*画像はイメージです:企業ではセクハラなど会社に重大な損失を与える行為をした、犯罪をした社員に対し、懲戒処分を前提とした「自宅待機命令」を出すことがあります。会社は当該社員を自宅で待機させた上で、事実関係の調査や処遇の考慮などを行うことが一般的。懲戒処分相当の行為をしたことが事実であることが確認できた場合は、相応の処分が下されることになります。 ■賃金はもらいたいところ……労働者側としては懲戒処分相当の行為をしてしまった場合は、会社の決定に従わざるを得ません。「クビ」といわれて辞めさせられることもあるでしょう。しかし、自宅待機命令については、会社が「来るな」と言っているわけですから、労働者側としては、待機中の賃金を支払ってもらいたいところ。会社側としてはもちろん、支払いたくはありません。セクハラなどの重大行為で懲戒処分を検討している社員に対して自宅待機命令を出した際、企業は賃金を支払う必要があるのか。社員は賃金をもらうことができるのか。法律事務所あすかの冨本和男弁護士にお伺いしました。 ■自宅待機命令期間中賃金はもらえる?「セクハラが事実で懲戒処分が相当であれば、自宅待機中の賃金は貰えないのが普通です。懲戒処分とは、企業が秩序を維持するために従業員の規律違反・秩序違反に対して行う制裁のことです。セクハラは企業秩序を乱す職場規律違反と考えられますから、就業規則で「職場規律違反」を懲戒事由、「出勤停止」を懲戒の手段の一つと定めていたのであれば、セクハラを理由として自宅待機命令を下すことができます。この場合、セクハラを行った従業員は、会社から自宅待機を命じられたことで労務を提供できないわけですが、職場規律に違反し自業自得ですのでその間の賃金請求はできない、働いていない以上もらえない、ということになります。ただし、懲戒処分は相当なものでなければならず、懲戒事由と比較して不相当に重い処分は無効ですので、セクハラの内容からして不当に長い自宅待機の場合、相当な自宅待機期間を超える期間の分の賃金は請求できると考えます」(冨本弁護士)従業員の犯した行為や就業規則などが、考慮ポイントになるようです。素人には判断のつきにくい事案ですので、弁護士に相談するのがベストかもしれませんね。 *取材協力弁護士:冨本和男(法律事務所あすか。企業法務、債務整理、刑事弁護を主に扱っている。親身かつ熱意にあふれた刑事弁護活動がモットー。)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*Graphs / PIXTA(ピクスタ)
2017年09月14日みなさま、こんにちは。紅子です。気が付いたら夏もあっさり終わり、秋を告げるコンビニに並ぶさつまいもとかカボチャ味のお菓子にワクワクしてます。さて今回の連載では、日常生活でトラブルに遭った時の自分の守り方について書きます。具体的にいうと、ストーカーや痴漢に遭った時、家庭内・恋人間でのDV、職場でのセクハラ、パワハラ、長時間労働なんかについて。正直私にとってそういう「法絡みの問題」は、テレビやニュース、人づてに聞くことはよくあるけれど、幸運なのか自分が鈍いだけなのか、あんまり当事者として悩んだりしたことはなかったんです。数ヶ月前までは。盗撮されているのに気付いたら、あなたならどうする?数日後、犯人側の弁護士から電話がかかってきて、示談交渉のため会うことになった。示談なんてドラマではよく聞くけど、実際には何をするのか全く分からない。たぶんお金を払うことで解決させる、みたいなことなんだろうけど、その金額の相場とか、いくらなら妥当で、弁護士と話すときに言うべきこと、気をつけること、何にも分からない。そもそも犯人を弁護する側だけが専門知識を持っていて、一方的にお金の交渉なんて言われても納得がいかなかった。幸い私には弁護士をしている知り合いが何人かいたため、事の経緯を一から説明し、通常の示談のパターンや、交渉のしかた、示談金の設定のし方など、一通りアドバイスをもらうことができた。おかげでざっくりとこういうケースにおける示談交渉のしかたを踏まえた上で話し合うことができたので、よく分からないまま示談書にサインをせずに済み、納得のいかない部分はしっかりと変更してもらえるよう要求し、この件はわだかまりを残さず解決することができた。法絡みの問題を弁護士に聞いてみた。専門的なアドバイスが欲しいとき、わたしたちはどうすればいい?この一件を通して、たまたま私には知り合いに弁護士がいたから助けを借りることができたけれど、もしそうではなかった場合どうしたらいいのだろうか、とふと考えるようになった。テレビで目にする弁護士のイメージは、何か重大犯罪ばかりを扱っている印象が強いけれど、小さなことでも法的な相談が必要になる事は私に起きたように、いつでも誰にでも起こり得る。専門知識のある人がいればすぐに解決できることも、動き方が分からず泣き寝入りしてしまう人は少なくないのではないだろうか。そう思うとなんだか居た堪れない気持ちになったので、あのとき相談に乗ってくれた太田弁護士に色々と質問してみた内容をみなさんと共有したい。Be inspired!の読者のみなさまが、何か「法絡みな問題」の当時者になった時のためになると嬉しい。太田伊早子(神奈川県弁護士会所属)2008年 慶應義塾大学大学院法務研究科卒業2009年 弁護士登録労働事件(労働者側)、刑事・少年事件、消費者事件を中心に、離婚・相続等の家事や一般民事事件も幅広く取り扱う。 些細なことでもまずは相談してみて紅子:太田さん、先日はありがとうございました。私は太田さんのおかげであの件を解決することができたけど、ああいう問題って誰にでも起こり得るにも関わらず、気軽に相談できる相手がいなくて、しかも弁護士に相談とかってなると身構えてしまう人も多いと思います。太田さんは普段、どういった相談を受けることが多いですか?太田先生(以下:先生):普段受ける相談の内容は本当に色々で、セクハラ、パワハラ、DV、労働問題、それから最近だとネットのコンテンツを利用した架空請求とかもあるかな。本来、「これどうなってるの?」って悩んだことについてはとりあえず全部相談してもらって、それが法的な問題になり得るかどうかっていう振り分けを弁護士と行うんだけど、実際のところは、やっぱりみんな弁護士と精神的にすごく距離がある。だから、「自分の今の問題は法律の問題なんだ」って思えた人しか相談に来ていないのが現状。紅子:なるほど。その、「まずは相談したい」と思った時の“駆け込み寺”として弁護士事務所があるんでしょうか?先生:そうだね。まずは弁護士事務所に来てもらって、法律の問題なのかどうか、振り分けてみるっていうのが方法の一つとしていいと思います。紅子:おそらく、多くの人が何かトラブルがあった時にすぐ弁護士に相談しないのって、法と絡めて考えていないことだけではなく、弁護士に相談するとすごくお金がかかるって思っている部分もあると思うんです。実際のところ、その相談にかかる費用はどのくらいなんですか?相談にかかる費用はどれくらい?無料で頼める方法はある?先生:基本的には弁護士によって違いますが「法律相談料」っていうのを取っています。初回は無料でやっているところも結構あったり、テーマによっては無料というところもあります。費用がかかる場合はだいたい神奈川県内とか都内とかだと30分5000円(税抜)くらいが多いかな。みんな勘違いしていることの1つとして、弁護士のところに来たらいきなり弁護を頼まなきゃいけないと思ってるんだけど、まずは相談してみて、それから弁護士に依頼するかどうか決めるのが普通の段取りです。それから、直接弁護士事務所に行く以外の選択肢として、弁護士会に相談してみる方法もあります。弁護士会は各都道府県に必ず存在していて、あらゆるテーマの枠が設けられているので、そこで自分の相談にマッチした弁護士を紹介してもらえるというメリットがあります。市役所や区役所にも交代で弁護士会の弁護士が居たりするので、そこに行って相談することもできますよ。あとは、3回まで無料で相談できる「法テラス」っていう機関もあります。法テラスは法律相談を無料でできるのに加えて、実際に弁護を依頼する際にも一番低い価格で頼めるというメリットがあります。先生:少し余談にはなっちゃうんだけど、例えばセクハラをはじめハラスメントに対して、日本の裁判所はすごく遅れてるなって私は思っていて。なんでかっていうと、例えば「ちょっと触られただけ」とか「すれ違いざまにほんの少し触られる」とか。あるいは(私を指して)いまペンを持ってるよね。それを貸してって言うときに、触らなくていいのにわざわざ手を握ってくるとか。そういうのが職場で毎日あったとして、嫌じゃん。「嫌だと思う権利」は当然あるわけだけど、狭い職場なんかだと、そういうのをされてる側が適応障害(その場にいるだけで、その人がいるだけで怖くなるなど)みたいになっちゃって辞めざるを得なかったりする。それに対して「でも、そんなに大したことはされてないですよね」って言われがちなんですよ。もっというと、性行為にまで及んでいた場合とかもある。そういう場合「女性は好きでもない相手と性行為をしないでしょう」なんて言われがち。まずこれが迷信ね。さらには「メールとかラインも楽しそうだし、付き合ってたんじゃないですか」なんて言われたりする。でも、職場が同じだった場合、普通揉め事を避けようとするでしょ。そういう場合何をするかっていうと、「またまた〜」みたいな感じであしらうんだよね。明確に辞めてくださいとか言えないんです。特にシングルマザーであったり、辞めるわけにいかない事情がある人は尚更。それで断れないまま性行為にまで及んでしまうと。でもその後、その人が精神的に破綻してしまった理由なんかを考えれば、その状況に耐え切れなかったからだって分かるはずなんだけど。そういう認識がまだまだ甘いから、ちょっと触られるくらい、そんな深刻じゃないでしょう、みたいなことを言われたりして、もうレイプくらいまで行かないと問題化されなかったり、そういうのがまだまだ司法の課題だなあと思ってます。そういう意味で、若い子たちから弁護士が遠いもう一つの理由として「自分が悩んでいることは弁護士に相談するほどのことなのか」って思ってる部分も多いような気がしているんだよね。どうしたらそう思わずに来てもらえるかなって、こちらとしてはいつも思っていることです。労働問題とかも、若い人の方が変な条件で働かされてることって多いから、そうなってくると忙しくて相談にも来れなかったりするんだよね。そういうときは労働弁護団っていって、決まった時間、電話で相談を受け付けてるところもあるから、そこを使ってもらってもいいと思う。匿名でもOKなので。これは結構よく電話かかってくるよ。電話一本で色々な選択肢を提案することができるので、無駄だって思わないでぜひ若い人にも利用してほしいなと思う。
