抜群の音感を持って生まれたASDっ子いっちゃんは小さなころから音楽が大好き!公園に行けば棒でリズムを取りながら遊具を叩きまわり、1歳になるころには3分程度の曲を覚え、ほぼ完ぺきな音程で歌うことができました。私の実家にあったピアノにも早くから興味を持ち、3歳ごろには、簡単な曲なら耳コピして両手で曲を弾くことができるようになっていました。Upload By 寺島ヒロCMを見て「ピアノ教室に行きたい!」と主張ピアノを習い始めたのは、3歳3ヶ月の5月です。テレビCMで受講生の募集を目にして「わたしこれ行く!」と、珍しく口に出して主張しました。言葉がほとんど出ず、また尿意が鈍いところもあったので、自分でトイレに行くことはおろか、「おしっこ」と教えることもできなかったいっちゃん。当時はまだ日常的におむつをしていたと思います。それが「ピアノ教室に行きたい」と言いだしたので、とても驚きました。実を言うと、私はピアノ教室に通うのはまだ無理だろうと思っていました。私自身の送り迎えと付き添いの時間も必要ですが、兄のタケルの障害が分かったばかりで、あまり余裕もなかったですし。それで「ピアノ行く!明日行く!」といっちゃんが言うたびに「予約した日がまだ来ない」とはぐらかし続けていました。しかし結局、孫に甘いおばあちゃんが「体験入学だけだよ」と、連れて行ってしまい、実際にピアノのレッスンを受けてみたことで、いっちゃんの中では「ここに通うことに決定!」してしまいました。またしてもわたしがぼーっとしているうちに、子どもの習い事が決まってしまったのでした。ピアノのためなら頑張れる?課せられた試練そのピアノ教室では、原則満3歳児は4月からレッスンがスタートするのですが、4月の本レッスン開始前に、2月からプレ教室に通うことになっているのだそうです。つまり、5月から習いはじめたいっちゃんにとっては、同じクラスの子どもたちと比べ3ヶ月分の遅れが生じるということになります。ふーん、3ヶ月遅れかー...。と、思っているだけでは終わらなかったのです。担当の講師の先生が決まったとたん、呼び出され「5月の入校までに追いついてください!できなければ私の教室には入れられません」と、言い渡されてしまいました。3歳からこのピアノ教室に通う子どもは基本的にプロ志向であることを、私はそのとき初めて知りました。冷や汗をかく私を尻目に、いっちゃんは「やるます!」と鼻息荒く言い放ち、課題の楽譜を持ち帰りました。そしてその言葉通り、それから1週間、毎日8時間の練習に耐え、見事その先生の教室に席を勝ち取ったのでした。ピアノ教室で母が見た、娘の思わぬ一面通い始めてみると、急に大人びた様子になり、また驚かされました。レッスンを立ち歩かずに大人しく受けられるばかりでなく、(レッスン以外の時間はうろちょろしていますが...)あっという間に言葉が出るようになり、自分から教室に入る前にトイレにも行くようになったのです。ピアノ教室の先生や、グループレッスンを受けるほかの子どもたちと言葉でやり取りをしなければならないということと、自分が(トイレで部屋を出て)いない間にも曲の練習が進んでしまうことから、みんなと一緒に行動して情報交換していないと「損をする!」と思ったようです。家では甘えてばかりのいっちゃんですが、具体的な目標があれば人一倍頑張れる子だったんだ!と気がつきました。それはピアノなのか?というASDらしい疑問推薦を受け6歳からピアノ専門コースに進んだいっちゃんでしたが、小学校の高学年になってちょっとした問題が起こりました。この教室では全国規模のコンテストがあり、いっちゃんのいる専門コースでは基本的に10歳までに全員エントリーすることになっていました。つまり10歳までにキャリアをスタートさせようということです。が、いっちゃんはこれを拒否。3年生、4年生を出場しないままスルーしてしまいました。そしてついに5年生になるころ、専任講師の先生から母子揃って呼び出しを受けることになったのです。「いっちゃんがコンテストに出ないというのです。ピアノを楽しく弾けない、出る意味が分からないと。どういうことでしょうか?」ああ...先生...めまいがしました。それはおそらく文字通りの意味です。いっちゃんはコンテストに出るということの「意味」が分からないのです。しかし今のいっちゃんに、コンテストに教室から出させてもらうということがどういうことなのか、コンテストに出てキャリアを積めば将来音楽家として生きていくときに良いことがあるかもしれない、ということを説明しても理解はできないでしょう...。そして「意味」が分からないことは絶対にしたくないのがいっちゃんなのです...。ピアニストの道からドロップアウト、そして...結局、いっちゃんは教室の「目に見えないプレッシャー」を理解することができないまま、その後開催されたコンテストにも一度たりとも出ることなく、教室をやめてしまいました。やめる直接のきっかけは、中学入学のころに引っ越しをしたことでしたが、引っ越し先の近くにある系列のピアノ教室を紹介されたにもかかわらず、「もう習うのはいいや」と、一度も行ってみることはなかったのです。Upload By 寺島ヒロ今いっちゃんにピアノ教室のことを聞くと、「とにかくコンテストが分からなかった!コンテスト用の曲は絶対間違えないように弾かなきゃいけないし、テンポも楽譜通りにしないといけないしで楽しくなかった」「先生に言ったら、ピアニストになりたいならできるようにならなきゃ!って言うから、別になりたくないなあ~...って思って。じゃあ、私じゃない人が出たらいい、譲ろうと思った」「今なら『そういうところが評価されるゲーム』だったんだと分かるよ」と言います。ASDらしい、いえ、いっちゃんらしいエピソードだと思います。知識をシェアしてくれるということの価値それから4年、ほとんど野生の勘で音楽をやってきたいっちゃんですが、自分で作曲した曲を動画投稿サイトなどに投稿して、ほかのクリエイターの方と交流などするようになると、言葉で音楽を説明しなければならない場面も増えてきました。すると、「ピアノ教室で習ったことを周りも知っているので驚く!ピアノ教室で教えてくれたことって、世界中で通用することだったんだ!」と言いだしました。また、曲をつくっている間に唐突に「このコード進行、見たことあると思ったらピアノ教室で習った!」と言ってくることもあります。いっちゃんが、習い事の価値に気がつくのはこれからなのかもしれないですね。執筆/寺島ヒロ(監修:鈴木先生より)絶対音感を持っている自閉スペクトラム症のお子さんは決して珍しくありません。生活音全てが音符になってしまうので「ちゅらい」のです。クーラー、自動車、キーボード、プリンター、時計などさまざまなものから発する音が音符となって聞こえてくるのです。気が散ってしまい、集中して人の話も聞くことができません。しかも音に敏感なため、クラスがうるさいとなおさら教室にいることだけでも苦痛になってしまい、不登校の原因の一つとなってしまうこともあります。コンテストの意味が分かりづらい場合は「発表会」でいいかもしれません。クリニックでもIQテストとは言わず「クイズ大会」と子どもたちには言うこともあります。できればいいのです。また、視覚的に上手に教えてあげることも必要です。どういうことをやってどんな感じなのか、あらかじめビデオなど見せて丁寧に説明することも大切です。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年02月24日「頭が大きい?」1歳半健診で指摘されて…Upload By べっこうあめアマミ妊娠中から出産時まで、何の異常もなくこの世に生まれた息子は、1歳までは何の発達の遅れも不安もなく、すくすく成長していきました。「あれ?」と思ったのは1歳を過ぎたころ。1歳半健診のチェック項目のほとんどに〇がつかないという事態に陥りました。そしてこのころから息子の発達の遅れが目立つようになっていき、私は大きな不安にかられるようになっていきました。そして迎えた1歳半健診。身体面に異常はなく、分かりやすい困りごともないけれど、明らかな発達の遅れがある息子。そして、頭位(頭の大きさ)が大きいことが気になるという指摘を受けたのです。そこで初めて聞いたのが、「水頭症の可能性」でした。水頭症は、脳脊髄液が頭の内側に過剰に溜まってしまう病気です。まだ頭蓋骨がやわらかく組み合わさっている状態の幼児期に水頭症があるお子さんは、内側からの圧力で頭蓋骨が押し広げられ、頭が大きくなるそうです。ただ、あくまで可能性というだけで、検査しなければ分からないとのことだったので、1歳児の脳のMRI検査ができる大きな病院に紹介状を書いてもらうことになりました。発達の遅れの理由は、発達障害や知的障害だけではないUpload By べっこうあめアマミ大人ならすぐに済ませられるMRI検査ですが、ずっと動きを止めていられない1歳児が受けるとなるとそうはいきません。親子で日帰り入院し、息子が自然に眠っているときか、眠らなければ薬で眠らせて検査する、少し大がかりな検査になります。当日うまく寝てくれるように睡眠時間を少なめにして連れて行ったため、息子は不機嫌で何度も大泣きしました。しかし幸い疲れて寝てしまい、無事に検査を受けることができました。そして検査の結果は異常なし。ここで、息子の発達の遅れの理由から、「水頭症」の可能性が消えました。しかし、発達の遅れの理由として考えられるものは、それだけではありません。耳が聞こえていなくてコミュニケーションがとれない可能性もありますし、主治医はほかの病気の可能性も考えてくれていたようです。脳のMRIのほかに、聞こえの検査と、全身の代謝の検査などをしました。しかしどの検査でも、息子に異常は見つかりませんでした。それでも目の前にいる息子には明らかな発達の遅れがある。そのため、息子の通院は、ここから「様子見」というような形で始まりました。ショックだけれど納得もできた、障害の診断Upload By べっこうあめアマミそれから2年と少し経った4歳のとき、息子に知的障害を伴う自閉スペクトラム症の診断が出ました。そのころには私もさすがに、「何もないということはないだろう」とは思っていましたが、いざ診断を告げられると大きなショックを受けました。何度も泣きましたし、すぐに障害を受容できたわけでもありません。しかし、2年間という長い期間息子を診続けてくれた主治医による診断であること。そして、発達障害や知的障害以外のあらゆる可能性を潰した上での診断ということで、障害名に対しての納得感はありました。もちろん、診断の直接的な材料となったのは発達検査です。しかし、最初から発達障害、知的障害という方向だけで発達の遅れを見る前に、それ以外の病気や聞こえの問題などがないか検査するのは大切なことだと思ったのです。万が一、治療可能な病気などがあったとしたら、早期に手を打たなかったことを後悔したでしょう。ところが息子の場合、身体のどこにも異常はないから治療はできない。それが息子の障害、「知的障害を伴う自閉症」だということに、大きなショックの中でも納得はできました。病院だけでなく、息子は2歳から療育にも通っていましたし、「診断までにやれることはやった感」が、後の私の心の整理には大事だったと思います。通い続けて6年、長く診てもらっている病院がある安心感Upload By べっこうあめアマミ息子のように、服薬がなく身体障害や病気などもないお子さんは、病院にかかるべき明確な理由がないかもしれません。もちろん、必要性がなければ特に通院しなくても全く問題ありません。しかし、息子のように発語がなくて、本人との意思疎通が難しい子どもの場合、定期的に通う病院があると、体調の変化なども相談できて親としては安心です。今後何か病気が見つかったり、服薬の必要性が出てきたときにも病院探しに困らずにすみます。そして、障害がある子どもを育てていると、何かと診断書が必要になる機会がありますが、かかりつけ医があると、診断書のお願いもスムーズです。息子の通院の期間は長いですが、頻度は3、4ヶ月に1回程度です。そんなに低頻度の通院に意味はあるのかと思われるかもしれませんが、長く通い続けている病院は、親にとって頼りになる存在です。きっかけがないとなかなか難しいかもしれませんが、子育てをする上でかかりつけ医があるメリットは大きいと感じています。病院も、できれば自分の子どもと同じような障害がある子どもが多く通っていて、さまざまな検査が可能な設備が整った病院が安心かもしれません。きっかけが脳の検査だったこともあり、息子が通っているのは精神科ではありませんが、発達障害による困りごとをより具体的に相談したい場合、児童精神科を受診するのも良いと思います。地域ごとに評判の良い病院などもあると思いますので、気になる方は、情報を集めて受診してみるのもいいかもしれません。執筆/べっこうあめアマミ(監修:藤井先生より)べっこうあめアマミさんの息子さんが、3−4ヶ月に1回定期的に通院しているのはとても良いと思います。私の勤めているクリニックにも、服薬などは必要ないけれど定期的に通院しているお子さんがたくさんいます。状態が安定している小学生や中学生は、長期休みに受診してくれています。そのたびに、お子さんの成長を一緒に楽しみ喜んでいます。当初はクリニックの診察室に入るのも嫌がっていたお子さんが、診察室に入れるようになり、一人で椅子に座れるように、聴診器も嫌がらずに当てられるようになり、と低頻度の受診でも徐々に慣れてきます。年度変わりで、学校の先生が変わっても、いつもと同じ病院やクリニックに同じ先生やスタッフがいるということで、安心して通えるというお声を聞くこともあります。お子さんの年齢が上がってくると、主治医が見つからないという声を聞くこともあります。べっこうあめアマミさんのように小児神経科に相談するのも良いですが、発達外来のある小児科、児童精神科、精神科などに相談してみましょう。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年02月23日自閉症娘、1歳の誕生日を境にいきなり偏食に娘のまゆみには自閉スペクトラム症と知的障害の診断がついています。離乳食が始まった生後5ヶ月ごろはなんでもよく食べてくれたので特に気にすることもなく離乳食をあげていましたが、生後8ヶ月ごろになると突然ベビーフードを一切受けつけなくなりました。それでも手づくりすれば肉も野菜も食べてくれていたのですが、1歳の誕生日を迎えた直後から特定のものしか食べてくれなくなり、「なんで急に?」「栄養が偏ってしまうのでは?」と不安に駆られました。Upload By にれまゆみの食べてくれるものを探る日々「もしかすると味の好みが出てきて、今までの食事には満足しなくなったのかもしれない」と思った私は、とにかくまゆみの食べられるものを探してさまざまなメニューを試してみることにしました。レトルトやベビーフードは完全拒否なのでイチからつくるのですが、元々あまり料理が得意ではない私はかなり頑張らないといけませんでした。いろいろ試行錯誤する中、手づくりのチキンナゲットなら食べてくれることが分かり、一番心配だった「タンパク質不足」の問題は少し和らぎました。しかし、四苦八苦してつくった料理は一口も食べられずに残されることがほとんどで、段々と精神的につらくなってしまい…頑張ってつくっていた料理も品数が減っていき、そのうち白米とチキンナゲットに果物を添えただけの「まゆみ定食」がわが家の定番になりました。市の栄養士さんにも相談しましたが、「今は食事の楽しさを教えたい時期なので、無理に食べさせる必要はない」という回答。少しホッとはしたものの、栄養の偏りを心配する私の不安は解消されず、「どうしたらお肉や魚を食べてくれるの?」と悶々とした日々が続きました。2歳、食べられるものに変化が。きっかけはファーストフードのフライドポテト2歳過ぎになり、出掛けた先で食べたファーストフード店のフライドポテトを何気なくまゆみに渡してみたときのことです。なんと、まゆみが「もっともっと」と手振りでおねだりをしてきたのです。それを機に、家で揚げたポテトも食べてくれるようになりました。「どこまでがまゆみの許容範囲なのか?」を見極めたくなった私は、皮つきのままのくし型ポテトや、小判状にしたハッシュドポテトや、青のりで「のり塩味」にしたポテトをまゆみに出してみましたが、どれも気にせずパクパク食べている様子を見て「ジャガイモを使えばいろいろ食べられるかも!」と希望が膨れ上がりました。マッシュポテトにいろいろ混ぜ込んでみては「まゆみが妥協して食べてくれるライン」を探っていった結果、チーズ・ホウレン草・シラス・栄養補助粉末を練りこんで揚げ焼きにした『特製ポテトお焼き』が誕生しました。「これさえ食べてくれれば少し気がラク」というメニューができて、うれしいというよりもホッとした気持ちになったのを覚えています。Upload By にれ2歳10ヶ月、食事に関する勉強を始めてまゆみに自閉スペクトラム症と知的障害の診断がついたことをきっかけに、食育についてちゃんと学びたいと思った私は乳幼児食指導士の資格を取りました。食事環境や栄養バランスの大切さを学び、発達障害児の偏食に対してもアプローチ方法を学ぼうといくつかの本で知識を得た中、まゆみに有効な方法が3つありました。1.熱々のまま出すこと、2.素材別に分けて出すこと、3.調理に参加させてみることです。Upload By にれ1については、思えばまゆみは冷めたものは食べようとしない子どもでした。これまではうどんを食べている途中でも麺が熱くなくなったら席を立っていましたが、冷めた時点でもう一度温めると食事を再開してくれるようになりました。2、3は根本が同じところから来ているようで、まゆみは料理の成り立ちについて自分の中で納得がいくと食べやすくなるようでした。それまで「手の込んだ料理ほど食べないのはなぜ?」と不思議に思っていたのですが、一品の中に多く素材が使われている料理は元の素材がイメージしづらいために、まゆみの目には「得体のしれないもの」と映っていたのかもしれません。今でも食べられないものの方が多いですが、素材別に分けて盛ったり、一緒に料理をすることで「元の素材が何か」が分かって食べてくれやすくなりました。3歳、お弁当を持って療育へ行くようになってさらに変化がまゆみが3歳になるころ、単独通所の療育に通い始めました。お弁当を持っていき、先生がマンツーマンでついてくださって一緒にお昼を食べるのですが、療育先からお弁当づくりで出された条件が2つありました。1.食べきれる量であること、2.本人の苦手なものを何か一品入れることです。1は完食して褒められることが達成感につながり食事に前向きになるため、2は自宅外で母親以外の人と食事することで食べられるようになる食材があるかもしれないため、との理由です。また、苦手なものを選ぶポイントは、「絶対にこれは嫌いだろう」というものではなく、「食べず嫌いで敬遠しているけれど味は気に入るかもしれない」というラインのおかずを選ぶことです。先生方の頑張りと、まゆみ自身の頑張りによって、通い始めた当初よりも食べられるおかずが増え、4歳になった今ではお弁当に持たせるとハンバーグ、焼き魚、お好み焼き、煮物、ピーマン、ミニトマト、枝豆なども食べてくれるようになりました。中にはかなり苦戦するものもあるようですが、先生に励まされるとまゆみも頑張って口に入れてくれるそうです。偏食について思うことUpload By にれ一時はまゆみの健康を思ってノイローゼ気味になるほど悩んだ偏食問題ですが、発達障害のある子どもは何かしらの理由があって食べられないものがあるということを知り、今は「野菜を食べないなら果物からビタミンを取ればいい」「肉を食べないなら唯一食べられる焼き鮭でタンパク質を補えばいい」とゆるく考えるようになりました。不思議なことに、そう考え始めてからの方がブロッコリーやキュウリ、焼き鯖やマグロカツ、エビフライなど食べられるものの幅が広がりました。食べないだろうと決めつけず、また無理に食べさせようともせず、「食卓に出ているものを期待せずすすめる」というスタンスにして私も肩の力が抜けたのが良かったのかもしれません。親が手を加えることで食べられない理由が解消されて食べられるようになるものならラッキーで、まゆみは基本的に食べないものは食べないのです。食べられる食材が増えてきた今だからこそそう思えるのかもしれませんが、偏食についてはまゆみの「食べたい」「食べたくない」に寄り添いつつ、「これもどう?」とゆるくすすめ続けていきたいと思います。執筆/にれ(監修:初川先生より)偏食をめぐるにれさんの奮闘の歴史をありがとうございます。お子さんの偏食に悩む保護者の方は多くいらっしゃることと思います。研究の歴史を読んでいるのかと思うほどに整理され、なんと素敵な試行錯誤なのだろうかと思いました。にれさんほどには実験的に突き詰めて考えることはなかなかできずとも、トライアンドエラーをするにあたっての着眼点や親としての心構えなど、参考になったと思われる方も多いのではないでしょうか(私もなるほどと思いながら読みました)。ASD(自閉スペクトラム症)のあるお子さんですと、口の中の食感が混ざっているとそれを気持ち悪いと感じる場合がある(だから混ぜご飯やサンドイッチは、一緒に一口で口に入れるより、それぞれ食べたほうが食べやすい)など、さまざまな経験則や知見も蓄積されてきていますね。調理した挙句に、知らない姿で出てくるよりも、その過程を見せてあげると安心して口に運べるというのも、見通しがないと行動しづらいという特性的な面との整合性もあり、いかにしてお子さんが安心して食べるかが大事であるんだなと感じます。頑張ってつくった食事を食べてくれないのは、そこに他意はないと分かっていても、保護者としてはつらくなりますね。「食べられないものがある」、ただそれだけで、それ以上に過剰な意味づけをせず(例 「お母さんのことが好きじゃないから食べたくない」のではない)、お子さんの食行動の育ちを見守っていただければと思います。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年02月22日子どもの寝つきが悪い…これって睡眠障害?睡眠にまつわるギモン自閉スペクトラム症やADHDなどの発達障害がある場合、睡眠障害を併存していることがあります。睡眠の問題の背景には、何かしらの障害が関係していることがありますが、睡眠の相談を医療機関ですることを知らず、長年悩みを抱えてしまう方もいるという現状があります。