というようなレッテルを貼られる場面が多くありました。そのため、幼稚園や家庭でどんなしつけをしてきたのかを問われ、親が呼び出されることも珍しくなかったと思います。Upload By ひらたともみUpload By ひらたともみUpload By ひらたともみUpload By ひらたともみUpload By ひらたともみ発達障害という言葉は知られるようになったけれど…あれから学校でも、社会全体でも「発達障害」という言葉が知られるようになりました。ですが、発達障害の当事者や家族は楽になったか…というと、本当にそうだろうか?まだまだ理解も配慮も足りていないのではないだろうか…と考えてしまいます。それはこの先も、社会とともに、試行錯誤することになるのでしょうね。
2020年10月21日コロナ禍で身のまわりにも少しずつ"オンライン化"の流れが以前コラムでコロナ禍でのインターネットの有効活用について書きましたが、さまざまな団体、自治体、学校などでのインターネットを活用した取り組みは着実に広まってきていると感じます。実際、わが子が通う学校で今年度からウェブベルマークが採用され、また文化発表会の様子の動画配信なども決まりました。日中時間が取れない保護者には嬉しい限りです。好みの講演をチョイス☆多くの親御さんがそうであるように私も障害のある子の親として、わが子の障害についてもっと理解したい、役に立つ情報を手に入れたいとずっと思っていました。でも、下の子が小さかったり場所が遠かったり時間が取れなかったりして、専門家による講演を聴きに行く機会はどうしても限られてしまっていました。それが、コロナ禍でさまざまな催しがオンライン化される中で、講演会もオンラインで開催されるものが出てきているのです。もちろんその中には、発達障害に関するテーマのものもありました。7月頃、私はいくつかのウェブ講演会の申し込みをしました。ウェブ講演会にはさまざまな種類があります。・有料or無料・リアルタイム配信or録画配信・参加に顔出しが必要なものetc...私は「無料」で「こちらの顔出しが不要」の講演会をチョイスしました。初めて“面白い”と思った講演会初めて参加したウェブ講演会はH医師の講演でした。勉強になったり、感動したり、元気をもらったりした講演会は過去にいくつもありましたが、「面白い!」と感じたのはこの講演が初めてでした。娘にも聞かせたい内容だったので、私はそばにいた娘も呼んで一緒に視聴することにしました。Upload By 荒木まち子※私達親子は「ソーシャルスキル」とは「本人が身に付けておくべき生活スキルや社会性」だと思っていました。Upload By 荒木まち子※H医師は、個性的な人たちや発達に偏りや遅れのある人たちとその家族や支援者の仲間づくり、活動拠点づくり、ネットワークづくりを支援する団体の代表理事もされています。18才以降、放課後デイサービスが使えなくなった障害者児・者の居場所が不足している現状のなか、私達親子もその必要性を切実に感じています。専門家のお話を自宅で娘と一緒に聞いて、その内容について感想を言い合う。発達障害のこと、これまでのことから現在、そして今後の生活のことまで、改めて一緒に考えられる機会にもなり、親子でとても有意義な時間を過ごせた気がします。私が聴いた講演会は、その後YouTubeにも動画が上がっていました。繰り返し視聴できるのもとてもありがたいなと思います。令和2年度発達障害者支援事業「ぽぽむ」講演会「改めて『発達障がい』とは何か考える」あらためて先生の著書を読むことに視聴後、私は早速H医師の著書を読みました。Upload By 荒木まち子H医師のことは今から10年ほど前、娘が中学生のころから知っていて、何冊か著書を読んだことがありました。でも当時、私はいじめや進路など目の間の娘の困りごとの対応に必死で、正直、本に書いてあることはそれほど心に刺さりませんでした。H医師のお話はもしかしたらお子さんがまだ小さい保護者の方にはきついと感じることがあるかもしれません。しかしながら、娘の二次障害や休職を経験した今、私はH医師の言っていることに「全くその通り!!」と強く共感しています。その後も私は、H医師のウェブ講演会は自治体や親の会、NHKが主催したものなどを、何回か視聴しました。他にも興味のある講演会がたくさん9月後半にはY医師のリモート講演会も視聴しました。こちらは医療との付き合い方をテーマにした内容で、娘には見せないほうが良さそうな内容だったので私一人で見ました。