赤ちゃんが生まれて予防接種が始まると、定期接種から任意接種まで、あまりにもワクチンの種類がたくさんあることに驚くママやパパも多いのでは? もしかしたら、首のすわらない幼いわが子を何度も小児科に連れていくことや、任意接種ワクチン費用の高さにためらいが生じるかもしれません。予防接種はすべて受けたほうがいいのでしょうか?日本小児科学会が発行する「知っておきたいわくちん情報」を参考にして、最新ワクチン情報をお届けします。■予防接種、なぜするの?そもそも「ワクチン」という言葉を聞いたことはあってもよく知らないママパパは多いのではないでしょうか。日本小児科学会によると、ワクチンとは、「病原体または細菌が出す毒素の病原性や毒性を弱くしたりなくしたりしたもの」。このワクチンを接種することを、予防接種といいます。ワクチンを接種することで、体内に免疫がつくので、万が一病原体が体の中に入ったとしても病気にかからない、あるいはかかったとしても軽くすむそう。ワクチンで予防できる病気は20種類以上あり、日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュールに含まれる定期接種ワクチンは10種類、任意接種ワクチンは3種類あります。■予防接種をしないで自然に任せたほうがいい?なかには「自然に病気にかかって免疫をつけたほうがいいのでは」と考えるママやパパもいるかもしれません。しかし、日本小児科学会によれば、予防接種を受けないデメリットは2つあるそうです。ひとつめは、感染症にかかると、ごくまれに脳炎や肺炎などの合併症を起こして重症化する危険があること。ふたつめは、周囲に感染症を広げてしまうリスクがあること。これらのリスクを考えると、防げる病気はワクチンでしっかり予防するのがベストであるといえそうです。 ■予防接種、定期接種と任意接種の違いは?小児科などでもらえる予防接種スケジュールを見ると、予防接種には「定期(接種)」「任意(接種)」の分類があることに気づきます。定期接種と任意接種ではどう違うのでしょうか?定期接種のワクチンは「予防接種法」で定められているワクチンのこと。日本では10種類が認められており(2018年5月現在)、原則として地方自治体が費用を負担するため、無料で接種できます。一方、任意接種のワクチンは、国が使用することを認めているものの、「予防接種法」で規定されていないものを指します。任意接種ワクチンのうち、日本小児科学会が接種をすすめているのは、「ロタウイルス」「おたふくかぜ」「インフルエンザ」の3種。接種費用は個人の負担になりますが、自治体によっては一部または全額負担してくれるところもあります。住んでいる自治体に確認してみましょう。任意接種ワクチンは効果や安全性について国内でのデータがそろっていないため、定期接種になっていないのが現状。とはいえ、実際にその効果や安全性は十分に確認されています。つまり、任意接種だからといって、重要度が低くなるわけではないのです。定期接種と任意接種、どちらも予防接種を受け、感染症を防ぐことが大切だといえそうです。今後、任意接種のワクチンが定期接種ワクチンになる可能性はあります。ただ、そのタイミングを待っている間にかかってしまうこともあるので、わが子を感染症から守るためにも接種可能な月齢になったら早めに予防接種したほうが良さそうですね。 ■ロタウイルス 症状と予防接種【どんな病気?】感染すると短時間で激しい下痢がおこり、脱水症状を起こしやすくなります。通常は3~5日で軽快しますが、なかには点滴が必要になったり、重症化して入院することも。ロタウイルス胃腸炎は毎年3~5月に流行し、生後6カ月~2歳までにかかることが多いのが特徴です。【予防接種の時期や回数】口から飲む生ワクチン。任意接種。1価(2回接種)と5価(3回接種)、2種類のワクチンがあります。1価の場合、接種の推奨期間は生後2カ月と3カ月。2回目の接種は生後24週までにすませます。5価(3回接種)の場合、生後2カ月、3カ月、4カ月の間に。3回目の接種は生後32週までにすませます。生ワクチンのため、接種の間隔は27日以上あけます。ロタウイルスのように1回の負担が1万円以上ともなると、躊躇してしまうかもしれません。しかし、もしかかった場合の治療費用とワクチン費用を比べてみると、多くはワクチン費用のほうが安くすむ傾向にあります。■おたふくかぜ 症状と予防接種【どんな病気?】おたふくかぜ(流行性耳下腺炎、ムンプス)にかかると、発熱とともに耳の下やあごの下にはれや痛みが出ます。1週間ほどで良くなります。まれに髄膜炎や脳症、難聴などの合併症を引き起こし、後遺症が残るケースもあります。妊婦が感染すると流産の危険性が高まるので注意が必要です。【予防接種の時期や回数】任意接種。計2回の接種が推奨されています。1回目は1歳になったら早めに、2回目は小学校入学前の1年間に受けるといいでしょう。大人の女性が受ける場合は、事前に妊娠していないことを確認します。■インフルエンザ 症状と予防接種【どんな病気?】インフルエンザウイルスによる急性の呼吸器感染症。ウイルスには主にA型とB型があり、一般的に症状が強く出るのがA型。かかると、発熱や頭痛、全身の倦怠感、関節の痛みなどが見られ、後に鼻水や咳などの症状があります。例年、12月~3月にかけて流行し、ピークは1月~2月にかけてが多いですが、年によって変わります。【予防接種の時期や回数】任意接種。毎年シーズンに生後6カ月以上13歳未満は2回、13歳以上は1回接種します。ワクチン接種の効果が出るまで2週間ほどかかるため、流行する前の10月末から11月までに接種を始めるといいでしょう。 ・日本小児科学会 ・知っておきたいわくちん情報
2018年06月21日幼稚園で送り迎えをしていると、会話が弾んでとても仲の良さそうな園ママたちの姿がよく見受けられます。ちょっと聞こえてくる会話内容は、一緒に買い物に行ったり、お出かけしたりととても親しそう。でもママのなかには、「自分はそんなお誘いを受けるようなママ友はいないのに、どうして仲良くなれるの?」と疑問に思うこともあるはず。そこで、園ママたちのつながりの理由や会話内容について調べました。入園前から関係構築は始まっている?幼稚園の入園時、すべての人たちが初顔合わせで関係構築を始めているわけではありません。幼稚園によってはプレ保育があって、2歳児から受け入れをしていたりするので、その時点で既に顔見知りの人たちもいるようです。プレ保育がないところでも、子どもを遊ばせる公園が同じことからママ友になった人たちは、「幼稚園をどこにするか」、「入園手続きはどうしたらいいか」などの情報共有をしたいために、自然とよく会話をする間柄になっていることも多いんだとか。他にも小児科が一緒で顔見知りだったりすると、小児科の長い待ち時間の間に会話をしていたり、最近では幼稚園に入る前から習い事をさせている家庭も多いので、共通の習い事で入園前から仲良くなっているというケースもあるようです。意外と人間関係は希薄な場合も多い一見仲良くグループになり談笑しているママたちも、実際に話している内容は当たり障りのないもので、あいさつの延長というだけという人も多いといいます。親しい関係になりプライベートで家に招待しあったり、お出かけしたりしている人はほんの一部で、本当はあいさつついでの立ち話をしているだけなのに、外から見ると仲が良さそうに見えているというケースもたたあるようです。育児のための情報交換を積極的にしているママもいるようですが、子どもの育ち方は千差万別のため、参考程度の意見しか聞けなかったり、参考にすらならないと思っていたりと、結局はあまり意味のない立ち話をしているだけと、吐露するママの声もありました。たまたま気が合ったり、ひとりで行動するのが苦手という人同士は早くから仲良しグループを作って行動しているようですが、そうでない人はある程度距離感を持っている人も多いようです。周囲の園ママたちがとても仲良さそうに見えても、実際に仲のいいのはほんの一握りと考え、自分がその中に入っていなくても、あまり気にする必要はないかもしれません。(文・姉崎マリオ)
2018年06月19日ウエスト症候群とは出典 : ウエスト症候群は「点頭てんかん」とも呼ばれ、多くは1歳未満(生後3ヶ月~8ヶ月がピーク)に発症する、全般てんかんのことです。"てんかん発作"のタイプは右脳と左脳が同時に興奮状態に巻き込まれる全般発作に分類されます。脳波が全体として「バラバラで混とんとした」波形になるのも全般てんかんであるウエスト症候群の大きな特徴の一つで、精神運動発達の退行(発達とともに習得した精神的・運動的技能ができなくなってしまうこと)をきたす、特異かつ稀少な難治性のてんかん症候群で、難病指定もされています。発症率は、出生数 1,000人に対して 0.16~0.42人と言われています。参考:ウエスト症候群の診断・治療ガイドライン|日本てんかん学会ガイドライン作成委員会ウエスト症候群は「点頭てんかん」とも呼ばれていますが、「点頭」と言う言葉は「うなずく」と言う意味があり、首の屈曲がうなずくような動きに見えるためです。原因はあるの?出典 : ウエスト症候群の原因は、検査を行っても原因の特定が難しい潜因性のものと、何かしらの疾患などの原因が考えられる症候性のものがあります。原因と考えられる基礎疾患としては、脳形成異常、低酸素性虚血性脳症、外傷後脳損傷、脳腫瘍、代謝異常、染色体異常、先天奇形症候群、遺伝子異常などが挙げられます。しかし、潜因性のてんかんと症候性のてんかんに共通するはっきりとした病態は、まだ見出されていないのが現実です。さて、潜因性と症候性とはなんでしょうか。潜因性は、非症候性ともいわれ、基礎疾患やその他の神経学的な兆候および症状がみられません。それに対して症候性は、生まれる前あるいは出生直後に起こった脳障害の合併症が原因となって起こるものです。治療効果や予後も、潜因性か症候性かで大きく変わってきますが、症候性のほうが予後が悪く、レノックス・ガストー症候群というてんかんに移行していく場合もあります。ウエスト症候群の症状は?出典 : ウエスト症候群の様子や、どんなときに起こりやすいかなどを知っておけば、「この動きはもしかしたら?」と見逃すことなく、早期発見につながるかもしれません。前述したように、ウエスト症候群かもしれないと思ったら、なるべく早く小児科を受診しましょう。頭をカクンと前屈させ、上下肢をビクンと振り上げる動作など、両側対称性の四肢・体幹のけいれん発作を、数秒間隔で繰り返します。繰り返し起こることを「シリーズ形成」とよびます。このウエスト症候群のシリーズ発作は0.2~2秒程度の短い発作が数秒間隔で、20~40回ほど繰り返されるのが特徴です。多い時には、100回以上繰り返されることもあります。シリーズ発作は1日に10回以上起こることもあります。子どもによって違いはありますが、寝起きや寝入りに起こりやすいといわれています。発達とともに取得した精神的および運動的技能ができなくなる「退行」も、ウエスト症候群の特徴のひとつです。たとえば、お座りができていたのにできなくなった、単語を言えていたのに言わなくなった、など。「あれ?最近〇〇ができなくなったな」と思ったら、赤ちゃんの様子をしっかり観察してあげましょう。ウエスト症候群の動きかも?と思ったら親がすること出典 : 「子どもが頭をカクンとさせるんだけど、なんだろう?」、「この動きはもしかしたらウエスト症候群?」生後数ヶ月の赤ちゃんの小さな動き、気になってもそれがなんなのか、迷いますよね。こんなふうに迷ったとき、保護者はいったいどうすればいいのでしょうか。「たぶんこの動きはなんでもないな」などと判断したり、放っておいたりしないで、まずはかかりつけの小児科に行きましょう。そして、動きのほかにも「首がすわっていたのに、最近すわりにくくなってきた気がする」、「お座りができていたのに、できなくなった」など、少しでも気になることはすべて伝えることが大切です。保護者が伝えたことすべてが、ウエスト症候群かそうではないかの、大切な判断材料にもなるのです。親が見たことや気になったことを伝えることももちろん大切ですが、どうしても偏ったものになったりあいまいなものになってしまう場合も多いので、客観的に見ることができる「動画」を撮って持っていくことをおすすめします。その場合、「寝入るときに撮った」、「寝起きに撮った」など、そのときの状況を伝えることも忘れないようにしましょう。「この動作はウエスト症候群かな?」と思ったら、抱きしめたり大声で名前を呼んだりせず、まず落ち着いて様子を見ましょう。てんかんかな?と思ったら動揺したり焦ってしまいがちですが、全身のけいれんが長く続くことがなければ、救急車を呼んですぐ病院へ搬送!という必要はありません。もちろん早期発見が大切なてんかんですが、一度起きたからすぐに命にかかわる、脳へ甚大な影響があるというものではありません。とにかく、しっかりと様子を観察しましょう。モロー反射とは、赤ちゃんの原始反射のひとつで、大きな音を聞いたときなどにビックリして起こる動作です。指を広げて腕を伸ばし、何かに抱きつくような動きが特徴です。一見すると、ウエスト症候群とモロー反射の動きはとても似ているので、判断するのは難しいのです。モロー反射の特徴としては、音などのきっかけによりビクッとなったり、寝ている時にビクッとなったりします。それに対して、ウエスト症候群の発作は、寝起きや寝入り前の目が覚めている時に起こることが多く、発作時も無表情でビクッとするだけでなく、頭をカクンと前に倒すという特徴があります。ウエスト症候群を診断するための検査出典 : 「ウエスト症候群の可能性がある」と言われ、診断されるまでには、いったいどんな検査をするのでしょうか。まだ生後間もない小さな赤ちゃんを検査するとなると、不安になってしまうかもしれませんが、検査内容や具体的な方法を知ることで不安も軽減されると思います。ウエスト症候群は脳波に高振幅の徐波と棘波・鋭波(点頭てんかん特有の異常脳波でヒプサリズミアという)が不規則に出現し、全体的にバラバラと混とんとした状態になるのが特徴で、脳波は最も大きな判断材料と言えます。「こんなに小さいのに、脳波なんてとれるの?」と心配になるかもしれませんが、人体への影響が少ない「トリクロリールシロップ」などの睡眠導入剤を使って、眠らせた状態でとることができます。ウエスト症候群が、脳形成異常や脳室周囲白質軟化症(側脳室周囲白質に局所的な虚血性壊死による多発性軟化病巣ができる疾患、早産児や低体重児に多くみられる)が原因となっている場合もあるため、頭部CTやMRIの検査を行い、基礎疾患がないかをくわしく調べます。原因がはっきりすれば、有効なアプローチ方法を見つけられる可能性が高くなるのです。ウエスト症候群の治療法は出典 : ウエスト症候群は難治性のてんかんです。ウエスト症候群だと診断されると、不安が先に立ちますが、有効な治療法はいくつかあります。決して心配しすぎず、赤ちゃんのためにも早期治療に取り組んでほしいと思います。治療法にはどんなものがあるのか、どんな効果があるのかなど詳しく解説していきます。ウエスト症候群の治療法として、まずはビタミンB6やバルプロ酸などの抗てんかん薬を1~2週間程度投与して様子をみることもあります。それでも効果がみられない場合は、すぐにACTH療法に移行します。ウエスト症候群の最も有効な治療法として、ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)投与があげられます。日本では、作用時間の長い人工合成ACTH製剤であるコートロシンZが使われて、太もも(左右交互)に注射投与します。一般的には、最初の2週間程度は毎日投与(この過程で発作が消失または激減する効果が表れ始める)し、効果があれば徐々に投与回数を減らしていき、効果がなければ3~4週間程度まで毎日投与を延長し、その後に投与回数を減らしていきます。基本的には入院が必要な治療です。副作用として、ムーンフェイス、高血圧、電解質異常、易感染性などがありますが、それも含めて量や投与方法などをコントロールしながら治療を進めます。日本てんかん学会では、ACTHについて下記のようなガイドラインを作成しています。1.West症候群の治療に最も有効なのは、ACTHである。2.ACTHの最適投与量、投与方法、期間については十分なエビデンスがないが、副作用を軽減するために、可能な限り少量、短期間の投与が推奨される。3.ACTHは、West 症候群発症後出来るだけ早く使用すべきである。非症候性 West症候群については、1か月以内が望ましい。4.ACTH治療中は、副作用をモニターし治療する。重篤な副作用が出現した場合は、ACTHを中止する。5.他の療法をACTH治療前に行う場合は、2 週間以内に効果判定を行い、無効であればACTH療法を行うのが望ましい。療法が有効でなかった場合、第二選択としてビガバトリンを使用します。1989年に英国で抗てんかん薬として最初に承認され、英国ではウエスト症候群の第一選択薬のひとつに位置づけられていますが、日本では視野狭窄の副作用があるため、遅れること2016年3月に承認されました。ACTHより効果が弱いとされていますが、ACTHに反応しない、あるいはACTHでいったん発作が消失したものの再発してしまったという場合でも有効な可能性があります。また、結節性硬化症をともなうウエスト症候群にも高い効果を発揮します。上記の投薬・服薬の治療法のほかにも、ケトン食という食事療法があります。脂肪が多く、炭水化物(糖質)が少ない食事で、脂肪、たんぱく質、糖質・炭水化物の比率を一定になるように毎食計算します。まだ乳幼児のため、特殊専用ミルクも併用しながら医師と栄養師の管理のもとで実施します。1921年から使われていますが1995年以降にはアメリカで急速に普及し、ケトン食療法に関する研究報告は飛躍的に増加しています。ウエスト症候群をはじめ、さまざまなタイプのてんかんに有効である可能性があり、発作頻度が半分以下になるという報告も多くあります。ウエスト症候群の予後は出典 : 難治性のてんかんと言われて、親が一番気になるのはその後の発達や再発の可能性についてではないでしょうか。治療後の予後はどうなのか、再発の可能性はどのくらいあるのかなどを詳しく見ていきます。ACTH療法はほかの療法よりもその後の知的な発達が良好であり、また、発症1か月以内にACTH療法を開始したほうが、知的発達が良いともいわれています。また、さまざまな症例から、症候性よりも潜因性のほうが知的および発作予後が良く、早期治療の方が発作予後が良かったと報告もあります。症候性か潜因性かでも変わってきますが、発症後すぐ治療を始めた場合、5~8割くらいは症状が軽くなる(発作の消失、あるいは今後の発達に影響がない程度の激減)と言われています。しかし、時間が経ってから治療した場合、約半数は発作が残ったり、すぐに再発する可能性が高いといわれています。ウエスト症候群という病気と長期間向き合い、赤ちゃんの様子をみながら支えていくと言う姿勢と覚悟が大切になります。再発した場合は、ACTHの再投与や他の抗てんかん薬による治療もありますが、それらの治療も有効でない場合、レノックス・ガストー症候群という難治性てんかんに発展する可能性も高くなります。レノックス・ガストー症候群とは、発症時期が1~8歳(ピークは3~5歳)であり、新生児期・乳児期に発症したウエスト症候群が移行することもあります。強直発作、非定型欠神発作、脱力発作など多彩な発作がみられ、精神発達遅滞をともないます。まとめ出典 : ウエスト症候群は、難病・小児慢性特定疾患に指定されているため、医療費の助成や療育相談・自立に向けた育成相談など、さまざまな支援を受けることができます。ウエスト症候群と診断されても、その後の治療やリハビリ、そして受けられる支援をうまく活用することで、子どもの成長は大きく変わっていきます。一番大切なのは、早期の発見と治療です。まだ未熟な乳幼児の動きを観察して判断するのは非常に困難であり、つい見逃してしまうことがあります。ウエスト症候群を理解することで、小さな「気になる」動きがあったら、小児科へ行くなどすぐに行動してほしいと思います。参考文献:『病気がみえる vol.7 脳・神経』p.470(医療情報科学研究所/メディックメディア)/2011年参考:ウエスト症候群(指定難病145)|難病情報センターHP参考:ウエスト症候群の診断・治療ガイドライン|日本てんかん学会ガイドライン作成委員会HP参考文献:『小児科学レクチャー』3巻6号p.1419-1430(総合医学社)2013年11月参考文献:『小児内科41巻第3号』(東京医学社) 2009年3月1日参考:ケトン食療法と実際について|岡山大学病院|参考文献:『専門外の医師のための小児てんかん入門』p.50(白石秀明/中外医学社)2015年参考:小児慢性特定疾患センターHP
2018年05月29日『子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方』著者の立石美津子です。障害基礎年金は自動的に受給はできない!申請のために必要なものとは…Upload By 立石美津子障害のある人は障害基礎年金を20歳から受け取ることができるのは、知っていますか?息子は現在17歳。年金受給できる年齢まであと2年ちょっとです。私は「療育手帳を持っていれば、障害基礎年金は自動的に受け取れるもの」と勘違いしていました。学校の個人面談で担任から、「立石さん、主治医はいますか?いないのであれば、20歳になったら障害基礎年金を受給できるように、申請に必要な診断書を書いてくれる医師を、今から探しておいてください」と言われました。私は、障害基礎年金の受給の申請のためには療育手帳だけ持っていてもダメで、主治医の診断書が必要なのだとこのとき初めて知りました。参考:日本年金機構小児科・児童精神科には年齢制限がある出典 : 私の家の近所に小児専門の国立病院があります。もちろん、発達障害児のための専門外来もあります。でも高校生以上の初診は受けつけていないそうです。発達障害のある子どものかかりつけは、小児科や児童精神科が多いと思います。ですが小児科や児童精神科は、原則として中学生までしか受診ができません。以前は成人期になっても小児科・児童精神科にかかる場合もあったようですが、発達障害の診療ニーズが高まる中、継続しての支援が難しくなってきたという背景もあるようです。また、幼児期は療育に通ったり病院を受診していたりしたけれど、小・中学校時代にはトラブルなく過ごせ、思春期以降も問題行動などの二次障害もなく落ち着いている場合、投薬もなく、主治医を持たないケースもあるでしょう。友人にも「子どもが小さい頃は病院に行っていたけれど、今は定期通院していない」という人が多くいます。そうすると、「障害はあるのに問題行動が落ち着いて病院を離れていた結果、主治医がおらず、年金申請に必要な書類を書いてもらえない」という状態になり、慌てることになってしまうのです。つまり、20歳を迎える前に年金受給申請することになりますが、それまでに成人を診られる病院で主治医を見つけておく必要があります。障害のある子を育てているママ友のなかには、子どもが幼い頃から「年金申請のこと」まで見越して、最初から大人の精神科が併設されているクリニックに通わせている人もいます。でも私は、担任に言われるまで、まったくその知識がありませんでした…。主治医探しの旅へ出典 : 現在、息子は強迫性障害のために大学病院に通院しています。ただ、この病院は「病気の診断を確定して治療方針を立てるところ」です。定期的に通う場合は、住まいの近くのクリニックに転院する必要があるようです。そういう意味ではずっと診てもらえる主治医がいない状態です。わが家の場合、大学病院から他の病院への紹介などはないため、自力で見つける必要があります。都内の精神科のクリニックに電話をしてみました。しかし、まず電話がつながりません。30分電話をかけ続け、やっとつながったとしても「来月の初診枠は満員となりました!」と言われてしまいました。さらに「年金申請の診断書記入目的の新患は受けつけていません」と言われてしまったのです。こうして、病院探しの放浪の旅の途中にあるわが家ですが、医師の立場に立てば、18歳になっていきなり来られても「幼い頃からずっと診てきている訳ではないので、受診してすぐ診断書を書くことは難しい」と考えるのも頷けます。参考:発達障害診療における小児科から精神科へのトランジション | 精神科治療学 第32巻12号(星和書店)精神科医へのスムーズな引継ぎがあれば…出典 : 障害基礎年金の申請支援までして引き継いでもらうことができたら…小児科で診られる年齢と、年金申請までの期間があることなどによって、このような問題が出てきてしまいます。せめて、小児科・児童精神科医が、患者の状態を要約して書面にして成人期の病院へ引き継いでくれたら、精神科医も対応しやすくなると思います。「障害のある人が月に6.5万円(※)を稼ぐことはとても大変です。障害基礎年金があることで、無理なく働くことができるのです」と、知人の社会保険労務士は言います。私もそう思います。ライフラインともいえる障害基礎年金の申請がままならない、制度のはざまでもがく、わが家のような家族はたくさんいると思います。障害基礎年金の申請にも関わる社会の仕組みが、改善されてほしいと強く願っています。そしてまた、わが家のように路頭に迷わないよう、発達障害のある子どもを育てている保護者のみなさんには、中学生になるぐらいから、成人期を見据えた主治医探しをはじめておいてほしいとも思います。(※)「障害基礎年金」年額より算出。障害基礎年金は1級で年額974,125円、2級で779,300円(2018年度)
