むっくんの「朝のお仕度」保育園の門をくぐるとそこは開放感あふれる園庭です。走りたいし、早く遊びたいよね!でも、園庭を駆け回って遊ぶ前に、むっくんには、やらなくてはいけない3つの「朝のお仕度」があるのです。Upload By ウチノコUpload By ウチノコですが、あいさつなんて忘却の彼方。先生の前を勢いよく駆け抜けてしまいます。Upload By ウチノコ走ることに満足すると、私のところにやってくるので、そこから私の声かけで「そうだった!」とあいさつを済ませると次のお支度。Upload By ウチノコUpload By ウチノコこのコントのような忘れっぷりが、毎朝繰り返されます。ひとつ動くとひとつ忘れる。おそらく「やること」の理解はできているのですが、朝は友達もいて、賑やかで、刺激が多いので注意がそれやすく、やらなくてはいけないことへの意識が抜けてしまう様子。ADHDの特性でもあり仕方がないと思うのですが、毎朝続くので私もうんざりしていました。代わり映えのない朝に、一筋の光が?朝がストレス!笑顔で送り出したいのに!もう嫌だ、少しは成長してくれ!そんなことを思っていた矢先…Upload By ウチノコついに気がついたーーー!!!どうにかしようと私が奮闘しても、むっくん自身が「自分は忘れっぽいんだ」と気がつかないと、どうにもなりません。むっくんは大きな一歩を踏み出したんだ!気づくから人は変わる!気づけば工夫しようと思うかもしれない!自分の行いを省みたむっくんの変化に、私は成長を感じ希望を抱きました。希望は打ち砕かれ、私は賭けに出る!しかし、私の考えは甘かった!その後も、「朝のお支度」地獄は数か月も続き、私のイライラも続きました…。Upload By ウチノコUpload By ウチノコ私もいろいろ頑張りました!…そもそも何故こんなにも朝の支度をさせたいのだろう?自問自答してみます。Upload By ウチノコそれは困ってほしくないという親心。でも人は困らなければ変わろうと思わないのかもしれない。いや、困れば変わるかもしれない!そうだ。困ってしまえ!そしてお母さんのありがたさを感じるが良い!私は奇策に走りました。思いもよらない結末翌日から、私は声をかけることをやめました。当然のように廊下にカバンを放置し、園庭に駆け出すむっくん。Upload By ウチノコところが…!Upload By ウチノコ困らないんかーい!放置されたカバンは必ず戻ってきます。なんという強運の持ち主!なんという強運なカバン!!Upload By ウチノコむっくんはカバンを放置しても困らないのです。私は確かめもせずにカバンの放置は困るに違いないと決めつけていたことになります。むしろ困るどころか何とかなってる。なら私の今までのガミガミは余計なお節介だったのかもしれない…!?手助けすることと奪うことは紙一重口出しをやめてみたことで、私の勝手な先回りはむっくんの困るチャンス、考えるチャンスを奪っていたのかもしれないと考え至りました。更に、カバンを拾ってくれたお友達にありがとうと伝えるチャンス、助けてもらったから、今度は自分が誰かの助けになろうと思うチャンス、カバンをきっかけにクラスのお友達と会話して仲良くなるチャンスも奪っていたのかもしれません。私は子どもと自分を同化して、自分が困ることは子どもも困るだろうと勝手に決めつけていました。その「勝手な決めつけ」をむっくんに押しつけ、思い通りに動かないむっくんに対して自分勝手にイライラガミガミしていました。反省です。世界は私の感じ方が変わるだけで変化するこの経験を機に私は考え方を変えました。保育園の子どもたちは落とし物を拾って届け、誇らしそうな笑顔を見せてくれます。この園では、名前が書いてあれば、むっくんの忘れ物は本人のもとに返ってくる。ならば、私の手伝いは名前書きだけでいい。あとは何とかなるでしょう。そう心から思えるようになった時、毎朝のイライラはきれいに消え去ったのです。Upload By ウチノコむっくんも、代わり映えしない朝の風景も相変わらずですが、でも今はもうイライラしません。朝の支度が終わるまで見守ることも、やるまで口を出すこともやめました。そして、望んでいたような、笑顔での「いってらっしゃい」ができるようになりました。自分の心のありかた一つ、考え方一つで世界の見え方は変わる。むっくんに「朝のお仕度」ができる子に成長してくれ!と願っていたけれど、成長が必要なのは私だったのだと、今は思っています。
2019年02月19日「漢字のテスト」が苦手だった息子息子リュウ太は、小学校低学年の頃から漢字のテストが大の苦手です。Upload By かなしろにゃんこ。前日に書き取りをした漢字でも、テストになるとなかなか思い出せず、「自分はどうして漢字を覚えていられないんだろう?」「みんなのように記憶できないのはなんでだろう?」と、悩んでいるようでした。中学生になってから「漢字が苦手な理由」が判明!そんな息子が、中学3年生になった時のこと。受験勉強をしていても国語と英語がアウトな感じで、「暗記ものはダメだ…」とあきらめていました。そんな中、息子が「漢字の勉強についての思い」を打ち明けてくれたのです。Upload By かなしろにゃんこ。「自分は小学生の時から、漢字を正しく記憶することが難しかった。漢字を間違えて覚えてしまったり、熟語の問題では漢字の形やイメージがちっとも浮かばなかったりした」という息子。そして、こりゃダメだ!と思い、国語がキライになっていたというのです。そういえば、当時…Upload By かなしろにゃんこ。息子のノートやドリルは、9分の1が真っ白でした。漢字が苦手でできないとなると、ヤル気も起こらず…。「どうせ覚えられないなら、努力してもムダだ」と思ったり、「ボクは字がうまく書けないから、書くことが苦痛だ」と思ったりして、落ち込んでしまうんだそうです。1年間でノート1冊を使い切らないくらいのやらなさでした。トホホ~(涙)だけど…数字のイメージはすぐに浮かんでくる!息子は国語はまるっきしダメでしたが、計算は得意でした。それは、数字がくっついたり、減ったり、増えたりするという「数のイメージ」ができるからなのだそうです。Upload By かなしろにゃんこ。どんなイメージなのか私には分かりませんが、毎朝テレビの時計表示の数字を見ると、勝手に計算してしまうのだそうです。それは自分でも止められなくて、ご飯を食べながら箸休め的に画面を見ただけでも、そこに数字があると計算を始めてしまうんだとか。看板やチラシなどを見た時も、目に入ったものの中に数字が並んでいるとつい足し算や掛け算をやってしまうので、たまにやりすぎて疲れることもあるそうです。計算は得意なのに、暗記が苦手なのはどうしてだろう?しかし、計算だけで高校受験がうまくいくこともないため、息子は暗記ものの勉強ができないことに悩んでいました。発達障害の告知をしていたので、息子自身「これもADHDの特性なんだろうか?」と思っていたようです。でも…息子は「発達障害だからという理由だけで、暗記が苦手」なのでしょうか?もちろん、発達障害の特性ゆえできないこともあったでしょう。でも、きっとそれだけではない…。特性によって、いろんな困りごとや、できないことが積み重なり、いつか息子は「きっとできない」と自信を失ってしまっていた。そしてそれゆえ、努力することもせずあきらめてしまっていた。だから、覚えることができないのではないか…。私には、そう思えたのです。息子には、早く結果を出したくて、功を焦ってしまう特性があります。うまくいかないことがあると「はい、次!」となってしまい、あきらめるのが早い。うまくスタートできるものにだけ集中してエネルギーを使うので、この特性が「本当は、頑張れば暗記できる」という可能性を遠ざけてしまっていたように思います。「みんなも勉強している!」息子がようやく気付いたことそこで、私は息子にこんなことを伝えてみました。Upload By かなしろにゃんこ。熟語も本当にいっぱいあって覚えるのは一苦労だけれど、予習復習やくり返し学習の積み重ねによって習得していくもの。だから簡単に覚える人なんていないし、みんなくり返し学習をして、何度も確認しながら進んでいるんだよという話をしました。すると息子は「え?みんなそんなに勉強してるの?」と驚いていました。どうも、自分以外の人は記憶力がいいから、書き取りを1日やった程度で覚えられているんだと思っていたようです。そして「みんなもそれなりに大変な思いをして暗記してるのか!オレもやればできるかな?」と気が付いたようでした。今年、息子は国家試験に挑戦中!Upload By かなしろにゃんこ。万年怠け者の息子は、どの程度やれば「努力」になるのかが分からないようでしたが、その後「本当に努力が必要な場面」に遭遇しました。高校時代の赤点回避のための勉強と、今年受ける整備士の国家試験です。今まさに国家試験の受験勉強中な息子は、二十歳になった今も「みんなみたいにスラスラ覚えられないんだよ!クソー!」と弱音を吐いています。グチグチ言う性格は相変わらず…(笑)。それでも、試験対策の特別授業を受けながら毎日少しずつ勉強して、点数が上がってきているようです。「暗記が苦手な子は時間をかけて進めていくか、コツコツが苦手だから一気に詰め込みで試験に挑むか…しかないよね」と、私も励ましています。これ、一応私なりの応援なんです(笑)。期待しすぎてプレッシャーにならないように、少し突き放して影で応援することにしています。
2019年02月18日わが家の長男・むっくんは、ADHDと自閉スペクトラム症身体発達も言語発達も早かったわが家の長男・むっくんですが、歩き始めた10か月ごろから目立ち始めた多動を皮切りに、他害、癇癪、パニック、偏食、睡眠障害、強いこだわりなど、「育てにくさ」と言われるものが現れるようになりました。その対応に悩み追いつめられた私は、少しでも楽になりたいと専門施設を受診し、3歳5か月のときにADHDと自閉スペクトラム症の診断を受けることになりました。診断を機に私は、「とにかく知識をつけよう」と、発達障害の本を読み漁りました。発達障害の世界を学ぶうちに、むっくんは「育てにくい子ども」だったのではなく、私の中の「子どもはこうあるべき!親とはこうあるべき!」という勝手な思い込みが、むっくんを「育てにくい子ども」にしてしまっていたのだと気づくことができました。思い込みを捨てて向き合ってみると、むっくんは今まで私が出会った誰よりも魅力的でユニークな人でした。私にないものをたくさん持っていて、私の価値観を変えて、世界をどんどん広げていってくれます。尊敬することも盛りだくさんで、今では私がむっくんを育てているのではなく、学ばせてもらうことばかりの毎日。大変なこともあるけれど、泣き暮らした日々が嘘のように今はむっくんとの時間を楽しめています。むっくんは、「左右が違うペアで靴下をはくこと」にこだわりを持っています。Upload By ウチノコUpload By ウチノコUpload By ウチノコ失くしちゃうから片方しかないんだろうって?もちろん、よーく失くしますとも。しかし!奇跡的にペアで揃っている靴下もわざわざ違う組み合わせではくのです。ウッカリ間違えているのかなー?と思って、2回くらい「ソレ、相方が違うんじゃない?」と声をかけたのですが。「これがいいんだよ。」と言うのです。靴下だけでは飽き足らず、靴も左右色違いのサイズ違いではくこともあるむっくん。よくよく理由を聞くと…「足元が両足とも同じ色だと、なんだか寂しくなるから…」言われてみるとむっくんは「色んな色がそろっていること」に、小さなころからこだわっていました。カラフルだとワクワクするのかな?足元がカラフルだと、気分が上がる↑のかもしれない。いいじゃないか!カラフルな足元!!Upload By ウチノコカラフルな足元が当たり前になってみると、私にもありがたい効果がありました。靴下は片方だけあればいいので「片方だけ紛失」にイラッとすることがなくなったからです。さらに片方に穴が開いても平気!残りの靴下がすり切れるまではけるから、とっても経済的です!「思い込み」という、私の中の不自由さに気づいてUpload By ウチノコなんていいことづくしなのでしょう!でも実は私、恥ずかしながらこの年になるまで「靴下を販売時のペア以外ではく」なんて考えたこともありませんでした。そもそも「何故揃えてはくのか」と考えてみても、理由すらありません。ただなんとなく「片方穴が開いたらもうはけない」と思い込んで捨てていたのです。なんてもったいない。人生損した気分…。むっくんのこだわりの理由を聞いてから、私は自分の考え方一つひとつに「なんでそう思うの?」と問うてみました。すると、「思い込み」や「なんとなく」と自分で選んだわけではない考えがたくさんあることに気がつきました。自分の中に自分でない価値観がある不思議、それに縛られて生きている不思議に、私はむっくんのおかげで気づくことができるようになりました。好きにはいていい。自由にはいていい。今日は右は何にする?左はどうする?大好きな色を足元に詰め込んで、むっくんは自分が幸せでいられるもの・ことを、自分自身の価値観で自由に選び取っていく。むっくんはとても自由で、目に見えない「何か」に縛られていません。それが私には眩しく、愛おしく感じます。Upload By ウチノコ
2019年01月29日ADHD息子のリュウ太は、運動オンチUpload By かなしろにゃんこ。スポーツが得意じゃない息子リュウ太。ボディイメージが悪いし不器用なので、頭でイメージしたように体を動かすことが苦手です。球技は思った方向に球が飛ばない、跳び箱は跳ねる場所とかタイミングがよくわからない、縄跳びは腕とジャンプのタイミングをうまく合わせられない…。なんでもソコソコできるようになるまでに、時間がかかります。「運動キライ、だるい!」と体育はヤル気がなく体育館の床に寝てばかりで怠惰に過ごすこともありました。スポーツには苦手意識しかなかった息子、「自分にはスポーツは無縁」であると思っていたようなのですが…。リュウ太、スキーデビュー!滑れるのか…!?Upload By かなしろにゃんこ。小学校4年生のときに、父親の弟(リュウ太にとっての叔父)にスキーに誘われ、なんと雪山に行くことになりました。最初は乗り気ではなく「スキーは恐いよ!ボク滑れないからヤダ!スキーじゃなくてソリがしたいんだよっ」とだだをこねます。「スキーは力もいらないし快適に移動できる楽しいスポーツだよ!」とか「やってみると意外とおもしろいんだよ!」など、アレコレとスキーのイメージを伝えてなんとかヤル気にさせていったのでした。一度ソリをやりたいと思ったら、やるまで考えを曲げませんからスキー脳にするのにも時間がかかり説得するのが大変です、やれやれ(涙)でもなんとか、スキーをはかせることに成功しました。意外にも、1日で滑れるようにUpload By かなしろにゃんこ。ゲレンデに行くと、リュウ太と同い年くらいの子ども達がスキー教室でレッスンを受けています。子どもでも上手に滑っている、なだらかな斜面で安全に滑れる、とわかってくれたようで、まずは午前中にスキー教室で2時間プロのレッスンを受けることに。ボーゲンや転んだときの起き上がり方など丁寧に教えてもらうと、転ばずにすいーっと滑れるようになってきました。スキーを楽しむ余裕が出てきたのか、午後も滑りたいといいます。ボクも滑れるんだ!自信がついた息子Upload By かなしろにゃんこ。そこで、午後はスキーが上手な叔父と同い年の従妹との3人で初心者コースを滑ることに。叔父がほぼマンツーマンで教えてくれました。私は息子の面倒をみられるほどスキーが上手ではないので、息子の滑りのジャマにならない程度の距離で見守ろうと思っていたのですが…、20年ぶりのスキーだったので、見守るどころじゃありません!弱った内腿の筋肉のせいで転ぶ転ぶ(笑)叔父は、息子のヘッポコな滑りでもいいところをほめてくれるので、やる気が出てきたそう。リュウ太曰く、「少し恐いな~と思う斜面でも、叔父さんを信頼してついていったら楽しくなってきた」。「ボクも滑れるんだ」という自信がついてきたようです。スキーを楽しめたリュウ太を見て、叔父は小4から高校受験に入る中2まで、毎年スキーに誘ってくれました。ある年には、上級者コースにも挑戦!その時、高い山の上から見下ろした雪景色がとてもキレイで、感動したといいます。山の上の気温は-12℃、「スゴイ寒かったけれど普段体験できないような気温や美しい景色が見られてサイコーだった」と教えてくれました。え…?私は息子と滑らないのか?って?息子にスキーはいいぞ!と教えた張本人ですけど自分は高所恐怖症でリフトが苦手なものですから、息子のことはお任せしてゲレンデのカフェテラスでユーミンや広瀬香美とか聴きながらほぼお茶していました(笑)スポーツ苦手な息子、初めて友だちの前で余裕を見せられたUpload By かなしろにゃんこ。初めてのスキーにいい印象を持って取り組めたのは、叔父の「スキーを好きになってもらいたい」という思いや、励ましてくれたり褒めてくれたり、ときにはハイタッチしなど、リュウ太ががんばれるように指導してくれたおかげだと思っています。それに運動が苦手でも、スキーは「走る」「跳ぶ」などと同じ”粗大運動”中心だからやりやすかったのかもしれません。その上、息子はスピード大好きなので、スキーのスピード感にわくわくしたことのも、好きになった一因かもしれません。ADHDがあって、ボディイメージがいまいちな子には、スキーって意外とぴったりなスポーツだったのかも!学校行事など集団で何かする際は必ずテンパってきた息子でしたが高校で行ったスキー合宿では「オレ滑れるぜ」とみんなの前で初めて余裕を見せられたと言っていました。スキーを通して、「苦手意識があるものでも飛び込んでやってみると面白い」って経験ができたんじゃないかと思います。
2019年01月08日元TBSアナウンサーで、現在はタレント・エッセイストの小島慶子さん(46)が今夏、インターネットで発信したある手記が注目を集めた。それは連載中の『日経DUAL』7月2日付の記事。そこには、40歳を過ぎて発達障害の1つである、ADHD(注意欠如・多動症)と診断されたこと。そして子どものころはもちろんのこと、女子アナ時代も、子育てに励むいまも、常々生きづらいと感じてきたその根っこに、自らの発達障害の特性があると知って、得心がいったと、こうつづっている。《もっと早く知りたかったよ!》「知ってホッとしました。他人と同じようにできないのは、心がけの悪さが原因か、能力が低いからか、と悩み続けていたから。でも、それが、脳の機能的な問題だとわかったわけです。『私は牛乳を消化できない体質』というのと同じですよね。そうと知っていたら、無理やり牛乳を飲むこともなかったのに。いつか飲み慣れると無理し続けて、これまでの私はずっとおなかを壊していたようなものですから。だから、対処の仕方がクリアになってよかったなと思えました」小島さんは’72年、オーストラリア・パースに生まれた。父は商社マン、母は専業主婦で、9歳上に姉が1人いる。3歳までオーストラリアで過ごし帰国。その後、小学1年生のときに父の転勤に伴いシンガポール、翌年には香港へと一家で移り住んだ。帰国し、日本に腰を落ち着かせることができたのは、小学4年生になってから。「私は家でも学校でも、ひどい問題児でした。まず、落ち着きがない。常にもじもじして、じっとしていられない。声を出してはいけないところで出したり、グネグネしたり(笑)。それから、嫌なことに耐性がまるでなくて、受け流すことができずにすねて周囲を困らせたり、かんしゃくを起こしたり、駄々をこねたり」中学から大学までは学習院で学んだ。’95年、TBSに入社。’00年、仕事で知り合った7歳上の夫と結婚。2人の子宝にも恵まれた。’10年7月、アナウンサーとして籍を置いたTBSを退社しフリーになる。「’05年に次男を出産した後、心の底が抜けたようなパニック発作が起きてしまって。理由もなく全てが怖くなった。居ても立ってもいられない恐怖心と過呼吸と……」不安障害と呼ばれる症状だった。小島さんは臨床心理士のカウンセリングを受けた。そこで、改めて目を向けることになったのは、わが子との問題ではなく、自分と実家の家族、とくに母親との相克だった。「カウンセリングを受けて思い出したのが、幼いころの家族の関係でした。私は友達が1人もいなくて。人付き合いが下手な母と私は“母子カプセル”状態。母は『言葉遣いがよくないからあの子たちと遊んじゃダメ』などと、私を大事にしすぎて囲い込んでしまったんです。理想の子育てをしようと必死だったのでしょう」以来、母と娘の間には過度な干渉と執着、それに対する極端な反発が繰り返されてきた。「自分がイメージする『いい子』とわが子とが結びつかない、そんな感じだったと思います」小島さんはそのころ、9歳上の姉から言われた言葉がいまでも耳に残っている。姉は、両親の目ができの悪い妹ばかりに注がれることにいら立っていた。「あるとき、姉から『あんたは小島家の失敗作、あんたは本当にママをいじめている』って。そう言われてしまって。姉は寂しかったんだと思います。どうして自分はいい子にできないのだろうと、ずっと後ろめたかった。もう、呪縛のように。自分はダメ人間で厄介者なのだと。そして、その呪縛は女子アナという型に自分をあてはめようともがいた、TBS時代も同じだったんですよね」カウンセリングを受け、不安障害とどうにか折り合いをつけながら、小島さんは仕事に、子育てにと奮闘した。