発達ナビQ&Aコーナーでも、子どもの睡眠に関する心配や、睡眠障害へのギモンが数多く寄せられています。「赤ちゃんのときから寝つきが悪く、朝起きられません。来年には中学生になりますが、どのようにサポートしたらいいでしょうか」「5歳すぎてもまとまって寝ないのは、発達障害が関係しているのでしょうか」「みなさんは眠れていますか?眠れないときはどうしたらいいのでしょうか」「日中に寝てばかりの息子がいます。服薬をしていますが効果がありません」これらは、発達ナビのQ&Aコーナーに実際に書き込まれた、睡眠にまつわる悩みです。このコラムでは、睡眠のなぜ?から、発達障害と睡眠障害の関わり、服薬についてなど、体験談や、専門家の先生のアドバイスを交えてご紹介します。睡眠障害とは、眠りに何らかの問題がある状態のことをいいます。子どもの睡眠障害にはいくつか種類があります。・不眠症…寝つきが悪い、眠りが浅く途中で何度も目が覚めてしまう、朝早く起きてしまう、眠りの質が悪いなど、睡眠が十分でない状態・過眠症…夜ちゃんと寝ているはずなのに、日中あらがえないほど眠い状態・概日リズム睡眠障害…昼夜のリズムと体内時計がうまく合わず、調節できなくなって睡眠リズムがくずれてしまい、社会生活に支障をきたす状態・いびき・睡眠時無呼吸症候群(SAS)…子どもの場合、いびき、無呼吸の主な原因は、鼻づまりやアデノイド・口蓋扁桃(こうがいへんとう)といったのどや鼻の奥のリンパ組織の肥大で、物理的に気道が狭まること。また、肥満で気道が狭くなることも・むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)…脚などの下肢がむずむずするなど動かしたい強い衝動がある状態・睡眠関連律動性運動異常症…乳幼児期から4歳くらいまでの時期で発症する睡眠障害。頭を左右に振ったり、前後に強く動かすなどする。9ヶ月の子どもでは59%に見られるほど、乳児期には非常に多い症状だが、5歳前後には5%以下に・睡眠時随伴症…睡眠中に生じるねぼけ、夜尿、歯ぎしり、悪夢などの身体的現象の総称子どもは、新生児期には昼夜を問わず短い睡眠・覚醒を繰り返しますが、乳児期から夜間睡眠が中心になり、3歳から6歳になるころには昼寝をとらなくなるなど睡眠リズムが徐々に確立していきます。赤ちゃんの眠りはまだ眠りが浅く、夜泣きをすることも多くあります。幼児期(3歳から6 歳ごろ)までに浅い眠りと深い眠りのサイクルが大人と同様のリズムに移行していきます。そのため、幼児期になっても睡眠に何らかの問題がある場合、改善の必要があるといえます。発達障害と睡眠障害の関連は?睡眠障害は、発達障害の併存症として認められることが多いといわれています。睡眠障害が発達障害を引き起こすという意味ではありませんが、発達障害の特性により、睡眠になんらかの問題が出てしまうことが主な原因です。乳幼児期の睡眠は脳の発育にも関わるため、睡眠障害が長引くこと自体が睡眠不足や生活リズムが乱れて悪循環を生み、子どもの心身の発育に影響している可能性も否定できません。自閉スペクトラム症がある子どもは音や光などに対する感覚が過敏なため、覚醒しやすいといわれています。また、睡眠に関係するメラトニン生成や、セロトニンからメラトニンにいたる代謝経路の障害が関係しているのではないかと考えられています。そのため、自閉スペクトラム症のある子どもの睡眠の問題には、なかなか寝つけない、入眠することができない、 夜中に起きて騒いでしまう、ちょっとしたことで起きてしまうなどが多くあります。ADHDの特徴には不注意・多動性・衝動性があります。ある調査ではADHDのある子どもの入床への抵抗、入眠の困難、中途覚醒、起床の困難、日中の過剰な眠気がある子どもが多い傾向があるという結果があります。また、ADHDのある人の脳には脳内の神経伝達物質であるセロトニンに偏りが生じているともいわれています。そのため、セロトニンを原料としてつくられるメラトニンという体内時計をコントロールするホルモンにも偏りがでてしまうため、不眠や概日リズム睡眠障害に陥りやすいのではないかと考えられています。参考:子どもの睡眠亀井雄一、岩垂喜貴 |保健医療科学2012 Vol.61 No.1 p.11-17Q:来月から6年生になる男の子の母です。ADHDの子は寝ない子・寝付きが悪い子が多いと言われていますが例にもれずうちも小さい頃から寝付きが非常に悪く、そして寝ると朝本当に起きられません少し前までおやすみをした後隠れてタブレットで動画見てたりしていたので没収しました・・・携帯は夜間ロックをかけています。普段は自分の携帯のアラームをかけさせていますが、全く起きず叩いても起きず、ベッドから引きずり降ろしてようやく起きます体も大きくなってきたので正直この起こし方が最近本当に大変です・・・。(中略)同じようなお子さんお持ちの親御さん、どのような対策とられてますか?病院にかかってみた方がいいのかな?と思ったこともありますこちらの質問には以下のような回答が寄せられました。A:息子もADHDとASDです。赤ちゃん時代は、眠りが浅い子でした。幼少期も夜驚や寝言が多かったです。それほど深刻には考えていなかったのですが、高学年になっても寝相がかなり悪く、主治医に相談し、メラトベルと言う睡眠ホルモンの薬を試してみました。(中略)朝起きられない問題は、コロナ禍で生活リズムが不規則になった頃からです。やはり、就寝前の電子機器の使用で就寝時間は徐々に遅くなり、22時半頃になることもあります。朝は休日でも8時起床にしていますが、息子もなかなか起きられません。自分の力で起床することが、自立の一歩だと思っているので、スマホのアラームやAlexaなど工夫して平日は一人で起きるようにしています。寝坊した場合は、就寝時間を早めるように促しています。熟睡できている事が前提だと思うので、1度主治医に相談してみては?違う切り口からの回答なんですが、職場で専門機関監修の睡眠改善セミナーを受けた中で使えそうなテクニックをいくつか。・睡眠環境を整える→寝室に光源を極力置かない。ダウンライトなどを活用。就寝中は家電のランプも塞ぐ(専用シールとかあります)→窓の隙間も塞ぐ。暗幕の活用→温度湿度の管理、寝具、パジャマの見直し(大人もついでにやってみては)・寝る前のスマホテレビ、照明→理想は1時間前にやめる。→リビングが調光できるならば、夕食前あたりから外に合わせて光量も落とす。・朝起きた時の楽しみを作る→朝飲む飲み物を少しリッチにする、朝ごはんへの投資、早起きして好きな映画を見るなど。(弟はゲーム時間確保のために早起きしてました)環境改善は一緒に寝てるのであれば親御さんの睡眠にも作用するのでおすすめです。年齢的にもう別々でしょうか?個人的には「朝起きる目的」があるパターンが学童期は一番効いたなと思います。私自身も見たいアニメがある、夏のラジオ体操でコンプリートして記念品もらいたい、という俗物的な目標があった方が起きてました。参考になれば幸いです。このように発達ナビQ&Aコーナーでは、疑問を投稿すると、ほかのユーザーの方が実体験をもとに回答してくれます。聞いてみたい質問があれば、ぜひ投稿してみてください!【小児科医に聞く】睡眠の大切さ、子どもの睡眠問題、何科を受診すればいい?、発達障害と睡眠障害の関わり、服薬のギモン、睡眠障害がある子どもへの対応などここまで発達ナビのQ&Aコーナーに寄せられたギモンを中心にご紹介しました。ここからは、小児科医の藤井明子先生に子どもの睡眠の重要性、受診のタイミング、睡眠障害がある子どもへの対応、服薬のギモンについてお答えいただきます。A:睡眠には「脳を休める」ノンレム睡眠と、「体を休める」レム睡眠があります。ノンレム睡眠時には、大脳を休めるだけでなく、成長ホルモンが分泌され、脳内の神経ネットワーク形成や細胞の修復、骨・筋肉形成が行われます。また、免疫機能・代謝機能が増強され、疲労の回復に役立っています。レム睡眠時には、脳は活発に活動し夢を見ることが多いですが、全身の筋肉は緩んで、体は休んでいます。睡眠の時間が短い、質が悪いなどで、睡眠の役割が十分に果たされないと、子どもの心身の成長や発達に影響が及ぶとされています。Upload By 発達障害のキホンA:かかりつけの小児科でまずは相談してみましょう。小児科医は、病気のことだけでなく、お子さんの生活全般、生活習慣についてのお困りごとにも対応することが可能です。すでに寝る前の工夫をとられていることもあるかと思いますが、お子さんが寝ないと、保護者も眠れず、親子共に疲弊していることもあります。少しでも工夫できることがないか、一緒に小児科医と考えていけると良いと思います。Upload By 発達障害のキホンA:いろいろ対策をしても寝つきが悪いようなら、受診して相談してみても良いでしょう。1〜2歳のお子さんの寝つきの悪さなら時間と共に改善する可能性もありますが、5歳であると睡眠覚醒リズムが確立される年齢なので、睡眠障害があるのかもしれません。ASDの特性もあるような気がするとのことなので、併せて相談されると良いでしょう。Upload By 発達障害のキホンA:受診すると、必ず薬が処方されるというわけではありません。まずは、睡眠リズムを作るための生活習慣の見直しをおこなっていきます。例えば、布団に入る1時間前のテレビ・インターネットなどは控える。休日・平日関わらず一定の時間に起きる、入眠までにすることの手順を同じ手順で同じ時刻に行うなどです。生活習慣の見直しをおこなっても改善しない場合に、薬の内服も検討します。発達障害に伴う入眠困難なお子さんへは、メラトニン受容体作動性入眠改善薬(一般名:メラトベル)を使用することがあります。メラトニンは、体内時計に働きかけ、睡眠と覚醒を切り替えて、眠りを促す作用があります。Upload By 発達障害のキホンA:易刺激性の薬とは、ASDに対するかんしゃくや、それに伴う暴言・暴力に対する薬のことだと思います。睡眠障害があるお子さんで、易刺激性に対する薬を使用することはあります。薬を使うことで、気持ちが安定し、入眠しやすくなることがあります。副作用として、眠気・だるさ、食欲増進を認めることがあります。主治医の先生と相談しながら、適切な効果のある量を調整していく必要があります。薬は、副作用と効果のバランスを見て、効果がある場合には続けていくと良いでしょう。長期に飲み続けて、依存性のでる薬ではないので、効果がある場合には続けて、適切な睡眠習慣をつくることができると良いと思います。Upload By 発達障害のキホンA:生活リズムの乱れは、抑うつやイライラといった気分の悪さと関連していることが指摘されています。睡眠リズムを取り戻すためには、朝に起きて光を浴びることから始めましょう。ベットを日当たり良い場所に移動し、毎日同じ朝の同じ時間にカーテンを開けて日光が入るようにして、刺激を多くしましょう。朝ごはんを食べることも、リズムをつくる上で大切です。食事が食べられなくても、少量のお湯などを経口摂取することから始めても良いです。午前中の生活を正してから、入眠前の工夫をしていきましょう。テレビや携帯電話、パソコンの使用は、入眠前1〜2時間は控えていきましょう。Upload By 発達障害のキホンA:ナルコレプシーは過眠症の一つで、オレキシン神経系の機能障害が原因です。日中の居眠りだけでナルコレプシーと診断できず、睡眠日誌をつけ、終夜睡眠ポリグラフィ、反復入眠潜時検査を受ける必要があると思います。ナルコレプシーを積極的に疑う場合には、睡眠外来を受診することをお勧めします。しかし、睡眠外来に受診すべきがどうか迷われる場合には、かかりつけの小児科に相談してみましょう。Upload By 発達障害のキホンA:起立性調節障害は、自律神経機能不全により、立ちくらみ、朝起き不良、だるさ、動悸、頭痛を認める病気です。朝起き不良だけでなく、だるさのために午前中の活動がしにくい状態になることもあり、そのため入眠困難になり、睡眠リズムの乱れにつながることもあります。起立性調節障害の治療と加えて、入眠をサポートする薬を使うこともあります。Upload By 発達障害のキホン発達障害のある子どもの睡眠にまつわるエピソード発達ナビライターの方々の睡眠にまつわるエピソードをご紹介します。子どもの成長に欠かせない「睡眠」。睡眠に関する悩みが解消しないときは抱え込まず、医療機関へ子どもの心身の成長や発達に大切だといわれる「睡眠」。しかし、いろいろと工夫してもなかなか子どもが思うように寝てくれず悩みを抱えている方も多いかもしれません。発達障害がある場合、睡眠障害を併存していることも多く、睡眠の問題は、単純に生活習慣の乱れではなく、何かしらの原因が背景にある可能性もあります。また、わが子が寝ないと、保護者も眠れず、親子共に疲弊してしまうこともあります。小児科医では、病気のことだけでなく、子どもの生活全般、生活習慣について相談することも可能ですので、心配なことがあれば、かかりつけ医に相談してみましょう。発達ナビ「Q&Aコーナー」にあなたのギモンをぜひ投稿してください今回は発達ナビQ&Aコーナーに寄せられた睡眠にまつわるギモンと小児科医の藤井先生からのアドバイスをご紹介しました。発達ナビのQ&Aコーナーに気になることを質問するとユーザーの方が経験をもとに答えてくれます。話題の質問に専門家からアドバイスともらえることも!ぜひチェックしてみてください。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年02月21日数字好き息子、そろばんに興味をもって…自閉スペクトラム症のあるけんとは、自分の興味のあることにはとことんのめりこむ子どもです。中でも数字は特別大好き。社会面、運動面などに苦手さを抱えていますが、数字に関することは、親もビックリするほどの理解力をもっています。Upload By ゆきみ年中の夏ころ、買い物へ行くと、そろばん教室が新規オープンキャンペーンを行っていました。大きなそろばんが置いてあり、興味を示したけんと。数字が好きだし、そろばんを習うのもいいかもな、と以前から親心で思ってはいましたが、構音障害があり、表出言語が苦手でほぼ単語。座って授業が受けられるのかも心配だったので母としてはあきらめていました。でも本人が「やりたい」とのことだったので話を伺ってみることに。そこは超少人数制の教室。もしかしたらできるかも…と思い、自閉スペクトラム症があることを伝え、教室の了解を得て、試しに入会することにしました。5歳という年齢もあったのか、最初はそろばんを使わず、数字を書いたり、楽しく数字と遊ぶという内容でした。数ヶ月ほとがたつと、けんとが「もっと難しいのがやりたいんだ!」と先生にアピールをするように。先生が試しに…と、そろばんを教えてくださると、スラスラできるようになり、年長で、ほぼ満点で4級を取得。本人もうれしそうでした。急にやる気が低下!負のスパイラルに…Upload By ゆきみところが、3級のお勉強が始まると、間違えることが急に増え、本人のやる気が落ちてきました。間違えることが増えた理由を考えてみると…1.級が進むにつれ、桁数が増えた。視覚的に目で追うのが難しくなり、どこの計算をしているのか分からなくなっている様子だった2.そろばんに慣れ、ものすごいスピードで珠を弾くようになったけれど、手先がとても不器用なので、弾き間違えることが増えた3.書字が苦手。桁が増えるにつれ枠の中に数字を書けずはみ出し、さらに字もグチャっと書いてしまうことにより、読めずに×になってしまうこともあった4.すごいスピードで問題を解くので時間が余るが、こだわりから見直しをしない。ゆっくりやることもしない…などです。けんとの特性と、そろばんが合っていないかも…と思うように。正解率が下がった結果、集中力が続かなくなり、モチベーションも下がり、負のループにはまってしまった気がしました。すると、授業中の立ち歩きが多くなったり、「疲れたから休む」と全然やらなくなったりと、先生が困っている様子になってきたので、私がサポートで同席させていただくことにしました。好きを大切にしたいと決意、現在はアプリで…母が同席し、授業で今からやることの見通しをたて、視覚支援を取り入れました。立ち歩きが減り、座って授業を受けられるようになりましたが、相変わらず正解率は上がらず、モチベーションは低いまま。Upload By ゆきみけんとが昇級試験に受かりたいというのでやっていましたが、あまりのやる気のない態度にイラついてしまい、私もキツク当たってしまうことが続きました。このままでは、けんとが「そろばんを嫌いになってしまう」と思い、小学校1年生の夏、本人と相談をしてやめることにしました。調べてみると、暗算のそろばんアプリ(有料)があることを知りました。けんとに教えたところ「やりたい!」とキラキラ目を輝かせ、毎日のように「やりたい!」と言ってくるようになったので、試しにやってみることに。アプリなので教室に通う必要もなく、私が見ていなくても自分のペースでできるので、私のイライラがゼロ。現在も楽しそうにやっています。もしも、また本人が「そろばん3級取りたい」と言ってきたら、そのときはそろばんを始めようと思っています。小学1年生、現在はプログラミングに…年長の終りころ、タイピングに興味をもったけんと。試しにやってみると、はまって遊ぶようになりました。不器用なので、なかなか上手く指を動かせませんでしたが、楽しかったようで自ら練習を重ねる日々。5ヶ月くらいがたったころ、指を上手に動かせるようになってきました。すると、小学1年生の夏ころ、今度はとあるプログラミングアプリを自分で発見し、「このプログラミングがやりたい!」と言うようになりました。最初は「まだ早いのかな?」と思っていましたが、あまりにも本人のやる気がすごかったので、そのプログラミングアプリを使うプログラミング教室へ習うことにしました。Upload By ゆきみこちらはオンラインで先生に教えてもらっています。プログラミングでステージごとのミッションをクリアするという内容のアプリなので、ゲーム性があり、けんとにとってはとても楽しい様子。やる気があるので上達も早く…私はすでについていけていません。練習を重ねたタイピングもプログラミングに活かせているようです。やる気があふれると、誰にも止められないほどの情熱を爆発させる子なので、その想いを大切にしながら、興味関心を示したものをこれからもサポートしていきたいと思っています。執筆/ゆきみ(監修:鈴木先生より)何でも興味があるものから「まず始めること」が大切です。一方で、最後までやり続けるのは難しく、ピアノやスイミングを途中でやめたりした経験がある人も多いと思います。数字に興味のあるお子さんは2~3歳でもマンションのエレベーターのボタンで覚えてしまうこともあります。プログラミングは私のクリニックへ来ている患者さんにも人気で、習い事で通っておられるお子さんも多いです。そういうお子さんは将来、情報工学系を希望する傾向があります。最終的に自分の興味があった仕事ができればいいのではないでしょうか。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年02月21日発達障害の専門家が出会った子どもたちや、その保護者の抱えていたリアルな「困った!」をもとに、対応策などをドキュメントタッチで解説します。今回は、特別支援学校高等部に通う自閉スペクトラム症のある子どもの保護者が抱く、将来への不安にまつわるエピソードです。「卒業後が心配…」特別支援学校に通う自閉スペクトラム症(ASD)のある子どもの保護者Upload By 専門家体験談Upload By 専門家体験談Upload By 専門家体験談マンガ/カタバミ解説:特別支援学校卒業後の進路を検討する上で、「障害者手帳」「障害基礎年金」「家族会」がポイントに今回は、自閉スペクトラム症(ASD)のある子どもの特別支援学校高等部卒業後の就労や親なきあとを心配する保護者のエピソードをもとにマンガ化してお届けしました。このケースのように、特別支援学校卒業後の進路として就職を考えている場合は、一般就労(一般雇用または障害者雇用)や福祉的就労(就労継続支援A型または就労継続支援B型)について、事前に確認しておくことが大切です。そのほか、手帳の取得や障害基礎年金の受給についても調べておくと良いでしょう。ポイント1.知的障害がなく療育手帳を取得していない場合精神障害者保健福祉手帳を取得できる可能性があります。一般雇用だけでなく、障害者雇用枠に応募ができるなど可能性が広がりますので、一度かかりつけ医に相談してみることをおすすめします。ポイント2.障害基礎年金の受給について障害の状態などの受給要件が定められているため、「初診日や障害の状態を証明できる診断書」「障害者手帳」などを持って、年金事務所や市区町村の担当窓口で相談できます。なお、障害基礎年金における障害要件(障害等級)とは、障害の状態を分けたもので重いものから1級・2級・3級となり、1級・2級に該当すると障害基礎年金の受給が認められます。なお、この場合の障害等級とは、労災保険の障害年金のものとは違うものです。ポイント3.「家族会」に参加し情報交換をする「家族会」では、同じような悩みを持つ保護者のみなさんと交流し、情報交換をすることができます。一度探してみてはいかがでしょうか。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年02月20日話すのは好きですが、言葉に詰まってしまうことも多いコウですUpload By 丸山さとこASDがあるコウは、オープンクエスチョンに答えたり言いたいことをまとめたりするのが苦手です。自分の思ったことやその背景を説明しようとすると「あの、えっと…それでさ?えーと…」と言葉に詰まることは珍しくありません。そんな彼ですが、小学校高学年あたりになると『発言の意図や背景を読むのが苦手なコウ』に慣れてきた同級生も現れ始め、会話の中でつまずくことがあっても周囲のサポートを受けられることも増えてきました。そのため、普段の生活の中であれば大きな困りごとは目立ちません。ですが、先生への連絡や相談など『言いたいことを明確にして相手に伝えなければならない状況』ではコミュニケーションがスムーズにいかず困ることもしばしばです。そんなコウですが、人に対して緊張することは特にないと言います。言う言葉が決まっていれば「言いたかったことを言えなくて悩む」などの困りごともないそうです。