2018年05月26日食物アレルギーを専門とする小児科医・佐藤さくら先生にお話をうかがい、これまで2回にわたって子どもの食物アレルギーについて紹介してきました。なかなか治りづらいイメージのあった食物アレルギーですが、小学校就学前までにおよそ90%のお子さんがアレルギー原因食物を食べられるようになるというお話には驚きました。そこで、食物アレルギーに関する素朴な疑問や、食物以外の子どものアレルギーについてもうかがいました。佐藤さくら先生 プロフィール小児科医。国立病院機構相模原病院 臨床研究センター 病態総合研究部 病因病態研究室長。宮崎医科大学医学部卒業後、宮崎大学医学部小児科医員、国立病院機構相模原病院 臨床研究センター アレルギー性疾患研究部 流動研究員等を経て現職に。日本アレルギー学会代議員。日本小児アレルギー学会評議員。『小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2017』ほか多数執筆協力。■子どもの食物アレルギー「今さら聞けない“あるある”」を質問Q1:「母乳とミルク、どちらが食物アレルギーにかかりやすいですか?」佐藤さくら先生(以下、佐藤先生):食物アレルギーを発症するかどうかは、人それぞれ元来備わっている体質や環境などが影響するといわれています。ですから、どちらかを飲んでいると食物アレルギーになりやすい、ということはありません。また、お母さんが妊娠中や授乳中に食べたものを除去すれば、お子さんが食物アレルギーにならないというわけでもありません。アレルギー反応が出た際は、自分ひとりでなんとかするのではなく、専門医に任せるのが得策です。Q2:「子どもが食物アレルギーです。毎日の献立を考えるのが大変でマンネリ化しがち。おすすめのレシピはありませんか?」佐藤先生:そんな時こそインターネットを上手に利用しましょう! 私がよく患者さんのお母さんたちにすすめているのは独立行政法人 環境再生保全機構の 「食物アレルギーの子どものためのレシピ集」 です。ぜひ一度サイトをのぞいてみてください。また、本屋さんや図書館にも卵や小麦を使わないレシピ本がありますので、参考にしてみてはいかがでしょうか。Q3:「4歳の娘がいます。今のところ食物アレルギーではないようですが、今後、発症する可能性はありますか?」佐藤先生: 先にも触れたように 、食物アレルギーは生後3~4カ月に発症するケースが一番多いです。お子さんは4歳ということなので、そこまで心配する必要はないかと思いますが、発症しないとも言い切れません。Q4:「食物アレルギーの子どもが誤って原因食物を食べてしまったらどう対処すればいい?」佐藤先生:症状が軽いようであれば、安静にして、医師から指導された内服薬などを服用し様子をみてください。それでも症状が改善されない場合や症状が激しい場合は、すぐに近くの医療機関で診てもらうように。ひどいアレルギー症状の場合は病院での治療が必要になります。 ■近い将来、小児喘息が治る病気に?最後に、食物アレルギー以外の子どものアレルギーについても、最近の傾向や対策などもあわせてうかがいました。――今年の春も花粉がひどかったですね。子どもの花粉症も増えている印象があります。佐藤先生:確かに、花粉症に悩むお子さんは増えてきています。ダニやハウスダストに悩むお子さんも目立ちますね。学童期に特徴的なのが、花粉症を引き金に、果物を食べると口のかゆみや唇のはれをうったえる「口腔アレルギー症候群」を発症するお子さんもいることです。――「口腔アレルギー症候群」は、どんなアレルギーなんですか?佐藤先生:花粉症のお子さんが果物や野菜を食べた時に、唇や口の中がかゆくなったり、違和感を感じたり、唇がはれたりします。軽い症状の人が多いのですが、一部の人は呼吸困難や全身のじんましんなど、ひどい症状が出ることもあります。口腔アレルギー症候群は一度発症すると、なかなか治りにくいのが特徴です。残念ながら今のところ予防策はありませんが、規則正しい生活やバランスのとれた食事を心がけ、免疫力を正常に保つことが大切ですね。――現代に生きている限り、アレルギーは避けられそうもありませんね。佐藤先生:否定はできません…。ただ、医療は急速に進歩していますので、良い治療法も出てきています。アレルギーの一種である喘息(ぜんそく)が、医療の進歩により優れた薬が開発され、ひどい症状にならずに生活できるようになってきていることです。きちんと治療すれば、症状をコントロールできるようになるので、スポーツ選手にもなれるくらい運動しても大丈夫ですし、完治して薬をやめられるお子さんもいます。免疫の誤作動によって突然起こる食物アレルギー。いつ、誰が発症してもおかしくない病気だからこそ、基本的な知識は身につけておいた方が安心ですね。そして、万が一の時に備えて、小児のアレルギー疾患や食物アレルギーにくわしい医師が在籍している近くの病院を調べておきましょう。たとえお子さんがアレルギーと診断されても、落ち込む必要はありません。適切な治療について信頼できる医師に相談し、前向きな姿勢でお子さんと一緒に過ごせるといいでしょう。取材・文/長谷部美佐
2018年05月20日今ではすっかり聞き慣れた「食物アレルギー」という言葉。名前は知っているけれど、実際はどんな症状が出て、どんな治療をするの?大切なわが子がいつ発症しても冷静な判断ができるように、まずは食物アレルギーの「基本の基本」を理解してみましょう。子どもの食物アレルギーを専門とする小児科医、佐藤さくら先生にさっそくうかがってみました。佐藤さくら先生 プロフィール小児科医。国立病院機構相模原病院 臨床研究センター 病態総合研究部 病因病態研究室長。宮崎医科大学医学部卒業後、宮崎大学医学部小児科医員、国立病院機構相模原病院 臨床研究センター アレルギー性疾患研究部 流動研究員等を経て現職に。日本アレルギー学会代議員。日本小児アレルギー学会評議員。『小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2017』ほか多数執筆協力。■年々増え続ける子どもの「食物アレルギー」――そもそも食物アレルギーとはどんな病気なのでしょう?佐藤さくら先生(以下、佐藤先生):食べ物を食べたり、触れたりした時に、その食べ物を体が異物と勘違いして過敏に反応する症状のことです。食物アレルギーは、主に免疫グロブリン(抗体として働く物質の総称)の一つである特異的IgE抗体による体の誤作動によって起こるもの。遺伝ではありません。ただ、なぜ特定の食べ物にだけ過敏に反応するのか、いまだにわかっていないのが現状です。――昔よりも食物アレルギーに悩む子どもが増えていると聞きました。佐藤先生:確かに、私が勤めている相模原病院にもアレルギーで悩むお子さんがたくさんいらっしゃいますが、その数は年々増えているのを実感します。アレルギー患者が増えた理由は、環境の変化が関係しています。現代は昔に比べて街も住まいも清潔になりました。抗菌をうたった商品も多く出回っていますよね。この衛生的すぎる環境が、アレルギーを増やす原因の一つとなっている説もあります。――うーん。ということは、わが子がいつ食物アレルギーを発症してもおかしくないんですね…。ちなみに、いつ頃発症することが多いのでしょうか。佐藤先生:食物アレルギーは下記の5タイプに分かれます。1)新生児・乳児消化管アレルギー(発症年齢目安:新生児期)2)食物アレルギーの関与する乳児アトピー性皮膚炎(発症年齢目安:乳児期)3)即時型症状(発症年齢目安:乳幼児期)4)食物依存性運動誘発アナフィラキシー(発症年齢目安:学童期〜成人期)5)口腔アレルギー症候群(発症年齢目安:学童期〜成人期)このうち、もっともポピュラーなのが、2)の食物アレルギーに関与する乳児アトピー性皮膚炎で、生後3~4カ月に発症することが多いです。つまり、離乳食前の母乳やミルクを飲んでいる時期ということですね。ほっぺやおでこに赤いポツポツができたので乳児湿疹だと思い小児科を受診。スキンケアやステロイド軟こうを使用して適切な治療をしても湿疹ががなかなか良くならず、最終的に食物アレルギーだと判明することがよくあります。もちろん、離乳食を機に3)の即時型症状のタイプで発症することもあります。いずれにせよ、乳幼児期に発症するケースが大半です。――そんな早い段階で発症するんですね…。佐藤先生:そうですね。でも、そこまで悲観的にならなくても大丈夫。乳幼児期に発症した場合、原因食物によっても異なりますが、およそ50%のお子さんが3歳までにアレルゲンとなる食物を食べられるようになり、小学校就学前までにおよそ90%のお子さんが原因食物を食べられるようになります。つまり食物アレルギーが治るということです。 ■この症状が出たら食物アレルギーのサイン?――乳幼児期の食物アレルギーは日本特有なのですか?佐藤先生:いいえ、先進国では日本と変わらず患者数は年々増えています。興味深いのが、原因となる食物の違いです。たとえば日本では鶏卵が多いのに対して、アメリカではピーナッツが多いです。また、ヨーロッパでは牛乳や鶏卵以外に果物やナッツ類の食物アレルギーも注目されています。食生活の違いが、食物アレルギーの原因となる食物に影響していることのあらわれといえるでしょう。――食物アレルギーにかかると、どんな症状が現れるのですか?佐藤先生:いろいろな症状があるのが特徴といえます。食事(授乳)後、しばらくして下記のような症状が現れたら、まずはかかりつけの小児科で診てもらうことをおすすめします。「皮膚症状」あかみ、じんましん、はれ、かゆみ、しゃく熱感、湿疹。「粘膜症状」白目の充血・はれ、かゆみ、涙、まぶたのはれ。鼻水、鼻づまり、くしゃみ。口の中・舌のかゆみ・違和感、くちびるのはれ。「呼吸器症状」のどの違和感・かゆみ・締め付けられる感じ、声がかすれる、飲み込みにくい。せき、のどが「ゼーゼー」「ヒューヒュー」する、胸が締め付けられる感じ、息苦しい。唇や爪が青白い。「消化器症状」気持ちが悪くなる、おう吐、腹痛、下痢、血便。「神経症状」頭痛、元気がない、ぐったり、不機嫌、意識がもうろうとする、尿や便をもらす。「循環器症状」血圧低下、脈が早い、脈が触れにくい、脈が不規則、手足が冷たい。顔色・唇や爪が白い。かかりつけの小児科で診てもらっても症状が改善されない場合は、専門医が在籍している病院で診てもらいましょう。できれば、食物経口負荷試験を行っている病院か小児アレルギー専門医のいる病院がおすすめです。 ・食物アレルギー研究会(食物経口負荷試験 実施施設一覧) ・日本アレルギー学会(専門医・指導医一覧) 取材・文/長谷部美佐
2018年05月09日先日、筆者のかかりつけ小児科医から『2歳まではテレビを消してみませんか?~赤ちゃんとのすてきな時間のすごしかた~』というパンフレットを渡されました。そこに書かれていたのはテレビ視聴が子どもの成長に悪影響を及ぼすというもの。さらに、テレビと同様、スマホについても子どもに安易に与えないようにと書かれていました。そのパンフレットの発行元であるNPO法人「子どもとメディア」は、子どもとテレビ・ゲーム・スマホ・パソコンといったメディアの関わり方について調査研究し、フォーラムなどを行っている団体です。テレビやスマホが子どもに良くないと考える理由と子どもとメディアの関わり方について、「子どもとメディア」専務理事・筑紫女学園大学教員(准教授)の原陽一郎さんに話を聞きました。筆者のかかりつけ小児科で配布された「子どもとメディア」が発行しているパンフレット子どもにテレビを見せないほうがいい理由「子どもにテレビを見せることで危惧されるのは、体験機会の損失です。指先を使ってオモチャで遊んだり、ママとコミュニケーションを取る機会を奪われてしまう。テレビは一方的なものであり、リアクションがありません。そのためテレビばかり見せていると、相手が何を考えているのか分からず、人との付き合い方が苦手な大人になってしまう恐れがあるのです」原さんは「子どもは人との関わりによって成長する」と強調して言います。パンフレットの中でも赤ちゃんにとって大切なものは「人を信じる心、親子の絆」であり、メディアがそういった親子の時間を奪っていると書かれています。さらに、子どもの言葉の発達とテレビ視聴との関係について原さんは、「アメリカ小児科学会や日本小児科医会は、テレビの視聴時間が長いほど2歳までの子どもの言葉の発達に遅れが出る、との研究報告を出しています。私たちは、“2歳までのテレビ・ビデオ視聴を控えるように”という日本小児科医会の提言に賛同し、活動しています」テレビの視聴は子どもの言葉の発達だけでなく、身体の発達にも悪影響を及ぼす危険性があると、原さんは警鐘を鳴らします。テレビはじっと止まって見ることが多いので、ほとんど筋肉を使いません。たっちやあんよといった生得的と言われるものの発達については特に遅れはないとされているものの、筋肉を使わないことで転びやすくなったり、骨に負担がかかってしまうリスクが高まるそう。子どもが体を動かせる遊びをして、筋肉を育てることが大事とのことでした。例えば、赤ちゃん向けの教育テレビ・ビデオは15分程度で終わる短い内容がほとんどです。しかし、繰り返し再生によってテレビが流れっぱなしになり、無意識のうちに子どもに長時間視聴させてしまう危険性もあります。スマホで遊ばせるのは特に危険?いまやテレビ以上に身近な存在と言っても過言ではないスマホ。大人がみんな触っているせいか、赤ちゃんのころから興味を持つ子も多いですよね。子ども向けの知育アプリなども数多く出ていますが、こちらも原さんに話を聞きました。「テレビと違ってスマホにはリアクションがありますが、子どもの脳内システムである『報酬系』を強烈に刺激するのが問題です。スマホから強い快楽を得ることで他のことが面白くなくなり、対人関係にも興味を持てなくなる恐れがある。子どものころから接触していることで、将来『ゲーム依存症』になりやすくなるという指摘もあります。『ゲーム依存症』はWHOが正式に疾病指定すると発表していて、とても深刻な問題になっているんですよ」家にしかテレビがなかった昔と違って今はスマホがあるので、家でも外でもずっと映像が流れたり、ゲームをすることができる環境にあります。それも問題だと、原さんは言っていました。家事が大変なときは、おんぶが一番!パンフレットでは家事をするときのママたちのアイデアとして、おんぶが推奨されていました。原さんによると、「最近の子どもはおままごとをするとき、赤ちゃんやペットになりたがるそうですよ。ママがしていることを見ていないので、赤ちゃんやペットになった方が楽だと言うんです。おんぶは日本が誇れる育児文化です。おんぶすることで、ママと同じ目線からものを見て学ぶことができるでしょう」パンフレットではおんぶ以外にも家事をするときのアイデアとして、1歳くらいの子どもなら「小麦粉ねんど」や不要な空き容器や道具を利用した「ままごと」、2~3歳くらいになれば物を運んだり並べるなどの簡単なお手伝いをおすすめしています。テレビやスマホに関する意見を知った上で、ママ自身が子どもとメディアをどう関わらせていくか、一度ゆっくり考えてみませんか?<文:フリーランス記者奥 汐紀取材協力:NPO法人「子どもとメディア」>
2018年05月09日耳の中は汚れが見えづらく、ケアを後回しにしやすいところではないでしょうか。どうするのが正しい方法なのか悩んだことはありませんか?ネット検索に頼ると「お風呂後に拭くくらい」「2歳くらいまでは何もしなくてもよい」と書いてあったりして具体的な方法が分かりませんでした。そのため我が家では、産院で聞いていた新生児のころの情報「綿棒で耳の入り口を撫でる」をずっと続けていました。耳鼻科に行って判明した、溜まり過ぎた耳垢子どもが1歳のころ、耳に指を差し込んでかゆそうな素振りを何日か見せたときがありました。熱を出した後でもないし、よく聞く中耳炎のように痛がる感じはありません。しかしいつもとは少し違う様子に違和感を覚え、耳鼻科に行くことにしました。耳を覗いてもらった先生の第一声は「耳あかがたまり過ぎています」。掃除をお願いしましたが、たまり過ぎた耳あかが長い年月をかけてギュッと固まってしまい簡単には取り出せないとのこと。診察時間も長くなって子どもの癇癪(かんしゃく)もひどくなり、耳あかを軟らかくする薬を処方され、後日掃除してもらうことになりました。良かれと思ってやっていた綿棒掃除が、実はいけなかった耳あかが固まってしまった原因として、綿棒掃除が考えられるそうです。我が家では耳の奥まで綿棒を入れていたわけではありません。入り口部分をほんの少しかくくらいの軽いものです。しかしそれが1年間、積もりに積もって耳あかを固めていったのかもしれないとのこと。ちなみに耳あかには、乾燥しているタイプと柔らかいタイプがありますが、娘は乾燥タイプでした。耳掃除は耳鼻科に行くのがオススメ、その頻度は?耳あかを軟らかくする薬は、液状タイプ。子どもが寝静まってから耳に垂らすよう教えてもらいました。しかし 「寝耳に水」とはまさにこのことで、子どもは気持ちよく寝ているところに突然垂らされる水に驚き、その恐怖に体が震える姿はかなりかわいそうでした。しかもこれを数日間続けなければいけません。小さな子を耳鼻科に連れて行くのはかなり骨が折れることですが、この経験を思うともう少し早く耳鼻科に行けばよかったと思わずにはいられません。ちなみに鼻吸いは小児科でもしてくれますが、今回のような耳掃除はしてくれません。小児科の先生から耳鼻科に行ってくださいと言われました。では実際にいつごろからどれくらいの頻度で通えば良いかというと、個人差がありますが、わが家は現在2カ月に1回を目安に耳鼻科に通っています。今のところ、問題は全くありません。そして、産まれてすぐは産院で習った方法を実践しながら、3~4カ月で耳鼻科デビューするのが良いかもしれません。耳掃除で悩んでいる方はぜひ一度耳鼻科に行ってみてはいかがでしょう。診察後は、何よりの安心感と子どものスッキリとした気持ちのよい笑顔が得られますよ。<文・写真:フリーランス記者幸森陽子>
2018年04月28日「子どもに健康に育ってほしい」と毎日の食事の栄養バランスに気をかけていても、不足しがちな栄養素があります。足りない栄養素とは何? 普段の生活でどう補えばいいの?「赤ちゃんだけでなく、実はママ自身も不足しています」という小児科医の伊藤明子先生に、お話をうかがいました。伊藤明子先生 プロフィール小児科医師、公衆衛生専門医、同時通訳者。東京外国語大学イタリア語学科卒業。帝京大学医学部卒業後、東京大学医学部附属病院で臨床研修。同病院小児科入局。東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻修了。同大学院医学系研究科公衆衛生学/健康医療政策学教室客員研究員。2017年より赤坂ファミリークリニック院長、NPO法人Healthy Children, Healthy Lives代表理事。著書・共著に『小児科医がすすめる最高の子育て食』『天然ヘルシー「調和食」レシピ』など。テレビ番組「林修の今でしょ!講座」などに出演中。■過度な紫外線対策でママも子どももビタミンDが不足気味に―― 赤ちゃんに不足しがちな栄養素とはズバリ何でしょうか?伊藤明子先生(以下、伊藤先生):タンパク質やカルシウムなどいくつかありますが、近年、特に足りていないと言われるのはビタミンDです。日本で健康に生まれた赤ちゃんを調べたところ、約22%がビタミンD不足だったという研究データがあります。母乳にはとても優れた栄養がつまっていますが、ビタミンDは少ないですし、母体がビタミンD不足であるがゆえに赤ちゃんも不足しているとも考えられています。また、私たちが行った研究で、日本の0歳から15歳までの子どもに、医師が診断した病名を調査したところ、「ビタミンD欠乏性くる病」が2009年から2014年の間で3倍以上に増えていることがわかっています。くる病とはビタミンD不足などにより、骨格異常や骨の変形が起きてしまい、歩行に影響が出ることもある怖い病気です。ビタミンDは、免疫にも発達にも関係しています。―― 生まれた時から足りていないとは…! なぜビタミンD不足が起きてしまうのでしょうか?伊藤先生:ビタミンDの源となるのは日光(紫外線B)と食品。その割合はおおよそ7対3というくらい、日光が占める割合が大きいのです。それにもかかわらず、最近のママたちの多くは美容への意識が高いこともあって、日焼け止めや日傘、アームカバーなど紫外線から「完全防備」しています。つまり、日光からビタミンDをほとんど生成できていない状態なのです。そうなってくると、ただでさえ不足しがちな母乳中のビタミンDがさらに不足することに。さらに、紫外線を気にしすぎるあまり、赤ちゃんにもばっちり日焼け止めを塗ってしまい、日光によるビタミンDの生成をさまたげています。日焼け止めクリームを少しでも塗るとビタミンDが作られないので、海や山など屋外で過ごす時間が長い時には塗るなど、調整しながら使えるといいですね。―― 赤ちゃんに日光浴は大切なんですね。一日あたりの目安はどれくらいでしょうか?伊藤先生:一日10分~15分、日光を浴びるといいでしょう。紫外線の弱くなる秋から春にかけては、1時間くらい浴びるのがベター。全身でなくても、手のひらや足の先だけでも大丈夫ですよ。とはいえ、緯度によっては(暮らしているところが北であればあるほど)、1時間の日光浴では足りないこともわかってきているので、ビタミンDが強化された食品などをとることを考えたいですね。■離乳食の新常識! 卵アレルギーのリスクを軽減する方法は?―― 紫外線対策のやりすぎは禁物ということですね。食事の面ではいかがでしょうか?伊藤先生:ビタミンDが含まれる食品はイワシやしらす干し、サケ、卵黄など。きのこ類にも含まれますが、微量です。普段通りの食生活をしていると、どうしても不足しがちな食品ばかりです。みなさんは毎朝、卵を食べていますか? アレルギーのない幼児なら一日1個食べることをおすすめしています。「アレルギーやコレステロールが心配だから」と敬遠するママも多いようですが、最近では離乳食早期から加熱して少しずつ与えることでアレルギーのリスクを減らせることがわかっています。また、遺伝的にコレステロールが高い方を除いて、大人なら毎日1~2個食べても血中のコレステロール値にはあまり影響しないことが研究で示されました。ビタミンDを補う離乳食「アボカドディップ」(1歳半~)<材料 2人分>アボカド 1個卵 1個レモン汁 小さじ1塩 少々こしょう 少々マヨネーズ 大さじ1オイルサーディンなど 適宜<作り方>1.アボカドは縦半分にカットし、包丁の刃元部分を種に突き刺して取り除く。アボカドの皮をカップにする場合はスプーンなどで実をくり抜く。器に盛りつける場合はそのまま皮をむく。2.アボカドの実を1cm角のさいの目切りにする。3.卵を固ゆでにし、冷水で粗熱をとったら殻をむいてみじん切りにする。4.ボウルにアボカド、卵、レモン汁、塩、こしょう、マヨネーズを入れて混ぜる。器かアボカドの皮をカップにして盛りつける。―― そのほかにできることはありますか?伊藤先生:欧米でよく利用されるのが、サプリメントや強化食。日本ではまだ種類は多くありませんが、牛乳や卵などにビタミンDを添加した強化食があります。スーパーなどで手に入りますよ。サプリメントも含めて、上手に活用できるといいですね。なお、子どもにサプリメントを与える時は医師に相談してからにしてください。 ■貧血症状がなくても鉄分不足の疑いが…「隠れ鉄欠」に注意!―― ビタミンD以外にも足りていない栄養素はありますか?伊藤先生:赤ちゃんやママに限らず、日本人全体に足りていないのが、鉄です。鉄が足りないと、鉄欠乏症貧血になり、疲れやすかったり、走ると息切れがしたりします。子どもだと、集中力が続かなくなったり、身長が伸びにくくなったり。注意すべきは、鉄不足の自覚がない「隠れ鉄欠」。めまいなどの貧血の症状が出れば、わかりやすいのですが、そういう症状が出ない鉄不足の人は多いのです。ママがやせ気味、もしくは栄養状態があまりよくないと、栄養が偏っている可能性があり、かなりの割合で子どもも貧血気味となります。―― どんなものを食べるといいのでしょうか?伊藤先生:鉄が多く含まれるのは、赤身肉や魚介類、卵黄、葉物野菜、大豆、穀類などです。ビタミンCと一緒にとると吸収されやすくなります。献立を、肉や魚料理+納豆や豆腐などの大豆製品にするなど2種類以上のタンパク質をとるようにすると、タンパク質と鉄分の両方を多く摂取できるのでおすすめです。鉄分を補う離乳食「シジミのおみそ汁」(1歳半~)<材料 2杯分>シジミ(真空パック) 1パック水 400cc小ねぎ 1/2本<作り方>1.分量の水を入れた鍋にシジミを入れ、ひと煮立ちさせる。生のシジミは殻を洗い、塩水に漬けて一晩砂抜きしたものを使う。2.お椀にそそぎ、細かく切った小ねぎをちらして出来上がり。お椀に入れたシジミに直接お湯を注いでもOK。―― 最後にママたちにメッセージをお願いします。伊藤先生:クリニックにいらっしゃる患者さんを見ていて思うことは、極端に偏った食生活はしないでほしいということ。マクロビも徹底しすぎるとタンパク質やビタミンDなどの栄養が不足しますし、赤ちゃんに卵を与える時期が遅くなりすぎると、アレルギーのリスクがかえって高まります。健康のためと思ってやっているのに、不健康になってしまっては元も子もありませんから…!ネットで検索した情報は古かったり間違っていることもあります。信頼できる医師に相談したり、出典元がしっかりしている情報を見極める目を持てるようになりたいですね。子どもも、ママ自身も健康が一番! 特にビタミンDと鉄分に注意しながら、親子で栄養バランスに気を配った食事をしましょう。参考図書: 「小児科医がすすめる最高の子育て食」 1512円(税込)講談社伊藤明子著。「健康」「免疫力が高い」「頭がいい」「心が安定した」子どもを育てるためにどのような食事を与えたらいいのか、最新の研究に基づいて紹介しています。カラー写真付きでわかりやすい58の簡単レシピも収録されています。
