花粉症などのアレルギー症状に悩まされていませんか。中医学士で漢方薬剤師の大久保愛先生が、その対策と症状が悪化してしまうNG習慣を教えてくれます!今年は花粉症が酷くなっていませんか?【カラダとメンタル整えます愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 205桜が満開となる地域が続々と増えてきていますね。春分の日も過ぎ、暖かい陽気の日も長く続くようになり、ようやく長かった冬も終わりを迎えた印象になりました。そして、マスクとの距離感も徐々にもとの生活に戻りつつあります。ですが、花粉症を強烈に感じている方は、マスクとの距離感がより強固なものへと変化していることだと思います。そして、卒業、入学、進級、転職、転勤などさまざまな区切りとなり変化のときとなる3月。みなさん、健やかにお過ごしでしょうか。今までお世話になった人たちや4月に新しく出会う人たちに対して、爽やかな印象を与えておきたいと考えるかたは多いと思います。ですが、花粉症で常にポケットティッシュを持ち歩き、鼻の周りは赤くむけ、会話をしながら鼻水がたれたり、くしゃみがでてきてしまっては、相手が気にしていなかろうが本調子ではない自分の状態に悲しくなってしまいます。そこで、今週は花粉症が悪化してしまうNG習慣と食べるとよい食薬について紹介していきます。今週は、花粉症の対策となる食薬習慣肌寒いタイミングもありますが、徐々に暖かくなり、お散歩するのが心地よい季節がやってきました。春のピンク色の花が映えた街並みを思い浮かべるだけで、外出の楽しみが一つ増えてラッキーな気分になりますよね。春の美しさは、あっという間に過ぎ去る儚さも心を動かされるポイントだと思いますが、桜日和のポカポカ陽気のタイミングだ!と狙って外に出ると必然的に降りかかるのが花粉です。今年から花粉症デビューしたというかたも多いのではないでしょうか。花粉症などアレルギー症状は、漢方では腸内環境が悪化し『湿熱』というアレルギーの原因が体内に存在すると考えられています。また、花粉や黄砂、ウイルスなどの病原菌、寒暖差などから身を守っているものを『肺』や『衛気』とよびますが、これらの働きが低下しているときにも花粉症に悩まされると考えられています。そのため今週は、『肺』や『衛気』を補う食薬をとりいれて体を守る力を強化し、アレルギーを引き起こす『湿熱』の原因となる食材を食べないようにしましょう。ということで今週食べるとよい食薬は、【キノコたっぷりブリしゃぶ】です。そして、逆に今週のNG行動は、『湿熱』の原因となる【ラーメンを食べる】ことです。食薬ごはん【今週食べるとよい食薬:キノコたっぷりブリしゃぶ】『肺』と『衛気』を養う栄養素といえば、免疫のサポートに働くビタミンD、炎症を抑えるオメガ3脂肪酸、腸から整える食物繊維です。これらを1品で叶えてくれるのが、キノコたっぷりブリしゃぶです。ブリにはオメガ3脂肪酸が、キノコ類には食物繊維が豊富に含まれています。そして、キノコ類とブリには共通してビタミンDも多く含まれています。レシピはこちらです。<材料>ブリ2切れ(4ミリくらいにスライス)舞茸・しめじたっぷりお好みで干しシイタケ3つ千切り生姜2片昆布3cm醤油・みりん各大さじ1水400ml<作り方>ブリ以外の材料をお鍋でコトコト煮て、ブリをしゃぶしゃぶにして食べる。NG行動【ラーメンを食べる】花粉症がひどい!と鼻をかみながらラーメンを食べてはいないでしょうか?小麦製品とオメガ6脂肪酸が多い食材ですよね。腸内環境を乱し免疫を低下させたり、炎症を促したりすることで『湿熱』を作り出し、アレルギー症状を悪化させる原因となってしまいます。花粉症がつらいと思っている人は、ちょっと控えてみましょうね。そして、花粉症に悩む人は、なるべく和食を心がけ、肉と魚があったら魚を選ぶようにしてみましょう。ほかにも心とカラダを強くするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方がぜひご覧ください。※食薬とは…『食薬』は、『漢方×腸活×栄養学×遺伝子』という古代と近代の予防医学が融合して出来た古くて新しい理論。経験則から成り立つ漢方医学は、現代の大きく変わる環境や学術レベルの向上など現代の経験も融合し進化し続ける必要があります。近年急成長する予防医学の分野は漢方医学と非常に親和性が高く、漢方医学の発展に大きく寄与します。漢方医学の良いところは、効果的だけどエビデンスに欠ける部分の可能性も完全否定せずに受け継がれているところです。ですが、古代とは違い現代では様々な研究が進み明らかになっていることが増えています。様々な研究が進み『点』としてわかってきていることを『線』とするのが漢方医学だと考えることができます。そうすることで、より具体的な健康管理のためのアドバイスができるようになります。とくに日々選択肢が生じる食事としてアウトプットすることに特化したのが『食薬』です。Information大久保 愛 先生漢方薬剤師、国際中医師。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田で薬草を採りながら育ち、漢方や薬膳に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・美容を学び、日本人初の国際中医美容師を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、未病を治す専門家として活躍。年間2000人以上の漢方相談に応えてきた実績をもとにAIを活用したオンライン漢方・食薬相談システム『クラウドサロン』の開発運営や『食薬アドバイザー』資格養成、食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」シリーズの展開などを行う。著書『心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売一ヶ月で七万部突破のベストセラーに。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『食薬事典(KADOKAWA)』、「食薬ごはん便利帖(世界文化社)」、「組み合わせ食薬(WAVE出版)」、「食薬スープ(PHP)」など著書多数。公式LINEアカウント@aika『1週間に一つずつ心がバテない食薬習慣』(ディスカヴァー)。『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典』(KADOKAWA)体質改善したい人、PMS、更年期など女性特有の悩みを抱える人へ。漢方×栄養学×腸活を使った「食薬」を“五感”を刺激しつつ楽しく取り入れられる。自分の不調や基礎体温から自分の悩みを検索して、自分にあった今食べるべき食薬がわかる。55の不調解消メソッドを大公開。©Hiro Kamijo/Gettyimages©Hello World/Gettyimages文・大久保愛
2023年03月24日中医学士で漢方薬剤師の大久保愛先生によると、気圧や気温、環境の変化が重なる今の時期は、めまい、頭痛、肩こり、微熱などの不調が起こりやすいそう。特に女性は月経時に酷く感じる人が多いとか。愛先生がすぐできる対策を教えてくれます!最近、頭痛やめまいなどの不調が続いていませんか?【カラダとメンタル整えます愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 204桜のつぼみが開きながら日本列島を少しずつエリアを拡大し北上していきます。今年は例年より早いともいわれている桜の開花です。例年より過ごしやすい春になりそうですね。いよいよ3月21日には春分の日もむかえ、本格的に冬の終わりを告げます。ただ、油断をしていたらすぐにやってくる低気圧に寒暖差。カラダにこたえますよね。漢方医学では、春になると1年の中でもめまい、頭痛、肩こり、微熱、立ち眩みなどの不定愁訴が増えると考えられています。大きく天気が変化するとき、月経前、寝不足が続いたときなど、カラダが弱っているタイミングで前述した不調を強く感じることはないでしょうか。ということで、今週は季節の変わり目かつ月経前に増えるめまいや頭痛などの対策となる食薬習慣を紹介していきます。今週は、月経前のめまいや頭痛などの対策となる食薬習慣春が近づくと寒かった冬の記憶など吹き飛んでしまうような気分になりますよね。ですが、一気に冬の記憶が蘇るような日もまだまだ一定のペースでやってきます。そのたびに、低気圧と寒さがやってきてしまい、漢方では『肺・腎・脾』などが弱く、水分代謝や耳鼻科系に関わる臓器が弱く雨の日に不調になるタイプの人、貧血気味で自律神経が乱れやすい『血虚』タイプの人はつらい思いをすることになるかもしれません。さらに、この時期は天気の変化に伴って花粉の飛散が増えたり、4月からの新しい生活環境に向けて準備を整えるため、心もカラダも慌ただしいという特徴もあります。本来は、常に戦闘モードで段取りよく、テキパキと行動していたいと思う時期ですよね。ですが、気持ちだけが先走り、行動が伴わないと自分に対してうんざりしてしまう機会も多いかもしれません。とくに月経前には、自分の心とカラダのコントロールが上手にできなくなることがあります。そこで、今週は春に不足しがちな『肝血』を補い体調を底上げし、環境変化に備えて『肝気』の巡りを整え、月経前に起こりがちなめまいや頭痛などの不調の対策となる食薬を紹介します。食べるとよい食薬は、『キャベツの豚汁』です。食薬ごはん【今週食べるとよい食薬:キャベツの豚汁】レシピはこちらです。<材料>豚肉200gキャベツ6枚(ちぎる)ニンニク1かけ(スライス)鰹節1にぎり(粉々に)味噌大さじ2みりん大さじ1水600ml七味唐辛子お好みで
2023年03月17日中医学士で漢方薬剤師の大久保愛先生によると、今の時期は花粉や発汗による皮脂分泌過多などの外的影響と、ストレスや睡眠不足といった内的影響が重なり、ニキビなどの肌トラブルが起こりやすいそう。愛先生がすぐできる対策を教えてくれます!最近、肌トラブルが増えていませんか【カラダとメンタル整えます愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 203朝起きて鏡を見るとプツンと赤いニキビができていたなんて日には、一日テンションが下がりますよね。春に向けて暖かい日が増えることはうれしいですが、それに伴い皮脂の分泌が増えたり、マスクの中が蒸れたり、花粉が刺激になったり、紫外線が強くなりはじめたりとお肌にとってはちょっとずつダメージを受ける機会が増えてくることだと思います。そんななか、年度末の忙しさや環境変化でストレスがたまったり、暴飲暴食したり、夜更かししたりすることで不摂生がたたり、カラダのベースが崩れていると余計に肌トラブルを感じやすくなってしまうことでしょう。なんだかんだ、人に会う機会も増えがちな3月でもあるので、美肌を保つために外側からだけではなくカラダの中からできる食薬も取り入れてみてはいかがでしょうか。ということで、今週はニキビなど肌トラブルに悩む人のための食薬習慣を紹介していきます。今週は、ニキビなど肌トラブルに悩んだ時の食薬習慣春のような陽気の日も増えてきましたが、それに伴い発汗する量も増えます。同時に皮脂分泌も増える傾向があり、角層の水分と油分のバランスが乱れてしまうことがあります。そんななか、花粉の影響で目や鼻などの炎症がおこったり、搔いてしまったりと外的な影響があったり、ストレスや睡眠不足などで内面的な影響が重なったりすることで、春にはニキビなどの肌トラブルが増えるといわれています。肌トラブルが気になるのにお菓子や麺類などの精製糖やグルテンが多いものばかり食べてストレス発散などはしていないでしょうか。もしお肌のことで悩んでいるのであれば、食べ物のコントロールも肌の状態のコントロールにつながるので気をつけましょう。また、ニキビなど肌トラブルが起こりやすい状態を漢方では、『肝や肺』に熱をもったり『湿熱』がたまっている状態と考えます。そのため、自律神経を整えたり、偏食や睡眠不足、乾燥や紫外線などのケアをきちんと行うことで『清熱』を促し、炎症の原因を少しでも減らしていくことを目指します。ということで、今週は、『肝』と『肺』の働きをサポートし、『清熱』する食薬を紹介します。食べると良い食薬は、『たこハンバーグのカイワレ添え』です。食薬ごはん【今週食べるとよい食薬:たこハンバーグのカイワレ添え】レシピはこちらです。<材料>タコハンバーグ(4個分)鶏ひき肉200gタコ50g(適当でOK・粗みじん切り)オートミール大さじ1味噌大さじ1タマネギ1/4個(みじん切り)生姜1かけ(みじん切り)飾りカイワレ大根1パック<作り方>材料をポリ袋にいれて、よく混ぜて丸く形を整えます。フライパンにオリーブオイルをひいて、両面焼いたらお皿に並べ、カイワレ大根をたっぷり添えたら完成。【タコ】肌の新陳代謝や自律神経を整えるためにも必要なビタミンB群、アミノ酸、血流を促し、抗酸化作用のあるビタミンEを含むため春の変化に大切な栄養をとることができます。また、タウリンも含むため、肝機能を助けデトックスを促しお肌の炎症などの緩和にも役立つため『肝』をサポートしたり『清熱』するためにも役立ちます。【カイワレ大根】大根の新芽がカイワレ大根です。ビタミンやミネラルも豊富ですが、特徴は辛みですよね。この辛味には、イソチオシアネートといって、抗炎症作用や抗菌作用などの働きがあり『肺』と『肝』の働きをサポートします。また、消化器系の働きが低下していると肌荒れや疲労感にもつながりますが、カイワレ大根には、ジアスターゼなどの消化を助ける酵素が含まれるため胃腸のサポートにも働いてくれます。すぐにできるストレス発散法として、甘い物やジャンクフードを食べるという人は多いですが、この行動は肌トラブルを増やしてしまいます。そして、肌トラブルは、さらなるストレスを生み悪循環へとつながってしまうこともあります。ストレスを感じたとき、肌トラブルを感じたときは、初心にもどり、好き放題食べるのではなく、食事内容の見直しをすることから始めてみましょう。ほかにも心とカラダを強くするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方がぜひご覧ください。※食薬とは…経験則により構築されている『歴史ある漢方医学』と近年急成長している分子栄養学や腸の考え方、生命科学などの『最先端の予防医療』を融合することで、より理論的で具体的な食の提案ができるようにしたものです。東洋医学と西洋医学の良いとこどりをしています。また、漢方医学では、人は自然界の一部として存在し周囲と柔軟にバランスをとることで、よい状態を維持できるという『生体観念』という考え方を根幹としています。そのため、『食薬』では、日照時間、気候、土壌(LPS、ファイトケミカル)、微生物(口腔内細菌や腸内細菌)などの環境変化と連動して体調変化もするものと考えています。季節の移り変わり、日々の気候の変化、腸内細菌の変化などとの関係にも注目し、1年を通して季節や体調にに合わせ食薬を選び習慣として取り入れることで体調のコントロールをしていきます。Information大久保 愛 先生漢方薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田県出身。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。秋田の豊かな自然の中で、薬草や山菜を採りながら暮らす幼少期を過ごし、漢方や食に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として活躍。おうちで食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」を開発。漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の悩みに応えてきた実績を持つ。著書『1週間に1つずつ心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売一ヶ月で七万部突破。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典(KADOKAWA)』、近著に「不調がどんどん消えてゆく食薬ごはん便利帖(世界文化社)」がある。公式LINEアカウント@aika『1週間に一つずつ心がバテない食薬習慣』(ディスカヴァー)。『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典』(KADOKAWA)体質改善したい人、PMS、更年期など女性特有の悩みを抱える人へ。漢方×栄養学×腸活を使った「食薬」を“五感”を刺激しつつ楽しく取り入れられる。自分の不調や基礎体温から自分の悩みを検索して、自分にあった今食べるべき食薬がわかる。55の不調解消メソッドを大公開。©hisa nishiya/Gettyimages©Westend61/Gettyimages次ページ>>すぐできる、ニキビなどの肌荒れを防ぐコツの特設ページはコチラ文・大久保愛
2023年03月10日三寒四温という言葉通り、寒暖差の激しい時期となりました。中医学士で漢方薬剤師の大久保愛先生によると、そうした気温や気圧の差で自律神経やホルモンが乱れ、月経前の不調が酷くなりやすいのだそう。愛先生が、すぐできるPMS対策を教えてくれます!今の時期は寒暖差で自律神経が乱れ、PMSが酷くなることも【カラダとメンタル整えます愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 202少しずつ春色のお花が街並みを彩り始めました。今年の桜の開花は例年よりも早くなると言われています。今年の3月は暖かくなりそうです。でも暖かい日が続けば、寒い日もやってくるのだと思います。4月に近づくにつれて寒暖差の振れ幅は大きくなり、自律神経やホルモンの乱れを感じる人が増えてくることが予測されます。その結果、月経前に怒りっぽくなったり、過食してしまったり、気分がズーンと落ち込んでしまったりという不調に悩まされることもあるかもしれません。春は、新しいことをワクワク楽しみながらスタートさせたいところですが、気分がダークサイドに振り切っていたらうまくいくものもうまくいかなくなってしまいます。ということで、今週はPMSに悩んでいるときの食薬習慣を紹介していきます。今週は、PMSに悩んでいるときの食薬習慣ピンクの蕾が少しずつ開き始め暖かくなったと思えば、急に冷たい風が吹き込み厳しい寒さを感じるような日々を短いスパンで繰り返すのが、春の風物詩でもあります。ですが、繰り返す変化は、ジワジワと私たちのカラダのバランスをとる機能である自律神経や内分泌系などに負担をかけてしまい、月経にまつわる不調を感じさせてしまうことがあります。いつもよりも月経前に怒りやすくなっている、些細なことばに引っかかってしまう、食欲が収まらないなどちょっといつもの自分と違うと感じたら月経前だったということもあるかもしれません。個人差がありますが、今の時期とくにひどく感じやすいタイプを漢方医学では、貧血まではいかなくても鉄欠乏ぎみである『肝血虚』、ストレスがうまく発散できていない『肝気鬱結』のタイプの人が症状を強く感じる傾向があります。そこで今週は『肝血』を補い、『肝気』の巡りを改善する食薬を紹介します。食べると良い食薬は、『レバーとパセリのクミンソテー』です。食薬ごはん【今週食べるとよい食薬:レバーとパセリのクミンソテー】レシピはこちらです。<材料>レバー150g(下処理したもの)トマト1個(くし切り)クミン10振りパセリ1束(ちぎる)塩・胡椒適量<作り方>材料をすべて炒めたら完成。【レバー】鉄分が多い食材の代表といえば、レバーです。貧血ではないけどフェリチン値が低かったりする、鉄欠乏な状態から貧血傾向なものを含め漢方では『肝血虚』といいます。女性が不足しがちな鉄は、脳の神経伝達物質の材料でもあるため鉄不足はメンタルの不調を起こしやすくさせてしまいます。【パセリ】鉄が豊富なレバーと鉄の吸収を促すビタミンCが多いパセリを一緒にとると鉄の吸収が高まります。また、料理の名脇役パセリですが、今週は主役にしてみましょう。香り高く『肝気』の巡りを改善するためにも役立ちます。栄養素的には、鉄、ビタミンCの含有量が野菜の中でもトップクラスで実力もあります。喉や鼻の調子が悪いときには、βカロテンも豊富なので、粘膜を強化しバリア機能を高めてくれます。カラダに炎症がある場合や腸内環境が乱れている状態も鉄の吸収を抑制してします。鉄剤を服用しても体調がよくならないときには、抗炎症作用や抗酸化作用があるビタミンCやファイトケミカルなど、香り高い食材や腸内環境を整える食物繊維をたっぷりとるようにすると鉄の吸収がUPしますよ。ほかにも心とカラダを強くするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。※食薬とは…経験則により構築されている『歴史ある漢方医学』と近年急成長している分子栄養学や腸の考え方、生命科学などの『最先端の予防医療』を融合することで、より理論的で具体的な食の提案ができるようにしたものです。東洋医学と西洋医学の良いとこどりをしています。また、漢方医学では、人は自然界の一部として存在し周囲と柔軟にバランスをとることで、よい状態を維持できるという『生体観念』という考え方を根幹としています。そのため、『食薬』では、日照時間、気候、土壌(LPS、ファイトケミカル)、微生物(口腔内細菌や腸内細菌)などの環境変化と連動して体調変化もするものと考えています。季節の移り変わり、日々の気候の変化、腸内細菌の変化などとの関係にも注目し、1年を通して季節や体調にに合わせ食薬を選び習慣として取り入れることで体調のコントロールをしていきます。Information大久保 愛 先生漢方薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田県出身。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。秋田の豊かな自然の中で、薬草や山菜を採りながら暮らす幼少期を過ごし、漢方や食に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として活躍。おうちで食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」を開発。漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の悩みに応えてきた実績を持つ。著書『1週間に1つずつ心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売一ヶ月で七万部突破。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典(KADOKAWA)』、近著に「不調がどんどん消えてゆく食薬ごはん便利帖(世界文化社)」がある。公式LINEアカウント@aika『1週間に一つずつ心がバテない食薬習慣』(ディスカヴァー)。『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典』(KADOKAWA)体質改善したい人、PMS、更年期など女性特有の悩みを抱える人へ。漢方×栄養学×腸活を使った「食薬」を“五感”を刺激しつつ楽しく取り入れられる。自分の不調や基礎体温から自分の悩みを検索して、自分にあった今食べるべき食薬がわかる。55の不調解消メソッドを大公開。©Ponomariova_Maria/Gettyimages©Sean Anthony Eddy/Gettyimages文・大久保愛