「単純に何て言ったらいいか分からなくて困る」とのことで、コウとしても『何とかできたらいいな』と思ってはいるものの中々難しいようでした。会話が苦手なコウに少し変化が…?そんな風に会話が苦手なコウでしたが、最近は診察や面談など苦手な状況でもスムーズに話せることが急に増えてきました。理由はいろいろあると思いますが、その一つはオンライン英会話だったのではないかと思います。コウは3ヶ月ほど前からオンライン英会話を始めたのですが、最初のころは「英語は得意なはずなのに、なぜ…?」と首を傾げたくなるほど散々な状態でした。Upload By 丸山さとこ何回か聞いていると、決まった型を練習したり読み上げたりするときはスムーズにできるものの、フリートークや予定にない質問に対して固まってしまっているようでした。「先生の言葉の意味は分かったが、何と答えればよいか分からない」という状況に固まってしまったコウは、先生にヒントを求めることもできません。その様子は『日常生活で会話に詰まっているときのコウ』そのままの姿で、「会話する能力っていろいろなところで必要になるのだな」と改めて感じました。そんなコウを見ていた夫が「これは英語力というよりも会話力だね…」と言うのを聞いて、私も「そうなんだろうな」と思いました。Upload By 丸山さとこそんなコウと会話しながら、先生の方も「言っていることは通じているっぽいのに黙ってしまうコウ」に対してどうすればよいか少し戸惑っているようでした。そんな状態のレッスンを数回続けたコウは、「英語勉強したのに、全然話せない…」と落ち込んでしまいました。すっかり自信をなくしてしまったコウを見て「無理をする必要はないけれど、このまま英会話に苦手意識を持って終わるだけではもったいないかな?」と思った私は、以下のような返答のパターンをコウに提案してみました。・言われたことが分からないときは、「もう一度お願いします」「どういう意味ですか?」と聞いてみるのはどう?・すぐに答えられないときは、「少し待ってください」って言ってから考えると、先生も安心できるしコウも落ち着いて考えられるかも。・それでも分からなかったときは、「分かりません」ってそのまま言ってみよう。これらの提案を聞いた、コウは「それいいね!」と喜んで採用しました。そして、自分からも「〇〇って言い方はどうかな?」といくつか返答のパターンを考えて紙にメモしていきました。Upload By 丸山さとこその後、実際にそれらの返答パターンを使って会話を進められるようになったコウは、何と答えていいか分からないときも軽く「分かりません」と流せるようになりました。そんなコウの様子を見て、先生も「OK、じゃぁこれはどう?」と違う聞き方や話題に移りやすくなったようでした。傍目から見ても会話が弾むようになり、コウは「今日もいろいろ話せたよ!楽しかった!」とレッスンを終えることが増えてきました。今では「次のフリートークでは先生にこれを聞いてみたい!」とオンライン英会話を楽しみにするようになったコウは、多少会話に詰まることがあっても「次はこうやって話そうかな?」と凹まずに対策を考えるようになってきました。「無理強いすることにならないように、ほどほどのところで『しばらくお休み』も提案した方がいいかな?」と内心ソワソワしながら様子を見ていた私だったので、英会話を楽しんでいるコウの様子を見てホッと胸をなでおろしました。好きなことは力をくれるし、きっかけになる(こともある)今回コウがオンライン英会話によって会話へ前向きに取り組めるようになったのは、まず彼にとって英語がそもそも『好きで得意なもの』だからなのだろうなと思います。よく言われることですが、『好きなこと』は力になるのだなぁと改めて実感しました。Upload By 丸山さとこまた、それと同時に「好きなことをエネルギーやきっかけにして頑張らせようと思ったら、頑張って疲れきった上に好きなことまで失くしてしまった」というパターンも起こりえるのだろうなと思いました。今回はたまたま上手くいきましたが、頑張ったけど上手くいかなかった経験により、英語が『好きなもの』から一転『苦痛なもの』になってしまう可能性も十分にあっただろうと思います。コウは、得意なことでも少しつまずいただけで「やらなきゃよかった…」と絶望して投げ出しやすい傾向があります。今回もオンライン英会話を始めるにあたって「思ったより難航したら英語嫌いになるかもしれないな~」と思いながら機会を提供したところはありました。Upload By 丸山さとこ英語に対してある程度の自信と向上心(上達したいという意欲)があったからこそ自発的に取り組めたのだろうと考えると、これを安易な『成功エピソード』として捉えた私や夫が2匹目のどじょうを狙ったところで、上手くはいかないだろうなと思います。これからも、新しいことに挑戦したコウが「好きな気持ち」と「上手くいかなくてつらい気持ち」の板挟みになることはたくさんあるのだろうと思います。そんなときは『もう少し頑張ったら何とかなりそうなのにな』という私の欲でコウの板挟みをギュウギュウと強めてしまわないよう、少し遠くから応援しつつ彼の凹みや葛藤を見守っていけるといいのかもしれません。その中で『上手くいかないコウの絶望モード』に巻き込まれそうになったら、そのときはちょっと離れたところから「好きなことに挑戦するのはいいことだと思うよ」「それができたコウは凄いと私は思っているよ」と伝えていきたいです。Upload By 丸山さとこ執筆/丸山さとこ(監修:鈴木先生より)自閉スペクトラム症の患者さんには具体的に話すことが必要です。「最近の調子はどう?」よりも「最近の学校の調子はどう?」、さらに「最近の学校の英語の授業はどう?」と言う方が分かりやすいのです。「それ取って」よりも「テーブルの上の赤いペンを取って」の方が伝わりやすいのです。聞く方も気をつけなければなりません。従って、最近はやりの「自学の宿題」も苦手になります。「英語ドリルの1ページの5番から10番までやりましょう」と言ってあげた方ができるのです。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年02月20日多動だった太郎Upload By まゆん太郎が3歳のころの保育参加。太郎は教室内での催しの際、いきなり教室を1人飛び出して大好きなお兄ちゃんがいる年長クラスへ駆け出した。その行動は注意したからといっておさまるものではないとすぐに分かった。根本的に周りの状況を理解していないのが分かった。私は一応太郎のあとを追いかけたが、私にとめられるような多動ではなかった。その後、なんとか教室へ戻って来た太郎。だが。固まる太郎Upload By まゆん次は保護者と子どもがペアになりスキンシップをとりながら運動をするという時間があった。私のところに太郎が来ないので私はポツンと座っていた。太郎はというと長机の下に隠れて黙って教室のみんなを見ていた。呼んでも、手招きしても出てこない。私とも目を合わさない。ずっと教室にいるたくさんの人をみていた。そしてそのまま固まって動かなかった。そんなとき、私の膝に保護者が保育参加に来ていない園児が座りに来た。それでも太郎は私のことを見向きもしない。Upload By まゆんつらかった。なぜつらかったのだろうか。明らかに周りと違う太郎をまだ受け入れられていなかったのかもしれない。周りとの違いを目の当たりにし衝撃を受けたのは事実であった。そして「ひとり」を感じる私がいるのに、私の存在がないかのような様子の太郎を見るのもきつかった。あまりにもつらく、当時夫に「保育参加に一緒に参加してほしい」と言ったが、夫は1度も参加することはなかった。さらに「ひとり」を感じた。Upload By まゆん感情があふれた瞬間保育参加は4ヶ月に1回ほど行なわれていた。別の保育参加の日も、太郎は変わらず自分のペースで動いていた。もうつらくて私も呆然としていた。そのとき。「太郎ちゃんママ、大丈夫?」声を掛けてくれたのはママ友だった。誰にもこのつらさを伝えられてなかったのにママ友は気づいてくれた。自分の子どもが可愛いくて、夢中で見ていたいはずなのに私のことを気にかけてくれた。Upload By まゆんそんな声かけに一気に涙があふれた。「大丈夫じゃない」「だよね、つらいよね」Upload By まゆん太郎は4歳のときに、自閉スペクトラム症の診断がおりました。3歳のころは「発達障害ではないか」という不安を感じていたものの診断前だったので周りの人にも伝えられておらず、というかまだママ友らしき人もほぼいない状態だったので相談する相手もいませんでした。みんな働いている保護者だったこと、交流の場が少なかったことも要因だったと思います。今回の「大丈夫!?」の声かけは忘れられない言葉の一つです。この一言は私をいっきに癒すものとなりました。「ひとり」を感じて、自分でもわけが分からなくなっている感情を表に出させてくれたものとなりました。その後、保護者との交流も自然と増えていき太郎について理解をしてもらうきっかけが多くなりました。そうなることで私の気持ちも楽になり、保育参加へのつらさも次第に軽減されていきました。保育参加へのつらさの原因はなんだったのか…今振り返ってみると、ほかの園児と違う行動をする太郎をどんな風にみたらいいのか分かからなかったからだと思います。どんな風に対応したらいいのか悩みました。保護者として「おちついて」と注意しなければという問題でもないし、でも周りは「なんであのお母さん自分の子どもなのに注意しないの?」なんて思われてないだろうかとか。太郎を見る目、周りの目、いろいろと悩む時期でした。(執筆/まゆん)(監修:藤井先生より)ママ友からの問いかけに「大丈夫じゃない」と言ったまゆんさんの言葉は、悩んでいるまゆんさんのSOSだったのかもしれませんね。そこから、少しずつほかの保護者さんとの交流も増え、保育参加のつらさも軽減されてよかったですね。保育参加、運動会見学、お遊戯会を見るのがつらいという相談は発達外来でもよく聞かれます。周りからどう見られているかという不安、パートナーが一緒に育児をしてくれない寂しさ、子どもの特性を受け入れいれられない自己嫌悪など、さまざまな感情が混ざっていて、親御さん自身でもどうしたら良いのか分からないということもあると思います。今回はママ友と話すことをきっかけに、感情を表に出すことができ、ご自身の気持ちの整理が少しついたのかもしれませんね。パートナー、友人、園の先生、療育先のスタッフ、主治医などに、お子さんを見ていてつらいことを話すことで、親御さん自身の気持ちが整理できて、一歩前に進むことができることがあります。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年02月20日パニック障害の治し方、治療期間の目安、処方される薬は?パニック障害(パニック症)は、突然理由もなく動悸やめまい、発汗、息苦しさ、吐き気、手足の震えなどのパニック発作を起こし、自分ではコントロールできないほどの恐怖を感じる精神疾患で、完治までには数ヶ月~数年ほどかかると言われています。パニック障害の治療を受けるまでの流れと対処法、治療期間の目安を解説します。1.問診など不安の度合い、日常生活や仕事など、またどのように育ってきたか(成育歴)を質問し、情報はカウンセリングなどの治療に生かします(守秘義務に基づく)。2.体の病気がないか調べる内科的な検査をして異常がないか、脳波や脳の画像検査を行う場合もあります。3.問診・パニック発作の確定発作ではどんな症状があらわれたか、どんな状況で起こったか、発作の前後の状況などを詳しく聞いて「パニック発作の診断基準」と照らし合わせ、確定診断を行います。4.パニック障害の診断パニック発作の確定診断があれば、次は「パニック障害の診断基準」と照らし合わせます。「症状が1ヶ月以上ある」「予期不安がある」などを調べ、場合によってはほかの不安障害などによらないか調べることも必要になります。5.広場恐怖の有無「広場恐怖の診断基準」に照らして、広場恐怖があるかどうか調べ、あれば治療法を検討します。Upload By マンガで分かる発達障害のキホンカウンセリングなどを中心とした精神療法と共にストレスへの対処を中心に治療します。特に、支持療法を中心に行うことが多いです。支持療法とは、医師や心理士が本人の話を聞いて、医師や心理士と信頼関係を築きながら、自尊心や自信、適応力を身につけていくことを目指す治療法です。そのほかにも補助的に認知行動療法などを取り入れる場合があります。パニック障害に処方される薬にはパニック発作を抑える抗うつ剤と精神を安定させる抗不安剤があります。パニック障害の症状には、ほとんどの種類の抗うつ薬が有効であると言われています。アルプラゾラムなどの抗不安剤(ベンゾジアゼピン系薬剤)は、抗うつ薬と比べてすぐに効果があらわれやすい特徴がありますが、薬物依存になる可能性があるほか、副作用として眠気、協調運動障害、記憶障害、反応の鈍化などが起こりやすくなると言われています。薬物療法により発作が起こらなくなったり、発作が起こる回数をかなり抑えられることがあります。しかし、平行して精神療法を行わず服薬のみになってしまうと「薬があると安心(逆にいえば、薬がないと不安)」で薬が手放せない状況に陥り、根本的な改善を妨げることがあります。また服薬を止めてしまうとパニック発作が再発することも多く、長期間の服用と平行して精神療法を行うことが必要になります。Upload By マンガで分かる発達障害のキホンパニック障害の症状は理由がなく不意に起こることから、すぐさま救急車を呼ばなければならないという気持ちになってしまうかもしれません。しかし、一般的に発作は10分以内にピークになり、数分で治まります。■パニック発作が起きたときの対処法・ゆっくりと息を吸って、ゆっくりと息を吐くことを意識して呼吸を整える・衣類が窮屈な場合は緩める・室内や車内のときは、窓を開けるなどして外の空気を入れるなど自分に合っている対応を見つけることが重要です。リラックスしたイメージをする、飴を舐めるなど落ち着くことができる方法を見つけられるとよいでしょう。周囲の人は突然の発作に驚くかもしれませんが、慌てずに本人がゆっくりと呼吸ができるように安心させ、症状が落ち着くのを待つことが大切です。■日常生活で気をつけることパニック障害と付き合う上では、生活上のストレスをなるべく減らし、規則正しい生活を送ることが大切です。人間関係だけではなく、過労や睡眠不足もストレスの原因となります。回復をあせらないようにしましょう。また、コーヒーなどのカフェインを摂取しすぎることも悪化の要因になることがあります。適度な量にとどめておくとよいでしょう。発作が治まってもすぐに治療が終了するわけではありません。また服薬をしている場合、急に服薬などを止めると、再発する可能性もあります。治療をどのように、どの程度継続していくかは、必ずかかりつけの医師に相談し、独断で治療を中止しないようにしましょう。Upload By マンガで分かる発達障害のキホンパニック障害と併存症パニック障害は、不安障害(特に広場恐怖症)、双極性障害、うつ病などと併存することがあります。この章では、広場恐怖症、双極性障害、うつ病との関わりを解説します。広場恐怖症とは、大きな不安に襲われたときに「すぐに逃げられないかもしれない」「誰も助けてくれないかもしれない」と強い恐怖を抱き、その状況を回避しようとする精神疾患です。広場恐怖症を発症する前にパニック障害を発症している人が多くいることが分かっています。双極性障害とそのほかの精神疾患が併存することは多く、特にパニック発作を併発することが多くあります。調査によって併存する割合にばらつきはありますが、パニック障害とうつ病を併存することがあることが分かっています。パニック障害と発達障害との関わりASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如・多動症)の併存症としてパニック障害を含む不安障害の症状があらわれる場合があります。また、厚労省の調査では、大人になってから発達障害があることが分かったという人が多くいることが分かりました。自身に発達障害があることに気がつかないまま生きづらさを抱え、二次障害としてパニック障害を併発することがあります。参考:成人期発達障害者の生活実態に関する調査 〜全国の発達障害者支援センターの新規相談者の1202例の分析〜|厚生労働省パニック障害は完治する?自力で治せる?医師に聞いてみましたA:パニック障害は早期に適切な治療を行えば完治することも多いので、心療内科、精神科などに相談することが大切です。薬物治療に加えて精神療法の併用が重要だということが分かっています。A:パニック障害は医師にかからずそのまま放置をして完治するものではありません。そのまま放置をしたり、気合いで乗り越えようという対応は、逆に症状の悪化や慢性化を引き起こしてしまいます。パニック障害は治療が遅れやすいので「もしかして…」と思ったら早期の専門家への相談をしてみましょう。Upload By マンガで分かる発達障害のキホンパニック障害の治療には周囲の理解も必要ですパニック障害とは、突然の動悸やめまい、発汗と共に恐怖を感じ、いつ次の発作が起きるかという不安を伴う精神疾患です。ほかの精神疾患との併存や、発達障害の二次障害として発症することもあります。パニック障害は適切な治療をすれば完治することが分かっています。もしかしてパニック障害かもしれないと思ったら、医療機関などに相談しましょう。また、パニック障害の治療には周囲の理解も必要です。周囲の人たちは、完治を焦らせずに、長い目で見守りながらサポートしていきましょう。参考:パニック障害・不安障害 | 厚生労働省イラスト/にれコラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年02月19日パニック障害(パニック症)とは?パニック障害(パニック症)は突然の動悸やめまい、発汗と共に「死んでしまうのではないか」というような恐怖を感じる精神疾患です。また、発作を繰り返すにつれて、「また発作が起こるかもしれない」という不安と、「発作が起こる状況に対する恐怖」とを感じるようになります。パニック発作を回避するために、今までは問題なく利用していたはずなのに、電車に乗ることができなくなるなど、ある行動ができなくなったり、特定の場所に行けなくなるといった症状も生じることがあります。パニック障害が進行すると、うつ病など、ほかの精神疾患を併存する可能性が高くなるとも考えられています。また発達障害の併存症としてパニック障害を含む不安障害の症状があらわれる場合があります。そのほかには自身に発達障害があることに気がつかず生きづらさ抱いたまま大人になり、気づかないうちに発達障害の二次障害としてパニック障害を併発することがあります。Upload By マンガで分かる発達障害のキホンパニック障害を起こした場合、どのような影響があるのでしょうか。実際に発達ナビのQ&Aコーナーに寄せられた体験談を紹介します。小学六年生の男の子…パニック障害と一年前に診断され通院中です。学校でパニック発作がおこった事により、学校は自分にとって不吉な事が起こり死を連想させる場所だと言い出し、かれこれ2年間、不登校が続いていますが、一時間だけ保健室、体育だけ出るなどは以前は出来てました。今年から弟が一年生になり、本来なら六年生の兄と通学班で登校するはすが、不登校の兄とは学校に通えず学校に行っても居るはずの兄が居ない状況です。ADHD、パニック障害、鬱で治療中のアラフォーの女です。気分が落ちたまま鬱が酷くて何も出来ずにいます。爪の間の皮を無理矢理剥がすのが止められません。幼い時にもありましたが、また今更になってやり始めてしまいました。このようにパニック障害は、パニック障害の症状そのものだけでなく、パニック障害をきっかけとした困難があります。パニック障害の分類、初期症状とパニック発作・予期不安・広場恐怖についてパニック障害は不安症群/不安障害群の一つです。アメリカ精神医学会による診断基準である『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)においてパニック障害は、不安症群/不安障害群(Anxiety Disorders)に含まれています。以下では不安症群/不安障害群(Anxiety Disorders)を「不安障害」と記します。不安障害とは、生活に支障が出るほどの過剰な不安や恐怖を感じる疾患全般をさします。一般的には不安や恐怖をそこまで感じないことに対しても強い不安や恐怖を感じたり、頻繁にその不安症状が生じます。不安障害には分離性不安障害(分離性不安症)、場面緘黙(選択制緘黙)、限局性恐怖症、社交不安障害(社交不安症/社交恐怖)、パニック障害(パニック症)、広場恐怖症、全般性不安障害(全般性不安症)などがあります。■パニック障害の特徴パニック障害は、不安症群/不安障害群の中で理由もなく不意に起こるパニック発作を発端とする疾患をさします。パニック発作がまた起こるのではないかと不安になり、その不安から回避行動を取るということが1ヶ月以上、繰り返し起こっている状況がある場合に診断されます。パニック発作そのものは、恐怖や緊張などなんらかの引き金があって起こりえますが、パニック障害の発作はきっかけがないのに起こるのが特徴です。繰り返し発作が起こり、検査をしても体の異常は見つからないことも多く、また昼夜問わず起こる可能性があります。■パニック発作の主な症状をチェックパニック発作とは繰り返される予期しない発作で、自覚されるきっかけが何もなく突然起こります。パニック障害の症状の中でも最も代表的なもので、これはパニック障害と診断される条件となっています。多くは強い不安や恐怖を感じます。特定の状況で生じることが多いですが、再発にはムラがあることもあります。パニック発作の主な症状として次のようなものがあります。・動悸や心拍数の増加・発汗・身震いまたは震え・息切れ感または息苦しさ・窒息感・胸痛または胸部の不快感・吐き気、腹痛などのまたは腹部の不快感または下痢・めまい、ふらつき、気が遠くなる感じ・寒気またはほてり・異常感覚(感覚麻痺またはうずき感)・現実感喪失、外界との遊離感・離人感(自分が自分でなくなるような感じ)、抑止力を失うことへの恐怖・死に対する恐怖心など■予期不安で感じやすい主な感情をチェック予期不安とはかつて発症した症状がもう一度起きたらどうしよう、などと次の発作への恐怖を抱くことをいいます。