わかりやすく事例や対処法を紹介!ーー『ADHD 注意欠如・多動症の本』本書では、「落ち着きがない」、「衝動的に行動する」、「不注意で忘れ物が多い」といった特徴をもつADHDの子どもとの付き合い方を紹介しています。ADHDの子どもは、特性ゆえに学校や家庭での生活で失敗やトラブルを経験することも多く、ストレスを抱えることが多くなりがちです。ときには、そういったストレスが学業不振や、うつ病、いじめなどの重大な事態につながることもあります。本書は、漫画と豊富なイラスト、読みやすい文章で、症状から対応策まで徹底的にわかりやすく解説しています。生活リズムの整え方や、やる気の育み方、ゲームやスマホとの付き合い方といった日常生活に即した具体的なアドバイスが盛りだくさん。子どもたち本人のメッセージも掲載しており、保護者や教育関係者の方にぜひともおすすめしたい一冊となっています。書いてみると子育てがラクになる!『発達障害の子どもの行動が変わる魔法の子育てノート』発達支援の専門家として長らく子どもを育む仕事をしてきた、藤原里美さんによって書かれた本書。「これまでにたくさん自分も失敗をしてきた」と著者の藤原さん。しかし、失敗を繰り返す中で、「こうしたらうまくいく」方法をたくさん見つけることができたと言います。本書にはそんな、失敗から学んだ子育ての工夫がもりだくさん。この本は、「知る」、「理解する」、「行動する」、「評価する」、「できる」といった5つのステップを想定して作られています。本の中には、実際に自分で記入できるスペースが豊富に設けられており、志向を整理しながら本を読み進めることができます。ぜひ、発達障害のあるお子さんをお持ちの保護者の方に読んでいただきたい一冊です。幼稚園や学校で話したいのに話せない「場面緘黙」の子どもの支援がわかるーー『イラストでわかる子どもの場面緘黙サポートガイド~アセスメントと早期対応のための50の指針』家庭ではしゃべることができるのに、幼稚園や学校などの集団の中ではことばを発することができない、「場面緘黙」。小児科で院長をつとめる金原洋治さんと、長野大学社会福祉学部准教授の高木潤野さんの共著である本書は、そんな場面緘黙の子どもたちの理解を深め、具体的にどう支援・指導したらいいかを書いた本です。学校の先生向けに書かれた本ですが、保護者にとっても、学校と連携して子どものサポートをするために役立つことがたくさんある本です。理解して見守るというだけでなく、実際にどういう方法で子どもと向き合ったらいいか、場面ごとのサポート方法が書かれている本書。場面緘黙の子どもが、話したいのに話せないつらさから楽になるために役立つ一冊です。ほめて伸ばすってどうやるの?がわかる!ーー『マンガでわかるペアトレ』ペアレント・トレーニング(ペアトレ)とは、子どもの行動に焦点を当て、好ましい行動を増やしたり、好ましくない行動を減らしたりする接し方を保護者が学び、練習するプログラムです。本書は、著者である、らせんゆむさんが自身の体験をベースに、ペアトレはどういうものかを漫画で楽しく分かりやすく描いた一冊です。「保護者が子どものために頑張る」イメージがあるペアトレ。しかし、らせんゆむさんはペアトレの理解を深めていく中で、「もっと力を抜いて子育てをしてもいいんだ」という穏やかな心境に変わっていったといいます。本書は難しいと思われがちなペアトレについて気軽に楽しんで実践できる本となっており、発達障害などの診断のあるなしにかかわらず、親子の関係をもっとよくしたいと望んでいる方に幅広く読んでもらいたい一冊です。発達障害の困りごとをすべて網羅!--『発達障害サバイバルガイド 「あたりまえ」がやれない僕らがどうにか生きていくコツ47』本書は、自身も発達障害がある著者の借金玉さんが、自らの経験から得た「生き抜くコツ」を解説しています。キャッチコピーは「世界一意識が低くて、世界一役立つ本」。その名の通り、暮らしを楽にするハックがこの本には満載です。本書では、「ものを片づけられない」、「集中が続かない」といった特性的な悩みにも触れながら、「貯金ができない」、「マルチタスクが無理」といったADHD当事者が実生活で抱えがちな悩みにも、対処法を提示しています。借金玉さんはタイトルにもなっている「サバイバル」について、「サバイバルとは、より快適で、ラクで、優雅な生活」と語っています。発達障害のある成人の方に読んでいただきたい一冊です。
2020年09月29日人付き合いが大の苦手だったリュウ太も、女の子と出かけるように!Upload By かなしろにゃんこ。ADHDと広汎性発達障害がある息子リュウ太は現在22歳、たまに女の子と出かけることがあります。彼女以外の女の子の友だちと食事やお茶をすることもあるそうで、仕事が終わったあとにルンルン♪機嫌よく出かけていくときは、女の子と会うんだな!と母はピーン☆とくるんです。小学生の頃から周りと衝突、ケンカしたりして孤立する時期もありました。周りとうまくいかないことから小1ではリュウ太専用のクールダウンスペースを用意してもらって、学校では一人で過ごすなんてこともありました。Upload By かなしろにゃんこ。とにかく人づきあいがヘタで、相手にズバズバひどいことを言っては敵をつくる男です。そんなリュウ太がナゼ?…ナゼ女子と?出かけるまでに?母も不思議でなりません。そこで22歳になった息子に聞いてみました。「コミュニケーションで気をつけていること」息子が得意げに話した内容は...Upload By かなしろにゃんこ。女の子とつき合い方やコミュニケーションで気を付けていることが3つあると言います。聞いてみると、“女の子との”つき合いの中では特に気をつけているけれど、その前に、人づき合い全般で気をつけていることがあって、それが土台になって女の子と話せるようになったといいます。それは、●相手の趣味に合わせて話してみる。(わからないことは質問する)●人の趣味は否定したり、けなさないようにする。●自分の趣味のマニアックな話は避けるようにする。というものでした。この人づき合いのポイントに気を付けてコミュニケーションをとることで、中学校や専修学校では友人を増やすことができたそうです。なんだか自慢げに話す息子に、心の中で「オイ!そのポイントは私が教えたんだって」とツッコミました(笑)息子が中1か中2の頃に伝えた、私が発達障害の自助会のコミュニケーションの勉強会で聞いた内容だったのです。当時反抗期だったので、母の言葉や助言には「うるせーな」や「どーでもいい」など投げやりな言い方しかしなかったものですが、息子はきちんと話を覚えてくれていたんだとわかりました。反抗期の息子に嫌がられても、繰り返し伝えて良かったかもしれません。Upload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。そのことに気を付けてコミュニケーションをとっていくうちに、自分の話よりも相手の話を聞いたり、相手の好きな話題を中心に話したりすると仲良くなれる!ということに気がついたといいます。もともと自分のことや趣味の話をするのが大好きな息子。本当はどんどん話したい気持ちもあるはずですが...「多くの人は自分の話を聞いてほしいと思っている、理解者が欲しいと思っている。それは自分も同じだったから、『こんなふうに自分の話を聞いてくれたらな~』や『否定しないで聞いてほしいな~』という気持ちがわかる」と、相手の気持ちを考えられるようになり、初めて話す人とは肯定的な話し方で、まずは相手の話しをたくさん引き出すことで、よい関係を築けるようにしたんだそうです。Upload By かなしろにゃんこ。「女の子と会うときも同じように気をつけるだけで仲良くなれた。例えばSNSでは軽快にやり取りしていても、実際に会うと、大人しい子もいる。そういう子は全然話し出さないから、こっちから何線に乗って来たの?とか飲み物はどんなもの飲む?とか話して、和ませるような質問をしながら、自分の話も織り交ぜていくよ」といいます。ムムム…私が若い頃よりも異性との会話は上手かもしれん…コイツやるわね☆と思ったのでした。他にも「女の子と接するとき」に特に気をつけていることがあって...Upload By かなしろにゃんこ。好きな音楽は?とか、普段の私生活のことや家族のことなんかをどんどん質問していって、気軽に話してくれる関係性を築く...この辺りは、仲良くしたい相手に対して男女問わず気をつけているようですが、女の子と会うときには、これ以外にも気をつけていることがあるのだとか。「それ以外には、女の子が重そうなカバンを持っているときは「持つよ」と言って持ってあげたり、車で送り迎えするときは運転席から助手性にササッと回ってドアを開ける!」「彼女じゃなくても女の子には丁寧に接することで少なくても嫌われることはなくなると思うんだ」と言います。Upload By かなしろにゃんこ。あらあら…気遣い頑張っているんだな~母には一度もやってくれたことがないけど(涙)息子なりに、これまでの人づき合いの中で学んできたポイントがたくさんあるのでしょうね。そんなことで何人かの女友だちができて、そこからまたつき合いを学ぶことができているようです。
2020年09月28日むっくんの通う特別支援学級についてむっくんはADHDと自閉スペクトラム症の診断を受けていますが、発達検査上は大きな凸凹はなく、数値的にも通常学級に通えると言われていました。しかし、感覚過敏や感情のコントロール、対人コミュニュケーションの苦手さが親として心配だったことから、小学校と相談の上、特別支援学級の情緒級に在籍するに至りました。むっくんの通う小学校の特別支援学級は全部で4クラス。1クラスの定員は8名で先生は各クラス2人です。むっくんのクラスには1年生3人と5年生3人が所属しています。1年生3人は交流学級でも同じクラスです。運営上の理由もあってのクラス編成だと思われますが、移動教室の多い特別支援学級生活の中で、同じ友達と行動を共にできることがむっくんの安心に繋がっているように感じます。Upload By ウチノコまた、5年生も同じクラスなので、授業以外の場面でずいぶん上級生に面倒を見てもらっている様子。異なる学年の子と日常を一緒に過ごすというのは、刺激も多くおもしろいなぁと思いながら見守っています。むっくんの小学校生活特別支援学級では主に算数と国語の授業が行われています。先生1人で3人の1年生を指導しており、子どもの状態によってはヘルプの先生が来てくれることもあるようです。むっくんは情緒級なので、教科書、ノートなどの教材は全て通常学級と同じものを使用しています。また、各教科の授業回数、授業内容も通常学級と同じです。ただ、課題プリントなど、先生がオリジナルで作成する教材は交流学級とは違うものを使用しているようです。授業中の様子については、せっかちで課題を終えるのが早いむっくんはみんなの課題が終わるまで待つことが苦手だそう。待つのは嫌だと怒り、機嫌が悪いと課題の間違いをやり直すことも難しく、先生の指導に反発することも多いようです。今は無理にやらせるのではなく、先生との信頼関係を築きながらゆっくり本人のペースで進めてもらっています。おかげさまで夏休みには怒りながらも、指摘された間違いを直せるようになっていました。また、注意深く文章を読むことが苦手なむっくんが、文章にえんぴつを当てて、読み飛ばしを防止している姿には感動しました。個人の得意不得意を考慮しての指導が伺えます。Upload By ウチノコ特別支援学級に所属する子どもは、通常学級にも所属することになります。これは、交流学級と呼ばれる特別支援学級から通常学級に戻って授業を受ける時間があるためです。交流学級での科目は、体育、音楽、図工、生活など。むっくんの小学校では交流学級の時間には、必ず特別支援学級の先生が付き添う仕組みになっています。むっくんは集団の中でスムーズに授業を受けることが難しいときもあるので、この仕組みは親としてはとても安心です。Upload By ウチノコそんな交流学級についてむっくんは、「人が多くて疲れるから嫌だ。」と愚痴ることもあれば、「楽しい!」と話すこともあり、本人のペースで学んでいるようです。ただ、音に敏感なためか音楽の授業は辛いことが多いようで、どうにも参加することが難しいときは授業を受けずに特別支援学級に戻り、休ませてもらったこともあります。辛いときに静かに過ごせる場所が確保されているという安心感があるからこそ、少し疲れても交流学級を頑張れているのかもしれません。Upload By ウチノコUpload By ウチノコ特別支援学級の友達とはとても仲良く過ごしている様子です。特に同級生に対しては「一番仲良しの友達!」と嬉しそうに話してくれます。積極的に人と関わるタイプではないので、また、長時間過ごさない交流学級では友達を作ることが難しいかと思っていたのですが、意外とむっくんの名前を覚えて声をかけてくれる子もいてホッとしています。Upload By ウチノコ次回に続きますさて、ここまではいかにも学校らしい部分についてのお話となりました。とは言っても学校によって、様子やシステムには違いがあると思います。全ての小学校に当てはまるわけではないと思いますが、少しでも生活をイメージする参考になればと思っています。さて、次回は学校生活に付属する登下校や給食、休憩時間などについて詳しくお届けします。Upload By ウチノコ
2020年09月14日着慣れた服がいちばん!新しい洋服には興味ナシUpload By かなしろにゃんこ。ADHDと広汎性発達障害がある息子リュウ太は現在22歳。昨年、車の整備士の資格を取得して車の販売店に就職しました。整備士として働いています。休みの前日や休日は、疲れていても誘われると友だちと遊びに行くなどして過ごし、人と関わることがわりと好きな性格です。女の子とも気軽に会ったりドライブをするのですが、息子は女の子と会うのにテキトーな服ばかり着ていきます。以前デートに毛玉だらけの服をチョイスしようとしたコラムを書きましたが、ファッションに関しては数年経った成人後でも成長がないままでした。Upload By かなしろにゃんこ。肌の感覚過敏があって、幼少期から中学卒業頃までは服の素材によっては痒みが出たり、肌と服がこすれる感覚を気にしたり、ストレッチ素材でないものは体の動きが阻害されるようで着ていてツラくなったり、色物の服では素材とインクによって汗をかいた際に化学変化で体臭が臭くなることを気にしていたり...と問題がいろいろありました。そのため、着るものでパフォーマンスを下げたくないという気持ちが大きく、結局は着慣れた服を着ることが一番落ち着くことから、新しい洋服への興味も、流行りのものに惹かれることもなかったのでした。Upload By かなしろにゃんこ。17歳くらいから母が買ってきた服で「カッコイイんじゃね」と気に入ったデザインの物は着ていましたが、ゆったり感がないものや綿以外の素材のものだとイヤがって絶対に着ませんでした。ところがそんな息子が今年になってはじめて、「こういう服が欲しい」と主張したのです。そんな息子が突然オシャレに目覚めた!?「80年代風の服が欲しい!」Upload By かなしろにゃんこ。80年代風のロゴデザインがあるTシャツや夏用の短い丈のパンツなどがほしいとのこと――そこで、一緒に買いに行くことになりました。成人したんだから一人で買いにいけば?とも思うのですが、上下をどう合わせていいのかなど分からないことがあるし、店員に聞きにくいというので母が合わせてあげることにしました。母は、女の子と出かけるのにオシャレしたいんだな…ふふふ大人になったわね♡と思って心の中でニヤニヤしていたのです。ファッションに興味を持ったことは成長なので、母の意見をグイグイ押し付けるのではなく、欲しいシャツに合わせてパンツや履物をいくつか候補に挙げて自分で選ばせることにしようと思いました。タグや襟首などの素材が肌にソフトな物を選ばせるようにアドバイスしながら選ばせ、お気に入りの物が手に入りました。早速新しい服で出かける息子。「もしかして、デート?」と尋ねると...Upload By かなしろにゃんこ。早速出かけるときに着ていたので、「女の子に会いに行くの?」と聞いたら...「違うよ、80年代旧車のイベントに行くんだ!参加する人はみんなオシャレだからオレも服を合わせたんだよ。女の子と出かけるときは普通のTシャツにGパンでよくね?」と。いやいや逆だろ!女子と会うときこそオシャレしろよ!とツッコミました。どうも「いいね♡」と思われる対象が同じ趣味の少し大人の人らしいのです。承認されたい相手が憧れの人というのはわからなくもないです。他人の目を気にせずに自由に振舞ってきた子でしたが、やっと社会の目や見た目に気を配るようになったのでした。次回は女の子と出かけるときに息子が気を付けている3つのことをお話したいと思います。
2020年08月27日"一緒にいてもそれぞれ好きなことができる"心地よい家族の関係我が家はでこぼこ兄妹の二人と、兄妹のお父さん、それから私の4人家族です。なかよし兄妹のタケルといっちゃんを中心に、大体いつも一緒に行動しています。よそのお宅のことはよくわかりませんが、大変仲の良い家族だと思います。外に出ているより、家の中の方が安心ということもありますが、我が家はASD気質の強い人がマジョリティ(多数派)なので、お互いあまり邪魔にならないように暮らしており、一緒にいても好きなことができるというのが大きいと思います。Upload By 寺島ヒロUpload By 寺島ヒロお父さんが反抗期いっちゃんのターゲットになったワケは...しかし、時々その静寂が破られることがあります。それはお父さんが「不安定」なとき。LITALICO発達ナビでは子どものエピソードを中心に書いているので、今まであまり取り上げてきてはいませんが、でこぼこ兄妹のお父さんにはADHDがあります。また、Ⅰ型糖尿病で血糖値の高下が激しくなりがちなこともあり、身の回りのことに気が回らなくなって、ふらふらウロウロしていることがしばしばあります。普段から、パーソナルスペースが狭く、散らかし屋のお父さん。「不安定」になっているときは、ますますその傾向が強くなり、そのことがルールに厳格な子どもたち(私も)をイラつかせるのです。例えば、棚の上のリモコンを取ろうとして、床に置いたプリント類を踏み荒らしていくことなど日常茶飯事なわけです。Upload By 寺島ヒロ私たちASD組(でこぼこ兄妹と私)であれば、相手が集中して作業をしている間はできるだけ話しかけません。何か用事があっても、後でもよいことだと思えば、とりあえず棚上げし、自分も何か他のことを始めてしまいます。そうして伝えるのを忘れてしまうこともしばしばなのですが、お互いの間では「そういうこともある」とおおらかに捉えています。それで揉めるということはないのです。でもお父さんはADHDからか、一度話したい!と思うと待てません。相手が何をしているか、どこにいるかも構わず話し始めて、反応がないとどんどん声が大きくなっていきます。何か用事…伝言などあれば、更に傍若無人です。お父さんに言わせると「思い出したときに言わないと忘れちゃうじゃないか!」ということになるのですが、ASD組の方から見ると、いきなり飛び込んできて、何かわあわあ言っているぞ?…という感じにしかならないのですよね。ASDのある人に話を聞いてもらうには、まず「あなたに話しているのだ」ということを認識させ、短い言葉で、端的に伝えなければならない、とはよく言われることですが、他のことに集中しているときにそれを中断して、他のことに注意を向けるのは、ASDのある人にとっては大変な苦痛を伴う作業です。度重なると「この人、いつもなんかイライラすることを言ってくる」というイメージが人についてしまいます。わが家ではそれが「お父さん」だったのです。Upload By 寺島ヒロUpload By 寺島ヒロ普段から泣くこともない妹いっちゃん、「荒れる」といった形で感情を表出させることもないので、反抗といっても大したことはしないのですが…何かというとお父さんに不満げに当たるようになりました。Upload By 寺島ヒロさすがにお父さんも「最近ムスメのあたりがキツイ…。」とこぼしていますが、いっちゃんの言っていることも一つ一つは至極ごもっとも。あるとき、「これを機会に、娘に尊敬されるきちんとしたお父さん像を目指してみてはいかがですか?」と言ってみたところ、お父さん、「え?俺が?ムリ。」「ただの反抗期でしょ?大丈夫だよ。お父さんキライって言ってるいっちゃんもかわいいよ!」とのこと。全く意に介すそぶりを見せません。と、そのとき…!Upload By 寺島ヒロ実は隣の部屋で聞いていたいっちゃん。絶対零度の冷たさを感じる一言でした…。まだまだこの件、解決にはほど遠いようです。
2020年08月25日長男が8歳のとき、発達障害の1つである「ADHD」の診断がおりました。さらにお医者さんが言うには、自閉症の傾向も高めとのこと。生後半年ごろには育てにくさを感じていたのですが、受診に至ることはありませんでした。長男の発達障害がわかるまでの体験談と、「こうすればよかった!」と思ったことを紹介します。うちの子に限って!と思っていた私赤ちゃんのころからまったく人見知りをせず、抱くと毎回反り返っていた長男。とにかく動き回る子で、生後10カ月のころには私が疲労で倒れてしまいました。特におかしいなと思ったのが、月齢に合わせて届く通信教育のおもちゃをまったく使いこなせなかったこと。 ビデオ教材で見た子どもたちと違い、長男はおもちゃが分解できないことにかんしゃくを起こしていたのです。そこで発達の遅れを気にすればよかったのですが、私も初心者ママ。「まさかうちの子に発達の遅れがあるはずない」と思い込んでしまいました。 健診では悩みをうまく伝えられず…3歳までに何度か健診がありましたが、長男の発達について指摘されることはありませんでした。普段はかんしゃくを起こしがちな長男ですが、健診のときはたまたま落ち着いていたのです。 さらに健診では、保健師さんとママが1対1でお話する機会があります。保健師さんには長男に手がかかることは伝えていたのですが、具体例をうまく伝えられませんでした。事前に気になることをメモしておけば、スムーズに相談できたのかなと思います。 IQテストでまさかの平均値!健診をスルーした長男でしたが、何度か自主的に市の子育て相談にも行きました。そこでも問題は指摘されず、私はすっかり疲れ果てていました。そして5歳のとき、保育園の先生から市の療育室を紹介されたのです。 その療育室では、IQテストを受ける機会がありました。このときには「長男には何か問題があるはずだ!」と思っていた私は、これで何かわかるかも!とうっすら期待……。しかし結果は平均値。ここまでくると、私の育て方がいけないのでは?と思う自分がいました。 受診の希望を伝えると一気に話が進み!転機が訪れたのは、小学2年生に進級してすぐのこと。次男の1歳半健診のときに、長男のことで悩んでいると相談したのです。すると、県から委託されている相談先を紹介されました。それを聞いた私は即行動! 新しい相談先でIQテストを受けると、発達にかなりの凹凸があるとわかりました。 受診の促しはありませんでしたが、今度はこちらから受診を希望していると伝えました。そこからはトントン拍子で病院を紹介され、すぐにADHDの診断がおりたのです。 ふり返ると、こうしておけばよかったなと思うことがいくつかあります。まずは、「わが子に限って」と思い込まないこと。それから、健診では事前に気になる点をメモしておくこと。そして、親としての希望があればこちらから伝えていくことです。自分がどう思っているか・どうしたいのかを相手に伝えることは、とても大事だと学びました。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 監修/助産師REIKO作画/やましたともこ 著者:河津明香2男1女の母。旅行代理店勤務をしながらの育児を経て、フリーランスのライターへ転身。現在は発達障害の長男のサポートをおこないながら、旅行・育児・生活雑貨などの記事を中心に執筆。
