*画像はイメージです:月になり、確定申告のシーズンに突入しました。とはいえ多くの会社員にとっては会社が年末調整を行なってくれるため、確定申告なんて縁遠いものだと感じている方も多いのではないでしょうか。でもちょっと待ってください。実は今、会社員でも確定申告をするケースがあるということをご存知でしょうか? ■そもそも確定申告とは?まずはそもそも確定申告とはどういう制度かをおさらいしておきましょう。確定申告とは、簡単にいえば1年間の所得税額を確定させるために行う手続きのことを言います。会社員の方であれば毎月の給与額から一定の所得税が天引きされていることと思いますが、その天引き額がその人にとって適正な税額なのかどうかは「1年間(1月〜12月)全体」の所得額や各種控除などを確認する必要があるのですね。ただ、多くの一般の会社員の方はこの確認作業を「年末調整」として会社が個人の代わりに行なってくれているのです。 ■会社員での確定申告の必要性また、会社員であっても年収2,000万を超える場合や副業等の収入が20万を超える場合は確定申告の必要があります。ただ、多くの会社員にとって確定申告を行うのは税金の還付を受けるケースでしょう。例えばレーシック手術を受けるなどして医療費が年間10万円を超えるような場合や、初回の住宅ローン控除を受ける際には確定申告によって税金の還付を受けることができます。また、下記で解説する寄附金控除(いわゆる「ふるさと納税」)ではより簡単に確定申告を行うことができるのです。 ■ふるさと納税で簡単に確定申告が出来るサービスとは?ふるさと納税をご存知で、すでに利用されている方もいるのではないでしょうか。ふるさと納税には条件を満たした人が利用できる「ワンストップ特例制度」があります。この制度は、確定申告の不要な給与所得者が納税した場合、確定申告をしなくても寄付金控除を受けられる制度です。ふるさと納税のポータルサイト「さとふる」ではサイト内の画面案内に従うだけで、簡単に確定申告書を作成することができます。また、ふるさと納税を行った人で注意したいのは、2016年1月1日以後、ワンストップ特例制度を利用する場合、マイナンバーを記入した申請用紙を別途寄付した市町村に提出する必要があります。それに伴い、なりすまし防止の書類を2通(個人番号確認の書類、本人確認の書類)申請書と共に郵送することになりました。こちら制度の変更に伴い、お忘れになっている方が多いのではないでしょうか?ふるさと納税をした方で申請書類をお忘れの方はさとふるのようなサービスを利用してスマートに確定申告を行なってみてはいかがでしょうか。 *取材・文:ライター松永大輝(個人事務所Ad Libitum代表。早稲田大学教育学部卒。在学中に社労士試験に合格し、大手社労士法人に新卒入社。上場企業からベンチャー企業まで約10社ほどの顧問先を担当。その後、IT系のベンチャー企業にて、採用・労務など人事業務全般を担当。並行して、大手通信教育学校の社労士講座講師として講義サポートやテキスト執筆・校正などにも従事。現在は保有資格(社会保険労務士、AFP、産業カウンセラー)を活かしフリーランスの人事として複数の企業様のサポートをする傍ら、講師、Webライターなど幅広く活動中。【画像】イメージです*よっし / PIXTA(ピクスタ)
2017年02月25日新築住宅や中古住宅の購入、リフォームの際には、国の補助金を申請できます。申請者の収入や申請住宅の設備などについて要件があるため、細かくチェックしましょう。補助金額は30万円ほどのものから200万円を超えるものまで幅広くあります。なかでも近年は三世代同居に対応した住宅(二世帯住宅)への補助が厚くなっている傾向にあります。■新築住宅購入で利用できる補助金一覧新築住宅を購入する際に利用できる補助金には以下のものがあります。【すまい給付金】消費税率引き上げの負担を軽減するため、引き上げ後の税率が適用される住宅を購入する人を対象に現金を給付する制度です。平成26年4月から平成33年12月まで実施されます。不動産登記上の持分があれば配偶者でも給付金を受け取れる点、住宅ローン減税と併用可能な点がポイントです。住宅所有者が直接申請し、給付を受けます。一般的な要件のほかに、以下の独自の要件があります。1.収入が一定以下であること。・8%時:収入額の目安が510万円以下・10%時:収入額の目安が775万円以下2.住宅ローンを利用しない場合は、年齢が50才以上であること。さらに10%時には、収入額の目安が650万円以下であること。3.引き上げ後の消費税率が適用される住宅であること。4.床面積が50平方メートル以上の住宅であること。5.住宅ローンの利用がない場合は、フラット35Sの基準を満たす住宅であること。フラット35Sの基準は以下のいずれかに該当することです。1.耐震性に優れた住宅(耐震等級2以上の住宅または免震建築物)2.省エネルギー性に優れた住宅(一次エネルギー消費量等級4以上または断熱等性能等級4または省エネルギー対策等級4)3.バリアフリー性に優れた住宅(等級3)4.耐久性・可変性に優れた住宅(劣化対策等級3、維持管理対策等級2等)給付額は、住宅取得者の収入によって決まる給付基礎額と、不動産登記上の持分割合で、以下の計算式により決定します。給付額=給付基礎額×持分割合補助金額上限は、消費税率8%の場合最大30万円、10%の場合最大50万円です。手続き時期は入居後随時(入居後1年3カ月以内)です。【住宅ストック循環支援事業】エコ住宅への建て替えに対して補助金を申請できる事業です。建設業者や宅建業者が補助金を申請し、給付を受けます。業者が受け取った補助金は、住宅所有者に還元されます。要件は一般的な要件のほかに、以下のような独自の要件があります。1.耐震性のない住宅を除却すること。2.エコ住宅に建て替えること。補助金額は30万円~50万円です。手続き時期は補正予算成立後(10月頃)~同年度3月末日までです。【地域型住宅グリーン化事業】地域における木造住宅の生産体制を強化する目的で実施されている補助金事業です。三世代住宅(二世帯住宅)への対応に対して補助金が加算される点がポイントです。施行事業者などからなるグループが補助金を申請し、給付を受けます。補助金は住宅所有者に還元されます。以下のいずれかの要件を満たす必要があります。なお、いずれも木造建築が条件です。1.長寿命型(長期優良住宅の認定を受けたもの)2.高度省エネ型(認定低炭素住宅の認定を受けたもの)3.高度省エネ型(性能向上計画認定住宅の認定を受けたもの)4.高度省エネ型(ゼロ・エネルギー住宅の認定を受けたもの)補助金額は以下のとおりです。1.長寿命型:100万円2.高度省エネ型(認定低炭素住宅):100万円3.高度省エネ型(性能向上計画認定住宅):100万円4.高度省エネ型(ゼロ・エネルギー住宅):165万円さらに地域材を利用した場合は20万円を上限に補助金額が加算、三世代同居に対応した場合は30万円を上限に加算されます。手続き時期は4月~6月頃です。【ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業】住宅における年間の一次エネルギー消費量が正味ゼロとなる住宅(ZEH)に対して出される補助金です。住宅所有者が直接申請し、給付を受けます。一般的な要件のほかに、以下のような独自の要件があります。1.ZEHロードマップにおける「ZEHの定義」を満たしていること。《ZEHの定義》(1)住宅の外皮性能が地域区分ごとに定められた強化外皮基準以上であること。(2)設計一次エネルギー消費量が再生可能エネルギーを除き、基準一次エネルギー消費量から20%以上削減されていること。(3)太陽光発電システムなどの再生可能エネルギーシステムを導入すること。(4)設計一次エネルギー消費量が、再生可能エネルギーを加えて、基準一次エネルギー消費量から100%以上削減されていること。2.申請する住宅はSII(一般社団法人環境共創イニシアチブ)に登録されたZEHビルダーが設計、建築または販売を行う住宅であること。3.導入する設備は本事業の要件を満たすものであること。4.要件を満たすエネルギー計測装置を導入すること。補助金額は以下のとおりです。1.交付要件を満たす住宅:125万円2.交付要件を満たし、寒冷地特別外皮強化仕様である住宅:150万円3.設計一次エネルギー消費量が、再生可能エネルギーを加えて、基準一次エネルギー消費量から75%以上削減されている住宅:125万円さらに蓄電システムを導入する場合には、補助金額が以下のとおり加算されます。1.蓄電システムの補助金額:蓄電容量1kWh当たり5万円2.蓄電システムの補助金額上限:補助対象経費の3分1のまたは50万円のいずれか低い金額手続きは年度内に随時行えます。【民生用燃料電池導入支援事業】家庭用燃料電池システム「エネファーム」を住宅に導入する場合、その購入費用の一部を支援してもらえる補助金制度です。一般的な要件のほかに、以下のような独自の要件があります。1.申請者は燃料電池システムを購入し、実際に使用する人であること。2.設置予定の燃料電池システムが、「FCA(燃料電池普及促進協会)が指定した燃料電池システム(補助対象システム)」であること。3.「補助対象システム」を6年間以上継続して使用できること。4.他の国庫補助金と重複して補助を受けない(受けていない)こと。5.補助対象システムの設置などに関するFCAへの情報提供に同意できること。6.個人(個人事業主を除く)が申請する場合、排出削減事業への参加を表明できること。住宅所有者が直接申請し、給付を受けるタイプの補助金です。補助金額は、補助の対象となるエネファームの機器価格と工事費の合計価格(補助対象経費)の大きさによって以下のとおり変わります。1.合計価格が基準価格以下の場合固体高分子形(PEFC):15万円固体酸化物形(SOFC):19万円2.合計価格が基準価格を上回り、裾切価格以下の場合固体高分子形(PEFC):7万円固体酸化物形(SOFC):9万円さらに設置対象の燃料種別がLPガスの場合や、補助対象システムが寒冷地仕様の場合は、3万円ずつ補助金額が追加されます。基準価格は、固体高分子形(PEFC)は127万円、固体酸化物形(SOFC)は157万円です。また裾切価格は、固体高分子形(PEFC)は142万円、固体酸化物形(SOFC)は169万円と定められています。なお基準価格や裾切価格は、使用や燃料種別によって変動するため、詳細については個別に確認が必要です。手続きは年度内に随時行えます。【地方公共団体の補助金事業】国だけでなく、都道府県や市町村でも、さまざまな補助金事業が実施されています。お住まいの地域で受けられる補助金がないかチェックしてみましょう。■中古住宅購入で利用できる補助金一覧中古住宅を購入する際に利用できる補助金には以下のものがあります。【すまい給付金】すまい給付金は中古住宅の購入も対象になります。ただし給付の対象となる中古住宅は、売主が宅地建物取引業者である中古住宅(中古再販住宅)だけである点に注意が必要です。これは売主が個人の場合には、同給付金の根拠となる消費税が課税されないためです。おもな要件は新築住宅購入の場合と同様です。【住宅ストック循環支援事業】良質な既存住宅の流通を促進する目的から、中古住宅の購入の際にも同事業の補助金を申請できます。新築住宅を購入する場合とは要件が異なるため気をつけましょう。宅建業者やインスペクション事業者が補助金を申請し、給付を受けます。業者が受け取った補助金は、住宅所有者に還元されます。要件は以下のとおりです。1.若者(40歳未満)が既存住宅を購入すること。2.売買に際して、インスペクションを実施し、既存住宅売買瑕疵保険に加入すること。インスペクションとは、専門家が第三者的な立場から、住宅の劣化状況や欠陥の有無などをチェックすることを指します。補助金額は以下のとおりです。1.インスペクション5万円2.リフォーム工事内容に応じて定める額(定額)上限はインスペクションとエコリフォームの合計で50万円(耐震改修を行う場合は65万円)です。手続き時期は補正予算成立後(10月頃)~同年度3月末日までです。【地方公共団体の補助金事業】中古住宅を購入する場合も、都道府県や市町村の補助金が利用できることがあります。積極的に問い合わせてみましょう。■住宅リフォームで利用できる補助金一覧住宅リフォームで利用できる補助金には以下のものがあります。【住宅ストック循環支援事業】エコリフォームを行う場合は、同事業の申請が可能です。リフォーム会社が補助金を申請し、給付を受けます。リフォーム会社が受け取った補助金は、住宅所有者に還元されます。要件は以下のとおりです。1.エコリフォームを実施すること2.リフォーム後に耐震性が確保されること補助金額は、リフォーム工事内容に応じて定める額(定額)が支給されます。上限は30万円(耐震改修を行う場合は45万円)です。手続き時期は補正予算成立後(10月頃)~同年度3月末日までです。【地域型住宅グリーン化事業】新築住宅の購入だけでなく、リフォームを行う場合も要件を満たせば同事業の補助金を申請できます。補助金の受け取り方法や補助金額などは新築住宅購入の項目における「4.高度省エネ型(ゼロ・エネルギー住宅)」と同様です。要件はゼロ・エネルギー住宅に認定された木造の住宅であることです。【ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業】新築住宅の購入だけでなく、リフォームの場合も同事業を利用できます。なお補助金額など要件以外の内容は新築住宅購入の場合と同様です。一般的な要件以外に、以下の独自の要件が定められています。1.既築住宅は住宅全体の断熱改修を含み、導入する設備は原則としてすべて新たに導入すること。【民生用燃料電池導入支援事業】リフォームでも同事業を利用できます。詳細は新築住宅購入の場合と同様です。住宅所有者が直接申請し、給付を受けます。【住宅省エネリノベーション促進事業】住宅の省エネ化を促進するための補助金事業です。一般的な要件のほかに、補助対象となる製品について以下のとおり独自の要件があります。1.住宅の省エネルギー改修(省エネリノベーション)に有効な高性能建材・設備としてSIIの定める要件を満たした製品であること。2.未使用品であること。補助金額は以下のとおりです。1.高性能建材(ガラス・窓・断熱材):補助対象費用の3分の1以内、上限150万円2.蓄電システム:5万円/kWh、上限額は補助対象費用3分の1または50万円のいずれか低い金額3.高効率給湯機:補助対象費用の3分の1以内、上限15万円手続きは年度内に随時行えます。【長期優良住宅化リフォーム推進事業】既存住宅の長寿命化を目的とした補助金事業です。三世代同居のためのリフォームは補助金がアップします。住宅所有者が直接申請し、給付を受けます。あるいはリフォーム会社が補助金を申請して給付を受け、その補助金を住宅所有者に還元することも可能です。要件は以下のとおりです。1.リフォーム工事前にインスペクションを行うとともに、工事後に維持保全計画を作成すること。2.下記性能項目のいずれかの性能向上に資するリフォーム工事または三世代同居改修工事を行うこと。劣化対策、耐震性、省エネルギー対策、維持管理・更新の容易性、高齢者等対策(共同住宅のみ)、可変性(共同住宅のみ)、三世代同居改修工事3.リフォーム工事後に少なくとも劣化対策と耐震性の基準を満たすこと。補助金額は、リフォーム工事に必要な費用の合計額の3分の1以内、上限は100万円が基本です。ただし三世代同居改修工事を実施する場合は150万円が上限となります。なお認定長期優良住宅とする場合はプラス100万円が上限になります。手続きは年度内に随時行えます。【市町村の補助金事業】住宅リフォームについても、都道府県や市町村の補助金を受けられる場合があります。ぜひ調べてみてください。■まとめいかがでしたか?補助金にはそれぞれに要件や特徴があることがわかったかと思います。住宅の購入やリフォームにはお金がかかりますが、補助金事業を賢く利用して、費用を抑えたいところですよね。住宅の購入やリフォームを検討する場合には、利用できる補助金がないかどうか、ぜひチェックしてみてください。