2017年09月14日*画像はイメージです:月30日、SNS『GREE』内で自分になりすまし、他人を罵倒する書き込みをされたとして、長野県に住む男性がなりすまし実行犯に対し、723万円の損害賠償を求めた裁判の判決が大阪地裁で行われました。その中で裁判長は「社会的評価を低下させ、名誉権を侵害した」として、被告側に130万円を支払うよう命令。「なりすまし」行為で名誉権侵害が成立することが、司法によって認められることになりました。 ■なぜ723万円が130万円に減額された?今回の判決で、なりすまし行為が名誉権侵害であることが認められましたが、723万円の損害賠償請求額が130万円に大幅に減額されたことも事実。被害者としては納得がいかないかもしれません。なぜこのような金額になったのでしょうか。インターネット問題に詳しい法律事務所アルシエンの清水陽平弁護士に、ご意見を伺いました。「賠償額については、慰謝料と認容額の約1割分が「弁護士費用」として認められるのが通常の実務です。慰謝料額についてはこれまでの蓄積から概ね30~100万円程度の間で、裁判官の心証により認定されることが多いです。なお、これらのほかに、インターネット上の権利侵害の場合には誰がやっているか不明であるため、発信者情報開示請求が必要になり、そのために調査費用(弁護士費用)がかかることになります。これについても認めてもらえる方向になってきていますが、報道だけからは、この件でそれが認められているかは明らかではありません。ただ、金額が比較的高いことからすると、認められていると想像されます」(清水弁護士)今回の損害賠償額は、過去の判例から見ると、一般的な金額といえるようです。 ■なりすまし被害に遭った場合どのように犯人を特定する?TwitterやFacebookなどでは、たびたびアカウントが乗っ取られる事態が発生し、誰にでも「なりすまし」をされるリスクがあります。仮になりすましを受けた場合損害賠償請求を行うことができることは分かりましたが、どのようにすれば相手を特定できるでしょうか。法律事務所アルシエンの清水陽平弁護士に方法などをお伺いすると……。「なりすましの場合、それだけでは一般的には権利侵害とはいえないですが、名誉毀損やプライバシー侵害がある内容が含まれていれば、それを理由にして発信者情報開示請求を行うことで特定することができる余地があります」(清水弁護士)「なりすまされただけ」では一般的に権利を侵害しているとはいえませんが、名誉毀損やプライバシー侵害に遭った場合は、それを理由に発信者開示請求を行い、犯人を特定できる可能性があるそう。そうはいっても、自分が受けている被害が名誉毀損やプライバシー侵害にあたるかどうかは、判断のつきにくいところ。まずはインターネット問題に精通した弁護士への相談してみることが、第一歩といえるでしょう。 *取材協力弁護士:弁護士 清水陽平(法律事務所アルシエン。インターネット上でされる誹謗中傷への対策、炎上対策のほか、名誉・プライバシー関連訴訟などに対応。)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*Pretty Vectors / Shutterstock
2017年09月12日9歳年下のイケメン弁護士・倉持麟太郎氏(34)との不倫密会が伝えられたことで、民進党を離党した山尾志桜里議員(43)。離党表明の記者会見では記者の質問に一切応じず、一方的に『男女の関係はない』と主張したのがさらに批判を浴びる結果に。 「記者からの質問に応じれば、倉持さんとの“ただならぬ関係”についての追及をかわす自信がなかったのでは。じつは山尾さんとAさん夫婦は離婚を協議していて、倉持さんはまさに志桜里さんが離婚を相談していた弁護士なんです」(夫・A氏の知人) 昨年4月、本誌は山尾議員に密着取材している。 「へとへとになる毎日を癒してくれるのは、息子とのハグと、主人との芋焼酎ロック晩酌です」 山尾議員はライブドアの元役員で、システム開発会社を経営するA氏への愛をこう語っていた。だが、すでに夫婦関係は危機的状態にあった。原因は夫のビジネスにあったという。 「システムエンジニアは慢性的な人材不足です。A氏の会社も例外ではなく、自分の人脈とアイデアで仕事を取ってきても開発するスタッフがいなかったそうです。そのうち『手付金を払って仕事を発注したのにシステムの納品がない。もともと開発するつもりがないのに、Aは金だけ集めたのではないか』と憤るクライアントも出てきました」(IT業界関係者) 訴訟にまで発展したケースもあった。昨年5月の『週刊文春』でも2千万円がからむA氏の会社の取引が、違法な可能性があると報じられた。 「Aさんの金銭トラブルが志桜里さんの議員会館事務所に持ち込まれることもあったようです。彼女も最初は夫をかばっていましたが、なかには志桜里さんが全く知らされていない事業もあったりして徐々に不信感を募らせていったんじゃないでしょうか。『夫が何の仕事をしているのか判らない』と大学時代の友人に漏らしたこともありました」(前出・A氏の知人) 昨年末ごろから離婚についての話し合いがもたれるようになったという。 「Aさんは離婚を望まなかったそうですが、山尾議員は夫が政治活動の足を引っ張る存在となりつつあったのだから見限るしかなかったのでしょう」(前出・A氏の知人) 夫婦双方、弁護士に相談しながら、離婚へ向けて話し合いを重ねていたというのは民進党関係者だ。 「まさか山尾議員と離婚の相談相手との不倫が報じられるとは……。A氏は今回、文春の取材によってはじめて妻の不倫を知ったそうです。最初に“相手は弁護士”と聞いたとき、夫婦と同じ大学出身で仲の良い別の弁護士を疑ったくらい。それが、妻が離婚を相談していた弁護士ですからね。離婚の話し合いはかなり着地点が見えていたようですが、今回の報道で振り出しに。山尾議員にはかなり厳しい条件が突きつけられそうです」 事実関係を確認しようと山尾議員の事務所に連絡したが、期日までに返答はなかった。夫への“不信”があったとしても……あまりにも軽率な行動だった。
2017年09月12日*画像はイメージです:日本の女性モデルは、世界と比較すると「痩せすぎ」であるという指摘があります。これは日本人が「痩せていることが美しい」という価値観を持っているためだと思われます。そのため、モデルたちは太らないよう食事制限などを行いますが、なかには行き過ぎて拒食症や摂食障害になることもあり、問題化しています。 ■モデルや芸能人に「痩せなければクビ」と命令するケースも美しいことをウリにするモデルや芸能人だけに、体型を維持するよう努力するのはあたりまえであるという考え方があります。そのため、競争勝ち抜くために、体型の崩れが目立つモデルには、事務所から「痩せなければクビ」などと、実際に解雇する気があるのかは別にしても、発奮を促す意味でそのような言葉をかけることがあるようです。また、TV番組などでも「○○キロ痩せなければMC降板」などと銘打ち、ダイエット企画が放送されることがあります。見ているほうは面白いでしょうが、言われたほうはたまったものではありません。このような「痩せなければクビ」という命令は合法なのでしょうか。また実際に痩せることができなかったとして当該モデルを解雇した場合、違法性を問われないのでしょうか?法律事務所あすかの冨本和男弁護士にお伺いしました。 ■「痩せなければクビ」は違法?「合法(解雇が有効)となる場合もあると考えます。まず、労働者の解雇について、一般論を確認いたしますと、労働者が契約社員の場合、契約期間が定められており、その契約期間中は簡単に労働者を解雇できません。どうしても解雇したい場合には「やむを得ない事由」が必要です(民法628条・労働契約法17条1項)。労働者が正社員の場合、契約期間の定めはありませんが、労働者を解雇する場合には、まず原則として30日前に予告するか、30日分以上の解雇予告手当を支払わなければないとされています(労働基準法20条1項)。そして、解雇予告・解雇予告手当の条件を充たせば解雇が有効かというと、必ずしもそうではなく、解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とするとされています(労働契約法16条)。つまり、労働者の解雇は簡単に認められるものではありません。また、男女雇用機会均等法は性別を理由とする差別はもちろん身長・体重を理由とする差別も禁止しており、合理的な理由がある場合でなければ特別な取り扱いをしてはならないとしています(男女雇用機会均等法7条・同法施行規則2条1号)。以上、一般論から言えば、そもそも労働者の解雇自体簡単には認められないし、さらに身長・体重を理由に差別的取扱いをするのも問題があることになります。ただし、「やむを得ない事由」・「客観的合理的理由」・「解雇の社会通念上の相当性」が認められれば解雇は有効ですし、体重を理由とする差別的取り扱いについても「合理的な理由」があればこれも有効です。モデルの場合、職業の性質上ルックスが条件とされるのは仕方のないことだと思いますので、例えば、事務所から適切な食事制限・運動を指示されたにも関わらず従わず、隠れて間食を続け、あるいは運動をさぼり、その結果ルックスを維持できなくなったような場合、「やむをえない事由」・「合理的な理由」があるとして解雇が有効となる場合もあるのではと考えます」(冨本弁護士)モデルという職業の性質上、事務所からの指示を無視する形でルックスや体型維持を怠った場合は、解雇が有効となる場合も考えられるようです。華やかなモデル業界も、厳しい世界なのですね。 *取材協力弁護士:冨本和男(法律事務所あすか。企業法務、債務整理、刑事弁護を主に扱っている。親身かつ熱意にあふれた刑事弁護活動がモットー。)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*tomos / PIXTA(ピクスタ)
2017年09月11日*画像はイメージです:スマートフォンの普及により、ここ数年で皆さんの生活環境は全く新しいものに変わったかと思います。気軽に知りたい情報を調べることができる、いつでもどこでもコミュニケーションを取ることができるなど、便利な世の中になりましたね。一方で、利便性が高まった陰で新たなトラブルも多く発生しております。今回はそういった新しいトラブルのうち、恐喝と脅迫に絞って対応方法などを解説したいと思います。 ■一般人から受ける恐喝や脅迫が大半を占めている皆さんが想像する恐喝や脅迫というと、暴力団をはじめとする反社会的勢力といわれるような方々から受けるものというイメージではないでしょうか。たしかに、そういった恐喝や脅迫もあるでしょうが、昨今相談を受けるケースは、スマートフォンが普及したことが一つの要員となって全くの一般人から受けるものがその大半を占めております。例えば、“リベンジポルノ”です。不特定多数の人間が閲覧することのできるウェブサイトへの投稿をほのめかし、金銭や自己の要望を実現しようとするものや、単純に復讐目的者ものなど多くご相談を受けます。また、いわゆる“美人局”をはじめとする出会い系サイトでのトラブルも多く見受けられます。 ■警察へ相談で対処することは難しいこういったトラブルの対処のため、皆さんが最初に思いつく方法には何がありますでしょうか。おそらくほとんどの方は警察へ相談するという方法を挙げられるかと思います。もちろん、事態が悪化する前に予防的に警察へ被害相談をすることは必須といえます。ですが、警察は恐喝や脅迫の明確な証拠がなければすぐには動いてくれません。その意味では警察に対処を期待することはハードルが高いといえるでしょう。インターネットで検索をすると、恐喝や脅迫などのトラブルに対応するサービスを提供する調査会社(探偵)もいるようです。たしかに警察へ対処を求めるよりハードルは低いと思われますが、調査を目的とする調査会社が一体どのような方法で恐喝や脅迫に対応するかいまいち不明確ですし、法的紛争への対応を有償で取り扱えば、いわゆる非弁行為として弁護士法に反することにもなるため、どこまでの対応が期待できるか疑問も残るところです。 ■加害者と被害者の接点を無くすことが大事弁護士による対応は、恐喝や脅迫をしてきている相手方に対し、電話や書面などにより代理人にしたことを通知し、本人への連絡(実家や職場など本人の関係先への連絡も含む)を控えるよう申し入れします。恐喝や脅迫対応の最大のポイントは、“揺さぶりをかけてくる相手方との接点を解消すること”です。脅迫文言もこちらに届かなければ冷静に対処できるわけです。具体的な準備では、相手方と接点を持つ際には、録音などによって証拠を保全し、訴訟や警察への相談の準備をします。相手方が、弁護士の頭越しに本人や関係先に連絡を継続するようであれば、その都度警告をしながら、必要に応じて警察への介入も求めます。相手方から何らかの要望があるとき、それが法的に妥当であれば、妥当な範囲で応じることを検討し、不当であれば拒否し続けます。過去の経験でいえば、弁護士が介入した後には多くのケースで脅迫行為は止みます。暫くは弁護士宛に嫌がらせや荒唐無稽な主張が続くこともありますが、それも時間が解決します。物理的に100%のブロックができる訳ではないため限界はありますが、少なくとも脅迫され続けて判断能力を奪われがちな状況からは解放され、冷静に状況を分析したうえで必要な対処ができます。 恐喝や脅迫に及んでくる人物は、とにかく弱みにつきこみながら、時間を区切り、焦らせて自分の要求を通そうとしてきます。冷静に対処すれば恐れる必要はありません。お困りのときは、お気軽に弁護士にご相談ください。 *著者 弁護士:若井 亮(不動法律事務所。「迅速対応」「分かりやすい説明」「徹底した報告」をモットーとしている。不当要求への対応、詐欺被害への対応を多く経験している)【画像】イメージです*AFPics / Shutterstock