2020年08月09日お手伝いしたら報酬アリ!なのに、やりたがらない息子...そのワケは?Upload By かなしろにゃんこ。ADHDと広汎性発達障害がある息子リュウ太に社会勉強をさせようと、小3頃から買い物や掃除のお手伝いをさせていたのですが、毎回いやいやと拒否しながらやっていました。トイレ掃除1回50円、買い物1回100円+好きなお菓子を1つ買ってよい、という決まりで提案していたのですが「面倒くさい」と言ってはやりたがりません。毎月のお小遣いを使い果たし金欠になると金銭目的で仕方なくやる気にはなるのですが、成人した息子にその頃の気持ちを聞くと不平不満でいっぱいだったといいます。「お手伝いは大変なことがいっぱいなのに、金額が安すぎるよ!」Upload By かなしろにゃんこ。なにが不満ですか?毎月の決められたお小遣い以外にお金を稼ぐチャンスを与えてあげているというのに?と私は思っていたんです。息子の気持ちはこうでした。「お手伝いの賃金が安すぎて悲しくなってた。自分の働きがこんなに安いんだって。買い物なんて重い物を持たなくちゃいけないし、買う物を広い売り場でアレコレ探し回らなきゃいけない。なんやかんやで1時間は経っちゃうのに、100円しか貰えないなんて有り得なくない?子どもにだってきちんと地域の最低賃金を守るべきなんじゃないかな?って思うよ。賃金がもう少し高かったら、やる気も出たと思う」というのです。Upload By かなしろにゃんこ。以前買い物のお手伝いのコラムを書きましたが、息子はウッカリ忘れが多い特性上、お手伝いを100%遂行できません。そのため出来高制を用いていたのです。とはいえ、「家のお手伝いをするのは家族として当たり前」という夫の教育方針と、「子どもに高額な金額をホイホイ与えてしまうのはいかがなものか?」という考えもあり、『買い物1回100円』にしたのですが、思いっきり不満があったとは驚きです。Upload By かなしろにゃんこ。息子がいうには、大人がするのと違って子どもは力もないし知恵もない中で頑張るのだから、働きに対してもっと労ってほしかったという気持ちだったようなのです。例えば風呂掃除なども、注意散漫ゆえに周囲に気を配ることができないまま掃除をすると蛇口に体をぶつけて痛い思いをしたり、滑ってしまったりと危険がいっぱいだったといいます。必要だったのは、苦労を認めてあげることUpload By かなしろにゃんこ。息子がいうのは、"単なる金額への不満"というより、「苦労して頑張ったことを認めてほしい」ということだったのかもしれません。やり甲斐を感じるような言葉かけも必要だったんですよね。「ありがとう、助かったよ」と伝えていたけれど、もっと響くような感謝のパフォーマンスが必要だったのかもな~と思いました。人の表情から相手が喜んでいることや悲しんでいることが判断しにくい子なので、欧米人のようにオーバーアクションをしたら分かりやすかったのかな?中学では反抗期でまだまだ手伝いを拒否することがありましたが、17歳くらいから買い物やゴミ出しなど家の手伝いをマメにやるようになりました。大人になったリュウ太、床下修理で大活躍!対価もしっかり...Upload By かなしろにゃんこ。大人になったリュウ太、新型コロナの影響でGWに多めに仕事を休んでいたときには家の床下に潜り、床の沈み込みを補強するために3か所ジャッキをはめる手伝いをしてくれました。このときはさすがに大変な仕事なので、3000円でお願いしたのでした。汚れてもいいツナギに着替えてヘッドライトを装着して工具を握り暗い床下に。床下の柱などが邪魔する狭い場所でのジャッキのネジ締めなどはとても大変だったようで...途中で「え?3000円って安くね⁉」と思ったそうで、床下から這い出てから私に賃上げの交渉をしてきました。労働者の権利を主張できるようになったことで損することなく8000円を請求し、みごとゲットしたのでした。大きな案件に対して頑張ってくれるようになった息子。洗い物や掃除など小さい手伝いは普段あまりやってくれないけれど、息子は活躍したい場所が違うのかもしれないと気がつきました。少しだけ頼もしくなった息子に嬉しくなりました。
2020年07月30日授業に集中できなかった小学生時代、意外なアレも原因だった!?Upload By かなしろにゃんこ。ADHDと広汎性発達障害がある息子リュウ太は、小学校時代に廊下で寝ながら授業を受けていた子でしたが(笑)授業に集中できなかった原因に『気持ちの切り替え』が難しかったこともあったそうです。息子(現在22歳)とNHKの発達障害をテーマに取り上げた番組を一緒に見ていて『切り替えができない』特性の話が出てきて、息子が「オレもできなかったなー、社会人になってようやくできるようになったけどね」と言うので、ナゼ切り替えができなかったのか聞いてみましたら、意外なものが勉強意欲を下げていたからなんだそうです。Upload By かなしろにゃんこ。まず1つ目は休憩時間。息子の通っていた学校では、2時間目と3時間目の間に20分の業間休み(地域によっては中休みといいますよね)がありました。1時間目2時間目は落ち着いて勉強できるのだけれど、業間休みで頭の中が遊びのモードになってしまうと、そこからの気持ちの切り替えが難しく、3時間目からの勉強に集中できなくなるのだそうです。そして2つ目が時計です。好きな教科のときは3時間目でも調子よく勉強できていたそうなのですが...時計があると授業中に何度も見てしまって、テンションが下がっていたんだそうです。Upload By かなしろにゃんこ。「集中して書き取りをしていても、ふと時計を見たときに、まだ10分しか経ってないとか、あと20分もあるとか考えると気持ちが下がっていったんだよね」といいます。“気持ちが下がる自分”もイヤだったそうで、時計を見ないで過ごしたい、でも視界に入るから授業中についつい見ちゃう、そしてその度に「あと〇分か…」と考えてしまっていたそうなのです。そんな自分に疲れてしまっていたんだとか。Upload By かなしろにゃんこ。「実は時計がない部屋のほうが勉強とか作業がはかどるんだよね。オレみたいなタイプは教室に時計がないほうが勉強に集中できるのかもしれない!時計は先生だけが卓上で見るなりして、時計がないと見通しが立たなくて不安になるタイプの子は腕時計や卓上時計を用意するとか。時計が目に入らなければ、授業の時間があっという間に感じていたかも」といいます。なるほど!時計がない場所で勉強させるのはいいかもしれないな~と思いました。中学時代は、音楽も気持ちの切り替えスイッチにUpload By かなしろにゃんこ。息子は中学のときに通っていた塾で、『イヤホンで音楽を聴きながら課題に取り組んでよい』という特例を許してもらっていました。塾の先生は息子が発達障害であることを理解してくれていて、一人ひとり集中の仕方が違うことを分かってくれていたからだったのですが、息子は「塾の先生のおかげで勉強モードになれる方法を見つけられた」といいます。Upload By かなしろにゃんこ。「勉強のときに聴く音楽っていうのを流すと、今から勉強タイムだ!って頭の中のチャンネルを切り替えられるようになったんだよね。この香りを嗅ぐと懐かしい気持ちになる~のと同じ感覚で、この曲を聴くと勉強モードになる!みたいな感じなんだよね。それに、“5分の曲と4分の曲を何曲聞いたから、このくらい時間が経過している”っていうのが時計を見なくても分かるから、ストップウォッチみたいに時間をはかるのにも使えたよ」といいます。中学時代、音楽ガンガン流して塾の課題をする息子に私は「音楽なんか聞いていて、覚えられるのかな?」と疑問だったのですが...Upload By かなしろにゃんこ。息子「気分が下がってるときには勉強したくないんだよね。だからスイッチを入れて、気分を上げるしかないわけ!自分に効果的だったのが音楽だっただけのことなんだけどね。小学生のときは本当に気分が乗らないことをするのが苦痛で、切り替えが大変だった。学校のルールなんかどうでもいいから、自分の気持ちに素直になろうと思って、気分が下がっているときは廊下で寝たりしてたわけだけど...我慢して取り組むと気分が悪くなるから、無理しないでいたって感じなんだよね。我慢して机に座ってきちんと授業に取り組めるようには結局ならなかった。中学生のときもまだ切り替えが難しかったから、形だけは授業に参加してる風で座っていたけれど、勉強に全く集中できなかった。社会人になったらイヤでも切り替えしなきゃいけないことがいっぱいあって、今は鍛えられたから平気になったよ」規則に従って生きる中では、体に無理を強いていることもたくさんありますよね。やらなきゃいけないけれど体が拒否してしまうし、自分の心のままに過ごすほうがいいに決まってる...子どもの頃のリュウ太がそんなふうに思っていたのも自然なことのように思います。気分が乗らないことをするのは大人でも苦痛ですもんね。子ども達はたくさん我慢やムリをしていると思います。学校では無理ですが、家では気分が下がるものから距離を置くことや、音楽で気分をアゲアゲにして課題に取り組むことなど、それぞれに合わせた方法で環境を整えることって大事なんだなと思いました。息子なりの環境設定、工夫をしていたのだと、大人になった息子と話して分かったのでした。
2020年07月14日筆圧のコントロールが苦手だった小学生時代、文具にも原因が!?Upload By かなしろにゃんこ。ADHDと広汎性発達障害がある息子リュウ太と話していて、あるとき筆圧の話になりました。小学校のとき板書がキライで、ノートがいつもぐちゃぐちゃだったというコラムを以前書きました。文字を書くことが苦手だった理由の中に筆圧の問題があったのですが、息子と話していて苦手感に意外な問題があったことがわかりました。微細運動に問題があって筆圧のコントロールが難しいこともあるのですが、細かい運動をやっかいにしていた理由の1つに“下敷き”があったようなのです。ノートをキレイに使うために使用させていましたが、息子に言わせると、「下敷きはいらないよね!下敷きを敷いて書くと鉛筆が滑って止め、はね、がうまくいかないんだよね。指先のコントロールが難しいのに余計書きにくくなるんだよ!」とのことなのです。良かれと思って用意した文具ですが、微細運動を苦手とする息子には合わなかったようです。息子「それに、テーブルや机の素材もツルツルしているとプリントが書きにくいんだよ」と言います。紙の下の素材の違いでも書きにくいものがあったのね~と教えられました。そういえばいつからか息子は下敷きを使わなくなった!そういうことだったのか…。目が細かい紙やすりなどの少しざらざらしたものを下敷きにしてあげるほうが書きやすい子もいるみたいで、道具を見直すのも大事だなと思ったのでした。Upload By かなしろにゃんこ。ナゼ微細運動が苦手なんだろう?と考えたら息子には折り紙や、つまむ・引っぱるなど、細かい動作ができる玩具で遊ばせてこなかったと思いました。腕の筋肉や手首のひねりなどの運動が指の操作に関わってくることを知ったのは、息子が中学生になるころでした。Upload By かなしろにゃんこ。中学生になった息子「漫画用のペンで絵が描きたい!」そんな息子が字を書くことがキライじゃなくなったのは、中学のときに絵を描くようになってからといいます。私の影響でマンガ用の細い線が書ける耐水性のペンを使うようになってからでした。一本300円とお値段が少し高いペンなのですが、ペン先が0.1ミリ程度しかなく、筆圧が強いとその細いペン先が潰れて描けなくなってしまいます。Upload By かなしろにゃんこ。そこで息子がこのペンを使いたいといった際に使い方を教え、・ペン先を紙に押しつけて書いてはいけない。・肘を支点として力をかけ、肘より先は腕を浮かせるようにする。この2つを条件に使わせることにしました。微細運動が苦手で筆圧のコントロールもできない息子には最初はとても難しかったようで、頻繁にペン先をダメにしていました。それでも怒らないで同じペンを再度与えて使い続けさせてみました。もしかしたら絵を描きたい一心で筆圧のコントロールを習得するのではないか?と希望があったからでした。Upload By かなしろにゃんこ。息子は細い線で美しい絵を描くためにそのペンでの練習を3年近く続け、17歳のころにようやく、フリーハンドで思い描いた通りに細いなめらかな線を描けるようになりました。描くことが楽しくなると熱中しすぎて、ときには腱鞘炎になることもありましたが、あまり取柄のない息子が唯一続けた練習がコレでした。好きな気持ちがあれば続けられるし、なんでも続けるとうまくいくものだな~と感心しました(笑)「オレの場合は練習あるのみ!」履歴書や願書も自分で練習していたUpload By かなしろにゃんこ。現在22歳になった息子に、筆圧のコントロールを習得してよかったことは何か?聞いて見ました。「中学では高校受験のときに、どうしても願書を自分で作成するという逃げられないイベントがある。書き直しができないから、大変だったな。用紙をコピーして何度か練習したりしたな~。高校のときはバイトや就活の履歴書もコピーして何度も練習した。細かい字を書くときは筆圧の加減ができないとツライから、完璧じゃなかったけどコントロールの仕方がちょっとでも練習できていてよかったかも。オレの場合、結局は書く回数=練習だったんじゃないか?と思った。何度も書くことで腕の筋肉が鍛えられて指の細かな操作ができるようになったのかな?と…履歴書も何度も練習して、ちょうどいい書き方を掴んでた。小学校のときから字がヘタだったけどすぐに上手くなるわけじゃないから、道具を変えるとか、工夫もするべきだったかもしれないね」と言います。小学校のときに板書を拒否していた息子が影で願書や履歴書の練習をしていたことに驚きました。え?リュウ太お前そんな真面目な子だったっけ?と(笑) 必要に迫られたときはきちんと字と向き合っていたのだとわかりました。
2020年06月30日育てやすかった息子。5歳頃からべったり甘えるように...Upload By かなしろにゃんこ。いつも元気で勝気なADHDと広汎性発達障害がある息子リュウ太ですが、実は保育園から小学校6年生まで母の私にべったり♡でした。保育園に通っていた5歳くらいから徐々に甘えん坊になってきたのです。リュウ太はいわゆる「悪魔の2、3歳児」とよばれる時期がなかった子でした。遊びがうまくいかなくてカンシャクをおこすことはあっても、着替えをイヤがったり、遊びを途中で終わらせたりすることに反発することはなく、幼児期はとても育てやすい子でした。だからこの頃には発達障害だと気がつかなかったのかもしれません。しかし、5歳くらいから徐々に強い自己主張が始まり、育てにくい子になってきました。発達障害がある子は成長がゆっくりといいますから、今考えると悪魔のイヤイヤ期が遅れてやってきたのかもしれません。笑Upload By かなしろにゃんこ。自己主張が強くなるのと同時に私が恥ずかしくなるぐらいに甘えるようにもなりました。機嫌よく遊んでいる最中に私のもとへやってきては、触る、膝の上に乗る、抱きつくなどして、ベタベタと甘え、気がすむとまた遊びに戻るのです。まるで愛情を充電しているかのような行動。もう5歳だしそんなに甘えさせてはいけないんじゃないかと考えた私は「もう5歳で保育園ではお兄さんなんだから、お母さんにベタベタ触らないようにしないとネ!」と何度か伝えてみましたが、息子が甘える行動をやめることはありませんでした。Upload By かなしろにゃんこ。その頃の保育園での様子を先生から聞くと「少し自分の時間が欲しい」、「一人になりたい」と思って離れようとすると、息子は余計にべったりとくっついてきます。そんな状況が続いていた中、ある日の保育園のお迎えのときに先生から「最近リュウ太くんは一人で車で遊んでいます、一人がいいみたいです」と聞かされました。その頃保育園で不安定な様子を見せていたリュウ太。どうやら大勢でいると疲れてしまうようで、一人で遊ぶことでクールダウンしていたようでした。Upload By かなしろにゃんこ。先生に「家ではどうですか?」と聞かれて「甘えてばかりで私から離れないときがあります」と伝えると、「リュウ太くんは人一倍愛情を欲しがる子かもしれませんね、園でも保育士にはベッタリです。愛情をかけてもかけてもドンドン吸い込むような、愛に貪欲な子がたまにいますよ♡リュウ太くんはまだ5歳だから甘えん坊は卒業などと言わず、甘えさせてあげてください。愛を吸収しきったらママがいなくても平気な子になりますよ」とアドバイスをもらいました。思う存分甘えたあとは、少しずつ離れていくように!Upload By かなしろにゃんこ。この頃私は仕事が忙しく、「早く一人になりたい」、「一人の時間が欲しい!」と強く思っていたのですが、その気持ちが実は息子にバレていて甘えだしたのかしら?とも思っていました。先生の言葉を信じ、一人になって仕事をしたい気持ちを我慢して2年間できるだけ時間をつくってべったり甘えさせることにしたところ、小学校に入学した頃から徐々に「もうお母さんの愛はお腹いっぱい!」といった感じで、母に甘える時間が減っていったのでした。息子が成長したー!解放されたー!とスッキリしました。その後、再び甘え始めたリュウ太。その理由は...Upload By かなしろにゃんこ。その後、小5小6の反抗期に入る前にも再びベタベタくっついてきた時期がありました。どうも学校で友だちとうまくいかないことがあったようなのですが、このときそんなリュウ太の事情も知らなかった私は、高学年の男子なのにさすがに恥ずかしいわ~と思っていました。買い物に行っても、私の横でコバンザメのように腕を掴み離れないので、「同級生に見られたら恥ずかしくなるから離れなさい」と言うのですが、「別に気にしないよ」と平気な様子でした。今思うと多感な時期、学校でいろいろなことがあって疲れていた息子は、ストレスに対処するために無意識にスキンシップを求めてきていたのかもしれません。Upload By かなしろにゃんこ。保育園のときも高学年のときも、ストレスから自分の身を守るために無意識のうちに愛情を求める行動をとっていたのかしら?と思うと面白いです。人恋しくなったら疲れている合図ともいえるのだな!と気がつきました。息子が大人になった今でも、たまに親子でスキンシップをして、愛情ホルモンを分泌しよう!とお互いの足の指を触ったりします。でも、このくらいのスキンシップが限界です。笑息子は中学生になると、親から勝手に離れていくようになり、私は本当に解放されて一人の時間を満喫できるようになりました。今では成人して息子も夜遊びをするようになったりして、家の中がシーンとしてしまって寂しいですよ~涙ベタベタされているときは、いつまで続くんだろう...たまには離れたい...と思うこともありましたが、ずっと続くわけじゃないし、子どもにも何か理由があるのかも?と考えてあげることが大切だったなと振り返って思うのでした。
2020年06月12日中学校の『毎日ノート』、その名の通り毎日提出するものだったけれど...Upload By かなしろにゃんこ。ADHD息子リュウ太が通っていた中学校では、全生徒が取り組む宿題、「毎日ノート」というものがありました。この毎日ノートは名前の通り、“毎日書いて提出するもの”です。日々の授業で学んだことを振り返り、印象に残ったことを書くことになっていました。そして、毎日ノートを提出するたび、教室の壁にある「チャレンジシール」の台紙に1つずつシールを貼ることができる決まりでした。「毎日提出するように」と学校から言われていますし、教室の壁に貼ってあるチャレンジシール台紙を見れば個人の提出率もわかってしまうので、大半の生徒がきっちり取り組んで提出していました。Upload By かなしろにゃんこ。しかし、息子は全く提出しようとしませんでした。ナゼやらないのかと本人に聞いてみると、「何を書いていいのかわからない」といいます。「毎日ノートにはその日の印象に残ったことを書こう!」と先生は言っていましたが、息子は印象に残ったことを思い出すことができず、提出できないのです。先生に促されて提出するように。でも中身は!?Upload By かなしろにゃんこ。そして、ほとんど提出できないまま1年生の1学期が過ぎ、息子のチャレンジシール台紙にはシールが3枚だけ...面談で先生から「毎日ノートをちゃんと提出するように」と注意を受けて、さすがの息子もきちんと書いて出すようになったのですが…Upload By かなしろにゃんこ。ある日息子の毎日ノートを覗いてみると、なんと中身がただの日記になっていたのです。先生の言った「印象に残ったことを書く」という言葉を額面通りに受け取り、本当に“学校で1日すごした中で印象に残ったできごと”をそのまま書いていたのです。Upload By かなしろにゃんこ。私は、そうじゃねーーーーよ!(笑)と心の中でツッコミました。毎日ノートはもともと復習のためのものです。先生は「受けた授業の中で印象に残ったことをノートに表現しよう」と伝えたかったのですが、息子はそれを全く理解できておらず、休み時間などに友人とどんなことをしたかを中心に書いていたのです。反抗期なので正面から「書き方が違う!」と否定をすると、その後一切やらなくなる可能性があったので、2学期の面談のときに先生に「息子に書き方の説明をして欲しい」とお願いしました。親の言うことよりも先生の言葉のほうが響くお年頃なので、ここはお任せすることにしました。その後先生から書き方の指導を受けてなんとか書くことはできたものの、毎日提出することは難しく、週1回がやっとです。息子曰く、ノートにみんなのように上手くまとめることができないんだとのこと。『ノートを自分でまとめる』ことがリュウ太には難しかったUpload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。絵やデザインのことなら毎日スケッチブックにキレイにまとめているというのに、授業のことは全くできない子でした。まぁ週1回は提出できるようになったので、それでもいいか~と思うことにしました。大人になってから息子に当時のことを聞いてみると、上手なノートの書き方(左ページに板書、右ページに気になったことや補足説明などを入れる方法)などを教えてもらっても、ピンとこなかったそうです。カラーペンを使って大事な部分を強調したり、囲ったり、線を引いたりという上手な書き方が思いつかず、うまく書けないから自信がなくなり、「あまり人に見せたくない」という気持ちがはたらいてイヤだったと本人は言っていました。過去にはこだわらず今が大事なADHDにとって数時間前のできごとはどうでもよく、さらに書くのも苦手となると、頑張ってノートを出そうとは思えなかったのでしょう。学習方法も人への伝え方も、得意不得意があるからUpload By かなしろにゃんこ。息子「書くのは苦手だけど、口で伝えることは大好きなんだよなー(笑)」文字に起こすことが得意な人、話して聞かせることが得意な人、人に伝えるのは苦手だけど記憶するのは得意な人...伝える方法や学習の方法は何通りもありますから、毎日ノートができないからといってダメなわけじゃないんだなと思うのでした。