これは一度パニック障害を発症すると、その恐怖心や不安を忘れられないという性質と関係があります。予期不安は一般的に長期間続くことが多く、約1ヶ月続くことがほとんどです。病気の急性期には、パニック発作が起こったときの状況がフラッシュバックとなってよみがえることがありますが、治療が進み発作が起こらなくなると、自然に消えていくこともあります。予期不安では、主に次のような感情があらわれます。・病気になってしまうかもしれない・気絶してしまうしまうかもしれない・死んでしまうかもしれない・運転中に起きたら、交通事故を起こしてしまうかもしれない・誰も助けてくれないかもしれない・発作が起きた場所から、すぐに逃げられないかもしれない・取り乱したり錯乱して、恥をかいてしまうかもしれない・人前で吐いたり倒れたりして、恥ずかしい姿を見せてしまうかもしれない・他人に迷惑をかけてしまうかもしれない■広場恐怖になりやすい場所や状況をチェック広場恐怖とは、一般名詞の「広場」の意味に限った恐怖ではなく、ここでは「パニック障害における場所(例:電車などの公共交通機関、駐車場などの広い場所、映画館などの囲まれた場所、大人数が集まる場所、家の外に一人でいる状況など)に関係する恐怖」を意味する医学用語です。以前発作を起こした場所、もしくは似ているところに行くと「また発作が起きるのではないか」という恐れを抱くことです。次の特徴を持つ場所が広場恐怖になりえると考えられています。・発作が起きても、誰も助けに来れないところ・逃げたくてもすぐ逃げられないところ・発作が起きたら恥をかく、もしくは恥をかくと思われるところなどまた、広場恐怖が頻繁にあり、その状況を回避する行動が強い場合、併存疾患として「広場恐怖症」と診断されます。Upload By マンガで分かる発達障害のキホンパニック障害の原因、(パニック障害に)なりやすい人の特徴は?否定的な感情や不安に対して敏感であることは、パニック障害を発症する要因の一つであると考えられています。それをもとに、パニック障害になりやすい人の特徴がいくつかあります。・完璧主義・几帳面、こだわりが強い人・不安や恐怖観念が強い・責任感が強く、自分の気持ちをがまんしてしまう・感受性が強い・過度に緊張してしまうなどこれらの特徴があるからといってかならずしもパニック障害になるわけではありませんが、このような気質が一つの原因になっていることがあります。Upload By マンガで分かる発達障害のキホン2013年に出版されたアメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)によると、小児期に性的および身体的虐待の経験があると、パニック障害の要因となり発症の可能性が高まると示唆しています。また、喫煙はパニック発作とパニック障害の危険要因です。また、パニック障害がある人のほとんどが最初のパニック発作の前数ヶ月の間に特定できるストレスの要因(処方薬などでの不快な経験、家族の死などの対人関係によるショック、病気などの身体的健康に関するものなど)があったと報告しています。遺伝子に関連する機能に関してはまだ詳しく特定されていません。しかし、不安障害、抑うつ、双極性障害をもつ保護者の子どもは、パニック障害になる可能性が高いといわれています。またパニック障害では喘息のような症状があらわれることがありますが、呼吸器系の疾患については、既往歴、併存症、家族歴などをもとに鑑別されます。ストレスが引き金に?めまいとの関連性は?医師にパニック障害について聞いてみました。A:パニック障害に影響しやすいストレスとして、恐怖や緊張などが挙げられます。これらがなんらかの引き金になってパニック発作を起こしてしまうことが多いです。予期せぬパニック発作に強い不安や恐怖などを感じてしまい、予期不安や広場恐怖につながっていってしまう場合もあります。A:パニック発作の軽度症状として漠然とした不安や空間の圧迫感、軽い動悸、息苦しさなどの自律神経症状などが挙げられます。めまいなども同様に自律神経症状に含まれます。しかし軽度だからと言っても「このまま症状が悪くなるのではないか」という不安から症状が悪化してしまうこともあります。Upload By マンガで分かる発達障害のキホンイラスト/にれコラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年02月18日落ち着きのない息子。3歳児健診で多動症疑いと言われて…。1歳になる前から落ち着きのなさが気になっていた息子。3歳児健診で保健師さんに相談してみたら、多動症の疑いはあるものの、身体面や言語面には特に遅れが見られなかったため「まずは幼稚園に入ってから、しばらく様子を見ましょう」と言われました。幼稚園はのびのびした自由保育のところを選んだのですが、息子が集団生活に馴染めるのかとても不安でした。そして迎えた幼稚園の入園式。泣いている子や写真撮影のときにウロウロする子もいたので、「目立つのは息子だけじゃない」と少しホッとしました。しかしすぐに現実の厳しさを思い知ることに…。脱走、癇癪、お友達トラブルで幼稚園から毎日電話!幼稚園生活が始まると、先生から毎日のように電話がかかってくるようになりました。教室から脱走、自由遊びの時間が切り上げられず癇癪、お友達とのトラブル…。2学期にはついに、息子の対応に手が掛かるせいでほかのお子さんの保育に影響が出てきてしまい、加配の先生が息子につくことになりました。そのうち幼稚園をやめてくださいと言われてしまうんじゃないかと思っていたので、ショックを受けるより、ほっとした気持ちが大きかったです。そして、私は「このままではいけない」とすぐさま発達支援センターに連絡を取りました。息子は運良くすぐに療育に通えることになりました。Upload By ユーザー体験談加配の先生、幼稚園への対応に感謝…私にできる恩返しは?息子のために新たに先生を増やして対応してくれた幼稚園には感謝しかありませんでした。加配の先生との相性も良く、息子は幼稚園に行きしぶりもなく通うことができていました。そんなある日、息子が幼稚園から来年度の父母会役員募集のお手紙を持って帰ってきました。まだ乳児だった下の子の世話もあり忙しい時期ではあったのですが、お世話になりっぱなしの幼稚園に何か恩返しをしなくては…と思い、思い切って父母会役員に立候補することに!Upload By ユーザー体験談実は当時、ほかのお母さんたちは息子のことをどう思っているのだろう…と密かに気になっていました。いま住んでいる地域へは産後引っ越してきたので、息子に加配の先生がついたことや、療育に通っていることを話すような間柄のママ友もおらず、しかもコロナ禍ということもあり、そもそも会う機会がほとんどありませんでした。もしかしたら私が把握しているよりもずっと、息子がクラスの友達にたくさん迷惑を掛けているかも、嫌な思いをさせてしまっているかもしれない…。その反面、「父母会役員やる余裕があるなら、もっとちゃんと自分の子どもを見てよ!」って思われないかな…?という不安もありました。父母会に入ってみると…驚きの事実判明!しかし、実際に父母会に入り、仕事が始まると、驚きの事実が判明…!なんと私以外の父母会役員の中に、お子さんに特性がある人が複数いたのです。お互いに子どもの発達に悩みを抱えていることが分かり、父母会の集まりに行っては愚痴や悩みを言い合う時間がいい息抜きに。「迷惑をかけている分、恩返しをしなくては」という義務感から引き受けた父母会活動でしたが、いつの間にか楽しみにさえなっていました。息子の園での様子も間近で見ることができて、以前より先生と気軽に話せるようになったことも大きな収穫でした。また、父母会活動を頑張ることで、幼稚園やほかの保護者に対する心苦しさも少し軽くなったような気がしていましたUpload By ユーザー体験談父母会で得られた繋がりは小学校が離れた今でも続き…その後、父母会活動がきっかけとなり、一人悶々と悩んでいた時間が嘘のように、役員以外のママ達にも気軽に息子の発達に関する話ができるようになりました。すると表面上は何も困っていなさそうに見えたママさんから「実はウチも悩んでてね…」と、相談を受けることも。また、息子はコミュニケーションが一方的になりがちで、同年代の子どもと遊ぶのが苦手なので、幼稚園のお友達と降園後に遊ぶことはそれまで一度もなかったのですが、父母会役員を一緒にやったママたちとは、休日に子連れで遊ぶほど仲良くなることができました。Upload By ユーザー体験談現在、息子は幼稚園を卒園し、地元公立小学校の特別支援学級に在籍しています。幼稚園で仲がよかったお友達とは校区が違うので小学校は離れ離れになってしまいましたが、幼稚園の父母会で得られた繋がりは切れることなく、今でも交流が続いています。つくづく、あのとき思い切って役員を引き受けて良かった…と思っている私は、来年また今度は小学校のPTA役員をやる予定です(笑)イラスト/SAKURAエピソード参考/あかクレヨン(監修:鈴木先生より)話の分かるママ友同士で今でも交流が続いていることは大変素晴らしいと思います。父母会の一つ上の段階に地域の親の会があります。いずれそういった組織とも繋がると、いろいろな情報が入ってきて子育ての役に立つことが多くなると思います。ただ、気をつけなければいけないのは、PTA役員に多くの時間を取られると、どうしてもお子さんと向き合う時間が減ってしまうことがよくあります。なるべくお子さんとのコミュニケーションを大事にしつつPTA役員をやることが重要だと思われます。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年02月17日息子に対する家族の反応Upload By まる私の実の母親は病気で15年ほど前に亡くなっている。父は再婚し、兄は結婚して子どもが2人いる。息子に発達障害があると分かる前から離婚騒動でものすごく心配をかけていたので、今度は発達障害で心配させるのか…と正直申し訳なかった。ただ「子どもに発達障害がありました」と言って拒絶してくる家族ではないという自信はあったので、初めて発達の相談に行ったほうがいいと言われたときも迷わず2人に連絡を入れた。「やっぱり発達に関して違和感があるから相談に行ったほうがいいって言われたよ」に対しても『あぁそうなんだ、そういうのは早く動いたほうがいいもんね』くらいの返信だったと思う。実際に自閉スペクトラム症、知的障害の診断がおりた際にもすぐに伝えたが嫌な反応は返ってこず、父は「リュウが楽しく生きられるならそれでいいよ」と言ってくれた。はじめは父も兄も発達障害に関する知識も何もないため、療育にさえ通えば、息子の発達の遅れはいずれ定型発達の子どもに追いつくと思っていたようだ。最近になって「これはそういうものではない」ということが分かったようだが、変わらずかわいがってくれている。母が生きていたら同じようにすごくかわいがってくれただろうなと思い、よく息子を仏壇の前へ行かせて顔を見せている。祖父と息子Upload By まる父はまだ仕事へ出ているためなかなか予定が合わず、息子と一緒に出かけることがあまりできていない。週に一度仕事の都合でわが家に寄る日があるので、そのときにタイミングが合えば息子と会えるのだが、毎回「◯◯日に行くけどリュウはいる?」と聞いてくるほど孫はかわいいようだ。だいたい午前中に療育がある日に寄ってくれるのでそのときに会えることが多いのだが、息子もその流れが分かってきたようで、療育から帰りながら「ジィジ(と会える)」とうれしそうにつぶやいている。言葉が出始めて喜んでいた時期、父が来るといつも着ているはんてんが家に置いてあるのだが、それを指差して「ジィジ」と言ったときはとても驚いたのを覚えている。最近は私の真似をして「ジィジノハンテン!」まで言えるようになった。父は子どもと遊ぶというよりは、ただそばでニコニコ見守っているだけの人なのだが、膝に乗って一緒に動画を見たり、歩くときはジィジと手をつなぐなど仲がいいようだ。叔父と息子Upload By まる兄は少し離れたところに住んでいるのでしょっちゅう会うことはないが、たまに家族ぐるみで遊んでくれる。車で私と息子2人だとこういうところは行けないだろうというところに(車じゃないと行けない山などの自然)一緒に連れて行っていろいろと経験させてくれることもあるので、とてもありがたい存在だ。ひとり親で親子で性別が違う際の困りごとの一つが温泉だと思う。息子は体格がいいがまだおむつのため、私と一緒に温泉や銭湯に行くことができないまま終わりそうなので、そのうち息子が理解できるようになったら温泉の入り方を教えてあげてほしいと兄に頼んでいる。ちなみに兄はUFOキャッチャーが趣味で、いつも景品で息子の好きなキャラクターものを大量にお土産として持ってきてくれるので、息子も大喜びで懐いている。祖父の家でお正月に気づいた息子の成長Upload By まる元日に父の家におじゃました。父は再婚しているので奥さんとそちらのお孫さん(息子より少し年上のお姉ちゃん)がいて、ありがたいことに息子とよく遊んでくれた。シャボン玉をやりに外へ行こうということになり支度を始めたのだが、一人でゆっくりしてていいよと言ってもらえたので、お言葉に甘えて私は一人、家に残りゴロゴロさせてもらった。最高の正月だ。シャボン玉は家でもたまにやっていたが、飽きっぽいのとうまく吹けないので用意してもすぐに遊ばなくなってしまうため最近やらせていなかった。そもそも吹き口に口をつけてフーッと吹くことができなかったのだ。そんな事情もあったのと、ママがいない状態ではすぐに帰ると言うだろうなぁと思い、テレビを見ながらぼーっと待っていたが意外となかなか帰ってこない。ウトウト待っている間に軽く昼寝ができてしまった。帰ってきたみんなからの「リュウちゃんシャボン玉吹けてたよ」の言葉は新年初の驚きだった。今まで風車を買ったりピロピロ笛を買ったりいろいろ試したが全然「吹く」ことができず、口が閉じなくていまだにヨダレが出ていることと関係があるんじゃないかと悩むことも多かった。できないことを無理にやらせても、こちらの気持ちが沈むだけなのでシャボン玉から遠ざかっていたのだ。あんなにあのとき悩んでいたのに急にできるようになっているんだな…しかしいまだにヨダレは垂れ続けている。それから今はシャボン玉ブーム到来。実はまだ毎回フーッと上手に息を吹くことは難しいようで、ブーッと唾を飛ばしながらのときも多いのだが、できることがうれしいようでシャボン玉を一生懸命フーフーして喜んでいる。執筆/まる(監修:初川先生より)まるさんのお父さん、お兄さんとの素敵な関係、リュウくんとの良い関係についてのエピソードをありがとうございます。シングルで子育てされていると親子関係で煮詰まってしまったり、お子さんが異性だと扱えない話題もあったりするかなと想像しますが、お父さん、お兄さんとの良い関係がとてもあたたかく、リュウくんにとっても良き間柄なのだなと伝わってきました。リュウくん、シャボン玉吹けるようになって良かったですね!そして、まるさんもつかの間の休息を取ることができたようで何よりです。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年02月17日多動が落ち着いてきた4歳ごろ。しかしまだまだ困りごとが…しのくんは小さいころから、スーパーに買い物に行っては、いきなり走り出したり、外食に行っても席を立って脱走したりと、落ち着きが全くありませんでした。そんなしのくんですが、4歳を過ぎた辺りから、徐々に自分の気持ちをコントロールできるようになってきて、いきなり走り出すとか、外食に行っても席から脱走することはなくなりました。しかし…自分の「したいこと」「やりたいこと」を途中で切り上げることに関しては、まだ難しい状態でした。特に悩まされたのは、「自転車の練習」と「公園遊び」でした。「おしまい」ができず癇癪4歳の誕生日に祖父母から自転車を買ってもらったしのくんは、自転車の練習が大好きでした。もちろん補助輪をつけて自転車の練習をするのですが、まだ走りが安定しておらずフラフラと倒れるかもしれないので、私はしのくんが運転する自転車のすぐ横で走ります。走って走って走りまくって、家に帰ろうと促しても帰らないと駄々をこねられます。なので、また走って走って走りまくります。私の方が先に限界を迎え、最終的にはしのくんを抱き抱え、自転車も持って帰ります。Upload By keiko毎回ヘトヘトになることが目に見えているため、しのくんの自転車の練習に付き合うのには覚悟が必要でした。公園遊びも同様で、しのくんのペースに合わせると私の方が先に体力がなくなり、最終的には帰りたくないと癇癪を起こして暴れるしのくんを抱き抱えて帰ります。遊びはどうやって切り上げる?母の苦肉の策は…そんなある日、いつものようにしのくんが自転車の練習から帰らないと駄々をこねているときのことです。私はそういえばしのくんが前からほしがっていたおもちゃをまだ渡してなかったことを思い出しました。そこで、帰らないと駄々をこねているしのくんに、「あ!そういえば、新しいおもちゃ買ったよ!お家に帰ったら遊べるよ」と言ってみました。すると、今まで帰らないと駄々をこねていたしのくんが、「え?新しいおもちゃ!?」と食いつき、ピタッと暴れるのをやめたのです。その後、すんなり私の言うことを聞いて、家に無事帰ることができました。Upload By keiko思い切ってご褒美システムを導入。その結果は…このことに感動した私は、これを機に思い切って「ご褒美システム」を導入してみることにしました!困ったときのために、常に新しいおもちゃをいくつかストックし、しのくんが何かを我慢できたときにご褒美として渡すことにしたのです。この方法はしのくんにぴったりハマり、駄々をこねたり癇癪を起こして暴れることが激減しました。ご褒美システムのおかげで「我慢すれば何かいいことがある」ということを学んだようで、未来のうれしいことのために、今やりたいことを我慢することができるようになったしのくん。ご褒美システムを導入したときは、おもちゃがもらえないと我慢できないようになるのでは?という不安もありましたが、結果として我慢の経験を積んだおかげか、なんと4歳10ヶ月の現在は、たとえご褒美がなくても「まだやりたいこと」「まだしたいこと」を切り上げることができるようになりました。Upload By keikoこれからも困りごとは出てくるかと思いますが、その都度いろいろな方法を試して試行錯誤しながら、しのくんの成長を見守っていきたいと思います。執筆/keiko(監修:新美先生より)遊びに夢中になっているときに、おしまいにするのが難しいということ、よくありますよね。行動の切り替えが難しいとき、事前に予告をする、切り替えののりしろの時間に余裕を持たせる、あと〇回などを視覚化して伝えるなどの方法もありますが、今回エピソードを聞かせていただいたように、ご褒美を使うというのも分かりやすい方法の一つだと思います。今夢中になっている行動が終わった次に注意が向けられることがポイントです。ご褒美はおもちゃ、おやつ、シール、あそびなど、続いても大丈夫な範囲で設定するとよいですね。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年02月16日いろんな配慮や工夫がある療育園の発表会本番当日、私はPに私が見ていると気づかれないように、帽子をかぶりマスクをして観覧することにしました。なぜならこのころのPには母子分離不安があったので、私の姿を見ると発表会の途中に私のところへ来てしまう可能性があったからです。療育園にはPのほかにもそのようなお子さんが多いので、親御さんたちが隠れながら舞台発表を見られるようにと、目隠しのための衝立を置いてくれていたり、別室からも舞台を見られるようにしてくれていたりなど、さまざまな配慮がありました。療育園の発表会は、子どもたち1人ひとりが自分のできることを発表するような形で行われていました。返事ができる子、着替えができる子など、自分の出番になったら舞台の上で挑戦し、発表を見せてくれました。Upload By みん障害があるわが子にも発表できることはある?Pの出番になったとき、まずは泣かないか?そしてパニックになって、逃走しないか?など、私は心配でたまりませんでした。案の定、舞台に上がったPは観客の多さに気づくと、一瞬固まって困惑した表情をしていました。でも担任の先生に導かれると、そのまま進んでいきました。Pの発表は、先生が名前を呼んだら、先生の持っているタンバリンを叩いてお返事するという簡単なものでした。「ハイ」とは言えませんでしたが、ちゃんとタンバリンを叩くことができました。Upload By みんその後は舞台の上に残り、観客に背を向けてしゃがみこんでしまったPですが、泣きもせず、舞台から逃げもせず、自分なりに発表会に参加できている姿を見て、私は十分満足していました。そしてクラス全員の出番が終わると、発表会終盤はみんなで一緒に歌やダンスの披露があったのですが、Pは歌も歌えないし、ダンスもできません。すると途中で舞台から降り、観客席に紛れ込んでクラスのみんなの発表を1人で鑑賞するという行動をとっていました。発表会というよりは、本人はただ自由に動き回っていただけなのかもしれませんが、初めての発表会に参加できただけでも頑張ったと思います。Upload By みん発表会なのに自由に動き回ってしまったけれど…Pは踊ることも歌うこともできないし、台詞を言ったり、楽器を演奏したりすることも難しくてできません。でも先生は今のPができることで、発表会に参加ができるように考えて準備をしてくれました。おかげでPも初めて舞台に立つという経験をし「発表会」という空気を知ることができました。それにPはその場を自由に楽しむことで発表会に対して悪いイメージを持たずに終われたと思います。参加をしただけでも、この経験が次の発表会へとつながり、そして年々できる発表も増えて行くはず!と思えました。実際次の年、また次の年と、毎年発表会はあったのですが、今年は衣装が着れるようになった。今年は簡単なダンスなら踊れるようになった。今年はマイクを持って自分の名前を言えるようになった。など年々できることが増えています。Upload By みん障害のある子どもにとって発表会は、どうしても参加が難しい場面があるかもしれません。