2017年02月24日「夫が死んだら毎月どうやって食べていったらいいのか……」と、漠然とした不安を抱く妻は少なくないはず。夫が亡くなったときに備えるには、3,000万〜4,000万円もらえる死亡保険に入っておけばいいと思ってしまいがちだが、これに「待った!」をかけるのは、ファイナンシャル・プランナーの畠中雅子さん。 「死亡保険は死亡保険金が多ければ多いほど、月々支払う保険料は高くなり、家計を圧迫します。夫が会社員であれば亡くなった後、会社から死亡退職金がもらえます。また、公的年金に加入していれば遺族年金が月々入ってきます。入るお金と出ていくお金を書き出してみると、意外と少ない備えで済むことがわかりますよ」 夫が亡くなったらいくら必要になるのか?生活費以外で必要なお金と、月々かかる固定費、衣食住、水道、光熱費などの生活費。まず、生活費以外の「夫が亡くなったらいくら必要?」を算出してみよう。はじめに「手元に残るお金」がいくらなのか洗い出してみる。たとえば、夫名義の預貯金や、会社員であれば勤務先からの死亡退職金などがある。金額は事前に勤め先の総務課などに聞いておき、それらを足してみると大まかな金額が出てくる。 次に、葬儀関係の支出、子どもが大学を卒業するまでの学費など、比較的大きな「生活費以外で必要なお金」を「手元に残るお金」から引くと、「夫が亡くなったらいくら必要?」かがわかる。そして、「夫が亡くなったあとの月々の生活費」がどれだけかかるのか計算する。夫が亡くなったときに入る大きなお金は、遺族年金だ。それに妻の収入を加えれば、1カ月に家に「入るお金」がわかる。続いて、1カ月に出ていくお金を列挙していく。食事や水道・光熱費、通信費など。特に大きい支出は住居費。 「すでに持ち家で住宅ローンを組んでいれば、『団体信用生命保険』が利用できます。団体信用生命保険とは住宅ローンを組むときにセットで契約するもので、ローン契約者が亡くなった時点で、ローンの残高分が保険を使って金融機関に支払われる仕組みです。持ち家となれば、住居費は固定資産税と、マンション住まいなら管理費・修繕積立金込みですみます。賃貸に済んでいる人は、家賃の負担があり、その差はとても大きいです」(畠中さん) 「入るお金」から出ていくお金を引けば、「夫がなくなったあとの月々の生活費」の必要額がわかる。 「一家の家計を支えていた夫が亡くなると残された家族の生活は苦しくなります。そんなときに役に立つのが『遺族年金』です」 こう語るのは、社会保険労務士でブレインコンサルティングオフィス代表の北村庄吾氏。遺族年金には遺族基礎年金、遺族厚生年金と寡婦年金などがあり、子どもの有無、死亡時の子どもの年齢などによって受け取り方は変わってくる。 会社に勤めていた夫(50)、妻(48)の夫婦、子どもが小学生2人のケースでは、夫が今の時点で亡くなった場合、妻には国民年金から遺族基礎年金が、厚生年金から遺族厚生年金が支給される。この際、2人の子どもの年齢がポイントになる。 「会社員の場合、お子さんが高校を卒業するまで、遺族基礎年金と遺族厚生年金がダブルでもらえます。ボーナスを含めて年収が550万円というケースで計算してみますと、遺族厚生年金は年間68万600円という試算が出ました。さらに遺族基礎年金77万9,300円がもらえます(’17年度)。ここに子の加算分、22万4,300円を2人分加算するとトータルで年190万8,500円もの遺族年金を受け取ることができます」(北村さん) 妻のパート代をプラスし、住宅ローンが返済されて住宅費がかからなければ、生活の見通しが立つだろう。ただし、子の加算を含む遺族基礎年金が受け取れるのは子どもが高校を卒業するまで。子どもがいなければ、遺族基礎年金そのものがもらえない。 だが、子どもが高校を卒業したあと、妻は遺族厚生年金にプラスして「中高齢寡婦加算」が受け取れる。65歳を過ぎたら、終身「老齢基礎年金」がもらえる。妻が遺族基礎年金を受け取るためには、夫が国民年金に加入して、かつ保険料を納付した期間(免除も含む)が3分の2以上あることなどが条件となっている。 このように会社員の妻であれば、手厚い遺族年金がもらえるが、夫が厚生年金に入っていない自営業者や非正規の立場で働く人は要注意。 「ご主人が自営業の方は遺族厚生年金が支払われません。また、お子さんが高校を卒業してから、寡婦年金を受け取る60歳まで無年金の期間が発生してしまいますので、この期間、家族が安心して生活できる備えが必要になってきます」(北村さん) 前述の「夫が亡くなったらいくら必要?」でお金が足りない人は「定期保険」でカバーしよう。 「定期保険は掛け捨てなので、終身保険に比べて保険料の負担を抑えられるというメリットがあります。夫の死亡保障を確保するために、10年間の保険期間で、死亡保険金を500万円程度に設定すれば、大きな出費が必要なときに役にたつでしょう。50代で加入しても、月3,000円前後の保険料で済みます。そして『月々の生活費』の不足分は、『収入保障保険』で補いましょう」(畠中さん) 「収入保障保険」とは、働き手が亡くなった後、保険金額が毎月の収入のように一定額入ってくる保険。夫が突然亡くなっても、少しの保険料で十分な備えがあれば大丈夫。あわてないで、今からさっそく準備に取りかかろう!
2017年02月23日「会社員やパートの方も、確定申告することで、還付金が手に入るかもしれません。申告漏れはもったいないですよ」 そう語るのは、経済ジャーナリストの荻原博子さん。今月16日にスタートする確定申告。今回はその直前対策として、新たに導入される制度の注意点や、特に注目したい控除について、荻原さんが解説してくれた。 【1】マイナンバー導入元年 「マイナンバーの運用は昨年1月から始まりましたが、確定申告での導入は今回が初めてになります。昨年までとの違いは、申告書に12ケタの個人番号を記入すること。また申告書提出の際、マイナンバーカードやコピーの提示が必要になったことです。とはいえ、マイナンバーカードを作っていない方も多いと思います。その場合は、マイナンバーの通知カードと、運転免許証や健康保険証などの身元確認書類が必要です」 【2】クレジットカード納付 「今年1月から、所得税や法人税、消費税などの国税がクレジットカードで納付できるようになりました。カードによっては分割払いも可能です。ただし、インターネットの『国税クレジットカードお支払サイト』からの決算に限定されています。税務署や金融機関の窓口では、カード納付はできませんのでご注意ください」 【3】住宅ローン控除を受ける 「昨年は、日銀によるマイナス金利政策の影響もあり、住宅ローン金利は過去最低レベルでした。ローンの借り換えを行った方も多いと思います。住宅ローン控除は、ローン残高の1%、最大40万円が10年間控除される大きなもの(’14年4月以降の借り入れの方)。ほとんどの場合、借り換えても控除対象になります。ただし、借り換え後のローン期間が10年未満だと、控除は受けられません。ローン期間は、新しいローン単独で10年以上が条件です」 【4】リフォーム減税で戻るお金 「空き家問題が深刻化するなか、政府は中古住宅のリフォームを推進しています。そのため、リフォームの種類別に所得税の控除を設けています。このうち昨年4月に新設されたのが、3世代同居を目的とした住宅リフォーム減税です。ほかに耐震や省エネ、バリアフリーなどがあり、ローン利用の有無や期間によって控除額が決まっていて、併用できるものもあります」 【5】被災された方は控除申請を 「昨年は熊本や鳥取で大きな地震があったほか、北海道や岩手では台風による被害など、自然災害の多い1年でした。こうした災害による損害は、『雑損控除』か『災害減免法による控除』のどちらか有利なほうを選べます。損害額や年収、保険金額によって控除額は異なりますから、税理士にご相談ください」 【6】ふるさと納税と確定申告 「話題の『ふるさと納税』をした方も多いでしょう。従来、ふるさと納税で寄付金控除を受けるには確定申告が必要でしたが、’15年4月からは『ワンストップ特例制度』が始まりました。ふるさと納税以外で確定申告の必要がない会社員などは、寄付先の自治体が5つ以内であれば、確定申告が不要になったのです。ワンストップ特例と確定申告とでは、控除される税金がことなります。ワンストップ特例は、すべての控除額がこれから支払う’17年分の住民税に充てられます。これに対して確定申告では、控除の一部がすでに払った’16年分の所得税に充てられますから、還付金が戻ります。少額でも現金がうれしい方は、確定申告のほうがいいでしょう」 【7】退職・転職した方の注意点 会社員の方で、転職や退職などのため昨年の年末調整を受けていない場合は、確定申告が必要です。転職後に年末調整を受けていても、前職の源泉徴収票を提出していない場合、1年を通じた計算になっていないからです。そもそも毎月、源泉徴収される税金は、前年1年間の給与を基準に算出しています。働いていない期間があれば、その分収入が減るので、税金も安くなります。つまり、税金を払いすぎている可能性がありますから、ぜひ確定申告で取り戻してください」 【8】医療費控除も要チェック 「医療費控除を、『10万円は超えないから』とあきらめる方がいますが、実は医療費を“ためる”コツがあります。まず、医療費は家族分を合算できます。次に、たとえば人間ドックなど、病気予防のための検査費用は医療費に含まれませんが、もし病気が見つかって治療が始まると、人間ドックの費用も医療費と見なされます。また、子どもの歯科矯正も医療費として扱われます(成長を阻害する可能性があるため)。大人でも、医師が『機能的に問題がある』と診断すれば、医療費に含められます。さらに今年1月から『セルフメディケーション税制』が始まりました」
2017年02月16日年末調整も終わり、自分の税金関係については一区切りしたという会社員の方は多いと思います。ただ、一方で確定申告という言葉がありますが、会社員にとってはあまり馴染みのないものと言えるでしょう。とはいえ、確定申告を行うことで得になるのであれば、これを利用しない手はありませんよね。そこで今回の記事では会社員でも確定申告をした方が良いケースを何点かご紹介したいと思います。Q.会社員でも確定申告した方が良いのはどんな時?*画像はイメージです:一般的に多いケースは初回の住宅ローン控除を受けるときや、医療費控除を受けるときです。会社員が確定申告をするケースで一番多いのは初回の「住宅ローン控除」を受ける時と、「医療費控除」を受けるときと言えるでしょう。住宅ローン控除とは、住宅ローンの残高に応じて所得税・住民税が控除される仕組みです。本来は毎年の年末調整で企業が手続きをしてくれるのですが、1年目のみ自分で確定申告をしなければなりません。また、医療費控除とは年間の医療費が10万円を超えた場合に受けることができる仕組みです。健康に過ごしていればなかなか年間の医療費が10万円を超えることはないと思います。しかし、例えば歯医者でちょっと高品質の歯を入れることになったり、レーシックの手術を受けたりした場合にはそれだけで医療費が軽く数十万円になりますので、こう言った場合には確定申告をすることによって税金の還付を受けることができます。 *取材・文:ライター松永大輝(個人事務所Ad Libitum代表。早稲田大学教育学部卒。在学中に社労士試験に合格し、大手社労士法人に新卒入社。上場企業からベンチャー企業まで約10社ほどの顧問先を担当。その後、IT系のベンチャー企業にて、採用・労務など人事業務全般を担当。並行して、大手通信教育学校の社労士講座講師として講義サポートやテキスト執筆・校正などにも従事。現在は保有資格(社会保険労務士、AFP、産業カウンセラー)を活かしフリーランスの人事として複数の企業様のサポートをする傍ら、講師、Webライターなど幅広く活動中。【画像】イメージです*よっし / PIXTA(ピクスタ)
2017年01月08日●連載の目次は こちら から●本特集も最終回。今回の内容は本当に難しく、「ママが気軽に読む記事にしては、難しすぎやしないか?」と、何度も自問自答した。しかし、「家を買うならば、これだけは知っておいたほうがよい」という、自身の経験も踏まえて選択した情報だ。できれば、何度も繰り返し読んで、理解を深めてほしい。というところで、本題に入ろう。■住宅ローン金利比較サイトの落とし穴多くの人にとって、どの住宅ローンを選べばよいかという情報は難しすぎて、「とりあえず金利比較サイトの上位なら、大丈夫だろう」くらいで選びがちではないだろうか。しかし、これらのなかには、銀行などからの「広告料」でサイトを運営しているところも多く、鵜呑みにするのは危険な場合もある。少々突飛な「たとえ」かもしれないが、ファストファッションの服も、有名ブランドの服も、買うときには、素人目にその差が目立つことは少ない。けれども年月を経ることで、両者の違いは歴然とする。住宅ローンも、それに似ていると思う。だからこそ、住宅ローンは「借りる時の金利の安さ」だけではなく、「長い年月、付き合って、大丈夫か?」を、見なければならないと思う。それが10年間、住宅ローンと付き合ってみた、私の実感だ。何しろ、家計の中で最も大きな割合を占めるのが住宅ローンなのだから。 ■プロが選ぶ! 2016年夏・お宝住宅ローン「長い年月、付き合って大丈夫なローンかどうか」は、どうやって見極めればよいのだろう? その指針となるのが、「商品性」だ。たとえば、「 優遇期間終了後 の基準金利引き下げ率は、きちんと低く設定されているか」といったこと。しかし、そう言われてもすぐに「はい、そうですか」と理解できる人は少ない。むしろ、「何のこと!?」と、思う人のほうが多いだろう。だが、それで問題ない。住宅ローンの商品性を、素人が判断するのは到底、無理なことなのだ。だからこそ、私は毎年、プロである浅井さんに取材に行く。そんな訳で プロ中のプロ 、浅井さんが選んだ、2016年夏・お宝住宅ローン(新規取得者向け)を発表しよう。■住宅ローンを真剣に選んだ先にあるもの「2016年の夏は、長期の固定金利型を中心に、 住宅ローンの金利が本当に低くなっています 。ただし、9月には少し金利が上がる可能性も見えています。今、借りるローンとは何十年にも渡って、つき合うことになるはずです。だからこそ、住宅ローンのことを安易に考えてしまわずに、情報をきちんと集めて、真剣に悩んでみてください」(浅井さん)「お金のことは、苦手!」と、敬遠したい気持ちはわかる。けれども、住宅ローンを真剣に選んだ先には、何十年もの安心が待っている。どうかママたち、頑張って!!!