2023年03月03日2023年は、例年より大幅に多いスギ花粉飛散量と言われています。中医学士で漢方薬剤師の大久保さんが、花粉症の症状が強く表れやすい人の特徴と対策を教えてくれます!2023年は要注意!花粉シーズンの到来です【カラダとメンタル整えます愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 201今年も花粉がちらほら飛び始めるようになってきました。例年よりも飛散数は全国的に増えるといわれていますね。もうすでにアレルギー症状に悩まされている人もいるのではないでしょうか。長い時間空中を漂う杉やヒノキの花粉は、1日の中でもランチ前の時間と日が沈む前の帰宅時間の2回のタイミングで、空気の対流の影響により飛散量が増加します。なるべく浴びたくないですが、ちょうど外に出るタイミングでもあり、つらい状況が待っていることだと思います。花粉症歴の長い人は、花粉をガードして身を守る手段はプロ級だと思うので、カラダの中からアレルギー体質を少しでも軽減できる方法をお伝えします。ということで、今週は本格的な花粉シーズンの到来を目前に食べるとよい食薬を紹介していきたいと思います。今週は、花粉症対策となる食薬習慣まず、食薬としての花粉症対策といえば、腸活やビタミンDの摂取を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。近年、健康志向が高まり、免疫の向上といえば、この2つのワードが一般的になってきましたよね。そして、漢方医学でアレルギー体質の人は、『肺・脾・腎』のどこかが弱っている状態。粘膜のバリア機能は『肺』の役割、胃腸など消化器系統は『脾』の役割、炎症を抑える副腎機能は『腎』の役割と考えます。そのため、乾燥して粘膜が乾燥したり、便秘がちだったり、下痢気味だったり、疲れがとれない状況だったりする人は、花粉症の症状が強く表れやすくなることが予想されます。そして、『肺・脾・腎』を整えるために必要なものが腸活とビタミンDでもあります。さらに、炎症の原因となる小麦製品や甘いもの、揚げ物などオメガ6脂肪酸を含む食材のとりすぎも『湿熱』をため込み、症状を悪化させてしまいます。そこで提案ですが、花粉症がひどいと感じたときから、3日間など短い時間でもよいのでプチ節制を行うことで症状軽減を目指してみてはいかがでしょうか。続けられる人は、花粉シーズンだけでも炎症の原因物質は控えるようにしましょう。ということで、今週は『肺・脾・腎』を支え『湿熱』を除去する食薬を紹介します。今週食べるとよい食薬は、【ブリと水菜のカルパッチョ】です。食薬ごはん【今週食べるとよい食薬:ブリと水菜のカルパッチョ】ブリに含まれるビタミンDや水菜に含まれるβカロテンなどの脂溶性ビタミンは、カルパッチョのようなオイルと一緒に調理することで吸収が高まります。さらに、レモン汁など酸味のある食材を合わせると胃酸の分泌が促され、タンパク質の消化吸収を促し『脾』の働きを支えてくれます。レシピはこちらです。<材料>ブリ刺身100g水菜1束レモン汁大さじ1オリーブオイル大さじ1醤油小さじ1塩・ブラックペッパー適量<作り方>ブリと水菜をお皿に盛り付け、合わせ調味料を全体にかけたら完成。【ブリ】ブリには、免疫向上に必要なビタミンDやオメガ3脂肪酸が豊富で『腎や肺』の働きを支えます。さらに、疲労回復に役立つイミダゾールジペプチドやカラダの基礎となる『気・血・水』の材料となる鉄などのミネラル、タウリンも含みます。【水菜】水菜には、粘膜を強化するβカロテンが多く含まれ『肺』のサポートに役立ちます。また、ブリに含まれるミネラルの吸収を高めるビタミンC、腸の働きを助ける食物繊維が豊富に含まれ『痰湿除去』にも役立ちます。アレルギー症状がひどい時には、対処療法も必要ですが、合わせて食習慣の見直しを行うと生活の質の向上がより期待できると思います。鼻水、くしゃみ、目のかゆみなどの不快症状には、控える食べ物への意識も非常に大切なことです。控えるもの+食べた方がよいものを考えながら日々の食事を選択してみましょう。ほかにも心とカラダを強くするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。※食薬とは…経験則により構築されている『歴史ある漢方医学』と近年急成長している分子栄養学や腸の考え方、生命科学などの『最先端の予防医療』を融合することで、より理論的で具体的な食の提案ができるようにしたものです。東洋医学と西洋医学の良いとこどりをしています。また、漢方医学では、人は自然界の一部として存在し周囲と柔軟にバランスをとることで、よい状態を維持できるという『生体観念』という考え方を根幹としています。そのため、『食薬』では、日照時間、気候、土壌(LPS、ファイトケミカル)、微生物(口腔内細菌や腸内細菌)などの環境変化と連動して体調変化もするものと考えています。季節の移り変わり、日々の気候の変化、腸内細菌の変化などとの関係にも注目し、1年を通して季節や体調にに合わせ食薬を選び習慣として取り入れることで体調のコントロールをしていきます。Information大久保 愛 先生漢方薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田県出身。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。秋田の豊かな自然の中で、薬草や山菜を採りながら暮らす幼少期を過ごし、漢方や食に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として活躍。おうちで食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」を開発。漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の悩みに応えてきた実績を持つ。著書『1週間に1つずつ心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売一ヶ月で七万部突破。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典(KADOKAWA)』、近著に「不調がどんどん消えてゆく食薬ごはん便利帖(世界文化社)」がある。公式LINEアカウント@aika『1週間に一つずつ心がバテない食薬習慣』(ディスカヴァー)。『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典』(KADOKAWA)体質改善したい人、PMS、更年期など女性特有の悩みを抱える人へ。漢方×栄養学×腸活を使った「食薬」を“五感”を刺激しつつ楽しく取り入れられる。自分の不調や基礎体温から自分の悩みを検索して、自分にあった今食べるべき食薬がわかる。55の不調解消メソッドを大公開。©Kiku/Gettyimages©Westend61/Gettyimages次ページ>>すぐできる、花粉症が酷くならないコツの特設ページはコチラ文・大久保愛
2023年02月24日コロナ禍で在宅時間が増えたりと、以前とはライフスタイルも大きく変わりました。同時に、気づかないうちにストレスや疲れが蓄積して「なんとなく不調」を抱えていたりしませんか?筆者はその一人でもあります。今回は漢方薬でもおなじみのツムラによる「第3回 なんとなく不調に関する実態調査」の結果をもとに「なんとなく不調」について見てみましょう。実はみなさんが見過ごしているその症状もカラダや心からのSOSかもしれませんよ。20代〜40代の男女1,800人を対象とした「なんとなく不調」の調査結果2023年、コロナ禍は早くも4年目となりました。この生活にだいぶ慣れてはきましたが、カラダや心には歪みが出るものです。ツムラが行っている20代〜40代の男女1,800人を対象とした調査結果(2022年12月実査 )からは4人に3人 (75.6%)が「なんとなく不調」を感じており、男性(70.0%)よりわずかばかりですが、女性(81.1%)の方が「なんとなく不調」を感じていることがわかりました。この「なんとなく不調」とは、自覚しながらもつい我慢しがちな症状や、調子が悪いものの病名の診断がつかない症状の総称と定義しています。また、3年連続でこの調査は行われていますが、「なんとなく不調」を抱える人は約7割前後で推移しているそう。特に女性が感じる、「なんとなく不調」には上位に「頭痛」「肩こり」「疲れ・だるさ」がきています。PMSなどの代表的な症状の一つである「イライラ感」も5位に入っていて、女性ならではの不調、ストレスもありそうです。筆者も家やカフェで作業することが多くなり、スマホやタブレットを見る機会が増えたことによる目の疲れや、慣れないテーブルと椅子を利用することにより姿勢が悪くなり、肩こりなどの不調をけっこう感じています。「なんとなく不調」を感じたとき、「病院に行く」のは半数以下正直、「頭痛」「肩こり」「疲れ・だるさ」だと日常でも感じる不調なので病院に行くか迷いますよね。そこで調査結果を見てみると、「病院の受診・医師の診察を受ける」と答えた人は全体の35.7% 。そして女性に関しては34.2%という半数以下の結果になりました。市販薬の服用が50%となっていて、特に女性は自力でなんとかしようと、がんばりやさんが多いのが現状です。実際、「なんとなく不調」で病院に行く人は増えてはいるものの、心身の不調で医師の診察を受けることに対して躊躇するかと聞くと、全体の65.1%、女性に関しては70%が「躊躇する」と答えており、この3年間でその意識はほとんど変化していない結果が出ています。その主な理由としては表の通り「お金がかかる」 「病院に行く時間がない」 などが挙げられます。正直、筆者も「頭痛」「肩こり」「疲れ・だるさ」は日常も感じる些細な不調として軽視してしまい、なんとか過ごせてしまうので病院は少しハードルが高い印象です。しかし、「なんとなく不調」を抱える人は「受診を躊躇する人」に多く、女性の方が受診を躊躇する人の割合が高いという結果が出ています。これは受診しないで我慢したまま、症状を抱えている可能性が考えられるんです。専門家が進める「なんとなく不調」ヘの対策外科医&漢方医であり、「芝大門いまづクリニック」院長の今津嘉宏さんは今回調査した「なんとなく不調」の原因は運動不足、移動不足、PCなど電子機器の使用時間の増加が考えられると言います。また、1日中家の中にいることは、動物園の檻の中にいるのと同じ状態となり、精神的なストレスにもつながるそうです。確かにずっと家にこもっていると気分が落ち込んできますよね。そこで、次のような対策を今津さんは進めています。【おすすめ対策1】「なんとなく不調」の症状を改善する「伸び」左右と上への2つの伸びで全身をほぐし心身を開放しましょう。伸び1.両腕をカラダの前に伸ばし、ゆっくりと背中側へ開きます。手のひらを上へ向け、できるだけ小指が上、親指が下になるように回転させます。両腕を伸ばししたまま背中側へ広げていくと、左右の肩甲骨が合わさるようになります。約1分行い、ゆっくりと元の位置へ腕を戻します。伸び2.両腕を真っ直ぐに上へ伸ばします。手のひらは後ろ側へ向くようにし、できるだけ小指が後ろ、親指が前になるように 回転させ、ゆっくりと天高く伸ばしていきます。約1分行い、ゆっくりと下げていきます。この2つの「伸び」を30分に1回程度、1、2の順で行ってみてください。疲れ・だるさ、目の疲れ、肩こりなど、「なんとなく不調」の症状がぐっと楽になるはずです。【おすすめ対策2】かかりつけ医を見つける。withコロナ生活で、リアルに話ができる「かかりつけ医」とのコミュニケーションがより重要に。今回の調査ではコミュニケーション頻度が増えた人は心身の「調子が上がり」、減った人は「調子が下がった」という傾向も出ています。そのため、コミュニケーション環境を見直してみるのもいいと今津さんは言います。その1つとしてオススメしたいのが、話しやすい医療従事者を見つけることです。SNSやWEBではなく、対面で実際に会って話ができるかかりつけ医療機関(病院、診療所、薬局など)を見つけましょう。このように知らないうちにカラダや心に不調を抱えながら頑張りすぎてしまっている自分がいるのかもしれないですね。筆者もずっと家にこもりっぱなしで不調を抱えた時、少し外に出て友人と話すだけでも、心がパッと晴れるのを感じ、人とコニュニケーションを取ることの重要性が身にしみました。無理はしないで今津さんが進める対策を実践してみるなどして「なんとなく不調」と上手に付き合ってみてくださいね。(C)hisa nishiya/Getty Images文・雨宮あゆみ
2023年02月21日便が硬くコロコロしていたり、便が出にくい人は、食事や日々の生活スタイルを見直すべきなのかもしれません。中医学士で漢方薬剤師の大久保愛先生が誰でもすぐできる対策を教えてくれます!便の状態は、生活スタイルの通信簿【カラダとメンタル整えます愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 200便がコロコロしたり、すごく力まないと出てこないような硬い便になっていることはないでしょうか。便の状態は、私たちの日ごろの生活スタイルの通信簿のようなもの。硬くて出にくいということは、食物繊維や水分摂取量が少なかったり、糖質や脂質の量が多すぎたり、日ごろの姿勢が悪く内臓を支えるインナーマッスルが衰えてしまっている状態かもしれません。便秘気味という女性は多いと思いますがが、腸の状態は美容・免疫・メンタルすべてにかかわるものです。即効性のある便秘薬に頼ってばかりではなく、自分の生活スタイルを見直してほしいというカラダから合図であることを忘れないようにしましょう。とくに、乾燥しやすく、寒くて動かなくなりやすい今の時期、便秘で悩む人は増えてしまうと思います。そこで、今週は便が硬くて困っている人のための食薬習慣を紹介していきたいと思います。今週は、便が硬くて困っている人のための食薬習慣バレンタインデーは過ぎましたが、いただき物や自分へのご褒美として購入したチョコレートを少しずつ消費している人も多いのではないでしょうか。チョコレートも高カカオのものであれば、カカオポリフェノールやカカオプロテインで抗酸化や腸活になりますが、カカオの含有量が少なかったり、砂糖がたっぷり含まれていたりすると、カラダに良いものとは言い難くなります。甘いものは食べ癖を作ってしまい、おやつの量が増えてしまう傾向があります。そして、甘い食べ物は、腸内で悪玉菌の餌となり腸内環境を乱してしまうこともあります。さらに、甘いものを食べすぎた結果、日ごろの食事が減ってしまい、トータルの食物繊維の摂取量が減ってくると便が硬くなったり、黒くなったり、粘り気が強くなってきます。肌荒れを起こしてしまう人も多いでしょう。漢方では、便秘気味で、肌荒れや過食気味になる状態を『湿熱』がたまっている状態と考えます。また、便が硬い状態を『陰』が不足していると表現します。そこで、今週は『湿熱』を取り除き、『陰』を補う食薬習慣を紹介します。今週食べるとよい食薬は、【白菜の胡麻和え】です。食薬ごはん【今週食べるとよい食材:白菜の胡麻和え】レシピはこちらです。胡麻は思いっきりたくさん使いましょう。<材料>白菜1/8(一口大に切る)すり胡麻大さじ4醤油大さじ1オリゴ糖大さじ1<作り方>材料をポリ袋に入れて和えたら完成。【白菜】白菜は、食物繊維が多く腸を整えることに役立ち、カリウムも多いため水分代謝を整えることを助け、『湿熱除去』ができます。また、芯や中心部付近にグルタミン酸やイソチオシアネートなど旨味や抗酸化物質、カリウムなどのミネラルが多く含まれています。外側に向けては、ビタミンCやβカロテンが多く『補陰』に役立ちます。食べ方としては、中心部には生長点があり、周りから養分を吸い取るため、中心部から先に食べていくのがベター。白菜は部位で栄養分布が異なるので、白菜の良さを得るためには丸ごと食べるようにしましょう。【胡麻】胡麻は、半分が油分でできているため腸を潤し『補陰』するために役立ちます。漢方では、タネは総じて潤腸通便を助けるとされています。また、カルシウム、鉄、亜鉛、マグネシウム、セレンなどのミネラル、ビタミンB群、食物繊維、抗酸化作用の高いゴマリグナン、ビタミンEなども含まれているスーパーフードです。また、胡麻の殻は硬いため、すり胡麻を選ぶと栄養の吸収が高まります。便秘がちになると下腹部が出る、お腹が張ってつらい、痔になりやすいなどの直接的なデメリットもありますが、毒素が腸から全身をめぐることで、肝臓や肌にダメージを与えたり、精神状態が不安定になってしまったり、免疫が低下しやすくなったりしてしまいます。慢性的な便秘を感じている人は、その状態に慣れてしまわずに改善点を探していきましょう。ほかにも心とカラダを強くするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。※食薬とは…経験則により構築されている『歴史ある漢方医学』と近年急成長している分子栄養学や腸の考え方、生命科学などの『最先端の予防医療』を融合することで、より理論的で具体的な食の提案ができるようにしたものです。東洋医学と西洋医学の良いとこどりをしています。また、漢方医学では、人は自然界の一部として存在し周囲と柔軟にバランスをとることで、よい状態を維持できるという『生体観念』という考え方を根幹としています。そのため、『食薬』では、日照時間、気候、土壌(LPS、ファイトケミカル)、微生物(口腔内細菌や腸内細菌)などの環境変化と連動して体調変化もするものと考えています。季節の移り変わり、日々の気候の変化、腸内細菌の変化などとの関係にも注目し、1年を通して季節や体調にに合わせ食薬を選び習慣として取り入れることで体調のコントロールをしていきます。Information大久保 愛 先生漢方薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田県出身。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。秋田の豊かな自然の中で、薬草や山菜を採りながら暮らす幼少期を過ごし、漢方や食に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として活躍。おうちで食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」を開発。漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の悩みに応えてきた実績を持つ。著書『1週間に1つずつ心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売一ヶ月で七万部突破。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典(KADOKAWA)』、近著に「不調がどんどん消えてゆく食薬ごはん便利帖(世界文化社)」がある。公式LINEアカウント@aika『1週間に一つずつ心がバテない食薬習慣』(ディスカヴァー)。『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典』(KADOKAWA)体質改善したい人、PMS、更年期など女性特有の悩みを抱える人へ。漢方×栄養学×腸活を使った「食薬」を“五感”を刺激しつつ楽しく取り入れられる。自分の不調や基礎体温から自分の悩みを検索して、自分にあった今食べるべき食薬がわかる。55の不調解消メソッドを大公開。©aki-sugimoto/Gettyimages©PeopleImages/Gettyimages文・大久保愛
2023年02月17日寝ても疲れが取れなかったり、夜中までスマホをいじってしまう人は睡眠の質が低下しているかもしれません。中医学士で漢方薬剤師の大久保愛先生が、快眠につながる簡単な方法を教えてくれます!夜、きちんと眠れていますか?【カラダとメンタル整えます愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 199みなさん、爽やかな朝を迎えることができていますか?睡眠によってカラダを休めていたはずなのに、カラダが重くスローペースでしか動けないような疲労感を感じていたり、カラダが硬直し寝返りを打たずに寝てしまい肩こりを強く感じてしまう人もいらっしゃいます。さらには、日中すごく疲れていて大事な時に眠くなるのに、夜遅くなるにつれてだんだんと元気になり、寝る時間には目がさえてしまう人もいるようです。その結果、夜食を食べたり、夜中にスマホを見ながらゴロゴロして過ごしてしまうことで夜型が定着し、翌日にはさらに疲労感が増していくという、つらい循環に陥ってしまうこともあります。そんなときには、日々のストレスにより副腎がダメージを受けていたり、体内時計が乱れてしまっていることが考えられます。この悪循環から、良い睡眠を取り戻すためには苦戦してしまうことでしょう。そこで、今週は夜に目がさえてしまい睡眠の質が低下している人のための食薬習慣を紹介していきたいと思います。今週は、夜に目がさえてしまう人のための食薬習慣立春をむかえ、今年も1か月が過ぎました。時が過ぎるのは早いもので、やるべきことがなかなか進まず、イライラしたり、プレッシャーを感じたり、怒りっぽくなったり、気分が急に落ち込んだりとストレスが蓄積してきてはいないでしょうか。そんな状況では、あっという間に年度末がやってきて、そうこうしているうちに4月へと時は過ぎてしまうことだと思います。ですが、今の瞬間を常に大切にして丁寧に過ごすことができたとしたら、忙しい毎日にも充実感を感じることができることでしょう。そためには、睡眠の質を向上し、その日のうちに脳とカラダの疲れをリセットすることが必要だと考えられます。この睡眠の質が低下している状態を漢方医学では、睡眠に関わる神経伝達物質やホルモンの材料となる『血』の不足だったり、ストレス過多による交感神経の過緊張である『気』の滞りがあると考えます。そこで、今週は『血』を補い、『気』の巡りを改善する食薬を紹介します。今週食べるとよい食薬は、【牡蠣と大葉の炊き込みご飯】です。食薬ごはん【今週食べるとよい食材:牡蠣と大葉の炊き込みご飯】レシピはこちらです。<材料>Aお米2合牡蠣100g生姜2片醤油大さじ2酒・みりん各大さじ1水適量B大葉6枚<作り方>Aを炊飯器に入れ、炊いて、Bの刻んだ大葉をまぜて完成。【牡蠣】亜鉛・マグネシウム・鉄などのミネラル、ビタミンB群、必須アミノ酸などとにかく心とカラダを元気にする栄養が豊富です。食材の中でもトップレベルでバランスの取れた、栄養価の高い食材ということができると思います。ストレスが多く交感神経の過緊張がおきていたり、ストレスに関わるホルモンが分泌される副腎の疲れているときに『血』を補い心を穏やかにしてくれます。【大葉】ストレスや緊張したときに無意識にカラダに力が入り、うまくリラックスできないことがあります。そんなときに、カラダを緩ませて『気』の巡りを改善してくれるのが大葉のような香り高い食材です。また、強い抗菌作用ももつため風邪を引きそうなときにもおすすめです。睡眠の質が低下しているときには、夜のタイミングだけ悩むのではなく、日中の栄養管理やお風呂やストレッチ、運動などの習慣の見直しが大事です。睡眠の質は、日中の行動の通信簿のようなものです。そのため、睡眠の質が悪い人は日中の行動に改善できる点がたくさん存在していることが考えられます。その原因一つとして栄養の偏りに心当たりがあるとしたら、ぜひ炊飯器に今週の食薬を詰め込んで、美味しく体調管理をしてみてくださいね。ほかにも心と体を強くするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方がぜひご覧ください。※食薬とは…経験則により構築されている『歴史ある漢方医学』と近年急成長している分子栄養学や腸の考え方、生命科学などの『最先端の予防医療』を融合することで、より理論的で具体的な食の提案ができるようにしたものです。東洋医学と西洋医学の良いとこどりをしています。また、漢方医学では、人は自然界の一部として存在し周囲と柔軟にバランスをとることで、よい状態を維持できるという『生体観念』という考え方を根幹としています。そのため、『食薬』では、日照時間、気候、土壌(LPS、ファイトケミカル)、微生物(口腔内細菌や腸内細菌)などの環境変化と連動して体調変化もするものと考えています。季節の移り変わり、日々の気候の変化、腸内細菌の変化などとの関係にも注目し、1年を通して季節や体調にに合わせ食薬を選び習慣として取り入れることで体調のコントロールをしていきます。Information大久保 愛 先生漢方薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田県出身。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。秋田の豊かな自然の中で、薬草や山菜を採りながら暮らす幼少期を過ごし、漢方や食に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として活躍。おうちで食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」を開発。漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の悩みに応えてきた実績を持つ。著書『1週間に1つずつ心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売一ヶ月で七万部突破。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典(KADOKAWA)』、近著に「不調がどんどん消えてゆく食薬ごはん便利帖(世界文化社)」がある。公式LINEアカウント@aika『1週間に一つずつ心がバテない食薬習慣』(ディスカヴァー)。『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典』(KADOKAWA)体質改善したい人、PMS、更年期など女性特有の悩みを抱える人へ。漢方×栄養学×腸活を使った「食薬」を“五感”を刺激しつつ楽しく取り入れられる。自分の不調や基礎体温から自分の悩みを検索して、自分にあった今食べるべき食薬がわかる。55の不調解消メソッドを大公開。©alpacako/Gettyimages©ShotPrime/Gettyimages文・ 大久保愛