2020年05月20日専修学校で自動車整備を学ぶリュウ太。最後の1年は試験対策と就活で大忙しのはずが...Upload By かなしろにゃんこ。ADHDと広汎性発達障害があるリュウ太は普通科の高校へは進まずに、車の整備士を目指して専修学校高等課程に進学しました。リュウ太の通っていた専修学校には普通科の授業と整備に関する授業の2種類のカリキュラムがありました。普通科のカリキュラムでは、通信制の高校を利用しながら学習をすすめ、高卒資格を取得します。授業は教室で先生に指導してもらうので、一人で勉強をすることが難しい子でも、先生や友だちに相談しながら学習を進めていけます。3年間の高等課程を習得すると、その上に専門課程があり目指す資格に合わせて2年、3年、4年と学べるコースがありました。Upload By かなしろにゃんこ。息子のリュウ太は2級整備士を目指す2年コースに通っていました。専門課程を修了すると卒業後には国家試験が待っています。そのため通常、専門課程最後の年は就活や国家試験で忙しい年になります。発達障害があり注意散漫でいろいろなことに興味が移る傾向にある息子には厳しい1年となってしまいました。学校では夏休み前には就活の授業が始まり、通常生徒たちは、ソーシャルスキルやビジネスマナー、就活マナーなどを学ぶサポート授業に積極的に参加して就職に意識を向けていくのですが…まさかの「オレは就職しない」宣言!?そのとき母は...Upload By かなしろにゃんこ。リュウ太といったら就職する気がなく「オレは就職はしない、アルバイトでいい」と言います。周りの人は夏からどんどん企業面接や企業実習に行き、積極的に動いていましたが、リュウ太は遊んでばかり…。リュウ太が通っていた専修学校では、整備士として就職を希望する場合、まず企業面接を受け、その後に企業実習、マッチングしたら内定をもらい、春に採用となります。しかし、整備士になるためには国家資格である整備士資格の取得が必要なので、国家試験に合格して資格を取得できないと不採用になってしまいます。Upload By かなしろにゃんこ。実習や国家試験対策授業など通常よりも忙しくなる中で、就活も並行して行うのは大変です。リュウ太は就職をしないと決めて就活を破棄しましたが、母の見立てではこの子は両立ができないんだなと思ったのです。リュウ太は、アルバイトもしていたせいか、学校に通うだけで精一杯だったようでした。月曜日は毎週のように寝坊するので、月曜日の授業の単位は取れないし…また、勉強もついていけていないようで、成績は後ろから数えて5番目くらいです。就活の前にまずは、きちんと授業に出ることや試験に向けて勉強をすることが必要でした。Upload By かなしろにゃんこ。みんなと一緒に就活をして企業から内定をもらったとしても、学校を卒業できなければ国家試験を受験する資格をもらえないので、不採用になってしまいます。狙うものを卒業1つに絞ることにして、私も「就活しなさい!」と言うのはやめました。出遅れてしまうけれど、就活は卒業してからでもいいんじゃないかと思いました。それに私自身もフリーランスで生きてきたので、特に会社員にならなくてはいけないという気持ちもなく(笑)、のうてんきです。Upload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。リュウ太が卒業後もアルバイトのままでもいいと思うならそれでもいいし、本人に任せようと思いました。周りの子がやっているからあなたもやりなさい!と言っても息子もこのころは二十歳で大人ですから、本人の自主性に任せるしかありません。それに、ヤル気が出ないのに企業訪問をしても失礼ですし、ヤル気がない学生の態度なんて見破られてしまいますからムダでしょうしね。とにかく卒業・国家資格取得!と目標を絞って学生生活最後の1年を過ごし、通常の授業や国家試験対策の勉強に集中した結果、無事卒業し、国家資格も取得できました。勉強と就活を同時に進められなかったリュウ太でしたが、資格を取得できたことでその後すぐに、自動車販売会社の整備士として就職することができました。あのとき「就活しなさい」とガミガミ言っていたら、どれも中途半端でうまくいかなかったのではないかと思います。Upload By かなしろにゃんこ。就活やる気ゼロだったワケ、本人に聞いてみたら...現在は新型コロナの影響で働く時間は縮小されていますが週4~週5で出社しています。企業面接のことなど採用にいたるまでのお話は改めて別のコラムでお伝えしたいと思います。2年前の就活期間について感想を現在の息子に聞いてみたら、「就職に魅力を感じなかった」といいます。テレビやネットから深夜残業や過労死、パワハラによる自殺など暗いニュースばかりが目に入ってきて、 就職しても苦しいことしか待っていないと思っていたそうです。確かに暗い情報にだけフォーカスしてしまうと、お先真っ暗な気分になりますよね。親も就職した際に起こる「いいこと、得な部分」について5項目くらいしか挙げられなくて、就職は素晴らしいと言えずにいましたから、息子も周りに合わせて横一列に就活をして就職することが幸せではないと考え、自分の気持ちに素直になることを選んだのかもしれません。ご縁があって小さなころからの夢だった自動車整備士として就職したあとは、職場環境にも恵まれて充実した毎日を送っている様子のリュウ太。勉強と就活の両立が難しかったけれど、その辛い日々を乗り越えて就職した自分の未来に明るいイメージがもてていたら、もしやもっと頑張れたのかも...?働くことはツライことばかりじゃない、楽しいこともあるよ、ということをもっと子どもに伝えるべきだったというのが私の反省点です(汗)
2020年05月11日在宅ワーク中心の母に、話しかけまくるADHD息子Upload By かなしろにゃんこ。ADHDと広汎性発達障害がある息子リュウ太を育てながら、私は在宅でマンガの仕事をしていました。土日や長期休暇などは子どもと過ごしながら作業をすることが本当に大変で、納期に間に合わないなどの問題もありました。なにせ元気ハツラツ~♪なADHD息子ですから、おしゃべり大好き、独り言はブツブツ、動作は荒っぽく家の中でも物音がドタバタ大きい。私は少女マンガ誌に数本ショートの連載をしていたので、無音の中で構成を考えたり絵を描いたりと集中して作業がしたいのですが、「ねぇねぇお母さん聞いてよ!」とか「お母さんコレできないから代わりにやってー!」と、10分に1回は息子に話しかけられるため、頭の中の構成や細かい作業も中断させられてしまいます。毎日そんな状況なので、〆切前には焦りと疲れでパニックになります。Upload By かなしろにゃんこ。そしてついつい息子に「仕事中だから邪魔しないで!」と怒鳴ってしまい、息子を泣かせることもありました。怒ったあとに「ヤバッ言い過ぎた…」と反省して息子を抱っこして仲直りするのですが、そうすると数分後にはケロッとして私にベラベラ話しかけてくる、空気が読めない...いや?ハートが強い、ガッツある息子(笑)そうして私のイライラはふりだしに戻ります。息子が起きている時間帯はまともな作業ができないので、土日や長期休暇の期間には子どもが寝てから作業をして、朝寝て昼に起きるような生活をしていました。ルールをハッキリ伝えてあげたらいいのかも?Upload By かなしろにゃんこ。息子が発達障害の診断を受けてから発達障害の育児書を読むようになり、自閉傾向にある子には伝えたいことをハッキリ言わないと伝わりにくい場合があると知りました。そうか...「邪魔しないで」という言葉だと漠然としていて分からないのかもしれない!?ルールを決めて伝えないと、「聞いてほしいことがあって話しかけたのに、なぜだかお母さんに怒られた」と、訳が分からなくてリュウ太だって困るよね。Upload By かなしろにゃんこ。そこで日中に仕事をするときは「今から集中して仕事をするから、2時間話しかけないでね!」などと具体的に伝えるようにしました。息子は「そんな言い方冷たい」とショボンとしてブーブー文句を言いますが、毅然とした態度で接することにしました。私の仕事は絵を描いたりマンガを書いたりすることが8割なので、息子からはただお絵かきしているようにしか見えず、大切な仕事をしているようには見えにくかったと思います。だからこそ、母が仕事をしている時間をはっきりと伝え、ルールを伝えながらコレはお金をもらう仕事で遊びではない!というパフォーマンスもしっかり見せなければいけないような気がしました。2時間というルールは息子が話しかけないで一生懸命我慢できる限界の時間です。実際は2時間も難しいのですが、努力目標を設置しました。Upload By かなしろにゃんこ。どうしても話しかけたいときは急に長話をするのではなく「今ちょっと話せる?」と相手が自分の話を聞く態勢にあるかを伺う声かけを最初にしよう!というルールも設けました。ウッカリ屋さんのADHD息子ですから、このルールをスタートしたときはなかなか守れませんでした。作業中の私に話しかけて「仕事中です!」と注意されてから、「あ、そうだった、今話してもいい?」とやり直しをするなんてことがありました。手伝ってほしいことがある際にも、「仕事が終わるのが6時だから、6時になってから手伝うね」と伝えるようにしました。過ごし方も見直して、ひとりで静かに楽しめるようにUpload By かなしろにゃんこ。話しかけてくることが少しずつ減っても、ADHD息子にとって"静かに過ごす"ことはそう簡単ではありません。大きな物音もたてるし、ゲームで失敗するとイライラして暴れたり、暴言を吐いたりします。物音は仕方がないとしても、暴れたり暴言を吐いたりするのは少しは減らせないか...そこで、「お母さんが仕事をしている間は、ゲームで失敗してもイライラして暴れたり暴言を吐かない」こともルールにしました。でもこれはなかなかうまくいかず、ルールとして頭に入っていても実際にゲームでイライラすると感情をおさえるのは難しいようでした。そのため、私が仕事をしている間はゲームではなく工作やマンガ本を読むなど、イライラしにくい活動で穏やかに過ごしてもらうようにしました。こうして『親が家で仕事をしている間の過ごし方ルール』を徹底したことで、日中の仕事が5割程度はかどるようになりました。お母さんに話しかけてはいけないことを寂しがっていたのはルールをつくってから1週間程度で、ルールが定着してしまえば、寂しがることは少なくなりました。中学生になると話しかけてくることもなくなり、逆に私が話しかけてもムシするくらいで寂しくなりましたが(笑)Upload By かなしろにゃんこ。子どもがヤンチャ期には在宅作業は頭の痛い問題です。私以外の家族に旅行に行ってもらって家で一人で作業をしたことや、ホテルを取って籠ったこともあります。でも今は新型コロナの外出自粛制限があるので、在宅でお仕事される親御さんはそうはいきませんし、本当に苦労されていることを思うと「頑張って乗り越えましょう!」と安易に言えない気持ちです。夜間仕事をして日中は子どもだけで遊ばせ親はグーグー寝ている...なんて日も、たまにはあっていいと思います。そういう生活でもそれがその家のスタイルならば誰も文句は言えません。それぞれの家庭の事情がありますよね。子どもと接する時間を計画的にずらすことで、親がリフレッシュしてほしいです。
2020年04月28日持ちものをなくしやすいリュウ太に先生がくれたアドバイスUpload By かなしろにゃんこ。ADHDと広汎性発達障害がある息子リュウ太は忘れものをしたり、ものをなくしたりということがとても頻繁にあったので、小学校のときは道具入れに少し工夫をしていました。リュウ太が小学校2年生のときまで、まだ発達障害であるとわかっていなかったのですが、リュウ太のなくしものの数や落ち着きのない態度を見た当時の担任の先生が、持ちもの管理の方法についてアドバイスしてくれたのです。Upload By かなしろにゃんこ。例えば、学校で一律に決められていた道具箱や収納袋。「リュウ太くんは違うものに変えましょう!」と提案してもらいました。Upload By かなしろにゃんこ。リュウ太が通っていた小学校では、教室の机の中に特別支援学校のお兄さんお姉さんが制作してくれた木製の引き出しを入れて使うルールがありましたが、整理整頓ができないリュウ太の引き出しの中はいつもごちゃごちゃ。先生は、「A4サイズの書類が入るプラスチックケースの底とフタを入れて、教科書とノートを分けやすいようにしましょう」とアイディアを出してくれました。A4ケースを使っても相変わらず中はごちゃごちゃでしたが...2箇所に仕切られているので少しは中身が見えやすくなり、またプラスチックで軽くて蓋も閉まるので、ケースごと持ち帰って家で整頓し、再び学校の机に戻すという管理の仕方ができるようになりました。今まで使っていた文具入れを大きめの入れものにかえることも先生が提案してくれました。みんなは巾着などに入れますが、「リュウ太くんは中にあるものが一目で確認できるかたちのものにしましょう。」との提案をもらい...Upload By かなしろにゃんこ。チャックで180度開閉できる文具入れにしました。さらにハサミやセロハンテープをなくさないように文具入れと紐で繋げました。紐で繋げたものは壊れるまでなくさずにいました。Upload By かなしろにゃんこ。「所有物の色をなるべく統一しましょう。」という提案も、リュウ太のなくしもの防止にとても役立ちました。"この色のモノは僕のモノ!"とわかるように、ネームテープの色を統一するようにして、目立つように蛍光色にしました。Upload By かなしろにゃんこ。ピンク、オレンジ、黄色。派手な色のものが落ちていたら自分のものだと思って拾うこと!と伝えました。目につくようになったことでペンや定規などもなくさなくなりましたが、自分のものではないペンや消しゴムも拾って所有するクセがつき筆箱はいつもパンパンです。「リュウ太の筆箱ブタすぎる~ゲラゲラ^^」とよく話題になっていました(笑)こんな工夫で小6までものの管理はなんとかなっていました。リュウ太のように手のかかる子の場合だけだと思うのですが、ときには決められた道具ではないものをつかっても良いのだと教えてもらったおかげで、普段から持ちもの管理の工夫ができるようになりました。アドバイスは家でも...Upload By かなしろにゃんこ。家の中で息子はハサミをよくなくしていました。何個買い直したかわかりません。私の仕事用のハサミまでも使い、もとに戻さずにいて、私が使いたいときにない!という問題が度々発生。ハサミやセロハンテープなど、私の文房具まで机周りの棚に紐で繋げて、なくさないように(なくされないように?)していました。息子のおかげ?怪我の功名か…紐でぶら下げるという管理方法はとても便利であるとわかり、今ではキッチン用具や文房具など、よく使うものはなんでも紐でブラブラです(笑)Upload By かなしろにゃんこ。先生の提案のおかげで、わが家の持ちもの管理もグッとラクに!学校で使う道具は指定のものがあることも多く、発達障害がある子にとって使いづらいこともありますよね。でも収納グッズなんかはみんなと少し違っても活動には支障がないので、子どもにとって使いやすい工夫を考えてみることも大切だなと学びました。柔軟な対応を先生から提案してもらえてとても助かりましたし、家でも工夫を取り入れられて勉強になりました。ちなみに、ブラブラ吊るすのが有効!と気づいてからは...上履きシューズバッグ、給食着袋、体操着袋などなど、持ちものは全部ドアノブに吊るしていました。忘れもの防止にとても役立ち、小学校生活もなんとか乗り切れたのでした。
2020年04月15日春になると思い出す、言葉にできない生きづらさを抱えていた幼なじみの存在3月になると、私はある大切な人の存在を思い出す。保育園から小学校、中学校で学び舎を共にした、幼なじみでもある3月生まれの友人だ。名前を仮に「T」とする。ADHD(注意欠如多動性障害)やASD(自閉症スペクトラム障害)のような傾向があったTと、後にADHD傾向のあるASDとの診断を受ける私は、共に「扱いにくい、変わり者の生徒」との対応を、多くの教師から受けており、理不尽に煙たがられていた。当時は言語にできなかった「生きづらさ」を抱え、それを共有できることも、Tと私の距離を縮めたのかもしれない。気をつけていても失敗が絶えないこと、場の空気に合わせた言動を選んだつもりなのに、自分が周囲から浮いていると感じられて苦しい、変人扱いされるのが悲しい、などとよく話していた。しかし、「発達障害」という概念さえ知らなかった、田舎に住まう30年前の女子中学生が、解決手段を見つけ出すことなどできようか。「どうしたらいいんだろうね…」とため息をつくばかりであったが、「自分の苦しみを理解してくれている人がいる」という事実は、私の心の支えとなっていた。中学校卒業間近になった頃、どんなタイミングであったかは忘れてしまったが、Tが「死にたいと思ったことはある?」と質問してきた。「あるよ。しょっちゅう。死にたいというか、自分をなかったことにしたいような」同級生からのいじめや、教師からの吊し上げも経験した私は、素直に答えた。すると、Tは安堵したような表情を浮かべた。「ああ、あるんだ。そうか」「そういうこと言うな!とか怒られそうだから言わないようにしてるけど」「同じだ。私も思っていたとしても黙ってた。でも、思っちゃうのは仕方ないよね」「うん、仕方ない仕方ない。思いたくなくても思っちゃうんだもん」自分の存在の重みなんて紙以下だと思っていたこの頃の私には、Tの質問を受けても深刻にならなかった、と申すべきか、「そうか、君もか」という、T同様、安堵に近い心理状態であった。もしかしたら、この時Tはすでに追い詰められていたのかもしれない。しかし、自分のことで精一杯だった私は気づくことができなかった。これも3月、彼女の誕生日を間近に控えた時であったと記憶している。「吐き出すことさえ許されないの⁉」――電話の向こうで泣きじゃくる幼なじみ。その時私は。その後、彼女は…卒業後、Tと私は別々の高校に進学。Tは卒業後、県外の専門学校に進み、私は高校を中途退学して働き始めた。その後、私が新潟を離れて生活するようになると、入れ違いのかたちでTが新潟に戻った。進学先で身心のバランスを崩したため、実家で療養、精神科などに通院するのだと教えてくれた。あらぬ誤解を避けたいので、彼女の診断名は伏せる。私は私で季節性のうつを発症し、やはり精神科に通っていた。ここに至るまでも、交流は続いていた。月に何度かの手紙の交換や電話、私が帰省した折や、彼女が私の暮らすまちまで出向いてくれた時に対面できる程度ではあったが、まだまだインターネットが普及していなかったという背景を考えると、頻繁だったように思える。家と病院の往復生活で人と会う機会が少なかったTと、やはりなかなか人とは会えない生活をしていた私は、双方が地元で暮らしていた頃以上に親密度を増していた。「死にたくなることがある」というようなことを吐き出すこともあったが、お互いに騒ぎ立てることはなく、お互いに話を聞き、最後にはいつでも笑いながら話を終わらせていた。ところがある日のTは、電話の向こうで泣きじゃくっている。そして、「死にたい、死にたい」と繰り返すのだ。一進一退を繰り返しつつも、希死念慮と戦っていることを、彼女は私に教えてくれた。当然私はTには生きていてほしい。でも、今以上に未熟だった20代の私は、かけるべき言葉を見つけられず、「落ち着け!まず落ち着け!」ばかりを繰り返していた気がする。「うん、うん」と、絞り出すように相づちを打ち、少し落ち着いてからTは、途切れ途切れになりつつも、私に訴えた。「私が“死にたい、消えてなくなりたい”、って言うと、“そんな悲しいことを言わないでほしい”って返ってくるんだけどさ…私だって、死にたいとか思わなくて済むようになりたいよ。誰かを悲しませることなんて言いたくないよ。でもそういう気持ちが浮かんでしまうし、黙っていると苦しくて…。でも、“そんな悲しいことを言わないでほしい”って言われたら、吐き出すことさえ許されないのか、ってますます苦しくなるし、死にたくなる…。どうしたらいいのか分からない、すべての感情をなくしてしまいたいよ…」苦しみを訴えるTに「そんな悲しいことを言わないで」と伝えた人は、彼女を大切に思い、共に生きていきたいからこそ、その言葉を選んだのだろう。しかしTは、吐き出す口を封じられたように感じられてしまったのだ。私だってTには生きていてほしい。でも、彼女の気持ちは否定したくない。私は「生きていてほしい。でも気持ちは分かるんだよ」というようなことを繰り返すしかできず、どういう過程で彼女が冷静さを取り戻したのか一切覚えていないのだが、「また連絡するね!」という元気なTの声を聞いて終話した直後、脱力した記憶がある。以後も彼女が泣きじゃくりながら、あるいは沈み切った声で電話をかけてくることはしばしばあったが、おおむね穏やかな交流は続いていた。そしてある日、「臨時収入が入ったし時間が取れそうだから、近々希望ちゃんのところに遊びに行っていい?」という申し出があった。当時の私は初めての結婚生活を送っていたのだが、配偶者もTとは面識があり、互いに友人と認識している関係であったため、夫婦揃って歓待の構えであった。「じゃあ、詳しい日程が決まったら連絡するね!」明るくはずんだ声だった。それなのに。数日後、私の携帯電話に、Tの番号から着信があった。こちらに来る日程が決まったのかとニヤニヤしながら受話した私の耳に響いたのは、彼女のご家族の声だった。死にたい気持ちに襲われ、言葉にしながらも、必死で生きる理由を模索していたTは、唐突に自らの生を終わりへと導いた。希死念慮を打ち明けることは「かまってちゃん」的行動なのか?少し前、とある著名人の言葉がSNSを駆け巡った。【「死にたい」という友人からのメールに、自分はこう返信した、「死にたいというのは、生きたい気持ちの裏返し。わざわざ周りにそんなことを訴えるのは、生きたい気持ちを確認しているだけ。だから君は絶対死なない」と】文面は変えてあるが、上記のような内容だった。正直、げんなりするくらいに見聞きしている言説である。この投稿は、「まさにその通りだ」という絶賛と共に拡散されたが、同時に「その言葉を本人に向けるのはいただけない」という批判も多く、たちまち炎上した。「死にたいというのは、生きたい気持ちの裏返し」というのは分かる。もう少し細かく言えば、「死にたいほどに現状が辛いが、この苦しみが和らぐのならば生きていたい」というのが私の知っている感覚だし、Tの一件から、「死にたいとわざわざ口にする人間に限って死なない」なんてことはないと痛感した。「死にたいと口にして、実際死を選んだ人はもうこの世にいないから、死にたいと口にして死を選んだ人がいない、もしくはごく少数に見えるだけ」というような意見をどこかで目にして、その通りだと私はうなずいたものだ。まさに「死人に口なし」、語るすべのない人の話は聞くことができない。そして私は、自分が生きてこられたのはたまたま、ほんのちょっとの偶然で「死ぬ」という選択をせずにいられただけだと思っている。だから私も、先述の投稿には首をかしげざるを得なかった。話は変わるが、Tの逝去から数年後に、私は2度目の結婚生活をスタートさせ、夫からのDVを受ける羽目に陥った。DVを受けているという自覚がないため周囲に助けを求めることができず自責を繰り返し、身心共に衰弱。通勤途中や帰路、無意識のうちに駅の線路へと身を投げようとして、見知らぬ方々に羽交い絞めにされて正気に戻る、ということが日常と化した。さすがにまずい、どうするべきかと友人に相談したところ、戻ってきたのは「そうやって死を掲げて同情を引こうとするのはやめろ」という言葉だった。