2016年08月18日●連載の目次は こちら から●「フラット35」とは、住宅金融支援機構と民間金融機関とのコラボレーション・タイプのローンで、長期の固定金利で借りられるのが最大の特徴。住宅ローンに詳しいファイナンシャルプランナーの浅井秀一さんは、「金利低下が最終局面となった現在では、もっとも利用したい住宅ローンのひとつです」と言う。「フラット35」をベーシックな部分から説明しようと思ったら、それだけで特集が成り立つほどだ。そこで、今回は、「2016年の今、『フラット35』を使うとしたら気をつけるべきこと」という部分に絞って、プロだからこその視点を教えて頂いた。■ポイント1:「フラット35」を民間ローンと比較する際のポイントフラット35を利用する際に、覚えておきたいのは、金利の見方。民間の住宅ローンと比較する場合は、フラット35の金利に下記の2つの金利を足し、「フラット35の金利+約0.5%」で計算すると、より正確なデータ比較となる。 ■ポイント2:融資率9割超の時は「フラット35+併せ融資」の検討を「フラット35」は、頭金が取得する物件価格の1割に満たない場合(=融資率が9割を超える場合)は、金利が高くなるという特徴がある。2016年8月時点で、その金利差は0.44%だ。浅井さんは言う。「金利差0.44%は、かなり大きいですよね。そこで、頭金が物件価格の1割未満の場合には、フラット35の借入れを9割までに抑え、それを超える分は取扱機関の『併せ融資』で借りるという方法を考えましょう。これならフラット35は低い金利で借りられますから」■頭金ゼロで購入する場合の比較例やや極端な例だが、4,000万円の物件を「頭金ゼロ」で購入する場合の数字を見てみよう。返済期間は30年で設定してある。「フラット35」だけで借りる場合より、「フラット35(9割)+併せ融資(1割)」のほうが返済総額はかなり少なくなることがわかるだろう。ただし、この例の「併せ融資」は変動金利型で借りる例なので、将来的な金利上昇リスクがある。とはいえ、こちらの借入金額は少ないので、繰り上げ返済を頑張ってリスクを減らすことも十分にできるだろう。なお、「併せ融資」の金利タイプや金利水準、手数料などは「フラット35」の取扱機関で異なり、なかには取り扱っていないところもあるので、確認が必要だ。さて、次回はいよいよ最終回。住宅ローンのプロに 2016年夏・お宝住宅ローンを選んでもらおう。
2016年08月17日●連載の目次は こちら から●住宅ローンのマッピングが頭に入って、金利の大枠についても把握した。そうなると、残すは「住宅ローンの返済期間を、どう決めるか?」という問題だ。引き続き、住宅ローンに詳しいファイナンシャルプランナーの浅井秀一さんに、お話を伺った。■住宅ローンは60歳~65歳で完済が理想多くの住宅ローンの最長返済期間は35年で設定されている。しかし、仮に40歳で住宅を購入し35年返済を選ぶと、完済は75歳。ローンの残りを一括返済するために退職金を使ってしまうと、最悪の場合、その後は年金だけで生活することにもなりかねない「住宅ローンの返済は、定年を迎える60歳~65歳くらいまでに終わらせる計画を立てるのが理想です」(浅井さん)■返済期間の設定で違ってくる返済総額返済期間を長くすれば月々の返済額が減るので、さしあたっての生活は楽。けれども、返済期間を短くできれば、下記のごとく返済総額は少なくなる。 ■金利上昇リスク軽減の効果もまた、下図の「変動金利型」や「固定金利選択型」のローンの場合は、返済期間が短いほど、将来的な金利上昇リスクを抑えることができる。■「とりあえず35年で」はNG!「今の生活を大切にしたいから、長期間で返済にする」「リスクを軽減したいから、ちょっと返済は頑張ってみる」など、人によって選択は違ってくるだろう。「35年借りられるなら、とりあえずそれで」というのではなく、返済期間は自分のライフサイクルや価値観を反映しながら、選びたいものだ。次回は、「フラット35」の賢い利用方法について、住宅ローンのプロに聞いてみよう。
2016年08月16日●連載の目次は こちら から●住宅ローンを上手に借りようと思ったら、金利についての知識は不可欠! でも、「金利一覧表」を見ただけで、頭がフリーズしてしまう人も多いのでは? 住宅ローンに詳しいファイナンシャルプランナーの浅井秀一さんに、金利の「勘どころ」を教えていただいた。■金利を理解するための「3つのステップ」「金利」の理解は、住宅ローンの最難関とも言える。けれども、有利な住宅ローンを借りるためには最低限の知識を持っておいてほしいので、次の3つのステップで説明していこう。1.「固定金利」と「変動金利」2.「基準金利」と「優遇金利」3.将来の金利優遇 ■ファーストステップ:「固定金利」と「変動金利」住宅ローンの金利は、「固定金利」と「変動金利」の2つのタイプに大別される。どちらを選ぶかで将来的な損得が違うので、最初のポイントだ。■セカンドステップ:「基準金利と「優遇金利」セカンドステップは、「基準金利」と「優遇金利」だ。例を見ながら、それぞれに説明していこう。<基準金利>その金融機関が貸し出しをする際のベースとなる金利。店頭金利とも言い、かつては、どの金融機関もこの金利で貸し出しをしていた。<優遇金利>現在、住宅ローンのメインとなっている金利。住宅ローンの貸出競争が激化している今、多くの金融機関が優遇金利での貸し出しとなっている。ただし、ひとくちに優遇金利と言っても、「誰にでも適用されるハードルの低い優遇金利」から、「ハードルが高いかわりに金利が最も低い最優遇金利」まで、優遇幅に段階が設けられているのが一般的。優遇金利のポイントは、「優遇金利の適用条件」と、どれくらい金利を優遇してくれるのか? という「優遇の度合い」をきちんと調べてみることだ。 ■サードステップ:「将来の金利優遇」(11年目以降)さて最後のひと踏ん張り、3つめのステップは、「将来の金利優遇」の確認だ。これは、下記の図の「固定金利選択型(★印)」を選択している人に関係がある話。この金利タイプでは、返済当初の一定期間だけ金利が固定される。たとえば、「10年固定」の場合は、「金利を当初10年間だけ固定しますよ」という意味だ。そして、「10年固定」を例に取ると、11年目以降は変動金利型を選ぶか、あるいは再び10年や5年などの金利を固定にする「特約」をつけるかを、選ぶことができる。<将来の金利優遇>(11年目以降)ここで大切なのが、将来の金利優遇だ。(1)返済が終わるまでずっと同じ金利優遇を適用してくれるタイプ(2)当初の金利優遇は大きいが、将来(「10年固定」では11年目以降)は少なくなるタイプの2つに分けられるからだ。たとえば、例に出した三菱東京UFJ銀行の場合、仮に11年目以降は再び「10年固定」を選び、そのときの「基準金利」が今と同じ3.0%であった場合、そこから<11年目以降>の金利優遇である「▲1.6%」を差し引いた、1.4%(=3.0% −1.6%)が、11年目以降に適用される住宅ローン金利となる。なかには、将来の金利優遇が1%くらいしかなかったり、変動金利に移行した場合はまったくなかったり…という金融機関もあるので注意したい。固定金利選択型ローンは当初の金利だけで比べずに、「将来の金利優遇」も確認しておくことがポイントだ。 ■10年前に家を買った私のリアルな実感これから住宅ローンを組もうという人は、「10年後のことなんて、イメージすらできない」と思うだろう。実際、私がそうだった。けれども10年前(私が家を買った当時)、5歳だった長男は、今や私立高校生。私学の学費と予備校代、部活の費用などがかかる。ともに2歳だった双子は中学受験生で、塾代が大変だ。このように、ただいま、わが家は教育費負担が山場を迎えている(涙)。マイホーム適齢期の10年後は、教育費負担が最も重い時期。そんな時期、住宅ローンの金利がガクンと高くなったら、本当に悲劇だ。だからこそ、「固定金利選択型」を選ぶ人は、優遇期間終了後の金利条件もしっかりチェックしておいてほしい。次回は、住宅ローンの返済期間について取り上げる。
2016年08月15日●連載の目次は こちら から●本特集のタイトルは、「住宅ローンの基礎知識特集」。出だし3本はトピック的な話を扱ったが、「そもそも、わが家の場合、住宅ローンはどこで借りられるの?」というベーシックな話も知りたいところだ。今回はそうした話題について、住宅ローンに詳しいファイナンシャルプランナーの浅井秀一さんにお話を伺った。■住宅ローンを扱っている金融機関の特徴を知ろう住宅ローンを扱っている金融機関は数あれど、そもそも審査に通らなければ住宅ローンは借りることができない。まずは予備知識として、金融機関の大まかな特徴を知っておこう。つまり、大別すると、住宅ローンは「民間の住宅ローン」と「フラット35」(住宅金融支援機構と民間金融機関とのコラボレーション・タイプのローン)とに分けられる。 ■民間住宅ローンを借りられる人は、どんな人?民間住宅ローンの主な貸し出し口は、銀行。ひとくちに「銀行」といっても、その性質には違いがある。細かい違いをチェックしてみよう。■「フラット35」「フラット50」を借りられる人は、どんな人?「フラット35」の主軸である住宅金融支援機構は、資本金は全額政府が出資している国の機関だ。「日本のインフラとして、住宅を整える」という使命を持つ「フラット35」は、民間の住宅ローンよりも、住宅そのもの、つまり「物件」に対しての要件が厳しい。ちなみに私は、中古の一軒家を購入した際、物件要件がクリアできずに「フラット35」を借りることができなかった。ただし、その分、「人」に対して基準は緩やかという特徴がある。住宅ローンを貸し出してくれる金融機関のマッピングは、これで大まかにわかっただろう。次回は、住宅ローンの難所、「金利」についてです。
2016年08月14日●連載の目次は こちら から●以前、< 「扶養の範囲」が変わる!2016 >でも書いたが、国のしくみは、「専業主婦優遇」から、「働く妻に対しても中立」の方向に変化している。そんな世の中の流れを受けて、今回の住宅ローンの基礎知識特集では、共働きの夫婦が住宅ローンの借り入れをする場合についても考えてみよう。引き続き、住宅ローンに詳しいファイナンシャルプランナーの浅井秀一さんにお話を伺った。■「収入合算」と「ペアローン」共働きの夫婦がマイホームを共同で購入する場合、住宅ローンの借り入れパターンは、大きく分けて2つある。「収入合算」と、「夫婦ペアローン」だ。■収入合算って、何?「収入合算」とは、夫の収入に妻の収入を足して、住宅ローンを申し込む方法。収入が多くなるので審査は通りやすくなる。収入は合算するものの、夫が単独で住宅ローンを申し込むので、住宅ローン(債務)は1本だという考え方となる。収入合算には「連帯債務者型」と「連帯保証人型」の2つがあるが、夫婦の場合は、法律的な違いをあまり気にする必要はないだろう。大切なのは、住宅ローンの種類や金融機関によって、どちらのタイプを取り扱っているかが違うという点。「フラット35」は連帯債務型だが、民間住宅ローンは連帯保証型が多いので、しっかり確認する必要がある。 ■収入合算のポイントでは、収入合算の場合、どこに気をつけるべきなのだろうか? それは、「団信への加入(※1)」と「住宅ローン控除(※2)」だ。まず、下記の表を見てほしい。連帯保証型の住宅ローンでは、妻はローン控除が受けられず、団信にも入れない。(※1)住宅ローン専用の生命保険。住宅ローンを組んだ人が死亡(高度障害状態)の際、残金分の保険金が支払われる(※2)住宅ローン残高に応じた一定額が、最大10年間、所得税などから差し引かれる(還付される)制度「そのため、連帯保証型の住宅ローンを扱う金融機関では、夫婦ペアローンの利用を勧めるはずです。夫婦ペアローンなら、ローン控除も団信もクリアできます」(浅井さん)■夫婦ペアローンって、何?ペアローンとは、夫と妻がそれぞれ自分の収入をもとに、1つずつ住宅ローンを借りる方法だ。つまり、世帯としての住宅ローン(債務)は2本ということになる。夫婦ペアローンなら、夫婦ともにローン控除の恩恵も受けられるし、夫も妻も団信に入ることができる。ペアローンのデメリットとしては、収入合算と比べて、借りる際のハードルが高い点。妻の仕事がパートだと利用できず、年収が少ない場合も審査が通りづらい。また、2つの住宅ローン契約を組むことになるので、登記費用や印紙税など、諸費用の負担が若干多くなるという点も念頭に置いておこう。 ■夫婦ペアローンのポイント「それでも、夫婦ペアローンの『ローン契約が2本』という特徴は、資金計画の多様性という観点から見ると、非常に魅力的な可能性を含んでいます」と、浅井さん。どんな点が、魅力的なのだろうか? 1つ目は、夫と妻の返済期間が違っても良いということ。たとえば、夫の分を長めに借りて、妻のローンは「教育費負担が重くなるまでに完済」といった選択もできる。 2つ目は、夫と妻で異なる金利タイプを選べるということ。「家計を考えると金利が低い変動金利を選択したいが、将来的に金利上昇リスクが怖くて迷ってしまう」という場合、「夫は全期間固定金利型で、妻は10年固定」などのプランにすると、それぞれの金利タイプの「おいしいとこどり」ができる。ただし、金融機関によっては「夫婦ペアローン」を取り扱っていなかったり、返済期間などが変えられなかったりする場合もあるので、事前に確認してほしい。次回は、「あなたは、どの住宅ローンが借りられる?」について考えてみよう。
