言いたいことを文章にするのが苦手なコウですUpload By 丸山さとこ中学生の息子のコウは学校から帰った後、学校で起きたことを話してくれることがあります。その話は友達との間で起きた楽しいことや感心したこと、授業で疲れたこと、部活動で頑張っていることなどさまざまです。楽しい話から愚痴までコウの話を聞くのは面白いものですが、できれば聞きたくない話もあります。「お母さん、〇〇を学校に置いてきちゃった」から始まる忘れ物の話です。置いてきた物のバリエーションは広く、体操服・給食袋・宿題・筆箱・傘・保護者宛てのプリント・水筒などいろいろとあるのですが、先日はコウが「お母さん、ふくらはぎを学校に……」と言いよどんでいたので、思わず「置いてきちゃったの…?」と聞いてしまいました。コウに「そんなわけなくない?」と突っ込まれて「そんなわけないけどさ~!」とひとしきり笑った私。「でもね、今のは完全に『〇〇を学校に置いてきちゃった』のパターンだったじゃない?」と言うと、コウはどうも今ひとつ納得いかないようでした。後日、夫や私の母から「それは『ふくらはぎを学校に置いてきたの?』ってなるね」と言われたことでようやく納得できたコウでしたが、どう言えば伝わりやすかったのか?と考えると、すぐには思いつかないようでした。どうやらコウとしては、話している途中で言葉に詰まらなければ「ふくらはぎを学校にいる途中で小まめに揉んでいた」と言いたかったらしいのです。「学校『に』って言ったから、そのあとが上手く続かなかったんじゃない?ふくらはぎを学校『で』小まめに揉んでた……であれば伝わるんじゃないかな?」と私が提案すると、コウは「確かに!」と、うなずいていました。Upload By 丸山さとこコウは小学生の頃『てにをは』を使うことが苦手で、日常会話や作文などの学習中につまずくことがしばしばありました。ですが、コウ自身に困っている実感はありませんでした。『てにをは』を適切に使わないと相手に話が通じにくいことに、あまり気がついていなかったそうです。そんなコウも中学生になった今では「あれ?」と引っかかるような『てにをは』の使い方はずいぶん減ったと思っていたのですが、「今でもふとしたときに、こんがらがることがあるのだな」と改めて思う出来事でした。「てにをは」が苦手だと、話が迷走しがちになるようです神経発達症(発達障害)がある子どもの中には、『てにをは』の使い分けが難しい子どもがしばしばいると聞いたことがあります。今思い返すと、コウもその一人だったのかもしれません。小学生の頃のコウは、「お父さんが僕にあげてくれたの」などの不思議な『てにをは』の使い方をすることがよくありました。Upload By 丸山さとここれはコウがお父さんからビー玉をもらったときの発言だったため、「お父さんが僕に“あげる”をしてくれた」という文の組み立て方なのかな?と思いました。「”教える”をしてくれた→教えてくれた』『”遊ぶ”をしてくれた→遊んでくれた』などの文と同じパターンの考え方をしたのだと考えると、「コウなりの理屈はあるのだろうな」と感じます。ですが、コウが「お母さんにくれた色鉛筆で塗ったよ」と言って描いた絵を見せてくれたときは、「途中で文がねじれてない?」と首をかしげたくなりました。・お母さんがくれた色鉛筆で塗ったよ・お母さんにもらった色鉛筆で塗ったよという2つの文が、途中で入れ替わってしまったように感じたからです。そのため、コウから言われたときは「あれ?」と引っかかったものの、何がおかしいのかその場では分かりませんでした。Upload By 丸山さとこ会話中の発言というものは、発言そのものだけではなく『相手に関して知っている情報』や『その場の状況』も併せて解釈し、理解するものです。そのため、幼い子どもの疎い発言であっても、周囲の大人はある程度意図を汲むことができます。共にASDとADHDがある私と息子であっても、暮らしの中で共有している情報の多さから『相手が伝えようとしていること』を何となく理解できてしまうところがあります。そのため、コウ独特の言い回しに慣れるまでは、「今の言い方は何か変だな?」と思ってもどこがおかしいのは分からず、突っ込むことができませんでした。意識的にコウの発言を聞きとめるようにすることで、私も少しずつコウの話し方のどこに違和感を覚えたのか分かるようになっていきました。そうして、コウの言いたかったことをさり気なく言い直すことができるようになりました。Upload By 丸山さとこ小学生の頃のコウは指摘や注意に対する反発や混乱が強かったため、「その言い方は間違っているよ」などの強い否定を含んだ言い方は避けるように気をつけつつ、小まめに言い直すことを心がけました。「お父さんにもらったんだね」「お父さんがくれたんだね」「お父さんが『あげる』って言ったの?」などと言い直すことを繰り返すうちに、コウも自ら「今のは、『お父さんにもらった』って言ったほうが分かりやすいかな?」と考えて言い直すようになっていきました。少しずつ変化していった、コウの「てにをは」の使い方このように『てにをは』の使い方があやしかったコウですが、小学校高学年あたりから少しずつ「今のはこう言うといいかな?」と考えて言い直すようになり、中学生の今は不思議な文章をつくることもかなり減りました。「ふくらはぎを学校に……」と言いよどんでしまったのも、コウがある程度『てにをは』を理解してきたからこそだろうと思います。「ふくらはぎを学校で揉んでた」と言いたいところを「学校『に』」としてしまったことで、後に続く言葉が分からなくなってしまったそうです。Upload By 丸山さとこ「少しずつ『てにをは』を使い分けられるようになってきたのはどうしてだろう?」とコウに聞いてみると、「国語の授業で文法を習ったのは大きいと思う。ちゃんとルールがあるんだなって分かった」と答えてくれました。国語の授業で学んだ文法を使って日常生活の中で試行錯誤していくことで、少しずつパターンをつかんできたのかもしれません。執筆/丸山さとこ(監修:初川先生より)「てにをは」の難しさについてのエピソードをありがとうございます。てにをは(助詞)の使い方も難しいですが、おそらくは「主体をどこにおいて最後までねじれずに文を組み立てるか」というところで、つまずきやすかったのかもしれないですね。「お父さんにくれたお菓子」だと、最初は「お父さん」を言っているから、「お父さんにもらった」と自分をそのまま主体で語ればよいのですが、お父さんのイメージが強くなるとお父さんが主体化して「お父さんがくれた」当時の状況から「お父さんにくれた」と混ざってしまった感じがします。すぐに指摘してしまうと反発を生むということで、配慮しながら言い直すプロセスを経て、今やお互いに折々に確認しながら話されるようになったとのこと、何よりです。ただ、これはなかなか高度なやりとりだなと思うので、どのご家庭でもできるかというと、なかなか難しい面もあるかもしれません。「てにをは」の難しさが多く表れる場面はおそらく、修飾語となるときだと思いますが、何かの言葉にかけていく話し方を選ぶのももちろんいいのですが、分けて話すのも1つの道かもしれないとは感じました(「お菓子食べてもいい?お父さんがくれたお菓子」)。中学生になったコウくんは、国語で文法を習うことで、このあたりのルールが整理されてきたとのことも何よりです。国文法を系統立てて習うのは小学生ではなく中学生になってからなのですよね。ただ、学校の授業ではそこまで明示して扱いませんが、小学生用の市販の国文法テキストや作文ドリルのようなものでは、このあたりが扱われています。小学生のうちにと思われる場合は書店でそうしたものをまずは眺めてみていただければと思います(低学年用のものでも、助詞を2択から選ぶ問題などが出ていたりして、分かりやすいです)。あるいは、英文法を習う際に、自動詞他動詞、助詞の扱いを知り、このあたりがクリアされる場合もあるかなと感じました。最近は英単語をイラストや図で理解する本も出ていますが、そうしたもので理解したほうが整理されるお子さんも(中学生以降では)いらっしゃるかなと思いました。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年10月24日2人兄弟を育てるゆーとぴあさん。2歳児健診で長男は言葉が遅いと発達相談を受け、次男は多動傾向がありました。次男は保育センターの親子教室などに自主的に参加して幼稚園に備え、入園当初こそ不安があったものの、すぐに幼稚園に慣れてひと安心。しかし、次男の担任の先生から発達医療センターに行くように告げられ、長男もほぼ同時期に発達医療をすすめられて困惑します。ママ友から通っている幼稚園の園長は支援級をすぐにすすめることで有名と聞かされたゆーとぴあさん。長男の就学のため小学校の特別支援級を見学し、知能検査を受けた結果、普通級という結果に。支援級の覚悟も持っていたゆーとぴあさんは複雑な感情に。長男の検査が終わったと思ったらすぐに次男の検査のため兄弟で病院の診察をすすめられ、2人を連れて児童発達センターへ向かいました。診察を受けて医師にすぐに兄弟それぞれの性質とその対応方法についての助言をもらい、驚くゆーとぴあさん。発達障害は6割は遺伝だと話し、長男と母親(ゆーとぴあさん)はADHDで薬の服用で楽になるだろうとのこと。次男と父親は多動の可能性があり、多動は一定の年齢を過ぎると収まるので大丈夫と言ってくれました。自分は多動でないことから次男の育て方に行き詰まっていましたが、「多動の子は将来働き者」というこの言葉に力をもらったのでした。 「だから言ったじゃないですか」え、そこって大事? ※adhd→ADHD(一般的には大文字で表記されます) 児童発達センターでの診察が終わるとすぐに実施された幼稚園での面談。長男がADHD、次男が多動性障害と診断を受けたことを報告し、ゆーとぴあさんが多動の子は将来働き者になるとの言葉に救われたことも伝えます。しかし、園長は話を最後まで聞くことなく、やっぱり自分の言った通りだと得意げに担任の先生に話していました。 「だから言ったじゃないですかー」病院からの診断結果を受けて、さも自分の手柄のように話している園長を見て違和感を覚えますが、一方で長男と次男それぞれの担任からの報告、病院や検査報告を急かしてくることにずっと疑問がありました。その急ぐ理由が園長からの指示だったことに合点がいきました。 ある日、幼稚園の図書ルームにてPTAの仕事である本の整理をしていたゆーとぴあさん。これまで見かけたことのない本を見つけます。それは園児向けではなく、保護者が読むための発達障害の本でした。そこへ園長がやってきて、その本を入れたのは自分であることと、本が私物であることを話してきました。 さらに園長は自身が発達障害について勉強していることや、発達障害の子が最近増えていること、研究や考え方も変わっていることを話した上で、ひと言、「ゆーとぴあさんも読んでくださいね」はいと答えましたが、言われなくともずっと前から発達障害の本や情報を探し続けているゆーとぴあさんは、またもモヤモヤを抱えるのでした。 ◇◇◇ 病院の診察報告のための面談に幼稚園へ出向いたゆーとぴあさんでしたが、園長は兄弟の診断結果が自分の見たてと合っていることを手柄のように話すことに違和感を覚えます。幼稚園が早めに気づいて専門機関への受診をするように指導をおこなうことも大事ですが、もっと大事なのは医師の助言に救われたように、ゆーとぴあさんの気持ちに寄り添ってあげることではないでしょうか。ママの不安な気持ちにも耳を傾けてほしかったですよね。次の話ゆーとぴあさんの連載は、以下のサイトからもご確認いただけます。ぜひチェックしてみてくださいね。 著者:マンガ家・イラストレーター ゆーとぴあ
2023年10月18日2人兄弟を育てるゆーとぴあさん。2歳児健診で長男は言葉が遅いと発達相談を受け、次男は多動傾向がありました。次男は保育センターの親子教室などに自主的に参加して幼稚園に備え、入園当初こそ不安があったものの、すぐに幼稚園に慣れてひと安心。しかし、次男の担任の先生から発達医療センターに行くように告げられ、長男もほぼ同時期に発達医療をすすめられて困惑します。ママ友から通っている幼稚園の園長は支援級をすぐにすすめることで有名と聞かされたゆーとぴあさん。長男の就学のため小学校の特別支援級を見学し、ウィスク検査(IQテスト)を受けた結果、普通級という結果に。支援級の覚悟も持っていたゆーとぴあさんは複雑な感情に。長男の検査が終わったと思ったらすぐに次男の検査のため、兄弟で病院の診察予約をすすめられました。兄弟2人を連れて児童発達センターへやってきたゆーとぴあさん。診察室に入ると次男はじっとしてられず自由に動きまわり、長男はルールを守らなくても次男が許されることにイライラしています。それを見ていた医師は、2人の対応について的確な助言をゆーとぴあさんにかけてくれました。また、長男に注意不足の傾向があり自分自身もそうであると伝えると、発達障害は遺伝であることが多いと言い、2人ともADHDの可能性があり薬を飲むことですっきりすると教えてくれます。そしてなんと医師自身もADHDだと明かしてくれました。 まさか夫のことを聞かれるとは思わなかったーー 次に次男の様子を尋ねられたゆーとぴあさん。多動がひどいこと、家にいても出ていってしまうため目が離せないこと、自分が多動でないことから次男の気持ちがわからず、育て方に困っていると暗い表情で答えます。 「旦那さんはどんな感じですか?」夫のことを聞かれたのが予想外だったのか、一瞬間を置いてから口うるさいけれど働き者で家事も手伝ってくれ仕事もテキパキこなし、片づけるのが苦手なゆーとぴあさんは助かっていると答えました。 すると医師はなるほどと相づちを打ち、多分夫は多動で次男は夫に似たのだと言い、多動は一定の年齢を過ぎるとだんだんと収まるので大丈夫と教えてくれました。「多動の人は働き者なんです。だから次男くんも将来働き者になって、お母さんを助けてくれると思いますよ」 その言葉にこれまでの苦悩やつらい思い、そして報われた思いが重なり合って涙があふれます。「多動の子は働き者」この言葉がゆーとぴあさんの心の支えとなったのでした。 ◇◇◇ 同じ兄弟の発達障害でも、長男はゆーとぴあさんの性質を受け継いでいるため、子どもの気持ちにも寄り添いやすい面がありましたが、次男の多動については理解が追いつかないと告げました。その次男は家事や片付けが得意な夫の性質を受け継いでいる可能性があり、多動は一定の年齢を過ぎれば収まってくると言う医師。多動の次男は働き者となって将来お母さんを助けてくれるとの言葉に、他人はもちろん家族にも本音を吐き出せなかったゆーとぴあさんの心のこわばりが少し緩みました。これでまた歩み出せるといいですよね。次の話ゆーとぴあさんの連載は、以下のサイトからもご確認いただけます。ぜひチェックしてみてくださいね。 著者:マンガ家・イラストレーター ゆーとぴあ
2023年10月17日2人兄弟を育てるゆーとぴあさん。2歳児健診で長男は言葉が遅いと発達相談を受けます。次男は言葉の遅さに加えて多動傾向があるものの、健診では問題なしとの診断に納得がいかず、保育センターの親子教室などに自主的に参加して幼稚園に備えました。入園当初こそ不安要素がいっぱいの次男でしたがすぐに幼稚園に慣れ、ひと安心。しかし、担任の先生から問題行動の報告があり、発達医療センターに行くように言われ、長男もほぼ同時期に発達医療をすすめられて、就学のため小学校の特別支援級を見学。次に受けるウィスク検査(IQテスト)でほぼ決まるという長男の就学先は、普通級という結果に。すると園長は不服な様子で次は次男の検査をすすめてきてーー。病院から兄弟2人の診察予約が取れたという連絡が入り、次男の担任の先生に報告すると安心した様子。さらに診察結果はすぐに連絡するように伝えられました。予約も診察結果も頻繁に状況確認をしてくる幼稚園。何をそんなに急いでいるのでしょうか? 医師「僕もADHDなので」ーーえ、そうなんですか? ※adhd→ADHD(一般的には大文字で表記されます)※親がADHDの場合、その子どももADHDである可能性は非ADHDの親の場合と比べると5~10倍高いと言われています。親がADHDの場合、50~80%(平均70%)の確率で遺伝するという研究結果もありますが、ADHDは遺伝要因だけで発症するわけではなく、環境要因も組み合わさるとされています。 病院(児童発達センター)を予約してから半年、診察日に兄弟2人を連れて行ったゆーとぴあさん。1時間以上の待ち時間を経てようやく診察室へ。 じっとすることが苦手な次男はすぐに部屋から出てしまうので、スマホを見せようとすると、弟ばっかりズルいと長男。次男はそういう子だから仕方ないと言い聞かせますが、いつもガマンしている長男は納得いきません。結局、次男はプレイルームで待機。 その様子を見ていた医師が、長男は自分はルールを守るのに弟は許されることに矛盾を感じており、それが長男のかんしゃくの一因になる可能性もあるため、ルールは守ったほうがいいと言われます。 ほんの数分で兄弟の状況を見抜く医師に感動するゆーとぴあさん。他に何か困っていることはないかと聞かれ、忘れ物や落とし物など注意不足の傾向があり、自分自身がそうであるため、長男は遺伝かもしれないと思っていると伝えました。 「長男くんは多分ADHDで、ママもそうなんじゃないかなと思います」発達障害の6割は遺伝だと言われていると伝えられ、なんと医師自身もADHDだと聞きゆーとぴあさんは驚くのでした。 ◇◇◇ 幼稚園のすすめにより児童発達センターの診察を受けにきたゆーとぴあさん。兄弟2人を連れてくるのは大変でしたが、医師による兄弟それぞれの特性を見抜いた適切な言葉に感動します。これまで相談しづらかった悩みについて、この先生ならじっくりと耳を傾けてくれそうなので、いろいろ話せるといいですよね。 小児科専門医の松井先生によると、「多動傾向、注意欠陥等の症状は小児科外来でもよく見かけます。ご両親も似たような性格だと感じたり、ご自身もADHDだとおっしゃる方もいらっしゃいます。医師の中にもADHDの人がいて、そういう人は新しいことに積極的に取り組まれており、それはADHDの良い面でもあります。主人公のお子さんも大変なこともありますが、良い面もあることをみてあげることが大切です。周囲の人が困ってしまったり、本人もつらい思いをするのであれば、服薬するのもひとつの手段。それで楽になれば自己評価も高くなり、周りの方も安心するでしょう」とのこと。薬などの使用も選択肢に入れて、ゆーとぴあさん親子が少しでも楽になるといいですよね。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。次の話ゆーとぴあさんの連載は、以下のサイトからもご確認いただけます。ぜひチェックしてみてくださいね。 監修者:医師 神奈川県立こども医療センター 産婦人科 松井 潔 先生 著者:マンガ家・イラストレーター ゆーとぴあ
2023年10月16日環境の変化が苦手で聴覚過敏が強い娘。避けて通りたいNO.1行事は運動会!わが家の10歳の娘は、小3から不登校を選んでいます。6歳で自閉スペクトラム症、ADHDの診断を受けた娘は、元々は「積極奇異型」で、知らない人にもガンガン話しかけていくタイプでした。しかし、幼稚園や小学校で合わない環境で無理をさせたためか過剰適応が激しくなり、周りに合わせられない自分に劣等感を持つようになりました。家庭では、ユーモア溢れる好奇心旺盛で明るい様子の娘なのですが、外では感覚過敏や不安が強くなるという面があります。そんな性格の娘なので、幼稚園の頃から行事が苦手でした。特に運動会!人が多かったり普段と違う環境が苦手であり、また聴覚過敏もあるため、運動会はできたら避けて通りたい行事NO.1でした。集団行動を重視する幼稚園に入園。初の運動会前から癇癪が激しくなり、園に相談したら…幼稚園入園の際、発達障害の知識が全くなかった私は、(就学に備えて集団行動に慣れさせるほうがいいだろう)と、多動傾向が強い娘を集団行動を重視する幼稚園に入園させました。入園直後から毎日激しく行き渋り、無理やりバスに乗せる日々。娘はさぞかしストレスを感じていたと思います。そして運動会前になると練習で疲れているのか、帰宅後にひどい癇癪を起こすようになりました。Upload By ユーザー体験談幼稚園に相談したのですが、みんなと同じようにやるということを大事にしている園だからなのでしょう、心無い言葉を投げかけられてしまいました。配慮を受けるどころか、逆に娘に練習を無理強いするような形になってしまいました。もちろん癇癪は増える一方……。そして運動会当日、娘が出るお遊戯の時間では、最初だけは少し踊っていたのですが、すぐ踊りもやめぼーっとただ立っているだけ……。(このままずっと立ってるだけなのかな……)と固唾をのんで見守っていると、急にしゃがみこんだと思ったら、園庭の砂をいじりだしました。(ああ、やっぱりお遊戯は難しかったか……)と思いました。Upload By ユーザー体験談ただ、年少さんの時はほかにも同じようなことをしているお子さんも多かったため、私自身はあまり問題に感じなかったのです。きっと来年には成長して参加しているよね、というくらいでした。特別支援学級では、教室の床にステップの足型と番号のシールを貼ってダンスを特訓その後、年中の運動会では目立ったことはなく無事に終了、年長ではリレーでの入場直前に大泣きして断固拒否!結局不参加となりました。この頃には娘に特性があるかもしれないと分かっていたので、就学相談を経て、娘は少人数で個別対応してもらえる特別支援学級に入学しました。これでどうにかやっていけるかと思ったのですが、娘は学校という場に馴染めず、入学後まもなく行き渋りがはじまり、小3からは完全な不登校となりました。聴覚過敏のため学校のどこにいてもうるさいと感じてしまうことや、触覚過敏で教科書やノートや粘土などさわれないものが多いことも、学校がつらい原因だったと思います。ただ、特別支援学級では手厚く見てくださり、小1のときの運動会前は通常学級より早くからダンスを教えていただくことができました。教室の床にステップの足型と番号のシールを貼るなどの工夫をして教えていただいたおかげで、苦手なダンスも覚えることができた娘。苦手ながらも前向きに取り組むことができ、この年が一番自信をもって臨めた運動会だったと思います。Upload By ユーザー体験談聴覚過敏も不安も強いため、運動会自体は楽しくはない様子でしたが、コロナ禍で短時間の運動会だったためどうにか乗り切りました!運動会で倒れてしまった娘。娘が書いた渾身の作文には……。小2では、前年の様子を踏まえてくださった先生から、自分の出番以外は空き教室で過ごすことを提案していただきました。これ幸いと、運動会中は私が付き添って教室で過ごし、出番の時だけ入場門に連れて行って参加することができました。無事参加できてよかったと思ったのも束の間、自分の番だけでも極度に疲れてしまった娘は、教室に戻る時にはぐったり……。