H医師の講演と同様に、自分が今まで娘にしてきたことはここが間違っていたのかも!と気付くお話少なからずありました。今後の娘に対する対応に活かせる支援方法や内容や投薬についてのお話もあり、とても有意義な内容でした。10月以降は『親なきあと』のセミナーや『きょうだい児』のウェブ会議も視聴する予定です。オンラインセミナーの注意点は?セミナーの種類によっては生配信のものもあるので、視聴時にネットの接続が悪くなると見ることができなくなってしまいます。また、資料はスマホの画像などでは見づらいことがあるかもしれないので、事前にプリントアウトしておくことをおすすめします。期間が過ぎてしまうと資料のダウンロードができなくなる場合があるので要注意です。(私は一度これで失敗しています。)数時間、誰にも邪魔されず動画を視聴することが難しかったり、聞き取れなかった箇所をもう一度見直したいという時には、開催日以降に配信される録画動画が便利です。(そういった配信がない講演会の場合は頑張ってメモを取るしかありません。)メリットいっぱい!会場に出向いてリアルで講演を聴いた方が、講師の方のお人柄もよくわかり、何倍も楽しいはずです。講師の方もリモートだと視聴者の反応が解りづらかったり、また、全国配信ともなるとオブラートに包んだ言葉遣いになるかと思います。コロナが終息した折には、リアル講演会に足を運んでみようと思っています。それでも、遠慮することなく質問やチャットができたり(私は講演会などでは恥ずかしくて絶対手を上げないタイプ)、移動にかかる費用や時間の負担がなく日本全国の講演を視聴できたりするのは、やはり大きな魅力です。他にも、人が大勢いる場に長時間いることが苦手な方や、大きな音が苦手、会場の明るさや暗さが苦手な方も、自宅からであれば聴講しやすいかもしれません。オンラインの活用にはまだまだ可能性があると思います。新型コロナウイルスによる新しい生活様式に合わせて進化した『情報収集』や『学習』のスタイルに、私も積極的に取り組んでいこうと思っています。
2020年10月20日ドッジボールを断ってケンカに。帰宅後に始まるグチ大会...Upload By かなしろにゃんこ。発達障害がある息子リュウ太は、小学校で周りの子たちとうまく交流ができませんでした。休み時間にドッジボールに誘われても断ってしまいます。断ると、「人数が足りないのに協力してくれない」と周囲の子から言われてケンカになったりして、余計にみんなと遊びたくなくなるそうで...午前中のケンカのイライラが帰宅後も尾を引いてしまい、「アイツあんなこと言いやがって!そっちが悪いクセに!ブツブツ...」と30分から長いときは2時間続くグチ大会でした。この子のグチ、長すぎ!短くするにはどうしたら?Upload By かなしろにゃんこ。3年生から6年生までは、ほぼ毎日学校であったイヤな気持ちを家に持ち帰っていました。私はそんなリュウ太のグチを、仕事や家事に手を動かしながら聞いていたのですが、ある日、この子のグチは長すぎるな~?どうやったら短くなるんだろう?と考えました。思い出したのは、お兄ちゃんが悩んでいたときのことそこで昔あったあるできごとを思い出しました。夫の連れ子のお兄ちゃん(リュウ太の異母兄弟・5歳年上)が5年生のとき、お稽古事がやりたくなくて悩んでいたときのことです。お兄ちゃんと一緒に喫茶店に行ってじっくり話を聞いたことがあるのですが、私はそのときにお兄ちゃんの悩み事を聞きながらメモを取っていきました。Upload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。子どもは悩んでいることを自分でうまく説明できませんから「うん、うん、それでどうしてそう感じたの?」「それはどういうときにイヤなの?」と質問し、メモに書いて整理しながら話を聞いたところ、お兄ちゃんは話しながら泣きはじめたのです。でも泣いて話をしたらスッキリしたみたいで、その後は明るく元気になりました。たまっていた心の泥が流れ出た感じでしょうか。私も1時間じっくり聞いたことで、子どもの苦手なことや特性も見えてきたんです。そのときのことを思い出して「そうだ!リュウ太にも同じことをやってみよう!」と思いました。メモを片手にインタビュー!見えてきたリュウ太の気持ちは...Upload By かなしろにゃんこ。メモを取りながらリュウ太だけを見て「うん、うん、それでどうなったの?」と話を聞きました。