東京・六本木のサントリー美術館で『大英博物館北斎』がはじまりました。本展では、大英博物館が所蔵するクオリティの高い北斎作品が集結。さらに、北斎を愛したイギリスのコレクターたち6名にもフォーカス。アートの目利きである彼らが絶賛&狂喜した、日本人が気づいていない“北斎のスゴさ”もご紹介!イギリスでも大人気…スゴい北斎!【女子的アートナビ】vol. 240『大英博物館北斎―国内の肉筆画の名品とともに―』では、大英博物館が所蔵する北斎作品を中心に、国内にある肉筆画も展示。イギリス人コレクターたちの“北斎愛”にも触れながら、彼の画業、特に数多くの代表作が生み出された後半生の作品群を一覧できます。葛飾北斎(1760-1849)は、江戸時代後期に活躍した浮世絵師。彼の作品は、日本だけでなく世界でも有名で、例えばモネやドガなどフランス印象派の画家たちや、ゴッホにも影響を与えています。フランスで人気があったというイメージが強い北斎ですが、実はイギリスでも大人気。すでに1870年代から北斎コレクターや研究者がいて、特に大英博物館には多くの作品が所蔵されています。本展のプレス説明会では、アルフレッド・ハフト氏(大英博物館アジア部日本セクション学芸員)のビデオメッセージが流れ、100年以上前に大英博物館の学芸員だったローレンス・ビニョン(1869-1943)の言葉が紹介されました。とても印象的でしたので、以下に抜粋します。「1908年、ローレンス・ビニョンは、北斎の風景画を見たときの体験を『美と驚きがひとつになった衝撃』と表現し、『世界は我々の想像を上回る驚きに満ち、我々を狂喜させる力の源であることを北斎は明らかにした。それは、これから我々自身で発見していくことができるものでもあるのだ』と語っています」これほどの衝撃をイギリス人に与えていた北斎、すごいです!「芸術家として北斎こそ正真正銘の日本人」では、展覧会のおもな見どころをご紹介していきます。第1章「画壇の登場から還暦」では、貴重な初期作から還暦近くの年齢で描いた作品が登場。ここでの見どころは、北斎が直接筆をとった「肉筆画」の名品《為朝図》。曲亭馬琴の読本『椿説弓張月(ちんせつ ゆみはりづき)』の主人公・源為朝を描いたもので、絵のなかには作者馬琴の祝詞も書かれています。本作品を購入したのは、イギリスの医師、ウィリアム・アンダーソン(1842-1900)。彼は解剖学と外科の教授として明治期に来日し、東京の海軍軍医学校の校長を務めました。さまざまな美術品も入手し、そのうち約2100点が大英博物館の所蔵品になっています。また、アンダーソンは、日本美術についての本も執筆。著書の中で、「芸術家として北斎こそが正真正銘の日本人」と絶賛しています。代表作が次々と…!第2章「富士と大波」では、《富嶽百景》や《冨嶽三十六景》シリーズの作品群などを紹介。大波が印象的な北斎の代表作《冨嶽三十六景神奈川沖浪裏》や、「赤富士」として親しまれている《冨嶽三十六景凱風快晴》もここで見ることができます。また、第4章「想像の世界」では、偉大な歌人や詩に読まれた景色、さらに目に見えない妖怪を描いた作品などが登場。不気味な見た目でも、どこかユーモラスさが感じられる人気作品《百物語こはだ小平二》も展示されています。「これが一人の画家の作品だとは信じがたい」最後の第6章「神の領域―肉筆画の名品―」では、晩年に描かれた肉筆画が登場。特に、88歳のときの作品《流水に鴨図》は必見です。2羽の鴨と水面に落ちた紅葉が描かれた作品で、鴨の描写が本当に細かいのです!近くで見ると、その精緻な美しさに圧倒されます。あの時代の88歳、大家の北斎先生でも老眼になっていると思いますし、集中力や持続力も若いころに比べれば低下しているはず。でも、線のブレもムラもなく、まさに“神の領域”に達した作品です。本作品を所蔵していたのは、イギリスの小説家アーサー・モリソン(1863-1945)。彼は2000以上の浮世絵版画を入手したほか、日本絵画も約600点購入。また、日本美術の研究書も出版し、その中で北斎について「複数の優れた絵師による作品でなく、すべて北斎一人によるものだということが、実に信じがたい」と語っています。究極の“推し活”展覧会本展では、北斎の名品を堪能できるだけでなく、日本美術好き・北斎大好きイギリス人コレクターたちによる究極の“推し活”も楽しめます。彼らが書いた北斎の推しポイントを読むと、今まで気づかなかった作品の魅力も発見でき、改めて北斎の偉大さを実感しました。100年以上前に北斎担当のファンたちが熱心に集めたコレクションを、現代の日本人が見るなんて、考えてみたらステキなこと。推し活をしていたコレクターたちも、きっと喜んでいると思います。究極の“推し活”展覧会、ぜひ足を運んでみてください!Information会期:~6月12日(日)※会期中展示替を行います。※会期は変更の場合があります。休館日:火曜日(5月3日、6月7日は開館)会場:サントリー美術館開室時間:10時~18時※金・土および4月28日(木)、5月2日(月)~4日(水・祝)は20時まで開館※いずれも入館は閉館の30分前まで観覧料:一般¥1,700、大学・高校生¥1,200、中学生以下無料※最新情報は公式サイトでご確認ください
2022年04月30日婚活で約1000人の男性と出会い、年下夫を射止めたライター・かわむらあみりがお届けするコラム【結婚引き寄せ隊】連載第107回は、「彼氏と付き合っていて良かった」と彼女が思った、恋人のほっこりエピソードををお届けします。1.病気のときに看病してくれた【結婚引き寄せ隊】vol. 107付き合いが長いか短いかにかかわらず、恋人と一緒にいると、相手の意外な一面を知ることもありますよね。できれば、ネガティブな一面はあまり知りたくないものの、ポジティブな顔なら歓迎したいところ。筆者が婚活中に見聞きした、恋人と一緒にいて彼女が彼をさらに見直した、恋人たちのほっこりエピソードのひとつめは、病気のときに看病してくれたとき。誰だって病気で寝込んでいるときや、弱っているときに、自分のことを気にかけてケアしてくれる人がいたらとっても助かりますよね。それが大好きな彼ならなおさらのこと、衰弱している心身ともにありがたさが身に沁みてくるものです。普段は彼女の行動に無頓着な彼氏だったり、彼女が髪型やメイクを変えたことに気づかないような鈍感系の彼だったりすると、よりいっそう、いつもとのギャップで、せっせと看病してくれる彼の行動によって自分が大事にされている感がアップ。そんな彼がいたならば、大事にしてほしいものですね。2.忙しいときにご飯を作ってくれた続いては、忙しいときにご飯を作ってくれた彼。あらためてキュンときてしまったという彼女も少なくありません。最近では、男性も料理が得意だという場合もありますし、一人暮らしをしている男性だったら、自炊することに慣れている場合もあるでしょう。彼女が仕事で忙しいときに、手際よくササッと料理を作って、労ってくれるような彼は非常にありがたいものです。さらに、いつもは彼女が彼に手料理を振る舞うことが多いカップルなら、忙しいときにだけ、彼のほうからご飯を作ってくれたりすると、感激度も上がるというもの。料理を作り慣れていない彼氏だったとしても、たとえ上手にできなくっても、いいんです。「忙しいわたしのことを気遣ってご飯を作ってくれた」という、その優しさにジーンとくるのですから。彼女の様子に配慮できる彼氏って、素敵ですよね。3.落ち込んだときに真摯になぐさめてくれた毎日元気でハッピーでいられる人なんて、あまりいませんよね。生きていると良いことも悪いこともあって、落ち込むときだってあるでしょう。そんなときに、真摯になぐさめてくれる彼だったら、よりいっそう彼に身を任せたくなるものです。たとえば、普段からそれほど弱い自分を見せていない彼女だったり、あえて落ち込んでいる様子を悟られまいと強がってしまうタイプの彼女だったりしても、「あれ?いつもより元気ないね」などとすぐに察してくれる彼は貴重。彼女の様子に気づいて、「大丈夫?」と言葉でなぐさめてくれたり、あえて口では言わないけれどそっと寄り添ってくれたり、包容力のある彼はとっても落ち着きます。こうやって見てみると、どれも彼女の身に何かが起こったときに、きちんと向き合って労わってくれる彼が惚れ直されやすいようですね。付き合っていると、いい時も悪い時もあります。とくに自分が大変なときに、助けて守ってくれる彼だったら、恋人でいて良かったと思えますよね。そんな素敵な人とみなさんが末長く幸せでありますように!文・かわむらあみり©ti-ja/Getty Images©Arno Images/Getty Images©Strelciuc Dumitru/Getty Images文・かわむらあみり
2022年04月28日人生においてひたすら前に進んでいくことは大事ですが、ときには行き先を見失って立ち尽くしてしまうこともありませんか?そんな気分のときにオススメしたい映画は、“大人のためのおとぎ話”ともいえる注目作『ツユクサ』です。そこで、こちらの方にお話をうかがってきました。小林聡美さん【映画、ときどき私】 vol. 478主演を務めているのは、すでに40年以上のキャリアを誇り、幅広い世代の女性たちから愛されている小林さん。本作では、50歳を目前に控えた主人公の芙美(ふみ)が、ある過去を抱えたまま田舎町でひとり暮らしをするなかで、さまざまな“奇跡”と出会っていくさまを描いています。今回は、芙美を通して感じたことやラブシーンの裏側、そして人生の選択をするうえで大切にしていることなどについて、教えていただきました。―まずは、脚本を読んだときの第一印象をお聞かせください。小林さん読み終わったときに、「なんてかわいいお話なんだろう」と思いました。子どもの語りからはじまって、宇宙の話になり、芙美が隕石にぶつかってからは恋があったり、周りが少しずつ幸せになったりしていくんです。ただ、私には慣れない恋模様が描かれていたので(笑)、「これを私がやるのか……」みたいな不安はありました。―恋のお相手は、松重豊さんが演じられていましたが、脚本を読まれた段階で配役はご存じでしたか?小林さんはい。でも、松重さんが相手というのは、あえて思い描かないように読みました。そのほうが、純粋に物語の展開を楽しめる気がしたので。自分のなかでも恋愛のシーンは、“ひとまず横に置いておく物件”みたいな感じでした(笑)。―実際、キスシーンでは松重さんと事前にやりとりされたこともあったのでしょうか。小林さん特に相談はしなかったですが、こういう時期なので、うがい薬を用意する係の人が待機していて、撮影直前に消毒するというリアルな現場でした(笑)。恋の場合は、一歩踏み出すのを考えてしまう―とても素敵なシーンでしたが、裏では意外と事務的に進んでいたのですね……。小林さん松重さんの役どころが歯医者さんということもあって、口のなかをチェックされるシーンがあるんですが、そちらのほうが恥ずかしかったですね。―しかも、その流れでキスというのには驚きました。小林さんそうですよね。でも、撮影では恥ずかしいとか言っていられないというか、そういう仕事ですからね。今回は信頼できて紳士的な松重さんだからこそ、口のなかまで見せられたというのはあったと思います。―わかる気がします。物語のなかで、芙美はさまざまな転機と向き合うことになりますが、彼女の生き方はどのように感じましたか?小林さんいままでいたところから一歩を踏み出した彼女の勇気を讃えたいですね。特に、素敵な人が現れて、「どうしよう」となっているときに、行動に出たところは立派ですよね。この年になると、少し傍観してみようかなと思いがちですから。―小林さんもそのあたりの決断力は芙美と似ているところがありますか?小林さん私の場合、恋じゃなければ考えずに行けます(笑)。―これまで恋愛ものはあまり出られていないですが、このタイミングでラブストーリーに挑戦してみて、いかがでしたか?小林さん恋愛の部分にフォーカスすると変に意識してしまいそうだったので、あくまでも物語の流れの一部として捉えて、そこにはこだわらないことにしました。昔より、いまは人生も恋愛も選択肢がたくさんある―海外の作品では60代や70代の女性でも恋愛している姿が描かれていますが、日本ではあまりないので、そういう意味でもこの作品の描かれ方は新鮮なところではないかなと。小林さんいくつになっても恋愛はするし、年齢を重ねても若い人たちと同じような“心のひだ”もあるのに、もしかしたら上手に描ける人が少ないのかなという気はしています。でも、いまの40代後半以降の人たちは昔に比べたらすごく自由だし、人生や恋愛の選択肢もたくさんある。そういう意味では、こういう作品も軽い気持ちで観られる世の中にはなっているのかなと。この作品も最初の脚本は芙美が自分の年齢を気にしているようなセリフがありましたが、現代のテイストに合わない雰囲気で、そういった部分は削られていきました。この10年の間に、世の中も女性の立ち位置も変わってきて、今後は日本映画でもこういった作品は増えるんじゃないかなと感じていますし、そうなってほしいです。―この作品に続いて、増えていくといいですね。そのほかに、平岩紙さんと江口のりこさんとのシーンでは女性ならではのトークが非常におもしろかったです。小林さんアドリブっぽく話していたり、素で驚いていたりするようなところもありますが、すべて脚本通りです。事前に3人で打ち合わせすることもありませんでしたが、全員がのびのびと自分らしく演じられたのが、あのシーンの大らかさと楽しさにつながっているのかなと思います。―撮影の合間はどんなことをお話されていましたか?小林さん現場ではあまり親密な話はできなかったですね、それぞれにマイクがついていましたから(笑)。今回、支度部屋としてお借りしていたのは、地元のスーパーの方々が休憩室として使っている場所でしたが、そこにあるテレビで韓流ドラマが始まって「ここで働いているおばさんたちが楽しみに観ているドラマなんだろうね。いいねー」とか、3人で話しながら観ていました。経験することは素晴らしいと改めて感じた―まるで映画のなかと同じですね。松重さんは、前から小林さんに聞いてみたかったことをこの現場で質問されたとか。小林さん松重さんはとにかくおいしいものがお好きな方なので、「最近食べたものでおいしかったものは何ですか?」とか、そんな話ばっかりでした(笑)。―さすが松重さんです。ちなみに、何かオススメされましたか?小林さんアイスキャンディのおいしい会社を教えて差し上げたら、すぐ試していらっしゃいました。おいしかったみたいで、ご自宅の冷凍庫いっぱいだそうです(笑)。―本作の芙美は49歳ですが、小林さんご自身は50代に入った際、心境の変化などを感じることはあったのでしょうか。小林さんそこまで意識はしていませんでしたが、自分が想像していた50歳よりも幼いし、「こんな感じでいいのかな?」と(笑)。ただ、老年への準備というか、これからどういうふうに年を取っていきたいかというのは、何となく持っていたほうがよさそうだなというのは感じました。「バリバリ動けるのはあと何年だろう」といったことを具体的に考えるところはあったと思います。いまは50代後半で、60代への心の準備はなんとなくしていますが、30代からゆるやかにつながっている感覚なので、あまり急激に変わることはありませんでした。―小林さんといえば45歳で大学に入学していますよね。なかなかできないことだと思いますが、後押しとなったのは何ですか?小林さんそれは、タイミングですね。若いときほど仕事が忙しいわけでもなかったので、いまなら行けそうと思ったのと、体力的にもラストチャンスかなと。前からやりたいと思っていたことができたのはよかったですし、やっぱり経験というのは素晴らしいなと改めて感じました。先を見据えるより、その日を楽しみたい―いまや「人生100年時代」とも言われていますので、これからチャレンジしたいこともあるのでは?小林さん100歳といってもいつまで元気でいられるかによりますし、世の中もどうなっているかわからない時代ですからね。私としてはあまり先を見据えて計画するよりも、「いつ死んでもいい」くらいの気持ちでその日その日を楽しめたらいいかなと。最近はピアノを始めたので、“奇跡の老女ピアニスト”を目指してがんばります!―ぜひ、楽しみにしております。この作品では“小さくて大きな奇跡”がいくつも描かれていますが、最近起きた奇跡があれば教えてください。小林さん芙美みたいな素敵な奇跡は、なかなかないですよね。強いて言えば……、コロナ禍で全然会えなかった近所のおじいさんと最近ばったり会ったくらいかな(笑)。立ち話ができて楽しかったですけど、これは奇跡ではないですよね……。―(笑)。では、「こんな奇跡が起きたらいいな」はありますか?小林さん私は鳥を見るのが好きなので、鳥たちとコミュニケーションを取れるようになるとか(笑)。以前、カラスとずっと目が合って、語り掛けてくるようなテレパシーを感じたことがあって、鳥の言葉がわかったらいいなと。新しい趣味として、バードウォッチングもいいですねえ。―素敵ですね。もし、小林さんにとっての“座右の銘”があれば、教えていただけますか?小林さん若い頃はよどみなく生きていきたいと思っていたので「流れる水は腐らない」でしたが、年齢を重ねるとともに「終わりよければすべてよし」になりました。大変なことがあっても、俯瞰しておもしろがれるように心がけています。悔いや後悔のないように、行きたいところに行くべき―これまでにさまざまな選択と向き合ってきたと思いますが、決断する際に基準としているものは何ですか?小林さん「それをやりたいか」「嫌なのに我慢していないだろうか」「やりたいと無理に思い込ませてはいないか」というのを自分の心に聴きます。もちろん、すべてに対してやりたいことしかしないとなると、ただのわがままですが、あくまでも大事なポイントに関しては、そういったことを自分の心に確認するようにしています。―ちなみに、20代や30代のときにしておいてよかったことがあれば、教えてください。小林さん20代のときは、自分の仕事の出来なさ加減に落ち込み、「向いてないかも」と思うこともしょっちゅうありました。でも、そこで結論を出さずに続けてきたからこそ、いろいろな経験ができたのかなと。いまは向いてないと思ったら簡単に仕事を変えられる時代ですが、私はこの仕事を続けてこれてよかったです。いつも「次はもうちょっと自分を納得させたい」という思いでここまで来た感じです。あとはいろんなご縁ですね。―それでは最後に、ananweb読者に向けてメッセージをお願いします。小林さん「悔いのないように。そして後悔はしないように」ということですね。たとえボロボロになったとしても、自分が行きたいと思うならなら行けばいいんじゃないかなと。私自身はいままでに後悔はなく、みんないい経験だったなと思っています。インタビューを終えてみて……。どんな質問にも気さくに答えてくださり、優しい太陽のような小林さん。いろいろな経験をしてきたからこその言葉は、どれも心に響くものばかりでした。恋愛に関する話のときだけは少しはにかんでいらっしゃる姿が印象的でしたが、キュンとする素敵なシーンばかりなので必見です!あなたの周りにも“奇跡”は溢れている!大人になればなるほど、恋する気持ちにも悩みにも素直に向き合えないときはあるけれど、いくつになっても幸せをつかんでもいいのだと教えてくれる本作。人生につまずいて立ち止まっているときこそ、隣に寄り添いながら背中を優しく押してくれる1本です。写真・山本嵩(小林聡美)取材、文・志村昌美ストーリーとある小さな田舎町で暮らす芙美は、気の合う職場の友人たちとほっこり時間を過ごしたり、年の離れた親友の少年と遊びに出かけたりして過ごしていた。ところがある日、隕石に遭遇し、1億分の1の確率と言われるあり得ない出来事を経験する。日々の生活を楽しく送っているように見える芙美だったが、実は“ある哀しみ”を抱えていた。そんななか、篠田という男性と出会い、草笛をきっかけに親しくなっていく。50歳を目前にした芙美に小さな奇跡が起きようとしてた……。心がじんわりと温まる予告編はこちら!作品情報『ツユクサ』4月29日(金・祝)より全国公開配給:東京テアトル©2022「ツユクサ」製作委員会写真・山本嵩(小林聡美)
2022年04月28日ふだん何気なく使っているカタカナ語や略語の由来など、外国語の雑学をご紹介。今回は、知らないと旅行先でかなり困るトイレ略語をピックアップ!まずは、おなじみの「WC」外出先や旅先などで、よく目にする「WC」。もちろん、トイレだという意味はわかりますが、なんの略かご存じですか?WCの正式表記は…正式表記は、water closetです!直訳すると、「水洗式小部屋」。英和辞典には「水洗便所」と載っています。water closetの由来はイギリス英語。イギリスでは、1810年に水洗トイレが都市で使われはじめ、1863年にはロンドンに下水道ができました。現在、アメリカ英語圏ではあまり「WC」表記が使われていないようですが、ヨーロッパの公衆トイレでは健在。筆者が訪れた国では、例えばドイツやフランス、イタリアでも見たことがあります。ちなみに、「WC」の発音は、「ダブリュ・シー」一択ではありません。現地のアルファベットにならい、ドイツであれば「ヴェー・ツェー」と読みます。CRもトイレ!?公衆トイレを表す英語は、restroomやbathroom、toilet、washroom、lavatory(=Lav)など英語圏でもさまざまな表記があります。これらの単語なら、とりあえず「トイレ」だと認識できそうですが、ひとつ難易度の高いトイレ略語をご紹介。CR= comfort roomこちらはフィリピンで使われている言葉です。フィリピンでは英語も公用語になっているので、日常的に英語を使用。最近人気のオンライン英会話でも、フィリピン人の先生が活躍しています。もし、フィリピンでトイレに行きたくなったら、Where is CR? を使ってみてください!「H」「D」「M」「C」って、なんの略?外国の旅先でWCやrestroomを探し回り、運よく見つけたとしても、さらなる難関が待ち受けているときがあります。それが、男女の区別。新しい施設では、わかりやすいピクトグラム等になっていますが、例えばヨーロッパの古いレストランや地方の観光地に行くと、扉にそっけなく「H」「D」と単語の頭文字だけ記されていることも。急いでいるときこれらの表記に出会うと、絶望的な気持ちになります。いざというときのために、いくつか単語を確認しておきましょう!ドイツ:Herren(男性用)、Damen(女性用)スペイン:Hombres/ Caballeros/Señores(男性用)、Mujeres/Damas/ Señoras(女性用)フランス:Hommes/Messieurs(男性用)、Femmes/Mesdames(女性用)イタリア:Uomini/Signori(男性用)、Donne/Signore(女性用)フィンランド:Miehet(男性用)、Naiset(女性用)トイレあれこれ…ちなみに、ドイツのホテルなどではトイレ表示に数字の「00」が使われることもあり、はじめて出会うと戸惑います。また、イギリス英語圏では、おもに話し言葉でトイレのことを「loo」といい、アメリカでは男子トイレのスラングとして「john」を使用。どちらも辞典に載っています。お国によって、トイレ表示はさまざま。スラングもたくさんあるので、現地に行く前に調べておくと安心ですし、いろいろ発見があっておもしろいです。以上、知らないとヤバいトイレ略語でした!参考資料:『ランダムハウス英和大辞典』(小学館)『ビジネス技術実用英語大辞典V6』(プロジェクトポトス)