そして床に倒れ込んでしまいました……。こんなに疲れてしまっていたなんて……娘にとって運動会は本当に、本当につらいものなのだと、可哀そうになりました。もっと理解しなければと、運動会に出ること自体を見直した方がいいと思いました。Upload By ユーザー体験談そして運動会後、娘は「運動会」をテーマに作文を書きました。内容は「運動会がどんなに嫌だったか」。その渾身の文章からは、本当に嫌で嫌でたまらなかった娘の気持ちが伝わてきました。先生からは気持ちがよく書けていると褒めていただきました。これもあって、翌年は運動会自体を欠席してもよいのではないかと先生とは意見が一致。(もう一生この子の運動会は見られないかも……)と思うと、寂しい気持ちがないことはないのですが、娘にとって運動会はただのつらい行事です。娘が今後運動会に参加するつらさを味わわなくていいことのほうが、よほど喜ばしいことでした。現在不登校の娘、今は親子でハンドメイド作家として活動中!小1・小2の頃は行き渋りがありながらも、担任の先生が娘の気持ちに寄り添ってくださる方だったので、休み休みどうにか学校に通えていました。しかし、小2の終わりでその先生が異動されてしまうと娘はどんどん学校に行けなくなり、小3の6月から完全に不登校になりました。現在の娘は、家で安心して過ごせているようです。そして、家にいる時間を利用して親子でハンドメイドを始めました。娘とのハンドメイドの時間は楽しく、かけがえのない時間です。今では親子でハンドメイド作家として毎月イベントに出店するようになりました!娘にとって運動会はつらい行事でしかありませんでした。小3では「運動会に出ましょう」と言われるのではないかと不安に感じていましたが、特にそのようなこともなく、親子ともにほっとしました。娘には感覚過敏や自分の特性を理解して受け入れて、自分に合う環境を選んでいけるようになってほしい。そして、自分のやりたいことを自分で見つけて、めいっぱい人生を楽しんでもらいたいと思っています。私も娘によりそい、できる限り支えていきたいと思います。イラスト/keikoエピソード参考/MIKKO(監修:鈴木先生より)ASDのお子さんは、園の発表会を皮切りに小学校では運動会の嫌いなお子さんが多いようです。特に同じことを繰り返す練習の嫌いなことが多いのですが、さほど練習していなくてもASDのお子さんは本番には強いという特徴が見られます。こういう行事が嫌いな理由の一つに大勢の人が来て見られるのが嫌という対人恐怖や視線恐怖(社交不安症)があります。日頃からクラス代表で発表したり、日直をしたりすることが苦手なことが多いのです。周りから注目されるのを嫌う傾向があります。また比較的多い理由のもう一つに音過敏もあります。特に運動会はピストルの音やスピーカーで流れる大音量の音楽やマイクのキーンという音などを特に嫌がります。おまけとして運動会後に疲れのせいか不登校になるケースも多々見られます。ただでさえ2学期は期間が長いので行事も多く疲れやすいのです。特に起立性調節障害を併存しているお子さんには馬力がないため不登校が多くみられます。運動会の嫌な子には文化祭という選択肢があってもいい時代にそろそろなってきたのではないでしょうか。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年10月14日【幼稚園年少の頃】運動会で何をやるのか分からない現在幼稚園年長の息子はADHD+ASDの傾向があり、5歳の時にグレーゾーンと医師から言われています。そんな息子は年少クラスから幼稚園に入園し、先生方のサポートのおかげで楽しく園で過ごせているようでした。そして、幼稚園に入園して初めての運動会の季節がやって来ました。息子は年少の頃から集団行動が苦手で口頭指示が通りにくかったので「みんなと一緒に行動できるのかな……?」と不安もありました。でも、親としては初めての運動会をとても楽しみにしていました。しかし運動会の日が近くなっても、息子はなんの競技や演目をやるのか教えてくれません。Upload By ネコ山結局運動会の1週間前になっても息子に聞いても分からず、しかたなく幼稚園の先生に聞くとダンスと徒競走をやることが判明。また入場行進では、担任の先生か補助の先生が息子と手を繋いでくれるとのことでした。3歳の頃の息子は目についた興味のあるものに突進していました。運動会の行進中も列から離れて行きかねないので、手を繋いでもらえて助かるなと安心しました。Upload By ネコ山【幼稚園年少】初めての運動会当日がやってきた!息子にとって初めての運動会の日がやって来ました。朝、息子に「運動会頑張ってね!」とエールを送りましたが、反応が薄い。果たして息子は今日が運動会ということが分かっているのだろうか……。運動会が始まると、手を繋いでもらいながらニコニコで入場する息子。徒競走も元気いっぱいに走り切っていました。しかし、年少クラスのダンス演目ではほとんど踊らず、足元の砂をいじっていました。少しがっかりはしましたが、迷子になったり急に走り出したりしていた未就園児の頃の落ち着きのない息子を見てきた私としては「その場を離れなくてエライ‼︎」と心の中で拍手喝采でした。Upload By ネコ山【幼稚園年中】運動会前、荒れる息子年中クラスに進級し、2度目の運動会の季節が来ました。この頃は落ち着きのない姿は大分薄れ、こだわりや癇癪、切り替えの悪さが目立つ時期で、息子の接し方に大変苦労していました。例えば、幼稚園でも自由遊びの時間が終わると癇癪を起こしたりなど……。運動会の練習が始まると、息子自身も練習がキツいらしく、日に日にイライラするように……。家や幼稚園で、ちょっとしたことでも癇癪を起こすようになりました。夏休み前までは自由に遊べていた時間に、毎日毎日したくもない運動会の練習をしなくてはならない。指示されたことをやるよりも、自由に自分の考えたことを形にすることが好きな息子にとって、運動会という行事は苦行だったのかもしれません。そんな息子の様子を見ていたので、年中の運動会はどうなるのか……まさかボイコットしたりしないよね……!?と不安でした。【幼稚園年中】不安で迎えた運動会当日とうとう不安な運動会の日が来ました。朝、息子に「お母さんたち応援してるよ!」とエールを送りましたが「……うん」と、生返事が返ってきました……。運動会が始まると、昨年とは違い一人で入場行進する息子。しっかり集団行動している姿に成長を感じましたが、その表情は暗く……。それからもダンスや徒競走、年中クラスの競技をそつなくこなす息子でしたが、閉会まで終始無表情でした。また、競技の入れ替えに伴い園児が移動する機会が多く、切り替えが苦手な息子にとってはイライラポイントが貯まるようでした。癇癪を起こさず、ずっと我慢していた息子でしたが、運動会閉会後は年中さんのお部屋で大爆発していたようです。どうやら運動会は楽しめなかったようですが、やることはやっていた息子。とても偉いと思います。Upload By ネコ山もうすぐやってくる、年長の運動会は……??昨年の年中の運動会での経験から、年長になった今年も、運動会の練習時期は荒れそうな予感がしています。しかし、年中の頃と比べて切り替えが格段に上手になってきていることや、息子から「今日はダンスをやった」とダンスの振りを見せてくれたり、運動会の話をしてくれたりするので、もしかしたら今年は息子も運動会を楽しめるかもしれません。年長クラスになると運動会での競技や演目が増えるからか、降園後は疲れをみせている息子。幼稚園最後の運動会に向けて、見守っていきたいなと思います。執筆/ネコ山(監修:室伏先生より)年齢ごとの運動会のエピソードと、息子さんの成長のご様子を共有してくださり、ありがとうございます。ADHDやASDの傾向があるといっても、困りごとや苦手なことはお子さんによって違いますし、年齢によっても変化していきます。その中で、できていないことにばかり目が向いてしまい、焦りや不安が募ってしまうことも少なくないと思います。年少さんの時の息子さんはダンスは踊らなかったけれど一生懸命その場に留まり、年中さんの息子さんは楽しめなかったけれど一生懸命競技をこなされたのですね。いろいろなストレスがありながら、一生懸命頑張られた息子さん、素晴らしいです。そして、きっと不安などもあったでしょうに、息子さんのできていることに目を向けられて、あたたかく見守られてきたネコ山さんのお気持ちが素晴らしいと思いました。今年こそは、息子さんが心から運動会を楽しめるよう、私も応援していますね。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年10月11日発達のゆっくりな息子に、母としての自信を失い、育児の楽しさも感じられなくなっていた頃自閉スペクトラム症(ASD)・ADHDと診断されている長男ハル(高1)がまだ1歳半だった頃のことです。当時の私は、言葉や運動面の発達がゆっくりで、落ち着きのないハルの育児に悩み、母としての自信をすっかり失くしていました。自信が持てない中でも、もちろん毎朝「今日も頑張らなきゃ」と気持ちを保とうと必死でしたが、次第に「どうしたら“子どもを可愛い”って、純粋に思えるんだろう」と、そんなことすら分からなくなっていきました。母としてハルに何ができるか、家の壁にリストを書いて貼ったり、自分だけで試行錯誤する日々。そもそもこんな私を、ハルは「ママだ」と思ってくれてるのだろうか……。心の中では自信が持てぬまま、毎日の育児は忙しく怒涛のように過ぎていきました。Upload By 安田ふくこ2歳で運動面の発達が進むも、今度は多動に振り回され……2歳になった頃、ハルは歩くことも走ることも急激に上達してきましたが、今度は少しでも目を離せば、道路などへ飛び出していってしまうようになり、私は常に神経を尖らせていました。危険がなく、人になるべく迷惑のかからない動き回れる場所を日々必死に探し、落ち着きないハルの行動を制して、周囲にはペコペコ謝りながら日々を過ごしていました。外遊びや買い物から帰宅しても、何度も私を呼んでは手を引き、電車のおもちゃやブロックで一緒に遊びたがるハルに付き合って、家事はちっとも回らずにたまる一方……。Upload By 安田ふくここんな調子でハルに振り回されていた私とは対照的に、仕事から帰宅してすぐにソファに座り、テレビを鑑賞しながらリラックスしてお酒を飲んでいる夫。ついイライラして「家にいられる時間は、もう少しハルと遊んであげてよ」と不満をぶつけたことがありました。ですが、その頃の夫は仕事のことで頭がいっぱいだったので、「じゃあ俺はいつ自分を休めることができるんだよ!?育児とか家事とか……ふくこは母親ならできて当たり前なことを、なんでそんなにできないわけ?俺だって仕事が大変なんだ!」と、夫婦で言い合いになってしまいました。そんなことがあったって、当然次の日の朝は来る。毎日「今日私はハルに何ができるか」を考え、ただ頑張るしかありませんでした。2歳8ヶ月で2語文を話すように。息子に初めて「パパ」と呼ばれた夫は……転機となったのは、ハルが2歳8ヶ月を過ぎた頃。この頃になって、やっとハルは2語文くらいしゃべるようになったのです。意思の疎通がしやすくなるし、私はもちろんうれしかったのですが、夫はそれ以上にうれしかった様子でした。ある日、私に向かって、「こんなこと言ったら叱られるかもしれないけど……ハルに『パパ』って言われて、正直やっっっと『父親としての実感』が湧いてきた。多かれ少なかれ、男ってこういうところあるよな。いや~本当申し訳ない!」などと言ってきたのでした。私もその頃は夫の気持ちを優先しなければと思っていたし、夫も素直に気持ちを打ち明け謝ってきたので、どこかモヤっとしつつも笑っていましたが……。Upload By 安田ふくここのセリフは、今だったら怒ってしまうかもしれません!私だっていくら体は母親になったといっても、初めての妊娠は分からないことや怖いことだらけでした。毎日どんなに気をつけて過ごしていたか。さらに子育ては全然育児書通りになどいきませんでしたし、発達に遅れがあればなおさら悩みます。当時はインターネット検索もほとんどできず、今のように情報もないまま、私は自分の育児が正しいのか不安でいっぱいになっていました。そんな私に対して無自覚でも追い詰めるようなことを言ってきたにもかかわらず、夫ときたら……「今頃ようやく父親の実感って……遅いだろ!」と過去に戻ってツッコミたい気分です(現在は遠慮なくツッコんでます)。言葉の発達が進み、だんだんと育児の楽しさを感じられるように。でも、同年代の子どもとの発達の違いには気づかず……周囲からは遅れながらも、2語文以上おしゃべりができるようになってからは、以前よりもずっとハルが何を考えて行動してるのか分かるようになりました。「◯◯、行ってみたい」「□□、好き」と言われれば好みもすぐ分かるし、「△はイヤよ!怖いからぁ」と言われれば、次からは避けることもできる。そうはいっても、じっと黙って意味不明なときも多かったですが……そんなときは「ハルは何を考えているのだろう?」と一緒に考えました。うれしそうなハルを見て「よかったねぇ」と言えば、「ママ、ありやとう(ありがとう)!」と満面の笑みを返してくれる。そんなやり取りだけで心がとても温かくなり、初めての育児に対して抱いていた孤独感は、少しずつ薄れていきました。ですが、ママ友など周囲とのお付き合いを自ら遠ざけていたため、ほかのお子さんと比較して苦しむことも少なく、ハルの成長を喜ぶことができていた反面、『微妙な』会話のキャッチボールのしづらさや、こだわりの多さなど……ハルと同年代の子どもたちとの違いに、私はなかなか気づいてやれませんでした。幼稚園に入園。周囲との違和感を感じたけれど、「よくある個人差」と言われ……幼稚園は、「とにかく外遊びが好きなハルには、園庭が管理されてて広い所がいい。ほとんど私としか過ごしてなかったから、たくさんの先生や友達と出会えると良いだろうな!」そう考えて、先生も生徒も人数が多く、園庭が広くてステキな園を選びました。入園前の三者面談ではハルの発達について特に指摘はありませんでしたし、入園してからも先生側からは何も問題視されていませんでした。ところが、ハルが幼稚園に入園してしばらくすると、私は周囲との違和感を感じるようになりました。他害や暴れるなどの内容は一切なかったのですが、噛み合わない一方的な会話をしたり、みんなで自由遊びをする時間になると1人でウロウロしていたり、スキー教室での靴の履き方など(つまりいつもと違うことがあると)、なかなか覚えられなかったり……。夫や実母に相談しても、やはり「子どもなんて皆そんなもんでしょ。コミュニケーションはうまく取れなくて当たり前。障害だなんて……考え過ぎだよ!」とその時も言われました。園の先生や保健師さんに相談しても「そうですか?うーん、発達に遅れなど特にないと思いますけど。子どもには、みな個人差がありますし!」としか返されませんでした。この当時は私自身も、周囲からそう言われれば「また……私の考え過ぎだ」と思ってしまったのです。Upload By 安田ふくこ発達に関して、どこまでが『個人差』で、どこからが『障害』なのか。それはハルが大きくなった今でも、自問することが多いです。幼稚園では目立った困りごともなく、集団行動もできていたハルは、幼稚園を卒園して地元の公立小学校の通常学級に入学しました。私は違和感を感じながらも「小学校もきっと大丈夫だ」と自分に言い聞かせていました。しかし……恐れていた通り、小学校に入学したハルには、大きな試練が待っていたのです。ハルの小学校生活については、また別の機会に書かせていただきます。執筆/安田ふくこ(監修:初川先生より)ハルくんの幼児期の様子、そしてハルくんの子育てに奮闘されるエピソードをありがとうございます。ふくこさんも書かれている通り、母親は妊娠中から分からないことが多々立ち現れ、そのたびに不安になったり、どうにか対処してやり抜いたり。母としてわが子にどうしたらよいのかを(これも個人差はあるとはいえ)ずっと考えながら生活していますね。お子さんと過ごす時間が長く、お子さんの成長を小さな目盛りで見つけられる良さがある反面、それは、周囲の同年代のお子さんたちとの差にも気づくほどの観察眼を持つということでもあり、特に、教科書通りの発達・発育とは違う経過をたどるお子さんを育てている場合はそのあたりがつらく感じてしまうことがありますね。そういうとき、もっとも身近なパートナーたる夫という存在には、その不安などを一緒に抱えてもらえるだけで、気になること自体はすぐに消えずとも、また頑張ろうと思えることもありますが、しかし、ふくこさんの場合には、ハルくん幼少期はそのあたりが共有できなかったのですね。私は読んでいて夫さんに軽くイライラしたり、横からツッコミを入れたくなる気持ちになったりしましたが、ただ、同じような境遇で孤軍奮闘しながら頑張っている読者の方々もいらっしゃるのではと思いました。今まさに幼児期のお子さんを育てている読者の方にお伝えしたいところで言うと、さまざまな不安や懸念に対して、ご家族や園の先生などと相談などされる際に、特にご家族に対してなどは「障害」という言葉を出さずにその不安や懸念、また「ほかのお子さんとの違和感」を語られたほうが、もしかしたらうまく伝わりやすい面もあるかもしれません。それほど未だに「障害」という言葉の持つ威力やそれぞれの理解、イメージには差があり、その言葉自体が相談によって安心する繋がりを得ることの障壁になる面もあるかもしれないと感じます。また、園の先生や支援職の人の「大丈夫」「気にするほどではない」といった言葉が安心につながることもありますが、大丈夫だと思えないから相談しているのにという前提を振り返ると、意外と安心につながらなかったりしますよね。子育てこれで大丈夫、この子の育ちこれで大丈夫と思えないからご意見をうかがっているわけで……。大丈夫と思えない母の気持ちに寄り添いながら、一緒に子育てを見守ってくれる(大丈夫という言葉で終わらずにその後も不安になったら、違和感を感じたら都度話せる)関係の人が見つかるといいなと思いました(これは支援職である私自身への自戒の言葉でもあります)。お子さんの様子を細やかな目盛りで見てくださっている養育者の方の気づきは、とても意味のある、そして大切な気づきだと思っています。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年10月07日子どもらしいと思っていた「好奇心」が、「周り迷惑をかけるもの」という心配事に変化していった乳幼児期現在6歳(小1)の息子は、5歳でADHD、自閉スペクトラム症(ASD)と診断を受けています。好奇心が強く真面目、こだわり強めの息子です。赤ちゃんの頃から息子は好奇心旺盛で、目についたものは触る、口に入れる、ボタンを押す、キッチンに忍び込んで粉類や米をぶち撒ける、トイレに手を入れてバシャバシャする、トイレットペーパーやティッシュを全部出して散らかす……と元気いっぱい!これも成長だと思って、周りに迷惑にならなければどんどんやって構わないと考えていた私は、息子の気の済むまでやらせていました。特別発達面について気になるところはなかったのですが、1歳半健診の時、言葉の遅れについて指摘を受けました。息子は当時5、6個程度の単語(パパ、ママ、ごはん、お水など)と、「ま」の一言でいくつかのものを表していたためです。この健診の流れで個別発達相談を受けるよう提案されたので、以降そちらに通うことになりました。その後、どんどん語彙も増えて行き、ひらがな、アルファベットすら読めるようになり意思疎通も問題なく行えていたのですが、2歳過ぎた頃から、ほかの子どもと比べると、一つの遊びに集中できず、あるおもちゃで遊び始めたと思ったらすぐ別のおもちゃで遊ぶなど、落ち着きがない様子が気になるようになりました。そして3歳以降は好奇心からか公園で知らない大人に話しかけたりしつこく質問するように。また、お友達に噛みつく出来事があったり、お友達が作ったものを壊してしまったり、息子の好奇心が「周りに迷惑をかける」ことが増えていったのです。Upload By ユーザー体験談私は息子からなるべく目を離さず、息子が行きそうだなと感じたらストップをかけ、周りの人たちに気を遣い動く日々を過ごすようになりました。先生「残念な結果になった」。撮影が入りビデオ販売が予定されていた発表会で息子が……幼稚園入園後、息子は集団行動ができず教室から出てしまったり、順番待ち、お遊戯などを嫌がって泣いてしまうことが続きました。毎日のようにお迎えの時に先生から本人の目の前でできなかったことややってしまったことの報告を受けました。迎えに行くといつもニコニコして外を見ていた息子でしたが、次第に窓際には居なくなり、帰りのお支度ができずに教室の端に残されて泣いていることが多くなりました。撮影したビデオの販売が予定されていた発表会で息子が動いたために、ほかの子どもたちの視線がそちらにいってしまい、「残念な結果になった」と先生から言われました。そして、入園して5ヶ月たった頃、年中になると補助の先生が居なくなるので登園しても職員室で過ごすことになるなど、実質退園勧告を受けるようになりました。周りに発達障害の子どもを持つママ友もいませんでしたし、保健所の発達相談で初めて「療育というのがありますよ」と教えてもらったものの、療育のリストはくれましたが詳しいことは教えてもらえませんでした。私も知識が全くなく、どう質問したら良いのかさえわかりませんでした。ひたすら『発達障害』というワードをネットで調べたところ、とにかく療育を受けさせる必要があると思いました。発達支援センターは初回面談が半年以上先、療育はどこもいっぱいで……。でも、ネットで情報を集めて、なんとか空きのあった所に申し込みました。転園先も主にネットで検索し、障害児を受け入れて加配を付けられることを条件に探し、見学と面談をしてそちらに移ることになりました。この幼稚園と療育につながり、私は発達障害への知識を得ていきました。Upload By ユーザー体験談小学校では「ほかの子と違う対応はするべきでない」と断言する担任の先生に落胆そして小学校へ入学、初めは何とか授業にも参加できていたと思っていたのですが、7月に校長、副校長、担任との面談が行われ、「癇癪を起こして授業が止まってしまう」「癇癪の原因は分かりやすいが、ほかの子と違う対応はするべきでない」と担任の先生から断言されてしまいました。面談の席での発言なので、学校側の総意なのだと解釈しました。Upload By ユーザー体験談担任からは入学直後の面談で「特別扱いできない」とも言われていましたので、私もあまり要望はしておらず、全体のルールを変えるなどの対応は不要と伝えてはいました。ですが、個別の配慮もここでは特別扱いになってしまうのかと、この発言を聞いて今のクラスはで息子を受け入れてもらえないのだと落胆しました。私は5月まで授業中に付き添いもしていました。そこでたびたび目にしたのは、先生が何度か注意しても、なかなかやめられないときは校長室まで引き摺られて行き、先生たちから怒られるという場面です。