時系列で話すことや人間関係などを説明することができないので、私がインタビュアーになりきり、質問をしていきます。リュウ太も私がメモを取って聞くことで、普段のグチから少しだけまともに説明するようになりました。きっと真剣に聞いている私の姿を見ながら話すことで、聞いてもらうことって気持ちがいい!と目覚めたのかもしれません。そして、いつものグチでは分からなかった、周りの子とケンカしてしまう理由やリュウ太の特性も見えてきました。Upload By かなしろにゃんこ。ドッジボールをやりたくない理由は、①輪の中心にいる子たちが自分たちに有利になるようにルールを変更してしまうからつまらない。②新しいルールがすぐに理解できないし、人が勝手に決めたルールに従うことがイヤだ。③ボールを狙った場所に投げることができなくてバカにされてイヤだ。④逃げることも苦手だからみんなから攻撃の的にされることがイヤだ。➄教室で絵を描いていたいときに誘われるから断っている。⑥断ると文句を言われるから仲良くしたくない。などと、いくつかあることがわかりました。学校であったことは詳しく聞いてみないとわからないものだなと思いました。普段のグチだと「アイツムカつく」などと文句しか言わないので、原因が見えてこなくてわけが分からなかったのです。私はリュウ太に、校庭で元気にみんなとドッジボールしてほしいと思っていましたが、それはリュウ太にとってハッピーなことではないと分かりました。Upload By かなしろにゃんこ。フェアな遊び方ができていない場所にムリに入っていかなくてもいいと思ったのです。それに休み時間の過ごし方は自由なんだから、絵を描いて過ごしたいならそれでもいいですよね。私はリュウ太に、断ることもあっていいことを伝えて、ケンカにならない断り方も説明しました。それでもしばらくはケンカになっていたようですが…やれやれ。それからはグチが長くなる案件については、片手にメモで『お母さん記者』になりきって、悩みを聞くことにしました。子どもの話をだまってじっくり聞いてあげることって、心のケアになるのかもしれないと思いました。胸にたまったものを吐き出したら少しは生きやすくなるかな?とも思います。
2020年10月20日子どものかんしゃく・パニックが続くと、親だって泣きたい気持ちに...Upload By 楽々かあさんこんにちは。「発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた楽々かあさんの伝わる! 声かけ変換」著者・楽々かあさんこと、大場美鈴です。今回は、親も「一体どうしたらいいの!?」と、お手上げになりがちな、子どものかんしゃく・パニックへの対応です。子どもがひっくり返って大暴れしたり、どんなにあやしても泣き叫び続けたり、とにかく「ヤダ!」とテコでも動かなかったり、もう全てがワヤクチャのグダグダで手がつけられなかったり……。こんな子育ての修羅場では、親だって泣きたい気持ちにもなりますよね(私も過去の惨劇を思い出すと、なんだか胃が痛くなって参りました)。まずは、自分も子どもも責めずに、「子どものかんしゃく・パニックは、天災と同じ」だと、一旦受け止めるといいでしょう。つまり、「起こってから」では、大自然の猛威の前に1人の人間ができることは限られるのです。基本は、ただひたすらに、嵐が過ぎ去るのをじっと待つのみ。できれば、子どもの暴風雨のような感情に親自身が巻き込まれないように「落ち着いて、冷静な行動を」できればベストだとは思いますが、そこに貴重なエネルギーを使い果たすよりも、もっと効率がいい方法があります。それは「防災」!……そう、子どものかんしゃく・パニックは、予防こそが肝心なのです。「子どものかんしゃく・パニック対応は、予防が9割!」だと、私は思っています。その具体的な予防法について、自ら泥に塗れ、大衆の面前で赤っ恥をかき、途方に暮れつつ我が子を担ぎ上げ、暴れ馬に蹴られながらヨレヨレになって家に辿り着いた過去の数々の経験を基にお伝えします。(拙著「120の子育て法」ではかんしゃく・パニックの見分け方や対応法をより詳しく紹介していますので、よければご参照下さい)参考書籍『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法』大場美鈴・著(ポプラ社/2017刊)Upload By 楽々かあさんまずは「ハザードマップ」のように、かんしゃく・パニックが起こりやすい状況を心得ておくと、きっと役に立つでしょう。