2023年02月09日疲労がどっと出やすくなる頃です。そこで、中医学士で漢方薬剤師の大久保愛先生が、心とカラダに元気をチャージする簡単な方法を教えてくれます!最近、特に疲れていませんか?【カラダとメンタル整えます愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 193仕事納めも近づき今年もゴールが見えてきましたね。ただ、ほっとするのも束の間に年越し準備や帰省の準備なども忙しくなります。息をつく間もないのが師走ですね。そろそろ、今月だけではなく1年の疲れがどっと出始めている人も多いのではないでしょうか。皆さま、今年一年も本当にお疲れさまでした。自分にエールを送りたくなりますよね。今年の残り時間は、そんな頑張った心とカラダの疲れをリセットして、気持ちよく新年を迎える準備をする時間にもしていきたいですね。ということで、今週は心とカラダに元気をチャージする食薬習慣を紹介していきます。今週は、心とカラダに元気をチャージする食薬習慣朝起きると寒い、眠い、だるいの3拍子が揃い始める時期だと思います。ただ、今年もまだまだ忙しい人が多いのではないでしょうか。毎日に疲れてしまい、朝は起きられなくて朝食を抜いたり、昼はぱっと食べられるもので済ませたり、夕飯は遅い時間になってしまったりと食事の内容とリズムが崩れてしまいやすいですよね。栄養のバランスが乱れ気力が低下してしまうことが考えられます。さらに、寒さからカラダを動かす習慣が減ってしまうことで基礎代謝の低下につながってしまったり、寝る時間が遅くなってしまうことでカラダの修復が思うようにできていなかったり、ストレスが積み重なることで自律神経が乱れてしまったりと、心とカラダの疲れを感じさせる原因が地道に蓄積していきます。漢方では、心もカラダも疲れやすい状態を『気血両虚』とよびます。私たちの心とカラダを元気にするためには、食事・睡眠・運動が必須であることは皆さんご存じだと思います。ですが、すべてを正すことは難しいですよね。その中でも、食事の内容は比較的コントロールしやすいのではないでしょうか。ということで、今週は『気・血』を補い心とカラダに元気をチャージする食薬を紹介していきます。食べるとよい食薬は、【長いもの豚バラまき】です。食薬ごはん【今週食べるとよい食材・メニュー:長いもの豚バラ巻き】作り方は簡単です。皮ごと細く切った長いもに豚バラを巻いていきます。フライパンでニンニクと鷹の爪と一緒に全面焼いて、みりん・醤油を全体に絡めたら完成です。【長いも】心身ともに疲れるといくら寝てもだるい、ホルモンバランスが乱れる、やる気がでないなどの深い症状を感じることはないでしょうか。長いもには、心身ともに疲れているときに疲弊している副腎を支えるジオスゲニンという成分が含まれています。また、消化を助けるジアスターゼも含まれているので、忘年会続きで疲れている胃腸にも最適です。【豚肉】心の元気には『血』が、カラダの元気には『気』が必要です。豚肉には、『気・血』の両方を補うタンパク質、ビタミンB群、ミネラルが豊富に含まれています。アリシンを含むニンニクやネギ、ニラなどのネギ類を組み合わせるとさらに効果的です。今年の仕事も疲れも今年のうちにリセットして、2023年を軽快にスタートできるようにしておきましょうね。それでは皆さま、心とカラダが健やかなよいお年をお迎えください。ほかにも心とカラダを強くするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。※食薬とは…漢方医学で人は自然の一部であり、自然の変化は体調に影響を与えると考えられています。気温や湿度、気圧の変化だけではなく、太陽や月の動きまでもがカラダに影響を与えています。学生の頃、太陽暦や太陰暦を学んだことを覚えていませんか?一月の日数や季節などは太陽や月の動きから決められていたことはご存知のかたは多いと思います。月や太陽は、地球との位置により引力が変わり、地球では潮の満ち引きが起こります。地球の約七割が水分と言われていますが、同様に人のカラダも約七割が水分と言われています。そう考えると、人間も月や太陽の影響を受けることは想像しやすいことだと思います。中国最古の医学書である皇帝内経(こうていだいけい)にも、月が体調に影響を与えることは記されています。つまり、気温、湿度、気圧、太陽、月の変化とさまざまなものを指標にすることにより、より正確に体調管理をすることができます。この体調管理に食事内容を役立てることを『食薬』と呼びます。Information大久保 愛 先生漢方薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田県出身。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。秋田の豊かな自然の中で、薬草や山菜を採りながら暮らす幼少期を過ごし、漢方や食に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として活躍。おうちで食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」を開発。漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の悩みに応えてきた実績を持つ。著書『1週間に1つずつ心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売一ヶ月で七万部突破。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典(KADOKAWA)』、近著に「不調がどんどん消えてゆく食薬ごはん便利帖(世界文化社)」がある。公式LINEアカウント@aika『1週間に一つずつ心がバテない食薬習慣』(ディスカヴァー)。『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典』(KADOKAWA)体質改善したい人、PMS、更年期など女性特有の悩みを抱える人へ。漢方×栄養学×腸活を使った「食薬」を“五感”を刺激しつつ楽しく取り入れられる。自分の不調や基礎体温から自分の悩みを検索して、自分にあった今食べるべき食薬がわかる。55の不調解消メソッドを大公開。©Aleksei Morozov/Gettyimages©Catherine Delahaye/Gettyimages文・大久保 愛
2022年12月28日年末、やるべきことが山積みでストレス過多になっていませんか。中医学士で漢方薬剤師の大久保愛先生が、ストレスに負けないカラダを作るための心身の整え方を教えてくれます!年末、ストレスが溜まっていませんか?【カラダとメンタル整えます愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 192今年の仕事ができる日も残りわずかになってきましたね。今年中に済ませておきたいことと、長期休暇中に備えておきたい仕事と、やることが山積みになってはいないでしょうか。残り時間はどんどんなくなり、優先順位をつけていくのも一苦労に感じられるかたも多いと思います。そんなときに、私たちが感じるのがストレス。あれもこれも中途半端で、明日やることもたくさんある…という状態では、何かに追われるような悪夢を見てしまったり、睡眠の質を低下させるようなこともあると思います。私たちは、忙しくなればなるほど、食事の内容や睡眠時間などをおろそかに考えてしまいがちですが、日中のパフォーマンスを上げて、仕事をすぐに処理するためにもカラダ作りが大切になります。そこで、今週は心とカラダを整えてストレスに負けないカラダを作るための食薬習慣を紹介していきたいと思います。今週は、ストレスがたまったとき食薬習慣毎日、あわただしく寝る直前までやるべきことに追われていると頭は夜中までフル回転し、睡眠の質が落ちてしまうこともあるのではないでしょうか。寝つきが悪くなったり、朝方目が覚めてしまったり、リアルな怖い夢を見てしまったりすることもあると思います。ただ、この怖い夢は日常のストレス耐性を上げるための予行練習だともいわれています。怖い夢を見た時には、カラダがストレスに対して負けないように準備してくれているものだと考えてみましょうね。また、ストレスが多い時には、カラダの基本として亜鉛や鉄などのミネラルやビタミンB群の補充と腸内環境を整えることが大切になります。これらの栄養が不足していてストレスに弱くなっている状態を『血虚』といいます。さらに、短期的なストレスに負けている状態を『気滞』といいます。これ関しては、香りが高いものを取り入れるとよいとされています。そこで、今週は突発的なストレスに備えて『気』の巡りを改善する食薬を紹介します。食べるとよい食薬は、【セリと塩昆布の混ぜごはん】です。食薬ごはん【今週食べるとよい食材・メニュー:セリと塩昆布の混ぜごはん】作り方は簡単です。炊いたごはんに、みじん切りにしたセリ、塩昆布、ジャコ、ゴマなどを混ぜるだけです。セリは生でも食べることのできる野菜です。セリの香りを楽しむことでリラックス効果を期待していきます。【セリ】セリは、漢方で『水芹』とよばれ、冬のトラブルに役立つ野菜とされています。オイゲノールやピラジンという成分が、『気』の巡りを改善したり、解毒や鎮静、血栓予防、肝機能強化などに役立ちます。【塩昆布】旨味が強い塩昆布は、心とカラダがバテてしまっているときにおすすめな調味料です。カルシウムやマグネシウムなどのミネラルが豊富であったり、腸壁を強化する食物繊維が含まれています。忙しいときには、食事に対する意識が下がってしまいがちですが、忙しくて効率を上げたいときほど栄養バランスを整えることの必要性も上がります。最近、食事を適当にしているなと感じる方は、最後の踏ん張りがきくカラダを作るためにも食薬を取り入れていきましょうね。ほかにも心とカラダを強くするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。※食薬とは…漢方医学で人は自然の一部であり、自然の変化は体調に影響を与えると考えられています。気温や湿度、気圧の変化だけではなく、太陽や月の動きまでもがカラダに影響を与えています。学生の頃、太陽暦や太陰暦を学んだことを覚えていませんか?一月の日数や季節などは太陽や月の動きから決められていたことはご存知のかたは多いと思います。月や太陽は、地球との位置により引力が変わり、地球では潮の満ち引きが起こります。地球の約七割が水分と言われていますが、同様に人のカラダも約七割が水分と言われています。そう考えると、人間も月や太陽の影響を受けることは想像しやすいことだと思います。中国最古の医学書である皇帝内経(こうていだいけい)にも、月が体調に影響を与えることは記されています。つまり、気温、湿度、気圧、太陽、月の変化とさまざまなものを指標にすることにより、より正確に体調管理をすることができます。この体調管理に食事内容を役立てることを『食薬』と呼びます。Information大久保 愛 先生漢方薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田県出身。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。秋田の豊かな自然の中で、薬草や山菜を採りながら暮らす幼少期を過ごし、漢方や食に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として活躍。おうちで食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」を開発。漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の悩みに応えてきた実績を持つ。著書『1週間に1つずつ心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売一ヶ月で七万部突破。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典(KADOKAWA)』、近著に「不調がどんどん消えてゆく食薬ごはん便利帖(世界文化社)」がある。公式LINEアカウント@aika『1週間に一つずつ心がバテない食薬習慣』(ディスカヴァー)。『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典』(KADOKAWA)体質改善したい人、PMS、更年期など女性特有の悩みを抱える人へ。漢方×栄養学×腸活を使った「食薬」を“五感”を刺激しつつ楽しく取り入れられる。自分の不調や基礎体温から自分の悩みを検索して、自分にあった今食べるべき食薬がわかる。55の不調解消メソッドを大公開。©wakashi1515/Gettyimages©fizkes/Gettyimages文・大久保愛
2022年12月21日ここ数年、じんましんが出ることが増えました。何がいけないのかと悩んでいた私に、お世話になっている医師が言ったことであることに気付きました。その言葉をきっかけに、心がけたことをお伝えします。★関連記事:「かゆい…」風呂上がりや運動後にじんましん!更年期が原因?予防法は?【医師監修】じんましんが出る原因はさまざま更年期と呼ばれる世代になって、いろいろと体調の変化を感じるようになりました。アレルギー体質の私は、小学生くらいまではアレルギー性のじんましんに悩まされることもありました。でも、大人になると花粉症や鼻炎症状がひどくなり、肌の症状はほとんどなくなりました。それがここ数年、再びじんましんが出るようになってきたのです。例えば、寒さを感じると出る寒冷じんましん。でも、不思議なことに毎日出るわけではありません。食事をすると手首周辺にじんましんが出ることがあっても、毎回そうなるわけではなく……。ほかにも、朝タイツをはいたら両足にじんましんが出たこともありました。これは機械的じんましんというそうで、下着類の締め付けなど外部からの物理的な刺激によって起こるそうです。でも、これも1度きりの出来事でした。じんましんは体のSOSかも?じんましんが出たときのために処方してもらった薬が終わってしまったので、受診したときに先生に聞いてみました。「どうしたらじんましんは出なくなりますか?」。すると先生は「じんましんとは、うまく付き合っていくしかない。出やすい体質であったり、もしかすると体からのSOSだったりするかもしれないよ」とおっしゃったのです。私は、すべてのじんましんに共通する何かを突き止めて、それを解決することばかりに気持ちが向いていました。しかし「体が発するSOSかも」と言われて、私はあることに気が付いたのです。じんましんの原因はストレスかもしれない私は「ストレスがたまるとじんましんが出やすいのでは?」という仮説にたどり着きました。仕事が忙しくストレスがたまっていたり、子どものことで朝から夜まで時間に追われていたり、夫と意見が合わずイライラしていたり……と思い当たることが多々あったからです。社会生活を営む以上、完全なストレスフリーは実現しないと思います。でも、それらを発散する工夫は必要だと痛感しました。実際にしてみて一番スッキリしたのは、見たい映画をひとりで見に行き、映画館で遠慮なく泣くということでした。そのほかよくするのは、夫に言えない文句を車の中でぶちまけるというもの。怒るとついつい理詰めで相手をやり込めてしまう私は、夫への言葉をセーブするようにしています。でも、そのことがストレスになることもあり……。助手席の愛犬は不思議そうな顔で私を見ていますが、こうすることで直接言った気になれるので、気分も爽快です。もちろん、気のおけない友人とのおしゃべり時間も大事。たまの休日にお茶をしながらの2時間なんて、あっという間です。まとめストレス発散を試みてももちろん、じんましんが出てしまうことはあります。そんなときは、するべきことの優先順位を見直して、急がなくていいことはペースダウンするように心がけています。また、睡眠をたっぷり取るようになりました。アラフィフは、もう無理のきかない年齢だと感じています。だからこそ、心と体の声に耳を傾けて、自分と家族の未来を大切に考えるようになりました。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。監修/窪田徹矢先生(くぼたクリニック松戸五香院長)獨協医科大学医学部卒業。千葉医療センター、成田赤十字病院で研修を積み、国保松戸市立病院泌尿器科に勤務。その後千葉西総合病院泌尿器科にて医長、部長を歴任。2017年、くぼたクリニック松戸五香を開業。日本泌尿器科学会専門医・指導医。著者/とろママ(47歳)2女の母。45歳のときに会社勤めを辞め、現在はフリーランスで活動。家族は夫と年ごろの娘2人と愛犬。子どもたちの送迎も大切な業務。加齢という現実に直面し、認めたくない気持ちと認めなければいけない気持ちの間で揺れるお年ごろ。犬にはモテる。
2022年12月20日仕事や家事が立て込む時期となりました。いろいろなものに追われるなかで、集中してひとつずつクリアできたらいいですが、中医学士で漢方薬剤師の大久保愛先生によると、年末に乱れがちな食生活が集中力低下の一因になるのだそう。愛先生が、当てはまりやすい人の特徴や集中力をアップする簡単な方法を教えてくれます!年末が近づき、仕事や家事に追われていませんか?【カラダとメンタル整えます愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 189すっかり冬の気候になりましたね。12月に入り今年も残すところわずかとなりました。残された時間に対して、やることが増えてしまうのが、12月の特徴ですよね。あれやこれやと仕事を処理する中で、次々とやるべきことに横やりが入ってきます。頭の中で描いている理想のように行動できず、計画がどんどん崩れてしまい、予定通りにこなすことができないときってありますよね。ということで、今ほしいものといえば、集中力ではないでしょうか。そこで、今週は、集中力アップにつながる食薬習慣を紹介していきます。今週は、集中力アップ対策となる食薬習慣師走がスタートしました。この1か月は、あっという間に過ぎてしまいそうですよね。徐々にカレンダーが埋まりつつある中、今年中にやっておきたいこともリストアップされていき、頑張って年越しをしなければと気が引き締まりますよね。ただ、そんな気持ちとは裏腹にゴロゴロしたい、ぼーっとしたい、お友達の誘いを断れないなどさまざまな誘惑がやってきます。この限られた時間の中、すべてを収めるには、集中力を取り戻し効率を上げていくしか方法がありません。ですが、漢方では、冬は根気よく物事に取り組むために働く『腎』が弱りやすい季節と考えられています。さらに、食べたものをカラダで利用できる形に分解するためには、胃腸の働きが正常でなければなりませんが、甘いもののいただきものがあったり、外食の予定が続き、朝起きると胃が重いなんてことはないでしょうか。そんな人も集中力が低下しがちです。これを漢方では『脾気虚』と呼びます。そして、消化できていなかったり、栄養バランスが悪いと脳に必要な栄養が足りずに集中力が低下することがあります。これを『血虚』と呼びます。ということで、今週は『脾腎』をサポートしながら『気血』を補うことが大切です。食べるとよい食材・メニューは、【ブリとカブのおろし煮】です。食薬ごはん【今週食べるとよい食材・メニュー:ブリとカブのおろし煮】作り方は簡単です。ブリの切り身を醤油、みりん、酒、多めの生姜と一緒に煮込んで、皮ごとおろしたカブをふんわり上からのせたら完成です。おろすのは大根だけだと思っていませんか?カブをおろしても美味しいですよ。【カブの皮】消化を助けるジアスターゼがカブの皮に多く含まれます。ジアスターゼは熱に弱いのですりおろして生で食べましょう。カブは『脾』の働きを助けるために役立つ食材です。また、茎の部分には、βカロテンが多く含まれているので、カブは淡色野菜と緑黄色野菜の2つの要素を兼ねそろえている優秀食材といえます。βカロテンは、抗酸化や粘膜の強化に働くので風邪対策にもなります。【ブリ】『腎』を支えるビタミンDや集中力を養うDHAなどのオメガ3脂肪酸、『気血』を補う鉄やタンパク質、ビタミンB群などの栄養素を含んでいる冬の優秀食材です。12月は、楽しいことがたくさんあり、そして1年を振り返る大切な月。心とカラダに余裕をもつためにも、目先の出来事だけではなく、カラダの中から整えていくことも忘れずに行動していきましょうね。ほかにも心とカラダを強くするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方がぜひご覧ください。※食薬とは…漢方医学で人は自然の一部であり、自然の変化は体調に影響を与えると考えられています。気温や湿度、気圧の変化だけではなく、太陽や月の動きまでもがカラダに影響を与えています。学生の頃、太陽暦や太陰暦を学んだことを覚えていませんか?一月の日数や季節などは太陽や月の動きから決められていたことはご存知のかたは多いと思います。月や太陽は、地球との位置により引力が変わり、地球では潮の満ち引きが起こります。地球の約七割が水分と言われていますが、同様に人のカラダも約七割が水分と言われています。そう考えると、人間も月や太陽の影響を受けることは想像しやすいことだと思います。中国最古の医学書である皇帝内経(こうていだいけい)にも、月が体調に影響を与えることは記されています。つまり、気温、湿度、気圧、太陽、月の変化とさまざまなものを指標にすることにより、より正確に体調管理をすることができます。この体調管理に食事内容を役立てることを『食薬』と呼びます。Information大久保 愛 先生漢方薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田県出身。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。秋田の豊かな自然の中で、薬草や山菜を採りながら暮らす幼少期を過ごし、漢方や食に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として活躍。おうちで食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」を開発。漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の悩みに応えてきた実績を持つ。著書『1週間に1つずつ心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売一ヶ月で七万部突破。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典(KADOKAWA)』、近著に「不調がどんどん消えてゆく食薬ごはん便利帖(世界文化社)」がある。公式LINEアカウント@aika『1週間に一つずつ心がバテない食薬習慣』(ディスカヴァー)。『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典』(KADOKAWA)体質改善したい人、PMS、更年期など女性特有の悩みを抱える人へ。漢方×栄養学×腸活を使った「食薬」を“五感”を刺激しつつ楽しく取り入れられる。自分の不調や基礎体温から自分の悩みを検索して、自分にあった今食べるべき食薬がわかる。55の不調解消メソッドを大公開。©Overearth/Gettyimages©Westend61/Gettyimages文・大久保愛