2017年09月10日(写真:FLASH) 元衆議院議員でタレントの杉村太蔵(38)が9月10日放送の「サンデー・ジャポン」(TBS系)に出演。妻子ある弁護士との不倫疑惑により民進党を離党した、山尾志桜里衆院議員(43)について言及した。 杉村は山尾議員の離党に、「民進党にとっては痛いくらいのレベルではない。撃墜を(くらった)」とコメント。「よく比較されるのは(民進党の)蓮舫さん。でも、国会質疑を見ても、自民党にとっては比べ物にならないくらい山尾さんのほうが強敵。質疑もリズムで来るしね。さすが(元)検察官」と、山尾議員の脅威を語った。 山尾議員が、自身の“政策ブレーン”である倉持麟太郎弁護士(34)と週4回会っていたという報道に対しては、「(政治家が)政策ブレーンと週4回会うなんて、ざらにありますよ。四六時中会っている」と理解を示したものの、「ただ、どう考えても……」と、首をひねっていた。 また、TVプロデューサーのデーブ・スペクター(63)は、「民進党の危機管理はおかしいですよ」と疑問を呈した。「離党する必要はそこまでなかったと思うんです。(山尾議員という)これだけの中心人物なら、多くの議員がどんどん離党している中で、どうにかなったと思う。これ、(山尾議員が)平気で結局辞めちゃうというのは、民進党の問題もすごくある」と、民進党を批判した。 いっぽう、タレントの西川史子(46)は山尾議員について、「この経歴を見て、欲しいものを全部手に入れてきて、『なんとかなるだろう』『私の思い通りになるだろう』って考える人なんだろうなと。強欲な人だなぁと」と辛らつなコメント。 杉村は、「子どものころに(ミュージカル)『アニー』の主役になって、東大に出て、司法試験に合格して、検察官になって、衆議院議員になって、野党第一党の幹事長に内定した翌日に(週刊文春の)“文春砲”でしょ?人生初の挫折じゃないかと思いますね」と話した。
2017年09月10日現在開催中のヴェネチア国際映画祭コンペティション部門に出品され、公式上映も話題を呼んだ是枝裕和監督の最新作『三度目の殺人』。本作で『そして父になる』に続いて是枝監督とタッグを組み、裁判に“勝つこと”最優先のクールな弁護士・重盛を演じたのが福山雅治。今回は監督も大絶賛を贈る、福山さんの眼差しの演技に注目した。『そして父になる』から4年、是枝監督とは2度目のタッグとなった福山さん。ミュージシャンや写真家としても活躍しながら、同作では日本アカデミー賞で優秀主演男優賞を受賞するなど、多方面で才能を発揮している。『そして父になる』では、一見、冷徹に見える超エリートの父親・良多を演じていたが、本作でも超エリートで、裁判に勝つためなら真実は二の次と考える弁護士・重盛役を熱演。劇中では、重盛が弁護することになった容疑者の三隅(役所広司)の二転三転する供述に大きく揺さぶられ、真実を求めていくうちに、三隅の深い闇に飲み込まれていく姿を鮮烈に演じている。是枝監督は、今回4年ぶりの再タッグとなった福山さんについて、「『そして父になる』でも思っていたのですが、福山さんはただ“見てる”ときの画がすごく強い人。何かを“見てる眼差し”や“見てる表情”から、いろんな感情が読み取れる。ですから、黙っているシーンをどう魅力的に撮るかということを考えました」と語る。セリフ以外の場面でも感情が滲み出る福山さんの眼差しの演技を大絶賛する是枝監督は、「そんな福山さんを、役所さんの力を借りて、どう揺さぶっていくか、どういじめていくかというのが今回のコンセプトです(笑)」と明かす。最初の本読みの段階から、福山さん演じる重盛と役所さん演じる三隅がガラス越しに会話を交わす接見室のシーンのやりとりを目の当たりにした是枝監督は、身体的な動きが制限される場面にも関わらず、2人がお互いを揺さぶり合い、感情や立場が大きく動いていく様に、圧倒的な面白さを感じ、ゾクゾクしたという。その結果、接見室でのやりとりのシーンを、当初より大幅に増やすことにしたのだとか。是枝監督をも魅了する福山さんの眼差しの演技と、その目で真実を問いかける三隅との接見室のシーンは、必見ポイントの1つといえそうだ。『三度目の殺人』は全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)
2017年09月10日*画像はイメージです:天理市長が公務で東京に出張中、派遣型風俗を利用したことが話題になっています。同氏は自費で利用したことや、報じられていたような禁止行為を要求したことはないとのことですが、一部には公務で訪れたホテルで派遣型風俗を利用するのは市長にふさわしくないという声もあり、意見がわかれているようです。 ■企業にマイナスイメージを与える社員も存在出張中に派遣型風俗を利用することの是非はさておき、天理市長が一部の有権者にマイナスイメージを与えたことは間違いないようです。一般社会の場合、出張中所属企業にマイナスイメージを植え付けるような振る舞いをした場合、会社から処分を受ける可能性があります。それが続けば、懲戒免職処分などもありうるかもしれません。それはある種致し方ないと思われますが、企業に迷惑をかけないまったく個人的な「素行不良」が続いた場合はどうなるのでしょう?会社は当該社員に罰則や解雇などの処分を下すことができるのでしょうか?銀座ウィザード法律事務所の小野智彦弁護士にお聞きしました。 ■業務時間以外の素行不良社員に罰則や解雇などの処分を下すことはできる?「実務上、懲戒処分は従業員の企業秩序違反行為に対する制裁であると捉えられているので、私生活上の非行に対して懲戒処分をすることもできることになっています。会社に関係なく、破廉恥な行為を行ったような場合、懲戒解雇になった事例をよく聞くことがあると思います。ただ、あまりにも会社が従業員の私生活に首を突っ込むのは、私生活における行動の自由を不当に制限することになるので、その辺の限界は重要なポイントになってくるかと思います。この点、判例は以下の様に判示しています(最判昭和49年3月15日、日本鋼管事件)。「営利を目的とする会社がその名誉、信用その他相当の社会的評価を維持することは,会社の存立ないし事業の運営にとって不可欠であるから,会社の社会的評価に重大な影響を与えるような従業員の行為については,それが職務遂行と直接関係のない私生活上で行われたものであっても,これに対して会社の規制を及ぼしうることは当然認められなければならない」としつつ,「しかして,従業員の不名誉な行為が会社の体面を著しく汚したというためには,必ずしも具体的な業務阻害の結果や取引上の不利益の発生を必要とするものではないが,当該行為の性質,情状のほか,会社の事業の種類,態様,規模,会社の経済界に占める地位,経済方針及びその従業員の会社における地位,職種等諸般の事情から総合的に判断して,右行為により会社の社会的評価に及ぼす悪影響が相当重大であると客観的に評価される場合でなければならない」 過去の判例を眺めてみますと、交通事故を除く一般刑事事件、特に破廉恥罪などでは、懲戒解雇処分を有効とするものが多いですね。社内の不倫、セクハラに伴うトラブルも、懲戒解雇処分を有効とするものが多いようです。それ以外の素行不良ですと、会社の社会的評価をどの程度下げたのかによりけりですが、解雇よりも低い懲戒処分なら有効と判断されるものもありそうですね」(小野弁護士)過去の判例を見ると、やはり私生活の素行不良であっても解雇されることはあるそう「会社外だから良いや」という考えは、一般社会では通用しないのですね。*取材協力弁護士:弁護士 小野智彦(銀座ウィザード法律事務所。浜松市出身。エンターテイメント法、離婚、相続、交通事故、少年事件を得意とする。)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*polkadot / PIXTA(ピクスタ)
2017年09月09日*画像はイメージです:月31日、群馬県大泉町の路上で職務質問を受けた際噛み付いたとして、公務執行妨害容疑で逮捕される寸前だったベトナム人男性が逃亡する事件が発生。男性は警官に対し噛み付くなどして逃走。警察が行方を見失ったため、付近住民に不安が広がりました。結局、当該男性は1日午後11時20分頃、熊谷市のコンビニ駐車場にいたところを発見され、逮捕されました。二次被害がなかったことは不幸中の幸いですが、一歩間違えれば大事件に発展する可能性も。大失態を演じた警察に住民などから、怒りの声があがっています。なお、逮捕された男は警察の取り調べに対し逃走した理由について、「無免許運転やオーバーステイがバレると思ったため」と述べているそうです。 ■逮捕時に「逃亡」した場合罪は重くなる?今回のように逮捕時に「逃亡」した場合、素直に罪を認めて逮捕に応じるよりも罪を重くするべきであるように思えます。そのようなことは可能なのでしょうか。星野・長塚・木川法律事務所の星野宏明弁護士にお話を伺いました。「まず、刑法には逃走罪がありますが、現行犯逮捕されたただけの者が逃走した場合を処罰していませんので、逃走罪は成立しません。警察官に噛みつくなどしている点は、問題なく公務執行妨害となります。その後の逃走状況に応じて、民家等他人が看守する建物、住居に隠れていた場合は、建造物侵入や住居侵入罪に問われる可能性があります。オーバーステイという事情があれば、もちろん入管法違反の罪にもなります。刑法の逃走罪というと、今回のようなケースに適用されると思われがちですが、逃走罪は”裁判の執行により拘禁された者”が逃走した場合に適用されるので、現行犯逮捕の犯人が逃走しても逃走罪には問われません。ただし、逮捕時に噛みつき逃走したことは公務執行妨害罪や入管法違反で起訴されたときに情状面で考慮されます」(星野弁護士)どうやら逮捕時に逃げたというだけでは、罪は成立しないようです。 ■警察官の責任は?今回のような失態を演じた警察官に刑事責任などは発生しないのでしょうか?こちらも同じく星野・長塚・木川法律事務所の星野宏明弁護士に聞いてみると……。「仮に注意散漫があったとしても、そのことをもって刑事責任に問われることはありません。今回の事案では噛みつくなど抵抗されているので過失があるとは思えませんが、仮に重い過失があった場合であっても、職務上の懲戒処分となるだけであり、刑事上の責任が発生することはないでしょう」(星野弁護士)やはり刑事責任等は発生することはないのですね。もちろん犯人の取り逃がしは、刑事的な責任はなくとも、職務上の処分となる可能性はあると思われます。また、「現行犯逮捕時に逃げる」という行為も、罪にはならなくともやって良い行為ではありません。 *取材協力弁護士:星野宏明(星野・長塚・木川法律事務所(旧星野法律事務所)。不貞による慰謝料請求、外国人の離婚事件、国際案件、中国法務、中小企業の法律相談、ペット訴訟等が専門。)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*Africa Studio / Shutterstock