2022年04月27日日本が世界に誇る文化のひとつといえば、圧倒的な恐怖感と独特の世界観を持つジャパニーズホラー。そんななかで、新たな衝撃作として話題となっているのが、実在の幽霊団地事件をもとに描いた考察型体験ホラー『N号棟』です。そこで、こちらの方にお話をうかがってきました。萩原みのりさん【映画、ときどき私】 vol. 477近年は、『成れの果て』で主演を務めたのをはじめ、『佐々木、イン、マイマイン』や『花束みたいな恋をした』といった話題作にも出演するなど、注目を集めている萩原さん。劇中では、廃団地で起こる怪現象の謎を突き止めようと奮闘する死恐怖症を抱える女子大学生の史織を熱演し、観客を恐怖体験へと誘っていきます。今回は、撮影現場の裏側や自身の心境の変化、女性としての理想像などについて語っていただきました。―『N号棟』というタイトルを聞くだけで、笑えてきてしまうほど大変な現場だったそうですが、実際どのくらい大変だったのでしょうか。萩原さんとにかくめちゃめちゃ大変で、どれくらいかは映画を観て「察してください」と言う感じです(笑)。―確かに、観ているだけでもかなりの疲労感でした。萩原さんまず撮影場所が廃墟だったので、電気も水道も通っていないし、トイレも仮設トイレがあるという状況。そういう環境のなかで、朝からひたすら撮り続ける日々でした。内容も内容でしたし、撮影期間も短いうえに、ひとつひとつの撮影にすごく時間がかかっていたので、そういう大変さもあったかなと。特に、クライマックスのシーンは6~7時間くらいかけて撮っていますが、その間は最高潮につらい状態をずっと維持しなければならないのでしんどかったですね。しかも、怖がって怯えている感じを出すためにつねに過呼吸気味だったので、体力がゼロになるまでやっていたような現場でした。疲れている様子は、まさにリアルだった―撮影中はどうやって体力回復されていたのか、「これがあったから乗り切れた」みたいなものはありました?萩原さんそもそも、回復しない状態のまま進んでいく役柄だったので、そのあたりは徐々に気力を失っていく史織と重なっていたと思います。疲れている様子は、まさにリアルですね。―そういう状態でも、クランクアップするとすぐに戻れるものなのでしょうか。萩原さんそのときは、別の作品も撮っていて、撮休の日はほかの現場に行かなければならなかったので、ひきずる余裕がありませんでした。でも、それが気分転換になったというか、救いになっていたのかもしれません。ただ、その現場は『N号棟』とはまったく関係ない作品なのに、セットのなかに『N号棟』に出てくる教授の部屋に飾ってある死に関する哲学書がなぜか置いてあったことも……。そんなふうに、すべてが地続きになっているような錯覚に陥る瞬間はありました。―それはゾッとする偶然だったと思いますが、実際に現場でも怖い思いをしたことはありませんでしたか?萩原さん大変すぎて、もはや怖いと感じる余裕もありませんでしたね。というのも、エレベーターが動かないので、毎回5階くらいまで階段で上がらなければいけないのが体力的にきつくて。廃墟には鳥の死骸などもあったので、最初は怖くてギャーギャー言っていました。でも、だんだん慣れてきて何も思わなくなっちゃったのと、「ギャー」って叫ぶだけで疲れることがわかったので、すごい場所にいるはずなのに、みんなすごく普通にしてましたね(笑)。とにかく、階段を上って現場にいくことがそのときは一番のミッションであり、ほかのことを見ている余裕すらなかった感じです。みなさんがどこで怖がってくれるのかが楽しみ―ちなみに、この現場以外で不思議な経験をしたことはないですか?萩原さん全然ないですね。ただ、人生で1回だけ占いに行ったことがあって、そのときに「あなたは霊感が強すぎて閉じている」と会った瞬間に占い師さんから言われたということはありました。でも、一度も霊を見たことがないので、「ああ、そうですか……」という感じでしたが(笑)。とはいえ、実はものすごくビビりなので、お風呂では目をつぶれません。目を閉じたら誰かがいる気がしてしまい、髪や顔を洗っているときはいかにすぐ目を開けられるかとの闘いです(笑)。―お気持ちよくわかります。普段、ホラーはご覧になりますか?萩原さん『ソウ』とか海外のホラーはけっこう好きでよく観ています。というのも、日本の作品は現実味があって怖いですが、海外は描写がぶっ飛んでいたりするので、日常的でも非現実みたいな。私がそういう作品を観るのは、ジェットコースターに乗って疲れを吹き飛ばしたいみたいな感覚で観ることが多いです。―では、この作品では、どのあたりが見どころだと感じていますか?萩原さん個人的には、この作品はホラーというよりも、生きるとか死について繊細に考えさせられる人間ドラマだと思っています。なので、逆にみなさんがどこで怖がってくださるのかがすごく楽しみです。ちなみに、私が一番怖かったのは、筒井真理子さん。振り返ったときの表情は、正直言って本当に怖かったです(笑)。でも、その圧倒的な存在感と筒井さんの言葉のおかげで、追い込まれる状況に連れて行ってもらえる感覚はありました。ラストにかけてどんどん存在が大きくなっていくので、筒井さんを楽しみにしていただくのもいいかなと思います。役と自分の境目がわからなくなる瞬間も経験した―こういった役を演じることで、死や生きることに対して考えが変わったところもあったのでは?萩原さん現場に入るまでに自分ができることは、死恐怖症について理解することだと思ったので、当事者の方のブログを読んだり、死についての哲学書を読んだり、動画を見たりということを徹底的にしました。ただ、生きるとか死ぬとかは、ある意味身近なことでもあるので、それが私の実人生にまで踏み込んで来るような感覚があり、役と自分の境目がなくなってしまったことも。自分自身に投影しすぎてしまったときには、何が現実かわからなくなり、「どうして私はここを歩いているんだろう」とか「何で私は女優をしているんだろう」みたいなにすべてのことが一気にわからなくなってしまうような瞬間もありました。―それほどまで役に入り込んでしまうことは、いままでもありましたか?萩原さんいや、ないですね。これまではどんな役でも自分の人生とは離れている感覚だったので、そういうふうになったのは今回が初めてでした。―そこまでいくと、撮影が終わっても影響が残った部分があったのではないと思いますが。萩原さん実は、それまでも小さい頃から、「死んだらどうなるんだろう」とか「死について考える感覚すらなくなるってどういうことなんだろう」と考えて朝になってしまったことは何度もありました。答えが出ないからこそずっと考えてしまうんだと思いますが、この作品で死について考えることに疲れ果てたのか、いまでは考えなくなったので、逆に前を向けるようになった気がしています。10年後の自分はどうなっているのか未知―なるほど。今年はデビューから10周年となりますが、そういう意味での変化を感じることもあったのではないでしょうか。萩原さん私も感じるのかなと思っていたんですが、そういうこともあまりなく、もう10年も経っちゃったんだなという感じというか。学校に通っていた期間よりも長く何かしてきたことがないので、不思議な気持ちです。―では、次の10年はどう過ごしていきたいですか?萩原さん10年後に自分が役者の仕事をしているかどうか、どうなっているかもわからないくらい未知ですね。10年前は自分が役者の仕事を始めるとは考えてもいませんでしたし、1~2年くらいでやめると思っていたので(笑)。最初にスカウトされたときは、「何もせずにあとで後悔するくらいなら、『テレビに出たことあるよ』といつか自慢できるかもしれないからやってみたら?」と母に言われて、それぐらいの感じで始めたので。私の周りの人もまさか私がこの仕事を10年も続けるなんて、思ってもいなかったでしょうね。だからこそ、10年後もいまはまだ考えられないです。大人に見えない人間味のある女性になりたい―もし、「こんな女性になりたいな」と意識していることがあれば、教えてください。萩原さん私は、昔から“大人に見えないのにちゃんと大人”みたいな人にすごく憧れていているので、「大人になりたくない」とずっと言っている大人になりたいと思っています。いつまでも無邪気で、10代の頃と変わらないところでテンションが上がったり下がったりするような人間味のある女性でいられたらいいなと。そのままの感覚を持ち続けていたいと思っています。最近では、舞台でご一緒させていただいた女優の呉城久美さんがまさにそんな感じの方で、ずっと同じ年くらいだと思っていたら、実は10歳くらい上だったと知ってびっくりしました。そう感じさせないフラットなところが素敵ですし、悩みがあるときは同じように悩んでくれ、一緒に解決方法を見つけてくれるところもすごく魅力的なんですよね。私も10歳、20歳年下の後輩から親しみを持って接してもらえるような先輩になりたいです。インタビューを終えてみて……。過酷な現場の裏側も笑顔でお話されている姿を見て、内に秘めた強さを感じさせる萩原さん。役とリンクし、真に迫ったリアルな表情には、ぜひ注目です。ご自身でも想像がつかないというこれからの10年でどのような道をたどって行かれるのか、今後も楽しみにしたいと思います。一度足を踏み入れたら、もう戻れない!肉体的緊張感のみならず、精神に支配されていく“神秘的恐怖”も体感できる新時代のホラー映画。生と死の狭間に位置する異空間でしか味わえない衝撃体験をしてみては?写真・山本嵩(萩原みのり)取材、文・志村昌美ストーリーとある地方都市にあったのは、霊が出ることで有名な団地。女子大生の史織は、元カレの啓太が卒業制作を撮影するホラー映画のロケハンに、興味本位で同行する。啓太の現在の恋人・真帆と3人で向かったのは、廃墟同然の団地だったが、そこにはいまでも住人たちがいた。不思議に思いながらもロケハンを進めようとすると、突如激しいラップ現象に襲われる。その後も、頻発する怪奇現象に見舞われるが、言葉巧みな住人たちの“神秘的体験”に魅せられた啓太と真帆は洗脳されてしまう。そして、追い詰められた史織は、思いもよらぬものを目にしてしまうことに……。ゾクゾクする予告編はこちら!作品情報『N号棟』4月29日(金・祝)新宿ピカデリーほか全国公開配給:SDP©「N号棟」製作委員会写真・山本嵩(萩原みのり)
2022年04月27日ハリウッドの第一線で活躍するスタッフと日米が誇るスター・キャスト陣が集結した超大作ドラマ・シリーズ『TOKYO VICE』。すでに、日米同時配信がスタートし、大きな注目を集めています。WOWOWでの放送開始とともにさらなる高まりを見せるなか、こちらの方々にお話をうかがってきました。伊藤英明さん & アンセル・エルゴートさん【映画、ときどき私】 vol. 476『ベイビー・ドライバー』や『ウエスト・サイド・ストーリー』で脚光を浴び、日本でも人気の高い実力派俳優アンセル・エルゴートさん。劇中では、特ダネを追い求めるあまり闇社会へと踏み込んでしまう新人記者のアメリカ人青年ジェイクを演じています。そして、ジェイクと行動をともにする裏社会とつながりのある刑事の宮本に扮しているのが伊藤英明さん。近年は、ハリウッドデビューを果たすなど、幅広い活躍でも話題となっています。今回は、本作での共演を通じて友情を育んだおふたりに、撮影中の思い出や相手への熱い思いなどについて語っていただきました。―お互いのSNSに登場するなど、おふたりは非常に仲がよいことでも知られていますが、アンセルさんにとって伊藤さんはどんな存在ですか?アンセルさん英明さんとは、とっても馬が合いました。毎日一緒にサウナと温泉に入っていたので、文字通り裸の付き合いもしたくらいです(笑)。あとは、いろんなところへ食事に連れて行ってもらったり、新年には英明さんの実家に行ってお母さんの手料理をごちそうになったり、みんなで初詣に行ったりしました。本当にたくさんのいい思い出ができましたし、いろんなことを教えてくれたので、英明さんにはすごく感謝しています。とてもいい日本の先輩です。僕は本当にラッキーだと思います。―実際に、アンセルさんとご一緒されてみていかがでしたか?伊藤さんアンセルは環境も食事も違う場所で、いろいろと初めてのことをしなければいけない状況だったので、ストレスもあったと思います。でも、主演としてみんなを引っ張っていこうと押しつけがましくするわけでもなく、文化や歴史を積極的に学ぶことで、日本人に寄り添って役になりきるんだという覚悟をすごく感じたんです。実際、日本のなかに入って得たものを役に反映させたいという強い気持ちも伝わってきました。だからこそ、僕は彼にどんな些細なことでも経験してもらいたいなと。そういったこともあって、できるだけ日本の“普通の生活”を知ってもらえるように意識しました。日本語と歴史を毎日4時間以上は勉強した―劇中での日本語によるセリフにも驚きましたが、記者会見でもこの取材でも大半を流暢な日本語でお話されているのを見て、感動しています。どのようにして習得したのでしょうか。アンセルさん毎日4時間以上は勉強しましたが、最高の先生がついてくださっていたので、漢字や書き方、発音、それから日本の歴史と文化にいたるまですべてを教えてくれました。明治神宮の近くにあるベンチに座って、漢字を練習していたこともありましたね。いまでは、僕にとって日本は第二の故郷です。―そういう一生懸命な姿も、伊藤さんがアンセルさんをサポートしたいと思われた理由のひとつではないかなと。伊藤さんそうですね。撮影中はアンセルもパンデミックのなかにいる家族のことを心配したり、ホームシックになったり、いろんな心労があったと思います。それでも、そういう素振りを見せることなく、努力して役をやりきる姿に僕も感動しました。こんなにも日本の文化と語学を習得したハリウッドの俳優は、ほかにはいないんじゃないかな。―確かに、ここまでのレベルはいない気がします。劇中では、新聞記者やヤクザといった日本のなかでも厳しい社会を経験されたと思いますが、大変だったり、驚いたりしたことはありませんでしたか?アンセルさん合気道の稽古をしていたとき、まだ全然日本語を話せなかったのに、稽古で使う言葉を日本語で言わなければならず、それが難しくて大変でしたね。しかも、僕はたくさん汗をかいて震えているのに、先生も先輩もとても簡単そうにしていて、全然汗をかいていないんですよ(笑)。そんな僕を見た先生から言われたのは、「リラックスしなさい」ということ。そのときに、どれだけ一生懸命取り組んでいても、リラックスすることは大事なんだと学びました。これは合気道だけではなくて、何事においても言えることですよね。役で自由に生きることの楽しさを知った現場だった―日本の心も学ばれたんですね。日常生活を送るなかで、カルチャーショックなどはありませんでしたか?アンセルさん僕はニューヨーク人なので、ニューヨークの道で踊っても大丈夫ですが、東京の街中でちょっと大きな声を出してしまったときに、みんなに見られたのは恥ずかしかったです(笑)。そのときは、ちょっとだけホームシックになりました。―そんなことがあったとは(笑)。伊藤さんにとっては、ハリウッドの一流スタッフに囲まれる現場で、ご自身の俳優人生においても大きな意味を持つ作品になったと思いますが、振り返ってみていかがですか?伊藤さん僕個人のことで言わせてもらえば、ものすごいチャンスでした。でも、「チャンスをものにするんだ!」じゃなくて、みんなが同じ気持ちで作品に向かう心地よさを味わえる幸せな現場だったなと。役で自由に生きるとはこういうことか、役になりきるとはこういうことなのか、というのを改めて知ることができたので、僕自身も楽しかったです。アンセルや渡辺謙さんと現場をともにしたことも僕にとっては宝物になりましたが、これが一生の宝にならないように、これからも努力して、観ている人に感動を与えられる作品にもっと出たいと思っています。この経験を大事に、これからの俳優人生を歩んでいきたい―本作では、巨匠マイケル・マン監督が手掛けていることでも話題です。監督の現場で印象に残っていることはありますか?伊藤さん時間的な問題もあり、日本ではワンテイクで撮ることが多いですが、マイケル・マン監督の現場では同じシーンを何度も撮ることがありました。でも、「何回もテイクを重ねるのはNGではなくて、違うエモーションを見せてほしいだけなんだよ」と。「もし役としていいものが出せないのであれば、それは監督である僕の責任でもある」と言って向き合ってくれるので、俳優としてはとてもいい経験になりました。僕はもともと彼の大ファンで、『コラテラル』にいたっては、メイキング映像を何十回も見ていたほど。自分もそういう作品に出たいという気持ちで見ていましたが、オーディションの話をいただいたときは、「あのマイケル・マン監督に会えるんだ!」と思って受けました。でも、自分の夢にちゃんと向き合えば、こんなご褒美がもらえるんだと知ったので、今回の経験やいただいた言葉を大事にこれからの俳優人生を歩んでいきたいです。―また、ジェイクと組む敏腕刑事・片桐を演じた渡辺謙さんの存在も大きかったのではないかなと。伊藤さん現場に謙さんがいてくださるだけで絶大な安心感がありましたし、俳優として大事なことも教えてもらいました。あとは、どうしたら緊張せずに自分の思いを端的に伝えられるようになるのか、といったことを相談させていただいたことも。何事にも通じることではありますが、まず優先順位は何か、そして何を言いたくて、どこにフックがあって、結論に何を持ってくるのか、ということを考える頭の使い方を教えていただきました。それだけで話し方や伝わり方が変わってきたと感じています。日本の映画やドラマにもぜひ出てみたい―なるほど。俳優の先輩として、具体的なアドバイスを受けたこともありましたか?アンセルさん僕は謙さんから日本語のセリフを教わりましたが、そのときに言われたのは「日本語のセリフでも、まずは英語で覚えなさい」ということでした。英語で覚えて、意味がはっきりわかったうえで、日本語のセリフで言いなさいと。そんなふうに、自分が話している言葉のフィーリングをしっかりとつかんでからセリフを言う方法というのは、謙さんに教わって実践したことです。―記者会見では、渡辺さんから「次は全編日本語で行けるんじゃない?」とお墨付きをもらっていましたよね。伊藤さん絶対できると思うよ。アンセルさんやってみたい気持ちもありますが、謙さんは英語の演技も素晴らしく、僕はそれを見たいので、まだ英語と日本語の両方を使うほうでいいかなと思っています。―これだけ日本語が話せるのであれば、日本の映画やドラマでも問題ないと思いますが、ご興味はありますか?アンセルさんもちろんありますよ!もし英明さんとやれるならぜひ!伊藤さん月9にアンセル・エルゴート出たらおもしろくない?すごいよね。アンセルさん日本に来る飛行機のなかで『きのう何食べた?』を観ましたが、すごく大好きでした。英明さん、それを一緒にやりましょう!伊藤さんあははは(笑)。作品に捧げたみんなのエネルギーも感じてほしい―それはかなり観たいです!伊藤さんちなみに、アンセルは日本の映画が大好きで、積極的に昔の時代劇とかも観ているので、日本の監督については僕よりも詳しいんじゃない?アンセルさんいやいや、そんなことないですよ。でも、日本の伝統的なものは大好きです。伊藤さん地方にロケで行ったときには、わざわざ自分で古民家のような旅館を取って泊まったこともあったほどですから。でも、すきま風が寒くて寝られなかったんだよね?アンセルさんあはは(笑)。あと、赤羽にあるアパートにも泊まっていたことがありますが、あのときもおもしろかったですね。シャワーもない部屋だったので、銭湯に通っていましたが、そこで日本の方々と話をすることができました。そういう意味でも、ジェイクと同じ感覚を共有できたと思っています。伊藤さんアンセルはどんなに大変なときでも、「すべてがいい経験で、自分はいい人生を送っているんだ」という考え方の持ち主。いつもポジティブなところは、本当に素晴らしいなと感心しています。―見習いたいですね。それでは最後に、本作の見どころを教えてください。伊藤さんいままでの海外作品に登場する日本というのは、“ワンダージャパン”みたいな感じで、現実とは違って描かれていることも多かったですが、今回は監督のマイケルをはじめ、みんながリアルであることにこだわっていました。日本がここまでスタイリッシュでエネルギッシュに描かれている作品というのは、『ラスト サムライ』以来なんじゃないかなと思うほど。正しい人が生きにくいところもあるいまの時代に、正義感を持った新聞記者の姿がアンセルを通して世界中の人に観てもらえるのはうれしいです。そして、この作品はアンセルや謙さんをはじめ、すべてのキャストとスタッフが力を出し切った作品でもあります。だからこそ、全員の努力を決して無駄にしたくはないなと。作品にすべてを捧げたみんなのエネルギーはそのまま作品にも反映されているので、セカンドシーズン、サードシーズンと続いていってほしいと思っています。インタビューを終えてみて……。自分の気持ちを日本語で伝えようと一生懸命のアンセルさんと、その様子を温かく見守る伊藤さん。仲の良さはもちろんですが、お互いを想い合う気持ちまで伝わってきて、おふたりの関係性に感動を覚えた取材となりました。まずは『TOKYO VICE』での熱演に注目ですが、ぜひ『きのう何食べた?』での共演も実現してほしいです。未体験のトウキョウ・ワールドに誘われる!1990年代の東京を舞台に、凶暴なアンダーグラウンドの姿をリアルに映し出したドラマ・シリーズ。ハリウッドが手掛けるスタイリッシュな映像と息を飲む展開、そして豪華俳優陣による熱を帯びた演技合戦からも目が離せない。取材、文・志村昌美ストーリー難関な試験を突破し、日本の大手新聞社に就職したアメリカ人青年のジェイク。警察担当記者となったジェイクは、特ダネを追いかけるうちに、ヤクザ絡みの事件を解決する敏腕刑事の片桐と出会う。危険な闇社会へと足を踏み入れていくジェイクに、片桐は「この世界は、一度開いた扉は閉じるのが難しい」と忠告するのだった。そして、風俗街で暗躍する刑事の宮本や若きヤクザのリーダー・佐藤と知り合ったジェイクは、新興ヤクザ勢力の危険すぎるネタをつかもうとしていた。夢や希望を飲み込む東京のアンダーグラウンドで、生き残れるのは一体誰か……。胸がざわつく予告編はこちら!作品情報ハリウッド共同制作オリジナルドラマ『TOKYO VICE』WOWOWにて毎週日曜午後10時より独占放送中WOWOWオンデマンドにて配信中出演:アンセル・エルゴート、渡辺謙、菊地凛子、伊藤英明、笠松将、山下智久監督:マイケル・マン(第1話)ほか©HBO Max _ James Lisle©HBO Max _ Eros Hoagland
2022年04月25日現在ヨーロッパ在住のファッションジャーナリスト、平野秀美さんのファッションスナップレポートです。本日は、現在ロンドンで人気を集めているサングラスをピックアップ!これから紫外線がどんどん多くなってくるので、ファッションアイテムとしてもUVカットとしても、サングラスは必須になりそうです。1960年~70年代のようなかっこいいサングラス!ファッショニスタの間では今も人気の、60~70年代風雰囲気抜群のサングラス!去年から流行っている淡い色との組み合わせでトレンド感アップ。特にイベントやフェスティバルなどで、本当に今でもよく見かける人気の形です。今年の注目度No.1は断然これ!最近よくストリートスタイルで見かける長細いサングラス。本当によく見かけるんです!スクエアタイプは比較的どんな顔の型にも似合うので、多くに人達が愛用しているようです。色違いも多く、柄があるものもありますが、個人的にはシンプルな色がおすすめ。丸みは柔らかさを強調してくれる!?こちらは先ほどご紹介したサングラスの丸型タイプ。少しソフトな印象になるので、細長いサングラスを着用してみたいけど、優しい雰囲気がお好みの方には、このタイプがおすすめかも。殿堂入りの人気キャッツアイ!相変わらず人気なのは、キャッツアイ型サングラス。ちょっと小悪魔的印象になるけど、とってもお洒落にも着こなせるタイプです。細長いサングラスよりも大きめのフレームなので、サングラスの機能としても紫外線をより広くシャットアウトしてくれるので、人気です。遊び心を反映させる絶好のチャンス!私のおすすめはこちら!超個性的に着こなしたい方に。サングラスとしての機能重視よりデザイン重視で使いたい場合などに最適。これ一つでファッションがだいぶ変わりますよね、ポイント使いにも、メインスタイルアクセサリーとしても使いたいデザインです。いかがでしたが?今までよりもまた今年は新しいデザインが人気です。今年のトレンドも取り入れながら、自分らしいファッションを楽しんでみてくださいね。写真・文 平野秀美
2022年04月24日東京駅丸の内駅舎内にある東京ステーションギャラリーで、『牧歌礼讃 / 楽園憧憬アンドレ・ボーシャン + 藤田龍児』がはじまりました。本展では、ヨーロッパと日本で活躍した2名の画家の作品を展示。どちらの絵画も、癒される雰囲気のものばかりですが、彼らは破産や半身不随など過酷な人生を送っていました。両画家と作品について、館長の解説もあわせてご紹介します。どんな展覧会?【女子的アートナビ】vol. 241本展では、アンドレ・ボーシャン(1873-1958)と藤田龍児(1928-2002)の代表作を含む計114点を展示。ボーシャンは20世紀前半のフランス、藤田は20世紀後半の日本で活躍した画家。生きた時代も国も異なる二人ですが、彼らの作品には楽園のような明るい光と自然への愛情があふれています。この展覧会を企画したのは、東京ステーションギャラリー館長の冨田章さん。冨田さんは、「二人の作品は、いつか紹介したいと思っていた」といい、両者の作品を一緒に展示した理由について、次のように語りました。冨田さん二人には意外な共通点が3つあります。まずは、モチーフ。どちらも自然を描き、自然に対する愛着が感じられます。2つ目は、両者とも50歳頃を境に新しい画家人生をはじめた点。3つ目は、それぞれがノスタルジックで心が休まる絵なのに、どちらも厳しい暮らしをしていたという点。過酷な状況で、安らぎに満ちた絵を描くのはどういうことなのか、いろいろ考えさせられます。半身不随を乗り越えて…ーーでは、二人の画家の経歴と作品を見ていきます。まずは、藤田龍児から。京都で生まれた藤田は、大阪市立美術研究所で絵画を学んだあと、1959年に美術文化展で初入選を果たし、毎年同協会で順調に出品を続けます。しかし、1976年から77年にかけて脳血栓を発症。半身不随となり、利き腕の右手が使えなくなります。藤田は、画家の道を断念し、作品も大量に処分してしまいます。その後、リハビリを経て50歳を過ぎてから左手で描き始め、1981年には個展を開き画家として復活。2002年に亡くなるまで、作品を制作し続けました。大変美しく、ジュエリーのよう…ーーでは、藤田の作品について、冨田さんの解説をご紹介します。冨田さん藤田の作品は、初期のころはシュルレアリスム風で抽象性が高い作品になっています。これが、前半生の重要ポイント。病気のあと、画風ががらりと変わり、メルヘン的でノスタルジックな作品を描くようになります。特に注目していただきたいのが、細密描写と色彩。花や雑草の穂のところに紫やオレンジなど、ちょっとした輝く色を差しているのです。それが、見ているとふっと浮き出てきて、大変に美しく、ジュエリーのような輝きを持っています。この色彩の美しさが見どころのひとつです。また、彼の作品には、エノコログサ(猫じゃらし)をはじめ、白い犬や蛇行した道、トンネルなど頻繁に出てくるモチーフがあります。特に、エノコログサは生命力の強さを感じられるモチーフ。藤田自身は、モチーフについて多くを語っていませんが、彼の人生や考え方を重ね合わせ、誤解でもいいので自分でいろいろ解釈してみるのもアートのひとつの楽しみ方だと思います。藤田は右手で20年、左手で20年描きました。50歳を境に、新しい画家の人生を歩み出したのです。破産や妻の病気を乗り越えて…ーー続いては、アンドレ・ボーシャンの経歴について。フランス中部で生まれたボーシャンは、苗木職人として自分の農園をもち、結婚して順調に暮らしていました。その後、第一次世界大戦が勃発。徴兵され、数年間部隊で活動します。除隊後、地元に戻ると農園は破産し、心労が重なった妻が精神を病んでいました。ボーシャンは妻を連れて彼女の故郷に行き、森の中に家を建てて自給自足しながら絵を描き始めます。1921年、48歳でサロン・ドートンヌに初入選。次第に評価が高まり、何度か個展を開き1949年にはパリで大回顧展を開催します。1958年に85歳で亡くなるまで、精力的に制作を続けました。斬新な描写が魅力ーーでは、ボーシャン作品について、冨田さんの解説をご紹介します。冨田さんボーシャンは、美術教育をいっさい受けていない人で、アンリ・ルソー以来の最も優れた「素朴派」の画家ともいわれています。絵を描くようになったきっかけは、軍隊生活。彼はそこで測地術(測量したデータをもとに正確な地図を描く)を学び、その技術で上官から高い評価を得ました。ボーシャンの作品は、稚拙にも見えますが、それが味わいになっています。プロの画家ではやらないような斬新な画面構成や描写が魅力です。また、もともと苗木職人なので、花や自然をモチーフにした作品が多く描かれています。絵の特徴は、あらゆるモチーフが同じような鮮明さで描かれている点。風景画を見ても、手前の木も、奥の山や川も、すべて同じ強さで描かれています。正確に地図を描く測地術の影響かもしれないが、ひとつひとつの対象に対して同じ注意力で描いています。ボーシャンと藤田は異質な二人ですが、彼らの作品は、のどかで牧歌的で響き合っている感じがします。どちらも見ていて心が和むし癒される。また、細部におもしろいところがあり、じっくり見るといろいろな発見があります。この展覧会で、ぜひ絵を見る歓びを感じてみてください。今しか見られない!館長の解説、いかがでしたか?この二人の作品を、これだけの規模で一緒に見られるなんて、奇跡のような展覧会です。本展は巡回しませんので、今、東京で見ないと次回いつ機会があるかわかりません。くれぐれもお見逃しなく!Information会期:~7月10日(日)※会期中一部展示替えがあります(前期4/16~5/29、後期5/31~7/10)休館日:月曜日*ただし5月2日、7月4日は開館会場:東京ステーションギャラリー開室時間:10時~18時※金曜日は20時まで開館※いずれも入館は閉館の30分前まで観覧料:一般¥1,300、大学・高校生¥1,100、中学生以下無料※最新情報は公式サイトでご確認ください