2022年12月02日中医学士で漢方薬剤師の大久保愛先生によると、寒暖差が激しい今の時期は、くしゃみや鼻水、蕁麻疹などの不調が出やすいのだそう。風邪に似ているけど実は違う、その正体は寒暖差アレルギー。愛先生が誰でもできる対策を教えてくれます!最近、風邪のような症状が出ていませんか?【カラダとメンタル整えます愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 188少し上を見上げると黄金色の銀杏並木、そして目線を下げても黄金色の絨毯。この時期、各地で紅葉が街並みを色鮮やかに染めていきますよね。そして、気候は12月の冬至を迎えるまでは、暖かいポカポカとした時間と耳や鼻を凍り付かせてしまうような寒い時間を繰り返していくことでしょう。これによって、増えるのが、寒暖差によるアレルギーです。アレルギーの源となる物質はありませんが、寒暖差により鼻がムズムズしたり、くしゃみがでたり、咳がでたり、蕁麻疹がでたりと、風邪と混同してしまうような症状に困惑している人も多いのではないでしょうか。そこで、今週は最近急増中の寒暖差アレルギーの対策となる食薬習慣を紹介していきます。今週は、寒暖差アレルギーの対策となる食薬習慣くしゃみや鼻水、咳、じんましんなど、最近原因のわからない不調が増えていると感じることはないでしょうか。風邪かもしれないし、アレルギーかもしれないし、新型コロナウイルスかもしれないし、何か不調を感じた時には、原因は何なんだろうと心配になりますよね。何はともあれ、不快症状をなくすための行動は必要です。この時期、1日の中においても、日ごとを比較しても、寒暖差が非常に大きくなります。気温の変化にカラダがついていかず、自律神経が乱れてアレルギー症状を感じてしまう人が増えます。漢方では、自律神経が乱れやすい状態を『血虚』や『肝気鬱結』、アレルギー症状が現れやすい状態を『湿熱』がたまっている、『気虚』などと表現します。この改善には、ミネラルを中心に『血』を補うこと、極力炎症の原因となる糖質を控えることや腸内環境を整え『湿熱』を取り除き『肺』をケアするような食薬が役立ちます。そこで今週食べるとよい食材・メニューは、【ワカメとタコの酢の物】です。そして、きちんと毎晩入浴すること、少し早く寝ることも同時に行うことも並行して行っていきましょう。食薬ごはん【今週食べるとよい食材・メニュー:ワカメとタコの酢の物】作り方は簡単です。一口大にカットしたゆでタコと水で戻したワカメを和えて、お酢や醤油で味を整えたら完成です。ゴマやゆずを添えてもよいですね。また、お酢やレモン汁、ゆずなどの酸味や柑橘系の香りには、『気滞』を解消し、ストレスをやわらげ自律神経を整える働きがあるとされています。そのため、自律神経の乱れによる不調を感じた時には、酢の物がおすすめです。【タコ】高タンパク、低脂質、低カロリーでヘルシーなタコは『血』を補うために役立ちます。また、元気をつけたり、肝臓の働きを助けるタウリンやミネラルを含むため、『肝』の働きを整えたり、『気血』を補うためにも役立ちます。【ワカメ】ミネラルや食物繊維を多く含む特徴があります。そのため、腸の働きを整え、アレルギーの炎症の原因となる『湿熱』や『痰湿』の除去に役立ちます。また、腸内環境が乱れていると、自律神経を整えるうえで必要なセロトニンが減少してしまうので、ダブルの力で役立ちます。体調がなんだかスッキリしないと感じる人は、まずは余分な食事を控え、腸内環境を整えることから始めてみましょう。そうすると、原因がアレルギーだとしても風邪だとしても免疫の低下を防ぎ、カラダを守る支えとなってくれます。ほかにも心と体を強くするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。※食薬とは…漢方医学で人は自然の一部であり、自然の変化は体調に影響を与えると考えられています。気温や湿度、気圧の変化だけではなく、太陽や月の動きまでもがカラダに影響を与えています。学生の頃、太陽暦や太陰暦を学んだことを覚えていませんか?一月の日数や季節などは太陽や月の動きから決められていたことはご存知のかたは多いと思います。月や太陽は、地球との位置により引力が変わり、地球では潮の満ち引きが起こります。地球の約七割が水分と言われていますが、同様に人のカラダも約七割が水分と言われています。そう考えると、人間も月や太陽の影響を受けることは想像しやすいことだと思います。中国最古の医学書である皇帝内経(こうていだいけい)にも、月が体調に影響を与えることは記されています。つまり、気温、湿度、気圧、太陽、月の変化とさまざまなものを指標にすることにより、より正確に体調管理をすることができます。この体調管理に食事内容を役立てることを『食薬』と呼びます。Information大久保 愛 先生漢方薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田県出身。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。秋田の豊かな自然の中で、薬草や山菜を採りながら暮らす幼少期を過ごし、漢方や食に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として活躍。おうちで食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」を開発。漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の悩みに応えてきた実績を持つ。著書『1週間に1つずつ心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売一ヶ月で七万部突破。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典(KADOKAWA)』、近著に「不調がどんどん消えてゆく食薬ごはん便利帖(世界文化社)」がある。公式LINEアカウント@aika『1週間に一つずつ心がバテない食薬習慣』(ディスカヴァー)。『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典』(KADOKAWA)体質改善したい人、PMS、更年期など女性特有の悩みを抱える人へ。漢方×栄養学×腸活を使った「食薬」を“五感”を刺激しつつ楽しく取り入れられる。自分の不調や基礎体温から自分の悩みを検索して、自分にあった今食べるべき食薬がわかる。55の不調解消メソッドを大公開。©aki-sugimoto/Gettyimages©Antonio Garcia Recena/Gettyimages文・大久保 愛
2022年11月25日中医学士で漢方薬剤師の大久保愛先生によると、日が短くなり寒暖差が大きくなる今の時期は、落ち込んだり、なぜか悲しくなったりと、心の不調を感じる人が増えるのだそう。そこで、愛先生がセロトニンの分泌や疲労回復を促し、心身の体調を整える簡単な方法を教えてくれます!最近、心の不調を感じていませんか?【カラダとメンタル整えます愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 187最近、涙もろくなってきた、寂しくなってきた、悲しくなってきた、気分が沈みやすくなってきたということはないでしょうか。私たちは少なからず気候や季節の変化に影響されています。ちょうど今頃の、日が短くなり寒暖差が大きくなる時期、心に穴が開いたように感じてしまう人が増えてしまいます。ですが、気候の変化によって体の基礎が揺らいでいる状態なので、栄養状態や運動、睡眠などの状態を整えて、カラダの基礎作りを淡々と行うとその症状は和らいでいくことが考えられます。喉がイガイガする、便秘になった、頭が痛いなどカラダの不調を感じた時には、生活習慣を改善する人が多いと思いますが、心に不調を感じた時にも同じように生活習慣の改善を考えてあげることが大切です。心とカラダはつながっているので、自分ではコントロールできなくなってしまっている心の状態にも注目し、体調管理をしていきましょうね。ということで、今週は悲しかったり、気分が落ち込んでしまうときの食薬習慣を紹介していきます。今週は、悲しかったり、落ち込んでしまうときの食薬習慣1年でもっとも美味しい食べ物があふれている季節ともいえるのが今の時期ではないでしょうか。秋になるとリンゴやミカン、柿などのフルーツや、根菜、キノコ、脂がのったお魚など旨味が強い食材が増えますよね。ただ旬だからと、思う存分柿やサツマイモをいくつも食べたり、季節限定濃厚スイーツ、キノコがたっぷり入ったクリームパスタなど好みに偏ってたくさん食べたりしてはいないでしょうか。旬の食材はよいとはいえ、適切な糖質の量を越えて食べることは控えたほうがベターです。なんだか気分がスッキリしないなと思ったときには、直近3回の食事の中のタンパク質、ビタミン、ミネラル、食物繊維、脂質、糖質、ファイトケミカルの量を振り返ってみましょう。もしも、糖質や脂質が多めだなと感じる場合には、心が秋の気候に負けてしまいやすくなっていることが考えられます。次の食事からお肉やお魚、お豆などの量を増やしていきましょう。漢方で、心のコントロールがしづらくなっている状態を『血虚』といいます。とくに今の時期、根本的に『血虚』である人は、心の不調を強く感じる傾向があります。そこで、今週は『血』を補い鉄のハートをつくっていく食薬習慣を紹介します。食べるとよい食材・メニューは、【牛肉とトマトのさっと炒め】です。食薬ごはん【今週食べるとよい食材・メニュー:牛肉とトマトのさっと炒め】作り方は簡単です。さいの目にカットしたトマトと、牛肉の細切れと、刻んだニンニクを一緒に炒めて塩コショウで味を整えたら完成です。マイタケやシイタケなどのきのこ類を入れるのもおすすめです。【牛肉】鉄をはじめとしたミネラル、タンパク質、ビタミンB群が豊富です。これは悲しくなったり、気分が落ち込むときに不足しがちなセロトニンなどの神経伝達物質の材料となります。『血』を補う代表的な食薬です。【トマト】ストレスによる活性酸素の発生は、疲れやすくモチベーションが上がらない体を作ってしまいます。リコピンやビタミンC、βカロテンなどの抗酸化物質、気力を養うクエン酸を含むトマトがおすすめ。加熱して油と一緒に調理するとリコピンの吸収がアップします。この時期は、日本全国共通でちょっと気分が落ち込みやすくなります。まずは、悲しい気分で頭がいっぱいなのは自分だけではないということを認識しておきましょう。ただ、個人差が生じるのは、栄養状態も関係してきます。そこで、少しでも楽しく秋を快適にすごすために自分に足りない栄養素を補充するイメージで毎日の食事の内容を考えてみてはいかがでしょうか。ほかにも心と体を強くするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。※食薬とは…漢方医学で人は自然の一部であり、自然の変化は体調に影響を与えると考えられています。気温や湿度、気圧の変化だけではなく、太陽や月の動きまでもがカラダに影響を与えています。学生の頃、太陽暦や太陰暦を学んだことを覚えていませんか?一月の日数や季節などは太陽や月の動きから決められていたことはご存知のかたは多いと思います。月や太陽は、地球との位置により引力が変わり、地球では潮の満ち引きが起こります。地球の約七割が水分と言われていますが、同様に人のカラダも約七割が水分と言われています。そう考えると、人間も月や太陽の影響を受けることは想像しやすいことだと思います。中国最古の医学書である皇帝内経(こうていだいけい)にも、月が体調に影響を与えることは記されています。つまり、気温、湿度、気圧、太陽、月の変化とさまざまなものを指標にすることにより、より正確に体調管理をすることができます。この体調管理に食事内容を役立てることを『食薬』と呼びます。Information大久保 愛 先生漢方薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田県出身。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。秋田の豊かな自然の中で、薬草や山菜を採りながら暮らす幼少期を過ごし、漢方や食に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として活躍。おうちで食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」を開発。漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の悩みに応えてきた実績を持つ。著書『1週間に1つずつ心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売一ヶ月で七万部突破。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典(KADOKAWA)』、近著に「不調がどんどん消えてゆく食薬ごはん便利帖(世界文化社)」がある。公式LINEアカウント@aika『1週間に一つずつ心がバテない食薬習慣』(ディスカヴァー)。『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典』(KADOKAWA)体質改善したい人、PMS、更年期など女性特有の悩みを抱える人へ。漢方×栄養学×腸活を使った「食薬」を“五感”を刺激しつつ楽しく取り入れられる。自分の不調や基礎体温から自分の悩みを検索して、自分にあった今食べるべき食薬がわかる。55の不調解消メソッドを大公開。©alisher9/Gettyimages©Jose Luis Pelaez Inc/Gettyimages文・大久保愛
2022年11月17日気づけば年末がすぐそこに迫っています。いろいろやることが増えて俯瞰するとげんなりしてしまう人は多いでしょう。中医学士で漢方薬剤師の大久保愛先生によると、日照時間の減少によりセロトニン分泌が減ることから、気候的な理由からもだるさを感じやすいのだそう。愛先生が対処法を教えてくれます!やるべきことが増え、結果、全てが面倒くさくなっていませんか?【カラダとメンタル整えます愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 185今年も残り2か月を切りました。あっという間に過ぎていく1年に驚きますよね。もっと時間を大切にしなければと強く感じますが、実際の行動はあれもこれも面倒くさいという気持ちでいっぱいになってしまうことはないでしょうか。やることが1つしかなければ、すぐに行動に移せそうですが、期限のあるやるべきことが複数あると優先順位をつけることすら面倒になり、結局面倒な気分でいっぱいになり、現実逃避をしたり、ぼーっとしたりしてしまい、時間がどんどん無駄に消費されてしまうという経験はありませんか?もしも、そんな悩みを抱えているという場合には、食事のタイミングと内容を意識してみましょう。日が沈む時間が早くなり、秋風を強く感じる今の時期は、気候的な理由からも面倒くさい病を感じやすくなることが考えらます。そこで、今週は面倒くさい病を軽減するための食薬習慣を紹介していきます。今週は、便秘対策となる食薬習慣朝になると、もう少し寝ていたい、だるい、起き上がりたくない、何もやりたくないとネガティブな感情をいっぱい抱えて目を覚ます人はいないでしょうか。実際、新しい希望の朝を毎日迎えられている人はそんなに多くないかもしれませんね。日の出の時間が遅くなり、日の入りの時間が早くなり、お日さまを浴びる時間も短くなってきています。そして、私たちは年末に向けてやるべきタスクが増え続けていき、そのしわ寄せとして夜更かしと偏食をする機会が増えることでしょう。そうすると、必然的に体内時計が乱れてきます。体内時計は、光刺激と食事の刺激によってコントロールされていますが、そこに支障が生じてしまいます。日照時間の減少によりメンタルのコントロールに必要なセロトニンは減少傾向です。さらに体内時計が乱れてしまうと、気合ではどうしようもないくらいのダルさを感じてしまうケースができてしまいます。漢方ではこの状態を自律神経が乱れやすい『気血両虚』や体内時計を狂わせてしまう『腎虚』と考えます。そこで、今週は『気・血』を補い、『腎』の働きを支える食薬習慣を紹介していきます。今週食べるとよい食材・メニューは、【韓国風TKG】です。食薬ごはん【今週食べるとよい食材・メニュー:韓国風TKG】作り方は簡単です。刻んだキムチとすり胡麻とアボカドやカイワレ、ブロッコリースプラウトなど好きな野菜を混ぜてごはんにのせて、その中央に卵黄をのせ、醤油を刻んだ韓国のりをかけて完成です。そして、できれば朝のタイミングに食べることをお勧めします。【キムチ】発酵食品、食物繊維、カプサイシンは朝にとることで、時計遺伝子や腸内環境などに働きかけカラダのリズムを整えてくれます。また、起床後1時間以内の食事は、代謝の向上につながり、1日の元気を与えてくれます。ということで、朝食にとることで、『腎』の働きをよりサポートし、腸活の効率もあげてくれます。【玉子】朝はタイミングとして、タンパク質を多めにとることが体内時計を整えるために役立ちます。さらに、午前中のタンパク質は時間的に筋肉を養うために効率が良いとされています。また、朝のタンパク質は、セロトニンの生成を促し、それにともない睡眠の質の向上に必要なメラトニンの分泌にも役立ちます。玉子は、『気・血』を補う優秀食材です。今回は、レシピ×タイミングでご紹介させていただきました。これからの時期、年末年始まで生活リズムが乱れてしまう人が増えてきます。この乱れは、私たちのやる気を奪い、面倒くさい病にしてしまいます。タスクがもりもりに溜まってしまう前から食薬で整えていきましょう。ほかにも心と体を強くするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方がぜひご覧ください。※食薬とは…漢方医学で人は自然の一部であり、自然の変化は体調に影響を与えると考えられています。気温や湿度、気圧の変化だけではなく、太陽や月の動きまでもが体に影響を与えています。学生の頃、太陽暦や太陰暦を学んだことを覚えていませんか?一月の日数や季節などは太陽や月の動きから決められていたことはご存知のかたは多いと思います。月や太陽は、地球との位置により引力が変わり、地球では潮の満ち引きが起こります。地球の約七割が水分と言われていますが、同様に人のカラダも約七割が水分と言われています。そう考えると、人間も月や太陽の影響を受けることは想像しやすいことだと思います。中国最古の医学書である皇帝内経(こうていだいけい)にも、月が体調に影響を与えることは記されています。つまり、気温、湿度、気圧、太陽、月の変化とさまざまなものを指標にすることにより、より正確に体調管理をすることができます。この体調管理に食事内容を役立てることを『食薬』と呼びます。Information大久保 愛 先生漢方薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田県出身。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。秋田の豊かな自然の中で、薬草や山菜を採りながら暮らす幼少期を過ごし、漢方や食に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として活躍。おうちで食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」を開発。漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の悩みに応えてきた実績を持つ。著書『1週間に1つずつ心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売一ヶ月で七万部突破。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典(KADOKAWA)』、近著に「不調がどんどん消えてゆく食薬ごはん便利帖(世界文化社)」がある。公式LINEアカウント@aika『1週間に一つずつ心がバテない食薬習慣』(ディスカヴァー)。『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典』(KADOKAWA)体質改善したい人、PMS、更年期など女性特有の悩みを抱える人へ。漢方×栄養学×腸活を使った「食薬」を“五感”を刺激しつつ楽しく取り入れられる。自分の不調や基礎体温から自分の悩みを検索して、自分にあった今食べるべき食薬がわかる。55の不調解消メソッドを大公開。©MarinaBH/Gettyimages©Westend61/Gettyimages文・大久保愛