そして’14年。小島さんたち家族は、夫の退職を機に思い切った行動に出る。小島さんが生まれ、幼いころを過ごしたオーストラリアに移住したのだ。以来、小島さんは仕事のある日本と、夫や息子たちが暮らすオーストラリアを行き来する生活を続けてきた。「私が41歳のころですから、ちょうどオーストラリアに行く前後だったと思います。長いこと不安障害を診てもらってきた主治医の先生の問診を受けるなかで、こう診断されたんです。『小島さんは軽度のADHDでしょう』って」医師の説明によれば、小島さんが抱えてきた不安障害も、ADHDの二次障害と見ることもできるという。診断を聞きながら、小島さんは目からうろこが落ちる思いだった。「自分自身がそうだとわかって、いろいろ本を読みました。そこで改めてわかったのが、ADHDなど発達障害の特性を抱えた子がいる家族は、いろいろな苦労があるということ。崩壊してしまう家庭もある。いけないとわかっていても子どもに対して声を荒げてしまったり、手を出してしまったりすることがあると。家族も当人も、追い詰められてしまう。発達障害が知られていなかったころの育児はなおさらですよね」小島さんは「あくまで私の場合は、ですけど」と前置きして、こう続ける。「発達障害の特性が出やすいのって、親密な間柄の場合が多いんです。仕事先など公の場より、気が緩んでるプライベートで。衝動が抑えられず、しゃべりすぎたり、きつい表現になったり。たとえて言うなら高圧洗浄機みたい。上手に扱えば少し距離を置いた壁の汚れはきれいに落ちますけど、近くの人に向けようものなら『イタタタッ』となる。そう、私の家族もつらかったはずです」だから、あの日、ひどい言葉をぶつけてきた姉の心情も、いまなら小島さんは理解できる。かつて、『解縛』(新潮文庫)という自伝的エッセイで、過去のエピソードを紹介し、一時的とはいえ「毒母」のレッテルを貼ってしまった母のことも、いまでは思いやる気持ちが強い。「母もつらかったと思います。当時は情報もゼロですし、わが子が発達障害であることも知る由もなかったでしょうから」かつては距離を置き、7年もの間、顔を合わせなかった母を、いまでは小島さんはこうして、おもんぱかることもできていた。「父も母も姉も、そして私も、みんな困っていたんですよね。普通でなくちゃいけないと思い込むとしんどい。でも普通の家族とか普通の育児って、なんでしょう?」かつて、ともに暮らした家族とは、心の清算が進みつつある。では、現在進行形の家族との関りはどうなのだろうか。気になるのは、2人の息子との関係だ。「人との距離感がつかめないというのは、相手がわが子でも同じなんです。以前は上手な叱り方ができなかった。激しく怒りすぎた後で、謝ったことも何度もあります。『ごめんね、ママ、上手な怒り方ができなくて』って。息子たちもつらかっただろうと思います」小島さんはいま、息子たちには「ママにはADHDが理由でとても苦手なことがいくつかある」と説明している。「彼らもこれからたくさんの人と出会い、付き合うことでしょう。そのときのために、自分の母親が発達障害や不安障害など、困り事を抱えて生きているのを間近で見られたのはいい経験だと思う。『ママはその一サンプルだよ』と話しています。『同じ障害でも、困り事は人それぞれなんだよ』と念を押して」現在、オーストラリアで「家事全般を担ってくれている」という夫は、妻がADHDという診断を受けても動揺しなかった。「慶子はそもそもそういう人だから、別に驚かないよ」と。「それでも、彼もいっぱい本を読んで勉強してくれて。でもね……そうなると、こちらとしてはまた、過剰に期待しちゃって。『言わなくても、もっと私をわかってよ!』って(笑)。夫は高圧洗浄機のいちばんの被害者ですね。苦労も多いと思うんだけど、なぜか私を好きみたいです」自分の“個性”をしっかり受け止める家族がいる――。小島さんは前を向いて、穏やかな笑顔を浮かべた。
2018年12月10日割合が多いにもかかわらず、理解されにくい発達障害のケースがある私は精神科医として30年以上、臨床経験の大半を発達障害の診療に費やしてきました。今は、信州大学医学部附属病院にある「子どものこころ診療部」を中心に、乳幼児から成長して大人になった方までたくさんの方たちにお会いしています。ここでは、私の臨床経験から、発達障害と診断された人たちのなかで、割合が多いにもかかわらず十分に理解されずに困っているケースについてお話ししていきたいと思います。まずは、おさらいとして「発達障害」の種類から紹介しましょう。発達障害には、自閉スペクトラム症や注意欠如・多動症(ADHD)、学習障害など、いくつかの種類があります。そして、それぞれに特性があります。たとえば自閉スペクトラム症には「対人関係が苦手」で「こだわりが強い」という特性があり、ADHDには「多動性・衝動性」と「不注意」という特性があります。同じ発達障害でも、種類によって特性は違うわけです。■発達障害の基本的な特性Upload By 本田秀夫発達障害の各論だけでは説明できないことも私は、多くの方に発達障害について知っていただきたくて、これまで、自閉スペクトラム症やADHDについての本を多数出版してきました。ちなみに、自閉スペクトラム症やADHDは、「発達障害」を1本の木にたとえれば、その一部なわけです。しかし、最近、「発達障害の一部」を取り上げるだけでは、発達障害そのものを説明することが難しいし、発達障害を理解していただくのに十分ではない、と考えるようになってきました。そこで、「発達障害」そのものをタイトルにした本『発達障害生きづらさを抱える少数派の「種族」たち』を上梓し、発達障害のなかでも割合が多いにもかかわらず、十分に理解されていない人たちの話をまとめようと思い立ったのです。みなさんには、こんな経験はないでしょうか?本やインターネットなどで「発達障害」の解説を読んでも、その内容が自分や自分の子どもにいまひとつ当てはまらず、結局、発達障害のことがよくわからなくなってしまったというケースです。Upload By 本田秀夫ミスが多くて、コミュニケーションが苦手な人ここで、ある成人女性のケースを紹介しましょう。彼女は、仕事でミスが多く、職場でいつも苦労していました。本人はよく気をつけているつもりですが、見積書の金額を間違えたり、資料作成時に必要なページを飛ばしてしまったりします。ただ、彼女は余計なおしゃべりをせず、一生懸命に作業をするため、真面目な人と評価され、先輩にサポートされて、働いていました。ところが、キャリアを積むうちに仕事の幅が広がり、仕事量が増えると、ミスが目立つようになってきました。彼女は真面目な人でしたが、趣味がなく雑談も苦手で、社交的ではないため、「余計なおしゃべりをしない真面目な人」というよりは、「同僚とうまくコミュニケーションをとれない人」と評価されるようになっていきました。彼女は「このままでは、やっていけないのではないか」と不安を抱いています。Upload By 本田秀夫発達障害の特性が重複して現れるケースこの人が自分の生活や仕事に悩み、発達障害の可能性を考えて本やインターネットなどで解説を読んだ場合、「ミスが多い」という点を、ADHDの「不注意」の特性ではないかと感じるかもしれません。ところが、この人にはADHDの「多動性・衝動性」はあまりみられません。結果として、自分がADHDかどうか、わからなくなりそうです。いっぽう、「雑談が苦手」という点から考えていくと、自閉スペクトラム症の「対人関係が苦手」という特性があるようにも思えます。しかし、自閉スペクトラム症の「こだわりが強い」一面があるかというと、「趣味がない」わけですから、どちらかといえば、彼女は自分の場合、こだわりは弱いと感じています。つまり、この人の場合、自分にはADHDと自閉スペクトラム症、どちらの可能性もあるように感じながらも、どちらの確信ももてないという状態になってしまうわけです。本人は、人よりもミスが多いことや、人に比べて雑談が苦手なことによって苦しんでいます。その背景には、発達障害の可能性が感じられます。しかし、どの障害だと言い切ることができません。発達障害の一般的な解説には、この「発達障害の特性が感じられるけれど、発達障害の診断がつきにくい」タイプのことがあまり書かれていません。しかし、私はこのタイプの人も一定数いるように感じています。先ほどの女性には、ADHDと自閉スペクトラム症が「重複」しているのではないかと考えられます。そのために、ADHDの「不注意」の特性と自閉スペクトラム症の「対人関係が苦手」な特性がどちらもみられるのだと考えると、彼女の悩みを理解しやすくなります。また、彼女の場合、発達の特性に「強弱」の差がみられます。「不注意」と「対人関係が苦手」は強く現れていますが、「多動性・衝動性」と「こだわりが強い」ことは、弱いようです。ただし、本人が「自分には趣味がなく、こだわりは弱い」と感じている場合でも、実際にはこだわりが強いというケースがあります。人は誰でも、自分を基準にしてものごとを考えます。この人にとっては当たり前のことでも、ほかの人がみれば、こだわりとしか考えられないようなことがあるかもしれません。両親でも、わが子の見立てがそれぞれ違うことも次に、発達障害の特性を持つ、こんな男の子のケースを紹介します。その子のお父さんは「うちの子はほかの子にあまり関心を持たないし、こだわりが強いし、自閉スペクトラム症に違いない」と考えていました。いっぽう、お母さんのほうは「うちの子は落ち着きがなくて、いつもバタバタしていて、これはADHDね」と思っていたとします。同じお子さんなのに、お父さんとお母さんで見立てが違うのはなぜでしょう?それは、人は自分を基準にして相手を見るからです。この子のお父さんは、小学校のときの通信簿によく「落ち着きがない」と書かれていたそうです。お父さんからしてみると、自分を基準に考えれば、わが子は問題視するほど「落ち着きがない」ようにはみえないのでしょう。わが子の落ち着きのなさよりも、「対人関係が苦手」「こだわりが強い」という自閉スペクトラム症の側面のほうが浮き彫りになってみえたのです。いっぽう、お母さんは小さい頃から、落ち着きのあるお子さんだったそうです。そんなお母さんからしてみると、わが子はじっとしていられないし、常に関心ごとが移り変わって、十分に「落ち着きがない子」にみえたのでしょう。「自分」を基準にして考えると、同じ子どもの同じ親という立場でも、わが子への見立てが違ってきてしまうのです。この子の場合、医師に相談したところ、「自閉スペクトラム症」という診断を受けたそうです。ただし、「ピュアな自閉スペクトラム症」というよりは、ADHDの「多動性」の重複も考えたほうがいいかもしれません。発達障害の特性があって困っている人たち先にあげた成人女性のケースも、「自閉スペクトラム症」と診断された男の子のケースも、発達障害の特性に重複があって困っている人たちです。そして、 そうした重複例はかなり多いにもかかわらず、適切に理解・対応されていないケースが多くみられるのです。自閉スペクトラム症には、「対人関係が苦手」で「こだわりが強い」という特徴があります。そしてADHDには「うっかりミスが多い」「落ち着きがない」という特徴がみられます。「こだわりが強いこと」と「落ち着きがないこと」は、一見するとまじりあわない特徴です。一見正反対の特徴だからこそ、それらが重複すると、複雑な現れ方をして、十分に理解されなくなってしまうのです。逆にいうと、自閉スペクトラム症やADHDなどの障害特性のうち、どれか1種類だけが存在しているという場合には、非常に理解しやすくなります。なぜかというと、医学書で解説されている内容に近い行動がみられるからです。ピュアな自閉スペクトラム症、ピュアなADHDだったらもしも、先の成人女性が重複例でなかった場合には、どのように行動が変わるか、考えてみましょう。自閉スペクトラム症の単独例だった場合には、「雑談が苦手」というところは変わりませんが「ミスが目立つ」という特徴はみられなくなるでしょう。同僚に「人づき合いは悪いけど、仕事はできる人」という印象をもたれ、職場に適応できるケースも少なくありません。Upload By 本田秀夫いっぽう、ADHDの特性が単独の場合には、「ミスが目立つ」という特徴は残りますが、「雑談が苦手」ではなくなります。そうすると、同僚には「ミスはあるけど、明るくて活動的な人」という印象をもたれ、苦手な面も理解してもらえることがあります。単独例は、発達特性があるわりにはうまくいっているようにみえるかもしれません。Upload By 本田秀夫発達障害の人の悩みを理解し、支援するために、発達障害が「重複」するタイプで、「ちょっと自閉スペクトラム症で、ちょっとADHD」という人もいるのだということを、ぜひ知っておいてください。重複して現れることもある、と知っておくだけでも、発達障害の人の行動や心理を読み解くのに役立ちます。著者:本田秀夫(ほんだ・ひでお)信州大学医学部子どものこころの発達医学教室教授・同附属病院子どものこころ診療部部長、特定非営利活動法人ネスト・ジャパン代表理事。精神科医として30年にわたり発達障害の臨床と研究に従事している。
2018年12月06日最近は、必要最低限のものしか持たないという人が増えています。家の中がすっきりすることで気持ちにも余裕ができる「持たない暮らし」。私は大人になってから自分がADHD(発達障害のひとつ、注意欠陥/多動性障害)であると分かったのですが、ADHDの人の特徴として、片づけが苦手、衝動買いが多いというものがあります。ADHD抜きにしても、私の性格はズボラで雑なので、毎日掃除はするものの、部屋が散らかっていたりクローゼットはぐちゃぐちゃ、買い物に行くとついムダなものまで買ってしまうといった、物があふれる生活を送っていました。シンプルに暮らしたい!そのための工夫主人や子どもたちから「部屋が散らかっている」と指摘を受ける日々。片づけなきゃ、と思っていてもどこから片づければいいのか、どうやって片づけるのかがまったくわかりませんでした。そんな時、図書館でゆるりまいさんの『わたしのウチには、なんにもない。』(KADOKAWA刊)という本に出合いました。必要最低限のもの以外は何も置いていない部屋。本当に「部屋の中に何もない」写真を見て、衝撃を受けました。私も、こんなシンプルな生活がしてみたい!そう思ったのをきっかけに、本やネットで片づけ・整理整頓の情報収集を始めました。今回は、現在、私が実践していることを紹介します。・思い出の品やプレゼントなど処分しにくいものはデジタル化子どもの作品、写真や本、CDなど取り込めるものであればパソコンでデジタル化しましょう。・使わないものは処分断捨離といってなんでもかんでも捨てるのがよいというわけではありません。自分にとって必要な物を見分け、ムダなことを省くことが大事。本当に好きな物・必要な物を客観的に把握できると、不要な物は無理なく自然に手放せるようになります。※本や雑誌、CDや小物に服。「いつか使うかも」と保管しているものたちは、たいてい使いません。雑誌は気に入っている記事だけスクラップして処分。読まない漫画や本は古本屋へ。去年着なかった服は、きっと今年も来年も着ません。フリマなどで処分しましょう・リビングには最低限の家具のみわが家のリビングには、シンプルに机とテレビ、テレビ台のみ。家具やものが少ない部屋は、掃除もラクになって家事の時間も短縮できます。・服は着まわしのきくベーシックでシンプルなものをはやりのない長く使えるベーシックアイテムを選ぶことで、クローゼットの中もシンプルに。毎日のコーデが時短&ラクになります。私はお気に入りの服以外はすべて処分し、何着かの服を着まわして使っています。買い足すときは、手持ちの服とコーディネートできるかどうかで判断しています。 私が持つことをやめたもの・子ども用勉強机リビングの机と折り畳み式のミニテーブルで代用。教科書や学校の書類などは、3人分カラーボックスにまとめて収納しています。・ソファーソファーに物を置きっぱなしにするのを防げます。掃除がラクですし、ホコリがたまりません。空間が広く使えるようになります。・車必要な時だけレンタカーで代用。普段は自転車・電車・バス・徒歩で移動します。駐車場代、ガソリン代が節約できました。・スマホ家族共有のパソコン、タブレットで代用。私は専業主婦で外出する機会があまりないので、スマホがなくても不便ではありません。アプリをダウンロードすればパソコンでもラインができます。・トイレマット、キッチンマット思いきって処分したら掃除がラクになりました。ホコリもたまりにくく、汚れたと思ったら拭き掃除が簡単にできるので便利です。持たない暮らしで私が変化したこと・ムダ遣いや衝動買いが減った物欲が驚くほどなくなり、節約につながりました。・時間の使い方が上手になった優先順位をつけて家事ができるようになりました。部屋の整理整頓が苦手な人は時間の整理整頓も苦手な人が多いようです。・イライラが減ったキレイな部屋で生活することでリラックスできるようになりました。・痩せた断捨離するとなぜか体重も減りました。ものと向き合い、大切にすることが自分自身を大切にする気持ちと結びつき、食生活や自分自身を客観的に見直すきっかけにもなったように思います。・夫婦仲がさらによくなったお互いのストレスが減ることで会話時間が増えました。キレイな部屋だと家族も喜びます。片づけをすることは、単にものを捨て収納するということだけではなく、自分自身を見つめ直すチャンスになります。ものを持たないシンプルな暮らしは、身のまわりのものだけでなく、心の中もスッキリしてゆとりがもてる生活につながっています。いきなりすべてを捨てる必要はありません。少しずつ、自分に合った方法で持たない暮らしを楽しんでみてください。<文:フリーランス記者青木真美>
2018年11月12日モータースポーツ大好きな息子。楽しみにしてたバイク教室の日に発熱…!Upload By かなしろにゃんこ。息子は車や電車などモーターとタイヤがある乗り物が大好きです。小学校2年生の冬、大手バイクメーカーが小学生向けにバイク教室を開催しているのを知り、参加することにしました。しかし!当日になって熱を出してしまった息子。「楽しみにしていたのに残念だけどキャンセルしよう」と言ってみたものの、「ヤダ!絶対に行く!」と言って耳を貸さず、着替えだしました。学校に行く準備はウダウダとして着替えないのに、このときは飛び起きてサッサと仕度するじゃありませんか。一度言い出したら聞かない頑固な息子です。その熱意に負けて「ヤリタイようにやらせてみるか」と、親も息子に任せることにしました。集中してマジメに参加する姿に、母びっくりUpload By かなしろにゃんこ。バイク教室は、小学校1年生から6年生くらいまでの男の子や女の子と保護者が一緒に決められたコースをバイクで走るというプログラムです。小学生でも乗れる小さいバイクと肩や肘膝のプロテクターやヘルメットまで貸し出ししてくれて、小学生でも安全に講習を受けることができます。子どもたちだけで乗り方や注意事項の説明を受けてから練習していきます。意外だったのは、普段学校では先生の説明などろくに聞かない息子がマナーよく説明に耳を傾けていたことです!「なにー!?アイツが大人しく話を聞くなんて……」お母さん驚いちゃいましたヨ!さっきまで熱でフラフラしていたのにやればできるじゃない。バイクをブイブイと爽快に走らせて、勝手な行動も一切なく集中して参加しています。私の子じゃないみたいにカッコいい(笑)バイク教室は、夢のような体験に。いつの間にか熱も下がっていた!Upload By かなしろにゃんこ。途中でダウンするかしら?と心配していましたが、休憩中に体調を確認すると、どうやら楽しくて楽しくて脳から良いホルモンでも分泌されまくったんでしょうか?熱もすっかり下がり「スゴイ楽しいー」を連発。充実して、元気な様子です。キラキラした笑顔に「あら、いい顔するじゃない」と一安心。人間本当に楽しいことをすると熱も吹っ飛ぶんでしょうかね?それとも、バイク教室が楽しみだったから、興奮のあまり熱まで出しちゃったのかも!?将来の夢にもつながった?帰り道はルンルンUpload By かなしろにゃんこ。2時間のお教室はあっという間に終わり、フラフラだった足取りもしっかりしてスキップするほど回復しました。「ボク大きくなったら絶対にバイクとか車に乗るんだ!」とルンルン♪してモータースポーツの空気にどっぷりハマったようでした。小さいころから何でも体験させたくてローラーリュージュをやってみたりヘリコプターに乗ってみたりと、ワクワクすることに挑戦してきたわが家。中でも、小学生時代のバイク体験は、特別いい思い出になったようでした。ADHDがあっても、好きなことを学ぶときは、マナーもばっちりで参加できることにも気づけました!興味のあるものには全身全霊で集中できるんですね~♡嬉しい発見でした♡息子と一緒に乗ったバイク、いいところ見せようと思ったけれど…Upload By かなしろにゃんこ。参加したのは親子教室なので、一緒に参加した私もバイクに乗ったのですが…運転するのは15年ぶり。「ははは、若いときに乗っていたから運転はお手の物だよ」と自信たっぷりだったのに、いざ乗るとなると…「アレ?このエンジンかからない!なんでだろう?」と慌ててしまいました。ブレーキをかけていないとエンジンがかからないのが基本なのに、スッカリ忘れていて慌てまくる母(笑)息子はそんな母のテンパった姿を見ていたかはわかりませんが「まぁ~お母さんの運転なかなか上手だったよ」と上からのご意見いただきました。「あざーす!」ワクワクはやる気の原動力!整備士の夢に向かってUpload By かなしろにゃんこ。ところで、息子はこのときの体験が原動力になってなのか!?車の整備士の学校に進むことに。高校生になるころには、壊れたバイクをもらってきて庭で汚れながら修理したり古い車をいじったりして楽しむ姿も。成長しても好きなことへの情熱は変わりなく続いています。興味があること・大好きなことへ触れる機会を、親が少しだけ手助けをしてつくり、「やりたい」気持ちをかなえてあげることが、子どもの力になるんじゃないかな。20歳となり、整備士を目指す息子の姿を見ていて、そんな風に感じている今日このごろです。参考:YAMAHA親子バイク教室