2018年04月19日ママたちの頭を悩ませる毎日の食事作り。栄養バランスは大切と思いつつも、ついつい「子どもが喜んで食べるから」と揚げ物や甘い物を多くあげていませんか?普段の食生活でどんなことに気をつけたらいいのでしょうか? テレビでも活躍中の「東大ママドクター」こと小児科医の伊藤明子先生に、「丈夫な子」「頭のいい子」「心が安定した子」を育む食事について、教えていただきました。伊藤明子先生 プロフィール小児科医師、公衆衛生専門医、同時通訳者。東京外国語大学イタリア語学科卒業。帝京大学医学部卒業後、東京大学医学部附属病院で臨床研修。同病院小児科入局。東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻修了。同大学院医学系研究科公衆衛生学/健康医療政策学教室客員研究員。2017年より赤坂ファミリークリニック院長、NPO法人Healthy Children, Healthy Lives代表理事。著書・共著に『小児科医がすすめる最高の子育て食』『天然ヘルシー「調和食」レシピ』など。テレビ番組「林修の今でしょ!講座」などに出演中。■子どもだって「糖化」は要注意! 「揚げる」より「蒸す」「煮る」―― 子どもが好きな食べ物といえば、揚げ物や甘い物を思い浮かべるママは多いと思います。体にはどんな影響があるのでしょうか?伊藤明子先生(以下、伊藤先生):「揚げ物も甘い物も絶対NG!」というわけではありません。これらに含まれる糖は体にとって大切なエネルギー源です。ただ、たくさん食べると「糖化」を進行させてしまうので注意が必要。「糖化」とは、糖とタンパクが結びついて加熱によって起きる現象で、食べ物からとり込んだり、体内で糖化現象が起きて、肌や血管、骨などが劣化していくことをいいます。糖化によって作られたAGE(終末糖化産物)が老化を加速させることが研究でわかっています。加齢とともに糖化は進んでいくものですが、子どもの頃から糖化が進みすぎると、骨の質が低い状態で成長してしまうため、将来的に骨粗しょう症やがんなどの病気のリスクが上がる傾向にあります。シミやしわの原因や、認知症との関連も報告されています。AGEはクセモノで、一度蓄積されるとなかなか減らすことができません。離乳食や幼児食の頃から、なるべく気をつけてあげたいですね。―― 子どもの頃から血管や骨の劣化に気を付けないといけないなんて…衝撃的です! 揚げ物が大好きな子はどうすればいいのでしょう?伊藤先生:揚げ物をおいしいと思うのは当たり前のこと。いきなりやめてしまうと子どももつらいので、徐々に回数を減らしていけるといいですね。注意してほしいのは、揚げ物を特別扱いしないこと。がんばったから「今日は特別に揚げ物ね♪」はやめましょう。子どもの中で「揚げ物=ごほうび」になってしまいます。大人の言うことがある程度わかる年齢の子であれば、「揚げ物ばかり食べていると、ベタベタ物質が体の中にたまるよ。食べ過ぎると○○ちゃんの体に良くないんだよ」と教えて納得させるのもひとつの手ですね。―― 普段の料理で心がけることは?伊藤先生:糖化リスクが低い調理は、「生→蒸す・煮る→焼く→揚げる」の順です。揚げ物の代わりに、積極的に蒸し料理や煮物を取り入れましょう。ただ、生のものばかりを食べることは、さまざまなリスクがあるためおすすめしません。糖化リスクを下げる幼児食「エビとオクラの煮物」(3歳~)<材料 2人分>エビ 4尾オクラ 6本塩 小さじ1/2出汁 100cc薄口しょう油 小さじ1みりん 小さじ1<作り方>1.エビは殻をむき、串などで背ワタを取り除く。2.オクラは手早く塩もみし、硬い「がく」の部分を包丁でくるりと削り取る。3.鍋に出汁、薄口しょう油、みりん、オクラを入れて火にかけ、オクラがやわらかくなったら1.のエビを入れて火が通るまで煮る。 ■血糖値=精神状態? 心の落ち着いた子を育てる食材選び―― 揚げ物以外ではどんなことに気をつけたらいいでしょうか?伊藤先生:先ほどは「糖化」についてお話ししましたが、もう一つ注目してほしいのが「血糖スパイク」です。血糖スパイクとは、食後のごく短時間で血糖が急上昇して元に戻る、血糖の乱高下状態のこと。血糖スパイクが起きると、血管が傷ついてしまい、病気のリスクも高まります。血糖と子どもの精神状態は強く結びついているといわれており、例えば、朝食をとらないと低血糖でやる気が出ない状態になります。さらに、そういった空腹時に血糖値が急上昇するようなものを食べるなどして血糖のハイ&ローを繰り返すと、子どものテンションも急激に上がったり下がったりするので、精神的に不安定になってしまいがちに。本来、食事を始めてゆるやかに血糖が上昇するのが理想です。―― 朝食抜きは厳禁ですね。理想の食事のために、ママたちは具体的にはどうすればいいでしょうか?伊藤先生:調理法は先ほどもお伝えしましたので、ここでは食材の選び方に注目してみましょう。血糖値の上がりにくい食材を選ぶのがポイントです。白米や小麦など精製されているものよりも、雑穀や全粒粉など精製されていないものがいいですね。雑穀ごはんや、アレルギーがなければそば粉をクレープのようにして間食に食べるのも一案です。野菜を摂取する時は、ジュースなど食物繊維が取り除かれた状態のものではなく、そのまま食べるか、スープなどでいただきましょう。ジュースが完全にダメなわけではないのですが、残念ながら、野菜ジュースは野菜の代わりにはなりません。―― 離乳食についても何かありますか?伊藤先生:日本では白米の全かゆから始めるのがスタンダードですが、おすすめは雑穀かゆ。糖質の摂取量を減らせますし、ビタミンやミネラルなどの微量栄養素と食物繊維もとれます。日本人は白米でアレルギーを起こす人が少ないと言われていますが、統計上ではひえやきび、あわなど雑穀に対してもアレルギーを起こす頻度は高くないのです。欧米ではオートミールやほかの雑穀から始める国がほとんどですし、白米だけにこだわらなくてもいいと思います。血糖値をゆるやかに上げる離乳食「雑穀のおかゆ」(0歳~1歳半)<材料 1食分>もち麦 10gキアヌ 5g白米 10g水 250cc<作り方>1.研いだ白米、もち麦、キアヌ、水を茶碗か耐熱容器に入れ、炊飯器の真ん中に置いて、大人のご飯と一緒に炊き上げる。2.1.でできたお子さん用のおかゆを鍋に移し、水を足してさらにやわらかくなるまでコトコト煮る。3.乳児用のすり鉢でよくする。■夕食までの“つなぎおやつ”与えて安心なのは?―― ママたちの悩みとして聞かれるのが、子どもがおなかを空かせてしまって夕食まで待てない時、何を食べさせたらいいのか? ということ。とりあえず、わが家ではちくわをあげているのですが、どう思われますか?伊藤先生:うーん、スナック菓子よりはいいですね(笑)。ただ、塩分が多いのであげすぎは注意してください。果物は果糖が多いので、あまりおすすめしません。きゅうりやにんじん、だいこんなどの野菜スティックがいいですね。食事の邪魔をせず、切るだけですぐあげられます。お好みで減塩みそやマヨネーズにつけても。これまで話題に出た食べ物のなかでのおすすめ度でいえば、野菜スティック>ちくわ(練り物)>果物>スナック菓子でしょうか。野菜スティック以外だと、ゆで卵や味付けの濃くない焼き鳥(串からほぐして)などがおすすめです。ちなみに、のりも悪くないのですが、水溶性の食物繊維が多くて胃腸に負担がかかるので、全形1枚以内にとどめておきましょう。―― 最後に、忙しい朝のおすすめメニューを教えてください。伊藤先生:私も仕事をしながら2人の子どもを育ててきたので、朝から包丁を使いたくない気持ちはよくわかります。おすすめは、納豆と卵料理、雑穀ごはん、それにできればみそ汁もプラスできるといいですね。パン派は全粒粉のパンにするのがおすすめです。参考図書: 「小児科医がすすめる最高の子育て食」 1512円(税込)講談社伊藤明子著。「健康」「免疫力が高い」「頭がいい」「心が安定した」子どもを育てるためにどのような食事を与えたらいいのか、最新の研究に基づいて紹介しています。カラー写真付きでわかりやすい58の簡単レシピも収録されています。
2018年04月12日前回のお話で、年末次男が発熱したことに少し触れましたが、じつは年末年始は次男の体調悪化で帰省先で大騒ぎでした。今回、子どもの風邪を甘く見ずに、通常診療のうちにしっかり受診しておくべきだったなと痛感しましたー!長男が祖父母の家に行った日の夜に発熱した際は、そんなに高くない熱と、鼻水だけでした。小児科で鼻水のお薬だけをいただいて、熱も一日で下がったので安心していました。帰省する一日前の夜中、激しく咳き込んで起きてしまい、なんだか息が吸えていないような、とても苦しそうなケンケンした咳に不安を覚えました。本人はすごい元気なので、あまり心配していなかったのですが、ワタシの実家に到着したあと、夕方からやはり激しい咳でケンケン…あまりの苦しさに本人も号泣してしまいました。そしてまずは小児救急ダイヤルへ助けを求めることにしたのですが…帰省先で小児科の情報もない上に、ギリギリ通常診療最終日ではあるものの診療時間は終わっている…けっこう慌てました。後々の経過と、帰宅後の小児科で診てもらった感じでは、おそらくクループまではいっていなかったようなのですが、そのときは呼吸困難になるリスクを初めて知り、甘く見ていた自分を責めました。結局、夜間救急には駐車場に入ることもかなわず断念しました。念のため救急がある総合病院にも対応を確認して、ネットでの情報をもとに、ヴェポラッブを塗り、部屋の中にぬれタオルをたくさん掛けて加湿。夜間は夫婦交代で寝室に1人にしないよう注意して過ごしました。翌日は、1時間近くかけて休日当番医へ出向くも、昨日と同じくものすごい混雑でかえって病気になりそうな…数時間待ちと言われたので受付後は近くで時間をつぶしました。あれ? 待てよ…?夫「そういえば次男、今朝から一度も咳してなくない?」ワタシ「同じこと思っていた…でも、夕方からがひどくなるからねぇ。。。」超元気に動きまわっている次男と、その彼の受診のために何時間も無為に待機していることになんとなく違和感を覚えながらも、これでまた受診しなかったら夜中に発作が出るかも…という不安と戦いつつ待ちました。それでも結局は、出直して待ち時間を確認するとさらに数時間待ちとのこと。ほかにもっと、高熱や緊急性の高いお子さんもいらっしゃるかと思うと、熱も咳の気配もない次男の様子を見て受診は断念しました。今回は十分に加湿するだけでも苦しそうな咳はずいぶん減ったので、もっと普段からしっかり予防対策をしっかりしてあげるべきでした。そして、年末年始やお盆など病院が長期間お休みになるような時期は、本当に早め早めの受診が大切だな、とつくづく反省したのでした。
2018年01月30日寒さが本格的になり、空気が乾燥する日も増えてきました。この季節に注意したいのが、インフルエンザや流行性胃腸炎などの感染症です。特に幼稚園や保育園で集団生活をしている子どもたちは感染が広がりやすい傾向にあります。そこで今回は、冬の感染症にかからないための対策グッズと、自分の子どもが実際にかかってしまったときに役立った対応グッズを紹介します。基本は手洗いうがい&湿度調整。ポイントは?冬に限らず、どの感染症も予防の基本はやっぱり手洗いとうがい!手洗いでは、指の間や手首までしっかり洗うことを子どもたちに教えましょう。また、湿度を大体60%ほどに保つことも大切です。加湿器などを使って適切な湿度を保ちます。特に夜、寝ている間の湿度の管理は重要だそうです。菌への対策グッズで、手軽にできる限りの予防を●空間のウイルス対策商品今やママたちの間で常識となった空間のウイルス対策商品。今までは置き型タイプが主流でしたが、最近では、ペンタイプやスプレータイプなど、ライフスタイルに合わせてさまざまなものが発売されています。価格も手頃なので、日々の対策に役立ちます。●除菌ウェットティッシュ&消毒用アルコール家のなかではもちろん、外出先で手が洗えないときに役に立つ携帯用のウェットティッシュや消毒用アルコール。ウェットティッシュは除菌タイプがオススメです。わが家では、消毒用アルコールは、自宅ではスプレータイプ、外出先では携帯用のジェルタイプを使っています。●キャラクターマスク小児科に行くときや人ごみにでかけるときなど、マスクをつけてほしいのですが、子どもはなかなかマスクをつけてくれません。わが家の2歳の息子も嫌がるのですが、大好きな新幹線が描かれているマスクや100均で売られているキャラクターマスクだと喜んでつけてくれます。普通のマスクよりやや割高ですが背に腹はかえられません。被害を最小限に抑える"3つのグッズ"●嘔吐に便利な片手おけ流行性胃腸炎で子どもが嘔吐したときに役立つのが、ビニール袋をかけた片手おけです。片手でおけを持ち、空いた手で背中をさすったり、髪の毛をおさえてあげることができます。100均で購入できるので、対応用にビニール袋をかけて常備しておくと安心です。●手にフィットするビニール手袋吐瀉(としゃ)物や、鼻をかんだ大量のティッシュなどを処理するときには素手ではなく、ビニール手袋を着用することで二次感染が防げます。100均で売られているフリーサイズのものではなく、自分の手のサイズにぴったりと合う介護用の使い捨て手袋がオススメです。●ペットのおしっこシートわが家の次男は9か月のときに長男から感染性胃腸炎をもらい、夜中から小児科が開く時間まで嘔吐を繰り返した経験があります。乳児は自分でも吐き気を認識しづらく、突然あらゆるところで吐いてしまいます。そこで、床にペット用のおしっこシートを敷いておくと、吐いてしまったらすぐ捨てられるので重宝しました。子どもの感染症だけでなく、ママやパパが感染すると家庭がピンチに陥ります。家族みんなで適切な対策をして、できるだけ被害を少なくする対応をして、この冬を乗り切りましょう!<文:フリーランス記者飯作紫乃>
2017年11月20日皆さんこんにちは。ママライターのあしださきです。2017年も終盤に差し掛かり、小さいお子さんを育てているパパママはこれからの季節は「風邪・インフルエンザ・胃腸炎」などなど子どもの体調管理に非常に気を遣う時期ですね。わが家は3人の子どもを育てていますから、これから4月くらいまでの長い期間、小児科通いが欠かせないと思います。1人が体調を崩すとそれが家族みんなに蔓延してしまうので時には自分の具合が悪い状態で、子どもの看病をしていることもあるんですよね。皆さんはお子さんのかかりつけ医との関係、良好ですか?幼稚園や小学校でリサーチすると、元通っていた病院をあるとき変えた という話をとてもよく耳にします。それには、やはり”きっかけ”があるのです。そこで今回は中でも特徴的なエピソードを3つご紹介したいと思います。●話を全く聞いてくれない先生『とにかく厳しくて、怖くて。行くといつも緊張してしまう小児科の先生でした。少しの発熱で連れて行くと、「そんな症状くらいで来ないで!」と言われ、私が大したことないと思って1日家で様子を見てから病院に行くと「お母さんの自己判断なんか当てにならない。なんでもっと早く連れてこないの?」と怒られる。心配なことを聞きたくて、話そうとしても迷惑そうに遮られることが多々有り、ついにかかりつけ医を変えました。子どもの風邪が移って自分も具合が悪い時に、余りにもひどい物言いに耐えきれませんでした。(40代小学5年生の男の子の母)』●子どもの身長、体重についてしつこく注意された『子どもが小さい頃から検診でお世話になっていた小児科の先生は、私の子の身長や体重が標準よりも小さい事をいつも指摘してきました。「チビ」「痩せ」という言葉を連発してくるので、その度にストレスがたまって仕方がありませんでした。親だって気にしていますし、それが悩みなのに。傷をえぐられて辛い気持ちにさせる先生に、こちらから見切りをつけましたね。(30代4歳男の子の母)』●看護師をいびっている医師に幻滅『子どもに対してはいつも笑顔で優しい先生でした。そんな先生があるときご自分の足の怪我で松葉杖をついて診療しなくてはならない状況で、いつもよりイライラした様子だったことがあります。子どもには笑顔で話しかけていた先生が、内線電話で看護師さんに指示をだしていたのを偶然聞いてしまいました。「こんな初歩的な事、自分で判断しろよ、ボケ。」と言っていたのです。もう、それ以来その小児科には行くのをやめました。(20代0歳と3歳の姉妹の母)』子どものかかりつけの先生。そのお付き合いはとても長期的なものになります。子どもが10代半ばまでは何かにつけてお世話になりますし、兄弟・姉妹がいればそれ以上の期間、お会いしていかなくてはなりません 。信頼し、尊敬できる先生が理想ですが、必ずしも身近にそういう小児科があるとは限りません。「一度かかったから・家から近いから・親の知っている病院だから」など、しがらみにとらわれずに一度違う場所を試してみることも大切かもしれませんね。ちなみにわが家の子どもたちのかかりつけ医は、とても威厳のある先生です。どんな方か、簡単に紹介します。「母親のプライド」……もしそんなものを少しでもお持ちの方がいればそれをことごとく打ち砕くような発言で、母親たちを奈落の底へ突き落としてしまうような、そんな先生です。私にはデビルのように見える時もあるのですが、それでも私はその先生をとても信頼しています。デビルなのは母親に対してだけ。子どもにとっては、神様のような存在だからでしょうか。ちゃんと言うことを聞いていれば必ず体調が回復するんです。子供にとってはもちろんですが、親にとっての良し悪しも考えてみても良いかもしれません ね。----------いかがでしたか?今回実例を紹介してくれた方々は、勇気ある行動でかかりつけ医を変えて今はとても満足していると答えています。そのまま我慢していなくて良かった。自分を偽らず、子どもと自分のために踏み出すことが大切ですね。●ライター/あしださき●モデル/赤松侑里
2017年11月13日発達障害支援研究・実践の最前線を学ぶシンポジウム出典 : 発達障害の原因や治療法、支援方法に関する研究は、様々な分野の専門家が取り組んでいる領域です。発達障害のある子どもを育てている保護者や、その周辺の支援者にとって、最新の研究成果は今と未来の生活にどのような影響をおよぼすのでしょうか?誰もが多様で豊かな人生を送ることのできる社会を形成していくためにできることとはなんでしょうか?そんな疑問に応えるシンポジウムのお知らせです。11月26日(日)、「うちの子、少し違うかも...II~エビデンスに基づく発達障害支援をみんなで考える~」と題されたシンポジウムが、東京・お台場のテレコムセンターで開催されます。(主催:国立研究開発法人科学技術振興機構(JST) 社会技術研究開発センター(RISTEX))家庭・学校・地域・行政等における支援のしくみや最新の取り組みを紹介しながら、様々な支援の場面に横たわる障壁を乗り越え、改善していくための具体的方法について、分野・領域を超えて考えるシンポジウムです。サイエンスアゴラ2017 公開シンポジウム11月26日(日)「うちの子、少し違うかも...II~エビデンスに基づく発達障害支援をみんなで考える~」シンポジウム概要出典 : 日時2017年11月26日(日)10:15~12:30 (開場 10:00)場所テレコムセンタービル 8階 会議室B※新交通ゆりかもめ「テレコムセンター駅」直結参加費無料対象発達障害療育・子育て支援等に携わる方(医療・福祉関係等)学校・教育機関関係者の方行政(国・地方自治体)関係者の方発達障害児支援に関心をお持ちの一般の方、保護者・ご家族の方プログラム:10:00受付開始10:15開始10:20講演■神尾 陽子 氏(国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 児童・思春期精神保健研究部 部長)■船曳 康子 氏(京都大学大学院人間・環境学研究科/総合人間学部 准教授)■山野 則子 氏(大阪府立大学大学院人間社会システム科学研究科 教授/スクールソーシャルワーク評価支援研究所 所長)11:15パネルディスカッション■モデレーター:熊 仁美 氏 (特定非営利活動法人ADDS 共同代表)■パネリスト :上記講演者3名、外岡 資朗 氏(鹿児島県こども総合療育センター 所長)12:20フロアとの対話(質疑応答)、まとめ12:30終了出典 : 京都大学医学部卒業、ロンドン大学付属精神医学研究所児童青年精神医学課程終了。京都大学医学部精神神経科助手の後、米国コネティカット大学(フルブライト研究員)で自閉症研究に従事した後、九州大学大学院人間環境学研究院助教授を経て、2006年より国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所児童・思春期精神保健研究部部長、2010年より山梨大学客員教授、2017年よりお茶の水女子大学客員教授を併任。出典 : 年京都大学医学部卒業。京都大学医学部付属病院、京都市立病院にて研修後、京都大学大学院医学研究科に入学し、認知症の臨床研究を行った。2000年からは、カリフォルニア工科大学行動生物学教室に留学し、小鳥の歌を用いた音声発達の臨界期の研究に従事。2003年に帰国し、こころの発達、発達障害の分野の臨床と研究に従事。日本学術振興会特別研究員、京都大学医学部付属精神科助教を経て、2015年より現職。出典 : 関西学院大学社会学研究科後期博士課程修了、博士(人間福祉)。内閣府:子どもの貧困対策検討委員会委員・有識者会議委員、文部科学省:中央教育審議会生涯学習分科会委員、企画調整部会委員、家庭教育支援の推進方策に関する検討委員会座長、教育相談等に関する調査研究会議委員、厚生労働省:社会保障審議会臨時委員、ほか国の委員多数。大阪府子ども施策審議会会長、子どもの貧困部会部会長、大阪府スクールソーシャルワーク配置事業スーパーバイザー、ほか多数。出典 : 年、慶應義塾大学大学院社会学研究科修士課程修了。2011年、自閉症児に効果的な早期療育が届くことを目指し、NPO法人ADDS設立。2013年、同大大学院後期博士課程を単位取得退学、同大先導研究センター研究員。自閉症児のコミュニケーション研究や、早期療育の実践研究に携わる。NPO法人では、保護者が家庭療育に取り組むためのペアレントトレーニング、セラピスト認定制度等を実施し、現在までにセラピストを約100名養成、ペアレントトレーニングを約200家庭に提供してきた。出典 : 小児科医師。1988年、熊本大学医学部卒業、熊本大学大学院医学研究科へ入学後、同大医学部附属病院発達小児科にて勤務し、1996年、熊本大学大学院単位取得終了。1999年より鹿児島市立病院小児科(小児神経科)で医師、医長、科長を歴任後、2007年より鹿児島県児童総合相談センター療育指導部長、2010年より現職。鹿児島県こどもの虐待問題研究会副会長を併任。主催者からのメッセージ「国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の社会技術研究開発センター(RISTEX)では、「社会のなかの科学・社会のための科学」の理念のもと、社会の具体的な問題の解決を目指す研究開発を推進しています。今回のシンポジウム(入場無料)では、RISTEXにおける関連プロジェクトの成果も踏まえながら、家庭・学校・地域といった場面での発達障害支援における課題を改善し、のりこえていくための具体的なとりくみ等についての情報提供・共有や議論を行うことを目的としています。」昨年度も実施し、好評を博したシンポジウムの第2弾。様々なプロジェクトの成果の紹介や、必要とされる支援についての議論が行われます。本人や保護者はもちろん、教育や支援に関わる方に幅広く、足を運んでいただきたいシンポジウムです。イベント申し込みはこちら以下のリンクから申し込みが可能です。定員200名(予定)、氏名の登録は必須ではありません。お問い合わせは、下記のページの「主催・お問い合わせ」に情報が記載されておりますので、そちらからお願いいたします。サイエンスアゴラ2017 公開シンポジウム開催(入場無料) - 社会技術研究開発センター