息子は、その経験からまた同じようなことをされるのではないかという恐怖を抱くようになり、学校に対する不安が強くなっています。勘違いされて怒られたこともありました。息子に対して、担任の先生は常にイライラしている様子が伺えました。もう、息子の存在が受け入れてもらえないのだなと感じました。そうこうするうちに、校長から「この学校には特別支援学級がないので、別の学校の特別支援学級を見学してみてはどうでしょうか」とすすめられました。小学校は味方の居ない場所に……。通常学級でがんばる?引っ越す?私がした決断は確かに、息子は衝動性からクラスの子どもを傷つけてしまう可能性がありますし、癇癪で迷惑をかけているということを申し訳なく思っていました。でも、癇癪を起こすのは教室だけです。自宅、療育、通級指導教室では落ち着いて過ごせていました。特性を理解してもらえない、配慮なくみんなと同じように同じことを強要されても、息子には難しかったのでしょう。公立校なのでさまざまな制限があるのもわかりますし、もちろん息子だけに対応するのは難しいことは理解しているつもりですが、面談で話を聞いてとても悲しくなりました。今住んでいる自治体の特別支援学級は情緒学級がなく、知的学級しかありません。情緒学級のある自治体への引越しも考えましたが、すぐには動くことができない状況です。息子は知的面での遅れはなく、むしろ今は勉強したいと意欲的です。できれば配慮を受けて勉強をさせてあげたいのですが、それでも今の学校にいたら、息子の味方が居ない場所で無理をすることになります。担任の先生が配慮しないと断言した以上、苦しい状況にいても成長に繋がらないと考え、本人は嫌がりましたが情緒級の特別支援学級のある自治体へ転校することに決めました。それしか選択肢がないと思いました。Upload By ユーザー体験談息子の心を傷つけてしまった……。いつか楽しい時間が記憶として残る環境に息子を置いてあげたい私は、息子の発達障害を受け入れていたつもりでしたが、どこかほかのの子と同じような経験をして成長して欲しいと言う気持ちがあり焦っていたのだろうと思います。今回、幼稚園に続いて小学校も変わるという経験をさせてしまい、息子の心を傷つけてしまいました。特別支援学級では息子の気持ちをよく考えながらのんびりと成長を見守っていけるようにしたいです。多少のことは笑顔で対応してあげたいです。将来はどうなっていくのか今は想像もつきません。私自身も不安しかありませんし、どう育って欲しいかも具体的に考えられませんが、近い将来、今までの嫌な記憶が少しでも和らいで、楽しい時間を過ごして、それが思い出として記憶に残ってくれたらと思います。穏やかに過ごせる環境に、息子を置いてあげたいです。イラスト/taekoエピソード参考/なのはな(監修:藤井先生より)貴重な体験談を読ませていただきありがとうございます。息子さん、親御さんのお気持ちが伝わってくる内容でした。発達障害があるお子さんへの合理的配慮を推進する法律が施行されたのが、平成28年4月です。しかし、障害のあるお子さんへの合理的配慮が細やかにされているかというと、まだ自治体によっては知的障害がない発達障害へのお子さんへの配慮がまだ行き届いていない様子も伺えます。主治医からの意見書や診療情報提供書などで、学校との連携をとられている方もいらっしゃいます。もし、主治医がいらっしゃる場合には、相談されるのも良いかなと思います。息子さんが少しでも穏やかに過ごせる環境が見つかることを願っています。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年10月05日息子のハジュは3歳の時に自閉スペクトラム症と診断されました現在小学3年生のわが家の長男ハジュ、赤ちゃんの頃はとてもよく眠る子でした。お腹が空く時間になってもまったく目覚める気配がなく、よく起こして授乳をしていました。あるとき、何度起こしても目を覚まさないため、寝ているにもかかわらず授乳をしてみたら……口からミルクがダバー。あとになって分かるのですが、ハジュには感覚鈍麻があったようで空腹や満腹の感覚がかたよっていたのかもしれません。そして、いつも上機嫌!あやさなくてもニコニコとよく笑い、誰もいない場所に向かって笑っていることもあったので妖精さんでも見えているのかな?と思っていました(のんきな母)。夜泣きもそれなりにありましたが、基本的によく寝る子どもだったので、とても育てやすく感じました。今思えば、いつもニコニコしているので呼びかけに反応していると思い込んでいたのかもしれません。Upload By スパ山まるで爆弾!?急な癇癪、吐くまで泣き続けた1歳を過ぎた頃なんか変だな?と思ったのは1歳を過ぎた頃でした。3歳年上の長女が1歳だった頃に比べて、意味のある言葉は何も話さないし、指さしもしないことに気がつきました。そして、何か気に入らないことがあると、激しく頭を壁や家具にぶつけたり、地面へ叩きつけたりしていました。しかも、何が気に入らないのかが親にはさっぱり分からない。まるでいつ爆発するか分からない爆弾を抱えているようでした。スイッチも解除方法もわからない!吐くまで泣き続けていました。「誰か爆発物に詳しい方はいらっしゃいませんかー!?」と叫び出したいような状況でした。かかりつけの小児科の先生に予防接種のついでに相談したところ「まあ、男の子はいろいろ遅いって言うから」と言われ、「なるほど男の子とはそういうものなんだ」と思っていました(のんきな母再び)。Upload By スパ山遅れて受けた1歳半健診……療育と出合う転勤族のわが家は、1歳半健診のタイミングと引っ越しがかぶり、現住所でも転居先の健診日でも、1歳半では受けることができませんでした。ようやく受けることができたのは、ハジュが1歳11ヶ月の時でした。そして健診の日。健診会場にいるのはほとんどが1歳半の子どもたち。お膝に座って絵本を読んだり、「かして、どうぞ」とお話する子どもまで……!えっと、確認ですがみなさん生まれて1年と半年ってことでOK?と混乱する私。いっぽうで息子のハジュは広い会場に大興奮!端から端まで走ったり、机に上ったり。落ち着かせようとしても、空を舞う竜のごとく腕の中を通り抜けてあっという間に廊下へ!!長女も1歳半健診は受けていますが、明らかにハジュは何かが違う……感じたのでした。健診で診察をしてくれたお医者さんが「え!?もうすぐ2歳!?一個も言葉出てない!?」と驚いたように話したことで、「男の子はいろいろ遅い」説は一体なんなんだ!?みんなこうじゃないの!?と、どんどん不安になっていきました。そして心理士さんと面談し、療育と出合うことになったのでした。Upload By スパ山やっと出た自分の言葉!3歳の頃3歳になったハジュは、グループ療育に通いつつ、地域の幼稚園に入園しました。この頃は、石や砂、粘土、ビーズなどを口に入れるようになり、加配の先生についてもらい、危険のないように園生活を見守っていただきました。そして幼稚園入園後、ずっと喃語状態だったハジュが「(は)い!」と返事をするように。みるみる言葉が増え、不明瞭だったり、オウム返しだったりしながらも、受け答えできるようになってきました。数字も大好きになり、「おかあさん」より先に1~100を言えるようになりました。いっそのこと私の名前を数字に改名したかったです。そして初めておしゃべりらしい言葉が出たのが「今日の給食なんだった?」に対しての「すっぱらっちぃ(スパゲッティ)」です。はい、もう耳を疑いました。大号泣です。(あまりにもうれしくて「スパ」を取って現在のペンネームにしました。そしてしょっちゅうスパゲッティが食卓に登場)Upload By スパ山現在は特別支援学級へ現在ハジュは、地域の小学校の特別支援学級の3年生です。相変わらず数字が大好きで、お友達もたくさんでき、元気に過ごしています。私も、信頼できる先生や、SNSを通じてママ友と出会うことができ、みんなから支えられてひとりじゃないんだなと思うことができました。こんな私たち家族の日常をお届けし、「自分だけじゃないんだ」と少しでも共感してもらえるような記事を書いていけたらと思っております。そして、あわよくばクスっとしていただければ幸いです。執筆/スパ山(監修:室伏先生)ハジュくんの乳児期から現在に至るまでの成長のご様子を、お母様のお気持ちを交えて共有くださり、ありがとうございました。発達障害を抱えるお子さんの多くは、乳児期には特性が分かりづらいことが多いです。乳児期を過ぎると、違和感やあれ?と思うことが増えていくのですが、親御さんは、療育や診断に繋がり見立てや診断がつくまで、不安や戸惑い、迷いなどを感じられ、診断がついてからは落胆や見通しがたたない先々への不安など、さまざまな想いを抱えられると思います。それらを乗り越えて、頑張られている親御さんのお気持ちやその変化、そしてハジュくんの成長の様子や、毎日を楽しく過ごすハジュくんの今を共有くださることは、多くの親御さんにとって安心や励みになることと思います。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年10月03日好きなことには過集中!やるべきことには注意散漫!Upload By 丸山さとこ現在中学生の息子コウには、ASDとADHDがあります。ADHDの特性によるためなのか、意識的に集中力をコントロールして物事に取り組むことが苦手です。趣味に関しては過集中して寝食を忘れて取り組むいっぽうで、宿題など『意識的に集中しなくてはいけない作業』では、雑談を始めたり消しゴムをコロコロ転がしたりして気が散ってしまいがちです。コウは書字が遅く疲れやすいため、小学校の宿題では漢字の書き取りなど『書く量』の多さで苦戦していました。高学年になると書き取りノートのマスの数も増えるため、3~5行書いたところでコウの気持ちが折れてしまうようになりました(日によっては5文字程度で力尽きてしまいます)。そんな様子を見ていた私は「苦手な作業だし、集中しづらいのも無理はないのかな」と思っていました。ところが、中学生になった今、コウは「宿題は嫌じゃない」と言います。なぜなら、中学校の宿題はプリントが主体のため、小学校の宿題に比べて書字の量が少ないからです。実際、コウは宿題を進めながら「興が乗ってきた!」と言うこともよくあります。そんなときは、数分で宿題を終えることも珍しくありません。でも、宿題が進まない日ももちろんあります。進まないなかでも、グニャグニャしながらも頑張って机に向かっているコウを見ていると、「集中できるか否かは、コウ本人にとってコントロールが難しいことなのだろう」と感じています。宿題が、出せないままに、はや中2……(五七五)Upload By 丸山さとこ私は実家が遠方にあるため、夏休みと冬休みはコウをつれて1~3週間と長めの帰省をしています。その間は私の外出中などは、私の母がコウを見ていてくれることがあるのですが、先日帰省した際は「コウ君宿題してるみたいだけど、さっきから伸びたり縮んだりしているだけで全然進んでない」と母から報告の電話を受けて笑ってしまいました。グニャグニャしながら机に向かい、伸びたり突っ伏したりを繰り返しているコウの姿が目に浮かぶようでした。Upload By 丸山さとこそんなコウの宿題風景を前にしても、最初私の祖母だけは「こっちに来たときくらいノンビリしたらいいよ」と言っていました。ですが、滞在して数日たつと、そんな祖母まで「コウ君、宿題しなくて大丈夫かね?」と言うようになりました。コウの周りの大人たちがつぎつぎとしびれを切らしていくのを見ると、「コウの宿題を見ていて焦るのは私だけじゃないんだ!」と、少し面白くなりました。それでも、コウの宿題への取り組み方や集中力のなさを『やる気や真面目さの問題』にはしたくないと私は考えています。というのも、コウは小学校高学年の頃『宿題が進まない』現実と『宿題は絶対やらなければいけない』という考えと、『宿題は苦痛なのでやりたくない』という思いとの板挟みに合い、気持ちが不安定になったことがあったからです。ときには「宿題をできない僕はダメなやつだ」と絶望して泣くこともありました。そんなコウが、中学生の今「宿題は嫌いじゃないよ。やるのも出すのも忘れちゃうけどね!」と笑って言えるようになったのは、長い目で見れば良い変化なのではないかと思います。Upload By 丸山さとこ「集中力の補助線」を利用しながら試行錯誤している毎日です中学生になった現在も相変わらず宿題に集中できないコウですが、私に説明しながら解くことで集中の取っ掛かりをつくったり、雑談をしながら進めることで『気が乗らないことに取り組む苦痛』を和らげたりするなど、コウができる工夫は増えてきました。今はそうして私を集中力の補助線にしているコウですが、だんだんとそれをアイテムや自分自身への声かけで代用するようになっていくのではないかな? と思います。タイマーをかけて「よし、やるぞ!」と気合を入れたり、私に向かって動画配信者風に解説をしたりしながら宿題を進めるコウの姿を見て、頼もしく感じています。Upload By 丸山さとこ執筆/丸山さとこ(監修:藤井先生より)「集中力の補助線」という表現がとても良いですね。コウくんにとって、さとこさんの声かけが、集中力の補助線になっているのですね。自治体、学校によっては宿題がないところも出てきています。自主学習といって、お子さんが興味あることに取り組み、家庭学習を行うことを主体にしているようです。学校からの宿題には取り組めなくても、興味あることの延長線上の学習なら取り組めるお子さんもいます。宿題を極端に嫌がる場合には、宿題の内容の工夫について、学校と相談すると良いと思います。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年10月02日アトピー性皮膚炎とは?原因も解説アトピー性皮膚炎とは、皮膚の上層にかゆみを伴う湿疹が慢性的に繰り返し生じる病気のことです。乳幼児期に生じて成長と共に症状が落ち着くことが多いですが、まれに成人してからも症状が表れる場合があります。アトピー性皮膚炎の原因は遺伝などが挙げられていますが、まだ明確にはなっていません。さまざまな要因が絡んでいると考えられており、花粉症や喘息のある子どもや、家族にそのような症状のある子どもに発症することが多いことが分かっています。発症すると皮膚に赤みのあるぶつぶつができたり、乾燥して皮膚がむけたりといった症状が表れます。強いかゆみが伴うため、子どもが皮膚をかいてしまうことで、症状が悪化することも多くあります。アトピー性皮膚炎によるかゆみがあることで、子どもが夜眠ることができなくなり、身体の成長に影響が出たり、日中の園や学校での活動に影響が出ることも考えられます。また、顔に症状が表れている場合は、白内障などの合併症を発症することもあります。そのため、早めに病院を受診し、適切な治療で症状を改善させていくことが大切です。参考:アトピー性皮膚炎(湿疹)|MSDマニュアル家庭版参考:アトピー性皮膚炎|国立成育医療研究センターアトピー性皮膚炎と発達障害の関連性発達ナビでは「わが家の「アレルギー事情」アンケート&エピソード募集!」としてアレルギーについてのアンケートを募集いたしました。今回はその結果をご紹介いたします。(2023年9月5日~9月7日までに実施/発達ナビ会員65名が回答)Upload By 発達障害のキホン「子どもに発達障害があり、なんらかのアレルギーがある」と答えた方が77%と一番多い結果となりました。多くのご家庭が発達障害とアレルギーに関して悩んでいるようです。参考:わが家の「アレルギー事情」アンケート&エピソード募集!実際にアトピー性皮膚炎がある子どもは、ADHD(注意欠如・多動症)などの発達障害を併存していることが多いと言われています。参考:アトピー性皮膚炎診療ガイドライン 2021|日本皮膚科学会発達障害のある子どもは感覚過敏などの特性が見られることが多く、アトピー性皮膚炎のかゆみに対して強い力でかいてしまうことがあります。そのことで、皮膚の傷が深くなり、治りが遅くなることもあると言われています。そのため、アトピー性皮膚炎に発達障害が伴う場合は、子どもの特性に合わせた治療を行うことや、心理療法も組み合わせて行っていくことが大事と言われています。もし、アトピー性皮膚炎のほかに発達で気になることがある場合は、受診時にそのことも伝えるようにしましょう。アトピー性皮膚炎の症状とは?これは初期の症状?代表的な症状も解説アトピー性皮膚炎は乳幼児期に発症することが多く、通常は生後4ヶ月未満から症状が表れてきます。症状は早期(急性期)と慢性期(後期)といった時期によって異なっています。早期では、赤いじゅくじゅくとした発疹や水泡が生じ、1~2ヶ月続きます。慢性期では、かゆい部分をかくことによって皮膚が固くごわごわした状態になります。年齢によって症状が表れやすい箇所が異なっています。乳幼児では顔から頭皮、首、手、足と広がっていき、年長の子どもや成人の場合は特定の場所に繰り返し表れ、特に首の前面、肘の内側、膝の裏が多いと言われています。また、アトピー性皮膚炎には合併症が多いことでも知られていて、先ほど紹介した白内障のほか、掻いた傷口から細菌が入ることで感染症を引き起こすこともあります。ほかにも、アトピー性皮膚炎のある方が単純ヘルペスウイルスに感染すると、通常よりも重い症状が表れると言われています。参考:アトピー性皮膚炎(湿疹)|MSDマニュアル家庭版アトピー性皮膚炎の治療方法とは?ステロイドを使うの?アトピー性皮膚炎の症状を改善するためには、ステロイドなどを用いた治療やスキンケア、悪化要因の除去などを行っていきます。アトピー性皮膚炎の治療では、ステロイド外用薬を用いた薬物療法がよく行われます。主にコルチコステロイドという種類のステロイドの軟膏を直接患部に塗っていき、皮膚の炎症を抑えていきます。コルチコステロイドには副作用もあるため、子どもの様子も見ながらほかの治療法に変更することもあります。ほかの治療法としては、光線療法といって紫外線を照射していく方法や、内服薬、注射などを用いた治療法があります。治療は基本的には家庭で行っていきますが、症状が重い場合には入院する場合もあります。アトピー性皮膚炎の症状の改善や予防のためには、適切なスキンケアをしていくことも大事です。ここでいうスキンケアとは、皮膚を清潔にすることと保湿することを意味しています。皮膚を洗う際には専用のせっけんを使用し、拭くときはごしごしとせずに軽くたたくように水分を取り、まだ湿っているうちに保湿剤を塗っていきます。スキンケアをする際には以下のような点を心がけていきましょう。・皮膚を洗う際に洗浄力の強いせっけんは避ける・入浴は1日に1度にする・皮膚を拭くときはごしごしとこすらずに、軽く叩くように水分を取る・皮膚が湿っているうちに保湿剤を塗るアトピー性皮膚炎には症状を悪化させる「悪化因子」と呼ばれるものがあり、それらを取り除くことも予防や改善のために大切です。悪化因子にはダニやカビ、ほこり、ペットの毛、ストレス、風邪による体調不良などがあり、子どもによって何が因子となるか異なっています。日常生活における悪化因子を取り除くには、以下のような対策が有効と言われています。・熱湯を使って寝具を洗う・ぬいぐるみやカーペットといったほこりなどが付きやすいものを取り去る・ペットを飼わないようにする、飼っている場合は部屋を分けるなど子どもから遠ざける・子どもがよく過ごす場所に空気清浄機を設置する・湿気の多い場所に除湿器を設置する・子どもの精神的なストレスを減らしていくこのように、アトピー性皮膚炎ではステロイドなどの薬物療法、スキンケア、悪化因子の除去を行いながら症状の改善を目指していきます。参考:複数科間の連携によるアレルギー診療アトピー性皮膚炎を例として|小谷 信まとめアトピー性皮膚炎は皮膚にかゆみを伴う赤みのある湿疹などができる病気で、子どもに多く見られます。合併症が多いことでも知られており、皮膚をかくことで傷ができてほかの感染症や白内障などを発症することがあります。また、発達障害と併存することもあり、その場合は感覚過敏の特性などによって、強くかいてしまうことも考えられます。アトピー性皮膚炎は治療を行うことで症状を改善させることが可能な病気です。子どもに皮膚の赤みなど気になる症状が見られたら、早めに病院を受診するようにしましょう。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年09月27日発達の遅い息子をワンオペ育児していた私。のちに産後うつに……現在中学1年生の息子は、7歳の時に自閉スペクトラム症(ASD)、ADHDの診断を受けました。息子は乳幼児期から発達の遅れが目立ちました。まとまって寝ない、抱っこを海老反りして拒否する、両親やほかの人がいても気にならないのかコミュニケーションを一切とらない……など、さまざまな問題がありました。おとなしいけれど、育てづらい……そんな印象です。この時期、私はワンオペ育児で心身ともに疲弊しており、のちに産後うつと診断されました。当時はどんどん感情が麻痺していく中、息子はこのままで大丈夫なのか、どうすればいいのかといろいろな支援施設を訪ねる日々でした。Upload By ユーザー体験談生後半年頃から成長曲線から外れ発育相談へ。「体重を増やせ」と言われるも、離乳食を食べてくれない息子Upload By ユーザー体験談生後半年頃からでしょうか。身長や体重が成長曲線に沿って増加しなくなりました。発達もおすわりまでは順調でしたが、はいはいから少しずつ遅れていき、1歳になっても立たず、喃語も出ません。「ちょうだい」「どうぞ」などというやりとりもできず、体の成長とコミュニケーションの発達に遅れが出ているのではと感じていました。そんな中、一番気になっていたのは離乳食が進まないこと。1歳になっても7ヶ月目くらいの食事しかとらず、手づかみ食べもなし。親がスプーンで運んだものしか食べませんでした。心配になった私は、まずは近くの公民館の発育相談に行きました。主に、体重や身長が増加しないこと、離乳食が進まないことを相談しました。その次は保健センターの発育相談に行き、同様のことを説明。最終的には保健所の発育相談にも行きました。どこに行っても言われたのは「とにかく体重を増やすこと」でした。これは私が頑張らなければいけないと、必死で離乳食作りをしましたが、本人は食への興味が無いようでなかなか進みません。いくら時間をかけて作っても、全然食べてくれないこともありました……。私は心も体もどんどん追い詰められていきました。1歳半健診より前にやることになった発達検査Upload By ユーザー体験談当時、私は定期的に保健師さんの訪問を受けていました。公民館、保健センター、保健所などで相談したことを話したところ、その保健師さんから離乳食だけでなく発達の遅れが気になるとの指摘を受けました。