春は入園・入学・進級の季節。子どもはストレスを感じやすい?出典 : 入園・入学・進級をむかえた親子も多いこの季節。「うちの子も〇年生かあ…」など、子どもの成長をしみじみと実感している保護者の皆さんもいるのではないでしょうか。一方、入園や入学となると、新しい園や学校、知らない先生など、初めての環境で、変化を大きく感じる親子も多くいるのではないかと思います。例えば、この春幼稚園などに入園した子どもは、初めての集団生活やいつも一緒にいた母親がいないといった変化、学校に入学した子は、友達・先生との関係構築がいままでより複雑になったり、学習が始まったりといった変化をむかえます。また、保護者にとっても、本格的なママ友・先生とのつきあいやPTA参加など初めて経験することがあります。子どもにも保護者にも、分からないことや初めてのことだらけの新学期は、疲れやストレスがたまりがちな季節でもあります。特に発達障害があると、環境の変化に不安を感じやすいことが多く、ストレスを過剰に感じてしまった結果、登園・登校しぶりにつながったり、放っておくとゆくゆくは二次障害につながったりする場合もあります。子どもが新たな環境に慣れ、快適に過ごしていくには、ストレスサインや症状を感じ取り、適度に発散させていくことが重要です。この記事では、子どものストレスサインや気をつけたい症状、親子それぞれのストレス発散方法について紹介します。子どものこんな様子に要注意!不安・イライラ…心のSOSサインとは?出典 : 子どもがストレスを感じているサインは、生活場面から分かるものから、細かな行動・しぐさの変化までさまざまです。・学校での活動への意欲がない・挨拶に元気がない・体調不良をよく訴える・保健室へ行く回数が増える・友達と関わろうとしない・他学年の子とばかり遊ぶようになった・赤ちゃん返り・幼児退行のような行動が見られるなど・発熱・腹痛が多くなった・息苦しさを感じている様子が見られる・嘔吐、気持ち悪さを感じる頻度が多くなった・アレルギー症状の悪化、新たな症状の出現・睡眠の質の低下(寝つきが悪くなった、「眠れない」とよく言うようになった、怖い夢を見る、過度に睡眠時間が増えた、朝すんなり起きられないなど)・チックや自傷行為が見られるようになった・急激にやせた、あるいは太ったなど・感情の起伏が激しくなった・ちょっとのことで癇癪を起こしたり、反抗したりすることが増えた・無表情の時が多くなった・何もしないで長い間ぼんやりしている・挨拶をしなくなった・独り言を言うようになった・元気がない などここで述べた症状や状態の変化はあくまでも一例です。子どもが新学期に入って、明らかにこれまでとは違う言動や反応を見せるようになったら、少し注意して見てあげた方がよいでしょう。参考:こころのSOSサインに気づく|厚生労働省参考:学校における子供の心のケア|文部科学省新学期、子どものストレスサインを感じたら…サポート・発散方法は?出典 : では実際、子どものストレスサインを感じたら、どのような発散方法があるのでしょうか。一例をご紹介します。新学期は、親子ともにバタバタとした生活を送ってしまいがち。なかなか親子でゆっくり過ごす時間が取れていない、と感じている方も多いのではないでしょうか?入園や入学などを経て、少しお兄さん・お姉さんになったとはいえ、まだまだ子どもです。慣れない環境にへとへとになってしまったり、学校では気を張ったりしていることもあるかもしれません。親子でゆっくりお話をしたり、スキンシップをとったりするだけでも、子どもの安心感が高まります。また「いつもと違うかも?」という子どもの変化を確かめることもできます。忙しい時期ゆえに、親子でゆっくり過ごす時間は見逃してしまいがちです。少し意識して、子どもと接する時間を増やしてみましょう。特に発達障害のある子どもは、新学期に発生しやすい流動的な時間割のような、「いつもと違う」「見通しがもてない」ことに対してとても不安に感じてしまうことがあります。また、子どもの特性にあった合理的配慮が、新学期になりたてでなかなか受けられず、どうしても学校でうまく活動できずに落ち込んでしまうこともあるかもしれません。家庭でも、子どもの特性にあったサポートを心がけることが大切です。例えば、新しい教室の場所や新学期の予定をあらかじめ伝えておくなど「できる限り事前に伝える」ことで、新しい場所に一歩踏み出せるようサポートしてみるとよいでしょう。また、家庭で子どもの特性に合ったサポート方法を探ることができれば、その方法を学校でも同じように先生に実行してもらうなど、合理的配慮の導入もスムーズになることがあります。園や学校での活動以外にも、好きで熱中している活動がある、というお子さんもいるのではないでしょうか。好きな活動を存分にさせることがストレス発散になることもあります。新学期で疲れて、少しやる気や元気がない様子の子どもでも、もともと好きだったことに誘ってみて、乗り気になれば、この活動がストレス発散や、生活のモチベーション維持のきっかけになるかもしれません。学校終わりや休日などを見て、子ども自身が好きなことに思いっきり熱中できる環境を用意するのはいかがでしょうか。新学期は登園・登校しぶりが多くなる時期。登園・登校しぶりをされてしまうと、親としても仕事に行けなかったり、園や学校に連絡するのに気が引けてしまったりなど、困ってしまうことも多いかと思います。今まで親元を離れた経験がない場合や低年齢の子どもの場合は、慣れるまである程度時間がかかることもあります。次第に学校や園に馴染むケースも多いので、過度に心配しすぎずしばらく様子を見ることも必要です。ただ、登園・登校を嫌がる子どもを無理に行かせることが続いてしまうと、園や学校へのイメージがどんどん悪いものになっていってしまいます。登園・登校しぶりを見せた場合は、まず「行きたくない気持ちを受け止めること」を心がけることが大切です。子どもの気持ちに共感し、認めてあげることで、子どもの感情の波や不安定さが落ち着いて、登園・登校できることもあります。どうしても行きたがらない場合は、強制せず、家で過ごせるように工夫することも一つの手です。そのかわり、園や学校に行かないという選択をした日も、ただ、だらだらさせてしまう・放っておくのではなく過ごし方を工夫することをおすすめします。例えば、その日やることを子どもに決めさせたり、感じていることを紙に書きだしてもらったりするなど、子ども側の活動を促してあげることを心がけましょう。発達障害の子どもの場合、ストレス耐性が弱いことがあり、なかなかストレスを消化できないまま、二次障害につながってしまうこともあります。二次障害には以下のようなものがあります。・うつ・対人恐怖・ひきこもり・不登校環境が変わる新学期は、ストレスがたまりがちです。もし、上記のような症状の傾向が見られたら、スクールカウンセラーや臨床心理士、精神科医などの専門機関に相談しましょう。子どものサポートで余裕がなくなる前に…保護者が気をつけたいことって?出典 : 子どものストレスサインに気づき、サポートをするには、保護者自身もストレスをうまく解消していく必要があります。子どもだけでなく、保護者にとってもストレスを感じがちなこの時期に、どんなことを気をつければよいのでしょうか。「子どもが辛い・苦しいと思っている時は寄り添ってあげたい」「子どもが新しい環境で頑張っているんだから、私も頑張らなきゃ!」子どもに対して、このように感じている保護者の皆さんも多いと思います。ですが、「親の私が『疲れた』『休みたい』など弱音を吐いてはいけない」「ストレスサインがあったかもしれないのに、どうして気づいてあげられなかったんだろう…」このように自分自身を追い込んでしまったり、責めてしまったりすると、保護者の心もどんどん疲れてしまいます。この時期、特に不安定になりがちな子どもを支えるには、保護者自身が心に余裕をもつことが大切です。余裕がなくなると、子どもから伝えられているささいなサインに気づくことが難しくなりがちです。また、登園・登校しぶりが起きた時に、子どもの感情に共感できなくなってしまうこともあります。「子どもも新しい環境で頑張っているし、親の私も新しい環境・年度初めで頑張っている。お互い疲れてしまうことも、休みたくなってしまうこともある」などと、少し肩の力を抜いて、自分の今の状況や心身の状態を認めてあげることが大切です。園や学校の先生をはじめ、スクールカウンセラー、保健室の先生など、保護者以外の大人に、子どもの今の状態や心配事を共有しておくことも大切です。連絡帳や、時には面談などで、子どもに対して感じている不安や、新学期前後での変化を相談してみましょう。そうすることで、担任など複数の大人が子どもに対して目を向ける機会を多くできることがあります。子どもに目を向けてくれる大人が1人増えるだけで、子どもの変化にも気づきやすくなりますし、「自分が子どもをしっかり見なきゃ…!」と追い込まれがちな場合も、「先生と協力して子どもを見守っていこう」と少し気を楽にすることができます。子どものこの季節の登園・登校しぶりやストレスによる症状は、多くの保護者が経験してきています。先輩パパ・ママに「実は今登園・登校しぶりが激しくて…」「新学期に入ってから子どもの様子が変で…」と話してみると、意外と「うちもそうだった!」「こうやって乗り越えたよ」など共感やアドバイスがもらえることもあります。また、発達ナビユーザーの方も、新学期の登園・登校しぶりに関する悩みを投稿し、他の方がご自身の経験談を共有しています。ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。お子さんを取り巻く環境が一変したことで、落ち着かないのでは?と感じました。交流級と支援級と先生がいて、複数の先生がか関わることで、一番にどの先生を頼ったらいいのかわからない、支援級で受ける授業と普通級で受かる授業とがあり混乱している…またあるいは、1年生のときの同級生から「どうして支援級にいるの?」と聞かれて答えられないでいる…ということがあるかもしれません。転籍時は、自己肯定感が下がりやすいんです。なぜ僕だけ、私だけ、みんなと違うクラスで勉強するのだろう…みんなと何が違うんだろう…なんとなく心の中でもそうした気持ちがあるのだと思います。落ち着かないのは、不安のせいではありませんか?一学期は混乱するものだと割り切って、ちょっと長い目でみられるのも大事かもしれません。うちも一学期は毎年「地獄の一学期」と覚悟してました。落ち着かないまま夏休みに入り、残暑きびしい二学期最初までずっとつらい、10月くらいからやっと様子がつかめてきて、三学期に軌道にのる・・の繰り返しでした。これから何度も一学期がめぐってきます。たくさん一度に新しい先生に求めるとうまくいかないので、一個ずつ確認しながら・・がいいかな、と思います。学校内にお子さんの避難場所を確保する必要があると思います。保健室、図書室、支援クラス、プレイルーム……使える部屋がなければいっそ校長室でもいいです。登校しぶりが出ているのでスクールカウンセラーさんに相談したい、学校での様子を見てもらいたい、と担任の先生に聞いてみてください。スムーズに手配してくれるか、少し様子見がいるかもしれません。あくまでも担任の先生を輪に入れつつ、保健室の先生、主任先生、教頭先生、と相談を広げていけるといいかな、と思います。繰り返しになりますが、子どものストレス症状に気づいたり、登園・登校しぶりに対応するためには、保護者自身もストレス解消を定期的にしていくことが大切です。日々の子育ての中ではなかなか難しいことではありますが、自分の趣味やストレス発散方法(もともと好きなこと・趣味など)を実践できる時間を、短時間でもいいので定期的に設けるよう意識しましょう。自分の親に子どもを少しだけ見てもらう、一時預かり・ファミリーサポートなどの利用検討も含めて、時には子育てから離れ、リフレッシュする時間を作り出すのもよいですね。まとめ出典 : 新学期は、子どもにとって環境が大きく変化するため、子どもにとっても、親にとってもストレスや不安を抱えがちな時期です。「新学期がはじまったばかりだし、そのうち落ち着くだろう」と思ってしまいがちですが、実は子どもの強いSOSサインが隠されていることも。また、発達障害のある子どものなかには環境変化に強い不安感を抱いたり、何気ないことでストレスを感じたりする子どももいます。慣れて次第にストレスがなくなる場合もあるので神経質になりすぎる必要はありませんが、大切なのは、子どもや自分自身の心のSOSがあった時に気づけることです。子どもがストレスや不安を感じた時には、身体・行動・情緒面にどんな変化が現れるのか、あらかじめ把握しておくこと。また、子どものちょっとした変化に敏感に気づくためには、親にもある程度の余裕があることが重要です。新学期は親も子も、新しい環境からくるストレスや不安を感じやすいです。「無理をしすぎない」ように、親子それぞれにあったストレス発散方法を試していくことをおすすめします。
2018年04月21日就職活動の落とし穴は、意外なところに…Upload By 荒木まち子Upload By 荒木まち子職場実習で困った、あることとは?高校卒業後、就労を目指していた娘はいくつかの企業の職場実習を受ました。実習では毎日業務終了後に、その日に行った業務について、報告書を書くことになっていたのですが…報告書には、罫線がなかった!Upload By 荒木まち子報告書の本人記入欄には罫線がありませんでした。障害の特性上、娘は罫線がないと字を真っ直ぐに書くことができません。さらに、書いているうちに字が徐々に小さくなったり重なったりしてしまい、自分でも読めないような字になってしまうのです。字を書く前に、まず罫線を引いた娘。でも…Upload By 荒木まち子そこで、娘は字を書く前に報告書に罫線を引くことにしたのですが、定規のメモリを読むことやメモリ打ちも苦手な娘が引く線は、どうしても曲ってしまいます。不器用な娘の救世主となる文房具、見つけた!母子で途方に暮れていたときのこと…テレビ番組で、便利な文房具が紹介されているのを目にしたのです。それは、「おもしろスケール」というものでした。早速使ってみると…母子で感動Upload By 荒木まち子近所の文具屋さんで取り寄せてもらい、使ってみました。「おぉ、(罫線を引く際の)メモリ点を打つための一センチ刻みのメモリ穴がある!」と母子で感動。Upload By 荒木まち子さらに定規にローラーがついているので、手先が不器用な娘でもまっすぐに罫線を引くことができました。これで報告書を書くストレスも軽減です。Upload By 荒木まち子1本線なのか平行線なのかで使い分け1本線を引くだけなら以前コラムにも書いた「ピタッとルーラー」の方がかさばらず便利ですが、平行線を何本も引く場合や、バランス良く字を書くために罫線を書くときには、この「おもしろスケール」が便利だと思います。今や、この文房具は娘の必需品となっています。
2018年04月19日主治医の先生に、特別支援学級進級のための診断書を頼まなきゃ夫婦で悩みながら、なんとか娘の次年度からの進級先を決めた私たち。しかし、まだやることが残っていました。それは、ずっと「通常学級」を勧めてくれていた主治医へ「特別支援学級にする」という報告をすること。そして、特別支援学級に進級するためには、主治医に診断書を書いてもらう必要があります。Upload By SAKURA実は、娘の進級先が決まる前から、7月にWISCという発達の検査を受けることになっていました。今現在の娘の得意不得意を詳しく理解し、家庭・学校での生活や、今後に役立てたいと思い、「1年生になったら・・・」と予約していたのです。7月の検査の日には、主治医の先生に会うことはできませんでしたが、WISC検査の結果が出た8月、先生から直接説明を聞くために病院を受診しました。「これなら通常学級で大丈夫!」検査の結果を見て喜ぶ先生に言いづらい…Upload By SAKURAあんなに通常学級を勧めてくれていた主治医の先生に、「特別支援学級にしました」と言わなければいけません。「通常学級の方がいいって言ったのに」なんて思われるんじゃないか…、ムッとされるんじゃないか…と、私は内心ビクビクしていました。検査の結果、娘のIQは凸凹はあるものの、すべて平均点内で、総合IQは、90。知的障害はありませんでした。主治医の先生は、この検査結果を見て、「項目によって凸凹が多いのは、こういう子たちの特徴だから。 知的障害はないですよ。 前より、実年齢と比べての激しい遅れもなくなっている。言語が苦手なだけで、今から少しずつ成長していくよ。ここまで来れたんだから! 成長のスピードも個性だよね!通常学級で大丈夫ですよ。」といつものようにニコニコ。しかし私は、診断書をもらうため、先生に「娘の特別支援学級行き」を伝えなければなりませんでした。思い切って「特別支援学級への進級」を報告私は、テスト結果の説明を終えた先生に「実は、今の学校に特別支援学級があったことがわかりまして。2年生から特別支援学級に行くことにしました」と事情を説明しました。Upload By SAKURA私は、 今まで学校で起きたことや、 自分の今の思いを、主治医の先生にお話ししました。「きっと今の先生は、お母さんと娘さんには合わなかったんだね。特別支援学級の方が、もしかしたら娘さんにぴったりの先生がいるかもしれないね。特別支援学級に行く…というよりは、特別支援学級と通常学級のいい所取りをしちゃいましょうよ!そう考えると、他の子より手厚いですね!」先生は、ムッとするどころか、私がこの決定に揺るがないよう、後押しする言葉をくれました。Upload By SAKURA「みんなに合う担任なんていない」先生の言葉に救われる1年生時に娘を担任してくれた先生は、低学年担任の経験も多いかなりのベテラン先生。クラスの保護者の方と話をしていても、皆さん今の担任の先生に、かなりの信頼を寄せていることはよくわかりました。「お兄ちゃんが○○先生(娘の担任の先生)に担任してもらったよ。とってもいい先生!だから、この子も見てもらえて嬉しい!」という声を、何人かの同じクラスの保護者の方から聞きました。悪い先生ではない…それはわかっていました。だからこそ、自分が違和感を感じるたび、どこの学校に行ってもある当然の対応のはず…と言い聞かせてきました。そんな私の思いに、主治医の先生は言ってくれたのです。「担任の先生との相性ってのは、すごく大事なんだよ。今の担任の先生がぴったり!って子もいれば、合わないなぁーって子もいる。みんなに合う先生なんていない。娘さんにぴったりで、お母さんの考え方に近い先生に見てもらうのが一番だよ」そして「お母さん、大変だったね~。いっぱい悩んで考えて…よく頑張ったね!」と労いの言葉までかけてくれました。それから先生は「よし!じゃぁ~診断書がいるよね?書くね!」 と、娘が特別支援学級に行けるように、診断書を書いてくれました。いつも精神状態がバラバラで来る私を、ニコニコ迎えてくれ、話をしっかり聞いてくれる主治医の先生には、本当に感謝しています。 困った時に的確なアドバイスをくれ、娘のことばかりか、私の思いまで汲んでくれる主治医の先生との出会いをありがたく感じました。Upload By SAKURA絶対に正しい判断はないから。大切にしたい親としての正直な気持ち娘の進学、進級問題において、当初から医者の意見に従えば間違いないと思っていた私でしたが、実際はそう簡単ではありませんでした。進学先、進級先を決める上で、主治医の先生の判断、アドバイスというものはなくてはならないものです。もちろん、専門の知識を持った先生ですから、その判断は医学的に見れば正しいのでしょう。でも主治医の先生…担任の先生…周りの人…それぞれのアドバイスは、絶対ではありません。そのアドバイスや思いを聞いて、保護者が悩みながらも判断し、決定する…それこそが絶対に大切にすべきことだと今回の娘の進級先を決めた経験から気づきました。主治医の先生であっても、来院した時の様子だけではわからないことがあります。私は今まで、発達外来の検診のたびに、学校での困りごとなどを話してきました。しかし、担任の先生に言われたことを、自分がどう感じているかや、やりにくさを話していませんでした。実際の学校生活の様子、担任の先生や周りの意見ももちろんですが、自分の感じることや不安…を正直に伝えることが大切だと思いました。Upload By SAKURA
2018年04月18日ついつい後回しにしてしまうこと、ありませんか?出典 : やらなければいけないことはわかっているのに、ついつい他のことに手を取られて後回しになってしまうこと、ありませんか?私にとっては「お風呂掃除」がその最たる例でした。やり始めれば15分で終わることなのに「服が濡れるから後にしよう、子どもに呼ばれたから先にそっちを片付けよう…」などと理由をつけ、結局入浴直前になってから、ようやくお風呂を洗う…。そんな自分をそのまま受け入れることができるのなら、それはそれでいいと思います。しかし、私は「どうして15分で済むことがきちんとできないのか?」と自分を責めてしまうのです。そうして翌日からはさっさとやってしまおうと思うのですが、結局、後回しになってしまって後悔を繰り返してはうんざり。なんとかしないといけないなと思っていた時、SNSで「エネルギーがたくさんある午前中にやるべき事をやってしまえばよい」という情報を目にしました。「1日のエネルギー量」という視点を持っていなかった私には、それはとても新鮮なアイデアだったのです。エネルギーの使い方と充電方法を考える出典 : 発達障害の特性からイライラがたまり殻に閉じこもりがちな子ども達にとっても、これは有益な情報です。2人は普通の生活を送るだけで激しく消耗してしまいます。どんな風に自分のエネルギーを配分をしたらいいのかや、自分なりの充電の仕方を把握できたら、もっと過ごしやすくなるはず!そこで、早速子どもたちにこの新しい考え方を伝えることにしました。「今日、すごくいい情報を知ったの!あのね、1日のうちでエネルギーが満タンになっているのっていつだと思う?」(母)「元気がいっぱいあるってこと?」(息子)「やっぱり朝かな?」(娘)「そうだよね!寝た後だから体も元気になってるし、心もリセットされてエネルギーが満ち溢れてる感じがするよね。そのエネルギーがあるうちに、ちょっと頑張らないといけないことをやってしまうと、そんなにしんどくないんだって!」「じゃあ、今『なりたい自分になるために努力する時間』を午前中にしてるのはいいことなんだね?」以前、こちらのコラムに書いたとおり、わが家では午前中を『なりたい自分になるために努力する時間』という位置づけにして、ピアノの練習をしたり勉強をしたりしているのです。「うんうん!そうなのよ!それでね、ママはいつもお風呂掃除を後回しにしちゃう自分が嫌だなぁと思っていたの。これからはエネルギーが満タンになってる午前中に終わらせることに決めたよ。頑張るから応援してね」「じゃあ、その間に私たちは目標に向かってしっかり頑張るよ~!」自分一人だけではなく、家族がそれぞれ努力していることを感じられると、頑張ろう!という気持ちが大きくなるから不思議です。「でもね、そうやって頑張っていくと、どうなると思う?」「う~ん、エネルギーが減ってしんどくなっていく。だって夕方はいつも疲れてイライラするもん」「いいところに気づいたね。エネルギーって勝手に湧いて出てくるものじゃないから、きちんと充電しておかないと動けなくなっちゃうんだよ。車はガソリンが切れたら走れないし、ゲームは電池がなくなったら遊べないし、人間はエネルギーがなくなったら笑えなくなったり、攻撃的になったりしちゃうよね。どうすればいいと思う?」私の問いかけに娘と息子は相談しながら一生懸命考えます。「ちゃんと充電すればいいんでしょ?」「でも人はどうやって充電すればいいの?コンセントついてないよ」「そうじゃなくて、ママに抱っこしてもらったら元気がでるでしょ?そういうこと」「ああ、そういうことね!じゃあ、ママにいっぱい抱っこしてもらう」「私もいっぱい抱っこしてもらう~!!」相談した結果、2人の答えは出たようですが、これにはちょっとした問題点があります。「必要な時はいつでも抱っこしてあげるよ。でもよく考えてみて。それだとママがいない時とかしんどい時に充電できないことになっちゃうよ?」「ええっ!」 「じゃあどうすればいいの?」「あのね。まずエネルギーを満タンにするには、“心と体”2つの充電が必要なの。この2つは、基本的には自分自身で充電する必要があるの。誰かに充電させてもらうっていうことは、その人のエネルギーを分けてもらうってことでしょ?ステキなことだけど、いつもそれだと今度は分けてあげる人がしんどくなっちゃうからね」「そっかぁ、そうなのか」「でも自分でできるかな?」理解はしてくれましたが、少し不安そうな2人。そこで、こんな提案をしてみました。「例えば、お姉ちゃんは本を読むのがすごく好きだよね?本を読んでると疲れる?」「ううん!全然!むしろワクワクして、いつまでも読んでられる!」「ほら、今すごく目がキラキラして楽しそうでしょ?そう思えるものとやっているときに、心は自然に満たされて、それが次に何かをするためのエネルギーになっていくんだよ」「それだったら簡単!僕はフィギュアで遊んだりユーチューブを見たりすればいいんだ!」こうして、わが家では、午前は『なりたい自分になるために努力する時間』、午後は習い事などに取り組み、夕食以降は『心の充電をするために自分で自分を喜ばせてあげる時間』、『次の日の自分のために夜更かしせずにしっかり寝て体を元気にしてげる時間』にあてるという過ごし方を取り入れることになったのです。明日の笑顔を少しでも増やせるように出典 : 午前中は「さあ、頑張るよ!」とお互いに発破をかける分、夜は「さあ、自分で自分を喜ばせてあげようね~!」と、なんだか楽しい言葉が家の中に響くようになりました。これまで、私や娘に依存して過ごしがちだった息子が 「あれをやってみよう」「これで遊ぶことにする」と自分で決めて一人で過ごせる時間が増えてきました。これはとても大きな変化です。おかげで私も月に1本程度ですが、ここ10年ほど遠ざかっていた映画鑑賞ができるようになってきました。午前中にお風呂掃除を終えられる確率もかなり上がってきました。今までは「家事が残っているのに楽しいことをするのは後ろめたい」という考えに縛られていました。ですが、「きちんと自分を喜ばせて充電してあげなければ明日を元気に過ごせない」と考えを改めることで、堂々と充電作業に向かえるようになりました。「自分で自分を満足させる」というのはとても大切なことなのに、日々の忙しさに翻弄されてすっかり忘れてしまっていました。発達障害のある子どもとしっかり向き合って育てていくためには、膨大なエネルギーが必要です。心も体も疲弊している人も多いのではないでしょうか。なかなか難しいかもしれませんが、1日のエネルギーの使い方や充電の仕方を考えてみてください。1日5分だけでも自分自身を満足させてあげることができれば、明日はいつもより1分多く笑顔でいられる時間が増えるかもしれません。私も自分にそう言い聞かせて、今の暮らしの中で自分を喜ばせる方法を模索していきたいと思います。