でもそんな中でも自分ができることをやってみて、みんなと一緒に同じ時間を共有し、経験を積み重ねることに意味があるような気がします。そしてその場にいる人たちみんなで、その子どものペースを見守れるような暖かい雰囲気の発表会が増えると良いなと思います。執筆/みん(監修:新美先生より)発達障害のあるお子さんにとって、園の発表会はドキドキのイベントですね。ご紹介いただいたエピソードは、療育園ということでお子さんに無理なく参加できるよう工夫がされていて、親子ともども良い経験になったようでとてもよかったです。大事にしたいのは、お子さんがいやな思いをせずに参加できることですね。そのためには事前の準備が大事です。お子さんに無理のない参加形態、お子さんが興味が持ちやすい内容、スケジュールなど見通しを示す、いつも慣れている先生についてもらえる、本人がいやになったらいつでも別行動がとれるようにしてもらうなど、普段の様子から想定して、できる準備はとってもらいましょう。そして、みんさんが書いてくださったように、「みんなでその子どものペースを見守れるような温かい雰囲気」があると、安心して参加できますね。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年02月16日産後直後の一番の悩みは「哺乳問題」きいちゃんには 21番目の染色体が通常よりも1本多い「ダウン症候群」という疾患があり、いろいろな合併症を持って生まれてきました。(心房中隔欠損症、動脈管開存症、甲状腺機能低下症、などなど…)生後7日目に「ダウン症の疑いがある」と告知を受けてから、遺伝子検査、そしてこの合併症を見てもらうために病院通いが始まったのです。産後直後の私にとって、実は一番の悩みは合併症の一つの「低緊張」からくる哺乳問題でした。低緊張とは、筋力が通常よりも弱いことを意味します。なので、ダウン症のある赤ちゃんは、通常の赤ちゃんよりも肌も筋肉も柔らかく、力がありません。顔の筋肉も例外ではなく、それゆえに母乳を吸う力がなかったり、哺乳瓶のミルクでさえもなかなか飲めなかったりします。最初、まだダウン症と告知をされていなかったとき、なかなかきいちゃんが母乳が飲めないでいるのを、私が不器用なせいで上手くきいちゃんにミルクを飲ませられないんだと自分を責めていました。通常2回で終わる母乳教室を、自ら志願して、退院まで何回も繰り返し通ったりしていました。(今思い出しても目頭が熱く…(泣))Upload By 星きのこ言うまでもなく、赤ちゃんがミルクを飲めないというのは生死に関わる大問題です。産院から退院するときも、特別に産院用の一番吸い口が柔らかい哺乳瓶をいただき、「とにかくミルクを飲ませて大きくしてあげるように」と医師から言われました。ところが…やはり哺乳力が弱く、なかなかミルクを飲めないきいちゃん。規定の量を飲ませるのになんと毎回1時間かかっていました。しかもよせばいいのに、そのころネット検索魔になり果てていた私は(障害児母あるある…)どこかで「ダウン症のある子どもには母乳がいい」という記事を見つけて、無理やりきいちゃんに母乳を飲ませようとしたり、母乳が枯れないように毎回、搾乳をしていました。さらに哺乳瓶を煮沸したりしなければいけないので、かかる時間がもう1時間プラスで合計2時間!!新生児の授乳は3時間ごとなので、1時間後にはもう次の授乳時間がやってきてしまいます。それでなくても途切れ途切れの睡眠なのに、こうなると睡眠時間が完全に足りず、私の身体は疲労MAX。疲れが出て、産後1ヶ月もしないうちに膀胱炎になってしまいました。あのときの私に言ってあげたい…ミルクでもダウン症のある子どもは元気に育つよ!!と…!Upload By 星きのこでもあのころの私は、障害の告知を受けたばかりのショック状態だったので、きいちゃんの身体が少しでも良くなるなら、何でもしてあげたいと必死だったのです。話を私の身体に戻します。産後1ヶ月未満で膀胱炎になった私は、自分の代わりにきいちゃんを見ていてくれる人もいなかったので、近所のクリニックに新生児のきいちゃんを連れて駆け込みました。(膀胱炎になった方は分かると思うのですが、お腹痛くて地獄ですよね~汗)受付で看護師さんに、膀胱炎の検査のために、検尿をしてくださいと検尿のコップを渡されました。「え…いや、ちょっと待って、きいちゃんを抱っこしたまま検尿するの!?それはかなり難易度が高すぎる!!」と思った私は、検尿する間だけきいちゃんを預かってもらうことはできないか看護師さんにお願いしました。すると、看護師さんは、Upload By 星きのこ…と断られてしまったのです…。はい、きいちゃんを横抱っこしたまま検尿頑張りましたよ、私…。Upload By 星きのこ晴れて?尿検査で膀胱炎と確定し、医師に薬をもらい、会計して帰るとき、先ほどの看護師さんから…Upload By 星きのことこれまた無表情で言い放たれました。はい、すっごく大変でしたよ…!あなたが手伝ってくれなかったから…!とつい思ってしまいました…。この病院の規則で預かってもらえなかったのかもしれませんが、たとえそうだったとしても、断るときにもう少し優しさを見せてもらえれば私もそこまでショックを受けなかったと思うのです。心身ともに弱っていたときに、医療者である看護師さんに冷たくあしらわれた経験は、今も記憶に鮮明に残っています。その後、バネ指になったり、骨盤が歪んで?左足をひきずるようになったり、まだまだ自分の病院通いで大変なことになってしまったのですが、それにまつわるエピソードはまた別の機会で書ければと思います。執筆/星きのこ(監修:鈴木先生より)大きな病院であれば看護助手という方が面倒を見てくれることが多いです。それでもダメな場合は受付の事務クラークさんが代行することもあります。きいちゃんを預かってくれなかった看護師さんにも事情があったのかもしれませんが、このような場合には、規則とは無関係に預かってくれる看護師さんは多いのではないかと思います。ただ、預かってくれたとしても筋の緊張が弱いダウン症のあるお子さんを抱っこするには大変だったかもしれません。緊張の弱いお子さんはフロッピーインファントと呼ばれ、体がふにゃふにゃしていて柔らかいのが特徴です。だからなおさら、お母さんが生後1ヶ月のきいちゃんを一人で横抱っこしながら検尿できたことは神業に値します。緊張が弱いため哺乳力も弱いのです。また、もう少し成長したあとでも、緊張の弱いお子さんを抱っこするときはこちらがしっかりと抱えなければ、ずり落ちてしまう危険性があります。 緊張が弱いため、しっかりとつかまってくれないからです。誰かに預けるときには、そういった説明をひとこと言ってから預けたほうが無難かもしれませんね。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年02月15日言葉が増えない息子・万策尽きる「言葉が遅いだけ。様子を見ましょう」と診断されたスバルですが2歳になっても2歳半になっても言葉が増える気配がなく、様子を見守ったまま3歳目前になりました。絵本もたくさん読みましたが言葉が増えないままひらがなが読めるようになりました。2人きりの家の中でもたくさん話しかけました。会話はできないものの意思の疎通ができるようになってしまってお互いに不自由なく生活できるようになりました。刺激を求めてプレ幼稚園に入園しました。言葉が増えるどころか言葉とは関係ない部分での困りごとが浮き彫りになり、ほかの親子が母子分離通園になる中、私とスバルだけが母子同伴通園を続けていました。ゆっくりでも前進してくれれば…と思っていましたが、前進どころかもはや迷子です。そのころには「スバルには発達障害があるかもしれない」と考えるようになっていましたが、検査で「言葉が遅いだけ」と診断された事実から「言葉が出たら全てが良い方に変わるかも」というほんの少しの期待が捨てきれずにいました。とにかく思いつく限りの行動はしましたがなかなか言葉が増えません。プレ幼稚園という最大の刺激にもビクともせずマイペースなスバルに万策尽き、にっちもさっちも行かない状況に全てが苦しくなってしまいました。「スバルのために環境を変えてみるのも良いかな」なんて言い訳しながら、自分の心のために1ヶ月ほど実家へ帰省することにしました。環境を変えてみようと実家へ私の実家は車では10時間、新幹線と電車とバスを乗り継ぐと6時間かかる遠方なので、スバルが生まれてからはなかなか帰省できずにいました。スバルはじっとしていないタイプですが、乗り物全般が大好きで1時間くらいなら静かに座っていられるので今回の帰省は移動時間が1時間ちょっとの飛行機にしました。スバルが飽きて動き出さないようにリュックサックに車の本やカタログを詰め込みました。その甲斐あってスバルは車のカタログを読みながら大人しく座って空の旅を楽しんでいました。空港で両親の顔を見た瞬間、張り詰めていた全てが全身から抜けていきました。実家での騒がしい毎日母はスバルにものすごく話しかけてくれました。私も日頃から話しかけているつもりでしたが、しゃべらないスバルに一方的に話しかけるにはバリエーションも少なく単調になりがちでした。誰しもそんなものだと思っていました。しかし母による話しかけは、まさに言葉のシャワー!一人の人間の口からこんなにも言葉が出るのかと思う量の言葉を、毎日浴びせ続けてくれたのです。スバルのために無理をしているのではないかと心配しましたが、寡黙な父が「ぼくは毎日あの量の言葉を浴びている」と言っていたので天性の才能だと思います。言葉のコップがあふれるある日スバルが車のカタログを見ていると母がやってきていつものように話しかけました。「この車ばあばが若いころ乗ってたのよ。形はちょっと違うけど。あらまあ!最近はこんなにきれいな黄緑色の車もあるのね!あ、こっちのページにも黄緑!こっちにも。きっと今の流行なのね、黄緑。ほら今日行ったスーパーで隣の駐車場に停まってた車、この黄緑の車じゃなかった?ピカピカの…」そのときスバルが母の言葉をさえぎるように言いました。「きいろ!」と。隣の駐車場に停まっていた車は黄緑ではなく黄色だったのです。Upload By 星あかりそれを皮切りに、言葉のコップがあふれ出すようにたくさんの単語を話すようになりました。まずは車のカタログを見ながら車の色の名前を言えるようになりました。3歳の誕生日の数日前でした。それからよほど母のインパクトが強かったのか「ばあば」と言えるようになりました。「ばあば」が言えるようになる少し前は「あーばーばーばーばーばーばーばーばーばーばー」と呼んでいました。10回「ばー」を繰り返すことで母のインパクトの強さが表現できていますね。その後数日で「ばあば」をマスターしました。Upload By 星あかりそして発音は不明瞭ながらも車のメーカーや車種名、「運転席」「ハイブリッド車」などの車用語も言うようになりました。「きいろ」からの成長のスピードに驚きを隠せません。「お母さん」はその1週間後くらいに言ってくれました。「ミニバン」よりあとだけど。別に気にしてないけど。帰省を終えて、スバルと私は家へ帰りました。たった1ヶ月の間にスバルは別人のように単語でおしゃべりできるようになりました。そして私もよく食べ、よく遊び、よく寝た1ヶ月の間に心身ともにすっかり元気を取り戻し、8kg肉をつけ別人のようになりました。スバルの言葉があふれたことで、すっかり肩の力が抜けて純粋にスバルの成長を喜ぶことができました。なんとなくこのまま全てが好転するんじゃないかと思いました。しかしそう上手くはいかず、その後受けた発達検査で「自閉スペクトラム症」と診断され、プレ幼稚園からは退園勧告されるのでした。執筆/星あかり(監修:初川先生より)スバルくんの言葉があふれるように出始めたときのエピソード、ありがとうございます。「言葉の発達が遅いだけ」と言われたら、たしかにそこさえ何とかなれば…と期待を抱きますし、焦りも感じられたかなと思います。言葉の発達が遅い場合には「言葉のシャワー」がよいと言われますが、似たような毎日の中でいっぱい言葉をかけることは単調になってしまうこともあるかもしれませんね。ご実家で、お母さん(スバルくんのお祖母さん)による言葉のシャワーも良き刺激になったことと思います。これまでの積み重ねと、新鮮な刺激とできっと言葉を発するに至ったのでしょう。また、「お母さん」という発語がなかなか出ない切なさ、これは共感される方も多いのではないでしょうか。スバルくんの言葉やプレ幼稚園での集団生活をめぐる星さんの気持ちの浮き沈み、どきどきハラハラしながら読みました。最後の1文、次回のコラムも気になります…!コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的能力障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年02月15日日々子育てに奮闘する保護者へのエールーー「リエゾン-こどものこころ診療所- 凸凹のためのおとなのこころがまえ」本書は、累計120万部を突破し、2023年1月よりドラマ化された、児童精神科を舞台とする人気漫画『リエゾンーこどものこころ診療所ー』の監修を務める、児童精神科医の三木崇弘先生によりあらわされました。発達障害によりあらわれるさまざまな特性をまとめて「凸凹」という言葉であらわし、凸凹がある子どもの子育てにおける「こころがまえ」として、凸凹に気づくタイミングや起こりうるさまざまな課題、悩み、それに対する対応や親のアンガーマネジメントのほか、不登校、コミュニケーションのつまづき、受験など学校や社会で子どもたちが直面するさまざまな悩みへの関わり方などについて、「リエゾン」で取り上げられている診療例のほか、三木先生ご自身の現場での経験から実例を交えながら、柔らかい語り口で解説されています。発達ナビでもコラムの監修を担当されている三木先生は、本書の中で、日々子どもと向き合い、専門家のアドバイスを実践する立場にある保護者の方々が「一番えらい」とし、さまざまなアドバイスと優しい言葉でエールを送ってくださっています。子育てで不安になったとき、この本を手に取ってみてはいかがでしょうか。悩みを分かち合いながら育児に向き合うーー「虹色の朝陽 -発達障害を持つ息子との8年間-」この本では、著者である中尾きみかさんと、自閉スペクトラム症がある三男の朝陽くん、そしてそのご家族のエピソードがつづられています。「スペクトラム」はグラデーションのようなもの、という意味で「虹色の朝陽」という言葉が用いられています。もともと「虹色の朝陽」は、中尾さんがSNSを通して、発達障害育児についての悩みなどを発信し、フォロワーやリスナーとの交流を活発に行いながら、みんなで悩みを分かち合う場となっていました。そんなSNSを1冊の本にまとめたのが本書です。朝陽くんが生まれたときのことから、発達に違和感を覚えるようになるまで、そこから実際に発達検査を受け診断に至るまでの出来事が、そのときの率直な思いと共に事細かに描かれています。それだけでなく、療育、手帳や手当、就学先、きょうだい児や親の関わり方など、気になるさまざまな話題について、中尾さんのご家族の場合はどのように対応してきたのかというエピソードも掲載されています。発達障害がある子どもの子育てでは、さまざまな悩みにぶつかることがあるでしょう。そんなときにそれを吐き出せたり、共感しあえたり、励ましあえたりできる場所はとても重要です。今まさに直面している困難を乗り越えるためのヒントが得られるのではないでしょうか。「HSPブーム」を改めて考えるーー「HSPブームの功罪を問う」感受性の高い人を表す「HSP」という言葉は、今やテレビや本、SNSなどで幅広く取り扱われるようになり、ここ数年で一気に認知度が高まりました。しかし、HSPという言葉やその定義が、本来の意味を超える範囲で用いられていたり、「繊細さん」「生きづらい人」という誤った認識や根拠のない誤った情報が広まっていることに危惧が示されています。本書の著者である飯村周平先生は、HSP研究の第一人者として、HSPの本来の意味や正しい知識を広めるため、昨年「HSPの心理学:科学的根拠から理解する「繊細さ」と「生きづらさ」」という書籍を著しました。続く本書では、「HSPブーム」の実情や「HSPブームの危険性」、「HSPブーム」をどのように考えるかということがテーマとして扱われています。「生きづらさ」に名前がつくことの安心感から、広く使われるようになった「HSP」という言葉。しかし、それが「ブーム」となった背景には、どのような実情があり、それにより社会にはどのような影響が及ぼされているのでしょうか。HSPブームの中でさまざまな情報に惑わされないようにするためにも、この本と共に「HSPブーム」の実態と正しいHSPの理解を深めてみてはいかがでしょうか。これからの子ども家庭支援に向けたヒントを得るためにーー「学校―家庭―地域をつなぐ子ども家庭支援アセスメントガイドブック」2022年2月に、厚生労働省において、子ども家庭福祉分野の新たな認定資格(仮称:子ども家庭福祉ソーシャルワーカー)を創設する方針がまとまり、さらに2023 年4月にこども家庭庁が創設されることになりました。このように現代の課題に合わせて変化していく子ども家庭福祉分野において、社会福祉士の役割が期待されています。本書では、子どもや家庭の支援において必要な知見やノウハウについてまとめられています。本書では主に「アセスメント」に焦点を当て、子どもの多様な生きづらさへの寄り添い方から、帳票(アセスメントシート)の記入・活用方法、「子ども・家庭」「学校」「地域や関係機関」それぞれへのアセスメントの方法などについて具体的に紹介されています。また、アセスメントシートを活かした支援を学べる7つの実践事例も掲載されており、発達障害、ネグレクト、不登校、いじめ、親の精神疾患といった課題から、ヤングケアラーや性別違和といった課題まで幅広いテーマが扱われています。他職種との連携や支援者の思考過程を含め、支援の実践におけるさまざまなヒントがつまっています。スクールソーシャルワーカーや児童相談所職員、市区町村職員、教職員など子ども・家庭に関わるさまざまな専門職におすすめの一冊です。発達障害を科学的な視点から読み解くーー「発達障害のサイエンス支援者が知っておきたい医学・生物学的基礎知識」発達障害支援において、支援の実践と科学的な知見とを結びつけることは非常に重要です。教育・心理学部、看護学部の教授であり小児科医である著者の鷲見聡先生は、現時点での発達障害研究についての情報を支援者が得ることができるよう本書を著しました。本書では、鷲見先生のほか、自閉スペクトラム症の遺伝子に関する研究、発達性協調運動症の研究、薬物代謝の研究、子どもの脳画像研究など、さまざまな研究を行うそれぞれの専門家により、疫学研究からみた発達障害、遺伝要因と環境要因、発達性協調運動症の理解と支援、発達障害の診断方法と臨床検査、薬物療法の実際などについて最新の知見が分かりやすく記述されています。ときに、本人や保護者にとっては知りたくない事実を示してしまう科学的知見について、どのように伝えていくべきかということについても考えることのできる一冊となっています。発達障害支援に関わる方々、発達障害支援に関心のある方々にとって、新たな示唆を得られる本ではないでしょうか。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年02月14日発達グレーの長男がスイミングを始めたわけ発達障害グレーゾーンの長男タロは現在、小学5年生。今のところ習い事は、通信教育と将棋教室に落ち着いています。現在に至るまで、いくつかの習い事を経験しました。最初に始めたのは、スイミング。長男が3歳の夏でした。理由は単純明快、保育園が夏休みになってしまってどう過ごそうか私が頭を悩ませていたからでした(通っていた保育園は夏期も受け入れてくれますが、保護者が育休中の場合は基本的に登園は不可でした)。同じ保育園で、育休中に知り合ったママ友二人と一緒に、スイミングの夏期講習に申し込みました。長男は最初こそおっかなびっくりな様子でしたが、次第に一緒に参加している友達と楽しそうな笑顔を見せ始めたので、ほっとしました。ちなみに、この時点では私は長男の発達特性には気づいていませんでした。体力向上を期待して、夏休み以降もスイミングは継続しました。通信教育と学習塾、どちらがいいの?その後、保育園の主任保育士より長男の発達の遅れを指摘され、療育センターに通うことになった私たち親子。私は長男の学習のことで悩んでいたことがあり、臨床心理士の方に尋ねました(当時長男は4歳9ヶ月)。「先生、長男の学習について悩んでいます。通信教育と学習塾なら、長男はどちらがいいのでしょうか」Upload By 星河ばよ「そうですね。家での学習となるとどうしても気が散ってしまいがちですが、学習塾なら勉強に関連したもの以外は置いてないですよね。そういった点で学習塾はありかもしれません。何よりも大事なのは、年齢にあった学習内容より、タロくん本人が楽しんでできるかということだと思います」Upload By 星河ばよ私はなるほどと思い、夫に相談、長男を学習塾に通わせることにしました。臨床心理士の方が言ったとおり、長男は教室で集中して学習に取り組んでいました(国語と算数)。そのうち次男も通うことになり、兄弟でお世話になりました。ですが、3年ほどたったころ(長男7歳半)には嫌がるようになり、連れて行くと泣いて拒否するようになってしまいました。理由を聞いてもただ「行きたくない」というばかりでらちがあきません。私が「先生がこわいの? それともお友達?」と聞いてみると首を振って否定する長男。ちなみに同時期にスイミングも嫌がるようになり、連れて行くだけで親子共々ストレスフルな状況になっていました。Upload By 星河ばよ夫は「ここでやめさせたら何事も長続きしない人間になる」と言い、私も迷いましたが、泣いて嫌がる習い事を続けさせてどんな意味があるんだろうと徐々に思えて、学習塾もスイミングも思い切ってやめることにしました。今思うと、長男は聴覚が過敏なところがあるので、学習塾のように人が大勢いるところはしんどかったのかなと思います。ちなみにスイミングは「先生が怖かったから」とあとになって長男が言っていました。長男が自分で決めた習い事は意外なものだった学習塾をやめたあとは、通信教育を始めました。