2022年11月05日秋になり空気の乾燥も手伝って、唇がカサついていませんか。中医学士で漢方薬剤師の大久保愛先生が、唇の乾燥を和らげる簡単な方法を教えてくれます。唇、カサカサ荒れていませんか?【カラダとメンタル整えます愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 183朝起きると喉がイガイガする日が増えてきました。晴れた日は、澄んだ空気に遠くの山々がくっきり見えて感激しますが、それは空気中の水分量が減り、視界がよくなっていることも理由の一つです。これからの時期、リップクリームやハンドクリーム、ボディクリームなどで保湿が欠かせなくなりますよね。唇の皮がカサカサになり、リップクリームをいくら塗っても改善できなかったり、なめてしまって悪化させたり、皮をきれいにはいでまたむけての繰り返しというかたも多いのではないでしょうか。唇は、頬などの皮膚と比べ5倍もの速さで水分が蒸発し乾燥すると言われています。内臓と外界との接点となる唇は、外気の乾燥に加え、内臓の状態というのも影響してきます。そこで、空気の乾燥が増していくこれからの時期、唇の乾燥を少しでも和らげるためにできる食薬習慣を紹介していきます。今週は、唇の皮むけの対策となる食薬習慣そろそろ唇、指先、かかと、スネなどの、秋冬特有の乾燥が出始めるころではないでしょうか。とくに、唇の乾燥は第一印象や清潔感に影響したり、口紅の発色が悪くなったり、大きな口を開けて食事をするときなどに不快感を感じますよね。そして、その場しのぎで舐めてしまったり、マスクをして隠れるからと気にするのをやめたりしてはいけません。唇は、皮膚でも粘膜でもなく、分類的にはその中間くらいの機能をもつとされています。外界から飲食物を摂取するときに口を入り口としますが、その時の異物侵入のための第一関門にもなるため、温度や質感に対して敏感になるよう感覚神経が発達しています。また、漢方では見た目で体調を判断する望診という診断方法をつかいますが、唇も判断するときの材料となっています。唇の赤みはたくさんの毛細血管が透けてみえることによって生じているため、唇の色が青いと冷えていたり血流が悪かったり、白っぽかったら貧血気味だったり、真っ赤だと炎症を起こしていたり、熱がこもりやすい状態と考えます。さらに、カサカサしているときには、胃腸にダメージが加わっているとも考えます。そこで、唇が乾燥してきたときには保湿やクレンジングも大切ですが、それに加え胃腸に対する負担も減らす、『脾』や『腸』のケアをすることを推奨します。そこで、今週食べるとよい食材・メニューは、【サツマイモとリンゴのレモン煮】です。食薬ごはん【今週食べるとよい食材・メニュー:サツマイモとリンゴのレモン煮】作り方は簡単です。サツマイモとリンゴを皮をむかずに一口大にカットします。そして、お水とみりん、お好みで蜂蜜などを加え煮込み、レモン汁をたっぷりかけたら完成です。干しブドウやシナモンなどを加えるのもおすすめです。【サツマイモ】秋といえばサツマイモが恋しくなりますよね。サツマイモといえば、食物繊維が多く腸活のお供としても有名です。その皮は、たまに白っぽい液体が出てくると思いますが、これはヤラピンという成分です。腸の動きをさらに活性化し腸を整えてくれます。皮周辺が腸活には重要です。さらに抗酸化作用の高いビタミンCやβカロテンなども含むため、お肌のトラブルで悩むときにはおすすめです。【リンゴ】リンゴ1個で医者いらずともいわれるリンゴですが、特に皮に強力な抗酸化作用、血流促進、口臭予防などに役立つ成分が多く含まれます。また、加熱すると皮に多く含まれるペクチンの抗酸化力が高まるためおすすめです。サツマイモもリンゴも今が旬ですよね。旬の食材は、基本的にその季節の不調を取り除く力を秘めています。レモンでさっぱり煮込んで、唇ケアをしていきましょう。甘味を強くすれば日持ちもしますよ。たくさん作って、ちょっとずつ食べるのもおすすめです。ほかにも心とカラダを強くするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。※食薬とは…漢方医学で人は自然の一部であり、自然の変化は体調に影響を与えると考えられています。気温や湿度、気圧の変化だけではなく、太陽や月の動きまでもが体に影響を与えています。学生の頃、太陽暦や太陰暦を学んだことを覚えていませんか?一月の日数や季節などは太陽や月の動きから決められていたことはご存知のかたは多いと思います。月や太陽は、地球との位置により引力が変わり、地球では潮の満ち引きが起こります。地球の約七割が水分と言われていますが、同様に人のカラダも約七割が水分と言われています。そう考えると、人間も月や太陽の影響を受けることは想像しやすいことだと思います。中国最古の医学書である皇帝内経(こうていだいけい)にも、月が体調に影響を与えることは記されています。つまり、気温、湿度、気圧、太陽、月の変化とさまざまなものを指標にすることにより、より正確に体調管理をすることができます。この体調管理に食事内容を役立てることを『食薬』と呼びます。Information大久保 愛 先生漢方薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田県出身。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。秋田の豊かな自然の中で、薬草や山菜を採りながら暮らす幼少期を過ごし、漢方や食に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として活躍。おうちで食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」を開発。漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の悩みに応えてきた実績を持つ。著書『1週間に1つずつ心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売一ヶ月で七万部突破。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典(KADOKAWA)』、近著に「不調がどんどん消えてゆく食薬ごはん便利帖(世界文化社)」がある。公式LINEアカウント@aika『1週間に一つずつ心がバテない食薬習慣』(ディスカヴァー)。『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典』(KADOKAWA)体質改善したい人、PMS、更年期など女性特有の悩みを抱える人へ。漢方×栄養学×腸活を使った「食薬」を“五感”を刺激しつつ楽しく取り入れられる。自分の不調や基礎体温から自分の悩みを検索して、自分にあった今食べるべき食薬がわかる。55の不調解消メソッドを大公開。©hisa nishiya/Gettyimages©damircudic/Gettyimages文・大久保愛
2022年10月21日最も過ごしやすい時期であるのに、カラダがついていけず体調を崩していませんか。中医学士で漢方薬剤師の大久保愛先生が、粘膜の免疫機能を整えたり、新陳代謝を高めたりと、風邪の引き始めに行いたい対策を教えてくれます!季節が変わり、風邪を引いていませんか?【カラダとメンタル整えます愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 182地域によっては、アウターが必要な季節になってきましたね。急に季節が変わり、久しぶりに風邪を引いてしまったという声をよく耳にします。みなさんはいかがでしょうか?油断すると体調を崩してしまいそうですよね。こんなときこそ食薬です。10月は、本来1年でもっとも気候が穏やかな時期といわれています。そのため、今月は心と体のメンテナンスをしたり、夏の疲れをリセットして寒い冬に備えたり、好きなことをして快適に過ごせるご褒美のような季節です。ですが、そんなときに体調を崩してしまっていてはすごくもったいないですよね。そこで、今週は風邪を引いてしまいそうなときの食薬習慣を紹介していきます。今週は、風邪を引いてしまいそうなときの食薬習慣日中の温かさにくらべて、日が沈んだ後の冷え込みに体がなれない、自律神経を乱してだるい、寒暖差や乾燥した空気にむせてしまうなど、季節にカラダを適合させることに難しさを感じてしまう日もありますよね。ただ、真夏や真冬、じめじめした冬などと比べると随分とカラダが楽だと思います。むしろカラダが頑丈な人は、秋風のひんやりした夜の風、澄んだ空気を心地よく感じていることでしょう。この時期、風邪を引いてしまいやすい人の特徴として、口内炎ができやすく治りにくい、便がスッキリ出にくくなってきたなどということがあります。これは、粘膜の免疫機能が低下している状態です。漢方では、『肺陰虚』、『気血両虚』などと表現します。ということで、今週は、粘膜を強化するために、新陳代謝を高める亜鉛やビタミンB群、アミノ酸を豊富に含み『気血』を補う食薬と粘膜を強化する『肺陰』を補う食物繊維を多く含む食薬をとりいれることがおすすめです。食べるとよい食材・メニューは、【ゴボウの牛肉巻き】です。食薬ごはん【今週食べるとよい食材・メニュー:ゴボウの牛肉巻き】作り方は簡単です。ゴボウのまわりにクルクルと牛肉を巻き付けて焼き、醤油やみりん、ニンニク、七味唐辛子などで味を整え、食べやすい大きさにカットして、刻んだネギを添えたら完成です。【ゴボウ】皮やアクに高い抗酸化力をもつゴボウ。よく洗い、皮は剥かずにアクは抜かずに食べるのがおすすめ。また、イヌリンなどの食物繊維を含み、腸の働きを高め『肺陰』を補ってくれます。【牛肉】必須アミノ酸がバランスよく含まれ、さらに鉄や亜鉛などのミネラル、ビタミンB群もとりいれることができ『気血』を補うための優秀食材です。ただ、脂身の多い部分は、消化に負担がかかるので、赤みの部分を選ぶようにしましょう。風邪を引く前には、ちょっとした不調やいつもと違った負荷のかかる行動をしていることが多いです。毎年、この時期には風邪を引いてしまうという人は、自分のカラダをしっかり観察して、客観的分析をすることで、行動を変化させて風邪を未然に防ぐようにしていきたいですね。まずは、何をしていいかわからないというかたは、ゴボウの牛肉巻きをお試しください。ほかにも心とカラダを強くするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。※食薬とは…漢方医学で人は自然の一部であり、自然の変化は体調に影響を与えると考えられています。気温や湿度、気圧の変化だけではなく、太陽や月の動きまでもが体に影響を与えています。学生の頃、太陽暦や太陰暦を学んだことを覚えていませんか?一月の日数や季節などは太陽や月の動きから決められていたことはご存知のかたは多いと思います。月や太陽は、地球との位置により引力が変わり、地球では潮の満ち引きが起こります。地球の約七割が水分と言われていますが、同様に人のカラダも約七割が水分と言われています。そう考えると、人間も月や太陽の影響を受けることは想像しやすいことだと思います。中国最古の医学書である皇帝内経(こうていだいけい)にも、月が体調に影響を与えることは記されています。つまり、気温、湿度、気圧、太陽、月の変化とさまざまなものを指標にすることにより、より正確に体調管理をすることができます。この体調管理に食事内容を役立てることを『食薬』と呼びます。Information大久保 愛 先生漢方薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田県出身。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。秋田の豊かな自然の中で、薬草や山菜を採りながら暮らす幼少期を過ごし、漢方や食に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として活躍。おうちで食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」を開発。漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の悩みに応えてきた実績を持つ。著書『1週間に1つずつ心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売一ヶ月で七万部突破。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典(KADOKAWA)』、近著に「不調がどんどん消えてゆく食薬ごはん便利帖(世界文化社)」がある。公式LINEアカウント@aika『1週間に一つずつ心がバテない食薬習慣』(ディスカヴァー)。『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典』(KADOKAWA)体質改善したい人、PMS、更年期など女性特有の悩みを抱える人へ。漢方×栄養学×腸活を使った「食薬」を“五感”を刺激しつつ楽しく取り入れられる。自分の不調や基礎体温から自分の悩みを検索して、自分にあった今食べるべき食薬がわかる。55の不調解消メソッドを大公開。©SHIROKUMA DESIGN/Gettyimages©Westend61/Gettyimages文・大久保愛
2022年10月14日秋を通り越して冬を感じさせるような気温の低い日が続きました。寒暖差にカラダが追いつかず、体調を崩していませんか。中医学士で漢方薬剤師の大久保愛先生が、風邪の引き始めに効果的な方法を教えてくれます!気温が急に低下!体調を崩していませんか?【カラダとメンタル整えます愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 181急に冬がやってきたようなお天気が続きました。冷え込んだ朝は布団から出るのがつらいですよね。秋晴れもつかの間に肌寒い毎日が続きます。また、こういった急に冷え込んだ日が続くとカラダが慣れず、寒暖差でくしゃみや鼻水などがとまらず、風邪ぎみの人も増えているようです。もともと冷え性の人は手先足先が冷たくなってしまい、急に冬物のコートを着始める日も増えてきたのではないでしょうか。ところで、しっかり湯船につかっていますか?良質な睡眠には睡眠時に深部体温が下がることが必要になります。そのため、もともと冷えてしまっている人は、うまく深部体温が下がらず、睡眠の質を低下させてしまいます。夜はしっかり湯船につかり、体を温め睡眠の質を上げ、成長ホルモンの分泌を高め、体に対するダメージを一日ずつリセットしておきましょうね。ということで、今週は急な冷えで風邪気味になってしまった人のための食薬習慣です。今週は、冷えて風邪気味になってしまった人のための食薬習慣急に冷え込み、空模様は不安定になり、秋の心地よさはどこへやら。急な雨や冷え込みにくしゃみ鼻水、手足の冷え、足のむくみ、睡眠の質の低下などを感じていないでしょうか。そのまま放置していると、バリア機能は低下し、これからの風邪シーズンにさまざまな感染症にかかりやすくなってしまいます。この時期はもともと漢方ではバリア機能が低下しやすい『肺気虚』になりやすいと言われています。そして、もともと『気血水』が不足している人が特にその影響をうけ、さまざまな不調が表面化してきてしまいます。そこで、今週は急な冷え込みに負けないように『気』と『血』を補いバリア機能を高めるために『気』と『水』を補い、自律神経を整えるために『血』を補い『気』の巡りを改善することで対策をとっていきましょう。食べるとよい食材・メニューは、【鮭と梅干しの混ぜご飯】です。食薬ごはん【今週食べるとよい食材・メニュー:鮭と梅干しの混ぜごはん】作り方は簡単です。ほぐした鮭と叩いた梅干し、大葉、おろし生姜、鰹節、海苔などを入れて、醤油で味を整えたら完成です。混ぜご飯ではなく、炊きこんでしまうのもよいですね。【鮭】『気・血』を補う代表的な食材、鮭。ヘム鉄やタンパク質、ビタミンB群などをバランスよく含んでいます。さらに、『水』を補うEPAやDHA、ビタミンDも豊富です。そして、さまざまな細胞にかかるダメージを軽減する赤い色素アスタキサンチンも含むスーパーフードです。【梅干し】『気』を補うクエン酸や、リンゴ酸、コハク酸や『水』を補うミネラルも豊富です。さらに、酸味のある食材は、『気』の巡りの改善に役立つので自律神経を整えるために役立ちます。また、加熱した梅干しは、脂肪燃焼に役立つバニリンという成分が増えるので、ダイエット中の人は炊き込みご飯の方がおすすめです。地球に生まれた以上、気候の変化に適応するすべをいくつも身につけておかなければなりません。異常気象や新種のウイルスなど、年々増えていますが、その都度翻弄されないようにカラダのベースを強くしたり、環境変化に適応する食薬を身に着けておくことは必須だと言えますね。ほかにも心とカラダを強くするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。※食薬とは…漢方医学で人は自然の一部であり、自然の変化は体調に影響を与えると考えられています。気温や湿度、気圧の変化だけではなく、太陽や月の動きまでもが体に影響を与えています。学生の頃、太陽暦や太陰暦を学んだことを覚えていませんか?一月の日数や季節などは太陽や月の動きから決められていたことはご存知のかたは多いと思います。月や太陽は、地球との位置により引力が変わり、地球では潮の満ち引きが起こります。地球の約七割が水分と言われていますが、同様に人の体も約七割が水分と言われています。そう考えると、人間も月や太陽の影響を受けることは想像しやすいことだと思います。中国最古の医学書である皇帝内経(こうていだいけい)にも、月が体調に影響を与えることは記されています。つまり、気温、湿度、気圧、太陽、月の変化とさまざまなものを指標にすることにより、より正確に体調管理をすることができます。この体調管理に食事内容を役立てることを『食薬』と呼びます。Information大久保 愛 先生漢方薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田県出身。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。秋田の豊かな自然の中で、薬草や山菜を採りながら暮らす幼少期を過ごし、漢方や食に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として活躍。おうちで食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」を開発。漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の悩みに応えてきた実績を持つ。著書『1週間に1つずつ心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売一ヶ月で七万部突破。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典(KADOKAWA)』、近著に「不調がどんどん消えてゆく食薬ごはん便利帖(世界文化社)」がある。公式LINEアカウント@aika『1週間に一つずつ心がバテない食薬習慣』(ディスカヴァー)。『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典』(KADOKAWA)体質改善したい人、PMS、更年期など女性特有の悩みを抱える人へ。漢方×栄養学×腸活を使った「食薬」を“五感”を刺激しつつ楽しく取り入れられる。自分の不調や基礎体温から自分の悩みを検索して、自分にあった今食べるべき食薬がわかる。55の不調解消メソッドを大公開。©bebe/Gettyimages©portishead1/Gettyimages文・大久保愛
2022年10月08日漢方理論の基本、“体質”とは?漢方医学には、身体の状態をつくる「気(き)」血(けつ)」「水(すい)」という考え方があります。「気」は身体のエネルギーで、生命活動を支えるパワーのようなものです。「血」は身体の血液や臓器を潤し、栄養を行き渡らせます。「水」は血液以外の水分で、代謝や免疫力に影響を与えます。この三要素が、体内をバランスよく正常に巡っている状態が健康。反対に、どれかひとつでも欠けた状態は身体の力が弱まって不調が出やすい状態です。どれが足りていないのか・循環していないのかは、人によって違います。この違いをさまざまな目線から判断した身体の傾向のことを、漢方医学では「体質」と呼んでいます。体質は主に、5つのタイプに分けられます。1)気が不足した“気虚(ききょ)”タイプ2)気が停滞した“気滞(きたい)”タイプ3)血が不足した“血虚(けっきょ)”タイプ4)血が停滞した“瘀血(おけつ)”タイプ5)水が停滞した“水滞(すいたい)”タイプそれぞれに出やすい症状や特徴があります。1. 気虚(ききょ)タイプ生命活動の支えとなる「気」が不足した状態です。活力やパワーが足りていないので元気が出ず、だるさを感じやすい傾向にあります。体力や免疫力も低下気味なので風邪をひきやすい方も多いです。気虚タイプさんに出やすい症状・だるくて疲れやすい・朝起きられない、寝ても疲れがとれない・集中力が低下する・冷え・胃腸が悪くなるなど気虚タイプさんへのアドバイス過労や睡眠不足は、足りなくなった気の回復を妨げます。気は朝に作られやすいと考えられています。夜は早めに就寝し、しっかり睡眠をとって翌朝に気を高められるように準備しましょう!2. 気滞(きたい)タイプ身体のエネルギーである「気」の巡りが悪く、滞った状態です。気の巡りの悪さは自律神経のバランスに深く影響を及ぼします。ストレスを抱えやすいので、身体だけではなく心のバランスも不安定さが目立つ傾向にあります。気滞タイプさんに出やすい症状・イライラや憂鬱などの精神的な不調・首や肩のこり・顔や末端のむくみ・にきび、肌荒れ・便秘、腹部の張り・不眠など気滞タイプさんへのアドバイス不安や緊張といった心へかかる負担と不規則な生活の連続は、気滞の原因になりやすいです。忙しい中でも趣味や好きなことをしたり、リラックスできる時間を持てるように努めたりすることで、心にかかる負担は随分と変わります。なるべくストレスを溜め込まない生活を心がけましょう。3. 血虚(けっきょ)タイプ身体に潤いと栄養を与える「血」が不足した状態です。全身に栄養が行き渡らないので、立ちくらみや貧血といった症状が現れやすい傾向があります。血を作り出すエネルギーが足りていないケースも多く見られます。血虚タイプさんに出やすい症状・だるくて疲れやすい・貧血・めまいや立ちくらみ・冷え(低体温)・集中力の低下、物忘れ・顔色が悪さやくすみが目立つ・髪のぱさつき、肌の乾燥など血虚タイプさんへアドバイス過度な食事制限(ダイエット)や偏食は、栄養不足の身体にさらに追い打ちをかけてしまい、体質悪化の原因になるので控えましょう。月経の量が多かったり、不正出血が続いたりすることも原因となりやすいので、月経のトラブルが続いている方は婦人科への受診を検討することをおすすめします。4. 瘀血(おけつ)タイプ血液やホルモンを含めた「血」の巡りが悪く、滞った状態です。栄養が必要な場所まで届かず、汚れも溜まってしまいやすいので、皮膚のトラブルや血行の悪さからくる肩こりのような症状が目立ちます。気虚、気滞、血虚など他の不調が進行した場合にも瘀血に繋がりやすくなります。瘀血タイプさんに出やすい症状・皮膚トラブル(吹き出物、シミ、そばかす、くま、くすみなど)・肩こり、頭痛・アザや傷跡が治りにくい・月経痛、経血の塊が出る・子宮筋腫、子宮内膜症など瘀血タイプさんへアドバイス特にストレスと冷えは瘀血の大きな原因になるので、冷房を使うときはできる限り控えめがおすすめ。日常生活の中でも長時間同じ姿勢でいることを避けたり、シャワーだけではなく湯船につかったり、腰を中心に身体が冷えないように気をつけましょう。5. 水滞(すいたい)タイプ水分代謝がうまくいかず、体内に濁った「水」が過剰に溜まった状態です。余分な水分が身体の中に停滞しているので、冷えや痛みを感じる方が多く見られます。梅雨や湿度の高い日に体調を崩しやすいのも特徴です。水滞タイプさんに出やすい症状・冷え・むくみ・めまい・耳鳴り・頭痛や腰痛などの身体の痛み・身体の重だるさ・お腹がちゃぽちゃぽする・軟便、下痢など水滞タイプさんへアドバイス「水を毎日2リットル飲む」といったダイエット法を耳にしたことのある方も多いかもしれませんが、余分な水分が溜まった状態の水滞タイプさんには逆効果になってしまいます。水分の摂り過ぎや冷たい飲み物は避けて、なるべく身体を冷やさないようにしましょう。体質の判断ってどうやるの?漢方における体質の判断は、かなり複雑です。実は、上記で解説したうちのひとつの体質だけに該当するという方は稀で、ほとんどの方は、複数の体質を抱え込んでいます。そこで、体質を判断するうえで大切なのが、さまざまな視点から身体を見ること。漢方では問診をとても大切にしていて、一見お悩みとは関係なさそうに思えるところからも、一人ひとりが持つ体質のヒントを得ていきます。■もっと詳しい体質チェックは、「わたし漢方」のLINE診断で「わたし漢方」では、仕事や子育てで忙しいなどさまざまな理由でなかなか病院や漢方薬局に行けない方でも、LINEで気軽に漢方相談ができます。質問に答えていくだけで自分の体質がわかる無料の体質診断もLINEでおこなっていますので、ぜひ友達追加をしてみてください。※ 初回の問診はすべて無料。体質改善の相談と漢方薬の服用を希望する場合は有料プランとなります。↓ LINEの友だち追加はこちらから ↓