2017年11月11日熊谷晋一郎先生におすすめの本をききました!小児科医の熊谷先生は、脳性マヒのある障害当事者としての立場から、当事者研究も行っています。ロボット工学を専門とする、脳情報通信融合研究センターの長井志江先生チームと、熊谷先生・綾屋沙月さんの当事者研究チームが研究・開発した「自閉症知覚体験シミュレータ」を、発達ナビのコラムでご存知のユーザーの方も多いのではないでしょうか?平成28-33年度 戦略的創造研究推進事業(CREST)「認知ミラーリング:認知過程の自己理解と社会的共有による発達障害者支援」今回は、熊谷先生に発達ナビのユーザーに読んでほしい本を教えていただきました。自分や周りの人への理解が深まるきっかけに、ぜひ読んでみてはいかがでしょうか?『うわわ手帳と私のアスペルガー症候群』「一組の母と娘の間でつむがれた、静かで、繊細で、丁寧な、相互理解の軌跡」(熊谷晋一郎先生)高橋紗都さんは10歳のアスペルガーの女の子。ある日紗都さんにお母さんの尚美さんは「好きなことに使ってええで」と1冊の白い本を手渡します。紗都さんはその本を『うわわ手帳』と名づけ、自分の世界を自分の言葉で書き始めました。「うわ~っとなる」自分のしんどい状況を「うわわオバケ」という言葉で表現し、どんなときにどんなことに困るのか、どんな風に感じているのかが綴られたその手帳は、紗都さんの世界を写しだします。そしてそれは紗都さん本人や家族が理解し、対処法を探る大きなツールとなったのです。もちろん発達障害のある人の困りごとや、感じ方は人それぞれですが、高橋さん親子の手帳は発達障害のある子どもの世界を知る、一つのきっかけとなるのではないでしょうか?『こんな私が大嫌い!』「タイトルにぴんと来たら、ぜひ読んでみよう」(熊谷晋一郎先生)自分が嫌い、でも「自分を好きになろう」…そう言われてもどうしたらいいのか、迷う方も少なくないのではないでしょうか?エッセイストの中村うさぎさんが、。中村さん自身の体験と実践をもとに、きれいごとや欺瞞抜きで「自分嫌い」という呪いを解く方法を語ります。ふりがなやイラストも多く入り、わかりやすい言葉で綴られているので、思春期の悩める子どもにおすすめです。『母よ!殺すな』「子育ての重荷を親だけに背負わせる社会にNO!」(熊谷晋一郎先生)日本の障害者解放運動、自立生活運動をけん引した「青い芝の会」の脳性マヒ者、横塚晃一さんをご存知でしょうか?横塚さんは生後10ヶ月の高熱により重度の脳性マヒがありました。当時の日本では、障害者への支援が十分でなく、家庭での子育ての負担に耐えられないことを背景とした事件が社会問題となっていました。横塚さん達「青い芝の会」は重症児殺し告発運動を行い、その障害者の立場からの批判や運動は大きな反響を呼びました。そんな横塚さんの発言を聞き書きとして集めたのが本書です。1975年に出版され、長く絶版となっており入手困難でしたが2007年に復刊されました。初版に未収録の文章や年表、原一男監督によるドキュメンタリー映画『さようならCP』のシナリオも収録されています。『暇と退屈の倫理学』「あらゆる苦しみの根底には「退屈」という宿命があった!」(熊谷晋一郎先生)熊谷先生に、面白かった本、好きな本は?と伺ったところ、教えていただいたのが高崎経済大学准教授、哲学者國分功一郎さんの本です。「なぜ人間は退屈するのか」という問いを持った國分さんが、文化人類学、哲学、経済学、倫理学など様々な側面から論考します。2012年には読者が選ぶ人文書の賞「紀伊國屋じんぶん大賞」を受賞。分厚くとっつきにくいと感じるかもしれませんが、哲学だけに収まらない視点で、この疑問への答えを導き出そうとするその道筋そのものが面白いと話題になりました。2015年に出版された増補新版ではさらに新版に寄せた論考「傷と運命」も足されています。熊谷晋一郎先生プロフィールUpload By 発達ナビ編集部熊谷晋一郎(くまがやしんいちろう)・東京大学先端科学技術研究センター准教授、小児科医・日本発達神経科学学会理事新生児仮死の後遺症で、脳性マヒに。以後車いす生活となる。東京大学医学部医学科卒業後、千葉西病院小児科、埼玉医科大学小児心臓科での勤務、東京大学大学院医学系研究科博士課程での研究生活を経て、現職。専門は小児科学、当事者研究。主な著作に、「リハビリの夜」(医学書院、2009年)、「発達障害当事者研究」(共著、医学書院、2008年)、「つながりの作法」(共著、NHK出版、2010年)、「痛みの哲学」(共著、青土社、2013年)など。熊谷晋一郎|東京大学先端科学技術研究センター
2017年11月08日食べることが苦痛な子どもたち出典 : 私は大学附属病院小児科で「思春期やせ症」(神経性無食欲症)の子どもたちを見てきた経験があります。思春期やせ症というのは、思春期の子どもに起こるいわゆる拒食症のことで、栄養不足によって、無月経、低血圧、内臓の障害、骨粗しょう症など、様々な異常が生じるだけではなく、時には死亡することもあります。患者は小学生から高校生までいました。私が出会った「思春期やせ症」の保護者、特にお母さん方はとても子ども思いの方々でした。お母さん方は、子どもの健康のために様々な努力をしていました。例えば、子どもが見て食べたくなるように、色どりや形を豊かにした食事を作っていました。それでも子どもは、食べることにまったく興味を示さないのです。また、おもちゃを買ってあげるなどのご褒美を示しながら少しでも食べさせようとしますが、子どもは口を開こうとしません。食べることが苦痛なようです。何も食べないと激しい空腹感に襲われ、食べられるものはなんでも口にしたくなる健康な食欲とは大違いです。食べなければ年齢相応の食事量を満たすことができずやせていきます。体重が一定の水準を切ると入院する必要も出てきます。重症になるとトイレも自力で行けません。歩くという行為だけでも心臓が止まる可能性があるからです。自力で食べられなければ鼻からチューブを入れて栄養物を胃に流し込まなければなりませんが、子どもたちはこの処置を嫌がります。発達段階の若い女性に起こる、思春期やせ症出典 : なぜ子どもたちはこんなにも食べることを拒否し続けるのでしょうか。そして、思春期やせ症が男性ではなく女性に多発するのは、なぜなのでしょうか。私は、ちょうど発達段階にある若い女性の母性に、その原因があるのではないかと考えています。私は、視覚系の研究に従事していた頃、出産前後の母子ネズミを扱っていました。そこで、母性を強く感じる出来事がありました。ある時、母ネズミと生まれたての子ネズミたちを放置してしまったことがありました。ネズミの乳首は10個ですので子の数は10匹程度が適切ですが、生まれた子ネズミは20匹ほどいました。子はかわるがわるお乳を吸い、すくすくと育ちました。一方、母ネズミは徐々にやせていき死んでしまいました。半面、子育て中の母ネズミは防御本能が強く、巣に不用意に手を入れると噛みつかれて大けがを負うこともあります。子を守るためにはわが身を顧みず渾身の力で闘う一方、お乳を吸いつくされても決して子を襲わず、なすがままにされて命までも落としたのです。母性とはこのように、母体の生死に関わるほどの力を持っています。子どもを守るためには、自分の体を犠牲にさえします。そして思春期の女性は、この母性を獲得していく途上にあるのです。思春期やせ症を発症するメカニズムとは出典 : 思春期やせ症の原因は、今のところ分かっていません。「太りたくない、自分を美しく見せたい」とか「大人になりたくない」という深層心理で説明する人もいます。しかし思春期やせ症をすべてそのような深層心理で説明するには無理があると思っています。若い女性には過食が生じることも知られています。人を含め動物は子を宿すとよく食べるようになります。過食もまた、母性と関係するのかもしれません。私は、大人の摂食障害の病態と、早期に発症する思春期やせ症とはメカニズムが少し異なるのではないかと考えています。思春期やせ症の場合は、脳神経系の発達になんらかのトラブルがあり、アンバランスな状態になっているのではないでしょうか。性ホルモンの分泌が盛んになる思春期に、母性に関わる脳神経系も発達していくと考えられます。また、食事行動をコントロールするのは脳なので、食事行動がうまくいかないということの背景に、脳神経系の発達上のトラブルがあるのではないでしょうか。思春期やせ症は、生理学、病理学などの専門家によっていずれそのメカニズムが明らかにされるでしょうが、私は、母性が発現し維持されはじめる若い時期の女性に多発するという現実から、母性の発達との関係を否定することはできないように思います。大きな変化を迎えた思春期の体は、時にバランスを崩すこともあるからです。今後、こうした神経系の働きや影響について究明できれば、よりよい治療方法が見つかるかもしれません。思春期やせ症への対応方法出典 : ただ現在は、思春期やせ症に対しては対症療法的に対応するしかありません。ご褒美や罰を用いて食べることへの動機づけを高める行動療法的やり方を取ったり、場合によっては、医療的処置で命をつなぐことも必要でしょう。ある思春期やせ症を患った女性は就職先にケーキ屋を選び自分自身を食べることに興味を持たせようとしました。食欲がわかなくても薬を飲むように一定量の食事をとり、体重の増加や維持を確認することが自分へのご褒美となるようにしている人もいます。周りの人は、深層心理の問題だと片付けず、患者にとって適切な支援を行っていくことが大切だと思います。
2017年11月05日こんにちは、佐原チハルです。子どもって小さい時はすぐに熱を出すし、特に保育園に行っている子どもは、最初の1年は頻繁に休まなければならなくなるとも言われています。子どもにとって、小児科はなくてはならない存在ですよね。そんな小児科は、ママにとっても強い味方。子どもの病気を治してくれるだけでなく、時にはママたち自身を救ってくれることも・・・。今回は、そんなママたちが小児科で聞いた、“涙が出るほど嬉しかった言葉”について聞いてみました。●子どもの泣き声を「本当に大きな声だね!」と言われた「初めて子どもの予防接種に行った時です。そこの病院の看護師さんに『この子は本当に大きな泣き声だね!』って言われたんです。『こんなに元気だと、ママは嬉しいけど大変だね』って。それがすごく嬉しくて、泣いちゃいました」こちらは、3歳のお子さんを育てているママの言葉です。「その時期は、毎日、毎日子どもの泣き声を聞いているのが辛くて。うちの子は泣き声も大きくて。でも、辛いって言っても『子どもだから泣くのは当たり前』『声が大きいのは元気な証拠だからありがたいこと』って言われるばっかりで。それも本当にその通りだと思うから、辛いって思う私が間違ってるんだ、私はダメな親なんだって思って、ますます辛くなったりしてました」看護師さんが“大変さ”を理解 してくれたことで、救われた気持ちになったそう。「元気なのが嬉しいことと、でもそれで大変だって感じちゃうこととは、どっちもあって当たり前なんだなって思えました。子どもの声を辛いって感じるなんて悪い親だと思っていたから、大丈夫だって思えてすごくホッとしたのを覚えています」乳児期を過ぎると、赤ちゃんの元気な泣き声は微笑ましいものに感じられることもありますし、“元気な証”なのですから、たしかにありがたいものです。しかし、それを日々聞き続けているママが「辛い」と感じてしまうのも、また当然のこと。辛い気持ちを抱えているママがいた時には、それを否定せずにいたいですね。●寝不足でボロボロの時に「お母さんも頑張ってるね」と言ってもらった「出産してすぐの時、子どもをかわいいって思えなかったことがあるんです」こちらは、4歳のお子さんを育てているママの言葉です。「授乳がうまくできなくて。胸はパンパンに張っていて、子どももお腹が空いて泣いているのに、うまく飲ませられなくて。夜中だったんですけど、周りの病室からは泣き声も聞こえないし、みんなうまく授乳できてるのかなって思って……。授乳すらうまくできないなんて、なんてダメな母親なんだろうって思いました」こちらのママさんが出産されたのは、小児科と産婦人科が併設されている専門病院。出産後は完全個室だったそう。あとから「入院中なんて私も授乳うまくできなくて、真夜中でも子どもギャン泣きだったよ」と色々なママから聞くこともあったそうですが、当時は周囲の部屋の声が漏れ聞こえることもなく、「こんなこともできないのは自分だけだ」と感じていたそう。「子どもをあやしながら片手で慣れないミルク作ってたら、看護師さんが来てくれたんです。そこで『お母さんも頑張ってますね』って言ってもらえて、泣いちゃいました」「ミルクもこちらであげておきますので、お母さんは今日はゆっくり眠っても大丈夫ですよ」と言ってもらえたため、その言葉に甘えることにしたそう。「ゆっくり眠って、朝ごはんを食べてから子どもを迎えに行きました。それから改めて授乳のやり方を聞いたり、ミルクでも大丈夫よって言ってもらったりして、すごく気が楽になりました。隣の市に引っ越しちゃった今でも、この小児科には何かあるたびに通っています」自分を「ダメな母親だ」「最低限のこともできない出来損ないの母親だ」と感じさせられてしまうのは、とても辛いことです。そんな中で頑張っていると認めてもらえて、大丈夫と言ってもらえた のが、とても心強かったそうです。筆者も出産後の入院中、似たような経験をしたことがあります。看護師さんから温かい言葉をもらえたことに加え、子どもを預かってもらえて、睡眠時間を確保できたこともとても大きかったです。産後で疲れているママにとって、温かい言葉と睡眠時間は、何よりも喜ばれるプレゼントですね。●「お母さんは大丈夫?お母さんも気をつけてね」と言ってもらえた「子どもが手足口病にかかった時、小児科のお医者さんから『お母さんは大丈夫?』って言ってもらったんです。すごく嬉しかったです」こちらは、5歳と3歳のお子さんを持つママの言葉です。「最初に下の子がかかって、それだけでも大変だったのに上の子にもうつってしまって。もちろん一番大変なのは子ども達自身ですけど、私も結構参ってしまっていたんだと思います」実家のご家族からもお子さん達の心配はされたそうですが、ママのことを労ってくれる人はなかなかいなかった そう。「うちは当時、旦那が単身赴任で、文字どおりワンオペで2人の看病しなきゃいけなくて、結構辛かったんです。私のこと気にかけてくれる人が身近にいない中でずっと張りつめていたので、泣きそうになっちゃいました。すごく嬉しかったんです」誰かに気にかけてもらえているというだけでも、気持ちが楽になることってありますよね。「最近元気にしてる?」「大丈夫?」という言葉は、かける側はそれほどの意識をしていないこともありますが、言われた方は救われた心地になることもあるのですね。忙しそうにしている友人がいたら、少し意識して声をかけてみるのもいいかもしれません。----------以上、いかがでしたか?産後や子育て中のママは、時に孤独で心細いもの。そんなママにも寄り添ってくれる病院 の存在はとても心強いですね。私たち一般のママはお医者さんにはなれませんが、時々はお互いに励ましあったり、助け合ったりすることもできます。「あそこの小児科がすごくよかったよ」なんて感想も語り合いつつ、手を取り合って日々の育児を乗り越えていきたいですね。●モデル/倉本麻貴●ライター/佐原チハル
2017年10月05日こんにちは。コラムニストで経済思想史家の鈴木かつよしです。2013年6月に“国立大学改革プラン”が閣議決定されたのを受けて、2014年8月に文部科学省から全国の国立大学に“人文社会科学系学部の廃止”が通達されてから3年が経ちました。国が率先して「大学は生産性を上げるための技術論を教えることに専念すべき」という考え方を示したことによって、わが国の大学は近年ますます“大手企業に就職するための専門学校”としての色合いを深めており、筆者が大学生であった約40年前のような“深い洞察力と広い視野を持った人間を育てる場所”のような役割は失ったように思います。ところで、そのように専門学校と同様の意図でもって行く大学は、貸与型奨学金という多額のローンを二十歳そこそこの時点から背負ってまで通う価値があるところなのでしょうか?何かの分野の専門的な技術を身につけたいのであれば、それこそ大学よりは学費の安い専門学校に通うか、あるいは衣食住を無償で提供してくれる親方のもとに弟子入りする方がよほどコスパがいいのではないでしょうか?今回は、大学進学に関して存在するさまざまな意見について、筆者同様これから大学進学の年齢をむかえる十代半ばの子どもを持つ都内C市在住のパパたちママたちに実際に聞いた話に言及しながら、“今の大学は多額の借金をしてまで行く価値があるのか?”という問題について一緒に考えてみたいと思います。●意見1:「自分は職人だが幅広い教養を求めて大学に行った。でも息子には求めない」最初に紹介するご意見は、筆者のパパ友でもある50代のガラス細工職人の男性のものです。『父親が従業員5~6人ほどの小さなガラス屋を経営していた私は、若いころからガラス製造を仕事にする気持ちは決まっていたのですが、高校生のときに親とは違う付加価値の高い創作ガラス工芸をやりたいと思うようになりました。その際、高校を卒業したらすぐにその道の大家に弟子入りする道もあったのですが、一介のガラス職人であっても政治経済や文化芸術について一家言を持った“大人の市民”として、自分の後輩や弟子たちに生き方についてのアドバイスができるような人物になりたいと思い、私立大学の経済学部に進んで西洋経済史を学びました。その選択は自分としては大正解で、妻や子や弟子たちにも恵まれ充実した人生を送ることができたと思っています。でも、いま高校生の一人息子に何が何でも大学へ行くことを希望しているかというと、正直そうでもありません。その理由なんですが、いま私たちが暮らしている社会は私たちのような一般市民にそこまでの知性や教養を求めていないように思えるからです。というよりもむしろ、私たちの若かったころと違い、いま世の中の指導的立場にある人たちは、「社会をよくするのは自分たちのような本物のエリート層がするから、一般の人たちはとにかく最大限の効率を求めてグローバル経済の時代の戦士としてもっぱら国や地域の成長・繁栄のために働いてほしい」と考えているように見えるのです』(50代男性/都内C市在住/ガラス細工職人・ガラス製品販売店経営)実はパパ友のこの意見、筆者も否定できないところがあります。筆者自身も小さな町工場経営者の子の分際でありながら、“近代国家の将来を担う誇り高き市民”のようなものにあこがれて大学に進んで学んだ者なのですが、ここ数年のわが国はそういったタイプの人間(あるいはそういったタイプの人間を目指している者)を“煙たがる”傾向があるように見えてならない のです。だとすると、人の子の親としては子どもがもっと“気楽”に生きられるように、“余計なことは考えない生き方”を選択するのを望む気持ちが生じます。つまり、“given”は“given”として疑問を持たずに受け入れて、手につけた職の腕前をひたすら磨いて安定した生活を手に入れることに専念して生きていってほしいと思う気持ちであり、大学で学ぶ哲学や文化、芸術は一般庶民の幸福にとってはむしろ邪魔になるという考え方です。●意見2:「大学卒の看護師だからといって得した覚えが一度もないし、大学は学費も高い」次に紹介するご意見は、筆者の妻のママ友である40代女性で総合病院勤務の看護師さんのものです。『娘が自分と同じ看護師を目指しているのですが、私は看護師になるのに大学へ行く必要はないと娘に言っています。理由は簡単で、私自身が大学卒の看護師なのですが、看護師になってこのかた大学卒だということで得したことなどただの一度もないということです。それに、大学は学費が高く専門学校であれば大学の約半分の費用で看護師になることができます。公立の専門学校ならもっと安い学費で看護師になれます。よく、大学卒の看護師の方が視野が広いとか人間的に幅があるとか言われますが、いまのわが国は人格的に立派な人が正当に評価されている社会だとは思えません。逆に姑息な人、他人のいいところを見ずに欠点ばかりを大声で指摘する人、有力者との縁故を手に入れた人ばかりがいい思いをしている社会ではないかと思います。そのような世の中で貸与型奨学金という多額の借金を抱えてまで大学卒の看護師になることに、どんな意味があるというのでしょうか。学費の安い専門学校で看護技術だけを学び、黙々と職務だけを遂行する。そういう生き方の方が“裏切られた感”に苛まされずにすむというものでしょう。少なくとも自分はそう思います』(40代女性/都内C市在住/看護師・総合病院勤務)このご意見にも、筆者はぐうの音も出ません。筆者自身も、大学を出たからといって何か他人様よりも得をしたという覚えがないからです。また“人格的に立派な人が正当に評価されない社会”というのもまさにその通りで、指導的立場にある人に「知性」や「教養」といったものは求めず、もっぱら「他者を言い負かす力」ばかりを求めるのが大多数の国民の感性であるのだとするならば、やはり大学なんかに行って知性や教養を身につける必要などはないのだろう と思うのです。筆者はこの看護師の女性の意見にかなりの部分で同意できます。●意見3:「あえて大学に行くのなら、人類共存への道標になるような哲学を学びに行くべき」最後に紹介するのはC市内で小児科クリニックを開業し、自身が中学生の男の子のパパでもある40代の医師の男性の意見です。『医学部のような特殊な学部は別にして、ほとんどの職業は大学ではなく専門学校で学んでも資格を取得することはできます。弁護士であろうが建築士であろうが本人にやる気と本気があるのなら、独学でもなれるというのが現実です。それでもあえて大学に行く意味はどこにあるのかと患者さんの親御さんに問われたとき、私の場合はこう答えています。「将来社会人として生きていくうえでの技術を学ぶためというのは当たり前だが、あえて大学に行く場合はその技術を人類が共存・共生していくうえでどのように使用するのがベターなのか。そういった人類共存への道標となるべき哲学のようなものを自分なりに構築する。そのために大学へ行くのですよ」と』(40代男性/都内C市在住/小児科医・小児科クリニック院長)今回のコラムに何かしらの結論めいたことを付記するのであれば、筆者はこの小児科医の男性がおっしゃっていることがそれにあたるのではないかと思います。今、世界ではどちらかというと“他者に対して攻撃的なリーダー”が支持を集める傾向がある ように見えますが、人類はそこからくる過ちをその都度克服して今日に至っています。その際に世界中の人々を我に返らせ勇気づけてきたのが、大学で自分の専門以外の隣接諸領域についても学んできた人格者たちでした。ナチス政権による迫害の中でも次の時代の価値観を模索し“生命への畏敬”の哲学を確立したドイツ人医師のアルベルト・シュヴァイツァーは名門ストラスブール大学で医学も哲学も神学も学んだ人です。また、ノーベル物理学賞受賞者の益川敏英博士は名古屋大学の学生時代、恩師である坂田昌一教授から「科学者は科学者として学問を愛する以前に、まず人間として人間を愛さなければならない」と教えられ、坂田先生の持論であった「勉強だけでなく、社会的な問題も考えられるようにならないと、一人前の科学者ではない」「物理の問題が解けるなら、世界平和に向けた難題も解ける」といった教えを機会あるたびに私たちに発信してくださっています。つまるところ、あえて大学にまで行くのならこのような“哲学”まで学ぶ“本物のリーダー”を目指す気がなければあまり意味がないということだと思います。----------いかがでしたでしょうか。少子化の今日、大学へ行くことは当たり前のように思われているかもしれませんが、ときにはこんなふうに大学へ行くことの意義そのものについてパパ・ママ・子どもたちのみんなで考えてみるのもいいことなのではないでしょうか。【参考文献】・『月刊「住民と自治」』(2016年2月号)●ライター/鈴木かつよし(エッセイスト)●モデル/ゆみ
