婚活で約1000人の男性と出会い、年下夫を射止めたライター・かわむらあみりがお届けするコラム【結婚引き寄せ隊】連載第112回は、頼りがいのある先輩だと思っていたら酔っ払うとスケベ心丸出しで近づいてきてゾッとした話をご紹介します。1.手をつないでくる上司【結婚引き寄せ隊】vol.112プライベートで出会いを探しながらも、もしかするとオフィシャルな場所でも、運命の人に出会う可能性がないとは言えません。たとえ恋愛感情ではないとしても、人として気が合うか合わないかといった相性のようなものはありますよね。ある女性は、職場でわからないことがあるとすぐに教えてくれて、優しくフォローもしてくれるクールな上司のことを尊敬していました。上司と部下という関係性ながら、息の合ったふたりは、職場における相性がよかったのです。あるとき部署で送別会が開かれ、その上司はけっこうお酒を飲んでいましたが、いつも通りクールな印象はそのままだったので、そんなに酔っ払っているようには見えませんでした。いざお開きになって、帰り道で女性と上司がふたりきりになったそのとき、びっくりすることが起こったのです。上司が無言でその女性の手を握ってきて、とっさに女性が手を離そうとしても、何も言わずひたすらキツく手を握り離そうとしない上司。いつもと違う上司の様子に怖くなった女性でしたが、上司はとくに甘い言葉を吐くわけでもなく、ただひたすら手を握り、チラチラと女性を見てはニヤニヤ…。しばらく手をつながれた状態だったものの、なんとか振り払って逃げるように帰宅。翌日、何事もなかったかのように仕事をする上司の態度を見て、尊敬の気持ちもサーっと引いたのだとか。果たして、酔っ払っていたのか、なんだったのか…モヤモヤしながらも「怖くて近づけない」と困惑していたのでした。2.紹介しろと言う上司顔の広いある女性は、前の職場の仲間が開いた飲み会に呼ばれ、参加しました。するとそこには、以前の同僚たちとともに、ときどき仕事を一緒にしたことのあった“ジェントルマン”だと周知されていた上司も出席。久しぶりの顔が集まり、お互いに近況報告などをし合って楽しい飲み会が続いていたそうです。みんなほどよく酔っ払い、二次会に行くことに。その道中で、びっくりすることがありました。上司から、「誰か知り合いにイイ女の子いない?」と、「誰か紹介してよ」と言われた女性。でも、突然の依頼に頭がついていきません。だって、その上司は“ジェントルマン”のはずで、女探しをしているなんて驚くとともに、何よりも既婚者だったのです。その女性は、つまりは不倫相手を紹介しろと言われたのか…? とゾッとして、偽ジェントルマンの呼びかけは聞こえなかったことにして、その場を切り抜けたそうです。それにしても、同じ職場じゃなくなったら、本性出してくるなんてと嘆いていたのでした。3.家までついてくる上司ある女性は、会社で今とは違う部署に異動したいと考えていて、希望する部署の人たちと仲良くなり、あるとき飲み会に呼ばれて参加していました。くだけた雰囲気の飲み会で、仕事のリサーチをしようと思いながらも、憧れの部署の飲み会でつい飲み過ぎて電車を逃し、タクシーで帰ることになったそうです。すると、既婚者の上司は女性に「帰りも家が同じ方向だし心配だから送っていくよ」と声をかけ、希望する部署の上司だし無下にもできないしとタクシーに同席することに。いざ女性が、家のあるマンションの前でタクシーを降りると、なぜか一緒にタクシーを降りる上司。戸惑う女性に上司は「心配だから部屋までついていくよ」と言い出し、しまいには「部屋に入れてくれるよね?」と言われギョッとして、一気に酔いがさめたそうです。「ここまででけっこうです」「いや部屋に行くよ」というやりとりを繰り返し、マンションの前までは来たものの、部屋番号までは上司に知られたくなくて、マンションの前の道で押し問答をしながら、気づくと夜明けだったのだとか…。さすがに諦めて上司は退散したそうですが、根負けせず部屋に入れなかった女性に拍手を送りたい心境になりました。いつもは頼れる存在だと思っていても、実は裏の顔がある場合もあるかもしれません。いろいろな男性に遭遇しながら見る目を養い、自分にとって一番心地よいパートナーをつかめるといいですね。文・かわむらあみり©bulatovic /Getty Images©AaronAmat /Getty Images©PeopleImages /Getty Images
2022年06月08日ふだん何気なく使っている略語やカタカナ語の由来など、意外と知らない外国語の雑学をご紹介。今回は、卑俗なイメージが強いあの言葉に迫ります!あの言葉の由来は…?セクシーなことや性的魅力があることなどについて使う言葉「エロい」。こちら、もともと何語でしょう?この俗語の由来は、英語のerotic(またはeroticismなど)。語頭にある「ero-」の部分を形容詞化したものです。英和辞典に載っているeroticのおもな意味は、「性欲をかきたてる、好色の、性愛の」。ほぼ、日本で使われているのと同じです。語源は、キューピッド!?さらにeroticの語源を調べていくと、ギリシャ語のErōs(エロス)にたどりつきます。Erōsといえば、ギリシャ神話に登場する愛の神で、女神Aphroditē(アフロディテ)の息子。恋の弓矢で神々や人の心を射るいたずら好きの男の子です。背中に羽をつけたスタイルで、美術作品にも登場しています。この恋の弓矢の話、どこかで聞いたことがありませんか?そう、Erōsはローマ神話のクピド(キューピッド)のこと。Erōsの母親アフロディテは、ローマ神話ではヴィーナスになります。(※ローマ神話は、ギリシャ神話をもとにローマ人が構成。登場する神々も同一視されています。)ギリシャ神話の誕生は、紀元前二千年紀ともいわれています。愛の神Erōsの原形は、今から3000〜4000年前にできていたのですね。語源はギリシャ神話!ギリシャ神話までさかのぼることができた言葉「エロい」。卑俗なイメージがあり、きちんとしたオトナの社会では使用しづらい俗語ですが、語源は愛の神。人間の営みと深く関わりのある言葉だったからこそ、数千年も残ってきたのだと思います。以上、erotic関連語のご紹介でした!参考資料:『現代用語の基礎知識』(自由国民社)『日本国語大辞典』(小学館)『日本大百科全書(ニッポニカ)』(小学館)『広辞苑』(岩波書店)『ランダムハウス英和大辞典』(小学館)『世界大百科事典』(平凡社)
2022年06月05日世界三大映画祭でも注目を集めているフィリピンの巨匠ブリランテ・メンドーサ監督の日本公開最新作は、ある日本人の実話をもとに描いた『義足のボクサーGENSAN PUNCH』。そこで、国内外で話題となっている本作についてこちらの方にお話をうかがってきました。尚玄さん【映画、ときどき私】 vol. 489日本で初となる義足のプロボクサー土山直純さんをモデルにした主人公の津山尚生を演じているのは、沖縄出身の俳優・尚玄さん。アメリカで演技を学んだのち、数多くの海外作品に出演し、現在は国際的な活躍を見せています。今回は、主演兼プロデューサーとして携わった本作に込めた思いや完成までの苦労、そしてメンドーサ監督による驚きの演出方法などについて、語っていただきました。―本作のモデルである土山さんとご友人であったことがきっかけとなり、尚玄さんが企画を立ち上げたそうですが、映画化したいと思った理由から教えてください。尚玄さん彼はもともとサッカーをしていましたが、義足では試合に出られないと言われてサッカーをやめることになってしまい、そのあとに始めたボクシングでもいい結果を残したのに前例がないという理由でプロになることができませんでした。ただ、そこで諦めることなくフィリピンに渡り、プロになって夢を叶えてしまうのはすごいなと。そんな彼の生きざまに感銘を受けて、これは映画にすべきだと思いました。―そういう姿は、ご自身とも重なるところがあったのでしょうか。尚玄さんそうですね。僕は顔が日本人離れしているので、モデルを始めたころはハーフブームの影響もあってすぐにお仕事をいただけたんですが、本当にやりたいと思っていた俳優に移行しようとしたら、日本だと僕の見た目では役がないと言われました。実際、外国人の役や限られた配役のオファーばかりが来ましたね……。そこで、ニューヨークに渡って演技の勉強をし、海外でいろいろなオーディションを受けることに。僕は自分のことをアウトサイダーだとつねに思っていましたが、沖縄生まれというマイノリティでもあると感じていたので、形は違えど、ハンデを持っている土山くんに共鳴していたんだと思います。完成までに大変なことは、たくさんあった―なるほど。構想から完成までは8年ほどかかったそうですが、特に苦労したのはどのあたりですか?尚玄さん大変だったことは、本当にたくさんありました。最近は日本でも山田孝之さんのように俳優が映画の監督をしたり、プロデュースをしたりするようになっていますが、それも日本全国の人たちがわかるくらいの知名度がないと難しいのが現状。あと、日本では原作モノじゃないとなかなか予算も下りないような状況なので、そういう意味でも時間がかかってしまいました。―そんななかで、フィリピンでもトップクラスのブリランテ・メンドーサ監督に直談判されたというのがすごいですが、どのようにして交渉されたのでしょうか。尚玄さんまずは、僕が仲良くさせていただいているシンガポールのエリック・クー監督が紹介してくれたおかげで、釜山国際映画祭の期間中にお会いすることができました。そのときにいろいろとお話しましたが、メンドーサ監督のもとには世界中からいろいろな話が来るようなので、最初は僕がどのくらい本気なのかわからなかったみたいです。その直後に、東京国際映画祭で来日されていたので、そこでもお話をしたんですが、そしたら「今度はフィリピンにおいでよ」と。それを聞いてすぐにプロデューサーと一緒にフィリピンへ行き、「僕たちはこれだけあなたとやりたいんです」という気持ちを伝えました。もともと彼の映画のファンだったこともありますが、僕らは『ロッキー』のようなスポ根映画ではなく、主人公が挑戦する姿をドキュメンタリーっぽく撮りたかったので、メンドーサ監督にお願いしたいと思っていたのです。台本をまったく見せない現場は、初めてのことだった―最終的には、どのようにして監督を口説き落としたのでしょうか。尚玄さん監督のスタジオまで行ったときくらいからだんだん本気なんだろうと感じてくれたみたいですが、彼はほかの企画が詰まっていたので、最初は自分の弟子でどうかという提案がありました。弟子といっても、すでにヴェネチア国際映画祭などで賞をもらっているような才能のある監督。僕たちもその方にお願いしようと決めたので、一緒に沖縄や東京でシナリオハンティングをしていたら、それが終わった直後に、メンドーサ監督から「やっぱり俺がやることにしたよ」と。本当にびっくりしてしまって、プロデューサーとも「いま、『俺がやる』って言ったよね?」と確認し合ったほど(笑)。信じられなかったですが、うれしかったです。―思いが伝わったんですね。メンドーサ監督の現場では俳優に台本を見せないと聞き、非常に驚きましたが、どのようにして撮影を進めていたのでしょうか。尚玄さんいままでも似たような状況で映画を撮ったことはありましたが、完全に台本を見せないというのは初めてのことでした。撮影の直前にメンドーサ監督から渡されたのは、こういう言葉を交わしてほしいと書かれた紙切れだけ。それもアシスタントが雑に書いているので、読めなかったりするんですけどね(笑)。でも、ちゃんと意図が伝われば、指示通りに言わなくてもOKでしたし、自分がほかのことを言いたくなったらそれでもいいというくらいとても自由な現場でした。事前に、ほかの人物との関係性やキャラクターについてはたくさん話をしていたので、それが自分に染み込んでいたからできたのかなとは思います。監督からは「何も心配しなくていい。ただ、カメラの前に立って津山尚生でいてくれればいいよ」と言われました。監督によって、思いがけない言葉を引き出された―そういった現場では、ご自身でも思いがけない部分を引き出されることもあったのでは?尚玄さんそれはありましたね。実際、コーチと対面するシーンを撮ったとき、自分では思ってもいなかったセリフが出てきたことも。そこで、僕はある言葉をコーチに向けて放ちますが、それは尚生が父親に対して抱いていた感情でもあったので、思いがけずその言葉が出てきたんだと思います。メンドーサ監督というのは、「インナー・モノローグ」と呼ばれる心のなかで思っている言葉をすごく大事にされている方。だからこそ、目だけで表現したり、沈黙の時間に心が動かされたりすることもありましたが、それこそがメンドーサ監督が長年築き上げてきたメソッドなんだと感じました。―また、ボクサー役を演じるうえでは、体脂肪率ひと桁台をキープするなど、かなりハードなトレーニングもされたとか。尚玄さんもともとバスケットをしていたこともあって、運動は昔からずっとしていたので、僕としてはそこまで特別なことをしていた感覚はないですね。今回は、週に5~6回ボクシングの練習をしていたくらいです。あとは、極力ボクサーと同じような生活をしたかったので、撮影の数か月前からお酒は1滴も飲まないようにしていました。とはいえ、そもそも撮影に入るとお酒は全然飲まなくなるタイプですし、僕はマインドセットが得意なほうなので、1回ボクサーになりきれれば、そういったこともまったく苦ではないんですよ。フィリピンでは、みんなと本当のファミリーになれた―すごいですね。フィリピンの俳優さんたちとは、どのようにしてコミュニケーションを取っていましたか?尚玄さんフィリピンの方々は愛情深いですし、いい意味ですぐに距離を縮めてくるので、撮影の前に現地を訪れた際には、何軒もはしご酒に連れていかれました(笑)。あとは、みんなでテーブルを囲んで一緒にご飯を食べたりしていたので、本当のファミリーみたいでしたね。メンドーサ監督もそういうふうにして映画作りをしている方なので、そういった雰囲気はこの映画にも活かされていると思います。―日本人キャストでは、南果歩さんがお母さん役で出演されていますが、共演されてみていかがでしたか?尚玄さん果歩さんも素晴らしい方でしたね。ご自身にも息子さんがいらっしゃるからというのもあるかもしれませんが、現場ではお互いに多くを語らなくても、すぐに心を通わせられる感覚がありました。―尚玄さんは、これまで海外の現場を数多く経験されていますが、海外で仕事をすることに対してどういったところに魅力を感じていますか?尚玄さんまずは英語という言語の特性もあると思いますが、相手が監督でも誰でも対等に話すことができ、自分のやりたいことについてディスカッションしやすい環境が整っているというのは、いいことだなと思います。あと、海外では主役級クラスの役でもオーディションがあるというのは、日本と大きな違いかなと。どれだけ有名になってもあぐらをかいていられない状況にはなりますが、それも作品の質を上げていくためには大切なことではないかなと感じています。俳優をやめたいと思ったことは、一度もない―確かにその通りですね。これまで、俳優をやめたいほどつらかった経験というのはありませんでしたか?尚玄さん頭ごなしに怒鳴られたり、若いころはいろいろありましたが、やめてしまいたいと思ったことは一度もありません。とはいえ、単純に諦めが悪かったというだけかもしれないですが(笑)。あとは、楽天的なところがあるので、嫌なことがあっても引きずらないようにはしています。―それでは最後に、ananweb読者にメッセージをお願いします。尚玄さんボクシングをベースにした物語ではありますが、この映画は主人公が自分の逆境に負けずに夢を叶えるまでを映すだけでなく、家族や師弟との愛も描いたヒューマンドラマとなっています。性別や年齢に関係なくさまざまな方に楽しんでいただける作品なので、ぜひ映画館で観ていただきたいです。インタビューを終えてみて……。劇中の雰囲気とはまたひと味違って、大人の色気が漂う尚玄さん。落ち着いた口調でありながらも、完成までのいきさつや現場の様子を話されるときの熱量からは、この作品にかける思いがひしひしと伝わってきました。そんな溢れんばかりの情熱は、ぜひスクリーンで体感してください。未来は自分の足で切り拓く!何度倒れても、立ち上がり続ける主人公の姿に、心が奮い立つのを感じられる本作。不条理なことも多い社会に生きているからこそ、自分を信じること、そして夢を諦めない強さを持つことの大切さについて考えずにはいられないはずです。写真・安田光優(尚玄)取材、文・志村昌美ストーリー沖縄で母親と2人で暮らしながら、プロボクサーを目指していた津山尚生。人とひとつだけ違うのは、幼少期に右膝下を失った義足のボクサーであることだった。尚生はボクサーとしての実力は確かであるにもかかわらず、身体条件の規定に沿わないとして、日本ボクシング委員会にプロライセンスの申請を却下されてしまう。夢を諦めきれない尚生は、プロになるべくフィリピンへ渡って挑戦を続ける決意をする。そこでは、義足でもプロを目指すボクサーたちの大会で3戦全勝すればプロライセンスを取得できるという。日本では道を閉ざされた義足のボクサーが、フィリピンで夢への第一歩を踏み出そうとしていた……。胸が熱くなる予告編はこちら!作品情報『義足のボクサーGENSAN PUNCH』6月3日(金)TOHOシネマズ日比谷にて先行公開、6月10日(金)全国公開配給:彩プロ️© 2022「義足のボクサーGENSAN PUNCH」製作委員会写真・安田光優(尚玄)
2022年06月02日婚活で約1000人の男性と出会い、年下夫を射止めたライター・かわむらあみりがお届けするコラム【結婚引き寄せ隊】連載第111回は、婚活していると出会う“男性”についてのエピソードです。なかでも、いまでも印象に残っている「婚活男性3選」その37をお届けします。1.いつも遅れる男【結婚引き寄せ隊】vol. 111それは20代から30代の男女が集まる婚活パーティに参加したときのこと。最初に受付で渡された番号札を胸につけて、番号のある席に座ってパーティの始まりを待っていました。でも、開始予定時刻が来てもまだスタートしないので「まだ?」と会場がザワザワし始める事態に。しばらくして司会の方が「まだ到着が遅れている方もおりますが、自己紹介タイムを始めます」と、やっとパーティがスタート。どうやら遅れている参加者がいて、スタートが少し遅れたようです。順番に自己紹介をしていたら、ドアのほうから「電車が遅れちゃって〜」という男性の声が聞こえます。どうやら遅れてきた参加者だと思われる30代前半ぐらいの男性がそこにいました。男性は急きょパーティへイン。そのうち順番が来て、遅刻してきたその男性と自己紹介する番になりました。話すといたって普通のサラリーマンの方で、可もなく不可もなくという印象。そこはフリータイムがメインで、気に入った人とは連絡先を交換できました。後日、なぜかその男性から連絡があり、とりあえず一度は会ってみようかということに。ふたりで会う約束をした喫茶店に、待ち合わせの少し前に到着。でも、待ち合わせ時間になっても、その男性は現れません。10分過ぎた頃に「電車が遅れたのであと20分ぐらいで着きます」という連絡が。そこでふと、思い出しました。パーティの時も確か電車が遅れたと耳にしたけど、今回も電車が?確かに電車の遅延はたまにある話だけど、他の参加者は全員来ていたのに遅れていたし、今日の遅刻の理由も電車の遅れ。とんでもなく遠い場所に住んでいるという話はしていなかったはずだし……。などと訝しんでいたら、「電車がちょっとね」と言いながら遅刻して到着した男性。遅れた電車の様子や沿線のことを突っ込んだら、しどろもどろになっていました。この男性の場合は、まず遅れたことも謝らず、遅れた理由も嘘っぽかったので、ちょっと話してさっさとその場をあとにしました。男女問わずたまに遅刻癖のあるタイプは存在しますが、遅刻が重なると、まわりからの信頼を損なうので気をつけたいなと思ったのでした。2.パンツインの男それは婚活サイトで知り合った40代の男性と、ふたりで会う約束をしたときのこと。いろいろと女性をリードするタイプらしく、「お店はこちらで予約しておきます」と言われ、当日、指定された場所へ。雰囲気のいいお店を予約してくれていて、その男性も紳士的。次は昼に会おうという約束もいいかなと思い、いざ二度目はお茶へ。性格は落ち着いていて問題なさそうな男性でしたが、ただ、ひとつだけ気になることがありました。それは、その男性が常にパンツイン(タックイン)していたこと。いやあ、ファッションにすごく詳しいわけではないものの、ポロシャツの裾をきっちりとパンツに入れたスタイルが気になって…。一度気になると、次もついファッションに目がいってしまうものです。三度目も会うことになりましたが、やっぱり、トップスの裾はしっかりとパンツに押し込まれていました。デザインにもよるのでしょうか、おしゃれに見える着こなしもあるはずなのに、黒い革のベルトできっちりとしめられた見えない裾が気になりました…。男性は自分の性格を「真面目」だと言っていましたが、服装にも真面目さが表れているような印象です。とはいえ、服装の好みなんて人それぞれ。「付き合ったら自分が変えればいい」という女性もいるはず。ただ、私の場合は、一度気になると頭からそのことが離れなくなるんですよね。結局この男性とも会わなくなりましたが、きっと服装はひとつのきっかけに過ぎず、相手の真面目すぎる性格ゆえの堅苦しい雰囲気が、このときの自分には息苦しかったのかもしれません。3.大衆居酒屋に連れて行く男それは飲み会で知り合った30代前半の男性と気が合い、ふたりで会うことになったときのこと。「よく行く店があるんだ」と言われ、連れて行かれたのは、かなりリーズナブルな価格で飲食できる大衆居酒屋でした。まだお互いに気に入っているぐらいの段階だし、付き合おうと言ったわけではないけれど、一応ふたりで会う一度目のデートともいえる食事で、酔っ払い客も多数いる賑やかすぎる居酒屋に連れて行かれたことに正直、とまどってしまいました。よくよく話すと、その男性は趣味にお金をつぎ込んでいて、普段は相当切り詰めた生活をしているとのこと。その居酒屋ではとにかく安く飲み食いできてちょくちょく来るということ。「貯金なんて全然ないし、今を楽しく過ごすのが一番!」と胸を張って言い、次第に酔っ払いはじめた男性…。居酒屋自体は楽しく飲めていいのですが、将来を考えての相手探しや初回のデートで行く場所となると、自分にとっては、これは完全にないなと即断。それきり会うことはなかったのでした。婚活していると、いろいろなタイプの男性に出会うことがありますよね。みなさんが「これだ!」と思えるパートナーに巡り会えるよう祈っています!!©Artem Peretiatko/Getty Images©mattbaker/Getty Images©skynesher/Getty Images