2022年10月06日季節は夏から秋になり、気づけば2022年も残すところあと3か月…。やるべきことが多くなり、生活が乱れ、体調不良、そして肌荒れも目立つ、なんて悲惨な事態に陥りたくないですよね。そこで、中医学士で漢方薬剤師の大久保愛先生が、即できる肌荒れ対策を教えてくれます!忙しい日々、肌荒れしてませんか?【カラダとメンタル整えます愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 180すっかり過ごしやすい日々が続くようになりました。あんなに暑くて寝苦しかった夏も、終わってしまうと名残惜しく感じてしまいますよね。そして、季節は秋に移り変わり今年も残すところ3か月となりました。おそらく年末に向けてやらなければならないことがテンコ盛りになっていく人が増えていくことでしょう。これから、2022年のラストスパートとなりますが、限られた時間の中、睡眠時間や食事の時間を削りながら、やるべきことに時間を使い、健康なカラダと健全な心の状態の維持が難しくなっていくかもしれません。そして、そんなときカラダに負荷がかかると表面化してくるのが肌トラブルです。肌荒れが気になるときには、対処療法で治してしまうことも必要になるかもしれませんが、生活習慣の見直しを後押しするカラダからの合図であることを認識して、今よりちょっとカラダにプラスになることを取り入れることをおすすめします。ということで、今週は肌荒れの対策となる食薬習慣を紹介します。今週は、肌荒れの対策となる食薬習慣私たちのカラダはおよそ37兆個の細胞からできていますが、不調や老化を感じるときには必ずどこかの細胞の状態が悪くなることからスタートしています。そして、細胞数が最も多い最大の臓器といわれている皮膚にトラブルが起こり、可視化することができます。漢方医学でも古くから、皮膚は内臓の鏡といわれていましたが、時間が足りない、食べるものが乱れる、ストレスが多い、気候の変化が大きいなどカラダに加わる負荷により、活性酸素が大量に発生したり、自律神経が乱れたり、体内時計が乱れたりすることで消化器系など内臓の不調が起き、肌トラブルを強く感じたりすることがあります。これを漢方医学では『湿熱』が生じている状態と考え、胃腸の働きを助けたり、炎症を抑えたりする手段を検討します。そこで今週は、『脾胃』を整え、『清熱』し、『湿熱』を除去することで細胞から元気にして肌トラブルの対策となる食薬習慣を紹介します。食べるとよい食材・メニューは、【カブとセロリのサラダ】です。食薬ごはん【今週食べるとよい食材・メニュー:カブとセロリのサラダ】まず、カブは葉ごと、できればカブの皮つきで使いましょう。セロリも葉の部分も一緒に使いましょう。作り方は、一口大にカブとセロリをカットしてビニール袋に入れ、お酢、オリーブオイル、塩、ブラックペッパーをお好みで入れて全体になじませたら完成。すりゴマや刻んだ大葉やミョウガ、おろし生姜などお好みでトッピングするのもおすすめ。【カブ】消化を助けるジアスターゼを含み『脾胃』をサポートします。とくに皮に多く含まれます。また、カブの葉には、抗酸化作用が高く、眼精疲労や粘膜を強くするために役立つβカロテンも多く含まれています。【セロリ】消化をサポートするキャベジンが『脾胃』をサポートし、『気』の巡りを改善しストレスを軽減するアピインやクマリン、フラボノイドやテルペノイドなど香り成分を含みます。抗酸化作用や鎮静作用、抗炎症作用などもあり『清熱』に働きます。私たちは、普段どうしても頑張りすぎてしまうことが多いです。ですが、これからもずっといろんな仕事や楽しいことをし続けていくためにも、カラダと相談しながら行動していくことはとても大切です。ちょっとした不調は、カラダの負荷をカラダが気がついてほしくて一生懸命発しているものでもあります。放置せずに自分のカラダに「どうしたのかな?」と相談してみてください。不調のたびに、どうして起きたことなのかを考えることが健康維持に役立ちます。ほかにも心と体を強くするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。※食薬とは…漢方医学で人は自然の一部であり、自然の変化は体調に影響を与えると考えられています。気温や湿度、気圧の変化だけではなく、太陽や月の動きまでもが体に影響を与えています。学生の頃、太陽暦や太陰暦を学んだことを覚えていませんか?一月の日数や季節などは太陽や月の動きから決められていたことはご存知のかたは多いと思います。月や太陽は、地球との位置により引力が変わり、地球では潮の満ち引きが起こります。地球の約七割が水分と言われていますが、同様に人の体も約七割が水分と言われています。そう考えると、人間も月や太陽の影響を受けることは想像しやすいことだと思います。中国最古の医学書である皇帝内経(こうていだいけい)にも、月が体調に影響を与えることは記されています。つまり、気温、湿度、気圧、太陽、月の変化とさまざまなものを指標にすることにより、より正確に体調管理をすることができます。この体調管理に食事内容を役立てることを『食薬』と呼びます。Information大久保 愛 先生漢方薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田県出身。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。秋田の豊かな自然の中で、薬草や山菜を採りながら暮らす幼少期を過ごし、漢方や食に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として活躍。おうちで食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」を開発。漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の悩みに応えてきた実績を持つ。著書『1週間に1つずつ心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売一ヶ月で七万部突破。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典(KADOKAWA)』、近著に「不調がどんどん消えてゆく食薬ごはん便利帖(世界文化社)」がある。公式LINEアカウント@aika『1週間に一つずつ心がバテない食薬習慣』(ディスカヴァー)。『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典』(KADOKAWA)体質改善したい人、PMS、更年期など女性特有の悩みを抱える人へ。漢方×栄養学×腸活を使った「食薬」を“五感”を刺激しつつ楽しく取り入れられる。自分の不調や基礎体温から自分の悩みを検索して、自分にあった今食べるべき食薬がわかる。55の不調解消メソッドを大公開。©/Gettyimages©Westend61/Gettyimages文・大久保愛
2022年09月30日腕時計のようなスタイルで1日の消費カロリーや今の心拍数、ストレス値などがわかる、アメリカ発のタッチスクリーン型GPSスマートウォッチ「Garmin」をご存知でしょうか?日々の健康管理やスポーツ&フィットネス機能に加えて、ICカード決済もできてとても便利なんです。今回は最新モデルについてと発表会に登場したGarminアンバサダーの田丸麻紀さん、ゲストのキンタロー。さんのGarminウォッチの使い方などをご紹介します。自分の心拍数やストレスレベルがわかるスマートウォッチ世界に展開しているアメリカ発の「Garmin」。近年、ランニングやヨガなどエクササイズをライフスタイルに取り入れるようになった人も多く、日々の健康管理を気にする人に注目されています。心拍数、ストレスレベル、睡眠スコア、カラダのエネルギー状態を数値化する独自の指標Body Battery、ステップ数、基礎代謝、運動時のそれぞれの消費カロリーなどが数値で表示されるため、データを見える化することによって運動の効果や自分の変化を実感することができ、生活や運動週間の改善、目標達成につながります。そんな「Garmin」から9月16日より新モデル「Venu Sq 2」「Venu Sq 2 Music」が登場(2タイプの違いはミュージック機能の有無)。スマートウォッチを初めて使う人や女性にとっても、使いやすいモデルです。大きくてキレイなディスプレイ、約11日間の長時間バッテリー、そしてファッションを邪魔しないおしゃれなデザインが特徴となっています。アンバサダーで女優・モデルの田丸麻紀さんがGarminをつけて変わったことGarminアンバサダーで女優・モデルの田丸麻紀さんはバリバリ仕事をする傍ら、2児の母でもあり、子育ても奮闘中。普段、Garminをつけることによって変わったことを聞かれると「生活面と意識的な変化がありました。1日のカロリー量も出してくれるので食事をそれに合わせて考えたり、運動量もチェックして足りないところを補ったりしています。また、海外旅行にも持っていったのですが、環境の変化、温度の変化によるストレス値を見て健康状態を管理していました」と話します。ゲストのキンタロー。さんはお得意のダンスを披露して心拍数を確認発表会では同じく2児の母であるキンタロー。さんも登場。お得意のダンスを踊ったキンタロー。さんはつけているGarminを見ると、「心拍数がだいぶ上がってますね」とコメント、会場の笑いを誘いました。キンタロー。さんは産後、30kg増えた体重がどうしても落ちなくてダンスをする時に体も重く、産後ダイエットに挑戦。しかしながら、日々の育児などでモチベーションが上がらなくて困っていると話します。奇跡の44歳。その美しさをキープする方法とは?44歳2児の母である田丸さんに美をキープする秘訣を聞くと「日常の生活を知るというのが基本で、食事、その日の消費量、体調、睡眠の質など自分の状態を把握するのも大切だと思います」とアドバイス。田丸さんも若い頃は無理な食事制限などをして、そのリバウンドでうまくいかないこともあったそうです。キンタロー。さんも「過度な運動とファスティングをしても痩せず、自分を追い込みすぎて、すごい高いものを買ってしまうなどの爆買いをした経験があります」とダイエットの失敗談を語りました。普段のエクササイズについてをうかがうと、田丸さんはこれまでいろいろと試してみた結果、自分に合う、合わないものがあると知ったそう。ヨガなどのスローペースのものより筋トレの方が自分のカラダと心に合っていると感じ、現在は有酸素運動と筋トレをしているとのこと。「Garminにはパーソナルトレーニング機能がついているのでそれを使って、隙間時間や自宅では息子と一緒にトレーニングしています」と家族時間にも活用している様子を教えてくれました。Garminの機能で、一番見てしまうのがストレス値と話す田丸さん。「子どももいるのでスケジュールを詰めて過ごしている時にGarminを見ると、すごい値になっていたり、午前中、既にBody Batteryが低いのに午後も過密スケジュールを入れてしまい、エネルギー切れになっていたりとバランスの悪さをGarminが教えてくれました。そのため、睡眠スコアがいい時は頑張るなど、数値を見て無理をしないようなスケジューリングをするようになりました」と話します。Garminで夫の健康管理とGPSの監視をしたいキンタロー。さんは田丸さんの話を聞いて「自分自身を知ることができるツールにもなりますし、旦那さんにストレス値を見せて、私はこんなに疲れているんだから手伝ってとアピールしやすいですね。そして私は旦那さんの行動を把握するために、いつもGPSで監視しているので、GarminのGPS機能を使って健康管理含めて彼を監視したいです」とコメント。旦那さんへの深い深い愛を語ってくれました。ーーGarminにはそのほか、生理周期などの女性の管理やICカード機能(現在Suicaのみ)もあり、ランニングなど手ぶらな時も買い物が可能です。スマホと連携したLINEやメッセージの通知機能もあるので、Garminを持っているとスマホを出さずにディスプレイでメッセージも確認できます。便利な機能を活かしながら、自分の健康管理に使ってみると生活改善につながることでしょう。上手に活用してみてはいかがでしょうか。取材、文・雨宮あゆみ
2022年09月16日睡眠も休息もしっかり取ったのにカラダがだるい、眠い、ヤル気が出ない。中医学士で漢方薬剤師の大久保愛先生よると、季節の変わり目の今は長引く疲労感に悩まされる人が多いそう。そこで、愛先生が毎日の疲労を軽減し、やる気を取り戻す簡単習慣を教えてくれます!最近、疲れが長引いていませんか?【カラダとメンタル整えます愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 177みなさん、お元気ですか?この時期、いくら休んでも疲れがとれない、だるい、動きたくない、横になりたい…と感じてしまうことが多いようです。本当は今日はあれもこれも終わらせないといけないのに、ぐったりボーっとしていたら一日があっという間に終わってしまった…など、自分の計画に行動が伴わずストレスを感じていることもあるのではないでしょうか。ただ、9月の前半は季節の変わり目であるため、ある程度このようなことが起こっても仕方のない時期です。ですが、そのままにしていては時間が無駄に過ぎていくばかり、そして後回しにしたタスクは後の自分を苦しめることになるでしょう。ということで、今週はやる気を取り戻す食薬習慣を紹介していきます。今週は、疲れが取れないときの食薬習慣一生懸命仕事をしたり、運動をしたり、出かけたりした後に疲労感を感じることは誰にでもあります。ですが、何もしていない、もしくは睡眠をとりカラダを休めたはずの朝に疲れを感じていては問題ですよね。朝から、だるい、やる気がない、起き上がれないなどの状態は、生活の質をガクンと落としてしまいます。そんな毎日を過ごしている方はすぐにでも脱出したいですよね。漢方では疲れが取れない状態を『脾気虚』といいます。基本的にタンパク質、ビタミンB群、ミネラルなどの栄養素が不足していたり、ストレスが多いのにビタミンCや抗酸化物質などダメージを軽減する食材がとれていなかったりと栄養摂取がアンバランスであることもいけないことですが、疲労感がとれないことは季節的な問題も大いに影響しています。そこで、今週は季節の変わり目が原因となる、長引く疲労感を軽減する、『脾気』を補う食薬習慣を紹介していきます。食べるとよい食材・メニューは、【モロヘイヤのせ豆腐】です。食薬ごはん【今週食べるとよい食材:モロヘイヤのせ豆腐】作り方は、モロヘイヤをさっとゆでて、細かく刻みポン酢やすりゴマと混ぜて、レンチンした豆腐にのせ、鰹節をたっぷり添えて完成。【モロヘイヤ】「王様の野菜」と呼ばれるほど栄養価の高い野菜。鉄、カルシウム、抗酸化ビタミンなどが豊富に含まれます。さらに、ねばねばの成分が胃腸の働きを支えるので『補中益気』してくれます。【豆腐】タンパク質やビタミンB群、食物繊維やサポニンなどを多く含み、『脾気』を補い体に栄養の補給をしながらも便通の改善や脂肪の蓄積を予防する働きもあるデトックスにも役立つ食材です。朝、今日は何をしようかなとワクワク元気に目覚める日と、動きたくない、何もしたくないと思い目覚める日では一日の内容が大きく変わってきてしまいますよね。時間を大切に楽しく過ごしたいと考えている人は、気候や環境の変化に目を向け、自分のカラダを柔軟に適応できるように食事や入浴、運動などで調整する習慣を身につけていきましょうね。ほかにも心と体を強くするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。※食薬とは…漢方医学で人は自然の一部であり、自然の変化は体調に影響を与えると考えられています。気温や湿度、気圧の変化だけではなく、太陽や月の動きまでもが体に影響を与えています。学生の頃、太陽暦や太陰暦を学んだことを覚えていませんか?一月の日数や季節などは太陽や月の動きから決められていたことはご存知のかたは多いと思います。月や太陽は、地球との位置により引力が変わり、地球では潮の満ち引きが起こります。地球の約七割が水分と言われていますが、同様に人の体も約七割が水分と言われています。そう考えると、人間も月や太陽の影響を受けることは想像しやすいことだと思います。中国最古の医学書である皇帝内経(こうていだいけい)にも、月が体調に影響を与えることは記されています。つまり、気温、湿度、気圧、太陽、月の変化と様々なものを指標にすることにより、より正確に体調管理をすることができます。この体調管理に食事内容を役立てることを『食薬』と呼びます。Information大久保 愛 先生漢方薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田県出身。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。秋田の豊かな自然の中で、薬草や山菜を採りながら暮らす幼少期を過ごし、漢方や食に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として活躍。おうちで食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」を開発。漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の悩みに応えてきた実績を持つ。著書『1週間に1つずつ心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売一ヶ月で七万部突破。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典(KADOKAWA)』、近著に「不調がどんどん消えてゆく食薬ごはん便利帖(世界文化社)」がある。公式LINEアカウント@aika『1週間に一つずつ心がバテない食薬習慣』(ディスカヴァー)。『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典』(KADOKAWA)体質改善したい人、PMS、更年期など女性特有の悩みを抱える人へ。漢方×栄養学×腸活を使った「食薬」を“五感”を刺激しつつ楽しく取り入れられる。自分の不調や基礎体温から自分の悩みを検索して、自分にあった今食べるべき食薬がわかる。55の不調解消メソッドを大公開。©matsuriri/Gettyimages©SBenitez/Gettyimages©Maryna Terletska/Gettyimages文・大久保愛
2022年09月09日「9月病」とは? どんな病気?だるい、憂鬱……、季節特有の不調をもたらす「9月病」――9月病とは、具体的にどのようなものですか?夏の疲れを引きずって、身体のだるさや憂鬱な気分を抱えてしまう秋特有の不調です。このような症状に心当たりがあって、何日も続いているという方は9月病かもしれません。午前よりも午後のほうが症状が軽くなるようなら、さらにその可能性は高まります。病院に行くほどではないけれど、なんとなく辛いと感じる不調が多いのが特徴ですね。このような症状は重症化すると別の病気に連鎖したり、治るまでに時間がかかってしまうので早めの対策が大切です。今年は不調になる要因が出揃っている……!?――今年は特に注意が必要と聞いたのですが、なぜですか?今年は特に歴史的ともいわれる「異常な暑さ」と大雨がもたらした湿気の影響を受けており、これまで以上に“9月病”を引き起こしやすい条件が揃ってしまっています。漢方医学では、外部からの影響による病気の原因を「六淫(りくいん)」と呼びます。・風邪(ふうじゃ)・寒邪(かんじゃ)・暑邪(しょじゃ)・湿邪(しつじゃ)・燥邪(そうじゃ)・火邪(かじゃ)これらは主に気候の変化を指しています。この変化が急激すぎたり強すぎたりして、身体の適応能力を上回ってしまうと、さまざまな不調を起こしやすくなってしまいます。日本の夏の特徴ともいえる高温多湿の環境は暑邪と湿邪が負担になりやすく、さらに、空調で身体を冷やしてしまうと寒邪の影響も受けやすくなります。ひとつでも大変なものがふたつもみっつもあれば、身体にとってはとても大きな負担になりますよね。――たしかに今年の夏は雨も多くて、とにかく暑かったですよね。ここ数年の中でもかなり大変でしたよね。暑いと眠れなかったり、つい冷たい飲み物を飲みすぎてお腹を壊したり、生活習慣が乱れて身体本来の力をダウンさせてしまいます。ゲリラ豪雨や台風も発生しやすい時期なので、梅雨の時期に体調を崩しやすい方や気圧の変化に敏感な方は特に注意が必要ですね。不調の原因は気候以外にもある――気候以外にも原因はありますか?あります。特にここ数年の流れとして多いのが、リモートワークの増加と外出機会の減少による運動不足や不自由さからくるストレスが原因になっているケースですね。――ストレスも原因になるのですね。そうですね。やはり精神的な負担が与える影響は大きいです。ストレスとひとことに言っても、イライラしたり落ち込んだり、人によって心の悩みというのはさまざまだと思います。秋は、夏に消耗したエネルギーを回復させて、冬に備える大切な季節なのですが、日照時間が少なくなるにつれて鬱々とした思いを抱えてしまうという方もいます。精神的に不安定になりやすい時期なので、夏の疲れは放置せずにゆったりとした秋を過ごしていけるのが理想ですね。体質にあった漢方を使うことが大切――漢方は「体質にあったものを使うのが大事」と聞いたのですが、本当ですか?本当です! 漢方は、症状だけではなく人それぞれの体質にあったものを使うことでより効果を発揮してくれます。――体質はどのようにしてわかるものなのですか?漢方医学の基本的な考え方のひとつとして、「気・血・水(き・けつ・すい)」というものがあります。身体を構成する3つの要素が体内をバランス良く正常に巡っている状態が“健康”。反対に、身体に不調が出るのはどこかが欠けてしまっていると考えられています。足りていないものや循環していないものは、人によって違います。この違いをさまざまな目線から判断し、わかる身体の傾向が「体質」です。「体質にあったものを使う」とは、つまり、身体に足りていなかったり、循環していなかったりする要素を補って巡らせてあげるということです。たとえば、「気」が足りない人には滋養強壮の働きがある、「気」を補う漢方薬を。一人ひとり違うお悩みや体質に寄り添ってアプローチを考えていきます。――なるほど! この時期に多い体質はありますか?暑い夏をなんとか乗り切ろうとすると、身体はエネルギーである「気」を消耗するので、エネルギー不足の「気虚」という状態に陥る方は多いですね。だるい、起きられない、落ち込み、疲れといった症状が現れやすいです。――他の体質の注意点はありますか?普段は体力に自信がある方でも、長時間の労働や睡眠の乱れ、寒暖差などの負担がかかると自律神経が乱れやすくなり、気の流れが滞った「気滞」という状態になります。暑さで胃腸が弱り食欲がなくなってしまうという方は、身体の養分になる「血」を十分に作れなくなるので、「血虚」という状態になりやすくなります。貧血、動悸、不眠、女性の方は月経トラブルなどの悪化の原因にもなります。汗をかきやすい時期なので、水分不足にも注意ですね。そこに暴飲暴食が加わると、血がドロドロとして流れが悪い「瘀血」という状態になります。反対に、水分の摂り過ぎで水はけが悪くなる「水滞」の状態を引き起こし、めまいやむくみ、下痢といった症状を起こす方もいます。どの体質にもなる可能性があるので、気をつけていきたいですね。――漢方医学独特の考え方ですね。そうですね。ただ、この症状があるので絶対にこの体質というわけではなくて、複数の体質を抱えているという方のほうが多いといわれるくらい複雑なのです。今すぐできる“9月病対策”――9月病にならないためにはどうしたらいいですか?季節の変化に対応できる「健康な身体づくり」が大切です。日常生活が乱れていては、いくら身体にあった漢方を使っても効果を半減させてしまいます。秋は乾燥が目立ち始めるので、呼吸器系がダメージを受けやすく、免疫も落ち込みやすい季節です。風邪もひきやすい時期なので注意しましょう。――「生活習慣を整える」、わかってはいても、難しいです…。お気持ちはわかります。一気にすべて変えるというのは続かないケースが多いので、ひとつずつ見直していくのがおすすめですよ。この時期に特に大切にしたい睡眠も、夜ふかしをしない、寝る前にスマホを見ない、これだけで今までよりは質の高さを確保できます。これが習慣づいたら、朝日を浴びる、散歩などの適度な運動をするなどの新しい習慣を追加したり、他の生活習慣にも目を向けてみると良いのではないかと思います。――ひとつずつと言われると頑張れそうな気がします。暴飲暴食のようなわかりやすい生活の乱れだけではなく、気づかないうちに良くない習慣を続けてしまっているというケースが多いので、秋の夜長を使って自分の生活を見つめ直すいい機会にしていただけると嬉しいです。――他に、取り入れやすいおすすめ習慣などはありますか?身体をつくる上で欠かせない食生活ですね。暑さのせいで内臓が疲れている時期なので、身体の負担になりやすい食べ物はあまり食べすぎないように心がけましょう。やはり、消化の良いものや疲れの回復の手助けになってくれる食材がおすすめです。旬の食材も、今の時期の自然の恵みをたっぷりと含んでいるので積極的に食べたいですね。胃腸の負担になりやすい食べ物・味の濃いもの・油っぽいもの・辛いもの・冷たいもの・甘いもの・加工品▶さっち先生メモついつい食べすぎてしまいがちな嗜好品も多いですよね。食べてはいけないというわけではなく、食べる量に気をつけるのがポイントです。我慢に我慢を重ねてストレスが……というのは本末転倒なので、食べすぎないことが大切です。疲れの回復におすすめな食材・鶏肉・豆類・かぼちゃ・山芋・さつまいも・しいたけ・さんま・鮭▶さっち先生メモどれも夏に不足しがちな「気」を補ってくれる食材なので、気の消耗で疲れが目立つ方には特におすすめです。心の安定におすすめな食材・肉類・カツオやマグロなどの魚類・大豆・バナナ・アボカド▶さっち先生メモ“幸せホルモン”と呼ばれるセロトニンを作るのに必要なトリプトファンを多く含んでいるので、心が不安定になりがちな方におすすめ食材です。身体を温める食材・ネギ・ショウガ▶さっち先生メモ夏の冷房や冷たいものの摂り過ぎで身体が冷えてしまっている方には、温めてくれる食材が有効です。飲み物も冷たいものより温かいものを選んだり、お水は常温にするのもおすすめですよ。身体のほてりを摂る旬の食材・梨・ぶどう▶さっち先生メモ冷えよりもほてりが目立つ方には、旬の果物がおすすめです。きゅうりやトマトといった夏野菜と同じような効果を持ち、身体のほてりを鎮めてくれます。毎日の習慣を見直して、秋の夜長を快適に――今回は、わたし漢方のさっち先生に9月病の対策についてお話いただきました。さっち先生、ありがとうございました!こちらこそ、ありがとうございました。秋分から冬至にかけて、日が落ちるのが徐々に早くなり夜の時間が長くなります。そんな秋の夜長を快適に過ごすためにも、夏に消耗した体を労わるためにも、毎日の習慣を見直すきっかけになればとても嬉しいです。***わたし漢方では、忙しかったり、近くになかったりといったさまざまな理由で、なかなか病院や漢方薬局に行けない方でも、LINEで薬剤師へ漢方相談ができます。ご興味があれば、ぜひご相談くださいね。初回限定で無料の体質診断もおこなっておりますので、お気軽に友だち追加していただければと思います。■「わたし漢方」で自分のための漢方をオーダーしよう「わたし漢方」は、LINEで身体の悩みを薬剤師に相談すると、自分にあった漢方薬を自宅に配送してくれるオンライン漢方相談サービス。カウンセリングはすべてLINE上で、最初の問診は24時間相談可能。漢方の専門家が直接お悩みにお答えいたします。初回の問診はすべて無料。体質改善の相談と漢方薬の服用を希望する場合は有料プランとなります。