2017年09月12日こんにちは。メンタルケア関係を中心に執筆しているメンタルケア心理士の桜井涼です。お盆が過ぎた後にやってくる“残暑バテ”を防ぐための方法を知るために、医師に相談してきました。青森県内で唯一、人口が伸びている地域として知られる六戸町にある沼田医院の医院長で、 小児科・内科医の沼田知明先生にお話を伺ってきました。沼田先生は、長年にわたり乳幼児検診に携わっておられ、町の学校保健会長として多くの子どもたちのために活動されている先生です。●残暑バテの原因と症状残暑バテが起こってしまう原因を沼田先生に聞いてみました。『自律神経のバランスが悪くなっている状態が引き起こしていると思います。自律神経は、自分の体をうまい具合に調整するように動いている神経です。ただ、意識してコントロールできない・調整できない神経でもあります。この神経のバランスが崩れてしまうと、心身の不調が出てきます。そこに、夏の暑さや悪天候が続いたことで湿度が高くなっていることも要因となります。さらに、仕事やお盆休みの活動といった体力的な面も関係しています』さまざまなことが関係して心身共に不調となるということがわかりました。症状は、どのようなものがあるのでしょう。『自律神経のバランスを崩してしまうと、食べられない・飲めないなどの消化器系、めまいや頭痛などの循環器系、その他に寝付きが悪かったり不眠になってしまったりすることが起こります。心の面では、鬱っぽくなってしまったりイライラしたりということもあります』自律神経のバランスが崩れると、体と心だけでなく免疫力の低下にもつながる そうです。うまく保っていけるように早めに回復することが大切だということがわかりますね。●自律神経を調節する「食事」「睡眠」「運動」について私たちはどんなことに注意すればよいかを、沼田先生に聞いてみました。『自律神経のコンディションを整えるということです。自律神経は自分で意識して調節できませんが、意識できる部分から少しずつアプローチをして、自律神経を修復させていくことはできます』先生から、アプローチしていける大切なポイントを教えてもらいました。1つ目は“食事”です。『バテているというのは、疲労の状態です。体力をつけなければいけません。ですから、肉魚卵などのタンパク質を意識して取るようにします。そして、疲労を回復させるためにビタミン類(B1、Cなど)も取りましょう。サプリメントや飲み物などを活用しても構いません』2つ目は“睡眠”です。『睡眠は大切です。大人なら6~7時間、子どもなら8~9時間、幼児などの小さい子であれば10時間程度が必要となります。ただし、過剰な睡眠は良くありません。逆効果です。休日だからと寝てばかりでは、自律神経をますます乱すことになります』睡眠の質を上げることも大切とのことでした。暑いからといって、エアコンや扇風機でむやみに冷やすようなことはせず、自分の体にあった温度で過ごすようにする とよいそうです。『寝る前に、ぬるめのお風呂につかったり、シャワーを浴びたりするなどの寝やすくするための工夫も必要です』また先生は、体内時計のリセットも大切だと話します。『人の体内時計は、24時間よりも1時間多い25時間です。だから、どうしてもズレが生じてしまいます。それを修復する方法は、朝起きて日の光を浴びることです。そうすれば、目から日光が入り脳内物質が分泌され、体内時計がリセットされます』3つ目は“運動”です。『自律神経を回復させるためには適度に体を動かすことが大切です。バテているとどうしても横になりたいという気持ちになりますが、ウォーキングしたり子どもと公園で遊んだりするなど、適度に体を動かすことが自律神経を回復させることにつながります。体がだるいと横になった方がいいと思われがちですが、回復させたいのなら朝起きて、適度に体を動かす方が自律神経の修復にアプローチをかけやすくなるのです』とのことでした。以上の「食事」「睡眠」「運動」の3つに気をつけることで、残暑バテはずいぶん楽になってきます。●面倒な気持ちになってしまったときの対策「暑い」「湿度が高い」などの気候的な要因や、仕事や家事育児の疲れなどさまざまなことが関係して、「面倒くさい」という気持ちになってしまうことがあります。そのようなときはどのようにしたらよいかということを教えてくださいました。『大切なのは、プラスのイメージを持つことです。・食事を作るのが面倒→「栄養が取れる料理で家族が喜んでくれる!」・子どもと散歩や公園→「疲れているのに動けている自分はすごい!」「子どもの成長が見られてうれしい」など。心がワクワクするような気持ちを持つ、または気持ちを切り替えることで心の健康につながります。プラスのイメージを持ったり、ちょっと見方を変えたりするだけでもいいです』とのことでした。疲れていると、プラスに考えるのは難しいこともありますよね。そんなときは、現状を別の角度から見るようにしてみる といいかもしれません。もうすぐ夏休みが終わります。子どもも起床や学習、登校などに「面倒くさい」と言うようになるでしょう。そんなときも、親が子どもに対してプラスな言葉をかけてあげることで、子どもの考え方を変えるきっかけになります。二学期早々に、登校することが億劫でなくなることにつながると思えば、プラスなイメージの会話をすることができるはずです。●おわりに残暑バテは、だるかったり頭痛がしたりして横になっていたいものですよね。それをプラスの考え方をして、「食事」「睡眠」「運動」を大切にして自律神経の乱れを修復することが大切だとわかりました。“疲れているから動かないじゃなくて、疲れているからこそ動いてプラスなことを考える”ということが大切だと理解できたように感じます。【監修/沼田知明医師】『沼田医院』医院長/小児科・内科医・沼田医院●ライター/桜井涼(メンタルケア心理士)●モデル/神山みき(れんくん)
2017年08月30日筋緊張とは出典 : 筋緊張とは、体の筋肉が持続して適度な収縮をし、張力を備えている状態のことです。筋肉は本来わずかな張りを備えています。この張りは、1: 筋肉の組成組織そのものの粘りけと弾力によるもの2: 筋組織を支配している末梢神経系によるもの3: 脳や脊髄といった中枢神経系による姿勢制御によるものこの3つのそれぞれが統合された結果として発生しています。出典 : この筋肉の張り具合である筋緊張や、関節の曲げ伸ばしといった自分自身の体を感じ取る感覚を、固有感覚(固有受容覚)といいます。固有感覚は、私たちの身体の外から受け取ることができる刺激である「感覚」のなかのひとつです。ちなみに感覚には「五感」と呼ばれる視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚に加え、「固有感覚」と「前庭覚(平衡感覚)」というぜんぶで7つの感覚があります。固有感覚と前庭覚はほとんど自覚せずに使っている場合が多い感覚で、固有感覚は前述の通り、自分自身の体を感じ取り体の動きをコントロールするときに使う感覚、前庭覚は体のバランスをとるときに使う感覚です。人ひとりの「感覚の特性」を考えよう!よく聞く感覚統合ってなに?固有感覚の受容器は、筋肉の筋や腱の中にあります。この固有感覚は、子どもが生活やあそびの中で経験を重ねることで、少しずつ獲得していくものです。たとえば、定型発達の赤ちゃんは生まれてからおおよそ1年で一人歩きができるようになります。またその頃には、努力しなくても立った姿勢や座った姿勢を保ちながら、興味のあるものの方向へ頭部や体を向けたり、両手を使ってものを掴んだりすることができるようになります。これは、固有感覚をはじめとしたさまざまな感覚情報を、脳や脊椎といった中枢神経系が受け取り統合して、無意識のうちに筋肉に指令を出せるようになるからです。こうして筋緊張が保たれることで、姿勢を維持する、体を動かす、といったことを、ほとんど意識することなくできるようになるのです。姿勢保持と筋緊張の関係出典 : 就学期に達した子どもに、授業中に姿勢が崩れ机に頭を横たえたり、だらりと体を投げだすようにうつぶせたりして、まっすぐに姿勢を保って座ることができない子がいます。また、椅子の背もたれに寄りかかり、下半身を前になげだすように座ってしまう子もおり、その態度が横柄で反抗的な態度だと受け取られてしまうこともしばしばです。しかし、それらの態度は精神的な要因ではなく、筋緊張などに由来する身体的な要因である可能性があります。加えて、姿勢を保つ力が弱いと、体のバランスを保つため無意識のうちに他の筋肉に力が入りすぎてしまい、リラックスをすることがむずかしく疲れやすかったり、じっとしていることが辛く、多動となったりすることもあります。こういった姿勢や態度が悪いように見える原因を、本人の性格のせいにされたり、家庭のしつけの問題として誤解されてしまうことも少なくありません。ですが、その背景には、筋緊張を適切に維持したり変化させたりすることに課題があり、結果、姿勢や身体の動きにつまづきが起こっているという場合があります。自分自身の体を感じ取る感覚である固有感覚が鈍感だと、筋肉や関節の動きを正しく感じることができず、筋緊張を調整することが難しくなり、安定した姿勢を保つことが困難になります。筋や腱で受け取った自分自身の体に関する固有感覚の情報を、脳や脊椎といった中枢神経系が受け取り、今度は中枢神経系から筋肉への指示出しをするという、一連の流れがスムーズにいかないのです。また発達障害のある子どもで姿勢を保つことに困難がある子の中には、自分の姿勢や体の動きを自覚しにくいため、そもそも正しい姿勢のあり方自体を分かっていない可能性もあります。手先の不器用さも筋緊張と固有感覚が関係しているかも?出典 : 手先の不器用さは、プリント類をきれいに半分に折ることができない、ボタンを留めたり靴ひもを結ぶことが苦手といった生活面でのつまづきや、鉛筆をしっかり持ったりコントロールしたりすることができず字がきれいに書けないといった学習面でのつまづきをもたらします。これも原因のひとつに、固有感覚の鈍感さがあげられます。体の末端である手先の筋肉は、脳からの指令がより届きにくくなるので、微細運動が苦手となるのです。また、発達障害のある子どもの困りごととして「手先の不器用さ」がみられることがあります。固有感覚を鍛え筋緊張を制御するには?出典 : 正しい姿勢を維持するためには筋緊張の適切な調整が必要であり、筋緊張を適切に保つためには固有感覚の発達が必要であることが分かったかと思います。ではこの固有感覚について気がかりなことがある場合には、どうすればよいでしょうか。■小児科診断や医学的な診察を受けたい場合には、小児科へいくとよいでしょう。運動発達以外にも心配がある場合には、子どもの発達に関する悩みごとの相談にも乗ってくれます。また、子どもの発達に詳しい療育機関などの情報も持っており、地元の専門機関を紹介してくれる場合もあります。■地域子育て支援センター行政や自治体が実施主体となって行っている事業です。子育て中の親子が気軽に集い、交流や子育ての不安・悩みを相談できる場を提供することを目的として各地域に設置されています。無料で相談をすることができます。リハビリを受けたい場合には、ここに相談をしてみましょう。■児童相談所(こども相談所)0~17歳の児童を対象として、育児の相談、健康の相談、発達の相談など、さまざまな相談を受け付けています。必要に応じて、発達検査を行う場合もあり、無料で医師や保健師、心理士、言語聴覚士などから支援やアドバイスをもらうことができます。基本的に予約制なので、あらかじめお住まいの市町村のHPなどを見て確認するようにしましょう。■児童発達支援施設児童発達支援施設とは、小学校就学前の6歳までの障害のある子どもが主に通い、支援を受けるための施設です。日常生活の自立支援や機能訓練を行ったり、保育園や幼稚園のように遊びや学びの場を提供したりといった障害児への支援を目的にしています。児童発達支援は、支援が必要であると認められた未就学の障害のある子どもが対象の福祉サービスです。利用は有料となりますが、自治体に申請を出し、通所受給者証を取得することで、1割以下の自己負担でサービスを利用することができます。受給者証の取得については、以下で詳しくご紹介しています。固有感覚などの基礎感覚のつまずきへの支援には、感覚統合療法があります。感覚統合療法とは、アメリカの作業療法士(OT)であるエアーズがまとめたもので、作業療法士が子どもに寄り添いながら、子どもが「楽しい!」と思うような遊びや運動を通して、感覚機能の未熟だったり苦手だったりする部分を伸ばしていくことをねらいとしています。「自分の子どものことがちょっと気になる」「どこに行けば感覚統合療法が受けられるのだろう?」といった方は、日本感覚統合学会のホームページに記載されている療育相談窓口メールに連絡をすると、各地の担当者を紹介してもらえるとのことです。日本感覚統合学会公式ホームページ Sensory Integration Global Network日本感覚統合学会公式ホームページご相談は、お住まいの地域の窓口へ感覚統合検査、チェックシートなどでご家庭で自分の子どもの傾向を調べてみることもできます。日本感覚統合学会が紹介しているJSI-R(Japanese Sensory Inventory Revised)という子どもの感覚統合の状態をチェックするための質問紙があり、この質問紙に沿ってチェックすることで子どもの感覚統合の発達状態やどこにつまずきがあるのか確認することができます。ただし、これはあくまでも子どもの行動チェック表に過ぎません。この結果だけで子どもの状態や優劣を判断するものではないので、目安として利用することが大切です。質問紙は以下のサイトから簡単にダウンロードすることができます。日本感覚統合学会JSI-R(Japanese Sensory Inventory Revised)出典 : よじのぼったり、しがみついたり、踏んばったりといった、粗大運動と呼ばれる体を動かす遊びによって固有感覚を鍛えることができます。お外遊びの際は、鉄棒にぶら下がる、ジャングルジムによじのぼるなどといった体全体を使う遊びを促したり、家族の人とすもう遊びをしたりといったことが効果的です。おうちでは、布団を使った巻きずし遊びなどはいかがでしょうか。ふとんの上に寝そベった子どもの体をくるむように巻き、ふとんの上から押して子どもの体に圧を加えスキンシップをとる遊びです。このようにして粗大運動の機能を高めることで、手先の器用さなどの微細運動も向上します。※小さなお子さんの運動に際しては、保護者の方や先生など、周囲の大人が安全に注意して見守りながら行いましょう出典:川上康則/監修 『学校・家庭で楽しくできる発達の気になる子の感覚統合あそび』 ナツメ社/刊まとめ出典 : 姿勢や態度の悪さといった子どもの気になる態度が目につくと、大人は心配や焦りを感じたり、やる気がないと決めつけてかかるなど、気持ちや気合いの問題に終始してしまいがちです。しかしそういった態度の背景には、固有感覚の発達における課題によって筋緊張の問題が起こっているかもしれません。周りの大人は、子どもの態度が悪いという表面的なことに着目するのではなく、できていないことの背景には、感覚の使い方がうまくいっていないことが影響しているのではないか?筋緊張につまづきがあるのではないか?という可能性を考え、知識を得て理解をしたり、感覚を育む手伝いをしてあげることが重要です。理解と環境づくりによって子どもの感覚や身体を育てる手伝いをし、気になる行動を少しずつでも良い方向へ導いてあげたいですね。
2017年08月22日言語障害とは出典 : 言語障害とは、広義には、言葉によるコミュニケーションに何かしらの困難さがある障害を指し、精神医学上の狭義の定義では、特に言語の習得と使用に困難さのある障害を指す言葉です。言葉を使ったコミュニケーションに困難さが生じる障害・疾患にはさまざまな種類がありますが、「言語障害」という言葉がなにを指すかや、どんな疾患名が含まれるかは、その用語が使われるシーンによって少しずつ定義や使われ方が違ってきます。先に述べたように、精神医学における言語障害では、言語能力の発達の段階で、言葉を理解する能力と話す言葉を考える能力に困難さがあることを「言語障害」と定義しています。一方、一方、教育における言語障害は、より広い意味合いで捉えられています。すなわち、話す能力や聞く能力そのものというよりは、本人の発音や話し言葉によって、他人との一連のコミュニケーションに困難や不都合が生じている状態を「言語障害」と位置付けているのです。以下は、文部科学省における言語障害の定義です。言語障害とは、発音が不明瞭であったり、話し言葉のリズムがスムーズでなかったりするため、話し言葉によるコミュニケーションが円滑に進まない状況であること、また、そのため本人が引け目を感じるなど社会生活上不都合な状態であることをいいます。この他にも、介護の世界では、言語能力の発達には問題がないものの、脳卒中や認知症により後天的に話すことができなくなってしまったり、言葉を理解できなくなってしまったりする疾患を「言語障害」と呼ぶことが多いようです。このように、一口に言語障害と言ってもさまざまな定義が存在しますが、このコラムでは精神医学上の定義に則り、発達期の子どもが発症する言語障害について、人のコミュニケーションの仕組みを踏まえながら説明していきます。音声言語コミュニケーションの仕組み言語障害について詳しく解説する前に、まずは人がどのように言葉を操り、他者とコミュニケーションをとっているのか、その仕組みを確認しましょう。下の図は「スピーチチェーン」といい、人が音声言語コミュニケーションをとる仕組みについて説明するものです。Upload By 発達障害のキホンスピーチチェーンに則って考えると、人間が音声を受け取り、理解し、他者に言葉を発するまでのプロセスは、大きく三段階に分けることができます。■第一段階音響学的レベル誰かが発した音声が、空気を振動して耳へと伝わります。■第二段階言語学的レベル耳を通して伝わった音声を、脳で意味のある言葉として理解し、それについての受け答え(自分が話したい内容など)を考えます。そして、受け答えのための音声を出すために脳から発声器官(口や舌、肺など)の筋肉に信号を出します。■第三段階生理学的レベル脳の信号を頼りに声帯や舌、肺などを運動させ、音を発声します。また、口や舌の動きを使い、人が理解できる言葉にします。参考書籍:内須川 洸 /著『言語臨床入門』(風間書房,2000年/刊)スピーチチェーンの第三段階目で生成された音声に対して、相手側もまた、耳を通して聞き取り、脳で処理し、受け答えを考え、発生をする…このようなサイクルを通して、人は言葉を発し、他者とコミュニケーションをとっています。精神医学における言語障害出典 : アメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)における言語障害(言語症)は、言語の習得と使用に困難さのある疾患として定義されています。主に、上の図におけるスピーチチェーンの第二段階目にあたる、脳内の言語処理に困難さがある疾患です。その困難さにより具体的には次の3つのような症状があります。1. 少ない語彙その年齢の子どもが知っているであろうレベルより単語の知識より少なく、語彙に多様性が欠けている状態です。例えば、言葉の定義(理解)があやふやであったり、類義語や多義語が理解できなかったりなどが挙げられます。2. 限定された構文文を形成するために、文法規則に基づいて単語や語を配置することに困難さがあります。言語障害のある子どもが話す文章は、文法上の誤りを伴い、より短く単純であることが多く、特に過去時制が適切に使うことが難しい場合が多くなります。こうした言葉や文法理解の困難さから、新しい単語や文章を記憶することにも困難さが生じます。例えば電話番号を覚えたり、買い物リストを覚えたりすることです。3. 話法における障害一つの話題や一連の出来事を順序をたてて説明・表現したり、会話をしたりすることに困難さがあります。このような症状は、言語の理解と産出する能力に困難さがあるために起こります。専門用語では、言語の受容性の能力、表出性の能力と言います。言語の受容性の能力とは、言語によるコミュニケーション(主に音声による)の意味のあるものとして理解することを指し、言語の表出性の能力とは、声、身振り、言葉の合図などを生み出すことを指します。言語障害は、言語がある程度発達し、個人差が少なくなってくる4歳以降で診断されることが多いです。幼稚園、保育園、小学校などに入ることで、さまざまなコミュニケーションの機会に触れる中で、他の子どもと比べてその困難さが際立つようになり、言語障害が明らかになる場合が多いと言えます。 精神疾患の診断・統計マニュアル 第5版言語障害と似たような言葉として、「言語発達遅滞」という言葉を聞きますが、その違いはなんなのでしょうか。言語発達遅滞とは、言語障害があるかどうかによらず、言語の発達が年齢に想定されるよりも遅いという状況を指す言葉です。言語発達遅滞には2つのパターンがあります。一つ目は、乳児期の時点では言葉が遅れていても、育ちの過程において、遅れが目立たなくなるような場合です。この場合は、「ただ言葉の習得が遅いだけ」、「育ちのスピードの個人差の範囲」と言えます。もう一つは、発達や聴覚に障害のある可能性があり、その兆しとして言葉の遅れが生じる場合です。言葉の発達の遅れは、発達の早期である乳幼児期において生じやすく、その子どもの育ちは個人差が大きいです。また性格や環境など様々な要因が関わっています。そのため乳幼児期に語彙が少なかったり、文や文章の組み立てが苦手であったりといった、言語発達遅滞状態にあっても、その子どもがただちに言語障害であるとは限りません。言語障害とその他の言語に関わる疾患の違い出典 : これまで説明してきた通り、『DSM-5』における言語障害は、言葉の理解と産出に困難さがあるため、言葉をうまく話すことができない障害として定義されています。