2022年06月01日ふだん何気なく使っている略語やカタカナ語の由来など、外国語の雑学をご紹介。今回は、「グロい」に迫ります!「グロい」って、もともと何語?奇妙なものや気味の悪いものに対して使う言葉「グロい」。この「グロ」って、もともと何語でしょう?「グロい」の由来は…「グロい」はグロテスクの略「グロ」を形容詞化した言葉。グロテスクを英語やフランス語で書くとgrotesqueとなります。英和辞典に記載されているおもな意味は、「奇怪な、奇妙な、異様な」。さらに美術や文学の用語として、「グロテスク様式の、怪奇主義の」などの意味でも使われています。グロテスクの由来は、皇帝ネロ!?そもそもグロテスクの語源は、イタリア語の単語grottesco(発音:グロッテスコ)。おもな意味は「奇怪な、奇妙な」です。また、「グロテスク模様」という意味を表す女性名詞grottesca(グロッテスカ)もあります。さらに、それらの単語の由来を調べていくと、イタリア語の女性名詞、grotta(グロッタ)にたどりつきます。grottaのおもな意味は、「洞窟、ほら穴、ワインの地下貯蔵庫」。あの有名なイタリアの観光地、「カプリ島の青の洞窟」は「Grotta Azzurra di Capri」と書きます。では、なぜ洞窟を表す言葉grottaが、「奇怪な」という意味に変化したのでしょう?『伊和中辞典』(小学館)にその理由が載っていましたので、一部引用します。通称 grotte「洞窟」と呼ばれていた皇帝ネロの Domus aurea「金色の館」の遺跡で発掘された、奇想天外な壁面の飾り模様から「怪奇な」という意が生まれた。(見出し語grottescaの解説より)「グロい」の由来が、約2000年前のローマ皇帝ネロまでたどりつくなんて、ちょっと感動です。「グロい」はグロテスク!皇帝ネロまでさかのぼることができた「グロい」。若い人たちが使う流行語のようなイメージでしたが、歴史の重みも感じられる深い言葉になった気がします。以上、「グロい」のご紹介でした!参考資料:『伊和中辞典』(小学館)『ランダムハウス英和大辞典』(小学館)『デジタル大辞泉』(小学館)
2022年05月29日現在ヨーロッパ在住のファッションジャーナリスト、平野秀美さんのファッションスナップレポートです。本日は海外で見つけた上手なファッション小物の使いかたスナップをご紹介します。存在感抜群のヘアバンド!一昨年くらいから徐々に見かけるようになった、大きめのヘアバンド。最近はどんどん太くなっているようです!?存在感抜群で、シンプルなファッションにはもってこい!スカーフも使い方次第ここヨーロッパの人たちは、スカーフの使い方が本当に上手。こちらのように軽く頭に巻くだけで、こんなにお洒落なファッションアイテムにしています!柄や色もとても重要なので、トータルコーディネイトがうまくできる人向け、上級レベルの小物かも。個性的な形のハット!私も個人的にハットは大好き!理由は簡単、かぶるだけで雰囲気が出てお洒落に見えるから。どんなスタイルにも合うシンプルなハットから、個性的な形まで、自分好みでいくつか持っておくと、ちょっとそこまで買い物に行くにもおしゃれに見えちゃう!スポーティーなキャップもクールに!レザージャケットにキャップも全然あり!カジュアルにかっこよく着こなしたい時などに、もってこいのスタイルです。シルバーリングも決まってます!最新スタイル!付け足しフーディー!?これは新しい!シンプルに着こなしたトレンチコートに何気なく付け足しているフーディーがなんともお洒落。簡単に取り外しができるので、どんなスタイルにも合わせられるってことですね。いかがでしたか?海外では、ばっちり決めたスタイルにも、遊び心ある小物を上手に使ったりするので、本当に参考になります。既に手元にある小物たちを、上記を参考に新しい使い方を工夫してみたら、また違ったファッションを楽しめそうです!写真、文・平野秀美
2022年05月28日1児のママでもあるライター・かわむらあみりがお届けするコラム【ママライフばんざい!】連載第40回は、結婚後も順調に幸せを育む3組の夫婦に、ラブラブの秘訣を聞いてみました。性格が違うカップルやすべてが似た者同士など、三者三様の仲良しぶりをご紹介します。そこから見えた長続きカップルの答えとは…?1.正反対の性格だからこそ合う幸せ夫婦【ママライフばんざい!】vol. 40育った環境が全然違う者同士が恋人になることもあれば、似た境遇の男女が結ばれることもあって、さらに結婚へと進んでいくカップルがいますよね。相手が自分と似ているか、まったく違う人かに限らず、きっと運命の人は必ずいます。ひとつめにご紹介するのは、正反対の性格だからこそ合う幸せ夫婦のこと。妻は大胆な性格、夫は控えめな性格と、一見まったく違う性質のように思える夫婦がいます。性格は異なるものの、ふたりにはアートが好きだという、同じ趣味がありました。まだ知り合いだった当初から、一緒に展覧会などに足を運ぶにつれてグンと急接近したふたりは、晴れて付き合うことになり、結婚へ。恋人同士だったときと違い、夫婦として同じ屋根の下で暮らすようになると、生活習慣の違いなどもあり、同居したばかりのときは意見の相違でぶつかることもあったのだとか。でも、困ったときや何かがあったときに、自分では考えつかない解決策を相手が教えてくれたり、思いがけない優しさを見せてくれたり。違う性格同士だからこその気遣いができて、新しい発見や喜びも生まれ、幸せに暮らしているそうです。2.似た環境で生きてきたからこそ合う幸せ夫婦続いては、似た環境で生きてきたからこそ合う幸せ夫婦の場合。ともに田舎から進学のため上京した経緯を持ち、同じような職種で働くふたりは、知り合ってすぐに自然と仲良くなっていったそうです。これまで似た環境にいたからか、物事の考え方も似ていて、ふたりでいるとなんの違和感もなく心地よさを覚えたということで、どちらからともなく付き合うことに。もしかすると、自分と似ている人だから惹かれたという一面もあったのでしょう。似た者同士のふたりは、恋人同士から夫婦になるまで、そんなに時間はかかりませんでした。ほどなく結婚することになり、家庭を持ってからも、ほぼケンカをするようなこともなく、穏やかな毎日を過ごしているそうです。やっぱり違和感のない相手だと、リラックスしやすく、結婚への道にも進みやすいのかもしれませんね。3.ほどほどに似たり似ていない幸せ夫婦最後に、まったく性格が違うわけでもなく、すごく似ているわけでもない、ほどほどに似ているところとそうではないところのある幸せ夫婦の場合です。もしかすると一番よくある組み合わせのパターンが、この“ほどほど夫婦”かもしれません。恋人同士になってからはもちろん、結婚して夫婦になってからも、時にまったくかみ合わないこともあれば、時に大盛り上がりするときもあるふたり。ほどよく心のツボを押すようなポイントもあれば、ちょっと外れてしまうときもあって、それでもよい関係性を続けられるのは、お互いを尊敬することと思いやりを忘れないからだそうです。だからこそ、妻と夫で仲良く協力し合い、適度な距離感を保ったまま、夫婦になってからも家庭は円満でいられるのだとか。どのタイプの夫婦でも、お互いを「大事な存在」だと心から思っているからこそ、うまくいくのかもしれませんね。いくつになっても幸せを感じられる夫婦でいたいものです。みなさんにとっても、心穏やかに過ごせる愛すべきパートナーとともに、すてきなママライフを送れますように。文・かわむらあみり©Westend61/Getty Images©Nikada/Getty Images©Achtelik/Drentwett/Getty Images文・かわむらあみり
2022年05月27日今年のアカデミー賞を席巻したのは、作品賞を受賞した『コーダ あいのうた』ですが、それによって注目を集めた存在と言えば、タイトルにもなった「コーダ」と呼ばれる子どもたち。そこで、今回ご紹介するのは、知られざるコーダの文化や内に秘める苦悩に迫った話題のドキュメンタリーです。『私だけ聴こえる』【映画、ときどき私】 vol. 488「コーダ(CODA=Children Of Deaf Adults)」とは、耳の聞こえない親を持つ、耳の聞こえる子どもたちのこと。家では手話を使い、外では口語で話す彼らは、学校に行けば“障害者の子”として扱われ、ろう者たちからは耳が聞こえることで距離を置かれていた。そんななか、15歳という多感な時期を迎えたのは、「ろうになりたい」と願うあまり聴覚に異変をきたすナイラ、進学を決め、ろうの母から離れることに悩むジェシカ、そしてろう文化のなかでしか自由でいられず学校で孤独を味わっていたMJ。それぞれの葛藤を抱えるコーダの子どもたちが、3年間の撮影を通して語る心情とは……。2021年に北米最大のドキュメンタリー映画祭HotDocsに選出されるなど、各国で高く評価されている本作。コーダという言葉が生まれたアメリカにおいても、コーダ・コミュニティを取材した初の長編ドキュメンタリーとして話題となっています。そこで、こちらの方にお話をうかがってきました。松井至監督これまでも「聴きとりづらい声を聴くこと」をモットーにドキュメンタリー制作を続けてきたという松井監督。本作でも、丁寧な取材力と見事な手腕を発揮し、大きな反響を呼んでいます。今回は、コーダたちから学んだことや撮影秘話、そしていまの私たちにできることなどについて、語っていただきました。―まずは、コーダという存在について知ったのはいつ頃、どういったきっかけだったのでしょうか。監督2015年に、海外向けに東日本大震災の復興について発信する番組のディレクターになったのですが、そのときにふと耳が聞こえない人たちはどうしていたのだろうかと考えました。東北のろう者への取材を行うにあたって参加していただいたのが、本作にも出演しているアメリカ人手話通訳者のアシュリーでした。生き延びたろう者の方々と耳の聞こえる彼らの子どもたちから話を聞いていくうちに、なぜか段々とアシュリーが気を落としてきました。理由を尋ねると、「彼らはコーダという人たちで、私もその1人なんです」と。そのときに初めてコーダというのが1980年頃にアメリカで生まれた概念であることや、いまだに社会から認知されていないことなどを教えてもらいました。―その話を聞いて、すぐにドキュメンタリーの題材にしたいと思われたのですか?監督アシュリーから「コーダのドキュメンタリーを撮ってほしい」と頼まれました。コーダがどれだけストレスフルな生活を送っているのかを知ってほしいと。コーダは、体は聴者だけれど中身はろう文化で育ち、聴者の世界にも馴染めず、かといってろう者のなかに入ることもできない。両方の世界に入り切れず、居場所を失ったまま成長する子が多いことは大きな問題だとアシュリーが話してくれました。それらの話を聞きながら「もし自分がコーダだったら……」とイメージしました。まだ自分が子どもで、大きなショッピングモールで親とはぐれてひとりぼっちになってしまったとき、どれだけ泣いても親は気づいてくれないわけです。永遠に迷子になる感覚に近いイメージを持ちました。そのとき、この映画を作りたいと思うようになりました。実際に話を聞いて、苦悩を間近に感じた―ananwebでは『コーダ あいのうた』のシアン・ヘダー監督にも取材をさせていただいており、コーダの子どもたちが抱える重荷とコーダとしての誇りとの間に生じる矛盾に興味を持ったとお話されていました。監督が実際にコーダの方々と接してみて、印象に残っていることはありましたか?監督東日本大震災で命を落としたろう者の息子さんとお話する機会があったのですが、目の前に避難できる施設があったにも関わらず、ご両親は家の2階で手をつないだ状態で亡くなられていたそうです。そのときに、彼は「自分はろうである両親のことを最後の最後までわからなかった」と。そして、親に何か起きたとき駆けつけられる距離に自分がいなかったことに罪悪感を抱いておられるようでした。電話の涙声から、親と子同士がまったく異なる遠い存在としてすれ違っていったのではないかと思えて、コーダの苦悩を間近に感じました。―今回は、アメリカのコーダ・コミュニティを取材されていますが、日本と比べるとかなり進んでいるのでしょうか。監督アメリカはコーダという言葉の発祥の地なので、場が整っているのを感じました。子どもたちにはコーダのキャンプがありますし、10代後半になると世界各国でコーダ会議を開催して、3日間にわたって話し合うこともあるそうです。日本に比べると、アメリカはアイデンティティを重要視する文化なので、コーダの世界の確立が進展したのだと思います。日本にも「J-CODA」があり、同じ経験をしてきた仲間同士が話せる場を作っています。日本の場合は、まだ自分がコーダであることに気がついていない人が多い印象です。実際に話をすると、「世界で自分だけかと思っていた」という人もいます。コーダについて知り、仲間がいることがわかれば自分自身との付き合い方に良い変化もあるかと思います。日本で、どうやってコーダのアイデンティティを作っていくのかについては、コーダという言葉が広まってきたこれからが大事になってくると自分は感じています。コーダの言葉によって、人生が変わった―本作に出演しているコーダの子どもたちとは3年にわたって交流がありましたが、取材のなかで彼女たちから学んだことも多かったのでは?監督そうですね。特にナイラから最初に「コーダを理解できると思わないでほしい。私の物語は私のものです」と言われたのは決定的だったと思います。あの言葉がなかったら、僕は取材という名目で他人の苦労や人生を代弁してしまうような制作を続けてしまっていたと思うので。そう言われて以来、僕はこれまで積み上げてきた技術を一回すべて捨てなければいけなくなったので、人生が変わりましたが、すごく感謝しています。特にナイラの最初のインタビューで「わたしはろうになりたかった」という一連の感情の流れが撮れていなかったら、僕はこの映画を途中で辞めていたかもしれないと思います。あのときに一度しか撮れない圧倒的な語りでした。―制作するうえで、気をつけていたこともありましたか?監督コーダのみなさんからは「シンパシー(同情)はいらない。エンパシー(共感)がほしい」と言われたので、そのあたりも考えました。特に、近年アメリカでも“感動ポルノ”と言われるような作品は、障がいを持った人の物語を健常者が消費しているとして問題になっていますが、取材者が当事者のように語ってしまうことはすごく危険なことでもあります。マジョリティ側にいる自分は、何が差別なのか気づかない、その認識すらないので、自分自身の言動に気をつけました。実は、この作品も当初は聴者の視線で編集していました。手話のシーンがほとんどなく、言語優先の構成になってしまい、完成しませんでした。その構成自体が聴者による差別的な態度になっていることに気がついたので、全部イチから作り直すことにしました。そのあとに出来上がったものでは、言語は詩のように凝縮された断片として使い、手話を入れ、観た人が目で読むことで完成する映像を目指しました。観客のみなさんにも、少しだけ「目で読む」ろう者やコーダの感覚を知っていただける作りになっていると思います。他者と生きることは何かを感じてほしい―では、コーダのみなさんがより暮らしやすくするために、私たちができることがあれば教えてください。監督まずは、コーダの存在を知ることではないでしょうか。特に、教育者の方に伝えたいことですが、ろう者の家庭で育った場合、子どもは手話が母語になるので、口語を覚えられないまま学校に行くことがあります。アメリカのコーダの子たちは「移民の子と一緒に補習の授業で英語を覚えた」という子がたくさんいました。そうしたサポートが充実するためにも、まずは聴者の側がコーダのことを知ってほしいと考えています。これは人種差別やジェンダーの問題でも言えることですが、他者と生きることを学ぶ時代なのかと思います。つまり、自分から見えるものだけでなく、向こう側からはどう見えているのかという行き来を、つねに自分のなかに持っていることがこれからは大事になってくるのではないかなと。この作品では、聴者のみなさんが映画を鏡にして、自分自身の姿が見えるような経験になったらいいなと思っています。―それでは最後に、ananweb読者に向けてメッセージをお願いします。監督日本社会のなかで、女性であるだけで生きづらさを強いられるところもあるように、さまざまな社会規範のなかで居場所がないと感じている人は多いと思います。僕自身も、社会にフィットできずに生きてきました。一見、健常者でも、細かく見ていくと、抑圧から無力感を味わい、居場所がないと感じている人もいます。それに気がついたとき属性で人を見ることをやめれば、バリアを解きほぐして人と人が近づいていけるのではないかなと。居場所がない者同士がどうやって生きていくかを真剣に考える時代だと思うので、この映画を通して他者と生きるという当たり前のことをもう一度想像してもらえたらうれしいです。“心の声”に耳を傾ける!コーダが味わう苦悩や葛藤だけでなく、コーダとして生きる喜びもリアルに映し出し、さまざまな発見を与えてくれる本作。新しい視野を得ることは、いままでの自分を振り返る機会となり、そしてこれからの自分の生き方についても改めて考えるきっかけを与えてくれるはずです。取材、文・志村昌美必見の予告編はこちら!作品情報『私だけ聴こえる』5月28日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開配給:太秦©TEMJIN / RITORNELLO FILMS
2022年05月27日婚活で約1000人の男性と出会い、年下夫を射止めたライター・かわむらあみりがお届けするコラム【結婚引き寄せ隊】連載第110回は、男性に聞いた、付き合っている彼女にあらためて「やっぱりスキ」とふと実感する瞬間3つをお届けします。1.ズボラな自分もまるごと受け入れてくれる【結婚引き寄せ隊】vol. 110告白されて付き合うことになったのか、なんとなく付き合うことになったのかはそれぞれの恋の形があるでしょうが、いざ付き合ってから「やっぱり彼女がスキ」だと彼氏が実感してしまう瞬間があるようです。日常生活の中で、ふとした瞬間に幸せを感じるというひとつめは、ズボラな彼氏でもまるごと受け入れてくれるときです。付き合う前は、誰だってなるべく自分のいいところを見せたいと思うもの。なんとか恋が進展して、晴れて恋人同士になると、それまでには見えてこなかった相手の一面を知ることもあるでしょう。そんなときに、思っていたのと違ったと後悔するのではなく、「やっぱり彼女と付き合ってよかった!」と彼氏が実感するのは、ありのままの自分を好きでいてくれるとき。彼女が家に来るとわかっていても、ちょっと掃除をサボって部屋が散らかっていたり、休みの日は髪に寝グセがついたまま1日を過ごしていたり。仕事をしているときは彼女にキリッとした姿を見せていても、実はだらしないところもある自分の姿も、すべてそのまま受け入れてくれる彼女を見ていると、幸せを感じやすいようです。へんにカッコつけてばかりいても、疲れますもんね。オンとオフ、両方の自分を知ってもなおほっこりさせてくれる彼女なら、言うことないのでしょう。2.彼氏のためにこっそり頑張る恋人同士だったら、休みの日はどこかへ出かけることもあるでしょうし、家でまったりと過ごすことだってありますよね。どんなときでも、ふたりで過ごしているときは気づかないけれど、実は彼女が自分のためにこっそり頑張ることがあったら、彼氏としては気分が上がるようです。仕事が終わって疲れている自分を元気づけようと、スッと栄養ドリンクを差し入れてくれたり、マッサージしてくれたりする具体的な行動に出る彼女も、彼氏としてはうれしい限り。でも、目に見えるわかりやすい行動を取らなくてもいいようです。例えば、彼女が自分の家に泊まった時に、最大限かわいい姿を見せたくて、自分にわからないように身だしなみを整えているとか。とくに頼んだわけではないけれど、知らない間に彼氏の靴を彼女が磨いてくれていたとか。早起きや遅く帰る自分の時間の都合に、すすんで彼女も合わせてくれているなど、押し付けがましくなく、さりげなく自分を気遣う様子が感じられた時に、「彼女と付き合って良かった」と再確認できるようです。3.ご飯をおいしそうに食べるどちらかといえば、男性の前では食が細くなる女性が多いようですが、付き合ってからもそんな様子だとあまりうれしくない男性も多いようです。付き合ってから一緒に食事をする際は、ご飯をおいしそうに食べる彼女の姿に思わず、笑顔になってしまうという彼氏も少なくありません。ちょっと食べてお腹いっぱいになってしまい、食事を残してしまうような彼女よりも、モリモリとたくさんご飯をおいしく食べる彼女だと、食事の際の会話も弾んで、楽しい時間を過ごせます。さらにご飯にしても、外食ではなく、自宅で手料理を振る舞ってくれる場合も彼氏としてはうれしいものですし、食後に手際良くお皿を片付けるなど、てきぱきと家事をする姿も彼氏の幸せ度がアップ。一緒にご飯をおいしく食べられる彼女って、いいですよね。以上3つの項目、女性の側だけでなく、付き合っている彼氏がこうだったらうれしいですよね。お互い努力し合うのがうまくいくコツのようです。好きな人と付き合ったら、そこで安心してしまうのではなく、つきあってからも相手に惚れ直されるような関係でいたいものです。みなさんも素敵な恋愛をしてくださいね。文・かわむらあみり©pixelfit/Getty Images©Dimitri Otis/Getty Images©Jelena Danilovic/Getty Images