2017年09月08日*画像はイメージです:今年に入ってから多数ご相談いただいている詐欺の一つに、愛人契約を誘い文句とする詐欺があります。残念ながら多くのご相談者様が泣き寝入りせざるを得ない状況にあり、弁護士としては非常に悔しいところです。現在でも同様の詐欺被害に遭われている方がいらっしゃるため、これ以上の被害拡大を止めるべく、今回は愛人契約詐欺について、その手口を解説したいと思います。 ■愛人契約詐欺の流れ被害者の方々は、ある出会い系サイトで犯人と接点を持ちます。このサイトは、成功した男性とそういった男性との出会いを求める女性をマッチングするという特徴を有しています。犯人から毎月の手当の支払などを条件とする愛人契約を締結することを提案され、まずはお互いの要望などをすり合わせるという目的で会うことになります。会う場所は高級ホテルのラウンジや個室を指定されます。犯人は「成功者」を装っているため、高価そうな時計を身に着けているなど、良い身なりをしていることが多いようです。なお、「成功者」を装った犯人が来るというパターンのほかに、「成功者」を紹介するという人物が現れるというパターンもあるようです。犯人からは、月々の手当を数十万支払うのと同時に、被害者のクレジットカードの決済口座を犯人の口座とする旨の提案があります。つまり、被害者が自分のクレジットカードをいくら使っても、犯人の口座から引き落とされるので心配はない、自由に使ってよいという提案です。そしてこの決済口座の変更にあたり、自分は銀行の頭取などに直接話を通すことができる立場にあるので、クレジットカードを自分に預けてくれればこの手続をやっておくと申し向け、被害者からクレジットカードを受け取るのです(クレジットカードは後日返却するという話をされます)。この際、手続に必要であると話して、被害者から暗証番号も聞き出します。クレジットカードを受け取った犯人は、その足でコンビニのATMなどに向かいキャッシングで限度額までお金を引き出します。被害者の方は、覚えのない高額な請求が来て、初めて被害にあったことを知るというのが、愛人契約詐欺の流れです。 ■犯人を特定できる可能性は限りなく少ない犯人は信用をさせるために、免許証など見せることもあるようです。ですが、当職がお受けしたケースでは偽造の免許証であり、身元の特定には使えませんでした。また、携帯電話の契約者情報を調査しても、レンタル携帯であり、本人に繋がる情報が得られませんでした。すなわち、後で犯人の身元を特定しようとしても全く手がかりが存在しないわけです。当職がお受けしたケースのうち、たったの一件のみ、警察と当職及び当職が経営する調査会社の連携により起訴までこぎつけた事案がありますが、これは本当に運が良かったと言わざるを得ません。上記以外にご相談を受けたケースでは、そのほとんどが犯人の身元すら特定できず泣き寝入りしています。知能犯担当の刑事に聞いたところでは、詐欺のシナリオが詐欺師の間で共有されているせいか、同様の被害相談がかなりあるようです。 もっとも近いところでは数日前(平成29年8月末)に上記の被害に遭われた方からの相談をお受けしました。現在でも同様の詐欺が行われております。上記のような話を受けたら、クレジットカードを渡したり、暗証番号を教えたりすることは避けていただきたく思います。 *著者 弁護士:若井 亮(不動法律事務所。「迅速対応」「分かりやすい説明」「徹底した報告」をモットーとしている。不当要求への対応、詐欺被害への対応を多く経験している)【画像】イメージです*Graphs / PIXTA(ピクスタ)
2017年09月06日*画像はイメージです:月、ある人気YouTuberに詐欺疑惑が浮上し、大炎上。彼を信じていた人たちにとっては、「騙された」と感じる行動だった模様です。その騒動に便乗して、SNSでは人気YouTuberの偽物が次々と登場。偽物と本物が入り混じり、何が真実なのかがよくわからなくなっているよう。偽物アカウントの目的は、アフィリエイト収入を狙ったものであるとみられていますが、詳細は不明です。 ■法的にネット上の「なりすまし」を罰することはできないのか?YouTuberに限らず、TwitterやSNSでは芸能人の偽物が登場し、事務所が「本人ではありません」と否定することが多々あります。悪質なものになると、巧みに商品販売サイトやアフィリエイトリンクサイトに誘導し、収入を得るようなこともあると聞きます。このようなネット上の「なりすまし」を法律的に取り締まることはできないのでしょうか?法律事務所アルシエンの清水陽平弁護士に、ご意見を伺いました。「なりすましを直接取り締まる法律はありません。ただし、名誉毀損罪に当たるような内容が含まれていれば、名誉毀損罪にて取り締まることができるほか、業務妨害の内容があれば、業務妨害罪に当たる余地があります」(清水弁護士)残念ながらネット上の「なりすまし」行為を罰する法律は、現在のところ存在していないようです。 ■「なりすまし」アカウントで得た収入はどうなるのか?「なりすまし」行為で収入を得た場合はどうなのでしょうか?本人に収益を返すようなことは、できるのでしょうか?「なりすましアカウントが収益を得ても、それはなりすました者の利益となるのが原則であり、その利益を取り上げるということは、法律構成としては考えられるものの、難しいと思われます」(清水弁護士)なりすまし行為で得た収入についても、現状取り締まることは難しいようです。まだまだ法整備が追いついていないということでしょうか。もちろん、法的に罰することが難しいといっても、なりすましが好ましくない行為であることはいうまでもありません。 *取材協力弁護士:弁護士 清水陽平(法律事務所アルシエン。インターネット上でされる誹謗中傷への対策、炎上対策のほか、名誉・プライバシー関連訴訟などに対応。)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*graphicalicious / PIXTA(ピクスタ)
2017年09月05日*画像はイメージです:不動産オーナーの皆様は、迷惑な賃借人に頭を悩ませていることもあるかと思います。使用目的を定めていたにもかかわらず目的と異なる使いかたをされていたり、毎晩遅くまで騒いで近隣の迷惑になっていたりといったことから近隣トラブルに発展するケースもあります。やめてもらうよう注意しているのに聞く耳を持たない賃借人とはもう縁を切りたい、そう思うこともあるでしょう。このような用法違反の場合に、賃借人に部屋から出て行ってもらうことはできるでしょうか。今回は、ペット禁止としていたのに賃借人がペットを飼っていた場合を例に考えてみましょう。 ■賃貸借契約を解除する場合の特殊性賃貸不動産から賃借人に出て行ってもらうためには、賃貸借契約を解除する必要があります。賃借人が同意してくれれば良いですが、同意してくれなかった場合には、法律上の解除原因がなければ契約を解除することはできません。例えば、賃貸借契約にペットの飼育を禁止する特約を付していた場合に、賃借人がその特約に反してペットを飼育していたとすれば、用法違反として法律上の解除原因があるといえるでしょうか。実は、用法違反があったとして直ちに賃貸借契約を解除することができるかというと、そう簡単にはいきません。実際、ペット飼育禁止の特約付きで賃貸借契約を締結し、賃借人がペットを飼育したものの、賃貸借契約の解除が認められなかった事案があります。なぜでしょうか。実は、賃貸借契約を解除するにあたり、「賃貸人に対する信頼関係を破壊するおそれがあると認めるに足りない特段の事情」がある場合には、契約解除は認められないのです。賃貸借契約は、売買契約等と異なり、当事者間の信頼関係を基礎とする継続的契約なので、賃借人に用法違反があったとしても、当事者間の信頼関係が維持されているのであれば、契約の基礎が残っている以上、解除によって賃借人の利用権を妨げることはできないのです。 ■契約解除が認められない場合とは?例えば、賃借人が犬を飼っているケースで考えてみましょう。部屋内に犬の小屋があり、食事や排泄物の処理についても訓練が行き届いていて、悪臭や泣き声もほとんどなく、建物内の柱や畳等が汚れたり損傷したりしておらず、賃借人もその犬を最後に飼育を打ち止めすることが確実視されるような場合には、賃貸人にとって不利益が多いというわけではありません。このような場合には、そのような犬を飼ったからといって直ちに賃貸借契約の解除が認められない可能性があります。元々、ペット禁止特約の目的は、賃借人がペットを飼うことによって不衛生になったり、近隣住民に迷惑になったりすることで、賃貸人としても不利益を被るので、このような賃貸人の不利益を防止する点にあります。したがって、先ほどのような事情がある場合には、ペット禁止特約の目的を害する程度が小さいので、信頼関係を破壊するおそれがあるとまでは認められない可能性があるのです。 ■場合によっては賃借人の主張に備えて弁護士に相談を「信頼関係を破壊するおそれがあると認めるに足りない特段の事情」については、それが存在することを賃借人が主張立証する必要がありますが、そのような事情を基礎付ける積極的事実とその評価を障害する消極的事実との総合評価によって決まるので、賃貸人としても信頼関係が破壊されたという事情を主張できるよう準備する必要があります。迷惑な賃借人に部屋から出て行ってもらいたいオーナーさんとしては、弁護士に相談し、そのような事情をあらかじめ調査するのが良いでしょう。 *著者:宮前豪(丸の内ソレイユ法律事務所の弁護士。離婚問題から企業法務まで幅広く精通。)【画像】イメージです*YAMATO / PIXTA(ピクスタ)
2017年09月04日是枝裕和監督が主演に福山雅治を迎え、法廷心理サスペンスに挑んだ『三度目の殺人』。劇中で得体のしれない殺人犯役を怪演し、弁護士役を演じる福山さんのみならず、初タッグとなった是枝監督までも揺さぶった名優・役所広司について、監督からコメントが到着した。本作で、勝ちにこだわる弁護士・重盛(福山さん)が担当した殺人事件の容疑者・三隅を演じる役所さん。1996年公開の大ヒット作『Shall we ダンス?』をはじめ、『眠る男』『シャブ街道』ではその年の主演男優賞を独占し、翌97年の故・今村昌平監督のカンヌパルム・ドール受賞作『うなぎ』、社会現象となった『失楽園』などで日本映画界を代表する実力派として地位を確立。『SAYURI』(’05)や『バベル』(’07)といったハリウッド映画にも立て続けに出演し、10kgの減量を成功させて挑んだ中島哲也監督の『渇き。』(’14)ではシッチェス・カタロニア国際映画祭で日本人初の最優秀男優賞を受賞するなど、世界中でその実力を見せつけている。そんな役所さんは、意外にも是枝監督作品は本作が初出演。接見のたびに供述を変え、まるで別人のような表情を見せる得体のしれない殺人犯・三隅という男を怪演しており、福山さん演じる弁護士・重盛を事件の真相の闇に呑み込んでいく。今回の豪華タッグが実現した経緯について、「役所さんとはなんとなく将来的に作品をやりたいねっていう話はしていたんですけど、去年役所さんから突然年賀状が来たんですよ。手書きで、“そろそろですね”って書いてあって(笑)。だからそろそろなのかなって。やるからには、演出家として相当覚悟がいる役者なので、本当に胸を借りるつもりで今回は入っていただきました」と、撮影現場でのインタビューでふり返っていた是枝監督。また、劇中で殺人についての供述をコロコロと変えていく役所さんの演技については「役所さんを見ていると、本当にやったんだろうなっていう瞬間と、もしかしたらやってないかもしれないっていう瞬間があって、どちらも本当にそう思うんですよね。すごいなと思って、改めて衝撃を受けました」と、福山さん演じる重盛と同様、監督自身もその演技に揺さぶられていたことを明かしている。脚本を執筆しながら撮影を進行していった是枝監督は、役所さんの圧倒的な演技に物語の結末を書き変えようかと何度も悩んだという。果たして、役所さん演じる殺人犯・三隅はなぜ殺したのか?本当に殺したのか?その結末と共に、監督までをも揺さぶる怪演っぷりをスクリーンで目撃してみて。『三度目の殺人』は9月9日(土)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2017年09月04日*画像はイメージです:尿意や便意は人間の生理現象。「我慢しろ」と言われても、なかなかできるものではありません。コンビニエンスストアのトイレがあって助かった経験がある人も多いのではないでしょうか。そんなコンビニのトイレですが「使用する際は一声かけてください」と張り紙がしてある場合があります。店側としてはみだりにトイレを使用されることや、商品の万引き防止などからそのような措置を取っているのだろうと考えられます。 ■トイレを借りる場合は一声かけるものだが……「一声かけて」という張り紙がある場合、当然ながらコンビニのトイレを借りる場合は店員に「トイレを貸してください」と店員に声をかけていることと思います。しかし、「面倒くさい」と思うのも事実です。デパートなどでは勝手に使っても良いわけですから、「何も言わなくてもいいじゃないか」とも思ってしまいます。仮に声をかけずにコンビニのトイレを借りた場合どうなるのでしょうか?無断で敷地内に侵入したわけですから、建造物侵入罪に問われるような気もしますが、コンビニのトイレくらいでそれはないようにも思えます。