離乳食の遅れも、発達が関係していることかもしれないと言われた私は、1歳半健診が間近に迫っていたものの、それより少しでも早く発達が専門の支援員さんに息子を見てもらいたいと、保健センターを受診。そしてそこで『発達が半年ほど遅れている』ことが分かったのです。発達や発育の遅れを指摘されても、このときの私は悲しいとか悔しいとかそういう感情がわいてきませんでした。やっぱりそうなんだというくらい。すでに感情が麻痺してしまっていたのだと思います。発達検査の後に受けた1歳半健診では……ほかの子より半年遅れていると分かったことで、私は覚悟しました。1歳半健診でほかの子をみたら、息子との違いにびっくりするだろうことを……。実際に健診に行ったら、ほかのお子さんは元気に歩き回ったり、お友達と仲よさそうに遊んでいたり、自分の水筒を自分で持っていたり……。なにより、何らかのおしゃべりをしていたので、そのすべてができない息子と比べると、まるで別の世界にいるようでした。本当に別の世界の出来事……、周りのお子さんとの違いに、もはやショックを受ける気力すらありませんでした。Upload By ユーザー体験談そして受けた1歳半健診は、すでに発達の遅れを指摘されていてフォローアップが済んでいるということで、淡々と終わりました。いろいろな方の支えてもらい育児をしている……そんな状況が私を前に向かせてくれるようにその後の私は、いろいろな方から受けたアドバイスを実行するだけで精一杯。発達支援につながり、教えてもらったアドバイスを実行したりさまざまなことをやりました。ただ、それまでワンオペでしたが、ほかの方と一緒に息子を育ててもらっている……という気持ちが私を慰めてくれました。今、子どもは2歳過ぎまで話をしなかったのが嘘のようによく話をします。ただ、今もコミュニケーションの発達には難があります。これから先も社会にどのように関わっていけるのかは未知数です。これからも息子が少しでも社会に関わっていけるように、いろいろな方の支えを受けながら、育児を頑張りたいと思います。イラスト/吉田いらこエピソード参考/ころぼっくる(監修:鈴木先生より)母子手帳には1歳半や3歳時健診の左側に親がチェックする項目が列挙されています。最後に「子育てに困難を感じましたか」という項目があり、私はそこを一番重要視しています。普通なら「いいえ」に〇がついているのですが、私の外来に来るお子さんについては「どちらともいえない」や「はい」に〇のついているケースが多々見受けられます。それでも健診担当の保健師さんからは何もコメントのもないまま通過していることが多いのが現実です。できるだけ早期に介入し、療育を開始するのが望ましいのですが……。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年09月27日言葉も早く、目も合ったけど...言いようのない違和感があった幼少期長男あーは3歳半健診で自閉スペクトラム症(ASD)疑い、4歳で正式に診断されました。 そこから紆余曲折を経て、今は特別支援学級(情緒障害学級)在籍の小学6年生。健康と折れない心が取り柄のあーくんも、来年からは中学生です。1、2歳頃のあーは、言葉も早く目もよく合う子どもで、いわゆる発達障害の代表的な症状が出現していませんでした。でも、言いようのない違和感は、その頃からずっと付きまとっていたように思います。例えば、真夏の炎天下で1時間でも2時間でも用水路に石を投げ入れ続ける。何度呼んでも振り向かない。「自分でしたい」という欲がなく(いわゆるイヤイヤ期がない)、なんでもずっと人にやってもらっていて、それに対する疑問がない。きちんと座ることができず常に軟体動物のよう……。どんなに言い聞かせても、時に(時にでもないけどよ)怒っても伝わっている感じもなく、私の怒り声が全く聞こえていないか、あるいは聞こえたとしても怒られたこと自体にショックを受けて泣くかのどちらか……。私はそんなあーの様子にイライラを募らせて、ただただ親子仲が不穏になっていく日々を過ごしていたのでした。Upload By よいこ幼稚園入園式でのハプニング!そんな長男あーも3歳になり、幼稚園へ入園する時がやってきました。お友達ができるのか、先生の言う通りに動けるのか(一斉指示が通るか)、みんなと同じ行動ができるのか……不安半分、期待半分で入園の日を迎えました。なんといっても第一子の入園式、キラキラの思い出に……なるはずでしたが、教室で同い年の子どもたちがみんな大人しく座っている中、あーは1人走り回り、式本番では見かねて押さえつけようとした夫のメガネを破壊、私の借り物のコサージュも破壊……!もうご家庭では手に負えない!と市の3歳半健診で前のめりに相談しましたが、児童精神科の受診はなんと半年待ち。その後、ようやく自閉スペクトラム症の診断が出て、療育へとコマを進めることができたのでした。Upload By よいこ実は、長男あーだけではなかった…次男いー、そして両親にも特性が?長男あーの怒涛の育児に追われる中、4歳差で誕生した次男の「いー」。あーと比べて、なんて穏やかで育てやすい子なの!と思っていた私ですが、実はいーにも特性があり、のちに「不注意優勢型のADHD」であることが発覚。かく言う母の私も、大人になってから発達検査を受けてADHDグレーゾーンということが分かりました。さらに、夫も未診断ながら、発達の偏りがかなり強めなタイプなんです。そんな4人が集まった発達凸凹ファミリー、斜め上の出来事がたーくさん!起こります。もう私のお腹はいっぱい……主にASD長男あーのエピソードが中心とはなりますが、いろいろ話を聞いてやってくださいよ。Upload By よいこ執筆/よいこ(監修:森先生より)ひとことで「発達障害」といっても、その表れ方は多種多様、度合いもさまざまです。症状の出方や程度が異なるのがスペクトラムと言われる所以です。発達障害の原因はまだ分かっていませんが、遺伝的な要素と環境的な要素が絡み合っていると考えられているため、遺伝子も環境も近い家族は、どうしても発達の傾向が似ている場合が多くなってきます。家庭内の一人が支援に結びつくと、家族のほかのメンバーも発達の偏りを自覚しやすく、結果的にお互いを理解するきっかけとなることも多いのです。発達障害の診断がなかったとしたら、そのようなきっかけもなく過ごしていたかもしれません。発達障害があろうとなかろうと、家族といえども価値観も考え方もそれぞれに違うのに、そのことに気づかずに暮らしている家庭もたくさんあるわけです。家族のメンバーがそれぞれに違うことを理解しあえるということは、かえってラッキーなことかもしれませんね。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年09月26日「特性=障害」とはならないまずはみなさん、「発達障害」という言葉はすでに知っていると思いますが、これにはいくつか種類があって、大きくは次の3つです。1.自閉スペクトラム症(ASD)2.注意欠如多動症(ADHD)3.学習障害(LD)今回は、なかでも1.自閉スペクトラム症(ASD)について取り上げていきます。なぜなら、「自閉スペクトラム症」の特性やコミュニケーションがとりわけ理解されづらく、「普通、分かるでしょ?」というのが、分からないタイプの子たちだからです。Upload By 本田秀夫なお私は「発達障害」は病気というより、「少数派の種族」のようなものととらえています。また、「特性=障害」とはならないため、障害(Disorder)を除いて、「自閉スペクトラム(AS)」、「注意欠如多動(ADH)と呼んだりもします。このコラムのなかでも、以降は『マンガでわかる発達障害の子どもたち 自閉スペクトラムの不可解な行動には理由がある』と同様に「自閉スペクトラム」と呼んでいきます。Upload By 本田秀夫自閉スペクトラムの特性のあるお子さんは、園や学校での集団活動で、周りとペースが合わないこともあります。そんなお子さんのことを理解してもらうために、今回は、直観的に理解しやすいマンガをまじえてお伝えしていきます。皮肉や言外のメッセージが通じないUpload By 本田秀夫このマンガで親が言いたいのは、「誰が洗うと思ってんの?(洗うのはあなたじゃなくてお母さんでしょう?こんなに汚してしまったら、お母さんは大変なのよ。ケロッとした顔をしていないで、少しは反省したところを見せなさい)」というようなことですよね。そのような「含み」を込めて、「誰が洗うと思ってんの?」と問いかけているわけです。ところが子どもは、その一切合切の含みがわかっていない。申し訳なさそうな態度をとるわけでもなく、服を洗うのは「洗濯機」だという事実だけを答えています。遠回しな注意より、世渡り術やこぼさないコツをおそらくこの子には自分がとがめられているという認識がありません。このようなやりとりは、自閉スペクトラムの特性がある子によく見られることで、私たち支援者にとっては「あるある」です。子どもはふざけているわけではないので、反論したり叱ったりしないで、マンガのようにおだやかに受け止められたら理想的だと思います。遠回しに注意するのはやめて、「こういう場面では形だけでも謝罪する」という世渡り術を具体的に教えてもいいかもしれません。さらに毎日の生活のなかで、飲み物をこぼさないようにするコツも教えていければ、言うことはありません。言外のメッセージに気づかないケース相手の言っていることの「言外のメッセージ」に気づかない例は、ほかにもあります。・自転車に乗っている幼稚園の友達が転んだのを見て、自転車に「大丈夫?」と声をかける・公園の砂場でひとり遊びをしているときに、友達から「1人なの?」と声をかけられ、「4人家族だよ」と答えるいずれの場合も当人の立場で考えてみると、その子たちなりの筋が通っています。先の洗濯機の例では、母親はスイッチを入れるだけで、実際に服を洗うのは洗濯機だという、より正確な答えを出していますし、友達が乗っていた自転車の損傷を心配してもいいはずです。そして、「4人家族」と答えるのは、理屈の上では必ずしも不正解ではありません。気づかなかったら、はっきり教えてあげるしかし、多くの人に「どこか変」と思わせるのは、なぜでしょう?実は、「誰が洗うと思ってんの?」の質問には「謝りなさいよ!」のメッセージが、「1人なの?」という質問には「1人なら一緒に遊ばない?」というメッセージが込められています。また、「大丈夫?」と声をかけるのは、「私は心配していますよ」というメッセージを伝える目的があるからです。自転車に対しては、そのような目的は不要です。「普通、分かるでしょ?」が分からないのが自閉スペクトラム症の子どもたちの特性です。言外に込められたメッセージに気づかなかったら、そこははっきりと具体的に教えてあげてほしいと思います。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年09月25日乳幼児の頃から、 “手を使うおもちゃ”で遊ばなかった息子現在6歳・年長さんの息子は、3歳9ヶ月で「新版K式発達検査」を受けたところDQが80で3歳0ヶ月相当、境界域であることが分かりました。息子には手先の不器用さがあります。ひらがなは書けるもののアンバランスだったり、距離感をとらえにくいのか、ものを手渡す際相手の鼻先まで持って行ったりするようなときもあります。ボール遊びや縄跳びも苦手です。乳幼児の頃の息子は、何かによじ登ったり、飛んだり、踊ったり、体全体を使うことは好んでやっていたのですが、積み木やボタンを押したりカギを開けたりする手を使うおもちゃにはほとんど手を伸ばしませんでした。その頃は「発達の遅れがあるかも?」とは思っていませんでしたが、息子の手先の不器用さはこの頃からつながっていたのかもしれない……と今振り返ると感じます。そしてこの手先の不器用さがネックになり、なかなか習得できなかったのは「はしの持ち方」です。私も周りの目を気にしすぎて、いらない心労を抱えてしまったと思います。「できないから、やだ!」おはしの練習を全力で拒否!息子が年少クラスの9月頃、通信教育のワークブックにおはしの練習ができる付録がついていました。いい機会だと思った私は、これを使っておはしの持ち方を練習することにしました。プレッシャーをかけないように、楽しく、気楽に練習できるように努めました。付録も楽しくやるものだったので、幼児には取り組みやすかったと思います。ですが、これがなかなかうまくいきません……。やはり手先が思ったように動かせない、力の入れ方などにも不器用さが出てしまうようなのです。息子は嫌なものはテコでもやらない性格。かつ、失敗すると必要以上にクヨクヨしたりイライラしたりして、ヘソを曲げてしまうところがあるのですが、このおはしの練習でもヘソを曲げてしまいました。何度勧めても「できないから、やだ!やらない!」とかたくな……。私はこの息子の様子をみて「無理強いすることもないか」と、おはしの練習はもう少し待つことにしました。Upload By ユーザー体験談義弟「おはしを使ってみようか」、実母「甘やかしすぎ」二人から言われた言葉にモヤモヤする私……わが家のお正月は、私の実家に妹一家と私の家族が集まって食事をするのが恒例です。その中のメンバーである妹の夫(義弟)は、ちょっと厳しい人のようで、妹からは娘である姪っ子(当時小1)が小さな頃から、おはしの持ち方を厳しく指導していたと聞いていました。息子が年中だったお正月のことです。フォークを使っている息子を見た義弟が「おはしを使ってみようか」と息子に声をかけました。義弟の口調は優しくて、決して息子をとがめるような物言いではなかったのですが、ちょっと緊張が走った私。その時、姪がとっさに「パパ!(おはしがうまく使えなくても)怒らないであげてね!」と息子をかばうような声がけをしてくれました。姪の反応を見た私は(おはしの持ち方に厳しいって本当なんだ。息子がまだおはしを持てていないこと、あとでなんか言われてそうだな……。事実だから仕方ないけど……)とちょっと胸が苦しくなってしまいました。幸いにも当の息子はまったくその空気を察しておらず、「え~、おはし使うのやだ~」と超マイペースにフォークを使い続けていました。姪の発言があったからか、義弟はそれ以上何も言いませんでした。Upload By ユーザー体験談しかしこの時同席していた実母は「やっぱり息子くんを甘やかしすぎなんじゃないの?無理してでもおはしを練習させたほうがいいんじゃない?」と私に注意してきました。両親は、私の仕事の関係で週2回息子を預かってくれているので、息子の発達のことや不器用さのことも把握しています。とはいえ、母はメンツや体裁にこだわるタイプなので、義弟に指摘されたことで「体裁が悪い」「もっとちゃんとはしの練習をさせておくべきだった」と思ったのだろうと思います。私は、何とも重たい気持ちになってしまいました。Upload By ユーザー体験談息子の不器用さを理解してもらえない環境?私はどうすべき?この後、私はモヤモヤしていました。(妹や義弟は姪のような優等生を日常的に見てきている。そんな人たちに息子の不器用さや、言って聞かせることの難しさを理解してもらうのは難しいんだろうな。息子がおはしを使わないのは、わが家のしつけがなっていない、指導する根気が足りないからって思われているんだろうな……)(母は、私や妹の「人より劣っている部分」を強くけなしたり、逆に「人より優れている部分」に対してすごく得意になる傾向があった。何かと人より遅れがちな息子を今後どんなふうに受け止めていってくれるんだろう……。受け止めきれなくなったときは、また今回みたいに私に「しつけがなってない」って怒るのかな……)そんな考えが頭の中でグルグル回ります。……とはいえ、妹夫婦からそうした態度で接してこられたことはなく、私が勝手に卑屈になっているだけ。なぜそう卑屈になってしまうか考えたところ、「まだ無理強いすることもないか」と思いつつも、私も実は息子の不器用さに焦りを感じているのです。そんな自分に気づくことができました。また、私は義弟からはし使いを指摘されることが嫌というより、「そうした出来事をきっかけに、母が私の育児にあれこれ言ってくる可能性が高いこと」が引っかかっていることも自覚。となると、これは息子がはしを持てないことが問題というより、自分の気持ちの問題であり、自分の軸をしっかりもてば、このモヤモヤは解消できるかもしれないと気を持ち直しました。息子にあったタイミングで背中を押す。そんな子育てをしていきたい!私は今まで通り、息子の不器用さを感じても深追いしてやり方を細かく指導することはせず、息子がその気になるまで待ち、興味を持ったら教える方法を続行することにしました。そして年長(6歳)になった息子は、こども園のお昼の時間にみんながおはしを使い出したことに刺激を受けたようで、最近ようやくおはしを持つようになってきました。これが息子のおはしの練習をするベストタイミングだったのだと思います。普段は正しく持てていますが、ときどき下側のはしを薬指で支えるのがうまくいっていなくて、握りばしになっています。あと、そうめんのような、おはしでつかみにくい料理だと、トレーニングばしに持ち替えたがります。それでも嫌がることなく、どう持てばいいか試行錯誤している息子を見ると、その姿がほほえましいです。Upload By ユーザー体験談またお正月にみんなで集まるときは、息子にはおはしを使わせようと思っています。使い方がまだ完璧じゃないので、義弟から何か注意を受けるかもしれませんが、息子にとっては、私や夫以外の人から注意を受けることも貴重な体験かもしれないと、私自身も思えるようにもなりました。息子は臆病なところがある一方で、好奇心が旺盛。その好奇心を大切に、いろんなことに挑戦してみてほしいと思っています。そのためにも、息子が「頑張りたい」「やってみようかな」と思っている瞬間を見逃さず背中を押す、あるいは、いろんな人との関わりを増やして、刺激を受けながらモチベーションを上げていってもらえればと思います。イラスト/カタバミエピソード参考/苗(監修:森先生)DQとは「発達指数」のことで、日常生活や対人関係における子どもの能力の指標のこと。もちろん数値は目安に過ぎず、発達は早いけれどもおはしを使うのが苦手な子どももいますし、その逆もありえます。おはしを上手に使えなくても、フォークを使うなどして食事ができれば全く問題はないはず。おはしの使い方それ自体にこだわっても仕方ないのですが、そうはいってもおはしの使い方は友達や親戚と食事をする場面で気になりやすい部分ですよね。できるようになるタイミング、やりたいと思うタイミングは一人一人違います。落ち着いて練習できるように、お家での食事ではおはしを使ってみようか?と声かけを頻繁にしてあげるのがいいのではないでしょうか。ただし、無理強いは禁物です。厳しく言われると、食事そのものに苦手意識を持ってしまうでしょう。姪っ子さんは父親である弟さんからおはしの使い方を厳しく指導されたようなので、思うところがあったのでしょう。大切なことは本人も周囲も楽しく食事をすることで、食器の使い方はあくまでもそのための手段であることを忘れないようにしたいですね。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年09月24日学校を休ませていい?悩む保護者へ精神科医の回答が届く!「学校休んだほうがいいよチェックリスト」【LINEにて無料利用可】Upload By 発達ナビニュースお子さんから「学校休みたい」「学校行きたくない」と言われたとき、休ませていいのか、どう対応すべきか多くの方が迷われるのではないでしょうか。そんな保護者、教員の方々などに向けたサービス「学校休んだほうがいいよチェックリスト」が2023年8月23日にリリースされました。こちらは不登校専門紙・不登校新聞、個別指導塾のキズキ共育塾、オンラインフリースクールのBranchという不登校のお子さんやご家族を支援している3社が開発し、国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センターの松本 俊彦先生が監修されたチェックリストで、LINEにて無料で利用できます。不登校による深刻な問題として、学校を休むべきときに保護者が子どもを無理に登校をさせ続ける「過剰適応」というものがあります。これによって子どもは追い詰められ、うつ病や自殺といったリスクが高まってしまいます。しかしこの「学校休んだほうがいいよチェックリスト」を使い、休むべき基準を知ることで過剰適応を防ぐことが可能です。「学校休んだほうがいいよチェックリスト」は、不登校の予兆となる20個の質問に「はい」「いいえ」で答えることで、お子さんの状況に応じて、監修の先生からの回答が届きます。チェックリストを利用することで、休んでもいい基準を事実ベースで客観的に判断することができます。Upload By 発達ナビニュース子どもは適切に休むことができれば元気を取り戻すことができます。不登校を恐れ過ぎず、適切に子どもを休ませる判断の一助として、このサービスを利用してみませんか?※「LINE」はLINE株式会社の商標または登録商標です。※クリックすると、発達ナビのサイトから「学校休んだほうがいいよチェックリスト」のページに遷移します。※このチェックリストは3社が非営利で運営しているため、開発と運営のためクラウンドファンディングを実施しています。ご興味のある方は以下寄付ページをご覧ください。※クリックすると、発達ナビのサイトから「READYFOR 学校休んだほうがいいよチェックリスト」のページに遷移します。3,847の事業者が導入!障害のある人に向けたデジタル障害者手帳「ミライロID」Upload By 発達ナビニュース2019年に登場した障害のある人に向けたデジタル障害者手帳「ミライロID」を導入する事業者が、2023年8月31日時点で3,847に達しました。250以上の自治体での手続きや各種交通機関での利用のほか、レジャー施設、ショッピングやグルメなどさまざまな場所でご利用いただけます。「ミライロID」は障害者手帳を登録できる無料アプリ。障害者手帳を持ち歩くことなく、またカバンから出し入れする手間もなく、スマートフォンで素早く提示することができます。音声読み上げにも対応しています。「ミライロID」に登録できる障害者手帳は、「身体障害者手帳」「精神障害者保健福祉手帳」「療育手帳」の3つ。障害種別によって、一人ひとりに合わせた情報も受け取ることができます。また、保護者がお子さまの障害者手帳を登録することも可能です(ただし、一つの障害者手帳を複数の端末で登録することはできません)。そのほか、レジャー施設、ショッピングやグルメなどでお得に使える電子クーポンを利用することができたり、障害者割引価格のチケットをオンラインで購入することも可能。車いすなどの福祉機器の仕様や必要なサポートの内容を登録すれば、窓口での伝達をスムーズに行えます。また、施設のバリアフリー情報も確認できるので、外出時の負担を減らしてくれます。Upload By 発達ナビニュース「ミライロID」の利用方法は3ステップ1. 