2018年11月12日Q. 発達障害にはどんな種類がありますか?A. 発達障害にはいくつかの種類があり・ADHD(注意欠陥・多動性障害)・自閉症スペクトラム(ASD)・学習障害(LD)の3つに大きく分けられます。Upload By 井上 雅彦3つの発達障害の関係はこの図のように示すことができます。Upload By 井上 雅彦それぞれ次のような特徴があります。・ADHD(注意欠陥・多動性障害):ケアレスミスが多い、じっとしていられない、考える前に行動するといった「不注意」「多動性」「衝動性」がある。・自閉症スペクトラム(ASD):人とうまく関われない社会的コミュニケーションの困難。狭い範囲の興味、行動などに強いこだわりがある。他人の感情が理解できないなど。・学習障害(LD):読む、書く、計算するなど、特定の分野の学習に困難がある。ほかにも、トゥレット障害や言語発達遅滞、発達性協調運動障害などが含まれることがあります。こういった発達障害による特性は、人によってあらわれる程度が違い、一つだけではなく、いくつか重なってあらわれる場合もあります。【図解】発達障害とは?もし「発達障害かも」と思ったら?分類・原因・相談先・診断についてイラストでわかりやすく解説します!【図解】学習障害(LD)とは?イラスト図解でポイントを解説!自閉症スペクトラム障害(ASD)とは?年代別の特徴や診断方法は?治療・療育方法はあるの?(注意欠陥・多動性障害)とは?症状の分類と年齢ごとの特徴 、診断方法や治療まとめトゥレット障害(トゥレット症)とは?症状や治療法、ほかの発達障害との合併は?言語発達遅滞とは?言葉の遅れ、言葉が出ない原因、家庭でできるトレーニング、相談先まとめ大公開!発達性協調運動障害とは?ただ不器用なだけではない?症状、困りごと、相談先、家庭での対応まとめ
2018年11月07日小島慶子(46)が7月の「日経DUAL」に寄稿した記事を11月3日にTwitterで再掲。大きな反響を呼んでいる。小島は、自身が発達障害の1つ・ADHDであると公表。経験談や、ADHDの子を持つ親へのアドバイスを綴っていた。小島は11月6日にも改めて反響に触れ、「ADHDこそがあれやこれの原因だ!と安易に考えることには違和感があります」とコメント。さらに「その人が誰であるかはいろーんな要素で成り立っているものだし、しんどいなと思うことも原因は複数あるもの。一つの診断名や属性で人間を説明することは出来ないですよね」と考えを述べた。「同じ診断名でも身体は個別のものだし、誰でも自分の人生しか生きられません。だから、わかるよと言われたい時も、言われたくない時もあると思います。障害の有無と関係なく、その人がその人であることはこの世に一度きりの出来事。それを大切にしたいです」こうつづった小島に、Twitterでは賛同の声が上がっている。《ADHDなんて、多様性の中の単なるひとつの特徴でしかないよな。みたいに世の中の多くの人が考えるようになれればいいかな》《この人はこれが苦手なんだと考えを改めることで、発達障害の方が生きやすくなると思います》《障害を公表したりされたりすることが 人と人との間の快適なコミュニケーションのきっかけになる時代に なっていけばいいと思う》小島は不安障害を先に診断されており、その主治医からADHDと診断されたという。そのため同記事では「もっと早く知りたかったよ!」と当時の心境を明かしていた。というのも小島は子供のころから周りに馴染めない自分を責めることがあったようで、「それが私の生きづらさにつながって、摂食障害やら不安障害やらの要因になった」と分析していた。小島同様に、ADHDであると大人になるまで気づかず苦しむ人もいる。Twitterでは《そうそう発達障害と知る前は自他共に自分が悪いと思う、自分への誤解の辛さ。障害が原因と知ると、そうではなかったと腑に落ちる》など共感の声もよせられていた。
2018年11月06日発達障害という言葉がずいぶん浸透してきたと感じますが、私は複雑な心境です。当事者として、思いを発信してきました。発達障害当事者も、そうでない人も、お互いに理解し合える世界を望んでいました。今の状況は、果たしてそういった世界なのでしょうか……。文・七海日常生活で ”発達障害” の使われ方が変わったネット上でもそうなのですが、私のもっと身近なところ、日常生活でも変化を感じるようになりました。ひと昔前まで、発達障害者は ”腫れ物扱い” されている印象がありました。さらにいえば、発達障害だということをカミングアウトしても、その単語自体を知らないという人もいました。今では発達障害という言葉を聞いたことがない人のほうが稀なのではないでしょうか。コミュニケーションが上手でない人を、”アスペ” と揶揄することすらありました。当人が当事者であるかどうかは別にして、差別用語として使用されていた認識です。今では、「もしかしたら私も発達障害かも……」「あの人は発達障害だから仕方ないよね」といった発言が見受けられます。以前まででも全くなかったわけではないのですが、こんなに多くなったように感じるのです。さらにいえば、ニュアンスも異なるように思います。差別用語としてではなく、ある意味 ”個性” として受け入れられている面はあるのかもしれません。錯綜する情報、発達障害の ”せい” にする人たち発達障害という単語が浸透したうえで感じるのは、情報が混乱しているというもの。主にADHDとアスペルガー症候群が取り上げられているように感じます。その2つを取っても、情報がごちゃ混ぜになっていると感じる場面が多々あるのです。例えばADHDの特徴として、長時間ひとつのことに集中できないといったものが挙げられます。いっぽう、アスペルガー症候群の特徴の中には、言葉を額面通りに受け取るといったものがあります。もちろんこれは一例で、症状はさまざま。その症状の出方も人それぞれです。上に挙げた例を見ると、どちらも社会生活を送るうえで不便をきたす可能性があります。しかしながら、ADHDとアスペルガー症候群は別物です。併発している方も確かにいますが、「集中力がないし空気を読めないから発達障害である」と決めつけるのは少々安直な考えに感じます。私はアスペルガー症候群当事者ですが、集中力がないときはないですし、不注意からミスをすることだってあります。だけど、ADHDの診断は降りていません。また、発達障害は、ADHDとアスペルガー症候群だけではありません。読み書きや計算などの能力のうち、習得や使用などに著しい困難を示す ”学習障害” も、発達障害のひとつです。よく聞くアスペルガー症候群は ”自閉症スペクトラム障害” のひとつであり、そのほかには知的障害や運動能力の遅れを伴うものなどもあります。発達障害は本来さまざまであるものの、情報が錯綜しているが故に「ADHDとアスペルガー症候群の症状の一部があるから発達障害だろう」と憶測する人も少なくないように思うのです。発達障害という言葉が浸透しているぶん、「自分は発達障害だ」「あの人は発達障害だ」と決めつけると楽になる気持ちもよくわかります。生きづらかった原因は障害の ”せい” だったのだ、と安堵した経験は私自身にもあるからです。偏見は確かに少なくなったかもしれない。だけど…前述した通り、ひと昔前はもっと偏見にあふれていたように感じます。アスペルガー症候群でいうと、”コミュニケーションができない人” というレッテルを貼られるような感覚です。しかし、私には接客経験があります。接客でいうと、クレーム処理が得意なほうでした。他の人のクレーム処理も任されていたので、そういった認識です。アスペルガー症候群と聞くと、クレーム処理が苦手なイメージがありませんか? 実際、私は真逆なのです。発達障害といっても、本当にさまざまなのです。「○○だから発達障害」というストレートな考え方は、今の状況だと少し危険だなと思います。発達障害の情報が錯綜しているぶん、「私(あの人)は発達障害だからこれもできないだろう」と、勝手な諦めも出てしまうかもしれないからです。憶測だけで自分や他人の可能性を潰すのは、非常に残念に思います。ひと昔前に比べて偏見は少なくなったと思います。偏見や差別意識をなくせれば、そういった思いもありました。その点で言えば、私の願った世界に近づいたのかもしれません。だけど、強い違和感を覚えるのはなぜなんだろう。何度も自問自答しました。今の結論では、発達障害自体が拠り所になっているだけの人が多くいるように感じるからです。発達障害は ”個性” という捉え方で良いのだと、私は思います。程度の差はあれど、みんなで手を取り合って生きていければ良いのでは、と。そういったポジティブな世界を望んでいたのだと思います。今は発達障害の ”せい” にする風潮が強すぎるのかな、と感じます。多少の安堵感は良いと思うんです。しかし、発達障害の ”せい” にして、可能性を摘んでいるような状況が、ネガティブな浸透の仕方のように感じています。当事者も、当事者であろう人も、そうでない人も。みんなが生きやすい世界が私の理想です。せっかく浸透するのであれば、わかり合い、助け合い、プラスを生み出せるような世界になるよう願っているのが、私の真意です。©PaulaConnelly/Gettyimages©fizkes/Gettyimages©praetorianphoto/Gettyimages
2018年11月05日ADHDとはADHD(注意欠陥・多動性障害)は、主に不注意、多動性、衝動性の特性が現れる先天的な発達障害です。文部科学省はADHDを以下のように定義しています。ADHDとは、年齢あるいは発達に不釣り合いな注意力、及び/又は衝動性、多動性を特徴とする行動の障害で、社会的な活動や学業の機能に支障をきたすものである。また、7歳以前に現れ、その状態が継続し、中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定される。の特徴をわかりやすくまとめると、以下のようになります。Upload By 発達障害のキホンADHDの3つの特性と診断タイプUpload By 発達障害のキホン・不注意…物事に集中できず、忘れっぽい・多動性…落ち着きがなく、じっとしていられない・衝動性…自分の感情や行動をコントロールできず、衝動的に動いてしまう診断の場で使われることの多いのは、アメリカ精神医学会が定める「DSM-5」という診断基準です。DSM-5では、ADHD「注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害」の診断基準に照らし、さらに以下の3つのカテゴリーに分類され、重症度を特定されます。・不注意優勢型…過去6ヶ月、不注意の基準を満たしている場合・多動・衝動性優勢型…過去6ヶ月、多動性・衝動性の基準を満たしている場合・混合型…過去6ヶ月、不注意と多動性・衝動性の基準をともに満たしている場合ADHDのある人の多くは3つの特性を併せ持っていると言われていますが、それぞれの症状の現れ方は一人ひとり異なり、不注意が目立ち、多動性はあまり見られない人もいれば、多動・衝動性が強く現れる人もいます。ADHDの特性・困りごとをチェック!ADHDのある人によく見られる困りごとの一部をご紹介します。不注意、衝動性と多動性の困りごとは関係しあったり、重なったりしている場合も少なくありません。年齢や環境などによって現れる特性や困りごとは異なり、また特性があるからといって必ずしも生きづらさや困りごとが現れるとは限りません。ですが、以下のリストにあげる特性や困りごとに当てはまるものが多く、長期にわたって日常生活や学業・仕事に支障が出ている場合、専門家への相談をおすすめします。自治体の保健福祉センターや子育て支援センター、発達障害者支援センターなどで相談支援を行っています。必要に応じて検査や、発達障害を専門とする医療機関につないでもらうこともできます。Upload By 発達障害のキホンADHDの原因は?ADHDの症状が起こる確かな原因はまだ解明されていません。近年の研究から、ADHDの人は、行動等をコントロールしている神経系に機能異常があると考えられ、脳の前頭前野部分の関連が有力視されています。Upload By 発達障害のキホン前頭前野が働くためには、神経伝達物質の一つ、ドーパミンが必要です。しかしADHDの人の場合ドーパミンがうまく運べず、そのために「多動」「衝動」「不注意」の3つの特徴が現れると考えられています。また、前頭前野の働きが弱いと、五感からの刺激を敏感に感じ取ってしまいます。感覚を過剰に感じてしまうので、論理的に考えたり集中するのが苦手となる傾向があるとの説もあります。Upload By 発達障害のキホンまだ明確な原因の解明には至っていませんが、複数の関連遺伝子が先天的な脳機能の偏りに関わり、それが様々な環境的要因と相互に影響し合ってADHDの症状となると考えられます。以前言われていたような親の育て方やしつけが直接の原因という説は誤解です。ADHDのある人が気をつけたい合併症と二次障害Upload By 発達障害のキホン上記の図が示すように、自閉スペクトラム/自閉症スペクトラム障害(ASD)や学習障害(LD)といったADHD以外の発達障害、知的障害は重複して現れる場合も少なくありません。また、感覚過敏やチックなども合併症として知られています。合併症がある場合、それだけ困りごとも増え、治療法や対処法も複雑になります。ADHDの特性が理解されないまま生きづらさが強くなると、心の病や行動の問題など、二次的な障害を引き起こすことがあります。以下に二次障害に陥りやすいプロセスをご紹介します。Upload By 発達障害のキホン適切な環境や周りの対応が得られないと、ADHDの場合、年齢が上がるにつれて行動面の問題や行為障害につながりやすいと言われています。特に、ADHDから反抗挑戦性障害、行為障害、反社会性パーソナリティ障害へと進行する場合を「DBDマーチ(破壊的行動の障害の行進)」ということもあります。二次障害を予防するためにも、その子が困っていることに早く気づき、専門機関やサポートにつながることが大切です。ADHDの特性は言い換えると、旺盛な好奇心、思い立ったら動き出せる行動力など、長所でもあります。一人ひとりの特性を理解し、その子に合った対処法と過ごしやすい環境を考え、困りごとがある場合は軽減しつつ、得意なところを伸ばせるよう、サポートしていきましょう。ADHDをもっとくわしく知るリンク集の診断・検査法を詳しく知るの治療法・療育法を詳しく知るの原因を詳しく知る大人のADHDについて詳しく知るの子どもへの接し方を詳しく知る親子のヒント参考書籍:『DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引』(医学書院)注意欠如・多動症-ADHD-の診断・治療ガイドライン 第4版(齊藤 万比古 (編集),じほう)
2018年10月30日発達障害のある子ども達の存在は、人類のためにも意味があるのでは?出典 : こんにちは。「発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法」著者・楽々かあさんこと、大場美鈴です。今回は、いつもとは少し違った視点から、発達障害について考えてみたいと思います。学校などでは、集団行動が苦手で何かと注意・叱責されたり、出る杭が打たれたり、時にトラブルを起こしては「問題児」のレッテルを貼られがちな発達障害のある子ども達。もちろん、いずれは自立し社会の一員として、周りの人たちと助け合いながら共に生きていけるように、大人達が根気よく一つひとつ教えながら導いていく必要のあることは、他のお子さん達よりも多いと思います。でも、毎日実際に子育てしていると、子ども達のユニークで斬新な発想に驚かされたり、予想だにしなかった出来事に出会うことも多く、それまでの私の常識や固定概念をひっくり返されることばかり。これって、本当に「脳機能の障害・欠如」なのだろうか?こういった個性豊かな子ども達が存在すること自体、人類にとって何か意味があるんじゃないのか?…と、私は世の中に問い直したい気持ちになるのです。(※現在、こういったものの見方は「ニューロ・ダイバーシティ(神経多様性・脳の多様性)」というキーワードを軸に、海外では自閉権利運動(autism rights movement, ARM)などが展開され、さまざまな立場からの議論があるようですが、本記事ではあくまで発達障害のある子を育てる一人の母親・地域の子ども達を見守る一人の大人としての実感を基に、筆者個人の見解を述べています。)ニューロ・ダイバーシティニューロ・ダイバーシティ|ウィキペディアでは、学校などの小さな社会から離れ、もう少し視野を広げた「人類目線」だと見えてくる、「発達障害のある子ども達は、人類の未来にとって必要」と私が考える理由を7つ、以下に挙げます。出典 : 「なんで校長先生は髪の毛がないんですか?さわっていいですか?」「ハナゲ出ているよ、〇〇さん。とってあげようか?」「ねえ、おばさん?おばあさん?どっちなの?」…正直すぎて容赦なくタブーに斬り込む、恐れ知らずの子ども達(悪気はないんです、すみません)。実は、その場の状況や相手の表情などから判断し、「空気を読む」「本音と建前を使い分ける」「忖度する」ことが苦手な子は、少々デリカシーに欠け、見たまま、思ったまま、感じたままを率直に口に出してしまうことも。鋭い言葉は諸刃の刃。時に皆から一斉に冷ややかな視線を浴び、時に思わぬところにも敵を作り、時に集団の批判の的になってしまい、本人も痛手を負った経験だってあるかもしれません。でも、考えてみれば…。非合理的な古い慣習や旧態依然とした組織の体質、権力者による閉鎖的な管理・支配体制、一部の人だけがずーっと得をするシステムなどが、いつの間にか出来上がっている時。それでも、その小さな社会では誰もが「常識」「そういうもの」と疑問を持たずに受け入れ、たとえ「何かがおかしい」と感じても空気を読んで言いたいことが言えずにいる中…。「こんなのはオカシイ!」「なんでこんなことしなきゃならないの!?」「アホらしい」「ムダ」と、ブラックな常識に根本から疑問を投げかけ、エライ人に面と向かってバッサリと異を唱えられる、貴重な人材になれるのではないでしょうか。空気なんて読んでいたら、できないこと、成し遂げられないこと、いつまで経っても変われないことは、いくらでもあります。出典 : 皆が並んでいる時に並ばない、皆が座っている時に立ち歩き、皆が立っている時に座り込む…こんな天邪鬼な行動をして先生方の手を焼かせ、独り離れたところでプイッと顔を背けているお子さんを、小学校でも時折見かけます。大人にすれば「言うこと聞かない子」「反抗的」のように映るので、きっと、彼は毎日怒られてばかりでしょう。でも、もしも、自然災害や大きな事故などの非常事態で、皆が同じ方向に逃げたとしたらどうでしょうか。全員助かる可能性もありますが、反対の結果になる可能性だってあるんです。「皆が同じ行動をとる」ことは、人類が生き延びていく上では大きなリスクと言えるでしょう。「皆がどうしようと、おれはこうする!」と、自分の直感力を信じて単独行動をとり別方向に逃げて助かることもあるかもしれません。「人と違う行動をする子」が集団の中に1人くらいいることは、人類にとってはリスクヘッジの一つと言えるのではないでしょうか。出典 : 感覚の過敏さなどがあると、特定の音やニオイ、味や食感、色・形、触感、過去の経験等による極端な苦手さや恐怖心・不安感から、こだわりが強くなってしまう場合もあります。そのため、偏食家でテコでも給食を食べなかったり、体育館やエアータオルのあるトイレなど、特定の場所に入ることに抵抗したり、通学路で絶対に通りたがらない道があったりで、親や先生が困り果ててしまうこともあるでしょう。反面、そういった子達は恐るべき直感力と鋭敏さを持ち合わせてもいます(例えば、味覚が鋭いうちの長男は、水道水が家のどこの蛇口から出たのか「利き水」できます)。そして強い信念で、誰も気にしないような些細なことがどうしても気になったり、一つのことにとてつもなく興味を惹かれて、納得ゆくまで没頭できるのです。その強いこだわりと粘り強い意志は、他の人がとっくに諦め投げ出すような無理難題にも、不屈の精神で最後まで諦めずに立ち向かえる力になるかもしれません。「自閉症者が人類社会に「不可欠」である理由 〜実は障害ではない! 