2018年04月17日息子の子育てに疲れていたときに舞い込んだ「被験者募集」出典 : 今から数年前、私は息子の子育てにとても疲れを感じていました。自閉症スペクトラム障害のある息子は、感情のコントロールが苦手なうえに、カーッとくると自分の気持ちを上手に伝えることができなかったからです。一度スイッチが入って泣きわめき始めると、もう私にはどうすることもできませんでした。何をどうしたら良いのか、あてもなく、ただただ疲れていた私のもとに、ある大学の心理学研究室から「被験者募集」のお知らせが舞い込んだのでした。そのお知らせには、「セカンドステップ」というタイトルが書かれていました。当時の私は、このプログラムについて全く聞いたことがありませんでした。「問題行動のあるお子様とその親御さんが対象」と書いてあったので、「ペアレントトレーニングの一種かな。親の声かけのレクチャーかな?」と思った程度です。何はともあれ、そのときの状況を打開したくて、藁をも掴む気持ちで被験者として息子と一緒に申し込んだのでした。アメリカ発「セカンドステップ」Upload By 林真紀こうして、私と息子は「被験者」として、月に一度のペースで大学の研究室に通うようになりました。通い始めてすぐ、私は「セカンドステップ」がペアレントトレーニングやカウンセリングとは別物であることに気付きました。セカンドステップとは絵、写真、人形劇のパペット、音楽等を使って、子どもにソーシャルスキルを学ばせるプログラムです。レッスンは25回ほどあり、指導者が毎回決まったレッスンを行います。ソーシャルスキルとは、具体的には「怒りへの対処(アンガーマネジメント)」「衝動性のコントロール」「共感」といったものです。息子が受けているセカンドステップの教材は、「相互の理解」「問題の解決」「怒りの扱い」の3つの柱から構成されています。(最新の教材では、「学びのスキル」「共感」「情動の扱い」「問題の解決」となったそうです)息子は現在、10回目のレッスンを終えたところです。レッスンでは、怒った子どもの写真を見せられて、「この子はどんな気持ちかな?」「怒っている」「どうして怒っているって分かる?どこを見ればいいかな」「眉毛が上がって…眉間に皺が寄って、口が下に下がっている」「〇〇君はどんなとき怒った気持ちになるかな?」「お友達にうるさいって言われたとき」「怒ったとき、身体はどんな感じになるかな?」「頭がカーッと痛くなって…手がブルブルして…殴りたいって思う!」というようなやり取りが行われます。このように、写真を分析したり、人形劇等を行うことによって、息子は顔の表情、気持ちがわかるようになり、そのときに自分や他人に起こる変化について、冷静に感じ取ることができるようになります。息子は今は感情について分析するレッスンを受けていますが、この後、「どうすれば怒った気持ちが落ち着くか」ということについてのワークも準備されているようです。セカンドステップは校内暴力が多発した1980年代のアメリカで、こどものための委員会(Committee for Children)が開発した教育プログラムです。この教育プログラムの実践により、問題行動のあった児童の攻撃的な態度がおさまり、人間関係にも改善が見られたと言います。アメリカのセカンドステップは、未就学児向け・小学生低学年向け・高学年向け・中学生向け、及びその保護者向けのプログラムが準備されているそうです。日本の教育機関でも出典 : 日本でもこの教育プログラムの効果に着目し、教材を翻訳し、教育機関に導入したNPO団体があります。「NPO法人 日本こどものための委員会」です。この委員会は、2001年4月に設立され、現在は「セカンドステップ」の普及活動を中心に行っています。本場アメリカでセカンドステップを開発したNPO法人であるCommittee for Childrenから、日本国内で普及活動を行う権利を唯一認められた団体だそうです。法人 日本こどものための委員会現在日本でも、東京都品川区の公立小学校をはじめ、保育園や児童養護施設、児童相談所、少年院でも導入されているそうです。わが家の息子は、月に一度セカンドステップに通うようになって一年になります。プログラムを受け始めてから、自分の感情についてきちんと理解し、大人に助けを求めたり、自分の気持ちを説明することがとても上手になりました。パニックになったり、キレてしまったりするときは、ほとんどが自分にわきおこる「何か(感情)」を理解できていないときです。「あ、僕は今怒っている」「手がブルブルしている。口が渇いている。涙も出てきた。」「こういうときはどうしたらいいんだっけ…?」息子は自分がコントロールを失いかけたとき、こんな風に自分自身と冷静に対話することができるようになったと言います。それは、セカンドステップで学んだことです。「怒っちゃダメ」「キレるのは恥ずかしいことだよ」そんな言葉では、子どもが自分自身をコントロールすることは難しいのかもしれません。自分の気持ちを一歩引いて眺めてみる、あるいは相手の気持ちになって考えてみる、そうすることで、自分の気持ちと上手につき合っていくことができるのかもしれません。息子のセカンドステップのレッスンはまだまだ続きます。今後も、息子の変化に期待です。
2018年04月16日発達障害の特性って?「社交辞令や、本音と建て前について考える」がテーマの当事者会へUpload By かなしろにゃんこ。息子に発達障害があると分かったころの私は、発達障害とはどういうものなのかもよく理解できていませんでした。息子の特性についても、すべてを分かってはいなかったと思います。他の人がどんなことで悩んでいたり困っているのかも知らなかった私にとって、当事者会は障害やその特性についていろいろ学べる場所だったのです。ある当事者会に参加したとき「社交辞令や、本音と建前について考える」というテーマで話し合う日でした。「こんなツライことがあったんです」と報告するムードではなく、どちらかというと失敗から気づいたことを伝え合っていました。そこで教えてもらったことは…社交辞令を、額面通りに受け取ってしまうUpload By かなしろにゃんこ。「いつでも本音で生きていたいから嘘がキライ、だから一般社会で社交辞令を使う意味が理解できない」という人が何人かいました。「社交辞令が分からない場面って?」具体的なエピソードで学べたUpload By かなしろにゃんこ。例えば…・引っ越しの挨拶で「お近くにお寄りの節はぜひ、わが家にお立ち寄りください」と言われれば「近くに行ったときには、訪問した方がいいのではないか?」と考えてしまう。・上司や親戚の家にお邪魔して「ゆっくりしていって」と言われたので、何日も泊めてもらった。「そんなに親しくないのに、なぜ誘ってくるんだだろう?」と考えてしまったり、「言われたようにしないと失礼なのでは?」と考えてしまったりするというのです。それが”定番の挨拶”であると知らないうちは、”額面通り”に受け取ってしまいアレコレ悩んでしまうのだと教えてもらいました。相手が気遣いから嘘を言っても気がつけない。相手の顔色を見て”本当は喜んでいるのか?それとも嫌がっているのか”を読み解くことは一番苦手なことだと言います。だから、「本当のことを言ってくれないと気がつけなくて失敗してしまうんだよね~」と告白すると、周りの人も「あるある、分かるな~」と共感。本音と建て前を使い分けする意味がイマイチ分からないから、「のみに行きましょう!」が定番の別れの挨拶だと知るまでは、誘われても本気かどうか分からない上、苦手な人だと「本当に誘われたらどうしよう…」と悩んでしまったり…。相手の表情から感情を読み取るのが苦手なのは発達障害の特性の中でよく聞いてはいましたが、具体的な場面でどう影響するのかまでは想像できていなかったので、とても勉強になりました。社交ルールは学校では教えてくれないですし、場の空気を読んで「コレはノリで言っているんだな」と判断することは難しいのだと理解できました。そもそも、「心にもないことを言う習慣が分からない」というので、日本人のならでは(?)の習慣を、客観的にとらえることもできました。う~ん…確かに少し面倒くさい習慣だわ(笑)友だちの言葉をうのみに…息子も一緒だった!Upload By かなしろにゃんこ。「そういうことあるある~」と皆さんと笑いながら話していたのですが…んん?待てよ!?うちの子も嘘がキライだし、本音だけで生きている…。その場のノリで出た友だちの調子のよい話を真に受けて、落ち込んだり振り回されてしまったことも一度や二度ではない!「一緒に文化祭の係をやろう」と友だちと話していたのに、結局は自分一人だけが立候補して、落ち込んでいたことも…。わが子にも同じような特性があるんだと改めて気づいたのです。反抗期の息子にはまだ早かった!?「本音と建て前」、バサリと斬られるUpload By かなしろにゃんこ。そこで、もう中学生だし少しずつ社交辞令について教えていこうと思いました。世の中には「本音と建前」というものがあることを、例文を交えて説明したとたん、流石は反抗期!「そんなつまらねー話をしている大人はクソだな!」とバサリ。反抗期の息子にとって”大人は全部敵”ですから、大人のルールも息子にとってはクソです。確かに、のびのび生きていったほうが本当はいい。でも…社会人になってから失敗したり、凹むことが少しでも減るなら、自分は社交辞令を使わなくても知識として持っていてもいいと思います。発達障害がある子は精神年齢が3割幼いとも言うので、息子には高校生になってから改めて話すことにしました。二十歳になった息子、社交辞令が理解できるようにUpload By かなしろにゃんこ。息子が高校生になってから、改めて社交辞令について教えはじめました。友だちの家にお邪魔する予定がある日には、「おいとまする時間が遅くなって、家の人が『ゆっくりしていって。ごはん食べて行きなさい』と言ったら帰る合図だよ」と伝えてから行かせるようにしました。高校生になると「あーそうなの!?そういうもんなんなの、分かった!」と、理解する姿勢を見せてくれ、母は嬉しく感じたものです。ただし!「覚えてたら気をつけるよ!だってオレ忘れっぽいじゃん」。そうだった、息子にはADHDがあるから、興味ないことは忘れちゃうよね…。でも諦めずに伝え続けています。二十歳になる今では、大人の人と趣味の交流会でお付き合いする機会も増え、「自分は社交辞令を使わないけど、そういうものもある程度必要なんだ」ということは分かっているそうです。少しお節介な親ですが、社会に出る日が迫ってきているので、これからもしばらくは機会があるごとに伝えていこうと思っています。
2018年04月15日精神科は行きにくい場所?出典 : 自分や家族が精神的なつらさを感じている、悩みや困りごとをずっと抱えているという方に精神科の受診をすすめると、「病院に行くほどではないから」と断られることがしばしばあります。精神科はもっと深刻な悩みや症状を抱えた人が行く場所ととらえている方や、子供が行く場所ではないのでは…と考えている方も多いのかもしれません。しかし、もしも何らかの病気や障害だった場合、早めに治療を始めれば症状が軽くなったり、対処法を知ることで生きやすくなったりします。自分や家族だけで悩んでいるだけだと、対応策が見つけられないことも多いものです。専門家の診察があってはじめて、状況を理解して良い方向へ進むことができるようになった人もたくさんいます。そこで今回は、どんな病気の人が精神科にかかっているのか、診察はどのように行うのかなどが理解できる本をご紹介します。これらの本を通して、精神科がどんなところかイメージできるようになると、受診しやすくなるかもしれません。「精神科ではどんな病気をみるの?」が分かる本出典 : 冊目にご紹介するのは、精神科医である斎藤環先生・山登敬之先生の共著である『世界一やさしい精神科の本』。「14歳の世渡り術」シリーズとして出版された単行本の文庫版になります。この本は、発達障害やひきこもり、摂食障害、うつ病、統合失調症といった精神科で診療を行うメジャーな病気や障害、症状について解説されたものです。もともと14歳の子どもたちを対象に書かれた本なので、難しい言葉が使われておらず、とても分かりやすい内容になっています。「発達障害って、そもそもどんな特性があるの?」「ADHDやアスペルガー症候群などと言われるけれど、どう違うの?」といった疑問の解決にも役立つ1冊となりそうです。「精神科医は何を考えながら診察をしているのか」が分かる本出典 : 精神科が対象としている病気や障害について理解ができたら、次に読んでみたいのが『精神科医はどのように話を聴くのか』という本です。精神科医である藤本修先生の著書で、「精神科医はどのようなことを考えながら診察をしているのか」について書かれています。精神科医というと、ただ話を聴いて薬を処方する、というイメージを持っている方もいるかもしれません。しかし、その行為の裏にはさまざまな思慮が隠されています。同じ病気であっても、詳しく話を聴かないほうがいい場合もあれば、適切な治療をするためにしっかりと聞いたほうがいい場合もあります。また、病気によっては話を聴き過ぎると逆効果になってしまうこともあり、精神科医は場面ごとに見極めながら対応をしているのです。診察中の医師の考えがわかると、受診したときに何を話せばいいのか、医師がなぜそのような対応をするのかなどが理解しやすくなると思います。そうすると、精神科を受診することへのハードルが低くなるかもしれません。巻末には、藤本先生が提案する「聴き上手になるための10箇条」も掲載されています。子供が悩んでいるときにどう接したら良いのかなど、家族と会話をする上での参考書にもなる1冊です。「精神科って行きにくい…」と感じる人に読んで欲しい本出典 : 最後にご紹介するのは、『ラブという薬』。タレントや作家として活躍するいとうせいこうさんと、精神科医でありながらミュージシャンとしても活動している星野概念さんの対談を本にまとめたものです。帯に書かれている、「つらいことを無理に我慢するのではなく、つらいときはもっと気軽に精神科に行こうよ」というメッセージ。精神科ってすごく困っている状況じゃないと受診してはいけないのでは…と思われがちですが、そんなことはありません。実際にいとうさんは、仕事ができなくなるほど深刻な状態ではなかったけれど、診察を受けるようになって楽になったと本書の中で話しています。風邪をひいたら内科へ行くように、怪我をしたら外科へ行くように、心がつらいときは精神科を頼っていい。そのことが腑に落ちると、我慢しすぎていた「きつい現実」が、誰かを頼ってもいいんだという「少しゆるい現実」に変わっていきます。読み物としても非常に面白いので、精神科の本と難しく捉えずに、ぜひ気軽に読んでいただきたい1冊です。まとめ出典 : 「なんだかつらいけれど、これくらいのことで受診していいの?」「病院に行っても、大したことないって言われたらどうしよう…」そんなふうに悩んでいる方もおられるかもしれません。ですが、悩んでいるうちに問題がより深刻になってしまうことも少なくありません。精神科は、こわいところではありません。もし、受診しようかどうか悩んでいるのであれば、今回ご紹介したような本を少し読んでみてください。精神科を受診するためのハードルが、少し低く感じられるのではないかと思います。
2018年04月14日「世界自閉症啓発デーを知っている?」アンケートの結果は4月2日の「世界自閉症啓発デー」について、8日までの「発達障害啓発週間」の間、発達ナビの「みんなのアンケート」にて、「4月2日の「世界自閉症啓発デー」を知っている」というテーマでアンケートを行いました。Upload By 発達ナビニュースみんなのアンケート2018年4月12日現在653人の方から回答をいただき、以下のような結果になりました。Yes…66%No…34%「Yes」が66%で「No」より高い結果となりました。その中にはお子さまが診断を受けたことがきっかけで…という方も少なくなかったかと思います。イベントやライトアップについて「行ってくるよ」などコメントしてくださった方もいました。ご協力いただいたユーザーのみなさま、ありがとうございました!世界自閉症啓発デーは、3月21日の世界ダウン症の日とともに、国連が定めた世界的な啓発デーです。そのため、毎年日本国内でも各地でさまざまな取り組みが展開されています。発達ナビ編集部では、4月2日の東京タワーで行われたイベント会場を取材してきました。多彩なブースや盛り上がりを見せたステージパフォーマンス、そしてライトアップまでをレポートします!「東京タワーブルーライトアップイベント2018」会場の様子を紹介!Upload By 発達ナビニュース2007年に国連総会で決議された世界自閉症啓発デー。都心のシンボルでもある東京タワーでのライトアップは、日本各地にこの日に合わせたブルーライトアップを普及させるといった狙いがあります。今年で7回目の実施となりました。日中のイベントは自閉症や発達障害の当事者や親の会、自閉症協会など約20団体でつくる「TT2018実行委員会」が主催しています。さらに点灯式は厚生労働省と日本自閉症協会が主催するなど、多くの団体が連携して開催しています。実行委員会として参加している団体は次の通りです。Winds(新宿区手をつなぐ親の会)、AOAart、ADDS、キートン・コム、Get in touch、自立支援グループマーチ、セサミストリート、全国言友会連絡協議会、SOCIAL WORKEEERZ、筑波大学、東京都自閉症協会、日本自閉症協会、日本ダウン症協会、日本ドッヂビー協会、日本発達障害ネットワーク、Necco、発達障がいファミリーサポートMarble、発達障害当事者協会、HAND STAMP ART PROJECT、ヒーロー、ミス日本コンテスト事務局この日から1週間は厚生労働省が定める発達障害啓発週間です。関係団体が協力して参加し、それぞれの障害について発信する場にもなっています。子どもから大人までが楽しく参加!展示や体験ブースが充実Upload By 発達ナビニュース会場に到着すると、東京タワー入り口前の広場には、さまざまな展示や体験のテントや特設ステージが設置されていました。スタッフやイベントに訪れた多くの人たちも青い服を着たり、青いアイテムを身につけたりしていました。青は「癒し」や「希望」を示す色で、シンボルカラーとして使われています。実際に青い物を身につけている人たちが集まることで、同じ思いを持ってこの場にいるという一体感が感じられました。「自閉症体験」「知的・発達障害疑似体験」のテントには、列ができるほど次々と人が訪れていました。また文字とイラストで「話の見える化」をするグラフィックファシリテーションの展示、障害者スポーツとしても取り入れられているフライングディスクなどと幅広い内容のブースがずらり。プログラムの中には全言連による吃音の人たちのバナナの叩き売りパフォーマンスも!各協会や支援者だけでなく、さまざまな障害の当事者の方々が主体となって各ブースに立っていました。セサミストリートには自閉症の女の子のキャラクターが登場し、今年の啓発デーのポスターにも採用されています。会場では、セサミストリートのキャラクターと記念撮影できる時間帯を設けるなど、写真をテーマにした企画もいくつかありました。SNSなどで投稿した人もいるのではないでしょうか?自閉症の人たちも出演。歌とダンスのステージプログラム夕方から始まったステージプログラムは、二部構成で展開されました。前半はTT2018「スペシャル・パフォーマンス」と題して「チームカラフル」のダンスで幕開け。「ネッコ合唱団」や「SOCIAL WORKEEERZ」が出演しました。後半はGet in touchプロデュース「MAZEKOZEライブ」です。自閉症アーティストの「GOMESS」さん、全盲のシンガーソングライター「佐藤ひらり」さん、劇団「人の森ケチャップ」、発達障害(自閉症)ダンサーの「想真」さんと国内外で活躍する人たちが名を連ねました。Upload By 発達ナビニュース前半のトリとして登場したストリートダンスグループ「SOCIAL WORKEEERZ」。「Danceで福祉をデザインする」をテーマに掲げて活動していて、福祉施設の訪問や福祉イベントに出演しています。また、障害のあるなし・老若男女に関係なくダンスを楽しむ「チョイワルナイト」を開催しているグループです。メンバーたちのダンスパフォーマンスに続き、ステージに一緒に上がった子どもたちが思い思いにダンスを楽しみました。観客も椅子から立ち上がって体を動かしたり、出演者と一体となって盛り上がっていました。Upload By 発達ナビニュース後半のプログラムで登場したGOMESSさんと想真さんがコラボレーションしたパフォーマンスは圧巻でした。GOMESSさんは初めてパニックを起こしたときのことや当事者として抱えてきた孤独や葛藤をの即興のラップで音楽に乗せます。想真さんも全身でその世界観を表現し、見ている人たちを引きつけました。司会を務めた女優の東ちづるさん(Get in touch理事長)は、海外でも活躍する2人の実績を紹介。そして、一緒にステージに立ち、即興ラップを見事に訳した手話通訳者の方を称えると、会場からも大きな拍手が起こりました。障害の有無にかかわらず、一人ひとりの素晴らしさをみんなで認め合う温かい空気に包まれていました。空が薄暗くなると、いよいよ点灯式へ…Upload By 発達ナビニュースステージと広場の全てのプログラムが終了し、午後6時15分から点灯式が行われました。加藤勝信厚生労働大臣からは「啓発イベントを契機として、自閉症をはじめとする発達障害への理解を深めていただきたい。発達障害に対する正しい理解が広まれば、周囲の方の接し方も変わり、そうした生きづらさも緩和されると考えています。平成28年に施行された改正発達障害者支援法を踏まえ、さらに、子ども・子育て支援や教育等の分野でも支援が適切に行われるよう、関係府省と連携し、発達障害のある方がその力を発揮できる機会を増やしてまいります」とメッセージが寄せられました。また、今年の啓発デーのポスターに採用されたセサミストリートのキャラクターたちがスペシャルゲストとして登場。自閉症の女の子のジュリアと良き理解者であるエルモやクッキーモンスターが、「私たちはみんな友達になることができる」という思いとともにジュリアのテーマソングを披露しました。そして、啓発デーだけでなく日々、自閉症や発達障害への理解が社会で広がっていくことを願って、ライトアップのスイッチが押されました。会場にいた人たちは青いペンライトを振ったり、スマートフォンのカメラを向けたりながら、少しずつ青い照明が濃くなっていく東京タワーを見上げていました。会場にいた人たちの声は…Upload By 発達ナビニュース会場に設置された展示や体験ブースに来た人たちを案内したり、観光客にパンフレットを配ったりと、たくさんのスタッフの方が参加していました。「障害のある人だけじゃなく、いろんな人がブースに来てくれました。自閉症やいろんな障害について気づいたり考えたりするきっかけになってくれたら」と話してくれたのは、茨城県から駆けつけた大学院2年の長野優紀さん。アダプテッド体育(どのような障がいがあるかにかかわらずできる、その人に合った体育・スポーツ活動)を学んでいるそうです。将来は、障害について知ってもらう手段として、スポーツを通した交流の場をつくっていきたいと考えています。「電車で障害のある人と居合わせたことがありました。その時に周りの人がその人に向ける目線が気になったんです。でも、それは周りの人たちが障害のことを知らないからだと思いました。お互いの接点をつくって、知ってもらえるように。スポーツの交流というかたちで貢献していきたいです」Upload By 発達ナビニュース自閉症の症状を疑似体験できるブースに並んでいた都内在住の中尾佑次さん(58)は、26歳の息子さんが自閉症だそうです。自閉症協会に所属していて、イベントには毎年来ていましたが、今回、初めて自閉症の体験をしてみました。このブースでは、ゴーグルやイヤホンなどをつけてちょっとした作業を行い、自閉症の人の視覚や聴覚などの疑似体験ができます。「体験だから一時だけど、息子はこんなふうに音がずっと聞こえていると思うと…。その辛さをもっと理解しないといけないな」と感想を語ってくれました。また、自閉症啓発デーについて、次のようにも話していました。「発達障害や自閉症について説明してわかってもらう日というより、イベントがあることで、そういった人たちが普通にみなさんと同じ社会に存在しているんだよというのを知ってもらえる日だと思っている。いるのが当たり前なんだって気づいて、受け入れてくれる社会になってほしい」Upload By 発達ナビニュース小学2年生の娘さんの春休みの思い出にと東京タワーを訪れていた中国出身の女性(47)は、青い衣装を着てキャラクターなどに扮していた参加者たちと記念撮影し、イベントを楽しんだ様子。日本語で言うのは難しいけど、と前置きしながら、一生懸命伝えてくれました。「昔、自閉症の本を読んだことがあります。なので、ここで今、行われていることの意味はわかります。中国でも(自閉症の人は)多いはずだけど、表に出てこられない。伝えられない。その人たちは寂しく感じていると思う。こんなふうにイベントができて、日本は幸運な国です」「初めて知った」「ADHDの日もつくって」…アンケートの声Upload By 発達ナビニュースみんなのアンケートでは、いろいろな意見が集まりました。「Yes」と回答した人たちの中には、「自分からも発信している」という人から、「もっときちんと理解してもらいたい」という切実な声までありました。知っているからこそ思いは強いですよね。一方で、「No」という回答は34%と、決して低くない数値です。「意味があるのかな」「なんのためにやっているのかわからない」という率直な意見もありました。「啓発」のイメージがわかず、実際に何が行われているのかわからないということもあるのかもしれません。「Yes」「No」のどちらにもあったのが今年「初めて知った」というコメントです。地道なことですが、一人でも多く、まずは「こんな日があるんだ」と知ってくれる人が増えるとうれしいですね。実際のコメントを抜粋してご紹介します。3年程前に知り、毎年この日は身の回りの物をブルーでアピールします。自閉症について検索しまくっていた3年前くらいに知りました。結局内輪なので…なんだかなぁ〜という気持ちです。もっと知ってほしいもっと自閉症に対する支援をわかってほしい気持ちでいっぱいです。私はテレビで特集されていたのを見ました。発達の気になる人の家族・支援者だけでなく、様々な人に「自閉症」や「発達障害」について、知って貰いたいです!今回のアンケートでは、知っている人の割合が高かったのです。しかし、「正しい理解にはつながっていない」と感じている方や、ほかの発達障害もあることも知ってほしいという意見が見られました。学習障害や、ADHDの日も、作って欲しい。知らない人に、いつも混同される。4月2日が、こんな位置付けであることを、今日初めて知りました。自閉症等に関する研究は、欧州が進んでいる事は知っていましたが世界自閉症啓発デーがある事を始めて知りました。自閉症も一人一人個性があり考え、そして理解して支援しなければと思います。「初めて知った」という人が抱く思いも一つではありません。確かに、「発達障害啓発週間」に特化した活動はまだまだ少ないかもしれません。10月はADHD啓発月間とされていますが、まだ日本ではそれほど知られておらず、活動が広まっていません。これからほかの発達障害についても普及が進むといいですね。東京タワーのイベントでは、さまざまな障害の当事者の人たちが実際にブースに立って来場者の対応をしたりする姿も見られました。こうして当事者の方自身がいろいろな人と触れ合うことは、知ってもらうための手段の一つとして大きな意味のある活動ではないでしょうか。ほかにも、どんなことをしたら正しい理解が社会に広がるのか、これからも考えていきたいですね。青い東京タワーが街の人たちに伝えることUpload By 発達ナビニュースイベント会場には、ヘルプマークをつけている人や手話通訳の方とブースを回る人もいれば、車椅子の人の姿も見られました。自閉症や発達障害に限らず、さまざまな障害のある人が一堂に集まっていたのです。東京タワーという開かれた場所で当事者の人たちが集うことで、その場に居合わせた一般の人たちにも強く印象を残すことができるイベントになっているのではないでしょうか。当事者の人たちや支援者がこうした啓発デーを通して、障害のことを社会へ発信することはとても意義があることです。帰り道の途中、青い東京タワーに気づいてスマートフォンで写真を撮る人たちの姿があちこちでみられました。「自閉症の日だから、きょうは青いライトアップをしているらしいですよ」という会話をしているグループともすれ違いました。直接、会場に行くことはなくても、この日、青に染められた東京タワーを眺めてた人がたくさんいたと思います。自閉症の人が暮らしやすい社会の実現には、まだ道のりが必要です。しかし、4月2日にブルーライトアップがあるということを知る人が多くなっていくことは、その入り口になると感じました。取材協力:日本自閉症協会、TT2018実行委員会
2018年04月13日待ちに待った始業式のはずが…4月です。新年度です。長男も小学3年生の春を迎えました。春休み中、3年生になることへの緊張の気持ちを話すこともあり、毎日のように始業式の日にちを確かめ、「あぁ、この日から学校かぁ…」とドキドキする日々を送っていました。そしてついに春休み最終日の夜。Upload By ラム*カナ「春休み終わりなの!?」と絶叫する長男…。いやいやいやいや、あんだけ確認していたでしょうよ!キミの脳内カレンダーどうなってるの!…と、一応ツッコみ。ま、予想範囲内な反応なんですけどね。自分から始業式準備!「おっ!」と思ったのもつかの間Upload By ラム*カナでもそのあと、そそくさと自ら筆箱の中身を整え始めまして、「おっ!偉い!」なんて思ったら…なんでしょう、この消しゴムの充実感。それに対する鉛筆の不足感。(ちなみに鉛筆は芯が折れています。そしてそもそも短い!)ひとまず、先日無事(?)に新学期を迎え、元気に学校へ行った長男。颯爽と帰ってきましたが、さて、ランドセルの中をチェック。あれあれ…!?始業式の日といえば、いろいろなプリントをもらってくるはずですよね。帰宅後、長男のランドセルをチェックしたらですね…Upload By ラム*カナぜーんぶ忘れてきましたよ!新年度早々、持ち物や時間割が行方不明!という幸先のいいスタートを切りました!あいかわらず絶好調です!!泣ける!!(ありがたいことに、しっかり者のお友達と同じクラスになれたので、その子のママに連絡をして情報を得られましたが、やはり膨大な量の要記入プリントが配られたと聞き倒れそうになりました…)なにはともあれ、楽しい3年生になりますように!