2022年05月26日「恋」とひと口に言ってもさまざまですが、人々を魅了する恋のひとつといえば秘密の恋。そこで、今回ご紹介するのは、人生を一変させてしまったある身分違いの恋を描いた傑作ラブストーリーです。『帰らない日曜日』【映画、ときどき私】 vol. 4871924年、3月のある日曜日は、イギリス中のメイドが年に一度の里帰りを許される母の日。しかし、ニヴン家でメイドとして働く孤児院育ちのジェーンに帰る家はなかった。そんな彼女のもとへ、秘密の関係を続ける近隣のシェリンガム家の跡継ぎであるポールから、家に来るようにと誘いが舞い込む。幼馴染のエマとの結婚を控えていたポールは、前祝いの昼食会への遅刻を決め込み、邸の寝室でジェーンと愛し合うことに。やがてポールが昼食会へと向かうと、ジェーンはひとりで広大な無人の邸を一糸まとわぬ姿で探索する。ところが、ニヴン家に戻ったジェーンを待ち受けていたのは、思わぬ知らせだった……。作家のカズオ・イシグロ氏が絶賛したことでも知られる話題の小説『マザリング・サンデー』を映画化した本作。胸を締めつける愛の物語は、カンヌ国際映画祭をはじめ、世界各国の映画祭でも高く評価されています。そこで、こちらの方にお話をうかがってきました。エヴァ・ユッソン監督Vittorio Zunino Celotto『青い欲動』や『バハールの涙』で注目を集めたのち、テレビドラマなども手掛けているユッソン監督。生まれ育ったフランスのみならず、アメリカ、イギリス、スペイン、プエルトリコといったさまざまな国で暮らした経験を持ち、今後幅広い活躍が期待されています。今回は、いまの時代に生きる人たちに伝えたい思いや撮影の裏側などについて、語っていただきました。―脚本を読んだとき、この作品にはすぐにつながりを覚えたそうですが、どのあたりに魅力を感じたのかを教えてください。監督私が最初に読んだのは、脚本ではなく小説のほうでしたが、思わず涙してしまったほど感動しました。私は普段からいろいろな本を読んでいるので、泣くほどの作品というのは決して多くありません。ちょうど自分の身近な人を亡くした喪失感を味わっていたときだったというのもありますが、この作品にはエモーションを感じていたのです。そして、それと同じ感覚をアリス・バーチの脚本からも感じ取ることができたので、どうしてもこれを映画にしたいと思いました。―そういった思いを映像化するうえで、意識されたこともあったのでしょうか。監督まず、現代社会というのは分断されているところがあるので、自分が抱えている痛みや悲しみを周りの人たちと分かち合うことができる機会が少ないと感じています。だからこそ、芸術を通じてそれらを昇華できるようにしなければいけないと考えました。つまりそれは、アリストテレスが言うところのカタルシスみたいなものではないかなと。それができずに痛みや悲しみを抱え込んでいると、カラダに影響し、病気になってしまうこともあるので、芸術のなかに共感できるものを見つけ、そこから癒しを得ることは人にとって必要だと私は思っています。自分を制限することなく、自由を手にしてほしい―この作品で描かれているのは、身分違いの恋。これまでもさまざまな作品で取り上げられてきたテーマですが、監督がこだわったのはどのようなところですか?監督いまだに社会では男性優位的な考え方になりがちなところがあるので、おそらくジェーンのような自由な価値観を持っている人物というのは、ananwebを読んでいる女性のみなさんには、非常に興味深いところだと感じています。階級的にはポールが支配する側で、ジェーンが支配される側ですが、裸で向き合っているときは対等な関係。屋敷のなかを裸で歩き回るシーンでも、彼女は誰に許可を求めることなく、自分の意志でそこに存在しているのです。そういった彼女の姿を通して若い女性たちに伝えたいのは、社会的な階級や性別といったもので自分を制限することなく、自由を手にしてほしいということ。これから先の人生では、みなさんの自信を打ち砕くような言葉と直面することもあるかもしれません。実際、社会では女性にとってはまだまだ障害があるのが現実ですが、そんななかでもジェーンのように自分にふさわしい場所というのを見つけてもらえたらと願っています。―本作では、そういった意味を持つセックスシーンやジェーンが裸で屋敷を歩くシーンが本当に美しく描かれていたのが印象的でした。センシティブな場面を撮影する際、どのようなことに気をつけて取り組まれているのでしょうか。監督まず、私が女性監督であることと、女優活動をしていたときにヌードシーンの経験があるという点において、すでにほかの監督とは大きな違いがあると思っています。そして、信頼関係も必要になってきますが、特に男性監督だったら、女性に対してよりデリケートな対応が求められることもあるかもしれませんね。ヌードシーンを撮る際、理解してもらわないといけないのは、俳優のカラダというのはあくまでも役を演じるためのツールであって、本人の私生活を見せるものではないということです。そのため、セックスシーンにおいては、振付をするように細かいところまですべて計画的に動きを決めてから撮りました。最初のうちはヌードになることに神経質だったジェーン役のオデッサ(・ヤング)も、きちんとした信頼関係を築くことができたからこそ、安心して演じることができたと言ってくれたのです。俳優たちのタイプに合わせて演出を変えていった―今回は、そのオデッサとジョシュ・オコナーの若手による瑞々しい演技と、コリン・ファースとオリヴィア・コールマンによるベテランの重厚感ある演技の対比も素晴らしかったです。どのような演出を行ったのかについても、教えてください。監督まず、私は俳優の年代によってアプローチを変えるのではなく、彼らのタイプに合わせて演出することを意識しています。たとえば、オデッサは知的な人なのですべてのことを頭で理解し、お互いの考えを活発に話した合いたいタイプ。ジョシュはデリケートな人なので、“共犯関係”を結ぶような感覚に重きを置き、あとは自由に演じてもらいました。コリンはたくさんフィードバックを求めましたが、こちらの意見もきちんと聞きながら私にスペースを与えてくれる人。と同時に、素晴らしいチームワークを作ってくれたので、彼との仕事は本当に喜びでした。そして、すごく引っ込み思案で、まったくタイプが違っていたのはオリヴィア。彼女はカメラが回ってスイッチがオンになると毎回的確な感情をバッと出せるので、それはすごかったですね。実際、ジェーンに「あなたは恵まれているのよ」と言いながらキスをする後半のシーンでは、何度やっても同じように涙を流していたほど。そこで、私はそれを利用して、涙が枯れ果てるまで何テイクかやってもらいました。そして、目が腫れて、まさに迫真の表情をした瞬間を捉えた映像を本編には使用させてもらっています。両親の影響もあり、日本文化を愛している―興味深い裏話をありがとうございました。少し話は変わりますが、まもなく公開を迎える日本に対しては、どのような印象をお持ちですか?監督日本にはまだ行ったことがなく、この作品とともに訪れたいと思っていたので、コロナ禍で行くことができず、本当に残念です。でも、私は昔から日本の文化をとても愛しています。特に、私の両親が日本映画をすごく好きだったので、その影響で黒澤明監督や大島渚監督の作品をよく観ていました。実は、いま準備している映画のひとつでは、大部分が日本で起きることを描いているので、ぜひその機会に初来日を実現させたいです。―それは非常に楽しみです!ちなみに、可能な範囲でいいので、どんなストーリーが教えていただけますでしょうか……。監督あまり多くは言えませんが、火山がテーマの映画なので、歴史的な火山の大爆発に関する場面で日本が登場しています。ぜひ、楽しみにしていてください。厳しい時代だからこそ、芸術に目を向けるべき―この作品では、戦争による痛みや喪失感も描かれているので、まさにいまの時代とリンクするところがあるのではないかなと。この作品を通して、伝えたいことをananweb読者へメッセージとしてお願いします。監督戦争のような悲劇というのは、ひと昔前の世代の人たちが経験したものだと思っていたので、死が目前にあるようないまの時代というのは、若い人たちにとっては心理的にショックな状況だと感じています。特に、これから世界に乗り出していこうとしている世代にとっては、輝かしい未来が暗く閉じてしまうような感覚を味わっているかもしれません。それくらい、非常に厳しいときだと思っています。だからこそ、私はみなさんに「もっと強くなれ」ではなく、「芸術に目を向け、しっかりと“自己武装”してからこの世界に乗り出していくことが大切だ」と言いたいです。そして、重要なのは、この映画のテーマのひとつでもある人と人との親密さ。特にこれだけ情報があふれ、便利になったデジタル社会だからこそ、人間同士の間にある距離が分断されていると感じています。たとえば、フランスでは若い世代がバーチャルな関係に重きを置くあまり、肉体的に触れ合ったり、セックスしたりすることが減っているという統計が出ているほど。バーチャルにもいい側面はありますが、やはり人間にとっては直接コミュニケーションを取ることも大事だと思っています。私にとってエネルギーの源は世界の美しさや素晴らしさなので、若いみなさんにも「悲しまずに、熱くなれ!」という言葉を送りたいです。色褪せることのない“愛の真実”に胸が震える息をのむほど官能的で、切ないほどに美しい愛の物語を惜しげもなく映し出した本作。才能豊かな俳優たちによる圧倒的な演技と、心に刻み込まれる珠玉のラブストーリーは見逃せない。取材、文・志村昌美引き込まれる予告編はこちら!作品情報『帰らない日曜日』5月27日(金)新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、シネ・リーブル池袋ほか全国公開配給:松竹© CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION, THE BRITISH FILM INSTITUTE AND NUMBER 9 FILMS SUNDAY LIMITED 2021
2022年05月26日音楽には計り知れない力がありますが、まさにそれを体現している一曲として代々受け継がれているのは、千葉県船橋市立船橋高校の「市船soul」。演奏されると得点を呼ぶ野球部の“神応援曲”として、注目を集めています。そんな名曲の裏側に隠されたある青年の実話を描いたのが、まもなく公開を迎える『20 歳のソウル』。そこで、こちらの方にお話をうかがってきました。神尾楓珠さん【映画、ときどき私】 vol. 486「市船soul」の生みの親である浅野大義さんを演じているのは、話題作での主演が立て続き、目覚ましい活躍を見せている神尾さん。劇中では、青春時代のきらめきと若くして病に倒れた苦しみや葛藤を見事に演じ切っています。今回は、共演者との印象的なエピソードや自身の高校時代の思い出、そして家族との意外な関係について語っていただきました。―最初に脚本を読まれたときは、どのような印象を受けましたか?神尾さんとにかく青春を感じましたし、読み終わったあとにすごく前向きな気持ちになれるストーリーだなと思いました。あとは、自分と年代が近いことと、舞台である船橋に親戚がいるので、身近というか、他人事とは思えないような感覚にもなりました。―実在の人物ということで、役作りで意識されたこともあったのでは?神尾さんかなりプレッシャーはありましたが、僕自身の感性だけではなく、周りの方々から見た浅野大義像を大切にしたかったので、そこがぶれないように監督や原作と脚本を手掛けた中井由梨子さんとも話し合いました。驚いたのは、天才タイプだと思っていた大義くんが、実はものすごく努力をしている人だったこと。そして、人を想う気持ちからこの曲が作られていたのもすごいなと思いました。ピアノのシーンは失敗できないプレッシャーがあった―今回は、演技だけでなく、楽器やダンスなどの練習も大変だったと思います。神尾さんそうですね。トロンボーンも苦労しましたが、ピアノは指が全然動かなくて難しかったです。しかも、トロンボーンほど練習時間が取れなかったので、基本的には家に帰ってから自分で練習しました。なかでも大変だったのは、お母さん役の尾野真千子さんが僕のピアノを聴いて涙を流すシーンをワンカットで撮りたいと言われたとき。無理だろうなと思っていましたが、絶対に失敗できないプレッシャーがありました。でも、奇跡的にワンテイクでうまくいってよかったです。―本番に強いんですね。ご自身の学生時代において、人に誇れるほどがんばったことなどはありますか?神尾さんいや、特にないですね。あの当時は何も考えていませんでしたから(笑)。とにかくサッカーが好きだったというのはありましたが、サッカーも挫折して高校1年でやめてしまったので。―ちなみに、サッカーを始めたきっかけは?神尾さん親から「サッカーと野球どっちがいい?」と聞かれたとき、実は「野球がいい」って答えていたんですよ。ただ、近くにサッカーチームしか見当たらなかったみたいで、「サッカーにして」と言われて始めました(笑)。―それは意外な出会いですね。でも、始めてみたらおもしろくてハマったと。神尾さんそうですね。練習はきつかったですけど、同じチームの友達が楽しそうにしているのを見て、それに負けたくないと思っていたら、どんどん楽しくなっていった感じです。この作品では、学ぶところがたくさんあった―今回は、同年代の方が多い現場でしたが、役と同じようなチームワークもすぐにできましたか?神尾さん(前田)航基と(若林)時英は前にも共演をしていますし、特に時英とはプライベートでも遊ぶくらい仲がいいので、最初から劇中のような空気感は作れました。2人はアドリブを入れたりするタイプなので、刺激をもらう部分も多かったです。あと、(佐野)晶哉は少し年下なので、初めは気を遣っていましたが、すぐに話しかけてくれたおかげで輪ができたので、そのままの感じを現場でも出すことができました。―いっぽうで、先生役を演じた佐藤浩市さんや尾野真千子さんといった大先輩から学んだこともあったのでは?神尾さん自分とは全然かけ離れている方々なので、何かを盗みたいという気持ちになりました。撮影前に驚いたのは、音楽準備室に置いてあるものすべての配置を確認しながらそこで何ができるかを考えている佐藤さんの姿を見たとき。そこまで計算されているのかとびっくりしてしまいました。尾野さんは気さくな方で、いつも現場を明るくしてくださるんですが、本番になると一瞬で変わって、一気に感情が出てくるので、一体どういう仕組みなんだろうかと思ったほど。本当にすごかったので、この作品ではみなさんから学ぶところがたくさんありました。―劇中では、「まさに青春!」といったシーンが満載でしたが、ご自身にとって青春の思い出といえば?神尾さん僕は文化祭とか、イベントが好きだったので、そのときのことはよく思い出しますね。時代的にお化け屋敷はダメと言われたので、“お化け屋敷っぽいもの”をしました(笑)。―どんな高校生だったのでしょうか?神尾さん一応、中心のグループにはいましたが、そのなかでも目立っていたかというとそうでもないですね。どちらかというと、みんながやりたがらないような地味な作業をしていたほうなので(笑)。でも、学生時代にやり残したことも後悔もないので、本当に楽しかったです。学生時代に思い描いていた未来といまの自分は全然違う―そのときからすでに俳優一筋で考えていたのか、それともほかにやりたいこともありましたか?神尾さん中学生くらいまではサッカー選手になりたいと言っていましたが、無理だと気がついたので、普通に働いて、週末は家族で遊びに行くような“普通の暮らし”ができればいいなと思っていました。なので、自分でも「何でこの仕事始めたのかな?」と思っているくらいで(笑)。思い描いていたのとは全然違いますね。―とはいえ、俳優になったのは、ご自分で事務所に応募されたことがきっかけですよね?神尾さんあのときは、ちょっと何かやってみようかなと思っていただけで、正直に言うと、最初はここまで続けるつもりもなかったんです。有名になりたいとかもなかったですし、オーディションでもどうせ落ちるだろうと思っていましたから。なので、気がついたら7年もやっていたという感じです。もちろん、楽しいからというのもありますが、僕は面倒くさがりなので、新しいことを始めるほうが大変というのもあるかもしれないです……。―でも、ここまで続けられたということは、天職だったのでは?神尾さんいや、自分では全然向いていないと思っています。そもそも人前に立つのは得意ではないですし、目立つのも好きではないので。だから、いまだに親からは「よくこの仕事できてるね」と言われているくらいですよ。これからも無理せず、自分らしくやっていきたい―以前、「おじいちゃんを喜ばせるためにもこの仕事をしている」とお話されていたことがありましたが、家族が大きな支えとなっているのでしょうか。神尾さんそれはありますね。特に、親戚は僕がこの仕事をしていなかったら、みんな僕には興味がないですから(笑)。もはや家族から興味を持ってもらうためのツールみたいになっています。―(笑)。それほど家族からは反響が大きかったと。神尾さん対応はかなり変わりましたね。その前はまったく興味を持たれていなかったので、いまは「サイン書いて」とか言われるだけでもうれしいです。―現在は23歳ですが、劇中の大義さんと同じように20歳を迎えたときは大人になる決意とかもありましたか?神尾さん20歳になりたてのころは、「もう自分も大人だからしっかりしなきゃ!」みたいな意識はすごくありました。そこから1年くらいはそう考えていましたが、意外とすぐにその気持ちも消えてしまって……。いまは、まったく思っていません。―ある意味、潔いですね(笑)。今後の目標や理想像は?神尾さんあまり無理はしたくないので、自分に合う環境やペースに合わせて長く続けていけたらいいかなと。とにかく、自分らしくやっていきたいと思っています。最後まで生き切る強さを感じてほしい―そのほかに、プライベートでもしたいことはありますか?以前は、バンジージャンプを経験したから次はスカイダイビングをしたいとおっしゃっていましたが。神尾さんまだできていないので、いまでもスカイダイビングはやってみたいです。―ということは、アウトドア派なんですね。神尾さんいえ、インドア派です(笑)。休みの日は家でずっと寝っ転がって、アニメとかYouTubeを見ているくらいなので。―とはいえ、インドア派の方にスカイダイビングはかなりハードルが高いようにも思うのですが……。神尾さんスカイダイビングは、あの感覚を経験してみたいというだけですね。普段は、前の日に出かけようと考えていても、結局面倒くさくなって出かけずに終わってしまうことが多いです。―なるほど。では、最近ハマっているものといえば?神尾さん『サマータイムレンダ』というアニメがめっちゃおもしろいので、それがいまは1週間の楽しみです。―それでは最後に、ananweb読者に向けてメッセージをお願いします。神尾さんまずは、『20歳のソウル』で浅野大義くんのことを知ってほしいです。そして、作品のテーマでもある最後まで生き切ることの強さから、みなさんの仕事やプライベートに何かしらの影響を与えられたらいいなと思っています。見てほしいところは全部ですが、高校時代のシーンとかは懐かしく感じる方も多いと思うので、その頃の輝きも思い出してもらえたらうれしいです。インタビューを終えてみて……。ミステリアスな雰囲気が漂う神尾さんですが、予想外な回答の連続でとても楽しませていただきました。劇中では、かなり練習したという楽器の演奏はもちろん、大義さんの想いをしっかりと受け止めて演じた神尾さんの熱演にも注目です。観る者のソウルにまで想いが届く!どんな状況でも諦めずに精一杯走り続けた大義さんの生き方から、人が持つ強さと生き抜くことの大切さを教えられる本作。迷ってしまったり、立ち止まったりしそうなときに、力強く背中を押してくれる1本です。写真・山本嵩(神尾楓珠)取材、文・志村昌美シャツ¥17,600、パンツ¥18,700/ともにCITY(STUDIOUS カスタマーサポート)シューズ、その他/スタイリスト私物問い合わせ先:STUDIOUS カスタマーサポートストーリー市立船橋高校吹奏楽部でトロンボーンを担当していたのは、活発で優しい浅野大義。いつも周囲を明るく照らす大義は、部員たちとともに青春を謳歌していた。そんななか、ある出来事をきっかけに、大義は市船・野球部のために、オリジナル応援曲の作曲に挑戦することに。大義にとって特別な存在である顧問の高橋健一先生から叱咤激励されながらも、親友や母からの応援に支えられ、“神応援曲”と呼ばれる「市船soul」を完成させる。高校卒業後、音楽大学へと進学し、キャンパスライフを満喫していたが、大義の身体を異変が襲うのだった……。胸に響く予告編はこちら!作品情報『20 歳のソウル』5 月 27 日(金) 全国ロードショー配給:日活️©2022「20 歳のソウル」製作委員会写真・山本嵩(神尾楓珠)
2022年05月25日現在ヨーロッパ在住のファッションジャーナリスト、平野秀美さんのファッションスナップレポートです。本日は、北欧でよく見かける、春夏のおしゃれなワンピーススタイルをご紹介します。夏はやっぱりホワイト系ワンピースで決まり!着ていても見ていても涼しげなホワイト系ワンピース。写真のように女性らしいデザインのものもやっぱり可愛い!スニーカーで可愛すぎないスタイルに。小物の組み合わせがとても重要ですね。日差しの強い日は、薄手の長袖ワンピースもあり!ワンピースとひと口に言っても、タンクトップ型や半袖、長袖など種類が豊富にありますよね。特に日本の真夏は暑いですが、日差しを避けたい方には、麻などの風通しの良い素材の長袖ワンピースはおすすめ。その際は、スカート丈は少し短めを選ぶと、涼しげに見えますよ!着方次第で見え方が変わるワンピース写真のスナップは、ワンピースをトップスの上に着用していますが、トップスの中に着用してももちろんあり!着方次第で見え方も変わる、そんなワンピースも人気です。ヨーロッパで大人気のロングワンピースここヨーロッパでは、ブラックは1年中大人気のカラー!そしてワンピースでもブラックは断然No.1の人気です。特に超ロングから、写真の長さくらいのロングワンピースは、よく見かけるデザイン。どんな小物やファッションにも合わせやすいから1着あると使えますよ!ゴージャスに見える素材で勝負!こちらはパーティやデートなど、普段着というよりはちょっとお出かけ用に人気のワンピース。素材次第で決まるといっても過言ではない、上品さもあり、ゴージャスな印象。ミニ丈もまたポイントになってます!柄で勝負!私らしいワンピースにワンピースがメインとなっていますが、そこに入ってる色を上手にネックレスやサンダルに使用して、とっても全体のバランスが取れたスタイルに仕上がっています。柄次第で雰囲気も変わるので、柄ワンピースはいくつ持っていても足りないくらい!チェックで安定のかわいさ確保!やっぱりかわいいチェック柄ワンピース。長めの丈だと少ししつこく見えがちなチェックなどの柄も、短めの丈を選ぶことで、すっきりとした印象に。今回は北欧で人気のワンピーススタイルのスナップをいくつかご紹介しました。ワンピースと合わせている小物の使い方にもぜひ注目してみてください!写真・平野秀美
2022年05月24日現在ヨーロッパ在住のファッションジャーナリスト、平野秀美さんのファッションスナップレポートです。本日は、夏に向けてイメージチェンジしたい!と思っていた方におすすめな、おしゃれで個性的なヘアスタイルをスナップしました。小顔効果がある、あごラインがすっきりするボブ今年の夏は思い切ってバッサリと、あご上まで切ってみるのもあり!?すっきりとするだけではなく、小顔効果もありそう。また、大人ボブとしてはショートがヨーロッパでは大人気です。ロングヘアはお団子でくるり!髪の長さを変えたくないけど、イメージを一新したいと思ったら、思いっきりオールバックで高い位置でお団子にするのはどうでしょう?前髪がある方でも、だいぶ雰囲気が変わって、髪を切らなくてもイメージチェンジの効果抜群です!1度はやってみたい!ベリーショート日本の夏はジメジメして暑い!そんなときに思い切ってバッサリと短くしてみたいですよね。ショートカットにすれば、軽くて楽でもあります。暑さに負けそうな時は、意外とベリーショートもありかも!?カラーで変わる雰囲気!こちらはロンドンで出会った真っ赤なヘアスタイルが似合う女性、かっこいいですよね。レッドヘアはロンドンでもそれほど見かけませんが、ピンクやグリーン、最近はブルーといったあたりのビビッドな色は、だいぶ見かけますよ!くるくるボブは、やっぱり可愛い!こちらのスナップはショーを終えた後のモデルさん。くるくるボブがなんとも可愛らしい!夏にはちょっと暑いかも(?!)しれませんが、可愛さ炸裂!ワンピースと合わせたいヘアスタイルです。いかがでしたが?今年の夏は、今までとは違った雰囲気にしたいと考えていた方に、ぜひ参考になれば幸いです。写真、文・平野秀美