2016年08月13日●連載の目次は こちら から●2016年の夏は、住宅ローンを組むのならチャンス! でも、家を買うなら、最初に必ず把握しておいてほしいことがある。それは、「自分は、いくらの住宅ローンだったら、払い続けられるのか?」ということ。「住宅購入で失敗しないための最大の秘訣は、借入金額の設定です」と言うのは、ファイナンシャルプランナーの浅井秀一さん。詳しく話を伺おう。■払える金額以上の金額を、借りられてしまう現実今回、最も伝えたいことは、「借りられる金額」と、「払い続けられる金額」は違うということだ。この部分は、本当に声を大にして言いたい。通常、住宅ローンを借りる際は「年収の○%」という感じで、年収に対して借りることができる限度額が決まる。たとえば、理想の物件に出会ったとする。「ちょっと頑張れば、ローンは何とか払えそう」と思った。そんなときこそ、「本当に大丈夫? 35年間、『ちょっと頑張る』を続けられるの?」と、自問自答してみてほしいのだ。最近では、住居費(住宅ローン+維持コスト)が年収の半分を占めてしまう借入ケースもあると言われている。たとえば、手取りが30万円なら、住居費が15万円を占めるというわけだ。残り15万円ですべての生活を賄っていけるだろうか? こんなふうに、具体的な金額に落とし込んで考えてみてほしい。そうしないと、「返済し続けられないローン」を組んでしまうということが起こり得る。 ■「現在の家計」をもとに「借りられる額」を算出そこで、現在の家計から、年間で無理なく支払っていける額を算出してみよう。まずはそれを算出するために、ザックリとしたイメージとして、この公式を頭に入れよう。■(1)まずは、「購入後の住居費の上限」を把握するでは、無理なく払える住宅ローン金額は、どうやったら割り出せるのだろう? 最初のステップとして、「購入後の住居費の上限」を確認することが必要だ。ここでは、「家賃9万円で、年間の貯蓄から30万円を減らせる場合」で計算してみる。まず、毎月の家賃を12倍して、年間の家賃総額を出す。これに、「やりくり可能な金額」をプラス。やりくり可能な金額とは、いわゆる「ちょっと頑張る、でも無理はしない」額のこと。目安としては、年収の5%以内が無難だ。最後に、住宅ローンを組むことで税金が毎年戻ってくる「住宅ローン控除額」も足す。住宅ローン控除は最大で「借入金額×1%」(ただし、支払っている年間の所得税+住民税の一部が上限だ)。■(2)「住宅維持コスト」を差し引く上記の例では、年間170万円が購入後の住居費の上限だ。しかし、これがすべて住宅ローンの返済額に充当できるわけではない。マイホームの取得後は、固定資産税などの税金もかかるし、マンションなら管理費や修繕積立金の負担も重い。「フラット35」という住宅ローンを借りる場合は、団体信用生命保険の特約料も毎年かかってくる。下の表は、「フラット35」を借りて新築マンションを購入する場合の一例だが、合計すると年間のコストは40万円にも上ることがわかるだろう。 ■(3)無理なく支払える住宅ローンの金額は、上記の「(1)−(2)」最後に、(1)で計算した「購入後の住居費の上限」から、(2)の「住宅維持コスト」を差し引けば、「無理なく支払える住宅ローンの金額」が把握できる。この例では年間130万円(170万円−40万円)だ。返済期間によっても変わってくるが、返済額がこの程度に収まる範囲で、借入金額を設定することが大切だ。■「ローン借入額」は、本気を出して考えるべきこと!家を買うには物件価格のほかに、登録免許税など「取得するための諸費用」もかかる。また、引越しをするのだから、エアコンや家具、カーテンといった「家具・家電・新調インテリア」類の出費も0円という訳にはいかないだろう。だからといって、ローンの借入額限界まで借りてしまうと、それこそ「住宅ローン返済に追われる人生」になりかねない。 どうか、覚えておいて欲しい。「住宅ローン借入額の設定は、本気を出す価値がある、大切な問題だ」ということを。ここが、読者の皆さんに伝わったのなら、本特集の意義はあったと思えるほどだ。そのためには、本を読んでみたり(今回取材した浅井さんの著書『図解わかる 住宅ローン』」(新星出版社)は本当におすすめだ)、信頼のおけるファイナンシャルプランナーに試算してもらったりしてもよいだろう。ところで、住宅ローンの負担感は、夫婦でローンを組むことで軽減できる。次回は、最近増えている「共働き夫婦」の住宅ローンについて考えてみよう。
2016年08月12日「住宅ローンの取材なら、いい時期に来ましたね」と話すのは、住宅ローンに詳しいファイナンシャルプランナーの浅井秀一さん。2016年の夏は、住宅ローンを借りるのであればチャンスだと言う。初めてマイホームを買う人はもちろん、借り換えをする人も、この機会にぜひ住宅ローンについて考えてみては?■35年の固定金利が1%で借りられる時代に浅井さんの著者『図解わかる住宅ローン』(新星出版社)は、普通の人でも手にとりやすい内容ながら、クオリティの高さから「(お金のプロである)ファイナンシャルプランナーが資料として使っている」と言われるほど。そんな「プロが頼る、住宅ローンのプロ」である浅井さんはこう言う。「住宅ローンは『最後の借り換えブーム』と言われて久しいですが、日銀のマイナス金利で、2016年8月に再度、下がりました。今なら全期間、固定金利1%でも借りられますよ」全期間1%!? それはスゴイ!!■1%の金利なら、利息はかなり少なくて済むしかし、なかにはピンと来ない人もいるだろう。「そもそも、全期間1%で借りられることが、そんなにすごいことなの?」と疑問に思う人がいるかもしれない。住宅ローンに初めて接する人ならば、なおさらだ。そこで、少し私の体験をお話ししよう。「家は、生涯でいちばん大きな買い物」とよく言われている(ちなみに2番目に大きな買い物は、生命保険)。ひと昔前なら、「3,500万円の物件を買ったのであれば、総支払額は倍(7,000万円)くらい」と言われていた。その原因となるのが、「金利」だ。私が家を買った10年前(2006年頃)の住宅ローンの金利はおよそ3%。たとえば35年返済で3,000万円を借りた場合、下記の通り、11.5万円の返済額のうち、当初は3分の2近く(約7万5,000円)の利息を支払っていたのだ(涙)。もし、金利が1%なら、同じ金額を借りたとしても、利息は2万5,000円。返済額も少なくなる一方で、元本部分への充当額は増えてくれる。 ■10年固定金利で借りるなら、どこの銀行がおすすめ?では、どこの金融機関で住宅ローンを借りるのがよいのだろうか?「三菱東京UFJ銀行が、勝負をかけてきましたね。10年固定で金利0.5%です。11年目以降も、そのときの基準金利から1.6%引いてもらえます」(浅井さん)■長期間の固定金利なら…「長期間の固定金利が希望ならば、ソニー銀行に注目です。20年超の返済期間はすべて0.954%。ソニー銀行は手数料が安く、保証料も不要ですので、0.954%は実質金利です。この夏、最も魅力的な住宅ローンと言えるでしょう」(浅井さん)ただし、ソニー銀行は、自己資金が10%未満の場合や、借り換えで利用する場合は、金利が若干高くなる(+0.05%)。また、ローン実行までに通常は1ヶ月半ほど時間がかかるため、新規で物件を取得する場合は、そこがネックとなるだろう。けれども、借り換えであれば時間的な問題はない。「昨年、一昨年借りた人でも、これだけ金利が下がっているのですから、固定金利型を中心に、借り換え効果がある人は、たくさんいると思います」(浅井さん)■金利が0.3%~0.5%下がるなら、借り換え効果が出る可能性も!一般的には、現在と借り換え後のローンの金利差が1%以上あれば借り換え効果が期待できると言われている。しかし、ローンがまだたくさん残っていて、残りの返済期間も長い場合は「0.3%~0.5%」の金利差でも十分なメリットが期待できるだろう。●「0.3%~0.5%」の金利差でも借り換え効果が出る住宅ローンの目安1.ローンの残高が2,000万円程度以上ある2.残りの返済期間が20年以上あるこれよりもローン残高が少なく、返済期間が短い場合は、もう少し金利差がほしいが、それでも借り換え効果が出る人は多いだろう。この記事を読んで「これだけ金利が低いなら、マイホームの購入を検当してみようかな?」と、少しでも思った人は次回の記事もぜひ読んでほしい。次回は、「住宅購入で失敗しないための最大の秘訣」です。
2016年08月11日【ご相談】パート収入が「106万円の壁」に!収入は106万円未満に抑えるべき?パートで働く主婦です。これまで夫の社会保険の扶養から外れないよう130万円未満で働いてきました。しかし、勤務先は501人以上の会社で、秋からは「106万円の壁」に該当しそうです。パート収入を現状より増やすべきか、106万円未満に抑えるべきか悩んでいます。仕事がハードな面もあり、収入制限を外してしまうと、残業の候補などになりやすく体力的、精神的についていけるか心配です。現在と同等の収入、勤務時間を希望しているのですが、やはり106万円未満に抑えるべきでしょうか?東京都在住 佐藤 由恵さん (仮名)【回答】社会保険加入による手取り収入の変化を確認。「現在」の視点と「未来」の視点で、働き方を柔軟に考えましょう。(ファイナンシャルプランナー 小林 美智子からのアドバイス)パートで働く奥さまの収入が、「106万円の壁」に該当しそうとのこと。佐藤さまと同じように、働き方と得られる収入との間で悩む方は少なくないと思います。社会保険加入によって収入はどれくらい減るのか、今の収入を維持するにはどんな働き方をすればよいのか、ご自身が選択できる働き方について考えてみましょう。■「106万円の壁」とは、どんな壁?まず、いわゆる「106万円の壁」について確認しておきましょう。平成28年10月から「短時間労働者の厚生年金保険・健康保険の適用拡大」が始まります。佐藤さまのように、これまで社会保険料の自己負担がなかった方も、勤め先や働き方によっては、年間の収入が130万円未満でも夫の社会保険の扶養から外れ、自ら厚生年金や健康保険の保険料を負担するようになります。適用対象となる要件は、【表1】のとおりです。要件(3)に「賃金の月額が8.8万円以上」とありますが、これを12倍すると1,056,000円以上になります。ここから「106万円の壁」といわれるようになったようです。実際に適用拡大の対象となるかどうかは、年収ではなく月額賃金で判定します。■社会保険加入で手取りは減少、カバーするには?佐藤さまの月収は手取りで10万円とのこと。残業代や通勤手当などを含まずに賃金の月額が8.8万円以上で、その他の要件もすべて該当するなら、10月からは社会保険加入の対象になります。では、社会保険加入によって、手取りはどのくらい減るのでしょうか?おおよその目安をみてみましょう。ここでは、年収が127万円の方を例にして試算してみます。年収が127万円の方が社会保険に加入すると、表2のように、手取りの減少は年間で約16万円。今までと同じくらいの手取りを維持するには、年収150万円くらいまで増やす必要がありそうです。仮に時給1,000円なら、今より月に約19時間多く働くことになりそうです。佐藤さまは、現在と同等の手取り収入、勤務時間をご希望とのこと。時給などの条件によっては、この両方を維持するのは、難しい場合もあるかもしれませんね。3人のお子さまの子育てと家事、そしてお仕事。勤務時間を増やしても続けていけるのか、実際にご自身の働き方をイメージしたうえで、無理のない選択をしてください。■今のままでは「働き損」に?勤務時間を増やさず、現状の働き方のまま社会保険に加入すれば、手取りは減ってしまい、いわゆる「働き損」の状態に。手取りが減ってしまうなら働き方をセーブして、社会保険に加入しないという選択肢も出てくるでしょう。表3のように、例えば、年収を127万円から105万円に減らしても、社会保険に加入しなければ、同じくらいの手取りは維持できそうです。また、妻の年収が減ることで、夫が受けている配偶者特別控除の額は、逆に増えることになります。その分、所得税や住民税などの税負担が軽くなり、結果として世帯全体の手取りが増える可能性もあります。では、佐藤さまもお悩みのように、「106万円の壁」が発生した場合、「働き損」になるなら、収入を下げることが正解なのでしょうか?確かに、働く時間と得られる収入とを比較すれば、収入を下げた方が効率はよいのかもしれません。ただ、社会保険加入のメリットも忘れてはいけません。■目先の損得だけではない「壁」の考え方社会保険に加入すると、健康保険からは、病気やケガで働けないときに「傷病手当金」を受け取ることができます。また、厚生年金に加入することで、老後の年金を上乗せすることができます。例えば、月収10万円の方が厚生年金に40歳から20年間加入するとしましょう。厚生年金保険料の自己負担は約215万円。これに対し、老後の年金額は約13万円増えます。仮に、65歳から85歳まで20年間年金を受給するとしたら、約258万円になります。女性の2人に1人は90歳まで生きるという時代ですから、長期的な視野で考えると、またちょっと違った見方ができるのではないでしょうか。■「現在」と「未来」の視点で、働き方を考えましょう佐藤さまの家計は現在、毎月78,000円の黒字。ボーナスなど年単位の収支も加えると、年間で192万円の黒字となっています。住宅にかかるコストも比較的少なく堅実な家計のため、「106万円の壁」以降、佐藤さまの手取り収入が減っても、現在の家計なら当面は心配ないと思われます。ただ、3人のお子さまが成長するにつれ、食費やお小遣い、部活動や塾などの学校外の費用も増えていくでしょうし、お子さまの進路によっては、教育費が想定した以上にかかることもあるかもしれません。佐藤さまは現在40歳、仮に60歳まで働くとすれば、まだ20年あります。まずは、無理なく家庭と仕事を両立できる範囲でお仕事を続け、お子さまの成長や進路に合わせて、働き方を柔軟に見直していきましょう。お子さまの進路、佐藤さまご自身のキャリアプラン、そしてご夫婦の老後などキャッシュフロー表を作成して未来の家計簿を「見える化」するのもおすすめです。ファイナンシャルプランナーに相談すると、さまざまなプランでキャッシュフロー表を作成してもらうことができますよ。ぜひ、試してみてくださいね。なお、実際の社会保険料は、残業手当や通勤手当なども含んだ賃金で計算されます。また、税額は各種控除などによっても変わります。今回の試算は一例であり、実際の金額とは異なる場合がありますのでご了承ください。コラム執筆者プロフィール 小林 美智子(こばやし みちこ)CFP(R)/1級ファイナンシャルプランニング技能士/住宅ローンアドバイザー住宅購入や子どもの教育費の準備など、計画的な家計管理の必要性を感じ、家計の見直しを進めていくうちにファイナンシャルプランナーとなる。自身のライフプランにおけるお金の問題を解決してきた経験と、主婦として家計を守ってきた経験から、「難しいことをわかりやすく」をモットーに、お金にまつわる様々な問題や不安を解決する方法を発信している。こころFP事務所 代表コラム監修者プロフィール 柳澤 美由紀(やなぎさわ みゆき)CFP(R)/1級ファイナンシャルプランニング技能士関西大学社会学部卒。大学時代に心理学を学び、リクルートグループに入社。求人広告制作業務に携わった後、1997年ファイナンシャルプランナー(FP)に転身する。相談件数は800件以上。家計の見直し、保険相談、資産づくり(お金を増やす仕組みづくり)が得意で、ライフプランシミュレーションや実行支援も行っている。家計アイデア工房 代表※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2016年07月19日【ご相談】3年後にマイホームを考えています。でも、家計のやりくり方法がわかりません。30歳主婦です。毎年100万円は貯蓄をして、3年後にはマイホームが欲しいと考えているのですが、家計のやりくり方法がよくわかりません。今の状態の問題点を教えてください。埼玉県在住 小林 美和さん (仮名)【回答】毎年100万円の貯蓄を継続し、3年後にはマイホームをとお考えなのに、家計のやりくり方法がわからなくなってしまったのですね。1.目標設定2.現状把握3.予算立て4.実行の順番でお金の流れをガッチリつかみ、マイホームの夢をかなえましょう。(ファイナンシャルプランナー 中垣 香代子からのアドバイス)お金を貯めるときに大切なのは、「使った残りを貯める」のではなく、「必要な分を先に取り分ける」ことです。幸い小林さまの場合、貯めたい金額とボーナスの金額がほぼ同じです。ですから、毎月のやりくりを月収の範囲内に収めればいいのです。それでは、毎月の支出を月収の範囲内に収めながら、住宅購入に必要な金額を貯める方法を考えていきましょう。1.