2018年04月13日高校入学前の春休み、リクの様子は…!?高校入学前の春休み。前半は友だちとテーマパークへいったり、東京に遊びに出かけたりしていたリク。そして春休み後半の今…Upload By ひらたともみUpload By ひらたともみ進学予定の高校へ。リクの障害について伝えることにその頃、進学予定の高校から、リクの高次脳機能障害の話を聞きたいと要請があり、私が高校に出向くことになりました。Upload By ひらたともみ事故の説明と現在の様子について一通り説明し、過去にはLD(学習障害)がグレーだったことなども話しました。母の思いを正直に打ち明けると…Upload By ひらたともみUpload By ひらたともみUpload By ひらたともみリクに障害が生じたことで、私の生活は変化しました。くも膜下出血の恐ろしさや二次被害への恐怖、おまけに3つの病院の書類申請や診察予約などで、あっという間に一日が過ぎてしまいます。私立なので出費も多く、仕事も休むわけにはいきません。そんな中、高校の先生の「お互いさま」という言葉に、とても救われました。私は、いつしか、リクの症状を話すたびに、「すみません、ご迷惑おかけします」が癖になり、まるで、リクがなにか悪さをするような、へりくだった態度になっていました。そんな私とは正反対に、リクは高校生活をとても楽しみにしています。先生に「お互いさまですよ」と言われたことで、私もハッ!となり、リクの障害に萎縮しないようにしよう!と心に決めました。テストはさておき、新生活を楽しんでほしいなぁ~!
2018年04月12日LITALICO発達ナビの「施設情報」ページはもうご利用いただけましたか?施設情報ページでは、全国の放課後等デイサービスや児童発達支援事業所などを簡単に探すことができます。各施設の特徴や、利用者の声もあわせて知ることができるので、お子さんにぴったりの施設を探すことができます!今回も、 いま空きがある放課後等デイサービス・児童発達支援施設 をピックアップ!お住まいの地域の気になる施設を見つけたら、「ページを見る」をクリックして、詳しい情報をチェックしてみてくださいね。発達ナビ「施設情報」埼玉県 放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報ウィズ・ユー狭山は、18年3月1日にオープンした新規開所の施設です。スタッフは保育士・社会福祉士・強度行動障害研修修了者、介護福祉士等専門性を持った人材が揃っています。今後教材としてパソコンをする予定もあり、お子さんにあった指導教材を活用した支援を行っていく予定です。見学や利用に関する相談を受付中です。埼玉県の放課後等デイサービスをもっと見る栃木県 放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報放課後等デイサービス元気では、個人の特性に合ったクラス編成の中で学習や遊戯の支援を行います。あわせて、施設内にある畑や工場で、就労支援に繋がるカリキュラムも実施しています。スタッフは日頃から県の講習会や勉強会に参加するなどして専門性を高めています。居宅介護サービス等も行っており、ニーズにあわせたサービスの併用も可能です。栃木県の放課後等デイサービスをもっと見る群馬県 放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報999 -スリーナイン- 伊勢崎では、お子さん達が放課後をのびのびと過ごすことができる場所の提供を目指し支援を行なっているほか、課外活動や英語の先生を呼んで行う歌やダンスでの英語学習など、楽しんで取り組める活動も実施しています。また食育を大切にしており、おやつは毎回手作りのものを提供しています。群馬県の放課後等デイサービスをもっと見る大阪府 児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報「1人ひとりの個性を大事に自立と成長を育むお手伝い」をコンセプトに、集団の中での「保育・学習・創作・SST・外出余暇活動」、個別でのニーズに合わせた「療育・トレーニング」を行っています。スタッフには保育士・児童指導員を配置。療育に熱心に取り組むスタッフが揃っています。それぞれの人柄や熱意がわかる紹介文もぜひチェックしてみてください。大阪府の児童発達支援施設をもっと見る大阪府 放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報個別の学習サポートや毎月2回のクッキングイベント、創作活動などを通し、一人ひとりのニーズにあわせた支援を行なっています。クッキングイベントでは簡単なものから凝ったメニューまで、また創作活動では時節のイベントに沿った内容で実施するなど楽し見ながら取り組める工夫がされており、ブログでも活動内容を見ることができます。見学や体験も随時受付中です。Upload By 発達ナビ施設情報テイラーズ・ギルドでは、ランチョンマットの手縫いから高度なミシン技術の習得まで行うことができる縫製プログラムや、オフィスソフトの入力基礎からプログラミングまで様々な操作を学ぶことができるパソコンプログラムを実施しています。就労に必要な技術やコミュニケーションを楽しみながら学ぶことができます。大阪府の放課後等デイサービスをもっと見るいかがでしたか。気になる施設がありましたら、「~のページを見る」のボタンを押すと、教室の様子や在籍スタッフの情報など、より詳細な情報をみることができます!「もっと施設の情報を詳しく知りたい!」「見学をしてみたい!」と思ったら、WEBからもお問い合わせができるので、ぜひ試してみてくださいね。今後も掲載施設数がどんどん増えていきますので、ぜひお住まいの地域のページをチェックしてみてください!
2018年04月11日長時間のゲームで、子どもの体や成績に影響が…?出典 : 私は昔からデジタルゲームが大好きで、義務教育の期間は暇な時間はほぼずっとやっていました。それだけ魅力があるデジタルゲームですが、一般的にはあまりいいイメージを持たれていません。・目が悪くなる・攻撃的になる・勉強をやらなくなる etc...悪いイメージを挙げていくとキリがありません。長時間ゲームをやることにはさまざまな悪影響があると言われてもいるようです。デジタルゲームが大好きなお子さんを持つ方の中にも、長時間のゲームによる悪影響が心配だったり、勉強をしないために成績が芳しくないなど、対応に困っている方もいらっしゃると思います。デジタルゲームには「いい影響」もある出典 : 子どものころの私にも、長時間ゲームをやることでの悪影響があったと思います。しかし、デジタルゲームをやっていたからこそ身についた能力もいくつかあり、現在の仕事で役に立っているものもあります。次に、私が感じているデジタルゲームが持ついい影響について書いてみようと思います。もちろん科学的根拠があるわけではないので、そこはご了承のうえ参考にしてみてください。決められたルールの中での問題解決能力が抜群に出典 : 子どものころからゲームをやっていたという周りの人たちを見ると、ある程度ルールが明確になっている状態での問題解決能力がずば抜けている印象があります。例えば、システム開発で問題が発生したとき、問題が発生した状況が分かればすぐに原因と対応策を考えることができる人が多いです。私自身プログラミングをしていて、つくったプログラムが想定しない動きをすることがよくあります。そういうとき、私はそのプログラムが何をできて何ができないのか分かっているため、頭の中でプログラムを実行して問題個所と原因究明を行い、すぐに修正対応を行うことができます。これは世の中のプログラマと比較しても私が飛びぬけて得意な分野だと考えています。出典 : 最近は自由度が高いデジタルゲームが増えていますが、それでも多くのゲームではやれることに限界があります。プレイヤーはその限界の中で目的を達成するための方法を考えます。そして実際に試してみて、うまくいかなければ別の方法を試していきます。つまり、制約の中で最善を尽くすためにトライアンドエラーを繰り返すわけです。このトライアンドエラーはプログラムが想定しない動きをしたときの私の対応ととても良く似ています。「プログラムがやれることの限界を考慮したうえでなぜこのような動きになったのかを考え、その考えが正しいかどうかを検証する。うまくいかなければ別の方法を試す」。どちらも表面上やっていることはまったく違うように見えますが、ある程度定められたルールの中で目的を達成するために試行錯誤するという点は共通しています。デジタルゲームが好きな人はこのトライアンドエラーが苦にならないのだと思います。この能力をひたすら鍛え続けることになり、それが問題解決能力の向上に役に立っているのだと思います。出典 : しかし実社会では明確になっているルールはほとんどありません。私が社会人になった時に感じたように、いたるところにさまざまな暗黙のルールがあります。ルールが分かっていればどうすればいいのか考えることができるのに、肝心のルールが分からないのでどうすればいいのか分からない。20代前半の私はよくそんなことを考えていました。また、ゲーム好きだという、経験が浅いプログラマをフォローしたときに印象的なことがありました。最初は問題が起きても途方に暮れてしまい、どこから手を付けてよいのか分からない様子だったのが、私が質問しながらプログラムができること・できないことをまとめていくと「あっ!」と言って自分で問題を修正できるということがよくありました。つまり、「何を解決すればよいのかを見つける」ことができれば力を発揮できるのに、ルールが分からないために十分な力を発揮できず途方に暮れてしまうのです。問題の周辺にあるルールを探す能力は、発達障害があってもなくても身につけることが難しい能力だと思っています。そもそもルールを探す必要があることにすら気づかない人もいるでしょう。しかしこの能力を身につけることができれば、デジタルゲーム好きの人が持っている問題解決能力と合わさって、強力な武器になると私は考えています。ルールを設定するときのコツとは?出典 : 私のようにASDの傾向がある人にとっては、日常生活でルールを見つけることは困難です。そこで、私がルールを探しているときに気をつけていることを紹介します。一番大事なことは、ルールがまったく分からない状態にいる場合、間違っているかもしれないけれども「自分なりに適当なルールを設定する」ことです。次に大事なことは、ルールに従って行動してみた結果を判断し「勇気をもって最初に設定したルールをどんどん修正していく」ことです。ルールを探すと言いながら自分で設定するなんてどういうことなの?と思われるかもしれません。しかし、まったく何も分からない状況では、頭の中が真っ白になってしまい「何をやっていいのか、何をやってはいけないのか」が分からなくなってしまうと思います。「自分なりのルールの中で試行錯誤し、結果を見ながらルールを修正していく」経験を重ねることで、適切なルールを設定することができるようになっていきます。出典 : 自分だけで考えていてもうまくいかないことが多いので、できれば疑問に思ったことを素直に周りの人に聞いてみることが大切です。しかし社会人になると素直に聞くことが難しくなってくると思います。そこで、自分が行動した結果どうなるかを周りの人の反応を見て判断できるように訓練しておくと、問題解決のためのルールの設定ができるようになるだけでなく、格段に生きやすくなります。ASD傾向がある方には難しい訓練だと思いますし、思春期を過ぎてからようやく訓練し始めたASDの私もいまだに試行錯誤しているところです。私は聞けるときは直接どうだったか聞いてみたり、小説やアニメ、映画やゲームシナリオから、人はどういうときにどんな顔をしてどう思うものなのかを想像したり観たりすることで訓練してきました。相手の反応を見て行動の結果を判断できるようになると、それまでより格段に生きやすくなります。少なくとも私はその実感があります。デジタルゲームは居場所。生きていくためのスキルにつながることも出典 : デジタルゲームは、学校でも家でも居場所がないと思っていた子どものころの私が、唯一心の底から楽しめたものでした。体に悪いとか、目が悪くなるとか、ゲームにのめりこみすぎてはいけないことは、子どもながらにある程度分かってはいましたが、ゲームを完全に取り上げられたら生きる気力がなくなっていたと思います。そのような子は私だけではないと思います。さすがに1日8時間や10時間もやっていたら他のことができなくなってしまうので、周囲の方がゲームをやる時間を減らすよう働きかける必要はあると思います。しかし、ゲームにしか居場所がない、デジタルゲームでしか素の自分を出せない追い詰められた子どももいます。その子たちに素の自分を出せる場所を残しておいていただきたいと強く思います。デジタルゲームに夢中になった経験は、さまざまな形で生きていくための糧になっていきます。他のスキルと合わさることで強力な武器に変身するかもしれませんし、ゲームの中に出てくるものに興味を持つことがきっかけで生涯にわたってやりたいことが見つかるかもしれません。周りの方は心配することも多いかもしれませんが、子どもが好きなのであれば、デジタルゲームを完全には禁止しないでいただきたいと私は思っています。
2018年04月10日発達障害への薬物療法は向き合い方がポイント!出典 : 発達障害の特性によって、家庭生活、学業、友人関係に支障をきたしてしまう…そんな子どもに対しては、さまざまな支援や医療的なケアを利用することができます。その中で、親として最も判断に迷うものに、薬物療法が挙げられるのではないでしょうか。薬物療法を始めても、「薬物療法が本当に良い決断なのか、子どものためになるのか」「副作用などでかえって子どもを苦しめてしまわないか」など、迷いや不安があるのは当然だと思います。薬物療法に対しては、さまざまな考え方や意見があります。中には判断に迷う情報もあるでしょう。そんな中大切なのは、不安な気持ちのまま薬物療法を進めるのではなく、疑問を解消して自分なりに「薬との向き合い方」を考えていくことです。そこで今回、「薬との向き合い方」を考えるうえで感じることの多い不安や疑問を、発達障害や子どもの薬物療法に詳しい、名古屋大学医学部親と子どもの心療科准教授の岡田俊先生にお聞きしました。その答えを一問一答形式でご紹介していきます。【Q.1】薬を飲むメリット・デメリットって?出典 : 前提として、発達障害を根治したり、その特性を消失させるような薬物療法はありません。薬物療法では、発達障害の特性の一部・発達障害のある子どもに伴うことの多い症状を軽減させることができます。例えば、注意欠如・多動性障害(ADHD)の子どもに見られる、不注意や多動性-衝動性が薬によって緩和されたり、自閉症スペクトラム障害(ASD)の子どもに多く見られる、かんしゃくやこだわりをやわらげたりすることに効果があります。これらの薬物療法の効果によって、その子の生きづらさが軽減されるだけでなく、親や教師がより適切なかかわりをしやすくなることもあるでしょう。薬に関する副作用や、それに伴う安全性への懸念は、多くの方が感じていると思います。ですが副作用は、どの薬にもあるものです。例えば、ADHD治療薬によって、いらだちが強まったり、こだわりが増強したりするほか、食欲の低下などの副作用が見られる子も少なくありません。また、ASDに対する抗精神病薬の使用で、眠気が増す、そわそわとした感じが出現する、月経不順、体重増加といった副作用が現れる子どももいます。あらかじめ子どもが飲む薬の副作用にはどんな症状が考えられ、万が一起きた時はどう対処すればよいのかを把握しておくことが大切です。以上のことを踏まえ、薬物療法においては、常にメリットとデメリットを天秤にかけて検討することが大切です。何を目標として薬物療法を受けるのかを、明確にしておく必要があります。発達障害の治療に関して、薬物療法が唯一の治療法ではありませんし、薬物療法によって改善しうる症状は、その子の抱える問題のほんのわずかな部分に過ぎません。・他の治療に比べて薬物療法を実施するメリットがあるのか・その他の治療と組み合わせることで相乗効果が得られるのか・薬物療法をいつまで続けるのかこの3点を中心に考えながら、薬物療法を進めることが重要です。【Q.2】薬物療法って、途中でやめられるの?出典 : 精神科の病気に用いられる薬には、一度服用すると、再発を予防するために薬物療法を続ける必要があることがあります。そのイメージが強いためか、発達障害の薬物療法でも「一度始めたらやめることができないのでは?」と考えている親御さんが少なくありません。確かに、子どもの様子を見て、薬の力が継続的に必要であれば薬物療法を続ければよいでしょう。しかし、薬物療法の標的となっていた症状がすでに改善しており、薬物療法を中止しても、概ねその状態が維持できるのであれば、薬物療法を続ける理由はありません。そのためにも、どんな症状を標的として薬物療法を開始したのかを明確にしておくことが、不要な薬物療法を漫然と継続しないためにも大切なのです。服薬を継続することのメリットやデメリットは、子どもであっても感じ取っているものです。親御さんの意見だけでなく、その子の服用感を大切にしながら、継続を検討していくとよいでしょう。【Q.3】薬物療法に対する意見が周囲と合わない時、どうすればいい?出典 : 薬物療法を巡って、子ども本人、親御さんにも迷いがある場合も少なくないのですから、ご家族の意見が一致しないことがあるのも当然のことです。自分の中でようやく決心に至ったのに、家族の意見で、また気持ちが揺れ動いてしまい、煩わしいと感じることもあるかもしれません。賛否を議論していても、何も決まりません。それよりも、現在の状況について、どのように考えているのか、服薬に際して何を期待し、何を心配しているのかを明確にすると、意外に対立点はないはずです。また、家族は薬物療法を開始したいという気持ちで一致しても、当の子ども自身が納得しないことがあります。あなたや周囲の大人がいかに困っているかを話して薬物療法の同意を取り付けようとする前に、子どもが薬に抵抗する理由を聞いてみると、「薬を飲むと自分が変わってしまうように感じる」「薬をのむと自分が病気であることを認め、どこか負けたように感じる」「とにかく特別なことはいやだ」など、その子ならではの理由があるものです。その背景には、発達障害をどのように受け止めているか、発達障害とともに育ちゆくことにどのような経験や思いを重ねているかなど、さまざまな認識が影響しています。薬を飲む・飲まない、ということから離れて、そういう思いの一つひとつを時間をかけて扱うことが大切でしょう。【Q.4】セカンドオピニオンを受けることも有効?出典 : セカンドオピニオンは、かつては「主治医の診断や治療方針に納得がいかないときに受ける」というような印象があり、患者の側も遠慮しがちに希望を申し出ていたところがありました。しかし、今日では、セカンドオピニオンは、安心して医療を受けてもらうため、医療側から見ても歓迎すべきプロセスとなっており、大学病院などでは重要な役割となっています。発達障害の診断は、その特性の程度により、どこから診断閾値を超えていると考えているか、医師によって若干異なることも考えられます。また、発達障害の場合、薬物療法を行うか否かは、診断の有無よりも、現在の状況を改善するためにどのような工夫が可能かという見立てによることが多いです。そのため、これまでの子どもの経過を最も知る主治医が適切な提案をできるとは思いますが、セカンドオピニオンで別の医師の意見を求めることも有益なことがあります。いずれにしても、発達障害の診療にあたる医療機関は限られています。そのため、通院中の医療機関に安心してかかるための工夫の一つとして、セカンドオピニオンも位置づけるとよいでしょう。【Q.5】子どもに対して、服薬をどう伝えればよい?出典 : まず、前提として、服薬の説明にしても、障害の告知にしても、親御さんのみで進めるのは避けましょう。障害の告知は、本来、その子の得意なところや苦手なところなど、子ども自身がさまざまな特性について自己理解を進めるうえで行われます。また、障害告知に関しては、単に障害名が伝えられるだけでは不十分です。その障害特性を踏まえて、直面している問題について可能な工夫を考えたり、新たな問題が生じても、そのことについて医師や学校の先生、家族と一緒に取り組んでいってもらえる安心感のある状況の中で行われたりする必要があります。薬物療法の提案も、その工夫の一つの方法として提案されることが大切です。服薬を説得するために告知をする、というのは、大きなマイナスの結果をもたらす可能性があります。もし、子どもへの伝え方が、1. その子どもが抱えている問題が現状では解決できない2. 解決できない理由はその子のもつ発達障害にある3. そのために薬物療法が必要であるこのような順序になると、「薬物療法を受け入れる=周囲とさまざまな問題を抱える発達障害特性がある」ということを、子どもに受け入れるように迫るということになり得ます。発達障害だから問題と直面せざるを得ないわけでも、発達障害だから服薬をしないといけないわけでもないのです。ですので、服薬のために障害を告知するというタイミングはよくありません。このノウハウは、医師がさまざまな経験のもと蓄積していますので、医師に任せて、親はどのようにそのプロセスに参加すべきか相談していくのがよいでしょう。出典 : その子どもの年齢や能力などを踏まえ、その子に応じた説明を行い、同意を得る必要があります。未成年の場合には、薬物療法の実施にあたり、保護者の同意(インフォームド・コンセント)が必要になりますが、親だけが納得していても子どもは服薬してくれませんし、同時に子どもの思いや決断も尊重する必要があります。そのために、その子の理解力に応じた説明を行い、同意(アセント)を得る必要があります。しかし、アセントを取得するにあたって、どのような説明を行うかは、医師の裁量に委ねられており、そこはその子の理解力を踏まえた医師としての力の見せ所ともいえる一方、そのような説明のもとに行われたアセントが本当に同意といえるかは悩ましいところでもあります。そのような説明と同意の現実をまず踏まえておくことが大切でしょう。その子の困りごとを整理し、その解決に薬物療法がどのように役立ちうるかと、薬物によって生じうる副作用を伝え、薬物療法を希望するかどうかについて子どもと話し合うことになります。その子の困りごとは、その子の視点からみた困りごとでなければなりません。「友達と仲良くなりたいと思っているのに、ちょっとしたことでキレてしまい、けんかになってしまう」「お母さんのことは好きなのに、早くしなさい、といわれるとかっとしてしまい、思わず物を投げてしまう」…これらのことに対して、本人ができる工夫、周囲ができる工夫など、いろいろあると思います。それらを行ってもうまくいかない時に、薬にも助けてもらうかどうかが話題になるわけです。薬には助けてもらうだけで、結局大切なのは本人の努力や工夫です。もし、薬物療法がとても有効であっても、薬ではなく、その子どもの頑張りを褒めてあげることが大切です。【Q.6】子どもの成長につれて、薬を拒否するようになったらどうする?出典 : 薬は対症療法にすぎませんから、その標的とした問題が解決すれば、中止を試みることになります。このような試みは、必ずしも医療主導とは限りません。ご本人やご家族の判断で、週末はやめてみた、長期休みなので飲まなかった、飲み忘れた日があったが問題なかった、など、いろいろなパターンがあります。一度、中止をしてみて、服薬を続けることのメリット、デメリットを再確認するのはよい方法です。服薬開始時点で、「何歳になったら卒業、薬に頼るのをやめよう」などという提案をされたという親御さんの話も聞きますが、このような表現は、薬を使用することが何かよくないことのような響きを持ってしまいます。本当に必要な薬であれば続けたらよいですし、現実には、そのような限界を設定しなくても、その年齢の前にやめてみようという試みが、ご本人やご家族からあることの方が多いものです。子どもが急に薬を飲むのを嫌だと言い出した、というケースもあります。その時には、なぜと問い詰めるより、その思いになったきっかけを確認することが大切でしょう。自意識が高まって「人と違うことはいやだ」と思うようになったのかもしれませんし、「何に対して自分は薬を飲んでいるんだろう」と思い、障害の受容をめぐって揺れ動いていることもあります。その場合、薬の服用については、本人の思いを尊重していったんやめてみることが多いです。ですがそのことよりも、そのような子どもの心の揺れ動きについて、診察のなかで扱うことが大切です。最後に、大切なことは、医師が服薬を薦め、子どもがそれに従う、という関係ではなく、薬物療法を含め、さまざまな話題を医師・親・子どもで一緒に考えていけるような関係性です。そのような関係性のもとでは、服薬をやめたいと思う、といったこともオープンに話し合えます。医師の処方通りに服用していないことがあるのは、医療全体にいえることです。しかし、抗うつ薬のように自己中断が離脱症状をもたらす薬もあります。「医者に通うこと=薬をもらうこと」ではない治療関係であれば、薬をめぐるオープンな話し合いができ、服薬の中止についても医師との相談のうえで、計画的にすすめていくことができるでしょう。まとめ出典 : 親としては、自分の子どもが一定期間にわたって薬を服用することに対し、どうしても不安やためらいを感じずにはいられないと思います。薬物療法の開始を決定した後でも、子ども本人にどう伝えるか、周囲とどのように意見をすりあわせていくかなど、さまざまな悩みが生まれることでしょう。あくまでも薬は対症療法の1つであり、メリットだけでなくデメリットもあります。薬を飲むことがどのような意味をもつのかを基準に考えることが重要です。また、薬を使うことは他の支援方法を諦めるということではなく、常に並行して考えていく必要があります。その子が発達障害とともに育つ、そして発達障害のある子を育むという歩みの中で、医療とどう付き合い、利用していくのか、こういった視点の中で、自分なりの薬に対する向き合い方を考えていきましょう。