2022年05月22日ふだん何気なく使っている略語やカタカナ語の由来など、外国語の雑学をご紹介。今回は、「ディスる」に迫ります!「ディスる」って、もともと何語?ヒップホップの世界から生まれたといわれる言葉「ディスる」。相手をけなしたり、悪態をついたりする、という意味ですが、「ディス」ってもともと何語でしょう?「ディスる」の由来は…「ディスる」の由来は、英語のdisrespectといわれています。disrespect(ディスリスペクト)のおもな意味は、「尊敬を欠くこと、軽蔑する」。この英単語disrespectの接頭辞「dis-」に「る」をつけ、動詞化して使われています。「ディスる」は、ヒップホップの世界で使われはじめ、さらにネット上のスラングとしても使われ浸透していきました。今では辞典類にも記載されている言葉です。日常会話では、例えば友だちと話していて、ちょっと見下されたりバカにされたりした場面で「今、軽くディスった?」などと使います。いろいろな「ディス」「ディスる」の由来として、disrespectのほか、接頭辞の「dis-」そのものが起源、と説明している辞典もあります。接頭辞とは、単語の前についている部分のこと。接頭語ともいいます。「ディスる」の由来となった接頭辞「dis-」には、「否定・欠如」などの意味があり、例えばrespect「尊敬する」に「dis-」がつくと、disrespect「軽蔑する」になります。ほかにも、いくつか「dis-」がついた単語をご紹介。例:・dislike「~を嫌う」(like「~を好む」)・disbelief「信じないこと」(belief「信じること」)・discontent「不満」(content「満足」)いい「ディス」も…接頭辞の「dis-」がつく英語、今まで挙げたのはネガティブな意味をもつ単語ばかりでしたが、いい「ディス」もあります。きっと多くの人が好きな言葉、「ディスカウント」にもdis-がついています!英語のdiscountは、dis+countで構成。countのおもな意味は「数えること」で、これに接頭辞をつけてdiscountにすると「割引、安売りの」となります。「ディスる」はdisrespect!「ディスる」の起源であるdisrespectにちなみ、今回は接頭辞についても触れてみました。いろいろな接頭辞を調べてみると、英単語の意味がイメージしやすくなり、おもしろいですよ!以上、「ディスる」のご紹介でした!参考資料:『現代用語の基礎知識』(自由国民社)『情報・知識 imidas』(集英社)『プログレッシブ英和中辞典』(小学館)『ランダムハウス英和大辞典』(小学館)『デジタル大辞泉』(小学館)
2022年05月21日俳優の要潤さんがオフィシャルサポーターを務める展覧会、『ボストン美術館展芸術×力』が、7月23日(土)から東京都美術館ではじまります。本展では、古今東西の多彩な作品が集まるほか、「日本にあれば国宝」ともいわれる作品も来日。今回、アートにお詳しい要潤さんに、展覧会の楽しみ方を聞いてきました!要潤さんがオフィシャルサポーター!【女子的アートナビ】vol. 245『ボストン美術館展芸術×力』では、アメリカのボストン美術館が所蔵する古今東西の多彩な美術作品から、エジプトやヨーロッパ、アジアなどで生み出された選りすぐりの作品約60点を紹介。その半数以上が日本初公開となります。本展で特に注目されているのは、日本の作品です。遣唐使・吉備真備の活躍を描いた《吉備大臣入唐絵巻大臣》や《平治物語絵巻三条殿夜討巻》など、日本にあれば国宝レベルの作品も展示されます。展示は5章で構成。「芸術と力」をテーマに、力を見せつけ、維持するために芸術を利用してきた権力者たちと、芸術のもつ役割にも迫ります。なお、本展は一度、2020年に新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止となっていました。2年の期間を経て、いよいよ待望の開催となります。今回、展覧会のオフィシャルサポーターを務める要潤さんにインタビューを実施。楽しみにしている作品や好きなアートなどについて、語っていただきました。要潤さんにインタビュー!増山雪斎 《孔雀図》江戸時代、享和元年(1801)Museum of Fine Arts, Boston, Fenollosa-Weld Collection Photograph © Museum of Fine Arts, Boston――まず、今回の展覧会について、どんな印象をおもちですか。要さんボストン美術館は、市民のみなさんの有志で維持されてきた美術館です。日本の作品も多いので、一度は行ってみたいと思っていた美術館のひとつでした。今回、オフィシャルサポーターを務めるという機会をいただき、不思議な縁を感じています。僕自身、いろいろな芸術に触れたり(美術の)番組をさせてもらったりしていますが、ボストン美術館は本当に日本の作品を大切にしているのです。外国の美術館に行くと、外国の作品が主流だと思うのですが、ここまでアジアや日本の作品を大切にしている美術館の姿勢に感銘を受けました。「日本の美をすごく感じる…」《平治物語絵巻三条殿夜討巻》(部分)鎌倉時代、13世紀後半Museum of Fine Arts, Boston, Fenollosa-Weld CollectionPhotograph © Museum of Fine Arts, Boston――今回の展覧会で、特に楽しみにしている作品を教えてください。要さんメインのひとつである絵巻です。《平治物語絵巻三条殿夜討巻》が一番見たい作品です。――日本の作品ですね。絵巻とか日本画は、少し難しそうなイメージをもつ人もいるかと思うのですが、要さんはどんな点がお好きなのでしょうか。要さんこのような作品は、社会の授業で習ったりして、断片的に知っているかもしれませんが、身近にはなかなかないと思います。僕たちも、(時代劇などで)役を演じたりすることもありますが、写真があるわけではないですし、当時の人たちに話を聞くこともできない。リアルに感じることができないのです。今回の展覧会のような機会を利用して本物の作品に触れることで、日本の歴史や日本画に対して、日本人としてすごくインスピレーションを感じる部分があるのではないかな、と思っています。伝 狩野永徳 《韃靼人朝貢図屏風》桃山時代、16世紀後半Museum of Fine Arts, Boston, Fenollosa-Weld CollectionPhotograph © Museum of Fine Arts, Boston要さんモネやピカソとか見ると、確かに「わっ、上手」とは思うのですが、異国の文化が全部自分の身に染みて感じられるわけではありません。でも日本画は、日本人の根底にある何かがしっかりと表現されているのを感じられる気がします。色づかいひとつにしても構図にしても、日本の美をすごく感じるので、僕自身は日本画が好きですし、きっとみなさんも理解していただけるのではないかな、と思うのです。「気持ちをぐっとかき回される感じ」――要さんは美術の番組にも出られ、いろいろな美術館を訪れていらっしゃると思いますが、はじめて行かれた美術館やアートに触れた経験を教えていただけますか?要さんはじめて訪れたのは、地元の丸亀市猪熊弦一郎現代美術館です。小学生くらいのときに、家族と行きました。――猪熊さんの作品は現代アートで難解なイメージがありますが、お子さんのときに見られてどうでしたか。要さん当時は「なんだこれ」みたいな感じでしたけれど(笑)、周りの大人たちがすごく楽しそうに見ていたので、「きっとこれはすごいものなのだろうな」という感覚でした。作品を見たときの感想は、気持ちをかきたてられ、ぐっとかき回される感じです。はじめてそういうものに触れる経験をして、衝撃的だったという記憶があります。不思議な感覚でした。――今、お好きなアートや美術館はありますか。要さん現代アートの作家さんで、大巻伸嗣さんの作品は好きで、何点かもっています。好きな美術館は、箱根の彫刻の森美術館です。自然が好きで、自然と彫刻が一体化されているところがいいです。地元である香川県の直島とか瀬戸内海の島々でも、自然の中にぽつんとアートがあります。箱根は、そこの雰囲気とも似ているので、好きですね。――ご自身でも絵を描かれるのですよね。油絵もはじめられたそうですが、どんな絵を描かれているのですか。要さん描くのは風景が多いです。自然が好きなので、どうしても描きたくなります。季節の移ろいとか、今このときにしか見られない風景を自分のなかで探して描いています。――いずれ発表されてはいかがでしょうか。要さんいやいや、お恥ずかしいので(笑)。「僕も楽しみにしています」――最後に、この展覧会を楽しみにしているファンのみなさまにメッセージをお願いします。要さんボストン美術館展が、今年ようやく開催されます。この美術館には、日本の作品がたくさんあり、日本にくると国宝級といわれている作品も数点あります。ぜひ、この機会を見逃さないようにしていただきたいです。僕も楽しみにしていますし、一緒に体感できたらいいなと思います。――いろいろお話いただき、ありがとうございました。インタビューを終えて…要さんのお姿は、まさにアートのように端正で美しく、お話されているときの表情も穏やかで、本当にステキな方でした。質問にも丁寧に、やさしいお声でお話くださるのですが、その内容が深く、特に日本画の楽しみ方については目から鱗で、すごく勉強になりました。本物の「日本の美」をはじめ、多彩な作品に出会える『ボストン美術館展』、どうぞお見逃しなく!展覧会は7月23日開幕。チケットは7月1日発売開始予定で、日時指定予約制です。Information会期:2022年7月23日(土)~10月2日(日)※休室日は月曜日、9月20日(火)※ただし8月22日(月)、29日(月)、9月12日(月)、19日(月・祝)、26日(月)は開室会場:東京都美術館企画展示室開室時間:9:30~17:30※金曜日は20:00まで(入室は閉室の30分前まで)観覧料:※本展は日時指定予約制一般¥2,000、大学生・専門学校生¥1,300、65歳以上¥1,400高校生以下無料(日時指定予約必要)※最新情報は展覧会公式サイトでご確認ください問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)All photographs © Museum of Fine Arts, Boston衣装ブランド名/カナーリメーカー名/コロネット問い合わせ先/03-5216-6521値段/¥316,800(税込)スタイリスト/今井聖子(Canna)
2022年05月20日誰もが一度は悩みを抱えたことがある問題といえば、家族やパートナーとの関係について。そこで、ある実在の夫婦から学びを得られる注目のドキュメンタリーをご紹介します。『人生ドライブ』【映画、ときどき私】 vol. 485熊本県宇土市で暮らすのは、7男3女の子どもに恵まれた岸英治さんと信子さんの夫婦。今年で結婚から39年が経つ2人は、ドライブをしながらこれまでを振り返ることに。岸家では、子どもたちが月に一度だけ自分が生まれた日にお父さんかお母さんを独り占めできる日や夫婦だけで過ごす日を設けたり、60代を過ぎたいまでもお互いを名前で呼び合ったりして、仲睦まじく過ごしていた。そんななか、自宅の全焼や熊本地震、緊急入院など、さまざまな困難が家族に襲いかかる。それでも、英治さんと信子さんは、ときに2人で、またあるときは家族とともに乗り越えてきた。山あり谷ありの道を走り続けてきた2人が抱える思いとは……。熊本県民テレビ開局 40 周年を記念して制作された本作は、同局が2000年頃から21年にわたって岸家を密着した映像を再編集した劇場版。そこで、こちらの方にお話をうかがってきました。城戸涼子監督2002 年 から熊本県民テレビで報道記者としてキャリアをスタートさせて以降、幅広いジャンルで20本以上のドキュメンタリー制作に携わってきた城戸監督。今回は、岸さん一家と触れ合うなかで教えられたことや撮影の裏側などについて、語っていただきました。―熊本県民テレビ開局 40 周年の企画として、岸さんたちのことが真っ先に思いついたそうですが、これまで数多くの取材をされているなかでもこの題材にしたいと思ったのはなぜですか?監督私は2006年から2年間にわたって岸家を取材したあと、2019年にもう一度担当することになりました。ちょうどそのときに、開局40周年の企画を社内で募集していたので、岸家ならたくさん映像が残っているので何かできるのではないかなと。私が入社する前からの映像もあるので、それらをもう一度見つめ直してみたいと考えて応募しました。―とはいえ、20年以上撮りためてきた映像を見るのはかなりの重労働だったのでは?監督はい、見るだけでも1か月以上かかりました。取材の総合計時間としては、推定でだいたい480時間くらい。ただ、過去の担当者によると、編集されていない素材が300本近く消されているということなので、私もすべてを見ることができたわけではありませんが、今回は過去の映像を見る作業とどこを使うかを考える作業が一番大変でした。お互いを尊敬し合う関係を築いている姿が素敵だった―それだけ膨大な映像を編集するうえで、意識していたこともあったのでしょうか。監督これまでテレビ放送の編集しかしたことがなく、CMなしで90分という映像を作ったことがなかったので、そこは少し苦労したところですね。そのなかで気をつけていたのは、テレビとの違い。たとえば、テレビの場合は、時間に制限がありますし、ピンポイントでしか出来事を伝えられないので、勘違いされないようにナレーションで説明を入れる必要があります。でも、映画ではなるべく余計な説明を入れずに、映像を見て理解していただきたいと思ったのです。構成で入っていただいた佐藤幸一さんのアドバイスを受けながら観客のみなさんと一緒に考える“余白”を残せるような編集にしたいという思いで、最初から最後まで作りました。―なるほど。ちなみに、岸家のみなさんと最初に会われたときは、どんな印象を受けましたか?監督私が初めて行ったとき、家にいたのはおもに小さい子どもたちだったので、もみくちゃにされながらいつも必死に撮影していた感じですね(笑)。本当にみんな元気だなと。でも、2019年に再び訪れたときは、すでに大きくなった子どもたちは家を出ていたので、もはや大家族ではなくなっていた状態。それでも、英治さんと信子さんはお互いを尊敬し合える関係を築いていたので、それが素敵だなと思いました。最初は、子どもがたくさんいる夫婦ということで始まった取材でしたが、最近はどちらかというと、英治さんと信子さんという夫婦を軸に取材しているので、2人にたまたま10人の子どもがいただけのように感じています。円満の秘訣は、気持ちを言葉や態度で示すこと―確かに、大家族の物語と思いきや、夫婦の在り方について学ぶ部分は多いですよね。結婚から40年近く経ったいまでもお互いに恋している感じがひしひしと伝わってきて素敵でしたが、夫婦円満の秘訣は何だと思いましたか?監督わかりやすいところで言うと、「ありがとう」とか「ごめんね」をきちんと口に出していることかなと。お2人の間には、「長い付き合いだから言わなくてもわかるでしょ?」があまりないので、いまでもいい関係なんだろうなと思いました。英治さんと信子さんはお互いが1番で、その次が子どもという感じですが、それを子どもたちもわかっていて、嫌だと思っていないところがいいですよね。もちろんケンカをすることもあるそうですが、普段から相手に対する感謝や尊敬の気持ちを言葉や態度で示しているので、お互いに信じているというか、多少のことでは揺るがない。英治さんが借金を抱えたときも、信子さんは子どもたちに悟られないようにしていたそうですが、そういう姿を見ていたからこそ、子どもたちも安心して育っていったのだと思います。―また、岸家では月に1日は「ちゃんの日」としてお父さんかお母さんを独り占めできる日を作ったり、夫婦でデートする日を設けたり、ルールを決めているのも素晴らしいなと。どういったきっかけで生まれたのでしょうか。監督3人目か4人目が生まれたあたりから、毎月ちゃんの日を作り、そのときに夫婦の日も作ったと聞きました。それ以外にも、子どもたちが寝静まったあとに2人で家の周りをぐるっとドライブすることもあるそうですが、5分だけでも2人きりの空間になれるとリフレッシュできて、また子育てをがんばろうと思えるのだそうです。苦しいことの先には、ちゃんと幸せがある―素敵ですね。子どもが生まれると、夫婦の関係性が変わる人もいると聞くので、そういう方には参考になるのではないかなと。監督そうですね。ただ、スタッフの間では夫婦で観に行ってもいいのか物議を醸しています。というのも、英治さんがすごすぎて比べられそうだという男性陣と信子さんみたいに優しくできないという女性陣がいて、気まずくならないか心配しているみたいです(笑)。そのいっぽうで、「夫婦で観に行きます」という人もいるので両極端ですが、観たあとは相手に優しくできるのではないかなと思っています。取材の帰り、私もカメラマンも「家に帰ったら家族に優しくしよう」と毎回反省していたくらいですから(笑)。―いろいろと話し合うきっかけができるという意味では、パートナーと一緒に観るのは面白いかもしれないですね。また、どんなに大変なことが起きても、つねに笑顔の信子さんが印象的でしたが、あの強さはどうやって培われたのでしょうか。監督信子さんは「どんなに苦しいことがあっても、それが幸せの入口であったことに気づかされることが人生で何回もあったから、多少大変なことがあっても目の前のことを乗り切るためにひたすらがんばれる」とおっしゃっていました。実際、火事や地震、病気などに見舞われたときも、そのあとに子どもたちが結婚したり、孫が生まれたりしていて、よくないことだけが続くことってないんですよね。いいことと悪いことの繰り返しなんですけれど、信子さんのように前向きなとらえ方をするだけで、人はこんなにも表情が変わるのかと。もちろんいろいろな経験をしたからこそではありますが、前向きな気持ちを1週間、1か月、1年と持ち続けていければ、苦しいことの先にちゃんと幸せがあるんだというのを信子さんから教えてもらいました。大切な人との関係を立ち止まって考えてほしい―岸家を通して、家族の絆を深めるために大切なことは何だと感じましたか?監督やっぱり、大事な人こそいい加減にしないことだと思います。小さな積み重ねをすることによって、しっかりとつながることができるというのは、岸さん家族を見ていて感じました。「相手に毎日『好き』と言うべき」とまでは言いませんが、照れたりぶっきらぼうになったりせずに、言葉や態度で相手に伝える必要はあるのではないかなと。ただ、このことは家族じゃない人に対しても言えることなので、近くで過ごしている大切な人と気持ちよく一緒に生きていくヒントは、英治さんと信子さん夫婦や岸さん家族を通して見えてくるのではないかと思っています。―その通りですね。それでは最後に、ananweb読者へメッセージをお願いします。監督映画の表向きの看板は、大家族の21年間を描いた作品ですが、私は英治さんと信子さんのパートナーシップの物語だと思っています。誰に自分を重ねるかによっても、かなり見方が変わる映画ではありますが、参考になる部分はあると思うので、ぜひ大事な人との関係を立ち止まって見つめるきっかけになってもらえたらうれしいです。前を向いて人生を進んでいく力をくれる!英治さんと信子さんが届けてくれるのは、どんなに険しい道でも笑顔で乗り切るための“活きたヒント”。家族やパートナーだけでなく、さまざまな人間関係において大切にしたいことが詰め込まれている本作は、きっと幸せへの近道を教えてくれるはずです。取材、文・志村昌美笑って泣ける予告編はこちら!作品情報『人生ドライブ』5月21日(土)、ポレポレ東中野ほか全国順次公開配給:太秦©2022 KKT熊本県民テレビ
2022年05月19日日常をより豊かなものにするうえで欠かせないものといえば、音楽。そこで、いまオススメしたい映画は、音楽によって人生が変わった女性たちの実話を描いた感動作です。『シング・ア・ソング!~笑顔を咲かす歌声~』【映画、ときどき私】 vol. 4842009年、愛する人を戦地へと送り出していたのは、イギリス軍基地で暮らす軍人の妻たち。最悪な知らせが届くことを恐れながら、その帰りを待っていた。そこで、大佐の妻ケイトは、同じ立場にいる女性たちを元気づけ、ともに困難を乗り越えるために、合唱団を結成することを提案する。方針の違いから、初めは衝突を繰り返していたメンバーだったが、バラバラだった心と歌声は徐々にひとつになっていく。そこに届いたのは、毎年大規模に行われる戦没者追悼イベントのステージへの招待状。ところが、浮足立っていた妻たちのもとにある知らせが届くことに……。イギリスの駐屯地に住む軍人の妻たちが始めた合唱団の物語は、女王陛下の前で歌唱をしたり、オリジナル曲で全英チャート1位に輝いたりとイギリス全土で大きな反響を呼んだ実話。そこで、こちらの方にお話をうかがってきました。ピーター・カッタネオ監督本作を手掛けたのは、日本でも大ヒットを記録した『フル・モンティ』で知られるカッタネオ監督。今回は、映画化するまでの道のりや作品を通じて伝えたい思いなどについて、語っていただきました。―まずは、この合唱団のことを知ったきっかけやどういったところに魅力を感じたのかについて、教えてください。監督最初に彼女たちのことを知ったのは、あるドキュメンタリーを観ていたときのこと。途中から泣いてしまった僕は、これをベースに映画を作ったら素晴らしいものができるのではないだろうかと考えるようになりました。なぜなら、エモーショナルな映画体験を生み出す“ハートの部分”が音楽になる作品だからです。その後、実際の合唱団に会いに行ったとき、そこで目の当たりにした彼女たちから生まれるエネルギーが素晴らしかったので、ますますやる気に火がつきました。―彼女たちに映画化のことを伝えた際、アドバイスやリクエストなどもあったのでしょうか。監督まずは、「見ていてつまらないようなキャラクターにはしないでね」と言われました。特に、家でただパートナーの帰りを待っているだけの女性像にはしないでほしいと。自分たちの人生もしっかり持っているし、そこには笑いもあるものだから、と教えてもらいました。そういったこともあって、この映画ではしっかりとユーモアを描いています。そのほかに、気をつけなければいけないと思ったのは、映画のトーンについて。あまりセンチメンタルになりすぎてもいけないし、重すぎてもいけないというのは意識しました。実際の基地では、パワフルな体験をした―撮影は、本作のモデルとなった駐屯地のなかで行ったということですが、実際に基地で暮らす人々の生活に触れてみて、どのような印象を受けましたか?監督最初にセキュリティのゲートを通って入っていくのですが、あの瞬間というのは僕にとってパワフルな体験でした。あとは、子どもたちが走り回っている隣に戦車があったり、軍人がいたりする光景は普段見ないものだなと感じたのを覚えています。基地のなかはすごく静かで、戦地とはかけ離れていますが、それでもその様子を見ていると、前線のことが頭をよぎりますし、こういう生活のなかで悲しい知らせが来る瞬間とはどんなものなのかと改めて考えさせられました。そういうことを知るだけでも、とても強いインパクトを受けたと思います。―ちなみに、基地の方々は最初から受け入れてくださったのか、説得までに苦労した部分もあったのか、撮影中の様子についても教えてください。監督初めからとても協力してくれました。おそらく、合唱団が活動を始めてから10年ほど経っていたというのもよかったんだと思います。結成当初は軍からあまりよく思われていないところもあったようですが、いまでは合唱団が完全に軍の一部となっているからです。軍自体も以前に比べると、ひとりずつのメンタルヘルスに気を配ったり、しっかりとフォローするようになっていたりして、オープンな体制に変わっていたので、それもよかったのかなと。軍のみなさんも、この作品に協力することをとても喜んでくれました。音楽のシーンでは、リアルな瞬間を捉えられた―素晴らしいですね。そして、この作品では音楽シーンも見逃せませんが、どういったところにこだわったのでしょうか。監督今回は、本物のサウンドを表現するため、すべての歌唱シーンは撮影現場でライブ録音しています。また、初期の頃は、アマチュア合唱団の不完全な状態を見せるためと荒削りな自然さを大切にするため、リハーサルを行わずに撮影しました。