一体真相はどうなっているのでしょうか?星野・長塚・木川法律事務所の星野宏明弁護士にお伺いしました。 ■コンビニのトイレを借りるとき声をかけないとどうなる?「刑法上、他人が看守する建造物への侵入行為は建造物侵入罪とされています。他人が看守する建造物への侵入とは、管理権者の意思に反する立ち入りを意味します。例えば、窃盗目的、営業時間外の立ち入りなどは、明らかに管理権者であるコンビニ店長が予定しない立ち入りであり、建造物侵入となります。他方、デパートや駅構内、スーパー、コンビニなど公衆の出入りが自由とされている場所は、基本的に最終的に買い物をしなかったとしても、立ち入りが管理権者の意思に反するとはいえません。そうすると、トイレ目的でのコンビニ利用が建造物侵入となるのは、(1)コンビニ入口にトイレ利用だけの目的での入店を明確に拒否する表示があり、かつ、(2)利用者が明確にトイレ利用目的だけであったと評価できる場合に限られるでしょう。しかし、最終的にコンビニで買い物をしない限り、コンビニ店長の意思に反する立ち入りということはできませんから、結局、(2)利用者が明確にトイレ利用目的だけであったとの要件を立証するのは極めて難しいのではないかと思います。したがって、実際にはトイレ利用だけであったとしても、建造物侵入で刑事罰を科されることは想定しにくいと思います。マナーの問題として、「従業員に一声かけるべき」なのはいうまでもありません」(星野弁護士)従業員に一声かけることはマナーとしては当然のことですが、仮にかけなかったとしても建造物侵入罪となる可能性は低いようです。 *取材協力弁護士:星野宏明(星野・長塚・木川法律事務所(旧星野法律事務所)。不貞による慰謝料請求、外国人の離婚事件、国際案件、中国法務、中小企業の法律相談、ペット訴訟等が専門。)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*Graphs / PIXTA(ピクスタ)
2017年09月03日*画像はイメージです:中古住宅の購入を検討する上で、住宅の欠陥の有無は気になるところです。しかし、目に見えないところに欠陥がある場合には、当該欠陥についての告知を受けない限りは、発見することが難しいです。例えば、中古住宅の前住民が自殺していたような場合には多くの人がその購入を戸惑うと思います。この意味で、その物件は欠陥ある物件といえそうですが、売主が告知してくれない限りは、知る機会すらありません。このような『いわくつき』の物件のことを、『事故物件』と呼ぶことが多いようですが、今回は、このような『事故物件』を、『事故物件』ではない価格で売却した売主及び仲介した不動産業者の責任について考えてみます。 ■事故物件とは『事故物件』という単語に明確な定義はないようですが、一般的には、いわくつきの物件であり、購入者が心理的に購入を躊躇うような物件、法律的にいえば、心理的な瑕疵(=欠陥)のある物件を示しているといえます。ただ、この心理的なものについては、人によって感じ方は違うかもしれません。自殺に限っても、10年前に自殺があった物件と、1ヶ月前に自殺があった物件とでは感じ方は変わるのではないでしょうか。裁判上も、自殺からどのくらいの期間が経過しているのかといった事情のほか、居住目的か事業用目的かといった事情を総合考慮した上で、心理的な瑕疵といえるかの判断がされています。 ■売主の責任は?売買契約における売主は、法律上、瑕疵担保責任を負っています(民法570条)。この瑕疵担保責任は、欠陥のある物件を売ったことに対する売主の責任であり、売主の認識を問わずに発生する責任とされています。つまり、売主が欠陥の存在を知らなかった場合であっても、売主には欠陥ある物件を売ったことに対する責任があるということです。したがって、前住民の自殺が心理的な瑕疵に該当する場合においては、この瑕疵担保責任に基づき、買主から契約の解除を求められ、売買代金の返金及び損害賠償請求を受ける可能性があります。では、売主が、心理的な瑕疵の存在を知りながら、これを買主に告知しなかった場合はどうでしょうか。この場合にも、先ほどの瑕疵担保責任は当然発生しますが、そのほかにも、告知義務違反による損害賠償請求、あるいは、契約上の違約金の請求等を受ける可能性があります。 ■仲介不動産業者の責任は?仲介に入った不動産業者が、買主に対して、心理的な瑕疵を告知しなかった場合はどうでしょうか。まず、先ほど述べた瑕疵担保責任は、あくまで売主の責任ですから、仲介不動産業者がこの責任を負うことはありません。ただし、心理的な瑕疵の存在を把握していたか、あるいは把握できて当然という場合には、瑕疵担保責任ではなく、告知義務違反を問われる可能性は残されます。まず、売主からは心理的な瑕疵の存在を聞かされていたものの、あえてこれを告知しなかった場合は、心理的な瑕疵に該当するため、不動産仲介業者にも告知義務が認められ、仲介不動産業者にも告知義務違反が認められることになるでしょう。この場合、買主から損害賠償請求を受けることは十分に考えられます。 他方で、売主から心理的な瑕疵の存在を聞かされていなかった場合はどうでしょうか。この場合には、通常の不動産仲介業者に求められるだけの注意義務をもって対応していたにも関わらず、心理的な瑕疵を把握することができなかったといえれば、責任を負うことはないと考えられます。ただし、売主の説明に不信な点があることに気がついていたにも関わらず、調査を行わなかった場合などにおいては、不動産業者としての責任追及を受ける可能性は十分にあるといえそうです。 中古物件の購入者としては、『事故物件』であることを隠されないためにも、また、万が一隠された場合に備えて、是非とも、過去の事故・事件の存否を売主や仲介不動産業者に確認しておきたいところです。 *著者:弁護士 河原﨑友太(浦和法律事務所。2017年2月にマンション管理士に登録。ご相談に際しては、ご相談に見える方が、弁護士に何を期待しているのかを見定め、丁寧な事情聴取、解決方法の提案を心がけています)【画像】イメージです*kirin / PIXTA(ピクスタ)
2017年09月01日*画像はイメージです:「私は、ある株式会社の常務取締役を務めておりますが、社長から『他の取締役と意見が合わないから辞めてくれないか』と言われました。辞めざるを得ないのでしょうか。会社に対して何も主張できないのでしょうか」取締役のかたからこのようなご相談をいただきました。通常の労働者であれば、労働法によってその地位が保護されていますが、取締役などの会社の役員は会社との関係でどのような立場になるのでしょうか。 ■労働者との違い株式会社と取締役との法律関係は、雇用関係ではなく、委任関係とされています(会社法330条)。従業員が取締役に選任されるにあたって、退職手続をとり、退職金をもらう人もいらっしゃるかと思いますが、それはいったん労働契約が終了するためです。したがって、労働者の場合と異なり、取締役には労働契約法上の解雇規制(労契法16条)の適用はありません。なお、取締役の中には、従業員兼務取締役という立場の人もいて、この場合は労働者の地位が残っていると考えられています。次に、任期中に取締役を解任したい場合には、株主総会決議によって解任することができます(会社法339条1項)。取締役の解任には、労働契約上の解雇規制とは異なり、特段の理由を必要とせず、株主総会決議があれば自由に取締役を解任することができます。 本件では、常務取締役ですので、通常従業員兼務取締役ではなく、純然たる取締役です。そうだとすると、労働者ではありませんので、労働契約法上の解雇規制の適用もなく、当該会社の株主総会決議によって、解任することができます。 ■取締役解任の損害賠償請求それでは、取締役の解任の場合には、会社に対して何も主張できないのでしょうか。会社法339条2項は、解任された取締役は、その解任について正当な理由がある場合を除き、株式会社に対し、解任によって生じた損害の賠償を請求することができると規定しています。これは、取締役の解任の自由を保障しつつ、正当な理由がある場合を除いて、解任そのものによる損害賠償を認めることで、取締役の任期に対する期待保護と株主の会社支配権の確保との調和を図ったものと説明されています(法定責任説)。この会社法339条2項により請求できる損害賠償の範囲は、取締役が解任されなければ在任中および任期満了時に得られた利益の額とされており、典型的には残任期分の役員報酬相当額となります。一方で、慰謝料や弁護士費用は原則として認められません。 ■損害賠償請求が認められないケースも先ほど、損害賠償額の範囲について触れましたが、どんなケースで損害賠償請求が認められるのでしょうか?これについては、会社法339条2項には記載があり「正当な理由」のある解任を除き損害賠償請求が認められる、とされています。つまり、「正当な理由」がある場合には、取締役解任に対する損害賠償請求は認められないことになります。取締役解任の「正当な理由」の有無で争われる主要なケースは以下のような4つに大別されます。 (1)法令・定款違反行為、心身の故障(2)職務への著しい不適任など(3)経営上の判断の失敗(4)主観的な信頼関係喪失(大株主の好みや、より適任な者がいるというような単なる主観的な信頼関係喪失) それぞれのケースが正当な理由に該当するかどうかですが、(1)(2)に関しては、正当な理由に該当するとされています。(3)については正当な理由の有無について争いがあるとされており、(4)は正当な理由とは原則として認められません。 本件では、他の取締役と意見が合わないという理由だけでは、④の主観的な信頼関係喪失といえ、正当な理由は認められないでしょう。したがって、本件では、残任期分の役員報酬相当額の損害賠償請求が認められる可能性が高いといえます。 *著者 弁護士 小林 洋介(センチュリー法律事務所。一つ一つのご相談には個性があり、解決策もさまざまです。それぞれのご相談の事情や時代の変化に応じて、既存の解決策にとらわれず、新しい解決策を常に模索し、提案し続けていきたいと考えております)【画像】イメージです*プラナ / PIXTA(ピクスタ)
2017年08月31日*画像はイメージです:月と9月は、台風が多く発生する時期です。接近が予想される場合、災害に巻き込まれる可能性があるため、イベントなどが中止になることがあります。野球のように雨天中止が頻繁に発生する興行ならば混乱はありませんが、屋内でのライブなど、中止となることを想定していないイベントが仮に台風やその他災害によって中止になった場合、その後どうなるのかよくわからず、混乱してしまいます。チケット購入者への返金や、出演者に支払われる予定だった出演料の支払い義務は発生するのでしょうか。法律事務所あすかの冨本和男弁護士にお伺いしました。 ■チケット購入者への返金の必要性は?「結論からいいますと、特約がない場合、チケット購入者は主催者に対してチケット代金の返還を請求することができると考えます。ライブの主催者は、予定の日時に指定の場所でアーティストのライブをチケット購入者が鑑賞できるようにする義務を負っており、これに対し、チケット購入者はチケット代金を支払う義務を負っています。要するに、鑑賞できるようにする義務とチケット代金を支払う義務とは対価関係にあり、ライブ主催者とチケット購入者は双方が互いに対価的な債務を負っているということができます(双務契約)。このように契約当事者双方が対価的な債務を負っている場合で、当事者双方の責任でない事情によって一方当事者が債務を履行することができなくなった場合、公平の見地から、他方当事者の債務も消滅するとされています(民法536条1項危険負担の債務者主義)。危険負担というのは、契約当事者双方が対価的な債務を負っている場合において、一方の債務だけが債務者の責任でない事情によって履行不能となった場合に、他方の債務をどう扱うかという問題です。一方の債務が消滅した危険(リスク)を、債務者(消滅した債務についての)と債権者(消滅した債務についての)のどちらが負担するかという問題です。台風は誰の責任でもありませんから、台風が原因で主催者の債務が履行不能となった場合、チケット購入者の代金支払い債務も消滅することになるわけです。そして、チケット購入者が既に代金を支払っていた場合、主催者の不当利得となりますので、チケット購入者は、主催者に対してチケット代金の返還を請求できることになります」(冨本弁護士) ■出演者への出演料は?「結論からいいますと、特約がない場合、出演者は出演料を請求することはできないと考えます。出演者は、指定の日時場所でライブを行う義務を負っており、これに対し、主催者は出演料を支払う義務を負っています。出演者と主催者の契約関係も、双方が対価的な債務を負う双務契約です。やはり、台風は誰の責任でもありませんから、台風が原因で出演者の債務が履行不能となった場合、主催者の出演料支払い債務も消滅することになります(民法536条1項危険負担の債務者主義)」(冨本弁護士) チケット購入者への返金義務は認められる可能性が高く、逆に出演者への出演料は請求することは難しいようです。イベントが台風に遭遇しないことを、願うしかなさそうですね……。 *取材協力弁護士:冨本和男(法律事務所あすか。企業法務、債務整理、刑事弁護を主に扱っている。親身かつ熱意にあふれた刑事弁護活動がモットー。)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*graphicalicious / PIXTA(ピクスタ)