2022年04月24日映画には、知られざる真実や忘れられた過去にも光を当てる力がありますが、注目作『山歌(サンカ)』では、かつて日本の山々に実在していた「サンカ」と呼ばれる流浪の民の姿を描いています。そこで、こちらの方にお話をうかがってきました。杉田雷麟さん【映画、ときどき私】 vol. 475本作で、主演に抜擢されたのは、『半世界』や『罪の声』『孤狼の血 LEVEL2』といった話題作への出演が続いている若手実力派俳優の杉田雷麟(らいる)さん。劇中では、生きづらさを抱えていた中学生の則夫が山でサンカの家族と出会い、さまざまな経験を通して変化していくさまを見事に演じています。今回は、初主演作への思いや今後挑戦してみたいことなどについて、語っていただきました。―まずは、初主演が決まったときのお気持ちからお聞かせください。杉田さんオーディション用の脚本では、ラストの父親と対峙する場面しか描かれていなかったので、そのときはまだ自分の役や内容についてあまりわかっていませんでした。実は、主演であることも受かってから知り、「え主演?」となったほどなので(笑)。―かなり驚いたと思いますが、同時にプレッシャーも感じたのではないかなと。杉田さん確かに、初めは主演ということに気負ってしまったところもありました。でも、本読みを進めていくうちにだんだん緊張がほぐれていき、則夫が自分の体のなかに染み込んでいった感じです。サンカについても、監督が僕の疑問点についてきちんと説明してくださったおかげで現場にはすごくいい状態で入れました。―笹谷遼平監督は杉田さんの影の部分に惹かれたとおっしゃっていますが、何か意識されていますか?杉田さんオーディションに行くときは、毎回「絶対にこの役を獲るぞ」という感じで気合いを入れて行きますが、重めの役が続いていたときに受けたオーディションだったので、そういうふうに見えてしまったのかなと。監督からは「影が2メートルくらいに見えた」と言われました(笑)。一番に考えていたのは、自分らしくいること―ちなみに、普段の杉田さんはどんな感じですか?杉田さん友人といるときは、ツッコんだり、ボケたりする感じで、けっこう明るいほうだと思います。とはいえ、スベることは多いですが……。―(笑)。今回、現場では主演として心がけていたこともありましたか?杉田さん自分らしくいたいというのを一番に考えていたので、主演というのはあまり意識していなかったです。それよりも周りの方に助けていただいたほうが多かったので、またこういう機会があれば、次はがんばりたいと思います。―撮影から3年近く経っていますが、初主演を経験したことで変化を感じる部分もあるのではないでしょうか。杉田さん演技については、3年前より成長していてほしい気持ちはありますが、役者に対する思いやこの道で生きていく覚悟に関しては、役者を始めたときからずっと変わっていません。いい意味であの頃とは変わっていない気がしています。―素敵ですね。本作で描かれている「サンカ」については、どのような印象を受けましたか?杉田さん最初に聞いたときは、何にも縛られることなく、自由に生きていてうらやましいというか、少し憧れるようなところはあったかもしれません。でも、劇中でも描かれているように、サンカの人たちが生きにくい時代になっていると知り、自分たちが何気なく便利に暮らしている陰で、やはり何かが犠牲になっていると改めて感じました。命や自然の偉大さについて改めて実感した―自然に対する見方や生き方など、何か影響を受けたところもあったのでは?杉田さん撮影では、実際に魚やヘビをさばくシーンがありましたが、直前まで生きていたものを焼いて食べたので、僕たちは命をいただいているんだなと実感しました。普段の生活ではあまり考えていないことだったので、ヘビの頭を切り落とすシーンでは僕の素のリアクションが映っています。―ご出身は栃木県ということですが、子ども時代はどんなふうにして過ごされていましたか?杉田さん僕は自然のなかで遊ぶことがわりと多かったので、トカゲやヘビを追いかけていたりしていましたね。ただ、最近はあまりそういうことに触れる機会が少なかったので、今回の現場を通じて、改めて命や自然の偉大さについて考えました。―杉田さんはサッカーやボクシングなどをされてきたということで、体力には自信があるほうだと思いますが、それでも山での撮影は大変だったのではないかなと。杉田さん雨が多くて寒さなどのきつさはあったものの、山に溶け込んでいるような感覚でいられたので、体力的な問題はありませんでした。ただ、撮影の最後のほうで大量発生していたヒルに刺されてしまい、かかとが血だらけになったことはありましたが(笑)。今回は、自分と則夫を切り替えることもなく、初めから終わりまで猛ダッシュで駆け抜けているようなイメージだったので、どちらかというとドキュメンタリーに近い撮影環境だったかもしれないですね。20代はいろいろな役をやって、幅を広げたい―今年でいよいよ20歳となりますが、法改正によってすでに4月から新成人となりました。心境の変化などはありましたか?杉田さん社会的にはすでにいろいろなことが適応されてはいますが、正直あまり実感がないというか……。やっぱり僕のなかでは、12月の誕生日に20歳を迎えたときが節目になる感じはしています。―どんな20代にしたいですか?杉田さん20歳になったら、今後演技をしていくうえで必要な感情が生まれ、幅も広がると思うので、とにかくいろいろな役をやりたいです。そのためにも、いまやれることを全力でできたらと。20代は、物事をもっと客観的に見れるようにもなりたいです。―ちなみに、これまでターニングポイントとなった作品や監督との出会いといえば?杉田さん本作の笹谷監督は伊参スタジオ映画祭で大賞を受賞したことでこの映画を作ることができたと聞きましたが、そのときに自分のなかでも監督をやってみたいという気持ちが生まれました。そういう意味では、この作品もひとつのターニングポイントになっている気がします。いつか自分の作品を海外に出してみたいと考えている―すでに脚本を書き始めているそうですが、どのようなものを書かれているのか教えていただけますか?杉田さん自分で読み返してみても、浅くてダメだなと思うものばかりなのでまだちょっと……。というのも、自分でも明確にコレだと言えるものが見つけられていなくて、どこに行こうかなとさまよっている状態なので。これまでわりと暗めの役が多かったので、そういうタイプの作品にひっぱられがちなんですが、それが本当に自分の撮りたいものかどうか僕自身でもわかっていないんだと思います。まずはいろいろと書いてみて、俳優と監督の両方ができるようになりたいです。映像化まではまだ遠い話ではありますが、いつか自分の作品を海外に出して、多くの方に観てもらえるようになれたらいいなと考えています。―非常に楽しみです。ちなみに、ご自身は普段どんなタイプの作品が好きですか?杉田さん洋画を観ることが多いですが、日本だと刑事ドラマをよく観ています。―最近観てよかったものがあれば、教えてください。杉田さん僕が大好きなトム・ハンクスさん主演の『ターミナル』とホラー映画の『ソウ』。どちらもほぼ同じ場所で展開されていますが、それであそこまでおもしろくできるということは、やっぱり脚本がおもしろければいい映画が作れるんだと、この2作品だけでも、思い知りました。最近は、時間があるとだいたい動画配信サービスで映画やアニメを観ていますが、俳優の仕事を始めてからは純粋な観客としての目線ではなくなりましたね。どうやって撮っているのか、つねにいろいろなことを考えながら観ています。これからもいい意味で変わらずに、がんばっていきたい―これから俳優として目指している理想像はありますか?杉田さん主役でも脇役でも両方務まるようになりたいですし、少し出ているだけでも印象に残るような俳優になりたいと思っています。いつか刑事役もやってみたいですし、コメディなども含めてどんどん幅は広げていきたいです。僕は演じているときが一番楽しいですし、現場では学ぶことも多いので、とにかく一生懸命やることをいつも意識しています。―それでは最後に、ananweb読者へメッセージをお願いします。杉田さんこの作品では、僕らが演じている以外にも、山の情景や命の描写などたくさん映し出されているので、観ていただいたときに、何でもいいので何かを感じ取ってもらえたらうれしいです。僕自身は、これからもいい意味で変わることなく、成長していきたいと思っています。応援よろしくお願いします。インタビューを終えてみて……。「現場と違って、取材での撮影は恥ずかしくて苦手」とはにかみつつも、さまざまな表情を見せてくれた杉田さん。雷麟というお名前は本名で、雷のように厳しく、頭がよくなるようにという願いが込められているそうですが、それを体現するような唯一無二の存在として、今後ますますの活躍に期待です。山が訴える声に耳を傾ける圧倒的な山の景色のなかで、人間も自然の一部であることを感じるとともに、真の意味で「生きる」とは何かを改めて考えさせられる本作。則夫のように、多くの人が生きづらさを抱えている現代にこそ観たい1本です。写真・北尾渉(杉田雷麟)取材、文・志村昌美ストーリー高度成長にわく1965年の夏。中学生の則夫は受験勉強のため、東京から祖母の家がある山奥の田舎を訪れていた。父と祖母に勉強を強いられ、一方的な価値観を押し付けられていた則夫は、ふとしたきっかけで、山から山へ漂泊の旅を続けるサンカの長である省三と娘のハナ、母のタエばあと出会う。既成概念に縛られることなく自然と共生している彼らと交流を深めていく則夫。生きづらさを抱えていた則夫にとって、いつしかサンカの家族は特別な存在となっていた。そんななか、彼らが山での生活を続けられないほど追い込まれていることを知った則夫は、ある事件を引き起こすことに……。引き込まれる予告編はこちら!作品情報『山歌(サンカ)』4月22日(金)よりテアトル新宿、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開配給:マジックアワー©六字映画機構写真・北尾渉(杉田雷麟)
2022年04月21日2019年に世界中で社会現象を巻き起こした映画『ジョーカー』で、驚異的な怪演ぶりを見せた名優ホアキン・フェニックス。次回作への期待が高まるなか、最新主演作『カモン カモン』では狂気とはかけ離れた人物に扮し、話題を呼んでいます。そこで、こちらの方にお話をうかがってきました。ウディ・ノーマンくん【映画、ときどき私】 vol. 474本作では、ホアキン演じるラジオジャーナリストのジョニーが、ある日突然9歳の甥・ジェシーの面倒を見ることになるところから物語が始まりますが、ジェシーを演じているのがウディくん。英国アカデミー賞助演男優賞にノミネートされたのをはじめ、さまざまな賞を受賞し、ホアキンにも衝撃を与えた新星の天才子役として注目を集めています。今回は、現場での様子やホアキンとの共演エピソード、そして13歳となったいま抱いている将来の夢などについて、語ってもらいました。―事前に行われたオーディションでは、マイク・ミルズ監督とホアキン・フェニックスさんは、ウディくんのアドリブに衝撃的な感動を覚えたそうですが、どんな演技を見せたのでしょうか。ウディくん僕はあまりはっきりとは覚えていないんですけど、即興というよりは、セリフのやりとりをするなかでちょっとセリフを足したぐらいだったかなと。ホアキンとは演技をするというよりも、セリフを言い合いながらなんとなく演じていくような感じて進めていきました。―撮影中もアドリブは多く取り入れていましたか?ウディくんいくつかの場面ではアドリブでセリフを足していますが、基本的には脚本に忠実です。でも、そのときどきで変化や追加が必要だと感じたときには、判断してアドリブを入れています。ホアキンは優しい人で、すぐに打ち解けられた―ウディくんはイギリス出身ですが、劇中では完璧なアメリカ英語で話されていたので、ホアキンさんもイギリス人であることに気がつかないほどだったとか。どうやって身につけたのですか?ウディくん実は、数年前に別の役のオーディションを受けるためにアメリカ英語のアクセントを練習したことがあったんです。そのときは役をもらえませんでしたが、当時の経験があったおかげで今回すんなりと入っていくことができたのだと思います。もちろんいくつかの“壁”はありましたが、繰り返し練習したので、いまでは第二外国語みたいに話せるようになりました。―すごいですね。では、思い出のシーンと言えば?ウディくんそれは、ニューヨークで撮影したレスリングのシーンです。というのも、僕が数年前にレスリングにハマっていた話をしていたら、じゃあ取り入れてみようとなったシーンなので。もともと脚本には書かれていませんでしたが、そういう経緯で追加されたので、僕にとっては特別で思い出深いシーンとなりました。―そのあたりは、ぜひ観客の方々にも注目してもらいたいですね。伯父役のホアキンさんはハリウッドでもトップクラスの俳優ですが、初共演で緊張しませんでしたか?ウディくん初めて彼と会ったのはオーディションのときでしたが、なんとパジャマ姿で現れたんです(笑)。そういったこともあって、すぐに打ち解けられたのではないかなと。すごく優しい人でもあるので、一緒に演じていてもまったく緊張することなく接することができました。共通点を見つけながら、役に入り込んでいった―ちなみに、彼の過去作は観たことがありましたか?ウディくん5歳くらいのときに、『ブラザー・ベア』というアニメーションを観ましたが、そのときはホアキンが声優をしていることは知らずに観ていました。そのほかの作品については、お母さんから「撮影が終わるまでは観てはいけない」と。なぜなら、ホアキンがスターであることを僕が意識してしまったら、圧倒されてしまうと考えたからです。―確かに、それはあるかもしれないですね。現場では彼からたくさんのことを教わったそうですが、具体的にはどんなことですか?ウディくんまず彼から学んだのは、共演者と打ち解けることの大切さです。どれだけ仲良くできるかによって、演じる際にいかにいろんなことがスムーズに運んでいくかを知りました。演技に関して具体的に何かを教わったりはしていませんが、彼を観察するなかで、カメラ前での振る舞いなどは参考にしています。―劇中のジェシーは、ちょっと変わった子どもとして描かれていますよね。普段のウディくんと似ているところもありますか?ウディくん答えは、イエスでありノーですね。共通点は音楽がすごく好きなところですが、内向的なジェシーと違って、僕はすぐに相手と仲良くなって自分を出すことができるので、そこは似ていないかなと。とはいえ、演じるうえでは、共通点を見つけていきながらジェシーという役に入り込んでいきました。今後20年で、いろいろなことが改善されていくはず―劇中ではラジオジャーナリストのジョニーが、取材として子どもたちにいろいろな質問をしていたので、いまから映画のなかで出てきたものと同じ質問をいくつかさせてください。まずは、ウディくんが怖いものは何ですか?ウディくんたくさんありますけど、一番怖いのは海。あとは、蝶々も怖いですね(笑)。―では、何に怒りを感じますか?ウディくん話を聞いている振りをして、内容を聞いていない人に対してです。特に、あとになってから、「そんなこと聞いてないよ」と言われると、イラっとしてしまうこともあるので。―わかります(笑)。ウディくんを幸せにしてくれるものといえば?ウディくん具体的には挙げられませんが、いま僕の周りにあるものはみんな僕のことを幸せにしてくれています。―素敵ですね。もし、スーパーパワーが1つ持てるなら何がいい?ウディくんテレポーテーションですね。いろんなところに、素早く移動できるようになりたいので。―自分の何かを1つ変えられるなら、変えたいものは何ですか?ウディくん僕は年齢のわりに背が低いほうなので、できればあと数センチは高くなりたいです!―これからの未来はどうなると思っているか、考えたことはある?ウディくん僕は地球が滅びることはないと思っていますし、未来はいい方向に進んでいるんじゃないかなと。たとえば、いま海にゴミを捨てている人たちも、それが間違いだと気がついているはずなので。今後20年でそういったことも改善されていくと感じています。俳優だけでなく、監督や脚本にも挑戦したい―ありがとうございます。今後も役者は続けていきたいということですが、もしほかにもやってみたい職業があれば、教えてください。ウディくん映画業界に関わるすべてのお仕事が楽しそうに見えるので、監督もやってみたいし、脚本も書いてみたいと思っています。実際、すでに脚本は書いているのですが、まだ自分が楽しむ程度のものなので、いつか本格的に取り組んでみたいです。―もう脚本を書かれているのですか!?ちなみに、どんなタイプの作品か教えてもらえますか?ウディくんすでに4~5本は書いているんだけど、最後に書いたのは1か月くらい前で、自分でも内容を忘れてしまいました(笑)。―いつか作品になるのを楽しみにしています。ほかには、どんなことに興味があるのでしょうか。ウディくん僕が一番ハマっているのは、音楽です。いまエレクトリックベースを弾いているのですが、いろいろなジャンルの根源をたどっていくと同じところにつながっていたりして、そういうところもすごくおもしろいですよね。ミュージシャンというのは、音楽によってその場の空間を満たすクリエイティビティを作り出しているので、すごく尊敬しています。日本にはいつか絶対に行きたいと思っている―ちなみに、いままで日本に来たことはありますか?ウディくんまだ行ったことはありませんが、 旅行するのが大好きですし、日本はいつか絶対に訪れてみたいと考えています。ロンドンと東京は似ているところがあるんじゃないかなと想像していますが、世界の反対側にあるくらい離れている都市なので、その違いを知るためにも行ってみたいです。映画のなかで見る日本や日本に行ったことのある友達から聞く話から、とても楽しそうな場所だなという印象です。―それでは最後に、日本の観客へ向けてメッセージをお願いします。ウディくんこの作品はロックダウンになる前に作ったものですが、それがこうして世界中の人に観てもらえるのは、とても光栄ですし、多くの方に届けられるのをうれしく思っているところです。ぜひ、日本のみなさんの感想も楽しみにしています。ありがとうございました!インタビューを終えてみて……。お茶目な笑顔を見せつつ、終始大人顔負けのしっかりとした受け答えをしてくれたウディくん。俳優としての実力はすでに名優からのお墨付きですが、計り知れない才能で将来は監督や脚本家、さらにはミュージシャンとしても私たちを楽しませてくれそうです。驚きと優しさに満ちたかけがえのない時間となるデトロイト、ロサンゼルス、ニューヨーク、ニューオリンズといった異なる景色を見せる都市を舞台に繰り広げられる心温まるロードムービー。年の離れた天才俳優による“奇跡のケミストリー”に魅了されるだけでなく、悩みも怒りもすべてを優しさで包み込んでくれる珠玉の感動作です。取材、文・志村昌美ストーリーNYに1人で暮らすラジオジャーナリストのジョニーは、妹から頼まれ、9歳の甥・ジェシーの面倒を数日間みることになる。LAにある妹の家で突然始まった共同生活は、戸惑いの連続。好奇心旺盛なジェシーは、ジョニーのぎこちない兄妹関係やいまだ独身でいる理由、自分の父親の病気に関する疑問をストレートに投げかけ、ジョニーを困らせる。そのいっぽうで、ジョニーの仕事や録音機材にも興味を示し、2人は次第に距離を縮めていく。そして、仕事のためにNYへと戻ることになったジョニーは、ジェシーを連れて行くことを決めるのだが……。愛おしさが詰まった予告編はこちら!作品情報『カモン カモン』4月22日(金)より、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー配給:ハピネットファントム・スタジオ© 2021 Be Funny When You Can LLC. All Rights Reserved.Maggie Shannon
2022年04月20日この春も話題作がひしめき合っていますが、今回は映画好きにオススメしたい1本をご紹介します。それは、スティーヴン・スピルバーグやマーティン・スコセッシといった名監督たちに多大な影響を与えたとされる“20世紀最大の巨匠”イングマール・ベルイマン監督にまつわる注目作です。『ベルイマン島にて』【映画、ときどき私】 vol. 473アメリカからスウェーデンのフォーレ島へとやって来たのは、映画監督カップルのクリスとトニー。創作活動にも互いの関係にも停滞感を抱いていた2人は、敬愛するベルイマン監督が数々の傑作を撮ったこの島でひと夏を過ごすことで、新作へのインスピレーションを得ようと考えたのだ。やがて島の魔力がクリスに作用し、彼女は自身の“1度目の出会いは早すぎて2度目は遅すぎた”ために実らなかった初恋を投影した脚本を書き始める。その後、どうしても結末が思いつかず、悩んでいたクリスだったが、思いがけない出会いが彼女の心を変えていくことに……。第74回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、高い評価を得た本作。そこで、こちらの方に作品の背景などについて、お話をうかがってきました。ミア・ハンセン=ラブ監督@Judicaël Perrin2007年に26歳という若さで長編映画監督デビューを果たすと、類まれなセンスと才能でフランスを代表する女性監督のひとりとなったミア・ハンセン=ラブ監督。今回は、自身も敬愛するベルイマン監督の魅力や日本での思い出、そして女性に伝えたいメッセージについて語っていただきました。―10年ほど前から、ベルイマン監督の作品や人生に傾倒するようになったということですが、どういったところに惹かれているのでしょうか。監督これは非常に難しい質問ですね。お答えするのに、数時間はかかってしまうかもしれません(笑)。なぜなら、ベルイマンの魅力を短い時間で語り尽くすことは私にとっては不可能なことですから。具体的に彼のどの部分がいいとか、どの作品が好きということではなく、彼の人生も作品も生き方も、さらには息遣いまで、すべてが魅力的だと思っています。有名な作品のなかには、人工的なところがある作品もあるかもしれません。でも、『不良少女モニカ』(53)や『ある結婚の風景』(73)、『ファニーとアレクサンデル』(82)のような作品では、彼のキャパシティの広さや創作力の大きさ、そしてエロティシズムまでもがあると感じています。ベルイマンに惹かれるのは、自分に忠実だから―そういったことすべてから監督も影響を受けていらっしゃるのですね。監督そのほかに私が一番惹かれているのは、彼が自分に対してとても忠実であるところです。つまりそれは、自分を裏切ることなく、一切の妥協も許さないという意味でもありますが、そういった部分があるからこそ、ベルイマンがベルイマン以外の何者でもない理由かなと。だから、私は彼の作品を観ていると、彼とコミュニケーションを取れているような気がするのです。ほかにも同じようなコミュニケーションを感じられる監督は何名かいますが、ベルイマンほどそれを直接的に感じられる人はいないと思っています。そういうところが、私から見たベルイマンの魅力です。―なるほど。監督は「この映画の大きなテーマは“解放”である」とお話されていますが、それはいまでも多くの女性が男性から解放されていないと感じていらっしゃるところがあったからでしょうか。監督夫婦生活や社会において叫ばれているような、いわゆる女性解放というのとは少し意味が違いますが、私はクリスを通して自分自身を解き放って自由にする姿を表現したいと考えました。とはいえ、私が映画を作る際、最初に何かをテーマとして掲げているわけではないので、出来上がった作品に対して観る方が興味を持ってくださればいいと思っています。つまり、私が先に何かを意図しているわけではありません。劇中では、クリスがトニーと会話をしていくなかで徐々に変化し、芸術的な面において自分を解き放っていくようなところがありますが、初めは弱さのある女性だった彼女がだんだん強さを身に着けていく過程を感じていただいたらと。この作品を映画化するまではかなり時間がかかりましたが、こういう形で作り上げることができてよかったです。日本を理解するために、次回は長く滞在してみたい―話は変わりますが、日本についても少しお聞かせください。監督はこれまでに何度か来日されたことがあると思いますが、日本での印象深いエピソードなどはありますか?監督日本は大好きなんですが、いつも仕事で行くので、滞在日数が毎回3~4日ほど。あまりにも短すぎるので、私にとってはそれがすごくフラストレーションです。実際、初めて日本に行ったときには、ちょうど子どもが生後数か月のときだったので、1日中インタビューを受けながら授乳もしていて、ゾンビみたいになってしまった強烈な思い出もありますよ(笑)。2度目はもう少し余裕がありましたが、地方まで行けなかったのは残念でした。特に、香川の直島は島全体が美術館のような場所だと聞いていたので、そこで安藤忠雄さんの作品を見たり、芸術に触れたりしたかったですね。私にとって異文化を理解するのはとても重要なことですが、本当の意味で経験するには、やはり1か月程度は必要だと思います。次回こそは訪れてみたいです。過去にこだわらず、未来の力に変えてほしい―ぜひ、お待ちしております。それでは最後に、ananweb読者へのメッセージをいただきたいですが、なかには劇中のクリスのように自分を弱くて依存的だと考えているような女性たちもいると思いますので、この作品から感じてほしいことなどを教えてください。監督実は、私も長い間、クリスのように女性特有の弱さを抱え、家族の問題などに悩んでいた時期がありました。そのときは過去ばかりを振り返り、過去の傷に痛みを感じたりしていましたが、少しずつ弱さを強さに変えていくことができたのです。私の場合は、弱さを創作のツールとして利用しましたが、そんなふうに弱さを“武器”にすることもできるのだということは伝えられたらと。過去のことばかりにこだわるのではなく、それを未来に向けたひとつの力に変換することも可能なんだということをクリスの姿を通して知っていただきたいですし、みなさんにもそうなっていただけることを願っています。柔らかな日差しに包まれながら、自分の心に問いかけるインスピレーションを刺激する美しい景色が広がる “映画ファンの聖地”スウェーデンのフォーレ島を舞台に、女性の繊細な心の機微を見事に映し出した本作。静かな波のように観る者の感情に入り込み、ときには激しい雨のように心を揺さぶる必見作です。取材、文・志村昌美目を奪われる予告編はこちら!作品情報『ベルイマン島にて』4月22日(金)、シネスイッチ銀座ほか全国順次公開配給:キノフィルムズ© 2020 CG Cinéma ‒ Neue Bioskop Film ‒ Scope Pictures ‒ Plattform Produktion ‒ Arte France Cinéma