そのほかに大変だったのは、俳優さんたちが歌に対する自信のレベルがかなり違ってたこと。歌うことに恐怖心を持っている人もいれば、うますぎるくらいの人もいたので、それを揃えていく必要はありました。そんななかで、彼女たちが曲にグッと入っていく瞬間はそのままを捉えられたので、リアルなものが映っていると思います。―だからこそ、彼女たちの歌には込み上げてくるものがありました。本作には、個性豊かなキャストが揃っていたと思いますが、彼女たちと合唱を通じて学んだこともありましたか?監督本当に幸せオーラの溢れる現場で、みんながすごく仲良くなったのですが、一緒に歌を歌うことによってお互いのことを知れたのがよかったのかなと。人前で合唱するためには、自分の“仮面”を外し、さらに自分を解放しなければいけないですからね。そのおかげで非常にうまくいったところがあったので、今後はほかの現場でも、リハーサルの1日目にはみんなで歌を歌ってもらおうかなと(笑)。チームを作るうえでは、とても素晴らしい方法だと思いました。日本とイギリスには、似ている部分が多いと感じた―なるほど。実際、イギリスのみならず、海外にも合唱団を作るムーブメントが広がったということなので、どんな方にも有効な方法かもしれませんね。私たち日本人にとっても興味深いところですが、監督は日本に対してどのような印象をお持ちですか?監督日本には映画のプロモーションで行ったことがありますが、とにかく時差ボケがひどくて街をフラフラと歩き回っていた覚えがあります。そんななか、魚河岸でお寿司を食べた思い出がありますが、あれ以来、あんなに美味しいお寿司は食べてないですね(笑)。そのときに世話をしてくださった方から、日本とイギリスは同じ島国であることや人間関係の築き方などが似てる部分があると言われましたが、確かにそうだなと。実際、まるでイギリスにいるような感じで日本の滞在を経験することができました。―本作は2020年にイギリスで公開されていますが、日本で公開を迎える2022年は、戦争について改めていろいろと考えさせられるタイミングとなりました。それによって、この作品に対する見方も変わってくるところはあるのではないでしょうか。監督確かにそうですね。2年前は、いまほどの大きな戦争はありませんでしたが、それでも戦争というものがいかにいろんな人に影響を与えているかというのは描きたいと思っていました。愛する人が何千マイルも離れたところで戦っていたとしても、その戦いは家のなかにまで伝わってきてしまうものですから。そして、誰かのことを心配する気持ちは、まるで前線で起きたことが断層線のように伸びて、戦地から遠く離れた人にまで届いていくような感じだと思っています。そういった悲劇に対してどう対応していくかというのを描くのが重要だったので、今回は政治的な局面や戦地で何が起きているかについては、あえて描きませんでした。立ち上がって、周りより頭が出てもいい―劇中で、「従順な妻路線はナシ!謙虚なヒナゲシじゃなくて、ヒマワリになってやろう」 という彼女たちのセリフに心を動かされる女性も多いと思うので、最後にananweb読者へメッセージをお願いします。監督英語には「出る杭は打たれる」の出る杭のように、「背の高いヒナゲシになるな」という表現がありますが、それは実際に彼女たちが言われていた言葉だと聞きました。それが面白いと思って取り入れたので、実はタイトルも「背の高いヒナゲシ」を意味する「Tall poppies」にしようかと思っていたほど。だからこそ、みなさんにも「背の高いヒナゲシのように、立ち上がって頭が出てもいいんだよ」とまずは伝えたいと思っています。あとは、ひとりよりも大勢で何かすることで生まれるパワフルさも感じていただけたらいいなと。合唱団というのは、まさにそれを体現しているものですが、みんなで力を合わせて歌うからこそ、あそこまで美しい声になるのだというのも楽しんでいただきたいです。一緒に笑って泣いて、前を向く!ひとりでは抱えきれない悲しみや不安があるときこそ、互いに支え合うこと、そして歌って笑い合うことの大切さを教えてくれるハートフルストーリー。苦しみのなかでも強さを身に着けた彼女たちから、勇気と元気をもらえる珠玉の1本です。取材、文・志村昌美歌声に魅了される予告編はこちら!作品情報『シング・ア・ソング!~笑顔を咲かす歌声~』5月20日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷・有楽町、グランドシネマサンシャイン池袋他全国順次公開配給:キノフィルムズ© MILITARY WIVES CHOIR FILM LTD 2019
2022年05月18日ダンス&ボーカルグループ「BE:FIRST」のメンバー7人全員が『ボテロ展 ふくよかな魔法』のオープニングイベントに登場!東京・渋谷にあるBunkamura ザ・ミュージアム内で、トークとフォトセッションが行われました。メンバーのコメントと、彼らが好きな作品をご紹介!BE:FIRSTのみなさん、登場!BE:FIRST(左から)LEOさん、SHUNTOさん、JUNONさん、MANATOさん、SOTAさん、RYOKIさん、RYUHEIさん【女子的アートナビ】vol. 243『ボテロ展 ふくよかな魔法』のオフィシャルサポーターをつとめるBE:FIRSTのメンバーが、展示室に登場!LEOさん、SHUNTOさん、JUNONさん、MANATOさん、SOTAさん、RYOKIさん、RYUHEIさんが、作品《コロンビアの聖母》の前に並び、フォトセッションが行われました。この展覧会では、南米コロンビア出身の美術家、フェルナンド・ボテロ(1932~)さんの作品を展示。初期から近年までの油彩や水彩、素描作品など全70点を楽しめます。ボテロさんは、現代を代表する美術家のひとり。1950年代後半から欧米で高く評価され、世界各地で展覧会が開かれています。彼の作品の特徴は、あらゆるかたちがふくらんでいる、という点。人だけでなく、植物や果物、楽器や日用品でさえもふくらんでいます。2022年は、ボテロさんが生誕90年を迎えた節目の年。本人が監修したこの展覧会は、彼の作品をまとめて見られる貴重なチャンスです。ボテロ愛あふれるトーク!ボテロ展の開幕に合わせて開かれた取材会では、BE:FIRSTのみなさんがオフィシャルサポーターとしての意気込みや、展覧会の楽しみ方を語ってくれました。まずは、メンバー全員のコメントを一挙にご紹介!LEOさんこんなステキな絵のオフィシャルサポーターを、デビューして間もない僕たちができるのはすごくうれしく思います。たくさんの人の愛を受けて、この場所に立てることを感謝していますし、誇りに思っています。SHUNTOさんこの機会をいただき、ありがたいと思っています。老若男女問わず、いろいろな目線やその人なりの解釈で絵をご覧になれると思います。すごい魅力がつまった絵画ばかりです!JUNONさん今日、はじめてボテロ展を見て、オフィシャルサポーターになれたことを誇りに思いますし、改めて自信をもって僕たちもみなさんにおすすめしたいと思いました。MANATOさん僕は、もともと美術館に来たことがほかのメンバーよりも少ないと思うのですけど、今回、いろいろな絵に興味をもちました。絵は、音楽とけっこう近い。表現するのが、絵と音楽という違いだけだったので、僕たちが刺激をもらえることが多かったし、勉強になりました。SOTAさん今日までオフィシャルサポーターとして意気込んで、がんばってきました。音声ガイドや映像撮影、僕たちだからこそ感じるボテロ展の魅力を精一杯伝えてきました。それがみなさんに届いて、少しでもここに来たいとか、興味をもつ人が増えたらうれしいなと思いました。RYOKIさん個人的に美術館や展覧会はすごく好きなのですが、ここ数年は忙しくてあまり行く機会がありませんでした。今回、久々に来させていただき、この独特の空間、すごく好きだなと感じました。絵と見つめ合い、ボテロさんはどういう思いでこの絵を描いたのかとか、説明文を読んで妄想し、自分の時間をつくれる場所だなと思いました。忙しければ忙しいほどリフレッシュできるし、自分を見つめ直せる時間になる。ぜひ、お越しいただきたいです。RYUHEIさんボテロさんが長年描いてきた歴史、すべてがこの展覧会につまっています。音声ガイドでは、絵の魅力を正確に説明するためにすごく丁寧にゆっくり話すよう意識しました。今回、美術館に来て、絵の魅力を感じたので、みなさんにもぜひ来てほしいです。「みんなで決めた絵がある」――続いて、展覧会で印象に残った作品について、LEOさんとRYUHEIさんがコメントしました。LEOさんみんなで、「これがいい」と決めた絵があるんです。RYUHEIさん《楽器》というタイトルの作品で、楽器がたくさん机の上に置いてある静物画です。それが、メンバーのなかで「いいんじゃないかな」となって、決めました。楽器は音楽とも関係があり、僕たち全員が音楽をするグループとして関係性がすごく深いと思い、この作品を選ばせていただきました。「自分たちができる芸術は音楽」――さらに、『ボテロ展』で影響を受けた点について、JUNONさんとRYOKIさん、SOTAさんのコメントをご紹介。JUNONさん芸術を見ると、自分たちができる最大限の芸術は音楽なので、改めて音楽でやっていきたいと思いました。RYOKIさんボテロさんの作品は、もともとの絵があり、それをオマージュしてボテロさん風にアレンジしている作品がけっこうあります。元の絵も、ものすごく芸術性の高い絵です。僕たちも、本物の良いエンターテインメントを見て、それで刺激を受け、良いところを吸収して、自分たちなりにBE:FIRST色にして、みなさんに届ける。これも、やはりアートのひとつで、昔から続いているものだと感じました。そこからニュージェネレーションとか、新しいエンターテインメントが派生していく。僕たちも、その影響のひとつになれればいいと思っています。SOTAさん僕は昔、授業でボテロさんの絵に触れたことがありました。ボテロさんの絵は、人だけでなく、楽器や果物を描いても唯一無二の作品に仕上がります。僕たちも、アーティストとして、自分たちにしか出せない声やダンスを追求していますし、そうすることのすばらしさを改めて感じました。収録時のほっこりエピソード――最後に、音声ガイド収録時のエピソードについて、LEOさんとRYOKIさんのトークをご紹介。LEOさん俳優業もやっているRYOKIのナレーションが、すごく上手で勉強になった。噛まないし、声を聴いているだけでちゃんと心に入ってくるんです。メンバー同士で刺激をもらいながら、新たな発見もしながら楽しくできました。RYOKIさん(LEOさんのコメントに対して)素直に、すごくうれしいですね。ブースに入るときにプレッシャーがありました。噛んだらみんなに昼ご飯おごる、と自分で言ったので(笑)。でも、ほかのみんなも声のトーンがよくて。みんなすごく上手。みんな良かった。LEOさんでも、みんなは噛みました(笑)。RYOKIはすごくて、和やかなムードをRYOKIがつくってくれました。音声ガイドを聴いてみた!BE:FIRSTのみなさんのコメント、いかがでしたか?本当にみなさんの仲が良くて、和気あいあいと話をしていました。今回の取材会でも話題になっていた音声ガイド、どんな内容か気になりますよね。実際に、展覧会の会場で聴いてみました!BE:FIRSTのみなさんはプロローグから登場し、スペシャルトラックでは、好きな作品や絵の感想を楽しそうに語っていました。このガイドでしか聴けない貴重なネタもあります。ぜひ音声ガイドを片手に、展覧会を楽しんでみてください!Information会期:~7月3日(日)※5月17日(火)休館会場:Bunkamura ザ・ミュージアム開室時間:10:00-18:00(入館は17:30まで)※毎週金・土曜日は21:00まで(入館は20:30まで)※金・土の夜間開館については、状況により変更の可能性があります。※会期中すべての土日祝は【オンラインによる入場日時予約】が必要となります。観覧料:一般¥1,800、大学・高校生¥1,100、中学生・小学生¥800※最新情報は公式サイトでご確認ください
2022年05月17日ふだん何気なく使っている略語やカタカナ語の由来など、意外と知らない外国語の雑学をご紹介。今回は、日本でよく使われる言葉「NG」、「コンセント」、「テーマ」をピックアップ!「NG」って、そもそもなんの略?日常よく目にする略語「NG」。ドラマなどのNGシーンやNGネタ、NGワードなど、映像系のメディアでよく使われています。誰もが知っている言葉ですが、そもそも「NG」って、なんの略かご存じですか?NGの正式表記は…NGの正式表記は、英語の「no good」です!意味は、「だめ、失敗」。日本語の辞書には、「映画やテレビ、ラジオ番組などの録音録画、撮影などで失敗すること」と載っています。英語由来の言葉で、英和辞典にも載っていますが、英語圏では「NG」ではなく、「no good」と使うのが一般的。それほどメジャーな略語ではないようです。英語ネイティブの人に聞いてみたところ、ほとんどの人が略語の「NG」は使わない、とのこと。外国人と英語で話すときは、「NG」ではなく「no good」を使いましょう!「コンセント」は通じる?続いては「コンセント」。電化製品のプラグを差し込む器具のことですが、これってそもそも何語でしょう?コンセントは、和製語です!例えば、「部屋にコンセントはありますか」と英語でいいたいとき、「concent」という単語を使っても通じません。(英語「concent」の意味は、「一致・調和」です)「コンセント」を表す英語は、outlet、wall socket、pointなど。もともと日本では、明治期ごろにコンセントのことを「concentric plug(同心のプラグ)」と呼んでおり、そこから今の形に変化しました。ちなみに、似たような音の英語「consent」の意味は、「承諾する」「承認」など。医者が患者に治療方法を説明して承諾を得る、という意味を表す言葉「インフォームド・コンセント」のconsentです。「テーマ」は通じる?最後は「テーマ」。「テーマソング」や「会議のテーマ」など、日常生活からビジネスシーンまで、あらゆる場所で使われる言葉です。では、「テーマ」とは、もともと何語由来でしょう?正解は、ドイツ語です!「Thema」はドイツ語の中性名詞。おもな意味は「主題、論題、話題」。発音をカタカナで表すと「テーマ」です。ちなみに、「テーマ」を表す英語はthemeで、発音は「スィーム」。当然ですが、英語で話す場合にthemeを「テーマ」と発音しても通じません。日本で使われているカタカナ語は、ドイツ語由来のものもけっこうあります。また英語由来であっても、和製英語の場合は英語圏の人に通じません。辞書を引くと、言葉の由来が載っていることもあるので、気になるカタカナ語があったらぜひ調べてみてください!参考資料:『独和大辞典』(小学館)『日本国語大辞典』(小学館)『世界大百科事典』(平凡社)
2022年05月15日東京都美術館で『スコットランド国立美術館THE GREATS美の巨匠たち』が開催中です。本展では、世界最高峰の美術館のひとつ、スコットランド国立美術館から上質な西洋絵画が集結。展示の様子や学芸員さんの解説、おすすめ作品をご紹介します!巨匠たちの作品に会える!【女子的アートナビ】vol. 244『スコットランド国立美術館THE GREATS美の巨匠たち』では、スコットランドが誇る美術品のなかから、ラファエロやレンブラント、ルノワールなど、巨匠たちの作品や、ターナーやミレイなどイングランド出身の画家たちの作品なども含め、約90点が集結。西洋美術の流れを名画とともに楽しめます。スコットランド国立美術館が開館したのは、1859年。ヨーロッパの他国のように、王室コレクションからスタートした美術館ではなく、購入や地元の名士たちによる寄贈や寄託などによってコレクションを増やしていき、世界有数の美術館となりました。本展では、コレクションのエピソードを楽しめる作品も見ることができます。あだ名が有名!では、おすすめ作品を数点ピックアップしていきます。まずは、第1章「ルネサンス」から、巨匠エル・グレコの《祝福するキリスト(「世界の救い主)」》にフォーカス。イタリアやスペインで活躍したエル・グレコは、ギリシャ出身の画家。本名は、ドメニコス・テオトコプーロスですが、あだ名のエル・グレコ(ギリシャ人)として知られています。故郷のクレタ島で美術の修業をし、その後ヴェネツィアに移住、さらにローマでも働き、最後はスペインに永住しました。本作は、表現力豊かな筆遣いと、赤と青のコントラストが目を引く美しい作品です。学芸員さんのおすすめは…?続いて、第2章「バロック」では、スペインの画家、ディエゴ・ベラスケスの描いた《卵を料理する老婆》をご紹介。ベラスケスは、国王フェリペ4世付きの画家に任命され、「画家の中の画家」と呼ばれた巨匠。国王に信頼され、王室の肖像画を数多く描いたほか、王宮配室長も任されるほど出世した人です。本展担当の東京都美術館学芸員・髙城靖之さんによると、この作品は、ベラスケスがまだ若いころに、自分の力量を知らしめるために描いた野心作。本作の注目ポイントについて、次のように語っています。髙城さん作品の手前には静物を描いている部分があり、金属などの質感をたくみに描き分けています。なかでも一番の注目ポイントは、調理中の卵。素揚げにしているところですが、白身が固まっている最中のものと、すでに固まっている状態のものとがきちんと描き分けられています。卵が固まっていく様子を絵画で見事に表現しているので、ぜひご覧になってみてください。7度も夫を殺された…!?もう一点、バロック絵画で筆者のおすすめ作品をご紹介。オランダ絵画の黄金期に活躍した巨匠、レンブラント・ファン・レインの《ベッドの中の女性》です。一見すると、ふつうに美しい絵画ですが、解説を読んで作品の背景を知ると、あまりに残酷なストーリーに驚愕します。本作品の女性は、聖書の登場人物であるサラと考えられています。彼女は、過去7度も結婚初夜に夫を悪魔に殺されており、この絵は、8人目の夫が悪魔を追い払うところをサラが見守っている場面。この絵を見て、聖書の物語を読み解ける教養や見識が鑑賞者に求められているそうです。絵の背景にあるストーリーを知ると、作品の見え方ががらりと変わります。絵は表面的な美しさだけを見ても十分満足できますが、解説を読むとさらに別の楽しみ方もできます。スコットランド人の故郷愛が伝わる…!最後は、スコットランド国立美術館のステキなエピソードがある絵画をご紹介。本作品は、アメリカの風景画家フレデリック・エドウィン・チャーチの作品です。なぜ、アメリカ絵画が最後に展示されているのでしょう?髙城さんによると、この絵は、スコットランドの貧しい家庭に生まれた人がアメリカに移住し、実業家として成功したあと故郷に寄贈した作品。スコットランド国立美術館は、市民らの寄付などによりコレクションを増やしていった美術館なので、その象徴として最後にこの作品を展示したそうです。巨匠たちの競演を楽しんで!巨匠たちの名画、いかがでしたか?本展は7月3日まで開催。幅広い西洋美術の名品を、まとめて見られる貴重なチャンスです。ぜひ美術館で楽しんでみてくださいね!Information会期:~7月3日(日)※休室日は月曜日会場:東京都美術館企画展示室開室時間:9:30~17:30(入室は閉室の30分前まで)※金曜日は9:30~20:00(入室は閉室の30分前まで)※夜間開室については、展覧会公式サイトでご確認ください。観覧料:※本展は日時指定予約制一般¥1,900、大学生・専門学校生¥1,300、65歳以上¥1,400高校生以下無料(日時指定予約必要)※最新情報は展覧会公式サイトでご確認ください問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)
2022年05月14日東京国立博物館で特別展『琉球』が開催中です。この展覧会では、金銀や水晶などで飾られた色鮮やかな国宝の冠をはじめ、キラキラ美しいガラス玉の瓶や、神々しい「神猫図」など、貴重なアートや資料が一堂に集結。琉球の歴史と文化を体感できる展示の様子や、おもな見どころをご紹介します!琉球の歴史と文化を体感!【女子的アートナビ】vol. 242沖縄復帰50年記念特別展『琉球』では、琉球王国として独自の歴史と文化をもつ沖縄ゆかりの文化財を過去最大規模で展示。琉球国王尚家400年の貴重な宝物をはじめ、工芸作品や考古遺物、歴史資料など、さまざまな品を見ることができます。さらに、琉球の美と技を今に伝える模造復元作品も展示されています。明治以降、多くの困難を乗り越えてきた琉球・沖縄。その歴史や文化をさまざまな作品で知ることができる展覧会です。研究員さんのおすすめ作品!では、いくつか見どころをピックアップしていきます。まずは、東京国立博物館の研究員さんによるおすすめ作品をご紹介。東洋工芸がご専門の三笠景子さんのおすすめ作品は、重要文化財にもなっている《首里城京の内跡出土陶磁器》です。「京の内」とは、首里城内でもっとも大きな祭祀儀礼の場所。そこから出土した陶磁器は、中国の有名な景徳鎮窯でつくられたもので、ほかの日本の地域では見られないものばかり。かなり貴重な優品とのことです。東洋絵画がご専門の植松瑞希さんのおすすめは、《虎図》。まんまるまなこにふさふさ眉、やわらかそうな足など、愛嬌のある姿が琉球の虎の特徴だそうです。注目ポイントは、寅の額に描かれた「つむじ」。写真ではわからないと思いますので、ぜひ現地で見つけてみてください。ちなみに、筆者が個人的におすすめしたいのは、《虎図》の近くにある《神猫図》。ふさふさした黒い尾をもつ白猫の絵です。神々しいネコさまのお姿に魅入られます!キラキラ&ゴージャス!次にピックアップするのは、キラキラしたまばゆい作品2点。まずは、国宝の《玉冠》(展示は5月15日まで)。国王の正装として用いられたもので、金、銀、珊瑚、水晶、碧玉など計7種類の玉が合計288個もついています。まさにキラキラ&ゴージャス。本作品が飾られている展示室には、ほかにも琉球国王の尚家に伝来した多くの宝物がずらりと並び、すべて国宝に指定されています。これらは、戦前に東京へ移されていたため戦禍を免れたそうです。もうひとつ、美しくまばゆい作品《御玉貫》をご紹介。錫の瓶に、ガラス小玉を麻糸でつづった覆いをかぶせた琉球独特の酒器で、首里城内で行われる祭儀や贈答品として用いられたものです。色彩が本当に鮮やかで、うっとりします。未来への希望を感じるアート最後は、歴史と希望を感じる作品にフォーカス。展示室のなかでもひときわ目立つ彫刻《大龍柱(旧首里城正殿前)》は、戦前、首里城正殿前に設置されていた柱です。本来は、下の部分にとぐろを巻いた姿があったそうですが、沖縄戦で胴体のなかほどから下は失われました。この柱が製作されたのは、1711年と推測されています。「未来へ」と題した最終章では、1992年の首里城再建や、琉球文化の復興と継承のための人々の地道な研究や取り組みを紹介。仁王像や工芸品、衣裳などの模造復元を見ることができます。コラボ企画も!今回ご紹介した作品のほかにも、貴重な衣裳や歴史資料、先史文化を知ることができる土器など多彩な展示品があります。また、沖縄ゆかりの国宝の刀剣と『刀剣乱舞-ONLINE-』とのコラボ企画があったり、サンリオキャラクターズとのコラボグッズがあったりと、さまざまな角度から楽しめます。ぜひ一度、足を運んでみてくださいね。Information会期:~6月26日(日)※休館日は月曜日会場:東京国立博物館平成館開室時間:9時30分~17時00分(入館は閉館の30分前まで)観覧料:一般¥2,100、大学生¥1,300、高校生¥900※最新情報は公式サイトでご確認ください