具体的な目標を設定しましょう毎年100万円ずつ貯蓄をして、3年後に住宅購入をしたいとのことですが、購入する住宅を価格3,000万円の新築マンションと仮定してお話しします。住宅ローンを組む際に、金融機関から借りられる金額は年収の30%が目安といわれていますが、それはあくまでも借りることのできる金額です。借りることのできる金額が、無理なく返済できる金額とは限りません。それでは、小林さまが安心して返済できる金額はいくらなのでしょう。現在の住宅関連費は家賃が毎月105,000円、年間では126万円になります。このほかに、年間貯蓄目標の100万円から20%を住宅関連費に加えるとしたら、1年間で住宅にかけられる金額は146万円ということになります。固定資産税、管理費・修繕積立金、駐車場代など、住宅購入後に毎年かかる費用を年間50万円とした場合、ローンの返済に回せるお金は、146万円-50万円=96万円となります。月額にして約8万円です。毎月の返済金額を8万円とし、利率1.5%、元利均等返済で35年ローンを組んだ場合、借りられる金額は約2,600万円になります。3,000万円の物件を購入するには、一般的に物件価格の10~20%を頭金として用意する必要がありますので、400万円ほど準備が必要となります。また、新築の物件を購入する際にかかる諸経費は、物件価格の約5%程度必要です。仮に150万円とすると、住宅購入資金として約550万円を準備しておく必要があります。また、住宅購入後に家計に大きな変化があり、ローンの返済が滞って、せっかく手に入れた住宅を手放さなくてはならないことになったら大変ですね。家計の変化に備えて、生活費の6カ月分を予備費として常に備えておくことをおすすめします。小林さまの生活費は毎月約30万円、6カ月分で180万円です。住宅購入の頭金や諸経費に550万円を支出した後に予備費を180万円残しておくには、730万円必要になります。貯蓄の目標額が決まりました。次は現状把握です。2.今の状況を正確に把握しましょう今回のご相談にあたって家計の収支状況を出していただきました。月々の収支は分かりましたが、「その他の年間支出」は本当にゼロでしょうか。旅行や帰省、特別なイベント、自動車税、火災保険料など、年に数度の支出はありませんか?毎月コンスタントにかかる支出と、年に1度~数度の特別な支出を分けて考えると家計管理はグンとわかりやすくなります。特別な支出は手帳などにメモをしておくと、次の年には「いつ、いくら、何に必要か」がわかり、その時になって「お金がない!」とあわてなくて済みます。3.具体的に予算を立ててみましょうお金を貯める基本は、「先取り貯蓄」です。ボーナス110万のうち、100万円を貯蓄に回しましょう。残った10万円は特別な支出にあてます。毎月の支出は月収の範囲内に収めましょう。家計の見直しをするときには、1度行えば効果が長続きする固定費から行います。小林さまの家計の固定費で削減できそうなものは、「通信費」と「保険料」。通信費の内訳はインターネット回線料(プロバイダーなどに支払う料金)、携帯電話、固定電話でしょうか。インターネット回線料は、月5,000円以下の会社もあります。携帯電話も利用実態と契約プランがあっているのか見直しをした方がいいでしょう。使っていないオプションがついていませんか?スマホをお使いなら、格安スマホなどを検討してもいいですね。格安スマホの事業者によっては、1カ月のデータ通信が10ギガまで3,000円というプランもあります。固定電話やケーブルテレビと合わせても、通信費は2万円もあればお釣りがくるように改善できそうです。保険料については、「保険の加入状況」で提示いただいた保険料と、「毎月の支出」の中の保険料とで金額に差がありますが、保険の加入状況の内容で見直しを考えてみます。医療保険が40歳満期というところが気になります。10年更新型の医療保険でしょうか。更新型であれば、10年ごとに保険料が上がります。死亡保障が250万円付いているので、通常の医療保険よりも更新による保険料アップの影響を大きく受けます。一般的に、医療保障は医療保険、死亡保障は生命保険と切り分けて入ると、効率のよい保険の入り方ができます。たとえば、医療保障のみに絞ると、入院給付金日額が今よりも多い5,000円、しかも一生涯の保障という医療保険で、29歳男性の場合、保険料が1,300~1,500円程度で加入できるものがあります。死亡保障に関しては、現在終身保険と収入保障保険に加入されていますが、終身保険に入られた目的は何でしょうか。終身保険は一生涯の保障となるので、一定期間を保障する定期保険や収入保障保険に比べて保険料が一般的に高くなります。老後も1,000万円の死亡保障をできるかぎり確保したいというご希望なら、終身保険の一部(700万円)を90歳までの定期保険にすることで、毎月の保険料を8,100円程度減らすことができます。医療保険の削減分と合計すると、11,200円ほど支出を減らすことが可能になります。4.実行に移しましょう以上の見直しをすれば、ご希望の通り年間100万円を貯めることは可能です。ただ、住宅購入資金として730万円を貯めるには7年以上かかってしまいます。また、把握していなかった年間支出がある場合にはさらに時間がかかってしまいます。そこで小林さま、少し収入を得るようにしてはいかがでしょう。小林さまが収入を得るようにされ、そのうち、月5万円、年間60万円を貯蓄に加えることができれば、5年後に800万円貯蓄でき、住宅購入がグンと近づきます。今回は、年間貯蓄目標額100万円のうち、20%を住宅関連費に回す計算で予算立てを行いましたが、もう少し住宅関連費に回せそうならば、無理なく返済できる金額が増え、準備する現金が減ります。そうなれば、住宅購入の時期がさらに早くなりますね。老後に必要になるお金、家族構成の変化が考えられるのであれば、それに必要なお金を備えた上で、検討してみましょう。無理のない住宅購入計画と先取り貯蓄で、住宅購入後も今も、心とお財布にゆとりある暮らしを目指しましょう。コラム執筆者プロフィール 中垣 香代子(なかがき かよこ)CFP(R)/2級ファイナンシャルプランニング技能士損害保険会社に約10年勤務後、子育てに専念。約20年間の専業主婦の後、ファイナンシャルプランナーとなる。「老後のお金サポーター」として、相談業務の他、40~50歳代女性にお金の知識をわかりやすく伝える活動をしている。また、自身の経験から、経済的理由で進学をあきらめるお子さんが一人でも減ることを願い、就学支援の情報発信にも力を入れている。老後のお金を一緒に考える事務所 所長。コラム監修者プロフィール 柳澤 美由紀(やなぎさわ みゆき)CFP(R)/1級ファイナンシャルプランニング技能士関西大学社会学部卒。大学時代に心理学を学び、リクルートグループに入社。求人広告制作業務に携わった後、1997年ファイナンシャルプランナー(FP)に転身する。相談件数は800件以上。家計の見直し、保険相談、資産づくり(お金を増やす仕組みづくり)が得意で、ライフプランシミュレーションや実行支援も行っている。家計アイデア工房 代表※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2016年07月05日【ご相談】毎月赤字で貯蓄できません。頑張っているのに、何がいけないのでしょうか?なかなか貯蓄まで手が回りません。切り詰めてやっているつもりですが、どこか改善するところがあれば、教えていただけると助かります。三重県在住 小川 裕子さん (仮名)【回答】貯蓄の王道は先取り貯蓄です。やりくりの前に固定費を見直して削減し、お金との付き合い方を変えましょう。ストレスなく貯まる家計をつくることができます。(ファイナンシャルプランナー 橋本 絵美からのアドバイス)育ち盛りのお子さま2人を育てながらパートもやりくりも頑張っている小川さま、毎日があっという間に過ぎていることでしょう。なかなか貯蓄まで手が回らないというお気持ち、わかります。お金と上手に付き合って、貯まる家計をつくりましょう。ポイント1「使う」と「貯める」の順序を変える貯蓄まで手が回らない!とのことですが、お金が貯まらない理由が実はここにあります。小川さまはお金を「使う」のと「貯める」のとでは、「使う」方が先になっているようです。先にお金を「使う」と、「貯める」分が残るかどうかわかりません。ですが、先に「貯める」と必ず貯まります。当たり前のようですが、その当たり前が貯蓄の王道なのです。給料が入ったらまず「貯める」、そして残りを「使う」ように順序を変えましょう。今は自動車もローンで購入されていますし、他にもローンがおありのようですが、今後ローンで何かを購入するのはやめましょう。住宅以外でローンを組まなければいけないような支出はするべきではありません。必要だと思っても、一括で購入できる資金がない時点で「購入すべきではない」と判断し、お金が貯まってから購入するようにしましょう。ポイント2「貯める」目的、金額、保管場所を決めるまず「貯める」目的をはっきりさせましょう。小川さまはお子さまが2人いらっしゃるので、教育資金を準備する必要があるのではないでしょうか。小中高は月々の収入から賄うのがベストですが、大学進学のための費用を月々の収入から賄うのは大変なことです。国公立大学へ進学し、自宅から通学する場合でも、平均で入学費用(※)として81.9万円、さらに在学費用として毎年93.9万円かかります(日本政策金融公庫「教育費負担の実態調査結果」平成27年度より)。自宅外通学をしたり私立大学に通うと、さらに費用がかかることになります。大学進学にかかる費用を全て貯蓄しておくのは難しいかもしれませんが、最低でも入学費用の82万円程度は準備しておいた方がよいでしょう。大学入学までの期間は、ご長男の場合あと13年ですので、毎年7万円(月々約6,000円弱)貯蓄していくことで91万円貯まります。ご次男の場合はあと17年ですので、毎年5万円(月々約4,000円強)貯蓄していくことで85万円貯まります。まずはお2人の大学進学の資金として、毎月1万円を貯めるところから始めましょう。※「受験費用」、「学校納付金(入学金、寄付金、学校債など、入学時に学校に支払った費用)」、「入学しなかった学校への納付金」をあわせた費用。目的と金額がはっきりしたら、貯蓄の保管場所を決めます。給料と同じ口座に入れておくと使ってしまう可能性が高いですので、学資保険等の貯蓄型の保険を利用して貯蓄することをおススメします。貯蓄型保険に加入して払込方法を口座振替にしておくと、自動的に引き落としされるので強制的に貯蓄をしていくことができます。解約するには手続きが必要なため、手間がかかることが流用への抑止力にもなります。ボーナスについても手取りの4分の1は予備費として先に貯蓄しておくようにしましょう。こちらも貯蓄専用口座を設け、現在の貯蓄300万円と合わせて、今後大きな家具、家電の買い替え、引越し等環境の変化や経済状況の変化等、何かあったときの備えとして蓄えておきましょう。ポイント3変動費のやりくりではなく固定費を削減する現在の使い方で改善すべき点を考えてみましょう。月々の支出は固定費とやりくりが可能な変動費とに分けることができます。節約というと変動費にあたる食費や日用品費を減らしたくなるかもしれませんが、貯蓄まで手がまわらない状態で、ここばかり目をむけて節約すべきではありません。まず改善すべきは固定費です。切り詰めているのに貯蓄ができないのは固定費が大き過ぎるせいです。固定費の削減は手続きが少々手間かもしれません。ですが、一度手続きをしてしまえばずっと削減でき、その分貯蓄に回せますから、まずは固定費を見直しましょう。見直しの対象としてまず挙げられるのは通信費です。月22,000円ということは、内訳は自宅のネット回線、固定電話とスマートフォン2台といったところでしょうか。今お使いのスマートフォンによっては、端末をそのまま利用して格安スマホに乗り換えることができます。格安スマホなら、2台で「基本料金3,000円程度+通話料」などに抑えることが可能な場合があります。解約違約金が1台につき1万円程度かかったとしても、2~3カ月で元がとれます。なお、そのままの端末では格安スマホを利用することができないこともあります。その場合は新しく端末を準備する必要があります。また、パソコンやタブレットを利用する際にはスマートフォンのテザリング機能を利用することにして、自宅のネット回線、固定電話の解約も検討しましょう。ただし、テザリングができない端末もありますので、事前にご確認ください。仮に現在の端末のまま格安スマホに変更し、自宅のパソコンやタブレットはスマートフォンのテザリング機能で使用することにしてネット回線は解約、固定電話も解約したとすると、通信費は現在の2万2,000円から6,000円程度とすることも可能ですので、約16,000円も節約できます。次に自動車関連費です。自動車の利用頻度はどれくらいでしょうか?お住まいの地域によって自動車は足代わりで必須ということもあるでしょう。ですが、週末に利用するのみという利用状況であれば、自動車を持たない暮らしをしてみるのはいかがでしょうか?筆者の実家は田舎にあり、自動車は一人一台必須ですので、自動車が必要な暮らしもわかります。ですが、筆者自身は子どもが4人いますが、自動車を持たず、電動自転車を愛用しています。お子さまを乗せられる電動自転車の場合、機種にもよりますが、初期費用は15万円ほどです。その後の駐輪場代、電気代を考えても自動車とは比べ物にならないくらい安いです。また、最近はカーシェアリングも充実していますし、どうしても必要なときだけタクシーを利用するという方法もあります。現在自動車にかかっている費用(月53,000円)ほど、果たしてタクシーを利用するかどうか、考えてみてください。自動車関連費の節約はかなり効果が大きいです。また、支出全体のなかの大きな費用としては住居費が挙げられます。現在、自動車関連費と自動車ローン、住居費を合算すると、9万円+2万2,000円+3万1,000円で14万3,000円かかっています。自動車と住居をトータルで考えてコストが削減できる暮らしを考えてみてください。例えば、自動車を持ち続ける代わりに家賃の安い郊外へ住み替える。または、少し家賃が上がっても便利な場所に住み替えて自動車を手放す。このように両方を併せて考えた上で削減しましょう。住み替えには引越し代や敷金・礼金がかかりますので、大幅に家賃を下げられる可能性のあるUR賃貸住宅(旧公団住宅)等の利用も検討されてはいかがでしょうか。現在の大家さんに家賃交渉をしてみるのも一案です。コスト削減のために住み替えを検討中と伝えれば、値下げに応じてくれることもあります。まとめまずは毎月の先取り貯蓄を始めましょう。そして固定費(通信費、自動車関連費、住居費)については費用を抑えられる方法に至急変更しましょう。極論を申し上げますと、先取り貯蓄をしていれば残りは使ってしまっても構わないのです。ただしローンは絶対に×。欲しいもの、または必要だと思うものであっても、ローンで購入するのではなく、「貯まってから買う」を徹底してくださいね。これで家族4人が豊かに楽しく暮らせる家計が実現できるはずです。