最新研究が明かした驚きの真相」(正高 信男)|gendai.ismedia.jp出典 : 教室の机の中や、ランドセルやロッカー、道具箱…そして頭の中までグッチャグチャ!短期の記憶力の相対的な弱さや、感覚の敏感さから受け取る情報量が多くて処理が追いつかない、などの理由で情報の取捨選択や、モノや記憶の整理整頓が苦手な子もいます。すると、テキパキと物事を片付けられずに、見かねた隣の席の子が置きっ放しの体操服をたたんでくれながらも、「ちゃんとしなよ」「もう!だらしないんだから…」とため息をつかれては、少々肩身の狭い日々を過ごしているかもしれません。でも反面、「いいこと思いついた!」と一見無関係の情報同士が結びつき発想の飛躍が起こって、イタズラな笑みを浮かべて突然のひらめきが舞い降りることもあるんです(さらに大人に怒られる結果を招く場合もありますが…)。こんな子ども達は、斬新な発想や柔軟なアイデアで新しいものを生み出して、時代を切り拓く力を持っています。そして、この力は逆境にとても強いようにも思います。行動範囲や使える物資の限られた困難な窮地の中でこそ、創意工夫は生まれてくるからです。もしも人類のライフラインが途絶え、電波も宅配サービスも届かないサバイバル生活に突入したら…その辺にある材料で火を起こしてお湯を沸かし、不安な子ども達を手作りのおもちゃで笑わせてくれるのは、小学生の頃、道具箱がゴミだらけだった少年かもしれない、と思うのです。出典 : もしも本当に、人類が火星に移住することになったら、真っ先に手を上げて飛び込んでいくのは、人一倍好奇心が強く行動力のある人達でしょう。強い好奇心や行動力は、裏目にでると「落ち着きがない」「じっとしてられない」と注意や叱責を受けがちです。エネルギッシュで計画的に先を見通すことが苦手な子は、周りの人たちをハラハラさせ、学校ではトラブルも多かったかもしれません。しかも、小さな頃から本当に危なっかしくて親は片時も目が離せず、気の休まる暇のない育児をしながら育て上げた、大事な命です。でも、そんな周りの心配や苦労をよそに、やっぱり、チャンスがあれば行っちゃうんでしょうねえ…火星。「危ないから」って止めたって、親の言うことなんて、聞きゃあしないんでしょうねえ…火星。危ないことだと分かっていても、好奇心のほうが勝ってしまう。大人が何度口酸っぱく注意しても懲りずに同じ失敗を繰り返す。リスクを冒してでも、新しい世界に飛び込んで開拓していける、生まれながらのチャレンジャー。…私はそれを「欠陥・欠如」だとは、とても思えないのです。この果てしないエネルギーが溢れる子ども達を、一体何がこんなにも突き動かすのでしょう。人類のために、この子達に与えられた役割があるように思えてなりません。「ADHDの進化論:ADHD的性質が人類にグレートジャーニー(生存圏の拡大)をさせたのかもしれない」(荒川泰之)|“好き”を”学び”に。”学び”を"仕事"に。出典 : うっかりさん・あわてんぼさんは、多動性・衝動性・不注意性が高いのでミスや失敗が多くなりがちです。ガチャガチャとモノを壊したり、調理実習や科学実験の手順や量を間違えるので、「手を出さないで」「余計なことしないで」なんて、クラスの班行動の蚊帳の外に置かれてしまう経験も多いかもしれませんね。でも実は、人類の生活を一変させるような大発明や大発見には、うっかりミスによる失敗からの偶然の産物も驚くほど多いのです。例えば、2002年にノーベル化学賞を受賞した田中耕一さんのタンパク質をイオン化して分析計測できる方法の発見も、間違った試料同士をうっかり混ぜてしまい、しかも、それを「もったいないから」と実験を続けた結果起こったミラクルの結果です。それに、将来もしもAIが暴走した時に、「つい、うっかり」つまずいて電源を引っこ抜いたり、精密機器にコーヒーをこぼしてしまって、人類を奇跡的に救出できるのは、誰も予測できない行動が取れる多動性・衝動性・不注意性の高い人物かもしれません。そして、偶然から生まれるミラクルは、「失敗」という名のクジを引く回数が多ければ多いほど、当たる確率が高くなるのではないでしょうか。社会全体が些細なミスや失敗を責め続けていたら、当たるものも当たりません。日本にできることはたくさんある 島津製作所 田中耕一記念質量分析研究所長、2002年ノーベル化学賞 受賞者 田中耕一 氏|サイエンスポータル出典 : 「どうして自分はこんなにみんなと違うんだろう…」「どうしてこんなに簡単なことが、当たり前にできないんだろう…」…実は、個性の豊かな子ども達は、少しづつ、周りと自分の違いに気づき始めるお年頃になると、自分のアイデンティティについて思い悩みもするようです(かつて、私自身もそうであったように…)。そして、親や先生と衝突したり、友達とうまくいかなかったり、上級生に生意気だと目をつけられたり、勉強や部活で努力がなかなか実を結ばなかったり…と、孤独感や挫折を多く経験したり、ストレスから心身の体調を崩したり、学校に行けなくなる子もいるようです。また、せっかくの素敵な個性を抑えて、出る杭が打たれないように、努力で「フツーにする」ことで自分に負担をかけながら、一見問題なく集団に適応しているように見える子もいます。でも、発達障害に限らず、どんな子でも、どんな個性でも、人間の多様性を確保することは、人類の未来のために必要なことです。イレギュラーな存在がなければ遺伝子の進化も、文明の進歩も起こらず、人類はとっくに滅亡していたことでしょう。必要だから、そこにいるんです。「ちゃんと並ばないから」と、大量に廃棄される曲がったキュウリのように、少しでも「規格外」のものを切り捨てていたら、人類は自らの首を締めることになり兼ねません。だってそれは、あらゆる可能性の芽や貴重な資源を捨てているのと同じだと、私は思うからです。発達障害のある子は人類に必要。だから、胸張って生きろ!!出典 : 「みんなと同じ」が求められがちな環境では特に、発達障害のある子も、そんなお子さんを育てるお母さん・お父さんも、マイナス面ばかりがクローズアップされて、つらい経験やしんどい想いが続いて、すっかり自信をなくしているかもしれません。「みんなと違う」ことで、不安になったり、苦しくなったり、イヤな思いをしたり、孤独を感じることもあるでしょう。大人になっても、社会の側に余裕がなければ風当たりが強くて、少々生きづらいかもしれません。つまずいてばかりだと「いつでも、前向きに」なんていかないかもしれません。でも、私はそんな豊かな個性の、愛すべき子ども達に伝えたい。「あなたたちは人類に必要なんだから、胸を張って生きるんだよ!!」と。
2018年10月23日発達障害がある10代のためのイベント、渋谷で開催!2018年11月10日(土)14時より開催するイベントの告知です。発達障害がある10代の方々の中には、「学校生活・友人関係がうまくいかない」「親とどうしても通じ合えない」「このまま生きていって、進路やその先の生活は大丈夫だろうか」など不安に思っている人もいるのではないでしょうか。今回は、「10代のハッタツ・トーク!センパイ当事者3人の『ワタシ』的生き方」と題し、10代の方々を対象に渋谷でトークイベントを実施します。生きづらさを抱える10代への企画「#withyou」を展開する朝日新聞withnewsさまとの共同開催です。発達障害の当事者であり、現在自分らしく生きていらっしゃる以下3名のゲストをお招きします。・動画やSNSなどで発達障害について発信しているAyanoさん・15歳で「HORIZON LABO」を始めたコーヒー焙煎士岩野響さん・NPO法人AVENGE OF MISFITS 代表理事池田誠さん3名それぞれの視点や経験談を踏まえながら、発達障害がある10代のリアルな悩みに向き合い、一緒に考えていけたらと思います。パネルトークのモデレーターは、LITALICO発達ナビ編集長・鈴木がつとめます。当日は、Youtubeでの動画配信を通して、来場が難しい方々にも内容をお届けする予定です。ご参加希望の方は、以下の概要を確認の上、申し込みフォームからご応募ください。親子での参加も大歓迎です!記事一覧ページゲスト①:AyanoさんUpload By 発達ナビ編集部■Ayano2017年3月にアスペルガー症候群/ADHDと診断される。発達障害に対するネガティブなイメージを払拭し、誤解や差別をなくすため、同年9月からYoutubeでの動画配信をスタート。さんのYoutubeチャンネル:ゲスト②岩野響さんUpload By 発達ナビ編集部■岩野響(いわの ひびき)2002年生まれ。10歳でアスペルガー症候群と診断される。中学生で学校に行けなくなったのをきっかけにあえて高校に進学しない道を選び、「できること」を追求していく。2017年4月に自宅敷地内にコーヒーショップ「HORIZON LABO」をオープン。そのコーヒーの味わいや生き方が話題となる。毎日が発見ショッピング>ホライゾンコーヒー:ゲスト③池田誠さんUpload By 発達ナビ編集部■ 池田誠(いけだ まこと)特定非営利活動法人AVENGE OF MISFITS代表理事社会福祉法人いーはとーぶ 外部役員大人になってからADHDの診断を受ける。それ以来、「私たちのことを私たち抜きでは決めないで(障害者権利条約の合言葉)」をモットーに、発達障害当事者からの発信活動を行なっている。開催概要【日時】2018年11月10日(土) 14:00(13:30開場)※入退場自由【場所】朝日新聞メディアラボ 渋谷分室東京都渋谷区 神宮前6丁目19−21 4F交通案内:渋谷駅から原宿方面へ徒歩5分会場マップ:【定員】60名【対象】発達障害のある10代の方々※診断の有無等は関係ございません※親子での参加も可能でございます【参加費】無料【タイムテーブル】14:00開会14:10登壇者によるミニ・プレゼン14:30登壇者全員でのパネルトーク16:00質疑応答16:30閉会※タイムテーブルは現状の仮予定です。開始時間は変更しませんが、時間配分などを多少変更する可能性があります。【共催】withnews(朝日新聞社)LITALICO発達ナビ【申込締切】2018/11/6(火) 15:00【備考】※1 お申し込み多数の場合、参加者は抽選による決定となります。※2 抽選の場合には、2018/11/8(木)までに、参加の可否をご連絡いたしますので、h-navi.jpドメインからのメールを受信可能なメールアドレスでのご登録をお願いいたします。たくさんの方のご応募お待ちしております!イベント会場をご提供いただく朝日新聞withnewsさまでは、生きづらさを抱える10代への企画「#withyou」を展開しています。発達障害にまつわる特集も組まれる予定です。イベント登壇者へのインタビュー記事もありますので、ぜひご覧ください。
2018年10月19日Q. ADHD(注意欠陥・多動性障害)の定義は?A. 文部科学省では「年齢あるいは発達の水準に釣り合わないような注意力、衝動性、多動性があることで、社会生活や学業、職業の面で支障をきたす」と定義されますが、ADHDの定義は複数あり、診断基準や使われるシーンによって変わります。Upload By 井上 雅彦ADHDの定義については、いくつか種類があります。その定義が定められた年代や、考え方、使われるシーンによっても、定義される内容や疾患概念、発現年齢も異なります。現在日本で使われることの多い代表的な定義として、主に学校教育の場面で用いられる文部科学省の定義と、医療の診断基準として用いられる「DSM-5」を紹介します。■教育:文部科学省の注意欠陥/多動性障害(ADHD)の定義ADHDとは、年齢あるいは発達に不釣り合いな注意力、及び/又は衝動性、多動性を特徴とする行動の障害で、社会的な活動や学業の機能に支障をきたすものである。また、7歳以前に現れ、その状態が継続し、中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定される。■医療:アメリカ精神医学会の診断基準の「DSM-5(精神障害の診断と統計マニュアル第5版)」「注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害」として、不注意または、多動性、衝動性が持続的にあり、機能や発達を妨げている状態が、12歳までにあらわれるとされています。(精神障害の診断と統計マニュアル第5版)について詳しく知る■行政・法律:日本でのさまざまな法制度の根拠となる「発達障害者支援法」またADHDは法制度の根拠として定められている「発達障害者支援法」では、「注意欠陥多動性障害」として、発達障害の一つとして定義されています。症状があらわれる時期などは、それぞれの定義によって違いはありますが、共通して言えることは、これらの不注意、多動性、衝動性などの症状が6ヶ月以上持続することと、これらの症状のために社会的な集団参加や学校生活に支障をきたしていることです。もっと詳しく知る(注意欠陥・多動性障害)とは?症状の分類と年齢ごとの特徴 、診断方法や治療まとめ【専門家にきく】発達障害の定義ってなに?参考:特別支援教育に関すること 「発達障害」の用語の使用について [別紙2] | 文部科学省参考:主な発達障害の定義について| 文部科学省
2018年10月19日「この服ムカつくんだよー!!」息子の怒りが爆発Upload By かなしろにゃんこ。「服についているメーカー名のタグや品質表示の素材ってなんとかならないかな~」と思ったことありませんか?うちのADHD息子は、小学校高学年まで肌がとても過敏でした。服のタグや、素材、縫い目がチクチクすると嫌がり、イチイチ怒ってイライラ。「この服ムカつくんだよー!!」って服にあたり散らすのです。服に怒ったってしょうがないじゃない!?って思いますけど、着るもののせいで24時間不快に過ごすのはツライのも事実。親子でチクチク、イライラ、チクチク、イライラUpload By かなしろにゃんこ。肌が過敏な人は、服を裏表逆に着てかゆみ対策をする人もいますよね。でも、部屋着以外はなかなかそうはいかないのが悩みです。洋服を購入するとすぐ、タグを切ってチクチク防止対策をするのですが、切り方が甘いと素材が残っている部分がやっぱりチクチク。「もっと切って」と頼まれるので全て取り除こうとすると服の生地まで切ってしまって大失敗!結局チクチク縫う羽目になります、トホホ(涙)親子でチクチク、イライラ、チクチク、イライラ…!こんなことならこうしてしまえ!と面倒なことに乗り出しました。面倒だけど欠かせない「細工」Upload By かなしろにゃんこ。「タグの切れ目を綿の布かガーゼ生地で覆ってしまう」チクチク作戦です。タグがうまく全て切り取れなかった服だけとはいえ、結構な量の服を縫わなければいけません。やり始めは大変でしたが、購入したら縫うようにしていきました。この「細工」作業はとても面倒くさいんですけど、息子のイライラの原因が一つでも減るなら、それで私の心の負担も減るので自分のためにもなりました。夜中にチクチク縫っていると一日を振り返って冷静に考える時間になっていたような気がするのでした。Upload By かなしろにゃんこ。服以外でも肌にあたる物にはこだわりがあるようで、「シーツの素材をツルツルした布にして欲しい」と息子からリクエストがありました。一緒に手芸店に行って肌に合う素材を選んだら、サテンの生地が気に入った様子。それでシーツをつくることにしました。一人でシーツがかけられるようになるといいな♡と思っていたので、不器用な息子でも簡単にシーツをかけられる形状にしてみたのが良かったようで、10年経った現在も気に入って使用しています。肌触りも満足、自分でシーツかけもできるようになり一石二鳥です!不器用なので裁縫は大変なのですが、「肌がすべる感覚が気持ちイイー。布団大好き!」と言ってもらえると、つくってよかったなと思えます。今度は私が過敏に!?Upload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。20歳になった息子、現在は肌の過敏症も少なくなりまして、タグの部分に布を縫うことはなくなりました。が、年のせいか?私のほうが過敏になりつつあります(泣)「着心地のいい服ってないかしら?」と肌のかゆみに悩んで百貨店をブラブラしていたら、ガーゼ生地でできた服を見つけました!この服はタグがなく、触った感触もフワフワ。まるで赤ちゃんの肌着のようにやさしい着心地です。日本アトピー協会推奨品だというので購入してみましたら…体が楽!着心地良すぎてヤヴァイっす。着心地って大事よね…改めて息子の気持ちが分かったのでした。参考:特定非営利活動法人日本アトピー協会参考:マシュマロガーゼⓇ | 内野株式会社
2018年10月18日こんにちは、2~11歳の3男1女のママをしています、スガカズと申します!突然ですが……子育てする中で、旦那さんと自分の価値観の違いで悲しい思いをしたことはありますか?価値感の違いは、話し合いで歩みよることができる場合と、できない場合があります。お互いの価値観を尊重したいけど、これは許しがたい! と、言い合いになる原因はだいたい同じ。今回はそんな夫婦の子育ての価値観についてお話します!夫婦で異なるADHDの息子たちの育児方針わが家の長男(11)と次男(8)は、ADHD(注意欠陥多動性障害)。発達障がいの子どもは、得意なことと苦手なことの差がはっきりしていることが多いです。そんな2人に旦那は結構手きびしく叱ることも……。旦那が叱る役。叱られた子どもたちをなだめるたり説明するのが私の役 です。子どもの気持ちにできる限り寄り添いつつ、行動を促すようにしています。そのためには、その子の特性に合った関わり方や声かけが必要です。夫婦ゲンカは突然に!原因は……●子どもを叱るのは逆効果なのに……2学期始まってすぐの話です。この日次男は、夏休みの影響で気持ちの切り替えに時間がかかり、学校に行くのを嫌がっていました。遅刻ぎりぎりになり、旦那は次男をきつめに叱りました。私は以前から「嫌な気持ちのままで登校すると学校生活に支障が出る。だから、絶対に朝は叱らないで!」と口酸っぱく言っていたのですが…。案の定、叱られた次男は拗ねてしまい、すっかり行く気をなくしました。見かねた私。子どもの前で夫婦喧嘩をしないように心がけていましたが、自ら戦いを挑んでしまいました。言いたいことを言って少しすっきり!……のあとに、激しく後悔しました;子どもの前で旦那の発言を否定するのは、「旦那の立場を悪くする行動」だし、「子どもの判断を迷わせる」ことにもつながります。ああどうしよう、みんな嫌な気持ちのままだ……!●子どもが予想外の行動に……次男は、私が怒った後に、すぐ冷静になって学校へ向かいました。心配していたのですが、放課後学校の先生からは「今日はいつにも増して頑張っていました」と予想外の言葉。パパと次男の関係も今まで通りでした。次男をよく知っている友達に、この日のことを話したところ。。「次男は、自分の気持ちに寄り添ってもらえて嬉しかったのかも ね!」との意見に、お互い賛同しました。行きたくない“そぶり”を見せるのは、行かないといけないのはわかっているけど、ただ「しんどい気持ちに共感してほしい」という気持ちの表れ。あの日、子どもの前でケンカしたことを後悔していましたが、「学校に行きたがらない」原因がわかり、問題解決へのきっかけになったのです。旦那と私は、次の日に仲直りをしました。夫婦関係も、元通りです。子どもの前でケンカをしてしまったことで分かったこと●1.ケンカは、夫婦の信頼関係の上で成り立つお互いが配慮することを意識しているからこそ、大きなケンカをした後、元の夫婦に戻れるのだと思います。もちろん謝ることも大事ですね。●2.極力子どもの前ではケンカするべきではない今回の結果は、まさに「怪我の功名」です。このように、避けられない場合は怒っている理由を明確にした方がよいですね。●3.子どもが親を困らせるのは、必ず原因があるADHDの子のみならず、子どもとはそういうものだと思います。「こっち見て!」「ほっといて!」「やりたくない!」「やりたい!(欲しい)」親の対処は改めて重要だと気づかされました。夫婦の価値観が違って当たり前最初に話したように、価値感の違いは、話し合いで歩みよることができる場合と、できない場合があります。私はと言うと、旦那に対して「子どもたちにもうちょっと上手な言い方があるのにな。いつも言ってるのにな……」と、よくヤキモキします。でもそれって、お互いに子どもの事を考えているから からこそ。そうだとしたら、実は旦那は子どもにやさしいのかも。と思えてくるのでした。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。●ライター/スガカズ