2017年08月29日本誌のドキュメンタリーページ『シリーズ人間』に登場し、「あのキレイだけど押しの強い弁護士はナニモノ?」と、巷をにぎわせた仲岡しゅん弁護士。その正体は、男性として生まれ、数年前に女性に「トランス」した男と女のハイブリッド弁護士!大阪生まれ、大阪育ちの若き闘士は、悪を許さぬ正義感と、美貌に似つかぬ義理人情を盾にして、法律を武器に日々奮闘中。そんなハイブリッド弁護士がトラブルをシュッと解決! 【今回の相談】「賃貸で住んでいる一戸建てが、先日の水害で床上浸水してしまいました。引っ越そうと家主に伝えたところ『水害被害による畳の張り替え、壁の染み抜き、そのほか清掃費が必要で敷金は全額、返金できない』旨を伝えられました。自然災害による汚れや破損なのに、敷金は返してもらえないのでしょうか?」(40代女性・専業主婦) 【回答】「自然災害によって生じた住宅の損害は、通常、敷金から差し引かれるものではない」(仲岡しゅん) 敷金に関する今回のご相談。「敷金」とは、賃貸人の賃料債権などを担保するために賃借人から賃貸人に支払われる金銭で、賃貸借契約終了の際、賃借人に賃料の不払いその他の債務不履行があれば、その金額を控除して賃借人に払い戻すべきお金のことです。 ここでポイントなのは、「賃料の不払い」と「その他の債務不履行」があれば敷金から差し引かれる、という点です。 1つ目の「賃料の不払い」の場合には敷金から差し引かれるわけですが、今回のご相談で家主が差し引くと言っているのは、水害による損害の補償。賃料の不払いではありませんから、これには該当しませんね。 次に、2つ目の「その他の債務不履行」。債務不履行は、ざっくり言うと「契約違反」のこと。たとえば、通常の生活ではありえないほど部屋を汚損してしまったとか、居室を勝手に喫茶店に改装してしまったような場合です。こういう場合には、債務不履行で敷金から差し引かれます。 しかし、債務不履行が認められるには、あなたの側に「落度」があることが必要。今回のご相談のケースは、水害という自然災害が原因であって、あなたには何ら「落度」はありません。そうすると、あなたに債務不履行はありません。 こうしてみると、自然災害によって生じた住宅の損害は、賃料の不払いでも債務不履行でもありませんから、通常、敷金から差し引かれるものではないということですね。それでも大家さんからは、「いやいや、自然災害の場合でも敷金から差し引くて、契約書に書いてありまっせ?」と言われるかもしれません。 そういう場合、契約書の内容にもよりけりですが、ご参考までに判例(最高裁・平成10年9月3日)をご紹介しておきましょう。賃貸借契約終了時に敷金から一定額を差し引くという契約になっていた建物が、地震で倒壊したケースです。この事案で最高裁は、「特段の事情がない限り、敷引特約を適用することができない」と、敷金から差し引けないとの判断をしています。 つまり、契約書に特約を記載するのも基本的には有効ですが、事案によっては無効と判断される場合もあるということです。まずは大家さんと交渉してはいかがでしょうか。わたくしだったら、そうします。
2017年08月28日*画像はイメージです:月14日、東京都大田区や神奈川県川崎市で車上荒らしを行っていたとして、無職の男(52)が逮捕されました。男は防犯装着がついていない自動車を狙い、バールなどで窓ガラスを割るなどして犯行に及んでいたそうです。取り調べで余罪を追及された男は、容疑を認めた上で、「70件くらいやった」と供述。そして、動機については「生活が苦しかったから」などと述べている模様です。このように、同じ犯罪を同じ手口で何度も行う犯罪者は少なくないのが現状。当然、罪は重くなるものと思われるのですが、実際のところどうなのでしょうか。星野・長塚・木川法律事務所の星野宏明弁護士に真相をお伺いしました。 ■同じ犯罪でも回数を重ねることで罪が重くなる?「同種犯罪、異種犯罪にかかわらず、確定判決を経ていない犯罪は基本的にまとめて併合罪(刑法45条)となります。併合罪では、原則として最も重い罪の刑の長期の1.5倍が全体の法定刑の上限となります(刑法47条)。ただし、各罪の長期の刑期の合計年数を超えることはできません(刑法47条但し書き)。したがって、窃盗1件だけの場合と比べ、窃盗の法定刑上限(10年以下)が1.5倍(15年以下)となります」(星野弁護士) ■「70件」は珍しくない「実務上、車上荒らし、ポスト合鍵を使用した住居侵入窃盗、盗撮行為、詐欺事案など、警察による発覚・検挙が難しい事案では、今回の事件のような余罪が70件以上という犯人は、それほど珍しくもありません。窃盗などは、発覚して逮捕されるまで何回も繰り返されることが特に多いので、今回の事件はたまたま報道されていますが、実際の裁判では70件とかそれ以上の余罪がある事件は、実はかなりあります。また、余罪が70件あっても、実際に起訴までされるのは被害内容が特定できた分だけとなり、さらに被害内容が特定できても、全部を起訴するわけではなく、実際には3~5件程度起訴されるだけとなることが多いです。残りは、情状面で考慮されることになります。また、実際に起訴されるのは余罪全体のうちの数件となりますし、併合罪の法定刑上限まで重い刑罰が実際に下されることもまずありません」(星野弁護士) ■多少重くなる程度「実際に下される判決の処断刑は1件だけの場合と比較し、感覚的には「多少重くなる程度」というイメージです。意外かもしれませんが、70件程度の余罪という事件は、実際にはよくあります。併合罪による法定刑上限の加重はありますが、実際にはそれだけで大幅に刑が重くなるということはあまりありません」(星野弁護士)1件だけと比較すると重くなることは間違いないようですが、それでも「多少」という範囲なのですね。 *取材協力弁護士:星野宏明(星野・長塚・木川法律事務所(旧星野法律事務所)。不貞による慰謝料請求、外国人の離婚事件、国際案件、中国法務、中小企業の法律相談、ペット訴訟等が専門。)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*Daniel Jedzura / Shutterstock
2017年08月27日*画像はイメージです:月22日、大手転職サイト「転職会議」に事実無根の投稿をされたとして、徳島市の企業が高松市のプロバイダー「STNet」に対し、投稿者の名前・住所などの開示を求めていた裁判が高松地裁で行われました。 ■発端は従業員を名乗る人物の書き込み事の発端は、「転職会議」のサイト上で、従業員を名乗る人物が徳島市の企業について「ワンマン社長」「管理職の能力が低い」などと投稿したこと。企業側はこの書き込みが「事実無根」「誤った投稿は採用活動の妨げになる」として、昨年10月、東京のサイト運営会社に対し投稿者のIPアドレスを開示するよう請求。主張が認められ、アドレスの開示を受けました。IPアドレスを解析した結果、投稿者が高松市のプロバイダー「STNet」を利用していることが判明。企業はより詳細な情報を求め、高松地裁に投稿者の住所や氏名などの情報を開示するよう請求します。「STNet」側は争う姿勢を見せましたが、高松地裁は企業側の主張を認め、「名誉が毀損されたことは明らか」として、「STNet」に情報を開示するよう命じました。 ■今後はどうなる?気になってくるのは、今後この事案がどうなるのか。インターネット問題に詳しい法律事務所アルシエンの清水陽平弁護士に、ご意見を伺いました。「プロバイダが控訴しなければ、情報が開示されることになります。その後は、当該企業が”話し合いたい”という趣旨のコメントをしているようなので、話し合いが行われることになるのではないでしょうか」(清水弁護士)控訴をした場合、判決は維持されるでしょうか。「判決を見ているわけではなく、あくまで報道を前提にすると、本件では判断が覆る可能性もあるのではないかと思います。名誉毀損となるためには社会的評価の低下が必要になります。“管理能力はない”という点については社会的評価の低下があり得るとしても、ワンマンであるということは必ずしもマイナス評価を受けるわけではなく、リーダーシップがあるといったプラスの意味で捉えられる余地もあり、必ずしも社会的評価の低下があるとは言えない、とされるのが一般的ではないかと思われます。また、仮に社会的評価の低下があるとしても、違法性阻却事由があれば名誉毀損にはなりません。本件のような意見論評型の名誉毀損の場合は、人身攻撃に及ぶなど意見・論評としての域を逸脱したものでないこと、が違法性阻却事由の一つとなりますが、”管理能力はない”という点は一般的な感想レベルといえるもので、人身攻撃に及んでいるということはできないからです」(清水弁護士) 今回高松地裁がプロバイダーに開示命令を出しているため、控訴がなければ情報を開示する必要がありますが、現在報道されている内容などを総合すると、今回の判決について、争う余地もあるようです。今後の展開が注目されますね。 *取材協力弁護士:弁護士 清水陽平(法律事務所アルシエン。インターネット上でされる誹謗中傷への対策、炎上対策のほか、名誉・プライバシー関連訴訟などに対応。)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*Dmitry A / Shutterstock