「ミライロID」のアプリをスマホにダウンロードする2. お持ちの障害者手帳を撮影し登録します(顔写真の掲載された障害者手帳のみ登録可能)3. 導入施設でミライロIDの提示や、クーポン・チケットの利用ができます。※アプリは無料で使用できますが、ご利用の際に通信量に応じたパケット通信料金が発生します。使える場所の一覧や詳細のご利用条件は、以下より確認できます。WEBページ:アプリ:画面下部の「使える場所」をタップ暑さも和らいで外出には絶好の季節の秋、「ミライロID」を利用してお出かけしてみてはいかがですか?※クリックすると、発達ナビのサイトから「ミライロID」のページに遷移します。暗闇の中、五感を使って楽しむ「秋を感じる 見えない東北の旅」、食のマインドフルネスを体感「『一粒』大地の恵みを感じ一粒米(イチリュウベイ)のいのちを頂く」開催/ダイアログ・イン・ザ・ダーク2023年秋のプログラム「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」は、純度100%の真っ暗闇の中で見ること以外の感覚を使い、一緒に参加する仲間たちと共に、さまざまなシーンを体験するエンターテイメント。体験を案内するのは、普段から目をつかわないで生活をしている、視覚障害があるアテンドスタッフです。1988年、ドイツの哲学博士アンドレアス・ハイネッケの発案によって生まれ、これまで世界で900万人以上が体験しています。「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」の「暗闇」はいつも同じではありません。季節など、テーマに合わせて、さまざまな体験を暗闇の中ですることができます。2023年の秋には2つのプログラムが開催中です。Upload By 発達ナビニュース紅葉する木の葉、季節の移ろいを知らせる虫たちの鳴き声、優しい川のせせらぎ……9月から始まったのは、暗闇の中にある東北の豊かな秋を感じるプログラムです。8人1グループになり、視覚障害者のアテンドと一緒に五感を使って東北への旅情を味わってください。〈詳細〉「秋を感じる 見えない東北の旅」開催期間:2023年9月7日(木)から11月23日(木・祝)体験時間:90分会場:ダイアログ・ダイバーシティミュージアム「対話の森」東京都港区海岸1丁目10番45号アトレ竹芝シアター棟1Fチケット:大人:3,850円学生:2,750円小学生:1,650円(税込)※クリックすると、発達ナビのサイトから「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」のページに遷移します。Upload By 発達ナビニュース昨年好評を博したプログラム「『一粒』大地の恵みを感じ一粒米(イチリュウベイ)のいのちを頂く」が、神宮外苑前「内なる美、ととのう暗闇。」で再登場します。こちらは、「食のマインドフルネス」を体験できるプログラム。私たちが当たり前すぎて普段忘れがちな「いただきます」「ごちそうさま」の本来の意味を感じることができます。暗闇の中で、米一粒と自分の関係を改めて捉えなおしてみませんか?〈詳細〉「『一粒』大地の恵みを感じ一粒米(イチリュウベイ)のいのちを頂く」開催期間:2023年9月16日(土)~2024年1月8日(月・祝)体験時間:90分会場:三井ガーデンホテル 神宮外苑の杜プレミア 2階東京都新宿区霞ヶ丘町11番3号チケット:大人:5,500円(税込)※18歳未満はご体験いただけません。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年09月23日ほかの子どもとの差を感じてしまう展示物。不器用なわが子たちわが家には自閉スペクトラム症とADHDのある18歳の息子と、自閉スペクトラム症と場面緘黙、斜視がある15歳の娘がいます。二人とも1歳半健診で要観察となりました。診断らしい診断は小学校に入ってから受けましたが、下の子は幼稚園ではなく療育園に通っていました。そんな二人はそろって不器用さがありますが、それぞれ不器用な箇所は異なります。息子は粗大運動は得意なので走るのも速いのですが、手先が不器用。そして、体育ではあまり困ることはないものの、よく転びます。一方娘は手先は器用な面もあるのですが、転びまくり、ケガしまくりです。成長するにつれて多少は改善されてきていますが、それぞれの不器用さは今も継続中です。小学校の頃は授業参観の展示物を見るのをとてもつらく感じていました。絵、習字、作文の文字などが下手で、ほかの子どもたちの展示物と比べると全く違うのです。一人だけ幼稚園から成長してない子どもがいる……という印象でした。Upload By ユーザー体験談大きくなるにつれ読める文字が書けるようになったので、現在は書字に問題は感じていないのですが、当時の私はそんな未来のことまで考えられず、わが子たちと他人との差ばかり目について落ち込んでいたのです。今なら、子どもたちはちゃんと成長するよ、そんなに苦しまなくてもいいよと伝えてあげたいです。そのスプーン何もすくってないよ⁉空のスプーンを口に運ぶ息子にびっくり!息子の忘れられないエピソードは“スプーン事件”です。指先が不器用だった息子は、長くスプーンを使っていました。ですが、スプーンもなかなかうまく使えないので、食べ物をすくえないことが多々ありました。ですが、すくったつもりなのか、何ものっていないスプーンをそのままパクっと口に持っていくのです。その光景を見たときは「そのスプーン何ものってないよ!?」とびっくりしてしまいました。Upload By ユーザー体験談これくらい不器用だったので、箸が使えるようになるか心配だったのですが、これには救世主が登場しました。幼稚園の先生です。先生が丁寧に2年間、毎日毎日、とにかくゆっくり、叱らず焦らず指導してくれました。先生が見つけてくれた使いやすい箸は、ニスなどで塗られていない四角の握りやすいもの。手のサイズに合わせて長さにもこだわってくれました。これを使い「特別なお箸だよ」「きっとうまくいくね」とポジティブな雰囲気で誘ってくれ……なんと小学校入学前にお箸を使えるようになったのです!息子の不器用さを思うと、箸が使えるなんて奇跡……と思わざるをえません。幼稚園の先生には、今も感謝してもしきれないです。Upload By ユーザー体験談また、運動神経の良さに助けられている面はありつつも、いろいろとバランスが悪い息子。ただ道を歩いているときも、よく溝に落ちてしまいます。そして運動会では転ぶ転ぶ……。徒競走などでは誰かに近づくと距離感が掴めないのか転びがちです。そこから立ち上がって追い上げると、今度は自分の足につまづき転がりながらもでんぐり返しで起き上がり再度追い上げ……。だいたいいつも2位か3位争いをしていました。転ばなかったら1位になれたと思うのですが、惜しいですよね。息子も悔しそうにしていました。遠足で20回以上……頻繁に転ぶ娘。同じ場所ばかりケガをして娘は指先は息子に比べれば器用なのですが、驚くほど頻繁に転びます。遠足ではだいたい20回以上転んでいます。膝のキズが絶えません。いつも膝の同じ場所をケガした結果、その場所からクマの毛のように太い毛が生えてくるほど……!「膝を守るんだ」という意志なのでしょうか!?先生もびっくりしていました。Upload By ユーザー体験談また、転びすぎてキズがひどくえぐれてしまうと、赤く腫れあがってしまうこともあります。そういうときは、治療は半年コース。塗り薬を出してもらい半年欠かさず塗り続けます。なぜここまで転ぶのか……不思議に思っていたのですが、中学になって斜視が発覚しました。もしかしたらこれも娘の転倒に影響があったのかもしれません。二人の不器用さを克服させたい!母がチャレンジしたこと小さな頃から二人とも不器用さを指摘されていたため、私もいろいろなことを試しました。体操教室やスイミングにも行きましたが、苦手だと最初からわかっていることはやりたくありませんよね。コーチには不器用であることなど状況を伝えて見てもらっていましたが、プールでは静かにおぼれたり、何もしていないのにプールサイドから落ちたりとなかなかうまくいきませんでした。療育でも運動をしてくれるところがありますが、当時はなかなか空きがなかったため、私はよく子どもたちをアスレチックに連れて行きました。ハイハイ運動をしたり、丸太渡りやトランポリンでバランス感覚を鍛えたり……。また、100均のものを使って指先訓練用のアイテムを作り、箸で掴むゲームにも取り組みました。これらが具体的にこういう効果を上げたということは言えないのですが、遊びに取り入れて取り組めたので楽しい思い出にもなり良かったと思います。むしろ、もっとたくさんやっていればと思っています。不器用さのある2人だけど……これからも笑って元気に過ごしてほしい不器用な二人ですが、大きくなるにつれてやれることも増えています。小さい頃、私が小学校の掲示物の前で感じた切なさは、私の中ではもう吹き飛んでいます。不器用さもそれぞれですが、性格も正反対な兄妹。母としては、二人とも不器用さを苦にせず、失敗してもくじけず、笑って元気に成長していってほしいです。イラスト/星河ばよエピソード参考/梛丹(監修:鈴木先生より)母子手帳には1歳半や3歳時健診の左側に親がチェックする項目が列挙されています。最後に「子育てに困難を感じましたか」という項目があり、私はそこを一番重要視しています。普通なら「いいえ」に〇がついているのですが、私の外来に来るお子さんについては「どちらともいえない」や「はい」に〇のついているケースが多々見受けられます。それでも健診担当の保健師さんからは何もコメントのもないまま通過しています。できるだけ早期に介入し、療育を開始するのが望ましいのですが……。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年09月21日遊具で遊ぶことが苦手だったコウUpload By 丸山さとこ神経発達症(発達障害)があるコウは、体を動かすことが苦手なようです。中学生になった現在は「運動が苦手で少し不器用だな」と感じるくらいで普段は大きく気になりませんが、保育園の頃は遊具で遊べないレベルの不器用さが目立っていました。そんな動きの不器用さも相まってか、足元が狭いところや不安定なところでは慎重に歩きたがっていたコウ。高いところは特に苦手で、5歳の頃に集合住宅の1階の部屋から2階建ての家に引っ越した時は、階段を数段登ったところで「落ちちゃうよ~!」と動けなくなっていたほどでした。それくらい『動きの不器用さ・高いところへの恐怖心』があるコウにとって、公園は石や落ち葉やどんぐりを並べるところでした。公園や保育園などの子ども用の遊具は大体高いものです。おおむねどこの公園にもある3大遊具の滑り台、ブランコ、ジャングルジムで遊べないとなると、体を動かすことを促したい親としても「散歩しよう」としか言えない状態でした。Upload By 丸山さとこ散歩中に植物や水を眺めたり、樹木にかけられた樹種の名札や解説を読んだりして過ごしつつ、「この子はこういう感じなのか~。これはそういう個性なの?」と漠然と思っていました。お母さんの安全保証つき?地道な滑り台の練習開始!そんな風に散歩しては石やどんぐりを並べるだけでも、「まぁコウがそれを好きならそれでいいか……」と流していた私でしたが、療育園に通うようになってから、少し考えが変わりました。というのも、コウが通っていた療育園での粗大運動の時間(室内遊具での全身を使った遊び)は結構スパルタで、泣いても叫んでも徹底して取り組ませるスタイルだったからです。Upload By 丸山さとこその特訓風景を見ている内に「このままでは遊具を見ただけで泣き叫ぶようになり、公園の前を歩けなくなるのではないか……?」と心配になった私は、近所の公園でコウと滑り台の練習を始めました。滑り台のてっぺんで座ったコウの体を私の両手で挟むように支えながら、コウに安全性を説明しました。「絶対にゆっくりしか滑らないので安全です」「怖くないようにします」「怖すぎたら途中でも抱き上げて中断できます」Upload By 丸山さとこそうして実際に途中で抱き上げたり滑り台の途中で止めたりして『コウが嫌だと思えばいつでも安全に中断できること』を証明すると、コウは「本当かな……?」という表情をしつつも練習につき合ってくれました。コウが泣かない程度の地道な練習を続けたところ、意外にも数日で滑れるようになりました。「やったー」と言い、跳ねてうれしそうにニコニコするコウに「もう1回滑る?」と聞くと「滑らない」とのお返事で、その素っ気なさにコウらしさを感じつつ家に帰りました。Upload By 丸山さとこ次の日もすんなりと滑れたため滑り台は克服できたのかと思いきや、ほかの滑り台は完全拒否でした。私から見れば『大体同じ高さで同じつくりの滑り台』も、コウにとっては『全く別の滑り台』だったようです。「ほかの滑り台はどんな感じかな?調査しに行こう」とコウに言いながら(これまた無理のない範囲で)いくつかの公園を回って複数の滑り台にチャレンジしていき、1ヶ月経った頃にはベーシックな形の滑り台であれば大体滑れるようになりました。こうして、ブランコ、はしご、ロープの遊具などを少しずつ克服していったコウは、休日に市内の大型公園へ行くと喜んで遊ぶようになりました。喜んで遊ぶといっても、年齢相応の動きではありません。膝程度の高さであっても必ず何かにつかまりながらソロリソロリと降り、階段は一段ずつ足を揃えて登るなど、『動きの不器用さ』はその後も目立ちました。動きの不器用さは今でもあるけれどUpload By 丸山さとこ中学生になった現在のコウも、歩く姿を遠目に見て「多分コウだな」と分かるような歩き方をしています。それでも、あの時に遊具で遊べるようになったことは、親子共に「練習してできるようになることもあるんだな」という微かな自信になったと思います。それと同時に、「練習しても(少なくともその時点では)どうにもならないこともあるんだな」という『現状の受け入れ』の土台も整ったような気がします。『〇〇ができるのなら□□もできるだろう。〇〇ができないなら□□もできないだろう』という見通しが立たない育ち方に親子で翻弄されながら、そのときどきにできることを試していきたいなと思います。Upload By 丸山さとこ執筆/丸山さとこ(監修:鈴木先生より)球技などの運動が苦手で不器用なお子さんは、発達性協調運動症と診断されることが多いです。発達性調教運動障害があるお子さんへの支援は、病院のリハビリなどでは感覚統合訓練をOTと呼ばれる作業療法士さんが実施しています。また、私のクリニックでは音楽療法の中に感覚統合も含めてトレーニングと評価を行っています。病院へ行けない場合は、公園の遊具やアスレチックなどでトレーニングすることもできますので、親子で楽しみながら取り入れてみることもお薦めですよ。もし、お子さんの様子が気になる親御さんがいらっしゃいましたら、今後きちんと向き合うためにも、ASD、ADHD、発達性協調運動症など具体的な診断、医師の診察を受けられることも視野に入れられてはいかがでしょうか。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年09月19日学習障害当事者37の工夫を収録ーー『LDの子が見つけたこんな勉強法「学び方」はひとつじゃない!』本書は、学ぶうえで困難さを感じたことのあるLDがある当事者とその家族の協力を得て、学校生活で困った具体的な場面と、その困りごとに対しての工夫をまとめた一冊です。1章では「私たちが勉強するときにしていた工夫」として、37の工夫を紹介。「読み」「書き」「暗記」などの事例と共に、診断名と困ったこと、それぞれの具体的な工夫がイラストも交えて分かりやすくまとめられています。また、工夫に対して、応用のポイントやヒントとなるコメントもついています。2章では、学校生活や合理的配慮について、事例からさらにふみこんだ当事者へのインタビューが掲載されています。社会人となって働いている大人から、現役の学生、保護者、年代もさまざまな当事者の工夫が数多く紹介されています。ほかにも障害者支援に携わる支援者からのメッセージに加えて、編著者の野口晃菜さん、田中裕一さんの対談も収録。子ども自身が困った時に、誰に相談するかをイメージする手助けにもなるでしょう。「授業中に板書が終わらない」「漢字を覚えられない」「勉強がおもしろくない」。 学校生活や授業で、「なんだかしんどい」「どうしたらいいか分からない」と疎外感を感じている子どもや、サポート法が分からず迷っている保護者に寄り添う一冊です。『起立性調節障害お悩み解消BOOK 「朝起きられない」子に親ができること!』起立性調節障害がある子どもは、中学生の10%を占めているといわれ、思春期に発症しやすい身体の病気です。症状は、頭痛・めまい・怠さ・朝の起きにくさなどがあり、症状が強くなると、学校に行きたくても身体が思い通りにならず、遅刻や欠勤を余儀なくされてしまうことも多いといいます。著者の吉田誠司先生は、2014年に起立性調節障害に関する研究で医学博士号を取得し、現在は、大阪医科大学小児科で心身症外来を担当する子どものこころの専門医です。本書は吉田先生がこれまでの診療のなかで得た当事者や保護者の経験がまとめられており、また、それぞれの場面で保護者が抱える悩みや、その悩みに対する対処法なども紹介されています。第1章では、起立性調節障害の仕組みを自立神経機能から解説。第2章は、食事・運動・睡眠など非薬物療法のポイントなど治療について、第3章では子どもが家で1日過ごすときに親子で意識したいこと、第4章では学校との関わり方や、学校選びや受験のポイントまで組み込まれています。起立性調節障害の症状のために学校に通えない、また、やりたいことができずつらくく悲しい思いをしている子どもや保護者もいることでしょう。本書は、起立性調節障害という疾患を知り、症状の改善と、学業や将来のこと、家庭での過ごし方、そして当事者である子どもとの接し方など、保護者が抱えるさまざまな悩みの解消の一助となるのではないでしょうか。『子どもたちはインターネットやゲームの世界で何をしているんだろう?児童精神科医からみた子どもたちの「居場所」』本書は、ゲームやアニメ、マンガの愛好家であり、子どもとゲームやインターネットとの関わりについて各方面での発信にも力を注ぐ児童精神科医の関正樹先生が、子どもたちの「居場所」としてのゲーム・インターネットの世界について、最新鋭の調査データや研究、そして臨床事例を交えて解説した一冊です。本書では、インターネットやゲームの世界に子どもたちが傾倒するには、その子どもたちなりの背景があると記されており、子どもたちがゲームやインターネットに没頭していく過程が丁寧に分析されています。そして、大人がその世界を知るために気をつけておきたいポイントを取り上げると共に、事例などを通じて子どもたちにとっての「居場所」としての意義を提案し検討するという形が取られています。また、本文中には、「ストリートファイター」や「スプラトゥーン」など実際のゲームも事例として登場し、ゲーム愛あふれる関先生ならではの視点も見どころの一つです。ゲームやインターネットの世界について網羅的に記述されている本書では、発達障害・不登校の子どもたちとインターネットやゲームの世界についても取り上げられています。「居場所」を求める子どもたちのなかには、リアルの世界で大きく傷ついたり溺れそうになっている子どももいるのかもしれません。SNSで胸のうちをつぶやかざる得ないときにも、それを責めるのではなく、共感的にその背景に目を向けることの重要性も記されています。本書は、目の前にいる子どもと接していく参考になると共に、子ども・青年たちに関わる支援者や臨床家や教育現場の教師など、「子どもの居場所のあり方」について関心のある多くの方にぜひ手に取ってもらいたい一冊です。子どもも家族も楽しい食事時間を過ごしてほしいーー『ダウン症のある子どもの離乳食から食事へー食べる機能を育てるためにー』ダウン症(21トリソミー)とは700人から1000人に1人の発生頻度と言われる21番染色体が1本多く存在することで起こる疾患です。ダウン症がある子どもは低緊張のため、哺乳力が弱いだけではなく、口唇を閉鎖する力も弱く、舌も突出しやすく、また咀嚼の発達自体もゆっくりで丸呑みしやすいといったことも多い傾向があるため、離乳食や食事の進め方にも注意が必要だとされています。本書は、日本ダウン症療育研究会会長であり大阪医科薬科大学小児科名誉教授の玉井浩先生が監修した、「ダウン症のある子どもの離乳食や食事はどうやって進めていけばよいか?」ダウン症のある子どもの家族の悩みに答える実践的な解説書です。食べさせ方や座り方、食事道具の選び方や使い方をはじめ、家族や保育者からよくある相談や困りごとをまとめた41のQ&Aなどをイラストや写真を交えて分かりやすく解説。さらにQ&Aでは成人になってからの食に関する悩みについても記されています。また、巻末付録には成長曲線(0〜36ヶ月・0〜18歳)も掲載。「子どもも家族も楽しい食事時間を過ごしてほしい」という想いを込めて書かれた本書。ダウン症がある子どもやその家族を支える医師や看護師、栄養士などの医療従事者、保育士をはじめとする保育関係者に、手元においてもらいたい一冊です。『「共感」からはじめる 発達障害のある子どもの支援教室における行動―情緒の問題を解決する6つのステップ』発達障害のある子どもの暴言や暴力、パニック、さらにゲーム依存といった行動上の問題の背景には、障害からくる特性だけではなく、養育環境や対人経験などのさまざまな要因が絡んだ子どもの情緒面の苦しみがあるのではないでしょうか。本書は、小中学校の通常学級や特別支援学級で発達障害のある子どもと関わる教員や支援者が、子どもが起こす行動上の問題の先にあるその背景を理解し、子どもの情緒に共感して適切に関わり、効率的な支援が行えるようになるための6つのステップを解説しています。著者は、宮城教育大学大学院教育学研究科教授の植木田潤先生。本書のなかでは、植木田先生が25年以上にわたり継続してきた教育相談やカウンセリングのなかで培ってきた事例も組み込み、事例理解を通じて「共感からはじめる支援」を体感できる内容となっています。また、障害特性や目に見える行動だけではなく、養育環境や対人経験といった「育ちの軌跡」や、それらによって生じた価値観などにも注目し、子どもだけではなくその家庭との関わり方のポイントや具体的な支援方法についても詳しく解説されています。発達障害がある子どもたちが示す行動上の問題は、実は、子どもたちの発する救済信号かもしれません。本書は、その行動や情緒の問題の背景にある子どもたちの想いや願いを理解し、支援しようと日々奮起している教員や支援者に読んでほしい一冊です。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年09月17日2人兄弟を育てるゆーとぴあさん。2歳児健診で長男は言葉が遅いと発達相談を受け、親子教室に通います。次男は言葉の遅さに加えて多動傾向があるにも関わらず、健診で問題なしと言われたことに疑問を抱き、後日保育センターに相談して長男と同じ親子教室に通うことにしました。それでも次男が心配で、同時にほかの施設の教室にも参加させ幼稚園に備えました。入園式は制服を身につけるのを嫌がり、抱っこしていないと走り出してしまう状態で通園に不安を覚えます。予想に反して次男はすぐに幼稚園に慣れたものの、先生から次男の問題行動の報告を受け、発達医療センターへ行くように言われます。さらになんと長男まで発達医療で診てもらうように言われ、就学のため特別支援級の見学に参加するように予定を組まれてボーゼンとするのでした。帰宅して夫に長男について、幼稚園での面談の報告をすると、見学して息子に合っていれば支援級でも構わないのではと冷静な返答。数日後、義理の叔母が家に押しかけ長男が支援級に入ることになったのかとまくし立てます。長男の発達障害は母親のゆーとぴあさんが原因なのではと、不躾で勝手な決めつけでものを言う義理の家族に怒りと悔しさを募らせるのでした。 お父さんってもしかして? ただ質問しただけなのにーー 義理の叔母の言葉が引っかかり、図書館で大人の発達障害について調べるゆーとぴあさん。専門書に発達障害は遺伝するという記述を見つけます。自身が発達障害であるならば、両親のどちらかも発達障害の可能性があるのかもしれません。 それを確かめるべく、母親に聞こうと実家を訪ねて質問します。すると母は、ゆーとぴあさんは少し変わっているので発達障害かもしれないと思っていたと笑って答えますが、加えて遺伝なのかと聞くと途端に険しい表情に。 「亡くなったお父さんって発達障害だったのかな?」「うちのお父さんはそんなんじゃない!」 すぐに発達障害のせいにする最近の人の風潮に怒りをあらわにします。相談のつもりで聞いたのに、逆ギレのような受け答えをされてゆーとぴあさんは呆気に取られるのでした。 ◇◇◇ 息子の未来を考えるために相談したかっただけなのに、「発達障害」に対する世代からくる考え方の違いからか、議論の入り口にも立てない状態でした。ゆーとぴあさんの発達障害の可能性はすぐに受け入れましたが、父の可能性は受けつけず逆ギレした母。もちろん不確定の要素で、責めているわけでもないのに、子どもとしてこの状況はあまりに悲しいですよね。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 ※ADHDについてADHDの症状は最終的な神経経路で起こるとされ、原因は様々とされています。乳児期の外傷、分娩時の問題、妊娠中の薬物や飲酒、遺伝的な可能性等が記載されていますが、原因がわからないことがほとんどです。ADHD以外に自閉症スペクトラムの症状がある場合は、精神科や小児神経科等で診察を受けてみるのもよいでしょう。 ゆーとぴあさんの連載は、以下のサイトからもご確認いただけます。ぜひチェックしてみてくださいね。 監修者:医師 神奈川県立こども医療センター 産婦人科 松井 潔 先生 著者:マンガ家・イラストレーター ゆーとぴあ