今なら分かる。詳しい事情も知らされずに「無意識の自殺未遂が日常化していて…」などと相談されたら困惑するだろう、無理もない。しかし当時の私には相手の気持ちを慮る余裕がなく、「私は苦しみを吐き出すことも許されない人間なのか」とさらにふさぎ込み、亡きTへと思いを馳せていた。さて、このような行為は「かまってちゃんの困った大げさ行動」のように捉えられがちだが、果たしてすべてそうだと判断しても良いのだろうか。精神科医の松本俊彦氏は、自傷について下記の見解を記している。自傷ほど誤解されることの多い行動もありません。大人たちはともすれば、「甘えている」、「弱い」、「人の気を惹こうとしている」と捉えがちですが、それは違います。じつは自傷の多くは、怒りや不安、絶望感といったつらい感情をやわらげるために行われます。自傷を繰り返す子どもの96パーセントは、ひとりきりの状況で自傷におよび、そのことを誰にも告げないこともわかっています。つまり、自傷とは、周囲の関心を惹くのとは正反対で、むしろ困難な状況において独力で生き延びるための行動なのです。なぜ彼らは人に助けを求めないのでしょうか?おそらくその子の周囲には、「この人ならば信頼できる」と感じることができる大人がいないか、あるいは、その子が自分のことを「価値がない存在、生まれてこないほうがよかった人間」と考えていて、「こんな自分のために忙しい大人の手を煩わせてはいけない」と考えているのでしょう。もしかすると、かつて勇気を出して大人に助けを求めたものの、「つらい状況は何も解決しなかった」、「もっとひどい目にあった」という体験をしている可能性もあります。「「誕生学」でいのちの大切さがわかる?」『各分野の専門家が伝える 子どもを守るために知っておきたいこと』(松本俊彦、姜昌功、ほか/星海社新書)P149よりタイトル通り、子どもを守るためのアドバイスがつづられた本なので、「子ども」を苦しみの渦中にいる人、「大人」を苦しみを打ち明けられた人に置き換えて読んでほしい。Tも私も自傷の経験はないが、【勇気を出して助けを求めたものの、つらい状況は何も解決しなかった】体験があり、自殺未遂を繰り返した末に彼女は自らの生涯にピリオドを打ち、私はどうにか生き永らえた。そして「死にたい」と口にする心理についても説明がなされていた。「死ぬ」、「死にたい」と言った場合はどうでしょうか。口にしてはいけないと禁止すべきでしょうか?まさか。そもそも、心の中が100パーセント、「死にたい」気持ちで埋め尽くされていたならば、わざわざ誰かに伝えたりせずに黙って行動に移します。言い換えれば、誰かに「死にたい」と告げるのは、「死にたいくらいつらいけど、もしもそのつらさが少しでもやわらぐのであれば、本当は生きたい」という気持ちがあるからです。だから私たちは、その発言を子どもからのSOSとして捉えなければなりません。「「誕生学」でいのちの大切さがわかる?」『各分野の専門家が伝える 子どもを守るために知っておきたいこと』(松本俊彦、姜昌功、ほか/星海社新書)P155よりを奮う夫から逃げての帰郷後、私は【死にたいくらいつらいけど、もしもそのつらさが少しでもやわらぐのであれば、本当は生きたい】という自分の気持ちと向き合う体験をすることになる。PTSD様の症状から、精神科での治療を始めたばかりの頃、「つらい思いが浮かんだら、それを紙に書く」というワークを、当時の主治医から勧められた。「死にたい」「消えてなくなりたい」などと頭に浮かんだら、そのまま紙に書く。誰かに読ませることなど意識せず、考えず、ひたすら書く。しばらく続けていたところ、いつの間にか「生きたい」「生きたい」「生きたい」と、嗚咽しながら、自分ですら読めないような文字で書きなぐっている自分がいたのだ。「死にたい」「消えてなくなりたい」と思うたび、本当は生きたい自分がいることに気づかされた。何度も何度も、繰り返し。(※上記は個人の体験であり、誰にでも有用かつ無害なワークであると保証するものではありません。お試しになる場合、精神科医や臨床心理士など、身近な医療従事者にご相談ください)私はこの体験によって【死にたいくらいつらいけど、もしもそのつらさが少しでもやわらぐのであれば、本当は生きたい】という心の奥底にある思いを知ることができた。しかし、「死にたいというのは、生きたい気持ちの裏返し。わざわざ周りにそんなことを訴えるのは、生きたい気持ちを確認しているだけ。だから君は絶対死なない」と第三者に言われたら、受け入れることができただろうか?おそらく、無意識での自殺未遂を繰り返していたあの頃のように、泣きじゃくりながら私に電話をくれたTのように「私は苦しみを吐き出すことも許されない人間なのか」とふさぎ込んでいたように思える。「生きたくても生きられない誰か」の存在で、命の大切さを感じられるのか?「死にたいほどに苦しんでいる私」は、生きる希望を見出せるのか?では、「死にたい」と打ち明けてきた人にはどう返答・対処するべきなのか。信頼できる大人は、大人にとって不都合な言動を単純に禁止しません。きれいごとを言い聞かせもしません。大事なのは、子どもの言動の原因です。「死ね」でも「死ぬ」、「死にたい」でも、「もしも話せそうなら教えてほしいのだけれど」という謙虚な言葉で、言動の背景にある問題を探り、できればその問題の解決に向かって子どもと一緒に考えることが必要でしょう。もちろん、問題の解決は容易ではないかもしれません。しかし、大切なのは、「死ね」や「死ぬ」といった言葉に耳を傾けてくれる大人との関わりの積み重ねです。そうすれば、たとえ「いのち」の意味はわからなくても、自分や他人を大切にすることを自然に学んでいくはずです。「「誕生学」でいのちの大切さがわかる?」『各分野の専門家が伝える 子どもを守るために知っておきたいこと』(松本俊彦、姜昌功、ほか/星海社新書)P155よりこちらの質問に対して、あるいは患者から自発的に「死にたい」という言葉が出てきた場合、訴えを軽視しないで真剣に向き合い、そして支援を約束する姿勢が伝わるようことが大切である。(中略)安易な励ましをしたり、やみくもな前進は唱えたりするべきではない。「残された人はどうするのだ」、「家族の身にもなってみろ」、「死んではいけない」という叱責や批判、あるいは強引な説得も好ましいものではない。「自殺はいけない」と決めつけられた時点で、患者はもはや正直に自殺念慮を語ることができなくなる。そうなった場合、援助者は自殺のリスク評価が困難となり、再企図を防ぐことはおぼつかなくなるであろう。『もしも「死にたい」と言われたら 自殺リスクの評価と対応』(松本俊彦/中外医学社)P44-45より過去を振り返って思う。「死にたい」という言葉を繰り返していた頃の私は、確かに生きたい気持ちがあったのだろう。しかし、「死にたい」と語ること、思うことを否定されるたびに、死にたいほどに苦しんでいる気持ちや、ともすれば自分の存在さえ否定されているように感じられていたものだ。「死にたいほどにつらい、この苦しみから逃れたい、でもどうすればいいのか分からない」と言語にする余裕がないゆえの「死にたい」だった、私の場合は。そして、その言葉を封じられた私は、助けを求める術を見失った。中学生だった私はある日、ぼんやりとテレビを眺めていた。誰が出演していた、どんな番組であったかは完全に失念している。ただ、「自殺を食い止めたい」「命を大切にしてほしい」というような話の流れで、「生きたくても生きられない人だっているのに、自ら死を選ぶなんてもったいない」と、誰かが明るく、したり顔にも見えるような表情でコメントしていたことはしっかり覚えている。(生きたくても生きられない誰かと、死にたいほどに追い詰められている私の苦しみは別物なんだから)うんざりして、私はテレビの電源を切った。(生きたくても生きられない人だっているのに、って言われてもね。あげられるならその人に命をあげて、最初からいなかったことにしてほしいよ、私なんて)「死にたい」と願うほどのつらさを解決できないままに命の大切さを語られたところで、心に響くわけがないのだ。もしわが子が苦しみを吐露する日が来たら――「死にたい」と繰り返しながら生き永らえた私が心に誓うことところで私は料理が好きだ。自炊の経験はそこそこ長いので、自分好みの料理をつくることは、経験則により容易にできる。しかし他者に向けたものとなると話は別だ。10年一緒に暮らしている息子の好みでさえ、私は完全に把握できていない。彼があまり好まなかった料理について、「どういうところが苦手だった?」と聞くようにしているが、はっきり答えてもらえることもあれば、「うーん、うまく言葉にできない」という返答を受けることもある。そこで私は「美味しいと喜んだ料理」と「苦手だった料理」の要素を洗い出すべく、息子自身の言葉が聞けたらそれと共にメモするようにしている。それを元に、本人が「苦手な料理」と思っているものから、可能な限り苦手な要素を取り除いたり、好む要素を加えることで、「美味しい!」と喜んでもらえることもあると知った(息子には感覚過敏もあるため、どうしたって食べてもらえないもの、食べられないものもある、念のため)。細々とメモをして分析したのは、私が好んで選んだ行動ゆえ、ほかの方にお勧めしたいわけではない。しかし、「こういう考え方や行動をしないなんて(あるいは「するなんて」)もったいない!」と、相手の選択や主張をとがめるよりも、一旦受け入れ、選択や主張の背景を洗い出してから対応する方が、打開策を見つけ出す近道になるのではないかと、私が感じられる要因の一つになった。もちろん食事の苦手と希死念慮は全く別の話であるし、同じようにできるとは言い切れないことは、私だって知っている。それでもふと考える、Tも、私も、「死にたい」という言葉の背景に何があるのかを見つめ、問題を洗い出すことができたらどうなっていたのだろうかと。いくら考えたところで、3月生まれの彼女が、5月生まれの私の齢に追いつくことはもうないというのに。だからというわけではないが、これから成長するに連れて様々な問題に直面し、悩みを抱える可能性のある息子の言葉や行動を見つめ、苦しみの背景を探る手助けができたら、と思っている。私にできるのはそれぐらいだ。
2020年04月13日3種類のゲームで学習『みんなの怒りスイッチをさがせ!ゲームで身につくアンガーマネジメント』学校や日常生活の中で人と関わる場面を取り扱った60枚の『怒りのできごとカード』を使った、『怒りの温度当てゲーム』『3重丸ゲーム』『こんなときどうする?ゲーム』の3種類のゲームで遊びながらアンガーマネジメントの方法について学習していくことができます。『怒りの温度計カード』、そのできごとを自分が許せるどうかを視覚化する『3重丸シート』、『こんなときどうする?箱』など、場面にあった自分や他人の怒りを具体的に分析できるツールも用意されています。自分の怒りの度合いに気づくこと、人との感じ方の違いに気づくこと、そして怒りを感じる場面でどうしたらいいのかを考えることと、アンガーマネジメントを身につけるために必要な要素を総合的に学べる教材です。シングルマザーの著者の実体験を綴った『うちの子、へん?発達障害・知的障害の子と生きる』シングルマザーの著者、知的障害がある息子「ぽんちゃん」、ぽんちゃんの姉のみいちゃんの3人の家族のエピソードが漫画で描かれています。ぽんちゃんに障害があると知り母は絶望しますが、それでも持ち前の愛嬌で言葉がなくても誰とでもすぐに仲良くなりみんなに愛されるぽんちゃんを見て前向きに過ごしていきます。そしてそんな母やぽんちゃんを見て育つ、お世話好きな姉みいちゃんの頼もしい様子にも心がほっこりして、読んでいて元気が湧いてきます。間に挟まるコラム部分では、障害児を育てるにあたって知っておきたいことが解説され、また巻末には日常生活で活用できる絵カード『準備カード・きもちカード』もついていて、ぽんちゃんと家族の前向きな日々に触れながら、ご自身の子どもとの関わりにも役立てられる一冊です。女性ならではの困りごとを具体的に解説『こころのクスリBOOKS よくわかる女性のADHD 注意欠如・多動症』遅刻や忘れもの、うっかりミス、衝動買いなど、ADHDのある人の困りごとについて取り上げ、中でも女性ならではの困りごとに焦点をあてて解決方法を紹介する書籍です。仕事や家事で使えるライフハック術の提案や忘れもの防止策から、『いい恋愛をするために』『夫との関係を平和に保つには』『子育てが苦手と感じたら』など女性の視点にたってピックアップされた困りごとまでを取り扱っています。例えば『時間の管理』に関する困りごとは、『専業主婦で子どもがいない場合』『子ども0歳代の育休中の場合』などライフスタイルごとに生活の枠組みを提案するなど、女性の生活に寄り添いながらより実現可能な対策を考えられるよう工夫されているので、いろいろなライフハック術をうまく機能させられないという方にも手にとっていただきたい書籍です。イラストつきで関わり方のポイントがわかりやすい『保育園・幼稚園のちょっと気になる子』保育園・幼稚園にいる『ちょっと気になる子』――みんなが過ごしやすくなるための「目で見て分かる支援」や「分かりやすい話し方」など、関わり方の工夫が解説されています。「こんなときどうすればいい?」の章では、園生活の中での外遊び、自由遊び、登園渋りなど、さまざま場面での"ちょっと気になる"行動が取り上げられており、保育者も保護者も子どもの行動について考えるヒントを得られそう。たくさんの工夫、関わり方のポイントが詰まったこの本では、子どもの過ごす場所は成長とともに変わっていくことを踏まえて、園生活だけでなく就学後の生活の見通しについても触れられています。子どもが安心して過ごせるための丁寧な関わりをこの本を通して考えたいですね。子育て×科学!?『科学的に考える子育て エビデンスに基づく10の真実』子育てに関する疑問に対して、科学的な視点から回答しているこの本、目次に並ぶ10の真実も『結局、「叱る」は大人の負け』『ほめるのはタダだが、技術が必要』『「学校は社会の縮図」ではない』など気になるものばかりです。科学的なエビデンスのある内容が記載されているので、例えば「ほめる」という行動についても、どのようなほめ方が・なぜ良いのか・ほめることが持つ機能とは...など解説が非常に具体的で読んでいて納得感があります。"科学"というと難しいように感じますが、イラストも交えたシンプルで分かりやすい説明で、サクサク読み進めることができますよ。苦しんだ子ども時代から、話せるようになったあとの苦労までーー『かんもくの声』家では元気でよく話すのに、学校では話せない――そんな子ども時代を経て27歳になった著者は、インターネットで偶然『場面緘黙症』という言葉に出会い、「この悩みは世界で自分だけのものではなかった」と大きな衝撃を受けたそう。そこから場面緘黙症について調べ、同じ経験をしている人たちと出会い、人生を通して場面緘黙について考えていきます。話せないことで苦しんでいた子ども時代だけではなく、話せるようになったあとの苦労についても書かれており、場面緘黙が「治る」とはどういうことかについても著者の考えが綴られています。話せる・話せないという表出している状態のみではなく、内面的な部分も含めて知ることができる書籍です。
2020年03月31日"まわりはみんな敵!"だったリュウ太が、初めて気をつかえた相手はUpload By かなしろにゃんこ。ADHDと広汎性発達障害がある息子リュウ太は学校など大勢がいる場所では、お調子者に振舞ったり強がる傾向にある子どもでした。ん?21歳になった今もかな…?でもなぜか女の子の前では態度が一変して、調子のいいしゃべりも強がる振舞いも控え目になることが分かるエピソードがありました。小学校1年生のとき。リュウ太は保育園から同級生の女の子Sちゃんとよく遊んでいました。Sちゃんはいつもリュウ太に優しくしてくれていました。当時のリュウ太にとって同年代のお友だちは全員ライバルのようで、どの子とも敵対しながら遊ぶような仲でした。特に休日などに男の子数人で集まって遊ぶと、遊びのルールのことで意見が分かれて言い争いになり、すぐ解散してしまいます。遊べて1時間?くらいでしょうか~…短かっ!結局家の中で一人で遊んだほうが気楽で楽しいとなり、午後は一人で過ごすことが多かったのです。しかしSちゃんと遊ぶブームが来てから、リュウ太の気持ちに少しだけ変化が起きました!Upload By かなしろにゃんこ。自分に優しくしてくれる子に不思議な気持ちを抱いたのかもしれません。「Sちゃんは優しい」と言って、その子を気に入っていました。"優しくしてくれる"といっても、普通に話してくれて「リュウ太は?何して遊ぶのがいいの?」と落ち着いて質問をしてくれるだけなのですが、当時は「周りはみんな敵だ!」と思い込んでいた時期ですから、Sちゃんの何気ない気づかいに感動し、心を開くことができたのでしょう。さらにリュウ太は父親から「お母さんを含む女の人や女の子には優しくしなさい」と教えられていましたから、「ボクもSちゃんに優しくしないとな!」と気をつかうことを覚えたようでした。Upload By かなしろにゃんこ。21歳になった息子に「あのときSちゃんと遊んでどう思っていたの?」と聞いたら、周りが敵だらけの世界で生きている自分を労わってくれているように感じていたそうです。「男子同士のときみたいに乱暴なことも下品なことも言えないし、恐がらせないようにしたほうがいいんだろうな~と思ってた。もしかしたらはじめて相手のことを考えて遊んだかも!そんな記憶がある」とも言います。Upload By かなしろにゃんこ。保育園時代は気に入らないことがあるとオモチャを投げたりして暴れていた息子。小学生になってからも男の子同士ケンカのトラブルもありました。この子は人とうまく遊べないのかもしれない...と思い込んでいたので、女の子相手のときだけ気をつかって遊んでいる姿を見て、小学生にして尻に敷かれているような感じでおかしかったのを思い出します。ふたりでどんな遊びをしていたかというと...気づかいの特訓ができたのは...彼氏ごっこ!?Upload By かなしろにゃんこ。Sちゃんをお家まで送ってあげる彼氏ごっこです。なんじゃそりゃ⁉って遊びです(笑)Sちゃんと遊んだ後は必ず「Sちゃんを家まで送るように!」とリュウ太に言っていました。リュウ太がSちゃんを送っていくと、Sちゃんは「リュウ太の家に忘れものしちゃった」と言って引き返してきます。わが家まで戻ってきて「あ、忘れものしてなかった」と言って再び家に帰ろうとするので、再度リュウ太が「送るね」と言ってSちゃんを送る...ということがあり、それが遊びに発展。Sちゃんと遊ぶときは4回くらい『送る→戻ってくる→送る』をくり返すようになったのでした。Sちゃんは送られることで女の子扱いされることにハマってしまっているのかも?と当時は微笑ましく見守っていました。(笑)何度もくり返すことでリュウ太はへトへトになっている様子もあり、内心面倒に感じていたかもしれません。それでもイライラしたり勝手に帰ったりはせず、Sちゃんが「帰るね」と言うと「送るね」と断らない男でした。息子の意外と男らしい面に、素晴らしいじゃないの~と思ったのでした。あの頃のSちゃんとの遊びがあったからUpload By かなしろにゃんこ。そんな奇妙な遊びが数日続き、お互いに飽きたのかその後はあまり遊ばなくなってしまいましたが、優しくしてくれる子にはリュウ太も優しくできるのだと知って母は嬉しかったのでした。周りからは乱暴なイメージがあるリュウ太でしたが、Sちゃんだけはリュウ太の優しい一面を見てくれていて遊んでくれたのかな?と今は思います。人間関係の構築が難しい子どもだったリュウ太、大人になった今も相手の出方を見てから自分がどう接するか決めるそう。「相手が自分に友好的な人だったら、身構えないし最初から笑って話せるんだ」といいます。万人と最初から仲良く...は難しくても、優しくしてくれる相手とは自分も笑顔で関係を築いていくことができる。そんなふうに人との関わりに少しだけ自信がついたのも、Sちゃんと遊んだ日々のおかげかもしれません。リュウ太に女の子との接し方や、何より"気づかいの大切さ"を学ばせてくれたSちゃん、ありがとう!と思うのでした。