2018年04月09日4月の発達障害にかかわる話題やイベントを紹介!出典 : 新年度のスタートは、新しいことを始めるにも良いタイミングかもしれません。今年度の受講者の募集や新年度対応の申請などが続々と始まっています。専門性の高い機関が行なっている支援プログラムなどを知ってどんどん活用していきましょう!また、当事者の声や専門家の話を聞けたり、就労支援における海外の事例も学べたりする講演会なども各地で続々と開催されます。ここでは、今月の話題をピックアップして紹介します!出典 : スカラープログラムは、全国から選抜された障害や病気のある中学生、高校生・高卒生、大学生・大学院生の中から、将来の社会のリーダーとなる人材を養成することを目的としたプログラムです。DO-IT Japanが2018年度の参加者の募集を始めました。今年度は、進学や就労を目指す多様な障害や病気のある中学生から大学院生が対象の「2018年度スカラー」と小学生・中学生向けで、スカラープログラムに部分的(夏季プログラムの一部)に参加することができる「特別聴講生」の2つの枠で募集を行なっています。スカラーは夏に開催されるプログラムの参加に加え、インターネットを活用したオンラインメンタリング、ギャザリング、海外研修など年間を通じたプログラムに参加することができます。学びたいという気持ちを後押ししてくれるプログラムです。ぜひ将来に目標がある人は応募してみてください。【応募書類締切り】5月6日(日)(当日消印有効)【定員】各10人程度(選抜制)【問い合わせ】DO-IT Japan事務局(東京大学先端科学技術研究センター 人間支援工学分野)TEL/FAX: 03-5452-5228(平日10:00〜12:00・13:00〜17:00、「新規スカラー募集問い合わせ」とお伝えください)Eメール:toiawase@doit-japan.org Japan出典 : 通常の印刷された教科書では読むことが困難な児童・生徒のための教科書「平成30年度デイジー教科書」の申請受付が開始されました。デイジーのデジタル録音図書は、視覚障害者のほかに学習障害、知的障害、精神障害の方にも有効であることが国際的に認められてきています。国内でも平成13年度から福祉医療機構の助成により、認知・知的障害者向けマルチメディアデイジー図書の研究開発が進められています。使い方は、デジタル図書をパソコンやタブレットでインストールして再生します。医学的診断はなくても使用することができますよ。初めて教科書を使用する場合はホームページから申請書の提出が必要です。申請は誰でも行えるので、まずは気になったらページを開いてみてください。【お問い合わせ】日本障害者リハビリテーション協会情報センターDAISY担当宛TEL:03-5273-0796FAX:03-5273-0615E-Mail:daisy_c@dinf.ne.jpデイジー教科書 一般提供申請方法(平成30年度)Upload By 発達ナビニュースADHD当事者である著者のあーささんの書籍の出版記念講演会です。あーささんは21歳でADHDであることを知り、「もっと早い時期に知っていれば、あんな辛い思いをしなくてすんだのに」と思ったそうです。ADHDの知名度を上げ、理解を得るために 2003年「マンガで解説『フロンティア★ADHD』のサイトを立ち上げています。対談する高山恵子さんは、ADHD等高機能発達障害のある人のカウンセリングと教育の専門家です。著書に込められた思いや当事者、専門家の立場からさまざまなお話が聞けそうです。【日時】4月18日(水)19:00〜21:00【会場】池袋東京芸術劇場シンフォニースペース【参加】2500円(書籍代含む)(定員100人)【内容】講演「ADHD脳でスランプ脱出!」 あーさ氏、対談「支援者として、当事者として」 高山恵子氏×あーさ氏【申し込み・問い合わせ】合同出版 担当:齊藤TEL:03-3294-3506Eメール:info@godo-shuppan.co.jp出典 : 子育ての中で、「何回言っても、うちの子はいうことをきかない」といった悩みを抱いたことはありますか?そんな悩みを解決するヒントが得られるかもしれない講演会が群馬県前橋市で開かれます。発達障害のある子どもの保護者向けのプログラムである「ペアレント・トレーニング」を奈良県で実践する楠本伸枝さんが講師を勤める講演会です。ペアレント・トレーニングは、保護者の方が子どもとのより良いかかわり方を学び、日常の子育ての困りごとを解消し、楽しく子育てができるよう支援するものです。「子どもを叱ってばかりで辛い」「どう実践したらいいのかわからない」という人にはぜひ、おすすめです。楠本さんは、発達障害のあるお子さんのお母さんでもあります。コミュニケーションで悩みがあるお母さんやお父さんたちの気持ちに寄り添ったアドバイスがたくさん聞けると思います。日々の困りごとをポジティブに変える声かけを学びましょう!【日時】4月21日(土)9:30〜11:00【会場】前橋市総合福祉会館【参加】無料(定員90人)【内容】講演「子どもが変わるプラスの声かけ〜子育て・保育・教育が楽しくなるペアレント・トレーニング〜」榎本伸枝氏(エジソンクラブ奈良「ポップコーン代表」)【申し込み・問い合わせ】ペアレント・トレーニングを学ぶ会(群馬大大学院保健学研究科十枝研究室)Eメール:grow9house@yahoo.co.jpTEL/FAX: 027-257-4701群馬県生涯学習センター まなびねっとぐんま「子どもが変わるプラスの声かけ 子育て・保育・教育が楽しくなるペアレント・トレーニング」Upload By 発達ナビニュースアメリカから障害者雇用の国際的リーダーとして著名なジョイス・ベンダーさんを講師に招いて講演会が行われます。自身もてんかんによる脳出血を経験し、片方の耳の聴力の60%を失いました。この経験から障害者支援への熱意を持つようになったといいます。IT、エンジニアリング、財務会計、人事などの研修を受けた障害者の求人雇用のために、企業・政府機関と協力しダイバーシティとインクルージョン推進を支援しているスペシャリストです。アメリカ障害者協会会長と全米てんかん協会理事長なども歴任しています。当日は、DPI日本会議議長補佐の崔栄繁さんも日本の障害者雇用の状況を報告します。一般の方も参加できるので、この貴重な機会に海外の事例を学んで日本の障害者雇用の未来について考えてみませんか。(日英通訳・要約筆記・手話通訳・ヒアリングループ・点字資料有り)【日時】4月16日(月)13:30〜15:30【会場】名古屋国際センター別棟ホール【参加】無料(定員100人)【内容】講演・ディスカッション「アメリカの障害者雇用への取り組みと経済効果」ジョイス・ベンダー氏、「日本の障害者雇用の現状と課題」崔栄繁氏(DPI日本会議議長補佐)【申し込み・問い合わせ】愛知障害フォーラム(ADF)事務局:AJU自立の家・愛知県重度障害者団体連絡協議会担当:木下TEL:052-851-5240Eメール:adf.jimu.2008@gmail.com愛知障害フォーラム(ADF)ホームページまとめ気になる話題やイベントはありましたか?実際に参加したり、使用してみることで、困りごとが改善されたり、生活の質を高めてくれる手助けになるかもしれません。今後も月ごとにぜひ知ってもらいたい発達障害のニュースや関連イベントを紹介していきます。5月に開催されるイベントなどを募集します。情報をお待ちしております!
2018年04月06日心療内科とは出典 : 心療内科とは、何かしらのストレスが招いた体の不調を診ることを専門とする診療科です。「内科」とついているところからも分かるように、頭痛やめまいなど体に表れた症状を主に診ます。精神疾患の中には、症状として頭痛や吐き気、めまいなどの体調不良が現れるものがあります。しかしその不調の原因が精神的なものと分からないまま対処しても、なかなか症状が改善しないことがあります。そんなとき、症状の原因となる精神的なストレスに、カウンセリングなどを通してケアも同時に行うのが心療内科です。そのため、本来は精神科の領域のものでも程度が軽いものは心療内科でも診てもらえます。心と体の関係を考えながら、体の不調をケアしてくれるのが心療内科なのです。精神科・内科と心療内科の違い出典 : 心療内科は1996年に政令で表示を許された、比較的新しい名称の診療科です。名前のイメージから、精神科や内科と混同する人も多いようです。それぞれの科によって、診療できる疾患や得意とする診断領域、治療のアプローチが異なることもあります。心療内科ともっとも混同しやすいのは精神科ではないでしょうか。心療内科は大きなくくりで言うと内科です。体に表れた症状を治す診療科ですが、原因がストレスにあるため、カウンセリングなどで精神的なケアも行います。体と心の両方にアプローチして治療をするのが心療内科なのです。一方、精神科は不安や落ち込み、イライラなど心に現れた症状に向き合います。対象となる病気は躁うつ病、アルコール依存症、統合失調症などです。とはいえ厳密にはっきりと線引きされているわけではなく、両方の看板を掲げる病院も少なくありません。うつ病など、本来は精神科の範囲にある病気でも症状や程度によっては心療内科で診ることもあり、心療内科で相談したら精神科を紹介されたというケースもあります。心療内科も内科も、体の不調を治療するという点では同じです。違うのは、心療内科は体だけでなく心も含めて治療をするということです。内科はさまざまな症状に対応してくれるイメージもあるため、原因のよく分からない不調はとりあえず内科へ行く人も多いでしょう。そのため内科の検査では異常が見つからず、心療内科を紹介されたというケースもあります。心療内科や精神科ではなく、「メンタルクリニック」「メンタルヘルス科」という看板を掲げる病院も多くあります。これらは病院によって診療内容のとらえ方が違います。「精神科」という名前に抵抗のある人が多いと考え、精神科でありながらあえて名前を変えているケースもあります。また心療内科と精神科の両方の診療をするため、メンタル全般を診るという意味合いで看板を掲げるケースもあります。【参考】みんなのメンタルヘルス|厚生労働省心療内科の専門領域は、ストレスが招く体の不調出典 : ストレスが招く体の不調には以下のようなものがあります。・頭痛・倦怠感・めまい・不眠・過呼吸・食欲減退、過食・吐き気・腹痛、胃痛・動悸・発汗・抜毛頭痛や吐き気など、身近な症状が多く並びます。このような不調の背景には、以下のような疾患が隠れている可能性があるのです。心療内科の対象となる病気や障害など出典 : 心療内科の対象になる病気をいくつか挙げました。症状の程度や原因によっては精神科など、他の診療科を勧められる可能性もあります。何らかの理由で学校や会社にいけない、あるいは行きたくても行けないのが不登校・出社拒否です。登校や出社をしたい気持ちはあるのに、体がそれを拒否して腹痛や頭痛といった症状が表れるというケースもあります。休んで家にいれば症状が落ち着くこともあり、休むための嘘だと思われてしまうこともあります。ですが、子どもの不登校や配偶者の出社拒否から、本人だけでなく周りの人までストレスで体調を崩してしまうことも少なくありません。そのため、早めのケアが重要となります。主な症状は吐き気や腹痛、倦怠感、動悸などです。うつ病の中でも、心の不調が体の不調に隠れてしまっているものが「仮面うつ病」と呼ばれています。うつ病によくある気分の落ち込んだ状態が見られず、頭痛やめまい、不眠といった症状が目立つため、内科で診断を受けても異常は見つからず、単に調子が悪いだけだと思い込んでしまうことも多くあります。腹痛や下痢、便秘といった腸の不調が見られる病気です。日常生活への支障は痛みによる不快感だけではありません。急におなかが痛くなってトイレへ駆け込む、出勤前にトイレから出られなくなる日が多いなど、学校や仕事に影響が出ることもあります。症状を訴える人は男性と比べると女性が約1.6倍多く、年齢では30代までの比較的若い人に多く見られます。【参考】機能性消化管疾患心療ガイドライン2014|日本消化器病学会自律神経とは、体のバランスを整える神経です。その自律神経のバランスが崩れているというのが自律神経失調症ですが、自律神経の働きは検査ではなかなか正確に測れません。そのため、何となく体調が悪いのに検査では異常の見つからない状態が長く続いているものを自律神経失調症と呼んでいます。症状は倦怠感、不眠、めまい、頭痛、動悸、食欲不振などさまざまです。寝込んで起き上がれないほどの症状になることは少なく、多くの人は「なんだか調子が悪い」という状態がずっと続きます。片頭痛は名前の通り頭の片側に起こる頭痛ですが、両側に起こることもあります。ストレスなどにより頭部の血管が収縮、その反動で血管が広がったときにズキンズキンという痛みが起こります。主な症状は頭痛ですが、ひどくなると吐き気をともなうこともあります。頭や体を動かすと痛みが増すこともあるので、光や音の刺激を避けて安静にすると症状が緩和されます。発達障害とは、生まれつきの脳機能の発達のアンバランスさ・凸凹(でこぼこ)と、その人が過ごす環境や周囲の人とのかかわりのミスマッチから、社会生活に困難が発生する障害のことです。広汎性発達障害、学習障害、ADHD(注意欠陥・多動性障害)など、症状や特徴でいくつかの種類に分類されます。不登校やうつ(気分が落ち込んでいる)状態をきっかけに心療内科へ行ったところ、発達障害が判明したというケースもあります。発達障害の場合、環境とのミスマッチや人間関係がストレスとなったりすることも多く、発達障害の二次的な障害として、睡眠障害やうつ、不安障害などが併存するケースもあります。甲状腺の機能異常により起こるのがバセドウ病で、動悸や疲労感、発汗が主な症状です。脈拍も早くなり精神的にも落ち着かないため、「体が常に全力疾走をしている」と形容されることもあります。まぶたの筋肉が緊張することで常に目を見開いているように見えたり、眼球の周りの筋肉が肥大して眼球が突出することもありますが、バセドウ病が必ずしも眼球への変化をきたすとは限りません。突然息苦しさを感じ、呼吸が乱れ、息が入ってこないように感じるのが過換気症候群の特徴です。動悸や胸の圧迫感のほか、手足のしびれや筋肉のけいれんを感じることもあります。発症した場合、呼吸を遅くしたり止めたりすると症状は改善しますが、本人が呼吸をコントロールするのは難しいものです。紙袋などを口に当てて呼吸をするという対処法もありますが、医師の指示を仰ぐのが良いでしょう。【参考】過換気症候群|日本呼吸器学会突然息苦しさや動悸、冷や汗、恐怖感などを感じてパニック状態になり、そのせいで社会生活に支障の出ている状態をパニック障害と言います。電車やエレベーターなど閉鎖された空間では「逃げられない」と感じるため、外出ができず、学校や会社へ行くことができなくなることもあります。状況によってはだれもがパニック状態に陥る可能性はありますが、自宅でテレビを見ているときに突然、寝ているときに突然など、予期しないところで発作が起きるのが特徴です。食事をうけつけなくなる「拒食症」と、無謀な食べ方を繰り返す「過食症」。この両方を合わせて摂食障害と呼びます。食べては吐く、を繰り返すこともあり、その場合は体内のカリウムが下がって不整脈を起こすこともあります。拒食により栄養状態が悪くなり、月経が止まることもあります。拒食と過食、行動は正反対ですが根っこは同じです。拒食から過食へ、過食から拒食へと症状が変化することも少なくありません。「やせたい」という思いから治療を拒むケースもあるため、まずは治療の必要性を理解するところから始まります。生活習慣病と言われる糖尿病ですが、ストレスがホルモンバランスに影響して血糖値を上げることもあります。倦怠感やのどの渇きなどが症状として挙げられます。治療は一般の糖尿病と変わりませんが、運動や食事などの生活コントロールがうまくいかずにストレスをためることにならないよう、注意が必要です。40代以降に見られる、様々な体調不良や情緒面での不安定な状態を更年期障害と呼びます。ホルモンの影響を受けやすい女性に多いのですが、男性にも症状が表れます。症状は自律神経失調症に似ていて、動悸やめまい、疲労感、イライラ、不眠など様々です。ちょうど子どもが就職や結婚で親元を離れる時期と重なることも多く、環境の変化に心がついていけずにうつ状態となることもあります。皮膚に病気や傷がないのに円形に毛が抜けてしまうのが円形脱毛症です。痛みはなく、社会生活に直接の支障はありません。自覚症状がないのが特徴で、美容院で髪を切ってもらうときに指摘され気が付くということもあります。しかし容姿が変わることでショックを受けて、他人の視線が怖くなり外出を拒むなど、間接的に影響が出ることはあります。皮膚に症状が現れるため皮膚科を受診するのが一般的ではありますが、背景にはストレスがかかわっている場合もあります。その点から考えると心療内科で治療を受ける選択肢もあります。心療内科における治療の流れ出典 : 心療内科ではカウンセリングを含めた診察、検査を経てそれぞれの症状に合わせた治療を行います。まずは医師に現状を伝えます。病歴や症状、薬を飲んでいるかなどはもちろん、原因になりそうなストレスや家族との関係、生育歴などを話します。もし同じ病状で他の病院にかかっていた場合はそれも話しておくと良いでしょう。うまくまとめて話せないことも多いため、受診前に簡単に話す内容をまとめてメモしておくとスムーズです。話しているうちに人間関係や仕事の相談をしたくなる気持ちも出てくるかもしれません。ですが、心療内科の医師は体の不調の原因を探るために話を聞いています。悩みを聞いて答えを探してほしいという場合は、カウンセリングルームを利用するという方法もあります。じっくりと話を聞いてもらえますが、保険が適用されないため、1時間で1万円くらいの費用がかかることもあります。問診の後は体の不調の原因や程度を探るため、必要に応じて血液検査、心電図、MRIなどが行われます。心理状態や性格を知るために、心理検査(心理テスト)をすることもあります。簡単な質問に答える検査のほか、カードに描かれた模様を見て何に見えるかを答えるロールシャッハテストなど、あいまいな質問で深層心理を見る検査が行われることもあります。心療内科の対象となる病気は、原因にストレスなどがあると考えられます。そのため、生活習慣や考え方を変えることにより、症状が改善することもあります。内科的な治療としては薬物療法があります。病気やその症状に合わせて抗不安薬、抗うつ薬、睡眠薬、自律神経調整薬といった薬が使われます。最終的には薬物を使わなくても安定して社会生活を送れるように、徐々に薬を減らしていきます。ほかには患者の無意識を探りストレスの原因をあぶり出す精神分析療法、行動を変えて不安を減らす行動療法、認知のゆがみ(思い込み)を正して心を軽くする認知療法といった心理療法が用いられることもあります。診療にはどのくらい費用がかかる?出典 : 心療内科へ行こうと思ったとき、気になるのは費用ではないでしょうか。内科と違って問診(カウンセリング)の分の時間もかかるので、高額なイメージはあるかもしれません。しかしカウンセリングルームとは違って保険が適用されますし、カウンセリングと言っても何十分も時間をとれるわけではないため、驚くような額にはなりません。保険適用で3割負担のため、初診で払う費用の目安は2500円~5000円程度です。症状によっては薬や検査代が別途かかることもあります。臨床心理士によるカウンセリングを行っている場合など、別途予約料が必要なところもあります。予約の要不要を含めて、行く前に病院のシステムを調べておくと安心です。心療内科では、子どもが不登校の場合など、本人以外だけで話を聞きたいという要望にも応えてくれます。ただし本人不在の場合は自費診療となるため、費用も高額になってしまいます。パニック障害など、心療内科の対象となる病気には、自己負担が1割となる「自立支援医療制度」が適用されるものもあります。利用には医師の診断書と市町村での申請が必要で、市町村や都市に指定された「指定自立支援医療機関」でなければ適用されません。治療に時間と費用がかかる場合は、制度の適用について医師に相談してみると良いでしょう。【参考】自立支援医療制度|厚生労働省まとめ出典 : 心療内科は、ストレスが原因と考えられる多様な症状に対応してくれます。費用もほかの診療科とそれほど変わらず、特に高額ではありません。症状の中には自覚しづらいものも多くあるので、気になる症状があれば、一人で抱え込まずに一度心療内科へ行ってみるのも良いでしょう。ストレスの内容や症状について話すことで、客観的に自分を見つめることもできます。あわせて普段からストレスをためないような生活を送ることも重要です。ストレスは多くの病気の引き金になります。学校や仕事、人間関係など、ストレスと無縁に生きることはできませんが、できる限りため込まず上手に発散できると良いですね。
2018年04月05日娘の進級先、選択肢は増えたけど…みんなの意見が違う娘の次年度の進級先について、担任の先生との話し合いの中で、知らなかった情報がわかった私たち。今後の選択肢が、①通常学級②通常学級在籍で、支援学級へ通級③支援学級在籍で、交流学級へ通級の3つに増えたと分かった6月…。選択肢が増えたことで、さらに悩みも増えてしまいました。Upload By SAKURA最初、この話を聞いた私は、今まで通常学級で過ごした娘の日々の様子や、授業での問題、お友達とのトラブル…いろいろな出来事を踏まえ、「支援学級があるなら、支援学級がいいんじゃないかな?」と考え始めていました。しかし、直前の定期検診で主治医の先生に「通常学級がいい」と言われていたし、主人や、主人の両親は、(支援級があったことを知っても)通常学級を希望していました。娘が通常学級で学んでいることで成長している、そのことに大きな価値を感じていたからです。でも、私は、このままではいけないとも感じていました。何かしら支援は必要…でも、みんながそういうなら、通常学級在籍のまま、通級という選択の方がいいのかもしれない。自分の気持ちと、周りの考えに揺れつつ、自分の思いと決断に自信がなかった私は、無意識に周りの意見に流されていったのです。進級の希望を伝えた面談で、担任の先生が話した言葉そして、後日、再び担任の先生との面談が。前回言われた、3つの選択肢の中で、どれにするかを決める話し合いでした。私は、周りと意見が分かれてしまい、モヤモヤしていた状態でしたが、担任の先生に、「まだ考え中ですが…主治医の先生も、通常学級を勧めてくれているし…主人も、身内も、通常学級を希望していますので、通常学級在籍で、通級にしようかと考えています。」と伝えました。しかし、それを聞いた先生は無言…。そして、自分の経験を話し始めました。Upload By SAKURA私たちは、娘の最大の課題は、学力ではなく、「人とのコミュニケーション」の部分だと考えていました。先生やお友達とのコミュニケーションを学校生活で一つひとつ学ぶことで、今娘が抱えている、「授業での問題」「お友達とのトラブル」は改善するのではないか…。そんな思いを話すと、先生は、「コミュニケーションの部分が課題…ということですが、支援学級在籍でも、朝の会、体育や道徳などの教科、給食や掃除、帰りの会は、通常学級で受けられます。ということは、支援学級在籍でも十分ではないでしょうか?」と、娘に支援学級在籍を勧めました。Upload By SAKURA担任・主治医・家族の意見が違う。そして私は…?主治医の先生、主人、担任の先生…。それぞれが、違う意見だったのです。Upload By SAKURA担任の先生の「支援学級」を勧める話を聞いた時、私は正直、ショックでした。きっと…担任の先生は、親である私たちの意見を尊重してくれる…私たちが出した決定には、何も言わないはず…そう思い込んでいたからです。「私たちの考えは甘い、現実はもっと大変なんだ」と暗にさとされた気がしました。しかし、現場で実際に娘を見ている人の意見は、説得力がありました。私は、ショックな気持ちと、そうか…と納得するような複雑な感情になりました。娘にとって一番いい場所を探したいからこそ、ますます決定できないその日は結局、決定を保留にして帰宅。私は主人に、担任の先生から言われたことを報告しました。主人は、「最終的に決めるのは、俺たち親なんだろ?先生の意見はわかるけど、親の意見が優先だろ?俺たちは、通常学級のままという希望を出すこともできるんだぞ」と言いました。主人は、娘のコミュニケーション能力を上げるためには、少人数の支援学級より、大人数の通常クラスの方が多くの刺激を受けられるのではないか…。そう考えていたのです。Upload By SAKURA娘の将来を決める、大事な決定。周りを気にして、決めてはいけない。それを理解しつつも、このまま先生の意見を無視して、通常学級にすることは、先生に申し訳ないし、気まずい…と思ってしまいました。結局私は、周りに気を使うというより、自分の意見を押し通して、批判されるのが怖かったのです。そんな私とは違い、揺るがない意志で、娘のために、娘のことを真剣に考え、進級についての意見を言う主人を見て、私は自分の弱さに、嫌気がさしていました。娘にとって、何がいいか…それがわからない状態で私の頭は、どんどん混乱していきました。結局、すぐに答えは出ることはなく、とりあえず、進級についての決定の最終期限である9月まで、私たちは考えることにしました。「宿題、やらなくていいですよ」の言葉に、感じた複雑な気持ちそれから一か月ほど経った、7月。修了式に、大荷物を抱える娘を迎えに行ったときのこと。担任の先生と、夏休みの宿題について話をしているときのことです。