ズバリ、子どものかんしゃく・パニックにつながりやすい、3大危険地帯は…・理屈じゃないこと・予測のつかないこと・ガマンのしすぎこれらの、子どもが不安感や不満感を強く感じることが引き金となり、「気持ちを分かって!」「今すぐ助けて!」と、感情が爆発して火のように泣き叫んだり、キャパ・オーバーで固まってフリーズしたりするのだと思います(私の経験上!)。理由さえ分かれば、親も落ち着いて子どもの気持ちに共感することもできますし、そこから助けやすくもなります。そして、かんしゃく・パニックに陥りがちなパターンを掴むと、予防策もずっと立てやすくなります。子どものかんしゃく・パニックは「予防」が9割!出典 : 親と子双方にとって負担が大きい子どものかんしゃく・パニックは、なるべく事前に回避し、ひんぱんに起こらないようにするのが大事だと思います。地震やゲリラ豪雨と同じように、親は子どもに降りかかる全てのリスクを予測できるわけではありませんが、できる範囲で「防災」し、1回でも2回でもかんしゃく・パニックに陥る回数を減らし、たとえ回避できずとも、できるだけダメージを減らせれば、そこから「復旧」しやすくもなります(つまり、早めに泣きやめるかも!)。そして、頻度が減れば減るほど、親もより余裕をもって対応しやすく、家庭内での2次災害も回避できますから……。では、それぞれの危険地帯別に、かんしゃく・パニックの具体的なコツと予防法を、うちの実例を交えてご紹介します。出典 : 子どもにとって「理屈じゃないこと」は、生理現象と感覚の過敏さが、元を辿れば「震源地」であることが多いように思います。「お腹すいた」「疲れた」「眠い」…あるいは、トイレや体調不良で「お腹痛い」などの不快な生理現象は「理屈じゃない」ので、親がどんなに言い聞かせようと、どうにもなりません。そこで、例えばうちの場合、試行錯誤の末、幼い子ども3人連れで穏便にスーパーのお菓子売り場を通過するためには、「開店直後〜午前10時台までか、お昼寝とおやつを済ませた後〜帰宅ラッシュ前の午後4時台までに、30分以内で手短に任務を遂行するのがベスト」という結論に至りました(それが難しい場合は宅配を活用するか、パパが子守りしている間に1人でゆっくり行く!)。また、小さな子や体質的に感覚が敏感な子は、音・ニオイ・光・色・形・味・食感・触感など、要る情報・要らない情報を上手に分別できずに鮮明なまま受け取るので、大人が気にも留めないようなことが、どうしても、ど〜〜しても、気になってしまいます。これ自体は「感受性の豊かさ」の現れでもあるので、決して悪いことではありません。でも、過剰な情報が引き金となって、「怖い」「気持ち悪い」などの強くネガティブな感情が呼び起こされると、その場で座り込むことも……。でも、感覚的な不安感や嫌悪感も「理屈じゃない」ので、説得のしようがありません(大人だって「生理的に無理!」ってこともあるでしょう)。ですので、もし急に子どもがテコでも動かなくなったら、「何か、感覚的にすごく苦手なモノがあるのかな?」と、周りをよく観察するとヒントが見えてきます。そして、次からは、予めそれを回避するか自衛の工夫をすれば、無事に済むこと、多少マシになることも多いのです。例えば、うちの次男は小さな頃、聴覚過敏がありました。当時、彼は大好きな歴代ライダー大集合の特撮映画のために、人生初の映画館に果敢に挑戦しましたが、迫力満点の音響に顔面蒼白でフリーズし、敢えなく母と無念の途中退場。どんなに大好きなことでも、無理なものは無理だったのです(この時の落ち込みようと言ったら……)。その数年後。次男は、今度は戦闘シーン満載のロボット・バトルの映画で再チャレンジ。丸腰で挑んだ前回の反省を活かし、「おれ、イヤーマフ持ってく」と自ら戦闘準備。派手な爆発音が続くところだけ装備し、ドヤ顔で無事ミッション完了致しました。「理屈じゃないこと」は、回避や自衛の工夫で、本人の負担感や失敗体験を減らすことができるでしょう。出典 : 子どもは人生経験自体が少なく、ましてや、先のことの見通しや、いつもと違うこと、臨機応変な対応が苦手な子は尚更、目の前で「予測のつかないこと」に遭遇すると頭の中が真っ白になり、言葉でそれを大人に上手に伝えられずに、ただ「泣き叫ぶ」しかできないこともあります。そこにあるハズのものがなかったり、ないハズのものがあったり、できるハズのことができなかったり、人生で初めて未知の物体Xに遭遇したり……「こんなの、知らないよ!