2020年03月09日「自分が障害者だって、自分で明かしてはいけないの⁉」――息子の不服げな表情を見て改めて考えた、「障害」という言葉のイメージについて小学4年生の息子が、ある日「腑に落ちぬ」と言わんばかりの表情で帰宅した。彼はADHD(注意欠如多動性障害)傾向もあるASD(自閉症スペクトラム障害)当事者。約1年半の不登校生活を経て復学、最近また休みがちではあるものの、通常学級に籍を置きながら特別支援学級を利用しており、次年度からは特別支援学級への転籍が決まっている。発達障害は「見えない障害」とも言われており、息子や私も、ぱっと見では障害を抱えているとは分かりにくいだろう。そんな息子が4年生になってから、特別支援学級を利用し始めた――通常学級のクラスメイトたちからしたら、不思議だったに違いない。なぜなのかと彼らから理由を聞かれた息子は、「発達障害があって、感覚過敏などがあるから」というようなことを伝えたのだという。すると、「障害者とか、そういうことを言ってはいけないんだよ!」とたしなめられたのだそうだ。息子にしてみれば「質問に対して誠実に答えただけで、なぜ叱られるのだ」という気持ちになるのは当然だ。「誰かの秘密を勝手にしゃべったわけでもないのに…」などと、ブツブツひとりごちていた。「障害って、悪いことだとか隠すべきこと、みたいなイメージがあるからなあ」隠さざるを得ない事情や場面があることを重々知りつつ、私は息子へと言葉を投げかけた。「本当はそんなことないんだけどね」すぐにそう付け加えて。前回も書いたように、「障害」とは「人と社会の間に生じたずれ」だと思っているし、近年はそうした考え方も広がりつつあるが、まだまだ障害という言葉に対するイメージはよろしくない。「障碍」や「障がい」の表記や別の呼称を使おうと行政などが推し進めたところで、本質的なところは何も変わっていないというのが当事者としての印象であるし、「障害」という言葉、あるいは診断名が、揶揄の言葉として使われているのが現実だ。(今ふと思ったのだが、件のクラスメイトたちは「障害などの言葉で人を罵るのはいけないことである」というご指導を、親御さんから受けたのかもしれない。それが頭の中で「障害と言ってはいけない」へと変化した可能性がある)私は学童期にてんかんを発症しているため、「障害者」というラベルを手にしてからの生活はそこそこに長い。本当は良くないのだが、自分が受ける差別にはある程度慣れっこで、障害名で揶揄されたところで「はいはいそうですよ」と聞き流すことができる。最近は「障害という言葉や診断名が揶揄に使われ続けたら、誤ったイメージは広がる一方だな」と考え、冗談さながらの軽口であっても、「その言葉を聞き流すことを、私はやめることにした」とお伝えしているのだが、とにかく、傷つくことはほとんどない。しかし、自分ではない相手にそうした言葉が向けられているのを見聞きすると、なぜだか落ち着いてはいられない。ADHD性による衝動を用いて発言なさった方のもとに駆けつけ、直後にASD性を発動、「発達障害という概念やアスペルガーとも呼ばれている自閉症スペクトラム障害についての簡単な説明と、“頭が悪い”ということについてのあなたの定義を伺ったのち、障害と頭の良し悪しは必ずしも関係しないこと、そして“真に頭の悪い人など存在しないのでは”と私が思うその理由を説明させていただけないだろうか」などと申し上げたい気持ちになるが、そんなことをすれば本末転倒、障害のイメージ悪化に拍車をかけてしまうこと請け合いだ。そのうえ私は気が弱い。そんな大それた行動を起こせるわけがない。歯がゆさを抑えられないまま、「どうしたもんかね……」とうなだれるぐらいしかできないのである。支援に必要な情報である障害を容易に明かせない現状について、「障害」というラベルを長年持ち続けている私が思うこと前項に書いたように、私にとっての障害名は、自分について説明を要する際に使うラベルやカードのひとつであるという認識だ。「努力や我慢では克服できないレベルの苦手がある、ただし、こうした方法なら可能だ」と説明するためのものであり、もちろん診断名を出さない方が話が早そうなときはそうするが、障害を明かすことに抵抗はない。そして私は、「我々はどうやら発達障害というものの当事者であるらしい」と息子には早いうちに告げており、息子も息子で「なるほど。早めに分かっていれば、有事の折に対応もしやすかろう」とばかりにあっさり受け入れていた。「ゲームは夢中になり過ぎて時間を忘れがちだから、アラームをセットしよう」と自ら対策を講じたり、「自分は感情をその場で認識できないことがあるが、あとから友達に気持ちを伝えるにはどうしたらいいのだろう?」と私に聞くなどはするが、普段は自分が発達障害の当事者であることを、さして意識していないように見える。それは私も同様で、こうしたコラムを書くときや、発達障害についての情報に触れるときなどは発達障害当事者であることを意識するが、平時は「自分の一要素」に過ぎず、見えてはいるが注視はしない。しかし、ネットなどでは「子どもへの障害告知は慎重に。本人のアイデンティティーを揺るがしかねないデリケートな問題です」「障害という単語にショックを受けてしまうケースも考えられます」などと書かれており、私はのけぞった。「本人のアイデンティティーを揺るがしかねないデリケートな」障害告知を、「晩ごはんはカレーだよ」ぐらいの軽いノリで済ませてしまったからだ(もちろん、どのような行動特性が該当するかなども説明はしたが)。当時の私が発達障害を抱える方々の現実について、全くの無知であったからこその行動である。物分かりが良く、自ら質問してくれる息子であったことや、障害をネガティブなものと捉えずにいられる環境があったからうまくいっただけ。分かっている。とはいえ何かが引っかかる。『各分野の専門家が伝える 子どもを守るために知っておきたいこと』の中で、児童精神科医・臨床心理士の姜昌勲氏が下記のように書いていらした。発達障害は、「治療しなければいけない障害」ではなくて、「支援するために必要な病名」であるとともに、「かけがえのないその子の個性」でもあるのですから。「発達障害はニセの病名?」『各分野の専門家が伝える 子どもを守るために知っておきたいこと』(宋 美玄、姜昌功、ほか/星海社新書)P92より「支援するために必要な」情報を聞いた子どもがショックを受けたり、明かした人から不当な扱いを受けたり、ネガティブなイメージを抱かれるのはやっぱりおかしい。「実は発達障害で」「ふーん、そうなんだね」でいいじゃないか。もちろん私は「発達障害の当事者は誰もが、その事実を明かすべきだ」とは思わないし、「実は自分も発達障害で」とこっそり打ち明けてくれた方の話を他人に話す気にもなれない。それは、今の自分が、発達障害に関しては、明かしても差別される機会の少ない環境に身を置いているだけだと自覚しており、かつてはてんかんで「隠しても地獄、明かしても地獄」を体験しているからだ。だからこそ、悔しくてたまらないし、憤りさえも感じている。必要な情報を、誰もが気軽に明かせない現状に。「障害はその人が持つ事実ではあるが、人格そのものではない」と思う私に向けられた、友人からの嬉しい言葉Upload By 鈴木希望ところで私は、かばんにいつもヘルプマーク(外見では分かりにくい疾病や障害のある人が、配慮を必要としていることを知らせるためのピクトグラム)を付けている。私が住む新潟県でも配布されてはいるが、まだまだ認知度が低い印象がある。あるとき、私のヘルプマークを見た友人が、「これは何?」と尋ねてきた。彼女は帰郷してから知り合った人で、発達障害つながりではない。子ども同士が仲良しだったことからつながった、いわゆるママ友だ。私がヘルプマークの概要を簡単に説明して、「私はてんかん発作を起こしたり、発達障害からくる感覚過敏があって、パニック発作を起こす可能性があるんだ。だからそうしたときに適切な対応をお願いできるように、このマークを付けているんだ」と話した。すると彼女は「そうなのかー。てんかんのことも発達障害のことも私はよく分からないけど、手伝えることがあったら教えてね!」と微笑んでくれたのだ。(そう…!これ!これなんだよ!こういう対応が嬉しいの…!)感激屋の私はむせび泣きそうになるのをぐっとこらえて、「うん、ありがとう!お願いするね!」と返した。差別されたくないのはもちろんのこと、同情が欲しいわけでも、特別扱いされたいわけでもない。いつでも誰に対しても助けを乞うつもりはないし、自分ができる範囲内なら、ほかの誰かが困っているときにはサポートだってしたい――私が知る限りではあるが、多くの障害当事者はそう願っている。障害を感じにくい人たちもそうであるように、障害当事者にも純粋な人もいれば卑劣な人もいる。障害を理由に差別されていることを逆手に取ってひらりとかわす、狡猾でありながらもどこかキュートな友人の話もいずれ紹介したいが、それは一旦横に置く。とにかく「障害」というのはその人に関する事実ではあるが、人格そのものではない。「実は発達障害で」「ふーん、そうなんだね」ぐらいの扱いになってほしいと願うのは、傲慢なのだろうか。重要なのはラベルではなく中身。「障害」という言葉のイメージを変えたい私が考えた、あえての遠回りさて、息子の話に戻る。「障害って言ってはいけないのなら、これからどういう風に説明したらいいんだろう…というか、障害は悪いことじゃないんでしょ?なのに…」まだ「解せぬ。世の誤ったイメージのためになぜ自分が厄介なことを考えなくてはならぬのだ」という思いがにじみ出る表情の息子に、私は代替案を伝えた。「最初に障害って言葉を言わないでさ」「え⁉言ってることが矛盾してる!!」「分かってるよ。でも、誤解されるなら最初は避けた方がいいんじゃない?で、今回は特別支援学級を利用している理由を伝えたいわけだよね。だから、例えば“チョークで黒板に書く音で耳が痛くなったり、たくさんの人のひそひそ声で先生の話に注意を向けにくくなって、授業を受けることに障害を感じてしまうから”とか、困っていることの具体的な内容と、“障害というのは、困っていることという意味なんだ”と受け止めやすい言葉で伝えたらいいんじゃないかなあ?」幸い、クラスメイトたちは息子の特性を、なんとなくかもしれないが理解してくれているようなので、これで十分に伝わるだろう。「そのときになったら、そんな説明できるかな…」「じゃあ、“通常学級で授業を受けていると、困ったこと、障害がいろいろ出てくる”とかはどう?そこで質問してもらえたら具体的に言えばいいし、ふーんで終わればそれはそれでいいと私は思うが、どうかな?でも、障害っていう言葉を使う必要はないかなと私は思うよ。伝えたいのは障害の中身であって、障害という単語じゃないんだから」私の提案を受け、息子はまだ納得できていない様子だったが、少し考えてから「そうか…そういうことが障害なんだって後から分かってもらえたらいいのかもな…」と、誰に向けるでもなく、つぶやいていた。「障害」という言葉に付きまとう悪いイメージをなくしたい私が「障害」という言葉を避けるような表現を選ぶのは、息子が申すように矛盾も甚だしく、本末転倒とも言える。しかし、障害を明かさなければならない場面において重要なのは、「障害」というラベル以上に、「なぜそうしたラベルを持たざるを得ないのか」という理由、ラベルを示す人それぞれの困難の詳細についてというケースが多いように私は感じている。ならばそちらを優先させて、追々「障害」という言葉との紐づけを行う方が、遠回りのようだが、実は効率良くイメージの変化へとつなげられる道なのではなかろうか。その前に、発達障害については誤解をなくすことや、地域による情報格差など、片づけるべきさまざまな問題があるのだが…。「障害」という言葉のイメージが変わり、障害のある人たちへの偏見がなくなることに従って、人と社会の間のずれも消えていき、あらゆる人が助けを求めやすい世の中になる――なんて、現状では夢物語だ。しかし、そのような未来が訪れることを、私は願っている。そのためにも私はもっともっと学びたいと思っているし、感覚のアップデートも忘れたくない。
2020年03月08日アメリカで生まれた『パンツマンたんじょうのひみつ』という本があります。全米でシリーズ5,000万部を突破したメガヒット児童文学で、『スーパーヒーロー・パンツマン』というタイトルで映画化もされました。子どもたちに熱狂的に受け入れられ、世界20言語に翻訳され、シリーズの続編も数多く出ています。イギリスで生まれた『トム・ゲイツ──トホホな毎日』という本もあります。こちらはイギリスの児童文学賞であるロアルド・ダール賞をはじめとするさまざまな賞を受けており、日本国内のインターナショナルスクールの子どもたちが選ぶ児童書としても大賞を取りました。世界41言語で翻訳出版されている世界的ベストセラーシリーズで、子どもたちが続編を常に待っているような作品です。本好きな子はもちろん、本嫌いな子どもにも愛される作品群さて、この2つの大人気シリーズの共通点は何でしょう。まず、どちらも小学生の男の子が主人公で、イラストがふんだんに入っていて、ユーモラスなストーリーが特徴的です。本を読むのが苦手な子どもも「パンツマンだけは好き!」「トム・ゲイツなら読める!」と言うことで定評があります。どちらも対象年齢は小学校中学年ぐらいですが、本が好きな子どもたちはもっと早くに手をのばすことでも知られています。我が家の上の子は、8歳のときにイギリスに来ましたから、来たばかりの頃は英語の読みがほかの子どもよりも遅れていました。ところが『パンツマンたんじょうのひみつ』は手渡されるなり夢中になって読み始め、ものすごい勢いでシリーズを読破したのです。日本語での読書から英語での読書への橋渡しとなった物語として、私にとっても思い出の深い作品です。決して堅苦しい本ではありません。わははと笑いながらページをめくるような本です。ですから、特に『パンツマン』発売当初は「馬鹿馬鹿しい」と評価が分かれたりしました。それでも子どもたちの圧倒的な支持を得て世界的ベストセラーになったのです。成績向上・心の健康にも! 「本好き」のメリット人によっては評価が分かれるような本をなぜわざわざご紹介するのかと、不思議に思われるかもしれませんね。これについては、映画にもなった人気作『ヒックとドラゴン』の著者、クレシッダ・コーウェルが新聞記事の中で見事に説明をしてくれています。小さな子どもにとって、読書を楽しむことは、さまざまなメリットがあるのです。勉強との結びつきはすぐに思いつきますね。実際に読書を「楽しんで」いる子どもの「楽しみ」と成績の関係については多くの研究があります。また最近では、読書を「楽しいと感じている」ことと、メンタルヘルスの関係も指摘されています。本を読むことの喜びを知ることは、学力向上につながるだけでなく、心を守ることにも一役買ってくれるのですね。だからこそ、コーウェルは「本を読みたがらない子どもを念頭に置いて物語を書いている」と語っています。「良い本と出会う」のと同じくらい、「楽しめる本に出会う」ことも大切なのです。学習障害を持つ作者による、全ての子どもに贈る本さて、テレビやゲーム、インターネットの動画など、さまざまな競争相手をおしのけて子どもたちに選ばれるこの2作品。じつはもうひとつ、聞かされてみると、「なるほど」と納得する共通点があります。じつは、『パンツマン』も『トム・ゲイツ』も学習障害を持つ著者によって書かれた作品なのです。『パンツマン』シリーズの作者であるデイヴ・ピルキーは、ディスレクシアとADHDを両方持っています。そんな彼は、小学生のころ、しょっちゅう教室から出されていたのだとか。手に負えない行動をとるので、先生が廊下に出したのです。そこで漫画を描いていた彼に、ひとりの教師は「こんな馬鹿な本ばかり書いて一生暮らしていくわけにいかないでしょう」と言ったといいます。「幸い、僕は人の言うことを聞かない子どもだったのです」とデイブ・ピルキーはのちに語っています。まさに、そういった本ばかりを書いて生活できるようになったわけなので、その先生は間違っていたわけですね。「あんなに問題児だった僕が、たくさん本を出せるんだから、どんな子どもにだって希望はあるんだ」と彼は話します。子どもを引きつけて離さないしかけの秘密『トム・ゲイツ』を書いたリズ・ピーションもまた、ディスレクシアの作家です。子どもの頃の自分の読解力はほかの子たちより1年ほど遅れていたように思う、とどこかで話していましたが、それだけではなく、ピーションはディスレクシアの子どもを持つ母親でもあります。自分が子ども時代に「パッと見てすぐにわかる」物語が好きだったこと。同じくディスレクシアを持つ自分の子どもが、イラストのふんだんに入った『パンツマン』シリーズを楽しんでいたこと。子どもの好奇心はどんどんあちらこちらへと移っていくという実感があること。『トム・ゲイツ』シリーズは、そういった作者の経験が生み出した作品だとも言えます。じっと座って本を読むことが苦手だった作者だからこそ、子どもを引きつけて離さないしかけや工夫をこらした物語を作ることができたのです。本シリーズは、決して学習障害を持った子どもたちをターゲットにした本ではありません。広く一般に児童書として出版されています。そうでありながら、学習障害を持つ子どももそうでない子も、多くの子どもたちが愛し、手に取る作品群に仕上がっています。「ディスレクシアだからといって本を読む楽しみを諦めることはない」と、ピーションは言います。まさに、全ての子どもに贈る、「楽しむこと」を一番の目的に掲げた物語群です。イギリスでは「本なんて嫌い!」とそっぽを向く子どもたちに、まずオススメされる物語でもあります。読書の楽しみは、どんな子どもにも広く開かれているこの2作品の作者が一貫して出しているメッセージは、学習障害を持っているからといって、本を読んだり書いたりできないわけではないということ。そして、物語の持つ豊かな楽しみは、どんな子どもにも広く開かれているということーー今すでに読書が好きな子どもにも、今はまだ読書が苦手な子どもにも。じつは、学習障害を持っていることを明らかにしている作家は、ピルキーやピーションだけではありません。大人向けの小説を書いている人を含めれば人数はずっと増えますし、過去の作家でもたとえば、推理小説家のアガサ・クリスティーのような有名な作家が、ディスレクシアを持っていた可能性が高いと言われています。デイブ・ピルキーは自分の学習障害について、「スーパーパワーだ」と言っています。学習障害があるからこそ、物語を作るときにどうやって表現するべきなのか、とても深く考えることになったのだと。自分のおかれた「人とは違う部分」を強みに変えていく作家たちの子ども向けの作品が、広く子どもに支持されているのは、当然と言えば当然ですが、同時にとても心強くもなるのです。(参考)“Meet Dav Pilkey” Author|Dav PilkeyDav Pilkey (author of “Captain Underpants”) talks about his favorite teacher (Original Version) |Youtube“Dav Pilkey Sees ADHD and Dyslexia as His Superpowers”|UnderstoodAmy Packham “Why Children With Dyslexia And Reluctant Readers Are Inspired By Liz Pichon’s Unique Books”、Huffington Post UK, June 22, 2016|HuffPostCressida Cowell, “If we want our children to thrive, teaching them to read is not enough – they must learn to enjoy it” in Independent, 4 December 2018|The Independent“Mental wellbeing, reading and writing” Added 26 Sep 2018|National Literacy Trustdav pilkey bio.Scholastic UK signs more Tom Gates|The BooksellerCaptain Underpants Saves The Day By Recruiting Top Comedy Talent To Voice New DreamWorks Animation Film|CISION PR Newswire
2020年03月04日アルバイト経験で「ほう・れん・そう」が少しずつできるようになってきた息子Upload By かなしろにゃんこ。人にうまく話を伝えることができなかったADHDと広汎性発達障害がある息子リュウ太ですが、16歳からラーメン屋とスーパーマーケットの陳列のアルバイトを経て、失敗の報告、商品の状況や状態を先輩や責任者に適切に連絡することが、少しずつできるようになっていきました。「21歳になった息子にアルバイトの経験で『ほう・れん・そう』ができるようになった理由について聞いてみた!」第2弾です。「働き始めたばかりのときは自分から『ほう・れん・そう』なんかできないよね。聞かれたことに答えるので精一杯だし」という21歳のリュウ太。「場所や人に慣れてから、自分の仕事の優先順位を考えるようになって、『ほう・れん・そう』や提案もできるようになったな~」と言います。職場でのコミュニケーションも、やるべきことの優先順位を考えるのも、発達障害のあるリュウ太にとっては苦手要素が多く全部いっぺんにはうまくいかなかったようです。心配要素多数だった息子もいよいよ社会人!整備士見習いにUpload By かなしろにゃんこ。現在は車の販売店に就職して整備士見習いとなったリュウ太。高校時代のスーパーマーケットのアルバイトがヘルニア気味でできなくなってから、今の自動車販売店の整備助手、雑用のアルバイトとして2年間雇ってもらい、卒業後にそのお店に就職しました。Upload By かなしろにゃんこ。...とお伝えすると必ず聞かれるのが「ADHDなのに車の整備なんかできるの?リュウ太君が整備したその車、大丈夫なの?」です。それは心配になりますよね。私だってリュウ太が整備したバイクに乗るときはドキドキしましたから、その質問とても分かります(笑)Upload By かなしろにゃんこ。リュウ太に聞いてみましたら「整備は人の命に関わることなので、目の前のことにすごい集中して緊張しながらやっている」ということでした。安全確認は必ず2人以上で行い、ミスはその場で報告するのが鉄則!の仕事なのだそうです。先輩と相談し、1つひとつ確認しながら作業を進め、書類も確認して...と仕事を丁寧に進めなくてはいけません。「ほう・れん・そう」ができないと務まらない職場なんだそうで、もし報告を怠ったら一度のミスでクビ!という職場です。「今はどんなことでも、『ほう・れん・そう』するようになった」と言います。そのきっかけには、こんなことがあったそうです。任された業務で大きな失敗...クビ覚悟で謝罪したときの先輩たちからの言葉Upload By かなしろにゃんこ。まだアルバイト時代に、お客さまの車をお店のビルの3階パーキングから整備ドッグに移動させる仕事を与えてもらったときのこと…勉強や運動は苦手だけど運転には自信があり「任せてください!」と意気揚々と返事をしたのに、大切なお客さまの車を柱にぶつけてしまうというあってはならない失敗をしてしまったのです。凹んでしまった車体…。「やってしまった...ヤバイ!」焦りと後悔と申し訳ない気持ちが一度に襲ってきてアタフタしてしまったけれど、先輩や責任者に正直に報告、お客さまにお詫びしなければ!とすぐに直接お詫びして修理をお約束し、許していただいたのだそう。Upload By かなしろにゃんこ。「報告書を提出して、これは確実にクビだな~…って覚悟したんだけど怒られなかった。先輩たちが教えてくれたんだ。先輩たちもみんないろいろな失敗をしてきているんだって。だから気にしなくていいよって。逆にミスを隠されるほうが恐いから、小さいことでもなんでもいいから報告してくれたほうがいいんだって言ってくれた。そこから失敗の報告が恐くなくなった」とリュウ太は言います。これから社会の中で生きていく息子を、母はそっと見守りたい“ほころびが広がる前にきちんと報告、連絡、相談することが大事なんだとわかった”と話してくれたとき、母は息子がきちんと社会の中で生きていける人間になってきていると感じました。「ミスを報告して許してもらえることで、次も報告しやすくなる」これによってヒューマンエラーを最小限に抑えて安全を提供するんだって、母も学びましたぞ!伝えることがヘタだった息子ですが、コミュニケーションが必要とされる場面にたくさん遭遇したことで、少しずつ鍛えられてきたんだと思います。実践の機会がやっぱり大切なんですね。息子を育てる中で急成長したと感じたのが、アルバイトをはじめてからです。10代後半は親は見守るだけ…ほとんど社会に育ててもらったな~と感じるのでありました。
2020年02月21日子育てが楽しくなるヒントがいっぱいの、ADHDのお子さんとの日々『さんかくの本』ADHDのある男の子コタくんのママが、コタくんのかわいい言動の数々やにぎやかな日々の様子を綴った「さんかくの本」。苦手なこともいつかできるようになることを信じて「スモールステップを共に楽しんでいる」というコタくんママ・カワムラヒサコさんが綴るエピソードは、日々の小さなできごとの中で成長を喜び、コタくんのかわいいところを探す視点を大切にしていることが伝わってくるものばかり。コタくんの様子に合わせて日々さまざまな関わり方の工夫を取り入れているようですが、それらはこの本の中では"参考にしたいハウツー"としては語られておらず、子どもの「できた!」に繋がったときの家族の純粋な感動に焦点が当てられています。こんな視点で子どもと過ごせたら毎日がより楽しくなるかも!と気づかせてくれるような一冊です。発達性学習障害の兄妹、それぞれの特性との向き合い方は――『「うちの子は字が書けないかも」と思ったら』3人きょうだいの長男フユくんに続いて、妹のナツさんも発達性学習障害と診断された千葉さん家族。発達性学習障害とは?学校のテストはどのように乗り越えている?高校に合理的配慮は求められる?など、基礎知識から学齢期に直面するお悩みへの対応まで、お子さんに発達性学習障害があることが分かったら知りたい内容を幅広く取り扱う書籍です。フユくんとナツさんはきょうだいながら自身の障害についての捉え方が異なり、対処方法や周囲への配慮の求め方などもちがっています。当事者の思いにあわせた支援や環境設定の大切さがよく分かると同時に、全く違う考えのふたりと向き合う母だからこそ感じる、正解がない子育ての難しさも伝わってきます。今だけでなく将来まで見据えたサポートについて考えさせられます。強度行動障害のある方への対応をABAの理論に沿って学ぶ『施設職員ABA支援入門』支援現場で働く人に向けて、ABA(応用行動分析学)の基礎から、支援の実践方法までを図やイラストを交えながら解説した、初めてABAに触れる人でも読みやすい書籍です。問題となる行動はなぜ起きるのか、代わりとなる行動をどう教えるのか、代わりとなる行動と望ましい行動の違いは?など...ABAについて初めて学ぶ方も、少し知っているけれど支援の現場でどう実践したら良いか分からないという方も勉強になる内容ばかりです。プロンプトの例やトークン・エコノミーについてなど、具体的な支援の手立てに繋がる内容についても詳細に説明されています。例としてあげられている場面もどれも具体的なので、日々の支援と結びつけながら学ぶことができそうです。