先生が、「宿題は無理して全部やらせなくていいですよ。暗記の宿題は、毎年クラスで数人しか覚えてこないんです。だから…娘さんはもうやらなくてもいいですよ。」と言いました。私は…娘がみんなと同じ宿題を、同じ課題を、できるようにするため、今までいろんなやり方で娘と頑張ってきました。宿題も、やらなかったことは一度だってありません。そんな思いでやってきていたこともあって、やる前に「やらなくていい」と言われて、とても悔しくなりました。しかし、それと同時に、先生が良かれと思って言っているであろうことも理解できたのです。私は、両方の感情が入り混ざって、自分の気持ちがわからなくなってしまいました。Upload By SAKURA無意識に負い目を感じていた私。感情も抑え込んでいたのかもUpload By SAKURA私は…こういう発言に、傷ついてもいいのかな…?もしかして「そういう子を通常学級に入れてるんだもの、当たり前だよね」と思わなければならないのかな…?小学校に入学して、娘がいろんな問題にぶつかるたびに、親として感じる思いはありましたが、「これに傷つくくらいなら、そもそも通常学級は向いていないんじゃないか…」そう自分に自問自答しながら、無意識に、自分の感情に自分でブレーキをかけるようになっていたのです。娘が小学校に入学してから、私は学校でよく謝っていました。娘ができないこと(作文や授業中の指示への反応など)を報告されるたび、「いつもすみません」「迷惑かけてすみません」と謝る。それは、手のかかる子を通常学級に入れているという申し訳なさがあったからでした。だけど、娘ができないのは娘のせいではない…娘が悪くないことで、私は謝りたくない…そう思いながらも、「発達障害がある子を通常学級に入れるというのはこういうことだ…」と自分に言い聞かせていました。自分の抱いた感情を自分で抑えているせいで、感情の行き場がなく、必死にこの思いの行き場を探していました。もう耐えられない…正直に気持ちを打ち明けてみた担任の先生、主治医の先生、家族の意見が違う中で、肝心の娘は、というと。通常学級がいいか、支援学級がいいか…今が辛いのか、楽しいのか…はっきりとは言いません。それなのに、大人が進級先を決めていいのだろうか。考えれば考えるほど、自分以外の人の話に、耳を傾ければ傾けるほど、もうどっちを選べばいいか、わからなくなりました。そして主人に、「このまま通常学級にいたら、私の頭と心が耐えられない…」と、今の私の正直な気持ちを伝えました。Upload By SAKURA主人の正直な思いは、通常学級だったと思います。でも、私の話を黙って聞いて、それから言ってくれたこの言葉が、私の悩みを楽にしてくれました。「わかった。たぶんお前は支援学級の方が、気持ちが軽くなると思う。直接向き合ってきたのも、見てきたのもお前だから、お前が『支援学級』と思うなら、そうだろうと思う。いいよ、支援学級にしよう!俺たちの子なら、どこにいても伸びると思う!」そして、ようやく、2年生からの進路が「支援学級」に決まったのでした。完璧な正解なんてわからない。だからこそ親として…娘の大事な進路を決めるあたり、悩む時間は不可欠だったのかもしれません。周りの意見は大事だし、話し合いも必要です。悩まなければ、結論は出ない。でも…周りを気にしすぎた結果、私は必要以上に悩んでいたような気がします。もっと自分の意見を大切にしていたら…主張していたら…もっと周りに流されずにいたら、冷静に決められたのかな、とも思います。周りの立場や思惑を気遣いすぎないようにして、我が子のために、自分が本当はどうしたいのかを大切にした方がいいのかもしれません。もちろん、この決断が正解なのかはわかりません。今回の私たちの決定に「間違ってる!」と思う人もいるでしょう。でも、何を選んでも、みんなが『それでいい!』という決定はないのではないかと思います。どっちにしても、反対意見はある。それに、正解か不正解か分かるのは、もっとずーっと先なのではないでしょうか。親が必死に考えた決断が、現状では最善なのです。もし、この先、「あぁ…あの時、間違ったな~」と思えば、そこから切り替えていけばいい。今も、これからも、最善の方法を娘のために探していく。それが決断をした私の…私たちの、親として役目かなと思います。Upload By SAKURA
2018年04月04日診察室で、日々、出会うのです。親たちの思いと、言葉に…出典 : わが子のそだちに寄り添うなかに生じる違和感、「なにかが違うんです」という親の思い。そこには、わが子のこころに自分のこころが重ならないことの悔しさともどかしさがある。それが時に自分へのふがいなさとなり、自分を責めたり、わが子のわがままとしてつい追い詰めてしまう。発達障害という診断は、生来的にわが子にある特性として、その日その時にできる関わり方で対応するという医学モデルを提案するもの。診断が下ったとしても、誰も責めあう必要はないのです。親は「私の育て方でも、この子が私を嫌っているからでもないのですね」という安堵と、「でもこれからずっと、その特性と私もこの子もつき合っていくしかないのですね」という荷を背負う覚悟を、時には疲れ果てた思いとともに、語る。画期的な治療方法があれば、なにか魔法のようなものがあれば、ある日、朝起きたときにすべての課題が霧のように消えてしまっていたら。そういう願いを、いつもこころのどこかに抱きながら、親は毎日を送っているのだろうなぁ。僕は診察室での出会いから空想する。診察室で話をしながら、僕は、この子と親が自宅で悪戦苦闘している姿を空想する。リビングで、食卓で、トイレの前で。ゲーム機やタブレット、携帯を間に、激しい言葉のやりとり。モノが飛び交い、時に破損していく姿。そうした光景を走馬灯のように頭のなかで巡らせながら、僕はその子と親を診る。わが子のそだちにつき合っていくのは、もちろん楽しみでもある。しかし、苦痛でもある。先のゴールが見えないだけでなく、今歩いているこの道さえも、本当に正しい道かどうかすら、誰からも正しい助言を、親はもらえない。「日々のわが子の言動に迷いと途方にくれる思いを持ちながら、眼の前のわが子の言動に一喜一憂しながら、親としての時間が過ぎていく」「こんな苦労もそのうち終わると思っているのですが、ひょっとして終わりのない苦労なのじゃないかと思うのです」「いつまで私はこの大変さとつき合っていかないといけないのでしょう」「小さい喜びのあと、決まって大きな哀しみが来ます。最近は笑いながら泣いています」「この子が変わらないなら、私が家を出るしかないと、先日荷物をまとめたことがあります」「家族ですら、私の気持ちを分かってくれる人はいません。本当に疲れてしまいました」「本当は、私のせいではないのですか」僕は、診察室で、このような言葉と出会うのです。そしてその言葉の後ろにある、思いにー。子どもの生きる力を、思いを、翻訳して親に伝える。それが、僕ができることー出典 : 診察室でできることは限られている。育ちの見通しを明確に告げる予言は僕にはできない。せめてこの子の行動に裏にある意味や行動を説明する仮説を設定し、それを言葉にして親に伝えようと、僕は苦心する。時にそれは発達段階としての生物学的説明であったり、思いを言葉にできないゆえの行動であったり、強い個性から生じるちょっと分かりにくい個性的思考であったりする。同時に、言葉を届ける相手の気持ちに思いを馳せる。僕にとってそれほど的を外していないと思われる言葉であっても、今の眼の前の親には届かない場合もある。今、欲しい言葉でないときに、聴きたくないときに、言葉は対話とならずに宙をさまよう。今、最大限伝わると思われる言葉を選りすぐり、僕は親に言葉を贈る。何年やっても、その選択には自信がない。語り合うなかでの、微妙な表情の変化を読み取り、僕の言葉がシャットアウトされていないか、スルーされていないか、誤解されて伝わっていないか、恐る恐る微調整していく。気持ちの乗せ方、発語のスピード、抑揚、一期一会のやりとりである以上、できる限りこころを砕く。思いがこもる発話は、侵襲性が高い場合もある。記号化した言葉よりも、思いが過剰に残像となる場合もある。時に僕は紙に説明文を書き、それを説明して音としての言葉でなく、文字としての言葉を遺すこともしている。言葉は、恐ろしいものである。誤解も簡単に作ってしまう。そもそも、育ちという先の見えない、しかも、すべてが例外という育ちを、平均的に説明すればするほど、眼の前の子どもの有り様が消えていく。発達障害臨床、あるいは子どもの精神医療とは、マニュアル、ガイド化しにくいもので、診断名がついたことで、先が見えるというものではない。常に「じゃ、今を、明日を、これからを、どのように生きていけばよいのですか」。答えのない疑問を共有し、今できる小さいことを提案し、それを積み重ねていく作業を応援していく、それがそだちに関わる僕の仕事である。そのために、なにをおいても親には先に倒れることなく、焦らずに、日々の小さいできごとを、きちんと受け止め、喜び、泣き、次に生きる糧にしてもらいたいと、願う。子どもの育ちの速度を変えることは僕の臨床ではできない。子どもの力を一新することも、僕にはできない。僕にできることは、今のこの子の生きる力を捉え、同時に、この子の思いに近づく努力をし、それを周囲に翻訳し伝えることである。そのためには常に、大きく貢献してきた親への感謝と労いを、言葉にすることが重要なのである。「よく、ここまでそだてましたね」「この子に上手に寄り添っていますね」「この子も安心していることでしょうね」「お疲れさまです。ちょっと休んでよいかと思います」いくら言葉にしても、足りないくらいである。その子のこころに近づこうとすることー発達障害を突き詰めることより、大切なもの出典 : 医学は個々の発達のなかで、ある特性を強く持つ状況を、医学的に病態としてグループ化し、それぞれのグループに診断名をつけた。大きな括りは「発達障害」である。そのなかを、自閉スペクトラム症とか注意欠如多動症とかさまざまな名称で区分けをした。その特性の度合いは一定ではなく濃淡というイメージで、非常にバリエーションがあり、個々のなかでも、生活状況によって流動的だ。しかも、その区分けの境界線も非常に脆いもので、時に複数が混じり合っている場合もある。その特性は、突き詰めると、すべての子どもに濃淡があり、まったくないという子どもは、そもそも存在しないのではないか、鍵は濃淡の度合いになってしまう。すると、時にその特性は、医学的に診断されるものに該当し、ある特性は、存在するが診断されるほどの濃さではないと、医学的に判断される、ということになる。もちろん、大きな戸惑いもなく、判断される濃さもある。診断する側によって右往左往してしまう微妙な濃さもある。発達障害があるかないかという境界線は、実際には、明確さに欠ける部分がある、という感想を僕は診察室で常に抱く。それは、問題視するべきではない、全然大丈夫、という判断をしてもよいということではない。少なくとも、これまで述べてきた親の言葉は生活のなかで紡ぎ出された思いである。子どもたちも、どこか生活場面に戸惑い、追い詰められ、自己判断を否定され、思いを拾い上げてもらえず、糾弾されてしまう、という体験のなかで、苦しみうめいている。この事実に、僕はより生活がしやすい方法を探し、環境調整に苦心するのが精神科臨床であると思っている。明確な診断がつかなくても、診断という海図におおよその目途をたて、難破することなく、巡航できることを計画することはできる。あとは天候に応じて微調整を計り続けるだけである。海図は、あくまでも海図である。そこにリアルタイムな関わりを創造していくのが僕たちの臨床なのだ。発達障害を突き詰めるよりも、この子のこころにより近づこうとするほうが、実際は難しいが必要なことであり、近づく人は、この子の生活に実際に関わるすべての人たちでないといけない。その橋渡しが僕の役割である。僕は、日々を送られる子どもたちとその親を、こころから応援したいと思っている。そしてそれを支える周囲の生活者に敬意を払いたいと思います。
2018年04月03日個性を生かすさまざまなプログラムを盛り込んだ “放課後デイサービス” を展開する「あいだっく」(株式会社アイダックデザイン)は、このたび、障がいをもつ就学児にパソコンの楽しみを教える「パソコンあいだっく」の新事業所を、神奈川県川崎市にオープン。同社はこれまでも都内を中心に「パソコンあいだっく」のほか、芸術性(絵画や工作など)を支援する「アトリエあいだっく」、表現活動(ダンスや歌・楽器など)を支援する「スタジオあいだっく」、「サッカーあいだっく」など、各施設ごとに特化したコンセプトを掲げて展開、数多くの子どもたちを支援してきました。障がいを持つ子どもたちも、大人になればいつかは働かなければいけません。いまは、どんな職業に就いたとしても「パソコンの利用」を避けることは難しい時代。だからこそ、少しでもパソコンを楽しいと感じてもらいながら、楽しく学べる場所が必要だと考え、「パソコンあいだっく」をスタートさせたといいます。「パソコンあいだっく」は、2014年4月都内にオープンし、これまで延べ約250人が登録。たくさんの子どもたちの成長をサポートしてきましたが、現在他県にも事業所を拡大しています。「あいだっく」では、芸術(絵画や工作など)、表現活動(ダンスや歌・楽器など)、PCの操作、スポーツといった、さまざまな体験が可能。そのなかで子どもたちが新たなものを吸収し、自らの能力を伸ばしてほしいという想いから、各施設において「活動」という時間を設けている。その時間の中で吸収したことや制作した作品をお披露目するイベントを各施設ごとに毎年実施。今年度は、より多く方に子どもたちの日々の頑張りを見て欲しいという想いから、6施設合同でイベントを開催。高校3年生たちのために「卒業式」も挙行した。<お問い合わせ> 放課後デイサービス「あいだっく」 Tel/FAX: 0120-92-2010(もしくは03-5338-9100)電話受付時間:平日10:00~16:00メールでのお問い合わせ: 放課後デイサービス「パソコンあいだっく」川崎事業所神奈川県川崎市川崎区藤崎4-7-1-2F対象:就学児童(小学生~高校生)時間:月~金曜日 14:00~17:30 定員:10名※「放課後デイサービス」とは放課後等デイサービスとは、2012年4月に児童福祉法に位置づけられた、障害のある就学児向けの学童保育のような福祉サービス。今まで不足していた障害児自立支援施設を増やすことを目的とした大幅な規制緩和も進み、住んでいる地域で、乳幼児から高校卒業まで一貫したサービスを受けられるように。現在は、多くの放課後等デイサービスが誕生し、保護者が複数の施設を選択したり、施設を比べながら選べるようにもなっている。
2018年04月02日薬ってそもそも何だろう?出典 : 私たちは、誰もが心や体のバランスを崩すことがあり、そのためにつらい体験をすることがあります。病気やけがを治したり、心や体のバランスを取り戻したりするために「薬」が用いられることがあります。薬の歴史は古く、紀元前には、草や木の根、一部の動物や鉱物などが薬として使用されてきました。しかし薬は、適切な状態に対して使用されなければ、利益をもたらすことも害をもたらすこともあります。そこで、薬を使うことは、現在の患者さんの病状を正確に診断し、それに対して処方すること、すなわち医学の専門的領域として発展してきたのです。現代の日本では、主にヒトや動物の病気の診断・治療・予防に使うものを薬機法という法律で定め、医薬品と呼んでいます。今日の医薬品は、漢方薬のように植物や動物などの生薬により生産されているものもありますが、多くは化学的に合成された薬品です。製薬会社はさまざまな候補物質を作成し、薬理学的活性や動物実験などによって、その物質が「薬」の候補となり得るかどうかを調べています。そのなかで有効性と安全性の両面で優れていると考えられる物質が、開発候補となります。これは製薬会社が合成した候補の中のほんの一握りの物質であり、慎重な検討のもと、開発候補(治験薬)が選定されるのです。しかし、実際にヒトで安全であるのか、患者さんで有効であるのかは、明らかではありません。第Ⅰ相試験では、健康人を対象にして治験薬が投与され、その体内での動態や安全性が検証されます。これをクリアした場合に、第Ⅱ相試験が実施されます。この試験では、試験への参加同意の得られた比較的少数の患者さんに対して、治験薬の安全性とともに、投与量と効果の関係が検討されます。第Ⅲ相試験では、第Ⅱ相試験の結果を踏まえ、より大きな規模で有効性と安全性が調べられます。このとき、仮に患者さん100人に治験薬を使用したところ、80人に有効であったということがあっても、この薬が有効であるかどうかは分かりません。第Ⅱ相、第Ⅲ試験では、プラセボ、つまり治験薬とみかけは変わらず薬効成分のない薬との有効性と安全性を比較することが普通です。プラセボは有効成分がないのだから効果も副作用もないだろうと考えるでしょう。しかし、実際にはプラセボでも効果や副作用があるように感じることがあります。人のからだは不思議で、薬と信じて服用すると、その安心感から自然治癒力を引き出すことがあります。このような効果を「プラセボ効果」と言います。この「プラセボ効果」と「薬の候補の効果」を、医者も患者さんも分からないという条件の下で、有効性と安全性を調べ、プラセボに比べて薬の候補が有意な効果を認め、安全性にも問題が無い場合に薬の候補となるのです。最終的には、これらの臨床試験の結果を踏まえて、規制当局が薬として承認することになります。このようなステップを経て開発された新薬には特許があります。新しく合成した化学物質には「物質特許」がありますし、その効能・効果には「用途特許」があります。それ以外に、製造方法に与えられる「製法特許」、製剤上の新しい工夫に関する「製剤特許」です。原則6年間がたつと、物質特許と用途特許は切れて、後発医薬品、つまりジェネリック医薬品の生産が可能になります。ジェネリック医薬品は、先発医薬品と同じ薬効成分を有しており、服用後の血中濃度の変化が同等であることが求められています。しかし、製法特許や製剤特許は切れていないため、ジェネリック医薬品のメーカーにより製法は様々で、薬効成分以外の成分は異なっている場合もあります。したがって、先発医薬品とジェネリック医薬品が全く同じ、というのは事実ではないのですが、国全体としては医療費を抑制していくことが急務ですし、ジェネリック医薬品メーカーも、より質が高いジェネリック医薬品の提供や安全性情報の提供などに努めています。ドラッグストアなどで一般の人が自分の判断で使用することのできる一般用医薬品もあります。このなかには薬剤師からの指導、文書での情報提供の要否や努力義務によって、第1類、第2類、第3類などの指定があります。軽い身体不調に対して自分で手当てするというセルフメディケーションも現在推奨されている方法の一つです。しかし、この記事でこれからご紹介する向精神薬は、医療機関でしか処方できない医薬品がほとんどです。「薬が効く」ってどういうこと?出典 : 風邪を引いたら風邪薬を飲む、熱が出たら解熱剤を飲む、というのは、幼い頃から当たり前のようにやってきたことで、何の疑問も持たないでしょう。しかし、風邪薬を飲んだから病気が治ったのでしょうか?実際のメカニズムは、それほど単純ではありません。初期の風邪には、葛根湯を飲んで体を温めたり、免疫機能を高めたりすることがあります。これは、身体自体に備わっている風邪を治す機能を後押ししているのです。風邪で病院を受診し、抗生物質を処方されることもあるでしょう。最近では風邪に対してお決まりのように抗生剤を処方されることはなくなってきています。これは風邪の多くがウイルスによるもので、抗生物質は無効であるばかりか、抗生物質の効かない耐性菌を作ったり、腸内の細菌叢のバランスを崩してしまうからです。しかし、風邪をこじらせた場合には、細菌感染を合併していることが、採血の結果や咽頭ぬぐい液の培養によって確かめられることがあります。このような場合には、細菌を殺す(殺菌)あるいは細菌の増殖を抑える(静菌)ことを目的として抗生物質が処方されることがあります。これは原因療法といってもよいでしょう。原因療法とは異なり、症状を軽減する目的で薬が処方される場合もあります。それを対症療法といいます。対症療法というと、なにか原因を踏まえないつけ焼き刃の治療法のように聞こえるかもしれません。しかし、症状を緩和することで、日常生活の質が改善したり、別の治療的アプローチが有効に機能することがあるとしたら、対症療法も一つの治療法というべきでしょう。総合感冒薬(いわゆるかぜ薬)をみると、頭痛を軽減したり、鼻づまりを治したり、痰を出しやすくする一方、咳を止めたり、熱を下げたりする成分が入っています。これらは、風邪を治すというよりも対症療法として、その間の苦痛を軽減し、食事がとれたり、睡眠がとれることで体力の消耗を抑えることによって、身体の回復を助けようとする薬です。発達障害における薬の効き方出典 : 発達障害に対して薬物療法はしばしば行われることですが、発達障害自体を完全に治癒させる薬物療法はありません。発達障害における薬物療法は、対症療法であると言えます。注意欠如・多動症(ADHD)の中核的な症状である多動性—衝動性、不注意に対して、メチルフェニデート徐放錠(コンサータ®)、アトモキセチン(ストラテラ®)、グアンファシン徐放錠(インチュニブ®)が使用できます。それぞれの薬剤は、効果が出現するまでの時間や効果の強さ、効果がみられる時間の長さや副作用のプロフィールが異なっており、患者さんの状況や薬物への反応性に応じて使い分けられます。ADHD症状が軽減すると、全体を見渡して判断したり、順序立てた行動ができるようになったり、感情的になることが少なくなったりしますが、そのような思考や感情表出のパターンが本人にとっては新しい体験であったりします。また、保護者の方にとっても、「この子らしくない」とみえ、戸惑うこともあるでしょう。本当のその子らしさは、ADHDの症状が消えてみるとみえてくるものなのですが、それまでの間は戸惑いの方が大きいものです。日本では薬にまつわる否定的な表現も多くあります。薬に頼る、薬漬け、薬から卒業する、といった具合です。薬を使うことがネガティブに感じられ、本人や家族の努力不足であるかのような表現に聞こえる方もいるかもしれませんね。このような背景には、精神医学的な問題は、根性で立ち直るべき、といったような精神主義的な考え方があるのかもしれません。ADHDの治療においても、薬物療法か、薬物療法をしないかといった対比で語られがちです。ですが、これもそのような単純な図式では語れません。その子が行動上の問題を抱えているとき、望ましい行動を増やし、好ましくない行動を減らすためにはどうすればよいか、行動療法の考え方に基づいて最もよい対応を相談することが大切です。また、そのためのスキルを、ペアレント・トレーニングとして学ぶことも可能でしょう。また、学校や家庭で起こった現実的な困りごとについて、現実的な解決や調整を図ることも大切です。しかし、そのような行動変容を期待するとき、本人の動機付けを高めることも大切ですし、何よりも本人や家族が衝突ばかりを経験しており、疲弊しているようでは効果的な介入を期待できません。ADHDの子どもは小さな報酬に対して、脳の中の報酬系(快と感じる行動を選択しようとする脳の働き)が活性化されにくいと言われています。つまり、言葉で褒められただけでは行動が動機づけられにくく、食べ物やゲーム、お小遣いのようなわかりやすい報酬にしか反応しない傾向があるのです。しかし、メチルフェニデート徐放錠(コンサータ®)を服用すると、小さな報酬に対しても報酬系の活性化が見られるという研究結果が報告されています。このことは、行動療法を行う場合にも、これまでには動機づけられなかったような小さなフィードバックに対しても、子どもたちが動機づけられる可能性を示しています。薬物療法は行動療法と相乗的に効果をもたらす可能性があるといえます。また、自閉スペクトラム症(ASD)の易刺激性に対しては、リスペリドン(リスパダール®)やアリピプラゾール(エビリファイ®)といった抗精神病薬が使用されます。易刺激性とは、かんしゃく、人への攻撃的な言動、自傷、気分の変わりやすさとして観察される感情のコントロールの難しさです。しかし、易刺激性の精神医学的な意味は必ずしも明確ではありません。薬剤は、抑うつ症状や気分の波、衝動性、こだわり、感覚過敏などのさまざまな面で効果を示している可能性があります。他方、易刺激性の背後には、相手の気持ちや社会的文脈を読み取りにくい、見通しを持ちにくい、コミュニケーション障害といった認知特性や対処スキルの乏しさがあります。薬物療法の実施がその子の社会適応状況を一時的に改善したとしても、そのうえで認知特性に応じた支援やスキル獲得を目指した援助を実施する必要があります。どういう場合に子どもに薬物治療を行うの?出典 : 発達障害という診断を受けたからと言って薬物療法を受けなければならないわけではありません。発達障害自体を治癒する薬はなく、薬物療法が唯一の治療的アプローチでもありません。そうすると、薬物療法は、どういう子どもの状態が対象になるのか、ということが問題になります。子どもが抱えている問題について、さまざまな治療的アプローチを行った上でなおも残存する問題があり、薬物療法を実施することが、その子の問題の解決を促進すると考えられ、かつ、本人や家族がその治療を望む場合に、薬物療法が開始されることになります。実際に薬物療法を実施し、そのことによって期待される効果が得られるか、効果と副作用のバランスを見て、その治療がポジティブな結果をもたらすと考えられる場合に薬物療法は継続され、その治療が不利益の方が大きいと考えられた場合には、薬物療法は中止されることになります。薬物療法を継続された場合でも、問題が解決し、薬物療法を継続しなければならない理由がなくなってきたならば、薬物療法を中止することになるでしょう。