2022年05月13日2022年5月15日は、アメリカ統治下だった沖縄が本土復帰を果たして50周年となる記念すべき日。歴史的な節目を迎えることもあり、大きな注目が集まっています。そこで、今回ご紹介するのは、沖縄ブームの先駆け的存在とされている異色作です。『パイナップル ツアーズ』【映画、ときどき私】 vol. 483舞台は、第二次世界大戦中にアメリカ軍が落とした不発弾が眠っている具良間島(ぐらましま)。そこでは、謎の病で声が出なくなったオペラ歌手の麗子が霊能者のユタを訪ねてきたり、ヤマト(日本)から流れてきたヒデヨシという名の青年が島の娘・春子とくっつけられそうになったり、1億円の懸賞金がかけられた不発弾を巡って騒動になったり、さまざまな出来事が起きていた。本作は、沖縄の架空の島で繰り広げられる『麗子おばさん』『春子とヒデヨシ』『爆弾小僧』という3つのエピソードから構成されたオムニバス映画。1992年に劇場公開された際には、国内のみならずベルリン国際映画祭に出品されるなど海外でも話題に。そこで、30年ぶりにデジタルリマスター版として復活を遂げることとなったいま、こちらの方々に集まっていただきました。真喜屋力監督、中江裕司監督、代島治彦さん本作で劇場公開デビューを果たしたのは、沖縄出身の真喜屋監督(写真・右)と大学入学をきっかけに沖縄にハマってしまった中江監督(手前左)。そして、おふたりの仲間である當間早志監督を含めた琉球大学映画研究会出身の3名を世に送り出したのが総合プロデューサーを務めた代島さん(左奥)です。今回は、当時の撮影秘話やいまだから話せる舞台裏、これからも残したい沖縄の文化などについて語っていただきました。―まずは、デジタルリマスター版にすることになった経緯から教えてください。代島さん僕が言い始めたことですが、理由としては、沖縄の人たちが本来持っているエネルギーや沖縄にある芸能の姿というのをもう一度みなさんに見てほしかったからです。いまでも沖縄に関しては、基地などの問題ばかりが取り上げられがちですが、それだけではないのだよと。特にこの作品は、90年代に起きた沖縄ブームのきっかけでもあったので、公開当時にこの映画を観ていない世代の方々も含めて、ウチナー(沖縄)文化を味わっていただきたいと思いました。―30年ぶりに復活すると聞いて、監督たちはどのようなお気持ちでしたか?真喜屋監督いまの若い世代のみなさんがどういう反応をするのかを見るのは面白いですし、デジタルにしてもらうことで映画としても寿命が延びるので、すごくうれしかったです。―実際、公開当時とは違う感想なども聞かれたのでしょうか。真喜屋監督たとえば、『パイナップル ツアーズ』以降に大人になった人たちに話を聞いてみると、沖縄を舞台にしたドラマを観たときに持っていた違和感がこれでスッキリしたとは言っていました。とはいえ、ローカルな話を全国区でやろうとすると、有名人を起用しないといけないとか、わかりやすく修正しないといけないとか、いろいろとあるので仕方がないことなんですが…。でも、この作品では沖縄の人は沖縄の人、ヤマトの人はヤマトの人に演じてもらえたので、そこはよかったと思っています。怖さもあったが、「1発当ててやろう!」と思っていた―つまり、この作品ではリアルな沖縄が映っていると。中江監督そうですね。でも、これは覚悟のいることなので、プロデューサーの度胸が試されるというか、代島さんのすごさだと思います。というのも、沖縄に軸足を置くと言うことは、全国の人に理解されない可能性もありますから。代島さんいや、あの頃はただ無知だったというのもありますね。ただ、それまでそういう作り方をした映画がなかったので、僕はそれが面白いなと。なので、ヤマトの人間は口を出さずに、金だけ出すみたいな(笑)。とはいえ、この映画は個人で1億円を集めてやろうとしていたので、それはけっこう大変でした。中江監督確かに、1億円の採算なんて普通は取れないので、相当無謀だったなと思いますよ。しかも、本土から来てもらった撮影と録音以外のスタッフは新聞で募集した素人さん。監督である僕たちも何もわかってないような状態なんて、普通ならありえないです。真喜屋監督ちなみに、最初から1億円突っ込んだわけではなくて、もっと少なかったのにずるずると増えてしまったんでしたよね?代島さんそうそう。3000万円だったものが5000万円になり、どんどん増えてしまったので、マンションを抵当に入れるまでに…。ヒデヨシ役の利重剛さんからは「人生台無しにしますよ」って言われましたけどね(笑)。でも、僕は配給も宣伝もイベントプロデュースも印刷物の作成も全部1人でやっていたので、「1発当ててやろう!」みたいな下心はあったと思います。中江監督怖い思いもしましたが、こういう話が笑いながらできるようになってよかったですね。つらいこともあったが、現場は楽しかった―裏でそんなリスクがあったとは驚きです。真喜屋監督は『麗子おばさん』、中江監督は『春子とヒデヨシ』をそれぞれ担当されていますが、いまだから言える現場でのハプニングなどもありましたか?中江監督撮影中はきちんと寝られない日が続いていたので、布団を取りに行った助監督の女の子が押し入れの布団に顔を突っ込んで、立ったまま寝てたこともありましたね(笑)。真喜屋も演出しながら寝ていたので、周りに気がつかれないように起こすというのもしょっちゅうでした。真喜屋監督あのときは、昼と夜の撮影が終わったあとにも準備をしていましたから。考えているふりしてごまかしていたものの、役者たちにもバレていたとは思います(笑)。つらかったですけど、楽しかったですね。代島さんあとは、普通の現場をよく知っている利重さんが一番大変だったんじゃないかなと。中江監督ものすごい大型の台風が来たときには利重さんがひとりで滞在していた一軒家の床が吹き飛びそうになったり、海の真ん中に取り残されるシーンでは雲が晴れないからという理由で2~3時間も岩の上で待たされたり。真喜屋監督あのときはさすがにイライラし始めていたので、僕が海にもぐってウニを利重さんに渡したんですよ。そしたらすごく喜んでくださって、「最高の助監督だな」と言いながら岩の上でウニを食べていました(笑)。中江監督面白い話はまだまだありますが、言えないことのほうが多いですね。真喜屋監督本当に、墓まで持っていく話ばっかりです(笑)。実力を超えたとんでもないものが映っていると感じた―ほかの現場では聞けないようなすごいエピソードばかりがありそうですね。その後、沖縄だけでなく東京でもヒットし、ベルリン国際映画祭への出品と飛躍を遂げますが、ご自身で手ごたえを感じた瞬間はありましたか?中江監督撮影しているときは何の実感もなかったですが、あるとしたら編集をしているときですね。「絶対にここから何かが生まれてくる」という根拠のない自信とともに、もしかしたら自分たちの実力を超えたとんでもないものが映っているかもしれないとは感じました。代島さん僕も編集のあとに音楽がついたのを見て、映画としての段取りを踏めているなとは思っていました。そんなときに、東京にいたベルリン国際映画祭の審査員に観てもらうことができ、出品が決まってはじけていった感じでしたね。中江監督監督としては全然何もできていないんですけど、映画が生き物のように勝手に歩いていく様子を目の当たりにしたというか、いろいろな人たちが集まり、そこに時代性がハマって一気に燃えたような感じでしたね。フィクションでありながら、当時の沖縄を映したドキュメンタリーみたいなところもあるので、二度撮れない作品だと思います。真喜屋監督ベルリンに行けたことも含めてなかなかできない経験でしたし、この作品があったおかげで、いまにつながっているというのは感じています。代島さん僕たちだけでなく、この映画に関わったすべての人たちにとってもここが出発点となっているので、そういう意味でもいい作品でしたよね。―本作では、30年前のリアルな沖縄が詰め込まれているということですが、これからも残していきたい沖縄の文化は何ですか?代島さんそれは、沖縄の言葉ですね。というのも、中江さんたちが経営している沖縄の桜坂劇場を訪ねた際、沖縄言葉の講座を開くと聞いて、それくらい使われなくなってきているのかと驚いたところだったので。中江監督言葉というのは大事なもので、言葉がなくなると沖縄人としてのプライドが失われていく可能性ありますから。これからも大々的に取り組んでいくつもりでいます。真喜屋監督あとは、沖縄人としてのアイデンティティ。やっぱり自分のアイデンティティを持っている人は強いですし、何よりも面白い。ただ、これは沖縄の人だけでなく、東京の人にも言えることなので、みなさんにも大切にしてほしいところです。おじいやおばあからの教えが受け継がれている―それでは最後に、ananweb読者に向けて見どころやメッセージをお願いします。中江監督僕らが最初とは言わないまでも、沖縄の映画のなかではいろいろなことを切り拓いていった作品なので、時代を切り拓いていった女性誌でもあるananを読まれている方々がこの作品をどのように観るのかはとても興味があります。あのときは、道がないことにも気がつかないままただ夢中で前に進んでいっただけでしたが、それがこれからどうなっていくのかは楽しみです。真喜屋監督僕も自分が本当に面白いと思っていたことに正直に向き合い、好きな人たちと一緒に貫いた結果がこの映画なので、そういった部分は観ていただく方々にも受け止めてもらえると思っています。代島さんすでに30年という年月は経っていますが、いまの時代でも海外でも通用する作品で本当に古びていないと改めて感じました。当時の空気感や気持ちがギュッと真空パックされていますので、りんけんバンドの名曲とともにそういうところも楽しんでいただけたらと。あとは、放送中のドラマ『ちむどんどん』でも沖縄が描かれているので、違いを見比べて楽しんでもらうのも面白いのではないかなと思います。中江監督いまのブームにも乗るとは、さすがプロデューサー(笑)。それと、映画監督というのは詐欺師みたいなものなので、映画のなかでは大きな嘘をついています。でも、食べ物もない戦後を経験した沖縄のおじいやおばあから、非日常を味わうことは生きるうえで欠かせないことだと僕は教えもらいました。そういった思いは、この作品にも脈々と受け継がれているので、そこも感じていただけるのではないかなと。真喜屋監督ぜひ、みなさんもこの映画の“嘘”に気持ちよくだまされていただけたらと思っています。沖縄が放つ熱狂の渦に巻き込まれる!30年という長い年月を経たいまなお、決して色褪せることのない痛快作。沖縄に降り注ぐ陽の光のような熱気と、ウチナーンチュの溢れんばかりのエネルギーに満ちた“ホンモノの沖縄”にどっぷりと浸かってみては?取材、文・志村昌美エネルギッシュな予告編はこちら!作品情報『パイナップル ツアーズ ー デジタルリマスター版 ー』5月14日(土)より、シアター・イメージフォーラムほか 全国順次公開配給:ノンデライコ©スコブル工房
2022年05月13日年齢や職業、ジャンルなどに囚われることなく、「変化」をテーマに自由で新しい映画製作を目指している短編映画制作プロジェクト『MIRRORLIAR FILMS(ミラーライアーフィルムズ)』。映画監督のみならず、俳優やミュージシャン、漫画家など才能溢れるクリエイターたちが監督を務めていることでも注目を集めています。そこで、現在公開中のSeason3で、作品を手掛けたこちらの方にお話をうかがってきました。渡辺大知さん【映画、ときどき私】 vol. 482映画やドラマで、唯一無二の存在感を放っているミュージシャンで俳優の渡辺さん。今回は、個性豊かな9作品が並ぶなか、すれ違う男女を描いた『Good News,』で監督・脚本・編集を務めています。そこで、本作を通して感じた映画への思いや自身の変化との向き合い方などについて、語っていただきました。―このプロジェクトには、Season1で役者として出演されていましたが、監督としてオファーがあったときは、どのようなお気持ちでしたか?渡辺さん僕はもともと映画が好きだったので、大学でも映画作りを勉強しましたが、映画をもっと多角的に考えたいとずっと思っていました。役者のお仕事も映画を知るための活動のひとつでもあったので、こうして作り手の企画に呼んでいただけたのはうれしかったです。ありがたい企画に参加させていただけて、ワクワクしました。人をだます嘘と演技は何が違うのか考えていた―『Good News,』のストーリーは、どのようにして作り上げていったのでしょうか。渡辺さん以前から、「嘘」をテーマにした作品を作りたいと思っていました。というのも、演技をすることも、好きな人の前で自分をよく見せるのも、嘘のようで嘘じゃない。人をだます嘘と演技とは何が違うんだろうかと考えるようになっていたからです。そんなときにこのお話をいただいたので、詐欺師の男と女優を諦めた女性という2人が小さな嘘をつき合ってみたらおもしろいんじゃないかなと。ただ、その過程でコロナ禍になってしまい、いま撮る意味のあるものにしたいと思うようになりました。給付金詐欺が増えているとか、悲しい話を多く聞いていたなかで知ったのは、警官に成りすました男にだまされた振りをしたおばあちゃんが警察に犯人を捕まえさせたというニュース。設定は変えていますが、この話はそこから膨らませていきました。―劇中に登場するカップルは、藤原季節さんと夏子さんがはまり役で演じていらっしゃいましたが、キャスティングへのこだわりについても教えてください。渡辺さん今回は、僕が仕事をしたいと思っていた大好きな役者さんたちに出ていただけたので、本当にうれしかったです。夏子ちゃんは初めてお会いしましたが、季節くんとはだいぶ前に1度だけ飲んだことがあったので、オファーをOKしてもらってから、同じ店で落ち合うことに。そのときにどういう映画にしたいのか、思いのたけを伝えました。人とモノを作る喜びを改めて感じることができた―藤原さんはどのような反応でしたか?渡辺さん今回は極端に説明ゼリフの少ない脚本にしていたので、季節くんからは最初に「難しいですね」とは言われました。でも、僕としては必要な情報は変にセリフで説明するのではなく、映像で入れることで、そこに流れている空気をイキイキさせたかったというか。セリフもこの2人の関係性を濃くするために使ってほしかったので、あえて観客に伝えようとしなくても大丈夫だということは伝えさせてもらいました。―本作では監督としての現場を経験することで、新たに学んだことも多かったと思いますが、振り返ってみていかがですか?渡辺さん役者の仕事だと、現場が出来上がってからの参加というか、与えてもらった場でどう表現するかみたいなところがありますが、今回は全部イチからの作業。脚本に始まり、ロケハンや美術の打ち合わせなど、スタッフさんとは何度もコミュニケーションを重ねていきました。過去に自主映画を撮ったことはありましたが、今回のようにさまざまな現場を経験されている方からいろいろなアイディアを教えてもらったり、ひとりでロケハンしたり、というのは自分にとってすごく新鮮でした。たくさんの可能性があるなかで何をどうやって選んでいくのか、といったことは勉強になりましたし、人とモノを作る喜びを改めて教えてもらったと感じています。無理に自分を変えずに、波に漂っていたい―この企画では、「変化」がテーマとして掲げられていますが、最近ご自身で変化を感じた瞬間といえば?渡辺さんそもそも時間が流れているということは変化を伴うものであり、変化は生きることでもあるので、そういう意味ではつねに変化しているのかなと。生きることを見つめることが変化を感じ取るうえでは大切だと思っています。映画にも始まりと終わりで変化があるように、どんなものを撮っても変化というものが映り込んでしまうので、そこに自分なりの生き方みたいなものを閉じ込められたらいいなとも考えているところです。―なるほど。ちなみに、今後何か変化させていきたいことはありますか?渡辺さん自分で何かを変えていきたいというよりも、後悔や失敗は日々あるものなので、次はそうならないようにしたいなと思うことはあります。でも、同じことを繰り返しちゃうので、そこを変えなきゃみたいな気持ちにはなりますが、結局あまり変えられなかったりするんですよね(笑)。とはいえ、無理に自分を変えていくよりは、波に漂っていたいなという感じです。大事なのは、つねに希望を絶やさないこと―渡辺さんと言えば、ミュージシャン、俳優、監督といくつもの顔を持っていますが、今後特に力を入れたいと考えているものはありますか?渡辺さん人とモノを作る作業が自分に向いていると気づかせてくれたのは音楽でしたが、いまはバンドが活動休止中なので、イチからみんなで作り上げていく喜びを味わえたのが今回の監督としての活動。そのうえで、やっぱり自分にはこういう感覚が必要なんだなと感じました。以前は音楽と役者業の2つをやっている状態が心地よかったですが、いまはバンドの代わりに新しいバランスの取り方みたいなものを模索していけたらと。環境はつねに変わっていくものですが、1日1日バランスを取りながらやりたいことと向き合い、より良い表現へと向かっていけたらいいなという思いです。―では、ご自分のなかで最近一番の“Good News”を教えてください。渡辺さんうーん、あまりGood Newsはないですね(笑)。でも、やっぱり今回の企画で監督ができたことは、自分にとってすごくいいことだったと感じています。次につながる実感がありましたし、僕は自分が好きな世界の良さを伝えられる役目になりたいとも考えているので、そういった活動を進めるうえでも大きな意味のあることでした。映画はGood Newsがやってくるという話とは違いますが、いいことがないときこそ大事なのは希望を絶やさないこと。たとえ悪いことがあったとしても、いいことを望みながら自分でどう切り開いていけるかを考えることで、良くないことも打ち消せるんだと思います。映画について考えるきっかけとなってほしい―最後に、ananweb読者へメッセージをお願いします。渡辺さん『MIRRORLIAR FILMS』では、誰でも映画が撮れるというコンセプトのもとでやっています。ただ、映画は研究してもしつくせないほど難しいものなので、正直に言うと、誰にでも撮れるとは思っていません。でも、映画を撮ってみたいと思う人なら誰でも挑戦できる時代にはなっているので、今回のような企画に触れることで、「自分にもできるかもしれない」とか、「もっと映画を知りたい」と感じてもらえたらいいなと。みなさんにとって、そういうきっかけとなったら最高だなと思っています。インタビューを終えてみて……。ひと言ひと言をとても丁寧に話される姿からも、映画に対する真摯な思いが伝わってくる渡辺さん。今回、新たな挑戦をしたことで、次への手ごたえを感じているようにも見えました。役者としてはもちろん、監督としても今後がますます楽しみです。境界線を超えて放たれる才能を感じる!9人の監督たちが自分なりの表現と向き合い、オリジナリティを追求して完成させた珠玉のオムニバス映画。豪華キャストたちによる熱演とともに、作品ごとに見られるそれぞれの“変化”も堪能してみては?写真・北尾渉(渡辺大知)取材、文・志村昌美ストーリー同棲しているコータローとミユキの2人。最近様子がおかしいコータローに対し、ミユキは浮気を疑っていた。ところが、コータローはミユキとの将来を考え、先輩に誘われてある詐欺に加担しようとしていたのだった……。引き込まれる予告編はこちら!作品情報『MIRRORLIAR FILMS Season3』大ヒット上映中配給:イオンエンターテイメント/ティ・ジョイ️©2021 MIRRORLIAR FILMS PROJECT写真・北尾渉(渡辺大知)
2022年05月13日『DEATH NOTE』や『進撃の巨人』でその名を轟かせ、日本のアニメ界でも一目置かれる存在となった荒木哲郎監督。壮大なスケールで描かれた最新作の『バブル』は、『SPY×FAMILIY』のWIT STUDIO最新作でもあり、すでに国内外から高い注目を集めています。そこで、声優を務めたこちらの方々にお話をうかがってきました。志尊淳さん & りりあ。さん【映画、ときどき私】 vol. 481世界に降り注いだ原因不明の“泡”で重力が壊れた東京を舞台に、パルクールのチームバトルに明け暮れる少年少女たちの姿が描かれている本作。他人とのコミュニケーションを好まない主人公のヒビキを志尊さんが演じ、りりあ。さんは物語の重要なカギを握る言葉を知らない謎の少女ウタに扮しています。今回は、幅広いジャンルで活躍する若手実力派俳優の志尊さんと、Z世代から圧倒的な人気を誇りながらも顔を出さずに活動するシンガーソングライターのりりあ。さんのおふたりに、本作の舞台裏やお互いの印象、そして知られざる素顔などについて、教えていただきました。―当初、りりあ。さんはエンディングテーマのみを担当する予定でしたが、制作陣の熱望によってヒロインに抜擢され、声優初挑戦となりました。実際に演じてみていかがでしたか?りりあ。さんお芝居はしたことがなかったですし、声優には歌手とはまったく違うスキルが必要なので、とにかく難しかったです。ただ、荒木監督からは「普段のままでいいよ」と。演じなくてもいいという意味では、やりやすかったです。―声優としては先輩となる志尊さんから見て、りりあ。さんの声はいかがでしたか?志尊さんいや、先輩だなんて(笑)。声優のお仕事では、現場によって求められることが違うので、僕自身は毎回初めての感じがしています。たとえば、ピクサーの作品とこういったアニメーションとでは、口の動きひとつとっても違いますし、実写の吹き替えでも求められるテクニックはまた別ですから。僕はそれぞれの現場に合わせて調整することにいつも必死なので、初めてのお芝居でウタのような役どころに挑戦するのはすごいなと思います。りりあ。さんは、掴めなくてミステリアスな人―おふたりは一緒にお仕事されるのは本作が初めてとなりますが、お互いの印象や会われたときのエピソードについて教えてください。りりあ。さん別の取材日のときに、たくさんの方に囲まれて緊張している私を見て、「こんなに囲まれたら緊張するよね。俺だって嫌だよ」みたいな感じで声をかけてくださったことがありました。そのおかげで緊張がほぐれたので、ありがたかったです。志尊さん僕の場合、りりあ。さんの容姿がわからなかったので、そういう意味では事前の印象はなかったですが、歌う声と普段の声が全然違うのには驚きました。どうやって曲を作っているのかも、どんな生活をしているかも、謎に包まれている感じですよね。それでいて、等身大の女性というイメージもあるので、その掴みにくさがますますミステリアスだなと思いました。―確かにそうですね。ちなみに、謎が多いりりあ。さんに聞いてみたいことはありますか?志尊さん普段は、何して遊んでいるの?りりあ。さん友達とカラオケに行ったり、渋谷で遊んだりしています。志尊さんそうなんだぁ……。いまのところ私生活がまったく見えないですね(笑)。―少しずつおうかがいしていきたいと思います。今回、役を演じるうえで苦労したのはどのあたりですか?りりあ。さん一番難しかったのは、息遣いですね。セリフではないだけに、大変でした。でも、志尊さんはお芝居も息遣いも本当にお上手なので、すごく感動しました。志尊さん僕は、全部が大変でした。