2018年10月17日こんな丁寧な育児なんてできない!専門書を読んではブルっていた、息子の小学生時代Upload By かなしろにゃんこ。息子リュウ太が発達障害の診断を受けたのは小学校4年生のときでした。その頃の私は、発達障害とはなんなのか?どうやって向き合っていいのか?知識不足もあり、息子への接し方が分からず苦しかったのでした。ADHDの特性はなんとなくわかったものの、広汎性発達障害(息子の場合、自閉症スペクトラムの特性)がイマイチ謎で。独特の自分ルールや、え?そんな風にとらえちゃう?という変わった解釈をする傾向にあるところなど、理解できないことばかり(泣)専門書を読んでは不安になるばかりの毎日。本に書いてある「困り感がある子にはこうしてあげましょう」の言葉に、「こんな丁寧な育児ができるかな?」「すごい手がかかるんだ大変そう」とブルってしまい怖気ずくばかりでした。「授業中は廊下で寝ながら過ごしている」担任の言葉に気分はズドーンUpload By かなしろにゃんこ。発達障害がある子を育てるときって…■障害理解しなくちゃいけない■怒りすぎず、のびのび育てなくちゃいけない■周りの人の目に脅えなきゃいけないと、心をすり減らす毎日なのです。なかでも私が困っていたのが、「息子が授業中に廊下で寝そべる」ことでした。理解したいけどできない、のびのびホメる育児をしたいのに怒りたくなる、周りの目が気になるの三重苦です。先生から、「教室にいたくない時は廊下で寝ながら過ごしてますよ。廊下から黒板を眺めることもありますよ」と聞かされる度に、気分はズドーン。恥ずかしいし、いたたまれなくなって、「そんなことをしたら周りから変な目で見られるよ!」「廊下で寝るのはやめて!」と息子にお願いしても、「廊下の床が好きなんだよね、周りのことは気にしない」と言うばかり…。世間のルールを基準に考えてたら、スレ違うばかりUpload By かなしろにゃんこ。とにかく息子は、集団生活のルールから外れたことに注意を受けても「僕の行動があなたの人生を大きく変えるほどの何か悪いことをしましたか?」的な受け答えをして反省もしません。息子に言わせれば「やりたいことをやりたいときにやりたいし、やりたくないことをさせられると気分が落ち込む」んだそうです。先人が勝手に考えたルールなんかクソくらえな自由な子です。恥ずかしいとか、空気を読むとかは息子の辞書にはありません。世間のルールや常識を知っていて当然だと思っているから、話のすれ違いが起こったり、息子が逆ギレしてしまったりする。どれもこれも、息子が世間のルールの意味や必要性を分かっていなかったことで発生するのだとようやく気づきました。たくさん迷ったり考えたりした中で行きついた答えは、「この子は不思議な子、自由な星から来た宇宙人」だと思っておこう、ということでした。世間のルールも何も知らない自由星人なんだから私も丁寧に教える必要があるんだということ。診断を受けてしばらくたち、私も肝が据わってきました。できること・できないことの凸凹が大きすぎるUpload By かなしろにゃんこ。そこで、学校で問題が起こっても怒りを抑えて仏の心で接するように心がけてみたりもしました。「みんなは授業中に先生の指示でこうしているよ」とか「こんな受け答えをすると嫌がられるよ」とか集団生活の中で必要なノウハウを一つひとつ丁寧に伝えます。他人に興味がない子ですから、他の子がどう過ごして、どううまく立ち回っているのか気がつくことはありません。他人をお手本にして見て自然とその行動を取り入れるというパターンがないので、集団生活を少しでもうまく生きられる方法は、一つひとつ手取り足取り教えなければいけません。また、着替えや歯磨きなどルーティンなことはきちんとできるのに、毎日持ち物が変わる時間割や宿題などは全くできません。できることもある分、全くできない苦手なことだって「本当はやれるんじゃないかな?」「今度こそやれるんじゃないかな」と期待してしまうこともありました。最初から「全くできないだろう」と思えることなら仏の心で接することができるのに、がんばればできそうなんじゃないかと思えることだと、「なんでこんなこともできないの?」とアホみたいに責めてしまい、さらに「怒っちゃダメじゃない」と自分も責めはじめ、もうグチャグチャ(涙)…。頑張ってはいたものの、本当の意味で息子の困難さを理解することは、できていませんでした。廊下がお友だち状態、数年後、その真相が分かったところで、床が友達だった小学生時代の真相を、数年後に知ることになります。教室にいると様々な音が耳に響いてきて情報処理しきれなくなって疲れてしまう。疲れてくると視界が真っ白になってしまう。だから息子は少しでも楽になれる廊下に逃げていたというのです。そうです、「聴覚過敏」が原因だったのです!体がこうなってツラかったと教えてくれたのは、高校生になってからのこと…。廊下の床がお友だち状態だった小学生時代、私は、息子が授業を受けたくなくて怠惰な行動をとっていると思いこんでいて、適切な対処法をとってやれなかったと、申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。イイ意味で「期待しない」と、うまくいくUpload By かなしろにゃんこ。発達障害のある子を育てる親の心構えは、すぐには育ちません。「きちんとやれる!」と期待して、やっぱりダメだった、荒れた、パニクったをくり返す。「あぁそうだった、この子はコレができないんだった!」と、息子が20歳になった今も、日々自分に刷り込んでいる最中です。できないことに子ども自身も困っているし、なんでできないのかもよく分からず混乱しているかもしれない。だから、今も息子に対して心がけていることは次の二つ。■できないことはお手本を何度も見せて覚えさせる。ある程度手助けが必要■どうしたらできるようになるか子どもと一緒に考えたり、お互いにイライラしないで生活できる方法を話し合うちなみに、20歳になった息子、現在は自由星人から地球の日本人になろうと頑張っています。お互いの意見を尊重したり話し合いができるところまで成長したのです!和を尊ぶことを知る、それだけでも万々歳です。自由星人だけあって、クリエイティブなすばらしい面もあるし、できないことが全部できるようにならなくたっていいかも。イイ意味で「期待しない」のです。できないことを認め、必要な手助けはなにかを探る方が、仲良く暮らせるな~♥なんて感じる今日この頃です。
2018年10月05日『こんなに毎日やらかしてます。トリプル発達障害漫画家がゆく』(ぶんか社)を8月に刊行した沖田×華さんは、自閉スペクトラム症にADHD、加えて学習障害のある“トリプル発達障害漫画家“。自身も自閉スペクトラム症とADHDがあるライター・鈴木希望が取材した。ハイパーADHDだった小学生時代。「みんなで遊ぶ」の意味がちょっと違ったUpload By 鈴木希望トリプル発達障害があるという漫画家の沖田×華さん。明るさと、人の心に寄り添うやさしさが感じられる漫画で人気の彼女は、いったいどのような少女時代を過ごしていたのだろうか。沖田さん(以下敬称略):「私、子どものころ、むちゃくちゃテンション高かったんですよ、ハイパーADHDで(笑)。『この子、いいかも!』と思ったら、弾丸のように突っ込んで行って、ものすごい勢いでしゃべりまくるという感じでした。」気に入った友達にはとことん話しかけ、自分のペースに巻き込んでがっつり関わるのが好き。その半面、集団行動になるとその関わり方は一変したという。沖田:「”みんなで遊ぼう”というときになると、周りから少し離れたところにポツンといるタイプ。そこの位置が一番楽っていうか、安心して全体図を見られるので。大人数で遊ぶゲームだったりすると、ルールが分からなくてつまらないから、他の人がやっているのを見て、自分もゲームに参加している、一緒に遊んでいるという認識をしていたんです。」だから、「ひとりでいるからといって孤立しているとは限らない」と沖田さんは言う。沖田:「親御さんや周りの大人が”孤立しているのではないか”と心配になってしまう見え方かもしれないけど、子どもの感じ方はまた違っていて、ひとりでいるように見えて、実は空間を楽しんでいる場合もあるんですよね。そういう可能性があると分かれば、見守る側も気が楽になるんじゃないかな。」――周囲と独特の関わり方をしていた沖田さん。長くつき合っている友達には共通点があるのでしょうか。沖田:「お互いにイチャイチャしないというか、必要なときにサクッと会ってサクッと帰るっていう感じ。例えば、「何月何日の何時から何時まで」と時間を決めて、一緒にごはんを食べて、終わったら別れる、というような。」お互いに仕事を持っていて忙しい身の上、とても効率的な交流の仕方だ。そんな沖田さんは、とりとめもなく続くガールズトークや、大人数が集まり、目まぐるしく話題が変わる場が苦手。いわゆる女子会は「さっぱり理解できない」という。沖田:「できれば1対1で会える子がいい。自分の趣味を持っていて、人に依存しないタイプ。そういう合理的な性格の人と気が合うなって思います。」自閉スペクトラム症の当事者である私(鈴木)も、ガールズトークや大人数での集まりが苦手だ。どの話についていけばいいのか分からないし、飛び交う会話に割って入ることができない。結果、”みんなでいるのにひとり”という状況になってしまうので、1対1もしくは少人数で話せる相手を選んでしまう。わが身を振り返ると、”飲み会で話に加わらずはじっこにいる人”というのは、その場の空気をぞんざいに扱っているのではなく、その人なりに人間関係や会話を大切にしてるのではないか、と思えてくる。曖昧な詰問ではなく、具体的な指示が欲しかったUpload By 鈴木希望ASDの特性として、意味や目的を理解しにくい曖昧な表現や指示が苦手、というものがある。沖田さんもこれには学童期から苦しめられてきたようだ。沖田:「答えても答えても『なんで?』ばかり言う先生がいて。例えば宿題を忘れたときに『なんで宿題をしてこなかったの?』って聞いてくるから、私は『忘れました』って返すと『じゃあ、なんで忘れたの?』ってまた聞かれて…忘れたからできなかった、というのが私の答えなので、それ以上返せない。」――「なんで?」と問われるばかりで、先生が求める答えが何か分からなかった…。沖田:「それで、場面緘黙症になってしまいました。どう答えれば良かったのか、大人になってから周りの人に聞いたら、”まず謝るのが先なんじゃないの?”、”忘れてきたことに対して申し訳ないと思わないの?”って…。質問に対して返すべき言葉が間違っていたら、その場で教えてほしかったです。」指示や指導の内容が具体的でないと動けないというのは、発達障害児・者にはよくある話で、沖田さんも例にもれなかった。沖田:「忘れないためにどうしたらいいのか先生に聞くと『自分のことなんだから、自分で考えて気をつけなさい』。気をつけ方が分からないから聞いているのに、おかしいなと。でも、それを親に言えばまた怒られるのが分かるわけです。結局、誰にアドバイスを求めたらいいのか分からなくなっていましたね。」顔が覚えられない!相貌失認の対処法Upload By 鈴木希望人の顔を認識できない、相貌失認という特性を持っている沖田さん。――作品(講談社刊『透明なゆりかご』)がドラマ化され、撮影現場に顔を出すなど、複数の人に接する機会も少なくないと思います。そうした場面ではどのように対処しているのですか?沖田:「『透明なゆりかご』の撮影現場に行ったときは、服装で判断してました。出版社の編集担当と映像会社の方が『あの茶色の服が○○さん、ピンクの服が●●さん』って説明してくださって、挨拶するタイミングも決めていただいて。2人にエスコートしてもらったのでなんとかなりました。」――相貌失認と一口に言っても程度はさまざま。同居されている彼氏など、繰り返し会っている人の場合、沖田さんはすぐ判断できるのでしょうか?沖田:「冬になると分かりづらい。っていうのは、冬になると似通った服装の男の人が増えちゃうんです、黒いダウンにジーパンとか。冬場に彼氏と一緒にスーパーに行ってはぐれたとき、どうにか見つけて”はい、これ買おう!”ってカゴに商品をポイッて入れたら、全然違う人だったり(笑)やっぱり、顔は覚えられないんだなって思いましたね。テレビで見ている方でも、実際お会いしたらずいぶん違う印象になりますし。その点、声は絶対変わらないから、一番の判断材料になりますね。」明るく語る沖田さんだが、ちょっと想像してみてほしい。似たようなお面を装着した人だらけの世の中で、声をかけるべき人を探し出したり、名前を間違わずに挨拶することを。大切な人の顔も、目の前からいなくなってしまった途端に霞がかってしまう悲しみを。私(鈴木)にも相貌失認がある。慣れてしまっているので正直そこまで深刻には考えないが、この特性のために先方を不快な気持ちにしてしまわないかという不安は常につきまとっている。”顔を覚えられない=関心がない”ではないことが、もっと認識されたら良いのだが。他人ごとだと思っていたのに!突然のメルトダウンが襲うUpload By 鈴木希望作品中、最も衝撃的なのが”メルトダウン”の描写。メルトダウンとは、精神的に追い詰められ、ストレスが極限に達した発達障害当事者の身に起こる、強いパニック症状のことだ。自宅マンションに修繕工事が入った際、騒音でストレスを溜め込んだ沖田さんは、人生初のメルトダウンを起こした。――希死念慮が沸き、飛び降り未遂を起こすほどの辛いパニックとは、一体どのような状態なのか…。またどのように対処をしたのでしょう?沖田:「メルトダウンって、いろいろな事が重なって対応できなくなったときに起こすパニックらしくて。お医者さんが言うには、小学校などで耐震修繕工事が始まると、発達障害の子は来られなくなることが多いそうです。授業中なのに、機械の音や作業員の声まで全部耳に入ってきてしまって、頭の中がぐちゃぐちゃになっちゃう。うちのマンションの工事の時は、私の部屋の前が作業員の溜まり場で。喧嘩している声とかが聞こえてくる。それを2週間ぐらい聞き続けていたら、頭がおかしくなってしまいました。睡眠を取れないのが一番きつかったです。どんなにストレスを溜めないようにと気を使っていても、物理的に騒がしい環境になってしまったら防ぎようがないので…。」――メルトダウンには前兆があるのでしょうか。それはどういうもので、どのように対処していますか?沖田:「メルトダウンの前兆は、私の場合、頭の中がサワサワサワサワって、そよ風が吹くような状態が起こるんです。これを放っておくとメルトダウンになるので、前兆を感じたら仕事をセーブします。本当は仕事が大好きなので、最初は”仕事がなくなっちゃうの嫌だ、迷惑かけちゃう!”とか思ってたんですけど、そんなこと言ってたら死んじゃうので。今は断ることを一所懸命勉強していますね。」――感覚過敏の程度は、メルトダウン中どれだけの変化がありましたか?沖田:「元々蛍光灯の光や、テレビがちょっと苦手なんですけど。この明るさ、この音量だったら大丈夫だっていうレベルがあるんです。それを超えて、ものすごく過敏になりました。すべての刺激が全部ダメになっちゃったんですよ。光が痛い!音が痛い!頭に響いて痛い!って。メルトダウン中って、混迷って言うらしいんですけど、体は寝たきりの状態でも、頭は活動していて、周りのことはすごく分かってるんです。」――つまり、休んでいるように見えても、絶えず刺激を受け続けているということ…。これは相当に辛いでしょう。感覚過敏がある子どもを持つ親にとっても気になるのはそんなときの対応です。周囲の人間はどのように対処したら良いのでしょう?沖田:「私は、暗くて静かなところで一人にしてもらうのが楽でした。カーテンを閉めてもらった部屋のベッドで、一人で何日も過ごして…そうすれば外部からの刺激が入ってこないので、光や音で痛みを感じることはありません。メルトダウンのタイプもさまざまで、子どもの場合はパニックを起こして暴れることも多いそうです。泣き叫んで、吐き出すだけ吐き出したら疲れて落ち着く、という場合もあるらしいです。感情や行動が制御できなくなって、視界も狭くなってしまうので、発作を起こしている人がいたら、周りの人はしつこく話しかけず、静かで安全な場所に連れて行ってあげるのがいいんじゃないかと思います。」初めて薬を服用することで見えた定型脳の世界とイメージの変化Upload By 鈴木希望メルトダウンをきっかけに通院、ストラテラの服用を始めた沖田さん。不安感を取り除き、注意欠如や多動を改善するADHDのための処方薬だが、副作用のひとつに、想像力やアイデアの鎮静がある。――漫画を描くにあたって必要な感覚が服薬によって抑制されることで、不便はなかったのでしょうか?沖田:「何もかもが鎮静されて。体調は良くなったのですが…、『透明なゆりかご』のネームを描くのが遅くなってしまった。それで、集中しやすくなる作用があるエビリファイ3mgを処方してもらって、それを飲んで一気にネームを仕上げるようにしています。それ以外の連載は、エビリファイを飲まなくても描けるようになりました。」服薬により、カクテルパーティ効果(たくさんの人がそれぞれ同時に話しているなか、自分が興味のある人の会話や自分の名前などを自然と聞き取ることができること)など、定型発達者が当たり前に感じている世界を体験するだけでなく、アイデアの浮かべ方までもが変化したと沖田さんは言う。沖田:「私は頭の中のイメージを可視化する癖があって、漫画のネタを考えているときって、ハムスターの回し車のような、回転する円のイメージがあったんですね。これが自分の中のメモリみたいな感じになっていて、これを逆再生して過去のことを思い出して、そこからネタを引っ張りだしてきて描くっていうスタイルだったんです。すごく簡単。調子がいいと色や音もついていて。そのうち周りからボコボコと泡が浮いてきて、それがネタや素晴らしいセリフなので、出てきたセリフを描いていけばよかった…でも、ストラテラを飲んだら、それが全部なくなっちゃったんです。」長年慣れ親しんだ思考と、仕事のスタイルを、メルトダウンによって失ってしまう沖田:「メルトダウン後って、ホワイトアウトするんです。頭の中が全部真っ白で、自分がどこにいるかも分からない、何をしたいのかも分からない。マンションから飛び降りたい気持ちは落ち着いても中身は壊れたまま。そのうち、真っ白な世界の中に、四角い場所が出てきました。最初は冷凍庫の中みたいな所にたたずんでいるばかりで動けなかったんですが、そのうち指示がメモ用紙で出てくるようになりました。『今日はシャワー浴びろ』とか。私はその指示のみ従える状態です。そのうちだんだん霧が晴れてきて、2~3週間経つと、地下駐車場みたいな、コンクリートの固い部屋が出てきて、でも、仕事がどこにもないんです。浮かばないんです、何ひとつ。昔は、床が丸くて柔らかく、音も色も匂いもあったのに、コンクリートの壁しか見えない…。漫画が描けない!って焦ったんですけど、でも一応部屋というものが見えたから、何日もかけてその部屋を探索しました。ある日、部屋の形がまた変わって五角形になりました。そのときに自分のペンを認識したんですよ。今までも、机の上にペンはあったんですけど、自分のペンであることを理解できなかったんです、何のときに使うのかな?って。やっと愛用のペンを認識して安心して、今まで仕事を休んでいたけど、これだったら描けそうかなって、ようやくパッと浮かんできたんです。そろそろあの連載に手をつけたほうがいいかなってぼんやり考えていたら、今度は頭の中の部屋の壁が全部引き出しになって。その引き出しを開けたらネタが出てくるようになったんですよ。」――紆余曲折があったものの、沖田さんは新しい仕事のスタイルを手に入れることができたのですね?沖田:「今はまだ整理中で、引き出しにラベルが貼られていないから、開けてみないと何のネタが入っているか分からないんですよ。ネタを探すのに時間がかかってしまうから、仕事のペースはメルトダウン前より3倍くらい遅くなりました。でも、無理はしていない感じがしています。以前は過集中に入って、倒れるまで仕事をしていたので、これはこれでよかったなと思います。」Upload By 鈴木希望カラフル?メロディアス?めくるめく共感覚の世界Upload By 鈴木希望ADHDのある漫画家でありクレパス画家・史群アル仙さんのクレパス画を見た沖田さんは、味や色、音楽を感じたのだそう。その緩やかで美しい移り変わりや共感覚(ある刺激に対して異なる種類の感覚をも生じさせる、特殊な知覚現象)についてのエピソードも本書に収められている。――絵を鑑賞するときなど以外の日常でも、こうした共感覚が生じることはあるのでしょうか?沖田:「私たち発達障害者って、自分や相手が疲れていることに気づきにくいじゃないですか。私の場合、それが、音や音楽のサインで現れるんですよ。担当編集者のIさんは、疲れると声が少し小さくなって、それと同時に、声がガラス玉みたいにバラバラバラバラーッって下に落ちちゃうんです。それで頭に入ってこなくなるんですけど。加えて、ワーグナーのウエディングマーチが流れてくるんです。パーンパカパーン~♪って…おまけに神父様の声まで聞こえてくる。めっちゃ辛いときなのに、『(厳かな声で)健やかなるときも、病めるときも…』って。これが流れてきたらうちらはおしまいだ!って気持ちになって、もう帰りたくて帰りたくて…。何回もIさんに訴えるんですけど、全く理解してもらえない(笑)仕事がうまくいっているときの音楽はマリオカート(ゲーム音楽)です。ピロリロリン♪テテテテ♪みたいな軽快な音楽で。あ、これ私調子いいぞ!って分かったり。」――共感覚に限らず、発達障害があると、疲れのサインなどが定型発達者とは大きく違う場合も。それゆえに誤解されたり、苦労したことはありますか?沖田:「私は発熱する前兆が分かるんです。指を机とかにトントンってタッチして、ビリビリッてしびれると、だいたいその30分後に熱が出るって分かる。学校で先生に『熱が出そうなので帰らせてください』って頼むんですけど、そのときは平熱なので帰してもらえなかったり。