薬物療法を開始する前に大切なことは、いま困っている問題がどのような背景であるのか、ということを見立てることです。たとえば、クラスのなかが騒がしく、いつも話し声が聞こえたり、たちあるく人がいる状況では、その子が不注意になってしまうのは当たり前のことです。その子が不注意だからといってADHD治療薬を使用しても十分な効果があるはずはありません。その状況が、学校や家庭などの複数の場面で発達水準に認められるという診断基準に立ち返り、本当にADHDといえるのかを検討する必要があります。発語がない自閉スペクトラム症の子どもがかんしゃくを起こしているならば、自分の思いが伝えられない状況で起こっているのか、こだわりが崩される状況の中で起こっているのかなどを確認し、コミュニケーション支援や周囲の対応や環境の作り方を考えることが先で、まず抗精神病薬を使えばいい、ということではありません。そのような見立てのためには、その状況について、親御さんや周囲の大人と医師が話し合いを行うことが大切ですし、その見立てを共有する中で、薬物療法の是非についても議論されるはずです。十分な見立てのないまま「問題行動」に対して薬物療法が実施されるとしたら、それはデメリットしかもたらさないでしょうし、漫然とした薬物療法が継続されることとなります。発達障害の治療に使われる代表的な薬出典 : の中核症状である多動性—衝動性、不注意を軽減する薬剤として、メチルフェニデート徐放錠(コンサータ®)、アトモキセチン(ストラテラ®)、グアンファシン徐放錠(インチュニブ®)が使用できます。メチルフェニデート徐放錠、アトモキセチンは、小児のみならず成人に使用可能ですが、現時点ではグアンファシン徐放錠は小児にのみ使用可能です。それぞれの薬剤は、効果が出現するまでの時間や効果の強さ、効果がみられる時間の長さや副作用の現れ方が異なっています。メチルフェニデート塩酸塩|PMDAアトモキセチン塩酸塩|PMDAグアンファシン|PMDA古くから発達障害に適応を有する薬剤として、ピモジド(オーラップ®)があります。添付文書によれば「小児の自閉性障害、精神遅滞に伴う下記の症状:動き、情動、意欲、対人関係等にみられる異常行動、睡眠、食事、排泄、言語等にみられる病的症状、常同症等がみられる精神症状」に有効とされており、これだけをみるとあたかも万能薬のようにみえてしまいます。ですが、当時と現在では適応症の決められ方が異なっており、この薬剤が他の抗精神病薬に比べて広範な効果を特別に示すとは考えられていません。この薬剤は、心電図のQT時間を延長させる作用があり、特に高用量では致死的な不整脈を起こすことがあります。そのため、最近では使用の機会が少なくなっています。自閉スペクトラム症に伴う易刺激性に使われる薬には、前述のとおりリスペリドン、アリピプラゾールがあります。使用する用量は低用量から中用量であり、鎮静を期待する量を使用することは好ましくありません。一般的には、うつ病や強迫症、その他の不安症に対して用いられる薬剤です。自閉スペクトラム症やADHDに抑うつ症状を伴うことがありますし、自閉スペクトラム症に強迫症状や社交不安などの不安症状を伴うこともあります。これらの症状に効果を示す可能性はありますが、逆にいらいらとした気持ちを高めたり、死にたい気持ちが高まることもありますので、注意が必要です。自閉スペクトラム症に伴う強迫症状には、抗精神病薬の方が有効なこともあります。気分の波やいらいら、感覚過敏などを伴う場合に使用されることがあります。気分安定薬の多くは抗てんかん薬としても使用されます。一般的に使用されるベンゾジアゼピン系の抗不安薬や睡眠薬は、脱抑制といって、興奮を強めたりすることがあるので、特に小児では避けられることが多い薬剤です。自閉スペクトラム症に伴う不眠には、メラトニンの有効性を示す報告が多くあります。メラトニンは覚醒と睡眠を切り替えて眠りをうながすホルモンです。日本では、メラトニン受容体に作用するラメルテオン(ロゼレム)が使用可能です。ベンゾジアゼピン系でない薬剤では、オレキシン受容体拮抗薬であるスボレキサント(ベルソムラ)が使用可能ですが、小児における有効性と安全性のデータが報告されていません。リスペリドン|PMDAピモジド|PMDAアリピプラゾール|PMDAラメルテオン|PMDAスボレキサント|PMDA発達障害の子どもへの薬物療法を行う際に気を付けたいこと出典 : 治療決定についての考え方は、昔と大きく変わってきました。以前は医師が専門的知識に従って治療方針を決定し、患者はそれに従うものでした。薬物療法についても、医師の指示通りに患者が薬を飲むかというコンプライアンス(服薬遵守)が問題とされてきました。近年では、医師は専門的知識に基づいて治療決定に必要な情報を提供し、患者がその方針を決定するものに変化し、その方針への積極性もアドヒアランスという言葉で表現されるようになっています。子どもの場合、法的には保護者が意思決定を行うことになりますが、保護者が決めた意思決定に子どもを従わせるというのは現実的にも不可能なことです。最近では、子どもにおいても自己決定を尊重し、子どもには子どもにわかる範囲の最大限の説明を行い、積極的な同意(アセント)を得ることが求められています。その子どもがわかる範囲というのは、その子の年齢だけでなく、知的な水準やそのパターンによっても異なってきます。病名や薬剤名を伝えるというよりも、その薬がどのような影響(効果、副作用、日常生活に期待される変化)をもたらし得るのか、実際にどのような薬剤(色、味、剤型など)なのか、いつまで服用するのか、など、わかりやすく説明し、子どもの意思を最大限尊重する必要があります。副作用のモニタリングも大切です。とはいえ、発達障害の診療に訪れる子どもは、すでに「お注射はされない」「お話だけ」などと説得されていることもありますし、検査が苦手な子も多く、専門医療機関が少ない現状の中で、子どもに嫌われたくないという医療機関側の思いも相まって、本来期待されるよりも少ないモニタリング頻度になっていることが多いでしょう。それらのモニタリングも含めて治療の枠組みとして説明しておくことが大切かもしれません。一方、モニタリングは採血や心電図など、本人の負担のある検査ばかりではなく、体重、脈拍、血圧、日々の様子など、さまざまな観察で行うべきものもあります。その点についても親御さんと医師で話し合っておく必要があります。まとめ発達障害の治療において、薬物療法だけですべてが解決することはありません。解決したい子どもの行動の成り立ちを医師と家族が一緒に見立て、環境調整や行動療法などと組み合わせることが大切です。いま何のために薬を飲んでいるのか、子どもと保護者、主治医が目的を共有し、その後の効果と副作用を見極めながら、薬物療法を継続していくか否か、意志決定していく必要があります。
2018年04月02日新生活のスタート、あなたの背中を押してくれる新刊を紹介!4月、新しい環境に移ったり、学校や職場で新たな出会いがあったり…ワクワクもする一方で、ちょっとドキドキ、そんな季節ですね。今回は、楽しく一歩を踏み出すためにあなたの背中を押してくれる一冊、勉強や仕事のコツを伝え、あなたの不安を解消する手助けになってくれる一冊など、新生活のスタートにぴったりな新刊情報をお届けします。偏食との向き合い方は!?『手作り弁当は、ママから発達障害の娘へのラブレター』自閉症スペクトラム障害がある長女の偏食に向き合ったブログが多くの人に読まれ、共感された桜井奈々さんの子育てエッセイです。「どうして食べてくれないの?」お弁当づくりに悩む保護者は少なくないのではないでしょうか。この本の著者である桜井さんもその一人でした。幼稚園では、お弁当に手をつけなかったり、お昼の時間内に食べきれないという日が続きます。小学生になり、給食を食べられるようになった背景には、お友だちの配慮や本人の努力がありました。お弁当を通して繰り広げられる親子のやりとりとともに、子どもの成長記録が綴られています。食べてもらうためにさまざまな工夫を凝らし、彩りやにもこだわった可愛らしいお弁当の写真は見ているだけでも楽しくなります。「撃沈」「痛み分け」「大勝利」と、長女の反応もユーモアを込めて紹介されています。気に入った料理を連日食べ続ける長女に合わせた家族用のおかずアレンジ法などもあり、生活に取り入れられそうなアイディアが盛り込まれています。(発行:2018年3月17日)親子で一緒に取り組めるワークシート『イラストでわかる子どもの認知行動療法: 困ったときの解決スキル36』同志社大学教授で臨床心理士の石川信一先生が手がけた子どもたちに向けたワークシートです。感情がストレートに行動に出てしまうことで、周囲との人間関係でつまづいてしまうことがあります。この本では、子どもたちにイライラしたり嫌だなと思う気持ちは「あっていいんだよ」と認めながら、認知行動療法によって行動をコントロールしていくための考え方を育みます。「じぶんの気持ちをじぶんでコントロールしてみよう」という章から始まり、学校の授業や休み時間、掃除の時間などさまざまな場面について、その時の感情と行動について考えられるようになっています。子どもが自ら経験して学んでいく過程を大切にするためにも、大人も一緒に読みたい一冊です。認知行動療法は、医療現場を中心に普及しつつありますが、その一方で、教育の現場に生かせる本はまだ多くはありません。この本は、子どもに語りかけるような優しい言葉遣いでまとめられていて、子ども一人でも取り組めることがコンセプトにされています。親子で一緒に書き込んだり、大人が聞き取りしながら進めていくこともできそうです。(発行:2018年2月18日)英単語勉強は暗記だけじゃない『読み書きが苦手な子どものための英単語指導ワーク (特別支援教育サポートBOOKS」』神戸山手短期大学准教授で英語教科の特別支援やユニバーサルデザインの啓発活動に取り組む村上加代子先生の著書です。学習障害(LD)のある子どもたちを対象にした「チャレンジ教室」を主催する村上先生が、小学生から高校生までのLDの子どもたちに実際に指導して効果が見られた「音から文字へ」落とし込むという暗記に頼らない勉強の指導方法についてまとめています。学校向けの指導ノウハウについてのシリーズを展開している出版社が手がけている専門性の高い本です。こちらは、小学校高学年から中学校くらいまでの「アルファベットはわかるけど、英語の単語の読み書きに苦手がある」子どもたちを想定して書かれています。今後は、小学校でも教科として英語が導入され、低学年から英語に触れる機会も増えるのではないでしょうか。英語の勉強は単語がわからなければその先になかなか進めません。苦手を克服できないままでいると、授業がつらくなり、後に進路の選択肢を狭めることにつながってしまうことも。教員向けの本なので、専門用語もみられますが、小文字のアルファベットの指導法からスタートするので、これから英語を学ぶ子どもたちの備えとしても取り入れられるかもしれません。(発行:2018年2月8日)進学!就職!親元を離れたあなたに。『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に暮らすための本』言語聴覚士であり、自閉症スペクトラム障害の当事者でもある村上由美さんが自身の経験も踏まえて専門的な視点からわかりやすく解説します。この本では、ADHD、ADD、ASD、LDという代表的な発達障害に対して、進学や就職などで親元を離れた時に身につけたいスキルを紹介。章ごとに時間管理やお金の悩み、コミュニケーションの問題などの「あるある」という困りごとを取り上げ、イラストや写真を添えて解決策を提案しています。例えば、「物をどこに置けばいいかわからない」という項目では、使用頻度で置き場所を決めるべき物の例をグループ別にイラストで掲載。さらには、具体的なアイテムの使用実例を写真で紹介してあり、取り入れやすい工夫がされています。当事者や家族はもちろん、身近な人が「もしかしたら発達障害かも?」と思う人にとっても、何をどう手助けしたらというヒントになる具体的な解説が盛りだくさんです。(発行:2018年3月14日)家族や同僚に気になる人がいるという方にも『〈大人の発達障害〉アスペルガー症候群・ADHDを解決するコツがわかる本』社会人向けには、アメリカでADHDの研究に取り組んだ後、発達障害専門の司馬クリニック院長・司馬理英子さんの著書。アスペルガー症候群とADHDそれぞれの特徴と違いを踏まえて、より良いコミュニケーションについての教科書的な本です。会話をするときの相手との距離や目線の位置、要点を抑えた話の順番など詳細に解説してくれています。電話対応やメールの送り方、会議や打ち合わせの基本など、ビジネスシーンについて取り扱っているページが多いので、会社勤めをしている人などは、特に参考になりそうです。また、「ADHDの妻を支える妻・夫を支える方法」という項目もあります。なんでも言える相手だからこそ、うまくいかないことに対して、「なんで?」とつい責めてしまうこともあるかもしれません。本人は家庭のことや仕事がうまくできなく落ち込んでしまう時もあるでしょう。つまづきがちなことができるようになるためのちょっとした工夫や、ほっとする声かけを知っておくと、自宅が安心して過ごせる場所になります。(発行:2018年2月15日)夢中になれることにとことん!『はじめアルゴリズム(2)』計算に夢中になる小学校5年生の「関口ハジメ」が繰り広げる数学をテーマにしたコミックです。自然豊かな島で育つハジメは、独学で自由な発想のもと、難解な数式を作り出しては解くことに夢中になっていました。同じ島出身の老数学者・内田豊が天才的なハジメの才能に惚れ込んだことから物語が展開されていきます。かつて、数字に執着して会話が成り立たないこともあったハジメに不安を感じていた母親も、ハジメの好きなことを思う存分に伸ばせる環境へと背中を押します。内田が暮らす京都移り住み、本格的に数学を学ぶ道に進んでいきます。2巻では、京都に移り住んでからのストーリーが始まります。柔らかなタッチで描かれる絵にも癒されます。興味やできることに波がある子も、「得意」をうんと伸ばしてあげられるような周囲のサポートでのびのびと過ごせるようになることも多くあります。子どもの「できること」に目を向けた環境づくりの大切さを感じさせてくれます。(発行:2018年2月23日)まとめ子どもから大人まで参考になる、新しい生活が始まる4月に読んでみたい本を紹介しました。専門用語が出てくるものもありますが、どの本もイラストや図で丁寧にわかりやすく解説されています。実際に今、困りごとがある人、不安がある人だけでなく、「発達障害の人はどんなことで困っているの?」「家族の人が抱える悩みってどんなことがあるの?」と気になっている人にも読んでもらいたい本ばかりです。ちょっと大変なことがあっても、「きっと大丈夫」と勇気をくれる本と出合って、この春からの生活を楽しんで過ごしましょう!
2018年04月01日新生活は引っ越しの季節!「親子で一緒に事務手続き」のススメ出典 : もうすぐ新年度。大学進学や就職をきっかけに子どもが親元を離れ、一人暮らしを始める家庭も多いでしょう。一人暮らしを始めるうえで欠かせないのはさまざまな事務作業の数々。細かい注意事項が多い契約や間違えてはいけない提出物など、注意力が必要とされる作業がたくさんあります。親御さんはこれらの事務作業を子どもに任せるか、やってあげるか、迷うところでしょう。本人の自立のためには任せるべきだけれど、親心としてはトラブルの心配が勝ってしまい、結局全部やってあげてしまう、ということもあるのではないでしょうか。確かに、特性がある子どもに重要な手続きを一任することは心配ですよね。でも、この機会は、子どもが生活インフラや住居環境についてまとめて把握できるチャンスでもあるのです。例えば、生活インフラの手続きを親が全部やってしまうと、子どもはいざ自分で公共料金を支払うときにシステムの理解が足りておらず、トラブルに巻き込まれる場合もあるかもしれません。子どもには何ができて、何ができないのか、そこを理解し、対策を打つことができれば、苦手なことにも前向きに取り組めるのではないでしょうか。次の章から、引っ越しに関連し起こる業務の中でADHDのある人がつまづきやすいポイントと、その対策をご紹介します。引っ越し関連の手続き、ADHDならではのつまづきポイント出典 : 引っ越しに際して、やるべきことはたくさんあります。届出を出すことや、契約の更新、各種サービスの登録内容の変更など、どれも生活に重要なことばかりでミスや抜け漏れはできません。これらの作業をこなしていくうえで、ADHDの特性ならではの困りごとが出てきます。忘れっぽさや注意力の弱さがある場合、事務作業にはどうしても苦手が生じてしまうのですそれでも、どこでつまづきうるのかをあらかじめ把握しておくことで対策が可能です。以下の項目を参考に、それぞれの特性を踏まえて、引っ越しの際に起こりそうな問題をあらかじめリストアップしておきましょう。■忘れっぽい・書類の提出期限を忘れてしまう・各種申請に必要なものを忘れてしまう■気が散りやすい・片づけが終わらない・書類の記入がなかなか進まない■注意の持続性が弱い・書類のミスが多い・提出の抜け漏れがある■感情や欲求のコントロールが難しい・引っ越しに必要な資金が足りない・引っ越しギリギリまで予定を入れてしまい、準備する時間が取れない■優先順位が付けられない・大事な手続きを後回しにしてしまう・やることのスケジューリングができない※上記は一例です。特性を踏まえて親子で注意すべき点をリストアップしてみましょう。ADHDの引っ越し、苦手を知って上手に対策!出典 : つまづくポイントが分かったら、対策を考えていきましょう。■チェックリストをつかう引っ越しの事務作業で難しいところは、細かい作業や必要なものがたくさんあるところです。あらかじめ、するべき契約や申請をリストアップし、それぞれの必要なものをひもづけた表を作ってみましょう。やるべきことを体系的に把握でき、頭の中を整理できるはずです。資金についても、何にどれくらいお金がかかるのかを書き出しておき、半年~1年前から貯金のスケジュールを立ててみるとよいでしょう。引っ越しのやることリストは、引っ越し業者などがネットで公開しているので、そちらも参考にしてみてください。この記事では、日本マイクロソフトが無料で提供しているエクセルシートタイプのテンプレートをご紹介します。引越し To Do リスト | 日本マイクロソフト「楽しもう Office」■カレンダーアプリを使う・リマインダー機能で抜け漏れ防止申請や契約をカレンダーアプリに記入しておくと、期日が近づいたときにリマインダーが教えてくれます。引っ越し3週間前、2週間前、前日、といった間隔で作業の進捗状況を確認する日を設定しておくと、全体の流れも把握しやすくなるでしょう。・契約ごとの持ち物も記入し、忘れ物ゼロへ契約や各種申請には、それぞれ持ち物が必要なことがあります。カレンダーアプリに予定を記入する際に、持ち物も書いておくことで、いつまでに何が必要かを把握し、リマインダーで知らせてもらうことができます。・引っ越し前の忙しさ段階で色を分けるカレンダーアプリに作業する時間を設定しておくと、そこに予定を入れてしまう心配も減ります。また、3週間前は緑、2週間前は黄色、1週間前は赤、のように色分けをしておくことで、忙しさを感覚的に理解することができ、スケジュールの調節に役立つでしょう。■できないことは人の力を借りる書類のミスが心配な場合は家族や知人にお願いすることも大事です。本人以外のダブルチェックを挟むことで、よりミスを防ぐことができるでしょう。期日忘れが心配な場合はカレンダーアプリは複数人で共有することも可能なので、可能な間柄であったら予定を期日を把握しておいてもらってもいいですね。できないことはプロにお任せ!引っ越し関連の相談先まとめ出典 : 工夫をすることで、解消されるお悩みもたくさんあると思います。けれども、お金の計算や引っ越し後の整理整頓、各種契約など、どうしても苦手意識が勝ってしまうこともあると思います。そんな時、相談にのってくれたり、代行してくれるプロがいます。できないことを無理にやろうとしてつかれてしまったり、自己肯定感を下げてしまうよりは、プロの手を上手に借りることも一つの手段です。・整理収納アドバイザー整理収納アドバイザーとは、住まいのレイアウトや収納方法の提案を専門的に行っている人たちです。新しい住まいに家具や、物品をどのように収納するか迷っている人は、相談してみるのもひとつの方法です。引っ越し業者の中には、整理収納アドバイザーの資格所持者が所属しているところもあるので、問い合わせてみましょう。アドバイザー一覧│特定非営利活動法人ハウスキーピング協会・各社の問い合わせ窓口水道やガスの手続きなど、ホームページや書類を見ているだけだと理解できない部分も多いこともあります。そこで、分からないことはまとめて、各社のお問い合わせ窓口に相談し、話しながら整理していくことで、解決できる部分も多いでしょう。※下記は一例です。問い合わせ窓口は、お住まいの地域によっても異なります。確認して連絡してみましょう。受信料関係のお問い合わせ先│NHK HPお引越しの申込み│TEPCO HP水道局お客さまセンター(23区) | 東京都水道局東京ガスお客さまセンター│東京ガスまとめ出典 : いかがでしたか?複雑な作業がたくさんあり難しい印象がある引っ越しも、どこが大変でどんな対策が打てるかを理解できると、少し気が楽になるのではないでしょうか。しっかり準備をして臨むことで、新しい生活が始まった後のことも具体的にイメージできるようになるはずです。少し手間がかかったとしても、本人に任せてみることでお子さんの自立した新生活の第一歩となるのではないでしょうか。
2018年03月31日思いついた。アメリカに行こう。出典 : 成人になってからADHDと診断された私は、言葉で語りつくせないほどの生きづらさを抱えて日々を過ごしてきました。中でも生きづらさのピークだったのが大学生時代です。厳しい受験勉強を乗り越えて、やっと掴んだ自由な生活だと思ったのに、その自由に翻弄されることになりました。私が通っていた大学では、「変わっている」ということが許されないという暗黙の了解をひしひしと感じる日々でした。そこで私の特性(周囲の話を聞かずに喋ってしまう、思ったことをそのまま口に出してしまう等)は周囲から嫌われる原因となり、いつしか「マシンガントーク」「毒舌」「言葉のナイフ」といったあだ名をつけられ、人間関係が良好とは言い難い日々が続きます。当時の私は、大学を中退したいと思うほどに追いつめられていました。けれども、中退して何をするのか、別の大学を受験し直したとしても、またうまくいかないに違いない…と、鬱々とすることになります。そして考え抜いた私は、一旦学生生活の仕切り直しをする決意をしました。アメリカの大学に、1年間留学することに決めたのです。異国の地で周りにかけられた言葉は…出典 : 私のアメリカ留学生活は、大学寮でスタートしました。大学寮では2人部屋になり、ルームメートと寝食をともにすることになります。今まで一人部屋で自由気ままに生活してきた私にとって、ルームメートが常にいる生活はなかなか大変でした。四六時中一緒に生活していると、当然お互いに不満や要求も出てきます。ルームメートは遠慮なく不満や要求を私に言ってきましたが、私はグッと我慢して言わないようにしていました。日本の大学で「言葉のナイフ」というあだ名をつけられ、散々嫌われた思い出がどうしても引っかかっていたのです。しかし、ある日、どうしても我慢ができないことがあり、「前から思ってたんだけど…」とおそるおそるルームメートに話をしました。そのときのルームメートの言葉が忘れられません。"I can’t read your mind!!" (私、あなたの心は読めないわよ!)そのとき、初めてルームメートと深く話をしました。そして、彼女が言ったのです。「言わないで分かってもらおうとするのは、日本の文化なのかもしれない。でも私は、口に出して言ってもらわないと、何も分からない。約束してね、ここにいる間は、心にためないで、全部話して。さっきも言ったけど、私はあなたの心は読めないから。」このときの私の衝撃たるや凄まじいものがありました。それまで「思ったことを言い過ぎる」と注意され続けて嫌われてきたのに、ルームメートは私に「思ったことは全部話して」と言うではありませんか。このときの彼女の言葉。"I can’t read your mind!!"は、今でも私の中で鮮明に記憶しています。日本では散々だった私が、「社交性がある人」と言われて出典 : 自分のマイナスの特性が、ここではプラスに評価される!?私はしばらく混乱しました。世界がまるであべこべになってしまったのです。「だからダメなんだ」と日本の大学でダメ出しをされ続けてきたことが、アメリカでは「そういうあなたが好きよ」と言われることが多かったのです。その後も、同じ授業を履修していたクラスメイトに、こんなことを言われました。「あなたは表情が豊かでとても可愛い。」これも私には衝撃でした。小学校の頃から、私は「感情がすぐに顔に出るから良くない」と周囲から注意され続けてきたのです。けれども、自分を客観的に見る力に欠けていた私は、「感情が顔に出る」という状態が良く分かりませんでした。心の底から、どうやったら感情を隠すことができるかも分かりませんでした。他人からそう言われるのが嫌で、作り笑いをするようになり、怒っているときに限ってゲラゲラ笑っていたりしたものです。けれども、クラスメートはそんな私に、「表情が豊か」という言葉をくれたのでした。今まで忌み嫌われ、治せ治せと言われてきた特性が褒められる滑稽さ。常にカルチャーショックを受ける続ける日々が続きました。そして、ある授業で、教授が私についてこう話したのです。「彼女は、"sociable"の代表みたいな人だからね」クラスメートたちも、うんうん、と頷いて笑っています。"sociable" とは「社交的な」という意味があります。そうです。 「マシンガントーク」で「毒舌」で「言葉のナイフ」と言われて嫌われ続けた私は、「社交的な人の代表」とまで言われるまでになりました。そして帰国までの1年間、私は素晴らしい仲間と先生たちに囲まれて留学生活をおくることができたのです。世界は広い。日本のあの大学の小さな仲間内の評価が全てではない。日本に帰国する飛行機の中で、ただそんなことを考えていました。そして、母になった今。出典 : 悩みで押しつぶされそうだった私にとって、あの1年間の留学生活はその後の人生の大きな支えとなりました。周りのネガティブな評価にくじけそうになったときには、アメリカ人の友達が言ってくれた言葉を思い出し、ポジティブな言葉に置き換えてみました。20歳のときの経験が、その後の20年を支えてくれたのです。そして先日、ある大学教授の発達障害に関する講演会に行ったときのことです。講演者の先生がこう言ったのです。「相手が年長であろうと偉い人であろうと、ズバズバと思ったことを言ってしまうのがASDの方の特性なわけですが。この特性は、アメリカなどでは、割とウェルカムなんですよね。ですから、問題になりにくいし、ご本人もそれが原因で生きづらさを感じることはあまりない。つまり、発達障害は実は社会との関連なんですよ。」この講演を聞いたときに、私は自分を支え続けてくれた20年前のアメリカでの経験が蘇ります。発達障害は社会との関連。まさにこの言葉を、私は20年前に体感していたのでした。だからこそ、今、発達障害児の息子を育てていても、私は全く悲観的になることはないのです。 それは、息子が心地よいと感じられる場所は、この世界には必ず存在していると信じているから。そして、私たちの周りも、今や教育環境も発達障害への理解も大きく変わりつつあるから。今この場所が辛いとしても、それを全てだと思わないことの大切さを、私はあのとき学んだのです。