最初は、絵コンテも出来上がっていない状態だったこともあり、見えない部分を自分で膨らませて全体像を掴まないといけなかったので、考えることが多すぎて本当に余裕がなかったです。休憩時間も頭のなかがグルグルしていたので、必死すぎてアフレコ中の記憶がほとんどないです。でも、僕としてはすごくうれしい現場でした。すべての感情が同時にわき上がるのを感じた現場―どのあたりに、うれしさを感じられたのでしょうか。志尊さん普段、役者の現場では時間との戦いでもあるので、意外と何回もトライさせていただける機会が少ないんですよ。でも、今回は細かく指摘していただいて、何度もやらせていただいたので、妥協していない感じがしてうれしかったです。それって愛がないとできないことでもあると思うので、そういうこだわりを持ってできたのは幸せなことだなと。ちなみに、最初のアフレコから3~4か月後に気になる箇所を録り直したりと、そのあとにもまた変更点を録ってみたいな感じで、長期間にわたって携わらせていただきました。―りりあ。さんは、この作品に関わることに対してはどんな感情がわき上がりましたか?りりあ。さん最初にお話をいただいたときは、正直言ってここまで大作だと知らなかったので、あとから不安と緊張と興奮と喜びのすべてが同時にバーッときましたが、最終的には私もうれしかったです。―ご自身が演じたキャラクターと共通点などを感じた部分があれば、教えてください。りりあ。さんウタは何もわからない状態で出てきて、だんだんみんなが知っていくというキャラクターなので、そういう部分は似ているのかなと。あとは、ご飯が好きなところが共通点ですね(笑)。志尊さんあはは!僕もヒビキみたいに意外と閉ざしているタイプだなと思います。―ちなみに、ヒビキといえば特殊な聴覚の持ち主ですが、そういったほかの人にはない感覚を持っていたりはしないですか?志尊さん残念ながら、何もないですね(笑)。でも、危機察知能力はものすごく高いほうだと思います。たとえば、一人でお茶しているときにおかしな携帯の持ち方している人がいたらすぐに店を出ます(笑)。いつも周りにアンテナを張って生活している―それは、このお仕事だからこそ鋭くなってしまった感覚ですね。志尊さんでも、嫌ですよね。いつも周りを見て、アンテナを張っていないといけないのは……。あとは、人の変化とかにも気がつきやすいので、相手が動揺していたり、嘘をついていたりするときもわかります。りりあ。さんちょっと、緊張してきました。志尊さんいやいや、そんなふうに見てないですよ(笑)。―確かに、見抜かれてしまいそうな気がしますね。りりあ。さんは、今後顔を出してアーティスト活動をすることは考えていらっしゃいますか?りりあ。さんこれからも変わらず、顔を出す気はまったくありません。志尊さんたとえば、映画の出演だったらどう?りりあ。さん顔を出すならしないですね。志尊さんじゃあ、「顔がわからないように撮るから、映画で芝居してほしい」と言われたら?りりあ。さんうわぁ……。でも、顔を出さないなら、やるかもしれないです。志尊さんそれもおもしろそうだね。それにしても、歌だけで届けることができるなんて、すごい時代だと思います。ファンの方々とのやりとりに勇気をもらっている―りりあ。さんにとって、創作活動の源になっているものは何ですか?りりあ。さん私の場合は、SNSから始まったので、ファンの方々との関わりから勇気をもらっています。ファンのみなさんとのやりとりはすごく近いので、直接送っていただいたDMから曲を作ることが多いです。志尊さんDMは全部チェックして、返事もするの?りりあ。さんはい、しています。友達みたいな感覚なので、恋愛相談に乗ることもあります。志尊さんすごいね。じゃあ、携帯なくなったら大変じゃない?りりあ。さんはい、おしまいですね(笑)。―志尊さんは、昨年体調を崩されたこともあり、SNSなどでいろんな思いも綴られていますが、この1年で心境にも変化があったのではないでしょうか。志尊さんいまは、「楽しく生きよう」というそれだけです。余計なことは考えずに、周りの人たちを大切にして楽しくいまを生きていけたらと。あとは、僕を肯定してくれたり、応援してくれたりする人がいるというのは、本当に力になっていますね。ひとりだったらできなかったこともたくさんあるので、そういう方々のためにもがんばりたいという気持ちが源にもなっています。―最近は映画監督などにも挑戦されていますが、新たにやってみたいことはありますか?志尊さん僕はけっこう直感で動くほうなので、やりたいと思ったらすぐに形にしたいタイプ。いままでも妥協することなく、自分がやりたいと思うことをしてきました。いますぐに思いつくものはないですが、楽しいの延長線上にあるクリエイティブを追求していくことが、僕にとってはストレスなく生きられる道なんだなと。どうなるかわからないですが、楽しく過ごしていきたいですね。どんな状況でも、友情や愛は諦めてはいけない―では、お忙しいおふたりにとって日々のご褒美となっているものがあれば、教えてください。りりあ。さんおいしいご飯を食べることです。志尊さん本当にご飯が大好きなんだね(笑)。りりあ。さんはい、大好きです!特に、お寿司とお肉が好きですね。志尊さん俺と一緒じゃん!りりあ。さんどちらかというとお寿司が大好きです。志尊さん回転とカウンター、どっちに行くの?りりあ。さんどっちにも行きますね。志尊さんすごい、大人だね!僕はこれをがんばったらご褒美というよりも、けっこう自分に甘いので、いつも好きなことをしちゃってます(笑)。―それでは最後に、おふたりがこの作品で魅力を感じたポイントなどを教えてください。りりあ。さんまずは、音楽がすごいなと思いました。もちろん映像も素晴らしかったので、目でも耳でも飽きさせない作品だなと。普段あまりアニメを観ないような人でも、楽しんでいただけると思います。志尊さんお話をいただいたときは、まさか世界がパンデミックになるとは考えてもいなかったので、最初は非現実的な物語でファンタジーの作品だなと。ただ、いまはこういう世界が来ないとは言えない自分もいるので、そんななかでも友情や愛を諦めてはいけないんだという気持ちが芽生えました。切り口の斬新さに刺激をもらいつつ、生きる活力やエネルギーをもらえる作品だと思います。インタビューを終えてみて……。会われたのは今回の取材が2度目ということでしたが、役と同じく息がぴったりの志尊さんとりりあ。さん。その絶妙なやりとりは、劇中でも観ることができるので、見事なハマリ役を見せるおふたりの声に注目してください。激しさと切なさが炸裂する!日本のアニメーション界が誇るクリエイターたちによる、最強のコラボレーションが生み出した圧倒的な世界観が広がる本作。想像を超える疾走感と没入感を味わえる圧巻の映像は、スクリーンで体感すべき1本です。写真・安田光優(志尊淳)取材、文・志村昌美ストーリー世界に降り注いだ泡〈バブル〉によって重力が壊れた東京は、家族を失った一部の若者たちの住処となり、パルクールのチームバトルの戦場にもなっていた。ある日、危険なプレイスタイルで注目を集めていたエースのヒビキは、重力が歪む海へ落下してしまう。そこでヒビキの命を救ったのは、突如現れた不思議な力を持つ少女ウタ。驚異的な身体能力を持つウタは、ヒビキと彼のチームメンバーたちと共に暮らすことになる。そして、ヒビキとウタは、2人にだけ聴こえるハミングをきっかけに心を通わせていく。再び降泡現象が始まった東京で、2人の運命は世界を変える驚愕の真実へとつながっていた……。釘付けになる予告編はこちら!作品情報『バブル』5月13日(金)より全国公開配給:ワーナー・ブラザース映画©2022「バブル」製作委員会写真・安田光優(志尊淳)
2022年05月12日婚活で約1000人の男性と出会い、年下夫を射止めたライター・かわむらあみりがお届けするコラム【結婚引き寄せ隊】連載第109回は、勇気を出して気になる男性にアプローチして、幸せになった女性の恋話をお届けします。1.ストレートに好意を見せる【結婚引き寄せ隊】vol. 109気になる男性がいても、自分から積極的に距離を縮めていく労力を惜しんでただ指を咥えて見ているだけでは、その恋を誰かに奪われてしまうこともありますよね。「当たって砕けろ」とはよく聞く言葉ですが、女性から気になる男性にアプローチして、当たっても砕けなかった幸せな恋だって存在します。まずは、ストレートに好意を見せたことで、恋がうまくいった女性の場合。20代後半のその女性は、どちらかというと自分の気持ちを素直に表現することが苦手で、恋愛関係に限らず、あまり人と活発に交流するタイプではありませんでした。でも友達に連れられて恋活の場へ出向くようになり、出会いの場では自分の話をすることも多くなり、だんだんと異性の前でも、自分の気持ちを表せるようになっていったそうです。そんなときに知り合った同年代の男性を「いいな」と思ったものの、最初はやはり緊張して、うまく話せなかったのだとか。その女性は、言葉ではうまく表現できない時期もありましたが、気になる男性の前ではいつもニコニコと笑顔。さらに、いつしかお互いの存在に慣れてきた頃には、素直に感情表現もできるようになりました。たとえば相手の男性がその女性の荷物を持ってくれたら、「自分で持つよ」とは言わずにその好意を素直に受け取り、「ありがとう」と感謝したり、ちょっと疲れているときに相手の男性が甘えさせてくれたときは「いつも助けられていて心強いよ」とストレートに伝えられるようになっていました。常に笑顔でポジティブな態度でいたことと、言葉でも好意をストレートに表したおかげで気持ちが届き、無事につきあうことになったそうです。好意の積み重ねが実を結んだエピソードでした。2.決めるポイントでしっかり告白続いて、ここぞというポイントでしっかり告白して、恋愛成就した女性の場合。30代半ばのその女性は、彼氏ができると長く付き合うけれど、いないときはシングルライフを十分に楽しむというスタンスでした。常に彼氏がいなきゃいけないという恋愛体質ではなかったこともあり、あまりその女性から恋愛の話を聞いたことはありません。そんなとき、その女性と一番仲良くしていた友達に彼氏ができました。女同士で気楽に遊びに行く回数は減ってしまい、ちょっと寂しさを感じていたその女性。友達に感化されたところがあるのか、久しぶりに合コンへ参加したそうです。すると、さっそく好みのタイプの男性に出会ったものの、他にもその男性を狙っていたライバルになる女性も参加していました。すぐにそんな空気を察知したその女性は、好みの男性と連絡先を交換する際、「なんか好きみたい」とアピールしたのだとか。まさかの女性側からの不意をつかれた言葉に驚いた男性でしたが、初対面にもかかわらず、しっかりと言葉にして気持ちを伝えてくれたことで、すぐに意気投合。後日ふたりでデートしたら思っていた以上に気が合ったそうで、晴れて恋人同士となりました。とくにライバルがいる場合は、勝負に出たほうがいいときもあるものですね。3.空気を読んでアプローチする最後に、空気を読んでアプローチして、うまくいった女性の場合。30代前半のその女性は、恋愛に限らず、友達関係でも仕事関係でも、人とのコミュニケーションを取るのが上手なタイプ。空気が悪いな、というときは余計なことは言わない。「いまならいける!」と感じたときは、全力で前に進めるという具合です。つまりは、空気を読むことが得意。だからこそ、「この人いいかも」と思った男性がいると、お互いの距離感をうまくつかめるし、押し引きのメリハリをつけることに成功するのだとか。でも空気が読めるからこそ、気になる男性にアプローチしてもまるで振り向かなかったり、「これ以上押しても時間の無駄」だと判断するときもはやいのです。相手と連絡を取り合っていても、まったくデートに誘われない、良いタイミングでその女性から男性をお茶に誘っても乗ってこない……など、手応えのないときは撤退。そして1番に気になっていた男性はスッパリと諦めて、今度は2番目に気になっていた男性に注目してみるのだそう。もともとコミュニケーション上手なうえに、2番目に好きだった男性だとちょっとした心の余裕があることも手伝ってか、「いま押したら良い返事がもらえそう」と感じたときに声をかけるとうまくデートできるなど、ふたりの距離を縮めていって、だいたいの片想いはうまくいっているそうです。恋をしたら、なんでも100パーセントうまくいくわけではありませんから、この女性のように“うまくいかないときもあるさ”ぐらいな気持ちもどこかに持ちながら、都度気持ちを切り替えてアプローチしていくといいのかもしれませんね。自分の気持ちをまったく表に出さなければ、相手に伝わるものも伝わらないものです。ご紹介した女性たちのように、一歩踏み出す勇気が出れば、それまでの何かが変わることもあるはず。みなさんが素敵な恋ができますよう!文・かわむらあみり©Tara Moore/Getty Images©Wavebreak/Getty Images©Jacobs Stock Photography Ltd/Getty Images
2022年05月11日定番の白Tシャツ×デニムコーデ。毎年、春夏になると鉄板で取り入れたくなる着こなしですよね。ですが、定番とはいえ年々コーディネイトのシルエットに変化があるのをご存知ですか?今回は、2022年夏に人気となる白T×デニムコーデのポイントをご紹介します。定番のTシャツ×デニムコーデ現在の定番となっているTシャツ×デニムコーデといえば、オーバーサイズシャツとハイウエストストレートデニムの組み合わせ。白Tシャツは厚手生地のヘビーオンス、シンプルな白無地が数年前から流行し始め、現在では定番化しています。その白Tにハイウエストのストレートデニムを合わせ、シャツはオールイン。トップスの程よいゆったり感とやや細めのデニムシルエットがスタイルがよく見えると人気です。もちろん、現在もこの着こなしは広く浸透しているので組み合わせていても問題はありません。ですが、根強く定着したこともあり、このコーデ自体にはすでに新鮮味があまり感じられません。ベーシックな着こなしをしたい場合はこのスタイルでも良いですが、2022年の目新しい白T×デニムコーデを取り入れたい場合は少しシルエットに変化をつけると良いでしょう。2022年はコンパクトな白Tシャツ×ルーズデニム去年からじわじわと人気を呼んでいたのが短丈トップス。短丈とはその名の通り、丈の短いトップスの総称です。もちろん白Tも同じく短丈のコンパクトTシャツが今年の旬。流行は長く定着しても5年〜10年単位で切り替わります。オーバーサイズシルエットが全般的に流行りだしたのは2015年頃なので、そろそろシルエットに変化の兆しがみられていますね。とくに昨年あたりからトップスもボトムスも丈が短いものが続々と登場しています。今後の勢いを見越して今年からコンパクトな白Tシャツを取り入れてみるのも良さそうですよ。短丈の白Tシャツに組み合わせるのはやはり例年通りハイウエストのデニムが正解。ですが、ストレートデニムよりも落ち感のあるルーズデニムが今っぽい印象を受けます。もちろん短丈トップスとストレートデニムの組み合わせもOKですが、ルーズデニムのほうがコーデ全体にメリハリが生まれるので人気が高いですね。小物はスニーカー、バッグはビビッドなカラーバッグが組み合わせとして人気です。今季は2000年代初期のストリートファッションがブーム再来の予感。ロゴTにも変化が白い無地のTシャツは定番に人気ですが、いっぽうロゴTも根強い支持を得ています。2022年のロゴTは、フォントの文字が小さめでワンポイントのようにデザインされているものが多い傾向にあります。また、襟と袖のリブの部分のみ色が違うパイピングTシャツも2022年を代表するアイテムになりそう。ぜひ、今夏に似合う白T×デニムコーデを取り入れたい方は参考にしてみてくださいね。イラスト・文 角 佑宇子
2022年05月07日婚活で約1000人の男性と出会い、年下夫を射止めたライター・かわむらあみりがお届けするコラム【結婚引き寄せ隊】連載第108回は、婚活していると出会う“男性”についてのエピソードです。なかでも、いまでも印象に残っている「婚活男性3選」その36をお届けします。1.初対面のフリをする男【結婚引き寄せ隊】vol. 108それは参加した婚活パーティでいまいち結果が出なかったときのこと。その後、お見合いをするにはちょっと堅苦しいし、飲み会に行くにはそこまでの気力もないし…。ということで、趣旨の違う婚活パーティに続けて行くことにしました。恋活イベントや婚活パーティを開催する会社によって、年齢や趣味でカテゴライズしたものなど、参加する男女のカラーが異なるため、開催する会社が違う、パーティ会場も離れた婚活パーティを選択。ひとつめのパーティでは、バリバリと働くビジネスマンやキャリアウーマンが集まっている会場で、しっかりとお互いに会話することができました。とはいえ、婚活というよりも、ちょっと面談のようなテイストが強く感じて、いいなと思える人はナシ。ふたつめのパーティでは、フリータイムがメインのカジュアルな印象で、ざっくばらんに趣味の話などで男女が盛り上がるような場所でした。ひとつめのグループの輪で話した後、次の輪に入ろうかと行ってみると、「あれ?」と気づいたのです。さっきのパーティにいた男性とまったく違うパーティの会場で遭遇してしまいました。でも、向こうからの反応もまるで初対面のようで、勘違いなのかもと思いつつも、仕事の話になって聞いているとやっぱり同じ人物だと確信。初対面のフリをされたので、こちらも初対面対応に。きっと向こうも「また会った」と内心思っていたはずですが、お互いにそのことには触れず、気まずさだけが残ったのでした。2.喫茶店で再び遭遇する男それは30代と40代の男女が集まる婚活パーティに参加したときのこと。いわゆるスタンダードなスタイルのパーティだったので、自己紹介から始まって、フリータイムとなり、最後に気になる相手の番号を紙に書いて提出し、カップリングするかどうかの番号の発表をして終了という流れになっていました。その婚活パーティで、最後の番号発表の際に偶然にも、カップリングしたのです。お互いの“気になる人同士”が合致した男女は、会場のドアの前かエレベーター前などで相手を待って、出るときに合流してお茶に行くような段取りになっていたので、カップリングした男性とともに会場近くの喫茶店へ入ることになりました。昔ながらの雰囲気の広い喫茶店の真ん中あたりの席に座り、パーティでは話しきれなかった話を続行。あるとき、男性がお手洗いに立ったので、一息ついてまわりのお客さんを見回すと、「おや?」と、見覚えのある男性が女性とお茶しているところが目に入りました。向こうは会話に夢中のようで、こちらには全然気づきません。見覚えのある男性が、知り合いだったか、誰だったかなとしばらく考えていたら、思い出しました。そういえばこの間行ったパーティで会った人。向こうはうまく彼女ができたのか、それとも違う婚活をしていて同じようにお茶をしているのか。まさか喫茶店で再遭遇するとはと、思わずびっくりしましたが、そのうちお手洗いから相手が戻ってきたので、目の前の男性に集中。気づくと見覚えのある男性たちは店を出ていましたが、どこで誰とすれ違うかわからないなあと、婚活中の再会具合に驚いたのでした。3.婚活サイトで発見した男それは婚活サイトで出会いを探していたときのこと。サイトを運営する会社によって、集まる人たちも少しずつ変わってくるため、会員数が多いメジャーなところで一度どんな感じが試した後、会員数はそれほどではないものの会員が安定しているサイトに登録していました。パーティのように実際に足を運ばなくても、自宅で出会いが探せる効率の良さもあり、婚活サイトの身近さを実感。あるとき、男性会員の一覧を見ていくと、なんと知っている顔を発見しました。それは、その頃ちょうど仕事の場で会ったことのある男性。それまでもその男性は婚活サイトに登録していたのかもしれませんが、まだ仕事で顔を合わせる前だったのでスルーしていたようで、仕事でも挨拶程度しかしなかった距離感のため、適当に閲覧していたら気づかなかったかもしれません。登録されている顔写真を見ながら「この前、会った人だ」と思いつつ、その男性のプロフィールを見てみると…!これ本当なのかな?という情報が載っていました。オフィシャルな場所で会った男性だったため、そこでは嘘はつけないはず。でも、プロフィールに書かれていた職業などが認識している内容と違っていました。名前はニックネームになっていて本名はわからないし、他人の写真を勝手に使うのは登録する際バレそうなものだけど、万が一にも勝手に顔写真だけ使われているとか、そうじゃなくても他人の空似ということもあるかと思いつつ、忙しくなってサイトから退会してしまい、結局は真意の程はわかっていません。いずれにしても、知らない人と会うときは、できる限り身元が信頼できる人じゃないと信用できないなとあらためて思ったのでした。婚活していると、さまざまなタイプの男性に出会うことがあります。みなさんが素敵なパートナーに巡り会えますように!文・かわむらあみり©Giuseppe Lombardo/Getty Images©Drazen Zigic/Getty Images©Westend61/Getty Images
2022年05月06日これから迎える暑い季節に手放せない、ブラカップ付きインナー。以前はシンプルなデザインばかりでしたが、今では多種多様のおしゃれなインナーが増えています。ですが、デザインの豊富さにより選択肢が増えてしまったため自分に合うインナーを選ぶのが難しくなっているのでは?そこで今回は、体型別におすすめのカップ付きインナーの特徴をご紹介します。肩幅広めさん&なで肩さんに似合うインナーは?薄着の季節になると気になるのが、肩まわり。肌見せが増えるので、インナーのデザインとボディラインの相性が悪いと肩がいかつく見えたり、反対にだらしなく見えたりします。なかでもアイテム選びに注意が必要なのは、“肩幅広めさん”と“なで肩さん”です。肩幅広めさんにおすすめのインナーはボートネックのカップ付きタンクトップ。もしあれば、タンクトップの袖はノースリーブよりもほんの少し長い丈のフレンチスリーブだとなお美しいシルエットになります。鎖骨は露出しつつも胸のラインは見せすぎないボートネックは、肩のがっしりとした印象を抑える効果があります。反対に気をつけるべきは華奢なストラップのキャミソールインナーやホルターネックインナーです。こちらは肌の露出が高く、肩の広さを強調してしまうため気をつけましょう。なで肩さんは、肩幅広めさんとは反対にホルターネックのカップ付きインナーがオススメです。ホルターネックは首に引っかけるデザインなので、通常のキャミソールと違ってストラップが肩からズレる心配がありません。見た目も前身頃の中心あたりに視線が集中するデザインであるため、肩が落ちて貧相に見えるといった印象を防ぐことができます。反対になで肩さんにとって注意が必要なのがUネックのタンクトップ・キャミソールインナーです。Uネックのように鎖骨から肩にかけての肌見せが多いインナーは、肩のシルエットが目立つのでなで肩の印象を強めます。キャミソールも同様にストラップがズレやすいのでオススメしません。バスト大きめさん&小さめさんに似合うインナーは?インナー選びに注意が必要なもう2タイプの方は、“バスト大きめさん”と“小胸さん”です。バスト大きめさんはできるだけ、バストボリュームを目立たせないデザインを選ぶのがポイント。オススメはスクエアネックのカップ付きインナーです。なおかつストラップは太めで安定感のあるデザインを選びましょう。シルエットはぴったりめでもOKですが、できるだけ厚みのある生地を選ぶと肉感を拾いすぎないので良いですね。この他、人気のリブタンクトップも相性抜群です。反対に着こなしが難しいのは、クルーネックのインナー。クルーネックは鎖骨が隠れすぎる襟ぐりのデザインなのでバストの大きさを際立たせ、太見えするので気をつけて。トレンドの華奢ストラップを着る際は、シャツやカーディガンを上から羽織って肌の露出を控えめにすると良いでしょう。対する小胸さんは、上半身がコンパクトに見えるのでデザイン性に富んだキャミソールがおすすめです。2本の華奢ストラップがついたキャミソールや、アシンメトリーデザイン、ワンショルダータンクトップなども上手に着られます。胸の小ささをカバーアップしたい場合はシンプルなVネックよりもカーヴィなV字のハートシェイプネックがよさそう。素材は体にぴったりフィットしたものを選ぶと良いですね。1枚めはベーシック、2枚めはデザイン性を重視して何着持っていても損はないカップ付きインナー。以前は補正力がないと言われていましたが、昨今の需要の高さも相まって機能性の高いカップ付きインナーも増えてきました。同時に今回ご紹介したような、さまざまなデザイン・素材・シルエットがあるので、ぜひ複数GETしてみてくださいね。初めて取り入れる方は、1枚目をシンプルでベーシックなものに。2枚目はデザイン性を重視して選ぶのがおすすめです。ぜひ、これからやってくる暑い夏を快適なインナーで乗り切りましょう。イラスト・文 角 佑宇子