聞いてないよ!!」って、大混乱なのです。子どもに降りかかる全ての災難を予測できずとも、台風の進路予想図のように、事前にある程度の「心の準備」が可能な場合も結構あります。その際、「こういう可能性もあるけど、それでもいい?」「もし、〇〇できなかった時には、どうしようか?」「もし、〇〇の時には、こうすればOK」等の声かけで、例外の可能性に触れつつ、安心させてあげるといいでしょう。例えばうちでは、大人気のキャラグッズ入手のため、コンビニのハシゴに繰り出す前に、「もし、3軒とも〇〇メダルが売り切れてたら、代わりにアイスクリーム買って帰るけど、それでもいい?」「もし、〇〇ジャーの食玩ミニプラがお店になかったら、どうしようか?」などと、事前に確認や提案・相談をしつつ、本人が納得できてから出陣すると、「なかった」時のダメージをかなり減らせ、「最終奥義!ひっくり返り」の発動も未然に防ぐことができました。その際に、図や絵を併用して説明したり、メモなどを持たせたりすることで、納得し安心できるお子さんもいるでしょう。Upload By 楽々かあさん特に、うちでは初めての学校行事は、パニック多発地帯でした。そこで、数々の失敗経験を活かし、例えば、運動会では、上のような出発から帰宅までの全体の流れ、トイレチャンス、お昼の待ち合わせなどを書き込んだ「うちの子専用プログラム表」をつくって、当日体操服のポケットに入れました。すると、子ども達はお守りのように何度も見返し、最後まで比較的落ち着いて参加することができました。(学校配布のプログラムにメモを書き込むだけでもOK)。また、高学年の修学旅行などの前には、一緒に現地の宿泊施設のHPを見たり、参考写真や動画を見せたりで、事前に「イメージをつける」と、かなり不安感を減らすことができたようです。そして、特にこだわりの強かった長男には、「予測のつかないこと」とその対処法を思いつく限り書き出した「ハプニング・リスト」を一緒につくったことも。彼は、「それでも、人生には想像できないほど、予測不能なことは沢山ある」と、気づいてくれました。「予測のつかないこと」は、事前に説明したり、イメージをつくって心の準備をすると、安心して取り組みやすくなるでしょう。出典 : そして、うちでは「理屈じゃないこと」「予測のつかないこと」以外のほとんどは、「ガマンのしすぎ」が、かんしゃく・パニックの原因でした。親にすれば、手がつけられないほど泣き叫び、ひっくり返って暴れる我が子を目の当たりにすると、「ワガママ放題」のように思えることもあるでしょう(私もそうでした)。でも、そんな時実は「逆」で、それまでその子は誰かのために、めちゃくちゃガマンしてくれてたのかもしれません。河川の氾濫と同じで、少しずつ「小さなガマン」をずーっと溜め込んできて、なにかのキッカケで「決壊」しただけなのです。だから、根負けしてその時欲しがっているお菓子やおもちゃを買ってあげても、それは「本命」ではないので根本的には解決せず、次も同じパターンになりがちです。例えば長男の場合、弟・妹が次々と生まれ、十分に甘えさせてあげられないことが続いた時期に、よく近所の100円ショップで背中で床掃除されたものです。こんな時は、欲しいものを買ってあげるより、家で5分でもいいから、私の膝の上に乗せてあげたほうが、ずっと落ち着きやすくなりました。そして、それに気づいてからは、「子どもの不満・不安の水位が上がってきたな」と感じたら、親子の何気ないスキンシップを増やしたり、ほめほめ強化週間にしたり、子どもの話をなるべく否定せずに最後まで聴いたり……など、日頃の関わりを意識して増量すると「決壊」せずに済むことも多かったです。また、今の環境の中で、知らず知らずのうちに、その子に大きな負担がかかっていることもあります。例えば、前述の次男のように聴覚過敏の傾向がある子は、学校で「教室が騒がしい」などの状態が続いた場合、最初はガマンできていても次第につらくなることも。すると、いつもなら軽々と乗り越えられるハズの、ちょっとしたハードルがどうしても超えられないこともあるでしょう。ですから、もしお子さんに、登校直前に突然「行きたくない」と泣かれたり、いつもならできることを急に「ムリ」だと頑なに拒否されたりしたら、「ひょっとして、なにかすごーくガマンしていることがあるのかな?」と、一旦受け止めるといいでしょう。そんな時は、まずは子どもの話をじっくり聴き、「よくがんばったね」「それは大変だったね」など、気持ちに共感してあげるといいと思います。