2017年08月26日*画像はイメージです:近年、「終活」という言葉がクローズアップされてきていますが、それに従って、自分の財産の整理や相続について計画をする人が増えているように感じます。そのような人が、自分の死後の財産をどのように残すかを決めるために、どのような方法があるかを考えた場合、真っ先に思い浮かぶのは、遺言書ではないでしょうか。しかしながら、遺言は場合によっては記載通りに遺産が継承されないこともあるのです。どういったことなのか解説していきたいと思います。 ■遺言は無視される?日本における相続では、民法で法定相続分という割合が決まっており、相続人の間で、この法定相続分に従って、亡くなった人(法律用語で「被相続人」といいます)の遺産を分割するのが原則です。ただし、遺産分割は、被相続人の財産の死後における処遇を決めるものですので、被相続人の意思を反映させるべきとも考えられています。その意思表示の方法が「遺言」です。法律上、遺言は、相手方の受領を必要としない相手方の無い単独行為であるとされています。要するに、遺言をした人が死亡すると、原則として、受け取る相続人の意思にかかわらず、遺言に書かれた内容どおりに財産が承継されるということです。ただし、 判例上、相続人の間で、被相続人が残した遺言の内容と異なった遺産分割協議を行うことは禁止されないとされています。「遺言は無視されちゃうの?何で?」と思うかもしれませんが、財産の承継を指定された相続人において、遺産を受け取りたくないという場合もあります。例えば、親が実家の土地建物を長男に継いでほしいと思い、これを長男に相続させるという遺言を残していたけれども、長男は実家を出ており、自分の家も所有してるため、実家に戻る予定はないというような場合です。このような場合に、長男が引き継がなければならないとすると、長男は「自分は住まないし、維持費用もかかるので、実家を売却して手放したい」などと考えることも十分にありえます。もし、他の兄弟が承継して実家を残してくれるというのであれば、遺言にこだわらずに、他の兄弟に承継してもらったほうが、実家は残るので、そのほうがかえって被相続人の意思にも適うという見方もできます。このような考えもあり、相続人が遺言と異なる遺産分割の合意をすることは認められていて、その場合は、結果として、被相続人が思い描いたような財産承継がなされないということになります。遺言を残す側からしたら、遺言が守られない場合があるということに納得がいかないかもしれません。しかし、財産を残したい被相続人の側だけでなく、もらう側の相続人にも立場や事情があります。 ■相続対策よりも…遺言を残すことを考えている人にとっては、自分の遺志をしっかり残すということが、なによりも大事かもしれません。しかし、その前に、遺志を受け取る側の迷惑になっていないかをよく考えたり、いざ自分が亡くなってしまった後に、受け取る側の相続人に迷惑だと思われないように、生きているうちに家族・親族としっかりコミュニケーションをとっておくということを忘れないようにしてほしいです。当たり前のことのように思われるかもしれませんが、コミュニケーション不足による親族間のトラブルは少なくありませんし、お金の問題ですから解決も難しいです。問題が大きくなってしまうと疎遠・絶縁となってしまったというケースも珍しくはありません。普段からのコミュニケーションを大切にしているという前提があってこそ、われわれ弁護士の専門的な助言が、遺言を残したい方の想いを実現するためにより役立ってくるのだと思っています。 *著者:千屋全由(丸の内ソレイユ法律事務所の弁護士。企業関係の相談・紛争処理から貸金返還や交通事故等の損害賠償請求といった個人の法的トラブルまで、様々な案件に携わっている)【画像】イメージです*EKAKI / PIXTA(ピクスタ)
2017年08月25日*画像はイメージです:高知県で、自転車に乗っていた47歳の女性が歩道を歩いていた77歳の女性と衝突。77歳の女性は転倒し、骨折をする事故が発生しました。事故を起こした47歳の女性は、救護活動などを一切せず、立ち去るという暴挙に。警察は必死の捜査を行い、犯人を特定。当該女性は道路交通法違反で書類送検され、罰金刑が確定しています。 ■自転車事故で自動車運転免許が停止にさらに警察は「骨折させておきながら逃げた」ことを重く見て、女性の持っていた自動車運転免許について、180日の免許停止処分とすると発表。“自転車”で事故を起こし、“自動車”の運転免許停止になるという珍しい現象が発生し、話題となりました。ちなみに、高知県では初めてのことだったそう。一方で他県を見ると、「自転車事故で自動車運転免許停止」という事態がちらほらと発生しているようです。なぜこのようなことになるのでしょうか?桜丘法律事務所の大窪和久弁護士に真相を聞いてみました。 ■なぜ自動車運転免許が停止になった?「道路交通法103条では免許の取消及び停止がなされる場合について規定していますが、同条1項8号では免許を受けた者が自動車等を運転することが著しく道路における交通の危険を生じさせるおそれがあるときにおいて、免許の取消及び6ヶ月を超えない範囲内での免許の停止を認めています」(大窪弁護士)道路交通法103条の1項8条に、しっかりと規定があるのですね。 ■今後増加する可能性さらに大窪和久弁護士は、今後このようなケースが増加するのではないかと指摘します。「自転車での飲酒運転や危険運転についても、それを行った運転者が自動車を運転する場合に危険が生じる可能性が高いとして上記条文を根拠に免許停止がなされる事例は数は多くありませんがこれまでもあります。自転車運転の安全についても厳しい見方がされるようになってきていますので今後処分件数は増えるのではないでしょうか」(大窪弁護士) 自転車の危険運転は社会問題化しており、死亡事故も発生しています。そのようなことを防ぐ意味でも、大窪弁護士の指摘するように、処分件数が増えそうですね。 *取材協力弁護士:大窪和久(桜丘法律事務所所属。2003年に弁護士登録を行い、桜丘法律事務所で研鑽をした後、11年間、いわゆる弁護士過疎地域とよばれる場所で仕事を継続。地方では特に離婚、婚約破棄、不倫等の案件を多く取り扱ってきた。これまでの経験を活かし、スムーズで有利な解決を目指す。*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*Graphs / PIXTA(ピクスタ)
2017年08月22日*画像はイメージです:読者の皆さんは、人から名字と下の名前どちらで呼ばれますか?おそらく、名字で呼ばれる機会が多いのではないでしょうか。この名字と名前は法律的にはそれぞれ「氏」「名」と呼ばれています。基本的に名は変わることがありませんが、氏は婚姻・結婚で変わることがあります。今回は氏について婚姻時や離婚後、再婚時にどうなるのかといった点について解説してみたいと思います。 ■民法に「夫婦は氏を合わせる」という規定がある民法には、婚姻する際、夫婦どちらかの氏に合わせるとの規定があります(750条)。ほとんどが夫側の氏に合わせるようです。氏を変えると、様々な不都合(免許の書き換え、契約関係の名前の訂正等)が考えられます。そのため、職場では通称として旧姓を使用する人も増え、職場での通称使用をめぐって裁判になる事件も出てきています。 ■離婚後に氏はどうなる?さて、氏を変えた人は離婚時どうなるのでしょう。民法は、氏を変えたものは離婚により、「婚姻前の氏に復する」と規定しています(767条1項)。例えば、私は林という氏ですが、私が佐藤さんと「佐藤」という氏を選択して婚姻し、そして離婚した場合、私は「佐藤」から「林」に戻ることになります。 ■離婚後の子どもの氏はどうなる?もし、離婚時に子どもがいた場合、子どもの氏はどうなるのでしょうか?離婚した本人は「佐藤」から「林」に氏が変わりますが、子どもの氏は「佐藤」のままとなります。そのため、私と子どもの氏が異なることになり、社会生活上支障をきたすかもしれません。また、私にとっても、長年「佐藤」で過ごしていれば「林」に戻ることが社会生活に支障をきたすかもしれません。民法には、離婚時に婚姻生活で使っていた氏を引き続き使える手続きがあり(民法767条2項等)、この手続を利用すれば、私は離婚後も「佐藤」と名乗れることになります。 ■再婚後に再度離婚をしたら氏はどうなる?では、私が「佐藤」を名乗ることに決めた後、鈴木さんと出会い再婚し、新たに「鈴木」と名乗ることにしました。そして、再度離婚した場合、私の氏はどうなるのでしょうか。私が「鈴木」から戻る氏とは、元々の氏である「林」でしょうか。それとも鈴木さんと出会う前に名乗っていた「佐藤」でしょうか。民法767条2項には、「婚姻前の氏に復する」と規定されています。結論をいえば、婚姻前の氏は「佐藤」でしたので、私の氏は「佐藤」になります。離婚後に「林」には戻れないのです。 ■もし元々の氏を名乗りたければ?もっとも、私が「佐藤」から「林」を名乗る方法が全くないわけではありません。例えば、林さんと婚姻すれば、新たに「林」と名乗れます。また、林さんの養子になれば「林」の氏になります。しかしながら、婚姻するには別の林さんを見つけて良い仲にならねばなりませんし、年上の別の林さんを見つけて養子に入れてもらうのも一苦労です。他には、氏の変更を家庭裁判所に許可を求めるという方法も用意されています。家庭裁判所に許可してもらうには「やむを得ない事情」が必要です(戸籍法107条1項)。いずれにせよ、簡単には「林」に戻れません。離婚の際、どちらの氏を使うのか、慎重に判断しないと後悔することになるかもしれませんね。 *著者 弁護士:林 正和(丸の内ソレイユ法律事務所の弁護士。全ての案件に対し、最善を尽くすため、広い視野を持ち、幅広い知見を得られるよう精進して参る所存です。)【画像】イメージです*Satoshi KOHNO / PIXTA(ピクスタ)
2017年08月21日(写真:THE FACT JAPAN) 再ブームの予感がする韓国ドラマ。そんな“韓ドラ”の凄ワザを、『定年後の韓国ドラマ』(幻冬舎新書)の著書もある、韓国ドラマを15年間で500作品見た、作家・藤脇邦夫が読み解く! 【第18回】『記憶~愛する人へ~』――イ・ソンミンにみる主演俳優の配役変化について 地味な印象の俳優の方が、逆に新しいキャラクターを演じるのにふさわしいと考える傾向があるのか、そういう例が最近増加している。人気俳優が派手な風体で派手なキャラクターを演じるのは当たり前すぎるし、悪相の俳優が凶悪な役を演じるのも却ってつまらない、面白くないという事なのだろうか。その意味も含めて、今回の『記憶~愛する人へ~』(’16年・tvN)はこれからの韓国ドラマのある方向性を示すと思われる作品である。 主役を演じるイ・ソンミンは今までは地味な脇役を長く続けてきた俳優の一人で、主役を演じたのは『ゴールデンタイム』(’12年)からだが、その時点で43歳という遅咲きだ。その一見地味でどこにでもいそうと思われていた俳優のキャリアは『ミセン』(’14年)で急転する。猛烈商社マンの人間臭い面を見せたこの作品は、イ・ソンミンという俳優をさらに印象付けることになり、この『記憶』でその評価は決定的になった。 『記憶』はテレビドラマとしてはかなり複雑な構造を持った作品である。むしろ、映画的といってもいい濃密さだ。主人公の敏腕弁護士はあまりにも強引な手法で弁護士の枠を超えて違法すれすれの事までこなすようになっている。だが、その裏には、子どもを不慮の事故で亡くして離婚、そして再婚して、仕事に忙殺されながらも、何とか幸せな家庭を築こうとする主人公なりの努力も垣間見えるという具合だ。そんな時、本人の体に異変が起こり(初期アルツハイマー病の宣告)、同時に一見平穏だった家庭にも、弁護士としての業務にも亀裂が入るようになる。ここで上司(イ・ソンミン)の言動に幻滅して辞表を出そうとしていた部下としてジュノ(2PM)が登場し、主人公と最後まで行動を共にするドラマ内の重要な人物となる。今や定番ともいえるK-POPメンバーの単独ドラマ進出については賛否両論あるが、この作品でも全体のマイナスにはなっていない。 前妻とのトラウマも並行して描かれるこのドラマの中で、主人公は、記憶が完全になくなる前に、何のために、何をすべきなのかを考えるようになる。症状が進んでいく残された時間の中で、主人公は最後の行動に出るが、これは誰にでも起こりうる人生の転機、岐路についての根源的な問いかけである。シナリオは、傑作『復活』『魔王』を手掛けたキム・ジウの最新作で、韓国ドラマの水準をまた一つ上げた。期待通りの秀作だ。
2017年08月21日7月31日、Twitterに「安倍総理逮捕」と書かれたデマ新聞記事画像が『産経新聞社』の「PDF号外」を装いアップロードされる事案が発生。産経新聞社は「極めて悪質」と遺憾の意を表明しており、法的措置も検討しているようです。事案は今のところ進展を見せていませんが、今後、投稿主はどのような罪に問われることが予想されるのでしょうか?法律事務所アルシエンの清水陽平弁護士にご意見を伺いました。Q.安倍総理の「ニセ新聞記事」事件、投稿主はどのような罪に問われる?*画像はイメージです:名誉毀損罪、威力業務妨害罪が成立する可能性があります。「記事の内容が“安倍総理逮捕”といったものであるため、単純に考えると安倍首相が刑法に抵触する違法行為をした疑いがあるということで逮捕されたと認識されることになるため、安倍首相との関係でその社会的評価を低下させることになります。そのため、安倍首相に対する名誉毀損罪となる可能性があります。ただし、名誉毀損罪は親告罪であるため、安倍首相が告訴しなければ、実際上は捜査もされないと思われます。偽の号外を出された産経新聞としては、それが偽なのかどうかは一見して明らかとまではいえないと思われることから、デマを報じていると認識されることになります。そうすると、産経新聞に対しては抗議や確認の連絡が多数された可能性もあります。このような問い合わせに対する対応が必要になったという点で、業務が妨害されているということができます。したがって、偽計業務妨害罪が成立する余地があります。また、報道機関としての存在意義を否定されるなど、報道機関としての正当性に疑問を持たれてしまう可能性がある点で、産経新聞の社会的評価も低下していると言い得ます。したがって、名誉毀損罪が成立すると見ることができます」(清水弁護士) 今回の事案は名誉毀損罪、威力業務妨害罪などが成立する可能性があるとのこと。公人・私人問わず人の名誉を傷つけるような投稿は、止めるようにしましょう。また、仮に自分がデマ被害に遭っているという場合は、名誉毀損罪や威力業務妨害罪で訴えることができるかもしれません。弁護士に相談をしてみましょう。 *取材協力弁護士:弁護士 清水陽平(法律事務所アルシエン。インターネット上でされる誹謗中傷への対策、炎上対策のほか、名誉・プライバシー関連訴訟などに対応。)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*Graphs / PIXTA(ピクスタ)