2018年03月29日療育入園初日。椅子から脱走し走り回る長男3歳当時、自閉症の長男は一日中走りまわっているような子どもでした。多動の特性も強いゆえ、仕方のないことだと思うのですが、母親の私も追いかけるのに一苦労。公園に連れていくと立ち止まったり座ったりすることもなくひたすら駆け回ります。Upload By シュウママ既に療育の通所支援に通うことが決まっていたので、まあ訓練で多動はおさまってくれるだろう…と思っていたのですがそれは甘かった!療育施設の入園日、何度座らせようとしても椅子からおりて脱走する長男を見ながら目の前が真っ暗になりました。Upload By シュウママ他にも座れずに泣いている子もいます。けれど長男ほど活発に動き回る子はいなかったのです。「1か月で座れるようになりますよ!」先生の言葉に半信半疑だったけど…現実をつきつけられたような気がして「この子が椅子に座れる日が来るんでしょうか」思わず尋ねると先生は笑顔で答えてくださいました。Upload By シュウママ「みんなそうです。大丈夫ですよ」優しい先生の言葉にうなずきながらもそう簡単にいくのだろうか――不安が募りました。少しずつ少しずつ。変化があらわれてきた長男それから長男は毎日療育施設に通いました。私は週に2回ある親子通園日に長男の様子を見ることができるのですが、「あの多動がおさまるはずがない…」とやはり半信半疑でした。けれど先生方の日々の取り組みはまさに目から鱗だったのです。その療育施設では手を洗って牛乳を飲み、椅子に座ってみんなで手遊び歌を行うのが日課になっています。はじめ長男は牛乳を泣いて嫌がり、吐き出したりコップを倒したりしていました。けれど先生は牛乳が嫌ならお茶にしようかという妥協は一切なく、他の子と同じ牛乳を飲ませていました。「一口だけでも飲むんだよ」と先生はスプーン1さじから始め、1さじ飲めたら次の日は2さじという風に量を増やしていきました。Upload By シュウママその間、飲み終わった子ども達は自分の椅子を並べて先生と手遊び歌をしています。そうすると不思議なもので自分も遅れを取りたくない、みんなと一緒に手遊びしたい!という意識が芽生えてきたのでしょうか――長男は徐々に牛乳を飲める量が増えていき、最後には一人で全部飲み干し、自分で椅子を持って手遊びに参加できるようになったのです。Upload By シュウママ大切なのは妥協しないことそして長男は、教室以外の大きなホールでお誕生日会をする時でもきちんと座って待つことができるようになったのです。「あの子がちゃんと椅子に座って待てるようになるなんて…」と私は先生に言いました。すると先生は「園では基本みんなと同じものを食べ、同じ行動をするよう促します。そうするとね…」先生はくすりと笑って言いました。Upload By シュウママそして「ご家庭でも、お母さんが子ども用に別におかずを作ったりするのは控えたほうがいいんです。家族みんな同じものを食べるほうが楽しいし、苦手なものも食べられるようになるんですよ」とアドバイスしてくださいました。そういえば療育の給食の時間、子ども達は「シュウちゃんにんじん食べられたね~」とおしゃべりしながら食事していました。お友達が食べられたなら自分も食べれるかもしれない、と感じながらお互いを育てあうのかなと感じました。療育施設ではたくさんのことを教えてもらったのですが、子どもの自主性は重んじても妥協はしないという姿勢や向き合い方も、教えて頂いた大切なことでした。
2018年03月28日世界自閉症啓発デーってなに?出典 : 「世界自閉症啓発デー」は、2007年12月18日に開かれた国連総会で、カタール王国王妃から提案され、決議されました。毎年4月2日は世界中で自閉症の啓発活動が各地で行われます。日本でも世界自閉症啓発デーの4月2日から8日までを発達障害啓発週間として、シンポジウムの開催やランドマークのブルーライトアップなどが実施されています。世界自閉症啓発デーは、自閉症に関する理解を深め、身近に考えることで、すべての人が過ごしやすい世界を実現していくための日です。世界自閉症啓発デー 日本実行委員会公式サイト自閉症とは出典 : 自閉症は先天的な発達障害の一つで、育児の方法や環境など後天的な原因で生じるものでもありません。対人関係の障害、コミュニケーションや言葉の発達の遅れ、行動や興味の偏りといった特徴が発達段階で現れると言われています。具体的には、他の人の気持ちを理解することや、言葉を適切に使うこと、予定外の変化などが苦手な傾向があります。自分の感じたままに話したり、行動したりすることがあります。外見からはわかりにくく、真面目に取り組んでいても、誤解や偏見を受けることもあります。大人のなかでも、自閉症であるのにそのことに気づけずにいる場合もあります。そのため、必要な支援を受けられず、自閉症の二次障害であるうつや不安障害などの精神疾患にかかる人もいます。一方で、自閉症のある人たちは関心のあることにまっすぐに取組むことが得意であることが多いです。鋭い感覚を生かせたり、記憶力が抜群な人もいます。そういった長所を得意な分野で生かして活躍している人もいます。自閉症についての理解や支援が十分に広まることで、自閉症のある人がより住みやすい環境で生活することができるようになるでしょう。全国でイベント開催。自閉症をもっと知ろう!Upload By 発達ナビニュース2018年の世界自閉症啓発デーに合わせて企画された各地の注目イベントを紹介します。自閉症のある人だけでなく、誰もが自分らしく暮らせる社会とは?あなたも自閉症啓発デーに合わせて実施されるイベントに参加して、一緒に考えてみませんか?Upload By 発達ナビニュース今年のテーマは 「知りたい、知らせたい 発達障害のこと ~こども、若者、スポーツ、アートの視点から~」。「安心してください!地域のみなさん」、「やりたいんだ!アート・スポーツ・ミュージック」 、「知ってほしい!街の中の味方」という題材でシンポジウムが開かれます。【日時】4月7日(土) 10:00~16:20【会場】全社協・灘尾ホール(新霞が関ビル内)【参加】要事前申し込み(定員250名)世界自閉症啓発デー2018出典 : 歌やダンスのパフォーマンスがステージで繰り広げられ、自閉症や発達障害を体感するブースなども設けられます。また、4月2日はSNSのタイムラインをブルーで埋め尽くそうと、「#WB2018」「#MAZEKOZE」のハッシュタグつきで写真の投稿も呼びかけています。イベントにはぜひ青い物を身につけて参加を!【日時】4月2日14:00〜18:30【会場】東京タワー広場 特設ステージ一般社団法人 Get in touch出典 : 月5日から4月13日まで各所で続々と関連イベントを開催。メインとなる4月1日、2日も多数の会場で「青いものづくり」「LD・ADHD等の擬似体験プログラム」といった参加型の企画されていたり、「自閉症啓発デー・アート展」が開幕します。主な会場ごとのイベントはこちら。五稜郭タワー・アトリウム【日時】4月1日(日)13:00【内容】開会式&オープニングセレモニー、「Blueの音楽祭」棒二森屋店【日時】4月1日(日)10:00〜16:00【内容】LD・ADHD等の擬似体験プログラム、「ハッピー」こどもイベントサークル、歌声ライブ&あおいろライブ函館市芸術ホール【日時】4月2日〜7日(月)10:00〜19:00【内容】第5回自閉症啓発デー・アート展、発達相談、羊毛フェルトで作る「地球玉」(2日のみ、14:00〜17:00)世界自閉症啓発デーin HAKODATE 2018出典 : 寸劇や疑似体験をはじめ、キャラバン隊公演や障害のある方々などによるバンド演奏とダンス、ミニコンサートなど。【日時】4月7日 (土)11:00〜17:00【場所】Qiball(きぼーる)1階アトリウム第10回世界自閉症啓発デーinちば~みんな大切な仲間です~自閉症の当事者であり、少年画家として活躍する濱口さんと交流できる小学生以上を対象としたワークショップです。濱口さんのインスタレーションとともに参加者も自由に絵を描きながら、絵で表現することを一緒に楽しみます。【日時】4月8日(土)10:00~11:30、14:00~15:30【場所】海老名市立中央図書館【参加】3月24日から参加券を海老名市立中央図書館で配布。(各定員10人)少年画家 濱口瑛士の世界自閉症啓発デーの4月1日から8日までの「発達障害啓発週間」スペシャルイベントとして企画された、発達障害のあるミュージシャンによるコンサートです。手作り楽器で「キミダケノオト」を奏でて、気持ちを音に乗せて表現する楽しさも体験できます。【日時】4月8日(土)10:15~11:30【場所】三茶しゃれなあどホール【参加】要事前申し込み大人1,000円/小学生以下無料キミダケノオトでフリーセッション!そらコンサートこのほかにも、全国各地で自閉症の啓発に関する活動が展開されています。各自閉症協会や自治体ごとの一覧も公開されているので、みなさんのお住まいの地域ではどんな活動があるのか、ぜひチェックしてみてください。世界自閉症啓発デー 全国都道府県市の自閉症協会の取り組み計画世界自閉症啓発デー2018自治体等啓発取り組み一覧世界自閉症啓発デー2018自治体等啓発取り組み一覧(教育関係)世界を包む青い光。「ライト・イット・アップ・ブルー」出典 : 世界自閉症啓発デーに合わせて、世界中のランドマークや名所旧跡を青色でライトアップするライト・イット・アップ・ブルー(Light It Up Blue)が、近年日本でも広がりをみせています。青色は「癒し」や「希望」をあらわすとして、世界自閉症啓発デーのシンボルカラーになっています。自閉症はわかりにくい障害と言われ、障害を知らない人から誤解を受けたり、うまくいかないことに直面することもあります。そんな自閉症の人の存在を多くの人に気づいてほしいという願いから始まったのがこの青いライトアップなのです。ニューヨークに本拠地のある世界最大の自閉症支援団体「Autism Speaks」が2010年にはじめて以来、日本でも各関係団体や賛同する施設でライトアップが広がり、定着しつつあります。点灯式にあわせてイベントも実施するなど、各地でさまざまな取り組み行われています。誰でも気軽に足をは込めるライトアップ。おすすめの会場を紹介します!画像は過去のものです。実際とは異なる場合があります。【日時】2018年4月2日(月)18:15〜22:00【場所】東京タワー屋外特設ステージ世界自閉症啓発デー2018出典 : 大阪の象徴である通天閣もブルーに!大阪府内では、ほかにも大阪城天守閣や天保山大観覧車も青色に染まります。【日時】4月2日(月)日没から23:00まで(天保山大観覧車は22時まで)「世界自閉症啓発デー」(4月2日)のブルーライトアップ及び発達障がいに係る啓発活動を実施します出典 : 長野県の茅野市民館では、ライトアップだけでなく、日中イベントも企画されています。自閉症をはじめ、発達障害の当事者や関係者のメッセージの展示。誰でも参加できるダンボールと絵の具を使ったアートワークショップもあります。点灯式は4月1日18:00から行われます。【日時】4月1日(日)、2日(月)アートワークショップ「みんなでつくろう 光る!まぜこぜドーム」【日時】4月1日(日)13:00~15:00【会場】茅野市民館 ロビー、他【参加】要問合わせ It Up Blue ちの 2018 ~ひろがれ!青い光がつなげるこころ~出典 : ココウォークでは2014年からこの運動に賛同して参加しています。長崎県ではほかにも、女神大橋、稲佐山、ハウステンボス、大村市周辺施設がライトアップされます。【日時】4月2日(月)~4月8日(土)長崎県こども家庭課4月2日は、世界自閉症啓発デー今年のライトアップは全国100ヶ所余りで行われる予定です。幻想的な青に染められた夜の街を歩いて、自閉症について考えてみませんか?世界自閉症啓発デー2018ライトアップ施設一覧世界自閉症啓発デー2018ライトアップイベント詳細一覧まとめ出典 : 近年、発達障害への社会の関心が高まりつつありますが、誰もが暮らしやすい社会を実現するに正しい理解の広がりがもっと必要です。自閉症のある人はコミュニケーションをとるのが苦手であったり、こだわりがあったり、いつもと違うことが苦手であったりといった特性があります。外見からはわかりにくいため、いまだに「心を閉ざしている」「親の育て方のせい」などといった誤解を受けることもあります。しかし、周りの人が自閉症について理解し、接し方や環境調整といった工夫をすることで、自閉症のある人やその家族が抱える困りごとは減らすことができるのです。イベント会場に足を運べない人も、当日は青い服やアイテムを身に付けてみてはどうでしょうか。青いものを写真に撮ってSNSに投稿することで、同じように自閉症について考えている仲間とつながることもできるかもしれません。世界中の人が自閉症について考える4月2日の「世界自閉症啓発デー」を通じて、あなたも自閉症の人が安心して暮らせる社会への一歩を踏み出しませんか?取材協力:一般社団法人日本自閉症協会
2018年03月28日恐怖の新学期…この春、5年生になる息子のカム。「なるべく大きな変化は避けてほしい!」と学校にはお願いしていて、進級しても使用するロッカーの場所はいつも同じところ、息子のお気に入り絵本は必ず教室に完備されています。でも、教室や先生、クラスメイトが変わるのは避けられません。いつもと違う雰囲気の教室に連れてこられた息子はびっくりしてガチガチになってしまいます…。Upload By shiori心の支えをフル活用!息子はタオルやハンカチ、手袋や靴下、アクリルたわしなどの布や毛糸の小物をコレクションしています。ハンカチや靴下の刺繍やワッペン、様々な色の糸や毛糸で織り込まれた生地を見るのが大好きなのです。不安な時は、大好きな"おもちゃ"であるこれらを持って学校に向かうことで、少し気分が楽しくなるようです。教室に到着すれば、お気に入り絵本が待っているので、教室に行くまでの道のりの心の支えとして大好きなおもちゃを持っていきます。持っていくおもちゃは、毎朝その日の気分で息子が選んでいます。ハンカチやタオルはそのまま学校でも使えるので特に問題ないのですが、手袋や靴下は学校に到着後、息子が落ち着いたら回収しています。さて、問題なのは…。息子の大好きなおもちゃの中にトランクスがあります。トランクスを持って学校に行くのはちょっとなぁ…。息子本人は全く気にしていませんが…。んん〜…。そうだ!トランクスに見えなければいいんだ!息子はトランクスの柄が大好きなだけなので、トランクスに見えないように加工しちゃおう!Upload By shioriとりあえず適当に切って、縫って、なんだかわからない筒状のものができました。息子の宝物にハサミを入れるのは緊張しました。その心配に反して、一つの宝物(トランクス)が二つに増え、むしろ息子は大喜び。よかったよかった〜。散乱する宝物たちが悩ましい…さて、トランクス問題も解決し、次なる問題は溢れかえる宝物(布小物)たちをどうするか!いつもは毎朝、持っていくものを選ぶために、カゴいっぱいの宝物をばらまいて、その日の一枚を決定します。お気に入りを探すのにも時間かかるし、散らばったハンカチ類の後片付けも大変です。なんとかしたい!Upload By shiori散らからないまま見られるようにするには!?そこで、こんな対策をしてみました。Upload By shioriゴムを半分にして、適当に結び目をつけて、カゴに取り付ける。結び目と結び目の間、ゴムの輪っか部分に布小物たちを挟んでいきます。すると、なんと素晴らしい!カゴの中がスッキリしました!さらに、この収納法のメリットはこれ!Upload By shioriじゃーーーん!なんと、バラバラになることなく全ての布小物を見ることができるのです!しかもなんかパーティの飾りみたいで楽しげじゃないですか?さて、心の支えのおもちゃたちの整理整頓は完了!どんとこい新学期!雪が解け、真っ白の世界から草花の色あざやかな世界になり、暖かい空気にウキウキする春。せっかくの心地よい春を存分に楽しめますように。
2018年03月27日障害のある方の「働く」を応援する、LITALICO仕事ナビがオープン!Upload By 鈴木悠平(発達ナビ編集長)働くことに障害のある方と、就労支援事業所(就労移行支援事業所・就労継続支援A型事業所・就労継続支援B型事業所)を繋ぐ情報サイト、「LITALICO仕事ナビ」が、2018年3月26日にサービスを開始しました。LITALICO仕事ナビでは、全国の就労支援事業所の情報を分かりやすく掲載するほか、障害のある方が受けられる支援の利用方法や就職に向けた実践的なノウハウを紹介する専門家監修記事や、就職者インタビュー・企業インタビューといったコンテンツを幅広く発信していきます。障害のある方一人ひとりが、自分のニーズに合った事業所を選ぶことができる情報プラットフォームをつくることで、誰もが自分らしく働くことのできる社会の実現を目指します。Upload By 鈴木悠平(発達ナビ編集長)障害がある方の「働く」を取り巻く社会の課題は?LITALICO仕事ナビ、サービス開始の背景そもそも、障害のある方の「働く」を取り巻く状況はどのような状況なのでしょうか。また、就労移行支援をはじめとした、障害のある方の「働く」を支援する事業所の運営状況は、現在どのような課題があるのでしょうか。この記事では、「LITALICO仕事ナビ」のサービス開始の背景となる社会課題や、運営スタッフの思いをご紹介します。Upload By 鈴木悠平(発達ナビ編集長)運営スタッフ プロフィール:鈴木悠平(写真左)2014年に新卒として株式会社LITALICOに入社。LITALICOジュニアの指導員として、発達が気になるお子さんや保護者の方々の学習・生活支援を経験したのち、LITALICO研究所の立ち上げ・事務局長を担当。現在は国内最大級の発達障害ポータルサイト「LITALICO発達ナビ」編集長としてコンテンツ制作を統括するほか、LITALICO仕事ナビ創刊編集長としてコンテンツの企画・制作を推進。昆野祐太(写真中央)2012年に新卒として株式会社LITALICOに入社。「LIALICOワークス」支援員として、障害のある方一人ひとりの就労・定着の支援を経験したのち、延べ4センターでのセンター長・新規開設を担当する。現在は、LITALICO仕事ナビの地域連携担当として、全国各地の就労支援事業所を訪問。勝俣友紀子(写真右)2016年に新卒として株式会社LITALICOに入社。子育てメディアConobie(コノビー)の企画営業職を経て、2017年よりLITALICOワークスの新規センター開設チームへ。主にご利用検討者さまの初回相談面談(年間300名ほど)と地域連携(関係機関訪問、セミナー講師)等を担当。障害のある方の就職者数は年々増えており、昨年は47万人以上が民間企業に雇用され、13年連続で過去最高を更新しています※1。また、今年は4月に障害者雇用促進法が改正され、企業の障害者法定雇用率が現行の2.0%から2.2%に引き上げられるなど、障害のある方の雇用に対する企業の関心も、年を追うごとに高まっていると言えるでしょう。株式会社LITALICOは、就職を目指す障害のある方のための就労移行支援事業所「LITALICOワークス」を全国で運営しており、これまでに5,000名以上が企業への就職を果たしています。こうした障害のある方の「働きたい」を支援するのが、障害者総合支援法に定められた就労系障害福祉サービス(就労移行支援事業・就労継続支援A型事業・就労継続支援B型事業)です。これらの事業所は2016年10月時点で全国に17,000近くあり、3年前と比べて約 1.4 倍に増加しています※1。ところが、障害のある方の就労・雇用への関心の高まりや、障害のある方を支援する事業所数の増大にもかかわらず、実際に就職を目指す障害のある当事者にとっては、必要な情報が十分に届いていない、自分にあった支援にたどり着くことが難しい、という課題が残っています。※1 厚生労働省「平成28年 障害者雇用状況の集計結果」よりUpload By 鈴木悠平(発達ナビ編集長)LITALICO仕事ナビが昨年12月に就労支援事業所を探したことのある方(877 名)を対象に実施した調査では、就労支援事業所を探すにあたり困ったこととして、8割以上(81.4%)の方が、「自分にふさわしい事業所の探し方がわからなかった」の項目に「(非常によく/まあ)あてはまる」と回答しました。※2また、就労支援事業所をどのように探したかという問いに対して、「パソコン(PC)で検索した」の項目に 「(非常によく/まあ)あてはまる」と回答した方が最も多く、6割以上(64.5%)に上っています。※2しかし、就労支援事業所としては、インターネットでの情報発信には費用や手間がかかることや、現利用者への支援で手一杯になってしまうなど、新しい利用者を集めるための活動が難しい状況にある場合も少なくないようです。厚生労働省の調査によると、就労移行支援事業所の7割弱は定員に達していないというデータもあります。※3就労支援事業所は、それぞれが特色のあるサービスを提供しているものの、利用を希望する方にとって、どの事業所が自分に合った事業所かを探す手段に乏しいのが現状と言えるでしょう。※2 LITALICOプレスルーム掲載、LITALICO仕事ナビ実施の調査より※3 厚生労働省 「平成 28 年 社会福祉施設等調査の概況」よりプレスルーム: 働くことに障害のある方と就労支援事業所をマッチングする情報サイト「LITALICO仕事ナビ」を2018年3月開始Upload By 鈴木悠平(発達ナビ編集長)昆野「私はこれまで、LITALICOワークスの複数のセンターで就労支援に携わるなかで、さまざまな特色ある魅力的な事業所さんと繋がってきました。障害のある方の就労に向けたニーズや、必要とする情報や支援の性質は一人ひとり異なります。LITALICOワークスに限らず、お住まいの地域にあるさまざまな就労支援事業所を比較検討し、ご自分に合った支援に繋がってほしいという思いがありました。ですが、障害のある方も、そもそもどうやって就労支援事業所を探して良いのかわからなかったり、事業所の運営者さんたちも、日々の支援と、地域への情報発信をなかなか両立することが難しいという課題もあるようです。今回、LITALICO仕事ナビのオープンに先立ち、さまざまな事業所さんと意見交換をさせていただいていますが、インターネットでわかりやすく、多くの当事者に情報を届けていくことの重要性は、多くの方が実感しておられました。LITALICO仕事ナビを通して、多くの事業所さんに、事業所の特色や、支援に対する想い、プログラムの内容などを発信していただきたいと思っています。」Upload By 鈴木悠平(発達ナビ編集長)勝俣「LITALICOワークスの新規拠点開設担当として、各地で障害のある方向けの就職相談会を行うなかで、忘れられない一言があります。精神障害のある当事者の方に、就労移行支援サービスについてご説明した際、「あと1年早く、こんな支援制度があることを知りたかった。そうすれば私の人生はもっと変わっていただろうに…」と言われたんです。その方は、精神障害によって以前の仕事を辞め、病院での治療を受けたのちにご自身で就職活動を始められたそうです。しかし、ご自分の障害について企業にどう説明すれば良いか、ご自分の症状や体調に合わせて働けるにはどのような仕事・企業を選べばよいかといった、障害のある方の就職活動におけるノウハウを持たれないなか、なかなか内定を得ることができませんでした。一年間、就職活動を続けるなかで、貯金もだんだんと減っていき、また一緒に暮らすご家族の健康状態にも変化があり…と、再就職に向けた"溜め"がなくなっていくなかで、就職に対して希望が持てない状態に陥ってしまっていたのです。障害のある方が就労に至る方法はさまざまですが、ご自分の環境や願いにあった選択をするためにも、適切な「情報」を得ることや、就職活動に伴走する「支援者」に繋がることは、とても重要だと感じています。あの日お会いした方のように、情報や支援に繋がることが出来ず困っている方は全国にもっとたくさんいるのではないか…こうした状況をなんとかしたいという思いから、LITALICO仕事ナビの立ち上げに携わっています。」LITALICO仕事ナビのサービス概要「LITALICO仕事ナビ」は、働くことに障害のある方と、障害のある方の「働きたい」を支援する就労支援事業所双方の課題を解決するプラットフォームです。障害があり、仕事を探しているユーザーの方々は、LITALICO仕事ナビ上で多くの事業所情報を閲覧・比較することができ、現利用者の障害種別や施設運営のこだわりポイント、就職者実績などを調べることで、ご自分の状況に最適な就労支援事業所を選んでいただきやすくなります。また、障害のある人の「働きたい」を支援する、就労支援事業所の方々は、LITALICO仕事ナビ上で自身の事業所紹介ページを設けることができます。ページ運営や問い合わせ管理をLITALICO仕事ナビ上で一括して対応することが可能となり、事業所を探す新規利用者の方々への情報発信に必要な時間や費用を減らし、現在の利用者の方々への支援に一層注力できる環境を提供します。LITALICO仕事ナビのサービスを通して、障害のある方、就労支援事業所双方のお悩みを解決し、一人ひとりが自分らしく働ける社会の実現を目指します。Upload By 鈴木悠平(発達ナビ編集長)撮影: Junichi Takahashi