2022年04月20日婚活で約1000人の男性と出会い、年下夫を射止めたライター・かわむらあみりがお届けするコラム【結婚引き寄せ隊】連載第106回は、とんとん拍子でうまくいって付き合うことになった彼氏が、実は“超テキトー男”だったという気をつけたい男性の特徴をお届けします。1.恋愛乗り換え常習の男【結婚引き寄せ隊】vol.106恋活や婚活をしていて、とんとん拍子で恋が進展して、付き合うことになった彼氏とうまくいっているかと思いきや、実は「テキトー男」だったから、すんなり付き合えただけだった…という、あまりうれしくない相手も存在します。筆者が婚活中に見聞きした、そんな気をつけたい男性の特徴のひとつめは、「恋愛乗り換え常習」の男性。しばらく彼氏がいなかった30代前半のある女性は、まだ具体的に結婚を考えてはいませんでした。とはいえ、まわりの友達がみんな彼氏持ちということもあって、イベントごとなどがあるときは、ひとりで寂しい気持ちでいたそうです。そこで飲み会に参加した際に出会ったのが、同年代の男性。「もう別れたのに元カノがしつこくて」という、元カノに困っているというその男性の相談に乗っているうちに仲良くなって、すぐ付き合うことになりました。出会いがあってよかったねえと喜んでいたのも束の間、その女性から連絡がありました。「ただの乗り換え男だったー!」と憤る女性の話を聞くと、どうやら彼氏は、数か月で女性に飽きてすぐ別の女性へと渡り歩いてしまう「恋愛乗り換え常習」の男性だったのです。最初に聞いていた元カノというのも、実はちゃんと別れていなかったのに、勝手に「元」彼女にさせられて乗り換えていただけだったとのこと。きっと今頃、同じような手口で他の女性へと乗り換えていっているはず。付き合うハードルは低いものの、別れるハードルも低すぎて、おままごとの付き合いじゃないんだから……と呆れるばかり。なんとも腹立たしい男性ですが、そんなヤツとは離れられてよかったんだと思ったのでした。2.押しに弱いだけの男30代半ばのある女性は、バリバリと仕事をしているアクティブ派で、飲み友達もたくさんいたので、顔も広いタイプでした。あまり恋愛には興味のなかったその女性でしたが、仕事のプロジェクトが一段落してひとりになったときに寂しくなって、ふと「彼氏が欲しい」と思ったそうです。そこで知り合いに「誰かいない?」と聞いたところ、いい男性がいるとのことで、紹介されたのが、細身の少し年下の男性。「シャイなところがある」と紹介されたため、ちょっと控えめな感じがありつつも、「ま、いっか」ととりあえずデートすると、けっこういい感じだったそうですぐ付き合うことになりました。でも……。その後彼氏とどうなっているのかその女性に聞いてみると、「別れた」とのこと。まだ半年も経っていません。よくよく話を聞くと、元カレはただ「押しに弱いだけ」の男性だったらしく、紹介話も断りきれず受けて、デートもとくに嫌じゃないからとやってきて、付き合うのもとりあえずという状態。つまり、何ひとつ自分から望んでいたわけではなく、ただ流されるままに恋人になっただけだったため、まったく彼女に向き合っていませんでした。そんな付き合いが長続きするはずもなく、後半はほとんど会っておらず、別れもその女性が切り出すとすんなり承諾したのだとか。テキトーに付き合われても、温度感が合わないからすぐバレますし、いい大人でもそんな男性いるんだなと思ったのでした。3.恋愛体質すぎる男30代前半のある女性は、「すぐにでも結婚したい」が口グセになるほど、一生懸命婚活していました。いまは20代の女性でも婚活市場に参加しているため、「素敵な男性に早く出会いたい」とちょっと焦っているところがあったようです。そんななか女性が参加した恋活イベントで、甘いマスクの好みの男性と出会いました。向こうももちろん出会いを求めていたため、すぐ意気投合。初めてふたりでデートすることになったその日に、交際することに。彼氏はすごく「恋愛体質すぎる」男性で、毎日連絡を取りたがる、休日は必ず会う、平日でも時間があれば仕事帰りに会いに来るなど、とにかく大盛り上がり。ですが、その女性の仕事が忙しくなってくると、だんだんバランスが崩れてきたのだとか。デート中も何度も「俺のこと好きだもんね?」と聞いてくる彼氏が重くなってきたそうで、そうなる度に女性は深いため息をつくのでした。意を決して別れを切り出した女性に、なんと泣いて拒否したという彼氏でしたが、なんとか別離。さぞ元カレは落ち込んでいると思いきや、少しおとなしくしていた時期を経て、そそくさと合コンに繰り出してすぐ次の彼女をゲットしたのだとか。誰に対しても、恋愛体質って発揮できちゃうものなのですね。出会いを探していると、思いがけないタイプの男性に出会うこともありますよね。そこでテキトーに恋愛をする人よりも、できれば、自分だからこそ選んでくれる人と、素敵な恋ができますように!文・かわむらあみり©LukaTDB/Getty Images©PhotoAlto/Odilon Dimier/Getty Images©franckreporter/Getty Images/Getty Images
2022年04月19日1992年にアニメ放送がスタートして以来、長年にわたって国民的な人気を誇る『クレヨンしんちゃん』。記念すべき30周年を飾る劇場版最新作『映画クレヨンしんちゃん もののけニンジャ珍風伝』では、忍者の里を舞台に、しんのすけの出生にまつわる“真実”に迫っています。そこで、ゲスト声優を務めたこちらの方にお話をうかがってきました。川栄李奈さん【映画、ときどき私】 vol. 472女優として目覚ましい活躍をみせる川栄さんが演じたのは、「自分こそがしんのすけの本当の母親だ」と名乗り現れる、くノ一(くのいち)の屁祖隠(へそがくれ)ちよめ。今回は、作品の見どころだけでなく、連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』でヒロインを務め終えたばかりの心境や次に掲げる夢などについても、語っていただきました。―まずは、ちよめというキャラクターに対して、どのような印象を抱きましたか?川栄さん最初は、くノ一で妊婦という設定なのにアクションシーンがあることに驚きました。活発な妊婦さんで、なんて面白いんだろうと。しかも、芯の強いところもあるので、カッコイイお母さんだなと思いました。―ご自身と似ているところなどもあったのでしょうか。川栄さん女性としての強さみたいなところは共感できましたし、みさえがちよめに対して「あなたもお母さんでしょ?」と投げかけるシーンでは、すごくジーンときました。『クレヨンしんちゃん』の魅力は、子どもだけでなく、大人も感動できるところ。今回も、野原家を見ていて、当たり前の暮らしができることは素晴らしいことで、すごく幸せなことなんだと感じました。しんちゃんは、つねに身近にいた存在―小さいときからずっとアニメを見ていたそうですが、『クレヨンしんちゃん』との思い出と言えば?川栄さん幼少期から金曜日の夜は『クレヨンしんちゃん』と『ドラえもん』はセットで見ていた家庭だったので、朝のニュース番組のように、自分にとってはつねに身近にあるものでした。ちょっとお下品なギャグとかもあるので、あまり見せたくないという親御さんもいるようですが、そんなことも知らず、みんな見ていると思っていたほど。「見ちゃいけない」と言われている友達がいたのを知ったときは、びっくりしました。―となると、しんちゃんから受けていた影響もかなりあったのでは……。川栄さん「おしりブリブリ」とかはよくしていましたね(笑)。でも、それもみんなしていると思っていたくらいですから。―しんちゃんの真似をして、ご両親に怒られることはなかったですか?川栄さんそれよりも、笑っていましたね。なので、家族のコミュニケーション方法のひとつというか、みんなが微笑ましくなる瞬間でした。―いままでも声優のお仕事は非常に緊張されているそうですが、自分が大好きなアニメに参加することになってプレッシャーもあったのでは?川栄さんそうですね。特に、声優は本職ではないので、「自分が出てる!やったー!」みたいな気持ちよりは、「自分の声で大丈夫かな?」という不安のほうが大きかったです。いい意味で変わることなく、素で生きている―そんななかでも、ご自身なりに工夫されたこともあったと思いますが。川栄さんたとえば、初めのほうはちよめがシリアスな問題を抱えているので、トーンを暗めにしています。そのあと、最後に向けて少しずつ明るくしているのですが、子どもたちと話すときだけは寄り添うような優しい声を意識しました。声優のお仕事をやらせていただけるのは本当に貴重なことなので毎回噛みしめながら収録をしていますし、声優のみなさんのいいところを盗めたらと。そうやっていくうちに、自分の声にも自信を持てるようになったらいいなと考えています。―ちなみに、同じくゲスト声優であるハライチさんとは何かお話されましたか?川栄さんイベントや取材でお会いしただけなので、あまりお話はできませんでしたが、おふたりは本人役で出られるのでうらやましいです。というのも、誰もが知っている方でないとできないことだと思うので。改めてハライチさんのすごさを感じました。―ということは、川栄さんも本人役で出たいと?川栄さん本人役もいつかはやってみたいですね。でも、その前にビッグにならないといけないですが(笑)。―そういう意味では、朝ドラのヒロインを務められたことも次のステージに上がったきっかけになったと思いますが、心境に変化などはありますか?川栄さん私も朝ドラに出たら変わるんだろうと思っていたんですが、意外とあまりそういうこともなく、何も変わらずに素のままで生きています。なので、いい意味で特に変わったことはないですね。今後の作品がモチベーションになっている―大きな夢を叶えたあと、次の目標があれば、教えてください。川栄さんずっと抱いている夢は、映画で賞を獲ること。映画のほうがドラマよりも出演本数が少ないので、これからはもっと映画にもたくさん出たいです。お芝居がすごく好きなので、今後の作品がいつもモチベーションになっていますし、それを楽しみに生きています。―朝ドラではかなり英語も勉強されたということなので、今後は英語を使ったお仕事も考えているのでは?川栄さん実は、英語の勉強は一旦やめてしまったんです(笑)。というのも、私は何か目標がないとできないタイプなので……。しかも、英語ができる方からも「そんなにすぐに話せるようにはならないよ」と言われてしまい、やっぱり日々の積み重ねが大事なんだなと感じています。でも、ご縁があってまた英語を使えたらいいですね。英語を使う役がきたらがんばります!―毎日かなりお忙しいと思いますが、オンオフの切り替えなどは意識的にされているのでしょうか。川栄さん私は仕事の現場が終わったら「終わり!」となる性格で、役を引きずることはまったくありません。現場に行く前もガチガチに決めずに、台本を1、2回読んで空気感をつかんだらそれを持っていく感じにしているので、切り替えは得意なほうだと思います。自分の長所は、前のことを引きずらないところ―それは、お仕事を続ける過程で身に付いたものですか?川栄さん前のことを引きずらずに次の仕事ができるのはAKB48のときからなので、そこはもともと持っている自分の長所でもあるのかなと。セリフ覚えが得意なこともあり、家でも台本を開いている時間は最小限にしているので、息抜きはけっこうできているように感じています。あと、仕事のあとの楽しみといえば、大好きなお風呂に入ること。2~3時間は入るので、映画を観たり、台本を読んだりしながら過ごしています。―ほかにも、マイブーム的なことはありますか?川栄さんここ数年はお香にハマっていて、朝ドラの撮影で大阪にいたときも、朝起きたらまずお香をたくのがルーティーンでした。日によって香りを変えることもありますが、匂いによって癒されたり、スッキリしたりすることが多いかなと。匂いフェチのようなところもあるので、街を歩いているときにいい匂いがしたら、それをたどってお店に入ることもあるくらいです(笑)。―また、髪をバッサリ切ってから雰囲気も変わられましたが、切ろうと思ったきっかけは?川栄さん朝ドラが終わったときに腰のあたりまで伸びていて、ちょうど作品も重なっていなかったので、切りたいなと思って。髪が長かったときとは、洋服やアクセサリーの選び方がかなり変わったので、いまはそれを楽しんでいます。こんな時期でも、楽しいものを見つけてがんばりたい―とても素敵です。川栄さんといえば、撮影時もご自分でメイクをされることがあるほどコスメ好きということですが、最近お気に入りのメイク法を教えてください。川栄さん私は季節によってメイクを変えるのが好きなので、春ならオレンジやピンクを多めに使うようにしています。コスメも新しいものがいろいろと出るので、ネットやインスタで上げている人の情報を参考にしながら買っていますが、それが毎シーズンの楽しみです。―では、美肌を維持するためにしていることとは?川栄さんそれは、シンプルに皮膚科に行くことです(笑)。いまの時期は、花粉で肌が荒れることも多いですからね。そういうときは、皮膚科が一番だと思います。―確かに、それは大事ですね。それでは最後に、ananweb読者へメッセージをお願いします。川栄さんいまは仕事もリモートが増えているので、なかなか外に出られる機会がなくなっているかもしれませんが、そういうこともプラスにとらえられるようになるといいのかなと。家にいる時間を使っていままでできなかった趣味に取り組むのもいいですし、逆にたくさん休むのもありですよね。これは私にも言えることですが、コロナ禍が明けたときに何か役に立つものが身についていたらいいと思うので、みなさんも休みつつ、楽しいものを見つけてがんばってほしいと思っています。インタビューを終えてみて……。とても気さくで明るく、癒しのオーラを放っている川栄さん。子ども時代の思い出話には屈託のない笑顔を見せるいっぽうで、仕事に対しては真剣な眼差しで話されているのが印象的でした。劇中では、物語の大きなカギを握っている屁祖隠ちよめにぜひ注目です。ギャグも感動も満載の忍者アクション超大作!地球の未来と家族の明日を守るために立ち上がった“嵐を呼ぶ5歳児”しんのすけ。笑いに包まれるのはもちろんのこと、家族の絆が生み出す力には、大人でも思わず涙してしまうかも写真・山本嵩(川栄李奈)取材、文・志村昌美ストーリーひろしとみさえのもとに「しんのすけ」が誕生してから5年、嵐のような平和な日々を過ごしていた。ところがある日、5歳になる珍蔵という名の少年とともに屁祖隠ちよめと名乗る女性が野原家を訪れ、「私がしんのすけくんの本当の母親なんです」と打ち明ける。突然のことに戸惑いながらも、追い返すわけにもいかず、2人を野原家に泊めることに。しかし、その夜、謎の忍者軍団が突如襲い掛かる。ちよめはなんと、忍者の里を抜け出して追われているくノ一だったのだ!そしてその息子として、しんのすけもさらわれてしまうことに……。続きが気になる予告編はこちら!作品情報『映画クレヨンしんちゃん もののけニンジャ珍風伝』4月22日(金)より全国ロードショー配給:東宝©臼井儀人/双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK 2022写真・山本嵩(川栄李奈)
2022年04月18日婚活で約1000人の男性と出会い、年下夫を射止めたライター・かわむらあみりがお届けするコラム【結婚引き寄せ隊】連載第105回は、婚活していると出会う“男性”についてのエピソードです。なかでも、いまでも印象に残っている「婚活男性3選」その35をお届けします。1.複数に甘い言葉を囁く謎の男【結婚引き寄せ隊】vol. 105それは30代から40代の男女が集まる飲み会に参加したときのこと。マスコミから病院関係まで、さまざまな職種の人たちが集まっていて、初めてその飲み会に参加した人でもすんなりなじめるような和気あいあいとした雰囲気になっていました。同じように初参加という男女も多く、出会いを探していると言っても恋人ではなく、友達を増やしたいために参加している人もいて、あちこちで趣味の話や仕事の話になっている賑やかな飲み会に。しばらく飲んでから御手洗いに行こうと席を立ち、御手洗いから出たドアの前で、飲み会に参加していた優しそうな印象の男性とぶつかりそうになりました。「ごめんね!」とぶつかりそうになったことを詫び、爽やかな笑顔を向ける優しそうなその男性は、いまから御手洗いに入ろうとしていたようです。こちらも前をよく見ていなかったから申し訳ないと思っていたら、その男性は「飲み会の反対側の席にいたんだけど、実はずっ君のことを気になっていて見てたんだよね…」と囁いて、お手洗いに入っていってしまいました。え?いまなんか気になるって言ってた?と思いながらも、御手洗いの前でずっと立っているのも変だしと、とりあえず席に戻り飲み会続行。その男性は忘れた頃に席に戻ってきていましたが、気づくとお開きのときにはいませんでした。飲み会の帰りに、女友達と「こんな人がいた」という話をしていたら、なんと友達は電話をかけに外に出て戻ろうとしたら、ぶつかりそうになったその男性に「君のこと気になっていて」と同じようなことを囁かれたと言うではありませんか。しかも、偶然ぶつかりそうになって囁くというシチュエーションがたまたまなのか作為的なのか不明ながら、「怖っ!」と思ったのでした。2.独特の間で寡黙な男それはおもに30代の男女が集まる婚活パーティに参加したときのこと。そのパーティは小規模だったこともあって、最初に自己紹介をし合う時間も、けっこうしっかりとお互いのプロフィールについて会話することができる会になっていました。そこでひとりずつ自己紹介をしながら、何番目かにまわってきたのは、うつむき加減のネルシャツの男性。最初に「はじめまして…」と、挨拶をし合ったところまでは普通でしたが、そこから話がまったく進みません。うつむき加減の男性が、こちらのプロフィールに興味を持つようなそぶりもなく、やっぱり質問してくることもナシ。そのままだとシーンと静まり返るだけなのも時間がもったいないので、こちらから「お仕事は忙しいですか?」などと質問を投げかけると、ちょっと間をあけて「…まあ、はい」とボソッと応えるという具合。自己紹介タイムの後も、たまたまその男性と会話する機会があって、「先ほどはどうも」と言うと、ちょっと間をあけて「…どうも」と返事あり。その間は一体、何!?と思いながらも、いろんな人がいるよねと気持ちを切り替えた私なのでした。3.なんで婚活しているか不明な男それは少人数に絞られたプチお見合いの場に行ったときのこと。半個室のような場所で行われるプチお見合いでは、他の人たちの目を気にすることなく、相手との会話ができることがメリットです。とはいえ、その日に集まった参加者が自分の理想と違う場合は、少人数ゆえにデメリットともいえるかもしれません。その日は、初っ端から、妙な男性に出会いました。その男性はエリートサラリーマンで、「仕事も趣味も充実している」と豪語。こちらが聞いたことには何でもスラスラと答えてくれるうえ、「女性に困ったこともないんだよね」とまで言う始末です。「じゃあなんで婚活してるんですか?」とたずねたら、「人生経験だね」と即答。要はひまつぶしってこと?と思いながら、こちとら必死で人生のパートナーを探しているというのに、この男ときたら…と正直、不愉快。それが顔に出ていたのか、ちょっとは申し訳なさそうにするその男性でしたが、わざわざお金を払って暇つぶし(もしくはあわよくば好みの女性の物色だったのかも)に来る人に心は開けないなと、ソッコーで心のシャッターを閉じました。婚活していると、普段は出会わないようなタイプの男性に出会うことがあります。みなさんがいつか運命のパートナーに巡り会えますように!文・かわむらあみり©gradyreese/Getty Images©Adene Sanchez/Getty Images©gollykim/Getty Images
2022年04月17日OSやCPU、HDD、USBなど、コンピューター周りにあるさまざまな略語。なんの略だか、すぐにわかるものもあれば、意外に難しいワードもありますよね。今回は、日常でよく使うPC系の略語を4つご紹介!最初のお題は…「USB」USBメモリやUSBケーブル、パソコンやタブレット端末などについているUSBポートなど、ふだんから当たり前のように使っている「USB」。でも、これってなんの略でしょう?アルファベットだけ見ると、userやusabilityをイメージしそうですが、全然違います!ヒント:最初の「U」は、大阪にある某テーマパークの頭文字「U」と同じです!USBとは…USBは、Universal Serial Busの略です!それぞれの主な意味は、次のとおり。universal:「一般的な、普遍的な」serial:「連続的な、直列の」bus:「バス(コンピューター用語:各内部装置を結ぶ信号路、伝送路)」ざっくり直訳すると、「普遍的な直列の信号路」となり意味がわかりづらいですが、辞書では「汎用インターフェース規格」などと記載されています。USBは、パソコンとさまざまな周辺機器を接続するための規格として1990年代後半に登場。最初の規格はUSB1.0で、その後普及し、2019年にはUSB4がリリースされています。OSは、なんの略?では、「OS」はなんの略でしょう?正解は、Operating System(オペレーティングシステム)です!operate:「動く、働く、作動する、操作する」system:「体系、組織、仕組み」OSは、コンピューターを動かすために必要なシステムソフトウェア。基本ソフトとも呼ばれます。CPUは?続いて、パソコンを買うときに必ずチェックする「CPU」を見てみましょう。CPUは、Central Processing Unitの略。辞書には「中央処理装置、中央演算処理装置」と載っています。central:「中央の、中心の、主要な」process:「処理する、加工する」unit:「一個、単位、装置一式」ちなみに、CPUと同様の意味で使われるMPUは、Micro-Processing Unitの略。CPUもMPUも、コンピューターの中核となる装置で、性能が高いと処理速度もあがります。HDDは?最後に、HDDの表記をチェック。こちらは、Hard Disk Drive(ハードディスクドライブ)の略です。hard disk:「硬い円盤」drive:「駆動装置」HDDは、データを記録する機器のこと。ただ最近では、HDDに代わってSSD(Solid State Drive・ソリッドステートドライブ)が増えています。SSDとは、フラッシュメモリで作られた大容量記憶装置。ハードディスクドライブと同様の使い方ができます。OSやHDDなどは元の英語表記でも機能がイメージできますが、USBやSSDは略語のまま覚えたほうがわかりやすいかもしれませんね。以上、意外と知らないPC系の略語4選でした!参考資料:『現代用語の基礎知識』(自由国民社)『情報・知識 imidas』(集英社)『プログレッシブ英和中辞典』(小学館)『ビジネス技術実用英語大辞典V6』(プロジェクトポトス)『日本国語大辞典』(小学館)
2022年04月13日春といえば“恋の季節”とされているものの、なかなか一歩を踏み出せないという人も多いのでは?そんなときにオススメのドラマは、恋愛下手の主人公がフランス人作家スタンダールから恋愛のノウハウを学んでいく姿を描いた『恋に落ちたおひとりさま~スタンダールの恋愛論~』。そこで、こちらの方々にお話をうかがってきました。瀬戸康史さん、波瑠さん、佐藤大樹さん【映画、ときどき私】 vol. 471劇中で、波瑠さんが演じるのは、自分に自信を持つことができず、30歳で恋愛経験ゼロの図書館員・聡子。そして、聡子が一瞬で恋に落ちる紳士的な涼介を瀬戸さん、聡子に想いを寄せる職場の後輩・村石を佐藤さんが演じています。今回は、恋愛関係において欠かせないものやそれぞれの恋愛観について、語っていただきました。―まずは、最初に脚本を読まれたときの印象からお聞かせください。波瑠さん小日向(文世)さんがどうやってスタンダールを演じるのかは想像できませんでしたが、どんな結末を迎えるのかが気になり、一気に読んでしまいました。瀬戸さん僕も脚本を読んだときに、これはおもしろいことができそうだなと。誰にでもあるずるい気持ちや人生で経験する失敗という部分では、自分の役に共感できるところもたくさんありました。佐藤さん実は、僕が人生で初めて自分のお金で買った本が本作の原作者でもある水野敬也さんの「夢をかなえるゾウ」。そういった偶然もあって、まずは水野さんが原作のドラマに出られることがすごくうれしかったです。―本作でも見どころのひとつといえば、劇中で取り上げられているさまざまな恋愛テクニックについて。実際に演じられてみて、使えそうだと思ったものはありましたか?波瑠さんなるほどと思ったのは、恋愛によって相手を美化してしまう「結晶作用」。彼氏ができると急にほかの人からアプローチされることがあるという話を聞いたことがありましたが、誰かが好意を寄せていることを知ると、魅力的に見える効果があるというのは勉強になりました。―では、ご自身が考える異性を振り返らせるのに効果的な方法といえば?波瑠さんやっぱり、自然体でいることではないかなと思います。のびのびとした雰囲気って、ステキですからね。私は恋愛リアリティーショーを見るのがけっこう好きなんですが、つい男性目線で見てしまうので、「この子はもっとこうしたほうがかわいいのにな」とか思いながら見ています(笑)。―それでは、男性陣にもおうかがいしますが、女性のグッとくるポイントなどはありますか?瀬戸さん僕も自然体な人はいいなと思います。あとは、裏表がなくて人の悪口を言わない人。仕草に関しては、少し変わっているかもしれませんが、絵やスマホを見ているときとか、ゲームをしているときの小刻みに動く目が好きです。佐藤さんドラマのなかで、聡子がすぐに返信しようとするのをスタンダールが止めるシーンがありましたが、僕もあれをされたら毎日その人のことを考えてしまうかもしれないです。というのも、僕はすごくせっかちで、LINEも既読を付けたらすぐに返信したいタイプ。返事がないと気になってしまうので、スタンダールの恋愛論は理にかなっているなと思いました。前に話したことを覚えていてくれるとうれしい―なるほど。ちなみに、佐藤さんは劇中で壁ドンされていましたが、いかがでしたか?佐藤さんめちゃくちゃよかったですね(笑)。したことはあっても、されるのは初めてだったので、ドキッとしました。―壁ドンをしてみた波瑠さんはどうでしたか?波瑠さん息を合わせないとできないシーンだったので、私にとってはチームプレー的な壁ドンだったと思います(笑)。―ほかにも、転びそうなところを瀬戸さんに受け止められる場面はキュンとするシーンでしたよね。波瑠さんあのシーンこそ、本当にきつかったです。あれは本のなかの絵だからできるポーズなんですよ。瀬戸さん確かに、腹筋も背筋もかなり使っていたし、「波瑠ちゃんの骨を何本か折らないとできないんじゃない?」みたいな感じだったよね(笑)。波瑠さんはい、「私にも脊髄がありますから!」と思いながら全神経を使ってやりました。瀬戸さんでも、協力プレーのおかげでさわやかな映像に仕上がっていてよかったです。―そんなことを感じさせない素敵なシーンでした。では、されてうれしいことなどはありますか?波瑠さんたとえば、前に話したことを覚えていてくれたり、「これ好きだったよね?」と言ってもらえたりするとうれしいですね。男の人って、あまり話を聞いていないイメージがあるので……。でも、瀬戸さんは女性グループのなかにいてもすごく自然で、ちゃんと話を聞いてくださる印象です。瀬戸さん僕は女兄弟しかいないので、女性のほうが話しやすいところはあるかもしれないです。だから、実は佐藤くんとは話しにくいんですよね……。佐藤さんちょっと待ってくださいよ!めちゃくちゃお話していたじゃないですか!瀬戸さんあははは!―現場での仲良しぶりがうかがえますね。