通信教育の長所は学習塾よりは安価なことと、送迎の必要がない、それから宿題がない、ということでした。読み物の教材も毎回ついてきて、本が好きな長男にはうってつけでした。毎日コツコツではなく週末にぼちぼちやる程度ですが、11歳の現在も続けています。通信教育以外に、長男が楽しんでできそうな習い事は何かないかといろいろ検討しましたが、これといったものは見つからず。あきめかけていると不思議なもので、長男が自分から見つけてきました。それはなんと将棋。一度もやらせたことがないのにいったいなぜと不思議がっていると、長男は「放課後等デイの先生と遊んだ。楽しかった。習ってみたい」と言うのです。Upload By 星河ばよ私は翌日、長男のお迎えがてら放課後デイの先生に前のめりで将棋のことを尋ねると、先生から思いもよらない返答がありました。「タロくん最近よく将棋をしています。最初は勝てなかったのですが、先生たちにだんだん勝てるようになって。あとは教室長の先生だけです」私は驚きました。知らないうちにメキメキ上達したということなのでしょうか。 子どもは自分で好きなものを見つけてくるんだなと思いました。実はこの当時コロナ禍になっていたので、新しい習い事を探しつつも私は慎重になっていたのですが、「せっかくの長男のやりたい気持ちを止めたらダメだ」と思い直し、自治体がやっている将棋教室にたまたま空きがあり、申し込みました。新春、新たな習い事を始めます将棋を習い始めて半年くらいはなんの問題もなく通っていましたが、やがて長男は始まって30分ほどすると、ぷいと部屋から出てくるようになりました。習い事の時間が終わるまで部屋の外で本を読んでいます。一緒に通い始めた次男の方がよっぽどやっています。長男は相変わらず明確な理由を言いませんが「よく分からないけど、人が多いからかな?」と思って様子を見る日々です(先生が2〜3名、子どもが20人程度)。そして、この1月から新しい習い事を始めることにしました。それは「E-SPORTS(イースポーツ)」。長男次男の大好きなゲームを使って楽しみながらできるというもの。最初は「好きなゲームをわざわざ習い事にする?」と思いましたが、体験教室に行って見方が変わりました。ただゲームをするのではなく、時間を区切り、その時間の中でどこまでできるか、どのようにしたら時間内にできるか、などを考えながら行うというのがなかなか面白いと感じました。またPDCA(計画 → 実行 → 確認・評価 →改善)サイクルを回すやり方を子どものうちから学ぶことはとても良いと思いました。長男は時間内に作業が終わらず、ちょっと癇癪を起こしそうでしたが、体験教室のあとには長男も次男も「すっごく面白かった!!習いたい!」と目を輝かせていたので、習うことにしました。今度の習い事は長続きしたら良いなぁとちょっと思いつつ、何より楽しんで通ってくれることを願っています。Upload By 星河ばよ執筆/星河ばよ(監修:新美先生より)習い事遍歴について詳しく書いていただきありがとうございます。本人に合う習い事を試行錯誤して探していく様子がとても素敵でした。本人が嫌になってしまった習い事を無理に続けることに意味はないので、「行きたくない」といって、話し合いや工夫の余地がなさそうなら、タロくんのようにそこはやめて、またやってみたいと思えるものを探すというのは良いと思います。習い事は、その種目(スイミング、ピアノetc.)自体、スタイル(人数や、対面orオンラインなどや、厳しく上達を目指すのか・ゆるく楽しむことを大事にするかなどのスタンス)、人間関係(先生との相性、来ているほかの生徒さんとの関係)などによって、お子さんに合うかどうかが決まってきますね。相性や運、タイミングによるものも多いので、星河さんのように、いろいろ試行錯誤しながら合うものを見つけていくのは良いですね。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年02月14日娘との会話から娘が中学生のときのことです。私「バス通り沿いのお菓子屋さん、違うお店になってたね」娘「どこ?」私「○○バス停の近くのお店。ほら、△△交差点の…」娘「…分からない」私「えっ、しょっちゅうバスで通ってるのに⁉」バスの中で娘が携帯電話に夢中になっていて外を見ていないせいかな?とも思いましたが、そこは娘が携帯電話を持つ前からよく使っていた道です。娘は小学生のときにSSTとビジョントレーニングを受けていた時期がありました。私は当時、特別支援教育士の先生から「娘さんの視界はペットボトルの穴から覗いたような感じなんですよ」と言われたことを思い出しました。娘がバスから見える景色を覚えていないのは、そのせいなのかな?自閉スペクトラム症のある娘が見える世界、感じる世界ってどんなものなんだろう?私はずっとそんな疑問を抱いていました。8年後にチャンス到来2022年の夏、私は「新宿区手をつなぐ親の会疑似体験キャラバン隊『Winds』」によるオンライン(リモート)による知的・発達障害の疑似体験に参加をしました。必要なものはA4の紙2枚とペン一本だけ。過去に疑似体験で『参加者が軍手をつけた状態で折り紙を折ったり、シールを貼ったりする』という光景を見た記憶があった私は、果たしてリモートではどんな体験ができるのかとワクワクしながらプログラムの開始を待ちました。Upload By 荒木まち子その内容はプログラムのなかにはいくつかの体験が用意されているのですが、度肝を抜かれたのは冒頭に流れた“自閉スペクトラム症のある子どもが見ている世界を再現した動画”でした。(イギリスの自閉症協会(The National Autistic Society)が作製したものでYouTubeでも公開されています。)主催者から、視聴して気分が悪くなってしまう場合があるかもしれないとの注意がありましたが、確かに見ていてつらくなる感じがありました。過去にもテレビなどで『自閉スペクトラム症のある人はこんなふうに聞こえています』『こんなふうに見えています』というような映像を見たことがありましたが、そのときよりもリアルな感じがして、私は何度か動画から目を外してしまいました。もちろん障害のある人全員が同じように見えたり、感じたりするわけではないと思いますが、こんな状態がずっと続き、逃げることができないのならば、自閉スペクトラム症のある子どもがとても疲れたり、パニックになってしまう気持ちが分かるような気がしました。ほかにもさまざまな疑似体験のプログラムがプログラムの中には事前に用意した紙やペンを使ったシングルフォーカスの疑似体験や、ダウン症の疑似体験などもありました。やはりこれらも書籍などで得る知識では分からないリアルさがありました。“リモート”なのに“リアル”というと変かもしれませんが、本当にそうなのです。さすがに嗅覚の体験はできませんが、聴覚や視覚の体験はイヤホンやパソコン画面を使うことでむしろ感覚が強調されて分かりやすいのではないかという気もしました。コロナ禍でも疑似体験ができるように主催者がリモートでの体験方法を思考錯誤し、日々アップデートしている様子も伝わってきました。遊び心で元気に疑似体験では一人の講師が講演をするわけではありません。主催者のキャラバン隊Windsの隊員(?)がそれぞれの疑似体験コーナーを受け持ち、話をします。障害についての一般的な説明だけではなく、経験をもとにしたリアルな話もありました。と同時に、メンバーに障害児の親が含まれているからこその熱い思いもひしひしと伝わってきました。“当事者の気持ちを汲み取ることや本人の意思を置いてきぼりにしないようにすることってとても大切!”と実感しつつ、私は真剣な中にも遊び心を忘れないキャラバン隊から元気(パワー)をもらったような気がしました。もっと早く体験していたなら…療育を受けたり、情報を集めたりして子どもへの対処法を多少は分かっていたつもりでいた私。でも、もっと早くにこの疑似体験を受けることができていたら、子どもへの対応はきっと違っていたでしょう。子どもがパニックになる気持ちが分かれば親のイライラは減るし、効果的な声掛けや学習の進め方が分かっていれば親子がお互いにつらい思いをしないですんだはずです。過去に戻ることはできません。それでも、遅ればせながらも疑似体験を通じて自閉スペクトラム症のある娘が見える世界、感じる世界をより感覚的に理解し、イメージしやすくなったことは確かです。障害への理解が進んでお互い身構えることが減れば、みんなで笑顔になれる日が来そう。そんな前向きな気持ちになった疑似体験でした。執筆/荒木まち子(監修:藤井先生より)疑似体験を通じて、娘さんが感じる世界をより理解しやすくなったのですね。本には、感覚過敏、感覚鈍麻などの文字は書かれていますが、疑似とはいえ体験することで、少し理解がしやすくなりますね。そうすると、なんでできないのだろう?という疑問よりも、こういう理由で分からないのか、苦手なのかも、と発達障害や知的障害のあるお子さんが感じる世界を少し想像しやすくなりますね。疑似体験、親御さんだけでなく、お子さんに接する機会がある園や学校の先生も体験されると、理解が進みそうですね。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年02月13日初めての場所が苦手な自閉症と知的障害のある長男。実父の他界で葬儀へ…わが家の中2の長男は3歳のときに、自閉スペクトラム症(ASD)と知的障害の診断がおりました。長男は社会性の部分が特に低く、未就学児時代は同居する家族以外の人に興味がなく、「他人は空気」のような様子でした。また、初めての場所に入ることがとても苦手で、知らない人が多い場所ではパニックを起こすことがほとんどでした。長男が6歳のころに私の実父が他界しました。私は次男(当時3歳)を連れて、夫たちより一足早く向かい、葬儀場で身内として準備や来客対応などに追われていました。夫は長男を連れて義実家へ向かい、義両親と義妹をピックアップして、車で1時間かけて葬儀場まで来てくれました。しかし、長男は葬儀場に着くやいなや、いつもと違う場所・いつもと違う雰囲気を察して葬儀場へ入れず、駐車場にひっくり返って暴れて大泣き…。今、落ち着いて考えてみれば、初めての場所、たくさんの知らない人、長男がパニックを起こしてしまうのは当たり前です。Upload By ユーザー体験談葬儀場という場もあり、周りの人の目も気になります。泣き暴れる長男をそのままにもしておけないと、夫と義父は無理矢理にでも葬儀場に入れてしまえば何とかなると考えたようで、長男を抱き上げて力づくで連れて行こうとしました。そのときです、長男たちの様子を見ていた私の母が「やめて!」と悲痛な声で叫びました。泣いている孫を無理矢理葬儀場へ連れていくのが見るに耐えなかったのでしょう。母は「私はこの子の気持ちが大事。このままお葬式に参列してもきっと慣れない環境でまたパニックを起こしてしまいます。そこまでして葬儀に参列させなくていいから…。せっかく来ていただいたのに本当に申し訳ないけれど、この子のためにも、この子を連れて今日は帰ってもらってもよいでしょうか」と夫の両親に伝えました。Upload By ユーザー体験談実母は昔からよくわが家に遊びに来てくれていたこともあり、息子の様子もよく分かっていました。障害について理解し受容しており、孫として普段から普通に接してくれています。息子は実母にも、ときどきペットボトルの飲み物を床にわざと撒くなどのいたずらをしていました。そんなときも実母は、一方的に怒ることはせず、淡々と「やりません」とだけ言って片づけてくれていました。そんな実母です。孫の切実な声を聞いたときの実母の思いを推し量り、私はなんとも言い難い胸が痛いような、実母の思いが心の奥底まで沁みてくるような気持ちになりました。そしてまた、実母の心からの声を聞いた気がしました。実母としてもせっかく来てくれた夫の両親への申し訳なさなどももちろんあったと思います。ですがそんな中でも長男のことを1番に考えてくれたことを私はありがたく思いました。長男は帰れると分かったらすっと泣き止みケロりとした表情で車に乗り込んでいました。義両親、夫、一緒に来てくれた義妹も「こんなに人数がいるのに、何の役にも立てなくてすみません」と母の思いを受け入れてくれて、高速道路を使って1時間かけて葬儀場に来てくれましたが、私と次男を残し、長男を連れてとんぼ帰りとなりました。Upload By ユーザー体験談実父の、孫を思う気持ちを感じて亡くなった実父は初孫ということもあり、長男のことをとても可愛がってくれていました。長男は小さいころから癇癪をよく起こしていましたが、父はそれを見て「じいちゃんに勝てると思うなよー」と言いながら長男をよく抱えてくれました。亡くなる1週間前、電動の車椅子で長男が好きなあめを買うために外出をし、それが父にとって人生最期の外出となりました。最期まで孫のことを思ってくれたんだなぁとジーンとしました。Upload By ユーザー体験談正直、長男にも実父とお別れの挨拶をさせてあげたかったという思いもあります。ですが、実父も生きていたらおそらく「もういいよ、帰れ」と言うと思ったので、無理矢理お別れさせなくてよかった、と今は感じています。あのまま泣いて暴れる長男を葬儀場に連れていったら、ほかの参列者の方々の迷惑になっていたかもしれません。なにより、息子の負担にならずホッとしたというのがこのときの正直な感想です。このときのことを思い返すと、実父を亡くした喪失感や、葬儀の準備やいろいろな対応に追われてしまっていて、長男のことまでちゃんと考えることができていませんでした。前もって特性のことなどを考慮して「息子はきっとこうなるだろう」ともっと夫と予想と対策について話し合っていればよかったと感じます。後悔するとしたらこの点だけです。そして、実父の葬儀というのは、肉親はとても忙しく慌ただしく時間が過ぎていくので、親の葬儀はそういうものだと前もって知っておけたらまた結果は違っていたのかなと思いました。イラスト/keikoエピソード参考/あかし(監修:鈴木先生より)自閉スペクトラム症の子さんは初めて行く場所は怖いため入り口で止まることが多いです。以前にもコメントしましたが、冠婚葬祭や入学式など初めていく場所で行事がある時には前もってどういう雰囲気でどういうことをやるかビデオを見せて予習しておくとよいでしょう。我々が初めての場所に旅行へ行くときに写真だけでも見れれば安心するのと同じです。お葬式に出られなくてもあとで仏壇やお墓参りをすることで実父とのお別れはできると思います。パニックになったら場所を変えるのが得策だと思います。恐らくみんなが黒い服装だったので怖かったのでしょう。また、入学式や卒業式などで座っていなければいけない場所に行く場合にはポケットの中に安心できるグッズを入れておくのも一つの手です。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年02月11日ゲーム・スマホに夢中で親の声が届かない!ADHDのある子ども発達障害の専門家が出会った子どもたちの抱えていたリアルな「困った!」をもとに、子どもたちの状況を変えた対応策などをドキュメントタッチで解説します。今回は、ゲームやスマホに夢中で親の声が耳に入らない、生活が整わないADHD(注意欠如・多動症)のある子どものエピソードです。Upload By 専門家体験談Upload By 専門家体験談Upload By 専門家体験談マンガ/NEGI解説:本人に決めさせることやスモールステップを意識ーー子どもとの関わり方で大切なポイント今回は、ADHD(注意欠如・多動症)のある中学生のお子さんに関する「家庭での悩み」エピソードをもとにマンガ化してお届けしました。学校から帰宅すると、ゲームやスマートフォンが手放せず、宿題やお手伝いなどやるべきことができていなかったり、生活リズムが乱れてしまったりしているお子さんも多いことと思います。今回のように、ゲームやスマートフォン中に声かけをしても無視されてしまう、機嫌を悪くして自室に戻ってしまう場合、次のポイントを押さえて関わることをおすすめします。1.ゲームやスマートフォン中は指示が入りにくいので、それ以外のタイミングで話し合うようにするお子さんが何のゲームをしているのかをまず知ることが大事です。好きなゲームについての話にも付き合ってあげる、そのゲームの良さなども共通理解しておくことが話し合いの前提となります。2.ゲームをする時間を本人に決めさせて、しっかり約束をする親がしてほしい時間と本人がしたい時間にかなりのギャップがあることが多いと思います。1である程度のゲームに対する共通理解をしておき、それを前提に時間帯やしてよい時間について約束をしていきましょう。一度決めた約束は、その場の気分やノリで変えるのではなく、例えば3日間など最初は短めの期間を決めて実行し、期間ごとに見直すようにしていくと良いでしょう。3.お手伝いはスモールステップで取り組めるように提案し、ちゃんとできたらお小遣いをプラスするなども一つの方法学校の勉強やお手伝いなど身の回りのことを一度にやらせようとしても、うまくいかない場合もあります。そのときは、本人の取り組みやすい活動に絞って、例えばお小遣い制度を連動させることでやる気を引き出すのも一案です。
2023年02月10日いろいろ習い事へ連れて行っても長続きしないまだゆいに障害があるとは気づいていなかった幼児期から小学校低学年にかけて、私はゆいをいろいろな習い事に連れて行っていました。水泳、クラシックバレエ、体操、合唱、硬筆…。本人が興味を持ったものから親のエゴで通わせてみたものまで、いろいろな習い事に挑戦したのですがすべて続きませんでした。私のエゴで通わせたものは続かなくても当然なのですが(本当に申し訳ないことをしました)、本人が行きたいと言って習い始めたものも、1ヶ月ほど経つと嫌がるようになり辞めてしまいました。もちろんどの習い事教室のメンバーも明るく迎えてくれたのですが、本人はなかなかなじめなかったようです。今思えば、すでにできあがっているコミュニティに入っていくということが、ゆいにとってはハードルが高く、緊張してつらかったのかなと思います。しかし本人も「やってみたい」と言ってしまった手前、1ヶ月ほどは辞めたいと言い出せずに堪えていたようなので、つらかっただろうなと感じます。Upload By 吉田いらこ小学2年生で習い始めた「バイオリン」そんな中、ゆいが「バイオリンをやりたい」と言ったのは小学2年生のころでした。それまで楽器系の習い事の経験がなかったのですが、テレビで演奏する人を見て興味を持ったようでした。私自身が吹奏楽部だったこともあり、音楽の習い事に興味を持ってくれたことがとてもうれしく、近所のバイオリン教室を探して見学の申し込みをしました。バイオリン教室は先生の自宅がレッスン場所で、完全個別指導でした。今思うとこの個別指導がゆいの特性に合っていたのでは、と思います。もしかしたら今まで続けられなかったほかの習い事も、個人指導タイプだと続けることができていたのかもしれません。Upload By 吉田いらこ障害のある子どもに理解のある先生との出会い初めて先生と対面したゆいは受け答えができず、YesかNoで首を振ることしかできませんでした。当時の私はゆいのことを人見知りが強い子どもだとしか思っていなかったので「この習い事も続かないのかな…」と心配をしていたのですが、実は先生は障害のあるお子さんを何人も受け持っており、子どもの特性に理解がある方で、ゆいに合った進度で指導をしてくださいました。時間はかかりましたがゆいも先生の問いかけに単語で返せるようになり、楽しくレッスンに通うことができるようになりました。この習い事はなにより個人指導ということがゆいにとって安心できる材料だったのかなと思います。ほかに生徒がいるグループレッスンだと緊張が強く通い続けることが難しかったかもしれません。ゆいの楽器練習の進度は一般に比べるとかなりゆっくりとしたペースです。けれど、少しずつできることは増えていて、とても楽しそうです。やはり「好き」に勝るものはないなと感じました。Upload By 吉田いらこ習い事を通して娘が手に入れたものこの習い事を始めて私が一番良かったと思うのは、ゆいが自信を持てたことでした。学校の勉強は難しいし、友達をつくることも苦手なゆいが学校以外の場所でイキイキと楽しめることを見つけられたのは、親の私にとってもうれしいことでした。今、ゆいには居場所が3つあります。自宅、学校、そして習い事教室。どこかで上手くいかなくなることがあっても、ほかの居場所があれば救われることもあるのではと思います。バイオリンを習い始めたことで、音楽がゆいと私の共通の趣味になりました。ゆいは今、私と二人で合奏することをとても楽しんでくれています。これからも音楽を通じて世界を広げ、人生をより豊かにしていってくれたらと願っています。執筆/吉田いらこ(監修:井上先生より)習い事がうまくいくかどうかは、子どもの興味関心だけでなく教室の環境的な要因、例えば、人数が多い、騒がしい、先生が厳しい…なども影響します。先生と1対1で学ぶ環境というのは、ゆいさんのお母さんがおっしゃる通り、非常に安心できると思いますが、厳しく叱責したりする先生は向いていません。ゆいさんが出会われた先生のように、本人のペースを尊重したり上手にほめたりすることで、まずは楽器の演奏を楽しくして、周りの子どもができないことを自分ができるという意味で、本人が自信をつけることができるのはとても良いと思います。みんなの前でお話がしにくい子どもでも、言葉の代わりに音楽で表現できるという点も、良いのではないでしょうか。先生や家族の前で演奏ができるようになったとしても、先に述べた環境的な要因から、大きなコンサートホールや初めての場所だと一気に不安や緊張が増してしまう場合もあります。無理せずスモールステップで、演奏する喜びを感じながら進められると良いと思います。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的能力障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年02月09日ママ友がほしいけれど、同じ境遇の人を探すのが難しくて…SAKURA(以下、――)娘の通う小学校には、娘と同じ学年で、特別支援学級在籍の子がほかにいなくて、6年生の中で、特別支援学級に在籍しているのは娘一人なんです。