2023年09月15日3歳でDQが境界域であることがわかった息子。自閉スペクトラム症(ASD)、ADHDの特性もありそうで…現在6歳の息子は、3歳9ヶ月の時に市の発達支援センターで「新版K式発達検査」を受け、3歳0ヶ月相当の発達で境界域であることが分かりました。まだ医療機関を受診していないため正式な診断はないのですが、日頃の行動を見ていると、自閉スペクトラム症(ASD)、ADHDの特性がそれぞれ当てはまるように思います。服が濡れるとすぐ着替えたがる、大きな音が苦手ですぐ耳をふさぐ、強い匂い(特に食べ物の匂い)が苦手、急な予定変更や初めての場所が苦手、お気に入りのテレビ番組のナレーションやYouTubeのセリフなどを丸覚えして話す……これらがASDの特性の表れではないかと私は感じています。また、じっとしているのが苦手で大抵モゾモゾしている、園では先生の説明が長くなると途中で集中を欠き、近くのお友達としゃべったりよそ見をし始める、相手が話している途中で飽きてくると自分がかぶせてしゃべってしまう、会話が一方通行になりがち、片づけが苦手で、自分がモノを置いた場所をすぐ忘れる、興味がすぐ別のものに移る、イライラのコントロールが苦手……などといった多動性・衝動性もあるように感じています。天真爛漫な甘えん坊で、おしゃべりが大好きな息子。絵本やDVD、YouTubeなどが大好きで語彙が豊富で表現も面白く、大人を笑わせるのが得意です。ちょっと内弁慶で人見知り、失敗するとクヨクヨしがちなところもありますが、わが家のかわいいかわいい宝物です。しっかりと目も合うし、言葉が出るのも早く、コミュニケーションも取りやすかった息子。まさかのちに発達の遅れがわかるとは、思いもよりませんでした。まるでパリピ⁉陽気な酔っぱらい⁉はしゃぎだしたら止まらない乳幼児期の息子乳幼児期からおしゃべりが大好きな息子でしたが、1歳後半くらいからでしょうか、しゃべり出したり、はしゃぎ出したりしたら止まらなくなるようになりました。無邪気でかわいいのですが、「この陽気な酔っぱらいみたいなテンションの高さは誰に似たんだろう……。夫も私も物静かなほうなのに……」と思うほどでした。そして1歳11ヶ月頃、保育園で習った歌を先生から聞いてYouTubeで流してあげると大喜びして踊るようになりました。陽気に歌い踊る様子はパリピのようで(?)とてもかわいかったのですが、何回も何回も繰り返し再生させられ一向に止まりません。さすがにそろそろ終わりにしようと「もうおしまい」と言うと息子はギャン泣き!おさまるまで待つのが大変でした。さらに息子はこれ以外の遊びに興味を示してくれなくなってしまいました。園でもそんな感じだったと連絡帳に書いてあります。毎日毎日踊り続ける息子を見て、他の遊びはしないのかな?と疑問に思いつつも、でもそれも子どもだからかなと思っていました。Upload By ユーザー体験談その後2歳になるとイヤイヤ期が始まり、息子のパワーが増大!私の体調が悪い時や家事をしている時でも「一緒に遊んで!抱っこして!」などと絶対に譲らず、「ちょっと待ってね」ができないことにしんどさを感じ始めました。「日頃仕事で構ってあげられていないし、子どもだから仕方ないよね」と思っていましたが、これらが『子どもだから仕方ない』というレベルではないということが1年半後に分かるのです。歯科健診で大パニック、内科健診では着替えられず…。それを見た医師からの言葉は月日がたち、3歳6ヶ月児健診を受けた時のことです。臨床心理士さんによる検査(積み木を使った検査や、絵を描く検査など)が終わった後、別室で歯科健診がありました。歯医者さんにあるようなリクライニングの椅子に座って、椅子が倒れた状態になったところで、上からライトを照らして口の中を先生が診てくださるといった、歯医者さんでの診察と同じような流れだったのですが、園での歯科健診しか知らない息子にとっては、初めてシチュエーション。それが怖かったんだと思います。椅子から降りようと大泣きして大暴れしたのです。その様子に驚きつつも、私は息子の体を押さえて健診をしてもらいました(先生が優しかったのはせめてもの救いでした)。Upload By ユーザー体験談他にも泣いてる子どもや嫌がっている子どもはいましたが、息子の嫌がりぶりは飛び抜けていたように思いました。でも、その時点での私は「すいませ~ん(苦笑)」くらいの感じで、「まあ子どもだし仕方ないか~、うちの子ビビりやなぁ(笑)」と思っていました。歯科健診のあとの内科健診では、受ける前に部屋の一角にマットを敷いたスペースがあり、そこで服を脱がせてパンツ一丁にさせ、持参したバスタオルを体にかけて受診するよう指示がありました。息子は、歯科健診でのパニックが尾を引いていて、なかなか切り替えられず、「服脱ぐの嫌!」と言って譲りませんでした。息子のあとに診てもらう予定だった子ども何人かと順番を代わってもらったくらいです。10分くらいして、ようやく息子が落ち着いたので内科健診を受けました。その時先生が息子がなかなか着替えられなかったこと、そしてそれまでの検査結果を見て「できることとできないことの差が大きいね。この場で断定はできないけど、今後発達面で気になることが出ないか、様子を見たほうがいいかもしれません」と言ったのです。Upload By ユーザー体験談発達面の指摘を受けショック!市の発達支援センターへ相談すると…この医師からの言葉には、やはりショックを受けました。これまでも、息子の落ち着きのなさ、執着の強さや衝動性の強さに若干の「育てづらさ」は感じていましたが、「まあ、子どもってそういうもの?」「育てづらいと思うのは、私が過敏だから?考えすぎ?」と杞憂だと思いたい気持ちもありました。なので、「やっぱりそうじゃない可能性がある」という事実は、それなりに重くのしかかりました。一方で「やっぱり杞憂じゃなかったか。私の予感、当たったかもな」という、腑に落ちた感もありました。その1ヶ月後、息子に対して感じていた「育てにくさ」を誰かに相談したいと思い、まずは市の発達支援センターに電話をして、いま悩んでいることを担当者の方(心理相談員の女性)に聞いてもらいました。すると、「お子さんはいま保育園に通われていますか?その場合、保育園とも情報共有をしたいので、発達支援センターの相談員が保育園に赴いて、保育園で発達検査を行うことになります」と言われたので、そうしてもらうことにしました。そして、息子が3歳9ヶ月の頃、息子が通っている保育園で発達検査(新版K式発達検査)をしてもらい、後日診断結果をいただきました。全領域、DQ80、3歳0ヶ月相当の発達で境界域とのことでした。境界域とわかり夢を一つ絶たれたような気持ちになったこともあったけれど…私は、20代の頃に学習参考書の編集者をしていたこともあって、子どもの教育にはとても関心がありました。「子どもの成長に合わせて一緒に勉強して、私も学び直しをしたい。私も勉強で失敗したり頑張ったり、楽しさを感じたりしてきたので、その経験が息子の学びの役に立つこともあるのではないか」とも思っていたので、息子の認知機能が弱い、つまり、知識や思考を広げたり深めたりすることが難しいという事実を知ったときは、正直、夢を一つ絶たれたような気持ちにもなりました。ですが、激しい落ち込みはありませんでした。というのも、目の前の息子は、時に育てにくさを感じるとはいえ、基本的には無邪気で面白くて、すごくかわいかった!また、同年代の子どもと比べると幼いところはありつつも、彼なりに成長している姿も見えました。私は「まあ、命があれば十分かな。息子と私たち親には、当初思い描いていたのとは別の課題が与えられたってことなんだ。じゃあ、これからはその問いに一生懸命取り組んでいこう」と思うようになりました。私は妊娠21週で流産したことがありました。その後数年間子どもを授からなかったのちにようやく授かった息子だったので、余計にそう思えたのかもしれません。息子の頑張りに気づくこと、「頑張りたい気持ち」をつぶさないことが、今私に与えられているミッション!現在、息子は字の練習をしたり、最近は絵を描くようになりました。園で他のお友達が書いている字や絵よりもつたないということは彼なりにわかるみたいで、「へただからやりたくないなぁ」と口にすることもあります。ですが、そう言いながらも一生懸命取り組んでいる姿が見られ、「頑張ってるところがかっこいいよ!ちゃんと上達してるよ!」と伝えています。自宅では通信教育のワークブックを一緒にすることもあります。きれいに字が書けなかったり、問いの意味がすっと理解できずにいらだっている様子も見られますが、こちらがイライラすることなく、落ち着いた様子でちょっと助け船を出したり、励ましたりすれば、ブツブツ言いながらも投げ出さずに取り組む姿勢も見られます。息子を見ていると、子どもってちゃんと「頑張りたい気持ち」を持っているなぁと思います(ただ、なにぶん不器用で、その気持ちをもって挑んでも出る成果が少ないので、本人も親も途中でいらだってしまう……といったこともしばしば起こっているのが反省点です)。息子の頑張りに気づくこと、「頑張りたい気持ち」をつぶさないことが、今私に与えられているミッションなんじゃないかと思っています。息子が、自分で幸せをつかめる人になれるよう、一緒に進んでいきたいです。Upload By ユーザー体験談イラスト/SAKURAエピソード提供/苗(監修:鈴木先生より)誰でも障がいがあると告知されればショックは隠せません。仮にASD傾向がありそうだなと思っていても医師からの告知は重いものがあります。神経発達症のお子さんでもDQの値はさまざまです。たまたま今80だとしても伸びる可能性はあります。知的ボーダーラインや知的発達症は、ASDやADHDとは別の疾患です。正確には5歳以上になってIQテストをして初めて知的な面での方向性がわかります。何ができないかではなく、何ができるかに注目してあげるといいです。いろいろなものにチャレンジして頑張っているのであれば「がんばりカード」を作って、たとえば頑張った毎にシールなどを貼って3枚たまったらどこかに行けるなど、ご褒美を与えるトークン法が有効です。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
2023年09月13日1歳半健診が近づくにつれ、募る不安1歳を過ぎると歩いたり少し言葉を喋るようになったりと、目覚ましい成長を見せる息子。そして気になってくるのが1歳半健診のことでした。すでに健診が済んだお子さんのママたちから、身体測定などに加えて、『発語の様子』『指差し』『積み木を積めるか』といったことをみられたり、保健師さんや医師からのヒアリングがあると聞きました。1歳半健診の話題が出たのは、息子が1歳過ぎの頃。その当時は健診項目ができていなくても「そのうちできるかな」とのん気に構えていました。しかし息子が1歳半に近づくにつれ、「あれ、そういえばできていない?」と気づき、焦りはじめました。Upload By ネコ山多動傾向があり落ち着きがない息子。言葉も遅めで、1歳半の時点で意味のある言葉は「オイシー(美味しい)」のみでした。指差しをする様子もないので、いろんなものの名前を言いながら指さして見せても、息子はまったくといっていいほど反応をしません。積み木は積まず、打ち鳴らすばかり……。最終的に健診の数日前に、「カーカー(カラス)」と「あった!(〇〇あった)」を言うようになり、積み木もようやく積めるようになりましたが……不安な気持ちで当日を迎えました。落ち着けない身体測定・内科健診1歳半健診の会場に着くと早速走り出す息子。いつも通りの息子の様子に「やれやれ」と思ったと同時に、周りの様子を見てびっくりしました。大体の子どもがイスに座っていたり、立ち歩いていても親の近くから離れないのです。一方の息子はというと、会場前のロビーで目についた気になるものを見つけては走り出して触ったり、階段を行ったり来たりで落ち着きがありません。「おとなしく座って」と言っても無理だと思ったので、健診の順番が来るまで廊下や階段を行き来して過ごしました。順番が来て会場内に入ると、まずは身体測定と内科健診がありました。身長・体重・頭囲・胸囲の測定はおとなしく測られていました。内科健診も同様に、おとなしく私の膝の上で診察を受けていました。こう見ると特に問題なく見えるのですが、大変だったのは待ち時間。数分程度の待ち時間でさえじっとできず、持参した息子の気を紛らわせるためのアイテムを早々に使い果たしてしまいました。必死な私は会場の壁に人気キャラクターのイラストが貼ってあるのを見つけて「ほら見て!」と声をかけてみましたが撃沈。息子は赤ちゃんに大人気のキャラクターでさえまったく興味がなかったのでした……。Upload By ネコ山保健師との面談、最終的に脱走!母子手帳を出してついに保健師さんとの面談です。保健師さんは積み木をいくつか出すと、息子にお手本を見せてくださいました。しかし息子は保健師さんを見ていません……。机上に置かれた積み木で遊びだしました。その後何回か説明し直しても保健師さんの指示が伝わっていない様子です。保健師さんは次の「発語」の課題に進みました。「オイシー」「カーカー」「あった」が言えることを伝えたものの、保健師さんは微妙な反応……。「ママ・パパは言いませんか?」と聞かれてしまいました。1歳半のほとんどの子どもは「ママ・パパ」と親のことを呼ぶものなんだ……と少しショックを受けました。指差しの話題になっても、息子は保健師さんの話を聞いていません。先ほど出してもらった積み木に夢中です。「積み木は終わりにしようか、次はこっちを見てね」と促しても一向に積み木を離しません。最終的には途中で積み木遊びを邪魔されたことに気を悪くした様子で、面談場所から脱走していきました。発達支援教室を薦められるが……発語が遅めなことや意思疎通が取れないということで、保健師さんから自治体が運営する未就園児向けの発達支援教室を面談後に紹介されました。週1回集団遊びや親子遊びを通じて、発達が気になる子どもの成長を促すものです。(※発達支援教室等の支援内容や利用条件は自治体によって異なります)。多動だったり言葉が遅めの息子。「支援教室で発達に詳しい専門の方たちや、同じ年くらいの子どもたちと過ごせば言葉が増えるかも!私も、そんな息子との関わり方を学べるかも!!」と、瞬時に参加することを決めましたが、その後の保健師さんの言葉に絶望しました。「妹さんが生まれたばかりとおっしゃっていたのですが、預け先はありますか?きょうだいの同伴はできないんです」実家・義実家・そのほか親戚全てが遠方のわが家は発達支援教室に参加できず、息子の発達については『様子見』ということで、保健師さんとの面談は終わりました。Upload By ネコ山暴れる歯科健診発達支援教室に参加できず、失意の中での歯科健診でした。「歯科健診は多分なんともなくクリアできるだろう、ただしじっとしていれば」不安材料はあるものの、保健師さんとの面談に比べたら気持ちが楽です。息子の順番が来て先生の膝に頭を、対面した私の膝にお尻をのせて診察開始です。おとなしく先生の膝に寝転んだ息子でしたが、口の中に器具を入れるや否や先生にキックをしそうになりました!Upload By ネコ山先生は慣れているのかうまく避けてくださりましたが、次に息子は私が固定している足をバタつかせ逃げようとします。「息子は歯磨きのときもいつもこんな感じで暴れるんです……!」と謝り、最終的に歯科衛生士さんにもサポートしてもらいなんとか健診を終えることができました。5歳になった今でも息子は歯磨きに抵抗があるので、口内が敏感なのかもしれません。今思えばあの暴れようが少しは理解できます。その後、5歳になった息子はADHD+ASDの傾向があり、児童精神科医からグレーゾーンと言われることになるのですが……そのお話はまた次回以降に書きたいと思います。執筆/ネコ山(監修:室伏先生より)1歳半健診の頃の息子さんのご様子とネコ山さんのお気持ちを具体的に共有していただき、ありがとうございました。不安と戸惑いの中での健診、大変でしたね。発達に課題をもつお子さんの徴候は、1歳~2歳頃に顕在化してくることが多いように思います(この時期に徴候が分かりにくいお子さんもいらっしゃいます)。発達障害のお子さんは、単に発達が遅れるというものではなく、発達の進む順番や質が異なっています。発達の遅れを示す用語としては、「発達遅滞」があり(言語発達が遅れていれば言語発達遅滞、運動発達が遅れていれば運動発達遅滞となります)、発達障害のお子さんで発達遅滞も併せ持つ場合もありますが、発達障害と発達遅滞は言葉の意味としては異なります。例えば、自閉スペクトラム症の特性があるお子さんは、話し言葉はゆっくりなのに、数字や文字を読むことの習得がとても早い場合もあります。これは、興味の方向が、コミュニケーションツールとしての言葉ではなく、記号としての文字・数字に向かっていると推測されます。大人もそうですが、子どもは自分の興味のあることに対しては、絶大な記憶力や集中力を発揮するわけです。自閉スペクトラム症の特性の一つとして、言葉やアイコンタクト、ジェスチャーなどのコミュニケーションに対する興味が薄かったり、興味はあっても相手にとって心地よい、距離の維持や関わり方が難しいといったことがあります。せっかくの発達支援教室も、妹さんがいらっしゃると通えないというのは、とても辛い制限でしたね。こういったことを共有してくださることで、今後の課題が明確になり、支援を受けやすい社会に変わっていくことを願います。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年09月11日防災について取り組んでいることーーわが家の防災ノウハウUpload By 丸山さとこときおりホームセンターに現れる災害対策コーナーを見る度に「防災かー、見直さないとな~」と思いつつ後回しになってしまうわが家です。けれども、そんなわが家も息子が小さかった頃は今より熱心に災害対策をしていました。現在中学2年生の息子のコウには、感覚過敏による偏食がありました。特に幼児期は偏食傾向が強く、非常事態だからといって普段食べ慣れないものを食べてくれる可能性が低かったからです。日頃のコウの様子を見ていた私は、「普段食べ慣れないもの」が不安なら「食べ慣れたもの」をストックしておけば、非常時でもコウが食べやすいかもしれないと考えました。食料の備蓄方法の一つにローリングストックというものがあります。普段から食材や加工品を少し多めに買っておき、使った分を新しく買い足していくことで食料を家に備蓄しておく方法です。Upload By 丸山さとこ普段から食べているものであれば「以前は食べられたけれど久しぶりに食べてみたらダメだった」というパターンも防げて安心です。お腹に溜まるものとして乾麺やスープパスタを、栄養バランスが取れるものとして乾燥野菜やビタミン入りゼリー飲料などを備蓄しておくことにしました。ゼリー飲料や経口補水液は、発熱した際にも役立ちました。非常時の環境によるストレスを少しでも減らせるようにまた、食料の備蓄以外にも心配なことはいくつかありました。小学生の頃のコウは想定外の事態に対してパニックになりやすかったからです。コウは保育園の頃に「1日1回はシャワーを浴びなければならない」というこだわりが生まれかかったことがありました。そのため、「非常時にはシャワーを毎日浴びられないこともある」という話は、災害のニュースがあるときなど折に触れて話すようにしていました。Upload By 丸山さとこ災害時の入浴について話すときには「被災地は大変だね。早く復旧するといいね」「仮設のお風呂ができてよかったね」と雑談の形をとるようにしていました。不安が大きくならないように、日常の中で自然に伝えることを意識していました。災害などの非常時はシャワーを浴びられないだけでなく、家や避難所が埃っぽかったり、冷暖房が十分でなかったりすることもあります。