2020年02月20日「ほう・れん・そう」が苦手だった息子、高校生からアルバイトを開始!その理由は...Upload By かなしろにゃんこ。ADHDと広汎性発達障害がある息子リュウ太は、小中と人間関係の問題で毎日イライラし、勉強では落ちこぼれ、学校生活では問題がいろいろありました。でも16歳でアルバイトをはじめると心や話し方に変化が起きはじめて、苦手だった「ほうれんそう(報告・連絡・相談)」ができるようになりました。その理由を21歳の息子に聞いてみました!義務教育を終了してすぐにアルバイトで働きはじめた息子。早く働きはじめた理由はこんなものでした。中学時代、「高校生になったらアルバイトをして返してね」と毎月社交代として2千円~3千円をお小遣いとは別に息子に貸していました。社交代を貸していたのは、親の財布からお金を抜き取って使われるくらいなら決まった額を貸してしまおう!という考えからです。あくまで親から"借りている"かたちにして、『成長したら返してもらう』ことを約束していました。その社交代の借金が合計で2万6千円あったので、返済のためにアルバイトをしてもらったのです。な高校生男子のお小遣い事情。友達付き合いも大切だけど…それに、発達障害のある人の就活をサポートしている専門家から「発達障害がある子は早めに社会に出しましょう。社会が大人にしてくれます」というお話を聞いたことも理由の1つでした。Upload By かなしろにゃんこ。自分の言動を客観視できるようになり、ぐんぐん成長まず最初は私の知人の経営するラーメン屋、その次は高2でスーパーマーケットの酒・ドリンクの陳列のアルバイトをしたリュウ太ですが、この2つのアルバイトで気がついたのはこんなことだったといいます。Upload By かなしろにゃんこ。「学校ではイヤなことがあると、周りの視線は気にせずすぐにワーワーと騒いでみたりケンカしたりしていたけれど、ラーメン屋のバイトでお客さんの前に立つようになってからは、社会の目を気にするようになった。忙しくてイライラしても落ち着かなきゃいけないと思うようになったかも。パニックになっても大きな声は出せないし、自制しなきゃいけないなって考えるようになった」と言います。お客さんの前に立ったことで、自分の言動がどう見えているのかを客観的に考える力が身についたようです。また仕事を与えられることで、必要とされる喜びや働くことの楽しさという、それまで感じたことのなかった気持ちに気がついたとも言います。失敗はすぐに報告!職場のためにも、自分のためにもUpload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。また、スーパーマーケットの陳列のバイトでは、「すみません、えっと…ウィスキーの特典のグラスを割っちゃいました。」「缶ジュースの段ボールを開けるときにカッターの刃を出し過ぎてジュースの缶に傷つけちゃいました。」など、失敗も先輩や責任者にその都度報告していくことで、きちんとした商品管理ができることを学んだと言います。「アルバイトをはじめて慣れてきた頃にダメな人と思われたくなくて失敗を隠そうとしてしまったりするんだけど、隠してもバレるからムダだし、オレみたいにウソがヘタな場合は特に信用を失うからやめたほうがいいと思う。報告連絡相談をマメにしたほうが揉めないし、自分にとっても相手にとってもいいんだってわかった」と、息子の心がグングン成長しているのを感じたのでした。面倒だと思っていた『丁寧なコミュニケーション』を磨く場にUpload By かなしろにゃんこ。家でも小中の頃は親が質問してものらりくらり答えたり、主語のない話をしたり、時系列に沿って話すことができずに内容が伝わらないことも多々ありましたが、高校生になってからは「昨日コレをここにコレしたけど、ソレはどうする?アレしておく?明日必要だからコレしておいたほうがいい?」というように順序立てて説明することができるようになりました。相手にわかりやすいようにするため、状況や数、時間帯などの情報を入れて工夫することに気がついたそうです。なんで小中時代にそういう丁寧に伝える話し方をしなかったのか聞いてみると、「お母さんに詳しく話すのは面倒くさかったから」だそうです。私に親切にするのはダルい!ということでした。「この野郎(怒)」って感じですが(笑)家庭の中だけだと、会話はツーカーになりやすく情報を伝えるスキルは成長しにくかったのだと思いました。社会参加することで会話力の必要性を感じて、学んでいったのですね。現在は車の販売店に就職して整備士見習いとなったリュウ太。社会人になってから更に仕事における「ほうれんそう(報告・連絡・相談)」の重要性について学んでいきました。それは次回に続きます。
2020年02月13日専修学校卒業間近!と思っていたら...先生からの電話で顔面蒼白にUpload By かなしろにゃんこ。車の整備士を目指し専修学校に通っていたリュウ太は、高等課程から専門課程に進み、専門的に自動車整備について学んでいました。リュウ太20歳の頃のこと。半年後にはいよいよ卒業、そしてついに社会人へ!という、将来の目標に向かって期待を膨らませている時期...のはずでした。しかし、そううまくはいかないのがわが家のリュウ太です。高1でアルバイトを始めて自由に使えるお金を手にしたことで夜遊びが多くなり、結果翌朝登校できない日が増え、卒業が難しくなってきたのです。そのことを知ったのは秋のこと…「リュウ太君はこのままだと卒業できませんよ」と学校の先生から電話がありました。母「えーーー!?補習25時限分ですか!!それと再試も!」実技の実習が多い学校です。サボりは命取りなのです。出席日数不足のため、卒業するまでもう1日も休むことはできません。遅刻もできませんし、通常の授業の後に補習を2時限ずつ受けなければ卒業はできなくなりました。Upload By かなしろにゃんこ。確かに毎朝寝坊はしていたけど、学校にはちゃんと行っていると思っていたのに…20歳になっても学校からの電話に悩まされるなんて…「どうなってんのよっ!まったくもうっ!(怒)」と、リュウ太を問いつめてみると…「朝起きたときは元気なんだけど、車で学校に行く途中に眠くなって…」リュウ太の学校は車通学ができます。就職に免許が必須なこともあり、生徒の半数近くがバイクか車の通学です。「渋滞で眠くなってきた…ヤバイこのまま運転したら危険だ」と、車を停められる場所で仮眠をとり...「ハッ!今何時だ!?」慌てて起き上がると、すでに陽が傾いて学校の授業が終わる時間。「またやっちまった…寝すぎた!部活(カート部)だけ顔出していくかな」と学校には一応向かうけれど、授業は受けられない日が続く...ということだったようなのです。どうにもならないくらい成績も最悪で順位は後ろから数えてすぐでした。(涙)母は「バカたれ――――!!遊びはほどほどにして毎日早く寝なさい!」と息子にカンカンに怒りますが、「そうしたいんだけど…遊びたいんだ。みんなが遊んでるのにオレだけ家に居るのはイヤなんだよ」と言います。目の前の楽しいことに全力な息子。気持ちはわかるけど、学校をおろそかにしてまで遊ぶのは良くないですよね。バイトもしていて体が疲れているんだから休まなくちゃ。Upload By かなしろにゃんこ。卒業したら整備士としての就職を視野に入れており、そうなると整備士資格が必須です。卒業認定証をもらえないと整備士の国家試験の受験資格は得られません。学校には奨学金制度を利用して通っていたので、資格が取れず就職できない場合、奨学金返済にも影響が出かねません。こんなことを親子で話し合い、卒業と資格取得を再度目指していくこととなりました。遊ぶの禁止!アルバイトは週1日!補習を毎日受けて、なんとか卒業へUpload By かなしろにゃんこ。周りの子はアルバイトもして国家試験対策もして就職活動もして、すでに内定をもらっている子もたくさんいましたが、リュウ太は補習や日々の授業をこなしていくことだけで精一杯です。卒業するまで遊びに行くの禁止!アルバイトは週1日だけ!と約束しました。そこからは毎日放課後に補習を受け、補習のあとには夜間に開いている試験対策の特別授業を受けて、帰宅するのは11時。そこまでしても万年落ちこぼれな子ですから整備士試験問題集はわからないものだらけです。試験前の合宿で3日間ぶっ続けで勉強して、ようやくみんなに追いついたようです。そして卒業2日前にギリギリ補習を終わらせ卒業できることになりましたが、結局就職活動ができないまま卒業式を迎えることになってしまいました。あとは国家試験を突破するのみ!しかし、ここで大きなハプニング...Upload By かなしろにゃんこ。卒業式2日後、整備士の国家試験の日。「大丈夫?受験票はしまったの?時間は間に合うの?」心配な母はソワソワ。母の心配をよそに、リュウ太は「受験票はカバンに入れたよ!大丈夫だって、いってきまーす」と元気に出発していったのです。…が!! 「ヤダ―――大事なもの忘れてる!」廊下に、そこにあってはいけないものが置いてありました。試験に必須の電卓と筆箱です。「まぁここまで頑張っただけでヨシなのかな?リュウ太だもんね、無事に済むわけないじゃない!大事な場面でやらかすのがあの子よ…」と母は諦めムードでした。試験会場前のコンビニで、リュウ太は青くなっていました。「やべー筆箱忘れてきた...電卓もない」と大慌て。「弁当買うついでにカバンの中確認してよかった。気づかず試験会場に入っていたら終わってたな...とはいえ所持金が800円しかないのにどーする…」Upload By かなしろにゃんこ。結局筆記用具は友だちに借りて、昼飯をオニギリ1つにして残金で電卓を買ったのでした。本当は11桁電卓が必要なところ、お金が足りなくて8桁電卓を購入。試験中に「わー計算できないっ」と少しパニックになりつつ、アナログで計算して乗り切るというスリル満点な1日だったようでした。それでもなんとか、自己採点では、多分…合格?と思っていたそうです。大丈夫でした。ちゃんと合格していました。うっかりハプニングも、乗り越えて強くなる!ADHD息子流の成長Upload By かなしろにゃんこ。息子はハプニングとお友だち。いつも何かが起きる、でもその度なんとか乗り越える。そうやって土壇場に強くなっていってるのかもしれません。それがADHD!と感じる母でありました。ちなみに忘れっぽくウッカリな特性がありますが、好きなものや得意なものでは集中力を発揮するので、仕事ではウッカリ整備不良ということはないように気をつけられるのでした。
2020年01月29日3/8 (日)に「LITALICO発達ナビ まなびフェスタ2020」を開催します!2020年1月で4周年を迎えるLITALICO発達ナビは、15万人を超える会員さまにご利用いただけるサイトに成長しました。昨年ご好評いただいた「LITALICO発達ナビ子育てフェスタ2019」に続き、今年もユーザー参加型のイベントを開催します。今年のイベントテーマは、発達ナビのコンテンツでもユーザーの皆さまの関心が高い「まなび」です。発達が気になるお子さまにとって「子ども一人ひとり」学び方は違います。ご来場いただいた保護者の皆さまに将来に向けて前向きになれる体験をご提供するため、専門家による講演やパネルトーク、発達が気になるお子さまのくらしを支える企業の皆さまとの出合いの機会や、ユーザーの皆さま同士の交流の場をご提供したいと考えています。~プログラムのご紹介~■まなびをテーマに、子どもの発達やその支援についての理解や知識を分かりやすく得られる「特別講演・パネルトーク」■発達ナビユーザーにぴったりの商品・サービスを提供する企業・団体の「ブース」■まなびの支援や子育てに役立つさまざまな「ワークショップ」■保護者の方同士がご交流いただける発達ナビ編集部主催「グループトーク」などこれから開催までの間、複数回に分けてイベント情報をご提供します。第1回の今回は、「特別講演・パネルトーク」についてお届けします。お子さまのまなびのヒントに!「特別講演・パネルトーク」発達ナビの特別講演・パネルトークでは、保護者の皆さまの「まなび」に関する悩みや疑問についてお応えできるような内容を企画中です。今回は、ご登壇いただく皆さまをご紹介します。Upload By 発達ナビ編集部保護者の皆さまが感じられている疑問や不安に寄り添い、日々の子育てのヒントになるようなお話を予定しています。田中康雄先生(こころとそだちのクリニック むすびめ 院長。国立精神・神経センター精神保健研究所児童・思春期精健部 児童期精神保健研究室室長、北海道大学大学院教育学研究院 名誉教授を経て現職。著書:『「発達障害」だけで子どもを見ないで その子の「不可解」を理解する』、『ADHDとともに生きる人たちへ: 医療からみた「生きづらさ」と支援』他多数)参考:田中康雄先生発達障害のあるお子さまの保護者2人による具体的なエピソードをもとに、田中康雄先生とまなびについて考えていく内容を予定しています。ゲスト田中康雄先生(こころとそだちのクリニック むすびめ 院長)橋口亜希子さん(橋口亜希子個人事務所代表・発達障害を手がかりとしたユニバーサルデザインコンサルタント。厚生労働省社会保障審議会障害者部会委員、内閣官房ユニバーサルデザイン2020心のバリアフリー・街づくり分科会委員、一般社団法人日本発達障害ネットワーク事務局長などを歴任し、現職。著書:『そのママでいい発達障害の子を育てるあなたに贈る43のエール』)参考:橋口亜希子さん古山真紀子さん(長女(中2、ASD・ADHD・LD)、長男(小5、ASD・ADHD・LD)、次男(4歳、グレーゾーン)を育てる保護者。岡山で、発達凸凹のお子さまや保護者をサポートする活動を行う「ぴいさぽ」を運営)参考:古山真紀子さん学校での生活、特別支援、先生とのやりとりのコツなど学びの場面にまつわるお話などを予定しています。阿部利彦先生(星槎大学大学院 教育実践研究科 教授。星槎大学附属発達支援臨床センター長。専門分野:学校カウンセリング、特別支援教育。著書:『見方を変えればうまくいく!特別支援教育リフレーミング』、『見方を変えればうまくいく!発達が気になる子の子育てリフレーミング』、『これだけは知っておきたい 発達が気になる児童生徒の理解と指導・支援: 多様性のある子どもたちのあしたのために』など多数)参考:阿部利彦先生ほかにも、展示販売ブースでは、保護者の皆さまやお子さまの「まなび」をサポートする多様な商品・サービスをもつ企業に出展いただきます。ワークショップでは、子育てに役立つ保護者さま向けのコンテンツから、お子さまが楽しめるプログラムまでご用意する予定です。来月の続報をお楽しみに!前回のイベントの様子はこちら!事前予約制!2月中旬に申込み受付開始予定「発達ナビ まなびフェスタ2020」は、全プログラム無料・プログラムごとに先着順の事前予約制です。申し込み受付開始は<2月14日(金)12:00>を予定しています。ご多用のことと思いますが、ぜひ3/8(日)のご予定を空けて申し込み開始をお待ちください!【日程】2020年3月8日(日)10:00-17:00【対象】発達の気になるお子さまの保護者さま・お子さま【料金】無料(ワークショップなども無料でご参加いただけます※要事前予約)【会場】大田区産業プラザPiO(京急蒲田駅より徒歩3分)東京都大田区南蒲田1-20-20大田区産業プラザPiO出展パートナー企業さま募集中!当日は、企業さまの出展ブースやワークショップ、講演コーナーをご用意しております。お子さま一人ひとりに合った多様な学びを知る・体験する機会を一緒につくっていただけるパートナー企業さまを募集中です。ご興味がある企業ご担当者さまは、以下メールアドレスまでお問い合わせください。【お問い合わせ】h-navi-ad@litalico.co.jp
2020年01月23日授業中は床にゴロン!気が向いたときしか勉強しなかった息子Upload By かなしろにゃんこ。ADHDと広汎性発達障害がある息子のリュウ太は小学校では勉強らしい勉強をやらずにきました。なにせ授業中は廊下が友だちでゴロンですから、やってもいいかな~♪と気分がのったときだけ授業を受けるという気ままな子です。そんな状態ですから、中学に進んでなんでも自主的!に行うことを求められるようになると、勉強についていくことができなくなっていきました。テスト勉強ももちろんほとんどやらず、テストで平均点を取ることも難しくなりました。テスト前、「勉強しなさいよ」と声をかけると、部屋の中から「今やってるよ!」と返事が返ってきていました...が、本当はやっていなかったと思います(笑)周囲は受験対策を始める時期...うちの子のやる気スイッチが見つからない(涙)Upload By かなしろにゃんこ。中1のときだけ理科担当の担任の先生がテスト前に朝の特別授業をしてくれたので理科だけは平均点を獲得しましたが、他の教科はボロボロですよ…あはははは…(涙)テスト前に息子は「寝る間も惜しんで勉強しないといけないなんてオレにはムリ!勉強はやらない!」と”勉強を一生懸命やらない宣言”をしやがりまして、以後本気で勉強に向き合うことを避けていました。とは言っても、中2の冬頃になると周りは少しずつ高校受験の準備をはじめます。一緒に遊んでいた子も塾に通いはじめるし、家庭教師をつける子もいたり...うちも受験前に何もしないのはさすがにマズイだろうと家庭教師や英会話教室なども挑戦しましたが、やる気スイッチが発動しなくてどれも長続きしませんでした。勉強が面白くないのは先生の教え方が悪い、教材がわかりにくいなどと難癖をつけ...やる気がないときは全身の力が抜けて床に寝転がり、数時間充電しないと何もできず...好きなことでは記憶力が良くても、その他のことでは短期記憶も苦手で...Upload By かなしろにゃんこ。塾に通わせようにも、こんな息子の特性を理解してもらわないと授業にもならないので、大手の素晴らしい個別指導塾でもダメなんじゃないかしら?どうやって受験対策をしたらいいのやら...と悩んでいました。そこで地域の先輩ママに相談したところ、個人宅で小さな塾をしている方が近くにいることを知りました。息子の同級生のママが先生をしている塾でした。Upload By かなしろにゃんこ。落ち着きのない子でも見てくれるというので、見学に行って息子が発達障害であることや特性を話して相談したら、「それでも大丈夫ですよ!本当は男の子は小学校5年生から受験の準備をはじめたほうが受験問題をきちんと理解できるようになるんですけど、受験までにやれるところまで頑張りましょう!」と言ってくださり、通ってみることになりました。救世主は意外にも近くに...!Upload By かなしろにゃんこ。その個人塾は、息子にはぴったりの塾でした。静かな場所だとそわそわしてしまい、誰かと話したくなってしまう息子。授業中に他の子に話しかけてしまうことが度々あったのですが、個人塾の先生はそんな息子の特性に合わせ、プリントをする間はイヤホンで音楽を聴いて良いという特例のルールを設けてくれました。Upload By かなしろにゃんこ。それに、何かやらかしたときに感情的に話す息子に対して、先生は落ち着いた口調で必要なことを短く言葉にして伝えてくれる方だったので、イライラした気持ちが打ち消されていったと息子は言います。力を力で返すのではなく吸収してくれるような先生で、息子にぴったりでした。あぁこの塾があって良かった、ADHDの気性の荒い子でもなんとかなった!と思えました。テスト前は臨時で授業を開いてくれたり、塾をさぼっていないか親が確認できるようにメールもいただけたりして、親子でなにかと助かりました。親も子もストレスフルな受験期...理解ある先生にお任せできてよかったUpload By かなしろにゃんこ。おかげで苦手感があった数学に自信がついてきて、その後、車の整備士を目指すための専修高校に進んだ息子は、必須の数学を学ぶ際に挫けないですんだようです。大手の有名塾にも憧れましたが、息子には個人塾が合っていたのかもしれません。いろいろ悩みましたが、口コミから息子にぴったりのところに出会えて、本当によかったなと思います。今は発達障害がある子を専門にみてくれる塾もできてきました。いい塾が増えましたね♡反抗期の子どもと受験のアレコレでぶつかって疲れる毎日です。親子だけでどうにかしようとせず、理解のある先生にお任せすることで心の負担が軽減できました。
2020年01月14日朝全然起きない息子...小学校時代は機嫌よく起きてもらうために試行錯誤Upload By かなしろにゃんこ。ADHDと広汎性発達障害がある息子は朝が苦手で一人で起きることができませんでした。保育園時代や小学校低学年のときは毎朝機嫌をとりながら起こしていました。少しでも怒らせるとその後ずっと不機嫌で着替えも嫌がる子です、トホホです。好きなテレビ番組がある日曜日だけは機嫌よく起きてきますが、平日の朝は何度呼びかけても布団から出てきません。というか熟睡していて呼びかけに反応してくれません。音をシャットアウトしながら寝ているのかしら?と思うほどスヤスヤ~。体をゆすったり、上半身を抱っこして起こしたりしないと起きてくれません。Upload By かなしろにゃんこ。寒い冬なんかは特に起きられず...十分に部屋を暖めておいて活動しやすいようにするなど気を配りました。しかしやっと抱き起こしても布団から出たらダッシュでヒーターの前に移り、そこから動きません。眠いし寒いしで、学校に行く気持ちができあがっていないので、顔も洗わないし服も着替えません。早く支度しなさい!と言いたいところですが...ここでガミガミ言うと学校を休みたいと言い出しかねないので、じっと機嫌がよくなるのを待つしかありません。当時は、もう学校は遅刻していってもいいか~という気持ちで付き合うことにしていました。8時半を過ぎると学校から電話が来るので、先生に「息子の気持ちがまだイマイチなので2時間目あたりに登校します」と伝える日もありました。中学生になり、自分で起きようと目覚ましをかけるようになるも...Upload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。中学になってやっと目覚まし時計をセットして一人で起きる練習をはじめましたが、いやいやいや~忘れっぽい特性のせいで目覚まし時計を毎晩セットできないんです。目覚まし鳴らないじゃーんこの時計壊れてる!と怒る息子。自分がONにし忘れていただけなのに、時計を無能呼ばわりしたり、物にあたり散らしたり...テストや体育祭、文化祭、音楽祭など、いつもと違うイベントのある日はちゃんと目覚ましをかけて、その音で起きられるのですが、息子に聞くと、朝起きてから活動するまで気持ちを上げることがすごく難しいのだそうで...ワクワクすることがない日は体が動かないんだとか。これもADHDの特性なのかしら?だとしたら仕方がないですから、何度も声をかけて起こしても私も疲れるだけです。なるようになれと放っておくしかありません。いつも遅刻ギリギリか遅刻をして登校していました。Upload By かなしろにゃんこ。専修学校時代、出席日数がギリギリに...!危機感を感じた息子はUpload By かなしろにゃんこ。専修学校に通っていたときも遅刻ばかり、学校に着いたら授業が終わっていて部活だけ出て帰るなんてこともあったりして、先生から「授業のコマ数が達してないからあと1日でも休んだら卒業できないぞ!」と言われる始末。そんな脅しがかかると、それまでのんびり構えていた私ももっと必死に息子を起こさないといけないかも!と思い...普段夜型で朝は睡眠の真っただ中にいる私ですが、息子が起きる時間に合わせて毎朝布団の中から携帯電話で起こしていました。それと早く睡眠に入れるように冬は湯たんぽで布団を温めて、布団に入ったら湯たんぽを布団の外に出すなど睡眠導入しやすい温度の工夫もしていました(寝る前に手足を温め、その後は手足の体温を低くして眠るという効果)。寝る2時間前に息子が湯たんぽを布団に持って行き、布団を温めていました。息子も自分の2つの携帯電話のアラーム機能を使って時間差で10回アラームが鳴るようにセットしたり、携帯電話の上に枕や布団が乗ってしまい音が聞こえづらくなってしまうのを防止するために少し高い位置に携帯電話や時計を置いたりと、「起きなくてはいけない」と自覚してからは何重にも対策をするようになりました。さらに寝る前に自分に暗示みたいに、朝〇時に起きる!と心で唱えるようにしたようで、これも息子にはけっこう効果があったようです。必ず起きなくては卒業できなくなるという緊張感、何重にも重ねた対策、起きるぞという意識。それからは毎朝起きるようになっていきました。あんなに起きられなかったのに息子が、就職後は...!?Upload By かなしろにゃんこ。そして現在は、就職をして毎朝必ず決まった時間にスッと一人で起きて出社するようになったから、驚き~!!まぼろし~??ウソのようなホントの話!急にできるようになったんです。なんで起きられるようになったのか息子に聞いてみました。すると、「学校は行っても行かなくてもどちらでもいいと感じていたから、ヤル気になるのにも身体の調子が上がっていくのにも時間がかかってた。でも仕事は賃金が発生するから、アラームが鳴るとパッと目が覚めて体が動くようになってきた!多分会社の人に迷惑がかからないようにしなきゃ!という気持ちと、オレはお金が大好き♡だし、働くことは嫌じゃないし楽しいから♡」といいます。あんなに起きられなくて保育園時代から18年間私を困らせていたのに、社会人になると急に変わることもあるんだな~と思いました。息子にとって起きる動機があることがなにより重要だったみたいです。おかげで私は夜型で仕事をすすめて、早朝にゴミ出しした後に昼前までゆっくり眠れるようになって幸せです。