その上で、本人・家庭でできること、学校に配慮をお願いするなどで環境側でできること、その子に合った環境を選ぶこと……など、現実的な選択肢から柔軟に対応できるといいでしょう。「ガマンのしすぎ」は、日頃の関わりと環境の改善で、負担や不満やストレスを溜め込まずに済むかもしれません。それでも「ギャーッ!」て、泣かれた時には……出典 : 子どものかんしゃく・パニックは、一見、大人には「ワガママ」「ダダをこねている」ように見えても、本人は「理屈じゃない!」「知らない!聞いてない!」「もうコレ以上ムリ!」と思っているのではないでしょうか。ましてや、今は新型コロナウイルスの影響下で、大人も子どもも、予測がつかなかったり、予定変更を余儀なくされることばかりですし、今後の状況次第では、再び子ども達に何かとガマンを強いざるを得ない可能性だってあるかもしれません。それでも、自然災害と同じく、親はできる範囲での「防災」を意識すればOK。その上で、子どもに「ギャーッ!」て泣かれた時には、私は「こういう時もある。しゃあない、しゃあない」と受け流したり、「かんしゃく・パニックで死にゃあしない!」と開き直ったり、「これで、長男の経験値が5ポイント上がった」と、成長の栄養として受け止めるようにもしました。実際、うちでは子ども達の成長に伴い、感覚の過敏さが緩和され、人生の経験値が貯まることで、かんしゃく・パニックの頻度も自然と減っていきました。子どもにどんなに泣かれたって、一生泣き続けることはありません。それぞれのご家庭の平和を、心から願っています。大場美鈴(著),『発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた 楽々かあさんの伝わる! 声かけ変換』あさ出版, 2020.6.27
2020年10月19日発達障害の作家が描く「生きづらさに寄り添う物語」ーー漫画『僕の妻は発達障害』「大人の発達障害」をテーマにあつかった本作。漫画家のアシスタントとして働く夫と、発達障害のある妻の日常生活が描かれています。本作では、発達障害がある人の生きづらさを描くと同時に、支援者にもスポットを当てています。悪意がないとわかっていても、発達障害のある妻・知花の行動にストレスを感じてしまう、夫・悟の描写もあり、決して良いことばかりではない、リアルな2人の生活が描かれています。本作は、多様性社会の現代において、夫婦とは何か?普通とは何か?そんな重要なことを考えさせてくれる作品となっています。ぜひ、発達障害のある人、支援者の方に読んでいただきたい一冊です。子どもの「トリセツ」をつくろう!ーー『自己理解力をアップ!自分のよさを引き出す33のワーク』本書の著者は、NPO法人えじそんくらぶ代表・高山恵子さん。自分自身も知らない、多様な自分の姿を知り、うまくいかないことが、うまくいくようになる問題解決の方法を紹介しています。意外と知らない自分のほんとうの姿。その中には、まだ気づかざる才能や可能性が隠れているかもしれません。逆に、自分の苦手なことに気づかないために、大きなストレスやトラブルの種になることもあります。本書では、そんな自分のほんとうの姿をしり、自分が「うまくいく条件」を探す方法を紹介しています。本書に書かれている、サポートを受けるメインの対象は子どもたちですが、実は大人にも実践できることがたくさん掲載されています。ぜひ親子で読んでほしい一冊です。赤ちゃんが自分から食べる離乳法を紹介!ーー『手づかみ離乳食』「楽しい離乳」をテーマとした本書。著者は、たつのシティタワークリニックの院長で、昭和大学医学部の客員教授もつとめる田角勝さん。田角さんは、これまでの離乳・離乳食の常識は、大人目線で考えられたもので、もっと赤ちゃん視点で考えるべきだと言います。本書では、「離乳食はスプーンですりつぶしたおかゆを一口から」といった常識に対して疑問をぶつけながら、赤ちゃん視点の新しい離乳を提案しています。また、食べ方や量、食べむらなど、育児をするなかで保護者の方が感じるさまざまな不安に対しても、エビデンスをもとにわかりやすく解説をしてくれています。また離乳時につまづきやすいポイントについても丁寧に解説してくれているので、「子どもが離乳食を食べない」そんな悩みをかかえる保護者の方に役立つ一冊です!脳科学の知識から、発達障害を理解するーー『改訂版脳からわかる発達障害』本書は、2009年に刊行された『脳からわかる発達障害』の改訂版です。著者は、教員や指導主事として、発達障害、不登校、非行など多様な子どもの教育に関わってきた鳥居深雪さん。LD、ADHDなどがある子どもたちは、日常生活のなかでさまざまな問題をかかえることがあります。本書では、脳科学の知識をもとに、発達障害のある子どもたちが日常で抱えやすいトラブルについて解説しています。また、鳥居さんがこれまでの経験から学んだ支援のコツや具体的な事例も、紹介されています。脳科学の基礎知識から子どもの行動をわかりやすく説明した本書。子育てをしている保護者の方や、支援者など、教育・子育てに関わる方におすすめしたい一冊です。