そのため、わが家はキャンプへ定期的に行くようにしています。キャンプ中は埃っぽく冷暖房が不十分な環境で過ごすことになります。レジャーの中でそのような環境に慣れておくことで、災害時のコウのストレスを少しでも減らせたらいいなと考えました。Upload By 丸山さとこキャンプ場では冷蔵庫も電子レンジもない状態は普通のことです。そのため、1日に必要な食料品の備蓄量を正確に知ることができます。しかも、実際の災害時とは違い管理棟や地域のスーパーなどを頼ることができます。実際にキャンプ場で食事をしてみると、「お湯を注ぐだけの食事は手を洗わなくても衛生的に調理ができて助かるな」とか、「疲れて汗と埃でベタベタのときは食欲が落ちるな。クラッカーなら少しは食べられそう」など分かることがたくさんありました。1日に必要な飲料水の量もキャンプで分かるため、ペットボトルの水をストックしておく際に、ある程度の自信を持って数を決められるようにもなりました。災害に備えて、できることをできる形で私の知人の中には、大きな地震や水害を体験した人が何人かいます。写真を見せてもらったり話を聞いたりする中で、災害そのものはどうにもできなくても備えることはできるのだと感じました。現在のわが家の災害への備えとしては、食料品のローリングストックや非常用トイレセットのほかにキャンプ用品があります。寝具・調理器具・携帯医療キット・ライト・ポリタンク・軍手などがあるため、自宅が倒壊していなければ何とかなりそうです。Upload By 丸山さとこそのような備蓄品は一通り揃っている一方で、非常時持ち出し袋は手薄になっていると思います。現在備えている「一家で1つの防災リュック」から「1人1つの防災リュック」に変更するなどして、今のわが家にあった災害対策へと見直していきたいと思いました。執筆/丸山さとこ(監修:室伏先生)災害への対策について詳しく教えてくださり、ありがとうございます。大変参考になりました。食べ慣れたものを準備しておくことのできるローリングストック、シャワーなどのこだわりへの対応、日常の中での災害に対する意識づくり、災害時に近い環境の体験などなど。コウくんの苦手を熟知している親御さんだからこそ成せる技ですね。それぞれのお子さんの苦手や発達段階に合わせた、防災対策や災害意識づくりができると安心ですね。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年09月05日忘れっぽい・片づけられない・口が達者な姉と、忘れられない・片づける・口下手な弟現在24歳の姉は、23歳のときに不注意優勢のADHD、15歳の弟は6歳の時に自閉スペクトラム症、13歳でLDと診断されました。姉の診断はつい最近ですが、小さい頃から忘れっぽい、片づけられない、そしてなにより口が達者でした。振り返ると特性があったと感じます。一方、弟はそんな姉とは正反対。いつまでも記憶が残り、几帳面で口下手、そして徹底してルールを守る性格です。昔はこの二人の間を取り持つのがとても大変でした。こちらを立てればあちらが立たず、まさに母である私は板挟み状態だったのです。姉を恐れる弟。母親を通して話しかけるようになったら姉が逆切れ。板挟みの私姉と弟は9歳年が離れています。そんな年齢差もあって、弟は姉を怖がって言いたいことも言えず、それが原因で癇癪を起こすことがありました……。姉が13歳くらい、弟が4歳くらいの頃のことです。弟が姉に話しかけたところ、姉が何かに夢中になっているタイミングだったようで、その際姉が「あーん?」「何?」とちょっと迷惑そうな、低い声で返事をしたそうなのです。その言い方が弟には怖かったようで、「もう少し優しく言って」とお願いしたそうなのですが、姉は特性もあって忘れてしまい、それから弟は返事が怖い、いつも怖い声の返事をされそうで話しかけられないと姉に怯えるようになってしまいました……。Upload By ユーザー体験談私からも姉に「優しく返事をして」とお願いしたのですが、何度言っても忘却の彼方。その後、弟は姉に話しかけたいときは私に「〇〇にこう言って欲しい」とお願いするようになりました。ですが、これに姉は「なぜ自分で言って来ないのか」と逆に腹を立てる始末。そして得意のよく回る口で弟を責め、弟はパニックに……。・弟は姉が何かに集中しているタイミングで声をかけない(4歳では難しかったと思いますが)・姉は怖い声ではなく、優しく返事をするという点がクリアできていれば防げていたんだろうな、と今となっては思います……。片づけられない姉 VS 絶対片づける弟また、弟は片づけが得意です。おもちゃを出してもキチンと片づけます。そんな弟と正反対の姉。やりたいゲームのカセットを探すために、持っているカセットを床に広げ、それを片づけないまま遊びだします。そうなると「今すぐ遊びたい姉 VS 何時までも出しっぱなしが許せない弟」です。お互い言葉の応酬となり、最終的には弟が大泣きして私が間に入ります。Upload By ユーザー体験談また、13歳で反抗期に入った姉は、警察さながら「片づけて」と取り締まる弟をよく思わず、さらに、私がキチンと片づける弟を褒める場面に出くわすたびにイライラしたようで、弟に対して、地味な嫌味を繰り広げていました。片づけが得意という弟も、まだ4歳です。片づけていても、欲しいパーツやミニカーがないと大騒ぎすることもあります。それを見た姉は、「片づけが上手いって言うのは、どこにどれがあるか分かっている人のことだよ。お前は片づけるのが下手!」と嫌な一言。この言葉には私も当然弟側に立ったのですが、どうしても年の離れた弟の肩を持つ私に対してもイライラするらしく、余計に口撃(口がよく回るので)が増えるだけになってしまいました。私は弟に、姉の言い方はよくないけれど、どこに何があるかわかるように、この箱にはミニカー、こっちはブロックをしまわない?などの助言をし、欲しい物がなくならない対応を提案したのですが、弟はこだわりが強く片づけ方を変えることは許してくれませんでした。このぶつかり合い、どうすれば解決できるのか……頭を抱えたものです。成長したきょうだい。24歳の姉、高校生になった弟とのトラブルは…今ではお互いに成長し、身体が娘より大きくなった弟は、言いたいこともズバッと言うようになりました。怯えていた幼い頃の姿はもうありません。ただ、片づけについては現在も正反対。二人とも自室があるのですが、姉の部屋は物が散乱し足の踏み場もない程ですが、弟はそれなりにきれいにしています。娘は客間に居座ることが多いのですが、それを息子は気に入らず「客間は、○○(姉の名前)の部屋じゃない。何でもやってもらえると思うなよ。自分の部屋をまず片づけろよ」と言っています。これに姉はうるさいなーという態度をとるくらいで、言い争いはありません。Upload By ユーザー体験談二人ともお互いの特性を理解し、今では仲が良くなりました。むしろ母はのけ者?最近は夜勤がある忙しい私のために二人して家事を分担して協力してくれたり、いつのまにか一緒に洋服を買いに行っていたり、ご飯を食べに行っていたり、ゲームの話を楽しそうに話したり……。むしろ母はのけ者扱いです。ここまで来るのにいろいろなストレスがありましたが、今なら「あんなこともあったよね」と笑い話ができる程になりました。Upload By ユーザー体験談二人きりの姉弟で、凸凹だらけ。だけど、できないところをできる人が埋めて上手くいくなら、協力しあって欲しいです。困っていることを声に出し周りに助けを求めることで、それに応えてくれる人が必ずいることを忘れずに、二人が前を向いて歩いて行ってくれることを母は願っています。イラスト/星河ばよエピソード参考/しのっぺ(監修:新美先生より)きょうだいそれぞれに特性が強いと、それぞれのこだわり・苦手ポイントがぶつかり合い、きょうだいげんかの収拾がつかないということはとてもよくありますね。一方にばかり我慢させたり、ひたすら対立しあったりしないしないよう、親としては両者の言い分をそれぞれ尊重したいものの、そう簡単にいかないこともありますよね。きょうだいでもモノや空間をできるだけ共有しないで、それぞれのテリトリーを確保するようにするというのは一つの方法です。それぞれ自分が尊重されているという実感が持てる状況で育つと、思春期を過ぎた頃には意外とほどよい距離間で、よい関係になっていくということはよく聞きます。一筋縄ではいかないものではありますが、教えていただいたエピソードのように、親御さんが両者の言い分を聞いて板挟みになりながらも、両方の思いを否定せず取り持っているうちに、いつの間にか関係がよくなってくれたというのはうれしいですね。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年08月29日登校拒否でパニック、通常学級から特別支援学級への転籍、フリースクールに転校も…不登校体験談をご紹介!総務省の調査によると、小中学生で不登校の子どもの数は9年連続で増加し、令和3年度には過去最多の約24.5万人と報告されています。総務省不登校・ひきこもりのこども支援に関する政策評価 <評価結果に基づく意見の通知>教室の音やにおいなどがつらい、集団授業についていけない、お友達とのトラブル……発達障害のあるお子さんが学校で遭遇するつらい場面や困りごとは多岐にわたります。今は学校に通っているけれど、ある日突然、子どもに「学校に行きたくない」と打ち明けられたら……と考えたことのある方も多いのではないでしょうか?このコラムでは、実際にわが子の不登校を経験した発達ナビの連載ライターによるコラムや、読者の皆さんの体験談をご紹介します。ADHDと自閉スペクトラム症のあるむっくん。特別支援学級に通っていましたが、小学校1年生の秋、あることをきっかけに、頻繁に癇癪を起こすようになりました。やがて、むっくんのストレスは限界に……。「子どもが学校へ行かないことを認める」、保護者にとっては勇気がいる決断だと思います。むっくんの母であるウチノコさんが、不安や葛藤を抱えながらも親子で不登校を選ぶまでのお話です。ASD傾向のある小学5年生の女の子のお母さんから寄せられたエピソードです。娘さんは私立小学校に入学したものの、小学2年生から行き渋りが始まり、保健室登校をするようになりました。やがて、小学4年生から完全に不登校に……。私立から公立小学校の特別支援学級への転校も経験した娘さんの現在の居場所は……?発達障害グレーゾーンの息子さんお二人を育てているお母さんの体験談です。現在中学1年生の息子さん(長男)は、幼稚園の頃から「ちょっとほかの子どもと違う?」と感じるところがありつつも通常学級に入学しました。しかし、小さなトラブルが積み重なり、自信を失ってしまったのか、小学2年生から不登校になりました。その後、4学年下の弟さんも不登校となったことがきっかけで発達検査を受け、きょうだい共にASDの傾向があることが分かり……。わが子に合った環境の選ぶ大切さについて、深く考えさせられるエピソードです。【不登校の疑問Q&A】スクールカウンセラー・臨床心理士の初川先生のアドバイス2023年1月、発達ナビで開催した「発達障害のある子の不登校サポートセミナー」。スクールカウンセラーで臨床心理士の初川久美子先生による特別講演には、多くの反響が寄せられました。講演の内容の一部と合わせて、子どもが不登校になったときの対応や、学校との連携のヒント、発達障害のある子どもの特性をふまえた自宅での過ごし方や学習のすすめ方など、気になるギモンへの初川先生のアドバイスを、ギュッとまとめてお届けします!まとめ「わが子には、できれば楽しく学校に通ってもらいたい……」と思ってしまうのは、自然な親心。しかし、お子さんが不登校になったとき、早く解決しようと原因を探したり、焦って解決策を求めるのは、かえって逆効果になってしまうことも。過度に慌てず、お子さんの特性、環境、こころの状態などを見ながら、学校の先生やカウンセラーの先生たちとも連携して対応しましょう。ときには、放課後等デイサービスやフリースクール、習い事など、学校以外の居場所や、そこで関わってくれる人たちが支えになることもあります。親も子も頑張りすぎて疲れ切ってしまわないように、力を抜いてほっと息をつく時間も大切にしながら、長い目で見守っていくことが大切です。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年08月24日幼稚園からあった登園渋りが、小学校になりよりひどくなって…現在10歳の息子は、4歳で自閉スペクトラム症(ASD)、ADHDの診断を受けています。息子は感覚鈍麻があり刺激が欲しくて多動になるタイプです。小学校入学後に服薬を開始したため衝動や多動はだいぶ落ち着いていますが、基本的に落ち着きがなく、一度にたくさん指示があると処理しきれずに「もういい!」とキレることが多々あります。幼稚園でも入園直後から登園渋りはあったのですが、年中から療育に行くようになると息子にあった声掛け、対応ができるようになったこともあり、少しずつ成長することができました。進学にあたっては就学相談を行い、学校とも相談をしたのですが、入学予定の学校に情緒級がなかったこと、通級指導教室は別の学校へ移動して受けるということを息子が「疲れるから嫌だ」と拒否するのが予想できたので避け、結果通常学級となりました。そして、入学後間もなく、登校渋りが始まってしまいました。登校渋りの原因1:ゲーム依存ゲーム時間、寝る時間を守ってくれず…息子の登校渋りの原因は大きく分けると2つあると思います。1つ目はゲーム依存でした。幼稚園の頃、友達の家で見たオンラインゲームを「やりたい!」とずっと言っていた息子。ゲーム依存の危険性も理解していたのですが、時間を守ることを覚えたり、友達と約束をして楽しくプレイするのは成長になるかと思い、あるシューティングゲームを1年生のゴールデンウィーク前に解禁しました。ですが、これが間違いでした。それまで慣れない小学校への登校で疲れていた反動もあってか、ゴールデンウィークに過度にゲームにのめりこんでしまった息子。寝るように言っても寝てくれず、生活リズムは大きく崩れました。学校に行くようになったら朝起きてくれるだろうと思っていたのですが、ゴールデンウィークが終わり登校する日の朝、「嫌!行かない!」とベッドで癇癪を起こしたのです。Upload By ユーザー体験談「どうして?」と聞いても、本人はうまく気持ちを言語化できないのもあり、「全部が嫌になったんだ!」と声を上げるばかり。1日休ませてみたところ、翌朝も同じように癇癪を起こしたので、遅刻して登校させてみたりと、なんとか意地でも学校に行かせるという状態になってしまいました。寝る時間を約束しても、ゲーム時間を制限しても、時間がくると駄々をこねまくり、毎回こちらが疲れてしまいました。ここで私が面倒になって、長時間ゲームをやらせていました。でも、ボイスチャットで友達とギャグを言い合いながらプレイする姿が本当に楽しそうで……。そんなに楽しいなら……と思ってしまう面もあったのは否めません。登校渋りについてはスクールカウンセラーさんに相談していたのですが、6月、ゲームのシステムがアップデートをし、本人が目指していたステージのクリアが課金をしないと難しくなりました。さんざん課金をお願いされたのですが、私も夫もそこは許可しなかったところ、「飽きたらから辞めた」とあっさりそのゲームからは引退。その後は別のゲームを始めたのですが、前のようにはまることもなく、時間もそこそこコントロールできるようになりました。ただ、学校で嫌なことがあるとゲームに依存しがちになってしまうので、そこは前のように依存しないように注意して見ています。登校渋りの原因2:友達トラブル運動会で「また、分からなくなっちゃったの~?」と揶揄される息子2つ目は友達とのトラブルで、これが最大の原因であり今も頭を悩ませているものです。切り替えの苦手さや不注意の特性からの失敗をクラスメイトによく注意され、それが嫌だと言っている息子。1年生の運動会での玉入れ競技のとき、その場面を実際に見る機会がありました。玉入れが終わり数を数える場面で、息子は玉を持たなくていいのに手に玉を持ってしまいました。すると、それに対してクラスメイトの男の子が「また、分からなくなっちゃったの~?」と揶揄していたのです。先生から言われていたことを忘れてしまっていたこと、また、やることの切り替えがスムーズにできなかったことが原因の失敗だと思います。「今は玉は持たなくていいんだよ」という声掛けなら問題ないのですが、男の子の言い方からはバカにされたようなニュアンスを感じた私は、(今までもよく友達に注意されると言っていたけれど、こういう言い方だといじめに発展しかねない……)と不安に感じました。そして即、教頭先生や教育支援センターに相談し、なるべくクラスの様子を見に行ってもらえるようお願いしました。Upload By ユーザー体験談「こんな特性持って生まれてきたくなんてなかった」「俺のことなんだからほっとけよ!」と叫ぶ息子このようなトラブルがありましたが、1、2年の時は先生の対応も手厚く、だいたいは登校できていたと思います。ですが3年生になると「学校なんて行かない!」と本格的に不登校になってしまいました。本人が落ちついているときに改めて「学校に行きたくない理由は?」と聞いてみたところ、「クラスメイトに注意されるのが嫌なのが1番の理由。それがなければ学校は案外楽しいので行けるよ。勉強嫌いだけど。好きな教科もあるし」と言う息子。でもその後興奮して、「俺はもう一万回はクラスの子から『遅い!』とか『早くしろ』とか、『どうしようもないな!』って言われてきた!もう生きるのが嫌だし、こんな特性持って生まれてきたくなんてなかった!俺のことなんだからほっとけよ!」と爆発していました。Upload By ユーザー体験談さらに、「お母さんやお父さんだって、特性がなければもっと俺のことを自慢できたし、俺だって、特性がなければ●●君みたいなしっかりした子みたいにやれたし。お母さんもそんな子どもが欲しかったでしょう?」とも……。息子には少しでも生きやすい方法を身につけてほしい……、親ができることは何でもしたい……そんな思いの中、私は再度学校に相談をすることにしました。中学まで引き継げる支援を。息子を支えるチーム体制ができ、母の負担が減りました私は担任の先生に面談をお願いし、「通常学級が合ってないのかもしれません」と伝えました。すると先生は「注意されることが苦痛であるならば、環境調整で原因を取り除くことによって改善できるはずです。授業そのものは本人にも楽しんでいる様子がありますし、発言も見られます。もっと頑張れる子だと思います」と言われました。そして先生方は以下の対応をしてくれることになりました。・なるべく叱らない・おおげさなくらいに応援して、課題ができたらほめる・不注意があったら先回りして配慮をしておくUpload By ユーザー体験談また、教育支援センターに相談したところ、巡回相談をしてくれることになりました。そして、心理士さん、言語聴覚士さん、作業療法士さんの中で1名(日によってどなたがが参加されます)、学校に配属されている発達障害のある子どもと保護者をつなぐベテランコーディネーターの方、担任の先生と私の4人で、どうして息子が学校に行けないのか、行けるようになるためにどのような支援が必要かを話す場が設けられました。「学校でできる工夫」「家でできる工夫」「それをもとに変わってきたこと」小さな目標をたて、それができているか確認、見直しをしています。息子の行動の説明やアドバイスをまとめた資料をくれることもあります。感覚鈍麻がある息子は、高いところからジャンプすることで、自分の体の感覚をつかむ訓練になるのでそういった遊びをするといい、などです。一緒に考えていただけるようになって私の負担が少し減りました。小学生のうちに息子の困りごとを減らすとともに、中学校生活での必要な支援をまとめておくことで、息子の助けになればと思っています。特性を抱えて生きるつらさを感じている息子に寄り添っていきたい息子は明るく根は素直で、悪いことをしたら謝れる子どもです。ユーモアもあるので、最初の友達作りに問題はありません。ただ、頑固さや切り替えの悪さなどから、その後の継続した関係が難しいようでなかなか仲の良いクラスメイトができません。息子が特性を抱えて生きるつらさを感じている現在、息子の気持ちに寄り添うことが私のつとめだと思っています。ですので、不登校を許容したい気持ちもあるのですが、それよりも今は周りの助けを借りて本人の困りごとを取り除き、環境調整をしていくことが最優先です。100人いれば子育ても100通りですよね。他の子どもと比べてしまったり、今も何かあるたびに落ち込んだり、疲れてしまうこともありますが、「息子には息子にあった子育てをしよう!」と思っています。イラスト/吉田いらこエピソード参考/翠ママ(監修:藤井先生より)100人いれば子育ても100通り、息子さんには息子さんにあった子育てを、との言葉に強く共感いたしました。この言葉の意味を頭では分かっていても、どうしても実行できないことが親子だからこそあると思います。見守る、寄り添う、その子のペースを大切に、と言われてもできません、と話される親御さんは多くいます。私自身も子育て中なので、そのお気持ちはよくわかります。それでも、100人いれば100通りの子育てというのはとても大切だと思います。そこにたどり着くまでに時間はかかるかもしれませんが、一人で子育てを抱え込まず、いろいろな人に相談することで、視野が広がり、お子さんのペースを大切にする視点に立つことができるようになります。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年08月24日【発達障害×子育てアンケート】家庭での勉強に関してお困りごとがありますか?発達障害のあるお子さんの保護者の中には、「子どもがなかなか勉強に取り掛かろうとしない」「宿題に時間がかかってしまう」、そんな悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか?夏休みには宿題が多く出されることもあり、家庭での勉強法について気になっている保護者の方もいらっしゃることでしょう。そこでLITALICO発達ナビでは、家庭での勉強法について公式LINEにてアンケートを実施しました。今回のアンケートでは、家庭学習での困りごとはあるか?また、具体的な困りごとや工夫していることについてなど、みなさまから回答をいただきました。※アンケートはLITALICOの公式LINEにて!『お友だち登録』お待ちしています!Upload By 発達ナビ編集部具体的な困りごとの内容、家庭で工夫していることの回答「難しい漢字や、算数の文章問題が苦手で癇癪を起こしがちです。