1年生から今まで、娘の同級生の保護者の方の中で、他愛のない話ができる人はいたんですが…特別仲のいい関係になることはありませんでした。娘と同級生の子だと、年齢ならではの悩みごとの内容が全く違うので、聞いても共有できないし、自分の本音で話をすることはないし…。Upload By SAKURA正直、一人に慣れてしまった感もあるので、悩む・・・というほどでもないのですが、たまに、本音で、聞いてほしい話ができる相手が欲しいなーと思うことはあります。こういうママさん、もしかしたら結構いるのかな?Upload By SAKURA三木先生:発達の度合いの違う人と話すのは難しいですよね。人間は同じ属性の人と集まるのがラクですし共感もできますから。――発達障害のある子どもがいる保護者の方となら・・・とは思うのですが、やはり困りごとが異なることもありますし、自分の子どもの状況より、大変な思いをされている方だったとしたら、私が「大変でさ~」なんて愚痴をいうのは駄目なのかなーと、ごちゃごちゃ考えてしまいますし、逆に相手の子どもが娘よりできることが多いと、勝手に凹んで焦ってしまいます。Upload By SAKURA三木先生:会話をするときは、ある程度の覚悟と理解が必要ですね。障害の度合いや困りごとがぴったり一致することはないですから、かみ合わないのは仕方がないと思います。――そうですよね~…実は…娘の困りごとを、定型発達の子どもの保護者の方に話してみたことはあるんですが、やはり娘のような発達障害がある子どもを知らない方だと、してくれるアドバイス的なものが、娘が参考にするにはちょっと難しい~ってなってしまい…。でも、せっかく話を聞いてくれたので、そんなことも言えませんし…。うーん…ってなって終わっちゃうんですよね。だから私も、発達障害のある子どもがいるママさんとお話や話の流れでアドバイスなどをしても、「うちの困りとは少し違うんだよなー」って思われるかもしれないと思うと、「うちの場合はこうだった…」っていう経験談しかできないし。Upload By SAKURA三木先生:それでも良いと思います。「自分にできる精一杯のアドバイス」という意味ではそれも誠実な態度なわけですし。あるいは、仕事の内容は違うけど、「仕事が大変」って抽象的な話は、まあまあできますよね。仕事の話じゃなくて、言われたこと、嫌だと思った気持ちや骨組みの話がメインになりますから。Upload By SAKURA三木先生:でも、社会的な立場が違う人と実際の仕事の内容の話をするとかみ合わなくなってきますよね。仕事が大変なのは分かりますが、仕事の内容自体には共感はできない訳ですから。だから結局、同じ目線や感性で話ができる人と集まるのがいいんですよね。Upload By SAKURA日常生活のもやもや、みんなどうしてる?三木先生:日常生活でのもやもやを誰かに話したりして完結できていれば良いのですが、きっとみなさんできていないからこそ発達ナビやSNSなどでコラムとかを読むのかもしれませんよね。そこには同じ悩みをもった人がいる可能性が大きいので。――あっ!なるほど!三木先生:現状、知り合う人、付き合っている人は、同じエリアに住んでる、というだけで集まってる部分が多いですから、「分かる~」と共感できる人に出会えたらラッキーと思う感じでいいのかもしれません。私と同じような人は、今どこにいるのかな?自分だったらどうしているかな?と考えて、そこから探すと同じ気持ちの保護者を探しやすいかもしれませんね。Upload By SAKURA――娘の困りごとの悩みは、自己完結しちゃうことが多いので、あきらめちゃってたんですが、これからそういう人に出会えることもあるかもしれませんもんね!頑張ります!執筆/SAKURAコラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的能力障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年02月08日成長が早かった母は、心も体の成長も奥手だった息子にイライラ私は、自分自身が「成長が早い」タイプだったので、情緒面でも身体面でも成長が奥手な息子にイライラすることがよくありました。年少さんになるのにお箸が持てない…。年中さんになるのに、集中して遊んでいると(起きているのに)お漏らしをしてしまい園の先生に「専門病院に行っては?」と言われる…。小学校に入るというのに、字がうまく書けないしカタカナも読めない…。進級進学の時期になると、息子自身はちっとも焦っていないのに、母だけ勝手にプレッシャーを感じ、そのたびに息子に厳しく指導をしてしまいました。Upload By ユーザー体験談年少さんなのにお箸が使えなくて大丈夫?年少さんになると、園ではお箸に移行する子どもたちも多くなります。ですが、息子はなかなかじょうずにお箸を使えませんでした。それなのに母である私が焦りすぎ「スプーンじゃなくお箸を使いなさい」と、お箸を使うことを無理強いしてしまった結果、大きくなってもバッテン箸のまま直らなくなってしまいました。バッテン箸はつかみづらいので、時には食べ物に箸を突き刺してとります。こうなってしまったのも、あのとき私が焦って無理強いさせたせいなのではないか、と今でも心にちくりととげが刺さったままです。Upload By ユーザー体験談小学生なのに「読める文字が書けない」のはどうしたら?小学生になると、今度は「読める字が書けない」問題が大きくなりました。どうしていいか分からなかった私は、鉛筆の濃さや太さ、形をいろいろ試したり、シャープペンシルを与えてみたり…。見学に行った塾では「息子さんは文字の書き方から直さないと、答案を書くスピードが遅くて受験では不利ですよ」と言われて気が遠くなったのも覚えています。5年生のときには通級を進められて言葉の教室の体験はしてみたものの、当時は遠くの学校に行って指導を受けなくてはいけず、フルタイムの仕事をしており毎週連れていくことが難しかったため諦めてしまいました。結局、多少読める文字が書けるようになったのは小学校6年生になってから。それでも、かなり頑張っても癖のある文字しか書けませんでした。中学受験の際は「とめ・はね」に厳しい学校や、漢字がたくさん出る学校は避けました。中学受験の合同説明会では、私立中学校の先生方に、息子の書いた文字を見せて「貴校ではこの文字でも採点していただけますか?」と聞いて回ったものです。「お母さん、僕たちはご子息の文字、読めますよ!」と言ってくださった学校は、出願検討対象となりました…。Upload By ユーザー体験談目に見える困りごとだけを直そうとしていた今振り返ると、お箸がうまく持てなかったのも、鉛筆で文字がちゃんと書けないのも、そもそも体幹がしっかりしていなかったためだと分かります。体幹がしっかりしてないのに、指先までうまくコントロールできるわけがないからです。息子は小学生のころ、文字を書くときはおなかを机にくっつけて、肘も机上に乗せた状態で、握り持ちで文字を書いていました。おなかや肘で身体を支えながらでないと文字を書けないなんて…至難の業ですよね…。Upload By ユーザー体験談「箸がうまく持てない」「読める文字が書けない」という目に見える「困りごと」にとらわれて、その前にはぐくむべき力をしっかりはぐくめていなかったことが、今なら分かります。読める文字は書けるようになったけれど高校生になり、身体もしっかり鍛えるようになって見違えるようにたくましくなった息子。いつのまにか、読めるノートが書けるようになっていました。でも、お箸の持ち方だけは直りませんでした…。小さいころに、じっくりゆっくりはぐくんであげられたらよかったなぁと、今でも後悔しています。イラスト/taekoエピソード参考/あき(監修:井上先生より)元々細かい運動動作に不器用さがあって、指先の力のコントロールの問題や姿勢の制御などに苦手さが見られていたのだと思います。読めるけど書けないなど、特定の領域に発達のアンバランスさがあると苦手なところが気になり、親としてはそこを何とかしてあげたいと思う気持ちが強くなりますよね。学習面では将来的なことを考えると、"意味が理解できる"ことを重視して勉強への興味が薄れてしまわないようにサポートしていかれるとよいかと思います。箸に関しては、大人になれば公的な場だけは正しく持ち直すなどのスキルがだんだんと身についていくのではないかと思います(これは私の体験でもあります)。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的能力障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年02月08日「二次障害の理解と対応」において大切なのは、子どもの“本当の声”に耳を傾けること発達障害のある子どもを育てる保護者の方は、二次障害に関心のある方も多いのではないでしょうか。二次障害とは、発達障害の特徴を理解されない環境にいることや、失敗して叱責される、不安な経験を繰り返すなどが重なり、次第に自己肯定感が下がり、うつ病、不安障害などの精神疾患の合併や、不登校やひきこもりなどの問題に至ってしまう症状が発生している状態を示します。その症状は人によりさまざまですが、二次障害が起こっている子どもとどのように関わっていったら良いのか?、将来のことが不安…など悩みはつきないと思います。2022年12月にオンラインで開催されたセミナー「二次障害の理解と対応」も大きな反響がありました。セミナー当日は、特別講演として、代官山やまびこクリニックの院長である児童精神科医の千村浩先生が二次障害発症のきっかけや治療、各家庭でできることなどを解説。質疑応答のコーナーでは、参加された保護者の方から具体的な質問がたくさん寄せられました。セミナー後には、「対応方法を知れたことで不安が減った」「またこのようなテーマの勉強会があるとうれしい」などの声をいただきました。今回の記事でも、二次障害について、またその対応方法などを千村先生に改めてお伺いしました。また、当日時間の都合で答えきれなかった保護者の方から寄せられた質問に対して千村先生からのご回答をいただいています。ぜひ参考にしてください。Upload By 専門家インタビュー・本来備わっている資質(発達障害)・子どもを取り巻くさまざまな環境(家庭環境・そのほかの社会、気候など)この2つの相互作用によって二次障害になり得ることがあります。発達障害の二次障害による症状を発達障害そのものの症状と区別すること、治療やそのほかの対処についても別々に考えることは困難な場合も多くあります。二次障害としてあらわれる症状そのものだけに焦点をあてるのではなく、その背景に子どもからのどんなメッセージがあるのかを探ることが重要です。児童精神医のKanner(1974)は子どもの症状からのメッセージとして5つの意味を述べています。1.入場券としての症状症状があることで医療機関を受診することになるなど。子どもがサポート機関へとつなぐ入場券の役目を持つ2. 危険信号としての症状問題の解決を急いでいたり、これ以上誤った対応が続けられたり、放置されることに対する警告3. 安全弁としての症状養育環境や生活状況がよくない場合、自分がつぶれてしまわないように自身をその危機から守る、最悪の事態を回避する4. 問題解決手段としての症状あえて乱暴な行動を取るなど、子どもの心理的葛藤の要因となっている問題5. 厄介者としての症状周囲の寛容さが乏しいために、怒りを買うように大げさに訴えられている参考文献:Kanner L.:Child Psychiatry,4th ed.(1972)-黒丸正四郎、牧田清志(訳):カナー児童精神医学、第2版 医学書院(1974)|CiNii(国立情報学研究所)ADHDの特徴である「不注意」「多動性・衝動性」が悪循環につながってしまうことがあります。◇不注意優勢タイプの例頻繁に遅刻するなどの失敗→叱られる→自信を失う→「自分はダメなやつ」だと思いこむ→不安やパニック、うつ状態に陥る→失敗し、また叱られる(悪循環に陥る)◇多動・衝動優勢タイプの例感情が爆発し、周囲とトラブルになる→周りから避けられる→疎外感を抱く→「自分はみんなから嫌われている」と思いこむ→大人への反抗、非行など→周囲とトラブルになる(悪循環に陥る)このような悪循環は実例でも多くありますが、起きている問題だけに目を向けるのではなく、どうして最初のその行動が起こってしまったのか、本人の気持ちによく耳を傾けることで悪化を防ぐことや、悪循環を止められる場合があります。【Q&A】子どもの症状の背景を理解することはどうして大切なの?子どもに本当の気持ちを話してもらうにはどうしたらいい?A:たとえば、「ときどき混乱して騒いでしまう」という言葉にすると同じ症状のある子どもでも、その原因は全く違うというケースはよくあることです。原因が違えば、するべき治療も対応も異なります。学校へ行き渋る、不登校になってしまったという場合も、なぜその子どもが学校に適応できなくなってしまったのか、その理由は一人ひとり異なるので、その背景を理解することが大切になるのです。Upload By 専門家インタビューA:基本は、子どもの声に耳を傾けることです。大人が気をきかせて「こうなんじゃない?」と言ったりすると、それに誘導される形で「うん」と言ってしまう子どもは少なくありません。大人が「こうだろう」と決めつけてしまうことで、子どもが余計に萎縮してしまうこともあるのです。まずは子どもの本当の声に耳を傾けてみてください。小学校1年生くらいになれば、こちらが聞けば子どもは自分の体験、思いや考えを語ってくれるものです。Upload By 専門家インタビューA:1つ例をあげます。小学校低学年の子どもがお友達を叩いてしまいました。その場面を見ていた先生からは叱られ、仕方なく謝ったようです。でも、理由もなく人を叩く子どもはほとんどいません。実はそのお友達からずっと嫌なことをされていて我慢できなくて叩いてしまったようなのです。そのようなときもまずは、「あなたに何があったの?」と聞いてあげると良いでしょう。大人の目で見ると、叩くということが発達障害が背景にある症状のように感じられることもありますが、理由があることがほとんどです。Upload By 専門家インタビューA:その1つは「こだわり」です。1つ前の質問で挙げた例でも、そもそも叩いてしまった友達からずっと嫌なことをされていたのに、「叩いた」という一場面だけしか見ずに叱る先生を信用できなくなってしまうことがあります。「でも、まぁしょうがないな」という切り替えが難しく、「もう絶対に嫌だ」というこだわりが行き渋りや不登校につながってしまうケースです。Upload By 専門家インタビューA:ADHDの特性で落ち着きがないということがありますが、そのことで先生に叱られることが多かったり、よく注意されるのを見ている周りの友達からも同様の指摘をされたりして学校に居づらくなるケースもあります。Upload By 専門家インタビュー【Q&A】「子どもの二次障害」それぞれの事例に千村先生が回答二次障害セミナー当日は参加者の方からチャットでたくさんの質問が寄せられ、千村先生にはそれらに真摯にご回答いただきました。しかし、時間の都合上すべての質問にご回答いただくことは難しい状況に…。今回チャットに寄せられた質問について新たにご回答いただきました。A:そのお子さんがどういう特性を持っているか、どういう特徴が強いかによって対応は変わります。落ち着いていられない、気が散ってしまうなどが原因で、もしかしたら学校に居づらい状況になってしまっているのかもしれません。関わり方でいうとやはりお子さんの話をしっかり聞くことが大切だと思います。小学校2年生ならしっかり聞けば話をしてくれる年齢です。関わり方というのはまず話を聞くことから始まるのだと思います。Upload By 専門家インタビューA:「対人恐怖症」と言っても、「学校の教室にいるのが怖い」というお子さんもいれば、「人混みのなかにいるのが苦手」というお子さんもいます。それによって環境の整え方は変わるものです。このお子さんは不登校ということなので、たとえば「まわりがうるさいから嫌」というケースや、「いろいろな物がある教室が落ち着かない」ということもあり得るかもしれません。具体的な本人の気持ちをしっかりと汲み取って、先生と連携することも大事です。でも、どうしても学校が難しい場合にはオンラインで勉強する場を探す…などの環境整備が必要になることもあるかもしれません。Upload By 専門家インタビューA:もしお子さんが前の晩は「明日は行く」と言っているのに、当日の朝になると頭痛や腹痛を訴えるような状態だとしたら、あまり無理はしない方が良いかもしれません。毎日この葛藤を続けていると疲れすぎて、学校に全く行けなくなってしまうケースもあるからです。私は子どもに「学校に行くときは、すごく頑張らなきゃいけない?それとも、まぁ大丈夫そう?」と聞くんです。前者なら無理して行かなくても良いのではないかと考えています。それに加えて毎日「今日はどうする?」を繰り返すと、親も子も毎日悩まないといけなくなるんです。「しばらく行かなくてもいいか」と思えたら親も子も楽になると思います。「そんなことをして全く行けなくなったらどうしよう」と考える方もいるでしょう。でも、学校に行くことはとても大事だけれど、行かないと絶対にだめなわけではありません。どんなときでもお子さんを信じることが大事です。Upload By 専門家インタビュー私が診療のなかで出会うお子さんとは「学校に行かなくても、規則正しい生活をしよう」と約束をします。睡眠障害がある場合はきちんと治療をして、睡眠覚醒リズムを整えるところからです。そして、朝ごはん、昼ごはん、夜ごはんの時間を決めて、そのあいだに勉強したり、外に遊びに行ったり…という時間を設定するイメージ。そのなかにスマホやテレビ、ゲームの時間があってもいいと思います。スケジュールは本人と相談して決めるのがベストです。スマホやテレビ、ゲームも禁止するのではなく、「これくらいの時間ならいいけど、一日中はダメだよ」などと約束するのが良いのではないでしょうか。Upload By 専門家インタビューA:ADHDが背景にあり統合失調症という診断というのは、実際診察をしていないので分からない点も多いのですが、「頑張りすぎ」ということをより具体的に考えていった方が良いでしょう。勉強を徹夜してやっているが、エネルギーが切れると突然寝てしまうのか、部活などで期待に応えるためにがむしゃらに練習をしているが自分のなかに葛藤があるなどが考えられます。ただ、中学2年生は思春期なので、なかなか親の言葉を素直に受け入れられない時期です。思春期の心の問題なども起こってくる時期なので、カウンセラーなどの専門家に介入してもらう必要があるかもしれません。Upload By 専門家インタビューA:本人が受診しないと診断や治療はできないので、とても難しい問題ですね。そこで大切なのは、やはり本人の気持ちです。病院に行きたがらないということの裏側には「今までうまくいかなかったからもうどうなってもいい」だとか「病院に行ってもどうせ話を聞いてもらえない」などの考えがあることもあります。でもさらにもっと深いところでは「今のままは嫌だ」「本当はなんとかしたいと考えていることも。思春期の子どもの『本当の気持ち』を家族が引き出すことは難しいので、第三者の介入が必要かもしれません。学校の先生やカウンセラー、もしくは信頼できる大人が導くのが良いでしょう。この場合の第三者は、専門家でなくても良いと思います。Upload By 専門家インタビュー大切なのは失敗しても「大丈夫だった」と思えることUpload By 専門家インタビュー千村先生のお話には一貫して「子どもの話を聞く」「子どもを信じる」ということがベースになっていました。加えて大切なのが、「今のままでいいよ」と子どもに伝え続けることだと言います。「よく”成功体験”という言葉を耳にします。成功体験も大切ですが、もっと大切なのは『失敗しても大丈夫だった』体験ではないでしょうか。成功体験を追求しても得られなかった体験より、失敗しても大丈夫だった体験から自己肯定感が得られると思います」。今回はセミナー当日に寄せられた質問の回答をメインにお届けしました。当日参加された方はもちろん、参加できなかった方にも子どもと向き合ううえでのヒントとなれば幸いです。発達ナビには「Q&Aコーナー」も発達ナビにはQ&Aコーナーもあります。気になることを質問するとユーザーの方が経験をもとに答えてくれます。また、話題の質問に専門家からアドバイスともらえることも!子育てに関する疑問や知りたいこと、身近な人には相談しにくいこともあるかもしれません。ぜひ発達ナビのQ&Aコーナーも参考にしてみてください。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的能力障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年02月07日日本公認心理師ネットワークが、2023年2月24日(土)19時から21時まで、「HSP と発達障害は区別可能なのか?〜研究から分かったこと〜」というテーマでオンラインセミナーを開催します。今、ある論文が非常に注目されています。菊池哲平教授が発表した『HSPと発達障害は区別可能か?』は、3000回以上ダウンロードされ、SNSでも話題になっています。HSPは、メディア等で「繊細さん」として取り上げられ、社会的なブームとなっています。「自分はHSPである」と感じている方の中には、発達障害の特性のある方がいるのではないのか、また、HSPと発達障害はそもそも区別可能なのかということが議論されてきました。しかし、これまで日本において、「発達障害の特性」と「HSPの特性」の関連性について量的に調査した研究は見られませんでした。菊池先生のこの論文は、本邦初のこの疑問に正面から挑んだものとなっています。論文に書かれていない、この研究の背景や過程で明確になったことについて、菊池先生に詳細に紹介していただきたいと思います。【内容】・HSPと発達障害の関連・HSP概念の不安定さについて・発達障害に関する正しい理解・研究から見るHSPと発達障害は区別できるのか?という問題・どのように支援をしていくのか?