それでは、みなさんにとっての“恋愛の教科書”を教えてください。佐藤さん僕も波瑠さんと同じで、恋愛リアリティーショーをよく観ています。波瑠さん韓国の『脱出おひとり島』は?佐藤さん観ました!瀬戸さんめちゃめちゃおもしろかったよね。佐藤さんあとは、『バチェラー・ジャパン』とか。波瑠さん私も観た!瀬戸さん僕も観ました。大切なのは、信頼する気持ちと共通のものを持つこと―みなさん、けっこう恋愛リアリティーショーお好きなんですね。佐藤さんいろいろとリアルで、勉強になりますから。瀬戸さんどのあたりが勉強になるの?佐藤さんたとえば、男女が一緒だったあとに、女性だけで話をしていますが、「そんなことを思っていたのか……」と感じることが多いので。瀬戸さん確かにね。―ほかのジャンルではいかがですか?波瑠さん私は根っからのオタクなので、『花より男子』や『NANA』といった少女漫画です。特に、自分が小中学生のころは、高校生の恋愛模様が大人に見えていたので、「いつか自分もそんな恋したいな」と妄想していました。ただ、途中から少年漫画に走ってしまい、好きな漫画は『NARUTO -ナルト-』と『金色のガッシュ!!』です(笑)。―そのギャップがいいと思います。瀬戸さん僕も漫画とかアニメが好きなんですが、最近でキュンキュンしてしまったのは『その着せ替え人形は恋をする』です。高校生の話におじさんがキュンキュンしてるって、ちょっと気持ち悪いかもしれないですけど(笑)。あとは、『とらドラ!』も素直じゃない主人公たちが成長していく感じがステキなんです。―そういった作品やご自身の経験を踏まえたうえで、いい恋愛関係を築くために必要なものといえば何ですか?瀬戸さん趣味や興味のあることに共通のものがあると、長続きすると思います。僕の場合は、そういうのもあって結婚までたどり着いたのかなと。恋愛と結婚では違うところもありますが、相手を信じる気持ちも大事だと思います。波瑠さん私は、自分の好きなことや嫌なことをちゃんと発信できる関係かどうかですね。というのも、相手が好きだから何でもいいよと言っていると、我慢しているほうに限界がきて、爆発してしまうときが来ると思うので。そういう溝ができないためにも、自分の意見や感覚をきちんと言えるというのは、大切だなと思っています。佐藤さん僕の場合は、マメな連絡とプレゼント。この2つがあれば、恋愛はうまくいくと思います!波瑠さん・瀬戸さんあははは!瀬戸さんということは、ちゃんとしてるってこと?佐藤さんはい、僕はめちゃくちゃするほうですね。波瑠さんそういうことをはっきり言えるのもすごいよね。瀬戸さんプレゼントは、駄菓子とかでもいい?佐藤さんさすがに駄菓子はないですね(笑)。日常的に何かを贈ることもありますが、記念日などのイベントにはプレゼントを用意したいです。いつも相手のことを笑顔にしたいと考えている―ということは、サプライズなどもお好きなのでは?佐藤さん好きですね。というのも、エンタメの世界にいるので、いつも人を驚かせたいというか、笑顔にしたいんだと思います。波瑠さん私とは全然世界が違っていておもしろい。―ちなみに、してみたいサプライズもあったりしますか?佐藤さん人によっては嫌がられるかもしれませんが、実は生き物をプレゼントしてみたいんですよね。瀬戸さんえそれはどのくらいのレベルで?佐藤さん僕は水の生き物が大好きで金魚やウーパールーパーを飼っているので、女性に人気のあるベタというお魚をプレゼントできたらいいかなと。波瑠さんベタはキレイだよね。でも、全然かわいがってくれなかったらどうする?佐藤さん確かに、その可能性はありますよね……。―生き物は、相手に聞いたほうがいいかもしれないですね。また、劇中ではいろいろな名言も散りばめられていましたが、みなさんが大事にされている言葉があれば、教えてください。瀬戸さん20代半ばの頃に、俳優で演出家の白井晃さんから「芝居だけど芝居するな」と言われたことが僕はずっと頭に残っています。そこから演じ方も変わったので、いまでも大切にしている言葉です。佐藤さん僕は漫画やアニメはほとんど見ないほうなんですが、なぜか『ONE PIECE』のゾロが言った「苦難上等 好むものなり 修羅の道」というセリフだけ知っていて、かっこいいなと。どういう状況で言ったのか知らないですし、どこで聞いたのかも覚えていないんですが、それが座右の銘です。波瑠さん・瀬戸さんあははは!努力する過程で得られるものはたくさある―おもしろすぎます。実際、その言葉から影響を受けているのでしょうか。佐藤さんたとえば、二択で悩んでいるときはあえてつらいほうを選んで自分を追い込むみたいなことはしています。それは、この言葉の影響ですね。波瑠さん私はそんなかっこいい言葉じゃないですが、子どもの頃から両親にずっと言われてきたのが「自分がされて嫌なことは、人にしてはいけないよ」ということでした。この教えのおかげで誰かを悲しくさせるようなことは回避できているとは思いますが、私がわりと神経質な人間でされて嫌なことが多すぎるので、いまでは人に何をしたらいいのかわからなくなっているところも……。縛られすぎて、こんがらがってきているなとは感じています(笑)。―難しいところですね。本作では聡子が新しいことにチャレンジする姿が描かれていますが、みなさんがいま挑戦してみたいことは?瀬戸さん僕は一人旅です。普段あまり旅に出たりしないこともあって、僕にとってはけっこう勇気のいることなので。旅先でおもしろいものを見つけて、いろいろな人と触れ合ってみたいです。佐藤さん僕はサウナ好きがこうじて、最近サウナ・スパプロフェッショナルという資格を取りました。サウナの営業もできる資格なので、HIROさんに直談判してLDHの事務所にサウナを作りたいです。瀬戸さんそれはすごいなぁ。波瑠さん人気出そうだし、スケールが大きいよね。私は何か習い事をしたり、新しい趣味を見つけたりしたいと思っています。まだ決めてはいないですが、家庭菜園とかいいかなと考えているところです。―実用的で楽しそうですね。それでは最後に、聡子のようになかなか自分に自信を持てない人たちにメッセージをお願いします。瀬戸さんまずは、この作品を観てほしいです。それから、努力は報われると思うので、たとえ少しだとしても、いまあなたがしている努力はこれからも続けてみてください、と伝えたいです。佐藤さん今回、聡子を見て感じたことは、容姿を変えるだけで中身まで変わるんだなということでした。メイクや髪型を変えるだけでも新しい発見があると思うので、そういったトライをすることはオススメしたいです。波瑠さん私は自信を持つというよりも、「自分っていいじゃん!」と思えるような自分を目指すのがいいかなと思っています。努力した先の結果が最初に立てた目標とは違っていたとしても、努力をした過程で得られるものがたくさんあるはずなので。聡子と同じように、みなさんにも一歩を踏み出してほしいです。インタビューを終えてみて……。みなさんの絶妙なやりとりが繰り広げられ、笑いが溢れる時間となった今回の取材。現場での仲の良さや見事なコミュニケーションがあったからこそ、ステキな作品に仕上がったのだと感じさせられました。劇中では、ドキドキする三角関係にもぜひ注目です。恋する楽しさを思い出させてくれる!恋に臆病になってしまったり、勇気が出せずにモヤモヤしたりしているときこそグッと背中を押してくれるハートフルコメディ。“愛の国”フランスからやってきたスタンダールが説く、目からうろこの恋愛テクニックも必見です。写真・安田光優(波瑠、瀬戸康史、佐藤大樹)取材、文・志村昌美ストーリー恋愛経験ゼロで、自分に自信が持てない図書館員の聡子。ある日、優しく紳士的な涼介と出会い、一瞬で恋に落ちる。自分を変えたいと願う毎日を過ごしている聡子の前に突如現れたのは、「恋愛論」の作者であるスタンダールだと名乗る男だった。スタンダールは涼介との恋を実らせるため、恋愛のノウハウで聡子を導こうとする。2人は徐々に接近していたが、聡子のある秘密が発覚しそうになってしまう……。心が弾む予告編はこちら!作品情報Amazon Prime Videoドラマ『恋に落ちたおひとりさま~スタンダールの恋愛論~』Amazon Prime Videoで独占配信中製作:東映公式Twitter:@Koioti_Stend© 東映写真・安田光優(波瑠、瀬戸康史、佐藤大樹)
2022年04月09日1児のママでもあるライター・かわむらあみりがお届けするコラム【ママライフばんざい!】連載第39回は、自分勝手でドン引きしてしまうママの公園での迷惑エピソードをお届けします。1. 公園で食事する人の横でシャボン玉【ママライフばんざい!】vol. 39全国で実施されていた、まん延防止等重点措置が解除されました。だんだん暖かくなってくると、人の少ない時間帯や場所などだったら、気分転換に子どもを連れてちょっと外出してみようと思うママたちもいます。なかでも、定番ともいえるご近所での遊び場といえば、公園。お花見もしたくなる季節ではありますが、やっと外に出られるとはいえ、人混みに注意して公園へ行ったときに、あるママがこんな体験をしたそうです。外出はもちろん公園で食事をしようとするならさらに、密になっていないかしっかり確認が必要ですよね。だからこそ、この時期は人の多い遊具のある場所などは避けて、そのママの家族は人が少ないところでお弁当を食べようとしていたそうです。少し離れたところに、お弁当やお菓子をゴザの上に広げて盛り上がっていた、20代から30代の男女のグループがいたのだとか。離れていても聴こえる大きな声で、「お子さん大きくなりましたねえ」などと、リーダー格の女性が連れている子どもを褒めたり話しかけたりの様子。どうやら、ボス的存在の女性はその場にいた男女の先輩のようで、まわりにいる後輩たちが気をつかっていました。すると、はしゃぎ出したボスママの子どもが、シャボン玉で遊び始めたのです。いわゆる小さなシャボン玉をそっと吹くぐらいならほのぼのできるのでしょうが、ボスママの子どもが嬉々としてやっていたのは、大きなシャボン玉や一気に多くのシャボン玉が出てくるバブルマシーン。明らかに風の流れで、少し離れた場所で食事をしようとしていたママたちにシャボン玉がまとわりつき、食べようとしていたお弁当の上でシャボン玉がはじけてシャボン玉液が食べ物に落下。とても困っている様子がわかるはずなのに、一切子どもに注意をしないボスママとその取り巻きたちにドン引きしたそうです。公園でシャボン玉をやること自体はいいのですが、そのときは風の向きや、人に迷惑をかけない場所かどうかを確認してからにするべきだと、ボスママを見て実感したということです。2. まわりの人にぶつかっても無視あるママが子どもと公園へ行くと、ボール遊びをしている親子もいれば、遊具で遊ぶ子ども、凧揚げをしている子どもと、いくつかの家族が遊んでいたそうです。まわりの人たちに近くなりすぎないように、そのママと子どもは距離を取って公園で遊ぼうとしていました。すると、向こうのほうで凧揚げをしていた子どもが、風で大きく揺れる凧に引っ張られて、ママたち親子のほうへぶつかってきたそうです。でも、ぶつかった子どもが謝ることもなく、さらにその子どもに付き添っていたママも謝ることもなく、まわりの人たちにぶつかってもお構いなし。凧揚げをする子どもが凧だけに集中して、注意力が散漫になってしまうのはまあ仕方がないとしても、付き添った親はせめて配慮したいところです。子どもと一緒に子ども感覚になるより、大人としてきちんと対応できるママでいたいと、そのママは思ったということでした。3. ルールを守らなくて平気さすがに人が多くなりそうな場所は避けて、場所を選んで遊ぼうとなったものの、あるママが子どもと公園に行ったときにちょっと驚いたことがあったそう。公園なのでいろいろなタイプの方がいますが、犬の散歩で利用する人も多いらしく、犬を連れた人たちが時々横をすれ違っていきます。あるとき、突然ノーリードの犬がそのママたちのほうへ駆け寄ってきてビックリ。子ども連れの女性が飼い主のようです。公園とはいえ、ドッグラン以外の場所では、必ずリードをつけてほしいものです。でもそんな状況でも平気な人もいるようで、そんな風にはなりたくないなと、思ったのだとか。ときどき、こんなまわりの迷惑を考えないドン引きママが存在します。人の振り見て我がふり直せではないですが、気をつけたいですよね。みなさんが心穏やかに、すてきなママライフを送れますように。文・かわむらあみり©anurakpong/Getty Images©Larina Marina/Getty Images©Lunja/Getty Images
2022年04月08日社会における障壁や家族との問題、他人からの視線など、日々何かと闘いながら生きている人も多いと思いますが、そんな心に共感や感動を与えてくれるもののひとつといえば映画。そこで、ある苦しみを抱えた主人公たちを描いた話題作をご紹介します。『ふたつの部屋、ふたりの暮らし』【映画、ときどき私】 vol. 471南仏モンペリエを見渡すアパルトマンの最上階で、向かい合う互いの部屋を行き来して暮らしているニナとマドレーヌ。彼女たちは隣人同士であり、実は長年密かに愛し合ってきた恋人同士でもあった。不幸な結婚の末に夫が先立ち、子どもたちも独立していたマドレーヌは、静かな引退生活を送っていたが、2人の望みはアパルトマンを売ったお金で一緒にローマへ移住すること。ところが、子どもたちに真実を伝えられないまま、時間だけが過ぎていく。そんななか、突如マドレーヌを襲った悲劇により、2人は究極の選択を迫られることに……。世界各国の映画祭で評価されるだけでなく、辛口なことで知られるアメリカの映画批評サイト「ロッテントマト」でも98%(2022年4月4日現在)という高い支持を得ている本作。そこで、こちらの方にお話をうかがってきました。フィリッポ・メネゲッティ監督ニューヨークやイタリアでキャリアを積んだのち、現在はフランスに拠点を移して制作に取り組んでいるイタリア出身のメネゲッティ監督。長編監督デビュー作となる本作では見事セザール賞の新人監督賞に輝き、注目を集めています。今回は、作品を通して伝えたいことや完成までに見舞われた苦労、そして日本文化への興味などについて語っていただきました。―監督は、以前から「秘密裏に愛し合う女性たちの物語を撮りたかった」ということですが、こういった題材に興味を持つようになったきっかけはありましたか?監督このテーマで語りたかったのは、他人の目線によって人はどのような影響と制限を受けているのか、そして他人によって排除されてしまう人々についてです。それらについて取り上げたいと思ったのは、自分が若いときに知り合った2人の女性がきっかけでした。彼女たちはこの映画の主人公たちよりも複雑でつらい環境に置かれていましたが、そんな彼女たちの生きざまに心を打たれたのです。と同時に、彼女たちは僕に映画への情熱を植え付けてくれた人でもあったので、僕にとってはとても重要な人物でした。そういったこともあって、彼女たちへの感謝を込めた作品を作りたいという気持ちが大きかったのだと思います。本作は実話を基にした作品ではありませんが、痛みを抱えながら生活をしなければならない人たちを目の当たりにしたことが出発点となりました。この作品には、映画人としての責任を感じた―ほかにも、参考にされたことはあったのでしょうか。監督脚本を書いていたのは2013年から2018年頃ですが、その間に主人公たちと年代の近いフランス人とイタリア人の女性カップルでご近所さんとして密かに暮らしている方が叔母の知り合いにいることを耳にしたり、フランスで同性婚を認める法案の成立を巡って反対のデモが起きているのを目撃したりと、自分が書いている物語と現実が交差するような経験もしました。資金調達にかなり苦労はしましたが、そういった出来事が刺激となり、このストーリーを書き上げてみたいと強く思うようになったのです。―日本では中年以上の女性を主人公にした映画の企画が通りにくいという現場の声を聞いたことがありますが、ヨーロッパでは本作のように年配の女性でも主人公の作品は多く作られているような印象です。とはいえ、現状はどのような感じですか?監督まさに日本と同じで、今回の資金調達が難しかった原因には主人公の年齢という問題が大きくありました。「もし主人公の女性たちが若かったらすぐに制作できるのに……」といったことは、何回も言われましたから。でも、僕としては年齢の高い女性を表現することが自分の映画人としての責任だと考えていました。なぜなら、現代は強迫観念にとりつかれて生きているような社会で、若さやスタイルの完璧さばかりを良しとしているところがあると感じているからです。とはいえ、現実はみんなが若いわけでもなければ、全員がモデルのようなプロポーションをしているわけではないですよね?映画では筋骨隆々のかっこいい店員さんがいることもありますが、僕が行くお店ではそんなことはなく、いろいろな体型の人がいます。だからこそ、人に強迫観念を与えないような正直な映像を撮りたいというのが自分の希望でもあったのです。若さだけでなく、年齢を重ねたところにも魅力はある―そういった信念を貫いたからこそ、素晴らしい作品として完成したのだと感じました。監督あとは、年齢についても包み隠すことなく表現したかったので、ニナとマドレーヌを演じてくれた女優さんたち伝えたのは、「メイクはあまりせず、シワも撮りますよ」ということ。でも、70歳を過ぎた彼女たちはナチュラルで美しく、本当に魅力的でした。僕自身、魅力というのは若さだけでなく、年齢を重ねたところにもあると考えていますから。おそらく主人公たちの年齢を若くしていたら資金調達の問題は早く解決できていたと思いますが、自分の決断は本当に間違っていなかったと感じています。―ちなみに、日本ではフランス人女性に対してありのままの姿で自由に生きている印象を持っている人が多いと思うので、マドレーヌのように夫から虐げられていることに耐え、カミングアウトできない女性像を少し意外に感じる人もいるかもしれません。キャラクターを作り上げるうえで意識したのは、どんなことですか?監督もちろん、フランスにもこういう女性はいますが、パリのような大都会か、今回のような田舎町かによっても考え方や人々のメンタリティは違うように感じています。おそらくそれは、イタリアでも日本でも同じことが言えるのではないでしょうか。人それぞれ感受性はまったく違いますが、僕としては小さな町を舞台にすることによって、誰にでも当てはまる話であるということを示したかったのです。日本文化については、これからもっと知りたい―なるほど。また、劇中では日本風の絵画や盆栽が部屋に飾られているのが目に留まりましたが、何かメタファーのような意図がありますか?監督気がついてくれたのはすごいですね。ただ、正直な答えとしては「好きだから」です(笑)。実は、日本文化にはとても興味があり、僕の家にも盆栽や浮世絵のような絵が置いてあるほどなので。作品に取り入れたことについては自分でも無意識でしたが、好きだから使わせてもらいました。―日本文化のどういったところに興味を持たれているのかを教えてください。監督まずは、やはり日本映画ですね。黒澤明監督や溝口健二監督をはじめとする偉大な古典映画は、何度も繰り返し観ました。日本には一度だけ行ったことがありますが、その際に興味を持ったのは、自分に語り掛けてくるような美的感覚。細かいところにまでバランスが取れていたり、わずかな記号で多くを物語っていたりするのは素晴らしいと感じました。あとは、日本人作家の方々が書かれた作品もいくつか読ませていただいています。そういったことが自分の何に影響を与えているのか自分ではわかりませんが、非常に複雑な日本文化からさまざまな感銘を受けているのではないかなと。ただ、まだ自分には無知なところが多いので、日本についてはこれからもっと知りたいと思っています。―ありがとうございます。それでは最後に、日本の観客に向けてメッセージをお願いします。監督僕が映画作りをするのは、観客の方々と感情を共有するためでもあるので、この映画がみなさんの心の琴線に触れ、感動していただけたらとてもうれしいです。ぜひ、感情移入しながら観ていただけたらと願っています。愛がもたらす光と影を鋭く映し出す!目に見えない社会の圧力や他人の視線に苦しみながらも、愛する人との自由な人生のために命をかけて闘う女性たちをサスペンスフルに描いた秀作。年齢や偏見に囚われることなく突き進む彼女たちの姿は美しく、そして観る者の心を激しく揺さぶるはずです。取材、文・志村昌美胸を引き裂く予告編はこちら!作品情報『ふたつの部屋、ふたりの暮らし』4月8日(金)よりシネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー配給:ミモザフィルムズ© PAPRIKA FILMS / TARANTULA / ARTÉMIS PRODUCTIONS - 2019
2022年04月07日この春、大注目の1本といえば、ハリー・ポッター魔法ワールドとして人気を博している『ファンタスティック・ビースト』シリーズの最新作『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』。そこで、魔法ワールドに魅了されているこちらの方にお話をうかがってきました。小関裕太さん【映画、ときどき私】 vol. 470熱狂的なポッタリアンとして知られ、過去にはニューヨークで行われた『ファンタスティック・ビースト』ファンイベントに日本代表として参加したこともある小関さん。今回は、マニアならではの注目ポイントや魔法ワールドが自身に与えた影響、そしてこれから叶えたい夢などについて語っていただきました。―まずは、『ファンタスティック・ビースト』シリーズの魅力について教えてください。小関さん役者的な目線でいうと、ひとつひとつの構成が素晴らしいところ。そして、ファンからすると、原作者のJ.K.ローリングさんが脚本を書かれているので、物語にブレがなく『ハリー・ポッター』のいろいろな伏線を回収してくれるのも面白いところですよね。あとは、舞台となっている1920年代の歴史と重ね合わせているところもあるので、ファンタジー好き以外にも刺さる部分が多い作品だと思います。―ご覧になる前でかなり想像は膨らんでいると思いますが、最新作で注目しているポイントは?小関さんダンブルドアといえば、数々の偉業を成し遂げていて、誰からも尊敬されている偉大な魔法使いですが、影を感じるところもあるので、強さの裏にある苦悩などはぜひ知りたいですね。そのほかに気になっているのは、弟であるアバーフォースとの間で起きた事件や、本作で敵対するグリンデルバルドとの関係について。これまでも触れられてはいましたが、アバウトな情報だけでそのときの心情までは描かれていないので、それがわかれば『ハリー・ポッター』シリーズも含めてもっと楽しめるんじゃないかと思っています。日本が舞台になる日を夢見ている―ほかにも、このシリーズで今後期待していることはありますか?小関さんイベントでお会いしたプロデューサーさんがかなり日本についてお話されていたので、「もしかしたら次は日本に来ちゃうんじゃないの?」と。いままでも河童のような日本の生物がキャラクターとして出てきたこともありますが、それはこれからたどる国の動物たちを意味しているのではないかと予想しています。そんなこともあって、この魔法ワールドがいつか日本を舞台に描かれる日が来たらいいなと夢見ているところです。僕は少しでも情報がほしくて、数年前からロケ地に関する情報をいろいろなところから集めていますが、すでに日本だったらどこがいいかなというのも考えています。日本らしい景色なら京都や金沢ですが、個性的な沖縄や九州もよさそうですし、でもこのシリーズに関西弁が出てきた面白いだろうなとか、想像が膨らんでいるところです。―考えるだけでも楽しいですね。そもそも、魔法ワールドにハマったきっかけは何ですか?小関さん最初は、『ハリー・ポッター』の映画ですが、魔法が使えるかもしれないというワクワク感と次の展開が気になる緻密な物語に惹かれました。当時はまだ幼稚園の年長くらいだったので、ひとりで本は読めませんでしたが、本を読む子になってほしいと考えた親が本の漢字すべてにふりがなを振ってくれたことも。そんなふうに、どんどんこの世界観に引き込まれていきました。大人になってこんな経験ができるとは思わなかった―『ハリー・ポッター』の1作目に至っては、映画館で11回もご覧になったそうですね。ほかには、どんなオタ活をされていたのでしょうか。小関さん自分のことをオタクとは思っていなかったですが、そう言われると確かにオタクですね(笑)。たとえば、ファンなら誰もが知っている掲示板のようなサイトがあるんですが、そこでどこがロケ地になっているかとか、作品に関係する人たちの誕生日がいつかとか、試写会についてなどの最新情報をゲットしていました。あとは、原作と映画とゲームでは違う呪文が使われていることもあるので、それをいろいろなサイトで調べて、ノートに書き写しては呪文を唱えて遊んでみたことも。とにかく、あちこちから情報収集していました。―そのなかでも、一番の思い出といえば?小関さんたくさんありますが、やっぱりJ.K.ローリングさんとお会いできたことですね。この方からすべてが生まれていると考えると、その実感はすごかったですね。「本当に実在しているんだな」と思ってしまったほどでした(笑)。もうひとつは、子どもの頃に『ハリー・ポッター』のジャパンプレミアに当選したときのこと。子役として出演していた生放送とちょうど重なってしまい、仕事に穴を開けてはいけないと思ったので諦めたんです。でも、せめて残り香だけでも感じたくて、生放送終わりに片づけられているレッドカーペットを見に行きました(笑)。あのときは人生1回きりのチャンスを逃したと本当に悔しかったですが、大人になってこんな素晴らしい経験ができるなんて、当時の僕に教えてあげたいです。ハリポタで鍛えられた想像力が武器になった―ちなみに、ハリポタ友達とかもいましたか?小関さん誰もいなかったので、ひとりで遊んでいましたね。なので、幼少期の友達に当時のことを聞くと、僕に関しては『ハリー・ポッター』の話ばっかりです(笑)。実際、学校帰りに枝を集めては呪文を唱えてみたり、画用紙で大きな杖を作ってキャラクターの真似をしたりしていました。でも、まだ大人の概念みたいなものがない時期で、想像力が豊かだったので、僕には魔法が見えていたんですよね。物理的に何かが起きるわけではないですが、持っている枝から光線が出ているように見えたり、物が浮いているように見えたりしていたので、自分の世界のなかでは魔法が使える気にはなっていました。―そういった想像力や呪文を覚える記憶力が、役者として活かされているところもあるのでは?小関さんそれはありますね。たとえば、僕は初主演舞台でカエルの役を演じたんですが、本来ならカエルの気持ちってイメージしにくいですよね?でも、役を膨らませていく過程で、カエルの目線を想像できたのは、『ハリー・ポッター』を観ていたことによって鍛えられた想像力が役者としての武器になったからだと思います。―もし魔法が使えるとしたら、どんな魔法がいいですか?小関さん部屋を掃除してくれる魔法がいいですね。『ハリー・ポッターと謎のプリンス』のなかで、散らかった部屋がサーッとキレイになるシーンがあって、そのときからいいなと思っていたので。