カーッとなってるときは手がつけられないので、自宅では本人ができるとこだけやって直しはせず(直そうとすると余計に怒るので)、翌日学校では落ち着いているので先生に教えてもらったり直していただいたりしています」「間違えると適当になり、ひどいと紙をぐちゃぐちゃにしてしまうこともあるので、勉強のときは横について一緒にやっています」「集中力がなく、気が散るタイプなので、自分自身で集中できないことが多い。自分でできるようになってほしいので、少しずつ本人に任せてみていますが、気づかせてできていないと一度パニックになって、落ち着いてからじゃないと進まないので、なかなか難しいです」LITALICO公式LINEアカウントお友達へのアンケート結果より回答期間:2023年8月1日~8月3日回答人数:1,578名※一部抜粋「だいたい始める時間と終わる時間を決めてしまい、はかどらなくても終わりの時間が来たら思い切ってやめてしまう。あまりにもはかどらなかった次のときはやる量を決めてやる」「宿題が終わったらゲーム解禁にしてあります。あとは終わったらオヤツとか。いくつもあるときは、せめて一つだけでも終わらせよう! と声をかけ、自分で選んだものだけでも終わらせるように促します」「気持ちが落ち着くとあっさりできる場合が多いので、一旦勉強はやめて、遊ぶなど本人の好きなことをやって、再開できるまで待っています。ただ、遊ぶ時間が長くなりがちで『そろそろ』と声をかけて、子どもも『そうだね』となる日と、『うるさい』と言われる日があり、再開するまで時間がかかり、一体いつするの? と思うと、親はハラハラ、イライラしてきます」LITALICO公式LINEアカウントお友達へのアンケート結果より回答期間:2023年08月1日~08月03日回答人数:1,578名※一部抜粋まとめ今回のアンケートでは、お子さんの家庭学習で困りごとはあるかをお聞きしたところ、多くの回答者が「困りごとがある」と答えていらっしゃいました。全体の4割近くの方が「勉強になかなか取りかからない」、次いで多かったのが「誰かが見ていないと進まない」という回答でした。保護者の方の多くが、ご家庭で勉強に向かわせる困難さを感じていました。また、癇癪を起こす、気が散るなど、発達障害の特性とも捉えられる困りごとも寄せられていました。家庭学習の具体的な困りごとは多種多様で、工夫して対処できているご家庭もあれば、「このまま勉強をしなければどうなるのだろう……」といった、お子さんの将来に対する不安を抱えている方も多くいることが分かりました。さまざまな困りごとがある中で、子どもの得意・不得意を整理しながら一人ひとりに合った対策を考えることが大切になります。進路や将来の就職、自立に向けて、子どもの個性を伸ばす学びの環境を整えることも必要なのではないでしょうか。LITALICOでは、お子さん一人ひとりに合った環境を整えるサポートのサービスをLITALICOライフが担っています。LITALICOライフでは、実際の障害に合わせた環境の整え方や、どういう対策が必要かを一緒に考える「勉強会」「個別相談」を行っています。お気軽にご相談ください。LITALICOライフでは現在、【ADHD向け個性にあった小学校・中学校選び】に関する勉強会を開催しています。子どもの困った行動への対処法や、ADHDがある子どもの事例を通じて、小学校から高校までの進路についてどのような選択肢があるのかを知ることができます。Upload By 発達ナビ編集部※アンケートはLITALICOの公式LINEにて!『お友だち登録』お待ちしています!(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年08月22日あらゆることに「納得いかない!」と思っていたそうですUpload By 丸山さとこASDとADHDの息子のコウは中学2年生。中学生になった今ではおおむね毎日機嫌よく過ごしているのですが、小学生の頃は不機嫌なことが多く、しょっちゅう泣いたり怒ったりイライラしたりしていました。先日、ふと「小学生の頃は機嫌が悪い時間が多かったの覚えてる?」と聞くと、「覚えてるよ。あの頃はねぇ、あらゆることに『納得いかない!』って思ってた」と言うので笑ってしまいました。コウの言う通り、小学生だった頃のコウはさまざまなことに対して「おかしくない?」「だって〇〇なら□□なのに!?」と言っては『納得いかない!』を爆発させていた覚えがあります。それだけなら「早めに来た思春期なのかな?」と流せなくもないのですが、コウの場合はそれに加えてパニックもあったために、生活のどこに混乱の種が潜んでいるのか分からない状態でした。コウが「あらゆることに『納得いかない! 』って思ってた」と言うくらい、些細な日常のできごとが混乱やパニックのきっかけでした。Upload By 丸山さとこパニックの理由の一つは、ASDとADHDの特性による思い込みの強さや『物事の背景の繋がらなさ』だったのかもしれません。コウが落とした消しゴムを「落ちてるよ」と言っただけで「僕はダメなんだ!!」とパニックになったりしていました(小学生の頃は学校で「ダメだよ」「お前が悪い」と注意をされることが多く、何かを指摘されることと非難されることが結びついてしまったようでした)。また、思い込みの強さと聞き取りの苦手さから、先生が話した内容を間違えて理解してしまうこともよくありました。プリントに休校日と書いてある日に登校しようとするのを止めてパニックになった時には、プリントやカレンダーを見せても「先生が今日学校あるって言ってた!」と言い張って大騒ぎになったこともありました。「納得いかない!」と少しずつ折り合いをつけていったコウあるときは、近所の子どもに水風船をぶつけ合う遊びに誘われて服が濡れた瞬間に泣き出してしまったことも。「水着じゃないのに服が濡れる遊びなんておかしい」とコウは泣きながら言っていました。本人にとっての『納得いかないポイント』にひっかかるたびに、パニックになって青ざめて震えたり泣いて床を叩いたりしていたコウ。そんな息子の対応に追われて、親子でグッタリすることもしばしばでした。Upload By 丸山さとこそのような状態からどうして今のような『おおむね機嫌がよい』状態になったのかと中学2年生になったコウにたずねてみました。すると、理由として以下のようなことを話してくれました。「小学生から今まで一つひとつ『納得いかない』を解消してきたことで、納得いかないこと自体が以前よりも減っているから」「今は納得いかないことがあっても不機嫌にはならないよ。学校では『面倒だな』と思いながら合わせたり指示に従ったりしてる」「家ではまだ『納得いかない!』ってなることもあるよ。でもそれは、心のどこかで『お母さんなら説明できるはず』と家にいるときは思っているからだと思う」と言って笑う彼を見ていると、根本には「納得いかない!」が残っている部分もあるのだろうと思います。「納得いかない!」の数自体は減りつつも、今でも納得いかないときはあるということ。そして、それをそのままストレートには表していないのだということを知って、コウの変化を感じました。小学校5年生の頃から少しずつ周りが見えるようになってきたコウは、「自分の感情表現は周りに比べて激しすぎるのかな?」と気づいて、感情表現の仕方を意識的に調整するようになったのだと言います。コウなりに努力して『納得できなさ』と折り合いをつけたところがあるのだなと思うと、コウのペースでいろいろ考えているのだなぁと改めて感じました。Upload By 丸山さとこ今日も機嫌がよさそうなコウに「ごきげんだね」と言うと、「僕は大体いつでも機嫌がいいよ」とニコニコしていたコウは、「だから機嫌が悪かったら心配したほうがいいよ」と加えて言いました。「体調が悪いのかなとか、悩みごとがあるのかな?とか?」と聞くと、コウは然りといった様子で「そういうこと」とうなずいていました。コウにそう言われなかったら、私は「あぁ、コウも思春期だから不機嫌なのかな?」と流してしまっていたかもしれません。そう思うと、少しドキリとした気持ちになりました。機嫌がよくても悪くても、「最近どうかな?」と、つかず離れずコウの様子を気にかけておくことを忘れないようにしたいです。Upload By 丸山さとこ執筆/丸山さとこ(監修:井上先生)コウ君の「納得ができない」が、家と学校で異なっていたのは「お母さんなら分かってくれるはず」という期待の高さゆえ、ではないかと思いました。お母さんのコウ君の気持ちを引き出す言い方の上手さが決め手になっているようにも思います。そうした経験があって癇癪やパニックの理由を言葉で表現できるようになったり、人に伝えたりすることで自分の中で折り合いをつけることが可能になっていったのだと思います。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年08月21日「かわいい、かわいい」と言って育てたADHD次女は、自己肯定感が高い!わが家は3人きょうだいです。真面目で優等生な長女(29歳)、ユーモアがありいつもニコニコしている穏やかな長男(26歳)、そして14歳でADHDの診断を受けた次女(24歳)がいます。誕生を心待ちにされ、赤ちゃんの時から家族中で「かわいい、かわいい」と言って育てたためか、次女は自己肯定感が高く、むしろできないことだらけなのになぜそんなに自信満々?と不思議なほど。二次障害も起こらず、本当によかったと思っています。なぜそのように育ってくれたかといえば、次女が末っ子で、きょうだい仲良く育ったからだと思っています。Upload By ユーザー体験談きょうだい児である長女はみんなのお手本になってくれた存在、長男は次女と姉の橋渡し的役割を担ってくれました長女は、「お姉ちゃんは偉い」と下の子たちの尊敬を一気に集めている存在です。下の子たちは、いつも長女をお手本にしていました。ですので、親が言葉でガミガミ言わなくても「こうやればいいんだ」と自然に学んでいってくれたので、叱る場面が少なかったと思います。もちろん長女が完璧だというわけではないのですが、性格が真面目なので間違えたら自分で軌道修正をするタイプ。それをそのまま下の子たちは見習ってくれました。長女が長女であることは、私たち親にとって本当に僥倖でした。また、小さいころは2歳差の長男と次女が特に仲が良かったのですが、長男の明るいキャラクターが幸いしてか、次女と6歳違いの長女を仲間はずれにするということもありませんでした。娘2人で出かけたり、ガールズトークができるようになったのは、次女が高校生くらいになってからだったと思いますが、こうやって成長してから仲良くなれたのも、長男が長女と次女の間を取り持ってくれていたからでしょう。そして、次女。次女は、言い出したら聞かない、おこりんぼ、わがまま、そのくせ怒ったことをすぐ忘れて甘ったれてくる…そんな性格(特性?)がありますが、障害が分かるまでは次女のことは「絵に描いたような末っ子」だと思っていました(もちろん世の中の末っ子全員がそのような性格ではないですが)。「本当に末っ子だな~」と家族全員でほほえましく見守っていたのですが、それは長女、長男のおおらかさのおかげも大いにありました。次女が末っ子で本当によかったです!忘れ物、癇癪、忘れっぽい…特性によるトラブルはあったけれど、末っ子だから「あらあら…」程度でスルーできたそんな次女ですが、まったく特性によるトラブルがなかったわけではありません。次女のウィークポイントは忘れ物、失くし物、おねしょ、癇癪、その他服装などが若干だらしないところでした。小学校には制服があったのですが、上の子たちは帰宅後すぐに上着とスカート(ズボン)を脱いでハンガーにかけたのに、次女がそれをできるようになったのは、何百回も言ったあとでした(でも何百回か言えばできるようになることが分かったというのは、私にとっては収穫でした)。Upload By ユーザー体験談また、やりたくないことや嫌なこと、めんどうなことに限らず、楽しみにしていることでも忘れてしまいます。たとえば、学校から帰って「今日は○○ちゃんの家で遊ぶんだ~」と言ったのに、次の瞬間には本を読んでいて、「○○ちゃんの家に行くんじゃなかったの?」と声をかけると「あっ、そうだった」という感じです。上の子たちはそんな次女のことを「すごい難しいことを知っているのに、メチャクチャ赤ちゃんぽいところもある」、「みんなが知っていることを知らないで、誰も知らないことを知っている」と言っていました。そんな次女を上の子たちはリスペクト。次女に自信を与えてくれました。Upload By ユーザー体験談また、私にとって次女は3人目の子育て。最後の赤ちゃんだと思っていたので(実際そうなりました)、言葉が遅くてもおむつが取れなくても、「あんたはずっとしゃべらなくていいよ、ずっとおむつでいいよ」と言っていたくらいでした。次女は1歳くらいから上の子たちがしなかったイタズラはするし、1歳半になっても話さないし、いろいろ上の子どもたちと違うところは多かったです。ですが私も「あらあら…」という感じでめったにしかるようなことはなく、長女のときは「しっかり育てなければ」といろいろと厳しくしていましたが、2人目3人目になるにしたがっていい加減になってしまいました(笑)。でも、それが良かったのだと思います。現在国立大の医学部に通う次女。留年2年目、頑張っています!さて、次女は現在大学生です。一浪で国立大の医学部に入学し、一人暮らしをしています。でも留年をしてしまい現在は留年2年目で奮闘中です。一人暮らしの家でコロナ禍のオンライン授業に取り組むのは、次女の特性上非常に困難だったようです。今年度の始めに大学の相談室や学務課、担任の先生とたくさん相談して、いまは少しずつ受けられるようになりました。下宿の部屋も、これまで私が訪れると文字通り足の踏み場もない状況で、片づけるだけで3日くらいかかったのですが、一番最近行った時はかなり改善されていました。いきなり几帳面な人間に変身することはできないので、「これでは自分が損をする」という点から少しずつ良いほうに変わっていって欲しいと思って、いまは見守っています長女と長男はすでに社会人で、長女は結婚もしています。二人の子育ては完了、本当に素敵な大人になってくれました。母としては充分以上、感無量です。いまの子育ては次女一人。次女に集中できるようにしてくれて、助かっています。私の記憶する限り、一度もなかったきょうだいげんか。いつも「あんたたちの仲のいいことが、お母さんの自慢だから!」と言っていましたが、これからも言い続けていきたいです。Upload By ユーザー体験談イラスト/SAKURA※エピソード参考者のお名前はご希望により非公開とさせていただきます。(監修:森先生より)発達障害というものはあくまでも一つの個性であり、それ自体は良いものでも悪いものでもありません。環境が本人に合っていないと困りごとが出てくるというだけです。環境が合わずにストレスがかかってうつのような症状が出て本人が困ったり、環境に順応できずに暴れるなどして周囲の人が困ることは、一般に「二次障害」と呼ばれ、周りのサポートがしっかりしていて、周囲の人に受け入れられていると本人が感じられると、二次障害は起こりにくいと考えられます。また、身近にお手本となる人がいると、無理なく生活習慣を身につけることができますね。安心感を与えられると、「自分は大丈夫」という自信……自己肯定感が育ちます。自己肯定感が高いと、たとえ環境が変わっても、その都度その都度環境に適応できる方法を探っていくことができるのではないでしょうか。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年08月19日息子が発達ゆっくりのため、娘ももしかしたら…?娘が産まれる少し前から息子の発達が気になっていた私……娘が産まれてすぐ、まだ産院に入院していた頃から、娘ももしかしたら発達ゆっくりさんではないかと心配していました。娘は息子と同じく産院ではすごくよく眠る赤ちゃんでしたが、息子と違った点は母乳の飲み方が上手かったこと。私自身も2人目の育児で慣れてきていたのもあるかもしれないのですが、息子のときには感じなかった力強さを感じました。しかし退院してから『抱っこしていないと眠らない、眠ってもすぐ起きる、そして物音に敏感な赤ちゃん』に豹変した息子のことがあったので、「もしかしたら、退院してから娘も豹変するんじゃ……」と不安を抱えていました。しかしいざ退院してみると、娘は入院中と全く変わらず母乳をよく飲み、よく寝る赤ちゃんでした。全く手がかからなかったので「え、2人目育児ってこんなに楽なもんなのか!?私、母としてのスキル爆上がりしてる!?」なんて勘違いするほどでした。(笑)Upload By 海乃けだま反応が返ってくる!!育児を心の底から楽しめていた時期生後2ヶ月頃になると、娘はあやすとよく笑うようになりました。息子のときには全くと言っていいほど反応がなかった"いないいないばぁ"にもニコニコ笑ってくれるではありませんか!!「こ……これがもしや……いわゆる定型発達児の反応なのか!?」あやすとすぐに反応を返してくれる娘に「めちゃくちゃ可愛いやんけーーーー!!」と親バカが炸裂し、"娘ももしかしたら……"という心配は吹き飛んでしまいました。(笑)息子のときにはしなかった寝返りも5ヶ月頃には自らしていて、それからもハイハイやつかまり立ち、離乳食の手づかみ食べやスプーン食べもすんなりと進み、10ヶ月頃には単語や指差しも出てきました。育児書に書いてある目安どおりの順調な発達に「娘は定型発達に間違いない!!」と思い込むようになりました。Upload By 海乃けだま順調に思えた発達。落ち着きのなさが気になり1歳半健診で相談するも…1歳1ヶ月頃になると、娘はひとり歩きができるようになりました。しかしこの頃、娘の成長を喜ぶ反面、少し気になることも出てきていました。腰がすわった頃から横抱きよりも縦抱きを好んでいた娘ですが、ハイハイができるようになった頃から、娘は抱っこされること自体を嫌がるようになっていたのです。ひとり歩きが安定してくるようになると、さらに落ち着きのなさが目立ち始めたので、1歳半健診で保健師さんに一応相談してみることにしました。健診をひと通り終え、落ち着きのなさ以外には特段困っていることもなく、発達の遅れも見られなかったので、保健師さんからは「様子を見ましょう」と言われました。保健師さんのその一言に「落ち着きはないけれど、診断されるほどじゃないのかもしれない」と少し安堵しました。Upload By 海乃けだま様子見と言われながらも、兄と比べて意思疎通ができていたため、発達の凸凹を受け入れたくなかった入園までの日々…1歳半健診後、定期的に保健センターの保健師さんから、娘の発達についての確認の電話がありました。その頃の娘はというと、2語文がなかなか出ずに少し心配していたものの、2歳を過ぎた頃から爆発的に言葉が出てきたこと、そしてASDの息子と比べて意思疎通も容易だったため、様子見のまま発達相談はせずにいました。正直なところ、息子にASDの診断が出たばかりだったので「息子だけじゃなく、兄妹2人とも発達障害だとしたら……娘にも診断が出るのは耐えられない」と受け入れ難い気持ちばかりが大きくなっていました。しかし、このまま幼稚園に入園して「きっと大丈夫だろう」と思う反面、「もしも集団生活についていけなかったら……」という気持ちは常に頭の隅にありました。娘が2歳半を過ぎた頃にまた保健師さんより連絡があり、発達教室のお誘いがありました。最初は断ろうと思いましたが、「一応通っておこう」と考えなおし、発達教室に参加することにしました。発達教室での娘は、落ち着きのない一面はありつつも、保健師さんの話を聞いてちゃんと動けているように感じました。「落ち着きはないけれど、このまま幼稚園にも行けそう……行けてほしい!」揺らぐ気持ちは変わらないまま、娘が定型発達であってほしい思いだけが強くなっていきました。Upload By 海乃けだま体験入園で園長先生から言われた言葉。娘への後悔…発達教室が終わり、保健師さんに発達検査(新版K式発達検査)をしてもらうことになりました。検査の結果は"年齢相応の発達指数"でしたが、保健師さんから「1対1で行う検査ではこの数値だけど、娘ちゃんには意識が逸れやすいところがあるから、集団生活だと娘ちゃんの持ってる力を発揮しづらいかもしれない」と言われました。それでもなお、私の中では、娘は定型発達であると信じたい気持ちが先行し、保健師さんの言葉を素直に受け入れることができませんでした。そんな矢先、娘の入園予定の幼稚園で、満2歳児向けの体験入園が始まりました。「何事もなく過ごしてほしい……」と祈るような気持ちで娘を体験入園させましたが、そんな私の思いとは裏腹に、娘は先生のお話中に教室を出て行ってしまったり、絵本の時間におままごとのおもちゃで遊び出したり……明らかに集団行動が苦手な様子でした。そんな娘の様子を見ていた園長先生から「海乃さん、息子さんのことでよく知ってると思うから言わせてもらうんだけどね(息子もその幼稚園に転入予定であったため、園長先生には事前に息子がASDであることを伝えていました)、娘ちゃんはどうかな?療育を受けたほうが今後の娘ちゃんのためにもなると思う」とすすめられました。園長先生からの言葉に、今までわが子2人に診断が出てしまうことが受け入れられなくて、娘の発達に期待を寄せ過ぎ、娘の発達凸凹な部分を見て見ぬふりをしてきてしまった自分を悔やみました。その体験入園の日の帰り道、泣きながら保健センターの保健師さんに電話し、児童精神科への紹介状を書いてもらいました。医師による診察の結果、娘は神経発達症(ADHDと軽度の自閉スペクトラム症)と診断されました。幼稚園入園前の3歳9ヶ月のことでした。現在、娘は幼稚園に通いながら、週1日療育園に並行通園しています。何にでも興味があり積極的に楽しむ娘は、幼稚園も療育園も、どちらも「行くー!!」と全力で楽しんでいます。Upload By 海乃けだま執筆/海乃けだま(監修:鈴木先生より)一般的に乳幼児健診などで保健師さんが「様子を見ましょう」という場合は、経過観察のみとなることが多いため、お子さんの発達に気になる点があれば、できるだけ早期にかかりつけ医に相談するのがお勧めです。病名告知は医師にしかできません。「わが子は定型発達で、障がいがあってほしくない」と思うのは、親御さんの自然な感情だと思います。それでも、お子さんの発達の特性がなくなるわけではありません。今回のケースのように悩んだ末、集団の中に入ってから他児との違いに気づき、専門医を訪れる親御さんもいます。今回、娘さんは3歳で神経発達症の診断がつきましたが、早いほうです。お子さんの発達のつまずきに悩み続けている親御さんが就学前に専門機関へ繋がれるようにするため、5歳児健診が少しずつ全国に広まりつつあります。できるだけ早期に診断して受容し、将来に向けて家族や保健師・教員・かかりつけ医等と一緒に考えて歩んでいくことが、お子さんのためには重要なのです。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年08月16日育児に遅れと混乱が生じてる !!
ムスメちゃんとオコメちゃん
うちの家族、個性の塊です