何言ってんの?って。で、あとから熱が出ちゃう。」自分の過去を振り返り、かつての子どもとして望むことUpload By 鈴木希望年齢に応じて経験を重ね、自分の特性の取り扱い方なども体得してきた沖田さん。しかし、幼いときは思いをうまく言語化できなかったり、どのように説明をすべきか分からず、辛い思いもしたのだとか。そんな自分の過去を振り返り、かつての子どもとして望むことについて、伺った。沖田:「小学校・中学校のころは分からないことだらけで、叱られて、誰に相談していいか分からなくて…近くの学童(センター)に逃避していましたね。学校では嫌なことがたくさんあったんですけど、学童は私にとって天国でした。そこにはトランポリンがあって…トランポリンでひとしきり飛び跳ねたあと、今度は漫画コーナーに行って漫画を読みまくて、ラミネートを作って遊んで…それが本当に楽しくてたまりませんでしたね。」自閉傾向がある人の行動に”常同行動”というものがある。くるくる回ったり飛び跳ねるなどの反復行動で、ストレスや疲れを和らげるため、安心するために行うのだと言われている。幼いころの沖田さんも、回ったり飛び跳ねるのが大好きだったそう。沖田:「意味もなく跳ぶのって、ほかの人から見たらおかしいじゃないですか。でも、トランポリンがあれば、いくら飛び跳ねてもおかしくない。だから、学童にトランポリンがあったのは、私にとって素敵なことでした。この学童は小学校までしか利用できなかったのですが、年齢を偽って、中学1年まで通いました。中学生には中学生なりの居場所というか、リラックスできるスペースがあればいいのにって思ってました。」――確かに、現状では幼い年齢に関しては、支援は手厚く、居場所も多いけれど、年齢が上がるにつれて、数も種類も減っていくような印象があります。そして、障害の有無が大きな壁となって、それぞれの居場所にも隔たりがあるようにも思えます。沖田:「学童の書籍コーナーに、知的障害があるおじさんが、いつも番頭さんみたいに座ってたんですよ。ニコニコしてて、私たちがいくら騒がしくても何も言わない、気のいいおじさん。そこは知的障害の人も、発達障害の子どもや定型の子どももいて、みんな自然に過ごしてて…。そういうふうに交流できる場所が増えたらなって思っています。」発達障害当事者として、願うことUpload By 鈴木希望取材時、私の目の前にいた沖田さんは、漫画の中の”×華ちゃん”そのもの、表情豊かで繊細、サービス精神旺盛な方だった。今の子どもたちに向ける話になると、大人としてではなく、自分の同志を慮るような口調になり、私たちが笑ったり、「面白かったです」と述べると、心底安心したような表情で「よかった!」と微笑んでいらしたのも印象的だった。大好きなサファイアブルーをそこかしこにあしらった仕事場で微笑む沖田さんは、今そこにはいない読者やファンに視線を向けているようにも見え、私はちょっと涙ぐみそうになっていたことを、ここに告白する。こんなに素敵な同志が漫画を通じてメッセージを送り続けてくれるのならば、大人も子どもも、”×華ちゃん”にはなれなくても、自分が心地よく過ごせる場所や方法を、必ず見つけ出せるのではないか、などと思うし、願ってやまない。Upload By 鈴木希望富山県出身。1979年生まれ。小学生のころにLD(学習障害)とADHD(注意欠如・多動障害)、中学生のころにアスペルガー症候群(現・自閉スペクトラム症)の診断を受ける。看護師、風俗嬢を経て、2008年漫画家デビュー。『透明なゆりかご』(講談社)で第42回講談社漫画賞(少女部門)受賞。TVドラマ化もされた『透明なゆりかご』で大ブレイクを果たした沖田×華さん。しかし、多忙な生活にパンクしてパニック障害を起こし、なんと自殺未遂まで起こしてしまいます。自閉症スペクトラム(アスペルガー)・ADHD(注意欠陥・多動性障害)・LD(学習障害)という3つの発達障害のある沖田さんが、日常生活での自身の「やらかし体験」をセキララに描く、大人気シリーズ第5弾。撮影:鈴木江実子聞き手(取材・文):鈴木希望鈴木 希望さんのページ
2018年09月28日モノにあたる!母にあたる!毎日イライラの嵐!大暴れするADHD息子に、日々ブルっていた小4時代Upload By かなしろにゃんこ。ADHDと広汎性発達障害がある息子リュウ太。発達障害の診断を受けた小学4年生のころは、毎日イライラ。家でも大暴れ…。玄関のドアをバターンと閉めてランドセルを投げ「もうイヤだー‼」と叫びながらの帰宅。怒りモード全開の息子を見て「ひー今日も機嫌が悪いのか…」と日々ブルっていたものです。そんな日は延々と息子のグチにつき合わされます。イライラの原因はクラスメイトとのケンカや、苦手な友達からのしつこい干渉。それがたまらなくイヤで「もう学校に行きたくない!」というのです。イライラ・グチグチ…受け止めきれず、ツラい…!Upload By かなしろにゃんこ。理由は、「〇〇くんと△△くんがこんなこと言ってきた!侮辱されて腹が立った」というものが多く、「反撃すると周りの子や先生からも文句を言われてしまうのが納得いかない」とイライラ…。ちょっかいを出す子というのはいつの時代もどこにでもいるもの。「相手にしないで無視していれば次第におさまるよ」「しつこい子は無視していればいいよ」とアドバイスしていました。グチを拒否!発達障害の子のツラさを理解できず、逃げてしまった私Upload By かなしろにゃんこ。息子は勝気な子ですから無視なんかできるわけもなく、ケンカとイライラはおさまりません。グチは日に日に長くなっていきます。そのころの私は発達障害のある子についてきちんと理解していなくて、「イヤなことも学ぶ場が学校なんだ、息子が学校がイヤだと訴えてきても、それは甘えで人間関係から逃げているだけ。毎日学校には行かなきゃ」と思い込んでいました。ツラそうな報告に次第に私は受け止めきれなくなってきて、息子がグチを言っても「聞きたくない!」と突っぱねてしまうことも。学校の様子が気になって仕方がない”心配性の親”になりたくないという気持ちもありました。小4の息子、実は二次障害で、うつになりかけていた…!?Upload By かなしろにゃんこ。あれから10年。実は先日、20歳になった息子に、学校を休学したいと相談されたのです。そして、イライラとモノにあたることはもうありませんが、小学校時代のようにグチを言ってくるように…。「ミゾオチのあたりがキューンとして苦しくなる、小学校のころもなっていたなー」と言うので、よくよく聞いてみると、胸苦しさを親にどうやって伝えていいのか分からずイライラとあたっていたことが分かったのです!いつも緊張状態が続く中では自分を冷静に見つめ直したり相手を思いやったりする余裕が生まれにくい。そんな環境では、人間関係を学ぶことは難しい。それなのに学校に行くことを強要してしまっていました。息子のイライラを受け止めきれずツラかった私、息子のSOSに気づけなかった…。息子は20歳なので、自分の体や心の状態とネットにある「うつ症状」の情報を照らし合わせて、今は休んだほうがいいのか判断できるくらいになっていました。でも、小学生のころは自分の心や体のつらさを上手く伝えることもできず、苦しくて眠れない日もあったというではありませんか‼子ども時代に苦しい思いをさせて気がつかなかったことを知った私。本当にショックでした。そして反省と後悔の気持ちでいっぱいになりました。「学校、行かなくていいよ」あの頃も、そう言ってあげればよかったUpload By かなしろにゃんこ。「苦しいなら学校なんて辞めちゃえば?辞めてもOKだよ」と息子に伝えました。小4の息子にも、そう言ってあげられたらよかったのにと思います。心が楽になる生き方をするのが一番で、それ以上に大切なことなんかないと、今なら思えます。学校なんて元気になればいつでも行けるし、辞めたとしても他にやりたいことが見つかるかもしれない。うつになりそうな状況よりずっといい。学校には絶対に行かなきゃいけないとこだわっていた私は頭の堅い親でした。「辞めていいよ」と言ったら息子も少し気持ちが晴れて心に余裕ができたからか、進路をどうするか?本当に辞めていいのか?考えることができるようになってきたといいます。10年たって分かった、グチの意味とは?Upload By かなしろにゃんこ。先日、息子に「なんでそんなに同じグチを繰り返して長々言ってくるの?」と聞いたら「グチを言いたいときって人間関係で疲れていて自己肯定感が下がってきてるから、親に褒めてもらってアゲアゲにならないと立ち直れないんだよね!褒めてほしいときの目安かな」と教えてくれました。そうだったのか!グチが長いのは褒めを待っていたのか!息子の小4時代。私もツラかったけど、息子もすごくツラかったのです。グチの意味に今ごろ気づいた私…ソレ10年前に知りたかったっス‼
2018年09月07日学習障害(LD)とは?学習障害の特徴をまとめると、以下のようになります。Upload By 発達障害のキホン例えば、通級による指導の対象を示す場合など、教育現場で使われることの多い、文部科学省の学習障害の定義は以下の通りです。基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を指すものである。他にも、医学的な診断基準による定義と行政的な定義などで若干の違いがあります。以下の図に示すように、使われるシーンや困りごとの傾向によってさまざまな名称が使われる場合があります。Upload By 発達障害のキホン「読めるのに書けない」など苦手や困りごとは、人によって一部だけに極端に表れることもあれば、いくつか重複していることもあります。自閉症スペクトラム障害やADHD、協調性運動障害や感覚過敏などの他の障害を合併している人もいます。特定の学習にだけ困難がある場合、周りから理解されにくく、「怠けている」などと誤解され、苦しんだり、不登校やうつなどの二次障害に陥ってしまう子どもも少なくありません。障害の名称や診断の有無などにこだわりすぎず、一人ひとりどのような特性や困りごとがあるか理解し、対処していくことが非常に重要になります。学習障害(LD)の3つのタイプと特徴・症状学習障害の困りごとには以下の3つのタイプがあります。症状や困りごとが全てあてはまる人はかえって少なく、特徴は人それぞれです。年齢によって困りごとや特性が変化したり軽減することもあります。複数のタイプが混じっていることもあります。※以下で紹介する症状・困りごとは年齢や学習の習熟度などによって、誰にでも見られるものもあります。当てはまるからといって学習障害であるとは限りません。学習障害と診断された人の中で一番多く見られるタイプで、見た文字を判別して読んで理解したり、音にするのが苦手です。読むことに障害があると、結果として文字を書くことにも困難を感じる場合が多いため、読み書き障害と呼ばれることもあります。Upload By 発達障害のキホン読字障害(ディスレクシア)を詳しく知る「文字が書けない」「書いてある文字を写せない」などの書く能力に困難があるタイプです。文字が読めるのにもかかわらず書けない場合もあります。Upload By 発達障害のキホン書字表出障害(ディスグラフィア)を詳しく知る数字や数式の扱いや、考えて答えにたどり着く推論が苦手な学習障害のタイプを算数障害・ディスカリキュリア(dyscalculia)と呼びます。数字に関する能力にのみ障害がある人が多いため、算数の学習を始めてから発見される場合がほとんどです。「1」「2」「3」などの基本的な数字や、「x」「+」などの計算式で使う記号を認識することに困難をもっていることもあります。Upload By 発達障害のキホン算数障害(ディスカリキュリア)を詳しく知る学習障害の原因は?学習障害の原因は、医学的にはまだはっきりとは解明されていませんが、以下のようなことが研究から分かってきています。Upload By 発達障害のキホン中枢神経は脳や脊髄、体のさまざまな部分の働きを指令する部分です。学習障害の症状は、情報を伝達し処理する脳の機能がスムーズに働いていないことで引き起こされると考えられています。学習障害の症状・困難の理由を理解しようじっと見つめたり、視線を上手に動かすことが困難で、行を飛ばして読んだり黒板の文字を写すのが苦手な場合があります。見た情報を脳が処理する視覚認知の機能が弱く、文字を認識するのが難しいこともあります。また見え方に特性があり、文字がぼやける、黒いかたまりになって見える、逆さまに見える、歪んで見えるなど違った見え方になってしまう人もいます。Upload By 発達障害のキホン文字と音を結びつけるのが難しいため、音声を聞いて文字を書いたり、文字を見て即座に読み上げるのが難しいことがあります。文字を書くという動作自体が苦手です。脳内で身体に指示を出し手を動かすという伝達機能がうまくいっていないからだという説が有力です。文字を揃えて書く、バランスを考える、筆圧を調整する、文字間の距離感を取るなどが苦手です。そのため、筆算の際に桁がずれることも多くなり、間違えやすくなることもあります。一度にいろいろなことをするのが苦手で、聞きながら書く、読みながら意味を考えるなどが難しいこともあります。記憶するのが苦手な場合、漢字の形や読み方をなかなか覚えられないこともあります。記憶や推論することが苦手だと、数字そのものの概念、規則性、推論が必要な図形の領域を認識するのが難しかったり、文章題を読み、意味を理解することや、グラフや表、図形などからイメージすることが苦手だったり、算数障害につながることもあります。Upload By 発達障害のキホン視覚過敏があって紙の白さが眩しく見えるなどで、文字が見えづらいことも。聴覚過敏・鈍麻のために話が聞き取りづらかったり、集中できないケースもあります。その子の困難の背景を考え、寄り添ってサポートを苦手さの理由や原因は一人ひとりのケースで違います。その子がどこに困難を感じているのか、またその理由はどこにあるのかを観察してみるとよいでしょう。環境を調整したり、やり方を工夫したりすることで対処法が見つかることがあります。現在は、見分けやすいチョークやユニバーサルフォント、音声読み上げ機能のある電子教科書、タブレットやキーボードなど、学習障害のある子をサポートする道具や機器もあります。その子がうまくいきやすい方法があれば、学校での合理的配慮を求めることもできますので、ぜひ、学習障害について理解を深め、サポートしていきましょう。学習障害をもっと知るためのリンク集学習障害についてもっと詳しく知る学習障害の診断・検査通級指導教室について知る障害者手帳の取得法、利用できるサービスを知る障害児が受けられる福祉サービスを知る障害者が受けられる福祉サービスを知る合理的配慮の受け方、具体例を知る学習障害の子どもへの接し方親子のヒント発達障害者支援法、ADHDの教育|文部科学省参考書籍:『DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引』(医学書院)参考書籍:『ICD-10精神科診断ガイドブック』(中山書店)参考書籍:「怠けてなんかない!ディスレクシア~読む書く記憶するのが困難なLDの子どもたち」品川 裕香
2018年09月06日発達障害とは?発達障害は、発達障害者支援法では「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるもの」と定義されています。具体的にわかりやすく言うと以下のような状態です。Upload By 発達障害のキホン発達障害はその発達過程やライフステージなどで困りごとや特性が強く現れ、初めて分かるケースがほとんどです。外見からはわかりにくく、大人になっても気づかない人もいます。その特性から「困った子」と捉えられてしまうこともありますが、その子が「困っている」ことに早く気づき、周りが理解し、一人ひとりに合った対応をすることがとても大切です。発達障害は特性や現れる困りごとによって、大きくASD(自閉症スペクトラム)・ADHD(注意欠陥・多動性障害)・LD(学習障害)の3つのタイプに分けられます。Upload By 発達障害のキホン発達障害の症状・特性と困りごとUpload By 発達障害のキホン診断基準によっては広汎性発達障害・自閉症・アスペルガー障害などの名前で呼ばれることもあります。知的障害や、言葉の遅れ、感覚過敏・鈍麻がある人もいます。子育ての違和感や園や学校、乳幼児健診での指摘で気づくケースが多いと言われています。自閉症スペクトラムについてもっと詳しく知るUpload By 発達障害のキホンこれらの特性は、幼い子どもには多く見られますが、成長するにつれ同年代の子に比べて特性が目立つようになります。そのために園や学校での集団生活が難しくなってしまったり、本人の努力不足や親のしつけの問題と誤解されることも少なくありません。についてもっと詳しく知るUpload By 発達障害のキホン全体的な知的発達に比べて、学習面で大きく目立って不得意なことがあります。読めるのに書けないなど、一部だけに困りごとが表れることもあります。授業についていけなくなる、宿題をこなせないなど、小学校に進学し学習が始まって明らかになるケースが多いと言われています。学習障害についてもっと詳しく知る発達障害は、その特性や症状が一人ひとり大きく違うことが特徴です。特性や疾患、合併症が重なっていることもあります。Upload By 発達障害のキホン上記のほか、てんかん、チック、トゥレット症候群、場面緘黙、吃音などが合併することもあります。「感覚過敏があって、音に耐えられず教室を飛び出してしまう」「言葉の遅れがあって気持ちをうまく伝えられず、癇癪を起こしてしまう」など、これらの合併症と特性は密接に関係し重なり合い、困りごととなってしまうこともあります。発達障害と定型発達の境目は明確にはありません。そのため診断基準は満たさない、あるいは未診断だが発達障害の傾向のある「グレーゾーン」と呼ばれる人もいます。診断がつかない=症状や困りごとも軽度だと考えられがちでが、明確な診断名がなく、外見からもわかりにくいので、理解や支援を受けにくいこともあります。分類や定義、診断の有無にこだわらず、一人ひとりの特性の傾向を知り、本人の生きづらさを減らすことに注力できるとよいでしょう。グレーゾーンについてもっと詳しく知る発達障害の原因は?発達障害は、生まれつきの脳の機能障害が原因となって現れると考えられます。以下に、発達障害に関係のあるのではないかと考えられている脳の機能を紹介します。Upload By 発達障害のキホン発達障害のある人の脳の場合、これらの部位が小さかったり、血流が弱かったりしてうまく機能しない傾向が報告されています。この機能障害を引き起こすメカニズムは、まだはっきりとは分かっていません。発達障害に関連がある遺伝子の発見や研究も進められています。ただし、遺伝子を持っていても必ずしも発症するわけではありません。また、親から子へ必ず遺伝するものでもありません。現在「様々な遺伝的要因と環境要因が相互に影響しあって発達障害の症状が表れる」という説が有力で、すべての方にあてはまるようなただ一つの原因はないといわれています。「親のしつけ方・育て方が悪い」「親の愛情不足」といった心因論も医学的に否定されています。発達障害かもと思ったら?症状チェック・検査・診断までの流れ発達障害のサポートは、家族や本人、周りの人が「特性のために困っている」「違和感がある」などに気づくことが、最初のきっかけになります。Upload By 発達障害のキホン専門機関の中には発達検査を行っているところもあります。相談や医療期間受診の後、療育的なサポートを受けたり、医療機関で治療を受けたりするなど、必要に応じた個別の専門的なサポートを受けることになります。診断を受けなくても発達相談や子育て相談、発達支援やペアレントトレーニングなどを受けることもできます。全国の相談窓口の情報を調べる|発達障害・支援センター発達障害診療医師名簿|一般社団法人 日本小児神経学会・子育ての違和感や子どもの困りごとに早く気付くことで、より早い支援につながる・自己診断は絶対にNG。その先の対処法や支援を知るためにもまずは専門家に相談を・専門機関に相談することで、必要であれば医療機関につないでもらえる・もし発達障害ではなかったとしても、子育て相談や発達相談などの支援を受けることもできる・検査で子どもの苦手と得意を把握することで、その子にあった対処法が見つかることがある・発達支援や療育を受けることで、症状や困りごとが改善する可能性がある・診断は必須ではないが、診断があることで受けられる公的サポートもあるなどが挙げられます。発達障害は治るの?発達障害は現在、根本から治療することは難しいとされています。ですが、症状を和らげるための薬物療法や、対処法を知るための応用行動分析学に基づく療育的アプローチなどを受けることで、困りごとが改善する可能性があります。発達障害を完全に治す薬はありませんが、症状を和らげるための薬がいくつかあります。人によって合う薬と合わない薬もあり、副作用などもあるなど、現在のところ、すべての人に必ず効果があるような薬はありません。また処方は6歳以上で、成人には認可されていない薬もあります。そのため、薬物療法を進めるときは医師の判断のもと、その人の症状や状態を慎重に見ながら行うことになります。薬で症状が和らいでいる間にスキルトレーニングなどを合わせて行うとよいでしょう。Upload By 発達障害のキホン子ども自身が何に困っているかやその背景などを探り、トレーニングをしてうまくいく方法を見つけ、得意な部分を生かします。また周囲の人の理解や環境の工夫によって、症状や困りごとの改善を図ります。そうして失敗体験を減らし、成功体験を増やして適応能力を伸ばしていきます。療育方法は様々なものがあります。子どもの場合、クリニックや発達障害外来などのほか、児童発達支援や放課後等デイサービスなどで療育的支援を受けることもできます。発達が気になるお子さまが利用できる施設を調べる|LITALICO発達ナビ施設情報発達障害の生きづらさと二次障害発達障害の特性が理解されないまま生きづらさが強くなると、心の病や行動の問題など、二次的な障害を引き起こすことがあります。以下に二次障害に陥りやすいプロセスをご紹介します。Upload By 発達障害のキホン二次障害を引き起こさないためにも、その子が困っていることに早く気づき、専門機関やサポートにつながることが大切です。発達障害の特性を理解し、その子に合った対処法と過ごしやすい環境を考えサポートしていきましょう。発達障害をもっとくわしく知るリンク集発達障害の診断・検査について知る発達障害の原因について知る障害者手帳の取得法、利用できるサービスを知る障害児が受けられる福祉サービスを知る障害者が受けられる福祉サービスを知る合理的配慮の受け方、具体例を知る親子のヒント参考:発達障害とは|LITALICOジュニア参考書籍:『DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引』(医学書院)参考書籍:『ICD-10精神科診断ガイドブック』(中山書店)