特に忙しくなると心の乱れが部屋に表れるときがありますが、そういうときこそパッとできたら助かりますよね。今後叶えたい夢は、シリーズに出演すること―とはいえ、魔法の世界に憑りつかれすぎて、悪影響が出たことはないですか?小関さん実は、小さい頃から「使う言語がファンタジーだね」とよく言われます(笑)。僕としては、自分の言葉を信じて発しているだけですが、ファンタジーな人でつかみどころのない性格だと思われることが多いかもしれないですね。でも、自分が好きな世界のことなので、そう言われるのはうれしいです。―そんな小関さんに癒されている人は多いと思いますが、小関さんを癒してくれる存在について教えてください。小関さんそれは音楽です。僕は音を浴びて、体を動かすことが好きなので、音楽に触れる時間はかなりリフレッシュできています。―『ハリー・ポッター』や『ファンタスティック・ビースト』を好きになったことで、いろいろな夢も叶えられたと思いますが、今後叶えたい夢は?小関さんやっぱりこのシリーズに出たいですね。ニューヨークでJ.K.ローリングさんやキャストの方々とお会いできたのは最高の経験でしたが、いままで遠い夢だったものを目の前にしたことで「もしかしたら届くのかもしれない」と感じることができたからです。努力して叶うものならばがんばりたいですし、結果に関わらずチャレンジしたいと思っています。―もし演じるならどんな役?小関さんシリーズのなかでも僕が好きなのは戦っているシーンですが、戦いに強いとされているのは闇の魔術に対する防衛術に特化した人たちなので、そういうキャラクターだったらワクワクしますね。もし日本にも魔法学校がある設定だとすれば、どんな寮があるのかなとか、どんどん想像してしまいます。言葉巧みに人を操る役に挑戦してみたい―3年前にananwebでお話をうかがった際、「いつか猿人類のアウストラロピテクスを演じてみたい」とおっしゃっていたのが印象に残っていますが、その後演じてみたい役に変化はありましたか?小関さんアウストラロピテクスは、社会科の勉強をがんばっていた中学生のときに名前とエピソードを覚えるだけじゃなくて、写実までしたこともあったので思い入れが強かったんですよね(笑)。いまは、グリンデルバルドみたいに言葉巧みに人を操ったりするような役にチャレンジしてみたいなと。あとは、先生役も一度はやってみたいですね。―それでは最後に、最新作のオススメの見方を教えてください。小関さん僕は最低でも3回は観ようと思っています。最初は何も考えずに純粋に楽しむためで、2回目は人に良さを伝える言葉を探すため、そして3回目で見逃している部分がないかを探せたらと。『ファンタスティック・ビースト』になってから緻密さがより増しているので、いろいろな伏線を回収して楽しみたいです。インタビューを終えてみて……。次から次へとエピソードが飛び出し、ハリポタ愛とファンタビ愛が止まらない小関さん。好きだという思いが溢れ出ているとともに、子どものようなキラキラした目で熱く話をされている姿がとても素敵でした。魔法ワールドで活躍する小関さんが見られる日を楽しみにしたいと思います。興奮とワクワク感に包まれる!魔法も舞台も映像も、すべてがスケールアップした最新作で、おなじみの仲間とともに繰り出すのは世界を股にかけた大冒険。新しい魔法の扉を開けた先で明かされるダンブルドアの“秘密の作戦”とは?写真・山本嵩(小関裕太)取材、文・志村昌美ストーリー魔法動物を愛するシャイでおっちょこちょいな魔法使いニュートが、ダンブルドア先生や魔法使いの仲間たち、そしてなんとマグルと寄せ集めのデコボコチームを結成!魔法界と人間界の支配を企む黒い魔法使い、グリンデルバルドに5つのトランクで立ち向かう!ダンブルドアの“秘密の作戦“とはいったい!?心が躍る予告編はこちら!作品情報『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』4月8日(金)全国ロードショー配給:ワーナー・ブラザース映画© 2022 Warner Bros. Ent. All Rights ReservedWizarding World Publishing Rights © J.K. RowlingWIZARDING WORLD and all related characters and elements are trademarks of and © Warner Bros. Entertainment Inc.写真・山本嵩(小関裕太)
2022年04月05日人気の若手歌舞伎俳優、中村壱太郎さんと尾上右近さんが、『没後50年 鏑木清方展』のイベントに登場!歌舞伎をテーマにした展示室で、トークとフォトセッションが行われました。さらにその後、インタビューも実施。アートやエンタメの魅力、東銀座界隈の思い出など語っていただきました!中村壱太郎さん、尾上右近さん、登場!左:尾上右近さん右:中村壱太郎さん《道成寺 鷺娘》の前で撮影【女子的アートナビ】vol. 239東京国立近代美術館『没後50年 鏑木清方展』の展示室に登場したお二人。さすが歌舞伎俳優さん、立ち姿がとても美しいです!中村壱太郎さんは、歌舞伎俳優だけでなく日本舞踊の吾妻流七代目家元、さらに現代劇でも活躍。尾上右近さんも、歌舞伎俳優と家業である日本古典音楽の清元、映画やバラエティ番組にも出演し、多方面で活躍されています。まずは、鏑木清方の華やかな作品《道成寺(どうじょうじ) 鷺娘(さぎむすめ)》の前でフォトセッション。《道成寺 鷺娘》とは、歌舞伎の演目『京鹿子娘道成寺』と『鷺娘』をテーマに描いた作品。お二人とも、歌舞伎では女方を中心に演じられているので、作品にも興味津々なご様子。撮影の合間にも、絵に描かれている着物や仕草などについて、楽しそうに話されていました。続いてのトークセッションは、《京鹿子娘道成寺》の作品が並ぶ展示室で実施。お二人が鏑木作品の魅力について、語りました。壱太郎さん清方先生の作品は、一言で言うと、眼福。幸せになれます。美しいものを見ると人間は幸せになれる、と改めて感じました。特に、僕らは着物や日本の文化に触れて仕事をしているからかもしれませんが、日本人のどこかに眠っているものと紐づけられるのかなと思います。右近さん品格が高いと思います。画家がどんな人だったのか、絵を見ながら僕はよく人物像を想像してみるのですが、清方作品には品格があふれ、知性があります。江戸っ子の粋や風流、時代からくるモダンさなどに楽しみを感じます。心静かにカブいているのがいいですね。お二人にインタビュー!続いて、本展覧会の目玉作品である清方の美人画三部作《築地明石町》、《新富町》、《浜町河岸》が並ぶ展示室でインタビューを実施。まずは、三部作について、お聞きしてみました。――こちらの美人画で、どの作品、どの女性がステキだと思いますか?右近さんやはり、築地明石町のお姉さんでしょう。この凛とした姿。この瞳で見つめられたいです。男目線でも、女方の役者として見てもステキです。男性の画家が描く女性は、理想の女性の姿で、男が演じる女方も理想の女。そのリンク性も作品から感じられますし、とにかく断然美しいです。男としては、こういう女性に振り返られたいですね(笑)。壱太郎さん浜町のおぼこさんもいいと思う。僕らも踊りを習うと、この絵のように「振り」をおさらいするのです。「今日習ったことは、こんな振りだったのかな」とこの絵を見てすぐにわかります。着物の袖を持ち、扇子を口に当てるというのは、日常にはないしぐさ。これを切り取っている清方先生のセンスはすばらしいですよね。右近さん確かに、浜町の作品もいいですね。どの作品も凛としてさわやか。そして、首がキレイ。九州系だね。――九州系とは?右近さん九州の女性は色白で、首が細くて、毛の流れがきれいというのが僕の勝手な思い(笑)。尾上右近の統計。九州の女性は色白で、輪郭がいいのです。壱太郎さんハハハ。でも、これ大丈夫?九州以外の人を敵に回していない?右近さん大丈夫、大丈夫!「想像させる絵がステキ」――全体を通して、お好きな作品はどれですか?右近さん僕は《墨田河舟遊》(※筆者注:屋形船で姫や若侍が楽しむ様子を描いた屛風)。人間が生き生きと描かれ、楽しそうでワクワクします。当時の時代の最先端が感じられ、若いエネルギーで楽しんでいる。僕らも結局、同じことを繰り返していますよね。カラオケ行ったり、クラブ行ったりするのと同じです。上品に遊んだほうが楽しいよ、ということもこの絵から感じます。壱太郎さん僕は、《佃島の秋》(※男性が女性に花を手渡している場面を描いた絵画)。勝手な解釈だけど、下に描かれている美しいアヒルと女性がリンクしていると思うのです。ぶっきらぼうな男の人が、白くてきれいなアヒルに花をあげてみた、という感じで、この絵をもとに芝居を書けるくらいの情報量があります。想像させる絵がステキです。見る楽しさを感じさせてくれます。「エンタメは、非日常を感じるのがいい」――お二人は、とても楽しそうにこの展覧会をご覧になっていますが、一般的に、特にanan世代の多くは、「日本画の展覧会ってハードルが高そう」と感じているような気がします。右近さんハードルが高い、とすでに存在を認識しているのなら、そのハードルを越えてみたらいいんじゃないのかな。触れてみたらいいと思います。知らないよりは知っているほうが絶対いいです。見に行ったら、「知っている」というステイタス以上に「おもしろい」という純粋な感情が生まれる。ハードルが高いと認識しているものは、もっと触れてみたほうが楽しいですよ。壱太郎さん歌舞伎も、同世代や若い方に「勉強しに行きます」とよく言われます。でも、別に勉強するものではないんですよね。右近さんそうそう。勉強するのは僕らの仕事ですから。壱太郎さんまさにそう。清方先生の《佃島の秋》みたいに、想像する楽しさをみんながもてる。絵を見ていると、それ以上のものを感じるのが絵画のおもしろさで、歌舞伎も一緒。「この人どうしてこんなにきれいなのかな」と素朴な疑問をもつとか、それだけでいいのです。そのきっかけさえ見つければ、それ以上のものをもって帰れると思います。右近さんエンタメは、非日常を感じられるのがいいです。美術館という空間自体いい。おならもできない静寂な空間(笑)。壱太郎さんもうちょっとananらしい良いたとえはないの(笑)。でも、展覧会なら、好きな絵をひとつ見つけに行こうと思って友達と出かけて、感想を伝え合うのもいいよね。朝イチで山盛り海鮮丼!――鏑木清方は築地界隈で暮らしたことがあるので、それらの地域が作品にも描かれています。歌舞伎座からも近いエリアですが、お二人にもなにか築地の思い出はありますか?右近さん以前、二人で歌舞伎座に出ていたとき、朝の築地に行きました。一幕目は昼の11時に開演するので、だいたい10時に楽屋入りします。その前にということで、朝7時に集合して行きました。壱太郎さんあれはよかったね。海鮮丼食べて。右近さんそう。高いのを食べました。よかったですよ、山盛りで(笑)。あの界隈のあの空気感も独特。浅草とか上野の江戸っ子も僕らは知っていますが、築地あたりの江戸っ子の空気は、また違うんですよね。河岸の人間の時間軸を感じて、いいなぁと思いました。『芝浜革財布』という芝居があり、河岸に通う男の話なのですが、築地にいると「こういう空気なんだな」とわかります。夕方には寝るという雰囲気。僕も、いつも午前中はちょっと眠いのですが、築地に行った日は、朝7時から食事をしているものだから、元気モリモリで(笑)。みんなと時の流れ方が違って、すごく充実感がありました。うまいもの食って来ているから(笑)。壱太郎さんこっちはもう始まってんだぜ!っていう感じだったね(笑)。「過去の自分は常に良くない…」――鏑木清方は、自分の作品を自己評価し、その記録が残っています。本展では、その記録をもとに、会心の出来には三ツ星など、作品に星がつけられていますが、そのような画家の姿勢をどう思いますか?右近さん目に見える絵画作品の場合は、いやでも冷静に評価が見えてきますよね。僕らは毎日同じことをやっていても、毎日コンディションも違うしお客さまも違うし、お互いのコンディションも違うし、状況が毎日違うので、自己評価の仕方が難しいです。常に揺れ動いているものなので、実態がわからない。後から振り返るとわかるときもありますが、この時が良かったというのは120パーセントないです。壱太郎さん清方先生の絵は、このまま一生残っていきますが、僕らの演技はその瞬間でしか残らない。だからこそステキさがあると思うので、その意味で評価の仕方は絵とは違うと思います。ただ、自己評価というより、仲間がいるから目指せるものはあるので、高め合いは常に意識しています。右近さん例えば過去の映像を見ると「ひどいな」と自分で思うのです。なんでこんなに拙いことやっているんだ、と。過去の自分は常に良くない、というのが植え付けられているので、冷静に判断ができない。成長がどこにあるのか、自分ではまったくわからないのです。へたに過去の映像など見てしまうと、進歩していない自分が目の前に立ちはだかって舞台に立つのが嫌になる。今日はいい舞台ができるぞという自己催眠がかけられなくなるのです。壱太郎さんこれは役者の宿命。今はビデオがあるから、僕らも頼るし必要だとは思います。でも、あまりにも見すぎると、自分は果たして何なのか。わけがわからなくなる。そこの難しさは僕らにはあります。右近さん客観性を持つのが難しいです。自分で三ツ星つけては取り消しての繰り返しです(笑)。アートとは「極上の…」――絵画作品だけでなく、歌舞伎などの舞台芸術もすべてアートといえると思うのですが、お二人にとってアートとは?右近さんアートとは、「人間の証明」。芸は人なり、という言葉から置き換えてみました。壱太郎さん人生においてのいろどり。人間のいろいろないろどりを総称すると、アートになるのではないかなと。時代時代において、いろいろな人や作品と関わり見ることによって人間力が増していく。これは生きた証です。右近さん僕、先ほどプレーヤー目線で言ってしまいました。すみません、はき違えました(笑)。アートとは、「極上のひまつぶし」です。壱太郎さん「人間の証明」からの落差がすごいね(笑)。右近さん生きるうえでは、いらないのかもしれないけれど、暇ができたら、その暇をやはり上質につぶしたい。それが、生きることへのこだわり。例えば、おにぎりとピカソの絵なら、食うに困るときはおにぎりしか選ばない。でも、食うに困らなくなったらピカソの絵に気づく。おにぎりもいいけど、この絵を見て心を潤うのもいいと気づく。だから、「極上のひまつぶし」です。「先に死なないで!」――お二人の関係、とてもいい感じですね。プライベートでも仲が良いのですか?右近さんいちゃこらしています(笑)。anan読者の女性たちも、僕らを見習って、いちゃこらしてください!壱太郎さん僕らは盟友、親友、ボイスメッセージ友達。同じ時代に生きて、同じものに取り組み、同じ感覚があります。もしかすると、今は追い求めるもの、求められているものが違っているかもしれないけど、いつかのゴールは絶対一緒のものを見ていると思います。一緒の思いをもてることに「ありがとう」と言いたい人です。右近さん僕にとって(壱太郎さんは)うれしいときも悲しいときもすべて報告したい人です。そんな人、清方先生にはいなかったのかな。(ここで、担当学芸員の鶴見香織さんが登場)鶴見さんそれは奥さまだと思います。奥さまは、清方が亡くなる数年前に他界され、その後、清方もがっくりとされていたそうですよ。右近さんがっくりきますよね。(壱太郎さんに向かって)先に死なないで!たとえ死ぬとしても、同じ年の同じ月の同じ日じゃ!壱太郎さん同じ刻限でね(笑)。右近さん芝居のようだね(笑)。――本当にステキなご関係ですね。楽しいお話、ありがとうございました!インタビューを終えて…立ち居振る舞いがとにかく美しいお二人。スーツを着ているとふつうにカッコイイのですが、少しでも動くと足の運びや指先の動きなど、一つひとつの所作が本当に優雅で、見とれてしまいました。くだけた話や楽しい話をしていても、品格が漂っているお二人。固い絆が感じられる友情にも感動しました。『没後50年 鏑木清方展』は5月8日まで開催。ぜひハードルを越えて、美しいアートに触れてみてください!Information『没後50年 鏑木清方展』会期:~5月8日(日)休館日:月曜(※5月2日は開館)会場:東京国立近代美術館1F企画展ギャラリー開室時間:9:30-17:00(金・土曜は9:30-20:00)(入館は閉館30分前まで)観覧料:一般¥1,800、大学生¥1,200、高校生¥700、中学生以下無料撮影:山本 嵩
2022年04月03日映画界においても、LGBTQをテーマにした作品は増えていますが、まもなく公開を迎える注目作『私はヴァレンティナ』で描かれているのは、トランスジェンダーの女子高生。そこで、リアルな現状に迫っている話題の本作について、こちらの方にお話をうかがってきました。ティエッサ・ウィンバックさん【映画、ときどき私】 vol. 469役柄同様に自身もトランスジェンダーであり、人気YouTuberとしても活躍中のティエッサさん。ソーシャルメディアがきっかけで主人公のヴァレンティナに抜擢され、演技未経験にもかかわらず、見事な演技を見せて高く評価されています。今回は、自身の経験や葛藤、そして本作を通じて伝えたいことについて、語っていただきました。―最初に、映画出演のオファーを受けたときのお気持ちから教えてください。ティエッサさんすごくうれしかったので、躊躇することなく、その場ですぐに承諾しました。というのも、私は映画で役を演じることがずっと夢で、小さい頃から自分の部屋をスタジオに見立てては撮影ごっこのような遊びを一人でしていたほどなので。そしてもうひとつは、自分が生きている現実と映画で描かれている現実とが非常に似ていたからというのも大きな決め手となりました。―とはいえ、演技の経験がないなかでの挑戦はいかがでしたか?ティエッサさん一度セットに入ったら、1日中そこから出たくないと思うほど、すごくエキサイティングな経験でした。役を演じることが好きなのもわかりましたし、キャストやスタッフのみなさんともワイワイしながら過ごしていたので、仕事とは思えなかったほど。本当に毎日が楽しくて仕方がなかったです。―劇中では、初めての演技とは思えないくらい堂々とされていましたが、不安を抱えていたところもあったのでは?ティエッサさん実は、ひとつだけありました。それは、母親役のグタ・ストレッサーさんと初めてカメラテストでお会いしたときのこと。彼女はベテランの女優さんで、ブラジルではものすごく有名な方なので、そんな方と本当に一緒にやるんだと思ったら、ものすごくプレッシャーを感じてしまいました。でも、ご本人がとても優しい方で、いろいろなことをたくさん教えてくださったので、いまでは「お母さん」と呼んでいるほど。セットの外でも私のことを娘のように扱ってくれています。初めてでも、自分を最大限出せるように意識した―現場に入る前には、何か自分なりの準備もしていたのでしょうか。ティエッサさん心がけていたのは、自分を最大限に出せるようにしようという意識。そういったことを考えながら脚本を読んで準備をしましたが、もちろん緊張はしましたね。でも、みなさんが本当に快く迎えてくれたので、撮影中はずっと幸せな時間でした。とはいえ、私は自分がしていることに批判的なところがあるので、監督に「いまので本当に大丈夫でしたか?」と何度も確認してしまったことも。OKだと言われても納得できずに、心配になることはたびたびありました。―演じるうえでは、ご自身の経験を活かしたり、アイディアを監督に伝えたりというのもありましたか?ティエッサさんそうですね。まず初めに脚本を読んだとき、トランスジェンダーが置かれている現状などにいろいろな疑問点があったので、それを監督には伝えました。その後、さまざまなディスカッションをしたうえで、監督が私の意見をしっかりと受け入れてくれたのはありがたかったです。―そのなかでも、思い入れのあるシーンといえば?ティエッサさん一番は、ヴァレンティナが性被害を受けたことを母親に告白する場面。「私にもこういったことを告白できる母親がいて、自分を支えてくれていたら……」と考えながら演じていたら、撮影が終わっても涙が止まらなくなってしまいました。そのときに、トランスジェンダーの人たちにとっては、家族や親しい人が家にいて安心して暮らせることがものすごく重要だと改めて感じたのです。性の多様性については、もっと議論していくべき―この作品を通して、心境の変化を感じることもあったのではないですか?ティエッサさんすごく変わりましたね。撮影を終えたあとはヴァレンティナと自分を区別するのが難しくなってしまい、セラピーに通ったこともありましたが、それによって自分のことをより理解できるようになりました。実生活では母親が不在なので、大きくなっていたのは母親に対する感情。この作品に出演したことをきっかけに、母親を探してみようと考えるまでになったのです。残念ながらすでに私が小さい頃に亡くなっていたということが判明しましたが、そういった大切なプロセスを経験することができました。―背景にはそんな思いも抱えていらっしゃったんですね。ティエッサさんはもともとYouTuberとして活動していたということですが、きっかけは?ティエッサさん以前働いていた職場のなかにトランスジェンダー嫌悪の女性上司がいて、非常につらい思いをしていたので、仕事を辞めることになりました。そこで次に何をしようか考えていたときに、YouTubeを見るのも自分がカメラに映るのも好きだし、アーティスティックなことをしたいと考えていたので、自分で撮影してみようと始めたのが最初です。―ブラジルではトランスジェンダーの中途退学率は82%、そして平均寿命は35歳というデータが出ていると知り、かなり衝撃を受けました。この事実をどう感じていますか?ティエッサさん本当に、ひどいことだと思っています。それ以外に言葉が出てきませんが、私たちトランスジェンダーの人生というのは、それほどいつ断ち切られてしまうかわからない状況に置かれているのです。ただ、そういったことをなくしていくためにも、性の多様性については、もっと議論していくべきですし、そのうえで相手をリスペクトすることが基本になってくると思います。保守的な街で、多くの嫌がらせを受けたこともあった―映画のなかのヴァレンティナのように、ご自身も危険な思いをしてきたことは多かったのではないでしょうか。ティエッサさんそうですね。私はブラジルにある非常に保守的な田舎で育ったので、そういったことは当然ありました。しかも、私がその街でトランスジェンダーを自称する最初の人間だったので、歩いているだけで指を差されたり、侮蔑的な言葉を投げつけられたりは日常茶飯事。そういう意味では本当にたくさんの虐待を受けてきましたし、パブリックな人間になったことによって、私の状況は悪化していると感じています。―そういった恐怖や危険には、どのように対処しているのですか?ティエッサさんまずは、絶対にひとりで外出しません。同僚や友人と必ず一緒に出掛けますし、知らない場所には行かないようにもしています。それくらいブラジルは、何が起こるか本当にわからない国なので……。自分の精神的かつ肉体的安全を守っていくためには、自分の行動を制限しなければならないのが現状です。―厳しい生活を強いられることはあると思いますが、パブリックな立場にいるからこそ、この状況を変えるために行っていることもありますか?ティエッサさんまずは、この映画で話し合うところから始めたいと考えています。公開される前は、ネガティブな反応が多いと予想していましたが、蓋を開けてみたら、感動したといった声をたくさんいただくことができましたので。ほかにも、いまブラジルで放送されているリアリティ番組にトランスジェンダーの女性が出演していて評判になっているのですが、「彼」と呼ぶのか「彼女」と呼ぶのか、といったことなどさまざまなことが話し合われていて、徐々に認知度が上がっているのを感じています。人は情報がないから偏見を捨てることができないと思うので、これからもいろいろなメディアを通じて、たくさん情報を届けていけたらと。そのうえで、多くの方と議論を進めていきたいです。どうありたいかは、他人ではなく自分で決める―そんななかでも、ご自身を支えているような言葉や信念があれば、お聞かせください。ティエッサさん私は自分がどうすべきか、何ができるのか、何をしてはいけないのか、といったことを他人には言わせないようにしています。なぜなら、自分がどうありたいかは他人ではなく、自分自身が決めることですから。そういったことは、いつも大事にしています。―非常に興味深い問題なので、日本でもこの映画によってもっと議論してほしいですが、公開を控えてどのようなお気持ちですか?ティエッサさん本当に信じられないですね。 もし、子どもの頃の私に誰かが「いつか自分が出ている映画の取材を日本から受けることになるよ」と言ったとしても、「そんなバカな!」と思うでしょうから(笑)。それくらい信じられないことですが、日本での公開はありがたいです。―日本のカルチャーで好きなものとかがあれば、教えてください。ティエッサさん私は日本のアニメをよく見ていて、『新世紀エヴァンゲリオン』やポケモンが大好きです。日本を訪れたことはまだないですが、よく日本に遊びに行く友達がいて、いつも素敵な動画を見せてくれるので、私もいつか行きたいなと考えています。―それでは最後に、日本の観客に向けてメッセージをお願いします。ティエッサさんこの映画を観てくださる方に感謝するとともに、みなさんの心に届くことを願っています。そして、トランスジェンダーというひとつの問題について、思いやりとリスペクトを持っていただけたらうれしいです。インタビューを終えてみて……。劇中で見せていた姿より、ぐっと大人の魅力を増していたティエッサさん。太陽のような明るい笑顔と芯の強さがとても印象的でした。とはいえ、時折見せる表情からは苦悩も感じずにはいられなかったので、ティエッサさんが提唱するようにもっと議論と理解を進めていくことの重要性を多くの人にも感じてほしいです。偽りの自分を捨てて、新しい自分と出会う!いくつもの壁と危険が立ちはだかる理不尽な社会のなかでも、毅然と立ち向かうヴァレンティナの姿に心が動かされる本作。暗闇のなかでも希望を感じさせる生き方は、ありのままで生きることの大切さだけでなく、思い通りに行かない人生のなかでも自由を手にするために闘う意味を教えてくれるはずです。取材、文・志村昌美ストーリー母親とともに、ブラジルの小さな街に引っ越してきた17歳のヴァレンティナ。出生届の名前ではなく、通称名で学校に通う手続きのため、蒸発した父を探している。未だ恋を知らないゲイのジュリオ、未婚の母のアマンダなど、新しい友人や新生活にも慣れてきたが、自身がトランスジェンダーであることを伏せて暮らしていた。そんななか、年越しパーティに参加した際、見知らぬ男性に襲われる事件が起きる。それをきっかけに、トランスジェンダーであることが広まり、SNSでのネットいじめや匿名の脅迫、暴力沙汰などヴァレンティナの身に危険が襲い掛かるのだった……。胸を締めつける予告編はこちら!作品情報『私はヴァレンティナ』4月1日(金)より新宿武蔵野館ほか全国順次公開配給:ハーク©2020 Campo Cerrado All Rights Reserved.