しかし、言語障害以外でも、同じく「言語がうまく話せない」という症状が生じる疾患・障害は存在します。ここでは、上記で説明したスピーチチェーンのどこに問題が生じているかに触れながら、言語障害と、それ以外の言語に関わる障害・疾患の違いについて説明していきます。音が聞こえない、または音が聞こえにくいため、音声言語を正しく認識できず言葉に困難さが生じます。スピーチチェーンでは、第一段階目の「音響的レベル」に当たる、耳で音を拾う過程に困難さがある障害です。聴覚障害があるため言葉に困難さがある場合は、聴覚障害という診断になることがほとんどです。知的障害のある子どもの多くは、運動機能や言語発達に遅れがある場合があります。知的発達の遅れがベースとなって、言葉が遅れていたり、コミュニケーションに困難さがあったりする場合は、言語障害ではなく知的障害という診断が下ります。構音障害とは、声が鼻にかかったり、鼻に抜けてしまうため、発音が不鮮明になったり、間違った発音になってしまう症状を特徴とする障害です。スピーチチェーンの三段階目である「生理学的レベル」での困難さがある障害と言えます。例えば、さかな”の発音が”たかな”になってしまうようにサ行やカ行がうまく発音できない場合です。これは、唇の断裂(口蓋裂)や、音を発声させる器官(構音器官)のまひなどによる機能的問題が原因となって言葉の困難さを引き起こしています。構音障害は、精神科だけでなく耳鼻咽喉科や小児科の領域の疾患でもあります。そのため必ずしも精神科で診断がくだされるわけではありません。小児科、リハビリテーション科、耳鼻咽喉科、脳神経外科、神経内科、形成外科、言語外来を設置している各科などでも診てもらうことができます。吃音とは吃音などの話し言葉におけるリズム流暢でないために、言葉に詰まってしまったり、同じ音を繰り返してしまうことです。上の図では、三段階目の生理学的レベルに困難さがあります。そのため、吃音は精神科だけでなく耳鼻咽喉科や小児科、児童神経科の領域の疾患でもあります。例えば、”きんぎょ”を”き、ききんぎょ”と言葉を繰り返してしまったり、”き...んぎょ”など言葉が詰まってしまうなどです。このような言語に関する困難さを吃音といい、言語障害とは区別されます。言語障害と発達障害の関連は?出典 : 言語障害は、学習障害、ADHD(注意欠如・多動性障害)、自閉症スペクトラム障害などの発達障害との併存も珍しくないと言われています。発達障害について、詳しくは以下の関連記事をご覧ください。言語障害が気になる場合の相談先出典 : 歳から未就学児までの子育てに関する、不安や悩みがある親子に対する相談、援助を実施しています。子育て支援センターでは、病院と違い診断や治療を受けることはできませんが、相談・診察の状態によっては、医療機関を紹介してもらうこともあるようです。乳幼児健診(1歳半健診や、3歳健診など)では、乳幼児の健康について診てもらうだけでなく、子育てに関する相談もすることができます。場合によっては臨床心理士さんなどに相談できるよい機会です。教育相談とは、就学児(小学校入学以後の児童)の発達と教育にかかわる問題についての心理的・教育的援助です。教育相談センター・教育センターで行われる教育相談では、来所、電話、メール、さまざまな形での相談を受け付けています。児童相談所でも、幼児~高校生までの教育に関する相談を行うことができます。子どもの言語障害や言葉の遅れに関する診察や治療は、小児科や、神経科、小児神経科が主な受診先となります。言語障害のある子どもへの支援・治療法出典 : 言語障害はその症状によってさまざまな治療法があります。言語障害にはこの方法が必ずいいというわけではなく、子どもの特性や困難さに合わせた、個別の支援、治療を考えていく必要があります。言語聴覚療法とは、言葉を話したり聞いたりする機能に障害がある人に対して、日常生活を円滑に送るために行う、発音・発声に関するリハビリテーションです。言語聴覚療法では、専門知識を持った言語聴覚士がリハビリテーションにあたります。一般的に、発音・発声の機能獲得と、言語をつかさどる脳機能の獲得の二つのトレーニングを受けることができます。子どもの場合も、聞く、読む、話す、書くことという言葉全般の働きについて、その子どもの症状や課題に応じたトレーニングが行われます。また、子ども本人だけでなく、家族や生活環境にも焦点を当てたリハビリテーションが行われる場合もあります。ことばの教室とは、言葉に関する困りごとのある児童を対象とした、小学校、中学校で行われている特別支援教育の場です。一般的に、通級指導教室と特別支援学級に設置されています。ことばの教室に通うことを希望している場合は、就学前に就学相談を行う必要があります。そこで、教育委員会や学校と相談をしながら、就学先としてことばの教室に通うかどうかを決定します。また、すでに通常学級へ通っている場合でも、学校との相談の結果、必要に応じて通級指導教室に通ったり、特別支援学級に転籍することができる場合があります。まとめ言葉に関する疾患は数多くあり、広義にはそのような言葉に関する困難さ全般を言語障害と呼ぶこともあります。この記事では、医学的な診断名として定義された、発達期における、言葉の習得と使用に困難さを感じる疾患としての「言語障害」に焦点を当てて開設しました。言語障害は、コミュニケーションの中でも、特に言葉の理解と産出がうまくいかないために起こる障害です。子どもの言語の発達に不安がある場合は、上記のような相談場所へ行ってみましょう。
2017年05月30日小児科外来のカウンセリング室にやってきた母娘出典 : 病院の小児科外来でカウンセリングを行っているカウンセラーの私のもとに、不登校の娘さんと母親が心理相談を受けに来ました。そのとき娘さんは中学3年生。母親の話だと中学2年生のころから学校に行き渋るようになったけれども、教師の働きかけで今は何とか相談室登校をしているとのこと。母親が説明する間、その子は一言も話さず暗い顔をして座っていました。私は「学校で何か嫌なことがあったのか」、「友だちと気まずいことでもあったのか」と問いかけましたが、無言のまま。母親は、「家で娘に尋ねても嫌なことやいじめはないと言うのです」と代弁します。医師の方では医学的処置は行わないとのことを聞いていたので、経過観察をしながらじっくり支援の方向性を探ろうと考え、「すぐには話したくないかもしれないので、時々来て状況を知らせて下さい」と言って初回の面談を終わろうとしました。しかし母親は「どこに行っても同じことを言われます。私が心配でたまらないのです。このまま一生引きこもりになるのではないかと不安です。ここで話を聞いていただけませんか」と言うのです。娘さん本人の考えは計り知れませんでしたが、母親の困り感が大きいことも鑑み、ひとまず次週も面談の予約を入れることにしました。カウンセラーと母親と娘の三者面談、しかし彼女は一言も話さず…出典 : 翌週、時間通りに母娘がやってきました。母親はこの一週間も娘の状況は変わらないことを説明してくれましたが、肝心の娘さん本人はやはり一言も発しません。母親がしゃべり過ぎるので娘さんが話さないのかと考え、母親の発言を抑えて彼女の発話を待ちました。しかしいくら待っても言葉を発しません。最後にはうなだれ、長く伸びた髪が顔を覆い、ホラー映画の「貞子」のような状態になってしまったので、「これ以上はまずい」と思い、母親との話に戻りました。親子で訪れる小児科の心理相談の時、私は特別の事情がない限り親子別々に話すことをしません。子どもは不安を抱いて訪れます。その時に親から離れて一人で知らない人と話すことは苦痛でしかないと思うからです。廊下で待たされ母親だけが診察室に通されると、そこでは自分のことを話しているに違いないが、何を話しているのか気になるでしょう。余計な不安や苦痛を子どもに与えないために親子で話すのです。まれに母親だけに伝えなければならないことがある場合は、子どもが退屈そうに見えたとき、「退屈なら廊下を歩いてきていいよ」と言って外に出します。時間的に余裕がある環境でしかできないことかもしれません。カウンセリングというより雑談?それでも続く、奇妙な3者面談出典 : そういうわけでその母娘との面談はいつも三者で行いましたが、話すのはいつも私と母親でした。それでも娘さんは毎週来ることを拒まず、一言も話さないにもかかわらず毎回1時間近くその場に座り続けていました。半年近く話しても事態が大きく変わることもなかったので、話の内容は徐々に雑談に変わっていきます。明朗快活なお母さんはニコニコしながらたくさんおしゃべりしました。よもやま話になるとつい笑いだすようなことにもなりますが、娘さんはそれでもやはり、無表情のまま。わずかでしたが相談料を支払っていただいていましたので、談笑でお金をいただくのはどうかと思い、母親に「このまま続けますか」と尋ねました。母親は「長い目で見なければいけないのは分かっているが、娘と二人でいると気が沈んでしまうので、迷惑でなければ続けさせてください」と言ったので、ひとまず継続することに。とはいえこのままずっと談笑を続けるというのも気が引けます。なにか改善のきっかけがつかめないかと、私は彼女が在籍する中学校を訪問することにしました。しかし、娘さんは中学校では人目を避けて登校し、ほとんど相談室で好きな漫画やイラストを描きながら過ごしているとのことで、変化を期待できるような情報を手に入れることはできませんでした。高校受験が迫ったある日、無言だった娘が、はじめて「やりたいこと」を口にした出典 : それからも、カウンセラーと母親が談笑するだけという、奇妙な"三者"面談が続きました。初夏から始まった面談も初冬にさしかかっていました。母親は高校進学のことを気にし始めました。私も引き受けてくれる学校があるか気になりました。そんなある日、母親が思いがけないことを話しだしたのです。「娘は、高校はイラストやデザインが学べるところにしたいと言っています。中学校で尋ねたらA高校のデザイン科があると言われたそうで、そこを受験したいと言うのですが、先生どう思いますか」。この話も三者面談の中でした。私は母親に「それは素晴らしい。本人が受けたいと言うのならぜひ受けさせるべきです」と言いました。本人が高校には行きたいと言い、志望校もはっきりと言った。母親はこのことには喜んでいましたが、実際受験するにあたっては、相談室登校で学力がきわめて不安、試験や面接に行けるかどうか、受験に失敗したらもっと落ち込みがひどくなるのではないかなど、心配でたまらないようでした。私は、「本人が自分で道を切り開こうとしているのです。今はそれを応援しましょう。失敗したらその時に次を考えましょう」と言い背中を押しました。その後。その子は自宅でも受験勉強をし、中学校では専願という受験方法を示され、無事試験会場にも行け、めでたく志望の高校、学科に合格したのです。娘さんの高校入学後も母親はしばらくの間、「また、いつ登校しなくなるか不安だから」と言い、私との心理相談にやってきましたが、不登校が生じやすい5月の連休明けまで様子を見ても特に問題は起こらず、母親も安心して心理相談を終了しました。ずっと黙っていた娘が、なぜもう一度学校に行けるようになったのか出典 : その後も娘さんが私の相談室に来ることはなく、毎日他の生徒と同じように登校し授業を受けており、部活もバスケットボール部に入り元気に活躍しているとのことでした。母親は「嘘みたい、今までのはなんだったの」とキツネにつままれたかのようでした。心理相談を続けている間は一言も発さなかった娘さんが、なぜこのように劇的な変化を起こしたのでしょうか。私が思うに、その子自身の伸びる力がもともと眠っており、表面には出ない間も、じっくりと力を蓄えていたのだと思います。不登校、相談室登校は彼女にとって不快な経験だったと思います。彼女自身もなんとかそれを克服しようと思ったでしょう。しかしなかなか克服の道が見えず、長い間ふさぎ込むことになったのだと思います。高校進学を目の前にして、やっと自分の好きなデザインを学び、本来やりたかったバスケットを行うことに道を見出し、光を見つけたのだと思います。道を見出したのは彼女自身です。それができたのはその子の成長する力によるものと思います。小学校や中学校で不登校を経験したのちに高校生になり、「休みたくなると、もうあの不登校を再び経験したくないからという気持ちになって、それで頑張って登校したんだ」と打ち明けてくれた子もいました。一人、二人ではありません。子どもたちはしっかり学んでいるのです。そしてそのような子どもの成長する力を発揮させることができたのは母親の頑張りだったのだと思います。相談室登校の娘さんを見放すことなく、少しでも効果があることは惜しまず与え続けました。それとともに母親は、娘を支え続けるために自分の心の安定も求めました。娘さんは三者面談の中で一言も発しなくても、母親の言葉、カウンセラーの言葉をしっかり聞いていたのです。自分を支えてくれる人たちの中で自分は何をすべきかを考え続けていたのでしょう。子どもは母親や家族に支えられ、母親や家族は社会に支えられるような循環が子どもたちの成長には不可欠だとの思いを深めたケースでした。
2017年05月20日こんにちは。メンタルケア関係を中心に執筆しているメンタルケア心理士の桜井涼です。先日、乳児がハチミツを摂取したことで死亡するという痛ましい事件がありました。この事件は記憶に新しいと思います。乳児の母親は「ハチミツを食べさせてはいけないことを知らなかった」という話ですから、乳児を子育て中のママはもちろん、 これから出産して子どもを持つ方にも、乳児に食べさせてはいけない食品について、ぜひとも知っておいていただきたいと思います。そこで今回、青森県にある『沼田医院』の医院長である小児科・内科医の沼田知明先生にお話を伺ってきました。沼田先生は、長年にわたって乳幼児検診に携わっておられる先生です。沼田先生のお話と共に、乳児の食事について詳しく見ていきましょう。●離乳食に注意をしなくてはいけない理由生後5か月ごろから始まる離乳食。スープ状のものからスタートし、すりつぶし、少しずつの固形と状態を変化させながら、慎重に進めていきます。なぜ離乳食は形状に注意しなくてはいけないのでしょうか。沼田先生は、このように話されています。『乳児は、大きく分けて2つの機能が大人と違います。それが、「機能の未発達さ 」と「免疫力の低さ 」という点です。「機能の未発達さ」は、消化器官もそうですが、飲み込むという部分も未発達なために、“喉につまる”ということが起きるわけです。「免疫力の低さ」の面では、今回のボツリヌス菌もそうですが、ノロウイルスやロタウイルスなどの感染性胃腸炎などに感染することも怖いですから』「機能の未発達さ」と「免疫力の低さ」という2つは、乳児と大人では違うのだということをしっかり理解しておかなければいけませんね。●感染性胃腸炎はワクチンで防げる!乳児は、感染性胃腸炎にかかると本当にかわいそうな状態で苦しみます。それを防ぐことができるワクチンがあるとのことを教えていただきました。『ロタウイルス胃腸炎は、ワクチンを接種することで防ぐことができます。予防接種は、生後2か月から接種が可能 です。お金がかかりますが、自治体によっては補助をしてくれるところがあります』親は大変かもしれませんが、子どもの命のことを考えたら、ワクチン接種は大切だと感じました。●乳児に食べさせてはいけない食品とは?一昔前であれば、親から子へと伝わったものですが、核家族化が進み、情報が伝わっていないということも大いに考えられます。絶対に知っておいて欲しい「乳児に食べさせてはいけない食品」を沼田先生に伺いました。【乳児に食べさせてはいけない食品】・生食の魚介類や肉類(生の物には雑菌がついている)・ハチミツ(ボツリヌス菌が含まれていることがある)・塩分や油分が強いもの(味が濃いのは胃腸に良くない)・水道水(塩素が多く、雑菌が含まれていることがある:白湯はOK)・えびやカニなどの甲殻類(アレルギー反応を起こすことがある)・豆やナッツ類(喉に詰まってしまうことが考えられるのとアレルギー反応も)・自家製の生野菜ジュースなど(野菜に雑菌がついていることがある)『その他に、今はあまりないかもしれないが、井戸水もボツリヌス菌が含まれていることがあるのでよくありません』とのことです。上記の食品類は、どれも「機能の未発達さ」と「免疫力の低さ」という2つの部分が大きく関わってきています。だから注意が必要なのです。●アレルギーの心配はどう対処すればいい?アレルギーの心配はありますよね。食べさせて良いものかどうかで迷います。対処の仕方も沼田先生に教えていただきました。『乳児湿疹などの湿疹が治りにくいお子さんや、アトピーっぽい症状が見られるお子さんは、離乳食を始める前に、大きな病院でおこなっている血液検査を受ける ことです。それ以外のお子さんは、少しずつ食べさせて様子を見るようにするといいです』大きな病院の小児科では、アレルギーを調べる血液検査をやってくれるそうです。血液検査をおこなえば、小麦や卵など、何にアレルギー反応が出るかがわかるので食べさせてはいけないものがハッキリとわかります。【アレルギーの出やすい食材】・小麦・甲殻類(えび・カニなど)・頭足類(いか・たこなど)・ピーナッツ・そば・キウイフルーツ・桃・パイナップル・りんご(希に反応する人がいるとのこと)・ゼラチン・生卵(白身の部分が特に良くない)果物でもアレルギーを持っている人がいるという話でした。最初は少しずつ様子を見ながら与えるようにするべきだということがよくわかります。●情報を得るために離乳食に関する情報などは、乳幼児検診で正しい情報を得ることができます 。栄養士や保健師が、実際の離乳食の状態を見せてくれたり、相談に乗ってくれたりしますので、参加することがとても大切です。乳幼児検診は、身長や体重を計るだけではなく、たくさんの有益な情報を得ることのできる場です。ぜひ参加して話を聞いてきましょう。●おわりにわが子を守ることができるのは、親しかいません!ですから、親は自分の子を守るための知識を持っておく必要があります。特に食に関する知識は大切です。離乳食は、食べることの始めの段階です。大事にしてあげたいものです。そのための知識はしっかり身につけましょう。【取材協力・監修/沼田医院・医院長:沼田知明先生(小児科・内科医)】・沼田医院ホームページ●ライター/桜井涼(メンタルケア心理士)●モデル/杉村智子(まさとくん)
2017年04月26日こんにちは。子育て支援を専門にしている臨床心理士の今井千鶴子です。子育てをしていると、“子どもとTVの問題”について悩んでしまうママはたくさんいます。そこで今回は、子育てにおけるTVのメリットとデメリットについて考えてみたいと思います。●子育てにおけるTVのデメリット●(1)長時間のTV視聴による発達の遅れ乳幼児のころにTVを見せ続けることは、脳の発達を考えるとあまりオススメできません。乳幼児の能力開発をする人の中には、「たくさんの刺激にふれることで脳が発達するためTVを見せるのは良い」と言う人もいますが、十分な科学的根拠があるのか疑問を感じます。発達認知科学の観点から考えると、たくさんの刺激にふれることは悪くはないのかもしれませんが、「子どもの発達段階にあった刺激なのか」「脳の疲労について考えなくていいのか」という点は慎重に議論すべきです。たとえば、“子どもがゲームに夢中になりやめられない”という状態をイメージしてください。脳が疲労しているにも関わらず、時にイライラしながらゲームを続ける子もいます。これは刺激が強いために生じている現象 だといえます。また、子どもは自分で自分の行動をコントロールしにくいため、刺激に触れ続けていることで“心地よい集中力”とは別の状態に陥ってしまうことがあります。一般的に子どもの集中力はとても短いので、一定時間を超えると、何も考えずにボーっとTVを見てしまいがちです。したがって、TVを見せる際にはあらかじめ視聴時間を設定し、長時間見せないこと が大切です。『日本小児科医会「子どもとメディア」対策委員会』は、乳幼児期からのメディア(例:TV・ビデオ・TVゲームなど)漬けの生活によって、結果的に心身の発達の遅れや歪みが生じた事例があることを指摘しています。そして、“2歳までのテレビ・ビデオ視聴を控えること”をはじめとする5つの具体的提言を発表しています。●(2)ネガティブな「気持ち」「行動」「ことば」TVとひと口に言っても、さまざまなタイプの番組があります。TV番組の中には、暴力的な映像や残虐な映像も含まれています。これまでの心理学の研究では、暴力映像を見た後には、子どもたちに不快な気持ちが生じやすく、乱暴な行動をマネしやすいことが報告されています。また、最近よく言われているのは、テレビを通じた“言葉の獲得”です。子どもには「使わせたくない言葉」や「聞かせたくない言葉」がありますが、これらの言葉は、日常生活よりもTVの中で知ることが多い と言われています。子どもの健全な成長を考えると、“視聴時間”だけを気にするのでなく、お子さんに見せる“視聴内容”もしっかり選ぶことが大切です。●子育てにおけるTVのメリット●(1)ママの時間を確保できる一日中お子さんと過ごしていると「息がつまってしまう」と感じるママも少なくありません。子育て中はどうしても子ども中心の生活になります。期間限定のことだとわかっていても、つらく感じてしまうこともあるのではないでしょうか。そんなママにとっては、たとえ短い時間であっても“ホッとできる時間”があるだけで心が楽になることもあるでしょう。先ほども述べたように、TVを見せることにはデメリットが伴います。そのため、真面目なママほど、TVを見せること(見せてきたこと)に罪悪感を感じてしまうかもしれません。理想を言うならば、私もできる限り子どもにはTVを見せない方がいいと思っています。ただし、それはTVを見なくても親子が笑顔で過ごせる条件のある場合です。たとえTVを見せていなくても、ママが心の余裕をなくしイライラしているのなら、その方が子どもの心の発達に悪い影響を与える のではないかと私は思います。もちろん、連日長時間TVに子守りをさせておくのはNGですが、ママの心と体の状態に合わせて、TVの放映内容も考えながら“調整”していくことも大切なことだと感じます。●(2)TVの登場人物がモデルになるTVのデメリットのところで、“乱暴な行動をマネしやすい”と書きましたが、良い行動も映像を見てマネしやすいことが知られています。映像の中の同世代の子どもが、歯を磨く、トイレに行く、食事するということができていると、自分もやってみようかなとやる気が高まるお子さんも多い です。良いお手本が登場するTVは、言葉では説明しにくいときなどに強い味方になってくれるツールとなります。●(3)友達とTVを通じた会話ができるTVの内容を知ることで友だちとの会話がはずみます。特に、はやりのものに関しては、知らないと友だちとの会話に入れないこともあります。また、TVの世界には、「動き」と「音」が巧みに盛り込まれています。字が読めない時期の子どもたちにとっては、わかりやすく説明してくれるTVは貴重な情報源にもなり、お子さんの興味・関心が広がることもあります 。恐竜好きの息子たちも、図鑑だけでは理解できなかった知識をDVDから学び、さらに興味を広げています。ただし、好きなものを好きなだけ見せるというのはNGです。場面を区切って見せたり、話しかけながら視聴したりするなど工夫が必要です。大好きな映像であっても、ボーっとするまで見せないように、子どもの様子を見ながらTVをうまく使っていきましょう!----------いかがでしたか?今日はTVのメリット・デメリットについて紹介しました。TVには一長一短がありますが、上手に付き合い、楽しく育児ができるといいですね!【参考リンク】・「子どもとメディア」の問題に対する提言 | 日本小児科医会()●ライター/今井千鶴子(臨床心理士)●モデル/藤本順子(風悟くん)