2022年09月09日季節が移りゆく今、気温や気圧の変化により胃腸や自律神経が乱れ、心身に不調を感じる人が多いようです。中医学士で漢方薬剤師の大久保愛先生が、胃腸と自律神経を整える方法を教えてくれます!最近、胃腸の不調や重ダルさを感じていませんか?【カラダとメンタル整えます愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 176急激に、夏が終わったような気候がやってくる日も増えてきましたね。涼しくて夜中ぐっすり眠れるようになってきたなんて話もよく耳にするようになってきました。ですが、天気が不安定であるせいなのか、胃もたれしたり、便秘や下痢になってしまったり、気持ちのアップダウンが増えてしまうということも同時に増えてきたように感じます。今までは、冷たいものの食べ過ぎや冷房などの冷えによる影響も多かったと思いますが、最近では気圧の変化による胃腸や自律神経の不調も表面化してきているようです。そこで今週は、胃腸と自律神経の不調を解消する食薬習慣を紹介していきます。今週は、胃腸と自律神経の不調を解消する食薬習慣ここ数日、暑い日と過ごしやすい日とを頻繁に繰り返すようになってきましたね。暑苦しかった夏から、季節が移り変わるタイミングであることを実感します。ただ、変化が多いことを苦手としているのが、人間の体です。体には、体の状態を一定に保つ働きである自律神経や内分泌系、免疫系などの機能が備わっていますが、頻繁な自然界の変化によりそのバランスを乱してしまうことがあります。代表的なのが、自律神経の乱れによる胃腸の不調や重ダルさ、不安感などメンタルにかかわることなどではないでしょうか。漢方では、胃腸が低下し自律神経が乱れているときの状況を「脾」の働きが低下し、「痰湿」が溜まっている状態と考えます。そこで、今週は「脾」の働きを助け「痰湿」をとりのぞく食薬習慣を紹介していきます。食べるとよい食材・メニューは、【ワカメとカブの酢の物】です。おまけにストレスを軽減する「気」の巡りを改善する食材である柑橘系をトッピングするとさらに効果的です。食薬ごはん【今週食べるとよい食材・メニュー:カブとワカメの酢の物】作り方は、葉と、皮ごとスライスしたカブと、戻したワカメをビニール袋に入れ、お酢と塩、お好みで蜂蜜やオリゴ糖などを加え手でよくもんでなじませたら完成。レモンやユズなどを加えるとストレスケアに。アマニ油やオリーブオイルなどを加えるとβカロテンの吸収がアップし抗酸化力アップに。【カブ】カブの皮には、消化を助けるジアスターゼという成分が多く含まれています。「脾」を支え、「痰湿」をとりのぞくために有効な食材です。また、カブの葉には、抗酸化作用の高いβカロテンも多く含むためストレスや寝不足など忙しい毎日で発生してしまう活性酸素の除去にも役立ちます。【ワカメ】腸を潤し、腸から老廃物の排泄を促すためにはもってこいの食材です。水溶性の食物繊維であるフコイダンやアルギン酸などは、胃腸の粘膜と強化したり、肝臓の働きを助けたり、免疫機能をサポートする働きがあります。さらに、ヨウ素やビタミン、ミネラルも豊富です。何が原因のわからない、病気とは言えない小さな不調を感じた時には、ファーストチョイスとして胃腸の働きを改善することを優先させてみるとすんなり症状が緩和することがあります。これから季節の変わり目になるので不安定な気候の日が増えていくことでしょう。そのため、今現在不調がなくとも日ごろから胃腸のケアをしていく習慣つけていくのがおすすめです。ほかにも心と体を強くするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。※食薬とは…漢方医学で人は自然の一部であり、自然の変化は体調に影響を与えると考えられています。気温や湿度、気圧の変化だけではなく、太陽や月の動きまでもが体に影響を与えています。学生の頃、太陽暦や太陰暦を学んだことを覚えていませんか?一月の日数や季節などは太陽や月の動きから決められていたことはご存知のかたは多いと思います。月や太陽は、地球との位置により引力が変わり、地球では潮の満ち引きが起こります。地球の約七割が水分と言われていますが、同様に人の体も約七割が水分と言われています。そう考えると、人間も月や太陽の影響を受けることは想像しやすいことだと思います。中国最古の医学書である皇帝内経(こうていだいけい)にも、月が体調に影響を与えることは記されています。つまり、気温、湿度、気圧、太陽、月の変化と様々なものを指標にすることにより、より正確に体調管理をすることができます。この体調管理に食事内容を役立てることを『食薬』と呼びます。Information大久保 愛 先生漢方薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田県出身。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。秋田の豊かな自然の中で、薬草や山菜を採りながら暮らす幼少期を過ごし、漢方や食に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として活躍。おうちで食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」を開発。漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の悩みに応えてきた実績を持つ。著書『1週間に1つずつ心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売一ヶ月で七万部突破。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典(KADOKAWA)』、近著に「不調がどんどん消えてゆく食薬ごはん便利帖(世界文化社)」がある。公式LINEアカウント@aika『1週間に一つずつ心がバテない食薬習慣』(ディスカヴァー)。『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典』(KADOKAWA)体質改善したい人、PMS、更年期など女性特有の悩みを抱える人へ。漢方×栄養学×腸活を使った「食薬」を“五感”を刺激しつつ楽しく取り入れられる。自分の不調や基礎体温から自分の悩みを検索して、自分にあった今食べるべき食薬がわかる。55の不調解消メソッドを大公開。©Aleksei Morozov/Gettyimages©PhotoAlto/Frederic Cirou/Gettyimages©Westend61/Gettyimages文・大久保愛
2022年09月02日だるい、気分が沈む、やる気が出ない、イライラするなど…夏の疲れが出るころです。そこで、中医学士で漢方薬剤師の大久保愛先生が、今の時期の「心身の不調」を改善する簡単な方法を教えてくれます!夏の疲れが出ていませんか?【カラダとメンタル整えます愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 175なんだかだるい、動きがスローになってきた、気分が沈む、やる気が出ない、イライラしやすくなってきたなど、本調子の自分から3割減で活動している人がそろそろ増えてくるころではないでしょうか。というのも、夏の疲れが蓄積してきたころだからです。湿度が高く暑い気候、強い紫外線、大雨の日、寒い室内、氷の入った冷たい飲み物など、カラダにとってあらゆる角度からダメージを受けている状況が続いています。カラダには、ホメオスタシスといって一定の状態に体を保つ働きが備わっています。そのときに酷使されるのが自律神経・免疫・内分泌系です。そのため、長い夏を過ごしていると自然と病気とはいえなくてもなんとなく感じる不調が夏の疲れとして表面化してくるのです。ということで、今週は夏の疲れを軽減する食薬習慣を紹介していきます。今週は、夏の疲れを軽減する食薬習慣8月もあっという間にすぎ、今年も残すところ4か月となりました。年末まで絶好調で過ごすためには、まず始めに夏の疲れを引きずらないようにしなければなりません。猛暑や水害など異常気象も多く、夏バテをしたり、疲労感を感じてしまうことは仕方のないことです。ですが、その都度不調はリセットしていかなければ、心とカラダに対する負担は積み重なり、さらなる気候や環境の変化に体がついていくことができなくなります。そして、季節の変わり目に風邪を引いたり、感染症にかかってしまったり、PMSや月経痛が悪化してしまったりとさまざまな不調をいつも以上に強く感じてしまうことがあります。今月感じている不調は、今月のうちに対処しておきたいですね。漢方では、心と体がバテている状態を『気・血』が不足している状態と考えます。そして、重ダルさは『湿』がたまっている状態と考えます。そのため、今週は『気・血』を補い『湿』を取り除く食薬習慣を紹介していきます。食べるとよい食材・メニューは、【アスパラと明太子のソテー】です。食薬ごはん【今週食べるとよい食材・メニュー:アスパラと明太子のソテー】作り方は、斜め切りにしたアスパラとほぐした明太子を一緒にソテーしたら完成です。味付けは明太子のみでもOKです。【アスパラ】アスパラガスに豊富に含まれることが理由で名づけられたアスパラギン酸は、エネルギー代謝や新陳代謝をアップさせ『気』を補ったり、体に有毒なアンモニアの解毒をして、利尿を促すはたらきもあり『湿』を取り除きます。【明太子】活性酸素の除去に働くビタミンEやビタミンA、心と体の強化に必要なタンパク質、ビタミンD、亜鉛などが含まれていて『気・血』を補います。さらに、心の安定に欠かせないナイアシンも豊富な特徴があります。明太子のほかにも、たらこや筋子やイクラ、数の子などの魚卵にも共通しています。心とカラダの疲れは、食事だけではなく、睡眠や運動のバランスによっても解消することができます。毎月末には食習慣だけではなく自分の生活全般を見直す習慣をつけることも大切です。9月も元気に過ごせるように整えていきましょうね。ほかにも心とカラダを強くするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。※食薬とは…漢方医学で人は自然の一部であり、自然の変化は体調に影響を与えると考えられています。気温や湿度、気圧の変化だけではなく、太陽や月の動きまでもが体に影響を与えています。学生の頃、太陽暦や太陰暦を学んだことを覚えていませんか?一月の日数や季節などは太陽や月の動きから決められていたことはご存知のかたは多いと思います。月や太陽は、地球との位置により引力が変わり、地球では潮の満ち引きが起こります。地球の約七割が水分と言われていますが、同様に人の体も約七割が水分と言われています。そう考えると、人間も月や太陽の影響を受けることは想像しやすいことだと思います。中国最古の医学書である皇帝内経(こうていだいけい)にも、月が体調に影響を与えることは記されています。つまり、気温、湿度、気圧、太陽、月の変化と様々なものを指標にすることにより、より正確に体調管理をすることができます。この体調管理に食事内容を役立てることを『食薬』と呼びます。Information大久保 愛 先生漢方薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田県出身。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。秋田の豊かな自然の中で、薬草や山菜を採りながら暮らす幼少期を過ごし、漢方や食に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として活躍。おうちで食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」を開発。漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の悩みに応えてきた実績を持つ。著書『1週間に1つずつ心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売一ヶ月で七万部突破。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典(KADOKAWA)』、近著に「不調がどんどん消えてゆく食薬ごはん便利帖(世界文化社)」がある。公式LINEアカウント@aika『1週間に一つずつ心がバテない食薬習慣』(ディスカヴァー)。『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典』(KADOKAWA)体質改善したい人、PMS、更年期など女性特有の悩みを抱える人へ。漢方×栄養学×腸活を使った「食薬」を“五感”を刺激しつつ楽しく取り入れられる。自分の不調や基礎体温から自分の悩みを検索して、自分にあった今食べるべき食薬がわかる。55の不調解消メソッドを大公開。©lemon/Gettyimages©fizkes/Gettyimages©Xavier Lorenzo/Gettyimages文・大久保愛
2022年08月26日お盆が過ぎ、夏休みを終えた人も多いでしょう。いつものペースに戻れていますか?中医学士で漢方薬剤師の大久保愛先生が、夏休みボケを解消する方法を教えてくれます。眼精疲労や脳疲労、だるさといった不調を感じている人は必見です!夏休みボケや疲労を酷く感じていませんか?【カラダとメンタル整えます愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 174お盆が終わり楽しかった夏休みから急激に日常へと引き戻されましたね。お休み明けは、頭がお休みモードとの切り替えに時間がかかったり、休日で止まっていた仕事が一気に流れ込んできたりとちょっとリズムを乱してしまうような機会が増えているころだと思います。また、気候は猛暑だったり、強い雨が降ったり、気圧の変化があったりと目まぐるしく変化するここ最近でした。生活環境に加え、自然環境も大きく変動する今の時期、休みボケや疲労感などをいつも以上に強く感じてしまう人も多いことでしょう。そこで今週は、夏休みボケを解消する食薬習慣を紹介していきます。今週は、夏休みボケを解消する食薬習慣楽しい夏も終盤に差し掛かってきましたね。お盆を過ぎると徐々に暑さは和らぎ始め、過ごしやすい日も増えていきます。ただ、お盆中の不安定な空模様による気圧の変動に伴って頭痛やむくみ、めまい、耳鳴りなどの不調、アウトドアによる紫外線ダメージ、夜更かしからくる疲労感など、さまざまな要因で不調を感じる人も多かったと思います。そんななか、夏休みは終わっていきましたが、長期の旅行で気疲れしたり肉体的な疲労が蓄積したり、休み明けに仕事が一時的に増えたことによる眼精疲労や脳疲労で日常に心も体もついていかないこともあると思います。このように日常が始まり頭や目が疲れ、寝不足や休息不足で体の修復が追いつかずにいる状況を漢方では『肝腎陰虚』とよびます。そこで、今回は『肝と腎』に潤いを補い不調を緩和する食薬習慣を紹介していきます。食べるとよい食材・メニューは、【クルミ入りキャロットラペ】です。食薬ごはん【今週食べるとよい食材・メニュー:クルミ入りキャロットラぺ】作り方は、千切りのニンジンにお酢、オリーブオイル、塩、ブラックペッパー、砕いたクルミを混ぜてなじませたら完成。レモン汁を加えたり、アマニ油を入れたり、明太子を和えたりと、アレンジしてみてください。【ニンジン】βカロテンを多く含むことが特徴のニンジン。目や鼻の粘膜、お肌の新陳代謝を助けたり、強い抗酸化作用があるため、眼精疲労やドライアイ、日焼けなどの改善にも役立ちます。中心部よりも皮の方に栄養素が高いため、皮ごと食べるのがおすすめ。また、βカロテンは脂溶性なので、油と一緒に食べるとその吸収率が高まります。目の働きを改善し、潤いをもたらすニンジンは『肝陰』を補う食材だといえます。【クルミ】抗酸化作用の高いポリフェノール、脳の働きを助けるオメガ3脂肪酸、食物繊維やミネラルが豊富です。頭がぼーっとするときやストレスが多い時のおやつとしても最適です。脳の働きを助けるくるみは『腎陰』を補う食材だといえます。連休明けの今の時期には、焦らずスロースタートで自分のペースを取り戻していきましょう。急な変化は、自律神経の乱れを生じ、なんとなく感じる不調を増やしてしまいます。今週は、ゆっくりと心を無にしてニンジンを千切りにして心を整えてみましょう。今必要な食材をとることももちろん大切なことですが、料理をする工程にも心と体にプラスに転じる要素があります。リズム運動、短期的な目標の達成などは、心の安定に役立ちます。週末をつかって体調のメンテナンスをしてみてくださいね。ほかにも心と体を強くするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。※食薬とは…漢方医学で人は自然の一部であり、自然の変化は体調に影響を与えると考えられています。気温や湿度、気圧の変化だけではなく、太陽や月の動きまでもが体に影響を与えています。学生の頃、太陽暦や太陰暦を学んだことを覚えていませんか?一月の日数や季節などは太陽や月の動きから決められていたことはご存知のかたは多いと思います。月や太陽は、地球との位置により引力が変わり、地球では潮の満ち引きが起こります。地球の約七割が水分と言われていますが、同様に人の体も約七割が水分と言われています。そう考えると、人間も月や太陽の影響を受けることは想像しやすいことだと思います。中国最古の医学書である皇帝内経(こうていだいけい)にも、月が体調に影響を与えることは記されています。つまり、気温、湿度、気圧、太陽、月の変化と様々なものを指標にすることにより、より正確に体調管理をすることができます。この体調管理に食事内容を役立てることを『食薬』と呼びます。Information大久保 愛 先生漢方薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田県出身。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。秋田の豊かな自然の中で、薬草や山菜を採りながら暮らす幼少期を過ごし、漢方や食に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として活躍。おうちで食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」を開発。漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の悩みに応えてきた実績を持つ。著書『1週間に1つずつ心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売一ヶ月で七万部突破。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典(KADOKAWA)』、近著に「不調がどんどん消えてゆく食薬ごはん便利帖(世界文化社)」がある。公式LINEアカウント@aika『1週間に一つずつ心がバテない食薬習慣』(ディスカヴァー)。『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典』(KADOKAWA)体質改善したい人、PMS、更年期など女性特有の悩みを抱える人へ。漢方×栄養学×腸活を使った「食薬」を“五感”を刺激しつつ楽しく取り入れられる。自分の不調や基礎体温から自分の悩みを検索して、自分にあった今食べるべき食薬がわかる。55の不調解消メソッドを大公開。©kazuma seki/Gettyimages©tommaso79/Gettyimages©Westend61/Gettyimages文・大久保愛