2022年03月31日東京・町田にあるスヌーピーミュージアムで、企画展『しあわせは、みんなの笑顔』が開かれています。スヌーピーと仲間たちの楽しそうな笑顔、ニヤニヤ笑い、やさしい微笑みなど「笑顔」がテーマの本展は、この春のお出かけにもぴったり。ワクワク感いっぱいの館内や、映えるフォトスポット、楽しい作品を一挙ご紹介!笑顔のスヌーピーがお出迎え【女子的アートナビ】vol. 238スヌーピーミュージアムの最寄り駅は、東急田園都市線の「南町田グランベリーパーク駅」。そこから歩いて4分ほどで、大きなスヌーピーが描かれたかわいい建物に到着!外観も、今回の企画展に合わせて「笑顔」だらけ。建物だけ見てもワクワクします!館内では常設展と企画展を開催中。まずは、常設展から見てみましょう!常設展では、スヌーピーが登場するコミック『ピーナッツ』の作者、チャールズ・シュルツ氏の創作の歴史を知ることができる「チャールズ・シュルツ・ギャラリー」や、「ピーナッツ・ギャング・ギャラリー」などがあり、スヌーピーたちの基本情報を知ることができます。最初は四足歩行で、ふつうにペットの犬っぽかったスヌーピー。初期の複製原画や貴重なフィギュアなど、お宝がいっぱいあります。映えるフォトスポット!常設展エリアには、映えるフォトスポットもいっぱいあります!まず、3階にある「スヌーピー・テラス」。南町田グランベリーパークを一望でき、天気が良ければ富士山も見える気持ちのいいテラスです。ここにあるのが、かわいいスヌーピーがいっぱいのフォトスポット。雑誌やテレビなど、いろいろなメディアの撮影にも使われているそうです。モデル気分で撮影すると楽しいかも!2階の人気撮影スポットは、「スヌーピー・ルーム」。全長約8メートルの巨大スヌーピーをはじめ、お腹でスケートをしたり、ハロウィンの変装をしていたりするユニークなポーズのスヌーピーがずらりと並んでいます。さまざまな「笑顔」が集結!続いて企画展エリアへ。入り口でスヌーピーとウッドストックが、めちゃくちゃ楽しそうに笑っています!企画展『しあわせは、みんなの笑顔』では、スヌーピーたちの豊かな笑いを描いたコミック『ピーナッツ』の貴重な原画や複製原画約60点を展示。6つのグループにわけて、さまざまな笑顔が紹介されています。まずは、『笑わせておくれよ、チャーリー・ブラウン』のコーナーから。いつも何をしてもうまくいかない残念なチャーリー・ブラウン。ジョークを言った覚えがないのに笑われてしまうなんて、ちょっとかわいそうですが、逆に彼はみんなを笑顔にする才能があるのかも。開き直って笑ってしまえ、という豪快なスタンスをとるキャラたちも憎めません。『笑って笑って吹き飛ばせ!』のコーナーには、ペパーミント パティやマーシーたちのポジティブ思考が満載。ストーリーを読むと、自然に頬が緩んで元気になれます。ちなみに、作品が飾ってあるケースにもご注目。スヌーピーの犬小屋スタイルになっています!ブラックなスヌーピーも…!『ニヤニヤがとまらない』では、歯をむき出してニヤッと笑うスヌーピーが登場。ウラがありそうなアヤシイ笑顔にも出会えます。スヌーピーは、ちょっとしたイタズラが大好き。本気の意地悪ではないのですが、おふざけしているときは、歯を出して笑っています。ときどき、短いセリフでブラックなジョークをボソッとつぶやくことも。グッズのキャラクターとして、癒し系のかわいいスヌーピーに見慣れている人は、ちょっとビックリするかもしれませんが、本来のコミックとしてのおもしろさを味わえます。スヌーピーは小説家!?続いてのコーナー、『ハッピー!ハッピー!ハッピー!』では、「いい仕事して、笑おう」というストーリーの原画などを紹介。小説家のスヌーピーが、いいものを書いたときの喜びの笑顔を見せています。『ピーナッツ』ファンにはおなじみかもしれませんが、スヌーピーは屋根の上でタイプライターを打ちながら小説を書いたりしています。文豪トルストイの名著『戦争と平和』の続きも打っているとか。犬であることを誇りに思いながら、犬小屋の屋根の上でさまざまな夢を見ているのです。続く『ついニコニコしちゃうしあわせ』のコーナーには、友情や小さな幸せなど、ほっこりするストーリーがいっぱい。スヌーピーをハグしたり、膝の上に乗せたりしている仲間たちと過ごす穏やかな日常の姿を描いた絵は、見ているだけで優しい気持ちになれます。スマイルの連鎖…最後は、『スマイルの連鎖』。毎日コミックを描き、いつもおもしろいことを考えていたシュルツ氏は、アメリカだけでなく世界中に笑いをひろめていきました。このコーナーには、キャラクターたちのハッピーな笑顔があふれています。いろいろな出来事がある今、特にこのコーナーは刺さります。『ピーナッツ』の世界に触れて、楽しく笑ってスマイルが連鎖していけば、みんなハッピーになれるはず。スヌーピーのストーリーは、大切なことを教えてくれます。企画展のあとに続く展示室には、スヌーピーの「ベリー・ハッピー・ホーム」が登場!ここも「映えスポット」です!ショップもかわいい!展示を見終わったら、ぜひ立ち寄りたいのが「ブラウンズストア」。チャーリー・ブラウンをイメージしたおしゃれな店内には、ステーショナリーや雑貨など、ここでしか買えないオリジナルグッズがいっぱい!2022年の今年は、チャールズ・シュルツ生誕100周年を記念した限定商品もあり、どれもこれも集めたくなります。特に心を惹かれたのが、箸置き。四足歩行タイプと、ニコニコ笑顔で背中を丸めたタイプの2種類あったので、ひとつずつゲット。どちらも本当に愛らしく、食事をするたび笑顔になれます。春のお出かけにぴったりなスヌーピーミュージアム。南町田グランベリーパークには、アウトレットモールやレストラン、映画館、鶴間公園などのアクティビティがあり、一日中楽しむことができます。ぜひぜひ足を運んでみてくださいね!© Peanuts Worldwide LLCInformation<スヌーピーミュージアム企画展『しあわせは、みんなの笑顔』概要>会期:~7月10日(日)会場:スヌーピーミュージアム時間:10:00~18:00(入場は17:30まで)観覧料:前売り一般・大学生¥1,800、中学・高校生¥800、4歳~小学生¥400当日券一般・大学生¥2,000、中学・高校生¥1,000、4歳~小学生¥600
2022年03月31日いまや私たちの日常生活から切り離せなくなったものと言えばソーシャルメディアですが、まもなく公開を迎えるオススメ作品は、その光と闇をサスペンスフルに映し出した注目のイラン映画『英雄の証明』。そこで、各国で高い評価を受けた話題作で主演を務めたこちらの方にお話をうかがいました。アミル・ジャディディさん【映画、ときどき私】 vol. 468イランの名匠アスガー・ファルハディ監督の最新作で、借金を返せなかった罪で投獄されている主人公ラヒムを演じているアミルさん。劇中では、ある出来事をきっかけに一躍“英雄”として注目されるいっぽうで、SNSによって広まった噂に翻弄されていく男の姿を見事に演じています。今回は、役作りの裏側や現場の様子、そして日本への思いについて語っていただきました。―まずは、本作への出演を決めた理由から教えてください。アミルさん一番は、やはりファルハディ監督の作品であったからですね。以前から彼とは一度仕事をしてみたいと思っていましたし、彼の演出からはいろいろなことを学べるだろうと感じたので、すぐに出演することを決めました。―とはいえ、ファルハディ監督といえば、イランが世界に誇る映画監督の一人なので、その作品で主演を務めることに対するプレッシャーもあったのではないでしょうか。アミルさんそれよりも、彼と一緒に仕事ができることがうれしかったですし、彼との現場を楽しみたいという気持ちのほうが大きかったので、特にプレッシャーのようなものはありませんでした。あとは、自分が演じるラヒムのキャラクターを気に入っていたというのも、大きかったですね。今回のように、監督も演じたキャラクターも好きな作品に参加できたのは、とても幸運なことだったと感じています。演じるのではなく、キャラクター自身を生きている―実際に現場を経験してみて、ほかの監督にはないような演出方法や印象に残っているアドバイスはありましたか?アミルさんイランにはとても偉大な映画監督が多いので、もちろん一人ずつ違いはありますが、ファルハディ監督の映画に出演して気がついたのは、演技に関して役者任せではないということ。自分で脚本を書いているからというのもありますが、役者にディテールまできちんと説明したうえで、僕たちの演技を非常に細かく見てくれる姿勢はほかの監督とは違うところかもしれませんね。僕自身、これまで細部まで気を配って役作りをしていると自分で思っていましたが、ファルハディ監督との現場を経て、より深いところまで考えるようになりました。―なるほど。今回はリハーサルに数か月もの時間をかけたそうですが、具体的にはどういったところに力を入れて役作りされていたのかお聞かせください。アミルさんカメラの前で行うリハ以外に、舞台となったシラーズの方言を覚えるため、僕はその土地で生活を送りました。実際にいろいろな話を自分で見聞きしたかったので、普通に暮らしている方々と友達になり、元看板職人であるラヒムと近い職業である大工やペンキ屋さんのところで数日間バイトをしたこともあったほど。とにかくラヒムというキャラクターを自分の体になかに入れたかったので、街のなかでさまざまな人からたくさんのヒントをもらうことを意識していました。―その過程で、苦労されたことや難しかったシーンはどのようなことでしょうか。アミルさんいま話したように、僕はキャラクターを自分の体のなかに入れて、その人自身を生きようとするタイプ。つまり、演じている意識はないので、「演じるうえでここが難しかった」というのは言えないんです。ただ、生きていればつらいときも楽しいときもあるものなので、そういう意味で大変だったのは、ラヒムの息子が父親をかばうためにある撮影に応じようとする場面。そこは、僕自身ではなくて、ラヒムとして一番つらい瞬間だったと思います。SNSで正義の意味が変わることは最悪のケース―心が引き裂かれるような非常に印象的なシーンでした。また、ラヒムという人物のとらえ方については観る人によって、英雄か、それともペテン師かにわかれると思いますが、アミルさんはどのように受け止めましたか?アミルさん僕はラヒム自身ですよ。ということは、自分で自分のことをペテン師とは言わないですよね(笑)。―確かにそうですね。劇中でも描かれているように、ラヒムという人物を判断するうえで大きく関わってくるのが、ソーシャルメディアの存在。ソーシャルメディアの登場によって、社会が求める正義や英雄像が変化しているのと感じることもあるのでは?アミルさんそうですね。ただ、ソーシャルメディアによって正義の意味が変わってしまうというのは、最悪なケースだと思っています。とはいえ、すでに僕たちの生活はSNSと深く関係していますから。正直言って、これはあまり喜ばしいことではないと感じています。―良くも悪くも、ソーシャルメディアには人生を変えてしまうほどの力があると思いますが、ご自身はソーシャルメディアとどのように付き合っていますか?アミルさん僕はもし自分が俳優ではなかったら、ソーシャルメディアとはまったく関わっていなかったかもしれません。でも、いまの人々がどういう考えを持っているのだろうかといったことを知ったうえで役作りをするので、いろいろな情報を手に入れるためにも必要とせざるを得ない状況ではありますね。そういう意味では、いまの僕にソーシャルメディアを非難するのは難しいと思います。日本はいつも心のなかにある好きな国―いよいよ日本で公開を迎えますが、日本に対しての印象を教えてください。アミルさん僕が出演している映画が東京国際映画祭で上映されたことはありますが、残念なことに僕はまだ日本には行ったことがありません。にもかかわらず、以前からなぜか日本のことは心のなかにあり、好きな国なので、日本に関するニュースなどはいつもチェックしているほど。日本のみなさんは、優しくて穏やかな方が多い印象なので、ぜひ日本を訪れたいと思っています。―ちなみに、日本でしてみたいことはありますか?アミルさん僕はもともと他国の文化を積極的に取り入れるようにしているので、日本に行ったら昔の文化が残っているところを訪ねてみたいです。あとは、偉大な黒澤明監督の国でもあるので、ぜひ日本の観客のみなさんの反応を見たり、いろいろな人と話したりしたいなと思っています。そして、最終的には、お寿司をたくさん食べたいですね(笑)。―ぜひ、お待ちしています!それでは最後に、日本の観客へ向けてメッセージをお願いします。アミルさんまずは僕たちが作った映画を観ていただき、みなさんがラヒムの目を見て、彼と関係を持っていただけることを願っています。そして、日本の方々の心にもこの作品が伝わってくれたらうれしいです。インタビューを終えてみて……。俳優だけでなく、テニスプレイヤーとしても活動しているため、忙しい合間を縫って取材に答えてくださったアミルさん。劇中の雰囲気とはがらりと変わっていたのも印象的でしたが、役に対する真摯な姿勢やファルハディ監督との充実した現場の様子が手に取るようにわかりました。いつか来日されたら、また日本での経験や印象などについておうかがいしたいです。緻密なストーリー展開に引き込まれる!諸刃の剣とも言えるソーシャルメディアが引き起こすリアルな現実と、それによって生まれる葛藤が観る者の心を震わせる傑作。イランならではの社会背景を見せつつ、現代を生きる私たちなら誰にでも起こりうる問題を突き付ける本作は、まさにいま観るべき1本です。取材、文・志村昌美ストーリー借金を返せなかった罪で投獄されている元看板職人で服役囚のラヒム。借金さえ返済すればすぐにでも出所できる状況のなか、彼の婚約者が偶然拾ったのは、17枚の金貨が入ったバッグだった。彼らにとって、それはまるで神からの贈り物のように思えたが、いつしか罪悪感を抱き始めたラヒムは、金貨の落とし主にバッグを返却することを決意する。すると、ささやかな善行がメディアで大反響となり、ラヒムは“正直者の囚人”という美談の英雄に祭り上げられていく。未来への希望に胸を膨らませているとき、SNSである噂が広まり、疑惑の眼差しを向けられたラヒムを取り囲む事態は一変しまうのだった……。胸がざわつく予告編はこちら!作品情報『英雄の証明』4月1日(金)よりBunkamuraル・シネマ、シネスイッチ銀座、新宿シネマカリテほか全国順次ロードショー配給:シンカ©2021 Memento Production - Asghar Farhadi Production - ARTE France Cinema
2022年03月30日2022年のアカデミー賞作品賞のほか、助演男優賞、脚色賞の計3部門を受賞した『コーダ あいのうた』。今年初めに行った、シアン・ヘダー監督の単独インタビューをお届けします(2022年1月20日配信記事)。『コーダ あいのうた』【映画、ときどき私】 vol. 448豊かな自然に恵まれた海の町で、耳の不自由な両親と兄と暮らす高校生のルビー。4人家族のなかで唯一耳が聞こえるルビーは、家族のために幼い頃から“通訳”となり、家業の漁業も毎日欠かさず手伝っていた。新学期に入り、ルビーは秘かに憧れるクラスメイトのマイルズと同じ合唱クラブを選択。ルビーに歌の才能があることに気がついた顧問の先生から、都会の名門音楽大学への受験を強く勧められる。ところが、ルビーの歌声が聞こえない両親は娘の才能を信じることができず、家業のほうが大事だと大反対。家族を選ぶ決断をした娘に対し、父は意外なある行動を取ることに……。2014年に製作され、大ヒットとなったフランス映画『エール!』をリメイクした本作。昨年開催されたサンダンス映画祭では史上最多受賞に加え、映画祭史上最高額となる約26億円で配給権が落札されたことでも大きな話題となりました。そこで、こちらの方にお話をうかがってきました。シアン・ヘダー監督本作の脚本と監督を務め、その実力が高く評価されているヘダー監督。今回は、取材を重ねるうえで得た気づきや手話から学んだこと、ろう者と作り上げた現場で感銘を受けた出来事などについて、語っていただきました。―最初は、脚本家として本作の依頼を受けたそうですが、監督も手掛けることになったいきさつから教えてください。監督私はもともと監督も脚本も手掛けるフィルムメイカーなので、脚本家として雇われた当初から監督もしたいという思いはありました。製作陣としては、私がどんな脚本を出すかで監督も任せるか検討しようと考えていたようですが。その後、脚本の出来に満足していただけたので、監督も任せてもらえることになりました。―この作品に惹かれた理由はどんなところですか?監督オリジナルの作品を観たとき、物語をより深く掘り下げるポテンシャルがすごくある作品だなと感じました。たとえば、家族の描かれ方やそれぞれのキャラクターをより立体的に描けると思ったんです。特にこの家族というのは、聴者とろう者の両方に属しているようで、両方ともに属していないような存在なので、そんな彼らの道のりをしっかりと見せたいと考えました。取材を通して、いろいろな発見があった―タイトルのコーダ(CODA)とは「Children of Deaf Adults」のことで、⽿の聴こえない両親に育てられた⼦どものことを指していますが、今回は実際にコーダと呼ばれる子どもたちにも取材を行ったそうですね。彼らと出会ったことで脚本に影響を与えた部分もあったのではないでしょうか。監督すごくいい質問なので、この話ができるのはうれしいです。脚本を書き始めたころ、まずはSNSや友人を通じてコーダの経験がある人たちを探したんですが、話を聞いていくと、人によってまったく違う経験もあれば、共通点もあり、いろいろな発見がありました。そのなかでも、興味深かったのは、大人同士の会話の通訳をしなければいけなかったので、まだ心の準備ができてない年齢からかなり大人な話題に触れなければいけないということ。彼らは早く大人になることを求められてしまうんですよね。ときには「どうして自分だけこんなに頼られなければいけないんだ」とコーダであることを重荷に思うこともあるそうですが、同時に「自分は家族にとってすごく重要な人間なんだ」という誇りも持っていると感じました。そういった彼らの心にある矛盾はおもしろいと思ったので、キャラクターにも反映させています。劇中でも描いているように、性的な話を何でもはっきり言ってしまう親がいる人や家のなかの音がうるさくて大変だったという人など、リサーチのなかでは笑える話もたくさん聞かせてもらいました。手話は人と人をつなげてくれる言語だと感じた―劇中では手話の持つ表現力の美しさも感じましたが、監督ご自身も手話を習得されたとか。実際に体験してみていかがでしたか?監督手話で話すときは、中身のない話をする余地がないように感じました。というのも、いまそこで起きている真実だけを話し、それを心から信じて伝えるので、社交辞令や沈黙が怖いから意味のないことを口にする、みたいなことがない言語というのが私の受けた印象です。あと、手話ではスマホを見ながら話したりできないので、人の目を見ながらでないと話せないという意味でも人と人とをつなげてくれる言語なのではないかなと。100%相手と向き合うこと、しっかりと考えてから自分の思いを伝えること、言葉の選択など、いろいろなことを手話から学びました。―なるほど。本作は超高額で配給権の争奪戦が行われたり、各賞レースでも有力候補として注目を集めたりしていますが、いまの状況をどう受け止めていますか?監督とにかくワクワクして興奮しています!今回の作品を通して、現場の作り方やコミュニケーションの取り方も変わりましたし、聴者とろう者が一緒になって作品づくりをする過程もとても誇らしく思っていたので。実は映画が完成した時点で、「私は人生で最高の経験をしてしまった」と感じていたので、そこがピークだと思っていたんです。なので、そのあとに起きたことは予想もしていなかったことばかりで、本当に奇跡のような出来事。こんなふうに評価をされ、作品がさらに成長していくとは思っていなかったので、いまはただ喜びでいっぱいです。うれしかったは、ろう者の俳優たちが評価されたこと―出演者のみなさんも、同じお気持ちだと思います。監督あとは、自分の作品に出てくれた俳優たちが称賛を受けているというのが、何よりもうれしいです。母親を演じたマーリー・マトリンは、オスカーの受賞経験がありながらいままであまり多くの機会が与えられていませんでしたし、父親役のトロイ・コッツァーと兄役のダニエル・デュラントもあまり知られていない俳優でしたから。いろいろな賞にノミネートされていて、感動しました。いままで苦労してがんばってきた彼らがこの作品で報われてよかったです。―本当に、素晴らしい演技でした。耳の聞こえない人の役は聴覚に障がいのある人に演じてほしいというのが、監督の当初からのこだわりだったとうかがっています。実際に彼らと現場をともにして、気づかされることもあったのでは?監督最初は、現場に手話の通訳を入れて彼らと話をする計画でしたが、初日の撮影をした際、彼らが私ではなくて通訳さんのほうしか見ていないことに気がつき、うまくつながれていないように感じてしまったんです。そこで、できれば通訳を介さずに進めたいと彼らに相談をしました。当時は私の手話もまだ流暢ではなかったので、表情や目を使ったり、お互いの体を触れ合わせたり、照明で合図をしたり、いろいろな形でコミュニケーションを取ることに。撮影を進めながらやり方を探していくような感じでしたが、それはとても親密なプロセスとなりました。彼らとは手話や言葉を使わなくても理解できるほどになったので、さまざまな発見とともに楽しい現場でしたね。自分が思うほど、他人との違いは大きくない―まもなく公開を迎える日本には、どのような印象をお持ちですか?監督実は日本にはまだ行ったことがないんですが、すごく行きたい場所のひとつではあります。日本の文化や食事が大好きなので、ぜひ日本を訪れてさまざまな経験をしたいです。―それでは最後に、日本の観客に向けてメッセージをお願いします。監督この映画では、ある家族を中心に描いているものの、普遍的な物語になっているので、ろう者でも聴者でも、誰でも共感していただける作品になっていると思います。あとは、この作品がきっかけで、ろう者の方々とコミュニケーションを取ってみたいと手話の勉強を始めていただく方が増えたらうれしいですね。いまの時代は自分と違うものに対する恐怖心が大きくなっており、他者とつながれないと感じている人も多いと思うので、この映画を通してそういった“バリア”を少しでも壊せたらいいなと。誰もが同じ人間で、同じような葛藤や家族の問題を抱えているものなので、自分が考えているほど他人との違いは大きなものではないというのも知ってほしいと思っています。家族の愛に、胸も目頭も熱くなる!理想と現実という名の“荒波”にもまれながらも、夢が広がる大海原へと飛び込む少女から勇気をもらえる本作。そして、家族がお互いを想う涙あり笑いありの愛には、誰もが魅了されてしまうはず。耳も心も虜にする美しい歌声とともに、爽やかな感動に包まれてみては?取材、文・志村昌美心が震える予告編はこちら!作品情報『コーダ あいのうた』1月21日(⾦)より、TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー※バリアフリー字幕版も上映決定(詳細はHPの劇場情報欄にて)配給:ギャガ© 2020 VENDOME PICTURES LLC, PATHE FILMS
2022年03月28日2022年のアカデミー賞で国際長編映画賞を受賞した『ドライブ・マイ・カー』で寡黙な専属ドライバーみさきを演じた三浦透子さん。作品の裏話を明かしてくれた、2021年夏の取材の模様をお届けします(2021年8月18日配信記事)。三浦透子さん【映画、ときどき私】 vol. 4042002年にサントリーのCMで“2代目なっちゃん”としてデビューしたのち、さまざまなドラマや映画に出演し、アニメーション映画『天気の子』ではボーカリストに抜擢されたことでも注目を集めている三浦さん。『ドライブ・マイ・カー』で三浦さんは、舞台俳優で演出家の家福悠介(西島秀俊)が演劇祭で出会う、寡黙な専属ドライバーみさきを演じています。そこで、現場での様子や本作を手掛けた濱口竜介監督の演出、将来の自分について語っていただきました。―以前、濱口監督作『偶然と想像』のオーディションに行ったことがきっかけで、本作のオファーがあったそうですね。お話があったときはいかがでしたか?三浦さん最初に脚本を読ませていただいたとき、みさきがとても魅力的な女性だと思いました。特に、相手に対して的確な言葉選びができるところや仕事に対する哲学がかっこいいなと。なので、この役を私にと思っていただけてとにかくうれしかったです。ただ、運転がものすごく重要な役にもかかわらず、免許を持っていない私にオファーするなんて、濱口監督はすごいなとも思いました(笑)。―その後、この作品のためにすぐに免許を取られたそうですが、大変でしたか?三浦さん撮影前にたくさん乗っておきたかったので、朝から晩まで毎日教習所で練習して、17日間でマニュアルの免許を取りました。けっこうハードでしたけど、すごく楽しかったです。―それはすごいですね。劇中では、見事なドライバーぶりを見せていましたが、ご自身は運転に向いていると感じましたか?三浦さん実は、もともと車はすごく好きで、ガソリンスタンドでバイトしていたこともありました。車内や運転の仕方に乗っている人の人間性が出るところがおもしろい。車が好きなだけに、運転が苦手だったらどうしようかと心配しましたが、乗ってみてもやっぱり好きだったのはうれしかったです。―ただ、劇中の車は左ハンドルなので、初心者には難しかったのでは?三浦さんそうですね。免許を取ったあと、練習用に左ハンドルの車を用意していただいたんですが、左ハンドルなのでどれも高級車ばかり。練習のためとはいえ、初心者マークをつけた高級車が走っているのは、周りの方は嫌だったかもしれません(笑)。初めてが多い現場で、西島さんの存在は心強かった―慣れない運転をしながら演技もしなければいけないという状況で、どのようなことを意識されていましたか?三浦さんマルチタスクをこなさなければいけない難しさはありましたが、私にとっては「それができるみさきはどういう人なんだろう」と考える作業こそが役作りに直結すると思いました。みさきは、顔を見なくても空間から相手のことを感じ取れる繊細な人。それを表現するのは難しかったですが、かっこよく運転している姿を見せることが、いちばんみさきを表すことに繋がると思ったので、運転には一生懸命取り組みました。―車のなかでは、西島秀俊さんとほぼ2人きりでの撮影が続いたと思いますが、共演されてみていかがでしたか?三浦さん西島さんはとてもフランクな方で、いつも笑顔でお話をしてくださいました。かと言って、準備と本番とでオンオフがあるわけではなく、リラックスしているときと集中しているときが地続きにあるような感じ。すごく不思議な方だなという印象です。それはこれまでいろいろな経験をされてきた西島さんだからこそのたたずまいだと思いますが、おかげで私は安心していることができました。今回一緒にお芝居をさせていただいて、すごく勉強になりましたし、とても心強かったです。―そのなかでも、印象に残っているやりとりなどもあれば、教えてください。三浦さん今回の現場では、私にとって初めてのことがたくさんありましたが、西島さんは細かいところで本当にさりげなく声をかけてくださいました。車のなかで西島さんと2人でいる時間もけっこう長かったですが、沈黙があっても緊張することなく、落ち着いていられたのも、劇中の家福とみさきの関係性に通じていたように思います。―そういうお二人の雰囲気は、スクリーンにも表れていたように感じました。三浦さんあれだけの狭い空間に2人だけでいるというのは、会話をしていなくても相手の存在を気にせざるを得ない状況。そんななかでも、緊張感が解けていく瞬間を感じることができました。それは家福とみさきの間にもあった瞬間だと思うので、実際に現場で体験できたのは大きかったです。濱口監督の書く言葉には覚悟があると感じる―そして、この作品は何と言っても脚本の素晴らしさがあると思いますが、三浦さんはどういったところに惹かれましたか?三浦さんまずは、セリフのおもしろさですね。一度読み出すと、最後まで手放せなくなるような緊張感がありました。その空気感は、完成した映画からも伝わってくる部分だと思います。これは特にみさきに感じたことですが、しっかりと思考してからちゃんと言葉を選んでいるところも、すごく印象的でした。言葉というのは、人を救うこともあれば、殺してしまうこともある、そういう恐ろしさがあると思います。良くも悪くも強い力を持っている。そういったことを濱口監督は普段から意識されているんだと思います。実際、濱口監督とお話していると、ものすごく丁寧に言葉を選んで話されているかがわかるので。ちょっと大げさに聞こえるかもしれませんが、濱口監督の書くセリフには、これは発するべき言葉である、という覚悟を感じるというか。キャラクターたちに魂を感じます。だからこそ、声にしたときに言葉の持つパワーに背筋を正されるような感覚があるのかなと。それでいて、すごく繊細で丁寧に私たちに語りかけてくれているような印象も受けました。―そういったところも、世界で評価された理由かもしれませんね。ご自身が役作りで特にこだわったのはどのあたりでしょうか?三浦さんこれまでの役だと、わからないことをわかるようにする作業を通して役に近づこうとしていましたが、みさきには共感できる部分ばかりで、わからないことがないような状態でした。