2018年08月28日ADHD息子、”ひとつの公園で満足”はありえないUpload By かなしろにゃんこ。ADHDがある息子の外遊びはハードでした。落ち着きがなく好奇心いっぱい、自由奔放にあちこち動きまわるので、追いかけるのが大変。言葉が分かるようになっても、3歳~5歳ごろまでは「勝手に行かないでー」と言ってもいうことなんて聞きません。道路に飛び出す前に「止まってー!」と叫んでも止まるなんてことはしません。急いで捕まえて命を守らないといけないので、常にヒヤヒヤしていました。公園に行っても一通り遊具を触ると「別の公園に行こう」。飽きっぽいのか?遊具を触れば「公園チェックをコンプリートした」という気持ちになるのか?次から次へと違う場所に行きたがり、ついてまわるので精一杯。毎日へとへとでした。このころはまだ発達障害と診断される前でしたが…興味があちこちに移りすぎること、衝動性があることはあきらかでした。でも、それを「いけないこと」とは思いませんでした。外遊びにつき合うのはヘトヘトでしたが、元気があって何にでも好奇心が湧く、いい特性だと思っていました。たっぷり遊んで欲しいけど、疲労困憊の毎日だったUpload By かなしろにゃんこ。それに、しっかり遊ばせないと、夕方や夜中にイライラしたりぐずったりしてしまいます。だから、外遊びは息子のやりたいようにやらせることにしていました。とはいえ、夜中に漫画やイラストの仕事をしていた私は、昼間に2~3時間の外遊びタイムがツラくてしょうがなかったのも事実です。おしゃべりできないから、ママ友ができないUpload By かなしろにゃんこ。さらに!息子を追いかけて走りまわっていると、ママ友がつくれません(涙)明るくて優しそうなママが折角話しかけてくれても、短いお返事をしながら走り去らなくてはいけません。会話にならないので親しくなれるわけもなく…私たち親子はいつも2人きりでいるしかなかったのでした。孤独だな~なんて思うこともありましたが、息子が明るくおしゃべりだったので、息子との思い出がいっぱいつくれたから今はアレでよかったかな!って思っています。ワクワクを見つける達人Upload By かなしろにゃんこ。育てていくうちに「こういう子は落ち着きのないことがいいこと」なんだって分かってきました。行きたいところへ行って、見たいものを見て、いつも新しい刺激を受けるのがADHDがある子の特性。20歳になった今も絶えず新しい刺激を求める生活をしています。楽しいイベントをいくつも企画して、頭の中は複数のことをいつもいろいろ考えているそうです。たまに企画の段取りがごちゃごちゃになって困るらしいのですが…イベントの予定日まで、ワクワクした気持ちで過ごせるそうです。ワクワクがないと、別の公園に行きたがった子ども時代のように、ワクワクを探しにフラフラ歩きまわるのかもしれませんね。好奇心旺盛でいつもワクワクを見つけている息子、人生を楽しんでいるなぁ!ってこちらまで幸せな気持ちにさせてくれます。
2018年08月22日ADHD息子とのおでかけは、歩かない、グチ多い、かんしゃくの三重苦Upload By かなしろにゃんこ。息子がまだ小さいころのこと。ADHDと軽い広汎性発達障害がある息子とのおでかけは、毎回大変でした。親の用事で外出するときは、死んだ目をしてヤル気ゼロ!「疲れた、お腹空いた、のど渇いた、トイレ行きたい、あの店見たい」など、事あるごとに休みたいとか、気になる店に入りたいと要求してくる息子をなだめながら、「正直こっちが疲れるーーー!!」とぐったりしていました。手を引きながら歩いても、”力入りませんアピール全開”で、背中を丸めてヨロヨロ歩きます。そのうち「つまらないー、おもちゃ屋さん行きたいー」とぐずりはじめ、しまいにはかんしゃくを起こします。たいした用事ではないはずなのに、目的地までどえらい時間がかかります。歩かせるよりも抱っこしてしまった方が早いなんてこともありました。甘やかしてしまうようでイヤだったけれど、息子のように育てにくい子の場合は、幼稚園児くらいの年齢になっても抱っこするのは仕方のないこと…と、息子が成人した今は思いますが、当時はかなり悩んでいました。レストランでの食事を味わうなんて、夢のまた夢Upload By かなしろにゃんこ。レストランに入っても、落ち着きがなく、食べ終わらないうちからレジ横のおもちゃコーナーが気になってソワソワ。「おもちゃ見たい!」の連呼です。今のようにスマホが無い時代でしたし、レストランにまでゲーム機を持っていくのは夫が厳しく禁止していたので、息子は手持無沙汰に。自分の要求が通るまで「おもちゃ見てきていい?」を繰り返します。それに、同じ場所に10分以上座っていると飽きてしまうので、体を動かしていなければ息子はイライラするのです。息子の我慢の限界がくるのではと気になり、せっかくの外食なのにゆっくり味わうことができません。根負けして「少しだけなら見てきていいよ」と言うと、ダッシュでおもちゃのところに飛んでいきます。心配して息子の様子を見ると案の定…少し見るどころか、自分のものみたいな顔をして、売り物のおもちゃでガンガン遊んじゃってます(汗)あわてて残りの食事をかき込み、急いで店外へ。レストランに行っても、いつも落ち着かない食事ばかりです。ゆっくり食事を楽しんでいる他のファミリーを見ては、うらやましいな…と感じていました。ミニカー作戦で、30分間の食事時間を確保!Upload By かなしろにゃんこ。少しでもいいからゆっくり味わいたい!そこで、でかけるときは息子の大好きなミニカーのおもちゃを持っていくことにしました。食事のときはミニカーを1つ渡して遊ばせて、飽きてソワソワしてきたら隠しておいたミニカーを渡します。その代わり、今まで遊んでいたミニカーはカバンの中に隠します。家から持ってきたおもちゃですがレストランで遊ぶと新鮮な感じがするのでしょう、しばらくは自分の世界に入って大人しく遊んでくれます。飽きたらまた次のおもちゃと代わるがわる渡していく作戦を実行したら、30分間は落ち着いて食事ができたのです!「こんな日が来るなんて!!」と、とても嬉しかったことを覚えています。おでかけ前の「ご褒美」見える化で、ワクワクできる!Upload By かなしろにゃんこ。もう少しハードルの高いおでかけのときは、「ご褒美作戦」を実行しました!親の用事でつき合わせなくてはいけないおでかけでは、息子のテンションが下がらないように「しっかり歩いてくれたら用事が終わった後におもちゃ屋に寄ってもいいよ!ミニカー1つ買ってあげるよ」などとご褒美を用意することにしたのです。子どもにだっていろんな思いがあります。別に行きたくもないところに連れていかれるのです。「ミニカー買ってもらえるなら行こうかな」と、出発前に納得できれば、外出先でもくずれないはず。帰り道に寄れそうなおもちゃ屋さんや、息子が興味を持ちそうなイベントを調べておいて、おでかけ前に伝えます。息子にも目的を持たせることで、ウキウキした気持ちでおでかけできるようになりました。親子のストレスの軽減とスムーズなおでかけのためには、多少の出費も仕方ないし、息子の気持ちに寄り添うことも大事だと考えたのです。子どもの気持ちに寄り添えば、おでかけもラクになるUpload By かなしろにゃんこ。ちなみに、「ご褒美作戦」のコツは、おもちゃを買ったらすぐに開けさせないこと。息子とのおでかけは体力を使います。のども渇きます。ひと休みのためにカフェに入りたくなります。だから、カフェに入った時に、ようやく新しいおもちゃで遊んでもOK!とするのです。とはいっても、カフェタイムはそんなに長くはもちませんが(涙)、それでもカフェで座れるだけで幸せです。おもちゃを買い与えてばかりでよくないんじゃないかしら?と考える親御さんもいるとは思いますが、ミニカー1つ分の出費と割り切る、大人の用事につき合ってくれたご褒美だと考えればいいのです。「お母さんは約束をきちんと守ってくれる。僕も嫌がらないで歩こう!」と子どもとの信頼関係も生まれます。ちなみにわが家では、小学4年生まではご褒美はミニカーで通用していました。小学校高学年にもなると、親のおでかけにはついてこなくなりますから、それはそれで寂しいものです。今では、かわいい子どもとおでかけしている親子を見ると「あぁいいな~」とうらやましくて仕方がありません♡
2018年08月09日ADHDのH(Hyperactivity)=多動・衝動なんて、私にはないと思ってた!出典 : 私は「自閉スペクトラム症(ASD)」と診断されている。でも、ASDであっても、注意欠如多動障害(ADHD)のような衝動性を持っていたり、ADHDと診断されていても、ASDのようなこだわりがあったりする例も少なくない。かくいう私も、注意力が著しく欠如している。「とはいえあれだ、診断はASDだし、私には不注意はあるけど、多動や衝動性(Hyperactivity)はないから…」なんてことを雑談の中でつぶやいたら、「何言ってんの!? あんた、昔から衝動の塊じゃん!!」と、旧友から盛大な反論をされてしまった。彼女から指摘されたのは、20年前の出来事だ。東京で一人暮らしをしていた22歳の私は、失恋に失業、おまけに信頼していた人からの裏切りに遭うというトリプルコンボの不運に見舞われていた。今だったら屁でもない話なのだが、人生経験の少ない若い娘が喰らうには、ちょっとヘビーな出来事であったと言える。たまたま電話をくれた新潟在住の幼馴染が、私の置かれている状況を知り、「今すぐ帰って来な!」と言ってくれた。「わかった、帰る!」そう決めると、私はまず冷蔵庫を確認、日持ちのしないものは食べるなり処分して整理。洗濯物は幸い少なかったので、実家の洗濯機を借りようと、着替えなどと共に鞄に詰め、ブレイカーを落とし、戸締りをしっかりして新潟へと向かった。それから1ヶ月程度、実家で休養した私は生気を取り戻し、再び東京で生活を始めるのだが…。東京の友人たちの間で「希望が失踪した!」と騒ぎになっていた。そう、私は新潟に帰ることを、彼らに伝えるのをうっかり忘れていたのだ。携帯電話が今ほど普及していない時代、皆さぞかし焦ったことだろう。連絡し忘れたのは私の落ち度だ。しかし、れっきとした理由もあるし、これは衝動とはいえないのではないか?と訴えたのだが、「“今すぐ”と言われて、本当に今すぐ帰ろうとして支度を始めるのは衝動の成せる業でしょうよ。ほかのADHDさんだって、衝動なりの理由があるのだろうし」と返されて、私はぐうの音も出なかった。思い返せば「暇だし臨時収入もあったしなぁ」と、思いつきで新幹線に乗って出かけたり、自転車で近所のスーパーに行く途中、「確か今面白そうな展示をしていたはず」と、やはり思いつきで10km先の美術館へと向かうなど、突発的に行動することはしばしばあった。しかし、困りごととして、自分の中で上位に来るのはASDの特性と不注意だったので、ハイパーアクティブさがあるとは考えもしなかったのだ。思い起こせば…あったあった! ハイパーアクティブならではの失敗談出典 : 「私に多動と衝動性が?まっさかぁ~!!」などと笑っていた私だが、困ったことがなかったわけではなかった。時に、私はかなりの感激屋である。映画やテレビドラマ、小説に漫画に音楽に舞台、そして日常のあらゆることに感激し、毎日が大層忙しい。ただ感激して小躍りしたり、泣いているだけなら何の問題もないのだが、私は「この感激を誰かに伝えたい!」という衝動に駆られてしまう。伝えるにしても、SNSか何かに書き散らかしておけばいいものを、誰かに直接メッセージとして長文を送りつけてしまうのだ、しかも「そんな間柄じゃないだろ」という相手に。「冷静になれ」とたしなめられるのだが、そのときは冷静なつもりでいるのだから困りもの。冷静に考え、冷静に文章をつづっているつもりで、翌日辺りに「私は一体何をやっているのだ…!」と顔面蒼白。壁に頭を打ちつけたくなる。とりあえず謝罪のメールを送るが、「迷惑でしたよね?」なんて確認することもできないので、数日の間は不意に思い出しては大量の汗を書くはめになる。この悪癖は気をつけても直らない。加えて、不注意による失くし物、予定の失念なども日常生活に支障をきたすレベルなので、ストラテラ(ADHD用の内服薬)の力を借りている。意外にも? 困ったことばかりではない多動と衝動出典 : 困ることがある一方、ハイパーアクティブさに助けられる面がある。以前、「ASDゆえ、イレギュラーは苦手だが、仕事に関してはある程度対応できるようになった」とコラムで書いた。「急な仕事」が得意というか、好きになったのだ。ルーティンになると強みを発揮するASD特性で磨いてきたライタースキルの土台があったことが前提だが、ADHDの特性も合わせ持っていたことで火事場の馬鹿力が発揮できるようになったのかもしれない。とにかく、「急なんだけど、手伝って!」というような連絡を受け、手元の仕事との兼ね合いを見ながら進行、納期までに仕上げる達成感にドーパミンがドバドバ溢れ出ているのを感じるのだ。そうした依頼の場合、普段自分が手がけない分野のライティングであることも多く、楽しいというのもある。また、過集中のおかげで早く仕上げることができるので、先方にも重宝いただいている。もちろん、出張だって嫌じゃない。むしろ大好きだ。普段自宅にこもって仕事をしていることが多いため、県をまたいだ移動がリフレッシュになるのもある。どんどんお呼びいただきたい。私そっくり、ASDっぽいあの人の、ハイパーアクティブなエピソード出典 : さて、以前やはりコラムに書いた、「私そっくり、ASDっぽい」父には、多動や衝動性があるのだろうか。家族で出かけたとき、目を離すとすぐ父の姿が見えなくなり、母が困っていたことを思い出す。さほど遠くに行くことはないのだが、勝手に単独行動を始めるのだ。立派な多動おじさんである。また、実家で一緒に暮らしていたころは、「おい!お前に食わせたい蕎麦屋が山形の山奥にあるのを思い出したから、今から行くぞ!起きて支度しろ!」と、休日の朝4時半に起こされることがあった。かねてからの予定ではなく、完全にその日の朝に思いついての行動、衝動以外のなにものでもない(お蕎麦、おいしかったです)。そして、父に関する大好きな話がある。6人兄弟の4男として生まれた父の服は、兄たちのお下がりであることが多かった。そのため、自ら働くようになってシャツを仕立てたときは、大いに感激したらしい。嬉しくなってテンションが上がった若き日の父は、なぜか自転車を飛ばして海へ向かい、上半身裸になって、夜の日本海を泳ぎまくったそうだ。少し疲れて岩浜に上がると、風で飛んだのか誰かが持ち去ったのか、新品のシャツはなくなっていたのだった…。「なぜ海?」「どうして泳ぐ?」「シャツをわざわざ紛失の危険に晒した理由は?」など、突っ込みどころ満載ではあるが、ADHD傾向のある若者の、チャーミングなエピソードとして、私の心に残っている。発達障害が遺伝であるかどうか、また、かつての父のように私が可愛いADHD特性のある人間かは別の話として、私が父に似ているという説は、やはり納得の感がある。そして「ADHD、悪くないよなぁ」と笑ってしまうのであった。
2018年08月06日鉄道系博物館以外は興味なし。駅で電車を見ているほうがいいと言われて…Upload By かなしろにゃんこ。ADHDと軽い広汎性発達障害がある息子リュウ太。小さいころから鉄道が好きだったので、夏休みには必ず鉄道系博物館に連れていきました。鉄道の展示物を見ると興奮して喜ぶので「こんなに夢中になるんだから、科学館や歴史博物館に連れて行ったら、理科や歴史も好きになるかしら?」と考えて連れていくと…、実験できる展示物も、歴史的な展示物も、息子にとってはイマイチなのか?口数も少なくテンションは低め。さらには「博物館はもういいよ、駅で電車を見よう!」と先を急ぎ、平均滞在時間は30分。せっかく連れてきた母としては、残念な気持ちに…。美術館だけは特別!?展示物に夢中になった息子Upload By かなしろにゃんこ。そんな息子ですが、中学生になると絵を描き始めました。そこで、一流の芸術品を自分の目で鑑賞することで、なにかよい刺激になればと、今まで連れて行ったことがなかった美術館に一緒に行ってみることに!本物の芸術に触れると、クリエイティブな脳になるきっかけになったり、脳の血流が良くなったり、癒されたりとさまざまな効果があると耳にしたこともあり、少し期待していたんです。すると!私の予想以上に美術館を楽しんでいるではないですか…!展示物を見て美術の教科書の情報を思い出してみたり、テレビから得た情報を思い出したようで、「この作品、知ってる!」とか「実物はこんなに大きいんだ!」など、いつもは口数の少ない息子が、自分の感動をスルスルと口にするのです。「芸術は自由に楽しんでいい」と教えてみると…Upload By かなしろにゃんこ。でも、大きな美術館では何百点という展示物があり、全て見て回るのは大変です。その上、息子は飽きっぽいという特性があります。そこで、息子が飽きないように「気に入った絵を探して、好きなものだけ見てみよう!」ということにしました。美術鑑賞のポイントを伝えてみると「そういうふうに見ていいんだ、全体を見なくても部分的にじっくり見たりもしていいんだ!」と目からウロコの様子。美術の専門家のように目利きして理解しながら見る必要があるんじゃないかと思っていたようです(笑)教科書で知っている作品が目の前に!Upload By かなしろにゃんこ。それまでは、美術館=堅苦しいイメージがあったようですが、「芸術は、自由に感じたり見たりしていいものだ」と分かると、巨匠の作品を眺めたり、気に入る絵を探して館内を回ったりと、飽きっぽい息子には珍しく2時間くらい集中して鑑賞していました。ピカソやモネなど、「教科書で有名な画家の絵が、目の前にある」というのは、美術鑑賞初心者の息子でも、やはり感動したようです。また、作品のパワーを感じていたのでしょうか?ゴッホなどの力強い作品の正面に立つと、惹きつけられるようで足を止めて見入っていました。今や美術鑑賞が趣味に。好きなものの幅が増えた!Upload By かなしろにゃんこ。ちなみに、「美術館オモシロイ」と言った息子が一番気に入った作品は画家の直筆の手紙でした。紙の端が汚れて茶ばんだ古い紙に、筆記体で書かれた文字が、なんともカッコイイのだそうです。まるで、ゲームに出てきそうな謎の預言書みたいだと感じたようです。「オイオイ、これは絵じゃないだろう!」と心の中でツッコミましたけど、まぁ何にグッとくるかは人それぞれですから、それも良しです。その後、絵画鑑賞がすっかり好きになった息子。好きな画家の展覧会に行くようになったり、息子から美術館に誘ってくれるようになりました。息子の創作に何か反映されているかは分かりませんが、鉄道系以外にハマれるものと出合えたことが、母は嬉しかったのでした。絵が好きな子どもには、美術鑑賞はいい刺激になるはずです。中高生は入場無料という施設も多いし、屋内なので涼しいですし、夏休みに親子で行くのもいいかもしれませんね♡