コラム執筆者プロフィール 橋本 絵美(はしもと えみ)2級ファイナンシャルプランニング技能士/お片付けプランナー子ども10人の幸せ大家族を目指す、現在4人の子どもを持つママ ファイナンシャルプランナー。「子ども=お金がかかる」という考え方ではなく、子どもは宝であり、ママたちが安心してもう一人子どもを生めるようにサポートしたいという思いから、ファイナンシャルプランナーとなる。お金とモノとの付き合い方を考え、お片付けプランナーとしても活動中。家族が笑顔になれる家計のやりくりとお片付けのアドバイスを行っている。明日から使える節約コラムやママ向けセミナーも好評。慶應義塾大学商学部卒業。ハピママlabo代表コラム監修者プロフィール 柳澤 美由紀(やなぎさわ みゆき)CFP(R)/1級ファイナンシャルプランニング技能士関西大学社会学部卒。大学時代に心理学を学び、リクルートグループに入社。求人広告制作業務に携わった後、1997年ファイナンシャルプランナー(FP)に転身する。相談件数は800件以上。家計の見直し、保険相談、資産づくり(お金を増やす仕組みづくり)が得意で、ライフプランシミュレーションや実行支援も行っている。家計アイデア工房 代表※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2016年06月07日建物を居住用のみに使用している場合、住宅物件となります。戸建てやマンション、共同住宅の場合でも、居住用のみであれば、住宅物件となります。また、一つの建物内に、店舗や事務所などがある場合は、店舗併用住宅となり、一般物件となります。住宅物件と一般物件とでは、保険料は異なります。よって、火災保険の契約期間中に事業を始められたり、事業をやめられた場合には、火災保険の変更が必要になります。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2016年05月25日はじめに住宅金融支援機構(以下、「機構」といいます)の「フラット35」や、各金融機関などの住宅ローンを利用する場合、火災保険への加入を促されます。フラット35の場合、火災保険への加入は必須です。また、金融機関も火災保険への加入を必要とするのが一般的です。以下、住宅ローンと火災保険についてみていきます。なぜ、火災保険への加入が必要か住宅ローンを組んで家を購入した場合、金融機関や機構は、ローン完済までの担保として、建物や土地に抵当権を設定します。もし、火災で建物が焼失した場合、建物の価値はゼロになってしまいます。そのため、金融機関は、債権の保全を図るために、住宅ローン申込者に対して火災保険の契約を求めます。一方、住宅ローン申込者にとっても、火災で建物が焼失しても住宅ローンの債務は残るため、そのリスクに備えられる火災保険への加入は必要といえます。住宅ローン向け火災保険フラット35など機構の住宅ローンを利用する場合は、火災保険(任意の火災保険または法律の規定による火災共済)に加入しなければなりません。以前は、機構の融資を利用する方のみが加入できる「特約火災保険」がありましたが、2016年3月31日をもって新規受付を終了しています。フラット35を申し込むにあたって必要とされる火災保険の補償対象は「建物」のみですが、建物に火災保険を掛けただけでは「家財」の損害は補償されませんので、家財の補償を得るためには、別途家財を補償対象とする火災保険にも加入しておく必要があります。金融機関の場合は、個々の金融機関で住宅ローン利用者専用の火災保険を用意しています。住宅ローン利用者専用の火災保険では、多くの場合、「家財」についてもセットで補償を付けることができます。保険料については、団体割引が適用されるため、一般の火災保険に比べてお手頃に設定されています。また、住宅ローンを利用するからといって、必ずしもその金融機関が用意した火災保険に加入しなければならないということはなく、一般の火災保険への加入も選択できます。火災保険の加入期間は火災保険への加入が必須の住宅ローンの場合、住宅ローン返済中に火災保険が満期になったときは、継続の手続きをするか、新しい火災保険に加入する必要があります。以前は、35年ローンを組んだ場合でも、1回の保険加入でローン完済までの期間をカバーすることも可能でしたが、2015年10月以降、長期契約の見直しが行われ、火災保険の契約期間(保険期間)が最長10年までになりました。そのため、住宅ローン完済までに火災保険が満期になったときには、継続の手続きをするか、新しい火災保険に加入する必要があります。機構のフラット35を利用した場合は、住宅ローン完済まで火災保険の契約を継続しないと、金銭消費貸借契約に違反することとなり、ローン残高(融資金残高)を一括して支払わなければならなくなりますので、注意が必要です。他の金融機関の住宅ローンを利用する場合も、上記のような契約条項がないか確認しておきましょう。なお、住宅ローン完済後も、火災などのリスクに備えるために火災保険への加入は必要です。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2016年05月24日はじめに火災保険は、建物の用途により火災の危険度が異なることから、建物を「住宅のみ」に使用している(住宅物件)と、「住居と店舗を併用している住宅」(併用物件)や、「事務所」「病院」「旅館」などに使用している建物(一般物件)に分け、それぞれに対応する保険商品が用意されています。以下、住宅物件を対象とした火災保険についてみていきます。住宅火災保険住宅物件対象の火災保険は、保険の対象を「建物のみ」、「家財のみ」、「建物と家財」の3つのパターンから選択して契約することができます。ただし、「建物のみ」の契約ですと、家電製品や家具の損害は補償されません。持ち家の場合は「建物と家財」、賃貸住宅の場合は「家財のみ」を選択するのが一般的です。また、住宅物件対象の火災保険は、住宅に関するさまざまなリスクに幅広く備える「住宅総合保険」と、基本的な補償にしぼった「住宅火災保険」に大別されますが、現在は各損害保険会社からさまざまなタイプの火災保険が販売されていますので、加入の際は商品名だけで判断せず、補償の内容をよく確認するようにしましょう。住宅総合保険の補償内容住宅総合保険の主な補償内容は、以下の7つになります。住宅火災保険の多くは、このうち1と2を補償する保険になりますので、その分保険料を抑えることができます。火災、落雷、ガス爆発などの破裂・爆発風災・雹(ひょう)災・雪災漏水などによる水濡れ盗難台風や集中豪雨などによる水災建物外部からの物体(自動車など)の飛来・落下・衝突騒じょうなどによる暴行・破壊また、保険会社のプランによっては、1のみを基本補償として、2以降の補償を選択できるようにしているものもあります。戸建やマンションなど建物の構造や、建物の所在地(高台や低地、川の近くにあるなど)の違いなどによって備えるべきリスクが異なります。必要に応じて2以降の補償の選択を検討してみましょう。「家財のみ」の場合の補償内容「家財のみ」を対象とした火災保険の場合も、上記と同様の補償内容になります。基本補償にしぼるか、3以降の補償も必要なのかを検討して加入するプランを決めましょう。また、賃貸住宅に住んでいる方向けに「賃貸住居者専用の火災保険」を用意している保険会社もあります。この商品の特徴は、家財の損害に対する補償にプラスして、「借家人賠償責任補償保険(補償特約)」がセットされている点です。一般的に賃貸物件の場合、建物を対象とした保険は家主が加入していますが、借家人が失火などにより建物に損害を与えた場合、家主に対する法律上の損害賠償責任が発生します。それに備える補償が借家人賠償責任補償保険(補償特約)です。まとめ以上、住宅物件を対象とした火災保険についてみてきました。近年は台風以外の風災・雹(ひょう)災・雪災による支払保険金の増加などの理由により、火災保険の保険料は上昇傾向にあります。前述のように、建物の所在地や、建物の構造などを考慮して、必要な補償を選択することで保険料の節約を考えましょう。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2016年05月24日【ご相談】教育費や住居費、老後のことを考えたとき、今の収入で大丈夫か心配。28歳パート勤務の女性です。今27歳の夫が30歳~33歳頃に、3,500万円程度の住宅購入を考えています。このままの収入で、教育費や住宅ローン、さらに老後のことを考えると、お金が足りなくなるのではないかと不安になり、このままパートで働くよりも正社員で働いた方がいいのではないかと悩んでいます。このままだと、いつ頃、いくらくらい足りなくなるのかを教えてください。奈良県在住 大田 美樹さん (仮名)【回答】お子さまの出産・育児期間以外はパート勤めし、3,500万円の住宅を購入された場合、約20年後にお金が足りなくなる可能性があります。しかし、収入を増やしたり支出を減らしたりして、今よりも1カ月25,000円ほど収支増の家計に改善できれば、平均余命まで黒字がキープできそうです。働ける環境にあるときは、思い切って正社員になることを考えてみてもいいのではないでしょうか。(ファイナンシャルプランナー 中垣 香代子からのアドバイス)「人生の三大支出」という言葉をお聞きになったことがあるでしょうか。これは、人が生活していく上で必要なお金の中でも大きな割合を占める、3種類の費用のことです。1つ目は住宅にかかわる費用、2つ目は子どもにかかわる費用、3つめは老後の生活にかかわる費用です。大田さまはパートで働き続けた場合に、これから先に控えている三大支出を乗り切ることができるのかがご心配なのですね。まだ20代という若さで先々のことを考えておられ、素晴らしいです。住宅購入やお子さまの誕生など、これからかなえたい夢がたくさんですね。思い描く生活が経済的に可能かどうかを知るためには、毎年の収支と貯蓄残高をシミュレーションすることが一番です。今回は以下の内容で今後の年間収支と貯蓄残高をシミュレーションしてみました。【収入】夫:59歳まで358万円、60歳退職・退職金1,500万円、60歳以降64歳まで300万円、65歳退職妻:第1子出産に伴いパート勤務退職、第1子小学校入学を機にパート再開96万円児童手当を見込む※厚生労働省ホームページ「児童手当について」をもとに試算【年金】夫:老齢基礎年金満額・老齢厚生年金受給妻:老齢基礎年金満額受給※老齢基礎年金満額を78万円として試算※老齢厚生年金を65歳~73歳は84万円、74歳~87万円として試算【お子さま】第1子:妻30歳時に誕生、第2子:妻33歳時に誕生私立幼稚園・公立小学校・公立中学校・公立高校・私立大学文系に進学と仮定※文部科学省ホームページ「平成26年度子供の学習費調査」「私立大学等の平成26年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」をもとに試算【住宅】夫32歳時に3,500万円の物件購入自己資金1,000万円(諸費用175万円込み)ローン(年間100万円):借入額2,675万円、返済期間35年、固定金利(1.6%)管理費・火災保険料・固定資産税合わせて年間45万円夫60歳時にリフォーム:300万円【保険】夫:29歳から55歳まで、万一のときに毎月10万円ずつ給付される収入保障保険に加入(年間保険料 約31,000円) 妻:妊娠前に夫と同様の保障内容の医療保険に加入(年間保険料 約32,000円、払込期間60歳まで)【食費、水道光熱費、通信費、医療費などの基本生活費】現在の支出金額をベースに、お子さまが誕生した年は月1万円増額お子さまの成長に伴う増加分として毎年1.0%ずつ増額60歳時は前年の80%で計上、以降同額【その他の年間支出】現在と同額の年間15万円を夫80歳まで計上シミュレーション結果住宅を購入すると、ローンの他に管理費・修繕積立・固定資産税・火災保険料などのランニングコストがかかります。現在に比べて住宅関連費が年間で50万円以上多くなります。住宅購入と奥さまの出産・子育て時期が重なり年間で見ると収支がマイナスになってしまいますが、その後奥さまのパート復帰により改善します。しかし、お子さまが大きくなるにつれ、教育費に加え、食費・日用品・光熱費などの生活費がジワジワと増加していくため、上のお子さまが中学校に上がる頃には再度年間の収支がマイナスになってしまい、大学に入学する頃には貯蓄が底をついてしまいます。だからといって、「住宅購入ができない」とか「子ども2人は無理」ということではありません。下のシミュレーションをごらんください。大田家の年間収支を年金開始時期まで30万円ほど改善することにより、住宅の購入資金や、お子さまの進学資金も準備でき、老後も平均余命まで黒字をキープすることができます。年間30万円というと1カ月25,000円です。収支を改善する方法は3つ。1つ目は、奥さまの収入を増やすこと。働ける環境にあるときは、思い切り収入を増やすことを考えてはいかがでしょうか。社会保険に加入する働き方をすることにより、健康保険からは出産手当金が、雇用保険からは育児休業給付金の支給があります。子育て期間中に無給になるのと社会保険から給付を受けられるのとでは、家計状況が大きく変わってきます。また、65歳以降には老齢厚生年金も受給できることになります。2つ目は、支出を減らすこと。支出を減らす順番としては、1度見直せば効果が継続する固定費が最初になります。電力自由化により電気事業者を自由に選べるようになりました。各社のプランを比較してみてはいかがでしょうか。携帯電話などの通信費もプランを見直したり、思い切って格安SIMに変更したりするのも良いですね。3つ目は、お金を殖やすこと。収入を増やしたり支出を減らしたりして赤字を回避できるようになったら、お金を運用して殖やすことも考えてみてください。将来のことをあまり心配し過ぎて、お金を使うことにマイナスの感情を持つよりも、「こうすれば大丈夫」という方法を知り、気持ちよく上手にお金を使ってくださいね。今回のシミュレーションは、多くの仮定の上で作成しています。大田さまの実情に合わせ数字を入れ替えてみてください。また、住宅購入やお子さま誕生など、人生の分岐点にファイナンシャルプランナーに詳しいライフプラン表を作成してもらうこともおすすめです。コラム執筆者プロフィール 中垣 香代子(なかがき かよこ)CFP(R)/2級ファイナンシャルプランニング技能士損害保険会社に約10年勤務後、子育てに専念。約20年間の専業主婦の後、ファイナンシャルプランナーとなる。「老後のお金サポーター」として、相談業務の他、40~50歳代女性にお金の知識をわかりやすく伝える活動をしている。また、自身の経験から、経済的理由で進学をあきらめるお子さんが一人でも減ることを願い、就学支援の情報発信にも力を入れている。老後のお金を一緒に考える事務所 所長。コラム監修者プロフィール 柳澤 美由紀(やなぎさわ みゆき)CFP(R)/1級ファイナンシャルプランニング技能士関西大学社会学部卒。大学時代に心理学を学び、リクルートグループに入社。