極端なことを言うと、することがないと思ったくらい。でも、撮影の前に濱口監督ともその話をしたら、それでいいですと。「特別なことはしなくていいので、ただ運転の練習だけしてください。それがみさきの役作りです」と言われました。なので、とにかく運転練習を一生懸命やりました。いま思えば、運転している最中に考えていたことがみさきへの理解にもつながっていたと思います。原作の魅力がきちんと残った作品に仕上がった―現場では、濱口監督ならでは演出などもありましたか?三浦さん映画のなかでも、感情を入れずに淡々と読んでいく“本読み”という作業をしていますが、実際の現場でも行なっています。こんなにも本読みに時間を使うことは、私にとっては初めての経験でした。濱口監督は、「その声で語られるだけで、心を動かされる。そんな声がある。役者からそういう声で台詞を聞きたい」とおっしゃっていました。本読みはその声を探す時間だったと思います。みんなでその“音”を探しているような感覚。とても不思議で素敵な体験でした。濱口監督の現場じゃないと味わえないものだと思います。―そんな時間を過ごすなかで、忘れられない監督の言葉もあれば、教えてください。三浦さん監督と話していて興味深かったのは、「歌はメロディも歌詞も決まっているけど、そのままを何度歌っても人の心を動かすことができる。セリフでもそれができると思う」と言われたことです。その言葉を聞いたとき、私のなかではすごくしっくりくるものがありました。濱口さんの演出には新鮮で驚く部分も多い反面、点と点が繋がるような瞬間もあってとても楽しかったです。―原作者である村上春樹さんの作品の魅力については、どうお考えですか?三浦さん私が村上春樹さんの作品と出会ったのは中学生くらいの頃で、短編集の『レキシントンの幽霊』が最初でした。そのあと長編もいくつか読ませていただきましたが、村上さんの作品は、自分に対する深い考察を感じるというか、キャラクターの心の中に沈んでいくような感覚になります。最初はそういった部分をどうやって映像化していくんだろうとか、ファンの方々に自分のみさきがどういうふうに受け取られるんだろうかと心配もありました。設定も原作とは変わっていますし、追加された部分も多いので。ただ、できあがったものを読むと、原作にある言葉の緊張感や匂いといった小説の魅力がちゃんと脚本にも残ってるどころか、むしろ増幅しているようにすら感じました。村上さんの文体と濱口監督の文体のマリアージュもとても魅力的でした。数字と触れ合うと気持ちがリセットできる―これから観客のみなさんの反応も楽しみですね。現在は、女優としても歌手としても活躍されていますが、今後チャレンジしてみたいことはありますか?三浦さん実は、私はこの歳でこういうことをしたいとか、こうなりたいみたいなビジョンがまったくないタイプなんです(笑)。だからこそ、思ってもいなかったことにも挑戦できるのかなと。私が歌を歌うことになるなんて、昔の私は想像すらしていなかったと思います。そういう意味では、これからもいまの自分が想像できない何かをやっていけたらいいですね。―では、プライベートでやってみたいことは?三浦さんこれはかなり先の話になりますが、おばあちゃんになったら近所の子どもたちに勉強を教えたりしたいなと、ぼんやり考えています。以前、家庭教師のバイトで小学生に算数を教えていて、それがすごく楽しかったので。―そのために準備していることもありますか?三浦さんセンター試験の問題を解いてみたりとか、勉強はするようにしています。―すごいですね。そんな多忙の日々で素に戻れる瞬間といえば?三浦さん素に戻れるというのとは違いますが、数字と触れ合っているときは頭の中をリセットできる時間だと思います。余計なことを考えずにいられるので。頭は使っているんだけれど無というか。考えているけど考えていないみたいな感じ。―意外な一面を教えていただき、ありがとうございました。それでは最後に、ananweb読者にメッセージをお願いします。三浦さんこの作品を観ると、もしかしたらみさきは苦しく見えるかもしれません。でも、人との関わりのなかで傷ついた経験を持つ彼女が自分の人生をポジティブに捉え、仕事も含めて誇りを持って生きて行こうとする姿を見るだけで私には感じるものがありました。みなさんにも、ぜひみさきのかっこいい生き様を感じてもらえたらと思います。インタビューを終えてみて……。劇中のみさき同様に、ミステリアスな雰囲気をまとっている三浦さんですが、話し始めると明るい笑顔が印象的で、その魅力に心をわしづかみにされました。先のことは決めていないという三浦さんだけに、これからどんなふり幅で私たちを魅了してくれるのか、ますます楽しみです。唯一無二の物語が魂に訴えかける秀逸な脚本に、俳優陣の見事な演技が重なり、圧倒的な力で観る者を引き込む本作。孤独と秘密を抱えた男女が葛藤の先に見つけた再生の道は、誰にとっても希望を与えてくれるものとなるはずです。さまざまな感情が渦巻く忘れがたい経験は、ぜひ劇場で体感を。写真・北尾渉(三浦透子)取材、文・志村昌美ヘアメイク・秋鹿裕子(W)、スタイリスト・白山春久ベロア素材のシャツ¥36,300/ロク(エイチ ビューティ&ユース 03-6438-5230)、2タックパンツ/マメ クロゴウチ(www.mamekurogouchi.com)ショートブーツ¥85,800/アクネ ストゥディオズ(アクネ ストゥディオズ アオヤマ 03-6418-9923)、右耳につけたシルバーイヤーカフ¥22,000/ラッツェル アンド ウォルフ(ザ・ウォール ショールーム 03-5774-4001)、左耳につけたシルバーイヤーカフ¥93,500/ラッツェル アンド ウォルフ(アディッション アデライデ 03-5786-0158)、右耳につけたシルバーイヤーカフ¥16,500/フェノメナ コレクション(ザナドゥ 東京 03-6459-2826)、シルバーチェーンネックレス¥77,000/ララガン(ララガンデザイン/info@ralagan.com)、パールのついたチェーンネックレス¥107,800/ソフィーブハイ(バーニーズ ニューヨーク カスタマーセンター 0120-137-007)、シルバースネークチェーンネックレス¥13,200/カルペディエム(カルペディエム/シルバーチェーンブレスレット¥52,800/ジジ(アパルトモン 青山店 03-5778-4919)、シルバーリング¥35,200/アン バイ トモヨ ヨシダ(アン・デザインズ/info@un-designs.com)ストーリー舞台俳優で演出家の家福悠介は、愛する妻・音と満ち足りた日々を送っていた。ところが、音は家福にある秘密を残したまま、突然この世からいなくなってしまう。それから2年が経ち、演劇祭で演出を任された家福は、愛車のサーブで広島へと向かうことに。そこで家福が出会ったのは、寡黙で優秀な専属ドライバーのみさき。喪失感を抱えたまま生きていた家福は、みさきと過ごすなかであることに気づかされていく……。引き込まれる予告編はこちら!作品情報『ドライブ・マイ・カー』8月20日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー配給:ビターズ・エンド©2021『ドライブ・マイ・カー』製作委員会写真・北尾渉(三浦透子)
2022年03月28日1児のママでもあるライター・かわむらあみりがお届けするコラム【ママライフばんざい!】連載第38回は、仲良くなれそうでやっぱりなりたくないというママのエピソードをお届けします。1.やたらと意見を合わせてくるママ友【ママライフばんざい!】vol. 38お子さんのいる家庭では、何かしらママ同士の交流がありますよね。もちろん明らかに悪態をつくようなママ友はNGですが、じわじわと違和感を覚えてしまうようなちょっと合わないママ友も存在します。今回は、そんな一見仲良くなれそうでなれないママ友の特徴をご紹介します。学生時代から、なぜかグループを作りたがるタイプの人って、いますよね。ひとりで行動できないわけではないのでしょうが、例えママになったとしてもその手の女性は、ママ友同士でもなるべくたくさんのママたちと一緒にいたがることが多いのです。ママ友グループでたわいもない話をしていると、「うんうん、そうね」と、他のママ友の話にその都度肯定的なあいづちを打つママ友がいました。誰の意見にも「わかるー!」と共感する返事をしているようで、「じゃあどう思うの?」と聞くと、とくに自分の意見はないのだそう。そのママ友を見ていると、どうやら“とりあえずまわりに合わせておけばそれでいい”という、本当の意味での共感ではなく、ある意味投げやりな意味での意見合わせなんだな、とすぐバレてしまうのです。こちらが発言したことになんでも「いいよ」「そうだね」「わかるー!」としか言わないなんて、なぜでしょう。まわりのママ友たちのおしゃべりの気力を削いでしまうため、一見仲良くなれそうなのに、深入りできないママ友ともいえます。2.子どもそっちのけで平気なママ友よくあるのが、幼稚園の帰り道に一緒になるママ友同士で近くの公園へ行って、子どもたちだけで遊ばせておいて、ママ同士は子どもそっちのけでペラペラとおしゃべりに夢中になっているということ。日頃、家事や育児でストレスが溜まることもあるでしょうから、ストレス発散になっていいのかもしれませんが、まだ幼い子ども同士、いつどんな動きをするかわかりません。案の定、子ども同士でケンカになったり、思わずぶつかったり、「ママ〜!」と泣いて呼ばれて初めて、子どもの異変に気づくママ。なかには、それさえスルーして、ママ友に「子どもが呼んでるよ」と注意されてハッとするという、自分のことしか考えられないママもいます。ときどきとりあえずママ友交流の場に参加すると、やっぱりいるんですよね、子どもは放っておいて平気なママ。そんなママにつかまったらもう大変。こちらは子どもを放っておいても平気ではないため、相手の能天気さに引いてしまいますが、日頃の付き合いの手前ハッキリ言うこともできず。なかなか疲弊してしまうママ友グループの付き合いは、ダメージ大なのです。3.自分の話をしたがるママ友みんながみんな気の合う人たちばかりじゃないとわかっていても、大人になると、仕方のない付き合いって、出てきますよね。ママ友の中には、強力にマイペースなタイプもいます。そう、自分のことばかり話したがるママ友もそうです。そんなタイプのママ友と一緒にいなくてはいけないときは、ふたりでいて、ひたすら聞き役にまわって、キリのいいところで「そろそろ夕飯の用意が…」と退散。ママ友グループで集まっているときは、さすがに自分の話ばかりする時間もないかと思いきや、自我が強いママ友は、人数の多さにひるみません。そこに何人ママ友がいようとも、時には人の話を遮ってまで「それでうちの場合はねー」とか、「ねえねえ聞いてよぉ」と、割り込んで話に入ってくることもしばしば。付き合わされるこっちの身にもなってくれ…と、ウンザリしてしまうのでした。一見、親しみやすそうに思えて、絶対に距離を縮めたくないママ友。そんな人に会ったら、全速力で距離を取りましょう!わずらわしいことに巻き込まれず、みなさんが心穏やかに、すてきなママライフを送れますように。文・かわむらあみり©monkeybusinessimages/Getty Images©SolStock/Getty Images©Westend61/Getty Images
2022年03月25日3月もさまざまな話題作が並ぶなか、どれを観たらいいのか悩んでいる人もいるのでは?そこで今回は、大人の女性にオススメしたい注目の1本をご紹介します。『親密な他人』【映画、ときどき私】 vol. 467行方不明になった最愛の息子・心平を探しているシングルマザーの恵。ある日、息子の消息を知っているという20歳の謎の青年・雄二から電話が入り、呼び出される。雄二から心平の持ち物を渡された恵は、不審に思いながらも、マンガ喫茶に寝泊まりしているという雄二を自宅に招き入れることに。やがて二人は親子のような、恋人のような不思議な関係になっていく。しかし、雄二には隠された目的があり、恵もまた誰にも言えない秘密があった。だまし、だまされた果てに見つけた衝撃の真実とは……。幅広い作品で唯一無二の存在感を放ってきた女優・黒沢あすかさんと、映画やドラマへの出演が絶えない注目の俳優・神尾楓珠さんの共演でも話題となっている本作。そこで、こちらの方にお話をうかがってきました。中村真夕監督『ハリヨの夏』で監督デビューしたのち、ドキュメンタリー映画などを手がけ、国内外で高く評価をされてきた中村監督。今回は、初のサスペンス映画となった意欲作に込めた思いや完成までの苦労などについて語っていただきました。―長編劇映画の公開は久しぶりとなりますが、制作の過程について教えてください。監督資金面などで時間がかかってしまったのでこのタイミングとなりましたが、企画自体はずっと温めていたものでした。メインストーリーはあまり変わっていないものの、設定をコロナ禍に書き直したので、親密になることが怖い時代が背景になったことでテーマがより強調されたように感じています。結果的には、いま制作できてよかったのかなと思っているところです。―本作のきっかけとなったのは、イギリスとアメリカで14年間を過ごした監督が帰国した際、日本人の母親と息子の関係性に驚いたことだったとか。監督久しぶりに日本に戻ってきたとき、18歳になったら家を出て行けという欧米に比べて、母親の息子に対する執着や愛情の度合いがまったく違うと感じました。これは日本だけでなく、韓国や中国でも見られることなのでアジア的な考えなのかもしれませんが、母と娘にはない不思議な関係性だなと。そして、それを象徴しているのが、日本で多いオレオレ詐欺。男の子が大事にされている社会だからこそ、こんなにも簡単にだまされてしまうんだろうなと思いました。実際、娘を装ったワタシワタシ詐欺って聞かないですよね。大人の女性が観たい映画を作りたかった―確かにそうですね。そのほかにも、何か参考にされたものはありましたか?監督ここ数年、一組の母親と息子が世間をにぎわせていたと思いますが、実はその“Kさん親子”にも私は注目していました。特に興味深いのは、お母さんのほうですが、息子を通して自己実現を図ろうとしているところがありますし、清楚な奥さまの格好をしているようでちょっと色っぽさもある。そういうところが叩かれている部分でもありますが、おもしろい人だと思いました。今回、恵の衣装を決めるうえでも、彼女の写真をいくつかプリントアウトして、「こういう感じにしてほしい」とスタッフにも相談したほど。それを受けて、外出するときは青山にいるマダムのような服を着ているけれど、家のなかでは女らしいセクシーな格好にしてもらいました。―ということは、いまだからできた部分も多かったと。監督確かに、コロナ禍とKさん親子が合体してできたところはありますね。あと、中心にあったのは「女性は妻となり、母となったら女であることを捨てなければいけないのか」という私が以前から抱いていた疑問。本作のように親子ほど離れた年上女性と若い男性の間にエロティックな要素があると、「気持ち悪いからエロは抜いてください」と言われたこともありましたから。でも、女性が妻や母となったら女であってほしくないという考えは、男性の独りよがりなのではないかなと私は思っています。おそらく男女が逆だったらそんなことは言われなかったでしょうが、資金を出してくださるサイドには男性が多いので、大人の女性を主人公にした企画を通すのが難しいのが現状です。いっぽうで、若い女性に好かれる年上男性を描いた“おじさんの妄想映画”のような作品はいまでも多い印象ですが……。そういったこともあって、今回は大人の女性が観たい映画を作りたいという思いが強くありました。女性が自分を活かしきれない世の中にも問題がある―そういった社会の風潮も、母親や息子に依存してしまう理由につながっているのでしょうか。監督母親が息子を恋人のように見たり、子どもを通して自己実現しようとしたりするのは、女性が自分たちを活かしきれていない世の中に生きていることの裏返しなのではないかなと考えています。日本だと女性が性的に魅力的なのは30代前半くらいまで、みたいな空気がありますよね。でも、いくつになっても女性としての魅力を男性たちがきちんと認めてくれていたら、こういったいびつな感じにはならないのではないかなと。決して男性だけのせいにしているわけではありませんが、社会の構造的にそうなっている責任は大きいと感じています。―劇中では、女性が内に秘めている女の部分を恵の下着やペディキュアの色でも表現されていたように感じましたが、意識された点があればお聞かせください。監督そこはすごくこだわりましたね。コロナ禍の影響で変更しなければいけなくなってしまったのですが、実は撮影をする直前まで恵は看護師の設定だったんです。その際に行っていたリサーチで、看護師さんたちは表に女らしさを出せない代わりに、意外と派手な下着をつけているらしいという情報を聞いたので、それを使いたいなと。先ほどのKさんのお母さんともつながっているところですが、一見おばさんのようで実は“魔性の女”みたいな人物がおもしろいと思ったので、そのあたりは細かく作り上げていきました。女性のアイディアがたくさん入った作品となった―また、家電の無機質な音や部屋の装飾なども、効果的使われていたと思いますが、そこにもメタファーがありますか?監督まず部屋や押し入れのイメージは、恵の子宮です。そのうえで、そこに入ってしまったらもう戻れなくなるような感じを出したいと思いましたし、洗濯機や換気扇から出る暴力的な音は部屋が彼女の狂気を秘めた空間になるように入れました。ほかにも、部屋のなかに変わったカーテンがあるのですが、あれは婦人科の検査台に使われているカーテンからインスピレーションを得たもの。欧米の婦人科ではああいったカーテンを見たことがなく、恥じらいのある日本ならではだなと驚いた経験があったので、ぜひ使いたいなと。今回は、衣装も美術も女性が担当しているので、女性のアイディアがたくさん入った作品になっていると思います。―観客に委ねる展開を多く取り入れているのは、最初から決めていたことですか?監督そうですね。私のなかではすべて答えがありますが、見えないからこそ怖いというのがあるので、そういった部分を楽しんでいただいきたいなと。劇中では、開けてはいけない箱を開けてしまうシーンがありますが、そこもみなさんのご想像にお任せします。―確かに、かなり想像力を掻き立てられました。そして何と言っても、恵を演じた黒沢あすかさんが非常に素晴らしかったです。キャスティングの決め手となったものは?監督脚本を開発している過程では、これを演じられる女優さんがなかなか思いつかずに悩みました。そんななか、過去作で見た黒沢さんは多面性があり、おばさんにも妖艶にもなれる本当に稀有な存在だなと。実際に黒沢さんと会ったときには、「この人だ!」と感じました。ちなみに、フランスではイザベル・ユペールさんが68歳でもセクシーな役を演じていますが、日本の女優さんたちは年齢を重ねると良妻賢母を求められるような役柄ばかりだとか。そういったこともあって、黒沢さんにはフランス人女優のような存在になってほしいと思っています。妻や母になったからといって女を捨てる必要はない―それとともに、大人の女性たち向けの作品ももっと増えていってほしいですね。雄二役の神尾さんに関しては、どのような演出をされましたか?監督今回難しかったのは、演技派の神尾さんでも30年以上のキャリアを持つ黒沢さんと比べると、どうしてもレベルの違いが出てしまうということ。そこで、その差を埋めるために神尾さんにはアクティングコーチを付けて、彼だけリハをがっつりとさせていただきました。忙しいなかでも基礎トレーニングからしっかりと取り組んでくれたので、かなり変わったと思います。―そのあたりも注目ですね。それでは最後に、これから観る方に向けてメッセージをお願いします。監督昨年、この作品を東京国際映画祭で上映した際、邦画には大人の女性が観たいと思う映画が少ないという声が上がりました。以前から男性監督が描く女性が“刺身のつま”のように感じることがあったので、私はしっかりとリアルに描きたいという思いを持って映画を作っています。年を重ねた女性がセクシーでいることをバッシングするような社会って何だろうと思いますし、女性も妻や母になったからといって女であることを捨てる必要はないはずです。大人の女性が持つ女としての魅力や母性の持つ怖さなど、女性にはいろいろな顔があることをこれからも描いていけたらいいなと。大それたことを言うようですが、そういう意味で邦画を変えていけるような映画をもっと作っていきたいです。親密な空間へと引きずり込まれていく!母親の内に秘めた愛情と狂気に鋭く迫り、女性の持つ多面性を見事に描いた本作。独自の視点から現代社会を見つめ続けてきた中村監督だからこそ生み出された大人の女性による、大人の女性のための必見作です。取材、文・志村昌美胸がざわつく予告編はこちら!作品情報『親密な他人』ユーロスペースにて公開中ほか全国順次公開劇場情報はこちら『親密な他人』トークイベント スケジュール3月24日(木)16:15の回上映上映後ゲスト:瀬々敬久さん(映画監督)、中村真夕監督3月25日(金)16:15の回上映後ゲスト:尚玄さん、中村真夕監督3月26日(土)16:15の回上映後ゲスト:ジェイク・エーデルスタインさん(ジャーナリスト・「TOKYO VICE」原作者)、中村真夕監督*英語字幕版上映( with English subtitle)3月27日(日)16:15の回上映後ゲスト:黒沢あすかさん、中村真夕監督配給:シグロ©2021 シグロ/Omphalos Pictures
2022年03月23日現在ヨーロッパ在住のファッションジャーナリスト、平野秀美さんのファッションスナップレポートです。本日は、やっぱり手に入れたい、春にピッタリのミニバッグのコーディネイトをご紹介!必要最低限の荷物だけでOK!ミニバッグ人気はいまだ続いています。様子を見ていた人も、そろそろ手に入れてはいかが?ここイギリスは、現金を持ち歩く必要がほとんどないので、ミニバッグは携帯やちょっとしたコスメアイテムだけ入れば十分かも。最近のおすすめは、個性豊かな形のミニバッグミニバッグと言っても、ここ数年で一気に人気に火がついた感じですよね。種類も以前よりも多く、形や色、素材も選び放題!写真のような正方形のボックス型バッグもあるんですね。でもちょっと使いにくそう!?ハンドバッグとしても、ウェストバッグとしてもミニバッグは、そのサイズがゆえに、ベルトをつけてウェストバッグのようにすることも可能!やはり手ぶらは楽ですよね!ミニバッグは、重ね掛けも可能!?私の大好きなスタイルはこちら!バッグの重ね掛けって斬新だけどありかも?!と思わせてくれるスタイル。色使いといい、全体的なバランスが最高にクール!やっぱりバレンシアガのミニハンドバッグが大人気!今まで紹介してきたミニバッグよりは少し大きめですが、これくらいのサイズなら、財布や携帯も入りますよね。最近は必要なものだけ持ち歩くスタイルが多い印象です。いかがでしたか?女性は荷物が多いなんてことはもうない!?ミニサイズが登場してからは、必要なものだけ持ち歩く方が楽だと気づくことも多いかも。いろいろなデザインがあるので、自分好みのスタイルをぜひ探してみてください!写真、文・平野秀美
2022年03月20日婚活で約1000人の男性と出会い、年下夫を射止めたライター・かわむらあみりがお届けするコラム【結婚引き寄せ隊】連載第104回は、付き合ってはいるものの、なかなか結婚へと進まないじれったい男性と付き合ってしまうNGカップルの特徴をお届けします。1. なかなか結婚を言い出さない男【結婚引き寄せ隊】vol. 104気になると人と恋が進展し、やっと付き合えてうまくいっているはずなのに、あれれ?と思っている間に、女性が望む結婚が遠のいていたという話は少なくありません。筆者のまわりのカップルを見ても、そもそも女性側は感情移入しやすく、男性側は合理的な考えをしがち。もちろん性格によってもさまざまな対応をする男性がいるわけですが、こういうタイプの彼氏は困ったものです。「すぐにでも結婚したい!」と思うほど好きな彼氏なのに、なかなか向こうからは結婚を言い出さない男性も存在します。付き合い始めならまだしも、ある程度長く付き合っていると、自然と将来の話をしたくなるもの。ですが、思い切って女性のほうから結婚を切り出してみても、あまりピンと来ていない様子だったりするのです。それも彼氏が「ちゃんと考えてるから」などと、経済的にしっかりしてから、結婚を計画立てているようならまだいいのですが、「まだ将来のことは考えられないから」などと、まるでふたりの関係が“これ以上は進展なし”とする態度の彼氏もいて、彼女としては頭が痛いところ。少しでも結婚を考えている男性なら、口や態度に出すこともあるでしょうが、自分からは結婚のことについて言い出さない男性とは、恋自体も長く続かないかもしれません。2. 同棲はしたいけど先がない男なんとなくノリで同棲することになったのか、経済的にどうしようもなくて一緒に住むことになったのか、どちらかが頼み込んでそうなったのか。どんな理由があるにしても、同棲したがるような男性は、楽をしたいタイプが多いようです。でも、女性側としては、「一緒に住んでるんだからもうこっちのもの」ぐらいに勘違いしてしまうタイプもいて、実際のところ同居人という立場ながら、もう妻になったようなつもりで振る舞ってしまう人も。そうなると、男性側としては結婚しなくても、結婚生活が透けて見えてきてしまうため、まったく新鮮味が感じられません。そもそもカジュアルに一緒に住むような男性は、もともと結婚のような責任感が伴うことは荷が重すぎて、及び腰になってしまう場合も。そんなタイプだからこそ、彼女が掃除や洗濯までなんでもやってくれればくれるほど、便利な存在としか思えなくなることだってあるようです。彼女がもし結婚願望が強いのなら、この手の彼氏とは別れて、自立して一人暮らしをして、本当に自分を幸せにしてくれる男性を探したほうがいいでしょう。3. 結婚話をするわりに親に会わせない男長く付き合っていると、普通なら、結婚話が出てくることだってあるはず。なかなか結婚のことを口に出さない彼氏に失望する状況とは違うものの、結婚話をするわりに、現実的にまったく話が進展しないという場合もあります。まるで軽口をたたくかのように、あっさり結婚話をしてくるわりに、その気がないように感じる彼氏は、その通り真剣ではありません。もとより結婚だとか、恋愛についても、ちょっといい加減なところがあるのかも。もしくは、すでに現状に満足してしまっているため、いつかそのうちに……という気持ちがまったくないわけではないものの、それ以外のことのほうが優先されてしまうんです。本人たちの意思が一番ですが、結婚となると親との付き合いもあるため、親に会うという機会が必ずあるはず。ですが、彼女が頼んでも親に会わせない彼氏は、自分優先か結婚が面倒なタイプなので、どこかのタイミングで見切りをつけたほうがベスト。恋愛するだけでよければ、いろいろなタイプの男性でもいいのかもしれませんが、きちんと結婚を見据えたお付き合いがしたいなら、付き合ってからの様子も見極めましょう。くれぐれも、みなさんが未来ある恋ができますように。文・かわむらあみり©jacoblund/Getty Images©PeopleImages/Getty Images©PeopleImages/Getty Images
2022年03月18日現在ヨーロッパ在住のファッションジャーナリスト、平野秀美さんのファッションスナップレポートです。本日は、ロンドンっ子も大好きなワイドデニムパンツを特集します。やっぱり着こなし方がおしゃれ!ワイドデニムパンツがこんなに上品に!ワイドなデニムとなると、60年代70年代のスタイルのような印象を受けますが、実はこの方のように着こなし方によって、こんなにもトレンディで上品になるんですね!そして、この方のワイドパンツ、かなり幅の広いもので、通常は着こなしが本当に難しそう。ロングコートにアンティークなデザインのシャツで、パーフェクトな着こなし!古着を上手にコーディネイトするロンドンっ子古着ファッションを着せたら、一番おしゃれに着こなしてくれそうなロンドンっ子。サングラスからコートまで、バッチリ決まった70年代風スタイル。長すぎるデニムを、厚底で上手に工夫!トレンディでかっこいいスタイルカジュアルに見えるデニムを、人気ブランドの小物やトレンディなボンバージャケットなどと合わせて着こなすのもいいかも!?ヘアスタイルからトレンドを意識した動きやすいスタイル!スタイルを良く見せる参考スタイル!まさに、この方のスタイルは、スタイルを一番良く見せる方法を知っているかのように、小物や洋服を上手に使っています。ワイドパンツとの相性の良い厚底シューズは、ご存じのように脚長効果を生み出してくれ、さらにトップスを短くすることで、腰の位置が上がって見え、引き締まって見えます。ここまでやってしまうかと思うくらい、小物使いも上手!ここでベレー帽を使用することで、ファッション全体に作りたかった雰囲気を完成させています。色を使って、ワイドパンツという古い印象を一新!さすがインフルエンサーファッション!上手に色を使ったこちらのスタイル、パンツも個性的ながら、シューズからジャケットまで、ピッタリ合った色使いが上手。リップのカラーまで完璧に見せてくれてます。いかがでしたか?ワイドパンツはなかなか手が出しにくいファッションアイテムの1つ。しかしロンドンっ子は上手に、上品にもトレンディにも着こなしていました。ぜひ参考にしてみて下さい。
2022年03月18日