2018年03月26日息子リクの卒業式当日。私は家にいました…Upload By ひらたともみUpload By ひらたともみUpload By ひらたともみ本当に些細なことでした。夫は本来温厚なのですが、一旦火がつくと暴言の嵐で、正直ちょっとしたモラハラ夫。そこは私たち似た者夫婦でもあり、口喧嘩では連勝続きの私…。それなのに、どうしたことか、このときは夫の言葉が、どうしても右から左へと受け流せず、しまいには、しくしく涙が流れる始末。こうなると目の前には絶望しかなく、大切なリクの卒業式であっても、大勢の人の中に行ける気がしなくなってしまいました。夫からも長男からも責められた夜Upload By ひらたともみUpload By ひらたともみ無理を言って夫に出席してもらった卒業式。会社員の夫は、きっといろんな人に頭を下げて出席したのでしょう。その夜、私は再び夫に怒鳴られ、なぜか長男(22歳)にも怒鳴られ、小1の娘はワンワン泣き、地獄絵図のような一夜でもありました。なにが原因?どうしてそこまで?…と、思うでしょうが、ざっくり言うなら、おそらく私自身が、気づかないほどに疲労を貯め込んでいて、冗談もうまくかわせないほど、精神的に疲労困憊していたのだと思います。LDグレーゾーンと言われたあの日から、霧のかかった未来しかみえなくなった。ようやく勉強がわかるようになったと喜んだ直後には、外傷性くも膜下出血、そして高次脳機能障害という後遺症まで負った。そのたびに、私自身も、悩み、解決法を探そうとし、息子に寄り添ってきた。夫だってリクの父親。それなのにどうして夫は私からこんなにも遠いところにいるんだろう…と、いつからかそう感じることが、しばしばありました。家事を手伝ってほしいとか、子どもの面倒をみてほしいとかではないのです。親同士、家族同士、なにひとつ当たり前のことなどなく、日ごろから感謝や喜びを互いに思いやりをもって言葉に出して伝え合うことが大切なのだと思います。大切なのは、思いや感謝を伝え合うことUpload By ひらたともみUpload By ひらたともみUpload By ひらたともみいくら家族であっても、お互いを労い合ったり感謝を伝えたりすることなく、否定や中傷ばかりをバーン!と伝えたら、めげてしまいます。しおれた花のようになる。あかぎれがぱくっと開いて傷がしくしく痛む。まずは家庭内で、お互いの感情を理解しあうことが大切なんですよね。夫にもそれは伝わったかな?すごく、すごく難しいことですが、今回の夫婦喧嘩は、大いに意味があったと、思っています。
2018年03月26日LD(学習障害)とは?LD(学習障害)は、全般的な知的発達に遅れは見られないものの、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算・推論する」能力の1つ以上の習得や使用に困難がある状態のことです。イラストや例でLDの全体像が分かる『LD 学習症(学習障害)の本』筑波大学教授で発達行動小児科学を専門とする宮本信也先生が監修している本です。裏表紙に ”きちんとした対応、サポートで、LDの子供たちの生きにくさは、ぐぐっと改善されるのです”とあるように、当事者だけでなく広くLDを知ってほしいという思いが込められています。内容は「LDとは」「ウチの子がLDだったら」「LD教育とは」という3章に分かれ、イラストと短い文で構成されています。第1章ではLDの特徴や具体例が挙げられています。鏡文字を書く、似た文字を判読することが苦手、数字の繰上りができないなど、子どもの行動と照らし合わせやすくなっています。また、その行動が引き起こすトラブルについても書かれているので、心当たりのある人もいるかもしれません。第2章ではLDのサインや相談先、接し方などが説明されています。LDは育児に問題があったのか、子供にLDについて聞かれたらどうすればいいかなど、さまざまなケースを想定して解説がされています。どのようにサポートしたらよいか悩む保護者に寄り添う内容です。第3章ではLD教育へと話は変わり、LDのある子どもを持つ親が不安に思う学校の体制などが分かります。特別支援学級など、聞いたことはあっても具体的なことは分からない……というサポートについて知ることができ、LDの子供の将来を考える希望となります。全体を通してフラットな語り口で、分かりやすく解説されています。1時間程度で読み終わるボリュームですが、一通りLDについて理解することができます。LDとの付き合い方が分かる『怠けてなんかない!ゼロシーズン』国際ディスレクシア協会会員で教育ジャーナリストでもある品川裕香さんの著書です。ディスレクシアとは「読み書きのLD」とも言われます。文字と音が結び付きにくく、読み書きに困難が生じるのが特徴です。この本ではディスレクシアの特徴やものの見え方感じ方、さらには苦手を緩和する訓練についても書かれています。前述の『LD学習症(学習障害)の本』よりも少し踏み込んだ内容です。日本語の音韻ルールや脳の情報処理システムなど、より専門的な解説が多いのが特徴です。言葉を聞く力が弱いなら音韻を意識して手を叩く遊び、見て覚えるのが苦手なら神経衰弱ゲームを取り入れるなど、子どもの苦手に合わせた数十の訓練も紹介。苦手、分からない、難しいで終わらず、それを緩和して生きやすくする方法がわかるため、安心につながります。子どもの苦手をサポートしたいのに何をすればいいのかわからない。苦手をイメージできずどう声をかけてよいかわからない。不安や焦りで感情的になってしまうときこそ読みたい一冊です。“どの子もみな、「できないこと、苦手なことが少しでもできるようになりたい」と願っています”ディスレクシアを個性だからと放置するのではなく、苦手を緩和し社会での不自由をなくしてあげたいと考える著者のメッセージに勇気づけられます。親の手記に共感『ぼく、字が書けないだけど、さぼってなんかいない』LDやディスレクシアの概要や特徴が分かる上記2冊と異なり、この本は親たちの手記を中心として編まれた本です。LDを含む読み書き困難を抱えた発達障害の子供たちの苦労、そしてそれを目の当たりにしている親たちのリアルな苦悩が伝わってきます。編集したのは窪島務先生をはじめとするNPO法人滋賀大キッズカレッジの手記編集委員会。ほかの先進国と比較すると、日本は読み書き障害のある子どもへの対応が遅れていると窪島先生は語ります。LDの子を持つ親が抱く思いや願いをまとめ、学校や行政の理解とサポートを訴える本です。本書の半分を占める親や本人の手記は、切実な思いであふれていました。子供の声を聞かない先生、こころない言葉を浴びせる周りの親たち、保護者とのかかわりを避ける学校…読むだけで心が張り裂けそうになります。でも、もちろんつらい話ばかりではありません。担任が代わったことがきっかけで学校へ行けるようになった子供もいますし、LDに理解を示す友達ができたことで学校生活が楽しくなった子供もいます。そしてキッズカレッジに救われた親たちも。「もしかしてLDかも」と思った段階で読むには少々苦しい内容かもしれません。LDをとりまく親子の現実に不安と戸惑いを覚えるかもしれません。ですが、そんな現実を知ることで漠然とした不安ではなく、子供とともに何をすべきなのかを考えることができます。本人や親の生の声は多くのことを教えてくれます。会ったことはなくとも、先輩として仲間として励ましてくれているように感じることができそうです。一通り知識を得た後に読むと心に響きます。LDを受け入れ、ともに生きていくことを考えるとき、味方になってくれる一冊です。まとめ「うちの子はLDかもしれない」と思ったときに手に取りたい3冊を紹介しました。どの本も専門的な内容ではあるものの、LDについての知識がなくても読みやすく、分かりやすい文章で書かれています。すらすらと頭に入ってくるので、読み終わったときには「子どもと話してみよう」「本に書いてあったアレをやってみよう」とポジティブになれるでしょう。いずれも、LDのある子どもとのつきあい方や、サポートのヒントが詰まった本です。
2018年03月25日突発性難聴とは出典 : 突発性難聴は、突然片耳の聞こえが悪くなる病気です。2000年以降、何人もの人気歌手が発症を公表したことで、多くの人にこの病気が認知されました。何の前触れもなく生じた難聴のうち原因が不明、もしくは不確実なものが突発性難聴とされています。診断も治療法も確立していないという、まだまだ分かっていない部分の多い病気でもあります。耳の奥、内耳という部分に何らかの障害が起こっていると考えられています。突発性難聴の原因は分かっていませんが、いくつか有力な説はあります。一つはウィルス感染です。ウィルスと言っても、難聴を引き起こすウィルスがあるわけではありません。インフルエンザやはしかなどのウィルスに感染し内耳が炎症、結果として難聴につながってしまうという説です。もう一つは内耳循環障害説です。内耳に十分な血液が届かない、血流に問題があるとされる説ですが、ほかの器官は正常です。ほかにはストレスも関係しているとも言われます。体調不良や過労を含めたストレスは多くの病気の一因となりますし、直接の原因とはならなくとも、発症をしやすくすることはあります。とはいえすべて原因としては可能性の域を出ません。この原因不明なところが、突発性難聴の特徴なのです。突発性難聴の症状出典 : 突発性難聴の代表的な症状は病名の通り、突然耳が聞こえにくくなるというものです。朝起きたときや店を出たときなど、本人には聞こえにくくなった瞬間がはっきりと分かります。「まったく聞こえない」から「なんとなく聞こえづらい」まで、聞こえにくさの程度は人によって異なります。突発性難聴の診断を受けるまで難聴の自覚がないこともあります。共通しているのは、片耳にだけ症状が表れるということです。両耳の場合は別の病気である可能性が高いです。ほかに突発性難聴でよく見られる症状は、耳鳴りとめまいです。キーンという高音、ジーというセミの鳴くような音などの耳鳴りが起こることがあります。飛行機に乗った時のような、耳の詰まった感じを訴える人もいます。耳鳴りの強さや種類は様々ありますが、それで突発性難聴かどうかを鑑別することはできません。難聴は軽度でも、耳鳴りがあることで突発性難聴と診断されることもあります。めまいには、目が回る感覚の「回転性」、体がフワフワ浮いているように感じる「不動性」、立ちくらみのような「失神性」などの種類があります。突発性難聴で現れるめまいは「回転性」です。耳の病気によく見られるもので、ふらついて立っていられなくなったり真っすぐ立てなくなったりします。嘔吐や吐き気を伴うこともあります。突発性難聴と症状が似ている病気出典 : 突発性難聴は突然片耳が聞こえにくくなる病気ですが、原因がはっきりしていません。難聴、耳鳴り、めまいなどの症状だけでは他の病気の可能性もあるのです。突発性難聴と症状が似ている病気には以下のようなものがあります。・外リンパ瘻(ろう)・メニエール病・急性低音障害型感音難聴・加齢性(老人性)難聴・聴神経腫瘍・騒音性難聴・音響外傷・内耳炎外リンパは内耳の中を満たす液体のことで、それが内耳から中耳に漏れてしまう病気が外リンパ瘻です。主な症状は難聴やめまい、水の流れるような耳鳴りなどで、突発性難聴と誤診されやすい病気でもあります。突発性難聴とは違い、原因ははっきりしています。原因は内耳と中耳を仕切っている部分が破れてしまったこと。気圧の変化や外傷などきっかけが分かることもあれば、はっきりとは分からないこともあります。仕切り部分が破れてしまうときに「ポン」「パチン」という破裂音(ポップ音)が聞こえる人もいます。薬物治療や点滴治療で治らなければ、手術で治療を行うこともあります。激しいめまいが特徴のメニエール病。吐き気や冷や汗、頻脈をともなうこともあります。回転性のめまい、耳鳴り、難聴と、症状が突発性難聴とよく似ているうえ、多くは片耳だけにその症状が見られることも似ています。しかし、メニエール病には繰り返し症状が起こるという特徴があり、発症が一回限りの突発性難聴とはこの点で異なっています。原因は内耳にリンパ水腫ができたことだと考えられていますが、水腫が発生する原因はまだ解明されていません。過労やストレスがメニエール病を引き起こすとも言われ、その点でも突発性難聴と共通しています。低音の難聴や耳鳴り、耳の詰まる感じが特徴の急性低音障害型感音です。突発性難聴の男女比がほぼ同じであるのに対して、急性低音障害型難聴は圧倒的に女性の患者が多いのも特徴です。突発性難聴と比べると症状は軽く、再発の可能性もあります。ストレスや過労で発症しやすくなりますが、原因はメニエール病と同じく内耳の蝸牛部分の水腫です。めまいの有無がメニエール病との大きな違いです。難聴の中では最も一般的なもので、名前の通り原因は加齢です。徐々に聞こえが悪くなるのが突発性難聴との大きな違いです。聞こえの悪さにも特徴があります。年齢を重ねたことで聞こえなくなるのはまず高音で、交通機関のアナウンスが聞き取りづらくなります。また、聞き間違いも増えます。加齢によるものなので治療はできません。日常生活の不便を取り除くため、補聴器をつける人もいます。内耳から脳へ情報を送る聴神経に腫瘍ができる病気が聴神経腫瘍です。腫瘍が神経を圧迫することで、難聴、耳鳴り、めまいといった症状が生じます。聴神経のすぐ近くを通る顔面神経を圧迫すると、顔面マヒが起こる場合もあります。良性の腫瘍で発育のスピードも遅いため、腫瘍が小さければ診断後は経過観察となることもあります。腫瘍が大きくなった場合は耳鼻咽喉科で摘出手術をしたり脳神経外科で開頭手術をします。どちらも音が原因で起こる難聴です。騒音性難聴は、長期間騒音にさらされていたことで徐々に進行する難聴です。内耳にある蝸牛の膜が破れたり血流が滞って細胞が傷ついたりすることで起こります。両耳に症状が現れる点や徐々に進行する点が、突発性難聴とは異なります。長時間騒音を発する場所で働いている人によく見られることから、職業性難聴とも呼ばれます。コンサートの大音量や爆発音など、短時間の騒音が原因で耳鳴りや難聴を感じるのが音響難聴です。耳の痛みを感じることもあります。騒音性難聴と同様、蝸牛の細胞が傷ついて起こります。軽度であれば、時間の経過で細胞は修復され、元に戻ることもあります。主に中耳炎の症状が内耳に広がって起こるのが内耳炎ですが、おたふくかぜやインフルエンザなどのウィルスが内耳に感染する場合もあります。内耳には痛みを感じる神経がないため、炎症があっても痛みは感じません。症状は突発性難聴と同じく、難聴、めまい、耳鳴りなどです。内耳炎は診察や画像診断で判断します。突発性難聴の治療法出典 : 突発性難聴の治療には内服や点滴での薬物治療が一般的ですが、症状に合わせて追加治療を行うこともあります。発症後すぐや症状が重い場合は入院を勧められることもあります。薬物療法の代表はステロイド薬の投与ですが、「米国耳鼻咽喉科頭頸部外科アカデミーが提唱した診療ガイドライン(2012年)」によると、ステロイド投与は選択肢の一つという程度です。強く推奨されるものではないということです。しかしステロイド投与以上に科学的根拠の裏付けがされ、有益で害のない治療法は確立しておらず、難聴に伴うハンディキャップを考えると、ステロイド投与が一般的な初期治療になっています。【参考】突発性難聴治療のEBM(2014) Practice Guideline: Sudden Hearing Lossほかに血管拡張薬や血流改善薬、ビタミン剤などを併用することもあります。原因がはっきりと分かっていないため、薬物といっても直接病気の元を絶つものではありません。内耳の血液循環を良くし、細胞や神経に栄養を与えて動きを活性化させる働きがあるものを用います。発症からの時間や症状に合わせて、薬物治療と並行して別の治療法が用いられることがあります。たとえば内耳に大量の酸素を送る高気圧酸素療法や星状神経節ブロックなどです。高気圧酸素療法は循環改善を目的に行われます。地上よりも気圧の高い環境で高濃度の酸素を吸入し、内耳へ多くの酸素を送り、症状の改善を促します。脳梗塞や一酸化炭素中毒などの治療に使われていましたが、突発性難聴にも活用されるようになりました。同じ循環改善でも交感神経(星状神経節)を麻痺させて緊張を緩めるのが星状神経節ブロックです。交感神経が過緊張になると血管は収縮し、血流が悪くなります。星状神経節の近くに局所麻酔を注射して交感神経の働きをブロックすることで、緊張がゆるんで血流も良くなるという治療法です。突発性難聴の治療は通院でも可能ですが、症状が重い場合は特に入院を勧められることがあります。集中して治療に努めることができ、安静にもしやすいというのが理由です。一般に早期に治療を始めたほうが治りが良いとされています。突発性難聴の診断後すぐに服薬や点滴で治療を開始すると考えると、入院は有効な手段と言えます。また、ストレスも一因と考えられます。家事や仕事などをせず休養や睡眠をしっかりとって安静にする環境を作るのにも、入院は有効です。たとえ重症でなくとも、入院できると治療も安静もしやすくなります。病院で診断を受けるときには入院という選択肢も考えておきましょう。突発性難聴は完治するのか出典 : 年の論文には、121例を観察したところ76%が聴力改善に至ったとのデータがあります。聴力改善とは完治以外に、ある程度回復したという状態も含みます。突発性難聴で完治する、つまり以前の聴力まで戻るのは約3割です。残りはある程度まで聴力が改善した、もしくは変化なし(不変)です。参考:突発性難聴における聴力改善経過と改善率に関する検討(2016年)症状が軽ければ治りやすいと思われがちですが、一概にそうとも言えません。確かに難聴の初期症状が軽いほど治療によって完治する可能性は高いと言えます。しかし同時に、まったく症状が改善しないことも多くあるのです。たとえ症状が軽くとも、しっかりと治療をするのが良いでしょう。参考:突発性難聴の治療成績(2016年)突発性難聴は原因、治療法とも確定されていませんが、できるだけ早く治療を受けることが良いとされています。特に「発症から2週間以内の治療を」という文言は多くの病院で言われています。ですが、早期に治療を開始すると治りが良いというデータの中には、自然治癒の症例が含まれている可能性もあります。治療が早かったことで症状が改善されたのか、自然治癒によるものかは判別できません。もちろん治療は早く始めるに越したことはありませんが、発症から時間をおいてしまったからといって諦める必要はないのです。参考:突発性難聴 ―診断・治療の問題点とそれに対する対応―(2010年)後遺症には、程度に差はありますが聴力障害や耳鳴りが挙げられます。高齢であったり難聴の症状が重かったりした場合は回復しにくいと言われます。また、発症して2週間以降に治療を開始した場合も同様です。聴力が改善せず、日常生活に不便さがあるなら補聴器を使うという選択肢があります。補聴器を使うことで会話もスムーズになり、仕事や人間関係での不便が緩和されます。難聴と一口に言っても、聞こえの状態は様々です。補聴器も耳穴に収まる小型のものや耳にかけるタイプのものなど、さまざまな種類があります。症状の変化に応じて再調整も必要です。最近ではインターネットで手軽に買うこともできますが、補聴器を検討する場合はまず耳鼻科で聞こえの状態をチェックしましょう。病院に補聴器外来があったり補聴器相談医がいたりするなら、相談してみるのが良いでしょう。参考:補聴器相談医名簿 | 一般社団法人日本耳鼻咽喉科学会販売店で補聴器を購入する場合は以下の項目が参考になります。・日本補聴器販売店協会の加盟店・認定補聴器技能者の在籍店・認定補聴器専門店しっかりと話を聞いてくれ、対応にあたってくれるお店を選びましょう。参考:補聴器が必要になったら | 一般社団法人日本補聴器販売店協会ストレスも突発性難聴の一因とされているため、治療と並行して生活習慣も見直してみると良いかもしれません。家事に仕事に子育てと、ストレスは気づかないうちにどんどんたまってしまいます。趣味や休養などで定期的に発散させましょう。突発性難聴の症状としてあげられるめまいや耳鳴りのせいで、寝つきが悪くなったりすぐに起きてしまったりすることもあります。ですが、まとまった睡眠がとれないことを気にしてしまうのは逆効果です。時間ではなく、自分が寝られたと感じられる睡眠をとることが重要です。突発性難聴の治療法に血流を良くするものが多くあります。その点では適度な運動や入浴も効果的です。食生活では塩分を控え、血流を促進させる食材を積極的にとりましょう。お酒は適量であれば良いのですが、たばこは血管を収縮させてしまうので避けます。まとめ出典 : 突発性難聴は、ある日突然発症します。まったく聞こえない状態ならすぐ病院へ行く人がほとんどでしょうが、少し聞こえないくらいだとそのまま放置してしまう人もいるかもしれません。ですが、早めに受診することで症状が改善することもあります。発症に気づいたらすぐに耳鼻科へ行きましょう。同時に、しっかりと休養をとる準備もしましょう。家事や育児、仕事など、毎日を忙しく過ごしていた場合はストレスがたまっている可能性もあります。リラックスしてゆっくり休める環境を作ることも大切です。
2018年03月24日4年前のできごとを話し始めた長男先日のこと、Upload By ラム*カナ小学2年生のADHD長男が、いきなり4年前の年少だったころのできごとを話してくれたのです。しかも、すごく詳しく。何気ないことかもしれませんが、驚いたのには理由がありました。当時は、幼稚園から帰ってきても、その日あったことを話してくれませんでした。幼稚園に行かなければならないことすら忘れちゃうほどのうっかりさんでもあったので「何をしたのかもう思い出せないんだな」と思っていました。そんなこともあり、年少の頃のことを思い出して教えてくれたのにとても驚きました。思い出すことは、やっぱり「レア」だけどとは言うものの、今でもその日のことをすぐに忘れてしまいます。兄弟に質問をしてみるとこんな感じです。Upload By ラム*カナ長男のすっとぼけ具合にズッコけ(萌)、次男の記憶力の良さにいちいち感動するのが毎度のお約束。そして、それはものの場所を訪ねた時も同じです。Upload By ラム*カナハサミをしまっている場所を把握していて、すぐに持ってきてくれる次男と、リモコンがどこにあったかわからず、あたふたしてしまう長男。長男はとにかく短期記憶が弱いのです。でも「記憶が消えている」のではなく、「すぐ思い出せないだけ」なのはわかっていました。4年前のできごとをくわしく話してくれた様子を見て、頭の中の仕組みが少し分かったような気がしたのです。頭の中は好きなものやアイデアでぎっしり。「なくなってる」わけじゃない!Upload By ラム*カナ脳内は絶えず好きなもので溢れていて、それが常に同時進行。好奇心やアイデアでいっぱいだということ。いつもフル回転なのです。だから、その日あったことやもののありかを聞いても、新しい興味で頭の中は埋め尽くされていてすぐに答えられない。そして、それは記憶だけでなく、実生活のものの探し方と同じだと気づきました。普段から整理整頓ができる次男は、Upload By ラム*カナ頭の中の引き出しも整理されていて、聞かれたこともすぐに取り出せるし、話したいこともすぐに取り出せるのかもしれない。一方、片付けが苦手な長男は、Upload By ラム*カナどこに何の引き出しがあるのかもわかりづらいし、そもそも入っていないものもあるしで、記憶を見つけにくいのかもしれない。でも、たまにUpload By ラム*カナたまたま落ちていた記憶を拾ったりして、急に昔を思い出して話してみたりするのかもしれない。ずっと忘れないテーマパークのこととか、大好きなかけ算のことは、見やすい場所に貼ってあって見つけやすい(忘れない)のかもしれない。見つけられない(思い出せない)だけで、捨ててる(記憶がない)わけじゃないんだよなぁ。そう思うと、普段の整理整頓力と頭の中がつながる気がして面白いなぁっと思いました。4年前、多動がピークだった長男は、きっと頭の中に引き出しさえなかったのでしょう。その日あったことが、ただただ頭の中でバラ撒かれていたんだと思うんです。そう思うと…今はちゃんと頭の中に引き出しがあって、すぐには見つけられなくても時間をかければ見つけられるようになっています。引き出しの中を片付けようと少しずつ努力はしているんだもの。しっかり成長しているなァって心強く思いました。少しずつでいいから、頭の中と普段の生活の整理整頓を頑張ろうねと思ったのでした。Upload By ラム*カナ
2018年03月23日