求人広告制作業務に携わった後、1997年ファイナンシャルプランナー(FP)に転身する。相談件数は800件以上。家計の見直し、保険相談、資産づくり(お金を増やす仕組みづくり)が得意で、ライフプランシミュレーションや実行支援も行っている。家計アイデア工房 代表※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2016年04月26日2012年4月、衝撃的なニュースが新聞の片隅にそっと掲載されました。2011年末の段階で、住宅金融支援機構が貸し出しているローンのうち8.48%が不良債権になっているというのです。■8.48%が住宅ローンを返済できていない「住宅金融支援機構」とは、昔の住宅金融公庫のこと。いまは住宅ローンといえば、銀行で借りるのが一般的。しかしほんの20年ほど前までは、住宅金融公庫から借りることが多かったのです。事実、住宅を建てる人の大半がここからお金を借りていました。そんな、多くの人々が住宅ローンを借りていた旧住宅金融公庫の8.48%が、不良債権になっているのだとすれば、とんでもないことです。不良債権と聞いても、遠い世界のことのように思えるかもしれません。しかし簡単にいえば、住宅ローンを3ヶ月以上返済できていない人が8.48%もいるということ。しかも、この中身を読み込むとさらに恐ろしいことがわかります。平成16年以前にお金を借りた人だけを見ていくと、返済できていない人の割合は10%を超えているのです。住宅関係の衝撃でいえば、衝撃の事実をもうひとつ。これは、2010年8月の朝日新聞の記事です。「ローン破綻増加、競売6万戸~甘い審査が落とし穴~住宅ローンを返せなくなり、家を手放す人が急増している。不動産競売流通協会の全国調査によると、銀行などが強制的に売るために裁判所の競売にかけられた一戸建て住宅とマンションは、2009年度には08年度の1.3倍の約6万戸に達した。一方、09年度に新築された住宅は約80万戸。新たにマイホームの夢をかなえた人がいる陰で、多くの“住宅ローン破綻(はたん)”が起きている。(2010年8月14日、朝日新聞)」しかし、この記事にも正確ではない部分があります。それは、「新築された住宅は約80万戸」という箇所。たしかに2009年度の住宅着工件数は、約80万戸でした。でもこの数字には、アパート用や貸家用に建てられた家の数も入っています。純粋に「マイホーム」として建築された数は、60万戸程度なのです。■住宅ローン返済できない人が10年で5倍につまり、どういうことか?毎年約60万戸の家が建てられているその陰で、毎年「6万戸の家」、つまり6万家族が家を手放さなくてはいけないということ。これが現実なのです。もちろん、裁判所に差し押さえになった原因のすべてが住宅ローンだったとはいい切れません。しかし、差し押さえになる以上、なんらかの「借金」を返済することができなくなったことは間違いありません。住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)の資料から見ても、「住宅ローンを借りた人の10人に1人は住宅ローンを返していけない」。決してオーバーな話ではないのです。そんな実感はないかもしれませんが、先ほどの住宅支援機構(旧住宅金融公庫)の話でいえば、この10年で約5倍になっているのです。これは、2008年に起こったリーマンショックの影響が色濃く反映されているから。現在はこの時より状況は改善していますが、それでもマイナス金利の影響を受けた低金利の結果、身の丈以上のオーバーローンを借りている人たちは多く見かけます。その人たちは、低金利が終了したときにどうなるのでしょうか?もしかしたら、2010年や2011年の比にならないローン破綻になるかもしれません。(文/ファイナンシャルプランナー・岡崎充輝)
2016年04月18日じぶん銀行は4月5日、KDDIとの提携による「au 住宅ローン」の提供を開始した。通信と住宅ローンのセット割は日本初となる。○毎月500円を最大5年間キャッシュバックじぶん銀行は、2015年12月1日に住宅ローンのサービスを開始。「がん」と診断されると住宅ローンの残高が半分となる「がん50%保障団信(団体信用生命保険)」などを提供している。このたび同行が提供を開始した「au 住宅ローン」は、KDDIと提携販売する住宅ローン。特徴は日本初となる"通信と住宅ローンのセット割"で、「au 住宅ローンセット割」特典として、毎月500円を最大5年間、「au WALLETプリペイドカード」へキャッシュバックする。対象者は、じぶん銀行の住宅ローンとauのスマートフォンやケータイをセットで利用している顧客。なお、住宅ローンの金利は、4月1日より変動金利型を年0.568%から年0.497%に引き下げている。提携先のKDDIは今後、じぶん銀行を所属銀行とする銀行代理業として、同社各種ウェブサイト、アプリ、メールなどのチャネルを通じて、auを利用している顧客に「au 住宅ローン」を紹介していくとのこと。
2016年04月06日楽天銀行は4月1日、「楽天銀行教育ローン」の提携大学として、新たに早稲田大学を追加した。○優遇金利で教育ローンが利用できる楽天銀行が提供する「楽天銀行教育ローン」は、提携大学に優遇金利を設定している。このたび、新たに早稲田大学が提携校となり、同大学に入学を予定している人または在学生が優遇金利の対象となる。なお、早稲田大学の関連校として、早稲田大学高等学院、早稲田大学本庄高等学院、早稲田大学高等学院中学部、早稲田大学芸術学校についても優遇金利を設定。提携大学は、東京理科大学、明治大学(在校生のみ)、日本大学芸術学部などがあり、早稲田大学で24校目となる。楽天銀行によると「提携大学の優遇金利の数値は開示していないが、提携大学以外の教育ローンの金利は、4月4日現在、固定で年3.900%、変動で年3.250%。提携校はこの数値よりは低くなる」とコメントしている。「楽天銀行教育ローン」の申し込みは、楽天銀行ホームページの申し込みフォームから入力する形式となっている。必要書類はスマートフォンのカメラで撮影し、「楽天銀行アプリ」で送付。申し込みから最短で翌営業日に融資する。
2016年04月04日KDDIは4日、「auの生命ほけん」、「auの損害ほけん」、「auのローン」からなる金融サービス「auのほけん・ローン」を5日より提供開始すると発表した。また、auスマートフォン、auケータイとのセット割も用意する。一部auショップで取り扱うほか、スマートフォンやPCからは24時間、申し込みが可能。○auの生命保険「auの生命ほけん」は、「au定期ほけん」、「au医療ほけん」などから、ユーザーの年齢やライフスタイルに応じて任意のコースを選択できるネット型保険。名称は異なるものの、KDDIが取り扱い代理店として、ライフネット生命の商品を販売する形となる。○auの損害ほけん「auの損害ほけん」は、自転車事故を重視した「au自転車向けほけん」、愛犬/愛猫の入院や手術費用を補償する「auペット保険」、旅行中のケガや病気を補償する「au海外旅行ほけん」、「au国内旅行ほけん」など、日々の生活をサポートする保険。「auの生命ほけん」同様、名称は異なるもののau損害保険の商品をKDDIが取り扱い代理店として販売する。○auのローン「auのローン」では、がんと診断されると住宅ローン残高が半分になる「au住宅ローン」を提供。申し込みから契約までネット上で完結できる。こちらはじぶん銀行の商品をKDDIが取り扱い代理店として販売する形。○auスマートフォン/ケータイとのセット割「auの生命ほけん」もしくは「auのローン」と、auスマートフォン、auケータイをセットで契約する場合、通信料から毎月200円(最大60カ月)が割引かれる。なお、「auのローン」の場合はau WALLETにキャッシュバックされる形となる。また、セットで利用する場合、契約特典として30ポイントから500ポイントのau WALLETポイントが付与される。提供にあたり、KDDIでは専用のご相談窓口「auフィナンシャルサポートセンター」を開設。専用のコールセンターを設けるほか、一部auショップでは、KDDIの有資格者による申し込み手続きの対面サポートを行うとしている。
2016年04月04日みずほ銀行は4月1日、住宅ローンの顧客向け特典サービス「パートナーセレクト」の取り扱いを開始した。○特典サービスの上限は5万円相当分「パートナーセレクト」とは、住宅ローンの顧客に対し、みずほ銀行と提携しているパートナー企業による"暮らしに役立つ特典"を提供するサービス。パートナー企業は、JXエネルギー、JTBコーポレートセールス、ALSOK(総合警備保障)、ヤマダ電機、ヤマトホームコンビニエンスの4社。JXエネルギーの場合、新たにENEOS電気の申し込みをする人に、初年度の電気料金を3,000円割り引き、JTBコーポレートセールスは旅行代金3%割り引きを行う。ALSOKは警備料金2カ月分無料、ヤマダ電機は所定商品購入時に通常のポイントに加え5%引きの特典を付与。ヤマトホームコンビニエンスは、引っ越し基本料金の15%割引などを行う。特典サービス利用できるのは、住宅ローンの借入金額1,500万円以上、借入期間10年以上の顧客のみ。既に同行で住宅ローンを利用している顧客も申し出により利用できる(借り入れ当初の金額、期間で判定)。対象となる顧客には「利用者特典証」が交付される。特典証の有効期限は交付日の6カ月後の月末となっている。顧客は「利用者特典証」をパートナー企業のいずれか1社に提示することで特典サービスが利用できる。ただし、特典サービスの上限は5万円相当分。日銀のマイナス金利政策の導入以降、住宅ローンの金利は軒並みは引き下げられていた。しかし、4月1日から大手銀行の間で、10年固定の最優遇金利引き上げを実施。みずほ銀行、りそな銀行の10年固定の最優遇金利は年0.85%、同様に三井住友銀行、三菱東京UFJ銀行は年0.90%となっている(4月1日現在)。
2016年04月01日【ご相談】娘の夢、高校留学をかなえさせたい!今の家計で実現できる?小学生の娘が、「高校生になったら留学をしたい」と言っています。1年程度の交換留学では、就職にプラスにならないのではと思い、3年間の卒業留学※を検討しています。なお、大学は帰国子女枠での国内大学進学を考えています。留学は大変お金がかかるので、娘の夢をかなえるためには貯蓄がゼロ近くになることも覚悟していますが、今の家計で実際のところ、留学へ行かせてあげることができるでしょうか。娘が中学生になった頃から、パートを増やす予定です。また、渡航先はカナダを希望しており、年200万円(公立高校学費+滞在費)の費用を見込んでいます。※留学先の学校を卒業することを目標とした留学東京都在住 林 葉子さん (仮名)【回答】現在の毎年100万円の貯蓄が可能な生活レベルを継続したうえで、中学は公立を選択し、ご相談者さまのパートを増やせば、高校の卒業留学もギリギリで可能です。ただし、老後資金が枯渇する可能性は高いため、家計収入をアップするなどの工夫が早急に必要です。(ファイナンシャルプランナー 鈴木 さや子からのアドバイス)お子さまが小学生の今から留学したいと思っておられるとのこと、とてもすてきですね。ぜひ本回答を参考に、夢に向かってお子さまと一緒に考えてくださいね。日本の私立高校に進学するよりも、はるかにお金がかかる留学は、資金が大きく減少した後のライフプランまで視野に入れて計画を立てましょう。お子さまの高校卒業後には、大学進学、そして目の前にはご夫妻の老後が迫ってきます。老後の生活費を賄うには、公的年金だけでは十分ではありません。また、住宅は一括で購入されローンはないとはいえ、住居費は改修や老後のためのリフォームなどで、今後も出費が続きます。もちろん医療費や介護にお金がかかる可能性もあります。老後にかかるお金を最低限残しておかないと、結果的にお子さまに頼るはめに陥るかもしれません。そんなことにならないかどうか、今後の貯蓄額の推移を予測してチェックしますね。現在の収支を見ると、毎月13.2万円の黒字となっており、これを毎月貯められれば1年間で158.4万円貯まることに。しかし、現在の貯蓄額は合計で100万円であり、実際は毎月の出費以外の突発的な家電や家具の購入、冠婚葬祭、旅行、または見えない費用といった臨時支出でほとんどなくなっている可能性も。臨時支出にいくらかかっているか洗い出して、その分を毎月の収入から取り分けして、別口座にとっておく方法がおすすめです。もし臨時支出が年間60万円かかるとしたら、毎月約5万円取り分けすると良いでしょう。今後の推移予想は、当面、年間100万円の貯蓄ができるものとして試算をしていますので、もし貯蓄ができていない場合には、早急に臨時支出を見直してください。表1は、お子さまが高校を卒業するまでの貯蓄額の推移です。公立中学に通えば、現在と比較して教育費が格段にあがることはないため、お子さまの中学入学時まで毎年100万円、ご相談者さまがパートを増やした後は約150万円の貯蓄を続けることも可能かと思います。その場合、6年後には約950万円貯まることになります。お子さまが中学を卒業するまでの年間支出金額332万円の内訳は、教育費などお子さまにかかる費用を64万円、それ以外の生活費を268万円と仮定。高校の教育費については3年間カナダの公立高校に通ったとしたうえで、渡航費や滞在中の生活費などを雑費として50万円を上乗せし、年額250万円かかると仮定。これにご夫婦の生活費をプラスして、支出金額を518万円としました。年間収入金額は、ご夫婦の収入より試算((32万円+4万円)×12カ月)したうえで、お子さまが中学入学後、ご相談者さまのパート収入が59歳まで年に100万円得られるもの(現在の収入より年間52万円増)と仮定しています。続いて、お子さまの大学入学・卒業後からご主人が82歳、ご相談者さまが72歳になるまでを見てみましょう。ここでも生活費を年間268万円としたうえで、お子さまが帰国後、大学(私立文系)に自宅から通うと仮定しました。一般的に、大学受験~大学初年度にかかる費用は、私立文系の場合150万~160万円といわれており、その他子どもの生活費(食費や通学費、課外活動費など)として年間60万円かかると仮定します。大学2年生以降は、学費は年間約90万円ですが、子どもの生活費を足すと年間約150万円かかります。また大学卒業後は、住居のリフォームや介護などにかかるお金を想定し、支出額を増やして試算しています(毎月の生活費18万円、年間臨時費用80万円と仮定)。このように、ご相談者さまがパートを59歳まで続けられ、現在の年100万円の貯蓄ができる生活レベルをずっと維持しても、ご主人の退職金がなく、公的年金も国民年金のみと仮定すると、ご主人が82歳、ご相談者さまが72歳の時(2053年)に家計が破綻する結果となりました。もっとゆとりある老後を暮らしたい、お子さまの結婚資金の援助をしたいなどの希望がある場合や、大きな病気をして収入が減ってしまう時期が生じた場合などは、より早いうちに資金が枯渇しかねません。対策は3つ。1つ目は、収入を増やすことです。