2017年08月19日*画像はイメージです:年7月30日、福岡県警察南署に勤務する警部補が、セカンドバッグ内に乾燥大麻を所持していたとして、逮捕されていたことが判明しました。警察官は国家権力を持っているだけに、品行方正であることが求められます。ほとんどの警察官は真面目に日々善良な市民の安全を守るため、その職務を全うしてくれていることでしょう。その一方で今回のような不祥事も発生していますが、警察官による大麻所持事件が起きた場合、一般人より罪は重くなるのでしょうか?法律事務所あすかの冨本和男弁護士にお伺いしました。 ■警察官の大麻所持は一般人より罪が重くなる?「重くなる場合があります。警察官は、個人の生命・身体・財産の保護、犯罪の予防、公安の維持等を忠実に遂行することを任務としています(警察官職務執行法第1条)。犯罪の予防を職務とする警察官が犯罪を行った場合、警察の信用は失墜し社会に与える影響は深刻重大です。そこで、社会に与えた悪影響を払拭し、警察官が犯罪に手を染めないようにという意味で重く処罰される可能性があります。社会に与える影響は深刻・重大ですし、薬物犯罪の問題点について熟知している警察官による犯行は一般人が行った場合よりもより非難されるべきと考えられ責任が重いからです」(冨本弁護士)やはり一般と比較すると薬物犯罪に熟知している警察官が大麻を所持していた場合は、罪が重くなるのですね。 ■大麻は「使用のみ」では犯罪にならない?大麻取締法については、「使用しても罪にはならず、所持が違法になる」という不思議な法律という認識があります。仮にそのようなことがあった場合、罪に問われないのでしょうか?再度法律事務所あすかの冨本和男弁護士に、お伺いしてみると……。「大麻取締法は、第3条1項で“大麻取扱者でなければ大麻を所持し、栽培し、譲り受け、譲り渡し、または研究のため使用してはならない。”と規定し、第24条の3の第1項で“大麻を使用した者”を5年以下の懲役で処罰すると規定しています。“使用”が無罪というわけではりません。大麻の吸食行為を直接処罰する規定がないだけです。吸食には通常所持を伴いますので大麻の所持罪で処罰されることになります」(冨本弁護士)やはり吸食行為を直接する処罰規定がないだけ、ということなのですね。実際問題吸うためには所持せねばなりませんから、「吸引したけれど所持していない」という主張は成り立ちません。薬物は身を滅ぼします。絶対に使用しないようにしましょう。 *取材協力弁護士:冨本和男(法律事務所あすか。企業法務、債務整理、刑事弁護を主に扱っている。親身かつ熱意にあふれた刑事弁護活動がモットー。)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*Scanrail / PIXTA(ピクスタ)
2017年08月16日*画像はイメージです:月11日、京セラドーム大阪で練習中のオリックス・バファローズ中島宏之選手に鉄パイプが落下。右腰から背中に当たるという事故が発生しました。幸い、中島選手は命に別状なく軽症でしたが、一歩間違えれば大事故だっただけに、衝撃が広がりました。ちなみに、原因は広告を取り付ける作業をしていた作業員が誤って落としてしまったためだったそうです。このようなケースでは死亡事故も発生しており、社会問題化しつつあります。仮に作業員の過失で人を死傷させてしまった場合、「誰が、どのように」責任を取ることになるのでしょうか?ともえ法律事務所の寺林智栄弁護士に見解をお伺いしました。 ■責任は誰がとる?「最近増えている工事現場の落下事故。落ちてくるのは鉄パイプや工具など、当たれば命に関わるものばかりです。落下させたことについて、誰がどのような責任を問うのか考えてみたいと思います。落下によりけがをした人、被害者が亡くなった場合にはその遺族は、もちろん実際に落下させた人に過失があれば、損害賠償を請求できます。治療費や慰謝料等々が含まれます。ただ、落下させた本人は莫大な賠償金を支払えるだけのお金を持っていないことも少なくありません。そこで、法律上は使用者責任、代理監督者責任というものが認められており、建設会社の社長や現場監督などにも責任を追及することができます」(寺林弁護士) ■犯罪は成立する?「業務上の注意を怠った結果このような事故が起こったということであれば、業務上過失致死傷罪が成立する可能性があります。これも、事故を起こした本人だけでなく、社長や現場監督にも成立する可能性があります。成立すると5年以下の懲役刑もしくは禁固刑、又は100万円以下の罰金に処されることとなります。東京オリンピックも近くなり、首都圏では大規模な工事が増えています。一度事故が起きれば重い責任が課されることとなります。工事関係者の皆様には、十分な注意をお願いしたいものです」(寺林弁護士)厳しい環境での作業は非常に大変だと思いますが、事故が起きないよう十分に注意してもらいたいものですね。 *取材協力弁護士:寺林智栄(ともえ法律事務所。法テラス、琥珀法律事務所を経て、2014年10月22日、ともえ法律事務所を開業。安心できる日常生活を守るお手伝いをすべく、頑張ります。)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*TATSU / PIXTA(ピクスタ)
2017年08月16日《依頼人(橋本市議の妻)に「離婚事由に相当する問題」があるなどという極めて不誠実な釈明に終始されるなど、依頼人らは、貴殿らの言動等により多大なる精神的・肉体的負担を強いられております》 橋本健神戸市議(37)との不倫を報じられた元SPEEDの今井絵理子参院議員(33)。2人に宛てて橋本市議の妻(37)の代理人弁護士が送った文章には、妻の怒りがにじみ出ていた。橋本市議は妻との間に9歳と5歳の子どもがいるにも関わらず、この文書によると一方的に離婚を要求し家に帰らなくなったという。今井、橋本議員双方「一線は越えていない」と往生際の悪い主張をしたが、アディーレ法律事務所の篠田恵里香弁護士はこう語る。 「お2人で一緒に外泊している。パジャマ姿でホテルの写真等の証拠が多数あるので、肉体関係が強く推認され、不倫があったと判断される可能性は高いでしょう」 そんな苦しい言い訳は通らないとバッサリ。妻を捨て元アイドルのもとに走った橋本市議。仮に離婚になった場合、妻に払う慰謝料の相場は200~300万円ほどだが、彼女は離婚には応じていないという。一方離婚に至らない場合も、妻は今井議員に慰謝料を請求できる。 「不倫でも離婚に至らない場合、慰謝料は50万円~100万円が目安になります。仮にこれが原因で離婚することになれば、妻が相応の精神的負担を被っていることを踏まえると、300万円程度にはなると予想されます。ただ、今井さんは国会議員という立場です。裁判を避けたいと考え、高額な慰謝料を受け入れて示談するかもしれません。その場合、高ければ500万円以上になることも考えられます」(篠田弁護士) 今年公開された『資産報告書』によると、今井議員の資産は約1億円。500万円を払ったもたいして痛くはない。 「でも示談に応じれば会見で稚拙なウソをついたことになるし、仮に裁判になれば、やはり不倫していたと認定されてしまう可能性が高い。すでに今井議員の政治生命は終わっています。現在、今回の件が原因で辞めてしまった今井の秘書の代わりに関係各所に頭を下げて回っているのは、今井が所属していた旧山東派の別の議員の秘書です。同じタレント出身で、彼女を後継者と見なしていた旧山東派の領袖・山東昭子議員も激怒し、今井を見限りました」(自民党関係者) 政治家にとって、お金よりも大切な“信用”を失ってしまった――。
2017年08月16日*画像はイメージです:夏ですね!毎日暑いです。暑いと厚着なんかしてられません。当然露出も多くなります。この時期、「痩せたい」「少しでも細く見せたい」、そう考える人も多いと思います。今年も8月に入り、そろそろ夏も後半戦ですので、あと少し我慢して夏を乗り切り「来年の夏こそは!」と考えるのもひとつですが、「この夏のうちに結果を出したい!」と思う場合につい惹かれてしまうのが、ダイエットサプリやダイエット食品ではないでしょうか。今回はダイエットサプリやダイエット商品の広告における法的問題点を解説したいと思います。 ■健康食品などの広告には法規制がある「飲むだけで、理想のスタイルに!」「気づけば1週間で-5kg!」「置き換えるだけでラクラクダイエット!」などなど、魅力的な文字が商品の宣伝サイト上に踊っています。「これさえあれば、すぐに理想のボディになれる?」などと思ってしまいますが、もしそうであれば誰も苦労していないのではないでしょうか。飲むだけで理想のスタイルになれるのは魔法の国のお話ですし、標準体重の人が1週間で5kgも痩せたら病気を疑うべきです。人が健康的に痩せるには、適切な食事制限と運動、そしてある程度の期間が不可欠です。しかしながら、そんなことは分かっていても、速攻ラクに痩せたいと、魔法のようなダイエット食品に頼りたくなる気持ちも分かります。そんな心の弱い私たちが、甘い売り文句に惑わされて、不適切な買い物をしてしまわないように、ダイエット食品のようないわゆる健康食品の広告は、法律で規制されています。 ■景品表示法では広告全般を規制しているまず、広告一般を規制する法律として、不当景品類及び不当表示法(景品表示法)があります。この法律では、一般の消費者に対して商品の品質等の内容が実際よりも著しく優良であると誤解させる表示や、取引条件が実際よりも取引の相手方に著しく有利であると誤認させる表示など、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある広告が禁止されています。 ■食品の広告については健康増進法で規制されている食品の販売に関する広告については、健康増進法が、健康の保持増進の効果等について、著しく事実に相違する表示と著しく人を誤認させるような表示を禁止しています。例えば「飲むだけで誰でも必ず10kg痩せます!」といった表示は、事実と相違することが明らかですし、痩せたくて切羽詰まっている消費者の合理的な選択を阻害するおそれがありますから、これらの法律に違反していることになります。このように、それさえ摂取すれば簡単にラクして痩せられるかのような広告は法律で規制されているのですが、それでも実際には魅力的すぎる売り文句が溢れています。どうしても誘惑に駆られて商品に手が伸びてしまいますが、ダイエットには適切な食事制限と運動が欠かせないということを忘れずに、ダイエット食品はあくまで栄養補給のためのものであると理解した上で、上手に利用したいですね。 *著者:弁護士 伊東有理子(丸の内ソレイユ法律事務所の弁護士。国税審判官としての勤務経験あり。離婚から企業法務まで幅広く精通し、依頼者に最良の結果をお届けできるよう日々努める。)【画像】イメージです*Kazuhiro Konta / PIXTA(ピクスタ)
2017年08月14日義父母がシンドイんです!
ネットに毒され過ぎた兄の末路
お義母さん! 味が濃すぎです