2020年10月17日お嬢様向けの進学校を受験小学校は地元の公立に通っていた私。成績が良く、家が裕福なために嫉妬を買うだけでなく、運動が苦手だったり、言動が突飛だったりする…… 良くも悪くも目立つため、周囲とまったくなじめませんでした。児童からはいじめを、教師からは虐待を受けるうち、高学年になる頃には二次障害を発症していました。周囲が中学の進学をどうするかと考え始めた頃。しつこいいじめを受け、特性上体力的にもきつい中で毎日登校するだけで精一杯だったのもあってボーッとしていて、私はなんとなく「自分も地元の中学に行くんだろうな」と思っていました。そんなあるとき、地元の公立中学に通う兄が、涙ながらに両親に直訴します。「義子を私立に入れてやってくれ!」地元の公立中学は荒れていて、ひどいいじめも横行している。義子がそんなところに行けばいじめ殺されるか、いじめを苦に自殺するかのどちらかだ、と兄は言うのです。いじめの内容とはたとえば、女子生徒の長いスカートを全部めくり上げて裾を頭の上で結ぶというもの。当然下着は丸見えで、一人で体勢を立て直すこともままなりません。このいじめは、頭の上で結ばれたスカートが巾着袋を絞ったように見えるため「きんちゃく」と呼ばれていたそうです。「義子を私立に入れてやってくれ」 …公立中学生だった兄が、両親に涙の直訴兄の涙ながらの訴えに両親は深刻な表情になり、「それでは義子に合いそうなお嬢様向けの進学校を探そう」ということになりました。私は子ども向けのスーツを着せられ、母に連れられていくつもの学校を見学してまわりました。両親も兄もみな自分のために動いてくれていたのに、当時の私は自分の障害に自覚もありませんし、どこか他人事のように感じていました。「みんながそう言うなら、まあ私は私立に行くのだろうな。疲れるなあ、面倒くさいなあ」ぐらいの感じでした……。結局私の進路は、推薦で中高一貫のお嬢様向け進学校に決まりました。塾には作文対策などのために半年ほど通っただけです。内申もペーパーテストも良かったため、おそらくかなりの好成績での入学でした。当時感じた、「似た属性の人たち」で集まることの大事さ私は徐々に、「似た属性の人たちで集まることって大事なんだなあ」と感じるようになりました。みなある程度以上裕福な家の子なので、私の家が多少裕福だからといって目立つことも妬まれることもありません。最終的に東大などの最難関大学を目指す子が集まっているその進学校では、勉強ができることがいわゆるスクールカーストを上げます。私はここに移ったことで、本人は変わっていないのにスクールカーストが最下位から最上位に上がったのです。基本的にみんなどちらかというと運動が不得意だし、運動ができることがスクールカースト上重視されないので、体育でバカにされることもありません。小学校のときのように休み時間に運動を強制されることもなく、本を読んでいればむしろ熱心で立派だとされました。コミュニケーション障害からくる言動の突飛さから、気づくと数人のグループから敬遠されていたり(私抜きでこっそり休みの日に遊びに行っていたりする)、数人のグループから軽くコソコソと噂話されるようなことはありましたが、いじめと言えるほどのことは起きませんでした。それどころか、何やら様子がおかしいと思っていると、「宇樹を複数の子で奪い合いをしていた」ということも起きました。近くで見ていた子によると、「宇樹は成績がいいだけじゃなくて何事にも一家言持ってるし、独特なところがあって面白いから、近くで見ていたいんでしょ」とのことでした。いずれにしろみな上品で、誰かに嫉妬したり誰かの足を引っ張ったりということよりも自分のやるべきことに集中しようというタイプだったので、学校全体としてあまり深刻な人間関係トラブルは起きませんでした。初めて経験する、「呼吸がしやすい」世界小学部から高等部まであるその学校。