2019年12月23日ビバンセとはビバンセとは、リスデキサンフェタミンを成分とする薬の販売名で、不注意、多動-衝動性を改善させる効果があります。6~18歳の小児を対象に、2019年3月に販売承認され、2019年12月3日より販売が開始されました。6歳未満の子どもへの安全性は確認されていません。また、現時点では、本邦における成人期の適応は取得されていません。これまでにADHDの治療薬として、中枢神経刺激薬のコンサータ、非中枢神経刺激薬のストラテラとインチュニブが販売されています。ビバンセはコンサータと同じ中枢神経刺激薬に属します。かつてコンサータと同じ成分の「リタリン」について、不適切な流通や乱用者の存在が問題になりました。そのため、コンサータについては流通規制が行われています。具体的には、資格のある医師しか処方できず、調剤できる薬局も限られています。2019年12月よりコンサータの流通規制が強化され、患者さんの登録も開始されています。ビバンセについても同様の流通規制が敷かれており、加えてビバンセは体内で「d-アンフェタミン」に変わることから、覚せい剤取締法に規定する覚せい剤原料にされ、覚せい剤取締法による規制も加わっています。添付文書では「使用実態下における乱用・依存性に関する評価が行われるまでの間は,他のADHD治療薬が効果不十分な場合にのみ使用されるよう必要な措置を講じること」という記載もあります。このようにみていくと、ずいぶんと敷居の高い薬だと感じられるでしょう。日本の現状では、そのとおりです。ただ欧米では第一選択で使用されている薬剤です。最も大切なのは、正しい診断のもと適切な処方がなされ、医師の処方に従って正しく服薬すること、そして服用後の経過を正しくモニタリングすることです。これらの前提のうえで、この薬剤について詳しくみていきましょう。ビバンセがADHDを改善する仕組みビバンセは体内に吸収された後、血液中でアンフェタミンに変化します。このアンフェタミンがADHD症状を改善するのです。ADHDのある人は、脳内で神経に情報を伝える働きを担う神経伝達物質の作用が十分ではないと考えられています。特に、喜び、快楽に関連したドーパミンと、恐怖、驚き、興奮に関連したノルアドレナリンです。ビバンセは、神経と神経の間(シナプス間隙)における神経伝達物質のドーパミンとノルアドレナリンの働きを高める作用があるのです。詳しい仕組みをみてみましょう。Upload By 発達障害のキホン神経伝達物質のドーパミン、ノルアドレナリンが神経の末端から放出されると、次の神経細胞にある受容体で受け取り、それが信号となって神経伝達が行われます。このメカニズムは、神経と神経の細胞の間にある狭い空間(シナプス間隙)の神経伝達物質の濃度に依存します。神経伝達物質は、トランスポーターと呼ばれる再取り込み口から神経細胞に回収され、再利用されます。ADHDのある人では、何らかの理由で神経伝達物質の作用が少なくなっていると考えられています。アンフェタミンは、神経伝達物質を取り囲んでいるシナプス小胞に直接作用して、神経末端からの神経伝達物質の遊離を促進するとともに、トランスポーターにおける再取り込みを阻害することで、神経と神経の間(シナプス間隙)にある神経伝達物質の量を増やし、神経伝達を高めると考えられています。参考:ドパミン | 厚生労働省 e-ヘルスネットビバンセとアンフェタミンの違い出典 : ビバンセは、消化管から吸収された後、血液のなかで代謝されて、アンフェタミンになるというお話をしました。それなら、アンフェタミンを最初から服用したらいいのではないか、とお考えになるでしょう。実際に、欧米ではアンフェタミンの製剤が販売されています。しかし、ビバンセはそれ自身が薬効を持たず、代謝されてアンフェタミンになる、そのことによってアンフェタミンよりも安全性を高めている薬剤なのです。このような薬剤をプロドラッグといいます。プロドラッグとは、そのままでは体にはまったく影響を及ぼさず、体内に入って代謝されることでその効果を発揮する薬のことです。代謝を利用するため、血液中で急激に濃度が上がらず長時間効果が続くように設計されています。プロドラッグであるビバンセをもし意図的に吸入などの方法で接種したとしても何の効果も及ぼさないため、乱用のリスクが低いのです。また血液中の濃度も緩やかに変動しますから、多幸感が生じにくいのです。依存、乱用のリスクは、急激に血中濃度が上がり、急速に下がっていくときに高まります。したがって、プロドラッグであるビバンセの血中濃度の変化の緩やかさは、アンフェタミンが有している依存、乱用リスクを低めていると考えられています。依存、乱用リスクを軽減するために、もっとも重要なことは、その薬剤を本当に必要としている患者さんが定められた用量を服用するという適正使用です。医師は、患者さんや家族、学校等の情報から正しく診断する必要がありますし、患者さんは決まった用法・用量を守って服用しなければなりません。ビバンセには流通規制があり、登録されている医師のみが処方でき、登録薬局のみで調剤することになっています。患者さんをシステムに登録し、同じ患者さんが複数の医療機関でビバンセを受け取ることがないよう制度化されているのです。ビバンセの用法・用量ビバンセはカプセルの薬で、20mg、30mgの2種類が用意されています。通常は、30mgから服用を始め、70mgを上限として必要に応じて増量していきます。増量の必要があるかどうかは診察のうえで医師が判断するため、自分で増量して服用することはやめましょう。ビバンセには併用が禁止されている薬があることから、医師の診察では服用している薬を忘れずに報告してください。●モノアミン酸化酵素(MAO)阻害剤セレギリン塩酸塩(エフピー)ラサギリンメシル酸塩(アジレクト)※モノアミンとは、ドーパミンやノルアドレナリンをはじめとする神経伝達物質の総称のことです。ビバンセは、ドーパミンやノルアドレナリンの作用に深く関係していることから、併用すると神経の外に神経伝達物質が増えてしまい、命に関わるほどの高血圧をもたらす可能性があります。他にもビバンセを服用するにあたっては、併用に注意しなければならない薬があります。自己判断せず、必ず医師に相談しましょう。●尿のpHをアルカリ化する薬剤炭酸水素ナトリウム等※ビバンセの有効成分d-アンフェタミンは腎臓から排出されるため、腎臓で排出される分が少なくなってしまい、作用が強くなりすぎてしまう恐れがあります。●尿のpHを酸性化する薬剤アスコルビン酸等※尿のpHをアルカリ化する薬剤とは反対に、有効成分を過剰に腎臓から排出してしまうため、作用が弱くなりすぎてしまうことがあります。●セロトニン作用薬選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)セロトニン・ノアルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI)三環系抗うつ薬等※ビバンセを併用することで、セロトニン作用薬の効果が強まり、セロトニン症候群を発症することがあります。●メチルフェニデート塩酸塩コンサータリタリン※ビバンセと同じ仕組みではたらく薬剤のため、作用が増強する恐れがあります。ビバンセ・添付文書ビバンセの有効性ビバンセが、ADHDに対して有効であることは国内、海外においても確立しています。また、海外のデータからは、ビバンセの効果は他のADHD治療薬よりも強力であることが報告されています。国内の6歳~18歳の小児162人を対象として、53週間にわたってビバンセを服用したグループと見た目の違わないカプセル(プラセボ)を服用したグループとを比較し、薬の効果と安全性を調べる試験が行われました。その結果、服用後1週間からビバンセのグループではプラセボを服用したグループに比べてADHDの症状が有意に改善したことが認められました。さらに53週後まで効果が減弱しないことも報告されています。ADHDの治療薬は、大きく分けて中枢刺激薬と非中枢刺激薬のふたつに分けられます。アメリカのADHD治療のガイドラインでは、コンサータやビバンセをはじめとした中枢神経刺激薬が第一選択で、非中枢刺激薬よりも優先されます。しかし、国内のガイドラインでは、中枢刺激薬と非中枢刺激薬を同列に第一選択としています。そもそも薬剤は、治療効果の強さだけでなく、症状の強さはどれほどか、どういった時間に困難がみられるか、早急に症状を改善しないといけないのか、過去にADHD治療薬を服用した際の副作用はどうか、治療費用の負担はどうなのか、身体的な状況から見て服薬に伴うリスクはどう見積もられるか、他の精神疾患を合併しているか、可能な通院頻度はどの程度か、患者の希望はどうかなど、さまざまな観点から、医師と患者(あるいは家族)とともに相談して決定していくものです。ビバンセは、効果が明確で、また、海外では第一選択に位置づけられるなど、強力な治療選択肢の一つです。しかし、ビバンセがプロドラッグであり依存リスクが軽減されているとはいっても、体内でアンフェタミンへ変化する物質であるということになりますと、患者さん側の思いとしても慎重になるでしょうし、患者さんが不安を感じる薬剤については医師も慎重になりがちです。日本では、海外に比べて厳格な流通規制を敷いていますし、添付文書にも「使用実態下における乱用・依存性に関する評価が行われるまでの間は,他のADHD治療薬が効果不十分な場合にのみ使用されるよう必要な措置を講じること」と書かれています。これらの理由から、当面はビバンセの使用は、アメリカなどとは異なり他のADHD治療薬が効果不十分な場合に限定されることになると思われます。ビバンセの副作用出典 : ビバンセの安全性を確かめる試験では172例中、154例(89.5%)で有害事象が認められました。有害事象は、その試験に参加している間に生じる有害な事象、ということで、必ずしも薬剤との因果関係があるわけではありません。特に注意が必要なのは、頻度の高い副作用、プラセボに比べて有意に高い頻度で認められる副作用です。代表的な副作用は、食欲減退 136 例(79.1%),不眠 78 例(45.3%),体重減少 44 例(25.6%),頭痛 31 例(18.0%),悪心 19 例 (11.0% )でした。成長期のお子さんですので、一番頻度も高く、ご心配になるのは、食欲減退、それに伴う体重減少でしょう。特に、薬剤が作用している昼の食欲が下がりますので、朝食や夕食、あるいは薬が切れてきた時間の間食などで補う必要があることもあります。以下に挙げる副作用は、安全性を確かめる国内外のいずれの試験でもあらわれていないため頻度は不明ですが、可能性として考えられるので注意が必要です。・ショック,アナフィラキシー・皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson 症候群)・心筋症(頻度不明)・依存性(頻度不明)ADHD薬の一覧表ADHDの処方薬といっても、仕組みや効き方はそれぞれ違います。Upload By 発達障害のキホンまとめADHDの治療薬として新たに承認されたビバンセについてご紹介しました。治療効果は明確な薬剤であるため、これまでの治療薬で効果が不十分であった場合の選択肢となります。アメリカと日本では、本剤の位置づけはかなり異なっています。また、日本では厳格な流通規制も敷かれています。ビバンセはプロドラッグであり、依存リスクが軽減されていますが、だから問題がないというのも間違いですし、他方でアンフェタミンだからと治療選択肢から完全に排除してしまうのも行き過ぎです。正しく知ったうえで、適切な治療を選択することが求められます。日本は海外に比べると、ADHD治療薬の選択肢は少ないものの、代表的な治療薬がそろったことから幅広い治療のニーズに応えることのできる環境は整いました。治療薬の選択を巡って、主治医と十分な意見交換をして治療を決定していくことが大切です。その際には薬物療法以外の対処についても検討し、必要に応じて両者を併用していくことが重要です。塩野義製薬株式会社・ビバンセ20mg、ビバンセ30mg・臨床に関する概括評価年12月3日薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会議事録 | 厚生労働省厚生労働省・リスデキサンフェタミンメシル酸塩製剤の使用に当たっての留意事項について Dealing with ADHD: What You Need to Know | U.S.FOOD & DRUG参考:『中枢刺激薬の依存・乱用リスクは製剤特性により軽減できるか?』 | 桑原秀徳著(臨床精神薬理.2019;22(10):983-991.)参考:『注意欠如・多動症-ADHD-の診断・治療ガイドライン第4版』| ADHDの診断・治療指針に関する研究会齊藤 万比古/編(じほう)参考:『Lisdexamfetamineの依存・乱用リスクを巡る国内の知見』| 高石久著(臨床精神薬理.2019;22(10):993-1000.)
2019年12月17日『問題を読んで解く』はADHD息子にとっては大変なことだったUpload By かなしろにゃんこ。ADHDと広汎性発達障害がある息子リュウ太はドリルやテスト用紙の問題を読んで解いていくことが苦手でした。長い文章問題は本当に苦手で...「なんで中途半端な値段のリンゴを中途半端な数買ってきて割り切れない人数で割ろうとするんだよ~プンプン=3」問題の意図なんてもはやどうでもよく、「こんな面倒くさいこと計算させるなんて!」と怒りがわいてくるらしいのです。こんな息子ですから小学校のときは、テストやドリルの中の文章問題はほとんど手つかずでした。どんどんズレていく...解答欄のワナUpload By かなしろにゃんこ。中学生になると少しは冷静に問題に向かえるようになったものの、解き進めるにあたってニガテなことはまだまだたくさんありました。例えば、できない問題を飛ばして解答していく方法が苦手…飛ばした問題の解答欄に次の問題の解答を書き込んでしまい、1問ずつ答えがズレてしまうなんてことがしょっちゅうでした。トホホ…。上から順番に答えを埋めていく方法でないと自分は書き間違えると悟ったのが中1のときだったと息子は言います。余計な情報は隠す!特性に気づいた息子なりの工夫Upload By かなしろにゃんこ。また、問題がたくさん書いてあるプリントは情報量が多く気が散ってしまうので、1問解答が終わるごとに終わった問題の上に筆箱などを置いて問題を隠し、今取り掛かっている問題だけに集中できるよう工夫していたそうです。少しずつ自分のニガテに気づき、対処方法を身につけていったようでした。問題の解き進め方だけではなく、書かれている問題を正確に理解したり、よく確認しながら解答することも苦手で、時間がかかったりうっかりミスをしたり…。今となっては笑えるような珍解答も多数ありました。珍解答を連発!?それでも『見直しはしない主義』Upload By かなしろにゃんこ。中2のときの英語のテストで「好きな色を英語で書きなさい」という問題がありました。リュウ太には大好きな車の色があってスペルをちゃんと覚えていたので得意になって書いたら、テストを返してもらう際に先生から「お前、これ何語?」とツッコまれたそうです。自信満々で書いたものは、なんとイタリア語だったのでした…チーン☆(ちなみにお気に入りのイタリア車のカラー名「チャチャチャ・アズール」を思い出し、「アズール(水色)」のスペルを書いたそうです)もちろん解答は×でした。“英語の”テストですから、そりゃ×ですわ~。先生も「は?」ってなったと思います。冷静に考えてから書けば正解できたはずの問題ですが、そこはADHDの息子ですから、衝動的に頭に浮かんだ外国語の色のスペルをなんの疑いもなく書き、珍解答になってしまったわけです。Upload By かなしろにゃんこ。社会科の問題でも『バチカン』と解答する問題で、「これはわかるぞ!」と得意になり勢い余って書いた答えが『バチコン』でした。先生からは「おもしろかったけれど×にしました」と言われて、息子も自分の解答に爆笑。自分ではきちんと書いたつもりなのに、書き間違ってしまうことに本人もはてな????なんだそうです。こういった珍解答は、学校でよく言われている”見直し”をすれば気がつきそうですが…見直しをして書き直したら間違えた!なんてこともあり、自分がする見直しを信用できない!という不安もあったんだとか。Upload By かなしろにゃんこ。特性上細かい確認がヘタで、見直しをして間違いを発見できる確率ももともと高くないことが自分でわかっているので、不安になるくらいなら見直しはしないほうが良い!という結論になったようでした。テストの点がその人間の良し悪しを決めるわけじゃない!と本人は開き直ってますし、気にしていないみたいなので、私も「気をつけなさい!」とガミガミ言うより20歳で学校を卒業するまであたたかく見守ることにしたのでした。ん?『本人に任せて放っておいた』が正しいかな!?息子にテストにまつわるこれらの困りごとを聞いていたら、問題を読み解いて答えることって、ADHDの特性があると大変だったんだ!とわかりました。自分の苦手を把握して、自分で工夫しながら乗り越えていたんだということもわかって、改めて、頑張ってきたのだと頼もしくなったのでした。
2019年12月10日ADHDとは?ADHD(注意欠陥・多動性障害)は不注意(集中力がない)、多動性(じっとしていられない)、衝動性(考えずに行動してしまう)の3つの症状がみられる発達障害のことです。人によって症状の現れ方の傾向は異なり、大きく3つのタイプに分けることができます。1.多動性-衝動性優勢型:多動と衝動の症状が強く出ているタイプです。2.不注意優勢型:不注意の症状が強く出ているタイプです。3.混合型:多動と衝動、不注意の症状が混ざり合って強く出ているタイプです。子どもの20人に1人、成人の40人に1人にADHDが生じることが示されています。以前は男性(男の子)に多いといわれていましたが、現在ではADHDの男女比は同程度に近づいていると報告されています。参考:DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル年齢別に見たADHDの症状の現れ方■生後すぐから診断ができるの?ADHDは発達障害のひとつですが、発達障害は、言語・認知・学習といった発達領域が未発達の乳児では、症状が分かりやすく出ることはありません。ですから、生後すぐにADHDの診断が出ることはありません。また、ADHDの症状は他の発達障害の症状と共通するものもあるので、判断には注意が必要です。ADHDと診断された人たちの中には、乳児期を振り返ってみると、「なかなか寝付かない、寝返りをうつことが多く落ち着きがない、抱っこされることを嫌がる」といった傾向がみられる場合もあるようですが、このような行動は定型の成長過程でもあり、一概にADHDと結びつけることはできません。気になる場合には児童センターといった身近な相談機関や小児科などで相談してみましょう。■トラブルの原因となる行動をとることが多いADHDのある子は、成長するに従い、以下のような行動をとる場面が目立つようになります。ただ、前述の通り、ADHDの症状は他の発達障害の症状と共通するものもあります。必ずしもADHDとはかぎらないので、特徴はあくまで参考程度にしましょう。・他の子をたたいたり、乱暴をすることがある・落ち着きがなくじっとしていることができない・我慢ができないので癇癪(かんしゃく)をおこすことが多くみられる・物を壊すなど乱暴・破壊的な遊びを好むことがあるいくら言葉だけで注意しても、これらの同じ行動を繰り返してしまいます。■言葉の遅れがみられることもADHDのある幼児は、他の発達障害との合併症状として、言葉の遅れなどの特徴がみられることもあります。■しつけの問題なの?幼児期になると、落ち着きがなかったり癇癪を起こしやすかったりといった様子から、ADHDに気づくことが多いようです。また、保育園や幼稚園でも他の子どもとトラブルを起こしがちになってしまいます。そのような行動が原因で誤解され、しつけがされていないなどと言われることもありますが、ADHDは先天的な脳の機能障害によるもので、しつけや育て方の問題ではありません。■症状が顕著に現れてくるADHDの子どもが小学校に入学すると、着席しての学習や集団行動が求められるようになることもあいまって、以下のような症状が目立ってきます。・授業中でもじっと座っていることができず、歩き回ったりする・注意力が散漫になって、興味の対象も次々と変化する・物を忘れたり、なくしたりすることが多い・突然話しかけて他の人の邪魔をしたり、他の人に話しかけられてもぼーっとしてうわの空に見られる・突発的な行動をおこすことがあり、自分の怒りの感情をコントロールできない・友達と仲良くできずトラブルを引き起こしてしまうことが多い■結果的に周りから問題視される何度も同じことを繰り返し注意されたり、授業態度などから周りに問題視されたり、怠けていると思われたりすることがあります。