2022年08月19日中医学士で漢方薬剤師の大久保愛先生によると、暑さや紫外線、屋内外の気温差、気圧の変化などさまざまな要因から、夏は自律神経が乱れやすいのだそう。そこで、愛先生が自律神経を整える簡単な方法を教えてくれます。月経不順や頭痛、だるさや不眠などの不調改善に役立ちそう!最近、疲れが酷くなっていませんか?【カラダとメンタル整えます愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 173徐々に世の中は夏休みの時期になりましたね。夏休みをとれる人もとれない人もそろそろリラックスが必要な時期なのではないでしょうか。さまざまな社会的なニュースがあったり、猛暑の中一生懸命仕事をしたりとここ数年、なんだかんだあまり気が休まらないですよね。ですが、緊張状態が長く続くと自律神経は乱れてしまいます。自律神経は、免疫機能やホルモン分泌などにも影響します。なので、自律神経が乱れると月経不順やPMS、頭痛、めまい、湿疹、口内炎、感染症にかかりやすくなるなどの多岐にわたる不調がでてきてしまいます。そして、自律神経を乱す要因は、精神的なストレスだけではなく、気温や湿度、気圧などの変化による肉体的に生じるストレスも要因となります。そこで、今週は過ごしづらい夏の環境でも自律神経を整えられる食薬習慣を紹介していきます。今週は、自律神経が乱れたときの食薬習慣皆さん、今年の夏を楽しむことはできていますか?何かを心から楽しいと感じるためには、心と体がともに健康である必要があります。ですが、夏の暑さ、強い紫外線、冷えている室内、たまにくる低気圧、湿度の高さなどさまざまな変化が私たちの体に影響を与え自律神経を乱してしまいます。とくに、脳の神経伝達物質の栄養が不足していたり、ストレスに対抗するホルモンコルチゾールを分泌する副腎をサポートする栄養が不足していたり、メンタルや免疫に関わる腸内環境が悪い状態だったり、エネルギーを作り出すミトコンドリアの栄養が不足していたりすると環境の変化に弱くなり、少しのイレギュラーなできごとに体がついていかなくなってしまいます。これを漢方では『肝血虚』や『肝気鬱結』などといいます。そこで、今週は『血』を補い、『気』の巡りを改善する食薬習慣を紹介します。食べるとよい食材・メニューは、【漬けカツオのミョウガ添え】です。食薬ごはん【今週食べるとよい食材・メニュー:漬けカツオのミョウガ添え】作り方は、カツオのたたきをビニール袋に入れ、醤油、みりんを同量ずつ、おろし生姜、すりゴマをたっぷり入れ、30分程度冷蔵庫に置いておきます。そして、盛り付けたらミョウガや大葉などお好きな薬味を添えて完成です。【カツオ】カツオには、心の安定に役立つ脳の神経伝達物質の材料となるタンパク質やビタミンB群、鉄が豊富に含まれ『血』を補うことがきます。さらに、感情をコントロールするセロトニンの分泌を促すビタミンD、脳細胞を活性化するDHAが多く思考力の低下やだるさの改善にも役立ちます。【ミョウガ】夏野菜なので、体にこもる無駄な熱を冷ます働きがあります。また、香りや辛みの成分であるα―ピネンやミョウガジアールなどには、『気』の巡りを改善したり、血流を促したり、抗酸化の働きなどが期待できます。私たちの体には、常に体の状態を一定に保つホメオスタシス(恒常性)とい機能が備わっています。ですが、気温が高かったり、湿度が高かったり、室温が低かったりとさまざまな環境下におかれる夏は、体を一定に保とうとするために働く自律神経が頑張りすぎて疲れてしまいます。頑張っている私たちの体を応援するために適切な栄養を取り入れてあげましょうね。ほかにも心と体を強くするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。※食薬とは…漢方医学で人は自然の一部であり、自然の変化は体調に影響を与えると考えられています。気温や湿度、気圧の変化だけではなく、太陽や月の動きまでもが体に影響を与えています。学生の頃、太陽暦や太陰暦を学んだことを覚えていませんか?一月の日数や季節などは太陽や月の動きから決められていたことはご存知のかたは多いと思います。月や太陽は、地球との位置により引力が変わり、地球では潮の満ち引きが起こります。地球の約七割が水分と言われていますが、同様に人の体も約七割が水分と言われています。そう考えると、人間も月や太陽の影響を受けることは想像しやすいことだと思います。中国最古の医学書である皇帝内経(こうていだいけい)にも、月が体調に影響を与えることは記されています。つまり、気温、湿度、気圧、太陽、月の変化と様々なものを指標にすることにより、より正確に体調管理をすることができます。この体調管理に食事内容を役立てることを『食薬』と呼びます。Information大久保 愛 先生漢方薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田県出身。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。秋田の豊かな自然の中で、薬草や山菜を採りながら暮らす幼少期を過ごし、漢方や食に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として活躍。おうちで食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」を開発。漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の悩みに応えてきた実績を持つ。著書『1週間に1つずつ心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売一ヶ月で七万部突破。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典(KADOKAWA)』、近著に「不調がどんどん消えてゆく食薬ごはん便利帖(世界文化社)」がある。公式LINEアカウント@aika『1週間に一つずつ心がバテない食薬習慣』(ディスカヴァー)。『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典』(KADOKAWA)体質改善したい人、PMS、更年期など女性特有の悩みを抱える人へ。漢方×栄養学×腸活を使った「食薬」を“五感”を刺激しつつ楽しく取り入れられる。自分の不調や基礎体温から自分の悩みを検索して、自分にあった今食べるべき食薬がわかる。55の不調解消メソッドを大公開。©ayakono/Gettyimages©BartekSzewczyk/Gettyimages©Xavier Lorenzo/Gettyimages文・大久保愛
2022年08月10日社会人になりたてのころ、お姉さん的存在だった先輩。先輩が結婚し、子育てのタイミングで退職してからは、よき友人となり、遠方に暮らしていながらもよく連絡を取り合っていました。しかし、少し前の2~3年の間、ぱったり連絡が途絶えてしまったのです。あとから聞くと、ある皮膚疾患と闘っていたそうです。顔中が熱く腫れ上がる、耐えがたい不快感あれは、忘れもしない48歳の夏。日焼け止めを塗って庭のお手入れをしていると突然、顔中が熱く、腫れ上がるような感覚に襲われました。耐えがたい不快感で、すぐに室内に入り鏡を見ると、顔中が真っ赤で、目元や口元、頬までボコボコに腫れてしまっていました。最初は日焼け止めや化粧品の影響を疑い、その場で顔を洗い、その日は濡らしたタオルで冷やして過ごしましたが、翌日になっても赤みが残り、じんじんとした違和感が続いたため、近くの皮膚科を受診することにしました。皮膚科の医師の診断は「日光じんましん」。初めて聞く疾患名でしたが、その名のとおり、「日光に当たった皮膚がアレルギー反応を起こして出るじんましん」と説明を受けました。肌は強いほうではないと自覚していたものの、これまで48年間、日光に当たっても何もなかったのに、突然症状が出たことに驚きました。日光が怖い、外出が怖い…皮膚科を受診してからは、ステロイドを含む塗り薬を中心とした治療が始まりました。日光の下に出るときは、日焼け止めをしっかり塗って、皮膚を露出しないようにと医師からのアドバイスがありました。そこで、これまで縁のなかった二の腕までの長い手袋やサンバイザー、UV加工の長袖パーカーなどを購入し対策しました。しかし、塗り薬で少しずつ症状が改善しても、少しでも強い日差しに当たると、あっという間にパンパンの赤ら顔に逆戻りしてしまい、日差しの弱い早朝や夕方しか外出できなくなってしまいました。外出するときは、顔が見えないほど目深にサンバイザーをかぶり、真夏なのに長袖・長ズボン、首にはストールを巻いた重装備。私自身が気にするあまり、周りからジロジロ見られているような気がしてストレスでしたし、実際に不思議そうに見つめてくる人もいて恥ずかしい思いをしました。そして次第に日光が怖い、外出が怖いと感じ、家にこもるようになってしまったのです。他人の反応が気になり…人に会うのもおっくうに私は当時から専業主婦で、娘たちは中学生だったので、自分の都合で外出時間のやりくりができたのは助かりました。しかし、部活動や学校行事など娘たちの都合で日中に外出しなければならないこともあり、その際はいつもの重装備。顔見知りの親御さんからは「どうしたの?」と心配そうに尋ねられたり、悪意なく「日焼け対策?すごいね~!」と声をかけられ、人に会うこともおっくうに感じていました。私がひどく気にして、落ち込んでいると知っていた娘たちは何も言いませんでしたが、母親に向けられる好奇の目は敏感に感じ取っていたことでしょう。娘たちの前で明るく前向きに振舞ったり、異様な重装備で「ごめんね」と謝ったりできなかったことは申し訳なかったですが、それができないほど当時の私は常に気がめいっていたのです。やっと軽快した今、冷静になって思うこと薬が手放せず、良くなったり悪くなったりを繰り返しながら2~3年。やっと、日中に外出できるようになりました。当時の忌まわしい記憶は鮮烈で、今でも日差しの強い時間や場所に出るときは、お守りのように、長袖の羽織物とサンバイザーを持ち歩いてしまいます。振り返ってみると、日光じんましんが出た当時は、親の介護問題や、私自身の更年期障害の症状を抱えていた時期でもありました。冷静に考えてみると、ストレスや更年期障害の影響など、いろいろな可能性を考えて、他の診療科を受診したり、セカンドオピニオンを求めることも方法の1つだったかもしれない、そうしていたらもっと早く軽快したり、精神的に救われていたかもしれないと思うこともあります。まとめ連絡が途絶えた2~3年の間に、先輩が日光じんましんに苦しんでいたとはまったく知りませんでした。当時に話が聞けていたら、代わりにいろいろ調べたり、セカンドオピニオンを勧めるなど、私にもできることがあったのではないかという思いも。自分がいっぱいいっぱいになっているときほど、周囲に吐き出して相談することも大切なのではないかと思いました。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。監修/窪田徹矢先生(くぼたクリニック松戸五香院長)獨協医科大学医学部卒業。千葉医療センター、成田赤十字病院で研修を積み、国保松戸市立病院泌尿器科に勤務。その後千葉西総合病院泌尿器科にて医長、部長を歴任。2017年、くぼたクリニック松戸五香を開業。日本泌尿器科学会専門医・指導医。著者/山口がたこマンガも描ける主婦ライター。2016年生まれの「ムスメ」とできすぎた「神ダンナ」との大阪暮らし。Instagramでは、おうちごはんや子育てエピソードを更新中! Instagram:@gatako_w
2022年06月09日関東地方は梅雨を感じさせるような湿度の高い日が多くなりました。中医学士で漢方薬剤師の大久保愛先生によると、この時期の特徴に加えて、新生活のストレスやGW時の食べ癖などが加わり、肌の状態が悪くなりやすいのだそう。そこで、愛先生が簡単にできる肌トラブル対策を教えてくれます!最近、肌荒れに悩んでいませんか?【カラダとメンタル整えます愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 163気温はじわじわと上がり、夏を思わせる日も増えてきましたね。それとともに、梅雨を目前にして雨の日も増えてきました。やはり今年も6月は高温多湿な環境になりましたね。室内の除湿が必要な日も増えてきましたが、お肌も一緒にベトベトオイリーで赤みが出てきたり、湿疹が出てきたりして、保湿はしたいけれども相反して除湿したくなるような状態に悩む日もでてくるかもしれません。これは、高温多湿な環境にも影響しますが、今までの食べ癖なども影響してきています。そこで、今週は湿疹、オイリー肌、赤ら顔などの肌トラブルの対策となる食薬習慣を紹介していきます。今週は、肌トラブル対策となる食薬習慣蒸し暑くじんわりと汗をかく気候になってきましたね。高温多湿の環境は、汗をかいても汗が蒸発しづらくなるため、体に熱がこもりやすくなることがあります。また、4月からのストレス、5月のGWからの食べ癖などが重なり、好きなものを好きなだけ好きなタイミングで食べてしまうことはないでしょうか。食事の偏り、常に何かを食べていたり、空腹を感じることがないような生活は、体の中に老廃物をため込みやすくなったり、炎症を起こす原因になってしまったりします。また、甘いものや脂質の多い食べものばかり食べていると、胃腸の負担になるだけではなく、皮脂分泌が増えたり、雑菌の繁殖が起こりやすくなってしまうことで、湿疹や赤ら顔、体臭などの原因となってしまうこともあります。この原因物質を漢方では、『湿熱』と呼びます。体に熱がこもりやすい今のシーズンは余計に『湿熱』を生じやすくなります。また、偏食によりお肌の新陳代謝を低下させてしまうことを『血虚』といいます。そこで、今週は肌トラブルの対策として『湿熱』を除去しながら、湿熱の原因となる甘いものや油物を控え、肌の新陳代謝を上げるように『血』を補う食薬習慣を紹介していきます。食べるとよい食材・メニューは、【タコとキャベツのガーリック炒め】です。食薬ごはん【今週食べるとよい食材・メニュー:タコとキャベツのガーリック炒め】作り方は、食べやすい大きさに切ったキャベツとゆでダコ、みじん切りかチューブのニンニクを炒めて、塩とブラックペッパーで味を整えたら完成です。【タコ】高タンパク、ビタミンB群、ビタミンA、亜鉛を含むため、肌の新陳代謝を促す『血』を補うことができます。さらに、低脂質、低カロリーでもあり美容にうれしい食材です。そして、タウリンを豊富に含むため、肝臓の働きを助け『湿熱』の解毒を促してくれます。【キャベツ】炎症を抑えるスルフォラファンや抗酸化作用のあるビタミンC、胃腸の働きを助けるビタミンUと食物繊維を含んでいます。体の中から、炎症を抑えつつ、炎症の原因の排泄を促してくれます。漢方では、『清熱』、『痰湿除去』を促し、美肌に導くことが考えられます。肌トラブルに関しては、外からステロイド剤などの塗り薬を使ったり、最新の基礎化粧品を使ったりとさまざまなことを試したくなる人が多いと思います。ですが、肌トラブルはある程度清潔を保ち、紫外線対策をし、保湿をしていたら起こりにくいものです。体の中からの原因の除去を検討することもお肌の状態を改善するためには非常に有効です。ぜひ食薬習慣を試して体の中から改善してみてくださいね。ほかにも心と体を強くするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。※食薬とは…漢方医学で人は自然の一部であり、自然の変化は体調に影響を与えると考えられています。気温や湿度、気圧の変化だけではなく、太陽や月の動きまでもが体に影響を与えています。学生の頃、太陽暦や太陰暦を学んだことを覚えていませんか?一月の日数や季節などは太陽や月の動きから決められていたことはご存知のかたは多いと思います。月や太陽は、地球との位置により引力が変わり、地球では潮の満ち引きが起こります。地球の約七割が水分と言われていますが、同様に人の体も約七割が水分と言われています。そう考えると、人間も月や太陽の影響を受けることは想像しやすいことだと思います。中国最古の医学書である皇帝内経(こうていだいけい)にも、月が体調に影響を与えることは記されています。つまり、気温、湿度、気圧、太陽、月の変化とさまざまなものを指標にすることにより、より正確に体調管理をすることができます。この体調管理に食事内容を役立てることを『食薬』と呼びます。Information大久保 愛 先生漢方薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田県出身。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。秋田の豊かな自然の中で、薬草や山菜を採りながら暮らす幼少期を過ごし、漢方や食に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として活躍。おうちで食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」を開発。漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の悩みに応えてきた実績を持つ。著書『1週間に1つずつ心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売一ヶ月で七万部突破。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典(KADOKAWA)』、近著に「不調がどんどん消えてゆく食薬ごはん便利帖(世界文化社)」がある。公式LINEアカウント@aika『1週間に一つずつ心がバテない食薬習慣』(ディスカヴァー)。『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典』(KADOKAWA)体質改善したい人、PMS、更年期など女性特有の悩みを抱える人へ。漢方×栄養学×腸活を使った「食薬」を“五感”を刺激しつつ楽しく取り入れられる。自分の不調や基礎体温から自分の悩みを検索して、自分にあった今食べるべき食薬がわかる。55の不調解消メソッドを大公開。©Zero Creatives/Gettyimages©fizkes/Gettyimages©Cecilie_Arcurs/Gettyimages文・大久保愛
2022年06月03日肩こりに悩まされている人は多いですよね。中医学士で漢方薬剤師の大久保愛先生によると、肩こりは長時間同じ姿勢でいたり、運動不足だったりすることからくるだけでなく、緊張やストレスなどでメンタルが不安定になり、カラダが硬直することも原因のひとつだそう。そこで、愛先生が簡単にできる肩こり対策を教えてくれます!肩こり、酷くなっていませんか?【カラダとメンタル整えます愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 162突然ですが、運動量は足りていますか?一日何歩歩いていますか?階段をのぼって息切れしていませんか?ここ数年、以前よりも運動量が減った人は多いのではないでしょうか。そして、運動量が減るということは、必然的に同じ態勢で過ごす時間も増えていくということでもあります。それによって、基礎代謝が下がったり、太ってしまったり、心肺機能が衰えてしまうこともあると思います。ですが、頻繁にしんどいと思うことといえば、肩こりではないでしょうか。肩回りが硬直すると自然と頭部の血流は悪くなり、頭痛や耳鳴り、めまいを感じてしまったり、鎖骨がなくなって首のしわが増えたり、肩甲骨が開いて天使の羽が消えてしまったりと連動して起こる見た目の老化を加速させることにもつながります。とういうことで、今週は肩こり対策としての食薬習慣を紹介します。今週は、肩こり対策となる食薬習慣二足歩行で重たい頭が一番上にある人類には、どうしても起こってしまう問題の一つとして肩こりがあります。仕方のない問題ではありますが、肩こりから派生する不快感は多大なものですよね。姿勢の問題は、自分の意識や整体、筋トレ、ストレッチなでの努力で改善できると思います。ですが、ストレス、緊張、不安感などでメンタルの不安定さから体に力が入りやすいタイプの人は現代に多く存在します。内面からくる問題に対しては対策が少し難しくなりますよね。漢方薬で、自律神経を整えることもよいと思いますが、日ごろの食事から改善するスキルを身に着けておくことも大切です。漢方では、同じ姿勢をしていることで物理的に起こる肩こりを『瘀血』といい、メンタルからくる体の硬直を『気滞』といいます。さらに、春の今の時期には、『肝気鬱結』といって、より『気』の巡りが悪くなりやすい時と考えます。そこで、今週は『気』と『血』の巡りを改善する食薬習慣を紹介します。食べるとよい食材・メニューは、【オレンジのイタリアンサラダ】です。食薬ごはん【今週食べるとよい食材・メニュー:オレンジのイタリアンサラダ】作り方は、オレンジ、トマト、バジルを食べやすい大きさにカットし、器に盛りつけ、オレンジをギュッと絞り、オリーブオイルと塩をかけたら完成です。モッツアレラチーズなどを混ぜて、ブラックペッパーをかけてもよいですね。【オレンジ】オレンジのさわやかな香りであるリモネンには、『気』の巡りを改善する働きがあり、オレンジにある筋の部分に含まれるヘスペリジンは、毛細血管を強くして血流を促す働きがあります。『気滞血瘀』の解消に役立ちます。また、みかんよりも食物繊維が多く、腸内環境を整えるためにも役立ちます。【バジル】香りが特徴的なバジルですが、リナロール、カンファー、オイゲノールなどのファイトケミカルがたっぷりです。『気』の巡りを改善しリラックスさせたり、強い抗菌作用、鎮痛作用なども期待できます。また、ベータカロテンやビタミンEも豊富に含み抗酸化作用も高く、古代ギリシャでは、王さまの薬草とも呼ばれていました。私たちは、普通に生活していると運動不足になったり、姿勢が乱れたり、デスクワークをしたりと巡りが悪くなる生活スタイルを過ごすことになります。首や肩に負担がかかることは、ある程度仕方のないことです。姿勢を正したり、緊張など感情からくる体のこわばりを和らげるために食薬を取り入れたりすることで、日ごろから対策をとっていきたいですね。ほかにも心と体を強くするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。※食薬とは…漢方医学で人は自然の一部であり、自然の変化は体調に影響を与えると考えられています。気温や湿度、気圧の変化だけではなく、太陽や月の動きまでもが体に影響を与えています。学生の頃、太陽暦や太陰暦を学んだことを覚えていませんか?一月の日数や季節などは太陽や月の動きから決められていたことはご存知のかたは多いと思います。月や太陽は、地球との位置により引力が変わり、地球では潮の満ち引きが起こります。地球の約七割が水分と言われていますが、同様に人の体も約七割が水分と言われています。そう考えると、人間も月や太陽の影響を受けることは想像しやすいことだと思います。中国最古の医学書である皇帝内経(こうていだいけい)にも、月が体調に影響を与えることは記されています。つまり、気温、湿度、気圧、太陽、月の変化とさまざまなものを指標にすることにより、より正確に体調管理をすることができます。この体調管理に食事内容を役立てることを『食薬』と呼びます。Information大久保 愛 先生漢方薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田県出身。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。秋田の豊かな自然の中で、薬草や山菜を採りながら暮らす幼少期を過ごし、漢方や食に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として活躍。おうちで食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」を開発。漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の悩みに応えてきた実績を持つ。著書『1週間に1つずつ心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売一ヶ月で七万部突破。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典(KADOKAWA)』、近著に「不調がどんどん消えてゆく食薬ごはん便利帖(世界文化社)」がある。公式LINEアカウント@aika『1週間に一つずつ心がバテない食薬習慣』(ディスカヴァー)。『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典』(KADOKAWA)体質改善したい人、PMS、更年期など女性特有の悩みを抱える人へ。漢方×栄養学×腸活を使った「食薬」を“五感”を刺激しつつ楽しく取り入れられる。自分の不調や基礎体温から自分の悩みを検索して、自分にあった今食べるべき食薬がわかる。55の不調解消メソッドを大公開。©ilkercelik/Gettyimages©Moyo Studio/Gettyimages©Inside Creative House/Gettyimages文・大久保愛
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