2022年05月04日ミステリー作家・櫛木理宇の最高傑作とも言われている『死刑にいたる病』が、ついに実写映画化。『孤狼の血』や『凶悪』で知られる白石和彌監督が手掛けたこともあり、原作ファンのみならず、映画ファンからも注目を集めている1本となっています。そこで、こちらの方にお話をうかがってきました。阿部サダヲさん【映画、ときどき私】 vol. 480劇中では、世間を震撼させた稀代の連続殺人鬼・榛村(はいむら)を演じた阿部さん。岡田健史さんや岩田剛典さん、中山美穂さんといった豪華俳優陣との共演はもちろん、阿部さんの見事な怪演ぶりがすでに話題となっています。今回は、役作りの裏側や現場での忘れられないエピソード、そして日常生活におけるこだわりなどについて、お話いただきました。―『彼女がその名を知らない鳥たち』に引き続き、すごい役で白石監督からオファーがきましたが、どのようなお気持ちでしたか?阿部さん白石監督とはまたご一緒したいと思っていたので、声をかけていただいたときはうれしかったです。ただ、まさか24人も殺している殺人犯の役になるとは考えもしませんでしたが……。でも、役者である限り、この榛村という人物は一生に一度あるかないかくらいの役ではありましたし、先輩たちからも「凶悪な役とか合うんじゃない?」と言われたこともあったので、挑戦したいと思いました。―これまでも幅広い役どころを演じられているので、シリアルキラーの役が初めてというのは少し意外な感じがしました。阿部さんファンの方が教えてくださったんですが、歴代の作品のなかで刑務所に入っていることは多いみたいです(笑)。でも、ここまでひどい殺人犯ではなく、どれも軽犯罪ですが。とはいえ、捕まっている場面や面会のシーンがけっこうあったので、演じたことがありそうというイメージがあるのかもしれません。―では、実際に演じてみて、いかがでしたか?阿部さん人をいたぶる場面では、経験したことのないようなことばかりでしたし、けっこうハードな描写も多かったので、気持ち的にはきついところもありました。でも、撮影自体は楽しかったです。実は、血が流れるものやゾンビが得意ではない―ちなみに、原作は読まれてから現場に入られたのでしょうか。阿部さん偶然、妻が読んでいたので、家に原作がありましたが、身近にあったことに驚きました。このような話を思いつくことに驚きましたが、すごくおもしろかったです。―ということは、こういったタイプのサスペンスやミステリーなどはお好きですか?阿部さんいや、苦手です(笑)。というより、怖いです。実は、血が流れるものが苦手で、ゾンビとかもあまり得意ではなくて……。なので、この作品では、本当にひどいことをしているなと自分でも思ったほどです。―苦手な方がされているとは思えないほどの狂気で、特に目の迫力がすごかったですが、そこは意識されていましたか?阿部さん僕自身はあまり気にしていませんでしたが、監督は『彼女がその名を知らない鳥たち』で僕が見せた目の怖さが印象に残っていたので今回の配役をしたとおっしゃっていました。男性を突き飛ばすシーンのときに、「5分前に人を殺したような顔をしてほしい」と言われて作った表情でしたが、監督はそういうところを伝えたかったのかもしれないですね。岡田くんに引き出されるようなところはあった―なかでも、引き込まれたのは、岡田健史さんとの面会のシーン。綿密なリハを行っていたのか、それとも本番でぶつかり合う感じだったのか、現場の様子を教えてください。阿部さん岡田くんとは撮影に入るずいぶん前に1回だけ本読みで顔を合わせたくらいで、全然会っていなかったので、どういう芝居をしてくるかもまったくわからない状態でした。なので、面会シーンは僕もすごく楽しみだったんです。岡田くんが外で何をしていて、どんな芝居をしているかを僕は見られないので刺激的でしたね。それに、彼は純粋な方なので、外から帰ってくるたびに顔が変わっていくんですけど、それがおもしろくて。ネタバレになるので詳しくは言えませんが、彼が僕のことを“ある人物”と勘違いしているシーンでは、不思議な表情を浮かべていて、そういうふうにアプローチしてくるのかと驚かされました。それを受けて僕も違うパターンで行きましたが、そんな感じで僕も引き出されるような感じはあったのかなと。本当に予測不能でおもしろい方ですよ、岡田くんは。―ぜひ、おふたりの表情には注目していただきたいですね。そのほかにも豪華な共演者が揃っていましたが、印象に残っている方といえば?阿部さん中山美穂さんは、会えるだけでうれしかったですね(笑)。だって、中山美穂さんですよ!僕が芝居を始める前から見ていて、すごい時代を生きてきた方ですからね。―共演者というよりは、ファン目線に近い感じだったと。阿部さんそうですね。でも、度胸がなくて話しかけられませんでした……。ずっと見てたんだから、話しかければいいのにと思うんですが。―ということは、一度も声をかけられずに終わってしまったのですか?阿部さん川辺で撮影していたときに、確か僕が蚊に刺されて、「ここは蚊がいますよ」くらいは言った気がします(笑)。でも、その1回きりなので、もう少し話しかければよかったなとは思いました。人を操るよりも、操られるほうが楽に感じる―それは次回の共演に持ち越しですね。完成した作品をご覧になったとき、気になるシーンなどはありましたか?阿部さん岡田くんが外で動いている様子を見るのは初めてだったので、まずはそれが楽しみでした。自分のシーンでいうと冒頭のほうにレコードを聞きながら紅茶を飲んでいるところがありますが、撮影のときは「クラシックっぽい曲が流れます」とだけ言われていたんです。でも、監督が榛村のテーマソングを作ってくださっていたので、曲が流れた瞬間にしびれたというか、ゾクっとしました。『Mr. ビーン』のオープニングくらいでしか、聞いたことのないような曲でしたから(笑)。すごくうれしかったのもありますし、かっこいい曲だったので、監督にお願いしてすぐに曲のデータをいただいたほどです。―今回は、人を巧みに操る話術や表情というのは、事前に研究されたりしたのでしょうか。阿部さん榛村としては自然にしていることなので、どうすれば操れるかというのを意図的に考えていたわけではありません。なので、芝居している感じにも見えないような意識はしていました。「あの人がこんなことをするなんて……」と近所の人が言うような雰囲気が出ればいいかなと。「連続殺人犯ってこうでしょ」ではなく、榛村が日常を過ごすなかで、結果的に人を操っていたという感覚です。―ちなみに、ご自身は人を操るのは得意ですか?それとも操られがちですか?阿部さんどっちもある気がしますが、あまり人を操れてはいないかもしれないですね。「飲み会やってよ」と人に言っても、誰もやってくれませんから。―(笑)。ということは、できれば飲み会の幹事を操りたいと。阿部さんそうですね。でも、人との付き合いや距離感が一番難しいですよね。何でも言うこと聞いてくれる人がいたら逆に怖いですし。そういう意味では、人を操るほど責任を持てないので、操られるほうが楽かもしれないです(笑)。ルーティンを決めずに生きている―また、榛村といえば、典型的な秩序型殺人犯ということで、自分のなかで絶対的なルールがいくつかありましたが、阿部さんにもこれだけは譲れないルーティンのようなものはありますか?阿部さん僕はそういうのを決めて生きていないんですよね。とはいえ、お休みがないとおかしくなってしまいそうなので、お休みだけはきちんといただいています。あと、コロナ禍になってから、僕も家族も家にいる時間が長くなりましたが、そこで気がついたのは、ひとりの時間も必要だということでした。おそらく、向こうも思っていると思いますが(笑)。―では、お気に入りのひとり時間の過ごし方といえば?阿部さん知らない道を行って、迷っているときが一番好きです。変な道に入って行くと、ワクワクしますから。そういうところがあるので、ルーティンがないのかもしれないですし、なので芝居でも作っているときが一番楽しいんでしょうね。―なるほど。迷うからこそ見えるものもあるんですね。阿部さんちなみに、最近はスマホのマップで近道を教えてくれますが、それを巡って妻とケンカになることも。なぜなら、僕の知っている行き方のほうが早いと僕が思っているからです。妻は僕が早歩きするつもりだとか言うんですけど、そんなことしなくても絶対僕のほうが早い。だって、僕は50年以上も生きているわけで、そんな最近できたばかりのマップに負けるはずがないんですよ!―(笑)。確かに、スマホに操られている感じが嫌だなと思うことはありますし、迷う楽しみがなくなった気はします。阿部さんそうですよね。そんなふうに決めないから迷うし、毎日がすごく変わっていく感じはあります。ご飯を食べに行っても、毎回同じものを頼むこともしないほうかもしれないです。変化するかどうかは、自分が決めること―ほかにも、仕事のあとの楽しみといえば何ですか?阿部さんあまりないですが、お買い物とかは好きです。いまは自転車がほしいなと思っています。―自転車で行きたい場所はありますか?阿部さん瀬戸内のほうにあるしまなみ海道は、自転車で走ってみたいですね。でも、いざ行くとなったら面倒になってしまいそうではありますが……。―行けないと思うと行きたくなりますし、行っていいよと言われると面倒になるお気持ちわかります。阿部さんそうなんですよ、難しいですね。―では、ananweb読者へ向けて、阿部さんから元気になるようなメッセージをいただけますか?阿部さん明日は必ず来るものなので、僕は毎日生まれ変わっていいと思っています。変化を嫌う方もいますが、女性はどんどん変わっていいんじゃないかなと。ただ、「変化するかどうかは、君が決めることだよ」ということは覚えておいてほしいなと思います。―素敵なお言葉をありがとうございます。それでは最後に、本作の見どころについても教えてください。阿部さんもしかしたら、女性のみなさんは普段あまり観ないタイプの作品かもしれませんが、人を信じていいのか、いけないのかという部分も描かれていますし、注意喚起にもなる作品だと思っています。僕自身もこういう役は初めてなので、そのあたりもぜひ注目していただきたいです。インタビューを終えてみて……。劇中では、血も涙もない冷酷な表情に背筋がゾッとしましたが、取材では次々と繰り出されるおもしろいお話で終始笑わせてくださった阿部さん。まさに新境地とも言える役で見せる細かな表情の動きや仕草、そして観客までも操るような声のトーンなどにぜひ注目してみてください。ギリギリの心理戦から目が離せない!二転三転する真実の先にたどりつく、驚愕のラストに戦慄が走る究極のサイコ・サスペンス。かつてないほどの残虐さを見せながら、得も言われぬ魅力で人々を惹きつける連続殺人犯・榛村に、あなたも翻弄され、いつの間にか虜になってしまうはず。写真・北尾渉(阿部サダヲ)取材、文・志村昌美ストーリー鬱屈した日々を送っていた大学生・雅也のもとに、一通の手紙が届く。それは、稀代の連続殺人鬼として世間を震撼させた榛村からだった。犯行当時、榛村は雅也の地元でパン屋を営んでおり、中学生だった雅也もよくそこに通っていたのだ。すでに、死刑判決を受けていた榛村だったが、「最後の事件は冤罪だ。犯人が他にいることを証明してほしい」と雅也に依頼する。事件を独自に調べ始めた雅也だったが、そこには想像をはるかに超える残酷な事件の真相があった……。謎が深まる予告編はこちら!作品情報『死刑にいたる病』5月6日(金)全国ロードショー配給:クロックワークス©2022 映画「死刑にいたる病」製作委員会写真・北尾渉(阿部サダヲ)
2022年05月03日アベンジャーズの中心人物としてさらなる活躍が期待され、注目度が高まっている“最強の魔術師”ドクター・ストレンジ。2017年には、ヒーロー誕生の瞬間を描いた映画『ドクター・ストレンジ』が大ヒットとなりましたが、続編『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』がついに日本でも幕を開けます。そこで、こちらの方にお話をうかがってきました。松下奈緒さん【映画、ときどき私】 vol. 479前作に引き続き、日本版声優陣のひとりとして本シリーズに参加しているのは、女優でミュージシャンの松下さん。劇中では、ストレンジが唯一心を許せる元恋人・クリスティーンの声を担当しています。今回は、声優としての苦労や使えるようになりたい魔術、そして気持ちの切り替え方法などについて、語っていただきました。―クリスティーンを演じるのは、久しぶりだったと思いますが、感覚はどのようにして取り戻しましたか?松下さんまずは、前作を日本語吹替版で何度か観ました。5年前の自分がどういうふうに演じていたのかを確認したかったので。ただ、やっぱりおもしろい作品なので、つい声のことを忘れて没頭してしまいました(笑)。―演じるうえで、前回との違いなども意識されていたのでしょうか。松下さんアフレコのときに、いまの私のトーンがベストと言っていただいたので、心がけたのは、ナチュラルなクリスティーンを表現することでした。時間は経過していますが、キャラクターとして大きく変化しているわけではないので、何かをプラスアルファすることもなく、いまの私を活かしました。クリスティーンは、女性が憧れるような存在―ご自身にとっては、前作が声優初挑戦作品でしたが、声優ならではの難しさもあったのでは?松下さん普段とは、別の筋肉を使っているような感覚で、まったく違いましたね。特に、どうやって声だけで感情移入したらいいのかが難しかったです。自分が思っている120%を出してちょうど良いときもあったくらいなので。ほかの声優さんの声も聞かせていただきましたが、決してオーバーではない抑揚の付け方が素晴らしくて、これは“魔法”だなと感じました。ただ、今回は前作があったおかげで、すんなりとクリスティーンに戻れたのはよかったかなと。ストレンジと向き合うシーンもたくさんあったので、前回よりも気持ちが高ぶるところは多かったと思います。―そのなかでも、印象に残っている場面を教えてください。松下さんストレンジがクリスティーンと2人っきりになるシーンは好きでしたね。葛藤する2人の距離感や間など、揺れ動く感じがとてもよくて、泣きそうになりました。マーベル作品なのでヒーローものではありますが、そこだけはラブストーリーみたいで、2人にはふさわしいシーンだったと思います。―とても楽しみです。ちなみに、ご自身とクリスティーンに共通点や似ているところはありますか?松下さん声のトーンが似ているのかな?と感じますが、あとはどうでしょうか?(笑)。クリスティーンは、かわいいし、聡明だし、ユーモアのセンスもあって、ウィットに富んだことも言える。優しさと守るべきものを守れる強さも兼ね備えているので、女性が憧れるような存在。そういう意味でも、こういう人になりたいなと思う部分はたくさんありました。ストレンジがついに“真のヒーロー”になったと感じた―本当に、魅力的ですよね。ほかにも、お好きなキャラクターはいますか?松下さん今回は、ウォンが意外とチャーミングでよかったですね。前作では、図書館の守護者として、近寄りがたい雰囲気がありましたが、最新作ではかわいいなと思えるところもあったので、見方がかなり変わりました。―強面とのギャップがいいのかもしれないですね。今回のストレンジで注目すべきポイントといえば、どんなところでしょうか。松下さんクリスティーン目線で言うと、精神的にすごく大人になったなと思いました。もともとヒーローになるべくしてなったというよりも、事故に遭ったが故にそうならざるを得なかったのほうが大きかったですが、5年を経てまったく別人格に。頭がよくてクールなところはそのままですが、本当にかっこよかったです。ついに“真のヒーロー”になったんだなと感じました。―そのストレンジといえば、さまざまな魔術を駆使して活躍していますが、もし松下さんが魔術を持てるとしたら?松下さんもし魔術が使えるなら私は瞬間移動がしてみたいですね(笑)。あの技術を習得するまでにはいろんな修行をしないといけないですが、どこにでも行けるのはいいなと思いながらいつも見ています。―もし使えたら行きたいところは?松下さんアフリカです。というのも、コロナ禍になる前、最後に行った海外がケニアで、大自然のなかで堂々と生きる動物たちの姿が素晴らしくて感動したので、もう一度あの光景を見られたらいいなと。勿論、飛行機に乗って行くのも楽しいのですが、魔術が使えたら使ってみたいですよね(笑)。年齢は意識せず、自然のバランスに委ねている―誰もがほしい魔術ですね。前作から5年ということで、ご自身の5年を振り返ってみていかがですか?松下さんやっぱり一番はコロナによって、どう生きていくのかというのは大きく変わったところだと思います。「自分がやるべきことは何なのか」や「こんなことをやってみたいな」とかいろんな意味で自分を見つめ直す時期になりました。人と会ってお話できることもありがたいですし、普通だと思っていたことが当たり前ではなかったんだと改めて感じています。―30代でも前半から後半になったことで、心境の変化もあったのではないかと思いますが。松下さんそれが、まったくないんです(笑)。周りからは「35歳を過ぎるといろんなところが言うこと聞かなくなるよ」と言われてはいましたが、そんなことを感じていられないというか、感じないようにしています(笑)。当然そういうこともあるとは思いますが、年を重ねただけいいこともあるはずなので、意識せずに過ごしていきたいなと。「40歳手前だから……」ではなく、「37歳も楽しいよ!」という感じで好きなことをしてきたいです。―松下さんは女優やミュージシャンとして幅広くご活躍されていますが、お仕事のバランスはどうされているのでしょうか。松下さん私の場合、バランスを取ろうとするとバランスが崩れてしまうので、女優も音楽活動も線引きすることなく自然に委ねています。そんなふうに、自然に作ってきたバランスにこれからも乗り続けていきたいです。今後は、自分に合う仕事の仕方をもっと増やしたい―ということは、オンオフも意識せずに切り替わっていると。松下さんそうですね。そもそも私はオンオフがあまりないほうなので、流れに逆らわないようにしています。あとは家に帰ってきて、愛犬に触ったらオフになりますね。本当に私の生きがいなので。あまり相手にしてもらえないときでも、勝手に話しかけています(笑)。心のよりどころでもあるので、いてくれるだけで助けられている感じです。―癒されますね。そのほかに、スタイル維持のために欠かさずしていることがあれば、教えてください。松下さん規則正しい生活を続けるのはなかなか難しいですが、なるべく同じ時間にご飯を食べるようにしたり、夜8時以降は食べないようにしたりというのは心がけています。あとは、犬と散歩に行くくらいですね。―今後挑戦してみたいことはありますか?松下さんここ10数年は、仕事の内容としては大きく変わってはいませんが、アプローチの仕方が少しずつ変化しているのは自分でも感じています。やることは変わらないけど、やり方が変わってきているとでも言いますか。自分に合うやり方や曲の作り方など、もっといい方法をこれからも新たに増やしていきたいと考えています。意識しているのは、翌日までひきずらないこと―今回、海外作品の吹き替えに携わることで、ご自身も海外作品に出演してみたいと思うことはなかったですか?松下さんまずは、英語をがんばらないとですよね。洋画は好きなので、広い夢として頭の片隅にはありますが、その前にやるべきことがたくさんあるなと……。でも、もし機会があればチャレンジしたいと思います!―それでは最後に、ananweb読者へメッセージをお願いします。松下さん私がいつも思っているのは、「今日あったことは翌日までひきずらない」ということ。もちろん、うまくいかなかったことや悪いことを1日で吹っ切れないときは私にもありますが、2~3日くらいで忘れる意識は持っています。そうすると、楽しかったことは倍増されて、嫌なことはすっと消えていきますから。そんなふうに、1日を精査してから寝るというのはたまにしていますが、自分のなかでいいことを膨らませていく習慣は20代からしておけばよかったなと感じています。そういう考え方ができるようになったのは、この仕事を始めてからですが、うまくいかないことや納得いかないことは、どんな仕事にもありますよね?ただ、そういう気持ちを切り替えて眠れば翌朝の気分も違う気がするので、良くも悪くも自分次第ですよね。いい意味で忘れて、ポジティブに考えることを意識するというのは、ひとつの方法だと私は思っています。インタビューを終えてみて……。凛とした佇まいと、知的なオーラを放っている松下さん。まさにクリスティーンのように女性が憧れる存在だと感じました。シリーズ最新作では、松下さんがオススメするシーンにも注目しながら、ストレンジとクリスティーンの恋の行方もぜひお楽しみに。新たな次元の扉が開く!ドクター・ストレンジと仲間たちによって繰り広げられるのは、マーベル史上最も予測不能と言われる壮絶な戦い。時間と空間を超越した圧倒的なスケール感と見たこともないような驚異の映像は、あなたを別世界へと連れて行ってくれるはず。取材、文・志村昌美ストーリー元天才外科医にして、アベンジャーズ最強の魔術師とされるドクター・ストレンジ。時間と空間を変幻自在に操る魔術を持っていたが、最も危険とされる禁断の呪文によって、“マルチバース”と呼ばれる謎に満ちたパラレルワールドの扉が開かれてしまう。何もかもが変わりつつある世界を元に戻そうと試みるも、もはやどうすることもできないほどの恐るべき脅威が、人類と全宇宙に迫っていた。そんななか、ストレンジの前に立ちはだかる最凶の敵は、魔術を操る邪悪な“もう一人の自分”だった……。目が離せない予告編はこちら!作品情報『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』5月4日(水・祝)より全国公開配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン©Marvel Studios 2022
2022年05月02日