2017年04月04日結節性硬化症とは出典 : 結節性硬化症とは遺伝子の異常によって皮膚、神経系、腎、肺、骨など全身に良性の腫瘍ができる先天性の疾患です。新生児から大人まで幅広く症状がでることがあり、国が認める指定難病に登録されています。新生児期に心臓に腫瘍ができたり、子どもから大人まで皮膚症状や脳・肺・腎臓などに腫瘍ができたりします。現在のところ、この疾患を根本的に治すための治療法はありません。よって表出した症状への対処療法が主な治療になります。結節性硬化症がある子どもには、てんかんや知的障害が合併して現れる場合が多いです。てんかんや知的障害がない場合は軽度の結節性硬化症と呼ばれ、日常生活に大きな支障を感じることなく生活する人もいます。発症する年齢や性別などによって、問題となる病変が異なるのが特徴です。それでは詳しい症状について紹介していきます。参考:結節性硬化症|難病情報センター子どもの時の結節性硬化症の症状Upload By 発達障害のキホン結節性硬化症では子どもの時に表出する症状と、大人になってから表出する症状があります。上記の図のように、いくつかの症状が同時期に起こることもありますので、常に注意が必要になってきます。それでは、子どもの時に起こりやすい主な症状について紹介していきます。<乳幼児期>◇心臓腫瘍心臓の心房、心室に良性の腫瘍が発生する疾患です。発生する腫瘍の9割が良性ですが、腫瘍の大きさや発生する場所によっては心機能に悪影響を与え、後遺症を残すケースがあります。参考:心臓腫瘍|小児慢性特定疾病情報センター◇てんかん発作てんかんとは慢性的な脳の疾患で、大脳の神経細胞が過剰に興奮することで発作が起こり、またその発作が繰り返しみられる状態を言います。てんかん発作は突然倒れて意識を失い、けいれんを起こすといったいわゆる大発作だけではありません。体の一部が勝手に動いたり、会話の途中にぼんやりしたと思ったら意識を失っていたりといった症状もてんかんの発作として考えられます。◇知的障害知的障害とは、発達期までに生じた知的機能障害により、認知能力の発達が全般的に遅れた水準にとどまっている状態を指します。知的障害には軽度知的障害、中度知的障害、重度知的障害、最重度知的障害の4つの障害の程度に分類されています。「知的機能(IQ)」の数値のみによって診断がくだされるという印象がありますが、「適応機能」という日常生活能力、社会生活能力、社会的適応性などの能力を測る指数とも合わせて診断が下されます。◇白斑(はくはん)白斑は非色素性の皮膚病変で、本来の皮膚色より白い皮膚色が3か所以上に発生します。結節性硬化症患者の87~100%に見られ、出生時から生後数ヶ月以内の早期に表出すると言われています。参考:皮膚病変|結節性硬化症.jp<学童期>◇顔面血管線維腫顔面血管線維腫は白斑と並んで結節性硬化症がある方によく現れる皮膚病変です。皮膚の結合組織成分と血管成分の増加によって良性の腫瘍ができます。鼻部、鼻唇溝部、頬部を中心に顔面の中央部に左右非対称に蝶型に現れます。参考:皮膚病変|結節性硬化症.jp◇脳腫瘍(上衣下巨細胞性星細胞腫)上衣下巨細胞性星細胞腫は側脳室の上衣下層にできる良性腫瘍です。腫瘍はゆっくり増大していくために十分な大きさになるまで発見されないことが多く、小児期には腫瘍が急速に増大することがあるため注意が必要といわれています。増大するとてんかんの悪化、視力障害、認知障害などを引き起こすことがあります。参考:脳病変(SEGA、大脳皮質結節、SEN等)|結節性硬化症.jp◇腎臓腫瘍(血管筋脂肪腫)血管筋脂肪腫は腎臓にできる腫瘍で、結節性硬化症がある方の70~90%にみられます。初発年齢は通常3歳以降にみられ、痛みなどはなく無症状のまま年を重ねるごとに腫瘍は増加します。腫瘍が大きくなりすぎると側腹痛や血尿、しこりが現れ、自然破裂や急性出血による大量出血性ショックや腎機能低下のリスクが高まります。参考:主な腎病変(腎AML)|結節性硬化症.jp◇網膜過誤腫網膜過誤腫は網膜にできる腫瘍のことです。痛みなどは無く視力に影響を与えることはありません。しかしまれに増大して網膜剥離(網膜が破れて視力が低下する疾患)や硝子体出血(出血によって視力低下を招くことがある)などの合併症を伴う場合があります。早期幼児期頃から表出するといわれていて、年を重ねるごとに出現頻度が高くなる傾向があります。その他に結節性硬化症の眼病変として、網膜の白斑に類似した網脈絡膜脱色性の病変や網膜無色素斑などが起こることがあります。参考:眼病変(網膜過誤腫)|結節性硬化症.jp大人になってからの結節性硬化症の症状出典 : 結節性硬化症の大人になってから発症する症状について紹介していきます。◇リンパ脈管筋腫症(LAM)リンパ脈管筋腫症(LAM)は、主に20~40歳の女性に多くLAM細胞と呼ばれる細胞が、肺、リンパ節、腎臓などで、比較的ゆっくりと増える疾患です。LAM細胞が両側の肺に散在して増加し、それに伴ってのう胞と呼ばれる小さな肺の穴が複数生じ、進行した場合は息切れなどが生じます。呼吸不全という状態になり酸素療法が必要になることもあります。リンパ脈管筋腫症は以前「肺リンパ脈管筋腫症」と呼ばれていましたが肺だけの病気ではないので名称が変わりました。参考:リンパ脈管筋腫症(LAM)(指定難病89)|難病情報センター◇多発性小結節性肺細胞過形成(MMPH)多発性小結節性肺細胞過形成(MMPH)は肺内にある2型肺胞上皮細胞が固まることによって腫瘍が発生する疾患です。病変がはっきりと限定されずに、全身や臓器全体など広範囲に広がる状態になります。しかし痛みなどもなく無症状であるために気づきにくい疾患です。リンパ脈管筋腫症と違って男女差はありません。参考:肺病変(肺LAM)|結節性硬化症.jp結節性硬化症の原因出典 : 結節性硬化症は9番目(TSC1)と16番目(TSC2)の遺伝子上に異常があることによって、腫瘍をつくるタンパク質(mTOR)をコントロールできなくなることが原因です。TSC1とTSC2はハマルチンとチュベリンという腫瘍を抑制する機能を持ったタンパク質をつくりだします。mTOR(エムトール)は働きが強くなりすぎると腫瘍をつくりだすため、このハマルチンとチュベリンがうまく働かなくなると腫瘍が表出するのだろうと考えられています。またmTORは腫瘍の他にてんかん、自閉症などの発達障害を発症させる働きもあるといわれています。結節性硬化症の方にてんかんや自閉症などの発達障害がある方が多いといわれているのは、結節性硬化症によってmTORをコントロールすることができなくなるために起こるのではないかと考えられています。参考:結節性硬化症|難病情報センター結節性硬化症は遺伝するの?出典 : 結節性硬化症は両親からもらった遺伝子の中に異常が起こることによって起きる遺伝性の疾患です。疾患を発症する可能性は、男女を問わず50%とされています。しかし調べてみると両親に結節性硬化症の症状が全く見つからないというケースが約60%以上あったことが分かりました。このような場合は両親からの遺伝ではなく、両親の精子または卵子の遺伝子に突然変異が起こり、子どもが発病したと考えられます。突然変異が起こる原因は残念ながらまだ分かっていません。またてんかんや自閉症や知的障害などが発症しない軽度の結節性硬化症がある方の場合、また突然変異によって結節性硬化症になった場合でも同じく50%の確率で遺伝子の異常がみられます。また両親が遺伝子異常を持たずに、突然変異によって結節性硬化症が表出した子どもの次に生まれてくる子どもが罹患する確率は、遺伝子異常がない方の出産とだいたい同じだといわれています。出典:結節性硬化症|難病情報センター結節性硬化症の確定診断はどうやって行うの?出典 : 結節性硬化症は遺伝子検査で診断することができますが、実際は遺伝子検査での病変の検出率は低く、臨床診断に頼らざるをえない状況になっています。症状もバラつきがあり、特殊なものばかりではなく結節性硬化症でなくとも一般的に発症することがあるものがほとんどです。したがって、診断はいくつかの症状の組み合わせによって判断していくことになります。臨床診断の他にもさまざまな検査結果と合わせ医師が総合的に診断を下します。下記の要素をもとに臨床診断を行います。・結節性硬化症であることが確実 :大症状 2つ、または大症状 1つと小症状 2つ・結節性硬化症の可能性が高い :大症状 1つと小症状 1つ・結節性硬化症が疑われる :大症状 1つ、または小症状 2つ以上◇大症状1.顔面の血管線維腫または前額部,頭部の結合織よりなる局面2.非外傷性多発性爪囲線維腫3.3つ以上の白斑(hypomelanoticmacules,threeormore)4.シカグリパンチ(shagreenpatch/connectivetissuenevus)5.多発性の網膜の過誤腫(multipleretinalnodularhamartomas)6.大脳皮質結節(corticaltuber)7.脳室上衣下結節(subependymalnodule)8.脳室上衣下巨大細胞性星状細胞腫(subependymalgiantcellastrocytoma)9.心の横紋筋腫(cardiacrhabdomyoma)10.肺リンパ管筋腫症(lymphangiomyomatosis)11.腎血管筋脂肪腫(renalangiomyolipoma)◇小症状1.歯エナメル質の多発性小腔(multiple,randomlydistributeddentalenamelpits)2.過誤腫性直腸ポリープ(hamartomatousrectalpolyp)3.骨シスト(bonecyst)4.放射状大脳白質神経細胞移動線(cerebralwhitematterradialmigrationlines)5.歯肉の線維腫(gingivalfibromas)6.腎以外の過誤腫(nonrenalhamartoma)7.網膜無色素斑(retinalachromicpatch)8.散在性小白斑(confettiskinlesions)9.多発性腎嚢腫(multiplerenalcyst)結節性硬化症を診断するためには、表出している疾患や症状の根本的な原因が結節性硬化症であることを断定していく必要があります。その際にMRIやCTといった画像検査などを行います。結節性硬化症は遺伝子検査または次の項目を含む一連の検査により診断されます。・脳の磁気共鳴画像診断(magnetic resonance imaging、略してMRI)・コンピューター断層撮影 (computed tomography、略してCTスキャン)・心電図(electrocardiogram、略してEKG)・心エコー図検査・腎臓の超音波検査・目の検査・ウッドランプ(紫外光)の下で皮膚を観察する出典:『結節性硬化症の診断基準および治療ガイドライン』|結節性硬化症の診断基準・治療ガイドライン作成委員会結節性硬化症の症状かも?と思ったら出典 : 結節性硬化症の症状は多種多様なため特定の医療機関を受診するというよりは、症状に合わせてその都度、最適な医療機関を受診することをおすすめします。結節性硬化症の専門分野は主に脳神経外科、神経内科、皮膚科、小児科、泌尿器科になります。発症している症状によって受診する科目を決めて受診するようにしてください。これまでに紹介した病変に関しては下記を参考にしてみてください。◇てんかん・・・小児科または救急◇知的障害・自閉症などの発達障害の疑いを感じた場合・・・精神科◇顔面血管線維腫・・・皮膚科◇心臓腫瘍・・循環器科◇脳腫瘍・・・脳神経外科、神経内科◇腎臓腫瘍・・・泌尿器科◇肺腫瘍・・・呼吸器科◇網膜・・・眼科などまた日本結節性硬化症学会に記載されている結節性硬化症の専門医リストを受診の参考までに紹介します。参考:結節性硬化症を専門的に診療している医師|日本結節性硬化症学会結節性硬化症によってできる腫瘍は良性が多く、また痛みなどもなく気づきにくいです。日常生活に支障がなければ医療機関を受診することはないため、発見が遅れ治療が困難になるケースも少なからずあります。そのため定期的に検査を受けるなどの注意が必要です。結節性硬化症の治療って?出典 : 結節性硬化症を治す根本的な治療はなく、それぞれの症状に対しての対症療法が基本となります。◇てんかんてんかんの治療は主に薬物療法によって行われます。てんかんは脳の神経細胞が過剰に興奮することで起こります。脳に病変があることによって発作が引き起こされているケースでは病変を手術で取り除くことで、てんかんが完治することがあります。しかし多くの場合は神経細胞が過剰に興奮しやすい体質であったり、取り除けない病変であったりするため薬物療法によって発作を抑える治療を行います。◇白斑・顔面血管線維腫白斑の場合、通常は経過観察となります。しかし美容上、気になる場合は紫外線治療や化粧品などでカバーすることができます。紫外線治療に関しては保険が適用になるものもあるので、医師または専門家に相談してみてください。顔面血管線維腫の場合は機能障害や出血を伴い、美観を損なう症例が治療対象となります。液体窒素療法、レーザー療法、外科的切除などの治療法があります。◇心臓・脳・腎臓・肺におこる腫瘍各部分にできる腫瘍は良性であることが多いのですが、腫瘍が大きくなりすぎると機能に異常をきたすため、多くの場合は腫瘍の切除を行います。各部位や程度によって切除をしない場合もありますので、現場の医師の指示に従ってください。結節性硬化症の医療費助成制度や障害者手帳は受けられるの?出典 : 結節性硬化症では腫瘍ができやすい体質のため一度腫瘍を切除しても再発することがあります。するとその度に医療費がかかり、家計を圧迫しかねません。そこで結節性硬化症の方のための医療費補助制度や障害者手帳などについて紹介していきます。結節性硬化症は国の指定難病にされているため、難病医療費助成を受けることができます。指定難病の医療費の自己負担割合は2割です。また、その他の制度による医療費がすでに1割負担となっている患者さんの場合、負担割合は1割のまま変わりません。難病医療費は世帯の所得に応じた医療費の自己負担上限額(月額)が設定されます。自己負担上限額は、受診した複数の医療機関などの自己負担をすべて合算したうえで適応されます。難病医療費助成制度を利用するためにはお住まいの都道府県へ申請が必要になります。申請方法などは次の厚生労働省のリンクを参考にしてみてください。参考:難病医療費助成制度の対象疾病について|厚生労働省参考:結節性硬化症にかかわる医療制度活用ガイド|ノバルティス ファーマ株式会社障害者手帳は指定難病がある方でも取得することができます。障害者手帳があることで支援の幅が広がるため、取得することをおすすめします。障害者手帳には「身体障害者手帳」「精神障害者保健福祉手帳」「療育手帳」の3つの種類があります。身体障害者手帳は身体障害がある方を対象にしています。精神障害者保健福祉手帳は精神障害や発達障害、てんかんなどがある方を対象にしています。療育手帳は発達障害や知的障害がある方を対象にしています。結節性硬化症はてんかんや知的障害なども発症し、障害の程度によっては身体障害を引き起こす可能性もあります。本人の症状の特性に合わせて必要な手帳を取得することをおすすめします。障害の程度に変化が生じても、障害者手帳は数年ごとに更新されてるため、その都度適切なサービスを受けられます。障害者手帳に関して、相談や申請などの問い合わせ先はお住まいの市区町村の障害福祉担当窓口になります。また障害者手帳に関する詳しい内容は下記を参考にしてみてください。障害者総合支援法によって定められた在宅支援や入所支援、移動支援などがある障害福祉サービスを受けることができます。申請先はお住まいの市区町村の障害福祉担当窓口になります。相談支援なども受けることができるため、子育てや病気のことで困ったことが生じた場合には利用してみてください。参考:『「障害者総合支援法」の対象となる疾病を151に拡大します』|厚生労働省まとめ出典 : 結節性硬化症は表出する症状や程度が人によって異なる先天性の疾患です。さらに腫瘍ができやすい体質のために生涯にわたって腫瘍と付き合っていかなければなりません。症状は全身に起こるので、日ごろから健康診断などを受けて健康状態には気をつけることが大切です。結節性硬化症は遺伝性の疾患のため親が責任を感じることがあるかもしれません。しかし遺伝子の突然変異によって疾患にかかる子どももいます。突然変異は人為的に起こるものではないですし、親である自分を責めることはせず、その子どものために親として何ができるのかを前向きに考えていくことが大切ではないでしょうか。家族だけで抱えこまず、専門機関への受診や相談などを受けるなど、周りを頼りながら病気への備え、適切な対応を心がけていってください。
2017年02月28日こんにちは、ライターのNANARUKAです。子どもが何かの病にかかるとき、軽く済むに越したことはないですが、決定的な決め手がないまま微熱が出たり下がったり……これが困ります。そのまま家で安静にしておけばよいものか、北風吹き荒れるなか自転車を走らせて医者へ連れて行った方がよいものか。答えなんてどこにもないし、ママ友に聞いたって人それぞれ。そんなこんなで様子を見ているうちに悪化して、小児科の先生に「もっと早く連れてこないとダメ」なんて言われた日には、どん底まで落ち込んでしまいます。みなさんも、こんな経験ありませんか?そこで今回は小児科受診時の体験談 を取材。すると、な~んだ、私だけじゃない!みなさん結構注意されたり叱られたりしちゃってます。ちょっと安心しつつ、中でも特に多かった3パターンをご紹介します。●(1)放置していたわけではないのに! 「こんなになるまで放っておかないでね」と言われて落ち込んだ●36歳/7歳女の子、4歳男の子、2歳男の子のママの場合『次男を医者に連れて行ったときに、「放っておきすぎ」 と何度か言われたことがありますが、“ズボラで身勝手な母親”と言われているようで少々惨めな気持ちになりますね。上の子たちの経験から病気の経過はある程度わかるので、よっぽどのことがない限りとりあえず家で様子を見ますが、その様子見が長かったかな、と感じたときにたいてい注意されます。大きい子と違って、小さい子は胸がゼーゼーし出したり鼻水が悪化して中耳炎になってしまったりすることもあるので、やはり早めが良いそうです』●35歳/4歳男の子のママの場合『子どもが風邪を引いたときは市販薬を飲ませて寝かせておけば大体自然に治ると言っているママ友がいたので、自分の子が風邪気味のときにちょっと真似してみたものの悪化。すぐに医者へ連れて行きましたが、「もっと早く連れてこないと」 「勝手な判断で市販薬なんて飲ませないで」「風邪かどうかも分からないのに」などと次々言われてとことんヘコみました。確かにそのママ友たちの子どもは小学校高学年や中学生。4歳のわが子を同じに扱ってしまった自分が情けなくてしばらく立ち直れませんでした』●30歳/3歳男の子のママの場合『普段からおかしいところがあればすぐに小児科に駆け込んでいましたが、あるとき「ホームケアの仕方も覚えるといいですよ」と先生から言われ、ひどくもなっていないうちに受診するのはおかしいのかな、と反省。次に体調を崩した際には、明らかに具合が悪そうになってから受診しました。すると今度は「どうしてこんなになるまで放っておいたの?」 と叱られて混乱しました。こちらは素人なのだから、あまり厳しいことは言わないでほしいです』●(2)私って大げさ? 「これだけですぐに連れて来ないでね」と言われて恥ずかしかった●42歳/10歳女の子、6歳男の子のママの場合『1人目のときは慎重で、気になることがあるたびに医者へ連れて行っていたので、「これだけだったら来ないでいいよ」 なんて数え切れないほど言われました。2人目になると、よほどのことがない限りは様子を見ることが多くなり、「もっと早く来なさい」と言われることが増えました。1人目と2人目でこんなに変わるなんて、自分でも笑っちゃいます』●38歳/8歳女の子、6歳男の子のママの場合『上の子は病気がちだったので医者にはしょっちゅう駆け込んでいました。だから「また来たの?」 なんて言われることもあって恥ずかしい思いをしたり、そのたびに落ち込んだりもしていました。でも、自分の不安や心配事がなくなるなら結果オーライということにして、医者の言葉に一喜一憂しないようにしています』●(3)何もしてないわけない……。「お母さんの方でももっとケアしてあげてくださいね」がショック!●36歳/5歳男の子、1歳男の子のママの場合『子どもが熱や体調不良のときはいつも、あちこち冷やしたり、食べたいものをせっせと用意したりしているのに、「おうちでも冷やしたり食べたいものをあげたり、ラクになる方法をやってあげてください」 とか言われると少しばかりカチンときます。夜中に何度も起きて世話して寝不足気味で受診した際にこう言われると、さらにイラッとします。軽く聞き流せればいいんですけどね(笑)』●39歳/5歳男の子、2歳女の子のママの場合『当時のかかりつけ医はバンバン注意をしてくるタイプで、1人目育児のときは素直に言うことを聞いていました。でも2人目になりこちらにも知識がついてくると、「ホームケアもちゃんとして」 などと言われると、「それなりの世話してるわい!」と反論したくなることもしばしば。そのうち、ただ口うるさいだけの人に思えてきてしまったので、かかりつけを変えました』----------いかがでしたか?子どもの不調時、保育園や幼稚園での行事、自分の仕事や家族の都合など、あれこれ考え出してしまうと、ついつい選択や判断を誤ってしまいがち。大切なのは、「いま不調な子どもにとって、ベストは何か」ということ。このことだけを突き詰めてシンプルに考えを進めていけば、自ずと答えは見えてくるはず。自分の判断に自信を持ってお医者様の言葉に耳を傾け、少しばかりの雑音があればサラッと聞き流し、確かなアドバイスだけをモノできれば、それが最高です。子どものためにも、かかりつけ医とはほどよい距離感をもって良い関係を築いていきたいものです。●ライター/NANARUKA(フリーライター)●モデル/倉本麻貴(和くん)
2017年02月17日子どもが生まれると頻繁にお世話になる小児科。子どもが病気になったときはもちろん、健診や予防接種など、小児科を訪れる機会はとても多くなります。でも、受診したとき「症状をうまく伝えられなかった」「質問したかったことを聞き忘れてしまった」という経験があるママもいるのでは。しっかりと治療をしてもらうためにも、小児科の上手なかかり方を知っておきたいですね。■子どものふだんの様子がわかる人が連れて行く赤ちゃんや小さい子どもは、自分の症状を言葉で説明できません。小児科医がきちんと診断をするためには、付き添いの保護者の話がとても重要です。受診時には、子どものふだんの様子をよく知っているママやパパが付き添うようにしましょう。仕事の都合などでやむを得ずおじいちゃんやおばあちゃんに頼む場合は、症状や睡眠、食欲、機嫌など、子どもの様子がわかるようなメモを用意しましょう。■受診時に必要な情報は?「熱が出た」「おなかの調子が悪い」など、小児科を受診する症状はさまざま。症状を説明するときは「いつからあらわれて、どのように変化しているか」という時間的な経過もあわせて伝えるようにしましょう。また、あらかじめ熱や身長、体重をはかっておくと受診がスムーズです。子どもの身長や体重は薬の処方時にも必要な情報なので、日頃からこまめに把握しておきたいですね。■聞きたいことはメモで用意しておく医師にいろいろと聞きたいことがあったのに、診察でつい聞き忘れてしまい、家に帰ってから後悔…。そんな経験があるママも多いのでないでしょうか。診察時や待ち時間には、体調不良の子どもがグズったり泣いたりすることも。付き添いのママもバタバタして、つい質問を忘れてしまいがちです。聞き漏れを防ぐためには、病院に行く前に、聞きたいことをリストにしてメモで準備しておきましょう。メモを見ながら診察を受ければ、後で「あれも聞けばよかった」ということもありません。■下痢や嘔吐のときはオムツや写真を持参下痢や血便、嘔吐の症状のときは、便そのものが診断の助けになることがあります。可能であれば、なるべく新しい便をオムツごと持っていくと診てくれることも。その際は二重のビニール袋で密閉するなどして持ち運びましょう。持っていくのが難しいようであれば、便や吐物を写真に撮っておくだけでも、症状を正確に伝えることができます。また、湿疹などは受診時には消えていることもあります。気になる症状は画像で記録しておくと、分かりやすく伝えられて安心です。■病気と関係ない相談をしたいときは?小児科では健診のときに、栄養相談や育児相談にも対応してくれます。でもそれ以外のときでも、子どもの健康や発達についての不安を相談したいこともありますよね。クリニックによっては、診療時間とは別に、栄養士や看護師による相談を実施している院もあります。多くの場合事前に予約が必要なので、近隣の小児科に問い合わせをしてみては。なお、予防接種のスケジュールについての相談は、随時対応してくれるクリニックが多いようですよ。子どもが体調不良のときは、ママも慌ててしまいますよね。でも、だからこそ小児科を訪れる際はスムーズな受診を目指したいもの。子どもの健康のためにも、小児科と上手なおつきあいをしてきましょう。