ご相談者さまのパート収入を年200万円にする、またご主人にも、可能であれば収入が増えるよう工夫してもらうのが良いでしょう。そして2つ目は、支出を減らすことです。お子さまの夢である留学についても、その形態にこだわらず柔軟に検討しましょう。実際に高校に入学するのは7年後。就職事情や留学事情など、世の中の状況が変わっている可能性もあります。留学事情や費用を随時チェックして、その時の家計でできる範囲で、留学する年齢や、留学期間、場所などのプランを検討すると良いでしょう。大学生になれば、留学を対象にした返済不要の給付型奨学金制度も数多くあります。高校生が使えるものとして、代表的な給付型奨学金制度は、「トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム」。このプログラムは最長1年ですが、月額6万円~14万円の滞在費(現地活動費)に加え、往復渡航費の一部、授業料の一部も支援されます(2021年以降の実施については未定)。他にもさまざまな自治体や企業が、大学生や高校生の留学向け奨学金制度を運営しています。ぜひお子さまと一緒に調べてみてください。制度を利用するために必要な知識、英語力を知ることで、お子さまも夢に向かってなお一層勉強に弾みがつくことでしょう。3つ目はお金を運用することです。節税しながら老後資金を投資信託などで積立運用できる「個人型確定拠出年金」の活用がおすすめ。毎月5,000円から加入できるので、現在の家計から無理なく捻出できる金額で始めるのが良いですね。たとえば、毎月1万円をコツコツ増やすことができれば、2%運用でご主人が60歳になる15年後には209.7万円、ご相談者さまが60歳になる25年後には388.8万円となり、老後資金の足しになります。老後資金準備を早いうちに開始し、毎年の貯蓄目標として、お子さまの中学入学までは100万円以上、中学入学後は150万円以上を頑張って目指してください。パートを増やせれば、貯蓄パワーはぐんとアップします。楽しくお子さまの夢を応援できると良いですね。コラム執筆者プロフィール 鈴木 さや子(すずき さやこ)(株)ライフヴェーラ 代表取締役/mamaTanoマネーサロン 代表/CFP(R)/1級FP技能士/住宅ローンアドバイザー/キャリアコンサルタント(CDA)家族が笑顔になれるための生活に役立つお金の知識を、主に女性向けに、セミナーやコラム記事などを通じて情報発信。保険などの商品を一切販売しないファイナンシャルプランナーとして活躍中。専門は教育費・ライフプラン・保険・住宅ローン・マネー&キャリア教育。女性の心に寄り添う個人相談にも定評がある。企業講演の他、小・中学校や地域コミュニティなどでの講演やワークショップなど、保護者や親子向けイベントも行っている。コラム監修者プロフィール 柳澤 美由紀(やなぎさわ みゆき)CFP(R)/1級ファイナンシャルプランニング技能士関西大学社会学部卒。大学時代に心理学を学び、リクルートグループに入社。求人広告制作業務に携わった後、1997年ファイナンシャルプランナー(FP)に転身する。相談件数は800件以上。家計の見直し、保険相談、資産づくり(お金を増やす仕組みづくり)が得意で、ライフプランシミュレーションや実行支援も行っている。家計アイデア工房 代表※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2016年03月15日楽天銀行は3月8日、東京理科大学と「楽天銀行教育ローン」の提携を開始したと発表した。○優遇金利で教育ローンが利用できる楽天銀行が提供する「楽天銀行教育ローン」では、提携大学に優遇金利を設定。このたび、新たに東京理科大学または諏訪東京理科大学が提携校となり、両校に入学を予定している人もしくは在校生は優遇金利の対象となる。なお提携は、東京理科大学で23校目となる。楽天銀行によると「提携大学の優遇金利の数値は開示していないが、提携大学以外の教育ローンの金利は、9日現在、固定で年3.90%、変動で年3.277%。提携校はこの数値よりは低くなる」とコメントしている。「楽天銀行教育ローン」の申し込みは、楽天銀行ホームページの申し込みフォームから入力する形式となっている。必要書類はスマートフォンのカメラで撮影し、「楽天銀行アプリ」で送付。申し込みから最短で翌営業日に融資する。
2016年03月11日1月29日に日本銀行(日銀)が突然、「2月から金利を-0.1%にします」と発表しました。このとき、きっと多くの方が「金利がマイナスってどういうこと?」と疑問に思ったのではないでしょうか?通常、プラスになっている金利がマイナスになるということは、お金を銀行に預けると利息がもらえるのではなく、反対に利息をとられるということ?それとも、逆にお金を借りると利息がもらえるってこと?いままでになかったことなので、見当がつかないですよね。これは、民間銀行が日銀に預けているお金のうち、一部にマイナスの金利をつけるという限定的な方法。いまのところ、私たちが銀行に預けているお金や借りているお金がマイナス金利になることはないだろうといわれています。とはいえ、もちろんまったく影響がないわけではありません。たとえば、このマイナス金利によって銀行は、「お金を払って日銀にお金を預けるか、他にお金を貸すか、運用するか」という選択を迫られたことになります。同時に、住宅ローン金利が大きな影響を受けました。というわけで今日は、住宅ローンを組んでいる人にとって気になる“住宅ローン借り換えのポイント”についてお話ししたいと思います。■いま住宅ローン借り換えのチャンス?長期固定金利でもっともポピュラーな『フラット35』の金利を見ると、最低金利は2月の1.48%から3月の最低金利1.25%まで、0.23%引き下がっています。そのため「住宅ローン史上最低金利」などという言葉が、あちこちで飛び交いはじめました。すでに住宅ローンを借りている人なら、「住宅ローンを借り換えるならいまかも?」と思っても当然でしょう。ファイナンシャルプランナーである筆者のところにも、3月に入ってから借り換えのご相談が急増しています。しかし、ただ金利が下がったからといって住宅ローンを借り換えてもいいものなのでしょうか?そもそも借り換えとは、その名のとおり住宅ローンを借り換えること。簡単にいえば、A銀行からB銀行に住宅ローンを借り換えるということです(同じ銀行内での借り換えはできません。あくまで原則ですが……)。一昔前までは、「金利が1%以上、返済期間は10年以上、ローン残高が1,000万円以上なければ借り換えしても意味がない」といわれていましたが、実際はどうなのでしょうか?■失敗しない住宅ローン借り換えとは?曖昧な情報に流されないために必要なのは、借り換えの実態を知っておくこと。そこで、住宅ローン借り換えで失敗しないために知っておくべき2つのポイントをお伝えしましょう。ひとつめは、借り換えには手数料や諸費用がかかるということ。借り換えという言葉を使いますが、扱いとしては、新規で住宅ローンをもう一度借りることと同じ。つまり、借り入れの際の手数料や登記費用等の諸費用が発生します。場合によっては60万円から80万円程度かかることもありますから、この費用を支払ってでもメリットがあるのかを検討しないといけません。ふたつめは、借り換え後の「金利タイプ」「引き下げタイプ」を検討するということ。住宅ローンを返済している立場なら、「金利は低ければいい」「毎月の支払いが低くなるようにしたい」という思いが強くなるのは当然です。しかし、住宅ローン金利とは、見た目の金利の低い・高いだけで単純に選べるものではありません。なぜなら、「その金利が何年続くのか?」「金利変更後の条件はどうなのか?」ということが重要だから。選ぶときは、こういった要素も考慮しなくてはいけないのです。銀行へ相談しに行くと、「借り換えしても月々の返済が安くならないと借り換えのメリットがない」と主張する銀行員が多いとよく耳にします。ですが、実際はそんなことはまったくありません。もし、今の借りている金利がすでに低金利で、借り換えても金利があまり変わらないとします。借り換えても毎月の返済はあまり変わりません。でも、今のままでは金利が3年後までしか保証がない。今借り換えすることで、低い金利がローン完済まで続くことように変更できるとしたら……。そうです。手数料を払ってもメリットがあるかもしれません。この数年の金利低下、とくに今回のマイナス金利は経済の自然現象で起こっているのではなく、日銀の政策で起こっている現象です。このチャンスを生かして、将来にどうメリットを出せるのか?これこそが今回の住宅ローン借り換えの重要なポイントになるのです。(文/ファイナンシャルプランナー・岡崎充輝) 【参考】※岡崎充輝(2011)『住宅ローンの相談を銀行にしてはいけません。』総合法令出版
2016年03月09日『子どもはイギリスで育てたい! 7つの理由――住んでわかった。子育てと教育から見える日本へのヒント』(浅見実花著、祥伝社)の著者は、タイトルからもわかるとおりイギリス在住。大手広告代理店のマーケティング部門を退職したのち、2010年に移民として、イギリスで起業する夫を含む家族4人で移住したのだそうです。ところが暮らしてみると、日本で慣れ親しんできたものとは違うやり方や考え方に何度も出会うことになったのだとか。そしてそのたびに、「ああ、そういうものか」と思いなおし、適応するように努めてきたのだといいます。イギリスで教わった重要なことは、「あらゆることに期待しない」という人生の教訓。悲観的な意味ではなく、物事を大きすぎもせず、小すぐもせず、ありのままに捉えることなのだそうです。そのうえで実践的に行動すれば、人生が少しだけリラックスしたものになるという考え方。本書でもそこを軸として、子育てや教育の観点から、イギリス社会を個人的に深索しているというわけです。そしてそれは、子育てや教育の観点から、日本社会を深索する作業にもなるはずだといいます。きょうはなにかと気になる「お金」のトピックスのなかから、保育費の問題を引き出してみたいと思います。■保育費が高額なのに復職する母親たちイギリスにおいて、子どもを保育所に預けることは、日本でいわれるほど罪悪感に結びつかないものなのだそうです。むしろそれ以上の問題は、保育所にかかる費用がとんでもなく高額であること。なにしろロンドンで3歳未満の子どもを週5日のフルタイムで保育所に預けた場合、毎月800~1,300ポンド(約15万~24万円)もかかるというのですから驚き。そんなことになるのには理由があって、つまりは3歳未満の公的保育サービスがないから。そのため保育にかかる費用はほぼすべて、各家庭が負担することになるというのです。家庭の経済状況に応じた育児手当や、全員に与えられるわずかな無料保育日など、多少の公的支援があるとはいえ、あまりにも高額な保育費には太刀打ちできないというわけです。いっぽう、保育所への公的資金援助がある日本では、各家庭が保育所に支払う費用はずっと安いものになります。たとえば東京であれば、認証保育所にフルタイムで預ける場合、3歳未満の子どもは上限が8万円。それ以上の子どもは7万7,000円で、認証保育所はさらに低額。もしロンドンの保育所が東京の価格水準で利用できるとしたら、おそらくイギリスの親たちは、国庫に多大な負担をかけるほど保育所を使い倒すだろうと著者は推測しています。■イギリスの保育費は住宅ローン以上!いずれにせよ、いくらフルタイムで働いたとしても、毎月20万円前後の保育費を払うことは決して容易ではないはずです。事実、母親が朝から夕方まで毎日必死で働いたとしても、手取りがほぼ保育費に消えてしまう家庭は決して少なくないというのです。月々に返済する住宅ローンよりも保育費のほうが高くつくという、私たちの感覚では信じられないような話も有名な話。もちろん費用やライフスタイルのバランスをとって、どちらの親がフルタイムからパートタイムに切り替える場合もあるでしょう。しかし不思議なのは、保育費が高くついたとしても、多くの母親たちがなんらかのかたちで復職しているという事実。イギリスで労働可能な年齢の女性のうち、専業主婦は10人に1人にすぎないというのです。■なぜイギリスの母親たちは復職する?でも、母親たちはそんな状況下で、なぜ復職することを選ぶのでしょうか? それは、長い目で見たとき、収入面でプラスになるからというだけではないと著者はいいます。家庭に入るより働くほうが、充実感や満足感を得られるから。働くことによって、自分が健全でいられるから。自分の仕事が好きだから。子どもが成長したあとも、自分のキャリアを続けられるから。働くことで、子どもに手本を示したいから。などなど、復職する母親に関するさまざまな記事に目を通してみると、彼女たちの動機は実にさまざま。つまり母親たちは、復職すること・復職をやめることの、よい点と悪い点とを自分なりに秤にかけ、シビアに判断しているということです。*この話に限らず、イギリスと日本では感覚的に違いすぎることばかり。しかし、だからこそそこを直視すれば、私たちが日本で進むべき方向も見えてくるのではないでしょうか?(文/書評家・印南敦史) 【参考】※浅見実花(2015)『子どもはイギリスで育てたい! 7つの理由――住んでわかった。子育てと教育から見える日本へのヒント』祥伝社
2016年03月02日三井住友信託銀行は3月1日、円普通預金金利と住宅ローン金利を引き下げ、外貨定期預金の金利を引き上げる。円普通預金金利は年0.001%とする。○住宅ローンの固定プランは年0.05%~年0.25%引き下げこのたびの円普通預金金利と住宅ローン金利の引き下げは、2月16日に開始された、日本銀行によるマイナス金利政策導入以降の市場動向を踏まえて実施されるもの。円普通預金金利は、現行の年0.02%を年0.001%に引き下げる。取引残高に応じて優遇サービスを提供するトラストプレミアムサービス普通預金金利は年0.025%から年0.002%とする。住宅ローンの固定プランにおける店頭表示金利は、現行水準から年0.05%~年0.25%引き下げる。変動プランについて変更はない。外貨定期預金では、米ドル・豪ドルの金利を引き上げる。例えば、「米ドル1カ月定期(ネットバンキング)」は年0.10%の金利を年12.00%に、「米ドル1カ月定期(窓口またはテレフォンバンキング)」は年0.10%を年0.50%に引き上げる。「米ドル1年定期(ネットバンキング)」は年0.65%を年1.50%に、「米ドル1年定期(窓口またはテレフォンバンキング)」は年0.35%を年1.20%にする。同様に「豪ドル1カ月定期(ネットバンキング)」の金利は年0.70%から年13.00%に、「豪ドル1カ月定期(窓口とテレフォンバンキング)」は年0.70%を年1.00%に引き上げる。また、「豪ドル1年定期(ネットバンキング)」は年1.55%から年2.10%に、「豪ドル1年定期(窓口とテレフォンバンキング)」は年1.05%を年1.60%とする。三井住友信託銀行は、外貨定期預金の金利を引き上げたことについて「マーケット環境をふまえた結果」としている。
2016年02月29日私、「サレ妻予備軍」になりました。
兄の連れてきた婚約者は…
妻は看病してもらえないのが普通ですか?