【講師】講師:菊池哲平先生(熊本大学 大学院教育学研究科 特別支援教育講座 教授)【イベント概要】日時:2023年2月24日19時~21時(見逃し配信あり)方法:オンライン開催(Zoomのウェビナー機能を使いますので、顔出しなしでお気軽に参加できます!)参加費:3000円当日ご覧になれない方へは「見逃し配信」がおすすめです。見逃し配信は、ライブ配信終了後、1週間程度で視聴用URLをお送りいたします。視聴期限は、2023年3月31日23:59までです。お申込みはこちら : Twitter投稿 : 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2023年02月05日子どもたちは日中の刺激、やりたいことが気になって寝ない…私は悪戦苦闘Upload By スガカズわが家の長男(ASD、ADHD)と次男(ADHD)は、小さいころからなかなか寝ない子どもでした。日中受けた刺激から夜遅くまで脳が覚醒していたり、過集中でやりたいことを見つけると、1〜2時間は要します。加えて長男と次男は仲が良いので、お互いが次の行動の妨げになることが多いです。ただでさえ日常生活(ごはん、お風呂、歯磨きなど)がスムーズにいかないなかで、やりたいことを始めて過集中に陥ってしまうと、満足するころには日をまたいでしまいがちに。かといって、時間を守らせて22時に布団に入れたとしても、その日やりたいことが積み残された状態だと子どもたちは眠りません。また、次男は情緒不安定になることが多く、次男が情緒不安定になると一緒にいる長男にも影響します。他者から感じた「見えない圧力」Upload By スガカズまた、学校や病院などからときどき子どもたちの睡眠時間を質問されることがあるのですが、質問に答えるたび、ストレスを感じていました。答えたあとは「睡眠時間が平均よりも少ないこと」や「睡眠時間が少ないことがもたらす影響」について指摘されるからです。児童精神科の先生からもよく指摘されていました。先生は、医師として子どもたちのことを考えて発言されていることは重々承知しています。ですが、当時の私は他者から子どもたちの睡眠時間をうまく確保できていないことを指摘されるたびに、自分が「母親失格」の烙印を押されたような気がしていました。次男がチック症になってから気づいたこと次男が小1のころ、私と次男の関係はよくありませんでした。当時次男は小1の壁にぶちあたっており、私はどうしても次男の悪目立ちするところばかり気になってしまい、次男に怒ってばかりでした。もちろん怒る原因の一つに、「夜寝ないこと」もありました。そんな日々を送っていたある日、次男はストレスから「チック症」を起こしました(こわばった表情でモゴモゴと口元を頻繁にゆがませていました)。そのときの周囲や本人の意見、家庭環境から、「子どもたちをコントロールすること」ではなく、「子どもたちと気持ちよい時間を過ごすこと」のほうが重要だと気づきました。Upload By スガカズ私が子どもの睡眠時間を確保したいと思うのはなぜか?私はなぜそこまで躍起になって子どもたちに眠ってほしいと思ったのでしょうか?それにはこのようなことが挙げられます。【子ども】・生活のリズムが安定しやすいから・就寝時間が決まっていることで、物事の始まりや終わりを知ることができ、社会生活を送る上での『決まり』も学べるから・成長の遅れ、集中力、疲労感などに影響があるとされているから【私】・子どもたちが早く寝ることで、親がほかの仕事(家事、育児、仕事)をこなせるから・親の自由時間、睡眠時間も確保できるから・他人から指摘されて自分が落ち込むことが減るからこうして振り返ってみると、眠ってほしい理由は、よくも悪くも自分本位であるということが分かりました。「どうやら世の中的にはそういうことが良いとされているから」「他者から指摘されるのがいやだから」「自分の体が楽になるから」という理由が大半になります(「自分の体が楽になるから」という理由は、自分のメンタルに影響するので大事だと思います)。当時の次男は学校生活を送ることがそもそも難しく、情緒不安定になっていました。そんな中で、「就寝時間が決まっていることで、物事の始まりや終わりを知ることができ、社会生活を送る上での『決まり』も学べるから」と思って無理に寝かせようとしても意味がありません。子どもたちが気持ちのよい日々を送れるようにすること。それが一番大事だと気づきました(当たり前のことなのかもしれませんが、当時の私は余裕がなく、目の前のことしか見えていませんでした…)。個々の入眠しやすいパターンは利用するとはいえ、「そろそろ寝たほうがいいよ」と子どもたちに伝える必要はあります。また、子どもたちそれぞれが入眠しやすいパターンを知り、最低限対応することだけはしようと思いました。Upload By スガカズいろいろと模索する中で、入眠しやすいパターンが分かってきました。長男はオルゴール、次男は家庭用プラネタリウムといったふうに、それぞれの特性で有効なものが違っていることが分かりました。そのほかに、「部屋を予め暖める」、「寝る前に手足をマッサージする」、「寝る1時間前は照明を暗くする」なども試しました。手足をマッサージするのは子どもたちも気持ちよさそうにしてはいましたが、子どもが4人いて、毎日することは難しかったので「お母さんが大変になってきたからやめるね」と伝えました。Upload By スガカズまた、子どもたちは寝室に行ってからも騒がしくしていることが多いのですが、「お布団の中では寝て」「しゃべらないで」など難しくて曖昧な指示ではなく、「お布団の中で話すときは”アリさんの声”にして」など、具体的で実行しやすい指示になるように気をつけました。私は2人に「おやすみ」と言ってしばらくしてから別室で寝ます。別室であれば子どもたちが起きていてもイライラせずに済みます。「他者の意見は気にしないでいい」と、今なら思える無理に寝かせようと躍起にならなくなってからは、私自身、育児が楽になったような気がします。そんな私の様子を見て、「遅くまで起きていても注意しない」「ルールに無頓着」だとパパは思うらしく「もっと厳しくしたほうがいい」と指摘することがありますが、私はこのままでいいと思います。昔から他者から「見えない圧」を感じていたけど、実際子どもたちと一緒にいるのは自分なのだから、自分たちが楽な方法がよいですし、他者の意見はあまり気にしないでいいと思っています。執筆/スガカズ(監修:藤井先生より)スガカズさんが長男さん、次男さんの睡眠がうまく進まないことで、睡眠時間を確保したい理由を書き出されたのはとても良いですね。そのことを通じて、お子さんが気持ちよく過ごせることが第一と思うに至ったのですね。発達障害であっても、なくても、子どもは親の思い通りにならないことが多々あります。発達障害の特性があればなおのことです。「子どものため…」と思う声かけや、良かれと思った行動も、実は親自身が周りからどう見られるかなど気にされての行動だったという場合もよくあります。もちろん、親御さんの気持ちが安定するのも大事ではありますが、お子さんが気持ちよく過ごせることを第一にという視点は、今後の子育てにおいても大切な指標になりますね。
2023年01月31日山崎育三郎主演、松本穂香共演の「リエゾン-こどものこころ診療所-」第2話が1月27日放送。志保を演じる松本さんの演技に視聴者から「原作のまんま過ぎる」「とても良いなあ」などといった感想が送られている。郊外の児童精神科クリニックを舞台に、発達障害を抱えて様々な生きづらさを抱える子どもとその家族に、自らも発達障害を抱える院長と研修医の凸凹コンビが、真っすぐに向き合い寄り添っていく姿を描く医療ドラマとなる本作。山崎さんが自身もASDで誰よりもその苦悩を理解し、患者の子どもとその家族とじっくり向き合う時間を大事にしている「さやま・こどもクリニック」の院長・佐山卓役で主演。一度は医者になることを諦めようとするが佐山と出会い、「さやま・こどもクリニック」で研修医をすることになる遠野志保役には松本さん。「さやま・こどもクリニック」で働く臨床心理士で、佐山の一番の理解者として優しく見守りながらサポートしつつ、小学校でスクールカウンセラーとしても働く向山和樹役に栗山千明。季節を問わずアロハシャツ姿で見た目もノリも軽いが、訪問看護の仕事には誠実に向き合う川島雅紀に戸塚純貴。さやま・こどもクリニックで受付をしているシングルマザーの市川渚に是永瞳といった顔ぶれも共演。※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。2話では川島が佐山のもとに相談にやってくる。川島が訪問介護を行っているうつ病患者の滝川治(岡田義徳)は小学4年生の娘・悠里(浅田芭路)と2人暮らしをしているが、悠里は学校に行っていないようで、発達障害の疑いもあるという。佐山の指示で志保は川島とともに滝川の家を訪ねる。訪れた滝川の家の中はゴミで溢れかえり、その中で悠里がひとりでご飯を作っていた…というストーリー。佐山は悠里をADHDと診断。滝川は悠里のために頑張ると前向きな姿勢を見せるが、その後、悠里がコンビニで万引きをしてしまう。そして児相も介入し悠里は保護されることに。激昂する滝川に佐山はまず自分の心の健康を回復させるよう促す…。ラストで佐山は志保をADHDと診断する…その際見せる志保の表情に「ADHDの特性を理解した上で受け入れてくれる、しかも発達障害の専門家たちと働けるのは志保先生にとっても安心できて良い職場」「ドラマとはいえこのクリニックの温かさすごいなと思う。周りの人が理解してあげるのが大切」など、さやま・こどもクリニックの面々の温かさを称えるコメントも。「リエゾンの松本穂香さん、原作のまんま過ぎる」「松本さんめっちゃ良いな~」「松本穂香さんが役にめっちゃめちゃ合ってて、心暖まるドラマ」など、志保を演じる松本さんの演技も視聴者から好評の模様だ。【第3話あらすじ】志保は予診を任される。やってきたのは6歳の女の子・柿崎希(沢田優乃)。希は誰彼構わず話しかけては一方的に話し続けてしまう傾向があり、後日志保は、希の母・柿崎貴子(黒川智花)に、希がASD・自閉スペクトラム症であることを伝え、支援学級の話にも触れる。すると貴子は激しく動揺し、通常学級に入れるつもりだと言い切って診断書を断る…。「リエゾン-こどものこころ診療所-」は毎週金曜23:15~テレビ朝日系で放送中。(笠緒)
2023年01月28日定型発達だと思っていた次女私には二人の娘がいます。長女のまゆみは自閉スペクトラム症と知的障害の診断がついており、次女のあずさはいわゆるグレーゾーンの自閉傾向があると指摘されています。現在は4歳と2歳の娘たちですが、1歳半健診はそれぞれに思い出深いものがあります。まゆみのときは、誰が見ても「何か困りごとのある子だな」と分かるくらい意思疎通が難しい子どもで、騒ぎすぎて別室待機になったことや、相談ごとが多すぎて帰宅が夕方になったことを今でも覚えています。やがて次女のあずさも1歳半健診を受ける時期になりましたが、母子手帳のチェックリストにある“指差し”や“言葉での簡単なやりとり”などもできていたため、私は安心しきって「この子の1歳半健診はすぐに帰れるだろう」と考えていました。結果として、その1歳半健診で初めてあずさの発達面の違和感に気づき、その半年後に改めて自閉傾向の指摘を受けたことから、療育を始めることになります。「この子は問題ないだろう」と思いながら向かった次女の1歳半健診次女のあずさと1歳半健診の会場に着いてすぐ、「あれ?」と感じました。ほかの子どもたちはおとなしくお母さんの横で待っているのに、あずさだけがウロウロと待合室を練り歩くのです。「こっちにおいで」「ママのお膝で待とう」「大好きな絵本もあるよ」など、どれだけ声をかけても振り返りません。いつもなら呼んだら来るし、振り返って笑うのに、一体どうして?と思いました。仕方なく抱きかかえて席に戻ろうとすると、今度は大暴れ。どうにか席に座らせても、じっとできずにすぐウロウロ…。また捕まえても、私の手から逃れようとどんどん機嫌が悪くなってしまいます。探索に夢中になって指示が通らないその様子は、長女まゆみの小さいころを彷彿とさせました。Upload By にれ検査が終わるたびにあっちこっち行きながらも、検査自体は引っかかることなく進んでいきました。この点は予想通りだったものの、まさか待ち時間でこんなに苦労するとは想定外でした。『次の人』として待機している少しの間にも、あずさは床のシートを剥がして裏側を確かめています。そんなことをしているのは会場であずさだけでした。私はそんな娘の様子に不安を感じ、その場にいた保健師さんに聞いてみました。「この子、多動でしょうか。こんなに落ち着きがないなんて」保健師さんも観察してくれていたようで、「確かによく動く子ですね、いつもこうですか?」と聞かれました。確かにあずさは普段からよく歩き、よく遊ぶ子どもです。ただ、制止しているにも関わらずこんなに好奇心のまま動き回る様子は記憶にありません。考えてみると、あずさは病院にかかったことがほぼなく、予防接種も予約制で、移動もマイカーばかりのため、「じっとして待ってね」と声をかける機会があまりなかったように思います。1歳半健診はあずさにとって、初めての「じっと待つべき場」だったのです。不安が膨らみ、長女の療育先に相談「異常なし」として1歳半健診が済んだあずさ。けれど、一度抱いた不安は私の中で膨れ上がりました。ひと月ほど悩んだのち、私は長女の通う療育施設に「次女も多動傾向で困りごとが出てきた」と相談させてもらいました。幸いなことに、療育先は発達外来のある病院と提携しており、あまり待たずに心理士の方に診てもらうことができました。ただ、その時点では「異常とまではいえない」という結果で、「言葉もよく出ており、おもちゃを介して遊んだときに“ちょうだい”も“どうぞ”もできるので現時点では発達上問題ないといえます。よく動きたがるのはお姉ちゃんの行動を見て学んでいるとも考えられますし、性格的にも好奇心が強いようです。場所見知りと人見知りのなさは見られますが、そう心配はいらないでしょう」ということでした。「そうか、あずさの中ではまゆみの行動がスタンダードになってるんだ。もっと同年代の子の振る舞いを見る機会をつくらないと」と納得した私は、支援センターや児童館に行く回数を増やすことを安心材料にしていました。半年経って、強まってきた特性そうして1歳半健診から半年が過ぎました。その間、多動ぶりに困らされることが多くなってきて、「定型発達だろう」から「何らかの特性があるかもしれない」に私の意識も変わりつつありました。さらに、2歳を迎えてイヤイヤ期も最高潮。外へ行きたがるので1時間半から2時間ほど散歩に出る日が多いのですが、帰宅して私がクタクタになっていても、あずさは玄関でひっくり返って「おさんぽーーー!!もっかい!!いこうよーーーーー!!!!」と30分近く大泣きする日もしばしばでした。日ごろはいつもニコニコして、スーパーへ行くと周りのおじいさんおばあさんから「愛嬌のある子だねぇ~」と人気者になることも多いあずさですが、ひとたび癇癪が大爆発すると、親を叩いたりおもちゃを投げたりと手がつけられないようになってきたのです。Upload By にれそれでも私は「これがイヤイヤ期かぁ。大変だけど、まゆみはイヤイヤ期がまだ来ていないから新鮮だなぁ」とのんきに考えていました。転機になったのは、あずさを観客として連れて行ったまゆみの療育先の運動会でした。特性が大爆発!もう一度診察を受けることになって地域の体育館を借りて行われた運動会で、外に出たがったあずさが大癇癪を起こしたのです。あずさをなだめるのに抱っこして外へ出ようとすると、母親がいなくなるのを察知したまゆみが泣き出すというカオスな状況で、先生方も2人を泣き止ませようとあの手この手を尽くしてくれました。Upload By にれあとから聞いたのですが、差し出された風船を怒りのまま叩き落とすあずさを見て、先生方も「癇癪の様子がただごとではない」と感じたそうです。そこから「詳しく話を」ということになり、今度は心理士に加えて医師にも診ていただくことになりました。一番の困りごとというと多動だったので、私はてっきり「発達障害があるとしてもADHDの傾向だろう」とばかり思っていました。ところが、医師と心理士さんが問題視したのは多動や癇癪の強さよりも場所見知りと人見知りを全くしないことの方で、「現時点で診断をつけるとするなら自閉スペクトラム症」と告げられました。これには本当に驚きましたが、ADHDの診断は3歳ごろまでつけづらいという理由のほか、よくよく考えると、「周囲の様子を見ることなく自分の欲求を優先してしまう」という自閉的な傾向が場所見知りと人見知りのなさにつながっていたのか!とそこで初めて気づきました。いつもニコニコ人懐こい印象だったので、「あずさは物怖じしない性格なんだ」と思い込んでいたのです。そのまま療育をすすめられ、「療育に診断書の要る自治体だったら書いているところだけど、うちの市は診断書がなくても療育が受けられるので正式な診断はまだつけないでおきますね」と言われました。あずさはいわゆるグレーゾーンに当たる子どもなのだろうと思いました。ショックを受けつつも、心に芽生えた気持ち長女に続いて次女にも自閉傾向があるという事実はショックでしたが、2歳という早期から療育を受けられることになったのはあずさにとって良かったと思っています。指差しや受け答えができても自閉スペクトラム症とされる場合もあるのだと、私にとっても大きな学びになりました。あずさは今後、とりあえず1年間療育に通わせて様子を見るつもりでいます。Upload By にれ先生方にとって、保護者に子どもの発達の指摘をするのは勇気の要ることだと思います。元々相談実績があったとはいえ、運動会のあとに指摘してくださったことは本当に感謝しています。また、あずさの場合は気づきにくいタイプの自閉スペクトラム症だったこともあり、おそらく長女の存在なしには発達の違和感に気づけなかったんじゃないかとも思います。次女のあずさの特性の早期発見と、早期療育につながることができたのは、その前にお姉ちゃんのまゆみに発達障害があることが分かったことがきっかけで母親の私が徐々に理解を深めてこられたためでもあるので、まゆみにもありがとうと言いたいです。この先どうなっていくか未知な部分はたくさんありますが、姉妹の特性をよく理解して、親も子も笑顔を忘れないようにしていこうと思います。執筆/にれ(監修:初川先生より)次女あずさちゃんが療育につながったエピソードのシェアをありがとうございます。人の多い場面でじっと待てないことに違和感を感じたり、多動さや癇癪などに対応するのに苦労したり、そうしたことに瞬間瞬間でそう感じることはあっても、日々の子育てでそうしたことが流れていくなどして、なかなか相談する機会も持ちづらい面もあるかもしれません。にれさんが健診や長女まゆみちゃんの療育機関でそうした気配や不安をお話されたことがまずとても良かったと思います。にれさんも書かれているように、早期に療育につながったことは、あずさちゃんのより良い成長発達の面ではとても良いターニングポイントになったでしょう。相談して、何もないなら何もないで見守る。その後にまた違和感を感じたら、また改めて相談する。そうして複数の目で子どもの発達を見て、できることをする。そうした営みがとても良いなぁと感じました。
2023年01月19日株式会社すばる舎(本社:東京都豊島区、代表取締役社長:徳留慶太郎)は中島美鈴先生出版記念“無料”オンラインイベント を2月9日(木)19時より開催します。直したいのに直せない、ついダラダラと続けてしまう悪習慣から抜け出し、良い習慣に変えていけるようになるにはどうすれば良いのか?実例を交えながら実践ノートの書き方等の解説をします。詳細ページ : 【本イベントにおすすめの人】「やめたい」と考えている習慣がなかなか改善しない人自分にとって有益な情報の習得や「やらなければいけない事がある」と思いながらできない人「またやってしまった」と悪習慣で自己嫌悪に陥っている人日々のダラダラとした生活を改善したい人・・・など【内容】”「依存症」×「時間管理」の専門家が考案!今度こそやめられる認知行動療法””参加特典としまして、本書に書ききれなかった「感情の乱れをなくす7つの技術」(~悩み、心配、怒りを生み出す「考え方のクセ」とその「対処法」~)のPDF文章をプレゼント”「認知行動療法」のノウハウを使った「やめる」技術で悪習慣を断ち切り、自分の時間を増やして目標達成を実現!1日たった3分、紙に記入するだけで、ゲームやSNS、暴飲暴食などへの依存から抜け出せるノート術を、認知行動療法に精通した講師がお伝えします!実例もご紹介しながらの解説となりますので、すぐ習慣改善へのステップを歩み始められます!*イベント内でも「ご質問」をお受けします。(可能な限り中島先生にご回答をしていただく予定です)【概要】・日時:2023年2月9日(木)19:00~20:30(受付開始時間18:45~)・参加条件:無料・参加特典:お申込みいただいた方に本書では書ききれなかった「感情の乱れをなくす7つの技術」(~悩み、心配、怒りを生み出す「考え方のクセ」とその「対処法」~)のPDF文章をプレゼント(詳細は後日ご連絡いたします)・開催形態:オンライン配信(ZOOM)・申込方法URL: より申し込み可能・主催:すばる舎【出演者プロフィール】◆中島美鈴(なかしま・みすず)公認心理師、臨床心理士。心理学博士(九州大学)。専門は成人期のADHDの認知行動療法、時間管理、集団認知行動療法。肥前精神医療センター、東京大学大学院総合文化研究科、福岡大学人文学部、福岡県職員相談室などを経て、現在は九州大学人間環境学研究院にて成人ADHDの集団認知行動療法の研究に携わる。他に、福岡保護観察所、福岡少年院などで薬物依存や性犯罪者の集団認知行動療法のスーパーヴァイザーを務める。朝日新聞デジタル医療サイトapitalにて認知行動療法コラムを連載中。peatixにてオンライン時間管理グループレッスン、セミナー開催中。講師近影1月21日発売書籍詳細 : 今年こそ「やめる」!悪習慣を断ち切り方り、自分の時間を増やして目標を実現する為の方法!認知行動療法の専門家中島美鈴先生新刊『脱ダラダラ習慣! 1日3分やめるノート』発売記念【無料オンラインイベント】2月9日(木)19時より開催! : 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2023年01月17日