入学式のときに小学部の子たちがみんなきっちりとした立ち居振る舞いで式典をこなしていたことに両親は心底驚き、希望に包まれたそうです。ボーッとしていた私も、入ってすぐに、何やら空気が違うことに気づきました。みんなおっとりと、かつきちんとしている。「呼吸がしやすい」感じがしました。「みんなレベルが高いから、そのうち少しぐらい成績が落ちるだろう」と言われていた私でしたが、定期試験では学年上位を取りつづけました。いじめられるかもとビクビクしていると、周囲の子たちがまっすぐに「すごい!」と尊敬の眼差しで見るので、狐につままれたような気持ちになりました。「この3位の宇樹義子って私の友達なんだよ!」他のクラスの子に自慢する子。「いつも上位とってる宇樹義子ってどの子?」と他のクラスから見にくる子。「ここでは、『勉強ができることはいいこと』なのだな」と気づきました。ああ、幸せだなあ、と思いました。片道2時間近くの通学は体力的につらかったけれど、確かに私立に来てよかったと思ったのです。のちに、自分が恵まれていたことを知るボーッとしたまま中高の良い環境を享受しただいぶ後になって、私は自分がとても恵まれていたことに気づきます。20代後半で学習塾講師のアルバイトをしたとき、公立の中高では自分が中学高校の頃にしてきてもらったような指導をしてくれていないことを知りました。国語の分野でいえば、私は中高で、評論文用語集の暗記、百人一首や文学史年表の暗記などを授業に組み込んでやらされていました。それが当時はすごく嫌でしたが、私が出会った公立の学校に通う子は、そういう副教材や試験対策が世の中に存在すること自体も知らなかったのです。私は、進学校の成績優秀な生徒として、「東大京大・早慶上智のどこに入るか」みたいな価値観を当たり前としていました。そして、過労で倒れたりしながら必死に受験勉強に打ち込んで、難関私大に進学…… そうした生き方が、私の少女時代の過ごし方の唯一最善の答えだったとは、今は思いません。詳細は過去記事に書いています。ただ、中高の時期に一度は「楽に呼吸できる」環境に属させてもらえたことで、私は文字通り生き延びられたとは思っています。教養的な面でも大きなアドバンテージをもらいました。あのままうっかり公立中学に行き、自分に合わない環境を強いられていたとしたら、私は兄の言うとおりに死んでいたかもしれません。兄とはその後関係性がとても悪くなってしまいましたが、私を私立に進学させるよう両親に進言してくれた点について、私は兄に深く感謝をしています。当時、妹の将来のために思いつめて泣いたほどの彼が、長男として、また(当時発覚していなかったものの)発達障害児のきょうだい児として背負っていたものの大きさ、そのことにまったく思いが至らず他人事のように思っていた自分のことを思うと、今更ながら申し訳なくて胸が苦しくなります。本人の「楽」と「利」だけを考えてこれを読んでくださっている方は、お子さんに診断が出ているとか、ご自身が子どもの立場かといったあたりだと思います。中学への進学を考える時点で発達障害がわかっているというのは、私の世代から見れば大きなアドバンテージです。世の中にはいろいろな意見があります。「社会の多様性を学ばせるために学校は公立に行かせるべき」「男女が混じっているのが自然な社会の状態なんだから共学に行かせるべき」という意見もある。いっぽう、「いまだ男性優位に作られている世の中では、教育を受ける間だけでもジェンダーロールに邪魔されない環境で生きるため、女の子は女子校に行ったほうがいい」「個性の強い子には、その子の個性を伸ばすために個性の強い私立に行ったほうがいい」という意見もある。また、最近知ったところによると、関東の大都市圏での公立・私立のイメージと、地方での公立・私立のイメージは逆だったりもするようです。私にはたまたま、関東圏の私立中高一貫女子校が合っていましたが、どういった学校が合うかはその子によって本当にさまざまです。私はASDだったのもあって、こうした規律が厳しくて「勉強=善!」みたいな環境が楽に感じましたが、ADHD特性の強い子や、LDがあって苦手教科の多い子にはそうとうに窮屈だったろうなとも思います。今はフリースクールなどの選択肢も増えてきています。保護者の方々にはぜひ、世間の常識にも、私の体験談にも左右されることなく、本人にとってもっとも楽で利になる環境のために、情報を集めていってほしいと私は願っています。
2020年10月16日