しかし、本人からすれば悪気があってしていることでもなければ、怠けているわけでもありません。■ADHDの診断がはっきりと下される時期小学校に上がるころになると、ADHDの症状が顕著に現れるため診断される場合が多くなります。文部科学省の定義では7歳前、DSM-5によるとADHDは12歳前に症状が現れるとされていますが、必ずしもこの年齢でというわけではなく、この年齢以前から症状がはっきり分かる場合には診断が下されます。■思春期のADHDは、合併症状にも注意思春期なると、立ち歩いたり突然周りの人に話しかけたりといった、幼児期や小学生時代に目立っていたADHDの特性による行動は落ち着いてくることが多いようです。しかし、・親・教師への強い反抗・友人とうまく付き合えず、トラブルになることが多い・ルールに従うことができないなどの行動がみられることがあります。また、学習障害(LD)などの発達障害との合併症状が目立ってくることがあります。対人関係がうまく築けない場合、自閉症との合併症状がある疑いもあります。ADHDの症状がみられる人は他の発達障害を合併している可能性もありますので、よくチェックして疑いがある場合には診断を受けてみましょう。■他人と自分を比較する思春期になると、他人と自分を比べて悩みやすくなります。ADHDのある子どもも例外ではなく、他人と自分をよく比べるようになります。完璧主義の傾向が強いと“できないこと”に過敏になることもあります。そして、他人にはできて自分ができないことにコンプレックスを感じてしまいがちです。コンプレックスから次の行動につながる場合があります。・勉強への意欲の低下、学力の低下が著しくなる・やる気がなく投げやりな態度・自分の世界に引きこもりがちになる場合もある知的機能に問題がない場合でも、不注意の特性が強いと、集団での学習に集中できず、学力の低下に結びつくこともあります。この結果、不登校やひきこもりなどの状態になることもあります。■薬の服用を嫌がる自分の障害を受け止めることができず、薬の服用を避けたり量を自己判断で変えて服用したりすることがあります。思春期の不安定な気持ちに寄り添いながら、家族が上手にサポートしましょう。■大人になるとADHDはどうなるの?子どものころにADHDと診断された人の中には、成長につれて症状が目立たなくなったり、軽くなったりする人もいます。自分の特性を理解し、苦手な場面にもどのように対処するかを学ぶことで、日常生活の困難を乗り越えている人もいると考えられます。ですが、ADHDのある大人は、子どものころより困難が多いと感じることも多いようです。・親や教師のフォローがなくなる・やることが多くなる・大人としての行動や責任を求められるなど、周囲の環境の変化が大きいことがその理由と考えられます。そのため、大人になって日常生活を送るのが難しくなった、と感じるADHDの人が多くいます。また、大人になってからADHDと診断を受ける人、診断を受けていなくとも同じ症状で困っている人も多くおり、大人の発達障害のなかではADHDの割合がもっとも高いといわれています。■大人のADHDに現れる症状大人の場合、ADHDによる特徴にはどのようなものが多くみられるでしょうか。・計画を立てたり、順序立てて仕事や作業を行ったりすることが苦手・細かいことにまで注意が及ばないので、仕事や家庭でケアレスミスが多い・約束などを忘れたり、時間に遅れたり、締め切りなどに間に合わない・片づけが苦手で乱雑になってしまう・同時に多くの情報を取り入れるのが苦手なので、一度に多くの指示や長い説明をされると混乱する・手間がかかったり、時間がかかったりして、集中が必要なものは後回しにしがち・何かに「はまる」と、ほどほどで止めることができず、なかなか抜け出せない(読書やネットサービス、ゲームなど)・長時間座っていることが苦手で、手足がむずむずしてくるADHDをもっと知るためのリンク集「もしかしてADHDがある?」気になる症状があるときには、次のコラムが参考になります。大人のADHDの困りごとへの対策を具体的に解説!職場ではADHDを公表したほうがいい?|LITALICO仕事ナビ大人のADHDのある人が受けられる就労支援・経済的支援とは?|LITALICO仕事ナビまとめADHDは特徴の現れ方によって、大きく3つのタイプに分けられるほか、年齢や性別などによっても目立つ症状は異なってきます。早期にその特性に気づき、適切なサポートを受けることによって、少しずつ困りごとを改善してゆくことができます。他の発達障害との合併や二次障害に気を配りながら、慎重に見守りサポートしていきましょう。
2019年11月29日家でも外でもおかまいなしに、子どもが癇癪(かんしゃく)を起こして、泣いて叫んで大暴れ…。そうなると、お母さんはどうしていいかわからないですよね。「こんなに癇癪を起こすなんて、私の育て方が間違っているのかしら…」そう不安に感じるお母さんは多いでしょう。そもそも、子どもはどうして癇癪を起こすのでしょうか。その予防法はあるのでしょうか? 子どもの癇癪について、くわしく解説していきましょう。【監修】赤坂ファミリークリニック院長 伊藤明子 先生小児科医師、公衆衛生専門医、同時通訳者。東京外国語大学イタリア語学科卒業。帝京大学医学部卒業、東京大学医学部附属病院小児科入局。東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻修了。同大学院医学系研究科公衆衛生学/健康医療政策学教室客員研究員。2017年より赤坂ファミリークリニック院長、NPO法人Healthy Children, Healthy Lives代表理事。著書・共著に『小児科医がすすめる最高の子育て食』など。テレビ番組「林修の今でしょ!講座」などに出演中。二児の母。■癇癪(かんしゃく)とは癇癪(かんしゃく)を起こすとは?「癇癪」とは、激しい感情を抑えきれず、大きな声を出したり怒ったり泣いたり、時には物を投げたり暴れたりすることです。英語で癇癪は「temper」、特に幼児期の癇癪は「tantrum」、癇癪持ちは「hot tempered」「short tempered」「quick tempered」といいます。hot、short 、quickといった形容詞が、癇癪を起こした時の様子をよく表しているといえるでしょう。【癇癪(かんしゃく)を起こしている子どもの様子】癇癪を起こしている子どもは、突然叫び声を上げたり、泣いたり、怒ったり、手足をバタバタさせたりします。感情が高ぶりすぎると、大きな声で泣きながら床に寝そべってゴロゴロ転がったり、手足をバタバタ振り回したりすることも。外出先で子どもが癇癪を起こすと、お母さんは本当に困ってしまいますよね。▼癇癪(かんしゃく)パターン1: 嫌なことを取り除こうとしている子どもは、癇癪を起こすことで「嫌なことを取り除こう」としています。例えば、公園で遊んだ後、「もう遅いから帰ろう」と子どもに声をかけると、「まだ帰らない! 遊ぶ!」と子どもが泣いて叫んで帰られない…というのはよくありますよね。これは、「嫌なこと=遊びをやめて帰る」を取り除こうとして、お母さんに訴えているわけです。▼癇癪(かんしゃく)パターン2: 困っているサイン子どもが癇癪を起こすもう一つの原因に、「何か困っているサイン」があります。例えば、ブロックが組み立てられない、服のボタンがうまくとめられないなどで、キーッと癇癪を起こし何もかも投げ出してしまう時がこれに当てはまるでしょう。子どもの癇癪(かんしゃく)の原因子どもが癇癪を起こす原因は、大きく分けて次の2つが挙げられるでしょう。▼生理的なもの子どもの癇癪は、欲求不満があったり、疲れていたり、おなかが空いていたりといった、「生理的なもの」が原因というケースが多いでしょう。例えば、おもちゃ売り場で「これ買って!」とダダをこねて、最後には泣いて暴れて…というのは、よくある子どもの癇癪のパターンです。しかし、実はこの癇癪の本当の原因は、「おもちゃが手に入らないこと」ではないことも。疲れていたり、眠かったり、おなかが空いていたりなどの生理的な原因がもともとあり、「おもちゃが買ってもらえない」をきっかけに感情が爆発する場合もあります。▼コミュニケーション手段になっている子どもが癇癪を起こす原因のもう一つには、「コミュニケーションを取るため」というのが挙げられます。親にかまって欲しい、人の注意を引きたいという気持ちから、癇癪という形であらわれるのでしょう。「上の子は聞き分けが良かったのに、下の子は癇癪持ちで…」とこぼすママは少なくありません。上の子に比べ、2番目、3番目以降の子どもは、親を独り占めできることが少ないですよね。もしかしたら、気を引こうとして癇癪という表現方法を取っているのかもしれません。癇癪は、子どもが親に気持ちを伝えるコミュニケーション手段の一つといえるでしょう。癇癪(かんしゃく)が始まるのは1歳になる少し前から?子どもの癇癪を起こし始めるのは、1歳になる少し前くらいからといわれています。ちょうど、少し言葉が出始めた頃ではないでしょうか。赤ちゃんの頃は泣くことしかできなかったのに、言葉という伝達手段を手に入れ、親子でコミュニケーションが少しずつ取れるようになり始めた1歳前後。しかし、子どもは当然、言葉ではまだうまく気持ちが伝えられません。そのジレンマが、癇癪を起こすという行動に結びついているのかもしれません。その証拠に、言葉でうまく感情を伝えられるようになる5歳頃から、ほとんどの場合、癇癪の頻度は少なくなっていきます。■子どもが癇癪(かんしゃく)を起こすのは育て方のせい? 発達障害なの?癇癪(かんしゃく)を起こすのは育て方のせいではない子どもが癇癪を起こすと「私の育て方が悪いのかな…」と心配になったり自分を責めたりするお母さんも多いでしょう。しかし、子どもの癇癪は、お母さんの育て方というより、子ども自身の性格や、その時の状況、環境、子どもの成長の過程とが複雑に絡み合って起こるものです。ごくまれに、心理学的、医学的などの理由で癇癪を起こす場合があります。一度の癇癪が15分以上続く、1日に何度も癇癪を起こすようなら、その可能性が考えられます。癇癪(かんしゃく)持ち=発達障害とは限らない次の3つに当てはまる子どもの癇癪は、その子の性格や環境、成長過程によるものが多いといえます。発達障害と安易に関連づけることはできないでしょう。▼ほかの人と関わるのが苦手子どもは、行動範囲が広がるにつれて、さまざまな人とコミュニケーションを取るようになります。最初はお母さん、お父さん、きょうだいといった家族だけ、次に一緒に遊ぶ同年代のお友だちやその家族、幼稚園・保育園に通い始めたら先生や違う年齢の子どもたち…。関わる人が多くなる過程で、子どもはほかの人とコミュニケーションをとる練習をし学んでいきます。ただし、それも子どもの性格や環境によって、得手不得手の差は出てくるもの。ほかの人との関わりが苦手な子どももいるでしょう。例えば、お友だちとおもちゃの取り合いになった、ブランコの順番を待っていたのに抜かされたといった子ども同士のトラブルは日常茶飯事ですね。そういった時、相手に合わせる、相手と交渉するというのが苦手な場合は、癇癪を起こしてしまうでしょう。▼言葉が遅い言葉がまだうまく使えず、思ったことが伝えられない。また、何か言われても十分に理解できない。そういった時、子どもは自分の気持ちが伝わらず、状況も理解できなくて不安に感じます。それが、癇癪という形であらわれるのです。ほかの子より言葉が遅い子は、同じ年齢のお友だちと遊んでいても、うまく気持ちが伝えられません。そのため、泣いて怒って、時には手が出てしまうこともあるのでしょう。▼気持ちをまだコントロールできない子どもと比べて、大人が感情のコントロールをできるのは、その経験値からです。不快なことが起こらないようにあらかじめ準備をして避ける、嫌なことがあっても人に話すなどして鬱憤(うっぷん)を晴らす、別の楽しいこと思い出して気持ちを切り替えるなど、これまでの経験から自分の気持ちや行動をコントロールする術を知っているわけです。しかし、子どもはまだそういった経験が浅く、感情を抑えることも下手です。嫌なこと、不快なことがあったら、泣く、大声をあげる、怒る、暴れる…。でも、そういった激しい感情の起伏で癇癪を起こすことで、子どもも大きなストレスを感じているに違いありません。それを何度か繰り返すことで、感情のコントロールを学んでいくのでしょう。今は、その途中なのではないでしょうか。発達障害の子どもに見られる症状の一つに、癇癪を起こしやすい傾向があるということで、心配になるお母さんも多いでしょう。たびたび癇癪を起こすからといって、すぐに発達障害と結びつけることはできません。ただし、あまりに頻度と程度のひどい癇癪を起こすようなら一度、専門の小児科医に相談することをおすすめします。■子どもの癇癪(かんしゃく)への対処法癇癪(かんしゃく)が起こる前にできること癇癪は一度始まると、子どもの気持ちが高ぶっている間は、何を言っても通じません。きつく怒ったり、無理やり連れて行こうとすると、火に油を注ぐ結果にも。そうなる前に、先回りして対処し、癇癪を起こさせないようにできると良いですね。▼環境を整える子どもがスムーズに気持ちを切り替えられるような声がけを心がけると良いでしょう。例えば、急いでいる時に子どもが公園で遊びたいと言った場合。「急いでいるからダメ」と言うと、子どもは癇癪を起こしてしまうでしょう。そんな時は、「急いでいるから、滑り台3回だけね」と声がけすることで、子どもはもっと遊びたい気持ちはあるけれど、急いで移動しなければいけないことも理解し、滑り台3回の間に、気持ちをある程度切り替えられるのです。この時、注意したいのは「じゃあ、ちょっとだけね」という曖昧(あいまい)な表現を使うこと。子どもには「ちょっと」「少し」の感覚がわかりにくいので、回数や時間で伝えるようにしましょう。▼子どもに伝わりやすいツールの用意先に紹介したように、子どもに曖昧な表現は通じません。「ちょっと」「少し」といった大人の表現をわかりやすく伝えるツールを用意しておくと良いでしょう。例えば、時計を見せて「長い針がここまできたら終わりね」とか、ゲームやテレビなどはタイマーを使って時間の制限をわかりやすく伝えるなどで、子どもにわかりやすいツールを活用するのも一つの方法です。また、言葉がうまく伝えられない子どものために、気持ちを視覚で表せるツールもあるといいでしょう。例えば、「イライラしている」「怒っている」「落ち着いている」といった感情を表せるイラストを用意して、それを使って子どもが気持ちを伝えられるようにするのも一つの手です。癇癪を起こすきっかけとなる「気持ちをわかってもらえない」という子どものフラストレーションが解消できるでしょう。同様な効果が期待できるコミュニケーション支援アプリなどもあるので活用してみてください。▼癇癪(かんしゃく)が起こった時のルールを子どもと決めておくどんなに予防線を張っても、子どもは何をきっかけに癇癪を起こすかわかりません。いざ癇癪を起こしたら、どう対応すればいいか子どもと話し合っておきましょう。「イライラしたり怒ったりした時は、どうしたらいいかな?」と子どもに聞いて、子どもに決めさせるのです。例えば、一人になれる場所へ移動する、気持ちが落ち着くような言葉をつぶやく、好きなアイテム(ぬいぐるみや毛布など)を触るなど決めておくと、その行動=気持ちの切り替えとなって、感情がクールダウンするきっかけとなるかもしれません。▼食生活を見直す偏食がひどい子どもに、癇癪を起こしやすい、情緒不安定、不安障害といった症状が出る場合があります。青魚に多く含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)や、たんぱく質、鉄分を積極的に取り入れ、糖質、添加物を控えるバランスの良い食生活によって改善する場合もあります。食生活から見直してみるのもおすすめです。癇癪(かんしゃく)が起こったら1: クールダウンさせる子どもが癇癪を起こした時、落ち着かせるために昔から取り入れられている方法に、「タイムアウト法」があります。タイムアウト法は、次の手順で進めます。1.子どもが癇癪を起こして、泣いて暴れたり人に迷惑をかけたりしたら、まずはそれがいけないことだと説明します。2.一定時間いすに座っているように伝えます(必要ならいすまで連れて行きます)。3.年齢の数だけの分数、例えば4歳なら4分間、子どもをそこに座らせます(最長5分間)。ただし、途中で子どもが立ち上がったら、時間はリセットして最初から始めます。4.時間になったら、どうして叱られたのかを子どもに質問します。理由を答えられない場合は、もう一度教えて、思い出させるようにします。このタイムアウト法は、癇癪を起こすことは悪いことだと理解しているのに感情が抑えられない子どもには有効な方法です。そのため、良い悪いがまだ判断つかない2歳未満の子どもには効果がない場合もあります。ただし、癇癪を起こしている真っ最中の子どもを、言い聞かせていすに座らせること自体が難しいですよね。そうなる前に、あらかじめ癇癪を起こした時にはどうするといったことを子どもと話し合っておくといいでしょう。癇癪(かんしゃく)が起こったら2: 感情的に叱らないようにする子どもが大きな声をあげたり暴れたりすると、お母さんもついつい感情的になってしまいますよね。子どもよりさらに大きな声をあげて、なんとか抑えこもうとしてしまいがちです。すると、子どもはそのお母さんの声や態度にさらに興奮してしまいます。感情的に叱るのは、子どもの癇癪には逆効果となります。癇癪(かんしゃく)が起こったら3: ご褒美で釣るのはNGもし、子どもが「お菓子買って!」とスーパーで床に寝そべって泣いてねだったら…。お母さんは恥ずかしくて早く立ち去りたいから、「まあ、いいか…」と買ってしまいそうですよね。特に外出先で子どもが癇癪を起こした時は、なんとか早くなだめようといつもはダメと言っていることも「いいよ」とお母さんは許してしまいがちです。しかし、それを繰り返していると、子どもは「癇癪を起こす=ご褒美がもらえる」と覚えてしまい習慣化します。難しいことではありますが、どんなに癇癪を起こしても、ダメなものはダメと筋の通った態度を見せることは大切です。■子どもの癇癪(かんしゃく)に引きずられないためにまずは大人が落ち着けるようにする子どもが癇癪を起こすと、お母さんも冷静でいるのは難しいですね。しかし、大人同士でも、お互いが感情的になってしまうと「売り言葉に買い言葉」でケンカがヒートアップしてしまいがちです。逆に片方があくまで冷静な態度を崩さなければ、感情的になっている相手もだんだんとクールダウンするもの。「子どもの不機嫌と自分の感情は別のもの」と割り切って、子どもの激しい感情に引きずられないのが肝心。お母さんは常に冷静を心がけ、フラットに淡々と対応するのがいいでしょう。イライラしたらその場を離れるのも◯癇癪を起こしている子どもを目の前にすると、「自分が何とかしなきゃ」とお母さんは焦りますよね。でも、癇癪が長引いてくると、お母さんもイライラしてしまいます。お母さん自身がストレスをためないためにも、子どもの安全を確認したうえで、その場から少し離れるのもいいでしょう。気配は感じられるくらいの距離、例えば隣の部屋やトイレなどに一時避難すると、子どもの姿が見えないだけでも気持ちがリセットできます。その場を離れられない時は耳栓も有効まだ小さくて目が離せない、物を投げたり暴れたりして危ないなどの時は、子どもから離れることは難しいですね。そんな時は、耳栓をするだけでも効果があります。お母さんが一番イライラするのは、子どもが叫んだり大泣きする声ではないでしょうか。それが聞こえないだけで、ずっと気持ちは楽になります。■大人にも癇癪(かんしゃく)持ちっている?大人の癇癪(かんしゃく)持ちとは? 子どもとどう違う?大人でも、子どもほど激しくはありませんが、怒鳴ったり叫んだり、場合によってはつい手が出るなど癇癪を起こしてしまう人はいます。子どもと大きく違うのは、大人は「癇癪を起こすことは悪いこと」と理解していること。大人はこれまでの経験値から、コントロールできない感情は周りの人に迷惑をかける、悪いことだと理解しています。それでも、癇癪を起こしてしまうのが、子どもと大きく異なるところでしょう。大人の癇癪(かんしゃく)への対処法自分自身が「怒りっぽい」「子どもや夫にきつく当たってしまう」「人前でも怒りが抑えられない」といった癇癪持ちの自覚があるなら、次のことを試してみましょう。・その場から離れ、刺激の少ない静かな場所へ移動する。・耳栓をして、耳からの刺激を減らす。・深呼吸をしたり、瞑想する。・自分の怒りを数値化する。・イライラした原因を紙に書き分析する。 など上記の方法で、怒りをコントロールしましょう。もし、夫やきょうだい、父母など近い関係の大人が癇癪持ちの場合、自分自身や子どもに被害があることもあるでしょう。対処法は、子どもの癇癪の場合と似ています。・イライラしていることを自覚させる。・一人にしてクールダウンさせる。・話し合いは落ち着いてから。上記に加え、大人ならではの対応法は「伝えたいことは紙に書いて伝える」こと。直接話すと感情的になってしまうことも、手紙なら冷静に受け取ってもらえるでしょう。■子どもの癇癪(かんしゃく)に悩んだら早めに相談しよう子どもの癇癪で悩んだら、お母さん一人で抱え込まず、次の機関に相談してみましょう。子育て支援センター主に乳幼児の子どもを持つ家庭を対象に、市区町村ごとに公共施設や児童館などで地域に根ざした子育て支援サービスを行っています。自治体ごとに内容はさまざまですが、育児講座や親子で参加するイベントの開催、遊び場スペースの提供、子育て相談、保育サービスの案内などを行っています。詳細は、お住いの市区町村のホームページをご確認ください。児童発達支援事業所・放課後等デイサービス子どもの特性や、心身の発達の遅れ、障害などに合わせた支援を行う福祉施設です。児童発達支援は、主に就学前の子どもを対象に、日常生活に必要な動作の指導、知識や技能の教示、集団生活への適応訓練などを行っています。一方、放課後等デイサービスは、小学生〜高校生が対象。生活訓練や社会交流などの療育プログラムを放課後や夏休みなどの長期休暇を利用して実施しています。事業所によっては言語聴覚士や理学療法士、作業療法士などの専門家による支援も受けられ、子どもの発達や子育ての相談にも対応しています。発達障害者支援センター年齢に関係なく、発達障害を持つ方とその周囲の方(家族や教師など)の支援を行っている施設です。子どもはもちろん大人の発達障害や、その周囲の悩み、困りごとなどの相談もできます。■まとめ心の成長に必要な過程の一つだとわかっていても、子どもの癇癪は、困るし悩むし疲れますよね。あらかじめ、癇癪を予防する方法や、クールダウンの仕方、周囲の適切な関わり方を知っておくと安心ですね。もし、子どもの癇癪があまりに頻繁であったり、長引いたり、激しいもので心配があるようなら、ご紹介した子育て支援機関に一度、相談してみましょう。参考資料:・国立特別支援教育総合研究所 発達障害教育推進センター 「かんしゃくを起こすのですが・・・」 ・国立障害者リハビリテーションセンター 発達障害情報・支援センター 「こんなときどうする?」 ・日本小児精神神経学会 「応用行動分析 ─子どものパニック・癇癪への対応─」 ・国立教育政策研究所 「非認知的(社会情緒的)能力の発達と科学的検討手法についての研究に関する報告書」 ・厚生労働省 「障害児支援の強化について」
2019年11月27日