2018年07月26日女性の身体の中で、最も千差万別なパーツのひとつ、「バスト」。サイズが小さくて悩む女性の声が多数を占める裏で、大きな胸を持つことで大変な思いをする女性もいます。通常サイズの服を着ると胸が強調される、ボタンが留まらない、マタニティ服を着ているように見える……。そんなさまざまな悩みに真正面から向き合い、「overE」サイズの女性が胸を張って生きるための服をつくり続ける人、和田真由子さん。その原動力には、「女性が胸を張って生きていけるよう応援したい」という強い思いがありました。■「発達障害」の診断を強みに変えて――和田さんは就職2年目で起業を決断されたそうですね。そうなんです。当時、アルバイトからそのまま就職した出版社に勤めていたんですが、2年目に入り「これからどうやって生きていこうかな」と考えてもいて。そんな折に、ノリで応募した東京マラソンに当選して。そこでの経験が、起業への夢を後押しすることになったんです。――東京マラソンで、気持ちにどんな変化が生まれたのですか?私、もともと運動音痴で、マラソンなんて大嫌いだったんですよ。でも実際に参加してみたら、沿道の観客の方やボランティアスタッフさんたちがめちゃくちゃ声援を送ってくれて。トータル5時間半、何度も途中棄権しようかと思いましたが、その度に皆さんに励まされました。気づいたら一歩一歩踏み出すごとに、達成感とか自信が蓄えられていって。なんとか完走した頃には「この感謝をどこかで還元したい」「そうか、起業をするなら今だ」という気持ちが芽生えていました。――いつかは起業したいという思いは、和田さんの中にずっとあった?そうですね、学生時代に遡るんですけど……。大学1年生の頃から、授業にもサークルにもバイトにも、自分がうまく適応できないことで苦しんでいました。検査を受けたところ、ADHD(発達障害)という結果が出て。ショックで自信をすべて失って引きこもり気味になって、深夜のブックオフでひたすら本を買い読みた日々を送るようになったんです。――それはしんどかったですね……。でも、あらゆる本を読んでいたら、ADHDという病気が必ずしもデメリットではないということに気づいたんです。起業家って実は、発達障害に近い特性を持つ人がすごく多くて。アイデアがどんどん出てきて、思いつきで突っ走ったりするんです。彼らって、変人かもしれないけれど、夢に対してまっすぐ。それに気づいたとき、私にも何か社会に対して夢を届ける仕事ができるんじゃないか、と勇気が湧いてきて。■知識ゼロから飛び込んだアパレルの世界――起業を志してからは、どこからアプローチしたのでしょうか。まずは創業支援施設のセミナーに通って、自分に何ができるか模索しました。とにかく「起業したい」という思いはあったものの、何をベースに会社を作るかという明確なビジョンがなかったので……。セミナーで「自分の持っている悩みは、他人にとっても悩み事かも知れない。それを解決することが、ビジネスへの第一歩になる」という話を聞き、そこで初めて「胸の大きい女性でも着られる服を作ろう」と決めました。――確かに、「胸のサイズのせいで着られる服が限定されてしまう」という悩みを抱える女性は、実は少なくないんですよね。そうなんですよ。そんなことを話すと「嫌味?」みたいに返されてしまうので、なかなか同性にも話しにくいんですけど……。私自身、いざ出かけようと服を選んで鏡の前に立ったところ、胸のせいで服の形が崩れてしまうのを見てがっかりして。何度も着替えた末に出かけるのを諦める、という経験を数え切れないほどしてきました。どんなにダイエットをがんばっても、バストサイズに合わせると選べる服のサイズが大きくなってしまうのも本当に嫌だった。そんなとき、下着メーカーがつくった「大きな胸を小さく見せるブラ」が大ヒットしているというニュースを見て、他にも胸のサイズに悩んでいる人がいるんだ、と知って。――なるほど。当時、アパレルの知識はあったんですか?まったくなかったんです!なので、まずはネットで縫製工場を探しました。そこで新潟の工場が話を聞いてくれることになって。出会ったパタンナーの女性たちが偶然胸のサイズに悩んでいて、とても親身になってくれたんです。シャツのパターンを引いてもらうところから始まったのですが、バストのカーブ、トップの高さ、腕周りの太さ、襟の開き方にまで、とことんこだわってくれて。何度もパターンを引き直してもらった結果、ようやく第一号が仕上がりました。――素晴らしい工場と巡り会いましたね。そこからついに起業へ?まずはクラウドファンディングで創業資金を募りました。額は少なかったのですが、目標額の倍近い額が集まりました。同時に、ファッションメディアが取り上げてくれた記事がSNSで1万件近く拡散されたことで、たくさんの方に知ってもらえるようになりました。起業したのは東京マラソンからちょうど1年半後のことでした。■胸の大きな女性が持つ心の痛みを取り払いたい――和田さんの場合、まずは起業したいという思いがあって、そこからアパレルというジャンルが付いてきた、ということですよね。珍しいケースでは?そうですね……。正直に言えば、最初は服をつくるという未来は思い描いてはいなかったんです。ただ、私の中の揺るぎないキーワードとして「胸を張って生きていく」というものがあって。その足かせになるものがあれば、ビジネスを通して取り払っていきたかったんです。着たい服がないこと、好きな下着がないこと、人目を気にしながら生きなければいけないこと。そういうことで、心の痛みを感じる瞬間が多くの女性の中にあることを知って。それを理解したいし、その痛みを取り払いたいし、他にも同じように悩んでいる人がたくさんいることを発信したいと強く思いました。そのためのツールとして、服があったということですね。OverEのブラウス(五分袖)――overEの服を見ていると、和田さんのその思いがぎゅっと詰まっていることがよくわかります。アイテムに関しては、かなり細かいところまで気を遣っています。例えば胸の大きい方って、肩幅も広いと思い込んでいる方が多いんです。でも実はそうじゃないんです。胸が大きいと布地が引っ張られて、服の肩線が内側に入ってしまう。そのせいで肩幅が大きく見えてしまったり、キツく感じてしまっているだけ。それを解決するためにOverEでは、シャツの胸元に立体感を持たせ、つっぱらず本来の肩線で着られるようにしています。OverEのボウタイブラウス――そうだったんですね!私もoverEサイズなのですが、肩幅が広いと親に言われ続けていました……。胸の大きな人が苦手とする、コンパクトカーディガンも展開されていますね。そうなんです。胸の大きい女性にとって、カーディガンの前ボタンを留めて着るのって夢なんですよね。胸のサイズに合わせると、どうしても大きめのサイズを選ばなくてはならないし、反対に胸以外に合わせると胸のボタンが閉まらない。そんな悩みを解決したのがこのアイテムです。定期的に開催している女子会でお客さまから意見をいただいて販売したところ、あっという間に1000枚が売れました。OverEで大人気のカーディガン。■服を通して胸を張って生きる女性が増えたのが嬉しい――お客様とコミュニケーションをとる機会は多いのですか?多いです!女子会での交流もそうですが、特にoverEのTwitterアカウントはすごく重要なコミュニケーションツールになっています。通販サイトなので、どうしても現物を見て買えないじゃないですか。そこでお客様が実際に着用したイメージをイラストで書いてくださったり(3万5000リツイート)、身長と体重を公表したうえで着た姿を画像で載せてくださったり……。また、最近パルコやマルイでポップアップショップも展開しているのですが、それもお客様がリクエストをくださったことで実現したんです。本当にoverEはお客様と一緒に育てていただいていると実感しています。7月19日から開催中の池袋パルコでのポップアップショップ。――とても喜ばれているのですね。そうみたいです。胸に合うサイズの服が買えることが嬉しくて下着も新調したとか、一緒に靴も買ってみたとか、メイクを覚えたとか……。それから、服が見つからなくて部屋にこもりがちだったけど、デートに行く自信が出たので行き先を探し始めたとか。そんな声を聞くと、皆さんの中にあった足かせが取り払われて、胸を張って生きていくお手伝いができたように感じて、本当にやっていて良かったと思えます。――和田さん自信にも変化はありましたか?そうですね。私の会社名「エスティーム(Esteem)」って、「self esteem=自尊感情」からきているんですけど、overEを通してその部分が少しずつ培われてきたと感じています。会社を立ち上げた頃って、人と会うたびに3日くらい寝込んでしまったり、取引先との電話にも出られなかったりしたんです。でも、いざ事業を始めてみたら、想定内のことが起こるとか、準備万端で何かに臨めることってほとんどなくて。とにかく目の前に迫ってくることを消化して、苦手だと思っていたことにもチャレンジせざるを得なくなったんです。だから楽しいとはまた違って……、もちろん苦しいことの方が多いんですけど、それまで感じていた固定概念とか、狭いコミュニティの中で最適解を探さなくちゃともがいていた過去に比べたら、ずっと生きやすくなりました。お客さまが服を通して自信を持たれたように、私もこの事業を通して、自分の生き方に少しずつ自信を持てるようになったのかな、と感じています。Text・Photo/波多野友子洋服写真は和田さん提供和田真由子さん胸が大きな女性に光を当てたアパレルブランド「overE」を運営する、株式会社エスティーム代表。東京都主催のビジネスコンテスト「TOKYO STARTUP GATEWAY 2016」では、1000件の応募の中からセミファイナリストに選出される。7月19日〜31日まで池袋パルコで期間限定店舗を展開。では7月特集「”私らしさ”をつくる人」と題して、ファッションの分野でモノづくりをする方たちの仕事や想いをお届けしていきます。
2018年07月24日親子で悩んだ、同じ学校の子からの「報告」出典 : わが家の発達障害の息子は、小学校でそれほど大きな問題を起こすタイプではありません。むしろ、問題を起こさないように尋常ではない気の遣い方をするため、たまに疲れて動けなくなってしまうことがあります。そんな律儀な息子ですが、ADHDの特性があるため、どうしても注意欠陥や衝動性が原因で、集団行動から外れてしまうことがあります。気になるものがあると、ボーっとしてしまって、先生の指示を聞き逃してしまう…。あるいは、過去には掃除のやり方が分からず、掃除中にずっと教室をフラフラしていたこともありました。どれも少しのサポートで解決できるため、大した問題にはなっていないものの、周りの子どもたちの目にとまってしまうのでしょう。私が学校に行くと、「ねー、〇〇くんさー、課外活動のときに話を聞かないでボーっとしてたよー」「〇〇くんのお母さーん、〇〇くんが整列するときにぐにゃぐにゃしてジッとしてないんだよー」などと、子どもたちのちょっとした「報告大会」が始まるのです。スルーだ…スルーするんだ…私は心の中で必死に唱えていますが、それでもイライラしてきます。言いに来た子どもに対してではなく、息子に対してイライラしてきます。「なんでそんな、どうでもいいことができないんだよ…」報告に来た子どもたちには、「ごめんねー」「温かく見守ってやってねー」と大人な返答をしながら、お腹のなかでイライラ爆弾の導火線が燃えはじめます。無条件に息子を信じることは想像以上に難しい…出典 : 息子が帰宅するのと同時に、イライラ爆弾が爆発。私は息子を問い詰めてしまいます。先日も、冷静さを失った私は、息子の帰宅時に鬼のような顔で出迎えていました。普段は「ただいま!」「おかえりー!」とニコニコしながら出迎えているからこそ、私の変化に息子は凍りつきます。「僕、なんかやっちゃった…?」「お母さん、なんで今日は笑ってお帰りって言ってくれないの?」私は息子の話も聞かず、「今日、こんなことやったんだって?〇〇くんに聞いたよ!」「どうしてなの!」「いい加減にしてよ!」と声を荒げてしまうのです。息子のことを信じて育てていこう、いつもそう思って頑張ってきたのに…。それは想像以上に難しく、私は息子に対してひどくイライラしてしまったのです。時間が経ち、冷静になれば思います。「どれも大した話ではなかった…」「まず本人に真偽を確認すれば良かった」「なぜもっと息子を信じてあげられなかったのだろう」私はいつも、息子が「困った行動をする」のは何かそうしてしまう原因があるはずだから、ということを肝に据えて、なるべく頭ごなしに叱らないようにしてきました。どうしてそんなことをしてしまったのか、まずは本人の話を聞いて考える、考えたうえで環境調整ができないか考えるようにしてきたものです。けれども、同じ学校の子どもから息子の行動を報告されると、私はどうしても冷静になれません。私が息子を叱ることが義務づけられているような強迫観念を持ってしまうのです。なぜこんなに余裕がなくなってしまうのか…。「息子が何かやらかしてしまうのではないか」という恐怖で、いっぱいいっぱいなのだと思います。思い出した母の言葉出典 : 学校に行くたびに、息子のことを報告されることに疲れてしまった私。けれども、それ以上に傷ついているのは息子です。息子は私が鬼のような顔で帰宅を迎えた日の翌日、学校を休んでしまいました。お休みの連絡のため学校に電話したところ、息子には全く非がなかったことが分かったのです。息子は、いくら説明しようとしても、私が聞く耳を持たなかったことがショックで寝込んでしまったのでした。「もうどうしたらいいんだろう…。何か報告をさえれるたびに私が過剰反応を起こしていたら、息子はもっと傷つくよな…」一人で抱え込んで悩んでいたとき、私は自分の幼少期に母が言ってくれた言葉を思い出しました。私もADHDがあったため、小学校では「報告係」のような子の標的になっていました。帰りの学級会では、こんなことしてました、あんなことしてました、といろんな同級生に報告されていました。当然、私の母に報告する子どももいました。わざわざ自宅まで電話をかけてくるのです。けれども、それに対して、母は「ごめんねー」と言いながら、私を叱ったり責めたりすることはありませんでした。そのとき、母が言った言葉が忘れられません。「私、大人に報告して叱ってもらおうって考え方があまり好きじゃなくてね。他の子が言ったことだけを真に受けて、自分の子どもを叱りたくないしね」今思えば、母は精一杯私を守ってくれていたのです。自分の子どもを信じるということは大変なこと。特に、発達障害の子どもを持つと、親もいろいろと自信を失いがちです。けれども、まずは自分の子どものことを信じるんだよ、というあのときの母の言葉を思い出し、少し勇気をもらえた気がしました。そして、息子を信じていられるように、もう少し強くいたいと、母の顔を思い出しながら思ったのです。
2018年07月23日息子だけ泳げない!不器用すぎて、思い通りに体を動かせない…!?Upload By かなしろにゃんこ。ADHDと軽い広汎性発達障害がある息子リュウ太。自分の体のコントロールも下手なので、水泳などフォームが決められているスポーツは、先生に説明をされても、自分の体のどこをどう動かしたら同じようなフォームになるのかが分からないのです。小学校5年生になっても、水に顔をつけることができませんでした。あるプール参観の日に他の子はスイスイとクロールをする中、一人ビート板キックをする息子。他の子はスイミングスクールに通っているためか上手に泳げているのに「リュウ太だけ泳げてなーい!」と少し恥ずかしい気持ちになってしまいました。「こりゃスイミングスクールに入れてなんとかしないと」と焦った私は、スイミングスクールに申し込みに行ったのでした。スイミングスクールに入会しようとしたけれど…Upload By かなしろにゃんこ。スイミングスクールの受付で、リュウ太には発達障害があり、普通の子よりも覚えが悪いことを伝えることにしました、そのような子どもでも他の子と同じように泳げるようになるのか、丁寧に教えてもらえるものなのか聞きたかったのですが…。発達障害があると伝えたところ、「専門のコーチがいない。今は定員いっぱいで生徒募集をしていない」と断られてしまいました。ですよねー、スクール側もいきなり来られても困ってしまうよね、とあきらめてトボトボ家に帰りました。水泳なんてムリ!逃げようとする息子の前に立ちはだかったのは…!Upload By かなしろにゃんこ。指先しか動かさない”靴ひもを結ぶ”ことすら、リュウ太にとってはとても難しい。苦手感からすぐに逃げ出そうとします。ましてや、体のいろんな部分をさまざまな形でいっぺんに動かす水泳なんて…どう教えたらできるようになるのか想像もつきません。困り果てた私が、夫に相談すると夫も歯がゆさを感じたのか、急に「よし!特訓するぞー‼」と立ち上がったのです。父親流・短期集中スパルタ特訓の成果はUpload By かなしろにゃんこ。息子にとって、世界で一番怖い存在が、この父親です。もちろん「えー!泳げなくていいから逃げ出したい」とイヤがっていました(笑)夫の教え方は、短期集中型です。自転車の乗り方も、箸の持ち方も、短期集中で厳しく教わった経験から、プールに向かう前からブルブルおびえている息子でしたが、私は泳げないし頼りの綱は夫だけ!ここはお任せすることにしました。市民プールで水に顔をつけて慣れるところからはじめて3時間もすると…父親に手とり足とり教わった息子は、息継ぎができるようになりました。オレ、泳げてる!?Upload By かなしろにゃんこ。施設の休憩以外はほとんど休まずスパルタ式の特訓を行った結果、クロールを20メートル泳げるようになったのです!覚えが悪い息子にイライラはしていた父親ですが、時には「やればできるじゃねーか」と息子を励ます姿もありました(父親なりの褒め方のようです)。「泳げるようにならなくってもいいのに」と言っていた息子も、「アレ、オレ、泳げてる!?」と嬉しそうでした。忘れっぽい息子に合っていた!Upload By かなしろにゃんこ。父親から息継ぎするときの細かいコツや手の伸ばし方、足の使い方を短時間で丁寧に教えてもらえたのが、息子にはよかったようです。息子も最初はイヤイヤでしたが、結果的には成功体験にもなって「オレは泳げる!」と自信がつきました。私も、「教え方によっては短期間で伸びるんだな~」と発見できました。小学5年生のたった一日の猛特訓で、水泳への苦手感を克服できた息子、中学生になっても水泳の授業はイヤがることもなく参加することができていました!短期集中で体に覚えこませた夫のやり方は、ちょっと強引でしたが、忘れっぽく苦手なことからなるべく逃げようとする息子には合っていたのではないかなと思っています。
2018年07月13日司馬理英子先生の新刊を記念して行われた、トークイベントを取材!Upload By ひらたともみUpload By ひらたともみ6月2日に紀伊国屋新宿本店で行われた、『わたし、ADHDガール。恋と仕事で困ってます。』の出版記念トークショーに行ってきました!発達障害のある子どもや女性のためのクリニックの院長である、精神科医・司馬理英子先生による著書の出版を記念して開催されたこのイベント。司馬先生と、自身もADHDがあり、発達障害がある3人のお子さんを育てる笹森理絵さんのトークが聞けるうえ、モデレーターは発達ナビの鈴木編集長が!イラストレーターひらたともみがこのイベントを取材!そこで見えてきたのは、生きづらさと共存する苦悩でした――。イベントでは、ADHDのある女性の特性と悩み、解決法が語られて…!Upload By ひらたともみADHDと聞くと、みなさんどんなことを想像されますか?今から20年近く前にテレビで、一人の主婦が高校生の息子のお弁当づくりで早起きしても間に合わず、毎日お昼ギリギリに、息子さんの高校まで届けてるという、ドキュメンタリー番組を観ました。その女性は毎日5時に起床し、息子のお弁当をつくろうとするのですが、途中で庭の花壇の水やりをしたり、ニュース速報に手が止まったり、砂糖をこぼして掃除機を出したと思ったらそのまま部屋掃除を始めてしまったり…。時間だけがどんどん過ぎて、息子の朝食の準備すら間に合わないという毎日で、本人も家族も悩んでいました。今思えば彼女には発達障害があったのかもしれません。私の中でのADHDのイメージは、片づけられない、手際が悪い、ケアレスミスが多い…くらい。今回、司馬先生と笹森さんの分かりやすいトークを聞いて、特性による人間関係の悩みにも気づくことができました!Upload By ひらたともみUpload By ひらたともみUpload By ひらたともみ片づけられないことばかりが取り上げられがちなADHDですが、『わたし、ADHDガール。恋と仕事で困ってます。』(東洋館出版社)では、多動性や衝動性による不注意で起こる人間関係でのトラブルや、恋愛の問題を回避するコツなどに触れられています。イラストとマンガ、そして川柳で誰にでも分かりやすく解説され、ADHD当事者はもちろん、ご家族や支援者にもオススメしたい1冊です。ちょっとうっかりしがちな私のような人にも、解決のヒントが楽しく描かれています!Upload By ひらたともみUpload By ひらたともみ発達ナビでの告知後、わずか数日で満席となったこのイベント。司馬先生のトークの軽快さやあたたかさにほっこりし、笹森さんの経験談に泣いたり笑ったり…あっという間の2時間でした!そして帰路…。人柄というものは著書にでるんだなぁ~と、この本を読みながら電車で一人唸った私でした…。2018年6月14日(木)発売、司馬理英子著、東洋館出版社刊。冒頭では、コミック形式で特性の概要が紹介されていたり、本文中でも気をつけたいポイントが川柳で紹介されるなど、読みやすくまとまっています。ADHDがあることで悩んだり困ったりしている人にぜひ参考にしてもらいたい1冊。
2018年06月19日