2017年02月11日こんにちは! そんたんママです。風邪やインフルエンザが流行っていますね。我が家も数日前息子が熱を出しました。今回は踏みとどまりましたが、大体いつも息子、母、父の順にドミノのように倒れていくのがテンプレートです。子どもがうなされるのを見るのはつらいし、自分にうつるとさらにつらい…! 一緒に横になっていてくれればまだいいですが、ぐずったり、意外と元気で遊びを強要されたりするとこちらもぐったり。小児科の先生に言わせると、風邪のウイルスは100種類以上あるそうで子どもは100回くらい風邪をひくという説もあるのだとか。これがあと90何回あるのか~…と思うと気が遠くなります。でもそうやって免疫をつけていくんだものね。一緒に乗り越えねばね。子どもの免疫が目に見えてたまったら少しは前向きになれるのに。そうだ、ポイントカードをつくろう!そんな訳で今回はちょっと変わった工作、免疫ポイントカードをつくりたいと思います。STEP1 カードをつくろうつくり方はいたってシンプル。厚めの紙を用意して、100個マスを書けばいいだけです。四角でも丸でも書き方はご自由に。母子手帳と一緒に保存できたらいいなと思ったので、ここではきーちゃんの母子手帳と同じB6(広げるとB5)サイズにします。STEP2 スタンプを押そう病気になったらスタンプをひとつ押します。私は消しゴムでバイキンのはんこをつくりました。小さいはんこは100円均一でも手に入りますし、シールでもOK。治ってから子どもにシールを貼ってもらってもいいかも。ついでに日付や病気の内容をメモしておくと、いつどんな病気にかかったかの早見表になります。きーちゃんは2歳までに8個スタンプがたまりました。母の自己満足ではありますが、これ、スタンプがたまるとなぜか結構うれしい…。病気になるのは嫌だけど、いつかスタンプがたまったカードを見たら子どもも自分もがんばったな!と思える日がくるかもしれません。最後に病気にまつわるおまけ話をひとつ。うちの旦那は体が丈夫で、めったに風邪をひかないタイプ。病人の気持ちがわからないのか、息子と私が40度の熱を出してもちっとも看病してくれないので、以前に派手にけんかしたことがありました。子どもができてからは丈夫な旦那もバタバタ倒れるように…。子どものウイルス強し!病気も前向きにとらえたいですが、風邪をひかないに越したことはないですね。まだまだ寒いのでみなさんお体にお気をつけてお過ごしください。
2017年02月07日発達障害の専門的医療機関が不足している!?出典 : 年1月20日、総務省は、文部科学省と厚生労働省に対し、発達障害者支援に関する行政評価と監視の結果に基づく勧告を行いました。この調査は、保育所・学校現場を含む、都道府県・市町村における発達障害者支援の実態を初めて調査したものとなります。これまでの記事では、①早期発見について、②発達障害発見後の支援と引継ぎについて、それぞれ総務省による調査の結果と勧告内容についてお伝えしてきました。今回の記事では、発達障害の専門的医療機関の確保に関する調査・勧告内容についてご紹介します。調査対象の18.5%で発達障害の専門的医療機関が確保出来ておらず出典 : 各都道府県において、専門的に発達障害の診断及び発達支援を行うことができると認める病院又は診療所を確保しなければいけないことは、発達障害者支援法に定められています。「都道府県は、専門的に発達障害の診断及び発達支援を行うことができると認める病院又は診療所を確保しなければならない。 」発達障害者支援法第19条(専門的な医療機関の確保等)では実態はどうでしょうか。今回総務省が19都道府県及び8指定都市の計27団体に関して調査したところ、専門的医療機関を確保していたものは22団体(81.5%)で、残る5団体(18.5%)は確保できていなかったことが明らかになりました。また、専門的医療機関を確保済みの22団体の管内に所在する専門的医療機関から、27機関を抽出し、発達障害に係る初診待機者数及び初診待機日数も調査しました。その結果、約4割の医療機関で初診待機者数が50人以上となっており、その中には最大316人が待機している例も存在しました。加えてその初診待機日数は、半数以上の医療機関で3か月以上となっており、その中には最長で約10か月の例もみられるなど、専門的医療機関の更なる確保が必要な状況がみられたとのことです。なぜ発達障害を診ることができる医者は少ないのか?出典 : 総務省の調査した医療機関の中からは、以下のような意見があがったとのことです。①小児科医が発達障害を診断する場合、風邪等の診察と違って、幼児期の状況や成育歴などを聴き取る必要があり、手間と時間を要するため、診療報酬上のメリットを与えてほしい。②発達障害児に対する精神科医による診察は、その特性上、1 人に対し1 時間から 2 時間費やすことが多く、30 分を大幅に超えるため、現行の「通院・在宅精神療法」の時間区分(30 分未満の場合は 3,300円、30分以上の場合は 4,000 円の 2区分のみ)のうち30分以上を細分化し、その時間区分に見合った診療報酬にしてほしい。③発達障害児に対する小児科医の診察による診療報酬では、「小児特定疾患カウンセリング料」(月の1回目は5,000円、月の2回目は 4,000円)が算定可能であるが、発達障害という特性上、長期にわたり通院が必要であるにもかかわらず、2年を限度にしか算定できないことから、2年という期限を設けないようにしてほしい。太字は引用者注発達障害の専門医となるのは難しい上に、診療の旨味も少ないため、医師にとっても魅力を感じにくい領域なのかもしれません。市町村によっては不安解消のため独自の取り組みを行っています出典 : この度総務省が調査した都道府県及び指定都市の中には、初診待機者の不安解消を図るための取り組みを実施しているところもあったとのことです。ひとつは市町村が医療機関と連携して小児科の診察優先枠を毎月1日設定し、保護者の了解のもと県職員も医療機関の診察に同席、医師、保護者及び県の三者で情報の共有を図っている事例です。そしてもうひとつは、医療機関の受診前や療育前に、市町村の主催で臨床心理士等による親子小集団活動、保護者同士のグループワーク等を「にこにこ教室」として実施している事例です。医療機関の受診などを待っている保護者の不安感の解消が図られていることがメリットとして挙げられています。総務省は専門的医療機関の確保を勧告こういった現状に対し、総務省は厚生労働省に対し、発達障害が疑われる児童生徒が専門的医療機関を早期に受診できるよう、専門的医療機関の確保のための一層の取組を行うことを勧告しました。また専門的医療機関の受診までの間、保護者の不安解消を図る取り組みを都道府県等に示し推進するようにも勧告しています。以上、いかがだったでしょうか。発達障害者支援者法は施行されてからまだ10年と少し。発達ナビではこれからも国の取り組みと状況についてお伝えしていく予定です。
2017年02月02日療育センターとは?出典 : 療育センターとは、一般的に障害のある子どもに対して、それぞれに合った治療・教育を行う場所のことを言います。しかし療育センターの定義は法律や制度で定められていないため、明確な定義がなく、指し示す施設もさまざまです。そもそも療育とは、「治療」と「保育・教育」を合わせた言葉です。障害のあるお子さんが社会的に自立できるように、専門的な教育支援プログラムを通してトレーニングをしていきます。しかし療育と一口に言ってもさまざまなのは、一人ひとりに合うように「治療の方法」や「保育・教育の方法」に多くのスタイルがあるからです。そのため「××療育センター」「××総合療育センター」と名前がついている施設であっても、どのような支援を行っているのかやどんな機能を持った施設かは、施設によって異なります。また、いくつかの機能の施設を併設した複合施設であることもあります。お子さんに合った支援をしてくれる場所を見つけることが大切なのです。この記事では、療育センターの中でも多く見られる障害児通所支援・障害児入所支援にあてはまる施設について、ご紹介します。「療育センター」といっても機能と果たす役割はざまざまです出典 : 「療育センター」とひとことでいっても、実際は児童福祉法で定められる施設のどれかに当てはまる場合がほとんどです。児童福祉法は、障害のある子どもが住んでいる地域で療育や支援を受けやすくするために設けられました。2012年に改正された児童福祉法において、障害のある子どもに対する支援は、主に障害児通所支援と障害児入所支援があります。また「療育センター」の中には、いくつかの機能が同じ施設に集まっている場合もあります。以下に、児童福祉法における各施設の役割について詳しくまとめました。<障害児通所支援>・児童発達支援(児童発達支援センター・児童発達支援事業所)日常生活の自立支援や機能訓練、保育園や幼稚園のように遊びや学びの場を提供するといった支援を行います。・医療型児童発達支援(医療型児童発達支援センター)児童発達支援の役割に加えて、医療を提供します。・放課後デイサービス6~18歳の就学児童(※場合によって20歳まで)が通います。授業の終了後や学校が休みの日に、生活能力の向上のために必要な訓練、社会との交流の促進などを目的とした多様なプログラムを設けています。・保育所等訪問支援専門知識を持つ児童指導員や保育士、理学療法士などが、障害のある児童が通う保育園・幼稚園を訪問します。障害のある子どもや保育園・幼稚園のスタッフに対し、集団生活に適応するための支援や支援方法の指導を行います。<障害児入所支援>・福祉型障害児入所施設児童福祉法改正前の知的障害児施設支援、盲ろうあ児施設支援、肢体不自由児施設支援、重症心身障害児施設支援にあたります。主に対象とする障害以外の場合でも、その障害に応じた適切な支援を提供します。・医療型障害児入所施設福祉型障害児入所施設の機能に加え、医療を提供します。療育センターは、「医療型児童発達支援」や「医療型障害児入所施設」にあてはまる施設が一般的であり、加えて「児童発達支援」の通園クラスが設けられている場合も多いです。また「児童発達支援」のみなど「医療型」の機能を持たない施設や、放課後等デイサービスといった機能を併せ持つ施設もあります。この支援の施設だから良い、というわけではなく、お子さんに合った施設を見つけることが大切です。利用を検討している施設がどどの支援にあてはまるのか、どんな療育を行っているのかなど、あらかじめ知っておく必要があるでしょう。お住まいの地域の「療育センター」が実際はどの機能を持っているかは、各施設のホームページなどで確認してみてください。参考:障害児及び障害児支援の現状|厚生労働省療育センターを利用できる対象って?出典 : 療育センターを利用できる対象者は、実際は施設が児童福祉法で定められている各支援のどれに該当するかによって異なります。つまりどの支援を受けるかによって違いがあります。また児童福祉法にあてはまるサービスは、療育手帳や身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳を持っていない場合でも、受給者証を持っていれば利用できます。受給者証とは、児童福祉法に基づく支援・サービスを利用するために必要となる証明書です。受給者証をもらう流れやかかる費用などについては、記事の後半でご紹介します。医療型児童発達支援、医療型障害児入所施設を利用できる対象者は、以下の通りです。・医療型児童発達支援上肢、下肢又は体幹の機能の障害(肢体不自由)があり、理学療法等の機能訓練または医学的管理下での支援が必要と認められた、知的障害児(自閉症児)、肢体不自由児、重症心身障害児が対象です。・医療型障害児入所施設施設等に入所して、保護、日常生活の指導、自活に必要な知識技能の付与及び治療を行うことが必要と認められた子どもが対象です。また、療育センターにおいて、児童発達支援や放課後等デイサービスなどのサービスを利用する際の対象も、児童福祉法に基づきます。・児童発達支援身体に障害のある児童、知的障害のある児童又は精神に障害のある児童(発達障害児を含む)が対象です。具体的には乳幼児健診などで療育の必要があると認められた場合や、保育園や幼稚園に通っているが併せて障害の特性に合った専門的な療育・訓練が必要と認められた場合などがあります。・放課後等デイサービス身体に障害のある児童、知的障害のある児童又は精神に障害のある就学児童(発達障害児を含む)が対象です。ただし引き続きサービスを受けなければその福祉を損なう恐れがある場合は、満20歳に達するまで利用可能です。療育センターで受けられるサービスって?出典 : ◇診療診療部門では、小児科、児童精神科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、小児科などの外来診療を受けることができます。さらに医師による診察後、個別あるいは集団での療育が行われます。個別療育では、言語療法、作業療法、理学療法、心理指導などが行われます。医師の判断に基づき、子どもの発達評価がされ、一人ひとりにあった支援につなげます。一方で、集団の場合は親子遊びなども行われます。さらに個別療育指導の一環として、子どもの発達状態や療育方針などに関する相談活動や、保護者向けの療育講座などがあります。◇通園通園の場合は主にグループでの療育活動が行われます。子どもだけ通園する場合と親子通園があり、親子通園は親が参観する場合や親子で活動する場合などさまざまです。・子どもだけのグループ活動「ごっこ遊び」や「粘土遊び」といったテーマ遊び、「リズム運動」などのプログラムがあります。集団ならではのお互いの刺激や喜びを体験しながら、一人ひとりの発達を促すことが狙いです。・親子グループの活動「親子遊び」「親子体操」などがプログラムにあります。集団での活動を通して発達を促す他に、保護者が子どもの発達を促す関わり方を学ぶことができます。ダウン症など、障害が早くに分かっている場合には、早期からの日常的な発達促進の働きかけが有効であることから、親子グループの中で、発達を促す遊びや訓練を行います。さらに家庭生活の中でも、それを活用し継続して行い、発達を促していきます。・保護者のグループ活動親子通園において、子どもが療育の場やスタッフに慣れてきた段階で、並行して保護者のグループ活動も行われます。また子どものみの通園の場合でも、定期的に保護者のグループ活動を催すことがあります。集団活動での取り組みや個々の子ども発達確認、療育方針の確認などを療育スタッフから保護者に伝えるのみならず、保護者間のコミュニケーションを促し、共感しながら学び合うという役割があります。出典 : ◇診療小児科、神経科、リハビリテーション科、外科、歯科など各専門の医師が、入所している子どもの診療や外来診療を行っています。また入所する際には、リハビリテーションセンターや小児科の受診、ソーシャルワーカーとの面談などを必須としているところもあるようです。◇入所一人ひとりの身体機能の改善を目的に、理学療法や作業療法、言語療法など、お子さんの状態に応じたリハビリテーションを受けることができます。さらに、血液・心電図・脳波などの検査が受けられる、人工呼吸器などの医療機器が備わっている施設もあります。施設での生活はリハビリの時間のほか、発達のレベルに合わせたクラスでの活動、散歩の時間なども設けられています。日ごろの活動以外に、季節ごとに行事がある施設もあるようです。規則正しい集団生活と子ども同士の関わりによって、社会性を身につけることができます。さらに医療型障害児入所施設には、親子入所、社会的入所などの入所タイプが設けられている場合があります。それぞれ入所期間や目的が異なります。・親子入所短期間、保護者と子どもが一緒に入所します。対象児童は、障害児入所施設への入所対象である児童のうち、低年齢(おおむね2歳~6歳)であり、かつ、親とともに短期間入所させることにより療育効果が得られると認められる児童です。リハビリなど必要な療育を行い、あわせて、家庭に復帰した後においてもスムーズな療育ができるように、保護者に対して指導をしてくれます。・社会的入所家庭の事情により長期的な在宅生活が困難な場合や、家族の病気や出産などによって一定期間在宅が困難な場合に入所することを言います。◇地域療育支援重度の障害があるお子さんを持つご家庭に対し、必要な医療や訓練、指導といった療育相談をはじめとして経済問題や家族問題など、相談支援を行っています。また施設によっては、訪問による健康診断を行っている場合もあります。出典 : 療育センターの相談窓口では、生活、家庭、教育など総合的な援助を提供してくれるソーシャルワーカーに相談できます。就園・就学や福祉サービスについて、子育ての悩み、家庭環境のことなど幅広く相談できます。さらに療育センターの利用を検討している際でも、相談窓口を利用できます。療育センターの利用についてや療育方針などについて、聞いてみるとよいでしょう。日常における子どもの関わり方、障害の捉え方や対応の仕方、保育・教育の場の選択など、あらゆる相談に対応する場となっているのです。また療育センターにおいて、児童発達支援や放課後等デイサービスを利用する場合は、以下の関連記事を参考にしてみてください。療育センターを利用する流れ出典 : 乳幼児検診などに心身の障害あるいはその可能性が見つかった場合、保健センターにおいて、発達の見極めのための療育相談や経過観察が行われます。その後、障害や発達の遅れなどが明らかになったときに、専門病院の受診や療育センターの利用へと繋がっていきます。また、通常の保育所・幼稚園に通っている際に、障害や発達の遅れがだんだんと明らかになってくる場合もあります。このケースは、保育所や幼稚園の巡回心理・発達相談や、保健センター・保健所の療育相談などの利用後、専門医療機関や療育センターを利用するという流れになります。療育センターを利用する際の手続きは、児童福祉法における障害児通所支援と障害児入所支援で異なります。例えば、児童発達支援・医療型児童発達支援・放課後等デイサービスを利用する場合は障害児通所支援、医療型障害児入所施設を利用する場合は障害児通所支援の手続きになります。◇利用相談療育センターを利用する際は、はじめに利用相談をしましょう。療育センターでどのようなサービスを受けるかによって、相談窓口が異なります。・障害児通所支援障害児通所支援の相談窓口はお住まいの市区町村の福祉相談窓口・障害児相談支援事業所等となります。・障害児入所支援障害児入所支援の相談窓口はお住まいの地域の児童相談所となります。しかし障害児入所施設の利用に迷う場合は、まずはお住まいの市区町村の福祉相談窓口・障害児相談支援事業所などに相談するのがよいでしょう。◇施設見学・相談実際に利用したい療育センターに足を運び、施設利用について相談してみましょう。施設によっては障害児施設利用計画案を作成してくれる場合があります。◇申請書等の提出療育センターを利用するためには、受給者証が必要です。受給者証には、児童発達支援や放課後等デイサービスといった通所支援を受けるために必要な通所受給者証と、施設に入所して支援を受ける入所支援を受けるための入所受給者証の2種類があります。受給者証取得のため、障害児通所・入所給付費支給の申請を行いましょう。必要な書類は、市区町村によって異なるため、事前に確認することが必要です。・障害児通所支援市区町村の福祉担当窓口にて、障害児通所給付費支給の申請を行います。・障害児入所支援お住まいの地域の児童相談所にて 障害児入所給付費支給の申請を行います。◇調査・審査支給の有無やサービス内容の決定のために聞き取り調査(ヒアリング)を受けましょう。障害の種類や程度をもとに、要件を満たしているかどうか、また子どもに必要だと考えられる適切なサービスの量や内容について検討されます。・障害児通所支援…市区町村の支給担当窓口によって検討されます。・障害児入所支援…児童相談所の担当者によって検討されます。◇受給者証の交付支給が決定したら、「通所受給者証」・「入所受給者証」が交付されます。・障害児通所支援「通所受給者証」が発行されます。・障害児入所支援福祉型と医療型は交付される受給者証が異なります。福祉型:「入所受給者証」医療型:「障害児施設医療受給者証」「入所受給者証」受給者証の取得方法や障害児施設給付制度などについて、さらに詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてみてください。出典 : 各施設によって、療育プラン検討の流れは少しずつ異なります。ここでは療育を受けるまでの流れの例をご紹介します。1.ソーシャルワーカーとの面談日常生活で困っていることがあれば、具体的に伝えるようにしましょう。2.医師による診察診断名を知りたいときは、ここで聞きましょう。総合病院の診療を紹介してもらうケースもあります。3.発達検査・知能検査実際の行動やコミュニケーションも観察して、発達の特性を見ます。お子さんの特性に基づいた関わり方の相談をすることもできます。4.療育方針の検討ソーシャルワーカーが幼稚園や保育園を巡回訪問し、日ごろのお子さんの様子を見てくれます。これまでの流れをもとに、療育プランが検討されます。療育センターの施設利用にかかる費用と減免措置出典 : 受給者証を取得することで国と自治体から利用料の9割が給付され、1割の自己負担でサービスが受けられます。障害児施設給付制度は、児童福祉法に基づき、障害児通所給付費あるいは障害児入所給付費として国と自治体から利用料の9割が給付されることにより、自己負担1割でサービスを受けることができる制度です。負担額は世帯の収入によって変わり、サービスが受けられる日数もこの受給者証に上限が記載されています。月ごとの利用者負担額には上限があり、その上限額を超えて自己負担をすることはありません。その上限額は前年度の所得によって4つの区分があります。・生活保護受給世帯・市町村民税非課税世帯: 0円・市町村民税課税世帯(前年度の年間所得がおおむね890万円以下の世帯): 通所施設、ホームヘルプ利用の場合4,600円、入所施設利用の場合9,300円・上記以外(前年度の年間所得がおおむね890万円以上の世帯): 37,200円出典:障害児の利用者負担|厚生労働省・多子軽減措置児童通所事業利用児童の未就学の兄・姉が、幼稚園等に通っている、もしくは児童通所支援を利用している場合、保護者が支払う利用者負担額が軽減されます。・その他の減免措置医療型入所施設を利用する場合は医療型や食費の減免があり、通所施設を利用する場合は食費の負担が軽減されます。さらに、自治体によっては独自の助成金がある場合もありますので、問い合わせてみるとよいでしょう。参考:多子軽減制度の対象範囲の拡大について|中野区まとめ出典 : 「療育センター」という名前がついている施設でも、役割はさまざまです。療育センターの利用を検討している際は、「児童福祉法のどの支援にあてはまる施設なのか」「その支援を受けるための対象・手続き・費用」などを把握することが大切です。また療育センターの相談窓口は、施設を検討している際も利用することができます。お子さんの発達に気になる点がある、あるいは子育てに悩みがあるときなど、気軽に相談してみてください。療育センターや関連する制度について正しく理解することで、さまざまな役割を持つ施設の中から、お子さんに合った療育をしてくれる場所を見つけられるでしょう。参考:米山 岳廣、鳥海 順子、宮川 三平/著「病児と障害児の保育―基礎と実際」2008年文化書房博文社/刊
2017年01月31日めまぐるしいけど愛おしい、空回り母ちゃんの日々
やっぱり家が好き〜おっとぅんとみったんと私〜
子育ては毎日がたからもの☆